法務委員会 第17号
- 発言数
- 387 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2017/06/08
会議録
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、有田芳生君が委員を辞任され、その補欠として福山哲郎君が選任されました。 また、本日、仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君が選任されました。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府賞勲局長幸田徳之君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山添拓君 おはようございます。日本共産党の山添拓です。 資料をお配りしておりますので、委員の皆さん、また大臣ほかの皆さんも御覧ください。 資料の一ページ目、昨日本会議で仁比聡平議員が紹介をいたしました北海道新聞の世論調査の記事です。共謀罪法案に反対が五九%、賛成が三四%を大きく上回ったと報じられています。 私が注目しましたのは、法案の内容について知っていると答えた人が六四%と、前回から一三ポイント増えたそうであります。三十代以下では六〇%、前回から倍増したと報じられています。その中で反対が全体で一四ポイント増えた。四十代で一九ポイント、三十代以下では二一ポイント反対が増えています。 法案の内容を知れば知るほど反対が増える。大臣、この結果、率直にどう思われますか。
○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘がございましたこの報道につきましては拝見をさせていただきました。調査方法の詳細等について承知をしているわけではございませんので、個別の調査結果についての所感を申し上げることは差し控えたいと存じます。 その上で、これまで本法案につきましては、国民の皆様方の御理解を得られるように丁寧な答弁に努めてきたところであります。今後なお一層の御理解を得られるように、引き続き誠実な答弁に努めてまいりたいと、そのように考えております。
○山添拓君 これまでと同様に説明していくということなんですけれども、資料の二ページも御覧ください。下から二段目です。 例えば、一般市民が捜査対象となったり逮捕されたりする不安について、感じると答えた方が自民党支持層で五〇%、公明党支持層では八五%。一般人は処罰の対象にならない、捜査の対象にもならない、嫌疑の対象にもならないと繰り返し述べてこられたわけですが、こういう結果になっているわけです。説明不十分は八五%です。なぜこんなことになっているとお考えですか、大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたように、この調査結果についての所感を申し上げることは差し控えたいと思います。調査方法の詳細等について承知していないということもございます。 しかし、そういう状況の中ではありますが、本法案についての必要性と重要性をこれからも丁寧に説明をして、国民の皆様の御理解をいただきたい、このように考えております。
○山添拓君 世論調査の結果について個別には答えられないと。国民の声ですよね、北海道新聞の調査ですけれども。それはもちろん一部の調査かもしれないですが、しかし、確実にここには国民の中に広がっている法案に対する不安や懸念、示されているんじゃないでしょうか。法案そのものが大変な問題を抱えているからこそ、国民の中に幾ら説明をしても理解が広がらない、こういうことだと思います。 衆議院強行後の共同通信の調査でも、説明不十分は七七%、この参議院に移ってからも、審議をすればするほど問題点や矛盾が噴出する共謀罪法案であります。昨日の毎日新聞では、不安や懸念を置き去りにし、抗議の声をはねつけ、数の暴挙を繰り返す、そう思われるのが本意でなければ、成立ありきの態度を改め、審議を一からやり直すべきだ、こういう意見も示されています。私はそのとおりだと思います。 金田大臣は、この国会において、共謀罪審議に関連して治安維持法についても答弁をされています。そこで伺いたいんですが、大臣、横浜事件について御存じでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 承知をしているつもりであります。
○山添拓君 どんな事件でしょうか。
○委員長(秋野公造君) 井野法務大臣政務官。
○大臣政務官(井野俊郎君) 私……(発言する者あり)指名を受けましたので御説明いたします。委員長から御指名をいただいたので御答弁させていただきます。 私の認識している限りではございますけれども、横浜事件というのは、戦後、治安維持法が廃止されるまでの間に処罰された、検挙された人がいるという事件で、再審無罪を申し立てた事件だというふうに認識をしております。
○国務大臣(金田勝年君) 具体的に事前に通告をいただいておりません。したがいまして、詳細について申し上げることについては、ただいま政務官の方から答弁をした次第であります。
○山添拓君 大臣はほとんど御存じないということだったんだと思いますが、細川嘉六さんというジャーナリストが「改造」という雑誌に発表した論文がコミンテルンと共産党の目的のためにする行為だと陸軍に摘発をされて、「改造」やあるいは中央公論、その編集者、研究者が次々と逮捕されたという事件です。 この細川氏らの集合写真が富山県の料亭旅館で見付かりまして、共産党の再建準備会を企てたものだと決め付けられたわけです。実際には出版記念の宴会のときの写真にすぎなかったんですが、そこから芋づる式に関係者を検挙していきました。事件の関係者が生活に困窮しているのでお金を融通したことや、住む家を貸したことまでもがためにする行為だとされて弾圧の対象とされました。そして、その対象がどんどん広がったという事件です。共産主義者であるかどうか関係なくですね。 その横浜事件の被害者の一人に対する元特高警察による拷問が特別公務員暴行傷害罪で有罪が確定しております。大臣、このことは御存じでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほども申し上げましたが、事前の通告をいただいていませんので、詳細については承知をしておりません。
○山添拓君 私が聞いているのは詳細じゃなくて結論なんですけどね。一九五二年四月二十四日の最高裁判決で有罪が確定をしております。 資料の三ページを御覧ください。その控訴審で罪となるべき事実が指摘されておりますが、その事実、読み上げていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の東京高等裁判所判決におきまして、昭和十八年五月十一日、治安維持法違反事件の被疑者の取調べに際し、同人が被疑事実を認めなかったので、被告人等はその他の司法警察官等と共謀して同人に拷問を加えて自白させようと企て、同月十二日頃から約一週間くらいの間、数回にわたって、神奈川県神奈川署の警部補宿直室において、同人に対し、頭髪をつかんで股間に引き入れ、正座させた上、手拳、竹刀の壊れたもの等で頭部、顔面、両腕、両大腿部等を乱打し、これにより腫れ上がった両大腿部等を靴下履きの足で踏んだりもんだりするなどの暴行陵虐の行為をなし、よって、同人の両腕に打撲傷、挫傷、両大腿部に打撲挫傷、化膿性膿症等を被らせ、そのうち両大腿部の化膿性膿症については、その後治癒まで数か月を要さしめたのみならず、長くその痕跡を残すに至らしめたという事実が認定されたものと承知しております。
○山添拓君 この事件については事前に通告をしております。 今読んでいただいたように、戦時中の刑法にも違反する暴行、傷害が加えられた事実が判決で確定をしております。大臣、明治憲法の下においてもこうした拷問は許されなかったということではないんでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 通告についてはいただいておりませんので、その点は明確に申し上げておきます。 その上で、治安維持法及びその下での運用については、種々の意見や批判があるものと承知をいたしております。 一方で、戦前とは異なって、現在の捜査機関による捜査につきましては、日本国憲法の下、裁判所が捜査段階においては厳格な令状審査を行い、また、公判段階においては証拠を厳密に評価して事実認定を行い、有罪か否かを判断することにより、捜査機関の恣意的な運用を防ぐ制度が有効に機能している。また、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定をし、計画行為に加えて実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることで、その処罰範囲は明確かつ限定的なものであると考えております。 このように、捜査機関の恣意的な運用は制度的にもできないという状況とテロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものであるということで、テロ等準備罪が戦前の治安維持法と全く違う、この日本国憲法の下で国民の基本的人権を不当に制約するものではないことを申し上げておきたいと思います。
○山添拓君 委員長、質問していないことに対して延々と答弁をされています。注意をしていただきたい。
○委員長(秋野公造君) 続けてください。
○山添拓君 注意してください。おかしいでしょう、ちょっと。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) 山添拓君。
○山添拓君 最高裁判決で違法が確定した、有罪だと確定した、このことについての認識を伺ったわけです。そして、この判決については、今刑事局長の方がメモを読み上げられたとおり、事前にちゃんと通告もしておりますので、それについて認識についての御答弁がなかった、その上、関係ないことをお話しになった。これ、私は国会審議に対して誠実な態度だとは到底思えません。 高裁判決、その後続けてこう述べています。被告人らの所為は法治国において戦時であると平時であるとを問わず堅く戒められている禁制を破ったものであるから、これを戦局苛烈な時期における一場の悪夢にすぎぬとして看過し去ることはできないと述べています。 思想を取り締まり、その権限ゆえに当時の法律でも違法な捜査に及びました。その反省の上に、思想の自由を保障する憲法十九条があり、拷問と残虐な刑罰を絶対に禁ずるとした憲法三十六条があります。思想、信条、良心の自由を脅かし、踏みにじったこの歴史の教訓を踏まえた日本国憲法の立場に照らせば、行為主義、内心の自由に踏み込まないことを特に厳格に捉えるべきではないでしょうか。 大臣は、昨年の十月十九日、衆議院の法務委員会で我が党の藤野保史議員の質問に対して、憲法の個々の条文の成り立ち等については意見を差し控えたいと答弁されていますが、歴史的な背景を抜きに憲法がいかなる自由を守ろうとしているかについて考えることなどできないんではないでしょうか。特に、思想、信条の自由に関わる条項について、これは避けては通れないところではないか。金田大臣、この点については御認識はいかがでしょう。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。 テロ等準備罪は、一定の重大な犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われた場合に限って成立するものであります。計画行為及び実行準備行為という行為を処罰するものであって、御指摘のような内心を処罰するものではありません。したがって、テロ等準備罪処罰法案が思想、良心の自由を始めとする憲法上の権利を不当に制約するとの批判は当たりません。
○山添拓君 私、全然そんなこと言っていないんですね。過去の歴史に学んで憲法が定められた、その認識の上に刑罰法規の在り方を考えるべきではないかと、当たり前のことを述べただけですが、そのことを何か曲解をされて、今の共謀罪法案について批判をしているかのように受け取られたようでした。 治安維持法は、思想、信条の自由に反するものですけれども、国体の変革など、対象を条文上は絞っておりました。しかし、今回の共謀罪法案は、思想、信条で絞るものではその点ではない、代わりに、二百七十七の罪、全刑法犯でいう八割を超える犯罪について対象としているものだと、先日、この委員会で松宮参考人がお話をされました。誰でも対象にできる、でき得るという点では治安維持法よりたちが悪い、この松宮参考人の意見はそのとおりだと私は思います。 誰でも対象になり得ると、この点に関して、五月三十日には、私、この委員会で岐阜県警大垣署による情報収集の問題を取り上げました。決算委員会での仁比聡平議員の質問に対して国家公安委員長が答えましたように、情報収集の過程で共謀罪の嫌疑を抱けばそこから捜査に移行する、公安情報収集活動と犯罪捜査の連続性というものは既にはっきりしたと言えます。 今日は、任意捜査に関わって堀越事件を取り上げたいと思います。 五月十六日、衆議院の法務委員会で参考人の加藤健次弁護士が紹介した事件です。二〇〇三年、社会保険庁の職員だった堀越さんが、休日にしんぶん赤旗号外を配布したことが、しんぶん赤旗号外ってチラシですけれども、国家公務員法の政治的行為の禁止に反するとして逮捕、起訴されました。一審有罪、高裁で逆転無罪です。二〇一二年十二月七日に最高裁で無罪が確定しました。その意味では、これ、何ら法益侵害のない危険性のない行為だということが最高裁判決によって確定をしているわけです。 この事件で警察はどのような捜査を行っていたか、資料の四ページ以下を御覧ください。加藤参考人が配付をいたしました行動確認実施結果一覧表をお配りしております。 例えば、十月十二日の欄を御覧ください。この日は休日です。八時二十分、集合郵便受けに新聞様のものをポストに投函したのを確認、十二時二十五分、有楽駅改札を出たところで氏名不詳の女、身長百五十センチぐらい、年齢三十五歳前後と接触、銀座インズ地下一階「月の雫」に入店、十四時三十分、演劇「銃口」を見る、十七時二十五分、演劇を終了し、同演劇を見ていた男女十名くらいと居酒屋に入る、十九時五十分、居酒屋から出た後、被疑者は女と手をつなぎながら、氏名不詳の男と三人でカラオケ店「ディアナ銀座」に入店。犯罪とは何の関連もないプライベートな行動まで事細かに追っています。 警察庁に伺いますが、この事件で行動確認を行った警察活動の根拠となる法律は何でしょうか。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 御指摘の事件におきまして警視庁が行ったいわゆる行動確認は、刑事訴訟法の規定にのっとりまして、必要な証拠の収集のために行ったものと承知しております。
○山添拓君 刑事訴訟法の何条ですか。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 刑事訴訟法第百八十九条第二項及び第百九十七条第一項に基づきまして、いわゆる任意捜査として実施したものと承知しております。
○山添拓君 御覧いただければ分かりますとおり、堀越さんのことを被疑者と書いております。捜査員という記載もあります。情報収集段階ではございません。犯罪捜査としての任意捜査の名の下にこれだけのことが行われております。 この行動確認結果一覧表からうかがえるのは、警察とりわけ公安警察が犯罪を未然に防ぐなどとは一切考えていないということです。本当に問題ある行為だったらその場で注意をすればいいわけです。二十九日間にわたって延べ百七十一名の捜査員が少なくとも四台の車と六台のビデオカメラを使用して尾行、盗撮を行い、犯行現場を押さえて、万全を期して、翌年の三月、捜索、差押えに及び、あらゆる資料を差し押さえいたしました。 資料の四ページ、もう一度御覧いただきますが、十月十一日、堀越さんを見失った後、被疑者と同乗していたグリーンの帽子の男を発見し、行動確認した結果、「日本共産党」「十一月九日総選挙」の文字の書かれたビラを配布していた、更にグリーン帽子の男の行動を確認した等とあります。 被疑者とされた堀越さん以外の者についてまで捜査の対象としています。これ、どんな必要があったんでしょうか、警察庁。
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。 御指摘の事件におきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、警視庁が行った行動確認は、刑事訴訟法の規定にのっとり必要な証拠収集のために行ったものと承知しております。一般論として申し上げますれば、御指摘の被告の方以外を被疑者として捜査したことはございません。
○山添拓君 被疑者として捜査したかではなくて、なぜ被疑者以外の方についてまで後を追って確認する、こういうことをされたんですか。それも捜査の必要からですか。
○政府参考人(白川靖浩君) 一般論として申し上げますれば、行動確認の途中におきまして被疑者と接触した方につきまして、どのような行動をされるかということは捜査の必要の範囲内で行うことがあるものと承知しております。
○山添拓君 そういうことなんですよね。あの横浜事件ではありませんけれども、捜査機関がターゲットとした人物だけでなく、その接触した人物も含めてあらゆる人をひそかに調べ上げるということです。それは、例えば、この間これも問題になってきましたが、GPS捜査で被疑者だけでなく知人や交際相手が使う車にまでGPSの探知行ってきた、このこととも通ずると思います。歯止めはないわけです、捜査の必要上という言葉によって。 警察庁に改めて伺いますが、犯罪行為が行われる前、この事件の場合には結局無罪になっていますから犯罪でも何でもない行為なんですが、新聞配布行為の前の段階で嫌疑があり、犯行の現場を押さえるために任意捜査を行うということはあり得るんだと、こういうことですね。
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。 同事件におきましては、平成十五年四月十九日、選挙違反取締りのため捜査中の捜査員がこの元被告人の方による選挙に係ると思料されるビラの配布行為をたまたま現認をいたしまして、公職選挙法違反及び国家公務員法違反で捜査を開始いたしましたが、立件に至らなかったものと承知しております。そのような中で同年十月、衆議院議員総選挙が公示、施行されることとなりまして、警視庁におきまして今申し上げた状況を総合的に勘案しまして、再び同様のビラを配布することが予想されたことから、捜査を実施したものと承知しております。
○山添拓君 では、一般論として伺いますが、犯罪行為が行われる前の段階から任意捜査を行う、これはあり得るということで確認させていただきますが、よろしいですね。
○政府参考人(白川靖浩君) それは、これまでの委員会におきましても法務当局からも同様の御答弁はあったかというふうに思います。
○山添拓君 今の御答弁、今度この共謀罪法が仮に可決をされ、共謀罪が成立することになれば、その共謀罪の捜査においても同じだということでよろしいですか。
○政府参考人(白川靖浩君) ただいま政府として御審議お願いをしている法案の捜査のありようにつきましては、法務当局から御答弁いただくのが適切かと存じます。
○山添拓君 この間、共謀罪をめぐっては、実行準備行為が行われなければ逮捕も処罰もされないという答弁が繰り返されてまいりました。 大臣、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) ちょっと、言葉がちょっと聞き取れませんでしたので、もう一度御質問ください。
○山添拓君 共謀罪をめぐって、実行準備行為が行われなければ逮捕も処罰もされないという答弁をされてきたわけですが、それは間違いないでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) そのとおりで結構です。
○山添拓君 今、後ろの方からそういうレクチャーを受けられて答弁されましたが。 一方で、計画がされた嫌疑があれば実行準備行為の前であっても任意捜査ができるんだと、こういう答弁もされてまいりました。 ところが、六月一日の自民党、古川先生の質疑を聞いておりまして、少しここが分からなくなってまいりました。捜査というのは、捜査開始以前に発生した過去の犯罪事実について認められるのが通例だ、こう答弁されつつ、必ずしも過去に行われた犯罪に限られるものではなく、犯罪が行われる蓋然性が高度に存在して捜査の必要性が認められる場合には任意捜査が許容される場合があると、こういう御答弁もされております。 要するに、犯罪、法律的に言えば実行行為ということですが、その前であっても任意捜査がされることはあり得るということですね。これ、確認させてください。
○政府参考人(林眞琴君) これまで累次申し上げてまいりましたのは、捜査は犯罪の嫌疑が必要でございます。犯罪の嫌疑のないときに捜査を行うことは、任意捜査でありましてもこれは行うことができません。 ここで捜査というもの、犯罪があると、じゃ、思料する場合、これは、捜査というものについては犯罪というものが発生してからその嫌疑が発生するわけでございまして、通例といたしましては、捜査開始以前に発生した事象、これに対する嫌疑でありますので、過去に行われた犯罪行為、これに対する嫌疑が通例でございます。 もっとも、次のような場合に犯罪の嫌疑が認められるということが起きます。これは、例えば、反復継続的に実行される犯罪の形態、このような場合におきまして、発生の蓋然性が高度に認められる事象、こういったことを前提といたしますと、実際の犯罪の発生の以前でありましても、高度にその実行の蓋然性が認められるような場合には例外的に任意捜査、捜査を開始することができると、これはこれまでの各種の判例の中でもそのように認められていると考えております。 例えば、今のテロ等準備罪のことでいえば、その対象犯罪に対する計画が認められて、その計画から、その計画に基づいて実行準備行為がなされるという、そのことが高度に見込まれるような状況、客観的な資料があれば、その際には、実行準備行為前においても、計画後において捜査を開始することは可能であると、このようなことを申し上げてまいりました。 したがいまして、要約すれば、犯罪の捜査というものは、通例では、発生した犯罪、これに対する捜査、それに対する嫌疑がある場合に捜査が行うことができますが、ただ、今申し上げたような、反復継続的に実行されるような形態であった場合でありますとか、今回のテロ等準備罪における計画があって、その計画の内容からして、次の実行準備行為が行われる高度の蓋然性が認められるような客観的な資料がある場合においては、その段階で捜査を開始することができるということを申し上げてまいりました。
○山添拓君 確認させていただきますが、共謀罪においては、犯罪の実行行為というのは計画です。計画に加えて、その後の実行準備行為も含めるかどうかというところはあろうかと思いますが、計画が行われるという嫌疑が生じれば計画前にも任意捜査は可能だと、こういうことですね。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪においては、一つに、組織的犯罪集団の関与というものが一つの構成要件でございます。もう一つ、その計画というものが構成要件でございます。さらに、実行準備行為という、この行為も構成要件でございます。 そうしますと、計画もない段階におきましては、計画もない段階におきましては計画に基づく実行準備行為ということは観念できないわけでございますので、その段階においては、犯罪が成立するという、犯罪が行われるという嫌疑自体が生じ得ません。したがいまして、計画以前において任意捜査を行うことはできません。
○山添拓君 なぜそんなこと言えるんです。だって、繰り返し犯罪が行われている、そういう場合に、さっき反復継続しているような場合を挙げられたじゃありませんか、そういう場合に、またやるかもしれないと。今度の計画の前の段階で、既に今度の罪をやるかもしれない、計画をやるかもしれないという嫌疑が生じれば、その段階で任意捜査を行う、計画より前の段階から任意捜査を行うことは、法律上もあり得るでしょうし、実際上も考え得るんじゃありませんか。
○政府参考人(林眞琴君) 反復継続というのは、先ほど申し上げましたのは、例えばすりでありますとか薬物犯罪で同一形態で行われている、そういったような状況の場合に、この場合に、犯罪が発生する前から捜査員を派遣して、その犯罪が行われる蓋然性が極めて高い場所に捜査員を派遣して、そこにおいて実際の現行犯を覚知して逮捕すると。このような捜査が行われるという意味で、一つの犯罪が発生する以前での任意捜査の開始、これができる場合を例として挙げました。いずれにしても、その場合も、犯罪が発生する、その高度な蓋然性が認められるからでございます。 テロ等準備罪におきましては、先ほど申し上げたように、大きく分けて三つの構成要件があります。組織的犯罪集団の関与、それから計画、それから実行準備行為というものがあります。この三つがそろうという、全て構成要件としてそろうという蓋然性がない限り、犯罪の嫌疑ありとは言えないわけでございます。そのときに考えた場合に、計画よりも以前で、計画よりも以前であれば、計画の次に来る実行準備行為、それは計画に基づく実行準備行為でございますので、そういったものがそろうという蓋然性というのは生じ得ません。したがいまして、計画以前で犯罪の発生という、嫌疑が発生することはないと、このように申し上げております。
○山添拓君 犯罪構成要件の全部について嫌疑が生じなければ捜査をしないなんということはないと思うんですね。組織的犯罪集団が関与し、計画をする可能性がある、そういう嫌疑が高まってくれば、高度の蓋然性が存在するということになれば、当然その前の段階で捜査を開始するということはあり得るでしょう。だって、ほかの犯罪で、今お聞きいただいたように、この堀越さんの事件であっても、かつて確かに国家公務員法違反と疑われる事件をやったと思われた、しかし、その後、何もない時期が過ぎていったわけです。ところが、今度総選挙があるということで、疑いを持って尾行していったわけですね。 同じように、テロ等準備罪だとおっしゃるこの犯罪においても、組織的犯罪集団が関与し、計画をし、実行準備行為を行っていくのではないか、こういう高度の蓋然性が存在すれば計画の前の段階でも任意捜査を行うことはあり得るし、少なくともそれは法律的には禁止されないんじゃありませんか。
○政府参考人(林眞琴君) それは法律的に全くできません。 組織的犯罪集団というものが、例えばそれが組織的犯罪集団ができるということ、これだけが犯罪であれば、そういった嫌疑があれば組織的犯罪集団となっているかどうかということを捜査することは可能でありますが、今回のテロ等準備罪という行為は実行準備行為までそろって初めて犯罪が成立するわけでございます。 犯罪が成立するという嫌疑というものがどの段階で発生するのかというところにつきましては、実行準備行為、最終的な実行準備行為というものが行われる高度な蓋然性までいかなければ犯罪としての嫌疑というのは生じないわけでございますので、そのことから、先ほど申し上げたように、実行準備行為というのは計画に基づく行為でございます。計画に基づく、計画についての嫌疑もない段階でその任意捜査というものはできるわけがないと、こう思います。
○山添拓君 今の話は法律のどこに書いていますか。
○政府参考人(林眞琴君) 刑事訴訟法で捜査は犯罪の嫌疑ありと思料するときに行うと、こうあります。これが、その場合の犯罪というのは、当然、犯罪は構成要件を充足して犯罪というものが成立するわけでございますので、その今申し上げたのは、三つの要件というものがそろわないと犯罪が成立しないということ、そのことが刑事訴訟法のその犯罪ありと思料する場合に捜査を行うというところの条文に関わってきまして、それによって今申し上げたような捜査ができる範囲、そういうものが確定、限定されるわけでございます。
○山添拓君 いや、到底理解し難い話だと思うんですね。今ここに検事御出身の小川先生もいらっしゃいますが、当然やるんだよという声が掛かりました。だって、任意捜査というのは犯罪が起こる前からやるということで、今お話もあったとおりなんですよ。これ、共謀罪についてだけそれは認められないんだと。 だって、皆さんこれまで、この共謀罪の法案は実体法を変えるものであって捜査法を変えるものではないとおっしゃってきた。刑事訴訟のこれまでの在り方、捜査の在り方を一切変えるものではないと答弁されてまいりました。そうであれば、この堀越事件の捜査で行われたような事前の捜査活動、任意捜査、尾行や盗撮、こうしたものは、共謀罪においても一切、行為が行われる前から、実行行為が行われる前、実行行為の中にはこの法律でいえば計画が入っています、計画の前の段階から行えるということは当然だと思うんですね。それをなぜかお認めになろうとしない。 これは、法律の読み方からしても到底考え難いような解釈を取られていると思いますし、その今のお話が今後の捜査の在り方、あるいは捜査を受けた、起訴されてきた刑事裁判所の司法判断、これを縛ることには到底ならないと思います。そんな答弁を繰り返されるようでしたら、とても充実した審議とは言えないだろうと思います。 共謀罪は、予備罪が成立するような客観的な危険が存在しない、準備行為があったとしても、客観的な危険が存在しない段階を処罰するものだと先日も答弁で確認をしております。客観的には危険な行為も結果も生じていないのですから、その段階で起訴をして有罪とし、結果発生を未然に防ごうと思えば、これ十分な証拠が必要になってまいります。そうであれば、計画、共謀のまさにその瞬間を押さえるべきではないか、真面目な警察官はそう考えられるでしょう。捜査機関がターゲットとしたものについて、犯罪と関係のない行動、通信も含めて丸裸にするような捜査が行われ得ると、これは監視社会だという批判は私はまさにそのとおりだと思います。 次の論点に行きますが、政府はこの間、共謀罪を対象犯罪として通信傍受をすることはできないのだ、盗聴はできないのだと説明をされてきました。先日、松宮参考人は、現行の通信傍受法三条一項三号に共謀罪が当たるんじゃないかと指摘をされました。 資料の八ページを御覧ください。通信傍受には裁判所の令状が必要で、かつ、対象犯罪は、この法律の別表第一と第二に挙げられた大麻取締法や覚せい剤取締法、傷害や強盗などに限られています。ただし、この三条一項三号には長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が入っています。長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪には、共謀罪、この法案の六条の二も入るんではありませんか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の法定刑は、この長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪に当たります。
○山添拓君 条文上入るということですから、共謀罪についても通信傍受の対象に当たり得るということですね。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪でございません。この三条一項三号によっても通信傍受を実施することは法律上できません。
○山添拓君 じゃ、何を根拠におっしゃるんですか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、三条一項におきまして、この通信傍受における、三条一項三号における傍受でございますが、これは、長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪が通信傍受の対象犯罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯されるということを要件としております。 この一体のものということにつきましては、これは通信傍受法制定時の国会審議において修正された部分でございます。この一体のものとしての要件を加える修正をした修正案の提案者から、その際、長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪と通信傍受の対象犯罪とが別個の罪であることを前提として、両者の関係について、それぞれの犯罪自体の性質、一連の犯行の計画、謀議の存在等によって認定される客観的な一体性が認められることを要件とした旨の説明がなされていたと承知しております。 こうした修正経緯の事情を考えますと、通信傍受法の適用上、テロ等準備罪とその計画された、例えば別表第四に掲げる罪との関係がこのような三条一項三号が想定している関係に当たることについては疑義がございます。したがいまして、テロ等準備罪が犯されたことによりまして、この通信傍受法三条一項三号に該当するものとしての通信傍受を行うことはできないと考えております。
○山添拓君 皆さんもお聞きになってお分かりだと思いますが、疑義があると法務省が言っているだけなんですよ。ですから、現場の捜査官がこの法律使えるじゃないか、だって、覚醒剤や麻薬の密輸罪とその計画、準備行為、一体じゃないですか、当たり得るわけですよ。法律上は、この長期二年以上の罪に共謀罪も入るんだというお話がありました。条文の解釈ですから、現場の警察官が使えると思って令状請求をすれば、裁判官が条文を素直に解釈して盗聴を認めるということも、これはあり得るということがはっきりしたと思います。 共謀罪の法案成立すれば、法改正で更に対象犯罪を拡大することも予想されるということを改めて指摘したいと思います。今、決め付けだという言葉が飛んできましたけれども、しかし、疑義があるとおっしゃっているだけで条文上の根拠を示しておられないわけですから、しかも、今度の法案によって通信傍受法の改正をするということでもないわけです。ですから、そこは否定できないと、否定できない場合にはあり得ると考えるのが現場の実務の感覚ではないかと思います。 大分時間を使いましたので、次の問題に参ります。 共謀罪の主体について伺っていきます。 大臣は、この間、共謀罪は犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したと答弁してこられました。しかし、法案の条文上、共謀罪の主体は対象犯罪の遂行を二人以上で計画した者であって、組織的犯罪集団そのものではありません。組織的犯罪集団であることを知って計画に加わった者であれば、これは共謀罪の主体とはなり得るわけです。 改めて大臣に伺いますが、共謀罪の主体は個人であって団体ではないということ、またその構成員である必要もないということ、間違いないでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪を二人以上で計画した者について、その計画をした者のいずれかにより計画に基づいて実行準備行為が行われたときに処罰をするものであります。したがって、団体を処罰するものではなく、個人を処罰するものではあります。 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の構成員、そしてこれと関わりのある者にしか成立はいたしません。そのことも今お尋ねがございましたのでお話をさせていただきたい。テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の構成員でなければ犯罪が成立しないという身分犯の構成は取っておりません。しかし、組織的犯罪集団の関与との要件を設けたことによりまして、同罪は組織的犯罪集団の構成員又は組織的犯罪集団に関わりのある周辺者でなければ成立はしないと、このように申し上げております。
○山添拓君 周辺者というのは新しく出てきた概念なんですけどね。 資料の九ページを御覧ください。ここに御覧いただけますが、緑色の部分、これが共謀罪の主体となる範囲でして、組織的犯罪集団や団体の外にいる人も含むわけです。政府は、組織的犯罪集団の例として暴力団やテロ集団などを挙げてまいりましたが、そして、あたかもその構成員でなければ犯罪主体とならないように説明してきたわけですが、少なくともそうではないわけです。 では、この組織的犯罪集団とは何なのか。大臣は、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物の密売組織などに限られると繰り返し答弁をされてきました。しかし、なぜそこに限定されると言えるのか。条文上の根拠は何ですか、大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 組織的犯罪集団というのは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいうと、このように申し上げます。
○山添拓君 全然お答えになっていないんですけれども、テロ集団、暴力団、薬物密売組織に限定されるわけではないということですね、その条文に当たればいいわけですから。
○国務大臣(金田勝年君) 限定されるものではありません。
○山添拓君 五月三十日の有田議員の質問の中で、何の団体にも所属しない三人がデパート爆破を目的に連絡を取り合い計画し、その後デパートを下見した場合、共謀罪が成立するかと問われて、これは団体が存在しないので成立しないという答弁がありました。 だんだん分からなくなってきたんですね。大臣、例えば振り込め詐欺組織というのは組織的犯罪集団ですか。
○国務大臣(金田勝年君) 要件を満たした場合にはそうなろうかと思います。
○山添拓君 衆議院では振り込め詐欺の未然防止にも役立つなどと答弁されていまして、そのときには要件を満たせばなんということはおっしゃっていなかったんですが、例えば典型的な振り込め詐欺集団を考えますね。携帯電話を準備する、電話を掛ける、だまし取ったお金を引き出す出し子、この三人組が役割分担をして、計画をして実行する、こういう集団であれば組織的犯罪集団に当たりますか。
○国務大臣(金田勝年君) 個別具体的な御指摘に対して直ちに申し上げることは難しいわけですけれども、一般論としては当たり得るということはあろうかと思います。
○山添拓君 例えば、神戸地裁の二〇〇八年七月十六日の判決というのがあります。振り込め詐欺グループが法律上の団体に当たるかどうかということが問題になりまして、現行法上ですね、被告人がリーダーとして、その指示の下、実行犯役、出し子、現金運搬役等の役割分担に従って、遊興費等の金員を得るために組織的に振り込め詐欺を繰り返していたということで、犯行当時、このグループは被告人をリーダーとする組織的犯罪処罰法上の団体であったことは明らかだとしています。 ですから、これが実務の運用です。この事件では、弁護人が単なる友人の集まりにすぎないと主張していたんですが、振り込め詐欺集団には団体性を認めてきたというのが実務です。 振り込め詐欺集団における、その団体の共同の目的というのは何でしょうか。結合関係の基礎としての目的は、つまり集団として成り立っている共通の目的はまさに振り込め詐欺という犯罪の実行にあるわけです。したがって、振り込め詐欺集団というのは、この図でいいます、まず団体に当たって、団体の中の組織的犯罪集団にも当然当たり得るということでありました。 そこで、五月三十日の有田議員の質問に戻るんですが、何の団体にも所属しない三人がデパート爆破を目的に連絡を取り合い計画し、その後デパートを下見した場合、共謀罪が成立するのか。こうした場合であっても、その三人組にリーダーがいて、役割分担がされていれば団体に当たり得る、さらには組織的犯罪集団にも当たり得ると、こういうことですね、大臣。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの事例は、本年五月三十日に本委員会において有田委員が質疑の中で挙げた事例でございまして、私が答弁させていただいた事例であると思います。 何の団体にも所属していない三人がインターネット上でつながり、一回だけ、営業中のデパートに爆弾を仕掛けて爆発させることを謀り、約一週間の間、数回連絡を取り合ってその計画をし、その後にデパートの下見をしたと、こういった事例であったと承知しておりますけれども、こういった場合、一般論として申し上げれば、このような事例においては、組織的犯罪処罰法上の団体が存在せず、団体であることを前提とする組織的犯罪集団も存在しないと考えられます。 すなわち、組織的犯罪処罰法上の団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織、すなわち、指揮命令に基づきあらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体により反復して行われるものをいいます。 御指摘の事例におきましては、何らの団体にも所属していない三人が一回だけ爆弾を仕掛けて爆発させることを謀ったというものでございますが、このような三人組、これは一般に、その構成員あるいはその単なる集合体とは別個独立した社会的存在としての実態を有するものではなく、継続的結合体、組織的犯罪処罰法には継続的結合体という要件がございますが、この継続的結合体には当たらないと考えられます。 また、このような三人にはその指揮命令関係というものもないと考えられることから、組織という存在もない上に、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が反復して行われていると、こういう実態の要件も組織性の要件も欠くと考えられます。 以上のことから、その団体と認定することはできない、あるいはそれを前提とする組織的犯罪集団にも該当しないのではないかと考えます。
○山添拓君 まず、継続的結合体に当たらないという話がありました。いわゆるテロを計画する多数人の集合体というのは継続的結合体に当たらないということなんですか。
○政府参考人(林眞琴君) いや、全くそのようなことを言っているわけではなくて、テロを目的とした集団で継続的結合体に当たり得るというのは、当たり得る事例があるのは当然でございます。それを念頭に置いて、今回も、組織的犯罪集団というものの例示としてはテロリズム集団というものを挙げているわけでございます。
○山添拓君 ですから、今回のようなケースについて、もう少し事案を詳しく申し上げて、例えばその三人組に、先ほど申し上げたように、リーダーがいて、一定の役割分担がされて、指揮命令関係があるんだと、そして、その集団が一つのデパート爆破というものを計画して、そのために準備をしていく、計画を立て準備をしていく。そういう意味では、犯罪実行に向けての継続的な存在となるわけですが、その場合でもこれは当たらないんですか、団体が存在しないのですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今言われた事例というのは、その指揮命令関係がありということを前提に言われています。どのような指揮命令関係があるかということが問題でありまして、そのような設例の中での具体的な設例ではありませんので、指揮命令関係があるかどうか、具体的にあらかじめ役割が分担されている者が存在、組織というものがあるかどうか、これは事実関係を評価した形の結果でございますので、その結果があるというのを前提とすれば、それは、その設例においては指揮命令関係があるのでしょう。 ただ、もう一つ申し上げれば、その指揮命令関係があって、その組織というものが存在すると申し上げても、まず共同の目的が犯罪でなければならないのはもちろんでございますが、その共同の目的の犯罪実行をするために用意された組織というもの、これが反復して行われるような性質を持っているかどうか、これで初めてその団体の要件を満たすわけでございますので、そういったことの要素もまた必要になってこようかと思います。
○山添拓君 ちょっと論点が散漫になっているんですけど、反復というところは、別に一回目であっても反復要件は満たしていますね。だって、それ、テロ集団が何回もテロをやってからじゃないと組織的犯罪集団にならないということであれば、これはテロの未然防止にならないわけですから、一回目であっても対象にはなるわけですよ。振り込め詐欺集団であってもそれは同じだと思うんですね。ですから、その点は、私のところに事前にお話しいただいた方も、特段ハードルにはならないというお話でした。 要するに、指揮命令、役割分担、これはあるものだということでそういう設例にさせていただきたいんですけれども、その上で、継続的結合体かどうかということを、最終的には単なる共同正犯、共犯の関係との境目にされているように私にはうかがえます。継続的結合体に当たるのかどうか、組織的犯罪集団と、それからそうではない単なる、まあ単なると申し上げてよいか、二人以上が一緒に犯罪を実行するという共同正犯との違いというのは何なんですか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、一般の共犯関係は、これは個人と個人の関係でございます。これは、そこに組織性というものはございません。 まず、そこで今回、テロ等準備罪もそうではありますが、組織的犯罪処罰法上の各種の犯罪もそうでございますが、そこに組織性というものを要件としております。そうしますと、その組織性の要件の中に最もまずあるのは、一つは団体ということでございまして、団体の要件といたしましては、継続的結合体であるということがまず一つでございます。 ただ、継続的結合体のその中にまた組織というものが、団体の中に組織というものが存在しなくてはいけません。この組織というのは、団体が持っている目的を実現をするための組織でございまして、その組織は、役割分担、指揮命令系統、こういうものを備えていないと組織とは言えません。そしてまた、その組織というものは、その組織が団体といって認められるためには、その組織が、団体の目的を実現するために組織が反復して行為を行うという、こういう性質を備えていないと団体となりません。 先ほど、委員は、一回限りでもなれるだろうと言われましたが、それは、一回の犯罪実行を計画するという点においては一回、過去に行っていなくてもそれは一回で成立し得るわけでございますが、それが団体という性質があるかどうかということについては、団体の中にある組織というものが団体の目的のために反復してその活動をしているという、そういう性質を持っていないと団体とは認められないということでございます。
○山添拓君 今お聞きいただいて、傍聴席の皆さんも含めて、多分さっぱり分からなかったと思うんですね。 一体、共犯なのか組織的な犯罪集団に当たるのか。だって、継続的結合体に当たるためにいかなる事実が必要なのかということは一切おっしゃらなかったじゃありませんか。だったら、単なる友達グループと振り込め詐欺集団のその違いは何なのか。何ですか。
○政府参考人(林眞琴君) 友達グループも犯罪を目的としているという前提でお答えしてよろしいですね。そうした場合には、やはりそれは団体の組織性があるかないかということでございます。そこのこと、組織性の内容というものは先ほどるる申し上げました。その要件を満たさないと、単なる友達グループ、一般のサークル、こういったものと、組織性を持った今回の団体、あるいはその上に立った組織的犯罪集団、こういうものの、これを分けるものは、その組織性の要件を満たすか満たさないかということでございます。
○山添拓君 今お聞きいただいたように、結局、何だかよく分からない話なんですが、組織性という言葉で片付けられているわけです。弁護人が単なる友人の集まりにすぎないんだと言っても、裁判所はその組織性を認めているのが裁判実務なわけです。ですから、あらゆる団体が、犯罪の実行を目的として共謀した、計画をした、実行準備行為に及んだ、そうなると共謀罪の対象になり得ると。 いいですか、ここは大事なところなんですよ。単なる共犯であれば共謀の段階では処罰されないわけです。ところが、組織的犯罪集団だということになれば直ちに処罰の対象になる。処罰されるかされないかの大事な境目が、今のお話のように大変曖昧で不明確になっている。この問題の本質的な問題がここにあると私は思います。 そういうわけで、今、ここまで議論してくる中でも、あれだけ長い答弁をされなければ説明が付かない、あれだけ長い答弁がされて初めて、与党理事の中でいろんな声が掛かるという状況にあるわけです。 ですから、私は、この段階で審議が尽くされているなど到底思えませんし、参考人の皆さんの様々に出された懸念に対しても全く答えられていないこの共謀罪法案だと思っています。 今日は、外務副大臣においでいただいております。国連特別報告者のケナタッチ氏による安倍首相宛ての公開書簡についても伺います。 先週木曜日の外務大臣の答弁は、日本政府としての回答をしっかり用意し、でき次第、回答するというものでした。いつ回答されるんですか。
○副大臣(岸信夫君) 今委員御指摘の公開書簡につきましては、政府は、我が方ジュネーブ代表部から国連人権高等弁務官事務所を通じて、直接説明をする機会が得られることもなくこの公開書簡という形で一方的に発出されたこと、また、同書簡の内容は明らかに不適切なものであることを指摘して強く抗議をしたところでございます。同時に、同氏に対しましては、懸念や指摘事項について政府として説明する用意がある旨も伝達済みでございます。 その上で、同氏の公開書簡に示されました懸念や指摘事項につきましては、現在政府内でその内容を精査し、具体的な対応について検討しているところでございます。
○山添拓君 一週間たっても回答、答弁同じなんですね。ずっと精査しているらしい。速やかに回答すべきです。回答できないなら、国会審議の前提を欠くと私は思います。 ケナタッチ氏は、質問事項の一つとして、法案の審議状況について情報提供を求めています。書簡は五月十八日付けであります。その後の衆院法務委員会での強行採決、参院での審議の状況など、情報提供はされていますか。
○副大臣(岸信夫君) 我が国の取組を国際社会に対して正確に説明するべく、同書簡の照会事項については、追ってしっかりと我々、我が国の立場を正式に回答する予定でございます。
○山添拓君 ここだけでも直ちに回答すべきじゃありませんか。さっき、指摘事項を精査すると答弁されたんですけど、精査するまでもなく、ここは質問事項は明らかじゃありませんか。回答されるべきだと思います。 外務省は、この委員会でも与党議員からの質問に答えて、公開書簡で引用されている共謀罪に関係する英訳について、これ、幾つかの規定に対応する英訳が見当たらないんだと答弁をされています。この法案の英訳文は作られたんですか。
○副大臣(岸信夫君) 一般に、国会に提出中の法案につきましては、これを逐次英訳するということは政府として行っていないと承知をしておるところでございます。その上で、テロ等準備罪処罰法案に係る対応ぶりにつきましては、我が国の取組を国際社会に対して適切に正確に説明する観点から、政府として追ってしかるべく対応いたします。
○山添拓君 法案が成立するまでケナタッチ氏に情報提供を行わない、書簡への回答もしないということですね、それは。そういうことなんですか。
○副大臣(岸信夫君) ケナタッチ氏に対しましては、先ほども申し上げましたけれども、この公開書簡を受けて、同氏の懸念や指摘事項について説明する用意があるという旨も既に伝達をしておるところでございます。
○山添拓君 結局、回答するということが答弁されませんでした。 ケナタッチ氏の懸念の表明、定義の曖昧さ、プライバシーを守る仕組みなど極めて基本的な点についてのものです。法案の審議状況を尋ねていることからも、法案の成立前に回答することが期待されています。政府が自発的誓約として掲げたように、特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のためにしっかり協力するというのであれば、その回答を採決後に先送りするということはあり得ないだろうと思います。直ちに回答すべきであるということを重ねて指摘させていただき、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○古川俊治君 続きまして、前二回に引き続き、自民党、古川俊治の方から質問させていただきます。 まず最初に、この国会を通じてまだ出ていない論点の一つについて質問したいと思っております。 この法案は、もちろん中心となるのはテロ等準備罪の新設なんですけれども、実はそのほかにも多くの規定がこれは今回改正され、できるわけですね。私、一つ重要だと思っているのが、司法妨害への対応、特に証人等買収罪というものが規定されるのはこれは非常に意義があるというふうに思っています。衆議院での参考人質疑にもありましたけれども、幾らこの刑罰法規を整備しても、裁判を含めた司法活動を妨害する行為が行われて犯罪の立件やあるいは処罰が不可能になれば、刑罰法規の機能というのはこれは損なわれるわけでありますから、やはりしっかりとしたこの司法妨害への対応というのも非常に重要だと思っております。 現行の刑法典の規定で、司法妨害という観点から見ますと、犯人蔵匿あるいは証拠隠滅、証人等威迫、あるいは虚偽告訴、それから証拠隠滅、そういったものがあるんですけれども、他の刑罰法規も、特別法なんかも含めて、どのような司法妨害に対応するような規定があるのかどうか、また、現在のいわゆる組織犯罪における組織的な司法妨害活動というのはどういう状況なのか、この点について御質問したいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの司法妨害関係の罪、これ、講学上は司法作用に対する罪として分類されておりますが、例えば、今委員が御指摘になったもののほかには、まず刑法でいえば被拘禁者を逃走させる被拘禁者奪取罪、あるいは逃走援助罪、こういったものがあろうかと思います。 また、司法妨害の目的で暴行、脅迫をするような行為は刑法上の強要罪ということになりますし、また、裁判官の公務の遂行を妨害する目的で暴行、脅迫するような場合には公務執行妨害罪あるいは職務強要罪というものがあり得ると思います。 特別法におきましては、例えば裁判員等に対する請託罪、あるいは裁判員等に対する威迫罪、こういったものがございます。 もちろん、組織的犯罪処罰法の中には、組織的な犯罪に係る証拠隠滅とか犯人蔵匿とか、こういったものを加重処罰している規定もございます。以上のようなものがございます。 現在の具体的な組織犯罪における組織的な司法妨害活動の実態というものにつきましては、もちろん、これにつきましては非常に密行性高く顕在化し難いものでございますので、実態全部把握できているわけではもちろんないわけでございますが、例えば、近年、暴力団幹部によりまして、殺人未遂事件における裁判員裁判に関しまして、その暴力団幹部の関係者二名がその裁判を担当していた裁判員二名に対して、これに対して話しかけて、裁判員に不安、困惑を生じさせるなどとした事案、これが裁判員の参加する刑事裁判に関する法律違反ということで起訴され、処罰されているということがございます。
○古川俊治君 その組織的犯罪、犯した後には、当然その後に起こってくる罰則を逃れたいというのは、これは犯罪者はそう思うという心理はよく考えられるわけですから、しっかりこの捜査ができる、そして司法対応ができていけるという規定を整備しなきゃいけない、これは当然のことだと思うんですね。 今回新設されるような証人等買収ということもこれ十分想定できる、当然、何らかの有益な情報を持っている人の口を封じようということは考えられるわけですから、こういうものに関しまして何か今まで事例がございましたでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 例えば、証人等を買収した事例といたしましては、被告人が覚醒剤使用の処罰を免れようと考えまして、拘置所で同房となった者に三百万円の報酬を約束して、その同人に虚偽の証言をさせたということ、この事案は、この被告人は偽証教唆罪という形で処罰されております。
○古川俊治君 今までは工夫をして適用されてきたということなんですけれども、今回明確に証人等買収罪ができたということですから、こちらの規定で処分が可能になる、より教唆に比べるとしっかりとした処分の範囲が広がったというふうに考えるんですけれども。 今回、実は新設の七条の二なんですが、金銭を供与する側、要するに買収する側のみが処罰対象になっているんですよね。ただ、これよく、金くれれば黙っていてやるということは十分あり得ると思うんですよね。このもらう方、もらう側が対象とされなかったと。だから、もらう側が自分から積極的に働いていけば、これも結構悪質だと思うんですね。恐らく教唆か何かに当たることはあり得ると思いますけれども、あえてここでもらう側の方を処罰しなかった、新設しなかったというのはどういう理由なんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) この証人等買収罪において、受供与者、いわゆるもらった側、この処罰対象としていないことでございますが、このような者をこの処罰対象とするかどうか、これは立法政策上の選択の問題であろうかと考えられます。 その理由に申し上げれば、まず、この証人等買収罪の保護法益というのは、刑事手続において一般にその証言あるいは証拠物の内容等が買収によりゆがめられていないことと、これに対する社会の一般の信頼、これを保護しようという趣旨でのこの罰則であるわけでございますが、こういったもので証言、証拠物等の提出主体以外の者が外部から買収という不正な働きかけを行うと、このことを処罰するには、今申し上げた保護法益を守るためには、これは必要であろうかと思います。じゃ、更に進んで、その不正な働きかけに応じた者まで処罰できるかどうか、すべきかどうか。これは立法政策上の選択の問題であろうかと思います。この点で比較すれば、御案内のとおり、例えば賄賂罪におけば、買収者を贈賄罪により処罰するだけではなくて被買収者についても収賄罪として処罰されるというわけでございます。 これは、この場合とはやや異なりまして、今回の証人等買収罪の被買収者は、この賄賂罪における公務員とは異なりまして、その地位というものは自ら取得したものではございませんし、かつその地位に継続性があるわけではございません。公務員のようにまた自己の権限を能動的に行使することができる位置にあるわけではございません。たまたまその証言というものを義務付けられるというような立場になったという者でございます。 したがいまして、こういった被買収者、今回の証人等買収罪の被買収者の地位等に鑑みますと、こういった者に対してまで公務員と同様にその廉潔性を保持すべき高度な義務まで要求すべきかどうかということについてはやや検討すべきことがあるのではないかと考えております。 今回、条約によっても、TOC条約によってもこの被買収者の処罰までは義務付けられていないわけでございますので、今回の法案においては、まずはその中心的な犯罪である買収行為を処罰することといたしまして、被買収者については今後その実態も踏まえた上でこの処罰の必要性等を考えていこうかと、こう考えております。 もとよりでございますが、先ほどの事例でも申し上げましたが、この被買収者は結局その依頼された行為を実際に行えば、その偽証罪でありますとか、本人自体は偽証罪、そしてまたあるいは証拠隠滅罪ということで実際には処罰されるわけでございますので、全く不可罰であるという実態はないと、その中で今後どう考えていくかということだと思います。
○古川俊治君 今後のその立法政策の問題であるということで理解をいたしました。 では、私の本題の方にちょっと入らせていただきたいというように思っております。 前回、途中まで行きまして、前回、ちょっと作り方が資料が悪いと言ったら、参照条文の方に書いてあると局長おっしゃいましたけど、参照条文の方には新設の条文がないんですよ。そうですね。だから、やっぱり見にくいんですよね。だから、重要なのは、新設のところも含めて全部並べて書いていただきたいと。だから、今日あえてまた完全なの作りましたけどね、ここにね。 要は、二条一項の団体の組織の定義があって、三条一項があって、これ二条一項は実質的には三条一項のための規定ですから、二条はね。三条一項があって、そして新設される六条の二があって、それでもう一個言うと、前回の共謀罪審議当時の内容があると、これ結構並べると分かりやすいんですよね。どこが、差異がですね。だから、今日はあえてこういうようなのを出させていただいて、本当はこういう資料があるともっと審議がしやすいのかなとちょっと思ったんで、それはまず前提として言わせていただきたいんですよ。 ちょっと前回の私の質問をまず振り返らせていただきたいんですけれども、今日は山添委員も何か私と、前回参考にしていただいたのかもしれませんけど、新しいのを出していただきまして、私、実を言うと、あの後、質問の後、赤旗の記者の方からも取材受けたんですよね。だから、それはそれで、ちゃんと与党としても議論しなきゃいけないと、これで国会審議がやっぱり深まって、やはり後の裁判等で参照される、もちろん法律成立した後でですね、それ重要だと思っています。 それで、前回のまとめで、ちょっとまとめたいんですが、まず、二条一項に団体、これは当然広く会社など社会一般の団体を全部含むと。で、団体の共同の目的というものが仮に目的犯罪にある場合には、それは今回新設される六条の二の組織的犯罪集団と同義であると。ですから、その限りでは、その部分では、結合関係の基礎としてという要件はこれは意味がなくなるわけですね、同じだから。あってもなくても同じだと。そこは要件絞り込むことにならないということなんですけれども。だから、それがまず第一点ですね、これは御答弁いただいた趣旨の。 もう一つが、平成二十七年判決、最高裁判決、私、何回も申し上げていますけれども、リゾート会員権の販売等を目的とする団体であったものが、実質的に破綻に陥ったのに預託金の名目で金銭を集めたというケースですね。この議論について議論いたしましたけれども、この判決というのは、要は株式会社というものが一変した場合に、その当時の組織的犯罪処罰法の三条一項の九号、現在はこれ十一号ですけれども、これに該当すると。すなわち、会社であっても、団体の活動として詐欺罪に当たる行為を組織として実行すると認められる場合があるという判決なんですよね。 局長の答弁、そのときに、ちょっと整理して申し上げますと、私が、何で営業目的のものが詐欺ができるんだ、営業という目的を持っている団体なのに組織として詐欺罪を実行するというのはおかしいじゃないかと、こういう問いをしましたら、団体の中にもちろん組織があるんですけれども、その組織というのはいろんな組織があるから、たくさんの、会社の中にはですね。そのいろんな組織はまともな例えば経理とかあるいは営業とかやっている、別の組織によって詐欺が起こるということはあるんだと。だから、言ってみると、二条一項の中の組織と言っているものと三条一項の組織というものは、これは違う概念であることはあるというお話だったんですね。 ちょっと正確に局長の答弁をお借りしますと、私が、二条一項の言う組織というものと三条の一項に言う組織というものは異なってくる場合があるのかという質問については、そうだと。それは、同じ場合が多数、当然普通は同じだと。私もそれは同感なんですけれども。臨時的につくられるような組織を使って、その犯罪が、実行行為を行うことはありますので、その場合においては重なり合わない部分があると。要は違うということをおっしゃっているわけですね。 それで考えまして、前回はそこで時間切れになったんですけれども、それをよくよく読みますと、こちらの条文で見ていただければいいんですけれども、三条というのは、各号に掲げる罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときと書いてあるんですね、三条一項の各罪は。ただ、そこに、団体の活動としてというふうに書いてあるんですよ。団体の活動としてというのが、その定義が書いてありますけれども、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいうと書いてあるんですね。 それを考えると、営業目的を持っている会社というものが組織として詐欺行為を行う、要するに正常目的の会社というものが団体の活動として詐欺を行うということは、ちょっとなかなか説明し難いと思うんですけれども、これはどういうふうに説明するんですかね。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的な詐欺罪が成立するためには、詐欺罪に当たる行為が団体の活動として、つまり団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものとして行われる必要がございます。 そうしますと、団体の活動としてという要件、これを満たすためには、詐欺行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要となります。そのためには、当該詐欺行為を行うことが会社の共同の目的に沿うものであるということ、これが必要であると考えられます。言い換えますと、団体が有している共同の目的というものが詐欺行為を行うことと相入れないような正当な目的で活動している団体につきましては、たまたま団体の幹部が相談して組織的に詐欺行為を行うことを決定いたしましたとしても、共同の目的を有する団体としてこの意思決定をしたとは言えませんので、団体の活動としてという要件を満たさないと考えられます。 したがいまして、そのような詐欺行為が団体の目的に沿わないような正当な営業を共同の目的としている会社につきまして、詐欺行為が団体の活動として行われたと認定されて組織的な詐欺罪が成立するようなことはないものと考えております。
○古川俊治君 そうすると、平成二十七年の最高裁判決は、これ手元にありますけど、リゾート会員権の販売等を目的とする会社であって、組織により営業活動を行うというものが団体に当たることは疑いがないと書いてあるんですよ。 要は、ここは営業活動を行っているということで団体と認めているんですね、決して詐欺じゃないんですよ。ところが、この団体が組織として詐欺行為を行っていると認定をしているんですね。 局長の今の答弁だと、詐欺行為を目的としていないというところで団体と認められないとおっしゃっているんですけれども、これを最高裁は、じゃ、どうやって説明されるんですかね。
○政府参考人(林眞琴君) まず、この平成二十七年最高裁判例、この事案の解決の必要な範囲で事実認定を行ったものと考えております。 この場合で、団体の目的との関係で、共同の目的との関係でこの組織的犯罪処罰法の組織的詐欺が成立したかどうか、このところを認定したわけではございませんで、あくまでもこの事案の内容に照らしまして、この最高裁判例というものについては、明快な具体的な判示はしていませんが、この事案自体は、その事案の内容に照らして、詐欺行為を行うことが団体の目的に沿うものであると、こういった実態のその団体を前提としてこのような判示を行ったものだと考えております。
○古川俊治君 詐欺行為を行うことが団体の目的にかなうというふうにおっしゃっていましたけれども、営業活動を行っている会社が詐欺行為を行うって、リゾート会員権を販売するんでしょう、詐欺行為を行うことが会社の目的に沿うんでしょうか。そこがよく分からないんですけれども。
○政府参考人(林眞琴君) 私どもが申し上げているのも委員の御指摘のと考え方は同じでございまして、その団体の目的、共同の目的に相入れるかどうか、このことによって、その団体の活動としてという要件を満たすかどうかということが関わってくるということでは同じでございます。 その上で、この最高裁判例がそのような団体の活動としてという要件を今回この事案においては満たすと考えていたからこそ、この判例において組織的詐欺の成立を認めたわけでございますので、ここについて、具体的なその部分の、団体の活動としてというものが今の共同の目的との関係で直接的な争点になって、そこについての判示がなされたわけではないものですから、その問いについての最高裁判例は、事案の内容自体はこの場合のこの会社が詐欺行為を行うこと、これが団体の目的に沿うものであると、こういったことを前提として判示されたものと考えております。
○古川俊治君 この最高裁判決、多分、私が思うには、検察が思っているのとは違うふうに判示したんだろうと思うんですね、やっぱり。だけども、その組織犯罪処罰法の三条を解釈したという点では、これは最高裁がやったわけですから、まず、それ前提としてお考えいただきたいんですね。 それで、会社が一変している場合なんですね、これね。その場合に、やはりどういう認定が行われて、最高裁で、裁判所で判断されていくか。これは非常に重要な考えなきゃいけない点だと思っておりまして、本来であれば、恐らくは最高裁は、その組織の目的というものがやっぱり詐欺なんじゃないかというのを本来は認定すべきだったのかもしれないというようには思うんですけれども、ただ、三条一項というのはこういうふうに認定されるということを示しているんですよ、やっぱり。そこで、やっぱりちゃんと国会の答弁の中ではその趣旨をはっきりさせなきゃいけないと私は思っているんですね。 それで、組織というのは、先ほど局長おっしゃいましたけど、いろいろあると。これ必ずしも実は三条一項の方の組織では、構成員というのは、団体の構成員である必要はないんですよね、これね。だから、例えばゴルゴ13みたいなやつがいて、要はそれ仮に委託して犯罪を、ちょっと組織に入ってくれよという形で外のやつの協力を求めて、組織として犯罪を実行して、それが団体の活動として行われる場合には、この三条一項は成り立つわけですよね。 そうすると、やっぱり団体の活動としてという要件が満たされる場合、これは確かに外部組織に委託するという場合はあるんですけれども、ただ、どこかでやはり意思決定機関、団体の活動として行うというためには団体の構成員が誰か関係していないと委託もできませんから、やっぱり誰か構成員の中で詐欺に関係しているという人がいるはずですから、犯罪にですね。そうすると、やっぱりその団体の目的というのが必ずしも正当な目的を維持するということは非常に難しいと思うんですね、やっぱり。何らかの違った目的がなきゃ、大体犯罪を委託するということは普通は起きませんから。 ちょっとこれ見ていただきたいんですけど、共謀罪当時なんですね、共謀罪当時の。一番下ですけれども、団体の活動として、犯罪行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者というふうにこれ定義をされていて、そのときの共謀罪ですね。このときには、こういうことを団体としてやる活動というのは、まさに今回の結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪にあると、そういう組織だということを言っているわけですよ。だから、この団体の活動として犯罪行為を実行するための組織により行われるといえば、イコールそれは元々犯罪を目的としているような団体じゃなきゃ考えられないという御答弁をいただいているんですけれども、今回も実を言うとこの三条一項というのが同じ構造になっているんですね、共謀罪の当時と。団体の活動として以下は全く同じなんですよ。だから、ということは、この団体の活動としてこういうのを行っていれば、すべからく本来は、その会社のというのは犯罪を目的とした会社じゃなきゃおかしいんですね、ということになるんですよね。 ところが、この最高裁判決は、さっきから言っていますけど、営業活動を目的とする団体だと言っちゃっているわけですよね。ここはちょっとどういうふうにお考えなのか。過去の答弁、それから、私が思うに、やっぱり最高裁は三条一項の団体というものと局長が今おっしゃっている組織的犯罪集団というものは同じとは考えていないんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、委員が前提とされた考え方については、私そのとおりであると思います。かつての組織的犯罪の共謀罪に関する政府の説明、これは、団体の定義の解釈からではなく団体の活動としての解釈によりまして、組織的な犯罪の共謀罪が適用される団体は犯罪の実行を目的とする団体に限られると、こういった説明をしてきたものでございます。同様の要件が定められております組織的犯罪処罰法三条一項が適用される団体もこの犯罪の実行を共同の目的とするものに限られるであろうと、この点は私たちもそのように考えております。 その上で、平成二十七年の最高裁判例をどのように捉えるかということにつきましては、私どもとしては、組織的犯罪処罰法三条一項をこの最高裁判例では適用して組織的詐欺罪を認めたわけでございますが、そのときには、まず、組織的犯罪集団という概念は法文上もなかったわけでございます。それを前提としまして、この最高裁判例は、団体及び団体の活動としてとの要件を認定するに当たりまして、当該団体の目的が犯罪実行にあることを直接的、明示的には認定せずに、リゾート会員権の販売等を目的とする会社であることを認定するにとどめておるわけでございますけれども、これは事案の解決に必要がなかったためであって、同社の目的が詐欺行為を行うことにあったということを否定しているものではないのではないかと、このように私どもは認識しております。
○古川俊治君 いや、だけど、それはだから、元々多分法務省はそうお考えで立法したんだと思うんですよ。ところが、この認定において最高裁が違う解釈をしているんですね、やっぱりね。だから、そこはやっぱり前提として考えなきゃいけないと思うんですよね。 私何回も申し上げているんですけれども、この三条一項の団体、これ、昨日実は仁比先生からもちょっと、討論のときに入れていただいたんですが、この団体というものとやっぱり組織的犯罪集団、この要件、これは完全に重ねられるかという議論はもっと詰めなきゃいけないと思っているんですね。犯罪を直接の目的としているような恐らく団体であれば、それは組織的犯罪集団なんでしょう。ただ、そこには、目的としている、後でちょっと述べますけど、ニュアンスがすごく差があって、このように正常な目的を持っているような団体であっても、中には組織があるわけだから、組織として詐欺行為をしているということが認定としてはあり得るということになるんですね。だから、それは必ずしも詐欺を目的としているような団体じゃなくてもいいんですよ、やっぱりこの法律文はね、読むと。 そもそも私、その組織で犯罪を行うということが罪を重くするという理由として十分あると思うんですね。組織として罪を行う、それは危険だから。そうすると、仮に、要するに、最高裁みたいに、正当な目的でもいいよと、組織は、要は最初の人事部とか営業部とかまともにやっている組織もあるよと。そういうので会社が、それは組織性が満たされて団体があると。 一方で、三条一項の方は違う組織でもいいんだと、先ほどの解釈ですとね。違う組織でもよくて、犯罪行われればそれで成り立ちますよということなんですけれども、そうすると、そもそも組織として犯罪が実行されれば、これは十分重罰の、罪を重くする理由あるわけですから、二条一項に会社の組織性、団体としての組織性を求めたという意味がなくなっちゃうんじゃないかと思うんですよ。多人数の継続的結合体であれば十分ですよね。だって、三条一項で組織として犯罪を実行するんだから。すると、何で二条一項に組織があるんだろうという疑問にちょっと突き当たったんですね。 二条一項に、ちょっとこの立法当時の解釈文なんですけれども、これを読むと、何で二条一項に組織性があるかというと、組織により活動を行う継続的結合体は、組織性を有していないものに比べ、その構成員に対する関係では、共同目的による統制に加えて、組織の指揮命令関係による強い内部統制を及ぼすことができ、また、その活動の反復継続性という点でもより反復継続した活動を行いやすいという性格を有しているということが認められるから、一たび犯罪の実行に及んだ場合には、その目的の実現性の確実性が高く、重大な被害や莫大な不正の利益を生ずる蓋然性が最も高いと言っているんですね。 だから、これを見ると、二条一項の団体に組織性を要求しているというのは、やっぱり私は、前提として、三条一項の組織として実行される犯罪というのは、二条一項の組織によって行われるというように考えているんじゃないかと思うんですけれども、いかがなんでしょうかね、局長。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、二条一項の組織、三条一項の組織、組織の内実というか定義、これは同じでございます。何ゆえにこの三条一項において組織により実行されるものを加重処罰するのかということについては、委員が今読み上げられました組織性というものが持つ危険性というものを、この三条一項、これは組織的犯罪を加重するための要件でございますので、加重する理由のために、こういった組織によって行われたということ、このことを理由に、二条一項の組織というものを三条一項の中に取り込んできたという点はそのとおりであろうかと思います。
○古川俊治君 ですから、私申し上げたいのは、この間、いろんな組織があるとおっしゃっていて、だから、二条一項の場合の会社というのが、正当な業務を行っている多くの組織は多分そっちなんだけれども、一部臨時的な組織でもいいから、それが、犯罪を違った形で、重なり合わないということはあり得るという御説明をいただきましたけれども、その構造を考えると、三条一項の組織というのは、やっぱりその二条一項の通常の会社の目的を達成するような組織をイメージしているんじゃないかということをお聞きしているんですけど、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 全く委員御指摘のとおりで、通常、私ども、全く同じかという前回の御質問であったので、その違う場合があるということは申し上げましたが、通常の場合は、その組織が持っている組織性、団体性を認定するための組織の要件がございますが、そこで考えられている組織、これらの中の一部が実際の犯罪実行のときに組織として実行に使われるわけでございますので、通常はその団体が備えている幾つかの、複数、単独の場合もありますが、通常は複数の組織が団体の中には存在しているわけでございますが、その中の一つ、あるいは二つかもしれませんが、そういったものが選択されて犯罪実行の場合に使われるということでございます。 したがいまして、臨時的なものではいいというのは、そういうことはあり得ますけれども、社会実態として想定されるのは、委員御指摘のとおり、通常、団体の要件として認められる場合の組織というものの中の幾つかの組織の中が、いざ犯罪を実行する際に犯罪実行部隊として使われると、こういったことを念頭に置いていると考えております。
○古川俊治君 そうすると、団体として詐欺を実行しているような会社が、営業目的で行っているということで団体性を認定しちゃったという最高裁の判決は、やっぱり今の考え方を余りわきまえていないですよね、基本は。それはまた、最高裁はそう言って、だけど、そういう考えをわきまえずに判決があったというのは、これちょっと考えなきゃいけないと思うんですよ。 それはそれとして、実は、私は、リゾート会員権の販売のときの団体、二条一項のですね、この団体のようなものは、これ衆議院で井田先生の言葉なんですけれども、そういうふうにこの組織的犯罪集団というものは認定できないだろうと言っているんですよ。何回も言っていますけど、要件が絞られているんじゃないかと言っているんですよ、六条二項の新設の場合は。今までの三条一項の団体から更に縛りが掛かっていると。多分そういう認識だと思うんですけれども、それ、局長正しいとおっしゃっているんですよね。 それで、私の前回の質問の、仮に二十七年の最高裁判決当時、テロ等準備罪があったとしたならばこれに該当するかどうかという部分については、分からないとおっしゃったんですね、それはどちらになるか分からないとおっしゃっている。これは答弁がありますけれども。 結局、私が言いたいのは、局長が、三条一項に該当する場合に六条二の組織的犯罪集団に該当するかどうか分からないとおっしゃっていることは、ということは、要は、組織的犯罪集団には該当するけれども三条一項の団体には当たらない場合があり得ると考えているから、一〇〇%イコールだったらそれはないという言葉になるわけだから、どちらか分からないと言っているということは、要は、三条一項には当たるけれども六条二項の新設される組織的集団に当たらないという場合があるというお答えだと思うんですよ。 私、基本的にはそれは、局長ずっとお話しになっていますけど、犯罪を目的としての団体というのは組織的犯罪集団と同じなんだとおっしゃっていますけれども、それだったら、三条一項が成立するような団体というのはイコール組織的犯罪集団ですから、どちらか分からないなんという答弁にならないと思うんですけど、それはいかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) 法的な理屈の問題から申し上げますと、委員御指摘のとおり、その三条一項が適用されるような場合、これについては、実態として今回の組織的犯罪集団というものとイコールであろうと考えております。そうしますと、これはどうしてそのように考えるかといいますと、団体の活動としてというものの要件の解釈からそのようになるというふうにこれまで申し上げてまいりました。ですから、そういった考えに立てばイコールであると。 ただ、問題は、この問題については、団体の活動としてという解釈から、共同の目的が犯罪実行の目的にあるような団体でないとこの三条一項の犯罪は成立しない、あるいは組織的犯罪集団のようなものが、このテロ等準備罪が成立しないと。こういうようなことを、これまでの組織的犯罪の共謀罪、かつてのときにはこのようなことで説明してまいったわけでございますが、団体の活動としての解釈では、なかなか、本当にそのように限定がされるのかという批判、反論、あるいは懸念があったわけでございます。 ですから、今回は、団体の活動としてという解釈については私どもは変えておりませんが、更に加えまして、そもそも団体の定義でそこを限定しようということを考えて、今回、団体の活動としてとの解釈は変えずに、その団体そのものの定義に共同の目的が犯罪実行の目的にあるものを、これをその組織的犯罪集団という定義に置くことによりまして、その団体の解釈、団体のという定義で限定をしてしまおうと、このように考えた次第であります。
○古川俊治君 確かに分かりにくいんですよ、なかなかね。 それで、私、何回も言って、私自身は、要するに三条一項の方は最高裁の判決がありますから、ああいう形で比較的容易に団体性を判断しちゃうわけですよね。本来であれば組織的犯罪集団という縛りを掛けて処分をしてほしかったという多分趣旨だと思うんですけれども。この考え方はずっと考えてきて、ただ、今までの御答弁とそして判例を矛盾なく説明しようというのにはどうしたらいいのかとずっと考えて、まあ学者根性が出たんですけれども。 ちょっとこの図を見てほしいんですけれども、要は、一変する場合を考えていただきたいんですよ。営業を目的とする会社が一変して、組織として詐欺を行う団体になったという仮定なんですけどね。 要は、会社といっても、普通の会社といえばミッションがあるわけですね。ミッションが書いてあって、大体その共同の目的を持ってやっているわけですよ。ただ、個々の成員というのは、はっきり言って、みんながミッションを共同しているかというとそんなことはなくて、大体サラリーマンの皆さんというのは結構自分のことを考えていらっしゃる人も多かったりする。創業者は確かにミッションを考えているのかもしれませんけど。だから、それは社会の実態としては共同の目的と言っていいかもしれませんけど、個々の成員にとっちゃ全然違うことを考えていることは十分あり得るわけですね。 それで、暴力団の中においても、暴力団のミッションがどういうものか分かりませんけれども、多分、個々の人たちは違うんですよ。だから裏切りが出たり多分するんですね、個人の利益を考えちゃうと。だから、そういうことからすると、結構、共同の目的と言っているのは、非常に、ある意味では社会実態として捉えているだけと。フィクションなんですね、言ってみると。ただ、それが外から見ても、あるいは社会通念上そういうものに見えれば、そういった団体として認定していると思うんですね。 よくよく考えてみると、東芝の事件考えてみると、あれは立派に会社としてやってきたじゃないですか。ところが、組織として明確に指示命令系統があって役割分担が決まっていましたから、組織として粉飾決算という違法行為を行っていたんですよ。そういう事例って私幾らでもあると思うんですね。会社をやって、建設会社でずっとちゃんとやっている、ところが、組織として指示命令系統があって、役割分担があって、談合をやっているとかですね。 だから、実を言うと、ちょっと見ていただきたいんですけど、(1)番が全部が営業目的、きれいにやっているという、これ非常に優良会社があったとしても、実は、多くの会社というのは、税を安くしようとか、それは脱税といって犯罪かも、じゃないかもしれませんけれども、(2)番ぐらいな形でやっているのが結構一般的なんじゃないかなと思うんですよ、比較的ね。それは、だから、もちろん起訴猶予ということがありますから、全てがもちろん処分されているわけじゃなくて、若干の違法行為なんか常にあるということで考えると、(2)番というのは要は、こうすると、これ、最高裁が言っているように、三条一項の場合、もし認定しようとすれば、これは正当な業務をやっている、目的としている団体なんですよね。ところが、組織として実際、詐欺行為をやっているわけですよ、これ。会社の活動としてそれが跳ね返ってくるということは十分ありますよね。そういうふうに認定していくと、これが、三条一項はもちろん適用されるんだけれども、六条二項には当たらないんじゃないかと考えるわけですよ。 だんだん変わってきて、それは(3)の場合でも、新設した組織的犯罪集団と言えるかどうか、一変していく場合ですよ。これ、一変していく場合もテロ等準備罪に当たる場合があるというずっと御答弁ですから、変わっていく間にどこかで新設の六条二項に変わっていかなきゃいけないんですね、適用できるようにならなきゃいけない。最後に(4)になれば、恐らくこれが結合関係の基礎としての共同の目的として犯罪をやっていると言えるんじゃないかと思うんですね。これは(4)のところになると、この間、大臣御答弁いただいている隠れみのになっているというのはこういう状態じゃないかというふうに思うんですけれども、これ一連の中で考えていけば、別に最高裁判決を変な認定だなんて言う必要ないと思うんですよね。 だから、そうすると、だんだん変わっていって、途中で、団体の目的としては正当なんだけれども、三条一項に当たるんだけれども六条二項には当たらないという団体。そうすると、私が言いたいのは、やっぱり三条一項の団体の要件、それは詐欺を行う、組織として犯罪行為を行っているわけですね、あの団体は。ただ、そのいわゆる団体と六条二項の新設される組織的犯罪集団というものはやっぱり質的な違いがあると思うんですよ。 局長、これ、ちょっと図を見ていただきましたけど、御感想いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) この(3)と(4)、(3)の場合において、これが三条一項には当たるけれども今回の六条の二は当たらないという実態としてここが描かれていて、(4)は六条の二が適用になる組織的犯罪集団だと、このようなイメージで作られているというふうに認識しております。 それを前提に申し上げますと、(3)のところで、組織的犯罪処罰法の三条一項の組織的詐欺などが成立するかどうかというところについては、私どもの解釈では成立しない。なぜならば、団体の活動としてというところが、こういった実態でその団体が意思決定できるのであろうかということの先ほどの解釈からすると成立しない場合があり得るのじゃないかと考えておりますが、あくまでも、やはり団体の活動としての解釈によって成立した、しないかどうかというものがこの三条一項のレベルでございますので、その点は、恐らく委員は成立してもいいのではないか、又は最高裁判例はそれを言っているのではないかと、このように理解されているのだと思います。 いずれにいたしましても、今回、団体の活動としてという解釈がどこまで限定作用を持つかどうか、その点については過去の法案でも議論があったところでございますので、その団体の活動としてという要件に変えるわけではないんですが、それに上書きする形で、その団体そのものを定義して、共同の目的が犯罪実行にあるという認定ができなければまずその組織的犯罪集団になり得ないということを今回改めてその明文の中で定義して要件を加えたわけでございます。その加えた形でいけば、やはりこれは(4)にならなければ、この図での(4)番のような場合でなければこの組織的犯罪集団は成立しないということを考えております。 これが、参考人の井田先生が言った内容はそのようなことであろうかと私は思っておりまして、そこで、前回、委員から井田先生の指摘は正しいと思うかと言われたので、私は全く正しいと思いますというふうに申し上げたわけです。
○古川俊治君 その認定の話だとおっしゃるけど、この(3)のような状態で、団体の活動として詐欺行為を行っているという、それは認定の問題だとおっしゃいましたよね。そうすると、このような場合に団体の活動として詐欺行為が行われているということを認定する可能性はあるということでよろしいですか。ここは重要だと思うんですよね。全くその三条一項が全部犯罪目的じゃないとできないかどうか、あるいは(3)の状態でもこれはあり得るのかどうか、そう認定しても構わないのかどうか、この点、いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) それは、三条の一項ですと、団体の要件そのものは絞っていませんので、裁判所の判断は団体の活動としてという部分だけを判断いたします。 今回、テロ等準備罪については、その団体の定義も限定しておりますので、そこについてのまた判断も明確にしなくてはいけなくなるわけです。その部分において、三条一項で言いますところは団体の活動としてだけの判断でございますので、場合によって、その解釈の判断によって同じ社会的実態が解釈が分かれるというようなことはそれはあり得るんだろうとは思いますけれども、今回、そのようなことがないようにするためにも、もう一つ、団体というものの中でも、定義でも、共同の目的、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行にあるということをまず裁判所としては認定しなくてはいけないというもう一段階付け加えたのが今回の法案であります。
○古川俊治君 今回、私は六条の二にこだわって言っているわけじゃないんですよ。要は、先ほどおっしゃった、ちゃんとして、認定できないようにちゃんと犯罪の目的が共同していなきゃいけないということを付けたわけですよね、今回新たに。 だから、もちろん、個々の事例というのは裁判所の判断になるわけですけれども、六条の二の組織的犯罪集団に当たる場合と、個々の認定ですよ、認定も含めて、三条の一項の団体に当たるけれども六条の二に当たらない、そういう団体というのはやっぱり認定上あり得るんですよね。いいですね、それは。個々の認定の問題であるけれども、そういう認定があり得るということですよね。
○政府参考人(林眞琴君) 団体の活動としてというものが、それは、その法文に定義にありますように、その団体の意思決定に基づいてと、そしてまた、その効果が団体に帰属するものとしてと、こういうのが法文にございます。そこについての認定の中で結果が異なり得るということはあり得るかと思います。
○古川俊治君 ありがとうございます。 だから、私が言っているのは、やっぱり要件絞り込まれているんですよ、団体から組織的犯罪集団に来るんで。だから、そこを局長も、それはリゾート犯罪の判例の頃に今回のものがあっても、今回の新設がされていても適用されるかどうかは分からないとおっしゃっているんだから、あれは三条一項には該当しているんですよ。分からないということは、やっぱりこの違いの余地があるからそういう御答弁であり、今、事案によっては別意に要するに判断される可能性はあるとおっしゃっているんで、私としては、やっぱりこれ、井田さんの言っているように、三条一項によるいわゆる団体と今回新設されるような組織的犯罪集団というのは、論理の世界、もちろん、裁判所の認定ですから、最後はね。ただ、違いがあって、やっぱりこの(3)と(4)の間のような場合は、それは質的な違いが出てくるはずだろうと思っているんでそのことをずっと申し上げているんですけれども、一応、違った認定になる場合があるという御答弁いただいたんで、今回はそれで一応ちょっと満足をしたいと思うんですけれども。 だんだんだんだん、社会実態として、今までは法務省の答弁というのは、全部縦切りにしてこの時点でどうか、要は全部目的が共通だったら組織的犯罪集団に当たる、いや、そうじゃない場合は一般の普通の団体だから当たらないと言っているんですけど、やっぱり一変していく場合考えたらこういう流れにならざるを得ないと思う。だんだんだんだん変わっていくわけですよね、これ。 そうすると、隠れみのになった、いわゆる組織的犯罪集団に変わったと言われるようなメルクマールがなきゃいけないと思うんですよ。それはどういうところなんでしょうか。だんだん一変していく過程を考えていただきたいんですね。裁判所が認定するということで結構です。
○政府参考人(林眞琴君) 私どもも、一変というのはそのプロセスを経てなる、それが普通であろうかと、こう実態としては考えております。あるとき急にその組織で議論をいたしまして、今後はこのような組織になろうとか、そういった組織的な行為が行われているような場合は別でございますが、そういったものではなくて、その組織構造あるいは組織の目的というのが変わっていくというのはプロセスを経るものであろうと、そういう社会的な実態を考えております。 その上で、今回のテロ等準備罪での組織的犯罪集団を認定するというのは、実際に計画が行われ、実行準備行為が行われ、これが処罰の対象でございますが、その時点において組織的犯罪集団になっているかどうかということが問題とされるわけでございます。 その認定としましては、これは組織的犯罪集団と言えるためには、まずは目的でございますが、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪の実行にあるか、これがまず一つでございます。 ただ、この目的がそのように変わっているというだけが認定されても組織的犯罪集団の認定はできないわけでございまして、もう一つ要件がございます。それは、やはり犯罪実行というものが共同の目的になっているということを前提としましたならば、その犯罪実行という団体の目的を反復して行う組織というものがその団体の中に備わったかどうか、これがもう一つの要件でございます。 大きく分けるとこの二つの要件、これが認められれば組織的犯罪集団という認定ができるということになると思います。
○古川俊治君 二つの要素というふうに今出た、これは法文の要件にもなっているんですけど、それを認められるかどうかということが、恐らくこの隠れみのになるかどうかという、それが一番重要だと思うんですね。 もう一個の要素として、組織的犯罪集団も団体ですから、共同の目的を有する多人数の継続的結合体じゃなきゃいけないんですよね。ずっと、この図を見ていただきたいんです、だんだんだんだん変わっていくと。人の、多人数の継続的結合体であることは間違いがないんですよ、これずっとね。この図を見ると、ずっと、会社だから形も変わっていくんだけど、多人数の継続的に結合されることは変わらないんだけれども、その共同の目的というところですね。 要は、共同の、犯罪を、じゃ目的として隠れみのになったという場合に、そこから一定の継続的な時間がなきゃいけないのか、継続的結合体と言えるためには。そうなのか、それとも、継続的結合体という要件はもう確かに満たしちゃっているから、その時点、ワンポイントでもその共同の目的がぽんと変わればいい、その瞬間でもいいのか。要は、共同の目的が変わった以降に、継続的なという要件に時間を要するのかどうか、この解釈はいかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) この場合の継続的結合体という要件とともに、今申し上げました、目的をこの組織により反復して行うと、この組織性という組織構造を備えていなくちゃいけませんので、基本的にその組織というものがある目的、犯罪実行の目的を反復して行うという性質を備えるためには、やはりその時点でも継続的な要素、継続性が必要になってこようかと思います。
○古川俊治君 ということは、やっぱり目的が変わった後、一定のちょっと時間が必要ということですよね、反復してやらなきゃいけないから。継続的結合体であることは全く変わらないですよね、ずっと。そうすると、その何か反復してやるということは少し時間が要りますかということなんですけれども。
○政府参考人(林眞琴君) 今申し上げたのは、目的だけが変わってもこの組織的犯罪集団になりませんと申し上げました。それは、その反復して行う組織というものが備えられないといけないと言いました。今委員の御指摘では、共同の目的が犯罪実行にあると、こういうふうに変わってから一定の時間が必要かと言われれば、例えばその目的、犯罪実行の目的は、共同の目的が犯罪実行に変わったと認められましても、中に組織構造を備える準備がまだできていない場合がございます。それは組織構造を備えるまでの間はまだ組織的犯罪集団とは認め難いと思います。
○古川俊治君 分かりました。 時間も迫ってきたので、最後、ちょっと一つ質問を入れておきたいんですけれども、これ、火曜日の佐々木委員の宗教団体に関する質問に対しまして、組織的犯罪集団の構成員というのはこういった一定の重大犯罪を実行することを目的として結合している必要があるわけでございますので、その結合目的、すなわち犯罪実行目的を認識していない者は組織的犯罪集団の構成員とはなりませんという御答弁があるんですね。佐々木委員はいろいろな例を挙げて言われましたけれども、要は、認識していない場合、それは組織的犯罪集団の構成員にならないとおっしゃっているんですよね。 要は、オウム真理教のような場合、あれは、殺人等の意識なくサリンの製造に仮に関わっていた一般信者という方は、仮に関わっちゃったとしてもこれは組織的犯罪集団に含まれないという趣旨だと思うんですけれども。ただ、立法当時の解説、これちょっと拝見しますと、二条一項の団体というのは、その構成員の一部の変更が当該集団の同一性に影響を及ぼさないだけの継続性を有するもの、すなわち、構成員あるいは単なる集合体とは別個の独立した社会的存在として実態を有すると言っているんですね。 私、この別個独立の社会的存在と実態として独立があるというのは、個々の構成員の認識なんかで一々一々その範囲というのは変わらないんじゃないかと思うんですよ。確かに、オウム真理教というのは社会的実態としてあるように思うんですけれども、そのうちの幹部、要するにその計画を知っているような幹部というものが本当に社会的実態としてその中にあるということが継続して言えるのかどうか。だから、そこは非常に難しいと思っていて、確かにオウム真理教というのは認識されていますよ、社会的実態としてね。ただ、幹部というものがその中にあって、その社会的実態としてあるかというのは、これは難しいと思う。 ということになると、オウム真理教というものは組織的犯罪集団だけれども、その中の多くの人というのはやっぱり認識がないんじゃないかということにならざるを得ないような気がするんです。もちろんその人たちは処分の対象になんかなりませんよ。だけど、客観的に組織的犯罪集団を画するという場合に、個人の認識によって画するというのはちょっとやっぱりこの考え方に合わないんじゃないかと思うんですけど、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、組織的犯罪集団の構成員というのは、その結合目的認識していないと組織的犯罪集団の構成員とはなり得ないと、このように申し上げております。例えば、宗教団体があって、それ自体は組織的犯罪集団ではなかったと、しかしながら、その内部におきまして組織的犯罪集団というものが成立し得るということは、これはそのとおりだと思います。 その場合に、組織的犯罪集団というものの構成員とはなり得ない者、いわゆる犯罪目的などを全く認識していない者、これについては当初の宗教団体の中から除かれていくわけですね。そうしますと、当然、例えばその構成員の範囲というのは縮小していきます、縮小していきます。極限まで行けば幹部だけというようなことも想定できますが、いずれにしても、その構成員、犯罪目的を認識していない、構成員とはなり得ない者を除いていって、除いていっても残った者について、これが団体として観念できるものであるか、ここに問題があると思います。そこが観念できれば、そのものを組織的犯罪集団といって捉えることが十分に可能だと、こう考えております。
○古川俊治君 要は、そうすると、組織的犯罪集団として捉えられるかどうかということになってくるわけですよね。だから、もしかすると、幹部だけでは、認識ある幹部だけをもって社会実態とは言えないような場合があるとすると。そうすると、テロ等準備罪は適用できないことになるんですね。 これ、要は、オウム事件がこれに適用できたかどうかという議論にもつながるんですけれども、その点いかがですか。要するに、やっぱり似たような事例があっても、そこが社会実態として認定できないとやっぱりテロ等準備罪というのは適用できないわけですよね。
○政府参考人(林眞琴君) 組織性というものに危険性を着目して今回犯罪化しているわけでございますので、例えば、幹部だけにおいて強硬な犯罪実行目的を持っていたといたしましても、先ほど申し上げたような団体の定義、いわゆる共同の目的が犯罪実行になることはいいわけでございますが、それだけじゃなくて、その実行をするためにその団体の中に組織を備えなくてはいけません。組織を備えることによって初めてそれは危険性が出てくるわけでございます。 そういった意味で、今回、そういった場合になったものを組織的犯罪集団として捉えて、そしてそれをテロ等準備罪の主体としたわけでございます。 そういったことで、単に幹部だけが共同の目的を持つ、犯罪の実行の目的を持つというだけでは今回の組織的犯罪集団にはなり得ませんが、当然、その強固な共同の目的である犯罪実行を持てば、それを実行に移すための組織構造を備えるようになります。そのように、また計画して備えるようになって組織構造を備えれば、その段階で十分に組織的犯罪集団であるということを認定することが可能だと思います。
○古川俊治君 分かりました。 今日は、だから、どこまで有効かと、テロ等準備罪が適用できるのかという話は、今日の御答弁をいただいたのを前提としてまた後日ちょっとこれやりたいと思いますので、どうもありがとうございました。 以上で質問を終わります。
○委員長(秋野公造君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 世界中でテロの脅威が増大しています。五月二十二日のイギリス・マンチェスターでの自爆テロ、五月三十一日のアフガニスタン・カブールでの爆弾テロ、そして六月三日のロンドン、昨日、六月七日はイランのテヘランでもテロがありました。テロ事件が多発し、世界各国で早急な対策強化が叫ばれているわけです。犠牲になった方々には心からお悔やみ申し上げますとともに、けがに遭われた方、その関係者の皆様方に心からお見舞い申し上げたいと思います。 そしてまた、私たち日本もテロの脅威が高まっています。日本は卑劣なテロを絶対許してはならず、国際社会と協力してテロと闘う姿勢を示していくべきことは言うまでもありません。先日、イタリア・シチリア島でのG7サミットでも、テロと国境を越えた組織犯罪との闘いに連携して取り組む決意とTOC条約の重要性を首脳宣言としても発表いたしました。 このTOC条約十八条の司法共助、国際協力は、私が一貫して主張している司法の強化にもつながるものだと考えております。TOC条約の必要性については衆目一致するところだと思います。そして、今回の法案は、このTOC条約の国内担保法として位置付けられるものであるわけです。 この今回のテロ等準備罪に関して、今日は、世界各国の合意罪の構成要件との比較の中で、日本のテロ等準備罪は構成要件との関係でどうなのかということを国際水準との関係で質問してまいりたいと思います。 テロ等準備罪に関しては、これまで内心の自由や表現の自由を侵害する、プライバシーが侵害される、監視社会になるといった指摘が繰り返しなされております。私も弁護士の端くれでありますので、憲法が保障する内心の自由、そして人権というのは非常に大事だと考えております。 今回のテロ等準備罪は、TOC条約第五条1(a)(1)の犯罪化義務を担保するためのものであります。イギリスやアメリカといった国々は、この重大な犯罪の合意罪を法制化することにより担保しているというところでありますが、それらの国々において、このような国内法があるために内心の自由や表現の自由が侵害される、プライバシーが侵害されるといった指摘の声は日本ほどは聞かれていないように思われるわけです。 これは、もう実際に大規模で凄惨なテロが本当にその国に起きまして、テロの脅威が現実的だといったことも一因だと思うんですが、これまでの答弁によりますと、イギリス、アメリカを含むOECD加盟国の中で、TOC条約第五条1(a)(1)が認める二つのオプション、つまり、組織的な犯罪集団が関与するものという要件に係るオプションと、合意の内容を推進するための行為を伴うという要件に係るオプションを共に採用している国はないということでありまして、我が国のテロ等準備罪はOECD加盟国の中で最も厳格な構成要件を定めたものではないのかなというふうにも見受けられるわけです。 つまり、視野を国際社会に広げてみますと、我が国のテロ等準備罪は世界的にも最も厳格な構成要件で、国民の安全と安心と、そして憲法が保障する内心の自由やプライバシーの権利と、こういった人権にも配慮した法案だとも言えるのではないかと、こういうような見方も私はしております。 そこで伺いたいんですが、イギリスやアメリカにおいて共謀罪の規定がどのようになっているか。そして、イギリス、アメリカを含むOECD各国、加盟国のうち重大な犯罪の合意罪を法制化している国と比較して、テロ等準備罪はこのような批判を受けても仕方ないような構成要件が緩やかなものであるかどうかについて外務省にお尋ねいたします。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 ただいま委員の方からイギリスあるいはアメリカの法制度についてのお尋ねございました。一般的に、各国の法制の内容につきまして我が国政府として一概に論ずることは困難ではありますが、その上で申し上げますと、イギリスはこの重大な犯罪の合意罪を担保するための国内法を有しております。その規定を見ますと、ある者が、他の一人又は数名の者と、ある一連の行為を遂行することにつき合意した場合であって、かつ、仮に当該合意がその当事者の意図に従って遂行されるならば、犯罪を実行することになる場合においては共謀の罪で有罪となるというふうにされております。このように、英国では、五条の1(a)(1)におきまして、国内法上求められるときに締約国に取ることを認められております二つのオプションをいずれも採用しておりません。また、対象犯罪につきましても、長期四年以上の自由刑を定める犯罪に限定をしていないというふうに承知をしております。 また、米国でございますが、重大な犯罪の合意罪に対応します規定を見ますと、二人又はそれ以上の者が、合衆国に対する何らかの犯罪を犯すこと等を共謀し、かつ、そのうちの一人又はそれ以上の者が、共謀の目的を果たすために何らかの行為を行ったときに共謀の罪が成立するなどとされております。このように、米国では、合意の内容を推進するための行為を伴うとのオプションは採用しているものの、組織的な犯罪集団が関与するものとのオプションは採用しておりません。また、対象犯罪につきましても、長期四年以上の自由刑を定める犯罪に限定していないというふうに承知をしております。 なお、このいわゆる推進行為のオプションですけれども、より詳細に申し上げますと、一般に、米国法で採用しております共謀の目的を果たすための何らかの行為、いわゆるオーバートアクトと呼ばれるものですが、これは意思の発現として行われる明らかな外的行為とされており、例えば犯罪を実行することを二人以上で計画した後にまたその計画について更に話し合う、これにとどまる場合であってもオーバートアクトに該当し得るというふうにされているものと承知しております。 そのような行為は犯罪の計画と別個の行為とは言えないために、我が国の御審議いただいていますテロ等準備罪におけます犯罪を実行するための準備行為には該当しないというふうに承知をしております。したがいまして、いわゆる推進行為のオプションにつきましても、テロ等準備罪の方が米国法よりも厳格な要件として規定をしているというふうに承知をしております。 それから、それ以外のOECD諸国でございますが、この条約が認めます先ほどの二つのオプションの双方を両方とも採用した締約国はないというふうに承知をしております。 これに対しまして、テロ等準備罪は過去の国会審議等においてありました様々な御指摘を踏まえまして、政府として真摯に検討を重ねた結果、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするという観点等から、先ほど申し上げましたこの条約が認める二つのオプションをいずれも採用するということとともに、その対象犯罪も明示的に限定をしているところでございます。 したがいまして、オプションの採否、また対象犯罪の限定といった観点から、国際的に見ましても、テロ等準備罪は厳格な要件が付されているのであって、人権に十分に配慮したものになっているというふうに考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 御答弁を聞きますと、組織的犯罪集団という組織要件と、そして推進行為、実行準備行為、この二つを導入しているOECD各国はないということ、日本のみということになっているわけです。そして、これは私が調べたところですと、百八十七ある締結国のうち、組織要件と準備行為の要件を備えているのはあと一か国しかないということで、構成要件という点を客観的世界水準で見ますと非常に厳格な構成要件になっているということなんだと思います。 やはりどの世界各国も、憲法上の人権、自由というのは非常に重要だということは、これはもう人類全体の普遍的な価値観であると思います。そういった中で、このテロ対策をすることによって国民の安心、安全を守るんだという観点で悩みに悩み抜いて各国が国内法を制定していると思うわけですが、それでも日本は、その中でも人権、自由に非常に配慮した法案になっているのではないかなといった私の考えを国際比較の観点で指摘させていただきました。 次に、TOC条約とテロとの関係について伺います。 TOC条約の目的については、国際的な組織犯罪を防止することとされておりまして、その適用対象である組織的な犯罪集団については、二条(a)において、「三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するもの」と、このようになっています。 これは、マフィアのような麻薬集団だったり、偽ブランドを販売する組織が行う越境的経済犯罪が想定されていたと言われていますが、テロ対策を目的とするものではないんじゃないかと、このような意見もありますが、そのような意見に対する政府の見解を御教示ください。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 本条約は、テロを含む国際的な組織犯罪を一層効果的に防止をし、これと闘うための協力を促進するための国際的な法的枠組みを創設する条約であります。 まず、一般論としましては、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘をされております。この条約が採択されました二〇〇〇年十一月の国連総会決議におきましても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段であるということが指摘をされております。 また、二〇一四年十二月の国連安保理の決議、またG7、G8サミットにおきましてもテロ防止の観点から各国に対して本条約の締結が要請をされているところであります。 さらに、本条約は、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団への参加の犯罪化を義務付け、テロを含む組織犯罪への未然の対処を可能とするとともに、マネーロンダリングの犯罪化も義務付けております。 したがいまして、テロ行為それ自体への対処のみならず、テロ組織の資金源となっている犯罪行為にも対処でき、テロの根本を断つことができると言えると思います。 加えまして、テロ組織が本条約に言います組織的な犯罪集団に該当する場合には、そのような組織が行う犯罪は当然本条約の対象となり得るのでありまして、現に本条約の締約国の間では、この条約に基づく捜査共助として、例えばテロ資金犯罪に関する警察記録の提供要請、テロ捜査のための記録の提供要請などが行われていると承知しております。 このように、この条約は国際社会においてテロ対策に必要なものとして認識をされ、かつ、現にそのために活用されておりまして、この条約がテロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための重要な枠組みであるというところは疑いがないというふうに考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 TOC条約によって、国際的な犯罪人の引渡しや捜査共助、こういったような国際社会と緊密に連携できるようになるわけですが、一つ質問飛ばしまして、逃亡犯罪人の引渡しについてです。 我が国が犯罪人引渡条約を締結している国はアメリカと韓国のたった二か国というふうに承知しています。今回のテロ等準備罪を成立させてTOCを締結いたしますと、この国際的な逃亡犯罪人引渡しについて充実することになるとは思われるんですけれども、どのように充実するのでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 委員御指摘のとおり、我が国がこれまでに犯罪人引渡条約を締結している国は米国と韓国の二か国であります。 国際組織犯罪防止条約を締結した場合に、これら以外の犯罪人引渡条約を締結していない国との間で犯罪人引渡しの実効性が高まるということが期待をされます。すなわち、本条約を締結すれば、犯罪人引渡しについての条約の存在を条件としない国との間におきましては、犯罪人引渡しの手続を迅速に行うよう努めるというふうに規定をしています本条約に基づいて、犯罪人引渡請求を行うことが可能となり、引渡しが迅速に実施されることが期待をされます。また、犯罪人引渡しについて条約の存在を条件とする、つまり条約がなければ犯罪人引渡しをしないという制度を取っている国との間におきましても、その国がこの条約を犯罪人引渡しのための法的根拠としている場合には、その国に対して本条約に基づく犯罪人引渡請求を行うことが新たに可能となり、かつ、さきに述べましたように、引渡しが迅速に実施されることが期待をされるということでございます。
○元榮太一郎君 我が国の実績を紹介しますと、犯罪人引渡しで引渡しを受けた犯罪人の数は、平成二十七年ゼロ、平成二十六年二人、平成二十五年が三人ということです。逆に、日本が外国に引き渡した犯罪人の数は、平成二十七年から平成二十五年まででそれぞれ一人ということで、かなり少ないのではないかと思います。 TOC条約締結済みの国、例えばアメリカなどではこの犯罪人の引渡しについてはどのような状況なのでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 米国におきましては、国際組織犯罪防止条約を二〇〇五年に締結をしております。それ以来、同条約に基づいてこれまでに他国に対して二百回近くの逃亡犯罪人引渡請求を行っていると承知をしております。その中には、自国民殺害の計画に係る犯罪人、詐欺罪、資金洗浄罪に係る犯罪人、児童ポルノ犯罪に係る犯罪人等の引渡請求等が含まれていると承知をしております。
○元榮太一郎君 ということで、非常に段違いの引渡しの数ということで、我が国も百八十七か国に近い多くの国との関係で犯罪人引渡請求等が実効化されますと、まさに司法の強化につながっていくということで処罰の実効性も高まることが想定されます。 世界から見ますと、今、日本は、逃げ込んでしまえば捕まらない、逃げ放題の国という見方もされているわけで、やはりこのテロ等準備罪をしっかりと成立させて、一日も早くTOC条約を締結するということが必要になってくるんだと思います。 オリンピック・パラリンピックも三年後に控えております。何よりも国民の安心、安全を守るために、このテロ等準備罪の一日も早い成立を心よりお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。 先月、国連人権理事会のプライバシーの権利特別報告者であるケナタッチ氏が、今日まさに審議をされております我が国におけるテロ等準備罪の創設を含む今回の改正案に関連いたしまして公開書簡、これを公にいたしました。この国連人権理事会といいますのは、加盟国における人権擁護に取り組む国連の政府間機関であります。二〇〇六年に国連総会によって設置をされました。人権の保護、また促進、そのための加盟国への勧告などの活動を行う機関でございます。日本もこれまでも何度かこの国連人権理事会の理事国を務めておりまして、二〇一七年にも理事国に選出をされて、三年の任期を務めるということになっております。 この国連人権理事会の特別報告者、これは理事会から決議を通じて任命をされるわけでありますけれども、この特別報告者というのは具体的にどのような立場にあり、どのような活動を行うんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答えいたします。 特別報告者とは、特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関して調査、報告を行うために人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家であるというふうに承知をしております。また、特別報告者は、その任務の範囲内で各国への情報提供の要請や調査訪問等を行うことができると承知をしております。
○佐々木さやか君 今御説明があったように、専門家として独立をして特定の人権や特定の国について調査また報告などを行うということで、このケナタッチ氏はプライバシーの権利についての特別報告者であるということでありました。 ところで、この特別報告者が例えば報告書などで示した見解というのは、国連人権理事会としてもそのような意見、見解ということになるのか、つまり、特別報告者の見解イコール国連人権理事会の見解ということになるんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 先ほど答弁いたしました特別報告者は、特定の国の状況等について調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家であります。したがいまして、同専門家の見解は国連又はその機関である人権理事会としての見解ではないというふうに認識をしております。
○佐々木さやか君 国民の多くの方は国連の仕組みですとか国連の機関について詳しいわけではないと思いますので、恐らくこの点についても、特別報告者というのがどういう立場なのかということについて御存じない方もいらっしゃるのではないかなと、こう思いましたので確認をさせていただきました。 今御説明があったとおり、人権理事会を代表して見解を述べるとか、そういう立場にあるわけではありません。また、では自分の国を代表して見解を発表するとか、もちろんそういうことでもございません。今御説明にもあったとおり、個人の資格としてという言葉がありましたけれども、専門家として自らのその専門知識に基づいてテーマについて調査をして、その結果を人権理事会に報告をする、そういう権限を与えられた立場にあるということであります。自由に調査が行えるように独立性というものも確保をされている、そういう立場でございます。 ところで、この特別報告者が、例えば今回のケナタッチ氏の公開書簡のように何らかの調査テーマについて見解を明らかにする、公にすると、そういう場合には通常どのような手続で行われるんでしょうか。また、そうした通常取られる手続、今回、ケナタッチ氏の例でいいますと、公開書簡を明らかにする場合にそうした手続というのはあったのか、教えていただければと思います。
○政府参考人(水嶋光一君) 一般的に申し上げまして、特別報告者が公に見解を示す場合には、事前に当事国政府と対話を行うべきというふうにされておりまして、事前に当事国政府によります説明の機会が与えられるものと承知をしております。我が国との関係でも、今までは基本的にそのような説明の機会を経た上で見解が発表されてきたということが言えると思います。 しかしながら、今回のカンナタチ・プライバシーの権利特別報告者が発出いたしました公開書簡に関しましては、当事国であります日本政府が直接説明する機会が与えられることなく一方的に発出されたという事情がございます。
○佐々木さやか君 事実について調査をして、専門的知識に基づいて見解をまとめて人権理事会に報告をするという活動からしますと、事実の調査、その対象となるテーマについて、例えば今回のように日本について日本政府に対してどのようになっているのかということを問い合わせる、また質問をするということは、説明を聞くということは、当然、事実の調査という観点からは重要なことであろうかと思います。 そうした調査を行った上で専門的な見地を生かして見解を発表すると、これが役割であろうと思いますので、今御説明があったように、通常は何らかの見解を発表する前に日本に対して事実の調査についての説明を求めると、こういう手続があってしかるべきではないかと私も思います。また、通常そのような手続もこれまではあったと、ここのところが今回は違うというところであります。 通常取られるような手続を経なかったという点についてやはり抗議をするということが必要かと思いますけれども、この点については政府としてはどういう抗議を行ったんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 御指摘のカンナタチ特別報告者の公開書簡でございますが、それを受けて政府は、外務省、我が方のジュネーブ代表部の方から国連人権高等弁務官事務所を通じて、直接説明する機会が得られることもなく公開書簡の形で一方的に発出されたこと、また同書簡の内容は明らかに不適切なものである旨強く抗議をした次第です。また、その抗議の中では、テロ等準備罪は百八十七の国・地域が締結している国際組織犯罪防止条約を締結するために必要なものであるということ、テロ等準備罪処罰法案は、本条約が認めている組織的な犯罪集団が関与するとの要件及び合意の内容を推進するための行為を伴うとの要件の双方を活用した、他の締約国と比しても厳格な要件を定めたものであり、プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約する、あるいは恣意的な運用がなされるといった指摘は全く当たらないということも指摘をしました。 政府としては、我が国の取組を国際社会に対して正確に説明するべく、同書簡に示されております照会事項につきましては、追ってしっかりと我が国の立場を正式に回答する予定であります。
○佐々木さやか君 強く抗議をしたということであります。やはり、通常取られる政府に対する説明の機会、そうしたものを経ないで発表されたという点もそうでありますし、問題なのは、その発表された見解の内容が事実と異なるものであるというところであろうかと思います。事実、仮に事前の問合せというものがあれば防げたのではないかというミスもございます。しかも、そこの部分というのは、今回のテロ等準備罪の創設の法案において非常に重要な部分であります。そうした非常に重要な部分について、仮に事前の政府からの直接の説明の機会があれば防げたのではないかと思われるような単純なミス、これを含むような見解の発表を不正確に行わないためにも、やはり事前に説明の機会をいただきたかったということを政府の方から抗議をするというのは妥当なことではないかというふうに思います。 今申し上げた、どういうミスがあったのかという点について確認をしたいと思いますけれども、この点、先日の私も質問の中でも指摘をさせていただきましたけれども、法案の六条の二の部分であります。これは先日の西村参考人の参考人質疑の中でも、参考人の陳述の中ですかね、質疑の中ですかね、の中でも指摘がありました。このカンナタチ氏、今政府の方からカンナタチ氏という名前で御説明がありましたのでそう申し上げますけれども、カンナタチ氏の公開書簡、これを見ますと、このカンナタチ氏の手元にある改正案の英訳、これを見れば、このような条文になっているということで、その条文の英訳が載っております、公開書簡の中にですね。しかしながら、この英訳、まさに六条の二の英訳でありまして、テロ等準備罪というものはどういう要件の下に成立をするのかということを記載している、まさに非常に重要な条文でありますけれども、この六条の二の英訳について不正確な部分があります。 この条文の英訳については外務省の方では作っていないということでありましたけれども、西村参考人も指摘をしておりましたので、どのような部分が不正確なのか、この点を御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋光一君) この法案につきましては、今、国会で御審議をいただいているところでありまして、現時点で政府がお示しできるテロ等準備罪に関係する規定の英訳はございません。また、カンナタチ特別報告者の公開書簡において引用されておりますテロ等準備罪に対応する英訳の出典、これについても政府としては承知をしていないということを申し上げた上で申し上げますと、この公開書簡において引用されております英訳を確認いたしましたところ、テロ等準備罪の規定で用いられております団体との文言の定義が規定されている組織的犯罪処罰法第二条第一項、また、団体の活動との文言の定義が規定されております同法第三条第一項に対応する英訳が記載されていないということ、また、本法案第六条の二第一項におきます結合関係の基礎としての共同の目的との文言に対応する英訳が記載されていないというふうに承知をしています。
○佐々木さやか君 六条の二第一項の結合関係の基礎としての共同の目的に対応する英訳がないということであります。 ここというのは非常に重要な部分であります。六条の二、今日も議論になっておりましたけれども、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団、括弧して、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいうと、ここの部分の、その結合関係の基礎としてのというのが英訳では条文から抜けていると。ここがなければ、共同の目的、単に団体の共同の目的というだけでは絞りは十分ではない。そこにプラスして、今回の法案というのは、その結合関係の基礎としてのというところが入ることによってこの組織的犯罪集団というものが明確になる、また限定されるという、非常にこの法案における要の部分でございます。ですから、ここが法案の条文から抜け落ちているというのは非常に重要な誤りだというふうに思います。 先日、西村参考人はここの部分について、例えばグーグル翻訳でもできるはずの作業がちょっとここではされていないかもしれない、つまり、西村参考人がグーグル翻訳で試しに条文を英訳してみたと、そのグーグル翻訳でやってもきちんとここの部分は正しく出てくるんだけれども、しかしながら、カンナタチ氏の公にした公開書簡の中のこの条文の英訳には抜けているということで、そういう指摘もあった。 つまり、非常に重要、重大なミスではありますけれども、何というか、明らかな明確なミス、しかもこれは、恐らく通常の手続どおり日本政府に事前に何かしらの説明の機会を与えていれば防げたであろうミスであります。一番重要なところですから日本政府はもちろんそこを説明をするわけでありますし、それをきちんと反映させた、ミスのない、この点についてミスのない公開書簡が公にされたのではないかと思いますと、やはりこの通常取られる事前の政府の説明の機会というのは、特別報告者が何らかしらの見解を明らかにする場合には非常に重要な手続である。そう考えると、今回それがなかったと、しかも、こうしたミスがあるというところについてはやはり日本政府としてしっかりと抗議をすべきでありますし、先ほどの説明であれば強く抗議をしたということでありますので、妥当ではないかというふうに思います。 それから、今、答弁の中で、団体の定義、二条一項、団体の活動としてについての三条一項の定義の英訳も載っていないという指摘がありました。これも、今日も委員の皆さんの議論の中で非常に論点として取り上げられましたね。この団体というのがどういうものなのか、団体の活動としてというのはどういうことなのか、このように国会でも論点になるほど非常に今回の法案にとっては重要な部分であります。 つまり、カンナタチ氏の公開書簡では、第六条の二についての英訳は、まあミスがありますが載っておりますけれども、この六条の二という条文だけを見ても、今回どういう団体がテロ等準備罪の成立の対象になるのかというのが分からないわけですね。二条とか三条を参照しないとその意味は分かりませんし、かつ、この限定されていることの意味が分からない。 例えば、六条の二では、団体、組織的犯罪集団というのは、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的がということがありますけれども、この団体の定義については二条一項で記載があるわけでありますし、それから、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画をした者はというのが第六条の二の条文ですけれども、この団体の活動としてというのはどういうことをいうのか、これについては三条の一項に記載があるわけでありますし、組織というのは、じゃ、どういうものなのかということについては第二条一項に記載があるわけです。 ですから、この六条の二と不可分のものとして言わば二条一項とか三条一項というのが条文としてあるわけで、それを併せて、今回、このテロ等準備罪の成立対象となる団体というのは要件が明確になっていて絞られている、ここが非常に重要なわけであります。 そういった意味で、公開書簡においてこの二条一項や三条一項について触れられていないということは不自然なような気もいたしますし、やはりこの法案について正しい理解をしていただいていれば、やはり一番重要なところですから、ここについて触れていただくだろうと思いますので、そういう観点からも、政府が事前に直接の説明の機会を得ることができなかったというのは残念なことであるなというふうに思います。 もう一点、ちょっと申し上げますと、先日の西村参考人も触れておりましたけれども、カンナタチ氏の公開書簡の中で、今回の法案についてこういうところが懸念されるということが幾つか指摘されているわけですが、その中で、今回のテロ等準備罪の成立の対象がテロ組織に明らかに限定されているとは言えない、テロ組織に明らかに成立の対象が限定されているとは言えないということをカンナタチ氏が公開書簡で述べております。 しかしながら、今回の法案というのは、テロ組織というのは組織的犯罪集団の例として典型的なものでありますので、そういう意味では重要なんですが、テロ組織だけに限定しているわけではないんですね。皆さんお分かりのことと思いますけれども、暴力団とか薬物密売組織ですとか、そういった組織的犯罪集団を対象としているのであって、テロ組織だけに限定しているわけではありません。 これは、そもそもTOC条約との関係で、テロ組織だけに限っては国内担保法としても不十分でありますのでテロ組織だけに限っているわけではないんですが、このカンナタチ氏はこの点についてテロ組織だけに限らなければならないと理解をされているのかなと、このようにも読める内容になっております。そこの部分はちょっと文章として、何というんですかね、ちょっと分かりにくい表記にもなっておりますので、やはり十分に、このカンナタチ氏が何を懸念されているのか、何をおっしゃりたいのかというところを十分に精査をしていただく必要があるというふうに思います。 この部分については、ちょっと私の理解として、カンナタチ氏が今回の法案について十分に理解していただいていると言えないのではないかと、こういう思いを述べさせていただきましたけれども、先ほど申し上げたとおり、今回の法案というのは、こうしたカンナタチ氏の公開書簡での懸念がありますけれども、そうではなくて、団体の定義、また団体の活動としてという要件も併せてしっかりとその処罰の対象を十分に絞っている、明確に縛りを掛けているというふうに言えると思います。 法務省に念のために確認をしたいんですけれども、今回の法案というのは、テロリズム集団のほか、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団を対象としているものであると、この点はTOC条約の国内担保法というところもありますし、かつ、十分に明確に成立の対象としては縛りを掛けていると、この理解でよろしいか、念のためですけれども、確認をさせていただきます。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は、このTOC条約の締結のための担保法として提出させていただいたものでございます。したがいまして、そこの、この場合の対象となる組織的犯罪集団というものも、テロリズム集団に限らず暴力団あるいは薬物密売組織など違法行為を目的とする団体、こういったもの、これを対象として立案したものでございます。 したがいまして、組織的犯罪集団というものについては、これを実現するために六条の二で明確な定義を置いていますが、委員も御指摘になったとおり、その中で使われている団体というもの、これも裸で使っているわけではなくて、その団体というものも二条の一項で定義がございます。さらに、その組織という言葉につきましても、やはり二条の一項で別に定義がございます。 さらに、このテロ等準備罪が処罰されるためには、組織的犯罪集団の団体の活動としてその犯罪の実行をするための組織により行われるもの、これについての計画が処罰されるわけでございますが、この場合の団体の活動としてという、この言葉につきましても三条におきまして定義が置かれているわけでございます。このように、極めて条文の中でも重層的にそれぞれの言葉を明確に法文の中で定義しながら、この組織的犯罪集団という定義を構成しているわけでございます。 この組織的犯罪集団の内容といいますのは、先ほど申し上げましたように、テロリズム集団に限られるものではなくて、その他の組織的犯罪集団、暴力団、薬物密売組織等、これらなどの違法行為を目的とする団体、こういうものを想定して定義しているわけでございます。
○佐々木さやか君 カンナタチ氏は、先ほど申し上げたようにプライバシーについての専門家でいらっしゃるようであります。マルタという国の出身でいらっしゃって、マルタ大学のプライバシー、データ保護法、こういった分野を専門としている方であって、マルタ大学の教授も務められていると。その分野の専門家でありますし、そうした専門家であり、かつ国連の特別報告者という立場にあられるわけですから、もちろんその御意見というものは真摯に私たちは受け止めなければならないと思います。 しかしながら、今まで私が幾つか申し上げたように、例えば非常に重要な部分の英訳の単純ミスと思われるような部分ですとか、また、おっしゃっている内容がちょっと私の能力では十分に理解し難いところもあるんですけれども、やはりこの法案、またTOC条約について十分に理解をしている上で見解を発表されたのか、疑問に感じるところがあるわけであります。 でも、やっぱり国民の皆さんとしては、国連特別報告者、こういう立場にある方がまさかそんな誤ったことに基づいて見解を発表するとは思われないのではないかと私も思います。そういったところで、そういうふうに思う方も多いかなとは思うんですけれども、このカンナタチ氏について、公開書簡について言えば私が申し上げたようなところが疑問であると。 プライバシー権についての専門家であるカンナタチ氏、私が申し上げたような点に基づいて言えば、専門家ではありますけれども、TOC条約ですとか我が国のこの法案を制定している背景、例えば、それから我が国の法制度について、それから議論の状況について、こういった点に正確な理解に欠ける可能性というのもあるというふうに私は思うんですが、この点は政府としてはどのようにお考えか、聞かせていただければと思います。
○政府参考人(水嶋光一君) カンナタチ特別報告者が、国際組織犯罪防止条約やこの今御審議いただいています法案の提出に至る背景や議論の状況についてどの程度理解をした上で公開書簡を発出したかにつきましては、政府として一概には申し上げられないと思っております。 ただ、その上で申し上げますと、先ほど委員からも御指摘ございましたが、このテロ等準備罪は国際組織犯罪防止条約を締結するために必要なものであります。この条約は対象をテロを含む組織犯罪としているにもかかわらず、この書簡におきましてはテロ等準備罪における組織的犯罪集団の定義が漠然としており、テロ組織には明確に限定されていないという旨が指摘をされているというのは一点ございます。 また、同書簡におきましては、本条約がどのような立法措置を義務付けているのか、既に本条約を締結している国々においてどのような立法措置がとられているのかといったことについては何ら言及がありません。 さらに、過去の組織的な犯罪の共謀罪に関します国会における議論の内容、また同罪と今回のテロ等準備罪との違いなどについても言及をしておりません。 このような点から申し上げますと、本条約や本法案提出に至ります背景、議論の状況について必ずしも十分な理解がない中で同書簡が発出された可能性は否定できないというふうに思われます。
○佐々木さやか君 そういったことを理解をしていただいた上で、公開書簡のような見解を発表していただく、そのためにやはり、先ほどから述べているように、事前に直接の説明の機会を設けるということは非常に重要だったのではないかなというふうに感じております。 こういった国連特別報告者、非常に重要な任務を負っていらっしゃいますし、非常に重要なお立場でありますけれども、こういう私が申し上げたようなミスといいますか、事実の誤認が起こるというのはどういうことなのかなというふうに私もちょっと自分なりに考えてみたんですけれども、やはり国連特別報告者というのは個人の資格で独立して活動をされている、つまり国際機関を代表してその意見として発表するというわけではないわけです。 仮に、これが国際機関ですとか国連を代表して見解を発表するということであれば、やはり組織ですから、いろんな例えば決裁とか、それからその調査を行うに当たっても時間を掛けていろいろな手段を用いて、機関を代表して発表するわけですから誤りがないように、できるだけその手続を多く踏むと思うんですね。 それに対して、先ほどから説明にもあるとおり、国連の特別報告者という立場は、自分自身の専門知識に基づいて機関ではなくて個人として活動をして調査を行うという立場にありますので、そういう、何というか、チェックとかを行うのにも限界がありますし、やはり機関として意見を発表するということとはちょっと違うのかなと。国連特別報告者が行った調査の仕方ですとか、どれぐらい時間を掛けたかとか、どういう手続を行ったかということによっては、やはりそういう事実の誤認というものが生じる可能性もあるという性質なのかなというふうに私は思いました。 こういう国連特別報告者が、今回のカンナタチ氏以外にそのほかのケースとして、例えば単純なミス、そういったものによって事実に反する見解を述べたという例がほかにあるのかどうか、ちょっと参考にお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答えいたします。 特別報告者が事実誤認に基づく見解を示した例として一例を挙げますと、ブキッキオ児童売買、児童買春及び児童ポルノ特別報告者が、二〇一五年の十月に我が国を訪問した際、記者会見におきまして、日本の女子学生の一三%が援助交際を経験している旨、根拠が明らかでない発言をしたために、日本政府として発言の撤回を強く求めたという経緯がございます。その申入れを受けて、同特別報告者からは、一三%という数字を裏付ける公的なデータはなく、一三%という概算への言及は誤解を招くものであった、また、今後この数値は使用せず、国連人権理事会に提出する報告書でも言及しない旨、書簡にて説明が特別報告者本人からなされたということがございます。
○佐々木さやか君 児童ポルノとか児童買春というのも非常に重要なテーマでありますし、その発表された見解とか日本に対する懸念とか、そういったこと自体は非常に大事なことだと私は思うんですね。しかしながら、事実の誤認とか誤りというところでいうと、例えば今御説明があったように一三%という数字を述べられたわけですけれども、そこの部分については裏付けのデータというのはないということで人権理事会には報告しないということになったと、こういう過去の例もあるそうであります。 ですから、特別報告者の見解というものを決して軽視するということではなくて、その立場の性質上、やはり機関を代表してとか組織を代表して見解を述べるということではなくて、個人の資格で専門家として調査をする、その中でどうしてもそうした事実と異なる部分が入ってしまう可能性があると、このように思いますので、そうした観点から、カンナタチ氏の今回の公開書簡についても、私としては事実と異なる部分があるというふうに思っております。 では、これも確認になりますけれども、国連としては、TOC条約、これを日本が締結をすること、また、そのために今回まさにこの国内担保法たる法案を審議をしているわけですが、今回の法案を通そうと、このようにしていることについて、国連としては何と言っているんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 国連は、累次の国連総会決議、安保理決議におきまして繰り返し表明しているとおり、我が国を含む数少ない未締結国に対して、国際組織犯罪防止条約の早期締結と実施を求めております。 本年五月二日、この条約の国連における事務局であります国連薬物犯罪事務所、UNODCのフェドートフ事務局長も、会談をした岸田大臣に対しまして、日本による本条約の締結に向けた努力が成功し、早期の条約締結につながることを期待するという旨述べております。 さらに、同事務局長は、五月二十九日にも声明を出しておりまして、テロ等準備罪処罰法案について、担保法案が衆議院を通過したことは、日本が既にTOC条約の締約国となっている百八十七の政府に加わることに向けた前向きな一歩であるとして、その衆議院通過を歓迎するとともに、本条約の締結に向けた我が国の取組への支持を示しております。 この条約の事務局でありますUNODCからこのような立場が表明されたことは、国連が我が国の取組を評価していることを示すものと認識をしております。
○佐々木さやか君 今、UNODCが衆議院をこの法案が通過をしたということについて歓迎をするという趣旨のことを述べたという説明がありました。それは、五月の二十九日にUNODCの事務局長のそのような声明が出されたというふうに認識しておりますけれども、この声明というのは、カンナタチ氏が公開書簡を公にしたよりも後であります。 国民の皆さんとしては、国連の特別報告者が懸念を表明するような公開書簡が公にされた後にUNODC事務局長がこの法案の衆議院通過を歓迎するような声明を出すということについて、どういうことなのかなと一見して分からないかもしれませんのでちょっと確認をしたいんですが、これ一見すると違うことを言っているかのようにも思えますけれども、この点についてはどのように理解をしているんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 五月二十九日の声明におきまして、先ほど答弁申し上げましたように、UNODCのフェドートフ事務局長から、担保法案が衆議院を通過したことは、日本が既にTOC条約の締約国となっている百八十七の政府に加わることに向けた前向きな一歩であるとして歓迎をし、この条約の締結に向けた日本の取組への支持を示されたところであります。 これは、この条約の事務局であるUNODCから声明が発出されたということで、国連の立場から我が国の取組に評価が得られているということを示すものとして、政府としては重く受け止めております。
○佐々木さやか君 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、カンナタチ氏が公開書簡で懸念をされていること、プライバシーの権利との関わりということは、まさにこの委員会の場でしっかりと審議をしていく。カンナタチ氏も、恐らく国会で審議をするなということではなくて、十分な国民的な議論を、まさに国民の代表である私たち議員がこの委員会でしっかりと審議をするということを望んでいらっしゃると思いますので、その点、努力をしてまいりたいと思います。 以上です。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) 福山君、そろっておりますので始めたいと思います。(発言する者あり)外務大臣の件につきましては理事会で合意をしておりますので、始めたいと思います。(発言する者あり)福山君、理事会で合意をしておりますので。(発言する者あり)福山君、改めて申し上げます。おそろいになっておりますので。(発言する者あり)福山君。(発言する者あり)福山哲郎君。
○福山哲郎君 福山でございます。 私は非常に今残念に思っています。実は、私も二十年目になりますが、法務委員会、初めてのデビューでございます。多少緊張もしながら今日は質問させていただこうと思っておりました。実は今、外務大臣がお越しをいただいておりません。 私は実は、一昨日の法務委員会、流会になりましたけれども、あの委員会で質疑に立つ予定でしたが、そのときには外務大臣をお呼びするつもりはありませんでした。それは、外交防衛委員会が条約の審議をしていることを私は知っていたからです。所管の外交防衛委員会に私は所属をしておりますので、日印の原子力協定を審議しているのを分かっていましたから、外務大臣はこの場には来ていただけないと思ったので指名する予定はありませんでした。 流会になりまして今日の質疑になりました。私は昨日の夜、外務省に、外務大臣を是非お越しいただきたい、なぜならば、TOC条約は非常に重要で、金田法務大臣は立法事実はこの条約だと何度も明言をされているからこそ、外務大臣にお越しをいただきたいとお願いをいたしました。 それは、今日二時まで外交防衛委員会が審議の予定があるのを私は存じ上げていたからです。その二時が十二時に短くなっても、基本的には国会の審議はいつ延びるか分からないので、外務大臣の予定は何とか午後なら取れるだろうということで、私、午後の質疑でやらせていただきたいということを言ってこの時間にセットをしていただきました。で、外務大臣をお願いをしました。 昨日の夜の段階では、外務省は、何とか外務大臣は御勘弁いただきたいという話はありましたが、日程が入っているとか予定があるということは一切昨日説明がありませんでした。そして、そのまま、この委員会の表を見ていただければ、福山哲郎君のところにちゃんと岸田外務大臣に丸が付いております。どういうわけか、昼になったらこれ線が入っているんですね。 私は、外交案件その他、例えば外交防衛委員長のときも、それから外交防衛委員会の理事のときも、与野党共の理事をやりましたけれども、外務大臣が何かある場合には理由を聞いて、基本的には全部外交交渉ですから優先をさせていただいたつもりです。それは野党のときも与党のときも変わりません。 私は、真山理事に、いつ来れないと言われたんだとお伺いしたら、昨日の夕方だと。何で、昨日の夕方、今日外交防衛委員会がセットされているのに、予定がこの時間入るんですか。それで、更に言えば、予定があるというから、じゃ、何の予定か教えてくださいと、今日何度も何度も外務省にお願いをしました。私は、まともな予定ならば、それは私が外務大臣に質問できなくてもいいですから、予定を教えてくださいと。与党の筆頭は、予定があると、公務だと、それ一点張り。外務省からは予定は出せませんという形です。予定が出せないってどういうことですか。国会の審議よりも大事な予定があるんですか。 私は、外務省の外務副大臣もさせていただきました。国会の予定は最優先です。もっと言えば、もし省内の予定があった場合は、委員会で指名があれば、省内の予定ならば確実にそれをリスケします。それから、もし本当にこの時間に国際会議だとかいろんなイベントがあって、それに外務大臣が出なければいけない場合は、きちっとその委員の方に説明をして、この予定ですから何とかしてくださいとお願いに上がりました。 昨日の時点で何の予定も説明がなく、そして、今日の時点で公務だ、外交機密だと、そんな理由がありますか、与党の理事。それを、我が党の真山理事に、昨日の夕方の時点で来れないと。一体、誰の何の判断の情報で外務大臣がここに来れないような状況になったんですか。で、この場にあったら、外務大臣は、指名した外務大臣はいないのに、指名もしていない刑事局長はそこに座っている。何ですか、これは。 委員長、いろんな委員会の運営あります。難しいこともあると思います。御苦労も、多分野党がいろいろ言って御面倒もお掛けしていると思います。しかし、基本的には、委員長というのは公正中立に基本的にはやっていただかなければいけません。外務大臣をお呼びしたいという委員の希望、委員会が、もう外防委員会が終わった後、この場に、この条約は大切な状況でお呼びするという委員の希望を、こういう、昨日の夕方の時点でもう予定がある、そして、その予定は何だかと言ったら、全く示せない、こういう与党の説明の仕方で外務大臣が来られないということは、委員長、やっぱり僕は委員会の運営としては少しおかしいと思います。委員長におかれましては、是非、この委員会、公正中立にお願いをしたいと思います。 例えばで申し上げれば、安保法制委員会、大変もめました。しかし、あのとき礒崎補佐官が場外で不規則発言をして、それに対して当時の鴻池委員長は、憲政史上初めてこれはけしからぬと言って、補佐官を参考人として呼んでいただきました。委員長というのは、基本的には委員会が動いているときには公正中立で振る舞っていただきたいと思います。 私が、今日、外務大臣をお呼びしたいということは、日程も含めて全部私は理解をした上でお願いをしています。それが、野党の何らかの無理なお願いなのか、無理な要求なのか、そこのところも含めてお考えをいただきたいと思います。 是非、理事会において、今日の午後の外務大臣の日程について何であったか、それについてきちっと与党の理事から民進党の理事に対して提示をいただくように理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
○委員長(秋野公造君) 後刻理事会にて協議をいたします。
○福山哲郎君 本当はここで休憩して求めたいところですが、委員長が後刻と言われましたので、受け止めたいと思います。 それからもう一つ、私は別に、今日、本当は中身の話をしたかったんですが、ちょっと残念です。 安倍総理がニッポン放送で、番組の中でこの共謀罪審議について言われたときに、不安をあおるための議論を延々としているんだろうと思いますと発言をされました。総理は、この委員会に共謀罪の審議をお願いをしている立場です。院の権威として、与党も野党も関係ありません。この審議は、政府からお願いをされて審議をしています。そのときに、院外で、それもラジオで総理が、不安をあおるために議論を延々としているだろうという発言はやはり看過できません。これは院の権威に関わります。もっと言えば、参議院の法務委員会として、総理がこういったことを言うというのは、私は非常に問題だと思います。 委員長、そのことについては、法務委員会の委員長として、立法府と内閣は全く別でございますから、是非、委員長からは、総理に向けて遺憾の意をこの場でお伝えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○委員長(秋野公造君) この件につきましては、筆頭間の理事の協議に委ねております。(発言する者あり)この件につきましては、筆頭間の理事の協議に委ねております。
○福山哲郎君 済みません、委員長の委員長としての御発言を求めています。別に、安倍総理の院外の発言について理事で協議するものではありません。私は謝罪を今求めているわけでもありません。院として、法務委員会として、三権分立の中で、審議をしている最中の法案について、審議している与野党共ですよ、ひょっとしたら大臣も含めてですよ、不安をあおるための審議をしているみたいな話は、これはやっぱり総理としてはいけない、こんな発言をしてはそれはやっぱり不穏当だと私は思うので、委員長としてそのことについての御存念を御披瀝をいただきたいと思っています。
○委員長(秋野公造君) 福山君に繰り返し申し上げますが、この発言の取扱いにつきましては、筆頭間の理事の協議に委ねております。
○福山哲郎君 中立公平の立場ですからね、委員長ね。だからこそ外の内閣総理大臣のこの院外発言について、委員長としての意見をお聞かせくださいとお願いをしています。 これ以上御発言いただけないので、残念ながら仕方がありません。委員長に、じゃ、お願いします。是非、中立公正にこの委員会を運営することをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○委員長(秋野公造君) 中立公平に努めてまいります。
○福山哲郎君 今のお言葉を重く受け止めたいと思います。 中身に入ります。 国連の特別報告者の問題について、先ほども佐々木委員の方からいろんな御議論がありました。誤解に基づく、事実を誤認をしている、理解が足りない、まあいろんな見方があっていいと思います。しかしながら、国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・カナタチ氏の公開書簡に対して日本政府の見解は、お手元にお配りをしています、非常に辛辣な厳しい抗議であります。内容は明らかに不適切なもの、強く抗議を行った、何か背景があって出されているのではないかと口を極めて批判し、個人の資格で活動していると主張されました。私は、国連人権理事会の理事国として、本当に人権理事会の指名をした、任命をした特別報告者にこういった抗議文を送ることはいかがかなという気がしております。 一方で、先ほどからこの国連特別報告者はどういう人かということについて議論がありますが、二〇一〇年八月から二〇一六年七月まで国連北朝鮮人権状況特別報告者であったマルズキ・ダルスマン氏に対して日本政府はどのような対応をされていますか、お答えください。
○政府参考人(幸田徳之君) お答えいたします。 マルズキ・ダルスマン氏に対しましては、平成二十九年春の外国人叙勲におきまして旭日重光章を授与したところでございます。
○福山哲郎君 国連の人権状況特別報告者マルズキ・ダルスマン氏は、旭日重光章を今春受章されています。 また、国連人権理事会の前身である国連人権委員会において、一九九二年から一九九六年にミャンマー担当の特別報告者を務め、人権教育啓発センター理事長でもあった横田洋三先生と言ったらこれいいのかな、東大の先生でいらっしゃいます、国際法の先生でいらっしゃいますが、この横田洋三先生には政府はどういう扱いをされていますか。
○政府参考人(幸田徳之君) 横田洋三氏に対しましては、平成二十九年春の叙勲におきまして瑞宝中綬章を授与したところでございます。
○福山哲郎君 横田先生に対しては、今春やはり瑞宝中綬章を授章されているということを聞いています。 日本は、もちろん、マルズキ・ダルスマン氏に対しても横田洋三先生に対しても、ほかの多くの御貢献があったことは私は十分にあると思いますが、しかしながら現実に特別報告者に対して今春日本は旭日重光章と瑞宝中綬章を授与いただいています。これ、やっぱり非常に重たい役割ですよね、それは誰が何といっても。そして、何と、横田洋三さんは法務省の特別顧問もされています。特別報告者として活躍をいただいて、法務省の特別顧問もその後されていると。いかにこの特別報告者という仕事が、職務が重たい仕事であるということは御理解をいただけると思います。 外務副大臣、そういう役割ということでよろしいですね。重たい役割ということでよろしいですね。
○副大臣(岸信夫君) 特別報告者一般ということでよろしいですか。特別報告者は、各国の特に人権状況等について調査をし、その結果を人権理事会に報告することを任務の一つとしている独立の専門家でございます。 政府としては、特別報告者との有意義かつ建設的な対話を実現し、その報告が客観的で正確な情報に基づき正しい理解の下になされるよう、特別報告者に全面的に協力をしているところでございます。このような姿勢に今変わっているところはございません。
○福山哲郎君 その特別報告者の書簡に対して日本政府は、二枚目、お手持ちのお配りした二枚目のページを御覧ください。黄色で一応線を引かせていただいたのはこちらでございます。 「本件について、我が国としては、貴特別報告者が国連の立場から」、国連の立場からってこれ認めているんですよね。個人の立場だ、個人の立場だと言っていますが、書簡では国連の立場からと認めているんですよ。これ、全くこれもおかしいんですよ。「国連の立場からこのような懸念を表明することは差し控えて頂きたかった。貴特別報告者が海外にて断片的に得た情報のみをもってこのような懸念を示すことは、」云々云々、要は「内容を全く踏まえておらず、明らかにバランスを欠いており、不適切であると言わざるを得ない。」、随分厳しいことを言っているんですね、これ書簡で。「まずは、現在我が国で行われている議論の内容について、公開書簡ではなく、直接説明する機会を得られてしかるべきであり、貴特別報告者が我が国の説明も聞かずに一方的に本件公開書簡を発出したことに、我が国として強く抗議する。」と言っておられます。これ、結構強いですよ、言葉としては、外交的に言えば。 それで、それに対して、すぐにカナタチさんは、次のペーパーでございます、官房長官等の声明に対する反論ということで、一パラはいいですが、二パラ見てください。 私が日本政府から受け取った強い抗議は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、一つの点においても反論するものではありませんでした。この抗議は、プライバシー権に関する私が指摘した多くの懸念又はその他の法案の欠陥について、ただの一つも向き合ったものではありませんと。 そして、私はこの抗議を受けて、五月十九日の朝、次のような要望を提出しました。日本政府には、法案の公式英語訳を提供することが望まれます。そして、その下の下です。私の書簡で示唆しているものと同等のプライバシー権の保護と救済が含まれているのか又は他の法律によりカバーされているのかを示していただきたいですと。私は、私の書簡の内容について不正確であると証明されれば、当該部分については公開の場で喜んで撤回いたしますという反論まで来ているんですよ。 法案の公式英語訳、作ってカナタチさんにお渡しされましたか、外務省。
○副大臣(岸信夫君) まず、先ほど、今委員がおっしゃられた日本政府からの懸念表明について、国連の立場からということについての言及がございましたけれども、ここで申しますこの国連の立場からというのは、英文でいいますと、イン・ザ・ネーム・オブ・ザ・スペシャル・レポーターズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ネーションズ、すなわち国連特別報告者の肩書でという意味で用いたものでございます。同事務所にもそのとおり明確に伝達をしたところでございます。 一方で、英訳についてでございますが、これはまだ、法案自体の英訳という意味においては、これまで政府から提出された法律案全てにおいて逐次英訳を、その段階で英訳を行っているものではございません。今回のテロ等準備罪についても、まだ英訳を行っているものではございません。
○福山哲郎君 ということは、カナタチさんに公式の英訳は送られていないということでよろしいですね。
○副大臣(岸信夫君) 日本から公的に英訳を送ったことはございません。
○福山哲郎君 いや、先ほど佐々木委員が言われました、誤解に基づくとか、何らかの英訳が間違っていると、書簡が、英訳が間違っているとかいう御議論がありました。いや、それは一つの僕は御議論でいいと思います。でも、その書簡の前提にしたいろんな英訳が間違っているんだとしたら、相手側からこれだけ明確に求められているんだから、日本政府としては、まず国連代表部がカナタチさんに面会を求めて、正式な英訳はこうですと説明しに行くのが普通のことなんじゃないですか、副大臣。
○副大臣(岸信夫君) 先ほど申しましたとおり、一般に国会に提出中の法案については、逐次英訳をすることは政府として行っていないと承知をしておるところです。 その上で申し上げますと、テロ等準備罪処罰法案に係る対応ぶりにつきましては、我が国の取組を国際社会に対して正確に説明をする観点から、政府として追ってしかるべく対応してまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 国際社会に説明するべきを、追ってしかるべきに説明したいと。英語訳もないのにどうやって説明するんですか、副大臣。
○副大臣(岸信夫君) しかるべきタイミングをもってきっちり説明をしてまいりたいということでございます。
○福山哲郎君 これ、もう二週間以上たっているんですよ。何で相手側からこうやって、公式の英語訳を提供することが望まれますと、相手は公開の場で喜んで撤回するとまで言っているじゃないですか、自分が間違っていたら。 何で、事前の打合せとかがなかったから非常に遺憾だというふうによく言われるんですが、このカナタチ氏の書簡を、反論を見てください、一パラです。提案された諸施策について許容される十分な考慮もないままに法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況においては完全に適切だと、自分の書簡について言われています。 四パラです。日本政府は、これまでの間、実質的な反論や訂正を含むものを何一つ送付してくることができませんでした、いずれかの事実について訂正を余儀なくされるまで、私はこの書簡について、全ての単語、ピリオド、コンマに至るまで維持し続けますと。日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできませんとおっしゃっているんですよ。 これ、実はカナタチ氏も相当厳しい口調になっています。それは、当初の書簡は丁寧だったんですが、日本政府からの抗議が、何も答えずに抗議と怒りだったから、逆に言うとこういう反論になっています。 そして、次です。その抗議において、繰り返し多用する主張は、二〇二〇年の東京オリンピックに向けて国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにこの法案が必要だというものでした。 次です。しかし、このことはプライバシーの権利に対する十分な保護もないこの法案を成立することを何ら正当化することはありませんと言っているんです。 法務大臣、立法事実はTOC条約ですよね。そう何回も答弁で答えられていますよね。どうぞ。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御質問にお答えをいたします。 テロ等準備罪の処罰法案、本法案の整備の目標、目的、目的は本条約の締結にあるわけであります。そして、本条約を締結すれば、テロを含む組織犯罪の未然防止及びこれと闘うための国際協力が可能となると、ただいま申し上げたことにあります。
○福山哲郎君 だから、立法事実は条約ですよね。大臣は何回も実は委員会で答弁されているので、立法事実は条約だと言っていただければ結構です。
○国務大臣(金田勝年君) ただいま申し上げたとおりであります。
○福山哲郎君 委員会では大臣何回もおっしゃられているので、立法事実は条約でよろしいんですよね。イエスでいいです、イエスノーで。
○国務大臣(金田勝年君) 繰り返しになりますが、立法事実は整備の目的、本法案整備の目的でありますが、本条約の締結にあります。そして、この条約を締結することがテロを含む組織犯罪の未然防止及びこれと闘うための国際協力が可能になるということであります。
○福山哲郎君 今、立法事実はこの条約の締結だとおっしゃいました。 そうなんです。国連の条約を批准するために国内法が必要だと言ってこの議論をしているんです。その国内法に対して、その当の国連から特別報告者がこういった書簡を送ってきているんです。反論について、実はこのTOC条約を、法律を成立させることは何ら正当化するものではないと言っているんです。これ、非常に大きな問題です。 外務副大臣、追って説明すると。追って説明するというのはいつですか。
○副大臣(岸信夫君) 福山委員の御質問にお答えをさせていただきますが、まず、カンナタチ氏の公開書簡が発表されましたが、これは一方的な形でその見解を発表したということでございます。この法案を作成した当事者である日本政府からの説明の機会を聞くことなく公開書簡を一方的に、不公正かつ不適切であると、こういうふうに考えておるところでございます。 その上で、その上で、カンナタチ氏から反論がなされたわけでありますが、この反論については正式に日本政府に届けられたものではございません。今のところ、正式に届けられたものではございませんので、この反論に対して政府としてこの時点でまた反応するということは適切ではないと、このように考えておるところであります。
○福山哲郎君 反論しないのと追って説明するは全く相入れないんですけど。説明、もう一回。追って説明する、回答するという話と反論するのは適切ではないという話は両立しないんです。私の質問は、追って説明すると言われたのはいつかと聞いているんです。
○副大臣(岸信夫君) ですから、元々の公開書簡に対しては追って適切な時期、適切な形をもって説明をするということであります。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) もう一回質問してください。
○福山哲郎君 追って説明するというのはいつですか。向こう側は、これを早く成立させることに対する懸念があるから書簡を送ってきているんです。それに対して、こういう強い抗議を日本政府がしたことに対する反論まで来ています。そして、公式の英語訳を提供することが望まれますと、相手側からは英語訳を求められています。そして、もし自分に誤解があれば、間違ったことがあれば、公開の場で喜んで撤回するとまで言われています。 そうしたら、日本政府のやることは、まず英語訳を送り、ニューヨークの国連代表部から説明に上がり、そして誤解を解く。そして、その誤解を解いた上で、国民が納得する中でこの法案をどういうふうに扱うかを議論するのが筋なんじゃないんですか、外務副大臣。 追ってというのはいつか、明確にお答えください。
○副大臣(岸信夫君) 同氏の公開書簡に示された懸念や指摘事項については、現在政府内でその内容を精査しているところであります。国際社会から正しい理解を幅広く得るためにはどのような回答をすることが最も効果的かという点も含めて、具体的な対応について検討しているところでございます。 いずれにしても、我が国の取組を国際社会に対して正確に説明すべく、同書簡の照会事項について追ってしっかり我が国の立場を正式に回答する予定でございます。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) この際、政府側に申し上げます。 答弁は、質疑者の質問の趣旨を体し、簡潔明瞭に行われますように要請をいたします。
○福山哲郎君 じゃ、今委員長が注意をされたので、もう一回お伺いします。 追って説明するというのはいつですか。もう三週間たっています。相手は公式の英語訳を求めていますが、先ほどの話ではいまだに作っていません。国際社会に理解を得るために説明をすると言うけど、公式の英語訳もなく、どうやって説明するんですか。 追ってというのはいつか、明確に、まあ日時とは言いませんが、めどの日付、めどの期間をお知らせください。
○副大臣(岸信夫君) 今この場で明確な時期、日時というものを示すことはできませんけれども、適切な時期にやりたいと思っています。
○福山哲郎君 なぜ説明できないんですか。なぜ理由を説明できないのか、明確にお答えください。
○副大臣(岸信夫君) 先ほどからの繰り返しになって申し訳ございませんが、国際社会に正しい理解を広く広めていくために、広く得ていくためにどのような回答をすることが最も効果的かという点も含めて、しっかり検討をした上で回答してまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) 聞こえましたか。 岸副大臣、もう一度御答弁をお願いいたします。
○副大臣(岸信夫君) 回答の時期について今こちらで明確にお話しすることはできませんけれども、国際社会から正しい理解を得るために、広く得るためにどのような回答をすることが最も適切か、効果的かといった点も含めて、具体的な対応を検討しているところでございます。その上で、追ってしっかり我が国の立場を説明してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 ごめんなさい、じゃ、誰と誰が検討しているんですか。それで、いつ結論出るんですか、いつ追って説明する。 分かりました。追って説明する時期は今検討中だと。誰と誰が検討して、いつ説明をするかをいつ決めるのか、教えてください。
○副大臣(岸信夫君) 政府内において関係者、関係機関が検討しているところでございます。(発言する者あり)
○福山哲郎君 委員長、さっき公正中立とおっしゃったんですよ。(発言する者あり)いや、うるさい、うるさい。とにかく、同じ御答弁を何回も繰り返すんだったら、とにかくそれは注意してください。そこはお願いします、委員長。 僕は別に、今これ大事なことですからね、国連との関係でいえば。だからこういう質問をしているので、別に野党、与党関係ないでしょう。これ、この国が国連との関係を、どういう関係を持つかというすごく重要なポイントですからね。あれいつ説明するのかって重要じゃないですか。 じゃ、提案します。いわゆる法案の公式英語訳、まだ作っていないようですので、これ、法案の質疑をしている我々の立場でいえば、このカナタチさんのこういう主張がある中で、一日も早く政府がカナタチさんに説明をしていただきたいと考えるのは当たり前のことだと思います。是非、この法務委員会の理事会で、このカナタチさんに法案の公式英語訳を外務省に提供するように理事会で議決をいただけませんか。いかがですか、委員長。
○委員長(秋野公造君) 後刻理事会にて協議をいたします。
○福山哲郎君 よろしくお願いいたします。 当たり前のことです。これが院の役割だと僕は思いますよ。だってやらないんだから。それで、国会の中で、誤解だとか事実誤認だとか言っても、だって英語訳渡していないんだから、相手はくれと言っているんだから、そのことについてやっぱりちゃんとやらなきゃいけないと思いますよ。 次に、お伺いしますが、じゃ、今度、五月二十七日、この書簡のやり取りの後、安倍総理がグテーレス事務総長と会談をされたと聞いております。いつ、どういう状況で、どういった場所で何分間会談をしたのか、お答えください。
○政府参考人(水嶋光一君) お答えいたします。 総理とグテーレス事務総長の懇談は、各国首脳等との写真撮影の後、十一時五十四分から約十分間、会場の中庭にて着座して実施されたというふうに、会場の中庭にて着座をして実施をしたというふうに承知をしております。
○福山哲郎君 ありがとうございます、御丁寧に説明いただいて。 実はこれ、国連事務総長って、会場の中庭と、総理の会談、会談というよりかは、中庭で十分ですから、基本的にはよくある立ち話に少しちゃんと席に座ってやり取りするやり取りだと私は考えています。 それで、これで、お手元にお配りしている資料を御覧ください。グテーレス国連事務総長との懇談という外務省が発表したものがあります。線は私が引いております。慰安婦の問題は、私は中身については了としておりますが、少し議論があるのでこれは後でします。 最後のパラです。安倍総理から、国際組織犯罪防止条約の締結に向けた日本の取組につき説明しました。この関連で、先方は、人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は、必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました。先方はですよ、これ。 次を見てください。次はグテーレス事務総長の基本的な、国連のプレスリリースです。最後です。僕は英語は苦手ですが、これはどう見ても、特別報告者について、これは個人として人権理事会に直接レポートを出す人ですという、専門家だと書いてあって、ここに、その主張は必ずしも総意を反映するものではない旨述べました、これは入っていません。これ、通訳はメモを取っていたのかどうか、ブリーフは誰が行ったのか、そしてその横に同席していたのは誰か、お答えください。
○政府参考人(水嶋光一君) この総理とグテーレス事務総長との懇談ですけれども、外務省といたしましてやり取りは把握しておりまして、記録は作成しておりますけれども、外交上のやり取りでありますので詳細を明らかにすることは差し控えたいと思います。 また、首脳レベルの懇談でもあり、その場の同席者ということについても詳細は差し控えたいと思います。 また、この懇談につきましては、短時間での懇談でもありましたので、記者ブリーフという形ではなく、報道関係者に張り出しという形で情報を配付したということでございます。
○福山哲郎君 私は、同席者を言えない外務省のお立場は理解をします。短い懇談だということを正直に水嶋さんが言っていただいたことについては多とします。そしてなおかつ、ブリーフはせずに、つまり張り出しでした。たった十分です。通訳入れたら五分ずつです。 これ、冒頭を御覧ください。安倍総理は北朝鮮情勢についてこれだけの発言をされています。これ、日本語でしゃべって、それから英語です。その後、慰安婦問題についての話です。これも実は、この張り出しでは、同合意について賛意を示すとともに歓迎する旨述べましたと、先方が賛意と歓迎する旨述べたと言われていますが、国連側の発表にはそのことについては書かれていません。慰安婦の問題は、私は、日韓合意について、その実施の重要性について安倍総理の言っていることを多とします。しかし、事務総長が賛意を示すとともに歓迎する旨述べましたというのはありません。 先ほど水嶋さん言われたのは全く正しくて、首脳レベルの会談は相手のことがあるので外交上のやり取りは余り明らかにできません。しかし、ブリーフのときには一定のルールがあります。それは、こちら側が発言をしたことは詳しめに書いていい、しかしながら、向こう側の発言については余り書かない。それは向こう側が発表することだと。それで両方の立場をお互い確認をし合うというか、そこでお互いの外交的なポジションを確認し合うというのが外交です。 なぜ私がこんなことを言っているかというと、私は官房副長官のときに総理の首脳会談に六十六回御一緒して、ほとんど全て外務省の広報官と協力をして私ブリーフをしました。ですから、そのときの状況も含めてこれは非常に違和感がある。 なぜなら、日本の張り出しは、安倍総理は日韓合意について、その実施の重要性を指摘したところ、先方は、について賛意と歓迎、その次、TOCについて取組につき説明しました。これ、すごい簡略ですよね。ところが、相手は必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました。これ両方とも、こういうものについては国連の発表にはないんですね。 これ、どういうことですか。普通、逆でしょう。安倍総理はTOC条約の締結に向けて、日本のこうこうこうこう、こういうことだと。さっきまさに岸外務副大臣が言われた、このTOC条約の意義を述べたと言って、それに対して事務総長が何としたかは別にして、答えるなら別にして、相手側のことについてはこんな詳しく書いて、総意を反映するものではない。これ本当に、国連の特別報告者のことについて総意ではないみたいなことを言うんですか、総長が。もし言っているとしたら、安倍総理は、総意ではないですよねと相手に聞かない限りはこう答えないですよ。ということは、安倍総理にそんなみっともない質問をさせたんですか、外務省は、官邸は。 十分の、通訳入れたら五分五分のやり取りで、北朝鮮の一番最も大切な、今日もミサイルが飛んで言語道断だと思いますが、やり取りをこれだけ長時間やった後に、本当にこのTOC条約の書簡についてこんなに細かく総理は事務総長に言ったんですか。どっちでもいい、外務省、答えてください。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 会談の内容につきましては既に発表したとおりでございます。細かい詳細なやり取りにつきましては、外交上のやり取りでございますので詳細については差し控えたいと思います。
○福山哲郎君 細かいやり取りについては差し控えたいのに、何で国連の総意を反映するものではない旨述べましただけ細かく書いてあるんですか。 これ、公文、情報公開しますよ、情報公開請求。本当に安倍総理がどういうことを言ったのか、そして国連事務総長がどういうことを言ったのか、副大臣、本当に安倍総理は、総意ではないですよねって、そんなことを、この北朝鮮の問題を抱えて国連安保理決議をこれから履行していただかなければいけないというか、履行しなければいけない国連の場でこんなこと、細かいことを総理が言ったんですか、副大臣。
○副大臣(岸信夫君) プレスリリースの内容につきましては、それぞれの立場から必要な範囲で公表を行ってきているところでございます。福山委員もよく御存じのとおり、外交上のやり取りでございます。そういう意味で、このプレスリリースの発表以上の詳細については差し控えたいと考えておるところでございます。
○福山哲郎君 野上副長官、本当にこんな発言したんですか、総理、細かいこと。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 今、岸副大臣から御答弁があったとおりでありまして、外交上のやり取り、これは詳細は差し控えさせていただきたいと思います。 会談の内容については、今このプレスリリースで発表したとおりであります。
○福山哲郎君 じゃ、先ほど書簡に対して、日本政府は非常に、非常に厳しく抗議をしましたけど、総理もこの書簡に対する日本政府の抗議と同様に、事務総長にカナタチ氏は事実誤認でけしからぬという抗議をしたのかどうかだけお答えください。
○政府参考人(水嶋光一君) 御質問の点も含めまして、外交上のやり取りでありますので、詳細については差し控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 これ、外交のやり取りは、自分が発言したことは、我が国が発言したことについては詳しめに書いてもいいんです。だって、自国の主張をするわけだから。でしょう。これだけ抗議をしているんだったら、抗議をしたと書けばいいじゃないですか。 抗議したんですか、どうですか、副大臣。
○副大臣(岸信夫君) これは何度も繰り返しになりますけど、おっしゃるとおり、我が方の発言等については我が方の判断で発表するかどうかの判断を行っているところであります。 プレスリリースの内容、先ほども申したとおり、それぞれの立場から必要な範囲で公表を行っているところでございますが、その上で、更なる詳細についてはどのようなやり取りがなされたかについて公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 全くもって納得できない。 これね、張り出しですよ。事前に用意していた紙かもしれないんですよ。本当のやり取りかどうかだって分からないんですよ、証明できないんですよ。それで、これが全く裏取りもなくメディアに流れるんです。そして、このカナタチさんの主張が国連の総意を反映するものではないということが流れるわけです。 やっぱりこういうのは良くないと思いますよ、国連の関係でも。だって、国連はこれ全部やり取り分かっていますよ。これ、みんな、事務総長だって、国連の人権理事会だって国連の事務局、全部回っていますよ、このやり取りのメール。 それで、この条約を批准することが、この法案を通して条約を締結することが立法事実だと法務大臣が言われる。これはやっぱりちゃんと説明しなきゃ駄目でしょう。法務大臣、法案責任者として国連に説明しなきゃいけないでしょう、外務省にばっかり任せておかないで。俺はこれ今頑張っているんだからちゃんとこんな誤解ないように早く説明しろって、法務大臣として言うべきじゃないですか。
○国務大臣(金田勝年君) 今までの議論を聞いておる中で、ただいま私に質問がございました。 御承知のように、この国連の問題、カンナタチさんのこの書簡の問題につきましては、今までも一生懸命答弁をされてきた方々が外務省であることは御存じのとおりでありますし、その外務省の所管の問題であります。したがいまして、私は、今までの外務副大臣の答弁されたことが政府としての見解である、このように受け止めておりまして、法務大臣としてここで更に申し上げることはありません。
○福山哲郎君 実は、書簡に対する回答も早く送っていただきたいんですよ。本来は書簡同士じゃないですよ。先ほども言ったように、ちゃんと国連代表部がカナタチさんにお目にかかって説明するべきなんですよ。それを何でやらないんですか、副大臣。もう不思議でしようがない。すぐに行きゃいいのに。何でやらないんですか。
○副大臣(岸信夫君) このカンナタチ氏の書簡に対しては、その書簡が公開という手続を取られる前に、我が国の立場、また、この法案の内容について正確に理解をしていただくために説明をする準備があるということは先方に申し上げたところでございますが、その上でカンナタチ氏はこの公開書簡を発表した、されたわけでございます。そういうことで、我々はそのことに対して強く抗議を申し上げた次第でございます。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) 福山哲郎君、もう一回質問してください。(発言する者あり)もう一回質問してください。
○福山哲郎君 何で代表部はすぐに説明に行かないのかと聞いているんですよ。理由をお願いしているんです。
○副大臣(岸信夫君) まず、この同氏の公開書簡に示されております懸念、また指摘事項については、その内容を今精査をしているところであります。国際社会から正しい理解を幅広く得るためにどのような回答をすべきかと、することが最も効果的かということも含めて、具体的な対応について検討しているということでございます。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) お望みの答弁が出るように質問をお願いいたします。(発言する者あり)
○福山哲郎君 いや、もう時間がもったいないので。これ、実はずっと長く続きますよ。これ早くちゃんと英訳送ってくださいね。まさか、あれですよね、こんな早い拙速な審議で、この法案を通すことに対する懸念を持って書簡を送ってきてやり取りをしている国連の特別報告者の方に、説明も、相手が求めている英訳も送らないままこの法案通すなんてあり得ないですよ。あり得ないですよ、そんなの。追って説明すると。それ、どうですか。それあり得ないでしょう、普通で考えれば。法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 議論をお聞きしておりますが、様々なお話をされた福山委員が、最後に、外務かなと思うと法務大臣と、こう来るので、ここのところは、やはり今言われたのはこういうことかなというふうにもう一度復習しなければいけない。これは所管が外務省であるということは申し上げたとおりであります。 ただ、その上で、その上で申し上げます。外務副大臣において答弁されたことが政府としての見解であります。したがって、したがって、法務大臣として更に申し上げることはございません。
○福山哲郎君 違う違う、副大臣に質問したのとは違う質問をしているんです。もう一回聞いてくださいね。 これだけカナタチさんから書簡が来てやり取りしている。向こうは、英文、英訳を送ってくれ、説明が欲しいと言っていると。それは説明しなきゃ。相手は、法案を、この説明、こんなに早く通してはいけないと言っているんだから、まず説明して、英訳を送ってからきちっとその上で、相手の誤解を解いた上でこの法案を通すべきだと思いますが、そうですよねと聞いているんです。
○国務大臣(金田勝年君) 私たちも、このように我々のチームで動いている部分はありますので、その点は御理解をください。 その上でお答えをします。 外務副大臣が答弁をしたとおりではありますが、カンナタチ氏のその公開書簡に示された懸念や指摘事項につきましては、現在その内容を精査するとともに、具体的な対応について検討しているところであると……(発言する者あり)答弁をしておりますから、聞いてください。 いずれにせよ、我が国の取組を国際社会に対して正確に説明をすべく、この書簡の照会事項につきましては、追ってしっかりと我が国の立場を正式に回答する予定であると、そのように承知しておりますし、先ほどから答弁をされていると、このように受け止めております。
○福山哲郎君 いや、もう本当に同じような答弁ばっかりで、私はもう、ちょっと本当にあきれます。 がらっと変えます。全く実は衆議院側でも余り議論なくて、参議院側でやっと議論が始まったところの六条の二の二についてお伺いします。六条の二の二の不正権益は何ですか、大臣。
○大臣政務官(井野俊郎君) 定義でございますので、私の方からお話、御説明申し上げます。 不正権益とは、組織犯罪処罰法第三条第二項に規定されております、「団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正な行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきもの」というふうに定義をされております。
○福山哲郎君 この六の二の二によるテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、不正権益を維持し、その計画をした者は、組織的犯罪集団ではありませんよね。法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御質問の部分、技術的、細目的部分でありますから、これについては刑事局長から御答弁をさせます。(発言する者あり)
○政府参考人(林眞琴君) この第二項のテロ等準備罪について、これについては身分犯という構成は取っておりません。したがいまして、組織的犯罪集団の構成員でない者であってもテロ等準備罪の主体とはなり得るわけでございます。 しかし、この第二項のテロ等準備罪につきましては、組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持、拡大する目的で犯罪の実行を計画することが必要な罪でございますので、そのような目的で犯罪を実行することができる者に限定されているわけでございます。 そして、不正権益とは、この団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力でありまして、当該団体の構成員による犯罪その他の不正行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきものということを意味しますので、組織的犯罪集団の構成員や、あるいは組織的犯罪集団と密接に関連して行動を共にしている者以外の者がこういった犯罪行為を行ったといたしましても、組織的犯罪集団又はその構成員が継続的に利益を得ることができる、例えばこの不正権益として縄張というものがございますが、そういった不正権益、縄張などを得ることにつながるわけではございませんので、その行動により組織的犯罪集団に不正権益を得させることをすることはできないと考えます。 したがいまして、この第二項のテロ等準備罪の主体についても、身分犯の構成は取っておりませんけれども、組織的犯罪集団に不正権益を得させるなどすることができる者、すなわち、組織的犯罪集団構成員はもとよりでございますが、その組織的犯罪集団と密接に関連して行動を共にする者などに限定されていると考えております。
○福山哲郎君 いやいや、だから、六条の二の組織的犯罪集団も含むかもしれないけど、それ以外もいるということでいいんですよね。 イエスかノーかで答えてください。もう、あなたの説明長いだけなの。分かりやすくやってください。はい、どうぞ。
○政府参考人(林眞琴君) この第二項のテロ等準備罪は身分犯の構成を取っておりませんので、組織的犯罪集団の構成員以外の者としては、組織的犯罪集団と密接に関連して行動する、行動を共にする者、こういった者がこの主体となり得ると考えております。
○福山哲郎君 ごめんなさい、それは最近よく出ている組織的犯罪集団の周辺と同義語ですか、今の密接というのは。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団の目的でありますとか、あるいはその組織構造を知っている者でなければこの犯罪を犯すことはできませんので、そういった意味で、周辺の者あるいは関わり合いのある者という意味でございます。
○福山哲郎君 ということは、組織的犯罪集団の構成員ではない関わりのある者ということですよね。ということは、それは逆に言うと、組織的犯罪集団の構成員ではない者だということでよろしいですね。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団の構成員以外の者で、その関わり合いのある者、周辺の者ということで、主体になり得る者として今説明をさせていただきました。
○福山哲郎君 これ、六条の二の二は、今までは組織的犯罪集団の構成員だけが捜査の対象になる、一般人はならないと言っているんですけど、二の二に来ると、いきなり組織的犯罪集団に関わる者、周辺の者、密接な者という形になるんです。これに対する限定は全くありません。これは全然、誰が、どこに、どういう状況か分かりません。この実は六条の二の二は本当にまだまだ実は論点満載ですが、実はこれ、まだほとんど議論されていないので、これからこの委員会の中でより詰めていきたいと思いますが。 例えば、組織的犯罪集団の、今、周辺と、関わり合いのある者と、それから密接に関連した者と言われましたが、それはどういう人を言うんですか。この六条の二の二の例を、具体的な事例を挙げてください。大臣、大臣。
○政府参考人(林眞琴君) 六条の二第二項の事例、例えば、ある薬物密売組織のAが、ある町のある地区での薬物の密売を行っていたところ、別の薬物密売組織のBが当該地区における薬物の密売を企てたことから、この薬物密売組織のAの構成員らが、ある町のある地区における薬物密売利権を維持するために薬物密売組織Bの構成員らを殺害するようなことを計画したような場合、こういったような場合がこの六条の二第二項の事例として考えられます。
○福山哲郎君 今の例は、密売組織AがBのメンバーを殺害する計画を企てたと今局長言われましたね。イエスかノーかで答えてください。
○政府参考人(林眞琴君) 六条二項の適用される事例として答えました。(発言する者あり)六条の二の第二項の事例として説明いたしました。
○福山哲郎君 薬物密売組織のAがBを、自分の権益を侵すとしてAがBを殺害する計画を立てたとおっしゃったんですよね。どうぞ。
○政府参考人(林眞琴君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 それだったら六条の二じゃないですか。それだったら六条の二じゃない。二の二じゃないじゃない。 もっと言えば、それは、共謀罪じゃなくたって殺人の予備でいけるじゃない。それ別に今の六の二の二じゃ、事例じゃないじゃない。今、六の二じゃない、百歩譲って、百歩譲って。計画したのは、だってAなんでしょう。Aだったら、Aは六条の二の組織的犯罪組織じゃない。そうでしょう。今のは六の二の二の事例じゃないですか。もっと言えば、今のだったら殺人の予備でいけるじゃないですか。共謀罪要らないじゃないですか。 どうですか、局長。
○政府参考人(林眞琴君) 六条の二の第一項といいますのは、団体の、組織的犯罪集団が団体の活動として組織により行う犯罪実行を計画するという形で構成要件がございます。一方で、この六条の二の第二項というものは不正権益、これを維持する又は拡大する目的で、目的で行うその犯罪の計画というものをいいます。そういうことで、今、不正権益を維持あるいは若しくは拡大する、その目的で行われる六条の二の二項の事例を挙げさせていただいたわけでございます。
○福山哲郎君 不正権益を維持する目的は今のAとBどっちですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今の例でいきますと、この不正権益は薬物密売組織が持っている不正権益、自らがそのある地域でこの薬物密売組織というものを行うということの不正権益を、これを別の薬物密売組織Bが脅かすというような事例を今挙げさせていただきました。 そういった場合に、この脅かされる側の、要するに薬物密売組織のAの構成員らがこの不正権益を維持するという目的で、あるいは拡大する目的で殺人というものを計画したという事例として挙げさせていただいたわけでございます。
○福山哲郎君 今のは両方たまたま組織的犯罪組織の事例を出しているだけで、この二の二は、テロリズム集団、犯罪組織に不正権益を維持させなんですよ。六の二の二の組織的犯罪集団に何らかの不正権益を維持して目的する、別のこれが組織的犯罪集団かどうかは分からないですよね。さっき言ったとおりだ。関わっている者もいれば、関係する者もいれば、それがどういう人か、これが組織的犯罪集団だという限定なんて、この法案何にもないじゃないですか。 これ二項行くと一気に広がるんですよ。それもう組織的犯罪集団の構成員ではないと先ほど明確に局長言われた。つまり、今までは六の二の組織的犯罪集団の構成員が一般人かどうかという議論になったけど、六の二の二に行くと一気にその幅は広がるんです。 これ、これまで、これからもずっとやり続けなきゃいけない論点で、これまだ衆議院でも全然やっていませんのでこの委員会で引き続きやりたいと思いますし、今日、残念ながらなかなかきちっとした答弁いただかなかったので、本当にやりたかったことができなかったので、本当に残念に思っています。もっと誠実な答弁をしていただきたいと本当に思います。 それから、もうあと二分しかないので。TOC条約の立法ガイドを執筆したパッサス氏が、このTOC条約はテロ防止を目的としたものかという質問に対して、明確にですよ、立法ガイドは衆議院、参議院の、参議院はなかったかもしれませんが、衆議院の委員会では、立法ガイドは、外務省はその立法ガイドを基に答弁をされていますが、その立法ガイドを執筆したパッサス氏が、TOC条約はテロ防止を目的としたものかという質問に、違う、明確に答えています。この条約は組織的な犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際的な犯罪が対象。次です、条文にそう明示したのは、次です、テロを対象から除外するためだと言っているんですよ。分かりますか。この条約で組織的な犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際的な犯罪が対象としたのは、そう明示したのはテロを対象から除外するためだと言っているんですよ。これ立法ガイド者がこう言っているんですよ。 このことについては、法務大臣、どう思われますか。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの点につきましては、外務省の、所管省庁から答えていただきます。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) どなたがお答えになりますか。──福山哲郎君。
○福山哲郎君 いやいや、だから、条約が立法事実だと言っているから法務大臣に聞いたんじゃないですか。そうしたら、いきなり外務省に振ってくださいと。 じゃ、外務副大臣、どうですか。
○副大臣(岸信夫君) まず、一般論といたしましては、国際的な組織犯罪とテロ活動の間には強い関連性があるということが指摘をされているところであります。この国際組織犯罪防止条約の起草に向けた交渉段階に、交渉過程においても、対象犯罪を具体的に列挙すべきではないかという議論の中で、テロ活動がその対象になっておりました。 本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段である、必要な法的枠組みであるということが指摘をされたところでございます。その後も、アルカイダによる九・一一のテロ等も発生をしたところでございます。 今日、国際社会において、テロ行為そのものへの対処に加えて、テロ行為を可能にする資金源を断つことがテロの最終的な根絶に向けて効果的な方策というふうになっているところでございます。こうした政府の認識について、国連安保理テロ対策委員会の事務局のラボルド事務局長は、国際的な組織犯罪とテロ活動の間に強い関連性があることは明白な事実であるということを指摘した上で、本条約とテロ対策との間に強い関連性があるとの政府の見解に同意をしているところでございます。
○福山哲郎君 お伺いしたことに答えていただきたいと思います。 後でお示しをしますが、二〇〇三年に外務省の当時の条約局の人がジュリストに論文を執筆しています。このTOC条約に関する論文です。私は正直に申し上げます。この外務省の方は、きちっと私の個人の意見だと書いてありますが、二〇〇三年です。今もおっしゃられた九・一一の後です。九・一一の後に書いた、外務省の条約局の職員が書いた論文にテロという言葉は一言も出てきません。 外務副大臣、どうですか。後でその論文はプレゼントします。
○副大臣(岸信夫君) 今、福山委員が例示されましたそのレポートについては私もこれまで接しておりませんので、そのことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 テロだテロだと言いながら、テロが目的ではないということを国連のいわゆる立法ガイドを作った方が明確に述べている。外務省は、二〇〇三年に外務省の職員がきっちりジュリストにテロということを一言も書かないでこの条約の説明をしている。そして、国連からこういった書簡が来ていることに関して日本政府は非常に今不誠実な態度を取っていると私は思いますよ。このことについてきちっとやっぱり整理をしてもらわないと。そして、論点は山ほど残っています。是非この法務委員会、充実した審議をやっていただくことを委員長にもお願いをし、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
○委員長(秋野公造君) ちょっと待って。東さん、ちょっと待ってください。 傍聴席に申し上げます。傍聴席の方は御静粛に願います。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 先週の質疑に引き続き、ちょうど質問しているところで時間となりましたので、その続きから質問させていただきたいと思います。 それは振り込み詐欺のことについてでありますけれども、最近の報道でもありました。振り込み詐欺の件数、被害金額、こういったものが出ておりました。御存じのとおり、こういった詐欺でありますけれども、引っかかるというか、被害に遭う方は高齢者の方がやっぱり多くて、老後の生活資金がなくなってしまうということで、本当に深刻な問題だというふうに思っています。先週の参考人質疑でも、このテロ等準備罪の必要性だと、必要があるという中で、この振り込み詐欺も一つの理由におっしゃられておりました。 そういったことで、今回のテロ等準備罪についてですけれども、組織的犯罪集団の例としてよくこの振り込み詐欺集団が挙げられるわけですけれども、まず、還付金詐欺を始め、振り込み、振り込め詐欺の被害状況からまずお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(高木勇人君) 振り込め詐欺を始めとします特殊詐欺の認知件数についてでございますけれども、平成二十二年以降増加を続けており、昨年は一万四千百五十四件でありました。被害額は、二十一年以降増加を続け、二十六年に約五百六十六億円と過去最高を記録した後、二年連続で減少したものの、なお昨年も約四百八億円と、一日当たり一億円を超える被害が生じております。 昨年、手口別に見て増加が大きかったのは、医療費の還付等を装ってだます還付金等詐欺であり、認知件数で約五五%、被害額で六七%の増加でありました。また、六十五歳以上の高齢者が特殊詐欺の被害者に占める割合は約八割と、高い状況にございます。
○東徹君 この被害件数、被害金額を見て本当に驚くわけですけれども、これだけ振り込み詐欺、還付金詐欺に対して気を付けろ、気を付けろというふうな広報なり活動なりされている中で、四百八億円、直近で四百八億円の被害額ということですから、非常にこれ深刻な問題だというふうに思っています。 今、六十五歳以上の被害に遭われた方が約八割を占めるということでありますから、これ、高齢者の方が今まで一生懸命お金をためてきて、ためてきたお金が、六十五歳を過ぎて、いろんな振り込め詐欺とか還付金詐欺、そういった被害に遭ってお金を取られてしまうという、こういったことも本当に許せない事件だというふうに考えておりまして、こういった、組織犯罪だというふうに思うわけですが、これこそ処罰していかなくてはならないというふうに思うわけですが、この振り込め詐欺の被害は高齢者を中心にこれどんどんと大きくなっているわけですけれども、率直に、今回のテロ等準備罪がこの振り込め詐欺による被害を抑える手段になるのかどうか、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(高木勇人君) 特殊詐欺は、リーダーを中心にメンバーが役割分担をして組織的に実行されるものであり、これを撲滅するためには、犯行グループの検挙を徹底することが不可欠であると認識をしております。 個別事件の検挙につきましては具体的な証拠等に基づいて判断することとなりますが、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が実行する組織的詐欺についても計画及び実行準備の段階で検挙を可能とするものでありまして、特殊詐欺の未然防止にも役立つものと考えております。
○東徹君 この特殊詐欺の未然防止にも役に立つという御答弁でございました。是非とも、この特殊詐欺をやっぱり許してはいけないわけでありまして、是非このテロ等準備罪でもってこの特殊詐欺を未然に防いでいっていただきたいという思いでありますけれども、仮にこのテロ等準備罪が既にこれは創設されていた場合、過去に具体的に防げた犯罪があったと考えられるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(高木勇人君) 犯罪の成否は具体的な証拠等に基づいて判断されるべきものであり、仮定のお尋ねに対するお答えは困難でございますけれども、そのことを前提にあくまで一般論として申し上げれば、テロ等準備罪は組織的犯罪集団による犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰を可能とするものとして立案されているものというふうに承知しておりまして、先ほどお答えした特殊詐欺など、実行着手前の検挙によって結果発生の未然防止ができた事案もあり得るものと考えております。
○東徹君 これ、一般的にというお答えでありますし、あり得るものというふうにお答えになられたわけですけれども、私は、やっぱりここを具体的に、この事件についてはこのテロ等準備罪があれば処罰することができた、未然に防ぐことができたという事案というものを、やっぱりしっかりこれ検証した方がいいのではないかというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○政府参考人(高木勇人君) 繰り返しになって大変恐縮でありますけれども、犯罪の成否というのは、最終的に個々具体的な証拠に基づいて判断されるべきものというふうに考えておりますけれども、今回のテロ等準備罪については、実行着手前での検挙、処罰を可能とするものとして立案されているものというふうに承知をしております。
○東徹君 是非そこは次回ちょっとお聞きしたいなというふうにも思っておりまして、具体的に、このテロ等準備罪があれば、こういった事件、未然に防げたといったケースを是非お示しをいただきたいと思います。一日一億円の被害が出ているというのは、これはもう放っておけることにはならないわけでありまして、是非こういったことを未然に防ぐ、防げるというわけでありますから、その点のところもお示しをいただきたいというふうに思います。 続きまして、次の質問に移らせていただきますけれども、衆議院による修正で、改正法案の第六条の二の第三項に親告罪の取扱いというものをこれは明記されました。この親告罪の取扱い、刑事訴訟法二百三十条、「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。」という二百三十条との関係で、告訴権者は誰になるのか、狙う相手も不特定のときは一体どうするのか、告訴権者がいない親告罪になるのかというふうな意見もありますが、この点について見解をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の実行を具体的かつ現実的に合意することをいいます。一般に、具体的かつ現実的な合意と認められるためには、仮に概括的にではあっても被害者が特定されていることが必要であると考えます。 したがいまして、そうした場合、捜査機関において事案に応じて適切にこの告訴権者を特定し、その告訴意思を確認していくと、そういうことになるものと考えております。
○東徹君 告訴権者を確認しということですね。 それでは、TOC条約についてお伺いをしたいと思います。 先日の参考人質疑にもお越しいただいた中で、毎日新聞に、TOC条約の締結で犯罪人の引渡しや捜査共助が容易になるというけれども、死刑制度がある日本には重大な罪を犯した犯罪人の引渡しに応じない国もある、どれだけ協力が得られるかは不透明で、政府の説明はまやかしであるとの意見がありました。 他国においては死刑制度ある国もあるわけですけれども、例えばアメリカのように死刑制度のある国では、TOC条約を締結しておりますけれども、死刑制度のある国は捜査共助や犯罪人の引渡しの協力、こういったものが得られていないのかどうかを含め、意見に対する政府の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 一般に申し上げますと、我が国が外国に対して逃亡犯罪人の引渡しを請求した場合、当該請求を受けた国の対応は、適用可能な条約の有無、また当該国の法制度やその運用などにもよるものであり、一概に述べることは困難ではありますけれども、日本におきまして法定刑に死刑が含まれているということをもって一律に我が国からの引渡し請求を拒否するものではないというふうに理解をしております。 むしろ、我が国が本条約を締結した場合には、本条約の締約国から犯罪人引渡し、あるいは捜査共助の刑事司法上の協力を得ることが可能となる範囲が拡大をし、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と闘う上で大きな意味があるものと考えております。実際、今御指摘がございました米国におきましては、本条約を二〇〇五年に締結をして以来、この条約に基づいて、これまでに二百回近くの犯罪人引渡し請求を行うとともに、三百回以上の捜査共助を実施したというふうに承知をしております。 したがいまして、死刑制度のある国は犯罪人引渡しや捜査協力において十分な協力が得られていないのではないかといった懸念は必ずしも当たらないというふうに考えております。
○東徹君 それでは、次の質問に移らせていただきます。 組織的犯罪集団について伺いますけれども、これまでの委員会質疑におきまして、この組織的犯罪集団、何度もこれ質問されておりますが、組織的犯罪集団かどうか、これ認定する上で、その団体が過去に団体の活動として犯罪を行っていたかどうか、ここが重要な考慮要素になるという答弁でありました。 そこで、事例を想定してお伺いをしていきたいというふうに思います。例えばでありますけれども、幼稚園を運営している学校法人の理事長が、理事長の妻である副理事長などとともに、行政から補助金を不正に多く受け取るために複数年度にわたって反復継続して補助金の算定基礎となる数字を虚偽のものを使って申請して、実際に本来の額よりも多くの補助金を受け取っていた場合、補助金の詐欺に当たる可能性があるわけですけれども、こういった場合、幼稚園を運営している場合でも組織的犯罪集団にこれは該当するのかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団とは、この組織的犯罪処罰法上の団体のうちで、結合関係の基礎としての共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいうわけでございます。そして、このある団体について、この結合関係の基礎としての共同の目的が何であるか、この認定の問題でございますが、これは特定の活動をしていたか否かだけで判断されるものではなくて、継続的な結合体全体としての活動実態等から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかどうか、なっているかについて社会通念によって認定されるべきものであります。 御指摘のように、そのような事例で、幼稚園の運営といった正当な活動を継続的に行っているという実態のある団体については、これをその重大な犯罪等を実行することがその結合の共同の目的であると認められることは通常は想定し難いと考えております。
○東徹君 団体の目的が犯罪の実行にあるとは言えないので、この学校法人の場合は組織的犯罪集団に当たらないということだというふうに思いますけれども、そうであっても、単に正当な事業を行っているということでその団体が組織的犯罪集団ではないと認定することは、表向きには一般の法人として事業を運営しているふりをすれば、それが、これまでも言葉として出てきましたけれども、隠れみのということで簡単に組織的犯罪集団には当たらないということになってしまって、重大な組織犯罪を抑止するということができないのではないかというふうに思ったりもするわけですが、一方で、先日五月三十日の委員会でも、かつて普通の宗教団体であったものが、その宗教的な目的と犯罪の実行ということが不可分に結び付けば、その結び付いたものが共同の目的となって、共同の目的が犯罪実行ということであると認定できるという答弁もありました。 一般の法人として、表向きは通常に事業を実施している団体について、その内実は組織的犯罪集団に当たる団体であるような場合、これを見逃さないためにどのようなことを行うのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) やはり、組織的犯罪集団であるかどうかの認定といいますのは、その団体が対外的に掲げている目的等に、これによって判断されるわけではございません。やはり、その実態の中で、その団体が、仮に対外的には一般の法人としての事業を運営している、こういったものを仮装しているといたしましても、その実態において結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行にあるという団体として認められる場合には、この組織的犯罪集団と認定することが可能であるわけでございます。 捜査機関といたしましては、これはこれまでとも同様でございますけれども、被疑者等の弁解等のみに依拠することではなくて、やはり事案の真相を解明するため必要な捜査を尽くしていくことになろうかと思います。
○東徹君 今日も古川委員の方からも質問があったと思うんですけれども、その団体が確かに組織的犯罪集団ではないとしても、その団体の中の一部、例えば学校法人だったら理事とかの人たち、理事長とか副理事長とか、そういったことで構成員とする場合、その一部だけが組織的犯罪集団にこれ該当することがあり得るのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 団体の内部の集団でありましても、この団体とその内部の集団との指揮命令関係、あるいは集団の位置付けや構成、またその集団の活動の実情や、その活動によって当該団体が享受する利益、こういった利益、効果とか利益の帰属関係などを考慮して、この団体の内部の集団自体がその外側にある団体とは別個独立した社会的存在であって、独立の団体であると認められることもこれはあり得ると考えておりますけれども、そのためにはこういった別個独立した社会存在であるということが認められなければなりません。 例えば、今委員御指摘のような理事とか理事会というようなものについては、これはあくまでもその外側、当該法人と別個独立の存在とは考え難いものですから、それ自体を別個独立の団体として捉えて組織的犯罪集団であるというふうに認定することは困難であろうかと思います。
○東徹君 そうしたら、学校法人全体ではなくても、例えば理事会とか、もっと言えば理事会の中でも理事長とか副理事長とか、そういったごく限られた組織集団であっても、これは組織犯罪集団には当たらないということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 先ほど申し上げましたように、通常の場合、その理事会というようなものがその法人と別個独立の存在であるというふうに認定することは考えにくい、考え難いということでございますので、その理事会、その団体の内部にある理事会というものを別個独立の団体と捉えてそれを組織的犯罪集団と認定することは、それはできない、困難であろうと思います。
○東徹君 なかなか、そういったことになると、今回のテロ等準備罪は適用できないということになってくるんだろうというふうに思いますけれども、今までも話がありました、隠れみのという、隠れみの、これをどうやって逮捕していくのかというところが非常に難しいなというふうに思うわけでありますけれども。 ちょっとまた別の事件になりますが、最近よく報道で見かけます、博多の金塊事件があります。これは昨年の七月でありましたけれども、福岡市の博多区で七億五千万円相当の金塊が盗まれたというもので、現在、名古屋市内の容疑者ら十人が窃盗などの容疑で逮捕されているという事件でありますけれども、七億五千万円相当の金塊ですから、これが盗まれたということで、これ相当な重大事件だというふうに思うわけでありますけれども、この事件のような窃盗集団、具体的には、しかも、警察官を装って金塊を盗もうということを計画したということで、役割分担もきちっとできていたということで、これは本当に組織的犯罪集団ではないかというふうに思うわけでありますが。 三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループでも組織的犯罪集団に当たるという参考人の意見もありましたけれども、こういった、継続的結合体ではなくて、組織的犯罪集団に言いづらいというふうにも考えたりもできるわけですが、この見解についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 今、委員の質問の、前段部分で博多の金塊事件というようなこと、その例を一方で挙げられていた上で、最後に三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループといったことの指摘もございました。いずれにしましても、これは具体的なその組織の実態というものがもう少し具体的に提示されませんと、それが組織的犯罪集団と認定されるかどうかというのは極めて困難であろうかと思います。 ただ、三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループ、こういった存在、ものを念頭に置かれた御質問だとしますと、これは、三人という非常に少数の団体が継続的な結合体というためには、そのメンバーが仮に構成が変わっても、その存在が団体としての独立した社会的存在としての実態が存在し続けるといった性格がないとこれは継続的結合体とは言えませんので、この三人だけで組織されたグループというものについて継続的な結合体としての団体に当たると、あるいはまた、その団体の中には実際にその団体の目的を実行するための組織というものがまた存在しなくちゃいけないわけでございますが、そういったものが観念し得るのかといった点からしますと、かなりその組織的犯罪集団という認定は困難な場合が多いと思います。
○東徹君 ちょっと僕の質問も、二点ほどあったかもしれないのであれですけれども、まず、参考人質疑の中であった、三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループでも組織的犯罪集団に当たるというのは、これはいろんなケースがあるんだろうと思いますが、こういった場合は組織的犯罪集団に当たりにくいという今のお話なんでしょうかね。
○政府参考人(林眞琴君) 具体的事案によるんですけれども、例えば三人となりますと、非常に小さい、少ない人数でございます。そういったもので、その人数、団体と言われるためには、継続的結合体ということは、これはそのメンバー、構成員が変わってもその団体というものが継続するという意味での継続的結合体でございますので、なかなかその三人というだけの人数でのグループとなりますと、そういった継続的な結合体という認定がされることはほとんどないのではないかなと思います。
○東徹君 そうしたら、この博多の金塊事件、これ十人が窃盗などの容疑で逮捕されているという事件でありますけれども、これは組織的犯罪集団に当たるんですか。
○政府参考人(林眞琴君) その点については、実際に、今のこの事案でのこの組織の構造でありますとか構成員人数とか、そういったもの、あるいはその目的というのも解明されていないわけでございますので、なかなかお答えが困難だと思います。
○東徹君 最近起こったこれは重大な事件でありますから、ちょっとその辺のところは当たるか当たらないか、やっぱりしっかりと、こういったテロ等準備罪を審議しているわけですから、そこは是非もう早急に検証してお示しいただきたいなというふうに思います。 この事件で非常に気になった点が一つあるわけですけれども、捜査関係者が、愛知県警が家宅捜査するなどの情報を容疑者に伝えていたというふうな報道がありますが、この点について、これは本当なんでしょうかね。
○政府参考人(高木勇人君) お尋ねの事件につきまして、御指摘のような報道がなされているところでございますけれども、愛知県警察におきましては報道にあったような事実の有無について確認を進めることとしているものというふうに承知をしております。 捜査を行うに当たりましては秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意しなければならないといった旨、犯罪捜査規範でも規定されているところでありまして、今後とも捜査情報の厳格な管理につきまして都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○東徹君 これ、事実を確認中というのも何か大変遅いなというふうに思うわけでありますけれども、こういった捜査情報を漏らすということは、これよくあるんですかね。
○政府参考人(高木勇人君) 繰り返しになりますけれども、捜査を行うに当たっては秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意しなければならないといった旨、犯罪捜査規範にも規定をされているところであり、その旨、繰り返し指導しているところでございます。
○東徹君 これ、愛知県警ですからね、こういうことが、度々ではないと思いますけれども、こういうケースがあるんではないのかなというふうに思ったりするわけですけれども。 この捜査関係者から情報提供が分かったのは、容疑者らの携帯電話を通信傍受していたということが言われておりますけれども、現行法上、通信傍受を行うためには裁判官の傍受令状を取ることが必要とされておりますけれども、裁判官は対象となる事件に組織性があるかどうかを確認の上、令状を発付しているということになるわけでありますけれども、そこで、傍受令状の発付に当たっての組織性と今回のテロ等準備罪の組織的犯罪集団の組織性についてどのような違いがあるのか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の傍受令状発付に当たっての組織性の要件といいますのは、これは犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、いわゆる通信傍受法の三条一項第一号にありますところの別表第二に掲げる罪、これが対象犯罪の一部でございますが、通信傍受の対象犯罪の一部でございますが、別表第二に掲げる罪にあっては、当該罪に当たる行為が、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものに限るとされております。このことをこの組織性の要件、通信傍受法の令状発付に当たっての組織性の要件と理解しております。 この部分は、昨年のその通信傍受法の改正の際に対象犯罪、通信傍受法の対象犯罪が拡大されましたが、拡大されるときの要件として、単にその対象犯罪に掲げられている罪が行われているということだけではなくて、その罪があらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものに限るという形で、対象犯罪の拡大に当たって要件を加重して設定されたものでございます。 他方で、このテロ等準備罪におきましては、これはこれまでも組織的犯罪集団の団体の要件、組織的犯罪集団の要件、るる申し上げてきましたが、そのうちの例えば団体のところについていえば、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものと、こういう要件をしておりますが、その組織という言葉も次のように定義されております。指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体と、このように定義されておりまして、そうしますと、この中での、特に組織の部分での要件の違いが、通信傍受法における組織性の要件は、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものとなっておりまして、ここに指揮命令というものまでは要求していない、通信傍受法の組織性の要件では指揮命令というまでは要求していないと、このような違いがございます。 このような違いが、なぜ通信傍受法の対象犯罪の拡大の際の組織性の要件で指揮命令というまでは要求しなかったか、これがなぜかと申し上げますと、これは、当時の中での議論の中で、通信傍受令状の請求に当たって、例えば組織的犯罪処罰法上の団体、先ほど申し上げた団体のような厳格な要件を必要とした場合には、団体の内部における構成員相互のやり取りを明らかにする必要が生じ、そのような証拠を通信傍受を実施しようとするその時点においてあらかじめ収集していくことは不可能を強いることになるというようなことから、その当時の通信傍受法での対象犯罪の拡大の際の組織性の要件としては、指揮命令までは求めずに、あらかじめ定められた任務の分担に従ってという部分のみが組織性の要件として残ったということでございます。
○東徹君 大変長い答弁になってしまいましたので、もうちょっと時間が過ぎましたので、この点については次回続けて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として有田芳生君が選任されました。 ─────────────
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 前回質問いたしましたが、残った部分をまず冒頭にさせていただきたいと思います。 国際組織犯罪防止条約について伺います。 政府は、この条約に加入することによって組織犯罪に関する情報の交換や犯罪人引渡しが可能になると説明していますが、これまで十六年以上この条約に加入しないことで不都合があったでしょうか。あったのであれば、その事例をお示しください。
○政府参考人(水嶋光一君) お答えいたします。 一般論として申し上げますと、まず、本条約を締結していない現状におきましては、例えば、我が国が刑事共助条約を締結していない国に対して捜査共助を要請する場合、相手国にはこれに応じる国際法上の義務はありません。 また、中央当局間で直接共助要請をするのではなく、外交ルートを通じて行うことになりますので、一定の期間を要することになっており、迅速性に欠けるという点もあります。この点に関しましては、金融活動作業部会、FATFからは、我が国が本条約を締結していないことについて、国際的な共助要請につき、外交チャンネルを通じてなされることが要求されていることは過度の負担であるという旨の指摘を受けたこともあります。 次に、本条約を締結していない現状におきましては、例えば、我が国が他国に対して逃亡犯罪人の引渡しを請求する場合、相手国との間に逃亡犯罪人引渡条約が存在しないときは外交礼譲に基づいて相手国に請求することとなり、引渡しの実効性確保が必ずしも十分とは言えません。また、相手国が容疑者の引渡しを自国の国民であることのみを理由として行わない場合であっても、相手国は当該容疑者を訴追するための手続を取る義務も負うことがないということで、犯罪人が処罰を不当に免れるおそれがあると言えます。 さらに、現状では、我が国におきましては、本条約が犯罪化を求めております重大な犯罪の合意罪に該当する罪は、重大な犯罪のごく一部の罪に設けられているにすぎません。そのため、いわゆる双罰性というものを満たさないことになりまして、重大な犯罪の合意罪に係る国際的な捜査共助や逃亡犯罪人引渡しの要請を受けても協力をすることができない場合もあり得るというふうに理解しております。
○糸数慶子君 答弁は簡潔にお願いしたいと思います。 この条約については、当初毎年、最近では二年に一回、締約国会議が開かれ、外務省からは毎回オブザーバー資格で出席しているということでありますが、それで何か不都合がございましたでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 委員御指摘のとおり、我が国といたしましては締約国会議に毎回オブザーバーとして出席をしております。しかしながら、オブザーバーは、議論自体の参加は認められますが、議決権は認められておりません。このため、我が国の意見が締約国と同等の重きを置かれているとは言い難い面があります。 この締約国会議では、犯罪対策、組織犯罪対策におきます実質的に唯一の包括的かつ国際的なフォーラムであり、この締約国会議において、各種決議などを通じて国際的なルール作りが進められております。このプロセスに我が国としても積極的に参加をし発言をすることによってできる限り存在感を示しておりますけれども、やはりオブザーバー参加ということで発言力と影響力に制約を受けるというのが実態でございます。
○糸数慶子君 もう少し具体的に答えていただきたかったのですが、残念です。 続きまして、ちょっと別の角度から質問したいと思います。 まず、威力業務妨害と組織的威力業務妨害について伺います。 沖縄では、辺野古新基地建設への抗議のために多くの市民が連日座込みをしていますが、六月二日には、キャンプ・シュワブゲート前で機動隊が市民を排除する際に、市民二人が負傷して緊急搬送がされました。 沖縄では、共謀罪法案の成立を見越して、先取りしたかのような警察の横暴なる振る舞いが目に余ります。 沖縄平和運動センターの山城博治議長が威力業務妨害容疑で逮捕、勾留の後、起訴され、現在、沖縄地方裁判所で刑事裁判が続いております。今年二月二十八日には、国連人権法や国際人道法の専門家のデービッド・ケイ氏ら四人が緊急アピールを出して、山城議長の逮捕や長期勾留に懸念を示し、日本の表現の自由や集会の自由への萎縮効果も懸念されると述べています。デービッド・ケイ氏は、我が国の表現の自由の現状を調査した国連の特別報告者でもあります。 これは、警察による逮捕や起訴後の長期勾留について裁判所による司法的なチェックが十分働いていないことを示すものだと考えられますが、その点について法務大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員のお尋ねは、公判係属中の個別事件における裁判所の判断に関わる事柄でございます。したがいまして、法務大臣としてお答えすることは差し控えたいと考えております。 なお、一般論として申し上げれば、裁判所においては、逮捕状、勾留状の発付や保釈の許可、不許可を決するに当たりまして、法と証拠に基づいて適切に判断をしているものと認識をいたしております。
○糸数慶子君 軽微なことで百五十日以上も拘束をするというのは大変遺憾であります。抗議を申し上げたいと思います。 沖縄の基地反対運動については威力業務妨害罪が適用されており、この犯罪についてはこのような市民運動や労働組合の活動に対して適用されてきたと考えられますが、この点について質問させていただきます。 ここ五年間の刑法上の威力業務妨害罪の検挙人員と、起訴された人員と、その有罪率をそれぞれお答えください。
○政府参考人(高木勇人君) 警察庁の犯罪統計により確認をいたしましたところ、平成二十三年から二十七年までの五年間に、全国の都道府県警察における刑法の威力業務妨害罪による検挙人員は千二百七十五人でありました。
○政府参考人(林眞琴君) 検察庁のレベルで申し上げますと、当局で把握している限りで、平成二十三年から二十七年までの五年間、全国の検察庁で刑法の威力業務妨害罪により新規通常受理した人員数は千七百三十五人で、起訴した人員数は六百八十九人であると承知しております。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 刑法上の威力業務妨害罪の有罪率は統計として把握しておりませんが、次の二点については統計として把握しておりますので、申し上げます。 刑事通常第一審において、平成二十四年から平成二十八年までの間に刑法上の威力業務妨害罪を処断罪として有罪判決が言い渡された人員は、平成二十四年が五十八人、二十五年が五十八人、二十六年が四十九人、二十七年が七十二人、二十八年が七十五人であり、合計三百十二人でございます。 他方、平成二十四年から平成二十八年までの間に、法定刑の最も重い罪が刑法上の威力業務妨害罪の事件で全部無罪判決が言い渡された人員はゼロ人でございます。 先ほど法務省刑事局長がお答えになった平成二十三年から二十七年までの五年間について申し上げますと、前同様の有罪判決人員の合計は三百十九人であり、全部無罪判決人員の合計はゼロ人でございます。 なお、法務省刑事局長がお答えになった起訴人員の中には略式命令請求の人員が含まれていると承知しておりますが、判決言渡し人員にはそれに対応する数値は含まれておりません。
○糸数慶子君 組織犯罪処罰法三条一項の組織的威力業務妨害罪について、同様に、ここ五年間の刑法上の検挙人員と、起訴された人員と、その有罪率をお答えください。
○政府参考人(高木勇人君) 警察庁の犯罪統計によって確認をいたしましたところ、平成二十三年から二十七年までの五年間の全国の都道府県警察における組織的犯罪処罰法の組織的威力業務妨害罪による検挙人員は三人でございます。
○政府参考人(林眞琴君) 法務省当局で把握している平成二十三年から二十七年までの五年間、全国の検察庁において組織的威力業務妨害罪により起訴した人員数はゼロ人であると承知しております。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 組織的威力業務妨害罪の有罪率は統計として把握しておりませんが、次の二点については統計として把握しておりますので、申し上げます。 刑事通常第一審において、平成二十四年から平成二十八年までの間に組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律三条一項十二号違反の罪を処断罪として有罪判決が言い渡された人員及び法定刑の最も重い罪が同罪の事件で全部無罪判決が言い渡された人員は、いずれもゼロ人でございます。 なお、平成二十三年につきましても、前同様の有罪判決人員と無罪判決人員は、いずれもゼロ人でございます。
○糸数慶子君 法案の計画罪の対象犯罪の二百七十七のこの罪の中には、刑法上の威力業務妨害罪はその対象に入っていませんが、組織的威力業務妨害罪はその対象に入っています。これは、九九年に成立した組織犯罪処罰法三条一項が、刑法上の威力業務妨害罪が三年以下の懲役、禁錮の罪であるのを五年以下の懲役、禁錮に引き上げて重罰化したためですが、九九年はまだ国際組織犯罪防止条約ができておらず、起草段階にありましたが、組織犯罪処罰法三条一項で組織的威力業務妨害罪や組織的信用毀損罪などを五年以下の懲役、禁錮に引き上げたのは、共謀罪の対象犯罪が長期四年以上の犯罪ということで、それを先取りして先に重罰化したのではないでしょうか。お答えください。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪処罰法は、国連総会においてTOC条約が採択される以前の平成十一年八月に成立したものでございます。この組織的犯罪処罰法において、この組織的威力業務妨害罪を設けて、その法定刑を五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金としたことと、この同条、このTOC条約に基づく組織的な犯罪の合意罪を設けることの間にお尋ねのような関係はございません。
○糸数慶子君 威力業務妨害罪と組織的威力業務妨害罪の違いは、組織犯罪処罰法三条一項が定める団体性と組織性の要件を満たすかどうかですが、その計画の段階ではその違いは極めて曖昧であり、これまで刑法上の威力業務妨害罪が適用されていたようなケースについても、組織的犯罪集団の要件を満たすとして、組織的威力業務妨害罪の計画をしたとして計画罪が成立するとされるケースが多くなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪処罰法におけるこの団体の要件、これ自体も極めて厳格な要件でございまして、これまでも、先ほど申し上げましたように、組織的例えば威力業務妨害罪の起訴件数、この五年間にもゼロ人でございました。 そういったことに加えまして、今回のテロ等準備罪におきましては、この計画は組織的犯罪集団が関与するという計画でございまして、組織的犯罪集団という存在について、主体について厳格な要件を定めておりますので、このようなものから、この組織的犯罪集団の厳格な要件は恣意的に運用されるわけではございませんので、このテロ等準備罪が成立する事例が多発するとか、そういうようなことはないと考えております。
○糸数慶子君 刑法上の威力業務妨害の計画は犯罪とならないけれども、組織的威力業務妨害の計画は犯罪となるというのは、余りにもその境界が曖昧であります。この法案が成立したら、計画罪を成立させる方向で、組織的威力業務妨害の計画罪が多く認められるようになり、普通の市民運動や労働組合の活動に対して適用されることになるのではないでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論で申し上げれば、その御指摘のような、普通の市民運動を行う団体あるいは労働組合などは正当な活動を目的としておりまして、犯罪の実行を結合関係の基礎としての共同の目的としているとは考えられませんので、これが組織的犯罪集団に該当することは想定し難いと考えております。 したがいまして、そのような団体に対してテロ等準備罪が適用され、そのようなテロ等準備罪の成立が多発するというようなことは考えにくいと思います。
○糸数慶子君 法案にはそのような懸念を払拭するような、歯止めとなるような文言が何もないように思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) これまでもるる申し上げておりますが、テロ等準備罪は、一つに組織的犯罪集団が関与する犯罪ということ、それから重大な犯罪の計画行為、そしてその計画に基づく実行準備行為と、この三つの厳格な要件を設けております。このことによりまして、また、各要件については明文の中で定義規定を置いているわけでございまして、具体的に明確に規定しているわけでございます。 そういったことから、その一般の団体、先ほど申し上げられたような普通の市民運動や労働組合の活動などがこの対象になるということは、そういったものに恣意的に適用することはできないということになっております。
○糸数慶子君 それでは次に、六条の二第一項の構造について伺います。 法案六条の二の第一項は「組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者」と規定されていますが、これは、現行法である組織犯罪処罰法三条一項が「次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、」という、その規定の書きぶりを踏襲していると考えられますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおりであります。
○糸数慶子君 現行法の三条一項の組織というのは実行部隊のことを指すと解されているのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪処罰法の三条一項で使われている組織につきましては、これは当該罪に当たる行為を実行するための組織と規定されております。典型的には、これは、犯罪行為を実行するための言わば犯罪実行部隊としての組織がこれに当たります。
○糸数慶子君 法案六条の二第一項の組織にも、同様に実行部隊を指すと考えられるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 改正後の組織的犯罪処罰法六条の二第一項において、組織というものも、これも同様に、当該行為を実行するための組織と規定されております。この当該行為を実行するための組織とは、別表第四に掲げる一定の重大な犯罪に当たる行為を実行することを目的として成り立っている組織のことをいいます。 したがいまして、現行の先ほど引用された組織的犯罪処罰法三条一項の組織と同様に、典型的には犯罪実行部隊としての組織がこれに当たります。
○糸数慶子君 現行法三条の組織については、団体の内部の者である必要はないと解されているのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、組織とは、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいいます。そして、組織的犯罪処罰法二条一項では、この団体の目的又は意思を実現する行為の全部又は一部について、この組織により反復して行われることを団体の要件として定めております。 これを前提として、組織的犯罪処罰法三条一項は、同項各号に掲げる罪に当たる行為を実行するための組織により行われたことを構成要件の一つとして定めております。この組織が先ほど申し上げたいわゆる犯罪実行部隊でございます。このような犯罪実行部隊としての組織は、犯罪の実行のためのものとして臨時的なものであってもよく、また、構成員の交代によってもその同一性が保持されるという意味での独立性も必要としないと解されております。 このように、その組織の定義からも、また組織の役割からしても、通常、組織は団体の構成員から成り、組織的犯罪集団の内部にあって団体の意思決定に基づく犯罪の実行に当たるものでございますけれども、組織が臨時的なものであってもよく、指揮命令によってあらかじめ定められた役割分担に従って一体として行動することによって犯罪を実行する者であればそれは足りることでございますので、構成員以外の者が当該罪に当たる行為を実行するための組織に含まれているということを否定するものではございません。
○糸数慶子君 そういたしますと、法案六条の二第一項の組織についても同様に、団体、すなわち組織的犯罪集団の構成員である必要はないということになるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 改正後の組織的犯罪処罰法六条の二の組織につきましても、組織的犯罪処罰法三条一項の組織と同様に、構成員以外の者が当該行為を実行するための組織に含まれていることを否定するものではございません。
○糸数慶子君 林刑事局長は、法案六条の二の第一項の計画をする者は組織的犯罪集団の構成員である必要はないと答弁されていますが、それはこれまで述べたことからそのように答弁されていると理解してよろしいでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 今、先ほど述べたのは、この組織というものについて構成員以外の者が入り得るかということについてでございました。それで、今委員が御指摘になったものは、これは、計画する者は組織的犯罪集団の構成員である必要があるかどうか、こういったことに対する答弁であったと認識しております。 御指摘の答弁につきましては、まず第一に、テロ等準備罪は組織的犯罪集団の構成員でなければ犯罪が成立しないという身分犯の構成は取っていないこと、ただ、組織的犯罪集団と無関係の者が組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画することは考え難いこと、他方で、組織的犯罪集団の構成員ではないが組織的犯罪集団と関わり合いがある者、その周辺者については、一定の重大な犯罪の計画に加わり、一定の重大な犯罪の実行部隊である組織の一員として関与するなどの事情がない限り、テロ等準備罪で処罰されることはないということを述べたものでございます。
○糸数慶子君 また、林刑事局長は、計画をする者に対して、組織犯罪集団の構成員でない者が幇助すれば本罪の幇助犯が成立することもあり得ると答弁されたと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の答弁は、例えば、テロ等準備罪の被疑者に計画する場所を提供した者において、提供の相手方が組織的犯罪集団であることはもとより、提供した場所において組織的犯罪集団の団体の活動として組織により行われる一定の重大な犯罪の計画が行われていることを認識しているような場合でなければテロ等準備罪の幇助犯というものは成立しないこと、また、組織的犯罪集団に関わりのない方々が組織的犯罪集団に場所を提供することは考え難い上、ましてや、先ほど、今申し上げたような認識に基づいて提供することは想定されないこと、したがって、テロ等準備罪の幇助犯が成立するのは組織的な犯罪集団の構成員及びその周辺者に限られるということを述べたものでございます。
○糸数慶子君 今回、法案に組織的犯罪集団という概念を取り入れて主体を限定したと説明されていますが、計画する主体である組織に属する者は組織的犯罪集団の構成員でなくてもよいとか、計画する者を幇助した者に本罪の幇助犯が成立するということなど、組織的犯罪集団の構成員以外の者が計画すれば計画罪が成立するというのでは何の限定にもなっていないのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) いわゆる身分犯の形で組織的犯罪集団の構成員に限るというような法的な構成は取っておりませんが、テロ等準備罪は、その構成要件の中に組織的犯罪集団の関与といった要件を設けたことによりまして、その主体が組織的犯罪集団の構成員及びその周辺者に限定されており、こういったことから、組織的犯罪集団の主体の限定であるというこれまでの説明は適切なものであると考えております。
○糸数慶子君 先ほど、組織は実行部隊のことを指すということでしたが、現行法三条一項の組織は、実際に犯罪が実行された場合に適用されるので実行部隊の実行は明確であるというふうに考えられるのに対して、改正案六条の二の第一項の組織は、まだ実行に着手されるよりもずっと前の段階のことなので実行部隊を特定するのはかなり困難を伴うと考えられます。 法案を作成する際に現行法三条一項を参照したためにそのような無理が生じているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 計画といいますのは、組織的犯罪集団の団体の活動として一定の重大な犯罪を実行するための組織により行われるものの遂行について具体的かつ現実的な合意をすることが必要でございます。この場合に、組織的犯罪、この具体的な犯罪実行をどういった組織によって実行するかということは計画の中の非常に重要な要素でございます。 犯罪の実行部隊の特定に計画の段階では困難が伴うという御指摘ではございますけれども、他の計画の要素に比べてその点が特に困難であるとは考えておりません。刑事訴訟法の規定に従って必要な、かつ適正な捜査を尽くしてその特定、解明に努めていくこととなると考えております。
○糸数慶子君 計画罪の成立範囲を明確化するためには、組織という組織的犯罪集団の外の人間を対象としないで、組織的犯罪集団の内部の者が計画した場合だけで計画罪が成立するという規定の仕方ができたのではないでしょうか。どうしてそのような限定はしないのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪については、計画をした犯罪の実行の可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果等が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高い、また未然防止の必要性が高いという点に着目しまして、実行の着手前の計画行為と実行準備行為が行われた場合に処罰するという考え方を取っております。 こういった危険性及び未然防止の必要性は、もとより、通常の場合は組織的犯罪集団の構成員らが計画を行うこととなると考えておりますけれども、それ以外の者がそこに加わっている場合でありましてもそれと同等の危険性や未然防止の必要性が認められる場合がありますので、あえてこれをテロ等準備罪の処罰の範囲外に置く理由はないと考えられるところでございます。
○糸数慶子君 六条の二第二項について伺います。 組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者が準備行為をした場合に処罰する規定ですが、この規定も現行法三条二項の規定の書きぶりを踏襲した規定でしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおりであります。
○糸数慶子君 例えばどういう犯罪を想定されているでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 例えば、ある暴力団がある町を縄張としてみかじめ料の徴収を行っていたところ、その町において暴力団排除運動を実施し、暴力団へのみかじめ料の支払を拒絶する活動が行われるようになったことから、当該暴力団の構成員らが、この自らの縄張を維持するために、こういった暴力団排除運動を主導している者を殺害することを計画し、その準備行為を行った場合、こういったような事例がこれに該当すると考えております。
○糸数慶子君 第二項の対象となる者は、一項の組織的犯罪集団の構成員でない者が対象でしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) この点につきましても、六条の二第一項と同様に、この六条の二第二項のテロ等準備罪につきましても身分犯という構成は取っておりません。しかし、第二項のテロ等準備罪は、組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持、拡大する目的で犯罪の実行を計画することが必要な罪でありますので、その対象となりますのは、そのような目的で犯罪を実行することができる者に限られることとなります。 つまり、不正権益とは、団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきもの、このように定義されておりますので、不正権益目的が存在するというためには、実行される犯罪が不正権益を得させるなどの目的に直接資する行為であることを要すると解されておりますので、そういったことが認識できる者というものは、組織的犯罪集団の構成員はもとよりでございますが、その周辺者に限られるということになると考えております。
○糸数慶子君 まだ何点か通告しておりますけれども、時間が参りましたので今日の私の質問は終わりたいと思います。次に回したいと思います。
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。なるべく質問がかぶらないように心掛けているところでございます。 今回は、二百七十七の対象犯罪のうち、著作権法違反、特許法違反、実用新案法違反、意匠法違反についての疑義点を解消するという観点から質問したいと思いますが、その前に、通告していないんですけれど、確認の意味で質問させていただきたいんですが、組織的犯罪集団の周辺者とは例えばどういう者なのか。周辺者といってもちょっと分かりにくい。どんな人を指すのか、ちょっと教えていただきたいんですが。
○政府参考人(林眞琴君) 先ほどから、組織的犯罪集団の構成員及びその周辺者に限られる、あるいは関わりがある者に限られるといったものにつきましては、これは、このテロ等準備罪の計画をするためには、組織的犯罪集団の関与する犯罪に対して、それを組織によって実行すること、このことについて計画するわけでございまして、そのことを全て認識できる者でなければなりません。 したがいまして、組織的犯罪集団というものは、共同の目的が犯罪実行にありますので、そういった共同の目的を持っていることを知り得る者、また、その組織的犯罪集団の中に犯罪実行を目的とする組織が存在すること、こういったことを知悉している者、こういった者でないと計画者にはなり得ないわけでございます。 そういった意味で、そういったことを知り得る者というものについては、この組織的犯罪集団の構成員と日頃から行動を共にしている者、そういった形での周辺者のことを限られていると考えております。
○山口和之君 例えばで結構なんですけれども、例えばこういう人、こんなやつですと、例えば密売人ですとか、何か例えばで教えていただければ。
○政府参考人(林眞琴君) 例えば、暴力団とこういった悪徳な行為をしている不動産会社の社長が、暴力団の組長らと暴力団の組織を使った暴力的手段による地上げを計画した、その地上げをした土地にテナントビルを建てて暴力団組長と利益を分けること、自らに利益を、それをもらうこと、このようなことをたくらんだ場合に、不動産会社の社長自身は組織的犯罪集団の構成員でも、またこの実行組織の一員でもないわけでございますが、こういった場合にはテロ等準備罪の計画者になり得ると考えております。
○山口和之君 通告しておりませんので、またの機会に質問もしたいと思います。 それでは、著作権法を対象犯罪としていることについて伺いたいと思います。 著作権法十七条二項は、著作者人格権及び著作権の享有にはいかなる方式の履行も要しないと定めて、日本における著作権の享有については無方式主義が採用されているということです。この方式の下では、著作権が誰かが判然としない場合があり、またそもそも著作物性が認められるのか不明確なことすらあります。このような日本の著作権法の特性からすれば、著作権法違反を理由とする刑罰法令の適用には慎重な対応が必要だと思われます。 著作権法違反をテロ等準備罪の対象犯罪としたことの必要性、相当性について説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、TOC条約五条の1が定める犯罪化義務を履行するためには、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪の全てをこの対象とする必要があるものと考えております。 その上で、著作権法における著作権侵害等の罪は、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するなどの罪でございますけれども、組織的犯罪集団が組織の維持運営に必要となる資金を得るためにこの実行を計画をすることが現実的に想定されるということから今回対象犯罪にしております。例えば、その例といたしましては、組織的犯罪集団が海賊版のCDなどを販売することを計画する、こういったことが想定されると考えております。
○山口和之君 著作権法は、国民の誰もが無関係でいることはできない法律となっております。著作権法違反がテロ等準備罪の対象になっていることについては、国民からは様々な心配の声が上がっております。 そこで、具体的な事例について質問したいと思いますが、著作権の許諾を得ずに二次創作を行っている同人サークルを例に、テロ等準備罪の適用の有無をお尋ねしたいと思います。 想定する同人サークルは、メンバーが二人以上で、これまで継続的に同人誌即売会に参加していることを前提として、このような同人サークルは、代表者等の指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体であるため、組織犯罪処罰法の組織に該当し、かつ二次創作活動という共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものであるため、同法上の団体にも該当すると思われます。 そして、著作権者の許諾を得ずに二次創作を行うことは、翻案権や同一性保持権等を侵害する行為であって、同法別表第三第五十五号に掲げる罪を実行することに当たるはずです。 以上からすると、著作権者の許諾を得ずに二次創作を行っている同人サークル、特に全年齢向けの商業出版作品に性的描写を加える二次創作のように、およそ著作権者からの許諾が想定できないような二次創作を行うことを結合関係の基礎としての共同目的としている同人サークルは、同法上の組織的犯罪集団に該当してしまうと思われますが、そのような理解でよろしいのか。 また、そのような同人サークルが同人誌即売会に向けて著作権、著作者人格権侵害となる二次創作作品を創作することを計画した場合、その計画をした者のいずれかが原著作物となる出版物を購入する行為、同人誌即売会に申し込む行為、その会場を下見に行く行為を行った場合、告訴があればそれぞれテロ等準備罪が成立するのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論で申し上げますと、組織的犯罪集団に該当するためには組織的犯罪処罰法二条一項に定義する団体に該当する必要がございます。 一般に、サークルと呼ばれる集団につきましては、構成員の間に指揮命令関係やあらかじめ定められた任務の分担がなく、したがって、この指揮命令に基づき任務の分担に従って行動する組織による団体の活動が行われないことから、団体の定義のうち、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものには該当しないと考えられます。 また、仮にこの団体に該当するといたしましても、一般に同人サークルは、創作活動を行い、意見交換をしたり、創作物を発表、頒布することなどを目的として結合しているのでありまして、著作権あるいは著作者人格権侵害行為を結合目的とするような団体とは考え難いものでございます。言い換えれば、著作権、著作権人格権侵害行為をしないのであれば結合しないんだと、そのような団体と認めることは困難であろうと思います。このように、一般に同人サークルについては組織的犯罪集団に該当するとは考えにくい、考えられないと考えます。 その上で、御指摘の事例でございますけれども、いずれも組織的犯罪集団には該当するとは考えられませんので、こういったものが出版物を購入する行為、あるいは即売会に申し込む行為、あるいはその会場の下見行為をした場合においてもテロ等準備罪は成立しないと考えます。
○山口和之君 確かに、組織犯罪、組織的犯罪集団に当たるかどうかというのは一概には言えないでしょうが、承諾を得ずに二次創作を行い続けている同人サークルは、本法案及び著作権法の文言上は組織的犯罪集団と認定され、テロ等準備罪で検挙されるおそれも残るのではないかというふうにも思います。 今回取り上げたような事案の検挙は、本法案が目的としているテロの防止や組織的犯罪の防止からは遠く、テロ等準備罪として実行の着手前に検挙すべきかどうか慎重に検討しなければならないと思います。 著作権法の違反は親告罪だが、親告罪の捜査は被害者の告訴がなされる前に行うことはできるのか、およそ告訴の見込みがない場合、多少なりとも告訴の見込みがある場合、それぞれについて伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、前提といたしまして、いわゆる親告罪については告訴がなければ公訴を提起することができないとされているものでございまして、法律上、告訴がなされる前に捜査を行うことが禁じられているものではございません。例えば、親告罪である強姦罪が成立するのか、非親告罪である強姦致死傷罪が成立するのかについては、捜査して判明することもございますし、また、捜査機関が第三者からの通報により親告罪に該当すると思われる事実を把握した場合には、被害者がどのような処罰感情を有しているか不明であるような場合も想定されますので、そのような場合に時宜を失すると真相解明が困難となりかねないものですから、捜査が開始されることがあり得るわけでございます。 他方で、捜査はやはり公訴提起の準備行為としての性格を持つものでございますので、全ての告訴権者の告訴期間が徒過しているとかいうような場合のように、およそ法律上、およそ将来において公訴提起の可能性がない場合、こういった場合には捜査は行い得ないと解されます。 また、法律上は告訴の可能性があるといたしましても、被害者の告訴しないとの意思が固く、将来告訴がなされる見込みが低いということが明らかであるような場合、こういった場合には、捜査機関としましては、そうした当該罪が親告罪とされている趣旨を踏まえて、被害者の意思を尊重した対応が必要になってくると考えます。
○山口和之君 親告罪について、告訴前に捜査を行うことが当たり前になれば、告訴が得られないために公訴提起できないケースが多くなり、不要な捜査、不当な人権制約につながるおそれもあります。テロ等準備罪の運用の際には、著作権法が親告罪とされ、犯人の処罰を権利者の意思に委ねていることに十分留意する必要があると思われます。 次に、特許法等を対象犯罪としていることについて伺いたいと思います。 平成二十七年三月に発表された特許権等の紛争解決実態に関する調査研究報告書によれば、地裁判決四百六十八件中、権利の侵害が認定され請求が全部又は一部が容認された判決は百二件、二二%である一方、権利の侵害が認定されず請求が全部棄却された判決は三百五十六件、七六%であり、権利者が勝訴している割合は二割ほどにすぎず、特許権侵害の疑いがあっても大半はそうでなかったことになっております。 本法案の作成時にこのようなデータについてはしっかりと検証を行ったのか、また、謙抑性の観点も併せ考えれば、特許法等違反をテロ等準備罪の対象犯罪にすることは極めて慎重でなければならないと思われますが、特許法違反、実用新案法違反、意匠法違反をテロ等準備罪の対象犯罪にしたことの必要性、相当性について説明を伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、前提といたしまして、TOC条約五条1が定める犯罪化義務を履行するためには、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大犯罪の全てを重大な犯罪の合意罪の対象とする必要があります。 その上で、御指摘のデータは特許権等に関する民事訴訟において地方裁判所で権利の侵害が認定され請求が認容された判決の割合等に関するものでありますけれども、こういった請求認容等の割合につきましては、組織的犯罪集団が特許権等の侵害の罪の実行を計画することが現実的に想定されるか否かの検討、判断に資するものとは考え難いものでございますので、今回の対象犯罪を選択する際には参照しておりません。 テロ等準備罪の対象犯罪は、そのような観点ではなく、犯罪の主体、客体、行為の態様、犯罪が成立し得る状況、現実の犯罪情勢等に照らして、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定される罪を選択したものでございます。 その上で、特許法違反、実用新案法違反、意匠法違反の罪を対象犯罪としたことの必要性、相当性についてでございますけれども、まず、前提としまして、先ほど申し上げましたように、TOC条約五条1が定める犯罪化義務を履行するためには、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪の全てを重大な犯罪の合意罪の対象とすることが必要でございます。 その上で、特許法違反の罪につきまして、現実的に想定されるということについて申し上げれば、一つ、特許権等の侵害の罪につきましては、まず、組織的犯罪集団が特許権者の承諾を得ずに特許を受けている発明を不正に利用した商品を販売する、こういったことを計画することが考えられます。また、実用新案権等の侵害の罪につきましては、組織的犯罪集団が実用新案権者の承諾を得ずに実用新案登録を受けている考案を不正に利用した商品を販売することを計画するということが考えられます。またさらに、意匠権等の侵害の罪につきましては、組織的犯罪集団が意匠登録を受けている意匠に類似する意匠を使用した商品を販売することを計画することが考えられます。 以上のようなことの判断の結果、これらを対象犯罪としたものでございます。
○山口和之君 民事訴訟の話ではあるが、特許権等に関しては権利者が侵害行為だと主張したとしてもその主張が認められないケースが多い、そのため特許法違反を刑事事件で扱う際も細心の注意を払う必要があると思います。テロ等準備罪で検挙する際は、計画された内容が本当に権利を侵害する犯罪行為になるのか、しっかり吟味しなくてはならないと思います。 次に、特許権を侵害した罪で起訴された後、無効審判の申立てによって無効審判がなされ、それが確定した場合、訴訟の起訴や確定した有罪判決の効力はどうなるのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、特許法上、特許無効審判の請求に対して特許を無効にすべき旨の審決がなされ、それが確定した場合、特許権は初めから存在しなかったものとみなされると、このように法律上されていると承知しております。 こういった特許法における規定を受けまして、刑事訴訟法におきましては、特許権を害した罪により有罪の言渡しをした事件について、その権利の無効の審決が確定したときは、再審の請求をすることができるとされております。これは刑事訴訟法の四百三十五条五号でございます。このように、まず、無効の審決が確定したことが直ちに有罪の判決の効力に影響を与えるわけではございませんが、無効の審決が確定したことをまず再審の理由とされているということが一点でございます。 また、公訴が提起され公判に係属している事件につき無効の審決が確定された場合については、この個別事案ごとに証拠関係が様々でございますので一概に対応について申し上げることは困難でございますが、あくまでも無効の審決が確定したことが再審理由となっていることを踏まえて検察当局において適切に対処するものと承知しております。
○山口和之君 日本においては特許権が無効となるケースが少なくなく、無効が確定するには時間が掛かるということが多く、捜査の開始時点が早ければ早いほど人権制約の程度が大きくなってしまうというふうにも考えます。特許法等違反の計画についてテロ等準備罪を適用する際には、無効となるおそれがないか慎重に吟味する必要があると思います。 次に、民事との関係について伺いたいと思います。 組織的犯罪集団が特許法等違反の計画を立て、それを実行するための準備行為を行った後に特許権者等の許諾を得た場合、捜査機関はテロ等準備罪として検挙することはできるのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、テロ等準備罪における計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪を実行することについて具体的かつ現実的な合意をすることをいいます。 お尋ねのように、組織的犯罪集団が特許法違反の罪の遂行を計画して、その計画に基づいて実行準備行為まで行っておきながら、その後に特許権者等に許諾を得るというようなことは現実には想定し難いと考えます。 仮にそのようなことがあるとすれば、特許権者等に許諾を得ることを前提としてその利用を計画、準備していたものと考えられますので、そのようなものが計画と認められることは困難でございますので、テロ等準備罪成立せず、検挙もできないものと考えております。
○山口和之君 組織的犯罪集団が特許法等違反の計画を立て、それを実行するための準備行為を行った後、実際の実施行為に至る前の段階で権利者がそれぞれ気が付いて民事上の差止め請求権を行使した場合について伺いたいと思います。 このとき、当該組織的犯罪集団が権利者からの請求どおりに侵害の予防に必要な行為を履行し、権利者もそれ以上民事上も刑事上も責任を追及するつもりがないような場合でも、捜査機関はテロ等準備罪として検挙することはできるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、組織的犯罪集団が団体の活動として行う特許法違反の罪の遂行を計画して、また実行準備行為まで行っておきながら、権利者からの請求に応じて侵害の予防に必要な行為を履行するというようなことは現実的には想定し難いと考えております。 仮に、テロ等準備罪の要件を満たす嫌疑があると認められる場合には、捜査機関は当該計画をした者について捜査をすることになるわけでございますが、実際に捜査を行い訴追するか否かを判断するに当たりましては、この犯罪の軽重や情状、犯罪後の情況等を考慮して判断されるわけでございます。 お尋ねのように、組織的犯罪集団が侵害の予防に必要な行為を履行したというような場合におきましては、計画された犯罪が実行される危険性は始めから極めて低かったものと認められまして、しかも、権利者が民事上も刑事上も責任を追及するつもりがない、すなわち被害者が処罰を望んでいないというようなことになれば、一般的に訴追や処罰の必要性は低くなるものと考えられます。
○山口和之君 著作権や特許権などの知的財産権は、利用者からの許諾さえあれば適法に利用することができます。そして、ほとんどの権利者は対価の支払があれば許諾を行うし、許諾が事後になったとしても争ったりはしないと。また、差止め請求権が認められているため、許諾をしておらず見過ごせない相手方については利用をやめさせることもできる。以上からすれば、知的財産権侵害は一義的には民事で解決すべき問題であることが多く、刑事手続の介入は慎重であるべきだと思います。テロ等準備罪による検挙が民事不介入の原則に反することがないようにしなければならないと思います。 いろいろ質問させていただきましたけれども、TOC条約批准のために、大臣に伺いたいんですが、更なる絞り込みができないかということです。 いろいろ質問させていただきましたが、TOC条約批准のために死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役、禁錮以上の刑が定められている罪のうち、対象犯罪を二百七十七に絞ったことは一定の評価ができると思います。しかし、なお、テロ防止や組織犯罪の防止とは無関係なものもテロ等準備罪の対象となる心配はあります。対象犯罪の更なる絞り込みか、少なくとも適正な運用のための指針の作成が必要と思いますが、金田大臣はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員から御質問がございました。お答えをいたします。 TOC条約第五条の1が定める犯罪化義務を履行するためには、組織的な犯罪集団が関与することが現実的に想定されます重大な犯罪の全てを重大な犯罪の合意罪の対象とする必要があるものと承知をいたしております。 そこで、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるか否かとの基準によりまして二百七十七個の対象犯罪を選択をしたものであります。このような基準により選択をいたしました罪の一部を除外をするならば、本条約上の義務を履行できないものと承知をしておる次第であります。 また、御指摘にございました指針を作成する必要があるとおっしゃられたその指針でございますが、具体的にどのようなものをお考えかについては判然としない部分もございます。 いずれにしましても、本法案が成立をした折には、適正な運用がなされるように、その趣旨及び内容について改めて関係機関に周知をしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
○山口和之君 TOC条約批准の必要性については理解しておりますが、しかし、日本の刑罰法令は規定が大ざっぱで法定刑の幅も広いため、どうしてもテロ防止や組織犯罪防止とは無関係なものも対象犯罪に含まれてしまっているようにも思えます。後々、テロ等準備罪が想定外の犯罪に適用されて、やっぱりおかしい法律だったんだということにならないように、金田大臣のリーダーシップをもって適正な運用に努めていただきたいと思います。 以上で終わります。
○委員長(秋野公造君) この際、お諮りいたします。 委員外議員福島みずほ君から組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認めます。 それでは、福島君に発言を許します。福島みずほ君。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 希望の会(自由・社民)の福島みずほです。 本日は、この委員の皆さんたちの御厚意により、ここで委員外発言ができることを心から感謝をいたします。どうもありがとうございます。 貴重な機会ですから、早速質問に入ります。 共謀罪に関しては、十数年来にわたる非常に論争がありました、論議がありました。三回廃案になっております。杉浦正健法務大臣は、自民党の国対から指示があってまさにこれは採決しないことになったと、かつて記者会見をやっております。三回廃案になったわけです。この間、自民党も修正案を出しております。その修正案に比べても随分後退している。厳しくしたどころか、自民党のこの修正案に比べてはるかに後退している。そのことをまずお聞きいたします。 二〇〇六年六月十六日の与党修正試案、衆議院法務委員会議録に参考掲載されております。自首の必要的減免は、自民党、かつて修正案で削除しているんですよ。削除すべきじゃないですか。密告を奨励する、スパイが入るかもしれない、自首の必要的減免規定、自民党、かつて修正案で削除しているんですよ。いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) この自首の規定につきましては、組織犯罪、テロ等、その組織的犯罪集団が行う犯罪というものの重大な結果が発生する蓋然性に鑑みまして、それを未然に防止しなくてはいけないと、そのために自首規定を置きましてそういった申告を求める、これを政策的な判断として設けているわけでございます。そこには合理性があると思います。また、ほかの組織的な犯罪の予備罪等についても自首の規定がございます。そういったことから、今回、同様に自首の規定を残しているものでございます。
○委員以外の議員(福島みずほ君) かつての自民党、これ、削除しているんですね。 それから、次に、かつての自民党の二〇〇六年の与党修正試案、思想及び良心の自由並びに結社の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず、かつ、労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。配慮規定があるんですよ、表現の自由などに関する。この規定がかつての自民党の案にはありました。これ、ないですよね、今回。この配慮規定、ほっぽっちゃったわけですよね。どうですか、問題じゃないですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今回のテロ等準備罪の立案に向けましては、一般人が対象とならないということ、あるいはその内心の処罰になるのではないかという懸念、こういったかつて示された懸念を払拭するために組織的犯罪集団という定義を置き、それによってその処罰範囲を限定する、あるいは実行準備行為というものを新たに設けるということで処罰範囲を限定する、このようなことを行ってきたわけでございます。 そういった意味で、しかも、組織的犯罪、テロ等準備罪というものにつきましては、思想、良心の自由を、内心の自由を処罰するものではございません。これはかつての法案においてもそのように明確に説明をしてきたわけでございます。 そういったことから、今回、そのようなことを前提といたしまして立案しましたので、そういった配慮規定というものはあえて置いていないわけでございます。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 実行行為って、自民党の修正案にもかつてありましたよ。 そして、一般人に適用しないというのは違うじゃないですか。盛山副大臣は、一般人も嫌疑が掛けられた段階でそれは組織犯罪になるって言っていますよ。そして、参議院の本会議で、環境団体も人権団体も対象になり得ると答弁しているじゃないですか。嫌疑掛けられたら一般人じゃなくなるんですよ。だとしたら、全ての人は対象になり得るということです。 かつての自民党は、こういうのをちゃんと置いていたんですよ。今までの議論、全部ほっぽらかして、厳格にしたというのは違いますよ。かつての方がはるかにまだまし。 次に、二〇〇七年の段階で、自民党は小委員会で対象犯罪を百二十八まで絞りました。このとき、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪などは入っていないんですね。 今回、二百七十七、数え方によったら三百十六、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的逮捕監禁罪、そして信用毀損罪などですね、これらは範囲が、先ほど糸数さんからもありましたが、座り込みすると威力業務妨害罪で有罪になったケースがあります。また、現にブロックを辺野古のゲート前に積んだことで威力業務妨害罪で起訴をされています。組合など、威力業務妨害罪や逮捕監禁罪になりかねないわけですよね。 まさにこれは、かつての自民党は絞り込んだんですよ、百二十八まで絞り込んだ。さっき大臣、ですから今回の数、多くないですか。なぜ組織的威力業務妨害罪、これを外すということはないんですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今回、条約の犯罪化義務を履行するために、組織的犯罪集団が現実的に計画することが想定される、こういった犯罪についてはすべからく対象犯罪としませんと条約の義務を履行することができません。したがいまして、今回、そのような観点から、現実的に計画が想定される犯罪として、これまでの対象犯罪を選択したものでございます。 そういった観点で、組織的な威力業務妨害罪等につきましても、これは例えば組織的犯罪集団が、例えばテロリズム集団が電力会社の従業員を発電所から無理矢理排除して、制御装置を操作して電力供給を停止することを計画する、こういったようなことが現実的に想定されるということから、今回、組織的威力業務妨害罪をこの対象犯罪としているものでございます。 一方で、これが労働組合あるいは人権団体、環境団体に適用されるのではないかということの懸念が言われますけれども、この点につきましては、るる答弁しておりますように、労働組合でありますとか環境団体、人権団体というものが犯罪を実行することを目的として結合しているわけではございませんので、そういったものに対しては適用ができないということでございます。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 全然違いますよ。 まず第一点に、条約を批准できないと言うが、六百以上あったのを二百七十七、あるいは、この数え方は三百十六ですが、したのは政府じゃないですか。幾らだって伸縮自在なんですよ。だったら、なぜこの犯罪なのか、その立証はないですよ。 かつて自民党は百二十八まで狭めたんですよ。局長はそう言いますけれども、まさにトートロジーなんです。組織犯罪集団について限定はありません。また、労働組合も、まさに建造物損壊罪や逮捕監禁罪、強要罪、犯罪で、威力業務妨害罪などで有罪になったケースたくさんあるじゃないですか。だからみんな心配しているんですよ。何の説得力もないというふうに思います。 大臣にお聞きします。 大臣は、治安維持法は適法だとおっしゃいました。戦後、治安維持法は廃止になりました。適法なんですか。
○委員長(秋野公造君) 盛山法務副大臣。(発言する者あり)まず、盛山副大臣。
○副大臣(盛山正仁君) 委員長の御指名でございますので、答弁をさせていただきます。 治安維持法及びその下での運用につきましては、様々の意見や批判があったと我々も承知をしております。 しかし、一方、戦前と異なりまして、現在の捜査機関による捜査につきましては、日本国憲法の下、裁判所が、捜査段階においては厳格な令状審査を行い、また公判段階においては証拠を厳密に評価して事実認定を行い、有罪か否かを判断することにより、捜査機関の恣意的運用を防ぐ制度が有効に機能していると我々は考えております。 また、今回のテロ等準備罪は、先ほど局長が御答弁申し上げましたとおり、組織的犯罪集団に限定し、実行準備行為、計画行為、こういったことをかましておりますので、国民の基本的人権を不当に制約するような内容になっておらないと我々は考えているところでございます。
○国務大臣(金田勝年君) 福島委員から今非常にたくさんの質問をいただいております。 非常に残念なのは、残念なのは、通告のない質問を次々に乱発されると、私の方は、技術的、細目的な部分を含めてうちの刑事局長に答弁させざるを得ない点を御理解ください。 その上で、その上で、ただいま私どもから申し上げましたように、治安維持法についてはどのように評価しているかというふうなお尋ねであったと思います。ただいま副大臣から申し上げましたが、治安維持法及びその下での運用につきましては、種々の意見や批判があるものと承知をしているという思いを申し上げておきます。 そして、日本国憲法の下では、戦前とは異なって様々な制度が有効に機能している中で、この度のテロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定をし、計画行為に加えて実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにいたしておりまして、その処罰範囲は明確かつ限定的なものであるということで御理解をいただきたいと、このように思っております。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 治安維持法は適法だったかと聞いたんです。そして、それはなぜか。治安維持法と共謀罪は団体に対する刑事処罰規定だというところで共通です。治安維持法は参加罪、この共謀罪は基本的には共謀が主眼です。でも、濫用されるんではないかという点で非常に危惧を持っています。 大臣は、衆議院の法務委員会で治安維持法は適法だとおっしゃいました。でも、戦後、廃止されたわけじゃないですか。問題があったから廃止されたんだと思います。大臣、治安維持法は濫用されたという認識ですか。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほども申し上げました。 治安維持法につきましては、種々の意見があるものと承知をしております。そして、同法の、治安維持法の内容や適用された事例を含め、歴史の検証については専門家の研究、考察等に委ねるべきものとは考えておりますが、種々の意見や批判があったことをしっかりと承知をしております。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 大臣は、治安維持法は濫用されたという認識ですか。
○国務大臣(金田勝年君) 同じ答えになりますが、治安維持法及びその下で、運用については、種々の意見や批判があるものと承知をしておりますが、問題も多かったと、このように考えて、受け止めております。
○委員以外の議員(福島みずほ君) 問題が多かった。問題が多かったんですよ。国体の変革と私有財産の否定、この二つの目的を持つものに関して処罰をする参加罪でした。 国体の変革とは何ぞや。これが宗教団体やいろんなところにも波及していった。大本教は神殿が爆破をされて、起訴になります。創価学会やたくさんの宗教団体も弾圧される。何で国体の変革をされるものとされなければならなかったんでしょうか。濫用がありました。 今、大臣は、問題があったということは認められました。治安維持法がこれだけ問題があった、だから共謀罪に関しても、しっかり過去の反省をしなければ問題があり得るというふうに思います。 次に、この条約に関して、共謀罪の成立をしなければならないことが必要かどうか、いや、予備罪でこれは可能なんではないかという観点から質問をいたします。 条約の第五条においては、配付資料をお配りしておりますが、「次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)」としております。つまり、何が要求されているか。未遂、既遂以外の犯罪をつくれということです。これは予備罪、共謀罪という二つの可能性があります。これについて、過去、神余さん、これは平岡さんと神余外務省国際社会協力部長の審議ですが、ここで神余さんは、これは、二〇〇五年十月二十一日、衆議院法務委員会、オーバートアクトの代わりに予備行為を要求することが条約の趣旨に反するか否かということについては確固たる定義はないとはっきり述べています。議事録をお配りしておりますが、言っていないんですよ。 そしてもう一つ、だから、もう一つ法務省の、これはちょっとお配りしておりませんが、ホームページ、現在もあるホームページなんですが、そのホームページ、「現行法のままでも条約を締結できるのではないかとの指摘について」というものなんですが、条約第五条について、未遂罪や既遂罪とは独立に、犯罪の実行の着手以前の段階で処罰することが可能な犯罪を設けることを義務付けている、この点、我が国の現行法には、実行の着手以前の段階の行為を処罰する規定として、例えば、殺人予備罪、強盗予備罪などの予備罪や、内乱陰謀罪、爆発物使用の共謀罪などの共謀罪等が設けられており、また、一定の場合に殺人等の犯罪の実行の着手以前の段階の行為に適用されることがある特別刑法の例としてこういうものがあるという説明があります。つまり、ここで法務省が説明しているのは、予備罪と、それから共謀、陰謀、両方説明しているんですね。これは法務省の言葉です。しかし、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪には多種多様な犯罪があり、現行法上、予備罪、共謀罪等が設けられているのはその中の一部のみにすぎません。そこで言われているのが、詐欺罪やそれから人身売買に関する犯罪等において、現行法では予備罪も共謀罪も設けられていないということなんです。これだけだったら二百七十七、三百十六もつくる必要ないじゃないですか。 この法務省のホームページに明らかなように、予備罪と共謀罪ってあるんですよ。日本は既に予備罪、共謀罪、陰謀罪など七十二あります。外国の重大な犯罪は、というか、この条約を批准して、こんなにたくさんですね、こんなにたくさん共謀罪を成立させたところというのはないじゃないですか。予備罪で、じゃ、何が足りないかという議論だったら百歩譲ってまだ分かります、予備罪じゃ駄目なんですか。
○政府参考人(林眞琴君) 法務省のホームページの記載についての言及ございましたが、法務省といたしまして、予備罪でこのTOC条約の五条を満たすことができるという見解に達したことは一度もございません。しかも、今もその予備罪ではこの合意を犯罪化するというこの犯罪化、条約の義務を履行することはできないと考えております。今の御指摘のホームページの中でも、法務省がこの条約を予備罪で履行できるというようなことを掲げているものではないと承知しております。 その上で、何ゆえにその予備罪では条約を満たすことができないのかということについては、外務省からの、所管でございますけれども、外務省の解釈によるわけでございますが、いずれにしましても、この本条約は、合意を処罰する、合意を処罰するということを前提として、オプションとしてその推進行為をその要件としてもよいと、このように条約にはなっておりますので、予備行為、ここで罰する予備は合意を処罰するものではないわけでございますので、予備行為をつくることによってこの条約を履行することはできないと、これは終始一貫して法務省としては考えているところでございます。
○政府参考人(水嶋光一君) 先ほど委員の方から平成十七年十月二十一日の法務委員会でのやり取りについて御質問がございましたので、確認のために御答弁させていただきます。 過去の法案審議におけます御指摘の答弁ですが、これはオーバートアクトの代わりに予備行為を要求することが条約の趣旨に反するか否かといったことについて、確たる定義はないが、これについては予備行為の概念をいかに解するかによると考えている旨の答弁を指すものと考えております。この答弁では、確たる定義はないとしつつも、予備行為の概念をいかに解するかによるとしております。 この答弁の前に、同じ日の法務委員会の中で、同じ委員からの質問に対しまして、予備行為については、実行行為着手前の行為が予備罪として処罰されるためには、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要件とするものと考えるのであれば、合意そのものをもって犯罪化するという本条約の趣旨に合致しないことになるおそれがあるということで答弁をしております。 ですから、先ほど刑事局長から答弁ございましたけれども、この条約で締約国に求めておりますのは、重大な犯罪の合意又は参加の少なくとも一方を未遂、既遂とは別に犯罪化することを義務付けているということでございますので、今回、テロ等準備罪を整備することなく条約の義務を担保するということはできないというふうに考えております。
○委員以外の議員(福島みずほ君) ただし、五条の中で、犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とした上で、その準備行為を予備罪というふうに理解し、そのことは可能だというふうに考えております。 先ほど外務省からそうありましたが、神余さんのこの答弁では、これは確固たる定義はないというふうに言っていて、私は、先ほど局長が、これ共謀が主眼であるというふうにおっしゃったけれども、やっぱり共謀罪じゃないですか、共謀罪なんですよ。でも、予備行為の部分を予備罪とすること、あるいは外国の重大犯罪も、そんな多くないんですよ。日本は既に七十二ある。 それで、この共謀罪必要ない、これ、なくても批准できる、あるいは個別にきちっと根拠を示せということを申し上げ、私の質問を終わります。
○委員長(秋野公造君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時七分散会