法務委員会 第19号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2017/06/02
会議録
○鈴木委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房成年後見制度利用促進担当室長中島誠君、内閣府沖縄振興局長槌谷裕司君、法務省大臣官房審議官高嶋智光君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省保護局長畝本直美君、法務省訟務局長定塚誠君、公安調査庁次長杉山治樹君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官岡田健一君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、財務省主計局次長可部哲生君、厚生労働省大臣官房審議官山本尚子君、厚生労働省大臣官房審議官坂口卓君及び防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局刑事局長平木正洋君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。
○井出委員 おはようございます。民進党、信州長野の井出庸生です。 共謀罪の採決が済んでしまったことはいまだ大変遺憾なところでありますが、きょう、一般質疑の機会をいただきまして、改めて取り上げたいと思います。 一昨年の通信傍受捜査の大幅改正のときも、その後数回にわたって警察庁の方に、警察組織内での傍受のあり方について伺ってきたことがありますが、成立した、通過をした法案とはいえ議論を続けていくことは大事ですし、あと、共謀罪に関しましては用意した質問を消化していない、恐らく林刑事局長も用意した答弁を消化していない、そういうものもあろうかと思いますので、きょうはまずそこから始めたいと思います。 まず、五月十九日、採決のあった日でございますが、私は、犯行グループの計画それから準備行為、そこからの離脱ということを取り上げました。 林刑事局長は、これまでの刑事法の中での共同正犯からの離脱ということも少しお話をしていただきましたが、私の問題意識としては、共同正犯からの離脱というのは犯罪の実行との因果関係を断ち切る、それに対して、共謀罪、テロ等準備罪からの離脱というものは犯罪の実行前の計画段階、実行準備行為に至るまでの間ですから計画段階と言っていいのかと思いますが、そこからの因果関係を断ち切る。犯罪の実行からの因果関係を断ち切るのと、計画からの因果関係を断ち切るのであれば、やはり、離脱の要件というのは、計画段階の方が危険性が低いと解されるとすれば、共同正犯より緩和されてしかるべきじゃないか、緩くしておくべきじゃないか。 そういう問題意識なんですが、その点について、まず改めて伺いたいと思います。
○林政府参考人 計画からの離脱あるいは共同正犯からの離脱、これについては、共同正犯からの離脱ということであれば、例えば既遂罪、既遂行為を念頭に置いて、どの段階でその共犯関係から離脱したかという際に、その途中での自分たちの共犯あるいは共謀といったことが実際の既遂の結果に対してどのような因果関係を持つか、その途中でどのような行為をすれば離脱ということを認めて、他の共犯が行った行為というものへの因果関係をどこまで軽減できるかとか、そういった事実認定の問題だと思います。 一方で、テロ等準備罪における計画からの離脱というのは、結果の発生という点からは、それよりも以前の行為でありますが、テロ等準備罪の中では、一つは計画行為というものと、それに基づく実行準備行為という、この二つの要素をその構成要件として掲げておりますので、そこで完結するテロ等準備罪という犯罪について、それでは、計画に参加したけれども、その実行準備行為が行われる前に、どの段階でどのような行為をすれば、他の者が実行準備行為を行ったことによるテロ等準備罪の成立から離脱ということでその刑責を免れることができるのかということであります。 そういった意味で、両者が、どちらが軽減されるかということの関係にはないと思います。ある意味、同じような、どのような行為まですればそうした計画から離脱ができるのか、あるいはどのような行為をすれば共同正犯の共犯関係から離脱ができるのかというところにおいて、恐らく類似の思考をすることはあると思いますけれども、いずれにしても、それは事実認定の問題でありまして、どちらが離脱の要件が認められやすいのか、軽減されるのか、テロ等準備罪の方が共犯関係の離脱よりも軽減されるのかという関係にはならないと思っております。
○井出委員 少し具体的に伺いたいのですが、前回の話の中で、「他の者に対してその意思を伝えて了承を得る」「他の合意した者たちについて、ほぼ全員に対してその離脱意思を伝えなければ、それは解消という事態は認められない場合が多い」と。 この了承を得るというところなんですが、計画をして実行準備行為の前に離脱を表明しなければいけない。その了承の得方というものは、そのために集まってもらうのか、何か連絡手段があるのか、そこはいろいろなケースが考えられると思いますが、グループの一人が離脱を申し出て、ほかの人間が了承するというときに、例えば、明示的な了承、わかったよ、もう抜けていいよということが必要なのか。それとも、例えば、何か連絡手段を用いて、携帯電話でもメールでもいいんですけれども、俺は抜ける、それに対して返信はない、そういう通告的な形式でもいいのか。ちょっとその了承の仕方というものについてお話をいただきたいと思います。
○林政府参考人 この点につきましては、共犯関係の離脱というところでの裁判例でいきますと、例えば、そのような意思を伝えた場合に、相手方がそれを受領した、意思を受領したという形で、必ずしも積極的に了承しなくても共犯関係の解消というものを認めている裁判例もございます。 そのことから、具体的な事案におきまして、絶対的にその相手方の了承までが要るのかどうか、少なくとも相手方として、了承は、積極的な、また明示的な了承が要るかどうか、この点については、具体的な個別の事案に応じて判断されていると考えております。
○井出委員 判例では、積極的な了承じゃなくてもいいものがあると。 前回の、ほかの者に意思を伝えて了承を得る、ほぼ全員に対して離脱意思を伝えなければいけないという答弁もあるんですが、テロ等準備罪、共謀罪の対象となる組織犯罪集団というのは、そこをずっと議論してきましたが、政府の見解に沿えば、極めて凶悪な集団である、明確な目的を持っていなければいけないと。これまで言ってきた共謀と、今回の計画というものも、その組織性という点において異なるというような話も出てきているんですが、要は、凶悪性の高い組織的犯罪集団ですと、烏合の衆の犯罪集団であればけんか別れ、勝手な離脱ということもあるかもしれませんが、そういう組織的犯罪集団であれば、離脱の意思を表明されたときに、むしろそこで犯罪が起こるんじゃないか、その人の命が奪われてしまうんじゃないか。 そういうことも考えると、やはり一層、離脱の要件というものについては少し慎重に考えていただきたいと思いますが、組織の悪質性という観点から見たときに、離脱の通告、了承というものがこれまでどおりでいいのかどうか、そこを伺いたいと思います。
○林政府参考人 どこまでの了承が要るかというのは、先ほど申し上げましたが、事実認定の問題でございまして、これまでどおりというところよりももう少し別に考えた方がいいじゃないかという場合のこれまでどおりということの対象も、基本的に事実認定で今までなされておりますので、必ず、どこまで絶対的にその了承が要るのか、あるいは黙示的な、そのような意思を受領しただけでいいのかというところも、これまで事案に応じて判断がされているところでございます。これは共犯関係の離脱ということにおいての判断でございますが。 そういう意味で、今回の、計画からの離脱についても、共犯関係の離脱との関係で、先ほど申し上げましたが、どちらを容易に考えていいかどうか、あるいはそういう比較の問題では私はないと思っておりますけれども。 他方で、やはり組織的犯罪集団における計画となりますと、これは強固な組織の構成員によって計画がなされることが多いわけでございまして、その構成員らは、相互に強い組織で結ばれているわけでございます。そういった者の計画だから、その計画が次に実行準備行為に行き、さらには対象犯罪の発生へと結びついていく危険性が高いということに着目して今回テロ等準備罪というものを構成しているわけでございますので、一旦具体的かつ現実的な計画をした場合に、その計画が次に進んでいくということについては、計画をした者が単に自分の意思でもうこの計画からは離脱しようと思ったとしても、相互に、次の行為に進んでいく因果関係というものは強いものがあるので、そこについては、積極的に、少なくともみずからの行為としては積極的にその離脱の意思を他の計画者に伝えるという行為は、これは絶対に必要であろうかと思います。 その場合に、他の構成員、計画者がどのような形でそれを受けとめるかということについては、それは事実認定の中で判断されていくことだろうなと思います。
○井出委員 計画を思いとどまる人間、人物が、実行準備行為の前に離脱の意思を表明してその了承を得る、確かに、何も言わずに抜けて、それがどのような影響を与えるのか、仮に了承をとったとしても、実際にその計画に何か大きな変更を来すとか、計画、実行準備行為の妨げになるかというところはケース・バイ・ケースかと思いますが。 私が一番懸念というか問題意識を持っているのは、やはりその思いとどまる人までを犯罪の実行の前に処罰する枠組みが広がっていいのかというところで、法律を見ますと、自首についてはきちっと、自首した者は刑を軽くするということが書いてあるんですが。 これは、準備行為があって、摘発してから、ではAさんは離脱していたのか、Bさんはしていなかったのか、そういう話になってくるのが想像されますが、そうすると、計画があって、準備行為がある前の離脱というものは、恐らく、離脱をすると言って、離脱したと本人は思っている、了承をとったにしろとらないにせよ。そういう人は自首することはないと思うんですね、俺もう関係ないしと。そうではなくて、離脱ができない、だからこれは本当にやばい、本当に恐ろしいと自首をする。その人の情報をもとに捜査をしてそのグループを検挙する。その中で、離脱者がいた、いないの捜査というものが出てくるかと思いますが。 今の話をまとめますと、やはり犯行の内部の離脱者、自首をする人、そのどちらが捜査の端緒になり得るか、外形的に表面化してくるかというと、離脱者よりやはり自首する人間なのかなと思うんですが、そこはそういう想定、たてつけ、理解でよろしいですか。
○林政府参考人 計画後、実行準備行為前の離脱者の、例えば捜査機関への申告と、それから、実際に実行準備行為がなされてテロ等準備罪が成立した後の自首という形での申告と、どちらが期待され、どちらが多いかということについては一概には私は申し上げられないなと思います。 離脱者がもし申告するんだとすれば、場合によっては実行準備行為に至らないまま、テロ等準備罪が成立しない状況で何らかの介入がなされる可能性もございますが、いずれにしても、どちらが期待されるかということについては一概には言えないと考えております。
○井出委員 今のお話で、一つだけ確認的に伺っておきたいんですが、自首というものは実行準備行為がなされた後に行われるのか。計画から実行準備段階の間で自首がされたら、準備行為はないわけですから、そもそも犯罪は成立しない、そういう理解でよろしいですか。そこだけ確認したいと思います。
○林政府参考人 今の点は委員御指摘のとおりでございます。
○井出委員 ありがとうございます。 そうしましたら、何回か配付をさせていただいておきながら全く言及してこなかった資料について、ちょっと話をしたいと思います。 前にも口頭では少しお話をさせていただいたものを絵に描いてきたんですが、まず計画について伺いたいのですが、今のところ、計画というものは、役割分担がきちっとしていて、組織性がある、指揮命令系統があるというようなお話が出てきておりますが、例えば、犯行の実行の予定日とか時刻とか、あと場所、そういったものの具体性というものは、どのようなところまで具体性が必要とされるか、その点について教えていただきたいと思います。
○林政府参考人 テロ等準備罪における計画というものは、一定の重大犯罪が組織的犯罪集団の団体の活動として、組織によって実行される、このことについて具体的かつ現実的な合意が必要である、こう考えております。 その場合の具体的かつ現実的というものについては、犯罪の目的や、その場合の対象、実行の手段、実行に至るまでの手段、また各自の役割、こういったことを、犯罪の計画として具体的、現実的に合意することが必要であると考えております。 一方で、その場合に、先ほど犯行の日時というものを言われましたが、そういったものまで、あるいは各人の役割の詳細、そこまでが定まっている必要はないと考えております。
○井出委員 日時は変更もあり得るのかな、わかりませんけれども、天気が悪いとか天気がよ過ぎるとか、あるのかもしれませんが。役割も、詳細まできちっと決める必要はないというのは、指揮命令系統、役割分担というところが少し曖昧ではないかなと思いますが、そこは、どうしてそのような今の答弁になるのか。
○林政府参考人 役割の概要については、具体的、現実的な合意としての計画において定められると考えております。 ただ、その場合の各人の具体的な役割、例えば、犯罪グループの中でも、見張り行為を行う者、あるいはそこへの手順、案内役をする者といった、グループのある程度の役割については概括的には定められたといたしましても、では、具体的に誰がどこで、その役割を完全に、交換されない形まで詳細に定めておかなくちゃいけないかと言われれば、そこまでの詳細な定めは必要ないと考えております。
○井出委員 前回も、私の方から、おまえは現場の補佐だ、現場で臨機応変に対応しろと。そういうことについても、最初は、そういうことは余りないんじゃないかと。でも、ケース・バイ・ケースでそういうこともあるかもしれないというような答弁をそのときいただいたんですが、役割分担が、明確に例えば現場の補佐をやれと、そこまで具体的に言われていない、そうすると、これは、その本人の犯罪に対する認識、故意の部分に少し差が出てくるのではないのかな。 この絵に描かせていただいているのは、実行計画立案作成者、赤い人のもとで、みんなそれぞれ了解とかイエスとか言っていて、何も言っていない人もいるんですが、計画というものは黙示的な了解でもいいのかと思いますので、明確にイエスと言う必要はないのかと思います。しかし、具体的な詳細な役割分担が与えられない中で、例えば、俺は当日行かない、それからどうせ口先だけだろう、ざれごとだろう、そういう人たちの犯罪に対する故意の認識、計画の中で、実行準備行為というものも、そういう人たちは一体どこまで認識をしているのか疑わしいと思うのです。 仮に、実行準備の後、犯罪までの間、犯罪が起こってしまってからの検証というものもあるかと思いますが、役割分担が明確でない人は、計画のときに、実行準備行為が全員で共有できると、全員が、これが実行準備行為だ、これがやばい、これを越えたらテロ等準備罪、共謀罪なんだ、そういう認識も果たして共有できるものか。 実行準備行為というのは、恐らく、捜査側が端緒をつかんで、計画を見て、これが実行準備行為だと認定をして立証していくと思うんですけれども、いろいろな思いの人たちが犯罪を計画した、そういう計画の中で、きちっと全員の中でこれが実行準備行為ですと認識をされることというのは必要なんですか。
○林政府参考人 まず、計画の故意というものについてはるるこれまで申し上げておりますが、組織的犯罪集団の団体の活動として、その組織、犯罪集団の中にある犯罪を実行するための組織によって行われる実行である、このことについての意思の合致がなくてはいけません。 したがいまして、計画者と言えるためには、まず、組織的犯罪集団の認識がなければいけませんし、当該犯罪実行がその組織的犯罪集団の団体の活動として行われるものである、また、その組織的犯罪集団の中に犯罪実行部隊としての組織がありまして、この組織によって行われる犯罪の計画である、ここまでの認識がないと計画者とは言えません。計画の故意というのはそういうことでございます。 今委員御指摘のものは、今度は実行準備行為に対する認識でございます。 これについても、実行準備行為も構成要件でございますので、実行準備行為が行われることについての認識というものがなくてはいけません。そういう意味で、実行準備行為も故意の対象でございます。 ただ、実行準備の行為が行われるということの認識があればよくて、その実行準備行為がどのような形で行われるかということについて、これを詳細に認識していなければそれは故意がないと認められるものではなく、その実行準備行為が計画に基づいてなされるということについての故意が存在すれば、この場合の実行準備行為に対する故意の認識を満たすということでございます。
○井出委員 そうすると、この絵でちょっと考えたときに、赤い人は計画もつくっているし、首謀者の位置づけ。ピンクの一番の人は了解と言っていますし、赤に言われたら仕方がないと思っているので赤い人につき合っていく。青の一番の人は、犯行の実行日の前日に犯罪をとめよう、さすがにやばいと。だけれども、実行準備行為予定者になっておりますので、犯行場所の下見をする。そうすると、前日に犯行をとめようと思っていても、実行準備行為はしてしまうわけであります。 あと、その下のグレーの人ですとかピンク、青の二の人、いろいろな思いがあるんですけれども、青の二の方も実行準備行為の予定者になっておりますので、青の一の人が実行日の前日にとめない限りは実行準備行為をしてしまうんですが。 そうすると、この絵で見ますと、テロ等準備罪、共謀罪で立件の対象となるのは赤い人とピンクの一番と青の一、二番ぐらいかな。あと、どうせやらぬだろうとか、何を考えているかわからないとか、当日行かないよぐらいの認識だったら、その犯罪集団の対象から外れる、そんな線引きができるかなと思ってつくってきているんですが、その点についてちょっと見解をいただきたいと思います。
○林政府参考人 ちょっと、この登場人物に網羅的にお答えすることがなかなか困難でありますが。 例えば、計画に外形的に参画していたとしましても、本人にその犯罪実行の意思がないという者については、これは、犯罪実行の意思のない者は計画に参画したということになりませんので、例えば、確実に、もうこういう形で計画はなされているけれども、自分はその犯行前日にとめるんだと思っている者については犯罪実行の意思がないと考えられまして、これは計画者となり得ないと考えます。 他方で、本当は自分は渋々、嫌だけれども、それでもそれを了として計画に加わっていくという者については、これは犯罪実行の意思はあるわけでございますので、そういった者については計画をした者に該当してくると考えます。
○井出委員 犯行の直前で犯罪をとめようと思っている人はそもそも計画の意思があるとは言えないというお話で、今のお話ですと、そうすると、ここに出てくる人物の中では、赤い人とピンクの一番ぐらいしか対象にならないのかな。 少し私の想定と刑事局長の答弁が違ったので微妙なところが出てきているんですが、この青の一番、前日にとめよう、犯罪は本当にやばいと。この方は、犯罪集団なんですが、割合、組織を重んじる、正義感があるとここにコメントもつけてあるんですが、ただ、この人は実行準備予定者で、実行準備をしてしまう。そうしたら、やはりこの方はテロ準、共謀罪の対象になるのではないかなと思うんですが、そこはどうでしょうか。
○林政府参考人 こういった事案を想定してのお答えとすれば、実行準備行為というのは計画した者が行う、計画した者が計画に基づいて行うということが実行準備行為の要件でございますので、実行準備行為予定者の青一が実行準備行為を仮に外形的にしたとしても、計画した者ではありませんので、実行準備行為自体がそこには存在しないということになります。 もちろん、実行準備行為は他の者も行いますので、そういった者での実行準備行為を認定することは可能でございますが、少なくとも、青一という者についてはそのように考えられると思います。
○井出委員 実行準備行為は、花見か下見か、おにぎりか双眼鏡かという議論がありましたが、外形的な要素が重要なのかなと思うんですが、実行準備行為予定者でも、今お話あったように犯行の意思がなければ計画の対象者とはならない。 これはちょっと質問も難しいんですが、実行準備者のやはり心、気の持ちようというものも捜査の一定の、捜査によって解明するといいますか、実行準備行為者だから、外形的な行為をやった人だから、おまえをもって決め手だ、おまえをもってこの計画を検挙する、必ずしもそういうことではない、そういうことですか。
○林政府参考人 まず、実行準備行為ということの要件は、計画をした者のいずれかにより行われるということがあります。そしてまた、計画に基づいて行われるということがございます。 ですから、外形的な実行準備行為を判断するときに、いろいろ、その目的であるとか主観を捜査するということについてはこれは当然あり得るわけでございますが、それよりも、さらに、まず前提として、実行準備行為をなし得る者というのは計画をした者でございます。計画者でないと実行準備行為はなし得ないわけでございます。それから、計画に基づいて行われているかどうかという判断、そこでまた実行準備行為の要件が絞られてまいります。 そういったことを捜査していくわけでございまして、その際に、実行準備行為というものが、計画をした者が行っているかどうかということは非常に捜査としては重要な部分でございます。通常は、当然、計画をした者ということについての捜査、嫌疑があって、その情報に基づいて捜査をしているわけでございますので、計画をした者の行為であるかということで実行準備行為の該当性が捜査の中で判断されていくわけでございます。 その際に、さらに、先ほど申し上げた、計画には外形的には加わっていたんだけれども実際にはその人は犯罪実行の意思はなかった、こういうことになりますと、これは極めて、非常に例外的なケースでございまして、これはなかなか外形的に判断、捜査の結果でないとそこの部分については判断できません。通常は、計画をした者、計画に加わっていた者というのは、それは犯罪の実行のために計画をしているわけでございますので、そのために捜査の対象となるわけでございます。 その結果、具体的に井出委員が指摘されたようなケースで、実はこの人は犯罪実行の意思がなかったんだということについては、捜査の結果そういうことが明らかになる場合がないわけではないと思いますから、当初はこの計画参加者がどのような意思で参画していたか、そのことを目的として捜査しているわけではなくて、計画に基づいた計画者による実行準備行為であるかどうかということを捜査していく中で、今言われた青一と言われる部分についての犯罪実行の意思が実はなかったんだということが明らかになる、こういった順番になろうかと思います。
○井出委員 少し確認の意味で丁寧に伺っておきますが、犯罪を実行する気はない、だけれども、計画や準備行為には渋々乗る、計画や準備行為ということについては認識をしている、故意がある、だけれども、その犯罪の実行まではやる気は全くない、そうしたら、テロ等準備罪、共謀罪から最終的に捜査の結果によって除外される、そういうことですか。
○林政府参考人 テロ等準備罪の構成要件は非常に重層的につくられておりますけれども、その処罰の対象は、最終的には計画した者というものが処罰の対象となっております。したがいまして、例えば、組織的犯罪集団という要件がございますが、組織的犯罪集団の構成員であれば処罰されるわけではございません。構成員の中でも、計画に参画しなければ処罰しないわけでございます。 そういった場合に、この青一というのは構成員であると思いますけれども、構成員であり、かつ計画に外形的には参画していたんだけれども、最終的には実は犯罪実行の意思がなかったということで、計画者とは最終的に認定されないという場合があり得るということでございます。
○井出委員 きょう、もう一つ伺いたいなと思っていることがあって、いろいろな団体でも一変してこういう団体になる、組織的犯罪集団になり得るケースはあるということは従前から言われてきているんですが、先日、枝野委員も、マンションの建設反対とかそういうお話をされていたんですが、何か政治的な意思を表示するですとか、そういったものに対して抗議をするとか、そういうときにデモをする、座り込みをする、そういうことは、今までもそれがどうなるのかということは懸念をされてきました。 そういう中で、私が伺いたいのは、デモとか座り込みをして、偶発的に何か多くのけが人が出るとかそういうことがある、けが人が出て、そこの、暴行、傷害、どっちがどうした、やったという捜査もあると思いますが、その部分と、それと、そのデモを計画した人たち、私の認識だと、デモを計画した人たちは、傷害、暴動を起こしてやろうというわけじゃないから何の罪もない。実際、デモをやって、仮に多くのけが人が出たとして、そのけが、傷害とか暴行について因果関係が認められた人は、それは、そこでその罪で捜査をされるのは普通のことなのかなと思いますが、そういう偶発的なけがをするような事態があった、それはそれで立件をして、これは、まかり間違っても、そのデモの計画、そうした人たちが、デモを計画して暴動を起こすような意図があった、そういうことで絡められるということは私は絶対ないと思うんですけれども、そこだけは確認をしておきたいと思います。
○林政府参考人 委員が確認を求められているところの範囲が少しよく理解できておりませんが。 まずは、テロ等準備罪としての計画及び実行準備行為を処罰するためには、組織的犯罪集団でなくてはいけません。そして、組織的犯罪集団は犯罪実行を目的としているということが前提でございます。それで結合している集団が組織的犯罪集団でございます。 ですから、さまざまな、いろいろな目的を持っている団体が、たまたま犯罪実行を企図したり計画したとしても、それはテロ等準備罪には該当しないわけでございます。それは組織的犯罪集団という主体に当たらないからでございます。 まずは、そこの点を一言言わせていただきたいと思います。
○井出委員 たまたま犯罪を計画した場合は当たらないというのであれば、恐らく、デモとかそういうことをやっていて、偶発的にそこでけが人が出るような事態になったというものは、懸念しているのは、デモとか座り込みが業務妨害に当たるという先日の議論なんですけれども、そこはまだ解決していないと思うんですが、ただ、その過程の中で偶発的にけが人が出るような事態になったときは、少なくとも、それと計画が絡められる、そのデモを計画した人たちが組織的犯罪集団と認定されるということは想定されない、絶対ない、そういうことなのかなと思いますけれども、もう一度。
○林政府参考人 今の点は、二つの点で全くないと言えると思います。 一つは、主体の点です。それは先ほど申し上げました。組織的犯罪集団にそもそも該当しないですよという点でございます。 もう一つは、今、偶発的にたまたま発生してしまったと言われましたが、それは全く計画という言葉と、計画というのは、偶発性、偶発的な犯罪を計画するということはないわけでございますので、そういった意味において、そういったことはないということでございます。
○井出委員 もう一つ、済みません、今までの答弁で伺っておきたいところが一つ。話がかわるんですが、テロ準、共謀罪と予備罪が、法定刑がひっくり返っている話、強盗とか幾つかあるんですが。 あれは、個人とか、何か烏合の集団の予備行為よりも、組織的犯罪集団の計画、実行準備行為の方が危険性が高い、そういう説明はずっとされていて、理解はしているんですが、同じ組織的犯罪集団が、計画、準備行為から入るのか予備から入るのか、予備から入った方が罪が軽い。そこはちょっと、まだ今まで、この間の参議院の法制局長もそうでしたけれども、まだまともに答弁をいただいていないんですが、そこだけちょっと、もう一度聞きたいと思います。
○林政府参考人 例えば、同じ組織的犯罪集団が計画をして、次に実行準備行為に至りました、さらには、現行法で言われるところの、仮に予備罪がある犯罪における予備行為というところまで行きました、こういった場合には、結局、予備罪に当たる行為をしたときにも、このテロ等準備罪、計画に基づく実行準備行為というものは予備行為の概念を排除しているわけではございませんので、これはテロ等準備罪によって処罰されることになります。 そうしますと、予備に進んだ場合に、予備の方がもし法定刑が軽い場合に、かえって軽くなってしまうのではないかということにはならない、こういう、ある意味で逆転現象ということが生じることはないと考えています。
○井出委員 予備を実行準備行為からは排除はしていないからという話、そう言われればそうなんですけれども、予備を排除しないとなると、もうちょっと聞かなければいけないところが出てきますが、そこは多分、階先生にお譲りをした方がいいのかなと思いますので。 済みません、ちょっと時間がなくて、尊敬する平木さんに来ていただいておりますので、話題をかえたいと思います。 裁判員制度の話でございますが、五月に、裁判員候補者の辞退率上昇・出席率低下の分析報告書というものが出まして、新聞報道にもありましたが、審理予定日数の増加傾向が辞退率の上昇、出席率の低下に寄与している可能性が高い、それから、雇用情勢の変化、人手不足、非正規雇用者の増加等々も辞退率上昇に寄与している可能性は高い、出席率低下に寄与している可能性も否定できないなどと、幾つかあるんです。 これは新聞報道でちょっと私は問題意識を持ったんですが、非正規雇用者の問題なんですが、非正規雇用者が辞退率の上昇に寄与している高い可能性があるというものはちょっと導入の議論では想定されていなかったのかなと思います。その点を一点確認したいのと、あともう一つは、非正規雇用というものは明確に辞退の対象になる何か条件というものが現状あるのかないのか、そこをちょっと教えていただきたい。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 まず、委員御指摘の後者の点でございますが、非正規雇用者であるということ自体が辞退事由に当たるということではございません。非正規雇用の方であろうとも、正規雇用の方であろうとも、お仕事の関係等でその裁判員裁判の日程に裁判員として職務に従事するのが困難であるという事情があって、辞退が認められるということになります。 それから、前者の方の委員の問題意識でございますが、今回の報告書、業務分析につきましては、最高裁の方と、委託しました業者の方で、どういった要因を分析するのが相当かということをまず仮説として立てまして、そのうちの一つといたしまして、非正規雇用者の増加といった雇用情勢が辞退率上昇、出席率低下に影響があるのかもしれないということで、その二つの統計数字の相関関係を調べたというところでございます。
○井出委員 辞退率の上昇や出席率の低下に寄与している可能性が高いですとかその可能性を否定できないというものが、審理予定の日数の増加、それから今言った雇用情勢、あとは高齢化の進展、七十歳以上等の辞退者数の増加が全体を押し上げているという話がありまして、今、仮説に基づいてというお話もありました。 例えば、審理予定日数などは、だからといって、では単に審理日数を短縮できるかといったら、それは裁判ごとに、そうはいっても一月はやらなきゃいけないとか、そういうものもあろうかと思いますので、簡単ではないんですが。 この辞退率の上昇、出席率の低下、これはずっと言われてきていることなんですが、今回こういう調査をして、想定の範囲内と言うのも変なんですが、私の問題意識としては、三人に二人が参加しないような状況というものは、発足当初我々が想定を、私はかかわっていないですけれども、この制度をつくったときに思い描いた、国民の裁判への理解を深める、そういう事態にかなっているのかなという、その根本的なところをちょっと伺っておきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判員制度施行当初の辞退率あるいは出席率がどの程度のものを想定していたかというところは、これまで我が国に存在しなかった制度でございますので、なかなか想定というところは難しい状況でございました。 ただ、現状どうかというところでございますけれども、委員御指摘のとおり、辞退率は上昇傾向にあり出席率は低下傾向にあるということでございますけれども、今回の分析業務におきましては、選任手続期日に出席した裁判員候補者の構成が実際の人口構成と比較して偏るなどの現象が生じていないかどうかについても検証しておりまして、選任手続期日に出席した裁判員候補者の職業別、年代別、性別の構成割合を国勢調査における構成割合と比較しましたところ、いずれについても大きく異なっておらず、国民の縮図と言える構成になっているというところが確認されているところでございます。
○井出委員 職業別、年代別それから性別。性別は、母数が少なくなったってそんなに変わるはずもないと思うので余り当てにならないんですが。 雇用情勢の変化、非正規雇用の話とも絡むんですが、やはり、仕事に余裕のあるというか、仕事で忙しい、経済的に余裕がない、そういう人たちは、少しこの制度には参加しにくくなってきているかなとは、そういうことは言えますか。経済が、景気がいいときは裁判員制度もみんなが参加するけれども、景気、経済が悪くなったら、参加者が一部の日程的にも経済的にも余裕のある人に限られてくるみたいな、そういう危機感といいますか懸念というものはありますか。
○平木最高裁判所長官代理者 今回の分析業務の内容でございますけれども、非正規雇用者の増加傾向という統計数値、それから辞退率上昇、出席率低下という統計数値、この両者が相関関係があるかどうかという分析をしまして、その相関関係があるということで、出席率低下、辞退率上昇に非正規雇用者の増加傾向が寄与しているのではないか、こういう統計分析でございます。したがいまして、今回の報告書では、なぜ非正規雇用者が増加すると辞退率が上昇し出席率が低下するのか、そういう原因分析のところまではその範囲、対象としているわけではございません。 そこで、これから私が申し上げますのは、今回の分析を受けての私どもの仮説と申しましょうか、ちょっと推測にわたることになってしまいまして申しわけないのでございますけれども、まず、辞退率につきましては、人手不足により職場が繁忙となっているため、裁判員として休むことが難しくなり、事業における重要用務を理由とする辞退者が増加している可能性があるかもしれないというふうに受けとめております。 また、非正規雇用者の増加につきましては、今回、アンケートもやっておるわけなんですけれども、今回のアンケート結果によりますと、非正規雇用者の方は正規雇用者の方よりも裁判員裁判への参加意欲、参加可能性が低いという傾向が見られましたので、さまざまな事情から、正規雇用者の方よりも裁判員裁判に参加しにくい状況にあるのかもしれない、このように考えておるところでございます。 また、出席率との関係につきましては、欠席者の中には、事業における重要用務などの辞退事由を有しているものの辞退申し出をしていない者が相当数含まれているため、こういった雇用情勢の変化が出席率にも影響している可能性があるのではないか、このように推測しているところでございます。
○井出委員 最後の問いになるかと思いますが、裁判員裁判、国民の理解を増進する、当初は一審の裁判員裁判の判決というものは重く見よう、そういう声もあったかと思うんですが、今までやってきて、一審、二審がひっくり返るようなケースもあって、私も、国民の感覚を変えるなと思うこともあれば、いや、でもこれは、慎重な三審制というものを見ればやむなしなのかなというようなことも思います。 辞退者、関心のない人がふえてくると、やはり制度の根幹が、一部の関心のある人たちでやっていて国民の理解を深めていると言えるのか、そういう問題意識もありますし、二年前ですか、見直し議論をして、またいつか見直そう、そういう議論をしましたが、前回は細目的、技術的な見直しにとどまったと思いますが、やはりもう少し根本的に見直しをする、そういう必要もあるかと思いますが、その点だけ、最後に一言いただきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 裁判員裁判制度の見直しということにつきましては、立法事項にわたりますので、裁判所としてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますが、裁判所といたしましても、制度を運用している立場としまして、現行法のもとでの裁判員裁判の実情などを法務省などに対しまして適宜情報提供するなどしてまいりたいと考えておるところでございます。
○井出委員 ちょっと最後のは大臣に聞くべきだったんですが、済みません。では、また次回に回します。 きょうはありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、國場幸之助君。
○國場委員 本日は、貴重な質問の機会をありがとうございます。自由民主党の國場幸之助です。 初めての法務委員会における質問であります。きのうはちょうど、かりゆしの日でありました。かりゆしというのは沖縄にとって大変めでたい言葉でありまして、そのかりゆしの爽やかさに負けないように、きょうは質疑を行っていきたいと思っております。 きのうは、総理官邸におきまして、総理と官房長官の方にかりゆしウエアの贈呈式を行いました。沖縄県はいろいろな歴史を経て今日がありますけれども、その発展には多くの理解者がいて、応援団がいた、その一つの象徴がかりゆしウエアの日の制定だろうと思っております。ですから、きょうも、この法務委員会におきましても、かりゆしウエアを着ていらっしゃる方もいらっしゃいますが、その精神というものを大事にしていきたいと思っております。 それでは、本題に入りたいと思います。 沖縄におきましては、さきの大戦におきまして多くのとうとい命が失われました。今も戦後が終わっていない、そういう言葉も残っております。例えば御遺骨の収集作業、これも今日も継続をしております。さらには不発弾の処理作業、これは毎日数件の不発弾の処理が今も陸上自衛隊によって行われておりまして、彼らは全て、みずからの志願によって担われております。あと七十数年かかるとも言われております。 その終わらない戦後処理の一つとしまして、さきの大戦におきまして多くの行政関係の資料がなくなってしまいましたので、土地の権利関係、所有関係というものも長らく解決されないままとなっております。 そこでまず、伺いたいのは、地籍明確化の作業の進捗でございます。所有者はわかっているけれども、境界が定かではないという問題でございます。 大戦における多くの破壊、そして米軍による土地の形質の変更、または土地の登記簿等が消滅をしておりますから、境界というものが不明である地域が大規模に存在しました。そうなりますと、これらの土地につきまして、相続や売買等に当たって土地の分筆等もできず、土地が米軍から返還され、政府から所有者に返されたとしても、経済的、社会的な通常の利用というものが著しく制約をされてしまいます。 昭和五十二年の地籍明確化法の制定より、大分調査も進みました。しかし、現在も一部残っております。具体的には、土地の所有権そのものはわかっておりますが、借地料も入ってきておりますけれども、境界線がはっきりせず、登記もできないので売買ができないということを地元の方からの訴えで知りました。 そこで、この問題についてお尋ねしたいと思います。 特に、自衛隊や米軍の基地内における土地の地籍明確化の作業でありますけれども、この部分は防衛省が担当されていると伺っております。まずは現状への認識、そしてまた最新の現状について伺いたいと思います。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、沖縄県におきましては、さきの大戦によりまして公簿、公図が焼失するということが起こりますとともに、戦争自体による破壊、そして米軍による土地の形質変更等によりまして、土地の位置境界が不明な区域が広範囲に存在しておったところでございます。 これらの位置境界不明地域について、昭和五十二年に御指摘の位置境界明確化法が制定されまして、その明確化を図ることとされました。そして、位置境界不明地域のうち駐留軍施設用地及び自衛隊施設用地については、旧防衛施設庁が、現在は防衛省でございますが、担当いたしまして、地図の作成、位置境界の確認等、作業を行ってきたところでございます。 その結果、返還された施設も含めまして三十六防衛施設に係る対象地域の面積約百十七平方キロメートルのうち九九%に当たる約百十六平方キロメートルにつきまして、位置境界明確化措置が完了したところでございます。 防衛省といたしましては、残りの一%の対象地域について位置境界明確化措置を完了させるために、土地所有者の御理解を得られるように今作業しておりますし、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
○國場委員 よろしくお願いします。 もう一つ、土地に関する問題としまして、土地の所有者が登記簿上も不明であるという土地の存在でございます。 これらの土地につきましては、復帰特別措置第六十二条におきまして、宅地や原野等は県、そして墓地や霊地や聖地等は市町村がそれぞれ管理することとされております。調べたところ、現在、県や市町村を合わせまして二千七百十筆の、沖縄戦による所有者不明の土地があるとのことです。その面積は九十万平米、東京ドーム二十五個分にも及んでおります。 また、この土地の利用による借地料などの収益は各自治体がそれぞれ管理しており、県の今年度予算では一億二千万ほどとなっております。この予算は、この土地の管理に関して、緊急の場合以外は使われておりません。例えば、管理する土地にある岩が隣接する土地に落下しそうになったときに、その対策として使ったことがあるとのことにとどまっております。 所有者が判明したときには、積み上げていた予算からお返しをすることとなっております。しかし、実際に所有者であると名乗り出る方がいた場合にはどういう対応になるのか、県に確認をしますと、原則的な対応としては訴訟をお願いしているとのことであります。つまり、行政で責任を持って土地の所有を判断することができないので、司法に任せているという現状があります。 しかし、訴訟を起こさなければならないとなりますと、名乗り出た方にとっても、訴訟のコストや時間がかかります。そもそも、公的な書類等が戦争によって焼失をしておりますので、訴訟にたえ得るような証拠をそろえるということは極めて困難であるという状況であります。また、敗訴をするリスクも高いわけでありまして、地元の土地家屋調査士や司法書士、弁護士等に伺ったところ、ほとんどの方が諦めているのではないのかということでありました。実際、二千七百十筆の土地がある中で、これまで訴訟が提起をされた件数は十件程度、その中でも、最終的に所有者として認められた土地は数件にしかなりません。 そこで、法律を所管する内閣府にお尋ねをします。 沖縄戦によって所有者が不明となった土地について、政府としてどのように取り組みを今後していくのか、その予定も含めまして、御答弁をお願いします。
○槌谷政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、さきの大戦で地上戦にさらされた沖縄におきましては、所有者不明土地が大変多くございます。 内閣府におきましては、平成二十四年度から、現地での測量などの現状把握あるいは隣接地での聞き取りなど、その実態について鋭意調査を行っているところでございます。所有者不明土地に起因してさまざまな問題が生じておりますので、その解決に向けて、まずはこうした調査を早急に完了させることが重要であると考えております。 その結果に基づきまして課題を抽出、整理いたしまして、必要な措置について検討してまいりたいと存じております。
○國場委員 今から六年前なんですけれども、県の方で所有者不明土地検討委員会というものが開催されました。その中で、根本的な解決として、特別法の必要性というものも提言されております。まず、所有者を捜すために、全額国費で関係者や隣人などに徹底的に調査をしていく、それでも所有者が見つからない場合は、現在管理をしている県や市町村の所有に変えていく、さらに、所有者が明らかになった時点では、補償の措置がとれる体制を国の責任でつくるということが提言されております。 きのうの質問取りの段階でも、意見のやりとりの中で感じたことでありますけれども、もはや、もう戦後七十二年、沖縄県の祖国復帰から四十五年がたっております。これまで以上に関係者や所有者であるという証拠を見つけることはますます困難になっており、いまだに東京ドーム二十五個分の土地について、しかも、所有者が見つかった際には、すぐに原状回復ができるような用途にしか使えないというさまざまな規制や制限というものが加わっております。民法の問題も複雑に絡んでおります。 つまり、通常の法律の枠組みでは、この沖縄における戦後処理の問題というものを解決することは困難であると考えます。これは、各種団体からも長年、同様の趣旨の要望が繰り返しありました。冒頭申し上げたように、これは戦後処理の問題でありまして、この問題の解決なくして沖縄の戦後も終わらないと考えております。 そこで、法務省にお尋ねします。 沖縄の所有者不明の土地の問題について、現在対策が議論されている所有者不明の土地とはまた根本の違う課題、問題というものが沖縄に残されているということを踏まえた上で、この問題解決に対する、法務省としてどのようにかかわっていくのかについて答弁をお願いします。
○小川政府参考人 お答えいたします。 沖縄県の土地につきましては、沖縄戦によって公図、公簿などの記録が焼失したため、戦後、所有権の認定作業や地籍調査が実施されたところですが、これらの作業などの際に所有者を確認できない土地、これが所有者不明土地とされました。こうした所有者不明土地は、戦後、琉球政府が管理することとされ、沖縄の本土復帰後においても、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づき、当分の間、従前の例に準じて、沖縄県または市町村が管理することとされているものと承知しております。 先ほど内閣府から、この問題の解決に向けて、まずは実態調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を検討する旨の御答弁がございました。法務省といたしましても、これは民事基本法制を所管する立場から必要な協力をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
○國場委員 ぜひよろしくお願いします。 続いて、成年後見制度の利用促進について何点かお尋ねしたいと思います。 日本という国は、OECD諸国の中でも、六十五歳以上の人口が全体の四分の一を超える唯一の国であります。その一方で、十五歳未満の人口が一二%台しかない。これは日本とドイツしかありません。超少子超高齢の社会となっております。おのずと認知症の方々も急速にふえてきておりまして、今四百六十万人、そして二〇二五年には七百万人にもなると言われております。 成年後見制度の活用、普及というものが急速に求められておりますけれども、利用者は現在十八万人程度にとどまっております。ドイツでは、人口が日本の六割にすぎないにもかかわらず、利用者は百三十万人、人口比でいえば日本の十二倍の利用率となっております。 そこで、利用の促進について残されている課題について何点かお尋ねしたいと思います。 まず、根本的な制度の部分でありますけれども、成年後見人制度は、一方で、本人に判断能力がないということを制度利用の前提にしながら、もう一方で、本人の意思に配慮することが求められているという、いわば矛盾するような部分を指摘する声があります。本人の意思を尊重した決定を支援するとしながら、例外的な代行決定制度を残すか否かという問題です。 本来、代行決定の制度としてつくられたものが、突然、意思決定支援の制度と説明される。この曖昧さが端的にあらわれているのが、基本計画に書き込まれた、「医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討」でございます。 工程表を見ますと、平成三十一年度までに、「現場において関係者が対応を行う際に参考となる考え方の整理」、それを踏まえて、平成三十一年以降、「参考となる考え方の周知、活用状況を踏まえた改善」ということになっておりますが、改善とは、考え方を改善するのか、周知の方法を改善するのかという言葉がはっきりせず、方向性が見えません。 既に海外では、一定の制限のもとに、後見人の立場の方がある程度の判断を下すことができるという制度もつくられております。 この工程表では、課題として指摘されたが、結論を出すことを避けているという印象も感じてしまいます。結果として、医療関係者と自己決定支援、それぞれの立場から、現場で悩み苦しんでいる、努力をしている方々の課題を解決しようという姿勢が伝わってこない、そういう印象でございます。 少なくとも、この工程表の結果、現場の努力が報われるという将来像が見えなければなりませんが、最後に、厚生労働省にこの点に関する見解を伺いたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、本年三月二十四日に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画では、成年後見人が、医師など医療関係者から意見を求められた場合に、他の職種や本人の家族などと相談し所見を述べること、または所見を控えることが社会的に受け入れられるような合意形成が必要というふうになっております。 先生の御質問、大変重たい質問といいますか、現場で直面している大きな問題だと思います。 ただ、成年後見制度利用促進委員会の有識者の中でも、この問題については、なかなか簡単にルールを決めることが難しくて、患者さんの命あるいは健康に直接かかわる重たい問題であって、どのような形で意思決定を支援していくのかということについてさまざまな意見を交換し、また社会的な合意づくりが必要だという御意見をいただいております。 その意味で、先生御指摘がありましたとおり、まず実態調査を行い、その結果を踏まえて、先ほどお話がありましたとおり、関係者の参画を得た上で、関係者の参考となる考え方の整理をお示しし、また国民の中での議論あるいは社会づくりをつくりながら制度をつくっていく必要があるのかなというふうに考えております。
○國場委員 よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘です。 本日も法務委員会におきまして質問の機会を賜りましたことを心から感謝申し上げて、質問に入りたいと思います。 今回も私は民法にかかわるお話をちょっと聞かせていただきたいと思っておりますけれども、先般、この法務委員会におきましても、民法、百二十年ぶりの改正ということで我々も取り組ませていただいたところでございますが、その対象というものは、私の理解では、いわゆる契約を前提とした債権債務関係の規定にかかわる見直しであったというふうに承知をしております。民法典の中には、それ以外に、物権法であったりとか、契約に基づかない債権債務関係の発生にかかわる規定であったりとか、また家族法なんかも規定をされております。 そこでお聞きしたいのは、まず、先般の民法の改正でこの物件法分野が改正の対象でなかった理由についてお聞かせいただければと思います。
○小川政府参考人 民法の物権法分野のうち、とりわけ担保物件に関する規定につきましては、平成十五年に、社会経済情勢の変化への対応も図るための見直しを行うという観点から、必要な改正項目について、例えば短期賃貸借の保護の廃止のようなものを所要の見直しとして行ったところでございます。 そのため、今般成立いたしました民法の一部を改正する法律の検討過程におきましては、物権法分野全般に関する見直しの作業は行っていないというところでございます。
○吉田(宣)委員 平成十五年に若干行われたということでございました。 次に、先ほど申し上げたとおり、債権債務関係というものは契約に基づかない場合にも発生するというふうに承知をしておりまして、その具体例が、民法の規定の中では事務管理、不当利得また不法行為というふうな規定が存在するわけでございます。 この部分についても前回の改正では対象ではなかったというふうに承知をしておりますが、その理由についても補足的にお聞かせください。
○小川政府参考人 ただいま御指摘いただきました民法の事務管理、不当利得及び不法行為の分野につきましては、明治二十九年の制定以来全般的な見直しが行われていない一方で、さまざまな重要な判例も示されておりますことから、今回の債権法改正と同様の状況にあるものと認識しております。 もっとも、事務管理、不当利得及び不法行為の分野につきましては、これまで、法改正に向けた検討の土台となる具体的な議論の蓄積が必ずしも十分あったわけではなかったこと、あるいは改正作業の分量などをも考慮いたしまして、今回の債権法改正を先に行うこととしたものでございます。 したがいまして、事務管理、不当利得及び不法行為関係の規定の全般的な見直しは、法務省としても今後の重要な検討課題であると認識しておりまして、関係各方面における議論の進展をも注視しつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
○吉田(宣)委員 他の債権規定とまた同様の状況であるということでございます。ただ一方で、さまざまな学説等も存在をしているようでございまして、私も、まだ時期が熟していないのかなということについては十分理解をしているところでございます。 それで、さらに、この不法行為という規定、民法七百九条というふうに承知をしておりますけれども、これに関連して、失火責任法について私はお聞きしたいと思っております。 少し事例を挙げてお話をさせていただきますけれども、失火者の過失で火が起こってしまって隣の家に延焼してしまったというケースで、隣の家の所有者には、この火を起こした失火者に対して、延焼部分についての損害賠償請求権が私は普通に発生するんだろうというふうに考えておりますけれども、政府から、この点、お聞かせいただければと思います。
○小川政府参考人 民法第七百九条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しておりまして、過失によって他人の権利を侵害した者には不法行為に基づく損害賠償責任が生ずる、これが原則でございます。 しかし、いわゆる失火につきましては失火責任法がございまして、失火者に重過失がある場合でなければ民法第七百九条を適用しない旨を規定しております。 そのため、委員御指摘の、失火により隣の家に延焼したというようなケースを想定いたしますと、失火者に重過失が認められる場合には、隣の家の所有者から失火者に対する不法行為に基づく損害賠償請求が発生するところでございます。一方で、失火者に重過失が認められない場合には、民法第七百九条は適用されず、隣の家の所有者から失火者に対する不法行為に基づく損害賠償請求権は発生しないということになるわけでございます。
○吉田(宣)委員 重過失がない場合には、残念ながら請求できないというふうな結論になるかとお聞きをいたしました。 先にちょっと資料をいただいて、この重過失というのは、かなり、やはり、ほとんど故意と変わらないぐらい重い過失だというふうに判例でも出ているようでございまして、ちょっと読み上げますと、「「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すもの」というふうに判例が示しているようで、古い判例ですが、昭和二十七年ということでございますけれども。 結局、延焼ということについて賠償責任を認められるためにはかなり厳格な要件が必要となっていて、ほとんどの場合、損害賠償請求できないというふうな結論になるんだろうというふうに思っております。 済みません、ちょっと時間の関係で、四番目の問いを通告しておりましたが、これはちょっと割愛をさせていただいて、今民事局長が御説明いただいた、失火責任法の立法趣旨、立法経緯について確認をさせていただければと思います。
○小川政府参考人 失火責任法の立法趣旨は、一般に、火事は自分の財産をも焼失してしまうのが普通であり、各人それぞれに注意を怠らないのが通常であるため、過失については宥恕すべき事情のある場合が少なくないこと、それから、一旦火事が発生したときは、木造家屋が多く、立て込んだ住宅環境のもとでは、防火消防能力の不足と相まって、損害を想定外に拡大させる危険性があることなどによるとされております。 失火責任法は、今申し上げましたような趣旨によりまして、民法制定直後の明治三十二年に議員立法により制定されたというのが立法の経緯でございます。
○吉田(宣)委員 明治三十二年の法律でございました。 今、小川局長から御説明いただいた立法趣旨というのは、私もよくわかるんです。日本は伝統的に木造住宅を中心に皆様お住まいになっていらっしゃって、また、冬はとても乾燥する気候で、一度火がつけばなかなか消えないというふうな気候的な要因もあるし、また、狭い路地に、私の田舎なんかもそうなんですけれども、かなり多くの木造家屋が密集しているというふうな状況で、大きい消防車が入らないというふうなところもあります。 したがって、一度火が出てしまえば延焼の可能性が極めて高くて、その延焼した部分についての損害というのを全部失火者に背負わせるということはなかなか難しいし、酷であるというふうな当時の立法趣旨であったんだろうというふうに思っております。 ただ、一方で、何の落ち度もない、延焼をこうむった被害者の方が何らかの救済を受けられないというのは、私はそれ以上に酷な話だろうというふうに思っております。 そこで、民事局長、もう一回お聞かせいただきたいんですけれども、延焼をこうむった被害者の救済というのはどのように図られるのか、御説明いただければと思います。
○小川政府参考人 保険の点を除いて、民事法の世界でということで申し上げたいと思いますが、失火責任法により失火者の責任が生じない場合には、これは民法上、延焼の被害者の損害を填補する方策は存在しないと考えられるところでございます。
○吉田(宣)委員 法務省が所管をされる民法を中心とした法律では、このケース、すなわち、延焼についての救済というのは図られないということなんですね。 もちろん、そのために保険という制度があって、私も地元の自宅は賃貸マンションですけれども、保険の加入が義務づけられておりまして、保険にしっかり入って住んでおります。 ただ、この保険というものも、絶対強制ということではなくて、入っていない賃貸人の方というのも多数おられるんだろうと思います。そういったケースにおいては、やはり、延焼を起こしてしまった際には失火責任法で全て免責をされてしまうということは、私は合点がいかないところなんです。 先ほど申し上げたとおり、この失火責任法というのは明治時代の規定であって、明治時代から今では、もう随分環境も変わってきているんだろうというふうに私は思っております。したがって、失火責任法の立法趣旨が妥当しないようなケースも多くなっているのではないかというふうに思っております。 私も、この質問をするに当たって、少し火事の、出火の状況について消防庁から資料をいただきまして、古い資料はないということでしたので、平成十八年と平成二十八年、少し比較してみたんですけれども、数字、あらわれているんですけれども、明らかに失火の発生というのは減っております。これは、さまざまな建築技術の進展や、耐火構造の発展や、また材質についても、CLTであったり不燃木材であったりというふうなものが普及をしてきている結果であろうと思いますので、国民の生命や財産、また身体というものを守る上では非常に喜ばしいことであろうかというふうに思っております。 それはさておき、この失火責任法、私が一番理不尽だと思うことの例は、失火者がお金持ちであった場合なんですね。十分賠償できるような資力があったにもかかわらず、延焼者というものは、この失火責任法の壁で、十分資力を持っている失火者に対して賠償請求ができないということなんですね。これで実は物すごく泣き寝入りをしている方がたくさんいて、本当にかわいそうなんだというお話を、私、地元福岡の不動産関係の仕事に従事している友人から聞く機会がありました。 私も、非常に理不尽な話なんだろうと思うし、こういう状況を、いわゆる法制度上の問題として考えるなら、国民というのは、先ほどもありましたように保険があれば大丈夫なんですけれども、法務省の所管する法律では救済できないというような状況を考えれば、国民の法制度に対する信頼というのをやはり損ないかねないのではないかというふうに私は思います。 次回の民法の改正がいつ行われるのかというのは私もわからないところですけれども、今回の改正で対象でなかった不法行為に関する規定は、ぜひ失火責任法との関連においても改正を検討していただきたいというふうに思います。 また、私も、具体的な事例といいますか、これは統計的な数字もないものですから、なかなか主張するに材料が少ないところもありますけれども、この件は研究をしていきたいとも思っておりますので、法務省の受けとめをお聞かせいただければと思います。
○小川政府参考人 先ほど申し上げましたように、失火責任法の趣旨は、我が国の家屋や消防の状況から見て、失火により広範囲が焼損し、損害が膨大になるおそれがあることなどから、失火者に故意または重過失がある場合にのみ不法行為責任を負わせることにした点にございます。 しかし、現代におきましては、立法当時より木造住宅が減少するなど、立法当時の状況から変化が生じているとの指摘があることも承知しております。 先ほども申し上げましたが、民法の不法行為関係の規定の全般的な見直しは、法務省といたしましても重要な検討課題であると認識しておりまして、今後、民法の不法行為関係の規定の見直しの検討を行う際には、その特則であります失火責任法につきましても関連して検討が必要となり得るものというふうに考えております。
○吉田(宣)委員 やはり法律というのは時代に応じた対応というものもしっかりやっていかなきゃいけませんし、立法事実というものが変化していくのも時代の変遷であろうと思いますので、法務省におかれましてもしっかり取り組んでいただきますことをお願い申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時三十六分休憩 ————◇————— 午前十一時一分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。階猛君。
○階委員 民進党の階猛です。 私も共謀罪についてお尋ねしてまいりますけれども、あの強行採決が行われた後、きょうお手元にお配りしております共謀罪法案に反対するビジネスロイヤーの会というところから声明文が発表されております。 安倍総理は、きのう、ラジオ番組の収録で、改正案の適用対象をテロ集団や暴力団、薬物密売組織などに絞り込んだということで一般の方が対象になることはないのは明らかだと強調していたそうでありますが、このビジネスロイヤーの会は、それに真っ向から反することをおっしゃっております。 四ページ目にメンバーの方の名前が挙がっていますけれども、升永先生というのは青色LED訴訟で有名になった先生でありますし、それ以外にもそうそうたる弁護士の先生方が名を連ねているわけですが、「共謀罪は、一般のビジネスに従事する者(会社員)や自営業者にも適用される。」ということから危惧を表明されているということであります。 そこでまず、大臣にお尋ねしますけれども、会社などの、ビジネスで利益を得る目的の団体や、その中に存在するプロジェクトチームのような組織、こうしたものが、法文でいいますと「別表第三に掲げる罪を実行する」目的をも有しているような場合、組織的犯罪集団に当たり得るのではないかと考えますけれども、このビジネスロイヤーの見解もそのようになっていますけれども、いかがでございましょうか、大臣。
○金田国務大臣 階委員の御質問にお答えをいたします。 テロ等準備罪におけます組織的犯罪集団とは、組織的犯罪処罰法上の「団体」のうち、構成員の継続的な結合関係の基礎となっております共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいいます。 一般論として申し上げれば、正当な事業活動を行っている一般の会社につきましては、通常は、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにあるとは認められず、組織的犯罪集団には該当しない、このように申し上げます。
○階委員 通常はということをおっしゃいまして、その前段の方では、別表第三に掲げる罪を実行する目的があれば組織的犯罪集団に当たるということでありました。 そういうことであれば、ついでに申し上げますと、資料の六ページ目をごらんになってください。これはTOC条約の抜粋ですけれども、問題となっている五条1の(a)の(1)ですけれども、冒頭に、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行う」ということでありますから、まさに、利益を得る目的の企業などは、この観点からも組織的犯罪集団に当たり得ると考えるのが自然ではないかと思いますが、もう一度確認しますけれども、組織的犯罪集団に、企業のような、ビジネスで利益を得る目的の団体が当たり得るということは問題ないですね。そのとおりでよろしいですね。大臣、お願いします。
○金田国務大臣 先ほど申し上げましたが、私からは一般論として申し上げるわけでございますが、正当な事業活動を行っている一般の会社につきましては、通常は、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにあるとは認められませんので、組織的犯罪集団には該当しないということを申し上げます。
○階委員 その中の、例えば、節税対策を検討するプロジェクトチームがあったとしましょう。設問の二に移らせていただきますけれども、そういうプロジェクトチームなどが節税対策を計画したとしましょう、そして助言を顧問税理士に求めた、そして顧問税理士からは、これはテロ等準備罪の対象になっています、脱税の罪に当たると指摘されたとしましょう、そしてその段階で計画を断念した、こういった場合を想定してください。 助言を求めた時点で実行準備行為が認められ、その段階で共謀罪が成立し得るのであって、一旦成立すれば、その後、計画を断念しても罪は免れないと思うんですが、いかがでしょうか。大臣、答えられれば大臣で結構ですし。お願いします。
○金田国務大臣 階委員の御質問にお答えします。 ただいま階委員も最後にお話しいただきましたが、細目にわたる質問ではございますが、私からは基本的な考え方をお答え申し上げたいなというふうに思います。 先ほども申し上げましたとおり、一般論として申し上げますと、正当な事業活動を行っている一般の会社につきましては、通常は、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにあるとは認められませんので、組織的犯罪集団に該当しないので、テロ等準備罪は成立しない、このように考える次第であります。 この点につきまして補足をする意味においては、私どもの政府参考人から答弁をあわせて申し上げます。
○階委員 そこで、では政府参考人、このビジネスロイヤーの会のペーパーはお手元にあると思うんですが、彼らの見解は、今の大臣とは異なって、テロ等準備罪、我々の言葉で言う共謀罪が成立し得るのではないかという危惧を表明されていますが、成立し得ないというふうに明確に答えられるでしょうか。参考人、お願いします。
○林政府参考人 まず、正当な事業活動を行っている一般会社について組織的犯罪集団には該当しないということ、それから、節税対策のプロジェクトチームのような組織について言われましたけれども、これ自体が組織的犯罪集団と認められるためには、その組織自身が組織的犯罪処罰法上の「団体」に該当する必要がございます。そのようには認められないと考えられます。 したがいまして、いずれにしましても、テロ等準備罪は成立しないと考えます。
○階委員 しかし、組織的犯罪集団というのは、「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。」ということになっております。 後づけで、脱税の罪を目的としていたのではないかということになりませんか。税理士さんが脱税だということをアドバイスした結果、それはやらなかったけれども、計画段階では、脱税に当たることを計画していたわけですよ。つまり、それを目的としていたというふうに後づけで認定される可能性はないんでしょうか。法文上はその可能性は否定できないように思いますけれども、それはないというふうに断言できますか。
○林政府参考人 まず、犯罪主体の問題でございまして、組織的犯罪集団に該当しないということで、テロ等準備罪は成立の余地はない、こう考えているわけでございます。 その上で、先ほど、会社というだけではなくて、その中にある組織としてのプロジェクトチームについての言及がございましたが、これについては、先ほども申し上げましたように、それ自体が会社から独立した団体という形で認められる必要があるわけでございますが、こうした、会社の組織のために、その中でプロジェクトチームというものが設けられているということにつきますれば、これはそのプロジェクトチーム自体が独立の団体と認める余地はない、こう考えております。
○階委員 節税か脱税かというのは紙一重だと思うんですね。企業も利益を出さなくちゃいけない、会社を存続しなくちゃいけないというところで、節税対策もプロジェクトチームをつくったりしていろいろ検討する場合があるというのは、私も企業内弁護士をやっていたのでよくわかります。 そういった活動が事後的に、当初は別に正当な目的であったとしても、事後的に、客観的に脱税の罪に当たるというふうに認定された場合に、後づけで組織的犯罪集団に言う共同の目的が認定されて、そして、計画した、そして税理士にも相談しているということで、後づけで共謀罪が成立するというふうに捜査機関から言われる、そして検挙される、そういう可能性は全くないと条文上言い切れますか。条文上の根拠でお答えください。
○林政府参考人 節税なのか脱税なのかという、その行為のレベルでの評価の問題、これがさかのぼってテロ等準備罪の主体であるところの組織的犯罪集団の認定に影響を与えることはございません。 すなわち、まず、組織的犯罪集団と言えるかどうか、主体の問題がありまして、それが行った犯罪実行の計画がテロ等準備罪に当たるかどうかという形で議論されることとなろうと思います。
○階委員 そうすると、仮に、本当は脱税をしても構わない、未必の故意があったとしても、節税をする目的のプロジェクトチームだということで言い張っていれば、これは組織的犯罪集団には絶対に当たらないということでよろしいんですか。
○林政府参考人 まず、大前提として、その節税対策のプロジェクトチームというものが組織的犯罪集団には該当しないと考えておるわけでございます。それは、独立の団体性を有しないからでございます。したがいまして、そのことだけでテロ等準備罪というものの成立の余地はないと考えているわけでございます。 その上で、節税とか脱税とかいう形での問題を言われましたが、犯罪実行を目的としているというふうに認定するためには、その犯罪実行の認識がなければなりません。節税という形での、犯罪実行の認識がなければ、それはそういった組織的犯罪集団の共同の目的として認められません。
○階委員 プロジェクトチームというところでこだわりがあるようなので、では中小企業ということにしましょう。中小企業で、会社全体で節税を考えているんだけれども、脱税について未必の故意があるような場合、これは税務署に摘発されたらしようがないけれども、脱税について未必の故意がある場合、これは、未必の故意であっても故意犯が成立するというのは確定した理論ですから、それでもやはり組織的犯罪集団に言う目的はあると言えると思いますけれども、その場合であっても絶対にこれは成立しないということでよろしいですか。
○林政府参考人 その中小企業というものも、脱税の目的で結合しているわけではございません。正当な活動を行うことを目的としている中小企業、これについては、犯罪行為を行うという目的がなくてもそうした団体の構成員が結合していると考えられるわけでございますので、そういった脱税という行為が目的でなければその中小企業としての構成員が結合することはないということは考えがたいわけでございます。 すなわち、犯罪実行の目的、例えば脱税が結合関係の基礎としての共同目的になっているというふうには、その中小企業については全く認められませんので、組織的犯罪集団とはなり得ないということでございます。
○階委員 では、通常の企業の場合は、確かに利益を上げるのが目的ですよ。利益を上げる目的のために脱税をする目的があったという場合は、まさに、先ほど読み上げましたTOC条約の第五条にも、金銭的利益を目的とするために犯罪を実行するということになっているではないですか。中小企業、企業の場合は、利益を上げる目的がまずある、だけれども脱税の未必の故意もある、こういった場合は、条約に照らしてみても、摘発の対象になり得るんじゃないですか。それを否定できるというのは、明確な根拠は条文上ありますか。
○林政府参考人 あくまでも、正当な活動の目的というものがある団体について、それが脱税行為というものを仮に行うといたしましても、その団体は、脱税を行うため、そのことを結合関係の基礎としての共同の目的として結合している団体ではございませんので、そうした場合に組織的犯罪集団と認められることはないということでございます。
○階委員 今回の法案は、五月十九日に山尾委員の質疑で明らかになりましたけれども、TOC条約を締結するということが目的であり、立法事実なわけですよね。ところが、金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接または間接に関連する目的がある場合に、すなわち企業などの場合に、そういった企業が脱税の計画をしたといったことが、この場合摘発の対象にならないということになりますと、逆にTOC条約の五条の条件を満たさないということになりませんか、どうなんですか。
○林政府参考人 今回のテロ等準備罪の法案につきましては、条約にあります「組織的な犯罪集団が関与するもの」というオプション、これを国内法に落として、その結果が今回のテロ等準備罪の組織的犯罪処罰法の改正となっております。したがいまして、条約に基づいて国内法を構成しております。
○階委員 だから、条約に基づいてと言うのであれば、最初に何と書いてありますか、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意」と書いてあるわけであって、企業というのは、まさにそういう目的がありますよね。 重大な犯罪の中に脱税の罪も入りますよね。その上で計画をしたわけだから、これは何で対象にならないんですか。TOC条約に入るというのが目的であれば、当然対象になるんじゃないですか、さっきのケースは。どうなんですか。答えてください。
○林政府参考人 一般の団体を我々は組織的犯罪集団とは考えておりません。そして、条約においては、組織的犯罪集団が関与するもの、こういったものが、オプションとして使ってよい、こうなりました。したがいまして、組織的犯罪集団の関与というものを国内法の中に落としたわけでございます。 その際に、当然、一般の団体が組織的犯罪集団ではないという前提で、それが法律の中で正しく落とされているとすれば、全く条約にそごしているものとは考えておりません。
○階委員 つまり、こういうことですか。組織的犯罪集団に当たるかどうかが大前提で、これに当たらなければ、仮に金銭的利益その他の物質的利益を得る目的を有する団体であっても共謀罪は成立しないし、逆に、金銭的利益その他の物質的利益を得ることの目的がなかったとしても、皆さんの言うところの組織的犯罪集団に当たれば、これは共謀罪が成立するということになるわけですか。 目的の中に、TOC条約の五条、最初に「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的」というのを書いてありますけれども、これは共謀罪の成立には全く影響を及ぼさない、こういう理解でよろしいですか。
○林政府参考人 団体が、仮に金銭的な目的である犯罪を計画した場合、この場合には、例えば通常の会社がある段階で脱税を計画した、こういったものについては、今回、テロ等準備罪からは対象外とする、まずそれが前提でございます。それは、なぜならば、そういった団体は組織的犯罪集団ではないからであります。 その意味で、条約の中でも、あらゆる団体が金銭的な利益を目的として計画したものを処罰する、その合意を処罰する、これを条約は求めておりません。組織的犯罪集団が関与するというオプションをつけてよいということになっているわけでございますので、組織的犯罪集団の定義を置いて、国内法においては提出させていただいている法案としたわけでございます。
○階委員 そうですか。組織的犯罪集団が関与するかどうかというところに重きを置いているわけですね。利益というところには重きを置いていないということでいいわけですね。 ということであれば、今回、六百幾つあったものを二百七十七に絞り込んだわけですけれども、絞り込む過程でどういう罪が落とされたのかということを見てみますと、公用文書等毀棄の罪、刑法二百五十八条が落とされていますね。 今ちょうど、森友学園の問題で、財務省が公文書を廃棄したのではないか、これが違法ではないかというふうに有識者からも指摘されているところでございますが、この公用文書等毀棄罪、七年以下の懲役ですから、重大な犯罪には形式的に該当しますよね。かつ、これは、金銭的利益とは関係ないですけれども、今の説明だと、組織的犯罪に当たればいいんだということであります。 まさに、仮定の話ですけれども、違法な公文書毀棄であれば、組織的に財務省がやっているということになり得るわけですね。ということであれば、なぜこの刑法二百五十八条の公用文書等毀棄は排除したのかということだと思いますよ。 なぜこれを排除したんですか、教えてください。組織的にやれる犯罪ではないですか。
○林政府参考人 今回、対象犯罪を絞り込むに当たりましては、組織的犯罪集団というものが法文で明記されたことに伴いまして、その対象犯罪は組織的犯罪集団が現実的に計画することが想定される罪という形で対象犯罪を絞り込めば条約を履行することになる、こういった解釈をしておるわけでございます。 その観点から、公用文書毀棄等につきましては、行為の態様、現実の犯罪情勢等に照らして、組織的犯罪集団がこれらの罪の実行を計画することが現実的に想定しがたいと考えたことから、対象犯罪から落としたわけでございます。
○階委員 何か恣意的な選択をしているというふうに思えるわけですよ。条文を素直に読めば、金銭的な利益を得る目的のための犯罪であればこれを処罰の対象にするのが普通だと思いますけれども、さっき言ったような、会社という、利益を得る目的の団体であっても組織的犯罪集団に当たらないと明確に言い切る。他方で、組織的犯罪集団が行い得るような公文書毀棄のような犯罪、これについては否定している、対象に含めない。何か恣意的な選別をしているというふうに思えるわけですけれども、そうではないですか。 恣意的ではない、組織的犯罪集団が関与するのは二百七十七で、これ以上ふえもしないし減りもしない、そういう確定したものなんだというふうに言えますか。
○林政府参考人 まず、条約で、先ほど申し上げましたが、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることを直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うこと」の合意を処罰しなさいとしておりました。そのときには、組織的犯罪集団が関与するという要件はその本則にはございません。しかし、そこのオプションで、「組織的な犯罪集団が関与するもの」で犯罪主体を限定してよろしい、こういったオプションがありましたので、今回、それを使って、組織的犯罪集団が関与するものに限定したわけでございます。 その組織的犯罪集団の限定に当たり、法律上明文で組織的犯罪集団というのを定義したことによりまして、今回、対象犯罪というものも、その組織的犯罪集団が関与するということが現実的に想定できる、こういった対象犯罪に絞り込むということが条約上許されるということになりました。 そこで、今回、公用文書毀棄等については、現実的な犯罪情勢等に照らせば、あるいは行為の態様に照らせば、組織的犯罪集団がこれらの罪の実行を計画することは現実的に想定しがたいと判断した結果、対象犯罪としなかったわけでございます。
○階委員 全くよくわかりませんが、組織的犯罪集団、一般企業は当たらないということを言われましたけれども、このビジネスロイヤーの意見書にもあるとおり、明文上の確たる根拠がないということなんですよ。説明はされていますけれども、これは、まさに捜査機関の一存でいかようにでも運用できるということになりませんか。 逆に言うと、このビジネスロイヤーの会の声明、大変高名な弁護士さんが入っていますけれども、この方たちの言っていることは全くの杞憂、全くの誤りだということでよろしいんですか。
○林政府参考人 そのような、会社自体が例えば脱税をしたような場合、こういった場合も従来の組織的犯罪の共謀罪に当たるのではないか、こういった懸念がありました。このような懸念と今お示しの資料のものは、基本的に同じであろうかと思います。 私どもは、そういったことで、この団体というものについては、従来は団体の活動としてという解釈で制限しようと考えておったわけでございますが、そこに対する不安、懸念が示されたものでございますので、今回は団体というものをさらに限定して、組織的犯罪集団に限るということに限定したわけでございます。その際に、組織的犯罪集団の定義として、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にあるというところを明記したわけでございます。 これによりまして、一般の会社の団体が組織的犯罪集団となることは考えられないということになると私たちは思っております。
○階委員 思っておりますじゃないんですよ。条文上明確にならなければ、萎縮的効果が生じるじゃないですか。しかも、この組織的犯罪集団の構成員だけではなくて、きのうの参議院での答弁によれば、その周辺にいる人も共謀罪の主体になり得るという話もありました。 このビジネスロイヤーも指摘しているとおり、まさに、相談を受けた税理士さんや弁護士さん、こういった方たちも、もし間違って、本来は脱税の罪に当たるものを罪に当たらないと言ってしまった、そして、その意見に基づいて、本来は脱税に当たるのに脱税に当たらないと思って税務申告書のドラフトをつくってしまった、こういった場合にもテロ等準備罪、共謀罪が成立するのではないか、こういう懸念も抱いております。専門家にとっても萎縮的効果が生じるのではないかということを、ちゃんと論理的に説明しているわけですよ。 これは全く杞憂であって、法解釈の誤りだということを断言できますか。
○林政府参考人 組織的犯罪集団の定義として、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にあること、この定義によりまして、一般の団体というものが、一般の正当な活動をしておる団体が組織的犯罪集団に該当するということはないと考えております。
○階委員 だから、共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるということは、一方で通常の企業活動をするという目的があるのは認めますよ。そして、それによって利益を上げることを目的とする、それもあることは認めます。ただ、それと、別途、脱税の罪に当たるような目的もある、併存した場合に、基礎としての共同の目的がどっちにあるかというところは、まさに捜査機関の一存で決める話であって、併存しているから必ず共同の目的は脱税の罪ではないんだというふうには言えないと思うんですが、そうではないんですか。絶対にそこは、一般の企業であれば、どんな目的を抱いたとしても関係ないということは明言できるんですか。
○林政府参考人 例えば、脱税の目的がなければ、もうその会社は解散いたします、あるいは、そこには結合しません、そういうことであれば、脱税が共同の目的になると思いますけれども、そういうことではないわけでございます。結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行の目的であると、正当な活動をしている団体をそのように言うためにはそこまで立証しなければ、そういった結合関係の基礎としての共同の目的というのは立証できないわけでございます。 そういった意味で、一般の団体が、脱税を行うことが組織の活動としてあり得る、それはあり得ると思いますけれども、それはあり得るからといって、あるいはそういった脱税を計画していること、あるいは仮に何回か繰り返しているからといって、その団体の目的が脱税にある、あるいは犯罪実行の目的にあるということにはならないということを申し上げております。
○階委員 条文の根拠を聞いておるわけですけれども、条文上はどこからそう読み込めるのかということが問題なんだと思いますよ。 条文上の根拠はあくまでこの結合関係の基礎というところにあるわけですけれども、この結合関係の基礎というところが極めて解釈の幅が広い概念ではないかと私は思っております。そういう点で、ビジネスロイヤーの皆さんの意見というのも、私は杞憂ではないと思っております。 もし、ここは杞憂だというのであれば、きちんと文書で法律上の根拠を示して説明していただきたいと思います。委員長に、その点をお諮りいただきたいと思います。委員長、お願いします。
○鈴木委員長 承りました。
○階委員 よろしいですか。理事会で。
○鈴木委員長 理事会で協議します。
○階委員 お願いします。 では、質問を終わります。
○鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。 時間が限られておりますので早速質問に入りたいと思いますが、その前に、冒頭に、きょう、アメリカのCIAの元職員でありましたスノーデン氏のインタビューを共同通信が配信しております。それを読みますと、日本の共謀罪法案についてどう思うかという問いに対して、まず、法案に懸念を表明した国連特別報告者に同意する、法案がなぜ必要なのか明確な根拠が示されていない、新たな監視方式を公認することになる、大量監視の始まりであり、日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになるという懸念をスノーデン氏は表明しておられます。 それから、先般、多分これは法務委員会の議論だったと思いますけれども、日本が一億総監視社会になることはないんだ、その理由の一つとして、捜査機関はそんなに暇ではないというような発言があったかというふうに記憶しておりますけれども、今の監視社会というのは必ずしも人がやるわけではないわけであります。 例えば、エックスキースコアというようなシステムがある。これは日本もどうも持っているようでありますけれども、スノーデンはこれを使っていたというふうに言っています。あらゆる人物の私生活の完璧な記録をつくることができる、通話でもメールでもクレジットカード情報でも、監視対象の過去の記録まで引き出すことができるタイムマシンのようなものだ、このように共同通信のインタビューで述べているわけでありますので、私たちは、人権を侵害するようなあらゆる可能性について配慮をしながらさまざまな議論をしなければいけないのかなというふうに思っているところであります。 そこでまず、きょうは、先般、五月の十八日に、世界の人権状況を調査する、先ほど申し述べました国連の特別報告者、日本のこの共謀罪法案に関して、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があるという書簡を安倍総理宛てに送付したというふうに言われておりますが、まず、この書簡を確知したのはいつなのかということと、これについて菅官房長官が、この書簡は不適切なものであり強く抗議を行っていると述べておられますけれども、この反論をしたのはいつかということをまず教えていただきたいと思います。
○武井大臣政務官 お答えいたします。 御指摘のございました件でございますけれども、これにつきまして、カナタッチ国連人権委員会プライバシーの権利保持特別報告者でございますが、発出した公開書簡は、日本時間の本年の五月十八日の夜に、国連高等弁務官事務所、OHCHRのホームページに掲載されたと承知しております。(逢坂委員「反論したのはいつか」と呼ぶ) 失礼しました。 この反論でございますけれども、これにつきましては、本年の五月十八日の夜、国連のプライバシー報告者、先ほどのカナタッチ氏の書簡につきまして、ホームページに公開されたものを踏まえまして、我が方からジュネーブ代表部を通じまして、同事務所を通じ、まず、直接に説明する機会を得られることもなく、公開書簡の形で一方的に発出されたこと、及び同書簡の内容が明らかに不適切であるという旨について強く抗議をしたところであります。
○逢坂委員 要するに、この書簡を確知したのが十八日の夜、確知して即その日の夜のうちに、いわゆる抗議、官房長官の言うところの抗議をしたということだと思うんですが。 まず一つ、官房副長官にお越しいただいているんですけれども、私、この書簡を読むと、これは、要するに、疑問点について答えてくださいというような内容になっているわけです。そして、疑問点にしっかり答えていただけるのであれば、その内容について、このカナタッチさんという方が言っているということについても修正の用意があるということを言っているわけですが、なぜこんなに早く反論をしたのか。私、ちょっと大人げないような対応のように感ずるんですね。この点、一つお伺いしたい。 それからもう一点、これは外務省でもいいんですけれども、官房長官は、特別報告者という立場は、独立した個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場だ、国連の立場を反映するものではないというふうに強調したわけでありますが、政府が国連に対して反論した文書によれば、貴特別報告者が国連の立場からこのような懸念を表明することは差し控えていただきたかったというふうに反論しているわけですね。 国内向けには国連の立場を反映する人ではないと言いながら、反論するときは、国連の立場からこのような懸念を表明することは差し控えていただきたかったと言っているのは、これは二枚舌じゃないですか。国内には国連の立場じゃないと言いながら、国連に対しては、国連の立場でやるのはやめていただきたいということを言っている、これは二枚舌じゃないですか。 あわせて二つの質問、よろしくお願いします。
○萩生田内閣官房副長官 今般のカナタッチ氏の公開書簡につきましては、法案を作成した当事者である日本政府からの説明の機会を持つことなく、公開書簡の形で一方的にその見解を発表した点で、不公正かつ不適切であると考えております。 また、その書簡に示された懸念や指摘事項は、一部の関係者から得た限られた情報のみに基づくものであることがうかがわれ、これまで国会審議等の場において政府が説明してきた内容を踏まえていないものであり、その内容は明らかに不適切であるとの判断から、我が国として直ちに抗議を行ったものであり、早過ぎるという御指摘なんですけれども、常日ごろから、こういった国際場裏の動きに対しては外務省も非常にアンテナを高くしておりますので、時間的に早かったか遅かったかというのは、客観的に見て、先生が早いと言われても、我々としては遅いなと思うことも時にはありますので、御理解いただきたいと思います。 また、もう一点御指摘の、国連人権高等弁務官事務所に対して発出した抗議文の和文において、特別報告者が国連の立場から懸念を表明することは差し控えていただきたかったという旨を記載しておりますけれども、国連の報告者の方たちがそれぞれの立場でいろいろな報告をされることは認められているわけですけれども、できれば、内容については、きちんと問い合わせをしていただければ幾らでも政府としては説明の機会がございますので、そういった意味を込めての抗議というふうに御理解いただきたいと思います。
○武井大臣政務官 今御指摘いただきました点でございますが、この抗議文の和文におきまして、特別報告者が国連の立場から懸念を表明することは差し控えていただきたかったという旨、確かに記載をしているのはそのとおりでありますが、ここで言いますところの国連の立場からというのは、これは英文でございますと、イン・ザ・ネーム・オブ・スペシャル・ラポラトゥール・オブ・ジ・ユナイテッドネーションズ、すなわち、国連特別報告者の肩書においてという意味で用いたものでありまして、同事務所に対してもその意味を明確に伝えたところでございます。 特別報告者は、特定の国の状況、また特定の人権というものに関するテーマで調査報告を行うために、人権理事会から個人の立場で任命された独立の専門家でありますので、同専門家の見解は国連の立場を反映するものではない。 この点につきましては、さきのタオルミーナ・サミットの機会におきまして安倍総理と懇談をいたしましたグテーレス国連事務総長も、人権委員会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映したものではないと述べているところでございまして、したがいまして、特別報告者が個人の立場とする説明と政府が発出した抗議文の内容は矛盾するものはないと考えております。
○逢坂委員 今の説明、国連の職としての立場であるかどうかといったような、あえて後で説明を加えなければ国民が理解できないような反論をすることは、私はやはり二重基準というふうにとられると思いますよ。国民には国連の立場じゃないんだと明確に言っておきながら、この書簡ではやはりそういうふうに書いてあるわけだから、それで、あえてそれが説明しなければ国民が理解できないということは、国内外で二枚舌を使っていますよと言われかねない、私はそう思いますよ。 それは、最初の文書の出し方が間違っているんだと私は思うんですよ。慌ててすぐ反論して、書簡の中身もちゃんと、読んでいるんでしょうけれども、書簡は、あれは冷静に読むと、ちゃんと返答してくださいねということを言っているわけだから、この書簡が全て一〇〇%正しいと言い切っているわけではないんですね。そういうやはり余裕のないやり方をしていることに私は問題があると思いますよ。 時間がもうありませんので、この点に関してもう一つだけ。 この書簡の中では、共謀罪について、要請があれば、国際法秩序と適合するように日本の現在審査中の法案及びその他の既存の法律を改善するため、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを謹んでお受けいたしますというふうにあるんですが、これによれば、共謀罪法案というのは国際法秩序に適合していないと指摘されたも同然であるというふうにも私は感じるんですけれども、この点、法務大臣はどう考えるかということと、それから、専門知識と助言を提供することを謹んでお受けいたしますということを言われているんですが、この専門知識と助言、これを受け入れる考えはあるのかどうか、この二点、お伺いします。
○金田国務大臣 逢坂委員の御質問にお答えをします。 テロ等準備罪処罰法案は、既に百八十七の国と地域が締結済みの国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法整備を行うものであります。そして、テロ等準備罪は、過去の法案への批判や懸念も踏まえて、本条約第五条1の(a)の(1)に定めるオプションを活用し、要件を明確にするとともに、処罰範囲を限定したものであります。 このようなテロ等準備罪が、国際法秩序に適合することは明らかであると考えておる次第であります。
○逢坂委員 それでは、国際法秩序に適合することは明らかだから、この特別報告者の言うところの助言あるいは専門知識、この提供を受ける気はないということで、大臣、よろしいですね。うなずいてお答えいただければと思うんですが。
○金田国務大臣 カナタッチ氏の公開書簡、これに示された懸念あるいは指摘事項につきましては、現在、政府内で、その内容を精査するとともに、具体的な対応について検討しているところであると承知しております。この書簡の照会事項につきましては、追ってしっかりと我が国の立場を正式に回答する予定であると承知しておる次第であります。
○逢坂委員 聞いていることと違うことを答弁されているんですけれども、時間がありませんので、ちょっと次に進みます。 そこで、大臣、例の立法事実、どうなりましたか。頭の中にたくさんあると言っていた立法事実、そろそろ頭の中にたくさんあるのを教えていただきたいんですが、二つか三つでも構いませんので、たくさんあるとおっしゃっておられましたので、お願いします。
○金田国務大臣 限られた時間で非常に多数の御質問なので、答弁を簡略にしようという努力をしておりますことは、まず御理解をいただきたいと思います。 国際組織犯罪防止条約は、締約国に対しまして、合意罪または参加罪の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけております。 しかし、現行法上は、参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎない上に、予備罪は、予備行為を処罰するもので合意を処罰するものではなく、客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とはならない。 このように、現行法が条約が定める犯罪化義務を果たしておらずに不十分であることは制度の対比からして明らかでありまして、政府としては、十分に立法事実をお示ししているものと考えております。
○逢坂委員 質問時間が終わりましたのでこれでやめますが、結局、大臣、今、きょうこの時点になっても、具体的な立法事実が言えないというのが真実なんじゃないですか。TOC条約を締結することが立法事実だという説明は何度も何度も聞いておりますけれども、国内で具体的な事例を紹介して、こういうことがあるからこれが立法事実なんだということは、きょうこの時点になっても言えない、そういうことを確認させていただきたいと思います。 以上です。終わります。
○鈴木委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 まず初めに、五月十九日、前回の当法務委員会で審議を断ち切って共謀罪法案を強行採決したことに強く抗議をするものです。 共謀罪法案の内容というのは、審議の中でも、まさに憲法違反であり、また、政府自身が中身をきちんと説明できない。今議論にありましたように、国連からの懸念の声も上がっております。そして、国民の多くが反対をしているものだということも明らかになりました。 五月二十二日発表の共同通信の世論調査では、政府の説明が不十分だが七七・二%。法案に賛成が三九・九%、反対は四一・四%。そして、五月十九日の当法務委員会での採決はよくなかったが五四・四%と多数を占めております。今国会で成立させる必要はないは五六・一%です。これは、五月二十五日発表の朝日新聞でも、今国会の成立の「必要はない」が五七%、「必要がある」の二三%と差がついている。安倍内閣支持層でも、「必要はない」が四一%、「必要がある」が四〇%と割れているということなんですね。 ですから、私は、徹底した審議が必要だというふうに思います。 それで、私は、人権にかかわってきょうは質問をいたします。 衆議院の本会議での採決、五月二十三日の前の五月二十二日に、治安維持法違反容疑で逮捕された経験のある四人の方が院内に来られて記者会見をいたしました。 神奈川県川崎市の水谷安子さん、百三歳は、富山県女子師範学校で出会った英語教師の影響でマルクス主義などを勉強し、卒業直前に特高に治安維持法違反容疑で逮捕され、一週間で釈放されたが、退学になった、その後も二度逮捕された。 千葉県船橋市の杉浦正男さん、百二歳は、当時、印刷労働者の親睦会に入っていた、一九四二年秋、メンバーの一人が反戦ビラを配ったことで、東京都内の自宅で夕食を食べているときに突然逮捕された、半年前に結婚した妻は長女を身ごもっていた、逮捕後の取り調べでは棒でめった打ちにされた、懲役三年となり横浜刑務所に、寒さや暑さに耐え、栄養失調に苦しんだ、親睦会のリーダーは刑期を終える前に栄養失調で死亡、長女を疎開させた後も東京にとどまり支え続けてくれていた妻が東京大空襲で死んだことも獄中で知った。 北海道音更町の松本五郎さん、九十六歳、旭川市の菱谷良一さん、九十五歳、旭川の師範学校五年生のときに逮捕された、絵の好きな二人は美術部では生活をありのままに描く生活図画教育を受けていた、それが危険思想とみなされ、二人を含む教諭や学生二十七人が逮捕されたということを生々しく証言されました。 資料では東京新聞をつけさせていただいております。 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟によると、生存されている犠牲者は全国で十九人ということです。かつて、金田法務大臣に要望をされておられます。二十二日にも国会請願と集会を行われておられまして、全国四十二都道府県から百八十人が参加をし、二十万四千二百九十五人分の署名を提出されております。 そこで、金田法務大臣に伺います。治安維持法の内容についてどう認識されていらっしゃいますか。
○金田国務大臣 畑野委員の御質問にお答えをします。 治安維持法は、大正十四年に公布、施行され、国体の変革または私有財産制度の否認を目的として結社を組織した者等を処罰することとした法律であると承知をいたしております。 そして、認識と言われましたが、治安維持法につきましては種々の意見があるものと承知をしております。この治安維持法の内容や適用された事例を含めまして、歴史の検証については、専門家の研究、考察等に委ねるべきものと考えております。
○畑野委員 二〇一五年四月現在ですが、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の調査によれば、治安維持法により、警察署での拷問による虐殺者九十三人、服役中、未決勾留中の獄死者百二十八人、服役中、未決勾留中の暴行、虐待、劣悪な環境などによる発病で出獄、釈放後死亡した者二百八人、弾圧で再起できず自死した者二十五人、宗教弾圧での虐殺、獄死者六十人と報告されております。 金田法務大臣に伺いますが、特高警察、憲兵などの拷問による虐殺、長期勾留による獄死などが起きたのは、法律の規定が適切でなかったからではありませんか。
○盛山副大臣 畑野先生の御質問でございますけれども、戦前における治安維持法違反の被疑者に対しまして具体的にどのような手法により捜査が行われたのか、当該捜査手法を用いた原因が同法の規定にあるのか否かについては、それに関する資料を把握しておりませんので、お答えすることは困難でございます。 しかし、一般論として申し上げれば、現在の日本国憲法下におきましては、適正手続が保障されており、捜査において基本的人権を不当に制約することがないよう、法律上の担保がなされているところでございます。
○畑野委員 これはぜひ掌握していただきたいと思っているんですが。 さらに伺います。 治安維持法犠牲者に対する拷問などは、当時の刑法でも禁止され、処罰対象になっていたのではありませんか。
○井野大臣政務官 当時の法律の有無についてでございますけれども、一般論として申し上げれば、治安維持法が施行されていた間においても、特別公務員職権濫用罪であったり特別公務員暴行陵虐罪の規定は存在しておりました。
○畑野委員 戦後の日本の原点は、軍国主義の除去と民主主義の確立を基本的な内容とするポツダム宣言の受諾ということにありました。それを具体化して、再び戦争をしないという日本国民の決意と願いによって生まれたのが日本国憲法です。 伺いますが、治安維持法はポツダム宣言の受諾によってどうなったのか、事実経過について、まず外務省に説明を求めます。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。 ポツダム宣言は、我が国に対してさきの大戦を終結させるための条件を示すなどした文書であり、昭和二十年七月二十六日、当時の我が国の主要交戦国の代表者であるアメリカ合衆国大統領、中華民国政府主席及びグレートブリテン国総理大臣により署名されたものでございます。その後、同年八月八日、ソビエト社会主義共和国連邦が我が国に対し宣戦を布告するとともに、同宣言に加わった経緯がございます。 我が国は、昭和二十年八月十四日、同宣言を受諾して降伏し、同年九月二日、降伏文書に署名をしております。
○畑野委員 伺いますけれども、治安維持法ですが、ポツダム宣言の受諾によって廃止されたことについて、法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○井野大臣政務官 治安維持法についてでございますけれども、ポツダム宣言受諾後である昭和二十年十月十五日に「治安維持法廃止等ノ件」と題する昭和二十年勅令第五百七十五号が公布、施行されたことにより、同日廃止されたものと認識しております。
○畑野委員 この議論は国会でかつてもやられておりまして、金田大臣の御答弁もあったわけですが、一九七六年の九月三十日、我が党の正森成二衆議院議員に対する三木武夫総理の御答弁という点では、「治安維持法につきましてはすでにそのときでも批判があり、今日から考えれば、こういう民主憲法のもとに考えれば、これはやはりわれわれとしても非常な批判をすべき法律であることは申すまでもない」というふうにおっしゃっておられました。 共謀罪法案は、現代版治安維持法と呼ばれております。治安維持法とはどのような法律であったか。 一つは、制定過程は、強行採決のもとでされたということが記されております。治安維持法が議会に提案されると、議会内外から厳しい反対意見と反対運動が起こった。議会内では星島二郎などが、この法案は権力による濫用を招くと強く反対をした。労働組合や農民組合や無産政党も、この法案が議会を通れば、権力の濫用によって自分たちの運動が弾圧されることになると、危機感を募らせて反対運動をした。帝国議会の周りに治安維持法反対の大きなのぼり旗が林立した。議会請願という大衆行動が展開された。ところが、それを押し切って強行採決で成立した。適切に制定されたとは言えないものだったということを言わなくてはなりません。 さらに、明治憲法にさえ違反をしていた。 先ほどもお話がありましたが、曖昧な構成要件である国体、私有財産制度を、特高警察と思想弾圧担当の当時の検事が意図的に政治的に利用して、これを裁判所が追認した。そして、戦争に反対し、平和と民主主義のために闘い、抵抗する人々に襲いかかった。こういう歴史がございます。 人を逮捕、監禁、審問、処罰すべき法律は、明治憲法においても、権力の濫用を許さない構成要件の明確さが求められていた。明治憲法二十三条、「日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ」にも違反をしていたと言わなくてはなりません。 そして、治安維持法は国際社会にも背を向けたというのは、その当時の歴史の状況からも明らかであるわけです。 戦後、治安維持法が否定された以上、この法律による弾圧犠牲者の救済、名誉回復をするべきではありませんか。法務大臣、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 お答えをいたします。 治安維持法は、当時適法に制定されたものでありますので、同法違反の罪に係ります勾留、拘禁は適法でありまして、また、同法違反の罪に係る刑の執行も、適法に構成された裁判所によって言い渡された有罪判決に基づいて適法に行われたものであって、違法があったとは認められません。 したがって、治安維持法違反の罪に係る勾留もしくは拘禁または刑の執行により生じた損害を賠償すべき理由はなく、謝罪及び実態調査の必要もないものと思料をいたしております。
○畑野委員 金田大臣、だめですよ。それをまた繰り返すんですか、共謀罪法案。 当時も、明治憲法のもとで、憲法違反、強行採決、国際社会からの批判も聞かない。その結果、侵略戦争に突き進んだんじゃありませんか。そのような認識だから、人権の問題でも、きちっとした国際的な懸念に応えることができないという状況だと言わなくてはなりません。 私は、こうした問題を適切ではなかったと、大臣がおっしゃる前に、幾つか申し上げました。もう御高齢なんです。百三歳、百二歳ですよ。それでも頑張って生きてこられた。そういう方たちに戦後の日本の政府としてきちっと対応をするべきだ、今の法律で何ができるのか真剣に考えるべきだというふうに思いますが、金田大臣、いかがですか。
○金田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございます。
○畑野委員 本当に政治が変わる必要があるということを申し上げて、これは必ず解決すると決意を申し上げたいと思います。 次に、同様のことは戦後のレッドパージでも行われてまいりました。 二〇一〇年八月三十一日、内閣総理大臣に対して日本弁護士連合会は勧告書を出しております。レッドパージの被害者の方たちです。 「申立人らの思想・良心の自由及び結社の自由を侵害するとともに同人らを処遇上差別した重大な人権侵害行為であった。申立人らは、これら解雇等の措置によって、申立人らに非があるかのように取り扱われてその名誉を侵害されたばかりでなく、生活の糧を失うことによって苦しい生活を強いられるなど、生涯にわたる著しい被害を被ってきた。」「当連合会は、国に対し、申立人らが既に高齢であることを鑑みて、可及的速やかに、申立人らの被った被害の回復のために、名誉回復や補償を含めた適切な措置を講ずるよう勧告する。」というふうに述べております。 きょうは資料で、毎日新聞と神戸新聞の中に載っております大橋豊さんらの裁判の状況についても載せさせていただきました。戦後最大の人権侵害とされるレッドパージをめぐる全国唯一の国家賠償請求訴訟の原告のお一人で、八十七歳になられておられます。 こうした皆さんの、被害者の名誉回復、救済、これを政府として図るべきではないでしょうか。
○金田国務大臣 ただいま御指摘の免職または解雇につきましては、その行為の時点において、連合国の最高司令官の指示に従ってなされたもので、法律上の効力を有しておりますし、その後に、平和条約の発効により連合国最高司令官の指示が効力を失ったとしても、影響を受けるものではないという司法判断が確定しております。 法務省としては、このような司法判断を踏まえて、何らかの対応を実施することについては考えておりません。
○畑野委員 この大橋さんは、レッドパージとしての被害者で、今大臣が言うような冷たい対応で、ずっと救済されてこなかったわけです。 そして、国家公務員として逓信省、電気通信省に在職していたわけですが、その働いていた時期の年金の支給もされていないと訴えておられます。きちっと調査すべきではありませんか。
○可部政府参考人 お答えいたします。 一般論として申し上げますと、国家公務員として働いていた期間があるにもかかわらず、何らかの理由で年金が支給されていない場合がございましたら、年金支給事務を行っております実施機関、こちらにおきまして事実関係を確認した上で、法令に従って適切に対応をしているものと考えております。
○畑野委員 これも、私が質問するということで、初めてそういう御答弁をいただくことができました。 私の父もレッドパージ被害者の一人です。多くの方々と御家族が塗炭の苦しみをされてきた。この戦後最大の人権侵害の解決、これも図らなくてはならないということを申し上げたいと思います。 さらに、女性の人権の問題について伺います。 五月二十四日、院内で、女性差別撤廃条約選択議定書の批准に向けて集会が開かれました。 女性差別撤廃条約は、一九七九年、国連総会で採択され、一九八一年に発効し、日本は一九八五年に締結をいたしました。その女性差別撤廃条約の選択議定書は、一九九九年、国連総会で採択され、二〇〇〇年に発効いたしました。 女性差別撤廃条約というのは報告制度しかなくて、最も弱い実施措置と言われておりますので、選択議定書では、実施措置としての個人通報制度と調査制度という新たな二つの制度を設けております。 伺いますが、この女性差別撤廃条約選択議定書についても、日本政府として締結すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○飯島政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘の女子差別撤廃条約選択議定書におきましては個人通報制度が規定されておりますが、この制度は、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると認識しております。 他方、この個人通報制度を通じて、女子差別撤廃委員会から、例えば、国内の確定判決とは異なる内容の見解、あるいは通報者に対する損害賠償や補償を要請する見解、さらに法改正を求める見解等が出されました場合には、我が国の司法制度、立法制度との関係でどのように対応するか、他国に関する通報事例等も踏まえつつ検討する必要があると認識しております。 政府としましては、これまで十九回にわたりまして個人通報制度関係省庁研究会を開催するとともに、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や運用の実態等について調査等を行っているところでございます。 こうした調査も含め、各方面から寄せられる意見等も踏まえつつ、引き続き政府として真剣に検討してまいりたいと考えております。
○畑野委員 真剣に検討した結果、早く締結するように強く求めておきます。 最後に、先ほどから議論になっている共謀罪法案についての国連特別報告者ジョセフ・カナタッチ氏の日本政府に対する公開書簡について伺います。 カナタッチ氏からは、プライバシーの権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があると、懸念の内容などを、そして質問を内閣総理大臣に宛てて寄せられました。 今、参議院の法務委員会でも審議がされておりますけれども、これは私は、早急に、国連特別報告者の懸念を払拭すべく、国としてきちっと回答し、その内容を示すべきだと思いますが、いかがですか。
○飯島政府参考人 お答えいたします。 この特別報告者は、先ほどの審議でも御説明がありましたとおり、特定の国の状況または特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家であり、この専門家の見解は国連の立場を反映するものではございません。 今回出されました公開書簡を受けまして、政府は、我が方のジュネーブ代表部から国連人権高等弁務官事務所を通じて、直接説明する機会が得られることもなく、公開書簡の形で一方的に発出をされたこと、及び同書簡の内容は明らかに不適切なものであることを抗議しております。 また、この抗議の中におきまして、テロ等準備罪は、百八十七の国・地域が締結しているTOC条約を締結するためにも必要なものであること、また、テロ等準備罪処罰法案は、本条約が認めている組織的な犯罪集団が関与するとの要件及び合意の内容を推進するための行為を伴うとの要件の双方を活用した、他の締約国と比しても厳格な要件を定めたものであって、プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約する、あるいは恣意的な運用がなされるといった指摘が当たらないことも指摘しております。 政府としましては、こうした取り組みを国際社会に対して正確に説明すべく、同書簡に示されている照会事項につきましても、追ってしっかりと立場を正式に回答する予定でございます。
○畑野委員 信義則の話がありましたけれども、カナタッチさんからそういうのが出たというのは、普通は、一カ月かかって、答弁にかかるという関係でしょう。 独立した、本当に国連からきちっと位置づけられてやっている方ですよ。ここの委員会で強行採決を十九日にする、そういう状況の中で十八日に、やむにやまれず、これはもう間に合わないということで、公開書簡という方法しか適切な、有効なやり方はないということじゃありませんか。 国連は、別に、ちゃんと対話しよう、説明してくださいと言っているわけですから、それに答えるべきだ。 時間が参りました。委員長、政府がきちっとした回答、そしてそれに基づく当委員会での審議を行うように求めたいと思いますが、いかがですか。
○鈴木委員長 理事会で協議します。
○畑野委員 以上で終わります。
○鈴木委員長 次に、松浪健太君。
○松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。 今回は一般質疑ということですので、私は、今回、DNAの親子鑑定の問題を取り上げさせていただきたいと思います。 三年ほど前ですか、元アイドルグループに所属されていた俳優の方と女優の方が結婚されていて、離婚して、その後男性が育てていたお子さんが実は自分と血がつながっていなかったという報道が、女性誌、ワイドショーなんかでも随分と報道されました。 それ以来、このDNA鑑定というのは随分一般的なものになりまして、最近だと、私的鑑定と法的鑑定と二種類ありますけれども、私的鑑定で大体二万円から四万円、そして法的鑑定だと七、八万円で行えるという、随分とわかりやすい、身近なものになっているわけであります。 ヒトゲノムなんというのも解析が進みまして、どういう病気になりやすいんだというようなことを、我々の全遺伝子を解明する時代ですから、これだけ安価になるのも当然だというふうには思いますけれども。 刑事事件なんかでもよくDNA鑑定も行えるんですけれども、このDNAによる親子鑑定の精度というものについて、法務省としてはどのように認識しているのか、まず伺います。
○小川政府参考人 嫡出否認の訴えや認知の訴えが提起された場合、これは民事の関係ということになりますが、そういった場合など、訴訟において親子関係が争われた場合にはDNA鑑定が用いられることがございますが、科学技術の発展に伴って、親子関係の存否に関するDNA鑑定は、適切な試料を用いて適切な方法で行われた場合には極めて高い精度を有するものと承知しております。 ただ、このような、私人間での紛争の解決のためにDNA鑑定を証拠として用いる場合には、DNA鑑定そのものの精度とは別に、鑑定試料として本人の検体が正しく用いられたのかどうかなどの問題はあるものと、その点を認識しております。
○松浪委員 DNA鑑定、ほぼ一〇〇%だという認識だと、正しく使われれば、ほぼ一〇〇%という認識でよろしいんですか。
○小川政府参考人 この点につきましては、最高裁判例の中でも、「近年におけるDNA検査技術の進歩はめざましく、安価に、身体に対する侵襲を伴うこともなく、ほぼ一〇〇%の確率で生物学上の親子関係を肯定し、又は否定することができるようになった」ということが示されておりまして、この考え方と基本的には同様でございます。
○松浪委員 それでは、民事局長、民法第七百七十二条一項でありますけれども、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」とありますけれども、どうしてわざわざ推定する必要があるんですか。
○小川政府参考人 嫡出推定制度は、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定する制度ということになりますが、これは子供の保護を図るという趣旨でございます。早期に嫡出親子関係を法律上つくり出して、それによって子供の保護を図るというのが基本的な考え方でございます。
○松浪委員 これは推定しなくても、妻が婚姻中に懐胎した子供で、生まれてきたらDNA鑑定をすればはっきりすると思うんですけれども。 この法律ができた当時、こうしたDNA鑑定の技術を想定していたのかどうか、伺います。
○小川政府参考人 この法律、七百七十二条ができたときには、DNA鑑定が今日のように行われるということは想定されておらないことは確かだと思います。
○松浪委員 まさに、民法ができてもう百年を超えて、こうした明治時代の親子関係と、それからまた、戦後、民主主義国家になって、さらには科学技術もここまで進んできた中で、私は、制度と現実の状況が随分かけ離れてきていると。午前中の議論でもありましたけれども、立法事実さえ変わってくるし、法律というのは時代に合わせて変えていかなければならないものだという質疑のやりとりがあったかと思いますけれども、まさにこの点は、私は非常に大きな問題をはらんでいると思います。 まさに男女というのは、私は平等の権利を有していると思うんです。これは実はわざわざ通告はしていないんですが、私は、まず、男女は平等の権利を有するという前提に立ちますけれども、女性は、自分の子供が生まれたら、その子供は、ああ、他人の子供だなと、腹を痛めた子と言うぐらいですから、それは代理母でもない限りはまずあり得ない。 しかし、男の場合は、それを知る由はない。ゆえに、この民法第七百七十二条一項は、「推定する。」という、なかなか深い書き方をしているわけですね。昔は推定するしかなかったんです、この法律ができた時代は。しかし、今は推定せずとも確定することができるわけでありますけれども、男性にとっては、夫にとっては、妻に子供が生まれたときに、知る権利というものはあるのかどうか。まさに、先ほどのアイドルの方のDNA鑑定の話がありましたけれども。 昨年の十月二十四日付のアエラの記事なんですけれども、親に促されてDNA鑑定する父親が激増ということで、鑑定現場の人間模様が泣ける、そういう副題もついていますけれども、これがあることによって、非情な人間ドラマがまあ今至るところで起きている。親が、ちょっと嫁も素行が悪いから、ほんまにおまえの子供かというようなことを言われるような時代になってしまった。嘆かわしい記事であります。 こうした記事が出る時代に、妻から生まれた子供を、夫の、自分の子供として知る権利というのはどのように確保されているんでしょうか。これは通告していませんけれども。
○小川政府参考人 ただいまのような知る権利につきましては、法律上は規定はございません。あくまで夫婦間の問題でございますので、夫婦の話し合いによって実現するというのが一般的な考え方ではないかと思います。
○松浪委員 ですから、法的にはそれは平等ではないということでよろしいんですか。
○小川政府参考人 妻の場合は、分娩によって親子関係が当然に生ずるわけでございますので、そのこと自体は、いわば事実として明らかということだと思います。 夫の方は、妻の分娩によって親子関係が生ずるような関係にはございませんので、違いがあるのは確かだと思いますが、それはいわば、男女の生理的な機能による区別ということが言えようかと思います。
○松浪委員 さすが民事局長ですね。すばらしい答弁だと思います。本当にそのとおりでありまして、しかしながら、昔であれば、このようなことを推定するだけでよかった。我々も余計なことを知らないでもよかったんですけれども、知るすべがあるということは、ここに非常に、今まで持たなくてよかった人間の葛藤というのが生まれるわけであります。 そうした中で、次の質問に移りたいと思いますけれども、嫡出否認の訴え。 夫婦間に出生した子供が、これは推定されるけれども、自分の子供ではないと夫が主張する場合には、嫡出否認の訴えを起こす。それは、父親が子供の出生を知ったときから一年以内に限られるわけであります。この一年を超えると、結局、親子関係不存在確認調停なんというのを起こさなければならないんですけれども。 DNA鑑定は、これだけ確実な技術だということが最高裁の判例からも明らかだという御答弁がありましたけれども、この嫡出否認の訴えにおいて、DNA鑑定の位置づけ、つまり、妻は、このDNA鑑定を訴えの中で拒否できるのか否か、伺います。これは通告しています。
○小川政府参考人 DNA鑑定の実施につきましては、鑑定試料を必要とされる者の体細胞の採取などが想定されることなどを踏まえますと、その者の人格権やプライバシーへの一定の保護ということについての配慮は必要ではないかというふうに考えられるところでございます。 そのため、現行法では、例えば嫡出否認の訴えなどにおいて、事件関係者の意思に反してまで強制的にDNA鑑定を実施することは、できることとしておりません。 もっとも、嫡出否認の訴えなどで生物学的な親子関係の存否が問題となる場面において、当事者がDNA鑑定の実施を拒んだというそのこと自体は、裁判所側の自由心証主義のもとで、個別の事案における親子関係の存否の認定に当たりまして、弁論の全趣旨として訴訟の中でしんしゃくすることができる事情であると考えられると思います。
○松浪委員 そのしんしゃくの程度なんですけれども、これがそんなに深くしんしゃくされているのかなというふうに私は思うわけであります。 ここで、本当にこういう訴えの中で、わかるものをしんしゃくすべきかどうか、これがプライバシーに当たるかどうかというのは、なかなか、夫婦間でこういうことが起きること自体、私は異常だと思いますので、科学的に白黒つければいいんじゃないかな、そんなことをぐちぐちやり合うよりは、やったらわかるんですから、そこでしんしゃくすべきルールにしておくのかどうかというのはあるんですけれども。 今まで我々、共謀罪等で、刑法の議論がずっと行われてきました。刑法の中では科学主義というのが、刑法の本なんか、入門書から読みますと、刑法はやはり科学主義に基づくべきですよ、こういう、事件とか証拠調べはしっかりと科学主義で行うということなんですけれども、民法における科学主義の位置づけというのは、刑法とはそんなに違うものなんですか。
○小川政府参考人 一般論といたしまして、民事上の裁判手続においても、客観的な事実の存否について当事者間で争いがある場合に、科学的に信頼性が高い証拠が提出されれば、これに高い証拠価値が認められ、その証拠から客観的な事実が認定されること、このことは刑事事件の場合と同様であるというふうに考えられます。 ただ、御指摘の嫡出推定制度は、冒頭申し上げましたように、法律上の父子関係を早期に確定させることを目的として設けられたものでありまして、このような政策的な理由から、この制度によって法律上の父子関係が確定した場合には、仮にDNA鑑定などの科学的に高い信頼性を有する証拠によって生物学的な父子関係が否定される場合であっても、もはや父子関係を争うことができないこととされているんです。これは、要するに、嫡出否認の期間制限などにあるわけでございます。 その結果、法律上の父子関係が確定した後に、当事者がこれを争う訴えを提起し、DNA鑑定などの証拠を提出しようとしても、裁判所がこれを採用しないということはあるわけで、これは、いわばこの制度が持つ、子供についての父子関係の早期確定という考え方から導かれるものだというふうに考えております。
○松浪委員 父子関係の早期確定、これは文句のないところなんですけれども、先ほど、冒頭の話なんかは、息子さんが既に十六歳になっておられたということで、それが十六歳でなくて十歳でも、一旦それがわかってしまえば、私的鑑定はできるわけですから、実質上親子関係はやはり破綻するときもあるし、しないときもあると思いますけれども、白黒がつくということは、これは全くあるわけで、私は、嫡出否認の訴えが一年以内というのはもはや機能していないのではないかなというふうに、お互いの関係性の中で思うわけであります。 次の問いに行きますけれども、では、先ほどの嫡出否認の訴えが、一年間過ぎた後は先ほど申し上げた親子関係不存在調停というものが必要になるんですけれども、これによって、DNA鑑定という、わかりやすく白黒つけるすべがあるのに、それを証拠として存在しないということに問題点というのはないんでしょうか。
○小川政府参考人 法律上の父子関係につきましては、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子であると推定することとした上で、嫡出推定が及ぶ子については、夫に限り、子の出生を知ったときから一年以内に嫡出否認の訴えを提起することができることとしております。これが現行法の基本的な枠組みでございます。 このように、嫡出否認の訴えについて、子の出生を知ったときから一年といういわば短い出訴期間が設けられた趣旨は、法律上の父子関係を早期に確定し、家庭の平和が脅かされる事態を防ぐことにあると考えられます。 もちろん、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、このように現行の嫡出推定制度において短い出訴期間が設けられていることについては、相応の合理性があるものというふうに考えているところでございます。
○松浪委員 この法律自体が、先ほどもお認めになったように、DNA鑑定がない時代にできた法律でありまして、私は、それはやはり後づけの理屈かなと思います。 それでは、七百七十二条二項の問題、これを伺いたいんですけれども、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」という条文があるんですけれども、この二百日とか三百日の根拠というのは一体何なんですか。
○小川政府参考人 嫡出推定制度は、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定するという制度でございまして、ただ、妻の懐胎時期を直接証明することは困難な場合があるということに鑑みまして、民法では、婚姻の成立の日から二百日を経過した後または離婚の日から三百日以内に生まれた子については、婚姻中に懐胎したものと推定することとしております。 これは一般的な妊娠期間を参考にしたものではございますが、婚姻成立の日から二百日を経過した後については、子が早産となった場合にも嫡出推定が及ぶようにするためでありまして、また、離婚の日から三百日以内という点につきましては、子の出産が遅くなった場合でも嫡出推定が及ぶようにするためでありまして、これらの規定によって子の保護が図られているということになるというふうに考えております。
○松浪委員 私は、この民法の枠組み自体が、もう非常に時代おくれであると。これは、余りこういう委員会では話を大っぴらに言いたくないですけれども、この法律は、つまり二百日ということは、結婚してから初めて性交渉が始まるという前提に立っているわけでありまして、最近は、できちゃった婚で後から籍を入れてといって、籍を入れた十日後とかに生まれた子、まあ百日でもいいですけれども、この人たちは推定されない。 まさに、今のこの日本の現状で、結婚してからそういう関係だと、もう政務官が笑ってはりますけれども、これ自体が非常に時代おくれだということは、今これをお聞きの委員の皆さんも、これは笑い事ではなくて、本当に私はこれは時代おくれだと思いますよ。 こうしたことがやはり、男だけじゃない、私は今、男の権利ばかり話したように聞こえるかもしれませんけれども、例えば、シングルマザーがいた、未婚の母であります。先ほど、この嫡出推定制度は子の権利、子供にも、しっかりと両親がいるんだ、養育してもらう権利があるんだということで今のような状況になっているということですけれども、これは、未婚のシングルマザーが、では、旦那と推定される人に養育費を渡せと、でも結婚もしていない、こういうときに親子関係があるということを認めさせるという、これもまた、先ほどの証明が難しいということは、裏返せば、女性にとってもこれは厳しいということになるんですけれども、シングルマザーが、今のケースで親子関係を認めさせ、強制認知させるための手続はどのようになるんでしょうか。
○小川政府参考人 未婚のいわゆるシングルマザーの方が、子供の父親との関係で親子関係を認めさせるための手続としては、認知の訴えがございます。これは法律上の推定が働く場面ではございませんので、認知の訴えという手法によるということになります。 御指摘のような事案におきまして、母親は、子供の法定代理人として、父親に対し、認知の訴えを家庭裁判所に提起することができることになります。 認知の訴えが提起された場合において、家庭裁判所が子供との間に生物学上の父子関係があるものと認定した場合には、認知の訴えを認容する判決がされ、その確定によって子供と父親との間の親子関係が確定する、こういうことになります。
○松浪委員 先ほどからありましたように、先ほどの調停の場合は、もはや、これはDNA鑑定を妻に、夫が知りたい場合も強制的にすることはできない、またシングルマザーの場合もそれが同じような困難性を持つということでありますので、やはり時代にこの民法がついていっていないということは間違いないと思いますので、大臣、またこうした時代にキャッチアップした法務行政をこれから展開していただくことをお願い申し上げまして、今回の質問とさせていただきます。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次回は、来る六日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会