環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第12号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2016/12/05
会議録
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、山添拓君、朝日健太郎君、森屋宏君、松川るい君、清水貴之君、福島みずほ君、川合孝典君、江崎孝君及び相原久美子君が委員を辞任され、その補欠として辰巳孝太郎君、進藤金日子君、中西祐介君、宮島喜文君、石井苗子君、山本太郎君、舟山康江君、櫻井充君及び川田龍平君が選任されました。 また、本日、三浦信祐君、宮沢由佳君及び足立敏之君が委員を辞任され、その補欠として河野義博君、浜口誠君及び中西哲君が選任されました。 ─────────────
○委員長(林芳正君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、明六日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 また、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁中曽宏君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。 本日は、TPPに対する我が国の対応と厚生労働関連分野等についての集中審議を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○二之湯武史君 自由民主党の二之湯武史でございます。 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。総理を始め閣僚の皆様、今日はよろしくお願い申し上げます。 さて、十一月八日のアメリカ大統領選挙を境に、TPPの発効、大変厳しい情勢となってしまいました。ふだんから日本外交はアメリカに追従し過ぎだと批判をおっしゃる方が、本委員会では、アメリカが参加しないんだから日本も議論しなくていいと、こういうふうにおっしゃるのは、私は大変矛盾しているのではないかなというふうに思います。 この数年間の議論を振り返りましても、国民皆保険が崩壊するだとか、日本の農業は潰れてしまう、また、アメリカ企業に日本政府が訴えられると、そんな議論が多かったように思います。本当にそんなにアメリカにメリットがあるなら、なぜトランプ氏がTPPから離脱を表明するんでしょうか。いかに日本の交渉がうまくいっているかということの私は証拠だというふうに思っております。 TPPで私が連想するのが、近世の日本人商人、南蛮貿易でアジアを股に掛けて活躍をし、アユタヤやルソンなど各地に日本人町をつくりました。もし当時の日本人商人が現代によみがえりTPPを知ったなら、それこそTPPをフルに活用して、世界を飛び回るグローバルなビジネスマンになったに違いないというふうに思っております。 私たちは今、人口が減少し、確実に国内のマーケットが縮小する、そういった歴史的課題に直面しているわけです。TPPは貿易にとどまらない二十一世紀型の経済連携協定であり、人口減少など我が国の構造的な課題を解決し得る非常に重要な成長戦略の一つであります。 また、新興国の台頭が著しいアジア太平洋地域では、必ずしも各国が成熟した民主体制や自由な経済体制を持っているわけではありません。TPPのような非常に透明性の高い共通のルールの下に新興国を引き込んでいくことによって、彼らにルールにのっとった発展を促していくと。TPPはそういった意味で地域の安定的発展に貢献する安全保障的な枠組みでもあるというふうに思っております。 TPPの発効は厳しくなったと思いますが、今後も自由貿易体制を推進していくことに変わりはないわけでありまして、これからの自由貿易体制による日本の経済成長戦略、またアジア太平洋地域における平和的発展について、総理のこれからの戦略をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本の人口は残念ながらしばらくは縮小していくわけでありまして、消費者も減っていくというわけでありますが、であれば、内需だけに頼っていてはだんだん日本の経済も縮小していくしかないわけでありますが、アジア太平洋地域の人口は増えていく、そして生活のレベルもどんどん上がっていく中において、このアジア太平洋地域の市場を日本に取り込んでいくことこそが日本が成長していく道なんだろうと、このように思います。 そして、二之湯委員が指摘をされたように、その中で大切なのはやっぱりルールです。自由でフェアなルールを作っていく、言わば未来に向かってお手本となるルールを作っていく、その厳しいルールをいつでも締結する用意があるんだということをこの委員会で示すことが、まさに自由貿易、そしてフェアで公正なルールを世界に広めていくこと、そしてその方向が間違っていないんだということを発信していく道につながっていくと思います。 そして、地域において交易が進んでいく、そしてそれが自由な貿易圏であれば地域の安定と平和と繁栄につながっていく、このように確信をしております。
○二之湯武史君 総理、力強い答弁をありがとうございました。 私も全くそのとおりと思っておりまして、本委員会で議論をする意義というのは十分にあると思いますし、我が国の独自の考え方をしっかりと発信をしていくために、引き続きこの委員会でもしっかりと議論をしていかなければならないというふうに思っております。 過去数十年における自由貿易体制が人類に大きな繁栄をもたらしたのは事実であります。ただ一方で、まだまだ解決しなければならない課題もあるわけでございまして、それは先進国と途上国の格差であったり、また先進国内における所得や地域の格差、こういったものがあるのはしっかりと認めなければならないというふうに思っております。 ノーベル賞受賞者のスティグリッツ氏も、自由貿易は国家全体の繁栄を保障するものである一方で、国民に平等に幸福を保障するものではないというふうに述べておられます。また、自由貿易は国家がうまくコントロールしなければならないとも述べておられます。つまり、自由貿易そのものは万能ではないということだというふうに私は思っております。 原理主義的な自由貿易、また市場経済体制では、どうしても中産階級が傷つき、社会格差が生まれてしまいます。格差が許容範囲を超えますと、既存政治への不満となり、保護主義やポピュリズムの台頭を許してしまうと。今私たちが世界で目撃しつつある現象だというふうに思っております。それが皮肉にも、自由貿易体制発祥の地であるイギリスやアメリカで起こってしまったということだと思います。また、フランスやイタリアといった国々でも、保護主義、ポピュリズムの勢力が支持を広げていると。 総理は本委員会でも盛んに保護主義の台頭を抑える必要があるというふうにおっしゃっておられますし、私も全くの同感でございます。この原理主義的な自由貿易体制や市場経済が保護主義の原因となりかねないという、こうした負の側面を、先ほどのスティグリッツ氏のように、どのように国がコントロールをしていくかという点について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この自由貿易は、基本的に全ての国々あるいは世界に利益を均てんしていく仕組みだと思っております。領土の大小にかかわらず、アイデアを出し、そのアイデアが評価されればそれにふさわしい富を得ることができるということだろうと思います。 しかし、言わば完全に自由、レッセフェールにしてしまっては、これはジャングルと同じですから、弱肉強食の世界が出現してしまう。しかし、そうはせずに、しっかりとしたルールを作っていく。今回のTPPにおいても、知的財産は保護される、強引に人の知的財産を国の力によって奪うことはできない。あるいはまた、労働や環境の規制もあります。そして、国有企業の競争条件の規律など幅広いルールを定めているわけでございます。 同時に、生み出した利益が一部の大企業だけに集中しない、多国籍企業に集中しないようにしていくことも大切であって、これはまた国内のシステムにこれは由来するところもあるわけでございますが、今回の例えばTPPのようなものは、大企業だけではなくて、中小企業にとっても同じルールでこの十二か国で仕事ができる。一国一国であれば手続も大変ですし、出ていくことにちゅうちょするわけでありますが、ルールで守られているということで、中小企業にも中小企業で働く人々にも利益が行き渡る可能性があるわけであります。 同時に、取引条件、例えば国内で輸出企業、輸出大企業が利益をどんどん上げているけど、その製品を作るために国内で下請企業に対して苛烈な条件を課したままであっては、これは一部の大企業だけが利益を得るわけでありますが、しかしそうしてはならないということで取引条件の改善に我々は経済界とともに取り組んでいるわけでありますし、そしてしっかりと賃金が上がっていくように、あるいはまた最低賃金をしっかりと上がっていく、そしてセーフティーネットをしっかりと張っていく、そういうことを行いながら、富の再分配機能もしっかりと機能させていくということを併せ持ってこの自由貿易をしっかりと進めていくことが大切であろうと、このように考えております。
○二之湯武史君 全く私もそのとおりだと思っております。今の総理の答弁には、自由貿易そのものの重要性とともに、分配であり、また各国の経済政策によってそれをしっかりと配分していくことが重要だというお話だったというふうに思います。 私もやはり、TPPのような自由貿易体制で得られた利益をどのように国民に分配をしていくのか、これは当然、政府の部門による再分配も重要でありますし、一方で、この資本主義というフィルターを通して国民に還元をしていく、言わば日本型資本主義という経済の国柄のような視点が非常に重要だというふうに思っております。 では、今日の我が国の資本主義においてどのような傾向があるのか。まず、一枚目のパネルをお願いします。(資料提示) このパネルを御覧いただきますと、上場企業の利益が過去最高を記録していると言われる中で、株主の分配は増加をしておりますし、一方で労働分配率は低下をしているということであります。企業の利益が投資や賃金になかなか向かっていかないという議論がよく聞かれますが、実は株主配当や自社株買いにはしっかりと向いているのです。 総雇用者所得や実質賃金もようやくプラスになり、アベノミクス効果が発現をしているというのは事実でありますが、本年七月時点の世論調査においてもまだ効果が実感できないという回答が七割という状況であり、これは与党としても真摯に受け止めなければならないというふうに思っております。TPPによってグローバル企業を始めとした企業の収益力を強化すると当時に、その収益を国民にしっかりと分配をしていくということが重要だと思います。なぜなら、日本のGDPの六割は個人消費でありますし、その担い手は企業で働く社員の皆さんだからです。 そこで、私が提案したいと思っているのが、公益資本主義という日本型の資本主義の在り方です。総理のおっしゃる瑞穂の国の資本主義と同じ意味だと、同じイメージだと私は勝手に思っているわけですが。 次のパネルを御覧ください。 公益資本主義は、株主のみならず、社員や取引先、また地域といった社中全体への分配、中長期的な投資、そしてたゆまぬ企業家精神、この三本柱から成る概念であります。 政策の一例を御紹介をいたしたいと思います。次のパネルを御覧ください。 例えば、キャピタルゲインの課税において、短期の取引の税率と中長期の取引の税率を、中長期を優遇していくことによってそういった中長期投資を促していく、保有期間が長くなると例えば配当金も高くなっていく、重要な議決案件については中長期の保有者にその議決権を限る、株主分配と社員の分配をリンクさせていく、こういうことです。まだまだ構想段階ではあるんですが、こういった国民をしっかり豊かにしていこうという政策体系であります。 次のパネルを御覧ください。 これは、ある自動車会社の種類株の概要であります。昨年発行された株でありますが、この株は五年間売却できないわけですが、元本が保証されています。そして、保有期間が長くなるにつれて配当が高くなるという仕組みになっております。こういった仕組みに共感をする中長期の投資家から、結果が出るまで時間の長い次世代のイノベーションの研究開発資金として五千億円を調達しているということでございます。まさに私はこういうものが日本型の資本主義だというふうに思います。これ、英米のマーケットではこういった資金調達はなかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんです。 TPPのような自由貿易体制から得たGDPの拡大を、こうした公益資本主義のような政策体系全体によって確実に実質賃金の上昇につなげていく、国民を豊かにしていく、そういった仕組みを私はしっかりとつくり上げていく必要があるというふうに思っておりますが、総理はいかがお考えでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この公益資本主義、原丈人さんが主張されている考え方でありまして、委員長も大変お詳しいわけでございますが、大変魅力的な考え方だと思っております。 基本的に、我が国というのは古来より、額に汗して朝から田を耕し、そして水を分かち合い、秋には共に五穀豊穣を祈り合ってきた民族でございまして、一人の人が全部取っていく、それを取った人が分けるという、そういう社会ではなかったんだろうと、こう思います。ですから、我が国にふさわしい資本主義の在り方にこの考え方は似ているのではないかと、このように思うわけでございます。 そこで、ただ所有する、あるいは株を動かすだけで利益を上げてそこに利益が集中するという社会であれば、やはり社会はゆがんでいく、そしてそれに耐えられなくなった社会が、これはそのときに大きな変革を求めて混乱するということになってしまうんだろうと、このように思います。 いずれにせよ、頑張った人が報われる、汗を流した人が報われる社会をどのようにつくっていくか、そして一人の人に富が集中しない社会をどのようにつくっていくかということが大切ではないか。こうした新しい発想に取り組んでいく上においても、しっかりとまずは生産性を上げて競争力を付けていく。 幸い、今、企業は過去最高の収益を上げている。収益を上げていく中において、しっかりと分配を考えていくということが求められているんだろうと。それは、今おっしゃったように、ちゃんと賃金を上げていく、もちろん株主の利益を図っていくことも重要ですが、そしてさらに未来への投資をしっかりと行っていくことによって経済を回していく、成長と分配の好循環をしっかりと回していくことがより良き未来につながっていくのではないかと、このように思います。
○二之湯武史君 総理、ありがとうございました。 私はやはり、こういった何となく概念やイメージで今捉えられているようなこの資本主義の在り方みたいなものをやはり具体的な政策体系に仕上げていく、これが次世代の国会議員の使命の一つではないかなというふうに思っておりまして、国会議員の有志で公益資本主義の研究会を立ち上げまして議論を始めました、座長はまさに委員長にお願いしているわけでございますが。そういった成果を是非ともまた総理と議論させていただきたいというふうに、このように思っております。 最後になりますが、私は、二十一世紀というのは本当に人類にとっての理想の世紀にしなければならないというふうに思っております。環境や食料、エネルギーやテロといった人類そのものの生存を脅かすような危機に直面する可能性すらあるのが二十一世紀だと。 そんな世界の中で、例えばアメリカや中国といった世界のリーダーを自任する国、確かにすばらしい国ではあるんですが、時に余りにも露骨な国益が見え隠れすると。また、他国の文化的また歴史的な背景に配慮をしていく、そういったところがやや欠けている部分も私は見えるのが事実ではないかなというふうに思っておりまして、そんな時代にそれぞれの国が一国主義を掲げて弱肉強食の削り合いをするだけの国際社会では駄目であって、やはり分配や環境、持続可能な経済、そういった大きな概念を公益資本主義若しくは瑞穂の国の資本主義という政策体系につくり上げ、それを各国に紹介をしていく、それこそが二十一世紀の地域や世界の平和、安定に貢献するんだろうというふうに思っております。 先日、我が党の山田俊男議員が引用されていた総理の市場経済についての発言、強欲を原動力とするのではなくて真の豊かさを知ると、こういう発言がございました。これ、平成二十五年の三月でありまして、私、そのとき、当時、候補予定者として毎日朝の駅頭から活動していたときにその総理の発言を聞いて、こうしたリーダーの下で仕事がしたいなというふうに思ったことを記憶をしております。 そういった、総理がおっしゃるこの瑞穂の国の資本主義、こういったものの具体的な政策体系をつくり上げて、そしてそうしたTPPのような枠組みを通じて途上国を中心に世界に発信をしていくと、そういうことが我が国の国益はおろか人類全体の利益にかなう、それぐらい大きな私はビジョンを掲げて、二十一世紀の日本外交こうあるべきだというふうに思うんですが、最後にそういった総理の考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、今委員は、先ほど、この新しい資本主義の形、その概念を具体的な政策として挙げられた、これは大変大切だろうと思います。まさに、二之湯さんの世代の皆さんが新たな政策をどんどんこれを打ち出していかれて、かつて石原大臣も政策新人類と言われた若き日があったわけでありますが、二之湯先生にも新しい政策で台頭する政治家として次々と未来に向けたアイデアを出していただきたい。 つまり、世界はまさに岐路に立っているんだろうと思います。世界において一部の国が、一部のそして企業がほとんどの富を集中してしまうのか、そして混乱する世界に入っていくのか、そうではなくて、新しいシステムを考えていくかという時代に入っているんだろうと。是非そのときに、日本から二之湯先生を中心とした皆さんによって新たな政策体系を打ち出していただきたいと期待をしております。
○二之湯武史君 今、非常に力強い激励の言葉をいただきました。そう言われるまでもなくやろうと思っておりますので、是非こういった場を通じてまた総理としっかりと議論させていただきたいと思います。 今日はどうもありがとうございました。
○櫻井充君 民進党・新緑風会の櫻井充です。 今日は発言の機会をいただきまして、林委員長を始め理事の皆さん、そして委員各位に改めて感謝申し上げたいと思います。 まず、安倍総理の、私は、外交姿勢というんでしょうか、政治姿勢について質問させていただきたいと思いますが。 この国会で、アメリカがTPPに参加しないということが決まればですけれども、正直申し上げて発効されることもなくなるわけであって、そうなってくると、この委員会で議論している意味がどこにあるんだろうかと、こう我々はいつも申し上げておるところです。そこの中で総理がおっしゃっているのは、日本が批准することによってアメリカの背中を押すんですと。これは一つの考え方だと思っています。ただし、私は、背中を押すのはトランプ次期大統領ではなくてオバマ大統領ではないのかと。なぜならば、現在の大統領はオバマさんであって、それからこのTPPの提案者の一人でもあります。 そういうことからすれば、日本がこれだけのことをやってきていて、最後の仕事としてあなたがきちんとまとめなさいと、そういうことを本来であれば安倍総理から申し上げるのが私は筋ではないのかと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPの批准については、いわゆるレームダックセッションがオバマ大統領にとっては最後のチャンスになるわけであります。同時に、これは、アメリカはまさに三権分立が非常にある種クリアでありまして、大統領府とそして議会、議会にも民主党の指導者がいるわけでありますが、それは大統領とは別に、議会の指導者それぞれが判断を下していくわけでございますが、その中では大変厳しい状況があるのは事実でございます。 ただ、オバマ大統領にも最後のリーダーシップを発揮していただくべく、さきのリマにおいても、TPP首脳会議を開催するよう我が国から米国にも働きかけを行い、そして米国もその判断をし、十二か国のTPP首脳会談が行われたということではないかと思います。
○櫻井充君 いや、私が申し上げているのはそういうことではなくて、安倍総理がトランプ次期大統領にTPPについて参加してくださいということを申し上げるのではなくて、オバマ大統領にこそ今申し上げることではないのかと、そういうふうに質問させていただいています。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのことは、もうオバマ大統領との関係においては、是非、リーダーシップを発揮する中において、米国の議会における批准をよろしくお願いをしますよということは再々申し上げてきているわけでございます。しかし、選挙の結果もあり、それは私が申し上げたから、分かりました、じゃ、できますよという話では全くないことは櫻井さんも御承知のとおりなんだろうと思います。 働きかけを行っていなかったということではなくて、これはもう再三、これずっとこの一年間ぐらい状況についてお互いに情報を交換しながら、あるいは連携しながら、しっかりと二人の間で緊密な連携ときずなの中で情報交換をしながら、どうしていこうかということは相談し続けてきているわけでございます。
○櫻井充君 ちょっといろいろあるんですが、ただ時間の関係もあって。であるとすると、先日、我が党の議員が本会議のところで質問された際に総理はこう御答弁されたんですが、こういう趣旨のです。オバマ大統領とは余り話しする内容もなかったので立ち話でした、トランプさんには時間を取っていただいていろいろ話をしたんだと。 ただ、済みません、今日はこれ、マスコミの報道ベースなので、裏を取っていないので事実関係だけ確認させていただきたいんですが、アメリカ側の政府から、前例がないのでこういうことをやめてほしいんだと、そういう依頼があったというふうに書かれているんですが、これは事実でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは全く事実ではございません。恐らくそれが事実でなかったことはいずれ明らかになるんだろうと思います。 トランプ次期大統領との会談についても、現政権ともこれ当然連絡を取りつつ、こちらも判断をさせていただいたところでございます。もちろんこの形式においては、私も、言わば二人大統領が存在しないような対応をしなければならないということはそもそも我々考えていたところでございまして、そういう関係については話をいたしますし、また、トランプ次期大統領自体も、この委員会でも何回もお話をさせていただいたように、トランプ次期大統領自体も、それがまるで現職の大統領との首脳会談のような形になることは避けなければいけないということは、強くそれは意識している中においてアレンジをしたところでございます。 いずれにせよ、このトランプ次期大統領との会談が決まったから、言わば、例えば会談を行ったから私とオバマ大統領との関係が何かぎくしゃくしたかのごとくの報道もございますが、それは全く違うということはおいおい明らかになると、このように思います。
○櫻井充君 じゃ、もう一度確認だけさせてください。 この新聞報道によると、トランプ氏はまだ大統領ではない、前例のないことはしないでほしいという強い異議を日本政府に伝えていたことが分かったと、こういう記事がありますが、これは事実と違うということでよろしいんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういう事実はございません。全くないわけでございますし、オバマ大統領との間には、リマでの立ち話がどういうものであったか、これは決して意味のないものではないわけでございまして、それに至るまでも十分に連携を取っているわけでございまして、私とオバマ大統領との間においてはしっかりと連携が取れていたということは、これはおいおい明らかになると、このように思います。
○櫻井充君 もう一点確認させていただきたいんですが、この間の御答弁では、話し合うことも余りないとは、そういう趣旨の話をされておりましたが、立ち話程度でよかったんだと。 この記事によると、本来であると首脳会談を予定して調整していたんだけど、こういうことがあったので首脳会談が実現しなかったと、そう報道されてきていますが、これも事実ではないということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それも全く事実ではございません。元々リマにおいては非常に時間が限られておりますので、そこでは必要なこと、話すことがないわけではもちろんありません、重要なことがございました。ですから、そういう重要な話をさせていただいております。 外交というのは、その中の、言わばアヒルの水かきの話をさせていただきました。すうっと水の上を動いているようでも、下は一生懸命水かきでかいているわけでありまして、それが表に出ることもありますし、表に出ないこともあるわけでございますが、今申し上げましたように、おいおい御理解をいただけるのではないかと思います。
○櫻井充君 まあ、おいおいどちらに決着が付くのかはこれからの経過を見ていきたいと思います。 先ほど二之湯議員とのやり取りをお伺いしていて、確かに自由経済に対しては私も全面的に否定するわけではありません。ただ一方で、保護主義が悪かのように総理がよく御答弁されているのですが、どこまでが一体保護主義に当たるのかと、先ほど二之湯議員との議論を聞きながらですね。 例えば、ガット・ウルグアイ・ラウンドのときに、総量規制から、農水省の説明によると、関税を掛けてガット・ウルグアイ・ラウンドの対策を行ってきたんだと、そういうことでした。その結果、農産品などある程度守られてきたんだと、そう思っていまして、こういったことは保護主義政策に当たるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 何が保護主義かどうかということであります。 私は、その保護主義が悪とか、善悪で申し上げたことはないわけでございます。言わば、現在、世界経済が大きな下方リスクに直面する中で、これ、世界的に保護主義が台頭しているのは事実であります。これ、どこまでが保護主義でどこまでが保護主義でないか。我々が、では重要五品目守ったのは保護主義かといえば、決してそれは保護主義ではないわけでございます。私たちは、自由貿易の中でしっかりとしたルールとともに、それぞれが、それぞれの国々が特徴ある農業についてこれを守っていくことができるということは当然のことだろうと、こう思っているわけでございます。 しかし、かつては世界恐慌の中で極端な保護主義が紛争の芽を育てたのは事実であって、それが結果として戦乱につながっていったのは事実だろうと、このように思います。自由貿易の重要性はこのような歴史が証明をしているわけでありまして、極端な保護主義が紛争の芽を育てるのは事実であろうと思います。 ですから、その中で自由貿易こそが世界の平和と繁栄に不可欠であることを認識をして、時計の針を逆戻りさせてはならない。言わば、何回もこの場でもお話をさせていただいたように、かつては、戦前は版図の広さが経済力であったわけでございまして、そこで絶対生活圏とかレーベンスラウムといって領土を拡大していった。しかし、戦後はむしろ、大きく版図を縮小した日本とドイツがなぜ戦前よりも大きな経済を持つに至ったかといえば、これはまさに自由貿易の恩恵以外にはないと、こう考えるわけでございます。 同時に、そこで大切なことは、言わば関税だけではなくて、フェアで自由なこのルールがしっかりと確立をされること。今や、この関税だけではなくて、むしろこのルールをしっかりと確立していくことにも重心が置かれていると、このように思います。
○櫻井充君 おっしゃるとおり、ルールを確立していくことはすごく大事なことだと思います。 例えば、中国を訪れた際に、ゲームソフトの海賊版がもう本当に大量に出回っていて日本の国益を損ねていますから、そういう点でいえば、知的財産権をきちんと守っていくということは、これは大事なことであることは言うまでもありません。ただし、どこまでが保護主義なのかということ、我々が何でもかんでも門戸を開放すればいいというものとはちょっと違うと思っています。 まず、違う視点から日本銀行にお伺いしたいと思いますが、今日は一番常識的だと思われる中曽副総裁に来ていただいていますけれども、私は以前、福井総裁から教えていただいたのは、グローバル化が日本の物価の押し下げ要因の一つになってきているんだ、むしろこれが強いと、あの当時はそう教えていただきましたが、グローバル化が進んでいった場合には、一般的に申し上げて物価は上がっていくものなのか、それとも下がっていくものなのか、これについて御答弁いただきたいと思います。
○参考人(中曽宏君) 一般論として申し上げますと、経済のグローバル化は、世界的な供給力の増加に伴いまして、輸入物価の下落を通じまして物価下落要因となり得ます。この点は先生の御指摘のとおりだと思います。一方で、例えばグローバル化の進展に伴いまして新興国などの成長力が高まりますれば、これは世界的な需要を増加させる要因になります。このことは、グローバル化された経済におきましては、国内の需給を改善させて物価上昇要因となり得るものでございます。また、その上でということになりますが、中央銀行は物価の安定を実現するよう金融政策を運営しているわけでございます。 このように、グローバル化に伴います世界的な需要増加ということまでを含めて考えますと、グローバル化が物価下落要因になるのか、あるいは上昇要因になるのか、これは必ずしも確定的なことは言えないというふうに思っております。
○櫻井充君 それは、そうすると、私が福井総裁の時代に教えていただいたことと今の日本銀行の考え方は違っているということですか。
○参考人(中曽宏君) 福井総裁の当時の講演などを見ますと、基本的には同等のことを申し上げているというふうに認識をしてございます。
○櫻井充君 ただし、一般的に申し上げれば、安い商品が入ってくるので物価が下がってくるというのは一番最初の現象として起こってくることなんだと思っています。 安倍総理は、デフレからの脱却だと、そうずっとおっしゃっていて、物価が下がっていることが経済を悪くしている最大の原因だと。そのためにデフレから脱却していくんだということであったとすれば、一義的に申し上げれば、こういう自由経済を進めていった場合には、物価を下げることにつながっていって、今総理が目指していることと経済対策とちょっと異なってくることがあるんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、安い労働コストの中において物を生産し、そして自由貿易の中で輸出をしていけば、それを受け入れた国の物価を押し下げる要因にはなるわけでありますが、物価を決定するのはそれだけではないわけでございます。それだけであれば、まさにマクロ経済政策なんというのは要らなくなってしまうわけでありまして、まさに、マクロ経済政策の中で金融政策を日本銀行が責任を持って立案をする。そういう言わば自由貿易であれば不可避的に物価が下がってデフレに入っていくということであったら、これは世界中が実はデフレに入っていなきゃいけないわけでありますが、米国はそうではないわけでございますし、EUはややこの危険性の中においてECBが政策を取っているわけでございまして、そういうことも勘案しながら、日本銀行においては適切な、あるいはまた大胆な金融政策を行うことによって物価安定目標の二%に向けて着実に歩みを進めていただくことを期待をしているところでございます。
○櫻井充君 繰り返しになりますが、一般的に言えば、安い労働者の方々が作っている商品は安く売れるわけであって、日本企業が海外に行っているのは二つあると思います。一つはマーケットを確保するために、もう一つは安い労働者に生産してもらって安く物を作っていくためにと。これは当たり前にやってきていることであって、それが全面的に私は否定されるものではないと、そう思っています。 そこの上で、ちょっと時間がないので、これ、アメリカがもし万が一抜けた場合には日本の経済的メリットというのはTPPにおいてどの程度になると試算されているんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) この点につきましても再三再四総理も含めまして御答弁させていただいておりますが、TPPのモデルが十二か国であるということで、アメリカが抜けたらどうこうというような数字は持ち合わせてはおりませんけれども、仮定の話で申し述べさせていただきますと、我が国のTPP参加国貿易に占める米国の割合、輸出、輸入で六割、四割というものがございますから、総じて言えばおよそ五割になります。 したがいまして、具体的な関税の引下げ幅や貿易円滑化の程度というものは、TPPのその相手国によって多少の凸凹はございますけれども、経済効果の源泉が貿易の拡大にあると、このTPPはそこを原点に置いておりますので、そういうことを踏まえさせていただくとするならば、目安としてでございますけれども、経済効果はこれまで申し述べさせていただいているものの半分程度になってしまうと考えて差し支えないのではないかと考えております。
○櫻井充君 ありがとうございます。 半分程度なんでしょう。もうちょっと大きいかもしれません。というのは、工業製品のみについてですが、TPPによって初めて関税が撤廃されるのは僅か三か国でして、それからもう二国間のEPAで締結済みのところが五か国あって、それからほぼ関税がゼロだということが三か国だとすると、TPPによって関税が撤廃されて、それによって輸出が単純に増えるかどうかは分かりませんが、影響を受けてくるのはこの三か国だと思います。(資料提示) だけど、この中で見ていただくとお分かりのとおり、アメリカとそれからカナダとニュージーランドを足し合わせた数は十分の一でしかないということになってくると、先ほど御答弁いただいた半分程度ということにはならないんじゃないかと、そう思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただきましたとおり、十二か国のものでこの貿易またルールが円滑化する、また新たに企業活動が活発化するというモデルでGTAPを回させていただいておりますので、米国抜きで具体的にどの程度ということを言い表せる具体的な材料がない。委員の分析は分析として承らせていただきますが、目安としてはおよそ半分程度。もちろん、既にEPA等々結んでいるところがありますから、そこでどういう変化があるということまでは定量的なモデルを申しておりませんので何とも言えないということは是非御理解をいただきたいと思います。
○櫻井充君 この条約を批准するかどうかというのはすごく大事なことなんです。つまり、これから貿易協定どうやって結んでいくのかという中で、アメリカがいる場合とアメリカがいない場合で、要するに我々政権のときもそうでしたが、TPP交渉、TPPをまとめることによってこれだけの経済的メリットがあるから我が国にとってプラスだから進めていきましょうということになっていて、そのアメリカ抜きの場合にどの程度になるのかという試算がされていないということ自体は私はすごく問題だと思っていて。 委員長にお願いですが、改めてこの試算をこの当委員会に提出していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○委員長(林芳正君) ただいまの櫻井君の件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
○櫻井充君 それから、TPP交渉に入る際に、我が党にも賛成派、反対派の方がいらっしゃいましたが、その際に委員各位の共通している点がたった一つだけありました。それは何かというと、入場料を払って、要するにアメリカに頭を下げてまで入るのはやめようということでした。 しかし、今回の経緯を見てくると、平成二十五年の二月の二十二日に日米の共同声明がなされていて、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含めと、こう書いてあって、そのことの中で、今日は保険のことについてお伺いしていきたいと思いますが、結果的にはこの共同声明を受けて保険はどのような措置をされたんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定においては、言わば保険というのは、例えば民間の医療保険の参入あるいはまた混合診療の解禁のような問題だとすると、我が国の公的医療保険制度に影響を与えるような内容は一切これは含まれていないというのは御承知のとおりだろうと思います。 我が国では、国民皆保険の理念の下に、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療とすることとしておりまして、また、高度で先進的な医療についても、保険収載に必要な科学的根拠を集積をし、安全性、有効性等の確認を経た上で中央社会保険医療協議会において議論を行い、保険給付の対象としていくということとしているわけでございます。 ですから、そういう意味におきましては、この医療保険の分野においては影響を与える内容は含まれていないということは申し上げておきたいと、このように思います。
○櫻井充君 公的保険については、元々除外されているといいますか、TPPの場合には多国間交渉で、一つの国が反対すればこれは認められないというルールになっていて、私の記憶が正しければ、カナダとそれからアメリカは二国間でFTAを結んでいて、そこで医療保険が除外されているので、医療保険そのもの、国民皆保険制度に影響は私はないとは思ってはおりました。 一方で、アメリカ側の、今、主力産業は保険になってきているわけですが、これを見ていただきたいんですが、がん保険の保有契約者件数です。外資系のA社が全体の六七%を占め、B社が五・六%、その他の外資系が七・二%、日本国内の企業は僅か二〇%程度しかなくて、民間のがん保険はほぼアメリカに、外国企業に席巻されている状態になってきています。 なぜこうやって海外の企業がシェアを席巻するようになったんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは御存じのように、一九七四年に遡るんだと記憶しますけれども、一九七四年当時に、いわゆるがん医療に特化した保険商品というものの経験を日本は有しておりませんでした。それが元々の始まりで、このがん保険というのが、アメリカというか、外資系の保険会社になったんですが、その後、がん以外のいわゆる糖尿病やその他に対しましても、いわゆる保障のニーズというものの高まりが増えてきたのに合わせて、我々として、日本としても民間の医療保険とか、また既存の死亡保険の特約として医療保険とか医療保障の提供が拡大してきております。 その結果として、今おっしゃるように、単品のいわゆるがん保険というのを見ますとこういった形になっておると思いますが、一方、がんの保障を含めた第三市場というんですかね、第三分野の全体の市場規模はこの単品のがんの十四倍ぐらいに今膨れ上がっておりますので、そういったものを見ますと、第三分野全体で見ますと、国内保険会社のシェアは約六七%までになっているというように理解をしております。
○櫻井充君 確かに、日本の企業の、何というんでしょうか、パイを占める割合というのは増えてまいりました。 ただし、これから申し上げたいのは、トランプ次期大統領が二国間交渉にしていきたい、二国間でFTAを結びたいというお話をされてきていて、二国間で結んでくるとかなり大変なことになるんじゃないかと。榊原英資さんという元財務官僚がTPP交渉に反対していた最大の理由は、自分が交渉しても、実はこの保険のところで相当やられてしまったんだと。 その経緯をちょっと簡単に御説明させていただきたいと思いますが、一九九三年に日米保険協議が開始されました。いわゆる生命保険というのは第一分野でして、それから損害保険というのが第二分野、この医療保険の分野が第三分野と言われておりました。第一分野と第二分野についてはもう垣根を取り払いましょう、自由化しましょうということで第一分野と第二分野相互乗り入れ、要するに生保会社が損保の商品を売れるとか、損保会社が生保の商品を売れるようになったわけですが、第三分野は自由化されませんでした。 そして、第三分野が自由化されるようになったのは二〇〇一年ですが、この五年間何をやらされているのかというと、日本の企業は第三分野の商品は売ってはいけないと、これ日本国内においてです。日本国内において我が国の商品は売っていけないと、そういうルール、先ほどからルールのお話がありましたが、物すごく不利なルールを押し付けられた結果、ずっと第三分野に関して言うと日本の企業はなかなかシェアを伸ばすことができなかった、これが現実です。ですから、そういう意味において、交渉事というのは極めて大切で、二国間交渉になってくるとかなり厳しいものだと思っています。 現実、この企業のシェアを伸ばす、先ほどA社と出しましたが、A社が伸びていっている理由がもう一つ私はあると思っていて、それはなぜかというと、郵便局で今がん保険の取扱いはその会社たった一つなんです。私はおかしいと思います。販売代理店であるとすれば全ての商品を売れるというのが保険業法で定められているはずなのに、残念ながら、ある一社しか売れないようになってきている。これがまさしく先ほど申し上げた、共同宣言の際に何らかの措置をとらなきゃいけないんだと言われた結果になっているんじゃないかと思いますが、総務大臣、いかがですか。
○国務大臣(高市早苗君) 平成十九年十月に郵政事業が民営化されました。民間企業である日本郵政グループがどの社のがん保険を取り扱うかについては、日本郵政グループの経営判断でございます。 ちなみに、日本郵政グループ、当時は郵便局株式会社でございましたが、がん保険の商品供給会社を公募した上でアフラックを選定したのは平成十九年十一月のことでございます。 なお、日本郵政グループは、ちょっと中継を御覧の方が誤解されると困りますので、日本郵政グループはかんぽ生命以外の二十二社の保険商品を取り扱っておりまして、うち十九社が国内保険会社であるということも申し添えます。
○櫻井充君 これ、郵政民営化のところと僕は相当大きく絡んできているところがあると思っていて、なぜかというと、アメリカ側からというか、在日米国商工会議所からずっと来ているのは、簡易保険がWTO違反であるとか、そういう話になってきていてターゲットになってきました。 私は、当時の齋藤社長とお話をさせていただいたときに、郵便局でも自分たちで自前のがん保険なりをつくって販売したいんだというお話をされていましたが、ある日突然この話が断ち切れになったと。これはまさしく、そのTPP交渉に参加するということが決まってからこうなっているので、済みません、これは事実確認していないで私の勝手な推測でそう申し上げていますが、こういうことが起こっている可能性があるのではないかと、私はそう推測しているんですが、もちろん、麻生大臣が今、手振っていらっしゃるので、麻生大臣、私の考えは間違っているんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的にこの種の話は、先ほど総務大臣から答弁があったとおりでありまして、簡易保険会社は、当時総務大臣やっていましたからあの種の話は結構詳しく知っているつもりですけれども、少なくともこういった交渉というのを個別にやられると、大いにやられるというか、榊原のやられた経験の話も出ていましたけれども、それを一対一でやられたら大きな国の方にやられる可能性が高いのは常であります。何もこれに限った話ではないんです。 したがって、今総務大臣から答弁があっておりましたように、これは保険会社をどこにするかというのは、これは郵便局でお決めになる話で、これは今、経営主体は郵便局ですから、郵便会社がやっておられますので、我々が介入してこの会社にしろなんていう立場にありませんから、そういった意味では、是非そこのところは、いろんな入札をされた結果、これになったんだというように理解されるのがしかるべきだと思っております。
○櫻井充君 まあ、あとはこれはこれからおいおい分かってくることになるのかもしれませんが。 麻生大臣、もう一点。こういう保険に入ると、実は優遇税制が掛かっています。元々の税制上と数年前に税制が変わりました。生命保険だけだったものが、生命保険から独立して、医療保険も含めて、医療保険は医療保険で独立して減税になってきています。 私は、国民皆保険制度があって、我が国として減税まで行ってこういう保険に加入すべきだということを推進するのは筋が違ってきていると思っているんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、民間の保険会社が提供するいわゆる医療保険につきましては、保険料を負担する契約者がその支払った保険料に応じて一定の金額の所得控除というものを受けることができるというのが、生命保険、医療の保険制度が適用される、もう御存じのとおり。その生命保険料控除制度というものが、生命保険が有しております公的保障を補完するいわゆる私的保障としての役割を踏まえまして、保険契約者の自助努力というものを支援するというものと位置付けられているんだと、私どもはそう理解しております。 したがいまして、いわゆる少子高齢社会が今急速に進んでおります中、公的保障を補完するいわゆる私的保障の役割というのはこれは引き続き重要なのは当然であって、生命保険料の控除制度というものはこうした観点から一定の意義というのはやっぱり有するんじゃないでしょうかね。
○櫻井充君 補完する意味で必要であればそれは補完することでいいんですが、これが行き過ぎると公的皆保険制度に相当影響してくるんじゃないかと思っていますが、塩崎大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これは、先ほど総理から、基本的に公的医療保険制度への影響というものはTPPによって新たにあるわけではないということを申し上げたとおりでありますが、民間の医療保険などが増えてきたときにどうなのかと、こういうお尋ねかと思いますけれども、どういうような医療を対象としようとも、その商品が開発をされるわけでありますけれども、我が国では、広く国民が、例えば先進医療、これは言ってみれば保険適用と保険外とを同時に提供するというものでありますけれども、そういうものを含めて必要かつ適切な医療を受けられるように公的医療保険の範囲を設定をしているわけでありますから、公的保険外の民間のものが増えたとしても、公的医療保険によって適切かつ必要な医療はカバーをしていくというこの公的医療保険の制度そのものは何も変わらないということだというふうに思っております。
○櫻井充君 実は、そこは僕は全く違うと思っていて、なぜならば、竹中さんが経済財政諮問会議のトップだった際に、公的給付を抑制いたしました。公的給付を抑制いたしましたが、総医療費は抑制しないということになりました。そうすると自己負担が増えることになりまして、その自己負担分が誰がカバーするのか、本人がカバーしてくるのか、それともこういう民間保険が出てくるのかと。 つまり、元々公的給付を抑制するというところから、それは何かというと、民間保険の出番を増やしたいがために、あの当時、名前を出して恐縮ですが、宮内さんとかですね、規制改革会議で何をやられたのかというと、混合診療になりますよと。ですから、高度先進医療にどんどんどんどんこれを組み上げてくる、このことは悪くないんです。なぜならば、これを組み上げてこない、そこに上げてこないと、混合診療、ちょっと時間がないのではしょりますが、そこを認めてもらえる医療にならないからです。 ただし、問題はここからでして、その高度先進医療の中に組み入れられたものが保険収載されなければ、低所得者の方々は実は保険で受けられないんです。例えば、重粒子線など今がんの治療で使われてきていますが、これは三百万円掛かります。これは保険に入っておりません。今、民間の保険会社は何と言っているかというと、この高度先進医療をカバーするんですと、そう答えているんです。 つまり、どういうことになっているのかというと、公的保険が圧縮されている分、高度先進医療の分野がどんどんどんどん広がってきているので、その分民間の保険会社の出番が増えるようなそういうシステムになってきているので、私は決して影響がないということではないと思っていて、それからもう一つは、こういうやり方が私は国民のためにはなっていないと考えるんですが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば公的な負担を減らすために、公的負担という税金の投入という意味、また保険料も含めて、これで保険収載をしているものについてはまさにこれ保険で見ているわけで、保険料で見ているわけでありますが、これを、この支出を下げていくために民間の、という目的で民間の保険会社を入れるということはこれは毛頭考えていないわけでございます。 ただ、今、櫻井先生がおっしゃったように、果たして、では、どんどんこの開発コストが相当大きくなっていく中において、非常に高い薬がどんどん出てくる中において、保険財政がそれで耐えられるかどうかという問題がある中において、では、組合せもあるのではないかという議論もあるのは事実、その民間の保険との組合せもあるのではないだろうかというこれは議論もあります。 ですから、そこはやはり、この患者の皆さんあるいは国民の皆さんの負担も合わせて、と同時に、先端的な治療、医療については誰にでもこれチャンス、門戸は開かれていなければいけないということではございますが、ただ同時に、これちょっと話をまとめますと、最初に申し上げたように、言わば負担を抑えるためにこれは民間の保険会社を入れて国の支出を抑えていこうということは、そのために民間の保険会社を入れていくということは考えてはいない。ただ、申し上げましたように、高度化する中においてどういう組合せがあるかということは当然議論としてあるだろうということは申し上げておきたいと思います。
○櫻井充君 済みません、時間になりました。 アメリカでも実証されていることですが、公的保険とそれから民間保険でどちらが効率的なのかというのは、公的保険の方が効率的であるということはこれ立証されてきています。ですから、公的保険を縮小するような方向になっていくのは私は間違いだと、そう思っています。 それから、麻生大臣から先ほどありました、二国間のFTAは強い方が有利になっていくんだと。これからアメリカとこういう交渉が進んでいく中で、やはり私はすごく大変なんじゃないかと思っていて、是非新しいルールを作る際に日本の国益にかなうようにしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○川田龍平君 川田龍平です。会派を代表して質問させていただきます。ありがとうございます。 まず、櫻井議員からも質問がありましたので、一、二問目については飛ばさせていただきます。三問目から質問させていただきます。 政府はこのTPPによって雇用は失われないと言いますが、果たしてそれは事実でしょうか。フリップを御覧ください。(資料提示) 是非、政府が言っているこの雇用が失われないという数字、これは事実かどうか、お答えください。
○国務大臣(石原伸晃君) 大変失礼いたしました、経済分析でございますので、私から大まかな数字を申し述べさせていただきたいと思います。 先ほども櫻井議員との間でアメリカを抜くとおおよそ半分という話がございましたが、その根本にある数字でございます。GDPがおよそ二・六%、二〇一四年を基準年にいたしますとおよそ十四兆円増えると。今御質問のございました労働供給についてでございますが、一・二五%、これに二〇一四年の就業者数を掛け合わせますとおよそ八十万人弱の拡大が見込まれるということでございます。
○川田龍平君 この政府の試算では、完全流動性そして完全雇用ということを前提としていますが、これではまるで失業した農家がすぐにほかの仕事に再就職できると言っているのと同じです。 このような非現実的な仮定を排除したアメリカのマサチューセッツ州のタフツ大学の試算によると、TPPで日本は七万四千人が失業し、アメリカもこれ四十四万八千人が失業するとしています。 考えてみてください。ベトナムのような国、労働者の賃金が日本の二十分の一、三十六分の一ということも言われていますが、この国との間で労働力を自由化することによって、TPPで賃金の高い日本の雇用がどうやって増えるんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) これはそもそも前提が全然違うんだと思います。すなわち、私たちの分析の基本にありますのは、これもこれまでの今日の議論の中に出ておりましたが、TPPを通じまして貿易と投資が拡大いたします。それによりまして、もちろん一義的には、櫻井議員との議論の中で出ておりましたように、安いものが入ってくる、しかしそれによって、その安いものを作っている国の経済というのは成長しますから、需要も当然増えてくる、賃金も上がっていく。それとともに、我が国の側も、考えていただければ、生産性と実質賃金が高まる、それによってまた賃金が上げられ、労働供給も増えていくというメカニズムで計算をいたしますと、先ほどお示しをさせていただきましたとおり、八十万人の雇用増が見込まれる。 今委員が御指摘されておりますタフツ大学の分析は、TPPによってのこのプラスの部分を試算の中に入れておりません。その根本にございますのは、そもそも、これも先ほど議論があった、じゃ、保護主義とは何か、あるいは自由貿易とは何か。すなわち、自由貿易は雇用に悪影響を与えるという前提で分析をしますとそういう数字になる。政府としては、大学の研究でございますのでこれ以上のコメントは差し控えさせていただきますけれども、前提の置き方によって試算というものは大きく数字が変わってくるということは御理解をいただきたいと思います。
○川田龍平君 「政府は必ず嘘をつく」、こういう本もあります。余り本の宣伝はするなと言われたんですが、ここに書いてあるんですね。アメリカで、NAFTAによってアメリカの失業者が増えていく、そういう自由貿易によって政府の試算どおりではない形で失業が増えていくということが実際にあったわけです。 次の質問に移りますけれども、このTPPについては、WHOや国際NGOの国境なき医師団がジェネリック薬の普及が阻まれるとして反対していますが、これは政府がジェネリック薬普及八〇%を目指すという我が国の目標に逆行していませんか。これ、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) TPP協定におけます医薬品のデータ保護期間のルールについては、日本の従来の制度と整合的だということはもう何度も申し上げてまいりました。新薬の開発促進と速やかな後発品のアクセス、このバランスの取れたルールになっているというふうに思っております。 途上国における後発医薬品、ジェネリックの普及についてのお尋ねでございますけれども、データ保護期間が経過をすれば後発医薬品の承認が可能となるわけでありますが、その普及においては、それぞれの国における医療保険制度の仕組みとかあるいは薬価制度、こういったものの影響というのが大きく受けるわけでありまして、データ保護期間だけで普及がどうなるか、大きな障害を受けるかということは必ずしも考えられないんではないかというふうに思います。
○川田龍平君 例えば、米国で問題視されているのが、エバーグリーニングという手法が使われた場合、半永久的に医薬品の値段が高止まりしてしまうというリスクが懸念をされています。政府は、この間、先ほども薬の値段は上がりませんと繰り返すだけでしたが、このエバーグリーニング法についての対策や試算というのはちゃんと出しているでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 私もちょっと通告を受けていなかったものですからにわかには答えられないんですが、もう一度御質問をお願いできますか。
○川田龍平君 このエバーグリーニングについても一応言ってありますけれども、既存薬の権利独占の長期化狙いで製薬会社が特許保護期間の延長を図り収益を極大化する経営戦略のことで、既存薬の新しい製造方法、新規用途などの後続特許を持続的に出願して特許による市場独占的範囲及び期間を拡大する手法ということで、このルールが認められると、ジェネリック薬が市場に参入するまでに長い年月が掛かるようになるわけですが、これについて試算しておりますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 試算自体は特にしていることではございません。
○川田龍平君 こういったこともやっぱりしっかり試算するべきだと思います。 私は、このTPPはもう既に終わりだと思います。周回遅れになっていると。 特にアメリカでは、クリントン政権が締結をしたNAFTAの、先ほども言いました北米自由貿易協定の下で、一部のグローバル企業と銀行だけが潤う一方で、第二次産業と雇用が失われたことから、アメリカ国内の労働者の多くがNAFTAやTPPなどの自由貿易に反発をするようになりました。これ、アメリカでは四十年前よりも平均賃金が下がり、利益は上位の一%、その一%というのも〇・〇一%の懐に入っていますという状況になっています。さきの大統領選挙でも、二大政党の候補者は世論の反発するTPPの見直しを訴えて、トランプ大統領も就任式で離脱すると公表しています。 これ、総理は、今まだこのTPPを推進する理由というのは、誰のためでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはまさに国民のためであります。 まさに今、米国の政権は移行期にあるわけでございますし、世界の中において保護主義が台頭しようとしているときこそ、自由貿易の重要性、そして日本はいつでも高いレベルのルールについて批准できるんだ、適応できるということをしっかりと示していくことが大切であろうと、こう思うわけでございます。 いずれにせよ、日EUのEPA交渉も行っているわけでございます。そして、御承知のように、日豪のEPAは既に成立をしている中において、米国だけが取り残されてしまえば、当然、日本市場においては不利になっていくのは当然のことであろうと。そしてまた、RCEPに議論が移っていく中においては、RCEPの一番大きな経済は中国になるわけでありまして、ルールメーカーの中心的な存在が米国ではなくて中国になっていいのかという議論も起こってくるわけでございます。 しかし、今、日本がここでこの議論を閉じてしまう、日本だけが承認しないということになれば、これはもう完全にTPPは死んでしまうわけであります。十二か国の中において、今、国内手続を止めたという国は一つもないわけでございます。ニュージーランドは既に批准をしているわけでございますし、豪州もマレーシア等々も、またシンガポールもそうですが、そういう国々も国内手続はしっかりと進めていく、それは先般のリマにおけるTPP首脳会合でも確認をされたところでございます。 それと、先ほどの厚労大臣の答弁を補足させていただきますと、言わばジェネリックの出現が遅らされるのではないかということ、データの保護期間との関係だろうと思いますが、日本は元々これ八年でございますが、これは米国が十二年間だったものを八年になって、八年でありますから日本は変わりがないわけでございますが、他の国々はそれよりも短いわけでありますから、短かったところにとっては長くなるわけでありますから、その国にとってはまさにそういう課題が出てくると思うわけでありますが、日本にとってはそういう影響はないと、このように考えております。
○川田龍平君 その話はちょっと違うんですけれども。 総理は、じゃ、グローバリゼーション、これにおける国家の役割というのは何だとお考えでしょうか。グローバリゼーションにおける国家の役割。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、先ほど申し上げましたように、言わばこのグローバリゼーションの中において、グローバリゼーションとは何かということでありますが、自由貿易という点については再々申し上げているわけでありますが、日本がガットに受け入れられ、そしてまさにその中で日本は経済を成長させてきたのは厳然たる事実でございます。言わば、かつては版図の広さが経済力であったわけでありますが、大きく版図を失った日本とドイツがなぜ大きく成長することができて戦前の経済力を上回ったかといえば、これは自由貿易の恩恵でございます。また、中国もWTOに迎え入れられたことによって大きくこれは成長をし始めるわけでございます。 そして、明らかにその富は均てんされていくわけでございまして、国家においてはしっかりと主権を守っていく、そして国柄を守っていく中において、自由貿易、そしてグローバリズムの現実の中においてしっかりと国益を守っていく。その国益を守っていくための働きをしっかりと国家が行っていくことが求められていると、このように考えます。
○川田龍平君 私は、国民の命や健康を守るのが国家の役割だと、政府の役割だと思いますが、総理は、この国民の健康や命、これ、国家主権なしに守れると思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、政府の役割の一番大きなものは、国民の生命を守っていく、そして財産を守っていくことであります。それを当然念頭に交渉を行っているわけでありまして、このTPPが国民の健康や命を脅かすことはないということは再三申し上げているとおりでございます。
○川田龍平君 いや、非常に今も守られているとは言い難い状況ですけれども。 自由貿易とグローバル化が進み過ぎた結果、多くの企業が納税という義務を逃れるようになりました。公表されているデータだけでも、租税回避地に逃れた総額は八百十兆円と言われています。人件費が安く規制が緩い場所で生産して利益を拡大しても、それは、税収としては国に落ちるのではなく、タックスヘイブンに流れていってしまう。EU議会では、この租税回避の問題をグローバル化の深刻な副作用として規制する方向で動いています。 総理は、グローバル化における国家の役割とは何だとお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今言った課税の問題については、グローバル化と課税の問題については、まさに日本が世界に対して、BEPSをつくってこうした課税回避の動きを止めようということで、日本の財務省の浅川氏がまさにこれ、委員長ですか、議長となってこのBEPSを取りまとめたわけでございます。 先般も、パナマ文書で有名となってしまったパナマの大統領と私は首脳会談を行いまして、しっかりとこれは情報を示し合うということを、これ世界で初めて日本とパナマが協定を結んだわけでございます。あと、これは多くの国々がこれに続いているわけでございますが、大切なことは、今委員がおっしゃったように、しっかりと国家がそれを認識しながら、様々なグローバリズムあるいは自由貿易には副作用があるということを認識しながら、その中で対応を取っていくことが求められていると、このように考えます。
○川田龍平君 次の質問に移ります。 日米並行交渉の書簡は、これはTPPが成立しなくても有効なのでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米並行交渉の書簡、今年二月、日米の間で交わした書簡でありますが、これ、日米並行交渉の結果として、日本側としましては、現状において実施をしている取組、さらには今後自主的に行う取組、これを確認する形で書簡を確定し、両国の間で書簡を交換する、こういったことに至りました。そして、その中で、TPP協定の発効までに行う、こういった旨が記載されています。 これ、実施期限を示したものでありますが、仮にこの具体的な期限、これが確定しない場合、これはあくまでも、現在実施している施策については変更することはないと考えておりますし、自主的に行う施策については我が国の判断でその適切なタイミングを判断して実施していくことになると考えます。
○川田龍平君 これ、TPPやらなくてもやるということですか。TPPには反対でも二国間協議には前向きなトランプの新政権というのが、今後日本に日米FTA交渉を突き付けてくる可能性は大いにあります。そのときにTPP交渉におけるこの日米二国間合意の内容をそのまま適用するということであれば、十二か国の合意を必要とするTPPよりも二国間の交渉の方が少なくとも私はじっくり国益を反映できる幅があるはずだと思いますが、なぜアメリカ側に日本がほとんど丸のみをしたとまで言われた二国間協議の内容をわざわざこれスタート地点にするんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申しましたように、交渉の結果、日米の間においては、我が国がこれまで既に取り組んでいる施策、そして我が国が自主的に我が国の企業等の利益等も考えた上で行うこうした施策、これをまとめる形で書簡を作って、これを交わしたということであります。 これ、あくまでも、我が国がもう既に行っていくこと、そして我が国の国益も考えた上で自主的に行っていくこと、この内容しか、今年二月、交わされた書簡の中には含まれておりません。そして、なおかつこれは法的拘束力のない文書であります。 いずれにしましても、日米並行交渉の結果として、今年二月、そういった書簡を日米の中で取り交わし、確認をしたということであります。
○川田龍平君 これ、TPPに入るために妥結したようなものもあると思います。そういう意味で、ゼロから見直すべきだと思います。 そして、次の質問に移りますが、韓国のソウル市が学校給食の地産地消をやめた理由は何だったか、御存じでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、他国の地方自治体の施策について説明する立場にはありませんが、私自身が承知している範囲内で申し上げるならば、今現在、ソウルの特別市においては、学校給食において国内産農産物等の優先使用が奨励されていると承知をしています。 ただ、過去の経緯を承知している範囲内で申し上げるならば、二〇〇五年九月に韓国大法院は、学校給食に地元の農産物等を優先的に使用すること等を内容とする地方条例がWTO政府調達協定等に違反するとの判断を下したことがあると承知をしています。ただ、その後、韓国政府は、WTO政府調達協定改正議定書あるいは米韓FTAにおいて、給食プログラムに関する調達を義務の対象外として、政府調達の方式で運営する場合、学校給食での韓国の農産物を優先して使用できる、こういった説明をして今おります。 結果として、先ほど申し上げましたように、今現在、ソウル特別市においては、学校給食において国内産農産物等の優先使用が奨励されているということであります。
○川田龍平君 これ、総理の地元の山口でもこの学校給食の地産地消というのは進めていると思います、特に奥様もやっておられますけれども。このTPPに参加して、加盟国の投資家から自国優遇だとして提訴されるリスク、これが、この給食の食材に遺伝子組換え食品を使わないとしたソウル市の学校給食条例などがアメリカの農産物への不当な差別に当たるとして米韓FTAに基づくISDSで訴えられるとして、ソウル市が先回りして自ら条例を廃止したと、今おっしゃっていただきました。 この地産地消を推奨していた韓国の自治体のうち、幾つの自治体が条例を廃止、修正したのか。アメリカ企業に対する海外市場での一切の差別と不利を認めないことについては、このTPPでは米韓FTA以上と言われています。日本の子供たちの健康を守るためにも調査をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) このTPP協定の政府調達の対象ですが、これは、地方自治体の場合、都道府県と政令指定都市に限られています。そして、これらの都道府県と政令指定都市についても、この食料提供サービスの調達に関しては規律の対象外としています。仮に都道府県、そして政令指定都市が食料提供サービスを調達する形でなく、自ら食材自体を購入する場合であっても、一度に調達する食材の金額が一定額、約三千三百万円ですが、以上となるもののみがTPP協定の規律の対象となります。 ただ、これはTPPで初めてそういった対象になるというんじゃなくして、この基準額、既に我が国が締結済みのWTO政府調達協定の下で定められている基準額と変わるものではありません。よって、TPP協定が発効したとしても、現状と日本の対応は変わることはないということであります。
○川田龍平君 これは、ほかの国では除外をしていたり、アメリカでは連邦法のみで州は入らなかったりということで、本当にこれは公平公正な条約ではないと思っています。 次に、農水大臣に伺いますが、参議院は農水大臣としてまだ認めていないと思っていますけれども、TPPで食品の輸入は増えるのでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 一般論で申し上げれば、関税が撤廃になる部分、国内輸入農産品の価格がその分安くなるというように考えます。そうなりますと、その分の輸入量が増えるということにおいては、これはそういう傾向になるだろうというように思っております。
○川田龍平君 じゃ、増えるということでよろしいですね。
○国務大臣(山本有二君) ただ、GTAPモデルでマクロ計算をいたしますと輸出も増えるわけでございますので、輸出、輸入双方が増えてGDPが上がるという考え方に基づいております。
○川田龍平君 輸入の食品は増えるということで、先ほどの、今の試算も僕はずっと疑問に思っていたんですが、この輸入食品の増加を前提に入れていない国内農業への影響試算、政府はしていますけれども、これ、どう見ても非現実的な数字です。輸入量が輸出量と同じ額になるなんて考えられません。鶏卵やトマトなどの品目ごとに輸出がそんなに伸びるでしょうか。これは本当におかしいので、引き続きこの委員会で追及をしていただきたいと思いますが。 現在、日本に入ってくる輸入食品の検疫は平均九十二時間掛けて安全性をチェックしていますが、TPP後はこの約半分の四十八時間になってしまいます。これではTPP後の増大する輸入食品の安全チェックは追い付きません。食の安全はどう守るつもりなのでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、四十八時間以内にという御指摘がございましたけれども、この四十八時間以内の問題は、引取りのための要件が満たされていない場合には物品の引取りを許可することを要求するものではないということも明記をされているわけでありますので、我が国の食品衛生法に基づいて審査をし検査をする、そこで問題があって四十八時間以上掛かるということであれば、それはTPPによって全く否定をされているわけではないということでございますので、安全度外視して時間だけを考えるようなことはあり得ないということであります。
○川田龍平君 今でも全国の検疫所では四百人余りの検査官が抜取り検査、これ検査率一〇%程度を行っているにすぎません。さらに、この検疫体制がおろそかになると予想されていますが、既にもうトマトから基準値を大幅に超える残留農薬が見付かった例がありました。判明したときには既に全量が消費済みで、四万人以上が食べてしまったと。以前は検疫所で安全性が確認されるまで留め置いていたのですが、近年、貿易優先の考え方が重視されて、今後TPPによって更にグローバル企業の利益が拡大されることが重視されれば、消費者の健康や権利というのは後回しになりかねないということになります。 次に、ISDSとTPP委員会について、日本はTPPでアメリカと初めてISDSについて協定を結ぶことになりますが、なぜこのISDSについての協定文は全文翻訳されていないのでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ISDS手続のルールを定めた投資章の本文、これにつきましては全て翻訳をしております。そして、それに関連しまして、この留保表等について、我が国の関連している部分、これは当然全て翻訳をしています。そして、他国の留保表につきましては、従来我が国が締結してきた様々な協定、WTO協定あるいは経済連携協定、こうした協定の際、全て同じでありますが、こうした例に倣って、量が膨大であることも鑑みて、説明書を作り、それをもって説明していく、こうした対応を取っております。 そして、この説明書につきましても、WTO協定の際には、米国、EU、こういった主要対象国のみの作成でありましたが、TPPにつきましては全ての参加国の留保表について説明書をしっかり作っているということで、より丁寧にこの対応をしたというのが現状であります。
○川田龍平君 これでは、日本がほかの国と比べて、どこが守って何を守れなかったのかという肝腎な点がこれでは分かりません。概要ではなく全て訳すべきではないでしょうか。 そもそも、国民の生活を大きく変えるTPPのような条約について、どこまで訳してどこを訳さないという判断をなぜ政府が勝手に決めるんでしょうか。我々立法府は国民の代理として丁寧に内容を検証し採決するのが仕事ですが、肝腎なところが抜けている内容を見せられて審議しろと言われても、どうやってやれというんでしょうか。正確な中身を知らされていない国会議員がこんな大事な条約を数の力だけで決めてしまうのは暴挙だと思います。少なくとも全文をはしょらずに翻訳して、全国会議員が読んでから採決するのが立法府の義務ではないでしょうか。 私は、今回、掲示資料として、配付資料として皆さんにお配りしましたけれども、「このまま批准していいの?続そうだったのか!TPP24のギモン」、これ大変よくこの訳を、一生懸命この全文を訳して検討した人たちがまとめてくれた本です。これを是非国民の皆さんにも読んでいただきたい。「そうだったのか!TPP」、本当にこの本をやっぱり是非読んで、TPPについては政府は説明責任を果たしていないということについて、是非国民に、多くの人に知っていただきたいと思います。 ちょっと飛ばします。五番目の医薬品の安全な供給体制の在り方について行きます。 厚労省は、化血研という会社に対して抜き打ちの検査を行いましたが、血液製剤の国内での安定供給について、TPPとの関連でどのように整合性を考えていますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) TPP協定には血液製剤の需給に関する規定はございません。また、投資に関する章で、各国が健康などの正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずるということは妨げないということが明確に書いてあるわけでありまして、TPPによって血液製剤の国内での安定供給に影響が出るということはないと考えているわけでございます。 血液製剤については、もう御案内のように、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律というのがあって、その第三条に国内自給が確保されることを基本として安定的に供給されるようにする旨の規定がございます。 厚生労働省では、献血の推進、需給計画の策定、在庫状況の監視といった取組によって、引き続いて国内自給の確保と安定供給に取り組んでまいりたいと思います。
○川田龍平君 総理に伺います。 これは、特に今、医薬品の供給について御質問したいと思っていたんですが、この自由貿易の推進に当たって、国民の命と健康に直結する医薬品の国産体制について総理はどのように考えているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国民が必要とする医薬品の安定的な供給を図っていくことは重要な課題だと考えています。このため、ワクチンや抗菌剤、血液製剤などの国民生活に必要な医薬品を国内で安定的に供給できるよう需給状況に目を配って、医薬品の不足が見込まれる場合などに必要に応じて都道府県や関係団体に必要な医薬品の確保や備蓄などの対応を要請をしています。 また、医療上の必要性が高いにもかかわらず採算が取れない医薬品について、国内での生産、供給が図られるよう薬価での支援を行うなど、国内の医薬品のニーズにきめ細かく対応しているところであります。 政府としては、国内での医薬品の生産、流通と円滑な輸入の組合せにより、国民が必要とする医薬品の安定供給の確保に万全を尽くしていく考えであります。
○川田龍平君 患者はあくまでも安全な薬の安定供給を求めています。供給だけ増えて安全性には目の届かなくなるというのでは本末転倒です。私の経験したような薬害事件は二度と繰り返さないでもらいたいです。 グローバル化の最大のマイナスの一面は、国民の命に関わる安全性を守る国家の権限が弱められることだと言われています。総理、この国にとって一番大切なものは国民の命です。国民の健康と幸福あってこその経済成長だということを忘れずに、国家が果たすべき役割を必ず果たしてください。 この間ずっと私が繰り返し主張してきたように、TPPを批准するかしないかというこのテーマは、日本という国家と国民の暮らしが根底から変わる重要な採決です。国民の代表として選ばれた国会議員は、全員がその中身を読み、丁寧に検証して、その上で審議して決断するのが立法府としての義務だと思います。 是非、これは是非とも、アメリカだけでなく、世界各地でグローバル化の副作用を見直し、国民や国内産業を守るという国家の在り方に再び目を向け始めている今、この現実を無視して、中身も分からないTPP関連法の整備だけ進めることは本末転倒です。TPPを目的化するのではなく、政府の最大の目的、国民の命と健康、安心して暮らせる雇用や生活を守ることを是非実現をするために、皆さんと一緒に頑張りたいと思います。 数の力で議会制民主主義を私物化するのなら、総理には今すぐ解散してもらいたいと思います。 ありがとうございました。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。 TPPに関する参議院の議論も回数を重ねまして、委員の皆様の御努力もあって、大変充実した審議が行われてきたと思っております。 私の方からは、今日は、テレビを御覧の皆さんにもよく分かりやすくお伝えをしたいという気持ちから、TPP協定のうち国民生活に身近な、そういった事柄も取り上げてまいりたいと思っております。その前提として、改めてこのTPPの重要性について確認をしたいと思います。 TPP協定、アジア太平洋地域の十二か国の国の間で貿易、また投資、サービスの自由化、人の移動に関すること、またインターネット上の電子商取引、こういった様々な分野について経済活動に関するルールを取り決めるものであります。そのことによって、域内の人、物、資本、情報の往来を活発化させる、そして成長著しいアジア太平洋地域を世界で最も豊かな地域にする、これがTPPの目指すところとなっております。 日本にとっては、このTPPによって新しくつくり出される自由で公平な経済圏、世界のGDPの約四割という巨大な規模でありますけれども、この新しい経済圏に対して新たなチャンスが広がっていくということになるわけでございます。国内市場が重要であるということは言うまでもありませんけれども、今後、本格的な人口減少社会を迎えるこの我が国にとって海外の活発な成長を取り込んでいくということは非常に重要なことでございます。 また、このTPPというのは、先ほどアジア太平洋地域全体の発展を目指すというふうに申し上げましたけれども、決して一部の大きな多国籍企業だけが利益を受ける、そういうものではないわけであります。例えば、TPPには中小企業についての独立の章というものも設けられております。TPPによって工業製品の関税が撤廃されて、またサプライチェーンが拡大をしていくと、こういったことは日本の企業の大多数を占める中小企業の皆さんにも大きなチャンスになるわけでございます。 また、TPPには、強制労働、児童労働の禁止、環境の保護、女性の活躍といった条項も置かれておりまして、包摂的な経済成長、つまり全ての人々のための経済成長、こういったことを重視する協定になっていると思っております。高度な自由化のルールを定めているということに加えて、こうした労働、環境といった地球的な課題について新たな取組を行っているという点も二十一世紀型のルールというふうに言えるのではないかと思っております。 こうした幅広い分野について十二か国が粘り強い交渉を行った末に大筋合意に至ったわけでございますけれども、このTPPが発効するためには、十二か国のうち、GDP、国内総生産の八五%以上を占める少なくとも六か国が手続を終えるという必要がございます。このGDPについて言えばアメリカと日本の比重が非常に大きいと、こういったことからアメリカの動向が注目されるわけでありますけれども、日本自身が大きな役割を担っているわけであります。 TPPの発効については悲観的な見方も出ているわけでありますけれども、問題は、日本としてどういった意思を持つのかということであります。十二か国それぞれが国益にプラスになるということを判断をして合意が結ばれたものであります。そうした中で、もちろん日本としても国益にプラスになる、日本として一貫性を持って今後も主体的に行動をしていくということが日本にとっても重要でありますし、また、世界の日本に対する信頼を高めるということにもつながっていくのではないかと思っております。 こういったことからも、今後も引き続き早期の発効に向けて一貫した行動を主体的に日本としては行っていくべきだと思っておりますけれども、この点について総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこれはおっしゃるとおりでございまして、今私が言わんとするところは大体述べていただいたと、このように思いますが、まさに今、米国の政権は移行期でございますし、そしてまた世界において保護主義が台頭しようとしている中において、日本というのは自由民主主義国家の中では第二の経済力、GDPを持つ国であります。その日本が今ここで立ち止まってしまう、あるいはTPPをやめてしまうということになれば、まさに保護主義の台頭の前で拱手傍観を世界がしていくことにつながっていくんだろうと、こう思うわけでございまして、このTPPについては、今委員が指摘をされたように、関税を下げるということだけではなくて、ルールを決める、労働条件もそうですし環境もそうですね、女性の活躍もそうです、そうしたものをしっかりと入れ込んでいる。 と同時に、中小企業もこのTPPによって恩恵を被ることができるわけでありますし、今やこの十二か国という意味は、サプライチェーンの中において大きくコストを下げることができますし、中小企業もそのサプライチェーンの中の一環としてこの十二か国の中で十分に活躍していくことが、日本にいても、あるいは外に、この十二か国の中に出ていってもその恩恵を受けることができるし、ルールも明確でありますから中小企業も安心して出ていく、小さな企業がせっかく何とか知恵を出して取得した知的財産もしっかりと守られていくということになるわけであります。 そういう意味におきましては、このルールを世界に示していく大きな意義があると、今後RCEP、FTAAPと広がっていくわけでありますが、その模範となるのがTPPであると、このように思います。まさに、この委員会で議論をし、そして可決していただくことは、成立させていただくことは、日本の国としての意思を世界に示していく、自由貿易の重要性、そしてルールの大切さを示していくことにつながっていくと、このように思います。
○佐々木さやか君 この委員会での、先日、二日の日でございましたけれども、参考人質疑が行われました。そこでは、TPPと医療、薬価制度ということが議論をされました。今日の集中審議のテーマの一つも厚生労働ということで、基本的な点について幾つか質問をさせていただきたいと思います。 日本の場合、全ての人が公的医療保険、加入することになっております。これを国民皆保険制度と呼んでおりますけれども、日本では、病気になったりして病院に行くと、そうなると、皆さん医療保険に加入をしていますので、その病院代についても一部の負担でいいと。これが日本の制度で、当たり前となっているわけですけれども、この制度というのは国によって異なってくるわけであります。 例えば、医療サービス自体を公的な機関が提供すると、それによって基本的には国民は医療を無料で受けられる。しかしながら、医療機関、どこを受診するかということについては日本のように自由に選べないという国もありますし、また、アメリカのように民間保険が中心となっている、そのこともあって一部の、一定程度の方が無保険状態になってしまっていると、こういった国も中にはございます。 このように様々な医療保険の制度が海外にはある中で、中でも優れたこの日本の国民皆保険制度、これにTPPが何か大きな影響を与えるのではないかと、このような心配について確認をしたいと思います。 結論から申し上げますと、TPPは日本の公的医療保険制度の在り方に変更を求めるものではないと思っておりますし、国民皆保険制度が維持できなくなる、そのようなことはないというふうに思っております。TPP協定の条項について申し上げますと、例えば第十章には国境を越えるサービスの貿易という規定がありまして、医療保険、医療についてもサービスの一部ではありますけれども、何でもかんでも自由化するということではなくて、日本としてはこうした自由化について、この医療保険については適用除外ということでTPPの規定は適用がないと、このように理解をしております。 このほかにも関係する規定を見ましてもそのような影響があるようなことはないというふうに理解しておりますけれども、この点の改めての確認と、国民皆保険制度の重要性、また、今後もしっかりと維持をしていくのだということについて総理に確認をさせていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この問題について、大切な国民の命と健康の問題でありますから、国民の皆様が誤解されることがあってはならないと思いますのではっきりと申し上げておかなければならないと思います。 TPP協定には、薬価決定に対する外国企業の介入や混合診療の解禁のような、我が国の公的医療保険制度に影響を与える内容は一切含まれていません。我が国では、国民皆保険の理念の下、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療とすることとしております。つまり、誰でもどこでも必要な医療サービスを受けることができる、これが国民皆保険、皆医療保険制度の根幹であろうと思います。この根幹は一切TPPによって変わることはないということをしっかりと申し上げておきたいと思います。 今後とも、日本が誇る国民皆保険制度を堅持し、しっかりと次世代に引き渡していく考えであります。
○佐々木さやか君 明確に御答弁をいただきました。 しかしながら、こういう心配の声もありまして、薬価の高騰、こういったことがTPP協定によって引き起こされて、それによって国民皆保険制度が財政の面から揺らぐことになってしまうのではないかと、この点についても確認をしたいというふうに思っております。 この日本の薬価の制度というのは、製薬会社が自由に設定するというものではなくて、日本の場合は厚生労働大臣が定める医薬品の公定価格と、このようになっているわけであります。 この医薬品の価格に関するTPP協定の附属書二十六のAというものが医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続の公正な実施ということを定めております。つまり、医療保険で国民が利用できる薬の価格を決めるに当たってその手続を公正なものにするというわけでありますけれども、この薬価というのは、財政のことを考えれば安い方がいいわけですが、開発をした製薬会社にとってみればできるだけ高い方がいい、そのような中で手続が公正なものになるようにと、こういう規定であると思います。 まずは、この附属書の内容によって日本の現在の薬価決定のプロセスに何か変更が必要となるのかどうかという点を御説明をいただきたいのと、また、現行のプロセスの中でも製薬会社が自らの意見を提出する、こういう機会があるというふうに理解しておりますけれども、TPPによって、例えば外国の製薬会社がどんどん日本に意見を言ってきて、薬価を上げるように圧力を掛けてくるとか、それによって薬価が上がって国民皆保険制度が財政の面から揺らぐなどということがあるのかどうか、この点について厚生労働大臣に御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど総理から、我が国の公的医療保険制度に対してTPP協定が根本的なことを変えるだのようなことは一切入っていないということを申し上げました。 今、医薬品等に関する附属書についてお話をいただきましたが、ここに書いてあることは、例えば保険適用希望の申請に対する検討を一定の期間の中で完了させることであるとか、あるいは手続の規則、方法、原則、そして指針、こういったことを開示をするということ、あるいは、申請者に意見提出の機会を与えるということについて規定はされておりますけれども、我が国の薬価算定プロセスはこれと全て整合的にできていますから、何ら変更する必要はないということがまず第一点であります。 同時に、TPP協定によって、今お話がありましたように、意見表明があったとしても、外国企業や外国政府の意見を受け入れる義務が発生するみたいなことは一切ないわけでございます。 したがって、TPP協定によって薬価の高騰とかあるいは国民皆保険制度が財政の面から脅かされるとか、そのような懸念は全く当たらないということでございます。
○佐々木さやか君 ありがとうございました。 次に、ちょっとテーマを変えまして、TPPの発効によってどのようなメリットがあるのかということに関連して、生活に身近な観点から取り上げたいと思います。 TPPの規定の中に、第十三章ですけれども、電気通信章というものがございます。ここでは、公衆電気通信サービスの利用について、またサービス提供者の義務などについて定めておりますけれども、例えば私たちが日常に使う携帯電話ですとかインターネットといったサービスについても関係があるものでございます。 この電気通信章には、国際移動端末ローミング、つまり、私たちが日本で使っている携帯電話を、海外に行くと、そのときに海外で同じ携帯電話を使える、このことに関して規定があるわけですけれども、これはどのような内容なんでしょうか。また、発効後は参加国や事業者の間でどのような協議がなされていくことになるのか、説明をお願いいたします。
○政府参考人(富永昌彦君) お答え申し上げます。 携帯電話の国際ローミングでございますが、海外渡航時に自分の携帯電話で手軽に海外の通信サービスを利用することができるものでございまして、その料金を低廉化することによって、渡航者は自国との通話ですとか滞在国内での通信が利用しやすくなりまして、滞在をより快適なものとすることができます。 TPP協定の中では、国際ローミングに関しまして、透明性があり、かつ合理的な料金となることを促進することにつきまして締約国間で協力するよう努めることが規定されております。 我が国は、従来から国際ローミング料金の低廉化に向けまして、事業者間の精算料金の引下げについて二国間での協議を推進しております。現在、TPP交渉参加国の中では、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、ベトナムとの間で協議を進めております。 TPP協定の規定でございますけれども、国際ローミング料金の低廉化の重要性を各国に認識させるものでございまして、我が国が推進してきた二国間協議を加速させるものであると考えております。総務省といたしましては、これによって国際ローミング料金の低廉化に向けた取組を強化してまいりたいと思っております。 以上でございます。
○佐々木さやか君 例えば、今私たちが使っている携帯電話を海外で使うとどれぐらいの料金が掛かるかといいますと、オーストラリアでもし使用するというふうになった場合、事業者によって異なりますけれども、一日定額プランというものがあって、一日当たり大体千九百八十円とか、そういう金額になっております。一日当たりですから、二日、三日と使えば更に増えていくわけで、なかなか気軽に使えるというような料金にはなっておりません。 こうした国際移動端末ローミングについても、各国との間での協議というものがこのTPPの発効によっても後押しをされていって、私たちの利便性の向上、また料金の引下げにもつながっていくのではないかと、こういったことを期待をしたいと思います。料金の引下げに是非つながるように、政府におかれましても積極的に取り組んでいただきたいと思います。 このTPPというもの、消費者の側から見ると、消費の選択肢が増える、こういったことが言えるのではないかと思います。日本国内のものだけではなく、域内の様々な商品を手軽に安く入手をすることができるようになると。しかしながら、TPPによって輸入品が増えてくる、その安全性というものをしっかりと確保するということは大前提であります。特に食品については国民の皆様の関心も高いところでありますけれども、日本に入ってくる輸入食品についてはしっかりと安全性を確保していく、この大原則を今後も堅持すると。この点については総理より先日、本会議の質問に対しても答弁をいただいたところであります。 食品以外にも、生活雑貨、家電ですとか様々なものが既に海外からたくさん入ってきておりますし、またこれからも恐らく増えていくのではないかと思います。そうした中で、日本の消費者が直接インターネットを使って海外の事業者から商品やサービスを購入をする、こういったことも増えてきております。こうした電子商取引についても、TPPは第十四章で定めを置いております。 この消費者ということに着目をいたしますと、オンラインの消費者の保護、こういった規定がございます。近年、我が国の国民生活センターにも、国境を越えた消費者被害というものについて多く相談が寄せられるようになってきております。購入したものが届かないとか詐欺的な被害に遭ったとか、また、購入したものの安全性とか品質ですとか、こういった様々な相談が年々増えております。 このTPPに電子商取引章においてオンラインの消費者の保護というものが規定をされているわけでありますけれども、日本の国内の消費者保護の法制というのはしっかりしておりますが、海外の国においてはまだ十分でないというところもあるかと思います。 そうしたこともしっかりと制度が整っていくということは我が国の消費者の安全にもつながっていくことではないかというふうに思っておりますけれども、こうした消費者の保護についての規定がTPPに入っているということについて、是非、消費者担当大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(松本純君) 御指摘のとおりでございまして、TPP協定の電子商取引章は、オンライン消費者の保護に関する規定が設けられております。その主な内容は、締約国は、オンライン取引での詐欺的な行為等を禁止する法令を制定、維持する。適当な場合には、詐欺的行為に関して相互に関心を有する事項について各締約国との協力、調整を促進するというものでございます。 このため、TPP協定が発効すれば、これらの規定により、我が国の消費者が各締約国の事業者との越境オンライン取引を安心して行うことができる環境の整備が確保されることになり、日本の消費者の保護にもつながるものと認識をしております。
○佐々木さやか君 電子商取引章には、もう一つ消費者にとってメリットになるであろう条項がございます。個人情報の保護についても規定がされております。例えば、インターネットで商品を海外の事業者から直接買うということになった場合に、もちろん、連絡先ですとかクレジットカードの情報ですとかいろいろなものを、いろいろな個人情報ですね、提供することになるわけでありまして、そうした個人情報がきちんと国内だけでなく海外でも管理をされないと安心してショッピングをするということもできないわけであります。 まず、政府に説明を求めたいんですが、こうした海外の事業者と日本の消費者が直接取引をする場合に、個人情報についてはどのような保護の制度になっているんでしょうか。
○政府参考人(其田真理君) お答え申し上げます。 来年の春頃に全面施行を予定しております改正個人情報保護法におきまして、域外適用の規定が新設されたところでございます。この域外適用の規定によりまして、日本の消費者が海外の事業者のサービスを利用する際に個人情報を提供した場合には、その海外の事業者に対して、個人情報保護法上の義務が適用されることとなります。したがいまして、委員が今お話をされたようなケースにおきましても、法制度上、消費者の個人情報が保護されることになります。
○佐々木さやか君 今御説明がありましたように、日本の国内法として、こうした場合にも事業者に個人情報保護の責務を負わせると、こういう法律になっているということでありますが、このTPPに個人情報の保護について定めがあって、各国の、日本以外の国の国内法においても個人情報の保護の制度がより充実をしていくということであれば、我が国の消費者にとっても更なる安心につながるものであるというふうに理解をしております。 実際に海外の事業者との取引でトラブルに巻き込まれてしまったと、もしこういったことがあった場合に、消費者庁としては現在どのような相談窓口を提供して支援を行っているのかということについて、消費者担当大臣に御説明をお願いいたします。
○国務大臣(松本純君) 消費者庁は、国内で製造された製品であるか、海外から輸入した製品であるかにかかわらず、事故情報の収集を行い、こうした事故情報を消費者に提供するとともに、必要に応じて消費者に向けた注意喚起を実施しております。 加えて、海外に所在するインターネット通信販売事業者等と日本の消費者の間の取引において生じたトラブルに関しては、消費者からの相談を受け付ける窓口として国民生活センターに越境消費者センター、CCJを設置し、消費者からの相談に対し助言等を行っているところでございます。 さらに、CCJにおいては、海外の消費者相談機関等と連携関係を構築することによって、海外事業者と日本の消費者の間の取引に関するトラブルの解決を支援しております。具体的には、日本の消費者と取引においてトラブルを生じた海外事業者に対して、CCJは、当該事業者の所在する国等を管轄する海外の消費者相談機関等を通じて働きかけ等を行うことにより、円滑なトラブル解決に貢献をしているところでございます。
○佐々木さやか君 つまり、住まいのお近くの消費生活センターに御相談していただければいいわけですけれども、それとまた別に専門の越境消費者センターというものを消費者庁としてつくっていただいたということであります。このCCJに寄せられている越境消費者相談の件数というのはここ数年四千件を超えておりまして、これからも増えていくのではないかというふうに予想がされております。 このCCJの意義というのは非常に大きいと思っております。なぜなら、海外の事業者が所在する国で国内法がきちんとあって取締りなどもされる状況にあるとしても、日本の消費者がその海外の国に自分で連絡をして外国語で解除を申し入れるとか、そういったことは極めて困難なわけであります。ですので、消費者はCCJに相談をすれば、CCJが提携先の国との間でその問題の解決に向けた交渉を行っていくと、こういう体制が整ったということで、非常に良かったのではないかと思っております。 是非この越境消費者センターの体制の充実を今後も努力していっていただきたいと思いますけれども、この海外提携先機関というものが現在十か国・地域というふうに伺っております。是非、TPP参加国についても重視もしながら、海外提携先機関を拡大をできるように努めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(松本純君) 委員御指摘のとおりでございまして、消費者からの相談を受け付ける窓口として国民生活センターに設置しております越境消費者センター、CCJにおける海外事業者と消費者の間のトラブル解決能力を強化するため、CCJと海外の消費者相談機関等との連携体制を拡充する必要があると認識をしております。 CCJは、現在、日本以外のTPP参加国十一か国のうち七か国を含め、二十の国・地域を管轄する十の消費者相談機関等と連携関係を構築しております。現在、TPP参加国のうちCCJと連携関係のない四か国や、日本の消費者とのトラブル件数の多い国・地域の消費者相談機関等に対して接触するなどしているところでございまして、引き続きCCJとの連携の拡充を図ってまいりたいと存じます。
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いをいたします。 最後に伺いたいと思いますが、女性の活躍と経済成長、これがTPPの第二十三章、開発章というところに規定をされております。これは、従来の経済連携協定には見られない独立した条項として、女性に特化したこういった規定を設けております。 この条項では、働く女性労働者、また自ら事業を経営する女性が国内経済及び世界経済に参加をしていく、これが経済の発展に寄与するのであると、こういったことですとか、またそのための各国の協力活動というものを検討すると、こうしたことも規定をしております。 主に途上国などが念頭に置かれているわけではありますけれども、経済活動における女性の重要性を国際的に確認をするという規定でありますし、我が国が重視をしている、全ての女性が輝く社会、また一億総活躍社会、これが目指すものと軌を一にしていると言えると思っております。是非日本としても、この日本を含め、途上国も含めた女性の地位の向上、女性の活躍にリーダーシップを取っていっていただきたいと思っております。 例えば、途上国の女性の地位向上、能力の向上のために、日本の様々な経験を共有をする、また女性のリーダーのネットワークの構築に力を入れていく、こうしたことについて是非女性の活躍に取り組んでいる総理にも積極的に取り組んでいただきたい、こう思いますけれども、この開発章に女性の活躍と経済成長、この規定が入っている、このことの持つ意義について総理の御所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定の開発章は、女性の経済への参加、そして能力向上を目的とする協力を奨励しています。具体的には、女性の技能、能力向上や、市場、技術及び融資へのアクセスを容易にすることを支援する計画、また指導的地位にある女性のネットワークの発展、職場での働き方に関するベストプラクティスに関する情報や経験の共有などが挙げられています。 これはまさに世界の経済成長にとって女性の活躍がますます求められている中、TPP協定のような二十一世紀型の経済ルールを作る上で、女性の果たす大きな役割に焦点を当て、包摂的な経済成長を達成すべきとの考え方が根底にあるわけでありまして、我々が進めている一億総活躍社会とまさにこれ同じ目的であろうと、このように理解をしております。
○佐々木さやか君 ありがとうございました。 是非積極的な取組を私自身も決意をして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、宮島喜文君が委員を辞任され、その補欠として小野田紀美君が選任されました。 ─────────────
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。 前回私は、大阪でも、また京都でも、大都市中心に民泊の問題が上がっているわけですけれども、TPPによって民泊規制が十分にできないという問題を今回も取り上げたいと思います。(資料提示) まず、パネルを見ていただきたいんですけれども、民泊とは、戸建て住宅や共同住宅等の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供するものであります。インターネットを通じて空き家を短期で貸したい人と旅行者をマッチングするビジネスでありまして、これは世界中で現在広がっておりますいわゆるシェアリングエコノミーの一形態であります。安倍政権は、この民泊を規制改革推進会議などでも議論をしております。しかし、料金を徴収し人を泊まらせるということは誰もができるわけではなくて、きちんとルールがあるわけですね。 まず確認しますが、旅館業法上の許可のない民泊は違法だということだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 宿泊料を受けまして人を宿泊をさせる営業、これを行う場合には、原則として旅館業法に基づいて旅館業の営業許可を取得する必要があります。したがって、住宅などを活用したいわゆる民泊サービスであっても、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば旅館業法に違反をするということになります。
○辰巳孝太郎君 今年四月にこの旅館業法の施行令が改正をされまして、簡易宿所営業の面積要件を緩和して営業許可を取得しやすくしたわけでございます。この許可件数は現在で何件ぐらいですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 民泊サービスが旅館業法の許可の下に適切に提供されるように、本年四月に今御指摘の旅館業法施行令を改正をしました。簡易宿所営業の面積要件を緩和をいたしまして、営業許可を取得しやすくするということを行いました。 この要件緩和に伴う簡易宿所営業の許可件数は、五月末現在で五十一件、その後の状況については現在調査中でございまして、引き続いて増加をしていると考えているところでございます。
○辰巳孝太郎君 五十一件ということであります。 民泊仲介最大手のアメリカのエアビーアンドビー社は、現在日本に四万五千件を超えるホストを保有する企業であります。報道によりますと、エアビーアンドビー社を利用しての民泊は本年一月から十月までの間で三百万人を超えたとされております。これ、一人の方が複数の宿泊をしてもカウントされますので、訪日客二千万人と、こう言われておりますけれども、約その一割がこの日本で民泊を利用したということになるわけですね。 マンションの一室を使った民泊が横行し、ごみの収集日でない日にごみが出されている、鍵を他人に渡すわけですから玄関のオートロック機能の意味がないとか、騒音がひどいとか、見知らぬ人が敷地内に出入りして不安だ、そういう声が出されておりますけれども、これ当然の不安だと思います。しかし、五十一件しかまだ簡易宿所の許可は得ていないということであります。 総理、今三百万人という話がありました。これ、ほとんどが違法営業だと思いますけれども、どう受け止めておられますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) いわゆる民泊サービスは、空き部屋とかあるいは空き家などを活用した宿泊サービスを提供するというものでありまして、急増する訪日外国人観光客などの多様な宿泊ニーズに対応しているというふうに理解をしております。 一方で、今お話がありましたけれども、インターネット仲介業者、これを通じて旅館業の許可を得ずに行われている事例などが多く、今御指摘のように、騒音とかごみ出しで近隣の方々とトラブルを起こすというようなことが起きているというふうに理解をしております。 このような実態を踏まえて、無許可でサービスを行っている事業者に旅館業の許可を受けさせるために、先ほどの簡易宿所の床面積要件を緩和し、小規模の事業者でも許可を取れるようにしたということで、これらの事業者が旅館業法の下で安全衛生等にきちっと配慮をして適切なサービスを提供していくように、私どもとしては指導をしていきたいと思っております。 引き続き、本年六月に閣議決定をいたしました規制改革実施計画、そしてまた有識者によります民泊サービスのあり方に関する検討会最終報告がございますが、これに基づいて、適切な規制の下でニーズに応えたサービスが行われるように必要な法整備を検討をしていく所存でございます。
○辰巳孝太郎君 済みません、多様なニーズ、これ違法なんですね。これ正当化できないわけですよ。 確認しますけれども、仲介業者に対して、許可を受けていない民泊を、簡易宿所の登録をしていない民泊を紹介することをやめさせるという措置はとったんですか。
○副大臣(田中良生君) お答えいたします。 国交省といたしましては、エアビーアンドビー等の民泊の仲介事業者に対しまして、本年四月一日付けで、民泊を適正に提供するように厚労省と連名で要請をいたしました。 具体的には、民泊の仲介事業者に対しまして、旅館業法の許可取得が容易になったと、こういうことを踏まえて、民泊を反復継続して有償で行う場合には原則で住宅提供者に旅館業法の許可が必要である旨を周知するということ、また、民泊に登録する物件が賃貸借契約やマンション管理規約に反していないことを住宅提供者が確認すべきである旨を注意喚起すること等を内容としております。 なお、要請書を受け取った仲介事業者に対しても、サイト上に要請内容を表示するという対応をしていただいております。
○辰巳孝太郎君 周知徹底なんですよ、あくまで。それじゃ駄目なんですよ。仲介業者は、ちゃんと簡易宿所の登録をしているかどうか、これ、例えばファクスでも、もちろんネットでその登録証というのが発行されるわけですから、それを確認した上でサイトに載せるという、そういう対応だってできるんですよ。やっている事業者だってあると聞いております。これ、エアビーアンドビー社はやっていないんです。 総理、これ十分な規制だと思いますか、今の段階で。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど多様なニーズというふうに厚労大臣の方から御説明をさせていただいたところは、国内あるいは海外からの観光客の皆さんが様々な形態で旅行をしたいと、こう考えている、そうした意味におけるニーズでございます。そうしたニーズにどう業者側が応えていくべきかということの中において我々も民泊の仕組みを入れていこうということにしたわけでございますが、その際、旅館業法上の許可を取るのは当然のことでございます。そこで、しかし、なかなかそれには様々な乗り越えなければいけないハードルが高過ぎる中において、面積等の要件については厚労大臣がお示しをしたとおりの対応をしていこうということであります。 いずれにせよ、この民泊のサービスを提供する上においては、この許可を取らなければいけないということについては、大臣がお答えをさせていただきましたように周知徹底させていこうということでございます。
○辰巳孝太郎君 これ、別にハードルなんて高くないんですよ。違法行為なんですから、取締りの強化を政府としてこれやろうということになればちゃんとできます。 世界でもこれ規制の方向に動いております。ニューヨークは違法営業の調査を大々的に行い、サンフランシスコは民泊の年間日数の制限を当初の九十日から六十日に制限、短縮をいたしました。ベルリンは民泊の急増で逆にアパートの不足が深刻化をしまして、ベルリン市は民泊の原則禁止を今年決めたと。 我が党は、シェアリングエコノミーという考え方そのものに反対するわけではありませんが、きちんと安全ルールの確立、まずはこれ違法行為の取締り強化ということが必要だというふうに考えております。 政府も昨年の十二月、内閣官房IT総合戦略室は、IT利活用を行う新たなサービス、シェアリングエコノミーの適正な運営の確保のための対応を中間整理でまとめております。ここでは、外国企業にも日本国内に事務所の設置を求めて、安全や衛生に必要な規制を設けようじゃないかと、こういう方向性が取り決められたわけですね。これ当然の措置だと思います。ところが、本年五月の中間整理二からはこれが削除されました。 事務所の設置はTPP協定のある条文に抵触するからというのが、先日、本委員会での政府の答弁でありました。抵触するこのTPPの条文、国境を越えるサービスの貿易の章のところを読み上げてください。
○国務大臣(石原伸晃君) 今委員がお示しされている十章の六条でございますが、前回もお話しいたしましたとおり、「いずれの締約国も、他の締約国のサービス提供者に対し、国境を越えるサービスの提供を行うための条件として、自国の領域において、代表事務所若しくは何らかの形態の企業を設立し、若しくは維持し、又は居住することを要求してはならない。」。 以上でございます。
○辰巳孝太郎君 これ、いわゆる現地拠点設置要求の禁止条項と言われているものでありまして、これがあるのでできないということでありました。つまり、安全や衛生に関する規制がTPPなどによってできない、政策決定がゆがめられたと、こういう話であります。 影響は、安全衛生規制ができないということにとどまりません。政府は、民泊新法の法案提出を予定をしております。ここでは、民泊仲介業者に行政庁への登録をさせた上で、法令違反があった場合などには、立入検査、業務停止、罰則などを科せるということになっております。 確認しますが、この拠点を日本国内に持たない外国法人に対して立入検査を含めたこれらの罰則を科すことはできないと思いますけれども、いかがですか。
○副大臣(田中良生君) お答えいたします。 十一月二十一日の本委員会におきましても答弁をしたところでありますが、委員御指摘の点につきまして、一般的には、海外に事業所あるいはサーバーがあって日本国内に実体を持たない仲介事業者に対して立入検査や罰則の執行を行うことはやはり困難を伴うものと考えられます。 一方において、本年六月に取りまとめられましたこの民泊サービスのあり方に関する検討会の最終報告書においては、外国法人に対する取締りの実効性確保のために、法令違反行為、これを行った者の名称ですとか違反行為の内容等を公表できるようにするということが盛り込まれております。こうしたものも踏まえて、国交省としても法案、検討していきたいと思っております。
○辰巳孝太郎君 外国法人に対してはこれらは科すことができないということなんですね。逆に日本に、日本の法人ですね、これ、罰則等の行政措置というのはこれは全部科されるということになります。そもそも、政府が当初考えていた事務所の設置ということを海外の民泊仲介業者にもさせていればこういうことにはならなかったわけであります。TPPにらんで、事務所の設置、置けないことでこれが出てきたということであります。 総理、このTPPというのはイコールフッティングなんだと、競争条件、イコールフッティングでやるんだということを繰り返し述べられておりますけれども、日本の法人、外国の法人、罰則が掛けられる、掛けられない、これ、イコールフッティングじゃないんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 制度的な問題ですので、私の方から御答弁させていただきたいと思います。 今、田中副大臣が御答弁されたように、観光庁や厚労省において立入検査のやり方、罰則等については制度設計の検討中であるわけでございますけれども、委員御指摘の我が国に拠点を持たない事業者に立入検査や罰則を考えることは、もう委員の御指摘のとおり、極めて困難だと思います。制度設計を行う場合、そのことも含めました、内外事業者のいわゆる委員御指摘のイコールフッティングも含めた総合的な検討がなされることが必要ではないかと考えております。 具体的な制度設計については、まだ途中でありますので、私の方からも御答弁はできません。
○辰巳孝太郎君 イコールフッティングではないということを認めたと思うんですね。それやろうというんだったら、やっぱり外国法人にも事務所の設置を求めなきゃならないということであります。 外国法人に対して事務所の設置を求めることができないということは、これ安全や衛生の規制ができないということにとどまりません。これは、実は課税、徴税ができないということでもあります。外国法人にとって、事務所の設置というのは国際課税条件にも深く関わるものであります。税務用語では、いわゆるPE、パーマネントエスタブリッシュメント、恒久的施設と、こう呼ばれていますけれども、外国法人が日本国内で事業を行っていたとしても、日本国内にこの恒久的施設がなければ日本では課税がされないというルールがあります。これ、いわゆるPEなければ、恒久的施設なければ課税なしというものであります。 この恒久的施設と認定される際の要件というのは何かをお示しください。簡潔にお願いします。
○政府参考人(吉田正紀君) お答え申し上げます。 我が国の税法上、外国法人の課税については恒久的施設がなければ課税されないと。いわゆる、今御指摘のとおり、恒久的施設なければ課税なしの原則が取られているところでございます。 恒久的施設とは、法人税法上、外国法人の国内にある支店、工場など事業を行う場所、外国法人の国内にある建設作業場、外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者とされております。 なお、外国法人がその資産を購入する業務のためにのみ使用する場所、外国法人がその資産を保管するためにのみ使用する場所、また外国法人が広告、宣伝、情報の提供、市場調査、基礎的研究、その他その事業の遂行にとって補助的な機能を有する事業上の活動を行うためにのみ使用する場所につきましては、恒久的施設の定義からは除かれているところでございます。
○辰巳孝太郎君 補助的なものであればPEとはならないけれども、しかし本質的な事業を行う場合は、日本にある支店、事業所などはPE、恒久的施設として認定をされるということであります。このPEが、恒久的施設が課税をめぐる問題を論じる際にキーワードになってくるということであります。 パネルをお示しいただきたいんですが、このPEをめぐっては有名な争い、これアマゾンジャパンに対するものがあります。アマゾンジャパンは日本国内に倉庫を持っております。たくさんあります。国税庁は、これを本社機能の一部があるとして、恒久的施設として認定をして百四十億円の追徴課税を行いましたが、アマゾンジャパンは、商品の発送もクレーム処理も別の業者がやっており、日本では営業活動をやっていないんだということで、この倉庫は恒久的施設ではないと主張して納税を拒否したもので、これ結局、日米協議の結果、国税庁の主張は退けられたという報道がされております。 麻生大臣、どういう協議をしたんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、このアマゾン・ドット・コムというのは個別の業者ですので、個別の納税者の課税とか協議の状況については、これは守秘義務というのが課せられておりますのは御存じのとおりなので、具体的な答弁というのは差し控えさせていただくことになります。 ただ、一般論として申し上げれば、租税条約というものの規定に適合しないいわゆる国際的な二重課税というものが生じた場合、納税者からの申立てがあった場合、これは外国税務当局と相互協議というのを実施して問題の解決を図るということが基本です。
○辰巳孝太郎君 日本各地で巨大な倉庫を持って、莫大な売上げ、利益を得ているにもかかわらず、日本でまともな税金が納められていないということであります。 アマゾンだけではありません。今、多国籍企業の課税逃れが世界的な問題になっております。とりわけ、IT企業の税逃れが問題であります。世界最大のIT企業大国はアメリカでありますけれども、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、インテル、そしてエアビーアンドビーやウーバーなどシェアリングエコノミー業者もあります。二〇一二年には、米国に本社があるスターバックス社がイギリス国内に七百店舗を展開していながら法人税をほとんど納めていなかったということが判明し、大きな怒りの声が上がりました。 世界で行われるこれらの租税回避によって一体どれぐらいの税収が失われているのか、お示しいただきたい。
○政府参考人(吉田正紀君) お答え申し上げます。 世界企業によります税源浸食と利益移転、いわゆるBEPS行為に伴います逸失税収についてでございますけれども、OECDはBEPSプロジェクトの最終報告書の中で、二〇一四年の水準における、BEPSにおける法人税収の逸失規模を世界全体で一千億ドルから二千四百億ドル、世界全体の法人税収に占める割合を四%から一〇%と推計しているところでございます。これをちなみに日本円に換算いたしますと、約十兆円から二十五兆円となります。しかしながら、本報告書はこの推計の基礎となるデータや試算方法について課題が多く残されており、実態を反映した結果を示すためには更なる検討が必要と結論付けております。 こうした問題意識の下、OECDでは、租税データの充実や民間の研究者と共同したBEPSに関する更なる研究を今後とも継続していくということとしております。
○辰巳孝太郎君 物すごい税収が失われているということであります。分かっているだけでですからね。 アップルやグーグルは、ダブルアイリッシュ・アンド・ダッチサンドイッチと言われる複雑な手法で、税金のほとんど掛からない複数の国に関連会社を設立をし、それら会社の間でライセンスの譲渡やロイヤリティーの支払を行って租税回避を行っているとして、世界で大問題となりました。ちなみに、先ほどありましたエアビーアンドビー社も租税回避地と言われているアイルランドに営業拠点を置いている会社であります。 それら税逃れを規制しようという動きが世界で高まっております。代表的なものが、今言及もされましたBEPSプロジェクト、税源浸食と利益移転、これをどう食い止めるかということであります。二〇一六年六月には、BEPS合意事項を実施に移すためのBEPS包摂的枠組みには八十七か国を超える国や地域が参加をするものになっております。このプロジェクトでは、多国籍企業がその進出先における恒久的施設認定を人為的に回避をし租税回避を行うこと、これを防止するために、恒久的施設と認定される活動をより広げるよう求めて、恒久的施設認定逃れを厳しく戒めております。これが世界の流れ、この点では日本も先頭に立ってきたと認識をしております。 この恒久的施設認定逃れを許さないためのBEPSプロジェクトでの取組はどういうものか、お示しください。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる、今おっしゃいましたように、PE、パーマネントエスタブリッシュメント、恒久的施設に認定されているという内容が、先ほど財務省の方から説明いたしましたように、極めて限られている範囲になっておりますので、限られている範囲である以上、極めて合法的に今のことは全て行われることになっておりますので、このBEPSの行動七というものの中で、この定義を拡大する方向でOECDの租税条約というものを改正することを勧告したものがその内容です。 そして、商品の保管とか倉庫とか引渡しとかそういったようなものを、代理人を含めましてこれを恒久的施設、代理人を含めて恒久施設として、それから生じる事業所得というものは進出国先でいわゆる課税できるようにしようというのがこの勧告の内容の主なところです。
○辰巳孝太郎君 つまり、アマゾン対策とも言えるものなんですね。それでも巧みに認定逃れをする多国籍企業に対して取るべき税金を取ろうと、これ当局から様々な動きが出てきております。 例えば、インドネシア財務当局は、IT大手グーグル社がインドネシアで得た利益を税率の低いシンガポールに計上して意図的に租税回避を図ったとして、四百二十億円、日本円でいいますと、追徴課税をする姿勢を示しております。グーグル・インドネシアは、昨年の収入に対して駐在員事務所に係る税金しか納めておらずに、それは売上げの〇・一%にも満たないということでありまして、財務当局はこのグーグル社に、恒久的施設、つまりPEとして活動するように要請をして適正な課税をする構えだということであります。 租税回避を強めるグローバル企業に対して、国としても恒久的施設の適用範囲を広げて適正な課税をしていこうということがあるわけですね。これはまさにBEPSプロジェクトの理念に沿ったものだと私は思います。 それだけじゃありません。基本的な考え方の一つに、グローバル企業は、払うべき、つまり価値が創造されるべきところで税金を納めるべきというものがありまして、国際課税原則を再構築することがBEPSプロジェクトでも掲げられております。これは間違いないと、麻生さんうなずいておられますからそうだと思います。 このBEPSプロジェクト、行動一において、パネルにも示しております、こうあります。電子経済に伴う問題への対応について検討がされ、これは電子商取引により他国から遠隔で販売、サービスの提供等の経済活動ができるビジネスに対する課税の在り方を検討するというものでありました。つまりこれは、IT企業、エアビーアンドビーのような民泊仲介業者に対する課税をこれどこで行うんだという議論につながるものであります。 BEPSの議論ではこの行動一についてどのような結論を得たのか紹介してください。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆるBEPSのプロジェクトのこの行動一というのは、これ一からずっとあるんですけど、一では、電子商取引の電子によります経済、インターネット等々の経済は、現行の国際課税ルールでは課税が十分に行えないというおそれがあるという問題意識の下で、課税上の課題についてどう対応するかというのがその議論された内容の主なところです。 例えば、電子経済というのが発展することによって、国内に物理的ないわゆる施設、倉庫を含めまして、全ての施設を設けずに事業活動が行われるという可能性というものがないわけじゃありませんので、その所得に課税できるようにする、なくても課税できるようにするためには、いわゆる恒久的施設の概念というものを基本的に、課税の基準について、もっと複数の選択肢、オプションというものを検討されるというのはしかるべきではないかということで、この点については、現在の電子を使った、インターネット等々を使った経済の状況を前提にすれば、今のレベルですよ、レベルにすれば、PEの存在というものをある程度大きくした上での前提として、その広めたPEをなくして、かつ電子商取引なりできるかといったら、そんなレベルにはないという結論に達しております。 したがいまして、今原則自体を見直さなくても他の行動計画の勧告内容を実施することで課税上の問題に十分対応できるという結論に至っておりますが、ただし、これ日進月歩で進んでいきますこの電子商取引等々のインターネットというものは、これは飛躍的に進んでいく可能性があるということを十分に考えておかねばなりませんので、引き続き状況は丁寧にモニタリングしていくべきということで勧告が出されております。
○辰巳孝太郎君 今大臣がおっしゃられたのは、物理的概念の存在を根拠として課税する現行の税制とは異なる課税方法の可能性等について検討を継続ということだと思うんですね。 もちろん、グーグルなどがサーバー一つどこかに置いていろんなビジネスを世界中でできるんだと、こういうことがあるわけですが、じゃ、一体、この大原則である、グローバル企業は払うべき、価値が創造されるところで税金を支払うべきという観点からいえば、他国だけで税金を納めていいのかと。例えば民泊仲介業者であれば、これはホストというのは日本人なんですね。実際に日本で契約が交わされて、日本の物件、日本の住宅が使われるということになるわけです。そういう経済、ビジネスモデルが存在しているときに、全くそういう業者が日本で税金を納めなくていいのかという議論がされたんだけれども、結局そのことについての最終的な結論というのは出なかったということであります。 これは、例えばアップル、アマゾン、スターバックスなどが加盟するアメリカ最大のロビー団体、USCIB、米国国際ビジネス評議会というのがありますけれども、こういう考え方は、アメリカのIT企業、これも課税が迫られるということになるので反対、否定的な意見も出していたということも紹介をしておきたいと思います。 となると、このようなIT企業に対して必要な課税ができるのかどうかは、最終的には恒久的施設、PE施設があるのかどうなのか、認定できるのかどうなのかということによって左右されるということになるわけであります。 さて、TPP協定であります。TPP協定では、事務所、恒久的施設、この設置はそもそも求めない、求められないということになるわけでありますから、これ総理、結果的にですよ、結果的に課税の機会を縮小させるものになるんじゃないんですか、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPにおける本規定は、現地における拠点の設置要求によってサービス貿易が制限されないことを確保するために設けられたものであります。 しかしながら、先ほど財務大臣からも答弁をした中であったように、現在の電子経済の現状を前提とすればでありますが、一切の物理的拠点を設けることなく進出先の国で所得を発生させるような事業を展開することは困難であると考えられることから、この中でPEをどのように定義付けるかということについても先ほど麻生大臣からその方向性について話がございましたが、TPPの本規定が日本の課税機会を縮小させるとの指摘は当たらないというふうに我々は考えているところでございます。
○辰巳孝太郎君 済みません、BEPSの行動一で、仮に、ああいうエアビーアンドビーのような会社はやはり日本のインフラを使っているわけですね、安全なインフラを使っているわけです。そういうことからいえば、日本でも税金納めてもらおうじゃないかということになってもおかしくないんですよ。安倍総理も二〇一三年のG8のサミットでこう言っているんです。企業は地域のインフラや安全を享受していることから、払うべきところで税金を払うことが重要だと、こう言っているわけですよ、こう言っているわけですよ。 そういう考えからいえば、しかしBEPSでは結論は出なかったんです。そして、TPPではそもそもPEを置くことを禁止、求めることを禁止しているわけですよ。しかも、仲介大手は、元々政府も、安全規制、衛生規制が必要だからといって、恒久的施設、事務所の設置を求めようと言っていたんですよ。ところが、TPPがあるからこれはできないということで、できなくなったんですよ。 その問題と併せて、課税の機会の縮小、これ認めていただきたい、課税の機会を縮小させるものでしょう。総理、もう一度。
○国務大臣(麻生太郎君) TPPでは、御存じのように、租税に係る課税措置については原則として適用除外、御存じのとおりです、されております。また、TPPの規定と租税条約の規定にそごが生じた場合は租税条約の規定が優先するとされておりますのも御存じのとおりです。 したがって、仮に日本における租税というものが、意味が、租税徴収の観点から日本に進出する外国の企業というものに対して拠点の設置というものを要求することがあったとしても、TPPの規定に違反するものではないことから、TPPの規定によって日本の課税機会が少なくなるという指摘は当たっていないと思います。 ただし、プロジェクト一、BEPSプロジェクトの行動一の話ですけれども、結論については、これは現在の電子経済の現状というもので御説明させていただきましたけれども、進出先の事業を展開することが困難であると、今のレベルではね。 したがって、私どもとしては、これは十分に課税というものができるんだと思っておりますけれども、更に申し上げれば、そもそもBEPSプロジェクトの議論の趣旨というものは、経済取引の実態に合わせて適切に課税するかであって……
○委員長(林芳正君) 大臣、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○国務大臣(麻生太郎君) 課税のために経済実態をゆがめようとしているわけではありません。
○辰巳孝太郎君 租税条約の原則がPEなくして課税なしなんですよ。そのPEを求められないということは課税の機会の縮小につながるんです。当然の話です。 そのことを申し上げて、こんなTPPは、多国籍企業の税逃れや、これは野放しにつながるということを申し上げて、私の質問を終わります。
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。 私は、四か月前まで国会の外でこうした政治的な議論を聞いていた人間ですので、今日は新人議員として素朴な質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 まず総理に三点ほど、そして次に医療に関するTPPの質問をさせていただきます。 日本維新の会はTPPを推進する立場にあります。既に出尽くした感はありますが、十一月にトランプ氏がTPP離脱を発言した後、アメリカが離脱するなら外圧という論点も崩れた、なのになぜ国会はまだ審議を続けているのかという疑問を国民の皆様も感じていらっしゃるのではないかと思っております。 〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕 確かに突然の離脱表明だったかもしれませんし、想定外のことが起こったとしても、もっと言えば、TPPがあってもなくても、一国の総理大臣として国民に理解してもらいたかったTPP審議継続の意義というのが、これまでの答弁のほかにあったのではないかと思っています。例えば、自由貿易の保護や物の関税以外にも、サービス、投資、知的財産、国有企業への規律など、それらの高次元のルールを作るためといった御答弁がございました。 今、少子高齢化社会の中で日本がどう生き残っていくか、何を選択していくかということについて、TPPを題材として審議することは、皆さんのこうした議論の過程で、私たちが学習すること、今まで知らなかったことを学習できることも多い、そう思われて審議を中止せずに続けられたのではないかと私は思っています。間違っていたら申し訳ございません。 今日は、テレビだけではなくて、ラジオをお聞きの国民の皆さんもいらっしゃると思います。国民の皆さんに総理から、審議の継続はなぜ無駄ではないかという点について、これまでと違った言葉で改めて答弁をお願いしたいと思っています。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後、戦後の世界の自由貿易体制は、ガット、そしてWTOで発展をしてきました。しかし、二十一世紀に入ってWTO交渉は、中国も加盟をいたしました、様々な国が加盟をしていったわけでありますが、多様化とともに停滞をするようになっていったわけであります。 経済環境の変化に合わせて通商ルールを進化させるためには、基本的価値を共有し、志を同じくする国々が共通ルールを作るという新たな枠組みをつくっていく必要があったわけであります。そこで、それこそがTPPであろうと思います。 世界のGDPのこれ四割を占める、そして成長していくアジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくっていくということになるわけでありまして、TPPは、従来の自由貿易を進化させて自由で公正な経済圏をつくり出していくわけでありまして、単なる関税を下げて貿易を自由にするだけではないわけであります。 そして、そのルールの中には、例えば知的財産の保護、そしてまた労働や環境に対する規制、そしてまた自由な競争をゆがめる国有企業の競争条件の規律等もこれは入っているわけでありまして、まさにこれから自由貿易を進めていく上において様々な課題となることについてはしっかりとルールが入っている、ルールとして示しているのがこのTPPであろうと思います。 日本にとってTPP協定そのものが大きな国益につながっていきますし、地域の発展につながっていくということと同時に、今議論されているのはこの自由貿易をどう考えるかという側面もあるわけでありまして、それこそまさにこの委員会の議論に求められていることだろうと思います。このTPPが示す方向こそ世界が進んでいくべき道であるということをこの議論を通じて示していきたいし、世界の自由民主主義国家の中では第二位の経済力を誇る我が国が批准することでそのことをしっかりと示していくことにつながっていくのではないかと、このように考えております。
○石井苗子君 ありがとうございました。 私は、TPPは、マイナス面でなくて、メリットがどこにあるかを探しつつ議論することも大切だと思っております。 そこで、自由貿易が攻めの体制をつくって国益を守っていくとなると、どうしても中国の存在が気になります。中国の動向をしっかり押さえながら、将来は中国も含めてアジア太平洋諸国に日本が提唱する高次元のルールを受け入れてもらう。そのためには、中国についてどこを押さえることで何をぶれなく進めていこうとお考えなのか、総理の御所見をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国際社会において、台頭していく、発展していく中国とどう向き合っていくかということが、経済における、経済の分野においても、もちろん安全保障の分野においてもそうですが、最大の二十一世紀における課題なんだろうと、こう思うわけであります。 仮にTPPがなかなか進まなければ、アジア太平洋地域の経済秩序の重心はRCEPに移ることとなります。そこでの最大の経済大国である中国は、従来、政府は、外国企業の経営に不当に干渉しないといった投資ルールや、あるいは国有企業の競争条件の規律については慎重でありました。より自由で公正な通商ルールを牽引する役割はTPPが果たすことが期待されるわけであります。 まさに中国は巨大な国有企業が存在し、そしてこの国有企業の力と財政基盤を生かして買収をし、そしてまた、様々な自由で公正な競争をゆがめる危険性があるという指摘があるのは事実だろうと思います。この自由貿易は岐路に立っていると言ってもいいと思います。 米国が政権移行期にあって、世界に保護主義の懸念と動揺が広がっている今こそ、まさに我々はこの場において、この自由で公正なTPPという新たな経済圏をつくっていくという試みについてその正しさを示していかなければならないと、このように思っております。
○石井苗子君 ありがとうございました。今の御答弁を国民の皆様がどう受け止めるかによって、TPPの考え方もまた変わってくるかなと思っております。 さて、本題とは少し外れるんですが、別の質問をさせていただきます。パネルをお願いいたします。(資料提示) TPPは世界の市場を視野に入れるとしておりますので、大阪万博についてお聞きしたく思います。 パネルにございますように、訪日外国人数が昨年は一千九百七十四万人、フランスとの比較も載っておりますが、三兆五千億円ほどの消費をしていただきました。今年の十月で訪日外国人数は二千万人を超え、東京オリンピックの二〇〇〇年に四千万人、二〇三〇年には六千万人という目標を立てていると聞いております。 こうしたインバウンドの勢いというのを加速するために、東京オリンピック、大阪万博の誘致、そしてIR、統合型リゾート整備も経済的な戦略に加わってくると思います。IRに関しましては、維新の同僚議員が現在奮闘しておりますが、議員立法でございますので、政府としてはまだ静観するというお立場にあると思います。 しかし、大阪万博の誘致については、夢洲の活用のため、そして、このパネルにありますフランスのパリに後れを取らないためにも国を挙げて取り組んでいただきたいのですが、総理の御決意をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本が成長していく過程において、一九六四年の東京オリンピック誘致、そして一九七〇年の大阪における万博、当時のことを今でもまだよく覚えております。 東京オリンピックは十歳、そして万博は更にそれから六年を経て私も迎えたわけでございますが、まさに世界中から人々が日本にやってくる、そして日本の価値を世界に発信しているということを大変誇らしく思ったことを覚えています。これから日本は更に成長していくんだなとわくわくするような気持ちだった。そういう意味においては、私たちの次の世代の青年たち、子供たちにもあのときのわくわく感、伸びていくんだという、体に力を感じる、そういう体験をしてもらいたいと、こう思っています。 国際博覧会の国内への誘致は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会となります。開催地のみならず、我が国各地を訪れる観光客が増大し、そして地域経済を活性化する起爆剤になることが期待されます。 先月、大阪府から二〇二五日本万国博覧会基本構想が政府に提出されたことを受け、私から関係省庁に、積極的に協力して検討を進めるように指示をしたところであります。 国際博覧会を誘致するに当たっては、地元の支持の状況、テーマや期間、収支計画等について国が博覧会国際事務局の審査を受けることになるため、これらを具体化をして、他国と競争できるような内容とすることが求められるわけであります。立候補するとなれば大変な強敵と戦わなければならないわけでございますので、例えば、少なくとも大阪においては確固たる支持があるということも大切だろうと、このように思っています。 このため、経済産業省を事務局とする経済界、学識経験者、関係省庁等で構成される検討会を十二月十六日に開始し、来春にかけて大阪府の基本構想の検証と立候補に向けた国としての検討をしっかりと進めていく考えであります。
○石井苗子君 ありがとうございました。 先ほど、私、オリンピック、二〇〇〇年と言い間違えました、二〇二〇年です。失礼いたしました。 それでは、お手元にお配りしました資料、TPP関連です。法案十一番目、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係の一の背景のところを見ていただきます。「TPP協定の実施に伴い、」という出だしがありまして、最後が「規定の整備を行う必要がある。」、さらに、二の改正の概要というところで、厚生労働大臣で始まる段落が二つあります。いずれも何々することができるで終わっていて、これだけ読みますと、あたかもTPPのために改正を行い、これまでなかった規定を新たに作らなければならないと読んでしまう危険性があります。 では、パネルをお願いいたします。 これは第三者認証制度についての資料なのですが、皆さん御覧いただきたい右下にあります登録認証機関という欄なんですけど、私も現在、病院で非常勤勤務をしておりますが、これ全く知らなかったことなんですが、日本は一年で医療機器を二千品目以上、ここの右下にあります十三の登録認証機関で登録、認証を行っているんです。二千品目というのはかなりの数なんですが、十三の中の七の機関が外資系の認証機関が参加しているということが分かります。 〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕 前のページからこうやって読んでいきますと、TPPが締結されると、こうした外資系の認証機関がどんどん入ってきて、日本の医療機器は外国製品ばかり、今でもかなり多いんですけれども、外国製品ばかりにどんどんなっていくという不安を与えてしまいます。実際は、よく勉強すればそんなことはないので心配ないということが分かったんですが、こうして資料だけでは理解のそごが生まれてしまうという、不安材料をつくってしまうということについて厚生労働大臣はどう思われていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘のこの医療機器の第三者認証制度の改正につきましては、内外無差別のルールを適用するために、国内と同じ基準でTPP締約国内に立地をする認証機関を我が国の登録認証機関として認める内容となっております。 医療機器分野におきましては、TPP協定締約国の中で第三者認証機関を積極的に活用している国が少ないということ、そして、既に日本にあります登録認証機関の半数以上は外資系でございます。そういったことから、TPP協定の発効によりまして多数の認証機関が新たに参入することはないというふうに見込んでおります。 いずれにしても、改正が第三者認証機関の適切性に影響を与えることはないものというふうに見ております。
○石井苗子君 ありがとうございました。よく勉強するとそういうことが分かるんですが、非常に分かりにくい、不安材料を与えるような資料になっていると思います。 TPP以前にもう日本はかなりグローバリズムになっているということ、その現実を認識して、日本が今後どうあるべきかを考えていかなければならないと思いますが、次の資料のページを見てください。 日本の医療機器市場の動向というところで、青い棒グラフのところ御覧いただきますと、医療機器市場は平成十九年から増加に転じておりまして、平成二十五年には約二・七兆円という過去最大の成長を見ています。しかし、次のページの左側、グローバル市場の動向というところを見ますと、成長はしているんですけれども、アメリカ、ヨーロッパに比べると日本は市場の獲得幅はまだ狭いんですね、赤いところです。 日本の医療機器メーカーは八割が中小企業だと聞いております。TPPが締結したら、グローバル市場への医療機器の中小企業による貿易拡大のチャンスになり得るんじゃないかと私は思っているのですが、いかがでしょうか。経産省の方あるいは厚生省の方、どちらでも、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(安藤久佳君) お答え申し上げます。 数字は今御指摘のとおりでございますけれども、経済産業省といたしましては、厚生労働省あるいは文部科学省と連携をしながら、日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDでございますけれども、こちらを通じまして、今委員御指摘のような中小企業の皆様方も含めました日本の企業の強みを発揮できる分野、例えば画像の診断あるいは患者の方の御負担をできるだけ下げていくような、低侵襲分野と言っておりますが、こういった分野におけます医療開発活動を行っております。また、日本の優良なサービスとパッケージで輸出をしていこうということで、医療機器とサービスの一体的な国際展開、こういったことも全力で御支援を申し上げているところでございます。
○石井苗子君 ありがとうございました。中小企業の発展のために是非私は頑張っていただきたいと思っております。 最近は、小野薬品工業の新薬でありますオプジーボ、がんの治療に画期的な効果があるということで話題を集めました。価格や副作用などいろいろ問題があるとしても、日本の製薬メーカーが開発した薬が世界から注目を浴びているということに率直に大きなマーケットの拡大の可能性を感じています。 厚生労働大臣は、厚生省としてTPPに伴って医薬品の海外戦略をどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘をいただいたオプジーボは、日本の学者が発見をして、そして日本の企業が日本で初めて上市をするという、そういう画期的な新薬でございます。 このTPP協定において製薬企業にどういう影響があるか、こういうことだろうと思いますが、新薬開発企業のデータを、このTPP協定においては、後発医薬品承認のために使用しないデータ保護期間について、生物製剤以外の医薬品について五年以上、生物製剤について八年以上とするなど、医薬品の知的財産、これについて適切に保護をすることになっています。 こういうようなことになって、適切なデータ保護期間などのルールが、特に特許、知的財産に関するルールが明確に整備をされるということは、日本の新薬メーカーが他の締約国に事業を展開するに当たってそれはメリットに十分なるというふうに思っておりますので、今回のTPPをまた契機に、それぞれのTPP締約国の市場に日本の製薬メーカーが進出することが可能になるというふうに思っております。
○石井苗子君 時間も限られてまいりましたけれども、私はこれまで北海道で公聴会というのに参加させていただきました。こうした具体的なことに関して、よく資料を読んでみるとそれほど不安材料ではないんだけれども、でもどうしても心配だという御質問をたくさん受けてまいりました。 今、厚生労働大臣の方から御指摘もありましたように、大変グローバリズムというのが進んでおりまして、先日、ある日本の大手製薬会社の方と私お話をさせていただきました。社員三万五千人のうち日本人は五千人、七分の一しかない、会社の公用語は英語だということでございました。日本がこれから生き残っていくためには、世界を相手にして、もっと視野を広げて対応していかなければいけないんだなと感じた次第でございます。これは、あらゆる産業全てにおいて言えることではないかと思っております。日本の田畑も含めて、守るべきものを見定めながら、打って出ていくという頼もしさも是非身に付けていっていただきたいと思う次第です。 日本維新の会は、TPP締結による新しいルール作りというものに日本が先頭を走っていってほしいと思っております。アメリカの次期大統領、トランプ氏ですが、トランプ氏ももしかしたらまた途中で考え方を変えるかもしれません。安倍総理がアメリカを保護貿易主義に後退させないように粘り強く交渉していただきますことを期待して、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○山本太郎君 ありがとうございます。自由党の共同代表、山本太郎です。 安倍総理がTPPは米国抜きでは意味がないと御発言されたその直後、アメリカに災難をもたらし得るTPPから撤退するというトランプ氏のビデオが公開されました。まさに衝撃的なコール・アンド・レスポンス、笑えないコントを見ている気分になったTPPについて、会派を代表し、お聞きいたします。質問時間、十二分です。もう切りましたね。短めに答えていただけると助かります。 TPPはゲームセット、完全に詰んだということがはっきりしました。それでも総理はアメリカと粘り強く交渉を続けるとおっしゃる。総理は、たとえTPPが発効されなくても、TPP協定に結実した新たなルールは二十一世紀の世界のスタンダードになっていく、RCEPなどにもモデルとなる旨の、そういう御発言をずっとなさっているんですよね。 じゃ、具体的にTPP協定のどの部分が新しいルール作りの基礎になるのか、その部分を具体的に教えていただけると助かります。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPP協定については、我々が交渉に参加して四年間交渉を続けてきたわけでございますが、こうした交渉を進めていく中において、非常に言わば自由貿易協定としては進化をしたんだろうと、こう思っております。 基本的には、多くの関税が撤廃をされていく中で自由貿易を進めていくと同時に、先ほども申し上げましたが、ルールについて、しっかりとルールを定めていくということであります。 そのルールとは、例えば公正で自由な競争を担保するものであります。また、知的財産がしっかりと保護されていくということでありますし、また労働条件や環境保護に対する規制、そしてまた国有企業の競争条件等についてルールが書かれているわけでございます。それは例えば、今後、RCEP等々に発展していく上において、国有企業についてどう考えるかということについては間違いなく一定の方向を指し示すことにつながっていくんだろうと、こう思います。 我が国だけが十二か国の中でこの国内手続を進めているのではなくて、むしろ進めることをやめた国は一か国もないということも申し上げておきたいと思うわけでございまして、この点が重要なことでありまして、まさに日本の動きというものを見ているということもあるわけでありますが、今ここでこの国内手続をやめてしまえば自由貿易の流れがこれは滞ってしまう、保護主義が台頭する世界に対して我々は一石を投じることができないということではないかと、こう思う次第でございます。
○山本太郎君 もう何も答えていないのに等しいんですよね。要は、関税とか保護期間がどうしたというのは、それ、スタンダードなルール作りとは関係ないんですよ。何なのか。そのルールを作るための交渉材料でしかないんですよ。今言われていることは、ほとんど抽象的で意味のないことをずっとおっしゃっていた。時間返してほしいぐらいです。 さあ、先に行きたいと思います。 やはり交渉に直接関わった方にお聞きするしかないと思うんですよ、どういうことなのかって。 委員長、毎度済みません。甘利前大臣をお呼びください。委員会で諮っていただけませんか、理事会で。済みません。
○委員長(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会においてその取扱いを協議いたします。
○山本太郎君 ありがとうございます。 物すごく交渉が難航したのがTPPですよね。交渉国間のぎりぎりの交渉、調整を経て、本当に微妙なバランスで解決したと。これ、甘利さんも胸を張って説明されていましたと。 実際、二〇一五年の大筋合意に至る最後まで調整は難航しまくった。乳製品は、カナダ、アメリカ、ニュージーランドの間で利害が絡み、進まなかった。自動車の原産地規則については、日米の合意内容にNAFTA加盟国が反発した。バイオ製薬データ保護期間については、アメリカが求めるものが余りにも長過ぎるということで、皆さん、いろんな国々がそれじゃ調整できないという話になった。 とにかくTPPで合意されたルールというのは、いずれも交渉国間の個別の利害をある分野では押し出したり引いたりとかという、本当に微妙な奇跡的な状況で無理やり妥結したに近い形かもしれない、どの国の政府も自分の国の国益のために交渉しますから。以前、ほかの国々の間で交渉されたTPPの成果をそのまま今後ほかの国々とのルールとして合意の対象とするなんてあり得ない話なんですよ。もう精神論でしか、総理、物を語っていないですよ、それ。 今の国会が、このTPP協定について承認しますという話になったとしても、ほかの国からしたら何の意味もないことです、何の意味も持たない。世界の空気読まずに自分たちだけ、ここまで来たんだからやっちまおうぜというすごく安いメンツ、それを守ろうとしているのかなというふうにしか思えない。 アメリカの新大統領が自身の選挙公約を覆してまでTPPに御参加いただくためには、ちょっとしたゴルフクラブでは無理ですよ。日本の国益が大きく損なわれるほどのお土産をアメリカ様に差し上げない限り、TPP脱退はひっくり返りませんよ。なぜか。選挙で約束したことだから。選挙公約を日常的に破る方々には理解できないかもしれない。じゃ、TPPではなくて、新大統領がお望みになっている二国間協定だ、日米FTAだという話になれば、TPPどころじゃないですよ。えぐい食われ方をアメリカにするということが目に浮かぶ。 粘り強く交渉します、アメリカととか、新しいルールの基礎づくりになるんです、これがというのは全く現実を見ていない。いつまでお花畑でお花摘みをしているんですかと。政府に憤りを感じながらも、お聞きします。 先々の交渉で国益にかなわないものが出てきた際には、これ以上の規制緩和撤廃は行わないぞと、国益を守り切るという、そういうふうにはっきり言えますかって。言えるか言えないかでお答えください。言えるか言えないか、二択です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、二択とかそういうのには、そういうふうに答えないことにしていますが、今回は答えてもいいかなと、こう思っておりますが、しっかりと国益は守り抜いてまいります。
○山本太郎君 その言葉を信じたい、総理を信じたい、そう思うんですけど、果たしてそれができるかどうか。やっぱりいろいろ検証していかなきゃいけないなと思うんですよね。 TPP、生きた協定とよく言われます。これはどういう意味なんだろう。それを説明するためには、まず、TPP参加国が規制をどれぐらい撤廃したのか。 資料の一、関税に関する参加国の関税撤廃率。よくある表ですよね、皆さん御存じの。一番撤廃率低いのが日本ですよと分かります。これ以外の各分野にわたっても、一番緩和する余地が残された国に対して、この先、規制緩和、撤廃に向かうのが自然な流れですよね。 協定が発効された数年後、再協議することは条文上設定されている。例えば、運用、制度に関する規定は三年以内、政府調達、公共事業は三年以内、国有企業、独占企業は五年以内、自動車の貿易は五年後、関税、セーフガードは七年後、生物製剤は十年後など、要は現在規制が撤廃なされていない分野、事柄でも先々の協議によってその扉が開かれていくシステムだと。そればかりでなく、各分野に置かれた二十二の小委員会でも足りない撤廃の協議はなされることでしょう。TPPの先々の交渉事、若しくは新大統領がお望みの日米FTA、どちらにしても国益を守り抜くような交渉できるのかな、検証が必要です。 過去に遡ります。一九八〇年代から、日本の商品の競争力、世界市場を席巻。日本の輸出超過とアメリカ輸入超過が歴然とし始めた。アメリカ様はお怒りに。アメリカ製品、日本で売れない、アメリカ企業、日本に進出できない。原因は何だ。ああ、日本固有の制度だ、法律だ、規制だ、それらが障壁だということになった。八九年、日米貿易の不均衡是正を目的に日米構造協議スタート。その五年後、九四年より、アメリカ様の要望という名の命令が書かれた年次改革要望書が毎年出される。要望書とは名ばかり、事実上の命令書。 ざっくりと命令を受け入れたものを時間がないので言わせていただくと、国内の金融企業の破綻、淘汰を加速させた金融自由化。郊外型の巨大ショッピングセンターができまくった、地元商店街はシャッター通りになりました。その原因をつくったのは大店法の改定。派遣法の規制緩和で製造業への派遣を解禁、雇用は流動化。二〇〇八年には派遣労働者が二百万人突破、非正規社員は増加、格差は拡大、労働基準法の改定。公社は細分化されました、民営化されて。日本郵政公社が保有していた国債百六十六兆円、全国債発行額の三分の一が外資に流れる危険性を生み出した。これ止めたの誰でしたっけ。政権交代してよかった。郵政公社の民営化などなどなど、言い出したら切りがない。はっきりノーと言えていないじゃないかって。日本経済の弱体化に手を貸している政治ってどういうことなんだよって。 これ、外圧という名の過度な内政干渉だけじゃないですよね。国内にも、長いものに巻かれて、自分の地位を守り、私腹を肥やそうとする者たちがいる。スパイみたいな存在、永田町にも霞が関にもいるんでしょうね。痛みを伴う構造改革と称し、自民党をぶっ壊すどころか日本の労働環境もぶっ壊し、アメリカ様のリクエストにお応えした小泉純一郎さん。お知り合いでしたか、済みません。国会の承認が必要のない委員会のトップに君臨、規制緩和、撤廃やりまくったオリックスの宮内さん。政府の中枢、大臣の立場でむちゃな規制緩和を持ち込んだ竹中平蔵さん。名前挙げたら切りがないですよ。企業側の人間が企業の論理を政治の場に直接持ち込んで色濃く反映させ利益誘導する。随分ともうけたんでしょうね、本当に。ちなみに、竹中さんは現在、人材派遣会社パソナの会長でありながら、成長戦略と構造改革の加速化を図る未来投資会議の民間議員を今やられている。また労働環境でもぶっ壊すおつもりなんですかね、これ。本当に許せないというか、ろくでもない。 外圧による規制撤廃の要求を受け入れ、国内で規制緩和しながら利権構造を構築し、甘い汁を吸う。こういう構造が行き過ぎた自由貿易だったんじゃないですかって。圧倒的な格差を生み出したのはここにあるじゃないですかって。自由貿易の皮をかぶった新自由主義の旗を振り続ける存在により、国益は切り売りされ続けていますよ。そんなこと、今もプレゼント攻勢、宗主国様と巨大企業へのプレゼント攻勢が続いている。 USTR、アメリカ通商代表部、皆さん御存じですよね、もちろん、アメリカの通商交渉において代表する機関だと。TPPもアメリカを代表して交渉に立った。そのUSTRは、アメリカの議会に対して報告書を出しているよ、外国貿易障壁報告書。これを見たら、二〇一四年の部分、全部TPPなんですよ。TPPに書かれていることそのものなんですよ。求められていることを全部実現していっているじゃないかって話なんですよね。 牛肉、米、小麦、豚肉、かんきつ類、乳製品及び加工食品の輸入に関するアメリカ様の要求は、日本はTPPで本体と、そして関税の原則撤廃など、七年後の見直し約束により実現させている。それだけじゃない。ほかにも、保険市場の開放については二国間並行協議の結果に反映させた。透明性では、俺たちにも意見を言わせろ、外国企業にも物を言わせろということを、結局この二国間並行協議でもTPP本体でも約束しちゃっている。結局、USTRに出された議会への報告、そのまま日本の政治の変更につながっていること明らかじゃないかって。これ大丈夫ですかって、交渉なんてできるのかって話なんですよ。もう二国間協定なんて要らないよって、だって元々差し上げているんだからって話だと思うんですね。 これ、十一本の関連法案は直ちに廃案が必要だと思います。(発言する者あり)時間なのは分かっています。十一本の関連法案は廃案にしていただきたい、だって発効されないんだから。そうお願い申し上げて、今日の質問終わります。 ありがとうございました。
○行田邦子君 無所属クラブ、行田邦子です。よろしくお願いいたします。 今日は、私はISDSについて伺いたいと思います。 ISDS、投資家と投資受入れ国の間で生じた紛争について国際仲裁によって解決するというスキームでありますけれども、いろいろな方のお話を聞いていますと、どうも様々な実に幅広い解釈がISDSについてはなされていまして、中にはこれ誤解をしているんじゃないかというような意見も見受けられます。 そこで、今日はISDSについて分かりやすく是非御答弁いただきたいと思っております。 まず初めに、岸田大臣に伺いたいと思います。 ISDSはTPPに始まった話ではなくて、日本はこれまでもISDSを含んだ協定、様々締約しております。初めにISDS付きの協定を締約したのは何なのか、そしてまた、これまでに締約した本数についてお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国が最初に締結したISDS手続を含む協定、これは一九七八年一月に発効した日エジプト投資協定であります。そして、それ以来、我が国との間で発効している投資関連協定のうち二十三の投資協定、そして十の経済連携協定にISDS手続が含まれています。それ以外にも、我が国が締結しているエネルギー憲章条約、この条約にもISDS手続が含まれております。
○行田邦子君 こうした中で、日本政府がISDSによって提訴された実績についてお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国がこれまでISDS手続に基づいて提訴されたことはございません。
○行田邦子君 世界的に見てどういった国が提訴されているのか見てみますと、傾向として途上国が多いということであります。日本は言うまでもなく先進国ということでありますし、また、更に言えば、お国柄というんでしょうか、日本はこれまでも真面目過ぎるほど真面目に国際約束を守ってきたと、そういったこともあって提訴された実績はないということかと思っております。 そこで、石原大臣に伺いたいと思います。幾つか具体的な例を示しますので、分かりやすく御答弁をいただけたらと思います。 まず初めになんですけれども、あるアメリカの製薬メーカーが開発した抗がん剤が日本で保険適用されました。そして、当初は希少性のがんへの保険適用だったということで、百ミリグラム七十三万円と高額な薬価収載となりました。ところが、その後に、より患者数が多いがんにも対象が拡大されるということで、想定患者数が三十倍に上ったと。そこで、日本政府としましては、保険財政への圧迫を回避するためにということで、この薬の薬価を五〇%引き下げることを決定したと。そうしたところ、このアメリカの製薬メーカーはこれは損害を被ったということでISDSで提訴をしてきました。この場合、日本は勝つんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 多分、オプジーボが五〇%下がったことを念頭に今例を挙げられて、仮のケースで御質問されたというふうに聞かせていただいたんですけれども、仮の設定でございますので、そこのところだけはお許しいただきたいと思うんですけれども。 投資協定の六条に、締約国が投資家の期待に反する行動を取る又は取らないという事実のみでは、結果として対象投資財産に対する損失又は損害があった場合であっても、投資章の規定に対する違反を構成しないと規定しております。 ちょっと分かりにくいので少しかみ砕いてお話をさせていただきますと、TPP協定の投資章では、投資受入れ国が、今のお話ですと外国になるわけですけれども、環境や健康などの正当な目的のために各国が必要かつ合理的な規制を差別的でない形で行うことを妨げるものではない、すなわち、日本がそういうことがあっても制度を変えちゃいけませんよと言っているわけじゃないわけでございます。 したがいまして、御指摘の措置についても、万が一でございますね、もう委員は日本が真面目過ぎるぐらいこれまで取り組んできたという前提も付けていただきましたので、外国投資家からISDSで提訴されましても我が国が敗訴するということは考えられないんじゃないかと考えております。
○行田邦子君 そうすると、確認なんですけれども、今の話は、これ公的医療保険制度の範疇に入るんでしょうか。つまり、公的医療保険制度は、投資、サービスの貿易で将来留保を日本はしていますけれども、それがゆえに提訴を仮にされたとしても日本は負けないということなんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 公的な保険制度については、もうこの委員会で本日も塩崎大臣との間で御議論があったように、また総理からも明確に公的なこの保険制度は守っていくと。今のはあくまでもそのISDSで、仮の話でございますけれども、相手のメーカーが、アメリカの薬剤メーカーという仮定の話でございますけれども、日本を訴えた場合には先ほどの規定等々によって日本が敗訴することはなかなか想定せづらいというように御理解をいただければと思います。
○行田邦子君 これは私もオプジーボを想定して、違いは日本企業かアメリカ企業かという、アメリカ企業に置き換えただけなんですけれども、できればもっとはっきりと否定をしていただきたいなというふうに思っています。 というのは、今まさにオプジーボについて、これ日本政府が政策判断をしてとろうとしている措置であります。これについて日本は提訴されても負けないということをはっきりおっしゃっていただかないと、こういったオプジーボの例のような政策判断というのが萎縮されるんではないかと私は懸念しているんですけれども、はっきり提訴されても負けることはないとおっしゃっていただけないでしょうか。
○政府参考人(澁谷和久君) 一つの政策には様々な目的があるわけでございまして、今先生御指摘いただいた事例といいますのは、例えば公的医療保険を持続可能なものとして維持するというために必要な措置ということでとるということでございますが、それはまさに公的医療保険の適正な運営を確保するための措置であるということでございますので、まずこれは正当な公共の目的だというふうに考えられます。 かてて加えて、その正当な目的で行った規制が差別的であるという場合はまた問題になるかもしれませんが、差別的でない態様だった場合に万が一訴えられる可能性がある論拠としては、それが収用に相当する、つまり相当重い負担を投資家に課すということでございますが、その収用に当たるかどうかということにつきましても、公共の目的であり差別的でないものであり、かつ正当な法の手続に従って行われるといったような要件を満たしていれば違反を構成しない。 また、さらに加えて、この収用につきましても、公共の福祉に係る正当な目的を保護するために立案され、及び適用される締約国による差別的でない規制措置は、極めて限られた場合を除くほか、収用を構成しないと、何重にもここは明記されているところでございますので、そういうことで御懸念はないというふうに申し上げているところでございます。
○行田邦子君 私が心配していますのは、ISDSでこれもあれも訴えられるんじゃないかということで政策判断が萎縮してしまうということを心配しているわけであります。今の御答弁で、極めて極めて限りなく提訴されることはないと、あったとしても負けることはないということだと理解をいたしました。 続けて伺います。 国民の食の安全に対する関心が高まっている中、政府が遺伝子組換え食品の食品安全性基準を厳格化し、そして今までなかった含有基準を設定したところ、アメリカの企業から当該規制強化は科学的根拠がない、非関税障壁であるということでISDSで提訴をされたとします。そして、仮になんですけれども、日本が負けた場合なんですけれども、その場合において食品安全性基準を日本は元に戻さなければいけないんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) この遺伝子組換え食品の問題も再三当委員会で議論をされている問題だと思っております。輸入品に限らず、国内の食べるもの全てが安全であるということは、食料を供給する安全性の中では一番基本であるということは委員ももうお分かりのことだと思います。 また、今のも仮定になっておりますので、どういうふうに解釈をしていくのか、御説明をさせていただきたいと思うんですけれども、この投資の章に規定されている義務に国が違反して投資家の方が損害を受けた場合に提起をするというものでございますけれども、そもそも食品の安全に関するルールはTPP協定の、これも一番御議論のあったSPSのところに規定されているものでございます。ISDSは、SPS章に規定されております義務の違反を実は訴えるものではなくて、投資の部分でございます。 TPP協定のSPS、七章を読ませていただきますと、これはWTOのSPS章と同様になっておりまして、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認めている。すなわち、我が国がこれは有害であるということを立証しているものについては、しっかりとそれは駄目ですよと言い続けることができるわけでございます。 我が国の食品安全に関する制度に、委員御懸念のとおり、何ら影響を与えるものではない、変更を強いるものではないと御理解をいただきたいと思います。我が国が必要と考える食品安全に関する制度の変更をする場合に、新たな、新しい科学的知見が入ってきてこれはやはりやめようということになっても、制約が外圧として掛かるものではございません。 我が国はこれらのルールに基づいて措置をとっているものでございまして、万が一、先ほどの話じゃないですけれども、万が一どうなんだというもう一歩先の話でございますけれども、外国投資家からISDSで提訴されたとしても、今のように何重にも、先ほど政府委員が前の例で御答弁させていただきましたとおり、何重にもなっておりますので、我が国が敗訴することは想定できないんだと思っております。 損害賠償又は原状回復のみであるということから鑑みても、敗訴したとしても、たとえ、これはそのもう一歩先の話でございますけれども、制度変更、我が国の制度をそれによって変えろということは求められないものだと認識をしているところでございます。
○行田邦子君 ISDSの対象となるのは投資のみですので、今の例はSPSですので、そもそも対象にならないということです。仮に敗訴したとしても、ISDSの場合は損害賠償の支払とそれから原状回復のみを命じるということで、日本の法令やルールを変える必要は全くないということであります。 それでは、もう一つ伺いたいと思います。 仮の話ですけど、埼玉県が埼玉県の木造公共建築物について国産材のみを使用するという条例を作った場合、投資章の特定措置の履行要求をしてはいけないという規定に違反するということで提訴される可能性があるか、また、日本は勝訴するでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) これは委員が埼玉選出ということで埼玉を例に出されたと思うんですが、これは広い意味では政府調達のところに関連してくるんだと思います。 仮定の話でございますので、その上でお話をさせていただきたいと思うんでございますけれども、政府調達に該当すると。TPP協定の投資章には、現地調達を求めるといった特定措置の履行要求を禁止する義務が規定されております。しかし、政府調達についてはこの義務が適用されない旨、TPP協定に明示的に規定をされております。 したがいまして、御指摘のような条例を制定してもTPP協定投資章の義務違反になることはございませんし、ここからもう一歩先でございますが、万が一、外国投資家からISDSで提訴されても我が国が敗訴することは想定できない、こういうふうに御理解いただければと思います。
○行田邦子君 時間ですので終わりますけれども、アメリカが入ったからといって、恐るるに足ると思いますけれども、正しく恐れるということが必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。
○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。 総理か岸田大臣か、WTO、中国問題、次の質問にも絡みますので、どちらか、通告いたしておりませんが、お答えをいただきたいと存じます。 今日午前、新幹線の電光ニュースで、日本政府は、中国はWTO、世界貿易機関に市場経済国と認めずと決めたというふうにニュースで出ておりました。 つらつら考えますと、二〇〇一年に中国がWTOに加盟したときに、十五年間は非市場経済国として扱われることを中国は受け入れております。今月十一日はまさにその十五年が経過する日なんでありますね。 しかし、中国は、もう議論ありましたように、今なお鉄鋼や化学製品等を不当に安値で輸出しておりますし、我が国も、中国のポリウレタン材料など、反ダンピング税を課しております。また、午後一番の櫻井委員の指摘のとおり、中国、模倣品が大変に横行しておりますことは周知の事実であります。つまり、中国はいまだに真っ当な市場経済国と言える内実を伴っていないのが実情だと。十五年が経過したからといって、自動的にWTO市場経済国の地位を得られると考えるのは大間違いだと思います。 政府は中国を市場経済国として認めない方針であると今日伝えられましたけれども、中国が変わらない限り断固として認めてはならないと思いますし、米国やEUと連携してその方針を貫徹していただきたいと思いますが、政府の考え方をお聞かせください。通告なくてごめんなさいね。
○国務大臣(岸田文雄君) 中国に関しましては、WTO体制の中で鉄鋼を始め様々な課題において議論が行われているのは事実であります。その中にありまして、御指摘の点も含めて、我が国としての対応は、政府として今まだ検討中であると認識をしております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、G7でもG20でも世界貿易の中における中国の過剰生産については議論になったわけでございまして、中国は鉄鋼の過剰生産設備が四億トン分、内外あると。その中において、安値で、相当の安値でダンピングをして売りさばいているということで、世界中の鉄鋼企業あるいは関連企業が大きな打撃を受けているわけでございます。そして、事実上国有企業が行っていることによって市場をゆがめているという中において、中国もですね、この中国、数千万トンについては、それは設備について、過剰生産について、これを縮小していくという基本的な考え方を示しておりますが、同時に、国際社会に対しても、この過剰設備をこれは縮小しようと。しかし、我々は過剰設備ではないわけでございます。 そうしたこと等の論点等があるわけでありますが、今外務大臣が答弁をさせていただいたように、今検討中であるということでございます。
○中野正志君 是非、私が申し上げましたように、その方針だけは貫徹していただきたいな、まだまだ正直、市場経済国として認める状況ではないと。 ところで、我が国は、TPPに大きな軸足を置きながらも、中国を含むアジア太平洋地域の十六か国とRCEP、先ほど来議論ありましたけれども、東アジア地域包括的経済連携、RCEPの交渉にも参加してまいりました。まさに両にらみの戦略ではあります。 しかしながら、もしもこのTPP交渉が停滞をし、あるいは頓挫ということになったら、中国が主導するこのRCEP交渉のみが現実味を帯びてくるようなことになってしまった場合、アジア太平洋地域に公平で公正な国際貿易ルールが確立されるのか、甚だ疑問であります。TPPに賛成される多くの方々からも、その不安の声を多くお聞かせいただいております。 中国が主導する形で今後のアジア太平洋地域の国際貿易ルールが策定されることへの懸念について、安倍総理、改めてどういう御所見をお持ちですか、お伺いをいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) RCEPについては、ASEAN全加盟国や中国を含む十六か国の間で、物品、サービス、投資、知的財産、電子商取引等、自由化のみならず、このRCEPにおいてもルールを含む幅広い分野で精力的に交渉を進めています。 そこで、もし仮にTPPがなかなか進まなければ、アジア太平洋地域の経済秩序の重心はRCEPに移っていくこととなるわけでありまして、そこでの最大の経済大国である中国は、従来、政府は外国企業の経営に不当に干渉しないといった投資ルールや国有企業の競争条件の規律については慎重でありました。 その中において、やはりルールとしては、日米が牽引してきた中において、今回合意がまとまったこのTPPのルールこそが目指すべき方向であるということをしっかりと示していくことが重要であろうと、こう思うわけでありまして、言わばこのルールにおいても多くの国々は、十二か国の多くの国々は国内手続を進めることができるという結果を出していくことですね。言わばTPP、結局どの国も国内手続進んでいないじゃないかと、そんな高い志を持ったって無理なんだよということになってしまえば、これは非常に、これは今申し上げました国有企業について、あるいは知的財産等について、残念ながら我々が求めるべき世界とはならないわけでございまして、そういう意味において、日本を含め各国が国内手続はできるんだということを示していくことがこのRCEPにも影響を与えていくことになるのではないかと、このように思います。そして、RCEPからFTAAPに広がっていくこのモデルに、TPPはルールにおいてモデルになっていくのではないかと、このように思います。
○中野正志君 次に、塩崎大臣にお伺いをいたします。 二日に行われたここの参考人質疑で、正直、様々な当然ながら御意見が出ました。TPPが発効されれば日本の医療制度が崩壊する、日本の国民皆保険制度が崩壊するという危機的な御意見もありました。そして、TPPが発効されれば、混合診療が解禁され、アメリカの価値観で営利企業が医療分野に参入してくる、アメリカの民間保険会社は先進医療などの保険を扱う、その結果、国民皆保険制度は形骸化し、最終的には崩壊する、こういうのであります。また、アメリカは日本の薬事制度、医療制度の崩壊を狙っているのだというような大変陰謀めいた話まで実は披露いただきました。 私は決してそうは思いません。TPP協定には、私たち日本が誇る、まさに日本のこの国民皆保険制度の在り方について変更を求める規定もないわけでありますし、あくまでも、政府、国家の意思として、この制度はしっかり守るんだ、安倍大臣も次の世代にしっかり引き継いでいくんだという決意も示されたところであります。(発言する者あり)そのとおりですね。 それで、塩崎大臣、是非、医療制度、薬事制度の最高責任者でありますから、このTPPによってどうなるかではなくて、制度を守る厚生労働大臣としての改めての決意を、一応、不安をさりげなく持っておられる国民の方々もいらっしゃる、いろいろ変な情報に何となく頭を汚されておられる人たちもいる、しっかりお答えいただいて、国民の皆さんの理解を是非求めていただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今委員から御指摘をいただきまして、まず第一に、日本の薬事制度とかあるいは薬価制度を含めた国民皆保険制度が崩壊するといったようなことは、懸念は全く当たらないということ、そして、このTPPの協定の中でも医療など社会保障分野については将来留保としてこれを整理をしておりますので、日本の独自の世界に誇るべき皆保険制度、これがTPP協定によって変わるということはないということでございます。 協定の中で薬事制度にまず関しましては、知的財産章において、このデータ保護期間を八年以上に設定をするということについて、特に生物製剤についてこれを決めております。 それから、TBT章、いわゆる貿易の技術的障害、この章の医薬品の附属書におきましては、医薬品の販売承認の手続を時宜を得た、合理的な、客観的な、透明性のある及び公平な態様で運用することと、こういうことが規定をされておりまして、我が国では従来から今のデータ保護期間は、同様の効果を有する再審査期間というのがありますが、これが八年間ということで同じでございます。それから、科学的な承認審査を遅滞なく行っているために、TPP協定によって現行の制度を変更する必要はないということであります。 それから、外国企業の薬価に関する手続への介入というような、我が国の公的医療保険制度の在り方に影響を与えるような内容もないということは何度も総理からも御説明申し上げました。 医薬品等に関する附属書、これがございますが、これには言ってみれば手続を書いてある。保険適用希望の申請に対する検討を一定の期間内に完了させろとか、あるいは手続規則、あるいは方法……
○委員長(林芳正君) 大臣、時間が来ておりますので、おまとめください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 原則、指針などを開示する等々、全てこれ我が国の制度と整合的でございますので、結局変更する必要は全くないということでございます。
○中野正志君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時三十六分散会