議院運営委員会 第8号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2018/03/06
会議録
○委員長(山本順三君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。 割当て会派推薦のとおり、東徹君を理事に選任することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山本順三君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 日本銀行総裁の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁候補者・日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山本順三君) 次に、日本銀行総裁の任命同意に関する件を議題といたします。 候補者から所信を聴取いたします。黒田東彦君。
○参考人(黒田東彦君) 黒田でございます。 本日は、日本銀行の政策・業務運営につきまして私の所信を述べる機会を賜り、深く感謝申し上げます。 初めに、金融政策運営について申し述べます。 私は、五年前の二〇一三年、日本銀行総裁を拝命いたしました。当時の日本経済は、長年のデフレにより経済の劣化が進んでおり、デフレからの早期脱却が最大の課題でした。そうした認識から、私は、政府との共同声明において日本銀行は二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するとしていたことを踏まえ、総裁就任直後、大胆な金融緩和策である量的・質的金融緩和を導入しました。その後も、経済・物価情勢の変化に対し、必要な政策対応を行ってまいりました。現在は、長短金利操作付き量的・質的金融緩和という世界でも初めての措置により、極めて緩和的な金融環境を整えています。 日本経済はこの五年間で大きく好転し、戦後二番目の長さとなる景気回復が続いています。企業収益は既往ピークを更新し、労働市場がほぼ完全雇用となる中、賃金も緩やかながら着実に上昇しています。物価面でも、生鮮食品、エネルギーを除いた消費者物価の前年比は、二〇一三年秋にプラスに転じた後、ほぼ一貫して前年比プラスで推移しています。日本経済は、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。 このように経済・物価情勢は大幅に改善しましたが、二%の物価安定の目標は実現できていません。原油価格の大幅な下落なども影響しましたが、より大きな要因は、長年にわたるデフレの経験から家計、企業経営者の間に根付いたデフレマインドです。価格が上昇しないことを期待した経済行動が定着しており、こうした期待を変えていくにはある程度時間を要することが明らかになってきました。 もっとも、粘り強い金融緩和の下、持続的な景気回復と労働需給タイト化、賃上げに向けた政府のサポートなどもあり、情勢は着実に変化しています。賃金、物価は緩やかに上昇し、人々のインフレ予想も上向いており、日本経済はデフレ脱却に向けた道筋を着実に歩んで、進んでいます。現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことにより、物価安定の目標を実現できると考えています。総裁として再任されましたならば、引き続き政府と連携しながら、日本経済のデフレ脱却への歩みをしっかりとサポートし、二%の物価安定の目標実現への総仕上げを果たすべく、全力で取り組んでまいる覚悟です。 この間、強力な金融緩和が続く下で、金融システムや年金運用などに与える影響、金融緩和からの出口戦略や日本銀行の財務をめぐる様々な議論があることは承知しています。これらの論点についても十分な検討を行いながら、二%の物価安定の目標の実現を最優先に政策運営を行ってまいりたいと思います。 また、金融システムや金融市場の安定を図っていくことも日本銀行の重要な役割です。特に、金融規制については、各国の政府当局、中央銀行間での連携協力が一段と重要性を増しており、いわゆるバーゼル3の最終化では、政府と連携して強力な国際交渉を行いました。さらに、日本銀行は、銀行券の流通や日銀ネットの運行など決済システムの中核を担っています。熊本地震等の災害時も含め、こうした業務が円滑に行われるよう取り組んでいます。また、新しい情報通信技術を金融面に応用するフィンテックが金融サービスの向上や持続的成長に資するよう、様々な研究や金融機関等へのサポートも行っています。 こうした多様な機能、役割を持つ日本銀行を私はこの五年間陣頭指揮してまいりました。この間の経験も生かし、日本銀行の持つ総合力を一層引き出すことにより、金融面から日本経済の更なる発展に貢献したいと考えております。 最後に、金融市場や海外とのコミュニケーションの重要性について述べさせていただきます。 本年初来、国内外の金融市場で大きな変動が見られました。経済、金融がグローバル化した現在、各国の中央銀行や政策当局者と緊密に連携するとともに、内外の金融市場に対し適切に情報発信することも中央銀行総裁の大事な役割です。財務省財務官、アジア開発銀行総裁そして日本銀行総裁として培った知見、人脈を最大限活用し、こうした役割を十分に果たしてまいりたいと存じます。 日本経済が極めて重要な局面にある現在、引き続き日本経済のために貢献できる機会を与えていただくことになれば、これまでの経験を生かしながら全身全霊を込めて職務に邁進していく所存です。 以上でございます。
○委員長(山本順三君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。 これより候補者に対する質疑を行います。 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。 なお、質疑及び答弁の際は着席のままで結構でございます。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚耕平君 民進党の大塚耕平でございます。 黒田総裁、そして次期総裁候補としての黒田参考人にお伺いをしたいというふうに思います。 まず、今の所信の御表明の中でも、日本経済はデフレ脱却に向けた道筋を着実に歩んでいますというくだりがございました。この間、総裁の最近の御発言の中には、今の展望レポートには、来年中には二%に物価上昇率が達する可能性が高いというようなこともおっしゃっておられる一方で、衆議院でのこの意見聴取のやり取りの中では、現時点ではまだ二%の物価安定目標への道のりは遠いものがありますというふうにおっしゃっておられます。どちらが本当なのでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは、展望レポートあるいは毎回の金融政策決定会合後の公表文などでも示しておりますように、政策委員会の経済、物価に対する予想の中央値が二〇一九年度頃に二%程度に達するということを示しておりますので、それが現在の私どもの言わばコンセンサスになっているわけであります。 ただ、足下、御案内のとおり、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が〇・九%、エネルギー品目を除きますと〇・四%ということで、まだ二%の目標とは距離がある、かなり距離があるということでございますので、その間どういった経済・物価動向が展開していくかということを十分注視しながら将来のことを考えていくということに尽きると思いますので、現時点で目標とかなり距離があることは事実でありますけれども、一方で、政策委員会のコンセンサスとしては、二〇一九年度頃に二%程度に達する可能性が高いというふうに考えております。
○大塚耕平君 ということは、二%の物価安定目標への道のりは遠いものがあるという衆議院での御答弁の内容はそういう認識でいいということですね。
○参考人(黒田東彦君) 現時点でまだ二〇一九年度頃と言っておりますので、まだ道のりは、道半ばというか距離があるということは事実であると思います。
○大塚耕平君 総裁はコミュニケーションの重要性を最後に強調されて、これは特に海外との関係などもおっしゃったんですけれども、まさしくコミュニケーションは国内においても重要であって、もう一回お伺いしますが、最近の国会での御答弁や各所での御発言を聞いていると、時に、二〇一九年頃には今度こそ二%の物価安定目標が達成し得るかのような印象を強く与える御発言をする一方で、衆議院では、繰り返しになりますが、二%の物価安定目標への道のりは遠いものがありますと言って御答弁しておられる。どちらが国民の皆さんに、あるいは国会にお伝えすべき正確な総裁の御認識なんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは展望レポートにもかなり詳しく述べられておりますけれども、二〇一九年度頃に二%程度に達する可能性が高いというふうに見ているわけですが、他方で、展望レポートでも示されておりますとおり、予想物価上昇率その他、下方リスクも不確実性も存在するということでございますので、先ほど申し上げたように、二〇一九年度頃に二%に達する可能性が高いと考えておりますけれども、やはり十分その間慎重に見て、その時々の経済・物価情勢を見ながら金融政策運営を行っていくという意味で、まだ二〇一九年度頃の見通しということでございますので、足下、先ほど申し上げたような物価情勢、弱めの情勢がまだ続いておりますので、そういった意味で、まだ二%の目標との距離はかなりあるというのが私どもの実感というか考え方でございます。
○大塚耕平君 もうこの問題、繰り返しても多分同じ御答弁が返ってくるでしょうから繰り返しませんが。 率直に申し上げますが、私は、日銀に入行したときには前川総裁でございました。以来今日まで、日銀職員として、そして国会議員として歴代総裁の御発言を聞いてきておりますけれども、黒田総裁は大変話術も巧みで御答弁はお上手な方だというふうに思われますけれども、今の質問からも、私が受ける印象は、歴代の総裁の中では非常にコミュニケーション面において、まあちょっと言葉がきつかったらあらかじめおわびを申し上げますが、やや不誠実さを感じざるを得ないというふうに思います。 その上で次の質問をさせていただきますが、やはり所信の中で、今、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていますというふうにおっしゃられました。そして、これは安倍首相と足並みをそろえて、もはやデフレではないという状況については共有をするような御答弁なり発言をずっと繰り返しておられるんですが、しかし一方で、デフレに戻ることのない状況を更に目指すべきだということも言っておられます、衆議院でもまた同じようなことを言っておられますが。デフレに戻ることのない状況というのはどういう状況なんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この点は政府が特に強調しておられる点でございますけれども、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなったということは政府も言っておりますし、私どももそういうふうに考えております。 お尋ねのデフレ脱却につきましては、政府は、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことというふうに定義しておられまして、その当否についても政府が各種の指標から総合判断されていくというふうに理解をしております。これは一つの合理的な考え方だと思っておりますけれども、デフレ脱却について政府はそうした考え方を取っておられるということでございます。
○大塚耕平君 再びデフレに戻ることがない状況というのはどういう状況かというのを改めてお伺いします。
○参考人(黒田東彦君) これについても、政府は幾つかの指標を挙げて、それらの動向を十分点検した上で総合的に判断するというふうにされております。 私どもは従来から、様々な考慮から二%の物価安定の目標というものを掲げておりまして、それを目指して現在の金融緩和を続けておるということでございます。
○大塚耕平君 総裁、今日は次期日銀総裁としての同意人事をめぐる議運での意見聴取でありますので、政府の考え方とか現時点での私どもという一人称を使っての御説明を拝聴しているわけではないんです。 次期日銀総裁候補として、二度とデフレに戻らない状況とはどのような状況と認識していらっしゃいますか。これを、黒田参考人御自身の定義をお伺いしています。
○参考人(黒田東彦君) 私の定義というよりも、どのような場合に再びデフレに陥る見込みがないと言えるかどうかというのは様々な判断があると思いますが、私といたしましては、やはり企業収益あるいは雇用情勢というものが改善し、そうした下で賃金が上がっているということが非常に重要な要素であろうと。 といいますのは、過去の例を見ましても、物価が持続的に上昇するということの背景には必ず賃金が持続的に上昇するということがございますし、また、賃金が持続的に上昇するということの背景には常に物価が上昇しているということがございますので、やはり物価の動向を丹念に見ていくということがまず第一に必要だと思いますが、その背後にある経済動向、成長であり、あるいは企業収益であり、あるいは雇用情勢ということもあると思いますし、何よりもやはり賃金の動向というのが非常に重要な要素であるというふうに考えております。
○大塚耕平君 総裁、経済環境というのは当然変化しますので、二度とデフレに戻ることのない状況などという状況はないんですよ。つまり、必ず、先行きは何が起きるか分からないわけですから、そうすると、二度とデフレに戻ることがないとは言い切れないので、まだ緩和を続けるということをずっと続け得る可能性があるわけですね。そのこととの関連で今お伺いをしているわけです。 なぜならば、総裁はこの間の、一期目の財金等での質疑において、マネタリーベースをもう既に当初のスタートから比べると四倍以上にしています、それから日銀の総資産の対GDP比も四倍以上にしています、これをいつまでお続けになるんですかと何度かお伺いしたところ、上限はありませんというふうに過去に御答弁になっておられます。 そうすると、二度とデフレに戻ることのない状況などというのは、それは定義できない以上、上限なく今後もマネタリーベースや総資産の拡大を続けていく可能性を否定していないということになります。これはもう論理的にそうなります。 そこで、二度とデフレになることはないという定義をまたお伺いしても同じ御答弁が返ってくるでしょうから、今の文脈で次の質問をさせていただきますが、過去にマネタリーベースの拡大、総資産の拡大に上限はないというふうにおっしゃったそのお考えは今もお変わりがなく、そのお考えのまま二期目も運営されるというおつもりでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、私どもの金融政策の最大の目標というものは物価の安定でありまして、具体的には消費者物価の二%程度の上昇というものが物価の安定であるというふうに考えておりまして、それを実現するために現在の金融緩和政策を行っているわけであります。 そうした意味で、物価安定目標との関係でいいますと、物価安定の目標が実現していない段階で金融緩和を中止するというか、あるいは弱めるというか、そういうことは考えられません。そういう意味では、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和について、何か事前に特定の限界をつくるということではなくて、あくまでも二%の物価安定の目標の実現ということを目指してやっているわけですので、それが実現するように、あるいはそれを実現するまで適切な金融緩和を続けていくということに尽きると思います。 その意味で、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下でもちろん長期国債を買い入れているわけですが、その効果はある程度累積的に効きますので、今の時点で何かもう長期国債が買えなくなるとか、あるいはマーケットになくなるというようなことは当面考えられないと思っております。
○大塚耕平君 今も巧みに御答弁を展開されたわけですが、国債を買えなくなるような状況があるのではないかということをお伺いしたわけではありません。日銀は購入対象資産を自ら選べるわけですから、極端なことを言えば、土地を買おうと思えば土地だって買えるわけです。 だから、私がお伺いしたのは、もう一回聞きます。過去においてマネタリーベースや総資産の増加、それを今政策手段として用いておられるわけですから、これに上限はないというふうに御答弁されました。そして、現にもう四倍以上の水準まで増やしました。次の五年間も上限はないというお考えの下で運営されるかということを聞いているんです。
○参考人(黒田東彦君) 委員の御指摘のような意味で、事前に何か物価安定目標と別に、ここまでで、限界で終わるというような意味の上限があるとは考えておりません。あくまでも二%の物価安定の目標を実現するという目的のために今必要なあらゆる措置を講じていくということでございます。
○大塚耕平君 上限がないという御認識だということを明言していただいたんだと思います。 また衆議院の御答弁を参考にさせていただきますが、御法川委員の質問に対して、日銀の財務などについても私どもが一番多分深刻にというか真面目にというかよく考えておりますけれどもという御発言をしておられます。既に日銀の財務は現時点のマネタリーベースと総資産の規模において深刻な状況だという認識を披瀝されたという理解でよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 現時点で日本銀行のマネタリーベースあるいは資産側の状況、いずれも極めて大きなものになっているということは事実でございます。
○大塚耕平君 私は、御自身が深刻というお言葉をお使いになったので確認をさせていただいているんです。現時点で大きな規模になっているのは、もうこれは明々白々であります。中央銀行総裁として、また次の総裁の五年間を担われるお立場の候補者として、現在の日銀の財務状況が深刻であるという認識ですかとお伺いしています。
○参考人(黒田東彦君) 現在何か深刻な状況になっているとは考えておりません。 しかしながら、米国の例を見ましても、物価安定目標が実現されるという状況になれば当然出口の議論になってくるわけでございます。そうしますと、バランスシートをどうするか、あるいは短期政策金利をどうするかということが当然議論にはなってくるわけですが、そうした場合、この量的緩和というのは、緩和を進めているときはバランスシートが拡大しますので利益が、所得が増えますけれども、バランスシートを縮小する場合には逆に利益が縮小していくという可能性があるわけでありまして、そういう意味で、将来、出口に差しかかった場合にどのような出口の政策を取るかによって日本銀行の財務に対する影響というものもあり得るわけでございますので、そういったこと、頭の体操は私どもの中でいろいろな形でやっていると。そういう意味では、日銀、日本銀行の財務については私どもが一番強い関心を持って考えているということを申し上げたわけでございます。
○大塚耕平君 日本銀行というのは中央銀行として、公器、公の器であり、私物ではなく国のものでありますので、その財務状況が深刻であるかどうかというのはまさしく深刻な問題なんです。ということは、御法川委員の質問に対して深刻に考えておりますというふうにおっしゃったけれども、それは取り消されるという理解でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 深刻に考えているというのは、まさに私ども自身のものでございますので、財務状況というのは十分考えておりますという趣旨で申し上げたわけでございます。
○大塚耕平君 分かりました。 いずれの国会同意人事も、それはもう大変な重要な人事だと思いますが、とりわけ日銀総裁人事、そしてこの局面での次期総裁というのは過去に例のないくらい重要な人事だと思いますので、御発言の一言一言にはそれなりの御配慮をいただきながら御発言をしていただくべきだと思います。仮に再任された場合のその後の国会での御発言におかれても同じであるということはあらかじめお願いをしておきたいというふうに思います。 その上で、当然、二期目も二%物価上昇目標の実現に向けて資産の拡大は上限なくやっていくという今お考えを聞いたわけでありますが、しかし達成された暁には出口戦略の問題になるわけであります。そこで、やはり衆議院でも御発言になりましたし、過去にも、最近になって時々御発言しておられますが、出口の方法論として、当座預金の付利金利を上げるとかバランスシートを縮小したりということを時々おっしゃるんですね。出口戦略の主たる手段はその二つと考えてよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 出口戦略の場合に、米国のFEDの状況を見ても分かりますとおり、短期の政策金利をどうするかということと拡大したバランスシートをどのように調整していくかという、この二つが非常に重要な論点になるということは従来から申し上げているとおりでありまして、委員御指摘のとおりであります。 他方、その二つをどのような順序でどのようなテンポでどの程度進めていくかというのは、あくまでもその出口に差しかかったときの経済、物価、金融情勢を踏まえて行うわけでございます。したがいまして、現時点で具体的なことは申し上げられませんけれども、その二つの論点を考えながら、それを実現していくための手段としては様々な、オペであるとかその他御指摘の付利金利を引き上げていくということも、米国がそういうことをしておりますから、そういうことも一つの方法、手段の中にあることは事実なんですけど、ポイントは、その二つの論点、二つの言わば軸をどのように動かしていくかと。そのための手段が日本銀行はどのくらい持っているかといえば、いろんな手段を持っていることは事実なんですけれども、問題は、この二つのポイントをどのように動かしていくかというのは、これはまさにそのときの経済、物価、金融情勢に合わせて最適の組合せをしていくということになると思います。
○大塚耕平君 日銀の保有資産の中の国債をゼロにする必要はありますでしょうか、将来的にということですが。
○参考人(黒田東彦君) 将来的にもうそういう必要はないと思いますが、と申しますのは、量的緩和が二〇〇〇年代の初めに始まる以前から、日本銀行は一定の量の国債を、長期国債を買い入れておりましたし、その後もずっと買い入れておりました。それと別に、いわゆる量的緩和として、当初は極めて短期の国債のオペレーションをやってきたわけですが、私の前の総裁のときの包括緩和というときにやや長めの国債も買うようになり、現時点では、超長期の国債まで含めて、平均残存期間七年から十年ぐらいのところをめどにしながら購入しているということでございます。
○大塚耕平君 私も、当然ゼロにする必要はないと思いますので。 そこで、お伺いしますが、そうすると、この出口戦略の一環として、日銀保有国債の一定割合を永久債などに転換することによって対応する、政府の返済元本負担も減らすというようなことは頭の中にはございますでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 国債は、あくまでも政府の考えであると思いますけれども、私どもとして、そういうふうに転換するという考えは全くありません。
○大塚耕平君 これは一期目に御就任されるときにも申し上げたと思うんですが、日銀総裁は、もうもはや日銀総裁であられますので、元財務官僚ではありませんので、国債の元本を減らしていくという財務省官僚としての遺伝子というか、こういうものは理解できないわけではないんですが、金融政策の運営上、日銀の保有国債をゼロにする必要がないとすれば、ある一定の根雪部分は、政府にとっての返済負担は利息負担だけにするというのも一つの考え方でありますので、これは御答弁求めませんが、あくまで今後の五年間も中央銀行総裁としていかに考えるべきかという判断基準で全てをお考えいただければ有り難いなと思っております。そこに財務官僚としての判断基準が混じることは結果として不整合な様々な政策判断を行うことになるというふうに思いますので、これはお願いとして申し上げておきたいというふうに思います。 それから、以前の予算委員会で総裁にお伝えしたことがあると思うんですが、今回退任される岩田副総裁を始めいわゆるリフレ派という皆さんは、戦前の高橋是清元総理、大蔵大臣、日銀総裁の、この高橋財政時代にかなり緩和的な金融政策をやった、そのことによってデフレを脱却した、それを参考にするという主張を二〇〇〇年代の前半に随分しておられて、その方々が、今回の若田部候補もそうなんですが、日銀の実際の幹部になっておられるわけでありますが、その予算委員会のときにも申し上げましたが、実際に黒田総裁がやっておられる金融政策のこの緩和の規模というのは、実は高橋是清元財務大臣、その当時は大蔵大臣ですが、いつまでもこの金融緩和と拡大財政は続けられないので、三年間は続けるけれども、それ以降はできませんといって三年で手じまおうと宣言をしたら、三か月後に二・二六事件で暗殺をされたわけであります。 今の日銀のマネタリーベースと総資産の拡大のペースは、それ以降軍部に対して物を言えなくなった政府と日本銀行が一九四〇年代に入って拡大をしていったそのペース以上の割合でマネタリーベースと総資産が増えているということを是非改めて御認識をいただきたいというふうに思います。 最後の質問になりますが、以上申し上げたことも踏まえていただいて、この五年間にマネタリーベースを二年で二倍にしたら物価上昇率が二%になると言って就任されて五年がたって、そして、これからの五年もマネタリーベースの増加には上限はないと今宣言されて就任されようとしておられるお立場で、過去の総括と、一期目の総括と今後に向けての決意を簡単にお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 過去五年の金融政策につきましては、二〇一三年四月の量的・質的金融緩和の導入、そしてその後これを拡大し、また二〇一六年の一月にマイナス金利付きの量的・質的金融緩和にし、そして総括的検証を踏まえて、二〇一六年の九月に現在のいわゆる長短金利操作付き量的・質的金融緩和にしたわけでございます。その下で、先ほど来申し上げているとおり、経済は大きく改善したわけですが、まだ物価が二%の目標に達していないということは極めて残念なことであります。 冒頭申し上げたとおり、日本銀行総裁をまた拝命するということになりますれば、全力を挙げて二%の物価安定の目標を達成するようにしたいというふうに考えております。
○大塚耕平君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。 しばらく前に財政金融委員会で日本銀行に行きまして、黒田さんともお会いしていろんなお話をさせていただきまして、あれでお別れかと思っていたんですけど、またお会いすることになって、これからまた何度も議論するようになるのかなというように思いますけれど。 さんざんこの異次元金融緩和、議論してきましたけれど、今日は財金委員会ではありませんので、総裁候補としての所信ですので、余りテクニカルといいますか財金的なことよりも、基本的なお考えをちょっと改めて伺いたいなというふうに思います。 一番大事な点だと思うんですけど、日本銀行の独立性の問題です。もっと平たく言えば、政治からの独立性の問題であります。ちょうどこの「日銀と政治」という本が先日出まして、「暗闘の二十年史」と、朝日の鯨岡さんが書いたやつですけれども、まさに政治がどれだけ日本銀行の政策を左右してきたかということを大変リアルに書かれております。国会の論戦も幾つか載っていたりします。ちょっと参議院の論戦少ないなと思うんですけど、幾つか載ってはおります。 要するに、私も、この二十年のうちの十七、八年現場で見てきましたけれど、何といいますか、結果的に非常に政治が日本銀行に、いろんな圧力といいますか要請といいますか、掛けてきたなというのは非常にリアルに分かります。 そもそも、今回のこの人事そのものが大変私、最初は、次の総裁が出てこられて、出口がないというふうに私思っていますけれど、そうはいっても正常化の模索には踏み出すような変更があるのかなと思ったんですけど、やっぱり安倍政権としてはこのまま続けてもらわないと困ると、今は株価とか円の為替の問題もいろいろ流動的になっていますが、とにかくこのまま続けてもらわないと困るということで安倍政権からの要請があって、提案そのものがそうなんですけど、まだまだ今の路線を日銀は続けてもらいたいということがあって黒田さん、そして黒田さんもいろいろぶれないように、まだリフレ派で行け行けどんどんと言っている若田部さんをくっつけてというような、非常に、何といいますか、この今やってきたこれを絶対ぶれないで続けろというふうな安倍政権の要請を非常に感じるんですけれども、もう長いこといろいろな議論をしてきましたけど、どういうふうにお考えですか。
○参考人(黒田東彦君) 総裁、副総裁の人事は、御案内のとおり、国会の同意を経て内閣が任命するということになっておりますので、私から何か申し上げることはございませんが、日本銀行の政策として二%の物価安定の目標というものを二〇一三年の一月に決定し、これが政府との共同声明にも盛り込まれているということの下で、日本銀行として、政府とは独立に二%の物価安定の目標を追求して金融緩和を続けてきたわけでございます。 今後も、二%の物価安定の目標を実現すべく最大限の努力を払ってまいりたいというふうに思っておりますが、日本銀行としての物価安定の目標というものは、やはり日本銀行の使命の非常に最も重要なものでありますので、これは何としても達成する必要があるというふうに考えております。
○大門実紀史君 なかなかお答えにくいと思うんですけど。 ずっと見てきますと、黒田さんも衆議院の議運ではちょっとお答えになっていますけど、速水さん、私は、速水総裁、福井総裁、白川総裁と黒田総裁ですけれども、速水さんのときにかなりいろいろ、ゼロ金利の解除が早かったということでかなり政治的に圧力があって、財政金融委員会なんかではもうつるし上げのような状態があったりして、私は、唯一速水さんを守ってといいますかね、そういう圧力に屈するなということで、まあいろいろありましたけれども、非常に頑固な方ではありましたけど、一線画してというような非常に強い方でありまして、福井さんはちょっと軽い方でありましたけれども、白川さんはやっぱり、私、今も思っていますが、白川さんの非常にアカデミックな、私は大好きだったんですけれども。 そこまではいろいろあって、何といいますかね、いろいろ、はっきり言って、与党、あのときは野党の議員もそうでしたけど、リフレをやれリフレをやれ、インフレターゲットをやれというようなことがありましたけれど、一線を言ってこれ以上はできないということが速水さん、福井さんもありましたし、白川さんはもっとあったんですけどね。それでも、それでもインフレターゲット、リフレの方向にぐうっと押されてきたわけなんですけれども。 黒田さんはそもそも、そういう人を安倍さんが選んだからそういう、また違うんでしょうけれど、私思うんですけど、そういうふうになると結局、日銀の独立性とはいいながら、人事によって、政権の思うことをやる人を据えてしまえば、幾ら日銀法があって独立性が書かれていても、政権の思うように金融政策も左右されかねないなというふうに見てきたんですけれど、そういう怖さが一つあるのと、実際あったんじゃないかというふうに思います。 それともう一つ、この政策って何だったのかと思うと、実は、黒田さんが異次元金融緩和をやる前にいろんな議員がいろんなことを言ったんですけど、こんなことを言ったんですね。物価はまあいいんだと、どうなろうと、株を上げたいんだ、株を上げることが大事なんだと。その議員も株持っていましたけど、国会議員の中に何人も、特に財政金融委員会なんかは結構与野党問わず株を持っている議員がいて、うちは誰も持っていませんけど、株を上げろみたいなのが物すごくあって、なぜ株が上がるのにやらないんだというような、あったんですね。実際、あのときに少し量的緩和をやりますと、ちょっと株が上がったりしていたんですね。だから、量的緩和をやれば株が上がるというのは、この政策入る前から誰でも分かっていたということですね。 もう一つは、先ほど大塚さんからもありましたけど、これは、日銀が大量に国債を買いますと国は国債を発行しやすくなります。そうすると、国債発行は安定すると。これは、財務省にとっては有り難いし、また与党の皆さん中心に、公共事業をやりたいとか何をやりたい、財政支出をやりたいというときに国債を安定的に発行できると、発行していいんだというようになれば非常にいいわけですね。やりたいことができるわけですね。そういうふうな、物価が上がるとかデフレがどうとかそういうことよりも、非常にそういう政治的なことが働いてきたなというのが率直に、この本だけじゃなくて、私なんかも現場にいて感じることなんですよね。 そういう点でいくと、一番怖いのは、今日のこれがそのものなんですけれども、日銀の独立性が幾ら日銀法に書かれていても、人事を通じて政権が思う人間を据えることによって政権の思うとおりの金融政策を遂行するということが可能は可能ではないかということをずっと見て率直に思うんですけれどもね。この人事と独立性という点ではいかがお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 現在の日本銀行法では、日本銀行の金融政策についての政府から独立性が非常に明確に書かれているわけでございます。他方で、総裁、副総裁、あるいは政策審議委員の人事につきましては、国会の同意を経て内閣が任命するという仕組みになっているわけでございます。 諸外国の例を見ましても、基本的には中央銀行は政府から独立して金融政策を決めるという形に主要先進国はなっておりますけれども、それと同時に、やはり総裁、副総裁等の任命は政府が行うという形になっておりまして、金融政策の独立性は維持されているというふうに思いますけれども、中央銀行の総裁、副総裁の人事につきましてはどこの国も基本的に同様な形になっていると。議会の同意を経てというのがない国もあるようですけれども、いずれにせよ、政府が議会の同意等を経て任命するという形になっているというふうに認識しております。
○大門実紀史君 これは、政治の問題もありますのでこれぐらいにしておきますけれども。 今日はちょっと基本的な考えを改めてお聞きしたいんですけれど、デフレを克服ということでやってこられたわけですけれども、そもそもデフレの原因は何なのかと、それが間違うと処方箋も間違うわけなんですけれど。本当にこれはもう最初から議論が分かれてきたわけですが、私どもは、私なんかは何回も質問させていただきましたけど、今のデフレの原因は賃金デフレであると、賃金の低下が物価の低下を招いて、物価の低下が更にコストダウン競争に入って賃金を引き下げるという、賃金デフレだということをかつて竹中平蔵さんとも何度も議論していたわけですね。 ところが、こうやって急に、いや、違うと、金融政策なんだということが出てきて、もっとひどいのは、私思うんですけど、デフレはデフレマインドのせいだと、人々の気持ちの問題だというような、それで物価が上がるということを、そういうイメージを与えればみんな前向きになるんだというような、何か本当の原因といいますか、実証的なものを抜きに、何か病は気からといいますか、何かマインドの問題だとか、あるいは金融で実体経済を動かせるんだみたいな荒唐無稽なことが私は最初からこの異次元金融緩和のもとになっているというふうに思って、それが、最初はそういう議論がいろいろあったんですけれど、結局何やったってうまくいかないですから。 最近は、名前は申し上げませんけど、当時私と論戦したような政府のブレーンだった諮問会議のメンバーなんかの東大の先生なんかも、賃金だと、今頃になって賃金を引き上げなければデフレは克服できないんだというようなことをおっしゃるようになってきているわけですけれども、賃金そのものを上げるべきだというのは安倍内閣もおっしゃっているわけですけれども、デフレを克服するには、マネーをどうのこうのじゃなくて、賃金を上げるということにストレートに踏み出すしかないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 賃金が上昇するということを通じて、先ほど来申し上げているとおり、物価が緩やかに上昇していくということが好ましい姿であるということは従来から申し上げているとおりであります。 その上で、金融政策として取り得る方法というのは、やはり伝統的な金融政策でもそうですし、現在の非伝統的と言われる量的緩和、各国がやって日本銀行もずっとやっているわけですが、いずれも基本的に、やはり名目金利を一方で引き下げて、他方で予想物価上昇率を引き上げることによって、その両者の差である実質金利を引き下げて、それによって消費や投資を刺激し、経済を拡大し、需給ギャップを改善していって賃金や物価が上昇していくということを企図しているわけでありまして、金融政策として、どこの国でも全く同様に、そうしたメカニズムを通じて賃金も上昇し物価も上昇していくという姿を実現しようとしているということであろうと思います。 また、政府が賃上げを促進するために減税措置その他様々な政策を講じておられるということ自体は、物価安定目標の実現のための賃金の上昇につながっていくのではないかというふうに期待をしております。
○大門実紀史君 まずその点で、二%と賃金の関係なんですけど、大体、二%の物価目標とおっしゃいますけれども、それが世界のグローバルスタンダードだと総理もおっしゃっていますけど、二%以上の物価上昇が続くというのは日本では高度成長期ぐらいで、そんな継続して続いたことないんですよね。あとバブルですかね、あのときぐらいですかね。 そういうものを目標に立てられているということと、それが何の意味があるのかというふうに私なんか思うんですけど、それに縛られてどんどんどんどん国債を買い込むというようなことの、これはまさに異次元というよりも異常な政策を取られているということはもう五年前から指摘させてもらっているんですけど、仮に二%とすると、これは黒田さんもおっしゃっていますよね、仮に二%の物価上昇ということは、賃金は三%あるいはそれ以上というふうになると。当然そうですね、そういう関係でいきますとね、細かい理屈は抜きにして。 そうしますと、今年も今統計が出始めていますけれど、まだ三%には遠いですよね、賃金。二%の目標を達成するには賃金は三%以上ということになりますと、二〇一九年ですか、到底私は難しいと、これから物すごい賃上げがあれば、それはそうなるかも分かりませんけれど。ということで、先ほどの話に戻りますけど、今一番大事なのは、よほど本格的に賃金引上げしないと二%も行かないというふうに思うわけなんですね。 そういう点では、その二%と賃金の関係を考えると、もっともっと、アコードならアコードで、安倍政権との協調もあるんでしょうけれども、賃金問題をもっと中心に据えるぐらいでないと物価二%行かないんじゃないかと思うんですけど、その辺もうちょっと改めていかがですか。
○参考人(黒田東彦君) これも従来から私ども申し上げていますとおり、日本銀行は消費者物価の前年比の上昇率で二%という物価安定の目標を実現することを目指しているわけですが、もとより物価だけ上がればよいと考えているわけではありませんので、企業収益や雇用、賃金の増加を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まる好循環をつくり出していくことが大切であると考えております。その中でも特に、先ほど来申し上げているとおり、賃金の上昇というのが非常に重要なファクターになっております。 そうした意味で、私どもも賃金の動向を常に注視しておりますし、現在、春闘が始まっているわけですけれども、その中で春闘の水準が三%に行くのかどうか注視をしていると。委員御指摘のとおり、賃金の動向というのは極めて重要なファクターであるということはそのとおりでございます。
○大門実紀史君 一つのシンクタンクですけど、今年の賃上げ二・一%と、このまま行くと、定昇込みでですね、というような水準でありますので、この点だけ考えても二%の達成が二〇一九年云々は大変厳しいというか難しいのではないかというふうにちょっと指摘だけしておきたいと思います。 もう一つは、こういうインフレ政策そのものが何なのかということなんですけど、ちょっとテクニカルなことはおいておいて、要するに、こういうインフレを目指す、デフレだからインフレにすればいいんだと。これが、この間、この異次元金融緩和で、これは当然、円安、株高を誘導政策に、日銀が意図するかどうかは別として、日銀は為替には関与していないとおっしゃいますけれど、結果的に円安、株高を招くと。そうすると、大きな企業、海外に輸出する企業は為替差益が入ると。株が上がりますから、株が上がり始めますと人々が株を買いますから株がどんどん上がるということで、株が上がるというようなことが続いてきて、これだけでも格差が広がっているんですけど、私申し上げたいのは、インフレそのものは実は格差を広げる作用を及ぼすということをやっぱり見ておかないと、今のところ、そのインフレといったって二%成功していませんからあれですけど、本当に二%、私は、二%成功したということはそれ止められるのかとありますけれども、そもそもインフレ政策というものを今この日本が格差広がっていることが問題になっているときに追求すべきなのかどうかと。 当然、インフレになりますと、現金を持っている人たちは価値が減少いたします。年金だとか失業給付だとか現金給付を受ける人たちも、もらうものが少なくなります。一方、マネーを運用する人たちは、借りて利ざやを稼ぐわけですから、インフレになれば増やすことができると。しかし、所得の低い人ほど、インフレになれば、元々現金以外の資産を持てませんから大変苦しくなるというような、インフレによる格差が広がるというようなことを、そういうことは御検討になったことはあるんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 量的・質的金融緩和、これは日本銀行だけではなくて米国でも欧州でも行われたわけですが、そうした下で金融資産の価格は上昇して、その下で所得分配がより不平等になったのではないかという議論があることは承知をいたしております。いろいろな分析、研究があるということも承知しております。 ただ、現在のところ我が国でそうしたことが、この四年間、五年間で大きくその格差が拡大したというふうには必ずしも見られないというふうに思っております。ただ、この点はもちろん金融政策の直接の目的、目標ではないわけですけれども、言わばその副産物として所得格差、資産格差が拡大しているのではないかという観点はもちろん十分注目をしていきたいというふうに思っております。 ただ、先ほど来申し上げていますとおり、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で狙いとしておりますのは、企業収益が拡大し、労働需給が逼迫度を強め、賃金や物価が緩やかに上がっていくということを目指して行っておるわけでして、格差の拡大ということを言わばその中に不可避的に含んでいるということではないと思っております。
○大門実紀史君 最後に、最後というか出口論なんですけど、これも私、五年前の予算委員会でしたかね、これから大量に国債買って異次元の金融緩和に具体的に踏み出すというときの議論で、これに踏み込みますと、一旦踏み込めば出られなくなる、引き返せなくなると。なぜならば、マーケットは日銀が買うということを前提に買い始めますから、日銀がどこかで売るとか減らすとかなると引き始めると。そうすると、国債の価格が暴落とまでは言いませんけど、急落して、金利が上がって、景気が悪くなって国の財政にも悪い影響を及ぼすと。だから、これ踏み込むべきじゃないということをずっと申し上げてまいりまして、今出口があるかないかという議論がされていますけど、入るのは一年で入れますけど出るのに何十年も掛かる、そういう政策だと。今四百五十兆ですか、日銀が持っている国債ですね。これGDPの八割で、全体の発行している国債の四割ですよね。これだけの膨大な国債を日本銀行は引き受けてしまっていると事実上の財政ファイナンスだと思いますけど、そういうふうなのはちょっとおいておいても、どうやってその国債を吐き出していくのか、正常化していくのかと。 この前、黒田さんが衆議院のこの人事の聴取でちょっと出口論を触れられただけで、一九年度、検討、議論をしているということをちょっと触れただけで円相場上がりましたよね。債券市場の長期金利も上がりましたよね。あれ、そういう反応をするわけですよね。恐らく、そういうことも含めて出口の話はしないんだということをおっしゃってきたんだと思いますけれど、私、出口、出られるかどうかというようなことじゃなくて、正常化に向かうという点では、もうやっぱりいろんなことをきちっとお話しされるべきだというふうに思うんですよね。 例えば、FRBの前のバーナンキさんがおっしゃっていますけれども、もう細かいから紹介しませんけど、要するに、出口について話すことは、具体的に示すことは決してマイナスではなかったと、アメリカと日本は違うんですけれども。何も言わない、まだ時期尚早と言ってもう五年たつんですけれど、言わない、言わない、言わないというところの方が、ここまで来ると、本当にマーケットが過剰に反応して、すぐ先週の金曜日のように反応してしまうと。むしろ、ここまで来ると、一定の正常化の方向こういうふうに考えていると、だから、逆にだから安心してくれということも含めて、時間は掛かるけどこういうふうに考えるとか、それはやっぱりFRBの教訓からいっても、何も言わないということではなくて、それが一九年とか達成したらと、達成の見込みが出てきたらとおっしゃいますけれど、僕は達成しないと思うんですよね。ずっと行っちゃうと思うんですよね、これ。それまで買い続けるんですかと。 もちろん、今ちょっと目標変えられておりますけど、減らすことはできないと、保有額を減らすことはできないというふうなことが続くんじゃないかと思うんですけれど、もうそろそろ出口、まあ出口は私はないと思うんですけど、正常化に向かう模索ぐらいかなと思うんですけど、そういう道も、次またやられるならばそういうふうに示していかないとかえって後々パニックが起きるというふうに思うんですけれど、この正常化の方策を示すという点ではいかがお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 正常化というか、あるいは出口というか、この際に論点になる点は、従来から申し上げているとおり、短期政策金利をどうするかということと拡大したバランスシートの調整をどのように行うかということの二つに尽きるわけですが、それを具体的にどのような手順でどのように動かしていくかというのは、やはり出口に差しかかったときの経済、物価、金融情勢を踏まえて最適な方法でやっていくということに尽きると思います。 したがいまして、適切な時期に出口について議論をしてそれを示していくということは必要だと思いますけれども、まだ二%の物価安定目標とかなり距離がある現時点で、具体的にその時点の経済、物価、金融情勢がどういうふうになっているかということを踏まえずに申し上げるのは、かえって市場を混乱させると思いますので適切でないと思いますけれども、先ほど来申し上げているとおり、そこで出てくる論点というのは、米国の例を見てもそうですけれども、この二つに尽きるであろうと。 その場合に、それを適切にやっていく手段という意味では日本銀行は十分な手段を持っておりますので、御指摘のような急に長期金利が跳ねたり、金融市場に大きな影響が出るようなことがないように、実際に出口ということになると、米国はそのようですけれども、まさに極めて緩やかに、経済、物価、金融情勢をにらんで最も適切な形で進めていくということになると思います。 ただ、今具体的に、いつの時点でどのような手段でどのようなテンポで行うかというのを議論するのはやはり早いというふうに思います。
○大門実紀史君 終わります。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 参考人質疑ということで、よろしくお願いをいたします。 本当に、これまでも見ておりまして、なかなか日本の経済状況、深刻な部分があるなというふうに見ております。これだけ黒田日銀総裁が大規模な金融緩和を行ったりとか、それからマイナス金利政策とか、大胆な決断をこれまでも行ってこられました。 その中で、改めてお聞きしたいと思うわけですが、平成二十五年の三月十一日、参議院のこの議運委員会で今回と同じように黒田参考人に対する質疑が行われたわけですけれども、そのとき黒田参考人からは、一九九八年以降ほぼ十五年にわたってデフレが続いてしまった、それを是正できなかった、あるいは放置してきたということは、中央銀行としての日本銀行の責任が果たされていなかったということではないかというふうに述べておられました。 今もそのように、そのお考えに変わりはないのかどうか、デフレ脱却における日本銀行の役割について改めて黒田参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) そのときも申し上げたのではないかと思いますが、物価の動向というのは、金融政策のみならず様々な要素によって影響されることは事実でありまして、石油価格であれ、その他もろもろの状況によって影響されることは事実なんですが、一九九八年から二〇一三年まで十五年間、デフレ、つまり物価の持続的下落が続いたということについては、やはり物価の安定を第一の使命とする日本銀行としての責務というか責任ということを考えなければならないということをはっきり申し上げました。この点は今も変わっておりません。 過去五年間、様々な努力をしてまいりまして、現状デフレではないという状況にはなりましたけれども、二%の物価安定の目標が達成されていないということも事実でありまして、この点は大変残念に思っておりますけれども、今後、再び日本銀行の総裁を拝命しましたならば、全力を挙げてこの二%の物価安定の目標の達成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○東徹君 現状ではデフレではないというような状況だということでありますけれども、現在の国民の心理としては、いわゆるデフレマインドというか、何となく景気はちょっとは良くなってきたのかな、ただ、先ほどからも話があるように、賃金が上がらない、食料品などの日用品の価格が上がったら困るという心理というのはあると思います。二年後の東京オリンピックの後、景気は冷え込むだろうという予測も国民の中にはあるんではないのかというふうにも思っております。 〔委員長退席、理事末松信介君着席〕 これまで六回もインフレ目標をこれ先送りしてきたわけでありますけれども、インフレ目標が物価上昇だけを目的とするのではなくて、デフレ脱却後に、金融緩和を行う一方で、緩和の行き過ぎで過剰供給になる前に緩和を止めようという、インフレの上限をあらかじめ設定するという性質のものであるということも理解しておりますけれども、本当にこのインフレ目標達成できるのか、又はこの二%という水準が本当に妥当なのかということについてはいかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、現在、我が国の物価は弱めの動きが続いておりますけれども、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムはしっかり維持されておりまして、目標実現への道筋を着実に歩んでいるというふうに考えております。すなわち、マクロ的な需給ギャップが改善を続ける中、企業の賃金、価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も上昇すると見ておりまして、消費者物価の前年比は二%に向けて上昇率を高めていくというふうに考えております。 もとより、こうした見通しにつきましては、海外経済や国際金融市場の動向、為替相場の変動や国際商品市況の動きなど、様々な上振れ、下振れ要因がございます。こうしたリスク要因も含めて経済・物価情勢をしっかりと点検しながら、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めて、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するよう全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。 なお、金融政策で目指すべき物価の安定の目標というものにつきましては、日本銀行は、過去の経験を踏まえた上で、統計上のバイアスあるいはデフレに陥らないための政策対応力の確保といったことを考慮しまして二%という基準を採用しております。この二%という基準は多くの先進国で共通したものになっておりまして、言わばグローバルスタンダードというふうに言われているわけですが、我が国が関係国と同じ物価上昇率を目指すということは、長い目で見た為替レートの安定にも資するというふうに考えております。
○東徹君 二%というものは世界的なスタンダードということでありますけれども、先ほど大門委員からもありましたが、賃金が上がらないと駄目なんだというふうな話もございました。確かにそのとおりだというふうに思っております。 ただ、今の日本の現状を考えますと、少子高齢社会とよく言いますけれども、これからまだまだ高齢者人口が増えていくという時代の中にあって、どんどんと税金とかそれから社会保険料の国民負担率が上がっていくという現状があります。 そういった誰もが将来的なことをやっぱり考えるということが一つと、そしてまた、過去にはバブルの崩壊とかまたリーマン・ショックとか、そういったことも経験してきました。そういったマインドが結構、なかなか消費の需要が上がっていかないというところにも響いているんではないのかというふうに思ったりするんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、少子高齢化という形で、言わば中長期的な経済成長率を考える場合に、労働投入量というのが減少していくと、いわゆる生産年齢人口が毎年相当数減っているわけですので、他の需要に比して一定ですと中長期的な成長率が下がっていくということになりまして、現在、日本の中長期的な潜在成長率は一%前後ぐらいだというふうに言われておりますけれども、その中にあって労働力の投入が減っていくということになりますと、労働生産性が上がっていかない限り中長期的な成長率が下がっていくと。下がっていきますと、俗に言う自然利子率というものも下がっていきますので、金融政策で実質金利がある一定のレベルにあるとしても、自然利子率がどんどん下がっていきますと金融政策の緩和効果が低減していくということになりかねません。 実際問題として、各国とも自然利子率が下がっているということでかなりの実質金利をマイナスにしているわけですが、我が国の場合も実質金利はマイナスになっておりまして、それが経済の拡大を支えているという面があるんですけれども、確かに長期的に見た場合に、潜在成長率が下がっていくということは、経済の成長にとっては困った状況であるということは事実なんですが、ただ、それが直ちに物価上昇率を引き下げるかどうかについては議論のあるところでありまして、我が国よりも潜在成長率が下がっているところでも十五年デフレが続いた国というのはないわけですので、やはりそういった点も十分考慮しながら、まさに経済を支えるような低い実質金利を実現し、それを通じて需給ギャップの改善、そして賃金、物価の緩やかな上昇というものを目指していくということが私ども中央銀行として取るべき政策ではないかというふうに考えております。 〔理事末松信介君退席、委員長着席〕
○東徹君 そんな中で、まず消費税のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。 平成元年四月一日から消費税三%、これが導入をされました。続いて、平成九年に三%から五%への引上げが行われまして、平成二十六年に八%へと順次これは引き上げられてきたわけですけれども、消費税を五%に引き上げた平成九年なんですけれども、消費税を引き上げたものの、景気が落ち込んで税収の減少につながったという見解もありますけれども、平成二十六年の八%への引上げについてですが、我が国の経済へのどのような影響があったというふうにお考えなのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 一般的に、消費税の引上げというのは、駆け込み需要とその反動ということを通じた影響、そして税率引上げに伴う実質所得の減少という二つの経路を通じて経済に影響を及ぼすわけであります。 御指摘の平成二十六年、二〇一四年四月の消費税率引上げのときには、特にこの駆け込み需要の反動減の影響が耐久消費財を中心に予想以上に大きかったということから、生産面を中心に弱めの動きになったというふうに見ております。もっとも、その間も雇用・所得環境の改善は続いておりまして、高水準の企業収益が維持される下で所得から支出への前向きの循環メカニズムが働きまして、日本経済はその後基調的には緩やかな回復につながっていったというふうに見ておりますが、御指摘の二〇一四年を見ますと、生産面を中心に弱めの動きになったということは事実でございます。
○東徹君 有識者の中には、平成二十六年の消費税増税八%、これがなければ景気の落ち込みがなくて物価上昇期待を維持できたので二%の物価安定目標は達成できたのではないかというふうな意見もありました。 そんな中でなんですけれども、来年に、二〇一九年十月、消費税一〇%、引き上げようというふうなことに今なってきているわけでありますけれども、我々としてはこれは反対しておるわけですけれども、まだまだ個人消費というものが非常に弱い中で消費税を引き上げると、せっかく回復基調になりつつあるという景気状況を冷やしてしまう可能性があるのではないかというふうに懸念をいたしておりますが、黒田参考人は、来年の消費税の増税、これが日本の経済にどのような影響を与えるというふうに考えておられるのか、是非お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、消費増税の影響というのは、駆け込み需要とその反動、そして実質所得の減少効果の二つの経路を通じて成長率に影響を及ぼすわけですけれども、その影響の大きさはその時々の所得環境あるいは物価動向にも左右されるということで、ある程度不確実性が大きいということも考慮する必要があろうと思います。 もっとも、来年の消費税率引上げに伴う二〇一九年度の成長率の下押し幅は前回増税時と比べると小幅なものにとどまるのではないかというふうに考えられます。これは、単純に税率の引上げ幅が前回よりも小さい、あるいは飲食料品を中心に軽減税率が適用されるということによるわけでございます。ただ、先ほど申し上げたように不確実性が大きいということでございますので、その点は十分考慮する必要があろうと思います。 そうした上で、日本銀行として、先行きの経済、物価の見通しを公表しておりますけれども、今申し上げたような二〇一九年度の途中で消費税が引き上げられるということの影響も踏まえた上で、二〇一九年度の経済見通しにつきましては、確かに二〇一八年度までと比べて成長ペースは鈍化するわけですが、景気拡大は続くというふうに現時点では見ております。
○東徹君 景気回復が続けばいいなとは思いますけれども、本当にそういうようにいくのかなというふうに見ております。 これは気分的な質問になるんですが、気持ち的な、マインド的な話になるのかもしれませんけれども、二〇二〇年、これは東京オリンピックが開催されるわけで、何とか、二〇二〇年に向けて何か景気が上がっていくんじゃないだろうかというふうな期待感みたいなものは国民の中にはあると思うんですね。 もう一つ、二〇二五年には日本万博を大阪で誘致をしようという、今日もその万博のBIEの本部から日本に来て総理ともお会いになってというふうなことがあるわけですけれども、こういった万博の誘致、オリンピック後の経済成長において重要ではないのかなというふうに思っておるんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 現時点で大阪万博のその具体的な効果を定量化するということは難しいと思いますけれども、確かに一般論として、このような大きなイベントが国内で開催されますと、まず第一に、関連する建設投資を含めて様々な投資が増加するということ、それから第二に、開催期間中の観光客が大幅に増加するといった経路を通じて我が国経済にもプラスの影響を及ぼすことが期待されるというふうに思われます。また、こうした直接的な効果に加えて、より長い目で見れば、こうしたイベントをきっかけとして将来にわたる外国人のいわゆる訪日観光需要の裾野の拡大なども期待できるのではないかというふうに思います。 ただ、現時点で定量的に示すのはまだ、実際にその誘致が成功して、どういった規模、内容のものになるかということにもよると思います。ただ、一般論として、先ほど申し上げたように、プラスの効果は期待できると思います。
○東徹君 続きまして、金融政策と雇用についてお聞きしたいと思うんですけれども、金融政策を有効に実行していくと雇用は改善するという議論がありますけれども、失業率が今現在改善して二%台になって、有効求人倍率が正社員で初めて一倍台ということで、かなり雇用については良くなってきたというふうに思っておるんですが、この金融政策の効果というふうに考えられるのかどうか、黒田参考人はどのようにこのことを評価されているのか、お聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入いたしまして、その後も経済・物価動向に合わせて必要な追加措置を講じてきたわけですが、こうしたことを通じて名目金利がかなり大幅に下がっておりまして、他方で、人々の予想物価上昇率を引き上げるということを意図しておりますので、実質金利を下げるということが金融緩和の波及経路の起点となっているわけでございます。こうした実質金利の低下が企業や家計の経済活動を幅広く刺激して労働需給の引き締まりをもたらすということを通じて、我が国の雇用環境、雇用や賃金が増加していくという効果もあるというふうに考えております。 ただ、現在の雇用の改善の全てが金融政策によってなされたということまでは申し上げませんけれども、かなりの部分がこの金融緩和を通じて経済活動を刺激し、需給ギャップを改善し、失業率が現時点でたしか二・四%まで落ちていると思いますけれども、そういったことが結果的に生じているということは事実だと思います。
○東徹君 三月二日に発表された総務省の労働力調査でありますけれども、今年、二〇一八年一月の完全失業率は二・四%、十二月に比べて〇・三%低下しましたよというふうな発表がありました。日本の構造失業率、二%台半ば、二・五%というふうにも言われておる中で、今の数字というのは構造失業率にこれは迫ってきているのかなというふうに思っております。 そうなると、いよいよ近い将来、賃金の上昇局面を迎えて、賃金上昇が需要を生んで安定的にインフレが進むのではないかというふうな見方もありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私も、現時点では、賃金、物価が上がりにくいことを前提にした考え方とか慣行が企業や家計に根強く残っているということが、労働市場の引き締まりの程度に比べますと、賃金、物価、特に物価が弱めの動きを続けている背景にあるというふうに考えておりますが、こうした状況がいつまでも続くということは想定しておりませんで、やはり先行き、マクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中で、賃金コスト吸収のための対応にもおのずと限界がありますので、企業の賃金、価格設定スタンスは次第に積極化していくのではないかと。そうした下で、中長期的な物価上昇予想についてもだんだんと上昇していくのではないかというふうに考えております。 なお、御案内のとおり、パートその他のいわゆる非正規の人の賃金というのは現在でも二%台後半の上昇になっております。他方、正規の人の賃金がまだ一%にも達していないと、上昇率がですね、といった状況が続いておりますが、ここへ来て正規の雇用者も数が増えておりますし、また、この正規の人を中心にした春闘でも三%を目指すということで交渉が始まっておりますので、正規、非正規の格差という問題はございますけれども、やはり全体としてこれだけ労働需給が引き締まってまいりますと賃金も上昇していくのではないかというふうに考えております。
○東徹君 そうやって賃金が上がっていけばいい状況につながるとは思うんですけれども、ただ、微々たる賃金の上昇ではなかなかこの物価安定目標に近づいていかないというふうにも思っておりまして、そしてまた、今現在、税とか社会保険料とか、これ上がっていっていますから、その微々たる賃金の上昇ではなかなか難しいんだろうなというふうに思うんですね。 黒田参考人は、どれくらい賃金が上がればいい状況になってくるというふうにお考えなのかどうか、お聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) これはある程度の期間を取った趨勢的なことでございますけれども、我が国の労働生産性の上昇率というのは大体一%程度でございます。そうしますと、通常ですと実質賃金は一%程度ずつ上がっていかないと生産性の上昇率に追い付かないことになるわけですね。実際問題として、過去の例を見ましても、労働生産性の上昇率と実質賃金の上昇率は中長期的には合っているわけでございます。 そういたしますと、物価の上昇率が二%ぐらいが実現する下では、名目賃金は三%あるいはそれ以上に上がっていかないと経済全体の均衡が取れないということになりますので、二%の物価安定目標が達成されたときに賃金はどのくらい上昇しているかという点につきましては、労働生産性が毎年一%程度ずつ上昇していくとすれば三%、あるいは一%以上成長していくということになれば三%以上の賃金上昇があっておかしくないというか、がなければならないということになると思います。
○東徹君 ちょっと時間が来てしまいましたのでこれを最後の質問にさせていただきたいと思うんですが、日銀の納付金のことについてでありますけれども、アベノミクスの第一の矢である金融緩和ということで、長期国債の保有残高、増加してきております。二〇一三年の三月は九十三・九兆円でしたけれども、二〇一七年九月は四百十三・四兆円ということで、先ほどからも話がありました、四倍以上にこれ膨らんできておるわけですけれども、それに伴って国から日銀に対する利払いも増えていくわけですが、一方で、日銀から国に対する納付金もこれは増えてきておりまして、そういったことが財政上、日銀と政府が一体化が進んでいるのでないかというふうなことも言われております。 以前からも指摘がありますが、事実上の財政ファイナンス、先ほど大門委員も言葉を使われましたけれども、というふうに見られてしまうのではないかというふうに思っておりますが、この点については黒田参考人はどのようにお考えなんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 財政ファイナンスという言葉は様々な文脈で使われておりますけれども、通常は、中央銀行が通貨発行権を利用して政府の資金調達を助ける目的で国債の引受けなどを行うということを意味しているというふうに理解をしておりまして、このような財政ファイナンスを行わないということは日本銀行を含めて世界の中央銀行で一致した考えであるというふうに思います。 日本銀行による国債の買入れというのは、あくまでも二%の物価安定の目標を実現するという金融政策上の目的のために行っておるわけでございまして、政府の資金調達、財政資金の調達を助けるということを目的としておりません。この点は、二〇一三年の四月に導入いたしました量的・質的金融緩和の公表文でも明確にしているところでございます。
○委員長(山本順三君) 時間が来ておりますので。
○東徹君 はい。時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○末松信介君 自民党の末松です。よろしくお願いいたします。 私が初めて黒田総裁、今は候補者でありますけれども、お会いしましたのは二〇〇九年の二月でございます。財務の政務官を務めておりまして、与謝野財務大臣の代理でASEANプラス3の財務大臣会合に出席をしまして、チェンマイ・イニシアティブですね、金融危機の翌年でありましたので、八百億ドルですか、あの当時はマルチ化をやるということで千二百億ドルへ拡大したということを覚えていますし、アジアの経済のこのサーベイランス、経済状況の監視をしようという、そういう機関をつくろうというのを話し合ったと思います。当時総裁には、辣腕を振るわれておられまして、大変お世話になりました。厚くお礼を申し上げます。 あれから九年たったわけなんですが、二〇一三年の九月に、実は私、参議院の派遣で、五人でアメリカに参りました。名前を出したら、二之湯智さんや山本香苗さんや風間直樹さんとかいろいろおられたんですが、五人で伺いまして、団長を務めておりました。CSISとかあるいは米予算局とか、安全保障の関係ではジョン・マケイン氏にもお会いをできたんですが、FRBを訪ねたところ、当時理事でありましたパウエルさんにお会いできたと。今、議長になられたということなんですね。 当時、パウエルさんにいろいろと意見交換をさせていただいて、ちょっと当時の議事録も残っておるんですけれども、こうおっしゃっていました。別に難しいことはおっしゃっていないんです。米国の経済政策、金融政策は一貫しているが、成長率二%、インフレ率二%弱、失業率七%強であって、決して満足できる状況ではないと、失業率七・三%という数字は実態を反映していないと考えているというお話でした。それと、二〇〇八年以降は量的緩和政策を導入して経済活性化を図ってきたが、できればフォワードガイダンスに力点を移そうとしていると。この方が伝統的手法に近く、短期金利に効果を及ぼしやすいと。しかし、しばらくは量的緩和という非伝統的手法に頼らざるを得ない、景気回復が確認でき次第、フォワードガイダンスによってかなり長期間にわたって金利を下げていきたいというのが、二〇一三年九月、四年半前のお話でございました。今、こういうような経済状況になっているんですね。 私、ここでの話ではないんですけれども、最後に、この別れ際に、私の方からパウエルさんが質問させてほしいとおっしゃったんです。日本が今、量的緩和、財政出動、そして成長戦略、この三つ、アベノミクスの三本の矢、分かったと、しかしこの成長戦略というのは一体何を指すのか、どういうことなのか、その質問が出たんですよ。五人の議員は実は、みんなどう答えようか実は困ったと、いざと言われたらどう答えようかと。答えはまた後で私時間があったら申し上げますけれども、非常にみんなで苦慮したんです。私は、構造改革の問題を実は話をしながら、具体の成長戦略という、戦略よりはむしろ成長産業の話をしてしまったんですけれども。 この成長戦略は政治家や政府が考える話であると思われますけれども、私は、日本経済を強く支える総裁として、識者として、これからの日本、どういう分野で成長すべきか、どういう国家、少子高齢化、人口減少でありますから、どういうような国をこれはつくっていくべきなのかということをこの五年間を振り返りながら総裁のお考えを是非お聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) この成長戦略という言葉、その内容もいわゆる共同声明の中で触れられているわけですが、これは、あくまでも民間の活力を生かし、民間の投資を通じて経済成長を、成長率を引き上げていくということであります。 これは確かに、御指摘のとおり、我が国の場合は、急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少という下で、労働生産性を上げていくことしかある意味でいうと中長期的な成長率を引き上げていくということにはつながらないわけであります。 その場合に、もちろん様々な取組が考えられるわけですけれども、人手が不足している企業、産業における省力化投資の推進、これは御案内のとおり、我が国の製造業というのは米国と同様な生産性を上げていると思いますけれども、非製造業の労働生産性が低いと言われておりますので、特に現在、非製造業で人手不足が広がっておりまして、またそれに対応した省力化投資も広がっております。これは、運送業とか小売、さらには様々な、介護その他たくさんの非製造業における省力化投資というのが広がっておりますけれども、これはもう非常に成長戦略としても重要だと思います。 もう一つは、やはり積極的な人材開発、一人当たりのまさに能力を上げていくということも必要だと思います。さらには、労働市場を改革して人材がスムーズに移動ができるようにするということも、実は限られた生産年齢人口の下で重要性を増してくるというふうに思っております。 こういった民間部門の生産性の引上げに向けた取組を行うということが重要で、実際、現在、政府は働き方改革あるいは生産性革命といったようなことで様々な形でこういった省力化投資、積極的な人材開発、さらには労働市場改革といったことを進めておられるわけですけれども、これは、こうしたことを通じて労働生産性が上昇していけば中長期的な成長率も上がっていくというふうに思います。 これまでの様々な構造改革あるいは成長戦略の中で一つ非常にはっきりした成果というのは、これは国際的に非常に注目されているんですけれども、女性の労働参加が非常に増えたと、高まっているということでありまして、これは、昨年の春のIMFCという国際会議の中で、IMFの専務理事が、構造改革が成功した一例として、日本の女性の労働参加がこの四年間で百五十万人ぐらい増えたということで一つの例として挙げられていましたけれども、成長軌道に乗せていくというためには、やはりこの成長戦略というか、様々な構造改革を通じて民間の労働生産性を引き上げていくということが鍵になるのではないかというふうに考えております。
○末松信介君 以前、スウェーデンの、今は王国議長でありましたウルバン・アーリンさんって来られたことあるんですけれども、これは質問しませんので、話でありますけれども、人口は向こう九百六十七万人で、人口少ないんですけど質の高い非常に国家であると。どうして質が高いんだということを参考にさせてくれぬか、日本は人口減りますからということを尋ねましたところ、まず、やはり男女の働く比率を一緒にしなさい、男女の賃金の比率もできるだけ合わせなさいと。日本は賃金比率は一〇〇対五二・六ぐらいだったかなと、まあ取り方によっては日銀は一〇〇対八〇ぐらいおっしゃったかもしれませんけど。いずれにしても、女性のやはり社会進出は大事であるということ。 それと、生産性については、私も国土交通の副大臣のときに思ったんですが、南阿蘇村に行ったときに、大規模な山崩れがあって危険であると。しかし、工事をしなきゃいけませんから、一キロ離れたところでブルドーザーを遠隔操作で動かしている、無人化施工なんか見ていましたら、やはり日本の行き道というのはいろいろあるんだなということを、そういうことを感じました。是非、経済の司令塔としていろんな意見は述べていただきたいという、そういう思いでもございます。 次に、賃金に対する企業姿勢についてお伺いをいたします。 大分、先生方からお話がありました。二〇一七年の名目経済成長率は一・四%です。しかし、個人消費は年平均マイナス〇・三%でございました。一般的な理屈からすれば、一・四%経済が成長すれば、消費が伸びないというのはおかしいわけであります。で、いろいろ理由を考えてみたんです。六十五歳以上のお年寄りの方々が多くの資産を持っています。現金は分かりません、金融資産を持っておられる。しかし、買いたいものがないということ。もう一つ、老後、ケア付き有料老人ホームに入るときにはやっぱり貯蓄が必要であるという、この将来の不安。それと、年収が二百万に満たない方が一千万人を超えてきたと。特に、三十歳未満で二百万円以下の就業世帯というのは三八%でございます。そして、よく、今先生方もおっしゃったように、非正規の方がやはり四割を超えるということ。つまり、将来への不安からお金を使えない、若者がなかなかお金を使えないという時代に入りました。 そこで、私はこう思うんですが、問題は、企業収益が好調なのですが、企業が労働者の賃金を引き上げなくなったことに一つの原因があると。これは、アメリカの株主資本主義の輸入によりましてROE経営が浸透したということ、つまり、企業が人を資産ではなくてコストとみなすようになったということ、これによって人件費が圧縮してきたという、このことを危惧するわけなんです。 二つ目は、やはり少子高齢化、日本の市場が縮小して投資の機会が少なくなってきたことも一つの大きな原因だと思ってございます。 改めて、企業が四百兆を超える内部留保がございます。つまり、労働者に分配する原資はありながら賃金を増やさないことが物価が上がらない理由の一つであります。どうすれば企業の行動を変えることができるのか、総裁候補の知恵を今お聞きをしたいと思うんです。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、内部留保が増加している、あるいはその最も基になる企業収益が史上最高水準を更新しているという中で、賃金の上昇になかなか波及していないということは御指摘のとおりであります。 この背景には、人々の間に根付いてしまったデフレマインドの転換に時間が掛かって企業の賃金設定スタンスがなお慎重なものにとどまっているということが影響していると思いますけれども、例えば、デフレの下で根付いた賃上げよりも雇用確保を重視する姿勢というのは、正規雇用者を中心に労使共になかなか切り替えられていないという状況であります。ただ、こうした状況はいつまでも続くとは考えておりませんので、先行き労働需給が一段と引き締まってマクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中で、企業の賃金設定スタンスは次第に積極化していくというふうに考えております。 そうした下で政府も様々な政策を打ち出しておられまして、一つは、例えば最低賃金を三%引き上げるということを毎年行うと。これは最低賃金ぎりぎりの人だけじゃなくて、その上の層も賃金が上昇していくきっかけになると思います。 それから、税制面で、賃上げをした場合にかなり大幅に法人税を減税するというような措置も考えられております。また、この春闘に向けて、政府は労使双方と三%の賃上げに向けて力を合わせていくようにということを要請をしておられます。こういった政府の様々な政策というものも賃上げに向けた前向きな取組につながっていくのではないかというふうに期待をしております。 ただ、御指摘のように、確かに内部留保の増加に比べてなかなか賃金の上昇に波及していないということは私自身も常に気にしているということでございます。
○末松信介君 積極的な御対応をお願いしたいと思います。 それで、今答弁の中に出てきましたこのデフレマインドと二%目標についてお尋ねをしたいんです。 私は共産党員じゃないんですけれども、大門先生と質問がほとんど一緒でございました。考え方が似通っておるところがあるんです。 ずばり、国民が抱いているデフレマインドと政府とか日銀が捉えているデフレマインドとは随分異なっているんではないかと思ってございます。デフレというのは、今日買うよりあした買った方が安いということで物を買わない循環になってしまうということでありますが、実は、それは住宅とか車には当てはまるかもしれないと思うんです。住宅などは、これは一生に一回か二回買うだけです、車は数回買うにしましても。 ところが、公共料金はどうかということなんです。一覧表を見ましたが、携帯電話料金は、発売当初から比べますと、二〇〇〇年を一〇〇としたら二〇一六年は八一・七なんです。電気代、鉄道料金もそれほど上がっていないと。しかしながら、ガス代とか水道代は二〇〇〇年頃と比較して一一四、一一二、保健医療サービスは一二六・八、一二六・八ですね、上がってございます。国立大学の授業料も五十六万円でありますけれども、結構高いものであります。教育費は高いと。 つまり、デフレ対策を打ちながら、公共料金を見れば低インフレですという、生活者はみんなそう思っていると思うんですね。ですから、二%のインフレ目標というのは国民生活にとってどうなのかということを、このことを改めてお尋ねをしたいと思ってございます。 それと、お話が東先生からあったかもしれませんが、実際二%以上のインフレ率に達成したのは、消費税のこの増税をした二〇一四年を除きますと、もう総裁御存じのとおり、これバブル崩壊後遡って一九九三年から達成できていないわけですよね。ですから、本当に二%目標というのは妥当なのかどうかということ、もちろん日本だけ独り相撲を取るわけにいきませんけれども、この私の意味も込めてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、名目賃金が緩やかな伸びにとどまる中で、消費者物価の上昇率も、総合ですと生鮮食品が上がったということで足下で一・四になっていますけれども、生鮮食品を除くと〇・九ですし、エネルギー品目を除きますと〇・四ということで、足下、物価の状況は弱めの動向が続いていると。 賃金もやや伸び悩んでいるわけですけれども、長い過去のデータを見ますと、やはり物価上昇率と賃金上昇率というのはおおむねパラレルに動いておりますので、単に物価が上がればいいということではなくて、企業収益、雇用、賃金の増加とともに物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環をつくるということが重要であるということは、私どもも承知をしております。 その上で、物価安定の目標についての議論は、御指摘のようにいろいろな議論がございまして、国際的にもいろいろな会議で議論になります。ただ、現在、国際会議でいろいろ議論になりますのは、この二%の物価安定の目標は低過ぎるから引き上げた方がいいんじゃないかという議論が多いわけです。三%とかですね、そういうふうにしたらいいとか、あるいは物価水準を目標にして、つまり、デフレとか低いインフレ率が続いた後はかなり高いインフレ率でこの物価水準に追い付くようにすべきだとか、そういう議論が多くて、二%の物価安定目標を下げるというような議論は国際的には全くございません。 それはやはり、先ほど来申し上げているように、統計上の癖で消費者物価指数というのはやや高めに出てしまうということと、それから、金融政策としての対応、政策対応力の確保という観点から、やはりノーマルな状況では二%程度の物価上昇が持続すると、そういう下で経済が持続的に成長するということが最も望ましいということが言わば国際的なコンセンサスになっているわけですけれども、今申し上げたように、国際会議等では特に学者の方から、それから一部の中央銀行の方も言われる方がおられますけれども、二%は低いので、もっと三%とか引き上げた方がいいという議論があるんですけれども、そういう国も含めてみんな、ほとんどの国はまだ二に行っていませんけれども、二%に行っていないので二%を下げるという議論は少なくとも国際的には全くないという状況である。ただ、その三%にしたらいいという意見は極めて少数でして、学者の人の中ではかなり多数おられますけれども、中央銀行総裁の方の中には二%を三%にしようという人は今のところはおられないと思います。
○末松信介君 黒田参考人の話でよく分かりました。日本だけが目標を下げるとか言ったら、これ為替に大きな影響を与えてしまいますので、あり得ない話でありますので、その目標に向かって進んでいっていただきたいということを要望したいと思います。 最後に、国債売却、特に海外勢売りのインパクトについてお伺いをしたいと思います。 国家を個人や企業と同一視して、財政破綻を個人や企業の破産と混同してはならないとは思います。政府の借金とは国民の資産であるというのは、この言葉は経済誌やいろんな本にもよく書かれている表現であります。管理通貨制度の下で通貨発行当局が政府にある以上、円建てで発行される日本の国債が償還不能に陥ることはまずないと。ただし、政府債務は、金利が一%上昇しただけで一年後の利払い額は一兆円を超えてしまうんです。日本の財政にとってはゆゆしき事態でもございます。 国債等の保有者内訳を見ますと、その多くは国内で保有、中でも日銀の保有率が四二%ですね、総裁。二〇一〇年のギリシャ危機に端を発しますが、欧州債務危機のような事態にすぐ陥るわけではありません。さらには、二〇一六年末時点で対外純資産高は三百五十兆円。二〇一四年以降のこの経常収支額の増加など、金利の急騰が喫緊の課題でないことは確かなんですけれども、ただ、私はやっぱり気になるのは、我が国の国債はその多くが国内で保有されているわけでありますけれども、一方で、海外も一一%保有しておって、百二十兆円に及んでおると。 もし彼らが、海外勢が保有する国債を大量かつ短期で売却をした場合にどういうインパクトがあるのかということ、このことをお尋ねしたいんです。
○参考人(黒田東彦君) この日本のみならず各国の国債につきましては、しばしば国内バイアスというか、国内の投資家は自国の国債と外国の国債その他を比較した場合に傾向的に自国の国債を選好する傾向があると。ホームカントリーバイアスというんですけれども、それがあると言われているわけですね。 日本の場合は、日本の家計や企業が莫大な金融資産を保有していますので、国内の投資家がホームカントリーバイアスがあるために日本の国債を相当買っている、持っておると。御指摘のような、九割ぐらいが国内の人が持っており、一割程度が海外の人が持っているということになっているわけですが、そうした場合には、国内のホームカントリーバイアスの下では国債が大量に売られてその価格が暴落するというおそれは少ないとは言われているわけですが、国内の人も国債から別の金融資産に乗り換えるとかいう可能性もありますので、ホームカントリーバイアスだけで大丈夫だということではなくて、やはり国として国債の信用を確保するために中長期的な財政健全化をしっかりとしていくということは重要だと思います。 その上で、御指摘の質問については、確かに海外の投資家の方が、さっき申し上げたホームカントリーバイアスみたいなのはないですから、随時違う国の国債とかあるいは自国の国債に乗り換えるという可能性がありますので、海外の投資家の方が何かの状況に応じて売却したり、あるいは逆に買入れを進めたりするということがあるという意味で、価格の変動の引き金になり得るということは事実なんですけれども、これまでのところ日本国債についてそういった状況は余り生じておりません。 その意味では、現時点では日本国債に対する信認というのが国内だけでなくて国際的にも持たれているということだとは思うんですけれども、やはり基本的には、財政健全化というものをしっかりやって、国債の信用、信認を引き続き確保していくということが必要だと思います。
○末松信介君 ありがとうございます。 質問はもうこれで終わるんですけれども、利払いで一兆円増えるというのはどれだけの規模かといいましたら、介護費用でいいましたら、平成二十七年度十・一兆円だったんですが、厳しい介護環境の中で、財政の中で、平成二十八年度で十・四兆円、僅かに三千億円しか増えていないんですね、あれだけのことが国会で議論されながら。そう考えると、利払いというのはもうあらゆる努力を押し潰してしまうという、そういう思いでありますので、慎重にお考えをいただきたいということを思ってございます。 それと、自民党でXデープロジェクト、Xデーというのはもう完全に国債大暴落ですね、Xデープロジェクトというのが二〇一一年にあったんですけれども、答えはどういう答えで結ばれているかといったら、これは総裁と、参考人と同じ御意見です。金利が上がる前に財政再建しろと、当たり前のことが書かれていたわけです。私は、地球は大きいんですけれども、十キロの隕石が当たったときには灰が巻き起こって異常気象になって地球が滅びると言われているので、そういうことがふと、例えは良くないんですけれども、気になります。 十分御精励をいただきますことをお願い申し上げて、終わります。
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。 黒田総裁、今日は総裁候補者として参考人のお立場でお越しいただいております。ありがとうございます。また、この重大なタイミングで候補者としてこちらにお越しいただいているそのお姿に改めて敬意を表したいというふうに思います。 私の方からは、同意人事の所信の聴取でありますので、まず、参考人のこれまでのバックグラウンド、もうこれが日銀の総裁ということの重大な責務に求められる資質にどういうこれまで影響を与えたかをまずちょっと御質問をしたいなというふうに思います。 参考人は、もう御案内のとおりですけど、アジア開発銀行総裁もされた、また財務省のときには国際局畑も多く歩まれて、国際派ということでもう御経験も御能力も非常にある、またさらに財務省の御経験もあるわけであります。そういう中で、国の財務省の役所の中で様々な財務政策等も関わられた部分もあるかというふうに思います。 これまでの一期を間もなくお務めになるというタイミングであります。まず、そういった国際派である御経験が今までの職務の中で、ああ、こういう点で生きてきたなというエピソードみたいなのがあれば。また、同じく、財務省の方でも、人脈であったり経験、知識等も積まれたものもあるかというふうに思います。そういうものが総裁として歩まれた中で生きてきたというエピソード等があれば、まず御説明いただきたいなというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 私、財務省では国際畑を歩みまして、最後は財務官を務め、その後、アジア開発銀行総裁、そして日本銀行総裁を務めさせていただいたわけでございます。そうした中で、ある意味で非常に幸いだったのは、財務官のときもアジア開発銀行総裁のときも、それからもとより日本銀行総裁になってからもそうですが、各国の言わば政策担当者、中央銀行総裁を含めて、そういう方々とバイでお話ししたこともありますし、G7、G20等の国際会議に出席する中でいろいろな意見交換をしたこともございます。そういった経験というものが大変役に立ったというふうに思っております。 FRBの議長の中では、グリーンスパン、それからその後のバーナンキ、そしてジャネット・イエレン、今度新しく議長になられたパウエル前理事にも何度かお会いして、国際経済情勢についての意見交換、そして最近では、当然ですけれども、金融政策についての意見交換等を行ったことは、大変、日本銀行における金融政策を進める上でも参考になったと思います。そして、冒頭申し上げたとおり、現在、経済や金融というのは大変国際化しておりますので、中央銀行同士で様々な形で意見交換をし、議論をするということが重要になっておりまして、その面でも大変参考になったと、得るところが大きかったと思っております。 今後とも、国際的な知見とか人脈というものはせいぜい活用させていただいて、この国際化した世界における日本銀行の役割をしっかりと果たしてまいりたいというふうに思っております。
○矢倉克夫君 私も、私の立場でいろんな海外の方とお会いするときも、ただ職責として会うよりも、個人的な友人としてなった上で会うと、ああ、全然また話が違うなと私レベルでも感じるわけですから、総裁としては確かに更にそうであるかなというふうに思います。 そういう御経験を生かして今後どうされる、どういうまた更にメリットがあるかというところでお伺いしたいんですが、これは、先ほど来いろいろ出口の話があります。これ、出口がいつかとかそういうことを全く想定して話す質問ではございませんで、まず、国際派であるという御経験が、今は、例えばアメリカなんかはもう、まだ二%の物価安定というのは、安定的にしているわけではないけど、今、ある意味縮小というところも話も来ている。欧州などもそういうような議論が出てくる中、そういう国際協調の中で、日本としてはこういうスタンスなんだということをお伝えいただくためには御自身の経験がどのように生かされるのかという点がまず一つと、あと、仮に出口というようなことになった場合は、やはり日銀が国債を買わなくなるというスタンスになる、そうすると金利が上がってくるということは想定されるわけですけど、そのときには財政規律というのも非常に視野としては見えてこなきゃいけないと。そういった財政との関係で金融政策を考えるときの局面が仮に万々が一あったときに御自身の経験がどういうふうなメリットを持つかということを、もし御意見等がありましたらお願いいたします。
○参考人(黒田東彦君) まあ、各国の中央銀行総裁とは様々な場面で意見交換をしております。一番頻繁に行われますのは、スイスにありますBISという国際機関の総裁会議というのが年に六回あるわけでございまして、ここでは欧米、そして新興国、中国とかインドとかブラジルとか、そういった新興国の総裁も含めて様々な意見交換を行っておりまして、今後ともそれは引き続きしっかりやっていきたいと。G7とかG20にも財務大臣とともに出席いたしますけれども、中央銀行総裁だけの会議というこのBISの会議も極めて重要な会議だと思っております。 当然、出口についての議論が行われるような状況になれば、日本銀行の中で議論するだけでなくて、市場との対話をどう進めるか、あるいは外国の中央銀行との意見交換をどう進めるかということも当然必要になってまいります。現に、各国の中央銀行総裁も、出口の議論が進んだ場合には当然私どもにもどういう考え方かということを教示していただいておりますし、そういったことは当然必要だというふうに思っております。 なお、財政との関係でいいますと、確かに現在のように長期金利が低いということは国債費を非常に減らしておりますし、反対に、その出口で長期金利が上がっていきますと国債費が増えるということは事実なんですけれども、やはり私どもの金融政策としては、財政ファイナンスをしているわけではございませんので、あくまでも二%の物価安定目標との関係で適切な金融政策をやっていくということに尽きると思います。 ただ、以前にも申し上げたとおり、長期金利が跳ねたり、経済、物価の動向と合わないような上昇を示すようなことは避けなければなりませんので、仮にこの出口ということを将来議論する場合であっても、その時々の経済、物価、金融情勢を踏まえて、そういったものにマイナスの影響がないように慎重に進めていくことになるのではないかと。これは米国の例を見てもそうでありますし、そういった時期になったときの我が国の金融政策というのもそういうことになるのではないかと考えております。
○矢倉克夫君 御自身の経験を踏まえた現状分析とスタンス、非常によく分かりました。ありがとうございます。 それで、次は金融政策、目指すべき、参考人としてどのように目指されるかということをお伺いしたいなというふうに思います。 ちょっと一般の素朴な感覚も踏まえた議論になるかもしれませんが、やはり今二%の物価安定目標ということをおっしゃっているのは、言うまでもなくデフレ脱却、これは物価が持続的に下落することから脱却するというのが大きいというふうに思います。 そもそもですけど、この物価というものが、何が構成要素でどのように形成されるのか、参考人としてはどのようなお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) これも従来から申し上げておりますとおり、物価に影響を与える経済的な要素、要因というのはいろいろなものがございまして、かつて我が国の場合、不良債権問題というのがかなりいろいろな影響を与えたわけですし、それから、例えば米国のリーマン・ショックなど、負のショックがあったときにもいろんな影響を与えられております。また、円高の進行とか新興国からの安い輸入品が流入するといったことも影響があったわけでございますが、そういう意味では、物価の動向あるいはかつてのデフレの原因というものは様々であったと思いますけれども、そういうことを踏まえた上で、やはり中央銀行としては、物価安定の目標を目指して必要な金融政策を行っていくということに尽きるのではないかと思います。 その場合に、現在のいわゆる量的・質的金融緩和というか、長短金利操作付き量的・質的金融緩和もそうでございますけれども、非伝統的金融緩和と言われるわけですが、それは手段が非伝統的だということでありまして、経済に対する波及経路というのはある意味で同様でありまして、かつての伝統的な金融政策では、公定歩合その他短期金利を動かすことによって、それが長期金利に波及していって、それが消費や投資に影響し、需給ギャップに影響して賃金や物価に波及していくという経路を考えていたわけですが、現在の非伝統的金融緩和政策の下では、短期金利が言わばゼロ金利制約にありますので長期金利自体を直接的に引き下げるような金融政策を取っておりますけれども、経済に対する波及経路としては、やはり長期金利が下がり、実質金利が下がり、これが消費や投資に影響して、最終的には需給ギャップを改善して物価の安定目標に向かっていくということでありまして、そういう意味では、基本的な金融政策の考え方というか起点というのは変わらないんですけれども、手段、手法が相当違っているということだと思います。 そういう意味で、まさに非伝統的ですから、中央銀行の金融政策というのは、イングランド銀行から見ればもう三百年以上あるわけですが、日銀からいっても百年以上の歴史があるわけですが、その中で、こういったその非伝統的な量的な緩和というのはここ二十年足らずでありますし、欧米の場合は十年足らずでありますので、経験が余りないということは事実でありますけれども、波及経路としては同じようなことを考えておりまして、実際の効果もそういったことを通じて同様な効果が得られているということだと思います。 ただ、欧米の場合は、確かに物価上昇率はまだ二%に達していないわけですけれども、予想物価上昇率が二%にしっかりとアンカーされていますので、十分このまま正常化を続けていくことによって二%が早期に達成されるという確信の下に、現在、米国の場合は正常化をしておりますし、欧州の場合もそれを始めたということですが、我が国の場合は、残念ながらまだ二%の物価安定目標にかなり距離がある上に予想物価上昇率がなかなか二%にならないということでございますので、やはりここは強力な金融緩和を粘り強く続けていく必要があるのではないかと、それを通じて物価安定の目標を達成したいというふうに考えております。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。 少し簡略化した上でお伝えしようと思うんですけど、物価はいろんな構成要素があると思うんですけど、当然ですけど、物やサービスの価格決めるときにはそれに掛かったコストも当然算入した上で価格決めるわけですから、コストの中では、これ、コストという言い方は私も好きじゃないですけど、当然賃金も入ってくるわけであります。だから、賃金がしっかりとどうあるかということは当然価格には影響されるという前提の上で御質問をしたいと思うんですが。 一般の感覚ですと、総裁が、参考人がよく日銀がおっしゃる物価安定二%を達成しよう達成しようという話を言うときに、一般の人は、じゃ、どこに向かって二%を達成しようとしているのかやっぱり分からないと。何かこれだけが自己目的化しているような印象をやっぱり受けてしまうというのは非常によろしくないなというふうに思っています。 例えば、なぜ達成できなかったか、原油が安くなったから、それだけの説明ですと、原油安くなったからいいじゃないかという話になるわけなんです。何でそれが達成できていないのか、そんなに二%を達成することが何かいいことあるのかというイメージはあって、やはり二%の物価達成しっかりするのであれば、その価格の構成要素である賃金がしっかり上がった上でというような絵姿がもっとよく見えないといけない。 改めてですけど、二%の物価達成目標というのは、当然手段であって目的ではないわけであります。その本来の目的に向かって、私は賃金上昇だと思っていますが、どういう波及効果があってそれがいくのかというところを改めて参考人のお言葉でちょっとお伝えいただきたいなというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘の、特に物とサービスというふうに見ますと、サービスは比較的労働集約的な産業が多いわけです。そうした下で欧米を見ますと、サービスの価格も上がっている、つまり、賃金も上がって労働集約的なサービス価格も上がっているわけですが、我が国の場合はサービスの価格がなかなか上がらない。その背後には、サービス産業の賃金の上昇率がまだまだ十分でないということもあると思います。 そういったことも前提にした上で、なぜ二%なのかということについては、やはり一つは、消費者物価指数というのはどうしても高めに出るという癖がありますので、ゼロ%のときは実際はデフレで物価が下がっているということでありますので、ある程度のプラスの物価上昇率を目指す必要があるということ。それから、この非伝統的な金融政策を取ったのは、基本的に伝統的な短期金利を下げる余地がなくなっていたということですので、やはりある程度の物価上昇率が実現してそれと整合的な金利が形成されますと、その分先行きの政策対応能力が確保できるということだと思います。三つ目がグローバルスタンダードなんですけれども。 その三つとも、確かに委員御指摘のとおり、なかなか分かりにくいというか、何で二%かというのが、理論的に申し上げると今のとおりなんですが、従来から申し上げているとおり、その背後に確かに、賃金が上がらなければ物価も上がらない、物価が上がらなければ賃金も上がらないという、賃金上昇率と物価上昇率はパラレルに基本的に動きますので、まさに金融緩和によって企業収益が拡大し、雇用情勢が改善し、そうした下で賃金が上昇して、それを反映して物価が緩やかに上昇していくという姿を狙って現在の金融緩和政策を行っているということは全くそのとおりでありますので、今申し上げた点は今後とも十分強調してまいりたいと思っております。 ちなみに、日本銀行法自体が物価の安定というものを日本銀行の第一の使命にしておりますけれども、その条項は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するという言い方をしておりますので、物価が上がればいいんだという話ではなくて、今言ったようなバランスの取れた好循環を達成する中で物価が二%の安定目標を達成するということが重要だということだと思っております。
○矢倉克夫君 ありがとうございました。 国民経済発展というところ、そこの目的があるということは更に発信をしていただきたいなと。サービスがなかなか上がっていないというところ、そこはやはり企業側がなかなか価格設定についても今までのデフレマインドというところもあって難しかったなと、そういうところを上げていき、それが賃金に波及するというところはまた金融政策以外のところでもやらなければいけないことだと思いますので、しっかりとやはりやっていかなければいかぬなと思います。 最後、一点だけ。 金融政策も変更されて、イールドカーブコントロール、今まである意味コントロールする対象ではなかった長期金利とかもコントロールするような形になられたとは思います。こういうのにも象徴されるとおり、やはり投資家も含めた市場の人が、その合理的期待にある意味働きかけるというスタンスが更に強くなった政策であるかなというふうに私は理解しております。 日銀が、中央銀行が何か政策で投資家を誘導するとか、そういう話ではないんですが、やはりあるべき政策の在り方としては、当然ですけれども、日銀もお金を相手にしているわけではなくて、お金を使う人であったり、そういうものの行動とか予測、期待に反映するわけですから、そこが、政策目標がしっかり達成するためには、当然、市場との対話もそうですし、信頼関係というのも非常に重要であります。プレーヤーが日本銀行がどういう趣旨を持っていて行動されているのかという信頼があって初めて生まれるというようなところもあるかというふうに思います。 そういった市場との信頼関係構築、対話という部分について、最後、参考人に、御所見なり、こういうところが大事だという御意見が、お伺いいたしたいなというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和というのは、言わばイールドカーブコントロールということで、短期の政策金利をマイナス〇・一%にして、十年物国債の操作目標をゼロ%程度にするということで、伝統的な金融政策が、短期の政策金利を動かして、長期の金利は市場に任せて、短期の金利が長期に波及していく、それを通じて経済に影響を与えようというのに対して、直接的に長期金利をコントロールするということで、非伝統的な政策であることは事実であります。 ゼロ金利制約の下で、各国とも実際問題として、長期国債を大量に買い入れて、長期金利を直接コントロールしようとしたわけであります。ただ、そういう下で、御指摘のように、マーケットの関係者といろいろな意見交換をして、特に長期国債の市場流動性というものが低下してしまうと、何かあると非常に大きく値動きがするということになりかねませんので、また、金融政策当局の考え方が誤解されて伝わったりしますと、また不測の動きが国債市場に起こるということにもなりかねませんので、二つの意味で市場関係者とのコミュニケーションは重要だと考えております。 一つは、国債市場の流動性というものが十分で、国債市場が機能するという状況を確保していく必要がありますので、様々なデータを取るだけでなくて、市場関係者との対話を通じて問題点を受け取って、それを例えばマーケットオペレーションのやり方等に反映させるというようなこともやっております。 もう一つは、今申し上げた市場関係者との意見交換を通じて、少なくとも日本銀行の政策意図が誤解されたりしないように十分なコミュニケーションをしていくということをやっておりまして、これまでのところはそれなりにうまく機能していると思いますけれども、今後とも引き続き、特にイールドカーブコントロールの下での長期国債の買入れというものが非常に重要な役割を果たしておりますので、このイールドカーブコントロールがスムーズに進みますように、引き続き市場とのコミュニケーションには十分注意してまいりたいと思います。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。是非、健康に御留意されて、よろしくお願いします。 以上です。
○櫻井充君 民進党・新緑風会の櫻井でございます。 五年前も、まだあの当時は黒田総裁ではございませんでしたが、質問させていただきました。あれから五年たちまして、今日は、主に五年間の金融政策の効果、それから問題点などについて質問させていただきたいと、そう思います。 今も随分物価の話がありましたが、金融政策だけで物価を上げられるとは私は思っていませんが、総裁、その点はいかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、物価に影響を与えるものは金融政策だけではなくて、様々な経済要因、要素が影響を与えるわけでございます。したがいまして、物価の動向を短期的に完全に金融政策だけでコントロールできるとは思っておりませんが、やはり物価の安定を達成する使命は、責務はやはりどこの国でも中央銀行にあるわけでございますので、金融政策を言わば総動員して物価の安定を図っていく必要があると、こういうふうに考えておりまして、過去五年間の間に様々な好循環は発生し、デフレではない状況にはなっておりますけれども、確かに二%の物価安定目標は達成されておりません。 そういう意味では、大変残念なことでありますが、金融政策だけで物価が動くとは私も考えておりませんが、やはり物価の安定を図る使命はどこの組織にあるかというと、やはりそれは中央銀行にあるというふうに考えております。
○櫻井充君 おっしゃるとおりでして、ただ、日本銀行法には何て書いてあるかというと、物価の安定と金融システムの安定と書いてあるだけであって、物価の上昇とは一言も書いていないんですよ。ですから、物価の上昇と書いていないものについて、しゃかりきになって物価の上昇だけを捉まえてやっていこうとすること自体に私は若干問題があるんじゃないかと思っているんです。 例えば、マイナス金利政策を取りました、あらゆる政策を導入するということで。じゃ、マイナス金利政策を行った結果何が起こっているかというと、結局は銀行の利益が減っていって、銀行はどうしたかというと振り込み手数料を引き上げているんですよ。振り込み手数料が引き上がっているということは何かというと、これは国民の皆さんに負担が行っているだけの話であって、マイナス金利を行って、じゃ、貸出しがどんどんどんどん増えていったのかというと必ずしもそうでないことを考えてくると、むしろマイナスの側面の方が強いのではないのかなと。 それから、よく企業体や、何というんでしょうか、マクロ経済のところをよく見られていますが、だけど、日常の国民の皆さんの生活のところを重視しているわけでは私はないと思っていて、そういう意味合いでは、銀行側ももうこのマイナス金利いいかげんやめてくれと、そういう話になってきていますが、この政策についてどう思われますか。
○参考人(黒田東彦君) マイナス金利は二〇一六年の一月に導入されたわけであります。その頃、国際金融市場が大変動揺しておりまして、その背景には中国を含む新興国の経済成長が相当鈍化しているのではないかというような議論があって、市場が大きく揺れておりまして、そうした下でマイナス金利を導入したわけであります。 これは、御承知のとおり、銀行の日銀における当座預金のごく一部にマイナス〇・一%の金利を適用すると。ほとんどの銀行の当座預金にはプラス〇・一%の金利を払っているわけですが、そういうことによって短期金利を下げて金融市場の動揺に対応し、かつ全体として貸出金利も下がり、経済活動にプラスになるであろうということで導入したわけです。そうしたところ、確かに金利が下がりまして、その下で社債金利も、そして銀行の貸出金利も下がり、社債の発行も増加し、そして銀行の貸出しも増えたわけであります。 ただ、委員御指摘のとおり、物すごい勢いで増えたかと言われるとそれほどでもなくて、現在でもまあ二、三%ぐらいの増加でございます。それでも、金融緩和政策を導入する前はマイナスでありましたので、それなりに金融機関の貸出しは活発化していると。様々なアンケート調査でも、金融機関の貸出態度は非常に積極的であると。企業の借入れも増えているということではあると思いますが、御指摘のマイナス金利が金融機関の収益に与える影響という点では、確かに預金金利はもう従来からゼロに非常に近いところにありましたので、それ以上引き下げる余地がないということで、貸出金利が下がっていきますと、預貸利ざやというか、貸出しに伴う利益の幅が縮小したということは事実であります。 それが、特に貸出しに依存する程度の強い大きい地域金融機関を中心に、業務純益の中で非常に大きな割合を占めている貸出しに伴う収益が余り伸びていないということはそのとおりでありまして、他方で、貸出しの量も増えていますので、利ざやが減ったほどに大きく業務純益が減っているわけではないんですけれども、確かに業務純益に影響が出ているということは事実であります。
○櫻井充君 今のところで私が申し上げたのは、参考人、何かというと、要するに個人の負担をそうやって強いるようになってきているんですと。庶民の皆さん、振り込み手数料などが上がってきているわけですから、結果的にはしわ寄せは誰に行っているのかというと国民の皆さんに行っているんじゃないですかということを申し上げているんです。 前回のときもそうだったんですが、国会での今までのやり取りもそうですが、いいところだけを取り上げてこれが良かったという話を随分されます。じゃ、全体を見て本当にどうなんだろうかと。例えば、マイナス金利にしろ、これだけ金利が下がった結果、例えば年金の運用利回りも物すごく落ちていって、年金の会計は悪くなっているんですよ。これは別に黒田総裁になったときからの問題ではなくて、それ以前の日本銀行の政策として、あれだけ金利を引き下げてきたから結果的にはそういうことが起こっているわけですよね。 そういう意味合いで、ですから、いずれ、この金利をずっとマイナス金利だけではなくて低金利にしておけるのかというと、必ずしもそうではなくて、それで出口をどうするのかという話もしてこなきゃいけないと思うんですよ。 だけど、繰り返しになりますが、問題点は何なのかというと、いいところだけ言う、おっしゃるんです。いいところだけおっしゃって、マイナスの部分については目をつぶっていると。なかなか言っていただけないと。そこに僕は問題があると思っているんです。 これ、マイナス金利政策になって確かに融資は増えたんですが、どの分野が一番融資が増えたのかというと、アパート建設とかこの手のところに対して物すごく増えたわけですよ。ただ、今、東京都内の空室率どのぐらいかというと、もう三〇%です。物すごい勢いで空室率が上がってきているわけですよ。多分、この住宅投資、アパート投資をやらされた人たち、年収一千万クラスの人たちが呼ばれて、こうやってもうかりまっせという話をされたんですよ。実際それに乗って造っている人たちがいっぱいいらっしゃいますが、多分、これだけの空室率が上がってくることになると、いずれ、いずれ破綻することになるんだと思うんですよ。 だから、金利が下がったから今がチャンスですよといって、そのことに、しようがない、納得してやっているとは思いますが、でも、いずれにしろ、こういう問題点が起こってきているんだということぐらいちゃんと認識していただかなきゃいけないと思うんです。 貸出しが増えました、何が増えていますと言っていますが、じゃ、その貸出しの内容は、繰り返しになりますが、今のような分野が一番伸びてきていて、でも、いずれ多分破綻すること、人たちも随分出てくるんだということなんです。ですから、今までの政策そのもののきちんとした総括をしていただかないと、次の五年間任せますよということには僕はならないと思っているんです。 そこで、改めてもう一度お伺いしておきますが、物価というのは、結局は、参考人、需要と供給の関係で決まってくるものではないんですか。経済学でいえばそういうことであって、金融政策で上げましょうという話とは違うと思うし、僕は、アベノミクスの根本的な考え方の間違いは、物価が下がっていることが悪くて、物価を上げれば景気が良くなるように言われていますが、それは逆であって、物価というのは、景気が悪いから物価が下がってきているだけの話であって、需要と供給の関係で決まってくるものに対して無理やり金融政策で物価を上げようとしているところに根本的な間違いがあると思っているんですが、この点についていかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 金融政策は、先ほど来申し上げておりますとおり、こういう状況のときには、つまり物価安定目標も達成できない状況のときには、当然のことながら、金融緩和をして経済活動を刺激し、需給ギャップを減らし、それが賃金や物価の上昇につながっていくということを狙いとして金融緩和というものを行っているわけであります。それは日本だけ特殊にというわけではなくて、どこの国でもそういう状況のときにはそうしましたし、我が国においても金融を緩和するときというのはやはりそういうようなときであったというふうに思っております。 したがいまして、従来から申し上げているとおり、物価だけ上がればいいということではなくて、あくまでも、今申し上げたような形で、経済の好循環につながって賃金そして物価が緩やかに上昇していくという姿を達成しようとして金融緩和政策を行っているということでございます。
○櫻井充君 その理由はよく分かっているんですよ。理由はよく分かっていますが、私が申し上げているのは、物価を決めてくるのは需要と供給の関係であって、そこに金融政策がそれほど大きな影響をもう及ぼすような段階にはないんじゃないかということ。世界の国々はそうやって確かに金融緩和を行っていますが、ゼロ金利政策をこれだけ長く続けてきているというのは日本だけではないんですか。アメリカもリーマン・ショックの後にこれはゼロ金利政策を取りましたが、でも金利を徐々に上げ始めてきていて、長期間にわたってそのゼロ金利、しかもマイナス金利政策を取ってくること自体、僕は異常なことじゃないかと思っています。 それはそれとして、話は変わりますが、冬野菜の値段が上がっているのは、参考人、御存じですよね。
○参考人(黒田東彦君) 知っております。
○櫻井充君 どの程度上がっているか御存じでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) キャベツがどのくらいとか白菜がどのくらいということは存じませんけれども、二桁で上がっているということは知っております。
○櫻井充君 大体平年比でいうと倍以上になっています。これは金融政策何も関係ないんですよ。金融政策何も関係なくて、寒かったので生育が悪くて、結局何かというと、供給サイドの方が少なくなったから、需要が変わらなくて供給サイドが落ちたから、結果的には物の値段が上がっているわけですよね。これが僕は市場の当たり前の原理だと思っていて、金融政策で物価をしゃかりきになって上げようとすること自体、私は、済みませんが、繰り返し申し上げておきますが、物価の安定は必要かもしれないけれど、物価をそれによって上げる必要性があるかというと私は違うんじゃないかと、そう思っています。 それから、五年前におっしゃっていたことで、三つのルートがあるんだと。要するに物価を上げるための三つのルートがあると、そうおっしゃっていましたよね。 それは何かというと、一つは、結果的には、円安に誘導するわけではないけれど、円安になって輸入物価が上がってくるんだというルートが一つ。だけど、これは、元々のこの政策は円安に誘導するための政策ではないとおっしゃっていますから、言わば副作用なんですよね。副作用で円安になりましたと、そしてその結果、輸入食材などが、原材料などが上がって物価が上がっていくというルートが一つ。 それからもう一つは、金利を下げていくので企業活動が活発化していって経済が好循環していくので、それで物価が上がっていくんだと。これはまあまともな作用のところですね。 そしてもう一つ、結局はここが一番大きなポイントになったんですが、気に働きかけるんだということでした。気に働きかけるというのはどういうことかというと、今までであれば、物の値段が下がるので、今日買うよりあした買った方がいい、今年買うより来年買った方がいいと思っているから消費が伸びてこないので、物価を上げてあげれば、今日買わないと損なので物を買うようになっていくんだと、そういうことを説明されておられました。 だけど、現実はどういうことが起こるかというと、長期間にわたって物価が上がるとなれば、庶民は物価が上がることに対して対策を取ってくるので、買いたいものも買わなくなるんですよ。私はあのとき、そういうことも委員会でも申し上げました。現実はそうなってきています。 ですから、気に働きかけて、デフレマインドを払拭した上で気に働きかければ、それで消費が伸びるかのような御発言をされていましたが、私は、この五年間やってみて、その結果は違っていたんじゃないかと思いますが、この点についてはいかがですか。
○参考人(黒田東彦君) デフレの場合に、どうしても物価が下がっていくので、特に耐久消費財等の買い控えが起こる、あるいは一般的に消費にマイナスになるというのはそのとおりだと思います。ただ、そこを変えていくためには、実際に物価が上昇していくという事態をつくらなければならないということはそのとおりだと思います。 ただ、予想物価上昇率というものも物価上昇率に影響を与える二つの大きな要素であるということは理論的にも言われているわけでして、一つが需給ギャップであり、もう一つが予想物価上昇率、この二つの組合せが現実の物価上昇率を決めていくということも事実でありますので、物価が上がらないものだと、デフレが続くものだという予想を変えていくということも、足下実際に物価が緩やかに上昇していくという事態をつくり出すということが最も重要であることは事実なんですけれども、やはり予想物価上昇率というものも物価上昇に対する大きな決定要因であるということは事実だと思っております。
○櫻井充君 いや、そういうことをお伺いしているんではなくて、結果的にはその気に働きかけるということ自体が成功だったのかどうかというだけの話ですよ。 消費税が上がりますと、ある日突然上がるということが分かっていれば、確かに三月に駆け込み需要をするわけですよ。だけど、それは耐久財であって、日常生活のものは、とてもじゃないけど、そんな買いだめすることはできません。ですから、今も参考人がおっしゃっていたように、耐久財についてはその理屈は成り立つと思うんです。しかし、耐久財についてその理屈が成り立っても、それは来年買うか今年買うかというものを、悩んでいたものを買うだけの話であって、それは需要の先食いであって、中長期的に見たときにその需要がずっと伸び続けるという話とは違うんですよ。そこを僕は誤解されていると思いますね。 ですから、例えばエコカー減税やエコポイントなどが家電でありましたが、あのときに確かに需要は伸びたんです。だけど、需要は伸びたけど、その後どうなったかというと、結局はもう皆さん買わなくてよくなったので、結果的には消費量というのは押しなべて変わらないことになるわけですよね。 ですから、それと同じような形で、物価が上がりますといったら、耐久財についてはそれは早くに買うかもしれないけど、繰り返しになりますけど、これはあくまで駆け込み需要であって、需要の先食いなんですよ。そうすると、日常生活品が上がるようなことになったら一体どういうことが起こるかと。今、白菜などは四つ切りじゃないですよ。六つ切りになっていますよ。そのぐらいのものにしなければ売れないからです。 つまり、物の値段が上がってくるということになれば、庶民はもういかにその支出を抑えるかということを考えてくるわけであって、気に働きかけるという考え方そのものが私は間違っていたんじゃないかと思いますが、この点についていかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、予想物価上昇率が消費者物価の決定要因の一つであるということは変わらないというふうに思っております。そうした下で、御指摘のように、いわゆる耐久消費財の場合とそうでない場合とで物価上昇予想の消費に対する影響は異なるということはそのとおりだと思っております。 ただ、全てが需要の先食いかというと、そこは経済全体のことも考える必要があるわけでして、先ほど来申し上げているとおり、ほかの状況が全然変わらなくて物価だけが上がるということを狙いとしているわけではなくて、物価だけが上がってほかの状況が変わっていなければ物価はまた元に戻ってしまいますから、あくまでも、先ほど来申し上げているとおり、金融緩和を通じて実質金利を押し下げて、それが消費や投資を刺激し、需給バランスを改善して、需給ギャップを改善して賃金や物価が緩やかに上昇していくということを狙いにしているわけでして、他の状況が全然変わらなくて物価だけ上がっていくということは、御指摘のように考えにくいと思います。
○櫻井充君 狙いは分かるんですよ。ただし、方法としてそれが適切なのかということを私は問いかけているだけの話です。 もう一点、違う角度から申し上げれば、総務省の家計調査を見てみると、やはり年々支出は減っているわけですよ。年々支出が減っているということは何かというと、買物する量が落ちてきているわけです。買物する量が落ちてきているんであれば、緩やかに物価は下落せざるを得ないようなことになるんではないかと、私はそう思うんですが、この点についてはいかがですか。 つまり、今のこの五年間の政策で消費が伸びているかというと、必ずしもそうではないんじゃないかと思っていますが、この点についていかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 五年間全体を取れば消費は伸びていると思いますが、そうした下で、確かに、例えば実質賃金が生産性の伸びとぴったり合って上昇していくかというと必ずしもそうではない面もありますので、経済全体のパイがある程度大きくなり、その中で、まあ労働力人口は減少しているわけですので労働生産性は上昇しているわけですけれども、それに見合った実質賃金の上昇が、足下、実質賃金が上昇していますけれども、五年間取ってみると生産性の上昇率ほど実質賃金が上昇していないということは事実ですので、今申し上げた全体のパイが大きくなり好循環が続くというところの好循環が始まってはいますけれども、フルには働いていないということも事実だと思います。 ただ、この点については、私自身は、現在の雇用状況それから現在の企業収益の状況等から見て、いずれ賃金はもっと上昇してくるし、その中で緩やかに物価が上昇するという状態が実現するというふうに考えております。
○櫻井充君 そうなることを期待していますが、果たして本当にそうなっていくのかどうか、これはまた見ていかなきゃいけないことだと思っています。 是非、ちゃんときちんとした総括をしていただいた上で、この政策ずっと継続するのかどうかについて御検討いただきたいと。日本銀行の中でも必ずしも全てリフレでいいのかという意見も出てきているやに私はお伺いしてきています。 そこの中で、もう一つ、まず少なくともこのマイナス金利政策というのは、これはいつ頃おやめになるつもりなんでしょうか。銀行業界などはもう早くにやめてくれという声を上げていますが、これについてはいつ頃をお考えなんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の中で、この短期の政策金利と十年物国債の金利の操作目標という二点を設定して適切なイールドカーブが実現するようにしているということでございますので、現在の金融緩和、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の本質的な部分でありますので、もちろん金利自体は物価動向によって調整されることはあり得るとしても、今の時点で何かマイナス〇・一%の金利を引き上げると、あるいはマイナス金利をやめるというようなことは考えられないというふうに思っております。
○櫻井充君 これ、かなりの劇薬だと思うんですよ。要するに、我々医療業界でいうと、副作用の強い薬でステロイドという薬がありますが、でも、使わざるを得ないときに使っているわけです。だけど、我々考えているのは何かというと、いかに短期間でやめるかということです。それはなぜかというと、副作用が強いからです。 マイナス金利の副作用というのは私は強くて、これ早めに本当やめていかないといけないんじゃないかと、そう思っていますので、なかなか今御発言できないのは、多分、一九年度を目安に金利を、要するに、マイナス金利というか低金利から出口を考えていきますという話をした瞬間に円高に振れましたから、多分そういうことを見ているとなかなかおっしゃれないとは思うんですが、しかし出口についていろいろな方法で考えていかないと副作用の方がより強くなってしまうんじゃないかと思っていますが、この点についてはいかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 毎回の金融政策決定会合におきましても、金融仲介機能の状況というものは当然点検されるべき一つの項目でありますし、何よりも、年に二回、金融システムレポートというものでかなり詳細に、金融機関の収益状況から金融仲介機能、これが停滞していないか、あるいは逆方向で金融の行き過ぎがないかという、両方向をかなり詳細に点検をして公表をいたしております。 現時点では金融仲介機能に支障が出るような状況ではないと思っておりますけれども、今後とも引き続き、金融機関の金融仲介機能に対する影響というものは、毎回の金融政策決定会合においても、それから年二回の詳細な金融システムレポートにおいても十分点検、調査していきたいと思っております。
○櫻井充君 日本銀行の役割の一つが金融システムの安定なんですよね。マイナス金利になって、その翌年の一年間調べてみると、結果的には対前年比で見ると相当収益が落ちているわけですよ。そうすると、金融システムの安定という点から見てきても、私はこの政策、そんなに長く続けるものじゃないんじゃないかと思います。それと、まだ、銀行の中では口座管理手数料の議論はされていますが、引上げとかですね、実施しているところはありませんが、結局ヨーロッパなどではそういう措置をとっているところも出てきているわけですよね。 そのことを考えてくると、済みませんが、やはり銀行に預けている人たち、銀行を利用している人たち、その人たちに対しては決していい影響が出ているわけではないので、もう少し全体を見て政策を決定していかなければいけないと思いますが、この点についていかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 金融政策決定会合においては、当然そのときまでの、それからその後の見通しも含めて、経済、物価、金融情勢をかなり詳細に検討して、次回の金融政策決定会合までの金融政策調整方針というものを決めております。その際には、当然のことながら、先ほど申し上げた金融機関の収益の話もありますし、それから消費、消費の非常に大きな決定要因である家計の所得の動向であるとか、そういうことも含めて十分点検し金融政策を決定しておりまして、御指摘の点も十分今後とも留意してまいりたいと思っております。
○櫻井充君 私も政策決定会合に出させていただいておりましたので、どういう議論がなされていたかはよく承知しております。 あの当時のメンバーを見ると、様々な考え方の方がいらっしゃって、非常にバランスのいい議論ができていたのではないのかと、そう思います。今は、ある、まあリフレ派と言われる人たちが中心になって集まってきていて、議論が随分偏ってきてしまっているんじゃないだろうかということを危惧していて、是非お願いは、ある側面だけ見るのではなくて、もう少し全体を見た上で金融政策の決定を行っていただきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) この際、お諮りいたします。 委員外議員木戸口英司君及び江崎孝君から日本銀行総裁の任命同意に関する件についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認めます。 それでは、まず木戸口君に発言を許します。木戸口英司君。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。希望の会、自由党の木戸口英司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 今、総括の話がずっと続いてまいりましたが、私からもまず最初にそのことをお聞きしたいと思います。 二〇一三年一月に共同声明が出されております。安倍自民党の選挙公約を受けて、当時の白川総裁の下、政府との間で出されたものと認識しております。安倍総理も二日の参議院予算委員会で、この共同声明は改訂する必要はないということを断言されております。 その中で、今話がありました、この物価について金融政策だけではないということ、この考えを日銀の方でしっかりと持ちながら、日銀と政府の共同責任をこの共同声明の中でうたったということ、ここには努力の跡があったのではないかと、そう考えます。政府の責任、財政再建、成長戦略、そして日銀の責任は物価目標ということ、その中で、すぐに黒田総裁が誕生されて、QQEが発表されて、日銀のコミット、責任が大分強まった感をいたしております。 今回、五年がたって、改めて黒田総裁の再任に向けていくとすれば、やはりこの共同声明の意義をもう一度確認しながら、日銀の責任、そして政府の責任、その役割分担についてしっかりと検証し、新たに規定していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。 それともう一点、それに関連して、この所信の中で、日本経済のデフレ脱却への歩みをしっかりとサポートしということ、デフレ脱却、物価安定の目標ということが日銀の役目ということであれば、このサポートという言葉が、考えられた言葉なのかもしれませんが、決して強い言葉ではないという感じがいたします。五年たって、五年前の黒田総裁の誕生のときの発言との差をちょっと感じる部分でも、私の個人的考えですけれども、思うところでありますけれども、その辺も含めてお考えをお尋ねしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、政府と日本銀行の共同声明は二〇一三年の一月に行われたわけでありまして、これは大変画期的なものであったと思いますが、日本銀行としては、あくまでも日本銀行法に沿って、物価安定の目標というものを二%に定め、それをできるだけ早期に実現するということを金融政策決定会合で決めて、こういったことが共同声明に盛り込まれたわけであります。 そういう意味で、デフレ脱却し持続的な成長経路に乗せるという目標に向けて政府と日本銀行が言わば連携、提携していくという点では、これも日本銀行法に書いてありますけれども、政府との意思疎通を密にして、金融政策も全体のマクロ政策の一環であるから政府との連携を密にするということが書かれておりますけれども、まさにそれに沿った形で共同声明が行われたと思っております。 他方で、金融政策自体はあくまでも日本銀行が政府から独立して決定するわけでございますので、この共同声明というのは、そういう意味ではそういったことを十分反映して、一方で、政府と日銀が協力してデフレ脱却、持続的成長経路に乗せるということが書かれていると同時に、一種の役割分担で、日本銀行は二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すると。政府は、機動的な財政運営を行うとともに、中長期的に持続的な財政を確立すると。三つ目の柱として、政府は成長戦略という形で民間の活動を刺激するような構造改革その他を進めて成長率を引き上げていくと、こういうものでございまして、私自身も現時点でこの共同声明を特に変える必要はないと思っておりますし、また、日本銀行として二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するという二〇一三年一月の金融政策決定会合での決定自体変える必要はないというふうに考えております。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 画期的な共同声明という話がありました。その画期的な共同声明を受けてこの五年間やってきた結果の今、目標達成がどうかと、そして経済、そして国民の生活がどうかということ、そのことを踏まえてこの共同声明の意義というもの、何かということをやはりもう一度規定し直すべきでないかということを強く指摘をさせていただきます。 その中で、やはりデフレマインドの話も出てまいりました。低迷する予想物価上昇率をどう引き上げるか、やはりこれ市場の信頼ということが大事だと思います。コミュニケーションを取るということ、今取っているということのお話もありましたが、実際どうなのかということ。二〇一六年九月から国債買入れの量重視から金利操作主軸とする手法に転換されたということ、事実上の正常化ではないかという意見もあります。また、買入れ額が二〇一七年秋以降減っているということ、事実上のテーパリングではないかという意見もあります。 そういう中で、二日の衆議院議運の中の総裁の発言で、株価、金利高騰、円高が進んだということも、実際、正常化シナリオを火消しをした中でも、そういう市場の動きということについて言えば、やはり信頼の問題ということが私は強く言えるんではないかと、そのように思います。黒田総裁と市場参加者の温度差ということが強く言えるのではないかと思います。その中で、このコミュニケーション、そして適切な情報発信ということをどのように今後強めていくかということ、それから、先ほど来お話ありますけれども、この副作用、出口の問題、そしてこれは、この論点についても十分な検討を行っていくということを述べられております。 やはり検討していくとすれば、このこともしっかりと説明をしていく、情報発信をしていく必要があるのではないかと、先ほど来指摘もありますけれども、この点、私も強く思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、毎回の金融政策決定会合では、経済、物価、金融情勢についてかなり掘り下げた議論をして次回会合までの金融市場調節方針を決定するという形で、常に経済、物価、金融情勢を把握しながら金融政策を運営しているわけであります。 そして、コミュニケーションという面でも、年八回の金融政策決定会合の直後に公表文で詳しく金融政策決定の中身を示しておりますし、また、年四回、展望レポートという形でかなり詳細な経済、物価、金融の分析を示しておりまして、様々な形で市場その他とのコミュニケーションは図っているところでございます。 その上で、コミュニケーションの一番重要な点は、御指摘のとおり、何か操作的にやるということではなくて、あくまでも実際に考えている金融政策の枠組み、中身、それから経済、物価、金融情勢の分析等を素直に公表するということが一番重要であるというふうに考えております。 なお、出口との関係で、何か二〇一九年度に直ちに出口を迎えるというようなことを申し上げたわけではなくて、二%の物価安定目標が二〇一九年度頃に達成される可能性が高いというのが私どもの考え方でありまして、そういうことであれば、その頃には出口をどう進めていくかという点が議論になっているでしょうということを申し上げただけで、直ちに何か二〇一九年度に出口になるということではございません。 また、御案内のとおり……
○委員長(山本順三君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○参考人(黒田東彦君) はい。 長短金利操作付き量的・質的金融緩和の中身は、一つがイールドカーブコントロールで、もう一つがオーバーシュート型コミットメントでありまして、物価上昇率の実績が実際に二%を超えるまでマネタリーベースも拡大を続けるというコミットを強くいたしております。
○委員以外の議員(木戸口英司君) 終わります。ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) 次に、江崎君に発言を許します。江崎孝君。
○委員以外の議員(江崎孝君) 発言の機会をつくっていただきました委員長始め理事の皆さん、そして委員の皆さんに感謝を申し上げます。 最後の質問になります。長くなっていますけれども、お付き合いいただきたいと思います。 私、今まで出てきました市場との対話に関して質問させていただきます。 衆議院の方の所信の中で市場との対話出ていまして、実際考えているということを正直に適切に市場にお伝えするということが一番正しいコミュニケーションポリシーではないか。市場の対話はコミュニケーションポリシーという考え方でいいと思いますけれども、この考え方をもう少し詳しく、できれば簡単にお教えいただけますか。
○参考人(黒田東彦君) その際申し上げたのは、以前、欧州でコミュニケーションポリシーに関するパネルディスカッションというのがありまして、ジャネット・イエレン議長、ドラギECB総裁、カーニー・イングランド銀行総裁とともに四人でかなり長い議論をいたしました。 皆さんの意見は基本的に同じでございまして、中央銀行として一番重要なコミュニケーションというのは、こういう状況になったらこういう政策をするという基本的な枠組み、考え方を明確に示すということが重要だと。その点は皆さん同じなんですが、その点を超えて市場の期待を操作するように、いわゆるフォワードガイダンスとかいうのを示して何かすることがいいかどうかということが議論になったわけで、そこは積極的にやろうという人と、いや、そうじゃなくて、やっぱり考えていることを正直に言うということだけでいいというので、ちょっと意見が分かれたと。 私は後者の方で、余りそのフォワードガイダンスという形で、例えば金利の先行きとか何かをいっぱい示して金利を自分の考えている方向に誘導しようというのが適切かどうかについては私は若干疑問を抱いているということであります。
○委員以外の議員(江崎孝君) そこで、僕が一番質問したかったのは、総裁、御記憶にあると思いますけれども、二〇一六年の一月の二十一日に決算委員会でこの質問をしているんですね。マイナス金利政策、追加緩和については、あの頃も量的緩和、追加緩和の問題がいろいろと出ていました。テレビ放映されていたんですけれども、追加緩和の方法としてもうマイナス金利しか残っていないんじゃないかという発言をさせていただきました。 そのときに、総裁はこう言われているんですね。この議事録に残っていますけれども、FRB、ECBの話もされました。ECB、されていますからね。FRBはされていない。米国のFRBは第一次、第二次、第三次と大変な量的緩和をいたしましたけれども、マイナス金利政策は取らなかったわけです。その下でFRBの政策は効果を発揮して米国経済は回復過程に乗ったということで、金融の正常化を行っていることでありまして、いろんな意見はあると思いますけれども、現時点ではマイナス金利ということを具体的に考えるということはございません。 一月二十一日です。この日、ダボス会議に出られました。帰ってこられて、恐らく二十六ぐらい、二十七か分かりませんが、恐らくマイナス金利の政策の議論に入られているはずです。そして、一月二十九日の発表になっているはずですが。一月二十一日に戻ります。私の質問のときに、本当にマイナス金利の政策は具体的に総裁の中には政策としての手段としてはなかったんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) その点はそのとおりです。いろんな議論があって、御指摘のとおり、ECBはマイナス金利、FEDは絶対マイナス金利やらないということで両方は進んでいたことは事実なんで、そのマイナス金利の是非についての議論というのはあり得たんですけれども、その時点でマイナス金利に進もうというふうに考えていたわけではありません。
○委員以外の議員(江崎孝君) やはり、もう少し僕は、市場との対話というのは、総裁おっしゃっているように、関係者と非公開で話をするということではなくて、例えばこの場もそうですね。国会答弁もそうです。最近、国会の中の答弁が非常に軽視されている部分があるんですけれども、僕は軽視されたと思いませんが、やはりあの時点でああいう発言の仕方、回答の仕方がよかったかどうかというのは是非反省をしていただきたいと思うんですが。 これは僕だけが言っているわけじゃないんですね。翌日、一月二十九日の翌日の日経新聞には、既に出ました、黒田総裁の常套手段であるサプライズの布石だったんじゃないかと、あの一月二十一日の発言が。二月十三日の週刊東洋経済もここまで言われていますね。今回の決定は金融資本市場と日銀のコミュニケーションという点でも禍根を残した。黒田総裁らの発言を手掛かりに金融政策の行方を占う市場関係者にしてみれば、今後は日銀幹部らの発言を額面どおりに受け取るわけにはいかないと。もう一つ、劇薬だけに、これは「エコノミスト」です、これ二月の、二〇一六年の二月の十六日ですね、劇薬だけに副作用が懸念される。前出の豊島さんという、御存じだと思いますけれども、エコノミストの方なんですけれども、今後マーケットは、黒田総裁が何を言っても割り引いて考える。サプライズ演出が難しくなったと。これ、意図するしないにかかわらず、こういうマスコミの論法、論調、評価が出るということは、私は日銀総裁としては極めてゆゆしき問題ではないのかなという思いがします。 その意味でいくと、今後の五年間の総裁の発言、あるいは国会における様々な質問があると思います。そういう中で、やはり今コミュニケーションポリシーが非常に重要だ、正しく伝えなければならないということであれば、やはり一月二十一日、私に対して答えられた、あの現時点ではマイナス金利ということは具体的に考えていることではございませんという発言が本当にあれでよかったのかどうか。仮に、この時点では考えていないんですけれども、政策議論の中の一つの手段としてあったのであれば、逆にマイナス金利も含めた様々な議論を今後も議論させていただきますというその発言の方がよかったやに私は思うんですけれども、どうでしょう、この辺のお考えは。
○参考人(黒田東彦君) その点はいろいろ議論のあるところだと思いますが、金融政策については、あくまでも金融政策決定会合において議論して決定するということでありますので、その前にそのメンバーの誰かがこういうことをしますとかいうことを言うのは恐らく適切でないだろうと思います。その上で、先ほど申し上げたとおり、あの時点で具体的にこれを導入しようというふうに考えていたわけではありません。
○委員以外の議員(江崎孝君) 私が言っているのは、政策こうしますということじゃなくて、一つの手段として、政策の持っている手段としてそのものも含めてあることはやはり市場に伝えておくべきではないのかな、あの時点ではですよ。あのタイムラグで、僅か一週間後にあのサプライズが起きたわけでありますから、そういう意味でいくと、それがやらなきゃいけなかったんじゃないかなと思うんです。 最後の質問します。 るる出てきていますけれども、二〇一九年に向かって非常に厳しい環境にある。確かに今の日本のマイナス金利ってまだ深掘りできますね、政策的には。ECBと違って、三層構造で、上の、今は二十兆円足らずのところですね。基礎残高はもう今三百兆円、二百五十兆円ぐらい増えていると思うんですけれども、その中で、マイナス金利の預金をしているのは今、都市銀行ゼロで、地銀と第二地銀が、国内銀行ですね。その影響が今徐々に出てきているという部分もあると思うんですが、仮に二〇一九年、仮の話でどうか分かりませんけれども、二〇一九年、非常に厳しい状況になったときに更に追加緩和が必要になってくる、そのときにマイナス金利の深掘りというのは考えにありますか。
○参考人(黒田東彦君) それはまさに将来の金融政策の方向でございますので、今、私からそういう考えがあるとかないとか申し上げるわけにはまいらないと思いますが、いずれにせよ、現在のイールドカーブコントロールというのは、毎回、二%の物価安定目標へ向けてのモメンタムが維持されているかどうかを詳細に点検して金融政策を決めるということでございますので、まさに経済、物価、金融情勢次第でそのイールドカーブコントロールをどのように進めていくかが決まってくるということでありまして、マイナス金利の深掘りをするとかしないとかいうことを申し上げるのは適切でないと思います。
○委員以外の議員(江崎孝君) 終わります。ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) これにて候補者に対する質疑を終了いたします。 黒田参考人に一言御挨拶を申し上げます。 本日、大変お忙しい中でありますけれども、御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十六分散会