環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 265 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2016/11/14
会議録
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、中野正志君及び藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として和田政宗君及び舟山康江君が選任されました。 ─────────────
○委員長(林芳正君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。 両案件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山田修路君 自由民主党の山田修路です。 TPP協定の質疑についてトップバッターということで、大変いい機会をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。 私は、参議院議員になる以前、国家公務員をしておりました。農林水産省に勤務していた当時、民主党の菅総理、そして野田総理のときでありますけれども、TPP交渉に参加できないかどうか検討していた時期でもあります。私は、農林水産審議官という役職でありまして、農林水産省で国際交渉の事務方の責任者という立場でございました。民主党政権の下で交渉参加の可能性について模索をし、そして自公の連立政権、安倍総理の下で交渉に参加をし、そして合意に達して、今こうして国会で審議をしているというところでございます。 この委員会には、与野党を問わず、TPP交渉に関わってこられた方、たくさんおられます。また、内容をよく知っている方もたくさんおられるということでございます。これまでの経験も生かしながら、内容のある、また分かりやすい審議をしていきたいというふうに思っております。よろしくお願いをいたします。 まず最初に、TPP協定の発効についてお伺いをしたいと思います。 日本はこれまで、EPA、FTA、自由貿易協定、そして経済連携協定、これを推進してまいりました。その中でも特に経済規模の大きないわゆるメガ協定の交渉を同時並行的に進めてきたというふうに思っております。一つは、このTPP協定でございます。太平洋を取り巻く十二か国が、このパネル、資料にもありますけれども、十二か国が構成員となって交渉をしているこの協定、そしてもう一つは、RCEPというものがあります。(資料提示) ASEANの十か国、そして日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、そしてインド、十六か国が構成員となっている交渉、そしてまた日本とEUの間で行っている日EU、これは、EUは大変大きい経済圏でありますけれども、こういったメガ協定を並行して同時に進める、こんな交渉をやってきた。これはもうそれぞれの交渉が好影響を与えてお互いに促進していくと、こういった面があるということでございます。そのようなことで進めてきたわけであります。 こういった通商政策を進める中で、今、先週アメリカの大統領選挙がありまして、トランプ氏が当選をしたということでございます。トランプ氏は、TPP協定だけでなくてNAFTA、北米自由貿易協定、これについても賛成しないというような発言をしております。トランプ氏の当選でTPP協定の発効について懸念が広がっている、また、イギリスがEUから脱退をするというようなこともあって保護主義が台頭してきているのではないか、こういった懸念もあります。 そこで、今後、我が国の通商政策、これをどのように進めていくのか、そしてこの見直しが必要なのかどうか、この点について基本的な方針を総理にお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦前は、まさにそれぞれの国の版図の広さが経済力につながっていったわけでございます。そして、日本は敗戦によってその版図の多くを失ったわけでございますが、しかしあの敗戦、荒廃した国土から見事に日本を立ち上がらせ、そしてGDP世界三位の国にしたわけであります。 なぜそれが可能となったか、版図を多く失ったにもかかわらず。それは、自由貿易の恩恵と言ってもいいんだろうと思います。自由で公正な貿易を堅持し、そしてそれを発展させていく、これこそが、大企業のみならず中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものであり、世界経済の成長の源泉と言ってもいいんだろうと思います。 しかしながら、TPPを含め、グローバル化の中での自由貿易に対しては、多国籍企業のみが利益を得ているとの誤解があるのも事実であります。このような誤解が広がれば自由貿易に対する支持が揺らいでしまうわけでありまして、各国が国民の理解と支持を得て自由貿易を推進することによって保護主義の蔓延を食い止めなければならないと思います。戦後、自由貿易体制の下で経済成長を遂げてきた我が国こそがその先頭に立たなければならないと思います。 国会でTPP協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を主導する我が国の決意と結果を出す力を世界に示すことができます。これはTPP以外の通商交渉も刺激をし、加速させ、保護主義の蔓延を食い止める契機となるものと思います。TPP協定は、厳しい交渉を経て、我が国にとって高い戦略的、経済的価値を持つものとなったと言ってもいいと思います。米国が政権交代期にある今、我が国こそがその早期発効を主導しなければならないわけでありまして、TPP協定の国会承認により、再交渉はしない、早期発効を目指すとの立法府も含めた我が国の意思が明確に示されます。今後、様々な機会を通じて米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていく考えであります。 また、TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、日EU経済連携協定、RCEP、さらにはアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPなどにおけるモデルとなるものであり、まさに二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されるわけでありまして、いずれにせよ、自由で公正な自由貿易こそが我が国の経済を発展させていくものであろうと思います。
○山田修路君 どうもありがとうございました。 自由貿易を進めていく、保護主義の蔓延を防いでいく、またTPP協定の意義についても御説明がありました。まさに、私も申し上げましたけれども、自由貿易、あるいは保護主義が蔓延していくことを防いでいくということ、そして経済連携協定については並行してそれぞれ進めていくというお話、この方針は基本的には変わらないということだと思います。このような基本方針の下でTPP協定について我が国としてどう対応していくのかということだと思います。 週末の新聞などの記事を見ましても、トランプ氏の当選によってTPP協定の発効は非常に困難になったのではないかとか、そういった記事も見られるわけでありますが、一方で、トランプ氏は通商政策には必ずしも精通しているわけではない、理解を求める可能性も十分あるんではないかというような意見もございます。総理は、十七日にニューヨークでトランプ氏と会談をされるということであります。もちろんここで会談の発言についてお聞きするわけにはいきませんけれども、是非、トランプ氏にはこの経済連携協定、TPPの重要性なりについて御理解をいただけたらというふうに思っております。 さて、このアメリカの大統領選挙の結果、今申し上げましたように、TPP、なかなか厳しい局面にあるということであります。しかしながら、先ほどお話がありましたように、我が国の通商政策、これまでやってきたことを更に進めていくというのが基本的な立場ということでございます。今この時点でTPP協定の国内手続を進める、このことの意義について石原大臣から改めてお答えをいただけたらと思います。
○国務大臣(石原伸晃君) 山田委員にお答えいたします。 ただいま委員が御指摘のとおり、アメリカの大統領選挙をめぐりまして、トランプ候補が次期大統領に決定したことによりまして様々な報道があることは私も十分承知をしております。 しかし、総理もおっしゃられましたとおり、TPP協定というのは、二十一世紀の新たな共通ルールをこのアジア太平洋、パシフィックにつくり上げる、自由で公正で巨大な一つの経済圏を構築するという大きな目標があるわけでございます。これについてはアメリカも大きな恩恵を被る。さらに、その地域が経済的にも政治的にも不安定な状況の中で、私たちは共通な価値観を持っております。自由、民主主義、基本的人権、法の支配、こういうものを共有する国々、地域が経済のきずなを強めることによりましてその輪を広げていくことで更なる地域の安定を図るといったような戦略的な意義というものも十分にあるんだと思っております。 国会で協定が承認され、この整備案が当委員会で成立させていただきますと、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべくという立法府の明確な意思が明らかになる。我が国が主導することによりまして早期発効に向けた機運を高めていく、政府全体として様々な機会を通じて米国並びに署名国に国内手続の早期完了を働きかけていく考えというものには何ら変わりはございません。そのためにも、今国会での協定承認と整備法案の成立を目指していきたいと考えております。 TPP協定の各規定の内容の趣旨、解釈等については、引き続き当委員会で丁寧に説明に尽くさせていただきたいと考えております。
○山田修路君 どうもありがとうございます。TPP協定の意義、そして国内手続を進めていくというお話でございました。 それでは、そのTPP協定の経済効果についてお話をしたいと思います。 これもパネルあるいは資料でお配りをしておりますけれども、このTPP協定、太平洋を取り巻く十二か国で構成をしている、そして世界のGDPの四割近くを占める大きな経済圏を形成するものであります。 このTPP協定につきましては、先ほどFTAAPというお話もありましたけれども、APECの二十一の国・地域がこのFTAAPを目指してこれから活動をしていくということですが、その原型となるもの、つまり、APECの二十一か国には開かれた、参加国が今後増えていくというような意味合いのある協定でございます。 TPP協定が日本経済にどのような効果を及ぼしていくことを意図されているのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になったように、TPPはこのアジア太平洋圏に四割のGDP、四割経済圏を新たにつくり出すわけでございまして、そこでは自由で公正な貿易・投資ルールが作り出される、そして適用されるわけでありまして、世界の自由で公正な貿易・投資ルールを牽引していく役割もあるんだろうと、こう思うわけでございます。 大筋合意の後、韓国、台湾、インドネシア、タイ等がTPP参加に強い関心を表明したわけでございます。TPPはいわゆる昔のブロック経済とは違います。開かれているわけでございまして、開かれたまさに新たな経済圏と言ってもいいんだろう。この我々が作り上げた、高い志を持って作り上げたこのルールにのっとって貿易をしていこうという国であれば受け入れていくということになるわけであります。 TPP参加に強い関心を表明した国々があるわけでありまして、TPPは巨大市場の求心力で当初の十二か国を超えて大きく拡大していくことが期待されます。日本経済が国内の人口減少を乗り越えて中長期的に力強く成長していく基礎になるわけであります。残念ながら、日本の人口は減少をしていくわけであります。人口が減少していくということは消費者も減少していくわけでありますが、この十二か国、またそれ以上に広がっていけば、そこでは同じようなルールで様々な仕事ができるということになれば、商売もできる、物を売っていくことができるということになれば、日本の消費者は減っていきますが、このTPP圏内の消費者はどんどん増えていくことが期待されるわけであるわけであります。 TPPにおいては、日本以外の交渉参加国の関税はほぼ一〇〇%撤廃されます。特に、工業製品の即時撤廃率は品目数ベースで約八七%に及びます。新たなルールの下では付加価値が正当に評価されることになります。これまで様々なリスクを懸念してきた地方の中堅・中小企業や農業者も安心して海外展開できるようになる、域内のどこで生産してもTPPの低い関税が適用され、国内にいながらにして海外進出ができるようにもなるわけでありまして、サプライチェーンの一環として、日本にいながらその一翼を十分に担うことができるようになりますし、中小企業、外へ出ていくと、果たしてルールを途中で変えられるのではないか、あるいは模造品や海賊版がどんどん出されてしまうのではないか、頑張ってしっかりとつくり上げた新しい付加価値がほかの国に盗まれてしまうのではないかという心配がこの圏内ではなくなっていくわけでありまして、むしろ中小企業にとってチャンスが出てきたと言ってもいいんだろうと思います。 TPPのメリットは、直接輸出する企業にしかもちろん及ばないのではなく、輸出企業と取引のある企業、そこで働く人々にも及んでいくことになります。安倍政権は、輸出拡大を通して得た大企業の収益が全国の津々浦々の下請の中小企業の収益として波及していくように国内の取引慣行の適正化に取り組んでいるわけでありまして、引き続き進めていく考えであります。各企業における賃上げも引き続き働きかけを行い、国内経済の好循環を促していく考えであります。
○山田修路君 総理、ありがとうございました。TPP協定が発展性のある協定である、そして日本経済に大変大きな好影響を与えるというお話でございました。 続けて、また総理にお伺いをしようと思います。 これまでのそのTPP交渉の経緯といったものについてちょっとお話をしようと思います。 元々、このTPP交渉、この協定の原型というのは、全ての関税を直ちにゼロにするという、ある意味非常に硬直的なルールであるということで交渉が開始をされたものであります。このような全ての産品について直ちに関税を撤廃する、ゼロにするという前提は、日本経済だけではなくて、いろんな国の経済について急激な変化、変更を及ぼすものであり、また混乱を生ずるというような可能性もあるということであったというふうに思います。 民主党政権の下で、先ほど言いましたように、交渉参加の可能性を随分模索をしたわけでありますけれども、結局参加に踏み切らなかったのは、この硬直的なルール、全ての関税を直ちにゼロにするというようなことに対する懸念があったからだというふうに思っております。 しかしながら、平成二十五年の二月に安倍総理がオバマ大統領との間で、両国間にはそれぞれ貿易上のセンシティビティー、困難な事項があるということを確認されて、この硬直的なルールも交渉次第で変更できるんだという見通しを立てた、その中で交渉参加に踏み切ったということであります。各国がそれぞれ、やはりそれぞれの国のセンシティビティー、困難な問題を抱えている、そしてそれを踏まえながら交渉を行うということで各国が受入れ可能な合意に到達できたというふうに思っております。 この日本の交渉参加の前に安倍総理とオバマ大統領の間で柔軟性を確保するような合意ができたということが、結局、最終的に各国が合意可能なものとして合意できた、妥結できたということだと思っております。 三番目のパネルでございます。 先ほど総理から工業製品の関税撤廃率についてお話がありました。この資料では、全品目の関税撤廃率、日本は九五ということでございます。これまでのEPA、FTAに比べて高い率ではありますけれども、かなり日本の産業にも配慮した中身、そして農林水産物品では八二%ということで、どこの国よりも関税撤廃率を低く抑えることもできた。つまり、それぞれの国の柔軟性に配慮した交渉の中で、我が国については、我が国の産業、農業や第一次産業に配慮しながらうまく交渉ができたんではないかというふうに思います。 このような安倍総理とオバマ大統領の合意、そして最終的な決着が得られたこのことについて、特に総理の御感想なりあるいは御意見なりがあればお伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権が誕生した当時、既にTPP交渉は開始から二年が経過をしていたわけでございまして、その間のことは委員も農林水産審議官としてもこの責任者として経緯はよく御承知のとおりだろうと思いますが、当時は全ての関税の撤廃を目指して進められていたのは事実でございます。 しかし、日本にとって農は国の基であります。農業に従事している皆さんが毎日土と向き合い、その結果、私たちの食を支え、地域を守り、環境を保全してきたと言ってもいい。同時に、日本のふるさと、伝統を守り、さらには国柄を守ってきたということではないかと思います。 この国柄を守ることとTPPに参加すること、これを両立させることはできないか、そのために私たちは自らその道を切り開いていくべきだと、こう考えたわけであります。この考え方の下、政権発足後間もない日米首脳会談におきまして、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められていないことなどを直接確認した上で交渉参加を決断をいたしました。 我が国は、交渉を主導することで農林水産品の約二割について関税等による保護を維持をしたわけであります。我が国以外はほぼ一〇〇%関税撤廃されるわけでありますが、我が国は約二割の関税等による保護を維持をし、そして自動車部品の対米輸出額の八割以上の即時撤廃を確保したところであります。 厳しい交渉を経て国益にかなう最善の結果を得て、TPPを高い戦略的、経済的価値を持つものとすることができたと考えているわけであります。
○山田修路君 ありがとうございました。 TPP協定については様々な懸念がいろんな方から出されているわけでございます。その懸念について質問をしたいと思います。 いろんな懸念をお聞きをするんですけれども、私の受けた印象は、情報が不足しているんではないか、あるいは誤解に基づいた懸念なんではないかということでございます。 こういった誤解がどこからくるものかということでございますけれども、今総理からもお話がありましたように、TPP交渉に日本が参加する以前、全ての関税を直ちに撤廃をしていくんだというような原則がありましたし、そして実際に参加してみないとどういう交渉が行われているのかもよく分からない、そういった中で様々な懸念がいろんな方面から出されたということだと思います。 このような交渉参加前の懸念事項、それは交渉の決着によってそういうことがないんだということはもうはっきりしているわけですけれども、その不安が依然として国民の中に残っている、元々あった不安がそのまま残って今のいろんな不安につながっているのではないかというふうに思います。この不安を解消すること、これもこの国会での審議の重要なテーマであるというふうに思います。 まず、農林水産業についてお伺いをいたします。 交渉決着後の昨年十二月に公表しておりますこの二つ目の資料でございますけれども、経済効果分析というものがあります。農林水産物の生産減少額、千三百億円から二千百億円ということで分析をしております。一方で、交渉開始前、平成二十五年の三月に試算をしたもの、これはお示しをしませんけれども、三兆円程度の農林水産物の生産額の減少があるとしていたわけでございます。 交渉前と交渉後を比べると二十分の一ぐらいに影響が減っている、少なくなっているということなんですけれども、なぜこのように生産減少額が少なくなったのか、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) TPPと申しましても、交渉前のTPP、そして交渉後のTPP、さらには国内対策を盛り込んだTPP、こうした、TPPと一概に言いましても、私は三つの概念がそれぞれ独自に移動し、また評価をされているというような懸念を持っております。その意味におきまして、交渉前のTPPというのは全ての関税が即時撤廃されるということでございまして、追加的な国内対策も全くしないというようなことでございます。これを単純化して試算しますと、三兆円の生産減少額があるという位置付けでございました。 一方、今回の試算では、対象品目は前回同様でございますけれども、交渉結果は既に明らかになっておりまして、関税撤廃の例外を二割獲得しております。そして、そのほかにも長期の関税削減期間、あるいはセーフガード措置というようなことが獲得できておりまして、交渉は最善を尽くされたというように思っております。 さらに、国内対策でございます。総合的なTPP関連政策大綱に基づく国内対策がございまして、二度の補正を行ったわけでございまして、それを踏まえて考えていきますと、先生御指摘の生産減少額は千三百億円から二千百億円になったということでございます。 今後、国内対策を更に充実、加速していきたいというように思っております。
○山田修路君 ありがとうございます。 まさに交渉の結果が反映され、そして国内対策の内容についても反映した結果、このように生産減少額が少なくなったということでございます。 今お話しのように、政府はそれぞれの農林水産物の特徴、状況に応じながら交渉し、また対策を講じようとしているということでございます。具体的に幾つかの品目についてお伺いをしたいと思います。 まず、米でございます。米については、これも地域の、私の地元の方も、米がこれからどんどん入ってくるんじゃないかと、そういった心配をされている方がおられます。米については、もう皆さん御存じのとおり、国内の消費量に比べて生産の能力が高いということで、生産調整を実施をしております。 このような中で、アメリカそしてオーストラリアに輸入の枠を設定をしました。この両国合わせて最終的には最大で七万八千四百トンの輸入枠になるということでございます。国内の消費量、約八百万トンと言われておりますので、そのうちの一%ぐらいに該当するわけでありますけれども、生産調整を実施していることもあって、国内農業への影響を遮断していくこと、これは非常に重要なことだと思っております。 政府としてどのような措置を講じようとしているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 米は重要五品目の中の最大の懸案でございました。その米につきましては、枠外税率一キロ当たり三百四十一円の関税、これを維持することができました。この一キロ三百四十一円は六十キロに直しますと二万円でございますので、これで枠外で輸入されるということはほとんどあり得ない話となったわけでございます。 そして、WTOの七十七万トンは既にありますけれども、さて、それ以外で米が海外から輸入される枠はあるのかと問われますと、発効当初から三年間は五・六万トンございます。それが十三年目以降七・八万トンになると、こういうことでございます。この七・八万トンの懸念でございます。七・八万トン入ると大変だということでございますが、この枠は全てSBSでございます。SBSというのはこれは入札でございまして、この入札に応ずる者がなければ、あるいは契約が成立しなければ言わば入ってこない可能性もあるわけでございます。 特に、このミニマムアクセス米というのは、SBSで入ってこない場合でもそれは輸入義務がありますから、またそれは七十七万トン、満額入れなければならないわけでございますが、この七・八万トンというのは、契約がなければこれは入れなくてもいいという、そういう交渉結果となっております。 その意味におきましては、十三年後でございますし、必ずしも入れなくていいというこれはTPP枠でございます。そんな意味におきまして、我々は、もし入りましても、これは国内市場から遮断しよう、備蓄米として買い上げる対策をしていきまして、その上において国内市場では価格が下がるという懸念を払拭するというようにしているわけでございます。 その意味におきましては、米に対しては私は万全の体制が取れたという評価をしておるところでございます。
○山田修路君 それから、備蓄政策の見直しということも含めて、この七万八千四百トンについて、そのものはできませんけれども、国内の生産があったものについて備蓄の見直しを行うということも聞いておりますけれども、その点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) おっしゃるとおり、現在、米市場は八百万トンの規模でございます。そして、TPPで国別枠が七・八万トンでございます。一%でございます。そして、この一%でも入りますれば、その分それに応じて備蓄米で国内産の主食用米を買い取るというようなことで、市場に需給というバランスの上におきましては値段の変化がない、値段が生産者の心配から解き放たれるというような備蓄運用をしたいというように考えておるところでございます。
○山田修路君 ありがとうございました。 七万八千トン余りの輸入枠が設定されるけれども、それに見合った量を国内から備蓄として買い上げるというようなこともやっているということだと思います。 また、いろんな品目がありますけれども、外国の農産品と差別化が可能なものもあるということだと思います。例えばリンゴでございますけれども、リンゴ、今、例えば東京の大田市場ではキログラム当たり三百円ぐらいという、年によって違いますけれども、そんな価格になっております。一方で、外国から輸入されるリンゴ、これは例えば横浜の埠頭に着いたとき、これはキログラム当たり大体二百円ぐらいということでございます。これに関税が今一七%付いて二百三十円ぐらいになって荷揚げされるような状況です。 この外国産のリンゴ、それから国産のリンゴが例えば金沢のスーパーに出回るとした場合に、流通経費もあって、国産のものは例えばキログラム当たり五百円ぐらい、そして外国産のものが出回るとすれば、二百円のコストが掛かって四百三十円と、こんな価格でスーパーに並んでいる状況であります。 そして、しかし現実には、国内のスーパーマーケットで外国産のリンゴを見ることはほとんどありません。ほとんどそういった価格差において、やはり高くても日本のリンゴを日本の消費者の方は選んでいただいている、これが今の例えば差別化ができる商品の現状であります。 そして、例えば金沢のスーパーマーケットで今まで四百三十円で売られるかもしれなかったリンゴが四百円になったと。そのときに、消費者は三十円下がったから、じゃ国産のものから外国産のものに移るだろうかということでございます。そのことはまずほとんど生じないんだろうというふうに私は思っております。 しかしながら、一部競合するリンゴについては価格が下がっていくかもしれない、そのことを評価をして、農林水産省では三億円から六億円の生産額の減少の可能性があるというような試算をしております。リンゴの国内の生産額は約二千百億円ということでございますので、この価格の低下、可能性のあるものは〇・二%とか〇・三%という、そういったレベルの問題でございます。しかし、リンゴ農家にとってはそれも心配であろうかというふうに思います。国内で、しっかり国内対策を講じていく必要があるのもまた事実かと思います。 どのような国内対策を講じていくつもりなのか、農水大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のように、リンゴは品質においても、またその信頼、ブランド化においても、国内産リンゴというのは圧倒的なものがございます。 実際、七十四万トン、国内で二〇一三年生産されておりまして、輸入は二千三百トンですから、国内生産の〇・三%しか輸入されていないという、そういう強みがございます。しかしながら、それに甘んずることなく、更に産地パワーアップ事業で生産者の輸出力あるいは品質の下支えをさせていただきたいと思っております。 まずは、省力的な栽培体系への転換、あるいは品質向上を図るための改植及び未収益期間への支援、そして作業効率化のための園内道の整備、そして濃縮果汁から高品質なストレート果汁への転換のための施設導入、そして農産物加工処理施設や選果施設の整備、高付加価値化や生産コストの削減、こういった目標を掲げて取り組みたいと思っております。
○山田修路君 どうもありがとうございました。 交渉の結果を受けて国内対策をしっかり講じていくということで、農業についての不安も解消されていくというふうに考えております。ほか、それぞれいろんな品目について交渉方針を決め、そして国内対策を講じているということであろうかと思います。 農業についてのいろんな対策、これについては今お聞きをしたところですけれども、それ以外にもいろんな懸念が表明されています。 私の地元の金沢でお母さん方とお話をする機会がありました。一番心配をされているのは、食品の安全性についてでございます。現在、日本で使用が認められていない農薬や食品添加物が使われた食品が外国から輸入されることになるのではないかとか、あるいは日本で流通できないことになっている遺伝子組換えの食品がこれからは輸入されてくるんではないか、あるいは食品表示のルールについて、アメリカのルールが日本に押し付けられて、いろいろな消費者が知りたい情報が知ることができなくなるんじゃないか、そんなような懸念をおっしゃっておられる方がおります。 これは私は全くの誤解であるというふうに思っております。先ほど言いましたように、交渉開始前のいろんな情報、それがまだ消費者の方に残っているのかなというふうにも感じるわけであります。 改めて、この遺伝子組換え食品や、あるいは農薬、食品添加物についての安全性のルール、そして食品表示のルールについて変更されるのかどうか、石原大臣にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま山田委員が御指摘されました漠たる不安でございます、食品に関する。これは確かに存在するということは私も様々な場でお話を聞かせていただいております。 しかし、総理がいつも御答弁させていただいておるんでございますが、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されていないものは流通を許してはいけない、これがやはり私は基本だと思っております。食品行政上の大原則と言ってもいいんだと思いますし、この考え方は何ら、一ミリたりとも変更はいたしません。 そして、じゃ、今委員が御懸念でお示しをされましたように、TPP協定の中にそういうことができるようなところがあるのかと申せば、TPP協定には我が国の食品の安全を脅かすようなルールは一切ございません。こんなふうに認識をさせていただいております。 もう少し詳細をお話をさせていただきますと、いわゆるTPP協定のSPS章、第七章でございますけれども、WTOのSPS協定と同様に、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認める、すなわち科学的に影響のあるものは駄目よと我が国で決めれば、それは認めると明確に書かれておりますし、我が国の食品安全に関する制度に何ら変更を強いるものでは、その結果なっておりません。我が国が必要と考える食品の安全に関する制度の変更をする場合には新たな制約が加わるということは、この七章をお読みいただきますと一切ないということが確認できると思っております。 そしてもう一つ、委員御指摘になりましたいわゆる表示の方でございます、こういうものを使っている使っていないといったような。ここもやはり御懸念があると承知をしております。 これはTPP協定の貿易の技術的障害、いわゆるTBT章、第八章に書かれておりますけれども、これは、過去に私どもが結びましたWTO・TBT協定と同様に、表示ルールなどを定める際の手続や透明性の確保等について定めるものでございまして、我が国の食品表示制度に何ら変更を及ぼすものではない。ですから、圧力が掛かってこの表示を変えるということは一切ないと明記されているところでございます。我が国が必要と考える食品表示制度の変更をする場合に、やっちゃいけないよとかというような新たな制約が加わるものではないというふうに理解をしていると御理解いただければと存じます。
○山田修路君 どうもありがとうございました。 時間も大分迫ってきておりますけれども、ISDS条項についてお伺いをしたいと思います。 このISDS条項、投資家と国との間の紛争を解決する手続ということでございます。TPP協定の投資に関する章の中の様々な義務、例えば内外無差別の義務、外国企業と国内企業を同等に扱えと、こういったことに国が反した場合にその救済の手続を決めているものでございます。 これについて、裁判所でなく、国際的な仲裁機関に救済を求めていくということでございますが、この制度が日本の様々な国内制度を変更されるようなことになっていくんではないかというふうな懸念があります。これに対して、様々なそのような安易な訴えを防ぐ措置を規定しているというふうにしておりますけれども、その内容について御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。 ISDSにつきましては、先生御指摘のとおり、様々な御指摘があるわけですけれども、まず、我が国の制度を変えるような訴えがなされるのではないかという、そういう誤解もありますが、今先生御指摘のとおり、投資受入れ国がTPP協定に違反して投資家が損害を受けた場合に、損害に関して損害賠償あるいは原状回復を求める訴えを提起することができるというものでございまして、制度変更を求めるような訴えができるわけではございません。 また、投資受入れ国が、環境や健康などの公共の福祉に係る正当な目的のために、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではないということも規定上明記されているところでございます。 それから、濫訴防止の規定も幾つか用意されておりまして、例えば仲裁廷の権限の範囲外であるという申立てがなされた場合に、その申立てを迅速に却下することを可能にする規定、あるいは全ての事案の審理、判断内容等を原則として公開すること、これ義務付けでございます。また、申立て期間を一定の期間に制限するとか、投資家の請求に根拠がないと認められる場合に費用を投資家に負担させることができるなど、濫訴を防止するための様々な規定が盛り込まれているところでございます。
○山田修路君 どうもありがとうございました。 外務大臣にお聞きをしたいと思います。 今御説明のあったような濫訴防止等の措置が規定をされているということでありますけれども、ただ、ISDSについての心配はやはり完全には払拭できないのではないかと私は思っております。そういう規定があったとしても訴え出る人はまたいるわけですし、また、その裁判所あるいは仲裁機関がどう判断するかというのもやってみなければ分からないというところがあると思います。そういった中で、しかし、やはりこのISDS条項は受け入れるべき、あるいは必要だというふうに私は思っております。 日本が締結したEPA、FTA、経済連携協定においてISDS条項がこれまで盛り込まれてきたのかどうか、そしてその設定をされている場合に日本がこれを求めてきたのかどうか、そしてそれはなぜなのか、そのことについて外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず一つ目の、我が国が結んできた経済連携協定の中にISDS条項は含まれているのかという質問につきましては、今日まで我が国が締結した経済連携協定を含む投資関連協定、ほぼ全てにISDS条項は含まれております。 そして、我が国が望んだのかという御質問につきましては、そもそもISDS条項、これは、投資受入れ国が投資関連協定に違反したことによって当該国で事業展開をする日本企業が不利益を受けた際に当該国の政府を訴えることができるとするものであります。我が国企業が海外で投資活動をする上において、予見可能性あるいは法的安定性、こうしたものを向上させることに資する、こういった制度であるという認識に立っています。よって、協定上の投資保護を実効的なものにする上で有効であるとして我が国の経済界も重視している協定です。 こういった観点から、我が国は投資関連協定の締結交渉に際してISDS条項が含まれるよう取り組んできております。その結果として、ほとんどの投資関連協定にISDS条項は含まれているというのが現状であります。
○山田修路君 ありがとうございました。 このISDS条項は、言わばもろ刃の剣というんでしょうかね、こちらがやられた場合あるいはそうでない場合、双方あると。しかし、日本としてはやはり有効な条項だということだと思います。 これまで質問を続けてまいりましたけれども、このTPP協定については日本に多大な好影響を与える、そして日本の国内の被害は最小限に抑えられ、また対策も講じているということだと思います。是非、また今後の国会審議を通じてこの中身を国民の方々に分かってもらって是非速やかに決定をしていく、こういうふうにしていきたいというふうに思っております。 本日はどうもありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
○三宅伸吾君 自由民主党の三宅伸吾でございます。 本日は質問の機会を賜りまして、林委員長を始め理事、委員の各位の皆様に心より御礼を申し上げます。総理始め政府関係者の皆様にはどうぞよろしくお願いを申し上げます。 まず、安倍総理に二点お聞きしたいと思います。(資料提示) 総理は今年四月の衆議院本会議におきまして、TPP協定は国家百年の計だと述べられておられます。今から三十数年前のことでございます、大平元総理が環太平洋連帯の構想を提案されておられましたけれども、これを安倍総理はどのように評価をされるのかというのがまず第一点目でございます。 そして、第二点目の質問でございますけれども、TPP協定の今国会での承認を国民の圧倒的多数が支持をしているわけではございません。世論調査によりますと、国論を二分しているという見方もできないわけではございません。米国のオバマ大統領はTPP交渉を日本とともに牽引をしてまいりましたけれども、次期大統領に決まったトランプ氏が反対をしているというのはもう皆さん御承知のことだと思います。総理は、今週木曜日にTPP協定に反対だという米国の次期大統領とお会いになります。こうした情勢の中で、今国会で協定の承認を求める理由をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、委員が挙げられました大平元総理の環太平洋連帯構想でありますが、太平洋地域において自由で開かれた国際経済システムの構築を目指すものでありまして、これに基づき、一九八〇年に開催された環太平洋共同体セミナーが太平洋経済協力会議、PECCを経て、今日のAPECにつながっているのは御承知のとおりでございます。 TPP協定は、アジア太平洋地域において、自由、民主主義、基本的人権、そして法の支配といった基本的価値を共有する国々が新しい経済ルールを作るものでありまして、単に関税をなくしていくということではなくて、新しい自由で公正なルールを作っていく、これは言わばTPPの特徴の一つと言ってもいいんだろうと思います。これは、二十一世紀にふさわしい国際秩序を誰が構築するかという問題でもあります。まさに国家百年の計であり、大平元総理の構想がなければ生まれなかったものと考えています。 協定の今国会での承認を求める理由についてお尋ねがございましたが、TPP協定は、厳しい交渉を経て、我が国にとって高い戦略的、経済的価値を持つものとなりました。米国が政権交代期にある今、我が国こそがその早期発効に向けてリーダーシップを発揮をしなければならない。まさに、米国で残念ながら保護主義が台頭する中にあって、今こそ私たちがしっかりと世界に向けてこうした自由で公正なルールを作っていくことの重要性を訴えていく必要があるんだろうと、このように思います。 TPP協定の国会承認により、再交渉はしない、早期発効を目指すとの立法府も含めた我が国の意思が明確に示されることになります。今後、様々な機会を通じて米国及び他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていく考えであります。 今後、様々な機会を通じてそうしたことを行っていくわけでありますが、国会でTPP協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を主導する我が国の決意と結果を出す力を世界に示すことができます。これは、TPP以外の通商交渉も刺激をし、加速させ、保護主義の蔓延を食い止める契機にもなると思います。日本はこれ受け身で他国の動きを待つのではなくて、日本にとって、アジア太平洋地域にとっても望ましい結果を実現する取組を主導していくべきだろうと、このように考えております。
○三宅伸吾君 ありがとうございます。 国論を二分する経済関連の話題と申しますと、今年の夏でございましたけれども、イギリスで欧州連合から離脱すべきか残留すべきかという国民投票がございました。こちらも僅差で離脱するという国民投票の結果が出たわけであります。 ただ、国民投票の結果に法的な拘束力はございませんけれども、政治的には、少なくとも当面イギリス政府を拘束するということで、新しいメイ首相は、来年の三月までには離脱の通知をしますよと、こういうふうに明言をされました。 しかしながら、議会の方が、離脱の通告に当たっては議会にもそれなりの権限がありますよということを確認するような裁判が起きまして、イギリスの一審の裁判では、イギリス政府は議会の承認なくしてEUに対して離脱の通告をする権限はないんだということを明確に言った判決が出ております。もし最高裁におきましてこの下級審の判決が維持をされ、そして、イギリス議会におきましてイギリス政府はEUに対して離脱の通告をしてはならぬというもし議決が出てしまいますと、メイ・イギリス政権はひょっとしたら離脱の通告が法的にできない可能性もあるのではないかと私は思っている次第でございます。 そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、もしイギリスが離脱の通告をできた場合、そしてしましたと、その後、EUとの間で、離脱後のEUとイギリスの間の通商関係の交渉がうまくまとまらず、いわゆるハードランディングで離脱をしてしまった場合、イギリスの通商政策、そして英国に工場とか金融関係の統括機関を置く日本企業に対してどのような影響があるのか、お聞かせください。
○国務大臣(岸田文雄君) 英国のEU離脱が日本企業にどのような影響があるかという御質問ですが、結論を申し上げるならば、まさにこの離脱交渉における英国の対応、そして英国とEUの交渉次第でその影響は決まってくるというように考えています。 よって、先手を打って我が国の要請をしっかり英国及びEUに伝えることが重要であると考え、我が国としましては、中小企業を含む日系企業からしっかり聴取をした上で、自由貿易環境の維持、そして現行の関税率の維持、あるいは金融単一免許制度の維持、こういった要望につきまして英国及びEUに伝えています。九月二日に日本からのメッセージという形で取りまとめて英国及びEUにこれを伝えて、そして配慮を要請しているところであります。 是非、こうした要請も踏まえて、日系企業への悪影響を最小限に抑えるよう、政府としましても英国あるいはEUに働きかけを続けていきたいと考えます。
○三宅伸吾君 今年の四月でございましたが、イギリスの財務省がEUから離脱になった場合の影響の分析をしております。離脱交渉のいわゆる悪いシナリオによりますと、GDPが七・五%減り、税収も約四百五十億ポンド、日本円で申しますと六兆円弱減るとの試算をイギリスの財務省が今年の春の段階で発表をいたしております。それだけ、EUに加盟していることでイギリスは経済的恩恵を受けているということだろうと思います。 そして、もしTPP協定が発効すれば、当然日本経済の成長に大きく貢献するわけでございます。その点につきましては先ほど山田理事から質疑があったところでございます。イギリスがEU離脱で失いそうになっている巨額の経済的利益の何倍もの恩恵を得るために、日本はTPP協定の交渉をし、そして発効を目指しているということではなかろうかと思います。 パネルの六を出してください。 石原担当大臣に是非お聞きしたいと思います。 次期大統領のトランプさんはTPP協定に反対だと、もう公言をされております。その一方で、最強の経済をつくると述べております。私は、最強の経済をつくるということとTPP協定に反対するというのは矛盾していると思います。最強の経済をつくりたいのであれば、TPP協定を速やかに推し進めて、そして自由貿易を通じて最強の経済をつくると、これが正しい経済のイロハのイだと私は思っている次第でございます。 私、これまでのトランプ氏の選挙期間中の発言を全部調べてもらいました。TPP協定に反対するという理由でトランプ次期米大統領候補がちゃんと言っていることは、実は一回しかないんです。一回というか、一つのアイテムしかおっしゃっておりません。それは、自動車とそれから自動車部品で、特にアメリカ・ミシガン州に日本からの製品の影響が出て雇用が失われたと、同じようなことがこれから起きたら困るよね、だから反対だというのは明確に述べておりますけれども、それ以外でTPP協定に反対だというのを理屈立てて述べた部分が私は見付けられませんでした。 その一方で、トランプ次期米大統領候補は、知的財産権を中国は侵害しておって、米国企業の利益を損なっているということを明確におっしゃっております。それから、電子商取引もこれからのアメリカ経済を支えるということをちゃんとおっしゃっております。 電子商取引それから知的財産の保護、これはまさしくTPP協定の中身が明確に保護強化、それから電子商取引分野の支援を明記しているところでございます。 ですから、米次期大統領のトランプ氏は、そもそもTPP交渉国に中国が入っているというような誤解さえしていたことがトランプ次期米大統領はあるわけでございます。トランプ氏はTPPの全体像を明確に認識されていない可能性があるか、又は、協定の経済的恩恵を理解はしているんだけれども、選挙期間中であるので知らなかったふりをしている可能性もあるのではないかと私は思うわけであります。 繰り返しになりますけれども、米国が最強の経済をつくる、このためにはTPP協定の発効が必要だと私は考えております。その上で、これから少し各論に入りたいというふうに思っております。 失礼、石原大臣に質問を聞くのをお忘れいたしました。トランプ氏や政権移行チームがこれから協定の全体像を十分に理解すれば、冷静な判断をし、TPPを支持する可能性があるのではないかと私は期待をするわけでございますけれども、石原担当大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 三宅委員のトランプ次期大統領の選挙戦での発言のマークされていたこと、私も当選が決まった後調べてみましたら、やはり自動車の高関税ということはおっしゃっています。その一方で、委員が御指摘された電子商取引等々についてはしっかりと、知的財産保護によって米国産業の著作権侵害の減少が見込まれるというような、そのアメリカのITCの報告に載っているような発言もされております。両方あるのかなという気がいたします。 総理がこれからお会いになって、私も、トランプさんがどんな方で、また選挙戦でどういうことを全て言ったかというのはフォローするのもまだ全部できておりませんので、予断を持って、トランプ次期大統領がどういうふうに考えられるか、希望的観測を言わせていただくならば、まさに三宅委員と同じ立場でございます。
○三宅伸吾君 これから少し各論に本当に入りたいと思います。まずは電子商取引でございます。これは余り国会で議論されておりませんけれども、極めて私は大事だと思います。 十九世紀の半ばでございます。ドイツの宰相ビスマルク、彼はこのように言いました。鉄は国家なり。日本もずっと数十年前までこれでやってきたわけでございます。しかしながら、二十一世紀に入りましてインターネットの時代になりまして、中国のIT関連企業の最大手の一つでございますアリババ集団のジャック・マー会長はこうおっしゃっておられます。データを制する者が世界を制すると。日本でも最近ビッグデータという言葉が、皆さんいろんなテレビとか新聞で聞いたり読んだりすると思いますけれども、私たちがコンビニに行くたび、スマートフォンを持って歩くたび、様々な行動をするたびに、当然一定の契約がありますけれども、私たちの行動の履歴が様々なデータのサービス提供会社に吸い上げられていって、そのデータが世界中を国境を越えて移動するわけでございます。 電子商取引の関連企業はもうどんどん今成長いたしておりまして、一番大きいアップル、アメリカのアップルは、企業価値、時価総額で表現しますと約六十兆円に及んでおりまして、トヨタ自動車の三倍もの企業価値を持っているというふうに、今どんどん伸びているわけでございます。 ビッグデータが移動している様子は、これは世界の海底ケーブルの様子を見れば分かります、海底ケーブル。今どこが一番データの集積地になろうとしているかと申しますと、これはシンガポールなんでございます。シンガポールに海底ケーブルのハブがどんどんどんどん集積しつつあるということでございます。間違いなく今後の新しい成長産業、AIとかロボットとかたくさんございますけれども、やっぱり電子商取引というのは誰がどう考えても急成長の市場でございます。 こうした状況の中でTPPの協定が基本合意されたわけです。協定には電子商取引に関する部分がありますけれども、どのような内容で、どうしてこういう規定を作ったのか、政府参考人にごく簡単に御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。 TPP協定、電子商取引に関して第十四章で規定をしているところでございます。十一条では、情報の電子的手段による国境を越える移転を原則として許可する、データのフリーフローと言われている規定でございます。それから二つ目に、十三条でございますが、事業遂行の条件として自分の国の領域でサーバー等のコンピューター関連設備を設置しなさいということを、これ今要求している国があるようでございますけれども、そういうことを原則として要求してはいけないということを規定してございます。それから、十七条でございますが、ソフトウエアの販売、利用等の条件として、ソフトウエアのソースコードと言っていますが、設計図のようなものですけど、これを教えろと、移転、アクセスを求めるようなことは原則として要求してはいけないという規定がなされております。 こうした規定によりまして、データの適正、公正な利活用が図られまして、我が国の事業者がTPPの域内でインターネットを活用した事業を行う際の競争力を発揮する環境が一層整備される等を期待しているところでございます。
○三宅伸吾君 世界の主要国の集まりでありますG20、G20参加国のアジアの国の中でインドと中国がこのTPPの交渉に参加をしておりません。 そこで、世耕経済産業大臣にお聞きしたいと思います。 TPP協定の発効後、この協定に加盟していない国は電子商取引分野の競争でどのような不利な状況に追い込まれるというふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。 先ほどから三宅委員の御質問、元日経新聞でこのデジタル分野とか知財分野をエース記者として取材をされていた、「Googleの脳みそ」という名著もあるわけですけれども、本当に鋭い質問をしておられるなと思います。 まさにTPPの一番の特徴は、デジタル商取引の分野に関してきちっとした規定を設けた初めての多国間での貿易協定であるというところであります。特に、サーバーを自分の国の中へ置かないと商売をさせない、ソースコードを開示しないと商売をさせない、そういうことは全部禁止をする、自由なデジタルビジネスができるようになるということであります。 こういったルールが整備されることによって、TPP加盟国ではIoTやビッグデータなど情報を利活用したグローバルビジネスを安心して円滑に行われる環境が整備をされます。それに対してTPPに参加をしない国は、こうした環境が必ずしも整備をされるとは限らなくなるわけでありまして、情報移転の制限ですとかサーバー設置要求など規制を課されるリスクが残るわけであります。 こうした状況の下では、各国の企業は、TPPの非加盟国でビジネスを展開するよりはTPP加盟国で事業をやることを選択するケースが増えるのではないかと。こういった面で、明らかにTPP加盟、非加盟の有利不利が出てくるというふうに考えております。
○三宅伸吾君 中国等のインターネット関連企業が真にグローバルの企業として飛躍しようとするならば、TPPに加盟するか、又はTPPが規定する電子商取引に関する規定と同じ内容を持つ行動をしないと、世界の新しい潮流には乗れないということではなかろうかと思います。 そこで、もう一つ、余り国会で議論になってはおりませんけれども、TPP協定には国有企業という実はチャプターもございます。どのような内容で、そして何のためにこのような国有企業の章を置いたのか、政府参考人、簡単に御説明ください。
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。 TPP協定の第十七章が国有企業についての規定でございます。国有企業等が、物品又はサービスを購入又は販売するに当たり商業的考慮に従って行動すること、他の締約国の企業に対して無差別の待遇を与えることを確保すること、それに加えまして、これが一番重要なポイントでございますが、国が国有企業に優遇措置を与えて、その優遇措置を活用して、ほかの国、他の締約国でビジネスをして利益を得るということについて、他の締約国の利益に悪影響を及ぼしてはならないということが明確に規定されているところでございます。 純粋な商業活動を行うような場合に、国有企業と民間企業との対等な競争条件を確保するという規定だというふうに承知しているところでございます。
○三宅伸吾君 中国の素材産業、ほとんどが国有企業でございまして、特に鉄鋼も当然国有企業でございます。中国では、鉄鋼産業で国有企業の過剰生産能力が世界的にかねて問題になっていると聞いております。 具体的にはどのようなことが問題というか、日本から見ると課題だと思われるのか、世耕経済産業大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 今、三宅委員御指摘のように、政府あるいは政府支援機関による過剰な補助金など市場機能をゆがめる支援措置があって、中国を含め世界的な過剰生産能力につながっておりまして、過剰生産されたものが国際市場に安値で輸出をされて鉄鋼市況の深刻な悪化をもたらしているというふうに認識をしております。 中国に関して申し上げますと、二〇一五年には中国の生産能力は粗鋼生産量の一・四倍まで拡大をいたしました。こういった背景から中国の鋼材輸出量は二〇一四年に入って急増をしまして、二〇一五年では一・一億トン、これは日本の年間生産量に匹敵する量、これが輸出に回っているという状況であります。また、中国から世界への鉄鋼輸出価格を見ますと、二〇一一年をピークに下落傾向にありまして、二〇一五年でピーク時の五割程度まで下がっているという状況であります。こういった状況が相まって世界的な鉄鋼不況の要因になっているというふうに認識をしております。 この問題については世界各国が一致団結して解決すべき課題だということで、今年のG20サミットにおいて、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバルフォーラムの設立に合意をされました。また、先月に東京で開催をして私が議長を務めました日中韓経済貿易大臣会合においても、鉄鋼の過剰生産能力のグローバルフォーラムをできるだけ早く立ち上げることを確認をした、これは中国もいる場で確認をさせていただきました。生産能力の過剰分の削減に向けた強い働きかけを行うため、速やかにこの第一回会合を立ち上げて、中身のある議論を行っていく必要があるというふうに思っております。
○三宅伸吾君 ありがとうございます。 TPP協定の交渉に参加していない大国、小さい国でも構いませんけれども、交渉に参加していない国が、TPP協定が発効して、参加しないと電子商取引分野で損になると考えて、入りたいといったときに、その国がTPP協定の国有企業に関する章の履行を果たさないでTPP協定に参加することは可能でしょうか。政府参考人、お聞かせください。
○政府参考人(澁谷和久君) 新たな国の加入につきましてはTPP協定の第三十章四条に規定されているわけでございますけれども、新たに加入を希望する国がTPP協定の義務を履行する用意がある場合に加入のための交渉を行うことができると定めているところでございます。 したがって、新たに加入を希望する国は、国有企業に関する部分を含めて、協定上の義務を履行する用意があることが前提になるものでございます。
○三宅伸吾君 ありがとうございました。 様々なことをいろいろ仕込んで、このTPP協定というのは十二か国で議論を尽くして基本合意したということでございます。 話題をちょっと変えまして、TPPの安全保障面での意義についてちょっと議論をしたいと思っております。 平和はいろんな方法で維持されるわけでございますけれども、一つは力の均衡、バランス・オブ・パワーということでも平和は維持されると思います。この文脈で申し上げれば、アメリカが環太平洋地域に大きな経済的な利益を、権益を有する限り、当然、米国にとってもこの地域の安定は欠かせず、環太平洋地域に米軍がプレゼンスを一定程度維持せざるを得なくなるというふうに私は思います。 TPP協定は、人口が爆発して購買力のある中間層が拡大する地域の急成長市場において、日米などが公正な市場競争のルールを作るというものでございます。言うなれば、日本とアメリカでは当たり前のルールを設ける、非関税障壁もなくす。例えば、二国間関係が悪くなったら自国の港に貨物船をとどめさせて事実上輸入を制限するような、そういう前近代的な行為は許しませんよと、こういうようなルールを例えば作るわけでございます。ビジネスの予見可能性を高めるためのルールを共通化、明確化するものであり、先ほど議論しましたように、物まね大国も許さない、知的財産権もきっちり保護するということでございます。 TPP協定は、米国にとっては成長するアジア市場での権益を拡大するものであり、どのような人が大統領になっても米国政府が有望市場を無視することはできないと私は考えております。つまり、米国はアジアにおいて軍事上のプレゼンスを低下させることはしづらいというふうに私は思っております。こういった意味で、力の均衡を通じてアジアの平和にTPPの発効というものは貢献するというふうに私は思っているわけでございます。 岸田外務大臣は、TPP協定の発効と環太平洋の平和につきましてどういうふうに関連付けておられますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、委員の今の発言の中で、アジア太平洋地域、これは国際社会において今現在最も成長著しい、そして活力に満ちた地域だと思います。米国にとって、こういった地域との関与を続けるということは米国にとっても国益だというふうに思いますし、この地域が安定しているということも米国にとって国益だと思います。 そして、今の御質問は、TPPと環太平洋の平和についての関係についての御質問ですが、委員冒頭、大平総理の環太平洋構想について触れられました。この環太平洋構想というのは、太平洋地域に自由で開かれた国際経済システムをつくっていくということを目指すものでありました。これが一九八〇年の環太平洋共同セミナーにつながり、それが太平洋経済協力会議を経て、そして今日のAPECにつながっていると認識をしています。TPPはまさにこの流れをくんでいる協定であると考えます。自由、民主主義、基本的人権、こうした基本的な価値を共有する国々が新しい経済ルールを作るというものであります。 基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深めていく、これは大変重要なことですが、それを更に深めていくことによって環太平洋地域、地域の平和や安定に資するということにつながると思いますし、このことは、TPPが経済的利益を超えた長期的な戦略的な大きな意義を持っている、このような意義を持っていると考えるべきであると考えます。
○三宅伸吾君 ありがとうございました。 TPP協定、これを、電子商取引分野においてはデータの適正、公正な利活用を図り、そしてまた、物の方では関税の大幅な引下げなどにより貿易を促進するわけでございます。また、協定の国有企業の章、それから透明性及び腐敗行為の防止といった他の規定も併せて読むと、私には、国家資本主義とは現時点では相入れない国際的な経済ルールを創設するという構想であるということがはっきりしたと私は思っております。 今日ここで申し上げたいのは、TPP交渉に参加した他の国も、TPPの新たなルールが中長期的には自国経済の発展に寄与すると考えたから基本合意をしたわけでございます。私、ある方からお聞きしました。共産党支配のベトナム、協定交渉に参加しているわけであります。ベトナム共産党、交渉の前に党内で大激論があったと聞いております。しかし、参加を決断をしたと。TPP協定が大筋合意したことで、少なくともベトナムは、ASEANにおける盟主争いで優位に立てるんであろうという多分決断があったと。必死の覚悟でベトナム共産党内部で議論したという、この覚悟を私たちはしっかりと受け止めなければならないと思います。 課題先進国で我が国はございます。少子化のため、国内市場の急拡大には限界がございます。外に目を向けざるを得ないと思います。そしてまた、高齢化社会を迎えて、医療、介護の課題先進国としてのノウハウに対して、東南アジアのこれから高齢化が進む国々が、日本の医療、介護、そしてまた年金のインフラの制度の方面におきましても日本のこのノウハウを期待しているわけでございます。これから医療とか介護分野でもどんどん日本企業が海外に進出することが期待されるわけですけれども、当然、知的財産権の保護がしっかりしておりませんと、日本の医療関連のメーカーも安心して進出ができないということだと思います。 このTPPの交渉、いろいろ暗雲垂れ込めてはおりますけれども、すばらしい協定の内容であると私は確信をいたしております。甘利明前担当大臣、石原現担当大臣を含めまして、もう政府関係者の全ての方々に心より深い敬意と感謝の念を申し上げたいと思っております。 さて、総理は、本年四月七日の衆議院のTPP特別委員会においてこのようにおっしゃられております。中国がTPPの基準を満たして参加することは大歓迎だというふうにおっしゃっておられます。TPP協定がアジアの全ての国や地域や、このルールがもし世界に広がれば、法の支配が浸透し、ひいては自由で開かれた国が増えるように私は思いますけれども、総理のお考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPは、まさに自由と民主主義、そして人権、法の支配、基本的価値を共有する国々とともに自由で公正な世界の四割経済圏を創出をし、そして経済面で法の支配を抜本的に強化するものであります。 先ほど委員が提示をされました電子商取引についてのルール、これはTPPの特徴でありますが、その中で、先ほど世耕大臣からも答弁をさせていただきましたが、サーバーの設置の要求あるいはソースコードの開示の要求はできないということになりました。できないということにしたのは、それを要求してきた国々があったということなんですね。それは結局、そういう国々でいよいよ仕事をしようとしたら、それはちゃんと作れよと言われる、あるいはソースコードをちゃんと開示してここに置いていけよということでもあるわけでありまして、そうしたことができなくなるということ、これは大変大きなことなんだろう。まさに法の支配を抜本的に強化することになるわけでありまして、そうなれば、TPP圏内の国々であれば安心して中小企業も含めて進出していくことができます。知財も守られます。 TPPによって新しく作られるルールは今後の経済連携協定のモデルにもなっていくんだろうと思います。二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されるわけでありまして、参加を希望する国や地域もこれは相次いでいるわけでありますし、TPPという巨大な市場の求心力でその高い水準を、各国の経済改革の目標となり、法の支配が及ぶ範囲が拡大していくことが期待されるわけであります。言わば中国を含めて、様々な国々がこのTPPに入っていくメリットをもう今でもこれは理解をしているわけでありますが、しかしそのためには、今申し上げました自由で公正なルールをきっちりと守っていくというこのハードルを乗り越えなければいけない。ハードルを乗り越えるということは、まさに私たちが持っている普遍的な価値を共有する国々がだんだん増えていくということにもつながっていくんだろうと思うわけでございまして、我々は今回、この価値についてしっかりと国会の論戦を通じて世界に発信をしていきたいと、このように考えております。
○三宅伸吾君 総理、すばらしい御答弁、本当にありがとうございました。 市場経済そして自由貿易により国を最も豊かにした国、これはもうアメリカが一番だと思います。日本も当然その恩恵を大いに受けてまいりました。市場経済、自由貿易は、消費者の声を大事にするという意味で経済の民主主義であると思います。そして、経済の民主主義は、言論の自由を基盤とする政治の民主主義というそのシステムとも親和性が高いというふうに私は考えております。国民の声をしっかり受け止めつつ、立法権を担う者、行政権の執行に当たる者は、中長期の国益をしっかりと見据えて覚悟を持って前に進まなければなりません。 自由貿易体制の重要性につきまして、トランプ次期米大統領は、先ほど申し上げましたように、少なくとも表面上、トランプ氏の言葉を見る限りは、私たちとは少し違うところがあるように思いますけれども、重要性に、まだ認識をしていないか、認識をしているんだけれどもいろいろ考えるところがあって口には出していないのかもしれません。 いずれにしましても、次期大統領がトランプ氏に決まったことで世界に今激震が走っているのは事実でございます。例えば、つい最近でございますけれども、メキシコの外務大臣は、米国抜きでTPPが発効できるよう規定の見直しをしたらどうだという提案までされておられます。それから、オーストラリアの外務大臣、TPPが進展しなければ、その空白は中国が主導する東アジア地域包括的経済連携、RCEPに埋められるだろうと述べたとも報じられているわけでございます。私は、そのようなことになってはいかぬというふうに思います。 今週の木曜でございましたか、安倍総理には、次期米大統領にお会いになった際に、もう総理もおっしゃっておられますけれども、是非、貿易の自由化促進が米国を最強の経済にする必要最低条件であるということを是非御説明をいただき、トランプ氏にTPP協定に対する考えを変えるように促していただきたいと存じます。君子は豹変をいたします。総理は世界の主要国で最も強い政治基盤を持つ日本の国家リーダーでございます。安倍総理や岸田外務大臣に自由貿易諸国の期待が集まっています。 通告をしておりませんので質問ではありませんけれども、トランプ次期大統領との会談を三日後に控えております。もし可能であれば、総理のお考えを、お疲れでなければお聞かせください。君子を豹変させていただきたいというのが私の願いでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、十七日にトランプ次期大統領と会談を行うことで調整を行っております。それに先立ちまして、先般、電話会談を行いました。その際、日米関係、日米同盟の重要性について一致をしたところでございます。この基本は、基本的に同じ、変わらないということではないかと思います。 では、どういう話をするんだということでございますが、この議題等についてあらかじめここで特定し詳細に申し上げることは控えさせていただきたいとは思いますが、基本的に様々な課題について率直に意見交換を行いたいと、こう思っております。その中におきまして、この自由貿易に対する私の考え方等についてはお話もしたい、貿易だけではなくて様々な、安全保障も含めて、率直にお話をしたいと、こう思っております。 共和党は基本的に自由貿易を言わば推奨してきた、推進してきた党でもあろうと思います。そして、強い経済をつくっていく、そして経済を力強く成長させていく、その中で強いアメリカが絶対的に必要であるという考え方の下に様々な大統領は、共和党の大統領も、政策を推進してきたと、こう理解をしているわけでございまして、これは、トランプ次期大統領ということだけではなくて、言わば日米の貿易については様々な先入観があるのは事実なんですね。 例えば、自動車については日本にたくさん非関税障壁があるのではないかということもあります。このTPP交渉の中における初期は、初期はですね、そういうやり合いから始まってきて、実は日本は随分それは改善してきていますよと、あるいは、米国で米国の皆さんが乗っている日本車は、多くは実はアメリカで造られ、そしてアメリカのたくさんの人たちを雇用していますよ、アメリカで富を生み出しているんですよというお話もしてきているわけでございます。 そういう中で様々な誤解も解かれてきているのは事実でございまして、いずれにいたしましても、様々な課題について、やはりこの日米同盟関係というのは、これは日本にとって安全保障、外交、また経済においても基軸でございますから、しっかりと突っ込んだ話合いをしながら信頼関係を構築していきたいと、このように考えております。
○三宅伸吾君 総理、ありがとうございました。 残り僅かでございますので、ごく簡単に二つ質問をしたいとは思っております。 内閣法制局長官が来られておられます。TPP協定の知的財産分野について、少し専門的なところにはなりますけれども、どうしてもお聞きしたいので、よろしくお願いいたします。 TPP協定の著作権と商標に関する部分で、法定損害賠償又は追加的損害賠償制度のいずれかを維持、採用することというふうに求めておりまして、その脚注で、追加的な損害賠償には、懲罰的賠償を含めることができるというふうに書いてあります。ということは、懲罰的損害賠償ではない追加的な損害賠償制度があるということに論理上なります。 そこで、内閣法制局長官にお聞きしますけれども、懲罰的損害賠償ではない追加的損害賠償制度を日本で導入することは憲法違反ですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 今回我が国が採用することといたしておりますのは、TPP協定における、パネルにもございますけれども、一つ目の、権利者の選択に基づいて受けることができる法定の損害賠償という方でございます。したがいまして、お尋ねの懲罰的損害賠償ではないものを含めまして、追加的損害賠償の制度については具体的な検討はしておりません。 なお、TPP協定上、追加的損害賠償には、御指摘のとおり、懲罰的損害賠償を含むとされておりますけれども、この懲罰的損害賠償につきましては、平成九年七月十一日の最高裁判所の判決におきまして、我が国においては、加害者に対して制裁を科し、将来の同様の行為を抑止することは、刑事上又は行政上の制裁に委ねられていること、さらに、実際に生じた損害の賠償に加えて、制裁及び一般予防を目的とする賠償金の支払を受け得るとすることは、中略、我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念とは相入れないということが判示されております。 したがいまして、お尋ねの懲罰的損害賠償ではない追加的損害賠償がなお実際に生じた損害を超えて賠償を命ずるというものであるのであれば、この最高裁の判決との関係が問題になり得るというふうに考えられます。 いずれにせよ、追加的損害賠償の制度につきましては具体的な検討はしておりませんということで、お尋ねの憲法との関係について直接具体的にお答えすることは困難でございます。
○三宅伸吾君 最後に、世耕経済産業大臣にお聞きをしたいと思います。 いわゆるメード・イン・TPPというやつでございます。新しい協定では、TPP加盟国の中でいろいろ融通を利かせれば、関税がゼロになって輸出ができるということになりますけれども、この協定の規定と、どうもTPPは中小企業には関係ないという話をよく聞くものですから、中小企業にとってのこのTPP協定のメリットを是非経済産業大臣にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 中小企業にはいろんなメリットがあるというふうに思っています。 例えば、これ、原産地規制に関しては、付加価値をちゃんと累積をして、そしてこれがTPP域内のものかどうかというのを判定するようになりました。ということは、具体的には、日本で部品を作って、日本国内で作って、それをメキシコへ輸出をして、そしてメキシコで自動車を組み立てて、それをアメリカへ売るというようなことがTPP域内では可能となってまいりました。 今、部品なんかは徐々に途上国でも作れるところが出てきています。こういうところに対して日本の中小企業はなかなか苦しい戦いがあったわけですけれども、これがTPPに入る、そしてそこでいわゆる付加価値の完全累積方式が取られたということで、日本の部品メーカーがメリットを得るというような部分もあろうかというふうに思っています。 あるいは、中小企業でも今困っているのは模倣品対策でありまして、やはりコピーをされてしまう。これも、TPP域内ではこれは模倣品の対策のルールがしっかりとできたわけですから、これも中小企業にとってのメリットだというふうに思います。 あるいは、中小企業がいろんな各国でのビジネスを考えるときに、その国ごとのルールに合わせていろんな手続をやっていくというのは、これはなかなか大きな法務部門を持っていないような中小企業には大変だったわけですが、これはルールが統一されるということで、同じルールで各国に、TPP域内には輸出ができる、こういうメリットもあります。 あるいは、通関手続、これも、各国に合わせて通関手続をきちっとやっていくというのもこれなかなか中小企業にとっては負担だったわけですが、これが基本的には四十八時間で通関手続を完了しなければいけないというルールができて、こういったところも中小企業にとってはメリットになろうかというふうに思っております。
○三宅伸吾君 ありがとうございました。終わります。
○小川勝也君 おはようございます。民進党・新緑風会の小川勝也でございます。 いよいよ今日から委員会質疑がスタートいたしました。今日、与党の二人の質問者、大変格調高い、すばらしい、参議院らしい質疑、スタートしたというふうに思っています。 私はこの委員会の理事を務めさせていただいておりますけれども、我々の会派の委員も、あるいは所属政党の議員もいろいろ勉強させていただいて、参議院らしいいい質疑をさせていただこうと準備をさせていただいてまいりました。しかしながら、報道によりますと、間抜けな審議だとか、滑稽だとか言われて、少しテンションが下がった質疑スタートとなりました。 これはもう総理御案内のとおり、アメリカの大統領選挙の結果を受けての参議院質疑がスタートしたということと無関係ではないというふうに思っています。アメリカの大統領が誰になるのか、それを誰かが予測していたわけではありませんけれども、余りにも、報道を知っている国民からすると、なぜこのタイミングでTPPの審議をするのか、もう終わった話じゃないかというような思いで、私なんかも質疑をするというふうに支援者に伝えたところ、いろんな言葉をいただいたところであります。 まずは率直に、総理も若干のショックを受けたのではないかというふうに思っておりますので、大統領選挙の結果を受けて正直な御感想、おありになったらお伺いをしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大統領選挙の結果を受けまして、まずはトランプ次期大統領に心から祝意を表したいと、このように思います。先般、電話で会談をいたし、大変率直な、くつろいだ雰囲気の中で電話会談を行うことができたと、このように思っております。そこで、早期に会って直接お話をしたいと申し入れたところ、先方からそれはいい考えなのでということで、現在、十七日の会談ということで調整をしているところでございます。 いずれにいたしましても、今までの選挙戦を通じてのトランプ次期大統領の発言については十分に承知をしておりますが、同時に、いよいよ大統領となってどういう政策を進めていくか。先般、十二項目について発表したということは承知をしているわけでございますが、今後、日米同盟の重要性、日米の経済関係の重要性等についてもお話もさせていただきたいと、このように思っております。
○小川勝也君 昨週金曜日の本会議質疑やあるいは報道などで、総理が次期大統領に承認を求めていくという姿勢を知ることとなりました。そのことについて一定の評価はいたしますけれども、客観的に考えますと、米国が批准をしていわゆるTPPが発効する可能性は世間的には大幅に低下したと見るのが正しい見方だろうというふうに思っています。 総理の正直偽らざる思いとして、TPP、一生懸命頑張ってこられたのはよく分かります。一〇〇%やるぞという思いでずっと準備をしてこられたんだと思っておりますけれども、現在までのところ、何%ぐらいまでその効力発揮の可能性が減ったと御認識をしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは米国の大統領そして議会が決められるということだと思いますが、実際、状況としては、大変これは状況は厳しい状況になってきたということは、これは率直に申し上げてそう認識をしているところでございます。 しかし、それが、では、もうこれは終わったのかといえば決して終わっていないわけでございまして、他の十二か国の多くのリーダーと話をしているわけでありますが、このTPPの方向性について、アジア太平洋地域の発展にとって大きな意義があり、有益であるということでは認識をしていて、何とか推進していきたいという強い決意は、今でもこれは私も他の国々のリーダーも変わらないと思います。 その中で、まさに保護主義が蔓延しようとしている今こそ、この審議の場を通じてしっかりとこの必要性、重要性について発信をする中においてまた我が国の意思を示していくことこそが大切であろうと。我が国がこの意思を示すことができなければ、まさにこれはTPPは完全に終わってしまうと、このように思っているところでございます。
○小川勝也君 せっかくの機会ですので、傷口に塩を塗るような質問になるかもしれませんけれども、期待は二つに分かれるんだと思います。一つは、現オバマ大統領政権下においての議会、そしてもう一つは、新しい次期トランプ大統領が就任して以降のことになります。 報道によりますと、どうやらオバマ政権の間のいわゆる議会の承認はほぼなくなったという報道がありますけれども、そこに対する期待はどのくらい残っているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 様々な報道があることは承知をしておりますが、オバマ政権、オバマ大統領は現在も最大限の努力をしていくという姿勢であることには変わりがないと、このように承知をしております。
○小川勝也君 そうしますと、しつこい質問になりますけれども、オバマ大統領政権下、片仮名の失礼な言い方はいたしません、その期間においての期待と新しい大統領が就任した後の期待は何対何ぐらいと捉えたらよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは米国が、このTPPについてどのような議会が判断するか、そして、あるいはまた次期大統領がどのような判断をしていくか、新しく構成、選挙の結果を受けて構成された新しい議会がどう判断していくかということは、それぞれ議会、現在の議会、そして新議会、そして新大統領が判断をすることであろうと、こう思っているわけでございますが、大切なことは、その中で私たちができることは何かといえば、私たちはしっかりとこのTPPの重要性、価値について発信をしていく、そして私たちの意思を示すことではないかと、このように考えております。
○小川勝也君 まず発効の可能性は低いけれども、今、日本政府として旗を下ろすわけにはいかないので頑張っているというふうに私は伺ってしまいます。世間は、もう駄目なのに何やっているんだろうというのが正直なのだろうというふうに思います。 岸田大臣にお伺いをしますが、ほかの国はどういうふうな動きでしょうか。日本のように新大統領にトランプ候補が選ばれた直後に国会で採決するような国はないと思いますけれども、諸外国の動き、御認識がございましたらお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) TPP参加国の動きですが、まず、議会において協定自体あるいはその国内担保法について審議を行っている国、豪州、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、こういった国があります。そして、そもそも議会によって承認が不要の国もあります。ブルネイ、カナダ、シンガポール、これは議会の承認が不要ということになっております。 本年五月、TPP関連閣僚会議においても、各国がTPPの早期発効を目指す、こういった確認を行っておりますが、この確認に基づいて今御紹介させていただきましたような取組が続けられていると認識をしております。その中で、特にニュージーランドは、米大統領選挙後の十日から議会審議の最終段階、第三読会に入ったということを承知しております。 引き続き、こういった動き、注視していきたいと思いますし、あわせて、我が国自身も他国に率先して動くことで他国の手続を促していく、こうした努力を続けていきたいと考えます。
○小川勝也君 総理は、十七日、トランプ次期大統領にお会いをするようでありますけれども、当然のことながら、TPPに承認を与えるように、あるいは参加するように促すということでございますので、そのいわゆる次期大統領のお答えについて多分持って帰ってこられるんだと思いますけれども、しっかり質問されるかどうか、そして帰ってきた後、当然でございますけれども、この委員会に御報告をいただけるかどうか、お伺いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、トランプ大統領とは十七日に会談する方向で調整を続けております。今回の会談はトランプ次期大統領との初めての会談でもございますから、お互いの関心事項について率直に意見交換を行い、そして信頼関係を構築していきたいと思っております。 現時点で、先ほど三宅議員にもお答えをしたように、会談のやり取りの内容を予断することは控えたいと思いますが、会談においては率直に私の考え方についても様々な分野においてお話をさせていただきたい、これは、経済、外交・安全保障全般にわたっての私の考えも述べたい、その中において日米同盟の重要性についてもお話をさせていただきたいと思っておりますが、会談の結果については相手との関係で差し支えのない範囲で丁寧に御説明をさせていただきたいと、このように思っております。
○小川勝也君 外交は政府の専権事項であることは重々承知しております。しかし一方、この参議院の特別委員会は、もう国権の最高機関であります。マスコミが報道してTPPはなくなったと言っているのになぜ審議しているのかと我々責められるんです。ですから、きちっとした報告を受けて、我々の委員会は真面目に審議をいたします。もし総理が方向を変えて審議をしてくれということであれば、それを甘んじて受け入れさせていただきたいと思います。 それはどういうことかといいますと、今も与党の二人の議員からすばらしい質問がありました。我々民進党会派も、自由貿易体制は大変推進の立場で今までも議論してまいりました。自由貿易体制が重要だという中で、なぜTPPが駄目だったのか、TPPのどの部分を変えていけば我々の国民が納得した形で次の段階の自由貿易に行けるのか、この委員会で議論することは無駄じゃないと思っているからです。 ちょっと一番のパネルを出してください。(資料提示) 国民の理解は全然進んでいません。全く成立させる必要はないという方一〇%を含めて、八割になんなんとする方々が反対をしているわけであります。かてて加えて、アメリカの大統領候補は、二人とも公式上TPP推進ではありませんでした。そうしますと、アメリカの世論も反対、日本の世論も反対の中で、両国が進めていくということに問題がないというふうに捉えるのがおかしいんです。 我々は責任野党を目指していますので、自由貿易を進めるためならば与党に協力していいというふうにずっと思っている。ですから、しっかりとしたルールに基づいた新しい自由貿易体制をつくっていくということに我々は協力することはやぶさかではありません。 元々、この問題のボタンの掛け違いはどこにあったかといいますと、WTOがどん詰まりになったからなんです。しっかりと議論していたけれども、お互いの利害関係で調整できないものがあったので詰まってしまった。じゃ、このままじゃ進まないということで、TPPの議論がスタートをいたしました。そこでキーワードとなったのが秘密主義です。都合の悪いことを国民に知らせてしまうから駄目なんだ、だから都合の悪いことは知らせないで話を進めてしまえ、これがTPPのスタートでありました。ですから、日本国民はほとんど分かっていません。 そして、後に触れますけれども、私は、農業を中心とする北海道の選出議員であります。隣にいる徳永議員と一緒に、TPPの反対を農産物の輸入という立場からも考えざるを得ない立場でありました。しかし、余りにも農業分野が突出すると間違ったメッセージを国民に伝えてしまうということで、反対運動の在り方も本当に苦しみながら頑張ってきました。 さて、TPPはどういうものなんでしょうか。議論させていただきたいと思います。 今だけ、金だけ、自分だけ。これは、鈴木先生が著書に書いておられるキーワードであります。御批判をいただくことがあるかもしれませんけれども、私たちの国の商慣習で、よく私も演説で使わせていただく言葉に、近江商人、売り方よし、買い方よし、世間よし、みんなよくなるんだという、これが日本型資本主義でありました。今、TPPをめぐるキーワード、今だけ、金だけ、自分だけ。 アメリカの誰が推進しているんですか。石原大臣、TPPを推進する企業団というのがあるんですか。どういう内容なのでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 今委員が御指摘になりました企業団が何を指しているかは私存じませんけれども、私がワシントンを訪ねたときに、全米商工会議所、トム・ドナヒューさんが率いられる団体でございますけれども、そこに横断幕が張られておりまして、そして、TPPに対して自分たちは推進すべきであると。全米の商工会議所のお話をさせていただいたときに、商工会議所の成り立ちが日本と同等であるとするならば、多くの企業群の方々がこのTPPについて賛成を表明していたと承知をしております。
○小川勝也君 企業団が推進をしています。それで、お金の話で恐縮ですけれども、大変多額のお金がTPPを推進する企業団から下院、上院の議員にもたらされています。 ちなみに、金額の多寡を比較するために、大変失礼ですけれども、山本農林水産大臣が談合疑惑の会社から献金を受けたという報道があります。その金額はちなみに幾らだったでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 過去数年間で、ある企業から六百九十万円です。
○小川勝也君 大変な金額ですが、私が今から申し上げる数字は桁が違います。 アメリカの政治資金情報を調査するNGO、マップライト、これが政府からの公表した資料を基にまとめた金額がここにあります。下院には二年間で二百四十五億円、上院議員には六年間で二百七十億円。上院議員は百人しかいないんです。百人で二百七十億円ということは一人当たり二十七億円ですよ、これ。こういう献金があって政策がゆがめられている、そして、なおかつ両大統領候補は反対する。どういうことなんでしょうか。(発言する者あり)二億七千万だそうです。二億七千万も私、手にしたことないんで、ちょっと金額が。 それで、どういうことかといいますと、大企業やグローバル企業は進めているけれども、いわゆるNAFTAの影響で製造業で仕事を奪われた人たちが今回トランプさんに投票したので、新しい大統領にトランプ候補が選ばれたと、こういう流れで報道されているわけであります。すなわち、アメリカが勝った、日本が勝ったじゃないんです。いわゆる強い者が、お金を持てる者が、お金を扱える者がより富を増やし、そしてそうじゃない人たちが心配する、これがTPPの本質なのではないでしょうか。 総理、ここまでのところで感想はありますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わばこうした自由貿易を広げていくことによって一部の多国籍大企業しか利益を得ないのではないかという御指摘だろうと思いますが、TPPは決してそんなことではないんだろうと、こう思うわけでありまして、まず、それ以前に自由で公正な貿易・投資を進めていくことは、一部の大企業だけではなくて、中小企業やその企業で働く労働者にも大きな利益を、これをもたらすと、そういう中において世界経済は発展してきたんだろうと、こう思うわけでありまして、大切なことはしっかりとしたルールなんだろうと、こう思うわけでありまして、TPPが今御指摘のような姿にはならないような、そういう思いで我々は交渉を重ねてきた結果、戦略的にも、我々の国益においても、今おっしゃった方向に向かわないということにおいてもTPPは意義あるものになったと、このように考えております。
○小川勝也君 総理が消費税を上げるタイミングを先延ばしするときにいわゆる講話をいただいたスティグリッツ博士、これ有名な方でありますけれども、TPPには米国政府は入らないだろうというふうに断言しておられました。それから、いわゆる所得格差がどんどん広がっていることについて、いわゆる調査に基づいて非常に貴重な発言をたくさんしていただいています。 よく聞いていただきたいんですが、新しい千年紀に入っての最初の景気回復期、二〇〇二年から二〇〇七年の間に、アメリカの国民所得の増加分の六五%が上位一%の懐に転がり込んでいた。対照的に、ほとんどのアメリカ人の暮らし向きは右肩下がりで悪化している。これがトランプ大統領候補が勝利した原因の一つだと私は思います。不況からの回復の利益は最富裕層によって偏ってもたらされた。アメリカの二〇一〇年度の所得を見る限り、二〇〇九年からの増加分のうち九三%が上位一%の懐に収まっている。これが今のゆがんだ自由貿易体制なんです。 ですから、自由貿易体制を議論するときには、総理が今おっしゃったように、こうならないようにということをしっかりと施策を積み重ねてやっていかなければならないというふうに思っています。 それから、このTPPの議論のときによく言われるのは輸出です、輸出して豊かになるんだと。我々はそれを否定いたしません。そして、その後やってほしいのは、輸出によってもたらされた富を国民全体で享受できる社会をつくっていただきたいということであります。 株式保有比率、三番のパネルをお願いします。 今、日本の株式市場は少しゆがんでいます。なぜゆがんでいるかといいますと、株主の中に日本銀行とか年金機構が大変重要な地位を占めているからであります。そして、国際貿易や自由貿易がどんどん進んでいくと、投資の壁がどんどん低くなってまいります。ですから、日本の国益、日本の輸出が増えても、日本の輸送機械の輸出が増えても、日本国だけがもうかる仕組みじゃないんですね。御案内のとおり、日本の日銀もあるいは年金も株を持っていますけれども、外国の方々も持っているんですよ。すなわち、トヨタが輸出する、日産が輸出すると、その株を持っている外国の方ももうかる、だからどんどん一%にお金が集まっていくというのがスティグリッツ博士のこの言い分なんです。 そして、四番を見てください。 私たちの国はどういう国になってしまったのか。それは、総理がよく使うキーワードに、戦後、みんな一生懸命働いて経済成長を遂げたと、そのときに重要だったのは、資源のない私たちの国はやはり自由貿易体制で富を手に入れたんだというふうにおっしゃいました。しかし、その富の分配方法がだんだんゆがんでまいりました。 どの国でも国益というのがあります。国益というのは、国民の幸せを守るということと国土を守るということであります。グローバルも大事ですけれども、まず国民を幸せにしないと、自由貿易もTPPもへったくれもないんですよ。この再配分を見てくださいよ。 昨日、たまたま、札幌から東京に向かう飛行機の中で、前、スウェーデンの大使を務めた渡辺芳樹さんと席が隣になって、いろいろお話をさせていただきました。スウェーデンは高福祉高負担、経済が成長しないかといったら大間違いなんです。みんな安心して働く。老後の心配がないのでお金を使うんですよ。 私たちの国、どうですか、これ。いわゆる公的移転による再配分、すなわち、いわゆる現物支給での再配分はほとんどない、下位三番目。逆に、最もつらいのは、税による再配分、全くされていないと言っても過言ではないんです。ですから、私たちは自由貿易賛成ですけれども、こういうのを、きちっとゆがみを是正していかないと国民の理解は高まっていかないというふうに私は考えているんです。 ちょっと私の私見を申し述べますと、自由貿易をやるためにはやっぱりいろんな施策が必要です。関税というガードがなくなっていくことをボクシングに例えますと、ガードをし合わないで打ち合うわけであります。輸出企業やグローバル企業は、パンチが入るから気持ちいいと言うんです。じゃ、おなかはどうするんですか、顔はどうするんですか。打たれっ放しですよ。そういうところに先回りして施策を打って自由貿易をしないと大変なことになってしまいます。 私のふるさと北海道は、かつて日本の経済発展のためにいろいろなものをいわゆる政府や東京や本州のニーズに基づいて頑張って生産してまいりました。まずは、石炭、木材、水産物、食料、米、農産物。しかし、自由貿易体制がスタートしてどうなりましたか。かつての産炭地は夕張に象徴されるようになりました。そして、木材の輸入化でぴたっといわゆる山が産業でなくなりました。そしてその結果、今どういうことが起きているんでしょうか。 総理は、海外に鉄道を輸出することに非常に熱心です。そして、JR東海はリニアモーターカー、JR九州は上場、私たちのJR北海道は廃線の議論をしているんですよ。こういうことをしっかりやらないから世論が付いてこないんです。弱肉強食じゃ駄目なんです。 そして、やらなければいけないことがほかにもあります。商店街、総理は昭和三十年代のお生まれですので、商店街歩いたことがあろうかと思います。かつてあった業種がどんどんなくなっています、豆腐屋さん、自転車屋さん。私は田舎ですので、馬具屋さん、蹄鉄屋さん。ちなみにうちは鍛冶屋でした。ここ笑うところなんだけど。(発言する者あり)これがどんどんなくなっていくんですよ。その方々はみんな業種転換を図っていくわけです。 それから、最も私たちの国でたくさん業種転換した人は誰でしょうか。それは農家の人ですよ。農家の人が業種転換をしてどういう仕事に就いたのか。その大部分を支えたのは、多分経済成長のときの土木建設業だったかもしれません。しかし、今、受皿がないので、いい仕事はどこにもないんです。 ですから、私たちは、自由貿易を守っていくためにやらなきゃいけないことがたくさんある中で、いわゆる中小企業の転業支援、あるいは人材育成、スキルを高い、付加価値の高い仕事に就ける人を育てる必要がある、そのことを私は申し上げたいんです。すなわち、自由貿易を支えるためには教育、人への投資が必要なんです。それをしっかりやってきたのが、この一番上のスウェーデンやベルギーやデンマークなんじゃないですか。 私たちの国は、OECD各国中、最も教育にお金を使わない国になりました。ですから、前提が整っていないんですよ。教育にお金を使い、そして人材育成にお金を投じ、中小企業の転業支援をしっかりして、そして働く人たちの給料が上がるようにして、再配分をしっかりして、自由貿易体制やるぞ、これが私は国の求められている政策なんだろうというふうに思っています。 今の強い者が勝つ自由経済じゃ誰も付いていかない。総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、強い者が勝つ弱肉強食の世界をつくっていくということでは誰も付いてこないと思います。しかし、今我々が政策を進めている結果、選挙の結果も、誰も付いてきていないわけではない。それはなぜかといえば、言わばそういう世界に向かってはいないからであります。 今そこでお示しをいただいた数値でございますが、その数値を、これはどのような計算で算出されたものかは不明ではございますが、所得再分配効果の程度は、それ自体の数字だけではなくて、再分配前の所得格差などを見て評価する必要があるわけでありまして、言わば再分配する前の数値が大きければ再分配する数字は当然大きくなっていくわけでありますから、そもそもそこの数値が小さければ再分配の数値は少なくなるわけでありますから、大切なことは、再分配後の数値がどうなっているかということについて見れば、所得再分配後のジニ係数については、我が国の状況はOECDの各国比較で中位水準であることはこれは厳然たる事実であろうと。つまり、再分配機能は我が国においては利いているという事実があるということは認識をしていただきたいと思います。 そして、そうした中において、例えば相対的貧困、どうなっているかということは、これよく議論になりました。我々が進めている政策を進めていけばそれはひどくなって大きくなっていくという御批判もいただきましたが、先月末に公表されました相対的貧困については、これはずっと統計を取って十五年間で初めてこれは減少に転じたわけであります。特に議論されていた子供の相対的貧困率につきましては、十五年前九・二だったものが、十年前は九・七に上がり、そして五年前には九・九まで上がったんです。今度我々が進めている政策でこれが上がったかといえば、全く逆でありまして、統計を取って以来初めて大幅に下がりました。九・九から七・九、二ポイントも下がったんですよ。 つまり、これはなぜかといえば、しっかりとその相対的貧困率のボーダーのところにいた人々の所得が上がったからということにほかならないわけでありまして、私たちが進めている政策が一部の人を豊かにしているということではなくて、まさにこれは、この恩恵はもっと多くの人たちに及んでいるということの証左ではないかと、こう思う次第でございます。 いずれにいたしましても、大切なことは、今回のTPPについても、自由貿易については、全体としてはこれは小川委員も自由貿易の利点、価値は認めておられるわけであります。ただ、そこで個々について、かつて炭鉱の方々が大変な苦労をされた、私の地元も一部は産炭地、昔の選挙区でございますが、であったわけでありまして、しかし、そこから様々な分野に進出をされた方もおられますし、相当の困難を経験された方々もおられます。 そういう対応をあらかじめしっかりと取っていくことが大切であろうと。そのために今回、補正予算等におきましてもしっかりと打っていくところでございますし、今回この法案の中でも対策のための法案もあるということは御承知おきをいただきたいと、このように思う次第でございます。
○小川勝也君 残念ながらここは安倍総理の独演会じゃありませんので、質問をさせていただきたいと思います。その話はもう何回も聞いたので付き合うつもりはありません。 石原大臣にお伺いをいたします。 TPPがうまく批准された場合、どのくらいの経済効果があるというふうに算出しておられたでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 日本の試算でおよそ二・六兆円、IMFの試算も大体同じで二・五兆円程度と想定しております。
○小川勝也君 さっき私の前の質問者のときに十三・数兆円という資料がありましたけど、それはどういう数字でしょうか。
○政府参考人(澁谷和久君) 昨年末に公表いたしました私どもの経済効果分析でございますけれども、TPPの日本経済への影響につきまして、GDP二・五九%の増加でございます。数字に置き換えますと十三・六兆円ということでございます。
○国務大臣(石原伸晃君) 小川委員に訂正させていただきます。 兆と言いましたが、パーセントでございます。
○小川勝也君 皮肉で申し上げますけれども、総理を尊敬しております。 それはなぜかといいますと、総理は、我々が例えばアベノミクスが全然駄目じゃないかとか政策の中身がないじゃないかというふうに言うと、いや、それでも民進党よりましだというふうにおっしゃる。なぜかというと、我々も反省しなきゃいけないですよ、それは安倍政権を支えてきたのは期待感なんです。期待感で、アベノミクスで何かいいことあるかもしれない、それから、日銀に政策をやらせてがんがんいい景気になるかもしれない。そして、その一環が、TPPを推進して十三・六兆円の効果があるというふうに国民にいわゆるアナウンスメントをしてきたわけであります。 ですから、今総理は、さっきの話に戻りますけれども、トランプ次期大統領にこれをやらないと困るんですと言わなきゃいけない、安倍総理は。十三・数兆円の効果を期待してみんな安倍総理を支持してきているんです。ですから、今、いわゆるところの日銀の政策はもう限界まで来ています。それから、政府関係で株を買うのももう限界に来ています。アベノミクスは御覧のとおり、そしてTPPがないとなると、安倍政権は相当危ういことになっちゃうんですよ。なので、何とか期待をつながなきゃいけないということであります。 そこで、言わずもがなのことを申し上げますけれども、例えば、これも多分否定されると思いますけれども、TPPに遅れて入るのに高い参加料を払ったんです。そのときに、自動車という我々の最大の目玉で譲歩を、これを勝ち取られたわけであります。もし、安倍総理が政権のウイークポイントを持ってトランプ次期大統領に会いに行って、TPPに参加してくれませんかというような話をしたときに、日本の国益を損なうような結果になることを我々は恐れています。 何か二国間で取られることがあるんじゃないか、あるいは再交渉で何か取られたらどうしよう、こういう心配があろうかと思いますけれども、まさかそんなことはないという断固たる発言をお願いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、期待というのは大切ですから、期待を裏切るとこれ失望に変わっていくわけでありますから、これは結果で応じていきたい、この期待には応えていきたいと、こう思っておりますが。 そこで、トランプ次期大統領と何を話すかということについては先ほど申し上げたとおりでございますが、言わば、このTPPについても、我々は再三申し上げているとおり、再交渉はしないということはこれは明確でございます。かつ、御審議をいただき、もし御採決をいただけるということになれば、これはもう国会の意思も再交渉しないということでこれ明確になっていくんだろうと、こう思う次第でございまして、いずれにいたしましても、TPPの交渉というのは、これはガラス細工のようなものでありまして、一部を取り出してきて再交渉をすれば全体が崩れるというのは、これ、参加国全ての国々の共同、共通の認識でございますから、それはないということは明確に申し上げておきたいと、こう思うわけでございますし、米国をとどめるために我々が我々の国益を削るということもこれはないということも明確に申し上げておきたいと思います。
○小川勝也君 これもまた失礼な質問ですけれども、先ほど、十三・数兆円の期待感があって、支持を受けておりました。今、世の中の人たちはTPPはもう駄目なんだろうというふうに思っています。もしそうなったら、私もそうなることを望まないわけではありませんけれども、景気、経済の波及効果が十三・数兆円、幻と消えるわけですね。 石原大臣、景気、経済へのマイナスの波及効果はどういうふうになりますか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほどはパーセントと兆を言い間違えまして、大変失礼をいたしました。 今の御質問でございますが、その部分が欠落するというふうにお考えいただければいいと思います。
○小川勝也君 じゃ、ここまで熱心に、その期待感を維持するために巨額の費用をTPP交渉に重ねてまいりました。いわゆる内閣府、外務省その他、合わせて政府でどれだけの支出を重ねてきたでしょうか。
○政府参考人(澁谷和久君) 交渉に要する経費は、ほとんどが旅費ないし滞在費でございます。甘利前大臣が海外に、交渉会合に出張した際の経費というのは、質問主意書で五月に御答弁させていただいたと思いますが、三億八千万ということでございます。 この甘利大臣の閣僚会合には首席交渉官会合なども同時に開催されておりますので事務方の分も含まれておりますが、小川先生の方から事務方だけの会合の分も上乗せするようにということで、週末ちょっと私ども集計いたしましたところ、それも含めますと約四億七千万ということでございます。これは内閣官房の、甘利前大臣を含めた内閣官房分ということでございます。
○小川勝也君 私は残念ながら一回も現地に行っておりませんけれども、同僚からお伺いすると、諸外国の事務方に比べて日本は破格の大人数、そして高級なホテルで会合等が行われていたということであります。 更に驚くべきことに、日本はTPP推進なので、アメリカも何とかしなければならないということで、アメリカのロビイストにお金を払って議会対策をしたというふうに報じられています。幾ら使いましたか。外務省だそうです。
○国務大臣(岸田文雄君) 一般論として、在外公館において、所在国との経済関係の強化あるいは日本企業の支援、そういった観点から様々な働きかけを行っています。そして、米国におきましても、日米経済関係の強化、そして日系企業の支援という観点から様々な働きかけを行っています。TPPその他の経済的な課題について働きかけを行っています。 そして、御指摘の議会への働きかけですが、これはもう既に答弁させていただいておりますが、当然のことながら、経済関係の強化、日系企業の支援の観点から議会への働きかけもしっかり行っております。幾ら使ったのかということですが、これは具体的な働きかけ先あるいは金額、こういったことについては今後のこうした取組に影響を及ぼすことになります。控えなければならないと考えます。
○小川勝也君 これは事実もう使ってしまったお金です。それで、日本は、国民がまだ理解していない、批准を望まない中で、そしてこのTPP交渉がいわゆる成立に向かうかどうかも分からない中で、そういうお金の使い方をする国なんですね。これはしっかりと全国の皆さんが認識をいただけるんだというふうに思います。私は、後で申し上げますけれども、もっとお金を使ってほしい場所がたくさんあると思っています。 それで、農業の話も少しさせていただきたいと思います。九番のパネルをお願いします。 私は、一九九五年の初当選であります。北海道で、全道選挙区というところで四回選挙をやらせていただいております。ですから、大変広い選挙区でありますので、本当に御無沙汰のところも正直ございます。そんな中で、胸が痛くなるほどいわゆる寂しくなる町村があります。 よく見ましたら、北海道の総人口、平成七年は五百六十九万人が平成二十七年には五百三十八万人に減っているんです。農業に就業している方は十七万四千人から九万七千人に減っているんです。そして、なおかつ人口減少の陰に隠れて札幌及び札幌圏が物すごく人口を増やしているんです。ですから、それ以外の地域は、先ほど話題に出しました旧産炭地を含めて物すごくその音が聞こえるぐらいのスピードで人口減少が進んでいます。 ちなみに、御丁寧にも、私は総理の地元の山口県も調べてまいりました。平成七年、人口が百五十五万人から平成二十七年百四十万人、農業就業人口は六万五千人から二万八千人。 私は、先ほど申し上げましたように、自由貿易を推進する中でやらなければいけないのは、農業、そして農村、国土を守る政策だと思っています。 七番、見せてください。これはちょっと手前みそになるので言いにくいんですけれども、アメリカと日本とEUの農業政策をざらっとこれ表にさせていただきました。 時間がないので、アメリカは一言で片付けさせていただきます、輸出補助金。EUは直接支払の割合が高い。これはEU各国も、EUとそれぞれの各国と二重で農業政策を実施していますけれども、おおむねまとめると直接支払となります。多面的支払、環境支払、条件不利支払、青年支払、いろんな支払方があります。 日本も、二〇一二年、これ数字が増えました。そこから先ないんですね。多分激減しているんだと思います。これは農業者戸別所得補償政策で増えたんです。私たちは、農業を大事にしながらも自由貿易をしっかり進めたいというその思いも込めて、この政策を実施をさせていただきました。 私の第一希望は多面的機能支払でありました。しかし、妥協して直接所得補償、これは厳密に言うと不足払いに近い形かもしれません。しかし、自由貿易に入る前にはしっかりと対策をしていく、これが当たり前であります。 EUなどでは、特にすごいその例を出しますと、これは数年前の例でありますので今は少し分かりませんけれども、いわゆるスイスの国境地帯の急傾斜地の酪農、それは景観維持という支払、条件不利という支払、国境に近いといういわゆる支払も含めて、牛を五、六頭飼っているだけで五、六百万の直接支払があると、こういう例示も受けました。そのくらい国は農業、農村、地域を守っていかなければなりません。 ところが、八番に移ってください、安倍政権になってどういう政策に移ったんでしょうか。 これは、私も隣の徳永議員と審議に参加してまいりましたよ。農地の中間管理機構、これは、日本の農業は効率が悪いですよ、このままじゃ高齢化が進んで若い人たちが入れませんよという名の下において、ちょっとだけ持っている人は担い手に預けなさいという離農促進法案でありました。 そして、米政策の見直しは、我々のときにはお米生産農家に一反当たり一万五千円、そしてそれが安倍政権になって七千五百円、そしてそれがなくなるんです。ですから、いいですか、TPPによる農林水産物の影響政府試算、六番ちょっと出してください、これ、何ですか、この米ゼロ円というの。これ、ふざけているのか、けんか売っているのかという数字です。 それで、今どういうことが行われているかといいますと、米は米でも主食用米は、いわゆる国内消費が減ってきますよ、だから余り作ってももうかりませんよというふうに農家にアナウンスをしています。その反面、逆に言うと、先ほどの自由民主党の質問者の中にあって、更に米を輸入するんです。そして、余るのが確実なので餌を作れというのが今の安倍政権の農政の米政策です。 農家の方々は暮らしが大事です。そして、後で申し上げますけれども、キーワードにありますように、攻めの農業も輸出も大事ですけれども、持続ということが農業にとっては一番大事なキーワードなんです。だから、これ大事なんだけれども、背に腹は代えられないから、プライドを捨てて主食用米から餌米に切り替える人が出てきます。それも仕方ない。 私たちは、今、安倍政権の米政策の中で少しだけ評価できるとすれば、水張りのいわゆる水田を維持するというところに、餌米という形ではあっても寄与しているからであります。逆に言うと、例えば北海道地域のように広大な稲作地帯で餌を作っても、食う家畜が近くにいないところはどうするんですか。これは、もう既に北海道の稲作農家は、収穫したばかりなのにもかかわらず、心配で心配で農林水産省に米の政策はどうなっているんですかというふうに聞きに行っています。 そこで、明確な答えをここでいただこうとは思いません。山本農林水産大臣にお答えをいただくことは私はできないと思っています。 それで、そういう米の政策やいわゆる自由貿易に対する政策が不備なのにもかかわらず、今、安倍政権がやろうとしていることは何でしょうか。それは規制改革会議です。 これ、知っていますか。「急進提言「調整」鍵に」。そして、その前、土曜日、「JAに信用譲渡迫る」。これはどういうことかというと、さっきの影響試算もさることながら、農家は今回の安倍政権のTPPにばく進する政策に物すごく懐疑的です。農協も、生かさず殺さずでやってきたけれども、余りにも邪魔なことを言うので潰してしまえというぐらい過激な改革方針です。 そんな中で、私は北海道選出ですので、聞き捨てならないフレーズが農業新聞に出てまいりました。組勘です。山本大臣、北海道農業における組勘の重要性について教えてください。
○国務大臣(山本有二君) まず、安倍内閣における農業改革、この目玉は農業者の所得が向上すること、この一点に向かって頑張っております。その中で、農業者が必要な運転資金を円滑に調達できるようにすることは重要でございます。 現行の組勘制度につきましては、その約定書に農畜産物を営農計画に基づき農協に販売する旨が定められているわけでございまして、農協を利用しない販売がしづらくなっているという面がございます。また、勘定の精算を毎年行う必要があるため、一年間で出荷に至らない農業、すなわち畜産農家などには少々利用しづらい面というものがございまして、これは、ここは問題点であるということは共通の認識ではないかというように思っております。 こうした問題を相互に理解を得ながら、改善に向けた方策を模索したいというように思っております。
○小川勝也君 問題点を聞いたわけじゃないんですよ。重要性についてお伺いしたんです。 基本的に農業協同組合は、法律に基づいて組合員の意思で運営、運用がなされています。それを規制改革会議という横から茶々が入るというのは非常に不自然であります。これは相当大変なことになろうかと思っています。すなわち、TPPのことがこれあり、そして安倍政権の農政あり、規制改革会議ありで、まさに離農加速、離農促進、そして政府に対する不信感がどんどん高まっております。 TPPにはいろいろな問題点があります。私ども会派では、十番目、出してください、これは三十章二十一分野、いろいろあります。総理がアメリカに行って、帰ってこられてどういう報告をしていただけるかによって審議の在り方は少し変わっていくかもしれませんけれども、衆議院では審議時間が物すごく少なかった、そして、あるいはTPPの内容以外の質疑内容も非常に多くの時間を費やしましたので。今日も、与党からも非常に真摯な内容の濃い質疑がありました。私どもも、メンバーやあるいは会派の議員としっかりと分担をして、このTPPの様々な分野、問題点を明らかにしてまいりたいというふうに思ってございます。特に、食の安心、安全や先ほども議論がありましたISDの問題は、非常に難問でありますし情報が少ないですし、懸念をされておられる方が非常に多いというふうに思っています。成長ホルモン、遺伝子組換え、ポストハーベスト、この問題は同僚議員がしっかり質問してくれると思っています。 私は、せっかく総理と対峙をさせていただいていますので、総理の御関心の事項について一点だけ質問させていただきたいと思います。それは蜜蜂です。総理の大事な方が蜜蜂を飼っておられます。 これは、蜜蜂は、私もファーブル昆虫記などで読みましたけれども、いろんなことを教えてくれる非常にすばらしい動物なんですね。これはもう御案内のとおり、政府の所管は、農林水産省の生産局畜産部の中に蜜蜂を所管するセクターがあります。 私は何を問題としておりますかといいますと、蜜蜂が大量に死んでしまったという例がたくさんあるんです。これは今、衆議院の大島議長にお願いをして、勉強会をこさえていただけないかというふうにお願いをしているところであります。どうやらその原因がネオニコチノイド系農薬によるのではないかというふうに言われています。科学的うんたらというのがこのSPS、非常に難しいこれからことになってまいります。蜜蜂だけかというと、トンボも減っているんだそうです。スズメも減っている。 このネオニコチノイド系農薬は何に使われているかといいますと、いわゆる水田におけるカメムシの防除。カメムシがたくさんいると米に黒点が付いてしまう、これがいわゆる米の見栄えを悪くして評価を悪くし、収入を減らしてしまうということで、このネオニコチノイド系農薬を使っているんだそうであります。 もし仮に、今、TPPの発効は少し遠のいたと私は仮定しておりますけれども、TPPが発効する前に、私たちの国がネオニコチノイド系農薬は国内の事情で輸入禁止にしますよということが可能なのかどうなのか、TPPが発効した後、ネオニコチノイド系農薬を是非とも輸入禁止にしたいんだけどということは本当にあるのかないのか、そして、そのことによってアメリカ合衆国やその他の外国企業から日本政府が訴えられて、いわゆるISDです、訴えられるような事態はあるのかないのか、これは石原大臣でしょうか、御答弁いただける方にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(澁谷和久君) TPPが発効していない時点で、もうWTOのSPS協定は今動いているわけでございます。SPS協定でも科学的根拠が必要だということになっておりますので、そのSPS協定に基づいて認められる必要な規制であれば、TPPが発効しても全く同様ということでございます。
○小川勝也君 私は、先日の本会議の総理の、ISDで日本が訴えられることはないと断言されたので、青ざめました。ということは、訴えられるような措置を放棄するということなんです。国民の健康が危うくなるような事象はこれからもいろいろいろいろ指摘され、出てくるんです。しかし、そのことが科学的に証明されるまでには時間が掛かるケースがたくさんあります。しかし、ヨーロッパ、EUでは、日本と違ってしっかりとガードをして、国民の生命、財産やあるいは健康を守っている。日本は、訴えられるのが嫌だということでそういう措置をとれない国になってしまうのではないか、これを物すごく心配しています。 そして、ISDをなめちゃいけないと私は思っています。いろいろと講師からお伺いをする中で、アメリカ合衆国のビジネスの中で訴訟というのも大事なビジネスになっているんだと。アメリカは、TPPを含めてこの訴訟で稼ぐんだという文化があるんです。ところが日本は、二番、見せてください、優しい国なんですよ。売り方よし、買い方よし、世間よし。裁判沙汰という言葉に象徴されるように、人を傷つけてまで自分がもうけるということに非常におっくうな国柄であります。いい自動車を造るということであれば日本国は世界一になれます。しかし、世界の狩猟民族が中心となってつくった国と我々のようなおっとりした国が争って絶対勝てない分野は、私はその訴訟合戦だと思っています。 ですから、ISD条項については、これからも様々な自由貿易体制やルール作りのときにいろんな議論になっていくかと思いますけれども、安易な発想の中で、日本は訴えられることは絶対にないというような甘い発想だけはやめていただきたいというふうに思ってございます。 最後、締めますけれども、私は、今日、総理と与党議員とのやり取りの中で、まあTPPになれば有利になる分野があるということも否定はいたしません。しかし、地球規模の中で、こっちが輸出をすれば向こうで生産できなくなるものもあるというふうに他者を思いやる気持ちが大事だと思います。そして、輸出でもうける人がいるとすれば、逆にパンチを浴びてボディーブローが効く人もいれば顔面にパンチを浴びて鼻血を出す人もいる、それが自由貿易体制の怖いところだということをしっかり御認識をいただければというふうに思っているところであります。 冒頭申し上げましたとおり、気を付けてニューヨークに行っていただきたいと思います。そして、しっかりと答えをこの委員会に持って帰ってきていただいて、その安倍総理の答えによってこの委員会も審議内容を変える用意があるということを最後に申し添えさせて、私の質問終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○江崎孝君 四回目なんですね、総理と質疑をさせていただくのは。本当に有り難いと思っています。 さて、九月にアメリカに総理が行かれたときに、その当時、ちょうど同じ頃、イスラエルのネタニヤフ首相も訪米されておりました。そのとき、ちょうどアメリカの大統領選挙、クリントン氏とトランプ氏。今日は全て総理に対して質問通告させてもらっています。途中休憩が入りますから水入りもあるんですけれども、細かい質問があるかもしれませんが、できるだけ回答いただきたいというふうに思います。 話、戻します。ネタニヤフさんが行かれたとき、ちょうどクリントン氏とトランプ氏の支持率が拮抗し出した頃でした、九月に入って。だからでしょうけれども、ネタニヤフさんはトランプ氏とクリントン氏の両方に会談をそれぞれされたわけであります。 ところが、同じ時期に総理が訪米されたときには、残念ながらクリントン氏だけしかお会いしなかった。これは我が会派の会長である小川会長が以前質問されました。理由についてはもう今日はお聞きしません。しかし、これは非常に間が悪かったというふうに言わざるを得ないんですね。(発言する者あり)外交センスがないという声が聞こえていますけれども、どういう理由で、外務省の主導なのか、あるいは安倍総理の御本心なのか、これは分かりません、それはおいておいて。 間が悪いというのはこれだけではなくて、正直、衆議院でのこのTPPの委員会のときに、何と総理は、強行採決は一度も考えたことがない、そしてこれからもそういう思いはないという、そういう類い、趣旨の御発言をされております。その後、あの十一月の四日、強行採決、私たちは強行採決と思いますが。その前に、ちょうど昨年の九月の十七日、この場所でした。やじと怒号の中で、議事録、聴取不能とまで書かれている特別委員会でのあの採決の仕方。 これ、両方ともそうなんですけれども、これが強行採決ではないとお考えですか。まず、そのことをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、先般、九月にクリントン候補とお目にかかった件について申し上げますと、これはクリントン候補側から是非会いたいという要望があったわけでございます。 これは、外交というのは、かつて福田赳夫総理が表現をしておられたんですが、これは水の上を泳ぐアヒルのようなものだと。上はすうっと行っているんですけれども、下で水かきでかいているんですね、水かきの部分はなかなか見えないわけでございますが。我々は、大統領選挙が行われている際には、当然、この選挙戦に影響を与える、介入するという考えは毛頭ないと、そこで注意深く対応していたわけでございます。 そこで、クリントン大統領から、あっ、クリントン候補からはそういう要請がありますのでお目にかかるわけでありますが、同時に、トランプ陣営側にも、クリントン大統領からこういう要望があったのでお目にかかりますよということは伝えているわけでございます。 ネタニヤフ首相との関係において、日程上どうなっていたのかは知りませんが、それぞれ滞在の時期も、中での日程も違うわけでございまして、そこで、その後、我々は、トランプ陣営の有力者と私自身も会ったわけでございますが、その際トランプ候補から、今回遊説の関係でちょうどこのときにお目にかかれなくて、ニューヨークにいなくて残念であるというメッセージも伝えられているわけでございまして、しかし、そうした水かきのかいている結果、電話会談につながり、そして十七日のこれも会談につながっていくという、それが外交ではないかと、こう思う次第でございます。 そしてまた、強行採決かどうか。これはまさに、我が党は立党以来、強行採決をしようと考えたことはないのは事実でございます。先般のですね、先般のTPPの衆議院の採決におきましても、野党である維新の会は出席をされた、かつ賛成もされているわけでございます。また、平和安全法制におきましても、当時、野党であった幾つかの会派がですね、幾つかの会派が賛成に転じているのも事実でございまして、どのような評価をされるかということはこれは議会において評価をしていただきたいと、このように思う次第でございます。
○江崎孝君 恐らく、今お話を、これテレビ放送されていますから、恐らく聞かれている方はまた驚きの声だったろうと思います。 前段での会談の話は僕は質問していなかったんですけれども、お聞きしていなかったんですけれども、実はその後の強行採決での話をしてほしかったんですが。私は、総理のそういう態度が少々、やはり日本の政治の品度を落としていると言わざるを得ない。非常に失礼な言い方ですけれども、もっと言えば政治に対する国民の信頼を失墜させている、低下させている、こう思わざるを得ないわけであります。 総理御自身の考え方はどうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の御発言はそのままお返ししたいというふうに私は思うわけでございまして、国民が求めているのはまさにしっかりとした中身の濃い審議をするかどうかということでありまして、今、審議拒否については国民の皆さんは全く評価をしていないのは事実なんだろうと、このように思います。 そして、採決の姿がどうあるかということについては、これは与野党で考えるべきではないだろうかと、こう申し上げているわけでありまして、野党の中においても、出席をして議論したい、あるいは賛成したいという党があったのは事実であります。それはお認めになると思いますよ。平和安全法制についても、それはそうだったのは事実でございます。事実、我々と最終的な協議をし、賛成に転じたのは……(発言する者あり)済みません、ちょっと場外から発言されるのは、今まさに江崎さんとですね、江崎さんとこう真摯な議論を進めているわけでありますから、場外から、福山さん、やめていただきたいと、このように思います。やじはやめていただきたいと思います。 そこでですね、そこで、まさに野党の皆さんとの御協力をいただきながらしっかりと審議を進めていく、そして採決においても静かな環境の中で採決をしていくことが望ましいわけでございますが、繰り返しになりますが、平和安全法制の際にも、またTPPの際にも、野党の出席、賛成を得て採決に至ったことは事実でございます。
○江崎孝君 やはり、それはどうしても自分の自己都合の上塗りの回答しか聞こえないわけでありまして、正直もう少し、国民の皆さん、あるいは我々政治家も含めてですね、対しても、もう少し真摯な態度で本当臨んでいただきたいなということを改めて強く申し上げておきたいと思います。政治に対する信頼の失墜は、これ取り返しの付かないことになってまいります。この数年の間の審議の内容の問題を含めて、非常に大変なところに来ているんだろうということを改めて申し添えておきます。 さて、昨年と今年の強行採決でありますけれども、集団的自衛権の行使容認を含めた安全保障関連法案の強行採決、これも、これはいろいろありますけれども、結果論として日本が、米国が進める戦争あるいは紛争に加担をする危険性が高まった、これは間違いなく言えるだろうというふうに思います。政府がどう説明を繰り返しても、そのことを恐らく覆すことはできません。あえて国民を説得できる理由を探すならば、日米同盟の深化というか、日米同盟のために仕方がないということぐらいだろうというふうに思うんですね。もちろんそれは、東アジアで台頭する隣国中国とのパワーバランス、これも大きな意味合いがあったということはもう皆さん御存じのとおりです。 さて、今回衆議院で採決された、強行採決されたTPPですけれども、経済連携協定でありながら、先ほどの三宅委員からありました、安全保障の分野も相当これは踏み込んでいる、そういう思いもある、そういう気持ちもある、当然だろうというふうに思います。国民の皆さんもそのことにもうそろそろ気付き出しているんだろうと思います。 さて、そこで、先ほどからの話のとおり、米国ではトランプ氏が次期大統領候補になったわけであります。そして、ここ、るるお話があっているとおり、離脱をするということがはっきりしているというような状況になりつつあります。しかし、日本では、今話をしたとおり、強行採決はしないと言っておきながら、強行採決に踏み切ってしまった。総理は自らの約束を無視して採決を強行しました。その強い姿勢は一体何なのか。多分これが国民の皆さんの一番今の不安、不信だろうと思うんですね。 なぜそこまでやって、そしてトランプという人が大統領候補になった翌日に強行採決を、これは総理が指示なさったのかどうかは分かりません、しかし自民党総裁としての責任は大変大きいと思います。そのことに対してお気持ちをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 採決するかしないかは、まさに国会において、委員会においてお決めになることでありますから、私は行政府の長でありますから、質問に対して丁寧に誠実にお答えをするという責任を果たしてきたつもりでございまして、いずれにせよ、議論が熟してくれば、これ採決に至るわけであります。これ、私は指示はいたしません。まさにこれは委員会において、国会においてお決めになることであって、そういう中で判断をされたと、このように思っております。
○江崎孝君 そこまで踏み切るということ、恐らく、自民党の総裁として、あるいは総理大臣というお立場として、少なくとも容認されたことは間違いないわけでありますから、そのことに対する責任はやはり僕は重いというふうに思わざるを得ない。 そして、今回トランプ氏が大統領になった。トランプ氏のTPPからの離脱の意思表明は、僕は、中国との関係、これ、TPPというのは、環太平洋、どちらかというと、先ほど三宅さんもおっしゃったとおり、中国を思いつつも、経済連携協定の中でどうアメリカを中心とする経済連携をつくっていくのか、そういう極めて安全保障の意味合いが強い部分があると思うんですね。そこからトランプ氏が離脱をするということを、もうはっきりしたわけでありますから、これは、考えようによっては、中国との関係を見直すということになるかもしれない、あるいは敵対から友好へのかじ切りに今後なるかもしれない。そうなると環太平洋の国々との安全保障関係もこれ変わってまいります。 このTPPの強行採決は、日本だけがその流れに逆らいたいという意思表示で捉えられていないのか、僕はそれをすごく危惧をするわけであります。総理のお考えをお聞きします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょっとどういう意味で今世界の流れということを言われたのか、私もよく実は理解できなかったんですが、まさに、これは繰り返しになりますが、戦前は版図の広さが経済の実力になったわけでございますが、戦後は、版図の多くを失った日本とドイツ、これなぜ日本とドイツが成長を遂げたか、これはまさに自由貿易の恩恵と言ってもいいんだろうと、こう思うわけであります。版図がなくても、版図がなくてもこれは自由貿易が行うことができるということであります。その中で日本もドイツも大きな成長を遂げることができたわけでございますし、そして、それは一部の大企業だけに利益をもたらすものではなくて、これは中小企業あるいはそこで働く労働者にも利益をもたらすのは事実であろうと、こう思うわけでございます。 しかしながら、この経済の状況の中において、海外から入ってくるお金や人あるいは物に対しては反感が生まれやすいのは事実でございます。そういう中において保護主義は台頭していく。政治がこの中でポピュリズムに陥っていけば、そうした反感を利用して政治的な支持を広げていくということになって、言わばこの保護主義は広がっていくわけでございますが、TPPにおける理念と価値については先ほど私がお話をさせていただいたとおりであります。 自由や民主主義や基本的人権、そして法の支配といった価値を共有する国々と自由で公正な貿易圏をつくっていく。これはまさに新しいルールを、二十一世紀型のルールを作っていくと。そういう中では、中小企業あるいは小さな会社であったとしてもルールはしっかりと守られる、彼らの知的財産もしっかりと守られていくという、そういうまさに法の執行において、法の強化、法の支配の強化がなされると言ってもいいんだろうと思うわけでございます。その自由貿易圏をつくっていくという、自由貿易の大切さ、価値を世界に発信をしていくという役割がまさにこのTPPの議論に委ねられていると言ってもいいんだろうと。 ですから、何か分からないような流れに逆行するということではなくて、私が申し上げているのは、まさにこうした保護主義の蔓延を食い止める上において私は、このTPPの議論をしっかりと進めていき、これは批准をお願いをしたいと、こう申し上げているわけでございます。
○江崎孝君 長く回答された部分は、後半、午後からその自由貿易の問題について少し議論させていただきたいと思うんですが。 私は、今言った米中関係が変わるんじゃないかという危惧をしたから言っているわけであって、今恐らく、外交も含めて、このトランプ大統領の出現によって日米関係がどうなるのか、そして米中関係はどうなっていくのかというところが恐らく水面下での危惧の話だろうと思います。 じゃ、もう一つお聞きします。 元々、トランプ氏はプーチン大統領をある面では好意的に話をされていた部分が正直あります。先ほど申しましたとおり、このTPPというのは、経済連携協定でありながら、環太平洋の安全保障という側面も相当有しているわけであります。当然これ、米ロ関係もこれからどう動いていくのかというのは非常に難しく、分からなくなってくるだろうと思います。 そんな中で、安倍総理大臣は、十二月の十五日にプーチンさんと山口で会われます。非常にそういう意味でも私は間が悪かった強行採決ではないかと言わざるを得ないんですけれども、仮に米ロ関係が今よりも状況が変わってくるような可能性があるとした場合、トランプ氏は元々オバマさんよりもはっきりプーチンさんのことを好意的に言っていらっしゃるわけでありますから、そのトランプ氏がTPPからの脱退を表明をしているわけであります。 山本農林水産大臣の極めてウルトラCの発言によって、元々はもっと早く採決をする予定だったのが、事もあろうに十一月の八日過ぎ、大統領選挙の後に採決をするという余裕が生まれたわけですね。だとすれば、もう少しトランプあるいはクリントン、アメリカの大統領選挙の結果をしっかり見た上で国内の政策を、対応できるという状況が生まれたわけでありますから、それをなぜ翌日早々に多数で採決を成立させてしまうのか、私はここに本当に間の悪さを感じざるを得ないんですよ。 その意味で私は、これはお答えできるかどうか分かりません、十二月のプーチン大統領との会談で、今回の強行採決がプーチン大統領に対して少なからず心証を与えたのではないかという危惧もするんですが、その辺はどうでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、トランプ次期大統領の政権がどのような外交政策を展開をしていくかということについて、今予断を持ってお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。 それで、今の御質問ですが、このTPPの採決とプーチン大統領との会談は、これ何の関わりもないというふうに考えております。
○江崎孝君 そうあることをもちろん私も願っております。ただ、余りにも間が悪い採決の仕方だったということは改めて御指摘をしておきます。大統領選挙があったわけでありますから、TPPに関しても、少なくとも政府の中でももう少し議論、方向性を進めてよかったのではないかということを指摘をしておきたいというふうに思います。 さて、日本は、安倍総理の下に、武力と経済、あるいは集団的自衛権が武力と言えば、このTPPは経済というふうに言ってもいいかもしれません。これが、両方の強行採決、このTPPがこれからどうなるか分かりませんけれども、条約は三十日ルールがあるわけでありますから、両方とも、先ほどの私どもの小川幹事長のフリップにもあったとおり、集団的自衛権もそうですが、恐らく国民が圧倒的に反対を支持をしていたわけです。反対を表明をしていたわけです。反対というよりも、いや、国会審議をもっと尽くしなさいという要望があったにもかかわらず、そのことを強行をしてしまったということは、私は、安倍総理の下、日本の国民は非常に今不幸な政治環境の中にいると言わざるを得ないというふうに思います。 政治の責任は、私たち政治家の仕事は、国民の皆さんの幸せのために過去を学び、今を改革をして将来に備えることだと思っています。今、将来に備える議論は、パリ協定、COP22がやっています。本来だったらこれを先にやるべき仕事だった、それをせずに強行採決に及ぶこのTPPの議論にしたこと、改めてそのことを指摘をさせていただきながら、残余の質問は昼からの質問に代えさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(林芳正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○江崎孝君 どうもありがとうございます。 途中で一時間の休憩があるという質問も初めてなものですから、午前中は余り私の質問に答えていただかなかったような気がするんですが。 私は、トランプ次期大統領が誕生したことによって米ロ関係あるいは米中関係が何らかの違った方向に動くんじゃないか、そんな指摘もさせていただきながら、安全保障という、中国包囲網であるこのTPPという経済連携協定にそのトランプ氏が離脱をする可能性もあるわけでありまして、そのことが、大統領選の結果が出た翌日に、むしろ日本だけがそういう世界の流れから逆行するような、そういう方向にああいう形でかじを切るということは、正直、政治としてのセンスの問題も含めていかがなものかということを御指摘をさせていただきました。 その質問の途中に、総理は自由貿易についてるる御説明をいただいたわけです。その質問については後で譲るという話をしていましたので、そこから午後の質問を再開させていただきたいと、こう思います。 本当に自由貿易で私たちの国が潤ってきたかということでございます。私は別に自由貿易を否定するわけではありません。一般的に私たちが考えている、あるいは国民の皆さんが考えている自由貿易という概念と、果たして今TPPが進めていこうとしている自由貿易が本当に一致するものなのかどうなのか、ここに大きな僕はそごがある、そのことを指摘をせざるを得ないわけであります。 総理が自由貿易で我が国は潤ってきたとおっしゃいますけれども、私どもの日本が経済成長率が一番大きかった時代はいつか御存じでしょうか。私が調べた中によると、一九五六年から七三年度までが平均九・一%、七四年度から九〇年度までが平均四・二%です。そして、自由貿易協定、これはNAFTAですね、これが始まった、ガットが事実上破綻をした九二年、これ署名します。実は、九一年から一五年度まで、これが〇・九%にまで落ち込むわけです。ですから、一九九〇年以降、冷戦構造が終わって以降のアメリカ一国中心主義の自由貿易というふうに名を借りたグローバリゼーション、あるいは新自由主義と言ってもいいかもしれませんが、これは決して世界的にも富を生まなかった。 これは世界もそうなんですね。一人当たりの所得の成長率を見ると、一九六〇年から八〇年が三・二%、八〇年から九九年が二・二%に下がっています。途上国も三%から一・五%に半減しているんです。この間、中国とインドの成長というのがあります。それを加味してもこれだけ下がっているわけですから、いかに九〇年代以降のいわゆる自由貿易、総理がおっしゃる自由貿易、そこを自由貿易とおっしゃるならば、それが世界に対して、あるいは日本の経済成長に対して決してプラスには動いていないということを指摘をしなければなりません。 自由貿易という美辞麗句の仮面をかぶった新自由主義、グローバリズムは、貧困と格差を世界に蔓延をしているというふうに言われています。それでも総理はこの自由貿易が、私が今言った自由貿易ですね、お分かりになりませんか。 自由貿易というのは、御承知のとおり、戦争終わった後、第二次世界大戦終わった後、これは自由貿易です、確かに。しかし、残念ながら今のようなTPPのような自由貿易ではなくて、それなりに国では保護主義、関税であったり自国の生産の規制だったり、そういうのをやはりきちっと掛けてきた、いろんなことをやっていたんですね。それが一九九〇年以降の冷戦構造の崩壊の以降、こういうNAFTAとかFTAとかガットに代わるバイの自由貿易協定等々が動き出し、グローバリゼーションの中で今のような状況が生まれてきた。そのことを私は自由貿易とは言わない、あるいはそのことを自由貿易といってTPPを、これは将来にわたってこれが絶対必要なんだ、国を富ますんだ、そういうことを言ってほしくないなという思いがしたんですね。 改めて、このTPPはそういう意味で自由貿易協定なんでしょうか。分かりますか。(発言する者あり)分からない。今言ったこと、お分かりになりませんか。 自由貿易というのは、言ったように、一九九〇年代以降と九〇年代前とは大きく形が変わってきたと、こういうことを言っているわけです。九〇年代以降のアメリカ中心主義からいえば、極めて新自由主義、グローバリゼーションという意味での、規制緩和を中心とする、そして世界中の富をアメリカに集中するような、そういう自由貿易協定が始まっているということなんですね。 そのことを総理は自由貿易だと言っているのであれば、私は真っ向から反論しなければなりません。全体の自由貿易協定ではなくて、自由貿易ではなくて、我々は、確かに日本という国は自由貿易の中でもそれまで、一九八〇年まで、今言ったとおり、関税であったり国内の企業の保護であったり農業の保護であったり、こういうことをきちっとやりながら日本は冠たる経済成長を実現をしてきたわけでありますから、それとは違う自由貿易協定が今進んでいる、これがTPPではないかということを今指摘しているわけです。 その点、改めて、自由貿易協定、今言ったことの私に対する反論があればどうぞ答えていただきたい。なければ結構ですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 午前中、私と与党の議員との議論も聞いていただいていたと、このように思うわけでありますが、私は、自由貿易と申し上げていますのは、これはもう自由貿易については随分長い議論がございます。 特に、例えばイギリスにおいても、戦前から自由貿易に対する議論が随分ありました。チャーチルは、自由貿易をめぐる議論において保守党の同僚議員と考え方が違って、自由党に一旦行って、そしてまた保守党に戻ってきたという歴史があります。その中においては、例えばイギリスの、英国の保守党は元々自由貿易に対して非常に懐疑的で保護主義的であったわけでありますが、その後変わってきたわけでありまして、この自由貿易に対する考え方は、基本的には、自由貿易と保護主義との関係においてはこれはずっと今日まで一貫してきているわけでございます。 その中で、自由貿易において言わば関税についてどこまで、自由貿易と一概に言いましても、これ関税だけの話ではなくて、非関税の世界、そしてあるいは、あるいはまたルールをどうやって決めていこうかという広い意味があるわけでありますから、そこをよく見ていく必要があるんだろうと、こう思うわけであります。 そこで、今委員は、アメリカ中心主義でアメリカに富が集まるという言い方をされた、それで一くくりにされたわけでありますが、しかしFTAやEPAは、実は日本はアメリカとはFTA結んでいませんが、それ以外の多くの国々とEPA、FTAを結んでいるわけであります。これはアメリカとは関係のない話であるということは御理解をいただけるんだろうと思います。 ですから、言わばなかなかWTOが、WTOも、日本は戦後ガットに入って言わば自由貿易の世界の中において様々な利益を享受してきたのは事実であろうと。そして、WTOの中において、例えば中国もWTOに参加することによって急激に成長を果たしたのは事実でございます。 このWTOの中においてなかなか進捗がはかばかしくないという中において、各国がEPA、FTAを結ぶようになり、そして今回TPPになったというのが歴史でございまして、そこで米国が新しい、まさに新しい、今委員が言われたような概念をつくったということではなくて、しかし、そのルールの中でアメリカの言わば一部の企業が大きな利益を上げているというのも事実なんだろうと、このように思いますが、しかし同時に、これは米国が、ルールを作るのは米国中心に作るわけではもちろんないわけでありますが、しかしルールを作るときになるべく各国が自分の国益を守るためのルール作りを進めていくのは、これは各国当然のことであろうと思います。 ですから、今回も、TPPにおいては新しいルールを作っていく中において、日本はルールメーカーになろうということでこれはその役割を果たしてきたわけでございます。このルールメークということにおいては、日本は大きな役割を実は担っていたんだろう、日本の事務局体制は非常に強いものですから、多くの事務的な作業は日本の事務局にもこれは頼っていた、このTPP十二か国が頼っていたのも事実でございますから、先ほど随分日本の事務方が多いではないかという御指摘がございましたが、それはそういうことにもよるわけでございます。 そこで、大切なことは何か。じゃ、TPPについては、では、これはアメリカ、アメリカ一国に、アメリカ一国に富が集中することを助長するものになるのかどうかということでありますが、それは決してそういうことではなくて、守るべきものは守っていくということにポイントがあるわけでありまして、そもそも日本はTPPに加入する際に、日本は農業分野がセンシティビティーがある、米国は自動車等において工業製品にセンシティビティーがあるということをお互いに了解をしながらTPPの交渉に日本は参加をしたわけでございまして、まさにレッセフェールではないということは申し上げておきたいと、このように思います。
○江崎孝君 ありがとうございました。るる説明いただいたんですけれどもよく分からなかったんですけれども。 私自身も勉強しなきゃいけないんですが、少なくとも、ノーベル経済学賞を受賞した、総理もこの春にお会いになったスティグリッツ、先ほど小川委員の方からも質問が出ました、この方は自由貿易協定ではないとおっしゃっています。これは管理貿易協定だというふうに指摘されているんですね。それは何かというと、つまり、自由というのは全ての人にとっての自由ではなくて、特定の利益団体にとっての自由、特定の利益団体が恩恵を受けるために発効されるものだというのです。ここが、私たちが危惧をしているTPPに対する大きな問題点があるんです。そのことには一つも質問には答えていただかなかった。 そこで、質問を変えさせていただきます。 私の、せんだって、第二十六回という高校の、伝習館高校というんですけれども、そこの同窓会で集まって、必然的にTPPの話になりました。その中で彼らが何を言ったか。やっぱり不安だと言うんですね。将来日本がどうなるのか、これが不安でしようがない、こんな話をします。これ、恐らく全ての国民の皆さんがそんな思いであるというふうに思うんですね。 じゃ、その中の一つのシンボリックな存在として遺伝子組換えの話をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、総理、今回のこの遺伝子組換え食品あるいはモダンバイオテクノロジー生産品、現代のバイオテクノロジー生産品という言い方をこのTPP協定ではしています。今回初めて、少し大きな世界の貿易協定、経済連携協定の中にこの遺伝子組換えというのが入ったんです。これは初めてのことです。それも、お魚、農産品並びに魚及び魚製品、魚の製品ということが今回初めて加えられたんです。 この現代のバイオテクノロジー生産品というのはTPP協定の中のどの項に入ったか、総理、御存じですか。いや、総理にお聞きしたいんですけれども。
○国務大臣(石原伸晃君) お答えいたします。 ただいま江崎委員から御指摘のございました遺伝子組換え食品に関する規定は、TPP協定の第二章二十七条、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に規定をされております。 本規定の趣旨は、未承認の遺伝子組換え作物が微量に混入した作物の輸入の未然防止や発生時の迅速な対応のため、TPP締約国の間で協力を図ろうとすることと認識をしているところでございます。
○江崎孝君 今初めて、検疫の世界ではなくて、今回初めて市場アクセス、そこに入ったわけであります。これは非常に重要なことだろうというふうに認識をしています。 つまり、米や豚肉など、もちろん麦もそうなんですけれども、一般の農産物という中にくくりとして今回初めて現代のバイオテクノロジーの生産品が入って、その定義は、農産品並びに今言った魚あるいは魚から作られた製品、今回初めて動物が入ったんです。これも初めてのことです。 では、これは総理にお聞きしたいんですけれども、じゃ、この遺伝子組換えで作られた魚、つくられた最初の魚はどの国で、流通している国は、今現在流通している国はどことお考えになっていますか。総理、御存じですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お尋ねの遺伝子組換え技術を利用して開発された魚でございますが、二〇一五年十一月に米国食品医薬品庁、FDA、これが、そしてまた二〇一六年の五月にカナダの保健省が安全性を確認をし、食用として流通することを認めたサケがあるというふうに承知をしております。 このサケにつきましては、アメリカとそれからカナダの在日大使館を通じて具体的な商業生産の予定が立っていないということが把握をされておりまして、日本への輸入はまだ見込みはないということでございます。今、事実関係だけでございますが、取りあえずそこまで。
○江崎孝君 流通していないというお話なんですけれども、私の情報では、ウォルマート以外のスーパーでは販売拒否されたというふうに言われていますけれども、流通しているという話。これ、二百万人が反対したんですけれども、流通が始まったという話を聞いていますが、これは情報のそごがあるかもしれません。 いずれにしても、アメリカで初めて作られた。これ三倍ぐらいの大きさになるんですね。深海魚のホルモンを入れた遺伝子組換え、まあ遺伝子組換えというか遺伝子操作ですね、操作によってあっという間に大きくなるという、こんなでかいサケなんですけれども、それが今唯一魚といえば魚です。 それ以外に考えられないんですよ。今回の中で、農産品並びにここで言う魚及び魚製品というのは、もうこれはそれ以外に考えられないわけですね。それが、市場アクセスという普通のものの農産物のやり取りに規定されるところにこれが入ってしまっているということは、これはどう考えても将来的にこの遺伝子組換えのお魚さんを巨大なマーケットの日本に売り込もうとしているんじゃないかというような思いがしてならないんです。 それで、遺伝子組換えの問題に関する各国の規制の状況の一例を申し上げたいと思います。(資料提示) これは、今TTIP、アメリカとEUで少々もめています、このTTIPのことに対して。そのもめている原因の一つが、もちろん最初から、ずっとこれまでも議論されてきたISDS条項の問題、それと、この遺伝子組換え食品の問題だというふうに言われています。 ここにあるのは、日本とEUの今現在の食品の表示方法の違いなんです。対象食品、日本は食用油やしょうゆなど大半の食品が表示の対象外となっています。EUは全て対象です。対象品目は上位三品目、つまり、その製品の中の重量の多い順三品目だけ。EUは全て表示しなければならないとなっている。総理、聞いてください。余り興味がないんですか。是非聞いてください。これ、大事なことなんです。 それで、意図せざる混入の許容率。これ、どうしても遺伝子組換えのものが、例えば船で輸入されるときとか、残留物があったりする。それが日本の場合は五%まで入っていたらオーケーなんです。EUの場合はたった〇・九%なんです。意図せざる混入と言われています、これが。これは物理的にしようがないという話なんですけれども、それでも〇・九%まで厳格にやっています。あと、外食です。日本は全く関係ありません。EUはメニューに表示しなければならなくなっているんです。飼料作物、これ、日本、全く表示は義務がありません。しかし、EUはこれは全部表示しなければならなくなっている。 果たして、どうでしょう、これと日本の今の表示の違い、どちらが自由貿易かというふうな話をしたときに、どっちも自由貿易なんですよ、考え方は。どっちも自由貿易なんだけれども、EUのような域内の国民の皆さんの思い、これは安全を保障しなさい、あるいは科学的根拠を出せと言われても……(発言する者あり)ちょっと黙っていてくださいね。遺伝子組換え生産品をやっぱり食べたいとは思わないんですね、まだどうなるか分からないから。アメリカの方もそうなんです。食べたいと思わないんです。 だからこそ選択を、国民の皆さんに選択の自由を与えて、食べる食べないというのはそこで選択をしてもらおうということでこの食品表示があるわけですけれども、果たして、日本では今現在でも消費者の皆さんに選択する自由がこれであるでしょうか。今でもこんなに極めてフレキシブルな状況になっています。 そこで、これは総理にお答えいただきたいんですけれども、果たして、TPP、条約を批准して発効します、発効する可能性が非常になくなったからうれしく思っているんですけれども、発効する、可能性としてある、発効した場合ですね、この現実の状況を日本の消費者の皆さんが分かって、知って、余り御存じないと思うんですね。知って、やっぱりEUみたいに表示をもう少し厳格にしてほしいというような要請があったとき、国会議員として我々が要請を受けたときに、果たしてTPPが発効したときにそれは可能なんでしょうか。これ、総理にお聞きします。
○国務大臣(石原伸晃君) 詳細は松本大臣にお聞き願いたいと思いますが、TPP協定の貿易技術的障害、いわゆるTBT章、八章でございますけれども、WTOのTBT協定と同様、表示ルールなどを定める際の手続や透明性の確保について定めているものでございまして、我が国の食品表示制度に何ら変更を及ぼすということは想定しておりません。そして、我が国が必要と考える食品表示制度の変更をする場合に、新たな制約、すなわちこのTPP加盟国からこうしなさいよというようなことはございません。ですから、委員御懸念のような点は十分に改良しようと思えば改良できるというふうに御理解いただきたいと思います。
○江崎孝君 それでは国民の皆さんの不安は全く解消しません。 このTPPの協定、私も全文とは言いませんけれども、相当読ませていただきました。しかし、残念ながら、今のその国の例えば規制なり、あるいはその法律をすぐ変えなさいとかということは一切書いてありません。そんなことをやったら、これ批准しなくなっちゃいますから。だけど、それをあえて隠して、いろんな問題がそこに盛り込まれているんです。例えば作業部会であったり、例えば、今、石原大臣がおっしゃった貿易の技術的な障害であってもそうなんです。ここには、御存じだろうと思いますが、ここは余り難しいので触れたくないんですけれども、強制規格、任意規格あるいは適合性評価の手続等で今後どうしていくのかということを明確にやらなければならないような状況になっています。 今は、日本の表示義務についてはこのTPPの協定の現在の文言の中ではいじられないことになっていますけれども、発効した後、今後どうしていくのか。これは、そういう意図的に加えられたというのは間違いないわけですから、魚の話は。当然、そういう圧力が掛かってくるのはこれ間違いないということをここで指摘をしておかなければなりません。 今、これは遺伝子組換えという非常に特徴的な例だけをお示しをさせていただきました。それ以外にいっぱいあるんです、国民の皆さん。そのことを私たちは一つ一つ議論をしていかなければ国民の不安は取り除かれないということを指摘をしておきます。 質問が限られてきました。最後に、これはトランプさんと一緒に、トランプ氏と併せて、トランプ現象、もう一つのアメリカの大統領選挙の現象では、バーニー・サンダースさんのサンダース現象というのがありました。 ここで、サンダース上院議員は二〇一五年の五月十四日にアメリカの上院で演説をしています。TPPに反対する四つの理由、時間がありますからちょっとこれ読みますけれども。 第一の理由です、反対するサンダース上院議員が言う第一の理由。TPPが、NAFTA、CAFTAもあります、これは説明しません、あるいは中国との恒久的正常貿易関係、米韓FTAのような過去の破滅的な貿易協定をなぞって作られていることが第一の理由ですというふうに言われています。つまり、TPPがNAFTAだったり米韓FTAのような過去の破滅的な貿易協定をなぞって作られていることを指摘している。 その理由は、これらの貿易協定が、十分な賃金が得られる数百万の雇用を私たちから奪い、アメリカの労働者が一時間一ペニーで働く低賃金の国々の労働者との競争を強いられる底辺への競争につながったことは明らかです。 議長閣下。繰り返し繰り返し、この種の貿易協定の支持者たちは、これらの貿易協定がいかに多くの雇用を生み出し、我が国の中間層や労働者階級にとっていかに有益なものか、私たちに語ってきました。しかし、繰り返し繰り返し彼らが私に語ってきたことが実際には全て誤りであったことが明らかになってきたのです。にもかかわらず、彼らは再び、今回のTPPで同じ過ちを繰り返そうとしています。 一九九三年、当時のビル・クリントン大統領は、NAFTAで五年間で百万の雇用を生み出すと約束しました。しかし、実際にはNAFTAは七十万の雇用を奪いました。 さて、引用はこれで終わります。 総理は、このTPPで我が国内に何万の、あるいは何十万の新しい雇用を生み出すと国民にお約束をされるのでしょうか。最後の質問にさせていただきます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPの特徴は、例えば児童の労働をさせてはいけない、あるいは女性が就業することの意義等について記述があるということについては他の協定とは違う、異なるということは申し上げておきたい。つまり、労働条件についてしっかりと守っていきなさいよということがこのTPP協定については書かれているわけでございまして、そこは特筆すべきなんだろう、ですから低賃金を強いるものとはならないわけであると、このように考えておりまして、TPPは言わばそれが特徴であります。 ですから、今までのものとはそこは違うんだろうと、こう思うわけでございまして、TPPをまさにチャンスとし、そして言わば、先ほど申し上げましたように、しっかりとしたルールの中で、中小企業や小規模の事業者にも輸出のチャンスがある、また、これは輸出産業だけではなくて、輸出産業に納入している様々な地方の小さな企業にも恩恵は及んでいくと、このように考えております。
○江崎孝君 また議論をさせていただきたいと思います。 質問を終わります。ありがとうございました。
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。 本日からいよいよ参議院でもTPPの委員会審議が始まったわけでございますが、先週十一月八日、アメリカで大統領選挙がございました。ドナルド・トランプ氏が激しい選挙戦、勝利されたわけでございますが、このTPPの行く末にも関係しますので、まず、この点について安倍総理に何点か質問させていただきたいと思います。 この選挙結果を受けて日本でも株価が乱高下いたしました。そういう意味では、次期トランプ大統領との信頼関係をどう構築していくか、これが重要課題だと思っております。その面では、大統領選直後に安倍総理が電話会談をされ、また、十七日に直接会談をされる、このことを決められた、これは非常に良かったと思っています。この不透明感をなくしていく、重要と思っています。 九日での電話会談の内容、また率直な話された印象はいかがだったでしょうか。また、十七日にニューヨークで直接会談されるわけでありますけれども、両国間で従来共有されてきました自由、多様性の尊重、そして法の支配などの普遍的価値、基本的価値の確認を行いまして、我が国国内にある米政権への不安感を払拭しまして、あらゆる面での予見可能性を高めていくことが重要と考えますが、総理の見解をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大統領選挙で、米大統領選挙で勝利をしたトランプ次期大統領とは、当選の翌日、電話会談を行いました。日米同盟関係の重要性について認識を共有することができたと思います。トランプ次期大統領からは、できるだけ早期に会って日米両国にとって前向きな議論をしたいとの発言がありました。電話会談は、とてもこれは打ち解けた雰囲気の中で行われたと思います。率直な意見交換ができたと思っています。トランプ次期大統領との個人的な信頼関係を構築する上において非常に有意義なスタートになったと思います。 日米同盟は日米外交の基軸であり、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のきずなで結ばれています。この同盟のきずなについてトランプ次期大統領と率直に話をし、そして、日米が共有する理念や日米同盟が世界の平和と繁栄のために果たす役割といった大きな方向性について認識を共有することが重要と考えております。
○浜田昌良君 少し質問の順番を変えてお聞きしたいと思いますが、十月にトランプ氏の外交アドバイザーを務めるマイケル・フリン元国防情報局長が来日されまして、菅官房長官と会談し、フリン氏が、トランプ氏が大統領に就任しても安全保障政策は変わらないと発言したと報道されておりますが、安倍総理はこの件についてどのように報告を受けておられるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 菅官房長官とフリン元国防情報局長官との間においては、会談においては、日米同盟の重要性について認識したことを含め、しかるべき報告を受けております。 いずれにせよ、日米同盟は日本外交の基軸でありまして、アジア太平洋や世界の平和と繁栄のため、引き続き米国と緊密に協力をしていく考えであります。
○浜田昌良君 一方、トランプ次期大統領は、選挙キャンペーン中、在日駐留米軍の費用負担の大幅拡大や我が国の核武装容認なども訴えていたのも事実でございます。十七日の会談の際には、我が国が核武装を行う意思は全くないことを是非お伝えいただきたいと思いますが、今言われましたこの日米同盟の相互利益、特にアジア太平洋でのこの重要性、どのように訴えていかれるのか、もう少し答弁いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟は、これは日本だけではなくてアジア太平洋全体の平和と繁栄の礎であり、そして不可欠な役割を果たしています。日米安保体制は、日米いずれかのみが利益を享受するという仕組み、枠組みではなく、したがって、米軍の駐留経費についても日米間で適切な分担が図られるべきものと考えているわけでございます。 まさに日本に駐留している米軍の多くは海兵隊であり、また海軍、そして空軍でございますが、これは日本のみを守る、あるいは日本に対する抑止力ということではなくて、まさに海兵隊はこの地域全体に展開をしていくわけでありますから、地域全体の平和と安全を守る上において重要な役割を果たしていて、米国の前方展開戦略の要と言ってもいいんだろうと思います。それは、日本のみならず地域の平和と安定を確保し、そしてまた、同時にそれはアメリカの様々な権益も守っていくということにつながっていくわけでありまして、まさに日米共にこの駐留米軍が果たす役割によって利益を得ていると考えるべきであろうと、こう考えております。 そして、非核三原則はまさに我が国の国是であり、今後ともこれを堅持していきます。我が国は、NPT上の非核兵器国として、核兵器の製造や取得等を行わない義務を負っています。さらに、法律上も原子力基本法によって我が国の原子力利用は平和目的に厳しく限定されています。このような観点からも、我が国が核兵器を保有することはあり得ないということでございます。
○浜田昌良君 トランプ氏は、激しい選挙戦中、ほかにも過激な発言が報道されておりました。 例えば地球温暖化対策のパリ協定、本年九月にオバマ大統領は率先して承認いたしましたが、トランプ氏はこの協定からの離脱を訴えていました。しかし、十一月四日に発効したパリ協定上は、三年間脱退通告はできない、こう規定されています。また、中東の核疑惑問題としても、長年交渉の末、二〇一五年七月に実現したイランとの核合意、これも破棄するということを選挙キャンペーン中訴えていましたが、国連安全保障理事会の決議がなければ米国は一方的に破棄することもできない、こういうルールとなっております。 そういう意味では、選挙キャンペーン中の発言に過剰に反応する必要はないかもしれませんが、米大統領選挙の結果に我が国でも円高が進んだり、また、株価が動いたりしておりますので、これは質問ではございませんけれども、是非万全な経済対策は総理にお願いしておきたいと思います。 次に、TPPに関しましてでありますが、トランプ氏は大統領就任当日にTPPは破棄すると発言しておりましたが、それでは、アメリカの産業界、例えば全米商工会議所、またアメリカ・ビジネス・ラウンドテーブル、製造業、農業や情報サービス産業団体などのビジネス界はTPPに対してどのような態度を表明していると日本政府として認識しているか、外務省から答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、全米商工会議所や米国ビジネス・ラウンドテーブルなどの経済団体、製造業や農業など様々な分野の団体からTPPの早期締結を求める意見が表明されているものと承知しております。これらの意見表明においては、TPPは世界で最も成長著しいアジア太平洋地域の市場に米国企業が参入する機会を提供し、米国の雇用や経済成長をもたらす極めて重要な協定であるとの認識が示されております。また、米国がTPPに入らなければ大きな機会損失となるとの強い危機感も表明されているところでございます。 以上のような理由から、米国産業界はTPPがもたらす利益や機会を高く評価しておりまして、オバマ大統領や議会関係者に対し、早期のTPP承認を強く求めているものというふうに承知しております。
○浜田昌良君 トランプ次期大統領はビジネスマンであります。そういう意味では、米産業界がトランプ次期大統領の考えを少し変えていただけるように、そう期待をしているわけでありますけれども。 次に、安全保障の観点でございます。 これにつきましては、民主党、共和党の歴代国防長官七名、例えばパネッタ元長官、ヘーゲル元長官、共にオバマ政権でありますけれども、またゲーツ元長官、ラムズフェルド元長官、ブッシュ政権でありますけれども、またそのほか国務長官を務めたコリン・パウエル氏など十名の軍司令官の連名によりまして、約一年前に、当時の米議会議長、院内総務などに宛てた書簡で、安全保障の観点からTPPに関し要請したというレターがありますが、この内容について日本政府としてどのように認識されているでしょうか。
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、二〇一五年五月七日付けの書簡で、レオン・パネッタ氏、ロバート・ゲーツ氏を含む七名の民主党、共和党政権時の歴代国防長官及びコリン・パウエル元国務長官を含む十名の退役軍人が連名で書簡を出しております。また、本年も四月二十七日付けで八名の民主、共和それぞれの歴代の国防長官から同趣旨の書簡が出ておりまして、これは米議会議長、院内総務などに宛てて、安全保障の観点から、TPP及びTTIP、これはアメリカとEUの協定、交渉中の協定でございますが、これを強く支持する書簡を送付したというふうに承知しております。 これらの書簡においては、TPPによって日本、オーストラリア、ベトナムなどの重要な同盟国やパートナー国との関係を強化し、アジア太平洋地域における安全保障を強化できるというふうに主張されております。また、この協定が発効しなければ、アジア太平洋地域の同盟国は、米国ではなく、他の国との関係強化に切り替え、安全保障の観点から米国にとって致命的な結果を生むという懸念も表明されているところでございます。 TPPやTTIPが生み出すのは経済的利益だけではなく、戦略的に非常に重要な意義があるということを言っているのがこれらの書簡でございます。
○浜田昌良君 ただいま外務省から紹介していただきましたが、アメリカの産業界、また、いわゆるアメリカの安全保障関係者の方々はやはりこのTPPに大きな意義を認めているわけでございまして、そういう意味では、次期トランプ政権が発足するに当たりまして、これらの意見に是非耳を傾けていただきたいなと思っております。 そもそも大統領選挙後はトランプ氏のイメージも大分変わってきたようでございまして、オバマ氏との会談、また共和党の幹部との会談では、従来の激しい発言、大分影を潜めているようでございます。そういう意味では、TPPにつきましても現実的な判断をしていただくことを私は期待したいと思っています。 次に、我が国がこのTPPを率先して承認していく、そのことの意義につきまして安倍総理に何点かお聞きしたいと思います。 トランプ氏は、アメリカ・ファースト、米国第一と、ともすれば保護主義的に受け取られがちな主張によりましてグローバリズムに反感を持つ層に支持を広げたという評価がありますが、六月の英国のEU離脱を始め、フランスやイタリア、ドイツなどでの排他主義の台頭も見られます。 そこで、第一に、保護主義的、排他主義的な風潮の世界への蔓延が我が国に与える影響をどのように評価するという問題。一方、今ほども同僚議員から幾つか質問ございました、単なるグローバリズムも格差を拡大するとの懸念があるのも事実ではございます。 現在審議しているTPP第二十三章、開発の章にはこういう規定があります。二十三・一条の一項でありますが、「締約国は、開発を支援するための福祉の向上、貧困の削減、生活水準の向上及び新たな雇用機会の創出を目指す開かれた貿易及び投資の環境を促進し、及び強化するという約束を確認する。」。また、二項では、包摂的な経済成長、インクルーシブエコノミックグロースという言葉ですが、には、「ビジネス及び産業の拡大、雇用の創出並びに貧困の軽減を通じた経済成長の利益のより幅広い配分を含む。」。成長だけじゃなくて、分配にも言及しているわけでございます。 TPPが二十一世紀型連携協定と言われるのは、単に貿易・投資の自由度が高いというだけではなくて、中小企業、女性、子供、環境など、重視している点にあるとも言えます。よって、第二に、保護主義の蔓延が危惧される今こそ、排他的な経済成長、エクスクルーシブエコノミックグロースではなくて、包摂的な経済成長、インクルーシブエコノミックグロースによってグローバリズムの弊害を是正しつつ開かれた経済成長を目指すことに我が国がリーダーシップを発揮すべきじゃないでしょうか。 あわせて、その具体的行動の第一歩として、我が国の国益にもかなったTPPの早期承認、関連国内法の早期成立を図っていく意義があると考えますが、安倍総理に所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在世界に蔓延し始めているこの保護主義的なムードはなぜ醸成されたかといえば、今、浜田委員が御指摘になったように、グローバルな経済を推し進めていく結果、一部の人たちが豊かになって、多くの人たちは働く場そして豊かさを奪われてしまうのではないかという懸念であろうと、こう思うわけでありますが、基本的には、自由で公正な貿易を堅持し、そして発展させることは、大企業のみならず中小企業も含めて、またあるいはそこで働いている人たちに対して大きな利益をこれは与えることにつながっていくわけでありまして、消費者の方々にも選択肢が増えていく、適切な経済的機会をつくり出すものであり、世界経済の成長の源泉であることは紛れもない事実なんだろうと、このように思います。 しかし、一部の人たちが利益を得るのではないかという、こうした不安、懸念に対してはしっかりと答えを、対応していく必要があると、このように思うわけでありまして、こうした誤解が広がっていけば自由貿易に対する支持が揺らいでしまうわけでありますし、各国が国民の理解と支持を得て自由貿易を推進することによって保護主義的な風潮の世界への蔓延を食い止めていくわけでありまして、それをまさに日本がリーダーシップを取っていかなければならないと、このように考えているわけであります。 そして、ただいま委員が御指摘になったTPP協定の二十三章もまさにその一例であろう、これもまさにグローバルな自由化の中で弱肉強食になる世界を目指しているのではないということを明確にこの二十三章で示していると言ってもいいんだろうと、こう思うわけでございます。 米国の政権交代期にある今こそ、我々が自由貿易の必要性、そして国際社会における誤解に対するその誤解を解いていく努力をしていく、そういう役割が日本にはあるのではないかと、このように考えております。
○浜田昌良君 今総理から御答弁いただきましたように、このTPPは、いわゆる弱肉強食のレッセフェールの自由化ではなくて、やはりいろんな方々の参加、また配分をしっかり考えた自由化協定であるということをしっかりと日本としても発信していく必要があると思います。 一方、現在交渉中を含め、アジア太平洋地域の広域経済連携協定はTPP以外にも幾つかあります。今お手元の資料のとおりでございます。(資料提示) ASEAN十か国に日中韓FTA、オーストラリア、ニュージーランド及びインドを加えたASEANプラス6の経済連携協定、いわゆるRCEPでありますね、東アジア地域包括経済連携、そしてアジア太平洋の二十一の経済主体が参加するAPECの自由貿易圏、FTAAP。 そこで、外務大臣に質問したいと思いますが、この日中韓FTA、RCEP、またFTAAPの交渉の進展状況はどうなっているでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、日中韓FTA、そしてRCEPですが、現在、物品貿易、サービス、投資の分野に加えまして、原産地規則、知的財産、競争、電子商取引等の分野で今精力的な交渉が行われております。そして、FTAAP構想の方ですが、これは将来的な実現に向けAPECにおいて議論が行われている、こういった段階にあります。 我が国としましては、引き続き自由で公正な経済圏の拡大に向けて、日中韓FTA、RCEP、そしてFTAAP、こうした議論の場におけるルール作り、是非率先してリーダーシップを発揮していきたいと考えております。
○浜田昌良君 今外務大臣から、ルール作り、率先して日本はいきたいという御答弁いただきましたが、TPP、これは世界のGDPの四割と言われておりますが、これは、より市場の大きく将来の発展性も大きいFTAAP、世界のGDPの六割と言われています。さらに、人口が今後増えていきます。人口が多い国が、中国、インドが入っておりますので、更に将来はもっと大きくなるだろうと言われておりますが、への経路の一つと位置付けすれば、RCEP、これは世界のGDPの約三割になりますが、これももう一つの大きな経路だと思います。 先日、金曜日、我が党の佐々木さやか議員の本会議質問に対しまして安倍総理は、RCEP等の交渉加速によりまして、取り残されまいとする機運を米国内に高めると、こう答弁されました。RCEPを交渉加速化することによってどのように取り残されまいという機運が米国に高まるとお考えなんでしょうか。また、そうであるならば、TPPの早期承認とともに、RCEP、さらにはFTAAPを早期に実現していくことが、今求められている我が国の対米を含めましたアジア太平洋地域の外交戦略と考えますが、総理の御答弁、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、現行のTPPについてでございますが、オバマ政権としては言わばまさに最後まで努力をするという姿勢に変わりがないわけでございまして、今般開催されるAPECにおいて我々も働きかけを米国等他の国々にも行ってきたんですが、この際、APECにおいてTPP首脳会合を開くべきだということを申し上げてまいりました。そして、首脳会合を開くことによってしっかりとTPPを進めていこうということで、十二か国の首脳が意思を示そうということを働きかけてきたところでございますが、先般、先ほどですね、先ほど米国側から、米国から、リマにおいてTPP首脳会合を行うという意思が表明され、主催するので日本もということで招待状が来たところでございまして、しっかりと十二か国の首脳とTPPの意義、意味について共に世界に発信をしていきたいと、こう考えているところでございます。 議員御指摘のとおり、RCEPは、TPPと並びFTAAPの実現に向けた道筋の一つとされています。TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、RCEP、日EU経済連携協定、さらにはFTAAPなどにおけるモデルとなります。まさに二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されるわけでございます。 我が国は、現在RCEPの交渉に精力的に取り組んでいます。このことが、こうした動きにまさに取り残されまいと、言わばこのRCEP自体にはこれ米国は入っていないわけでありますが、言わばTPPが、取り残されていく中においては、このRCEPが進んでいくことによってまさに取り残されまいとする機運が米国の中で高まっていくわけでございまして、また、日EUのEPAも他方進んでいく中においては、米国もこうした流れに取り残されてはならないという機運が起こってくることもあり得ると思います。TPPの早期発効にもつながっていくと考えています。 さらに、FTAAPに関するAPECでの議論にも我が国は引き続き精力的に参加をし、自由で公正な経済圏の拡大に向けリーダーシップを発揮していく考えでございます。
○浜田昌良君 今、安倍総理より、APECの際にこのTPPの首脳会談、アメリカも参加をするという話がございました。是非もう一度この十二か国でTPPを進めていくという再確認をしていただきたいと思いますし、あわせて、このRCEP、ある国際経済学者に言わせますと、FTAAPに至る二つの経路、まあTPPはともすれば今アメリカが主導してきた、RCEPはどちらかというと中国が主導したいと思っていたと。この言わば主導権争いがあったのかもしれません。よって、アメリカがTPPから撤退してしまいますと目標とするFTAAPがアメリカ主導になってこない、大きなビジネスチャンスを失うんじゃないかという議論があると聞いています。 日本の貿易相手国の一位は中国で二位はアメリカでありますから、日本にとってみればこの二つの経済連携協定がうまく合わさっていく、調和していく、これが一番国益になるわけでございます。そういう意味では、是非今回のTPPをモデルとしてRCEPを交渉加速化させ、そしてFTAAPを目指していく、こうしていけば先ほど言ったアメリカの機運も高まると思いますので、是非そういう外交努力をお願いしたいと思いますし、TPP協定上は一応承認期限というのは締切りがないわけでございまして、一応署名されました二〇一六年二月四日の二年後、二〇一八年二月までが一つの区切りになっていますが、それ以上もオープンになっているわけでございますし、是非アメリカに働きかけをお願いしたいと思います。 次に、TPP協定本体について質問を移りたいと思います。 皆様御存じのように、このTPP、六年前の二〇一〇年十月の所信表明演説で交渉参加検討を最初に言及されましたのは当時の民主党政権の菅直人総理でございます。なぜこれを当時急に言及されたのか。当時、我が国は自由貿易協定FTA、また経済連携協定EPAで大きく出遅れていました。隣国韓国はアメリカやヨーロッパとのFTA、EPAを既に締結しておりまして、水を空けられていたんですね。当時、二〇〇九年の貿易額に占める発効済み、署名済みFTA、EPAの比率は、韓国が当時三五・六%であったのに対しまして我が国は当時一六・五%、二〇ポイントも遅れていました。 今回のTPP署名によりまして、日本もFTA、EPA比率が三九・五%と、二三ポイントも改善するわけになりますが、当初我が党は、当時の自民党もそうだと思いますけれども、このTPPには少し慎重でした。と申しますのも、当時はこのTPP、聖域なき関税撤廃、つまり、例外なく十年たてば関税は撤廃すると、これが原則だと言われていたわけでございます。これでは我が国の農林水産業が本当に守れるのかと、こういう議論があったわけでございますが、しかし当時から六年たちまして、粘り強い外交交渉の末、今国会に承認のために上程されたこのTPP協定、結果は大きく変わったと思っております。 次のパネルをお願いしたいと思います。 これは、日本を含む十二か国の最終的な関税撤廃率。これ見ますと、青いグラフ、全品目では一〇〇%撤廃がオーストラリアからアメリカまでの八か国、九九%撤廃がメキシコ、ペルー、カナダの三か国、我が国は九五%であります。一方、緑のグラフ、農林水産品でありますけれども、この関税撤廃率は、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイの四か国が一〇〇%撤廃、マレーシアからカナダまでは九九・六%から九四・一%の撤廃率。このように、日本以外の十一か国平均では九八・五%の関税撤廃率なのに対しまして、我が国農林水産品の関税撤廃率は八一%と、格段に低い数字で決着しているわけです。 さらに、下の表でございますけれども、これを引き続き再生産可能とすると国会で決議いたしました重要五品目、赤い字になっておりますけれども、すなわち米、麦、甘味作物、乳製品、牛肉・豚肉で見ますと、関税撤廃率は二九%にとどまっております。 そこで、石原大臣にお聞きしたいと思いますが、最終的な我が国関税撤廃率九五%、農林水産品八一%、重要五品目二九%という結果は、我が国が交渉参加検討を表明した二〇一〇年当時言われました例外なしに原則十年以内に関税撤廃という前提は、我が国による粘り強い外交交渉によって大きく変えられたと評価できると思いますが、答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(石原伸晃君) 浜田委員がお示しいただいたこの表は非常に分かりやすいと思います。全体で見ても九五%の関税撤廃、他の国は九九から一〇〇でございます。特に、赤字で示されているこの重要五品目についての農林水産品等々は八一ですから、二割近く例外を勝ち得ることができた。どれもこれも国会決議を盾に粘り強い交渉結果の結果、こういうようなことを勝ち得たんだと思います。 ここにはちょっと御提示されていないんですけれども、その一方で、我が国の産業構造上、大変競争力があるといういわゆる自動車部品についても、対米輸出額の八割以上の即時撤廃と。国益にかなう、これだけ取りましても。あと、鉱工業生産品全体でいっても九割即時撤廃といったようなバランスの取れた交渉結果が得られたと思っております。 しかし、今日の御議論を聞かせていただいておりましても、農林水産業に従事する方の多い都道府県を中心に不安があるという声が出ておりますが、それもまた事実だと思います。そこの部分は、TPPの政策大綱というものを昨年十一月にまとめていただきまして、重要品目が、今、浜田委員が御指摘されましたとおり、再生産が可能になるように、その交渉で得た措置と併せて、引き続いて万全な対策を施していくというところが実は非常に肝要なのではないか、こんなふうに考えております。
○浜田昌良君 今御答弁いただきましたように、聖域なき関税撤廃ではない結果を外交交渉としてなし得たわけでありますが、それでも、この表にありますように、重要五品目でいわゆる百七十の細品目分類ですね、この分野については単に即時撤廃ではないものも多いと思いますけれども、関税撤廃がなされるという、そういう結果になったわけでございますが、じゃ、どういう考えに基づいてこの百七十品目、関税撤廃をしていくという判断をしたのか、農水大臣に答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 百七十のタリフラインにつきまして、品目全体として国内に影響があるかどうかという観点で検討いたしまして、三つの基準を考えました。一つは、輸入実績がほとんどないもの、もう一つは、輸入実績がありましても国内農産品としての代替性がないもの、そして三番目には、逆に関税撤廃する方が生産者のメリットになるもの、この三つの基準に合わせまして撤廃させていただきました。 まず第一の輸入実績が極めて少ないものから申し上げますと、カッサバ芋とか無処理の脱脂乳というようなものでございます。これは、関税撤廃いたしましても、輸入量がそもそもないことによって影響ありません。次に、牛タンとかビーフンのように国産農産品としての代替性が低い、すなわち国産農産品を原料として用いた製品がほとんどないというものにつきましては、関税撤廃したといたしましても国内の農業生産への影響がございません。三番目の生きた豚のように、関税撤廃がかえって生産者のメリット、つまり繁殖用の豚でございますので、かえって関税撤廃することによるメリットが国内生産者にあるというような観点から、三つの基準でこの撤廃をさせていただきました。
○浜田昌良君 そういう意味では、我が国農林水産業に影響を極力及ぼさないような、そういう考えに基づいて撤廃されたわけでございますけれども、それでもやはり影響はゼロではないわけでございます。そういう意味では、このマイナスの影響をいかに最小化していくか、またプラスの影響をいかに最大化していくかと、政策が重要と思っております。 総じて、我が国が今後、人口減少、少子高齢化を迎えるに当たりまして、経済社会の活力を維持していくためには、保護主義の台頭を抑え、TPP、RCEP、FTAAPなどに果敢に挑戦していかなければなりません。このような経済連携協定に合わせて、既存国内制度もより体力のある制度に変えていく必要があると思います。 まず、農林水産大臣にお聞きいたしますが、このような経済連携協定の進展に合わせて、攻めの農業への転換とともに、今回法制化を提案している牛肉・豚肉の経営安定対策事業や検討中の収入保険制度など、既存農業関係制度を拡充強化、これが急務と考えますが、その決意を御答弁いただきます。
○国務大臣(山本有二君) 委員御指摘のとおり、自由化されることによって影響が全然ないというようなことにはなりません。 そこで、国内農業を足腰を鍛えて攻めの農業への転換を図るという考え方が何より大事でございます。農業所得を向上させるために農地中間管理機構の創設をいたしましたし、また、米政策の見直しをしますし、農協改革をいたしますし、日本型直接支払制度の創設など、農政改革を順次行っていかなければなりません。 さらに、TPPによる新たな国際環境の下におきましても生産者が安心して再生産に取り組めるように、先ほど御指摘のあった総合的なTPP関連政策大綱、これによって、まず、産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業などの体質強化策、さらには、協定発効に合わせて、牛マルキン、豚マルキンの法制化及び補填率の引上げなどの経営安定化対策というようなことを充実してまいるつもりでございます。 今後は、農業の成長産業化を一層進めなければなりません。そこで、農業者の努力によっては解決できない生産資材価格の引下げ、農産物の流通加工構造の改革、原料原産地表示の導入、収入保険制度の導入、こういったものを十二項目挙げておりまして、随時今検討を重ねているところでございます。こういうことによりまして、あしたの農林水産業が夢と希望を持って経営発展に積極的に取り組めるように、しっかりと支援していく所存でございます。
○浜田昌良君 是非、万全の対応をしていただきまして、今後、TPPのみならずRCEP、FTAAPと、経済連携協定をしていく上で農業の体質強化をお願いしたいと思います。 続きまして、先ほども同僚議員から質問がございました。一般の方々のやはり不安というのは食品の安全の問題かもしれません。 これについては、衆議院段階でも幾つか質問がありました。一つは、先ほどもありました遺伝子組換え食品の問題。表示の対象が日本の場合はヨーロッパに比べて少ないじゃないかという話があります。検査する技術が少し前の日本の技術、PCRというものを使っているんですが、二、三日掛かるという程度で、しかし最新のものを使うともっと、今対象になっていないようなしょうゆだとか、また、いわゆる食用油も対象にできるかもしれません。 また、同じように衆議院段階では、肥育ホルモン、飼料添加剤という、こういう議論もございました。これについては食品安全法制で規制をしておりまして、一応検疫でそれなりの個数については検査をし、検出されたものは残留基準以下であったという結果もあるんですが、こういうこともしっかりと消費者に伝える必要があるかもしれません。 いずれにしましても、一部日本の基準がいわゆるコーデックスという世界の基準より少し緩くなっている部分もありますので、今検討中という話も聞いておりますから、これ、逐次見直しながら、総理の下で、是非、消費者の方々が安心していただけるような情報提供の在り方、またその基準の在り方等々について是非御検討いただけたらと思いますが、総理の御答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この中継を見ておられる全国の国民の皆様にはっきりと申し上げておかなければならないことは、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されているものでなければ流通は許されない、消費者の安全を守ることが第一でありまして、安全性が確保されなければ流通はさせないということでありまして、これは食品行政上の大原則でありまして、これは今後も変わることはないということは申し上げておかなければならないと思います。 食品中の残留農薬などの安全基準の設定や遺伝子組換え食品の安全性確認などについては、今後とも最新の科学的知見に基づき必要な対応を行っていくとともに、全国の港や空港の検疫所における輸入食品の検査では、今後の食品の輸入の増加も踏まえ、輸入食品の検査が着実に実施できるよう体制の確保を図ってまいります。 遺伝子組換え食品の表示を始めとした食品の表示、これは安全性が確保されたものでなければまずは流通させない。その上において、国民の皆さんが選択する上において表示がどうなっているかということでございますが、この表示につきましては、食品を選択する際の重要な判断材料でありまして、消費者の安心につながるものと考えています。分析技術の向上によりまして科学的に検証できるようになった場合は表示義務を拡大するなど、引き続き食品表示制度が消費者にとって食品を自主的かつ合理的に選択する機会の確保に資する制度となるよう努めていきたい。 今委員がおっしゃったように、技術もどんどん日進月歩で進んでおります。豆腐はこれは検出できるから表示義務になっている、一方、しょうゆは抽出してしまうから、これはなかなか現段階では科学的に検出することができないから表示の義務にはなっていないという、こういう複雑なことになっているわけでありますが、しかし技術が進んで、今例として挙げられましたように、しょうゆも可能になれば当然その中に入ってくることになるわけでありまして、消費者庁の総合調整の下、厚生労働省など関係府省庁にしっかりと連携させまして、制度やその運用を不断に見直し、国民の食の安全に万全を期していく考えでございます。
○浜田昌良君 是非、技術の進歩にうまく合わせながら、それを活用して、そして消費者の方々が安心できる体制の構築に総理のリーダーシップを期待したいと思います。 重要五品目以外の分野では、多くが、先ほどの表によると、九〇%が関税撤廃されますが、関連業界との連携、さらには自治体との連携で果敢に対応しようとしていると、そういう取組もあります。合板、製材業界なんですけれども、これについては、輸入急増に対応するセーフガードがほとんど残るわけでありますけれども、関税はおおむね十一年から十六年で撤廃となります。 一方、このTPP第二十章、環境の章二十・一七条に保存、貿易という条項が設けられておりまして、四項に持続可能な森林経営などの制度上の枠組みを維持強化するという規定が入っているんですね。そして、このような規定が今後、RCEPやFTAAPに広がっていくことを私は期待したいと思っているんですが、先日、日本三大人工美林の一つであります天竜杉、またヒノキの地元の浜松市を訪問させていただきました。行政と民間が連携して、FSC、森林管理協議会、フォレスト・スチュワードシップ・カウンシルというんですが、という国際認証製品を区役所建物からスポーツセンターなどの公共建築物に積極的に活用させるための同業者の水平連携や、川上林業から川下最終製品までの垂直連携などに取り組んでいる姿に力強さを感じました。 そこで、農林水産大臣に質問させていただきたいと思います。 次世代林業基盤づくり交付金、来年度要求百五十億円だと聞いておりますが、などによる路網整備から設備の生産性向上、近年、予算不足が生じている緑の雇用事業の予算拡充などとともに、議員立法で今年の五月成立させました合法伐採木材の流通利用促進法、いわゆるクリーンウッド法の積極的活用によりまして、FSCなどの森林管理を行った木材製品の需要振興を行うことによりまして、TPPのみならずRCEP、さらにはFTAAPにも対応できる川上から川下まで連携した力強い林業への振興を行っていくべきだと考えますが、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 御質問ありがとうございました。 戦後造成しました人工林が今本格的な利用期を迎えつつございます。国産材の安定供給を図って、林業の成長産業化を実現することが急務でございます。そのため、国産材の安定供給に向けまして、一つは、改正森林法による措置も活用して施業を集約化いたし、また、路網整備、高性能林業機械の導入、低コストで効率的な木材生産を、これを実現するとともに、御指摘の緑の雇用事業等を通じた人材の育成確保、さらに、地域の製材加工施設等で付加価値を付けて、輸出も含めて木材製品の更なる販売の拡大、これに取り組んでまいりたいと思っております。 また、御指摘の森林の持続的な利用を確保しながら木材の需要へ対応するため、FSCなどの森林認証制度の普及促進、本年成立しましたクリーンウッド法による合法木材の利用などに取り組んでいきたいと思っております。 これらの施策の推進により強い林業の振興を図るために、二十八年度補正予算に加えて明年の二十九年予算獲得にしっかりと取り組みたいと思っております。
○浜田昌良君 是非、こういう関税撤廃に立ち向かっていこうという産業界の支援をお願いしたいと思います。 最後に、十月二十七日に国連総会第一委員会で採択されました核兵器禁止条約を交渉するための会議開催についての決議について質問させていただきたいと思います。 核兵器保有国と非保有国の橋渡しの役割を果たすべき我が国は、国際社会の総意、コンセンサスでこのような議論ができるよう外交努力を行ってまいりましたが、それがかなわず両者の分断を助長する内容となりまして、交渉会議に核兵器国の参加が全く見込めなくなったことから、結果として我が国は反対票を投じたことは残念であります。 しかし、我が党の強い要請によりまして、岸田大臣は、採択直後、交渉に積極的に参加し、唯一の被爆国として、そして核兵器国、非核兵器国の協力を重視する立場から、主張すべきことはしっかりと主張していきたいと記者会見で表明されました。 そこで、岸田大臣に質問したいと思います。 核兵器禁止条約交渉会合決議、この決議が提案、採択された背景には、米、英、仏、ロ、中という核兵器国が、NPT、核不拡散条約第六条に基づく核軍縮を十分に実施してきていないと、このことへの不満があるんだと思います。 五月には、核兵器国も参加いたしますNPT運用検討会議の準備会合がウィーンであると聞いておりますが、この会合と三月、六月に開催される核兵器禁止条約交渉会議と連動させながら、核兵器保有国による核軍縮を大きく進める原動力と我が国がなっていく、また、両会合、非保有国と保有国の橋渡しの役割を唯一の戦争被爆国の我が国として果たしていくべきと考えますが、岸田大臣の答弁、求めたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の核軍縮における基本的な立場ですが、核兵器のない世界を目指すべく、核兵器の非人道性に対する正確な認識とそして厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識に基づいて、核兵器国と非核兵器国の協力の下に現実的、実践的な取組を積み重ねていく、これが基本的な立場であります。 昨年のNPT運用検討会議を見ましても、今、国際社会においては核兵器国と非核兵器国の対立、極めて厳しい状況にあると認識をしています。非核兵器国の高い理想、これはもちろん尊いものでありますが、現実、核兵器を持っているのは核兵器国でありますから、核兵器国を巻き込まなければ具体的な現実的な結果につながっていかない、よって、我が国としましては、核兵器国と非核兵器国の協力、これを重視していかなければならない、こういった立場、ますます重要だと認識をしています。 その中で、今委員の方から御指摘がありましたように、来年から、核兵器禁止条約の交渉、そして二〇二〇年のNPT運用検討会議の準備委員会の議論がスタートいたします。 そして、核兵器禁止条約の交渉においては、これから参加の詳細が明らかになってくる段階ですので、今まで共に協力してきたドイツですとかオーストラリアといった中道国の動向もしっかり見極めながら、政府全体としてこの参加のありようを判断しなければなりませんが、現時点において私としては、今申し上げました核兵器国、非核兵器国の協力を重視する立場から、唯一の戦争被爆国の立場から、こうした議論が行われるのであるならば、これは堂々と主張すべきことは主張するべきであると考えております。 NPT運用検討会議準備委員会の議論においても、核兵器国、非核兵器国の協力を重視する立場から、しっかりと議論を行っていきたいと思います。
○浜田昌良君 その際、我が国が持っている外交ツールが一つあるわけですね。 NPDI、軍縮・不拡散イニシアティブ、我が国が議長をしておりますが、二年前の四月には被爆地広島でNPDIの外務大臣会合も開催いたしまして、核兵器の非人道性への共感を広げるべく、世界の政治指導者の広島訪問を呼びかける広島宣言を発出しました。これを受けてオバマ大統領も広島を訪問していただいたと私は確信しております。しかし、この会合以降、NPDIの外務大臣会合は開かれていないんですね。 この十二か国、どういうメンバーかといいますと、今回の核兵器禁止条約決議を提案したメキシコも入っておりますし、この決議に賛成したナイジェリア、チリ、フィリピン、アラブ首長国連邦が入っています。また、反対したオーストラリア、ドイツ、カナダ、ポーランド、トルコが入っておりますし、また、決議には同盟国側として棄権をしながら、我が国同様この会合に参加の意向を示しているオランダも入っております。 そういう意味では、このNPDI、もう一度再活性化をしていただいて、核兵器禁止条約が本当にどうあるべきかというのをこの中で議論を深めていく、これが重要と考えますが、もう一度外務大臣から御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま委員から御指摘ありましたように、NPDIのこの枠組みは、様々な立場にある非核兵器国が参加する枠組みであります。こうした枠組みは、NPT体制を中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に貢献する枠組みとしてこれからも重視していかなければならない、このように考えます。 NPDIについては、昨年のNPT運用検討会議、五年に一度のこの国際会議において、透明性を高めるべきであるということで様々な提言を行って貢献をしてきました。今度、五年に一度ですから、二〇二〇年にNPT運用検討会議が予定されています。この二〇二〇年の会議にどう貢献するのか、このNPDIとしても今検討を行っているところです。 NPDI、本年の一月そして九月、北朝鮮が核実験を行った際にも、ジュネーブ軍縮会議あるいは国連総会第一委員会において共同ステートメントを発出するなど、行動は続けています。是非、この二〇二〇年のNPT運用検討会議に向けても、NPDIの活動を重視して、そして是非活用して国際的な軍縮・不拡散の議論に貢献をしていきたいと考えます。
○浜田昌良君 最後でありますが、安倍総理にお願いがあります。 十一月十七日にトランプ次期大統領と会われる予定と聞いております。トランプ候補時代には核武装という発言もあったわけでありますので、核兵器のない世界に向けての共通の意思を是非確認していただきたいというのが私の願いでございます。 あわせて、今ほどのやり取りの中にもありましたように、今年の五月にはオバマ現大統領が被爆地広島の訪問もありました。被爆者だけじゃなくて、日本国民が本当にこれを高く評価しているわけでございます。そういう意味では、どちらかというと今トランプ次期大統領は日本国民にとってはこわもてのイメージがあるかもしれません。是非、来日の機会に被爆地広島に立ち寄られますとそのイメージは大きく変わりますよと耳元でちょっとささやいていただきたいと、そのことを是非お願いさせていただいて、最後に答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 世界の指導者に、被爆地広島、長崎を訪問し、そして被爆の実相に触れてもらうことは核兵器のない世界の実現に向けて大きな力となることはこれまでも繰り返し述べてきたとおりでありまして、今年はオバマ大統領が広島を訪問し、また先般はカザフスタンのナザルバエフ大統領も訪問していただいたところであります。 ニューヨークでの会談は、トランプ次期大統領とも初めて行うものであり、お互いの関心事項について率直に意見交換をし、個人的な信頼関係を構築したいと考えております。現時点で会談のやり取りの内容を予断することは控えたいと思いますが、いずれにせよ、米国とは核兵器のない世界の実現に向けて引き続き緊密に意思疎通を行っていく考えでございます。
○浜田昌良君 最後になりますが、アメリカ次期トランプ大統領との信頼関係構築による米国政権の予見可能性を高めていくとともに、保護主義的、排外主義的な風潮の世界での蔓延防止の先頭に安倍総理に立っていただくことを再度お願いいたしまして、そのためにもTPP早期承認を訴えて、質問を終えさせていただきます。 ありがとうございます。
○大門実紀史君 総理は、十七日にアメリカのトランプ新大統領と面談をされます。TPP脱退を宣言してきたトランプ氏がどういう姿勢を示すのかが大変注目が集まっているところであります。与党の皆さんから楽観的な、あるいは希望的観測の話もありましたけれども、そう甘くはないのではないかと思います。 トランプ氏は、選挙最終盤の十月下旬に改革百日プランというものを出しました。この百日プランのことをトランプ氏は、アメリカの有権者と私の契約であると、コントラクトであるという強い言葉で表現をしております。その百日プランの、アメリカ労働者を守るための七つのアクションの二番目に、TPPから脱退、離脱すると書かれているわけであります。ですから、ただ演説で言ったとかというような軽い話ではなくて、これはトランプ氏のれっきとした選挙公約であります。総理は、そのトランプさんの選挙公約を守らないでほしいということをおっしゃりに行くことになるのではないかと思うわけであります。 トランプ氏がTPP離脱するということを堅持すれば、当然、アメリカ抜きにTPPは発効しないんですから、このTPP協定をここで審議する意味はないわけでありますし、また、もしもトランプ氏がTPPからすぐには脱退しないというようなことをにおわせた場合、何が考えられるかといいますと、TPP反対のアメリカ世論が多数である、選挙公約でもあるということですから、トランプ氏は当然、現在のこの協定じゃなくて、更にアメリカに有利な協定でなければ参加をしないと。彼自身も後ろからそう押されるわけですね。したがって、離脱をちらつかせながら再交渉を迫るということが、それ以外はもうほかにはないというふうに思います。 総理は再交渉には応じないと言ってこられましたけれども、応じなければTPPそのものが成立しない状況になります。すなわち、今のTPP協定でないものをアメリカが求めてくることになるわけでありまして、その場合も、この協定案を審議しても意味がなくなるということだというふうに思います。 我が党は、元々このTPP承認案、関連法案を廃案にすべきだという立場でありますけれども、この状況からいって、政府としても、もう潔くTPPから撤退すべきではないでしょうか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ次期政権の方針について、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。 自由で公正な貿易を堅持をし、そして発展させる、これこそが、大企業のみならず中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものであり、世界経済の成長の源泉であります。戦後、自由貿易体制の下で経済成長を遂げてきた我が国こそが、世界の自由で公正な貿易・投資ルールを牽引していかなければなりません。国会でTPP協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を主導する我が国の決意と結果を出す力を世界に示すことができると考えています。これは、TPP以外の通商交渉も刺激をし、加速させ、保護主義の蔓延を食い止める契機になると思います。 TPP協定は、厳しい交渉を経て、我が国にとって高い戦略的、経済的価値を持つものとなりました。米国が政権交代期にある今、我が国こそがその早期発効を主導しなければならないと考えておりまして、TPP協定の国会承認により、再交渉はしない、早期発効を目指すとの立法府を含めた我が国の意思が鮮明になるわけでありまして、今後、様々な機会を通じて米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていきたいと、こう思っておりますが、今般、ペルーで開催されるTPP首脳会議におきましても、国内の手続の早期の完了に向けて努力をするよう、そういう認識で一致をしたいと、こう考えておりますが。 日本は、受け身で他国の動きを待つのではなくて、日本にとってもアジア太平洋地域にとっても望ましい結果を実現するこの取組を自ら主導していくべきだと、こう考えております。
○大門実紀史君 朝から同じことを繰り返されておりますけれど、もうそういう状況ではないと私は思っておりまして、個々には後で取り上げますけれど、要するに、TPPはそんな経済成長の柱に、目玉になるようなものではないと思います。国民の雇用、賃金を抑え込んで、日本農業に壊滅的な打撃を与えます。食の安全、医療、薬価、公正取引など、国民の暮らしが脅かされる懸念が広がっているわけであります。審議を続けるということでございましたら、我が党は徹底的に各角度から問題点を明らかにしていきます。 今日は、特別委員会の最初の総括質疑でありますので、まず、そもそもTPPとは何なのか、誰のための経済協定なのか、総論、経済論を中心にまず質問をさせていただきます。 総理は、先ほども述べられたことにもつながりますが、TPPの意義について、我が国は戦後、自由貿易の下で経済成長を遂げてきた、これからもそれが大事だと、世界のリードをするんだということを繰り返し述べてこられましたけれども、ところが今、総理の言う自由貿易に対して各国の国民から猛烈な反対の声が起きているわけであります。アメリカでもTPP反対の声が多数になっておりますし、ヨーロッパでは、EUとカナダの自由貿易協定であるCETAにも、あるいはEUとアメリカの自由貿易協定である環大西洋貿易投資連携協定、TTIPですけれども、言わば欧米版のTPPですが、これにも各国民の激しい抗議行動、あるいは政府の閣僚の反対の声まで上がっているわけであります。 総理がおっしゃるように、今日もずっと述べてこられたように、自由貿易は経済成長をもたらして人々を幸せにするものであれば、なぜこれだけ世界中で反対の声が起きているというふうに総理はお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この自由貿易あるいはグローバルな経済が進んでいく中において、一部の企業に利益が集中した結果、一部の人が豊かになってあとはみんな貧乏になっているじゃないかと、こういう不満が恐らくあるのは事実であろうと、このように思うわけでございます。 しかし、それは自由貿易そのものが悪いのか、他国の言わば再配分機能がどうなのかということもあるわけでございます。先ほど小川委員ともやり取りをさせていただきましたが、自由貿易は肯定しつつ、しっかりと再配分機能をこれは進めていくということにおいては、これ一致したと思います、それが十分かどうかということでは意見が相違しているわけでありますが。その中において対応もしっかり対応していく。 例えば農業においても、全くこれは、我が国の農業が産業という側面だけ見て、そこに付いていかないところは切り捨てるという考えでは我々はないわけでございまして、農業が果たしている多面的な機能を十分に評価しつつ、守るべきものはまさに守っていく。 日米においても、その意味においては、自動車産業を始めとした工業製品、そして我が国においては農業というセンシティビティーをお互いに理解しながら交渉を進め、そして関税の撤廃においてもしっかりと時間を置きそれに対応する、それぞれの業界やそこで働く人々が対応する期間を設ける中で緩やかに進めていくということにおいてお互いに大体理解はできていると、こう思うわけでございまして、農業においては、先ほどやり取りの中で御紹介をさせていただいたように、他の国々はほぼ一〇〇%関税がなくなっている中において、我々は二〇%、言わばその関税等を残す、保護措置を残すことができたわけでございまして、そういうことにも留意しながら進めていきたいと。 大門委員がおっしゃったように、なるべくこれハッピーと考える方が増えていくようなものにしていきたいと、こう考えております。
○大門実紀史君 もう少し具体的にそれでは質問したいと思いますけれども、今日も何度も出てきましたけれども、自由貿易対保護主義というようなそんな単純な話ではなくて、自由と公正ですか、度々おっしゃっていますけれども、これは誰にとっての自由なのか、誰にとっての公正なのか、このことが今問われているわけでありますが、パネルにしましたけれど、具体的に今世界で何が起きているのかということ、あるいは何が起きてきたのかということですが、ちょっと字が細かくて申し訳ありませんが。(資料提示) まず、アメリカでは、今日もお話ありましたけど、北米自由貿易協定、NAFTAがありました。これは一九九四年一月一日に発効したカナダ、アメリカ、メキシコの三国の自由貿易協定でありますが、二〇〇三年までにほとんどの品目で関税が撤廃されました。アメリカからの農産物の輸入が激増して、メキシコ農業に壊滅的打撃を与えて、農民の四割に当たる二百五十万人が離農して、その多くが職を求めてアメリカに入っていった、これをまたトランプさんが問題にしていると、こういう構図であります。一方、アメリカのゼネラル・モーターズのような多国籍企業がメキシコに工場を移して、メキシコで自動車を製造してアメリカ本国に売ると、こういうことをやり始めましたので、アメリカ国内の雇用が失われて、メキシコとの低賃金競争にさらされて賃金が低下するということで、このNAFTA一つ取っても多国籍大企業が、あるいはアグリビジネスの大きな企業が独り勝ちをして、それぞれの国内では雇用と賃金が低下する、アメリカでは中間層が没落する、貧困と格差が広がるということがあったので、今回のTPPも反対だというアメリカの世論が高まっているわけであります。 もう一つは、ヨーロッパなんですけれども、欧州連合、EUとカナダの自由貿易協定のCETAですけど、これはもう大変な反対運動がベルギー、オランダ、フランス、ドイツで行われてまいりました。調印はされましたけれども、国民投票で覆そうという動きまで出ていることであります。最大の懸念は、実は、今日も話題になりましたが、ISDS、投資家対国家の紛争といいますか、多国籍企業が各国政府を訴えられる、損害賠償を求める仕組みでありますけれど、これが大変CETAでは問題になりまして、多国籍企業の暴挙を許すな、国の主権を守れと、どちらかというと経済主権の問題で抗議行動が起きて、そういうプラカードが写真で見てもあちこちの集会で掲げられているということになっているわけであります。 もう一つは、EUとアメリカとの環大西洋貿易投資連携協定、TTIPですけれども、これは言わばアメリカとヨーロッパのTPP版なんですけど、これ動きがいろいろあります。交渉の状況が今直近の状況でどうなっているか、外務大臣の方からちょっと教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) TTIPの状況ですが、御指摘のように、EU加盟国内で様々な議論があること、報じられており、年内妥結は容易ではない、こうした関係者の声もある、こういった点は承知をしております。 第三者間の交渉ですので評価は控えなければなりませんが、交渉当事者であるEU、米国、これ、貿易・投資拡大に係るTTIPの意義は減じていないとして、交渉の早期妥結に向け引き続き交渉を行っているものと承知をしております。
○大門実紀史君 報道ではそうなっておりませんけれども、外務省の先日のレクでもそうはなっておりませんけれども、要するに、一番新しい話が、十一日ですね、アメリカ大統領選挙の後の十一日に、EUの貿易相の会合でTTIP交渉を凍結するということが話し合われております。これは、フランスでは八月三十日にオランド大統領が年内合意はしない、交渉停止をすると。ドイツでも、ガブリエル経済担当大臣がTTIPは事実上決裂したということを宣言されております。 ここで、各国で不安が広がったのは、環境・食品安全基準、賃金、雇用、農業、そして先ほどのISDS、こういうものがやっぱり各国で不安が広がって反対の声が起きたものですから、閣僚自身が、政府自身が見合わせるという動きになっているわけであります。これが今の世界の動向なんです。自由貿易はバラ色だというふうに言っているのはもう日本ぐらいのものでございまして、いろんな深刻な問題が今生まれているということでございます。 確かに、第二次世界大戦後、八〇年代ぐらいまでは自由貿易が各国の経済を発展させたというのは言って言えることだと思いますけれど、その後、九〇年代に入ってグローバル化が一気に進むという中で、世界を股に掛ける多国籍大企業が利潤の最大化を目指して賃金の安いところに生産拠点を移して動き回る、各国に市場開放、規制緩和を求めて圧力を掛けると。このことによって先進国、特に先進国での国内雇用が失われて、賃金も低下して格差が広がるというような時代ということになってきているわけであります。 総理は、官房長官もそうですけれど、こういう各国の動きに対して保護主義というようなレッテルを貼っておられますけれど、自由貿易か保護主義かじゃなくて、この貿易の多国籍企業を中心としたルール作りの中で被害を被っている各国の国民が今怒りの声を上げているということであって、保護主義とか自由貿易、そういうことではないわけでありますけれど、総理はそういう認識はもう一かけらもないわけでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、一かけらもないわけではもちろんないわけでございまして、言わば自由貿易の中で、一定のルールの中で、それは当然一定のルールであれば強い企業がどんどん利益を上げるのはこれは当然だろう。そのために各国が切磋琢磨して生産性を上げ、より良いものをつくっていくという努力、これは消費者にとって悪いことではないんだろうと思います。 一方、一部の人々に富が集まれば、これは様々ひずみを起こすのは事実であり、国を分断をしていく、そういう状況をつくらないような努力も共にしていく必要があるんだろうと思います。 日本においては、例えば自動車産業がこれは将来輸出が増えていくという利益、しかしこれは自動車産業、一部の、例えばトヨタだけのものではなくて、そこと取引している企業がたくさんあります、そういう取引している企業にもちゃんと利益が落ちていくように我々は取引条件を改善するよう求めているわけでありまして、その我々の要望に対して彼らも応じている。そしてまた、我々は、自由主義経済ではありますが、企業に対して、これは大門さんからも要請がございましたが、企業に対して賃上げをするように要請すると、異例の措置をとっているわけでございまして、完全なこれ新自由主義とは違うと言ってもいいんだろうと思います。 そういう中において、そうした自由貿易で得た利益、生み出された富ができるだけ多くの人たちに均てんしていくように努力もしていきたいと、こう思っている次第でございます。
○大門実紀史君 私たちも自由貿易の全て、グローバル化の全てを否定しているわけではないんです。今、余りにもその自由貿易のルールが多国籍企業を中心に作られていて、いろんな国民の被害が起きている、各国の国民の被害が起きているということでありまして、何といいますか、人間あっての経済でございますから、人間あっての貿易でありますので、各国の国民の暮らし、雇用、賃金、社会保障は守らなければならないんですね。 農業についていえば、食料自給率や環境のことも含めて、各国とも大変重要な産業に位置付けております。守るべきものは守っているわけですね。当たり前のことだというふうに思います。これから総理がおっしゃるように世界の国々で本当に人が幸せになっていくような貿易を発展させていくためにも、やはり経済主権はきちっと守る、守るべきものはきちっと守る、お互いに認め合うと。そういうルール作りをやらないで、やらないで企業がISDS設けていく、そればかりやるとこういう弊害が生まれてきたんではないかと思うわけであります。 ちょっと具体的にもう一つお話ししたいのは、政府がおっしゃるようにこのTPPで本当に日本が良くなるのかという話なんですけれども、TPPの影響について政府が経済効果について試算をされております。 下段の方の農産物ですけれども、これについては、もう我が党の紙智子議員始め各党の議員の皆さんから、余りにも過小評価過ぎる、試算に含めていない項目があるなど、厳しい追及、批判があったわけであります。 同じ質疑を繰り返す気はありませんが、要するに、書かれているとおり、農林水産業への影響はまず軽微であるというふうな数字をつくって、書かれているとおり、体質の強化とかコスト削減とか生産性の向上を図って乗り越えていってほしいと。要するに、頑張ってくれと言っているだけなんですよね、これ。だから、科学的な試算でも何でもなくて、本当に精神論ですよね。みんなで頑張って、いろいろあるけど乗り越えていってくれと、こういう話だと思うんで、だから農家の皆さん、JAの皆さんも既に一生懸命効率化図って頑張っておられるわけでありまして、これ以上どうしろというのかという声が上がっているわけであります。だから、農家の方々には全く説得力のないのがこの農林水産物への影響評価であります。 今日は、この上の方の経済効果全体についてお聞きしたいと思いますけれども、TPPでGDPが実質で二・六%増えて雇用が八十万人増えるという試算であります。私、最初、この数字見たときに、たったこれしか増えないのかと。これだけ大騒ぎして、TPP入る入らないといって、たったこれだけの数字しか増えないのかと。これぐらいの数字だったら、まともな経済政策をちゃんとやっていけば十分達成可能な数字なのに、これだけいろんな人が不安になるTPPに入ってもこれしか増えないというような、ちょっと驚いたんですけれども。 そもそもこの数字がよく分からないんですけれども、もう一枚、計算根拠ですね、どうやって内閣府がこの数字を出したのかという計算根拠をパネルにいたしました。 石原大臣、簡潔に説明してください。
○国務大臣(石原伸晃君) もう既に二枚のパネルで大門委員が御説明をいただいているとおりでございますが、簡単に説明をいたしますと、TPPの効果が発現したと考えられる時点で、GTAPモデルを使った内閣府の分析によりますと、先ほども御答弁させていただいておりますが、実質GDPの水準は二・六%増加して、これは何年度を基準にするかということでございますが、二〇一四年に当てはめてGDPを用いて換算いたしますとおよそ十四兆円、労働供給は委員御指摘のとおりプラス一・二五%、二〇一四年度の就業者数を用いて換算するとおよそ八十万人の拡大が見込まれるという計算でございます。 じゃ、具体的にということで、今お示しいただいている内生的なメカニズムでございますけれども、TPPを通じて貿易・投資が拡大します。輸出入が当然増えるわけでございます。それによりまして、我が国の生産性、実質所得が高まる、それに賃金が押し上げられる、賃金が押し上げられることによりまして、消費性向は高まる、労働供給も促される、こういうメカニズムが回ることによりまして、十四兆円、GDP比でいきますと二・六%、大体世銀の数字と同じでございます。
○大門実紀史君 これ、大変問題があるんですよね。 まず、この試算は、実際に人々の生活や暮らし、人々の苦しみやその時間というものは全くカウントされておりません。説明書きにもあるとおりなんですけれども、これは、TPPに参加する前の状態と、TPPが発効して、いろいろあって、新たな成長経路を均衡状態に移行した時点とを単純に比較したものであります、静学モデルといいますけれど。 したがって、実際、TPP参加によって、ある分野が衰退して失業が起こるといたします。その失業者は仕事を探して苦労いたします、時間が掛かります。やっと仕事を見付けても、低賃金の仕事と。そういう人々のつらさや苦しみや時間の長さというものを一切考慮されないで、どこかで仕事に就いただろうと、就くだろうというようなことになっておりまして、言ってしまえば、この試算というのは、失業が起きても労働者はすぐほかの仕事を見付ける、即座に労働移動するということが大前提になっております。農業をやっていた方が、農業の仕事がなくなった、しかし翌日から自動車産業の技術者になれると、こういうようなことを想定しているような、完全雇用を想定した机上の空論であります。 もう一つは、GDPの増加も、あるいは八十万人の雇用増という数字も、根拠が希薄なんですよね。この数式のあちこちに生産性の向上という項目が出てまいります。 真ん中の②の労働供給メカニズムのところも、生産性が上がれば賃金が増えるとなっていますけれど、これはNAFTAの例でもよく分かるんですけれども、多国籍企業が賃金の安い国に生産拠点を移して、国内でも非正規雇用を増やすと。そんな下で、こんな生産性が上がれば賃金が上がるなんて、どこにも起きておりません。こんな現象はどこにも起きておりません。あくまでこれも机の上の仮定であります。 もう一つは、所得増が需要になり賃金として循環なんてことも書いていますけど、こんなことも日本のどこにも起きておりません。需要といいますけど、個人消費は二年連続マイナスですよね。このメカニズムに当てはめている数字もまたこれ恣意的でありまして、例えば百九か国のデータ、これほかのデータだったらどうなるんですか。あるいは、複数国の先行実証研究を利用して想定、これも違う数字持ってきたらどうなるんですか。 ですから、都合のいい数字を持ってきて数式に当てはめれば、都合のいい数字が、程々の数字が出てくると、こういうものでありますので、幾らでも結果を変えることができるようなものなんですね。こういうものでGDPが二・六%増える、雇用が八十万人増えると言われても、これ誰も信用しないと。だから、この試算そのものはやっぱりもう撤回したらどうですか、石原大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 大門委員が御指摘いただきましたとおり、これは静学モデルでありますので、今委員が仮定の話で、例えば失業した労働者がどれだけの仕事に、何日間掛かって職をどこどこで得たみたいなこの仮定を、その割合が半分である、半分の人は一週間以内に就業できたみたいな仮定を置くダイナミックモデルでいいますときっとまた違う数字になるのかもしれませんが、これはあくまでも基礎的なデータを各国のものを入れさせていただいて、特に日本の場合は日本のデータを入れさせていただいて、およそ十年から二十年たったときにこういうものが顕在化してくるというモデルでございますので、仮定を置くというようなことが経済モデルで私ども持っておりませんので、また、そういう何が客観的な状況になるのかを予見するようなデータがございませんので、こういう形になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○大門実紀史君 ですから、これは宣伝するような中身ではありませんので、申し上げておきます。 もう一つは、輸出が伸びれば国内の雇用や賃金が上がるんじゃないかというような話を一般的に言われておりますけれど、本当にそうなのかということで、ちょっと自動車産業の例を見てみたいと思います。 世耕大臣、二〇〇八年のリーマン・ショック以降の自動車産業の海外生産台数と海外雇用、国内生産台数と国内雇用の推移をちょっと簡潔に説明していただけますか。
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。 今、パネルへ出していただいているその海外生産台数の数字はどうも暦年ベース、一月から十二月、国内生産の方は逆に年度、四月から三月、両方使われているようで、私は、ちょっと今、年度ベースしか持っていませんので、トレンドは変わりませんから年度ベースの数字でお話をさせていただきたいと思いますが、リーマン・ショックの二〇〇八年度に、まず海外生産については千四十八万台と底を打ちました。それ以降、二〇〇九年には千百三十九万台、そして一貫してその後生産拡大の傾向にありまして、足下の二〇一五年度は千八百三十一万台となっています。こうした拡大基調の背景には、特に中国と北米を中心とした需要拡大が挙げられると思います。 また、国内生産台数につきましては、二〇〇八年度までは一千万台程度で推移をしていましたが、リーマン・ショックの影響と思われますが、二〇〇九年度に輸出台数が大幅に落ち込んで八百八十六万台となりました。その後、国内生産は二〇一三年度まで緩やかに回復をしてきていますが、理由としては、エコカー補助金とか新型車の投入、あるいは新興国、ヨーロッパ向けの輸出の増加が挙げられると思っています。二〇一四年度からは、消費税率の引上げの影響かと思いますが、国内販売台数が低下していることを受けて生産減少に転じておりまして、二〇一五年は九百十九万台というふうになっています。いろんなファクターの影響を受けて海外、国内の生産台数は変化しているかというふうに思っております。 また、雇用ですけれども、一定の推計になるかもしれませんけれども、まず、海外における自動車関連産業の雇用者総数は、二〇〇九年度は百十四万人、それに対して二〇一四年度は百六十万人というふうになっています。増えています。これは、海外マーケットが成長していることによる現地生産の拡大によるものだというふうに思います。 一方で、国内の雇用者については、景気や自動車の国内販売などに一定の関係があると思いますが、二〇〇五年度には八十六万人でありましたが、二〇〇九年度には百一万人まで増えました。その後、二〇一二年度にはまた九十七万まで減少しましたが、それ以降は雇用者数は増加傾向にありまして、二〇一四年度には九十九万人、足下の二〇一五年度は国内雇用者数は百万人にまで増加をしているところであります。
○大門実紀史君 とにかくトレンドで見ていただきますと、輸出が伸びても、海外生産が増えるだけ、国内生産は横ばいと。これは生産拠点を海外へ移しているということがあるわけでありまして、ですから、それと非正規雇用とか増やしていますので、労働分配率も下がって、利益は上がっているんですけれども、労働分配率が下がっているということでありまして、つまり、自由貿易で幾ら輸出を伸ばしても、海外生産が増えるだけで、国内の雇用も増えないし、賃金も上がらないという状況が続いておりまして、一方、巨額の内部留保が積み上がっていて、例えばこの自動車でいうと、トヨタ一社で十六兆八千億、三位、ホンダが六兆二千億、日産が四兆一千五百億というふうに内部留保をため込んでいるわけであります。 トヨタは、ちなみに、二〇〇九年から二〇一四年まで国内で税金を払っていなかったということで社会的批判を受けたわけであります。 ですから、輸出産業が伸びても国内経済にほとんど寄与しない時代になってきているということだというふうに思います。ですから、輸出輸出というのをおっしゃりますけれども、海外生産増えるだけで日本の雇用は上がりませんし、むしろ大企業の内部留保だけが積み上がっていくと。 今まさに日本が、全体が今そういう状態に、まさにこの結果の状態にあるんではないかというふうに思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輸出が増えると、例えばトヨタの場合は、リーマン・ショックで損が出た後、繰延べ決算の関係でしばらく税金を払っていませんでしたが、今はがっとたくさん払っていただいていると、このように思っておりますが、更に利益を上げている部分をもっと労働分配率を上げてもらいたいというのが我々の希望でもあるところでございます。 そこで、グローバル企業が現地生産を現在は進めているわけでありますが、それによって輸出企業、言わば多国籍企業が生産を増やしてもなかなか雇用が増えていないではないかという御指摘でございますが、グローバル企業が現地生産を進める背景には、我が国のFTA比率の低さが一因と考えられるわけでありまして、TPPが発効すればTPP域内のどこで生産してもTPPの低い関税が適用されるようになりますので、これによって国内にいながらにして域内市場に進出できるようになるのは事実でありまして、そして、既に実際に海外生産の一部を国内に戻そうとする動きも見られているわけでありまして、このようなチャンスを生かして、委員の御指摘のとおり、それが働く人々の所得の向上につながるように支援をしていきます。 具体的には、TPP協定を通じて日本国内の中小企業等からの輸出が拡大するよう、海外輸出向けの新たな商品やサービスの開発や販路の拡大を支援しますし、また、先ほど申し上げましたように、一層拡大して得た大企業の収益が全国津々浦々の下請の中小企業の収益として波及するように国内の取引慣行の適正化に取り組みます。そしてまた、同時に各企業における賃上げを働きかけていきたいと、こう考えておりまして、しっかりと輸出が伸びていくことが地方も含めて全国津々浦々で働く人々の利益につながるように努力をしていきたいと、こう思っております。
○大門実紀史君 今、中小企業のサプライチェーンの話が繰り返し今日は朝からありましたけど、私はそうならないと思うんですよね。 なぜならば、メキシコで日産なりトヨタなりが今生産の工場を持っております。その周りにサプライチェーンの中小企業がくっついていって部品を生産しております。このサプライチェーンがありますね。今度TPPに入れば、日本から、そこで作らなくてもNAFTAの関係で関税がゼロなんですけれども、日本で作って送っても関税ゼロだから、いながらにして日本の中小企業は日本で仕事ができますよというようなことをおっしゃっているんだと思いますが、そうならないですよ。日本で作って運搬する費用だけでもコスト高になりますから、日産にしろトヨタにしろ、そんな割高な部品は買いませんよね。むしろ、引き続きメキシコに出てこれるような力のある中小企業を選択する、淘汰して引っ張っていくと、これが引き続き続くわけでありまして、そんな夢みたいに関税ゼロなんて、日本で作ってメキシコまで運んで部品を納めますなんて、そんな甘い世界ではありませんよ。そんなことは全然説得力ありませんので、もうおっしゃらない方がいいと思いますよ。 もう一つは、TPPは、アメリカによって日本の経済主権が侵害されるという話が衆議院の議論でもありましたけれども、大体お答えのあることが、日本は独自の判断でやるんだ、アメリカから幾ら要求してきても自分たちの判断でやってきたんだということをずっとお答えなさってきましたけれども、本当にそうなのかということでございます。 歴史的に、アメリカが日本に市場開放要求をしてきたのは特に農産物と保険でありました。郵政民営化のときもこの参議院では大議論になりましたよね。私も、小泉総理や当時の竹中平蔵大臣にこのアメリカの要求に応えるべきじゃないと質問をしたら、必ずおっしゃるのは、いやいや、大門さん、アメリカの要望に応えているわけじゃないんだ、自主的に判断してやってきているんだと、絶えずそういうふうにおっしゃるんだけれども、実際にはどうなってきたかということであります。 あれから十年たちました。今全国の郵便局二万局の窓口で、アメリカの保険会社A社のがん保険が販売されております。A社というのはアフラックでございまして、だからA社と言うんですけれども。 日本郵政は財務大臣が筆頭株主でありまして、政府所管の持ち株会社、政府の会社です。民間会社だったら、どこの保険会社と何やろうとそれは自由ですけれども、政府の会社が特定の外資の商品を全郵便局で販売する、この公的ネットワークを一民間企業、しかも外資に独占的に使わせるというのはこれは異常事態じゃないかと思うんですけれど、麻生金融担当大臣、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) まず基本的に、金融分野を含めまして、これは日本経済全体として健全に発展していくためには、国内とか外資とかいうのに関係なくこれは適正な競争というのは行われて、いわゆる国民へのサービスが向上していくということが極めて重要なんだと思っております。 今のアフラックの話が出ましたのですが、これは様々な経緯があったというのはもう御存じのとおりですので、あのときは私も総務大臣していましたので、かなりこれ使っていましたし、その前は政調会長のときにこれ始まっていますからよく知らないわけじゃありませんが、この第三分野というのは、がん保険を含みます社会保障関係全体の保険のことを第三分野というんですが、少なくとも平成十三年に、いわゆる二〇〇一年ですから、あれのときに完全に自由化されて、今十五年以上たっているという経過になります。 こうした中で、これは第三分野というもののシェアとかいうものを見てみると、いわゆる、何というか、単品のがん保険だけを見ますと、これはおっしゃるとおり、アフラックという会社のシェアが六七%です。そこだけ見るとえらいでかいように見えるんですが、これ、がん保障、いわゆるがん保険を含めました全体の、第三分野全体では、国内のいわゆる保険会社、日本の持っております国内の保険会社のシェアは実に六六%ありますし、国内の中で全体を見ますと、第三分野保険全体というものはがん保険の単品の十四倍のマーケットということになりますので、その意味からいきますと、我々、いろいろな見方があるんだと思いますが、これは金融機関というものがそれなりの努力を重ねてこられてきた結果、私ども今このような数字が上がってきているんだと思っておりますので。 いずれにしても、我々としては、適正な競争というものがきちんと今後とも行われていくということをしていかないと、契約者の保護というものと、それから利便性、便利という話になりますと、これは我々としては、適正な行政というものの立場に立ちますと、適正な行政がきちんとなされていくためにきちんとした競争がなされていくというのは極めて大事なことだと思っております。
○大門実紀史君 これだけでも大きな問題なので、また改めてと思いますけれど、申し上げたいことは、元々、元々アメリカの日本に対する資本自由化要求があったわけですね。貿易・通商摩擦があったわけです。そのときに、アメリカの保険業界が強く要望したときに、第三分野なら取りあえず開放していいかということから始まっていると。その後はもう爆発的にアフラックがシェアを占めると。誤解のないように言っておきますと、別にアフラックの保険が悪いとかなんとか言っているわけではありません。私もお世話になりましたので、そういうことで言っているのではなくて、余りにも異常な、異常な優遇だということを申し上げているわけであります。 この流れはあるんですけれども、もう一つ、今日もう時間の関係で一つだけ申し上げたいんですけれども、二〇一六年現在、今二万局でやっていますけれど、この背景には実はあのTPPがあります、TPPのことがあります。 二〇一〇年、日本がTPPに参加したいと願い出たときにアメリカの通商代表部、USTRのカーク代表が、TPPに参加させてあげる条件として、アメリカ牛肉の輸入制限撤廃とこのかんぽのがん保険を、かんぽにがん保険をやらせるなということを当時の前原外務大臣に要請したわけですね。実は、当時、かんぽ生命は日本生命とタイアップして医療保険に出よう、進出しようと考えていたんですが、それをストップさせることがTPP参加の条件だよということを前原大臣に突き付けたわけであります。で、そのとおりになって、かんぽ生命としては扱えなくなって、むしろもう一緒にタイアップするというふうにさせられたということであります。ちなみに、アフラックの政治力は格段に強いものがありまして、アフラックの日本代表会長のチャールズ・レイクさんは実はアメリカの、USTRの元日本部長さんでございます。 だから、いろいろ言っても、このがん保険一つ取ってみても、アメリカの要求があったから、それはもちろん最後は経営判断したとなるんでしょうけど、アメリカの強い要求の下にそういう判断をしてきてこういう結果になっている、異常な事態になっているということでございます。 もう一つは、TPPにおけるこのアメリカの要求を受け入れる仕組みについて取り上げたいと思うんですけれども、今日はISDSがかなり議論になりました。これは、外国の投資家などが日本の制度に異議を申し立てて損害賠償を求めるということですね。環境、食の安全、地域振興など、日本が必要と考えて行っている規制も変えられてしまうのではないかという懸念が広がっているわけでございます。 この問題、また我が党もこの委員会で取り上げていきたいと思いますけれど、今日は、単に外国の投資家が日本政府を訴える、異議申立てをするという形を超えて、むしろ日本が積極的にアメリカの投資家からの意見を求めて、それに基づいて政府自ら規制緩和を推進するという仕組みが今回のTPP協定とサイドレターに組み込まれているという点を取り上げたいというふうに思います。 そもそも、日本がTPPに参加する条件として、先ほどのこともありましたが、もう一つ、アメリカから二国間協議を求められて、アメリカが関心を持っている事項についていろいろ話を聞かされた、要求を突き付けられた、一方的な片務的な交渉だったわけですけれども、そういう下で交わされた協定案の二十五章、規制の整合性という部分がありますけれども、その四条に調整及び見直しの手続又は仕組みという文章があります。二千七百四ページのところにあります。 書いていることは非常に複雑な言い方を書いてあるんですが、要するに何を言っているかといいますと、日本は外国人投資家の意見を聞く、聞く調整機関を設立して規制の見直しを進める、その調整機関は規制の見直し、改善について勧告をするということが書かれております。協定案二十五章四条に書かれております。外国投資家、これはもう当然アメリカですけれども、アメリカの意見が政府の政策に関与する仕組みが書かれているわけであります。 岸田外務大臣に伺いますけど、ここに書かれている調整機関とは具体的にどこが担うことになりますか。
○政府参考人(澁谷和久君) 規制の整合性のチャプターにここで規定されております機関といいますのは、規制を制定する際の政府部内の調整等を行うためというふうに書かれておりますので、我が国は、現時点において政府内で規制を行う際には各省間の調整の仕組みがもうでき上がっておりますので、新しい機関を設立することは当面不要ではないかというふうに考えております。
○大門実紀史君 不要、要らない。ということは、今ある機関を使うということですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 調整を行うための機関が必要であれば設立するということですので、現時点で私ども、政府部内で規制を新たに策定しようとする際は、通常、各省調整を行ってから法律ないし政令を策定いたしますので、調整の機能は十分我が国の政府内ででき上がっているというふうに考えております。
○大門実紀史君 外務大臣は、あれですか、承知されておりませんか、この点について。ちょっと事務方が言っているのは同じことばかり繰り返すので。
○国務大臣(岸田文雄君) 規制改革については、今現状、我が国政府の中で各省庁の調整する仕組みがあり、その仕組みに従って行われています。これを改めるとか何か加える、そういったことは全く考えていないということであると考えます。
○大門実紀史君 資料をお配りいたしました。これはサイドレターですね。 ここに書かれているのは、要するに、今言った調整機関というのは規制改革会議がやるということを書かれているわけですね。外国の投資家、つまりアメリカの投資家、利害関係者から意見、提言を求めて、その意見、提言は実現可能性に関する各省庁から回答をもらって検討して、可能な場合には行動を取るために定期的に規制改革会議に付託する、日本国政府は規制改革会議の提言に従って必要な措置をとると。 ですから、これわざわざサイドレターに書かれているわけですので、この調整機関は誰が見ても規制改革会議だと思うわけですが、違うんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の制度ですが、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づいて、各府省において規制の新設又は改廃に際する規制の事前評価とその結果の公表、そして法令等を整備する際の省庁間での法令協議等を行っています。さらに、この規制の在り方の改革を調査審議する内閣総理大臣の諮問機関として規制改革推進会議がある、これが我が国の制度であります。
○大門実紀史君 ですから、今名前が、規制改革じゃない、規制改革推進会議になりましたけれど、そこが担うということであります。 規制改革会議本部の担当者に聞いたんですけど、今までこういうアメリカ、外国投資家の意見を集約して聞いて、それを日本国政府の政策に反映してもらうために、規制改革推進会議、前だと規制改革会議として提言をしてきたのかと言いましたら、そういう仕組みはありませんでしたということでありますので、TPPをきっかけに、このアメリカの利害関係者が日本の政策に、政府の政策に直接関与をする仕組みがつくられてくるわけであります。 こんなことはもう前代未聞じゃないかと。一つの国の政府に、外国のビジネスマンが出てきて、おたくの国はこうしなさいと、こういうことが行われたら、ISDSで一々訴えなくても、もうそのまま日本の規制緩和をやらされるということと、TPPの協定案がどうあろうと、それを超えてこれからどんどんどんどんアメリカの多国籍企業、投資家の要望に基づいて限りなく規制緩和が広がっていくということになるんではないかと思います。 これは、幾ら何でもまさに経済主権が侵害されることに当たるんじゃないかと思いますが、大事な問題ですので、もう時間ないので、総理に一言答えてもらいます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、関係者の意見は聞きますが、それを反映させるということは義務ではないわけでありますから、これは聞きおくことになるわけでありますが、聞くわけでありますが、我々が判断し、それが、その意見が正しければ反映するわけでありますが、その意見が我々の仕組みに合わなければ、当然これは聞くだけになるわけであります。
○大門実紀史君 私は、それもおかしいと思うんです。特定の国の特定の投資家の特定の多国籍企業のビジネスの人たちの意見をわざわざ聞いて、それを政府の政策に反映しますという仕組みをつくっていることがおかしいと申し上げているのであって、聞いてどうするか分かりませんじゃないです、これ。ちゃんと書いてあります、提言に沿って必要な措置をとるまで書いてあるじゃないですか。ですから、こうなりますと、そもそも経済主権そのものがもう全く穴を空けられているということになるというふうに言わなければならないというふうに思います。 大体、この規制改革推進会議そのものがおかしいんですね、元々。市場原理主義というか強欲資本主義といいますか、今までもグローバル企業向けに解雇規制のルールを緩和しようとしたり、アメリカが求めてきた混合診療の規制を外していこうとしたり、さらには今回、農業改革まで、小川さんからありましたけれども、押し付けがましく言い立てるというふうな、元々おかしいんですよ、この規制改革推進会議。このおかしなところにアメリカが今度一緒にやるわけですよ。一緒に参入して際限のない規制緩和をここで打ち出していく、それが政府の政策に反映されていくということでありますので、もうこの仕組みを認めれば、ISDSどころか、本当にふだんから、アメリカの要望が日本の政策になってしまうということになりますので、この点は本当に禍根を残すことになるというふうに思います。もう少し日本を愛してもらいたいなと、日本を愛する気持ちを持ってもらいたいなというふうに思います。 以上申し上げて、質問を終わります。
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助でございます。 順次質問させていただきますけれども、毎回同じことを言いますが、答弁は簡潔かつ分かりやすくでお願いいたしたいと。お願いいたします。 それから、まあ私は後なものですから、かなり質問がダブる可能性がある、今までの方と。ただ、できるだけちょっと変えますけれども、それは御承知いただきたいと、こういうふうに思いますし、通告のときとまたちょっとニュアンスの違うことを言うかもしれませんので、通告は先週ですからね、大分時間がたちましたので。それはあらかじめお断りしておきます。 我が党はTPPには賛成であります。やっぱり自由貿易体制は守らなきゃいけませんし、貿易や投資の公正なルールというのは、これは確立して、これを普及するということは、私は、いろんな議論はありますよ、思います。 そういう意味で、衆議院で私どもは賛成をさせていただいて、審議にももちろん、採決にも加わりました。そこで、参議院なんですけれども、参議院ではちょっと事情が変わるのは、衆議院が通ったものだから三十日ルールというのが適用になるんですよ。皆さん言われませんけれども、条約があるから。 それからもう一つは、やっぱりトランプ次期アメリカ大統領の登場ですよね。こういう意味で、参議院がどうやるかというのは、審議がどうやるかというのはあるけれども、私は、是非参議院らしい充実した審議をしていただきたい。国民は心配しているんですよ、トランプさんが出てきて。いや、どういうことになるのか。それから、ほかの加盟国もどうしようかと思って、今、ぶるぶるはしていないんでしょうけれども、様子を見ていますよ。トランプさんもすぐ安倍総理に会うんだから、トランプさんも気にしているかもしれない。 そういう意味では、しっかりと参議院らしい審議をする。包括的な経済連携協定ですから、いろんなことがいっぱいある。だから、プラスもマイナスも疑問点も問題点も全部洗いざらいやってもらって、衆議院よりはもっと実があるなという審議を是非参議院でやって、それぞれの党がそれぞれの結論を出す。私どもは賛成ですけれども、そういうことを是非最初にお願いしておきたいと、こういうふうに思っているわけであります。 そこで、総理、私は、総理の答弁ずっと聞いておりまして、これだけ時間を掛けて各国が苦労をしてつくったこのTPPを、しかも十二か国の首脳が集まって早期の発効をしようということまで話し合われたものをここで諦めるとかなんとかというのは大変問題だと思います。そういう意味で、国民の皆さん、ほかの加盟国及び他国の皆さん、あるいは当のアメリカ、そういうことを含めて、私はこれは我が国としては続けていくべきだと思いますが、もう一度お考えをお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この十二か国が本当に真剣な交渉、議論を行った結果、これはまさにアジア太平洋地域に自由で公正な貿易圏、普遍的価値を共有する国々がそれをしっかりとつくっていこうということで最終的に合意をしたわけでございます。 確かに、その環境は、厳しい環境もございますが、先ほども申し上げましたが、ペルーにおけるAPEC首脳会合の際にTPP首脳会合を開催する日程を固めたとして、米国から先ほど招待が届いたところでございまして、TPPをしっかりと各国が国内においての手続を進めていくという共通の認識を持ちたいと、こう思っている次第でございますが、まさに今世界で保護主義が蔓延しようとしている今こそ、日本がリーダーシップを持って世界に向けて自由貿易の必要性、そしてTPPの意義を発信をしていきたいと、こう思っております。
○片山虎之助君 この場でもいろいろ議論が出ましたが、いろんな世論調査を見ると、国民の皆さん、よく分からないんですよ。事柄が難しいし、横文字が多いしでしょう。簡単にいきませんわね、いろんな事情も変わるし。だから、国民の皆さんは大変不安なんですよ。だから、いろんな調査を見ると、いいか悪いか分からないというのが多いんですよ。だから、慎重審議も、分からないから慎重審議なんですよ。だから、この国会では簡単に結論を出すなというのもそれにつながっているんですよね。 私は、国民の皆さんにもっと分かってもらう努力をしないと、国民の支持がなきゃ、こんなものはなかなか大変ですよ。そういう意味では、私は、政府の方の情報開示を始めとする国民に対する努力が不十分だと思いますよ。マクロのばさっと数字を出して、二・六%GDPが伸びる、十四兆円どうだ、損害はこれでこうだと。分かりませんわ、分野ごとにどうなるのか。それから、なるほど価格は変わるかもしれぬけれども生産量は変わらない、ちゃんと対策をやるから農家の所得も減らないと、具体的な個別の説明もなくて分かりませんよ。それはどうやるんだと。そういう仕組みはないんだと。しかし、その努力をすべきですよ。 私は、そういう意味ではもっと国民に分からせなきゃ無理だと思いますよ。まず、これだけ国民が理解して応援しているということが、外国に対して、米国に対しても強い私はプレッシャーになると思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国民の皆様に御理解をいただくことは、これは本当は必要であり重要だろうと思います。 ただ、こういう貿易協定、自由貿易協定の場合はこれ多岐にわたり、大変複雑なのは事実でございますから、我々は、まずは国民全体にどういう影響が出るかということで、成長率にはどういうふうに寄与していくか、これは国民みんなに影響を与えることでございますから、その御説明をしていく。 それと、これは各分野においては、実は各分野において説明するということは、これは、各分野のことを国民の皆様に御理解をいただくのは実はこれはなかなか難しい側面もございまして、農業分野において例えば畜産関係の方にマルキンと言えばもうこれ通用するんですが、一般の方々はマルキンと言ってもこれはなかなか分かりませんし。ですから、そういう意味においては、各団体、各企業の皆様にも、ごとにですね、そういう業界ごとに丁寧な説明も進めていきたい。 そして、国民の皆様には、全体どういう生活に影響が出るか、経済成長にどのように寄与していくか、あるいは心配をされている食の安全は大丈夫かということ等にも重点を置きながらしっかりと説明をしていきたいと、このように思いますが、約三百回実施をしてきた説明会やこれまでの国会審議の場で合意内容に関しては情報を全て提供し、丁寧に説明をしてきております。 また、この過程において政府は合計で約四千ページ以上に及ぶ資料も公表しておりますが、ただ、資料はなかなか生で見てもこれは難しい資料が多いわけでございますから、これはしっかりと様々な個別の説明において分かりやすい説明に注力をしていきたい。関わりのある各団体ごとへの説明にもしっかりと臨んでいく必要はあるんだろうと、このように思っております。
○片山虎之助君 総理いろいろ言われましたけど、三百回説明したからいいというものでもないんですよ。説明会でみんな分からなきゃ。四千ページの資料を作ったといって何か答弁がありましたよね。いや、それは労を多としますよ。それは議員に千七百ページ配ったとかね、それはいいんだけれども、とにかくこの問題をちゃんと分からせてということが努力は要るので、これから政府の情報開示やPR方法について御検討賜る御意思はございますか、石原大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 生の資料が難しいという話は総理の方から御答弁をさせていただきまして、やはりタリフライン、各関税表を見たって普通の方は御理解できない。じゃ、日本の関税がどうなるのかといっても、重要五品目についても、守っている部分、そしてまた守っていない部分、守っていないというか、関税を即撤廃してしまったのはなぜかという理由についてもなかなかこれ議論の中でも明らかにならない。 ですから、そういうものの単純にQアンドAという形で実は作らせていただきまして、これはQアンドAですから、これはどうですかといったら答えが出ている、これもホームページに掲載させていただいておりまして、それで、いろんなところへ行きますといろんな意見をいただきますので、これはブラッシュアップ、リニューアルをさせていただきながら今日まで来ておりますので、ここも是非御参考いただいて、またさらに、この参議院独特の真面目な雰囲気の中で個々の問題について建設的な討論が今日は続いておりますので、衆議院がじゃないということでは決してございませんで、参議院がより一層深い議論が進んでいると。もう八十時間ぐらい座っている人間が申しますので間違いないと思いますが、更に丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
○片山虎之助君 十七日に総理がペルーに行かれる、行かれる前か後か知りませんが、トランプさんにお会いになる。私は素早い対応で感心しましたね。それから、メディアなんかはいろんなことを報道しておりますけど、案外安倍総理とトランプさんはウマが合うんじゃないかという、こういうあれもありますので、是非率直な話合いをしていただいて信頼関係をつくるということと、それから、日米安保体制やTPPについても十分な意見交換をしていただいて、言えることは帰ってきて言っていただきたいと思います。 私、トランプさん知りませんが、トランプさん、ビジネスマンというのは、得か損か、プラスかマイナスか、アメリカの国益にどうかということの判断は私はきちっとできる人じゃないかと思う。GDPの世界の四割を持つような巨大な自由貿易圏が、日米の主導で、元々はアメリカが一番中心だったんですから、日米の主導で、そこでルール作りをやる。自由な貿易や投資をやるということがアメリカの得にならないはずは私はないと思うんですよ。今はプラスとマイナスありますよ。だけど、トータルで、将来を含めた長い時間で考えれば、アメリカの絶対利益なんですよね。そのことをしっかりと私は言っていただく必要があるし、それから、もし日米でTPPが進むのなら、フィリピンやインドネシアやタイや韓国や台湾が入ってくるんですよ。そうすると、アジアはほぼ入ってくる。これが連携を持てば、安全保障上こんなに強いことはないんですよ。 保護主義についていろんな意見がありますけど、保護主義は、これは戦争への道なんですよ。昔は、国家の繁栄は領土の拡大と植民地の獲得ですよ。それが戦争につながったんですよ。その反省から今の自由貿易体制ができて、今日午前中、総理が答弁されたように、一番得をしたのは負けた日本とドイツじゃないですか。それが勝者になるんですよ。こういう体制は残さないけませんよ。 どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今委員が御指摘になったように、戦前は版図を広げていく、それが、版図の広さが経済圏、経済力になっていったわけでありますし、かつてナチス・ドイツは、これレーベンスラウムといって、絶対生活圏というのは、自分たちに必要な資源を得るためにはそこはもうドイツのものにしていくという考え方にもつながっていったわけでございますが、戦後、日本もドイツもその版図を大きく失ったのでありますが、まさに自由貿易の中で大きな利益を上げたのは事実でございます。そして同時に、自由貿易によって生み出された富が多くの人たちに均てんをしていくように我々としても努力も重ねていきたいと、このように思っております。
○片山虎之助君 そこで、総理、それでもトランプさんは立場があるし、あれだけ選挙中に言ったんだから、どうしても反対で離脱だというんなら、後にどういう対応をするかというのは私は考えないかぬと思っている。 一つは、もうほっておくかということは、漂流で、なくなるおそれがありますよね。あるいは、あくまでも時間を掛けても今のTPPの枠組みを貫徹していくか。それは、二年後はアメリカの中間選挙がありますわね。そういうことを含めて、少し長いもので考えていくか。あるいは、よく言われているアメリカ外しですよ。米国は外して、それがどれだけの規模になって、どれくらいの力があるかは別ですよ。そういう選択肢を、ほっておくのか、あるいは貫徹するのか、あるいは外すのか、そういうことについてのなかなか答弁はしにくいと思いますけど、言える範囲でひとつお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、アメリカの向かっていく先が不透明になった中で、世界が注目をしているのはまさに日本なんだろうと、こう思います。TPPそして自由貿易について日本がどういう姿勢を示していくのかという意味においては、この審議も注目されていると言ってもいいんだろうと思います。だからこそ、自由貿易の大切さ、意義等についてしっかりと発信しつつ、そして、その中でTPPはどういう意味を持っているのかということも含めて我々はしっかりと発信したい。 と同時に、この日本の国会において御審議をいただき、採決していただければ、世界に向かって日本がこのTPPの意義を示し、同時に、先ほど申し上げましたように、再交渉はいたしませんということにもつながっていくんだろうと、こう思う次第でございます。
○片山虎之助君 さらに、ここまで言うのはどうかと思うんですが、私は、アメリカの大統領は一国のトップだけじゃないんですよね。もう好むと好まざるとにかかわらず超大国ですから、世界のリーダーなんですよ。世界の調整役なんですよね。それから、あれだけアメリカは大きな国なんですから、やっぱり国民の統合というのを考えないけません。あるいは国際的な安定というのを別に広く考えないけません。そういう感じを持ってもらうことが是非必要なんだし、日米同盟というのは長い歴史と大勢の人の積み重ねで今日があるんですよ。一人二人のあれじゃないんですよね。それで、これは不動のものにすることを私は是非お願いしたいと思うし、それが国民の安心につながると思うんですよね。 総理、どうでしょうか、御見識。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国は今でも世界の超大国であります。その軍事力においても世界の安全保障の状況において圧倒的な力を持っているのは変わりはないわけでありまして、まさに自由世界のリーダーとしての役割と責任もあるだろうと思います。 ですから、選挙戦では様々な議論が展開をされるわけでございますが、その椅子に座ればそれぞれその重みは伝わってくるわけであろうと、こう思うわけでございまして、先般、電話会談した際にも大変フランクな雰囲気の中で率直な意見交換をすることができましたし、日米同盟の重要性について地域の平和と安定に大きな役割をこれは果たしているという、そういう認識、趣旨についてもお互いに認識を共有することができたと、こう思う次第でございまして、今後アメリカのリーダーとしてしっかりと大きな役割を果たしていかれるものと期待をしているところでございます。
○片山虎之助君 今まで、日本はアメリカ追随とすぐ言われましたよね、日米同盟その他が。しかし、やっぱりこれは一つのトランプさんという非常に個性豊かな大統領が出た機会に、日本として今後どういう立ち位置を決めていくのかですね。自立自存、自助、そういうことの要請が私はどうしても出てくると思いますよ。今まではアメリカの核の傘の中、アメリカのいろんな中に、アメリカと一緒にと。これで済むのか、戦後七十年、そういう感じがした。大きな戦略の転換、立ち位置の転換というのを検討すべき必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国のトランプ次期大統領の政権がどのような外交・安全政策を取っていくかということについて今予断を持って述べることは控えさせていただきたいと思いますが、しかし今般、大統領選挙を見ておりますと、同盟国との関係についてもいろんな議論がなされたわけでありまして、その同盟国との関係の中で米国はどのようなこれは責任を負っていくべきかどうかということも議論になったんだろうと思います。 我々も、この日米同盟は、まさにこれは外交・安全保障の基軸ではありますが、我々の果たすべき役割、責任についてもしっかりと考えていかなければならないと、このように思っております。
○片山虎之助君 私、パネルを持ってきていまして、メガFTAについてのいろんなあれを、ちょっと皆さんに見せてください。(資料提示) ここで、今、場合によっては米国抜きのいろんな組合せと言いましたが、RCEPだとかFTAAPの話がここでも出ていますよね。これについて、外務大臣、現状とこれからの対応について御答弁をお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のいわゆるメガFTAの状況ですが、まず我が国としましては、TPPと並行してRCEP、日中韓FTA、こうした議論を精力的に進めてきております。そして、FTAAPにつきましては、APECの議論の中で引き続き協議が進められていると承知をしております。これらは互いに刺激し合い、ダイナミズムを生み出す枠組みであると考えます。その中で、TPPをしっかりと重視して進めていこうというこの姿勢、これは他のメガFTAの議論にも前向きな刺激を与えることになると認識をしております。
○片山虎之助君 そこで、その中の質問をさせていただきますが、攻める農業、輸出の拡大ということが今回のTPP絡みでの大きなテーマだと思うんですが、そこにパネルを作っておりますけれども、どうも一年前倒しをして一兆円を、今七千四、五百億でしょう、それを一年前倒しをして一兆円にすると。大変結構だと思いますけど、何となく違和感があるんですよね、申し訳ないんですけど。 〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕 トップは加工品なんです、食品の。単品でトップはホタテガイなんですよね。北海道なんかで一生懸命やっていますよね。どうも、それじゃ、本命のと言ったらおかしいけど、ただ、米だとか果物というのはずっと下なんですよね。ほんの僅かですよね。加工品やアルコールが駄目だと言いませんよ、日本酒も多いらしいし。それはいいんだけれども、何かもう少し、よその国みたいにワインだとかカキだとか何とかだとか、こういう感じがないのかなというのと、もう一つは、輸出先を見ると香港と台湾なんですよね、一、二位が。それから中国、韓国なんですよね、タイやシンガポールもあるんだけれども。 それで、結局、TPPの締結国では、アメリカは割に高いんですけれども、どういうことになっているのか。これからの攻める農業、輸出拡大についての政府のお考えを聞きたいと、こう思いますが、現状でいいのかな。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のとおり、我が国の輸出、特に加工品が重要な輸出産品になっております。加工品といっても、アルコール飲料等、元々は農業生産物でございますから、利益は農家にあるということは言えると思いますけれども、まだまだやはりオランダのトマトとか、あるいはノルウェーのサケとか、あるいはオーストリアの木材製品とかいうような地域に比べますと本格化していない感がございます。そんな意味では、早く輸出大国になるための施策を打っていかなきゃなりません。 また、TPP参加国向けの輸出につきましては千九百八十三億円で全体の二六・六%を占めておりまして、これまた我が国にとりましては重要な輸出先でございます。今後、こうしたTPP諸国に対して、国産の和牛とか水産物、米、日本酒、お茶、そういったものを中心に拡大をしていこうと思っております。特に米国では、今現在和牛が、牛肉は二百六トンでございますけれども、十四年目に代替の枠として六千二百五十トン、これを関税障壁なしに非関税で輸入していただけるというように約束をいただいているTPPでございます。 今後、こうしたことを活用しながら大々的に輸出できる国にしていきたいというように思っております。
○片山虎之助君 それで、衆議院の通過のときの附帯決議に、中小企業者、小規模事業者、中小農家ですよね、そういうものの相談支援体制をつくれと。まさにそうなんですよ。 これから、後で言いますが、若い人に農業やってもらうのに、輸出ができる、輸出でもうかるということは、いろんな議論があるかもしれぬけれども、大きな魅力なので、そのいわゆる相談支援体制というのはできているんでしょうか、中小農家に対する。
○国務大臣(山本有二君) 輸出を更に拡大するためには、先生御指摘の若い方々や意欲ある農家の方々をサポートする体制が必要でございます。 〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕 まず、農林水産省本省及び地方農政局並びにジェトロ、こういったところが総合的に農林水産物・食品輸出相談窓口、これを設置しております。相互に情報を交換しながら、輸出先国のマーケット情報、輸出に関する各種手続等の相談に対応しておるところでございまして、この窓口には年間一万件を超える相談が現在寄せられております。つまり、それだけ輸出意欲がある方が中小含めていらっしゃると、こういうことでございます。 TPPを契機に輸出や海外展開したい事業者には、さらに新輸出大国コンソーシアムの専門家がアドバイス、支援できる体制も構築しておりまして、これまで支援が開始されました二千百社の二割が農水産や食品の関連で輸出に取りかかっているわけでございます。 今後とも、初心者向けのマーケティングの基礎講座、商談会に出展する際の商談スキルセミナー、事業者の取組の各段階に応じたセミナー、研修会、これを幅広くやっていきたいというように思っております。
○片山虎之助君 それからもう一つは、日本の食品は安全だということですよ、危なくないというね。これは、例えばトレーサビリティーなんかと何かうまくつないで、事実上、輸出の促進になるようなことを考えられたらどうかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山本有二君) 大事な御指摘でございますけれども、今現在ある食品のトレーサビリティーと申しますのは、食品事故等があったときに原因究明とか商品回収等の円滑化に資するように組み立てられておりまして、表示の信頼性向上にも寄与する重要な取組ではありますけれども、お米と牛と、この二つだけでございます。 このようなトレーサビリティーをできるだけ他の食品にも広げていくようなトレンドはございますけれども、なお、中小零細の企業ではこの記録を整理、保存することに手間が掛かること、そして、この負担をどうシェアしていくかというようなことの解決をしていかなきゃなりませんが、おっしゃるその意味の深さは理解するところでございます。 今後、トレーサビリティーの効果、業種ごとの段階的な取組の進め方などを解説した実践的なマニュアルを作成、活用して普及を図り、委員おっしゃるような、我が国における食品トレーサビリティーによって安全な食品が国内流通されるように努力してまいりたいというように思っております。
○片山虎之助君 同じこの問題ばかり言っちゃいかぬのです。コストや手間が許す範囲で日本が仕組みをつくって、事実上その仕組みを輸出して、それをやったらこの食品は安全で大丈夫だというようなことがうまくできるかどうか、それ、どうぞ検討してください。いいですよ、答弁。 それからもう一つは、日本の食文化とか日本の、何というか、食事というのか、それはもう大変評価高いですよね。これとその輸出をうまく結んだらどうかと、こういうことなんですが、何か、向こうから来る訪日外国人で一番人気がいいのはラーメンだそうですね、変わったかもしれませんが。まあ、ラーメンが日本料理かどうかよく分かりませんが、いかがですか。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のように、平成二十七年には海外における日本食レストランの数が二年前の一・六倍、八万九千店に増加をいたしております。ジェトロが実施した海外消費者意識調査では、好きな外国料理というのに一位と日本料理が選ばれるなど、近年、世界の中で日本食、食文化は高まっております。 こうした傾向の中で、総理や閣僚レベルによるトップセールス、また国内外の著名な料理人などを活用した日本食レセプション、また日本食と食器等をセットにしたイベント、こうしたことを通じて食文化と一体で日本食材、食品のPRをやっていきたいと思っております。 海外の日本食レストランを農林水産物の輸出の拠点としてまた活用することが大変重要でございまして、日本食レストランと提携いたしまして米や和牛等の日本食材を使用した日本食のプロモーションに取り組む、あるいは今年度から日本食材を積極的に使用する海外レストラン等をサポーター店として認定する制度を今推進しているところでございます。 これらの施策を推進することによりまして、三十一年に一兆円、この目標を達成したいと思っております。
○片山虎之助君 それからもう一つ、遺伝子組換え食品についてはEU並みにするお考えはありませんか、予防原則の考え方も中に入れる。いかがですか。
○国務大臣(松本純君) 我が国の遺伝子組換え表示制度は、遺伝子組換え食品として安全性が満たされていない食品は輸入、販売が禁止されております。これを前提とした上で、安全性を満たして流通するものに対し表示制度を設けているため、予防的な表示制度を考える必要はないと考えております。 また、一方、我が国の遺伝子組換え表示制度は、遺伝子組換え農作物を含んでいるかどうか科学的に検証できることを前提とすることで表示制度の実効性を担保しております。義務表示の対象の拡大につきましては、我が国において分析技術が向上して、現在義務対象となっていないものも、組み換えられたDNA等の検出が可能になった場合にはそうした加工食品も新たに義務表示の対象となると考えておりまして、現在、最新の分析技術を用いて食用油やしょうゆなどの組み換えられたDNA等が検出できるかを検証する調査を実施しているところでございます。調査終了後、速やかに有識者等による検討の場を設けることとしておりまして、遺伝子組換え表示制度が国民にとって分かりやすいものとなるよう、引き続き努力してまいります。
○片山虎之助君 答弁が長い割には中身余りありません。引き続いてこの問題はあれします。 それで最後に、私は岡山県なんですが、岡山県農業会議の会長というのをもう十年以上やらせてもらっているんですよ。よく分からぬ、もたついた会長なんですが、その乏しい経験からいいますと、やっぱり農業の再生は土地と人ですよね。もう一番素朴で基本的なことですけれども、そこにたどり着いたわけでありまして、農地と担い手なんですよ。もう当たり前の話なんで。 それで、農地は、私はもう一遍農振や農用地地域を見直して、守るべき農地とそうでなくてもいい農地をしっかりと仕分をする必要があるんじゃないかと。守るべきものはこれはきつく規制をして、ゾーニング規制でも何でもいいですが、きつく規制して、場合によっては、ゾーニングの規制があるんだから企業にも持たせてもいいんですよ。企業の活力を、企業が嫌いな人も大勢おられますけれども、企業の活力を農業に取り込むということがあってもいいんで、その辺の検討を、我が党は前から言っているんですが、これについては、総理、どうでしょうか、基本的なあれ。
○国務大臣(山本有二君) 企業の活力も是非農業分野に活用させていただきたいと思っております。企業の農業参入については、平成二十一年農地法改正で、リース方式の参入が完全に自由化されました。改正前の現在五倍のペースで参入が進んでおります。また、農地を所有できる法人の要件も随分緩和されましたし、また、六次産業化の経営発展の障害を取り除く観点から、農業者以外の議決権比率が四分の一以下から二分の一未満まで拡大されております。 加えて、改正国家戦略特区法において、企業の農地の所有を認める試験的な事業を兵庫県養父市において行うこととしたところでございまして、先生御指摘の農地等、また農業の分野にこの企業の活力を入れるという方向付けはできているというように思っております。
○片山虎之助君 特区のことは知っていますけどね。 そこで、お手元にパネル見合いの紙が、資料があると思いますが、農地は昭和三十六年には六百九万ヘクタールあったんです。今は平成二十八年で四百四十七万ヘクタール、約七割ですよね。それから、耕作放棄地は今は四十二万ヘクタールになって、滋賀県と同じですよ。これはどんどん増えていますよね。 私はいつも言うんですが、私の県でも、本当にずっと田舎に行きますと耕作放棄地と更地ばかりですよ、いや、本当に。それで、太陽光発電なんかやっていましたけれども、これもなかなか難しい問題があって簡単にいかなくなって、地方創生と言いながら、本当に地方はそういう意味では私は崩壊しているんじゃないかと思う。 どうやってこれにてこを入れるかというのは大きいあれで、一つは農業ですよ。だから、残すべき農業をしっかり残していただいて、そこにありますように、課題、担い手への農地利用の集積の割合を八割に、耕作放棄地はできるだけ発生を防止、解消する、中山間地域の耕作条件を整備する、それから所有者不明の今農地がたくさんあって、これ困るんだけれども、これは新しい制度が、農地法の改正で新しい制度ができて、農地中間管理機構と知事とのいろんなやり取りがあるんだけれども、それで利用権の扱い、ちゃんと与えられるようになったんですけれども、それ以外が駄目なの、宅地だとか森林だとか施設用地だとか。だから、これをやらないと相続が複雑になっていますから、どうにもならなくなっている。 一遍、農水省忙しいんでしょうけれども、ひとつきちっと、農地の情報公開システムができたり台帳ができたりするんで、是非私は頑張ってもらいたいと、こういうふうに思います。 それから、耕作困難な農地は、そこにありますように、放牧利用の大胆な展開を、これは総理の山口県が成功しているんですよ。山口方式といって有名なんですけれども、こういうことを思い切ってやったらいい。ただ、これは地元もいろんな利害があって意見がまとまらないということはあるけれども。 それから、今、鳥獣被害が全国的にわあわあ言われておりますけれども、この鳥獣被害防止の緩衝林野みたいな、そういうものを造っていったらどうかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山本有二君) まず、平成二十六年の荒廃農地、これは市町村や農業委員会の調査で二十七万六千ヘクタールございます。このうち、再生利用可能なものが十三万二千ヘクタールございます。こうしたものに対して、耕作放棄地再生利用緊急対策交付金などによりまして再生事業を鋭意行っていきたいと思っております。 また、先生御指摘のように、農地台帳システムを見える化したらどうか、あるいは農地台帳に基づく農地情報を電子化、地図化してインターネットで公開する全国農地ナビなんかをもっと早く稼働しろという御指摘でございます。二十八年度補正予算において、誰もが最新の農地情報にアクセスできる環境を整えることで本格稼働するようにいたしております。 今後とも、そうした点で活用しやすい農地、さらに、鳥獣被害との緩衝地域を設けるというのが一つの大きな御提案ではないかというように思っております。
○片山虎之助君 これも農地法の改正で、農業委員だけではなくて農地利用最適化推進委員という長い名前の制度ができましたよね。この辺も活用したらいい。制度をつくって人を任命するだけではなくて、動かさないと。それをフルに動かすことが一つのこれから農業再生の私はあれだと思いますね。 それからもう一つ、人の方では、前申し上げましたが、青年就農給付金というのが今も長く続いているんです。平成二十二年に、民主党政権でしたけれども、私が予算委員会で、ここで質問をして、やってみようということを取り上げていただいて、今名前が変わっていますよ、二百億弱ぐらいですけれども、割に効果があるんです。ただ、ばらまきというあれもある、指摘もある。だから、ばらまきでないような工夫が要ると思うんですよね。キャリアアップにうまくつなぐとか、いろんな後の、更に経営を大きくするための何かのそれがステップになるとか、そういうことを是非考えていく必要があるので。 そのパネルの資料に今後の方向の提案事項とか書いています。このお金は五年間もらえるんですから、だから三年までに技術検定を受けてスキルアップを図ると。そうすると、打ち切られる給付金がもらえるとか、あるいはインセンティブで準備金がちゃんとあれするとか、あるいは投資育成の支援があるとかマーケティングのあれがあるとか、そういう具体的なことをやらないとつながらないんですよ。金だけもらってやめるという人もおるわけでね。 農林大臣、いかがですか。
○国務大臣(山本有二君) 農業所得が年三百五十万円を超えて青年就農給付金の受給資格がなくなると、早期達成者等にインセンティブを付与するようにこうしたところを改正したらどうかという御意見でございます。 今、青年就農給付金制度を農業次世代人材投資事業というように衣替えしまして、次世代を担う意欲ある新規就農者が早期に新しい農業にチャレンジできるような仕組みを導入したいと思っております。 先生御指摘の技術検定というのも一つのアイデアだろうというように思っておりますので、これを含めまして今後具体的な検討をしてみたいというように思っております。
○片山虎之助君 冒頭に申し上げましたが、私は、TPPをできるだけ生かすということがこれからは必要ではなかろうかと、こういうふうに思います。 それじゃ、こういうものがなくなってノンルールでいいのかどうかなんですよね。これは人類がある意味では獲得した知恵なので、これは、どういう形で決着を付けるかは、私、世界中がある意味で見ていると思いますよ。いっぱい今あるんだから、メガFTA、EPAや。そういう意味で、今度の安倍会談は、トランプさんとの会談は大変私は重要だと思いますので、総理、頑張ってください。最後に一言、決意を。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこのTPPの重要性についてこの委員会で、今日も片山委員との議論の中で世界に発信できたのではないかと、このように思いますが、まずは、トランプ次期大統領と信頼関係を築き、そして日米の関係、同盟関係の重要性について認識を一致させたいと、このように思っております。
○片山虎之助君 終わります。
○山本太郎君 ありがとうございます。自由党、自由党の共同代表、山本太郎です。 野党時代には大反対していた自民党が政権を握った途端に手のひら返しで大賛成のTPPについて、会派を代表して御質問いたします。 TPPの肝といえば何でしょうか。ISD条項、TPPの中でも一番危険な部分と言われています。複雑で大変難しいパートだと思います。是非、テレビを見ている中学生の方々にも、そして山本太郎にも理解できるように、分かりやすく短く答弁いただけると助かります。 そもそものお話をお聞きいたします。なぜISD条項が作られたんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) ISDS条項ですが、これは、投資受入れ国による投資関連協定違反に当たる不公正な待遇によって投資家が損害を受けた場合に、中立公正な国際仲裁で解決を図るために、これは様々な投資関連協定において今日まで設けられてきているものであると理解をしています。
○山本太郎君 ありがとうございました。 企業や投資家などが発展途上国で商売をやるために進出をした、ほかの国に。しかし、進出先の国の法律がしょっちゅう変わったり不安定な政治などが原因で損をしてしまった、巨額の損失が生まれたなどした場合、裁判所のようなところ、いわゆる国際仲裁機関に訴えることができるように作られたのがISDS条項だと、そのような感じだと思いますね。 ISDS条項で日本が訴えられることというのはないんでしょうか。教えてください。
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま外務大臣から御答弁させていただきましたけれども、今の山本委員の御心配は提訴の御心配ということだと聞かせていただきました。 我が国はこれまで、WTO等々に関しましても、ISDSのある既存の協定に基づく義務に違反するような措置、すなわち海外から、ルールを決めておいたのに後からルールを変えるというようなことをやったことがございませんので訴えられたことはございませんし、また、今後も必要な規制を行えるような措置、先ほど遺伝子組換えの問題についても議論がございましたけれども、これは確保をしっかりしております。 したがいまして、TPP協定に違反する措置をとることはございませんし、そうしたことから、今後とも我が国がISDSによって相手企業から訴えられるような事態は発生しづらいものであると認識をしております。
○山本太郎君 ありがとうございます。 今まで日本はISDSで訴えられたことがないというお話でした。これ当たり前の話なんですよね。説明します。(資料提示) フリップにもありますとおり、日本は過去にもISDS条項が入った協定を様々な国々と結んでいます。そのほとんどが発展途上国、いわゆる新興国です。基本的に、協定を結ぶ場合、相手側、つまり途上国側が期待するのは日本からの投資が入ってくることですよね。 例えばタイやラオス、カンボジア、パプアニューギニア、ミャンマーやモザンビークなど、途上国側の企業が日本に投資を行い、日本で手広く商売をやったところ、法律や制度に不備があるから損をしたじゃないか、ISDSを使って日本を訴えるなど考えられないでしょう。事実、今までそのようなことはなかった。なぜなら、今まで日本は常に途上国側に投資をする立場だったからということですよね。相手側から訴えられることを基本的に想像していないISDSなんですよ。 しかし、今回は違いますよね。今回のTPPは日本側だけが投資するという話じゃないよって、お互い投資を受け入れ合いましょうねという話ですもんね。その中でのISDS条項はこれまでの状況とは根本的な違いがあるということを政府はすっ飛ばして説明している。これからは、日本が投資をするだけでなく、投資を受け入れる側にもなる。アメリカに存在する巨大企業、カナダ、ニュージーランドなどの企業が日本を訴えることが可能になる。これ初めてのことなんですけど。今まで無敵だったから大丈夫って、話、全然違うじゃないのって。 アメリカにある巨大企業たちがISDSを悪用してどのような理不尽な振る舞いをしてきたか、分かりやすい例を出します。余りにも有名、南米エクアドルでのお話。そこで石油開発事業を行ったアメリカ企業シェブロンの子会社、大規模な環境汚染を引き起こした。これに対して、現地住民はこの会社に損害賠償を求めて訴えた。エクアドルの裁判所もこれを認めて、損害賠償を命じました。 環境汚染、権利の侵害や不法行為などがあれば、そこに被害者があったならば救済されるのが当然ですよね。これはどの国の民法でも認められている当然の権利、住民にとってはこれ憲法上の権利でもあります。ところが、シェブロンは、この出された判決が不服と、アメリカとエクアドルとの間で結んでいた投資協定を根拠にISDSを使い、第三者が判断するいわゆる仲裁廷にエクアドル政府を訴えた。結果どうなったか。この仲裁廷は会社側の主張を認めた。エクアドル政府に対して損害賠償を命じた判決の執行停止を命じた。これ、ひどくないですか。 大規模な汚染つくり出した企業は許されたって、損害賠償なくてもいいって判断までされた。理由は何なんだと。以前に会社とエクアドル政府との間で結んだ合意の中、環境的責任を問わないと約束をしたことが根拠だと。要は、環境汚染引き起こしてもオーケーなんだ、問題ないんだってことにされちゃったって。つまり、エクアドル国民の憲法上、民法上の権利すら否定したという話なんですよね。 政府が勝手に私的な企業と結んだ約束が、場合によっては国の法律すらひっくり返す。国の法律さえひっくり返すことができるのは、その国の裁判所ではありません、海外の第三者がジャッジする仲裁廷。国の法律さえひっくり返すことを決められるのは、その国とは関係のない外国人の弁護士、外国人の仲裁人。 ISDS、主権侵害そのものなんですよ。そのことをよく自民党の皆さんは野党時代、御存じだったはずですよ。TPPは国の主権が奪われる、TPPは日本文明の墓場、そんな発言をしていた人間たちが現在政権の閣僚を務めているって。政権取った後、手のひらを返してTPP大推進。恥を知るという意味分かりますかね。国家の私物化をやめていただきたいんですよ。 ISDSは、海外に進出した企業や投資家が合理的な期待を得られなかった場合、想定していた利益が得られなかった場合、途上国のみならず進出先の相手国政府に損害賠償を求めることができる。ざっくり今のを言うと、ISDSは、俺たちがもうけられなかったのはおまえたちの国の仕組みが悪いからだろうって、賠償しろよ、国内法変えろというような、悪質なクレーマーのようになってしまっている現状がある。 ISDSにより訴えが起こされた場合、それを裁くのはそれぞれの国の裁判所ではないことは何度も言っております。紛争を解決する手続を国際仲裁機関が行う。問題ごと、紛争ごとにそれをジャッジする仲裁廷が立ち上がる。 お聞きします。一番多く訴えを処理してきた国際仲裁機関はどこでしょうか。
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。 それはICSIDと呼ばれているところでございまして、投資紛争解決国際センターでございまして、二〇一五年の例を申し上げれば、投資仲裁のうち約三分の二をこの投資紛争解決国際センターで行ったというふうに承知しております。
○山本太郎君 ありがとうございました。世界銀行傘下の仲裁廷、ICSIDというところで行われたものが一番多いと。 投資家の訴えに対して判断を下すのはICSIDの仲裁廷。仲裁廷では三人の仲裁人によってジャッジされます。じゃ、誰が仲裁人を選ぶんだ。訴えた側、訴えられた側、それぞれ仲裁人を任命、そして仲裁裁判所の長となる三人目の選出は、訴えた側、訴えられた側の双方の合意又はそれぞれが選んだ仲裁人の合意で選ぶそうなんですけれども、元々意見が対立していますから、三人目選ぶの難しいですよね。調整できなければ、このICSIDの事務総長が選出すると聞いています。 仲裁人、それぞれ選ぶ、任命するといったって簡単な話じゃないですよ、誰でもいいわけじゃないですから。国際法に詳しくて、似たような国際的な係争案件にも直接関わったことがある人でないと対応できませんよね。ICSIDに既に登録している弁護士などの専門家の中から仲裁人を選ぶことになるそうです。 お聞きします。ICSIDに登録された日本人の仲裁人、何人いらっしゃいますか。
○政府参考人(山野内勘二君) この国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の下では仲裁人名簿が設けられておりまして、これに登録されている日本人は四名でございます。
○山本太郎君 四名、ありがとうございます。 今や政治をコントロールしているのは企業だとも言われています。組織票、企業献金などで企業の代理人を議会に送り込む、まさに代理人を買う、政策を買うといった状況です。日本で分かりやすく言うならば、自民党と経団連みたいな関係なんですかね。 皆さん御存じでしょうか、プロフィッティング・フロム・インジャスティス、不正義によって利益を得ることというタイトルのレポート。ヨーロッパで企業によるロビー活動が政策や政治をゆがめないように調査し、監視し、民主的で社会正義にかなった政策提言を行う学者や専門家で構成される二つのNGO団体が共同で行った投資仲裁に関する調査結果が書かれているレポート、プロフィッティング・フロム・インジャスティス。ここでは、先ほどの国際仲裁機関の仲裁人となる弁護士が、仲裁人クラブあるいは投資仲裁村とでも言うべき狭いグループの人に限られてしまっている状況、そしてそのような投資仲裁村が自らの利益を拡大する手段として様々な投資協定にISDS条項を設けさせるため働きかけている状況が詳細かつ克明に報告されています。 そこに書かれているのは、係争額が上がれば上がるほど仲裁廷の仲裁人は物すごく限られた弁護士が関わるということ。係争額が一億ドル、一億ドルを超えてくると、その限られた中の十五人が六四%関与する、係争額が四十億ドル以上、四十億ドル以上になってくると、その限られた中の十五人の七五%が関与する、まさに特定の人たちで事件を処理するという仲裁村、仲裁人クラブというのが存在する。 このような欧米人サークル、先ほども言っている仲裁村、仲裁人クラブの中に、国際仲裁廷で何度も戦ったことがある、そんな経験のあるベテラン、即戦力となる人、日本の国益を代表できる弁護士さん、日本人がいるかという話になると思うんです。 先ほど、ICSIDに仲裁人として登録されている人たちは四人いると言いました、日本人で。実際にこの方々が過去に仲裁人に選ばれ、現場に立たれた回数、教えてください。
○政府参考人(山野内勘二君) ICSIDの条約の下の仲裁において、現在までに仲裁人を務めた日本人はいらっしゃいません。
○山本太郎君 いらっしゃらない。始まる前から負けているじゃないかって。日本人の仲裁人は現場に立った経験がないって、初めてのお使い、ここでやるつもりですかって、ぶっつけ本番ですかって。 仲裁廷では、安倍政権お得意の、問題ない、それには当たらないなんて通用するんですかね。このISDSで訴訟になり、負けたとしても、もう一回訴えられないよと。つまり、上訴ができない一発勝負。こんなばくちのような制度で、安全性担保していると胸張って大丈夫なんですかね。これ、一発勝負で大丈夫ですか、何かありますか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど岸田外務大臣が御答弁させていただきましたけれども、日本が訴えられていないということは、日本の弁護士の方が働く現場がなかったということだと思いますし、委員の御指摘は、ISDSと同じく、これまでのISDSと同じく、上訴することができなくて一審制であると、こういうことに不安をお感じになられていることだと思いますけれども、その点は、この仲裁裁定を信用しなければそういう議論になるんですけれども、そこはこれまでの事例を見ても信頼に足り得ると私どもは考えておりますので、これと同じことを認めているというふうに御理解いただきたいと思います。
○山本太郎君 もう本当に勘弁してください。少数会派の時間を削るような、聞いてもいないことに答えるのはやめていただきたい。 あのね、一審、一回しか勝負できないといっても、そこに対する、何といいますか、カバーできることがあるんだということもたまに言われているんですよね、衆議院の議論では。どういうことか。TPP委員会というところに、要はその仲裁廷での意見が分かれてしまった場合に、一度TPP委員会というところにそれが投げられるんだという話なんですよ、関連文書だったりいろんなものの解釈に関する中身のね。各国の代表が集まり、全会一致、九十日ルールという下にやらなきゃいけないんです。全会一致なんて無理だろうって。結局、じゃ、その仲裁人村にまた戻るんだぜという話なんですよね。そういう話を多分、やり取りとしてできればなと思っていたんですけれども。 じゃ、その先に行きたいと思います。 TPP第九章、投資の章のお話をさせてください。投資の章には何が書かれていますかということなんですけど、何が書かれているか。例えば、自国の企業と同じ扱いを認めなさいよという内国民待遇、公正でちゃんと国内企業とも釣り合うような最低限の待遇を与えなさいねという公正衡平待遇、外国の投資家が期待していた利益を阻害するような行為は駄目だよというような間接収用、ほかにも収用など、つまりは投資家をいかに守るかということが書かれているのが投資の章なんですね。 投資家の保護に熱心なことはよく分かったんですけれども、投資の章には健康や環境などに影響を及ぼす行為に対して歯止めとなっているような条文がありますか。これ、条文読まないでください、時間がもうないので。どちらかというと、その条文はどこにあるのか、第何条の幾つだということを教えてください。
○政府参考人(山野内勘二君) 投資の章、第九章の第十六条で、投資活動が環境、健康その他の規制上の目的に配慮した方法で行われていることを確保するために、投資章に適合する措置であれば、締約国が必要な措置を採用、維持、又は強制することを妨げるものと解してはならないというふうに書いておられます。 今議員御指摘のとおり、第九章の第四条、第五条、第十条、さらに附属書九のBにおいて、環境、健康に関するものを含む国家の正当な規制権限について規定しております。
○山本太郎君 御丁寧に読んでくださいましたね。ありがとうございます。 今フリップが出ています。一番その歯止めとなり得るような条文が書かれているのが第九条、第九・一六条、九・一六とここでは呼ばせてください。これが健康や環境を守るための条文と言われている九・一六。日本の政府が出している意訳文をボードにいたしました。 これには何が書かれているのかというのを私からもざっくり言います。健康や環境などに影響があるような事業や活動があった場合、日本側がそれを止めるための手段を講じても違反にはならないということが書かれていると思います。間違いないですよね。ところが、この条文にはそれを根底から覆すようなトラップが存在している。フリップの色が変わっている部分、分かりますかね、括弧の中ですね。 括弧部分をピックアップしたフリップを出してください。この章の規定に適合するものに限ると書かれてあります。この章とは何だ、投資の章です。健康や環境に関する措置は投資の章の規定に適合するものに限るということなんですね。要は、投資の章違反でなければ投資の章の違反として扱われませんと言っている。つまり、違反しない限り違反じゃないって、当たり前の話でしょう。何書いているんですか、これ。何も言っていないのと同じなんですね。全く無意味なことを言っている条文だと。全ては投資の章の規定に違反しなければ問題がない。 つまり、投資の章やほかの条文と照らし合わせてみて、内国民待遇や収用、公正衡平待遇などに違反しないという条件付、限定付きで健康、環境に関する規制を掛けることを許してあげるという代物になっちゃった。逆に言えば、投資家の保護が最優先、それに反するようなことは、たとえ健康、環境に影響があっても規制することは認めないという話なんですよ。この括弧内の一文によってもう歯止めが失われた、無効化されたぞって。 この括弧内の文言、元々なかったんじゃないですか。これ誰が付けろって言ったんですか。交渉の中でどの国がこれを提案したんですか。その国名を教えてください。石原大臣ですかね、これ。
○政府参考人(山野内勘二君) この特別委員会で何度も答弁させていただいていると思いますけれども、交渉の経緯につきましては、これ、先方との関係や我が国の手のうちをさらすというようなことになりかねませんので、そこについてはコメントを差し控えたいと思います。
○山本太郎君 答えてもらっている答えも違うし、そして大臣も答えてくれない。だとするならば、このTPPに一番詳しい人に答えてもらうしかないじゃないですか。甘利さんでしょう。来てもらいましょうよ。 委員長、本委員会に甘利前TPP大臣、出席を求める、そしてこの九・一六条の中身に関して、どのような審議が行われたのか、どのような過程があったのかということを知る文書を出していただきたい、それを理事会で諮っていただけますか。
○委員長(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
○山本太郎君 巨大企業に日本が訴えられたとして、それ支払うの誰ですか。国税ですよ、税金ですよ、皆さんからの。訴訟を受けた事柄に関する法律や制度、これ変更を余儀なくされる。だって、同じような件があったらまた訴えられるから国内法を変えられちゃいますよ。 司法制度も海外企業に壊され、生活や安全が脅かされるのはこの国に生きる人々です。国の主権を差し上げるようなこのTPP、脱退以外あり得ないと申して、今日の質問を終わります。 ありがとうございました。
○行田邦子君 無所属クラブの行田邦子です。よろしくお願いいたします。 数年前のことですけれども、民主党政権のときでした。私は、そのときに日本がTPPの交渉に参加することに否定的でありました。けれども、今般の交渉結果を見させていただきまして、率直なところなんですけれども、私は、日本政府は結構頑張って交渉したと、このように思っております。それだけではなくて、政府は頑張って交渉しただけではなくて、交渉の牽引役も果たしたのではないかと、このように見ております。 私は、安倍総理を持ち上げる必要がない立場であります。無所属クラブでございますので持ち上げる必要はないんですけれども、このように率直に評価をしております。ところが、そのTPPが今先行きは極めて不透明になっているという状況です。午前中の質疑におきまして安倍総理は、アメリカに求められても再交渉はないと改めて再交渉を否定をいたしました。 では、二国間協定を持ちかけられた場合はどうでしょうか。トランプ氏は元々なんですけれどもこのように言っています。自分は自由貿易は大好きなんだ、けれどもTPPは駄目、貿易交渉は多国間ではなくて二国間でやるべきなんだということを主張しています。仮にアメリカ側から、トランプ氏から二国間、日米の協定交渉をやろうよと持ちかけられた場合はどのような対応をされますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の段階ではまだ、我々まだ、TPPの米国による批准についても我々は様々な機会を捉えて働きかけをしていきたいと思っておりますし、TPPには二国間協定にはないメリットもあるわけで、これはもう委員御承知のとおりでありますが、アジア太平洋地域に高いレベルのルールが広く適用されて、そして各国にまたがるサプライチェーンの取引コストを一気に引き下げていくという効力もあるわけでありまして、そういう意味において、このTPP、先ほども申し上げましたように、四割経済圏をつくり、そこにしっかりとしたルールが適用されるこのTPPを是非成就させたいと考えております。 また、この二国間においては、例えば日米のFTAはどうかという御質問だろうと、こう思うわけでございますが、現段階ではまだこれ、TPPを、これを追求していく我々にも責任があるんだろうと思いますし、先ほど御紹介をいたしましたが、ペルーで開かれるAPECの際にも十二か国の首脳が集まってTPP首脳会合を行う、米国から招待が来たところでありまして、この場を活用して十二か国が国内手続を進めるよう働きかけをしていきたい、そしてそういうメッセージを出していきたいと、こう思っております。
○行田邦子君 私は、総理は現段階においても日米二国間のFTAをもっとはっきり否定されるのかなと思ったんですけれども、十七日にニューヨークでトランプ氏と会談をされるということですし、またAPECの場でも会われるかと思いますので、そこで総理は是非ともトランプ氏に対して、まずは二国間ではなくて多国間が重要なんだということを、その理解を促していただきたいと思っております。トランプ氏が言うように、自動車を守って牛肉を取ったと、取った取られた、勝った負けたということであれば、これは二国間でも私は逆に交渉は早いとは思いますけれども、それではいかにそのような二国間協定を積み重ねていったとしても、より広い地域での、アジア太平洋地域での共通のルールを作ることができないから、だからマルチ、多国間なんだということを、今更ながらではありますけれども、是非トランプ氏の理解を促していただきたいと思います。 それで、今日私が質問したいテーマに移りたいと思いますけれども、先ほど、冒頭、日本政府は結構頑張って交渉したと思うと申し上げましたけれども、日本政府がもっと頑張って交渉しなければいけないテーマについて伺いたいと思います。著作権保護期間の戦時加算についてです。 戦時加算という言葉、多くの国民の皆様にとってはなじみがないかと思います。私自身がこの戦時加算という制度を初めて知ったのは、実は私がかつて広告代理店に勤めているときのことでした。私のクライアントに対してテレビCM案を提案しようという社内会議においてなんですけれども、何か有名な誰もが知っている楽曲、そして著作権料を払わなくていい、いわゆる著作権フリーの楽曲はないかということで探していたんですけれども、そこで私が思い付いたのがグレン・ミラーの「ムーンライト・セレナーデ」という曲でした。総理も御存じかと思います。 既にその当時にグレン・ミラーは死後五十年を経過していましたので、著作権料を払わなくていい、発生しないということで、私は社内の先輩に提案をしたんですけれども、ところがその先輩から、いやいや、「ムーンライト・セレナーデ」はまだ著作権料を払わなきゃいけないんだということを言われました。なぜならば、日本は戦争に負けた国だから、戦争に勝ったアメリカの国民が著作権を持っている楽曲に対しては、通常の保護期間に加えて更に約十年長く著作権を日本は保護しなければいけないんだということを言われたんです。平成のこの世の中に、戦争に負けた国だから戦時加算と、こういうことがあるのかと非常に私は驚き、そしてまたショックを受けたことを今でも覚えています。 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、この著作権の保護期間の戦時加算というのはどういう制度なんでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 著作権保護期間における戦時加算とは、サンフランシスコ平和条約に基づいて我が国に課せられている義務であり、具体的に言えば、連合国及び連合国民の著作権について、一九四一年十二月八日の開戦時から各国の平和条約が発効した前日までの期間を通常の保護期間に加算して保護するものであります。
○行田邦子君 ということです。日本は、戦争状態にあったときに十分に著作権を保護する状態になかったので戦時加算という制度を課せられているということであります。 本来の、通常の保護期間であれば著作権がもう切れているのに、戦時加算という制度があるから日本は著作権を払わなければいけない、こういった著作物というのは実は結構あります。例えば、ちょっと古いんですけど、越路吹雪、総理なら御存じだと思いますけれども、越路吹雪も歌った「ビギン・ザ・ビギン」、それからあと「私を野球に連れてって」、こういった楽曲。それからあと、さらには文学作品でいいますと、ヘミングウェーの「誰がために鐘は鳴る」、カミュの「異邦人」、サマセット・モームの「月と六ペンス」などなど、結構あるわけなんです。 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、日本以外にこの著作権の保護期間の戦時加算という制度を課せられている国がどこにあるのでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 現時点で確認している範囲においては、片務的な戦時加算義務を負っているのは日本だけであると承知をしております。
○行田邦子君 随分御答弁が簡潔だったんですけれども、太平洋戦争時の枢軸国、イタリア、ドイツは結果的に戦時加算を課せられていないと。世界でただ一人日本だけがいまだに戦時加算という義務を負わされ続けているということであります。 そこで、続いて大臣に伺いたいんですけれども、今般のTPPの交渉におきまして、日本は様々な著作権の交渉をしました。そして、著作権の保護期間を五十年から七十年に延長するということで合意をしました。五十年から七十年に延長されるのであれば、私はこれは戦時加算を解消する絶好のタイミングではないかと思ったわけですけれども、TPPにおいてどのような交渉をされましたでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 具体的な交渉経過につきましては、相手国との関係があるので、説明を差し控えたいと思います。 委員御指摘の戦時加算は重要な課題であることから、日本とTPP協定署名国の関係国の政府間で文書を交わし、戦時加算問題への対処のため、権利管理団体と権利者との間の対話を奨励すること、必要に応じてこれらの対話の進捗状況を把握したり、他の適切な措置を検討するため政府間で協議を行うことを確認をいたしました。このことにより、官民連携により戦時加算義務の現実的な打開に向けて意味ある一歩を踏み出すことができたと考えております。
○行田邦子君 TPP参加国のうち、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが日本に戦時加算を課している国でありますけれども、その四か国と各々と書簡、いわゆるサイドレターを交わしたということは私は一歩前進だと思っていますけれども、その中身を見ますと、残念ながら政府がこの問題について前向きに積極的に解消していこう、解決していこうという姿勢がなかなか見て取れません。産業界主導の対話を奨励し、歓迎するということにとどまってしまっているわけであります。 戦時加算というのは、日本が戦争状態にあったときに十分に著作権を保護する状態になかったということが問われて、サンフランシスコ平和条約におきまして、国と国、国家間の約束におきまして日本が受け入れた制度であります。これは民間ベースの話ではありません。国家と国家の間の問題と私は捉えております。 そこで、総理に伺いたいんですけれども、戦時加算の解消について、もっと国が前面に出て取り組むべきではないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) サンフランシスコ平和条約は、領土の確定や賠償問題の解決を含め、我が国の戦後処理の法的な基礎であり、戦時加算義務の法的な解消は同条約の権利義務の変更を要することから、現実的には困難であります。 その上で、TPP交渉においては、戦時加算対象国の政府との間で、著作権保護期間についてのサンフランシスコ平和条約上の日本の義務に関する二国間の書簡を交わしました。この書簡により、権利管理団体間の取組及びこれを政府間で後押しすることを通じて、対象国において戦時加算分については権利交渉をしないという対応が期待され、官民連携による問題の現実的な打開に向けて意味のある一歩を踏み出すことができたと考えています。 政府としても、民間主導の海外団体への働きかけが更に進展するよう、適切な情報提供を行うなどの支援に努めていきたいと思っています。必要に応じ、関係省庁と連携しつつ、相手国政府に対する働きかけを行ってまいりたいと思います。
○行田邦子君 民間主導で、仮に日本が実質的に戦時加算を払わなくてもよくなったとしても、それはあくまでも戦勝国の国民の皆さんの御慈悲と御厚意によって日本が戦時加算を払わなくてよくなるということにすぎないと私は考えております。やはり、これは国としてもっと前面に立って解消に努めるべきだと私は考えております。 このTPPの交渉、人、物、そして資本、そしてまた情報、それだけではなくて、あらゆる著作物が世界を行き来するこの二十一世紀の時代の共通ルールを作っていこうというわけであったわけであります。ですから、私は、この著作権の保護期間についても日本だけ戦時加算を課せられるということを、この度、これを機に解消すべきだと、このように訴えていきたいと思っております。 それでなんですけれども、大臣に伺いたいと思います。 先ほど御答弁でありました四か国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと書簡を交わしたということで、産業界主導の対話を奨励し、歓迎しようと、必要に応じて国家間でも会合を設けようという書簡を交わしたということでありますけれども、実はその二月四日、その後に、同じ日なんですけれども、オーストラリアだけは日本に対して追加の書簡を送っています。 皆様のお手元にお配りしていますけれども、どういうことかといいますと、日本はTPP協定で著作権の保護期間を五十年から七十年に延ばす、そのTPPの発効後、オーストラリアは日本に対して著作権の保護に関する権利を行使しない、つまり戦時加算権利を行使しないことを決定したという書簡を送ってきました。私はこれ本当に前進だと思っております。 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、ただ、この書簡というのは法的拘束力がありません。それでは、仮に、仮になんですけれども、オーストラリアの著作権者が戦時加算権利を行使したいと、このように言った場合なんですけれども、そのようなへそ曲がりがいた場合なんですけれども、どのようなことになると解釈をすればよいでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 今回のTPP協定署名式の日に豪州政府から追加的に出された書簡は、日豪両国間の緊密かつ良好な関係を背景に、豪州側が善意に基づき、できる限りの対応をしたいとの意図から発出されたもので、サンフランシスコ平和条約上の権利及び義務を変更するものではありません。そのため、仮に豪州の著作権者が戦時加算の権利を行使したいと主張した場合に法的にそれに対抗できるものではありません。 しかしながら、戦時加算は重要な課題であることから、日本と豪州の政府間で文書を交わし、この問題への対処のため、権利団体と権利者の間の対話を奨励すること、必要に応じ、これらの対話の進捗状況を把握したり他の適切な措置を検討するため政府間で協議を行うことを確認しているところであり、この枠組みに従って政府として必要に応じ、関係省庁間で連絡をしつつ、対象国への働きかけを努めていく考えであります。
○行田邦子君 聞くところによりますと、このオーストラリアからの書簡というのは、日本が求めたわけではなかったと。けれども、これがTPPの交渉を担当してきた閣僚同士の人間関係、信頼関係においてこのような書簡が送られてきたと、このように聞き及んでおります。 私は、この法的拘束力がない書簡ではありますけれども、こうしたことをもっとほかの国に対しても働きかけていって、そして一歩一歩進めていくべきだと思っております。 この戦時加算の問題というのはなかなか難しい問題であることは百も承知であります。なぜならば、サンフランシスコ平和条約が絡んでいるからです。このサンフランシスコ平和条約、もちろん私は否定しません。そして、そこで日本は主権を回復し、そして領土の確定、そしてまた連合国の賠償請求権の放棄ということをセットで戦時加算というものはこのサンフランシスコ条約で規定されているわけですので、なかなか難しい問題だということは百も承知なんですけれども、是非とも政府におきましては汗をかいて、そしてまた知恵を絞って取り組んでいただきたいと思っております。 そこで、最後に、総理にもう一度伺いたいと思うんですけれども、TPPはこのような結果になっております。このTPP自体もどうなるのか分からないという状況ではありますけれども、一旦このような書簡を交わすという結果になりました。そしてさらに、民間主導で、産業界主導で対話を奨励するだけではなくて、必要に応じて積極的に政府間で会合を持って取り組んでいただきたいということを、まずはTPPの参加国、四か国についてはそのことをお願いをしたいと。 そして、更になんですけれども、日本に対して戦時加算の義務を課している国というのは全部で十五か国あります。そのうちの五か国がEUの加盟国です。今ちょうど、日本とEUの間におきまして経済連携協定の交渉、この真っ最中であります。年内の大筋合意を向けて交渉しているということであります。私は、是非この日EU・EPAの交渉の中におきまして、EUは日本に対して戦時加算権を行使をしないという約束を取り付けていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この戦時加算の問題は、サンフランシスコ条約を締結をする際、日本はまさにこれ、独立を果たすためにこのサンフランシスコ条約を調印をする必要があったわけでありまして、その際、様々なことを受け入れなければならなかったということでもあろうと思います。 そこで、このEU加盟国のうち、戦時加算の対象国は、英国、フランス、オランダ、ベルギー、ギリシャの五か国でありますが、これらの国々との間でも、日EU・EPA交渉を含め様々な機会を活用し、問題の現実的な打開に向けて今後更に働きかけを行っていきたいと、このように思います。 先ほどオーストラリアの例を挙げられました。TPP交渉の結果そうした成果を得ることもできたわけでございますので、EPA交渉においても努力をしていきたいと、このように思っております。
○行田邦子君 さらに、日EU・EPAの交渉におきましては、TPPで出した結果よりか更に一歩も二歩も進んだ結果を出していただきたいと思っております。 日本は、戦後六十数年間にわたりまして、ずっと長きにわたって、この日本だけに課せられた戦時加算という義務を真面目に、そして誠実に履行し続けてきたわけであります。そして、これは経済的な損益でいうとそれほどの大きな額ではないかもしれませんけれども、このことは、この戦時加算の解消というのは日本の姿勢が問われている問題だと私は理解をしております。 総理はよく戦後レジームからの脱却という言い方をされていますけれども、私は余りこの言葉、好きではないんですけれども、戦後レジームからの脱却というのであれば、著作権の保護期間の戦時加算の解消こそ国が汗をかいて知恵を絞って取り組むべきテーマであることを申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○和田政宗君 日本の和田政宗です。 行田委員の方から著作権の戦時加算について取り上げられまして、さきの大戦の結果をまだ日本は引きずっているということが明らかになったわけでありますけれども、そこで、まずTPPの総論からお聞きしたいというふうに思います。 TPPに反対している方々を見てみますと、今の政治や社会が戦前に似てきている、これは恐ろしいと言っている方々と層や団体がかぶっています。そういった方々に申し上げたいのは、さきの大戦に向かう状況において欧米列強によるブロック経済や保護主義が戦争につながったわけで、そうではない自由貿易というのは、さきの大戦に向かう状況を繰り返さないためにも重要なわけです。それを考えた場合、なぜ今の政治や社会の状況が戦前に似ていると強硬に主張している人たちがTPPに反対するのかが分かりません。 もちろん、TPPにより国内産業が破壊されてはならず、国内対策が重要であることは当然の前提条件であるわけですが、TPPにより国々の間の連携は高まり、アジア太平洋地域の平和にも寄与すると考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPは、まさに自由や民主主義、そして基本的人権、また法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに自由で公正な世界の四割経済圏を創出をし、経済面で法の支配を抜本的に強化するものでありまして、そしてこれは自由で開かれたものでありますから、ブロック経済化とは逆と言ってもいいんだろうと、こう思うわけであります。そして、TPPによって新たに作られるルールは、今後の経済連携協定のモデルともなり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されると、こう思うわけであります。 そして、参加を希望する国や地域も相次いでおります。TPPという巨大市場の求心力で、その高い水準が各国の経済改革の目標となり、そして法の支配が及ぶ範囲が拡大していくことが期待されるわけでありまして、まさに同じ価値を共有する国々との関係においてはきずなが強まり、そして今申し上げましたように、自由、民主主義、そして人権、法の支配、こうした普遍的価値も更に広がっていく契機ともなっていくんだろうと、このように思うところでございます。
○和田政宗君 TPPに対しては、問題だ、大変だというだけではなく、そうしたメリットもしっかり見なくてはならないというふうに思っております。 TPPにより国内産業がめちゃくちゃになるという論もありますけれども、では、TPPをやらなければ良い未来となるのでしょうか。私は、特に農林水産業において、徐々に徐々にしぼんでいく状況を脱するためにも、しっかりとした構造改革と基盤強化を行って、輸出などに打って出る必要があると考えます。工業製品も含め、高い品質のものを作って輸出をするというのは日本人の最も得意とするところです。TPPを機に強い国内産業をつくり、経済を強くして国民所得を上げていかなくてはなりません。 そうした観点から、まず、福島第一原発事故により諸外国において科学的根拠なく輸入が停止されている日本産の農林水産物についてお聞きをします。 TPP協定の参加国においては科学的根拠なく輸入停止を行っている品目はほとんどありませんが、TPPへの参加を希望している国の中には科学的根拠なく輸入停止を行っているところがあります。こうした諸外国が日本産の農林水産物に掛けている科学的根拠のない輸入停止といった制限は、TPPが発効すると加盟国に対しては解除を要請することができるのでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 福島第一原子力発電所事故の放射性物質に関する輸入規制、これに対しまして、政府一丸となって撤廃、緩和に向けた取組を進めてきたところでございます。規制を設けている国・地域の数は、事故後、五十四でございましたが、現在は三十五となっております。 TPP協定におきましても、WTOにあるのと同じように、農産物輸出の際に科学的な根拠に基づかない障壁について改善を求めることができます。さらに加えて、このWTO・SPS協定にはない規定が設けられておりまして、専門家が関与する協議、協力的な技術的協議を求めることができるといった規定、同協定の七章十七条も設けられております。 こうしたことを踏まえて、科学的な根拠に基づかない規制をしている加盟国に対して、当該規制の撤廃、緩和の働きかけを行うことができるというように考えております。
○和田政宗君 次に、関連して電力事業についてお聞きをします。 電力事業についてはTPPにおいては留保事項、すなわち、今はTPPには組み入れないというふうになっているわけですけれども、日本国内の発電事業については外資の参入が審査により認められておりまして、太陽光発電などでは続々と外資が参入しております。そうした競争環境の中、それぞれの電力会社が経営努力を続けているわけです。 そこでお聞きをしますが、福島第一原発の廃炉の費用を捻出するため、東京電力の原子力事業を分離し、ほかの電力会社と合併や連携させることの検討について経済産業省が有識者会議に提示したということですが、これはともすると、経営努力を必死に行っている企業に国が手を突っ込んで全く別の重荷を負わせる形になるおそれがあるのではないかと考えられます。こうしたことを行えば企業の健全な経営努力を妨げる懸念もありますが、政府の見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。 まず、東京電力に関しては、これは独立行政法人の原賠機構が五〇・一%の株主になっているわけであります。その上で、福島第一原発に係る廃炉等については、やはり事故を起こした東京電力が責任を持って行うことが大原則でありますし、まず、東電改革によって福島への責任を果たすことができるよう、東京電力には、福島の方々が安心をし、そして国民の皆さんが納得いただけるような抜本的な改革を求めているところであります。 こうした問題意識から、今、東電委員会というのを立ち上げまして、原発事故の被災者への賠償や1Fの廃炉など、福島への責任をどのように貫徹をしていくか、そして、そのための資金を捻出できる生産性の高い企業にどのようにして生まれ変わらせていくか、そういった点を有識者の先生方に御議論をいただいているところであります。 一方で、委員御指摘のように、個々のその他の電力会社の経営の在り方についてはそれぞれの各電力会社が判断をされるべきでありまして、仮に、仮にですけれども、東京電力がアライアンスを組む場合に、その相手となる会社がその東電のアライアンス要請に応じるかどうかはそれぞれの経営判断や意思決定によって行われるべきものでありまして、国が何か強制するとか関与するということは考えておりませんし、そもそもできませんということでございます。
○和田政宗君 これはちょっと、報道等によって国がかなり積極的に関与しているのではないかというようなところがありましたので確認をしたわけでございますけれども、そういったことができないということ、あわせて、福島の方々がしっかりと安心して暮らせるようにという大臣のお言葉が出ましたので、是非そのとおりにお願いをしたいというふうに思います。 次に、輸入牛肉における肥育ホルモン、成長ホルモンの投与についてお聞きをします。 これは衆議院のTPP特別委員会でも指摘されましたけれども、この問題は既に私が三年前から継続的に取り上げてきたもので、海外の肉牛生産において、牛の成長を早めるため肥育ホルモンが投与されている牛があるという問題となるわけです。 国内の肉牛生産では肥育ホルモンは全く使われておらず、食の安全性の面から肥育ホルモンを使った海外産の牛肉は食べて大丈夫かという懸念があり、これについては海外の研究において実は影響があるのではないかという論文も出ておりますが、課題となるのは、肉牛を生産するときに肥育ホルモンが投与されていても、その後、代謝をされ、牛肉として輸入するときには検出されなくなっているという点です。 私は、国内の消費者に選択肢を持ってもらうためにも、肥育ホルモンの使用、不使用の表示を義務化できないかとこれまで質問してきましたが、政府は表示の義務化は難しいという回答でした。これはなぜなのか、理由を改めて説明してください。
○国務大臣(松本純君) 委員からお話もありましたように、肥育ホルモンの使用に表示義務を課すに当たっては、食品表示基準違反は罰則の対象となることから、使用したことを科学的に検証できることが前提となると考えているところでございます。 肥育ホルモンは、投与の後、十分な時間が経過すれば排せつされ、検出できなくなってしまいます。仮に肥育ホルモンを投与した牛肉に肥育ホルモン不使用という表示をしたとしても、投与したかどうかを科学的に検証できないということから義務表示の対象としていないところでございます。 消費者の不安を払拭し、安心を確保していくためには、我が国においてどのようにして輸入牛肉の安全性が確保されるかについて丁寧に説明はしていかなければならないと考えておりまして、関係省庁が連携して消費者の具体的な懸念に応じて分かりやすく情報発信するよう、不断の努力を重ねてまいりたいと思います。
○和田政宗君 これはこういった答弁が当初からでありまして、私も何とかできないものかということでいろいろな、例えば国際間の協定ですとか取決め、国内の法律、外国の法律など様々読み込んで検討しましたけれども、現状では大臣がおっしゃったような答弁にならざるを得ないわけです。ただ、手段としては肥育ホルモンを使用している牛を全面的に禁輸するということもできるわけですが、これも科学的根拠の面からでは現状では厳しいというのが実情です。 ということであれば、民間で任意に表示をできるかということになりますが、例えばオーストラリアの大手スーパーのうちの一社では、牛肉において肥育ホルモンを使っていないという表示を行っています。民間企業等において任意に肥育ホルモン不使用の表示をすることは私はできるというふうに理解をしておりますが、これはTPP発効で妨げられることはあるんでしょうか。
○国務大臣(松本純君) 妨げられるものではありませんで、肥育ホルモンを使用した輸入牛肉を避けたいという消費者のニーズを踏まえまして、肥育ホルモンを使用していないという表示を行うことは現行の仕組みにおいても企業の任意で取り組めるものでございます。したがって、肥育ホルモンの使用の有無について企業が情報を得ていれば、積極的に表示がなされるものと考えております。
○和田政宗君 国会において新しい答弁が今出てきたわけでございますけれども、海外産の牛肉においては肥育ホルモンを使っているもの使っていないものがあるということですが、繰り返しになりますけれども、国内産の牛肉は全て肥育ホルモンを使用していないわけですから、そうした安全性や優位性をまず国内の消費者、すなわち国民の方々に周知をすべきであるというふうに考えております。 次に、TPPと漁業についてお聞きをします。 衆議院のTPP特別委員会の審議では、実は全くと言っていいほど漁業のことが質問されなかったのですけれども、東日本大震災において沿岸の漁業も大きな影響を受けておりますし、漁業の基盤強化に向けた政府の様々なプログラムもまだ途上で、TPP発効後も国内の漁業の基盤強化を続けられるのかという点が重要になります。 政府は、これまでに都道府県や漁業団体などへの説明において、TPP発効後の国による補助金は、過剰漁獲や違法、無報告、無規制の漁業など資源に悪影響を及ぼす漁業に対しては禁止されたが、持続的な発展を図る日本の漁業補助金は禁止に該当せず、我が国の政策決定権を維持できたと説明しておりますが、漁業の基盤強化などに向けた補助金はTPP発効後もこれまでと変わらず出せるということでよいでしょうか。 そして、もちろん補助金や助成金に頼り切ることなく、自助努力によっても漁業経営を強化し、安定させることは重要なわけで、漁業もまたTPPをチャンスに変えていかなくてはなりません。TPPによって水産物の輸出をどのように増やしていくのかについてもお聞きします。
○国務大臣(山本有二君) TPP交渉の結果、漁業補助金に関して禁止されたものが二つございます。漁獲に対する補助金であっても、乱獲された状態にある魚類資源に悪影響を及ぼすもの、これは駄目です。また、IUU漁業を行う漁船に対し交付される補助金、これも禁止でございます。現行の我が国の漁業補助金は、これらの禁止補助金には該当いたしません。漁業補助金に関する我が国の政策決定権は維持されております。 また、TPP合意によりまして、例えば近年輸出の伸びが著しいベトナム向けの水産物、これにつきまして、ブリ、サバ、サンマ、全ての生鮮魚、冷凍魚の関税が即時撤廃されます。このため、このような品目を含めた水産物の輸出拡大に向けまして、農林水産業の輸出力強化戦略に基づいて水産物・水産加工品輸出拡大協議会によるプロモーション活動に対する支援を行っておりますし、また大規模な拠点漁港における品質・衛生管理体制の構築も支援しておりますし、また、水産加工施設のHACCP対応の推進などに取り組んでおりまして、なお、このTPP合意による水産物の輸出は拡大の方向だというように認識しております。
○和田政宗君 次に、米の輸出戦略についてお聞きをします。 TPPが発効しますと、日本の米に対する諸外国の関税も下がります。高いところでは、現在、マレーシアは四〇%、ベトナムは二二・五%の関税を掛けていますが、マレーシアは協定発効から十一年目、ベトナムは発効と同時に即時撤廃をされます。 ただ、こうした国々は、所得水準の面からは多くの方はまだ日本産米を購入しにくいというふうに考えられます。こうした地域を米の輸出に当たってターゲットにするのか、それとももっと所得水準の高い地域をまずターゲットにするのか、TPP発効後の米の輸出戦略についてお聞きをします。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のTPP参加国、特にベトナム、マレーシア、まだまだ高い関税水準が維持されております。もし発効するならば、こうした国もお米の輸入拡大が期待されるところでございまして、二〇一四年、ベトナムは四トンしか輸入されておりませんでしたが、二〇一五年には百四十二トンというように三四五〇%の増加でございます。マレーシアは、二〇一四年に四十九トンでありましたが、二〇一五年、一年たった後には百二十四トンでございますので、一五三%の増加でございます。こうした現実を捉えていきますと、関税撤廃がかなり輸出促進につながっていくだろうというように認識しております。 また、現地ニーズに対応して、具体的に輸出促進につきましては、機能性成分を売りにした商品、これの販売促進、炊飯器がなくても日本で食べると遜色なく食べられるいわゆるパック御飯、加工形態での商品等、商品や販売のやり方について多様性を持って推進したいと思っておりますし、日本食レストランの応援もいただきながらやっていきたいというように思っております。 米・加工品の輸出目標六百億円、これを前倒しできる体制に取り組んでまいりたいと思っております。
○和田政宗君 最後に、TPP発効後の日本酒の輸出についてお聞きをします。 日本酒の輸出量は、酒類全体の輸出量の約四割を占め、年間百四十億円にも上ります。おととしに比べ去年は二十五億円も輸出量が増えておりまして、TPPが発効しますと、アメリカやカナダが掛けている日本酒の関税は直ちに撤廃されます。さらに、アメリカでは地理的表示が保護対象となっており、アメリカ国内においては、日本以外で製造された日本酒は販売が禁止される方向です。 こうしたメリットを生かし、TPP発効後、日本酒の輸出をどのように促進していくのか、お聞きいたします。
○国務大臣(麻生太郎君) 日本酒を始め日本産酒類、ちょっとしゃべりにくいですが、日本産酒類というのにつきましては、これはクールジャパン政策の一環として積極的にやらせていただいているんですが、今言われましたように、平成二十七年度の日本産酒類のいわゆる輸出金額が約三百八十億まで増えてきておりますが、いろいろなものを含めまして三割以上増加をいたしております。 その中で、輸出促進としてどんなことをやっておるかということですが、この間、あの伊勢志摩サミットで総理主催のところで使っておられるのも日本酒でしたし、私どものG7の、先生のところの仙台で財務大臣・中央銀行総裁会議というのをやらさせていただきましたけど、あのときは、仙台市内で、今でも市内で酒を造っております勝山、あれ一社だと、あとは全部地震の後なくなっているんですが、あそこだけが一社残っていますので、勝山の酒とかいうのを乾杯で使わせていただいたりなんかしておりますので、間違いなくそういった方向では今やらせていただいております。 また、今、産地名の話が出ましたけれども、これはいわゆるジオグラフィカルインディケーションと称する、通称GI、兵隊さんと間違えるとかよく言うんですけれども、GIの話と違うんですよという……(発言する者あり)古い、確かに古いんですけれども、GIでは通じない世代が和田さんだと、ちょっと今言いながらそう思ったんですが、この間GIって何だと言われたので、その話を説明したばかりだったのでそう申し上げたんですが。いわゆるそういったものもやらせていただくことが決まっておりますので、今それで登録されているのが、酒はたしか白山だったかな、加賀の白山が登録されていると思いますが、その他日本酒いろいろあります。 アメリカとの間で、いわゆるブランド価値向上に極めて有効だということで、この地理的表示を相互に保護する手続を進めることで既に合意しておりますので、日本産のお米以外の米を使って日本酒と言った人を取り締まるのはアメリカ側の責任ということで押し付けてありますので、そこはきちんと同じような方向になっていくんだと思っておりますので。 ただ、みんな、日本産というと日本酒ばかりを和田さんは思っていらっしゃるが、今はウイスキーの伸びの方が大きいからね。一七〇%はウイスキーが伸びております。
○和田政宗君 時間が来たので終わります。 TPPをしっかりとチャンスに変えていかなくてはならないと思います。 ありがとうございました。
○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十八分散会