法務委員会 第4号
- 発言数
- 237 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2017/03/21
会議録
○鈴木委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官高木勇人君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君及び外務省大臣官房審議官水嶋光一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局家庭局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若狭勝君。
○若狭委員 皆さん、おはようございます。自民党の若狭でございます。 本日は、民法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと存じます。 私は法律家であり、三十五年間ぐらい法律家をやっていて、民法も極めて、これまで法務省の職員に民法を教えたりしていた立場ですから、非常に思い入れが強いわけでございます。 まず最初に、民法というのは、やはり国民にとっては極めて生活に直結する、あるいは経済にも直結する基本法ですから、この国会において必ず成立させる、しかも、そのためには衆議院をなるべく早く通過させる、そのためには法務委員会において一日も早く採決をするということが必要だとかねがね思っております。 もともと民法というのは、いろいろな問題点は確かに検討しなければいけないんですが、法制審議会においてこれだけ審議され、そして、一つのルールですから、早いところ、これをしっかりと国民に示す。周知期間を含めて、国民に直結する利害関係のある点も多いので、一日も早くというのがやはり国会議員としてあるべき姿だと思っております。 しかも、法律家の立場から申し上げますと、改正がされるかどうか、いつされるかというのは、今の法律関係あるいは契約書をつくる際に極めて不安定な状態にある。つまり、数年後の裁判になったときに、どちらの法律が適用されるのかとかいうようなことも不透明になるわけですから、こうした期間が、非常に実務家あるいは民法に極めて関係している人にとってみると冷や冷やものであります。一刻も早くこの改正案をスタンスを決めて通すこと、それが国民の負託に応えることだと思っているということをまず申し上げさせていただきたいと存じます。 そして、本日は、大きく分けて二点について法務省の方にお聞きしたいと思います。 一点は、我が国において認知症は極めてこれからも多くなる、その認知症の人たちに対してこの改正案というのが、どういう形できちんと保護されているか、担保されているか、そういう点。 特に、私の経験でいいますと、いわゆる制限行為能力者として家庭裁判所で指定された者はいいというか、それは保護されるんですが、実は、隠れ認知症というのが数多くいらっしゃいまして、そういう人たちをターゲットにする、そういうやからも多いわけです。ですから、必ずしも家庭裁判所の審判において制限行為能力者に指定されていない、そういう人たち、いわゆる隠れ認知症の人たちに対しても、やはり何らかの法的な観点から考えていかなければいけないのではないかとかねがね思っております。 その意味も込めまして、本日は、まず、そうした認知症などの保護、それからもう一点は、いわゆるテロリスト等の反社会的集団の構成員ないし準構成員との契約関係、これが今後の改正案においてどのような効果があり、あるいはその限界がどこにあるのかという点についてお聞きしていきたいと思います。この二点でございます。 まず最初に、認知症ないし隠れ認知症の人の保護という点において、今回の改正案はどういったところがこうした人たちに対する保護につながっているのか、それについてお聞きしていきたいと思います。民事局長にお答えいただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 我が国において急速に進展する高齢化社会に対応していくことはもちろん非常に重要なことでありまして、今回の民法改正においても、これに対応する観点から、さまざまな改正を行っております。 まず一点目は、意思能力の点でございます。現行法のもとでは、意思能力を失った者がした法律行為は無効となるという意思能力の制度、これは判例、学説上異論なく認められておりまして、判断能力の低下した高齢者などを保護する役割を果たしておりますが、この点に関し、民法に明文の規定はございません。 そこで、今回の改正においては、意思能力を有しない者がした法律行為は無効であるということを明文化することとしております。また、これとあわせまして、意思表示の相手方が意思能力を有しない場合の、意思表示のいわゆる受領能力に関しまして規定を整備することとしております。 それから、二点目は、これは制限行為能力者に関するものではございますが、御説明させていただきますと、高齢等のため判断能力の低下した制限行為能力者が同様に判断能力の低下した制限行為能力者の法定代理人である、こういう場合におきまして、現行法は、この法定代理人が本人にかわってした行為についても、行為能力の制限を理由に取り消すことができないということとしておりますが、これでは、本人である制限行為能力者の保護が十分になされないおそれがございます。 そこで、今回の改正では、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、例外的に行為能力の制限による取り消しを可能とすることとしております。 それから、三点目、これは一般的な御説明になろうかと思いますが、判断能力の低下した高齢者などが目的物の性能などを誤解するなどして不当に不利益をこうむること、こういった点を防ぐ観点からは、いわゆる錯誤に関する規定をわかりやすく整備することも有益であると考えられるわけでございます。 そこで、今回の改正においては、いわゆる動機の錯誤を理由に意思表示の効力を否定する判例の考え方、これを明文化するなど、必要な規定の整備を行っているところでございます。
○若狭委員 そのように、いろいろな観点で、高齢者ないしそうした制限行為能力者等の保護をしているということはわかりました。 ここで一点、ちょっと確認の意味も込めて条文的なところをお聞きしたいと思います。先ほども民事局長の説明の中にございましたが、意思表示の受領能力者の、九十八条の二の規定でございます。 ここは、要するに、相手方から意思表示された方がそうした意思能力のないときなどについての規定だと思うんですが、九十八条の二の今回の二号の「意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方」という条文について、私としてはちょっと確認的に、今後の解釈の点で確認したいんですが、この二号の「意思能力を回復し、」というのは、少なくとも、制限行為能力者と指定されている者に関しては多分ここには当てはまらないと思うんですね。 ですから、条文的には、明確にするとしたら、恐らく「意思能力を回復し、」というところの後に、括弧書きか何かで、ただし、制限行為能力者である人を除くとか、そういう形で、やはり括弧書きか何かをしていると明確にはなると思うんですが、その辺の条文的なところとしては、これは今の私のような理解でいいのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 少し九十八条の二の御説明もさせていただきたいと思いますが、改正法案第九十八条の二、本文では、意思表示の意味を理解する能力を失っているということに着目して、意思表示の相手方が意思能力を有しないことと未成年者または成年被後見人であることを、その相手方に対して意思表示を対抗することができなくなる事由、いわゆる受領能力の問題として定めております。 その上で、九十八条の二のただし書きでは、相手方に生じていたこれらの事由が解消された場合において、相手方がその意思表示を知った後等については、既に相手方が意思表示を理解する能力を回復していると言えること、このことに着目し、その相手方に意思表示を対抗することができることとしております。 そこで、御指摘いただきました点でございますが、例えば意思表示の相手方が成年被後見人であり、かつ意思能力を有していなかった場合において、その者が意思能力を回復したとしても、なお成年被後見人である限りは、その者には意思表示を対抗することができないというふうに考えるべきだと理解しております。 このように解することが成年被後見人保護という観点から適切であると考えておりまして、御指摘いただきましたように、さらに非常に詳細に書こうとすれば、先ほどのような括弧書きで指定するとか、あるいは、意思能力を欠き、かつ制限行為能力者である場合についての規定を設けるなり、非常に細かくすることは可能だと思うんですが、いわば、趣旨から見まして、これは私が申し上げましたように解するのが当然であるということで、こういう規定となっております。
○若狭委員 私も法律家ですから、今の局長のお話はそのとおりだと思うので、法律家が解釈すれば多分そういう話になると思うんですが、一般の人が読むとちょっとわかりづらいところがあるので、念のためということで、今後成立したときに、そうした一般の人が読んだときにわかりづらい場合をあらかじめ想定して、一応確認ということで質問させていただいた次第でございます。 そして次に、九十五条の錯誤の規定でございます。 今回の改正案においては、一層、いわゆる動機の錯誤などについても明文的に規定を置いたということですが、この錯誤の規定によって、先ほど私がお聞きしました、いわゆる認知症あるいはその予備軍あるいは隠れ認知症の人に対して保護が十分かどうか、そういった点についてお聞きしたいんです。 恐らく、認知症の予備軍ないし隠れ認知症の人というのは、多分この錯誤の点というのが一番関係する条文だと思うんですね。その意味において、そうした人たちに対して改めて錯誤規定を整備したわけですが、これがそうした人たちに対する保護として十分かどうか、それについてお聞きしたいんです。
○小川政府参考人 お答えいたします。 現行法は、表示の錯誤と動機の錯誤と区別して規定しておりませんが、改正法案では、表示の錯誤と動機の錯誤、つまり、意思表示の内容の前になります動機の部分で誤った認識をして当該意思表示をしてしまったというような動機の錯誤との区別を規定しておりまして、動機とした事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていなければ、動機の錯誤による意思表示の効力を否定することはできないということとしております。 また、現行法は、法律行為の要素に錯誤があることを錯誤による意思表示の効力を否定するための要件としておりますが、改正法案におきましては、それにかえて、錯誤に基づき意思表示がされていたことと、錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らし重要なものであることをその要件とすることとしております。 これらは、基本的には現在の判例を明確化するものでございまして、ルールの明確化という観点から、高齢者の方に対する保護にも十分資するものというふうに考えております。
○若狭委員 今の現行法においては、いわゆる錯誤の場合は無効という規定になっておりますが、今度の改正案においてはいわゆる取り消しということになるわけですが、先々裁判になったりなんかした場合には、無効であろうと取り消しであろうと同じような効果だと私も思います。ただ、裁判に至る前の段階で、少なくとも無効ということだと、契約が成立していないわけですから、非常に効果的な面があると思うんですね。 その意味においては、やはり、認知症や何かの人が法律行為を結んだとしても、それはそもそも無効なんだという場合と、いや、一応契約は成立していて取り消しをするんだというのだと、若干ニュアンスというかグレードというか、段階において違いがあるのではないかと思うんですが、その辺の、今回の改正案においては、取り消しというようなことをすることによって、高齢者保護あるいはそうした認知症などの人に対する保護としては十分だ、大丈夫だというふうには言えるところでしょうか。
○小川政府参考人 今御指摘いただきました点でございますが、現行法の九十五条によります無効の主張につきましても、いわゆる民法の理解では、誰もが主張できる、あるいは無効を主張することができる期間に制限はないということになるわけですが、錯誤による意思表示の効力を否定するのは、表意者を保護するため、意思表示をした者を保護するためでありまして、相手方や第三者が無効を主張することを認める必要は、要するに、先方の方から意思表示の無効を主張する必要はございませんので、その意味では、実質上、取り消しと同様と考えることに大きな問題点はないというふうに考えております。
○若狭委員 私も法律家としては今の説明は理解できるところでございますが、一般的な面からいくと、一般の人からすると、やはり無効と取り消しとは違うんじゃないかというように思いがちだと思います。 その意味では、民法の改正案は、これはこれでよろしいんだと思うんですが、認知症ないしその予備軍、隠れ認知症の人の保護としては、この民法にだけ頼るわけではなく、やはり、そうした周りの人間等々も含めて、その辺の対応、対処というのが当然必要になってくる。それをセットにした上で、今回の改正案というのも十分にそうした認知症などの人の保護としては成り立っていける、十分だというような解釈でいくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 もちろん、民法はいわば一般法でございますので、それに加えて、消費者保護の観点から、例えば消費者契約法などで、一定の意思表示についての、いわゆる瑕疵のあるような意思表示についての対応などがございますので、それとセットということだと思います。 加えて、私ども法務省といたしましても、成立後は、先ほどの、御指摘いただきました意思表示の受領能力の点なども含めまして、周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
○若狭委員 それでは、続きまして、いわゆるテロリストなどの反社の人との契約関係についてお聞きしたいと思います。 我が国においては、今後、いわゆる民泊がどんどんと普及というか盛んになっていくところだと思いますし、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そうした民泊というのも極めて供給源として大事になってくると思います。 その際に、いわゆるテロリストがそうした民泊などを利用する場合というのもあると思うんですが、その民泊の際の契約関係というのはどういう契約になるのでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 いわゆる民泊制度、私ども、必ずしも十分承知しているわけではございませんが、基本的には、宿泊の申し込みに対してその施設を持つ者が宿泊させるという、いわゆる宿泊の契約だというふうに理解しております。
○若狭委員 そうしますと、いわゆる法律行為、特に契約ということで、意思の合致、契約に向けての気持ちが双方一致するということが必要だと思うんです。その際に、いわゆる民泊を提供している一般の人がテロリストに宿泊契約を結んでしまったという場合の事後処理なんですけれども、そうした場合というのは、気がついたらこの人怪しい、テロリストかもしれないというようなことを思った場合には、契約関係というのはどういうふうになるのでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 基本的には契約は拘束力があるわけでございますが、先ほど来お話がございましたように、錯誤があるような場合、つまり、意思表示に一定の瑕疵があるような場合には効力を否定する、今回の改正法案で申しますと取り消しということになりますが、錯誤の主張をすることは十分考えられようかと思います。
○若狭委員 錯誤の規定でいわゆる取り消しということになるというお話ですが、実際は、それはいわゆる、今度の改正案における動機の錯誤的なところにひっかかってくるのでしょうか。
○小川政府参考人 これはさまざまとしか言いようがないところでございます。 例えば、現行法のもとで、相手方が反社会的勢力であることを知らずに契約をした当事者が、後に相手方が反社会的勢力に該当するということを知って、錯誤により契約が無効であると主張して争った複数の裁判例が下級審レベルでございます。 錯誤による無効を認めた裁判例としては、契約中に反社会的勢力による利用を拒絶する旨の規定が設けられていたことや、あるいは、その業界が作成しているモデル約款の中にもそういった内容の規定が設けられていたために予測可能性があったことなどを根拠としているもの、あるいは、契約当事者が反社会的勢力と一切関係を持たないことについての取締役会決議をしていたことや、同じ業種の他の企業がその相手方との取引を拒絶していたという事実があったこと、こういったことを根拠としたものがございます。 他方で、認めなかった例、錯誤を認めなかったものとしましては、契約締結時に相手方が反社会的勢力でないことの調査を行っていなかったことや、その契約において暴力団関係者を相手方とする契約を解除することができる旨の契約条項が設けられていなかったことなどを根拠としているものがございます。 こういった裁判例の傾向を総合いたしますと、事前に相手方が反社会的勢力であるか否かを確認する取引慣行があったか、その契約中に反社会的勢力との取引を拒絶しまたは契約を解除することができる旨の条項が設けられていたか、そのような条項が業界が作成する約款中に設けられていたかといった点を踏まえて錯誤と判断するかどうかを決めているものというふうに考えております。 それに応じまして、契約の内容、いわゆる要素の錯誤になるのか、あるいはその前段階としての動機の錯誤になるのか、これは個別の事案によろうというふうに考えられるところでございます。
○若狭委員 個々具体的になるとはいうものの、やはり、ここにおいても無効と取り消しというのは、その民泊提供者、一般の人の感覚からすると、錯誤だから無効だというふうに言えるのか、一応契約は成立していたけれども取り消しなんだというようなことにするのかというのは、やはり一般の人の受けとめ方としては若干グレードの違いがあるのではないかというふうに思うんです。 それはさておいても、今後、今のお話のように、やはり反社の人との契約が無効になるかどうか、取り消しができるかどうかというのは、契約の中身においてどのような約款とかそういうものができていたか、要するに、法律以外のところでどういう仕組みができているかというのが大事だと思うんですね。 その意味では、やはり、この法律ができたとしても、民泊の問題を今後考える際には、そうしたものをきちんとあらかじめ盛り込んだ契約条件みたいなものをきちんとつくっておくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げました裁判例におきましても、それまでの対応として、例えば、モデル約款がどうなっていたか、あるいは調査の体制が整っていたかどうかといった点なども十分考慮要素とされておりますので、そういった点からも、業界側の方できちんとした対応をされるということ、これは、法律関係を明確にし、あるいは紛争を予防するという観点からも非常に重要な点ではないかというふうに考えております。
○若狭委員 私の方はこれで終わります。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。 本日も、法務委員会においてこのように質問の機会を賜りましたこと、委員長また理事の先輩の皆様、委員各位に心から感謝を申し上げる次第でございます。 私も、若狭先生に引き続き、民法について少し質問をさせていただきたいと思います。 私は、本日、民法の債権の各論の中で、売買及び贈与について質問をさせていただきます。 まず、売買について質問させていただきますけれども、現行民法の五百七十条、特定物売買における売り主の担保責任というふうな規定がございます。この担保責任の法的性質、これは従来、法定責任説と契約責任説が鋭く対立をしてきた条文であるというふうに承知をしております。 法定責任説というのはどのような考え方かと私なりに理解を申し上げれば、いわゆる特定物売買なので、ある物を売り渡してしまえばそれで責任が済むということであって、それ以上の責任は負いませんよということについて、後の質問にも関連をしますけれども、その特定物の中に何か見えない不良部分があったりしたときには、その部分についてはしっかり責任を負ってくださいという、いわゆる法律が特別に責任を課したというふうな考え方というふうに承知をしております。 一方で、契約責任説というのはそうではなくて、不特定物売買、これも後の質問にも関連しますけれども、例えば、これを売り渡して、渡してしまえばおしまいということではなくて、おかしなところがあったらまた別のものでも持ってこいというふうなところまで責任として負い得るような、そういった考え方を言っておったわけです。 条文上、この二つの考え方について必ずしも明らかでなかったということからすれば、国民の立場からすれば非常にわかりづらい法律の規定の仕方であったのかなというふうに思います。 今般の改正でこの論点が解消されたのかについて、確認をさせていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 売買の目的物にふぐあいがあった場合に買い主にどのような救済手段があると解すべきか、この点に関しまして、現行法は、今御指摘いただきましたように、五百七十条において、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときに、買い主は損害賠償請求と契約の解除をすることができるとしております。 その内容について、学説上は、今御紹介いただきましたような法定責任説と契約責任説、これもさまざま内容がございますが、例えば法定責任説の内容としましては、よく紹介されますのは、特定物売買については、瑕疵のないものを給付することは不可能であるということを前提に、売り主は瑕疵の有無にかかわらず目的物を現状のまま引き渡す債務を負うんだ、これを根本とする考え方、これが法定責任説でございます。 それから、特定物であるか不特定物売買であるかを問わず、売り主は契約の内容に適合したものを引き渡す債務を負うとする、これが契約責任説でございまして、この二つの説が激しく対立しておりまして、判例の立場も明瞭ではございません。 そこで、このような状況を改めまして、明快で合理的なルールとする必要があると考えられるわけでございます。 現代社会においては、売買の目的物は大量生産され、ふぐあいがあった場合には部品の交換や代替物の給付など履行の追完が可能であるものが多く、実際の取引においてもそのような対応が一般化しております。また、問題となった取引が特定物売買であるか不特定物売買であるかの判別は必ずしも容易ではございませんで、法定責任説のように両者を截然と区別してその取り扱いを大きく変えるということも、取引の実態に合致していないという指摘もございます。 そこで、売り主は、特定物売買と不特定物売買とを区別することなく、一般に、種類、品質及び数量に関して売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負うことを前提として、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合には債務は履行されていないという整理をして、買い主は売り主に対して契約の内容に適合させるように求めることができることなど、救済手段を具体的に明文化するのが合理的であると考えられます。この考え方は、現在の学説でいえば契約責任説に相当するものと考えられます。 この考え方に基づきまして、今回の改正では規定を整備し、修補や代替物の請求あるいは代金減額請求、四百十五条の規定による損害賠償請求、五百四十一条、五百四十二条の規定による契約の解除をすることを認めるなどという手当てをしております。
○吉田(宣)委員 今局長から総論的なお話がございまして、今後の質問にもかかわりますけれども、確認の意味で一つ一つ論点を潰させていただきたいと思います。 現行の五百七十条、これは先ほど局長からもお話がありましたとおり、隠れたる瑕疵というものに限定をしていたということでございます。ただ、どんな場合に隠れたる瑕疵があるというふうに言い得るのか、国民の立場からすれば、いま一つよくわからないし、わかりづらかったというふうな印象を私は持っております。 この点、今般の改正でどのように改善をされたかについて、法務省からお聞きしたいと思います。
○小川政府参考人 従来から、瑕疵という言葉、これは非常にわかりにくいという御指摘もございました。 客観的に多少の傷などがあっても、契約の内容に適合する限り瑕疵はないと扱われているなどの点から見ましても、かえって誤解を招くおそれがあるという点もございました。また、隠れたという要件も、判例は、買い主が瑕疵について善意無過失であるということを意味するものとしておりますが、この点も理解が難しい点がございます。 そこで、改正法案では、「隠れた瑕疵」という要件を端的にその具体的な意味内容をあらわすものに改める、こういう趣旨で、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」、こういう要件と改めておりまして、これによりまして理解は容易になったものというふうに考えております。
○吉田(宣)委員 理解が容易になったというふうなことでございました。 ただ、「契約の内容に適合しないもの」というふうな改正がされているところでございますけれども、例えば、品質などをめぐる合意内容自体に争いがある場合、これは契約の内容に適合するかそのものが争われているわけであって、トラブルの解決の標準としてはなかなか機能しづらいように思われるのですけれども、法務省の受けとめをお聞かせください。
○小川政府参考人 現在の法律のもとでも、瑕疵の存否について、判例は、その実質的な意味を契約の内容に適合しないことというふうに解しておりますので、今御指摘ありましたように、品質などをめぐる合意の内容自体に争いがあるケースにおいても、どのようにそれを解決すべきかという点は、現行法のもとでも同様の問題がございます。 現在の裁判実務においては、契約書などによって契約の内容が明確に定まっていない場合には、その契約の取引類型において、通常有すべき品質、性能がどのようなものであるのかといった点を考慮いたしまして契約の内容を認定し、それによってトラブルが解決されているものと承知しております。 今回の改正では、以上申し上げましたような判例を踏まえて、規定を国民一般にわかりやすいものとする観点から、売り主が担保責任を負う要件を、先ほど申し上げましたように「契約の内容に適合しない」と改めることとしておりますが、この改正後も、今申し上げましたように、現在と同様に、判例の判断に基づいてトラブルは解決されるものと認識しておりまして、今回の改正によって特にトラブルを解決する機能が損なわれるということはないというふうに理解しております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 さらに細かな話になってまいりますが、少し確認をさせていただきたいと思います。 先ほど私が申し上げた、また局長からも説明がありました現行の五百七十条の法定責任説からすると、例えば、特定物の売買で、売ってしまえば終わりなので、いわゆるかわりのものをよこせというふうなことというのはなかなか認められづらいことになってこようかと思いますけれども、このように、代替物請求権また修補請求権というものは今般の改正においてどのように変わったのか、お教えください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 現行法のもとでは、いわゆる典型的な法定責任説は、特定物売買については、目的物に何らかの瑕疵があったとしても、買い主はその修補の請求ですとか代物の請求をすることはできないと解釈しております。 改正法案におきましては、冒頭申し上げましたように、特定物売買であるか不特定物売買であるかを問わず、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合の救済手段を明記することとしておりまして、この場合には、買い主は、その修補や代替物の引き渡しなどの履行の追完の請求をすることができるということとしております。
○吉田(宣)委員 可能になったということでございます。 次に、これも先ほど御説明ありましたけれども、解除についてお聞きをしたいと思います。 現行法では、契約の目的を達成することがない場合にだけ、この特定物売買においての瑕疵担保責任に基づく解除、これが認められていたというふうに承知をしております。現行の五百六十六条の一項を準用してのことだというふうに理解をしていますけれども、今般の改正でこの解除はどのような改正になったのか、お教えいただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 解除の点でございますが、改正法案においては、買い主に引き渡された目的物が契約の内容に適合しないものであった場合における契約の解除については、債務不履行があった場合の一般的な規律に従うこととしております。 これをもう少し具体的に申し上げますと、まず、無催告で解除をする場合には、現行法と同様に、契約目的の不達成が契約の解除の要件でございます。他方で、催告をして解除する場合には、現行法と異なり、契約目的の不達成は必要ではなく、一般原則に従いまして、履行の追完の催告から相当期間が経過したときにおいて、契約の内容と適合せず、かつその程度が軽微でないことが契約の解除の要件となります。 もっとも、契約不適合の程度が軽微か否かを判断するに際しましては、契約目的を達成することができるか否かという点が最も重要な考慮要素でございますので、無催告解除の場合の契約目的の不達成という要件と、今申し上げました催告解除の場合の契約不適合の程度が軽微でないという要件とでは、実際上は大きな違いはないというふうに考えております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 時間がだんだん迫ってきています。次に移りたいと思います。 今度は損害賠償の範囲について、これは法定責任説と契約責任説では違いがあったかのように承知をしております。 法定責任説によりますと、契約当事者が目的物の瑕疵の不存在を信じたことによってこうむった損害の範囲に限られるというのに対して、契約責任説においては、履行利益、すなわち契約の内容どおりに債務が履行されていれば、いわゆる債権者が得たであろう利益にまで及ぶというふうな理解をしておったところでございますが、今般の改正において、この損害賠償の範囲についてはどのようになるのでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 現行法の解釈もさまざまでございますが、端的に改正法案の内容を申し上げますと、売り主は、種類、品質または数量に関して売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負い、引き渡された目的物が売買契約の内容に適合しない場合、その損害賠償の請求については、売り主の債務不履行責任であるというふうに整理しておりまして、債務不履行があった場合の一般的な規律がそのまま適用されるということとしております。 したがいまして、買い主による損害賠償の請求は債務不履行があった場合の一般的な規律に従いますので、損害賠償の範囲は履行利益にまで及ぶということになります。そういう意味では、改正法案では損害賠償の範囲は履行利益まで及ぶということで、これまでの学説の争いに対して統一が図られたものというふうに理解しております。
○吉田(宣)委員 この点も、さらに国民の立場からすれば、ひとつわかりやすくなった点かと思います。 もう一点、細かな点ですけれども、売り主の過失を要するかということについて、また違いがあったかと思っております。 法定責任説によると、担保責任というものを、有償契約における対価的均衡を維持するための特別な責任と捉えておりましたので、無過失責任と構成されることが自然かと思っておりました。また他方、契約責任と考えれば、これは契約責任ですので過失責任が原則なのかもしれませんけれども、いわゆる四百十五条の特例ということで、無過失責任とも構成されるというふうに承知をしておりますけれども、この売り主の過失の点について今般の改正でどのようになったか、お教えください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 今御指摘いただきました点につきましても、現状の学説はさまざまでございます。 これも端的に改正法案の内容を申し上げますと、売り主は、売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負い、引き渡された目的物が売買契約の内容に適合しないときは、買い主は、債務不履行があった場合の一般的な規律に従って損害賠償をすることができることとしております。これは先ほど説明したとおりでございます。したがいまして、損害賠償の要件としても、四百十五条の売り主の帰責事由が必要になるというふうに考えております。 なお、代金減額請求も可能となっておりますが、この点につきましては、帰責事由がない場合であっても、代金負担の軽減の限度では救済を求めることが可能でございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 続いて、今度は贈与契約について質問させていただきたいと思います。 贈与契約については、現行法は「自己の財産」というふうに目的物を限定しているように規定をしていると承知しておりますが、今般の改正においては「ある財産」と変更しているようでございます。理由についてお聞かせください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 現行法の五百四十九条、これは贈与の規定でございますが、これによりますと、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」としておりますため、これは、他人の財産を対象として贈与契約を成立させることはできないというように読めるわけでございます。しかし、判例は、他人の財産であっても贈与契約を有効に成立させることができるというふうに解釈しております。 そこで、改正法案におきましては、民法を国民一般にわかりやすいものとするために、現行法の「自己の財産」という文言を「ある財産」ということにいたしまして、自己の財産には限らないということを示しておるわけでございます。
○吉田(宣)委員 判例が認めたものを明文に取り込んだというふうな理解だと承知をいたしました。 済みません、一問飛ばさせていただいて、十番目の質問に移らせていただきますけれども、他人物贈与の贈与者の義務ですね。 贈与者は、取得義務までは負わないけれども、その権利を取得した場合にはそれをきちっと受贈者の方に移転をする義務を負うというふうな明文の規定をつくるべきじゃないかという考え方があったと承知をしておりますが、今般の改正法案の中には反映されていないようでございます。その理由について端的にお聞かせください。
○小川政府参考人 御指摘いただきましたように、改正の過程では、他人物贈与の贈与者は、取得義務まで負わないが、その権利を取得した場合にはそれを受贈者に移転する義務を負うという提案がされておりました。もっとも、今申し上げましたような契約の内容が当事者の通常の意思に合致するのかどうかという点については問題があるというところでございます。 また、他人物贈与を有効としました最高裁の判例は、むしろ贈与者に取得義務があるんだという認定をしていたという理解でございます。 こういった点を踏まえまして、他人物贈与者の責任について、贈与者が取得義務を負わないとの規定を設けることとはせずに、贈与者が取得義務を負うかどうかについては、これはもう個別の事案ごとの判断に委ねるということとしたわけでございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 続いて、また一問飛ばさせていただいて、時間の関係で最後の質問とさせていただきますけれども、この贈与の規定、私が大学で勉強したときには取り消しというふうな規定がされていたんですね。これが平成十六年の改正によって「撤回」というふうに文言が変わっておりまして、現行法はこの「撤回」という言葉が使われております。今般の改正ではさらにこれが「解除」と変更になっているわけでございますけれども、この変遷といいますか、理由についてお教えいただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 御指摘いただきましたように、まず、平成十六年の改正で取り消しから「撤回」に変更されております。これは、取り消しというのは意思表示に瑕疵がある場合での用語ということでございますので、一般的な学説の指摘に従いまして、瑕疵のある場合ではない場合も含みます撤回という用語を使ったわけでございます。 ただ、撤回が、一般的にはやはり意思表示そのものの撤回ということはございますが、今申し上げました五百五十条の理解は、契約それ自体の効力を否定するという意味で「撤回」という表現を使っておりましたので、むしろ、そうであるとすれば解除の方が適切であろうということで、あるいは民法におけるその他の用語の統一等の観点から「解除」、「撤回する」という用語を、五百五十条につきましては「解除をする」に改めることとしたものでございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。時間が参りましたので終了いたします。
○鈴木委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 おはようございます。民進党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。 早速、まず大臣に伺いますが、共謀罪、テロ等準備罪、この正式名、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、けさ閣議決定をされて、大臣のこれまでおっしゃってきた成案を得たという段階になったということでよろしいかどうか、端的にそこだけ確認をさせてください。
○金田国務大臣 井出委員の御質問にお答えしたいと思います。 そのとおり考えている次第であります。
○井出委員 これまでは、成案を得ていない、そういうお話でありましたので、私も、罪刑法定主義の大切さでありますとか、中身に踏み込まない話をしてまいりましたが、成案を得たということで、きょうは、まずその中身、法案の目的と名前、特に法案の名前というところについて議論をしていきたいと思います。 資料をお配りしております。 資料の一、私の汚い字が書いてあって恐縮ですが、これは三月二十日、毎日新聞朝刊の六面の記事、「「共謀罪」報道割れる表記」、この記事によりますと、新聞報道で、この法案、見出しに「共謀罪」というものを使っているのが毎日新聞、朝日新聞、日経、東京。それから、見出しに「テロ等準備罪」などを使っているところが読売、産経、NHK。 その記事のところで赤と緑でそれぞれマーカーを引いておりますが、注目するべきは、 毎日の十一、十二日の世論調査では「政府は、組織的な犯罪集団が犯罪を計画した段階で処罰する法案を今の国会に提出する方針です。対象になる犯罪を当初予定していた七百弱から半分以下に減らしましたが、一般の人も捜査対象になるとの指摘があります」 こういう問いかけをしたときに、この法案に対して反対が四一%であった、賛成三〇%。 一方、これはNHKなんですが、 「政府が、組織的なテロや犯罪を防ぐため、犯罪の実行前の段階でも処罰できるよう、「共謀罪」の構成要件を厳しくして「テロ等準備罪」を新設する法案」 こういう問い方をNHKが十日から十二日、毎日とほぼ同時期ですね、この問いについては、法整備が必要だという答えが四五%を占めた。 同じ法案でございます。聞き方はマスコミのそれぞれの観点があるかと思いますが、その聞き方によって大きく賛否が偏っているという状況で、果たして国民の理解が深まっていると言えるのかどうか、その点について大臣の感想をいただきたいと思います。
○金田国務大臣 まず、報道機関の報道のあり方とか内容につきましてはコメントは差し控えさせていただきたい、このように考えます。 その上で、このテロ等準備罪におきましては、私どもは、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することによりまして、一般の会社、市民団体、労働組合、こういった正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないということを一層明確にすることができた。それから、犯罪の計画だけでは処罰をされない、実行準備行為があって初めて処罰の対象とするんだということによりまして、内心を処罰するものではないということについても一層明確にすることができた。こういうふうに、このテロ等準備罪の成案については考えておるわけであります。 したがいまして、これまでに過去の国会での質問において示されました不安や懸念を払拭する内容になっているんだということを受けとめております。 また、テロ等準備罪の捜査ということもかつて御質問があったんですけれども、他の犯罪の場合と同様に、刑事訴訟法の規定に従って必要かつ適正な捜査を行うものと考えております。 これまでの国会審議の場においては成案がまだ得られていない段階だったんですけれども、きょう閣議決定を経て成案を得たわけでございますから、さまざまな御指摘について、具体的な法案の内容に基づいてしっかりと誠実に御説明を申し上げていく、そして、先生方と議論を重ねていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○井出委員 集団を限定し、それから、実行準備行為を加えて内心というものを処罰しない、そういうことで、この法律について、冒頭、その呼称のテロ等準備罪をもう一度使われておりますが、法案の名前というものは法案の核心、法案の一番大事なところをやはり端的にあらわさなければいけない。 これまでの委員会の質疑の中で、さんざん多くの先生方と議論があったかと思いますが、端的に申し上げますと、共謀罪、テロ等準備罪というものは合意を処罰するものではないか、成案によれば計画だと思いますが。テロ等準備罪、共謀罪は、計画を処罰するものであって準備行為単体を処罰するものではない、合意や計画だけじゃ曖昧だから、懸念があるから実行準備行為をとる。しかし、それはまさに、本質的には計画を処罰することが目的である、ここは異論ないと思いますが、それでよろしいですか。
○金田国務大臣 ただいまの御指摘に対しましては、計画に加えて準備行為が行われた場合に処罰の対象とするというふうに違っておる、このように考えております。
○井出委員 先日の委員会の質疑の中で、たしか自民党の宮崎委員との質疑の中の答弁だったと思いますが、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものではない、それでは条約に入ることができない、条約の趣旨に合致をしないと。山尾委員からも質問があったのですが、この法律の大きな目的は条約に入ることだと。 それは、まさに合意、計画を処罰するための法律をつくる、それに尽きるんじゃないですか。もう一度答弁をお願いします。
○金田国務大臣 御指摘の中で、もちろん、その要件として、処罰の対象としては合意というものも入っているわけであります。
○井出委員 合意というものも入っているではなくて、合意を処罰、計画を処罰するために準備行為をつけ加えているんじゃないんですか。
○金田国務大臣 同じことを申し上げることになると思うんですが、実行準備行為を行った場合に計画を処罰する。もちろん、組織的犯罪集団が対象でありますが、そういうふうに考えております。
○井出委員 これまで共謀罪、陰謀罪というものは、刑法の中でもわずかながらありました。しかし、今回、二百七十七の対象犯罪でしょうか、そうしたものについて、合意が、計画があり、実行準備行為があれば処罰をする。 しかし、もう一度聞きますが、実行準備行為をとるのは、最終的には、計画、合意、そこを処罰することが一番の目的で、そのきっかけ、明らかな目に見える形として実行準備行為というものをとってきたのであって、やはりこの法律の目的というものは計画、合意を処罰することにほかならない、ここは異論はないはずだと思いますが、もう一度お願いいたします。
○金田国務大臣 実行準備行為を伴う計画を処罰する、そういう考え方であります。
○井出委員 なかなかかたいなと思いますので、少し観点を変えたいと思いますが、きょうは、法案の大きな目的、趣旨が名前と合致するかというところを伺いたい。 合意、計画と実行準備行為があって処罰をするということを繰り返しおっしゃられていますが、過去に共謀罪の法案を審議してきたときに、政府原案は、「団体の活動として、」、まず、その「行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、」「刑に処す」と。 それから、自公修正案、平成十八年四月に一度出ております。これは、団体の活動に別表を設けて限定をした。「その共謀をした者のいずれかによりその共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合において」と。 それから、自公再修正案というものが出ております。そこでは「組織的な犯罪集団」、さらにそれを別表で掲げている。そしてここにも、「共謀」と、「必要な準備その他の行為が行われた場合」だと。 それからさらに、平成十八年の自公修正試案、これは会議録にしか残っていないと聞いておりますが、共謀のところは、「具体的な謀議を行い、これを共謀した者」、または「共謀をした者のいずれか」、「その共謀に係る犯罪の実行に」おいて「準備その他の行為」と。 過去の議論でも、組織犯罪集団を限定し、そして共謀に加えて実行準備行為をした者という限定はやってきた。しかし、過去の議論において、政府・与党は、この法案について一貫して組織的な犯罪の共謀という表現を使われてきた。 今、大臣が新法案について御説明したものと、私が読み上げました過去の自公修正案というものは、全く変わらないんじゃないですか。どうして名前だけ変わるんですか。
○金田国務大臣 ただいま、かつての共謀罪の与党修正案についてお話がありました。 まず、このたびの政府提出法案についての政府見解をその修正案というものは答弁したものではないわけでございますから、このたびは政府提出法案についての政府見解を答弁させていただきたい、このように考えております。 そして、その上で、かつての共謀罪とテロ等準備罪はなぜ違うんだというふうにおっしゃると思うんですが、その点につきましては、主体を組織的犯罪集団に限定して、実行準備行為があって初めて処罰することになっているわけでありまして、これは、共謀したことのみで処罰されるかつての共謀罪とは別物なんだということをまず申し上げておきたいと思います。 そして、テロ等準備罪の呼称というものは、罰則の実態を反映したものとして受けとめていただく、そういうふうに考えた場合に適切である、このように考えるわけであります。 テロ等準備罪を設けることによって、テロを含む組織犯罪について、実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となるんだ、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになるんだ、テロ等準備罪がテロ対策に資することは明らかであります。 国内外の犯罪実態を考慮しますと、組織的な犯罪集団の典型がテロリズム集団でありますし、テロリズム集団による重大犯罪の典型がテロである。 また、テロ等準備罪というのは、計画行為に加えて、先ほども申し上げましたように、実行準備行為が行われたときに初めて処罰するものなんだ。 したがって、テロ等準備罪という呼称でございますが、これはこうした罰則の実態を反映したものとして適切である、このように考えておる次第であります。
○井出委員 過去の修正案とは違って、きょう閣議決定された本案について、集団を限定した、実行準備を加えた、そういうことをおっしゃられるんですが、過去の法案議論、修正案との違いをきちっと説明ができないようでは、過去の議論において国民の懸念を払拭できなかった、そうおっしゃっているのは大臣なんですよ。その懸念を払拭するために、過去の法案、特にきょう私が聞きたいのは、過去の与党が出された修正案との違い、一体何が違うのか、もう一度明確にお答えください。
○金田国務大臣 過去と違いますのは、今回は政府案としてお出しをしているということを先ほどから申し上げているつもりであります。
○井出委員 全く質問に正面から答えていただいていないと思います。 きょうは名前とその法案の中身について伺います。 二〇〇七年の二月二十日、自民党法務部会条約刑法検討に関する小委員会の検討結果に示された修正案骨子、これは会議録にも残っていないのですが、これは、自民党において、外務省、法務省も交えてまとめた内容だと聞いております。 この法案の対象の犯罪を、この部会の小委員会でまとめたものは百二十八から百六十二に限定をする、それから共謀と実行準備行為が行われない限り処罰されない、その辺は一緒でございます。それから、組織的な犯罪集団がテロ等の謀議の対象犯罪等を実行する団体のみを対象とする、さまざまな限定をかけておりますが、それでも、このときの小委員会がこの法案に何という名前をつけたのか。テロ等謀議罪なんです。過去の与党の取り組みの方が、名前のつけ方の方が私はよっぽど正直であったと思います。 テロ等準備罪という名前は、少なくとも、二百七十七の計画について処罰をする、二百七十七計画処罰罪でもいいですよ。それが一番、この法案の中と名前と合致する、そういうことなんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○金田国務大臣 ただいまの御質問にお答えをいたします。 本罪は、組織的犯罪集団の関与する犯罪実行の計画をしただけでは処罰されないわけであります。実行するための準備行為が行われて初めて処罰が可能となるものであるために、このことを端的にあらわすために準備罪としたものである。 そしてまた、テロ等というふうに呼称されておりますのは、国内外の犯罪実態を考慮するときに、組織的犯罪集団の典型がテロリズム集団であって、テロリズム集団によります重大な犯罪の典型がテロである、こういうことを踏まえまして、本罪が対象とする犯罪を端的にあらわすためにテロ等としたものでありますから、テロ等準備罪という呼称になるわけであります。 以上であります。
○井出委員 準備行為というものが一体いかほどであるかは後の階先生や逢坂先生に質疑を深めていただきたいと思いますが、テロ等について伺います。 テロ、テロリズム集団その他の組織犯罪集団という言葉を使われるようですが、これまでの答弁ですと、一つテロ集団がある、そのほかに、暴力団がある、それから詐欺集団がある。テロリズム集団を例示されるということは、テロリズム集団その他の組織犯罪集団というものは、やはり、テロリズム集団と同等のものと読み解くのが私はオーソドックスかなと思っておりますが、そのテロリズム集団と暴力団、テロリズム集団と詐欺集団がやろうとしている犯罪の目的、それから犯罪の実行態様、形態というものは本当に一致している、対等なものと言えるんでしょうか。
○金田国務大臣 ただいまの質問の中での同等という考え方ではなくて、重大な犯罪を目的としているかどうかという観点からの例示である、このようにお考えいただきたいと思います。
○井出委員 重大な犯罪を防ぐということが一番の目的であって、テロが主目的ではないということでよろしいんですか。
○金田国務大臣 先ほどから申し上げております、本罪による処罰の対象として典型的に想定される重大なものがテロであります。したがいまして、テロを例示したものであります。 そして、その等というのは、先ほども申し上げましたが、テロリズム集団を含む組織的犯罪集団が行うテロ行為以外の重大な組織犯罪を指す、このように受けとめていただきたいと思います。
○井出委員 テロの定義というものを考えますと、政治的ですとかいろいろな考え、主張というものがあって、大量の人を殺りくする、それから、建物をぶっ壊したり、財産、そういうものを破壊する。その主張、考えと、それに基づく甚大な結果と、その二つが重ね合わさって初めてテロという定義がされるということは、日本においても、それからアメリカ、イギリス等を見ても変わりがないと思います。 暴力団や詐欺集団というものは、そういう特定の主義主張があるのかないのか、それからまた、それだけの大量の殺りく、それから、ビルなどを破壊する、そういう犯罪形態というものをとり得るのかどうかというところは、私は、法律の定義からすれば若干の疑問を感じている。 重大犯罪の典型がテロであると。重大にも幅があると思いますが、テロ等で、暴力団、詐欺集団、テロリズムをくくるのであれば、テロ等準備罪、その名前ではなくて、やはり重大犯罪準備罪、重大犯罪計画罪、そう変えていただく方がいいと思いますが、いかがですか。
○金田国務大臣 国内外の、先ほど申し上げましたが、犯罪の実態を考慮した場合に、本法案におけるテロ等準備罪が対象とする組織的犯罪集団の典型例はテロリズム集団である、そして、テロリズム集団による重大犯罪の典型はテロである、このように考えておる次第であります。
○井出委員 この法律の主目的はTOC条約に入ることだと思います。そこは、与党も野党も政府も問題ないのかと思います。 前回も少しお話しし、紹介をさせていただいた、尾崎久仁子さんという国際的に今なお御活躍の方の本からまた少し一節を紹介したいんですが、この条約、国際組織犯罪防止条約というものは、組織犯罪に焦点を当てたため、犯罪組織によって敢行され、国際的性質を帯びていれば全ての重大犯罪が対象となる、さらに、国際性や組織性は捜査の当初から明確であるとは限らないので、現実にはほとんどの犯罪がこの条約の影響を受けることとなっていると。 本来であれば、この条約に入るためには、重大な犯罪に対する計画、合意。それを推進する行為、実行準備行為をつけてもいいでしょう。重大な犯罪の計画を取り締まることが一番の目的であって、テロ等準備罪とテロを前面に押し出すと、この方の本によりますと、テロリズムの定義というものは国際的に定めることはなかなか難しい、それはなぜかといえば、一般的に言えば、途上国が民族解放闘争を行う自由の戦士の行為はテロの範囲から除くべきであるとの主張がある、そういう中で、テロに関する条約というものは、抽象的なテロではなくて、テロの具体的な犯罪行為についてこれまで十二本の条約が締結をされてきた、それを、今回初めて計画、共謀、合意というものに焦点を当てて重大な犯罪を取り締まる、その中にテロは含まれるかもしれない、しかし、テロというものをあえて外していると。 条約の方で一生懸命そういう緻密な検討をしているのに、日本の方で、テロ、テロ、テロ、そういうことを言って、果たして本当に条約に入るという主目的にかなうのかどうか。 その点を、果たしてこの名前で条約に入れるのかどうか、そのことを問いたいと思います。
○武井大臣政務官 条約の趣旨ということでございますので、趣旨、観点ということで外務省からお答えしたいと思います。 まず、先ほど来法務大臣より御答弁もございますが、一般論として、国際的な組織犯罪とテロ行為の間には強い関連性があるということは指摘をされているところでございます。 本条約の起草過程、先ほどございました尾崎さんもアドホック委員会に入っておったわけでございますが、この起草過程におきましても、対象犯罪を具体的に列挙すべきではないかという議論の中で、テロ行為というものもその対象になっていたところでございます。 また、本条約を採択いたしました二〇〇〇年十一月の国連総会の決議でございますが、こちらにおきましても、国際的な犯罪集団とテロとの関連が拡大をしているという議論がございまして、本条約が犯罪行為と闘うための有効な手段であるということが指摘されたところでございます。 このように、本条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止する枠組みであると言えると考えております。したがいまして、本条約の義務を担保する罪の名称としてテロ等準備罪というものは適切であるというふうに考えております。 以上でございます。
○金田国務大臣 ただいま外務政務官からお話がありました。繰り返しになる部分があろうかとは思いますが、やはりテロ活動と国際的な組織犯罪との間には強い関連性があって、TOC条約については起草段階からテロ活動を対象に議論が行われてきた、このように承知しております。テロを含む国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みがTOC条約であった、このように承知をしておる次第であります。
○井出委員 もう時間が来たので終わりますが、私は、大臣に当初から申し上げてまいりましたが、大臣の辞任を求める、そういうスタンスであることはきょうも変わりません。 名前については、冒頭申し上げましたように、名前、質問の仕方によって世論が真っ二つに見解が分かれる、本当に国民に理解を求めていくためには、そこの審議を尽くしていかなければいけないということが一点あります。 それから、前回の委員会で、大臣は、私の質問に対して、幾つか大変いいアドバイスをいただいたというような答弁をいただきました。しかし、それが成案ですとか成案上に反映されるとか、形にならなければ、答弁だけではなくて、やはりそういったものをしっかりと受け入れて形にしていただかなければ辞職を求めるスタンスというものは変わらない、そのことを申し上げて、本日の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、階猛君。
○階委員 民進党の階猛です。本日もよろしくお願いいたします。 今、井出委員からも共謀罪法案の名称についていろいろ議論がされましたけれども、私は、特にテロ等準備罪と法案に書かれておりませんので、従来どおり共謀罪法案ということで以下質問させていただきます。 まず、お手元に資料を配らせていただいておりますが、こちらは、三月九日付の法務省の事務連絡というものから抜粋したものです。これは、三月二日に一回協議したものを、いろいろ与党さんからの御疑問がある中で修正しましたよということで、これについて意見があったら申し出てくださいねということで法務省から各府省に対して流したものだと承知しております。 ところで、きょう閣議決定された共謀罪法案、この「修正前」、「修正後」の、「修正後」の方で最終的には決着したということでよろしいですか。確認です。
○金田国務大臣 階委員の御質問にお答えをしたいと思います。 ただ、この御質問でございますが、事前通告がなくて、三月九日付の刑事法制管理官事務連絡の確認が直ちにはできません。したがって、御指摘の書面の内容についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○階委員 では、質問をかえますよ。 共謀罪法案、きょう閣議決定されました。では、六条の二の条文について、今ここで読んでください。「修正後」の内容と同じあれば、同じですと言っていただければ結構です。(発言する者あり)
○金田国務大臣 きょう閣議決定になった条文のの内容を読ませていただきます。 第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。 (階委員「ここまでで結構です」と呼ぶ)ああ、そうですか。 以上です。
○階委員 ありがとうございました。まさにきょうお配りした資料の「修正後」に書かれているものと全く同じ内容がきょう閣議決定されたということが確認できました。 そこでお尋ねします。 私の二月二日の予算委員会での質問に対する答弁で、組織的犯罪集団とは、テロ組織、暴力団、薬物密売組織といったことに限られるということを大臣は答弁されました。しかし、今おっしゃった定義では、「テロリズム集団」というのは例示として挙がっていますが、「その他の組織的犯罪集団」ということで、具体的なテロ集団以外の犯罪集団は挙がっていませんし、外延がどこまでかということが具体的に明示されていません。二月二日の答弁と整合性がとれないと思うんですが、いかがですか。
○金田国務大臣 ただいまの御指摘に対しましては、以前の答弁は事例として申し上げた例であります。そして、今回は、この条文の中において、しっかりと組織的犯罪集団、そしてその定義を置いている、このように考えております。
○階委員 これは、今まで、一般人が組織的犯罪集団に含まれるかどうかということで、私も国会で何度も質問しました、同僚も何度も質問しました。そういう中で出てきた答弁が先ほど申し上げた点なんですよ。そのことについて、検討段階は例示だったということで、何か、テレビ入りの審議のときにはテロ組織、暴力団、薬物密売組織に限られると言っておいて、なぜここに来て例示だったという話になるんですか。 では、前回、二月二日の答弁は撤回してください。(発言する者あり)何をおっしゃっているんですか。成案が出たときに答弁すると言っているんですよ。成案が出た後答弁すると言っているんだから、だから成案が出たから答弁を求めているんですよ。
○金田国務大臣 テロ等準備罪は一般の方々が処罰の対象となることはない、このように考えております。それは、テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を組織的犯罪集団に限定しているからであります。 組織的犯罪集団というのは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする集団をいうことでありますから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、麻薬密売組織、振り込め詐欺集団などに限られることになるわけであります。 このような適用対象となる団体の限定により、一般の方々がテロ等準備罪の処罰の対象となることはない、このように考えているわけであります。
○階委員 法案の成案が出たので私は質問していて、本来であればもっと前に答えていただかなくちゃいけないことを今質問しているわけですよ。何が質問が、時期がおかしいと。重要な点について当然検討段階でも確認していることだから聞いているわけです。 そこでもう一つ聞きますけれども、通告しているとおり、これまでの私の質問について法務大臣から明確な答弁がなかった点について、確認的に質問しますよ。 二月二日の答弁で、「正当な活動を行っていた集団であれば、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続して行うようになるといったような、団体の性質が一変したと認められなければ、組織的犯罪集団と認められることはない、」という答えでした。「反復継続」という言葉が入っていました。 その後、二月十六日、山尾委員に対する文書での答えが出てくる中で、「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得ることとするのが適当である」ということで、この段階では、反復継続の要件が消えております。そして、きょう閣議決定された中にも、反復継続という言葉が出てきておりません。 二月二日の答弁で「反復継続」と言っていたものは、なぜ法案の中に入っていないんでしょうか。二月二日の答弁について確認します。二日のものは間違いだったのかどうか、お答えください。
○金田国務大臣 階委員のただいまの質問にお答えしたいと思います。 どのような場合に、正当な活動を行っていた団体について、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められるかということの説明、これを踏まえてのお話であろうと思います。 ここで言う一変という言葉をしっかりと踏まえていただかなければいけないわけですが、一変というのは、一瞬にして変わるとかそういうことではありません。一変というのは、性格がすっかりと変わる、そういう意味であります。それは御承知かとは思いますが、念のために申し上げております。 御質問の点は、個別具体的な事案における証拠関係を踏まえた事実認定の問題であるというふうに考えておりますので、一概にお答えすることは困難であります。 しかしながら、あくまで一般論として申し上げれば、具体的な事案において、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、当該事案の時点において構成員の結合の目的が犯罪を実行することにあるか否かによって判断されるものである、このように申し上げることができると思います。 その上で申し上げると、もともと正当な活動を行っていた団体につきましては、通常、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどの状態にならない限り、組織的犯罪集団に該当すると認められることは想定しがたいと考えられるものであります。
○階委員 今、通常ということを言ったので、必ずしも反復継続というのは必須の、要件という言葉がおかしければ条件と言いますが、必須の条件ではないというふうに承りました。 したがって、二月二日の答弁と山尾委員に対する文書による答弁、どちらが正しいか、どちらがより正確かといえば、山尾委員に対する答弁書の方だということで理解してよろしいですか。二月二日の答弁は明確に「反復継続」というふうに言っていますから、そうではなくて、山尾委員に対する答弁書が正確だという理解でよろしいですか。
○金田国務大臣 お答えしますが、ただいま答弁で申し上げたとおりであります。
○階委員 だから、山尾委員に対する答弁書が正しいということでよろしいですか。二月二日の答弁では「反復継続」ということを明確におっしゃられていたから、これが必須の条件かどうかということを確認したところ、先ほど、通常の場合はという限定をつけられた。したがって、山尾委員に対する答弁書が正しいということを言っていただければ結構です。よろしいですか。答弁をお願いします。
○金田国務大臣 御質問の点は、個別具体的な事案における証拠関係を踏まえた事実認定の問題であります。一概にお答えすることは困難でありますが、あくまで一般論として申し上げますと、具体的な事案において、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、当該事案の時点において構成員の結合の目的が犯罪を実行することにあるか否かによって判断されるものであります。 その上で申し上げますが、もともと正当な活動を行っていた団体については、通常、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどの状態にならない限り、組織的犯罪集団に該当すると認められることは想定しがたい、このように考えられるわけであります。
○階委員 同じことの繰り返しですけれども、今も通常という言葉もおっしゃいました。通常ではない例外的な場合もあるということですから、確認しますけれども、反復継続性がなくても組織的犯罪集団に当たる場合はあり得るということは間違いないですね。お答えください。
○金田国務大臣 何度も申し上げますが、個別具体的な事案における証拠関係を踏まえた事実認定の問題であるということは御理解いただけると思います。 あくまで一般論として……(階委員「だから、同じことの繰り返しじゃなくて、あり得るかどうかと聞いているんですよ」と呼ぶ)
○鈴木委員長 静粛に願います。
○金田国務大臣 申し上げれば、団体の意思決定に基づいて、犯罪行為を反復継続するようになるなどの状態にならない限り、組織的犯罪集団に該当すると認められることは想定しがたい。 けれども、あり得るかとぎりぎり聞かれた場合に、あり得ないとは言えないと思います。
○階委員 これが非常に重要な話なんですね。 というのは、反復継続性が必ずしも求められない、反復継続性がない場合でも組織的犯罪集団に当たる場合があり得るということになると、先ほどのペーパーを見てください、確かに冒頭の方で、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」ということで、その定義が括弧書きの中にあって、その後、「の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、」云々とつながるわけです。 これは、一号、二号に共謀罪の対象犯罪があるんですけれども、こうした一号、二号、所定の犯罪を組織的に遂行しようと二人以上で仮に計画したとしましょう、その人たちがある会社に属していたとしましょう、この場合に、二人以上で計画したという事実をもって組織的犯罪集団に後づけで認定される可能性はないのだろうか。つまり、所定の犯罪の組織的な遂行を計画したということをもって、団体の結合目的が一変したと直ちに認定されて、後づけで組織的犯罪集団だと言われる可能性があるのではないか。反復継続性の条件が必ずしも要求されないということは、そういう論理的な可能性もあると思いますよ。いかがですか。
○金田国務大臣 階委員の御質問にお答えします。 具体的に、どの答弁について御質問なされるのかという通告をいただいておりませんので、お時間をいただき、発言の内容を確認しながらお答えせざるを得ないことも御理解をいただかなければいけない、このように申し上げておきます。 その上で、御承知だと思いますが、このテロ等準備罪は、独立した要件が三つあります。組織的犯罪集団、それから計画、それから実行準備行為。そういう中で、御指摘の点も、考えていただければ、一般の方々が一変という前提でお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げたように、すっかりその集団の、組織の性格が変わる、すっかり変わるという状況をどう捉えるか、反復継続ということをどう捉えるか、いろいろな意味をそこに持って御説明をしなければいけない、このように思っております。
○階委員 いろいろなことをお話しされたので、ちょっと私は趣旨がよくつかめなかった部分もあるけれども、要するに、一変したということをどのように認定するかということが問題になるわけですね。 反復継続性の要件があれば、過去にそういうことがあったのでこれは認定せざるを得ませんねということも容易かなと思うんですけれども、しかしながら、反復継続性がなくてもある犯罪について共謀行為がなされたということから一変したと認定される可能性が排除されないのであれば、これはもう、組織的犯罪集団で犯罪の主体を限定したと言いますけれども、実質的に限定されることにはならない。つまり、一般の人たちも処罰対象になってくるというふうに私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 一定の犯罪を犯す合意のみでは足りないわけでありますね、申し上げているように。テロ等準備罪を適用するには、主体が組織的犯罪集団であること、すなわち、結合の目的が犯罪を実行することにある団体であると認定される必要があります。単に、団体の中で一定の犯罪を犯す合意があることが認定されるだけでは足りません。そのため、組織的犯罪集団の要件は、合意や実行準備行為とは別の、独立して意味のあるものでありまして、御指摘のようなことはない、このように考えております。
○階委員 私は、組織的犯罪集団という要件は、独立的というよりは、むしろ、共謀があったということから従属的に導かれるような要件ではないかというような問題意識を持っています。 そこで、組織的犯罪集団、もともと正当な目的を有する企業とかサークルとかNPOとか、そういった団体が、目的が一変した場合に、一変したと認定された場合に、私はこれ、何度も予算委員会でも質問しましたけれども、一変したけれども、それを知り得なかった、普通のその集団の構成員の人たち、この方たちはやはり組織的犯罪集団の一人として捜査対象にはなり得るのかどうか、この点について確認の答弁をお願いします。
○金田国務大臣 御質問にお答えをいたします。 組織的犯罪集団というのは、構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体をいうわけであります。 したがって、犯罪に荷担していることを知らない人たちが、一定の重大な犯罪を実行することを共同の目的として結合しているということは言えません。したがって、組織的犯罪集団の構成員とは言えませんし、テロ等準備罪の故意もないということになろうと考えております。
○階委員 すなわち、具体的に言えば、普通に会社を経営していました、ところが、あるときからリフォーム詐欺をやるようになりました、しかし、一般の社員は従来どおり営業活動をしていましたといった場合に、同じ会社の中で、組織的犯罪集団の構成員になる人とならない人がいる、こういう理解でよろしいですか。
○金田国務大臣 階委員の御質問にお答えします。 そのとおりになろうかと思います。
○階委員 それは明確になりましたけれども、実際上の問題として、同じ会社にいる人たちの中で、この人は組織的犯罪集団の構成員、この人は普通の社員ということを仕分けするのはどうやってやっていくんでしょうか。やはり社員全体の個別のメールであるとか活動であるとか、こういうものを監視した上で、この人は構成員、この人は普通の社員ということを仕分けしなくてはいけないのではないですか。いかがですか。
○金田国務大臣 捜査というものの御質問だ、こういうふうに受けとめております。 最初に申し上げましたように、階先生の質問は非常に重要な質問が多いので、ぜひ事前に御通告いただくとありがたいというのは最初に申し上げたとおりであります。そうしますと、立派な答弁を直ちにできるかなというトライをしてみたい、こういうふうに考えております。 それはそれといたしまして、捜査の場合は、嫌疑があって初めて、刑事訴訟法の手続にのっとって必要かつ適正に行われるものである、このように考えております。そういう意味において、このテロ等準備罪を理由に、そうした観点を失った捜査というものは行われないものと考えております。
○階委員 同じ組織の中で、組織的犯罪集団の構成員かどうか、これを見分けるのは、当然個々の活動、個々のいろいろな発信、こうしたものをチェックしないとできないわけでありまして、一般市民が監視対象になる、これこそまさに多くの国民が懸念していることだと思います。 きょうのやりとりだけでは、やはり従来の共謀罪に示されていた国民の懸念は払拭されないと思っていますし、成案の段階で答えると言われていた、宿題になっていることがたくさんあるわけです。法案審議の段階ではなくて成案の段階で答弁すると言われていましたので、きょう質問させていただきました。また時間を改めて、引き続き、たくさん宿題がありますので、質問させていただきます。 終わります。
○鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 民進党の逢坂誠二です。 きょうは、ちょっと喉が痛くて、余り体調がすぐれないんですけれども、頑張ってやりたいと思います。 まず、幾つかやじが飛んでいた、そのやじに一々答えるというわけではないんですけれども、きょう共謀罪の法案が閣議決定されたわけでありますけれども、まず、ここは、きょうは一般質疑でありますから、何を議論してもいいということは皆さんに御理解いただきたいと思います。 そこで、私は、きょうはこの共謀罪の法案について議論をしたいと思います。 それから、閣議決定される前になぜ、それでは議論をしていたんだという話でありますが、これも繰り返しでありますけれども、特に私が問題視したのは、一月十六日だったと記憶しておりますが、菅官房長官の記者会見で、官房長官が、共謀罪と違うテロ等準備罪というものを準備している、それは従来の法案と全く違う、それから一般の人は該当にならない、こういう発言をしたので、そこまで明確に言うのであれば、これは内容を聞かなきゃいけないなということだったわけであります。 その後、総理も、今度の、政府が言うところのテロ等準備罪は東京オリンピックのために必須とも言えるものだということを繰り返しお話しになっているので、であるならば、その中身を聞かなければいけないということでこれまで質疑をしてきたわけでありますので、その点は御理解いただきたいと思います。 そして、その上で、きょう閣議決定されましたので、今後はより踏み込んで、さまざま聞かせていただきたいと思っております。 それから、通告のことについていろいろやじが飛んでおりますが、私も、答弁の立場で長くやっていたこともありますし、若干でありますけれども政府の中で、国会議員になってからも答弁の立場に立つことがございました。したがいまして、その意味からいうと、通告というのは、それがあるというのは、私は議論を深める上で非常に大事なことだと思います。 だがしかし、やりとりの中で質問がだんだんほかへ派生していくということは当然あり得ることですし、通告したことだけにしか答えられないということであるならば、国会の場が、これはちょっと言い方は悪いかもしれませんけれども、学芸会になりかねない、しかも、政府が答弁するシナリオを見せてもらえない学芸会になりかねないので、そこは、質問が派生していくということは御理解をいただきたいと思います。 そこで、何点かお伺いをします。 まず、先ほど井出委員の質問の中で、過去の与党の修正案と今回の閣法の違いは何だというふうに井出委員が問うたわけですが、政府案として提出していることが違いだというふうにおっしゃられました。確かに、それはそのとおりだと思います。形式上は、与党の修正案でありますし、今回は閣法でありますから、それは違っているのは当然だと思うんですが、それ以外に違いというのはないんでしょうか。
○金田国務大臣 逢坂委員にお答えをいたしますが、その前に、やはり同じことを申し上げざるを得ないことを御容赦いただきたいと思います。 通告をいただいておりませんので、直ちにただいまの部分については、お答えは、また後の機会に、調べてお答えする機会を賜りたい、このように思っております。
○逢坂委員 閣法であるということ以外に違いがあるかどうかは後の機会に答弁をするということで、それは了解いたしました。ぜひ、どういう違いがあるか、教えていただきたいと思います。 それじゃ、もう一つ、きょうは閣議決定されてからの一回目のやりとりでありますので、初歩的なことを若干聞きたいんですけれども。まず、テロ等準備罪というのは一体何なのかというのを簡潔に説明していただけますか。
○金田国務大臣 簡単に申し上げます。 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の団体の活動として、一定の重大な犯罪を実行するための組織により行われるものを計画したことに加えて実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とするという、テロ等準備罪であります。
○逢坂委員 重大な犯罪の合意、計画、そしてそれに伴う実行準備行為、これがあって初めて処罰の対象になるのがテロ等準備罪だというふうに理解をいたしました。 そこで、それじゃ、もう一歩聞きたいんですけれども、大臣、計画それから準備行為、これがあって処罰の対象になる、これがテロ等準備罪だということは大臣の話でわかるんですが、これはどの時点で検挙できるんでしょうか。計画の段階で検挙できるのか、それとも、準備行為があって初めて検挙できるのか。 検挙と逮捕は若干違っていますが、検挙は法令用語ではありませんので具体的な定義がないので、多少曖昧な聞き方でありますけれども、一般的に、逮捕よりももうちょっと広い意味合いで検挙の方を使っているのではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。 もし、これもわからなければ、後でまた、後日でも構いません。
○金田国務大臣 テロ等準備罪の成立というものを考えた場合には、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪の計画に加えて実行の準備行為が行われることが成立の要件になろうかと思います。
○逢坂委員 私が聞いたのは、犯罪の成立の要件ではなくて、検挙できるのはどの時点かということであります。計画の段階で検挙できるのか、それとも、準備行為までいかなければ検挙できないのかということを聞いたんです。
○金田国務大臣 テロ等準備罪の嫌疑が認められたときと考えております。
○逢坂委員 テロ等準備罪の嫌疑が認められるというのはどの時点であるのかという質問であります。すなわち、計画をした段階でテロ等準備罪の嫌疑というふうになるのか、あるいは、準備行為まで入った段階で嫌疑になるのか。 この点は、実はこれまでの国会のやりとりの中でも何度も聞いている話でありまして、これは成案が出ないと言えないというふうにおっしゃっておられたので、これは非常に初歩的な問題だというふうに思いますので、大臣、いかがでしょうか。これがもし答えられないとするならば、これはなかなか、私は残念なことだなというふうに言わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 具体的な事案に応じてさまざまなケースがありますので、一概には答えられないと思います。
○逢坂委員 大臣の答弁、それはその言葉をそのまま受けとめたいと思いますが、ということは、これもさっきの話と同じになるんですけれども、可能性としては、計画の段階で検挙をすることも否定されないということに受けとめられるわけですね。それは絶対あり得ないんだというのなら、それぞれの事案に応じて判断をするという答弁にはならないはずなんですね。場合によってはそういうこともあり得るということに理解をしてよろしいでしょうか。
○金田国務大臣 申し上げましたのは、嫌疑が認められた場合には捜査はあり得る、こういうふうに申し上げたつもりであります。
○逢坂委員 以前に、大臣も御記憶かもしれませんけれども、予算委員会だったと思いますけれども、私から、合意する行為、今の法案で言うところの計画する行為と準備行為の境目というのは実はなかなかわかりづらいというのが世界でもいろいろ議論されているところだ、だからこれはなかなか大変なんですよねと。準備行為を付加したからといって、それが従来よりも、構成要件と言ってよいか処罰要件と言ってよいか今まだはっきりしておりませんけれども、それが厳しくなったかどうかはまだわからないというのが私は二月の予算委員会の段階だったというふうに思っているんです。そこで、改めてきょう聞いているわけであります。 そこで、今までの答弁からしてみますと、明確に計画段階では検挙しないというふうに言わない、そして、それぞれ事案に応じて判断をする、嫌疑が出た段階で場合によっては捜査に入る可能性もあるというふうに言っているわけですから、嫌疑が出る段階というのは、改めて、大臣、計画の段階でもあり得る、そういう場合を否定されないということでよろしいでしょうか。
○金田国務大臣 御指摘の点につきましては、一概には言うことは難しいと考えています。
○逢坂委員 一概に言うことが難しいというのは、計画段階で捜査に入れるか入れないかということを一概に言うことが難しいという理解でよろしいでしょうか。
○金田国務大臣 どのような段階で捜査に入るかというのは一概には言うことは難しい、このように申し上げております。
○逢坂委員 きょうの段階では、ということであるならば、計画だけでは国民の皆さんにいろいろ不安があるんだ、だから準備行為を付加したんだということをおっしゃっているわけですが、準備行為を付加した意味、それは全くないとは私は言いませんが、どの段階で嫌疑が出るのかということがもし仮に言えないとするならば、仮に準備行為を付加しないときと似たような状況も場合によってはあり得るのではないかということを今のところは推論せざるを得ないんです。ここが非常に曖昧であれば、これは国民の不安というのはなかなか払拭できないのだというふうに思います。 それで、これはまた、きょうは、大臣、またよくお考えいただいて、いい答弁を用意しておいていただければと思います。 それから、次なんですが、本当はこの用意したペーパーの中身をやりたいんですけれども、きょう閣議決定されたということなものですから、初歩的なことをもう一点。 政府が言うところのテロ等準備罪、我々が言うところの新共謀罪、これの創設の目的は何ですか、あるいは立法事実について教えていただけますか。
○金田国務大臣 私どもからしますとテロ等準備罪、この創設の目的は何かということであろうと思います。 昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢といったものを考えてみますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止する、これと闘うための国際協力を可能とする、そうしたTOC条約を締結することは急務である、このように考えております。 近年、世界各地で大規模なテロが続発するという一方で、我が国においても、暴力団による組織的な殺傷事犯あるいは違法薬物事犯などの各種の組織犯罪が多発している。平穏な国民生活、市民生活が脅かされる状況にある。 国内法においてTOC条約が創設を求める犯罪を整備してTOC条約を締結することによって、テロを含む組織犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することが可能になりますとともに、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助が可能になる、あるいはさらに充実させることができる。そして、情報収集において国際社会と緊密に連携することが可能となる。 こうしたテロを含む組織犯罪を未然に防止して、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することを目的としまして、テロ等準備罪を創設するものであります。
○逢坂委員 TOC条約の締結が目的であるということは理解をいたしました。 大臣、改めてでありますけれども、以前の議論の中で、このテロ等準備罪、新共謀罪の立法事実は何かということを随分問われていたかと思います。立法事実については、大臣の頭の中にたくさんあるというような発言をしていたかというふうに思うんですが、立法事実、一つでも構わないんですが、教えていただけますか。
○金田国務大臣 逢坂委員の御質問にお答えします。 三年後に迫りました東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えております。そうした中で、昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは不可欠である、この点が立法事実であります。 そして、TOC条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意または組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけております。しかし、現行法上、参加罪は存在をしません。そして、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎないわけであります。これに加えて、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものではない上に、相当の危険性がなければ処罰の対象とはならない。 このように、条約と国内法との対比においては、現行法が条約第五条の定める犯罪化義務を満たしていないというその事実によりまして、TOC条約を締結するためにテロ等準備罪を新設する必要があることは既に示されているものと考えております。
○逢坂委員 きょうの答弁、もう少し、議事録、文字になった段階で精査をさせていただいて、さらに深く議論したいと思いますが、今、大臣、今の日本の現行法規で定められている予備罪は合意を処罰するものになっていないから、合意を処罰する必要があるから今回このテロ等準備罪をやるんだという答弁に聞こえたんですけれども、それでよろしいですか。
○金田国務大臣 先ほど申し上げた内容を一部繰り返します。 現行法上、参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎない。これに加えて、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものではない上に、相当の危険性がなければ予備罪は処罰の対象とはならない。このように申し上げました。
○逢坂委員 そこで、きょう、私、資料を用意しました。ちょっとわけのわからない資料に見えるかもしれませんが、一番上がTOC条約、その次が新共謀罪、これはいわゆる政府が言うところのテロ等準備罪、そして三番目が新共謀罪の対象犯罪ということで書かせていただきました。時間の流れは左から右へ流れていくということであります。 TOC条約が求めているのは、合意を処罰するというのは求めているわけですが、オプションとして推進行為はつけていいですよと。国内法の事情によっては、オプションとして推進行為をつけていい。このTOC条約が言うところのオプションの推進行為というのは、政府が言うところの事前の準備行為というふうに理解をしております。 新共謀罪は、合意のところでは必ずしも検挙しないのかするのか、きょうの段階では明らかではありませんけれども、私は、とりあえず合意の段階では検挙しないということでこの表をつくらせていただきました。 そして、さらに加えて、それじゃ今度、二百七十七ですか、対象になる犯罪がある。対象になる犯罪、下の方から見ていただきたいんですが、最も多いのは多分既遂、実際に犯罪行為をやらないと処罰にならないよというのが一番多い類型だろうと思います。だから、未遂も予備もないわけですね。それから、未遂があって予備がないというのもあるかと思います。詐欺罪なんかはそれに当たるんだというふうに思います。それから、未遂も予備もあるというのがある。組織的な殺人罪というのは、予備もあり未遂もあり、そして実際に行為を行ったらやるということなんだと思います。 そこで、大臣が先ほどの答弁の中で、現行の予備罪というのは、合意を処罰するものではないと同時に、相当の危険性がなければこれは処罰できないんだ、だから今回、政府が言うところのテロ等準備罪を創設するんだということをおっしゃったわけですが、私、ここで非常に気になるんですが、相当の危険性がなくてもこれは処罰をするんだということでよろしいんでしょうか。
○金田国務大臣 テロ等準備罪と現行法上の予備罪との、その処罰範囲のお尋ねかな、こういうふうに考えております、比較をしての。 現行法の予備罪というのは、予備行為の危険性自体に着目する、予備そのものに危険性というもの、これを処罰するものであります。予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものであることを要する、実務上の裁判例でそのように示されておりますし、相当の危険性を備えたものであることを要すると解されております。 他方、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の団体の活動として、一定の重大な犯罪を実行するための組織により行われるものを計画したことに加えて実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とするものである。したがって、実行準備行為は、計画とは別の行為であって、計画に基づいて行われる、計画した犯罪を実行するための準備行為をいうわけで、テロ等準備罪は、計画と実行準備行為について、総体として危険性の高い行為であることを根拠として処罰するものであるということであります。
○逢坂委員 それでは大臣、以前に政府が立法事実の三類型というふうに出されたものの中でハイジャック事案がございましたね。ハイジャックを計画する、そして、自分たちが搭乗するあるいは狙っている飛行機の航空券を購入しに行く。航空券を購入しに行くのは予備行為である。でも、これは、予備行為だけでは危険性というのはないわけですね。航空券を買いに行くだけでそれは危険だということは、一般社会上あり得ないですね。当然、それはハイジャックをしようとする意図とセットになって、それが危ういということになるわけですね。 そして、以前の答弁の中で大臣は、立法事実として、これが予備罪に当たらないんだというふうにおっしゃっていたけれども、後に、それは予備罪に当たるケースもあるということをお認めになったことは大臣も理解されていますよね。全くこれが予備罪に一〇〇%当たらないというものではないということは、大臣もおっしゃっていたかと思うんです。 そうなりますと、私はここがわからないんですよ、政府が言うところのテロ等準備罪と、今、現行法にある予備罪と何が違うのかというところがわからないんです、私は。ここをやはり国民にわかりやすく説明する必要があると思うのは、どこが違っているのか。大臣、いかがですか。
○金田国務大臣 委員のお尋ねにお答えするとすれば、テロ等準備罪というのは、もちろん組織的犯罪集団であること、そして、計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合に初めて処罰の対象とするものであるということであります。 したがって、実行準備行為が行われた場合に検挙または逮捕可能、処罰可能ということになるのであろうというふうに考えておりまして、それは先ほども申し上げましたとおり、そのものについての危険性を問われる予備罪と、それから、総体として危険性の高い行為である、まあ、計画に基づいて、計画をした犯罪を実行するための準備行為、そういうものを、総体として危険性の高い行為であることを根拠として処罰するテロ等準備罪との違いということで御理解をいただきたいと思います。
○逢坂委員 私にはやはり今のお話ではよく理解できませんでしたので、後で、これも文字を見て、どういう答弁をされているかを確認させていただきたいと思います。 私の法的な理解力の課題もあるんだとは思いますけれども、やはり言葉で答弁されることが、その場で即、どういうことを言っているのか必ずしも判然としないところもあります。それから、法律用語ですから、どういう定義で使っているのかというのもわからないところがありますので、やはり答弁をいただいたら、それを、私も余り、大臣がそう言ったじゃないかと決めつけるようなことはしたくはないとは思うんですが、逆に、答弁をしたからといって、それで相手がちゃんと理解しているかどうかというところも、丁寧にこれからキャッチボールをさせていただきたいと思います。 そこで、最後なんですが、私、これはすごくはらはらして見ているんですが、私が用意したペーパーの一番最後なんです。 今回のテロ等準備罪、新共謀罪がもし成立するということになりますと、今まで実際に犯罪行為を行わなければ処罰されなかったものが、一足飛びに未遂も処罰される、予備も処罰されるということになってしまうんですね。しかも、予備以上の範囲も、多分今までの答弁からすると処罰の対象になっていくということになると私は思うんです。果たしてこれで本当にいいのかなという気がするんですね。 いや、これが政府の意図なんだ、趣旨なんだということは、法案を出しているから多分そうなんだと私は思うんですが、今まで未遂もないんですよ、予備もないんですよ。その予備や未遂だけでも相当個別の犯罪について議論があるのに、それを一足飛びに、未遂も予備も十分に議論もしないで、新共謀罪でいけば一気にそれは犯罪の対象になり得る、これは本当に大丈夫なのかという気がするんです。 特に、刑法の原則、謙抑的であるべきだと、それを一気に飛び越えるような気がするんですけれども、多分きょうはもう議論の時間がないので、問題提起だけになろうと思いますけれども、大臣、ここのところはいかがお考えですか。これは、処罰の間隙ということで明確に質問通告もしておりますので、多分、明確な御答弁をお考えになっているんだと期待はしているんですけれども、いかがですか。
○金田国務大臣 テロ等準備罪、これは何度も申し上げているように、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画に加えて実行準備行為が行われた場合に処罰される。そして、組織的犯罪集団とは、構成員らの結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体をいう。 このような、組織的犯罪集団が関与して一定の重大な犯罪の計画に加えて実行準備行為が行われた場合は、その計画した犯罪が実行される可能性が高いということ、その上、一たび実行されると重大な結果や莫大な不正利益を生ずることが多く、特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性が高いことから、未遂罪や予備罪が処罰されない犯罪類型であっても、テロ等準備罪として処罰するものとするのが適当であるという考え方を申し上げておきたいと思います。 この点、テロ等準備罪は、単独で未遂行為や予備行為が行われた場合よりも悪質性や違法性が高く、実行着手前の段階であっても処罰する必要性が高い場合があると認められるわけでありまして、御指摘については問題はない、このように考えている次第であります。
○逢坂委員 悪質で重大性が高い犯罪であるから未然に防止をする必要がある、一般論としてはわからなくもないんですけれども、でも、刑法の原則を大幅に超えているということだけは大臣には御理解いただきたい。そういう判断をしているのではないかということを指摘させていただいて、終わりたいと思います。 ありがとうございます。
○鈴木委員長 次に、藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。 政府は、きょうの閣議で共謀罪法案を閣議決定いたしました。断固抗議するとともに、撤回を厳しく、強く求めたいと思います。 私は北陸信越ブロックから選んでいただいているわけですが、例えば長野県では、須坂市、千曲市、御代田町、栄村など県内十四市町村で、議会がこの共謀罪に反対する意見書を相次いで可決しております。また、新潟市、新潟県の柏崎市などでも同様の意見書が採択されておりますし、長野県、新潟県、福井県、金沢弁護士会、各県の弁護士会もこの共謀罪に反対する意見書を採択しております。 この共謀罪法案は、過去三回国会に提出されましたが、三回とも世論と運動の力で廃案に追い込まれました。今回も、世論と運動、この力で必ず廃案に追い込んでいきたいと思っております。 金田大臣は、この間、私が共謀罪を質問するたびに、成案が出たら十分にしっかり説明すると御答弁をいただいておりました。その成案が出たと先ほど答弁されましたので、お聞きをしていきたいと思います。 先ほど階委員の質問に対しては、六条の二第一項の条文を読み上げられまして、そこには、「テロリズム集団その他」という文言がありました。 ここでお聞きしたいんですけれども、今回の法案の目的、いわゆる第一条にこのテロリズムという文言は入っているんでしょうか、大臣。
○金田国務大臣 お答えします。 一条の目的には入っていなかったと思います。
○藤野委員 一条の目的には、法案の目的にはテロリズムという文言は入っていないということであります。 これはなぜなのか。私は、この法案がTOC条約の担保法である、その大もとのTOC条約の性質、そしてそれを担保するという法案の性質から見れば、テロリズムという文言が入らなかったのはある意味で当然だというふうに思います。 このTOC条約は、九・一一テロの前に採択をされて、もともとテロ防止を目的とする条約ではなかった。九・一一を受けまして、テロとの関連性というのが意識をされる。私も、テロと条約の関連性そのものについては認識をしております。国連総会の決議なども読ませていただきました。しかし、関連があるということと、その条約がテロ防止を目的とするものなのかというのは、これはやはり全然別なわけですね。 国連は、テロ防止条約というのを明確に分類しております。二月十七日の予算委員会で私も聞いたんですが、十四本、テロ防止条約だと国連は定めて発表している。この十四本の中にTOC条約は入るのかと私は予算委員会で聞きましたら、外務副大臣も入らないと明確に答弁をされました。 つまり、国連は、いろいろ議論の結果、この条約、それこそ起草時では、審議されているときにはテロとの関連も議論されましたが、結局、テロ防止条約とはせずに、それとは明確に区別してこれを採択した。つまり、TOC条約はもともとテロ防止ではなかったわけですから、条約の定義にもテロという文言は入っておりませんし、二〇〇五年の審議のとき、当時の南野法務大臣も純粋なテロは含まないということを答弁されているわけであります。 そこで大臣にお聞きしたいんですが、TOC条約というのは、もともとそういうテロを防止するものじゃなかった。今回の共謀罪法案はそれを担保するものだ、だから、テロという文言が入っていなかった、法案の目的に入っていない、こういう理解でいいですか。
○金田国務大臣 ただいまの御質問にお答えします。 きょう私が別の委員の方への答弁でも申し上げたんですが、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性がある。そして、TOC条約については、起草段階からテロ活動を対象に議論が行われてきているということ、テロを含む国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みである。このように承知をしておるわけであります。
○藤野委員 いや、ですから、私も、関連性も認識しておりますし、起草当時の議論もずっと研究してきました。しかし、その議論の結果、明確にテロとは区別して国連はこの条約を採択したということなんですね。 ですから、私は、今回の法案の目的にテロリズムという文言が入っていないというのは、ある意味、この条約を正確に反映している。逆に言えば、それをあたかもテロ対策だ、テロ対策だということでずっと宣伝してきた、にもかかわらず、目的にも入っていない。これはやはり、テロ対策というのが本当に法案を通すための口実だったということを政府自身が示しているというふうに思います。 そこで、テロリズム集団ということをこの間ずっと私、聞いているわけですが、三月八日の当委員会でお聞きしたときに、大臣は、テロの中には現実に想定されるものとそうでないものがある、成案を得た後に説明すると答弁されました。 改めてお聞きするんですが、テロの中には現実に想定されるものとそうでないものがある、これはどういう意味なんでしょうか。
○金田国務大臣 委員御指摘のとおり、想定されるものと想定されないものがあろうかと思います。
○藤野委員 その意味を聞いているんですが。
○金田国務大臣 現実的に想定されるものと想定しがたいものがあるのではないかということであります。
○藤野委員 では、その区別の基準は何なんでしょうか。
○金田国務大臣 国内外の諸情勢を踏まえた可能性ではないかと思います。
○藤野委員 ちょっとよくわからないんですが。 では、ちょっと別の角度から聞きます。今度、対象犯罪の数を絞り込んだということでありますが、この絞り込む際の基準は何なんでしょうか。
○金田国務大臣 委員にお願いをしたいんですが、具体的な通告がなかったものですから、少しお時間をいただかざるを得ないことは御理解いただきたいと思います。
○藤野委員 では、テロの方に戻りますけれども、要するに、現実的に想定されるものと想定されないテロの基準が可能性ということになりますと、この区別はどういうふうにされるわけですか。可能性とおっしゃいましたが、もう少し御答弁ください。
○金田国務大臣 ただいまの委員の御指摘については、国内外の諸情勢を踏まえて、現実的な蓋然性といいますか、そういうものを申し上げているつもりであります。
○藤野委員 ちょっとよくわからないんですね。 これはまた今後聞いていきたいと思うんですが、二〇〇五年の南野法務大臣の答弁では、純粋なテロは含まないと明確に答弁されておりまして、それが、では可能性があるものは含むのかどうなのか、要するに、答弁を変えられるのかということにかかわってくる問題ですので、これはちょっと引き続きお聞きをしていきたいというふうに思います。 きょうは、資料もお配りしていただいているんですが、先ほど来議論になっておりますけれども、共謀罪の創設というのは、捜査のあり方を大きく変質させるというふうに思っております。 具体的には、犯罪の実行行為あるいは予備行為や結果の発生以前にも捜査権が発動されるということになってきます。実行行為の前やあるいは結果発生前に行われる捜査の一つとして、いわゆるGPS、グローバルポジショニングシステムによる捜査があると認識をしております。こうした捜査方法が、一定のケースで、限定されたケースで有用性があることは私も認識をしておりますが、しかし、警察は、これを任意捜査だというふうにして運用をずっとやってまいりました。 このGPS捜査についての初めての司法の判断が、今月十五日、最高裁で下されました。これはちょっと時間の関係でこちらから紹介させていただきますと、GPS捜査は令状が必要な強制捜査に該当する、現行法で定める令状を適用することは疑義がある、そこで、やはり新たな立法が望ましい、こういった中身でありました。 ポイントは、捜査の大原則である令状主義を定めた憲法三十五条との関係だと私は今感じております。これまでより踏み込んだ判断を最高裁がしたと。 配付資料を見ていただきますと、一枚目に、黄色い線でお示ししているところですが、「憲法三十五条は、「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ、この規定の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。」、こういう判示であります。これは、最高裁が憲法上の権利として、住居、書類及び所持品に準ずる私的領域に侵入されない権利というものを初めて認めたということになると思うんです。 改めて、私は、共謀罪の捜査、それとGPSというのは似ているところがあるというふうに考えております。どちらも、犯罪の実行行為が行われる前やあるいは結果の発生前に、あいつは犯罪を犯しそうだ、前科がある、こういったようなことで怪しいと警察がにらんだ人物や集団を対象に捜査が行われるという点であります。 大臣にお聞きしたいんですが、共謀罪の捜査でも、この最高裁判決が言っております私的領域に侵入されることのない権利、この権利侵害の有無が問題になってくる、こういう認識で、大臣、よろしいでしょうか。
○金田国務大臣 捜査のあり方というものについては、個別具体的な事案に応じてさまざまでありまして、一概にお答えをすることは難しいのでありますが、テロ等準備罪の捜査につきましても、現在行われております他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って必要かつ適正な捜査を行っていくことになろう、このように考えている次第であります。
○藤野委員 いや、ですから、他の犯罪と同じかどうかは別としまして、その捜査の過程で、今回の最高裁が指摘したような私的領域に侵入されることのない権利との衝突が問題になってくる、こういう認識でよろしいですかという質問です。
○金田国務大臣 捜査機関におきましては、この判決を踏まえて、適正な捜査というものを心がけていくものと受けとめております。
○藤野委員 質問にお答えにならないんですが、適正な捜査とおっしゃいますけれども、このGPSをめぐって何が問題になっていたか。 これは、最高裁が指摘するように、プライバシーを著しく侵害するおそれがある捜査方法なわけであります。ところが、令状も要らない、任意捜査だと位置づけて、つまり裁判所のチェックもない。野放し状態であります。 これまで全国でGPS捜査をどれだけ実施されたのか、データがあるのかとお聞きしましたら、ないと。裁判でどれだけ証拠として使われたのかというのも、データもないと。つまり、基本的な統計データすらないもとで、まさに警察が恣意的に運用してきたというのが今までの実態であります。 恣意的に運用してきたどころか、警察はそれを隠すルールまで実際につくっていたということであります。 配付資料の二枚目、見ていただければと思います。 これは警察庁が二〇〇六年に作成をした移動追跡装置運用要領というもので、いわゆるGPS捜査のマニュアルであります。ちょっと小さくて恐縮なんですが、左側が、私たちに以前に出してきたといいますか、黒塗りが多いものなんですね。私たちがこれは何が書いてあるんだということをずっと求め続けて、ようやく一部明らかにしたのが右側の黄色い部分であります。 警察庁にお聞きしますが、この要領のうち、五番目、配付資料でいうと三枚目の「五 保秘の徹底」というところ、ここには何と書いてあるんでしょうか。
○高木政府参考人 お尋ねの要領の保秘の部分につきましては、「移動追跡装置を使用した捜査の具体的な実施状況等については、文書管理等を含め保秘を徹底するものとし、特に次の事項に留意する。」としておりまして、「被疑者等の取調べでは、移動追跡装置を用いたことを明らかにしない」、「捜査書類には、移動追跡装置の存在を推知させるような記載をしない」、「事件広報の際は、移動追跡装置を使用した捜査を実施したことを公にしない」、このように規定をしております。
○藤野委員 つまり、このGPS捜査をやったとしても、被疑者の取り調べでそれを使ったことは明らかにしない、被疑者に教えない、捜査書類にはそのことを書かない、事件広報の際にも公にしないということで、言うな、残すな、知らせるな、まさに運用そのものを知らせない。事実上隠蔽を全国の警察にこういう要領という形で指示をしていたというのが実態なわけであります。 しかも、こういうことを、私たちが何が書いてあるのかと聞いても、この左側にあるように、黒く塗って、国会議員にも教えない、見せない。黒塗りというのがつい最近まで続いてきた。ですから、弁護士などから、GPS捜査はどう運用されているのか、問題なんじゃないかと言われますと、いや、こういう要領をつくっていますから大丈夫ですと言いながら、その要領を見せろと言ったら黒塗りのものが出てくるということで、本当に闇の中というような中でGPS捜査が行われてきた。それに対して、今回、最高裁が厳しい審判を下した、こういうことであります。 配付資料の三を見ていただきますと、警察庁が今回の最高裁判決を受けまして出された通達なんですけれども、ここにはいろいろ書いてあって、「各都道府県警察にあっては、本判決を踏まえ、検証として行うものを含め、同装置を取り付けて捜査対象車両の位置情報を取得する捜査を控えられたい。」と。「控えられたい」という言葉があるわけであります。 警察庁にお聞きしたいんですが、「控えられたい」とあるだけで現場は本当に控えるんでしょうか。
○高木政府参考人 こうした捜査を実施しないようにという趣旨でありまして、その趣旨を徹底してまいる所存でございます。
○藤野委員 しかし、今でもこうやって保秘の徹底ということをずっと言ってきたわけですね。今回、控えるように周知すると言いますが、控えるようになる担保というのを何か制度としてつくられるんでしょうか。
○高木政府参考人 警察庁から各県警察に対しまして、徹底した指導を行ってまいりたいと考えております。
○藤野委員 いや、ですから、担保する制度はなくて単に徹底するということでは、現状がまさに恣意的運用そのものなわけで、しかも、それを隠すといいますか、教えない、記載しない、公にしないという運用がずっとやられてきて、それが「控えられたい」というだけで改まるという方が私はおかしいというふうに思うんですね。 しっかりこれは最高裁判決を受けとめて、制度的にも担保する仕組みをつくっていただきたいと思いますが、警察庁、いかがですか。
○高木政府参考人 最高裁判所判決を受けまして、当該捜査を実施しないようにといったことを指示しているところでございます。都道府県警察は警察庁の指揮監督を受けて活動いたしますので、そのような指導をさらに徹底してまいりたいと考えております。
○藤野委員 やはりそれでは何の担保にもならないというふうに思います。 現在、警察はGPS捜査をしているかどうかを検察にも知らせていないわけですね。ですから、裁判で弁護側から反証を出されて検察官がびっくりするというケースまで生まれているわけで、そういう点では、チェックする仕組みがないもとで今ずっと来ている。それをさらにつくらずに、ただ単に周知というだけではやはり今の問題点は改善されない、これは絶対使わないということを担保していく仕組みが必要だということを指摘したいと思います。 そして、大臣、今GPSのことをずっと見てきたわけですが、結局、警察は任意捜査という名のもとにあらゆることをやっているわけであります。GPSもその一つなわけですが、これ以外にも、いわゆる任意捜査の名のもとにさまざまな事件が起きております。 昨年の参議院選挙の前には、大分県警別府署で、ある建物の中を、これは別府の地区労働福祉会館の敷地にカメラを設置して、出入りしている人、当然一般の方も含めてですけれども、隠し撮りをされているということが行われて、これについては、県警自身も必要性も相当性もなかったということを認めております。 ところが、大臣、警察庁は、この事件の後、反省してこういうことをやめるどころか、令状なしの盗撮を公認するような通達を、六月に事件が起きて、八月に早々と出しているわけであります。 さらには、もっとさかのぼりますと、二〇一三年には、警察庁は、都内在住のイスラム教徒約四万人を対象に監視と情報収集を行っておりまして、しかも、それに基づくいわゆる身上調書のようなリスト、これにはひげの色とかまで書かれているということであり、誰と会ったとか交友先も書かれている。当然、日本人も含まれております。 そういう点で、枚挙にいとまがないわけですが、まさに、大臣、こういう任意捜査が横行している、現状として行われているというもとで共謀罪というのが仮にできたら、最高裁が指摘するような私的領域に侵入されない権利というのがますます多く侵害されてしまう、こういうことになるんじゃないですか。
○金田国務大臣 委員の御指摘を伺っておりました。 一般に、捜査は適正に行われているものと承知をしております。 今般、最高裁におきましてGPS発信装置を使った捜査は強制捜査であるとの判断が示されたことから、捜査機関はこれを踏まえて適切に対応していくものと承知をしております。 我が国におきましては、裁判所による審査が機能しておりまして、捜査機関による恣意的な運用ができない仕組みとなっております。また、捜査機関内部におきます監督の仕組みや民事上の国家賠償制度など、事後救済制度が充実をしております。それが捜査機関の権限濫用を抑止する機能も果たしているのではないか、このように考えておる次第であります。 したがって、御懸念のような問題は生じないものと考えておる次第であります。
○藤野委員 もう終わりますが、私が聞いたのは任意捜査の問題でありまして、令状のチェックなどというのは別の世界であります。 この共謀罪は、GPS捜査と同じく実行着手前や結果発生前の捜査ということでありますから、今後も厳しくこの問題を指摘していきたいと思います。 終わります。
○鈴木委員長 次に、松浪健太君。
○松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。 我が党は、恐らく、このテロ等準備罪というか共謀罪というか、この法案の賛否をまだ決めていない唯一の政党かと思います。我々も、賛成派の専門家それから反対派の専門家、さまざまにお呼びをして今議論をしているところでありますけれども、なかなかこれは政局の色を随分帯びまして、先ほども、私も理事会にかかわる者ですけれども、通告があった、なかったという話なんですが、先般、大臣所信のときも申し上げましたけれども、やはり通告というのは、ある程度の具体性というものがあるべきではないか、そうでないと議論はなかなか深まらないんじゃないかということで、我々も、与党じゃないのか、野党じゃないのか、ユ党なのかと維新も言われますけれども、先ほど階先生とそういうことをお話ししたら、うん、やはりそうかなと。維新の言うことは少しは聞いてくれそうな雰囲気ですので、逢坂先生、また後で理事会で、ある程度の項目ぐらいは立てて、先ほどのは今まで答えていないものについて答えろみたいな感じの内容でしたので、そうしたこと、委員長、また建設的な議論のために、後刻、理事会で御協議いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○鈴木委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○松浪委員 ありがとうございます。 それでは、具体的に質疑に入りますけれども、我が党の方ではこれについていろいろな意見があります。特にテロの問題では、可視化ということも重要な論点になるのじゃないか。当然、昨年の刑訴法の改正から、可視化も今試行段階で進めているということもわかりながら質問もさせていただくんですが。 その前に、これは別に通告していないんですけれども、先ほどから藤野議員の立法事実の話がありました。私自身も、これは何と呼べばいいのかなと。十年前、私は自民党の理事として平岡理事と大変対立をして、そのころには条約刑法と言っていた、条約刑法というのは大変、今でも十分筋の通った言い方だな。これがテロ等準備罪とか、ごちゃごちゃなるから、先ほどの話のようになると思うんですけれども。 これはどなたでもいいんですが、前法案の前提となった法制審議会の議論では、これは個別の立法事実はなく、条約締結が提案理由となっていることを明示していたと思うんですけれども、そういう解釈でよろしいんでしょうか。これは別に通告していないので、副大臣、政務官でも結構ですし、局長でもいいですけれども。
○林政府参考人 かつての組織的犯罪の共謀罪というものについての立法事実等についての考え方につきましても、やはりそれは、まずは直接的には、この国際組織犯罪防止条約を締結すること、そこに掲げられている義務を履行すること、その犯罪化を行うこと、これを直接的な立法事実としておりました。(松浪委員「法制審議会との関係ですよ」と呼ぶ)はい。 その上で、国内においても、この国際組織犯罪防止条約の履行の中での犯罪化を通じて組織犯罪の未然防止というものが図られる、このことを申し上げていたと記憶しております。
○松浪委員 テロ等準備罪というと、やはりこれは立法事実という点においては、先ほどの議論にもありました、テロという言葉がなかった、それはある種筋の通った話だったんじゃないかな。これは、もともとは条約自体がイタリアのファルコーネ判事がマフィアに殺されたことに端を発しているということからも、私も刑法の謙抑性は重要視されなければならないと思うんです。 そのかわりに、やはり今国民の皆さんの不安がどんどん出ている。こうしたものは、やはり国民のイメージとか理解は大事だと思いますよ。先ほどの井出議員の共謀罪の資料、非常にわかりやすいなと。共謀罪、当初予定していた七百弱から半分以下になりましたが、一般の人も対象犯罪となるという聞き方を毎日がする、一方で、NHKが、法整備が、テロ等準備罪を新設する法案とやれば、これは聞き方によって、見ると、賛成三〇、反対四一、賛成四五、反対一一と逆転するわけですから、国民の皆さんにこうした表層的なものを問うと、問い方でこれは問題になると思うんです。ですから、安心感をどういうふうに持っていただくかというのは、私、非常に重要な論点だと思います。 そうした中で、これを我が党の中でもまだ決めたわけでもありませんけれども、可視化というのも一つの論点だとは思います。そして、この可視化については、昨年の刑訴法の改正でも、暴力団については除外をすると。自分の親分、それから、親分と言うとなんですけれども、その力関係で、おまえが最初に吐いたのかということを見られると証言がしづらいということで、暴力団が挙げられているんです。これはテロ組織も私は一緒だと思うんですけれども、可視化について、暴力団を除外していてテロ組織を除外していないということは、これは整合性はいかにあるのかということを伺いたいと思います。
○林政府参考人 改正刑事訴訟法におきまして、対象事件につきまして取り調べの録音、録画を義務づけるという制度の中で、一定の例外事由というのを設けました。幾つかの例外事由があるわけでございますが、委員御指摘のとおり、その中で、指定暴力団の構成員による犯罪に係る取り調べである場合、これが一律にその例外事由に当たるという形にされております。 なお、そうしますと、テロ組織の者による犯罪、これが対象事件であった場合には、この例外事由には当たらないということでございます。 このように、指定暴力団の犯罪についてだけ一律の例外事由としたのは、やはり例外事由というのを設ける場合には、原則としてまず義務づけがかかっておりまして、それを個々の取り調べの中で例外事由として除外していく、義務を排除していく。こういったことになりますと、取り調べをするときに的確にそれが判断できなくてはなりません。そうしますと、法律上、指定暴力団についてはこのような指定制度がございまして、的確にその範囲を画することができるわけでございますが、テロリズム集団、テロ組織となりますと、そういった指定制度がございませんので、これをこの例外事由の中で掲げることができない。 こういったことから、このように、指定暴力団というものについてだけ一律に例外事由としたものでございます。
○松浪委員 国民の理解、国民の安心が一番重要だと思いますので、この点については今後の法案の議論の中でしっかりと挙げさせていただきたいと思います。 次の質問に行きますけれども、組織的犯罪防止条約の批准に向けては、国連が二〇〇四年に立法ガイドをつくっているわけであります。先ほどの階さんじゃないですけれども、これを読んでくれと言うとあれなんですが、ちょっと外務省、この立法ガイド、パラグラフ五十一、今すぐ、ざっと、早口で読み上げられますか。 それではお願いします。
○水嶋政府参考人 読み上げさせていただきます。 立法ガイド、パラグラフ五十一です。 本条約は、世界的な対応の必要性を満たし、犯罪集団への参加の行為の効果的な犯罪化を確保することを目的としている。本条約第五条は、上記に同等のものとして引用されている犯罪化に対する二つの主要なアプローチを認めている。第五条1(a)(1)及び1(a)(2)の二つの選択的なオプションは、このように、幾つかの国には共謀の法律があり、他方、他の国には犯罪の結社(犯罪者の結社)の法律があるという事実を反映して設けられたものである。これらのオプションは、関連する法的概念を有していない国において、共謀または犯罪の結社の概念のいずれかについてはその概念の導入を求めなくとも、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置をとることを可能とするものである。また、第五条は、他の方法により、組織的な犯罪集団によって行われた重大な犯罪を幇助し及び援助する者も対象としている。 以上でございます。
○松浪委員 私も、このテロ等準備罪、正面から反対するものじゃないんですけれども、これを文面どおり見れば、共謀罪がない国、参加罪がない国でも、こうした法的概念を持たない国が共謀罪及び結社罪のいずれの制度も導入することなしに第三のオプションがあると書いてあるのであって、これは抑制的に考えれば、穴埋めをすれば共謀罪、参加罪は必要ありませんよと書いてあるようにしか僕は読めないと思うんですけれども、これがどうして両方が要るというふうに解釈するのか、短く伺いたいと思います。
○水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。 先ほどの立法ガイドパラグラフ五十一でございますが、これは、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務づけております条約の第五条1(a)の規定を前提としたものでございます。 すなわち、この記載は、重大な犯罪の合意罪という法的概念を有していない国がもう一方の参加罪を選択した場合に重大な犯罪の合意罪を導入する必要はない、また、参加罪という法的概念を有していない国が重大な犯罪の合意罪の方を選択した場合にもう一方の参加罪を導入する必要はない、こういうことを明示的に確認したものにすぎないということでございます。 なお、念のため、この立法ガイドを作成いたしました国際連合薬物犯罪事務所、UNODCにもこのパラグラフ五十一の趣旨について確認いたしました。UNODCからは、同パラグラフは、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加のいずれも犯罪化しなくてよいということを意味するものではないという回答を得ております。
○松浪委員 今の議論を見て、これが筋が通っているなとすぐにはなかなか理解できる方もいらっしゃらないと思いますので、これについても、またこれからの議論の中で明らかにしたいと思います。テロ等準備罪関係についてはここまでにしまして。 先般から、ハーグ条約の件ではいろいろな質問をさせていただいているんですが、きょうは一枚、二月二十八日の新聞を用意しました。 前回の法務委員会での質疑で、子供のころの記憶がいかににせ記憶につけかえることができるのかという点、そしてまた、私は、ハイダーの認知的バランス理論ということで、大人でも三人いれば、二人の関係が悪くなれば、こっちの上司がふだん近かったらその上司の方へ行く、親でも、父親、母親どちらかの方にいれば、その父母の関係が壊れると自分と近い方に行くというのは、この理論的、心理学的なアプローチからすれば当然だと思うんですが、行き過ぎた例はやはりいかがなものかと思います。 特に、この例は調停から審判に移っている例ですけれども、「お父さんと会うのはイヤ。毎月百万円くれるなら会ってもいい」と言うようなこの八歳の女の子、こんなことを言う子供というのは、大臣、これは正常な子供ですか。
○金田国務大臣 ちょっと今この新聞を拝見して、まだ十分に読み切っておりませんけれども、本当に委員の御指摘はわかるような気がいたします。
○松浪委員 さらに、これは審判中でありまして、当然ながら弁護士が介在している。この文章も当然弁護士が見ているわけであります。 弁護士をされていた井野政務官に伺いましょうか。こういう弁護士が、これでも有利だと思ってこんなものを出してくる弁護士というのは、弁護士の立場からいかがなんですかね。
○井野大臣政務官 それぞれの事件、依頼者は個別の事情があるのかと思いますけれども、私個人の経験では、このような書面を出した経験はございません。
○松浪委員 こういう書面を出す弁護士であれば、今、政務官でいていただきたくはないなと思うわけではありますけれども。 これは笑い事ではなくて、当然この弁護士も、こうすることが日本の審判の上では少なくとも自分らが不利ではないと考えて行動している。こういうことが私はまかり通ってはならぬというふうに思うわけであります。こうしたことがまかり通らないためには、どういうことをしていけばいいかということをやはり考えないといけないんですね。 前回もちょっと触れましたけれども、日本の場合は、DVは絶対にあってはならないと僕も思います。しかしながら、これはDV冤罪みたいなので随分会えない人も多いわけですし、このケースも、この御主人が本当のことを言っているのであれば、娘と引き離される前日までは同じ布団で並んで寝ていた、こんなのを本当に娘が言っているのかなと。洗脳されている可能性もあるし、うその可能性もあるということをおっしゃるわけですけれども、これはうそでも本当でもいいんですよ。 では、海外ではどういうことになっているのかなと。それぞれの国にもよりますけれども、私が伺ったところ、どう見ても、こういうケース、子供が言っているケースというのは尋常じゃありません。普通の子じゃない、何かおかしいと普通だったら感じると。であれば、海外では、こうした、おかしいな、この子はちょっと洗脳されているな、余りに恣意的な感情があるなという場合は、その子を引き離して、父でも母でもない、更生施設でしばらくクールダウンさせたりとかいうようなシステムがあると聞いたことがありますけれども、法務省の方、そうしたものを調べたことがございますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 海外において、どのような頻度あるいは基準あるいは手法で面会交流が行われているかの詳細については私ども承知しておりませんが、面会交流の頻度については一定の調査もございまして、一カ月に複数回の面会交流が実施され、また宿泊つきの面会交流も相当程度行われているなど、頻繁に面会交流が行われている国もあるものと承知しております。
○松浪委員 北欧の進んでいる国では三つ家があって、子供が住んでいる家に、お父さん、お母さんがそれぞれ半々ずつ通うというような、半数ぐらいかかわるような、これは非常に特殊な例かと思いますけれども、少なくとも百日交流するとか頻繁に、共同親権という面もあるけれども、こういうことはあると思うんです。 しかしながら、例えばDVの定義もいろいろあります。面前DVといって、お父さんとお母さんが子供の前で争う、これも一種のDVだとされるわけですけれども、これを理由に子供と会わせないというようなことは、基準として今日本ではあり得るんでしょうか。それとも、面前DVは、子供と会わせない理由にはなるのか、ならないのか。これはちょっと、ここまで細かくはあれですけれども、わかる範囲で。
○小川政府参考人 運用の詳細について、私ども全て承知しているわけではございませんが、いわゆる面前でのDVということは、一種の児童虐待という評価を受ける可能性もございますので、その点については、面会交流を認めない例もあるように伺っております。
○松浪委員 直接子供に危害を加えない限りは、これは親の関係で、それは望ましいことではないけれども、やはり面会交流とは一線を引かないといけない。だから、海外事例をいろいろ調べていっていただきたいんです。 例えば、こういう面前DV、余りDVとは言いたくないですけれども、親の言い争いを子供の前でやった場合とかは、もしそういうふうにDVのおそれがあるというんだったら、この場合は監視つきの面会交流にするとか、そういうなだらかな階段というか、ある程度の基準というのは私は目に見えてしかるべしだし、当然、法務省もこういうことを、海外の事例、今はもう国際性が法には問われていて、ハーグ条約はだからこうやって国際問題になって、大変な報道が各国でなされているわけですから、やはり法務省はそれぐらいのことはすべきだと思うんですけれども、そういう海外事例から見て、こういう基準をつくるという方向性についてはいかがなのかということ。 特に、今、超党派で親子断絶議連が親子断絶防止法をつくっているわけです。この中で、今、中間的ですけれども、子の意思の表明の機会というのを後で無理やり入れてきているんですね。これはもう絶対取らないといけないと僕自身は思っているんです。子供にそんなのを選ばせて、お父さんの方がいい、お母さんがいいって、そんなのを選ばすこと自体が、この百万円くれたらいいぐらいにナンセンスな話ですので。 こういうことが今後、今、議員立法とはいえ、法律で俎上に、もう今国会か来国会かと言われているんですから、こういうところをもうちょっと早急に調べて類型化をしていただけませんでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 家庭裁判所の運用の問題ということになろうかと思いますが、親権者の指定といった、親権に関する審判などをする場合には、個別の事案に応じて、子の陳述を聴取したり、家庭裁判所調査官の面談による調査を実施したりして、適切な方法により子の意思を把握していると承知しております。また、家事事件手続法には、一定の基準について、例えばある特定の審判については十五歳以上の者については聴取しなければならないという規定を設けるなど、適正な運用を図るように努力しているというふうに理解しております。 ただ、やはり諸外国の事例ということになりますと一定の調査も必要かと思われますので、御指摘ありましたような諸外国の事例の調査については、どのような調査が考えられるかも含めて、検討してまいりたいというふうに考えております。
○松浪委員 もう時間もなくなったので最後にしますけれども、早急にやっていただかないと、議員立法も動き出していて、それがもし機能するならば、「お父さんと会うのはイヤ。毎月百万円くれるなら会ってもいい」が通らないわけですから、それを早急にお願いしたいと思いますし、こうした事例をしっかりと法務省が報告された場合に、これは裁判所ではしっかりと反映をされるものなのか、最高裁の家庭局長に伺います。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 法務省等でさまざまな調査研究をされた場合には、その資料を御提供いただいて、裁判事務にそれが適切に反映されるような方法については検討していきたいというふうに思います。
○松浪委員 最後、すばらしいお答えでした。 ありがとうございました。 ————◇—————
○鈴木委員長 次に、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 順次趣旨の説明を聴取いたします。金田法務大臣。 ————————————— 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 裁判所法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○金田国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を増加する等の措置を講ずるとともに、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少しようとするものでありまして、以下、その要点を申し上げます。 第一点は、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を五十人増加し、判事補の員数を二十三人減少しようとするものであります。これは、判事の定員を二十七人増員するとともに、判事補の定員から判事の定員へ二十三人の振りかえを行うことにより、執務体制の強化を図ろうとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十五人減少しようとするものであります。これは、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所書記官を二十四人増員し、並びに事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進を図るため、裁判所事務官を十七人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、技能労務職員等を七十六人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十五人減少しようとするものであります。 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 次に、裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るため、司法修習生に対し修習給付金を支給する制度を創設すること等を目的とするものでありまして、以下、その要点を申し上げます。 第一に、司法修習生には、その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、修習給付金を支給するものとしております。 修習給付金の種類は、司法修習生に一律に支給する基本給付金のほか、司法修習生がみずから居住するため住宅を借り受け、家賃を支払っている場合に支給する住居給付金及び司法修習生がその修習に伴い住所または居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給する移転給付金としておりまして、その額はいずれも最高裁判所が定めることとしております。 また、いわゆる貸与制につきましては、貸与額を見直した上で新たな給付制度と併存させることとしております。 第二に、司法修習生に品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、罷免以外に、修習の停止を命じ、または戒告することができるものといたしております。 このほか、この法律の施行に関し必要な措置等について規定することとしております。 以上が、裁判所法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○鈴木委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長小山太士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局総務局長中村愼君及び人事局長堀田眞哉君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。
○安藤委員 自民党の安藤裕でございます。 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 本日は、二つの法律案が議題となっておりますけれども、まずは、裁判所の職員定員法についてお伺いをしたいと思っております。 最近は、複雑困難な事件が増加をしており、これが判事の増員を要求する一つの理由であるということですけれども、複雑困難な類型の事件が、平成二十年では三万五千件ほどであったものが、平成二十七年には四万五千件ということで、一万件程度ふえている。 そして、複雑困難事件の特徴としては、専門的知見の必要性、そしてまた紛争の複雑な背景事情を踏まえる必要、社会経済活動に与える影響を踏まえる必要、そしてまた、先例に乏しく、適切な規範を検討する必要がある、こういったことが複雑困難事件の特徴であるということであります。 そしてまた、あわせて合議率も上げていきたいというふうなお考えがあると思いますけれども、合議率は、平成十二年で四・三%、そして平成二十二年には二・八%、二十七年には四・七%ということで、目標が一〇%ということでありますけれども、全く近づく傾向が見られていないんですね。この間、判事の増員は毎年行われていますけれども、この合議率も全く変わらないという状況です。 その中で、合議率をいかに上げて、それから平均審理期間も短縮をしていこうと考えると、かなりこれは増員をしなくてはならないのではないかということを感じるんですけれども、そのあたりの見通しと、それから判事の養成について、どのようにお考えかをお答えいただきたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、民事訴訟事件は、昨今の社会経済情勢の変化や国民の権利意識の高揚等を背景に、個々の事件が複雑困難化するとともに、専門的知見や先例のない事件が増加しております。事件数の増加についても委員御指摘のとおりでございます。 裁判所といたしましては、こういう状況を踏まえまして、三人の裁判官による多角的視点による検討を可能とする合議体による審理をこれまで以上に充実強化させ、同時に、平均審理期間も短縮させて、適正迅速な解決を図っていこうと考えているところでございます。 目標として、合議率一〇%、人証あり対席判決事件の審理期間を十二カ月とさせていただいておりまして、平成二十四年の定員法審議の際には、この目標を実現するために、当時の事件数を前提として、四百人規模の増員が必要であるというふうにお答えさせていただいたところでございます。その後、平成二十八年、昨年までの五年間で百六十名弱の増員をお認めいただいているところでございます。 ただ、先ほど御指摘のありましたように、合議率はまだまだ目標に達しない、四・六%ということでございますし、人証あり対席判決事件の審理期間も二十・五カ月にとどまっているところでございます。 裁判官の繁忙状況というのを少しでも改善させて、合議率を上げ、平均審理期間を短縮するということで、今後の事件動向を踏まえる必要はございますが、なお相応規模の増員が必要であるというふうに認識しているところでございます。 毎年の増員数につきましては、事件数が変動するということがありますので、そのあり方も踏まえて検討していく必要がございますが、御指摘のありました判事の給源は限られておりますので、実際に判事にふさわしい資質、能力を備えた者を確保しなければいけません、急激な増員が難しく、計画性を持って増員をしていく必要があると考えております。 判事の主たる給源となります判事補につきましては、この五年間で約八十人から百人の新任判事補を採用しているところでございますので、今後、判事の現在員は引き続き増加することが予想されます。このような増加する見込みの判事数も念頭に置きつつ、必要な増員を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○安藤委員 ありがとうございます。 一気にふやすということはやはり難しいと思います。計画的に本当に優秀な人材を育てていかなくてはいけないと思いますので、ぜひ計画的にこれからも判事の増員をしていただきまして、そして、難しい案件については、一人で判断を下すよりは、やはり合議制の方が好ましいと私も思いますし、ぜひこの目標に達するように努力をしていただきたいというふうに思います。 それから次に、裁判官以外の裁判所の職員のことについてお伺いをしたいと思います。 裁判官以外の裁判所の職員を三十五人減少するということにしておりますけれども、ここの内訳を見ると、書記官を二十四名増員、事務官等も十七名増員をする一方で、速記官を五名減、そして技能労務職員は七十一人減ということで、これでトータルすると三十五人の減ということになっておりますが、毎年のことなんですけれども、技能労務職員の定員削減にもそろそろ限界があるのではないかということが一つ。 それから、技能労務職員が行っていた事業については、合理化ということもさることながら、外注化をすることによって定員の削減を図っているという部分もあると思うんですが、外注化によってコストの削減、経費の削減が進むのであれば、これはこれで意味があるんだと思いますけれども、経費の削減にはどのような効果があるのか。これがもしほとんどないのであれば、定員を削減する意味がないのではないかと思うんですけれども、そのあたりについてお答えをいただきたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 技能労務職員の定員の削減は、定年等の退職に際しまして、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かどうかを判断して、後任を不補充とすることによって実施しているところでございます。 技能労務職員の定員の削減には、御指摘がありましたようにおのずと限界があるというふうに考えております。ただ、その限界がどれぐらいの数字かということは、現時点で確実なことは申し上げることは難しいように思います。技能労務職員の定員削減に当たっては、外注化による業務合理化の効果等を考慮しながら計画的に行っていきたいというふうに考えております。 もう一つ、御質問の中で、外注化によって経費の削減が進むのかという御指摘がございました。 今御答弁申し上げましたように、既存の業務の見直しや事務統合による業務の最適化もあわせて業務の合理化という中で、外注や機械化ということを講じているところでございます。 外部委託に係る業務につきましては、例えば庁舎の新営増設等で面積が変わったり警備の必要性が生じる等の諸事情がその所要額に大きく影響いたしますので、さまざまな外部委託経費の中から、定員合理化によって必要となり増加した額というのを正確に把握することは困難でございますが、一般論といたしましては、外注や機械化により一定程度のコスト削減の効果は出ているというふうに考えているところでございます。
○安藤委員 ありがとうございます。 とりあえず人数合わせで人を減らしたらいいのではないかというような傾向があるような気がしてならないんですね。コスト削減は、これは必要だとは思いますけれども、もしこういった効果がないのであれば、定数の削減ということばかりにこだわらず、またいろいろな方法を考えていただきたいというふうに思います。 それでは、次の法律、裁判所法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。 まず、司法修習生に対する経済支援についてですけれども、かつては給費制がとられており、その後、貸与制にこれが変更になって、そして、今回、新たに給付金制度を設けるということですけれども、この経緯、給費制から貸与制に変わった理由、そしてまた、今回、給付金制度を新たに設ける理由についてお伺いをしたいと思います。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 まず、給費制から貸与制への移行でございますが、これは平成十六年の裁判所法改正によるものでございまして、この改正に基づき、貸与制は、平成二十三年十一月に修習を開始いたしました、我々、新六十五期と呼んでおりますけれども、その司法修習生から実施されたところでございます。 この理由でございます。給費制から貸与制への移行でございますが、まず、司法修習生の増加に実効的に対応する必要があったこと、それから二番目に、司法制度改革の諸施策を進める上で、限りある財政資金をより効率的に活用し、司法制度全体に関して国民の理解が得られる合理的な財政負担を図る必要があったこと、最後でございますが、公務員ではなく、公務にも従事しない者に国が給与を支給する、そういう制度であったわけですけれども、それは現行法上異例の制度であること、こういうことを考慮すれば、給費制を維持することについて国民の理解を得ることは困難であったことによります。 そこで、給付金、今回の制度導入の理由についてでございます。 本法案では、修習給付金制度を新設するとともに、現行の貸与制については貸与額を見直した上で、これと併存することとしております。 これは、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定におきまして、司法修習生に対する経済的支援のあり方について検討するとされましたほか、与党の先生方のお力によりまして、昨年六月の骨太の方針におきましても、法曹人材確保の充実強化を推進することがうたわれたものと承知しております。 これを受けまして、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るため、本制度を新設することといたしました。 以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございます。 改正の経緯を確認させていただきましたけれども、今回の給付金になると、課税関係が以前の給費制とは変わってくるということでございます。給費制のもとでは給与所得として課税をされていたものが、今回の給付金になると雑所得で課税をされるということでございます。そしてまた、年金や健康保険も、国民年金や国民健康保険になるということを聞いております。 これはこれで、こういう理解でいいのかということと、それから、なぜ、給費制のときの取り扱いと、今回の給付金になったときの取り扱い、課税関係が変わるのか、その理由についてお伺いをしたいと思います。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 まず、税務上の取り扱いについての御質問がございました。 これは、当時、給費制下におきましては、裁判所法に基づきまして司法修習生に対して給与が支給されておりました。給与でございますので、これは給与所得として課税されていたものと承知しております。 これに対しまして、修習給付金制度のもとでは、先ほど立法の理由についても御説明しましたが、修習給付金は給与として支給されるものではないわけでございまして、そういうことから、給与所得に該当せず、雑所得として区分されるものと認識してございます。 次に、社会保険の関係でございます。 社会保険につきまして、旧給費制下におきましては、裁判所法に基づきまして、今申し上げましたとおり司法修習生に対して給与が支給されておりましたので、司法修習生は裁判所共済組合への加入が認められておりました。 これに対しまして、修習給付金制度のもとでは、司法修習生は国家公務員ではございませんし、この修習給付金も給与として支給されるものではございませんので、現状、貸与制でございますが、この貸与制下の司法修習生と同様に、裁判所共済組合の組合員たる職員には該当せず、国民健康保険の被保険者に該当することになるものと認識しております。 また、司法修習生は、修習期間中、その修習に専念することとされておりまして、修習給付金が労務の提供に対して支払われるものでなく、修習期間中の生活を維持するために必要な費用として定められる額を支給するものであることを踏まえますと、年金の関係でございますが、厚生年金保険の被保険者には該当せず、国民年金の第一号被保険者に該当することになるものと認識しております。 以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございます。 ちょっとよくわからないんですけれども、結局、これはお話を聞いても。やっていることは多分変わらないんだろうと思いますけれども、なぜか課税関係は変わっているというふうにしか私には思えませんが。 給与所得の方が恐らく本人の税負担は軽くなるんですよね、給与所得控除がとれますから、少なくとも支給される金額から給与所得控除の六十五万円は引けるわけですから、これだけを考えても税金は安くなります。それからまた、社会保険に関しても、やはり共済組合に入っていた方が国民年金あるいは国民健康保険よりも将来の年金が多くもらえたりとか、健康保険についても国が負担をしてくれたりする部分もあるわけですから、そういったところでは手厚いことになっているんだろうと思います。 ぜひ、これからも、支給を受ける人にも納得ができるような、そういった説明をぜひ考えていただきたいというふうに思います。 それから、次です。 大学の給付型の奨学金も今国会で法案が提出をされて今審議をされていると思います。そして、司法修習生で、大学や法科大学院の奨学金について、また修習資金についての両方の貸与を受けたら、かなりの金額の負債を負うことになるのではないかというふうに思います。これは、修習資金も月額二十三万円ですから、一年間では二百七十六万円の貸与を受けることができるということになりますね。そして、学費と合わせたら、やはり四百万とか五百万とか、そういった借入金を背負うということになると思うんです。 これからの修習を受ける人は新たに給付金制度が導入されますし、以前は給費制があったので、この修習資金についての負担というものはそれほど感じなくてもいいと思いますが、今の六十五期から七十期までの人たち、平成二十三年十一月から二十九年十二月までに司法修習を受けている人たちについては、この負担をもろにかぶっているということですから、この人たちに対する救済策というのは何かお考えなんでしょうか。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 修習給付金制度の創設に伴いまして、現行の貸与制下の司法修習生、新六十五期から第七十期まででございますけれども、これに対しましても何らかの経済的措置や救済措置を講ずべきとの御意見があることは承知しております。 ただ、給費制から貸与制、当時の移行でございますが、これは先ほど申しましたとおり、司法修習生の大幅な増加が見込まれた、あるいは司法制度改革を実現するためにかなりの財政負担を伴うことから、そのことについて国民の理解を得る必要性があること、また、申し上げましたとおり、公務員でもなく公務にも従事しない者に給与を支給するのは現行法上異例の制度でもあること、こういうことを総合的に考慮した結果でございまして、現状におきましても、基本的にこうした事情を考慮すべきであろうということに変わりはないのではないかと考えております。 また、修習給付金制度の趣旨でございますが、これも申し上げましたが、法曹志望者が大幅に減少している中で、昨年六月の骨太の方針で言及されました、法曹人材確保の充実強化の推進等を図る点にあるわけでございます。こういうことを考えますと、この趣旨からすれば、この修習給付金につきましては、今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足り、現行貸与制下の司法修習生をも対象とする必要性には欠けるのではないかと考えております。 また加えまして、仮に何らかの措置を実施するといたしましても、現行貸与制下において貸与を受けていない者もおるわけでございまして、こういう者の取り扱いはどうするかといった制度設計上の困難な問題がありますし、そもそも、既に修習を終えている者に対して事後的な救済措置を実施することにつき、国民的理解が得られないのではないかとも考えられるところでございます。 したがいまして、修習給付金制度の導入に伴いまして、現行貸与制下の司法修習生に対する救済制度を設けることは予定していないところでございます。御理解をいただきたいと思います。
○安藤委員 ありがとうございます。 横で聞いていると、二十三年から二十九年の間に修習を受けた人は何となく運が悪いなというふうな印象を受けてしまうんですね。この前であれば、あるいはこの後であれば何らかの経済的な支援が受けられたものが、この移行期の人たちに限っては、みずから負担をしなくてはならない。これは、やはり何かしら救済措置があってもしかるべきではないかというふうに思います。 そして、今の御答弁の中にも出てきましたけれども、そもそも法曹志望者が大変に減少しているということでございますけれども、法曹志望者が減少している理由をどのようにお考えかをお答えいただきたいというふうに思います。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 法曹志望者の減少理由でございます。 法曹志望者数を法科大学院の入学志望者数という観点から見ますと、ピークでありましたのが平成十六年でございまして、この当時は七万二千八百人程度でございました。これが、昨年でございますが、平成二十八年が八千二百七十四人に減少するなど、大幅に減少しているところでございます。 こうした法曹志望者数の減少につきましては、法曹養成制度改革推進会議決定、これは平成二十七年六月でございますが、ここにおきまして、「法科大学院全体としての司法試験合格率や、弁護士を含む法曹有資格者の活動の場の拡がりなどが、制度創設当初に期待されていた状況と異なるもの」となっている、そういった事情が指摘をされているところでございます。 また、昨年九月でございますが、法務省が文部科学省と共同で、法学部生に対する法曹志望に関するアンケート調査を実施いたしました。この中でも、法曹志望に当たっての不安として、法科大学院や司法修習における経済的負担等が挙げられているところでございます。 法務省といたしましては、法曹志望者の減少につきましては、一つの理由ではなくて、これら複数の要因が複合的に影響しているものと考えているところでございます。 以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございます。 いろいろな理由があろうかと思いますけれども、一つには、仮に司法試験に受かって弁護士になっても就職ができないとか、またあるいは、就職ができても収入が低いというふうな現象があらわれているというふうに言われております。 例えば、平成二十二年の初年度の弁護士の収入だと五百万程度あったものが、平成二十七年に一年目の弁護士の人は三百二十七万円程度の収入しかないというふうなデータもあるようですし、これが法曹志願者の減少の原因の一つになっているのではないかというふうに思います。 そんなような状況の中で、これからもやはり優秀な人に法曹になっていただかなくてはならないと思いますけれども、本当に優秀な法曹人材の確保のために、今後法務省としてどのように取り組むべきと考えておられるか、その考えをお伺いしたいと思います。
○金田国務大臣 安藤委員からの御質問と御指摘、そしてまた司法法制部長の答弁を伺っておりました。 司法法制部長からも答弁申し上げましたとおり、法曹志望者の減少につきましては複数の要因が影響している、このように受けとめております。 平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定では、法曹志望者数を回復させる、そして質の高い法曹を多数輩出していくため、法曹有資格者の活動領域の拡大、法科大学院の改革、司法試験のあり方の検討といった取り組みを進めていく、このように推進会議の決定を見たところであります。 私ども法務省としましても、文部科学省と連携をして、他の関係機関、団体の協力も得ながら、法曹養成制度改革連絡協議会といった機関を通じまして、有為な法曹人材の確保に向けてしっかりと取り組みを推進していきたい、このように考えている次第であります。
○安藤委員 ありがとうございます。 やはり今、先ほどの話にもありましたけれども、複雑困難な事件が本当に多発をしてきている中で、優秀な人に法曹になっていただくというのは、日本のいろいろな、社会生活の安定また経済の安定のためにも本当に大事なことだというふうに思っております。 先ほども答弁でありましたけれども、法科大学院の入学志願者が大変に減っているというのは本当に残念なことであるというふうに思っておりますし、ぜひ、これから優秀な法曹人材の確保にはどうあるべきか、そういった真摯な議論をしていただければというふうに思います。 そして、あわせて、やはりこれらの、例えば弁護士の収入の減であるとか、またあるいは法科大学院の入学志願者の減、法曹志望者の減、そしてまた、きょうは話題にはなっておりませんけれども、例えば裁判員裁判の実態。 これも、裁判員裁判の辞退率というものが、例えば二〇〇九年には辞退率が五三・一%だったものが、二〇一六年には六六・六%となっています。そして、裁判員裁判で呼び出された人の出席率、これも、二〇〇九年には八三・九%出席していたものが、二〇一六年には六三・一%しか出席をしていない。実に四割程度の人が呼び出されても欠席をしている。そういったことを考えていくと、裁判員裁判で辞退をした人とそれから欠席した人、これを計算していくと七八・三%の人が、裁判員裁判に当たったり、また呼び出されても、私は嫌だということで拒否をしている。実に八割ぐらいの人が、裁判員裁判には、自分は関係するということで言われても参加をしないという状況になっているんですね。 なかなか表には出てきておりませんけれども、司法制度改革の中で裁判員裁判は導入をされましたが、実は水面下ではこのような、ほとんどの人が参加を拒否するという事態が起きている。これも一つ大きな検討課題ではないかというふうに思います。 この一連の司法制度改革というものを導入しましたけれども、これが果たして本当に日本の司法制度についていい改革であったのか、このことについてしっかりと検討して、もし正すべきことがあるんだったら正さなくてはならないと思いますし、そして、先ほども申し上げたような、本当に優秀な方々に法曹になっていただいて、判事になって、そしてきちんとした判決を下していただき、またあるいは弁護士になっていただいて、あるべき社会の方向性を見出していただく、そのための司法制度というのはどうあるべきか、この議論をぜひとも法務省に深めていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 公明党の國重徹でございます。 本日は、裁判所法の改正案等について質疑をさせていただきます。 今、法曹志願者が年々減少している、激減している。具体的には、平成十六年度に七万人を超えていた法科大学院志願者は、平成二十八年度はついに一万人を割りまして、約八千三百人まで落ち込みました。このままだと、我が国の司法の未来は危うい、有効な手を打たないといけない。 法曹志願者が激減している背景事情、これはさまざまあるかと思いますけれども、法曹になるための経済的負担が大きいこと、これもその一因として指摘されております。 私ども公明党も、国会質問や政府への提言の申し入れなどを通じて、修習生が安心して充実した修習に打ち込めるための経済的支援について一貫して訴えてまいりました。 今般、司法修習生に修習給付金を支給する制度の創設を盛り込んだ裁判所法改正案が国会に提出をされて、本日審議に入れたこと、また、修習給付金に関する予算措置が平成二十九年度予算案で講じられたこと、これは法曹養成制度にとって大きなターニングポイントとなるもので、私は、高く評価をしております。多くの心ある方たちの思いが結実した法案です。 この中には、大学や法科大学院の学費を奨学金で賄って多額の借金を背負い、司法試験合格後もみずからは貸与制のもとで司法修習を受けながら、それでも後に続く後輩たちには憂いなく修習をしてほしい、こういった思いで献身的に懸命に活動されてきた方々の思いも詰まっております。苦労は自分に、成果は人に、本当に頭の下がる思いでございます。 ここで改めて、裁判所法の改正案で今般修習給付金を支給することとした理由についてお伺いいたします。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 委員からも御指摘がございまして、法曹志望者の激減ということがあったわけでございまして、この数字は、委員の御指摘になったとおり、平成十六年当時が七万人台でありましたのが、平成二十八年が八千二百七十四人でございますが、こういうふうに大幅な減少を来しているわけでございます。 こうした中で、政府といたしましても、新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくために法曹志望者の確保が喫緊の課題だというふうに認識するようになったわけでございます。 そこで、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定におきまして、司法修習生に対する経済的支援のあり方について検討するとされましたほか、國重先生を初めといたしまして与党の先生方のお力によりまして、昨年六月の骨太の方針におきましても、法曹人材確保の充実強化を推進することがうたわれたところでございます。 こういうところを受けまして、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るため、修習給付金制度を創設することとしたものでございます。
○國重委員 今、修習給付金を支給することとした理由について述べていただきました。これは我々、骨太の方針の中に入れることに対しては非常に力を注ぎましたけれども、もちろん、これは与党も頑張りましたし、また野党の皆さん、またそれ以外の市民の皆さん、多くの方たちが頑張った結果だと思っております。 次の質問に移りますけれども、できるだけ安藤委員が質問したこととかぶらないように、少し工夫をしながら質問をしてまいりたいというふうに思います。 今般新設される修習給付金、これは、修習生に一律に支給をされる基本給付金、また、修習期間中に住宅を借りて家賃を支払う場合の住居給付金、そして修習に伴う引っ越し費用としての移転給付金、この三種類の給付金があります。平成二十九年度予算案では、基本給付金が月額十三万五千円、住居給付金が月額三万五千円として計上されております。また、これらの金額は最高裁判所規則に定める予定と聞いております。 そこで、平成二十七年六月の推進会議決定に基づいて修習給付金制度の制度設計を担った法務省では、どのような検討によって、この基本給付金月額十三万五千円、住居給付金月額三万五千円とする制度設計としたのか、この金額についてお伺いいたします。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 修習給付金の額でございます、これは御指摘のとおり、最終的には最高裁判所規則で定められることになります。 その制度設計についてお尋ねですが、この過程で、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るという、制度の導入理由がございました。それから、修習中に要する生活費それから学資金、こういうような司法修習生の生活実態その他諸般の事情を総合考慮するなどして、基本給付金額を月額十三・五万円、住居給付金を月額三万五千円とする制度設計をしたところでございます。 以上でございます。
○國重委員 制度設計、その金額について今お答えいただきましたけれども、それでは、今後の修習給付金の金額水準の見直しのあり方について、制度設計を担った法務省としてどのように考えているのか、答弁を求めます。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 本法案が可決、成立した場合には、本年十一月に修習が開始される第七十一期の司法修習生から修習給付金を支給することになるわけでございます。 この金額水準については、法曹三者、これは最高裁、法務省それから日本弁護士連合会の間でも確認されておりますように、新たな制度の導入後は、この制度について継続的かつ安定的に運用していくことが重要だろうとまず考えているところでございます。 以上でございます。
○國重委員 私は、今回の修習給付金、基本給付金が月額十三万五千円、また住居給付金が三万五千円、これについて、まだまだ不十分だというような意見があることは承知しておりますけれども、今回の修習給付金というのは大きな前進だと思っております。いろいろ意見があるかもしれないけれども、この法案をまずは成立させること、そしてこの十三・五万円、三・五万円を継続的に、安定的にしっかりと確保していくこと、これにまず我々は力を注ぐべきだと思っております。 私自身は、給費制のもとで司法修習を受けた法曹出身の議員であります。だからこそ、あえて一般の納税者また国民の皆様の立場、視点に立ってこれから質問をさせていただきたいと思います。 職業に貴賤はない中で、なぜ司法修習生だけが特別扱いされるのかといった一部意見もあります。我が国初めての返還不要の給付型奨学金制度、これが、ことし四月から一部先行実施、本格実施は来年四月からになる予定でありますけれども、これについても給付条件が設けられております。また、金額も、今回の修習給付金に比べれば大分低い金額になっております。こういったものに比べて、司法修習生に対する修習給付金は、給付条件を設けずに一律に支給されることとされております。 この一律に支給することとした理由について答弁を求めます。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 今御指摘がございました、類似といいますか、同時に並行で御審議いただいている制度に給付型奨学金という制度もございます。 ただ、多少違いがございまして、全ての司法修習生は、法令上、修習専念義務が課されておりまして、原則として兼業が規制されているわけでございます。こういうところで、給付型奨学金が支給されている学生とは立場が異なっていると考えております。 このため、経済的な基盤を確保し修習に専念できる環境を整備することにより、司法修習の実効性を担保する必要があると考えておりまして、そこで、修習専念義務を担保するための資金の一部として支給される修習給付金の基本となる基本給付金につきましては、司法修習生に一律に給付することとしたところでございます。 以上でございます。
○國重委員 今、修習専念義務の話が出ました。司法修習生は公務員ではない、また公務に従事するわけでもない、その上で、立法政策として、今の修習専念義務をいろいろ勘案して、国民の税金を使って修習給付金を支給するわけです。 今も司法修習生は司法修習をしっかりとやっていることと思いますけれども、より充実した司法修習をしっかりとやってもらいたい、国民のこういった期待というのはより強くなってくるでしょうし、何らか司法修習生に問題があった場合には、国民の目線というのはこれまで以上に厳しくなることと思います。 今回の裁判所法改正案で、懲戒に関する規定も新たに整備して、修習期間中に、品位を辱める行状など修習生としてふさわしくない行為があった場合、現行法の罷免以外に、修習停止また戒告の処分を新たに設けております。 この修習停止と戒告の処分を新たに設けた趣旨、目的について答弁を求めます。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 今御指摘がありましたとおり、今般の修習給付金制度の創設に伴いまして、司法修習につきましては一層確実な履践を担保することが求められる、それは国民的にも求められると考えております。 こうした観点から考えますと、司法修習生の懲戒的措置、現在、罷免、要は職をやめさせる、修習をやめさせるという罷免以外の措置は認められておりません。ですから、罷免することが適当とまでは言いがたい非行があった場合には、懲戒的措置を科すことができませんで、司法研修所長らが注意や指導をするにとどまっているわけでございまして、実効的かつ柔軟に規律確保を行うための方策を講じることが相当だろうと考えられたわけでございます。 そこで、司法修習生に対する懲戒的措置につきまして、罷免に加えまして、修習の停止及び戒告の処分を設けることとしたところでございます。 以上でございます。
○國重委員 それでは、新たな懲戒措置である修習の停止がされている間、修習給付金は支給されるのか、答弁を求めます。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 司法修習生は、修習停止の期間中は司法研修所または配属庁会等における具体的な修習をせず、その期間に限っては修習給付金を支給する必要性に乏しく、また、懲戒処分としての性質に鑑み、修習給付金を支給しないとすることが適切と考えられます。 修習停止の期間につきましては、今後、最高裁判所規則で定められることになりますけれども、その期間は短期間にとどまるということが予定されていると伺っておりまして、修習給付金を支給しないとしても司法修習生の生活への影響は限定的と考えております。 そこで、修習停止の処分を受けた場合、当該修習停止の期間については修習給付金を支給しないことを予定しているところでございます。 以上でございます。
○國重委員 今の答弁で、支給はされない、ただ、修習停止の期間は短期間であることが予定されているというような答弁がありましたけれども、では、修習停止の期間、具体的にどの程度の期間を想定しているのか、お伺いいたします。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 この点につきましては、罷免処分と事実上同等の効果が生じてしまうということを避けるため、修習停止の期間が、各修習単位のうち修習を要する日の二分の一を超えない日数とすること、その他諸般の事情を考慮いたしまして、例えば三週間程度を修習停止期間の上限とするということを検討しているところでございます。
○國重委員 非常にテンポよく質問が進んでおりますので、更問いでいきたいと。私も、もっと質問したいことがあったんですけれども、質問通告が九問、十問程度でやっておりましたので。 まだ、あと質問はあるんですけれども、今のところで、では、例えば停止になった場合、何らかの事情で修習停止になった場合、修習給付金は今回支給されないということで先ほど答弁ありましたけれども、これはほかの国家公務員との関係では整合がとれているのか、お伺いいたします。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 一般職の国家公務員につきましては、懲戒免職と言われている免職のほか、停職、減給、戒告という処分が、済みません、私、本来、本務というか、お答えすべきものかわかりませんけれども、そういう制度が懲戒処分として決定されているものと承知しております。 今回の、今委員から御指摘ございました修習の停止の処分は停職の処分に相応するものでございまして、その制度との整合性は十分とられているものと考えているところでございます。 以上でございます。
○國重委員 それでは、少し質問を前に戻っての更問いでしたいと思いますけれども、先ほど、給付型奨学金と比較しての修習給付金、なぜ一律に支給されるんだということで質問させていただきましたけれども、例えば公認会計士とか、ほかの資格においてもこのような修習に似たような研修制度というのはあるかと思います。しかし、それに対しては特に修習給付金のようなものは支給されない。 では、なぜ司法修習生だけ特別扱いで修習給付金のようなものが支給されるのか、お伺いいたします。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 今、他の士業についてのお尋ねがございました。 やはり、司法修習が非常に特殊だというのは、裁判所法の規定にあるわけでございますが、修習専念義務を課しまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、そこに原則として兼業が許されないというところがございます。また、この修習の期間も約一年に及びまして、その間、住居を、配慮するところはあるとは思いますが、各地の裁判所に赴きまして、そこの裁判所、検察庁、弁護士会において修習をするわけでございます。 そういうところで、先ほど、しつこいようでございますが、修習に専念せざるを得ない、この修習生の立場を考えますと、他の士業との差を設けましてこういう修習給付金制度を設けることに合理性はあると考えているところでございます。 以上でございます。
○國重委員 それでは、次の質問に移ります。 昨年十二月の法務省、最高裁判所、日本弁護士連合会による確認では、修習給付金制度の創設とともに、司法修習を終えた者による修習の成果の社会還元を推進するための手当てを行うことが確認されております。 現在のこの厳しい財政状況下において、修習給付金制度の創設に対する国民、納税者の理解を得るためにも、この法曹三者の確認にあるように、修習給付金の支給を受けて弁護士となった者が、修習を通じて得た知識や能力を遺憾なく発揮して広く社会で公共的、公益的な使命を十分に果たしていくべきだ、私もそう考えます。 それでは、修習の成果の社会還元を推進するための手当てに関する検討状況について答弁を求めます。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 委員御指摘のとおりでございまして、法務省といたしましては、昨年の十二月、最高裁判所及び日本弁護士連合会との間で、修習給付金制度の創設に伴いまして、司法修習を終えた者による修習の成果の社会還元を推進するための手当てを行うことを確認したところでございます。 そこで、この修習の成果の社会還元を推進するための手当てといたしましては、裁判官と検察官は公務に従事することになりますので、主として弁護士について問題となるわけでございまして、これまで日本弁護士連合会ともこの点について協議をしてまいりました。 その内容によれば、日本弁護士連合会が新たに定めるモデルプラン等におきまして、新たな経済的支援を受けて司法修習を終えた弁護士につきまして、経済的、社会的弱者に対する各種の法的支援、それから司法過疎地域への法的サービス等、こういうことに従事することを推進する方策を講じることが予定されているものと承知しております。 今後も引き続き、修習成果の社会還元を推進するための手当てにつきまして、日本弁護士連合会等と協議してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○國重委員 弁護士会ではこれまで、私もやってきましたし、無料法律相談とか、あと、国選弁護とか、例えば出張の法教育授業とか、このようなさまざまな公益活動というのをやってきたことと思います。弁護士は、基本的人権の尊重と社会正義の実現を使命として、これまでも社会還元活動を自主的、積極的に行ってきたことと思います。 私も、今でも弁護士ですし、大阪弁護士会所属ですので、大阪弁護士会の会長ともこのことについて話をしてまいりました。 例えば、大阪弁護士会では、今、アウトリーチということで、法律相談をしたい、また弁護士に依頼したいと考えていても相談場所に出かけていくことができない人たち、どこに相談していいのかわからない人たち、費用を心配して尻込みしている人たち、弁護士を恐れて踏み出せない人たちが社会にはまだまだ多くいる、また、客観的には法的紛争があって法的支援が必要なのに、自分の困難が法的紛争であることを自覚できない人たち、法的な解決によって救済されることを知らない人たちがまだまだいる、そういった人たちがいるので、弁護士がこれまで以上に社会に、外に打って出ようということで、大阪弁護士会では、このアウトリーチのお取り組みを今精力的にやっているところだというふうに聞いております。また、こういったアウトリーチの取り組みを今後全国展開していきたいというふうにも聞いております。 やはり、今回修習給付金というものが出る以上は、これまで以上に、弁護士の公益活動というのが国民の皆様に一層見える化するような形で、国民の皆様の御納得を得るような形でできるようにしっかりと私も促していきたいと思います。 ただ、これにつきましては、弁護士自治の問題もありますので、あえて法律とかにする必要はないかと思いますけれども、しっかりとこの公益的な活動をやっていくことを私としても注視してまいりたいというふうに思います。 大臣に次は伺います。 法曹志願者が激減する中で、修習給付金の支給はそれを食いとめるための一つの対策となると思いますし、私も評価はしております。ただ、他方で、これは数ある対策のうちの一つにすぎないとも思っております。 昨年十二月二十三日の読売新聞「論点スペシャル 司法修習生給費、復活の是非」、この中で、阪田雅裕元内閣法制局長官はどのようなことを言っているか。「私は日頃から、給費制復活などではなく、「もっと根っこのところをしっかり考え直すべきだ」と、弁護士会でも声を上げてきた。力を注ぐべきなのは、今の法曹養成のプロセス全体を改善し、学生にとって、よりチャレンジしやすい仕組みにすることだ。」このように述べております。 修習給付金にとどまらず、さらなる改革が必要だと私も思いますけれども、法曹養成制度の改革に向けた大臣の決意、これをお伺いいたします。
○金田国務大臣 國重委員のお考えを先ほどから伺っておりました。司法法制部長も、検討の経緯、そしてまた修習給付金の件につきましてもその趣旨等、いろいろ答弁がございました。 いずれにしましても、御指摘のとおり法曹志望者の大幅な減少というのは深刻な事態である、このように思っております。多くの有為な人材が法曹を志望して、そして質の高い法曹が活躍する状況になることが重要である、このように考えている次第であります。 そういう中で、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定では、御承知のように、法曹志望者数の回復に向けた取り組みとして、法曹有資格者の活動領域の拡大、あるいは法科大学院の改革、あるいは司法試験のあり方の検討、そういったさまざまな取り組みを進めるとされているところであります。 プロセスが非常に重要だというふうに法曹養成の件についてお話がございましたが、そのとおりだと私も思っておりまして、法務省としても、文部科学省と連携をし、また他の関係機関そして団体の協力も得ながら、法曹養成制度改革連絡協議会といったような組織を通じて、法曹人材確保に向けてしっかりと取り組みを考え、そして進めてまいりたい、このように考えている次第であります。
○國重委員 ぜひよろしくお願いします。これにつきましては、私も、本当に喫緊の課題で、次々と手を打っていかないといけない課題だと思っております。私も、よりよい法曹養成制度に改革できるように、これまで以上に真剣にこの問題に取り組んでいくことをお約束し、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次回は、明二十二日水曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十六分散会