議院運営委員会 第9号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2018/03/07
会議録
○委員長(山本順三君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 日本銀行副総裁の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁候補者・早稲田大学政治経済学術院教授若田部昌澄君及び日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山本順三君) 次に、日本銀行副総裁の任命同意に関する件を議題といたします。 候補者から所信を聴取いたします。 まず、若田部昌澄君にお願いいたします。若田部昌澄君。
○参考人(若田部昌澄君) 早稲田大学の若田部昌澄でございます。よろしくお願いいたします。 本日は、所感を述べる機会をいただきまして誠にありがとうございます。 私は、早稲田大学とカナダ・トロント大学の両大学院で経済学を学んだ後、一九九八年から現在まで、早稲田大学政治経済学部及び大学院経済学研究科で教鞭を執り、研究と学生の指導に当たってまいりました。 私の専攻は経済学史ですが、主としてマクロ経済学の歴史、特に、一九三〇年代の大恐慌、一九七〇年代の大インフレ、一九九〇年代からの日本の大停滞、二〇〇七—八年からの世界的金融経済危機など、過去と現在の経済危機とそれに対するマクロ経済政策対応について研究を進めてまいりました。二〇〇三年頃からは、現日銀副総裁岩田規久男先生やほかの研究仲間とともに、歴史的研究を基に、日本経済、殊にデフレと金融政策についても研究を積み重ねてまいりました。 この度、日本銀行の副総裁候補に挙がりましたが、国会の同意が得られましたならば、これまでの研究を金融政策に生かし、もうお一方の副総裁とともに総裁をお支えし、全力で職務を全うしたいと考えております。 この所信表明では、現状についての理解と今後の課題について述べさせていただきます。 二〇一三年から、日銀は、デフレ脱却を明確化すべく物価安定の目標二%を掲げ、積極的な金融緩和政策を推進してまいりました。その後五年間で、失業率は下がり、有効求人倍率は上がり、就業者数は増えております。近年は、男女共に正規雇用の増加につながっております。こうした良好な雇用状況の結果、自殺率が下がり、貧困率も減少に転じてきました。また、実質賃金につきましては上下動を繰り返しておりますが、総雇用者報酬は、名目でも実質でも増加しております。今後、積極的な金融緩和政策を持続することで実質賃金も上昇していくことが期待されます。 物価につきましては、二〇一四年三月には消費者物価指数が前年同月比で一・六%近くまで上昇したものの、その後、二〇一六年九月にはマイナス〇・五%まで下落しました。ただ、近年、物価については持ち直しが続いており、二〇一八年一月には一%程度にまで回復しております。継続的に物価が下がるのをデフレとする意味では、現在はデフレではない状況に達したと言えるかと思います。しかしながら、物価安定の目標である二%には到達しておらず、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数では〇・四%の上昇にとどまるなど、デフレからの完全脱却が依然として課題として残っております。 次に、今後の課題について三点述べさせていただきます。 第一に、何よりも大事なのは、デフレからの完全脱却を目指すという、これまでの五年間の金融政策の基本的なスタンス、レジームを継続することです。これまで得られた成果を改善し、日本経済を再びデフレに戻さないためにも、デフレからの完全脱却が必要であると考えます。 第二に、二%の物価安定目標は依然として有効であり有用であると考えます。 金融政策の目的は、物価上昇率を中期的な目標としながら、最終的には国民経済の健全な発展に資することにあります。そこで重要なのが雇用であります。経済学では、インフレを加速しない失業率という考え方があります。この失業率は働きたい人がほぼ職を得られる状態に対応しておりますが、日本経済のそれは恐らく二%台半ばから前半であり、物価目標二%を達成することで、そこまでは失業率を下げることができると考えられます。 第三に、リスクへの適切な目配りです。 経済危機の歴史は、様々なリスクへの警戒が必要であることを教えてくれます。例えば、大恐慌時代の一九三七年、米国の政府と連邦準備制度理事会は、デフレから脱却したと思い、マクロ経済政策を引き締めましたが、その後、米国経済はデフレに逆戻りしてしまい、再び政策の再緩和に転じました。 現在、世界経済の好調に支えられて、日本経済には追い風が吹いていると言われます。しかしながら、最近の状況を踏まえますと、この好機がどこまで続くか慎重に検討する必要があると考えます。特に、時期尚早に政策を変更してデフレに逆戻りするリスクは避けなければなりません。デフレからの完全脱却の前にいわゆる出口政策を行うことは避けなければなりません。 デフレからの完全脱却を達成するために日銀はあらゆる手段を駆使すべきではありますが、政府と日銀が協力することも欠かせません。デフレ脱却と日本経済再生という原点に立ち戻り、金融政策、財政政策、成長政策、そして所得再分配政策のバランスの取れた連携が必要であると考えます。 今は、日本経済のデフレからの完全脱却が懸かっている極めて重要な時期です。この時期に日本経済再生のためのお手伝いをできる機会をお与えいただけましたならば、全力で職務に努めたいと考えております。 ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) 次に、雨宮正佳君にお願いいたします。雨宮正佳君。
○参考人(雨宮正佳君) 雨宮でございます。 本日は、所信を述べる機会を賜り、光栄に存じます。 私は、一九七九年に日本銀行に入行して以来、四十年近くにわたり中央銀行の実務に携わってまいりました。近年では、考査局参事役、政策委員会室組織運営担当審議役、企画局長などを務め、金融政策運営、金融システム問題対応のほか、日本銀行の業務・組織運営など、多岐にわたる分野で経験を積み重ねてきました。黒田総裁就任以降は、理事として、当初の量的・質的金融緩和の導入から現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和に至るまで、金融政策の企画立案やその実践を担当してきております。 今般、副総裁としてお認めいただきましたならば、これまで日本銀行で得られた経験と知見を生かして、職員の力を束ねつつ、もうお一方の副総裁と力を合わせ、全力で総裁を支えてまいる所存です。また、政策委員会の一員として、しっかりと議論に貢献してまいりたいと考えております。 今後の課題として、まず第一に、金融政策運営からお話し申し上げます。 日本経済は、一九九〇年代後半以降、約二十年近くデフレに苦しんでまいりました。日本銀行は、この間、ゼロ金利政策、量的緩和、包括緩和と、世界でも最先端の新しい政策を開拓しつつ、デフレ脱却のために努力してまいりました。そして、五年前に量的・質的金融緩和を導入した後、経済・物価情勢は大きく改善しました。企業収益が過去最高水準まで増加しているほか、家計の雇用・賃金情勢も好転しております。物価面でも、もはや物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。物価安定の目標である二%は達成できておりませんが、日本経済は、その実現に向けて着実に歩みを進めております。 私は、日本銀行におけるキャリアの約半分、二十年近くにわたってデフレとの戦いの最前線に身を置いてきた者として、積年の課題である物価の安定という使命達成の総仕上げのため、全力を尽くす覚悟であります。もちろん、歴史的にも、また世界的にも類例を見ない大規模な政策を講じておりますので、その効果と副作用の評価や将来の出口戦略の在り方など、検討課題は多岐にわたります。これまで築き上げた中央銀行員としての実務知識もフルに生かしつつ、適切な政策運営に努めていく所存です。 第二に、金融システム面での課題について申し述べます。 我が国の金融システムは安定性を維持していますが、金融機関を取り巻く経営環境は、人口や企業数の減少、産業構造の変化、長引く低金利環境など、厳しさを増しています。これに対して、金融機関では、多面的なビジネス展開やITを活用した業務見直しなど、幅広い経営改革を進める動きが広がっています。日本銀行としても、こうした金融機関の前向きな動きを的確に把握し、サポートしてまいります。 また、日本銀行は、金融システムの安定を図るため最後の貸し手機能を有しており、近年、金融取引の市場化やグローバル化が進展する中で、金融市場への流動性供給や外貨の流動性供給などの新たな機能も含め、その役割は一層重要性を増しております。このほか、金融分野におけるIT技術の応用、いわゆるフィンテックの急速な発展に対応していくということも重要な課題です。 このように、金融を取り巻く環境が大きく変革していく中においても、日本銀行が持っている機能や能力を十分に発揮することで、金融システムの安定を図り、金融仲介機能の更なる向上に貢献してまいる所存です。 第三に、業務・組織運営について申し述べます。 物価の安定と金融システムの安定という日本銀行の使命達成の基盤は、銀行券の発行と流通、決済システムの運営、預金、貸出し、債券取引など、中央銀行としての日々の業務遂行であります。日本銀行の本支店、事務所約五千人の職員は、高い士気を持ってそうした業務を日々遂行するとともに、災害等の緊急時にも我が国の金融インフラをしっかり守るという強い決意を持って臨んでいます。職員一人一人の持てる力を引き出し、日本銀行の組織力をフルに発揮させていくことが、長年にわたり日本銀行に奉職してきた私に課せられた重要な責務と考えております。 以上、所信を申し述べました。 副総裁として日本経済のために貢献する機会をいただくことになれば、全身全霊を懸けて職務に取り組んでいく所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
○委員長(山本順三君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。 まず、若田部参考人に対する質疑を行います。 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。 なお、質疑及び答弁の際は着席のままで結構でございます。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○古賀之士君 ありがとうございます。民進党・新緑風会の古賀之士でございます。 今、委員長からもお話ありましたように、自席から着席のまま若田部参考人に早速お話を伺ってまいります。 物価安定目標は二%、達成期間は二年というのが当初の異次元緩和のお約束だったはずですが、それが五年もたっているのに実現しておりません。大学生でしたら問答無用で不可となり、留年や退学となるはずでございますが、大学で教鞭を執られるお立場の若田部参考人にとりまして、この五年間の日銀の金融政策をどう評価されるか、端的にお答え願います。
○参考人(若田部昌澄君) 私、大学では厳しい教師と言われていますが、一科目で停学、退学ということはあり得ないんですけれども。 端的に申し上げまして、恐らく、アナロジーを使うとするならば、チームスポーツみたいなものだと思います。つまり、これまで余り成績が良くなかったチームが、監督とコーチが替わることによって成績が目覚ましく改善したということです。これは、物価であったり、その物価を通じて、所信表明でも述べましたように、雇用であるとか企業の収益であるとか、そういったものが増えていくということがございますので、確かに、言ってみれば、リーグで優勝するとか、そういった目的は果たされていないかもしれないけれども、ランクがBランクからAランクに上がったというような意味での向上が見られたというふうには思います。
○古賀之士君 次の質問に参ります。 五年間の任期中に消費税の税率アップが予定されておりますが、前回の税率引上げが景気に与えた影響、そして、予定どおり一〇%消費税になった場合、経済への影響について御意見を伺います。また、そもそも次回の引上げのタイミングが妥当かどうかも改めて御意見を伺います。
○参考人(若田部昌澄君) 財政政策につきましては、これは国会、政府でお決めになることですので、日銀副総裁の候補者としては、財政政策についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一般論といたしまして、私、経済学者として発言したのは、前回の消費税の税率の引上げというのは無視できない影響があったと。それは、実質経済成長率の低下であったり、あるいは物価安定目標二%を達成するというところでそれが頓挫するというところにおいて無視できない影響があったと思います。 ちなみに、インフレに与える影響に関しましては、日銀が二〇一六年九月に発表しました総括的検証においても同様の趣旨のことが認められているということになるかと思います。
○古賀之士君 次の質問ですが、物価上昇率二%の目標達成が難しければ追加の緩和策が必要とも述べていらっしゃいます。その場合の為替への影響をどうお考えになるでしょうか。為替そのものは建前上目標とはしないでしょうが、海外からはそう捉えられてはいないでしょうか。特に、トランプ政権に目を付けられているのではないかという点も気になります。 また、追加の緩和策とは量のことと捉えてよろしいのでしょうか。マイナス金利の更なる深掘り、範囲の拡大というのは選択肢の中に含まれているのでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) アベノミクスの開始直後に、確かに、諸外国から為替操作という批判があったことは事実でございます。ただ、最近では、日銀の金融政策は日本経済がデフレから脱却をするために行っているものであるということは国際的に理解されているというふうに思います。 そして、二番目の点でございますけれども、追加的な緩和策につきましては、これは、政策決定会合にこれから臨みますので、私としましては、追加の緩和策ありきではなく、また、追加の緩和策を排除することもなく、予断を持たず臨みたいと思います。 その場合の手段ですけれども、御指摘のように、様々なことが考えられます。日銀は、既に長短の金利の操作、そして量的・質的緩和と、様々なことをやっておりますので、それらについての改善、強化ということも一つの可能性でしょうし、また新たな政策を考えるということも考えていきたいと考えております。
○古賀之士君 今のお答えは、全ての選択肢に関して否定はされないと受け止めさせていただきます。 次の質問ですが、新聞で、名目GDPを二〇二〇年までに六百兆円にすることを政府と日銀の共同目標とし、緊縮財政としないと約束する方がいいと参考人は述べたとありますが、今でも同じ意見なんでしょうか。二〇一三年のアコードをそうした方向で結び直すという理解でよろしいのでしょうか。 また、素朴な疑問としまして、政府と共同であるということを含めて、GDPを中央銀行の目標とする国はほかにあるのでしょうか。 それから、中央銀行の目標に関して、FRBのように雇用の最大化などを加えるお考えはあるのか、お答え願います。
○参考人(若田部昌澄君) 日銀副総裁候補者としましては、政府、国会の決定に関わる部分に関しましてはコメントを差し控えさせていただきます。 ただし、経済学者として確かにそのような発言をしたことは事実でございますので、そのことについては事実であるというふうに申し上げます。 名目GDPの六百兆円の目標というのは、これは既に二〇二〇年度をめどにして安倍政権が達成しようとしていることですので、むしろ、それを使って共同声明を強化するというのは一案ではないかというふうに、そのように御提言申し上げました。実際にアコードを日銀の場において議論するのかということは、これにつきましては、やはり政府があることですので、コメントは差し控えさせていただきます。 事実の問題としまして、GDPを目標として運営をしている中央銀行は現在のところございません。これは、ただ現状で、海外の議論などでは、非常に、GDPの目標論あるいは物価水準論あるいはインフレ目標の引上げ論など、いろいろな議論はされていますので、こういったことは中央銀行である日銀でも研究できるのではないかというふうに考えております。
○古賀之士君 金融機関の貸出しについて、平均金利が低下傾向にある一方で、期間については長くなっています。加えて、この半年の動向では貸出し伸び率も徐々に低下しています。こうした点をどう捉えていらっしゃるでしょうか。 また、貸出内容について、最近問題となったアパートローン、銀行ローンに関連した意見もお伺いしたいです。日銀考査においてどう評価されていくのでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 現状で貸出しが減っているというのは事実でございます。ただ、その詳細を見ますと、これは大手行、いわゆるメガバンクというところで減っているということです。地域の金融機関は、地方銀行、第二地銀、両方含めましても実は減っておりません。大手行がなぜそのように減っているのかというと、これは、一つには、貸出しのビジネスから手数料収入などに収益源を求めるというビジネスに変更しているというところがあるのではないかというふうに考えております。 不動産については、これは日銀の金融システムレポートなどでも、確かに貸出しが増えているということの指摘がございます。ただ、そこでも指摘はされておりますし、実際私もそうだと思いますが、いわゆるバブル期に比べると、とてもではないですけれども、それほどの過熱ぎみではないということです。 ただ、これは、日銀の政策の目標というのは、物価の安定化と並んで信用秩序の維持、つまり金融システムの安定性という問題がございますので、この課題をきっちりと考えていくためには、日銀の考査などでしっかりとモニタリングしていきたい、そして、様々な強気な貸出し、貸出しの強気化と言われるようなものが起きていないかどうかの検討というのをしっかりしていきたいというふうに考えております。
○古賀之士君 逆の観点からかもしれませんが、今後、いわゆる出口が近づくにつれて金利が徐々に上がっていくことが見込まれております。例えば、アメリカでは、今年に入って一月で〇・五ポイント、〇・五%も長期金利が上昇しておりますが、日本での金融機関への影響をどのように分析していらっしゃいますか。
○参考人(若田部昌澄君) これにつきましては、私が参考にできるのは日銀の金融システムレポートでございます。こちらでは、一%、ありとあらゆる金利が一%パラレルに、並行に上昇した場合に金融機関の収益にどういう影響を及ぼすのかということの検討をやっております。 そのときに、確かに、その場合の金利リスクによって損失が出るということは明らかになっておりますが、ただ、現状におきまして、大手銀行だけじゃなくて地域の金融機関も含めて、自己資本比率で、今維持している自己資本でもって十分に吸収可能な額であるということであります。ほかのリスク、例えば信用リスクであるとか為替のリスクを勘案しても、自己資本に対する毀損というのは、少なくとも一%ぐらいの金利の上昇ということではないというふうに考えます。
○古賀之士君 参考人は、おととしの新聞の連載でヘリコプターマネーについて解説していらっしゃいます。このヘリコプターマネーについて伺いますが、現在も同じ意見でございましょうか、改めて伺いたいです。ヘリコプターマネー政策を採用することを政策委員会で提案するかどうかも併せて伺います。 また、ベーシックインカムについて好意的のように読めましたが、民進党などが提案します給付付きの税額控除への評価も併せてお答え願います。
○参考人(若田部昌澄君) ヘリコプターマネーにつきましては各種の定義がございまして、一番簡単な例ですと、ヘリコプターが空をぶんぶん飛んできてお札を配るというようなことから、ほかのいろんな、よりオーソドックスな財政政策と金融政策の一体的な運用というところまで幅広くございます。 私自身は、その本質というのは、財政政策と金融政策が同じ方向を向いて、そして両方のシナジーが一体的に運用されることで強化されるということだと思います。 ただ、財政に関するところなので、これは日銀の副総裁候補者としてではなくて、経済学者としての意見をお求めになっているんだと思いますが、給付付き税額控除につきましては、私は、いわゆる負の所得税と呼ばれるもの、あるいは最近ですとベーシックインカムと呼ばれるようなものに対しては、非常に良い方向であるというふうには考えております。 ただ、その方向に行くためには、いろいろと恐らくインフラの整備が必要でして、マイナンバー制度の導入というのはその方向の一つではございますが、それを更に強化して、例えば米国並みに、内国歳入庁が社会保障勘定と銀行口座を統合的に管理するような、歳入庁の構想みたいなものがやはり必要になってくるであろうというふうに考えております。
○古賀之士君 アメリカ発で世界的に広まりました現在の株価の下落傾向についてですが、副総裁のお話が来ていた時期なので、かなり神経質になられたのではないかと思っております。 今回の金融市場の下落、その原因と我が国への影響についてお尋ねいたします。
○参考人(若田部昌澄君) 副総裁の話が来ていた来ていないにかかわらず、米国に住んでおりましたので、非常にビビッドに捉えておりました。 米国の状況がどうなるかということについては様々な検討がなされていますが、正直、これが不況のとば口なのか、それとも好況がまだ続くということなのかということについては、まだ私としても判断が付きかねるところでございます。 これはどういうことかと申しますと、長期金利が今上がっているわけですけれども、それと同時に、長期の実質金利が上がっているという状況です。つまり、資本の調達コストが上がっているわけなので、ですから、株価が下がるのはある種当然といえば当然の状況だということです。ただ、それが一時的な現象で、やはり景気はもっと長く続くと考えるのか、つまり、景気が良くなる局面でも実質金利が上がるということはよくあり得ることなので、そういうものなのか、それともこれが不況のとば口なのかということについては、いろいろと分析が必要だろうというふうに思います。 なお、これは、ただ私の経済学者としての分析でございますので、日銀の政策とは取りあえずは別個のものというふうに考えていただきたいと思います。
○古賀之士君 そういったことも含めて、今後は日銀の政策決定会合などで御自身の意見が求められるわけでございますが、経済学者とまた違った視点が求められる点についてはどのようにお考えでしょうか。 また、五千人弱の組織を運営する責任者のお一人ということにもなるかと思います。組織を運営する経験、これについて、今後の意向なり御意思なりを述べていただければ幸甚でございます。
○参考人(若田部昌澄君) 私に今期待されている役割というのは、これまでの学会活動、そして、これまでの政策提言活動などを通じまして金融政策決定会合での議論を活発に行うこと、そして、多少英語などで発信もしてきましたので、海外でのカンファレンスなどに出席し、英語でも発信するというふうなことだと思います。 日銀の組織運営につきましては、これは適正かつ効率的に行われているかどうかということの検討が必要だと思います。私も、日銀の組織運営が適正かつ効率的に行われているかどうかということを常に検討してまいりたいというふうに思います。
○古賀之士君 時間が参りましたので、質疑を終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。 本当に、若田部先生にお会いできてうれしいなと思っております。まさか若田部先生が日銀副総裁に出てこられようとは本当に思っておりませんでして、リフレ派としても、何といいますか、かなり刺激的といいますか過激といいますか、よくそういう方が出てこられたなというふうに思っております。 立場は全然違いますけれど、先生のレポートとか御本は結構、反面教師といいますか、違う立場で読ませていただいてきたんですけど、本当に驚きなんですけど、もしお聞かせいただければ、どういう経過で、どういうどこからの要請があってこうやって出てこられたのか、ちょっと教えてもらえないかと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 人事の過程に関することは、これはプロセスの話ですので、コメントを差し控えさせていただきます。
○大門実紀史君 私、若田部先生となら本来リフレ云々の議論をしなきゃいけないんでしょうけど、ちょっともう同じ話ばかりでうんざりしておりますので、せっかく目の前にいらっしゃるので、ずっと気になっていたことをちょっとこの機会にお聞きしたいんですけれども、日銀の独立性の問題です。 昨日も黒田さんとは議論したんですけど、若田部先生が二〇〇六年三月の日経の「経済教室」で、これは、このときは何があったかというと、福井総裁が三月に量的緩和を一旦解除したときでしたね。 財政金融委員会でもいろんな議論があったときなんですけど、そのときに若田部先生が日経の「経済教室」で書かれていることは、要するに、量的緩和政策を解除したのは、それに疑問を先生は呈されて、その上で、今回の政策転換でデフレ不況が再発したら日銀は責任を問われる、今や中央銀行の独立性は政府から超然したものではない、現状では、日銀総裁が失政をしても総裁の辞任は自主性に任されていると。で、御提案されているのが、制度として日銀の責任を問う明確な規定を設ける必要が生じる、更に言えば、日銀法の再改正も真剣に検討するべきというふうにおっしゃっております。 当時、思い出しますと、国会でも、リフレ派の議員の方が日銀に相当圧力といいますか、質問も含めて掛けていた時期でありまして、日銀法の改正なんかも、ちょっと私から見ると脅しじゃないかと思いましたけれども、そういうことを言われた時期でありますけれども。 若田部先生は今でも、日銀の政策が失敗したら総裁は辞めるべきだと、辞めなければ日銀法の改正も含めて考えるべきだというお考えは今でも同じでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 今のは私が経済学者時代に書いたものですので、それについてのコメントであるということで申し上げますと、私は、やはりこれは、民主主義国家においてはいかなる組織も民主主義から超越した存在ではあり得ないというのが大前提だと思います。そのようなことで国会の同意を得て総裁、副総裁の人事というのも決まっているわけですし、そういった理解を踏まえて、最近では、中央銀行というのは、独立性を持っているけれども、その独立性というのは、目標について独立性を持っているのではないと。中央銀行が持っている独立性というのは、その与えられた目標の中で、つまり民主的に選ばれた政府が決めた目標の中でいかにその手段の独立性を確保するかということだというふうに理解しております。 なので、私としてはその理解というのは今でも正しいと思いますし、現状では、現状の日銀法がどうなっているのかということについてはそれ以上はコメントいたしませんが、政府と日銀の共同声明が作られたことによって、現在の日銀法の下で物価の安定ということに対してより明確な目標が与えられた、その下で、日銀というのは組織としてその目標を達成すべく全力を尽くすという形で望ましい関係ができたのではないかというふうに思います。 そして、その結果が、所信表明でも述べさせていただきましたが、一九九〇年代の半ばぐらいから二〇一三年ぐらいまで続いたデフレというのがようやく終わりつつあるということであるので、この方向性というのは正しいし、中央銀行あるいはこういった専門組織の民主的統制という観点からも非常に正しいと、私はこう考えております。
○大門実紀史君 今日は論戦の場ではありませんので、お考えを聞くということで、また副総裁になられたらじっくりやりたいと思うんですけれども。 もう一つ、そこまで行く手前でいろんなことをおっしゃっていて、この本も面白いなと思って読んだことは読んだんですけど、二〇一〇年ですね、「伝説の教授に学べ」というやつで、浜田宏一さんと勝間和代さんと先生、三人の共著ですけれども、この中でも、このときは、ターゲットは福井さんじゃなくて白川さんですね。 福井さんならいいというわけじゃないですけど、白川さんは私は特に非常に尊敬しておりましたので、これはいかがなものかと思うんですけれども、これも同じような責任論なんですけどね。浜田さんが、明らかに間違った政策をやった場合問題だとおっしゃって、若田部先生は、確かに問題だと。ここでおっしゃっているのは、総裁を辞めさせるべきだということの物差しをおっしゃっているんですけれども、金融政策の運営がひどければ辞めさせるべきだ、ただ、ひどいかどうかは基準が必要だ、それがインフレターゲットだというふうにおっしゃっているんですね。つまり物価上昇目標ですね。 つまり、日銀が掲げた、当時はインフレターゲット目標も掲げることも日銀は抵抗していたわけですけれど、今は掲げておられるわけですね。ところが、その掲げた目標ができなかったら責任取って総裁辞めるべきだというようなことをおっしゃっていたわけですよね。その後、黒田さんになって物価目標を掲げてきたんですけど、五回も六回もうまくいかないですよね。だから、当然黒田さんは五回も六回も辞めている話ですよね、その主張だったら。 そういうことまで中央銀行に負わせるというふうにお考え、もっと言えば、これから五年間もし黒田さんと若田部さんが総裁、副総裁になったら、次は、何ですか、二〇一九年二%ですか、これ達成しなかったら、黒田さんも若田部さん御自身も辞めるべきだと、今度は御自分にも関わるわけですけど、そういうふうに中央銀行の責任といいますか、捉えておられるのかということをお聞きしたいと思いますが。
○参考人(若田部昌澄君) 二〇一〇年の時期というのは、思い起こしてみても非常に大変な時期でして、為替が七十円台にまで行くというふうなこともあって、日本経済のデフレからの出口というのが一向に見えないという時代でございました。ですので、ここで対談したときはそういう時代背景が反映しているのではないかというふうに御理解いただければと思います。 それを超えて日銀法をどうすべきかということにつきましては、経済学者の立場としてはいろいろと議論もいたしました。けれども、日銀副総裁の候補者としましては、やはり現行の日銀法の下で、日銀と政府の共同声明を遵守するという形で二%の物価安定の目標の達成に全力で努力したいというふうに考えております。
○大門実紀史君 岩田前副総裁が二%達成できなかったら辞めるということをおっしゃって、私はそれを追及したことはありませんけど、かなり野党の皆さんが追及をして、私の方はばかばかしくて追及する気もしなかったんですけど、かなり厳しく追及されたことがあるんですね。そのときおっしゃったのは、前提が違う、前提が違うというようなことで、責任回避といいますか、されたわけですけど。 大体、私、国会に長くいますと、余り学者さんの言うことを信用しなくなってきて、竹中平蔵さんとか今の岩田さんとか、それから、何といいますか、余り軽く学者気分で副総裁の任を受けられるべきじゃないというふうに思っているんです。それはちょっと指摘だけにしておきますけれど。 もう一つ、この本の中でよくここまでおっしゃる方を副総裁に、与党の方、賛成するのかな、よく安倍内閣は引っ張り上げてきたなと思うんですけれど、本だから自由だとかいう限度を超しているのが、勝間さんと浜田さんとこの議論の中で、先ほどの話よりもっとすごい話を平気でおっしゃっているんですけれども。要するに、日銀の総裁、何か辞めさせるべきどころか、ふだんから影の金融政策決定会合、こういうものをつくるべきだ、もっともっと金融と財政、政府と日銀が一体となって特別司令部をつくって日銀なんか動かせと。ここまでおっしゃる方をよく推薦してきたな、ちょっと限度を超しているんじゃないかなと私は思うんですけれど、これについても同じ考えでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) ちょっと引用に誤解があるようなんですけれども、ここでシャドーと申し上げているのは、アメリカでやったまさにシャドーFOMCのことを申し上げています。シャドーというと何か影の政府のようなものがあるかのように思われがちですけれども、そこで申し上げているのは、実際にアメリカにおいて民間の学者やエコノミストが中心になってつくった影の、彼らがそういうふうに呼んでいる機関のことでございます。 それで、何を言いたかったのかというと、政府がやっていることに対して、同じように、例えば民間の側からもこういう政策が望ましいのではないかということを提言すべきではないかということでございます。それは政府とつながって何かをするということではなくて、全く民間がやろうということで、これがアメリカにおいて実際に行われていて、なおかつ、研究によりますと、そのシャドーと言われている影のFOMCの方が予測の精度などが高かったというような研究がございましたので、それを参照したということでございます。
○大門実紀史君 そうは書いてありませんので、またこれはやりたいと思うんですけれども。 この副総裁の枠が二つあって、一つは、別に日銀法に書いてあるわけではありませんけれども、外部の有識者というのが慣例で今まで枠が当てられてきたと。これ何も法的な根拠はないんですよ。それは、最初は共同通信の方でしたけど、あとは大体学者の方ですよね。これは非常に、何といいますか、バランス感覚がありまして、日銀が、あるいは政府かも分かりませんけれど、何かちょっと行き過ぎたときに、やっぱり外部の有識者の知見でバランスを取っていただくというようなことがそもそもだと思うんですけれど、今度は、バランスどころか、もう安倍政権にどんといっちゃうような方をこの有識者枠に推してこられたというのは、ちょっとこれも私は実は異例なことではないかと思っておりますので、これは別に若田部さんに言う話ではありませんけれど。 それで、最後に若田部さんに聞きたいのは、若田部先生の、リフレといいますか、この思いがありますよね、理論がありますよね。私は余り信用していませんけど、とにかくありますね。それと違う政権ができたら、どうなさいます。安倍政権がこれ替わる可能性ありますよね。別に野党とは限りませんよ、もちろん、与党の中でも。そのときに、二%なんかはもう無理だ、二%そもそも間違っていたんだ、正常化していくんだ、量的緩和も抑えていくんだと、つまり先生がおっしゃるのと違う方向のことを言う政権が出てきたときに、この五年以内であり得るわけですね、若田部先生はどうなさいますか。それでも副総裁続けられますか。
○参考人(若田部昌澄君) 仮定の話には答えられないというのが私の一番簡単な答えでございます。
○大門実紀史君 仮定の話には答えられないって、どこかで聞いているんです、この間。役人答弁のようなことは、本当に、副総裁、こういうときの、非常に難しい時期の副総裁だから、そういうときだけ逃げて、前提がとかで逃げて、それだと財政金融委員会でまた大変なことになると思うんですよね。もうちょっときちっと誠実な対応を求めたいというふうに思いますけど、今日はこれぐらいにしておきます。 ありがとうございました。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 若田部参考人、よろしくお願いをいたします。 若田部参考人からの所信をお聞かせいただきまして、大変デフレ脱却に対する強い信念をお持ちの方なんだなということがよく理解をさせていただきました。ただ、デフレ脱却、完全にデフレ脱却ということはなかなか、そう簡単な状況にはないのではないのかなというふうに思っております。 これまでも、大規模な金融緩和、異次元緩和というふうなことを言われてやってきましたし、また、マイナス金利政策という大胆なこともやってきたというふうに思っております。その中で、まだデフレ脱却されていないという状況だという認識の中で完全にデフレ脱却をしていかなければならない、積極的に金融緩和もこれから持続をさせていかなくてはならないということをおっしゃっておられたわけですけれども、今日の所信の中で一つ触れられました実質賃金のことについてなんですけれども。 確かに、実質賃金をやっぱり上げていくことが大変大事だというふうに私も思っております。失業率が、おっしゃられたとおり、かなり下がってきまして、二%台半ばまで来ましたわけですから、これが続けば少し実質賃金が上がっていくのかなというふうに思っておるんですけれども、参考人が先ほどの中で、実質賃金につきましては上下動を繰り返しておりますが、総雇用者報酬は名目でも実質でも増加しております、今後積極的な金融緩和政策を持続することで実質賃金も上昇していくと期待されておりますということですけれども、この点につきまして、もう少し詳しく御説明いただければ有り難いなと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 実質賃金につきましては、基本的には二つぐらい考え方があると思います。 一つは、これはイギリスの経済学者のケインズという人が言ったことですが、デフレからインフレへと移行する期間においては実質賃金はむしろ下がるということです。下がることによって何が起きるかというと、雇用者数が増えると。つまり、労働者のコストがある種低くなるわけなので、その間は下がると。それから、インフレになったところからは今度は名目賃金も上がり、そして実質賃金も上がっていくというようなことです。ですので、デフレからインフレに移行する過程では実質賃金が下がるようなことがあるというのは、昔から経済学でも言われていることではあります。 そして、二番目の考え方というのは、その次に、インフレになったところからは今度は実質賃金自体が上がり始めるということです。これは考えてみれば当然でございまして、各国それぞれ濃淡はございますが、日本だけがこれだけ長いデフレを経験しているわけで、日本だけが名目賃金が低迷し、実質賃金も低迷しているという状況です。 これに対しまして、アメリカであるとかイギリスであるとか、ほかの先進諸国も全て、デフレではなくて、その下で名目賃金も上がり、実質賃金も上がるという状況ですので、恐らく、インフレに到達したようなところにおいては実質賃金は上がるという、要するに経済の正常な姿へと移っていくのではないかということが、これが期待されるところでございます。
○東徹君 ありがとうございます。 そこでなんですけれども、まだまだ日本の経済的な状況が厳しいというふうに私も思っておるわけですが、その一つに、日本の人口構造といいますか、よく少子高齢化というふうなことが言われておりますし、これから将来、人口減少、生産年齢人口は、比率ではこれ減っていっておるわけであります。また、社会保障費というものは、これもう年々増えていっておりまして、健康保険なんかすごい勢いで伸びていっているというような状況なわけであります。 そしてまた、税金もこれも上がっていっているということで、国民負担率も上がっていっているというような状況があるわけですけれども、このこともなかなか日本のデフレ脱却につながっていかない要因の一つではないのかなというふうに思っておりますが、若田部参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) おっしゃったようなことがデフレに影響している可能性はないとは言えないと思います。 ただ、人口が減少している国、高齢化が進んでいる国というのは、これは世界中見渡してもたくさんございまして、そういうところでもデフレに陥っているという国はございません。現状で、消費者物価指数で見てデフレに陥っているような、例えばギリシャみたいな国はございますが、こういう国を除いて、日本も多少プラスになっていると。人口減少していても、今の状況を見れば分かるように、デフレでない状況にするというのは幾らでも可能であるというふうに考えます。 社会保険料云々、これは、財政とか社会保障制度に関わるところは、財政政策あるいはそういうほかの政策に関わることなので、私としては、基本的に日銀副総裁候補者としてはコメントを差し控えさせていただきますが、経済学者としての意見をお求めであるならば、経済学者としては、やはりそこでは社会保障の様々な改革が必要であろうと思いますし、いかに医療費についてもそれの高コスト構造みたいなものを改革していくのかということは必要だと思います。 これにつきましては、所信表明でも述べましたが、金融政策だけじゃなくて、財政政策、成長政策、所得再分配政策と、様々な政策のバランスの取れた連携というふうに私が申し上げているようなことが必要であると。そういったことはやはりデフレ脱却にもつながっていくだろうということは、私も強く賛同するものでございます。
○東徹君 それでは次に、消費税のことについてちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。 まず、平成二十六年四月に消費税が五%から八%に引き上げられたわけですが、それによって景気が悪化して、物価安定目標二%が達成できない要因になっているという指摘があると思います。若田部参考人は、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 実際、経済学者としてそのときも発言いたしましたが、やはり消費税増税のとき、消費税増税を境にしまして、実質経済成長率が落ち込んだりインフレ目標への到達が遅れたということがあったのは厳然たる事実だというふうに思います。 このことは、二〇一六年九月に日銀が行いました総括的な検証においても、海外経済の、新興国経済の低迷と原油価格の低迷ということと並んで、消費税増税による消費需要の低下、低迷ということが挙げられておりましたので、この部分は日銀の現在の人々とも認識は一致しているというふうに考えております。
○東徹君 それではなんですけれども、今のところ予定をされております二〇一九年の消費税の増税についてなんですが、我々は、この消費税の増税は、今の経済状況から考えたときに、せっかく何とか良くなってきているというような状況で、まだデフレから脱却できていない状況でありますから、先ほどからの若田部参考人の所信を聞いておりましても、デフレ脱却できたと思って油断をしては駄目だ、その後のところもやっぱり見極めていかないと駄目だというふうな御発言だったかのように思いました。 ですので、消費税はまだ今は引き上げる時期にはないというふうに思っておりますが、若田部参考人もそのようなことを以前申しておられたのではないのかなというふうに思っておりますが、まず、二〇一九年の消費税の一〇%への引上げについてどのようにお考えなのか、また、引上げが行われた場合、我が国に対するどういう経済への影響が起こることが予測されるのか、その点も踏まえてお話しいただければ有り難いなと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 実際、消費税増税、その次に行われる予定の消費税増税につきまして、その影響を懸念しているということにつきましては、経済学者の立場としてメディアなどで発言したのは事実でございます。ただ、現在は、今、日銀副総裁候補者としておりますので、財政政策に関することは、基本的には政府そして国会でお決めになるというふうに理解しております。 その上で、経済学者としてどう考えるかということがございますけれども、次の増税というものに対していろいろな、軽減税率の導入であるとか補正予算であるとか、様々な措置がとられると思いますので、そういったことを勘案した上でネットの影響はどれぐらいなのかということが恐らく分析する観点からは重要になるかと思います。 ただ、これは何も日銀副総裁候補者として述べているわけではございませんで、一経済学者として見たときにその影響がどうなるかということについては、そのようなことが考えられるという観点から申し上げさせていただきます。
○東徹君 そうしますと、若田部参考人が副総裁になられたとしてなんですが、そのときの状況を見て、これは消費税増税すべきではないなというふうに御自身として御判断されたときは黒田総裁に対してきちっと警告を発するのかどうか、その辺についていかがでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 日銀法を読みますと、日銀法で定められている日銀副総裁の役割というのは二つございまして、一つは政策決定会合において独自の意見を述べること、二番目に総裁を補佐するということでございます。 さはさりながら、特定の発言を特定のどなたにするかということについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○東徹君 財政再建のことについては分野が違うんだというふうに言われるかもしれませんが、参考人がインタビューの中で、財政赤字の対GDP比率が小さくなっていくのであれば、基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字化を急ぐ必要はないというふうにおっしゃっておられました。 GDPを増やしていかないと持続的な財政再建につながらないというふうに述べられたんだというふうに思いますが、このことについて少し御説明をいただければ有り難いなと思います。
○参考人(若田部昌澄君) まさに財政政策のことでございまして、政府、国会が決めることだとは思いますが、過去にそのようなことを経済学者の立場として申し上げたのは事実でございます。 ですので、そのときの趣旨を解説させていただきたいと思いますが、私自身は、経済が再生しなくて財政が再建することはあり得ないというふうに考えております。これは、理論的にというよりも、むしろ歴史を通じて見て、要するに、経済が疲弊している中で増税を行ってもなかなか税収を上げることは難しいだろうと、そういう認識に基づいております。特に、日本の場合、十五年から二十年近くデフレが続いたわけですから、財政再建を達成するのにも時間が掛かるというふうに考えるのも一つの考えではないかというふうに思います。 幸い、日本国債の長期金利というのは非常に低位で安定しておりますし、国債が償還されない確率を表す、いわゆるクレジット・デフォルト・スワップというもののプレミアムというのも低位で安定しておりますし、名目GDPが最近増えていることで債務残高の対GDP比も増加から安定に向かっているということがございますので、基礎的財政収支の黒字化を急ぐ必要はないと、このような趣旨を申し上げました。 ただ、これはあくまでも経済学者としての見解でございまして、日銀副総裁候補者としては、財政についての発言はこれ以上は差し控えさせていただきたいと思います。
○東徹君 ありがとうございました。 時間ですので、これで終わらせていただきます。
○中西哲君 自民党の中西哲です。 若田部参考人、よろしくお願いします。 私は、平成七年に高知県の宿毛市の市議会議員を一期、その後、高知県議会を四期、通算二十年地方議員を務めておりましたので、第二次の安倍内閣ができる前と後とで地方でどういうことが起こったかということをお話しした上で質問させていただきます。 高知県というのは経済的にあらゆる数字が四十七都道府県の中で最下位のグループに属しておりまして、幾つかの県が同じような状況にあることを踏まえて聞いていただきたいと思います。 私が若田部参考人のことを知ったのは平成二十三年の頃でしたが、当時、高知県でも不況のど真ん中で、県民からは景気回復を何とかしてくれとの話ばかりでした。県の財政課の職員たちと、この不況から脱するためには、イギリス、アメリカ、中国のように日本も金融緩和をやるしかないだろうと話をしておりましたときに、財政課の職員から中西さんと同じ考え方の人たちがいますと紹介されたのが、先ほど大門議員も紹介されました「伝説の教授に学べ」という本でございまして、私は大門議員と全く別の、反対の考え方で、おお、これだという思いで読ませていただきました。そして、ここに書かれておるような金融緩和政策を取ってくれたらいいのにという思いでおりましたところ、平成二十四年十二月に第二次安倍内閣が誕生して、日銀総裁に黒田氏が就任し、大規模な金融緩和を実施した途端に国内の景気が一挙に明るくなったということでございました。 高知県のようなところというのは、都会の景気が良くても、高知県の景気が良くなるのはそれから一年以上たってからなんですよ。ところが、落ちるときは真っ先に落ちるんですよ。そういうことを繰り返しておりました。ところが、安倍内閣の再登板後は全く違った状況が起きまして、都会の景気が良くなると数か月遅れで良くなったんです。 私がこれに気が付きましたのは、平成二十五年の秋に県議会選出の監査委員として就任して、県中西部の県税事務所で話を聞いたときです。幹部職員から、県税収入が急に上がっております、県内の企業業績が上がっておりますという報告を受けました。県税収入である法人事業税、法人県民税の法人二税は、安倍政権になってから一年もたたない平成二十五年の秋から急速に伸びました。二十五年度は対前年度比十四億円の増、九十八億四千万、その明くる年、二十六年が百二十三億、二十七年が百三十六億五千万、二十八年度は百五十三億、二十九年度も百四十四億くらいの見込みでございます。これらは、税制度の改革もありますから単純比較はできません。しかし、着実に県内企業の経営状況は良くなっているというのが県の税務当局の見方でございます。 この平成二十五年の秋、最初に話を聞いたとき、私、すぐ地元の商工会議所の会頭に話を聞きました。この会頭は、ホテルやレストランチェーン、手広く高知と愛媛で事業展開されている方でしたが、うちも景気いいよ、もう既に非正規、臨時職員の時給は上げたよという話でございました。 また、有効求人倍率、平成二十七年に高知県はやっと九月に一倍を超えたんですが、これは高知県にとって驚異的なことでして、有効求人倍率の統計を取り始めた昭和三十八年から昭和六十二年九月まで、高知県の有効求人倍率というのは〇・二か〇・一ですよ。国内の平均の有効求人倍率が一を超えても、せいぜい〇・四とか〇・五でしたよ、私が議員やっていたときも。それがこの九月に一倍を超え、今もずっと続いておりまして、今、一・三一倍というような状況です。 ここ二年余りは、県内を回っていても、経営者からは景気回復を何とかしてくれという意見は余り聞かれなくなり、聞かれるのは、人手不足だ、人を何とかせないかんという話でございます。高知県の景気がこれだけ良くなっているということは、同じような地方は全般的に景気回復をしていることだというふうに思っております。 しかしながら、これは経営者の話でして、多くの県民の意識はまた違うものがあります。正規雇用の賃金が上がらないし、消費が伸びないという状況が続いております。黒田総裁は、昨日も、より大きな要因はデフレマインドだ、長年にわたるデフレの経験、家計、企業関係者の間に根付いたデフレマインドだと言っております。 このデフレマインドを克服して物価上昇の対策として、ある自民党衆議院議員さんが、失業率を二%台前半にすることを目標とすべきだという話をテレビでおっしゃっておりました。既に二・四%になったという報告もありましたね。この失業率を二%台前半、二・三%ぐらいとその方はおっしゃっていましたが、目標とすべきだとする考え方に対する参考人のお考えをお聞きします。
○参考人(若田部昌澄君) 所信表明でも申し上げましたように、日銀が今やっている物価安定の目標二%というのは、恐らく、その下でほとんど、働きたい人はほとんど働けるという完全雇用に近いような状況になるというふうに考えております。私自身は、その意味ではまだ日銀が、二%に達していない中で起きている失業率の改善というのは更に改善できるというふうに思っております。ただ、それを超えて失業率そのものを目標とするということについては、そういう意見もあることは存じ上げています。 例えば、先ほど来出ています米国の連邦準備制度理事会では、一九七八年に通称ハンフリー・ホーキンス法というのを制定しました。このハンフリー・ホーキンス法自体は今廃止されていますけれども、しかしその精神は生き残っていまして、アメリカの中央銀行がなすべきことというのは、雇用の最大化と物価の安定というその二つ、あともう一つ、長期金利の安定というのがあるんですが、そういうことになっております。 ただ、雇用を目標にするとなると、先ほど来ちょっと議論にもなっていますが、例えば、直近の数字が二・四でいいけれども、それをもって完全雇用と言えるのかどうかというようなぶれの問題も生じるわけです。なので、アメリカの場合はその二つの、物価と雇用という目標でやっていますけれども、物価をやっぱり二%ぐらいにすると、雇用の方のターゲットはどうなのかというと、雇用のターゲットは、推計値では出していてもぶれているということがあるので、私は、やはり物価を目標にする中で雇用に目くばせをしていくという現行のやり方でよいのではないかというふうに考えております。 あともう一つは、日銀の目標ということになりますと、これは何しろ政府と日銀の共同声明が必要になると思いますので、それについては政府、国会がお決めになる部分が大きいと思います。
○中西哲君 その共同目標の話なんですが、安倍内閣が掲げた三本の矢のうち第二の矢、すなわち機動的な財政政策ということにつきまして、一年前の参議院予算委員会において我が党の西田昌司参議院議員が補正予算で対応することだということが分かったという発言をされたんです。補正予算はそれなりの効果はあるんですが、地方公共団体や民間企業にとっては中長期的な計画が立てにくいんです、補正予算が増えても。 私は、地方公共団体の市町村長や会社経営者と意見交換する中で必ず言われるのは、景気は良くなっている、しかしこの政策をいつまで続くのかねと。不安なんですよ、将来に対する不安があるんです。だから、地方では長期のインフラ整備や、民間では設備投資や賃上げに踏み切れないでいる、これが現状だと思います。これから脱却するためには当初予算で公共事業費などを増やしてくれという話が私のところにはたくさん寄せられております。 参考人は、昨年九月の朝日新聞のインタビュー記事で、政府がやるべきことを決め、日銀が従うことは正しい、ただ、物価目標を日銀に任せて、政府は財政再建や成長戦略に取り組むだけでいいのか、名目GDPを二〇二〇年までに六百兆円とすることを政府と日銀の共同目標とし、緊縮財政としないと約束する方がいいと発言しておられます。 現在の日本は、金融政策だけではデフレから脱却できない、新たな財政政策が必要という状況に直面しているのではないかと私は考えております。政府と日銀が一致協力してデフレから脱却するという政策協定の原点に返ると、政府との協力は必要であると思いますが、参考人はどう考えておられますでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) これは、財政政策については国会、政府で決めていただくことですので、日銀副総裁候補者としての答弁は控えさせていただきます。 ただ、共同声明も、あれは、日銀としては物価安定の目標二%の達成に向けて最大限の努力をすべきということを明確化したわけですが、その同じ共同声明で、政府と日銀が共にデフレ脱却に責任を負っているという精神があるのではないかというふうには考えております。ですので、政府、国会がお決めになることではございますが、財政政策を始め各種の政策というのがデフレ脱却に対して役に立つということはそのとおりだと思います。 実際にどのような財政政策がというのは、これこそ経済学者としての立場で申し上げますと、例えば社会的なインフラの提供ということについても、従来から私が申し上げていたのは、やはり見通しを持って長期的な計画の下で実行すべきであろうということは申し上げました。それから、以後にも、例えば現状ですと、教育であるとかあるいは科学技術の振興、貧困対策、そして防衛費の問題と、様々やはり喫緊の課題があるというのは経済学者としては指摘したところでございまして、そういう発言をメディアでもしたことはございます。ただし、これはあくまで経済学者として発言させていただいたということでございます。
○中西哲君 最後に、これは答えは要りませんが、先ほど、金融機関の貸出しにつきまして、マネタリーベースは増えても、なかなかそれが日銀の当座にたまったり、あるいは貸出しが思うようにいかない、ただ、地方の金融機関は貸出量は減っていないというお話ございました。そのとおりでございますが、問題は中身の問題なんですよ。 金融機関は、政府から貸出しを増やせという要請をいろいろな形で受けておることは聞いております。ただ、金融機関が日本のバブルからの後、不良債権の後始末で本当に苦労した、その頭がずっと残っているんですよ。だから、本当に欲しいところへお金が行き渡っていない。借りる必要もないところへ借りてくれ、借りてくれと言ってお金をつじつまを合わせている。一番典型的なやつだったのは太陽光発電。これ、借りたくもないのに、これやれば銀行預金よりはましですよみたいな形でどんどんどんどん貸し出していったという現状がありますので、本当に欲しいところに回るような政策をお願いをいたします。 以上です。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。 では、若田部参考人に早速質問をさせていただきます。 まず、量的緩和の拡大というところについて少しお伺いをいたします。 若田部参考人は、先日、衆議院での質疑の際に、理論的には金融緩和には限界がない、また、長期国債を現状で日銀は約四割程度保有しているが、考え方によっては六割まだ残っている、これは市場に残っているということだと思いますが、とおっしゃられております。ただ、現在、日銀の方は、二〇一六年の総括検証を経て金融緩和の主軸を量から金利にシフトをしており、実質的な国債の買入れ額を年五十兆台まで落としております。 若田部参考人が以前御提案をされておりますように、日銀が国債の買入れ額を九十兆円まで増やす場合、理論ではなく現実的な問題として、日銀があと何年市中から国債を買い続けることができるんでしょうか。この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 御引用されたように、確かに私、衆議院で、理論的には金融政策に限界はないと申し上げました。 ただ、これはまさに理論的にはということでございますので、実際に金融緩和に限界がないかというのは、その時々の制度的な条件、そしてタイムフレームみたいなものにもよってくると思います。例えば、二〇一九年度までに二%を達成するためには何が可能なのか、そして現行の法体系、様々な制度的な条件の下で何が必要なのかとなると、様々制約されてくると思います。 そうは申しましても、黒田総裁もおっしゃっているように、確かに、日本国債四割買ったけれども、六割買えると。六割買ったところで何があるのかという問題も当然出てくるとは思うんですが、日銀はもう既に様々多様な資産も購入しておりまして、長期国債を買うことだけが選択肢ではないということはもう明らかになっていると思います。それと、その金利の、長短金利のいろいろな誘導ということも合わせて、その合わせ技でもって限界が来るような、制度的な限界が来るような部分とそうでない部分というのがそれぞれあるだろうというふうに考えております。 ただ、御質問がもしも、私が追加緩和の手段として常に例えば量的緩和、国債の購入を考えているということについての御質問であるならば、そのような予断を持って追加的な措置を考えるということはないということだけを申し添えさせていただきます。
○伊藤孝江君 参考人は、以前、期待インフレ率、これを上げる方法について質問をされた際に、マネタリーベース、資金供給量を増やすことが重要だ、リーマン危機後はマネタリーベースが十兆円増えると期待インフレ率が〇・一五%上がるという試算がある、今の期待インフレ率は一・三%程度なので、あと五十兆円増やせば二%になるというふうに答えておられます。このインタビューがあったのは二〇一三年三月なんですけれども、このときのマネタリーベースが百三十四兆円、これが直近の一月は四百七十七兆円になっておりまして、五年間で三百兆円増えております。ですが、現状、二%には達してはおりません。マネーの量を増やしたらインフレ期待が上がるという元々の若田部参考人の御主張ですけれども、この御主張は間違いだったということなんでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 御指摘のように、二〇一三年からの現在の金融政策の本質というのは、デフレからマイルドインフレへと金融政策のレジームを転換することにございまして、金融政策のスタンスを変えなければいけないと。そこで極めて重要になるのは予想インフレ率、インフレ期待の問題であるというのは御指摘のとおりでございます。 私自身は、これまで行われたベースマネーを増やす政策にはそういった期待を増やすという、期待を上げるという効果があったというふうには考えております。ただ、そこから先、二〇一三年の段階でそういうふうに考えたことというのが、やはり一四年以降に起きた様々なことによって打ち消されてしまったというのは事実でございまして、そのことを考えた上で、ベースマネーを増やすことが例えば予想インフレ率をどれぐらい変えていくのかということは、これから先、政策提案をする上での非常に大きなキーポイントになろうかとは思います。 ただ、だからといってほかの政策を排除しているわけではなくて、あくまでほかの政策と比較考量しながら、予想インフレ率を上げるのに一番何が望ましいかという観点から政策の提案をしていきたいというふうに考えております。
○伊藤孝江君 追加緩和については、必要であるならば追加緩和を提案するというのが参考人のお考えかと思います。 本日も、新しい政策を含めてということで、手段についてはいろいろお話もありましたけれども、今の段階で、どのような経済状況になれば追加緩和を金融政策決定会合で御提案するべきだというふうにお考えなんでしょうか。具体例をお教えいただければと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 具体例というのはちょっとなかなか難しいかと思いますが、つまり、そうしますと、これからその会合に臨みますので、やはり会合に臨むときに、私としましては虚心坦懐に、日銀が持っているモデル、データ、その時々の最新のデータ、そしてそこから導き出される予測といったものを精査しながら、最も適切な政策を提案したいというふうには考えております。 ただ、私見ということで申し上げるならば、日銀が今メーンシナリオとしているのは、二〇一九年度ぐらいまでに二%の近傍に行くということが、これがメーンシナリオであると思います。このメーンシナリオというのがどれぐらい後振れするのか、現状の政策でもって、このメーンシナリオというのが様々起きる状況に対してどれぐらい頑健であるのかというようなことというのが一つのポイントになるかと思います。 それ以外にももちろん追加緩和をするかどうかということのポイントはあると思いますが、一つは経済情勢の判断というのが大きなその根拠になるかと思います。
○伊藤孝江君 では、続きまして、出口戦略に関連してちょっとお伺いをしたいと思います。 若田部参考人は、先日、これも衆議院の方の質疑の際に、継続的に物価が下がるのをデフレとする意味で、現在はデフレではない状況に達したとおっしゃった後に、再びデフレに戻らないように、デフレからの完全脱却が必要であるというふうにおっしゃっておられます。また、二%の物価安定目標に達しても、ある程度の期間が継続しないと出口戦略には踏み切らないというふうにもおっしゃっておられます。 ここで御質問なんですけれども、では、完全にデフレを脱却したと判断をしたり、また出口戦略に踏み切るにはどのような経済状況になればいいのか、目安となる指標ですね、それをお教えいただければと思います。
○参考人(若田部昌澄君) これは、日銀副総裁候補者としてでなくて、経済学者として発言した部分がございます。それにつきまして述べさせていただきますと、そのときには二年間ということを申し上げました。つまり、二%以上というのが二年間持続するということを申し上げました。ただ、それが本当に適切なのかどうかというのは今後検討していきたいというふうには考えております。 非常にここで問題なのは、やはり長く続いているデフレなので、確かにデフレマインドが非常に強いというのも事実でございます。ですので、この間で、ここからインフレに持っていくというところはまだまだ難事業というか、これから先いろいろとやらなければいけないことがあるということがございますので、それをクリアした後にそこから安定するのかということも、これは下振れリスク、上振れリスク全てを見ながら慎重に検討をせざるを得ないと思います。 なので、私としては、二年と申し上げましたが、やはり日程に縛られるような政策決定ではなくて、データですね、つまりデートディペンデントではなくてデータに基づくような、そういった判断が最終的には必要になるんではないかというふうに思います。
○伊藤孝江君 では、私も先ほど来の質問に続いて少し先生の書かれた本から一点お伺いしたいと思うんですが、二〇一〇年に若田部参考人が「「日銀デフレ」大不況」という本を出されております。ここで日銀の審議委員の方について少し触れられているんですけれども、日銀の審議委員の学歴は大学卒、学士が中心であり、一つの組織や会社で経験を積んだ人物が多い、しかし経済政策や金融政策についての経験という観点からはいささか首をかしげたくなる人も含まれているというふうに書かれております。 このお考えは現在の政策委員会のメンバーにも当てはまるのでしょうか、それとも今は改善をしているというふうにお考えなのでしょうか。お教えいただければと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 特定の政策審議委員についてコメントするのは控えたいと思いますが、私は、結果として、現在の日銀の金融政策決定会合が行っていることは方向性として正しいというふうに考えております。それがデフレからの、完全とはいかないまでも脱却というのをもたらしているわけですので、その意味では現在の日銀の金融政策決定会合というのが成果を出しているというふうに考えております。
○伊藤孝江君 では、最後の質問にさせていただきます。 今現在、日本経済の全体としましては、実質GDPが八期連続増加をしており、好調に見えます。ただ、地方の中小企業の声を聞くと様々な意見があるというのが、やはりこれも現実だと思います。この点に関して若田部参考人の御見解をお聞かせください。
○参考人(若田部昌澄君) これは大変重要な指摘だと考えます。 私も、全体としては、有効求人倍率が地方でも改善し、先ほど高知県の例もございましたが、内閣府の景気ウオッチャー調査であるとか日銀のさくらレポートにおいても、地方経済にも景気の回復が浸透しているということは、これは事実であるというふうに考えます。また、中小企業の経常利益は過去最高でございまして、業況感も改善しています。その意味では、現在の政策が中小企業であるとか国民に対して何も恩恵をもたらしていないという批判は当たらないというふうに考えております。 ただ、私も、限られた経験ですが、地方などで講演したときには、やはり企業経営者の方々から様々な意見を伺います。日銀の場合、三十二の支店と、それと十四の国内事務所を有しておりますので、副総裁としてお認めいただきましたらば、そういった地方にも回りまして、その地方の中小企業の方々あるいは地方経済を支えている方々のお話というのにしっかりと耳を傾けていきたいと、このように考えております。
○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。
○礒崎哲史君 民進党・新緑風会の礒崎哲史でございます。 若田部参考人、今日はどうもありがとうございます。何点か御質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。 先生、先ほどから、いろいろな方々からの御質問に対しても、学者としての考え、見解ということ、あるいは副総裁候補者としての考えということで、今までずっと学者畑を歩んでこられた、教鞭を執られ、あるいは研究をされてきた方からすると、本当に大きな転身を覚悟されたということなんだというふうに思います。また、発言の方もしっかりとその立場をわきまえた形で理路整然とお話をされていて、いや、すごいなということでちょっと感心して聞かせていただいていた次第でございます。個人名は挙げませんけれども、少々、日銀の経営者らしからぬ発言を繰り返しされた方もいらっしゃいましたので、その意味では、何か安定感のある人なのかなというふうにもちょっと受け止めたところがあるんですが。 そんな質問をここでさせていただいております私自身も、元々は民間企業でサラリーマンで働いて技術屋としてお仕事をしておりましたので、そんな私がここで日銀の候補者に対して質問をするというのも自分としてもかなり大きな転身をしたわけでありますけれども、私自身も、実は国会議員にならないかという話を受けたときにはまさに青天のへきれきでございまして、頭の中が真っ白になった記憶が、今でも鮮明にそのときのことは思い出すんですが。 先生も、恐らく今回こういったお話をいただいたときには大変な驚きをもって受け止められたのではないかなというふうに思いますが、その中で、御自分としてしっかりとこの日銀の副総裁という仕事を理解をし、やっていかなきゃいけないんだという、頭の中で理解をされて頭の中にいろいろ思い浮かんだと思うんですが、率直に、やはり今回お話を受けたときにどういうことを自分としてイメージをされたのか。恐らくそのイメージつくる上でもいろいろ悩まれたと思うんですけれども、私、相当悩んだんですけど、相当悩んだんですが、先生、どれぐらいの期間悩まれた上で判断をばしっとされたのかなという、ちょっとその気持ちの部分からまずお伺いしたいと思います。
○参考人(若田部昌澄君) どれぐらいの期間悩んだかというのは、これは過程に関わりますので、コメントを差し控えます。 何を悩んだのかというか、何を考えたのかということに関しましては、私は、やはりデフレからの完全脱却というのをずっと言論活動で訴えてきていましたので、やはりこれで、このようなお仕事をもしお与えいただけるならば、大変大きな責任であると同時に、しかし、自分が言論活動をしてきたことに対する責任の取り方でもあるなというふうには思います。 ですので、もちろん言論活動をするということと実際に政策として実施するというのは大きな差があるということは頭では理解しているつもりではございますが、しかし、例えば学生が、失業率が非常に高い時代、デフレの不況が非常に大変なときに就職できないというようなときに、私も言論活動ではいろいろと訴えてはきましたけれども、やはりもどかしさを感じていたのは事実でございます。 ですので、せっかくこのような大きなチャンスを与えていただいたのであるならば、自分がこれまで述べてきたことというのをしっかりと実行するということをやりたいというふうに思ったというのが私の正直な気持ちでございます。
○礒崎哲史君 そうすると、思いとしては、やはり今までのまさに御自身がされてきた活動、その成果といいますか、それを実行する、それぐらいの意気込みだったということなんだというふうに今受け止めました。 それで、今までずっとデフレからの脱却ということも御自身研究をされてきた。先ほどまでの質問の中でもありましたけれども、やはり二十年間日本がデフレ、長期間なってきた。アメリカや欧州という国々が、いろいろな経済不況の中でも名目賃金がいろんな政策を取ることによって伸びてきたという背景。ただ、日本は、日本だけがそれを達成できなかったというようなお話もさっきありましたけれども、ここはちょっと学者として、研究者としての御意見になりますけれども、率直に、日本だけがデフレから脱却できなかった最大の原因は何だというふうにお考えでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) これはおっしゃるとおり、まさに研究者として、経済学者として発言したいと思いますが、最大の原因は何かというふうに言えば、これはやはりマクロ経済政策における対応のまずさだったのではないかというふうに思います。 それは、遡ればバブルの発生から崩壊というところに行くと思いますが、やはりバブルが発生した後にどうするかと。もちろんバブルを起こさないということも非常に大事ではあるんですけれども、発生した後にどう対応するかというのも、例えば先般であるならば、アメリカのFRBであるとか、イギリスのバンク・オブ・イングランドであるとか、ヨーロッパ中央銀行などが実際に今回のリーマン・ショックの後に対応したということは、日本の政策対応を見て、そこから反面教師として学んだという側面が非常に強くあります。 ですので、これは当然、様々な要因を挙げるということはあると思うんですが、政府あるいは日本銀行ということに非常にやはり焦点を絞るのであるならば、そこにおけるマクロ政策の対応というのをきちんとすると。そして、それはやはり日本としては改善できることなので、非常に難しいかもしれないけれども、改善をすることによって日本のデフレからの脱却もできるんだというふうに考えております。
○礒崎哲史君 今、マクロ政策ということ、経済政策ということでお話ありましたけれども、まさにマクロ経済政策を進めていく上で、やはりきちんと目標を立てて、それに対して様々な計画を実行していくというそのプロセスにおいて、そうすると、例えば目標値という観点で見たとすると、今回、政府と日銀の共同声明というものが出ていて、二%の物価上昇、これを達成するということがその共同声明の中身になるわけですが、先ほど来いろいろと質問が出ていましたけれども、衆議院の質疑のやり取りの中で、共同声明が出発点になっていて、これを堅持する、あるいは場合によっては改善するということが必要であると思いますということも述べられてはおりますけれども、先ほどのここの中での質疑のやり取りでは、最終的に共同声明は政府と国会の方でお決めになるというふうにおっしゃられていましたけれどもという御発言があったんですけれども、これ、政府と日銀の共同声明ですから、日銀がこの共同声明を作る上で全く介在せずに勝手に決まるということは、これはないんだと私は思います。 その意味では、日銀の副総裁としてお立場になられれば、当然その中にはこれは話の中に入っていくべき立場になられるというふうに思いますけれども、その意味で、場合によっては改善するということが必要であるというこの御発言の中身についてもう少し具体的に、どういう場合によっては改善する必要があるという判断に及ぶのか、ちょっとその辺について具体的にお聞かせいただければと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 日銀の副総裁としては、まず現行で置かれている日銀法と、そして二〇一三年に結ばれた政府と日銀の共同声明というこの二つを前提として行動するというのは、これは当たり前でございまして、これをまずは全力でもって二%を達成するということが重要になるかと思います。 その下で改善すべきであるということは、当然私は、議論としては日銀の内部でもすべきだというふうには思いますけれども、しかし、実際に例えばそれができるのかということになりますと、政府というカウンターパートがございますので、これは日銀だけでできることではないしという、そういう趣旨で申し上げさせていただきました。
○礒崎哲史君 まずは日銀の中での議論ということで受け止めました。 それと、先ほどデフレからの脱却ということで、目標とその実行やマクロ経済の施策ということでお話ありましたが、当時、バブル境目ということで、さっきバブルのお話が出ましたけれども、バブルの前の日本の置かれている環境と今の環境というのは相当様々な違いがあると思います。 人口一つ取っても、当時まではまだ人口が増加している状況でしたので、人口ボーナスがあった時代、それが今は完全に人口が減っていくという、こうした絶対的な違いもありますし、企業活動を見ても、企業がもうグローバル化していますので、日本国内ではなくて世界で見たときに最も適した地域で売り、最も物が売れる場所に売るという、こういう企業活動に転換をしてきている、当時とは全く違う企業の経営者の考え方が今ここにはあります。 それ以外にも、例えば会社の中の人にマクロで焦点を当てれば、昔は年功序列ですから、年を重ねて頑張れば、必ず来年、再来年給料が上がるという安心感が働いている方たちにはあった。それが今は評価制度に多くの会社は変わってきていますので、いろいろな会社が、そうすると、来年給料が上がるかどうか分からないという、これはそもそもの評価制度ですよね、会社の中の人事制度、評価制度も変わってきているという実態もあります。 加えて、非正規の労働者の方が今四割です。非正規の労働者の方は将来給料が上がるという安心感は当然ありませんので、これも先ほど言いました、年功序列制が崩れていった結果として将来に対する不安は当然付きまとうということですから、これだけいろいろな物事が変わってきている中で、いわゆるトリクルダウンという考え方、リフレ政策がまさにその考え方なのかどうかも含めて、これだけ状況が違う中で、従来からある意味オーソドックスなやり方だと思うんですね、金融政策と財政出動と成長戦略ということですから。トリクルダウンが今後もしっかりと理論として当てはまるというお考えは、これはいまだに変わりないということでよろしいんでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 現在取られている政策がトリクルダウンだということは、そうおっしゃる方もいらっしゃるのは私も認識しておりますが、私はそうではないと思います。 トリクルダウンというと、上から下へというふうに落ちていくというイメージがございますが、実際に例えばいわゆるアベノミクスの第一の矢以降が始まって何が起きたのかというと、非正規の部分の人の失業率が下がり、そしてその人たちの賃金が上がる、時給が上がるというようなこと。そして、今、貧困家庭がやっと上昇から減少に転じ始めていますけれども、そのことも低所得者層の年収が上がってくるということによっております。 ですので、もちろん資産を持っている人あるいは資産行動を変える人に恩恵がなかったとは言いませんし、そのことは経済が大きくなる中で当然起こり得る一つだとは思いますけれども、しかし、上が潤っているからといって下が潤うんだという形ではなくて、ほぼ同時に、ある種、水が田んぼに入っていくように水がしみ渡っていくんじゃないかというイメージで持っております。 それで、いろいろと経済学者として、例えば人口減少であるとかグローバル化、年功序列、つまり働き方の問題であるとか企業組織についてどう対応するかということについては様々な意見があると思いますけれども、私が考えるところでは、人口減少というのは、これは一人当たりの実質成長率で見る限り、日本の場合も高度成長期で人口がたくさん増えたから経済が成長したわけではなくて、人口の成長に占める寄与度というのは非常に僅かです。 あのときには、もちろん人々が移動したということがございます。地方から都市部へ移動したということはありますが、同じようなことは、言ってみれば、効率化したところに、部門へと人が移動をするということでもっても賄うことはできますし、人口が減少する、人手不足になってくると、いよいよもって高齢者の雇用あるいは女性の雇用、そしてロボットの活用、AIの活用というふうなことが本格的に進んでいきますので、私は、人口減少というのはチャンスではあっても、それは決してプロブレムではないというふうに考えております。 そのほかもろもろ、これは金融政策だけでできることではないというのはおっしゃるとおりでございまして、そういった政策については、財政政策、成長政策、所得再分配政策ということで、国会、政府と一体となって日本経済を良くするための議論ができればいいというふうに考えております。
○礒崎哲史君 時間がないので、あと一問だけさせていただきたいと思います。 これも衆議院の議論の中で先生答えられていたんですけれども、様々な今の金融政策を取ったときのリスク、副作用についての質問に対して、先生こういうふうに答えられていました。現状で副作用と言われているものについては、それがまだ顕在化するには至っていない、メリットの方がはるかに上回っているということをおっしゃられていました。 ただ、経営者という視点においては、副作用が顕在化されてしまっては、これは日本経済にとって大きなダメージになりますので、当然、顕在化する前にそれを抑えるような、予防するような処方箋をやっぱり書いていただかないと私は困ると思っているんですけれども、しっかりと日銀の中でこの副作用について検討することの重要性と、先生が今お考えになっている実際に起こり得るであろう副作用についてどんなことが考えられるのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 日銀副総裁としてお認めいただきましたならば、これは日銀の内部でもう既に様々な議論がなされていると思いますので、そういった議論に積極的に関与していきたいというふうに考えます。 ただ、副作用というときに何をもって副作用とするのかというのはなかなか難しい問題でございまして、例えば金融機関の利ざやが縮小しているということをもって副作用というのか、いろいろと考え方はあるかと思います。私が一番懸念しているというか、日銀が考えなければいけない副作用というか、デメリットがメリットを上回るという状況は、何といっても物価安定の目標というのが達成できるかどうかという問題と、それともう一つは金融システムの安定性、この二つになるかと思います。 なので、デフレになることのリスクをずっと考えてきてはいますけれども、将来インフレが高進してしまうリスクというのは当然あり得るわけで、それについての備えというのはきちんとやらなければいけないと。ただ、その場合にも、インフレ目標があるという中で高インフレに悩まされるということは余り考えられないので、この部分は抑えられるのかなというふうに思います。 問題は金融システムの安定性の問題でございますが、これにつきましては、やはりマクロの政策だけではなくてプルーデンス政策であったり、あるいは規制などにもいろいろと関わること、あるいは金融機関の再統合、いろいろと議論がされているところですので、日銀だけではなくて、やはり金融庁とも連携しながら考えていくということをやりたいというふうに思っております。
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) この際、お諮りいたします。 委員外議員木戸口英司君及び江崎孝君から日本銀行副総裁の任命同意に関する件についての若田部参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認めます。 それでは、まず木戸口君に発言を許します。木戸口英司君。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。希望の会、自由党の木戸口英司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、早速参ります。 参考人の論文の中でヘリコプターマネーという、日経新聞でありますが、この中で、引用しますと、インフレ目標の下で中央銀行が国債を買い入れ、それを財源として政府が財政支出を拡大する政策は現実に可能であり、実行されていると見ることもできます、その意味ではヘリマネは既に離陸の準備ができているとも言えるのですと。 私は一概に、リフレ派ではありませんけれども、このことを批判するものではありません。財政再建、そのための消費増税、それによる金融安定化ということについても、やはり少し疑って掛からなければいけないということも考えます。 結局、適切な財政政策、家計と地方経済、そして災害からの復興など、しっかり届く財政ということがこの論点にはあるんだろうと、そのように考えております。その中の手法の一つ、問題だろうと思っております。 今、立場上ということもあると思いますが、こういった論について先生からお考えの一端をお聞きしたいと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 確かに、これは日経の「やさしい経済学」だと思いますけれども、そのようなことを書いたのは事実でございまして、それは経済学者としてたしか書かせていただきました。 ヘリコプターマネー、そこでもいろいろと議論したと思いますが、形態はそれぞれございます。その文章を書いたときに念頭に置いたのは、財政法第五条で日銀の直接引受けは原則としては禁止されてはいるけれども、しかし毎年国会が議決をした分については現実に行われているということでございます。 それと、ヘリコプターマネーの本質的な部分と言われているものというのは、これは財政政策と金融政策の間のシナジーを展開するということですので、ヘリコプターマネーという言い方はしませんが、黒田総裁以下日銀の執行部の方も、金融政策と財政政策がシナジーを生かすべきだということについては異論はないところかと思います。 その上で、実際に例えば今そういうことが望ましい、いろいろと考えられる、実際にダイレクトに例えば家計にお金を渡すというようなことが望ましいのかということについては、これはもう財政政策の領域ですので、国会そして政府でお決めいただければと思います。 あくまで私は経済学者として発言したということの趣旨を御説明させていただきました。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 分かりました。 今も前の質問でもあったんですが、政府と日銀の共同声明について、場合によっては改善というお話がありました。これまでの参考人の意見を類推すれば、それぞれの政府と日銀の責任と連携を強めていくというような意味と私は捉えました。 その中で、やはり今、目的と手段への疑い、また市場の信認が揺らいでいるのではないかということも言えると思います。責任と連携を強めるという中で、これをどのように立て直し、新たな任期を迎えるに当たり、しっかりと市場とコミュニケーションをどのように取っていくか、お考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(若田部昌澄君) 市場とのコミュニケーションというのは、これは非常に重要な問題でございまして、学者だけでなくて中央銀行の世界でも大変活発に議論されております。今年の一月に世界最大の経済学会であるアメリカ経済学会でも、中央銀行とコミュニケーションというふうな形で、そのことについては一つのセッションという形で何本かの論文が発表されるということではございました。 これは非常に難しい課題ではございますけれども、現状でもって日銀に対して市場の信認が失われているというふうに私は思ってはおりませんが、しかしこれは市場の関係者の方の声もよく聞かないといけないと思いますので、そのことについては謙虚に耳を傾けたいというふうに考えております。
○委員以外の議員(木戸口英司君) それでは、最後、一点聞きますけど……
○委員長(山本順三君) 時間ですので、手短にお願いします。
○委員以外の議員(木戸口英司君) はい。 それでは、もう質問はこれで終わりにいたしますが、アメリカの景気動向も非常に揺らいでいるところであります。トランプ政権の保護主義政策などもありまして、アメリカの影響というのは免れない日本の今の状況でありますので、そういった情報収集、また先ほど言った情報発信ということも大きく期待されるところだと思いますので、御健闘をお祈りしたいと思います。
○委員長(山本順三君) 次に、江崎君に発言を許します。江崎孝君。
○委員以外の議員(江崎孝君) 立憲民主党の江崎でございます。 ストレートにお話をお聞きします。 追加緩和策、必要とあらば提案したいというふうに述べられていらっしゃいます。現時点で結構です。やるやらないは別にして、追加緩和策、三つ挙げていただくとすれば何を挙げていらっしゃいますか。現時点で結構です。
○参考人(若田部昌澄君) 現時点でもう既に日銀の副総裁候補者でございますので、具体的に手段を挙げることは差し控えさせていただきます。 ただ、答弁などで、いろいろと質疑の中で申し上げましたように、日銀が現在やっている政策というのがまずございます。それは、長期国債を始めとして質を買うと。もう一つは、多様な資産を購入する。それと、長期の金利、短期の金利のイールドカーブのコントロールというようなこと。まずこれで三つもう既にあるということでございます。 ただ、これで追加緩和を限るということでもなく、そしてこれで行わないということでもないということを申し添えさせていただきます。
○委員以外の議員(江崎孝君) マイナス金利の件についてお伺いします。 やはりECBがやっているマイナス金利と日本のマイナス金利はちょっと違う。基礎残高には掛けていませんので、現在、都市銀行はマイナス金利掛かっていない、預金に。地銀ぐらい、あるいは外資系だと思いますけれども、そう考えたときに、現在のマイナス金利のやり方から考えれば、参考人は金融に影響を余り与えていないというふうにコメントされていますので、それを前提にすると、現在のマイナス金利は深掘りが可能であるとお考えですか。
○参考人(若田部昌澄君) 可能であるか可能でないかということについてのコメントも差し控えさせていただきます。 ただ、現状認識は全く私も、現在どういうふうにマイナス金利が掛かっているのかということについてのお話は全くそのとおりでございまして、いわゆる補完当座預金制度という形でございまして、メガバンクでは全くマイナス金利の分はございませんし、地方の銀行、そして第二地銀と呼ばれるところでも残高は百億あるいは十億という程度の額に及んでございます。ですので、そこに掛かるマイナス〇・一というのは、そのことだけを見るならば少額ではないかということを念頭に置いて衆議院でも答弁させていただきました。 ただ、それを超えて、マイナス金利を置いていることで長短の金利のスプレッドが短くなっているんだというような言い方をされる方もいるので、そのような議論についてもこれは慎重に検討したいというふうに考えております。
○委員以外の議員(江崎孝君) マイナスではなくて、基礎残高に掛かっている〇・一%のプラスの部分、これは適当だと思われますか。
○参考人(若田部昌澄君) 現状で付利というのは二〇〇八年に導入されたものだというふうに理解しております。それから後、補完当座預金残高の中で〇・一%の付利が掛かるということが、これが非常に慣例というか慣習化しているということは承知しております。 これが正しいのか正しくないのかということについて言うならば、少なくとも、これから先、どのような形であれ、出口を考えるときに、付利を例えば上げると、引き上げるというようなことは一つの手段として有力であって、実際、諸外国の中央銀行も導入しているということがございますので、その是非ということについてはちょっとお答えを差し控えますが、ある種のメリットがあるということは事実だと思います。
○委員以外の議員(江崎孝君) 私がイメージしたのは、〇・一%掛かっている分、当座預金がどんどん増えてきているわけでございまして、〇・一%を下げるという意味で、その政策は可能ですか。
○参考人(若田部昌澄君) 〇・一%付けているものですので、これを上げたり下げたりということは、これは可能であるというふうに考えます。ただ、これはそういうことをするということをこの場でコミットしているわけでは全くございませんで、技術的にそれができるのかということであるならば、それは〇・一を付けて上げるとか下げるということも当然可能であるというふうに考えております。
○委員長(山本順三君) 時間が来ております。
○委員以外の議員(江崎孝君) 終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(山本順三君) これにて若田部参考人に対する質疑を終了いたします。 若田部参考人に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中の中、御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して一言御礼を申し上げます。 若田部参考人は御退席いただいて結構でございます。 次に、雨宮参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○古賀之士君 民進党・新緑風会の古賀之士でございます。 雨宮参考人、どうぞよろしくお願いいたします。 お時間もありますので、早速質疑に移らせていただきます。 物価安定目標は二%、達成期間は二年というのが当初の異次元緩和のお約束だったはずでございます。先ほどは若田部参考人に学者として評価を伺いました。雨宮候補には、日銀のプリンスとして政策立案に深く関わってきたお立場から、現状への評価、特に所信でありました副作用の評価を中心に伺います。また、当初の約束を果たしていない責任を今どう感じていらっしゃいますか。率直に伺いたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、消費者物価の前年比が二%に達していない理由といたしましては、原油価格の大幅な下落ですとか消費税引上げ後の需要の低迷といった要因に加え、この二十年の間、人々の間に定着してしまったデフレマインドを転換するにはやはりどうしてもある程度の時間を要するということが明らかになっているものと考えております。 この二%の目標がなお実現していないということについては、これまで金融政策の企画立案を担当してまいりました役員としても大変残念に、じくじたる思いを持っております。もっとも、この間の緩和の効果もありまして、日本経済は既にデフレではないという状況となっておりますし、二%に向けたモメンタムはしっかりと維持されているというふうに考えておりますので、現在の緩和政策の下で目標実現への道筋を日本経済は着実に歩んでいるというふうに考えております。 ただ、この政策の下での副作用でございますけれども、副作用として金融仲介機能の悪化ですとか、あるいは資産価格の過度の上昇、あるいは市場機能の低下といったものが考えられるわけでございます。 今のところ、私どもとしては、金融緩和の効果がこうした副作用を上回っているというふうに考えておりますが、いずれにせよ、政策の運営に当たっては、常にその効果と副作用の比較考量ということを念頭に置いて適切な政策運営に努めてまいりたいというふうに思いますし、そうした形で物価安定目標を実現するために最大限努力を果たすことが私どもの責任であるというふうに考えております。
○古賀之士君 今お話の中で原油価格のお話が出ましたので、その原油価格について、ではお尋ねをいたします。 過去五年の消費者物価指数の動向には、エネルギー価格、特に原油価格が大きな影響を与えたと私も認識しております。供給側でシェールオイル革命のような動きがある一方、需要側でも電気自動車やカーシェアリングが伸びると予想されております。今後五年間について、原油市場の動向というのは雨宮参考人はどう見ていらっしゃいますでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 原油価格の動向については、先行きの需給両面で様々な要因が影響を与えますために、先行きを見通すことは大変難しいわけでございます。 ちなみに、現在の原油の先物市場、マーケットが先行きをどう織り込んでいるかということを申し上げますと、現在の価格水準から先行き五年間、緩やかに価格は低下していく、今の足下の六十ドルから五十ドルぐらいという辺りが市場の見通しであります。これは、世界の景気の好転で原油に対して堅調な需要があるという一方で、このぐらいの価格になりますと、やはりシェール等の供給増が追い付くだろうということでこういう見通しになっているわけでありまして、実は、私どもの政策委員会で経済見通しを置くときもそうしたマーケットの織り込みを前提に考えております。 ただし、やはり原油価格の動向については様々な要因が影響を与えますし、逆に、御指摘のとおり、原油価格自身も我が国の経済、物価に大きな影響を与えますので、よく注意して点検してまいりたいというふうに思っております。
○古賀之士君 先ほどから、見通しや予想、こういったお言葉も出ておりますけれども、AI技術の進展というのも一つ今後のキーワードになるかと思います。 銀行の融資審査業務が大きく変わりまして、一説には銀行員大失業時代が来るのではという分析なども出ております。銀行の業務が変われば当然日銀の考査の在り方も変わってくることが予想されておりますが、それをどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。あわせて、AI関連の技術を持った人材をどう確保するかについて日銀内で議論をもし行っていらっしゃれば、そのお考えについても教えていただけますでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 日本銀行では、金融機関の業務運営やリスク管理体制を把握するため、これまでも、御指摘のような点も含め、金融環境の変化を踏まえつつ、考査、モニタリングを行ってまいっております。 近年、金融機関においては、AIといった新しい情報技術も活用しながら、新しいビジネスに取り組んだりあるいは業務改革を進めております。私どもの考査やモニタリングでは、こうした動向を把握するとともに、情報技術の活用に伴うシステムリスクがどうなっているかといったことも含めてリスク管理の状況を点検していくことが重要であるというふうに考えております。 それから、人材面でも、私どもとしても、こうした環境変化に対応するため、様々な専門性を持つ人材を採用し、また人材の育成に努めておりまして、ちなみに、二〇一七年度の入行者、これ将来管理職になる入行者でありますけれども、八十一名のうち十四名が理科系でございます。 それから、私どもの内部で、金融研究所というところですとか、あるいは一昨年設置しましたフィンテックセンターという施設ですとか、あるいは金融高度化センターといったところで研究活動、あるいは学会や専門家との交流を深めながら、そうした分野での研究と人材育成に努めているところでございます。
○古賀之士君 その人材育成のお話について更に伺います。 政府の掲げる働き方改革について、日本銀行としてどう取り組んでこられたのでしょうか。労働時間の管理の在り方についても伺います。 また、女性役職員の比率や外国人の登用など、いわゆるダイバーシティーの現状と今後について、日本銀行としては今後どうあるべきなのか、あるいはどう考えていったらいいのか、お尋ね申し上げます。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 日本銀行、これまで実はワーク・ライフ・バランスですとかダイバーシティーの推進については相当積極的に取り組んできております。 ちなみに、労働時間管理についても、いたずらに長時間労働とならないよう各職員の勤務状況をきめ細かくフォローする体制をつくっておりますし、私どもの職場、ほとんどの職場がもうフレックスタイム制を導入しております。その意味で、政府が働き方改革実行計画で示した趣旨も踏まえて適切な運用をしてきているというふうに思っておりますし、一方、御指摘のあった例えば多様な人材の育成という点で、女性の活躍について申し上げますと、平成二十八年に行動計画を策定、公表しております。 それによりますと、平成三十年には管理職における女性比率を一〇%に引き上げるということでございますけれども、これ、昨年もう九・六%というふうになっております。こうした格好で様々な環境整備に取り組んでおりますし、それから、実は、済みません、私ども、私の名刺にも入れておるんです。これ、委員長からとても見にくいと思うんですけれども、名刺に赤いぽつぽつのマークが御覧いただけると思うんですけれども、見えないと思うんですけれども、これ、上がえるぼし、下がくるみんマーク。えるぼしというのは女性が活躍しやすい職場、くるみんというのが子育てに親切な職場ということで、ある基準を超えると厚生労働省からこの認定をいただくんですけれども、こういう認定もいただいておりまして、こうした環境整備に相当前向きに取り組んでいるつもりでございますし、今後ともそうした方針で取り組んでいきたいというふうに思ってございます。
○古賀之士君 女性に関すること、それから、先ほど認定も受けられているというお話もございました。理科系の皆さんたちの採用もどんどん進めていらっしゃるというお話も出てまいりました。 世界的に見れば、確かにこれからキャッシュレス化が急速に進んでいくのではないかと予想もされております。ただ、日本の場合、まだまだ現金志向が強いんですが、今後、このキャッシュレス化、動向はどうなっていくのか、金融政策に与える影響について御意見を伺います。 また、中央銀行によるデジタル通貨の発行についてはどうお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、我が国は非常に他の先進国と比べて現金社会と申しますか、現金の使用率が大変高いわけでございます。ただ、この背景としては、社会的、文化的、要するに、社会が非常に安全であって現金を持つリスクが小さいですとか、あるいは何といっても偽造も含めて、偽造率が非常に低くて現金に対する信頼が強いですとか、あるいはATM網が非常によく完備されているといった要因が考えられるため、現段階でこのキャッシュレス化の今後の動向を具体的に予測することはちょっと難しいように思います。 ただ、金融政策運営との関連で一点、最近注目を集めております仮想通貨との関係で申し上げますと、いわゆる仮想通貨は法定通貨でもありませんし、裏付け資産といったファンダメンタルズを持っているわけでもなくて、結局はほとんどが投機の対象となっておりまして、本来の支払決済手段ですとかあるいは価値保蔵手段としての通貨としての役割を果たすまでには至っていないわけであります。 こうした状況を踏まえますと、現段階ではこうした仮想通貨が私どもの金融政策の波及メカニズムに影響を及ぼす可能性は極めて限定的、現時点ではないと言って差し支えないと思っております。ただし、技術革新のテンポは非常に速いですので、技術の展開がどうなるか、あるいは社会の受入れ体制がどうなるかといったことについては注意深く点検してまいりたいというふうに考えております。 それから、御指摘の中銀デジタル通貨でございますが、これにつきましては、まずその技術的な安定性がまだ確保されていないということ、それから、中央銀行自身がデジタル通貨を発行するとなると、民間銀行の預金貸出業務に影響を与えるという可能性もあり、実は先進国の各国中央銀行は非常に慎重でございます。日本銀行も現段階で自らデジタル通貨を発行する計画は持ち合わせてございません。ただし、これも、先ほど申し上げましたとおり、技術革新の進展のテンポは非常に速うございますので、丹念に技術動向あるいは社会の受入れ動向等はフォローしてまいりたいというふうに考えております。
○古賀之士君 その技術革新の急速な進歩にも関連する、特に地方の金融機関の統合について伺います。 昨年十一月の講演で中曽副総裁は、銀行間の過度な競争がもたらす囚人のジレンマについて、金融機関の統合再編は有効な選択肢の一つと述べていらっしゃいます。金融システムリポートなどでも、金融機関の過剰が利益率低下の原因とされています。 これはあくまで例え話でございますが、例えば、同じ県内の二つの銀行が同じグループになるということについて、金融機関の生き残り策としてはどう評価されていらっしゃいますでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘の金融機関の経営統合につきましては、基本的には個別の金融機関の経営判断でございますので、具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げますと、地域の人口ですとか企業数の減少、あるいは長引く低金利の中で地域金融機関間の競争が激化しておりまして、このことが地域金融機関の収益性を低下させる構造的な要因となっていることは事実であります。 このため、地域金融機関にとっては収益基盤の強化や生産性の改善により収益性を向上させていくということは大きな課題になってございますので、こうした課題を克服する上で経営統合も選択肢の一つになるというふうには一般論としては考えてございます。ただし、その場合も、その統合があくまで経営効率化に資すること、それから、やはり地元や顧客の利便性を低下させないことといったことが条件になるかと思います。
○古賀之士君 時間もありますので、最後の質問をさせていただきます。 あくまで観測ですが、黒田総裁が途中で退任をされ、その後任に雨宮候補が就くのではないかという、そういうお話もございますが、プロパー総裁の順番でもありますけれども、行内の期待を一身に集める身としてどうお考えでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 私としては、所信でも述べさせていただきましたとおり、副総裁への就任を御承認いただきました場合には、任期五年間いっぱい総裁をお支えしていく覚悟でございます。
○古賀之士君 時間になりましたので、質問は以上です。
○大門実紀史君 雨宮さんは、本当にいろいろ教えてもらったり、お世話になってまいりました。 日銀マンというのは本当にいい人が多いですよね。時々世間離れした人もいらっしゃいますけど、何というか、霞が関と違って、当時、本当にいろんな意味で日銀マンとお付き合いさせてもらってきております。 まずお聞きしたいのは、先ほど若田部先生といろいろお話を聞いていたんですけど、本当に期待どおりの方で、何というんですか、実は日銀の、日銀マンは私いろいろ知っていますからいろんな話を聞くと、かなり現場的に言っても若田部先生が、ええっという感じがあるということは感触として伝わってきていて、雨宮さん、副総裁で若田部さんとやるようになったら、相当、方向はそんなに違わないということになっていたとしても、大変かなというふうに思ったりするんですけど、どうなんですか、うまくやっていく自信というか、あるんですかね。
○参考人(雨宮正佳君) 二つ申し上げますと、元々この副総裁という仕事は、日銀法上、職務は二つ明定されておりまして、一つは政策、業務の執行上総裁をお支えするということと、政策委員会においては独立してその職務を遂行する、要するに議論の活発化に貢献しなさいと、こう書いてあるわけであります。 それで、今の日本銀行の政策決定の仕組みは、やはりポリシーボード、政策委員会における活発な議論を通じて適切な政策を探っていくということでありますので、いろいろな多様な意見の中で議論を交わしていくということはむしろ非常に重要なことではないかというふうに思っております。 それから、私自身は、若田部先生とはもう随分以前から金融政策運営や経済情勢をめぐっていろいろ議論をさせていただいてきた仲でございますので、二人でタッグを組んで総裁をお支えしながら、同時に活発な議論にも資するということは十分可能であるというふうに考えております。
○大門実紀史君 そうはいっても、御苦労多いなというふうに思いますけれども。同じ金融緩和論でもやっぱり違うわけですよね、いろいろ見ておりますと。 雨宮さんは、とにかく黒田さんの一番のブレーンで、この五年間いろんな意味で大変御苦労されたと、相当お疲れのような気もしますけれども。昨日は、黒田さん、物すごく元気なかったんですよ。あのバズーカ砲と言われたのが、何かライフル銃程度というか、本当にびっくりするぐらい元気なくて、相当お疲れじゃないかなと思ったりするんですけれども。 やっぱり今までの五年とこれからの五年では違って、いろんなことを考えなきゃいけない五年のはずなんだと思うんですよね。雨宮さんは、いろんなところでお話を聞いていても、何といいますか、今はもう前と違って、日銀の政策決定会合もリフレ派ばかりが占めてきていて、前はいろんな方いらっしゃっていろんな議論があったと思うんですけど、そういう中で、私と雨宮さんは立場が違うんですけど、そうはいっても、雨宮さんが最後の良識といいますか、最後の見識を発揮してほしいなと、そういう点では期待はしているんですね、人事に賛成はしませんけど。そういう点の期待は個人的にはしているところはあるんですね。 そこで、一番思うのは出口論で、出口、私は出口ないと昨日申し上げたんですけど、ただし、そうはいっても、正常化の道を示していく、そういうメッセージがこの次の五年はないと、かなり違うことになるのではないかと。もう最後の最後まで言えなくなって、言うチャンスも失ってしまうような五年になってしまうのではないかという危惧もあるわけなんですけれども。 そこは雨宮さんはもう少しいろんなことをお考えになっているのかなというのはありますけど、いろいろ言えること言えないことあると思うんですけど、今の、とにかく二〇一九年の二%が見えるまで言わないと。じゃ、二〇一九年二%近づかないと更に言わないと。その間にどんどんどんどんまた国債を保有していくというようなことになると、ちょっと話が違ってくると思うんですけれども。もう少し、この次の五年は正常化に向けた何らかのメッセージが、今日あしたという意味じゃないですよ、やっぱり考えて打ち出していかれるべきではないかと。シミュレーションはいろいろされているというふうに思うんですけれども、その辺いかがお考えですか。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 出口に関する議論をいたしますと、どうしても、出口に関しては具体的に議論することは時期尚早であるというふうに申し上げると、どうしてもその時期尚早というところだけ捉えられて、日銀は口をつぐんで何も出口について語らないというようにお叱りを受けることがあるんですけれども、実は、よく聞いていただくと、総裁も含めて、出口に関する基本的な論点とか考え方は申し上げているつもりでございます。 例えば、私どもにとって出口の課題はまず二つありますと。一つは拡大したバランスシートをどうやって正常化するか、もう一つは政策金利をどうやって引き上げるかという二つの課題がありますということを申し上げてあります。 その上で、じゃ、この課題を実行する手段として何があるかというと、例えばしばしば心配されることは、出口においてバランスシートを縮小するために日銀が国債をばんばん売り出したらマーケットが崩壊するじゃないかという心配を持たれる方がいらっしゃるんですけれども、例えばそのバランスシートを縮小する上で、国債というのは期限がありますので、期限償還を使えばだんだんだんだん減っていくわけでありますし、短期オペレーションでもって資金を吸収することも可能でございます。 例えば、我々はFRBが持っていない売出し手形という、自分たちが手形を作って供給する、それによって資金を吸収するという手段も持っております。さらに、金利を上げるときも、我々の当座預金に今金利を付けておりますので、その当預付利を上げていくという手段もあります。要するに、このように、実は出口の課題を実施、実行していくための手段は十分ありますので、こういう手段を使えば、出口において十分マーケット、市場の安定を確保しながら徐々に出ていくことは可能であると思っているわけです。 ただし、じゃ、そのときにどういう手段をどういう組合せでどういう順番で使うのか。例えば、短期金利から上げていくのか長期金利から上げていくのか。そうしたことについていうと、そのときにおける経済や物価情勢次第であるので、具体的な議論をするのは時期尚早である、こういう意味で時期尚早ということを申し上げているつもりでございます。 いずれにせよ、その状況になれば、これはやはりマーケットとのコミュニケーションが非常に重要になると思っております。出口で本当に重要なのは、そうした手段の使い方ではなくて、マーケットとのコミュニケーションであるというように思っておりますので、そこは注意深く設計をしてまいりたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 いや、よく分からないですね。 実は、その段階はもう超えちゃったと。もう四百五十兆でしょう。そうなると、市場と対話してテクニカルに国債の年限を変えて、到底、それだと百年掛かるんじゃないかと思うんですね。だからこそ、もっと早い段階でいろいろな話をしていて、そういうことでみんな安心させているんですけど、専門家はもうそんなのは超えているという指摘もかなりあるわけですね。 私なんかがちょっと申し上げたことがあるんですけれども、今日はそういう論戦、議論しているんじゃないんですけれども、もう別勘定に移して、今持っているものをですね、日銀は正常業務に入ると。こんなやり方ぐらいしかもう考えられないぐらいの規模のバランスシートになっているのではないかというようなことも思いますし、そこまでの指摘がかなりされているようなことがあるので、今、雨宮さんがおっしゃったのは、確かにそれで安心しちゃう人がいっぱいいると思うんですけど、ちょっともうその規模は超えているのかなというふうに思いますので、またこれは委員会でもお話しさせてもらいたいと思います。 もう一つは、二%なんですけど、これ一体誰の目標、昨日もありましたよね、誰もそんなこと気にしていないよと、日銀が掲げてやっているの、ああ、そうなのということでね。しかし、日銀は二%という目標を立てたので、それに何というか自縄自縛といいますか、縛られて、ほとんどみんな余り気にしていないのに日銀だけが縛られて、そのために国債を買い続けるというようなことで、今、日銀の言うことに注目しているのはマーケットぐらいなもので、今日何か言ったら、為替をどうするか、株の売買、証券の売買をどうするかということですね、マーケットのディーラーぐらいなもので、ほとんどは余りそんなに世間では注目されていない。 しかし、日銀だけが二%にこだわっているので、この異常なことまで続けているというような、ちょっと裸の王様的に私はなってきているのではないかと思いますし、異次元金融緩和が最初始まったときは株が上がりましたよね。それは昨日も申し上げましたけど、誰だって予測できたわけですよ、株が上がるというのは。当時は、株が上がった上がったといって、株を持っていない人まで喜んで、期待をすると。それは、自分の仕事にも、株は持っていないけど良くなってくるんじゃないかという期待があったからですね。ところが、もう五年たってもほとんど関係ない話になってきたと。 だから、異次元金融緩和、アベノミクスに対する失望感がもう五割超えてきているというふうになって、この前、財政金融委員会でも青森と北海道に行きましたけど、ほとんど、異次元金融緩和とかで自分たちが良くなったんじゃない、自分たちが頑張ってきたんだと。あるいは、むしろマイナス金利の副作用を指摘されるということで、そんなに、何といいますか、実体経済の方から、現場の人たちから金融緩和続けてくれ、もっとやってくれというようなのは、実際もうここまで来ると余りないですよね、保守的な方、商工団体、商工会議所から聞いても、この前もそうだったですけど。 だったら、もう二%の目標そのものに縛られる必要はなくて、金融政策として、もちろん物価の安定とか雇用をフォローしていくということで頑張られていいので、二%に縛られる必要がなぜまだあるのかというふうに思うんですけど、いかがですか。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 今、大門先生が最後におっしゃった、結局は物価の安定と雇用の確保だろうということは全く私どもそういうふうに考えております。と申しますのは、これ時々誤解されるんですけれども、二%物価上げるというと、これは二%の物価安定目標というのは、何か人為的にインフレを起こして、インフレでもって問題を解決しようというような、例えば昔あったような調整インフレ論ではないと私は理解しております。 むしろ、今先生が最後におっしゃった物価の安定ですね、中央銀行の目的はあくまで物価の安定でありますので、その物価の安定ということを消費者物価指数ということに具体的に落とし込むとどのぐらいがいいかというと、びったりゼロではなくて、ちょっとプラスがいいねというのが世界的な合意事項なわけであります。 なぜかというと、一つは、大変技術的になりますけれども、CPIという統計に上方バイアスがある、実態より高めに出るとか、あるいはデフレに陥らないような政策運営上の言わばのり代をちょっと持っておいた方がいいということを考えると、物価の安定ということを定義した場合、これ実際に、我々はターゲット、アメリカはターゲット、ゴールと言っていますけれども、ECBはディフィニションと言っているわけでありまして、それを具体的に定義しようとすると、びったんこゼロじゃなくて、ちょっとプラスがいいねということなんだろうと思うんです。じゃ、そのちょっとプラスが一か二か三かについては自動的な答えはないんですけれども、大事なことは、今、主要先進国はみんな共通して二%を目標にしているということであります。 これは、関係国が同じ目標を共有し、同じような物価情勢を持っていますと、結局長い目で見ると為替相場のトレンドが安定すると。それによって金融資本市場が安定し、結局は企業経営の基盤も安定するということにつながるということでございますので、やはり物価の安定ということを確保する上でこの二%という数字は今のところ大事な目標であるというふうに考えているということでございます。
○大門実紀史君 主要国、二%を確かに掲げてきたりしていますけど、それはいついつまでやるとか、二%やるまでこういうことをやり続けるとか、ちょっと日銀とは違うので、それだけ持ってきてというのは違うと思うのと、私、最初申し上げた、若田部さんが副総裁になったときにやっぱり違いが出るのではないかと思ったのは今のところなんですよね。 雨宮さんは、その辺はやっぱり実体経済とかいろんなことを含めて、二%なり物価の安定とかをそういうイメージを持っていらっしゃいますけど、決して若田部先生はそれとは違って、金融政策だけでも、それだけでも上げるというようなことをおっしゃってきた方なので、そういうところがやっぱり違いがあって、私は、雨宮さんがおっしゃるような意味の、実体経済を大事にした意味の物価の安定ということを追求していただきたいなということを期待しているわけでありますので、うまくやってほしいなというふうに思いますけれども。 これからの五年間はやっぱり今までと違うと思いますので、是非、いろんなことを雨宮さんは全部知っているわけですから、今までの総括も含めて、反省も含めて当たっていっていただきたいなということを申し上げて、終わります。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 雨宮参考人にお伺いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 〔委員長退席、理事末松信介君着席〕 雨宮参考人は、昭和五十四年に日銀の方に入行されて、はや四十年を経過したというふうに思います。日銀の考え方を学び、実践をされてきた方だというふうに思っておりますけれども、二〇一三年三月から、黒田総裁が就任されてから、いわゆるアベノミクスの第一の矢というふうなことで大規模な金融緩和というものが行われたわけでありますけれども、実際に日銀が保有する長期国債残高、これはもう金融緩和前の数倍、四倍ぐらいですか、膨らんでいるというふうに思います。 そんな四十年の中でこういうことを見てこられたわけでありますが、黒田総裁の行っている金融緩和について雨宮参考人はどのように見ておられるのか、是非率直にお答えいただければというふうに思います。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、現在の量的・質的金融緩和あるいは長短金利操作付き量的・質的金融緩和は、歴史的にもあるいは海外との比較でも類例のない大規模な強力な政策であります。ただ、こうした政策を生み出すことができたのは、やはりこれまでの日本銀行の歴史の中で培ってきました様々な調査や理論的研究、あるいは金融政策の実践を通じた経験と知見があってのことであろうというふうに思います。 私自身、課長時代からこの二十年間、ゼロ金利政策、かつての量的緩和、その後、包括緩和等にそれぞれの立場で担当してまいりまして、そうした知見を使いながら、今回、言わばデフレ克服に向けた正念場ということで今回の政策を設計したつもりでございます。その意味では、デフレ克服のこれまでの長年の日本銀行の取組をベースに、これを大きく発展、強化したものが現在の政策であるというふうに思っておりますし、この五年間の経済、物価の好転を踏まえますと、この政策は効果を上げているというふうに考えております。
○東徹君 ありがとうございます。 雨宮参考人がこれからの日本の経済をどのように考えておられるのかなというところを少しお聞きしたいなというふうに思います。 二〇二〇年には東京オリンピックが行われますけれども、東京オリンピックの後、どういうふうな経済状況になるのかなというふうに見ておられるのか、是非お聞きしたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 今、私どもが持っています先行き見通しですと、一月に公表した政策委員会で決定した展望レポートの見通しというのがございます。 これに基づいて申し上げますと、今、日本経済は一%台半ばから後半の成長をしておりますが、恐らく二〇一九年度には、幾つか理由がございまして、一つはやはり消費税引上げの影響があるということと、その頃にはオリンピック関連需要はそろそろ一段落するだろうということで需要が少し低下するだろうと。それから、普通の景気循環の考え方でいきますと、今設備投資が非常に強うございますから、普通の設備投資循環という観点から見ても若干一服感が出る可能性があるということで、二〇一九年度については幾分成長率が落ちることを想定してございます。 ただし、それでも潜在成長率並みのプラスの成長は確保できるという見通しでございますので、その後も含めて、その後については実は次の四月の政策委員会で議論することになっておりますので、この段階で確定的なことは申し上げられませんけれども、そうしたオリンピック需要の一段落ですとか消費税の影響等もあって若干成長率が落ちる可能性はあるが、基本的には潜在成長率に近い成長は維持できるのではないかというのが現在の見通しでございます。
○東徹君 ありがとうございます。 それでは、先ほどからちょっと出口の話がありましたけれども、雨宮参考人の考え方として、経済がどのような状況になったときに出口というふうに考えるのか、出口戦略を取っていくべきというふうに考えるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 私どものこの後の金融政策の運営方針につきましては、基本的には二%の物価安定の目標の実現を目指し、この二%の物価安定ということが安定的に持続するために必要な時点まで現在の政策を継続すると、こういう約束をしてございます。 このフレーズ、重要なところは安定的に持続するというところでございますので、その基準としては何かと言われれば、これはやはり二%が安定的に持続するかどうかなんですけれども、じゃ、その安定的に持続するかどうかということを見極めるためには、これ物価だけ見ていても分からないわけでありまして、そのときの成長率ですとか需給ギャップの状況ですとか、あるいは賃金の状況ですとか、あるいは人々の物価観、いわゆる期待インフレ率の動向等を恐らく総合的に判断していくということになろうかと思います。 いずれにせよ、現段階ではそうした二%の物価安定の状況が安定的に持続するという意味での実現までにはなお距離があるということを踏まえると、今後とも現在の強力な緩和を粘り強く進めていくことが必要であるというふうに考えておりますので、その意味で、出口のタイミングや対応を具体的に検討する局面には至っていないというふうに考えております。
○東徹君 二%の安定的な持続をやっていくというのは、二%にもなかなか達しない状況の中で、しかも六回も先送りした中で、これを持続的にというのは本当に大変ハードルが高いことを目標に掲げてやっておられるんだなというふうに思います。 その中で、長引くデフレの原因についてなんですけれども、デフレで将来値段が下がるから今すぐ物を買うことはやめておこうといういわゆるデフレマインドではなくて、インフレを家計が容認してくれないから企業が物やサービスの値段を上げたくても上げられないという日本の構造的な問題が原因であるとする意見もあると思うんですけれども、雨宮参考人がこの見解についてどのように評価しておるのか、是非お聞きをしたいというふうに思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 私ども、しばしば物価や物価安定の議論をするときに、インフレ予想とか人々の期待インフレ率という言葉を使いますが、決して、この期待インフレ率という言葉を使った場合、あるアンケートで何%だとか、あるいは市場で出ている数字がこうだ、一・五だとか二・五だというのを意味しているわけではなくて、むしろ今先生御指摘のあったような、人々の物価に関する感覚ですね、物価観というものを大きく捉えて、よく予想インフレ率と言っておりますし、デフレマインドの転換が重要だというのはそういう意味で申し上げているわけであります。 この五年間で二%が達成できなかった理由として、しばしば私ども、一つは原油価格の急速な下落、それから消費税引上げ後の需要の低迷ということを申し上げていますけれども、こうやって申し上げると、よく責任を他に転嫁して逃げようとしていると怒られることがあるんですけれども、私ども決してそういう意味で申し上げているわけではなくて、我々の目標は、そうした何らかの外部ショックがあっても人々の長い目で見た物価観が余り変わらないような言わば物価の安定の状況をつくり出したかった、それができなかったというふうに申し上げているんです。 例えば、原油価格が下がったらみんな物価が下がると思うのは当たり前だろうと思われるかもしれませんけれども、実はこれは当たり前ではありませんで、アメリカとかヨーロッパでは、原油価格が下がっても、原油価格って上がったり下がったりしますので、下がってもいずれは上がるわけでありますので、長い目で見た人々の物価観には実は余り影響を与えないんですね。ところが、日本は、長年のデフレの経験の結果、原油価格が下がったりすると直ちにデフレマインドが復活してしまう、そういう状況を変えられなかったと申し上げているわけで、何も消費税とか原油価格に責任を転嫁するつもりで言っているわけではないわけであります。その意味で、人々の物価観というのが非常に重要なわけであります。 ただし、やはりこの二十年間定着してしまったデフレマインドを脱却するには、非常に難しい仕事でありますけれども、これがいつまでも続くことはない、実際に変わりつつあるというふうに考えております。実際に労働需給が引き締まっておりまして、マクロ的な需給ギャップも改善していくわけで、この中で企業の価格設定スタンスも変わっておりますし、雇用・所得環境が改善すれば、消費者の感覚、物価に対する感覚も少しずつ変わっていくのではないかと思います。 やはりポイントは、物価だけ上がるのではなくて、企業収益、賃金、経済活動、物価が一緒に良くなっていく好循環が実現するかどうかであるというふうに考えます。 〔理事末松信介君退席、委員長着席〕
○東徹君 ありがとうございます。 その点についても更にちょっと質問したいところはあるんですが、先にちょっとお聞きしておきたいなと思っているところが、やっぱり二十年間先ほどからおっしゃっているようにデフレが続いた、このデフレから脱却するというふうなことで二%の物価安定目標を掲げて、でも、なかなかこれが達成できない、六回これは先送りしてきた、ただ、この二%の安定目標が持続的に続かないといけない、大変難しいんだというお話をいただきました。 そうであるならば、二〇一九年の消費税の引上げ、これ二桁台になるというのはかなり国民にとっては何か重たいなというふうに思えると思うんですが、やはりこの消費税の引上げの影響というのは私は結構あるというふうに思うんですけれども、先ほど余りないというふうに言われたんですけれども、この消費税の影響について少し詳しく御説明いただければと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 消費税の影響につきましては、その時々の所得環境ですとか物価動向にも左右されますので、非常に不確実性が大きいわけであります。 先ほど、私どもの見通しということで申し上げましたのは、目下のところ、前回の消費税引上げと比べますと引上げ幅が小さいこと、それから軽減税率が適用されること、それと教育無償化等で支出される部分があること等を踏まえますと、前回よりも影響は小さいのではないかというふうに見ているわけでありますけれども、御指摘のとおり、この影響は非常にその時々の経済環境等にも左右され、不確実性が大きいというふうに考えておりますので、そこはよく念頭に置いて点検をしてまいりたいというふうに考えております。
○東徹君 あと、先ほどから物価安定目標二%だけではないというふうなお話がありました。であるならば、政府と日銀との政策連携、共同声明、これも少し見直してはどうかなと思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) まず、日銀法の基本的な規定に立ち戻りますと、日本銀行の金融政策の目標は、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということでありますので、その法律の趣旨からしても、物価安定だけではなくて、それを通じてあくまで国民経済の発展であるということを僕らは念頭に置いているつもりでございます。 その上で共同声明について申し上げますと、これはそれぞれ金融政策、財政政策、成長政策について、それぞれ日本銀行と政府の責任を明確にしたものでありますし、金融政策と財政政策と成長政策の組合せというのは、ある意味で非常に一般的でオーソドックスな経済政策の組合せであります。 また、この共同声明は、この間の五年間の経済・物価情勢の好転を見ますとやはり効果を発揮していると考えますので、現段階で、私としては、あくまでこの共同声明の下で適切な政策運営を行っていくということが重要ではないかというふうに思っております。
○東徹君 終わります。ありがとうございました。
○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。 雨宮副総裁候補は、これまで企画畑を中心に日銀の主流を歩んでこられた日銀のエースと伺っておりますし、また、黒田総裁就任以降の五年間、理事として金融政策の企画立案とその実践を担当してこられたということで、総裁の右腕でもいらっしゃるというわけでございますから、まさしく衆目の一致する順当な人選ではないかというふうに私拝見いたしております。 これまでの衆参の質疑の中でいろいろ日銀に対する様々な御指摘、注文があったわけでございまして、先ほどは、大学でいえば落第点だというような厳しい御指摘もあったわけでございますが、しかし、この五年間、日銀は二十年近く我が国が苦しめられてきたデフレからの脱却に取り組んで、もはやデフレではないと言い得るところまで我が国の経済を立て直してこられたわけでありますから、私は、まずはその功績を率直に評価すべきだと、こういうふうに思っております。 確かに物価安定目標二%にはまだまだということで、デフレからの完全脱却は道半ばという状況ではございますけれども、それだけに、この二十年近くデフレとの戦いに身を置いてこられた雨宮候補におかれては、日銀マン人生の総仕上げとして是非この課題に取り組んでいただきたいと、このように私も期待を申し上げているところでございます。 ただし、それにはまだまだ時間が掛かりそうでございます。日銀は、二〇一九年度頃には物価上昇二%程度に達する可能性が高いという見通しを示されているということはこれまでもありましたけれども、果たしてそうなるのかどうかということ、また、仮にこの二%に達したとしても、それが安定的に二%を超えて軌道に乗るまでどのぐらい掛かるのかというのは、これはまだ見通せていないわけでございます。 先ほど、いろんなファクターがあるというような御答弁もございました。昨日、黒田総裁候補も、物価安定目標達成にはまだ距離があるというふうな御答弁ございましたし、今、雨宮候補も同様の御答弁があったというふうに思います。なかなかこれは持久戦の気配も感じるわけでございますけれども、その場合、日銀としては、オーバーシュート型コミットメントということで、大規模な金融緩和を当分続けていかれるということになるわけでありましょう。そういうふうに思いますけれども、ただ、そのときに、そうであれば一層、いわゆるこの副作用への対処、これが大変重要になってくると思うわけでございます。 そこで、今回私がお伺いをしたいのは、日銀の財務の問題でございます。 これは、これまでの衆参の質疑の中でも、雨宮候補だけではなくて黒田総裁も答弁されておりますけれども、要するに、国債を買い入れてバランスシートを拡大させる局面では日銀の収益は押し上げられるけれども、逆に、正常化に向けて縮小させていく局面になりますと、短期政策金利、すなわち日銀当座預金に対する付利の引上げと相まって収支が悪化をするという問題だというわけであります。 私は、日銀の財務諸表を拝見いたしますと、一昨年度から今年度上期までに、債券取引損失引当金を一・一兆円積み増して三・四兆円とされているようでございまして、法定準備金三・二兆円と合わせますと約六・六兆円を内部に留保しているということで、黒田総裁も昨年の国会では、事前の対応としてはかなりしっかりしたものを行っているというふうに答弁をされておられたようであります。 しかしながら、現状で平均運用利回りが〇・三%程度の長期国債を四百兆円以上抱えているという状況で、今後ともこの国債保有残高が増える一方で、低い利回りが更に低下をしていくということも予想されるわけでございますので、これからこの日銀の財務がどうなっていくのかという御心配は、これは無理もないことだろうというふうに思うわけでございます。 もちろん日銀は、通貨発行権があって、通貨発行益も期待できる特殊な会社でありますから、資金繰りが行き詰まるということはございませんし、また、たとえ大きな損失が発生いたしましても、長期的にはこの通貨発行益でリカバーできるはずでありますから、一般企業のような倒産はないということは、これは私も理解をしているところでありますけれども、しかしながら、よもや日銀が債務超過になるということは、たとえそれが一時的なことであるにしても、内外の経済にどういった混乱を引き起こすか分からないということを考えれば、やはりこれは避けなければいけないことだろうと、こういうふうに思うわけであります。 そこで、出口戦略をどう描くかというのはまだ先のことであるということで、これはそのとおりだと思いますけれども、現状の内部留保と現行ルールの引当金、あるいは準備金の積み増しで日銀の財務が大丈夫なのかという点について、雨宮候補のお考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 出口における日本銀行、あるいは中央銀行一般と言ってもよろしいんですけれども、中央銀行の財務に対する影響の出方とか考え方については今先生がおっしゃったことがほぼフルストーリーでありまして、それ以上付け加えることはないんですけど、一つだけ補足させていただきますと、出口においては何らかの格好で金利が上昇しますので、当座預金に付けている金利が上がれば利払いが増えるということで支払コストが増えるわけでありますけれども、一方で、運用サイドの利回りも上昇します。 私ども長期国債を大量に持っておりますので、これが順次、例えばですよ、例えばアメリカのように、ある程度残高を一定に保とうとすると入れ替わってまいりますので、恐らく出口のときには何らかの格好で長期金利は少し高くなっているはずでありますから、より利回りの高い運用商品に入れ替わっていくわけでありますので、結局その出口のときに日本銀行の財務がどうなるかというのは、出る方の支払利息、これは大体短期金利、一方で運用の方の入ってくる利息、これは長期金利でありますので、結局、その短期金利と長期金利の傾きがどうなるかといったことに大きく依存するわけでありまして、これも現段階では何とも言えないということでございます。 ただし、大きく言うと、やはりバランスシートを拡大しているプロセスでは利益が増えて、逆のときは減るという振幅はあるわけでありますので、この振幅をできる限りならそうという考え方から、私ども、債券取引損失引当金という制度を拡充をいたしまして、収益が上振れる局面ではその一部を積み立て、下振れる局面では取り崩すことができるような制度を使って、今、内部留保と申しますか、自己資本の充実に努めているわけでありまして、これは私どもの財務の健全性を確保する観点から大きな効果を持つというふうに考えてございます。 ただ、その上で、これは先生が最後におっしゃったことでありますけれども、中央銀行の財務というのは民間企業と異なって、収益が振れても債務不履行とか、これ、中央銀行は自分自身で支払決済手段を提供、発行するわけですので、いわゆる債務不履行というような格好にはなりませんので、収益が落ちたり赤字になったりしても、金融政策の遂行能力とかあるいは最後の貸し手としての金融システムを安定させる力には何も影響はないんですよということは、十分丁寧に御説明して御理解をいただいていく必要があろうかというふうに思います。
○古賀友一郎君 ありがとうございました。 あくまでも受取利息と支払利息の傾き、バランスの問題だということで、そのとおりだと思います。確かに、日銀が短期金利を引き上げようというような局面では長期金利も上がっているでしょうから、そうだと思うんですが。 ただ、利回りの高い国債に順次入れ替わっていくとしても、保有国債全体の平均運用利回りが上がるには結構やっぱり時間が掛かると思うんですね。その一方で、短期金利の引上げによる支払利息の増加というのは直ちに収支を直撃しますので、損失を最小限に食い止めるというのはよほどのうまいオペレーションが必要になってくると思うんです。 これは当然お考えいただいていると思いますし、黒田総裁候補も、我々が一番自分の財務なんだから考えているんだというような御答弁も質疑の中でございましたけれども、しっかりとその辺は御検討をしていただいて、遺漏のないようにお願いしたいと思うんです。 場合によっては、例えば財務省と協議して内部留保の積立てを充実させるということも考えてもいいんじゃないかと思うわけでございますが、ただ、いずれにしても、この財務の問題については不安を起こさないように丁寧に分かりやすい説明というのが必要だと思いますし、それを納得させるような備えというものもやっぱり必要だと思いますので、この点はしっかり取り組んでいただきたいと思います。 もう一点、もう余り時間はないんですが、伺いたいのが、いわゆるヘリコプターマネーの問題でございまして、先ほど若田部候補にも質問があったわけでございますが、このヘリコプターマネーというのは、中央銀行又は政府がヘリコプターから、空から現金を配るという政策ということでありまして、常人の感覚ではなかなか荒唐無稽に思われるんですけれども、経済の専門家の間では真剣に議論されているようでございますのでお伺いしたいんですが、そもそもこのヘリマネの定義自体についても広い狭いがあるようでございますが、最も典型的なイメージとしては、無利子かつ償還不要の永久国債を中央銀行が引き受けて、その財源で政府が国民に現金を配るというもののようであるわけでございますけれども、我が国の場合、財政法で直接引受けは禁止されていますので、これは取れないと分かっているんですが、一般論で結構でございますので、この点についての雨宮候補の御所見をいただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、ヘリコプターマネーについては論者によって定義が大分違うようでありまして、どの意味内容で議論されているのかということを慎重に見極める必要があろうかと思うんですけれども、例えば金融政策、緩和的な金融環境を金融政策で整える下で政府が機動的な財政政策を実施するというふうなことは、これはある意味でオーソドックスないわゆるポリシーミックスという戦略でありますので、単純に金融緩和と拡張的な財政政策の組合せについては、マクロ経済政策として一般的な考え方なんだろうと思います。 一方で、先生が御指摘になったような、何と申しますか、政府による財政資金の調達を直接中央銀行が引き受けるという意味でのヘリコプターマネーにつきましては、これは我が国を含む、ほぼ全部と言ってもよろしいかと思いますけれども、全ての先進国で歴史的な経験を踏まえこれは行わないというのは共通した考え方でありますし、私どもとしても、そうした基本、言わば中央銀行としての規律の基本として、そういった意味での財政資金の直接引受けといったことは行うつもりはないということでございます。
○古賀友一郎君 ありがとうございました。終わります。
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 雨宮参考人は、昭和五十四年から、日銀入行以来四十年ということで、日銀業務に携わってこられたということでございます。私も財政金融委員会の一員として、昨年十二月に委員の一員として日銀本店を訪問させていただきまして、黒田総裁以下、雨宮理事にもその際、御対応いただきました。日銀の政策、また現場での業務について様々お伺いをいたしました。先ほど話題になりましたフィンテックセンターについて、新しい取組ということでもお伺いをしたわけでございます。 やはり、日銀の政策とその業務を運営していくという両面を考えましたときに、日銀の総裁、副総裁、またそれ以下の役員につきましては、日銀の組織に精通された方が必要であるというふうに考えます。 そこで、雨宮参考人におかれては、先ほどの所信でも、第三番目の課題として、業務の組織運営について強い思いを語られておりました。そこで、雨宮参考人に、これまで日銀の組織運営についてどのように貢献してきたか、多くあると思いますけれども、ひとつ具体例を挙げながら教えていただけますでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 組織運営面での経験、貢献ということで申し上げますと、直接の担当ということで申し上げますと、二〇〇四年から二〇〇六年にかけまして組織運営の担当審議役というポストで、日本銀行の予算、人員計画ですとかIT投資計画や経営戦略の策定といった内部管理を統括する担当をいたしました。それから、二〇一二年から一三年にかけては、大阪支店長として三百五十人の支店職員を率いまして業務運営や組織の人事管理を担当いたしました。また、現在は理事としまして、私ども内部で業務調整会議と呼んでいるんですけれども、内部管理を担当する委員会、一種の執行役員会議でありますけれども、そのメンバーとして組織運営の検討に参画しております。 ただ、こうした具体的な担当ということを離れて申し上げますと、私は、長年の日銀における経験、私は新人時代の札勘から、札の勘定と帳簿付けから始めましたので、その経験を踏まえまして、やはり中央銀行の仕事の基盤は、日々の銀行券の発行や流通とか、あるいは決済システムの運営ですとか国庫金の管理といった一見地味な金融インフラの維持に中央銀行業の基盤があるというふうに確信しております。 したがって、この間、政策担当の役員になりましても、日本銀行の職員全員が政策も含めて気持ちをそろえることができるように、政策担当部局以外のところでも私が話しに行って今の政策の考え方等を説明するというような機会も設けながら、できるだけ一人一人の職員が高い士気と責任感を持って中央銀行業務に邁進できるように努力してきたつもりでありますし、もし副総裁として御了承いただければ、そうした努力を更に強めて、言わば日本銀行の組織力をフルに発揮できるよう努めていきたいというふうに考えております。
○里見隆治君 ありがとうございます。 雨宮参考人の現場への思い、また組織運営に対する決意というものを感じることができました。 これは今までの実績ということでございますけれども、それを踏まえまして、今後、日銀の組織運営にとって必要なものは何なのか、あるいはそのためにこれまでの御経験をどのように生かしていけるのか、貢献できるのかと、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) この後、組織運営に必要なこととして二つ申し上げますと、一つは、やはり何といっても、日本銀行の目標、目的は物価の安定と金融システムの安定ということを達成することでありますので、まずは五千人近くの全職員一人一人がこの目的達成に向けて気合をそろえ、高い士気と責任感を持って業務に当たることができるような環境を整えるということがまず最も重要なことかと思います。 それに加えまして、私は最近、今日も先ほど御質問いただきましたけれども、やはり非常に強い問題意識を持っておりますのが、IT技術あるいはフィンテックの発展でございます。 当然、IT技術の発展は、我々のオフィスの在り方、例えば会議の運営の仕方とか、あるいは仕事の進め方も変えますし、あるいは働き方も変えます。 当然のことながら、これは通貨ということでありますので、我々の金融政策や金融システムの安定の仕事にも影響を与えますので、政策だけではなくて、組織運営の在り方としても、このIT技術の発展なりフィンテックの発展に十分キャッチアップして、場合によっては先取りできるような組織運営、それは先ほどから御質問いただいたような人材の育成といったことも含まれますが、そうした点が次の五年間の組織運営上も大きな課題ではないかなと感じております。
○里見隆治君 ありがとうございます。 是非、そうした点について雨宮参考人のお力を発揮いただくように、私からも期待を申し上げたいと思います。 次の質問に移りたいと思いますけれども、実は、先々週、二月の十九日、二十日でございますが、これもまた財政金融委員会の一員として、ほかの先生方とともに委員派遣で、青森それから函館に行ってまいりました。その際には、地元の金融機関、日銀の現地支店の皆様にも現地の実情についてお伺いをしてまいりました。 その中で、昨日、本日の議論でも出てまいりましたけれども、地域の金融機関の状況として、貸出金利利回りが低下していることから本業の収益が悪化しているといった実態をお伺いしたり、あるいは、当期純利益は確保しているものの、総合的に考えると預貸業務を中心としたビジネスモデルの持続可能性に課題を抱えているといった事情の説明を受けております。 私は、日本銀行の役割として、中央で政府と連携して金融政策を立案、遂行していくということも重要でございますが、一方で、金融市場の現場、金融機関の経営実態を的確にその土地土地で把握をして、そして全国的にも発信をしていく、それを政策的にフィードバックしていくということが大変重要であるというふうに考えております。 一つの例示といたしまして、例えば、これは昨日の質疑でも、また本日も話題になりましたが、アパート・マンションローンの増加という点について触れておきたいと思います。これは、昨年から今年にかけて様々な課題が問題提起されているところでございます。昨年十月に、金融庁からは金融レポートという形で、あるいは日本銀行も金融システムレポートという形でこの件について触れられております。 私の問題意識は、こうした後々から課題として提起されるぐらいであれば、もっと現場に精通をし、また日頃からアンテナを張っておられる当局あるいは金融関係の皆さん、もっと早くこの実態をレポートし、そして世に発信をしていってもよかったのではないかという点でございます。 日銀は、日銀法の第四十四条の規定で考査という規定があって、金融機関から業務の状況を把握することができるわけですし、また、様々な調査活動から、金融システムの安定という意味で、適時適切にルーチンの定時のレポートということにこだわらずに情報発信また金融業界への注意喚起ということをできるのではないか、またその必要があるのではないかと考えますが、この点について雨宮参考人のお考えをお聞かせください。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、私どもは、日頃からの考査、モニタリングを通じまして金融機関の金融仲介活動を丹念に点検しております。その成果も生かしながら、今先生からの御指摘にもありました金融システムレポートで、最近のアパートローンを含む不動産向け貸出しの動向やリスク管理等について取り上げて分析を提示してまいりました。 ただ、それと同時に、日頃の考査やモニタリングを通じても金融機関とこうした問題については議論を深めております。実際に、今、低金利環境、それからやはり人口減少、企業数の減少といった構造要因の中で、特に国内預貸金、預金、貸金ですね、預貸金業務のウエートが高い地域金融機関は非常にその経営が厳しくなっているわけであります。 そうした中でどうやって収益性を高めていくかと申しますと、一つは、やはり地域のニーズに即した資金需要を発掘して強みを生かしていくということと、もう一つは、やはり収益性の高い分野に乗り出そうとすると、その分リスク管理ということが重要になってきておりますので、こうした地域に即した強みのある取組が行われているのか、あるいは行うためにはどのようにしたらよいのか。同時に、リスク管理をどうすべきかといったことは、こうしたレポート、考査、モニタリング、それから、私ども、先ほどちょっと申し上げましたけれども、金融高度化センターという一種の研修・講演センターがありまして、こうしたところのセミナーも通じて意見交換に努めているところでありますし、今後ともそうした方針で臨みたいと思っております。
○里見隆治君 是非、そうした市場とのコミュニケーション、また、各金融機関そして業界とのコミュニケーション、さらに社会に対しての発信ということでお願いをしたいと、またそういったことを期待しております。 最後の質問になりますけれども、物価安定の目標ということについての政府とまた日銀との責任という点についてお伺いをしておきたいと思います。 物価安定の目標といいましても、これは日銀の責任ということではありますけれども、物価そのものはマクロ経済でいえば総需要との関係で決まってくると。その意味で、総需要そのものの創出については、これは政府の経済財政運営の影響によるところが大きいわけでございます。 そのためには、物価安定、これはもちろん日銀も様々な手段によってアプローチをされるわけですけれども、日銀だけでコントロールできるものではないと。ポリシーミックスだという中で、政府の経済財政運営、これに対して日銀との関係では連携ということを言われ、また、共同声明の中でそれぞれの役割分担に応じて実施をされているということですけれども、日銀として政府にもいろいろとおっしゃりたいことはあるんじゃないかと。 日銀と政府との関係というのは、様々言われておりますけれども、日銀法の第四条で、最後の部分だけ申し上げますと、常に政府と連携を密にし、十分な意思疎通を図らなければならないと。これが、受け身であるのか、双方向に日銀として言うべきことは言っていけるのか、あるいは言う場合には何を言えるのかと。この政府と日銀との関係について、御見解を教えていただければと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。 まず、日銀だけではなくて、世界的に中央銀行の目標として物価の安定ということが目標とされているわけでありますけれども、この考え方としては、やはり物価というのはお金の価値の裏返しでありますので、そのお金を発行する機関である中央銀行がその価値の維持に責任を持つという考え方に基づいておりますので、やはり中央銀行が物価の安定に責任を持つということは非常に理にかなった考え方だと思います。 ただし、その上で、御指摘のとおり、実際の物価というものは非常に複雑でありまして、金融政策だけで決まるものではないわけでありますので、そこは、先ほど話に出ましたが、ポリシーミックスということも重要でありますし、人々の期待成長率や潜在成長率を上げるためには、やはり成長戦略の推進等を通じました、あるいは企業の自助努力を通じた成長力の引上げということも非常に重要だと思います。 これは、実は全て二〇一三年一月の政府、日銀の共同声明に盛り込まれた考え方でございますので、私どもは、この共同声明に基づき物価安定目標の実現に向けて全力を尽くしますし、もう一つの機動的な財政運営も一つの成長戦略ということについても、この実施を通じて、真の意味での物価の安定の下での持続的成長の実現に貢献していってまいりたいというふうに望んでおります。 そうした議論をする場は、例えば私どもの金融政策決定会合に政府からの代表の方が二名お見えになって議論できますし、あるいは総裁が経済財政諮問会議のメンバーでありますので、そうした場も通じながら議論をさせていただきたいというふうに思っております。
○里見隆治君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
○礒崎哲史君 民進党・新緑風会の礒崎哲史でございます。よろしくお願いをいたします。 雨宮参考人におかれましては、これまで、現時点ですね、日銀の理事として国会の答弁の方にも来られておりました。四年前に財政金融委員会の方に私も所属をいたしまして、ちょうど今の黒田さんの体制が始まってちょっとしてからのタイミングですが、そこから三年間ほど財政金融委員会で私も議論に参加をしておりましたので、本当に二年で達成できるのかどうかとか、それが延長延長というさまを、何でできなかったんだというような形で様々な議論を私も聞かせていただいていた立場、参加していた立場です。 その中で、雨宮さんも当時から理事として様々御発言もこの場でもされておりましたけれども、非常に答弁も含めて安定したお話をされる方だなというふうに私自身は思っておりました。 今日は、理事という立場ではなくて、副総裁候補者としてのお立場になりますので、若干ちょっときつい言い方も質問の中に入ってくるかもしれませんけれども、余りお気になさらないようにしていただければなと、ちょっときついことを言うと思いますので。よろしくお願いをいたします。 それで、まず、理事から違う立場になったということで、これまでは基本的には総裁あるいは副総裁を支える立場として、様々な政策をつくっていくような立場になっていたというふうに思いますが、これからは副総裁ということですから、先ほど御自身の中でも述べられていましたけれども、総裁を助けていく立場と、もう一つは政策委員会の委員として、これは総裁、副総裁ではなく独立した立場として発言をしていくことになるということで認識をされているということでおっしゃいました。 そこで質問ですけれども、副総裁というよりも政策委員の一人の委員として今後御発言をされていく上において、雨宮参考人の、私の考えはこれが一番ど真ん中にあるんです、私の考えの主軸はこれにありますという、その部分の思い、考えについてまず確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 細かい政策手段ですとか、例えば出口におけるどういう手段があるか、あるいは追加緩和手段としてどういうものがあるかといったこととは別に、基本的な私の思いということで申し上げますと、これは先ほど所信でも申し述べましたが、私はたまたま過去二十年間、企画セクションに長くおりまして、やはり言ってみればデフレとの戦いの最前線に身を置いてきた者ですので、この間、総裁は、課長時代から振り返りますと、速水総裁、福井総裁、白川総裁、黒田総裁とお仕えしてまいりました。それぞれ皆さん、思いや考え方は違いますけれども、やっぱり物価の安定を実現するという強い中央銀行総裁としての使命は共通であります。 ただ、残念ながら、この十五年間、これは達成できてこなかったわけでありますので、今回もし御承認いただきますれば、これまで得られた経験を全て、経験、知見をフルに生かして、まずはとにかく物価安定目標の達成を優先して議論を進めるということは基本でございます。
○礒崎哲史君 今、御自身の中でも、これまでデフレと戦ってきたということもお話がございましたが、その立場で、日銀でデフレと戦ってきたけれども、結果としてデフレ脱却できなかったということになります。雨宮さんがこれまでずっと携わってきた政策は、残念ながらその成果がきちんと出なかったということに、客観的に事実だけを捉えればそういう評価にならざるを得ないというふうに思うんですが、その雨宮さんから見て、政策として、やはりこういう部分が足りなかった、こういう部分に問題があった、こういう部分が見込み違いであった、まずその振り返り、やはり一番大きな脱却できなかった原因についてどのようにお考えになるか、確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) これまでの過去二十年間の金融政策運営では、例えば金利を下げるとか、あるいは量を拡大するとか、あるいは、単純にその量を拡大するときも、国債だけ買って拡大するのではなくて、例えば株式等も含めて多様な資産を買うといったような、金利、量、質の面での対応というのは実はいろいろトライしてきたわけであります。 にもかかわらず十分な効果を上げられなかったのはなぜかということについて、恐らく学界でもまだ結論は出ていないように思うんですけれども、今、一つ自分がこの五年間強く考えたことは、これは先ほど御議論いただいた点ですけれども、物価という現象は短期的には為替とか原油価格とか、あるいは天候要因で動くわけですけれども、長いトレンドは、やっぱり経済全体としての需給がどう締まっていくか、需給ギャップの動向、それと人々の物価観、この二つが基本的な要因なんだろうと思うんです。 例えば、アメリカとかECBは人々の物価観が大体二%ぐらいで安定している。だから、原油価格が下がっても人々の物価観がすぐ変わらない。これ、よく我々の間では物価観がアンカーされている、いかりが付いていると言うんですけれども、日本の場合にはそういういかりでアンカーされているような状況にはなっていない。 これを変えるほどの強い政策ではなかったというふうに考えて、今回の量的・質的金融緩和においてはある意味で非常に大きな政策と、当初の二年で二%と、強いコミットメントによって人々の物価観を何とかデフレ均衡から引きずり出すということをトライしたということでありますので、先ほど申し上げたとおり、今の政策は過去のいろんな政策の知見と経験に基づいて組み立ててありますけれども、どこが大きく違うかといえば、人々の物価観を変えるということに一つの焦点を絞ったということが大きな違いであるというふうに私自身は考えております。
○礒崎哲史君 そうすると、今、人々の物価観ということがありました。先ほどの、今日の質疑の中でもデフレマインドの払拭がなかなか進まなかったということも言われていたんですが、ここで言うデフレマインドというのが一体具体的に何を示しているのか、あるいは今の人々の物価観といいますが、そこで言う人々というのは一体具体的に誰のことを指しているんでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 人々というのは大変曖昧な言い方で恐縮でございましたけれども、もうちょっとこれは具体的に申し上げれば、価格というのは売る方と買う方がいますので、当然企業の価格設定行動あるいは価格設定戦略がどうなるかということと、それに対する家計の受け止め、例えば物価が上がっていくとすれば、家計がそれを受け入れるかどうかという家計の受け止めという意味で、非常に重要なのは、やはり企業や家計の物価に関する感覚、少しかみ砕いて申し上げますと、企業の価格設定戦略、家計の物価の受け止め方ということになろうかと思います。 よく期待インフレ率といいますと、専門家が国債市場の物価連動債の市場からBEI、期待インフレ率は何%というような計算をして示しますけれども、より重要なのは、やはり企業、家計の物価に対する見方ということかと思います。
○礒崎哲史君 よくこの議論をすると、デフレマインドがなかなか払拭されていない、皆さんがバブル以降、価格が上がっていく感覚を忘れてしまっているとかということになるんですが、何か我々消費者が物の値段が上がっていく感覚を忘れてしまっていることがさも悪いかのような、我々の感覚が何か悪いかのような、原因のような、どうもそういう捉え方をしてしまうような、言い方の問題なのか受け止めの問題なのかありますけれども、ただ、実際、生活をしてみれば、円高還元セールとか何とかセールというのはあちこちでやっているわけでして、限られた収入の中で私たちが少しでも多くのものを買おうと思えば、安いものを買えばそれだけ多くのいろいろな品物が買えるわけですから、当然消費者の行動だと思うんですよね。 その消費者の行動を捉えて、そこが問題なんだというような、そこに原因を突き詰められてしまうと、それはちょっとおかしいのではないかなという考えを私自身ちょっと持っていたものですから、今、雨宮さんの方から価格設定、企業の価格設定の戦略というものもその中には入っているんだというのは、私は正しい認識ではないかなというふうに思います。 そうすると、今のそもそも日銀と政府で含めて目標と設定している物価の二%という目標の発信の仕方ですとか、それの、じゃ、達成ができなかった理由として何が問題なんだというと、すぐにデフレマインドと言う。 これ、明らかに何か誤解を与えているような気がするんですけれども、それこそ先ほど雨宮さんおっしゃられた、二%は結果として二%であって、そこに持っていくために、例えば、長い目で見たときの為替の安定ですとか、金融市場ですとか企業の行動ですとか、あとは賃金の上昇ですとか、様々な要素が絡んで最終的に物価ということの方が僕はよほど重要な気がするんですけれども、そういう雨宮さんのお考えをしっかりと政策委員会の中で情報発信をするなり、日銀としての発信、メッセージとして伝えていくということ、総合的に見てということを伝えていくことが大変重要ではないかと思いますけれども、ちょっと済みません、私の意見になりましたけれども、そういう意見に対しての雨宮さんのお考えを少し聞かせていただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 全く先生のおっしゃるとおりでありますが、これは私どもの説明の仕方の問題だとは思うんですけれども、実は、例えば、黒田総裁もこういう議論をするときは必ず、あるいは講演等で申し上げているのは、日本銀行が目指していること、あるいは日本銀行がやろうとしていることは、何か物価だけ上がればいいんだということではないんですよと。これは、人々にとって物の値段は安い方がいいのは当然でありまして、しかし、経済のメカニズムとして、物の値段が下がることを放置してしまうと、結局、経済活動、企業収益が悪くなって経済活動が落ちて、最後は賃金が下がるという格好で返ってきちゃうわけです。 したがって、我々は別に物価だけ上がりゃいいよと言っているわけではなくて、あくまで企業活動、経済活動、収益、賃金、物価がうまく上がっていく好循環を目指しているんだということは実は講演等でも申し上げているつもりなんですけれども、これをもうちょっと丁寧に分かりやすく説明せいという御指摘というふうに受け止めます。
○礒崎哲史君 講演等での発信もそうですけれども、今日のこの中でもありましたが、やはり市場との対話で、この対話というのは、金融関係の市場との対話というのも当然重要だと思いますし、それ以外の部分の市場との対話というのも大変重要だというふうに思うんですけれども、今、黒田総裁、様々な情報発信もされてきていますが、これまでの情報発信は市場との対話はきちんとされてきているというふうにお思いか、それとも、もう少しこういう部分は改善すべきだというお考えがあるかどうか、今のと関連しますけれども、確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 市場との対話ということで申し上げますと、私どもはこの五年間の政策でサプライズを狙っているのではないかと言われることがあります。あるいは、それと並んで、そのサプライズを狙った政策というのは結局は長続きしないのではないかという御疑問や御批判をいただくことも多々あります。 しかし、私どもとしても、何かサプライズでもって得た、サプライズでもって生じた政策効果というのは恐らく長続きしないと思っておりまして、基本はやはり市場との対話、丁寧なコミュニケーションに努めながら、日本銀行の政策意図をきちんと伝え、御理解していただくということが基本であろうと思います。 ただし、これは、経済の変化とか市場の変化は非常に急なときがありますので、時と場合によってはある断固とした措置をとらなければならないということもあろうかと思いますけれども、我々は元々、少なくとも私が何かサプライズ狙いで政策をつくったということはありませんで、できる範囲内でマーケットとできるだけ注意深い、かつ丁寧なコミュニケーションに努めていくことが基本であるというふうに認識しております。
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) この際、お諮りいたします。 委員外議員木戸口英司君及び江崎孝君から日本銀行副総裁の任命同意に関する件についての雨宮参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認めます。 それでは、まず木戸口君に発言を許します。木戸口英司君。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。 会派、希望の会、自由党の木戸口英司でございます。 三月十一日が近づいてきております。日銀の東日本大震災への対応、様々な対応をいただいていることをまず感謝を申し上げます。 経済の停滞防止、また弾力的な資金供給のために資産買入れを増額して金融緩和を強化していただいている、あと、熊本地震に対してもそのとおりであります。この効果、そしてこの政策の継続、また今後起きるであろう大規模災害、まあ起きないことがいいのでありますけれども、予想される大規模災害からの復旧復興への日銀の役割ということをどのように捉えておられるか、お尋ねいたします。
○参考人(雨宮正佳君) 先ほど申し上げましたとおり、私は、日本銀行の様々な政策運営の基礎は中央銀行としての業務運営にあるというふうに考えております。その業務運営というのは、日々の銀行券の発行であり、流通であり、あるいは決済システムの運営ですとか国庫金の安定的な運営といったことがありますし、これが言わば金融インフラを構成しているわけであります。実際に、今御指摘のありましたような自然災害のときには、私ども本当に全力を挙げて、金融インフラを守るべく業務運営に全力を懸けてまいりました。 ちなみに、先ほど私、かつての組織運営の経験として大阪支店長を経験したということを申し上げましたけれども、私どもは実はコンピューターシステムのバックアップセンターを大阪に持っておりまして、その意味でも、日本銀行にとって、あるいは日本の金融システムにとって大阪というのは非常に重要な地位にあります。東京に何かが起きたときでも日本の金融インフラが安定的に維持され、安定性を維持できるよう、こうしたバックアップセンターも含めて十分な準備を進めていきたいというふうに思っております。
○委員以外の議員(木戸口英司君) ありがとうございます。まだまだ復興これからでございますので、引き続きお願いを申し上げます。 マイナス金利、そしてイールドカーブコントロールと、その手段が大きく変化してきていることは間違いないと思います。その中で、長期金利全体をコントロールできるのかというそもそもの問題が指摘されておったと思います。また、異次元緩和、そもそもマネタリーベースコントロールということで始まったわけでありますけれども、その縮小ということ、その印象を与えないように気を付けてやっておられるということを感じますけれども、実際、金額も減ってきているということもあります。 こういう状況の中で、日銀、政策委員会のガバナンスを高めながら市場の信認を獲得していくと、こういう編成の中でですね、そのことの必要性ということをどのように感じておられるか、お考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 先ほども御質問いただきましたけれども、金融政策の効果というのは、当初は私どものオペレーションから始まり、マーケットを通じて、それは金融市場、金利もそうですし、あるいは株価、為替等も含めて、マーケットを通じてまず波及していきながら、最後は貸出金利や預金金利に帰着するわけでありますので、市場を通じて効果が波及していくという点でやはり市場との対話、コミュニケーションは非常に重要だというふうに思います。 ただし、市場との対話というのは非常に難しいのは、例えば、何か市場がそのときに望んでいるものを言ってやることが対話ではないわけでありますし、先ほどから、今日はAIやフィンテックの話が出てまいりましたけれども、AI化の進展でマーケットの例えば反応速度等も物すごく変わってきているわけであります。そういうときに、じゃ、どういうことが市場との対話で重要かということを考えますと、恐らく、何か市場との反応を余りに先読みして何かをやるというよりは、基本はやはり日本銀行の政策運営の基本的な考え方や経済情勢判断をきちんとお伝えしていくということを基本にするということかなというふうに考えております。
○委員以外の議員(木戸口英司君) ありがとうございます。
○委員長(山本順三君) 次に、江崎君に発言を許します。江崎孝君。
○委員以外の議員(江崎孝君) 立憲民主党の江崎でございます。 三人にそれぞれお聞きしているんですけれども、マイナス金利の深掘りは可能だとお考えでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 可能かどうかという御質問にある種技術的にお答えを申し上げますと、例えばヨーロッパ、ECBのマイナス金利はマイナス〇・四%、我々は、〇・一に対して〇・四ですから、可能かどうかというもし御質問が技術的なものであれば、それは可能であるということになると思います。 ただし、これも今日どこかで申し上げましたけれども、あらゆる政策運営はやはり効果と副作用の比較考量でもって判断していくわけでありますので、仮にそれが必要になった、あるいは政策の選択肢として考えるときにも、こういう状況ですので、やはりその効果と副作用を慎重に注意深く点検するということは大変重要かというふうに考えます。
○委員以外の議員(江崎孝君) 雨宮参考人は、設計されたマイナス金利が金融機関に与える影響を懸念されているという、衆議院の中での質問にありましたけれども、私も同じような思いがありまして、金融庁が劇的に指導方向を変えました。 融資も含めて、あるいは地銀の経営の在り方も含めて相当指導に入っていまして、流れからすると、地銀の再編あるいは信組、信金再編も含めて取り沙汰されているわけですけれども、マイナス金利とその前の量的緩和の問題からすると、地方の金融機関の経営が圧迫されてくる、そうすると、金融庁との指導の中で、これ、ややもすると地銀、地方の金融機関の再編に大きな影響を与えてくるんじゃないかという私は懸念を持っているんですけれども、それはどうお考えでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) 先ほども申し上げましたけれども、今、金融機関は、低金利環境ですとか人口減少、企業数の減少といった非常に厳しい環境の中で今後の経営方針を模索している段階であります。どうやって経営の効率性や収益性を高めるかという課題の中で、再編ということも一つの一般論としては選択肢だろうと思いますし、それが検討される場合には、何をおいても、まずはそれが本当に経営の効率化に資するのか、あるいは地元の経済や借り手に対してマイナスにならないかといったことを中心に検討されるべきだというふうに思います。 いずれにせよ、こうした非常に厳しい環境の中で、金融機関としては、まず第一に本当の地元、地域の金融ニーズをどうやってつかむか、それと同時にどうやってリスク管理を図っていくかと、この二つを中心に、考査、モニタリング等も通じまして金融機関との議論を重ねてまいりたいというふうに思っております。
○委員以外の議員(江崎孝君) 是非お願いしたいと思います。 もう一つ質問ですけれども、やっぱりアメリカの景気が良くなっていると言われています。それは、やはり日本と違うのが、若年層の労働人口が増えている、これアメリカは統計的にそうなっているわけですが、全く日本とそれは真逆な状況になっている。そんな中で、アメリカが、景気が良くなるということで利上げに踏み切るという流れが今出てきています。 そうなってくると、これ以上、日本が量的緩和を含めてやっていった、市中に出したお金がややもするとアメリカに、そういう金利を上げるという状況の中のアメリカの方に吸い寄せられていくのではないか、日本の国内で回るのではなくてという懸念を私は持っているんですけれども、それはどうなんでしょう。
○参考人(雨宮正佳君) 恐らく、アメリカの景気が、国境を越えた資金流出入というのは、いろんな要因、金利差だけではなくて政治情勢、ポリティカルな問題ですとかジオポリティカルな問題も含めて、いろんな要因で動くので、今の段階で何とも言えないんですけれども、ただし、アメリカの金利が上がるというのは、アメリカの経済がいいということが基本であります。アメリカの景気がいいということ自体は、これは世界経済にとっても日本経済にとってもいいことなはずですので、この数週間、アメリカの金利上昇を発端にマーケットが少し動いておりますけれども、やや長い目で見て考えると、それは、アメリカの景気がしっかりするというのは世界経済にとっても日本にとってもプラスであるという面はあるように思います。
○委員以外の議員(江崎孝君) 終わります。
○委員長(山本順三君) これにて雨宮参考人に対する質疑を終了いたします。 雨宮参考人に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙の中、御意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。委員会を代表して心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十六分散会