法務委員会 第15号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2016/12/09
会議録
○鈴木委員長 これより会議を開きます。 第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官西田直樹君、法務省大臣官房司法法制部長小山太士君、法務省民事局長小川秀樹君及び防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。
○山尾委員 おはようございます。民進党の山尾志桜里です。 きょうも、保証の話そして約款の話と、論点を一つずつ整理していきたいというふうに思うのですけれども、その前に、ちょうど皆様のお手元に、きのうの朝日新聞ですけれども、これを見ていただきたいんです。私は、きのうこの記事を見て、改正案の中の債権の準占有者に対する弁済、こういう論点を、自分自身、やはり改めて皆さんにちょっと提示をしておきたいなというふうに思いまして、冒頭にこの議論をさせていただきたいというふうに思います。 本当に、振り込め詐欺とかオレオレ詐欺とか、まさに時代の変化に沿って出てきた新しい類型の犯罪なわけですけれども、このきのうの記事、これはなかなか驚くべき事件でありまして、五月十五日のたった三時間弱のうちに東京、愛知、大阪、福岡など十七都府県で偽造カードによって計十八億六千万円が不正に払い戻された。一万八千回以上、この三時間のうちに、それはかなり多数の出し子を使って、この記事によると、複数の暴力団が横につながって一気にこういう犯罪が行われた、こういうことであります。 こういった事件において、外形的な債権者、真の債権者ではない外形的な見かけの債権者に対する弁済の有効無効をいかに考えるかということを、やはり改めてこの法務委員会で問題にしたいというふうに思うんです。 現行法四百七十八条では、債権の準占有者、見かけの債権者ですね、に対する弁済は、弁済者が善意無過失の場合に有効、こういう条文になっています。 今回の改正案を見てみると、債権の準占有者という表現がわかりにくいので、ここの部分はわかりやすくしてあるんですね、「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」と。今回の法の趣旨、できるだけわかりやすい表現に改めるということで、これは一つの考え方で、いいと思うんです。 ただ、中身、要件なんですね。本来は、見かけの債権者ですから、その弁済は無効というのが原則ですけれども、しかし、例外的にそれを有効とする場合、どういう場合にそれが例外的に認められるのか。現行の善意無過失要件、弁済をしてしまった側、ありていに言えば銀行、金融機関が善意、それを知らずに、そして知らないことに過失がなかったとき、善意無過失要件、このときは例外的に弁済が有効なんだ、これは今回の法改正でそのまま維持されております。 そこでお伺いをしたいんですけれども、法制審中間試案では、この要件も変えましょう、こういう議論が随分活発に行われていたはずです。具体的には、善意無過失という銀行側の主観面だけではなくて、そう信じたことについて正当な理由があるかどうか、あるいは、やはり例外的に金融機関を保護することについて正当な理由があるかどうか、こういうふうに、考慮事項をもうちょっと深く総合的に検討できるようにするべきではないか、正当な理由、こういう要件にしてはどうだろう、こういう議論があったはずです。 つまり、ともすれば、真の債権者、預金者よりも、銀行側が、金融機関側が保護され過ぎている傾向があるのではないか、こういう問題意識から、保護される要件についても、善意無過失から正当な理由というふうに、深く検討できるような改正が提示されていたはずです。 ただ、今回の改正案を見ると、結局、善意無過失要件に戻ってしまっていますよね。なぜそういうふうになってしまったんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 御指摘ありましたように、債権者以外の者に対する弁済が有効となる場合を定める第四百七十八条につきましては、弁済者の善意無過失の要件にかえて、正当な理由を要件とすることが検討されておりました。 これは、判例の中に、現金自動入出機、いわゆるATMによる預金の払い戻しに関する事案について、機械払いシステムの設置管理についての金融機関の注意義務違反の有無といいました、弁済者の主観面と直接関係しない事情をも考慮して第四百七十八条を適用したものがある、平成十五年の判例でございますが、こういったものがあることを踏まえたものでございました。 しかし、採用しなかった理由として挙げられますのが、まず一点目には、過失の有無を判断する際には弁済者の主観面と直接関係がない事情をも考慮すること、これは判例にも示されておりますように可能でありまして、現に判例も、現在の要件のもとで先ほどのような考慮をしております。 また、四百七十八条の適用場面は、もちろん現金自動入出機による場合だけではなくさまざまな場面が考えられますところ、パブリックコメントの手続におきましては、要件が変わることで従来の判断の枠組みが変わることへの懸念を表明する意見も少なくありませんでした。 そこで、弁済者の善意無過失の要件にかえて正当な理由を要件とすることとはしないこととしたものでございます。
○山尾委員 今言っていただいた判例、平成十五年四月八日の最高裁判例だというふうに思います。無権限者が他人の預金通帳を利用してATMから預金の払い戻しを受けたケースにおいて、最高裁は、今局長がおっしゃったとおり、この払い戻しちゃった銀行が無過失であるというためには、「機械払システムの設置管理の全体について、可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くしていたことを要する」、より具体的には、「通帳機械払の方法により払戻しが受けられる旨を預金規定等に規定して預金者に明示することを要する」、こういう判例が出たわけです。 つまり、弁済したときの銀行側の主観面だけではなくて、間違った相手に支払ってしまうことのないように事前のシステム設置管理自体の過失の有無をも総合的に考慮すべきだ、こういう判例の御紹介でありました。 それで、今、にもかかわらず、なぜ今回改正にならなかったのかということについて、現に判例も、あるいは実務も、主観面以外も考慮して運用されているからいいのだという趣旨の御発言だったと思うんですけれども、今回の改正の趣旨というのは、条文からでは読み取れない判例実務を可能な場合にはわかりやすく条文化しよう、こういう趣旨であることからすると、もう判例実務で実際はそういうふうにやっているからいいのだということではなくて、もしそれがある程度正当な運用だという評価をされているのであれば、それこそまさに条文の中に取り入れていこう、これが今回の法の趣旨ではないんでしょうか。 だとすると、まさに判例実務がそういうふうに今もう動いているということは、では、条文の中にそれを組み入れていく側のむしろ理由になるのではないでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 もちろん、判例を捉えて、今委員御指摘のとおりのような形で、むしろ判例の考え方をもう少し整理した形で示すというやり方もあり得たと思いますが、先ほども申し上げましたが、四百七十八条の適用場面は現金自動入出機による場面だけではございませんで、さまざまな、非常に広範な規定でございまして、そのことに関しまして、パブリックコメントの手続の中で、要件が変わることで従来の判断枠組みが変わることへの懸念を表明する意見も少なくなかったという点がもう一つの考慮要素でございます。
○山尾委員 二点目の理由ですよね。確かに、四百七十八条の適用範囲というのはかなり広いんですね。広い網の中で、確かに、ATMのこういった問題もあれば、対面支払いも含むわけで、いろいろな個別具体的な事案があると思うんですね。 ただ、今回私が提案しているというか、実際その中間試案でも提案されているというのは、正当な理由というふうにしたらどうかという提案なんですね。つまり、正当な理由という文言はなかなかバランスがとれた文言だと思うんです。一方で、今までは善意無過失、いわば主観的事情が特記されていたわけですけれども、主観的事情だけではありませんよ、弁済者が保護されることについて正当な理由があるかどうかを総合的に考慮しますよ、こういう実務の方向性はある程度示しながらも、一方で、個別具体事案によっていろいろ状況が違います、それを、具体的な状況の違いをしっかり受けとめることもできる。 そういうことを考えると、パブリックコメントには変わることへの懸念というのは、それはあるでしょう。ただ、その懸念というのは、そういった正当な理由というような文言、あるいは、ではその文言を立法者意思としてどういうふうに考えるか、こういった委員会での答弁とか、そういうところでやはりしっかり払拭することができるものであって、パブリックコメントに変わることへの懸念が出てきたという、ちょっと、やらなかった理由の説明としては少し漠とし過ぎているような感じがするんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 四百七十八条に関しましては、非常に範囲も広い規定でございますし、これまでも、もちろん先ほど申し上げましたATMの判例もございますが、一般的な、まさに外観を持った人に対する弁済についての判例がかなりの量蓄積した、そういう判例が随分ある規定だというふうに思います。そういう意味では、判例の蓄積というのもありますので、その意味で、御懸念を抱くというのも無理からぬ面もあるのかなとも思いまして、やはりこの点についてはパブリックコメントの意見も尊重すべきものというふうに考えております。
○山尾委員 ちょっとお伺いしたいんですけれども、こういった場合に、まだ判例の蓄積が少なくて固まっていないから条文化するのは早い、こういうお答えがよくありますよね。でも、今逆に、判例の蓄積がたくさんあるので、条文を変えることには懸念があるから変えないというのは、ちょっと、では、いずれにしても変えないんですね、こういう話になってしまうんじゃないですか。 むしろ、判例の蓄積があるというのは、きちっと条文化できる方向の理由というふうに私は思いますけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 もちろん、判例の蓄積というのはいろいろな評価が可能だと思いますが、やはり正当な理由ということになりますと、恐らく双方の事情を比較対照しながら考慮するという判断の枠組みだと思われます。 善意無過失、四百七十八条は、もちろん先ほどのATMの判例のように、いろいろな事情を考慮しているものもあるわけですが、基本的には、債務者側の主観的な要件としての善意無過失を考慮している判例がそういう意味で蓄積されているわけですので、判断の枠組みとして、かなり異なるものという御懸念を持たれることも十分あり得るのかなと思います。
○山尾委員 ちょっと公平を期すために申し上げると、確かに、ATMにおける不正引き出しの事案とそのほか対面等々の事案というのは随分違う考慮要素があるというのは、私も、局長のおっしゃることもわかるんですね。 しかも、こういった偽造カードとか盗難カードによるATMからの不正引き出しについては、局長がおっしゃるかなと思ったんですけれども、おっしゃらないので私の方から御紹介すると、平成十八年の二月十日に特別法が施行されています。これは確かに、そういった偽造・盗難カードでATM引き出しがあった場合に、実際に真の債権者に重過失がない限り救済をされる、こういう法案を実際つくって施行されている。だから、そういう意味では、かなり特別法で救済措置がなされているというのもこれまた事実なんですね。 ただ、この場合にしてもやはり当然一定の要件がありまして、例えば、紛失したカードは含まれない、ローン専用のカードは含まれない、そして、そういう引き出しがなされたら三十日以内に被害者の人は金融機関に通知をしないと救済されないとか、ここでは、その救済の網から漏れる預金者というのはやはり出てくるわけです。 そのときには当然四百七十八条の適用の問題になってきて、ATMの場合には、実際、判例実務で、主観面だけではない事情を考慮していく、こういう考え方が随分あるわけですので、実務でもそういう運用がされているわけですので、やはり、そこの部分はもうちょっとこの条文の中に工夫して取り入れる余地があるのではないか。 まさに百二十年の時を経て、当時は予想もしなかったような類いの状況が起きて、それを救済する必要性が出てきているという中で、そこの部分が措置されていないというのはやはり少し残念な気がするんですけれども、大臣、副大臣、政務官、どなたか、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 ただいまの山尾委員の御指摘並びに私どもの局長からの答弁をお聞きしておりまして、もう一つ、この議論があったのはそのとおりでございますが、ただ、先ほど、採用しなかった二つの理由を申し上げました、法制審の場でそれで賛同を得られたという経緯を伺っておりますので、私も、局長が申し上げた理由を理解していただいたのかな、このように思っていた次第であります。
○山尾委員 法制審の賛同というところですけれども、きょう時間があれば最後に、その法制審の意思決定方法についてということで、ここは一つの論点として取り上げたいと思います。必ずしも、法制審の賛同があったということは、そのまま認められる、立法府内での議論の理由には私はならないというふうに思っています。 次に、定型約款の話に進んでいきたいというふうに思います。 何度かこの委員会でも論点になっておりますけれども、定型約款について、個別に相手と合意せずに契約内容を事後的に変更できる、今回のこういう改正内容です。 ちょっと、もう一回根本のところからお伺いをしたいんですけれども、契約締結した後に、その契約の内容を一方当事者が一方的に変更することができる。これは、一度約束した契約は守らなきゃならないという契約の原則論からいっても、あるいは、勝手に変更されちゃう相手方の権利利益の保護という点からいっても、本来は許されないはずですよね。なぜ今回、それが許されるというふうにお考えになっているんですか。
○小川政府参考人 御指摘ありました定型約款でございますが、定型約款による契約には、契約関係が一定の期間にわたって継続するものが多いと考えられるわけでございます。定型約款には極めて詳細かつ多数の条項が定められておりますのが通常でありますために、法令の変更ですとか経済情勢、経営状況に変動があったときなどに、それに対応して定型約款を変更する必要が生ずることが少なくないと考えられます。 もっとも、御指摘ありましたように、民法の原則によりますと、契約の内容を事後的に変更するには個別に相手方の承諾を得る必要があるわけですが、定型約款を用いる不特定多数を相手方とする取引では、相手方の所在の把握が困難でありましたり、仮に所在の把握が可能であっても、相手方の承諾を得るのに多大な時間やコストを要することがあるほか、一部の相手方に何らかの理由で変更を拒否された場合には、定型約款を利用する目的である契約内容が区々になりますので、画一性を維持することができなくなるという問題もございました。 このため、約款中に、この約款は当社の都合で変更することがありますとの条項を設けておきまして、この条項が合意されている以上、その条項に従った変更が可能となっているとの理解のもとで、一方的な変更を行うとの実務も見られるところでございます。しかし、この条項に基づいて実際に大きな変更が行われた場合には、顧客である相手方としても大きな不満を抱くことになるため、変更が有効であるか否かをめぐってトラブルが生ずることになるわけでございます。 もっとも、この条項が有効であるか否かについては、判例や確たる見解も必ずしもないという状況でございまして、約款の変更の効力を争う際の根拠や枠組みを明確にする必要性は高い状況にございます。 そこで、改正法案におきましては、定型約款準備者が相手方と合意をすることなく一方的に契約の内容を変更する定型約款の変更の制度を設けまして、一定の要件を定めたというものでございます。
○山尾委員 ともすれば、この議論をすると、事業者側の必要性の話に偏りがちなんですね。本当にたくさんの条項があるとか、経営状態に変動がある場合もあるとか、社会情勢に変更がある場合もあるとか、不特定多数だからなかなか見つけにくいとか、あるいはそれを見つけようとすると事業者の時間もコストも労力も手間も物すごくかかるとか、あるいはそのうち一人が拒否したら画一性が維持できなくなるとか。 ただ、拒否するというのは、本来は当然正当な権利の行使なわけですね。だから、余り事業者側の必要性ばかりに偏った答弁ではいけないと思うんですけれども、今、局長からは、一定の、ではどういう範囲でこの事後的変更を認めるべきなのかということを今回の法改正について検討したんだ、こういうお話もございました。今までは余り、事後的変更が許されるものなのかどうなのか、確たる基準がなかったものを今回の改正案で一つのメルクマールをつくったんだ、こういう話だと思います。 それで、今回認められる要件というのについて、私からちょっと提案があるんです。 今回の法改正では、こういう場合には事後的変更が認められるよというふうになっていて、一つは相手方の一般の利益に適合するとき、二つ目は、契約目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更規定の有無、内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。これは、とりわけ二の判断が重要だと思うんですけれども、その二の要件のところの基準、物差しを見てみると、結局、変更したい側の必要性とか変更内容の相当性とか、変更したいと思っている事業者側の事情が主に列記されていて、変更される側の事情というのが列記されていないんですね。これはやはり両方必要だと思うんです、考慮をする際には。 もちろん、「その他」というところに変更される側の事情というのも読み込まれているべきだと思うんですけれども、これは読み込まれているという解釈でいいんでしょうか、変更される側の事情。例えば、変更される側に解除権があるのかないのかとか、変更された場合に不利益が生じたときに、それを何らかの形で補填されるような措置がある場合なのか、ない場合なのかとか、そういう変更される側の事情についても「その他」で解釈をしている、受けとめている、そういうことなんでしょうか。
○小川政府参考人 御指摘のとおりでございまして、「その他の変更に係る事情」は、当然のことながら、相手方の事情、準備者だけではなくて、相手方、要するに顧客側の事情も含めて解釈いたしますので、典型例は、まさに委員御指摘のとおりの、解除事由があるかどうか、あるいは一定の不利益があるかどうか、こういった点が考慮要素の代表例だと思います。
○山尾委員 それでは、それをやはり明記したらいいと思うんです、「その他」に含まれているということであれば。具体的に申し上げると、今のとおりなんですけれども、「その他の変更に係る事情」というところの前に、相手方がこうむる不利益の補填措置の有無、相手方の解除権の有無、その他というような感じで、きちっと、事業者側だけじゃなくて顧客の側の利益もしっかりと相互考慮をして事後的変更が認められるかどうかを考えるんですよ、こういう立法者意思を明確にするべきだと思うし、することによって何か問題があるかというと何もないと思うんですけれども、局長または大臣、いかがですか。
○小川政府参考人 もちろん、実質はおっしゃるとおりだと思います。あとは、条文化の中でどういう整理をするかということだと思いますが、私どもの方の整理は、基本的にはその他の事情の中でもちろん双方の事情を読み込めるということでございますので、差し当たってその点までは手当てをする必要はないというふうに考えたものでございます。
○山尾委員 大臣、これはやはり検討していただきたいんですね。立法者として、せっかく双方の事情を読み込むとここまで明快に局長が答弁しているわけですから。でも、この法文上を見ると、明らかに事業者側のことばかり考慮しているように見える。ちゃんと私どもは、事業者側そして顧客、双方の利益にきちっと目配りをして考えるんだよ、こういういい改正をするんだよというふうにきちっと示すべきだと思いますし、当然「その他」で読み込めるとはいっても、きちっと法文上明記されている要素なのか、されていない要素なのかというのは、やはり実務ではそれなりの軽重にかかわってくると思うんですね。同じようにきちっと考慮するということならば、一度ここの点は検討していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 局長が委員と今質疑を行ってきた中で、基本的に「その他」というところでお示ししているんだという答弁がございました。そういうことを踏まえて私も考えておるわけでございます。 例えば、相手方に解除権を付与していることの有無というものは変更の合理性の判断についての考慮事情の一つであることは、御指摘に関連するものだというふうに思うんですね。もっとも、変更内容が軽微である場合など、相手方に解除権を付与しなくても変更が合理的と言える場合もあるということで、相手方に解除権を付与するという事態がそれほど頻繁に生ずるものではないとも考えられることから、条文上、考慮事由として明記することはしなかったのではないか、このように受けとめております。
○山尾委員 解除権が発生することが多いか少ないかということは、条文に明記するか否かということと余り関係ないと思うんですね。実際、だから、解除権があるという事情、ないという事情、それが総合的な判断要素の中の一要素になるというだけの話ですし。 そして、今、大臣がくしくも言っていただいたんですけれども、私が次にこの条項の中に入れるものとして提案したいなと思っていたのは、変更の内容が軽微である場合には解除権が発生しない場合もある、こういうことをおっしゃっていただきました、ここなんです。変更の内容が本質的な内容なのか周辺事情なのか、これもこの考慮事項の中で私はすごく大きい要素だというふうに思うんですね。 確認なんですけれども、今回の事後的変更というのは、変更の内容が給付の内容そのものの変更だとかあるいは対価の変更とか、いわゆる契約のまさに本質的な内容の場合にも事後的変更は認められる場合が、これはあってしまう、あるということなんですか、局長。
○小川政府参考人 もちろん、「その他」の事情の中で考慮することにはなりますが、そういう場合もあり得るということだと思います。
○山尾委員 これは、本質的内容の場合、まさに契約の中核部分については、事後的変更というのを認める余地というのはやはりかなり狭まる、あるいは認めるべきではないぐらいなんじゃないかというのがそもそも私の持論です。 なぜそういうことを申し上げるかというと、やはり最初の議論に戻るんですけれども、一方的に後から変更するというのは、契約の原則からいって相当例外的なことをやろうとしているわけですね。どれぐらい例外的なことをやろうとしているかというと、法制審での二人の方のせりふをちょっと引用したいと思います。 法制審の京都大学の山本幹事、このようにおっしゃっています。 「契約をしたのに、その後で契約内容を相手方が一方的に変更できるということは驚くべきことであって、それが何か当然に契約内容になり、有効になり得るという前提を採ること自体が」「問題ではないかと思います。」、要件はあるが、「内容が合理的かどうかにかかわりなく、私の同意もなく一方的に変えられるということ自体は、本来は不当条項のはずであって、それをオーソライズしてしまう可能性がある。そこが問題なのだろうと思います。」 もう一方、まさに法務省の参与の内田先生、内田先生もこういうふうに言っています。ちょっと長いですけれども、聞いていただきたいんですね。 「契約の一方的な変更というのは極めて例外的で、」「本来はあり得ない話だと思います。ただ、前提となる現状認識として、現実には変更は非常に多数行われています。変更条項が常にあるかどうかは分かりませんけれども、かなり様々な契約類型において変更が行われていて、それについて、今、全くルールがないという状況にあるわけです。」「文言だけを見ますと、変更することができる旨を定めておきさえすれば、何か非常に今より楽に変更できるかのような印象を与えているのかもしれませんが、現実には、現に行われている変更について合理的な規律を導入するというところに主眼があるのだと理解しております。」 つまり、一方的な事後的変更というのは本来あり得ないけれども、現実で起きているので、せめて合理的なルールをつくりましょう、これが今回の率直な主眼だというふうに思うんですね。 だから、やはりこれは極めて例外的だという前提に立った上で、では、その極めて例外的なものを認める要素としては、やはり双方の要素をしっかり書くべきだし、では、極めて例外的なものを認めるに当たって、その契約内容の本質に当たるのか周辺なのかということも当然考慮に入れるというふうにおっしゃいました。これは私、明記するべきだというふうに思います。先ほどの御提案で、いわゆる顧客の側の事情も明記してほしいということとあわせて、その変更内容が契約の中核的部分なのか周辺的部分なのか、文言はある程度検討をお任せしたいと思いますけれども、そこも明記をするべきだし、明記することに何らのデメリットもないと私は思いますけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 もちろん、考慮事情としてそういった点を考慮するというのは重ねて申し上げているところです。 改正案の五百四十八条の四の一項二号が御指摘の要件ということになりますが、もちろん「その他の変更に係る事情」ということで最終的には受けとめておりますけれども、一定の例示をして、「変更の必要性」の次に「変更後の内容の相当性」ということもありますので、この点について言えば、相当かどうかという判断をこの考慮事情に基づいてするわけですので、事業者側のみの事情ということはもちろん考えられなくて、先ほど委員の御指摘になったような点についても、ある程度この要件の中でも読み込める内容ではないかというふうには考えております。
○山尾委員 変更した後の内容が相当かどうかということと、その変更した内容が本質的かどうかということは、やはり似て非なるものなんですね。 そして、改めて申し上げますけれども、合理的な基準を今回きちっと明記するんだという趣旨に沿って言えば、やはり事業者側の事情、顧客の事情、そしてそれが本質なのかどうか、そこはしっかり明記してしかるべきだというふうに思いますし、ここはやはり一度検討いただきたいというふうに思います。よりよい条文にできて、そして、それに関して何らふぐあいがないのにやらないというのは、ちょっと私は、せっかくこの委員会で議論をしている者としては承服できないということをお伝えしたいというふうに思います。ぜひ検討してください。 次に、もう一度、配偶者の保証の話をやりたいというふうに思います。 配偶者保証には今回の規制がかからない、公正証書を必要とするという一定の制約がかからないという、この話ですね。私は、せめてかかるべきだ、配偶者保証にもせめて公正証書を必要とするべきだ、口授による、代理のきかない公正証書をせめて必要とするべきだというふうに思いますけれども、今回の提案でいくと、この配偶者という中に内縁の妻は入るんですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 内縁の妻は入りません。
○山尾委員 内縁の妻は入らない。 私は、決して、入れるべきだというふうに全く思っていませんよ。思っていませんけれども、ちょっと聞きたいんですが、今回、配偶者は例外だという理由でいえば、事業内容や保証リスクを知り得る立場にあるんだ、こういうことを繰り返しおっしゃられているわけですけれども、その理屈からいえば、内縁の妻だって同じように知り得る立場にあるわけで、ちょっと論理の一貫性が見られないのではないかなというふうに思いますけれども、この点はいかがなんですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 この意思確認を欠いた場合には保証契約自体が無効になるということにつながってきます。そういう意味では非常に重大な効果の生ずる可能性のあるものですので、保証意思宣明公正証書が必要かどうかということについては、客観的に明確な基準であることが望ましいという判断によるものでございます。
○山尾委員 突然、客観性が必要だという話になって、そこでは、内縁の妻であればこの法案が通ったとしても公正証書は必要だ、こういうことになるわけです。 内縁の妻に公正証書が必要だということであれば、そして、それでもビジネスは回るのだということであれば、逆に言うと、私は、内縁の妻のみならず配偶者保証についても公正証書を必要とするということでとりわけ大きな問題は生じないというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 内縁の配偶者の取り扱いについて法律のレベルで見ますと、もちろん、そういう表現で取り込んでいる法律の規定もございます。 ただ、基本的に、給付の相手方だったり、法律の条文としても、今回のような、非常に客観的な、要件を欠くと契約の無効につながるような場面では、これは非常に悩ましい問題ではございますが、やはり明確性の方がよいのではないかという判断は、先ほども申し上げたとおりのことでございます。
○山尾委員 余り合理的な理由にはなっていないんですね。 ちょっと先日の議論にもう一回立ち戻るんですけれども、そもそも配偶者保証というのは実務において極めて多用されているからやはり必要なんだと、必要性の議論にかなり偏るわけですけれども、大臣、これは先日申し上げましたが、もう一回お聞きしたいんですね。 この債権法、私もまだ、これは配偶者保証以外にも論点はいっぱいあるんですけれども、今国会で成立するとはちょっと時間的に思えませんね、会期のことを考えると。そうすると、来年の常会まで相当期間があるわけです。やはり、この間にちゃんと法務省としてデータをとっていただく必要があると思うんですね。 配偶者保証というのが実務で多用されているとおっしゃるなら、数字としてどれだけ多用されているのかということなんですけれども、それを、突然、どこかある地方銀行一社で、ここでこういうデータがありましたとかそういうことではなくて、偏りのない形で、きちっと全国的な統計としてやっていただきたいし、それをやることに関して、先日私がお話しした資料でも、たしか十日ぐらいしかかかっていないですね。 そういった、しっかりとした立法事実の核心たるデータを今国会と次の常会の間にきちっととっていただきたい、それをとっていただかなければなかなか議論が前に進まないというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
○金田国務大臣 委員の御指摘に対しましては、立法事実の確認において数字のデータによる検証が重要であることは事実であろう、こういうふうに思います。 だが、方法がそれに限られる、尽きるというものではない。今回は、現場の状況をよく知る中小企業団体推薦の委員の発言が、中小企業における融資の実態をあらわす材料として考慮されるものであった、このように私は認識をいたす次第であります。法制審議会でもそのような前提で議論と取りまとめが行われているものと伺っておりますし、したがって、新たに件数を調査するまでの必要はない、このように考えております。
○山尾委員 これは、現場の状況を知る中小企業事業者の代表の立場で法制審に委員としてかかわった方、お一人と。 またこの議論に戻るわけですけれども、私から言わせれば、別に、必ずしも夫が主債務者、妻が保証人とは限りませんけれども、典型例の一つではありますね。それで、主債務者たる側に話を聞いたんでしょう、保証が必要だと。 では、そうやって保証人になった側からの話は法制審で聞いたんですか。
○小川政府参考人 保証人になった方そのものから何かお話を伺ったということではございませんが、そういった事件を扱うことの多い弁護士などから現状などについての発言があったというふうに思っております。
○山尾委員 その悲惨な状況を弁護士さんは語っておられましたし、そういった方々は、複数名、七名以上、この配偶者保証を例外とすることについては断固反対だ、あるいは極めて慎重であるべきだ、こういうお考えであります。 なぜ、この話になると、事業者側を代表するお一方の話を採用しますという話になるのか、私にはやはりずっと合点がいかないんですね。配偶者保証そのものを今回禁止しましょう、そこまで私は言っているわけじゃありません。なぜ公正証書を必要とするという一手間すらかけられないかということなんですね。 やはり公証人制度の話にもなってくるんですけれども、平成二十七年、公証人の方のミスの指摘、これは何件ありましたか。
○小川政府参考人 公証人の監督事務は全国の法務局または地方法務局で行っておりまして、公証人法などの規定に基づき、少なくとも年一回、全ての公証人について、管轄法務局の職員を公証人役場に派遣し、書類や執務の状況を調査しておりまして、公証人が適正に事務を処理しているかを厳正に監督しております。そして、職務上の過誤があると認められたときは、法務局長は、公証人に対し過誤を指摘し、必要な是正措置を指示するなどしております。 二十七年度に実施しました監督調査の対象は、これは平成二十六年度の公証事件全体として見ますと百七十万件ございますので、そのうちの公正証書作成などの審査事務関係が二十六年度で見ますと約九十九万件ございます。それから、謄抄本交付などの審査事務関係以外の事件が七十一万件ということになります。 監督調査の結果でございますが、法務局長が指摘した職務上の過誤の件数は、全体で四百二十五件でございました。
○山尾委員 なぜ私がこういうことをお聞きしたかと申し上げると、やはり、代理のきかない口授による公正証書を必要とする、ビジネスの現場においてはその手間もかけられないんだ、こういうことが理由になっているわけですね。でも、そうであれば、やはりこの公証人制度そのものをしっかりと解決して、きちっとビジネスのスピードについていけるように、公証人に迅速にアクセスができ、そして、その公証人による公証ということがしっかりと実効性を持った担保になる、こういう制度を今つくり上げるということが大事なのであって、それができていないままに、毎回、配偶者についてまで代理のきかない口授による公証人を必要とする、これはなかなかビジネス、事業として難しいんだと、私は、これはやはり邪道な考え方、解決方法だというふうに思います。 そして、実際にミスも少ないとは言えない、平均年齢も六十四歳、ほとんど法務省と裁判所の天下り、こういう状況は委員会で共有されていると思うんですね。やはりそこのところを何とかしなければ、公正証書を必要とすると大変なんだということを胸を張って言えるような状況ではないと思うんですね。 局長、この前、引き続き、民間からの応募についての環境整備に努めていきたいとおっしゃっていましたけれども、これは具体的に何を努めようとされているんですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 前に申し上げましたが、公証人は公募の制度のもとで採用しておりまして、法曹有資格者の場合については年三回、それに準ずる者については年一回の公募にしております。そういったことについては、法務省のホームページにおいて公開をしておりまして、周知を図っておりますので、そういった点について引き続き充実していきたいというふうに考えております。
○山尾委員 つまり、だから新しい提案はないということなんですね。先回の答弁と同じですわ。ホームページにちゃんとアクセスできるようになっていますということなんですけれども、それは環境整備しますということには入らないですよね。 そうやって、きちっとその制度を抜本的に解決しよう、そういう意思すら見られない中で、私は、今の制度の中で、公正証書を必要とすること、その手間すらかけられないんだというのは到底承服できないというふうに思います。 残り時間、あと二分なんですけれども、法制審の部会の意思決定について、問題提起だけしたいと思います。 法制審の民事関係の部会で、今まで全会一致でなかった例というのは、これまであるんですか。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 法制審の部会でございますね。法制審議会の部会におきまして、全会一致でない議決が含まれている答申案でございますが、これは昭和二十六年から平成二十八年までの現存する記録を調査した内容でございます。 民事関係というお尋ねでございました。民事関係の部会におきましては十二件ございます。これは昭和三十年から平成十年までの間のものでございます。
○山尾委員 平成十年以降は、つまるところ、全て全会一致で部会が意思決定をしている、そういうことですか。
○小山政府参考人 お答え申し上げます。 さようでございます。
○山尾委員 実際、規範としては過半数で意思決定ができるわけです。 私は、ちょっと問題提起をしますけれども、全会一致というのは望ましいとは思います、だけれども、常に、必ず全会一致を是とすることによって意思決定がむしろゆがんだり曲がったりしている例が出てきているのではないですかということなんですね。 今回、申しわけないけれども、配偶者の件でいえば、たった一人の方が、この方はある意味団体の代表者ですから、頑としてやはりこれは譲らなかった。弁護士や学者の方がそれに対してかなり多様なボールを投げて、それはおかしいんじゃないかというふうにやりましたけれども、頑としてその結論が動かず、そして、結局部会としても、全会一致という中で、この配偶者保証についてはそのお一人の方の意見が通ったということであります。 質疑時間が終了しておりますけれども、私の問題意識は、別にその団体の方が悪いと言っているんじゃないんです。団体の利益代表として来ていれば、それは、議論の過程が幾ら深まってきても、意見はやはり変えられない、変えにくいんですね。一方で、やはり学者の方とか弁護士さんというのは、議論の深まりの中で御自身の意見を変えていくということもできるでしょう。 そういう構造的な問題の中で、常に、全会一致だから、これはみんなが是としたんだ、こういうことをこういう場で言いたいということもあるのかもしれませんけれども、場合によっては、きちっと議論を尽くした後は、多数決という手段を民事の部会でも用いた方が実際にその議論がしっかり反映された内容の答申になり得るんじゃないか、こういう問題意識を私からは申し上げて、また次の議論に引き継ぎたいというふうに思います。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、枝野幸男君。
○枝野委員 枝野でございます。 山尾さんの切れのいい質問の後で、私の後も井出君で、二人の若い生きのいい仲間に挟まれて若干やりにくいんですが、頑張りたいと思います。 ちょっと済みません、通告していないんですが、今の流れで。ですから、具体的なところを答えられなければ、通告していないからいいんですが、法制審で聞いた中小企業団体というのは、どこの人がどう入っていたかというのはわかりますか。
○小川政府参考人 日本商工会議所の推薦でございます。
○枝野委員 私も経産大臣をやらせていただいて、まさに商工会議所を所管というか、所掌の範囲だったんです。中小企業団体として頑張っておられるんですが、中小企業というのは、その規模も、普通に考えたらこれは大企業じゃないのというところまでが中小企業ということで、商工会議所の会員、メンバーでもありますし、それから業種も多種多様でありますし、地域事情、都市部と地方で全然違っているとか、非常に多種多様で、なかなか商工会議所や商工会を通じて中小企業の全体像を把握するというのは難しい。 それで、私のときは、小さな、個人事業主というのはまさに小さな事業ですから、中小企業というくくりではちょっと把握し切れないということで、特に“ちいさな企業”未来会議というのをつくってもらって、商工会議所や商工会を通じてではなくて、それぞれの現場の事業主、経営者の皆さんに集まっていただくような場を全国で展開しました。これは、自民党政権になってもその流れは引き継いでいただいています。 そういう意味では、商工会議所の代表の方から話を聞いているというのは中小企業の実態を聞いているということにはならないと僕は思うんですけれども、大臣あるいは副大臣、どうですか。
○盛山副大臣 審議会だけではないんでしょうけれども、世の中の各層の意見をどういうふうに酌み上げていくのか、これはいろいろなやり方があると思います。そしてまた、いろいろな場面で、その御担当の方が苦労しながらやっていることかと思います。 そんな中で、我々の法制審議会では、日本商工会議所に御推薦をしていただいて、そこで零細企業も含めて中小企業の方々のお声も酌み上げている、そういうつもりで我々は対応しているということでございます。
○枝野委員 つもりはよくわかるんです。中小企業庁すらなかなか、商工会議所や商工会を通じて、あるいは中小企業家同友会などを通じて実態把握をしていたけれども、やはり現場は相当違うねと、そのときに、中小企業庁の官僚の皆さんもそういう認識をされていました。 特に問題なのは、商工会議所の活動などに参加できるのは、中小零細企業の中では、一定程度余力がある皆さんしかなかなか商工会議所活動には参加できない。経営状況が厳しくて自転車操業しているみたいな皆さんは、会員にはなることはあるかもしれないけれども、会費だって安くないですから、そういう活動になかなか参加しておられないというのが実態だというのは、むしろ、これこそ自民党系の政治家の皆さんの方が実態をよくおわかりじゃないかというふうに思うんですよ。 そういう状況での中小企業団体の代表から意見を聞いた、だから実態調査は要らないんだというのは、ちょっと無理があるんじゃないかと思うんですけれどもね。
○盛山副大臣 枝野委員がおっしゃること、我々も同様に感じております。私も公務員でもございましたから、そういう点で、霞が関で聞いていた話と、それから選挙に出て以降地元へ入っていろいろ聞く話と違うということは、枝野委員の指摘のとおり、我々自身も感じているところでございます。 しかしながら、その中でどうすれば、例えば商工会議所であれば、そのメンバーにもならない人がたくさんいらっしゃる、あるいは、これは商工会議所だけの話ではないと思いますけれども、それぞれの団体がありましても、そこが本当に、例えば東京のことはわかっても地方のことまでわかるのか、そういうことも含めて、どの程度うまく現場の意見あるいは国民の皆様の御意見を反映させていくことができるのか。 そういったことを、例えば今私は法務省におりますので法務省の立場としても考えてもおりますし、そしてまた一議員としましても、これは枝野委員も同じだと思いますけれども、国民の皆さんの意見を吸い上げる、そしてまた、こういった国会の場、これこそが間接民主主義という形で、国民の皆様の意見を含めていろいろ議論を闘わせ、そしてよりよい政策に、あるいはよりよい立法をしていく、こういうことにつながるのではないかなと思っております。
○金田国務大臣 枝野委員から御指摘ございました件に、私も副大臣と基本的には意見は同じなんですが、加えて、御承知のことだと思いますが、商工会議所にはバックアップ委員会というのがございまして、その中で、零細企業的な、あるいは商工会議所の考え方をバックアップする、そういう委員会もありまして、そういう中で小規模な企業の意見も吸い上げられておりまして、そういうことも反映した形になるという組織もある。あるいは、今回の法制審の検討手続の中では、御承知のとおり、パブリックコメントも二度ほどやっておりますし、そういういろいろな形で意見が吸い上げられている、このように考えている次第であります。
○枝野委員 商工会議所等も頑張って努力をされている、これは私も経産大臣をやらせていただいて、そういった面も逆に非常に実感をしています。そこは、やっていないと言うつもりはありません。 ただ、まさにこれは大事な、しかも世の中で大きく意見が分かれている論点、争点の立法事実に関するデータ、情報についてということで、山尾さんは繰り返し指摘をしているわけです。それを、商工会議所から推薦された方が実態を反映して語っているからいいんじゃないかということでは、これが論点なり争点になっていない部分であるならば、それはまあそういうことなんでしょうねと。 実際に副大臣なども言っていただいたとおり、現場の実感を恐らく役所よりはわかっている政治の側の立場として、ここはちょっと違うんじゃないのという指摘の中で、本当に立法事実があるのか、そういったことの調査を、時間的に無理だというならともかくですが、ある意味で可能ではないかという政治状況だと思いますので、ぜひ御検討いただきたい。否定をする回答をいただくよりも、言いっ放しで検討いただく方がいいと思いますので、この点についてはぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。 本来通告している話に入りたいと思いますが、私も個人保証の制限の話で、まず確認をしたいんです。 まず、公正証書を作成しなきゃならないという原則を書いている改正案の四百六十五条の六に絡んでです。 公正証書を作成する行為は公証人のところでやりますから、その公証人に対する口述に瑕疵があるということは相当なレアケースだと思いますが、公証人のところでした口述に瑕疵はないけれども、そもそも保証契約締結そのものに係る意思表示に瑕疵があれば、公正証書がつくられていても、その保証契約は、例えば錯誤や詐欺等を原因とする取り消しの対象になる、これでよろしいですね。
○小川政府参考人 保証契約に錯誤または詐欺などを原因とする取り消し事由などがある場合には、その保証契約は取り消し得べきものであります。このことは、公正証書がつくられていたとしても変わるところはございません。
○枝野委員 もう一つ。 公正証書の作成の錯誤、詐欺というのは、公証人が一応ついてかかわっているので相当なレアケースだと思いますが、公正証書の作成が強迫等によってなされるというケースは、これはあり得ると思います。あるいは錯誤、原因の理由が錯誤だということになるんだと思いますが、公証人のもとで口述するということの意味などについて、錯誤あるいは詐欺が保証の相手方との関係でされていてなされた公正証書の作成は有効なんでしょうか。
○小川政府参考人 今回の保証意思宣明公正証書は、法律行為に基づくものとは違いまして、まさにその意思の宣明を証書化するというものでございます。 それがなければ後に有効な保証契約を締結することができないという意味を有するにすぎないため、例えば、御指摘ありましたような強迫があったとしても、それ自体を取り消すということは予定されていないというふうに考えております。
○枝野委員 こういう理解でいいですか。だから、おどかされて保証人にさせられて公正証書を作成してという場合には、そもそも保証契約の方が強迫を理由にする取り消しがなされるので、公正証書があろうとなかろうと、どちらにしろ保証契約の効力が生じない、こういう理解でいいですか。
○小川政府参考人 結論、そのとおりでございます。
○枝野委員 ちょっと通告の外まで外れるかもしれませんが、この場合、公正証書が作成されているということが、瑕疵のない意思表示に基づく保証契約がなされたということの、何というんでしょう、推定を働かせるんですか。
○小川政府参考人 事実上公正証書が作成されているということで、あり得ることかもしれません。
○枝野委員 ここは気をつけないといけないと思うんですね。強迫なんというのはあり得ると思うし、詐欺もあり得るかなと思うんですよ。そういった状況で保証人にさせられる。 今までであれば、その保証契約そのものがどういう経緯でなされたのかということで、詐欺であるとか強迫を立証する、そのことで責任を免れる、これが、公正証書作成というワンクッションが入ることで、公証人の前でちゃんと口述しているんだからそれはちゃんとした意思表示なんじゃないですかというふうに、余り変に推定が働くとこれはまずいんじゃないかなと思うんですけれども、どうですか。
○小川政府参考人 先ほども、公正証書の外形などから見て一定の事実上の推定が働く可能性があり得るということを申し上げたのでありまして、そのこと自体は余り適切ではないというふうに考えております。
○枝野委員 今の答弁をきちっととっておきたかったんです。 公正証書が作成されているからといって、公証人はその口述された中身を内容とする保証契約が瑕疵のないものであるかどうかについて審査をしたり担保したりするものではない、そういう制度ですよね。確認をしたいんです。
○小川政府参考人 公証人が確認するのは保証意思の確認に尽きますので、保証契約の有効性そのものにはかかわらないことになると思います。
○枝野委員 大事な御答弁をいただいて、ありがとうございます。 そういうことでないと、公正証書をつくってもらうということは一般的にはいいことだけれども、時々実務で変なことになると困りますので、公正証書がつくられていても、瑕疵ある意思表示に基づく保証契約は取り消し等がなされる余地があるというか、なされるということです。 もう一つ、今、山尾さんも聞かれていた配偶者の問題です。 私も、法律婚に限られるのかということをお尋ねしようと思ったんですが、法律婚に限られるということですので、確認的にお尋ねしますが、法律上の配偶者であると認識をしていたため公正証書を作成しなかった、ところが実際は事実婚であった、この場合、保証契約は効力を生じない。いいですね。
○小川政府参考人 事業のために負担した貸し金等債務を主債務とする保証契約は、その例外要件に該当しない限り、事前に保証意思宣明公正証書が作成されていなければ、その効力を生じません。 したがって、仮に、債権者などが保証人になろうとする者を法律上の配偶者と認識したために公正証書を作成しなかったが、実際はその者が法律上の配偶者ではなかったというような場合には、例外要件に該当しませんので、保証契約の効力は生じないということになります。
○枝野委員 配偶者でない者が配偶者を装って公正証書を作成せず保証契約を結んだ場合、保証の契約の効力はどうなりますか。
○小川政府参考人 事業のために負担した貸し金等債務を主債務とする保証契約は、例外要件に該当しない限り、事前に保証意思宣明公正証書が作成されていなければ、その効力を生じません。 このことは、保証人の言動により、債権者が例外要件に該当するなどと誤信して、保証意思宣明公正証書の作成を要しないと判断した場合であっても変わりがなく、保証契約の効力は生じないことになると考えられます。
○枝野委員 今、大事な御答弁をいただきました。保証人の言動等によって、配偶者である、したがって公正証書をつくらなくていいんだと誤認した場合であっても、公正証書がつくられていなければ効力は生じない。念を押します、よろしいですね。
○小川政府参考人 そのとおりでございます。
○枝野委員 どこかの学者さんが、これを事実上空文化させるんだと言っていましたが、空文ですよね。相手方は、心配でしようがないから、法律上の配偶者なのかそうでないのか、一々聞くんですか。あなたは法律上の配偶者ならば戸籍謄本を出せとか、そういう実務を期待するんですか。
○小川政府参考人 やはり金融機関側としてはする、手法はいろいろあると思いますが、一定の調査はすることになると思います。
○枝野委員 例えば、法律婚をしていない事実上の夫婦の場合に、事実上の夫婦だから法律婚をしていないので氏の同一の強制は法律上されていないけれども、社会生活上むしろ氏を同一したい、選択的夫婦別姓の逆パターンみたいな話ですけれども、だから、事実婚だけれども、事実上、夫や妻の、相手方配偶者の氏を通称使用している、このケースは十分ありますね。 そうすると、同じ氏を名乗っていて、実態として夫婦のように外形上見えて、その事業に従事しているわけですね、この要件を満たす場合は。そうすると、普通は法律上の夫ないし妻だと思うのが当たり前なので、戸籍謄本を出せとまでは普通は言わないと思えるんですけれども。でも、この場合でも、公正証書をつくっていなければ保証契約は効力を生じない。いいですね。
○小川政府参考人 要件を満たしませんので、効力は生じないということになります。
○枝野委員 これも確認したいんですが、保証人になった時点では法律上の配偶者ではなかった、その後、保証契約継続中に婚姻届が出されて法律上の配偶者になった、この場合はどうなるんですか。
○小川政府参考人 事前の段階で保証意思宣明公正証書が作成されず、事業のために負担した貸し金等債務を主債務とする保証契約の効力が生じないということに一旦なった後で、その保証人である者が今度は婚姻などによって例外要件に該当することとなったとしても、その保証契約の効力がその時点から有効になることはございません。
○枝野委員 当然の解釈だと思います。 そうすると、こう言うことができますね。法律上の夫婦、法律上の配偶者、婚姻届が出ていた。保証契約するときに離婚届を出して、その後また婚姻届を出してと、保証契約の時点だけ偽装離婚ですかね。偽装離婚だけれども、公正証書が要式行為であることを考えたら、それでもこの保証契約は効力を生じませんよね。
○小川政府参考人 効力は生じません。 ただ、保証契約の効力が生じないとしても、保証人の行為が債権者との関係で不法行為に該当する場合には、当然のことながら、損害賠償義務を負うということになると思います。
○枝野委員 その後段も私もそのとおりだと思いますが、これは人事ですよね、家族法の世界ですよね。離婚届を出したり婚姻届を出したりするということを、債権者を害する意思でなされたと軽々に認定をしてしまうということは、これが財産法の分野の行為ではない、家族法の分野のところをそういう事実認定するというのは、そう簡単ではないんじゃないですか。
○小川政府参考人 もちろん、実態として婚姻がどうなのかという、よく言われます、形式的意思なのか実体的意思なのかという議論もあって、さまざまな方法で対応は考えられるのではないかとは思います。
○枝野委員 今、極端なケースを出しまして、婚姻届が出ていたのに、契約のときだけ法律婚でない状態にしてというようなことがあるから、その場合だと、仮に戸籍謄本を出させていても、今みたいなケースになるわけですよ。少なくとも、戸籍謄本を出させておかないと危なくて、公正証書をつくっておかないとまずい。 金融機関の側であればどっちか求めますよね、戸籍謄本を出させるか、公証人、公正証書をつくるか。でないと、この規定は機能しませんよね、金融機関側からは。これはそういうことでいいですよね。
○小川政府参考人 いずれにしろ、金融機関としては一定の調査をするということになると思いますが、おっしゃるとおりのことだと思います。
○枝野委員 それで、財産法上の保証のために、もちろん、我々が選挙に出るときは戸籍謄抄本を出すわけですから、いろいろなことの確定、確認のために、戸籍抄本、戸籍謄本等をどこかに提出するということがあってもいいと思うんですが、でも、一種プライベート、プライバシーのことですね。このことを、金融機関に対して戸籍謄本を出す義務を生じさせるような法律をつくっていいんでしょうかね。事実上、義務を課すことになりませんか。面倒くさいから、法律婚なのか事実婚なのかわからないから、念のため全部公正証書をつくっちゃえと、僕はそっちの実務に行くと思うんです。 だから、この規定は空文化する、させようとしていると思うんですが、そうじゃなければ、事実上、婚姻届を提出させる、こういうことを保証契約に当たって金融機関が事業者、保証人に対して求める、事実上義務づける。これは本当に、プライバシーとかそういう観点から、そこまで強いることが適切でしょうか。
○小川政府参考人 もちろん、債権者となります例えば金融機関と、保証人となろうとする者との関係次第、あるいは主債務者と金融機関等の関係次第ということだと思います。 通常の場合は、戸籍までとらなくても、取引先であったりすれば一定の関係は認識しているというふうにも考えられますし、常に戸籍謄本でなければ対応できないというのは、先ほど義務というお話がありましたが、そこまでのものではないのではないかというふうに考えております。
○枝野委員 だけれども、金融機関側からすれば、法律婚じゃなければ公正証書をつくっておかないと保証契約が無効になる。だったら、法律婚であることを確認しないと、私が銀行の営業担当だったら、それは怖くて上に上げられませんよ、決裁書類。後になってから、これは事実婚だったじゃないか、何で公正証書をつくっていなかったんだという話になったら大問題じゃないですか。 当然、戸籍謄本、戸籍を出せと求めますよ。だって、法律婚か事実婚かは、その取引契約とかだってわからないわけですよ。外形を見ていると夫婦のように見えるけれども、婚姻届を出していないというケースはたくさんあるわけですから、そういうケースのときに保証契約が無効になっちゃう。だとすれば、婚姻届を出させるか、それとも、この際全部つくっちゃえとするか、どっちかしかないじゃないですか。
○小川政府参考人 もちろん、金融機関側、貸す側とすると、調査をして、その手法として十分でないということであれば、戸籍謄本をとることも考えられるわけですので、そこは、金融機関側あるいは貸す側の選択の問題だと思います。
○枝野委員 でも、法律婚であるかどうか確認する手段は戸籍しかないんじゃないですか。
○小川政府参考人 もちろん、法律婚のような身分関係を公証する手法は戸籍でございます。
○枝野委員 いろいろ調査するといったって、事実上、興信所等がなぜか戸籍謄本とかを手に入れてしまっていてみたいなことは、一種問題になったケースは時々あるようなわけで、だから、本来は、普通はとれないわけですよ、他人の戸籍謄本、戸籍抄本というのは。つまり、本人に提出させない限りは、法律上の夫婦であるかということが証明できないですよね、制度としては。
○小川政府参考人 もちろん、最終的な証明手法としては、戸籍謄本ということになるとは思います。
○枝野委員 この法律、だから、このままいけば、面倒くさいから全部、公正証書をつくる、したがって、こんな規定を置くこと自体が無駄になるのか、それとも銀行が債務者に対して、債務者の少なくとも見かけ上の夫婦に対して、戸籍謄本を出せということを迫る。それを出さないと金を貸してもらえない。優越的地位ですからね。お金を借りるとき、やはり金融機関に対して借り手は弱いですから、そんなプライベートのこと、戸籍謄本だなんて何で出さなきゃいけないんだろうと思いながらも、金を借りる以上は、そりゃ言うことを聞かざるを得ないよね。出さざるを得ないですよ。 これはまずくないですか。
○小川政府参考人 いずれにしても、ある意味、貸す側の選択の問題であるとともに、借りる側も、もし仮に戸籍謄本を出すのが嫌だということであれば、公正証書の方に移るとか、そこはいろいろと、貸す側あるいは保証人となろうとする者との関係の問題だと思います。
○枝野委員 借りる側が、戸籍謄本を出したくないから公正証書をつくりたい、金融機関が、はい、わかりましたとなるような状況なら、こんな規定は要らないじゃないですか。初めから全部、公正証書にしておけばいいじゃないですか。金融機関の方、金を貸す側が、公正証書をつくるのが面倒くさいからこんな規定を置いてくれ、こういう話じゃないんですか。 だから、今の話は余り答えになっていないと思うんです。
○小川政府参考人 繰り返しになりますが、調査の方法の問題であったり証明の方法の問題であったりするわけで、身分関係を証明しようとすれば、ある意味、戸籍を出すという選択肢をとるということだと思います。
○枝野委員 そもそもが、公正証書で意思確認をするという規定を置いたのは、これは力関係に差がある、金を貸す側と借りる側との間で力関係に差がある、保証人になろうとする側との間に力関係に差がある、だから、きちっと意思を確認させないといけない。民法は、基本的には対等な私人間の関係を規律する。これに対して、消費者契約法などは、まさに相対的に力の弱い側を守る。だけれども、民法の中にも、相対的に力の弱い側を守るということが取り入れられてきている。それが一般法として適切なものなら。だから、ここに公正証書を必要とするという規定が入っているんじゃないですか、そもそもが。 そういう力関係ですから、それは、夫婦だというなら戸籍謄本を出せよと迫られたら、それは当事者の意思じゃないですよ。事実上の強制ですよ。それが本当に適切なことなのか。保証契約を有効に効力を生じさせるということのために、戸籍謄本というプライバシーにかかわるようなことについて提出することを事実上強制するような仕組みを新たに設けることが適切なことなのか、そこが私は問題なんだと。 だったら、どうせ戸籍謄本まで出させて確認をしないと危なくて仕方がないんだから、公正証書をつくっちゃえと全部かぶせた方が金融機関も安心ですよ。金融機関の融資の担当をしている職員も安心ですよ。こういうごちゃごちゃした話が出てこないですよ。違いますか。
○小川政府参考人 金融機関側の認識ということで申し上げますと、法制審議会の中には、金融機関、全国銀行協会の推薦の委員もおられましたが、特段そういうような御認識は示されませんでした。
○枝野委員 それも、現場の融資実態をよくわかっているのか、現場の実際に融資を担当する職員の実態をわかっているのかと。しかも、国会でこうやって、そういう皆さんにお伝えをさせていただきましたから。 法律婚だと思っていたら事実婚だったというときは大変なことが金融機関に起こりますから、だから、法律婚だと思っている場合でも念のため、私は戸籍謄本を出させるというのはやはりおかしいと思いますから、公正証書をつくっておかないと、あれは実は事実婚だったということが後になってわかって大変なことになる、そんなことになったら、あなた、銀行、金融機関の中で立場がなくなりますよ、だから、こういう法律ができてもこの規定に頼ったら危ないですよと、国会の議事録にきちっと残して周知をしました。そうなりませんか。
○小川政府参考人 もちろん、金融機関の方の選択の問題だとは思いますが。 先ほども申し上げましたが、例えば、保証人となろうとする者の方が一定の意図のもとに婚姻だったり離婚するということであれば、本当にその意思があるのかということ自体の議論はあるだろうと思います、それとは別に、損害賠償請求権の問題にもなろうかとは思います。
○枝野委員 だから、先ほどの一番極端な例、直前に離婚届を出して直後に婚姻届を出すという極端な例は、その意図を立証できれば損害賠償の問題になるだろうとは思いますが、もともとずっと事実婚、だけれどもみんなが法律婚だと思っていた、事実婚だけれども通称使用で同じ氏を名乗っていた、こういうケースはあり得るわけですよ。 ちょっと一旦、今の話を切り離しましょう。 民事局長は、家族法も戸籍法も所管ですよね。一般的に、家族関係を立証する戸籍抄本や戸籍謄本をむやみやたらと人に開示しなきゃならない義務というのは、家族法上や戸籍法上はあるんでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 むしろ、戸籍謄本の取得者が誰かということについては、戸籍法上は制約を設けております。
○枝野委員 ですよね。だから、むやみやたらに戸籍抄本を出せ、戸籍謄本を出せということを迫ることは望ましいことではない、戸籍法はそういうたてつけになっているんです。一方でそういうことがあるんです。 そして、金融機関が金を貸すときには法律婚でないことを確認しておかないと、それは百件に一件だか千件に一件だかわかりませんよ、だけれども、自分が融資担当者になっている相手先が、法律婚だとみんなが思っていた、ところが実際は事実婚だった、こういうケースは恐らく戸籍謄本、戸籍抄本を第三者に出したくないと思うんですよね。例えばお子さんはまだ小さいので親は法律婚だと思っているとか、そういうケースとかもあり得るわけで、そんな場合、第三者に開示したくないわけですよ。 そんなところに開示をさせる義務づけをこの新たな法律でする、事実上の義務づけをさせるだなんということになったらやはりおかしいし、そうだとすると、やはり金融機関はこの規定があっても公正証書をつくるべきだと。 だから、我々は修正を求めたいと思いますが、このままもしこの法律が通ったら、金融機関に対して、法律婚だと思ったら事実婚だった場合には保証契約は無効になりますから気をつけてくださいと、ちゃんと周知徹底してくださいね。
○小川政府参考人 もちろん、効果について広報していくということは重要だと思います。 なお、金融機関側の対応として考えられるものとして、保証人と債権者との間で、保証人が債権者に対してみずからが配偶者であることを確約して、それが事実に反し保証契約が無効である場合には一定の損害賠償金を支払う旨の特約を締結して債権者を保護するということ、これは可能だというふうに考えております。
○枝野委員 何でそんなごちゃごちゃした法律関係をつくらなきゃいけないんですか。簡単な話じゃないですか。 配偶者だけが保証人というケースもあるのかもしれないけれども、だって、一般的に、保証人をくっつける場合は公証人役場に行くという実務になるんでしょう、これは。そういう実務が動くんだから、そのときに、配偶者の場合ももう定型化して、配偶者の場合も公証人役場に行くという仕組みにすればいいだけの話なのに、何でそんなことになるのか、ようわからないということを申し上げておきたいし、これはさらに深めていきたいと思っています。 別の論点にも触れたいと思います。 ここから先は、多分、確認的な話になっていくので、そんなに難しい話じゃないと思いますが。 併存的債務引き受け、中間試案ではこういったことについての話があったと聞いていますが、規定は置かれなかったというふうに承知をしています。 ただ、併存的債務引き受けは、保証における保証人保護規定の適用を免れる目的で利用されるおそれがあるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 併存的債務引き受けの場合は、今回、明文で、連帯債務を引受人が負うということとしております。 契約書上は併存的債務引受契約などの用語が用いられていても、債権者の説明の態様などに照らして、保証人になろうとする者の実質的な意思が、他人の債務を保証するために契約を締結するものであったと認定できる場合もあり得ると思います。 このような場合には、その契約は連帯債務を負担する契約ではなく、他人の債務を保証する保証契約と認定され、保証意思宣明公正証書に関する規定が適用されることになりますので、こういったまさに脱法的な事例については一定の対応が可能だというふうに考えております。
○枝野委員 済みません、通告をまとめてしたので、まとめて答えていただきましたが、実は、一個ずつ答えをとるのがここで大事だと思っていて、つまり、保証人保護規定の適用を免れる目的で併存的債務引き受けの形式が利用されるおそれがあるというふうに思っている。いいですね。
○小川政府参考人 本来的な併存的債務引き受けは、もちろん連帯債務ということですので、リスクの管理などについても保証とは異なるものですが、先ほど申しましたように、脱法的に使われる可能性も、もちろん、ないとは言えないと思います。
○枝野委員 そして、脱法的に使われた場合には、柔軟な事実認定で、例えば、保証人保護規定などが適用がない保証になっているから、したがって効力を生じないとか、いろいろな効果が生じ得る、これでよろしいですね。
○小川政府参考人 そのとおりでございます。
○枝野委員 はい、結構です。 次に、定型約款。まず、確認したいと思いますが、民法の定型約款、改正法の五百四十八条以下ですか、この規定は、事業者間の取引やあるいは労働契約などには適用がないというか、定型約款には該当しないという理解でよろしいですね。 なおかつ、なぜそういうふうに読めるんでしょうか。説明してください。
○小川政府参考人 改正法案では、定型約款とは、「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」「において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」、これを定型約款ということとしております。 御指摘のありました事業者間の取引ですが、いわゆる契約書のひな形の問題として捉えますと、当事者の一方があらかじめ準備した契約書のひな形を利用して契約が締結されるということが事業者間取引では多いと考えられます。 もっとも、事業者間の取引では、通常、ひな形どおりの内容で契約をするかどうかは当事者間の交渉で決まることが予定されておりまして、画一的な契約内容とすることが相手方にとっても合理的であるとは言いがたいと考えられます。 したがいまして、先ほど申し上げました要件との関係でいいますと、事業者間の取引において用いられる当事者の一方が準備した契約書のひな形は、一般的には定型約款の定義には該当しないと考えられます。 次に、労働契約でございますが、労働契約は、使用者側が準備した契約書のひな形を利用して締結されることが少なくないと考えられます。 しかし、定型約款の定義のうち、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であることという要件は、相手方の個性を重視せずに多数の取引を行うような場面を抽出するためのものでございます。 このような要件を設けることとしたのは、定型約款の規律を及ぼす対象を選別する観点からは、契約内容を画一化することについて相手方も何らかの利益を直接間接に享受していると客観的に評価することができるようなものを、これも抽出する必要があると考えられるわけでございますが、そのためには、前提として、相手方の個性に着目することなく行われる取引であることが必要でございます。 すなわち、相手方の個性に着目して行われる取引においては、その個性に応じて取引を行うか否かを決するのでございますので、定型約款の規律の対象として、取引を円滑、迅速に、安定的に行うことができるようにする必要性は乏しいと考えられます。 労働契約を締結するかどうかは、一般に、相手方の能力、人格などの個性に着目して判断されるものでございますので、不特定多数の者を相手方として取引するにも当たらないと考えられます。 したがいまして、労働契約のひな形などにつきましても定型約款には該当しないと考えております。
○枝野委員 継続的労働契約はそうなのかなと思うんです。そうすると、対象となる、例えば日雇い派遣的に、きょうは百人集めてみたいなときというのは、実態として、個々の労働者、雇われる側の個性に着目していると言えるのかな。この場合、どっちになるんですか。
○小川政府参考人 もちろん個別の事案によるというふうには思いますが、基本的には個性を重視する形で、定型約款からは外れるというふうに考えております。
○枝野委員 僕は、結論は外れるということで、別途規律をするべき対象のものだとは思うので、結論はいいんですけれども、ちょっと説明の仕方をうまくしないと、何か変なものが変に定型約款に入っちゃうんじゃないかなと。 例えば、事業者間も、フランチャイズ契約みたいな話というのは、事実上、定型的なもので運用されていますが、これは、どこに店を出すかとかそういうのが違うからということで定型約款から外れるという理解でいいんですか。
○小川政府参考人 もちろん、フランチャイズ契約、いろいろと問題も指摘されるところもございますが、それは基本的に、定型約款の性質そのものというよりは、両者の交渉力の差の問題でございますので、その意味では事業者間の契約ということで整理をしております。
○枝野委員 ぜひ、変なものが紛れ込まないか、整理をきちっともう一回していただければありがたいと思います。 最後に、これは本当に何度か確認されていると思いますが、不意打ち条項が定型約款に入っていない、明示されていないというのは私も問題だと思いますので、これは最後、これでいいですねと大臣に聞きますから、よく答弁を聞いておいてくださいね。 不意打ち条項については、今回の改正法の条文に明示はされていないが、信義則に反して不当条項になる、なり得る、当然そういう理解であるということでよろしいですか。まず、局長。
○小川政府参考人 御指摘のとおり、なり得るものでございます。
○枝野委員 大臣、今の答弁でよろしいですね。余計なことを言うと、もめますからね。
○金田国務大臣 ただいま局長から答弁したとおりと受けとめております。
○枝野委員 きょうはこれで終わりますが、余り注目をされていない論点、まだまだたくさんあります。そして、今、先ほどやった配偶者の問題等はさらに議論が必要だと思いますし、ぜひ中小零細企業の実態の調査についてはよろしくお願いして、きょうの質問は終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。 きょうは、山尾委員それから枝野委員と、まず、保証のところを、特に配偶者の点についてはお二人から熱心な質疑がありました。 私の方からは、まず、第三者保証、個人保証に当たって、公正証書を介す、その公証人のあり方をもう一度制度的な観点から伺ってまいりたい。 公証人の中にも大変すばらしい方がいるというのは、実は、前回参考人に来てくださった先生の中からもお話がありましたし、自民党の土屋委員のお知り合いの公証人の方も大変すばらしい方だということなので、何も公証人や個人を否定する議論ではないということは冒頭申し上げておきたいと思います。 公証人法というものを少し見てみたんですが、公証人法というものは、明治四十一年で、条文は漢字と片仮名。民法が百二十年ぶりの大改正であれば、公証人法も百八年ぶりの大改正があってもいいのではないかと思うぐらい、読み解くのに苦慮をしているんですが。 まず、制度の実態のところで、前回、検事正ですとか地裁、家裁の所長、それから法務局長、そういった方がかなりの割合を占めるのではないかというお話をさせていただきましたが、そこを、改めて民事局長の方から、簡潔にその数字などを示していただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 公証人は、現在、四百九十七名おりますが、四百九十七名の出身経歴は、前職が検事正であった者が百三名、割合でいいますと二〇・七%、最高検検事であった者が二十九人、五・八%、その他の検事であった者が六十二名で一二・五%、裁判所長であった者が二十九人、五・八%、その他の判事であった者が百十名、二二・一%、法務局長であった者が百二人、二〇・五%、その他の法務事務官等であった者が五十九人、一一・九%、司法書士が三名、〇・七%。 以上でございます。
○井出委員 前回の質疑の中で、法曹有資格者の公証人は公募を年に三回、面接、そして、それに準ずる有識者という人は年に一回の公募があって試験があるというふうなお話だったかと思います。 この法曹有資格者公証人というのは、私は、そもそも司法試験を通っているか通っていないかというところが分かれ目なのかと思うんですが、それでよろしいのか、教えてください。
○小川政府参考人 司法試験合格だけではなくて、司法研修所での実務修習なども経て法曹になり得る立場ということが前提になると思います。
○井出委員 そうすると、司法試験を通って修習をされている井野政務官は恐らく面接でなれる可能性がある、私は恐らく試験だと。私は多分、試験に受からないと思うんですが。 それで、一点、実態として、法務局長が百二人、公証人になられている。法務局長というのは、これはみんな面接でなられているのか、それとも皆さんがきちっと司法試験と修習を経られているのか、そこの事実関係を教えていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 法務局長出身者は法曹に準ずる学識経験を有する者ということになりますので、これは試験が必要でございます。年に一回の公募に応じて試験を行って、その選考を経るということが必要でございます。
○井出委員 公証人法の第十二条によりますと、公証人になれる資格として、一つ「日本国民ニシテ成年者タルコト」、もう一つが「一定ノ試験ニ合格シタル後六月以上公証人見習トシテ実地修習ヲ為シタルコト」、その後、十三条に「裁判官、検察官又ハ弁護士タルノ資格ヲ有スル者ハ試験及実地修習ヲ経スシテ公証人ニ任セラルルコトヲ得」と書かれているんですが、法務局長が百二名いらっしゃるわけですよね。 私、ちょっと調べたところ、この十二条の試験というのは、二〇〇三年まで一度もなかったというようなことを書かれている論文もあったんですが、それでも、その間、法務局長は、きちっと試験を受けるべき人は受けてこられたのか。その辺の事実関係を教えてください。
○小川政府参考人 まず、十二条の試験はその後も実施されておりません。 法務局長の採用の道というのは、これは公証人法で申しますと第十三条ノ二でございまして、これによりまして、「多年法務ニ携ハリ前条ノ者ニ準スル学識経験ヲ有スル者」で、「政令ヲ以テ定ムル審議会等ノ選考」を経るという条件で任命されるというものでございます。
○井出委員 第十二条で、日本国民で、成年で、一定の試験と六カ月以上の見習い、それから十三条が、裁判官、検察官、弁護士は、試験とか実習は要らないよと。それで、第十三条ノ二が今お話あったところなんですが、そうすると、法務局長は第十三条ノ二だと。前回議論をさせていただいた、年一回の公募の司法書士さんとか、そっちもこの十三条ノ二ということになる。 ちょっと私、この条文を見たときに、基本的には、日本国民、成人で、試験で、六月の実習と。その後、裁判官、検察官、弁護士はいいですよという。それが、百九年たってみて、この十二条の試験が一回も行われていないというのは、法律の制定趣旨に本当にかなっているのかどうか。これは、これから民間の登用もふやしていきたいという前回のお話もありましたので、ちょっと解せないんですよね。そのことについて、ちょっと見解をいただきたいと思います。
○小川政府参考人 公証人法十二条は、御指摘がありましたように、公証人の任用についての試験を行うことを定めておりますが、この試験は実施されておりません。 これは、十三条で、法曹有資格者は試験を経ずして任用することが可能とされていることからも明らかなように、公証人に要求される能力と同水準の能力を要求する試験として司法試験があるということが十二条と十三条の関係から出てまいりますので、結局のところ、十二条の試験をやるということは司法試験と重複したものにならざるを得ず、別個に試験を実施することは必ずしも合理的、効率的とは言えないという考え方に基づくものでございます。
○井出委員 何か、なるほどと言わざるを得ないんですが。この第十二条というのは事実上の司法試験なんだ、そういうお話が今ございました。 もう一つ、今、実態として、弁護士さんが何人か公証人になられているんですが、純粋に、長年弁護士を専従でやってきた方が、例えば検事正と地裁の所長は公証人になれるんだったら、各都道府県の弁護士会長だって公証人にすっとなってもいいような気がするんですけれども、なぜ長年弁護士をやった方は公証人にいないのか、その点について教えてください。
○小川政府参考人 公募を、平成十年から実施しておりますが、たしか平成十四年にお一方、公募に応じられた方はいらっしゃったと思いますが、その方は最終的に取りやめになって、それ以後ということになると思いますけれども、弁護士の方が公募に応じた例はございません。
○井出委員 公証人の民間の登用というものを前回議論いたしましたが、ある過去の報道を見ていたら、過去に政府の規制改革委員会が、公証人が判事と検事出身者で占められていることについて、弁護士や民間人にも開放するよう求めたと。それに対する法務省の回答として、これは公募をする以前の話なんですが、公募をすると売れない弁護士が多数応募してくる心配がある、こういうやりとりが過去にあったという報道があったんですが、そういういきさつというのは実在したんですか。
○小川政府参考人 今の点は、私の方は承知しておりません。
○井出委員 その報道は、いついつの政府の規制改革委員会というところまでは言及をしておらないので、この問題をさらにはきょうはやめておきますが、政務官、少し弁護士さんの法曹資格が公証人において軽んじられているのではないかということは、指摘をしておきたいと思います。 公証人について、二〇〇五年の四月に出ている「自由と正義」という何か専門書みたいなものがございまして、そこに、公証人制度は改革が必要だとする弁護士さんの論文と、それに対して、日本の公証人はすばらしいという公証人の連合会理事長の方の論文、両方載せた特集、「公証人制度の現状と課題」という論文があるのですが、さきの参考人質疑で、新里先生からドイツのことを教えていただきました。 これを読み解いていくと大変おもしろい部分がありまして、例えば、これは日本公証人連合会が公証制度百年で何か本を出したときに、その本の中の一節に、かつて、吉原の遊郭を管内に持つ公証役場が繁盛していた、それは、そこにいらっしゃる女性たちの前借り金稼働契約に公正証書が利用された、百年の公証人連合会の本にそうした事実が書いてあって、公証制度に疑義を持つ弁護士さんは、公証制度が発足した明治期から強い者が弱い者を縛るために乱用されていたという御指摘があるんです。大変歴史を踏まえた論文でありまして、その中で、公証人の調査能力、借金の保証人に公正証書を与えるときに本当に大丈夫かといろいろ聞く、だけれども、まさに、今役割も違うという話もございましたが、制度上、公証人にはそうした調査の権限が与えられていない。 これは、公証人の法律の中では、確かにいろいろ調査をするとは書いてあるんですが、平成九年の最高裁判決に、公正証書の内容となる法律行為の法令違反等に関する公証人の調査義務について判示した判決がございまして、「公証人が、嘱託人等の関係人に必要な説明を促すなどの調査義務を負うのは、法令違反等の具体的な疑いのある場合に限るとされている。また、嘱託人らは、説明を求められても、説明する義務を負わないと解されている。それゆえ、公証人は、「弱い審査権限」しか持たないともいわれる。」「通常は、出頭した嘱託人等の陳述や提出された委任状等の関係書類を審査するという形式審査の限度でよいともいわれる。」、こうしたことがこの論文で指摘をされているんです。 この法務委員会でも、これまでの遺言の関係と借金の保証人では、本人に対する利益が全然違うんだ、そういうところ、たしか通達を出すというような御答弁があったかと思うんですが、そもそも、法律上また判例上、公証人がそうした、ではちょっと一日考え直してもう一回来てよとか、今度あなたの家に本当にお金を返せるかどうか見に行くよとか、そういうことはまかり間違っても制度上できないたてつけになっているのではないかと思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。
○小川政府参考人 公証人の審査権限そのものについて、具体的には法律の中で、無効の法律行為のようなものについての審査ということがございます。それから、公証人法施行規則十三条だったと思いますが、権限を行使することができるように書かれております。 加えまして、よく今回の保証意思の確認等の関係で引き合いに出されます遺言公正証書でございますが、当然のように、しっかりと調査をして、遺言が無効にならないように調査をするというのは実務として当然のことでございます。本当の真意に基づくものかどうかということについての調査をしっかりしなければ、後でそれこそ無効になりますので、その点についての調査は当然きちんといたします。 それから、さらにそれよりも、いろいろ御議論の中ではリスクの関係ではより丁寧にすべきではないかというお話のあります保証意思宣明証書についても、何度か答弁申し上げていますように、なぜこういうことをやるのか、あるいはリスクを意識しているのか、説明をきちんと受けたのか、そういったことについて十分説明をし、その上で保証の意思を確認するということ、これは当然でございますので、遺漏のないように、その点についての通達を発出する予定でございます。
○井出委員 次に、日本の公証人は大変すばらしいという論文を日本公証人連合会理事長が書かれている部分から、少しお話を伺っていきたいんです。 先回話になったドイツでは、公証人が一万人近くいるんですね。日本では五百人に満たない。この連合会の方によりますと、ドイツの公証人は、不動産関係とか、法律できちっと公正証書を義務づけられた仕事をやっていて、手数料も高い、給料もいい。日本の公証人は、手数料だけで、手数料は安い、ただ、収入はいいという批判もあるけれども、そういう中で、法的義務づけのない公正証書をたくさん発行してきたんだと。まさに日本の公証人というのは公務員であって、私なりに行間を読めば、無私の精神で頑張っているんだというのが、まず、この日本公証人連合会理事長を経験された方の論文に出ている。 その中で、この方の論文で今回の議論にちょっとかかる部分があるかなと思ったんですが、この方も、私が今御指摘をしました、具体的な疑いが生じた場合に調査はするけれどももともと公証人には事実の調査をする権限はない、必要な説明を促す程度にとどまっているとおっしゃっておりまして、この方はさらに、日本の印鑑登録証明と実印、この制度は大変しっかりしているので、そういうものを前提にすれば調査権限はそんなになくても大丈夫なんだと。 今回は、恐らく、たしか代理は認めないと答弁されたと思うんですけれども、当時はまだ代理制度があったときの論文なんですけれども、「日本の印鑑証明と登録された実印」「をもとにした代理制度も、日本経済の発展に好影響を及ぼしており、その効果は計り知れない」、「多忙な人や遠隔地の人、特に担保もなしに早急に金を借りたい人等にとってこれほど有用な制度はない。」と。 だから、これから、公証人連合会の理事長をされた方の御趣旨と真逆の法律運用になっていくんですけれども。公証人はすばらしい方もいるんですよ、この間、参考人の方もあっちの部屋でおっしゃられていたんですけれども。その公証人の皆さんたちの意識というのは本当に大丈夫なのか。 個人を責めるつもりはありません、公証人連合会全体としてです、そういう懸念があるのですが、そのあたり、きちっとこの法律の趣旨というものを公証人連合会に理解をしていただけるのかどうか、伺いたいと思います。
○小川政府参考人 もちろん、今でも一般の公正証書については代理による場合が可能でございます。 ただ、遺言公正証書につきましては、御本人が言わなければ意味がありませんので、御本人が必ず公証人の面前で述べるということになっています。今回の保証意思宣明証書も、基本的にはそれと同じ仕組みを踏襲しておりますので、本人が必ずきちんと陳述するということが大前提でございます。 そういう制度ということは、当然のことながら、公証人の方は十分理解していますし、もちろん広報、周知するということは私どもにとっても大事な役目ですが、例えば研修会ですとか、そういうものを設けることなどによって周知徹底は当然のように図っていきたいと思いますし、公証人の方もこの制度について非常に高い関心を持っております。
○井出委員 この二〇〇五年の公証人連合会の理事長だった方は、この委員会でも問題になった商工ローンの問題にしても、それはその後法律で禁止されたからもう大丈夫なんだ、日本の公証人、公正証書というものは大変すばらしいということを強調されているんです。 今までは、法律上義務づけられていない、そういう借金関係の公正証書も日本の公証人というのはいっぱい出してきたんだというお話を前提に、その当時の話ではあるんですが、「日本特有の印鑑証明書制度の有用性を考えたとき、本人出頭を原則とすることも到底採用できない。」とおっしゃられているんですね。 十一年たっていますから、その認識も大きく変わったのかと思うんですが、ただ、連合会の理事長さんの御発言ですので、これは、十年前の公証人の世界からいったら、今までの仕事ぶりが百八十度変わるぐらいの衝撃を公証人連合会は受けているんじゃないかな、そういうふうに思うんですが、本当に大丈夫なんですか。
○小川政府参考人 引き合いに出しますけれども、遺言公正証書がございます。遺言公正証書は、二十七年で十一万数千件という件数になっています。これは、ずっと右肩上がりで伸びてきている状態で、公正証書の約半分近くを占める状態になっていると思います。 それから、任意後見という制度には公正証書が必要でございますが、それも、年間一万件を超える程度だったと思いますが、これも非常に伸びてきております。 もちろん、商工ローンのような問題があったことは事実でございますが、公証人の方もいろいろな研修などを経まして十分意識を高めていると信じておりますし、保証意思宣明証書などの制度についても十分理解した上で運用に当たるものと承知しております。
○井出委員 公証人のそういう連合会のお立場の方にここにも来ていただきたいぐらいなんですが、法制審では少なくともいろいろ聞かれているんですか。
○小川政府参考人 公証人から意見を聴取しているということではございません。
○井出委員 公証人の中にも大変すばらしい方はたくさんいる。ただ、しかしながら、これは、公証人、天下りで検索していただくとすぐ出てくるんですが、とある法律事務所の弁護士さんが、自分が検事をやっていたときの検事正は、検事正の仕事をほっぽり出して公証人役場探しばかりをやっていて、横浜の公証人におさまったというようなことがすぐ出てくるんですね。 ですから、公募制度が始まったというのも、民間の司法書士さんとかそうした方も入れていく、また、長年ないがしろにされてきた長年弁護士経験のある方も私は入ってもいいんじゃないかなと思うんですが。 この間、法務省出身者、裁判官、その人たちは年に三回で面接、それに準ずる人たちは年に一回の公募で試験だ、それは何とかならないのかという話をしたときに、採用の定員とかそういう数という話なのかなと思って聞いておったんです。今、公証人は四百九十七人いて、仕事がふえるのであればふやさなければいけないと思うんですけれども、そもそも論なんですけれども、公証人は今定員をきちっと満たしているのか、定員というものがあるのかないのか、そこを教えてください。
○小川政府参考人 申しわけありません、正確な数字ということではないんですが、定員は六百名を超えております。実員が四百九十七ということで、定員は六百名を超えておりまして、定員自体は、これは法務局支局の存在する区域に一人を配置するというのが定員の定めでございますので、その意味で、全体としての定員数は多いということでございます。
○井出委員 私がいろいろ調べた資料の中に、公証人の定員は何か六百八十八人だったというような記載もあるんですね、それはちょっと過去の雑誌ですので、今変わっているのかもしれないんですが。 ちょっと今のところをもう少しわかりやすく伺いたいんですけれども、定員を埋める必要はないのか。それから、先回申し上げました、法務省関係者は年に三回の公募、それ以外の人は採用の関係で年に一回にとどまっているんだというような大臣のお話もあったんですけれども、そこを何とか、もしまだ定員に百人、二百人近い余裕があるんだったら、これから仕事もふえる、何といったってドイツは一万人近くいて、日本は五百人しかいないわけですから、その定員を埋めていく努力と民間の方も登用していく努力、まさにそこをセットでやっていけばいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 失礼いたしました。 まず、公証人の定員でございますが、これは公証人定員規則で定められておりまして、平成二十八年十一月二十五日現在で六百六十九名でございます。先ほどの数字より減っておりまして、減っている主な理由は、法務局の支局などが統廃合されて減りますと、先ほど言いましたように、支局の管轄区域に公証人を配置するという仕組みになっていますので、その意味で、定員自体も減るというのが現状でございます。 定員自体を充足させるかどうかということについては、その地域での公証の需要などを考慮して定めるということになっておりまして、その意味では、現状では、定員が六百六十九名であるにもかかわらず、現在員は四百九十七名という状態でございます。 今回の保証意思宣明公正証書等のニーズ、これはもちろん一定数は見込まれるわけでございますし、今後の需要の動向を見ながら、もちろん適正な配置に努めるのは当然でございます。
○井出委員 ちょっと大臣にも伺いたいのですが。 公証人の調査の権限が、前段議論をさせていただいていたんですが、法律上、調査の権限はある。たしか二十六条と規則の十三条だったと思いますが。その一方で、裁判で、明らかに具体的な疑いが生じた場合、そういうときは調査をしろ、そういう調査権限を抑制的に捉えるような最高裁判例があって、公証人制度の改革を望む弁護士さんも、公証人はすばらしいと言っている公証人連合会の理事長さんも、その調査権限のなさというものはそれぞれの立場からお互い認めている。ですから、そこはひとつ考え直す必要があるのではないか。 それからもう一つは、これは法務省、裁判官の第二の職場と批判されることが長年あって、先ほどの定員の話ですね、六百六十何人いるのに、そこをわざわざあけているのは、需要の問題とおっしゃられたのは確かにそうだと思うんですが、それを批判的に言う人は、公証人役場は法務省出身者にとって大変狭き門で、そういう将来の天下り先ということも考えてあけているんじゃないか、そこまで批判しているような人もいるんですね。この際、民間の登用も含めて、そういう天下りの批判というものも解消していく。 そのためには、果たして、公証人法の十二条、十三条、十三条ノ二、試験があると言いながら事実上なくて、裁判官、検察官、弁護士だったら試験免除。でも、弁護士も実際、長年弁護士経験者はほとんどいない。そもそも、この法律というのは明治四十一年にできたものである。公証人に重要な任務を新たに民法で法律上お与えになるのであれば、この公証人法も、明治四十一年来、百八年ぶりの大改正というものを同時にお考えになるべきだと思うんですが、大臣のコメントをいただきたいと思います。
○小川政府参考人 公証人法も、社会、経済の情勢に対応するように、一定の改正を経ております。 例えば、条文にございますように、今、電子的な公証制度、例えば電子的な定款の認証などについての仕組みを設けておりまして、これが平成十何年かにかなり大きく取り入れられたりしておりまして、何らかの形でリニューアルはしているというのが現状でございます。 そういう意味では、必要に応じて改正は行っているというのが現状でございます。
○井出委員 大事な、このテーマのまとめのところですので、大臣からも伺いたいんですが。 公証人の調査権限の問題、それから、公証人にどういう人がなっているのか。その二つは、やはり公証人法をきちっと見直さないことには始まらないんじゃないかと思います。そういう問題意識を持っていただきたいと思いますが、答弁を求めます。
○金田国務大臣 ただいま局長からも申し上げましたが、リニューアルを試みたこともある、平成十数年のときですか。 調査義務というのは、法定されておりますし、適切な業務執行というのが引き続き重要だなというふうに、委員の御指摘を受けとめながら考えておりました。 そしてまた、法務省としては、やはり公証制度というものは、時代の進展に即して、国民のニーズというものをしっかりと踏まえて、十分応えられる制度になるように、公証制度の充実発展に努めるという観点から、引き続き我々法務省としても努力していかなきゃいけない、このように感じた次第であります。
○井出委員 そうした努力をしっかりやっていただきたいと思います。 公証人の話はきょうはこれで終わりにしまして、保証の、これは前回、以前の答弁のちょっと確認的な意味で金融庁に伺いたいのです。 十二月の二日に、私が、経営者保証に関するガイドライン研究会が平成二十五年十二月に出したガイドラインについてお伺いをしました。 私の問題意識としては、経営者のガイドラインの中の八ページに前経営者との保証契約の解除に関する条項があるのに、どうして前配偶者のものはないのか、そういうことを聞いたんですが、私の聞き方が余りにも言葉足らずだったところがあって、もう一度伺いたいんです。 御夫婦が、どっちがどっちでもいいんですけれども、どっちかが金を借りる、どっちかが保証人になる、そこは確かに、政府がおっしゃるように、事業のことをよくわかっているのかもしれませんし、また、先回、土屋先生が御指摘された、文学的に言えば情愛、そういう部分もあるのかと思います。私は、土屋先生の御議論というものは、青色申告の方の御意見も含めた大変いい質疑だった、すばらしい勉強をさせていただいたところなんです。 ただ、私の問題意識は、では、お二人でお金を借りて商売をやった、一生懸命やってきた、それで、どうにもならなくなったときに、例えば、情は変わらないんだけれども法律的に離婚をすれば借金の返済を多少なりとも緩和できるような、それもまた情義、情愛の一面もあるんじゃないかなと思うんですね。私みたいな若造がこういう情愛を語るのは、なかなかうまく、土屋先生のように気持ちを込めて語ることはできないんですが、その問題意識なんですね。 前回、前経営者と同じように前配偶者も当然適用されるといったようなお話があったんですけれども、そもそもこのガイドラインというのは、例えば事業の改善とか事業の継承とか、そういうことの文脈の中で前経営者の保証の解除について位置づけていて、私が問題意識を持っている、借金で立ち行かなくなったときに離婚によって何とかなるのかならないのか、そういう問題意識が果たしてこのガイドラインに入っているかどうかというところを教えてください。
○西田政府参考人 お答えいたします。 まず、先生の御質問があった中身について、ちょっと後ろの方からなんですけれども、経営者保証については、先生がおっしゃったように、もともとの経営への規律づけとか信用補完としての資金調達の円滑化に寄与するという面は当然あるわけですが、一方で、やはり創業を含む経営者の思い切った事業展開であるとか、早期に事業再生を図るとか、あるいは円滑な事業承継を阻害する要因にもなるんじゃないか、そういった御指摘がいろいろとされました。そういった中で、中小企業庁さんと一緒に関与いたしまして、民間の自主的なルールとしてこのガイドラインができたというのが経緯でございます。 したがって、そういった観点からということでこのガイドラインが整理はされているんですけれども、先生御指摘がありましたこのガイドラインの適用対象につきましては、入り口の段階で、経営者とともに事業に従事する配偶者というものが保証人となっている場合には含まれるというふうに書かれています。 したがって、その後、離婚等によりまして経営者の配偶者でなくなった方についても、当然、経営者に準ずる者として、既存の保証契約の解除も含めた適切な見直しに関するガイドラインの規定というのは当然に適用されていくものと考えております。 もう少し具体的に言いますと、離婚した前配偶者から既存の保証契約の解除などの申し出があった場合には、当然、経営者に準ずる者という位置づけで、前経営者の保証契約の解除の場合と同じように、これはガイドラインの第六項(1)2でございますけれども、それに基づいて、まずは、金融機関はそのガイドラインの要件に照らして、改めて保証の必要性というものについて真摯かつ柔軟に検討を行う、その上で、その結果について丁寧かつ具体的に説明することになるということは書かれていますので、そういった考え方のもとで対応するということになっていると理解しております。
○井出委員 以前のその議論の中で、委員の先生はどなただったかちょっと忘れてしまいましたが、小川民事局長からは、結婚している状況の保証というものは離婚しても引き継ぐというようなお話が、根保証とかちょっと別のものはあるかと思うんですが、引き継ぐというお話があって、そこからの問題意識なんですけれども、このガイドラインというのは、あくまで配偶者、前配偶者を経営的な観点からいろいろ規定されているのであって、結婚、離婚にまつわる情義、情愛の部分はやはり対象にしていないということなんですかね。 例えば小川局長がおっしゃった、離婚しても保証を引き継ぐんだ、そういうものに対して一矢報いると言ったらちょっと言い方は悪いんですけれども、何かしらこれが救済の手だてになるのか、その点をちょっと明確にお願いします。
○西田政府参考人 このガイドラインを策定した趣旨というところですが、これはガイドラインの「目的」のところにも書かれているんですが、中小企業金融における経営者保証について、主たる債務者、保証人、そして対象債権者において合理性が認められる保証契約のあり方を示すということと、主たる債務の整理局面における保証債務の整理というものを公正迅速に行うための準則、いわゆる私的整理というものの準則として定めることによって、経営者保証の課題に対する適切な対応というものを通じてその弊害を解消して、債務者、保証人、債権者の継続的かつ良好な信頼関係の構築を強化するということと、中小企業のいろいろなライフステージにおける中小企業の取り組み意欲の増進を図って、中小企業金融の円滑化を図る、そういった目的のもとでつくられているということでございます。
○井出委員 一定のスタンスを御説明いただきました。 婚姻や離婚、夫婦の情義、情愛には、なかなかそれをガイドラインや法律で表現するのは難しいところもあるな、難しいんだろうな、無理なんだろうなという思いも今私は持っているんですが、もう一点、ちょっと別のテーマを質問しなければいけないのです。 これは小川さんに、前回の定型約款と債務不履行の損害賠償のところで、「契約その他の債務の発生原因」と「取引上の社会通念」を丸と四角でいろいろ御議論させていただいたんですが、最終的に小川さんの結論は、契約その他の債務の発生原因、契約に関する諸事情、それと取引上の社会通念、一般常識、それとこれとはそれぞれ別個にあって、併存して、その両方を勘案して物事を考えなければいけないというお話だったんです。 債務不履行の損害賠償のところの法制審の議論、この間もちょっと御紹介したんですけれども、改めて読みますと、どちらかというと、やはり契約の諸事情、契約その他の債務の発生原因の方に、不等号でいえばきちっと重きを置いて、その中で社会一般の常識も。そこは何か、委員共通の理解もあるようでございますとか、今後検討しますみたいなところで九十回の議論は終わっているんですが、やはり「及び」という表現が大分問題にはなっていて、最終的には小川さんの結論に、結論はこの間伺ったんですけれども、そこは、何かその後御議論を経て、契約の諸事情に不等号が向いていたものが、イコールで両方見ましょうというところをきちっと皆さんで合意が、そう変わったプロセスといいますか、では、なぜ並列で両方見るという解釈になるか、その理由、その点をちょっと詳しく教えていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 契約と取引通念をそれぞれ考慮事由として掲げるか、あるいは、その上位概念を例えば契約の趣旨などとして設けることとして、これを考慮要素とするかなどについて、法制審の中で、その審議の過程でも検討が行われておりました。 さまざまな意見があるわけですが、これらの事由をそれぞれ掲げた場合には、特に帰責事由の存否は契約でどのように定めがされているかで定まるべきであるという立場もございまして、そういう立場からは、その趣旨がぼやけてしまうという批判がされておりました。 他方で、これらの事由の上位概念を契約の趣旨などとして設ける考え方に対しては、弁護士や実務家の立場からは、契約条項で全て責任の有無が決せられるように誤解されるとして批判もございました。 この上位概念を設ける考え方が合理的であるとする立場も、その判断に対して取引通念が考慮されることを否定するものではなかったこと、それから、実務上も契約内容や取引通念を考慮すると理解されていたことから、取引通念が考慮されないとの誤解を避け、両者を総合的に考慮することを明らかにする趣旨で、契約その他の債務の発生原因と取引上の社会通念を並列して考慮要素として規定したものでございます。
○井出委員 確かに、日弁連、弁護士会の方が、契約だけで見ないで社会常識も入れろ、そういう判例もあるだろうということは御主張されているんですけれども、ただ、その弁護士会のお立場の方も、契約の諸事情に重きを置きつつ社会常識を見ると。やはりイコールじゃなくて、どちらかというと、人と人との契約に重きを置いていたのではないかなと思うんですが、もう一度きょうの答弁を研究させていただきたいと思います。 最後に、この間議論した定型約款のみなしと推定のところなんですけれども、今、定型約款はみなし規定になっている。私が、それは合意したものと推定したらどうだというお話をしたときに、画一性が揺らぐというようなお話があったんです。この画一性というのは、事業者側のメリットもあって、また消費者側も簡単に手続できるという、うんとメリットがあるんですけれども、この法律は、争いになって裁判を起こすときに、やはりこの法律をみなすだと、いや、これは画一的に決まっていることだから訴えは却下ですよみたいな。事実上、裁判は恐らく消費者しか起こさないと思うんですね、この法のたてつけだったら。 そこに、推定じゃなくて、みなしてしまうという強い文言を入れてしまうというところを、裁判になったらというのは個別の話だから、画一性の有無というのは争いがなければお互いにメリットがあるんですけれども、争いが出てきたときに、画一性が障害で訴えも即却下ですみたいなことになると、やはりこれまでとちょっと事情が変わってくるんじゃないかなと思うんですが、その点についてコメントをいただきたいと思います。
○小川政府参考人 画一性の確保、画一性の維持ということで申し上げたのは、やはり定型約款という性質上、推定よりもみなしの方が効果がきちんとしてよろしいのではないですかということでございます。 その意味では、画一性というのは、やはり定型取引については重要な考慮要素といいますか、判断すべき要素の一つだというふうに考えております。
○井出委員 逢坂委員との前回のやりとりの中で、定型約款自体も裁判で最終的に決まるというようなお話もあったので、もう少しここは議論を続けていきたいと思います。 ちなみに、私、皆さんがお持ちの新旧対照の本もこの間買いましたので、さらに頑張ってまいりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。階猛君。
○階委員 民進党の階猛です。本日もよろしくお願いいたします。 お手元に資料を一枚、裏表で配っております。 今回の政府案について、どの範囲で「公証人による意思確認が必要」で、また、どの範囲で「公証人による意思確認が不要」かということを図であらわしたものでございます。右に行けば行くほど経営者や事業との経済的なつながりが深くなる、また、上に行けば行くほど主債務者、事業との人間的なつながりが深くなるということでありますが、これを見ますと、「個人事業主の配偶者」、右上に位置しておりますが、他方で、同じ配偶者でも、「法人の代表取締役等の配偶者」は真ん中の上の方に位置しておりまして、個人事業主であるか法人の事業者であるかによって、その経営者の配偶者が公証人による意思確認が必要か不要かというところが分かれるわけです。 しかるに、金融庁の監督指針によりますと、経営者が個人か、あるいは法人の代表取締役かどうかというところでは区別していないわけでございまして、単に、経営者本人の配偶者であって、当該経営者本人とともに当該事業に従事するかどうかというところを問題にしているわけです。 先ほど来、我が党の枝野委員を初め各議員から、個人事業主の配偶者、今回の政府案では公証人による意思確認が不要としているわけですが、それにはさまざまな弊害があるだろうということで、むしろ公証人による意思確認が必要ということにしたらどうかというような話もありました。 監督指針におきましても、先ほど言いましたとおり、これは個人か法人の経営者であるかによっては区別していないわけでありまして、私も、この「個人事業主の配偶者」をあえて右側に位置させる必要はないのではないかという気がしております。 そこで、お尋ねをしますけれども、事業主が法人か個人かで区別することに意味があるのでしょうか。これについて、参考人、お願いします。
○小川政府参考人 お答えいたします。 個人事業主の配偶者が意思確認の手続の例外になっている理由は、個人事業主で配偶者が業務に従事しているような場合の、いわゆる経営と家計の一体性というのをもととして、そういう意味では経営のリスクなどについても十分知っているはずである、そういう前提で整理をしたものが個人事業主の配偶者でございまして、ただいま申し上げましたような理由によりまして、例外的な取り扱いを受けます。 他方で、法人の代表取締役等の配偶者になりますと、今申し上げましたような経営と家計の一体性という点は、これはもちろん法人組織になっているわけですので異なるわけですので、そこの違いが両者の違いということでございます。
○階委員 法人といっても、大企業から、ほとんど個人事業主と変わらないような、法人成りはしているけれども実態は個人というものもあるわけでございまして、限界的なところでは、個人事業主の配偶者と変わらない部分もあるわけです。しかるに、今回の政府案では、公証人による意思確認が必要か不要かということで、大きく取り扱いを分けている、ここに合理性はあるのだろうかというふうに思います。 そこで、先ほど言いましたとおり、金融庁の監督指針ではここを分けておりません。そういう、事業に従事する個人の事業主の配偶者、あるいは法人の代表取締役等の配偶者、この両者のカテゴリーを合わせて、実際どれぐらい保証人にとっているんだろうかということで、これは、ある上位地銀さんのデータを調べたものでございます。そうすると、この図でいいますと上の二つ、両者を合わせて大体五・七%、個人連帯保証の合計数を一〇〇とした場合に五・七%がこの上の二つを合わせたものだそうです。 そして、通常は、経営者ないし実質的な経営者と言われる、右側の「取締役・理事等」の固まりと、「過半数の株主」、この固まりを合わせますと、大体八四・二%だということだそうです。 そしてまた、ちょうどど真ん中にあります「事業承継予定者」、今回の法案ではこのカテゴリーはありませんけれども、金融庁監督指針にはこのカテゴリーがありまして、八・七%ということであります。 そして、残った左側の、四つぐらい小さな固まりがありますけれども、これを合計すると一・五%ということであります。 そこで、今の政府案は、二分論といいますか、「公証人による意思確認が不要」と、「公証人による意思確認が必要」と、二つに分けておりまして、いずれにしても、少なくとも公証人による意思確認をとれば全て有効ということになるわけです。 しかし、この左側の四つのブロックにつきましては、この図でいいますと、経営者や事業との経済的なつながりが浅いということ、それから、大抵の場合は人間的なつながりも浅いということであるから、保証人となってもらう必要性とか合理性という意味では乏しいような気がします。かつ、実際上一・五%しか保証人になっていないということです。 裏をごらんください。仮に、二分論ではなくて三分論でたてつけを考えてみるという場合に、「個人事業主の配偶者」については真ん中の「法人の代表取締役等の配偶者」と一体で考えますということにしますと、右側の実質的な経営者については公証人による意思確認がなくても保証人になってもらってもいいのかな。そして、真ん中のカテゴリーについては「公証人による意思確認が必要」ということで、それがあれば保証人になってもしようがないのかなという気がしないわけでもないです。 ただ、一番左のところ、この四つの小さい固まりについては、何もこの人たちは保証人にとる必要もないのではないかなというふうに考えます。 政府案は二分類、今私の方で考えた試案は三分類ですけれども、こうした三分類の考え方でも十分融資の不都合はないのではないかと思うんですが、この点について法務省の見解はいかがでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 まず、三分論の考え方の第一の前提は、第三者保証、要するに、左側の四つの類型についての第三者保証については禁止するというものでございます。 この点につきましては、割合的には少ないという御指摘ではございますが、こういった第三者が保証人となるケースも現に存在するものと認識しております。仮にこのような第三者を保証人とすることを禁止すると、現状において、第三者の保証つきで融資を得ているケースについては、そもそも融資を受けることができないとか、あるいは貸出金利が上昇してしまうといったことが生じ、円滑な資金調達が阻害されるおそれがあることは否定できないと考えられます。 また、改正法案におきましては、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するため、公証人による意思確認の手続を導入することとしておりますが、このような第三者を保証人とすることをおよそ禁止いたしますと、保証意思が真に認められる場合であっても保証という形式で第三者の信用を補完することができなくなるものという問題も生じます。 以上の点から、第三者の保証の禁止ということについてはなかなか難しい問題があって、これを禁止するということについては慎重な検討を要するのではないかというふうに考えております。
○階委員 債務者の信用を補完するために保証人をとるんだというお話がありました。信用を補完するというのであれば、第三者は、当然資産であるとか収入が一定程度あるということが前提になるかと思います。資産がある場合は、その資産に担保権を設定する、物上保証という形式がとれるわけです。また、収入が将来にわたって見込める場合には、まさに今回の改正法で将来債権の譲渡というのが明文で認められるに至りました、この将来債権の譲渡を譲渡担保という形で担保権を設定しておけば、信用補完という意味で十分やっていけると私は考えます。 何も保証という法形式にこだわる必要はないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 御指摘のように、事業のための資金を確保するためには、第三者が保証するほか、第三者が物上保証を行う、あるいは第三者から直接融資を受けるなど、他の手段を講ずることもあり得ないではないということでございます。 もっとも、物上保証を付すといいましても、これにふさわしい財産を有していないこともあり得るわけですし、仮に、例えば不動産を有していて抵当権を設定することが可能であるとしても、抵当権設定に費用を要することを嫌ったり、あるいは抵当権設定自体を嫌う、さらには居住用である自己の不動産に抵当権が設定されること自体を回避したいという考え方も、当然いわゆる物上保証には伴うものでございます。 また、将来債権の譲渡、もちろん今回の改正の中では、将来債権の譲渡に対する、特に譲渡担保にとるような場合についての一定の手当てをしてございますが、ただやはり、もちろんその債権が何かということにもよりますが、将来にわたって債権を譲渡するということについてはリスクも伴うものでございます。リスクというのはとりあえず、担保権者の方にも、それから担保として提供する方にも、将来の変動がどうなるかということが必ずしも確定的にはできないという点もございますので、またそれはそれで問題もあり得るのかなというふうに感じております。
○階委員 まず、保証というのは信用を補完するためであって、逆に言うと、それに役立たないような保証というのは必要ないというふうに私は考えるんですが、それは違いますか。
○小川政府参考人 もちろん、信用補完するものでございますので、それに役立つことが必要でございます。
○階委員 そして、信用を補完する制度の一つとして保証という制度があることは認めます。しかし、他方で、物的担保を供する、あるいは債権の担保を供する、これも信用を補完する制度としては民法上予定されているわけですが、この点も認められますか。
○小川政府参考人 もちろん、さまざまな、物的な担保ですとか債権を担保にとるということも行われているものと承知しております。
○階委員 問題は、融資をする上で、貸し主あるいは借り主にとっても、あるいは保証人にとっても、どっちが都合がいいかということだと思うんです。 保証の場合は、まず、当初は確かに手続は簡単なんですけれども、保証している間にどんどん債務者の経済力が悪化していって、最後、債務不履行になった場合にはいきなり保証人に弁済の請求が来る。そのときに、もし仮に保証人が自分の債務などのために財産などを担保に供していた、家屋敷、不動産を担保に供していた、あるいは、それこそ債権も担保に供していたという場合には、もう保証人には何も資産がない。すなわち保証人から回収しようとしても意味がないわけですね。 他方で、物的な担保の場合は、当初、抵当権、登記、確かに面倒くさいです。しかし、それをやっておけば、何かあったときには確実に債権の回収ができる。すなわち、債権者にとっては、保証よりも確実な担保なわけです。また、保証人にとってみても、その目的となった財産については、確かに何かあった場合には責任を負って失うかもしれない、しかし、それ以上にほかの財産まで失う必要もないですし、ましてや強制執行などもされるおそれがないということですから、私は、これは貸し主、借り主そして保証人、誰にとってみても物上保証の方がすぐれているというふうに思うんですが、違いますでしょうか。
○小川政府参考人 もちろん、各種の担保、それぞれメリットあるいは特質というのがあり得るわけで、いろいろな比較が可能だろうと思います。 先ほど例に挙げられました債権の譲渡担保も、もちろん、将来債権としてどういう債権を担保に入れられるか、その左側の四名の方、個人の方で、知人ですとか親族の方、そういった方々が担保として使える財産として、将来債権としてどういうものを想定するかにもよると思いますが、そもそも、そういう将来債権を有している方というのを見つけるのもなかなか難しいのではないかというふうに感じておりますが。
○階委員 そこで、さっき確認したんですけれども、保証というのは信用補完をするためにやるものなんだということですから、今おっしゃるように、将来債権が発生するかどうかわからないような人、かつ、財産もないような人であれば、そもそも保証にとる意味もないですから、保証を認める必要もないということになりませんか。
○小川政府参考人 例えば、一定の給与債権を持って毎月支払いを受けるということであれば、それなりのキャッシュフローがあって、一定の資力があるという方だと思いますので、信用補完をするに値するということだと思います。 ただ、今申し上げましたその方について、では、将来債権譲渡というのは考えられるかというと、これはなかなか難しいんじゃないかと思います。(階委員「なぜですか」と呼ぶ) 多分、給与債権を丸々将来債権として譲渡するというようなことについては、包括的な担保としてとっていくということについて問題があり得るのではないかと思います。
○階委員 先ほども申し上げましたが、将来債権の譲渡が今回明文で認められるということになるわけですけれども、その場合、債権の一部譲渡ということは認められないんですか。
○小川政府参考人 一部譲渡は認められます。
○階委員 そうすると、例えば給料でしたら、給料の債権の五分の一とか四分の一、これぐらいを将来債権の譲渡ということで、本人の生活には支障のない範囲で担保に供するということもできるんじゃないですか。
○小川政府参考人 もちろん債権譲渡担保をとるということで可能だと思うんですが、やはり、変動する要素、例えば転職するであるとか、その企業もどうなるのかわからないところもあって、将来の債権の譲渡、一部債権の譲渡であっても、一定の担保にとるリスクのようなものもあり得るというふうに思っております。
○階委員 それは、保証人が個人である以上当然つきものでございまして、別に債権譲渡担保固有のリスクではなくて、保証人が個人であればそれは当然発生するリスクなんじゃないでしょうか。 だから、私は、今の話でもって債権の譲渡担保よりも保証の方がすぐれているという理由にはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 ちょっと私が出した例が余り適切でなかったのかもしれませんが、給与のようなものを仮に一部であっても譲渡する、将来債権にわたって譲渡していくということ自体は、給与のために働き続けることをいわば義務づけるようなところもあって、若干、もともと有効かどうかということについても議論はあり得るのかなというふうに思います。
○階委員 そこは、多分、強制執行の場合には一定割合以上は差し押さえできないという規定が民事執行法などにあったと思いますが、今回の民法ではそういう規定はないんじゃないでしょうか。
○小川政府参考人 もちろん、民法それ自体がそういう定めを置いているわけではございませんが、給与債権の特質として、そういうことをすることが契約上可能なのか、あるいは、九十条違反まで行くかどうかわかりませんが、そういうことが適切なのかという議論はあり得て、やはり、そういう意味ではキャッシュフローの範囲もそれなりに限定されてくるんじゃないかという気はします。
○階委員 もとより一〇〇%担保に供するということは私も想定していませんで、さっき言ったように、一部というか一定割合を、それこそ公序良俗に反しない範囲で担保に供するということは可能だろうというふうに考えます。もし可能でないというのであれば、今はちょっと手元に資料はないでしょうから、後で教えていただければと思います。 そこで、私が申し上げたいのは、かように、三分類した場合の一番左、パーセンテージでいうと個人保証全体の一・五%です、一・五%という低い割合であり、かつ、物上保証等でも代替可能であるというふうに考えます。そうすると、ここを禁止にするといっても、弊害は、仮にあったとしてもごくわずかであろう。 他方で、それを上回るメリットがあると私は思っています。この場でも参考人の方がおっしゃっていました、第三者の保証人が自殺をするとか、あるいは第三者保証人に負担を課すのを苦にして主債務者も自殺する、こういった悲劇も実際にあるわけです。こうした悲劇をなくするというメリットは、先ほど申し上げましたように、ごくごくわずかの弊害、デメリットに比べればはるかに上回っていると思っておりますので、この三番目の、一番左側のカテゴリーについてはもう禁止でいいんじゃないかと私は思っております。 そこで、ここまでの議論を踏まえて、大臣にぜひ御英断をお願いしたいと思っているんです。 私も、民進党の中でこの個人保証の問題についてはずっとかかわってきました。まさにこの試案の一番右側のカテゴリーについてだけ保証を認めて、あとは全面禁止にしようというのが民進党のこれまでの案でございました。今も変わっていないわけですけれども、ここまでの議論を聞いてきて、この真ん中のカテゴリー、これも一律禁止にするのはややちゅうちょを覚えるかなという気がしています。かつ、先ほどのデータでいいますと、この真ん中のカテゴリーは一四・四%あるわけです。一四・四%、右側が八四・二%、そして左側が一・五%、こういう数字の割合もある中で、真ん中は公証人による意思確認があれば認めてもいいのかなというふうに私個人としてはだんだん考えるに至りました。 そういうふうに、私どももこれから党内でもこういう提案をしていきたいと思いますけれども、我々もこの建設的な議論を通じてだんだん歩み寄ってきたわけです。あとは大臣の方でも、法務省の政府案にこだわるのではなくて、この左側の一・五%の部分、全体の一・五%です、かつ代替策もありますということで、ここは保証禁止でもいいんじゃないかということで、大臣の御決断をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 ただいままでの階委員と私どもの局長の議論をお聞きしておりました。 そして、今お尋ねでございましたが、私としては、先ほど私どもの局長も申しておりましたが、やはり、弊害はないのではないかとおっしゃられた場合の一つは金融閉塞の問題、そして、二つ目には保証人の意思の問題ということになって、保証意思を有する者の保証契約についてまで民法で一律に禁止をしていくというのはどうなんだろうかということで、慎重な検討を要するものと考えて述べてきた経緯がございます。 そういう中で、今直ちにそういう思いを持つまでに至っておりません。慎重な検討を要するもの、このように考えております。
○階委員 先ほど確認したとおり、保証は、保証人の意思があれば認める必要があるというものではありません。信用補完のために保証というのは必要になるわけです。そして、信用補完のためということであれば、保証によらなくても物上保証という方法がありますし、その方がはるかに確実であり、保証人も、いざとなった場合のリスクも限定されるわけです。ですから、私どもは、この左側の部分については保証禁止ということを強く訴えていきたいと思っております。 この保証の問題はとりあえずおいておきますけれども、また仲間とともに議論をしながら、さらに皆様に御納得いただけるようなことも考えていきたいと思っています。 そして、民法四百十五条についても、前回の質問のときにちょっと時間がなくて踏み込めませんでしたので、ここで確認させていただきます。 他の委員の答弁で、井出さんの質問に対する答弁だったかもしれませんが、この四百十五条の改正で、四百十五条一項ただし書きに「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」という文言が今回加わったわけですけれども、実際、意味内容には変わりないんだみたいな趣旨の答弁があったと思います。 そこで、参考人に改めてお聞きしたいんですが、意味内容が変わらないのに、なぜこれは必要だったのかということをお答えいただけますか。
○小川政府参考人 改正法案におきましては、判例の解釈に従って、履行不能とそれ以外の債務不履行を区別することなく、債務不履行全体について、「債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、」という要件のもとで、債務者は損害賠償責任を免れる旨の規定を設けて、債務者に帰責事由がないことが損害賠償責任を免責する要件であることを明確化することとしております。 現在の裁判実務におきましては、帰責事由の有無は、給付の内容や不履行の態様から一律に定まるというものではなく、個々の取引関係に即して、契約の性質、契約の目的、契約の締結に至る経緯などの、債務の発生原因となった契約などに関する諸事情を考慮し、あわせて、取引に関して形成された社会通念をも勘案して判断されております。 そこで、改正法案におきましては、今申し上げましたような帰責事由の判断の枠組みを明確化するために、帰責事由の有無は、契約その他の当該債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断されるということを明文化することとしております。
○階委員 このつけ加えた部分というのは、客観的な事由なわけですね。他方で、債務者の責めに帰すべきかどうかというのは主観的な事由なわけですね。主観と客観がミックスされたことになるわけで、わかりやすくしているとおっしゃるかもしれませんが、一般の人から見ると、主観で判断するのか、客観で判断するのか、むしろ逆にわかりにくくなったような気もするわけですけれども、どうしてこれがわかりやすくなったと言えるのか、この点をもう一度御説明いただけますか。
○小川政府参考人 まず、今回の議論の対象は、帰責事由の内容、あるいは帰責事由の判断の枠組みということでございまして、その意味では、帰責事由、まさに非常に抽象化された要件でございます。 この要件の存在を判断する上で、先ほども申し上げましたが、現在の裁判実務においては、帰責事由の有無について、給付の内容や不履行の態様から一律に定まるのではなく、個々の取引関係に即して、契約の性質、契約の目的、契約の締結に至る経緯などの、債務の発生原因となった契約等に関する諸事情を考慮し、あわせて、取引に関して形成された社会通念をも勘案して判断されているというのが実情でございます。 そういった現在の裁判実務の状況を踏まえて、改正法案におきましては、先ほど申し上げました、抽象化された要件であります帰責事由の判断の枠組みを明確化するという観点から今回の文言にしたものでございまして、その意味では、抽象化されたものについての判断の枠組みを明確化することによって法文をわかりやすくするというものでございます。
○階委員 抽象的な言葉に抽象的な言葉を加えても余り明確にはならないような気がしますけれども。 とにもかくにも、加藤参考人が、今までは債務不履行責任は過失責任だったけれども、この文言が加わることで無過失責任に転換されてしまったのではないかという御懸念を表明されていました。運用上変わらないという御答弁なわけですけれども、ここは、無過失責任には変わらないということで明確にお答えいただけますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 改正後の条文の文言上、債務者は自己に帰責事由がなければ損害賠償責任を免れるとしていることに照らしまして、四百十五条第一項ただし書きにおいて「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」という文言を加えるといったことで帰責事由がなくとも債務者が損害賠償責任を負うなどといった意味で無過失責任主義ということが言われているとすれば、無過失責任主義はもちろん採用されていないということは条文上も明らかだと思います。
○階委員 今、イエスかノーかで答えてほしいと思ったんですが、枕言葉が多過ぎて何か非常にわかりづらかったので、無過失責任に変わるのか変わらないのか、ここだけ、結論だけ教えてください。
○小川政府参考人 無過失責任に変わることはございません。
○階委員 ありがとうございます。 それでは、もう一つ。私自身はまだ約款について触れさせていただいていませんでしたので、ちょっと約款の文言に即して幾つか伺っていきたいと思います。 新しい五百四十八条の二、定型約款の合意の条文であります。この柱書きに、「定型取引」というのが冒頭定義が出てきておりまして、「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。」という定義になっています。 この中で「一部が画一的」という、この一部の意味ですね。画一的な部分が一〇%とか二〇%だったりすると、これは画一的でも何でもないような気がして、多分定型取引にも当たらないと思います。 一部というのは大体どれぐらいの割合を指しているのか、「一部が画一的」というのはどんなイメージなのかというのをお答えいただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 もちろん、ごく一部が画一的であるとしても、これをもって「一部が画一的」ということには当然当たりません。まさに定型取引の特徴が画一的というわけですから、その特徴を維持するといいますか、その特徴を構成するにふさわしいだけの一部でないと意味がないわけでございまして、基本的には、相当な部分ですとかあるいは重要な部分が画一的であるという意味でございます。
○階委員 いや、普通、日本語では、そういう場合は、全部または大半がとか、ほとんどがとか、そういう言葉になると思うんですが、なぜここで一部という言葉になるんでしょうか。一部だと、一〇〇%のうちの五%とか一〇%でもいいというふうに日本語としては理解されますけれども、何か今のお話だと、一部というよりも大半とかそういう言葉が正しいような気がするんですが、なぜ一部という言葉になっているんでしょうか。
○小川政府参考人 先ほども相当部分ですとか重要部分という表現を使いましたが、量で決めるということは、ではそれこそ例えば何割なんだというようなことについて、量的に決めるというのはなかなか難しい点もございまして、繰り返しになりますが、相当部分であったり重要部分が画一的であるということが必要というふうに考えているところでございます。
○階委員 ちょっと、日本語の語感とは大分離れている気がしますが、それはここでの答弁を優先するということで理解しておきます。 そこで、この定型取引をした方の間で適用される定型約款というものが問題になるわけですけれども、この定型約款は、今の一部とかの話でもないですけれども、言葉だけ見るとにわかには意味が確定しがたい、そういう場合もあると思います。 そういう、文言について解釈の余地というか解釈の幅がある場合、その幅の端と端で、作成者側に有利であるか、あるいは適用されるお客さんの側に有利であるか、これが変わってくるわけですけれども、その幅の中で、私は、つくった側、作成者側が不利になるような解釈をすべきだ、これは学説上もある程度人口に膾炙されている考え方だと思うんですが、この作成者不利の原則といいますか、こういう考え方は今回定型約款の解釈ではとり得るのかどうか、お答えください。
○小川政府参考人 いわゆる作成者不利の原則のような考え方があることは承知しておりますが、その点については法制審議会においても検討されたところでございます。ただ、結論といたしましては、確立している考え方とは言いがたいということで見送られることとなりました。 改正法案のもとでも、以上の点は解釈に委ねられるということになりますので、そういった解釈論をとることは可能だと思います。
○階委員 はっきりしない答弁でしたけれども、本当はここも何か明文の規定があればいいのかなという気がします。 あと、定型約款、例えば銀行取引約定書みたいなものが定型約款に当たるかどうかというのは議論の余地があると思いますが、仮に銀行取引約定書が定型約款だとして、そこに当事者がサインをした場合、これは定型約款にサインをしていますから、定型約款としての扱いになるのか、それとも、普通の契約といいますか、一項一項の契約条項に合意した上での契約ということになるのか、これを区別する基準は何なのかということを教えていただけますか。
○小川政府参考人 客観的な定型約款なのか、それ以外の契約書なのかということによって、いわば五百四十八条の二の定義によって決まる問題でありまして、当事者の署名捺印がある契約書であるからこれは定型約款に当たらないというようなことではございません。
○階委員 そうすると、定型約款に当たり得るし、また、通常の契約にも当たり得る。 これは実は変更の規定の適用にかかわってくるわけで、もしその署名捺印したものが定型約款に当たるということになれば、当事者の一方的な変更権がある。しかし、普通の契約であれば、これは合意しないと変更は認められない。これは大きな違いになります。 もし、そういう約款にサインがあったような場合、それはどういう変更権の扱いになるのか。一方的な変更権が認められるのかどうかということを教えていただけますか。
○小川政府参考人 先ほども申し上げましたが、当事者の署名捺印そのものは、定型約款であるかどうかの性質に影響を及ぼすものではございません。定型約款に当たるとすれば、その意味では、仮に署名押印があっても変更が認められるということになります。 実際上、恐らく、保険契約のようなものは、約款であっても署名押印をしていて、変更の議論もあり得るところだと思います。
○階委員 ちょっと具体的に聞いていきたいんですけれども、銀行取引約定書であるとか住宅ローンの契約書とか消費者ローンの契約書、これは定型取引の契約書であるけれども、定型約款にも当たるような気がするんですね。こういったものは、通常の契約書なのか、それとも定型約款なのか、どっちなんでしょうか。
○小川政府参考人 先ほども例として出ました銀行取引約定書、これは個別に交渉して修正されることもあり、その意味では、画一的であることが合理的であるとは言いがたいので、定型約款には当たらないというふうに考えております。 他方、住宅ローン契約書については、画一的であることが合理的であると言えるために、定型約款に該当すると考えられるところでございます。それから、消費者ローン契約書も定型約款に該当すると考えられるのではないかと考えております。 ただ、以上の点は、取引の実態についての私どもの認識を前提としておりますので、やはりあくまで取引の実態がどういうことかというのがポイントだろうというふうに思っております。
○階委員 いや、先ほど言ったように、変更権が認められるかどうかにかかわってくるところなので、明確な基準がないとなかなか当事者としても困るのではないかと思います。 それと、五百四十八条の二の第二項の中に、いわゆるみなし規定の中で、「相手方の義務を加重する条項」というくだりがあります。相手方の義務を加重するというのは、何を基準に判断するんでしょうか。
○小川政府参考人 これは、消費者契約法にも同じような構造の条文があって、それとの比較という点もございますが、何を基準に判断するのかという点でございますけれども、任意規定、それから判例ですとか一般的に存在する法理と言われるものを基準とするというふうに考えております。
○階委員 義務を加重するというのも、一義的にはちょっとよくわからないような気がします。 その上で、「相手方」という表現が五百四十八条の二にはたくさん出てくるわけですけれども、例えば「相手方の義務を加重する」という場合の相手方というのは、定型取引の相手方ですから不特定多数いるわけですね。その不特定多数全体を指しているのか、それとも、当該取引の相手方ということで、義務を加重するかどうかというのは個別の相手方ごとに判断するのかどうかということについても確認させていただけますか。
○小川政府参考人 ここでの「相手方」は、個別の、個々の相手方という意味でございます。
○階委員 そうすると、この第二項のみなし規定、「前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。」というものの適用範囲、何か、今話を聞いていますと余りクリアではないような気がするんですけれども、本当にこの「合意をしなかったものとみなす。」というものが適用される場面というのはあるのでしょうか。何か安易に、全部合意したという一項の方のみなし規定が適用されてしまうような気もするんですけれども、この懸念は当たらないですか。
○小川政府参考人 この条文は、先ほどもちょっと触れましたが、消費者契約法十条などを参考にしたものでございまして、その意味では、消費者契約法の中で既に確立したものとなります表現などを用いたものでございます。決して曖昧なものというわけではございません。それに加えて考慮要素を書き足しておりますので、その意味では、曖昧ということは当たらないというふうに考えております。
○階委員 それから、先ほど、変更権が認められるか認められないか微妙なケースがあるというお話をしましたけれども、仮に、定型約款は当事者間であるんだけれども、別途、定型約款の変更をしないという合意を当事者間でしたという場合に、なお五百四十八条の四の変更権というのは認められてしまうのかどうか、当事者の合意があればこの変更権というのは回避できるという理解でいいのかどうかということを教えていただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 定型約款の変更をしないという当事者の個別の合意がある場合には、五百四十八条の四の規定は適用されないというふうに考えております。
○階委員 そうすると、私なんかはやはり、定型取引をする場合は、安易に定型約款の変更は認められないように、定型約款の変更をしないという合意を結んだ方がいいなという気がしました。 普通の人はなかなか今の議論を知り得ないわけでありまして、定型約款があれば変更がなされてしまうわけですけれども、その変更権にも限界を設けているということで、五百四十八条の四には、その変更権の制約事由も書いているわけですね。 そこで、その制約事由に抵触して、定型約款をこの約款を作成した側が変更しようというのが要件を満たさず不可能だった場合、これは、約款をつくった側、法文の用語で言いますと定型約款準備者という者について債務不履行責任というものが生じ得るのかどうかということを教えていただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 定型約款の変更の効力が生じないにもかかわらず変更前の債務を履行しないという場合には債務不履行責任が生じ得るというふうに考えております。
○階委員 私の経験でちょっと苦い思い出があるのは、年中無休のスポーツクラブに入会しました。ところが、年末年始に行ってみると、いきなり休みになっていた。約款には、いつの間にかその年中無休が変えられていたみたいなことであるとか、あとは、皆さんも経験があると思うんですけれども、インターネットバンキングをしていて、手数料が、今までただだったのが急に百円とか二百円とか取られるようになった。よく見ると、これもネット上で規約みたいなのが変えられていた。 こういうものはどうなんですか。債務不履行責任が生じないですか。
○小川政府参考人 まず、変更の効力の有無が問題になりますので、先ほど申し上げましたのも、変更の効力が生じないにもかかわらず変更前の債務を履行しないとすれば、債務不履行責任が生ずるということでございます。
○階委員 では、最後に一つだけ。 今私が申し上げたようなケースでは、変更の要件というのは満たすんでしょうか。抽象論で議論していてもあれなので、私は典型的な例を挙げたつもりなんですけれども、どうですか。
○小川政府参考人 変更の必要性ですとか、変更後の相当性ですとか、要件に該当するかどうかが判断の基準になるというふうに考えております。
○階委員 法律の文言をただ読んだだけでして、それじゃちょっと、この変更権、やった者勝ちかなという気もしないでもないです。 とりあえず、きょうは終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。 それでは、小川局長、長い質疑ですけれども、よろしくお願いします。きょうの私の時間は短いんですけれども。 この間の議論を聞いていて、やはり課題が多いなというふうに感じております。やはり定型約款のところも、今の変更のところも、定型約款に該当するのかどうかというところもはっきりしないことがもしあるとするならば、それは国民にとってよくわからないものだし、今の変更のところも局長ですらなかなか答えにくい。これは国民にとってみると本当に判断がつかないようなことになるわけですので、それも課題だなと思っております。 それから、今回のやりとりで、私も、公証人というものについて初めてこんなに深く勉強させてもらいました。それは、公証人の制度そのものがやはり国民から必ずしも近くはなかったんだなという感じがするわけです。 きのう、公証人についていろいろ話を伺っておりましたら、公証人法の二十六条を法務省の方からお示しいただいて、加えて、公証人法施行規則十三条、これを後になってお持ちいただいて、こういう公証人法施行規則の十三条があるから公証人の仕事というのはきちんと公正に行われるんですよといったようなことでこの規則を持ってきていただいたんだと思います。 まずそこで、今回の改正後の四百六十五条の六、公正証書の作成と保証の効力というところでありますけれども、ここにかかわる公正証書の作成については、公証人法施行規則十三条が適用されるということでよろしいでしょうか。
○小川政府参考人 適用されることになります。
○逢坂委員 そこで、この公証人法施行規則十三条の中身を少しお伺いしたいんですが、まず、条文をちょっと読み上げます。 「公証人は、法律行為につき証書を作成し、又は認証を与える場合に、その法律行為が有効であるかどうか、当事者が相当の考慮をしたかどうか又はその法律行為をする能力があるかどうかについて疑があるときは、関係人に注意をし、且つ、その者に必要な説明をさせなければならない。」というのが条文でありますけれども、ここでまず、公証人はこういうことを一々確認する義務があるということなんでしょうか、この規則というのは。
○小川政府参考人 具体的な法的義務ということではないという説明だったと思います。
○逢坂委員 それでは、ちょっと一つずつ確認をさせていただきたいんですが、「その法律行為が有効であるかどうか、」という文言が条文の中にあります。その法律行為が有効であるかどうか。 今回のこの第三者保証の公正証書の作成において、その法律行為が有効であるかどうかというのは、これは何を一体指すのでありましょうか。これは要するに、もともとのお金を貸し借りする契約、そのことをいうのか、あるいは別なことをいうのか。
○小川政府参考人 今回の保証意思宣明公正証書は、まさに保証意思を確認し、保証の意思があるということを公正証書として作成するわけですので、いわゆる法律行為、契約のようなものとは違いまして、消費貸借契約の公正証書のようなものではございません。 ただ、法律行為にいわば準ずるようなものということになりますので、この法律行為が有効であるかどうかということについては、法律行為そのものではございませんが、このルールは働くことになると思います。
○逢坂委員 ちょっと最後の方がよくわからなかったんですが、要するに、お金の貸し借りの契約そのもののことをいっているのではないと。だけれども、最後に、それはどういう説明だったでしょうか。
○小川政府参考人 もう少し正確に御説明いたしますと、保証意思宣明公正証書によってされる保証債務を履行する意思の表示が今回の保証意思になるわけですが、これは保証契約という法律行為そのものではないものの、その準備的行為として行われるものでありますので、法律行為に係る公正証書に準ずるものとして扱うこととしております。したがいまして、規則の条文上は「その法律行為が有効であるかどうか、」と書いてありますが、今回の保証意思宣明証書についていえば、保証意思の宣明それ自体が有効であるかどうかということについて十三条が類推的に適用されるということだと思います。
○逢坂委員 はい、わかりました。 それでは次、「当事者が相当の考慮をしたかどうか」というところでありますけれども、これは具体的にどういうふうにして確認をするということになりますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 なぜこういう保証意思宣明公正証書を作成するに至ったかということになりますので、当事者からどういう説明を受けたのかとか、あるいはどういう関係にあるのかといったことについての説明を求めるというのがここで想定されることでございます。
○逢坂委員 それじゃ、公証人役場へ行って公正証書を作成してもらう際には、当然、公証人はそういうことを聞くということになるわけでしょうか。そういうことを聞かないということはあり得るのでしょうか。
○小川政府参考人 当然、今私が申し上げましたようなことは聞くことが求められるということになります。
○逢坂委員 了解いたしました。 それでは次に、次が私が気になっているところなんですが、「その法律行為をする能力があるかどうかについて」というところです。その法律行為をする能力があるかどうか。 これも当然、公証人が公正証書を作成する際に、ある種、考慮の一つのポイントになるんだというふうに思うんですが、これについてはどういうことで確認をするということになるんでしょうか。
○小川政府参考人 これは、いわゆる行為能力でございますので、判断能力がどの程度あるか、低下しているか、あるいは著しく低下しているかということについて確認をするものでございます。 これは公正証書遺言などでも問題になるところでございますが、直接御本人からお話を伺いますので、その中で、先ほど申しました判断能力の低下などの現象が見られるのかどうかということについて、やりとりしながら見出していくということだと思います。
○逢坂委員 ということは、保証するに当たって、保証人となろうとする者がしっかり資産があって、もし保証する内容が履行されなかったときにお金を返すとか返さないとか、その資産能力があるとかないとかということを言っているものではないという理解でよろしいでしょうか。
○小川政府参考人 そのとおりでございます。
○逢坂委員 あと、その次でありますけれども、「疑があるときは、関係人に注意をし、且つ、その者に必要な説明をさせなければならない。」。 関係人に注意をする、その者に必要な説明をさせなければならない、これについては、今回のケースに当てはめると具体的にはどういうことになりますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 今の保証意思宣明公正証書を前提としますと、疑いがあるときは、御本人に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせるということを意味するところでございます。
○逢坂委員 御本人にという言葉を使われましたけれども、関係人というのは本人ということなんでしょうか。「関係人に注意をし、」ということは、保証人になろうとする人に注意をするという意味なんでしょうか。
○小川政府参考人 さようでございます。保証人になろうとする者に対する注意でございます。
○逢坂委員 そうですか。法律の文章というのは難しいですね。関係人というから保証人ではないのかというふうに思っていましたけれども、これは、保証人本人に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせなければならないということ。了解いたしました。 そこで、もう一つ、いわゆる貸し付けの際の執行認諾つき公正証書、この件に関してでありますけれども、これについては、今回この民法の改正があったとしても、これは代理での公正証書の作成というのは認められるんでしょうか、それとも認められないんでしょうか。
○小川政府参考人 代理人による公正証書の作成は認められます。
○逢坂委員 代理人による公正証書の作成は認められるということでありますけれども、その際に、この十三条との関係というのはどうなるんでしょうか。「相当の考慮をしたかどうか」とか「法律行為をする能力があるかどうか」とか。
○小川政府参考人 法律行為をするのは代理人ということになりますので、代理人の意思を確認し、ここでの対象となりますのは当該代理人ということになります。
○逢坂委員 私は、ここは結構大事だというふうに思っているんです。 特に、法律行為をする能力があるかどうかという判断をしているということでありますけれども、例えば、商工ローンの話を聞いたときに、複写三枚の委任状、そして、その委任状の三枚目には、実は一枚目に書いていたことと違ったことが書いてあって、裁判なしに執行できる執行認諾つきの公正証書をつくることも代理人に委任をしているといったようなことが書いてあったわけでありますけれども、こういう特別なことがあるということについてちゃんと確認する仕組みというか、そういうものは何らか担保されることになるんでしょうか。ちょっと質問の意味が不明なところもあるかもしれませんが。
○小川政府参考人 代理人の嘱託で公正証書が作成される場合は、本人に通知をすることが必要でございます。いわゆる商工ローンの問題をきっかけとしまして、書面によって通知をし、その際に、執行認諾文言についてはこういう意味ですよということをセットで通知するという取り扱いになっております。
○逢坂委員 了解いたしました。 公正証書を作成するところが、これまでの議論を聞いていると、必ずしも精緻な雰囲気ではないなという印象を今私は受けているんですが、このあたりについては、きょうの答弁も踏まえてもう少し確認をさせてもらいたいと思います。 それから次に、約款のところ、定型約款についてなんですが、やはり私聞いていてわからないんですが、事業者間の取引については適用にならないということ、先ほど枝野委員の質問にもそのことを答えておりました。 例えば、個人商店のようなところがある、それは必ずしも法人組織ではない、個人で商売をやっている、そこに何らかの物を常に配達をするというような業務というのは結構あると思うんですね。こういうようなことについての取引のルール、取引の内容を定めたもの、これは定型約款になるんでしょうか。
○小川政府参考人 もちろんいろいろ考え方があり得るのかもしれませんが、運送業者が用いられるようなものであれば、事業者に固有の問題というよりも、恐らく消費者も含む一般的な顧客を相手にするものだと思われますので、定型約款に当たり得ると思います。
○逢坂委員 それじゃ、個人商店が取引をしている中で、私なんかは自分の家の商売のことをすぐ思い浮かべちゃうものですから、例えば、毎日、我が店で売る牛乳を百本届けてほしいというようなことに関して、牛乳を納入する業者、納入の仲卸の業者と我が店が何らかの取り決めをしている、これは定型約款になるんでしょうか。
○小川政府参考人 今の事例であれば、規模から見ましても、多分事業者同士の取引ということになって、定型約款に当たらないということになると思います。
○逢坂委員 先ほどの運送の観点でいけば、それは定型約款かもしれない、それから、牛乳の仲卸というか問屋さんからの仕入れで牛乳百本というのであれば、それは定型約款には当たらないという今答弁だったかと思いますけれども、やはり定型約款というものの定義というか何というか、どれがそれに当たるのかがどうもよくわからないというのが、私の今のところの正直な感想であります。 時間が来ましたので、以上で終わります。
○鈴木委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 民法、債権法の一部改正案の中で、法定利率を年五%から年三%、変動制に引き下げるという内容が含まれています。きょうはこの点について質問をいたします。 まず伺いたいのは、今回、百二十年ぶりの改正ということですが、法定利率が年五%のまま、なぜ百二十年間も維持されてきたのか、この点について伺います。
○金田国務大臣 畑野委員の御質問にお答えをいたします。 百二十年前に定められた後、現在まで維持された理由でございますが、民法の債権関係の規定は取引社会を支える最も基本的な法的な基礎でございます。したがって、その規定内容の見直しは、取引社会に多大な影響を及ぼすおそれがございます。そのために、民法の見直し作業は、法律の専門家でない国民各層からも広く意見を聴取しながら慎重に進められる必要があるという点でございます。 それから、個別に特則を制定することと比べまして、その改正に伴う社会的なコストが極めて大きいということ、そうしたことが考えられてきたわけであります。また、民法の債権関係の規定は、相互に関連し合う規律も少なくないわけであります。全般的な見直しを行わない限り、適切な見直しを実施しがたいという側面もあります。 このために、民法の債権関係の規定については、少しずつ手直しをしていくという方法がとられることもないままに現在に至ったものである。その中に、さっきお触れになった法定利率に関する規定も含まれていたことから、これまで改正が行われてこなかった、このように考えられるところであります。
○畑野委員 金田法務大臣から詳しい御説明がございました。 それでは、百二十年前に法定利率を年五%にした、その当時どのような議論でこれが決まったのか、伺いたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 法定利率を五%とする理由につきまして、現在の民法の立案作業を行いました法典調査会の記録によりますと、当時の我が国における貸出利率や当時の諸外国では、法定利率を五%と定める例が多かったことなどが理由として挙げられているところでございます。 この理由の説明に続いて、経済変動が生じた場合に規定を変える考えなのかどうかとの質問があり、実際に法定利率に関する規定を改正した国があることなどが紹介されるなどしたほか、法定利率に関する規定が民法に設けられた場合には利息制限法を廃止する考えなのかどうかといった質問があり、利息の制限に関しては特別法を設けたままにしておく方がよいといった、さまざまな議論がされたところでございます。
○畑野委員 いろいろな議論の中でそのようになったということですが、それでは、今回の改正案ですが、どのような立法事実に基づいて法定利率を年五%から年三%にするのか、さらに加えて、変動制にするということですので、そのようにするのか、あわせて伺います。
○小川政府参考人 まず、三%に引き下げた点でございます。 現行法第四百四条は、その制定当時の市中における一般的な貸出金利を前提として五%としたわけですが、その制定以来、先ほどもお話ありましたように、見直しがされておりませんので、昨今の超低金利の情勢のもとでは、法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いております。 しかし、法定利率が市中金利を大きく上回っていると、債務者が支払うべき利息や遅延損害金の額が著しく多額となる一方で、損害賠償額を算定する際の中間利息の控除の場面では不当に賠償額が抑えられるなど、当事者間の公平を害する結果となっているとの指摘がされております。 そこで、現在の市中金利の水準に合わせて法定利率を引き下げる必要がございます。これが立法事実でございます。 市中金利の指標にはさまざまなものがございますが、貸し金債権の利息を算定する場面ではもちろんのこと、金銭債務の遅延損害金を算定する場合でも、他から金銭を調達するときの利息分が主な損害として想定されることから、法定利率の引き下げ幅の検討に当たりましては、預金金利などではなく貸出金利の水準を参照とすると考えられました。 また、その際には、法定利率の適用場面はさまざまでありますため、借り手が大企業や中小企業である場合のほか、一般消費者である場合の水準も広く考慮に入れる必要がございます。 さらに、法定利率の引き下げの場合には、遅延損害金の額が低くなり過ぎると債務不履行を助長する結果となりかねない、あるいは百二十年にわたって年五%の運用がされてきたこととのバランス等の問題もございます。 そこで、改正法案におきましては、以上のさまざまな事情を総合的に判断するとともに、簡明な数値とする必要性なども勘案して、法定利率を三%に引き下げたものでございます。 続きまして、変動制を採用したところでございますが、改正法案におきましては、法定利率を年三%に引き下げることとしておりますが、市中金利は今後とも大きく変動する可能性がありますため、仮に法定利率を年三%で固定してしまうと、将来、法定利率と市中金利が大きく乖離する事態が生ずるおそれがございます。 このような事態への対応は、今後のさらなる法改正に委ねることも考えられます。しかし、法定利率の数値は関係者間の利益対立が先鋭化する事柄でありますため、合理的な変動の仕組みをあらかじめ法律で定めておき、それに従って機械的に数値を変動させることにより、社会全体として法定利率の予測可能性を高めるのがより適切であると考えられます。 もっとも、市中金利の短期的あるいは微細な変動に連動して法定利率の数値が変動いたしますと、実務的な取り扱いが極めて煩雑になり、それに対応するための社会的コストが非常に大きくなるため、変動の頻度は緩やかなものとするのが相当でございます。 そこで、改正法案では、金利の一般的動向を示す一定の数値を指標とし、その数値が大きく変動した場合に法定利率をその変動に合わせて緩やかに上下させる変動制を採用することといたしました。
○畑野委員 法定利率に関する見直しということで、法務省から資料もいただきました。どのようなときにこの法定利率を扱うのか、あるいは変動性の問題も含めて言われております。資料の中にありますように、金利がどのようにこの間動いてきたかというのも資料として載っているわけです。 それで、今お話しの中で、遅延損害金についても触れておられました。法案では、法定利率が五%から三%、変動制になるということですが、現行法と同様に、遅延損害金も三%、変動制になるということでよろしいでしょうか。
○小川政府参考人 現行法におきましては、金銭の給付を目的とする債務の不履行を理由とする損害賠償の遅延損害金の利率も、当事者間で約定利率が定められていない限りは法定利率によることとされております。改正法案におきましても、遅延損害金の利率が法定利率によること自体は、その点は現行法と変わりはございません。 また、改正法案におきましては、法定利率について変動制を採用することとしておりまして、この点は遅延損害金にも適用されます。 なお、遅延損害金がどの時点の法定利率が適用されるかについては、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によることとしております。
○畑野委員 では、このような事件が裁判で争われた場合、不法行為による損害賠償請求事件について、裁判所が民事訴訟の判決の主文において遅延損害金を含めて金銭の支払いを命じて、その判決が確定した場合、確定判決が定めた加害者が支払うべき額には遅延損害金も含まれるという理解でよろしいでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 裁判所が遅延損害金を含めて金銭の支払いを命じた判決、これが確定した場合におきましては、その確定判決により加害者が支払うべき額には、当然のことながら遅延損害金も含まれることになります。
○畑野委員 当然のことながら遅延損害金も含まれるということです。 それでは、被害者が損害賠償請求をするためには、弁護士の支援が必要です。先日、藤野議員が質問したB型肝炎訴訟など、多くの事件について、弁護士の皆さんが活躍されてこられました。 そこで伺います。 加害者が被害者に対して不法行為と相当因果関係のある全ての損害について賠償するために、弁護士費用についても不法行為における損害賠償債務に含まれるということで間違いありませんか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 不法行為に基づく損害賠償請求の訴訟追行を弁護士に委任した場合に、その弁護士費用が損害と言えるのかについて、これは判例がございまして、判例は、「事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害」となるとしております。 したがいまして、弁護士費用も加害者が賠償すべき損害の一つでありまして、不法行為と相当因果関係に立つ範囲内のものに限り損害賠償債務に含まれると考えられるところでございます。
○畑野委員 それでは、弁護士費用も含めて、不法行為に基づく損害賠償債務に対して、いつから遅延損害金を支払わなければならないかという点ですけれども、先ほどもちょっと触れられましたが、確認です。不法行為の時点から遅滞に陥るということで間違いありませんね。
○小川政府参考人 この点につきましても判例がございまして、不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用について、「その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には一個の損害賠償債務の一部を構成する」とした上で、加害者が負担すべき損害賠償債務について、「不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥る」としております。 このように、不法行為により発生する損害賠償債務の遅延損害金は、基本的に不法行為のときから生ずるとされております。
○畑野委員 不法行為のときからということでした。 それで、今、弁護士費用の問題、それから遅延損害金の問題、そしてそれが不法行為の時点からという御答弁をいただきましたが、なぜそういうふうにしているのか、その趣旨について伺いたいと思います。
○小川政府参考人 不法行為に基づく損害賠償債務が不法行為の時点から遅滞に陥る趣旨でございますが、不法行為に基づく損害賠償債務が不法行為の時点から遅滞に陥るとされます理由について、これは判例の方は明示はしておりませんで、必ずしも明らかとは言えない部分がございますが、一般的には、当事者間の公平がその趣旨であると考えられているところでございます。
○畑野委員 最初の方に聞いた、弁護士費用について含むということの趣旨についても教えていただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 判例は、不法行為の損害に弁護士費用が含まれることについて、「相手方の故意又は過失によつて自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴を提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、十分な訴訟活動をなし得ない」ことなどの理由を挙げておりまして、不法行為との間に相当因果関係が認められると説明しております。 趣旨といたしましては、被害者の権利擁護などが考えられるところでございます。
○畑野委員 被害者の権利擁護だというふうにおっしゃいました。弁護士費用及び遅延損害金も加害者が被害者に支払うべき損害であり、賠償すべきものであるということが確認されました。 それで、確認なんですが、こういったことを進める上で、法定利率が改正案では年三%、変動制になるんですが、これが適用されるのはいつの時点で、どういう利率になるのか、この点について伺います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 改正法案では、金銭債務の遅延損害金について、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によるとしておりますが、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点とは、遅延損害金を生ずべき債権について債務者が履行遅滞となった最初の時点をいうというふうに考えております。 そして、不法行為に基づく損害賠償債務は、不法行為時に債務者が直ちに履行遅滞に陥るとされておりますので、不法行為時が債務者が遅滞の責任を負った最初の時点となります。すなわち、不法行為時の法定利率が損害賠償債務の遅延損害金に適用される法定利率ということになります。
○畑野委員 そうすると、確認なんですが、今まだ現行法ですよね、現行法でいえば、今の時点で不法行為があって、年五%の遅延損害金になる。もし仮に、改正がされたとして、それ以降に事件が起き、不法行為が起き、となれば、その時点での利率になるという解釈でいいのかということが一つと、変動となった場合に、その後、利率が変わるんじゃないかという心配がもしあるとしたら、それは違いますよ、最初の不法行為が起きた時点からずっと変わらずに、その先、法定利率はいきますよという理解でよろしいですか。
○小川政府参考人 御指摘いただきました理解で結構だと思います。
○畑野委員 わかりました。 さて、一般に財産的被害について言うと、被害者が有している財産を失ったという積極損害、例えば治療費、修理代金などと、被害者が将来得ることができたであろう利益を得られなかったという消極損害、例えば事故で寝たきりになったために働けなくなったことにより失った収入など、逸失利益、得べかりし利益とも言いますけれども、に分けられていると伺っております。 お手元の資料の三枚目ですが、ここにつけさせていただいた、赤い表紙の、これは交通事故の損害賠償実務で使われている民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準、いわゆる赤い本のコピーです。この本では、遅延損害金は弁護士費用と並んで積極損害に含まれております。目次をその後つけておりますが、そのように書かれております。 赤い本にこのように書かれているということについては、法務省は御承知でいらっしゃいますね。
○小川政府参考人 今御指摘がありました日弁連交通事故相談センターが発行しております民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準におきましては、積極損害、消極損害といった分類が用いられ、弁護士費用や遅延損害金が積極損害に分類されているものがあることは承知しております。
○畑野委員 そこで、改めて、本来得ることができたはずの利益が失われたという逸失利益について伺いたいと思います。このことについて御説明をしていただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 御指摘がありました逸失利益とは、債務不履行や不法行為がなければ本来得られたであろう利益をいいまして、得べかりし利益などと呼ばれることもございます。例えば、事故に遭わなければ労働することにより得られたはずの収入などがこれに該当すると考えられます。
○畑野委員 法案では、第四百十七条の二で、中間利息について新たな規定を設けています。 現行法では、判例によって、これまで、不法行為における逸失利益の計算に当たっては中間利息年五%が控除されて、また、事案によってはさまざまな対応がなされているというふうに伺っております。 今回、法案第四百十七条の二では、年三%、変動制が適用されるということになっています。今回新しく条文を置いたその趣旨について御説明ください。
○小川政府参考人 将来において取得すべき利益あるいは負担すべき費用を現在価値に換算するために控除すべき中間利息の割合について、判例は、法定利率の割合によらなければならないとしております。 その趣旨は、法定利率が民法制定当時の貸付金利などを踏まえて定められたことを前提に、そのように定められた法定利率を用いて中間利息控除を一律に行うことが、控除割合の判断が区々になることを防ぎ、被害者相互間の公平を確保し、損害額の予測可能性を確保して紛争の予防も図ることにつながるというものでございます。 改正法案におきましては、法定利率を年三%に引き下げるとともに変動制を採用しておりますが、中間利息控除に関するこのような判例の趣旨を踏まえ、法定利率の適用場面に関する現状の制度の枠組みを維持する観点から第四百十七条の二を新設し、中間利息の控除を行う際には、事故の時点を基準時として、その時点における法定利率を適用することとしております。
○畑野委員 中間利息控除について、資料の二枚目のところに法務省からいただいたものをつけさせていただきました。 将来得ていたであろう収入から運用益を控除する。だから、この図にありますように、合計二千万円の場合に、中間利息控除で、実際の賠償額は一千五百九十万円になるということがわかりやすく書かれているというのが中間利息控除です。つまり、この分は減るということです。 確かに、これまで、中間利息が実勢と乖離をして、結果として逸失利益の賠償額が大きく減ってしまうということにもなっていたかと思います。それで、今回それが、年五%から年三%、変動制に、二%下がるということになれば、死亡事故等における損害賠償額がふえるということなど、従来よりも実勢に近い形で算出されることになって、被害者、遺族の救済にもつながるということもあるかというふうに思うんです。 実際、その損害賠償の算定の際なんですが、逸失利益から中間利息を控除して計算する、つまり減らす、その上で、遅延損害金については年五%付加するというふうにやってきたというふうに伺っております。 一般論として、中間利息を控除しておいて、なおかつ、遅滞に陥っているにもかかわらず、遅延損害金の方は付加されないということは民法上あるんでしょうか。私は、被害者救済の観点から、もしあるとすれば大問題だと思うので、ないと思うんですが、いかがですか。
○小川政府参考人 不法行為により失われました将来得られるはずであった労働収入などの逸失利益につきましては、損害賠償額を算定するに当たり、まず、これを現在価値に引き直すために中間利息の控除を行うのが一般的な実務運用でございます。そして、このような逸失利益についても、不法行為時から履行遅滞に陥り、遅延損害金が発生すると解されております。 したがいまして、一般的に、不法行為損害に関して、加害者が支払いを遅滞した場合に遅延損害金が発生しないということはないと考えられます。
○畑野委員 ないということでした。 それで、わかりやすく言えば引く分と足す分、そういう利率なんですが、中間利息の利率と遅延損害金の利率を今回そろえているという理由は何なんでしょうか。
○小川政府参考人 まず、現在の裁判実務におきましては、特に交通事故訴訟や医療過誤訴訟などを中心として、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率が一致することを前提に、安定した損害賠償額の算定の実務が形成されております。これは、かつて、中間利息控除に用いる利率を法定利率よりも低くすべきであるとの議論がある中で、最高裁が、遅延損害金の算出に用いる利率と同様に、中間利息控除に用いる利率も法定利率によるべきであるという判断をしたことを受けたものでございます。そして、遅延損害金に適用される利率と中間利息控除に適用される利率が同じであることは、当事者間の公平感の観点からも望ましいと考えられます。 これらを踏まえまして、改正法案におきましては、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率とを、同じく法定利率によるとしたものでございます。
○畑野委員 いろいろな意見や議論があったということです。 ここまで、法定利率について、今回の改正案について伺ってまいりました。また引き続き議論はするんですが、私は、この法案が今後適正に運用されるのかという観点から、それでは、現行法がどのように運用されているのかということについて、具体的に伺いたいと思います。 きょうは防衛省からも来ていただいております。 私の住んでいる地元の神奈川県横須賀市で、二〇〇六年一月三日、出勤途中の佐藤好重さんが、横須賀基地を母港としていた空母キティーホークの乗組員の米兵に、無残にも殺害されました。 横浜地裁判決では、こう書かれています。 被告Y2は、今度は相手を殴ってでもバッグを奪おうなどと考え、更にバッグを持った女性を探して付近を歩き回っていたところ、バッグを腕に提げて上記ビル前歩道を歩いていたAを認めた。そして、同日午前六時二十七分ころ、Aに日本語で「すみません」と声を掛けて近づき、「ベース」と英語で話し掛け、Aから「横須賀ベース」と聞き返されると、再び「ベース」と言った。そこで、Aが横須賀基地の方を指示して、そのまま歩いていこうとするや、Aの前に回り込み、Aが腕に提げていたバッグをつかんで引っ張った。これに対し、Aが体をよじって抵抗すると、その顔面を手けんで一回殴打して歩道上に転倒させ、その腕をつかんで上記ビル一階通路にひきずり込むなどの暴行を加えた。しかし、Aがバッグを手放さず、悲鳴を上げるなどして抵抗したため、Aが死亡してもかまわないと決意し、そのころから同日午前六時三十八分ころまでの間、Aの襟首を両手でつかみ、その体を引きずり上げて同所に張り出したコンクリート壁の角目掛けて両手で力一杯投げ付け、その右背部等を上記コンクリート壁の角にたたき付けた上、コンクリート床上に仰向けに転倒したAの腹部等を運動靴を履いた足で多数回力一杯踏みつける、などし、Aを右腎及び肝臓破裂により出血死させて殺害した。そして、上記バッグに入っていたA所有の現金約一万五千円を強取した。 金田法務大臣に伺いますが、このような米兵による犯罪事件は起きてはならないと思いますが、大臣はどのように思われますか。
○金田国務大臣 ただいまのお話を伺って、委員御指摘のとおりと思います。
○畑野委員 あってはならないということでよろしいですか。 実は、きょう、被害者の夫の山崎正則さんも傍聴に来られているんです。大臣のお言葉で少しお話ししていただけますか。
○金田国務大臣 畑野委員のお話を伺って、非常に、私個人としましても、あってはならないこと、このように思っております。
○畑野委員 それでは、防衛省から小林防衛大臣政務官も来られておりますので、どのように思われますか。
○小林大臣政務官 今、畑野委員のお話を伺っておりまして、思うところは同じだというふうに思っております。 こうした事件が起こってしまうことは非常に遺憾だと思いますし、防衛省・自衛隊としても、こうした事件が起こらないよう再発防止にしっかりと努めていく、そのことが大切だというふうに認識をしております。
○畑野委員 夫の山崎正則さんを初めとして御遺族が起こした民事裁判は、二〇〇九年五月二十日、横浜地方裁判所で確定しております。米兵に対して、約六千五百万円及びこれに対する事件の日から年五%の遅延損害金の支払いを命じました。 この事件を受けて、在日米海軍司令部、横須賀市にありますが、ジェームス・ケリー司令官は、判決が出ても、事件の悲劇が多くの方々に決して癒やすことのできない感情的な傷を負わせたことを認識している、今後、同様の事態が繰り返されないように再発防止に全力を尽くすと述べています。 また、当時の横須賀市長は、遺族への補償問題で誠実な対応をするよう強く求めると、ケリー司令官だけでなく、当時の防衛施設庁や外務省を訪ねて、速やかに解決するよう念を押しました。 ところが、今度の一月三日で事件は十一年目を迎えようとしておりますが、御遺族の方には、加害者米兵から一円も支払いがなされておりません。ひどい話です。 伺いますが、日米地位協定十八条六項、ここでは米国政府の対応についてどのようにしているのか、その趣旨について伺いたいと思いますが、防衛省、いかがですか。
○小林大臣政務官 お答え申し上げます。 米軍人などによります公務外の事故などに伴う損害につきましては、原則として加害者が賠償責任を負うことになっておりますから、当事者間の示談による解決がまずは追求されることになります。 その上で、日米地位協定第十八条第六項の規定につきましては、当事者間の示談が困難な場合に、防衛省が被害者側からの補償請求を受け、その上でその内容を精査し、そしてアメリカ側に報告書を送付し、その後アメリカ側が慰謝料の額を決定する、そして、被害者側の受諾を得た上で支払いを行うこととしております。
○畑野委員 被害者を救済するということでよろしいですか。
○小林大臣政務官 お答え申し上げます。 もちろん、被害者を救済する、そういう趣旨にのっとって今までの取り組みをさせていただいておりますけれども、アメリカ側との取り決めに従った上での対応ということになっているわけでございます。
○畑野委員 被害者を救済することだということです。ところが、米国が支払う慰謝料というのは、確定判決額に満たないのが現状です。 こういう状況ですから、被害者の方を救済するということで、一九六四年の閣議決定で、「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」があります。これの趣旨について、説明していただけますか。
○小林大臣政務官 まず、SACO見舞金につきましては、米軍人などによる公務外の事故などにおける補償に関する地位協定第十八条第六項、これは委員御指摘のものでございますけれども、その運用改善措置の一つとして、平成八年十二月のSACO最終報告に盛り込まれたものでございます。 この措置につきましては、SACOの検討過程におきまして、沖縄県から、日米地位協定第十八条第六項による補償につきまして、加害者側である米軍人などが無資力であるなどの理由によりまして、最終的に米国政府から補償を受けることとなった場合、米国政府による補償額が確定判決を下回る事例があるとの問題提起がなされたことを踏まえまして、SACO最終報告におきまして、日本政府がその差額を埋めるよう努力をする旨が盛り込まれたものであるというふうに承知をしております。
○畑野委員 SACOについて説明していただいたんですが、その前に、閣議決定について伺いましたが。お願いします。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。 御指摘の「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」、昭和三十九年六月二十三日の閣議決定でございますが、これは、この閣議決定におきましては、米軍人等が起こした事故等において、米側当事者に事故等の原因があるか否か等について日米間で見解が分かれ、日米地位協定第十八条五項または六項の規定により被害者が救済されない場合に、国が当該被害者を救済することが必要と認めたときは見舞金を支給することができるという趣旨を定めたものでございます。
○畑野委員 つまり、救済されない場合に日本政府が行うことを決めたというのが閣議決定で、その上で、小林政務官がおっしゃったように、SACO合意、最終報告でそのようなことが取り決められたということですね。つまり、運用の改善として行われてきたということです。 きょう、私は、資料の最後のところにつけましたけれども、防衛省が「損害賠償請求手続きのご案内」というものを出しております。その中の七ページのところに、SACO合意、SACO最終報告についてのことが載っておりまして、その一番下のところを見ていただければわかるように、「米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない」場合にというふうに書かれたわけです。 それで、引き続き伺いますけれども、このSACO合意、最終報告に記載されている「裁判所の確定判決による額」、これについて、遅延損害金を含まないということがこのSACO最終報告の内容として明記されているかということを確認したいんですが、いかがでしょうか。
○深山政府参考人 SACO最終報告には、遅延損害金に関する具体的な記述はございません。
○畑野委員 そのとおりですね。SACO最終報告には書かれておりません。遅延損害金を含まないというふうにも書かれておりません。それは、先ほどから大臣を初め法務省と議論をしてきたように、それはもう当然含まれるということが大前提で日本の法理では進められてきたからだと私は思うんです。 実は、このお手元に配りました防衛省の「損害賠償請求手続きのご案内」を最初から最後まで見ても、遅延損害金は含まれないとは書かれておりません。 それで、私は伺いたいんですが、山崎正則さんを初め御遺族は訴えていて、被告の米兵から一円も払われていないと。御遺族の方は、お金ではない、責任をとってほしいんだと長い間訴えてこられているんです。つまり、山崎さんは、米兵による事件が繰り返されるのは、全額を払う痛みが米国、米兵に伴わないことも一因じゃないか、まずは、米側が全額を払うよう日本政府は強く求めるべきだ、こういうふうに言っておられるんですね。 この点について、防衛省としてはいかがですか。
○深山政府参考人 先ほどの閣議決定、そして、SACO最終報告に基づくSACO見舞金の考え方でございますけれども、政務官から申し上げましたように、加害者、それに加え、米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たないような事例が生じた場合に、その差額を埋めるためにSACO見舞金を支払うという方式をとっておるところでございます。 先ほど累次政務官が御説明しましたように、これは被害者の方の救済ということを念頭に置きまして日本国政府で求めていることでございますので、やはり、この制度に基づき的確なお支払いをさせていただくということが被害者救済に続く道ではないかと考えております。
○畑野委員 ですから、米兵が払うべきものは、山崎さんが訴えている、御家族の訴えておられる、裁判所も確定した約六千五百万円と遅延損害金年五%ということが米兵が払わなくてはならない額であって、それをきちんと払うように求めていくということが日本政府として必要なのではないかということですが、いかがですか。
○深山政府参考人 現在の制度の趣旨につきましては、累次御答弁したとおりでございます。 その一方で、例えば、これは全ての米軍人に言えることではありませんが、ややもすると、米軍人は短期の配置で日本国におるような場合もございます。実際上の問題といたしまして、確定判決を受けても資力がない場合もございます。昭和三十九年の閣議決定、そして、それに引き続く制度といいますものは、こうした実情も鑑みまして、日本政府側の見舞金等の形でそうした被害を埋め合わせるという観点でできてきているものと存じますので、もとより、確定判決というのは被告に対して出されるものでありますが、それが支払えない場合等におきましては、こうした措置も必要であると考えているところでございます。
○畑野委員 ですから、被害に遭われた方に対してきちっと払う額は、山崎さんの訴えによる判決によれば、遅延損害金も含まれているということになりますね。
○小林大臣政務官 防衛省といたしましては、委員御指摘のSACO最終報告に基づきまして、裁判所の確定判決による額に米国政府による支払いが満たない場合に、必要に応じてその差額を埋めるために、先ほど来出てきているSACO見舞金を支払ってきているわけでございます。 一般に、確定判決におきましては、先ほど来御答弁にありますとおり、遅延損害金の支払いを命じられている場合は、その遅延損害金は支払われるべきものと承知をしております。しかしながら、この判決による遅延損害金の支払いというものは、あくまで不法行為を行った者に対して示されるものであるというふうに認識をしております。 他方、防衛省が、不法行為を行わず、また損害賠償責任を負わない場合でありましても、防衛省といたしましては、被害者の救済の観点からSACO見舞金をこれまでも支払ってきたところでございます。 こうしたことから、防衛省といたしましては、賠償金が支払われないことに対します延滞料の性格を有する遅延損害金につきましては、現在、支払いの対象としておりません。まずは、SACO見舞金自体の支払いを行うことに努めてまいる所存でございます。
○畑野委員 そういう、法理が通らないことをやるからだめなんですよ。これは、そういう態度では日本国内で通用しませんよ、民事の裁判においても。どうですか。 それをもう一回持ち帰って、検討を求めたいと思いますが。
○小林大臣政務官 お答え申し上げます。 繰り返しになりますけれども、SACO見舞金は、国が損害賠償責任を負って支払う賠償金とは異なりますことから、賠償金が支払われていないことを理由とする延滞料の性格を有する遅延損害金は、SACO見舞金の支給対象とはしていないわけでございます。 なので、防衛省といたしましては、SACO見舞金の支払いを行うことを含め、被害者の方が適正な補償を受けられるよう、引き続き努めてまいりたいと思います。
○畑野委員 ですから、そのことも含めて、もう一回。今、政府挙げて、民法、債権法の改正をどうするのかと議論しているわけですよ、法定利率の問題、遅延金の問題、中間利息の問題。そういうときにちゃんと、防衛省だって内閣の一員なんですから、民法をきちっと理解してやっていただきたい。 そのことを私は強く求めて、時間が参りましたので、質問を終わります。 以上です。
○鈴木委員長 次に、木下智彦君。
○木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。 本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。 先ほどの共産党の畑野委員の話を聞いていて思ったんですけれども、非常に悲しい話だなと。 ただ、これは聞いていて思ったんですけれども、私がことしの通常国会の中で一般質問で少しさせていただいたんですけれども、通常の民事賠償事件があった場合に、賠償が行われないというふうになったときに、これは時効があるんですね。よくあるパターンとして、賠償責任を負って賠償命令があっても一切お金が払われない、それで時効を迎えてしまうというパターン。刑事の場合は、罰金刑であったりとかそういったときに払えなければ、労役というような形で対価を支払うということはあるんですけれども、民事の場合にはなかなかそういうふうなことができない。これは国内の通常の場合であってもそういうことがある。 その中で、日米地位協定の中で、公務の場合は日本政府が賠償する、そして、公務外の場合は当然当事者との間でやっていく。当事者間で、支払い能力がなかったり何らかの形で支払いがされなかった場合、これは米国政府が補償をする。その上で、それも金額が満たない、そういう場合には、今言っていたSACOというもので、またこれは日本政府がお見舞金を出す。これはなかなか違いがあるなというふうなところで、どっちがいいとか悪いとかという問題ではないですけれども、ああ、こういうふうな取り決めがあるんだなと、ちょっと考えさせられる部分があるなと思いました。 特に、そういうところを翻って見てみても、日本国内、通常の民事事件の場合、賠償がされ得べきものがされずに時効を迎えてしまう、こういうのは非常に悲しいことなので、こういったものに対する対処、もしくは時効の延長であるとか、こういったものもやはり積極的に考えていくべきなのかなと改めて思った次第でございます。 それでは、きょうの質問に入らせていただきます。 今まで相当の時間を民法、債権法の改正についてお話をさせていただきました。大半、私の方から話をしていたのは主に保証に関する部分、そしてその保証に関する部分がどうしても政府の今の重点的な経済政策と合致しない部分、合致しないというふうに解釈される部分というのがあるんじゃないか、そういうふうな話を相当時間やらせていただきましたが、きょうは、もうそろそろ国会が終わっていくという中ですので、それまでの間に、まずちょっと細かい部分、おさらいを一つずつしていきたいなというふうに思っております。非常に細かいので申しわけございませんけれども。 まずは、暴利行為についてお話をさせていただきます。 これも法制審議会の中で相当議論のあったところだと。当事者の困窮、従属もしくは抑圧状態、または思慮、経験もしくは知識の不足等を利用してその者の権利を害し、または不当な利益を取得することを内容とする法律行為。これは今までの現行法、この中では明文化されていない。ただ、民法の第一条の公序良俗、そういった部分の解釈で今までやられていたというふうに理解しております。以前、階議員もこの話をしておりました。 これは何で明文化されなかったのかな、こういうことこそするべきなんじゃないかなというふうに思っていたんですけれども、明文化されなかったというのか今回見送られた、この理由が書いてあったので見てみると、経済活動に対する制約になる、経済活動を萎縮させるなどの反対意見が法制審議会の中であったと。 ちょっと私は理解ができなかったのでここを少し教えていただきたいんですけれども、経済活動に対する制約、どんな制約なんですか。それから、経済活動を萎縮させるなどの反対意見、これは具体的にどういうふうなことを示してそういうことを言われているのかということを、わかれば教えていただけますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 御指摘ありました暴利行為につきましては、法制審議会においては、これは判例がございますので、判例を参考にして暴利行為を無効とする明文の規定を設けることが検討されました。 見送りの理由ということになりますが、経済団体から寄せられた意見を踏まえますと、何をもって暴利行為というかを抽象的な要件で規定すると、例えば企業側が新たな事業により多大な利益を上げているということが暴利行為であると主張されるといった事態が生ずるおそれがあり、そのような事態を避けるために新たなビジネスモデルの導入を回避するなどの事態が生じ、その結果として取引への萎縮効果が生ずるといったことが考えられようかと思います。
○木下委員 今のお話だと、何となく理屈が通っているようで通っていないんじゃないかなと私は思うんですね。 というのは、今までも、こういうことがあったときには過去の判例に基づいて裁定されていたんですよね。それを明文化してしまうとそういうことが起こる、果たしてそうなのかな。判例で書かれていて、今までこうやって運用をしてきて、何年も何年もやってきたということなのに、今の話だと余り説得力がないなと。何かどうしても、ある種、経済団体の人たちからそうやって言われたからしようがなくやめちゃったのかな、全会一致じゃなかったから、そういうふうな意見があったから見送られたというふうにしか聞こえなかったんですね。 そこを突っ込んでもあれだと思うので、ちょっとそういうふうな印象を持っております。 次々行きたいと思います。 次は、錯誤。 錯誤ということで、動機の錯誤に関しては、取引の相手方が表意者本人の誤解、錯誤を生じさせるいわゆる不実表示については規定されていない。これは説明がいろいろあったんですけれども、例示が、前にも出てきた、皆さん使われていたこの「消費者からみた民法改正」の中で出ておりました。 この中では、新築用の土地の購入に関する錯誤のケースということでいろいろ書いてあったんです。一般の動機の錯誤と、それから相手惹起型というので違いが出ている。今回の改正案では、一般の動機の錯誤については規定ができる、相手惹起型ではないということを言っています。 どういう違いかというと、「建物の設計図を見せて、その敷地として購入したい旨を売主に伝えたうえで購入したが、実際には土地の形状等の問題でその建物は建築できなかった。」、これは、設計図を見せていますから、今回規定ができる。 もう一つ、相手惹起型。「希望する建物が建築できると売主から説明されて購入したが、実際には土地の形状等の問題でその建物は建築できなかった。」、これは言ったら、説明されただけで、実際に何か具体的な設計図等を見せられているわけではないということで、規定の範囲外ということだったんです。 ただ、実際にこういった取引の中を見ていると、どういうパターンが想像できるかな。よくあるパターンとしてなんですけれども、パンフレットとかで、建築イメージ図と、絵が描いてある。ただ、下のところに、これはあくまでもイメージだ、こういうふうに建つとは限りませんというふうに書いていながら、そのパンフレットを見せて、この土地を買っていただいたらこういう感じでつくれますよみたいなことを言うんですね、大概。 まず最初に新築用の土地を買うだけですから、慎重な人は、当然のことながら設計図もちょっと見せてよとなるかもしれません。でも、最初のうちは更地ですから、ああ、ここを買ったらこんな感じのものを建てられるんだなと思っていたら建てられなかった、こういうことがあると思うんです。 今のは相手惹起型の部分なんじゃないかなと思っているんですけれども、実際どっちなんでしょうかね、今のパターンというのは。
○小川政府参考人 いわゆる相手惹起型に該当すると思われます。
○木下委員 だったら、ちょっと悲しいですね。現実的にそういうふうな取引が世の中で相当ある。今の世の中のことを反映して民法を改正していくんだというふうに言いながら実際に現実の社会というのが見えているのかなと、どうしても思ってしまうんですよね。 だって、実際に新しい土地を買うときに、まだ土地しか買わないけれども、これでこういうふうな建物を建てようと思っているといったときに、どれだけの人が上物の設計図まで先に要求するか。なかなかそこまでやる人はいないと思うんですね。契約する際にそこまでのことを全部やる、そういう人もいるでしょう。でも、みんながみんなそうじゃないだろうし、ほとんどの場合はパンフレット等々を見て、そうやって決めていく。 だから、こういうふうな部分ももう少し範疇に入れていくべきだったのではないかなというふうにちょっと思いました。 では、次のお話をさせていただきます。 次は、今まで言っていた話と同じなんですけれども、保証ですね。 保証人保護規定ということで、いろいろあります。以前にも何度も言っているんですけれども、やはりこれはしっかり言っておくべきだと思うので、繰り返しになりますが。 保証制度が今の状態の中では急に、私なんかは、もうやめてしまえばいい、特にその個人の保証、第三者保証という部分についてはやめるべきだろうと思っていますが、ただ、いろいろなところからの要望等々あって存続されるという現実の中、実質的に保証人を保護する規定とかこういうふうにして言っているけれども、一番の方法は、どう考えたって、契約当事者が保証をする債務が履行不能になった場合にはその弁済をする能力を持っている者のみに保証人の資格を与える、これは当然だと思うんです。だって、逆に、お金の貸し主と借り主がいます、貸し主の方が、借り主、あなたじゃ不安だから保証人もちゃんとつけろよといったときに、本当に賢い貸し主はどうしますか。保証人になってもらう人に万が一のときに支払い能力はあるかどうか、これは当然、考えるのは普通だと思うんですね。なのに、全然、そういう部分については全くもってこの法文の中には入っていない。しかも、そういうふうなことについては実質的な議論をされたかというと、余り議論されているように思えない。 実際に、なぜこういう規定を置くことができないのか、これをお答えいただきたいんですけれども。
○小川政府参考人 お答えいたします。 いわゆる保証人の責任の制限という観点での検討でございますが、法制審議会におきましては、保証人の保護をより充実させる観点から、保証人の資力などに照らして過大な保証を禁止する法理であります比例原則の導入ですとか、あるいは、保証債務を裁判所が一定の限度で強制的に減免する法的仕組みを設けるといった保証人の責任制限を導入することの当否が検討されました。 このような法的な仕組みを設ける考え方に対しては賛成する意見もありましたが、他方で、円滑な資金調達に支障を生ずるおそれがあるといった理由を挙げて、このような仕組みに反対する意見も強く主張されました。 法制審議会においては、このような議論を経た上で、円滑な資金調達に支障が生ずる懸念を払拭することができないことを重く見まして、最終的に、保証人の保証債務を強制的に減免する法的な仕組みを設けることは見送ることとされたものでございまして、これを踏まえ、改正法案では、個人保証人の責任そのものを限定するというルールは設けておりません。
○木下委員 そうですね。円滑なというふうに言われました。円滑な取引、円滑なと。これが、私どうもひっかかるんですね。 これも、きょう、もう今いらっしゃらないですけれども、朝、山尾志桜里委員が話をされていましたけれども、ある業界団体の人、経済団体の人が法制審議会の中のメンバーとして強く最後まで言われて、この保証全般の話ですけれども、結局全会一致を見なかったというふうなことを言われている。それはそうなんですよ。一つの利益を代表して、利益団体と言ってしまうとあれですけれども、それを代表してそういうところへ来て、主張を曲げられるわけはないかなと。しかも、今の中で、円滑にと。円滑にというふうなことをキープする、その言葉をキープするために、各野党の委員がよく言っている悲しい事件がいっぱい起こってしまうことをこのままとめられないということになるということだと思うんです。 私は、余りそんなところをどうこうと言うつもりはないんですけれども、実際やはり、最初から言っていますけれども、政策的にも今の経済政策と一致していないんじゃないの、合致しないことを、結局、円滑にという言葉のために避けてしまったというふうにしか、私にはちょっととれないんです。 だから、よくよく法制審議会の中身、話をかみ砕いて聞いていると、どうしても今回の保証の話については、そもそも、やらなきゃいけないことが真剣に議論されていたんでしょう、小川民事局長が言われました、そういうふうなことをやられていたと。でも、結局、一つの強い意見で、強い意見というのは円滑にということで、こういうふうな話がオジャンになっちゃった、そういうことなのかなというふうに、私、これは何回も聞いていて、最近そういうふうに理解するようになってしまいました。 次に行きます。 説明義務、それから情報提供義務。これは、世の中で行われる契約取引が複雑になる中、今まで、いわゆる売り主が情報提供義務を負うことは、民法において具体的な規定を置かずとも、信義誠実の原則、信義則を根拠とする判例にて対応していたということなんですね。でも、これは、複雑になってくればなってくるほど規定をしっかりと置くべきだ、これも法制審議会の中で議論があったかと思うんです。何で見送られたのか、これについて教えていただけますか。
○小川政府参考人 今御指摘ありました契約交渉の過程における情報提供義務でございますが、契約締結の前段階であります契約交渉の当事者が情報提供義務を負うことは、現行法の第一条第二項の規定自体からは、いわゆる信義則の規定でございますが、明らかではございません。 そこで、民法を国民にわかりやすいものとする観点から、改正法案の立案過程においては、契約締結過程の情報提供義務に関する規定を設けることが検討の対象となりました。その中で、契約に関する情報収集は各自が自己責任で行うのが原則であるとする立場から、このような情報提供義務の規定のみを設けると原則が不明確になるおそれがあるとの指摘がございました。また、抽象的な要件の規定を設けることによって、乱用的な主張がふえることを懸念する意見もございました。 これらの意見を踏まえまして、改正法案においては、契約締結過程の情報提供義務に関する規定を設けることは見送ることとされております。引き続き、個別の事案に応じた現行法一条二項の規定によります対応に委ねるということとなっております。
○木下委員 今、当事者がというふうに言われました、当事者が情報を集めるのが原則だと。では、逆に、当事者が情報を集める原則のための、その情報を集めるための情報、それは、逆に言うと、売買の場合なんかは売り主側がしっかりと全部提示していなければならない、こういうことぐらい規定できるんじゃないのかなと思ったんです、今の話だと。では、そうしたら、その情報というのは何なのといったときに、それがえんきょく的に、いろいろ抽象的な形で、こんな情報があるはずなのに出さなかったじゃないかというふうなことが出てくるからなかなか規定ができなかったというような話を今言われておりました。 では、例えば、ここはまた定義が難しいところですけれども、直接的説明に要する資料を全て具備し開示する義務を負う、そういうふうにしてしまえればいいんじゃないか。直接的説明、ここはちょっとまた定義というのが難しいのかもしれませんけれども。そういった議論はされていないんですか。ここはちょっと、私、よくわからないんです。当事者が集める、では、当事者が集めなきゃいけない情報はどこからとってくるのか。それは、基本的に売り主からとってくるのが普通だと思うので、ちょっとここの理解がよくわからない。
○小川政府参考人 法制審議会の中でも、契約交渉の当事者が原則として情報提供の義務を負わないことを明文化した上で、例外的にその義務を負う場合について、可能な限り要件を具体的に定めた規定を設けるという考え方も検討されたところでございます。 しかし、この案に対しましても、契約交渉の当事者が原則として情報提供義務を負わないとすることは現在の判例の考え方と整合しないとの意見や、やはり要件を具体的に定めると判断が硬直的になり、現在の裁判実務よりも救済の範囲が狭まるおそれがあるとの懸念が示されました。 そこで、改正法案におきましては、契約締結過程の情報提供義務に関連する規定を設けることは見送り、引き続き、個別の事案に応じた現行法第一条二項の信義則の規定による対応に委ねることとしております。 委員御指摘の方法については、詳細を把握しておりませんが、やはり同様の懸念や議論が生ずるものと思われまして、慎重な検討が必要になるかと考えております。
○木下委員 言われることはごもっともだなと思うんですね。 ただ、さっき、この前のところで円滑に取引がどうこうとかと言われたので逆に思うんですけれども。では、これから先も判例、個別の案件に基づいてどういうふうにするか判断をするというふうなことだ、はしょると、今の御答弁はそういうふうなことだと思うんですね。では、それだと逆に、実際に物を売る人も売りにくいですよ。何がよくて何が悪いか、過去の判例でといいながら個別で判断されてしまう。ここは、どこがぎりぎりなんだろう、どこまでいいんだろう、どこまでだめなんだろう、結局そういうふうになってしまう。複雑になればなるほど、売る方も買う方も、さっきの、その前のところでも出てきましたね、経済活動の萎縮につながるというのは、結局、今のまま放置しておけば経済活動の萎縮にもつながりかねないんじゃないかなというふうに僕は思います。 ですから、これは審議を五年も六年もいろいろとやってきたんだといいながら、なかなかこういうところは煮詰まらなかったんだな、何をやっていたんだろうなというふうに思ってしまうんです。あるところについては円滑にとか経済活動が萎縮するからどうたらこうたらと言いながら、これは何なんだろうなというふうに思わざるを得ないなと思っております。 次に行きます。次は、売買、瑕疵ですね。 この瑕疵というのが今回民法の中から名前が消えてしまうというのは、私は個人的に実は物すごく寂しくて、というのは、私は二十年近く商社で働いていて、契約の中で瑕疵担保条件というのを必ず一番最初に習うんです。契約を締結する際に、瑕疵担保条件をつけたか、ついているか、どれぐらいの期間になっているか。これは相当大事なところだとよく言われたものです。それが、今回は瑕疵という名前が消えてしまうということなんですね。 今回のところで特に変わったところというのが、特定物売買と不特定物売買といったところが、今まではその取り扱い方が違っていた、それが今回の改正で基本的に同じ取り扱い方になる。 それで、特定物売買というのは何のことを言っているかというと、特定ですから、特に中古品、いわゆる中古品売買。不特定物売買というのは、新品とか工業製品であったり、そういったものについてということなんですね。一律にしてしまったらその方が素直でいいよねと簡単に思われるかもしれないんですけれども、これまた、世の中の実際に行われている取引で照らし合わせてみたら、あれ、これはどうなるんだろうなとわからないところが出てきました。 例えば中古車の売買、インターネットとかでもよく出ています。その中で、現状渡しと書いてあるものがよくあるんです。現状渡しと書いていて、だから、普通の車、その同等の車よりも相場的にも安かったりするときがある。 これはどういうことかというと、売り主が、いわゆる仕入れのときに、その車の中身、インスペクションをちゃんとしないで、そのままだけれどもと断って売り渡す、だから安いんですよというようなケースがあると思うんです。 こういったときに、この瑕疵、今まで言っていた瑕疵、これは今後請求対象になるんですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘の例が、目的物の状態を問わずに現状で引き渡すこと、そのことが契約の内容とされたものの例であるとすれば、目的物にふぐあいがあったとしても、その現状での引き渡しが契約の内容に適合しないとは言えず、改正法案は瑕疵担保責任について整理をして契約の内容に適合するかどうかを問題にしているわけですが、改正法案のもとでも、買い主は売り主に対して何らかの請求をすることはできないと考えられるのではないかと思われるところでございます。
○木下委員 契約の中でというふうに言われたんですけれども、実際に中古車売買をするとき、中古車を買われた方がいらっしゃればわかると思うんですけれども、売り主と契約書を交わしますか。交わさないですよね。普通は、もうそのまま、お金、請求書と、それから名義を変えるための、要は名義書きかえだけしかしない。 契約書の中でそういう条項がうたわれているかというと、うたわれていないんですよ。インターネットなんかの広告の中に現状渡しと書いてある、実際に見て判断してくださいと書いてある、それだけなんですね。それが現実だと思うんです。 そのときに今の話は、僕はちょっとどうなるんだろうなとまだわからないんですけれども、ちょっと変化球が飛んじゃっていますけれども、いかがですか。そういうときはどうなるんですか。今の私の感覚でいうと、これは瑕疵担保、請求できることになるんじゃないかなと思うんですけれども。
○小川政府参考人 お答えいたします。 もちろん、個別の事案によりますのでなかなか申し上げにくいんですが、少なくとも、今回の改正法案の内容から見ますと、目的物の状態を一切問わずに、全く現状で引き渡すということそれ自体が契約の内容とされているということであれば、その現状で引き渡すことが契約の内容に適合しないとは言えませんので、やはり買い主は売り主に対して何らかの請求をすることはできないということではないかと思われます。
○木下委員 難しいところですね。それが文書で書かれているかどうか。インターネットのあくまで広告的な部分で、結局、見て判断してねとなっていた場合、今度からそういうふうな取引はなくなるのかな、どうなんだろうというふうにちょっと思ってしまいました。ここは個別の話なんだろうと思いますけれども。 やはりそういうのを見ていても、法制審議会の中で、いろいろな、弁護士さんだったり法の専門家、それから各業界団体といいながら、現実が見えていないんじゃないのと、ここも思ってしまったんです。 ちょっと間でも言いましたけれども、最後、締めにしますけれども、このほとんどの部分、明文化されなかったり規定が置かれなかったり見送られたり、その理由というのが、ほとんどが、法制審議会の中で意見が一致しなかったから、だから見送りになりましたというふうになっているんです。 それで、最後に一つだけ聞きたいんですけれども、この法制審議会の部会、これは何で全員一致じゃなければいけないんですかね。
○小川政府参考人 お答えいたします。 法制審議会の部会の議事は、委員で会議に出席した者の過半数で決するとされております。これは法制審議会令に定めるところでございます。したがいまして、全会一致であることは要求されておりません。 もっとも、近年の法制審議会の民事関係の部会においては、調査審議を尽くした上で、全会一致により要綱案が取りまとめられているものと承知しております。 その理由は、次に述べるところでございます。 すなわち、民事関係の部会におきましては、調査審議の対象となる事項につき、利害関係を有する者が広く各層にわたる場合や、さらに国民生活に直接影響する場合が多いことから、部会の委員もそのような利害関係をそれぞれ代弁するにふさわしい者が選任されております。 そして、そのように、それぞれの利害関係を代表する者が合議による審議を尽くす、そういう必要がございまして、このような審議を通じて、全ての委員が部会の結論に納得できるようにすることが志向されてきたものと承知しております。 その過程において、反対の具体的な論拠は何か、懸念される事態はどのようなものかを調査し、懸念を払拭する策を講ずることができないかといった観点からの調査審議を尽くすものでございまして、その結果、より合理的な案が練り上げられて、最終的には全会一致に至っているものと認識しております。 以上でございます。
○木下委員 いや、まともな話だなというふうに思いながらも、実際に、利害のある者がというふうに言われていて、個人の利害じゃないんですね。団体から来ている人なんて、言って、その人がそこで納得したって、うんと言わないですよ。それが普通だと思うんです。 きょうは大臣には質問しませんでしたけれども、そういうことを考えると、何か、全会一致というのがもう形骸化してしまっていて、やはりそういうところも見直すべきだと思いますし、参考人のときに言っている人がいましたけれども、こんなの、要は反対意見を出した人というのはあらかじめ排除されているんだというふうに言っていました。そういうことを言われてもしようがないんだと思うんですね。やはり、そういうことも考えると、法制審議会のそこの部分についても、もう少し改める、もしくはもう少し考えるべきものがあるんじゃないかなと思いますので、大臣、これからもよろしくお願いいたします。 以上です。ありがとうございます。
○鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二分散会