法務委員会 第2号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2018/03/20
会議録
○平口委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官渡邉清君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、消費者庁審議官小野稔君、消費者庁審議官福岡徹君、総務省大臣官房審議官篠原俊博君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長辻裕教君、法務省矯正局長富山聡君、法務省入国管理局長和田雅樹君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、林野庁森林整備部長織田央君及び国土交通省大臣官房審議官北村知久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○平口委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局家庭局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城内実君。
○城内委員 自由民主党の城内実でございます。 まずは、このたびの大臣の所信に対しまして私に質問の機会をいただきましたこと、古川禎久筆頭理事始め関係各位に心から御礼申し上げたいと思います。 さて、先般の上川法務大臣の所信の冒頭におきまして、これまで法務大臣として現場の視察に赴き、職員の皆さんからの話を聞く機会を大切にされておられたお話、そして引き続き、このような機会を積極的に設け、省内の連携を緊密にしていく旨の御発言がございました。この言葉に私は大変感銘を受けた次第であります。 ややもすると、法律の世界は、法律の条文と証拠にのっとって冷酷無情に人を裁き、機械的に法を執行していくという印象が国民の皆さんの中にあります。そうした中、上川大臣が法務行政の現場にみずから赴き、直接現場の生の声を聞き、それらを参考にして大臣としての職務に引き続き当たられるとの今回の決意表明は、限られた予算の中で大変苦労している現場の職員の士気を必ずや上げると思います。それがひいては、血の通った行政となり、法と正義にのっとって、国民お一人お一人の生命、身体、財産を守ることにつながるものと私は確信しております。上川大臣の示された決意に改めて敬意を表するものであります。 それでは、本題に移りたいと思います。 日本型司法制度をソフトパワーとして位置づけ、人材育成等を通じて、法の支配や基本的人権の尊重といった普遍的な価値を各国で実現する司法外交の重要性は、私も大いに感じるところでございます。 私は、もともと外務省職員でありまして、政界に入った後も、自由民主党の外交部会長、そして政府の役職では、外務大臣政務官、外務副大臣として長年外交に携わってまいりました。その中で、契約を守るとか互いの人権を尊重するとか、その国の法律の条文にはしっかり書いてありますけれども、実態としてそういった基本的な価値観がまだまだ根づいていないと感じる国も数多くあります。 日本の隣の世界第二の経済大国である某国では、チベット、ウイグル、法輪功の方々、今この瞬間にでも迫害されて、まさに民族浄化が行われているのであります。そうした中、司法の分野においても、日本こそが、アジア、ひいては世界の中でリードしていく必要があると私は確信しております。 また、公正な取引環境が保障され、将来の予見可能性があることによって、日本企業も安心して投資や海外進出ができるなど、経済関係強化につながるほか、法の支配という価値観が世界に広がることで、力による現状変更を許さない、国際法に基づく平和の実現を図るなどなど、安全保障の観点からも大きな意義があると存じます。 そこで、法務大臣の所信表明で語っておられました司法外交の推進への意気込みについて、上川法務大臣にお尋ねしたいと思います。
○上川国務大臣 長らく外交の分野で御活躍をいただいてきた委員からの御質問ということでございます。 司法外交に光を当てていくということにつきまして共有した思いで推進をすることができるということは、大変力強いものでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 世界一安全、安心な国のこの日本、これを支えてきた法の支配を中心としてのさまざまな法制度、これにつきましては、私ども、日本型の司法制度の強みとしっかりと位置づけまして、これを我が国の重要なソフトパワーとして位置づけ、司法分野におきましての国内外の施策を総合的、戦略的に推進するということが必要であるというふうに考えております。その意味で、司法外交の推進ということについて力を入れさせていただきたいと思っております。 こうした取組によりまして、各国において法の支配等の普遍的価値が浸透をする、そして国内外の経済成長を支える司法インフラが整備をされるということにつきましては、安全保障のみならず、さまざまな面で国際社会における我が国のプレゼンスが高められる、こういう意味でも大変重要であるというふうに考えております。 司法外交を推進するために法務省が直面するさまざまな国際的課題につきまして、総合的、戦略的に対応できるように、大臣官房における国際機能を担う組織及び体制の強化が必要であると考え、本年四月に大臣官房に国際課が新設される見込みでございます。 二〇二〇年、まさに司法外交元年と位置づけまして、この官房国際課主導のもとで、二〇二〇年四月に京都で開催されます国際連合犯罪防止刑事司法会議、コングレス、これを成功させるための準備を進めることはもちろん、法制度整備支援、すなわち法令の起草支援、法令を運用するための体制整備支援及び法曹実務家等の人材育成支援、これを更に充実させるとともに、国際訟務等への対応につきまして、外務省等の関係省庁との連携を進めるなどの取組を総合的、戦略的に進めてまいりたいというふうに考えております。
○城内委員 大臣、ありがとうございます。 今御答弁されました二〇二〇年の京都コングレス、これは第十四回で、第四回が半世紀前の一九七〇年、京都で行われましたが、半世紀ぶりの京都コングレスの成功を始め、各国での法の支配の浸透をリードすることによりまして、国際社会における我が国のプレゼンスをぜひ高めていく取組を進めていただきたいというふうに思います。 次に、司法外交の一環といたしまして、開発途上国への法制度整備支援について取り上げたいというふうに思います。 我が国の法制度整備支援は、開発途上国のソフトインフラ支援として、どこかの大国のように押しつけではなくて、相手国の自主性、主体性を尊重しつつ、法の支配など持続的発展の基礎を築き、我が国の企業が海外展開をする上でも有効な投資環境整備に大きく貢献しているものであります。 これまで、アジアを中心に民法の起草や和解、調停等の紛争解決手続、裁判官養成等の人材育成など、公正な法治国家に不可欠な支援を行ってまいりました。 明治維新以来、それまでの我が国の伝統的な習慣や制度と、フランス法、ドイツ法、英米法等を融合させて近代的法治国家をつくり上げた我が国の経験に基づく法制度整備支援には、今後も多くの国々からニーズがあるものと考えております。 具体例を挙げますと、ミャンマーの法制度整備支援のプロジェクトとして、小松健太さんというJICA、国際協力専門員の方、この方は弁護士でありますが、二〇一四年一月から三年半にわたって、ミャンマーで法制度整備支援のプロジェクトに携わっておられた経験がございます。そして、ミャンマー政府から大変高く評価を受けたというふうに伺っております。 そこで、お尋ねしたいと思いますが、開発途上国への法制度整備支援のより一層の拡充についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 委員からも今御指摘がございました途上国に対しましてのこれまでの法制度整備支援について、より一層の充実を図るということについて、高い評価が得られているということでございます。 これまでの二十年以上にわたりましての取組ということで、これはベトナムに対する協力を皮切りに実施してまいりました。アジアを中心に合計十四カ国に及んでおります。 御指摘のとおり、それぞれの国のニーズに応じて、基本法及び経済関係法令の起草とその運用、また人材育成などの法制度整備支援を実施してきたものでございます。 ベトナム、カンボジアにおきましては民法、民事訴訟法の成立、また、インドネシアでは和解、調停に関する最高裁規則の成立など、多くの法令が成立したところでございます。 また、御指摘のとおり、近年、ビジネス環境整備の観点から、インドネシアまたミャンマーにおきまして知的財産権保護に関する支援も行っているところでございます。 我が国の法制度整備支援の特徴ということでございますが、寄り添い型の支援ということで、これによりまして法の支配によるよい統治を普及させるものであるということでございまして、単に法律案をつくるというだけではなく、その執行、運用のための制度整備、また人材育成も含めた包括的な支援を実施するものであり、これらが他国による支援と比較してすぐれた点である、こういうところの点を相手国から高い評価をいただいているということでございます。 こうした支援、法制度整備支援が相手国の経済的及び社会的発展への寄与を果たすほか、公正で予見可能性のある司法判断がなされることにつながりまして、相手国のみならず、進出する日本企業にとりましても大変有益なものであるというふうに思っております。 さらに、法務省の運営する国連アジア極東犯罪防止研修所、UNAFEIでございますが、五十六年にわたりまして、世界各国の刑事司法実務家に対しまして汚職防止、刑事司法支援研修などを地道に行ってまいりました。これは、法の支配の確立やまた発展の阻害要因になっております腐敗の防止にも尽力してきたところでございます。 今後も、関係機関としっかりと連携をしながら、さらに、法制度整備支援等現地のニーズにしっかり応えられるように積極的に推進してまいりたいと考えております。
○城内委員 大臣、ありがとうございます。 大臣おっしゃったように、これは本当にまさに一石二鳥で、進出する日本企業にとっても非常にプラスであるわけでありまして、また、日本が得意とする、押しつけ型ではなくて寄り添い型で、法制度整備支援、私自身もしっかりと協力していきたいなというふうに思っております。 さて、開発途上国への法制度整備支援はもちろん、海外に展開する日本企業の支援、在外公館への法務アタッシェの拡充配置など、国際司法分野における法曹人材のニーズ、国際司法人材の育成等が急激に高まっております。国の内外におきまして力強い司法を実現するためにも、こうした国際的な分野に積極的に参入していく若手法律家の育成が極めて重要であることは申すまでもありません。 しかしながら、有為な人材が経済的理由から今法曹の道を断念する事例が続出しております。私は、これまで累次にわたりまして法務委員会の場等におきまして、司法修習生の給費制復活を訴えてまいりました。志のある若者が借金をせずに司法修習に専念し、その後、法曹界に入った人材が、今申しました国際司法の場で活躍するとか、あるいは人権擁護、弱者救済等いろいろな分野でその力を存分に発揮し、社会に恩返しできることが強く望まれております。 この点で、昨年四月に成立した新しい制度によりまして、司法修習生に対して一定の給付金が支給されるようになったことは歓迎すべきことでありますが、まだまだこの給付金の額が十分でないという声もありますし、特に、給費制廃止から一部復活までの期間に司法修習を受けた、いわゆる谷間世代と呼ばれる方々の問題がございます。 従前の貸与制のもとでの司法修習生、新六十五期から第七十期につきましては、私はやはり立法措置で何らかの救済措置を講ずることを検討すべきではないかと思うんですね、余りにも格差が広いというか。この点についてぜひ、法務副大臣で結構ですので、お答えいただければと思います。
○葉梨副大臣 お答えいたします。 城内委員ほかの熱意によりまして、昨年の四月、修習給付金制度、これが、裁判所法の改正がなされたこと、敬意を表したいというふうに思います。その熱意に対して敬意を表したいと思います。 ただ、御指摘のとおり、従前の貸与制下の司法修習生に対しましては、この制度の対象とならないということで、何らかの救済措置が必要であるという意見があるということもよく承知しております。 ただ、そこのところは、既に修習を終えて社会に出られている方々に対して国の財政負担を伴うような救済措置を行うということが、どういう形で国民の理解を得ていくのかという問題、あるいは、貸与制下におきましても、貸与を受けていなかった修習生というのもおります。そういうような隘路があるわけでございまして、現在のところ、立法措置によって財政的な支援を行うということはなかなか難しい面があるかなというふうに考えております。
○城内委員 今、葉梨法務副大臣がおっしゃったように、国民の理解を得られるかという問題含めて、非常に難しい問題ということは私も承知しておりますが、しかし、これは、制度の過渡期だから救済されなくても仕方がないと言って切り捨てられる問題ではないというふうに私は考えております。 私は、法曹人材を確保する手段を総合的に検討するに当たりまして、まずは、本年七月二十五日に予定されている返還を繰延べするというか猶予することも十分検討に値すると考えておりますので、できましたら、やはり法務省、最高裁においても、検討はしていただきたいというふうに思います。 このように、借金を抱えながら頑張っている法曹の方々がたくさんいらっしゃる。そういう方々にも、先ほど申しましたように、司法外交の分野を含めて、さまざまな分野で活躍してもらうことが必要であると思いますので、あえてこの問題を取り上げさせていただきました。 そこで、今、別の切り口でありますけれども、民事司法改革ということが叫ばれておりまして、民事紛争のグローバル化、あるいはリーガルアクセスをもっと強化するといったような観点がありますが、そこで、若手法曹の活動領域の拡大ということが重要だと思いますけれども、法務省としてどのように取り組んでいるのか、お尋ねしたいというふうに思っております。
○葉梨副大臣 城内委員の御指摘は非常に重要だというふうに考えております。 国の機関、地方自治体、あるいは企業、そういった分野での、法的素養を活用している法曹有資格者の数、こちらはまずふえております。 企業内弁護士の数ですけれども、平成十八年百四十六人が平成二十九年には千九百三十一人、さらに、任期つき公務員である弁護士については、平成十八年が四十人、これが平成二十九年には百九十八人という形でふえておりますが、これで満足しているというわけではございませんで、やはり活動領域を広げる、そして法曹という職業がより魅力的なものとなることによって有為の人材が法曹を目指すことにつながるということで、極めてこの活動領域の拡大というのは重要なことだと考えております。
○城内委員 ありがとうございます。 法治国家の根幹を担う法曹の育成は、我が国の将来を左右する問題でありまして、優秀な若者が、先ほど申しましたように、経済的な理由で志を断念することのないように、法曹の育成段階からその後の活動領域の拡大まで切れ目のない支援をぜひお願いしたいというふうに思います。 さて、若手法曹の育成から更に広げまして、我が国の将来を担う子供たちの健全育成という観点から、離婚によって離れて暮らすことになりました親子の面会交流の問題について取り上げたいと思います。 離婚により夫婦でなくなった場合でも、子供にとってはそれぞれ父親、母親であり、両親から愛されて育つことが子供の健全な成長にとって重要であることは言うまでもありません。もちろん、DVや児童虐待など、子供を会わせることが適切でないケースもありますが、そうではない場合に、夫婦の別れが親子の別れになってしまうことは、私は、これはあってはならないことだと思います。 平成二十三年に改正されました民法第七百六十六条でも、面会交流について明文化され、離れて暮らす親との面会及びその他の交流について、離婚の際、子供の利益を最も優先して考慮し、決めなければならない事項とされております。 私は、旧親子断絶防止議員連盟、今現在、共同養育支援議員連盟という名前に変わりました。これは超党派の議連です。この事務局次長をしておりますが、実態として、離婚の際に面会交流の取決めが徹底されているとは言いがたい状況にあります。国として、面会交流をきちんと実現できるよう、より積極的な措置をとるべきではないかと考えております。 先日の報道にもございましたが、離婚などで離れて暮らすことになった子供との面会交流が、子供と同居している親の反対で実現しなかったり、事前の取決めどおり会えない十四名の親の方々が、迅速な面会交流実現のための法整備を国が怠っていると主張して、国家賠償請求訴訟が起こされました。こうした切実な主張に国としてどう応えるのか、真摯に検討しなければなりません。 そこで、家庭裁判所には、子の立場に立って適切な面会交流の取決めができる手続をより進めてもらいたいと私は考えますが、この点に関する最高裁の取組についてお尋ねしたいと思います。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 面会交流の取決めにつきましては、民法七百六十六条一項に「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と規定されておりますのは、今、委員から御指摘のあったとおりでございまして、家庭裁判所におきましても、子の利益にかなう適切な面会交流の取決めを行うことが重要である、そういう認識のもとで、一つ一つの事件に向き合っているというふうに承知をしております。 そのための取組でございますけれども、裁判所といたしましては、裁判官や家庭裁判所調査官といった関係の職種が参加する各種協議会、研究会といった場におきまして外部の専門家の方のお話を伺うといったことも含めまして、面会交流事件の審理のあり方等について議論を深めるなど、子の利益にかなう面会交流に関する取決めが実現されるための取組を行ってきているところでございます。 最高裁判所といたしましては、このような取組に対して、引き続き必要な支援等を行ってまいりたいというふうに考えております。
○城内委員 両親の離婚は、子供にとっては大変大きな出来事であります。心の傷もあります。離れて暮らすことになった親との関係が断たれてしまうことで子供の心にどれほどの悪影響を及ぼすのか、これは本当にはかり知れないと思います。ぜひとも、子供の最善の利益という観点から、適切な面会交流の取決めがなされるようお願いいたしたいと思います。 続いて、法務省の取組についてもお伺いします。 今申し上げました子供の最善の利益という観点から、適切な面会交流の実施のため、法務省ではどのような取組が行われているのでしょうか。お尋ねしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、民法第七百六十六条第一項は、離婚後の面会交流については父母の協議で定めること、その協議においては子の利益を最も優先して考慮しなければならないことを明示しております。 一般論としましては、離婚後においても適切な形で面会交流が実施されることは、子の利益の観点から非常に重要であると認識しております。 法務省といたしましても、面会交流につきまして、子の利益の観点から適切な取決めがされるよう、面会交流等のあり方についてわかりやすく説明したパンフレット、あるいは合意書のひな形を作成いたしまして、離婚届出書の用紙を受け取りに来た当事者に対し、一緒に交付する取組を行っているところでございます。 引き続き、関係府省及び自治体とも連携して、啓発活動等に努めてまいりたいと考えております。
○城内委員 適切な面会交流の取決めがなされて、さらに、取り決めた内容が着実に実現しなければ意味がないことは言うまでもありません。今、パンフレットというお話ありましたけれども、そうした啓発活動のほかに、面会交流が実現せずに困っている方々のための相談窓口の設置など、更に進んだ対応をぜひお願いしたいと思います。 私も、旧親子断絶防止議員連盟、共同養育支援議連の事務局次長として、立法措置を含めて、この問題の解決のために引き続き取り組んでまいりたいと思います。 結婚生活の破綻に伴いまして、一方の親が子供と会えなくなることとの関連でありますけれども、父母の一方が子供を国外に連れ去った場合などに、子供をそれまで生活した国に迅速に戻すための枠組みを定めましたハーグ条約がございます。我が国も、二〇一四年、このハーグ条約に加盟しております。 このハーグ条約に関しまして、ハーグ条約実施法によりまして子供をもともと住んでいた国に帰す命令などが確定したにもかかわらず、応じない親と子を引き離すために行われた代替執行の手続六件が、いずれも子供の返還に至らずに終わったという報道が先般ございました。 最高裁は、ハーグ条約実施法に基づく子供の返還命令が確定したにもかかわらず従わないのは不当として、米国在住の父親が日本在住の母親に子供の引渡しを求めた人身保護請求の上告審判決におきまして、返還命令が確定したにもかかわらず子を拘束している場合は、特段の事情がない限り違法との判断を先週三月十五日に示しております。こうした違法状態が解消されないのであれば、制度の実効性が疑われることになります。 そこで、質問であります。 ハーグ条約の実効性について問題はないのか、代替執行の現状を含めてお伺いしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 ハーグ条約実施法が施行されました平成二十六年四月から本年二月末日までの間に、子の返還を命ずる決定や調停等により我が国から外国に子を返還することが確定したものが三十一件ございます。うち二十四件につきましては、既に子の返還が実現しているものと承知しております。 もっとも、委員御指摘のとおり、我が国から外国に子を返還すべきものとされた事案におきまして、代替執行の手続は六件実施されておりますが、うち五件については執行不能により、また、残りの一件については取下げにより終了したものと承知しております。 このように、代替執行の手続が実施され、執行不能となった事案の件数はいまだ限られておりまして、執行不能の原因が制度上の問題であるのか個別事案の事情によるものであるのかにつきましてはなお精査を要するものと考えられますが、法務省といたしましては、引き続き、その運用状況等を見ながら、関係機関等とも適宜適切に連携しつつ、必要な措置のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
○城内委員 いずれにしましても、代替執行の確実な実施がなければ、制度自体の信頼が揺らぐことになることは言うまでもありません。執行不能となった事例をよくよく検証していただいて、再発防止を徹底していただきたいというふうに思います。 最後に、法人設立登記の電子化について取り上げたいと思います。 内閣官房日本経済再生本部に設置されました法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会におきまして、会社設立等の手続をオンライン化することが検討されております。 手続が簡易迅速化することは、経済活動の活性化のためにも歓迎すべきことだと考えますけれども、一方で、公証人による定款認証や印鑑届出などの手続を廃止しますと、反社会的勢力の隠れみのとなるダミー会社の粗製乱造が危惧されるほか、実体のない会社がふえ、登記制度の信頼そのものを揺るがす事態になりかねません。 そもそも、印鑑の例をちょっと挙げさせていただきますが、印鑑というのは日本の文化でありまして、人によっては、印相というんですか、自分の開運、商売繁盛を願ってすごく印相とか材質にこだわる、私はそういう人ではありませんけれども、そういう方もいらっしゃるんですね。ですから、判こというのは日本の文化でありまして、これは何でもかんでも、私、自民党の経済部会長ですから、IT化とか電子化とか進めるという立場にあるんですけれども、何でもかんでも電子化してペーパーレス化して本当にいいのかということも含めて考えていただきたいなというふうに私は思います。 ある司法書士の方からちょっと伺った話でありますけれども、この司法書士の方がおっしゃるには、外国人が来まして、会社をつくりたいと相談に来たと。しかし、国内には住所がありません。そして、もちろん印鑑証明もない。なぜ会社をつくりたいのかと聞いてもはっきりしない、これはどうも中国の方らしいんですけれどもね。何か怪しいと思い、その司法書士の方はこの依頼を断ったそうですが、こうしたケースが、オンラインで簡単に会社が設立するようになる、数時間とか一日とか三日で。これは犯罪の温床になることは明らかであります。これは想像にかたくありません。 一度会社をつくって登記が済むと、後で適当に役員を変更して目的を変更して、全く違う会社にすることもできるわけですね。ですから、設立時の最初のチェックというのは非常に重要であります。 そこで、質問ですが、商業・法人登記の電子化に関しまして、現在必要とされている公証人による定款認証や会社の代表者による登記所への印鑑届出の義務や印鑑証明書についてどのように考えるのか、法務省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 株式会社等の法人を設立するに当たりましては、公証人が必ず原始定款を認証することとなっております。この手続によりまして、公証人が法人の設立の適法性を審査することとなっております。 定款認証手続では必ず面前確認が行われますけれども、その意義は、成り済ましあるいは会社の不正使用といったような不正を防止するとともに、起業者の真意を確認し、違法な目的での法人設立を抑止することにございます。 また、会社の代表者はあらかじめその印鑑を登記所に提出しなければならないこととされておりますが、その意義は、会社の代表者が登記を申請するに当たりまして、申請書に押印された印影と登記所に届け出られた印鑑の印影とを登記官が照合し、申請人の同一性を確認することを可能にすることにあり、この届け出た印鑑について発行されるのが印鑑証明書でございます。 現在、我が国におきましては、世界最高水準の起業環境を目指して、適正かつ迅速な法人設立手続を実現することが課題となっております。 そこでまず、定款認証手続につきましては、法務省といたしましては、この手続がこれまで果たしてきた設立手続の適正さを担保する機能を維持しつつ、その電子化を積極的に進めて、これまで以上に迅速な法人設立手続の実現に努めていく所存でございます。 他方、印鑑届出義務や印鑑証明書の発行に関しましては、法人の登記情報に基づきまして電子認証登記所の登記官が発行する商業登記電子証明書を利用する法人でありますれば、印影を照合しなくても申請人の同一性の確認ができるとの指摘がございますため、印鑑の届出を任意とする選択制の導入の検討を進めているところでございます。 ただし、検討しておりますのは、あくまでも印鑑と商業登記電子証明書の選択制についてでございまして、印鑑の廃止あるいは登記所が発行する印鑑証明書の廃止を検討しているものではございません。登記所が発行しております印鑑証明書は広く取引実務に利用されておりますので、これを廃止することは考えておりません。
○城内委員 今、廃止しないということをおっしゃっていましたので、ぜひこれは残していただきたいというふうに思います。 会社を起こす、起業促進はもちろん重要ですけれども、安易に手続を簡素化するのではなくて、社会の規律を遵守しつつビジネスを行う企業を育てていくことが私は大事だと思います。 その他、入国審査のあり方、法教育そして矯正施設の整備についても質問を準備しておりましたけれども、時間がございませんので、関係局長さん、ちょっと空振りになったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○平口委員長 次に、菅家一郎君。
○菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。 質問の機会を与えていただきまして厚く御礼を申し上げたいと存じますとともに、大臣所信について何点かお伺いしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。 まず、成人年齢ですね、二十から十八歳に引き下げる民法の改正案というのを今後対応していくわけでありますけれども、地元から何点か不安な声があったものですから、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。 まず、成人年齢引下げによって、十八歳、十九歳の若年者に対し親の同意なくローン契約も結ぶことができたりクレジットカードを作成できたりするというようなことであります。しかし、悪質商法から保護する未成年者取消し権という保護制度、これが喪失してしまう。それによって、若年者がたちまち悪質業者のターゲットになったり、あるいはマルチ商法の被害が高校内で広まるおそれがあるのではないか、このような指摘が実はありますので、若年者に対して消費者被害を防止する、若年者を消費者被害から救済する必要があると私は思うんですが、例えば、立法的措置、さらなる制度、この辺も今後検討したらどうかな、このように思うんですが、この辺についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○福岡政府参考人 消費者庁でございます。 委員から御指摘をいただきました成年年齢の引下げに伴う消費者被害の防止及び救済のための立法措置といたしまして、消費者庁では、先般、消費者契約法の一部を改正する法律案を国会に提出したところでございます。 この法律案では、主として若年者に多発している被害事例を念頭に置きまして、消費者の不安をあおる告知とか、勧誘目的で新たに構築した関係の濫用があった場合に、消費者が契約を取り消すことができるという取消し権の追加を規定しているところでございます。これは、若年者の消費者被害の防止及び救済のための環境整備に資するものであると考えてございます。 消費者庁といたしましては、現時点では、これに加えたさらなる法改正を予定しているところではございませんですけれども、今後とも引き続き、若年者の消費者被害の状況等の把握に努めてまいりまして、これに基づき、必要に応じて適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○菅家委員 ぜひ、そういう状況を見ながら対応していただきたいと思っております。 次に、十八歳、十九歳の若年者が親権の対象でなくなるということもいろいろ御指摘があるわけですが、例えば、ほとんどは高校三年生で成年に達する場合が非常に多くなるわけでありますから、その場合、親権の行使はできなくなる、親権者を通じた生徒指導が困難になってしまうのではないか、このような指摘があるわけでありますが、この点についてお示しいただきたいと思います。
○下間政府参考人 お答え申し上げます。 高等学校における生徒指導の効果を高めていくためには、学校における取組を充実させていくとともに、学校と家庭が一致協力した体制を築き、連携を促進していくことが大変重要でございます。 議員御指摘のとおり、民法の成年年齢を十八歳に引き下げますと、成年年齢に達した生徒につきましては親権者を介した生徒指導が困難になるおそれが指摘されているところでございます。この問題の解決策といたしましては、在学中の指導等は成人後も父母等と協力して行う旨、高校入学時に父母等から誓約書を得ておくなど、学校と家庭とが連携できるような措置を講ずることも考えられるところでございます。 文部科学省といたしましても、成年年齢に達した生徒に対する指導等に当たり留意すべき点につきまして、全国高等学校校長協会や全国高等学校PTA連合会などの関係機関、団体の意見を聞きながら、法務省と連携しつつ、必要な指導助言に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○菅家委員 ぜひ、そういったものを踏まえながら対応していただきたいと思いますね。 もう一つ、実は、いろいろな声がある中で、離婚の際の養育費についてということでいろいろ相談があったんですが、子が成年に達するまでの養育費、これをいわゆる非監護親が支払う旨の合意若しくは調停が既にもう成立している、又は審判が既に確定している、このような場合、成年年齢の引下げによって、いわゆる二十ですから、今までは、二十歳までは養育する、そういう契約を結んできたけれども、ところが、今度は十八歳まで引き下がってしまうので、このような点について影響があるのかというような御指摘があるわけですが、この点について。 それから、今回、成年年齢を引き下げた場合、その後の養育費についてのいわゆる合意等、養育費の支払い終期が子が十八歳に達するときまでとなるわけでありますので、大学に進学する場合などに不都合が生じるのではないか。今まで二十までだったのが、成年になるわけですから、十八まで養育費がなってしまうのではないかというような御指摘があるわけですが、この点についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○上川国務大臣 成人年齢の引下げに関しましてさまざまな不安やあるいは課題があるということは、承知しておるところでございます。 今委員から御指摘の点につきまして、まず前提からちょっとお話をさせていただきたいと思いますが、養育費の支払い義務の存否及び具体的な内容でございますが、子が未成熟で経済的に自立することを期待することができない場合ということで、両親の経済状況等の個別の事情を踏まえて判断されるものであるということでございます。したがいまして、必ずしも子が未成年である場合にのみ支払い義務が認められるものではないということでございます。 そこで、既に成立した養育費の支払いに関する合意等の内容につきまして、その合意等の意味を個別に解釈して定められるものでありますので、成年年齢の引下げによって影響を受けるかどうかということにつきましては、一概に申し上げることは困難であるわけでございますが、当事者間で養育費の支払いの終期について、例えば子が成年に達するまでとの合意がなされた場合につきましては、基本的に、合意当時の成年年齢であります二十、二十歳を前提としていたものというふうに考えられるわけであります。 また、当事者が養育費の支払い期間を合意する前提として、子の進学や就労の予定等の事情を考慮すると考えられるわけでありますが、これらの諸事情につきましても、成年年齢の引下げによって特段影響を受けるものではないというふうに考えられます。 こうした点を考慮いたしますと、成年年齢の引下げは、一般的には、既に成立した合意等の内容に影響を及ぼすことはないというふうに考えられるわけでございます。 また、御質問の後段ということでございますが、成年年齢の引下げが養育費の支払い終期の定め方に影響するかどうかということでございましたが、これにつきましても、最終的には裁判所の判断に委ねられるものでありまして、一概に申し上げるということはなかなか困難であるということでございますが、子が十八歳に達した後も経済的に自立することができないと考えられる場合につきましては、子を監護していない親が養育費の支払い義務を負う場合もあるというふうに考えられます。 例えば、子が大学に進学することを希望する、かつその能力もあると認められるということなど、子の大学進学の蓋然性が高いと認められる場合におきましては、子を監護していない親が子の大学進学を承諾しているとか、その親に十分な資力があるなどの事情があるときは、子が大学に入学することを前提として、大学入学後の養育費の支払い義務を負う場合があるというふうに考えられるわけでございます。 いずれにしても、それぞれの事情に応じて合意をしていきながら養育費の検討をしていただくというふうに考えております。
○菅家委員 十八歳から選挙権が与えられて、やはりそういう意識にもなっている。やはり社会人、二十以降で悪質業者から被害を受けることのないように、若いうちからそういったものを学んでいくということは極めて重要だな、このように思います。 消費者教育というんですか、これは成人年齢引下げに向けて重要だと私は考えておりますので、高校生向けの、高校生向けというか、やはり小中高から一貫として私は教育すべきだと思うんですが、専ら高校生向けの教材を作成し、契約や融資、この辺の基礎知識を身につけることも極めて重要だ、このように思うわけでありますが、現在検討されている制度設計があるのか、お示しをいただきたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。 成年年齢の引下げを見据え、実践的な消費者教育の実施につきましては喫緊の課題だというふうに思っております。 これを関係省庁で緊密に連携を進めるために、関係省庁連絡会議を開催いたしまして、この会議におきましてアクションプログラムを決定したところでございます。二〇一八年から二〇二〇年度の三年間を集中強化期間とすることといたしております。 このプログラムにおきましては、例えば、実践的な消費者教育を推進するため、二〇一七年度におきましては、徳島県内の全ての高校で、消費者庁が作成いたしました「社会への扉」という教材を使いまして授業を実施しております。その結果を踏まえて、今後、全国の全高校での同様の授業を実施するということを目指していきたいというふうに考えております。 また、消費者教育を担うさまざまな関係者をつなぐために、その間に立って調整をするという消費者教育コーディネーターという方がいらっしゃいます。この消費者教育コーディネーターにつきましては全都道府県に配置するということを目標として掲げております。 全国の若い人がどこに住んでいても実践的な消費者教育を受けられるよう、文部科学省を始めとする関係省庁と連携いたしまして取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○菅家委員 やはり若年者に対する消費者被害をしっかりと未然に防止してほしいと思いますし、状況によっては消費者被害からの救済というのも大きな課題だと思いますので、どうかその辺は踏まえて対応していただきたいと思います。 次に行きますね。 登記所備えつき地図についてお伺いしたいと思います。 都市部における不動産の流動化及び公共事業の円滑な実施を進めるために、精度の高い登記所備えつき地図の整備は、やはり私は大変必要だ、このように考えております。以前、会津若松市の市長をやっておりましたときも、国、法務省からのこの対策をしていただいて、大変有効で、私はそういった意味で非常に関心を持っております。 ただ、大都市において、権利関係が複雑であったり地権者の理解が得られにくいというようなことで、地図の整備がなかなか進んでいない現状でも実はまだまだあるんですね。財源的な問題があるわけですから、ここはやはりもっと予算をつけて積極的に登記所備えつき地図の整備に取り組んでいただきたい、このように思うんですが、お考えをお示しいただきたいと思います。
○上川国務大臣 登記所備付け地図の重要性について御指摘をいただきました。 登記所備付け地図につきましては、登記された各土地の区画を明確にし、現地における各土地の境界、筆界の位置や形状を明らかにするものであるということであります。現状では地図の整備が十分でなく、引き続き都市部におきまして地図の整備を進めることが必要であると考えております。特に、おくれの見られる大都市の枢要部や、また地方の拠点都市、また東日本大震災の被災地におきまして、地図の整備に重点的に取り組む必要性は高いというふうに考えております。 法務省におきましては、二十七年度を初年度とする新たな十カ年の作業計画を策定いたしまして、都市部においての作業面積の拡大とともに、大都市の枢要部等につきましてもこれを実施してまいりました。 また、被災地におきましては、登記所備付け地図作成作業につきまして、平成二十七年度から三カ年計画で実施しているところでございます。復興のために当該作業を実施すべき地域がなお存在するということで、更に三カ年延長をいたしまして、平成三十年度から平成三十二年度まで当該作業を引き続き実施する予定でございます。 引き続きの登記所備付け地図の着実な実施に努めてまいりたいと思っております。
○菅家委員 ぜひここは積極的に拡大して、また今まで取り組んできたところの継続もぜひお願いしたいと御要望申し上げたいと思います。 もう一方で、森林ですね、森林における不明確な筆界というのが大きな課題になっているわけでありますが、今後、森林環境税などによって、森林を資源として活用するというためにも、例えば林道とかあるいは路網の整備などが考えられるわけでありますが、やはり所有者を特定して、森林資源を生かすためにも、しっかりとした森林境界の確認が必要、このように考えますが、対応についてお示しをいただきたいと思います。
○織田政府参考人 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、森林資源の活用あるいは適切な森林整備を進めていくためには、森林所有者や森林の境界を明らかにするということが極めて重要でございます。 このため、農林水産省といたしましては、森林所有者の所在確認や森林境界の確認等の活動を森林組合等が行う場合に、森林整備地域活動支援交付金という事業で支援を行っているところでございます。 また、地方財政措置におきまして、所有者、境界の明確化を含む森林・林業対策のために平成二十八年度から五百億円が措置されておりまして、平成三十年度におきましても引き続き同様の措置が地方財政計画に計上されているところでございます。 加えまして、都道府県及び市町村におきまして、それぞれの林務部局と地籍部局との間で情報共有を進めるなど、森林境界の明確化活動と地籍調査との連携を図っているところでございます。 今後とも、これらの取組を総動員いたしまして、また関係機関とも連携をして、森林境界の明確化を推進してまいりたいというふうに考えてございます。
○菅家委員 これは重要なので、ぜひ積極的に対応して、充実していただきたいと思います。 さて次に、所有者不明土地問題への対応についてであります。 実は、私の地元にも共有地というのがたくさんあるんです、共有地。共有地というのは、所有者の把握が困難な土地、いわゆる所有者不明土地でございますが、その課題は何かというと、相続人の確定と同意を得ることに膨大な手間と費用がかかるということであります。それで、公共事業などについては、用地の取得において円滑な公共事業の実施をいわゆる阻害する要因にもなっているわけであります。 そこで、所有者不明土地問題の解消に向けた取組について、今後の対応についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○上川国務大臣 今委員御指摘の、所有者を特定することが困難な土地、いわゆる所有者不明土地問題でございます。公共事業の用地取得の上で大変大きな阻害要因になっているという御指摘がございました。また、農地の集約化や森林の適正な管理を始め、さまざまな分野でも問題になっているところでございまして、政府全体として取り組むべき重要な課題であると認識をしております。 所有者不明土地問題の要因の一つとして、御指摘のとおり、相続登記が未了のまま放置されているということが指摘されております。この点につきまして、法務省におきましても、この相続登記の促進に取り組んできたところでございます。 具体的に申し上げますと、平成二十七年の二月から、死亡届受理時に窓口で相続登記の促進のための広報用リーフレットを配布することを各法務局、地方法務局から全国の市町村に依頼をいたしまして、現在までに全国の七割を超える市町村に御協力をいただいている状況でございます。 また、平成二十九年五月からでございますが、相続人の相続手続の負担軽減、さらには相続登記の促進を図るために、法定相続情報一覧図の写しの交付、これを行います法定相続情報証明制度を開始したところでございまして、現在までのところ、多くの方に御利用をいただいているところでございます。現在、他の行政機関における相続手続におきましてもこの法定相続情報一覧図の写しを利用することができるよう、その利用範囲の拡大に取り組んでいるところでございます。 さらに、本年三月九日でございますが、法務省と国土交通省が連携して取り組んだ一つの成果といたしまして、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を国会に提出したところでございます。 この法案におきましては、所有者不明土地を円滑に利用していただくための仕組みのほかに、所有者の探索を合理化する仕組みといたしまして、長期間相続登記が未了となっている土地に関する不動産登記法の特例を設けることとしているところでございます。 法務省といたしましても、所有者不明土地問題、この解決に向けまして、引き続き、民事基本法制また民事法務行政を所管する立場から、さらなる相続登記の促進を始めといたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○菅家委員 大変心強い答弁、ありがとうございます。 いわゆる共有地の公共用地取得において認定地縁団体制度なんというのも活用していろいろ対応しているんですけれども、なかなかこれに該当しない共有地の公共用地取得の課題なんというのがやはりあるんですね。 ですから、今大臣おっしゃったように、法務省において、登記官が、相続人として登記名義人となり得る者が誰かを調査し、その結果を登記所に備え付けること、これは大変期待していますし、大変私は理解しております。やはり公共事業は地元から早期完成要望がありますので、迅速性が求められるので、先ほど大臣がおっしゃったように、国土交通省の所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法案、連携を図って対応されるということで非常に心強いです。 ぜひ前向きに、目的はなるべく円滑に進めることですから、御答弁されたことをしっかりと、御期待申し上げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 最後に、外国人材の受入れについてであります。 我が国が本格的な少子高齢、人口減少時代を迎える中、我が国経済社会に活力をもたらす外国人を積極的に受け入れていく必要があります、このように大臣が申されたわけでありますが、私も同感で、同じ思いをしているわけであります。 地元のことを申し上げますと、実は、過疎化、少子化、高齢化、人口減が進んでいるわけですが、一方では、やはりアベノミクスの効果がある自動車産業などは極めて状況はいいんですね。新年に挨拶回りをすると、もう人が足りない、地方は人材不足なんですね、どうか紹介してほしい、募集をかけても人が集まらない、これは本当に多いんですよ、そういう声が。私は、これは労働者不足というのが深刻だし、これからも少子化になってくるとどんどん深刻になってくる、こんなふうに思います。 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律によって、高度外国人材や在留資格「介護」の新設について示されているわけですが、私は、これは介護福祉士が不足している厳しい現状の解消にもなると大いに期待していますし、理解するものでありますので、大いに取り組んでいただきたい。 一方、高度外国人材の積極的な受入れも理解するところでありますが、いわゆる一般的な労働者といいますか、ここも不足しているんですね。 原因は、人口減少による労働人口の減少、あるいは東京一極集中による地方における労働者不足、そして若者の労働に対する価値観が変わっていることが考えられるわけでありますけれども、どうか、我が国の経済成長を持続し発展させるためにも、高度外国人材だけではなくて、一般労働者として外国人労働者の受入れというのも今後検討してほしいな、このように思うんですが、お考えをお示しいただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。 外国人材の受入れに関しましての基本的な考え方は、専門技術的分野の外国人につきましては、我が国の経済社会の活性化に資するという観点から積極的に受け入れておるところでございます。 先生の御指摘が、その専門的、技術的分野と評価されないということでございますならば、これは、さまざまな観点を考慮しまして、国民的コンセンサスを踏まえつつ、政府全体で検討していく問題であろうかと思いますが、外国人材の受入れに関しまして、二月二十日に開催されました経済財政諮問会議におきまして、安倍総理大臣から、現在の深刻な人手不足の状況に対応するために、専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度のあり方について、在留期限の上限を設定し、家族の帯同は認めないといった前提条件のもと、真に必要な分野に着目しつつ、制度改正の具体的な検討を示すようにということが、官房長官及び法務大臣に対しまして、各分野を所管する関係省庁の協力を得て早急に検討を開始するようにという御指示がございました。 この御指示を踏まえまして、二月二十三日、内閣官房とともに、内閣官房副長官補を議長とする関係省庁による専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォースを設置いたしました。 このタスクフォースにおきましては、主要業種ごとに人手不足等に係る実態把握を行いました上で、受入れに係る具体的な制度設計につきまして、関係省庁とともに検討を進め、ことしの夏に政府として基本的な方向性について結論を示すこととなっております。
○菅家委員 先ほど申し上げましたように、非常にアベノミクスの効果で売上げも上がる、仕事もふえているという状況もあるんですね。しかしながら、なかなか労働者を確保できない、人材がいない、ますます地方はそういう状況になっておりますので、どうかひとつ、その辺は踏まえながら対応していただきたいと思います。 最後に、個別分野における外国人労働者受入れの特例措置、これは二〇二〇年の東京オリンピックに対応するための対応としては理解するところではありますが、ぜひ、今後、我が国の労働不足の解消のためにも継続、拡充すべきと思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、現在、タスクフォースにおきまして、関係省庁とともに、御指摘の特例措置に係る分野を含めまして、外国人材の受入れに係る具体的な制度設計を行っておるところでございます。 タスクフォースにおける主要な検討課題の一つとして、主要業種ごとの実態把握が挙げられておるところでございまして、現在、各業種の現状に関するヒアリングを実施しております。 建設業につきましても、ヒアリングにおいて実態について聴取を行ったところでございまして、この中で、外国人建設就労者受入事業の受入れ状況等についても報告がなされたところでございます。 今後、委員御指摘の当該事業の継続、拡充を含めまして、さまざまな観点から検討を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○菅家委員 時間になったので、これで終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。今国会もどうかよろしくお願いいたします。 平成八年に法制審議会が選択的夫婦別氏制度の導入を答申してから、二十年がたちます。しかし、まだこれは法制化されておりません。大臣所信ではこの選択的夫婦別氏制度について触れられておりませんでしたけれども、国会で議論すべき大事なもののテーマの一つであると思いますので、きょうは、選択的夫婦別氏制度、そして旧姓の通称使用の拡大、これらについてお伺いしてまいりたいと思います。 当然のことですけれども、この選択的夫婦別氏制度というのは、何も日本人の夫婦を全て別氏にするという制度ではございません。あくまで選択ですので、結婚した後も別氏を望む人だけが別氏にするという制度であります。 きょう私が言いたいことの骨子、結論を先に言いますと、我が国の社会の変化とか将来を見据えたときに、選択的夫婦別氏制度あるいは例外的夫婦別氏制度、こういったものは早晩導入せざるを得なくなるんじゃないか。そうであれば、できるだけ摩擦を少なく、スムーズに導入できるように、それに関する諸課題についてこれまで以上に検討、準備していく必要があるんじゃないか、これが、きょう私が一番言いたいことであります。 具体的な質問に入らせていただきます。 まず、選択的夫婦別氏制度の導入について、上川法務大臣の見解をお伺いいたします。
○上川国務大臣 御質問の選択的夫婦別氏制度につきまして、この導入につきましては、我が国の家族のあり方に深くかかわる重要な問題であるというふうに考えているところでございます。 平成二十九年十二月に内閣府が実施した世論調査の結果におきましては、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして、国民各層の意見が分かれているということが改めて示されたものと理解しているところでございますが、平成二十四年の世論調査の結果と比べてみますと、選択的夫婦別氏制度の導入について賛成する意見がふえているということも事実でございます。 今回の世論調査の結果を受けまして、直ちに選択的夫婦別氏制度を導入すべき状況にあるとは言えないものと受けとめているところではございますが、今回の世論調査結果には、世代間の意見に大きな違いが見られたことなど、貴重なデータが含まれているものと考えております。 今後、今回の世論調査の結果につきまして、例えば配偶者、子供、兄弟の有無などの違いによってどのような意識の違いがあるのかや、あるいは選択的夫婦別氏制度に賛成の人、反対の人などが他の質問でどのような回答をしたのかといったきめ細やかな分析をし、過去の世論調査の結果とも比較検討などを行った上で、引き続きの対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○國重委員 ありがとうございます。 大臣は今、世論調査の結果を細かく分析していくというふうにおっしゃられました。また、世代間でもさまざまな意見があるということをおっしゃいましたけれども、昨年実施した内閣府の世論調査によると、四十代以下、四十九歳以下の方は、この選択的夫婦別氏制度の導入について、賛成が反対を上回っております。一方で、今月十三日に閣議決定をされました、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案、これにつきましては、これまで実施した内閣府の世論調査によりますと、反対が賛成を大きく上回っております。 では、なぜ、このような反対意見も多い中で、成年年齢の引下げをする民法改正案を閣議決定したのか。成年年齢引下げの意義や国際社会の動向を踏まえての答弁を求めます。
○上川国務大臣 成年年齢の引下げについての世論調査等も踏まえてということでの御質問でございます。 今回、この成年年齢の引下げにつきまして、憲法改正、国民投票の投票権年齢あるいは公職選挙法の選挙権年齢、これらが十八歳に引き下げられまして、既に十八歳、十九歳の者に参政権が与えられているところでございます。 法制度としての一貫性、また簡明性といった観点からは、市民生活の基本法であります民法におきましても、十八歳、十九歳の者を成年者として取り扱うのが適当であるというふうに考えられるわけでございます。 また、諸外国との比較ということでございますが、G7構成国や、またOECD加盟国のほとんどは、成年年齢と選挙権年齢をともに十八歳と定めておりまして、さまざまな面で国際的な交流が進む今日の状況のもとでは、我が国が成年年齢を二十歳のまま維持する合理性は見出しがたいのではないかと考えております。 これらの事情を総合的に考慮いたしまして、今国会に、成年年齢を十八歳に引き下げる民法の一部を改正する法律案を提出したものでございます。 御指摘のとおり、過去に行った二度の世論調査におきましては、いずれも、およそ八割が成年年齢の引下げに消極的な意見であったところでございます。もっとも、これらの調査におきましては、消極的な意見の中にありましても、法的な物の考え方を身につけるための教育の充実や消費者保護の施策の充実といった前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見が多数含まれているものでございます。 政府といたしましては、これまで、消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策など、成年年齢の引下げの環境整備のための施策の充実に鋭意努めてきたところでございまして、これによりまして、環境整備の施策につきまして一定程度の効果が上がっているものというふうに考えております。 このため、今回、民法の一部を改正する法律案を提出したことにつきましては、国民の意識との間で大きな乖離があるものとは言えないというふうに考えているものでございます。
○國重委員 成年年齢の引下げに関しては、今、環境整備について大臣おっしゃられました。私は、まだまだやっていかないといけないことはあると思っております。そういったことで、内閣官房を絡めた、省庁横断的な検討会をぜひつくるべきだというような提案もさせていただきましたし、これについては、まだまだ施行までにやっていかなければならないことがあるかと思います。 この成年年齢の引下げに関する民法改正案の閣議決定を終えた後の大臣の会見、また今の答弁も聞かせていただきました。世論調査で賛成意見が多数派になっていない中で、国際社会の動向とか、また少子高齢化が進む我が国の社会の変化、こういったものを見据えた上で成年年齢を引き下げる閣議決定をしたということであります。 そこで、夫婦別氏制度についても、我が国の社会の変化、また将来を見据えた観点、国際社会の動向といった角度から何点かお伺いしたいと思います。 先ほど上川大臣がおっしゃいました、また記者会見でもありましたけれども、少子化が今進んでおります。これに伴って一人っ子の割合もふえております。現在の夫婦同氏の義務化を前提にすると、一人っ子同士が結婚する場合、どちらかの氏を選べばどちらかの氏が途絶えてしまうといった後継ぎ問題、これまで以上にこれが生じてくると思われます。 このことも視野に入れて選択的夫婦別氏制度について検討していく必要があると思いますけれども、大臣の見解をお伺いします。
○上川国務大臣 現行の夫婦同氏制度のもとでは、兄弟姉妹のいない者同士が婚姻をする場合に、一人っ子同士の婚姻ということでありますが、どちらか一方の実家の氏を継承していくことが難しくなるものというふうに認識をしております。 夫婦それぞれの実家の氏の継承という視点では、選択的夫婦別氏制度の導入の是非を検討するに当たりまして考慮すべき視点の一つであるというふうに考えます。
○國重委員 選択的夫婦別氏制度を考えるに当たっては、このような家族形態の変化というのもしっかりと視野に入れていただきたいと思います。 また、氏名というのは氏と名前がセットでありますので、選択的夫婦別氏制度を考えるに当たっては、名前の変化にも注視をしてそれに対応していく必要があると思います。 お配りした資料一をごらんください。 これは、大手販売会社調べによる、二〇〇八年十二月から二〇一七年十月の売上実績で、九年連続、赤ちゃん名づけ実用書売上げナンバーワンとうたわれております「たまひよ 赤ちゃんのしあわせ名前事典二〇一八〜二〇一九年版」を抜粋したものでございます。 ここには、線を引かせていただきましたけれども、「ここ数年の名づけの傾向として、男の子、女の子の区別がはっきりとつく名前より中性的な名前が好まれています。」として、男の子の名前にも女の子の名前にも大人気の、人気共通名前読みトップテンが紹介されております。ここに書いているものですね、あおい、ひなた、はる、そら、りお、あさひ、ゆづき、ゆう、みつき、れい、どれもすばらしい名前だと思います。私も娘と息子がおりますけれども、その友達にもたくさんこういった名前の子が、男の子にも女の子にもいます。 そして、男の子例の漢字と女の子例の漢字がここで紹介されておりますけれども、この名前事典の前年版、一昨年版、これも私、読みました。この使用例を見ますと、男女でこれとは逆の漢字の使い方、例をしているものもございます。また、一字名の人気名前ランキング、下部の方に書いているものでは、「あおい」という名前が、女の子のトップであるとともに、男の子の三位になっております。 このような中性的な名前がふえているという名前の変化、社会の変化を踏まえると、近い将来、同じ名前の人同士であっても結婚したいと思うことはレアケースではなくなってくる、これまで以上にふえてくると思われます。今でも同じ名字の人、氏の人が結婚する場合もあります。しかし、この同じ名前のカップルが法律婚を選んだ場合、現在の夫婦同氏の義務化を前提にすると、夫婦は同姓同名にならざるを得ない。確認ですけれども、これで間違いないでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、氏名のうちの名前が同じである男女が婚姻した場合には、民法第七百五十条によって夫婦同氏となる結果、夫婦は同姓同名となります。
○國重委員 夫婦は同姓同名になるわけですね。 そのことで、法律婚にするか事実婚にするかを悩むカップルが出てくるかもしれません。あるいは、結婚をちゅうちょするカップルも出るかもしれません。同じ名前だから、本当は何か好きになりそうになっているんだけれども、将来のことを考えて恋愛対象から除外してしまうということも、もしかしたらあるかもしれません。夫婦で同姓同名は紛らわしい、避けたいと思ったカップルにも夫婦同氏を強制することは、私は酷で不合理な制度だと思います。 夫婦で同姓同名になることは、その夫婦だけではなくて、その子供や周囲にとっても混乱を招くおそれがあり、不合理だと考えますが、上川法務大臣の見解をお伺いします。
○上川国務大臣 先ほどお示しいただきました男の子、女の子の名前のということでランキングを見てみますと、そうした事態も将来起こり得るのではないかと予想する場面もございます。 実例としてどのくらいあるかということについては、把握しているところではございません。下の名前が同じである男女が婚姻をした結果、夫婦が同姓同名となる事例、あるいは、そのような事態を避けるために、下の名前が同じである男女が事実婚を選択しているというような実例がどれほどあるのかということでございますが、承知をしているわけではございませんが、一般論として申し上げれば、夫婦が同姓同名となる場合には、当事者にとって社会生活上の不便が生じ得るものというふうに考えられるところでございます。
○國重委員 例えば、同姓同名の場合、郵便物が届いた場合にも、夫婦どちらのものかわからない、あけないとわからない。送り主名でわかる場合もあるかもしれませんけれども、わからない場合もあるなど、社会生活上の不都合、不便というものは生じるんだと思います。 そして大臣、大臣も今言っていただきましたけれども、この問題は今、実際に同姓同名になってしまっている夫婦、また、事実婚を選んだ夫婦がどれだけいるかということだけではありません。先ほど指摘しましたとおり、今後、同じ名前の男女が結婚したいと望むことがふえてくるであろうことを前提に考えていくことのある課題だと私は思っております。 選択的夫婦別氏制度を考えるに当たっては、このような男女どちらでも使えるような中性化した名前がふえつつあるという社会の変化も捉えた上で、今後また違った角度から精力的に検討を進めていく必要があると思いますけれども、大臣の見解をお伺いします。
○上川国務大臣 選択的夫婦別氏制度の導入の是非を検討するに当たりましては、ただいま委員から御指摘のような、夫婦が同姓同名となる事態が生じ得る点も含め、さまざまな事情を総合的に考慮する必要があるものと考えます。
○國重委員 これは本当に、社会の変化を先取りして取り組んでいかないと手おくれになってしまうことになります、先ほど言ったように。もう今私の周りでも、先ほど言った、あおい君、あおいちゃんというのは十歳ぐらいでいます。ですので、これらについては、慎重に検討するということでありますけれども、やはりそういったことも見据えた上で、しっかりとした検討をできるだけ、慎重かもしれませんけれども、スピードアップをして検討していく必要があるかと思います。 次に、国際社会の動向という角度でお伺いいたします。 夫婦同氏を義務化している国は日本以外にどのような国があるのか、お伺いします。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 法務省が把握している限りでは、現在、婚姻後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならない夫婦同氏制を採用している国は、我が国以外にはございません。
○國重委員 先ほど、成年年齢の引下げは国際社会のスタンダードに合わせるということでしたけれども、選択的夫婦別氏制度については国際社会のスタンダードからは外れております。もっとも、日本は日本独特の夫婦同氏制度の歴史また文化があるからそれはそれで構わないんだと考える方もいらっしゃるかと思います。 そこで、夫婦同氏制度について、どのような歴史があるのかを確認したいと思います。 夫婦同氏制度が導入されたのはいつでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 我が国におきまして夫婦が同じ氏を称するという夫婦同氏制度が導入されましたのは、明治三十一年に施行されました民法においてでございます。
○國重委員 明治三十一年、西暦でいいますと一八九八年、ちょうど百二十年前のことであります。 明治以前、氏は血統を示すものとされておりまして、古来より、女性が結婚して夫の家に入ったとしても夫婦は別氏になっておりました。例えば、源頼朝の妻は北条政子、足利義政の妻は日野富子、江戸時代も同様の慣行がありました。 それでは、明治以前、武士など一部の特権階級以外の、例えば町民や農民の氏はどのように取り扱われていたのか、お伺いいたします。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 平民に氏の使用が許されましたのは明治三年の太政官布告によるものでございまして、それ以前の江戸時代におきましては、一般に、農民、町民には氏の使用は許されていなかったものと承知しております。
○國重委員 では、夫婦同氏制度が日本社会に根づいたのは百二十年前。日本の歴史を考えたときに、別氏制度に比較をして、この同氏制度はそれほど長く続いてきたわけではありません。日本古来の伝統ではありません。ちなみに、成年年齢の二十歳、今回十八歳に引き下げる閣議決定をされましたけれども、この二十歳というのは約百四十年続いております。同氏制度よりも長く続いているというものがございます。基本的なことですけれども、改めて押さえておきたいと思います。 ところで、政府は、旧姓の通称使用の拡大に向けて今取り組んでおります。この旧姓の通称使用は広く認める一方で、選択的夫婦別氏制度は、家族の解体につながる、家族のきずな、家族の一体性が損なわれる、だから反対だという御意見もあります。 そこで、確認をいたします。 選択的夫婦別氏制度は家族の一体感に影響を及ぼすかどうか、昨年十二月の内閣府の世論調査で、夫婦、親子の氏が違うと夫婦を中心とする家族の一体感、きずなに何か影響が出るかどうかについてどのような調査結果が出ているのか、お伺いいたします。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 平成二十九年十二月に内閣府が実施いたしました家族の法制に関する世論調査におきましては、「夫婦・親子の名字(姓)が違うと、夫婦を中心とする家族の一体感(きずな)に何か影響が出てくると思いますか。」という質問につきまして、「家族の名字(姓)が違うと、家族の一体感(きずな)が弱まると思う」と答えた者の割合が三一・五%、「家族の名字(姓)が違っても、家族の一体感(きずな)には影響がないと思う」と答えた者の割合が六四・三%であるという結果が出ているものと承知しております。
○國重委員 家族の一体感に影響がないと思うという意見が、弱まると思うという意見の倍以上になっております。 旧姓の通称使用は、今後、日本社会にますます浸透してくるものと思われます。そして、この旧姓の通称使用というのは、職場などだけではなくて、例えば、職場の友人が自宅にやってきて、奥さんが旧姓の通称使用をしている場合にその奥さんのことを旧姓で呼んだ場合には、これは家庭にも徐々に浸透してくることになります。現に、私の身近にもそういう家庭もございます。このようなことが進んでくれば、夫婦間で氏の呼び名が違っても違和感が薄れていって、別氏であることによって家族の一体感が損なわれると感じる割合はますます減ってくることとなると私は思います。 家族のきずな、家族の一体感、これは法律で氏を統一することによって実現できるものなんかではなくて、やはり本質的には愛情とか思いやりとかねぎらいといった、こういったものが家族の間に脈打っているかどうか、これによって決まってくるものだと思います。 その上で、旧姓の通称使用がどれだけ浸透し、呼称、呼び方では別氏になっていようとも、家族の解体をさせないために、やはり日本独特の戸籍というのは重要で、ここで家族の一体を示す何らかの担保をとっておく必要があるという御意見もあるかと思います。 そこで、戸籍編製基準の夫婦及び親子の単位、家族の単位は維持したまま、この戸籍の家族単位はゆるがせにせずに、別氏も同籍とすることを認める、このようにした場合には、戸籍上、家族の解体につながらないと言えるのではないか。 法制審議会で、選択的夫婦別氏制度の導入について議論されていた際、戸籍の記載について民事行政審議会で議論されていたと聞いておりますけれども、どのような検討がされていたのか、お伺いいたします。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして、平成八年に法制審議会から答申を得た際に、同じく法務大臣の民事行政分野に関する諮問機関であります民事行政審議会において、別氏を選択した夫婦の戸籍上の取扱いについて検討が行われております。 その結果、民事行政審議会におきましては、別氏を選択した夫婦につきましては、戸籍の筆頭者欄のほかに、夫及び妻の名欄には夫婦それぞれの氏を記載し、子の名欄には戸籍の筆頭者の氏を記載し、子の父母欄には父母のそれぞれの氏を記載するという方法が考えられ、その旨の答申がなされたものでございます。
○國重委員 資料二をごらんください。 これが、今民事局長から答弁のありました民事行政審議会において答申された、別氏を選択した場合の別氏夫婦の戸籍例でございます。これを具体化した例がこの資料二であります。 一方、現行の戸籍例として資料三を御用意いたしました。この資料三、これが現行の戸籍の記載例になりますけれども、現行の戸籍例では、戸籍の筆頭者欄に、これは例ですけれども、甲野義太郎と氏名を記載して、夫、妻、子の名欄にはそれぞれ、義太郎、また、梅子、啓太郎と、名前だけを記載しております。 これが、別氏夫婦の戸籍例を示した資料二では、戸籍の筆頭者欄に甲野義太郎、また、夫の氏名欄に甲野義太郎、妻の氏名欄に乙野梅子、子の氏名欄に甲野啓太郎と、筆頭者と同じ甲野の氏が記載されております。 このように、別氏制度の戸籍の場合であったとしても、夫婦及び親子の単位、家族の単位は同一戸籍として維持をする、その上で、名欄を氏名欄として、夫、妻、子の氏名欄にそれぞれの氏も記載する、こういったことが民事行政審議会の答申で示された、このことも押さえておきたい。また、当委員会の皆様にぜひ知っていただきたいと思います。 次に、選択的夫婦別氏制度に反対する方の大きな理由が、親子の一方と氏が違うことによって、子の福祉に悪影響を及ぼすのではないかということであります。 平成二十九年の内閣府の世論調査では、子供に好ましくない影響があると思うと答えた方が六二・六%、子供に影響はないと思うと答えた方が三二・四%となっております。 では、この好ましくない影響というのは一体何なのか、実際に影響があるのかないのか。この質問に関して、深掘りをして調査検討していく必要があると考えますが、上川法務大臣の見解をお伺いいたします。
○上川国務大臣 さきの世論調査におきましての、子供に対しての影響の有無についての世論調査の結果ということで、委員から御紹介をいただきました。 この子供への影響の有無やその内容、程度などにつきましては、選択的夫婦別氏制度の導入の是非を検討するに当たりまして重要な視点の一つというふうに考えます。 夫婦が異なる氏を名乗る制度に改めた場合に子供にどのような影響が生じ得るかという点につきましては、その性質上、なかなか検証することが難しい面があるというふうに思いますが、御指摘の点も踏まえまして、その調査や分析の方法も含めまして考えてまいりたいというふうに思っております。
○國重委員 ぜひ、しっかりとした検討をよろしくお願いいたします。 それぞれのアイデンティティー、またこれまでのキャリア、あるいは後継ぎ問題といった観点、さまざまな理由で、やむを得ず事実婚を選ぶ人はいます。また、これからの子供たちに、先ほど言ったような中性的な名前がふえているこの中で、同姓同名になるから法律婚をやめておこうか、こういったことで悩ませる、苦しませる制度というのは、私はよくないと思います。 同氏制度に一定の合理性があることは、私は否定しませんけれども、その一律義務化というのはやはり不合理だと思います。子供たちの将来を考えた上でも、選択的夫婦別氏制度の導入というのはやはり不可避なんじゃなかろうかと思います。 選択的夫婦別氏制度を導入すると、親の一方と氏が違うことになるので、子供に何らかの影響がある、好ましくない影響があると思うという世論調査でありました。また、いじめられるといった意見もございます。 しかし、これは、少しでも異質だと思うと排除したり攻撃したりしようとするこの社会の風土に問題があるのであって、いじめられるから別氏がいけないということ、これを突き詰めますと、全てが横並び、同質でなければいけないということになります。これでは個性は殺され、社会は発展しません。こんな社会がいい社会だとは、私は思いません。それぞれの個性を、差異を尊重する、認め合う、一人の人を大切にする、教育でこういった人権感覚を教えていく、政治では人権を尊重していく、こういったことが大切になるんだろうと思います。 ところで、先ほど日本以外に夫婦同氏を義務化している国を法務省としては把握していないということでありましたが、夫婦同氏制度から夫婦別氏を認める制度に変えた国が多くございます。 私は、繰り返しになりますけれども、早晩選択的夫婦別氏制度というのは導入せざるを得ないと思っておりますが、それらの国々が制度を導入した際、世論の動向はどうだったのか、導入の進め方はいかなるものだったのか、導入後に社会にどのような変化が生じたのか、仮に問題が生じたのであれば、それはどのようなものだったのか。こういったことについて研究を進め、この研究を深めていくべきだと考えますが、上川法務大臣の見解をお伺いいたします。
○上川国務大臣 御指摘いただきました夫婦同氏制度から選択的夫婦別氏制度に改めた国もあるものというふうに承知をしております。 諸外国におきまして選択的夫婦別氏制度の導入時の議論、あるいは導入後の影響の内容、程度などの調査につきましては、我が国において選択的夫婦別氏制度の導入の当否を検討するに当たりまして参考になるものというふうに考えます。 そのため、御指摘がございました、諸外国において制度導入時の議論などを的確に把握するためにどのような調査が必要なのかにつきましては、検討をし、前向きに対応してまいりたいと思っております。
○國重委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。これは必ずやらないといけないことだと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。 その上で、選択的夫婦別氏のこの議論と同時に、婚姻後も旧姓を通称として使用できる範囲の拡大もまた、私は大切な点だと思っております。これは、選択的夫婦別氏制度と両立しないものではありませんし、この選択的別氏制度を否定したり、これで別氏制度の議論を停滞させるというものでもないと思っております。 旧姓の通称使用を拡大したとしても、それとは別途、選択的夫婦別氏制度の議論はしっかりと進める必要があると考えますが、上川法務大臣の見解をお伺いいたします。
○上川国務大臣 これまで政府におきまして、今日の社会におきましての女性の活躍や社会の多様化等も踏まえまして、旧姓使用の拡大に向けた取組を進めてきたところでございます。引き続き、この旧姓使用の拡大につきましては、国あるいは地方あるいは企業などが、それぞれの部門におきまして、旧姓の通称使用拡大のための措置を適切に講じていく必要があるものというふうに考えております。 もっとも、御指摘のとおり、旧姓の通称使用を拡大することによって、先ほど来の御質問がございました論点等につきまして、問題が解消されるというわけではございません。婚姻に伴う氏の変更によって不利益の全てが解消をされるというものではないというふうに考えているところでございます。 したがいまして、選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、旧姓の通称使用が拡大しても、なお議論の対象となり得るものというふうに考えているところでございます。
○國重委員 どうかよろしくお願いいたします。 選択的夫婦別氏制度というのは、選択肢の拡大ということもポイントであります。旧姓の通称使用の拡大も、より選択肢をふやすという意味で大事であります。実際、戸籍上は配偶者の氏にする一方で、仕事上では旧姓を通称として使用し続けたい、こういった声もあります。また、婚姻後も、場面場面で旧姓をより使用しやすくすることは、選択的夫婦別氏制度を導入するに当たっての土壌の整備にもなると私は考えております。 この点、現在、総務省は、マイナンバーカード、住民票への旧姓併記が可能となるように、既存の住基システム等の改修を行っていると聞いております。この進捗状況はどうか、お伺いいたします。
○篠原政府参考人 お答えいたします。 住民票やマイナンバーカード等への旧氏併記につきましては、平成二十八年五月の閣議決定等におきまして、マイナンバーカード等に旧氏併記が可能となるように、速やかに必要な準備を進めるべきであるとされたことに基づきまして、取組を進めております。 この旧氏併記を実現させるためには、全国千七百四十一市区町村の既存住基システムなどの改修が必要でありますことから、必要な予算を確保したところです。現在、各市区町村などにおいて改修が進められているところであります。
○國重委員 今システム改修を進めているということでありますが、システム改修が完成するのは、平成三十年度になるのか、また、それとも三十一年度なのか、まだわかりませんけれども、そう遠くない将来のことだと私は認識しております。旧姓を公的に証明できるようになれば、旧姓使用における不便が一定程度解消されるようになります。そういった意味で、今回のマイナンバーへの旧姓併記の推進は評価しております。 一方で、身分証明書類として、ふだんマイナンバーカードを提示している人は一体どの程度いるのか、これが問題になってまいります。 総務省に伺います。現在のマイナンバーカードの交付枚数はどの程度でしょうか。
○篠原政府参考人 お答えいたします。 マイナンバーカードにつきましては、現在、毎日約一万五千枚が申請されておりまして、交付開始から二年程度で既に約千三百八十万枚、人口の一割以上の方に交付されているところでございます。
○國重委員 マイナンバーカード、今後の普及に期待したいと思いますけれども、まだ普及は道半ばであります。 では、一般的によく使用されている身分証明書といえば写真つきの運転免許証であります。この運転免許証の現在の保有者数はどの程度か、警察庁に伺います。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。 平成二十八年末現在の運転免許保有者数は、八千二百二十万五千九百十一人となってございます。
○國重委員 マイナンバーの普及枚数は、交付開始から二年程度で、ちょっと先ほど聞き取りができませんでしたが、大体約千三百七十万枚ですかね。はい、うなずいていただきました。一方、今の答弁によりますと、運転免許証を持っている方はおよそ八千二百万人ということになります。運転免許証が圧倒的に普及しており、その意味でも、身分証明書として国民が一般的に利用するものとなっております。 この運転免許証への旧姓併記が可能となれば、社会のさまざまな場面でより簡単に旧姓を公的に証明できるようになって、旧姓の通称使用が一気に、より一層進むことになると思います。 そして、道路交通法施行規則によって、運転免許の申請の際には原則として住民票の添付が義務づけられております。それをもって氏名の確認をしております。そうであれば、住民票への旧姓併記が可能となったタイミングで運転免許証への旧姓併記も可能となるような体制を整えるというのが、私は論理的で合理的だと思います。 住民票の旧姓併記が可能となった時点で運転免許証の旧姓併記もできるようにすべきと考えますが、警察庁の見解をお伺いいたします。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘の点に関しましては、女性活躍の視点に立ってさまざまな制度等を整備することは重要であるものと認識しているところでございます。 お尋ねの運転免許証につきましては、現在旧姓併記を行っておりませんが、住民基本台帳等への旧姓併記に向けた準備が進められているものと認識しておりまして、こうした動きに合わせまして、免許証への旧姓併記についても検討を進めてまいりたいと考えております。
○國重委員 ぜひ前向きな検討をお願いいたします。 以上で終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、松田功君。
○松田委員 立憲民主党の松田功でございます。 まず最初に、パラリンピックが十八日に閉会されました。ソチの五輪を上回る十個のメダルを確保して、金が三つ、銀が四つ、銅が三つ、本当に、パラリンピックの選手の皆様におかれましては、今非常に暗い話題、特に国会から発信している暗い話題が多い中で、非常にすばらしい成績をおさめていただいたことに深く敬意を申し上げたいと思います。 それでは、質問を始めさせていただきたいと思います。 本日は大臣所信に対する質疑でございますが、まず、学校法人森友学園との国有地取引をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題について、上川大臣の方にお考えをお聞かせいただきたいと思います。 これは、民主的な行政ベースとなる公文書が改ざんされたという、民主主義の根幹にかかわる問題です。国権の最高機関である国会においても、改ざんされた文書をベースに議論していたという異常事態です。国民の皆さんから見て、公文書の信頼、信用が大きく揺らいでいます。誰の指示でどのように改ざんが行われたのか、真相を徹底的に解明しなければなりません。 法務行政を担う法務大臣として、文書の改ざんや真相解明について、どのようにお考えでおられますでしょうか。また、今回の問題を受け、公文書の取扱いに関して、省内に何か御指示をされましたのでしょうか。お考えをお聞かせいただければと思います。
○上川国務大臣 公文書につきましての御質問でございます。 先ほど委員から御指摘がございましたとおり、行政文書につきましては、健全な民主主義、この根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであるため、行政機関におきましては、行政文書の適正な管理を通じ、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国の諸活動を現在及び将来の国民に説明していく責務があるものというふうに承知をしております。 そのため、各省庁ごとの特性を踏まえまして、絶えず点検を実施し、公文書管理のあり方につきましても不断の見直しをするなど、行政文書の管理を適切に行うことは非常に重要なものというふうに考えております。 私は、初代の公文書管理担当大臣といたしまして、公文書管理の法律の策定に携わってまいりました。また、適正な公文書管理の実践に努めてきたところでもございます。 法務大臣に就任して以来ということでございますが、部局の職員に対しましては、法務省におきましての行政文書の適正な運用につきまして、絶えず指示をしてきたところでございます。 先ほどの御質問ということでございますが、その意味で、今回、財務省が、決裁文書の書きかえが行われていたことを確認した旨の公表を行ったということでございます。現在、財務省におきまして調査中であるということでございまして、この点につきましての法務大臣としての所感を述べることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。 公文書につきましての考え方として、今申し上げたような姿勢でこれからも臨んでまいりたいというふうに考えております。
○松田委員 大臣も、非常に残念な結果であるというふうに思っていると僕は思います。こんな公文書が改ざんされるということが起きたら、何を信頼していいかわからない。省庁から出される資料が信頼し得るものかどうか常に確認をしながらやるなんということは、あってはならないことでありますし、国民が本当に誰を信頼していいのか、そういったことをやはり深く思っていただきたい。 また、それに対して厳しくはされていらっしゃると思います、でも、その中で起きたということは、やはり何かが足りない。若しくは、権力ある者が指示を出したという可能性であるならば、それはあってはならないことでありますし、そこを厳しく、やはりみずから、大臣の方からも指摘をしていただきたいというふうに強く思っているところであります。 本当に信頼がなくなってしまったほど怖いものはないのでありますし、ぜひそれを強く指導をしていただきたいというふうに思っておりますが、その辺についてもう一度お伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 再度の御質問ということでございますけれども、委員から御指摘のとおり、行政文書の信頼性につきましては、種々の観点から指摘がなされてきたというふうに思っております。 国民の皆様の信頼をしっかりと得ること、これが民主主義の国家の運営という意味でも大前提であるというふうに考えております。 私は、今申し上げたとおり、法務省の中では、就任以来、この問題につきましても、通常の業務の中でしっかりと、それぞれの職員の皆さんが公文書を作成するところからしっかりと管理をし、また利活用ができるようにということで指示をしてきたものでございます。 今後とも、法務省の行政文書の適切な管理の徹底ということにつきまして努めてまいる所存でございます。
○松田委員 それでは、非常に重い思いでありますが、次へ移らさせていただきます。 今回の改ざんで、普通に考えれば、刑法の虚偽公文書作成か公文書偽造に該当すると思います。 この件は、根幹にかかわらない細部の書きかえなので虚偽公文書作成や公文書虚偽に当たらないという声があるようです。しかし、改ざんが文書の本質的ではない部分になされた場合も変造となり、同じ罪です。単純な字句訂正程度なら変造に当たらないこともあるようですが、何ページも削除をしたりすることは、どう見ても、到底、単純な字句訂正などではありません。 今回の件が虚偽公文書作成や公文書偽造、変造に当たるかどうか、見解をお聞かせいただければと思います。あるいは、一般論として、公文書が何ページも書きかえられたり削除されたりしたら、虚偽公文書作成や公文書偽造、変造に当たるのではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○辻政府参考人 お尋ねの点でございますれば、犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づきまして個別に判断されるべき事柄でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。 なお、あくまで一般論として申し上げれば、虚偽有印公文書作成罪は、公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書等を作成した場合に成立するものと承知してございます。 また、同じくあくまで一般論として申し上げれば、有印公文書偽変造罪は、行使の目的で、公務員の印章等を使用してその作成すべき文書等を偽変造するなどした場合に成立するものと承知しております。
○松田委員 財務大臣の方から、指示は佐川前局長が行われたというふうに特定の名前まで挙がっているということも含めるならば、一般論でない部分がもう進んでいるような気がいたします。 その辺についてはもう少し踏み込んだお答えもいただければというふうに思っているところでありますが、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、個別の事案におけます犯罪の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございまして、法務省として、法務当局として、その点について何らかお答えするということになりますと、捜査機関あるいは裁判所でない立場としてはお答えする立場にございませんし、何らか影響を与えるおそれもあるということでございますので、差し控えさせていただくことを御理解いただければと存じます。
○松田委員 この森友問題に関して言うならば、まだまだ解明していかなければならないことは数多くありますし、やはり上川大臣にも先頭に立っていただいてこの問題の究明に対して御協力をいただきたいと思いますし、国民全体がこの問題に注目しております。それは、やはり先ほども述べたように、信頼をなくしてしまっている現状をぜひ御理解いただいた中で、各省庁という形ではなく、全省挙げてぜひ取組を進めていただければというふうに思っておりますし、今後、二度とこういったことのないような体制づくりを構築していくことをお願い申し上げたいと思います。 それでは、引き続き質問に入ります。 大臣は、所信の中で「法曹養成制度については、法曹に対する幅広い社会のニーズを踏まえ、質、量ともに豊かな法曹が輩出されるよう、」と述べられました。これに関係して、司法修習生の修習費用について取り上げさせていただきたいと思います。 そもそも司法修習生は、裁判所法で、修習期間中は修習に専念すべき義務を負うとされています。そして、その間の生活基盤を確保して修習に専念できるようにするために国が給与を支払う制度、すなわち、給費制が昭和二十二年から行われてまいりました。これは、国民にとって重要な法曹の公益性や社会正義を確保するためと理解をいたしておりますが、このような理解でよろしいでしょうか。
○上川国務大臣 司法修習生に対する給費制でございます。法曹の職務の重要性に鑑み、司法修習生が修習期間中の生活の基盤を確保して修習に専念できるように、修習の実効性を確保するための一つの方策として採用されていたものと承知をしているところでございます。 この法曹の職務の重要性につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、法曹の職務の公益性やまた社会正義の実現といった趣旨も含まれているものと理解をしております。
○松田委員 司法修習生の費用については、御存じのように、当初は給費制であり、その後、貸与制となり、今は修習給付金制度と変わってきたと理解をいたしております。その変遷を確認させていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○小出政府参考人 お答えいたします。 司法修習生につきましては、昭和二十二年の裁判所法制定以降、給費制がとられておりまして、平成二十三年七月から修習を開始した旧六十五期の司法修習生まで給与及び手当が支給されておりました。 給費制から貸与制への移行でございますが、平成十六年の裁判所法改正によるものでございまして、貸与制は、平成二十三年十一月に修習を開始した新六十五期の司法修習生から実施されたところでございます。 この給費制から貸与制への移行の理由でございますが、司法修習生の増加に実効的に対応する必要があったこと、また、司法制度改革の諸施策を進める上で、限りある財政資金をより効率的に活用し、司法制度全体に関して国民の理解を得られる合理的な財政負担を図る必要があったこと、また、公務員ではなく、公務にも従事しない者に国が給与を支給するのは現行法上異例の制度であることなどを考慮しますと、給費制を維持することについて国民の理解を得ることは困難だと考えられたことによるものでございます。 その後、法曹志望者数が大幅に減少いたしまして、これに実効的に対応する必要があるなど、貸与制に移行した後の大きな状況の変化が認められましたことから、法曹人材確保の充実強化の推進を図るとともに、司法修習の実効性の一層の確保を図るため、昨年の裁判所法改正により、貸与金額を見直した貸与制と併存させる形で、修習給付金の支給を内容とする新たな制度が創設され、昨年十一月に修習を開始した七十一期の司法修習生から実施されているという状況でございます。
○松田委員 現在、司法試験合格者は千五百人程度で減少傾向であります。平成二十八年は千五百八十三、平成二十九年度は千五百四十三名ですから、そもそも、貸与制に移行するときの趣旨の一つである司法試験合格者三千人への対応という前提が変わってきてしまっていると思いますが、いかがでしょうか。
○小出政府参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、給費制から貸与制への移行の理由でございますが、司法修習生の増加に実効的に対応する必要があったこと、また、司法制度改革の諸施策を進める上で、限りある財政資金を効率的に活用し、司法制度全体に関して国民の理解が得られる合理的な財政負担を図る必要があったこと、また、公務員ではなく、公務にも従事しない者に国が給与を支給するのは異例の制度であることということでございました。こういった事情を考慮すると、給費制の維持について国民の理解を得ることは困難と考えられたことによるものでございます。 委員御指摘のとおり、司法試験の合格者数の年間三千人目標は、平成二十五年七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定において事実上撤回されておりますが、他方で、今申し上げました、司法制度全体に関して合理的な財政負担を図る必要があること、また、公務に従事しない者に給与を支給することは異例であるといった事情を考慮する必要があるということには変わりがないわけでございまして、貸与制に移行した前提事情は失われていないということでございます。 したがいまして、貸与制に移行したことには十分に合理性があるというふうに考えているところでございます。
○松田委員 貸与制時期の修習新六十五期—七十期の皆さん、いわゆる谷間世代の方々は、その前の世代に比べて明らかに経済的に不利な状況に置かれております。 これを不公平だと感じるのが普通だと思いますが、政府の方は不公平だと考えないのでしょうか。
○葉梨副大臣 松田委員御指摘のとおり、新六十五期から七十期までの司法修習生が貸与制の対象ですけれども、その前後と比べますと、経済的支援の内容として違いがあるということはよく認識をしております。 ただ、今、小出司法法制部長から答弁ありましたとおり、それぞれの支援策というのは、合理的な理由に基づいて支援策が施されているということでございますので、これを、著しく不合理である、あるいは又は不公平であるというふうには、ちょっと言えないのかなと。違いがあるということはよく認識をしております。
○松田委員 不公平と言いにくい、違いがあるという言い方もなかなかのところがありますけれども、理解はしていただいていると僕は認識はしておりますが。 そういった中で、今、若い皆さんは頑張って仕事もされているところではあります。そんな中で、若い弁護士さんの方からも、私もお話も聞かせていただきました。志があっても、不本意ながら経済的な事情から仕事を選ばざるを得ない、つまり、お金になる仕事を優先せざるを得ない状況が生じてしまっていますと。 それは、弁護士を頼りに来られる方々、低所得者の皆さんが依頼しにくい事態となり、また、そういった意味で格差が拡大をしかねないということになります。つまり、国民の理解が得られないと言われておりますが、国民にとってその状況はマイナスだということであります。 公益性や社会正義にとって、これは本当に大きな問題であります。いかがでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 ただいま委員御指摘のように、法曹がその職務を通じて、公益性にかない、また社会正義の実現という役割を果たすことは大変重要であるというふうに考えております。 もっとも、法曹となる者が進路あるいは就職先あるいは受任する事件を決定する理由あるいは動機というのは、さまざまであるというふうに考えております。 また、公益性や社会正義を実現するための活動のあり方につきましても人によってさまざまでございまして、必ずしも、若い世代の法曹が専ら経済的な事情から収益の多い仕事を選ばざるを得ない状況であるということを一概に言うことはできないというふうに思っているところでもございます。 さらに、従前の貸与制下の司法修習生が経済的な事情により法曹としての活動に支障を来すことがないようにするための措置といたしまして、貸与金の返還期限の猶予につきましても、制度上認められているところでございます。すなわち、災害、傷病その他やむを得ない理由によりまして返還が困難となった場合、あるいは返還が経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由がある場合には、貸与を受けた者は、最高裁判所に対して個別に貸与金の返還期限の猶予を申請することが可能となっているところでもございます。個別の申請に対しては、最高裁判所が適切に判断されるものというふうに考えております。
○松田委員 若い法曹の皆さんが経済的な事情を気にせずによい仕事ができることが、社会においての公益性、社会正義にとって大切なことではないでしょうか。そのような環境を整えることが立法や行政の、私たちの役目のように思います。その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○葉梨副大臣 松田委員御指摘のとおり、若い世代の法曹が社会のさまざまな分野で幅広く活躍すること、この環境を整備されることは重要だと思います。法務省も、法曹養成制度を担う立場で必要な役割を果たすことが求められております。 司法修習生に対する経済支援でございますが、先ほど来答弁がありますとおり、給費制、貸与制、給付制、それぞれ、私どもとしては、若い世代の法曹が活躍するための環境整備の一つとしてそれぞれ合理的なものであるというふうに考えておるわけでございますけれども、このほかにも、若い世代の法曹が活躍するための環境整備として、例えば法曹有資格者の活動領域の拡大に向けた取組などがあります。 法務省としては、このような拡大の流れが加速するように、引き続き必要な役割を果たしていきたいというふうに考えています。
○松田委員 この谷間世代の最初の新六十五期の方々が、ことし七月の二十五日から貸与された修習資金の返済が始まります。返済が始まってしまってから救済しようとすると、制度設計が更に複雑になってしまいます。 そこで、まずその前に、例えば五年間といった返済期限の延期を行っていただければと考えますが、大臣、お考えの方はいかがでしょうか。
○上川国務大臣 貸与制への移行におきましては、制度導入までの過程におきまして十分な議論が行われた上で制度設計がなされております。またさらに、貸与制導入に当たっての前提事情が失われていないことにつきましては、先ほど司法法制部長が述べたとおりでございます。 そして、この貸与制におきましては、先ほど申し上げたところでございますが、最高裁判所に対しまして貸与金の返還期限の猶予を申請することができることとされております。このような個別の申請に対しましては、最高裁判所が適切に判断されるものと承知しているところでございます。 他方、このような貸与制下で認められている返還猶予事由が認められない場合にまで返還期限の延長や猶予を行う必要性、合理性は認められないものというふうに考えております。
○松田委員 非常に、ちょっと残念なんですけれども、先ほど私述べたんですが、仕事を選んでしまうということにつながっているというふうに述べさせていただきたいと思うんですね。要は、仕事、お金を払うためにお金が稼げる方へ行ってしまうということになると、国民にとってマイナスになっちゃうということなんですね。 それが、法曹界における公益性や社会正義を守るという意味から始まったこの給付制度の部分からすると、述べられていることがちょっとずれてきているような、もう一回検討していただいてもいいんじゃないかというふうに私は強く思うところでございます。 法曹の公益性や社会正義を守るために幅広く方策を検討していただけると考えておりますが、ぜひ大臣の方にもう一度お考えをお聞かせいただければというふうに思います。
○上川国務大臣 委員からさまざまな視点での御指摘がございました。また、制度設計そのものにつきましても、これまで十分な議論をした上で導入をしているところでございます。 既に修習を終えている者に対しまして、国の財政負担を伴う事後的な救済措置ということを実施することにつきましては、国民的理解を得ることはなかなか難しいというふうに考えられるものでございます。また、仮に、何らかの救済措置を実施するといたしましても、従前の貸与制下において貸与を受けていない者との取扱いにつきましてどうするかといったような制度設計上の困難な問題もございます。 したがって、立法措置によりましていわゆる谷間世代の司法修習生に対して救済措置を設けるということはなかなか難しいものでございまして、かかる救済制度を設けることにつきまして、先ほど答弁したとおりでございまして、予定をしていないということでございます。
○松田委員 最後に申し上げたいんですが、三月一日に開かれた日弁連主催の院内意見交換会において、「市民の期待に応える力強い司法へ」という題で行われた意見交換会では、この谷間世代の不公平の問題などについて、百五十九名の国会議員の皆さんからメッセージを寄せられたとのことであります。 そのうちの一通をちょっと読ませていただきたいんです。 日ごろは市民の法律相談等に精力的に取り組んでいただき、ありがとうございます。七十一期司法修習生に対する給付が実現したこと、長い間の努力が実を結んだものと思います。しかしながら、新六十五期に対する貸与金については何らの手当てがなされることなく、本年七月に返還が始まります。新六十五期から七十期の谷間の世代について、不利な事態にならないようにしなければなりません。力強く、国民から信頼される司法をつくっていくため、今後とも頑張りましょう。 これは、平口洋委員長の方からのメッセージでございます。 与党の方も、七十二人、この百五十九人から七十二人の方もおみえになります。ぜひ、超党派でこの課題に取り組み、前向きな議論を進めていただきたいと思いますので、皆様のお力添えをどうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、続きまして、質問を続けさせていただきたいと思います。ちょっと時間も参っております、早目にいきたいと思います。 大臣は、六日の所信において、民法の相続関係について、高齢化の進展などへの対応を図るため、民法などの改正案を今国会に提出する予定であると述べられました。その後、十三日に法案が閣議決定されました。その中で、相続における相続人以外の貢献を配慮する方策を取り上げたいと思います。 法案のベースとなる検討を行った法制審議会の要綱案で示された、被相続人に対して無償で療養介護その他労務を提供したことにより、相続人以外の者が被相続人の財産の維持又は増加に一定の貢献をした場合という部分です。 まず、そもそも、なぜ相続において相続人以外の貢献についての検討を始められたのでしょうか。議論を始めた問題意識やきっかけを教えていただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 現行法上、被相続人の療養看護等をした者の貢献を考慮するための方策としては寄与分制度がございますが、寄与分は相続人にのみ認められておりますため、例えば、被相続人の療養看護をした者が相続人の配偶者である場合には、遺産分割手続において寄与分を主張することができませんで、遺産の分割にはあずかることはできません。 このため、相続の場面では、相続人であれば療養看護等を全く行っていなかった者であっても遺産の分割を受ける一方で、相続人でない者は、実際に愛情や義務感等に基づいて無償で療養看護等をした場合でも遺産の分配にあずかり得ないこととなって、不公平であるとの指摘がございます。 また、こういった問題は、相続人以外の者が被相続人との間で報酬を受ける旨の契約を締結することや両者の間で養子縁組をすること、あるいは被相続人が遺贈をすることといった法的手段をとることによって解決を図ることも可能でございますが、被相続人との人的関係等によっては、相続人以外の者がこういった法的手段をとることを被相続人に依頼することが心情的に困難である、こういう場合も多く、現行法上の制度によっては十分対応することが困難であるというふうに考えられます。 この方策は、このような問題意識を踏まえて検討が始められたものでございます。
○松田委員 法制審民法部会のパブリックコメントの結果を見ますと、親族要件のない案に賛成する意見が比較的多かったが、親族要件のある案に賛成する意見も相当数あったと書かれています。これは、親族要件のない案の方が支持が多かったようにも読めます。このような理解でよろしいのでしょうか。そうだとすると、最終的な要綱案にどうして親族要件が入ったのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 この相続人以外の者の貢献を考慮するための特別寄与の制度につきましては、法制審議会の部会における検討の過程におきまして、その請求権者の範囲に限定を付すかどうかにつきまして議論があったところでございます。 この制度に対しましては、相続をめぐる紛争の複雑化、長期化を懸念する意見が多うございまして、パブリックコメントにおきましても、これを理由にこの制度の導入自体に反対する意見、あるいは、そういった懸念から請求権者の範囲を限定すべきであるという意見が相当数寄せられておりました。 また、この制度は、先ほども申し上げましたとおり、被相続人と近しい関係にある者が被相続人の療養看護等をした場合には、先ほど申し上げました、被相続人との間で報酬を受ける旨の契約を締結するなどの対応をとることが類型的に困難である、こういうことに鑑みまして、こういった方々の利益を保護して、不公平を是正することを目的とするものでございます。 このような制度趣旨に照らしましても、請求権者の範囲を一定の範囲に限定することには合理性があると考えられたものでございます。 御指摘の要綱におきましては、これらの点を考慮して、請求権者の範囲を被相続人の親族に限定をしたものでございます。
○松田委員 さまざまな意見があって、それを理解した中で進めているというふうに思われておりますけれども、この案件のポイントとしては、相続人以外の者が被相続人の財産維持又は増加に一定の貢献をしたかどうかであって、その親族であるかないかは関係ないかと考えます。親族要件だけにとらわれる必要はないと思いますが、いかがでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、この新たな制度を創設するに当たりましては、相続をめぐる紛争の複雑化、長期化を懸念する意見が相当数寄せられたことも踏まえまして、社会で受け入れられやすい制度を構築する必要があると考えられました。 また、この方策は、先ほど申し上げましたとおり、被相続人と近しい関係にある者が被相続人との間で報酬を受ける旨の契約を締結するなど一定の対応をとることは類型的に困難であるといったことも踏まえて設けられたものでございまして、被相続人に対する貢献があったということのみでこの制度の適用対象としているわけではございません。 このような観点から、本方策におきましては、請求権者の範囲を被相続人の親族に限定することとしたものでございます。
○松田委員 今現在、社会においては、家族というものの多様化が進んでおります。貢献が想定される人において、内縁の関係や事実婚のパートナー、LGBTや同性のパートナー、同居やシェアして暮らすお友達、非常に親しいつき合いのある御近所など、さまざま考えられると思います。 今回、相続人のみからの範囲を広げるという点では小さな一歩だとは思いますが、社会や家族の多様化が進む中、次に向けた前向きなお考えを大臣の方からお聞かせいただければと思います。
○上川国務大臣 療養看護等の貢献を考慮するための方策につきまして、請求権者の範囲、これを被相続人の親族に限るという考え方につきましては、先ほど来の説明のとおり、その検討の過程におきまして、さまざまな意見があった中で、大方の賛同を得ることができる案として取りまとめられたものであるということで、現時点におきましては最も適切なものであるというふうに考えているところでございます。 ただ、委員の御指摘のように、さまざま社会が変化していくということもございます。この点を含めました家族の法制のあり方につきましては、今後の社会情勢の変化もあるということで、改正法の施行後の状況をも注視しながら、必要に応じて見直しの要否等につきまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○松田委員 ありがとうございます。ぜひ次の社会に向かって前向きな議論が進んでいくことを期待しておきたいと思います。 続きまして、質問を続けさせていただきます。 司法書士の懲戒制度について、何点かお聞きしたいと思います。 まず、司法書士法によると、司法書士に対する懲戒権者は、法務局又は地方法務局の長となっております。これに対して、司法書士の皆様からは、懲戒権者を法務大臣に変えてほしいとの声が出されております。 他の士業の懲戒権者は、税理士は財務大臣、弁理士は経済産業大臣、社会保険労務士は厚生労働大臣、公認会計士は内閣総理大臣と、それぞれ所管大臣となっております。 司法書士が地方法務局長となっているのは、どのような理由によるものでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 司法書士に対する懲戒権者が法務局又は地方法務局の長とされておりますのは、法務局及び地方法務局が登記に関する事務を所掌しておりますことから、登記手続の代理等を主たる業務といたします司法書士の懲戒事由の存否を十分に知り得る立場にあり、かつ、各司法書士会の会員である司法書士に対する指導及び連絡の権限を有します司法書士会との連携を十分に図り得る立場にあることによるものでございます。
○松田委員 司法書士の皆さんから、ぜひ法務大臣の方に懲戒権者を変えてほしいということの声が出ていることは、法務省の方でも御存じかと思われます。 このような声を受けて、法務省としてどのように対策をされているのでしょうか。お聞かせをいただければと思います。
○葉梨副大臣 委員御指摘のとおり、日本司法書士連合会及び日本書士政治連盟から、司法書士法一部改正要望として、懲戒権者を法務大臣にすることを求められていると承知しております。 現在、日本司法書士連合会と当省の担当部局で協議を重ねているところでございます。 この点については、その要望の趣旨を踏まえて、引き続き検討を進めていきたいと思っております。
○松田委員 ぜひ前向きに御検討いただけることを望みたいと思います。 次に、懲戒処分の戒告手続についてお尋ねします。 司法書士法では、戒告の際に、異議を申し立てる聴聞や弁明といった機会がございません。これに対し、弁護士、税理士、社会保険労務士などには、戒告の際に聴聞や弁明の機会が設けられています。これについても、司法書士の皆様から、聴聞や弁明といった異議申立ての機会を設けてほしいとの声が出されております。 法務省もお聞きになっていると思いますが、法務省として、この点はどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○葉梨副大臣 この点についても同様に、日司連及び政治連盟から、司法書士法一部改正要望として、懲戒処分のうち、戒告の際に異議を申し立てる機会を付与する等の手続保障の確立を求められていると承知しております。 日本司法書士連合会と、やはり当省の担当部局において現在協議を重ねているところでございます。 この点についても、その要望の趣旨を踏まえて、引き続き検討を進めていきたいと考えております。
○松田委員 ぜひ御検討を前向きに進めていただきたいと思います。 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、松平浩一君。
○松平委員 立憲民主党、松平浩一です。きょうはどうぞよろしくお願いします。 まず、本日は、企業経営の根幹にかかわる仕組み、コーポレートガバナンスについてお聞きしたいと思います。 グローバル化が進み、国際競争が激しくなる一方、日本は少子高齢化が進んで、労働生産人口が減っていく。このような中では、技術革新力、労働生産性を高めるというのは企業の最重要課題となっています。生産性を上げて、企業活動をより活性化し、法人税収入をふやし、働く人の賃金を上げる。そのためには、不祥事を減らすといった守りのガバナンスだけではなく、企業の統治力を上げ、長期的に収益を上げる攻めのガバナンス、これも重要となってくると思います。 政府は、現在、その攻めのガバナンス、この部分も含め、コーポレートガバナンスの改革というものを進めているところと思います。まず、このコーポレートガバナンス改革について、これまでどのような取組をなされておりましたでしょうか。お聞きしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 コーポレートガバナンスの強化を図るための法務省におけます近年の取組といたしましては、まずは、平成二十六年の会社法の改正がございます。これは、社外取締役の機能を積極的に活用すること等を内容とするものでございまして、その改正法は平成二十七年五月一日から施行されております。 具体的な改正点でございますけれども、監査役にかわりまして、社外取締役が過半数を占めます監査等委員会が監査等の機能を担う制度でございます監査等委員会設置会社制度を創設したこと、また、社外取締役等の要件として、親会社関係者、取締役等の近親者でないこと等を追加しまして要件を厳格化したこと、また、上場会社等が社外取締役を置かない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を定時株主総会で説明しなければならないものとしたことなどでございます。 さらに、現在でございますが、法制審議会の会社法制(企業統治等関係)部会におきまして、社外取締役を置くことの義務づけなど、コーポレートガバナンスに関するものも含めまして、会社法制のさらなる見直しについて調査審議がされているところでございます。 また、法務省といたしましては、コーポレートガバナンスの強化に関します関係省庁の会議等にも参加しております。 具体的には、例えば、平成二十七年の六月一日から上場企業に対して適用が開始されておりますコーポレートガバナンス・コードの策定に当たって設置されました有識者会議に幹事として参加したほか、上場企業全体のコーポレートガバナンスのさらなる充実に向けて、必要な施策を検討等しておりますフォローアップ会議にもオブザーバーとして参加しております。さらに、コーポレートガバナンス・コードの原則を実践するに当たって、各企業において検討することが有益と考えられる具体的な取組に関する事項を盛り込みましたCGSガイドラインの策定に向けて開催されました研究会にもオブザーバーとして参加しておりまして、そのフォローアップ等を行うために開催されております研究会にも同じくオブザーバーとして参加しております。
○松平委員 どうもありがとうございます。 コーポレートガバナンスにおいては、企業の頭脳そして組織を統率する中核である取締役会が実質的に機能しているかどうか、これが非常に重要であると思います。今、局長がおっしゃっておられました取締役会に関しての、企業統治部会での社外取締役の義務づけ、こちらについて、先月十四日、中間試案も出されていらっしゃいます。 現行法上、社外取締役を置いていない会社は、社外取締役を置くことが相当でない理由を定時総会で説明しなければならないというふうにされています。今のは、公開会社、有報提出会社の場合なんですけれども、逆に言えば、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明すれば、社外取締役を置かなくてもよいというふうになっています。 そもそも、社外取締役を置く意義とは何でしょうか。教えてください。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 取締役は、一般に、代表取締役を始めといたします業務執行者の選定、解職等につきまして、取締役会の決議における議決権を行使すること等を通じて、業務執行者を監督する機能を有しております。 社外取締役につきましては、業務執行者から独立した立場からその議決権を行使すること等を通じまして、業務執行者を適切に監督すること、あるいは、株式会社と業務執行者等との間の利益相反を監督することなどを期待することができるものでございます。 このように、社外取締役を置くことは、コーポレートガバナンスの質の向上が期待されるという意義があるものと考えております。
○松平委員 中間試案においては、法律上、社外取締役の設置を義務づけてしまう、そういった案も出てきております。 現在、東京証券取引所、これの上場会社の社外取締役の選任比率を見てみますと、もう既に非常に高くなっておりまして、平成二十九年度で九六・九%、一部上場の中では九九・六%にもなっています。そこまで高い現状からは、もう法律上義務づけることまでしなくていいのではないか、現状の規定で足りているのではないかというふうに思ったりもします。 そもそも、企業は企業ごとに戦略も違えば役会の構成も違う。そういった中で、役員が何人必要なのか、これは会社に応じてそれぞれのあり方でよいのではないかというふうにも思えたりもします。そう考えると、国が法律で義務づけることまで果たして必要なのかというふうに疑問に思います。この点に関して、いかがでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 上場会社等につきまして、会社法上、社外取締役を置くことを義務づけるか否かをめぐりましては、今、法制審議会の部会におきまして調査審議がされているところでございますが、積極及び消極双方の立場に意見が分かれております。 本年二月十四日に取りまとめられました中間試案におきましては、社外取締役を置くことを義務づけるものとする案と、これを義務づけず、現行の規律を見直さないものとする案の二案が並記された状況でございます。 社外取締役を置くことを義務づけるべきであるとする立場からは、国内外の投資家から経営陣に対する信頼性を確保するためには、ミニマムスタンダードとして社外取締役を少なくとも一人置くことを法律上義務づけることが必要であるという指摘等もされております。 他方で、社外取締役を置くことを義務づけるべきではないとする立場からは、先ほど委員からの御指摘もありましたとおり、もう既に、平成二十九年度には東京証券取引所の全上場会社の九六・九%、市場第一部の上場会社の九九・六%が社外取締役を選任しているという状況からすれば、更に進んで社外取締役を置くことを義務づける必要はないという指摘や、あるいは、適切なガバナンス体制は個々の会社が創意工夫をしながら構築していくことが原則であって、社外取締役を置かずに社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しているごく少数の株式会社についてまで社外取締役を置くことを一律に強制することは適切ではないという指摘等がされているところでございます。 この義務づけをするかどうかという点につきましては、現在実施中の中間試案に関するパブリックコメントの結果も踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○松平委員 社外取締役の意義については私も納得するところではありますけれども、今の社外取締役は、会社に関する情報というものが限定されていて、そして、プラス、責任限定契約というものを大抵結んでいて責任も免責されている。そういった状況で、果たして有効にガバナンスを担わせることができるのかという問題意識が非常にあります。 上場企業の社外取締役をやっていた人に聞いても、その多くの人が言っているのは、また、私自身も上場会社の社外取締役をやっていたので、その経験からも、やはり足りないのは情報だと思うんです。社内の情報、取引先の情報、業界のビジネス慣行ですとか、経営に必要な情報が他の社内役員に比べて圧倒的に不足している、そういうふうに思うんです。 皆さんよく御存じの例で、委員会設置会社を真っ先に導入した、コーポレートガバナンスの先進と言われた東芝で会計不正がありました。これは二〇一五年発覚のものなんですけれども、その会計不正があった後に、その後、十一人中七人を社外役員にした、こういう経営刷新をされています。それにもかかわらず、その後、七千億以上の巨額の減損を出す。この減損については東証から、開示基準に違反する、そういうふうな指摘もございました。この巨額損失につながった買収を承認したのが、この社外役員ばかりの経営陣だったわけでございます。 これからわかるのは、幾ら形だけ整えても意味がないということなんです。何人も社外役員がいなくても、一人の有能な経営者のトップダウンですばらしい会社、これは幾らでもあると思います。やはりガバナンスも、形だけではなく実質へと、それが大事なのではないかというふうに考えます。いかがでしょうか。
○上川国務大臣 現場で社外取締役としての大きな働きをしていらっしゃったというお立場での御質問ということでございます。また、貴重な御意見をいただきました。 監督の実効性を強化するためには、まさに、法制度としての形式を整えるだけではなく、その制度を実質的に機能させるということが重要であるというふうに認識をしております。 社外取締役による監督の実効性を高めるためには、期待される役割を適切に遂行することができる知見、また経験を兼ね備えた者を社外取締役に選任することや、また、社外取締役の機能が発揮しやすい環境を整備すること等の運用面の取組が重要であるものというふうに理解をしているところでございます。 そういった運用の改善のための施策につきましては、コーポレートガバナンスに関するガイドラインの策定等の取組を行っている関係省庁ともしっかり連携をして、検討してまいりたいというふうに考えております。
○松平委員 どうもありがとうございます。 運用の改善の施策という点、ぜひともしっかり推し進めていただきたいと思います。 先ほど、私、社内の役員に比べて社外役員は経営を決定するための情報というものが圧倒的に不足しているというふうに申し上げました。社内の方としては、外から何を言われてしまうか、そういうのがわからないので、なかなか社外の役員に情報を上げたがらない、その気持ちは非常によくわかって、仕方ないとは思うんですけれども、ただ、やはりそういう意識があるのではないかというふうに思います。 ですので、私からの提案としては、例えば、社外取締役から会社に対して必要な情報を請求できる、そういう権利を法律上明示してしまうというのはどうかというふうに思うんです。 それで、必要な情報の請求もしないでいいかげんに、まあいいかげんと言ったら申しわけないんですけれども、社内に迎合している社外役員については責任の免責の特権を与えないとか、そういうことをすることによって社外取締役に緊張感を与えて、情報不足のままいいかげんなことをするという社外取締役を減らすこともできると思うんです。 また、情報請求したにかかわらず、この請求に対して会社が対応しない場合、社外取締役は辞任しなければならない、そういうふうにします。会社も、いい取締役に辞任されたくなかったら、辞任されたらまた新しい社外取締役を探さなきゃならなくなりますので、会社も頑張って情報を出すようになるんじゃないかというふうに思うんです。 こういう、今のは例なんですけれども、実質的なガバナンスができる制度をつくっていく。いかがでございましょうか。
○上川国務大臣 ただいま委員から、社外取締役による監督の質の向上という観点から御提言をいただきました。 会社法制の見直しにつきましては、さまざまな多様な意見があるものと承知をしております。今後、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会におきまして、パブリックコメントの結果も踏まえまして、多様な見地から充実した調査審議が行われることを期待しているものでございます。
○松平委員 どうもありがとうございます。 今、社外取締役の件に関して御意見を申し上げさせていただいたんですけれども、あと、コーポレートガバナンスで重要なこと、もう一つは、組織の目指す理念、目標という部分です。それを示して、それに向かって組織の意識、組織の意思を統一していく、これも重要だと思うんです。 会社の基本的事項というのは、会社定款に書かれるものです。しかしながら、会社法上、会社の定款には、企業の理念であるとか目的であるとか、そういった事項を記載する場所というのはないんです。 定款には、事業目的の記載というのはあるんです。ただ、事業目的というのは、会社がどういった業務を行うのか、そういう具体的な事業内容を書いていくものなんです。実は、大抵の会社は、いつでも自分の会社の業務を拡大できるように、事業目的は結構多目に書いていたりするんですね。だから、変な話、余り意味がないような状況になっています。 そこで、会社の理念をきちんと定款に書かせることで、ガバナンス意識を内外に明確にできたらいいんじゃないかなというふうに思うんです。 例えば、例を挙げます。エーザイさん、定款でこう書いていらっしゃいます。「本会社は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念と定め、この企業理念のもとヒューマン・ヘルスケア企業をめざす。」もう一つ、「本会社の使命は、患者様満足の増大であり、その結果として売上、利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考える。」と。これは読むだけで、この会社はそういう会社なんだと非常にわかりやすいんです。 それからもう一つ、済みません、例を挙げさせていただきますと、クックパッドさんですね。これはちょっと先取りになっちゃいますけれども、次の定時総会で付議にかけるという定款変更の内容があるんですけれども、これは何かというと、定款にミッションの欄を設けて、内容は、「当会社は、「毎日の料理を楽しみにする」ために存在し、これをミッションとする。」「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する。」と。この会社がどういう会社か、どういったことを考えて目標にしていっているのか、非常によくわかります。 そこで、その理念、今言った目的といった事項を例えば定款の必要的記載事項にしてしまう、こういったことが足元にあるガバナンス改革、これの改善になっていく、非常に重要な要素となっていく、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 ただいま委員から、二社の事例を含めて御提案がございましたような、コーポレートガバナンスの質の向上の観点からの会社法制の見直しということでございましたが、さまざまな多様な意見があるものというふうに思っております。 法制審議会会社法制部会におきましては、パブリックコメントの結果も踏まえまして、コーポレートガバナンスに関する規律の見直しの要否等につきまして、多様な見地から充実した調査審議が行えることを期待しております。
○松平委員 ぜひよろしくお願いいたします。 あと一点、中間試案を拝見していますと、自社株を対価とする買収、こちら、中間試案においては株式交付と呼んでいらっしゃるようなんですけれども、その検討もなされていらっしゃいます。私、これについては大賛成なんです。 今まで、完全子会社化する場合として株式交換という手段がありましたけれども、この株式交換だと、検査役の調査が不要であったり、取締役が財産価額の填補責任を負わない、そういうことがあったんですけれども、完全子会社としない自社株を対価とする買収であると、これは法的には現物出資になってしまう。そうなると、検査役調査や財産価額の填補責任を負ってしまう。これはやはりちょっと不均衡だな、株式交換の場合と比べて不均衡だなと思っておりましたので、今回の中間試案の案、ぜひとも進めていただきたいなというふうに思っております。 御存じのとおり、コーポレートガバナンス・コードにおいてもROE経営が推薦されております。それに基づいて、自社株買いをする企業はかなりふえている現状にあります。分母が減るわけですから、自社株を買うわけですよね。 そういった中、自社株を使った組織再編というものが容易にできるようになれば、MアンドAも大いにふえて、企業の合理化や国際競争力のある企業がふえて、経済も活性化していくもの、そういうふうに期待しているんです。 ただ一方で、そのように整備されて、会社法上できるような制度が整っていたとしても、自社株の交付の場面において株式譲渡課税がなされてしまうと、交付された株主にとっては、納税資金の確保というものが必要になってくるので、やはり買収が進まない、せっかく制度が整ったのに実効性がなくなってしまう、そういった問題もあるんです。 したがって、株式交換の場合の適格株式交換、この場合は譲渡課税の繰延べがされるんですけれども、これの場合と同じように、今回の株式交付の場合も、ぜひとも課税の繰延べの措置、あわせて御検討いただきたいな、省庁間でその部分について御連携いただきたいな、そういうふうに思っております。 この点、御所見、お伺いできればと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員からの御指摘がございましたような観点から、現在、法制審議会の会社法制(企業統治等)部会におきましては、株式交付制度というものにつきまして議論がされているところでございます。 この議論におきましては、主として、会社法制上、このような株式交付制度を許容してよいかどうか、あるいはこれを許容する場合の制度のあり方について調査審議が行われているところでございます。 具体的な検討の内容でございますけれども、例えば中間試案におきましては、株式交付制度につきまして、ほかの株式会社を新たに子会社とする場合にのみ利用することができるという考え方が提起されておりますけれども、これまでの部会での議論におきましては、そのような場合に限らず、子会社の株式を買い増す場合にも利用することができるものとしてはどうかという意見も出されているところでございます。 また、中間試案に掲げられております考え方では、株式交付の実施のために株式交付子会社における株主総会の決議までは要しないこととしておりますけれども、これまでの部会での議論におきましては、株式交付子会社の株主の保護の観点から、株主総会の決議を要するものとすることについても検討してはどうかという意見も出されたところでございます。 株式交付制度を創設する場合には、委員御指摘のとおり、次の課題として、税制上の取扱いをどうするかということが問題となるということは認識しておりますけれども、法務省といたしましては、まずは、ただいま申し上げましたような会社法制上の観点からの株式交付制度の創設の是非について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○松平委員 ありがとうございます。 せっかくですので、実際の実効性の部分、課税の部分についても、できればしっかり御議論いただければなというふうに思います。ぜひ、政府においては、中長期的な視野に立って、企業価値向上に向けた取組を進めていただきたいというふうに思っております。 さて、次、所有者不明土地問題についてお聞きしたいと思います。 近年、いわゆる所有者不明土地というものが問題になっています。所有者不明土地というのは、不動産登記簿などで所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかないので所有者を特定することは困難な土地、それを指すものというふうに理解しておりますけれども、これはどういった点で問題なんでしょうか。教えていただければと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 いわゆる所有者不明土地問題でございますけれども、この問題は、公共事業の用地取得あるいは農地の集約化、森林の適正な管理等を始めといたしまして、さまざまな分野で問題となっているものと認識しております。
○松平委員 さまざまな分野で問題になっているということなんですけれども、一般社団法人国土計画協会というものがございまして、こちらの所有者不明土地問題研究会の報告によると、所有者不明土地の面積は、平成二十八年度で四百十万ヘクタールあると。これは九州の土地面積と同水準に上る、そのぐらいの大きさであるとされています。さらに今後、二〇四〇年までに所有者不明土地が新たに約三百十万ヘクタール誕生するというふうに言われています。 この問題に関して、どんどんふえていくということに関して、法務省としてどのように対応されようとしていらっしゃるのでしょうか。今後の取組としてはいかがでしょうか。お聞きできればと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 所有者不明土地問題の要因の一つといたしまして、相続登記が未了のまま放置されていることが指摘されております。そこで、法務省におきましては、この問題の拡大を防ぐために、相続登記の促進に取り組んでいるところでございます。 具体的に申しますと、今後の相続未登記の発生を可能な限り防止するための取組といたしまして、市町村の窓口におきまして、相続登記の促進のための広報用リーフレットを配布することを依頼しております。多くの市町村に御協力をいただいております。 また、このほか、平成二十九年五月から、相続人の相続手続の負担を軽減して相続登記の促進を図るために、法定相続情報証明制度を開始しております。現在までに多くの方に御利用いただいているところでございます。 また、既に発生しております所有者不明土地問題への対応といたしまして、国土交通省と一体となってこの通常国会に提出した法案におきまして、登記官が、長期間相続登記がされていない土地について、その旨を登記簿に記録するとともに、相続人等の所有権の登記名義人となり得る者に対して登記手続を直接的に促す不動産登記法の特例を設けるほか、所有者不明土地の適正な管理のために必要な場合について、地方公共団体の長等に不在者財産管理人等の選任申立て権を付与する民法の特例を設けることとしております。 そのほか、平成三十年の税制改正要望におきまして、既に発生している相続とこれから発生する相続のそれぞれに対応するために、一定の要件を満たす土地につきまして、相続登記に関する登録免許税の免除措置を設けるように要望して、税制改正大綱で閣議決定がされるなどしております。 さらに、抜本的な解決をというために、相続登記の義務化の是非や土地所有権の放棄の可否等の、登記制度、土地所有権のあり方等について、平成三十年度中の法制審議会への諮問を目指して、現在研究会におきまして検討を進めているところでございます。
○松平委員 最後に抜本的な改革ということをおっしゃっていただいたんですけれども、私もこれは非常に大事だと思っていまして、この二点、登記の義務化と所有権放棄の議論、これをぜひとも検討していただきたいなというふうに思っています。 まず、登記の義務化については、義務となると、義務を破った場合は過料によると。その過料による強制力はどの程度実効的なのか。お金を払って終わりになるんじゃないか、そういう疑問もあることはあるんですけれども、まずはルールとして明確化するということが意義があるものというふうには思っています。 ただ、そうはいっても、問題の多くは、相続人は特定はできるけれどもその人と連絡がとれない、そういう場合であって、連絡がとれないのに義務化してもどういう意味があるのかという疑問も出てくるんですけれども、やはり、そこの部分も含めてしっかりと御検討いただきたいなというふうに思っております。 もう一点、所有権放棄についてです。 民法においては、不動産、動産に関しても、所有権放棄ができるということを明文で規定した条項はないというふうに理解しています。したがって、不動産について、所有権を放棄することができるかどうかというものは解釈に委ねられているのではないかというふうに考えています。 ここで、過去の登記に関する民事局の回答を拝見しますと、不動産の所有権放棄はできない、これを原因とする登記もできないという昭和四十一年八月二十七日民事甲一九五三号民事局長回答、そういうものがあって、不動産所有権放棄はできないと回答されている件も拝見したんですけれども、このように、所有権放棄はできないというのが法務省の解釈なのでしょうか。いかがでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 ただいま御指摘されましたように、土地の所有権の放棄に関しましては、昭和四十一年の八月二十七日付の民事局長回答というものがございます。 この回答の事案でございますけれども、崩壊寸前にあります崖地につきまして、危険を防止するための工事費用を負担することができない、こういったことなどを理由として、その所有権を放棄することができるかどうかというようなものでございました。 それに対する回答は、所問の場合は、所有権の放棄はできないというものでございますけれども、この回答は、個別事案の照会に対する回答でございますので、土地の所有権の放棄の可否について一般的な回答をしたものではございません。
○松平委員 今の御回答は、個別事案としての回答であるので、法務省として一般的に土地所有権を放棄できるかどうかについて見解を述べたものではないということと理解しました。(発言する者あり)ええ、そうですね。 一般的にはどうなるのかということなんですけれども、ちょっと私の意見を述べさせていただきますと、そもそも、土地を放棄したいというふうに思っている人が、土地を有効に活用するわけがないのではないかというふうに思うんです。やはり、無理やり土地を持たすのではなくて、放棄を認めてあげて、国が管理するようにしたらいいのではないかというふうに思います。 土地というのが国にとって存立の基礎となる重要な財産である、そのことを考えると、やはり国土を保全し、土地の有効利用を図るべき責任というものが国にあるというふうに思います。 ただ、だからといって土地の所有権放棄を認めてしまうと、土地を例えば汚染してしまったので、放棄して国に責任を押しつけようというふうな人も出てくるかもしれない。ただ、そのような場合でも、責任の押しつけのような場合は、例えば、過去の判例を見ると、権利濫用でそのような放棄は無効である、つまり放棄できないと述べた裁判例もあるようですし、仮に放棄できるとしても、もとの、例えば汚染をした所有者に損害賠償の責任追及をするということも可能であるというふうにも思います。 もちろん、放棄できる条件を設定して、この条件に合う場合に放棄可能とする、そういう事前のチェック型、そういう形での放棄を認めることも考えられるというふうに思います。 そういう意味では、この所有権放棄について、また放棄できる手続について、これはきちっと法制化して定めるべきだというふうに思うんですけれども、法務大臣からもお考えをお聞かせいただければと思います。
○上川国務大臣 所有者不明土地の発生予防という観点から、委員御指摘のように、土地所有権の放棄を可能とする制度を導入すべきとの御意見ということでございます。 この御意見等あるということを踏まえまして、法務省としても、現在、登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会におきまして、土地所有権の放棄の可否等を鋭意検討しているところでございます。 法律上、土地所有権の放棄を認めることにつきましては、その要件、放棄された土地の帰属先のあり方など、検討すべき課題も多くあるということでございますが、先ほどもさまざまな提案もいただいたところでございます、引き続き、関係省庁連携をして、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
○松平委員 ぜひとも、御検討のほどよろしくお願いいたします。 それから、所有者不明土地をこれ以上ふやさないという観点からの対応についてお聞きしたいと思います。 日本においては、不動産登記簿であるとか固定資産台帳であるとか、台帳は各種さまざまあります。ただ、それが一元化されていないというふうに理解しています。 そこで、例えばこういった各種台帳をマイナンバーによって個人にひもづけてしまう。それで、不動産登記簿に、マイナンバーであったり、又は住民票コードでもいいんですけれども、これを登録する制度にする。そうして、ある一つの土地がありましたら、その土地の所有状況や利用の状態、こういったものを簡単に把握できるプラットホームをつくるということも考えられるというふうに思うんです。 今のは一例ではあるんですけれども、そういった形での、土地所有者の情報というものを把握するための情報連携について、法務省としてどのような対応を考えているのか、その対応についてお聞かせ願えればと思います。
○上川国務大臣 所有者不明土地問題の解決のためには、土地所有者情報を円滑に把握する仕組みの構築ということは大変重要な課題の一つであるというふうに認識しているところでございます。 法務省といたしましては、不動産登記、そして戸籍等の制度を所管している立場でございます。総務省、また農林水産省等関係省庁と連携をいたしまして、この課題につきましてしっかりと取り組んでまいります。
○松平委員 そうですね。やはり各省庁、縦割りではなく連携してやっていくということが大事なのではないかというふうに思います。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。 この点に関しては、政府も、IT戦略本部などで電子行政又は電子政府の推進というものを掲げて取り組んでいらっしゃるところであると思います。 行政の合理化や効率化による行政コストの低減のためには、こういった情報管理の一元化、それが重要であるのではないかというふうに思います。 所有者不明土地の問題による経済損失は非常に大きいものがあります。所有者不明土地問題研究会座長の増田教授の行った調査によりますと、二〇一六年は約千八百億円、二〇一七年から二〇四〇年まで累積すると約六兆円の経済損失に及ぶことが見込まれる、そういった、一つの試算ではありますけれども、あるということになります。 所有者不明土地の問題、これ以上大きくしないために、また国土の有効活用の観点から、ぜひとも積極的な議論を求めたいと思います。 最後に、この所有者不明土地の問題について、大臣からひとつ決意というものをお聞かせ願えればと思うんですが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 ただいま委員から一連の御質問をいただきました所有者不明土地問題につきましては、これから将来に向けまして高齢化が進展していく時代でございます、ますます重要度は高まるというふうに思っております。しっかりとさまざまな施策を、関係省庁と連携をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
○松平委員 大臣、ありがとうございました。ぜひともしっかりと推し進めていただきたいと思います。 これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○平口委員長 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。 幸か不幸か、私も所有者不明土地の質問を聞く予定になっております。既にもう菅家先生や松平先生からの質問がありますので、重複をしない範囲で質問させていただきたいと思います。 その前に、相続登記の問題という中で、名づけの観点から、先ほど國重先生から大変すばらしい質問がございました。聞いているときに私思ったのは、夫と妻が同姓同名であるとすると、不動産を持っているときの不動産登記簿謄本はどうなってしまうんだろう。 御存じのように、不動産登記簿謄本は住所と名前しか記載がされておりませんので、これが夫の所有なのか妻の所有であるのかというのが大変わかりづらい。また、マイホームを取得するときには共有持分で取得することがあるわけでございますが、甲野アオイ五分の二、甲野アオイ五分の三、わけがわからないというようなそんなこともあるでしょうし、また、強制執行をしたときに、夫のものと思って執行したら実は妻のものであったという、第三者異議が出されるというようなこともありまして、これはもう家庭内だけの問題ではなくて、社会的な混乱を招くことが将来十分予想できるというような観点からも、検討をしていただきたいと思います。 それでは、私の所有者不明を、重複をしない程度にお聞きをしたいと思いますが、その前に、先ほど所有権放棄のことがありました。リゾートマンションなどは、共益費の負担をしたくないということで、今やお金を払ってでも売り主が買い主に買ってもらう、そんなような時代でございます。そういう点からすると、所有権放棄をするとリゾートマンションの共益費を国が負担しなければいけない、そんなような問題も恐らく出てくるのではないかと思いますので、そういったようなことの法整備なども含めて検討していただければと思います。 それではまず、所有者不明土地について、最も法務省が乗り出すことになった何らかの経緯、契機などがありましたでしょうか、御説明をいただければと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 所有者不明土地問題は、現在、政府全体として取り組むべき非常に大きい課題の一つでございます。 この所有者不明土地の問題でございますけれども、東日本大震災の被災地の復興事業におきまして、所有者不明土地等の存在によって円滑に用地取得が進まない案件が多数存在しまして、それに対する対応が喫緊の課題となったこと、こういったことを契機として広く知られるようになったものと承知しております。
○串田委員 これに対する対策というのは、お二人の先生からも御質問がありました。登記を促すものを死亡届の窓口に置くとか、あるいは法定相続情報証明制度、これも本当に、実務では、これまで山ほどもある戸籍謄本を毎回毎回用意しなければいけなかったところが一枚の紙で済むというのは、本当に便利になると思います。また、登録免許税の免除だとか財産管理制度、こういったようなことも法務省の方で進めていただいているということは、私は本当にすばらしいことだと思います。 今、日本の国土がアリの穴のようにぼこぼこぼこぼこ、所有者がわからないというところで、道路もつくれない、そして、先ほどのような、被災地があった場合に高台移転もできない、そんなようなこともあるので、これは本当に喫緊の課題だと思いますが、その土地の一つの問題の中に共有私道の問題があるかと思うんですけれども、これについてはどのような対策が考えられているでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 複数の者が共有しております私道につきまして、必要なライフラインの工事ですとか、あるいはその私道の整備工事を行う場合に事実上共有者全員の同意を得る、こういう運用がされておりまして、共有者の所在を把握することが困難な事案におきましては工事の実施に支障が出ている、こういった指摘がございます。 こうした指摘を踏まえまして、法務省では、民法等におきまして同意を得ることが求められる者の範囲を明確化するために、関係省庁の協力もいただきまして、昨年八月に共有私道の保存・管理等に関する事例研究会を設置いたしました。この研究会でございますが、検討の結果、本年一月に報告書を取りまとめております。 この報告書におきましては、共有私道の工事におきます適用法令の関係を明らかにするとともに、例えば、公共下水管を共有私道に新設する事例については、共有者の持分に応じた過半数の同意で足りるとするなど、工事に当たっての対処方法を明確にしているものでございます。 法務省におきましては、この報告書をホームページで公表するとともに、共有私道の整備を行います公共団体等の関係者に広く参照していただけるように、さまざまな関係機関の協力を得て、現在、この周知を進めているところでございます。 この報告書が関係者の対応の参考とされまして、ライフライン工事ですとか私道の整備工事の円滑化に資することを期待しているものでございます。
○串田委員 これは後ほどちょっと質問したいと思っているんですけれども、そういう意味では、本来、地下を何らかの工事をするという場合というのは、基本的に管理行為ということで、民法的に過半数でよかったのかなというふうに思っているんですけれども、それを処分ということで全員同意に全部してしまっていた実務的な扱い方というのはちょっと無理があるのかなとは思いつつ、そのガイドラインをつくることによってやはり全員同意であるというようなものもあるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 幾つかの事例につきまして、それぞれの事例ごとにどのような範囲の者の同意を得ることが必要かということを考えております。 したがいまして、例えば現状を変更する処分に当たるような、そういった具体的なケースにつきましては、やはり全員の同意が必要だというようなケースもございます。
○串田委員 被災地を契機としてこういった法案がつくられていく中で、下水道というようなライフラインの工事に関しまして、これを変更というふうに安易にしてしまうと、一人でも見つからないと下水道工事もできなくなってしまうんですね。だから、そこら辺の部分でかなり、ガイドラインをつくるに当たっても、これは処分といっても売ってしまうというわけではないわけですから、ちょっとそこら辺の部分のガイドラインというものを十分にこれからも考えていただきたいと思います。 また、国交省において公共事業に関する何らかの改正というものがあるかと聞いておりますけれども、御説明をいただきたいと思います。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。 所有者不明土地につきましては、公共事業の用地を取得する場合などさまざまな場面で、所有者の探索に膨大な時間と費用、労力を求められるという問題に直面しております。 このため、国土交通省といたしましては、三月九日に閣議決定し国会に提出いたしました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案、こういった法案を出させていただいておりますが、この中で、公共事業のために土地を収用する場合の手続の合理化、また、公園や広場など地域住民のための公共的事業に一定期間の利用権の設定を可能とする制度の創設、さらに、所有者の探索を合理化する仕組みの構築、こういったことを盛り込んだ法案を提出しているところでございます。
○串田委員 所有者不明の土地という言い方をしているんですけれども、実際は、実は余り正確ではなくて、所有者は恐らく戸籍をたどっていけば大体必ず見つかるんじゃないかなと思っているんですね。民間の算定とかいろいろなことで二割が所有者不明ということでありますけれども、要するに、これは探索していくのが非常に困難ということなのかなと。逆に言えば、本当に調べれば〇・何%というようなことのデータも出ているわけでございます。 このような国交省のいろいろな、今までの扱いとは異なる状況に判断をされる不明というものの段階、ずっと追っかけていけば必ずほとんどが私は判明するんじゃないかなと思うんですよ、わからないところもあるかとは思うんですけれども。そういうことをずっとたどっていくのが大変な状況のときに初めて不明という言い方をするんでしょう。 だから、本来は困難なところだと思うんですが、この境目というのは何かガイドラインというのはつくっているんでしょうか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。 確かに、委員御指摘のとおり、大体二割といいますのは、登記簿を確認しただけでは所有者がわからない土地が大体二割と言われています。 これは一例でございますが、私ども国土交通省が地籍調査をやったときの平成二十八年度のデータでございますが、登記簿を見てそちらに連絡をしても連絡がとれないのが二割でございますが、ただ、その後、自治体の職員の方とかがいろいろ八方手を尽くして探し出しますと、先ほどおっしゃいましたように、〇・四一%まで減らすことができるということでございます。 ただ、この〇・四一%に減らすまでに、その自治体の職員の方が非常にいろいろなところに出張をしたりとか地域の方に聞いて回ってということで多大なコストがかかりますので、今回の法律におきましては、先ほど一言で済ましてしまいましたけれども、探索の合理化ということを行います。 具体的には、住民票ですとか、あと戸籍ですとか、そういう公的な書類について今回の法律でしっかりとアクセスできるようにいたしまして、一方で、そういう書類をチェックしたら、無駄にとにかく足を運ぶというようなことは簡素化できるというように探索の合理化をして、それで、その〇・数%まで減らした上でこういう事業をできるようにと、そういったことを考えているところでございます。
○串田委員 私きょう手に入れたものですので、ちょっと通告はないんですが、農水省の方でも、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案の中で、不明農地に関する改正案というものを提出することになっているようなんですが、この点については御存じなのかどうか。 ちょっと通告はないので、どなたに答えていただけるかわかりませんけれども、お願いしたいと思います。
○北村政府参考人 失礼いたします。 ちょっと他省庁のお話ですので詳細はあれでございますけれども、今回、所有者不明土地につきましては政府を挙げて取組をするということで、農地につきましても、例えば、現に利用されている方が農地の利用をしたいという場合には、ほかの共有者の方が不明な場合であっても農地利用が進むような、そういう一定の施策を講じられるというふうに農水省から伺っているところでございます。
○串田委員 ちょっとその点を質問させていただきましたのは、法務省あるいは国交省が考えている改善策というのは、基本的には、民法の基本的な考え方に立脚しているんだと思うんですよ。最終的には登記をしていく、相続登記を促していく、しかし最終的に誰であるのかということを突き詰めるという制度の中に立脚しているんですが、農水省の改正案というのは大変画期的でして、不在者の方の同意を得たとみなすことができる制度にしているんですね。要は、見つけなくてもみなすという制度で、これは民法の考え方を一つ飛び越えていくというようなことだと思うんです。 恐らく、最後まで探そうと思うと本当に大変なわけでございまして、それをみなすということに一歩踏み出す農水省の考え方というのは、これはまた非常に画期的だなと思うとともに、農地というのは農地転用という形で宅地化していくということもあるわけでございますので、ここの法律を民法に立脚したままにしておくのか、農地のようにみなすという規定を置くのか、これはかなり大きなギャップを、縦割りというか、そういうような状況のままでいいのかどうかという議論は、いかがなものなんでしょうか。 その点についての検討とか、それを合わせていくというようなお考えはありませんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 ちょっと農地の関係は他省庁の所管でございますけれども、恐らく、農地につきましては、基本的にこれは農地として利用していく、そういったような土地の性格といったものがやはり一つポイントになっているのかなというふうに思っております。 したがいまして、今後、この所有者不明土地の問題について、民法の立場から土地所有権のあり方をどう考えていくのかということにつきましても、そういった土地の所有、土地というものをどう使うべきなのかというようなことも踏まえて、その土地所有権のあり方というものを考えていく必要があるのではないかなというふうに考えております。
○串田委員 先ほど、政策の中で、財産管理制度ということで、不明者に関して財産管理を行う人を設けると。これまた一つちょっと農地に近いのかなというふうなことも考えられるんですが、財産管理制度というものをもう少しちょっと詳しく説明いただけないでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 民法におきましては、不在者の財産あるいは相続財産の管理人の選任の制度がございます。民法におきましては、この不在者の財産あるいは相続財産の管理人の選任等の請求は、利害関係人又は検察官がすることとされております。 しかしながら、例えば不法投棄や雑草が生い茂っているといったような、所有者不明土地が周辺に悪影響を与えている場合など、所有者不明土地の管理の必要が高い場合がございます。 今回、先ほどお話ありました所有者不明土地の円滑化等に関する特別措置法案におきましては、こういった所有者不明土地の適切な管理のために特に必要があると認める場合には、地方公共団体の長にもこういった不在者の財産あるいは相続財産の管理人の選任等の請求を行うことができることとする、こういう特例を設けることとしております。
○串田委員 実際、この問題は、では所有者がわかったら解決していくのかというと、私はちょっと疑問があるんですね。 例えば、一千万円ぐらいの土地というのは地方にもいっぱいあると思うんです。この土地を相続して、一代目の相続であれば三、四人ということで非常に少ないんでしょうけれども、これが二代、三代と、そのままおじいちゃん、その前の先代の名義のままにしていくということになると、相続人が二十人ぐらいになってしまうわけですね、もうこれはあっという間になるわけです。 一千万円の土地に対して二十人の相続人がいる場合に、その一人がこれを解決しようという場合に得られる財産的価値は五十万円ということになるわけですね。その一人が十九人の戸籍を全部調べていく。そして、何らかの手続をしていかなきゃいけないですから、家庭裁判所の審判の申立てをするにしても、その相手方の住所を調べなきゃいけない。それが、住民票で送ったところが届かなければ、今度は調査をして公示送達もしていかなきゃいけない。そして初めて裁判が始まる。そして、その中で分割ということができたら、これは強制執行もまたやっていかなきゃいけない。五十万円を確保するためにそれだけのことをやったら、これは完全に持ち出しになっていくわけですよね。 ですから、相続の不明土地というのは、名義人を見つけるのが大変という部分というのはもちろんあると思うんですよ、ただし、それが見つかったからといって、ではその人たちのうち誰かが解決をし始めるかというと、非常に僕は疑問があるんだと思うんです。 ですから、例えばこういう場合には、強制執行、何らかの競売にかける、そしてそれを被相続人名義で供託をする、法務局に対して相続権を証明できた人はその供託金の中から相続分の五十万円を受け取る、そういうような解決を考えていかないと日本全国穴だらけになってしまうんじゃないかな、そんなふうに思うんですけれども、最後に上川大臣のこの所有者不明の土地問題についての所感をお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 相続時に登記がされないなどの原因で発生する所有者不明土地につきましては、今後、高齢化や人口減少が進むとともに相続が繰り返される中で更に拡大していくことが想定され、所有者不明土地の発生の抑制また解消に向けまして政府一体となって取り組むことが重要であると考えております。 法務省では、この問題の抜本的解決に向けまして、登記制度、土地所有権のあり方等につきまして、現在、研究会において鋭意検討を進めているところでございます。 引き続き、関係省庁しっかり連携して、この問題の取組に当たってまいりたいというふうに思っております。
○串田委員 法務省におきましてこの問題へ取り組み始めたということは本当に画期的であるし、すばらしいことだと思います。今回の委員会で三人が質問したということは、それだけ重要な問題だという認識を持っていると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○平口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十三分散会