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193回国会参議院2017/05/11

農林水産委員会 第12号

発言数
13
登壇者
6
会派数
5
開催日
2017/05/11

会議録

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として宮沢由佳君が選任されました。     ─────────────

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) 農業競争力強化支援法案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

田名部匡代民進党・新緑風会

○田名部匡代君 民進党・新緑風会の田名部匡代でございます。  私は、民進党・新緑風会を代表し、農業競争力強化支援法案に反対の立場から討論いたします。  本法案の主な問題点を申し上げます。  その第一点目。農林水産大臣は、法案の意義について、農業者の努力では解決できない構造的問題を解決すると御説明されています。しかしながら、この法案第五条において、農業者の努力義務規定が設けられています。  農業者の努力では解決できない問題を解決するのであれば、なぜ農業者に努力義務を課すのでしょうか。農業者は何も考えず高い資材を購入して生産活動をされているとでもお考えなのでしょうか。これは農業者が経営努力を怠っているとでも言わんばかりの規定であり、全く現場の努力を知らない官邸農政の姿勢そのものを表すものにほかならず、削除すべきであります。  第二点目。農業者団体についても努力義務規定が設けられており、国が農協系統組織に改革を迫る根拠になることが強く懸念されます。  本法案の基になった農業競争力強化プログラムにおいては、全農に対し自己改革のための年次計画や数値目標を公表することを求め、政府はフォローアップを行うこととされています。山本農林水産大臣は、農協改革はあくまで本法案の枠外とおっしゃっておられますが、自主自立を旨とする協同組合である農協に過剰な介入の根拠を与えるものであり、容認できるものではありません。また、努力規定は強制や義務付けではないとも御説明されています。そうであるならば、なおさら法律に明記する必要性は全くないと言えます。  第三点目は、種子生産の在り方です。  種子は戦略物資であり、その開発、管理は国の責任で守らなければなりません。ところが、今国会において政府・与党は、種子供給体制を支えてきた主要農作物種子法を廃止する法律案を提出し、成立をさせました。  さらに、本法案では、都道府県等が有する種子生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することを規定しており、国内における安定的な種子供給体制の崩壊や優良品種の国外流出の可能性が懸念されます。特定の大企業によるアグリビジネスの農業支配に手を貸すようなことになれば、我が国の食料安全保障に甚大な悪影響を及ぼすおそれもあります。主要農作物の種子が今後どう守られるかという点についても明確ではなく、断じて認めるわけにはいきません。  第四点目。農林水産大臣は、本法案は資材価格を下げ、農業所得の向上を目指すものと答弁され、農林水産省も価格は四割程度下がると御説明されています。しかし、その根拠については何も説明されておらず、明確になっておりません。  農業資材事業の再編によって寡占化が進めば、価格はかえって上昇する懸念もあります。また、新規参入企業に支援を与え、事業参入を促進すれば、公平さを欠くことになり、市場原理をゆがめる懸念もあります。たとえ農業資材や農産物流通等事業再編や事業参入により資材価格が下げられたとしても、需要拡大や販売増加が見込めなければ、資材価格の引下げに合わせて農産物価格の引下げにつながる懸念もあります。本法案でどの程度農業者の所得向上につながるのか、なぜコストが四割程度下がるのか、試算も示されておらず、いまだにその根拠は明らかになっておりません。  本法案の問題点はまだまだ尽きませんけれども、そもそもこの法案は立法過程に大きな問題があります。農業競争力強化プログラムは、規制改革推進会議等において、現場の意見をほとんど聞くこともなく、少数の有識者により基本的内容が決定されています。この点に関しては、本委員会において与党議員からも大変厳しい指摘がありました。  現場や地方の暮らしを理解しない人々の提言から生まれた本法案は、我が国の農業に最も大切な多様な農業経営とそれに支えられる農村社会を崩壊させるものであり、このような法案には断固反対せざるを得ません。必要なのは、安定的な所得の補償、農業、農村の多面的機能の発揮、持続可能な農業経営支援に国がしっかりと責任を持つことであるということを申し添え、私の反対討論といたします。

紙智子日本共産党

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  日本共産党を代表して、農業競争力強化支援法案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、自主的な農業団体の活動に介入するものだからです。  本法案は、第四条で農業団体に努力義務を課し、第十六条で政府は五年ごとに施策の在り方を検討、チェックし、追加的な措置を講ずるとしています。また、第十三条は農業者に協同組合の共同販売よりも直接販売を促進し、誘導しようとしています。本法は、規制改革推進会議が全農をターゲットにして、意にそぐわなければ第二全農を求めた農協改革に関する意見に沿って提出されたものであり、農協改革と一体のものです。自主自立の協同組合への過剰な介入は容認できません。  第二の理由は、農業者の営農事業に介入するものだからです。  本法案第五条で農業者に努力義務を課しています。農業者の自由な営農事業に経営改善と称して努力義務を課す必要はありません。参考人からは、農業者の努力で解決できない問題があると言いながら法案に農業者の努力を書くのはおかしいという指摘がありました。  第三の理由は、農産物輸入の更なる自由化や規制改革推進会議の意見を前提に、政府の介入によって農業生産関連事業者を再編、リストラするものだからです。  政府が策定する事業再編指針は、規制や貿易ルールに合わせて変更することが明らかになりました。規制改革推進会議の意見やEPA、FTA等の貿易ルールに合わせて変更すれば、農業を基幹産業と位置付ける地方自治体の地域振興計画や地域経済、雇用に重大な影響を与えることになります。参考人から指摘されたTPPアフターケア法そのものです。我が党は、資材価格の引下げ、農産物の買いたたき防止は農業者の所得確保にとって不可欠であり、一貫して是正を求めてきました。しかし、質疑を通じて、業界再編が農業機械等の独占価格や農産物価格の買いたたきを防止する効果がないことが明らかになりました。  第四の理由は、国民の共有財産であり戦略物資である種子、種苗の知見が国外に流出する可能性があり、日本の食料主権が脅かされるからです。  質疑において政府は、種子、種苗の知見が外国に流出した場合に損害賠償を求めると答えましたが、事後対策であり流出防止策にはなりません。  最後に、農業競争力強化支援法は、食料自給率の向上や地域における農業振興の拡充とは相入れず、日本の農業の発展につながらないことを指摘し、反対討論とします。

森ゆうこ希望の会(自由・社民)

○森ゆうこ君 希望の会(自由・社民)の森ゆうこです。  私は、農業競争力強化支援法案に対して反対の立場から討論をいたします。  本法案は、農業競争力強化に名を借りた農協解体のための法案であり、断じて容認できません。  農業者団体の努力義務規定が農協改革を迫る根拠になり、農協解体につながるとの懸念が本委員会で度々示されました。農協の事業で市場原理を追求することになれば、長い間我が国の農業、農村を支えてきた相互扶助の精神が失われてしまいます。そもそも、農業関連業界の構造改革は、既にある産業競争力強化法の枠組みの中で事業再編等を進めればよいのであって、あえて新法を制定しなければならない理由、必要性は全く見当たりません。農協の自己改革は緒に就いたところ、過剰な民間への介入は厳に慎むべきであります。  次に、第八条、公的機関が有する種子の生産に関する知見の民間事業者への提供促進が問題です。  種子の生産に関する技術やデータは国民の共有財産であり、公的機関が責任を持って守っていかなければなりません。主要農作物種子法の廃止とも相まって、この規定は、国民の共有財産を民間事業者、特にグローバルな外資系企業に安易に譲り渡そうとするものです。  現在、世界の農薬、種子業界では企業買収が相次ぎ、寡占化が進んでいます。このままでは世界の大部分の農業者は、グローバル企業の開発した農薬と遺伝子組換え種子をセットで高い価格で買わされるようになり、自立した農業を営むことができなくなります。我が国の農業者がグローバル企業の奴隷になることは、何としても防がなくてはなりません。  さらには、構造改革による効果がはっきりと見えません。  農業資材の価格がどれだけ低下し、農業者の所得がどれだけ向上するのか、政府はこれらについて試算すら行っておらず、度重なる同僚委員の質問に明確な回答はありませんでした。田代洋一参考人は、元をたどれば総合的なTPP関連政策大綱からきている法案だと鋭く指摘されました。安倍総理の意気込みもむなしく、TPP協定の発効は絶望的ですが、米国を始め海外の農産物輸出国は今後も厳しい要求を突き付けてまいります。今こそ、農業者が安心して経営を行える環境を整えるために、最低限の価格保証をしながら戸別所得補償制度を復活させることこそが必要であります。  農業に市場原理主義を導入し、農協解体を加速させ、ひいては我が国の農業、農村を崩壊させる本法案には断固反対であると重ねて強く訴えます。  最後に、昨日出席した日本農業新聞九十周年の大会で、全国から集まった農業者代表の多くの方々から、農業は国の宝、アメリカの年次改革要望書を実現するために設置された規制改革推進会議を利用する安倍政権によって農業が潰されてしまう、国民の命を守る農業を国会の力でどうか守ってほしいという切なる訴えを直接いただきました。  その声に応えるために全力で闘っていくことをお誓い申し上げ、私の反対討論といたします。

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  農業競争力強化支援法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。

徳永エリ民進党・新緑風会

○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました農業競争力強化支援法案に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農業競争力強化支援法案に対する附帯決議(案)   我が国の農業が将来にわたって維持され、持続的に発展するためには、「地域の特性に応じて農業資源と農業の担い手が効率的に組み合わされた農業構造を確立し、農業者の所得向上につなげていくこと」及び「良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化の実現を図ること」の両方が重要である。   よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 農業の維持・発展は食料の安定供給と農村の持続的発展に欠かせないものであることから、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を実現するための具体的な施策の実施に当たっては、多様な担い手の農業所得の増大に向けた取組が支援されるよう配慮すること。  二 農業者や農業生産関連事業を行う農協に対する本法第五条の適用に当たっては、農業者や農協による自主的な取組を基本とすること。  三 農協が担う協同組合の本来的機能である共同購入や共同販売の機能の強化に資するよう配慮して、農業資材の調達・農産物の出荷等に必要な情報の入手の円滑化のための措置を講ずること。  四 国及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供に当たっては、種苗が国家戦略物資であることに鑑み、優れた品種が国外に流出することのないよう知的財産の保護を図るとともに、種苗が適正な価格で供給されるようにすること。  五 農業生産関連事業に係る事業再編及び事業参入の実施に当たっては、民間事業者の自発的な取組を尊重するとともに、特定の事業者の寡占により、良質で低廉な農業資材の確保が困難となるような弊害が生じることのないようにすること。  六 事業再編計画について、事業者がその雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、労働者の雇用の安定に最大限の考慮を払いつつ当該計画が実施されるよう、適切な運用を行うこと。また、政府においても、事業者の雇用する労働者について、労働者本人の意向に十分配慮しつつ、雇用の安定等を図るために必要な措置を講ずるよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本農林水産大臣。

山本有二自由民主党・無所属の会農林水産大臣

○国務大臣(山本有二君) ただいまは法案を可決いただきまして、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  以上でございます。

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺猛之自由民主党・こころ

○委員長(渡辺猛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十七分散会

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