本会議 第23号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2017/05/17
会議録
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。 この際、日程に追加して、 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。厚生労働大臣塩崎恭久君。 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 高齢化の進展等に伴い、介護を必要とする高齢者等の増加が見込まれる中、高齢者等が住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにしていくことが重要でございます。このような状況を踏まえ、介護保険制度の持続可能性を高めるとともに、介護保険の保険者である市町村の取組を推進することなどを通じて、地域包括ケアシステムの強化を図るため、この法律案を提出をいたしました。 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。 第一に、高齢者の自立支援や要介護状態の重度化防止等に向けた取組を効果的に実施するため、市町村が地域の課題を分析をして、介護保険事業計画に具体的な取組内容や目標を記載することとするほか、都道府県による市町村支援や、これらの取組を支援するための交付金など、保険者機能を強化するための仕組みを法律に位置付けます。 第二に、今後、増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、日常的な医学管理が必要な要介護者の受入れやみとり、ターミナルケア等の機能と生活施設としての機能とを兼ね備えた新たな介護保険施設として、介護医療院を創設をいたします。 第三に、地域共生社会の実現に向けた取組を推進するため、高齢者に限らず、障害者、子供など、全ての地域住民が抱える様々な分野にわたる生活課題を解決するための包括的支援体制づくりなどを市町村の努力義務とするとともに、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスを法律に位置付けます。 第四に、介護保険制度の持続可能性を高める等の観点から、一定以上の所得を有する者の給付割合の見直しを行うとともに、被用者保険等保険者の介護納付金を標準報酬総額に応じた負担といたします。 最後に、この法律案の施行期日は、平成三十年四月一日など、改正事項ごとに所要の施行期日を定めることとしております。 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。牧山ひろえ君。 〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕
○牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえです。 まずは、この度、眞子内親王様の婚約の見通しが報じられた慶事につきまして、心からのお祝いを申し述べさせていただきます。 さて、これから会派を代表して、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。 冒頭、衆議院において、本法案が与党の数の横暴により、十分な審議が尽くされないままに突如質疑が打ち切られた後、民進党提出の対案を置き去りにして、閣法のみについて強行採決がなされたことに厳重に抗議します。 参議院については、衆議院におけるような乱暴な委員会運営はせず、国民の将来の安心に向けて徹底的に審議を尽くすことをお約束いただけますでしょうか。 また、強行採決は、森友学園問題についての質問を理由としてなされました。国民を代表して行政に質問するのが国会議員の仕事であり、国会議員の質問権を侵すことは、民主主義を実効あらしめるためにも絶対に許されません。国民が真相究明を求めているこれら森友学園や加計学園の問題についてもそれは同様であると考えますが、それに対する大臣の所見をお伺いします。 本法律案は、地域包括ケアシステムの強化のためという目的の下、介護保険法を中心に、社会福祉法、老人福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法など、本来は別々に提出されて審議されるべき盛りだくさんの三十一本の法案が一括されて国会に提出されました。 また、この法案は、複雑なだけではなく、その具体的な中身について、政令や省令に委ねられている部分が二百二十か所以上に及び、法案だけでは内容が明確に把握できません。例えば、新たな介護保険施設として創設されることになっている介護医療院について、具体的な介護報酬、基準、転換支援策などについては、その多くが法案に定められておりません。このように政省令に委ねる部分を多くするのは、国会での面倒な審議を回避するためではないでしょうか。 法案の賛否を判断するのに必要な要素は、最低でも法案内に定めておくべきと考えるのですが、大臣の御所見をお伺いします。 次に、利用者負担の見直しについてお伺いします。 衆議院における参考人質疑においては、介護保険部会長を務められた国立社会保障・人口問題研究所の遠藤久夫所長が、利用者負担割合の引上げの影響について今後精査する必要があると述べられました。この利用者負担割合の引上げに伴う利用者への影響調査、分析、評価の必要性は、まさに我々民進党が提出した対案にしっかりと明記している内容であります。 さらに、衆議院において塩崎厚生労働大臣は、利用者負担割合の引上げがサービス利用に及ぼした影響について、二割負担導入の前後で顕著な差は見られなかったと再三答弁されていましたが、衆議院の審議において、負担が二割に上がった人のうち、約十六万七千人がサービスの利用回数を前月より減らし、千六百三十四人は介護保険施設を退所したことが明らかになっています。 三割負担の導入を提案する前に、まずは二割負担導入に伴う利用者への影響について、全国レベルの詳細な調査、分析を行うべきであると考えますが、大臣の答弁を求めます。 また、塩崎大臣が衆議院で答弁なさった立体的に実態を把握する努力とは具体的にどのような調査を示すのでしょうか。明確な御答弁を求めます。 さらに、利用者負担割合の引上げを検討するに当たっては、実際にサービスを利用する方への丁寧かつ十分な説明が必要であると考えます。三割負担の導入による財政効果はどの程度あるのでしょうか。 次に、介護人材の確保と処遇改善についてお伺いします。 安倍内閣が掲げる介護離職ゼロの実現に向けた介護人材確保対策は、既に行き詰まりを見せているのではないでしょうか。政府は、介護離職ゼロの実現のため、二〇二〇年代初頭に向けて二十五万人の追加的な介護人材の確保を進めていますが、衆議院において塩崎大臣は、二〇二〇年度までに八万人の介護人材が不足することをお認めになりました。職員の確保ができないという理由で、ベッドがあっても利用者を受け入れられない特養が少なくないとの調査報告もあります。今、介護サービスの現場は、人材不足のため崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではありません。 平成二十九年度の臨時の介護報酬改定による介護職員処遇改善加算の見直しは、その恩恵が介護に直接従事する方のみに限定されています。我々民進党は、介護業界で働く魅力をより一層高めるべく、介護に直接従事する方のみならず、介護施設内で送迎、調理や事務に従事する方の処遇改善も同時に行っていくことが極めて重要であると考えており、民進党の対案でもお示ししたところです。また、加算の対象外となっている職員への処遇改善は、現在、実質的に介護事業者の持ち出しとなっており、平成二十七年度の介護報酬の引下げ改定以降、厳しい経営状況となっている介護事業者に追い打ちを掛ける結果となっています。政府は、介護に直接従事する方以外の処遇改善は不要とお考えなのでしょうか。 また、これだけ盛りだくさんの内容が無理やり押し込まれており、制度の持続可能性を確保し、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されるようにすると銘打たれているこの法案に、一番肝腎な人材確保の抜本的な改善策が抜け落ちているのではないでしょうか。それが介護人材不足の問題を軽視しているのではないというのであれば、今回の法案のどの部分が抜本的な人材確保策なのかということを具体的にお示しください。 また、介護事業者の経営の安定を図るとともに、介護人材の確保を更に進めるため、平成三十年度介護報酬改定は引上げ改定とする必要があると考えますが、大臣に報酬改定についての御認識をお伺いします。 次に、軽度者向けの介護サービスについてお伺いします。 軽度者に対する生活援助サービスの総合事業への移行については、今回の改正案には盛り込まれず、議論が先送りされました。ですが、平成二十九年度予算の編成過程における大臣折衝では、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和や通所介護等そのほかの給付の適正化について、平成三十年度の介護報酬改定において給付の見直しを検討することが確認されています。今後の介護サービス利用の抑制を念頭に、近い将来の給付削減が現実のものになろうとしているのです。介護の現場である市町村からは、軽度者へのサービスを市町村に押し付けて介護費用の抑制を狙ったとしても、結局、財源と人材の問題が市町村に置き換わるだけとの意見があります。 我々民進党の対案では、軽度者切りを防止するため、軽度者への介護サービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容と水準で提供されるように規定を設けていますが、次期介護報酬改定に向けて、安倍内閣が給付の適正化の名の下に軽度者への介護給付を削減していく方針であることは明らかではないでしょうか。大臣の答弁を求めます。 安倍政権は、要支援高齢者に対する訪問介護と通所介護を地域支援事業に移行しました。今年四月からは全ての自治体が移行しています。今後、軽度者の介護サービスを地域支援事業に移行する場合には、このいわゆる要支援切りによる利用者への影響について全国レベルでの詳細な調査、分析を行うべきと考えますが、移行に先立つ影響調査を確約いただけますでしょうか。それとも、今回の利用者負担増と同様、影響調査も行わないまま軽度者切りが行われる可能性があるということでしょうか。大臣の明確な答弁を求めます。 また、軽度者向けサービスの抑制は、軽度者の介護度を重度化させ、介護保険サービスの利用が増大することになりかねません。その結果、介護に関する財政負担の増大を招きかねないと考えるのですが、そうならないという根拠をお示しください。 今回の改正では、保険者機能の強化として、保険者への財政的インセンティブの付与が規定されています。 法案の説明資料には、認定率の低下や保険料の上昇抑制について成果を出している先進自治体が紹介されています。仮に、認定率の低下が財政的インセンティブの指標となった場合、保険者である市区町村が被保険者の認定を受け付けない状況や、実情に合わない介護度認定の引下げが生じないでしょうか。大臣の認識をお伺いします。 そもそも、要介護状態の維持や改善度合いのみで自立支援策などの効果を測るべきものではなく、要介護者やその家族がどのぐらい生活の質を向上できたかどうかで判断されるべきものではないでしょうか。 確かに、現行の介護保険制度では、要介護度が高いほど介護事業者に支払われる報酬が多くなるため、介護事業者が要介護度の改善に消極的になりやすいのではといった懸念も指摘されています。つまり、リハビリなどに注力し、要介護度を改善させた事業者ほど報酬が低くなるというジレンマがあります。インセンティブ改革というならば、認定業務を担う市町村にというより、むしろ、介護報酬の仕組みの中で、事業者を対象に改善インセンティブを規定すべきではないでしょうか。 介護納付金についての総報酬割によって、協会けんぽの介護納付金に対する国庫補助が削減され、大きな財源が捻出されることになります。国庫補助率は一六・四%ですので、全面総報酬割とした場合、実に約千六百億円の国庫補助が不要となる計算です。 私は、総報酬割導入で浮いた国庫補助財源については、社会保障の伸びの圧縮等、本来は税で賄うべきものに使うべきではなく、介護人材確保や処遇改善などの介護サービスの充実や、負担増となる健保組合への支援など、介護保険の中で有効に活用するのが筋だと考えています。 総報酬割の完全導入までのそれぞれの年度において削減される国庫補助の金額と、これらの財源をどのような施策に充当するのか、明らかにしていただきたいと思います。 介護納付金の総報酬割導入に係る負担軽減策として、二十九年度の予算上約九十四億円の補助金が確保されています。同年度は健保組合、共済組合で約七百億円とも言われる負担増が想定されているのに対し、十分な水準かという懸念があるのですが、負担軽減のための補助金額を九十四億円とした根拠を御説明ください。 総報酬割は、激変緩和の観点から段階的に導入されることになっています。後期高齢者支援金の場合は、同じく総報酬割の段階的拡大に対応して、拠出者負担軽減のために確保される補助金額も拡大されています。介護納付金に関しても同様に、総報酬割の拡大に伴い、負担軽減措置を拡充していくべきと考えるのですが、大臣の御所見をお伺いいたします。 介護保険制度のみが持続可能となっても、介護サービスを利用する要介護者やその家族が必要なサービスを利用できなくなるような改正、保険あって介護なしの状態の深刻化は絶対に避けなければなりません。民進党は、介護サービスの利用者目線に立ち、介護サービスを提供する介護事業者にも寄り添いながら、介護保険制度の持続可能性を高めていくための方策を御提案申し上げていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 牧山ひろえ議員にお答えを申し上げます。 参議院における審議等についてのお尋ねがございました。 国会の運営に関しましては国会において御判断をいただくものでございますので、政府としては、国会の運営についてコメントを申し上げる立場にはないと考えております。厚生労働省としては、本法案は地域包括ケアシステムを強化するための重要な法案でありますので、参議院においても丁寧に御説明をしてまいりたいと考えておるところでございます。 本法案での政省令への委任についてのお尋ねがございました。 一般的に、法律においては、基本的な事項は法律で規定をした上で、手続的な事項や技術的な事項などを政省令に委任をしているものでございます。本法案の政省令への委任事項についてもこのような考え方に従ったものとなっており、従来から政省令への委任事項とされてきている事項の範囲を超えるものではなく、適当なものであると考えております。 利用者負担の見直しにつきましてお尋ねがございました。 平成二十七年八月の二割負担の導入前後において、サービスの受給者数の伸び率や、一割負担者と二割負担者の間のサービス利用回数等の傾向に顕著な差は見られません。さらに、法案審議での様々な御意見も踏まえ、多角的な分析ができるよう、調査の在り方について検討をしてまいります。 三割負担の財政影響については平成三十年度予算の編成過程で精査されますが、現時点の粗い見積りでは、平年度の介護給付費ベースでおおむね百億円程度の影響と考えてございます。 介護人材の確保と処遇改善についてのお尋ねがございました。 処遇改善につきましては、介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にある中、まずは介護職員の処遇改善をしっかりと進めていくことが重要であると考えております。また、介護人材の確保については、法律によらずとも、処遇改善や返済免除付きの貸付制度などの対策を実施しているほか、介護職員の労働実態や働き方の意向の調査などを行い、更なる確保策に取り組んでまいります。 平成三十年度介護報酬改定に向けては、介護事業所の経営状況を適切に把握しつつ、サービスを安定的に提供していく必要性や保険料などの国民負担等を踏まえ、必要な対応についてしっかりと検討してまいります。 いわゆる軽度者向けサービスについてのお尋ねがございました。 軽度者に対する生活援助サービスについては、改革工程表に沿って、高齢者の自立を支援し介護の重度化を防ぐという介護保険の理念を踏まえつつ、制度の持続可能性の確保や介護人材の確保の観点にも留意して、今後、審議会で御議論いただきたいと考えております。 新しい地域支援事業の実施状況に関しては、事業実施の実態や利用者の影響等についてこれまで把握に努めてきたところであり、事業への移行を要因とする利用者の状態の悪化は見られておりません。この四月から全保険者での事業実施となったことを踏まえ、引き続き事業の実施状況の把握を行ってまいります。 介護保険の財政的インセンティブについてのお尋ねがございました。 市町村の保険者機能を強化する一環として、取組の達成状況を評価できるよう客観的な指標を設定した上で、市町村等に対する財政的インセンティブの付与を予定をしております。指標の設定に当たっては、適正なサービス利用の阻害につながらないことが大前提であり、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせること、アウトカム指標としては要介護認定率の高低を直接用いないことなど、公平な指標について関係者の御意見も伺いつつ検討してまいります。 介護報酬における事業者へのインセンティブについてのお尋ねがございました。 介護報酬においては、これまでも状態の改善に係る事業者へのインセンティブが働くようアウトカム評価を導入をしてまいりました。このようなインセンティブについては、介護職のやりがいの向上につながるとの指摘もありますが、一方で、改善の見込まれる高齢者のみを事業所が選別をする可能性があるなどの課題も指摘をされております。これらを踏まえ、質の高い介護サービスの提供にインセンティブが働くよう、平成三十年度介護報酬改定に向けて検討を進めてまいります。 介護給付金の総報酬割の導入についてのお尋ねがございました。 総報酬割の導入については、平成二十九年度予算では、国費への影響額は約五百億円であるとともに、社会保障関係費の伸びの目安を達成するための改革項目の一つとして位置付けられております。一方、負担増が特に大きい健保組合等について、被保険者一人当たりの介護納付金の額に上限を設ける等の激変緩和措置を講ずることとし、その必要額として約九十四億円を計上をしております。 平成三十年度以降の国費への影響額や負担軽減措置については、毎年度の予算編成過程で精査、検討をされます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) 伊藤孝江君。 〔伊藤孝江君登壇、拍手〕
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。 まず冒頭、秋篠宮眞子内親王殿下の御婚約の報道に接し、心よりお祝い申し上げます。 それでは、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。 少子高齢・人口減少社会になり、我が国の人口構成が変化する中、医療・介護分野の制度を将来世代に引き継いでいくため、制度の持続可能性を確保していくことは喫緊の課題です。その中で、高齢者各人にとって必要なサービスが提供されるよう、これまで以上の創意工夫が求められます。特に、二〇二五年に超高齢化社会を迎えるに当たり、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実の中でも、とりわけ介護保険制度を中心とした地域包括ケアシステムの構築を進めることが急務であると考えます。 今回の法律案が高齢者世代の安心と現役世代の納得と希望を生み出すものとなっているのか、法律案の目的について厚生労働大臣にお伺いいたします。 次に、介護保険料の利用者負担割合三割への引上げについて厚生労働大臣にお聞きします。 介護保険の利用者負担について、平成二十七年八月から一定所得がある人に対して二割負担が導入されましたが、本法律案では、そのうち特に所得の高い方を三割負担とする内容になっています。介護保険制度の持続可能性の確保を目指す中で、財政効果など負担の見直しの具体的な意義及び三割負担となるのはどの程度の所得がある高齢者なのか、基準となる所得についてお伺いいたします。これらの方々は負担が二割に増えてからまだ間もなく、更に負担増となることへの配慮が必要ではないでしょうか。具体的な対応策についてお伺いいたします。 また、今回の法改正で、介護納付金の総報酬割が導入されます。 第二号保険料につき、現在の加入者割の制度では不均衡が生じているという課題がありますが、これも今年度から全面総報酬割となった後期高齢者支援金の総報酬割導入に続く見直しで、介護保険料と両方で負担増となる方もおられます。どのような方の負担が増えることになるのでしょうか。その方々の納得と理解を得るためにも何らかの負担軽減措置を講ずる必要があると考えます。 介護納付金の総報酬割を導入する意義、負担増となる方の基準及び負担軽減措置について厚生労働大臣にお伺いいたします。 高齢化が進展する中、地域包括ケアシステムを推進するには、保険者が地域の課題を分析し、高齢者がその有する能力に応じて自立した生活を送っていくことができる取組を進めていくことが必要です。そのため、本法律案では、全市町村が高齢者の自立支援、重度化の防止に取り組むことができるよう、全国一律の運営ではなく、保険者機能の抜本的な強化を目指しています。 既に、要支援の人向けの訪問介護と通所介護サービスについて、市区町村において総合事業を行い、きめ細やかなサービスで介護予防の成果が現れている自治体もあります。 介護予防は地域が主役であり、介護予防を充実させて支えられる側を減らし、支え手となる地域住民や元気な高齢者を増やすことができれば、地域づくりにもつながります。先月からは全市区町村で総合事業が移行されましたが、いまだ総合事業への移行に試行錯誤している自治体も多いと思われます。この現状を見ずに自治体に対して総合事業の実施をただ求めても、介護の地域格差が大きくなってしまいかねません。 市区町村における総合事業の移行状況、実施体制の現状についてどのように把握、評価しているのか、厚生労働大臣にお伺いします。 市区町村の規模、人員体制、地域住民やボランティアなどの地域の協力を引き出す体制づくりやノウハウなど、自治体には大きなばらつきがあります。自治体にもこれまで以上に地域の協力を得るための取組などが求められますが、全市区町村が保険者機能を発揮するためには、都道府県や国の積極的な支援が不可欠であると考えます。 国としてはどのように支援を充実させていくのか、具体的な取組について厚生労働大臣にお伺いいたします。 超高齢化社会に対応するには、地域福祉の中で支える側と支えられる側を二分するのではなく、子供、高齢者、障害者など全ての人が役割を持ち、住民と福祉関係者などが共に活躍できる地域共生社会を実現していくことが重要です。しかし、育児と介護のダブルケアなど複数の困難を抱えている場合には、一つの分野の行政だけでは対応できず、包括的な支援が求められます。 この法律案では、高齢者と障害者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスを法律に位置付けており、それぞれの分野で専門性を有するとともに、分野を超えて横断的に地域生活の課題に対応できる人材を確保する必要があります。制度を連携させ、包括的な対応を行うことは、効率化を目指すものではなく、また、地域住民に対して支え合いを丸投げするものであってもなりません。 地域共生社会の実現に向けて、市区町村が包括的な支援体制づくりを進めるに当たり、今回の法案が持つ意味について厚生労働大臣にお伺いいたします。 二〇一八年には介護報酬、診療報酬の同時改定、二〇二五年には超高齢化社会を迎え、更に高齢化が進んでいきます。地域福祉がどう進んでいくのか、これからがまさに正念場となります。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができる社会の構築に向け、厚生労働大臣の決意を伺って、私の代表質問とさせていただきます。 ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 伊藤孝江議員にお答えを申し上げます。 本法案の趣旨についてのお尋ねがまずございました。 社会全体が高齢化する中、国民一人一人が状態に応じた適切な介護や医療を受けられるよう、体制をしっかりと整えていく必要がございます。 このため、今回の改正では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムを強化するとともに、世代間や世代内の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、負担割合を引き上げるなどにより制度の持続可能性を高め、現役世代の方々にも御理解いただける改正であると考えているところでございます。 三割負担の導入についてのお尋ねがございました。 今回の法案では、介護保険制度の持続可能性を高めるため、世代内、世代間の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、現役並みの所得を有する方の負担割合を二割から三割に引き上げることとしております。 具体的には、二割負担者よりも一層範囲を限定をし、年金収入等が三百四十万円以上の方としております。また、月額四万四千四百円の負担の上限額は据え置くといった配慮を行います。今回の見直しの趣旨や内容については、利用者の方に丁寧に説明を行ってまいります。 介護納付金の総報酬割の導入についてのお尋ねがございました。 今回の法案では、世代内の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、介護納付金に総報酬割を導入することとしております。これにより、総報酬が平均より高い医療保険者については介護納付金の額が増加することとなり、被用者保険の被保険者のうち約四割の方は負担が増加すると見込まれます。 また、負担増への配慮として、平成三十二年度に向けて段階導入するとともに、負担増が特に大きい健保組合等について、被保険者一人当たりの介護納付金の額に上限を設ける等の激変緩和措置を講ずることとしております。 総合事業の現状把握と評価についてのお尋ねがございました。 総合事業の実施状況についてはこれまで累次の調査を行っており、本年四月時点で全保険者が総合事業へ移行したことを確認するとともに、多様なサービスが出現している一方で、既存の事業者以外の主体による取組が十分に広まるまでには至っていないといった今後の課題が分かっております。全保険者の三分の二がこの四月から事業を開始したことを踏まえ、引き続き事業の実施状況の把握と必要な助言等を行ってまいります。 市町村の保険者機能の発揮に向けた支援についてのお尋ねがございました。 今回の法案では、高齢者の自立支援や重度化防止を進める観点から、市町村の保険者機能を強化するため、必要な措置を盛り込んでおります。一方で、市町村の人員体制やノウハウの蓄積等の状況は様々であり、国や都道府県が積極的かつ丁寧に支援していくことが必要であります。 具体的には、都道府県による市町村への支援を法定するとともに、国としても、市町村が多角的に地域課題を分析できるよう、要介護認定率や給付費等に関するデータを提供すること、自立支援や重度化防止に関する研修を実施することなどにより、しっかりと支援をしてまいります。 市区町村での包括的な支援体制づくりについてのお尋ねがございました。 今般御提案を申し上げている社会福祉法改正案では、地域や個人が抱える様々な生活課題を、地域住民と行政などが協働し、公的な体制による支援と相まって解決していくことを目指しております。 具体的には、市区町村の努力義務として、地域住民が自ら暮らす地域の課題を我が事として捉えるような地域づくりの取組、様々な相談を丸ごと受け止める場の整備、相談支援機関の協働、ネットワーク体制の整備などを通じて包括的な支援体制を整備することを盛り込むこととしており、これにより市区町村の積極的な取組を後押ししてまいります。 地域福祉の増進についてのお尋ねがございました。 地域における様々な課題に対応するためには、地域の助け合いや土台となる地域力の強化が必要であり、その上で、高齢者、障害者、子供・子育て世帯それぞれについて必要な支援を包括的に確保するとともに、各分野が密接につながり、縦割りを排して、複合する課題に対する支援を可能にしていくことが必要であると考えています。 厚生労働省においては、地域共生社会の実現を基本コンセプトとして、今回の法案を第一弾とし、平成三十年度の介護、障害福祉の報酬改定、生活困窮者自立支援制度の見直しなど、二〇二〇年代初頭の全面展開を目指し、改革を進めてまいります。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。 〔倉林明子君登壇、拍手〕
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。 ただいま議題となりました地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について、日本共産党を代表して、以下、厚生労働大臣に質問します。 安倍政権の五年間、医療、介護は負担増の連続でした。介護サービスの利用料に三割負担を導入するとした本法案に、これ以上の負担増はもう限界だと、不安と憤りの声が広がっています。 医療では、七十から七十三歳の窓口負担の二割への引上げ、入院時の食費、水光熱費の負担増、高額療養費の負担上限引上げなどが実行に移され、介護でも、二割負担の導入、施設の食費、居住費に対する補足給付の対象の絞り込み、高額介護サービス費の負担上限引上げなど、負担増が波状攻撃のように強行されてきました。 加えて、二〇一三年度から二〇一七年度の五年間、物価指標が三・八%上昇する中で、年金はマイナス〇・九%の引下げでした。その差マイナス四・七%、まさに大幅な目減りです。医療、介護の負担増に加えて、年金削減によるダブルパンチが高齢者世帯を直撃しております。 衆議院での質疑で、社会保障の負担は制度の持続可能性を高める観点から不断の見直しが必要と総理が答弁されています。今後も負担増を続けていくということでしょうか。明確にお答えください。 介護の利用料は、二〇一五年に所得百六十万円以上の負担が一割から二割に引き上げられたばかりです。三割負担の導入は二〇一八年とされており、僅か三年間で負担を三倍化するやり方には、社会保障審議会の介護保険部会でも異論が噴出しました。 政府は、負担増の対象は現役並み所得者に限られるので影響は少ないとしていますが、例えば、要介護三で平均的な居宅サービスを受ける人の利用料は、一割から三割への引上げで、月二・九万円、年間三十四万円も引き上がるのです。家計への打撃となり、必要なサービスの抑制につながることは明らかではありませんか。 介護離職はこの十年間で百五万人を超え、介護自殺、介護心中などの悲惨な事件が後を絶たず、介護基盤の再建、拡充は国民的な課題と言っても過言ではありません。 ところが、安倍政権は、二〇一四年、特養ホームの入所を原則要介護三以上に限定する法改定を行いました。二〇一四年時点で特養待機者五十二万人が、一六年四月時点で二十九万人に減ったとしていますが、その要因の一つがこの制度改正にあることは明瞭です。待機者の列から外された人たちについて、政府は追跡調査や受皿の確保を行ったのか、入所抑制や介護度が下がったことによる退所など影響は出ていないのか、把握しているのでしょうか。 本法案に盛り込まれた財政的インセンティブ改革は、自治体の要介護認定率などの違いを見える化し、給付適正化の努力をした自治体に優先的に予算を配分するというものです。この財政措置は新たな交付金によって行うのか、それとも調整交付金を使うのでしょうか。 追加財源なしに調整交付金をインセンティブに使えば、給付適正化の努力が評価される自治体は予算が増えるものの、努力が足りないとされる自治体は予算が減らされ、事実上のペナルティーとなるだけです。 こうしたやり方は、結局、サービス利用の抑制競争を招くことにつながります。介護保険部会では、要介護認定を抑制する水際作戦になりかねないという声が出され、日本社会福祉士会などの専門家団体からも、要介護状態を悪とする偏見を助長するとともに、適正なサービス利用を阻害し、安心して介護サービスを利用できなくなるおそれがあるという声明が出されています。これらの懸念に政府はどう答えるのか、答弁を求めます。 政府は、インセンティブ導入には公平な指標を設定し、適正なサービス利用を阻害しないようにするとしています。しかし、現実は、既に各地で自治体が要介護認定に独自の基準を持ち込み、要介護度が低く出るよう仕向ける事例や、要介護認定を更新しないよう自治体が利用者を説得し、強引に介護サービスを打ち切る事例などが起こっています。 認定率の低下や給付費の抑制をペナルティー措置まで付けて競わせれば、こうしたローカルルールによる認定抑制やサービス切捨てが更に加速することは火を見るより明らかです。大臣の認識をお聞かせください。 介護保険でインセンティブの導入を予定している二〇一八年度には、国保では都道府県単位化が始まり、保険者努力支援制度という新たなインセンティブが始まります。地域医療構想による病床削減、改定された医療適正化計画による給付費抑制なども二〇一八年度一斉に開始されることとなります。 医療でも介護でも、自治体に給付費抑制の責任を負わせてインセンティブを導入すれば、自治体に際限のない社会保障費の引下げ競争をさせることになるのではありませんか。 本法案が導入する共生型サービスは、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法など、異なる法律体系に基づくサービスを特例的に一事業所で提供できるようにするとしています。それぞれの施設基準に大きな違いがあるものを単一の事業所で提供するとなれば、人員や施設の基準は低い方、安上がりの方に合わせられ、サービスの質の確保ができなくなるのではないかという心配の声が現場から上がっています。 共生型サービスの人員・施設基準やサービスの質の確保についてどう考えるのか、説明を求めます。 今回の法改正で、介護保険と障害福祉の事業所、資格、相談機関等を統合し、両者の垣根をなくすことで、介護保険と障害福祉の統合への突破口となるのではないかと多くの関係団体から懸念の声が上がっています。 政府が自立支援法違憲訴訟団との基本合意を守る立場に立つのなら、対象や目的の違うサービスを強引に統合するのではなく、現行の介護保険優先原則を見直し、障害当事者の年齢にかかわらず必要なサービスを保障する法体系の構築に足を踏み出すべきです。答弁を求めます。 政府は、我が事・丸ごとに地域福祉を転換するとしています。介護、育児のダブルケア問題、精神疾患患者、がん患者、難病患者の在宅生活の問題などを引き合いに出し、従来の縦割り型施策の転換が必要だとしています。 しかし、ダブルケアの問題は、介護施設と認可保育所を増設すること抜きに解消はできません。がん患者や難病患者の生活困難も、医療や介護など公的保障の充実によってこそ解決できる問題です。医療、介護、保育の公的給付の拡充強化を抜きに地域の助け合いを呼びかけても、住民生活の困難の根本的な解決にはつながらないのではありませんか。 安倍政権は社会保障費の自然増抑制を強行し続け、高齢者の負担はもはや限界を超えています。社会保障の解体につながる本法案は廃案にするしかありません。そのために全力を挙げて奮闘することを申し上げまして、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 倉林明子議員にお答えを申し上げます。 社会保障の負担の見直しについてのお尋ねがございました。 急速な少子高齢化が進行する中で、社会保障の給付とそれを支える負担の増加は避けられません。制度を持続可能なものとするためには、給付と負担についての不断の見直しが必要であります。所得の低い方々などにはきめ細かく配慮をし、十分な説明を行いつつ、国民の皆様の御理解を得ながら取り組んでまいります。 三割負担の導入についてのお尋ねがございました。 今回の法案では、介護保険制度の持続可能性を高めるため、世代内、世代間の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、現役並みの所得を有する方の負担割合を二割から三割に引き上げることとしております。 今回の三割負担の導入については、対象は二割負担者よりも一層範囲を限定した特に所得の高い層であり、負担の上限額として月額四万四千四百円を据え置くといった配慮を行っております。御指摘は当たらないと考えております。 特養の待機者についてのお尋ねがございました。 特別養護老人ホームについて、平成二十七年四月から新規入所者を原則要介護三以上に重点化しましたが、それ以前から入所されている方は要介護度にかかわらず引き続き入所することが可能であり、また、要介護一又は二であっても、一定の場合に特例的に入所が認められております。 厚生労働省においては、在宅・施設サービスの整備を進めるとともに、入所申込みの手続の明確化を図っており、こうした取組を通じ、要介護一や二の方も含めて、必要な方に必要なサービスを提供できるよう取り組んでまいります。 介護保険の財政的インセンティブについてのお尋ねがありました。 本法案においては、市町村や都道府県に対し、自立支援や重度化防止の取組等を支援するため、予算の範囲内において新たな交付金を交付する旨の規定が新設をされています。 財政的インセンティブについては、審議会において、追加財源を確保した上で実施すべきとの意見やディスインセンティブも組み合わせた上で財政中立で実施すべきとの意見もありました。また、自治体関係者からは追加の財源により実施すべきとの強い意見もあり、こうした意見も踏まえつつ、今後詳細を検討してまいります。 財政的インセンティブが及ぶ影響についてのお尋ねがございました。 市町村等に対する財政的インセンティブの付与については、取組の達成状況を評価できるよう、客観的な指標を設定することとしております。指標の設定に当たっては、適正なサービス利用の阻害につながらないことが大前提であり、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせること、アウトカム指標としては要介護認定率の高低を直接用いないことなど、公平な指標について関係者の御意見も伺いつつ検討してまいります。 医療や介護におけるインセンティブの導入等についてのお尋ねがございました。 国保の保険者努力支援制度や介護保険の財政的インセンティブは、自治体の予防、健康づくりや高齢者の自立支援、重度化防止に向けた取組を推進することを目的としております。こうした仕組みは、医療や介護が必要な方に必要なサービスを適切に提供することを前提としており、これに反して社会保障費の引下げ競争をさせるものではありません。 共生型サービスの基準や質の確保についてのお尋ねがございました。 本法案では、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置付けることとしております。共生型サービスの具体的な基準や報酬については、その質を確保することに十分留意をして設定される必要があり、関係する審議会などにおいて検討をしてまいります。 介護保険優先原則等についてのお尋ねがございました。 今回の共生型サービスの創設は、障害福祉サービスを介護保険制度に統合しようとするものではございません。また、現在の社会保障制度は保険優先の考え方が原則となっております。障害福祉制度と介護保険制度の関係につきましては審議会においても様々な御議論がありましたが、我が国の社会保障の基本からは、介護保険優先原則には一定の合理性があるとされており、これを見直すことは考えてございません。 ダブルケアの問題など、住民生活の困難の解決についてのお尋ねがございました。 御指摘のダブルケアの問題への対応や様々な疾病を患っていらっしゃる方の生活支援のために必要な公的サービスを拡充していくことは基本であると考えております。加えて、地域の助け合いや土台となる地域力を強化し、公的な体制による支援と相まって、個人や世帯が抱える生活課題を解決していくことが重要であると考えております。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) 東徹君。 〔東徹君登壇、拍手〕
○東徹君 日本維新の会の東徹です。 質問に先立ちまして、去る五月十四日、北朝鮮がこれまでにない高度でミサイルの発射実験を行いましたことは大変な脅威であり、断じて容認することができず、強く非難をいたします。政府におかれましては、更に毅然とした対応をしていただきますよう強く求めます。 それでは、ただいま議題となりました地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。 今回の法案名は地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案ですが、法案名から受けるイメージと実際の改正項目が違うことに疑念を感じます。 今回の法案では、法案名にある地域包括ケアシステムについては、役割や目的、方向性などこれまでと大きく変わるものではありません。これは、本来、地域格差が大きい現状を踏まえると、国が押し付けるのではなく、地方自治体に任せるよう変えていくべきものです。 それよりも、名前には出てこない三つのポイント、第一に、現役世代並みの所得のある利用者について三割負担が導入されること、第二に、介護納付金に総報酬割が導入されること、第三に、廃止されると一度決まった介護療養病床が名前だけ変えられて残されること、この三点が今回の法案で大きく変更されるところです。 政府には、美しい言葉で法案名を付けるのではなくて、今後は改正の実態に合うような法案名にしていただきますことをまず申し上げます。 社会保障給付費の将来推計について伺います。 現在、社会保障給付費について、政府からは二〇二五年度の推計値が公表されています。これによると、二〇一二年度の百九・五兆円から二〇二五年には百四十八・九兆円と、一・三六倍に増える見込みです。 しかし、特に介護において、一人当たりの費用が九十歳以上では約百五十四万円となり、六十五歳から六十九歳までの年齢層と比べると約四十四倍になるなど高齢化による影響が非常に大きく、団塊の世代が全て七十五歳以上になる二〇二五年以降の社会保障給付費がどのようになっていくのか、国民の関心事であります。そこが見えないことが国民の将来への不安を生じさせ、個人消費の抑制につながっています。 二〇二五年度以降における社会保障給付費の将来推計について国民に示すべきと考えますが、塩崎大臣の見解を伺います。 介護に対する考え方について伺います。 我が国は、先ほどより指摘している高齢化の進展に加え、少子化による総人口の減少が見込まれています。働き手が減り続けることによって、税と同様に社会保険料の引上げも限界があります。 我が党は、政治理念として、自立する個人、自立する地域、自立する国家を実現することを掲げ、自助、共助、公助の範囲と役割を明確にし、政府は真の弱者支援に徹するという小さな行政機構を実現すること、受益と負担の公平を確保する税制度や持続可能な社会保障制度を構築すること等を基本方針としています。 限りある財源の下、介護についてどこまで国に責任があり、どこから個人や家族に責任があるのか、また、どこまで規制し、どこから市場の競争に任せるのかが適当であると考えるのか、塩崎大臣の見解を伺います。 サービス付き高齢者向け住宅について伺います。 在宅介護といえば自宅をイメージされがちですが、実際は違います。典型的な例は、サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住や有料老人ホームであり、これには在宅介護サービスが適用されています。 近年急速に増えたサ高住の登録戸数は二十一万七千七百七十五戸であり、そこに入居する約二十万人の高齢者のうち、要支援を含む介護を必要とする人の割合は約九〇%と、ほとんどが要介護者です。サ高住の多くで訪問介護事業所が併設されておりますが、ケアプランを作成するケアマネジャーもその事業所に雇われていることが多いため、チェック機能が働きにくく、適切に介護サービスが提供されているか検証する必要があります。また、二〇一五年一月からの一年半の間に、死亡など三千三百六十二件の事故が生じているなど、運営にも問題があります。 このようなサ高住の現状についてどのように認識されているのか。また、既存分も含め、サ高住の運営に関する外部評価を導入するなど抜本的な見直しをしていくべきと考えますが、塩崎大臣の見解を伺います。 介護人材の確保について伺います。 在宅介護において、夏の暑い日も、そして冬の寒くて積雪のある地域でも、訪問介護のヘルパーがいるからこそ、在宅での介護ができ、要介護者の生活が普通の生活として成り立つことができます。我が国が迎えた超高齢社会において、介護人材の確保は何より大切です。 介護職には平成二十九年度予算で月一万円程度の加算が行われ、そのこと自体は評価いたします。しかし、報酬について、全産業と比較する必要はありませんが、人材確保の面で介護と競合している業種など、具体的な検討が必要ではないでしょうか。その上で、介護という仕事が社会的に評価されるような対策を検討していくべきであります。 報酬に加え、介護職の社会的評価を上げていくことが今後の人材確保につながると考えますが、社会的評価をどのように引き上げていくのか、塩崎大臣の見解を伺います。 介護療養病床について伺います。 今回の法案では、新たな介護保険施設として介護医療院の創設が含まれています。しかしながら、介護医療院と同様の機能を有している介護療養病床は、平成二十三年度までに廃止すると決まっていたにもかかわらず、廃止や転換が進まず、今回、更に経過措置期間が六年間延長されます。このような状況を見ると、介護医療院という仕組みをつくっても、単に名称だけが変わって、実態は何も変わらないと批判されても仕方がありません。 これまでなぜ介護療養病床の転換が進んでこなかったのか、今後の六年間で介護療養病床をどのようにするのか、また、介護医療院に対し、それまでの介護療養病床や老人保健施設、特別養護老人ホーム施設、そういったところとは異なるものとしてどのような役割を持たせるのか、それぞれについて塩崎大臣の見解を伺います。 介護保険の利用者負担について伺います。 二〇一五年八月から、特別養護老人ホームなどの食費や居住費に関する補足給付について、所得だけでなく金融資産の保有状況が勘案されており、一定以上の金融資産を保有している場合、軽減対象から外れることになっています。このような仕組みは、負担能力に応じた負担を求め、世代間の公平を進める点で有効ではありますが、正直に申告した者が損をすることになり、原則と例外を逆にすべきであります。 介護保険の利用者負担について、負担能力に応じた負担を求めていくのであれば、公平性を確保するため、マイナンバーの活用による資産の把握を前提に、原則二割負担とした上で、一定以下の所得や資産であることを証明すれば一割負担とする仕組みを導入してはどうですか。塩崎大臣の見解を伺います。 我が党は、将来世代に持続可能な社会保障制度を受け継いでいくため、公正、公平で、より効果的、効率的な制度を実現する観点から、医療や介護の不正受給には厳しい目を向けていかなくてはならないと考えております。 本法案に併せ、我が党の出した法案や二〇二五年以降の社会保障制度の在り方も国民の前でしっかりと議論をしていただきたいと思います。 以上で質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 東徹議員にお答えを申し上げます。 社会保障給付費の将来推計についてのお尋ねがございました。 社会保障の給付と負担の見通しにつきましては、社会保障・税一体改革の際に、医療、介護の提供体制の改革や低所得者対策の強化等の改革シナリオを入れ込んだ姿として、二〇二五年度までの社会保障の給付と負担の総額、保険料額等の推計をお示しをしております。 現在は、一体改革でお示しをした改革シナリオに基づいて、医療、介護の提供体制改革や重症化予防、介護予防等の取組を進行している途上の段階にございます。医療、介護に係る将来の給付と負担の姿がどのようになるかについてはこれらの取組の影響が大きいことから、取組の進行中である現時点で二〇二五年以降の社会保障の給付と負担の見通しを推計することは難しいと考えてございます。 介護に対する考え方についてのお尋ねがございました。 高齢者の介護につきましては、関係者の方々の真摯な御議論の結果、これを社会的に支える仕組みとして介護保険制度が創設をされたものです。介護保険制度では、在宅サービス等の事業者に多様な主体の参入を認めるとともに、国民にも介護予防のための努力や費用負担の義務をお願いをしております。今後とも、自助、共助、公助のバランスの視点も踏まえながら、公的な支え合いの仕組みである介護保険制度をしっかりと次世代に引き渡してまいります。 サービス付き高齢者向け住宅についてのお尋ねがございました。 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化され、入居者の安否確認と生活相談サービスの提供を必須とする住宅でございますが、必要以上に介護サービスが提供されているとの指摘もあり、その在り方について、今後、審議会で御議論いただきたいと考えております。 また、サービス提供等の運営に関する情報をホームページ上で広く開示する取組が今後開始される予定であり、厚生労働省としても、引き続き、国土交通省や都道府県等とも連携をし、居住者が必要なサービスを受けながら安心して暮らし続けられるよう取り組んでまいります。 介護職員の報酬と介護職の社会的評価の引上げについてのお尋ねがございました。 介護職員の処遇改善につきましては、これまでも財源を確保しつつ着実に行ってまいりました。今年度は、臨時に介護報酬改定を行い月額平均一万円相当の処遇改善を実施をしており、自公政権の下、合計で月額四万七千円の処遇改善が実現することになります。 また、人材確保の観点からは、介護職の社会的評価の向上も重要な課題であります。このため、介護職としての介護福祉士が高度化、複雑化する介護ニーズに対応をし、中核的な役割を果たしていけるよう介護福祉士に必要な資質などについて議論を進め、さらに、介護職の労働実態や働き方の意向などの調査を行い、介護職が意欲と能力に応じて活躍できるようにし、社会的評価を高められるようにしてまいります。 介護医療院についてのお尋ねがございました。 介護療養病床からの転換が進まなかったのは、患者の医療ニーズの把握が不十分であり、既存の老健施設等はこの受皿として十分な機能を有していなかったためと考えております。介護療養病床で提供される医療機能は重要であり、また、入院先が生活の場となるような利用者にふさわしい環境も重要であります。このため、今般の制度改正では、日常的な医学管理やみとりやターミナルケア等の医療機能だけではなく、生活施設としての機能を兼ね備えた介護医療院を創設をいたします。 介護療養病床から介護医療院への移行については、六年間の経過措置期間中にしっかりと支援を行い、移行状況等を把握をしつつ、適切に進めてまいります。 利用者負担についてのお尋ねをいただきました。 介護保険の利用者負担割合は従来から原則一割としており、現在、それを変更することは考えておりません。平成二十六年の介護保険制度改正において、施設入所者等の食費や居住費の負担の軽減に限って預貯金等を勘案する見直しを行いました。 利用者負担割合の判定に資産を勘案する仕組みを導入することについては、マイナンバーによる資産の把握が可能となるかという課題に加えて、事務執行や負担の公平性等の課題を整理をする必要があると考えております。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。 ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 日程第五 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件 (いずれも衆議院送付) 以上五件を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長宇都隆史君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔宇都隆史君登壇、拍手〕
○宇都隆史君 ただいま議題となりました条約五件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、スロベニアとの租税条約は、二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。 次に、ベルギーとの租税条約は、現行の租税条約を全面的に改正し、投資所得に対する源泉地国課税の更なる減免、税務当局間の徴収共助の手続の整備等について定めるものであります。 次に、ラトビアとの租税条約は、二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。 次に、オーストリアとの租税条約は、現行の租税条約を全面的に改正し、投資所得に対する源泉地国課税の更なる減免、税務当局間の徴収共助の手続の整備等について定めるものであります。 最後に、バハマとの租税情報交換協定改正議定書は、現行の協定を部分的に改正し、OECDが策定した国際基準に基づく金融口座情報の自動的交換に関する規定を新たに設けるものであります。 委員会におきましては、五件を一括して議題とし、今般の租税条約の締結の背景と意義、バハマとの金融口座情報の自動的交換規定の導入による効果と交換された情報の保護、多国籍企業の租税回避行為に対する国際的防止策と我が国の取組、OECDによる金融口座情報の自動的交換制度への米国の参加に向けた働きかけ等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より、スロベニア、ベルギー、ラトビア及びオーストリアとの租税条約四件に反対する旨の意見が述べられました。 次いで、順次採決の結果、租税条約四件はいずれも多数をもって、バハマとの租税情報交換協定改正議定書は全会一致をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。 まず、日程第一ないし第四の条約を一括して採決いたします。 四件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十五 賛成 二百二十一 反対 十四 よって、四件は承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(伊達忠一君) 次に、日程第五の条約の採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十五 賛成 二百三十五 反対 〇 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第六 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長小林正夫君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔小林正夫君登壇、拍手〕
○小林正夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、事業の国際化の加速等に伴い、安全保障に関連する技術又は貨物の海外への流出の懸念が増大していることに鑑み、貨物の無許可輸出及び技術の無許可取引に対する罰則を強化するとともに、輸出入規制における行政制裁及び対内直接投資に関する規制を強化する措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、罰則強化の不正輸出等に対する抑止効果、輸出管理規制の国際的な調和の必要性、企業や大学における輸出管理の取組、対内直接投資等に対する適切な規制の実施等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 二百三十四 反対 〇 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第七 金融商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長藤川政人君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔藤川政人君登壇、拍手〕
○藤川政人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本法律案は、情報通信技術の進展等、我が国の金融及び資本市場をめぐる環境変化に対応するため、株式等の高速取引に関する法制の整備、金融商品取引所グループ内の共通・重複業務の集約の容易化、上場会社による公平な情報開示に係る規制の整備等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、高速取引の影響と規制の効果、フェア・ディスクロージャー・ルールの対象範囲、金融庁及び取引所におけるIT専門人材確保の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十五 賛成 二百二十一 反対 十四 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第八 地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長横山信一君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔横山信一君登壇、拍手〕
○横山信一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、個人番号制度の一層の円滑な運用を図るとともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により地方公共団体情報システム機構が処理する事務の適正な実施を確保するため、同機構について、役員の解任、業務方法書、機構処理事務特定個人情報等保護委員会の設置等に係る規定の整備を行うとともに、当該事務について、機構処理事務管理規程、機構処理事務特定個人情報等の安全確保、総務大臣による監督命令、機構保存本人確認情報の利用等に係る規定の整備を行おうとするものであります。 委員会におきましては、システム障害の原因と対応の問題点、機構のガバナンス強化による効果、マイナンバーカードの利用促進及び情報連携開始に向けた課題、機構の情報公開及び個人情報の保護等について質疑が行われました。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下芳生委員より反対する旨の意見が述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十六 賛成 二百十六 反対 二十 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第九 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長羽生田俊君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔羽生田俊君登壇、拍手〕
○羽生田俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、都道府県が入院措置を講じた者に対する退院後の援助を強化するとともに、精神障害者の支援を行う地域関係者の連携強化を図るほか、医療保護入院に必要な手続、精神保健指定医の指定制度等について見直しを行おうとするものであります。 委員会におきましては、法改正に至る経緯及び立法事実、精神障害者の退院後における継続的な支援の在り方、本人及び家族の意思を尊重する施策の必要性、精神保健指定医の資格要件の在り方等について質疑を行うとともに、参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局しましたところ、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党及び日本維新の会を代表して足立信也理事より、附則の検討規定について、この法律の施行後五年以内を三年を目途としての検討に改めるとともに、精神科病院等に入院している者及びこれを退院した者の権利の保護の観点から、検討事項に、医療保護入院者の退院後の医療その他の支援の在り方、非自発的入院者の権利の保護に係る制度の在り方等を追加する等の修正案が提出されました。 次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林明子委員より原案及び修正案に反対、希望の会(自由・社民)を代表して福島みずほ委員より原案及び修正案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。川田龍平君。 〔川田龍平君登壇、拍手〕
○川田龍平君 民進党・新緑風会の川田龍平です。 会派を代表し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に関し、反対の立場から討論を行います。 討論に先立ち、眞子様、婚約おめでとうございます。 おめでたいニュースに隠れて、森友学園問題で、三メートル以下にごみがないことが明らかになっただけでなく、加計学園問題でも、総理のそんたくではなく総理の御意向とする文書が出てきました。朴槿恵大統領と同じ、お友達への利益供与であり、安倍総理は総理だけでなく議員辞職すべきです。 四月七日の本会議において、私は本法案について、相模原市の事件の原因を精神障害に転嫁し、精神保健福祉法に犯罪対策としての措置入院制度見直しを入れるのは、二つの理由でおかしいと問題提起いたしました。一つは、精神保健福祉法という法律自体の目的が精神障害者の福祉の増進であること、よって犯罪対策をここに入れるべきではないこと。二つ目は、やまゆり園事件と精神保健福祉法を結び付けることで精神障害を持つ当事者やその家族の人権を守るという本法の精神から逸脱した内容になっていることです。 あれから既に一か月以上たちましたが、この間の厚生労働委員会での法案審査で、政府は、問題を払拭するどころか、肝腎の法案の中身は変えずに関連資料の中の一部だけ修正して終わらせるなど、前代未聞のやり方をしてきました。こうした姿勢は、当事者の人権のみならず、社会における法の在り方、そして国会における適切な立法プロセスという意味でも大きく矛盾しています。森友学園問題における財務省の隠蔽体質、理財局長答弁の不誠実さ、さらには共謀罪審議における法務大臣と刑事局長の二転三転する答弁、本法案の審議における厚生労働省の国会対応は、それと同じくらいひどいものだったと言わざるを得ません。 また、この法案の内容にも見過ごせない五つの問題点があります。 まず第一に、この内容は当事者とその家族の意思を無視しています。例えば、措置入院者の退院後支援計画の作成を議論する精神障害者支援地域協議会の個別ケース検討会議になぜ当事者である患者本人、家族の参加が必須とされていないのでしょうか。 障害者たちは、この国でずっと長い間声を上げてきました。歴史を振り返れば、彼らの訴えてきたことが何だったか、政府は、特に厚労省の皆さんは誰よりもよく御存じのはずです。その最大のメッセージが何だかもう忘れてしまったのでしょうか。それは、私たち抜きで私たちのことを決めないでほしいということです。障害者の権利と尊厳を守ることは国連の障害者権利条約にも書いてあります。 しかしながら、厚生労働省の概要資料には、最初、本人、家族等の参加は必要に応じてとありました。この部分を指摘されると、大臣は急に、本人や家族が参加するのは当然だなどと答弁し、概要資料からその必要に応じてという記載だけを削除し、肝腎の法案は全く変えないという支離滅裂な対応をしたのです。 さらに、委員会において、相模原市障害者支援施設における事件検証及び再発防止策検討チームやこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会においても当事者からのヒアリングがろくにされていないことも明らかになっています。検討会の構成員三十名を見ても、当事者の方は二名しか入っていません。私も立場上、当事者の方々、関係団体から常時たくさんの意見をいただきます。しかしながら、本来、精神障害者の人たちの生の声を誰よりも一番聞かなければならないのは、国の仕組みをつくり、彼らの未来を左右する立場にいる厚生労働省だということを認識しているのでしょうか。 私自身、当事者として経験してきたことですが、法律は一度決まったら社会の仕組みが変わり、本人やその家族はその中で暮らしや人間関係や人生がずっと左右されてしまいます。だから、立法府にいる私たちには重い責任があり、当事者の声に真剣に耳を傾け、できる限り誠実な姿勢で進めていかなければならない、そういう立場にいるのではないでしょうか。 第二の問題は、法案に書かれた規定の多くが非常に不明瞭なことです。例えば、退院という言葉一つ取っても、患者本人が住む地域に戻ることなのか、それとも措置入院が解除されて医療保護入院や任意入院に移行することなのか、これだけではどちらか分かりません。精神障害者支援地域協議会というのも、代表者会議のことなのか個別ケース検討会議なのかが分からない上に、どんな立場の委員で構成されるのかも分かりません。 このように、この法案からは法の根幹に関わる箇所や精神障害者の人権に関わる多くの重要項目が抜け落ちているにもかかわらず、政府は、疑問を払拭するどころか、それらは秋までに出すガイドラインで規定するなどと言って先送りしようとしています。これは、立法府として極めて不誠実だと言わざるを得ません。 第三の問題は、精神障害者支援地域協議会に警察が参加する目的が不明確であり、個別ケース情報が警察に伝わる可能性があるということです。厚労省は、警察が参加するのは代表者会議のみで、個別ケース検討会議には原則参加しないとしながら、その後にこう続けました。しかし、例えば自殺リスクや応急救護を要する場合などには個別ケースに警察が参加する場合もある。しかし、実際に運用を始めると、果たしてこのようなケースに限定されるのかは疑わしいです。 厚労省も認識されているように、現在でも、精神保健福祉法第二十三条において、自傷他害のおそれがある方を警察が通報する件数には各自治体で大きくばらつきがあり、その原因について明確ではなく、今後、実態調査を行うと答弁されました。つまり、個別ケース検討会議についても、各地域ごと、個別のケースごとに警察が犯罪防止の観点から警察が介入すべきと判断する自治体が幾らでも拡大する危険があるのではないでしょうか。 参考人質疑でも、参考人から、グレーゾーン事例の対応である確固たる信念を持って犯罪を企画する者への対応についても、頭の中で考えているだけの状態であり、共謀罪以上に本人の内心の問題に介入することを認め、刑事司法の中で重大な問題を引き起こす懸念が示されました。 自傷のおそれがあって措置入院となり、その後措置解除となった方が、その後も警察の監視下に置かれるということがどれだけの心理的負担を与えるか、容易に想像ができるのではないでしょうか。 第四の問題は、本法案が、障害者権利条約第十四条が規定する障害を理由とした人身の自由の剥奪の禁止に違反する非自発的入院について、何の見直しも行われていないことです。 二〇一三年に精神保健福祉法が改正されたときも私はこの問題を提起し、医療保護入院者退院後の地域生活への移行促進策は課題として残されていたはずです。なのに、地域移行を促進するどころか、本法案を読むと、家族等の意思表示がなくても、市町村の長の同意さえあれば医療保護入院を可能にすると書かれていたり、措置入院者だけ退院後支援計画を作成するなど、明らかに矛盾しています。 そして、第五の問題は、これも二〇一三年の改正時にも指摘したことですが、非自発的入院である以上不可欠であるはずの本人の意思を尊重するための権利擁護の制度が再び見送られたことです。 実は、本法案には一つ、私が非常に高く評価する箇所があります。国及び地方公共団体の義務として、精神障害者の人権尊重に十分配慮しなければならないことという一文です。これは、冒頭で申し上げた国連の障害者権利条約の精神に沿う、非常に重要なこの法律の核になる絶対に曲げてはならない部分だからです。 しかしながら、今申し上げましたように、本法案の提出に至る経緯、本法案の内容、そしてこれまでの審議における政府の不誠実な姿勢、どれを見ても、この精神障害者の人権を尊重するという法案の精神から大きく乖離していると言わざるを得ません。 国民は、言葉だけでは信頼してくれません。本当にそう思っているのなら、政府はまず言葉と行動を一致させてください。したがって、精神保健福祉法本来の精神に矛盾するその内容もさることながら、法案審議過程そのものに問題がある本法案は、立法府の一員として認めるわけにはいきません。断固として廃案にするべきであると申し上げ、私の反対討論といたします。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。 〔倉林明子君登壇、拍手〕
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に断固反対する立場から討論を行います。 本法案は、相模原事件の直後に、総理の指示の下、再発防止策の検討を厚生労働省が中心となって行い、法改正に至ったものです。 一月二十日、総理の施政方針演説でも、昨年七月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました、決してあってはならない事件であり、断じて許せません、精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止策をしっかりと講じてまいりますと明確に立法趣旨を説明していたのです。事前の法案概要資料にも、改正趣旨として、「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う。」と、事件の再発防止が改正全体の前提として明記され、説明が行われてまいりました。 ところが、当事者や関係団体から反対の声が広がり、相模原事件が精神障害者による犯罪だとする立法事実が崩れる中、法案審議の最中に、前提として説明してきた再発防止に係る文言を削除し、大臣が法改正の趣旨説明をやり直すという前代未聞の事態となりました。犯罪防止を目的としたものではないと繰り返し説明する一方で、法案の中身は一切変わらないというのですから、改正目的の隠蔽以外の何物でもありません。国会も国民も愚弄するこうした政府の対応は、断じて容認できません。 変えないとしているその法案の中身が問題なのです。 第一は、精神障害者の情報を警察に提供する仕組みをつくり、結果として犯罪防止が目的となっていることです。 措置入院者に限り退院後の支援計画の策定を自治体に義務付けることで、公務員に対し、措置入院患者の規制薬物使用の告発や、確固とした信念に基づき犯罪を企図する者の情報提供を警察に行う仕組みを新たに設けることが審議を通じて明らかになりました。医療と警察の役割分担を行うとして、いまだ犯罪を実行していない者の情報まで警察に提供する仕組みをつくるのですから、その狙いは明らかです。転居先の自治体までその情報は引き継がれることとなり、精神障害者の監視体制の整備となるものです。 入院者の情報提供の判断は現場の医師が行うこととなります。結果として、薬物依存症の患者を医療から遠ざけ、病状悪化につながる危険性が高まるだけでなく、妄想や幻聴で苦しむ精神障害者は、犯罪を企図する者と判定されることを恐れ、医療からも支援からも遠ざかることになりかねません。 精神障害者の医療、保健、福祉の向上を目的とする本法の趣旨とは全く相入れない治安目的を持ち込むなど、到底認められるものではありません。犯罪防止ではないというのであれば、中身を変えて出し直すべきではないでしょうか。 第二は、法改正には精神障害者の権利擁護の観点が欠落していることです。 当初の説明によれば、措置入院者の退院後の支援計画の策定に本人は必要に応じて参加するとされていました。委員からの指摘を受けて、原則参加にするとはしたものの、退院後の支援計画は、本人が要らないと表明しても、自治体に策定が義務付けられているために必ず策定されることとなります。本人に従う義務はないとしていますが、当事者の思いよりも計画策定が優先されることは明らかです。 当事者団体や弁護士会からも求められていた第三者の法定代理人や弁護士も本法案には盛り込まれず、権利擁護の要となる精神医療審査会は、審査が形骸化し機能を果たせていない実態、これは厚労省の調査ではっきりしているにもかかわらず、改善措置は何ら盛り込まれませんでした。 そもそも、日本の精神医療は、大臣も率直に認められたとおり、世界的にも立ち遅れていることが審議を通じて明らかになりました。病床の多さ、入院期間の長期化はOECD諸国と比較しても突出しています。そうした中で、保護室への隔離、身体拘束が過去十年間で二倍に達し、それぞれ一万件を超えている事実を自らが把握しながら、その要因についての調査はこれからだという始末です。 精神医療における人権問題として、国連の人権委員会からも繰り返し指摘されていることを政府は真摯に受け止めるべきです。二〇一三年には拷問禁止委員会から、隔離、身体拘束について非人道的及び品位を傷つける行為とされ、非自発的入院を減らすことを求められました。また、二〇一四年には自由権規約委員会から、精神科病院における強制入院の減少と入院者の権利擁護措置をとるよう求められているのです。 日本の精神医療に対し解決が求められているこれらの課題に対し、精神障害者の権利擁護の観点からの見直しがほとんど盛り込まれておりません。本法案は撤回し、精神障害者の権利擁護を目的とした法案として出し直すことを強く求めるものです。 今回の法改正の検討を託されたこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会は、二〇一六年一月のスタート地点では、医療保護入院の在り方、新たな地域精神保健医療体制の在り方が大きなテーマとなっていたのです。議論の半ばに、官邸主導で持ち込まれたのが相模原事件の再発防止策でした。本来の法の趣旨とは相入れない犯罪防止策を法改正に盛り込むことに、委員会のメンバーからも、当事者及び関係団体からも批判が相次いでいたのに、その声に全く耳を傾けることなく提出されたのが本法案だということは明らかです。 法の趣旨もねじ曲げ、当事者の声も踏み付けにする本法案を断じて成立させるべきではありません。廃案まで断固として奮闘する決意を申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。 本案を委員長報告のとおり修正議決することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 百六十一 反対 七十三 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十三分散会