法務委員会 第15号
- 発言数
- 343 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2017/05/30
会議録
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十六日、宮本周司君が委員を辞任され、その補欠として牧野たかお君が選任されました。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査中、法務省刑事局長林眞琴君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに賛成の方の挙手を願います。(発言する者あり) 〔賛成者挙手〕
○委員長(秋野公造君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。(発言する者あり) 先ほどお諮りいたしましたのは、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査中、法務省刑事局長林眞琴君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに賛成の方の挙手を願いますと申し上げました。そのことについて、多数と認めます、よって、さよう決定いたしましたと申し上げました。(発言する者あり) 続けます。続けます。 次に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官永井達也君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、本案について政府から趣旨説明を聴取いたします。金田法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。 三年後に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、世界各地で重大なテロ事犯が続発し、我が国もテロの標的として名指しされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生をしております。また、こうしたテロを敢行する犯罪組織は、テロを通じ、組織の威力を誇示して賛同者等を集めるとともに、薬物犯罪や人身に関する搾取犯罪を始めとする様々な組織犯罪によって資金を獲得し、組織の維持拡大を図っている状況にあります。さらに、国内においても、暴力団等が関与する対立抗争事犯や市民を標的とする殺傷事犯、高齢者等に対する特殊詐欺事犯等の組織犯罪も後を絶たず、国民の平穏な生活を脅かす状況にあります。 こうした中、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと戦うための国際協力を可能とする国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は、平成十五年五月に国会においてその締結につき承認をされ、既に百八十七の国・地域が締結済みでありますが、我が国はこの条約を締結するための国内法が未整備のため、いまだこれを締結しておりません。 そこで、この法律案は、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びにこの条約の締結に伴い、必要となる罰則の新設等所要の法整備を行おうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げます。 第一は、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている一定の罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益の獲得等の目的で行われるものの遂行を二人以上で計画する行為であって、その計画に基づき当該犯罪を実行するための準備行為が行われたものを処罰する規定を新設するものであります。 第二は、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪等に係る刑事事件に関し、虚偽の証言、証拠の隠滅、偽変造等をすることの報酬として利益を供与する行為を処罰する規定を新設するものであります。 このほか、いわゆる前提犯罪の拡大など犯罪収益規制に関する規定、一定の犯罪に係る国外犯処罰規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
○委員長(秋野公造君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員松浪健太君から説明を聴取いたします。松浪健太君。
○衆議院議員(松浪健太君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。 本修正の内容は、第一に、テロ等準備罪の対象犯罪のうち告訴がなければ公訴を提起することができないもの、いわゆる親告罪に係るテロ等準備罪について、告訴がなければ公訴を提起することができない旨を明記することとしております。 第二に、テロ等準備罪に係る事件についての被疑者の取調べその他の捜査を行うに当たって、その適正の確保に十分に配慮しなければならない旨の規定を追加することとしております。 第三に、附則の検討条項として次の二つの事項について定めることとしております。 一、政府は、刑事訴訟法等一部改正法附則第九条第一項の規定により取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を行うに当たっては、新組織的犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の規定の適用状況並びにテロ等準備罪に係る事件の捜査及び公判の状況等を踏まえ、特に、当該罪に係る事件における証拠の収集の方法として被疑者の取調べが重要な意義を有するとの指摘があることにも留意して、可及的速やかに、当該罪に係る事件に関する当該制度の在り方について検討を加えるものとする。 二、政府は、テロ等準備罪に係る事件の捜査に全地球測位システムに係る端末を車両に取り付けて位置情報を検索し把握する方法を用いることが、事案の真相を明らかにするための証拠の収集に資するものである一方、最高裁判所判決において、当該方法を用いた捜査が、刑事訴訟法上、特別の根拠規定がある場合でなければ許容されない強制の処分に当たり、当該方法を用いた捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査方法であるとすれば、これを行うに当たっては立法措置が講ぜられることが望ましい旨が指摘されていることを踏まえ、この法律の施行後速やかに、当該方法を用いた捜査を行うための制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(秋野公造君) 以上で本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終了いたしました。 これより質疑に入ります。 まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。 今日は総理にお越しいただきまして、基本的なことについてお尋ねさせていただきますが、総理のこれまでの発言の中ですと、この法律はテロ対策、あるいはこの法律を成立させて、そして条約に加盟しなければ東京オリンピックも開催できないと言っても過言ではないと、このようにおっしゃっておられました。私は、その総理のお話は、これまで総理がよく使う言葉を借りて言わせていただければ、印象操作、すなわち、テロ対策に関する法律ではない、あるいはオリンピックのために特別必要ではない、そうした法律を可決させたいがために国民に印象操作をする、そういう趣旨の発言ではないかというふうに考えております。 その根拠をお示しします。 ただいまお配りいたしましたのは、平成二十五年十二月十日の「「世界一安全な日本」創造戦略について、別紙のとおり決定する。」という閣議決定でございます、閣議決定。この平成二十五年十二月、この頃ですね、オリンピックの招致が決まったのは、平成二十五年の九月でございます。あるいは、テロ状況、平成二十五年の一月には、フランスで、シャルリー・エブドでしたか、テロが起きました。また、平成二十五年の十二月の直前、十一月には、パリで同時多発テロが起きて百人を超える死者があったという、まさにテロ事件、国際的な課題となっておるこの時期でございます。 もちろんテロは許せません。取り組むのは必要でありますが、それとこの法律ということは関係がないということを説明させていただきますが、この平成二十五年十二月十日の閣議決定、まあオリンピックの招致が決まった直後でありましょうから、「二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等を見据えたテロに強い社会の構築」ということをうたっております。この中にいわゆるこの共謀罪もこの条約加盟も入っておりません。 あるいは、「国際連携を通じたテロの脅威等への対処」ということで四項目あります。協力の推進、能力の向上に向けた支援、分析機能の強化、そして日本とアメリカ合衆国との間の協定の締結と、この四項目がテロの脅威の対処だということを平成二十五年の十二月に、安倍総理、閣議決定しておりますが、ここで、TOC条約の加盟も、この法案、共謀罪の成立も入っていません。 すなわち、テロにもテロ対策にもオリンピックのこのテロ防止対策にも、総理はこのTOC条約の加盟、そのためのこの共謀罪、いわゆる共謀罪の成立というものは全く念頭になかったということを如実に示していると思うんですが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員が例として挙げられた「世界一安全な日本」創造戦略でありますが、そこで、このサミット、オリンピックを見据えたテロ対策、カウンターインテリジェンス等々の中には国際的組織犯罪対策というのは入っていないわけでございますが、この全体、世界一安全な日本をつくっていくかということについてはこの戦略の中で総合的に書いてあるわけでございまして、章を進めてずっと見ていっていただければ、三十四というところに、「国際組織犯罪対策」というところの中の①として「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約締結のための法整備」ということが書いてあるわけでございまして、こうしたことも含めてしっかりと体制を整えていくことこそが私たちの責務であろうと、こう考えているわけであります。 一般論として、以前より国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘されてきたのは事実でございます。国際組織犯罪防止条約を採択した二〇〇〇年の十一月の国連総会決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような組織犯罪と闘うための有効な手段であることが指摘をされたところでございます。 今般のG7のタオルミーナ・サミットにおいても、英国マンチェスターでのテロ事件を受けて、真剣な議論の結果、首脳間で採択されたテロに関するG7の特別声明では、テロ対策のための世界的な行動に不可欠な要素として、本条約を含む国際文書の実施の重要性が強調されたところでございまして、本条約は、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団への参加の犯罪化を義務付け、テロを含む組織犯罪への未然の対処を可能とするとともに、マネーロンダリングの犯罪化も義務付けているところでありまして、したがって、テロ行為それ自体に対処できるのみならず、テロ組織の資金源となっている犯罪行為にも対処できる、テロの根本を断つことができるものであると、このように考えているわけでございまして、このように、本条約がテロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に阻止するための枠組みであります。 本法案は、本条約の義務を履行して本条約を締結するためのものであり、テロを含む組織犯罪対策に資するものと考えておりますし、また、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える我が国として、本条約の締結に必要な国内法整備、すなわちテロ等準備罪処罰法案を成立させ、本条約を早期に締結することが必要不可欠であると考えているところでございます。
○小川敏夫君 委員長、もう本当に限られた質問の時間しかない中で、質問に関係ないことを長々と答弁されては委員会の質疑が充実が図れません。委員長からも注意していただくようお願い申し上げます。 総理、「国際組織犯罪対策」という中で一行載っていることは事実ですが、ただ、オリンピックのテロ対策、国際的なテロ対策という項目には載っていないんですよ。すなわち、この条約そのものは、いわゆる金銭的な利益、経済的な利益を中心とした国際的な犯罪を取り締まろうと、マフィアとか人身売買とかそういったことが念頭に置いたんでしょうけれども、そういう念頭に立って、テロ防止のための条約でないという、そういう理解だから、わざわざ特出ししたオリンピックのテロ対策、あるいは国際的なテロ対策という項目の中に載っていないんじゃないですか。 平成二十五年の十二月と今とで、総理の答弁のお言葉を借りれば、国際的なこの犯罪組織とテロ組織とが密接に関わっているということについて何か劇的な変化する事情でもあったんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今回のサミットでも言わば国際社会の常識として議論になったわけであります。議論になったわけでありますが、そこで、まさに言わばテロを実行していく上においては資金を集めることが必要不可欠であります。ISILにおいてもそうですね、彼らは様々な方法によって、方法によってですね、資金を集めているわけであります。 言わばこうした資金源を断っていくことはテロを防止していく上で極めて重要であるという認識に立っているわけでありますし、また、TOC条約によって捜査共助が進んでいく、あるいはまた情報の共有が進んでいくわけでありますから、これがですね、これが東京オリンピック・パラリンピックを成功させるために、それに対するテロ行為を防止する上においてこれは重要だというのは、これは常識ではないかと、このように考えるわけでございます。
○小川敏夫君 私の質問は、この三年間で国際的組織犯罪、国際犯罪組織とテロ集団との関わりについて劇的な変化があったんですかと、総理は変化があるようなことをおっしゃりましたから、そこを聞いているんです。質問に端的に答えてください。 また、委員長、質問に関係ない発言があったら制限してください。
○委員長(秋野公造君) この際、政府に申し上げます。 答弁は、質疑者の趣旨を体し、簡潔かつ明瞭に行うよう申し上げます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 尊敬する小川委員の趣旨を体してしっかりとお答えをしているつもりでございますが、つまり、これは、組織犯罪とですね、組織犯罪とあるいはテロと資金源との関わりについては、より一層それが明らかになってきているのは事実であろうと。国際的に、言わばISILの台頭というのは、この二、三年の劇的な出来事と言ってもいいんだろうと思います。そして、ISILは、国際社会全体から資金源を、供給するとともに、ネット等を通じて兵士をこれは募集し、そして各地においてテロを実行していくと、こういう組織であります。こういう組織に立ち向かっていく上においては、各国が協力していくことが当然必要だろうし、捜査の共助が求められているわけでありますし、大切なことは、このテロ組織、例えばISILの資金源を断っていくことが重要であろうと。 そして、今回のサミットにおいて、まさにそのISILの資金源を断っていくということがかなりこれ議論になったのは事実でございまして、これは例えば四年前、五年前においては、例えばISILの資金源を断つということは議論にはなっていないわけでございまして、そういう意味においては大きな変化があるというのは事実であろうと、このように思います。
○小川敏夫君 四年前でもISILの問題は非常に大きな問題となっておりましたけれどもですね。 結局、単なる印象操作で、オリンピックが開けない、テロ対策だと言ってこの法案を通そうとしている、印象操作だと、総理の好きな言葉を借りれば、ということを指摘させていただきます。 今日は時間がないので、この法案に関する国民の不安に関して一点だけお尋ねします。 法務大臣、この構成要件は二人の者が計画すればいいということになっておりますが、この法律そのものは団体と、団体の活動として行うということでございます。しかし、構成要件的には二人が共謀すればいいということになっている。この団体は、二人以上であればこの団体の要件を満たすんでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 御指摘のとおり、満たすと考えております。
○小川敏夫君 つまり、組織的犯罪といいながら、しかし、二人でも団体の要件満たすんですよ。団体の要件が二人で、二人が共謀すれば犯罪が成立すると。じゃ、僕と誰かが二人で、よし、これから何か広域窃盗団つくろうじゃないか、俺が主役でおまえはちょっと手伝え、見張りでもやっておけと言って役割分担決めてやれば、もう犯罪集団になるんじゃないですか。 これは一般人、普通の、何か大きな人数を抱えた犯罪組織集団、いわゆる反社会的な団体とか、そういったことを念頭に置いただけの法律ではなくて、非常に広範囲に、非常に緩い組織性で、しかも投網を掛けるような、そういう危ない法律ではないかと、私はそういう危惧、これは国民一般も感じていると思うんですが、法務大臣、いかがですか、そうした危惧を感じる国民の声に対して何か御説明できませんか。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。 テロ等準備罪は、本条約上の義務を履行できるものであることを前提に、我が国の法制度との整合性を考慮しつつ、必要かつ適正な範囲で立案をしたものであります。 テロ等準備罪の要件であります組織的犯罪集団、これは組織的犯罪処罰法における団体であることが前提となっておりまして、団体の構成員の数につきましては条文上、多数人とされているものの、具体的な数までは定められておりません。しかし、その数が余りに少ないときには、構成員の変更が集団の同一性に影響を及ぼすこととなるため、継続的結合体という要件を欠くとともに、その活動が組織により行われるという要件を欠くことから、通常、団体には当たらないと考えられます。 したがって、御指摘のように構成員が二名の場合には、通常、組織的犯罪処罰法上の団体には当たらないものと考えられます。
○小川敏夫君 だって、初めは、最初は二人でも当たると言ったから、当たる場合があるということでしょう。 まあ十分時間がありますので、今日は総理大臣もお越しの中で、余り細かい議論で時間を費やすということはしないで、また改めてじっくり議論をしたいと思いますが。 総理、私は、この共謀罪の一つは、権力に意に沿わない発言をする人、これを権力あるいは政権側が抹殺しよう、社会的に抹殺しようか、おとしめようかとか、そうしたことに濫用されるということが一番の危惧の一つでありますけれども、ところで、今、加計学園の問題が大きな話題となっております。前川前事務次官が、この学園の認可に関して総理の意向に従ったというような趣旨の発言と、それを裏付けるような文書を提出しております。 どうでしょう。総理は自民党のトップでもございます。この前川前事務次官の証人喚問について、きちんとこれを行って国民の前に事実を明らかにするような、そうした手続をどんどん進めるようにと、こうした指示をなされる考えはございませんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岩盤規制を改革をしていく、そして、日本の成長戦略をしっかりと前に進めていくというのは安倍政権の基本的な姿勢であります。 なぜ岩盤規制と言われるのか。普通の規制であれば、これは言わば役所と普通に協議をしていけばその規制は改革されていくものでありますが、岩盤規制というのは、それはそう簡単なことではこれは改革できないという中において、国家戦略特区という仕組みをつくって、この中においてしっかりとドリルのように穴を空けて、そこから改革を進めていくというものでありますし、またスピード感を持って改革を進めていかなければいけないわけであります。 改革を進めていく上においては常に抵抗勢力があるわけでありますが、この抵抗勢力に屈せずにしっかりとこの改革を前に進めていくことが大切であります。言わば、改革を進めていくのか、あるいはそれに対する抵抗に崩れてしまうのかという基本的な構図があることを忘れてはならないと思います。 その上で、小川委員がおっしゃった参考人として呼ぶかどうかというのは、これはまさに委員会がお決めになることであろうと、このように思います。
○小川敏夫君 最後の一言でよかったんですけどね。 手続は委員会で決めるのは当たり前です。しかし、現実に与党がその招致に反対しておるわけですから、だから与党の責任者として応じるようにということの指示をなされたらいかがですかと聞いておるわけです。 問題は、総理、岩盤規制云々ということじゃないですよ。岩盤にドリルで穴を空ける、穴を空けた下で総理のお友達が手を広げて何か待っているんじゃ、これ、健全な政治って言えないじゃないですか。岩盤規制の問題じゃないんです。規制の結果じゃなくて、具体的にこの総理のお友達が、前川前事務次官のお言葉を借りれば、ゆがめられた形の行政によって総理と密接な関係にある方が特定な利益を得るということが政治の在り方として問題だという趣旨で述べておるわけでございます。 ところで、総理、総理はこの加計学園、あるいは加計孝太郎氏と大変親しい御関係だというふうに伺っていますけれども、総理御自身、加計学園の役員を務めたことはございませんか。加計学園の役員をしたことはございませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) たしか、当選した当初でありますから相当昔でありますが、数年間、監査かそうしたものを務めたことがございます。
○小川敏夫君 報酬も受け取っていますよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、きちんと私はこれはもう既に報告をしているわけでありますが、一年間に十四万円という報酬を受けたことはございます。しかし、これはまさに小川委員の先ほどの言を借りれば印象操作であって、これはもうはるか、はるか昔のことでございます。 それと、今、まるで小川さんはですね、小川さんは私が友人である加計さんのために便宜を図ったかのごとくの前提で議論をしておられますが、それは極めて私は恣意的な議論なんだろうと思います。 先ほども申し上げましたように、私はこの国家戦略特区全般において岩盤規制をこれはまさに破っていかなければいけないと。岩盤規制というのは、今まで規制が改革できなかったところですから大変難しいんです。それはまさに、既得権を持つ団体もいますし、それを、そこに権限を持つ役所もいるわけでありますから、そこにですね、そこにまさに挑んでいくのが安倍内閣の役割でございます。それは、例えば医学部を新設した際もそうでございますし、農業の特区を進めたこともそうでございます。 それに、私が、私の知り合いだからといって、私が知り合いだから頼むといったことは一度もないわけでありまして、そのことは明確に何回も申し上げているわけでありまして、そうではないというのであれば小川さんがそれを証明していただきたいと、こういうことでございます。 それとともにですね、ともに、この獣医学部の新設については、民主党時代に、これはまさに民主党時代に、平成二十二年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げしたわけであります。検討を続けてきたわけであります。国家戦略特区についても、これはまさに岩盤規制に取り組んでいくために国家戦略特区という仕組みが大切だということで、衆議院段階においては民主党も賛成されたわけでございます。 それを踏まえて私たちはまさに岩盤規制にドリルで穴を空けるためにこうした努力を行っているわけでございまして、これを政局のために言わば抵抗勢力と手を組むかのごとくは、やはりこれは政治家としてどうなんだろうと、私は率直にそう思っているわけでございます。 これからもしっかりとやるべき改革を全力をもって進めていきたいと、こう申し上げているところでございます。
○小川敏夫君 総理、私は、総理が加計学園に関して何らかの指示をしたと断定はしておりません。ただ、大きな疑問を抱いております。 ところで、総理は、私の方から証明しろと言っていらっしゃる。別にこれ裁判の場じゃありませんから、私が立証する責任はございません。政治は、政治を行う者が疑惑を招いたら、自ら積極的にその疑惑を払拭するために説明するというのが政治家の責任ではないでしょうか。 総理、例えばこの文書について、確認できないという調査結果が文科省から来ておりますが、総理の御指示で更に徹底的に調査をしろと、このような指示をするお考えはありませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 従来から申し上げておりますように、文部科学省からは確認できないということでございます。 文部科学副大臣も参っておりますので、文部科学副大臣からも答弁させたいと思います。(発言する者あり)
○小川敏夫君 もっともっと安倍総理と、私が敬愛すると先ほど私のことを褒めていただきましたので、私も返させていただきますけれども、もっと議論をしたかったんですが、残念ながら時間が来てしまいました。 一つだけ指摘させていただきます。民主党政権時代に特区特区と、これは構造改革特区でありまして、地域の要望があればそれに応じていくということでございます。しかし、総理が行ったのは国家戦略特区、まさに国家戦略で国家が決めていくということでございまして、政権の関与が全く異なります。そうしたことを抜きにして、あたかも民主党政権が築いた上に乗っかっているかのような総理の御意見は余りにも恣意的であるということを指摘させていただきまして、時間が来ましたので、残念ですが、私の質問はこれで終わります。
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。 総理、聞いてください。共謀罪の議論をずっと衆議院段階から伺ってまいりまして、大きな二つの問題を感じました。もちろん法文ですから厳密に議論をしなければいけない。と同時に、国民に分かりやすく説明する責任があるだろうというふうに思います。総理がイタリアの記者会見でも語っていらっしゃったように、このテロ等準備罪、私たちの言う共謀罪について、丁寧に分かりやすく説明したいと、そうおっしゃっていました。 先日の日曜日、NHKの討論でも共謀罪、賛成、反対の議論がありましたけれども、それを拝見していても、やはりこの日本が痛切な経験だったオウム真理教の地下鉄サリン事件などの一連の凶悪事件、それをやはり共謀罪を議論するときには検証しなければならない、そのように司会者もおっしゃっておりました。恐らく総理もそのような思いがあって、これまで衆議院の予算委員会などではオウム事件について触れられてこられたんだろうというふうに思います。 具体的に言えば、二月十七日の衆議院予算委員会、一般人は関係するのかどうか、組織的犯罪集団、それは何かという議論の流れの中で、総理はオウム真理教についてこうおっしゃっております。例えば、オウム真理教がそうでありますねと、宗教団体だったのがあるとき一変して犯罪集団になった、さらには、犯罪集団に一変した段階でその人たちは一般人なんですか、私は今大変驚いているんですが、一般人であるわけないじゃないですかというふうに語っておられます。 これ、私たち日本が、本当にオウム真理教のようなテロを今後二度と起こさせない、テロ防止のためにも非常に重要な教訓となる事件だと私は考えておりますけれども、総理はこのように具体的にオウム事件を語られたわけですから、是非教えていただきたいんですが、一九九五年、地下鉄サリン事件が起きた段階ではもちろんこの共謀罪法案というものはありませんでしたけれども、しかし、それだけ貴重な歴史の事実、教訓がこの日本、私たちにあるわけですから、総理、もし今この共謀罪法案が当時、地下鉄サリン事件当時にあれば、オウム真理教はいつ一変したんでしょうか、お示しください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、有田委員がおっしゃったように、法案の審議でありますから厳密に議論をしなければいけないわけでありますが、しかし一方、国民の皆様に分かりやすく説明する上においては国民の皆様が誰もが知っている事案について例を挙げるべきだろうと、こう考えて私は、当時、このオウム真理教について例として挙げたのは、一変するという可能性について申し上げたわけであります。宗教法人として認められたものが、今、有田委員がおっしゃったような犯罪を組織的にですね、犯罪集団として犯罪を犯すに至ったと、こういうことであります。 そこで、いつこの組織的犯罪集団になったかということでございますが、これにつきましては、まさに個別的な、個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるか否かは捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき問題であろうと、こう考えるわけであります。 あのときも私は、答弁においては、犯罪集団として一変したと、こう申し上げているわけでありまして、犯罪集団として一変した以上、それは言わば一般人の集まりではないと言えるだろうという意味において言ったわけでございまして、そして、この問題は、法律上ですね、法律上、この法律に記されている組織的犯罪集団か否かにおいては、当時はまだこの法律がないわけでありますから、その観点から捜査はしていないということによって、いつの段階で言わば組織的犯罪集団になったかということは言えないわけでありますが、私がまさに答弁でお答えをしたのはこのここで言っている組織的犯罪集団ということとは少し違いまして、一般的な犯罪集団にはなったのは事実でありますから、ですから私は犯罪集団という言葉を使っているわけでありますが、犯罪集団になったのは間違いがないわけでございます。 しかし、そのときはそういう観点から捜査をしているわけではございませんから、今、私がここでにわかにお答えすることはできないということでございます。
○有田芳生君 だから、印象操作なんですよ。国民の多くが、こんなオウム真理教の事件を二度と起こしてはいけない、そう思っていますよ。だけど、皆さんがお出しになっている共謀罪法案ではテロなんて防止できないんですよ。そのことは後でお話をしますけれども。 元々宗教団体であったオウム真理教が一変して犯罪集団になったと総理が語っていらっしゃるんだけど、一変なんかしていないんです。最初からずっと同じ宗教団体として続いてきて、小乗仏教、大乗仏教、そして秘密金剛乗、タントラ・ヴァジラヤーナという教えに基づいて彼らは坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件などを起こしたんであって、総理が言っているような一変はしていないんです。それが歴史の事実なんです。 しかも、総理は、ほかの予算委員会でも語っているけれども、一変したら一網打尽だ。さっきも紹介しましたけれども、一変した段階でその人たちは一般人なんですか、私は今大変驚いているんだとおっしゃいますけれども、オウム真理教、地下鉄サリン事件を起こしたときには、出家信者一千人、在家信者一万人、ロシアに信者五万人、一網打尽にするんですか。ほとんどが事件とは関係のない人たちですよ。地下鉄サリン事件などなど一連の凶悪事件に関わった人たち、逮捕されて起訴された人たちは、日本でいえば一万一千人の信者の中の僅か六十三人ですよ。 しかも、総理、一般論として伺いますけれども、普通の団体が犯罪集団、組織的犯罪集団に一変するときに、その一変する流れを誰が監視をして判断していくんですか。端的にお答えください。 総理に聞いているんです、総理に。簡単な話じゃないですか、簡単な話。総理に聞いているんです、総理に聞いているんです。駄目ですよ、そんなのは。駄目ですよ、総理の発言について聞いているんだから。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、どのように一変したか、まさにこれは捜査実務に関わるわけでありますから、まさに実務を経験している刑事局長から答弁させる、これは当然のことだろうと思います。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の構成要件におきましては、組織的犯罪集団という存在がございます、それから計画行為がございます、それから実行準備行為がございます。これが三つ合わさって犯罪が成立するわけでございまして、組織的犯罪集団になるかならないか、これは犯罪ではございませんので、それ自体をリアルタイムで捜査する、監視するということにはなりません。
○有田芳生君 都合のいいときだけオウム真理教を利用する、それがまさしく印象操作じゃないですか。 地下鉄サリン事件、松本サリン事件の前にも、オウム真理教が発足した当初から内部のリンチ事件などはありました。そのときに一変したのかどうか、非常に流動的じゃないですか。だから、それは捜査が決めていくんでしょう。 しかし、松本サリン事件よりずっと前の一九九〇年の段階で神奈川県警はオウム真理教の徹底的な調査を行っていた。富士山総本部、東京の施設、そして神奈川の施設、二十四時間の監視体制を取っていたんですよ。そして、一人一人の信者の個人情報を調べ上げていって、尾行、監視、宅配伝票まで調べて、そして住民票も当然調べる、銀行口座の履歴まで調べた。セミナー会場に出入りする車のナンバー全部押さえていた。そして、その結果、一九九〇年の段階に神奈川県警は、オウムの一般的な信者、犯罪に関係ない信者たちの八千四百五人の名簿をデータベースに入れている。千六百七十五台の教団関連の車両まで調べてデータベース化したのが事実なんですよ。 だから、一旦捜査当局が怪しいと思ったら、一般信者、一般人たちを調べているのが今の捜査機関じゃないですか。総理、一般人、巻き込まれませんか。総理に聞いているんです。
○国務大臣(金田勝年君) 一般の方々に該当するか、あるいは一般信者も組織的な犯罪集団の構成員となるのかという御指摘だと思いますが、個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるか否かという点につきましては、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき問題である上に、お尋ねのオウム真理教につきましては、その教団の関係者による一連の犯行につきまして捜査、公判が行われた当時は、先ほども御指摘がありましたように、組織的犯罪集団という概念は存在していない。そして、同教団の関係者による一連の犯行が行われました当時、同教団が組織的犯罪集団と認めることができるか否かを申し上げることはできないと、このように考えております。 一般論として申し上げますと、組織的犯罪集団の構成員は、一定の重大犯罪等を実行することを共同の目的として結合している必要がありまして、その結合目的を認識していない者は組織的犯罪集団の構成員とはなり得ないわけであります。 その上で、一般の方々という言葉につきましては、一般の方々はテロ等準備罪の対象とならないという文脈において、組織的犯罪集団とは関わりがない方々、言い換えれば、団体に属していない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々という意味で用いているわけであります。 したがって、自らが所属する団体が組織的犯罪集団であると認識していない者であったとしましても、自らが所属する団体の幹部たちが組織的犯罪集団を構成しているような場合には、認識を欠く者についても組織的犯罪集団と関わりがない方々とは言い難いわけであります。その意味において、そうした者は一般の方々とは言い難いと考えているわけであります。 いずれにしましても、組織的犯罪集団の結合目的を認識していない者にはテロ等準備罪が成立することはないと、このように考えております。
○有田芳生君 都合のいいときだけオウム事件を取り上げるのは問題だと思いますよ。オウム真理教の結合関係の基礎としての共同の目的というのは、最初から最後まで宗教的教義なんですよ。そして、その教義の中に問題があったから凶悪事件を起こしたわけで、一変なんかしていないんですよ。これが歴史の事実です。 もう時間が来たから、最後に一言お伝えをしますけれども、この政府の言うテロ等準備罪、私たちの言う共謀罪について、オウム真理教事件当時の三月の末に、国松孝次当時の警察庁長官が何者かによって銃撃をされました。国松長官は、この共謀罪の議論についても非常に関心を持っていらっしゃいます。 で、こう語っている。五月五日の朝日新聞へのインタビューですけれども、「私は、国際組織犯罪防止条約はマフィア対策だとずっと聞いていたから、「テロ対策」と急に言われて「へえ」と思った。「準備行為が必要」というのも、「へえ」だね。」。これが捜査のプロの判断なんです。さらにこう言っている。オウム事件や自分が狙撃された事件は、共謀罪があってもお手上げなんですな。お手上げなんですよ。そのことは午後の審議で詳しく大臣などにもお聞きしていきたいというふうに思いますが、一般人が関わらないかということについても国松孝次元警察庁長官はこう語っている。「「個人犯罪にまで広げるのはおかしい」という意見は分かる。おかしい犯罪は、国会審議で外せばいい。」。 二百七十七に減らしたと言いますけれども、本当に森林法とか種苗法とか著作権法違反であるとか、何でこんな犯罪が入っているのかという疑問がありますので、そこは午後の審議でじっくりとお聞きをしていきたいというふうに思います。 時間が来たので終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 総理、十三分しかありませんので、端的に、国連プライバシーの権利特別報告者に対する日本政府見解についてお尋ねをしたいと思います。 この件について、政府は、不適切で強く抗議すると一貫しておっしゃっているわけですが、それは国際社会に通用しないと、昨日の代表質問でも私は申し上げたとおりの認識に立っております。 ただ、総理にお尋ねしたいのですが、このお配りしている政府見解をよく読みますと、特に三項辺りに表れていますが、政府も、TOC条約の国内担保法はプライバシー権や内心の自由を保障したものでなければならないということは前提としているように読めるわけです。国連人権B規約の十七条あるいは憲法十三条と、こうしたものが保障されたものでなければならないという理解で、総理、よろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロ等準備罪は、計画行為及び実行準備行為という行為を処罰するものであって、内心を処罰するものではなく、思想、良心の自由を侵害するものではありません。また、国民の生命、財産を守るためにテロの未然防止対策には万全を期す必要がありますが、その際、国民の権利、自由が不当に侵害されることがあってはならないことは当然のことであります。 この条約第三十四条1においては、締約国は、この条約に定める義務の履行を確保するため、自国の国内法の基本原則に従って必要な措置、立法及び行政上の措置を含む、をとると規定されております。日本国憲法第十九条においては、思想及び良心の自由はこれを侵してはならないと規定されているわけでありまして、以上のことからも、TOC条約の担保法であるテロ等準備罪処罰法案は、内心を処罰するものではないことは明らかであります。
○仁比聡平君 質問にお答えにちゃんとなられないんですけれども、先ほど三十四条の、条約の、御答弁の中で少し触れられました、つまり、国内担保法はプライバシー権や内心の自由を保障したものでなければならないと、そこを明確にまずお答えいただきたいんです。その上で、総理が、政府の出している法案は満たしているとしきりにおっしゃるのは、それはそれで総理のお立場なんですけど、国内担保法はプライバシー権や内心の自由を保障したものでなければならないと、これが大前提ですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども答弁させていただいたように、国民の生命、財産を守るためにテロの未然防止対策には万全を期す必要があるが、その際、国民の権利、自由が不当に侵害されることがあってはならないことは当然のことであります。
○仁比聡平君 政府が、その侵してはならない人権を、いろいろ強弁をしてこの法案を押し通すことによって侵してしまうのではないのか、それが強行採決というような形になっているのではないのかというような日本の状況に対してなされたやむにやまれぬ警鐘がケナタッチ教授の公開書簡ということだと思うんですが、国内担保法がプライバシー権や内心の自由を保障したものでなければならないということを前提にされるわけならば、であるならば、ケナタッチ特別報告者の書簡に真摯に向き合うということが当然の態度だと思うんですね。 総理、我が国は昨年、人権理事会の理事国選挙に立候補して、当選して理事国を務めるようになっているわけです。その選挙に際して、日本の自発的誓約という言葉で外務省のホームページに公開をされていますけれども、そういう文書がありまして、そこには、国連人権高等弁務官事務所、OHCHRや特別手続の役割を重視する、特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため今後もしっかりと協力していくと。 これ、言わば国際公約でしょう。この特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のためしっかりと協力していくと言っておきながら、公開書簡を知ったら、まあ慌ててというんでしょうか、数時間のうちに不適切だとか強く抗議するだとか、こうした文書を出すと、これは国際社会に本当に通用しないんじゃないんですか。これは改めて抗議を撤回して、特別報告者と協議を行うというのが人権理事国になったときの日本政府の国際社会に対する公約じゃありませんか。
○政府参考人(水嶋光一君) ただいま委員の方から自発的誓約について御質問ございました。 日本政府といたしましては、昨年出しました自発的誓約、ここで表明いたしました立場には変更はありません。一方で、今般、カンナタチ教授が出した公開書簡につきましては、法案を作成した当事者であります日本政府からの説明を聞くことなく、一方的に見解を発表した著しくバランスを欠く不適切なものであったと考えております。 政府といたしましては、我が国の取組を国際社会において正確に説明するためにも、この公開書簡の照会事項については、追ってしっかりと我が国の立場を説明するものでお返しをしたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、その外務省の答弁は繰り返し昨日も本会議場で聞いている。私は、一国の首相として総理にお尋ねをしているわけです。私の質問の意味がお分かりになっておりながら御自身でお答えにならないという、その態度そのものが驚くべき態度だと思います。 私、昨日の本会議場で感じましたけれども、籠池氏、前川前文科事務次官、そしてケナタッチ教授、自分の意に沿わない真実の証言や道理に立った批判というのは、国内においても、そして国際社会に対しても敵視し、けなし、封殺しようとする総理と安倍政権の基本姿勢がこの問題で深刻に表れているんじゃないかと思うんですね。 総理は国連のグテーレス事務総長と会談をされました。その際、事務総長がどう言ったかということを昨日も、今外務省が少し答弁をされたようなケナタッチ教授に対する言わば言葉を極めた非難の中に織り交ぜて、この点についてグテーレス国連事務総長も、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べていましたなどと昨日御答弁をされたんですが、五月二十八日に国連のホームページに同じ会談のプレスリリースがアップされています。そこでは、私が読む限り、特別報告者について、事務総長は首相に、特別報告者は国連人権理事会に直接報告をする独立した専門家であると説明しましたと国連はリリースしている。 これ、総理が言うような、まるで日本政府の口を極めての非難と事務総長が同じ立場であるかのようなこうした引用ぶりは、私はこれは事実と違うのではないかと思うんですが、総理、実際には、事務総長との会談、その中での説明というのはどんなことだったんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私とグテーレス国連事務総長との間の懇談の概要については、日本側が既に発表したとおりでございまして、この懇談の内容についてはそれぞれの立場から公表したものであり、対外的に発表する際に文言を一言一句まで相互にすり合わせたものではないわけであります。 したがって、日本側の説明と国連ホームページのプレスリリースの内容が一言一句一致していなくても不自然ではありませんし、国連のプレスリリースにおいて我が国の発表内容がこれは否定されているわけではないわけでありまして、我が国として発表したとおりのやり取りがあったわけであります。
○仁比聡平君 否定されているわけではないとおっしゃるけれども、少なくとも、日本政府が引用している文脈、総理が昨日の本会議答弁でおっしゃった文脈と事務総長のプレスリリースは全く意味が違うじゃないですか。 昨日、総理は、事務総長も日本政府と同じ立場だと言わんばかりの御答弁になっていますよ。議事録ちゃんと読んでください。もう御自身でおっしゃったんだから、それは分かっているとおりなんですけれども。 だって、特別報告者の任務というのは、プライバシーの権利保護、促進に向けて、情報収集、国際会議などへの参加、意識啓発などを任務とする、特別報告者は、その任務の範囲内で各国への情報提供の要請あるいは調査訪問等を行うことができる、これは、昨日、外務大臣が御説明になったとおりですよ。 その特別報告者が日本政府に総理への書簡で照会をしている、そのこと自体を、事務総長が日本政府が今使っているような言葉と同じ趣旨で非難するなんてあり得ないじゃないですか。 事務総長が、あるいは国連のホームページにある、特別報告者は国連人権理事会に直接報告をする独立した専門家であるというこの認識、独立した専門家として物事をやっているんだと、この認識こそが、国際社会の当たり前の、常識といいますか、それをゆがめるというのは私は本当に断じて許せないと思います。 このケナタッチ教授は、今回、今日審議が始まった法案について、その文言が曖昧で、恣意的な適用のおそれがある、対象二百七十七犯罪が広範で、テロリズムや組織犯罪に無関係の行為を多く含んでいる、いかなる行為が処罰対象となるかが不明確で、刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があると。結果、プライバシー、表現の自由を著しく侵害する、そういう懸念があるということを示しているわけですね。 この指摘の中身こそがとても大事なんじゃないんですか。この懸念にしっかり応える、そういう審議を尽くすということが私はこの委員会の任務だと思いますし、政府は強行採決などごり押しをするんではなくて、これはきちんと的確にこの質疑に応じていく、そういう責任があると思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府として日本側がこれ発表したものについては、これは、事務総長は、特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないと、この旨を事務総長が述べられたのは事実でありますから、これは言わば非難するという文脈で使ったのではないわけでありまして、言わば国連の総意としてのものではないという、国連事務総長の発言を言わばファクトとして申し上げたわけであります。一方、特別報告者は、国連人権理事会に直接報告する独立した専門家であると、これも事実でございます。 そして、その上において、政府がこの委員会においてどういう対応を取っていくかといえば、丁寧に、そして分かりやすく法案について説明していきたいと、その上で成立を期していきたいと考えているわけでございます。 法案、この法案をめぐる国会の運営についてはまさにこの委員会でお決めになることであろうと、このように思います。
○仁比聡平君 昨日の総理の答弁は、そのようなファクトを示したというそういう文脈にはなっておりません。非難に援用しているというのは極めて不当だと申し上げておきます。 私は、昨日の理事懇談会でも申し上げましたが、立法ガイドを作成したパッサス教授、そしてこの特別報告者カナタッチ教授、このお二人を是非この委員会に参考人としてお招きをするべきだということを強く主張して、今日の質問は終わります。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。昨日に引き続きまして質問をさせていただきます。 まず、今回の法案の名前、法案の名前は組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案ということでありますけれども、政府としては、過去の共謀罪という名前を変更して、テロ防止というものを前面に出したテロ等準備罪という名前にして国民の一定の支持を受けております。実際には、この法案が成立しても、振り込め詐欺とかそういったテロ等の等の部分、等の部分についての適用事例が多くなっていくのではないかなというふうに思いますが、この名前にした趣旨について、まず安倍総理から見解をお伺いしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロ等準備罪は、テロを始めとする重大な犯罪、組織犯罪が実行されてしまった場合に生じる結果の重大性に鑑み、犯罪の実行前の早い段階での処罰を可能とするため創設するものであります。 御指摘のとおり、組織犯罪にはテロ以外の罪も含まれますが、結果の重大性という観点から、組織犯罪の典型はテロであることは言をまたないと思います。また、直接的なテロ行為に関するもの以外の組織犯罪についても、資金源犯罪を始めテロの最終的な根絶に向けて処罰することが効果的な方策であると言えます。 こうしたことから、卑劣な組織犯罪から国民の生命、財産を守るために創設する本罪の呼称にテロを例示として冠し、準備段階で処罰することを明示することとしたものであり、これは罰則の実態を反映したものとして国民の理解を十分に得られるものと考えております。
○東徹君 組織犯罪の典型例がテロということで、そしてまた、その資金源を断つということが今回の法案の大事なところだということであると思いますが、確かにテロを未然に防いでいくというのは非常に大事なことでありまして、先日のイタリア・サミットでも行われましたけれども、イギリスのマンチェスターで起こったテロ事件を見ても、これはもう本当に未然に防いでいかなくてはならないというふうに思います。 今回のイタリアで行われましたG7サミットでは、現地時間二十六日の討議で、英国での自爆テロ事件を踏まえて、あらゆる形態のテロを非難するという旨の声明が採択されました。今後、テロへの脅威にG7各国どのようにして連携して対処していくのか、安倍総理の見解をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般のG7タオルミーナ・サミットにおいては、英国マンチェスターでのテロ事件を受けて、国際社会の喫緊の課題であるテロ及び暴力的過激主義対策について真剣な議論が行われ、その結果、テロに関するG7の特別声明が首脳間で採択されました。 我が国としては、昨年、伊勢志摩で取りまとめたテロ及び暴力的過激主義対策に関するG7の行動計画に基づき、情報共有、国境管理、テロの資金源にもなり得る組織犯罪対策、寛容や相互理解の促進といった分野について、途上国への能力構築支援等も含め、G7で連携してテロとの闘いを一層強化していくこととしたわけであります。 特別声明では、国際組織犯罪防止条約の重要性も強調されています。我が国としては、テロを含む国際的な組織犯罪に対して国際社会と一致結束して対処するためにも、本条約の締結に必要な国内法、すなわちテロ等準備罪処罰法を成立させ、本条約を早期に締結することが必要と考えています。
○東徹君 テロを未然に防いでいくためにこの法案、法律が必要だということでありますけれども、これは組織犯罪を処罰するということになるわけでありますが、昨年のアメリカでのナイトクラブであった銃撃事件、それからまた、フランスのニースでもあったと思うんですが、団体ではなくて過激派の影響を受けた単独犯によるテロ、いわゆるローンウルフ型テロというふうにも言いますが、こういったものが今世界各国でもまた起こってきております。 今回のテロ等準備罪ではこういった単独犯は対象にならないわけでありますが、このような単独犯のテロに対してどのように対処するのか、お伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もとより、国内法の整備や国際組織犯罪防止条約だけでテロ対策として十分であるとは考えていません。 単独犯を含むテロの未然防止の要諦は情報であります。そのため、政府としては、国際テロ情報収集ユニットの体制を増強するなど、官邸直轄で国際テロ情報の収集、集約を行う体制を強化するとともに、水際対策、重要施設等の警戒警備を始め、総合的なテロ対策の強化に取り組んでいるところであります。
○東徹君 総合的なテロ対策ということでありますけれども、ただ、安倍総理は先ほど、テロを未然に防ぐためにこの法律が必要だということでありますが、なかなかテロを未然に防ぐというのは実際には難しいというのが現実だと思います。 最近では、先ほども申し上げました英国でのマンチェスターのテロ事件、これなんかもテロ等準備罪と同様の共謀罪が既にある国において実際にテロが生じてしまっているわけでありますから、実際にこういったテロ等準備罪、こういったもの、成立したとしても、なかなか他国を見ていると未然に防ぐことは難しいんだなというふうに思いますが、このことについて安倍総理はどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に国際組織犯罪防止条約を締結している国においても、そして、そのための担保法がある国においても、残念ながらテロが発生していることは事実であります。ですから、テロにこれで、テロ対策にこれで十分ということはないわけでありますが、同時にですね、同時に、未然に防がれている事案も数多くあるのも事実でございます。まさに、我々はそのためにもしっかりとこの担保法を成立をさせ、捜査共助を行い、同時に情報の共有を進めていくことも大切だろうと。また、この犯罪人の引渡し等においてもしっかりと行うことができるようになるわけでございますから、そうしたこと等のためにもやはりこの条約を一日も早く締結をしていかなければならないということであります。 繰り返しになりますが、テロ対策にはこれで十分というゴールがあるわけではないわけでございますが、同時に、それは条約締結の必要性を否定するものではないわけであります。世界はもう既に進んでいるわけでありますから、まず我々がそこまで追い付いていって、さらに、さらにテロに対して常に未然の防止に様々な対策を講じていく必要があるんだろうと、このように思っております。
○東徹君 今回、法案について我が党は与党側と修正協議をさせていただきました。五項目を修正を求めさせていただいて、ある一定、前に進んで、我々合意をさせていただきました。その中で、可視化、取調べの可視化であったり、そしてまた弁護人の立会いということであったり、そしてまたGPS捜査を可能にしたり、そしてまた通信傍受を可能にしたり、あとは親告罪を認めるということがきちっと明記するということであったり、そういった五項目を修正協議でさせていただきました。 その中で一番こだわらせていただいたのは、可視化、取調べの可視化の部分であります。 これは、取調べの可視化というのは、世界各国見た場合に日本よりももっと進んでおるという状況。そしてまた、今回のテロ等準備罪で何が証拠として大事かというと、やはり供述。供述となると、やっぱりきちっと取調べの可視化、録音、録画、こういったものが大事だということもありますし、そしてまた、恣意的に自白を強要されないかとか、そういった冤罪を防止するという面でも可視化が必要だということで可視化にこだわらせていただいて、今回修正協議を求めさせていただきました。結果、ある一定、まだまだ不十分だというふうには思っておりますが、一定、前へ進んだのかなというふうに思いましたので、修正協議に合意をさせていただいたということであります。 警察における取調べの可視化についてですが、全体では二・八%しかまだ可視化は行われておりません。裁判員裁判の対象事件であっても、全過程が録音、録画されたのが全体のこれ七七・四%にとどまっております。可視化が進まない理由は、録音、録画のための機器が備わっていないというようなことも言われます。そういったことで、可視化の義務化に向けて、機器の配備、こういったものも必要だというふうに考えます。 改めて、取調べの可視化の必要性、そして、取調べの可視化を是非進めていく、そのために機器を配備していく、そういったことについてどのようにお考えなのか、質問をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(吉田尚正君) お答えをいたします。 取調べの録音、録画を実施するに当たりましては、その記録の正確性や改ざんの防止を十分に担保するための機能を備えて、かつ記録の内容をめぐる裁判での争いが生じにくい、そういった機材を用いる必要がございます。そういった観点から、警察におきましては必要な機材の整備を進めてきておりまして、平成二十八年度末までに全国で約二千台の機材が整備されたところでございます。 他方で、取調べの録音、録画の試行実施の過程におきまして、機材の不足によりまして取調べの録音、録画が不実施となっている、そういった事例も確認をされておりますので、各都道府県警察において更なる整備を図る必要がございます。それを支援する観点から、警察庁といたしましても、二十九年度当初予算におきまして、録音・録画機材の整備に係る補助金約二億四千万円、二・四億円、六百五十三台分でございますが、これを盛り込んだところでございます。 制度の施行までに各都道府県警察において必要十分な数の機材が整備をされますように、警察庁としても引き続き必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
○東徹君 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますが、是非取調べの可視化が更に進んでいきますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 質問に入ります前に、加計学園問題について一言申し上げます。 安倍総理、国民の疑念を払拭されるどころか、ますます強くなっています。問題がないのでしたら、正々堂々と国会の場で証明されるべきだというふうに思います。そうしなければ、国家戦略本部は、規制の岩盤に風穴を空けるどころか、法律に抜け穴を空け、違法行為をしているという批判を免れない、そのことを申し上げ、質問に入りたいと思います。 まず、本日は安倍総理に、沖縄県民が置かれた状況といわゆる共謀罪法案について伺います。 安倍総理は、沖縄県民を本土の人たちと同様に日本国民と考えていらっしゃるのでしょうか。沖縄の本土復帰の一九七二年から二〇一六年末までの間に様々な事件や事故が発生しております。例えば、航空機関連事故は七百九件も発生をしております。米軍人軍属等による刑法犯罪は五千九百十九件発生して、そのうち、殺人、強盗、強姦など凶悪犯が五百七十六件に上っています。九五年には、小学校の少女が米兵三名に強姦をされる痛ましい事件が発生し、昨年にも、二十歳を迎えた女性が元米軍属の男に暴行され、殺害され、遺棄されました。 北朝鮮のミサイル発射で、安倍総理は満身の怒りを込めて抗議をされます。もちろん、抗議はこれは当然のことだと思います。しかし、翻って、多くの沖縄県民の命と暮らしを脅かすこの米軍に対して安倍総理は強く抗議をされているのでしょうか、伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後七十年以上を経た今もなお、沖縄には大きな基地負担を負っていただいており、この事実を政府として重く受け止めております。政府としても、現状は到底是認できるものではないと考えており、沖縄の負担軽減のため、できることは全て行うとの方針の下、全力で取り組んでおります。 米軍による事件、事故は本来あってはならないものであり、政府としては、米側に対して、隊員の教育や綱紀粛正及び再発防止の徹底について機会あるごとに強く申入れを行ってきております。 もちろん、抗議、申入れだけではなく、米軍、国、沖縄県や関係市町村の三者が協力して事件、事故防止のための協議を行っているほか、沖縄に新たに着任した全ての軍人軍属等を対象とした米軍の研修資料を沖縄県等の意見を踏まえて改定し、また、青い回転灯を付けたパトロールカー百台による沖縄・地域安全パトロール隊による防犯パトロールを実施するなど、様々な取組を行ってきております。 今後とも、日米間の協力も一層促進しつつ、事件、事故の防止のため、全力で取り組んでいく考えであります。
○糸数慶子君 事件、事故に対してちゃんと取り組んでいるというふうにおっしゃいますが、それでも事件、事故は後を絶たないというのが現実であります。 沖縄県民は、県知事選挙、そして衆参、この選挙区の全てにおいて辺野古新基地建設反対の候補者を当選させており、新基地建設のその意思、反対の意思はちゃんと民主主義の手続を経て明確に示してまいりました。ところが、政府はそれを無視し続けています。沖縄県民の人権無視、沖縄の自治権の無視であり、政府の行為こそが重大な憲法違反であると考えます。 政府が沖縄県民の意思を無視して基地建設を強行するとき、意思表示の最後の手段である抗議行動、座込み、ブロックを積む行為、それが共謀罪の、つまりその適用の対象になるというふうにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画したことに加え、実行準備行為が行われた場合に成立するものであります。組織的犯罪集団とは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいいます。そして、組織的犯罪処罰法上の団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織、すなわち、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体により反復して行われるものをいうわけであります。 その上で、犯罪の成否を個別的、個別具体的に事実関係を離れて一概に結論を申し上げることは困難でありますが、あくまで一般論として申し上げれば、御指摘のような集団は、団体の要件をそもそも満たさないと思われる上、基地建設反対又は基地建設に反対することによる地域の負担軽減や自然環境の保全を目的としており、一定の重大な犯罪等の実行を目的として構成員が結合しているものとは考え難いので、テロ等準備罪が成立することはないと考えております。
○糸数慶子君 沖縄の高江では、ヘリパッド建設に抵抗して市民が座込みを行ったことに対して、警察は全国から機動隊を動員し、多数の市民を負傷させ、また、抗議行動のリーダーである山城博治さんを始め多くの仲間を逮捕、勾留いたしました。山城さんは釈放されましたが、勾留は五か月にも上りました。この山城さんへの不当逮捕、勾留は、国内外から厳しく批判されております。山城さんは、六月にジュネーブで開かれる国連人権理事会で不当弾圧の実態についてスピーチを行うことになっております。 沖縄県民からすれば、今回の共謀罪法案は、政府に抵抗する行為を未然に一網打尽にする意図が明らかにあるのではないかと疑わざるを得ません。このような懸念を払拭できるのでしょうか。安倍総理にお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロ等準備罪処罰法案は、国民の生命と財産を守るため、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための国際協力を可能とする国際組織犯罪防止条約を締結するための法案であって、御指摘のような意図は全くないということははっきりと申し上げておきたいと思います。
○糸数慶子君 日本全体の人口の一%程度の沖縄県民の意思は本土の意見にかき消され、無視され続けています。安倍総理は、御自身への批判に対しては印象操作はやめてくださいというふうにおっしゃいますが、沖縄県民からすれば、政府が沖縄県民に寄り添い、丁寧に対応しているかのような、また、県民が不当に抗議行動を行っているかのような印象操作こそやめていただきたいというふうに申し上げたいと思います。 本土メディアの多くは沖縄の状況を報じていません。沖縄のメディアが真実を報じると、それに対する圧力とも取れる発言が平然と行われております。これは、印象操作どころか、情報操作が行われているのではないかとさえ言わざるを得ません。なぜかといいますと、パリに本部を置く国境なき記者団によりますと、日本の報道の自由度は七十二位、これは先進国では最も下位を占めております。 沖縄県民がなぜ基地建設に反対するのか。それは、太平洋戦争で唯一の地上戦が行われたところであり、県民の四人に一人が亡くなっているというそういう状況の中で、平和に対する思いが人一倍強いからであります。そして、沖縄に基地が集中するがゆえに、再び攻撃の標的になる可能性が高いからです。 不安をあおる安倍総理の国会答弁について、例えば韓国外務省の報道官は、自制する必要があると不快感を示しました。仮想的な状況を前提とした発言は誤解を招くおそれがあり、朝鮮半島の平和や安全に否定的な影響を及ぼしかねないというふうに指摘をしています。 ナチス政権下でヒトラーの後継者と言われたヘルマン・ゲーリングは、普通の市民は戦争を望まないが、戦争は簡単に起きる、国民は常に指導者たちの意のままになる、それは、自分たちが外国から攻撃されていると言い、平和主義者については、愛国心がなく、国家を危険にさらす人々だと公然と非難をすればいいだけのことだというふうに述べています。 まさに安倍政権は今、朝鮮有事で国民を不安に駆り立て、抵抗する人々を共謀罪で未然に、取締りのその強化をしているように思えてなりません。 安倍総理に申し上げたいと思います。最大のテロ対策は何ですか。それは外交努力によってそのテロの要因となる不公正、そして不公平な社会をなくすこと、そのことが最もテロの対策になるというふうに私は思っております。沖縄県民は、先ほども申し上げましたけれども、やはり、県民の意思によって選びました県知事、そして名護市長、名護市議会議員、さらには衆参両院議員、全てが辺野古の新基地に対して反対の意思を表明をしております。そういう沖縄県の意思を無視して、県民に寄り添っているというふうにおっしゃるわけですが、そうであれば、県民の不安を払拭し、そして先ほども申し上げましたように、私たち県民に与えられた唯一の抗議行動、辺野古の前にあれだけ多くの県民が座り込んでいます。そして、県民の意思を無視して今日もまた辺野古の海を埋め立てる行為をしております。そのことは県民の総意でないということを強く申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(秋野公造君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君が選任されました。 ─────────────
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。質問が少し重なるところをお許しいただきたいと思います。 まず、二〇一九年ワールドカップ、そして二〇二〇年の東京オリパラ大会に向けて海外からたくさんの訪日客が増える中で、テロの防止は最重要の課題でございます。TOC条約の担保法案としては本来テロ対策が主眼ではないとの指摘もある中、政府はテロ等準備罪という形でテロ対策を包括する法案を提出したところでございます。 したがって、冒頭、テロ対策について伺いたいと思いますが、本法案のほか、テロの防止へ向け総合的にはどのような取組を行っているのか、総理に伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロ対策は、国際社会が結束して対処すべき喫緊の課題であります。特に、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を控える我が国は、安全の確保という開催国としての重大な責務を負っており、国際社会と緊密に連携し、テロ対策に万全を期さなければなりません。 テロの未然防止の要諦は情報であります。そのため、政府としては、国際テロ情報収集ユニットの体制を増強するなど、官邸直轄で国際テロ情報の収集、集約を行う体制を強化するとともに、水際対策、重要施設等の警戒警備を始め、総合的なテロ対策の強化に取り組んでいるところであります。 また、テロ対策は国際社会が一体となって取り組むべき最優先課題の一つと認識をしております。短期的には水際対策やテロ資金対策等、さらには必要な国や地域のテロ対処能力を向上するための支援を進めるとともに、長期的にはテロの根本原因たる暴力的過激主義を生み出さない寛容で穏健な社会の構築に向けたより根本的な取組を積極的に進めていく考えであります。 今後とも、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げてテロの未然防止に向けた諸対策を強力に推進していく考えであります。
○山口和之君 それでは、テロ対策に本法案の効果はどうかということについて法務大臣に伺いたいと思いますが、先日、英国の事件に限らず、重大犯罪合意罪や参加罪を既に制定している欧米諸国でもテロの連鎖は後を絶っておりません。英国の事件はローンウルフ型かどうか分からないですが、組織犯罪ではない重大犯罪合意罪の創設が意味を成さないケースも多々考えられております。今回の法案でテロ等準備罪を設けても、テロ防止の効果としてはかなり限定的なものになるのではないかというふうに思われるところが多く言われているところだと思いますが、法務大臣として答弁願います。
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員にお答えをします。 テロ等準備罪を設けることによりまして、テロを含む組織犯罪について実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となりますから、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになります。さらに、テロ等準備罪を整備してTOC条約を締結することによりまして、国際的な逃亡犯罪人引渡し、あるいは捜査共助、情報収集ということによりまして、国際社会と緊密に連携することが可能となってまいります。このように、テロ等準備罪を含みますTOC条約を締結するための国内法の整備はテロ対策として有効であると、このように申し上げることができます。 もとより、テロ対策というのは、ただいまもございましたように、本条約を締結することにとどまるものではなくて、様々な対策を行うことが重要であるというふうに考えております。したがいまして、法務省としては、関係省庁と連携をいたしまして引き続きテロ対策に取り組んでまいりたいと、このように考えておる次第であります。
○山口和之君 先ほども総理に少し触れていただきましたけれども、日本として忘れてはならないジャパン・ブランドについて質問させていただきたいと思います。 英国の事件を見ても、法律や警備、捜査でテロを防ぐのは極めて困難なところだと思います。人の集まるオープンなスペースでトラックなど通常の手段を使用してテロが行われたら、なすすべがないところでございます。 迂遠のようですけれども、世界の貧困や飢餓をなくすなど、人間の安全保障などと呼ばれる取組に力を入れるのが日本の王道だと思いますが、こうした取組へ総理の決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロを防ぐには、国内でのテロ対策の強化に加えて、いわゆる人間の安全保障の考え方の下、テロや暴力の温床となる世界の貧困や格差の問題への取組も必要であります。 先般のタオルミーナ・サミットにおいては、私から、テロの未然防止に向けて、途上国の水際対策や法執行機関の能力強化と並んで、貧困対策や教育・職業支援等を通じた寛容な社会の構築が必要であるとして、地道で息の長い取組の重要性を訴えたところでございます。言わばそのために、私は国連において、六十億ドルの言わば中東あるいは北アフリカ地域のこうした貧困等をなくすための、あるいは難民対策等のための日本の貢献を約束し、今実施をしてきているところでございます。 我が国の主張も踏まえ、テロに関するG7の特別声明においては、社会的及び経済的な包摂性及び機会の欠如が、テロ及び暴力的過激主義の増大を助長する可能性があることから、我々は、治安、社会的包摂及び開発を結合した包摂的なアプローチを通じて、これらの問題に対処していくことにコミットする旨の記述が盛り込まれたところでございます。 引き続き、テロの根絶に向けて、国際社会と連携しながら我が国として果たすべき役割をしっかりと果たしてまいりたいと思います。
○山口和之君 ジャパン・ブランド、日本というのはそういう国なんだというところを是非たくさんアピールしていただきたいですし、そこに焦点を向ける政策を是非取っていただきたいなと思います。 次に、違法捜査を抑止する制度について伺いたいと思います。 日本国憲法は、十八条において人権保障の基本とも言うべき奴隷的拘束からの自由を定め、三十一条以下において諸外国の憲法に類を見ないほど詳細な規定を置いております。これは、明治憲法下での捜査官憲による人身の自由の過酷な制限を徹底的に排除するためであると言われております。 日本及び世界の歴史から学ばなくてはいけないのは、捜査機関というものが人権侵害の危険性を内在したものであるということ、そして違法捜査を抑止する手だてを講じることが不可欠だということだと思います。テロ対策は重要ですが、そうした過去の歴史を忘れてはいけないと思います。 そこでお尋ねしたいのが、本法案成立後は捜査機関による人権侵害が増えるのではないかとの懸念の声が多く聞かれます。現在、違法捜査を抑止する制度としてどのようなものがあるのか、また、今後、違法捜査の抑止を強化するためどのような制度が必要だと考えるのか、捜査の適正化に向けた決意を含め伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 捜査機関による捜査については、テロ等準備罪についても、現在行われている他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従い必要かつ適正な捜査を行うこととなります。テロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものであるとともに、我が国においては裁判所による審査が機能していることから、捜査機関による恣意的な運用はできない仕組みとなっています。 現在、捜査機関においては捜査の適正確保のために様々な取組を行っているところであり、例えば、各種会議における指示や巡回業務指導等のあらゆる機会を捉えて適正捜査の指導を行っているものと承知をしております。 自民党、公明党、日本維新の会が共同で提出された修正案は、これまでの国会審議において指摘された御懸念等を踏まえ、テロ等準備罪の捜査を行うに当たって適正の確保に配慮すべき旨の規定を加えるなど必要な修正がなされたものと承知をしており、修正案を含む本法案が成立した折には政府としてその趣旨に沿った運用に努めてまいりたいと考えております。
○山口和之君 今、総理から適正化に向けた決意が述べられたところでございますが、この点について、本法案の法案審議の大事なところ、論点の一つだと思っております。今後の審議の中で具体的に一つ一つただしていきたいと思います。 以上で終わります。
○委員長(秋野公造君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。 安倍内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。 引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○古川俊治君 では、私から質問させていただきます。 私は、今回、自民党で法務部会長をやらせていただきまして、この法案の取りまとめをやらせていただきました。野党の皆さんも、与党は法案を通すのが仕事だというふうに思われているのかもしれませんけれども、実際、与党内でもかなり議論をしました。十五回ぐらいは多分議論をして、いろんな意見が出て、最後取りまとめたと。論点は様々にやはり党内でも話し合っていたと、まずそういう実情は是非御理解いただきたいというふうに思っております。 その上で幾つか、私なりに部会で議論があったなと思う点について、今日は順次お話を伺いたいと思います。 まずは、皆さんおっしゃっているように、テロ等準備罪のこの名称がいかがなものかという話はこれは党内でもあるわけでありまして、御案内のように、既に皆さんおっしゃっていますけど、TOC条約で参加罪又は合意罪が求められているのは、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得る犯罪の防止ということなんですね、いうことが求められているわけでありまして、ということは、条文上から見ると、確かに、テロリズムというものに正面から向き合っているわけではないんじゃないかというふうに考えられるわけですよね。 ただ、ちょっと考えてみますと、テロリズム集団というのは、先ほど総理もおっしゃっていましたけれども、やはり資金源がないと組織が維持拡大できないですね。ということになれば、ISILも、石油の密売有名ですけれども、やっているし、あるいは、マネーロンダリングで資金を得た団体がテロリズムに関与する、これも十分あるわけでありまして、あるいは、やはりテロリズム集団、そのテロをやること自体、破壊的行為をやるということがあるからこそ、例えば身の代金目的の誘拐なんかをやった場合には払わざるを得ないということになってくるわけだから、言ってみると、テロリズム自体が間接的に金銭的利益を目的としているとも言えるわけですよね。そういう意味でいうと、極めてこれ密接に連携しているのがよく分かるんですけれども、ただ、やっぱり入っていないと、これ明示的にですね。 この条約作成段階で、テロリズムを入れるかどうかということが議論になったと聞いておりますけれども、具体的にどのような議論があったのかお聞きしたいと思います。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、国際組織犯罪防止条約の起草段階におきまして、本条約の対象犯罪をリスト化するか否かの議論の中で、テロを対象犯罪に含めるか否かも議論となりました。例えば、エジプトは、テロを含む犯罪をリスト化して加えるべきであるという主張を行い、トルコなどの国がこの主張を支持したものと承知をしております。これに対しまして、カナダあるいはパキスタンなどの国が、対象犯罪をリスト化することについては問題がある、更に時間を掛けた議論が必要であることなどを主張いたしました。これは、リスト化を主張する国々を説得しようとしたものであり、我が国もこのカナダ等の国に賛同した次第であります。 我が国は、テロリズムという、国連において定義が困難な言葉について規定しようとすればこの条約の交渉がまとまらなくなってしまうかもしれないと、そういう状況の中において、本条約を是非まとめたいという、そういう前向きな立場からそのような発言を行った次第であります。
○古川俊治君 分かりました。 いろんな議論があって、そのときに、これなかなかまとまらなくなるんじゃないかというおそれがあったということなんですけれども、今回の法整備というのはこのTOC条約を締結するための法整備ということになるわけですけれども、実を言うと、この委員会の委員って、与党では猪口先生だけなんですね、共謀罪当時にいたというのは。野党でもほとんど実はいないんですよね。だから、共謀罪の頃の議論というのは全然我々は知らないんですけれども。 ただ、共謀罪の頃には、実はこれもTOC条約に加入するための法整備だったわけですが、共謀罪の頃はこれ、テロリズム集団その他なんという言葉がなかったですよね。今回入った。同じ法整備であるけれども、前回の共謀罪の頃はなくて今回入ったという、この理由はどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 今回、かつての法案も、組織的な犯罪に対処するということでの法案でございました。今回も組織的犯罪集団というものを法文の中に掲げて法案を提出しておるわけでございますが、その際、この組織的犯罪集団の例示といたしまして、このテロリズム集団というものを例示として掲げることによって、いかなる団体が組織的犯罪集団に該当するのかがより分かりやすくなるということから、このように例示を掲げたものでございます。
○古川俊治君 共謀罪の頃はその例示を入れるという概念はなかったわけですか。
○政府参考人(林眞琴君) かつての法案は組織的犯罪の共謀罪というものでございまして、その際の条文では、団体の活動としてと、こういう形での共謀罪を構成要件としておりました。したがいまして、その際には、組織的犯罪集団という概念はかつての法案にはございませんでした。今回新たに、団体を更に限定するものとして組織的犯罪集団という概念を法文の中に入れましたものですから、それを分かりやすく説明するために例示を今回加えたということでございます。
○古川俊治君 そうすると、組織的犯罪集団という定義をして、これはもちろんテロリズム集団だけでは恐らくないと思うんですよね。例えば、薬物、違法薬物を密売する犯罪集団ですとか、あるいはマネーロンダリングの集団ですとか、オレオレ詐欺なんかは集団詐欺ですよね。私は、だったら、テロリズム集団だけではなくて、違法薬物密売集団とか詐欺集団なんかもちゃんと例示に加えて、等とした方がより具体的で分かりやすいと思うんですけれども、そのようなテロリズム集団だけを一つ出して、あと、等としちゃったという、ほかの例示を出さなかった。まあよくあると思うんですよね、そういう、作り方としては。より具体的で分かりやすい法律としたらその方がよかったんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 確かに今回テロを、テロリズム、テロを含む組織犯罪、これに対処するためにこのTOC条約を締結する、そのための実施法としてこの国内法を整備すると、こういうことで法案を作っておるわけでございます。したがいまして、この組織的犯罪集団の例示というものについてを何にするのかということについては、委員御指摘のように、このテロリズム集団以外のものを掲げるということももちろんあり得ることだとは思います。 ただ、今回、やはり組織的犯罪集団というものについての典型については、現在の国内外の犯罪情勢、実態を考慮いたしますとやはりテロリズム集団であると考えておりましたので、今回の例示としてはテロリズム集団というものを掲げた次第でございます。
○古川俊治君 私は大変それは残念だったなというふうに思うんですけれども、例示が入っていればもう少しちゃんと説明がやっぱりいろんなふうにできるんじゃないかと思ったんです。確かに、テロがこの組織的犯罪として今非常に重要である、特に金銭的、物質的な意味でもテロ集団が関係するというのはよく分かるんですけれども、やはり例示としては足りなかったんじゃないかなと。その点はちょっと個人的に意見としては言わせていただきたいと思っています。 一点、現在、じゃ、テロはおいておきまして、マネーロンダリングとか薬物犯罪とか、あるいはサイバーテロ、あるいはオレオレ詐欺なんかですとか窃盗や強盗、そういうものに関する組織的犯罪集団というものはこの国内ではどのぐらい関与しているか、分かる範囲でいいから教えていただきたいんですけれども。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの犯罪に関しまして、組織犯罪と思われる事件で申し上げますと、例えばマネーロンダリングにつきまして、ナイジェリア人及び日本人らが平成二十五年にマレーシア等で発生した詐欺事件の被害金を日本国内の金融機関口座に送金させ、正当な振込送金であるかのように装い引き出し、詐欺罪、組織的犯罪処罰法違反の罪により逮捕された事案がございます。 また、薬物事犯につきましては、ナイジェリア人、フィリピン人及びロシア人らが平成二十七年に船により覚醒剤を密輸入しまして、覚醒剤取締法違反の罪により逮捕された事案というのがございます。 また、強盗につきましては、ナイジェリア人、モンゴル人、フィリピン人、ロシア人及び日本人らが、平成二十六年、客に酒を飲ませて酩酊させ、コンビニエンスストアでATMから現金を引き出させた上、店に戻り、店内で現金を奪い、昏酔強盗罪により逮捕された事案等がございます。 また、窃盗につきまして、中国人らが平成二十四年三月から二十六年七月にかけまして、兵庫県内の一般住宅に侵入し、現金や貴金属等を窃取し、また住居侵入罪及び窃盗罪等に逮捕されたような事案というものが発生しているところでございます。
○古川俊治君 ありがとうございます。 結構国際的に組織犯罪集団というものが国内でも活動が見られるということなんですけれども。その点で、局長に何回も御答弁お願いして申し訳ないんですが、組織犯罪について、現在、外国と多分捜査共助やらないとなかなかこれ犯罪の全体像を立証することは難しいと思うんですけれども、今の現在の外国当局との司法的な共助の在り方と、TOCを加入することによってそれぞれの犯罪で、これもより具体的に知りたいと思っているんですけど、どういうふうに変わってくることが期待できるのか。違法薬物にしろ窃盗や強盗にしろ、ちょっと違った局面もあると思うんですけれども、そこまで含めてTOC条約に入ることのメリット、司法共助においてですね、現状とどう違ってくるのかを教えていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、法的枠組みでどのように変わるかといいますと、このTOC条約を締結することによりまして、まず捜査共助におきまして、この条約を基に共助要請あるいは受託ができるようになるということで、さらにその際には、外交ルートではなくて、該当する国との間で中央当局というものを定めまして、いわゆる警察あるいは法務省、こういうものが外交当局を介さず相手国の中央当局、警察あるいは法務省等と情報、捜査共助のやり取りができるようになると、この枠組みがございます。 これが法的な枠組みでございますが、このように相手国との間で中央当局同士が直接やり取りができるようになるというのは、現在二国間条約を結んでいる場合にはそれができておりますが、今回このマルチ条約であるところのTOC条約に入りますと、これがTOC条約という条約を介しまして、お互いに中央当局同士の窓口、やり取りができるようになるわけでございます。このことは、その捜査共助のみならず、二国間の中央当局間同士のチャンネルができるということにつきましては、通常の情報交換、情報収集という点でも非常に大きなメリットが生まれると考えております。
○古川俊治君 それは法的枠組みで分かるんですけれども、具体的に今、例えば一度外交ルートを通じてしまえば恐らく情報のやり取りは多分できると思うんですよね。そうじゃなくて、やはりこの枠組みに入ることによってどの程度例えば捜査がやりやすくなる、具体的にもうちょっと現場の話を教えていただきたいと思うんですけれども。
○政府参考人(林眞琴君) 通常、捜査共助も外交ルートだけでやっておりますと、結局、直接は外交ルートを通じるということで、直接のやり取りの、情報のやり取りはないわけでございます。ところが、中央当局という形で法執行機関同士が窓口、チャンネルとしてつながりますと、具体的に言えば、その相手国との中央当局同士の定期的な、また毎年の会合などを設定したりして、常に情報交換、相手の顔を見える形でのチャンネルづくりというのが実際に現在二国間条約を結んで中央当局のある国との間では現在行われておりますので、これがTOC条約でつながることになれば、同様の直接顔の見える形での関係づくりができて、それは情報収集、情報交換においては非常に大きなメリットになると考えております。
○古川俊治君 これ、我が国がこれから東京オリンピック・パラリンピックを迎えるわけですけれども、そのオリンピック、パラリンピック等の大きなイベントが起こる際には当然海外から人の出入りも多くなりますし、大変犯罪人としては、カバーされる母集団が多くなりますから、なかなか見付けにくいことになります。それゆえ、イベント開催の当地では様々な犯罪が増えるというふうに言われていまして、国際的組織犯罪についても事例があるというふうに聞いています。 このイベント開催地における事件、これなんかを例えば我が国の捜査の参考にしたいという場合ですけれども、これから事件が起こる、まだ我が国で事件が発生していない段階で、その犯罪の捜査の情報というのをもらうことができるんでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) 一般論で申し上げますと、情報交換という、情報のやり取りということであれば可能だと思いますし、あるいはその犯罪についての捜査ということから申し上げますと、この条約に加入した後であれば、あるいはこのテロ等準備罪が成立した後であれば、その法律によって新たに犯罪とされる罪について双罰性が認められる場合にはそのような情報交換は可能になるというふうに思います。
○古川俊治君 それは要するに、私が申し上げているのは、事後の捜査だけではなくて、犯罪が起こった後の、その犯罪の嫌疑がある、将来起こり得る場合も情報がもらえるんですかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 この条約と離れて申し上げますと、一般的な情報の交換という形でのやり取りということは可能なものもあるというふうには承知しております。
○古川俊治君 ちょっと、済みません、通告が十分じゃなかったところもありますので、また後日そこのところは話していただくので結構ですから、正確に、これやっぱり、TOC条約に入るメリットというのが十分国民の皆さんに分かってもらうことは必要だと思うんですね、この委員会で。 それで、これから、じゃテロが起こるかもしれないというときに、例えば捜査の記録、例えば過去に非常にある団体に属していた、要は危険人物なんかと言われる人たちの例えば顔写真が分かってということがあれば、それは予防にも大変役立つと思うんですよ。実際そのようなことができるのかどうかということは、これちょっと後日でいいからしっかり調べてきてお願いをしたいというふうにも、これまた私、答弁、立たせていただきますので、そのときにお願いしたいと思います。 過去の、じゃイベント開催地における事件、国際的なことでですね、何か重要な、これからパラリンピック、オリンピック、オリパラを迎える上で考えておかないといけないのは、いつ頃この犯人というのが国内に潜入してくるのかということなんですね。もちろん国内の犯罪人と共同して犯罪する場合もありますし、これは国際組織ですから当然外国とのやり取りというのもあると思いますから、ということは外から入ってくる可能性もあるわけですね。それが、過去の事例、分かる範囲で結構ですから、もし分かることがあれば、どのぐらいの前に入っていたかということが分かれば教えてください。
○政府参考人(水嶋光一君) ただいま委員御指摘のとおり、一般に、オリンピックなどの大規模イベントが開催される際には極めて多数の観客などが開催地を訪れることが想定されます。したがって、組織的な犯罪集団にとっても、人身取引やテロによる宣伝効果など、不正利益の獲得の機会となると考えられます。 今御質問のございました過去のイベント開催地における事件について、犯人がいつ頃どのように入国していたかについては、実は我々としては把握しているものではございません。ただ、諸外国において大規模イベントの開催に伴い組織犯罪が増加したことを示すものの例として、例えば、ドイツにおきまして、二〇〇六年のサッカーのワールドカップの大会の開催の際に組織的な偽チケット販売や違法売春などが増加をした例、また、ブラジルにおきましては、リオデジャネイロ・オリンピックの開催に際してテロリストグループが摘発されたなどの例を承知をしております。 この中でも直近のブラジルの事案におきましては、現地の報道によりますと、オリンピックの開会前から大会期間中を通じて計十六名が拘束をされ、これらの者はISILの過激思想に共鳴しつつ武器の購入をもくろんだり訓練を実施しようとしていたとして立件をされたものだというふうに承知をしております。
○古川俊治君 捜査共助がどこまで可能なのかということでありますけど、十六名がISILの関係者として拘束をされたということであれば、例えばこのTOC条約に入ればその捜査記録、そうすると彼らがいつ頃入国していたかという情報も、これも入ってくるんですか、もらえるということになるんですかね。その辺を教えていただきたい。今日なければ後日でいいんですけど、教えていただきたいんです。今答えられますか。
○政府参考人(水嶋光一君) これまでの他国の例を見ましても、テロの犯罪に関する情報のやり取り、そういったものの捜査共助の例もございます。ですから、もちろん個別具体的な例に即する必要はありますけれども、今のような状況について情報のやり取りができるということは、条約に加入することによって可能になるというふうに考えます。
○古川俊治君 そもそも、このTOC条約は、今の組織的な犯罪の被害が大きくなっているから、できるだけ前倒しで刑事制裁を入れていって未然に防ぐというようにしないともう対抗できないと、こういう大きな犯罪組織には、そういう趣旨で作られているんですから、当然、事前の防止ということにこの捜査共助が役立たなかったら余り意義を成さないと思うんですね。この点については、今の御答弁ありましたけれども、また追って御質問させていただきますので、よろしくお願いします。 さっき共謀罪の当時の話をさせていただきまして、共謀罪の当時では、テロ等、テロリズム集団その他という用語がなかったと、このときは団体にすぎなかったというお話なんですね、構成要件が。今回新たに組織的犯罪集団という用語を一つ法文に入れたわけですけれども、この場合、今、現在の条文上、二条ですよね、の団体、そうすると、組織的犯罪集団ではなくて、かつ、犯罪の実行を共同の目的とする多人数の継続的結合体というのが概念としてはあるわけですよ。これは犯罪集団ですね。組織的犯罪集団ではない犯罪の集団ですよ。そして、それは、その定義としては、二条一項に基づきまして、犯罪の実行を共同の目的とする多人数の継続的結合体ということになるんですけれども、六条の方、新設される方は、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にある団体というふうになるわけですよね。 そうすると、前の方の、今、前者、私が申し上げた二条一項の方で団体という、犯罪を行うことを共同の目的とする団体と、六条の方の、今度新設される六条二項の方の結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にある団体というのはどう違うのか。前者の団体であって後者の組織的犯罪集団にならないもの、こういうのはどういうのがあるんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、組織的犯罪処罰法第二条第一項の団体、これは委員御指摘のように、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものというものをいいます。したがいまして、その目的自体、これは必ずしも、この二条一項の団体との関係ではこの目的自体が必ずしも違法、不当なものであることは要しないわけでございます。これに対して組織的犯罪集団となりますと、これは、団体のうちで、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいうわけでございます。 したがいまして、組織的犯罪処罰法第二条第一項の団体とこの六条の二の組織的犯罪集団の違いとなりますと、結合関係の基礎としての共同の目的に限定があるかないかであります。例えば、正当な事業活動を目的とする会社は団体には該当しておりますが、組織的犯罪集団には該当しないという結論となるわけでございます。
○古川俊治君 いや、そうじゃなくて、これ構成要件に団体から更に組織的犯罪集団という形で絞りが掛かっているんですよ。ただ、共謀罪の頃はこれ団体というただの団体で、そのときには、結局、その共同の目的、団体の共同の目的が犯罪にある場合を言っていたわけですね。それが、言ってみると、この組織的犯罪集団という構成要件なしに言えるような犯罪集団だったわけです。 今回、もう一つ絞りが入ったわけです。それは、新たに定義して、共同の目的とする多人数の継続的結合体というのから、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にある団体と。言ってみると、この結合関係の基礎としての共同の目的というものと、その共同の目的とする多人数の継続的結合体と、この違いがどういうことかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(林眞琴君) かつても共同の目的という概念はございました。そして、今回は結合関係の基礎としての共同の目的という概念がございます。 この相違でございますが、かつての法案におきましても、その共同の目的という場合には、やはりその共同の目的に沿う犯罪を行うということが共同の目的に沿うような場合にこの組織的な犯罪の共謀罪が適用になるんだと、こういう説明をしておりましたけれども、これについて、そのように限定がされるという、立法者の側の意図はそのとおりだったわけでございますが、その際に、その団体というものについては明文上の制限がないものですから、その共同の目的という場合に、その犯罪の実行を目的とするということを明示しないと本当の意味で法律の中での限定が掛からないのではないか、こういう議論がございましたので、今回、この共同の目的が犯罪の実行の目的にあること、これを明示することによって組織的犯罪集団というものを定義したわけでございます。 その際に、その共同の目的という言葉もなかなか多義的な捉え方がされていましたので、かつての法案においても、その共同の目的というのは結合関係の基礎としての共同の目的というものを意図してはおったんですけれども、そのことが法文の中で明示されていなかったものですから、今回は、そのことを明示するために、共同の目的という言葉の上に結合関係の基礎としての共同の目的ということを明示することによって、その構成員たちが集合している、結合しているものの本来の目的が犯罪実行の目的にある場合にのみこの組織的犯罪集団が成立するということを明らかにするために、今回、結合関係の基礎としてという言葉を付け加えたということでございます。
○古川俊治君 今の答弁からすると、要は共謀罪の頃の団体、犯罪の実行を共同の目的とする団体であったわけですね。それと今回のテロ等準備罪の組織的犯罪集団というのは実質的に同じですね、解釈上は同じですね、今言っていることとすると。
○政府参考人(林眞琴君) かつても、組織犯罪の共謀罪というかつての法案において成立すると考えていた適用対象は同一でございます。ただし、それを団体の活動としてということ、団体の定義ではなくて団体の活動としてという条文の解釈としてそのような限定が掛かるのであると、このように説明をしたんですけれども、それについては十分な御理解をいただけなかったと。今回、ですから、団体の活動としてという文言の解釈ではなくて、その団体そのものをあらかじめ定義することによって限定しているということでございます。
○古川俊治君 まさに、局長おっしゃっていただいているんですけれども、団体の活動として共謀罪というものをつくったわけですよね、当時ですね。ということは、要は、今回TOC条約に加盟するときのその対象犯罪の絞り込みを行ったとおっしゃっているんですけれども、実は、その理由は何かというと、条約上認められている二つのオプション、組織的犯罪集団の関与するものというオプションと、それから実行準備行為のオプション、その両方を使ったからだというお話だったんですが、実は共謀罪の頃も団体の行動としてというのを言っているわけですよね。ということは、その組織的犯罪集団が関与するというオプションは、実は共謀罪の頃からしっかりそこに趣旨として入っているんですよね。 ということは、要は、単に明文化したかどうかということだけの問題であって、それは何か急に対象犯罪が絞り込まれることになったという理由になっていないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。 当時のその過去の法案との関係でございますが、過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪におきましては、対象犯罪につきまして、団体の活動として罪に当たる行為を実行するための組織により行われるものと規定をして、犯罪主体についても単に団体とのみ規定するにとどまっていたということで、この今回の法案に規定する組織的犯罪集団という文言や定義は明文で定められていなかったと。それは、先ほど刑事局長から御答弁あったと思います。 このような過去の法案の規定を前提とした場合には、組織的な犯罪の共謀罪の要件の解釈によりまして結果としてその適用範囲を限定できたにせよ、その対象犯罪について、団体が関与することが現実的に想定し難い重大な犯罪の全てを特定して、除外するということは困難であったのではないかと思われます。 そのため、過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪の規定を前提としますと、その対象犯罪を限定するということはこの条約との関係で困難であったという判断をしておりました。
○古川俊治君 今のお話、よく分からないんですけれども、結局、団体の活動でやっているという趣旨なんだから、当然それは、団体、そういう犯罪組織はやらないようなものというのは、解釈としてちゃんと抜けられるわけですよね。だから、これずっと我々も、この間も申し上げたように、外務省が余り考えていなかったんじゃないかなと、そのときは、思うんですけれども、過去のことだから、今回のことはもうちゃんと限定しているわけだからそれはいいんですけれども。 だって、普通に考えりゃ、予備犯とか過失犯とか結果的加重犯とか、そういったものって、もちろん未遂犯もそうだけど、当然これ、それを意図することはあり得ないわけですよね。それも結局は絞り込みができないという、そういう答弁だったわけですよね。そうじゃないんですか、過去は。
○政府参考人(水嶋光一君) 今、未遂犯あるいは結果的加重犯についてお尋ねございました。 当時の政府の御答弁でも、過失犯や未遂犯は性質上共謀の対象とならないというふうに認めておりました。ですから、そもそもその実行を合意することが想定し難いということで、未遂犯なり結果的加重犯については、過去の法案においても対象犯罪から除くということは可能であったというふうには考えております。
○古川俊治君 この絞り込みということになると、そういう形式的に抜けていけるやつはすごく簡単なんですよね。 それで、ところが、要は、当時から、実を言うと、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的でない犯罪というのは、解釈上、この共謀罪の当時からも本来は対象犯罪にならない、それは明らかだったわけですけれども、絞り込みはしなかったんですね。 今回は絞り込みをしたということは、結局、形式的に明らかなものはいいんですけれども、それ以外は組織的な犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難いか否かと、これ結構主観の入る考え方なので、だから、衆議院における議論であってもキノコ狩りはどうかという議論があったわけですよね。私は、キノコは確かに、マツタケとか高いですから、あれは確かにお金になるからあり得ると思うんですけれども。 これは、そういう主観から言わせてもらうと、私もちょっと一つだけこだわって言わせていただきたいのが、クローン技術規制法の中に、人クローン胚などの四種の特定胚というのを人や動物の子宮の中に入れるということは、これ十年以下の懲役なんですよ。これ、今技術的にももうゲノム編集もできてきましたから、技術的に特定の遺伝子を動かした受精卵を入れてクローン人間つくるというのは技術的にはそんなに難しくないんですよ、正直言って。それは怖いですよ。怖いと思っているから、これは何で、いかにもテロ集団がそういうのを準備するということは、私、現実的に想定可能だと思うんですよね。ところが、この人クローン技術規制法の三条の罪というのは除外されちゃっているんですね。 細かい一個一個言うと大変申し訳ないんですけれども、この点だけは私はすごくお聞きしたいなと思っておりまして、お願いします。
○政府参考人(林眞琴君) この人クローン胚等の移植の罪につきまして、これは、人クローン胚など、これを人又は動物の胎内に移植する罪でございますけれども、こういった人クローン胚等の作成については高い技術及び知識が必要であるなどの、その作成が困難であって、実際のその報告事例も極めて少ないものと承知しているわけでございます。 そういったこと、行為態様を現実の犯罪情勢等に照らすと、今回の対象犯罪の選択に当たりましては、組織的犯罪集団が本罪の実行を計画することは現実的に、抽象的にはともかく、現実的に想定し難いと考えたことから対象犯罪としなかったわけでございます。
○古川俊治君 要は、どっちをどうすべきかということなんですけれども、少なくとも、今回そういう議論はこれからも恐らくあると思うんですね、この犯罪どうかと言えば、いろいろ考え方によって見方は違いますから。ただ、今回は対象犯罪がちゃんと明示されているので、構成要件的には不適切なことはないと。これはどっちに入るかという議論はありますけどね。だから、これから一個一個出てくるそういう犯罪について、やっぱり現実的に想定し難いかどうかというのはこの委員会の中でも議論になりますから、やっぱりその意味から言うと、一つ一つ、恐らく難癖を付ければ、難癖って良くないですけど、これはあり得ないという言い方もできるし、いや、それはあり得るんだという言い方もできるわけですよ、どっちでもね。 だから、そういう絞り込みの意図からいうと、多分、だから共謀罪の頃は恐らく、そういう絞り込みをあえてしない方が裁判所の解釈で最後やってくれるということになりますから、多分よかったんだろうなと思うんですね。ただ、今回、その当時の国民の議論の中で対象犯罪が広過ぎるんじゃないかという話があったのでこういういわゆる絞り込みを行ったということですから、それはそれでしっかり説明をしていただきたいというふうに思うんですね。確かに政府としてはなかなか言えないんでしょうけれども、この範囲でテロ等準備罪というものはちゃんと犯罪になるんだということを明示した上では、それは議論があるんだけれども、私は良かったんじゃないかという気はいたします。 実を言うと、共謀罪の審議当時には、今度は目的犯罪と対象犯罪を分離しているんですね、実を言うと。この組織的犯罪集団が目的とするのは目的犯罪であり、そして、今回、二人以上の者が共謀するのは対象犯罪なんですね。ところが、共謀罪の当時は、目的犯罪と対象犯罪というのが分離していなかったんですよね。 今回、新たに目的犯罪というものを導入したというのはどういう経緯なんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) かつての組織的な犯罪の共謀罪は、先ほども申し上げましたが、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した場合、これに成立するとして立案されておりました。その際に、先ほども申し上げました解釈によって、その適用対象となる団体については、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体に限定されていると、このように考えており、条文上はその対象となるところの団体の限定というのは付していなかったわけでございます。このために、かつての共謀罪、組織的犯罪の共謀罪におきましては、適用対象となる団体について、この組織的犯罪処罰法第二条第一項の団体のうち、一定の重大な犯罪等を目的とする団体に限定するための目的犯罪という概念を必要としていなかったわけでございます、団体の限定をしていなかったわけでございますので。 今回は、それに対しては正当な活動を行っている団体も対象となるのではないかという不安、懸念が示されたわけでございまして、今回のテロ等準備罪においては、そのような団体が適用対象団体とならないことを法文の中で一層明確にするために、法律の中で明文で組織的犯罪集団を定義しました。その定義の仕方は、団体の中で、別表第三に掲げる目的犯罪を目的とする、この別表第三に掲げる罪を目的とするものをこの組織的犯罪集団というふうに定義したものですから、この定義をするに当たって初めて今回の法案では目的犯罪という概念が必要になり、これを別表第三に掲げたということでございます。
○古川俊治君 この目的犯罪と対象犯罪を分離させたことによって、ちょっと共謀罪の頃と違った局面ができていると思うんです、実はこの法律について。というのは、例えばテロリズム集団というのが、テロリズムを目的としている犯罪であっても、まずはその中で、資金源を得るために、例えば身の代金の誘拐をやるかもしれない、あるいは強盗をやるかもしれない。そうすると、対象犯罪として強盗の合意ができた場合には、これは、目的犯罪はテロリズムなんだけれども、対象犯罪はこれ強盗になるわけですよね。そういう分離が起こってくる。 ところが、共謀罪の頃というのはそれはなかったわけですね。要は、強盗なら強盗、テロリズム集団という考え方はそのときは取らないと、各一つの罪名についてのみ団体というものがイメージできたということになりますね。
○政府参考人(林眞琴君) かつてには目的犯罪というものを持っていなかったものですから、対象犯罪が団体の活動として行われているのか、組織により行われるものについての共謀であるのかということで、その犯罪の成否を考えていたわけでございます。 今回は、その対象犯罪とは別に、対象犯罪とは別に、その犯罪主体が組織的犯罪集団でなければならないという形で法律で要件といたしましたので、その際に、その組織的犯罪集団であるかどうかの成立要件の中に、その目的犯罪に掲げる、別表第三の中に掲げられている罪を共同の目的としているかどうか、これをまずあらかじめ、犯罪が成立するためには、そこを満たさないと対象犯罪が何であるかというところの判断に至らないという形で限定を付しているわけでございます。
○古川俊治君 ちょっと、ここからまた、目的犯罪というものをやっぱりつくった、当時は一対一だったんですね。ある罪をやれば、それがその犯罪団体になって、そしてその共謀というふうに行ったんですけれども、今回の場合は、その目的犯罪と対象犯罪が違っちゃったために、例えば、目的犯罪で主従があった場合とか、それが複数であった場合はどうなるかとか、そういう話が恐らく出てくるんですよね。 この点について、ちょっと質問が長くなりますので、もうこれは木曜日にまたやらせていただきたいと思います。 以上で今日の質問は終わりにさせていただきます。
○委員長(秋野公造君) 午後一時半に再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。 作家の井上ひさしさん、もうお亡くなりになりましたけれども、常々私たちが教えられていたのは、難しいことを易しく、易しいことを深くということを小説を書く上での戒めとしてこられましたけれども、この法務委員会のこの共謀罪についての議論についてもやはり易しく、しかし深くという立場で大臣にも刑事局長にもお答えいただきたいというふうに思います。 もちろん、午前中に総理に問わせていただきましたけれども、やはり厳密に法律を解釈していかなければいけない、そこで、本当に捜査当局などが恣意的な運用をしないような、そういう歯止めをしっかりと立てていく、そういう意味では厳密に答弁していただきたいんですが、同時に、大臣にもそして刑事局長にも厳密に、しかし同時に、皆さんのお父さん、お母さんの世代にも分かるような説明というものをなるべく努力していただきたいというふうに最初にお願いを申し上げておきます。 午前中、総理に問いたかったのは、我が国においてオウム真理教の地下鉄サリン事件など一連の凶悪事件というのは、やはり再発防止を、これからテロ防止という立場で本当に実効性あるものにするために、日本における重要な教訓、事件だったというふうに思うんですよね。 ですから、まず大臣にお聞きをしたいんですけれども、衆議院での審議のときに、現行法上的確に対処できないと考えられるテロ事案というものを三点お示しいただきました。その最初の例が、読み上げますと、テロ組織が殺傷能力の高い化学薬品を製造し、これを用いて同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、例えば殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した場合と。二番目が、テロ組織が飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃されるテロを計画した問題なんですが、当然、これは国民の立場からすれば、一番初めの事例というものはオウム真理教をリアルに想起させるものだと、これは誰でもが理解できることだと思いますけれども、まず大臣、この一番目の、大量殺人を行うことを計画した上、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した場合、これは具体的なイメージとしては、この日本においてはオウム真理教の事件というものを想起していらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 具体的な事例を念頭に置いてというものではないと、このように考えております。
○有田芳生君 それでは、もう一度お聞きをしますけれども、前回、参議院の法務委員会で約一時間にわたってこの共謀罪問題質問したときに、大臣に私は、オウム真理教というのはテロ集団ですかとお聞きをしました。明確な答えがありましたけれども、オウム真理教はテロ集団でしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 有田委員のただいまの御質問にお答えをいたします。 個別事例についてはお答えが困難なんですけれども、個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるか否かにつきましては捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき問題であろうと、このように考えられます。 加えて、お尋ねのオウム真理教につきましては、同教団の関係者によります一連の犯行について捜査、公判が行われた当時は、先ほど午前中も議論になっておりましたが、組織的犯罪集団という概念は存在しておらず、同教団の関係者による一連の犯行が行われた当時、同教団が組織的犯罪集団と認めることができるか否かを申し上げることもできないと、こういう状況であることを御理解いただきたいと思います。
○有田芳生君 歴史の教訓から学ぶという立場でお聞きをしているんですけれども、これから例えばオウム真理教のような教団が出てくる可能性がある。そのとき、このテロ等準備罪というものがあった場合に、歴史の教訓にもう確固とした事実として存在しているオウム真理教の事件を教訓とするためには、やはり当てはめて、もし当時共謀罪というものがあったならば犯行を食い止めることができたんだろうかという立場で検証が必要だというふうに思うんですよね。それが、午前中、総理にもお聞きをしたことだし、世間一般がそのように理解していることは、先日のNHKの「日曜討論」でも司会の方が、やはり共謀罪考える上でオウム真理教事件というものを検証しなければいけない。 だから、飛躍を言っているわけではないし、当時この共謀罪はなかったんだけれども、当てはめるならば、これは難しい話じゃないと思うんですけれども、だって、前回大臣にお聞きしたときに、後ろを振り向かれて慎重にお答えになりましたけれども、オウム真理教というのはテロ集団だとお答えになっているわけですよね。だから、仮にこの法律があったときに、オウム真理教のようなああいう事件を起こす集団があった場合、それは組織的犯罪集団だと当てはめること、できるんじゃないんでしょうか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまもお答え申し上げたんですが、個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるか否か、歴史に学ぶことは非常に重要だと思いますが、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき問題であろうということを申し上げましたが、加えまして、お尋ねのオウム真理教につきましては、同教団の関係者による一連の犯行については、当時、組織的犯罪集団という概念が存在しておりません。その教団の関係者による一連の犯行が行われた当時に同教団が組織的犯罪集団と認めることができるか否かを申し上げることは難しいと、このように考えている次第であります。
○有田芳生君 組織的犯罪集団という概念が、定義が当時あったとしたら当てはまるんじゃないんですか。難しい話を聞いているわけではないんですよ。当てはめをやって歴史の教訓に学ぶ、その立場から、あのときこの法案が成立していたならば、オウム真理教というのは組織的犯罪集団だ、あるいはそうじゃないということは明確に判断できるんじゃないですか。そうじゃなかったら歴史から学ぶことにはなりませんよ。
○国務大臣(金田勝年君) 委員からの重ねての御質問でございます。 今ここで御答弁申し上げる私の考え方は今申し上げたとおりなんですけれども、組織的犯罪集団というものが当時あったとすればどういうふうに考えるかということでございますので、これについては詳細についてフォローしておりますうちの刑事局長に答弁をさせます。
○政府参考人(林眞琴君) まず、オウム真理教については、テロ集団であるかどうかということを認定していることはございませんが、地下鉄サリン事件というものについては、あれはテロリズムであるということについては政府として認定しているところでございます。 そういったことを当然前提といたしまして、かつての事象がその組織的犯罪集団に該当するかどうかということについては、今大臣からも御紹介ありましたように、証拠に基づいて判断すべきことでございますので、それを具体的に認定するということはできかねますけれども、その上で、個別的な具体的な事実関係によるわけでございますが、一般論として申し上げれば、例えば宗教団体として活動した実態がある団体において、その教祖が殺人を正当化する教義を唱えるようになり、その実践として化学薬品を用いて無差別大量殺りくを実行することや、そのための教団の武装化を指示して、構成員らがそのような殺人等を内容とする教義、指示を実現することを目的として結合していると認められるようになり、かつ、これを実現するための組織を設けて、化学薬品や武器などの研究、開発、製造を行うなど、こういった行為を反復継続して行うようになったと認められるような事案、こういったことを想定するならば、組織的犯罪集団にそういうものについては該当し得るものであると、このように考えております。
○有田芳生君 ですから、国民の常識、日常感覚に基づいてすっきりと……(発言する者あり)テロ集団だと西田委員が言うように、やはり明言しなければおかしなことになってしまうんですよ。 その上でお聞きをしますけれども、じゃ、今刑事局長お話しになりましたけれども、事件の具体的なプロセスというのはあるんですけれども、オウム真理教というのは、もし当時この法案があればですよ、六条の二にある「結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。」と。だけど、オウム真理教の場合は、先ほど総理の質問にもお伝えしましたけれども、結合関係の基礎としての共同の目的というのは最初から最後まで宗教なんですよ。だから、一変した論というのは私は違うというふうに思っているんですが、刑事局長でもよろしいですけれども、大臣でも、オウム真理教というのは、総理がおっしゃったように宗教団体だったものが一変して犯罪集団になった、そういう理解でよろしいんですか。
○政府参考人(林眞琴君) その共同の目的を考える場合に、宗教的な目的、教義の実践というのがございます。これ自体と、これがその具体的なあるいは一定の犯罪の実行ということと不可分に結び付くということがあるとすれば、そういった場合には、その宗教的な教義の実践と犯罪の実行がこれが結び付いたものが共同の目的となります。そのような場合には、その今回の犯罪、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行ということにあるということを認定することが可能であると、こう考えています。
○有田芳生君 その上で、刑事局長でよろしいんですけど、一般論として、普通の団体が犯罪集団に一変する、その一変といってもいろんな流れ、境界線、あるというふうに思うんですよね。そこら辺は誰がどのように判断なさるんですか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、前提といたしまして、ある団体が犯罪の実行をその団体として行うことを決める、そういったことを繰り返す、このことをもってその団体が組織的犯罪集団と認定できるわけではございません。なぜならば、その団体が、まずその団体自体が組織的犯罪集団という認定ができなければ、その団体が幾ら犯罪実行を繰り返そうとしていても、これは今回のテロ等準備罪には当たらないわけでございます。 そうしますと、その団体が組織的犯罪集団と言えるかどうかについては、条文上は結合関係としての共同の目的が犯罪実行することにあると、これが認定できなければなりません。そして、かつて正当な団体であった場合、こういった場合に、どういう場合にその組織的犯罪集団であるという認定が可能になるかということを言いますと、まずその組織的犯罪集団というのを認定する時点というのは、当該計画行為、実行準備行為が行われた時点において組織的犯罪集団になっているかどうかが要件でございます。かつてどの時点で一変したかということは要件ではございません。その時点で組織的犯罪集団としての要件であるところの結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行にあるということが認定できるかどうか、これが要件でございます。 さて、そういった場合に、かつて正当な活動をしていた団体というものがどのようにして組織的犯罪集団になるかということについて言えば、これは個別のケースによって様々であろうと思いますが、通常は、正当な団体が反復継続して違法な犯罪行為を実行しているといった行為、こういった組織的な実態というものが通常であろうかと思います。こういった反復継続してそういった犯罪行為を行っていると。その上で、それが反復継続されているということについて、こういった状態にならない限り組織的犯罪集団に該当すると認められることは想定し難いと考えます。 ただし、これは団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになったとしても、それ自体で直ちに組織的犯罪集団と認められるわけではございませんので、そういった過去に団体として犯罪行為を反復継続しているといった活動の実態と、そのときのその構成員の結合の目的、意思、こういったものを全部総合勘案して判断することになると思います。 そして、判断する主体はといいますと、それは、その捜査をする、捜査の嫌疑があって捜査をするということであれば、その時点であれば、その嫌疑が組織的犯罪集団の嫌疑ありと認めるのは捜査機関でございますし、その捜査の段階で令状請求をするとすれば、それは裁判所においても審査がありますし、最後にその有罪、無罪を決めるときには裁判所が判断すると、こういうことになります。
○有田芳生君 だから、今の御説明からいうと、この第六条の二の結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるという、これをオウム真理教に当てはめれば、刑事局長の説明ではオウム真理教というのは組織的犯罪集団にならないんじゃないですか。
○政府参考人(林眞琴君) その当該オウム真理教というものについて、実態のあるその集団について、その時点において犯罪の共同の、結合関係の下での共同の目的が犯罪実行にあるかどうか、特に宗教団体との関係でいえば、その宗教的な目的、宗教的な教義の実践ということと犯罪実行ということが不可分に結び付いているかどうか、こういったことをその時点で判断するということになろうかと思います。
○有田芳生君 それじゃ、大臣にお聞きをします。 これは法務省が出された文書からの、先ほどの現行法上的確に対処できないと考えられるテロ事案、同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、例えば殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した場合、現行法上なぜ的確に対処できないんでしょうか。これ衆議院でも何度も議論になったところですから、分かりやすく御説明いただきます。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。 化学薬品テロ事案について組織的な殺人の予備で処罰できるのではないかという御指摘かなと、こういうふうに思ってお聞きをいたしておりました。 今までも何度も申し上げてきたことでもあるんですが、予備罪が成立するためには客観的に相当の危険性が必要であると。一般市民を大量殺人するために単に化学薬品の原料の一部を入手する行為は、そのような危険性が認められず、組織的殺人の予備に当たるとは言い難い場合もあると考えられるということであります。
○有田芳生君 オウム真理教は、一九八四年にオウム神仙の会として成立をして、八七年にオウム真理教と名前を変えて、そして、後に坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件などなど一連の凶悪事件を起こしました。だけど、その設立の当初から、結合の基礎というのは宗教的な教えであって、その中に、皆さん御承知のように、単なる小乗、大乗仏教ではなくて、秘密金剛乗というタントラ・ヴァジラヤーナという、自分たちの目的のためなら殺人を犯してもいい、そういうことを八七年の一月四日の丹沢セミナーから麻原彰晃は信者たちに説法していたんですよね。だから、そのときから非常に危険な要素を持っていた。その上で、いろんな計画が行われて犯罪実行に至っているわけですから、それを解釈として、どこで一変したというのは、それはいろいろ評価はできるというふうには思うんですよ。 だけど、具体的に法務省がお示しになった現行法上的確に対処できないというケースですけれども、具体的に我が国で経験をした一連のオウムの事件について言えば、九〇年の十二月の段階で、僅か数人が麻原彰晃を始めとしてサリンを作ろうという、そういう計画を作った。そして、翌年の初めから実際にサリン製造計画というものが進んでいくんですよね。だから、そういう上でどんどんどんどんエスカレートをしていって事件は起きてしまったんだけれども、ここで言いたいのは、そういうことを捜査当局が何も知らなかったということではないんですよ。 坂本弁護士一家がいなくなったのは一九八九年の十一月四日未明ですけれども、神奈川県警の指導部はその弁護士事務所が共産党系であるということで非常に消極的だった。だけど、現場の警察官たちは必死に捜査を進めていた。そして、午前中にもお話をしましたけれども、オウム信者たち約八千四百五人の個人の情報のデータベースを作っていたんですよね。 それだけ一生懸命捜査をやっていた経過の中で、九〇年の段階、九一年の段階でオウム真理教がどうもサリン作っているぞというのは、神奈川県警つかんだんですよ。もちろん、松本サリン事件が起きた長野県警もそういう捜査を進めていて、どうもサリンを作っているダミー会社があるということを捜査の上分かっていた。それだけじゃない、宮崎県警までもが、ある資産家が逮捕、監禁で教団施設に閉じ込められた、逃げてきた、その事件を宮崎県警は追う中で、サリン作っている可能性あるぞと。だから、神奈川にしたって、宮崎にしたって、長野にしたって、もちろん山梨にしたって、オウム真理教が怪しい団体だとどんどんどんどん理解する経過の中でサリンの存在というのはつかんでいた。 だから、今朝、国松孝次警察庁長官の言葉として、オウム事件や狙撃された事件は共謀罪があってもお手上げですなということにつなげて、警察は情報を持っていたのではなかったと言われれば、そのとおり、分からなかったと国松さんはそう語っているんだけど、そうじゃないんですよ。それぞれの警察は情報あったんです。それが一元化されて一斉にオウム真理教に向かっていかなかったから、松本サリン事件以降、地下鉄サリン事件が起きてしまったというのが大きな教訓だと私も思っているし、多くの現場で頑張った警察官の皆さんは今もじくじたる思いでいらっしゃるんですよ。 そして、今そういった警察官の方々が過去を振り返って、オウム事件が起きてから、サリンなどを作ろうとした者は処罰できるという法律が、刑事局長、できましたよね。だから、そういうものが当時からあれば、現行法上的確に対処できないのではなくて、対処できたんじゃないでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今委員の設例でいきますと、情報がある、そのようなものを作っているという情報があるとしたときに、当時サリン法というのはございませんので、例えば殺人予備というような形の立件ができるかどうかということが問題になろうかと思います。 そして、殺人予備というものについては、これまでも申し上げておりますが、殺人というその結果発生に向けての相当な危険性が高まった行為、これ予備行為と言いますが、その段階にならないと、検挙、処罰はできないわけでございます。したがって、今委員が言われたような設例のときにそういった状況の予備行為まで認められたかどうかというものについては、事案によると思いますけれども、例えばそのサリンなるものを作ろうとしてその準備に取りかかった、実際にはまだその原料も調達していないというような場合であれば、やはりこれは殺人予備というところには、通常、処罰、検挙はできないと思います。そういったところで、やはり殺人予備との関係でいえば、当時、そういった設例の下では必ずそれが、情報があり、かつやろうと思えば検挙、処罰ができたのかと言われれば、そこにはそういった法律が用意されていなかったと、このように考えると思います。 その上で、実際に今サリン法というのができておるわけでございますが、サリン法に法務省が設例等を出したものについては、必ずしも化学薬品というものはサリンというものを使って行うわけではないわけで、設例といたしたいろんな事例が考え得るわけでございまして、そういったものをそういう非常に準備段階で、かつ殺人予備のような意味での相当な危険性が発生するまで、その間までの前の段階での準備行為をすべからく捕捉して検挙、処罰ができるというものについては、現行法上、全てが埋まっているわけではないと。そういった意味で、設例として現行法上対処できないものとして提示させていただいた次第であります。
○有田芳生君 じゃ、ちょっと視点を変えて刑事局長にお聞きをしますけれども、一般市民の大量殺人を行うことを計画した上で、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を、これを組織的犯罪集団ではなくて複数の個人が、団体に属していない複数の個人が入手をした場合はどうなりますか、この条文と照らして。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪との関係では、全く犯罪は成立いたしません。今のような御指摘であれば、組織的犯罪集団という主体ではなく、その者がそういったものを計画したとしても、組織的犯罪集団という構成要件がございますので、それに当たらない以上、テロ等準備罪は成立いたしません。 そうしますと、ほかの予備罪が成立するかということになります。このほかの予備罪については、その準備しているものが具体的に処罰の対象となっているような具体的な個別法で、そういった準備をすることが予備罪であると、あるいは準備罪であるというふうにその構成要件がなっているものであれば考え得りますが、そうでなければ当然当たりませんし、仮にその予備罪に該当する品種の例えば化学薬品だったといたしましても、それが化学薬品の準備、言えるためには、やはり先ほど申し上げたような相当な危険というものが現在の予備罪あるいは準備罪において必要とされておりますので、それよりも前の段階、あらゆる準備の中の一番最初の前の段階での行為までが処罰できるかどうか、これはその事案によると思いますけど。
○有田芳生君 じゃ、逆に聞きましょう。 別表三の犯罪行為、いろいろありますけれども、別表三の犯罪行為を実行した人たちがいた場合は、これは組織的犯罪集団になるんですか、ならないんですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今回のテロ等準備罪は、計画、重大な犯罪の計画及び実行準備行為を処罰するということでございまして、実際に、そのためには、組織的犯罪集団の団体の活動としてそういった計画が行われなければならないという更に制限が掛かっているわけでございます。 他方で、対象犯罪である別表三あるいは四の犯罪を実行したかどうか、これは通常のその犯罪の既遂罪でございますので、それは既遂罪の要件には組織的犯罪集団という主体の限定は掛かっておりませんので、そういった個人による犯罪であっても、当然、対象犯罪であるところの犯罪の成否は、それは成立するということになります。
○有田芳生君 じゃ、もう少し具体的なイメージでお聞きをしたいというふうに思います。 これ大臣でも結構なんですけど、何の団体にも所属していない三人の人がいたとします。これは現実的な問題、いろんなところで今インターネットで人と人が結び付いて、ある若い女性が殺害されるという悲惨な事件も起きましたけれども、これまでの共謀罪の議論と時代が変わっているのは、やはりインターネットの発達だと思うんですよね。それは皆さんも一致できると思うんですけれども。 何の団体にも所属していない三人がいたとしましょう。その人たちがインターネット上でつながって、一回だけ、営業中のデパートに爆弾仕掛けて爆発させてみようかというようなことを謀って、一週間ぐらいの間に数回連絡を取り合ってその計画をして、その後にそのデパートを下見した場合は、テロ等準備罪、成立しますか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の話は通常の共犯形態における犯罪でございまして、これは団体というものが存在しませんのでテロ等準備罪には当たりません。
○有田芳生君 じゃ、団体の定義の中の継続的結合体であるとか反復して行われるという要件がありますよね。これとの関係で、そういう組織的犯罪集団の定義には当てはまらないけれども、複数人がそういう行為を準備をした場合には、危険性がなければ何の問題もないということですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今回の、まず団体、組織的犯罪処罰法の団体の要件を前提として、かつ共同の目的が犯罪実行にあるという意味での組織的犯罪集団というのを定義して、その場合にのみこの計画及び実行準備の段階で処罰するというふうに考えたのは、それがその段階においても危険性の高い行為である、なぜならば、そうした組織的犯罪集団による計画、実行準備行為であるから、その危険性に着目して今回その場合でも処罰すると、こういうふうに考えたわけでございます。 他方で、組織的犯罪集団でもない、かつ団体の活動でもない個人の行為。個人の行為で実際に計画の段階で処罰するのかどうか、あるいは実行準備行為の段階で処罰するのかどうかというものについては、そこまでの危険性がないと考えているので、今回もそこについては処罰の対象としていないわけでございます。 したがいまして、そういった個人の犯罪については、やはり予備罪のある行為であれば予備の段階での処罰ということになりますが、その予備罪もないような行為であれば、実行の着手を待ったその段階で、実行の着手も一つの危険性の発露でございますので、実行の着手の段階で未遂罪で処罰する、あるいは実際に既遂に至っていれば既遂罪で処罰する、その段階で刑罰が介入すると、このように考えております。
○有田芳生君 端的に伺いますけれども、そうすると、今回のテロ等準備罪、共謀ですけれども、刑事局長のお考えだと、自爆テロ、自爆テロというのは大体一回、これがもう世界中、大抵そういう行為として行われていますけれども、自爆テロはこの法案では食い止めることはできないです。
○政府参考人(林眞琴君) 自爆テロを計画したということを前提でお答えしますと、その場合でも、組織的犯罪集団がその活動として、団体の活動としてそういった自爆テロを計画するということになれば、それは今回のテロ等準備罪がその計画実行準備行為の段階で成立いたします。 しかしながら、そうでなければ、そうでなければテロ等準備罪の要件から外れますので、そういった組織的な犯罪でない、そういったことが要件を満たさない自爆テロの計画ということであれば、これはテロ等準備罪の対象にはなりません。処罰対象とはなりません。
○有田芳生君 つまりは、山口さんが何度もこの場でも質問されていますように、ローンウルフ型のテロというものはこの法案では食い止めることはできないわけですね。
○政府参考人(林眞琴君) ローンウルフ型の、単独犯による、ローンウルフ型のテロについては今回の対象ではございません。それは、今回のテロ対策あるいは組織的犯罪対策のためにTOC条約を締結するということを今回の国内立法の最も直接的な根拠といたしますので、TOC条約を締結するということにおいてテロ対策を行う、あるいは組織的犯罪対策を行うということで今回立法しているわけでございます。 そして、TOC条約はあくまでも組織犯罪という犯罪形態に着目した条約でございますので、全くの単独犯についてはその射程の外にあります。したがいまして、単独犯のテロをどのように対応するのかということは、また今回の法案とは別の話として対応が必要になってくるんだと思います。
○有田芳生君 じゃ、組織的犯罪集団と認定された人たちがいた場合、この団体の定義の中には、「指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体」とありますよね。だけど、今のインターネット型のあらゆる、あらゆるではないな、インターネット型の人間関係の中では、指揮命令に基づかない対等、平等の関係というのもあると思うんですけれども、そういう場合は当てはめはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) そういった指揮命令に基づいてあらかじめ定められた任務の分担という組織、こういったものが存在していないような団体というものは今回のテロ等準備罪の構成要件を満たしませんので、そういったものについてはこのテロ等準備罪は成立いたしません。
○有田芳生君 現状認識、日本と世界、テロの状況、現実、そこから見ると、ISにしてもそうですけれども、そういう指示に基づいて個人が自爆テロを起こすというのは結構ありますよね。だから、そういうことに本当に対処できるような内容にしなきゃいけないと思うんだけれども、そういうときには、その組織の中の個人が自爆テロを起こす計画だったら、それは対処できるとするわけでしょう。個人の自爆テロであっても、ネットワークの中で働いていたら、ネットワークという組織的犯罪集団の中の一人の自爆テロだから、そういう計画を理解できれば、そこは食い止めることができるような法文になっているんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団というものがあって、その中に犯罪実行部隊といった組織がございます。その組織の一員が最後の犯罪実行のときに、一人については自爆、そして亡くなるということを前提として計画したような場合、これについては今回のテロ等準備罪の構成要件を満たすということになります。
○有田芳生君 もう一つ具体的にお聞きをします。 衆議院でも議論になったことですけれども、何の団体にも属していない人たちが三人、まあ二人以上だから二人でもいいと思いますけれども、いたとして、保安林でマツタケでもいい、キノコでもいい、取ることを目的にインターネットで知り合って、数回会ってその計画をして、その山に行くための切符を購入した場合は、テロ等準備罪は成立しますか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪に入っております組織要件を満たしませんので、そういった場合、テロ等準備罪は成立いたしません。
○有田芳生君 成立しないならば、別表三から森林のところを削除するべきじゃありませんか。
○政府参考人(林眞琴君) いや、森林窃盗、保安林内の森林窃盗を起こすこと、こういったことを組織的犯罪集団が計画するということは現実的に想定されるわけでございます。ですから、今回対象犯罪に、その森林窃盗、保安林の窃盗というようなものは今回対象犯罪に掲げているわけでございます。
○有田芳生君 全くリアリティーがないんですよ、現実の問題として。 更に聞きましょう。これも衆議院で問題になりましたけれども、何の団体にも所属していない複数人が楽譜のコピーをすることを目的にインターネットで知り合って、数回会ってその計画をして、その楽譜を購入した場合、テロ等準備罪、成立しますか。
○政府参考人(林眞琴君) 今の委員の御指摘も、テロ等準備罪における組織要件を全く満たしておりませんので、テロ等準備罪は成立いたしません。 そして、先ほどの保安林の部分については、リアリティーがないと言われましたが、これについては、実際に山砂を暴力団が保安林から窃取したという事案、しかも多額なそれによって利益を得たという事案も実際に発生し、処罰もされておりますので、そういった組織的犯罪集団が現実に行うという、そういう意味でのリアリティーはあると考えておるわけでございます。
○有田芳生君 まれな場合はあるでしょう。 じゃ、もう時間が来たので最後にしますけれども、例えばキノコの問題にしても今の楽譜の問題にしても、成立しないと刑事局長おっしゃいましたけれども、それはどの要件が欠けているからですか、最後に確認したいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のは全て対象犯罪には当たるけれども、実際にはこの対象犯罪の計画は次のような形で行わなくちゃいけないと条文に書いております。それが、組織的犯罪集団の団体の活動として、その犯罪実行を行うための組織によって行われる当該犯罪行為を計画すると。このように、単に対象犯罪である、別表に掲げてある対象犯罪の実行を計画するだけでは今回のテロ等準備罪は成立いたしません。組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪を組織によって行う、このことについて計画がなされないと犯罪は成立しませんので、そういった意味において、対象犯罪に掲げられている行為を計画したとしましても、今申し上げた、いわゆる組織要件と我々は申し上げておりますが、テロ等準備罪に掲げられている組織要件を満たさないので犯罪は成立しないということでございます。
○有田芳生君 続きはまた改めます。ありがとうございました。
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。 私もまた有田委員に引き続いて質問をさせていただきたいと思うんですが、この法案、もう衆議院でも議論をして、それから参議院でもいよいよ議論が始まったと思ったら、やっぱり依然としてこの法案の入口のところ、この辺りでどうしてもまだ分からないことがいっぱいある。 今日も大勢の傍聴人の方がいらっしゃっているというのは、やっぱり世論調査でも、幾ら説明されてもよく分からないなという人がまだまだたくさんいるんじゃないかと思うんですね。そういう人のために、金田法務大臣を始め、やっぱりクリアに、明確に、大事な法案ですから、そしていろんな意味を含んだ法案ですから、だからこそ明快にやはり国民の皆さんにも分かるように言わば解説をしてくれないと駄目だと思うんですね。これが本当に大事なことだと思うんです。まだ入口のところでもたもたしているような、私はそういう印象を受けます。 大きな二点、一般的に心配されているのは、一つは、この法案ができることによって普通の人たち、一般の人たちが巻き込まれるおそれがないのかどうか、それからもう一つは、やはり権力がこうしたいろいろな監視の形を持つとその監視が更に厳しくなるのではないか、そういう心配があって、それを明確にやはり答えていただきたいというのが本当に国民全体の今の気持ちだというふうに思うんですね。私もこの辺りを中心に質問させていただきたいというふうに思います。 やっと参議院に回ってきたという感じで、今日は初めてのこの法務委員会の一回目ですよね。ですから、これから……(発言する者あり)ええ、待ってましたというふうに言えるといいんですけれどもね。でも、そういう姿勢で取り組んでいかなくちゃいけないと思っているんですが。 私、昨日の参議院本会議の代表質問で、実は古川委員が聞かれた質問の中の金田法務大臣の答えの中にあれっと思って引っかかった言葉があるんですね。隠れみのです、隠れみの、隠れみのという言葉が出てきたんですね。つまり、犯罪集団が何かこう上に羽織って、みのですからね、隠れみのというのはかぶると何か姿が見えなくなるものらしいですから、だから表向きと中身が違うというような、そういうものらしいんですね。隠れみのという答えを法務大臣が出された。今までタケノコ狩りとかキノコ狩りとか、それから何でしたっけ、お花見とかいろいろ出ましたけど、今度隠れみのというのが出てきた。これをちょっと今日はお伺いしたいというふうに思うんです。 あの大臣の答弁、これ、ここにありますけど、昨日の速記録、取り寄せました。ちょっとポイントだけ読ませていただくと、環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、結合関係、共同の目的が一定の重大な犯罪などを実行する団体と認められるような場合は組織的犯罪集団と認められて、テロ準備罪で処罰され得るとなっていますね。(発言する者あり)当然ですよね。そうです、そのとおりです。 だけれども、これを聞いてみてやっぱりちょっと引っかかるところがあるので、それをお伺いしたいと思うんですが、その隠れみのかどうかってどうやって調べるんでしょうか。まず、これからお答えください。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団には様々ございまして、自らが犯罪集団であると対外的に公表している、あるいはむしろアピールするような団体もございます。一方で、組織的犯罪集団であるということを隠すというような形態がございます。 実際に組織的犯罪集団、この隠れみのという場合においては、組織的犯罪集団というその活動の実態を隠した上で活動していると、こういうことを前提といたしますと、組織的犯罪集団にそれが当たるのかどうかということについては、まずその団体の活動実態というものを明らかにする必要があります。活動の実態、これについてが犯罪の実行というものを明らかに示しているかどうか。それから一方で、その団体は、先ほど公表しているかどうかと申し上げましたが、実際にどんな団体として自分たちの存在を標榜しているのか、こういったことを調べることになります。 実際に隠れみのと判断できるためには、標榜している、その団体の存在目的として標榜していること、それと実際の犯罪実態といったこと、こういったものを調べて、照らし合わせて総合的に判断することになろうかと思います。
○真山勇一君 今の刑事局長の、まさに私、知りたい点がそこなんですよね。実態明らかにするってどうやって明らかにするのかなというふうに思っているんですね。 表向き標榜しているのは、これはごくごく普通のきっと、いいことをしているかは分かりませんけれども、違法ではない団体だけれども、その実態はということになるわけで、じゃ、その表の顔と違う裏の顔をどうやって見分けるのか、突き止めるのか。
○政府参考人(林眞琴君) 実務の現場で一番多いと思われるのは、やはりその団体というのは継続的な存在でございますので様々な活動をいたします。そういった中で、各種の犯罪を実際に行う場合がございます。その犯罪の捜査というものにおいて、その団体の存在を把握し、またその捜査の中でその団体がどのような組織構造を持っているのかということが資料として蓄積される場合があります。こういったことを基にその団体の活動実態あるいは組織構造というものを解明していくと。別の犯罪の捜査でそういったことが行われることが一番多いと思います。 あるいは、特にその団体の中で、実際にその団体から離れた者が実際の団体の中での活動あるいは組織構造というものを捜査機関に申告したり、そういったことを契機に捜査を行うということがあろうかと思います。
○真山勇一君 昨日の答弁の中で、法務大臣御自身が、隠れみのになる表の顔の例として環境保護や人権保護と書いてあるんですが、隠れみのになりそうなものというのはほかにどんなものというふうに考えられていますか。
○国務大臣(金田勝年君) 昨日の本会議における質疑の中で、これを引用していただいてありがとうございます。そのときは、この環境保護、人権保護というのは質問者側から出た例示でございまして、それをしっかり受け止めてお答えをしたという経緯がございます。それを御理解いただきたいと思います。
○真山勇一君 よく分かりました。 それでは、大臣御自身で、この挙げられた例以外にも、やはり私も挙げてみろよと言われれば幾つか挙げたいと思っているんですが、大臣が考えられているそういう表の顔になりそうな、隠れみのになりそうな団体、運動、活動、どういうものでしょうか。大臣、どうですか、大臣。
○国務大臣(金田勝年君) これは非常に詳細にわたる隠れみのの議論でございますので、刑事局長からお答えをさせます。
○政府参考人(林眞琴君) 今回のテロ等準備罪で組織的犯罪集団というのはどんなものがあるのかというふうに問われたときに、これについては、テロリズム集団である、あるいは暴力団である、あるいは薬物の密売組織であると、このようにそういった違法行為を目的とする団体であると、こういうふうに考えております。 基本的には、ですから、実際にそのテロリズム集団も、これは実はそのテロリズムというものをあえて誇示するような団体でございます。そういった意味では隠れみのを使っているような団体ではないかもしれません。あるいは、暴力団につきましても、暴力団の本体自体は特にその隠れみのというものを使っておりません。それから、薬物密売組織については、これはひそかに行うわけであって、特に外に向かって何らかのその隠れみのを用意しているような団体としては考えておりません。 ですから、基本的にその隠れみのが何なのかと言われてもすぐ即座には考えにくいんですが、例えば、暴力団のフロント企業のような場合であれば、これはあえて企業形態を装ってその暴力団の活動の一部を行うというようなことがあるとすれば、そういったことが隠れみのになり得るのかなと、こう思います。
○真山勇一君 そうですよね。だから、暴力団でも、一般の会社、隠れみのにしなくて堂々とやっているところもありますよね、何々興業とかね。それはそんなに裏表ないですよね。もうそのまま、そのままで、表向きもそうだし、企業の企業活動の実態も多分そうだと思うんですね。 私は、つまり、この隠れみのになるものは、隠れみのなんだから、何かさっきもちょっと声がありましたけど、いろんなものがあるんじゃないかという、考えられることでいえばもう本当に、何でも隠れみのにしようと思えばできるんじゃないかなというふうに思っているんですよね。例えばマンション建設に関しての何かそういう団体つくるとか、あるいは原発反対闘争とかね、それから、先ほど糸数委員からも出ましたけれども、沖縄の基地問題でそういういろんな団体つくれますよ。それが表、隠れみので、実態は組織犯罪集団ということがあると思うんです。 私は、問題なのは、その隠れみのなるものが本当に広範というか、いろいろなものが、これは悪いやつですから、知恵を絞って何でも考えますよ。それが私はとっても心配なんです。 そして、先ほど局長は答弁されましたけれども、その実態を明らかにしていかなくちゃいけないと。その後ろにあるものを明らかにするためにはどういうことをするんでしょう。それは、いろんな事件起こしてくれればいいですよ。でも、そうじゃなくてひそかに、だってひそかにやるわけですから、場合によっては。そうすると、表に、特に麻薬なんかを扱っている事犯なんというのはそうだと思うんですよ。絶対表に出ないようにして、表には全然違う、もしかしたら通信販売やっているかもしれませんよ。 そうしたら、それをどうやって、じゃ、実態解明するかといったら、やっぱりいろんなところ、ああ、あそこに最近新しい何かNPO法人できたけれども、どうも何やっているかよく分からないからちょっと調べてやるかという話になりませんか。(発言する者あり)そういうことが私は、いや、逆さまじゃない、そういう順番、そういう順番で行くんですよ、やっぱり。普通はそうなんですよ。普通ならそうなんですけど、やはり捜査とか疑惑とか疑念とか疑いを持って人間って掛かれば、逆の方向というのは幾らでもあるんです。だから、それがすごく危険で、私が言っている一般人が巻き込まれるんじゃないかということがこの隠れみの問題でも出てくるのではないかというふうに思っているんです。 大臣、じゃ、具体的に隠れみの的なものって、例えばどんなことを具体的に考えられますか。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど刑事局長からお答え申し上げました例えば暴力団とフロント企業、そのフロント企業というのはそういう性格のものではないかなと、こういうふうに私は受け止めて、今この質疑をお聞きしておりました。
○真山勇一君 そういう具体的な例がないと、やはりこの今回の議論というのは非常に難しいと思うんですね。いろんなことを伺っていても、最終的にその個別的、具体的なことは言えない、個別の事案というのは総合的に判断されるということを答えられるから、いつも、いつまでたってもですね、いつまでたっても私たちも分からないし、多分国民の皆さんも分からない。何がそれじゃ、本当に一般の人が巻き込まれる危険はない、ないんだろうかというと、ないというところの、そのない、ありませんという言葉はありますけれども、その後がどうもはっきりしないんじゃないかというふうにいつも思うわけです。 やっぱり、大臣の昨日の答弁の中でも、後半で言っていらっしゃるんですよね。組織犯罪集団と関わりがない方々、方々という意味で、一般の方々というのはそういう意味で用いているということですけれども、関わりがないんだけれども、隠れみのというのは、悪意を持って関わりをつくっちゃうということがあると思うんですね。だから、これまでも議論になってきている市民運動とか環境運動というのが、もしかすると捜査、あるいは捜査まではいかないまでも調査の対象になってくるんじゃないかというふうに感じられるんです。 実は、そういう表の顔をふだん、じゃ、捜査しない、そういうところには関わり合うことはないんだ、捜査されることはないんだというふうなことをはっきりと約束することはできるんですか。
○政府参考人(林眞琴君) 今、ある団体についての捜査ということで御質問だと考えますと、今回のテロ等準備罪というのは組織的犯罪集団をつくるということが犯罪ではございません。組織的犯罪集団というのは主体の限定であります。その上で、計画行為があり実行準備行為があるときに犯罪が成立するということでございまして、一般に、何ら嫌疑のない一般の通常の団体を組織的犯罪集団になっているかもしれないということでの捜査というものは、これは犯罪の捜査とは言えませんので、これは許されないわけでございます。 そういった意味で、その組織的犯罪集団という嫌疑が実際にあり、かつ計画が行われ、実行準備行為があるということの中で初めて犯罪の嫌疑というものがあるわけでございますので、捜査というものはそれを前提に始まるわけでございます。 そういった意味で、全く、一般の団体で組織的犯罪集団になっているというような具体的な嫌疑もないのにその一般の団体を捜査したり監視するということはあり得ない、また、それをすれば違法であると考えております。
○真山勇一君 今の刑事局長のお答えはそのとおりだと思うんですね。要するに、疑いがなくて嫌疑がなければそういう捜査をすることはないと。それは違法であるとさえ今おっしゃったわけですけれども、私がやっぱりちょっと心配しているのは、捜査までもいかないまでも、やはり隠れみのに、もし、もしかしてされてしまった、そう思われてしまった市民団体というのは、もしかしたら当局から怪しまれるかもしれない。あるいは、怪しまれないまでも、どうもあの団体の運動はちょっと過激だから、少し、どういうことをやるのかとか、どんなことをこれからやりそうかとか、そういうことを思ったり、考えることというのはないんですか。
○国務大臣(金田勝年君) 真山委員の御心配に私の角度からお答えを申し上げたいなと、こういうように思っております。 組織的犯罪集団の判断方法として、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかというのは、その団体が対外的に標榜している目的、すなわち隠れみのではなくて実態に即して、犯罪員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるかどうかにより判断することになるわけであります。したがって、そのような判断については、現在行われている他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って適正に行われるということになるわけであります。 したがって、具体的には、捜査を開始する時点においてはそのような認定や判断は捜査機関が行うことになるんですが、捜索、差押え、逮捕などの強制捜査を行うためには、令状請求を受けた裁判官において、組織的犯罪集団か否かの点も含めてテロ等準備罪の嫌疑が客観的に認められるか、あるいは刑事訴訟法の要件を満たしているかについて慎重な判断がなされるわけであります。 したがって、組織的な犯罪集団が一般の団体を隠れみのにしているかを調査するために一般の方々も調査の対象となるのではないかということであれば、一般の方々は捜査の対象とはならない。一般の方々が調査の対象になるかの御疑問をお持ちであれば、そのある団体の結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかを明らかにする目的で行われる捜査活動という意味でお答えをしておりますが、組織的犯罪集団は、国内外の犯罪情勢等を考慮しますと、やはりテロリズム集団、暴力団、薬物密売組織といったような違法行為を目的とする団体に限られるところでございますから、一般の方々がこれらの方と関わりを持つことはないのはもちろんですし、関わりを持っていると疑われることも考えられない。 したがって、一般の方々は組織的犯罪集団に関わりがないことは明らかであって、一般の方々にテロ等準備罪の嫌疑が生じることもないわけですから、被疑者として捜査の対象とすることはないんだというふうに申し上げることができると考えています。
○真山勇一君 おっしゃることは分かるんですが、私がとても心配していることは、その嫌疑がなければ捜査の対象にならないと、それは分かります。だけれども、そうじゃなくて、嫌疑がないけれども警察が調べる、いわゆる調査ということはあり得るわけですよね。それは現実にあるんですね。 昨日の私の代表質問の中でも取り上げましたけれども、岐阜県大垣市で起きた大垣事件というのがありますね。これは、地元の方が環境運動に関わっていて、その環境運動の活動へ参加をしているということを地元の警察が調べていた。どういうことをやっているのか調べていたんじゃないかと思うんです。いわゆる言葉で言うと調査活動というんですか、これやっているわけですよね。現にこういうことをやっているわけですよ。 つまり、私が心配しているのは、隠れみのに使われるのはあくまでも合法的、大臣がおっしゃるように、問題のない団体なわけでしょう。でも、例えば大垣事件、それから、まだ例を挙げればこれは具体的な例、幾らでも挙げられるんですよね。例えば私たちの党の大分県の問題もありました。あれは隠しカメラということだったですけれども、そういうものが現にやっているわけですよ。 捜査ではもちろん今そういうことはやらないとおっしゃったけれども、ふだんの通常活動においてはこういうことが情報収集ということでやっているわけですよね。情報収集というのはどういうことですか。やっぱりその団体がどういうことをやっているかということをつかむためじゃないんですか。こういう運動はやっている。これは実際に答弁の中でも、通常のこういう調査活動をやっているという答弁があるんです。いかがでしょうか。
○副大臣(盛山正仁君) たしか昨日の参議院本会議で国家公安委員長からも御答弁したかと思います。我々法務省の方で御答弁する範囲ではないのかなと正直思うわけでございますね。つまり、我々は刑事訴訟法にのっとってということでございます。公共の秩序その他という観点から、警察法にのっとっての通常の活動を警察庁は行っているということではないかと思います。 そして、これも衆議院でこれまで我々御説明していたところではございますけれども、今回お諮りをしているテロ等準備罪は、手続といったことについての法案ではなくて、実体の罪でございますね、これを、テロ等準備罪というものを追加をするというところでございますので、日常の活動、それが適切か否かといったところと今回のテロ等準備罪、この法案の審議とちょっとポイントが違うんだということも是非御理解いただきたいと思います。
○真山勇一君 ポイントは違うというふうにおっしゃられても、やっぱりそれは共謀罪、例えばテロというのは起こさない、起きちゃ困る、だから、それを事前にやはり防止するということで、様々な調査をしたり事前の調べをしたりして、そういうものをつかんでいってテロを起こさないようにする。テロはそういうことでいいと思うんですが、今回のように、だって二百七十七もいろいろ罪があるわけでしょう。そうすると、この中に、先ほどもありましたけれども、やっぱりどう考えたっておかしいものも入っているわけですよ。 そういうことを考えると、やっぱりふだんから、既にもう認めていらっしゃるように、通常業務として警察がそういう調査をやるということになると、ふだんから、やっぱり今回、テロを防ぐためとかあるいは重大な犯罪を防ぐためという理由で今やっていることをやめるなんてこと考えられないでしょう。このまま続くか、むしろ拡大されますよ、多分。そうじゃありませんか。拡大していくと思うんですね。それがやっぱり懸念につながっていくというふうに思うんです。 ポイント違うというふうにおっしゃいますけど、一般の市民の中の様々な活動を日常的、通常的、一般にこうやって調査をする活動はやっているという答弁があったんですね。これは、このままこれはあるということは、まず、これ今日の大事なところなので、これは認められるわけですね。
○政府参考人(林眞琴君) 警察が警察法二条に基づいて公共の安全と秩序の維持の観点から情報収集活動を行うということについては、そのように警察当局からの説明もございました。 その活動は、今回のテロ等準備罪の中の構成要件では組織的犯罪集団に一般の団体がなっているのかなっていないのかと、そういった観点での情報収集活動では全くない、いわゆる捜査の活動につながる活動としてやっているものではないということ、そういった意味で、全くその次元、ポイントが違うんだということを今御説明しているわけでございます。 その上で、今回、テロ等準備罪というのは犯罪の実体、刑事実体法を作るものでございます。刑事実体法ができたことによって、その捜査あるいは手続、あるいは調査の手続、こういったものに変動を及ぼすものでは全くないということは言っておきたいと思います。
○真山勇一君 法律を厳密に、刑事局長ですと、当然、法律の専門家ですから、そういうふうに解釈するでしょう。 だけれども、やっぱり現場の捜査、お巡りさん、警察官、もし業務としてそういうことがあったら、例えば、どうなんでしょうね、善意、もちろん現場のお巡りさんというのは熱心に仕事をやっていて、いい人も多いかもしれないけど、中にはやっぱり、上からそういう業務の指令が出ているのかどうか、それは分かりませんけれども、本来何にも問題のない、例えばそういう市民団体、市民運動をやっている人の行動を調べる。それが、何であなたそういうことをやっているんですかと言われたときに、いやいや、実は犯罪集団がよく隠れみのにこういうおたくのような団体を使ってやることがあるので、おたくの団体がそうじゃないかどうか、それを調べていたんですよということは起きませんか、起きないんですかね。私は起き得ると思っているんですよ、そういうことが。起き得ますよ。それが捜査というものですよ、警察の。そうでしょう。 テロとは関係なくたって、関係なくたって、テロを防ぐためには事前の情報が必要なんです。それはお分かりですね。そのためには、事前にあらゆる手段を使って捜査をし、調査をする可能性は十分あります。だからこそ、こうした、本来ならば何という理由だと思われるかもしれませんが、そういう理由で、そんな理由でやるはずないよとか、そんなことでやるはずがないよという、はずがないよということが起きるんです。そういう懸念というのはあると思うんですよ。 次に行きたいと思うんです、この隠れみので。 捜査をするときには警察というのは令状というのが必要ですね、捜査令状。捜査令状というのは、請求しますけれども、そのときに、これは例えば、一般的に言っていろいろな事件とか何か関わりがありそうな場合は、当然、容疑者でもまだ何でもないかもしれないけれども、そういう人に捜査令状が出ることはありますか。
○政府参考人(林眞琴君) 犯罪の嫌疑を前提として令状というものが出るわけでございますので、嫌疑のない者について令状が出ることはありません。
○真山勇一君 令状は嫌疑がなければできないと。そうすると、一般の人はその令状の対象になることはないかもしれませんけれども、令状を請求して捜査をしてみたらその結果ということもいろいろあると思います。 令状というのを請求するためには、これは警察が勝手にできるわけじゃなくて、令状許可というのを取るわけですね、令状請求の。その令状請求をする裁判所ですけれども、実際にその令状が請求されて、請求されてそれで許可が出るという、その令状請求の数、それから実際に出る数、その辺り、最高裁の方でデータはお持ちですか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。 平成二十八年の数値について申し上げます。 まず、通常逮捕状につきましては、九万二百十三件の請求に対しまして八万八千八百六件が発付されており、発付された割合は約九八・四%でございます。次に、捜索・差押・検証等許可状につきましては、二十四万六千九百六十一件の請求に対しまして二十四万千二百九十三件が発付されておりまして、発付された割合は約九七・七%でございます。
○真山勇一君 ありがとうございました。 私がちょっと伺いたかったのは、実際に請求があって、それを許可するのがどのぐらいかということをちょっと知りたかったんですね。全体の数というよりも、今おっしゃっていただいたパーセンテージですね。令状の方が九八・四%、もう一つは九七・七%、かなり高い率で請求が認められるということなわけです。 これ、認めるには、裁判所としてはどういうような基準でこの令状請求認めることになるんですか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 一般論で恐縮でございますけれども、各裁判官は、法律上の要件に従いまして、警察等々から請求されました疎明資料を見まして、一件一件慎重に判断しているものと承知しております。
○真山勇一君 もちろん慎重に一件一件判断されているとは思いますけれども、判断の基準というのは、その令状請求というのはどのぐらいのものが内容的には書かれているんですか。──済みません、じゃ、ちょっと伺い方変えます。 令状を請求する理由が書いてあると思うんですね、理由がね。その理由ですけれども、これだけ高いパーセンテージで認められるということは、やっぱりそれなりの理由があると思うんですね。例えば、出されている、その申請されている理由、請求されている理由、この辺りはどんなことを基準に判断されるのかということを知りたいと思うんです。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 各種令状によりまして法律上の要件が違うものですから、なかなか一言で申し上げるのは難しゅうございますけれども、法律上の要件に基づいて、提出された証拠がその要件を満たすものであるかどうかということを精査しまして一件一件慎重に発付するということでございます。
○真山勇一君 慎重に、そして精査してということですけれども、まだ、何というんですかね、実際には容疑の段階ですよね。そういうもので出てくる捜査令状みたいなもので、そんなに、何というんですかね、証拠に裏付けられたものとかそういうものはなくて、やはり捜査当局が考えられる容疑というものが多分書いてあるというふうに思われるんですが、令状の請求にはその辺りというのはかなり細かく書かれてあるものなのかどうなのか、いかがでしょう。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 事案にもよるのでございますけれども、請求書にどの程度の捜査機関としての主張が書いてあるかというところは、事案にもよりますのでなかなか申し上げにくいところもございますけれども、提出される疎明資料、証拠のことでございますけれども、証拠につきましては、非常に簡潔な証拠が提出される事案もあれば、非常に大部の証拠が提出されることもございまして、その事案の性質、内容に応じまして一件一件、法律の要件に当てはまるかどうかというところを精査の上、発付する、発付しないの判断をしているところでございます。
○真山勇一君 やっぱりケース・バイ・ケースということは分かりましたけれども、ただ、実際の数字見ていますと、特にパーセンテージで見るとほとんど、言ってみれば九八・四%と九七・七%って、やっぱり出されたものがほとんど認められるような、そんな感じを私は受けるんですね。 やはりこういう、何というんですかね、この今回の共謀罪でも心配されている、例えば冤罪とかいろいろなことがあると思うんですが、こうした出されたものがこれだけの確率で認められているということはなかなか、それはもちろん警察もしっかりと調べて令状の請求を出すんでしょうけれども、これだけ認められているということはなかなか、歯止めになっていないというか、チェック機能を本当に果たしているんだろうか、そういうちょっと心配もするんですけれども、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 発付率の数値につきましては、個々の令状請求事件における各裁判官の判断が積み重ねられた結果でございますので、その数値の大小の評価につきまして事務当局からコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○真山勇一君 やっぱり今回のこの共謀罪、こうしたものは、様々な本当に懸念というか心配、あるんですよね。そうしたものを、例えば、例えばですよ、やはり捜査、本当に現場の方たちは一生懸命、日夜、国民の安全のために働かれていることは分かりますけれども、やっぱり往々にして捜査の行き過ぎとかいろんなことが、これも過去、これまでにもいろいろありました。そういうときにやはり歯止めになってくるのが、この裁判所に出される令状請求なんかの、これも一つのケースだと思うんですね。やっぱりこういうときに本当にきちっと歯止めになるということも、今回のこういう法案ができるに当たって心配される一つではないかというふうに私は感じています。 この隠れみのという、今日これで伺ったんですけれども、やっぱりまだ心配は消えない。なかなか、一般の人が本当に巻き込まれないのかどうか。特に、今私たちの暮らしも多様化してきて、いろんな人がいろんな活動に参加したり身を置いたりしている、そういう中で、突然何か身の上に自分でもよく分からないことが起きる、何かそんなことをやはり皆さん、国民の皆さん、今回のこの法案の中に心配を感じていられるんじゃないかというふうに思います。 まだ始まったばかりです。これからこうした辺りを更に議論を深めていきたいというふうに思いまして、今日の私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。 今日議題となっております組織犯罪処罰法等の改正案、今回これを改正をしてテロ等準備罪というものを新たに設けるということが審議の対象となっているわけであります。 このテロ等準備罪、なぜ設けるのかといいますと、TOC条約、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、この国内担保法として整備をしようということであります。このTOC条約の締結の必要性ということについては、恐らく余り各党、野党の先生方も争いがないのではないかなと思っております。なぜなら、平成十五年に既にこの条約について、締結について国会承認もなされております。そのときは、社民党を除く各党が賛成をしているわけであります。 この条約の国内担保法としてテロ等準備罪の創設が必要かどうかという点につきましては、昨日の本会議でも我が党の浜田議員の方から質問をさせていただきましたけれども、この条約の五条で締約国に課される義務というものを果たすためには、やはり我が国において本改正案が必要であるということでございました。 こういった必要性があるという中で、他方、この国内担保法の整備によって不当に国民の権利を侵害するようなことはもちろんあってはならないわけでございます。ですので、そうした観点から見ましても、今回のこの法改正というのはテロ等準備罪の成立の対象範囲についても適切に絞っていると、こう考えております。 今日の審議の中でも刑事局長からも御説明がありましたけれども、先ほども申し上げたように、これは国際的な組織犯罪の防止のための条約の担保法、そして組織犯罪処罰法の改正として設けられるものでありますので、組織的犯罪集団、団体としての犯罪にしか成立をしない、そういうものでございます。ですから、そうした組織的犯罪集団に何の関係もない、何の団体にも入っていない、そういった大多数の国民にはそもそも成立の余地がないわけでございます。また、今回の法改正によって例えば新しく捜査機関に新たな捜査手法が付与されるとか、そういったこともございません。 そもそもテロ等準備罪の犯罪の成立の余地がない、そういう場合には、当然、犯罪の捜査も行われないわけでございますので、そういった大前提の上で、しかしながら、国民の皆さんの間に、いわゆる一般の国民が知らないうちにテロ等準備罪によって逮捕されたりとか、捜査の対象にいつの間にかなっていたり、何か巻き込まれるのではないか、そういう不安がいまだあるのかなということも感じております。 ですから、やはりこの審議では、そういったことはないのであるということを分かりやすく説明をしていくということが今回の法案についてこの委員会の審議で行っていかなければならないことだというふうに思っております。分かりやすい審議という観点から、私の方でもできるだけその具体例を挙げながら質問をしていきたいというふうに思います。 先ほどちょっと申し上げた国民の懸念ということを例えばこんな不安かなというふうに考えて申し上げると、例えば、極めて善良な市民の方、前科前歴もないし普通に社会生活を送っている、暴力団とか詐欺グループに関わったようなこともないと、そういう方が国民の大多数であると思いますけれども、そういう方が自分も知らないうちにテロ等準備罪で、例えばメールとか自分のやり取りをしていたLINEとか、そういうものを傍受されたり、ひいては逮捕されたり、そんなことがあるのかどうか。これについては、私は明確にそんなことはないというふうに申し上げられます。 その主な理由は二つあると思いますけれども、やはり大きいのは、先ほども申し上げたとおり、このテロ等準備罪というのは、成立の対象を組織的犯罪集団について限っているということであります。もう一つ、メールやLINEの傍受ということで申し上げると、そうした通信手段の傍受というのは法律上許されておりませんので、そういったことが行われることはないですし、心配は不要であると。 今申し上げたのが言ってみれば結論でありますけれども、もう少し具体的に質問をしていきたいと思います。 この組織的犯罪集団に成立の対象を限っているという点でございますけれども、じゃ、この組織的犯罪集団というのはどういうものをいうのかということ、基本的な点ではありますが、再度、改めて確認をしたいと思います。具体例なども挙げていただければと思います。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における組織的犯罪集団の定義でございます。 これは、組織的犯罪処罰法に団体という定義がございますので、この団体の定義を使って定義を重ねて行っております。すなわち、組織的犯罪処罰法上の団体のうちで、構成員の継続的な結合関係、その基礎となっている共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法の別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるもの、これを組織的犯罪集団と定義しております。 このような組織的犯罪集団の具体例として言えば、これは、国内外の犯罪情勢を考慮いたしますと、条文に例示しておりますテロリズム集団のほかに暴力団、薬物密売組織等、違法行為を目的とする団体というものに限られることになります。
○佐々木さやか君 今説明をいただいたのが法律上の定義ということであります。 私、これを分かりやすくするためにもう少し質問をしたいと思いますけれども、具体例としては、テロリスト、テロリズム集団、暴力団等々ということですけれども、じゃ、例えば労働組合、これがストライキを行うですとか、それから環境保護団体、表現の自由の保護に取り組むような市民団体、こういった団体の皆さんが活動を行う中で、例えば労働組合のストライキですとか、それから市民団体がデモをしたり、また座込みを行ったりとか、そういう活動の中で、正当な活動を行っているわけですけれども、その活動の中で、例えば業務妨害ですとか建造物の中に無断で立ち入ってしまったりですとか、そういう場合には刑法上等の犯罪に当たり得るという場合もあるわけであります。 ですから、こうした労働組合とか市民団体がその活動の中で犯罪に当たり得る行為を行う場合もあるわけですけれども、こういう労働組合、市民団体というのは組織的犯罪集団に当たるんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、一般の団体が例えば正当な活動を行う過程で犯罪に当たる行為を行うことがあるということはあり得ると思います。ただ、そういった一般の団体が、その犯罪行為を行ったということをもってその一般の団体が組織的犯罪集団に当たるというわけではございません。 すなわち、組織的犯罪集団は、一定の重大な犯罪を行うこと、これを結合関係の基礎としての共同の目的とする団体でございますので、一般の会社、あるいは労働組合、市民団体、これらはそれぞれの正当な活動を目的として結合しているわけでございまして、犯罪を行うことを共同の目的としているとは考えられませんので、組織的犯罪集団には当たらないと考えております。
○佐々木さやか君 では、例えば過去に実際に犯罪行為をしたことがある場合はどうかという観点で質問したいと思いますが、例えば、表現の自由を守る活動をしているデモの中でメンバーの一部の方が警察官ともみ合いになった、それは、デモの中でたまたまもみ合いが起こってしまって、その中で警察官にけがをさせたことがあると。けがの程度によってはというか、刑法上でいえば暴行とか傷害とか公務執行妨害に当たり得るわけですけれども、そうした形で、過去に実際に法に触れるような行為があった、実際にあった、そうした団体については組織的犯罪集団に当たるんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のように、例えば市民団体のメンバーの一部が過去に犯罪行為を行ったということを仮定した場合に、そのようなメンバーの一部が過去に犯罪行為を行ったことによってその市民団体、団体自体が組織的犯罪集団となるわけではございません。すなわち、組織的犯罪集団と認めるためには、その団体の結合の目的、共同の目的が犯罪を実行することにあること、これが認められなくてはなりませんので、実際にその市民団体が犯罪を行うことを共同の目的としているとは考えられませんので、仮にお尋ねのような事案が発生した、過去に発生したということをもってしましても、組織的犯罪集団に当たることはないと考えております。
○佐々木さやか君 このように、団体の結合の共同の目的が犯罪の実行にあるという要件というのは非常に処罰を限定する方向に働くと思います。ですので、一般の、一般的に言う市民団体ですとか労働組合というものがこの組織的犯罪集団に当たるということはないんだというふうに私は思います。 ですから、本当に大多数の市民の方には、大多数の国民の方には、このテロ等準備罪というものの成立は関係がないと、こう言ってもいいと思うんですね。かつ、今申し上げたように、労働組合とか市民活動で熱心に活動している、そういう方たちについても、その活動を処罰したり不当に制限するような法案では全くないと、こう言っていいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) ただいま佐々木委員から御説明、御指摘ございました。全くそのとおりであると、このように申し上げたいと思います。 まず、組織的犯罪集団の意義なのでありますが、テロ等準備罪というのは、適用対象となる団体をテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に限定をいたしております。そして、組織的犯罪集団とは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする集団をいう、したがいまして、これに該当し得るのは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団のほか、例えば暴力団、薬物密売組織等の違法行為を目的としている団体に限られるわけであります。一般の会社や労働組合あるいは市民団体は、犯罪を行うことを共同の目的としていることは考えられません。したがいまして、組織的犯罪集団に当たらないことが明らかでありますから、お尋ねのような、ただいま御指摘ありましたような活動がテロ等準備罪の処罰の対象となることはないと申し上げることができるわけであります。
○佐々木さやか君 ありがとうございます。 今会社という言葉がありましたので、もう少し具体例を出したいと思いますけれども、会社として業務は普通に行っていると、そういうところにお勤めの方ももちろんたくさんいるわけでありまして、しかしながら、実はその会社が毎年脱税を行っている、そういう場合には、繰り返し犯罪に当たるような行為を会社が行っていることになりますけれども、こういった会社は組織的犯罪集団に当たるんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 正当な事業活動を行っている一般の会社が毎年の脱税を繰り返している場合に組織的犯罪集団に該当するのかという御質問でございますが、正当な事業活動を行っている一般の会社につきましては、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にあるとは考えられません。例えば、脱税の実行をするためにその会社というものを構成しているわけではございません。 したがいまして、そのように、御指摘のように脱税を毎年繰り返していること、このことをもって、正当な事業活動を行っている一般の会社がそれだけで組織的犯罪集団に当たることはないと考えられます。
○佐々木さやか君 このように、組織的犯罪集団というのは極めて限定的な場合にしか認められません。ですから、普通に生活をしていて組織的犯罪集団に関与してしまうというようなことは私は想定できないと、こう思っております。この組織的犯罪集団の要件というのは、そういった意味で、この法律において不当な、国民の権利を侵害しないようにという観点から非常に重要な要件であるというふうに思います。 この組織的犯罪集団の要件について、今日も委員の先生から、以前に提出された国内担保法では、共謀罪と言われた国内担保法の段階ではこういう要件は明示されていなかったという御指摘もありましたけれども、この組織的犯罪集団の要件を今回明確に条文に盛り込んだというのはどうしてなのかと、この点を質問したいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) かつての組織的犯罪の共謀罪の適用対象につきましては、団体の活動としてということの解釈によりまして、その組織的犯罪処罰法上の団体のうちで、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うものに限定した、こういう趣旨の下で立案をしていたわけでございます。 これに対しましては、正当な活動を行っている団体も対象となるのではないかという不安や懸念が示されたところでございます。例えば、先ほど例のありました会社が団体の活動として脱税を行うというような場合にも適用になるのではないかというような不安、懸念が示されたところでございます。そこで、今回のテロ等準備罪におきましては、そのような団体が適用対象とならないことを一層明確にするために、法律の明文で組織的犯罪集団を定義して、対象となる団体を限定したわけでございます。 両者の基本的な考え方、対象犯罪を絞ろうとする考え方自体は異なるものではないわけでございますが、テロ等準備罪はそうした団体の活動としてということの解釈によってではなく、法律の明文で適用対象となる団体を限定したという点でかつての組織的な犯罪の共謀罪とは重要な違いがあり、これによって、かつて示されていた不安や懸念を払拭できるものと考えているわけでございます。
○佐々木さやか君 より分かりやすく明確にしたという点で評価をしたいというふうに思っております。 さらに、組織的犯罪集団について聞いていきたいと思いますけれども、犯罪集団でありますので団体であります。この団体、一定の組織のある団体であることが必要とされるわけですが、団体と言えるためにはどういう要件が必要なのかということを確認したいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団の前提としては、この組織的犯罪処罰法上の団体に該当する必要がございます。 この団体の意義につきましては、これは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織、すなわち指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体により反復して行われるもの、これをいうこととなっております。
○佐々木さやか君 法律上の定義というのは、正確性を確保するというためというのもありますけれども、非常に分かりにくくて、今の説明を聞いただけではなかなか分からないと思われた傍聴人の方もいらっしゃったかもしれません。 ですので、じゃ、具体的にこういう場合はどうなんでしょうかという形で聞いていきたいと思いますけれども、例えばこういう場合。学校の友人と万引きをしようと、こういう話になった。二人とも今までそんな万引きなんというのはしたことはないんだけれども、例えば一人が、ちょっとした上下関係みたいなものがあって、じゃ、やろうよ、僕がやるから君は見張りをしておいてねと、そんなことを言われて、その例えば見張り役の人がなかなか断りにくいなと、こんなふうに思いながら、そういう万引きの実行と役割分担、また計画、こういったことを決めたと。こういう場合には組織的犯罪集団には当たらないと思いますけれども、どうでしょうか、その理由についても併せて教えてください。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団の前提となるその組織的処罰法上の団体の定義には、その共同の目的を有する多数人の継続的結合体という定義がございます。この共同の目的を有する多数人の継続的結合体と言えるためには、構成員でありますとか、あるいはその単なる集合体とは別個独立した社会的実態を有するものであることが必要であります。 そうしますと、お尋ねのように、学校の友人である二人が万引きしようと話し合った場合、こういった場合、通常、この二人組が構成員又はその単なる集合体とは別個独立した社会的実態を有するとは考えられませんので、この場合、団体には該当しない、したがいまして組織的犯罪集団に当たることもないと考えます。
○佐々木さやか君 この多数人の継続的結合体というものが必要であると。こういう観点からいいますと、例えば会社の同僚で居酒屋で話し合っているときに上司を殴ってやろうかとか、そういったことを話し合ったとか、そういったことも当たらないのであろうと思います。 こういった要件がございますので、やはり国民の皆さんがいつの間にか自分が知らないうちにそうしたテロ等準備罪、犯罪の成立の対象になるんじゃないか、そういう懸念は当たらないのだろうというふうに思っております。 次の事例として、じゃ、例えば宗教団体があって、それが後に一部の幹部を中心に組織的なテロを計画をして何度も実行するようになったと、実際にもう実行しているということですね、それが組織的犯罪集団に当たるというふうに仮に認定できる場合、認定できる場合に、では、どこまでがそのテロ等準備罪の成立の対象になるのかという観点からお聞きしたいんですが、自分の入っているその宗教団体がまさかそのようなことをしているということも知らない、一切知らなかった、そういう信者の方、幹部とかではない信者の方というのはこのテロ等準備罪の成立の対象にはならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。ならないとすれば、その理由も教えてください。
○政府参考人(林眞琴君) まず、テロ等準備罪における組織的犯罪集団は、この団体のうちで、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいいます。そして、組織的犯罪集団の構成員というのは、こういった一定の重大な犯罪等を実行することを目的として結合している必要があるわけでございますので、その結合目的、すなわち犯罪実行目的等を認識していない者、これらの者は組織的犯罪集団の構成員とはなり得ません。したがいまして、お尋ねのような者はそもそも組織的犯罪集団の構成員ではございません。 その上で、テロ等準備罪の計画におきましては、組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪を実行することについて具体的かつ現実的な合意をすることを要するわけでございますので、お尋ねのような組織的犯罪集団の結合目的を知らない者、すなわち構成員でない者について、組織的犯罪集団が関与することについて、それらの者はその認識を欠いておりますので、テロ等準備罪は成立しないということになります。
○佐々木さやか君 ということでありますので、これが宗教団体じゃなかったとしても、仮に自分の勤めている会社、普通の会社はなかなか組織的犯罪集団に一部でも当たることはないと思いますけれども、そうした自分の所属している団体が知らないうちに組織的犯罪集団に当たるようなことをしていたとしても、知らない以上、そうしたことに関わっていない以上、処罰をされたり捜査の対象になる心配はないということを御説明いただいたと思います。 先ほどの事例で、そうした宗教団体の結合目的、犯罪について知らないと、そういう信者の方が、計画についても知らないんだけれども知らないうちにその実行準備行為に当たる行為をさせられていたと、こういう場合はどうなんでしょうか。 例えば、水道に毒物を混入させる、そうしたテロが計画をされた。その計画のことはもちろん知らないわけですけれども、その実行準備行為になるような、例えば資金調達、こういったことに当たる行為をさせられていた。そういう場合にはテロ等準備罪が成立するのか、その信者の方にですね、しないとすればなぜ成立しないのかということを御説明願います。
○政府参考人(林眞琴君) 今回のテロ等準備罪は、組織的犯罪集団の関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画した、その計画した者のいずれかが実行準備行為を行った場合、こういった場合に成立するわけでございます。 お尋ねのように、重大な犯罪についての計画自体、これを知らない者、これにつきましては計画をした者には該当しませんので、そうした者についてテロ等準備罪が成立することはございません。
○佐々木さやか君 この法律の内容をしっかりと理解をしていただいていれば、今私が挙げたような事例には成立しないということは明らか、そんなに難しい事例ではないんですけれども、しかしながら、やはりこういう一つ一つについて丁寧に説明をしていくと。この法案をいろいろと考えて提出をされた政府の側からすれば、こんなのは成立しなくて当たり前だよと思われるかもしれませんけれども、そういった点を丁寧に審議をしていくということは私は国民の皆様の理解につながるのではないかなと思いますので質問をさせていただいたわけであります。 冒頭申し上げた、知らないうちに、そうはいってもテロ等組織的犯罪集団に関わっているかどうか、またその計画を知っているのかどうか、関わっているのかどうか、これは確認してみないと分からないじゃないかと。こういったことで、先ほどの例えば宗教団体の事例で申し上げますと、そういう計画に関わっていない信者の方まで、電話とかまたメール、LINE、そういったSNSの通信の傍受、こういったことを行ってプライバシーを侵害をするというようなことが起こるのかどうか、この点も確認したいと思うんですが、これは明確にそのようなことは起こらないというふうに理解をしております。なぜなら、先ほども申し上げましたが、そのような捜査というのは法律上認められていないからでありますが、この点、間違いないでしょうか。通信傍受法の関係でお聞きしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 通信傍受法による通信傍受は、通信傍受法の別表に掲げられた対象犯罪について、その同法が定める厳格な要件を満たした場合に限り、傍受令状により傍受することができる、これが許されているわけでございます。テロ等準備罪については通信傍受の対象犯罪ではございません。また、今回の法改正をもってそのテロ等準備罪をその対象犯罪に追加する法改正ということも予定していないわけでございます。したがいまして、テロ等準備罪を対象犯罪として通信傍受をすることはできません。 その根拠でございますけれども、電話のみならず、この電子メールの傍受につきましても、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、いわゆる通信傍受法でございますが、これが定める手続によらなければ行うことができないわけでございます。これは、法的に説明しますと、刑事訴訟法百九十七条第一項のただし書に「強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」と規定した上で、その刑事訴訟法二百二十二条の二は「通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。」と、このように規定しておりますところ、電話や電子メールの傍受は、この同条に言うところの通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分に当たりますので、この同条に言う別の法律であるところのこの通信傍受法の規定に従わなければこれを行うことができないわけでございます。その通信傍受法の別表にテロ等準備罪が対象犯罪となっていないわけでございますので、こういった場合にテロ等準備罪のための電話、メール等の傍受は法的にできないということになります。
○佐々木さやか君 電話やメールの傍受、こういったものというのは、通信傍受法に定められた場合にしかできないと、そして、通信傍受法上、テロ等準備罪についてはできないということになっておりますので、その心配はないということであります。 刑事局長はそんなの当たり前じゃないかというふうに思われるかもしれませんけれども、先ほども申し上げたように、やはり法律家とか法律について知識がある者としては当然と思うようなことであっても、丁寧に説明をしていくということは大事かなと思いますので、確認させていただきました。 そういう通信傍受はできないということで、じゃ、どうやって捜査をするんですかと、どうやって、捜査の端緒といいますけれども、ちょっと難しい言葉は余り使わないようにしようと思っているんですが、どうやって、じゃ、捜査をするのかということについては、捜査実務を踏まえて御説明をいただければと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪を創設する、これは刑事実体法でございます。今回、手続法、刑事手続法には何らの変更も加えていないわけでございます。したがいまして、テロ等準備罪ができた暁におきましても、その捜査については、他の犯罪と同様の方法で捜査の端緒を得て、刑事訴訟法に従い必要かつ適正な捜査を尽くすことになると考えられます。 捜査の実務の観点からいえば、例えば、これは実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で犯行手順が記載されたメモのような物証、あるいは計画についての供述が得られる、こういったことが想定されます。あるいは、計画に参加した者が自首した場合、あるいは計画の状況を聞いた者からの情報提供、こういったことからの捜査の端緒が得られることもあると考えられます。 現行法におきましても、ひそかに行われる謀議等に関する証拠の収集、これは必要かつ適正な捜査により行われているところでございますので、テロ等準備罪につきましても同様の捜査実務が行われると考えております。
○佐々木さやか君 今まで明らかにしてきたように、今回のテロ等準備罪の創設を含む組織犯罪処罰法の改正というものは、冒頭申し上げたTOC条約の国内担保法として、必要な範囲で、かつ、当然ながら国民の基本的人権の確保というものにも十分配慮をした改正内容でございます。 大臣に最後、確認をしたいと思いますけれども、このテロ等準備罪の捜査に当たってはもちろんのこと、それ以外の犯罪の捜査にあっても、当然のことながら捜査の適正、適法というものをしっかりと確保をしていくということが重要であります。そこに違法な捜査が行われたりするということは断じて許されないわけでございまして、このテロ等準備罪の捜査においてはもちろんでございますけれども、今後もこの捜査の適法というものを確保していくということについて、最後、御決意をいただければと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 佐々木委員の審議をお聞きしておりました。捜査の適正を確保していく決意を述べよという御指摘でございます。 一般に、捜査は適正に行われているものと承知をしております。テロ等準備罪の捜査につきましても、刑事訴訟法の規定に従いまして、必要かつ適正な捜査を行うことになるものと考えております。 また、テロ等準備罪につきましては、条文上、成立要件を明確かつ厳格なものとしておりまして、恣意的な運用がなされないものになっている上、我が国の刑事司法制度においては裁判所による審査が機能しておりますので、捜査機関による違法な捜査はできない仕組みとなっております。 さらに、衆議院における修正によりまして、テロ等準備罪の捜査を行うに当たりましては、その適正の確保に十分配慮しなければならない旨の規定が追加されたところであります。 私としましては、本法案が成立をしました後には、このような修正の経緯も踏まえまして適正に運用されますように、本法案の趣旨、内容を関係機関に周知をしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
○佐々木さやか君 よろしくお願いをいたします。 以上で終わります。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。 自民党の政務調査会が三月三十一日付けで作成をしまして、党内の国会議員の皆さん宛てに共謀罪について解説をされた資料がございます。その中に事例として、テロ組織が水道水に毒物を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合であっても、この時点で処罰することができませんと、こうあります。 このケースについて衆議院でも話題になりまして、金田法務大臣は、致死性のある毒物であっても殺人予備罪が成立しない場合があるんだと答弁をされています。これはどんな場合なんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員お尋ねの事例は、本年五月十九日、衆議院法務委員会において山尾議員から、テロ組織が水道水に毒物を混入することを計画し、実際に毒物、毒物を準備した場合と、こういった水道毒物等混入罪を念頭した、を入れた事例において金田大臣が答弁をしたものでございます。 同事例について、混入しようとする毒物等にまず致死性がなければ殺人予備罪は成立しません。また、混入しようとする毒物等が致死性を有するものでありましても、裁判例によれば、客観的に相当の必要性を、危険性を備えるに至らない段階においては殺人予備罪は成立しないと考えます。その趣旨で答弁されたものでございます。
○山添拓君 資料には処罰することができませんとあるんですが、これは言い過ぎなんですね。これだけでは不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、客観的に相当の危険性が認められれば殺人予備罪となり得るわけです。また、毒物・劇物取締法違反の罪にも当たり得ます。 予備罪として処罰するにはどのような場合であることが必要かについて、東京高裁の一九六七年六月五日の判決、これどのように論じているでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の東京高裁昭和四十二年六月五日判決は、実行行為着手前の行為が予備罪として処罰されるためには、当該基本的構成要件に属する犯罪類型の種類、規模等に照らし、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要すると解するのが、予備行為の態様の無定型と無限定という特徴を把握する一方、罪刑法定主義の要請をも顧慮する目的論的解釈の立場から見て最も当を得たものと思われるというふうに判示しております。
○山添拓君 実質的に重要な意義を持つ行為と、また、客観的に相当の危険性と、つまり誰が見てもこのままでは結果発生につながるという危険が必要だと記したのが、資料の五ページにございますが、この判決です。 自民党の資料のケースに戻りますと、水道水に毒物を混入することが計画され、その毒物が用意をされましたが、しかし処罰ができないと。ということは、この行為に実質的に重要な意義はなく、客観的に相当の危険性があるとも言えない段階を想定したものだということになります。 これ、具体的にはなかなか考え難いんです。致死性を有する毒物を準備して、水道水に混入させる目的まで判明していれば、普通は客観的に相当の危険性が認められるでしょう。殺人予備罪、十分に成立し得るわけです。 法務省に改めて伺いますが、行為に実質的に重要な意義がなく、客観的に相当の危険性もない、水道水に毒物が混入されて人が死ぬという危険性は客観的には明らかでないという段階、裏を返せば、その危険というのは犯人の主観にとどまっているわけです、まだ内心にとどまっている、しかもこのままでは犯罪につながるんだという危険の相当性もない、こういう段階のことを問題にしているんだということでよろしいでしょうか。そうであるかどうかだけお答えいただければ結構です。
○政府参考人(林眞琴君) 大変申し訳ございません、質問の趣旨がよく酌み取れません。
○委員長(秋野公造君) 山添拓君、もう一度お願いします。
○山添拓君 質問したとおりです。明確に通告していますから、お答えください。(発言する者あり)
○委員長(秋野公造君) 山添拓君。
○山添拓君 今、予備罪でも処罰できない場合があるというのが自民党資料のお話でした。予備罪というのは、危険が客観的に明らかであるということが必要なんだ、客観的に相当の危険性が必要だという東京高裁の判決の御紹介でした。 これ、裏を返せば、予備罪で処罰できない範囲というのは、危険は客観的に相当になっていない、実質的に重要な行為でもない、こういう場面のことだということでしょう。それを確認したい。
○政府参考人(林眞琴君) 客観的に相当な危険性が認められず予備行為に該当しない、このことをもって殺人予備罪は成立しないものと考えられます。
○山添拓君 そういうことなんですよ。つまり、まだほとんど危険とは言えない段階なんですね。危険な発想は持っているかもしれないけれども、それは心の中にとどまっていまして、客観的には誰が見ても危ないと把握できる状況にはないと、予備罪よりももっと前の段階ですから。 共謀罪が、起こった被害やその危険を基に処罰するのではなくて、考えただけ、話し合っただけ、準備行為があるとしてもですよ、内心を処罰するものだという批判は、まさにそのとおりではないですか。大臣、なぜこの段階で処罰する必要があるんですか。
○国務大臣(金田勝年君) 山添委員の御質問にお答えをいたします。 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪につきましては、各自が任務を分担して組織の指揮命令に基づいて行われるなどの点で、計画をした犯罪の実行の可能性が高い上、一たび実行されますと重大な結果や莫大な不正利益を生ずることが多いわけであります。特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性も高いという点に着目をいたしまして、実行の着手前の計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合に処罰することとするものであります。 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する計画行為及び実行準備行為を行った者について、総体として危険性の高い行為を行ったことを根拠として処罰をするものでありまして、そのような危険性の高い行為を行った者を処罰することにつきましては、テロ等の重大な組織犯罪を未然に防止する観点から必要性が認められるものと考えているところであります。
○山添拓君 今、総体としてというお言葉が出てきました。極めて抽象的な言葉なんですよ。危険な集団が危ないことを考えているから処罰するべきだ、これだけの話なんです。法益侵害の大きさだとか、その可能性がどうかということを全く無視した議論なんです。その結果、未遂や予備では処罰していないのに、話し合っただけの段階の、共謀の段階で処罰する、こういうアンバランスが多数の犯罪、罪について起こっている状況です。 しかし、処罰の必要性というのは、本来、法益侵害、権利や利益の侵害の重大さを出発点にして検討すべきものであります。現に、先ほどの東京高裁の判決では、その少し前のところですが、予備や陰謀は犯罪の完成から比較的遠いのだ、したがって一般に不可罰とされる、可罰性があるのは保護法益が特に重大なものや予備行為自体が極めて危険なものに限られるのだとしています。 こういう理屈を抜きにして、客観的に相当な危険性すらない段階での行為を一挙に二百七十七も犯罪に仕立て上げようと、これが共謀罪の中身であります。 警察庁に伺いますけれども、先ほどの問題で、テロ組織が水道水に毒物を混入することを計画して実際に毒物を準備をしました、その情報をつかんだときに、その後起こり得る事態を未然に防ぐことはできないんでしょうか。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 テロの計画がなされているとの情報があるような場合におきまして警察がとる措置につきましては、個別具体的な事実関係の下、検討していくこととなりますけれども、一般論として申し上げれば、テロの未然防止のため、テロの対象となる可能性のある施設に対する警戒警備等の必要な措置はとらせていただくことになろうかと思います。
○山添拓君 それだけですか。ここまで分かっていてそれしかしないんですか。場合によっては毒物の取締法違反や、あるいは様々な、住居侵入、建造物侵入ということもあるでしょう。そうしたことで検挙をしたり、あるいは警職法二条一項に基づいて職務質問を行ったり、それぐらいするじゃありませんか。 ここまで計画が分かっていて、やろうとしていることが分かっていて、それでも何もしないのが警察なんですか。
○政府参考人(白川靖浩君) まさに個別具体的な事実関係の下によりますので、警察としてこの場でどのような行為を具体的に取るかというのは申し上げることは困難でございますけれども、私ども、法に基づき適切に対処することといたしております。
○山添拓君 職務質問ぐらいはやりますね。やるかやらないか、お答えください。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 警察官職務執行法第二条によりますと、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者等、あと省略させていただきますが、について停止させて質問することができるというふうにされておりまして、場合によってはこういったことでの職務質問をされる、することはあろうかと存じます。
○山添拓君 ところが、例えばインターネットの番組で、佐藤正久議員はこの同じような事案についてこうおっしゃっています。 テロリストが水源に毒を入れて多くの人を殺害し、社会に混乱を起こそうと計画したと仮定します。現行法では、計画を立てても、毒を購入しても逮捕できません。毒を持って水源地に行っても何もできません。現行法で逮捕できるのは、彼らが水源に毒を投げ入れた瞬間なのです。 こんなに不安をあおることないじゃありませんか。共謀罪がなければ未然にこうした事態が防げないなどというのは、私はこれは実際と懸け離れた話をされていると思います。 さらに、この自民党の資料によりますと、この時点で処罰をすることができませんとあります。処罰をすることができない、予備罪にも至らない段階なんですけれども、この時点で捜査機関は、主体がテロ組織だということ、水道水に毒物を混入する計画を持っていること、そして毒物を準備したこと、三つの事実を把握していることになります。にもかかわらず、処罰できない、有罪にならないんだと、だから問題なんだとおっしゃっているわけです。 有罪にできる証拠がそろっているという前提なんですが、そのためにはどのような証拠をこのケースで想定されるでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の捜査についての御質問だと思いますが、これも他の犯罪の場合と同様の方法で、捜査の端緒を得て、必要かつ適正な捜査を尽くすことになります。 例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で、犯罪手順が記載されたメモのような物証や、組織的犯罪集団の実態、計画の内容等についての供述が得られることがございます。また、計画に参加した者の自首や計画の状況を聞いた者からの情報提供によって、組織的犯罪集団による計画の存在、実行準備行為の存在等が明らかになることもあると考えられます。こういった他の捜査と同様の捜査の端緒を得て、必要かつ適正な捜査を尽くして、その証拠によって認定することとなります。
○山添拓君 だから監視することはありませんよと、こうおっしゃっているんですが、しかし、先ほど真山議員からもありました、例えば岐阜県の大垣警察署が中部電力子会社の風力発電の計画に反対する勉強会を開いたことを機に、個人情報を収集し、子会社に伝えて、住民運動を潰す相談までしていた事件が明らかになっています。 昨日、本会議で国家公安委員長は、これは必要な範囲の警察活動だと述べて、通常行っている警察業務だという過去の答弁を否定されませんでした。 警察庁に伺いますが、こうした警察活動で得た証拠、情報を端緒に共謀罪の捜査につながる、こういうこともあり得るんじゃないですか。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 警察におきましては、公共の安全と秩序の維持という警察法第二条で定められた責務を達成するため、必要な範囲で様々な情報収集を行っております。また、そうした情報収集をする中で犯罪の具体的な嫌疑が生ずれば、刑事訴訟法に基づいて捜査がなされることにはなります。
○山添拓君 この結び付きは否定できないわけです。 大臣、大垣事件の話、衆議院も含めて何度も伺っておられると思います。犯罪に及んだわけではない四人の方、捜査の、調査の対象になっていたわけですが、大臣の言葉で言うと、この方たちは通常の社会生活を送っている人ではないんですか。お答えいただけますか。
○副大臣(盛山正仁君) 具体的なケース次第、それ次第でということになりますので、ちょっと今その御質問だけでは何ともお答えし難いと思います。
○山添拓君 具体的なケースで聞いているんですよ。この大垣の事件で、既に国家賠償の裁判を四人の方は起こしているんですよ。この方たちは通常の社会生活を送っている方じゃないんですか、大臣。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に関しましてはテロ等準備罪の前提のお話ではございませんので、この件については答弁は差し控えたいと思います。
○山添拓君 否定することも肯定することもできない。こういう普通の市民活動をやっている、勉強会を開いているような方まで通常の社会生活を送っている人ではないかのようにおっしゃっている。 警察庁に改めて伺いますけれども、この大垣事件で監視をされた三輪さん、松島さん、船田さん、近藤さん、この四人はなぜ情報収集の対象になったんですか。その基準は何ですか。
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。 岐阜県の大垣署の警察官が通常行っている業務の一環として関係会社の担当者と会っていたものということは承知しておりますけれども、その個別具体的な内容につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○山添拓君 結局、警察のさじ加減一つで情報収集の対象となる方を選んでいる。いつどんな理由で監視をされているか分からないということですよ。情報収集の対象になっているということですよ。皆さん笑っていらっしゃるけれども、こういう対象になっていたということがどれだけその人にとってプレッシャーになるのか、重い衝撃を与えるものか、想像なさったことがございますか。 例えば、原告になっている船田さんは、監視されたことが分かり、人の目を気にする自分がいる、人を信頼して本音を打ち明けられなくなる監視の怖さ、共謀罪の怖さがある、こういう発言もされています。権力に監視をされている、情報を勝手に収集される、このことの恐怖が多くの方に今広がっているわけです。 監視社会につながるのではないか、個人の、市民社会の監視、情報収集という名で監視が行われているわけです。それは行為も結果も生じる前の段階で処罰をしようという共謀罪の証拠集めにも有効な手段として十分使われ得るものだと私は思います。監視社会につながり得るという多くの国民の不安はやっぱり正しいんじゃないでしょうか。犯罪捜査のためならこれは許されるんですか。(発言する者あり)お静かになさってください。逆なんですよ。犯罪捜査のためだから許される、逆です。刑罰という最も重い権力が関与する場面では、なおさらこうした捜査、調査、情報収集活動、慎重であることが求められます。 今年三月十五日、ドライバーの承諾なくひそかにGPS端末を取り付けて位置情報を把握する捜査方法について、最高裁が判決を下しました。約六か月半、被告人、共犯者のほか知人の女性も使用する自動車合計十九台について二十四時間三百六十五日移動を監視できる状況に置いたと。判決は憲法三十五条についてどのように論じていますか。
○政府参考人(林眞琴君) 最高裁平成二十九年三月十五日の判決は、御指摘の憲法三十五条に関連いたしまして次のように判示しております。 憲法三十五条は、住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を規定しているところ、この規定の保障対象には、住居、書類及び所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。そうすると、前記のとおり、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品にひそかに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たるとともに、一般的には、現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから、令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。 このように判示しております。
○山添拓君 そして、その判決では、GPS捜査における捜査手法について、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、また、そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品にひそかに装着することによって行う点において、公道上の存在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである、こういうふうに論じています。プライバシーを侵害し得る捜査だとしたのがこの判決でありました。 ところが、警察は、このGPS捜査、断りなくやってもよいものだと考えて、少なくとも二〇〇六年以降はその存在を公にしないように指示まで行っていました。警察による違法捜査というのは一部の病理現象だと言われることが時々あります。しかし、とんでもないんです。もう大々的にやっている。プライバシー権に対する驚くべき鈍感さが蔓延していると私は思います。 ですから、こうしたプライバシー権に対して極めて鈍感な日本の刑事司法の中で、今度、共謀罪などが作られれば、そのプライバシー権がますます脅かされる。多くの国民の不安と同様に、国連人権理事会の特別報告者であるケナタッチ氏も懸念を表明されたわけです。ケナタッチ氏は、この法案が広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせて、プライバシーに関する権利及びその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼしかねないという深刻な懸念を表明すると言っています。そして、五点に着目をし、四つの項目で質問を寄せています。政府は、抗議文の中で、日本政府として速やかに御説明する用意があるとしています。 外務省に伺いますが、いつ説明されるんですか。
○副大臣(薗浦健太郎君) 公開書簡に示された懸念や指摘事項につきまして、今政府内で内容を精査し、具体的な対応を検討しているところでございます。 いずれにしても、先生御指摘いただきましたとおり、追って我が国の立場を正式に回答してまいります。
○山添拓君 直ちにするべきではありませんか。 総理も、今日午前中のこの法務委員会での審議の中で、TOC条約の担保法を作るに当たって、国民の権利、自由が不当に侵害されることがあってはならないことは当然だと、こう述べています。 そんな検討はもう十分した上で出したというのが政府の、与党の皆さんの主張じゃありませんか。だったら、このケナタッチ氏の懸念に対してもそんなに時間掛けることなく直ちに報告なさったらどうですか。なぜできないんです。
○副大臣(薗浦健太郎君) いずれにしても、この方から出された公開書簡に関する懸念や指摘事項について政府内で今精査をしているところでございますので、少し時間を要しているということでございます。
○山添拓君 なぜこれから精査しなければならないのか。既に十分検討されているはずであります。 法務大臣に伺いますけれども、政府は、このケナタッチ氏の懸念が表明されたのに対して僅か数時間で抗議文を作成して送り返したんだと伺います。法務省は、この抗議文の作成に当たってはどのような意見を述べたんですか。
○副大臣(盛山正仁君) お尋ねの外務省が発出した抗議文につきましては、政府部内での検討を経た上で政府としての見解を示したものでございます。その検討の過程における省庁間の協議の状況については、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
○山添拓君 私が事前にレクで伺った限りは、法務省はほとんどかんでいないんだと、これは外務省の担当してやったものだということを伺いました。 抗議文の中で、プライバシーの権利については具体的にほとんど触れられていません。検討すらした形跡がございません。懸念を表明されたその意味すら理解していないんではないかと疑うような中身です。 そもそも、政府は、国連の条約を締結するために共謀罪が必要だと言ってきました。当の国連から課題を指摘された以上は、それに対して全て答えて、国際社会の懸念が払拭されることは当然必要だと思います。そして、ケナタッチ氏が指摘した疑問や懸念、これは多くの国民が疑問に感じて、また専門家の皆さんが批判をしてきたまさにその点であります。ケナタッチ氏への説明内容を国会を通じて国民にも伝えていくということ、今後の法案審議の前提と言うべきだと思います。 最後に、本日は外務大臣に答弁を求めておりました。条約の解釈が問題となる重要な法案です。ところが、外務大臣の御出席をいただけなかった。やる気がないんだったら審議自体を継続すべきじゃないと私は思います。今後の審議の中ではきちんと外務大臣にも御出席いただくように改めてお願いしたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございます。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 昨日、代表質問の中で質問させていただいた中からまた更に詳しく質問をさせていただきたいなというふうに思っています。 今、山添議員の方からも話がありました国連特別報告者の公開書簡についてでありますけれども、私もこの点について昨日もちょっと質問させていただいたんですが、まだ何点かお聞きしたいことがありますので、まずお聞かせいただきたいと思います。 五月十八日に国連特別報告者であるマルタ大学教授のジョセフ・ケナタッチ氏が安倍総理に対して、本法案について、プライバシーや表現の自由を制約するおそれがあるとの公開書簡を出されたわけでありますが、まず、この国連の特別報告者とはどのような立場で、どのような役割を担っているのか、伺いたいと思います。
○大臣政務官(武井俊輔君) お答えいたします。 国連の人権理事会の特別報告者でございますが、これは特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関しまして調査報告を行うというために、人権理事会から個人の資格で任命をされた独立の専門家であります。この点につきまして、先日のG7タオルミーナ・サミットの機会に安倍総理と懇談をいたしましたアントニオ・グテーレス国連事務総長でございますが、事務総長も、人権理事会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないという旨を述べたところであります。 このプライバシーの権利特別報告者でございますが、これは二〇一五年三月の国連人権理事会において採択をされましたデジタル時代のプライバシーの権利という決議において設置をされたものであります。同決議におきまして、プライバシーの権利特別報告者は、プライバシーの権利保護、促進に向けて情報収集、国際会議等への参加、また意識啓発などをすることが任務とされているところであります。また、この特別報告者は、その任務の範囲内で各国への情報提供の要請や調査訪問ができるといったような役割であると承知しております。
○東徹君 国連とは別の個人の資格で行ったということでありますけれども、TOC条約なんですが、我が国はまだこのTOC条約に締結していないわけですけれども、既に百八十七の国と地域がTOC条約をこれは締結しているわけですね。 その中には、イギリスやアメリカでは、合意罪の法制を採用している国もあるわけでありまして、国連の特別報告者がイギリスとかほかの国に、合意罪の法制を採用している国に対して今回と同様の公開書簡を出した例があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(武井俊輔君) 今御指摘ございましたが、米国や、また英国におきましては、本条約の第五条でございますが、犯罪化義務を履行するということのために、我が国と同様、同条1の(a)(1)に規定をされる重大な犯罪の合意罪を採用しているものと承知をしているところであります。 他方、これらの国に対して、国際組織犯罪防止条約の国内担保法につきまして、先ほどの国連人権理事会の特別報告者が先般我が国に発出したようなものと同様の趣旨の公開書簡を発出したという例は承知をしていないところであります。
○東徹君 そうしたら、日本以外の国にはそういった書簡を出していないということですね。本法案に言うテロ等準備罪のような法制を採用している国があるにもかかわらず、何でこの時期に我が国にこのような公開書簡が出されるのかというところがよく分からないところでありまして、政府として、今回のテロ等準備罪が他国の合意罪よりも要件を絞ってより人権に配慮した犯罪化したものというふうに考えるのであれば、そのことを海外に向けて説明していく必要があるというふうに考えますが、今後、政府として海外に向けてテロ等準備罪の内容等についてどのように発信、説明していくのか、お伺いしたいと思います。
○大臣政務官(武井俊輔君) 今回のこのテロ等準備罪は、過去の国会審議において様々な御指摘を受けたものを踏まえまして、政府として真摯に検討を重ねて立案をしてきたものでございます。 すなわち、このテロ等準備罪は、この委員会でも御議論ございますが、一般の方々が処罰の対象とならないということを明確にするという観点から、本条約が認める組織的犯罪集団が関与するものというオプションを活用いたしまして、法文上も主体が組織的犯罪集団に限られるということを明記した上で、その対象犯罪につきましても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるこの二百七十七の犯罪に限定をしたところでございます。さらに、本条約が認める合意の内容を推進するための行為を伴うオプション、これも新たに、両方活用しまして実行するための準備行為も要件として付しているところであります。 このOECDの加盟国の中におきまして、この二つのオプションを双方採用している、採用して、その上で非常に厳格な要件を定めている締約国はないものと承知をしております。国際的に見ましても、このテロ等準備罪は人権に十分配慮したものであると考えております。 政府といたしましては、先ほど委員からも御指摘ございましたが、今後とも本法案に対する正確な理解を内外に広めていくべく、この国会での丁寧な説明はもちろんでございますが、適宜適切な形で情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○東徹君 先ほど、山添議員の方からもありましたけれども、もう私はこういうの、早くやっぱり対応しないといけないと思いますね。せめてこの法案の審議している最中に是非やるべきというふうに考えますが、いかがなんでしょうか。
○大臣政務官(武井俊輔君) 委員の御指摘はしっかり受け止めさせていただきたいと存じます。 もちろん、今まさに審議の最中でもございますので、また一義的にはこの国会での丁寧な説明ということが最重点でございますけれども、どのようなことができるか、また省内でも適宜検討してまいりたいと思います。
○東徹君 それは外務省の責任として早急に是非やっていただきたいと思います。 これは通告していないんですが、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。昨日の答弁の中で、カンナタチ氏は、自分はこれまでNGOが作成したテロ等準備罪処罰法案の非公式な英訳を見て立場を表明してきたがというふうにあるんですが、このNGOが作成したというのはどこのNGO団体かというのは分かるんでしょうかね。
○大臣政務官(武井俊輔君) この発出したNGOにつきましては、私どもも承知をしていないところであります。
○東徹君 分かりました。 またその辺も是非確認をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 次に、TOC条約についてなんですけれども、日本はまだTOC条約、これ締結していないわけでありますが、既にこのTOC条約に締結している国の中で北朝鮮があるわけですけれども、今、御存じのとおり、北朝鮮は三週連続日本に対してミサイルを発射するという、日本というか日本海に向けてですね、発射するという、とんでもない発射実験を行っておりますが、そういった国が締結しているということで、まずこの経緯について説明していただけますでしょうか。
○大臣政務官(武井俊輔君) まず、北朝鮮がこのTOC条約に加盟しているということについては、加盟しているわけでありますが、これ、国連のウエブサイトによりますと、北朝鮮は二〇一六年の六月の十七日にこの国際組織犯罪防止条約に締結したものと承知をしております。そのようなことがまた北朝鮮の朝鮮中央通信でも発信もされているところであります。 一般に、他国が条約を実施するに当たってどのような、私どもはこうして今このテロ等準備罪の議論をしているわけでありますが、いかなる立法措置を講じているかについては、我が国といたしまして必ずしも網羅的にその状況というものを承知しているわけではないということでございまして、北朝鮮がどのような経緯で、そしてまた、現状、北朝鮮が国内でどのような担保法を整備しているかということについては不明ということでございます。 以上です。
○東徹君 二〇一六年六月といえば、ちょうど一年前ですからね、一年前の北朝鮮情勢というのは皆さんが御存じのとおりだというふうに思いまして、そんな時期にこれTOC条約締結しているということですから、一体どういうことなのかなと、本当これ疑問に思うわけですけれども、北朝鮮がTOC条約の実施に必要な法整備が行われて、適正にその執行ができるというのは、なかなかこれは考えづらいというものがあると思います。このような締約国に対してこの条約ではどのような対応ができるのか、お伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(武井俊輔君) このTOC条約の第三十二条でありますが、これには、締約国会議を設置し、締約国におきまして、締約国からの本条約の実施状況を定期的に検討し、またその実施のための改善を勧告する等を求めているところであります。 ところが、この本条約の実施状況のレビューをどのように行うかということにつきましては、二〇一六年十月に行われましたこの条約の八回目の締約国会議におきまして、国連腐敗防止条約、これUNCACと申しますが、これも同様の条約実施レビューメカニズムを持っているわけでございますが、これを念頭に各国から様々な意見が提出され、引き続き議論を深めていくということになっているところであります。 なお、この国連腐敗防止条約、UNCACでは、この条約の実施状況について国別の報告書を作成し、良い事例、グッドプラクティスと言いますが、また、こういったようなものや課題を特定すること、そして課題を解決するための技術援助を検討するということを定めました条約実施レビューメカニズムが設けられているところであります。 このような点を踏まえまして、本条約におきましても、将来、締約国会議において条約実施レビューメカニズムが実施される、設置される可能性があると考えております。我が国も、当然この本条約を設置すれば、締結すればこのレビューの対象になるところでございます。 その上でですが、同時に、この本条約を設置することにより、我が国としても締約国会議に参加してこのような仕組みの構築に関与していく、そういったようなことをそれぞれの締約国に対して求めていくということも可能になってくるわけであります。そういった意味で、その構築される仕組みの下で、今北朝鮮のお話ございましたが、この実施状況に懸念のある国に対して適宜適切な対応を取る、また求めていくことができるようになると考えております。
○東徹君 我が国がこのTOC条約、これを締結した場合に、じゃ北朝鮮との間でも犯罪人の引渡しとかそれから捜査共助、こういったものは行っていくことになるんでしょうかね。
○大臣政務官(武井俊輔君) 我が国が、先ほどの質問の引き続きでございますが、この本条約を締結をいたした場合、当然、北朝鮮も締約しているわけでございますが、その流れから踏まえまして、我が国から北朝鮮に対して犯罪人引渡請求、そしてまた捜査共助の要請を行う際にもこの本条約もまた準用していくことが可能になるというふうに考えております。 今後の対応につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えたいところでございますが、我が国といたしましては、当然この拉致の問題、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、また拉致に関する真相究明、そして拉致実行犯の引渡しのために全力を尽くしていく、これはもう今までと全く変わらないわけですが、それに対して引き続き対応を、様々な措置を講じていくところであります。
○東徹君 ですから、これ、北朝鮮については、ちょっとこの条約というものがなじまないのではないのかなというふうにこれ考えるわけですから、外務省としてもしっかりとここは対応をしていただきたいというふうに思います。 次に、衆議院における修正について伺いたいと思いますけれども、我が党が重大な組織犯罪の抑止を図りつつ人権保障等の確保に資するものとして衆議院の方で与党と修正協議をさせていただいて合意したというわけでありますけれども、その合意に基づき法案修正が行われて、いわゆる取調べの可視化、それからGPSに関する制度の在り方、それから親告罪の取扱いの明記という三つのポイントが法案にこれ追加されることになったわけですけれども、まず、この三党の合意による修正に対して金田大臣の方からどのように考えておられるのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 東委員にお答えします。 日本維新の会が国民の安全、安心を守るためにテロ等準備罪処罰法案の必要性や内容につきまして極めて実のある真剣な検討をされたことにまずもって敬意を表したいと、このように考えております。 その上で、三党共同提出による衆議院での本法案の修正につきましては、これまでの国会審議において指摘された御懸念等に対応するものであると承知をいたしておりますことから、貴重な御提案であると、このように受け止めている次第であります。
○東徹君 我々が、本当はもうちょっと修正をしたかった点もあるわけですけれども、その中で、午前中もちょっと質問させていただきましたが、一番こだわり続けたのは取調べの可視化ということであります。 衆議院の修正で改正案の六条の二第四項に捜査における適正確保に向けた配慮義務というものがこれ追加されることになったわけですけれども、まずこの趣旨について確認したいと思うわけですけれども、具体的にこの適正配慮義務の中に取調べの可視化が含まれるのかどうか、また、ほかにはどのような具体的なことが考えられるのか、確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、この追加された第六条の二第四項の趣旨につきましては、衆議院法務委員会において修正案提案者が答弁されたとおりでございまして、この点についての趣旨は、テロ等準備罪の捜査については、国会審議において、証拠収集方法としての取調べが重要な意義を有することとなり、自白偏重の捜査が行われる懸念があるとの指摘や違法な捜査によって人権侵害が生ずることを懸念する声があるとの指摘を踏まえ、テロ等準備罪に係る捜査については、その適正の確保に十分に配慮することを求めるため、テロ等準備罪の捜査全般について特に適正の確保を図るべきである旨の配慮規定を盛り込むよう修正された、このように説明されているところでございます。 そのように理解しているわけでございますので、そこで、この適正確保に向けた配慮義務の中に取調べの可視化が含まれているのか、あるいはその他にどのようなものが含まれるかということにつきましては、まず取調べの可視化という点につきましては、このような規定が置かれた場合において、捜査機関においては、テロ等準備罪における国会での審議、議論の経過も踏まえまして、被疑者取調べの録音、録画を適切に実施すること、これをまず慎重に、一層慎重にこの対応をするということになると思われます。 そのほかに、テロ等準備罪の捜査における適正確保のための配慮としましては、例えば参考人の取調べに当たりましてもその供述の信用性確保に配意すること、あるいはテロ等準備罪の成立要件の認定について慎重を期すること、被疑者、被害者、その他事件の関係者の名誉、プライバシーを害さないように保秘等に留意すること、こういったことがこの捜査における、捜査全般における適正確保の中に含まれているものと理解しております。
○東徹君 取調べの可視化も録音、録画、こういったことが入っているということでありますが、これまでの答弁では、聞いておりますと、全体では二・八%しかなくて、そしてまた裁判員裁判でも約八割程度でありますから、録音、録画のその機材がないというふうなことでありましたので、そこはしっかりと今後も整備をしていっていただきたいというふうに思います。 ちょっと余り時間がありませんが、今日も何人かの委員から同じ質問が繰り返しされておりましたけれども、組織的犯罪集団についてなんですが、このポイントというのは非常に大事だというふうに私も考えておりまして、まず組織的犯罪集団、今日何度も答弁をいただいておりますが、どのような集団なのか、定義等について再度確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、組織的犯罪集団は、現行の組織的犯罪処罰法の中に団体の定義がございますが、その団体のうちで、その結合関係の基礎としての共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにある、これをいうものと定義されております。
○東徹君 そうしますと、ある団体が組織的犯罪集団かどうか、この認定するに当たっては、その団体が過去に組織的な犯罪を行っていたかどうかというところが一つのポイントになるというふうに考えます。 組織的犯罪集団は、組織的犯罪処罰法三条に掲げられており、典型的で重大な組織犯罪と言えます。この犯罪を過去に複数回行っている法人は、共同の目的が別表三に掲げる罪にあるものと言えるのではないかと考えますが、この点に関する見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) ある団体について結合関係の基礎としての共同の目的が何であるか、これについては個別具体的な事案における事実認定の問題でございます。特定の活動を行っていたか否かだけで判断されるものではなく、継続的な結合体全体としての活動の実態などから見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて認定、社会通念に従って認定されるべきものでございます。 その上で申し上げれば、その判断におきましては、委員御指摘のとおり、当該団体が過去に団体の活動として組織により犯罪を行っていたか否か、これについては重要な考慮要素になることは御指摘のとおりでございます。ただ、当該団体が過去に団体の活動として組織により複数回犯罪を行っていたことが、直ちにそれで当該団体の、かつ結合関係の基礎としての共同の目的となるとまでは言えないということも考えられます。
○東徹君 そうしますと、この過去の犯罪の有無を判断するとき、その犯罪は刑事裁判を経て判決で確定したものにこれ限られるのか、それとも、裁判には至っていないけれども例えば被害者が告発したような場合も含まれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団かどうかを判断する際に、過去に犯罪を行っていたかにつきましては、刑事裁判を経て確定した犯罪でなければそれを考慮できないというわけではございません。例えば、何らかの理由で立件されなかった事実あるいは起訴猶予とされた事実、こういった事実を考慮することもあり得ると考えます。 ただし、この点につきましては、例えば、刑事裁判において過去に当該団体が団体の活動として組織により犯罪を行った事実があるということが認定されるためには、当該テロ等準備罪の裁判の中で刑事訴訟法が定める適式の証拠調べを経た証拠によってその事実、存在が認定される必要があると考えます。 したがいまして、過去の犯罪の有無というものが過去の刑事裁判を経て確定した犯罪でなければ考慮できないというわけではございませんけれども、そういった過去にその団体が組織により犯罪を行っていたという事実については、刑事訴訟が定める裁判の中での証拠によって存在が認定される必要があるということでございます。
○東徹君 もう一つ先に行きたいんですが、ちょっと時間が来ましたので、この続きはまた次回に質問させていただきたいと思います。 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 午前中の質疑で安倍総理は、基地建設への抗議行動が共謀罪の対象、適用対象にならないと明確に答弁をされました。金田大臣に伺いますが、基地建設への抗議行動が共謀罪の適用対象とならないという安倍総理と同じ考えであるということでよろしいでしょうか、改めて確認させていただきます。
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員の御指摘につきましては、私も総理と同じ意見であります、考えであります。一般論として、お尋ねのような活動にテロ等準備罪が適用されることはないと、このように考える次第であります。 テロ等準備罪というのは、その要件についてお話を申し上げますと、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画したことに加えて実行準備行為が行われた場合に成立するものであると。組織的犯罪集団とは、これまでも議論が数多く行われておりますが、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪を実行することにあるものをいう。そして、組織的犯罪処罰法上の団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体でございます。その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織、すなわち指揮命令に基づいてあらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体により反復して行われるものをいうわけであります。 その上で、犯罪の成否を、個別具体的な事実関係を離れ、一概に結論を申し上げることは困難ではありますが、あくまで一般論として申し上げれば、御指摘のような集団は団体の要件をそもそも満たさないと思われる上、基地建設反対又は基地建設に反対することによる地域の負担軽減や自然環境の保全を目的としておると考えられまして、一定の重大な犯罪等の実行を目的として構成員が結合しているものとは考え難いわけであります。 したがいまして、一般論として、お尋ねのような活動にテロ等準備罪が適用されることはないと、総理と同じくこのように考える次第であります。
○糸数慶子君 分かりました。 では次に、個別具体的にお伺いしたいと思います。 まず、この法案の中の計画についてでありますが、今回の法案では、かつての法案で共謀とされていた行為を計画と言い換えられています。これは、四月十九日、衆議院法務委員会で林刑事局長は、計画という言葉を用いることによりまして、テロ等準備罪における合意というものは、例えば現行法上の共同正犯の成立要件である共謀とは異なって、犯行に関する指揮命令や任務の分担を含めて具体的かつ現実的に合意することが必要であるというような意味内容が明らかになるものと考えておりますというふうに答弁をしていらっしゃいます。 そこで、政府参考人に伺いますが、共謀と計画は意味内容が違うという理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) まず、今、共謀と計画と言われました。計画の方は、このテロ等準備罪における計画でございます。一方で、共謀というものについては、かつての組織的犯罪の共謀罪における共謀という共謀もございますが、一方で、現行の刑法の体系で認められております共謀共同正犯という共謀という言葉等もございます。 それらの違いで申し上げれば、組織的犯罪の共謀罪もテロ等準備罪の計画における計画も、これは組織性を持った合意、共謀、こういったものを内容としているものでございまして、共謀共同正犯という意味での共謀、これについては組織性を全く前提としておりませんので、その意味では意味内容は異なると思います。 その上で、では、かつての組織的犯罪の共謀罪における共謀と、このテロ等準備罪における計画の意味内容はどうなのかと問われますれば、まず、テロ等準備罪における計画というのは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意することをいいます。したがいまして、基本的に、この両者は、この意味内容としては組織性を持つという点で同じでございます。 ただ、かつての組織的犯罪の共謀罪の共謀というものについては、今回、テロ等準備罪においては組織的犯罪集団という要件を入れておりますので、かつての組織的犯罪共謀罪の共謀とは、組織的犯罪集団が関与するものかどうか、この点については、かつての共謀罪、組織的犯罪の共謀罪と異なっているということが言えると思います。
○糸数慶子君 質問に端的にお答えいただきたいと思います。 計画という用語は日常用語として使用されている用語であり、国語辞典の大辞林では、「事を行うにあたり、その方法や手順などをあらかじめ考えること。」とあるわけです。犯罪とは関係がない行為も含む広い概念のように思われます。共謀よりも広い概念で、犯行に関する意味というような限定的な意味に解することはできないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) このテロ等準備罪の計画ということもこの条文の中で使われておりますので、条文に則してこの意味内容を確定する必要がございます。 それによりますと、テロ等準備罪の計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意すること、これが計画の意味となります。これは、条文上、次のようになっていることからでございます。条文では、「次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者」、このように規定されておりますので、この計画が二人以上の者によって組織的犯罪集団が関与する一定な重大な犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意すると、こういった意味内容になるということは明らかであると考えておるところでございます。
○糸数慶子君 林刑事局長は、組織的犯罪集団による犯罪の実行が合意として、指揮命令や任務の分担を含めて具体的かつ現実的に合意することが必要であることが条文上も明確になるように、それにふさわしい用語として今回は計画という言葉を用いるということにいたしましたと説明されていますが、先ほど述べましたように、計画という日本語の意味の中にはそのような意味はないのではないでしょうか。どうして計画という用語に指揮命令や任務の分担を含めて具体的かつ現実的に合意するとその意味を読み込むことができると考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における計画、すなわちこの犯罪実行に向けての意思の合致、これにつきましては、条文の規定からその意思の合致の対象は次のようになっております。すなわち、組織的犯罪集団の団体の活動として、一定の重大な犯罪を実行するための組織により行われるものの遂行についてこれを二人以上で合意するということが、このテロ等準備罪の中で、その計画として、その意思の合致の内容として掲げられております。 したがいまして、この中でいう組織により行われるものの遂行について二人以上で合意ということとなりますと、この組織自体は次のように定義されております。指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体、これをいうこととなっておりますので、こうした組織によって行われるものの遂行について二人以上で合意をするということになりますと、この計画の内容には指揮命令や任務の分担というものが、内容が含まれるということになると考えております。
○糸数慶子君 刑法を含む刑事法で、処罰される対象の行為として計画というその用語を使った法律はあるでしょうか。ある場合には、その法律名、罪名を明らかにしていただきたい。
○政府参考人(林眞琴君) 刑事罰則におきまして、処罰の対象となる行為として計画という語を、言葉を用いた例は承知しておりません。
○糸数慶子君 共謀というその用語については、二〇〇五年における政府案の審議において、共謀共同正犯における共謀と同じ意味であることが当時の大林刑事局長から明らかにされました。共謀共同正犯における判例の積み重ねがあることから、その意味内容は明確でした。ところが、これまで刑事法で使われたことがない計画という用語を使用するとしたら、どういう行為が計画になるのかについては、過去の判例がないことから不明確になるのではないでしょうか。御見解を伺います。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪を実行することについて具体的かつ現実的な合意をするということをいいます。すなわち、計画は、まず特定の犯罪を実行することについての具体的かつ現実的な合意である点、これについては既存のにも共謀罪がございます、あるいは陰謀罪がございます。その場合の共謀や陰謀と同じでございます。また、組織的犯罪集団の関与の意義につきましても、明文で、組織的犯罪集団の団体の活動として、一定の重大な犯罪に当たる行為を実行するための組織により行われるものなどと定めておりますので、その点におきましても明確性に欠けるところはないと考えます。 したがいまして、御指摘のように、計画の方が共謀よりもその意味内容が不明確になるということはないと考えております。
○糸数慶子君 今回のこの法案の計画は、かつての政府案の共謀とは全く異なる概念であるということでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪による計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意することをいいます。 したがいまして、基本的に両者同じでございますが、かつての組織的犯罪の共謀罪の共謀とは、今回は組織的犯罪集団が関与するものであるか否かという点においては異なるものでございます。
○糸数慶子君 かつての政府案で使われていた共謀については、共謀共同正犯における共謀と同じ意味であるとして、共謀共同正犯についての判例が認めていた黙示の共謀、すなわち、言葉は交わさなくても、目くばせでも共謀が成立すると当時の南野法務大臣や大林局長は認めていました。 今回の計画について、言葉を交わさなくてもこの黙示の計画が成立することはあるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の計画といいますのは、その対象犯罪に当たる行為で、組織的犯罪集団の団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行、こういったものについて具体的かつ現実的な合意をすることを意味します。その性質上、綿密な打合せ等を通じた十分な意思疎通が必要となるものでございまして、このような計画が黙示的に成立することは考え難いと考えております。
○糸数慶子君 この共謀共同正犯については、例えばAとBが共謀し、その後にBとCが共謀し、その後にCとDが共謀すれば、AからDの全ての者が共謀したことになるという順次共謀が認められていますが、今回の法案の計画についても順次計画ということが認められるのでしょうか、伺います。
○政府参考人(林眞琴君) このテロ等準備罪の計画におきましても、これは組織的犯罪集団の関与する重大な犯罪の遂行について具体的かつ現実的な合意をすることが必要でございますけれども、このような計画について、計画者が一堂に会して行わなくても、計画者が順次話し合い、合意するということによってもこの計画は成立し得ると考えます。 したがいまして、順次の合意によりテロ等準備罪の計画が成立することはあり得りますが、その内容は当然、指揮命令系統や任務の分担を含む具体的かつ現実的なものであることは必要であることは言うまでもございません。
○糸数慶子君 黙示の計画や順次計画を認めるのであれば、あえて計画という用語を使わないで共謀という用語を使った方がその意味内容は明確になるのではないでしょうか。あえて計画という用語を使用することで、処罰の対象となる行為を共謀よりも曖昧にしてしまい、捜査機関などの恣意的な解釈の余地を残すことになるのではないでしょうか、伺います。
○政府参考人(林眞琴君) 今回のテロ等準備罪における計画が、共謀という概念、語を使った場合に比べて不明確になるという御指摘については、そうではないということを先ほど申し上げました。 その上で、今回、共謀という概念、言葉を使っておらず、計画といった言葉を使っておりますのは、共謀という概念の中には、先ほど申し上げましたように、共謀共同正犯、刑法における共謀共同正犯の共謀というものがございます。これについては組織性の要件を持たない共謀でございます。また、現行で存在している共謀罪における共謀というものについても、必ずしも組織的な要件を持たない共謀でございます。 今回、組織的犯罪集団というのを法文の中で明示して、その中での合意を処罰すると。合意を処罰するということでの用語を使うに当たりましては、この組織的な要件を持たない共謀ということではなく、今回、計画という言葉を使ったということでございます。
○糸数慶子君 そうですね、このことについてはまた後ほど細かく伺いたいと思います。 計画罪の罪数関係について伺います。 政府は、今回の法案について、国連の組織犯罪防止条約を批准する、そのために必要であるとし、同条約五条は、重大な犯罪についていわゆる共謀罪か参加罪かのそのいずれかを立法することを求めています。今回の法案は英米法にあるいわゆる共謀罪を採用したものという理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 国際組織犯罪防止条約の第五条の1(a)は、重大な犯罪の合意又は組織的犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けております。そして、今回新設するテロ等準備罪は、国際組織犯罪防止条約第五条1の(a)を担保するために、この中の重大な犯罪の合意というものを犯罪化するものでございます。
○糸数慶子君 共謀罪は英米法で認められているものですが、英米法では共謀罪というのは、その犯罪が実際に実行された場合に成立する犯罪とは別個に成立する、すなわち独立罪として処罰するとされています。このことは、いわゆるロス疑惑事件の被疑者とされた方が、我が国において殺人罪で無罪が確定した後に、サイパンにいた際にアメリカのロサンゼルス警察による殺人の共謀罪容疑で逮捕されたことからも分かります。その際にも二重処罰になるかどうかが議論になりました。 さて、今回の法案の計画罪については、独立罪としてその計画を実行した場合に成立する犯罪とは別個に二罪として処罰されるのか、それとも実行して成立する本犯に吸収されるのか、どちらになるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は犯罪の実行の着手前の行為を処罰するものでありまして、固有の保護法益はなく、専ら計画をした犯罪により保護される法益の保護に資するものでございます。そのため、計画をした犯罪が実行された場合、この場合にはテロ等準備罪を処罰する必要性は認められませんので、結果的に実行された犯罪が処罰されるときはこれに吸収されると考えております。
○糸数慶子君 我が国には刑法七十八条の内乱陰謀罪など既に二十一の陰謀罪、共謀罪があるわけですが、これについて本犯に吸収されるというような解釈がされてきましたでしょうか、その点について判示した判例はあるのでしょうか、伺います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、現行法の共謀罪、陰謀罪についての罪数関係については、その対象となった犯罪が既遂になった場合にはその既遂罪の方に吸収されると、このように解されていると理解しております。 この点を直接判示した裁判例は承知しておりませんが、一方で予備罪について次のような判例がございます。予備罪について、殺人の予備をした後に殺人の実行に着手した場合には殺人予備は殺人罪に吸収されると、こういった裁判例が存在すると認識しております。
○糸数慶子君 かつての政府案に対する自民党、公明党の修正試案には、共謀した者がその共謀に係る罪を犯したときは、当該罪を定めた規定により処罰され、共謀罪の規定により処罰されないことに留意するという規定がありましたが、法律上、このような趣旨を明示する必要があるとはお考えになりませんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 先ほど申し上げましたように、テロ等準備罪は犯罪の実行の着手前の行為を処罰するものでございまして、固有の保護法益はございません。専ら計画をした犯罪により保護される法益の保護に資するものでございますので、計画をした犯罪が実行された場合には、明文の規定をまつまでもなく、解釈上当然に、実行された犯罪が処罰されるときはこれに吸収されると解されております。したがいまして、お尋ねのような規定を置く必要はないと考えております。
○糸数慶子君 今回、この計画罪の対象となる二百七十七のその罪の中には、既遂犯、未遂犯、予備罪がそれぞれ処罰されている犯罪もありますが、それ以外に、既遂犯と未遂犯は処罰されるけれども予備罪は処罰されていない犯罪類型や、既遂犯は処罰されているけれども未遂犯や予備罪も処罰されていない犯罪類型が多数あります。 例えば、二百七十七のその罪に入っている刑法百六十九条の偽証罪では、既遂犯は処罰されますが、未遂犯も予備罪も処罰されません。今回の法案によると偽証罪の計画罪も処罰されることになりますが、吸収されるとしたら、偽証罪の既遂犯に吸収されることになるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、偽証が計画された場合において計画された偽証が実行された場合、この場合は、偽証に係るテロ等準備罪は偽証罪に吸収されることとなります。
○糸数慶子君 その場合、偽証について計画をしてその準備行為をした場合で、それを更に具体的な準備行為をしたり実行に着手した場合でも結局既遂に至らない場合には、予備罪も未遂犯も処罰されず、計画罪だけが成立するということになるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、先ほど申し上げましたように、計画された偽証が実行されたときには、偽証に係るテロ等準備罪は偽証罪に吸収されることとなるわけでございますけれども、計画された偽証が実行され偽証罪が成立する前の段階においては、偽証に係るテロ等準備罪が成立することとなります。
○糸数慶子君 偽証罪の既遂犯が成立する場合にだけ偽証の計画罪が吸収されて、偽証罪の一罪だけが成立するということになるのでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 計画に係る偽証が既遂に達した場合は、偽証罪の既遂罪、偽証既遂罪の一罪だけが、一罪が成立することとなります。
○糸数慶子君 現行法上、既遂犯しか処罰せず、未遂も予備も処罰していないというのは、未遂よりも前の行為を処罰する必要はないという観点から処罰規定が設けられていなかったと考えられます。そのような犯罪についても今回の法案では計画罪が新設されることになりますが、それは、従来それぞれの処罰規定が示していた未遂より前の行為を処罰する必要はないという考えに反するのではないでしょうか、伺います。
○政府参考人(林眞琴君) 今回、テロ等準備罪を処罰する考え方でございますが、組織的犯罪集団が関与して一定の重大な犯罪の計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合においては、その計画をした犯罪が実行される可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性が高いことから、未遂罪や予備罪が処罰されていない犯罪類型にありましてもテロ等準備罪として処罰するものが適当であると考えていることによるものでございます。 このように、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する重大犯罪の計画行為の危険性に着目したものでございます。その対象犯罪については、組織的犯罪集団が関与しない個人の行為も対象となる単なる予備罪や未遂罪が設けられている罪であるかどうかといった問題とは区別して考えるべきでございまして、予備罪や未遂罪が設けられていない罪を対象犯罪とすることが不整合であるということの御指摘は当たらないと考えております。
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりますが、通告いたしました質問は次にさせていただきたいと思います。 以上です。ありがとうございました。
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。午前中に続きまして、質問が重なっている部分を御理解いただき、答弁お願いしたいと思います。 さて、テロ等準備罪法案について多くの国民が心配しているのは、捜査機関による人権侵害が増えるのではないかという点であります。そこで、その点について憲法の人権保障規定との関係などに触れつつ、質問をさせていただきたいと思います。 人権保障との関係について、日本国憲法は、十八条において人権保障の基本ともいうべき奴隷的拘束からの自由を定め、三十一条以下において諸外国の憲法に例を見ないほど詳細な規定を置いている、これは、明治憲法下での捜査官憲による人身の自由の過酷な制限を徹底的に排除するためであると言われていると。これは、芦部信喜氏の「憲法」の著書の中で引用されていることで、これ午前中にも引用させていただきました。 金田大臣は、明治憲法下での捜査官憲による人身の自由の過酷な制限とは具体的にどのようなものがあり、なぜそのような人権侵害が起こったかとお考えか、お答え願います。
○大臣政務官(井野俊郎君) 先ほどの芦部先生の「憲法」の本ですけれども、私も司法試験時代、大変よく勉強させていただいた本でございました。その本、私も読んだことありますけれども、明治憲法下での捜査官憲の人身の自由の過酷な制限についてでございますけれども、芦部先生がどのような事例を念頭に今記載されたのかは必ずしも明らかではないものですから、ちょっと我々としてもこれに関してお答えすることは困難でございます。 他方で、戦前の明治憲法下、昭和十六年に改正された治安維持法において、同法違反の被疑者の召喚、勾引及び勾留を裁判所の関与なく検事の、検察官の権限でなし得ると令状なくやった、予防拘禁だとか、そういった規定が設けられていたという点、そういう事実があったということは承知をしているところでございます。
○山口和之君 残念ながら、日本国憲法下でも、志布志事件や大阪地検特捜部証拠改ざん事件など、捜査機関による人権侵害が起こっております。金田大臣は、なぜそのような人権侵害が起こっていると御認識か、お答え願います。
○副大臣(盛山正仁君) 御指摘のいわゆる志布志事件は、平成十五年の鹿児島県議会議員選挙における現金買収等の事件でありまして、裁判所によって無罪判決が言い渡されたものかと思います。最高検の検証結果報告書によれば、警察における取調べや自白の内容について批判的な観点から検討したとは必ずしも言い難く、供述の信用性の吟味が不十分であったなどの問題点が指摘されております。 また、御指摘のいわゆる大阪地検特捜部における証拠改ざん事件、これは、厚労省の元局長が虚偽有印公文書作成罪等で起訴され、裁判所により無罪判決が言い渡された事件に関するものであり、捜査主任検察官が証拠物であるフロッピーディスクのデータを改ざんしたため証拠隠滅罪で起訴され、有罪判決が確定したものかと思います。これにつきましても、最高検の検証結果報告書によれば、捜査が尽くされないまま逮捕、起訴が行われたなどの問題点が指摘されております。 いずれにせよ、検察当局におきましては、捜査・公判活動に問題点があった場合においては、検察官の間で問題意識を共有し、反省すべき点については反省し、今後の捜査、公判の教訓としているものと我々考えております。
○山口和之君 日本及び世界の歴史から学ばなければならないのは、捜査機関というものが人権侵害の危険性を内在したものであるということだと思います。違法捜査を抑止する手だてを講じることが不可欠であるということだと思います。立憲主義の考えに基づけば、何よりもまず捜査機関による人権侵害をなくすことを万全のものにしなければならないと思います。 本法案成立後は捜査機関による人権侵害が増えるのではないかと懸念の声も聞かれますが、現在、違法捜査を抑止する制度としてどのようなものがあるか、また、今後違法捜査の抑止を強化するためにどのような制度が必要であると考えているのか、これは午前中に総理にも伺いましたけれども、金田大臣の見解と捜査を適正なものにしていくことへの意気込みを伺いたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員にお答えをいたします。 捜査機関による捜査につきましては、テロ等準備罪につきましても現在行われております他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従いまして、必要かつ適正な捜査を行うこととなります。テロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものでありますとともに、我が国においては裁判所による審査が機能しておりますことから、捜査機関による恣意的な運用ができない仕組みになっております。 適正確保に向けた決意として、自民党、公明党、日本維新の会が共同で提出された修正案は、これまでの国会審議において指摘された御懸念等を踏まえまして、テロ等準備罪の捜査を行うに当たって適正の確保に配慮すべき旨の規定を加えるなど、必要な修正がなされたものと承知をいたしておりまして、修正案を含む本法案が成立しました折には、政府としてその趣旨に沿った運用に努めてまいりたい、このように考えておる次第であります。
○山口和之君 捜査機関の人たちは、職務熱心で犯人の検挙を全力を挙げてくれていると思いますが、しかし、捜査は本来的に人権を制約するものであるため、捜査機関の権限が大きくなればなるほど人権侵害の危険性は増大します。濫用のおそれも出てきます。やはり、捜査機関の権限を増大させる今回のような法案の審議においては、違法捜査を抑止するための方法についても議論することが不可欠であると思います。この点は今後の委員会でも取り上げていきたいと思っております。 次に、それと関連して、捜査の端緒における違法性の確保について何点か質問したいと思います。 テロ等準備罪の捜査の端緒として考えられるものにはどのようなものがあるのか、準備行為が行われただけの段階では被害者がおらず、そもそも告訴権者がいないと思われるが、告訴が端緒になるということはあるのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の捜査におきましても、他の多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法で捜査の端緒を得て、必要かつ適正な捜査を尽くすことになると考えております。 例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で計画についての供述あるいは犯行手順が記載されたメモのような証拠、こういったものが得られることが考えられます。また、計画に参加した者の自首や計画の状況を聞いた者からの情報提供等によって計画の存在、実行準備行為の存在が明らかになることもあると考えております。 また、告訴との関係で申し上げれば、組織的犯罪集団が、今回の計画において被害者とされている者、計画の中で被害者とされている者も告訴権を有すると考えられるところでございますけれども、例えばその計画の状況を聞いた者からこの告訴人に対しての情報提供があり、その告訴人が告訴、テロ等準備罪の計画などを把握して捜査機関に告訴をした場合、こういった場合に捜査の端緒となることがあり得ると考えております。
○山口和之君 テロ等準備罪の捜査では、職務質問や任意捜査による取調べが重要になると思われます。最高裁決定によれば、職務質問に端を発して被疑者を六時間半以上もの長時間にわたって留め置くことは任意捜査として許容される範囲を逸脱し違法とのことであります。 このことは、違法な捜査がなされた場合、警察官の行為が逮捕罪等の犯罪を構成することはあり得るのか、また、職務質問を受けた者は立ち去りたい場合どのようにすればよいのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、御指摘の最高裁の決定は、これは覚醒剤の使用の嫌疑のある被疑者に対して、自動車のエンジンキーを取り上げるなどして運転を阻止した上で任意同行を求めて約六時間半以上留め置いたと、こういう事案におきまして、この具体的な事実関係を前提として、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法であるという判断をした一方で、その違法の程度は令状主義の精神を没却するような重大なものとは言えず、その後の手続において得られた被疑者の尿の鑑定書の証拠能力は否定されないと、このように判断したものであると承知しているところでございます。 こうした御指摘の事案におきまして、この事案を離れて、一般にこういった警察官による違法な逮捕行為が逮捕罪等の犯罪を構成することがあるかについては、これはその犯罪の成否、その当該事件における捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されることでございますので、お答えは差し控えざるを得ないと考えます。 一方で、その職務質問を受けた者が立ち去るための方策についてでございますけれども、警察官職務執行法第二条三項におきましては、職務質問を受ける対象者は、刑事訴訟法に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意思に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはないと定められております。 立ち去ることを申し出ている対象者について、その意思に反して強制手段をもってその場に警察官がとどめ置くということはできないものと承知しております。
○山口和之君 検察は、警察から送られてきた事件について捜査に違法があることが判明した場合、どのように対処しているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの捜査手続に違法が判明した場合について、様々なケースが想定されるところでございます。 これにつきまして、例えば被疑者の身柄の扱いということについて申し上げれば、検察官は被疑者の勾留請求に当たりまして、これに先行する逮捕に違法な点がないかどうか、こういったものを勾留の要否とともに十分に検討しております。その場合、逮捕手続、先行する逮捕手続に違法があることを理由として、その当該被疑者を釈放するということがあるものと承知しております。 また、検察官は、捜査が適正になされたことについて公判において立証すべき立場にございますので、これに的確に対処し得るように十分な証拠収集を行った上で、被疑者の起訴、不起訴を決しているところでございます。したがいまして、重要な証拠の収集過程の捜査に違法があったような場合、こういった場合に、その点を理由に被疑者を不起訴処分にするということもあるものと承知しております。
○山口和之君 職務質問に端を発して被疑者を留め置くことができる時間について、適法となる限界の時間はどれぐらいか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 委員の御指摘の点につきましては、先ほどの委員から御指摘のあった最高裁判所の決定の場合においては、これは警察官が被告人による運転を阻止して約六時間半以上被告人を本件現場にとどめ置いた、こういった措置が任意捜査としての許容される範囲を逸脱したと、違法であるという判断がなされたわけでございます。 ただ、この任意捜査として許容される範囲というものについては、やはり当該具体的な事件に即して判断されるべきものでございまして、任意捜査として許容されるか否かについて、これがとどめ置きの時間の長さのみによって決せられるだけではございません。そのような措置を行うことについての緊急性あるいは必要性なども考慮した上で、具体的な状況の下で相当と認められるかどうかによって判断されるものと考えております。 そういった文脈の中で、先ほどの最高裁判所の決定も、その枠組みの中での判断がなされたものと考えているわけでございまして、したがいまして、職務質問に端を発して被疑者を適法にとどめ置くことができる時間の限界につきましては、一概にお答えすることは困難であると考えております。
○山口和之君 捜査の端緒として所持品検査のための検問がありますが、しかし裁判例によれば、相手方の承諾のない所持品検査等の場合には、その権限を定めた法律の規定が必要とされております。 現行法上、相手方の承諾のない所持品検査を行うことを目的とした検問は可能か、可能であるとすれば根拠条文は何かを伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の所持品検査につきましては、最高裁判所の判例におきまして、警察官職務執行法第二条一項による職務質問に付随してこれを行うことができる場合があるとされているものと承知しております。そして、その最高裁判所の判例におきましては、所持品検査は、任意手段である職務質問の付随行為として許容されるものであるから、所持人の承諾を得てその限度に行うのが原則であると、こういうふうにしつつも、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当ではなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮して、具体的状況の下で相当と認められる限度で許容される場合があるなどと指摘されているものと承知しております。 その上で、お尋ねの点についてお答え申し上げますと、一般的に、対象者に外見上の具体的な異常が認められる場合には、職務質問の一環として歩行者や自動車等の停止を求めることは許容されており、その際に、先ほど指摘したような必要性、緊急性等が認められれば、侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮して、具体的な状況の下で、この相当の範囲では所持品検査が許容される場合があるものと考えております。
○山口和之君 捜査の端緒として任意同行を求めることがありますが、任意同行とは何か、また、任意同行が令状主義を潜脱した無令状逮捕となる基準はどうなっているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、任意同行という用語でございますが、これは法令上の用語そのものではございませんが、一般に、職務質問や取調べのために必要な場合において、相手方の同意を得て警察署その他の捜査官署等への同行を求めること、これをいうものと考えております。 まず、職務質問のための任意同行につきましては、警察官職務執行法に規定されているところでございます。同法二条二項におきまして、同条第一項に基づく職務質問を行う際、その場で質問することが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に付近の警察署、派出所、駐在所に同行を求めることができるとされております。これとは別に、捜査の一環として刑事訴訟法百九十八条に基づいて被疑者の出頭を求め捜査官署等への同行を求めることについても、これも任意同行と呼んでいるものと承知しております。 そして、お尋ねの中での任意同行と逮捕の区別、令状主義を潜脱した場合の無令状逮捕となるような基準についてでございますけれども、任意同行と逮捕との区別につきましては、同行を求めた目的、必要性、同行を求めた時点から同行先までの移動に要した時間、同行を求めた場所から同行先までの距離、同行の方法、態様、同行後の状況、取調べの時間、方法、被疑者の対応等を総合的に検討する必要があるものと承知しております。 いかなる場合にこの令状主義を潜脱した無令状逮捕に当たるかについては、これは個別具体的な事案ごとの証拠関係に基づいた判断となりますので、一概にお答えすることは困難であろうかと思います。
○山口和之君 テロ等準備罪を検挙しようとすれば、どうしても職務質問や任意同行などで証拠を確保しなければならなくなります。これらを任意で行うことは許されておりますが、それにも限界が、限度があると。 任意捜査の限界を超えれば令状なしでの強制処分となり、違法な捜査となるのであって、その見極めは慎重になされなければなりません。テロ対策を大義名分に任意捜査に名を借りた無令状での強制捜査がまかり通ることのないよう、任意捜査の限界についてはしっかりとした基準を設けるべきと考えます。 以上で質問は終わらせていただきます。
○委員長(秋野公造君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時六分散会