国土交通委員会 第16号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2018/05/22
会議録
○西村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として、早稲田大学大学院法務研究科教授山野目章夫君及び公共事業改革市民会議代表橋本良仁君、以上二名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、山野目参考人、橋本参考人の順で、それぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、まず山野目参考人にお願いいたします。
○山野目参考人 おはようございます。 本日は意見陳述の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。早稲田大学の山野目と申します。勤務する大学におきまして法科大学院の教育研究に携わっており、また、国土交通大臣の諮問機関である国土審議会の中に設けられております土地政策分科会の分科会長を務めております。 このたび審議されております所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を政府が準備するに当たりましては、この分科会の中に設けられた特別部会の調査審議が行われ、これに参画いたしました。この経験に基づき、本日はこの法律案について所見を申し述べます。 所有者又は所有者の所在が不明であるという事象がもたらす諸問題への対処ということが、時局的な重みを持って解決が要請されており、各方面の関心を呼んでいることは改めて申すまでもございません。 そこで、この課題につきまして、先ほど申し上げました国土審議会の特別部会の調査審議が昨年秋に始められ、十二月に中間取りまとめを得るところまで参りました。その成果が、本日御審議をお願いしている法律案でございます。 改めて確認をいたしますと、所有者又はその所在がわからないという事態は、所有者がいないというものではありません。どこかに所有者がおりますが、それがわからないということでございますから、わからないところを明らかにすることにより解消することが求められます。 今般法律案も、二条におきまして、「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」を所有者不明土地と定義し、探索という契機が強調されます。この定義は、あわせて、所有者の全部がわからない場合のほか、その一部がわからない場合を視野に含めることを明らかにしております。 もっとも、所有者の探索は常に成功するとは限りません。そこで、ひとまず探索をおいて、その土地を利活用することが強く望まれる場面もあります。それを可能とする施策もまた、今般の法律案には盛り込まれてございます。 まず、所有者を探索するという課題の方からまいりますと、その探索に用いるツールとしては、農地や森林については台帳を整備する仕組みが整えられており、それらの土地をめぐる施策の展開に役立てられております。そして、より一般的に土地の所有関係に関する公的な記録に任ずるものが、申すまでもなく、不動産登記簿にほかなりません。ここに、不動産登記制度が、所有者所在不明土地問題を解決するに当たっての焦点として位置づけられる契機が見出されます。 少なくとも現在の制度において、権利に関する登記は、関係する当事者が申請することを端緒として行われます。そこで、登記簿が土地の所有関係を的確に反映する状態を保っていくためには、国民に対し所要の登記申請を求めていくという施策が要請されます。 今般の法律案の四十条におきましても、長期相続等未了土地についての登記官の権限として、収用適格事業の準備などのため所有者を探索する必要がある土地について、所有権の登記名義人が死亡した後の長期にわたり所有権の登記がされていない場合において、職権で、長期相続登記等未了土地である旨を土地の登記に記録することができるとする仕組みが提案されております。 そして、登記官は、所有者を探索する必要がある土地について、必要な限度で、市町村長などに対し情報の提供を求めることができるとされ、例えば、固定資産税に係る情報の適法な活用に道が開かれます。 その上で、登記官は、こうした土地に係る所有権の登記名義人の相続人などに対し、必要な登記手続を勧告することができるということも考えられてございます。 なお、登記申請の励行を国民に求めるからには、それを容易にする方策も用意されなければなりません。その点は、今般の法律案というよりも、それを待たずに、不動産登記制度の運用でも対処が可能な事項がございます。実際、相続の登記に関して、制度を運用する法務省が、二〇一六年以降、急ピッチで手続の合理化を進めるための行政解釈の発出を重ねているところでございます。 翻って、今般の法律案には、初めにお話し申し上げましたとおり、あと一つの大きな政策課題への対処が盛り込まれてございます。すなわち、どうしても所有者又はその所在がわからない場合において、公共の見地からその土地を使用することが望まれる場合があります。それを可能とするためには、土地の所有権を移転させる仕組みと、所有権の変動を伴わないものとしつつ土地の使用を認める制度とが考えられます。 今般の法律案が提案する既存の制度の見直しとしては、いわゆる不明裁決の制度の改革があります。三十二条及び三十四条において、都道府県知事の裁定で収用をすることとし、それをもって収用委員会による裁決手続とその前提としての審理手続にかえるという構想でございます。この法制上の措置とあわせ、所有者の探索を合理化する運用改善も望まれます。 また、今般の法律案が提案する新しい制度が、地域福利増進事業でございます。地域福利増進事業とは、二条三項において、地域住民などの共同の福祉又は利便の増進を図るために行われる事業であって、法律が定める種類のものをいうとされます。具体的には、道路、学校、公民館、図書館、社会福祉施設、病院、公園、緑地、広場、運動場や災害復興のための住宅や施設などとしての使用が考えられます。こうした使用のため、十条及び十三条が定めるところに従い、都道府県知事の裁定により所有者が不明である土地を使用することを認めるものです。同条三項により十年以下の期間を定めるものとされ、この期間は、十九条により延長が認められる可能性がございます。 このほか、議題とされております法律案においては、不在者の財産管理などにつきまして、その手続の開始を国の機関や地方公共団体の長が申し立てることができる特例なども盛り込まれてございます。 このような内容の法律案であり、お認めいただくことがかないますれば、所有者所在不明土地問題について初めて講じられる体系的な法制上の措置となります。 その上で、今後の課題ということについても考えるところがございます。 まず、所有者やその所在がわからない土地が生ずるに当たっては、相続とは別な原因が登記上の困難をもたらしている局面もございます。一つの例を挙げますと、表題部所有者が誰ほか十九名などと記録されている土地は、どのようにして所有権の保存の登記を実現することができるでしょうか。このような変則的な登記の解消を組織的に促進する体制が整備されなければなりません。従来の行政解釈の見直しのみならず、必要であるならば、その裏づけとなる法制上、予算上の措置も講じられるべきでありましょう。 また、地図整備も重要であります。国土調査法に基づく地籍調査は、少なくとも従来の運用において、直接には所有者を明らかにすることを目的とするものではございません。けれども、一筆地調査においては、多くの場合において所有者を探し、その意見を聞くことになるわけでございます。それは、人々の所有者意識を覚醒させるチャンスとなることでありましょう。国土調査の次の十カ年計画の策定も見据えながら、国土調査の仕組みにおいても工夫をするべき事項を整理しておかなければなりません。 最後になりますが、今般の法律案が相続の登記の申請を勧告する仕組みを提案することは、一つの前進ではあります。しかし、それのみでは応急措置であるにとどまります。勧告を根拠づける思想が用意されなければなりません。なぜ勧告をするか。それを明快に説明するためには、土地の保有など権利関係を明らかにすることについて国民が協力しなければならないことが明確にされなければならないものでありましょう。 現行の土地基本法は、公共の福祉の考え方を中核とする土地についての基本理念に即して施策や事業をする責務を国、地方公共団体及び事業者に課しておりますけれども、所有者を始め土地に関する権利を有する人々について、理念尊重の責務は明示されておりません。ここにも課題があり、今後、各方面における論議の深化が望まれるところでございます。 これらの課題をもにらみ、御院におかれましては、議題とされております法律案につきまして鋭意充実した御審議をいただき、また、国会として議決をいただく際は、政府において適切に施行の準備を進めていただくことを切望いたします。 以上が所見でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、橋本参考人にお願いいたします。
○橋本参考人 公共事業改革市民会議、そして、主に高尾山を始めとした自然環境や住環境を守りたい、そういったものを私たちの子孫に手渡したいというそういう思いで、四十年近く、こうした活動をやっております。 きょうは、せっかくお呼びいただいたのですから、現場で今、土地収用などが行われているそういう係争の案件などの住民がどういう点での悩みを持っているか、そういったところあたりを皆さんにぜひ聞いていただきたい、そう思う。 そして、私は、この間ずっとこうした問題を、これはダム、それから干潟、湿地、そしてスーパー堤防などを含んだ堤防、その他もろもろの公共事業があるわけですけれども、こうした中で、不幸にもそれが裁判にもなったり長い間この問題に取り組んだために、五十年近くも自分の人生を費やしている、そういった方も多くいらっしゃる。そうしたことは、私は、この日本の国の中では大変な不幸だと思っています。行政も国民も協力して、本当に合意形成のできる公共事業のあり方というのを求めたい、それが私の基本的な考え方です。 なお、公共事業改革市民会議は、ここにもおられますけれども、初鹿議員を事務局長とする公共事業チェック議員の会の皆さんたちの協力も得ております。 私は、基本的にはこの法案には反対という立場ですが、法案の中身一つ一つを全て反対ということではございません。 まず、所有者不明土地問題に対する基本的な認識ですけれども、ここにペーパーをお出ししましたけれども、これは、この問題ではやはり多大なコストもかかっているわけですし、そして、不明な土地、今、さきの山野目参考人がおっしゃられましたけれども、放っておくということはやはり非常にまずいわけです。したがって、この土地を、やはりきちっと国民の理解を得て公共事業などに利するということはあり得るというふうに考えております。 ただし、ここも基本的な私の考えですけれども、憲法に保障された財産権の侵害や、さらに、これを制約するという問題が起こりますから、これはよほど丁寧にやらないといけない。その点で今回の法案を考えてみたい、そういった点での意見を申し上げたいと思います。 まず、法案で期待できること、これはここにも書きましたけれども、地域福利増進事業等の創設については、これはこの調整を図ったものでありますので、所有者不明の土地がこれでどれだけ減るのか、その効果そのものにはちょっと疑問はあるわけですけれども、土地の荒廃の防止などにはこれは一定の効果はあるだろうというふうに考えておるわけで、また、所有者の探索を合理化するための土地等権利者関連情報の利用及び提供等の制度の創設は、空き家対策措置法などももう使われているもので、必要な措置であると考えます。 では、この法案に私が反対する理由は、その次に書いております。 基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりですけれども、いわゆる私たちが携わっている公共事業についての最大の問題は、所有者不明土地も含めて、土地活用が進まない、このことにあるのではないと考えております。土地利用や土地活用ばかりに目を奪われるべきではないだろうというふうに思うわけです。 最大の問題は、公共事業の決定プロセスにおいて、情報公開が著しく乏しく、国民の声が反映されるそういう仕組みが確立されていないことにあるのではないかと考えます。 例えば、計画段階から評価をするということで、沿線住民の、関係住民の声をこの計画に反映するということで導入された、構想段階評価というのが導入されておりますけれども、それが導入されている三カ所において、特に中部横断自動車道の沿線住民の方からは、これまでの事業のあり方と何も変わらず、簡単に言えば、ありきたりに言えば、先に道路建設ありきというこういうことで、自分たちがどんなに意見を述べてもこれが反映することがない、こういうふうな苦情がたくさん寄せられております。 この点で、今回の法案で問題となる土地収用という場面でも同様ではないかと考えるわけです。 今まで、土地収用をかけられても、意見表明の方法もわからずに、どうしたらいいのか。土地収用というのは、国民の皆さんたち一般には強制収用というふうな捉え方ですから、又は、行政の方が、最後はこの土地収用法があるからという、伝家の宝刀があるかのごとく、住民にはそこでおびえるという状況があるわけです。 したがって、これは非常に丁寧にやらなきゃいけない。大勢の住民が、例えば、熊本の石木ダムの皆さんたちは今裁判もやっておりますけれども、どう考えても、県民の世論からいっても、これは問題だ、つくる必要がないのではないかと思われている石木ダムについて、最後に強制収用委員会を開いて収用裁決を出すという、こういうところまで来ております。 墳墓の土地を奪われる数十人の地権者の身になって考えていただきたいと思うんです。この点では、今回の法案とは直接関係はないと言われるかもしれないけれども、そういう精神が私はとても大事だというふうに考えているわけです。 時間がありませんから次に行きます。 土地収用法の事業認定に至る手続は、公聴会を開催して第三者機関の意見聴取をすることになっております。しかし、この第三者機関というのは、国土交通省の社会資本整備審議会であり、主に審議するところは土地収用部会であります。この委員は、起業推進をする国土交通大臣がその責任者であり、その審査をするところも国土交通省の事業認定庁である。その後の、知事が事業認定をして、知事がこの案件では裁決もできるというふうになっていますけれども、ありていに言えば、左手で答案用紙を自分でつくって右手でサインをする、オーケーです、こういうことになるのではないか。そういう面では、関係住民の皆さんたちはこの問題に大変疑問を呈しておられます。 ここに、横浜の環状道路南線の公聴会の意見が出たことに対しての、土地収用部会での議事録を住民が要求したものがあります。開示されたものは、皆、こういう真っ黒けの議事録です。こんなものを出されても議論にはなりません。この土地収用部会でどのような議論があったのかということが明示されてこそ、この事業の公益性が担保されるのではないかと私は申し上げたいと思います。 最後に、私は、四十年間この公共事業にかかわっている視点から申し上げたい。それは、かの皆さんたちも御存じかもしれない。熊本県の下筌ダムというダムの紛争がありました。私の年代だとおわかりだと思います。いわゆる蜂の巣城の闘いと言われたものです。その運動のリーダーであった室原知幸さんはこのように言っております。公共事業は、法にかない、理にかない、そして情にかなわなければならないと。まさしく、私はこれは至言だと思います。 私は、そういう立場から、単に個別の事業に反対するのではなくて、それぞれのこうした問題について、行政の皆さんたちともよくコミュニケーションをとって、そして、公共事業改革市民会議としても、国会議員の皆さんたちにもこの改革の法案を御提示して議論を進めていきたいというふうに考える所存です。 ありがとうございました。(拍手)
○西村委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○西村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申出がありますので、順次これを許します。門博文君。
○門委員 おはようございます。自民党の門博文でございます。 先般、この法案について質問をさせていただきまして、また引き続き、本日は二名の参考人の方々に質問をさせていただきたいと思います。 所有者不明土地、この間もお話をしたんですけれども、人口減少社会、そして地方から都市へいろいろなものが移動していった中で、地方のこういう不動産の価値が著しく低下をしていっている、そういうことがこの問題の背景に大きく横たわっているのではないかということをお話をさせていただきました。 私の地元も和歌山で、同じような環境におるわけですけれども、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法ということですけれども、今ある所有者不明土地をどう公共事業の中でしていくかという問題と、また、もっと大きなフェーズは、先ほど山野目先生のお話にもあったかと思いますけれども、所有者不明土地の発生そのものをこれから我々の時代でどう対応していくかというこの大きなフェーズがあるというふうに思いますけれども、そのあたり、少しずつ両参考人の先生方に御質問をさせていただきたいと思います。 まず山野目参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、いただきましたこの資料の表のところ、資料の一番最初に、「所有者またはその所在がわからない、という問題の意味」というところで、「相当な努力が払われたと認められる」というふうに書いていただいております。先ほどもお話しいただいたかと思いますけれども、このあたり、今の行政のいろんな仕事の中でどのあたりがこういう相当な努力というふうに評価されるのか。そのあたり、御見識の中でお答えをいただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
○山野目参考人 御質問いただきましてありがとうございます。 ただいま御指摘のとおり、議題としていただいております法律案の二条一項におきましては、所有者不明土地とは何かということにつきまして、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお所有者の所在、所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地をいうとされております。 探索をしなければならず、しかも、その探索は相当な努力が払われたと評価できるものでなければいけないというところまでが、いわば、この法律が御採択をいただける際には、立法府から政令を定める行政府に対する指示といいますか、委任の範囲としてガイドが与えられているところでございます。 具体的に、これを受けて政令でどのような方法を定めていくのかということは、この法律案が法律として成立した後に、国土交通省を中心に起案をし、政府において政令を決定していただくのを待つほかないわけでございますけれども、意見陳述で申し上げました、国土審議会における調査審議の過程等においてイメージしておりましたのは、探索の方法として求められる水準として、登記簿はもちろんのこと、関係人の戸籍や固定資産税情報などを調査し、さらに、親族からの聞き取りなどを行いつつ、土地の現況を確認するなどして探索に努めることが期待されるものでありまして、そのような方法が政令で定められることが期待されており、また、想定されているところであると理解しております。
○門委員 ありがとうございました。 続けて山野目参考人にもう一つお尋ねをしたいと思うんですけれども、私、民間会社でずっと仕事をしておりまして、そのとき、しばらくの間ですけれども、新築マンションを販売する仕事に携わったことがありました。 そのとき初めて、そんなことを言う人もいるんやなと思ったんですけれども、買われたお客さんが、不動産登記しないと言われたんですよ。登記は、権利の方ですけれども、第三者に対抗するためにやるもので、しなくたっていいんだということで、結果的には、説得をしてしていただきました。そういう理屈が片っ方にある中で、登記を必ずしなければいけない。そしてまた、どなたかがお亡くなりになったときに相続をしていかなきゃいけないということで。 今の意見を言われた方はちょっと特殊な方かもわかりませんけれども、これもこの前この委員会で質問をしたときにお話をしたんですけれども、普通に生活をされている一般の市民からすれば、どなたかが亡くなって相続をしなければいけないというのは、これはめったにあるケースでもありませんし、現金、預貯金に関しては、すぐにでも相続をして手元に置いておきたいということなんですけれども、不動産に関しては、随分とほったらかしにされるようなことが多いと思うんです。 そのときに一つ御提案をさせていただいたのは、地元の市役所とか区役所とか町役場で、何か不動産登記のことをもっと手続がやれるようにしたらどうかという提案をしたんですけれども、これはなかなか認められることでなくて、法務省は一生懸命、ではその窓口で死亡届を受け取ったら相続してくださいよということを啓蒙していると言うんですけれども、このあたりの手続の煩雑さと言ったらちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、今まで民法の関係で御研究された中で、相続登記そのものについて、今、日本が出くわしている高齢化、これからまたどんどんお亡くなりになる方がふえていく中で、何か改善していく方法を、もしアイデアなどをお持ちであればお聞かせをいただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。
○山野目参考人 ただいま議員御指摘のとおり、相続の登記を、もっと国民の皆様方にお願いをして、してくださいということをしていかなければ、本日議題としていただいております問題も克服していくことができないという状況にある。そのことはまことにごもっともなことであるというふうに感じます。 その上で私なりに感じていることを二、三、申し上げさせていただきますと、まず一つは、ただいま議員も役場の窓口などで案内するというようなアイデアをおっしゃっていただいたんですが、それを受けとめますと、やはり、国民へのノウハウの提供ということを政府としてはしっかり努力をしてやっていっていただく必要があるのではないかと感じます。 相続に係る登記手続のうち、簡易なものは当事者がみずからすることができるよう、政府として支援や広報することが望まれますし、また、関係者の連絡調整や複雑な手続を要する事案については専門家の実効的な支援を受けることができるよう、制度環境の整備に努めることがよいと感じます。 しかし、それを進めていく上では、国民に対して手続の負担をお願いするものでありますから、それをお願いした国民が、さあそれをしようというときに、いやいや、それをしていただくと税金がかかるんですよ、登録免許税が千分の四かかるという現在の制度になっております、いろいろ特例はありますけれども。この登録免許税の制度の改革ということも避けて通れない課題であると感じます。 こうした努力を重ねていった上でのことではありますけれども、これは私の夢かもしれませんが、一つのイメージの例示として、日本人の文化として、世代の交代により土地に関する権利の承継があった場合に、自分のために相続の開始があったことを知った日の翌日に起算する十月が経る程度までの間には、税金のことも登記のこともきちっとやってくださいねというような、何と申し上げたらよろしいんでしょうか、文化が育まれるとよいなというふうに感じます。 ただ、文化はほっておいて育まれるものではありませんので、それを促していく、先ほど申し上げましたようないろいろな政府の施策を期待したいところでございます。
○門委員 ありがとうございました。 今、参考人がおっしゃっていただいたように、そのリミットというか期限というか、そういうものをきちんと明示すれば、我々、割と勤勉で真面目な国民性とよく言われるように、そういうことが実行されると思うんですけれども、あるとき払いの催促なしみたいに、いつでもいいやというふうに放置されると、ついついこういうことが起こっているんだというふうに私も理解をさせていただいております。 続いて橋本参考人にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今、陳述いただきました御意見の中に、情報公開が乏しい、それから、公共工事のその評価していく、収用委員会の第三者機関の意見聴取の問題、私も同感するところがあります。 よく、できレースと言ったら申しわけないですけれども、そういうことで合意形成を図ったかのように見られる部分というのは、正直言ってあるのかと思います。 それと、情報公開の部分も、これも私が、自分の今選挙区の中で二案件、道路のことで地元から御相談を受けているのは、国道と県道、都市計画道路ですけれども、これも突然計画の図面が地元に公開をされて、また、変更されたのも突然変更された。一体全体、自分たちは、その方々は、用地の提供に対しては協力しようという前向きな方々でさえ、こういうことをされると、なかなか信頼関係が構築できにくいという指摘を受けているんです。 今、意見陳述していただきましたけれども、改めて、この情報公開や第三者機関の公平性ということに対してもう少し踏み込んで御発言をいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
○橋本参考人 御質問ありがとうございます。 今委員が質問されたことはとても大事なことだと。いつも、関係する住民は、必ずしも反対という立場で初めから反対しているわけではございません。協力をしようとしても、今おっしゃられたようなところで、情報開示も不徹底、ある日突然に降って湧いたように自分のうちが道路にひっかかる、こういうのが多いんです。 だから、これは、今きょうの議論では法案には直接的にはないでしょうけれども、ここのところは、やはりこういう公共事業を進める場合の最も基本的な視点だと思います。 そして海外では、ちょっと言いますけれども、オーフス条約というのがございます。リオの九二年のサミットに基づいて九八年にデンマークのオーフスという市で締結された、四十七カ国、現在批准しているそういう条約ですけれども、このオーフス条約というのは、情報開示の徹底、二つ目は市民の事業への参画の保障、そして司法アクセスへの簡易さ、これをうたっております。 そしてこれが、批准しているフランスやデンマークなどを私が調査した限りでは、日本の公共事業の状況を向こうの行政マンにお話しすると、考えられない、理解できない。 やはり私は、そういう面では、今も環境省の皆さんと五年間にわたって、このオーフス条約について検討してくれということを要望しておりますけれども、すぐにここにまでいかなくても、大事なのは、現在の法律の範囲でも、行政がその気があればかなり改善できる、コミュニケーションはとれるものだというふうに私は、行政の方々にもそういう信頼をしたいというふうに思っています。 以上です。
○門委員 ありがとうございました。 いずれにしても、先ほどお示しいただきましたように、文書とかいろいろなものを、資料を請求しても、内容が不明確なままで提出されたりということが往々にしてあろうかと思います。我々もそういうところには注意をしながら、行政の透明性というか、そういうものも促していかなければいけない。ちょうど今そういう時節にあるのかなというふうに思います。 もうお尋ねしてお答えをいただく時間がないので、こちらから一方的にお話をして終わらせていただきますけれども、土地収用に関しても、いろいろ今までもやっていると思いますけれども、更に丁寧な手続を進めていくということも必要かと思います。 また、反面、これも私の地元であったことですけれども、善意と悪意という言葉で言ったらあれなんですけれども、悪意で、土地を高く売るために不動産業者がその土地を入手して、土地収用手続でその工事自体をおくらせていくというそういう悪質なことをやる人たちも中にはおりますので、土地収用についても、善意の方、悪意の方、それぞれの立場があると思いますけれども、また我々も、いずれにしても、丁寧な手続を今後も求めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 本日はどうもありがとうございました。
○西村委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田夕季でございます。 本日は、両参考人に御参加をいただきまして、大変示唆に富んだ意見陳述をしていただきましたことをまずもって感謝申し上げます。 山野目先生は、国土審議会土地政策分科会の特別部会部会長もお務めをいただきまして、この法案に関してリードされてきたということも存じておりますし、また、橋本参考人におかれましても、公共工事の改革ということに非常に長きにわたり団体として御尽力をいただいていること、改めて御礼を申し上げます。 私も、これまでも空き地、空き家対策等に取り組んでまいりました。その中で、本当に所有者がいないということはないわけで、そこに、不明であって判明ができないという、しかも、また判明するのには多大な労力と時間がかかるということも、よくこれまで認識をしてまいりました。その中でのこの特別措置法案ということでありますので、非常に一歩前進、大きなものだと思っております。 そうした観点から何点か、お二人にお伺いをさせていただきます。 この法案の二つの柱が、一つは地域福利増進事業と、それから土地収用法の特例措置ということだと思いますが、まず地域福利増進事業に関してでございますが、この法案では、地域福利増進事業の定義として、幅広い公共的目的というふうに利用の目標が書かれております。 事業の主体としては、行政のみならず、NPOや民間の事業者も想定しているわけで、この公共的という、その的の言う中身が、非常にその基準というものの明確化ということがこれから求められるのではないかと私は考えておりますが、多様な主体を前提としている以上、公共的であることの基準に関して明確であることが望ましいと考えますが、どのような基準を持って地域住民の福利に資すると判断をするのか。その点についてまず山野目参考人にお伺いをいたします。
○山野目参考人 ありがとうございます。 地域福利増進事業は、従来になかった、今般、法律案におきまして新たに提案している制度でございます。 ただいま議員から御指摘、また、あわせて御危惧をいただいたとおりでございまして、公益性ないし公共性ということに関して、きちっとした確認の上で進められなければならない事業であるというふうに考えております。 大きく二つの観点といいますか、二つの仕組みを用意して、この地域福利増進事業が、今後法律になる場合には、的確に運営されていくことがこの法律案では狙われているのではないかと理解しております。 二つのうちの一つは、土地の使用権の取得を認めるための手順といいますか、手続の問題でございます。 その観点からは、裁定を受けた都道府県知事が、関係市町村長や関係行政機関の長の意見を聞くという手順を経なければならず、また、裁定がされた場合、その主要な部分についての公告をし、申請の基本的な内容について公衆の縦覧に供さなければならないとされております。いやいや自分が所有者だよという人は、この縦覧、公告の機会に申し出るという機会も用意されております。 こうしたプロセスを経て、都道府県知事が裁定申請を相当でないと認めるときには申請を却下しなければならないということも法律案において明らかにされております。 このような手順の問題とあわせて、中身の問題といいますか、使用権の取得が認められる実質的な要件としてどういうことを満たさなければいけないかということについても法律に縛りが用意されてございまして、裁定の申請を受けた都道府県知事は、十一条、十二条などにおきまして列挙されている多くの要件を、これはいずれかを充足すればいいということではなくて、全ての要件を充足していなければならないというふうにされておりまして、一つでも内容的に疑問が残る場合には裁定申請を却下するというふうな手続が用意されており、これらを通じて運営の適正が図られているものであるというふうに理解しております。
○早稲田委員 それでは関連いたしまして橋本参考人に伺いたいのですが、市民の立場で、こうした地域住民の多様なニーズがその基準に反映する、あるいは、プロセスの段階で反映できるようにどのようにしていけばよろしいとお考えでしょうか。
○橋本参考人 今の御質問ですけれども、たまたま私のワイフが三つの保育園の今理事長をしております。保育園は、御存じのように大変な今状況なんですけれども、そういうのに、建てかえとかなんかのときも大変苦労するわけです。 当然、建てかえをする場合には一旦移らなきゃいけない。そんなようなときにはやはりこの不明の土地が、例えば地権者の不明の土地を一時的に利用させていただくというようなことも今度の法案の中にあるようですが、私は、こういうようなところも大変有効に使えるのではないか、それはそう思っております。 私は八王子に住んでおりますけれども、いろいろな面での市民参画というのは進めております。それはどこの市町村でもやっておると思います。だけれども、基本は、どれだけ市民の参加が得られるか、私はこれがキーポイントだと。 だから、どういった事業も、市民の偏ったニーズじゃなくて、公平にそのニーズをちゃんと酌み取って、それで皆さんたちに御提示して、それで進めるという基本が行政のサイドにあれば、私はうまくいくのではないかというふうに考えております。
○早稲田委員 ありがとうございます。 プロセスの問題、それから中身については法案の方にということでありますけれども、いずれにしても、市民参加でプロセスを透明化して、そしてまた、この中に店舗というようなものも入ってくると、その公益性をどのように判断するのかという問題もございますので、ぜひそこは今後の議論を注視をしてまいりたいと思います。 次に、土地収用法の特例措置について伺ってまいります。 この土地収用に関しましては、これまで、憲法二十九条における財産権の問題がありますので、土地収用について、収用委員会で裁決をやり、十全を期して、十分な期間をかけて進めてきたものと承知をしております。 一方で、非常に時間がかかり過ぎるということで、行政の方でも、政令市長会の方でも、早く行政の適正な利活用に資するようにやってもらいたいというような要望書も出ていることは存じておりますが、この本法案におきましては、この裁決手続というのを省略をいたしまして、簡素化することで知事の裁定ということになったわけですが、こうした裁決手続を簡素化すること、これが国民の財産権を軽んじるものになりかねない。また、恣意的な運用につながらないかという懸念もあるところでございますが、これについて、いろいろ収用の方で御苦労をされていらっしゃる橋本参考人はどのようにお考えでしょうか。
○橋本参考人 御質問ありがとうございます。 私は、先ほど申し上げたように、今の公共事業の進め方、そのプロセスは、現在、事業認定をして、そして都道府県の収用委員会にかかって、そこで公開審理をして裁決する。この制度は決して、何というか、認める認めないじゃなくて、問題はたくさんあると考えております。もちろん、だから、最初の構想段階から、計画段階から考えなきゃいけない。 そして、たしか二〇〇二年か三年だったと思いますけれども、土地収用法の改正がありました。私たちの立場からすると改悪だと考えておりますけれども、収用委員会で、その事業認定、つまり、その事業の公益性について発言することはできないということになりました。それを担保するために公聴会を開いたり、そういう代替措置をとったわけですけれども、先ほど申し上げたように、実際は言うだけということで、これは関係住民にとってはフラストレーションがたまる一方。 そういうような状況ですので、今回のやつで一番私は法案で心配しているのは、土地不明者ということを急ぎ過ぎて、それをやれば楽だというふうに行政サイドがもしそういうふうになったとき、これを担保するものは何もないじゃないか、そういう不安はあるわけです。 したがって、そこの点でいえば、従来の土地収用法の事業認定、収用裁決という公開審理、こういう手続は十カ月ですから、十カ月のためにそこをそんなに急ぐ必要があるんですかと、私はちょっとそこは疑問なんです。 だから、今回の法案は、先ほど申し上げたように、国民の最も重要な、人の権利である財産権の侵害という、ここにかかわってくるわけですから、そこを丁寧にするとすると、今でも私は問題あると思いますけれども、今の制度を変えるべきではないだろう、そういうふうに思います。 二〇%ぐらいの土地不明者がありますけれども、調べれば〇・四一%というふうに、行政の方が御苦労されているというのは私も存じ上げています。だからといって、ここはやはり手を抜くべきじゃないだろう。不明者がいるということで、これは地権者はいるわけですから、そういうふうに考えている次第です。
○早稲田委員 ありがとうございます。 土地不明者の問題、長年不明でわからない土地をどのようにしていくか、大変大きな問題でありますし、今参考人がおっしゃったとおり、担保するものがなければ、所有者はいるんだからというお話も一定理解をさせていただきたいと思います。 収用委員会のような第三者の目が入らないことへの懸念というものは残ります。そういう意味でも、恣意的な運用を防ぐような仕組みというものも求めてまいりたいと思います。 最後に伺いたいのですが、所有者不明土地から見える土地制度の課題ということであります。 この第一歩をこの法案で踏み出すわけですけれども、この法案だけでは、所有者が判明できない土地というものについて抜本的な解消にはならないことは皆様おわかりのとおりだと思います。 そのときに、相続登記の義務化の是非でございますとか土地情報の一元化など、いろいろ課題はあると思っております。その点からも、不明土地から見える土地制度の課題、それから今後取り組まなければならないことについて、どのように御認識をされておりますでしょうか。お二人、両参考人にお尋ねをさせていただきます。
○山野目参考人 ありがとうございます。 議員御指摘のとおり、本日議題としていただいております法律案は、所有者所在不明土地問題に関する体系的な法制上の措置として御採択いただければ最初のものになるものでありまして、もちろん、半歩の前進として意味のあるものでございます。 しかしながら、反面におきましては応急措置である彩りが強いものでございまして、引き続き、この問題について政府はさまざまな施策を準備していかなければいけないことはもとより当然でございます。 そういう細々した施策を進めていくことが大事であるとともに、あわせて重要なことは、土地政策の理念といいますか、土地所有者の責務の問題にもかかわる思想の整理をきちんとしていかなければいけない。ここのところを今後強く意識して諸問題の検討に当たっていかなければならないであろうというふうに考えているところでございます。 土地基本法はどうしても、高度経済成長期からバブルの時期にかけて、その状況を前提に制定された法律でありまして、土地が右肩上がりに価値をふやしていくんだという想定でさまざまな理念の宣明や制度の基本方針が定められておりますけれども、本日さまざま御議論をいただいておりますとおり、人口減少社会の中で、もはや、そういう我が国の社会経済の情勢とは全く違う状況なのであると。その状況の中で土地政策について国は新たにどういう心構えを持ち、そして国民に対してどういう理念でお願いしていくのかということの整理ということも、この秋からまた国土審議会の土地政策分科会の特別部会の審議が再開されますけれども、今般、法律案の国会における御論議なども拝見して、そういう宿題に取り組んでいかなければならないものと考えているところでございます。
○橋本参考人 基本的には、今御発言あった山野目さんとほとんど変わりませんけれども、私が考えているのは、今回の法案の前にまずやるべきことがあるのではないかと考えたものです。それは、こういった不明な土地を出さないような対策をもっと積極的に政府としてやるべきだろうというふうに思っているわけです。 そして、この土地の問題というのは、バブルの時期は特にそうでしたけれども、お金と結びついていた不動産というものがだんだんとその価値を失って、もはやバブルの時期に買った地方の物件がほとんど荒れたまま、売るにも売れない、もしかしたらお金をつけても売れない、そういう状況になっているというのは皆さんも御存じだと。こういったものは、単にお金の問題と考えるのではなくて、国土を保全していく、そういう視点が私は大事だと思うんです。 そういった点では、もっと行政は積極的にそういった土地を緑の保全だとかいろいろな点で役に立てていく、こんなことがあっていいのではないかと思うわけです。お金と直接結びつかない不動産も、ぜひそういう活用の仕方を考えていく、そういった視点でやるとやはり物事の考え方は少し変わってくるのではないかというふうに思うわけです。 以上です。
○早稲田委員 ありがとうございました。 時間が参りましたのでこれで終了させていただきます。ありがとうございます。
○西村委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。 きょうは、参考人のお二方、本当に貴重な御意見をありがとうございます。 この所有者不明土地という問題は、大変さまざまな課題があるんだと思っております。きょうもお二方のお話を聞きながら、やはり最終的には、何のために土地というものがあるのか、その存在理由というものが大変重要なんだなということを感じております。 使えればいい、有効利用ができればいいだけではない。場合によっては、個人に対して言えば、山野目参考人いわくでは、所有者不明なのではなく、まだ確定をしていないだけだということでもありますし、また、橋本参考人のお話を聞きながら、やはりその土地の持つ意味や、また一つには、個人が持つさまざまな歴史、土地が持つ歴史であったり、若しくは、その土地が地域の自然の中の一角を担うという意味での意味づけというものが経済的な論理ではあり得ないんだということ、その中でどう行っていくのかというのが大変重要なんだということ、示唆に富んだお話で、本当に御提言ありがとうございました。 とはいいましても、やはり人口減少・高齢化社会の進行の中で、いわゆる所有者不明土地の利用というものは大変地域にとっては大きな意味合い、また必要性があると私は考えております。 また、反対する権利者がいなくて、建物、簡易な構造で小規模なものを除くがなくて、現に利用されていない所有者不明土地について、公共的な、公益に資するものに関しては期間を限って利用ができる、活用ができるようにしようという今回の法律を鑑みるときに、大変さまざまな課題、また、誰がこれを指定をするのか。そして、その利用に対しどのような公益というものを客観的に皆さんが判断をできるのか。 特に、今回の法律でいいますと、途中で所有者が返してくれと言っても、その事業の途中では返さないことになります。終了してからの返還という意味においては、当然、所有権の部分も多少出てくるものもあるかと思いますので、その中で、公共のものだからこそ、この期間というのは利用するんだということがやはり明確でなければならないんだと思っております。 そこで、この公に関しましての、公益性ということにつきまして、どのような形だったらいいのかというのを改めて御確認をしたいと思っておりますので、御意見をお二人に伺わせていただければと思います。
○山野目参考人 漢字三文字の言葉二つというふうに申し上げたらよろしいんでしょうか、公共性と経済性という二つのキーワードをちょっとその題材にしてお話を差し上げるといたしますと、本日議題としていただいているようなテーマを考えるに際して、公共性と経済性という二つのキーワードがアンドで結ばれる、及びで結ばれるべきものなのか、オア、又はで結ばれていることで足りるというふうに考えるのかといったようなことをきちっと考えを深めておくということは、この領域における土地政策を進めていく上で非常に重要なことなんだろうと思います。 もちろん、一方においては経済性ということがなければ、例えば、地域福利増進事業に関与しようということで手を挙げる事業者があらわれる可能性がございません。したがって、地域福利増進事業の裁定をするに当たって都道府県知事は、一つの要素として、資金の計画であるとか権利を取得した後の、その後の事業計画などがしっかりしていますかということをチェックするということが要件として求められております。 しかしながら、ただいま議員が仰せのとおり、所有者を探索する努力はしますけれども、最終的にはお会いすることができなくて、当面、十年の範囲で使わせていただくということになります。そうすると、経済性だけがあればよろしいのかということになるわけでありまして、反面におきまして公共性ということが重要であります。なおかつ、その公共性の中身というものが大事なんだということが、きょう橋本参考人が繰り返しおっしゃっていることであろうというふうにも感じます。 地域福利増進事業の場合で申し上げますと、都道府県知事が裁定をするに当たっては、十分にその裁定の内容を審査し、その中で、地域福利増進事業に該当するものであることを確認し、のみならず、公平かつ適正に事業が行われるということの担保を見きわめた上で裁定をするという手順が用意されております。 冒頭に申し上げた問いに対する答えの仕方で申し上げますと、公共性と経済性はばらばらであって、オアで結ばれているのでよくて、経済性があればよいのだということでこの領域の施策を進めるということは大変危険なことであります。この二つはアンドで結ばれていて、公共性が十分に満たされ、かつ経済性の見通しもやられるという、及びでつないだ上で、一件一件の事案を都道府県知事が適切な、慎重な手順で見きわめていって進めていただきたいというふうに感ずるものでございます。
○橋本参考人 小宮山先生は、大体私たち参考人が申し上げていることをおわかりの上で御質問されているのではないか、私はそう感じるわけですけれども、やはりこれは繰り返しになりますけれども、今、山野目参考人もおっしゃられましたけれども、市民参画がどれだけあるかというのが僕は決定的だと思うんです。これが保障される、それは行政を預かる立場の人たちがやれることですから、これは何もこの法案が云々だけじゃなくて、いろいろな施策をする場合の基本的な観点は、市民参画、これを、形だけじゃなくてちゃんと魂を入れる、これが大事なのだと。これがあれば、今の法律の範囲内でも、例えばアセスでもそうですし、かなり前進すると思います。 そういうことが保障されていれば、最後のところのどん詰まりでもめるということはありません。これは先ほど、欧米のEU諸国が、私が調査した限りでも、むしろもめている日本が不思議だというぐらいのことを言われているわけです。 そんなような点から見ると、もう一度申し上げますけれども、行政を預かるそういう立場の人たちが市民と一緒になってこの問題を考える、そういう協働があればこの問題はかなり前進するというふうに思うわけです。 以上です。
○小宮山委員 ありがとうございます。 本当に協働というのは大切だと思いますが、なかなかそれが現実にはできない。また、最初の、市役所等とか現場に行くと、対応の仕方とかでこじれる場合が多々あるというのはよく聞こえてくることでもあります。 私の住んでおります埼玉県では、圏央道のやはり最初のところでは、まずはそういった行き違いみたいなものも随分収用に関してはあったとも聞いております。その後、もちろん自然環境との共存の難しさというのもあり、少しずつ対応しながら道を通したということもございますので、大変よく理解いたしますし、ありがとうございます。 さて、土地の荒廃防止というのは大切なことかと思います。質疑等でもありますが、昭和初期の共同所有などで、最初は五十人ぐらいだったのが、何代かしていくうちにもう今は七百人、一人の方に何百人という対象者が出るということにおいては、大変これを利活用するためにも必要だといったときに、たとえ目的がよくても収用ができないというところも現実には起きているかと思います。 共同相続人の所有者の探索範囲を明確にするということは重要なのではないか。それとともに、登記をする側が放棄をせずに済むように、若しくは放置をしないためにも、所有者不明土地の相続人の負担軽減というのも重要かと思っております。 この点に関しまして、参考人お二方の御意見、また、具体的に何か提案がありましたら、改めてお聞かせいただければと思います。
○山野目参考人 ありがとうございます。 登録免許税の問題に絞って意見を述べさせていただきます。 まさに今議員御指摘のとおりでありまして、この問題提起をいただいたことを大変にありがたいと感じるものでございます。 相続を原因とする所有権の移転の登記は、それを国民が申請する際、登録免許税が課せられるという仕組みになっております。相続登記を推進する見地からは問題ではないでしょうか。建物を新築する際にしなければいけない不動産に関する表示の登記、すなわち表題登記につきましては申請が義務づけられている反面におきまして、登録免許税が課せられていないという扱いになっております。 なるほど確かに、登録免許税に関しまして、国会のこの会期におきまして、租税特別措置法に八十四条の二の三の規定を追加し、場面を限定して土地相続登記に対する登録免許税の免税措置が創設されたところでございます。しかしながら、ほんのかすかの免税措置でしかなくて、何というんでしょうか、暴言をお許しいただければ、こんなもので免税措置を講じたということで済ませていただいては大変困るわけでございます。 登録免許税のあり方を抜本的に再検討し、さらなる税制上の機動的な誘導を講じ、有効な施策を進めていただく上で、ぜひ立法府において応援を賜りたいというふうにお願いするものでございます。
○橋本参考人 基本的な考え方は山野目さんと同じです、私も。 ただ、やはり高齢化が進んでおりますし、この間、こういう問題がありました。年金の通知があって、百三十万ぐらいの人たちが税金を余計に取られちゃった。それは仕組みが、税金のその改正があって、所得税を申告しなければというか、きちっと書いて、例年だとはがき一枚のチェックでよかったのが、私も年金受給者ですから、私も、ああ大変だな、これは何か起こるなと思いました。 相続に関しても、やはり認知症が進んだり、いろいろなことで苦労もあります。私自身も、つい最近相続がありました。きょうだいが少なければいいですけれども、又は争いがなければいいですけれども、大変です。 そういうふうなことを考えたときに、やはり今、山野目さんがおっしゃられたように、もっと積極的に軽減策をとるべきだろう、それは私も同感です。そうしなければ国土が荒れてしまう。 そういう意味では、そこにきちっと、この法案もある面いいところを持っているんですけれども、その大前提となる、そういうところを出さないようにするという施策にもっと力を入れる。それは、恐らくこの委員会で皆さんたちは一致できるのではないかと私は確信しております。 以上です。
○小宮山委員 ありがとうございます。 努力は認めていただいたのかなというところはあるんですけれども、まだまだ足りないということであります。これはまだ国会におきましてもさらなる議論というものをしなければいけない。また、国土交通省だけでできない部分もあるかと思いますが、この点に関しましても努力をしたいというふうに今感じたところであります。 時間の関係で最後になりますけれども、本当は橋本先生の実体験をもっと伺いたかったなと思うのですが、土地管理の放置を防ぐためには、土地の所有権の放棄のあり方というのも大変重要かと思います。この点に関しまして、義務化では問題解決に必ずしもならないというようなこともおっしゃっているようでありますので、山野目参考人から最後にこの点に関しましてお聞かせいただければと思います。
○山野目参考人 土地の所有権を放棄したい、あるいは寄附をしたいというような意見が国民の各方面から時に聞かれるところでありまして、必ずしも無責任な発言としておっしゃっているのではなくて、真に迫られた事情があってそういうふうな御議論をいただいているということも理解しております。 反面、政府の方としてこれをどう受けとめるかということを想像いたしますと、現行の法制でいきますと、財務省の所管のもとに置かれる国有財産になってしまうものでありまして、最適な処分、最適な管理をしなければならないという負担を担わせられるということになります。 こういう発想を変えて、何というんでしょうか、国有財産の新しい形態、所有権の放棄を認めるというよりは「土地を自然に還す」というような発想で、従来の行政財産でも普通財産でもないような、また、もしかすると財務省の所管とは限らないような、新しい公的な土地保有のあり方をこれから研究していく必要があるのではないかということも感じております。
○小宮山委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。
○西村委員長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽でございます。 本日は、山野目参考人、橋本参考人、御両名におかれましては、大変お忙しい中、足をお運びいただきまして、また、貴重な御意見、御指導をいただきましたこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。 今、最後の山野目参考人の御答弁の中で「土地を自然に還す」という発想があって、もともと言えば、よく地元に行くと先祖代々の田畑を守らなきゃあかんなんて言うけれども、大体これは明治時代以降の話で、本来はそういう話なんじゃないかということから考えれば、土地のあり方というのは、これは後で質問しますが、山野目参考人の公述の中で、理念、哲学というものを、その理念尊重の責務を明示しなければいけない、そういったことってやはり大事なんじゃないかな、こう思ったところでございます。 最初の質問に行きたいと思いますが、増田寛也先生が主宰されておりますあの所有者不明土地問題研究会、このところの発表でございますが、昨年の六月に、現在のいわゆる所有者不明土地というのはどのぐらいあるか。これは、約四百十万ヘクタール、およそ九州と同じだけの面積があるのではないか、そういう発表があった。今後年々増加をしていくという傾向にあって、推定では二〇四〇年には約七百二十万ヘクタールになって、これは北海道全土の面積になってしまうのではないか。こういった推計があるということでございます。 そうした中で東日本大震災のときの高台移転等々でさまざまな問題が起こって、この問題が、何とかしなければいけないという政治的なテーマになってきているんだと思います。 きょう、御両名の、お二方の御意見でも、所有者不明土地問題の現状を放置しておくことはよくない、これは一致した御意見だったと思いますが、これだけふえたものを何とかしなければ、それをどう活用するかということも一つの問題でありますが、橋本参考人も言われたと思うんだけれども、所有者不明という土地をふやさないということを考えなければいけないんではないか。 小宮山さんが最後に聞かれたこととちょっと重なるんですけれども、やはり土地を所有したときに登記を義務づけないと、これはどんどんふえていってしまうのではないかというふうに素朴に思うんです。何というんですかね、そこをいじらない限りどんどんふえていってしまって、その有効利活用というのはやるとしても、そこの線をとめないとなかなかうまくいかないのではないかと思います。 土地の義務化についてはいろいろな議論があることを承知しておりますが、山野目参考人からちょっと御意見をいただければと思います。
○山野目参考人 少し性質の違う二つの論点を御紹介させていただくことになります。 一方におきましては、理念の整備という、ただいま議員も冒頭におっしゃっていただいた観点がございまして、現行法制のままで国民に対して相続の登記の申請をしなければならないと条文を一個書くこと自体は法制的にはあり得ない話ではないんですけれども、それは一体いかなる根拠でできるのですかと。 それが、あなた義務ですよと言われた国民から、いやいや、申請するかしないかは私の自由じゃないですか、なぜそういうことを勧告したり義務づけたりするんですかという反問を受けたときに、現在の土地基本法を頂点とする土地法制の体系は、いや、やはりあなたが土地を所有している以上、責務なんですということをきちっと答えるだけの用意が整っていないという問題が一つあります。 こういう理論的、抽象的な問題も大事であって、一方にはあるんですが、もう一つは、この義務づけの実効性という問題がございまして、現在の不動産登記法の百六十四条を参照して一つの例を挙げさせていただきますと、建物を新築したときには表題登記を申請しなければならない、これは義務であります。それを履行しないと十万円以下の過料に処せられるということになっております。 こちらの相続登記に関して同じような義務づけをしたときに、義務ですよという訓示規定でとどめるということにするとほとんど実効性を期待することができませんし、何らかの罰則を入れようとしたときに、しかし、その相続登記の申請をしないと刑務所に入れられるということになるんですかね。 それはいかにも、恐らく憲法三十一条の要請は、適正手続の保障を定めていて、その一内容として罪と刑との均衡ということを要請しているという理解を踏まえて言えば、それはちょっと法制的にあり得ないんだろうと思うんです。 そうするとやはり、建物の表題登記のように十万円以下の過料にするというようなことしかイメージしていくことができない現在の法制の状況だと思います。 ここのところも、だからこの課題はもう全然検討する余地がないということにはなりませんけれども、やはり、宿題として認識しておかなければならないのではないかと考えております。
○赤羽委員 昨日、実は公明党のこのプロジェクトチームの会合があって、法務省と国土交通省が来てこういう議論をしたんです。やはり、頭のいい、極めてそういった理性の持ち主のお役人の発想じゃなかなか実効性が、何というかな、実現できない、義務化といっても。 義務化するにはペナルティーをどうするかという話になって、そうすると、突出したペナルティーをつけることはなかなか法体系を考えるとできないというような話になって、結局、ちょっと荒っぽい言い方ですけれども、将来的には、今の法制度の中で調和させるというのは大事ではあるけれども、これだけ大変な問題をどうするかというのは、もう少し政治的なアプローチというか、理念、哲学を持って、土地というのは本来公共的なものであって、家屋の所有とは全然違うんだというようなことから少しその理念性みたいなものを入れないとなかなか抜本的な解決はできないかなと思いますが、しかし、それは恐らく今回の法改正では全く解決ができない。やらなければいけない宿題だと私もそう思っております。 済みません、ちょっと限られているので、本当は橋本参考人にもその点を聞きたかったんですが、ただ、ちょっと二つ目に橋本参考人にお伺いしたいんですけれども、確かに土地収用みたいなことというのは、往々にしてやはり行政が全住民の意思を酌み取ることができず、大変な被害を生んできたというのは、恐らく数多く実例があって、橋本参考人もその現場の中で闘われてきたということで、私は先ほどのお話も聞いて、本当になるほどなと感激をしたところでございます。 私、実は神戸選出でございまして、阪神・淡路大震災のときの一期生でございました。数多くのマンションがつぶれて、あのときはマンションの建替え円滑化法という法律が実はなくて、区分所有法と民法だけだったんです。そうすると、全区分所有者が合意をしなければ建てかえも何もできないというルールだったんです。 ところが、大きなマンションに行きますと、区分所有者がそこに住んでいるマンションというのがそんなに数多くなくて、その区分所有者がどこにいるかということを探すのも大変。探し切れなかった場合には、それはもう全く何もできずに終わったという状況が続いて、いろいろなところで裁判が起こり、長期化して、そして、実はマンション建替え円滑化法という法律をつくりました。 このときも、区分所有者五分の四以上の賛成が得られれば建てかえができるという、ここがやはり議論があって、ある政党は、やはりそれは財産権にかかわることだということで反対をされた。それはそうなんです。非常にナイーブな議論のあるところだと思うんですけれども、その少数の方たち、また、見つからない人たちのために多くの方たちの新しい生活再建が進まないということは、やはりそれは一つの考えなければいけない視点なんじゃないかということでああした法律ができたわけです。 ここはまだまだいろいろな議論があるかと思いますし、プロセスというのは丁寧にしなければいけないわけでありますが、そういったことを承知の上で、今回の法律の内容では、反対する権利者が存在しないで、建築物がなくて現に利用されていない土地に限定する、こうした内容で、財産権に配慮しつつ手続の円滑化を図られている法案の内容だとこう私は思うわけでありますが、この点について、まず橋本参考人、そしてその次に山野目参考人の御意見を伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○橋本参考人 不明者の土地が、増田審議会の中で、二〇%、九州、アイランドに匹敵するぐらいの、ただ、これはちょっとひとり歩きしていないか、私はそういう危惧感を持っています。(赤羽委員「それは聞いていない、その議論はしていない」と呼ぶ) それで今の御質問ですけれども、この法案そのものは、まともに読むとというか、私はその趣旨は反対するものではないと思います。 ただ、努力すれば〇・四一%まで落ちるわけですから、ここのやはり努力は、それは、十カ月短縮ができるということとこれは比較考量するものではないだろう。そこのところはやはり丁寧にやるべきだ。それだけやはり財産権は重たいというふうに思うわけです。 そして、先ほどの陳述では時間がなくて余り申し上げませんでしたけれども、現在、こういう事例があります。 リニア中央新幹線の工事が急ピッチで進んでおります。この事業は、東京品川から名古屋まで二百八十六キロのうち八六%が、都市部も含めて、南アルプスなどはトンネルで通過するわけです。ここから出る排出土は、ここで私も書きましたけれども、半端な排出土ではありません。東京ドーム五十一杯分、六千三百万立米、これはもう大変なんです。 今、この事業の進捗は……(赤羽委員「先生、ちょっと済みません、時間が限られているので先ほどの私の質問にだけちょっと」と呼ぶ)ただ、これが重要ですからちょっと。 これは残土置場が決まらなければいけません。残土置場は、私もこの間調査で行きましたけれども、山林や谷戸が圧倒的に多い。ここは、地権者が不明のところということでは多いというふうに考えられます。 そういった面では、うがった見方かもしれませんけれども、このリニア中央新幹線の事業を推進するための、こうやって出てきた案件の一つかなというふうに思ったわけです。 これは、委員はそれぞれ考え方があろうことだと思いますけれども。ただ、ここだけを見たら、私はこれはきれいな案件だというふうに思います。 以上です。
○山野目参考人 今般議題としていただいております法律案で、土地収用の制度の特例を提案申し上げておりますけれども、意外にと言ったらよろしいんでしょうか、見かけほどこの土地収用に関する特例は、何といったらいいんでしょうか、大したことないよという部分がありまして、従来のいわゆる不明裁決の制度がうまく動いていないところを全部抜本的に解決するだけの大がかりなものが提案できているかというと、そうではございません。 所有者不明土地の中の特定所有者不明土地に該当するものに限って、すなわち、簡易なものを除き建築物が存在せず、現に利用されていない土地であって、建築物の補償、移転料、営業補償などの算定を要しないというこの非常に限られた領域について、土地調書や物件調書の作成をしないで進めるという特例を導入しようというものです。 それは恐らく現場の感覚からいうと、こんなものよりもっと広げてもらわなければいけないというくらいの議論はあるだろうと思います。 しかし、先ほど小宮山議員の御質問にお答え申し上げた際に申し上げましたように、こういう政策は、半歩ずつあるいは一歩進めなければいけないので、余りにもラジカルに進めていくことの、つまり、経済性重視の問題というのもあるわけですから、今回はここまで進めさせていただきたいということでお願いさせていただいているところでございます。
○赤羽委員 それでは最後に、時間もないものですから済みませんが、所有を放棄して国が受け入れるとしても、先ほどお話も出ましたが、コストがかかる。森林なんかも荒れ放題で、今回新たに森林税をつくって、税金でその森林の維持管理をしていこうというそういったことができている。それはそれなりの国民共通の理解があるからだというふうに思っております。 冒頭申し上げたように、山野目参考人から、土地の保有など権利関係を明らかにすることについて国民が協力しなければならないんだ、そういった理念が醸成されることが大事だというふうに、私、大変感動して聞かせていただいたんですが、このことについて最後一言何か付言があれば、御意見を聞かせていただいて終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
○山野目参考人 ありがとうございます。 今般、法律案の審議の様子なども拝見させていただいた上で、この秋には、国土審議会の土地政策分科会特別部会の調査審議を再開する予定でございます。 そこではまた考え込んでいかなければなりませんけれども、現在の土地基本法が抱えているいろいろな問題、今議員の御指摘との関係でいいますと、土地の基本理念を尊重して施策や事業をするというのは、何も国や地方公共団体、事業者だけではなくて、土地を所有している人たち、あるいは国民一般も責務として負ってくださいよという考え方を強く打ち出していったり、そのことの一つの応用といいますか発展として、自分の土地の所有の保有関係を明らかにする、これも義務ですよというようなことを、本日の御議論のようなものを伺っていると、当然のことであるという意識が広がってきているんだと思いますが、きちっと法制上も明らかにしていって、それを踏まえた各個別法の展開をまた促していく必要があるのではないかと考えます。 議員に御賛同いただいて大変に励まされた思いでございます。ありがとうございます。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
○西村委員長 次に、もとむら賢太郎君。
○もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。 両参考人は、お忙しい中、本日のこの委員会に御参加いただきましたことをまずもって御礼申し上げます。 数点お伺いしてまいりたいと思いますので、早速質問に入らせていただきます。 所有者不明土地が生じる大きな理由の一つは登記を行うことにあるということでありまして、そこで、登記を義務化してはどうかという議論もございますが、登記の義務化についてお二方のお考えをお聞かせください。
○山野目参考人 先ほど小宮山議員からお尋ねをいただいて、赤羽議員からも問題提起をいただいたことに尽きるものでございますけれども、既に申し上げました、土地に関する所有者の責務、理念の整備ということに加えて、実際に相続登記の申請を義務づけるに当たって、それを考えようとすると、考え込まなければいけない宿題がたくさんございます。 例えば、相続税の申請を的確にしないと五年以下の懲役に処せられることがあるんですが、相続登記の申請をしないと五年以下の懲役というわけには恐らくいかないんだろうというふうに思います。罰則の程度をどのくらいにし、どういう内容の罰則を用意するかということを考え込まなければいけません。 合わせて四つ申し上げますが、二番目は、罰則を実効的に発動していくことができるんだろうかと。多くの違反事例が予想されるんですけれども、つまり、交通違反がたくさんあれば、お巡りさんを用意していて待機していていただいて、違反車両を見つけたらサイレンを鳴らして追っかけていかなくちゃいけないんですが、これを一体国のどの機関にマンパワーと予算を委ねてお願いしていくのかということがあります。 それから三点目ですけれども、例えば十万円以下の過料にするというような仕組みを入れたときに、十万円を一回納めると終わりなんでしょうか。つまり、十万円なら払ってやるよ、だけれども、自分は登記しないよというふうに居直られたときに、そこはもう登記がされないままの状態で続いていくことになります。難しい言葉を使って恐縮ですけれども、真正不作為犯の罪数の問題というのがございまして、一回処罰したら恐らくだめなんだろうと思うんです。こういう問題があります。 それから加えて、遺産分割の期限との関係という論点がございまして、例えば、お母さんが持っていた土地をお姉さんと弟が受け継いだ。弟さんとお姉さんが、おい、どっちの土地にするというふうに相談しているんだけれども、相談がなかなかまとまらない。五カ月、六カ月と過ぎていく。この相談をすること自体は大切なもので、待ってあげなければいけないはずなんですが、いや、相続登記の申請が例えば六カ月以内、十カ月以内にされていないので処罰します、こういうことになるのかということも悩ましいところでありまして、先ほど赤羽議員のお尋ねにお答え申し上げたとおり、だからこの宿題はもう投げ出してしまうということにはなりませんけれども、これらのことはしっかり考え込んでいかなければいけないのだというふうに考えている次第でございます。
○橋本参考人 この問題は非常にやはり、私がこの問題を研究しているわけではありませんけれども、素人的に考えてもとても難しい、その法制化は。だから、山野目先生の言われることはかなり理解できます。 やはり、この日本という国土をどのように保全をして、壊さないで、その美しい山河を私たちの未来の人たちに手渡していくか、この視点が国民の中にどれだけ理解をしていただけるかということがあるんだろうと思うんです。 だから、そこは経済的な問題だけで考えないで、ある意味では大切なのは、美しい今の日本、まだある日本のこういったものをこれ以上壊さないで、そして、荒れたそういったところもないような、できるだけ積極的にというのは、これはやはり学習なしには絶対進まないと思うんです。 だから、そういう面でのやはり方策も考えながらいかないと、ただ法律だけというわけには私はいかない、そういうふうに考えます。 以上です。
○もとむら委員 次に山野目参考人にお尋ねいたします。 登記義務化は実効性がないとする意見がありますけれども、「クローズアップ現代」にも出演されたときのものを見させていただきましたが、山野目参考人からは、心地よく登記をする環境整備を行うことが重要だと指摘をされております。 具体的にはどのようなイメージを持っているのか、教えてください。
○山野目参考人 種々の方策を考えなければいけないところでございますけれども、差し当たり二つ申し上げさせていただきますと、一点目は、国民へのノウハウの提供でございます。 ただいま法務省のウエブサイトには、それを見ますと、自分で相続の登記をしようとすれば、簡易なものであればすることができることに向けての案内の画面が出てまいります。各法務局、地方法務局にも同じ内容のパンフレットが用意されております。 あれはあれで十分なものではありますけれども、もっと国民にわかりやすく、よおしやろうという気分になる何かすてきなウエブサイトの画面にしていただいて、国民に、御自身でできるものはやってください、難しいものについてはどこに相談すればいいんでしょうか、あるいは、その費用も解決していきますからお願いしますというような措置を、登録免許税や、それから、そのほかの点について講じていかなければいけないだろうと思います。 もう一点は、今少し述べました登録免許税の問題でございます。 小宮山議員に御指摘いただいたところで申し上げさせていただいたことの繰り返しでございますけれども、場合によっては義務づけをする、やってくださいというふうに言っていながら、これについて軽からぬ税金を課する、こういう仕組みでいいのかということについては、引き続き立法府において御関心をお持ちいただきたいと望むものでございます。
○もとむら委員 次に山野目参考人に質問させていただきますが、間もなく、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年を迎えます。大量相続時代が訪れるわけでありますけれども、それまでに所有者不明土地を未然に防ぐ環境を整える必要があるということは皆さん認識が一致しておりますが、具体的な方策のアイデアとか、あわせて、参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○山野目参考人 今お尋ねのことも、種々の施策をいろいろ細かく組み合わせていかなければいけないことではありますけれども、一つ強調して申し上げるといたしますれば、土地情報基盤の整備という要請が強く横たわっているのではないかと感じます。 現在の仕組みですと、不動産の所有権の登記名義人になっている人が死亡したという届出は、市区町村の役場に対して出されます。しかし、その届出を受け取った市区町村の方は、その人が死んだということは届出が出てきてわかりますけれども、その人が不動産を所有している人で、登記上の名義人になっているということは知らないわけであります。ここに連携の欠落があります。 反面におきまして、不動産登記を所管している国の機関は、もちろん、登記簿を管理していますので誰が所有権の登記名義人になっているかを把握していますけれども、しかし、その人が生きているか死んでいるかということを体系的に把握するすべを持っていないわけであります。 この登記簿及びそれを所管する国の機関と、戸籍及びそれを所管する公共の機関との間の連携がうまくとれていないという問題があります。 紙のやりとりをする明治、大正の時代であったならばいざ知らず、これだけ情報通信技術が発達してきている時代には、よおしやろうというふうに政府一丸で考えていただければ必ずできるはずです。 この土地情報基盤の整備ということについても、立法府として政府に対して、督励、促しをしていただければ大変ありがたいと感じるものでございます。
○もとむら委員 両参考人にお聞きをしますが、相続した土地が活用できず、自治体に寄附をすることもできないという事例は大変ふえております。この問題を突き詰めると、所有権の放棄を認めるかという話に行き着くのではないかというふうに思いますが、所有権の放棄についてお伺いいたします。
○山野目参考人 先ほど赤羽議員からのお尋ねでも、「土地を自然に還す」という発想を申し上げて、なるほどというふうにおっしゃっていただいて、大変ありがたい思いをいたしました。 「土地を自然に還す」、そういう発想による国有財産の新しい考え方というふうなことを唐突に申し上げますと、何か余り裏づけがないような議論であるような印象もおありかもしれませんけれども、恐らくそのようなことはなくて、一つの例を挙げますと、二〇一八年四月十七日に催されました国土審議会の計画推進部会国土管理専門委員会におきましては、必ずしも国有地、公有地に限った話ではありませんけれども、人口減少社会における土地の管理というのは、何でもかんでも全力疾走で最適管理、最適処分をしようという時代ではなくなっていくと。 そこで出てきているキーワードの一つに、粗放的な管理があり得てよいのではないかと。粗放的な管理を賢くしていくことができるかどうかということが今後の日本社会において問われているんだろうというふうに思いますし、それを、公共に帰属させた土地であってもやはり同じでありまして、そういうふうな工夫が要るのではないかなというふうに感じているところでございます。
○橋本参考人 この問題に関しては、法制上の問題とか何かにとどまらない。ある意味では、国土の保全はお金もかかるわけです。 例えばこういう事例があります。自分はふるさとが遠くにあって、東京に来ている。おじいさんや御両親が住んでいたその土地を放棄したい、そういうふうに自治体に届け出た。きょうだい関係も了解している。しかしながら、大変な問題が起こっちゃったと。これは何かというと、自治体はそれを管理できないんです。つまり、荒れ放題になって、ぼうぼうになって、そこからいろいろな草刈りだ何だと周りの人がもう困っちゃって、放棄しないでくれと言われた。どうしたらいいだろうか。こういう事例は必ず出てきます。 最後です。やはりこの問題を考えるときに、緑の保全や国土の保全というのには一定のお金がというのは、かなりのお金がやはり必要となると思います。私の持論は、不要不急の公共事業をやるお金をそういうところにぜひ使ってもらえないか、ここでのきょうの法案の審議には当たりませんけれども、私はそう思っております。 以上です。
○もとむら委員 山野目参考人にお伺いします。 所有者不明土地はさまざまな問題が原因となっていると思いますけれども、災害時や防災といった観点からどのような問題が起きるのか、事例とあわせて教えていただければというふうに思います。
○山野目参考人 二〇一六年の三月十三日、震災から五年がたつ年の三月十三日になりますけれども、NHKの放送に登場した南三陸町長は、おくれがちである仮設住宅から災害復興住宅への入居が、土地の権利者の問題がなければ、ここが本日の議題との関係で重要な点ですが、土地の権利者の問題がなければあと二年は早かったというふうにお述べになりました。 津波に襲われた場所は、都市計画上、住宅をつくってはならない場所になっております。新しく家を建てる場所を人は高台と呼びますが、高台という言葉は響きがよ過ぎるのではないかと感じます。高台とは、長く利用されず注目されてこなかった土地にほかなりません。しばしば、取引の対象とされず、固定資産税非課税地であることもあります。相続の登記がされないままこれを復興のための事業に用いようとすると、多くの困難が所有者の確認という関係で立ちはだかります。 今般、法律案は東日本大震災には間に合わなかったんですが、災害、災厄の多いこの国において、次なる復興において、次なる災害の際の復興において、この南三陸町長のような嘆きのことを繰り返してはならない。そういう観点からの施策の要望に応える側面もあるのだということをぜひ御認識いただければまことにありがたいと感ずるものでございます。
○もとむら委員 最後に橋本参考人に、きょうの資料の中に、先ほど赤羽委員の質問にもお答えになっていましたが、今回の法案はリニア中央新幹線の建設を促進するためということで書かれておりますが、私の地元も、神奈川県相模原市でありまして、中間駅ができます。この法案とどのようなかかわりがあるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○橋本参考人 これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、これだけ大量の土砂が出ますので、昨年の十月段階だと思いますが、この大量の土砂の約二割ぐらいしか行き先が決まっていないというふうに聞いております。これは、相当大きな、工事の進捗にはネックになるんです。この辺は皆さんおわかりだと思うんです。 それで、一番私が心配するのは、地権者が不明だということで裁決されちゃって、この法案に従ってやる。そうなったときに、その残土も、並の普通の量じゃないですよ、百万立米とか。私、工学をやった人間から見ると、こんなのつくったら、水の問題が、もう谷戸だとかなんとかというのはどんどん水が入りますから、これは一番弱いところ。そんなような関係からいくと、下流域の住民が物すごい今心配しています。 そんなことで、相模原も、あの辺は地下ですから、あれは何か川崎に持っていくというふうなことを言っていますけれども、そんなような関係で、この法案は、さっきちょっとうがった見方というふうに申し上げましたけれども、かなりこれと関連しているんじゃないだろうかというふうに考えている次第です。 以上です。
○もとむら委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。 お二人の参考人には、私からも心からお礼を申し上げます。 まず、山野目参考人にお伺いしたいんです。 土地収用法が定める収用手続は、言うまでもなく、憲法二十九条が保障する土地所有権そのものを公共のために権利者の意に反してでも奪うという、最も財産権の侵害度が高い場合の手続だと思うんです。権利者に対する十分な手続保障があってこそ、公共目的で権利を奪うことが正当化されております。 現行法でも実は、不明裁決、土地収用法四十八条四項ただし書きの制度というのがありまして、収用委員会の手続を残したままで所有者不明土地の収用は可能であると思います。 また、国交省自身のデータでも、事業認定までの所有者探索の結果、登記簿だけでは所有者不明土地が二〇%あるのに対して、頑張って〇・四一%に下がる、こういうふうに判明しております。 これを合理化するための制度ということでありますけれども、そこまで努力されているという現状に鑑みて、やはり、これまで使われてきた、現状でもあるこの不明裁決という手続でなぜいけないのか。この点についてお伺いしたいと思います。
○山野目参考人 お尋ねありがとうございます。 ただいま議題としております法律案におきましては、御指摘のとおり、土地収用法の通常の規律とは異なる特例の提案を差し上げているところでございます。 法律案に盛り込まれている特例によりますと、起業者は、事業の認定がされてから一年以内に都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用に限って、この特定所有者不明土地の収用について裁定を求めることができるとされておりますけれども、その際には、裁定の申請において、特定所有者不明土地の所有者の全部又は一部を確知することができない事情をきちっと説明しなければならないものとされております。 それを受けた都道府県知事は、お話し申し上げているとおり、公告をし縦覧をした上で、最終的に適切でないと判断するときには、裁定申請を却下することもあり得るものでございます。 このような手順の用意の上に、特定所有者不明土地、すなわち、簡易なものを除き建築物が存在せず、現に利用されていない土地に限って対象とするものでありまして、個別性の強い建築物の補償や移転料、営業補償の算定を要しない局面に限定して、土地収用の制度、議員御指摘の不明裁決の制度の特例を用意しているところでございます。 御注意いただいておりますように、今後仮にこれが法律になります際には、その運用について、間違っても議員御指摘のような不適正な運営がないように政府としてしっかり運用していかなければなりませんし、国会としてもきちっと監視していただかなければいけないことはもとより当然であるというふうに考えますけれども、この制度それ自体は、昨年秋の国土審議会の土地政策分科会特別部会における調査審議の成果を反映して提案申し上げているものでありまして、それとして根拠があるのではないかというふうに理解しているところでございます。
○宮本(岳)委員 そういう御説明でありました。 ただ、私どもが気になりますのは、本法案の土地収用法の特例を見ますと、収用委員会にかわって、知事の裁定による収用手続が認められることになります。そのため、事業者の事業認定を事業者が行うという場合が出てくるわけですよ。 例えば、市町村が行う事業は都道府県知事が事業認定するわけでありますけれども、その都道府県知事が裁定すれば足りるという場面が出てきます。 ですから、裁定申請を却下もできると今話がありましたけれども、そういう場合は、みずからやりたい事業をみずから裁定するということになるわけでありまして、これは、こういう場面が出てきたときに、住民の声を無視して、利害関係人に何ら説明せずに事業が進められることになりはしないか。こういう心配を私たちは持っているわけです。 まずは橋本参考人と、そして山野目参考人に、端的に少しそういう心配についてお答えいただけますか。
○橋本参考人 ありがとうございます。 この今の委員の御指摘は、私が先ほど公述して、又は、御質問にお答えした内容と重複いたします。 基本的な考え方は、今宮本委員の言われた考え、そこに私は不安を持っている、感じている。先ほども、左手で答案用紙をつくって、右手で解答を出してパスさせる、これでは、全くある意味何でもありというふうになっちゃうという、これはちょっと極論ですけれども、そんなような危険性があるということを十分認識した上で今回の法案を審議していただきたいというふうに思うわけです。
○山野目参考人 どうもありがとうございます。 三つのことを申し上げます。 一つは、先ほどから申し上げております国土審議会における調査審議の経過の御紹介ということになります。 ただいま議員が御指摘いただいた、左から右というお話なんですけれども、裁定申請をする事業者が都道府県知事であり、また、裁定をするのがその都道府県知事であるというような局面があるのではないかというお話なんですが、その論点は、国会審議になってから議員のような御指摘をいただいて、それを聞いて初めて、えっ、そんな論点あるのという感じで、これはちょっと考えていませんでしたという、そういう話では恐らくないんだろうと思うんです。 国土審議会の調査審議の中でも私からも発言した経緯がありましたし、議事録を見ていただくとおわかりいただくことができますけれども、そういうふうになることがありますよね、都道府県知事が申請し、都道府県知事が裁定する、これについて問題はありませんかということをそこにいた国土交通省の事務局にもただして、調査審議が進められました。 そこでの議論はまた議事録を見ていただければよろしいんですけれども、従来の土地収用法の運用の中でも、裁定とか、それから審査請求なんかの局面で、しょっちゅうではないんですけれども、今のように、求める人と判断する人が同じになるという局面が全くないわけではございません。そこについて、決定的な何か従来の運用の中で問題事案が指摘されていたというふうにも認識しておりません。 そういうふうな調査審議を経て、ここのところはそういうふうに仕組むということでまいりましょうというふうに進めたものを政府が独断でその内容を変えたのではなくて、答申の内容を反映したものを本日法案として提案申し上げているということです。 二点目ですけれども、では、具体的には事案の処理としてはどういうイメージになるのかといいますと、都道府県知事が出したものを都道府県知事が裁定するというお話なんですけれども、都道府県にはたくさんの職員の方が働いておられるし、部局が分かれております。事業を行おうとする部局が判断して使わせてほしいというふうに言い、しかし、別の部局の人たちがまた一生懸命、本当にそれで大丈夫なのかということを審査して、それぞれの権限を行使する都道府県知事を補佐するものでありまして、そういうふうにしていただくことになるんだろうと思います。 そこのところ、同じ都道府県の県庁の建物の中で働いているから何かいいかげんにやっているんじゃないかというふうに言ったら、それはそこの都道府県の職員の皆さんにも失礼な話なので、それは少なくとも今までの運用を見ると、一生懸命やっていただいているんだろうと思います。 三点目、今後の土地収用制度の改革を視野に置いてということで申し上げるとすれば、確かに、しかしそういうふうには申し上げましたけれども、そのことについて今後の運用の中で問題が出てくるのであれば、やはりそれは、この法律案のこの場所だけではなくて、土地収用法一般について考えてみるべき課題が横たわっているということなのかもしれません。 そこは国会においても厳しく見ていっていただきたいと思うんですが、ただ、それは単に同じ人になっているからいけないとかいいかげんになるじゃないかという話ではなくて、主体が違っていても、橋本参考人がずっといろいろな土地収用の事案で辛苦をなめておられて、また、強くおっしゃっておられるその問題は、何か名義人を分ければ済むという話ではないんだろうと思うんです。 そこはもう議員は見抜いておられて、しかしなお指摘しておられるんだと思いますけれども、御検討いただくのであれば、そこの抜本まで立ち返って、多分この法律案の審議の場所ではなくて、また改めて御検討いただくことになるのではないかというふうに感ずるものでございます。
○宮本(岳)委員 従来もないわけではない、おっしゃるとおりだと思うんですけれども、だからこそ厳格な土地収用手続というものが、それが煩雑であっても、時間がかかってもやってきた。それを要するに合理化する、簡素にするということに問題はありはしないかという御指摘を申し上げているわけです。 それで橋本参考人にお伺いするんですけれども、先ほど来、リニアということも出てまいりました。百万トンの土を処理する上でこれが使われるのではないかという危惧も参考人から出されました。 それで、今こういう手続がないからこそ、相当頑張って〇・四一まで調べてということをやっているんだけれども、これからはややもすると、この手続ができた、では所有者不明のところは、もうこの手続もあることだから、そういう場所にどんどん活用しようじゃないかというような使われ方はしはしないか、こういう危惧を随分持っているわけですが、橋本参考人はどのようにお考えでしょうか。
○橋本参考人 この問題については、かなり現地に行って、特に長野県の大鹿村とか、それから中川村、そして豊丘村、飯田市、リニアの通る沿線ルートです、ここから大量の搬出土が出ます。この地帯が物すごい崖崩れがあったり、三六災害というか、何百人という人が大鹿では死んでいるんだよね。今でも河川のところは土砂崩れがもう絶え間なく起こっている。活断層もあって非常に悪いところ。これは地元の人もよく知っている。 私が一番危惧するのは、この法案が通ったときに、不明者の土地というのは出てきます。それから地権者がわかっている土地もです。その地権者も、賛成ばかりじゃなくて、反対の人が出たとする。この反対の人は別にしてこれは収用委員会にかける、賛成の人はそっちはパスするというふうに国土交通省の職員の方からレクチャーを受けました。そうすると、その部分を使ってもう工事が始まっちゃう。こういう心配が、収用委員会にかかったのは時間はもっとかかるから、そっちはそっちでやっていくということが僕は十分できちゃうんじゃないかと。 それで本当に心配しているのは、地権者だけの問題じゃないんです、これは。搬出土が渦高く十数メートルから二十メートル積んだ百万立米以上のやつが流れ出るのは地権者のところから出るかもしれないけれども、それは、下流の人が住んでいるところ、ここに被害が及ぶ。だからこの人たちの権利はどうするのということで、今地元ではてんやわんやなんです。 こういった問題をクリアにしないと今回の法案というのは、それだけではよしとするわけにはいかないというのが私の主張です。 以上です。
○宮本(岳)委員 ありがとうございます。 私どもは、地域福利増進事業の創設や所有者探索の合理化ということには反対はいたしません。賛成であります。これからまだまだその課題は多いということを山野目参考人もおっしゃいました。 しかし、そういう課題を本当に進めていく上では、私は、今、現場の職員の数というのは圧倒的に足りないんじゃないかとこう思うんです。毎年、国会でも、この法務局の職員の方々の数をしっかりと確保する、ふやしてほしいと。これは、請願、珍しく全会派一致で法務省に関しては採択されたりするテーマなんですけれども。 こういうことを本当に、この法律にかかわらず、さらに、先ほどからおっしゃっていたような、一層しっかりと検討していく、進めていく上では職員ももっときちっとふやしていく必要があると思うんですが、最後に山野目参考人の御意見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○山野目参考人 議員におかれましては、ただいまその法務局の職員のことを案じていただきまして、本当にありがとうございます。心から感ずるところでございますけれども、法務局の職員を減らすのをやめていただきたいと考えます。 今まででも、不動産登記の事務、人権擁護、供託、戸籍にかかわる事務をするのに手いっぱいの状態が続いていました。しかし、この所有者所在不明土地問題、それから相続登記の推進という新しい課題に、これからもちろん政府一丸となって、関係閣僚会議で決められておりますとおり、進めていきますけれども、恐らく、幾つかある最前線の一番典型的な最前線で奮闘していただくのはこの法務局の職員の方々なんです。間違っても過労死をするような方が出たりしてはいけませんし、きちっとした環境で適切な仕事をしていただくということについて引き続き立法府として御関心を抱いていただければ、本当に、まことにありがたいと感ずるものでございます。
○宮本(岳)委員 ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
○西村委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。 本日は、山野目、橋本両参考人におかれましては、本当にお忙しい中、今週お忙しい中、この席にお越しをいただきまして意見を開陳いただいて、本当にありがとうございます。 私もきょう七人目で、この参考人質疑では七人目で最後なので、もうほとんど多くの委員先生方がお聞きになられているのでちょっと重なる点も出てきますけれども、御理解をいただきまして御容赦いただきますようにお願いをいたします。 山野目参考人が先ほど、所有者所在不明土地問題について初めて講じられる体系的な法制上の措置だというふうにおっしゃっておられました。 そういう意味では、まずはさまざまな課題もあります。財産権の侵害というか、脅かされることがないかとか、そういったさまざまな問題はありますけれども、所有者不明の土地をやはり少しでも少なくしていこうという考え方に立って、非常に有意義な特措法なんではないかなと我々は思っています。 まず、さまざまな細かい質疑に入らせていただく上において、所有者不明の土地が九州ぐらいの土地があるというふうに言われていますけれども、こういう現状になったことについて両参考人はまずどのようにお感じになられるか、お答えいただけますでしょうか。
○山野目参考人 本日の委員会の御審議においてもたびたび御指摘をいただいておりますとおり、戦後の我が国の歩みを振り返ったときに、高度経済成長期それからバブル期という、経済の動きが顕著であった時代が一定の固まりを持って長く続きました。 その時代、この相続登記をしてくださいとか義務づけますとかいうようなお話をしなくても、登記はおのずと、土地がその多くの場合においてお金を生んでいくものでありましたから、国民が求めなくても励行してきたという側面があって、我が国の不動産登記制度は、その内容の充実度、運用する職員の質の高さなどにおいて世界に冠たるものであるというふうに私は信じておりますけれども、それがまさに適正に動いてきた幸福な時代が続いたものでございます。 しかしながら、議員御承知のとおり、ここに至りまして、バブル崩壊からこの方、土地が必ずしも、持っていると何か価値を生むとは限らないという時代状況、社会経済情勢の変化を迎えました。 これを踏まえた土地政策の大きな転換、きょう指摘申し上げましたように、理念の整備をし、その上で各法分野における個別法の整備を、もし仮に今般この法律案を御採択いただいた後は、これで安心ということではなくて、いわばこれをスタートにして進めていかなければならないというふうに考えております。
○橋本参考人 この問題は、何度も申し上げていますけれども、私は、基本的にはこのバックグラウンドは、今山野目さんがおっしゃられたことだと思います。 それと、非常に急速に高齢化が進んでいますから、かつては七十歳、私はことし七十三になるわけですけれども、もう大体あちらに行っていたんですよ。今は、私もそうですけれども、まだ元気です。本当に日本は、僕は高齢化社会というのは一面悪いだけとは思いませんけれども、ますますこれが進むのはもう間違いないと思うんです。先ほど年金の問題もありましたけれども、お金と結びつかないですから、この不動産がだんだん。 例えば東京でもそうですけれども、昔は、山を持っている山地主といったら大したものですよ。だけれども、今は奥多摩の杉の木一本が、三十年以上たったこれだけのものが、出してくる費用の方が高くて、放置が多いんです。どこに自分の土地があるかもわからないという方がうんとふえている。関心が薄れているんです。 だから先ほど申し上げましたように、やはりこれは個人の努力では十分いかないんだろうと思います。 したがって、ある意味での法制化と、国土の保全をどうしたらいいかという大きなやはり考え方の上でしっかりと議論をしないと、これは一年、二年ですぐ結論が出ないと思います。 そういう意味で、国会議員の皆さんたちにもこの問題を真剣に御議論いただけないかと。これは単なる今回の法案だけの問題じゃないだろうというふうに思うわけです。 以上です。
○井上(英)委員 不動産価値の流れだとか、そういうものが変わってきたということなんですけれども、もっとこう細かく僕が個人的に思うのは、不動産の価値があろうがなかろうが、所有者不明というものを生まない、そういうシステムというのが今後やはり必要になってくるのではないかなと。 その契機となるように、この法案を含め、それからまた、先ほど橋本参考人がおっしゃったような今後の国土の保全も含めて、やはり進めていく上においてのベースとなる法案となってもらえたらなというふうに思っています。 それが九州ぐらいあるというのは、やはり聞くと違和感が非常にありますので、そういう所有者不明の土地に関する問題というのはたくさん多岐にわたっていると思うんですけれども、今回、政府においては、所有者不明土地のこれがまた、公共的な利用の円滑化を喫緊の課題というふうに捉えています。 法案を提出していますけれども、両参考人においてお聞きしたいのは、所有者不明土地問題についてやはりまず第一に取り組むべき本当の課題というのは何で、改めて、特措法案の評価できるところ、それからまた懸念するところをちょっとお聞かせいただけたらというふうに思います。
○山野目参考人 ありがとうございます。 今般の法律案は、当面、地域福利増進事業及び土地収用制度の改革を中心に御提案を差し上げ、あわせて、不動産登記の制度の面でも運用の改善を図ろうとしているものでございます。 今後に求められる課題といたしまして、既にきょうたびたび御指摘申し上げましたように、土地所有者の責務の明確化ということがされなければなりませんし、細かな問題を続けますと、登録免許税の改革、土地情報基盤の整備、不動産登記制度の一層の見直し、合理化、国民へのノウハウの提供の充実、それから、民法を始めとする民事関連法令の中でこの課題の観点から見直すべき点があればその見直しをする。 こうした施策の積み重ねを通じて、相続人になった方に、自分のところに代がわりがあったんですということの届出、それを登記申請という形でするのがいいのか他の仕組みを用意するのかは検討してみる必要がありますけれども、届出を励行、徹底していただくという文化をつくっていくということが重要なのではないかというふうに考えております。
○橋本参考人 私はちょっと違うというか、今までお話ししたことと違うことをちょっと申し上げます。 必ずしも海外の事例が日本に当てはまるわけではありませんけれども、やはり高齢化社会に向かっているという面では、ヨーロッパの諸国もかなり近い面も持っている国があります、その国の大きさや人口には差がありますけれども。 ただ、そこで私が非常に感じているのは、小学生を始めとした教育、そういうところからきちっと、国土の問題、自然の問題、環境の問題、それは倫理的な問題も含めて、ある意味、世界観、社会観のところまで、その年代によって違いますけれども、そういうことをやっているということに大変感心をしました。 特にデンマークへ行ったときに感心したのは、小学校四年生のクラスの授業を見せていただいた。そのときに校長先生と行って、私は驚きました。何をやっているかといったら、日本の水俣病の勉強をしているんです。小学校四年生の子供たちが、日本の水俣病が解決していないということを学んでいるんです。同じ海に囲まれたデンマークが、やはり環境は大切にしなきゃいけない。校長先生は言いました。このことは必ず家庭に帰ってもしゃべります。子供たちは生き生きとして話します。だから国民も教育されて、将来、こういう国づくりにということで、デンマークが全部いいわけじゃありません。だけれども、それは日本も学ぶべきだろうと私は思います。 だから、それぐらい長いスパンで少し物事を考えないと、拙速とかということではなくて、この法案、私も先ほどから何度も、賛成のところはもちろんあります。だけれども、いろいろな問題をまだ含んでいます。その大前提が、やはり国民の理解がどれだけ生まれるかということがないと、この法案も絵に描いた餅になってしまう、そういう心配があるというふうに考えております。 以上です。
○井上(英)委員 ありがとうございます。 種々、本当にそれぞれの先生方の思いというのもあるんですけれども、なかなかちょっとそれに細かくお聞きをする時間がありませんので、拝聴させていただいて、またこの後、国民民主さん、質疑もされますし、あしたまた質疑もありますので、また先生方の御意見というのを参考にさせていただきたいというふうに思います。 この特措法案において、今度は公共事業のために所有者不明土地を利用する場合についてでありますけれども、現在の土地収用法による手続を合理化、簡素化、円滑化することとなっていますけれども、収用委員会にかわって、何度ももうお答えになられているのでお疲れかもわかりませんけれども、都道府県知事が裁定するということができるというふうになっています。 所有者の財産権の保護という観点から、改めて、問題はないかということを両参考人に見解をお伺いしたいと思います。
○山野目参考人 議員におかれましては、お疲れをというふうにおっしゃっていただいてありがとうございます。決して疲れてはおりません。今お尋ねいただいたところ、大変重要なところでありまして、説明のチャンスをいただいたことに強く御礼申し上げます。 いわゆる不明裁決の制度の改革ということをこの法律案に盛り込んでおりますけれども、誤解があってはならない、もちろん先生方は御理解いただいた上での御審議だと思いますが、なお念押しして申し上げるとすれば、この法律案が提案している不明裁決の特例というのは、決して、土地収用法が定めている普通法制上の標準的な不明裁決のルールを根こそぎ否定して、あれを丸ごと引っこ抜いてきてこっちの法律案に入れて、それで物すごく簡単な形で進めるようにしてしまいましょうというお話を差し上げているものでは決してありません。 所有者不明土地のうち、特定所有者不明土地、すなわち、法律で精密に定義を差し上げていますけれども、簡単に言えば、使っていない土地、それに限って、補償額の算定において困難な問題を伴わない場面であるところから、収用委員会における裁決手続とその前提としての審理手続にかえ、都道府県知事の裁定の手続を導入し、あわせて、土地調書、物件調書の作成をしなくてよいこととするという提案を差し上げているところでございます。 これは、それとして国土審議会の調査審議の成果を反映するものであって、根拠があるものであるというふうに私は理解しております。 もちろん、先ほどから橋本参考人が心配なさっておられるような観点について、引き続き、国会として遺憾なく政府に対して監視のお役目を担っていただきたいということもあわせて感ずるものでございます。 どうもありがとうございます。
○橋本参考人 山野目さんと実はこの委員会が始まる前に、二人だけでしたからいろいろお話をしていました。今の、私たちのここでお話ししたことというのは、もちろん委員の皆さんたち、理解していただけるのではないかと。 だから、単にいいとか悪いじゃなくて、こういう問題があるんだよということをやはり理解した上でこの法案を見てみるということが大切であり、公共事業は、一番の上流があって、これは計画段階から始まって、土地収用は最後のどん詰まりです。事業認定もそうです。 だから、そういう点では、先ほど私が何度も申し上げましたけれども、国民の理解が得られないということではこれはいかぬ、そういう危惧感を私は持っているんだということをたびたび申し上げたわけです。 以上でございます。
○井上(英)委員 ありがとうございました。 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人の方々に一言申し上げます。 本日は、大変貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手) 参考人の皆様は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。 —————————————
○西村委員長 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・建設産業局長田村計君及び法務省大臣官房審議官筒井健夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。
○階委員 国民民主党の階猛です。 本日は、質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。 所有者不明の土地問題については、私、被災地の岩手の出身でございまして、早い段階からこの問題に関心を持ってまいりました。 先ほど参考人のお話の中でもありましたけれども、所有者不明土地問題が移転先の土地確保などについて大きな障害になっているということで、私も野党の一員としてこのたびも法案を国会に提出しましたし、この所有者不明土地問題については、ぜひ与野党を超えて、積極的に議論し、有意義な解決策を見出していきたいと思っております。 その上で今回の法案の質疑でございます。 所有者不明土地問題について取り組まれる姿勢については、私も賛同いたします。ただ、この所有者不明土地を減らすということが私は究極的には大切なことではないかと思っておりますが、基本的なことをお尋ねします。 本法案が成立した場合に、所有者不明土地はどの程度減少すると大臣はお考えでしょうか。
○石井国務大臣 本法案は、所有者不明土地の利用の円滑化を図るものでありまして、所有者不明土地を減らすことを直接の目的とするものではございません。 所有者不明土地の発生の抑制や解消に向けた抜本的な対策につきましては、登記制度や土地所有のあり方等と深く関連をするため、政府一体となって検討することが必要であります。 このため政府におきましても、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議を開催をいたしまして、その中でも、「土地所有権や登記制度の在り方など財産権の基本的な在り方に立ち返って、土地に関する基本制度についての根本的な検討を行う」こととしているところであります。 国土交通省といたしましても、登記制度を所管する法務省など関係省と連携をしつつ、引き続き、土地所有に関する基本制度の見直しにつきまして検討を深めてまいりたいと考えております。
○階委員 今お話しのとおり、この法案自体は、所有者不明土地を減少させることを目的としていないということであります。 ただ、この法案の中に、第三条、「基本方針」というところがありまして、「特定登記未了土地の相続登記等の促進に関する基本的な事項」というものが列挙されております。ここが私は重要なところだと思っておりまして、今大臣からもお話しありましたとおり、関係各省と協議した上で、ぜひここは早く進めていただきたいということで、私からは、その関係で幾つか提案などをさせていただきたいと思っております。 まず、この法案の中で、所有者探索の合理化ということに関連する項目があるわけですけれども、探索の方法は「政令で定める」というふうに条文では書いてあります。 他方で、きょうお配りしている資料、ポンチ絵が一枚目にありますけれども、この中で、下の方に米印があって、私どもの方で波線を引きました。「照会の範囲は親族等に限定」というふうに書かれてありますが、この「親族等に限定」とあるところ、具体的に何親等まで照会するものなのかということを参考人からお答えいただけますか。
○田村政府参考人 お答えいたします。 所有者の探索は、これまで過失なく行うとされていたところであり、地元の精通者や海外の県人会等への聞き取りに多大な労力を要してまいりました。 しかし、こうした調査につきましては、地縁の希薄化等を背景に情報を得られにくくなっていることや、個人情報保護の観点を踏まえ、今般、一定範囲の親族、現地の占有者、海外の在外公館等に対し照会を行うことを明確化いたします。 一定範囲の親族の考え方でございますが、まず、登記名義人の法定相続人につきましては、親等が離れていましても相続により所有者となり得ることから、探索の範囲の限定はいたしません。 法定相続人以外の親族につきましては、相続人ではない者も含まれますが、調査の過程の中で所在が把握できた者に限定して照会をするということといたします。 これらによりまして所有者探索の範囲を明確化することで、これまで所有者探索に要している多大な時間、費用、労力を軽減することができるものと考えております。
○階委員 今のお話ですと、法定相続人であれば、何代にもわたって調べなくちゃいけない。まさにそのことが被災地では問題になって、法定相続人が六百人ぐらいいるというケースもあったわけです。 合理化するというのであれば、ある程度のところで区切って、それで照会するというふうにしないと、今までと余り変わらないような気がするんですが、その点について、これはできれば大臣からお答えいただければと思うんですが、参考人ですか。結構ですよ。
○田村政府参考人 お答えいたします。 確かに、法定相続人ということであれば、子供が亡くなっていても、孫とか、代襲相続ということで、世代を下の方に広がっていくということはございますが、やはり不明ではあっても所有権は持ち得るということでございますので、それを探索の範囲から外すということにつきましては、財産権の保障の観点から、やはり探索する必要はあるのではないかということ。 ただし、一方で照会の、調査の仕方といたしましては、書面の送付、その他の合理的な方法によるということで、現地へ赴いて事情を聞いたりとか、そういったことにつきましては要しないというふうなことにしたいと考えておりますし、それから、法定相続人以外のところについては、先ほど申し上げましたけれども、調査の過程で所在が把握された者に限定をするということでございますので、そういったところでも合理化が図られるものと考えております。
○階委員 これが合理化と言えるかどうか。私は、民間ではなく役所にとってはプラスなのかもしれませんけれども、一般の人にとってはなかなか厳しいと思っていまして、それで、今回の法案は、主に公共の事業に役立てるための所有者探索を念頭に置いているんだと思うので、その観点からの合理化なんだと思うんですけれども、やはり、民間の所有者不明土地を減少していく、既存の所有者不明土地を減少させていくためには、公共事業や地域福利増進事業という今回の法案で設けられる事業、こういったものの対象となる土地でなくても、一部の相続人等からの求めがあれば、登記官が、先ほどおっしゃった照会すべき範囲で所有者を探索して、それらの者に通知を行い、遺産分割と相続登記を促す仕組みをつくるべきではないかというふうに思っています。 法案でいえば四十条の関係になるかと思いますが、四十条では、あくまで今申し上げました公共的なもののためだけに登記官が調査をして情報提供するという仕組みになっているんですが、そうではなくて、所有者不明土地を極力減らすという観点からは、一般私人にも登記官がそういうサービスをしてあげる、これをぜひやるべきではないかと思うんですが、法務省いかがでしょう。
○筒井政府参考人 お答えいたします。 本法律案における不動産登記法の特例は、ただいま御紹介ありましたように、公共の利益となる事業を実施しようとする者からの求めに応じて、当該事業を実施しようとする区域内の土地を対象として、登記官が相続人等の探索を行うものでございます。 これは、現在、所有者不明土地の増加によって、公共事業用地を取得しようとする際に、その事業主体が所有者の探索に膨大な労力等を要しているという問題に対応することを目的とするものでございます。 御指摘がありましたのは、公共事業用地の取得等の場面に限定しないで、一部の相続人等からの求めがあれば、登記官が所有者を探索するなどの仕組みを構築すべきであるというものと理解いたしました。 ただ、このような仕組みの構築に当たりましては、本来、全ての共同相続人を探索するための負担は、遺産分割や相続登記をしようとする相続人自身が負うものであるとされていて、それにもかかわらず、これを国が負担すべき理由などにつきまして慎重な検討が必要であると考えております。 既に発生している所有者不明土地への対策を含めた登記制度、土地所有権等のあり方については、平成三十年度中の法制審議会への諮問を目指して、現在、研究会において検討を進めているところでございます。 所有者不明土地の解消に向けて、関係省庁とも連携して、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○階委員 今ある所有者不明土地問題、この所有者不明土地を減少させていくためには、相続登記、放置されているものをしてもらわなくちゃいけないという中で、まず一番目にネックになっているのは、今申し上げました所有者の探索です。 所有者の探索は、先ほどの答弁にもあったとおり、かなり合理化したといっても複雑ですし、相当な法的な知識がないと一般私人は難しいと思うんです。だからこそ公的な支援が必要だということで、ぜひここは御検討いただきたい。 それとあわせて、これから先の所有者不明土地の新規発生を防ぐため、これは、今の話よりは登記官はまだ負担が少ないかな、登記官にお願いできる話かなと思うんですが、まず、誰か所有者たる登記名義人が亡くなった場合、登記官から法定相続人に速やかに連絡して、遺産分割をせよ、あるいは相続登記をせよというふうな促す仕組みをつくれば、新規の所有者不明土地の問題は防げるのではないか。これぐらいはまずやってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○筒井政府参考人 現行法のもとにおきましては、所有権の登記名義人が死亡した場合に、登記官が直ちにその死亡の事実を把握することができる仕組みとはなっておりません。 御指摘がありました、その所有者が死亡した場合において、登記官が法定相続人に対して速やかに連絡する仕組みを構築しようとする場合には、その前提として、不動産登記と戸籍等を連携させ、登記官において所有権の登記名義人が死亡したかどうかを適切に把握することができるようにすることが必要であると考えられます。 法務省といたしましては、所有者不明土地の問題に対応するため、土地所有者情報のうち基本的な情報である不動産登記を中心として、関係行政機関が土地所有者の情報を円滑に把握することができるようにする仕組みの構築について検討を行っているところでございます。 このような土地所有者の情報を円滑に把握することができるようにする仕組みの構築も含めた登記制度、土地所有権のあり方等について、関係省庁と連携しながらしっかりと検討を進めていきたいと考えております。
○階委員 戸籍の方も不動産登記の方も法務省の所管ですから、関係省庁と連携しなくても皆さんのところでできるんじゃないですか。そして、マイナンバーもあることですし、そういったツールも使いながら、亡くなった方の情報が法務局に届く、これはすぐできると思うんですけれども、何でそんなに慎重にやらなくちゃいけないのかわからないんですが、もう一度御答弁願えますか。
○筒井政府参考人 御指摘がありましたように、戸籍についても法務省の所管でございますので、連携を図っていくことを検討しております。 現時点で直ちにできないのは、不動産登記における登記名義人を特定する情報というのは必ずしも登記簿にはございませんので、戸籍との連携をどのように図っていくか、まず、その点についての技術的方法に関する検討が必要であるためでございます。 この点について現在鋭意検討を進めているところでございまして、その点について、また、そこで得られた情報、不動産登記に関して得られた情報を関係省庁にも提供していくようなそういった情報の連携も含めた検討を今後進めていきたい、そういう趣旨で、先ほど答弁した趣旨でございます。
○階委員 ぜひ、責任感を持って、当事者意識を持ってここは進めていただきたいと思います。 それから次の質問なんですけれども、相続登記をする前に遺産分割をするケースが多いと思います。遺産分割をする場合に、相続人の中に複数の所在不明者がいる場合というのがあると思います。その場合、現行法によりますと、不在者財産管理人をそれぞれの所在不明者につき一人ずつ選任しなくちゃいけない、こういう問題があるわけです。実は、この点も東日本大震災の復興のときに現場からそういう声がありまして、私どもの方で法律をつくったものがあります。 これは東日本大震災対応ではあるんですけれども、資料の二ページ目の法案の概要なんですけれども、「第二」というところで「不在者財産管理人に関する民法等の特例」ということで、「相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等について、遺産の分割がされておらず、かつ、複数の共同相続人等が不在者であるときは、弁護士等である不在者財産管理人は、民法第百八条等の規定にかかわらず、複数の共同相続人等を代理することができる。」ということを定めております。 今回は、被災地に限らず全国共通ルールという観点もあるかと思うんですけれども、今、共同相続人の中にそういう複数の所在者不明がいて、原則どおり一人ずつ不在者財産管理人を選ぶと、一人につき家庭裁判所に三十万円も納付しなくちゃいけなくて、仮に不在者財産管理人を三人選べば、それだけで九十万円です。そのことがネックになって、遺産分割が進まない、相続登記も進まない。これも解消していかなくちゃいけないと思うんです。 ですから、私どもが今、国会に出した法案なども参考にして、不在者財産管理人を一名だけ選任すれば足りるような仕組みというのを構築すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、新谷委員長代理着席〕
○筒井政府参考人 遺産分割の場面で共同相続人中に複数の不在者がある場合に、複数の不在者について一人の財産管理人を選任したときには、その財産管理人は、複数の不在者の利益が相反する場合に、いずれか一方に不利益となる行動をとらざるを得なくなることから、不在者にとってその利益が害されるおそれがあるほか、財産管理人としても、各不在者に対する善管注意義務を果たすことが困難になると考えられます。 したがいまして、委員御指摘のような法制度を設けることについては、慎重な検討が必要であると考えております。 もっとも財産管理制度は、所有者不明土地問題への対応策としてさまざまな場面で活用され、重要な機能を果たしておりますことから、委員御指摘のような場面に限らず、土地所有者のうちに不在者が複数ある場面一般についても、その土地を管理するために複数の管理人を選任しなければならないのは煩雑であって、負担も大きいとの指摘がございます。 法務省といたしましては、登記制度や土地所有権のあり方について研究会で検討しているところでございますが、御指摘がありました財産管理制度のあり方についても、その機能の向上を図るという観点から、不在者の利益保護にも配慮しながら、関係機関と連携してしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○階委員 今の答弁の中で利益相反問題について触れられましたけれども、その点についても、きょうは時間がなくて触れませんけれども、我々は法案の中で手当てをしていますので、ぜひ、それも含めて御検討ください。 さて次に、先ほどの参考人質疑の中で、相続登記を促進していく上で、登録免許税の減免だけでは足りないのではないか、あるいは、相続登記を懈怠した場合に罰則を設けるというふうにしたとしても実効性はないのではないか、こんな議論がありました。 私もそれはそのとおりだと思っておりまして、相続登記を促進するためのインセンティブとしては、例えばですけれども、相続登記をした人がその土地を利活用するために、例えば家を新築したりリフォームしたりといった場合に、一定の補助金を設ける、しかも時限的に設けるなどして相続登記を促進するというのは、この問題の解決にもつながるだけではなくて地域の活性化などにもつながるということで、あめとむちでいえばあめの方、ここを充実させるということをぜひ考えていただきたいんですが、国交大臣いかがでしょうか。
○石井国務大臣 所有者不明土地問題の解決に当たりまして相続登記の促進は重要であり、そのためのインセンティブとして、相続登記をする者の負担軽減につきましても重要な検討課題と認識をしております。 一方で、税制措置や補助金の創設に当たりましては、公平性や公益性の観点にも留意する必要があります。 御提案の、相続登記を促すことを目的に、時限的に家の建てかえやリフォームを行うことについて補助金を設けることにつきましては、既に適正に相続登記をされた方や家を建てられた方等との公平性や、補助金の対象として、公益性の観点から適正であるか等について慎重な検討が必要と考えております。 相続登記に当たっての負担軽減につきましては、平成三十年度税制改正において、相続登記に係る登録免許税の免税措置が創設をされております。また、相続登記に係る手続の負担軽減についても、現在法務省において検討中と承知をしております。 引き続き、政府一体となりまして、相続登記の促進など、所有者不明土地対策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○階委員 今大臣の答弁にありました税制改正の概要について、資料の四ページ目につけております。 大きく二つありまして、「数次にわたる相続を経ても登記が放置されている土地」、先ほど被災地の例も出しましたけれども、何代にもわたって相続登記がされていない。その場合に、直前の人から自分に対する相続登記については登録免許税は減免しないけれども、そこに至るまでの代々のものは免除するというのが一つ目です。 そして二つ目については、一筆十万円以下の「相続登記を促進すべき地域における少額土地」ということになっていて、まず二つ目については、これは、十万円だとすると、千分の四だと四百円です。これで登記を促すとは思えないんです。 一つ目のところ、これはある程度、特に何代にもわたって放置されていた場合には、登録免許税の減税によって得られるものはあるかもしれません。 ただ、逆に言うと、これも今私の提案について大臣が慎重になった理由である、要は、真面目に登記した人との公平という面では問題があると思うんです。代々登記を放置して、そして費用を浮かせてきた人、その人が、遺産にも何がしかはその額というのは反映していると思うんです。私もこの間、みずから相続登記をやりましたけれども、ちょっとしたところでも何十万とかかりますよ。 そういうことを考えると、公平性、多分そのことも加味してこれは時限的な減税措置になっているんだと思うんですけれども、公平性ということでいえば、既にこの税制改正の1の方でも、一定程度そこは捨象した上で制度設計されているわけですから、本当にこの問題を解消する気になれば、もうちょっと踏み込んだあめの部分を考えていかないと私は難しいんではないかと思います。 大臣、もう一度、その公平性ということについて、もう少し柔軟に考えていただけないかということから、先ほどの提案について御所見を伺います。
○石井国務大臣 重ねての答弁になりますが、相続登記をする者の負担軽減については重要な検討課題と認識をしておりますが、税制措置や補助金の創設に当たりましては、やはり公平性や公益性の観点にも留意する必要がございます。そういった全体的な観点から検討していきたいというふうに考えております。
○階委員 ぜひここは、役所の発想ではなかなか今の三十年度税制改正の内容が限界だと私は思うので、そこは政治主導で、相続登記をどうやったら促進できるかということを柔軟に考えていただきたいということを申し上げます。 そして、震災復興のような緊急を要する場合、今回、土地収用法の特例を設けておりますけれども、私はさらなる踏み込んだ対策が必要ではないかと思っております。 それで、仲間と一緒に野党で法案を提出したものが、三ページ目につけておりますけれども、この三ページ目の東日本大震災復興特区法改正案。 これは、復興整備事業の用に供する土地について特例措置を設けましょうということで、今回の政府案との大きな違いということでいえば、ポンチ絵にありますとおり、今回の政府案では、反対する権利者がいないという場合にこの特例が利用できるわけですけれども、我々の案は、仮に反対する人がいる、異議がある人がいたとしても、このフローチャートでいうと左側の方になるんですが、「特例事業者の用地委員会に対する収用・使用裁決の申請」、二週間縦覧した後に、異議申出がない場合は右側で更に簡便な手続になりますが、異議申出があったとしても、権利取得裁決の手続を経て、これが終われば明渡しになって、土地利用が開始できる。実際の補償はどのタイミングで払われるかというと、その後、土地利用の開始をした後、各人別の損失の補償額を裁決して払う。 要は、事業を開始する、土地利用の開始する前の手続は、損失の補償についても各筆の土地ごとで足りるようなことにしていまして、この権利取得までは迅速にできて、かつ、補償が実際に払われる前に明渡しで、使用が開始できるということであります。こういうふうにすることによって、特に緊急を要する被災地の復興のような場面において、更によい手だてになるのではないかと思っています。 これは所有者不明の土地問題からは若干離れる部分もありますけれども、ぜひこうしたことも、被災地の復興という観点からも検討していただきたいんですけれども、この点について大臣のお考えを伺います。
○石井国務大臣 本法案におけます土地収用法の特例につきましては、反対する権利者がいない場合に対象を限定しておりまして、反対する権利者がいる場合には、土地収用法による裁決などを活用していただくこととなります。 御指摘の震災復興のような緊急を要する場合において、反対する権利者がいる場合にも適用可能な制度といたしましては、東日本大震災の復興事業において、被災地に特化した土地収用制度の加速化措置が講じられているものと承知をしております。 同様の措置は、大規模災害からの復興に関する法律にも盛り込まれておりまして、今後、制度の的確な運用を図っていきたいと考えております。 なお、今委員から御紹介いただきました東日本大震災復興特区法改正案、これが国会に提出されることは承知をしてございます。この法案につきましては、国会で御議論をいただくものと承知をしております。 〔新谷委員長代理退席、委員長着席〕
○階委員 所有者不明土地問題とともに、震災の復興に必要な土地をいかに早く確保して事業を進めていくか、これもぜひ御検討いただきたいということを申し上げます。 そして、最後の質問になりますけれども、所有者不明土地問題とともに、使う当てのない土地、所有者がいてももう管理する意欲もないといった土地について、所有権を放棄したいというニーズがあります。 現状、土地の所有権を放棄したいという人はどういう手続をとるのかはっきりしないと思うんですけれども、この点について法務省から御答弁をお願いします。
○筒井政府参考人 お尋ねがありました土地の所有権の放棄につきましては、民法上、明文の規定がなく、誰に対して放棄の意思表示をすることが必要かも不明であり、確立した最高裁判所の判例も存在いたしません。 このため、どのような手続をとればよいかを含め、土地所有権の放棄の可否については、一概にお答えすることが困難でございます。 一般論として、土地所有権の放棄が可能と解するといたしましても、放棄を認めると、一方的に不動産の管理コストや固定資産税の負担を免れ、これらを国の負担とすることになりかねませんため、個別の事案における土地の所有権放棄の可否については、当該事案における具体的事情に照らして、極めて慎重な検討が求められるものと認識しております。 とはいえ、御指摘のような、土地の所有権を手放す仕組みというものをどのようにしていくのかということについては、今後も引き続き、十分な検討をしていきたいと考えております。
○階委員 質問時間が終わりましたので、最後に一言だけ申し上げます。 今回新たに設けられる地域福利増進事業、これは民間の事業者も活用できると思うんですが、この法案を見ますと申請の手続がいろいろ定められておりまして、十条の三項とかそのあたりだと思うんですが、非常に添付書類が多くて大変だと思います。 本当にこれを活用するのであれば、このあたりも、なるべく事業者の負担を少なくするよう、ちょっとこれから検討していただきたいということも申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○西村委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案ということで質問させていただきます。三十分のお時間をいただいております。よろしくお願いいたします。 この法案の大きな目的といいますのが、公的な事業を行うときに円滑に用地が使えるようにということだというふうにお伺いしておりまして、私もいろいろと、周辺、地元の自治体の状況を聞いてみました。県と、それから、私の地元は五市ありますけれども、ただ、この五市に聞いたときに、今のところそういうことには該当しないよ、特に困っていないよというところが、五市のうち四市ありました。加須、行田、鴻巣、熊谷というところなんですけれども、羽生というところだけは、何件かそういった事例に相当するかなと思われるようなものを抱えていますということだったんですけれども、これからいろいろと各自治体、県、市町村等でこの制度が運用されていくということなので、ぜひ、なるべく具体的に役に立つような形でお尋ねをしていきたいなと思っておりまして、それぞれのケース、状況についてお答えをいただいてまいりたいなというふうに思っております。 羽生市のお話を伺ったときに出てきた事例でございますけれども、もともとの土地の所有をしていらっしゃった方、女性がお亡くなりになって、法定相続人が五名出てきたと。お子さんが五名ということなんですけれども、その長男の方が所在不明でありまして、残り四名。残り四名のうちの次男の方がその四名分を全部を引き受けて交渉に当たるというような状況だったということなんです。長男の方が連絡がつかないということなんですけれども、現状で、今弁護士がそこに入って、その長男の権利も、次男の方がほかのきょうだいと同じような形で代行するような形で契約を進めるのはどうかということで整理、調整を行っているというような、そんなお話がございました。 その売買契約等を結んだ後に、その後、長男の方の所在がわかったら親族間で調整してもらったらいいんじゃないかということで整理をしつつあるというようなお話だったんですけれども、このような複数の相続人があるという場合に、そのうちの一名だけ不明だったような、特に今みたいな形で、親族が代理で契約をするといったようなことができるのかどうなのかということで御答弁をお願いしたいと思います。
○筒井政府参考人 一般論としてのお答えということになりますけれども、土地が相続されて複数の相続人の共有となっている場合に、その土地を売却するためには、共同相続人全員の同意が必要でございます。 その同意は、所在不明者がその親族に対してあらかじめ土地売却の代理権を付与していたといったような例外的な場合であれば親族の同意でもよいわけですけれども、一般的にはそのような代理権は付与されていないと考えられます。 したがいまして、共同相続人のうちの一人が所在不明である場合には、例えば国や地方公共団体は、たとえ他の共同相続人全員が売却に同意していたといたしましても、その土地を買い受けることができないことになります。 このような場合にその土地を買い受けるためには、その所在不明者について不在者財産管理人の選任を請求することが考えられます。 この不在者財産管理の制度とは、従前の住所や居所を去って所在不明となった者について、利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が財産管理人を選任するという制度でありますけれども、公共事業のために不在者の土地を取得しようとする国や地方公共団体は一般に利害関係人に当たると解釈されているため、このような方法によることが可能であろうと考えられます。
○森田委員 ありがとうございます。 全員の同意が必要だということなんですけれども、先ほど不在者財産管理人のお話が出てまいりまして、こちら、例えば今のケースだけではなくて、県の事業をやるようなときにも、やはり土地の売買に関して不在者財産管理人、この選任がというお話も出てまいりましたので、確かに、そういう形をとれば処分ができるというような話なんですけれども、このときに問題になってくるのは、裁判所が選任した弁護士が財産管理人になるなんということもあるということで、高額な財産管理費用も必要になってくるというようなケースもあるということでございまして、これは今回の法律のものとは直接は関係ないのかもしれませんけれども、なかなか普通の方がこういった高額な弁護士費用を払うということになると厳しい面もあるかなと思いますので、ぜひこのあたりも御配慮をお願いできればなというふうに思っております。 それで次のケースなんですけれども、これは私が県議をしているときに出てきた土地なのでよく覚えておるんですが、熊谷市に押切橋という、もともと冠水橋だったところをかけかえた橋がございまして、その取付け道路の部分のお話だったんですけれども、比較的新しい県道ということもあるんですが、その歩道が一部欠けている部分があって、どうしたんだろうなということを伺ったところ、この法案で問題となっているような共有名義で、かつ、その相続人がもう何十人もいるようなケースだということで御説明があったということなんです。 さらに、その相続人だと思われる人の一部はブラジルに移民で行っちゃったというようなそういうケースだということで、今ブラジルにいるかどうかというのも正直わからない中での話なんですけれども、とにかく何十人もいるし、海外にも移っちゃっているかもしれないしということで、なかなかそれ以上の捕捉ができないというようなことで、そのまま手つかずになって歩道が欠けているというようなそんなことがございました。 そこで御質問なんですけれども、相続人の一部が海外にお住まいだというような推定がなされる場合には、今回のこの法律においてはどのような対応が考えられるでしょうか。御答弁をお願いします。
○田村政府参考人 お答えいたします。 所有者が海外に居住していることが推測されるというふうな場合につきましては、一定範囲の親族や当該国の在外公館に対して照会を行うことになります。 これによりまして所有者探索の端緒となる情報が得られた場合には、書面の郵送等により調査を改めて行うこととなります。 従来は、遠隔地に居住している場合にも実際に現地を訪問しての探索が行われる場合もありますが、コストに見合う成果を得られることが少ないため、今後は遠隔地への直接の訪問は要さないということといたします。 このような探索を行った上で所有者情報が得られなければ、その土地は今回の法案の所有者不明土地として取り扱われることとなり、更に一定の要件を満たせば、特定所有者不明土地として新制度を活用することが可能となります。
○森田委員 ありがとうございました。まさにこの法案の想定の内容に相当するケースだということでございました。 これまで、海外にいらっしゃるような場合には、先ほどもちらっと御答弁の中にも出てきましたけれども、現地に行ってなんということもありまして、先ほど申し上げたブラジルなどということを考えると、非常に多額のお金がかかるということもございまして、なかなか現実的ではないということもあったのではないかなと思います。 そういった意味では、先ほどお話にもあったように、これからは簡易な方法で、郵便だとか電話等々も含めての相続人の探索をするということでございましたので、非常にそういった意味では簡便な形で手続が進めるようになるのではないかなというふうに思っております。 それから次のケースなんですけれども、土地にこれは家が建っておりまして、それで、住んでいる方と、その地面の方の、底地の方の名義が一致していないということで、それも登記をなされていないということで、住んでいる方と相続人である方とはどうも親族だということまでは推定ができるんですけれども、その親族ともお住まいの方が連絡をとりたくないんだということで事業がとまっちゃっているケースなどもある。先ほどの例のように、下の土地の名義というものがかなり古い方の名義ということで、何十人というような相続人が出てきてしまっているということなんです。 こういった場合にどうすればよいかということなんですけれども、土地の相続人とお住まいの方が異なるようなケース、こういった場合にはどのような対応が考えられるでしょうか。
○田村政府参考人 お答えいたします。 この法案では、新制度の対象を、所有者不明土地のうち、簡易なものを除き建築物が存在せず、かつ、業務の用など特別の用に供されていない特定所有者不明土地に限定をしております。 今御指摘のありましたようなケースは、家がある、家が建っているということでございますので、居住の用に供されているということで、特定所有者不明土地には該当せず、新制度の対象にはなりません。 このため、所有者が判明せず収用する場合には、現行の土地収用法による不明裁決を行うということになります。
○森田委員 ありがとうございました。 今回の法案では、住んでいる方がいる場合にはこちらは適用にならないということでございます。ありがとうございます。 それから続きまして、法人の場合にはどうかなということでございます。 これは、市が周辺も含めた土地の開発をしたいというようなケースでございますけれども、よくうちの近所にもあるんですけれども、残土を入れてそのまま置きっ放しになって、どこに行っちゃったかよくわからないようなそういう土地があるということで、所有者を当たってみると法人である。その法人の名義の登記を当たってそこに書いてある所在地には行くんだけれども、そこに全く実体がないというケースということなんです。 こういった法人名義の場合は、今回の法案で想定されている制度、どのように適用できるのか。お答えいただきたいと思います。
○田村政府参考人 お答えいたします。 法人のケースということでございますが、土地の登記名義人が株式会社等の法人である場合には、例えば株式会社であれば、その商業登記によりまして、法人の名称、所在地、解散の有無等を確認することになります。 法人が解散している場合につきましては、選任された清算人がいる場合は、清算人との間で土地の取得交渉を行うことができるということであります。 また、選任された清算人がいない場合には、所有者不明土地として取り扱われることになるため、その他の要件を満たせば、特定所有者不明土地としてこの制度を活用することが可能となります。
○森田委員 ありがとうございました。 清算人がいる場合、いない場合ということで御説明がございましたけれども、清算人の選任といったことも、先ほどの不在者財産管理人のお話とも共通する部分もあるんですけれども、やはり、清算人の選任ということが弁護士に限定をされるということで、かなり費用負担が大きいというようなお話も伺っております。 これは別にこちらの法案そのもののことではないんですけれども、ぜひこのあたりのことも、利用促進ということを考えると、御配慮いただきたい部分だろうなというふうに思っております。 続きまして、相続人を今度は当たっていく、さかのぼっていくときの問題についてお伺いをさせていただきます。 これは熊谷市の方から指摘をされた問題なんですけれども、名義人の方がお亡くなりになった、その後の登記がなされていないということで、そうするとどういうふうにいくかというと、市役所の住民登録の情報を当たっていくということだと思います。しかし、この住民登録の情報の保管の期限が五年間ということでございます。お亡くなりになってから五年間ということで、その五年間を過ぎると、保管しているところも、自治体もあるけれども、する義務がないということでございまして、破棄されてしまっている住民登録の方の情報を当たることができなくなってしまうということでございます。 そうすると、当然、戸籍の情報に入っていたような本籍地から親族の方を手探りで見つけていくとかということもできなくなってしまうということでございますけれども、住民登録の情報がさかのぼれないようなときにつきましては、今回の制度、どのような対応ができるでしょうか。
○田村政府参考人 お答えいたします。 新制度におきましては、具体的な所有者探索の方法として、住民票、戸籍等の書類に記載された情報の提供を求めることとすることを想定をしております。 御指摘のように、所有者の死亡又は他の市町村への転出から五年以上が経過している場合には、住民票の除票の保存期間を過ぎているため、それ以上所有者情報が得られない場合があります。 この場合、その時点で判明している一定範囲内の親族等に対しまして照会を行い、これにより所有者探索の端緒となる情報が得られた場合には、その情報に基づきまして、住民票や戸籍等の公簿に基づく調査を改めて行うこととなります。 このような探索を行った上でなお所有者情報が得られなければ、その土地は所有者不明土地として取り扱われることになり、その他の一定の要件を満たせば、特定所有者不明土地として新制度を活用することが可能となります。
○森田委員 ありがとうございます。 五年を過ぎてその情報が破棄されていると、それ以上追わなくてもいい、探索する義務がなくなるということでございまして、そういった意味では、自治体の立場からすると、相当助かるのではないかなというふうに思っております。 次に、登記簿上の所有者がよくわからないという例があるということでお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、これは埼玉県の県道の拡幅に関して出てきたケースでございますけれども、恐らくは、これは明治時代の土地台帳から引き継いだ情報等を登記簿に引き継いでいるというようなことだと思うんですけれども、登記簿上の所有者が、大字何々とか、あるいは字何々といったような所有者の情報になっているということでございます。 こういった場合には、土地のやりとりをする場合ですから、権利能力を持つ人、法人でなければいけないということになると思いますけれども、当然、その字とか大字というのはそれには相当しないということになると思います。 伺っているところによりますと、自治会などに認可の地縁団体になっていただいてやりとりをしなくてはならない。そうすると、まずその認可地縁団体なるものを自治会の皆さんと協議をしながら設立をして、それを更に市にその認可の申請を行っていく。認可地縁団体として認められるとその先に進むことができるといったようなことになってこようかなと思います。 お話を伺ったところでは、自治会、市、県、あるいは法務局、こういった関係者もろもろの方が協議を重ねて進めなくてはいけないということで、非常に手間がかかるということでございました。 そこでお尋ねでございますけれども、登記簿上の所有者、字であったり大字であったり、いわゆる字持の場合にはどのような対応ができますでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○田村政府参考人 お答えいたします。 登記簿上、表題部所有者欄に大字何々といった等の記録がされている土地、いわゆる字持地につきましては、登記簿から所有者の固有の氏名や住所がそもそも明らかでありませんので、直ちに登記や住民票等から所有者を探索することはできないということになります。 このため、このような場合には、土地の現地占有者などに対して照会を行いまして、これにより所有者探索の端緒となる情報をまず探します。そういった情報が得られなければ、これは所有者不明土地として取り扱われることとなりまして、その他の一定の要件を満たせば、特定所有者不明土地として新制度を活用することが可能となります。
○森田委員 ありがとうございます。 こちらの字持のケースは、県道の越谷市の事例でこういうものがあったということでございまして、相当、越谷市も含めた協議を重ねながら進めているということが、今の話ですと比較的容易な対応になってくるのかなということで思っております。 それから、無地番地の問題についてお伺いをさせていただきます。 これも県道の拡幅のときの事例なんですけれども、山の中の県道でカーブを緩やかにするような形で拡幅を行うために用地を取得するというようなときにそういう問題が出てきたということなんですけれども、測量をしていっていろいろと公図を当たっていくと、どうしてもそこに載っていない、登記もされていないというような土地が出てくる。これは山の斜面のような土地でございますので、そういうことであっても今までは特に問題にならなかったんだろうなというふうに思っております。この調整にも大分手間がかかったというお話を伺っております。 もちろん登記簿そのものが存在をしていないということですので、基本的には国の持ち物だということで処理を進めるというようなお話を伺っておりますけれども、とはいっても、やはり本当に所有者がいないのかどうなのかということを関係者に当たるとか慎重に調べる、財務省が国のほかの省庁などにも紹介をして、確認をとりながら進めていかなくてはいけないというふうに伺っております。 そこでお尋ねですけれども、この無地番地への対応というのは、この新しい枠組みの中ではどのように対応していかれるでしょうか。
○田村政府参考人 お答えいたします。 御指摘をいただきました無地番地、地番のない土地、登記されていない土地につきましては、これまでの国土交通省の直轄事業の事例から見ますと、国又は地方公共団体が所有しているケースがほとんど通常でございます。 このため、一般的には、その土地の所轄地を管轄する地方財務局又は地方公共団体に対して照会をすることにより、通常は土地所有者が判明することとなります。 仮に、このような手続を経た上で当該土地が無主物であることが明らかになった場合には、民法上、所有者のない土地で、国庫に帰属することとなり、その後、事業用に供するということであれば、事業者に譲り渡されるというそういった手続になります。
○森田委員 ありがとうございます。今回の制度とは直接は関係ないのかなというところだと思います。 ただ、この時代に至っても公図に載っていないとか測量がなされていないとかというと、果たしてそれでいいのかなという単純な疑問もございますので、今回の直接の法案とは関係ないかもしれませんが、ぜひそういった土地の整理というものを進めていただいて、いざ活用するときにはすぐに行動ができるような形でお願いをしていきたいなと思っております。 最後に大臣にお尋ねをさせていただきます。 こうやって今までいろいろと各事例について御質問させていただきましたけれども、いろいろと今までも市町村が、あるいは都道府県も含めて、あるいはもちろん国もそうだと思いますけれども、かなり苦労して進めてこられたということでは、経験もそれなりに積み上がっているところに新しい制度が入ってくるんだというふうに理解をしております。 そうすると、新しい制度がいかにして円滑に、有効に活用ができるかということが大きな課題になってくるかなというふうに思っておりますけれども、土地に絡むことでございますので、登記だとか権利だとか、あるいは権利を持っていらっしゃる方の家庭の環境であったりとか、あるいは先ほどの自治会が出てきたりとかというのが、そういった地域の事情であったり、いろいろなことがこれまでの経緯も含めて複雑に絡み合ったところを縫っていくような形の制度運用になっていくんだろうなというふうに思っております。 そういったところに新しい制度が入ってくるということでございますので、その運用等についてはかなり自治体の方でも戸惑う場面が、特にその立ち上げのところは出てくるのではないかなと思いますし、また、資格を持った専門の方も同様に、今までの制度になじんできたという背景もございますので、新しい制度がどんなようなものなのか、どのような運用ができるのかということになじんでいただくまでには相当の手間暇がかかってくるのではないかなというふうに思っております。 そこで大臣にお伺いしたいのは、この制度について、これから自治体、あるいは関係をすると思われる専門家の皆さん、この新しい制度を使いやすくするように、周知であったり、あるいは研修であったり、そういった機会を持つべきだと思いますが、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○石井国務大臣 御指摘のとおり、新制度を円滑に運用するためには、新制度において大きな役割を担っていただく地方公共団体や関係する専門家等に対して、新制度を周知をし、着実に普及促進を図ることが重要であります。 このため国土交通省といたしましては、本法の円滑な施行に向けまして、ガイドラインの整備や、地方公共団体等に向けた説明会の開催等に取り組んでまいります。 また、各地方整備局に、地方公共団体や関連する士業団体、法務局などから構成されます協議会を設置をいたしまして、新制度を含めた関連制度の周知や、所有者探索に関するノウハウの共有、構成員による講習会の開催等を行ってまいります。 さらに、本法に基づきまして、地方公共団体から国土交通省に対して、所有者探索に関する専門的な知識を習得させる必要があるとして職員派遣の要請があった場合には、所有者探索のノウハウを有する職員を派遣するよう努めまして、各地方公共団体ごとに、きめ細やかな支援を行ってまいります。 以上のような取組を通じまして、新制度が活用されるよう、新制度の周知や地方公共団体等への支援に積極的に努めてまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございました。 ガイドラインを策定をしていただいたり、あるいは説明会を開いていただく、あるいは、士業の団体の方には講習会等もやっていただけるということでございます。先ほど、職員を派遣をしていただけるというようなお話もございました。特に制度の立ち上がりのときには、本当に、細かいところ、細部にわたって疑問が出てくるというようなケースも相当出てくると思いますので、ぜひ、きめ細かいフォローをしていただきたいなというふうに思っております。 今回の法案そのもので扱うものではないと思うんですけれども、先ほど参考人の方からのお話にもございましたけれども、これは、いろいろと伺っていて熊谷市の担当者の方からも出てきたお話なんですけれども、相続がこれからなされないであろう、そういう見込みがある土地、こういったものが、いろいろと事業に関連して土地を調べていると相当数あるということなんです。 やはり、みすみす所有者不明土地にしてしまわないようにする取組というのも必要なんではないかなというお話も出ております。 具体的には、今、単身で暮らしていらっしゃる方も相当おいででいらっしゃいます。全く身寄りがなくて、相続人に相当するような方がおいででいらっしゃらないという方もいらっしゃるでしょうし、又は、いらっしゃっても、例えば私も介護の仕事をしていて、親族はいるのになかなか連絡がとれないという方なんかも結構今おいででいらっしゃいます。 そういった、みすみす今回の法案で想定するようなケースに入っていってしまわないようにするといういろいろな取組もしていく必要があるのではないかなというふうに思っております。 伺うところによりますと、これから法務省等と、事前の贈与などで所有者不明土地が出ないような仕組みの方も考えていただいているというようなお話も聞いておりますけれども、今回の法案は今回の法案ということで、所有者不明土地が出ないような取組についても、なるべく早い段階で考慮し、取組として進めていただければということをお願いをさせていただきまして、時間でございますので、私の質問を閉じさせていただきます。 ありがとうございました。
○西村委員長 次回は、明二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十八分散会