法務委員会 第11号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2016/11/25
会議録
○鈴木委員長 これより会議を開きます。 第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長小川秀樹君及び法務省人権擁護局長萩本修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。
○逢坂委員 おはようございます。民進党の逢坂誠二でございます。 先日、参考人質疑が行われて、私は非常によかったなというふうに思っています。いろいろな論点が見えてきましたし、賛成と思われる参考人の方からも、この論点はさらに深掘りをした方がいいというふうな指摘もあったりして、これからの審議の方向性というか、そういうものがやはり議論をしていくたびに見えてくるんだなという印象を持ちました。 与党の筆頭との間では、参考人質疑はこれからも複数回やろうということでもう折り合っているところでありますので、しっかり議論を深めていきたいというふうに思います。 そこで、政府に事務的に確認なんでありますけれども、今回の民法改正の目的、これは、社会経済情勢の変化があるということと、もう一つは国民にわかりやすい民法にするんだということが二つの大きな目的なんですが、現在の債権法のもとで、日本の社会において、例えば契約や取引や、そういうものが混乱をしていて、これはもう早急に是正しなければならないんだというような状況になっているのかどうか。 確かにこの間、債権法改正の議論はいろいろと細かにやられてきた。だがしかし、現状、社会の中で、もうどうにもならない、にっちもさっちもいかない状況があるんだということがあるのかないのか。あるいはまた、逆に、今回の民法改正によって、今回の債権法の改正によって、今社会の中で相当大きな問題を抱えているんだ、それがうまく解決する、クリアするというような、急を要するような事項というものがあるのかないのか。これは事務的に教えていただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 民法の債権法の部分は、百二十年間実質的な見直しがほとんど行われていない状態にございます。 実質的な見直しが急がれる事項は多岐にわたりまして、そのうちのどこまでを契約や取引の混乱に基づくものと評価するかは難しい面もございますが、例えば保証契約に関しましては、これまでの委員会質疑や参考人質疑でも指摘されましたとおり、個人保証人の中にはそのリスクを十分に自覚せずに安易に保証契約を締結してしまう者も少なくなく、これにより生活の破綻に追い込まれるといった状況が現に生じており、これを早急に是正する必要性は高いものと認識しております。 また、昨今の超低金利の情勢のもとでは、法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いておりますが、法定利率が市中金利を大きく上回っていると、債務者が支払うべき利息や遅延損害金の額が著しく多額となる一方で、損害賠償額を算定する際の中間利息の控除の場面では不当に賠償額が抑えられるなど、当事者間の公平を害する結果となっており、この状況も早急に是正する必要がございます。 さらに、現代社会における大量の取引を迅速に行うためのいわゆる約款につきましても、約款中の一部の条項が文字どおりに契約の内容となるか否かが争われるといった事態が生じております。これらの状況も早急に是正する必要がございます。 以上のように、現行の民法のもとでは、法律を見直すことによって対処が可能な多くの問題が現に生じていることから、これらの問題を早急に是正する必要があると考えております。
○逢坂委員 今例示に出されたことについては、私もある一定程度理解いたします。例えば法定利率でありますとか保証の問題でありますとか定型約款の問題、これらをクリアしていくということは非常に大事な問題だというふうに思っています。 片や、一方で私が懸念を持っておりますのは、判例などを積み重ねてきた結果、民法典を読んでも国民の皆様はどういう状況になっているのかがわからないということで、今回、判例などを条文化するということでありますけれども、私は、本当にこれは急いでやっていいのかどうか、少し悩ましい問題だというふうに思っています。 まず一つは、判例を条文化するということになりますと、仮に判例のままで置いておくのであれば、違った判決を出すということは場合によってはあり得るわけですね、ところが、条文化してしまいますと、それを固定化するということになってしまいますから、それは本当にそれでいいのかどうかという問題があろうかと思っています。 それから、世界の民法典を見ると、必ずしも微に入り細に入り細かく規定していない、しかしながら、そのことが社会経済情勢の柔軟さに対応する一つの肝というかコツになっているようなところもあるわけですね。 したがいまして、今回、法定金利をどうするかとか保証人をどうするかとか定型約款をどうするかといったような、新たに提示された論点というのは、確かにある程度急ぎ足でやった方がいいものなのかもしれないんですけれども、判例を条文化するというところについては、私は、いやいや、判例でもうはっきりしているんだからこれは問題ないんだというふうに一般的に言われがちなんですが、実はそちらの方に大きな問題が潜んでいるような気がするんです。だから、判例で決まっている、それを条文化しただけなんだ、だから議論は要らないということではどうもないのではないかという気が私は今しております。 そこで、あえて、短い時間ではありますけれども、きょう、こういう質問をさせていただきました。 私は、野党の筆頭理事として、いたずらにこの法案の審査を引き延ばしをして議論をとめようとか、そういう気持ちはさらさらございません。しかしながら、やはり基本法をいろいろと変更させるということは社会に相当大きな影響があるんだということを、議論をすればするほど痛感をするわけであります。個別法とはやはり全く違った議論の姿勢が要る、そういう感じがしているわけであります。しかも、判例の積み重ねだからそれは条文化する、これは当たり前だろうということではどうもない、そういう思いを持っているものですから、あえて、短い時間ですけれども、質疑をさせていただきました。 これからも深掘りできる議論をしてまいりたい、そのように思っております。 では、終わります。ありがとうございます。
○鈴木委員長 次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 おはようございます。民進党の山尾志桜里です。 今、逢坂委員の話を聞いていて、ちょっと、あわせて意見を一つだけ申し上げて、きょうの質問に入りたいと思います。これは意見です。 きのう憲法審査会がありまして、私もそこで発言をしました。ともすると、今テーマになっている憲法改正の要否について、規律密度が低いから、やはりその間を埋めるために憲法を改正すべきだというような御意見が特に自民党の方から複数、これは先々回ですけれども、あったんですね。それについて私が先回、きのう申し上げたことは、やはり規律密度の低さ、言いかえれば抽象度の高さというのは、憲法に要求される、時代を超えた安定性、その要請と、もう一つ、時代の変化に合わせて変わっていくべき可変性、それを両立させていく先人からの知恵ではないかということを思うわけです。 もちろん、憲法と民法には性質上違いがあることは重々承知をして申し上げているんですけれども、やはり民法も、幅広い国民生活に関連をする大変重要な基本法の一つでありますし、だからこそ、百二十年という時を経て、それなりに、国民生活の中で民法が生きた法律として、さまざまなリーガルの力をかりながら日本の社会の中の法律関係というのを処理し、対応し、一定程度安定させてきたということで、そこは皆さんにも少し考えていただきたいんですね。 それは、今逢坂委員がおっしゃった問題意識と重なるところがあるのかなというふうに思いましたので、一言申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。 きょうは、債権法の質疑ということで、本当に貴重な参考人の質疑も踏まえて、具体的な質問に入っていきたいと思いますけれども、その前にちょっと一点だけ、いわゆる鶴保大臣を含めた土人発言と言われるものについての法務省そして法務大臣の見解を、この衆議院の法務委員会の場で少し議論をしていきたいというふうに思います。 まず、萩本人権擁護局長にお伺いをしたいと思います。沖縄県の米軍ヘリパッド建設現場付近で、大阪府警の機動隊員が、あろうことか、抗議活動している人に対して土人というような発言をした問題についてであります。 一般に、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題があるとお考えでしょうか。人権擁護局長にお伺いをいたします。
○萩本政府参考人 今、委員から、一般にというお話がありましたが、今、委員が問題として取り上げられた発言そのものにつきましては、その発言に至る経緯や、その際の具体的な状況について、その詳細を法務省として把握しておりませんので、お答えを差し控えたいと思います。 ただ、一般論としまして申し上げますと、不当な差別的言動はいかなる者に対してであってもあってはならないものでして、人権擁護上問題があると考えておりまして、従前からそのような答弁をさせていただいているところでございます。
○山尾委員 参議院の有田委員からの質問にも萩本局長はこのようにお答えになっており、私は、政府の一員、そして政治家ではない局長として一定程度御答弁をしていただいているのかなというふうに思っているんですね。 だから、そういう評価のもとで、あえてもう一つ質問しますが、私、今、人権擁護上問題があると思われますか、こういう質問をしました。そして、局長は、人権擁護上問題があるという答弁のみならず、その前段で、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならない、こういうことも御自身でおっしゃってくださいました。したがって、一般論で、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題があるというだけではなくて、不当な差別的言動にも当たり得る、こういう御答弁と私は理解をするわけですけれども、局長、いかがですか。
○萩本政府参考人 断定することができないということは繰り返しお断りさせていただきたいと思いますが、当たり得るか否かということであれば、当たり得るということは否定できないというように考えます。
○山尾委員 私も、よく御答弁を一歩一歩いただいているというふうに思っています。 それでは、擁護局長がここまで答弁をしてくださいましたので、法務大臣にも同じ質問をさせていただきます。 一般に、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題があるとお考えですか。
○金田国務大臣 委員のただいまの御質問、私も、関連して何度かお答えを申し上げております。 まず、一般論で申し上げれば、個別の事案における発言を人権問題として取り上げるべきかどうかについて、言われた側の感情に主軸を置いて判断すべきことであって、その発言によって言われた側の感情を傷つけたという事実があるならばしっかりと襟を正していかなければならないというふうに思いますし、また、人権問題として捉えるかどうかを含めて、個別の事案についてはつぶさにそれを注視していく、そのことが重要だというふうに思います。
○山尾委員 個別のことでは聞いておりません。一般論として、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題があるとお考えですか。
○金田国務大臣 一般論としてお聞きだということで、私も一般論でお答えをしたと思いますが、やはり、その発言によって言われた側の感情を傷つけたという事実があるならばしっかりと襟を正していかなければならない、また、人権問題として捉えるかどうかを含めて、個別の事案についてはつぶさにそれを注視していく、そのことが重要だというふうに私は思います。よろしいですね。
○山尾委員 よろしくはないわけであります。 人権擁護局長が、一般論としてであればという前置きで、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題があるというふうに答弁をしっかりとされました。大臣は、局長の考えと違うところがあるのであれば、この点が違うとおっしゃるべきですし、同じであれば、同じであるとお答えすべきだと思います。 いかがですか。
○金田国務大臣 従来から私が答弁してまいりましたケースは、特定のケース、先般の沖縄での発言のことについても申し上げてはきました。 ただ、一般論として申し上げた場合には、不当な差別的言動というものはいかなる者に対してもあってはならず、人権擁護上問題があると考えておりまして、従前からそのように答弁をしてきたところであります。
○山尾委員 巧妙にかどうかわかりませんけれども、私の質問をすれ違えてあえて答弁をされていると思います。 私は、このヘリパッドの個別の問題を聞いているのではありません。ただ、それ以上に抽象化をして質問しているわけでもありません。一般論として、警備中の警察官が土人というような発言をする、こういう事態について人権擁護上問題があると思われますか、こういう質問をしております。 ちなみに、人権擁護局長は、全く同じ質問に対して、今大臣が聞いていただいたとおりの明確な答弁をしてくださっています。もしここで違うということであれば、局長と大臣の考えが違う、こういうことになりますし、私は、この点に関して言えば、同じと言っていただいても全く問題ないと思いますし、大臣としてそれが適切な答弁だと思います。あくまでも一般論を聞いております。
○金田国務大臣 同じことを申し上げているんですが、かつて官房長官も答弁されたと思いますが、私も同じ思いでありまして、例えば警察官のような、逮捕権を有し、公権力を有する者が威圧的言動、行動を行ったことについては大変残念で許すまじき行為である、このように考えております。
○山尾委員 それは、本件、個別の事案についての官房長官の発言であります。 繰り返します。個別のことについて尋ねているのではありません。一般論として、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは人権擁護上問題ありやなしか。人権擁護局長は、人権擁護上問題があるとおっしゃっています。 聞き方を変えましょう。大臣は、人権擁護局長の先ほどの御発言と見解は同じですか、違いますか。
○金田国務大臣 一般論としてお聞きになっていると思いますので、私は、先ほどの局長の答弁と同じ思いであることを申し上げます。
○山尾委員 では重ねて、先ほど局長は、一般論として、このことは不当な差別的言動に当たり得る、こういう答弁もいただきました。この点について法務大臣は、見解は同じですか、違いますか。
○金田国務大臣 その当たり得るというところ、ですから、それは同じだということを繰り返し申し上げております。
○山尾委員 繰り返しというか、大臣みずからの答弁としては、私としては初めてお聞きをした答弁であります。 一般論として、警備中の警察官が土人というような発言を行うことは、人権擁護上問題があり、そして不当な差別的言動に当たり得る、こういう明確な法務大臣の見解をいただきました。 そこで次に、今度はこの個別の問題について大臣にお伺いをしたいと思います。 この個別の問題について、私は、この大臣の言葉はすごく人間的な、また法務大臣としての心情があらわれたものとしてすごくいいなと思ったんですけれども、大変残念で許すまじき行為である、こうおっしゃいました。その見解にもちろんお変わりはありませんよね。
○金田国務大臣 今の御質問にありましたように、警察官が行った発言、大変残念で許すまじき行為と考えていることは、かつて私も申し上げましたし、官房長官のコメントとも同じでありますし、そこは繰り返し申し上げているとおりであります。
○山尾委員 それで、先ほど大臣は、言われた側の感情が大切だ、言われた側の感情を傷つけた面があるなら襟を正すべきだ、こういうふうにおっしゃられたのでお伺いしますが、大臣、この警察官の言動、そして、その言動について、必ずしも差別に当たるということは言い切れないというような鶴保大臣の重ねての言動、これによって沖縄県民の皆さんは、今、傷つけられた側の心情としてどういう心情になっておられるか。大臣が先ほど、言われた側の心情が大事だとおっしゃられたので、大臣も当然、その心情をしっかりと想像されて言語化されていると思うんですけれども、それをお話しいただきたいと思います。
○金田国務大臣 前にもお答えをいたしておりますが、発言に至る経緯あるいはその際の具体的な状況といったような、その詳細を私個人としても法務省としても把握していない状況の中で、それが差別的発言かどうかについてはお答えは差し控えさせていただきます。
○山尾委員 全くそれは質問しておりません、今は。 先ほど大臣が、やはりこういうことについては言われた側の心情が大切だということをおっしゃったので、この個別の事案について、言われた側、言われた方、そしてそれを受けとめた沖縄県民の気持ち、これを当然大臣は御想像されていると思うんですね。されていなかったらおかしいですよね、だって言われた側の心情が大切だとおっしゃったんだから。 大臣の中で沖縄県民に寄り添った想像力をしっかり働かせていただいたその率直な感情を、やはり言葉であらわしていただく必要があると思うんです。 別に、差別的言動かどうかという質問には今至っておりません。
○金田国務大臣 私は、先ほどから申し上げているつもりであります。 一般論とこの個別の案件、個別の案件についてお尋ねでございます。私が当初から申し上げておりますように、警察官が不適切な発言を行ったことは大変残念で許すまじき行為であると考えていることは繰り返し申し上げてきたところであります。
○山尾委員 質問にお答えをいただきたいと思います。言われた側の心情が大切だと御自身でおっしゃりながら、言われた側の心情について一切答弁をされないというのは余りにも無責任だと思います。 先ほど、その発言に至る経緯とか状況とかがつまびらかでないというふうにおっしゃいましたけれども、それは恐らく、差別的意識に基づくものかどうか、言った側が差別的意識に基づくものかどうか、それは、その発言に至った経緯とか状況が明らかでないので差し控えたい、こういう文脈でずっと大臣は御答弁をされていると思うんです。 私、後でそこもちょっと聞くかもしれませんけれども、今はもっと大事なこと、言われた側、この個別の事案について、沖縄県民の皆さんの心情、これについて法務大臣はどう御想像されるか。 ちなみに、翁長知事も、当然、強い憤りを感じるとおっしゃっておられますし、沖縄県議会はこのような抗議決議を可決しています。「今回の発言は、沖縄県民の苦難の歴史を否定し、平和な沖縄を願って歩んできた県民の思いを一瞬のうちに打ち砕いたものと言わざるを得ない。」、こういった抗議決議を賛成多数で沖縄県議会は可決しております。 こういった沖縄県民の、それぞれの立場の代表者の反応も含めて、法務大臣は、この個別の事案について、受け取る側、言われた側、沖縄県民、沖縄の心情をどのように感じられますか。 そんなに慎重になることというよりは、本当に素直な気持ちを吐露していただければいいのではないかと私は思います。
○金田国務大臣 先ほどからお答えしておりますが、どうもお酌み取りいただいていないようでございますが、もう一度申し上げますと、言われた側の思いも踏まえて、私は、このたびの不適切な発言については大変残念で許すまじき行為である、このように答えてきたところであります。今もその思いであります。
○山尾委員 言われた側の思いをどのように踏まえたのかということを私は伺っております。
○金田国務大臣 先ほどからお答えしております。 私は、言われた側の思いを一言で申し上げることは難しいものだとは思いますが、そこは大変残念で許すまじき発言であるというふうに思います。
○山尾委員 私としては、どうして大臣がそこまで、言われた方はこんな気持ちになったのではないか、そしてそれを知った沖縄県民の皆さんの気持ちはこういうふうになったのではないかということを、御自身の生きた言葉で一言でも二言でも具体化、言語化していただけないのかなと、大変残念に思います。 そういったメッセージを発信することはやはり政治家として非常に大事なことだと思いますし、法務大臣ですから、言葉は選ばなきゃいけないかもしれないですけれども、法務大臣はまさに少数者の人権のとりで、法務行政のトップですから、そこは、これだけ聞いて、県民の側がどういう感情になったのかということを一切言葉で語っていただけないというのは、私としては大変残念に思います。 ただ、ここまで一つ一つお話を伺っていって、法務大臣の今回の件の認識としては、大変残念で許すまじき行為だ、これが認識としておありになるということでございました。 沖縄に最も寄り添うべき大臣が、沖縄で抗議活動している国民に対し人権擁護上大変問題のあり得る行為をした警察官について、あたかも、それが差別に当たるかどうか、それは到底判断できることではないというような発言を繰り返しております。一方、閣議決定では、この大臣の言動は県民を侮辱したとの指摘は当たらない、県民の気持ちに寄り添わないという指摘は当たらない、こういう決定がなされています。 大臣がもし一生懸命寄り添おうと努力をしてくださっているのだとしたら、この質問をするのは私としてはちょっと不本意ではありますけれども、大臣も同じですか、この大臣、鶴保大臣の言動が県民を侮辱したには当たらない、県民の気持ちに寄り添わないとの指摘は当たらない、こういうお考えで、同じなんでしょうか。
○金田国務大臣 鶴保大臣の答弁についてのお尋ねと受けとめておりますが、これにつきましては、やはり鶴保大臣御自身にお尋ねいただくべきものと私は考えます。 いずれにしましても、警察官が不適切な発言を行ったことは大変残念で許すまじき行為と考えていることは、これまでも繰り返し申し上げているところであります。
○山尾委員 もう一点、差別的意識に基づくものかどうかという話になるんですけれども、大臣は、先ほども御答弁されたように、「事実の詳細が明らかでない状況の中ではお答えは差し控えたい」というふうにおっしゃられております。 その後、事実の詳細を明らかにするためのどのような努力をされたんでしょうか。
○金田国務大臣 一般論としてでございますが、法務省の人権擁護機関では、人権相談等によりまして人権侵害の疑いがある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として立件して、調査を行い、その結果を踏まえて、事案に応じた措置を講じることにいたしております。 なお、個別の人権侵犯事件につきましては、関係者のプライバシー保護や、調査にかかわる事実をみだりに公にすることによって今後の調査に支障が生じることを防ぐといったような観点から、原則として調査の有無等について公表をしないことにいたしております。 御指摘の発言の件についても、お答えは差し控えたいと思います。
○山尾委員 今、意外な角度からの御答弁だったんですけれども。私のさっきの個別の質問に対して、一般論としては人権侵害の疑いがある場合は人権侵犯事件としての立件もあり得ると。それに対して、ではこれはあるんですかと私が尋ねると思われたのか、その調査の有無については答えないんだということを先回りしておっしゃったのかな、こういうふうに思いますけれども。 今のお話でいうと、少なくとも一般論として、警備中の警察官が土人というような発言をすることは、局長そして大臣の御答弁からすると、人権擁護上問題があり、不当な差別的言動に当たり得る、つまり、人権侵害の疑いが一般論としてあり得る。もしそういう一般論としての疑いがあり得るのであれば人権侵犯事件として立件もあり得る、そういう調査をスタートさせることもあり得る、しかし、その調査を今回するかどうかについては、これは答えを差し控えたい、そういうことですか。
○金田国務大臣 そうした、その後どういう調査をしたかとか、あるいは、その後どういうふうな対応をしたかという点につきましては当局から答えさせたいと思います。
○萩本政府参考人 これも一般論になってしまいますけれども、個別の人権侵犯事件の調査につきましては、その調査の有無も含めまして、関係者のプライバシーの保護、あるいは関係者との信頼関係の保護等の観点から、基本的に公表しないという取り扱いとしておりますので、その意味からも、今回の件についてどうするかということをこの場で御答弁するのは差し控えたいという趣旨と理解しております。
○山尾委員 これから先、この場で議論をしていくべき論点が見つかったのかなというふうに思います。 先回りして、調査の有無は差し控える、そういう御答弁をお二人からいただきましたけれども、例えば私人間であればそうでしょうね。ただ、やはり今回の件というのは、まさに警察官の言動、そして大臣の言葉にしても、まさに公権力が一般の私人、国民に対して行った言動が問題になっているわけですから、今の定型的な答弁というのは必ずしも当たらないのではないかなというような気もいたします。 いずれにしましても、こうやって、一歩ずつ、やはりうやむやにせず、こういった問題はしっかりこの法務委員会で議論をつなげていきたいというふうに思いますので、きょうのところは、局長、大臣、それぞれの御答弁に理解まではいかないんですけれども、次に続くということで、債権法の議論に移りたいというふうに思います。 今回の債権法改正は、まず、たびたび参考人も含めて問題を指摘されている、配偶者が適用除外になっていることの問題点、これをお聞きしたいと思います。 簡単に言いますと、今回、事業融資のための個人保証については、その契約締結に先立っての「一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。」、こういう規定が新設されて、一定の保証人保護が図られようとしています。しかし、「主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」がこの保証人保護規定の枠の外に置かれようとしています。 そこで、まずお聞きします。なぜ配偶者を保護の枠の外に置いたのでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 今お話がありました保証意思宣明公正証書の作成を義務づけるのは、個人的な情義などから、保証のリスクを十分に自覚せずに安易に保証契約を締結することを防止することにあります。 そのため、改正法案の立案の過程におきましても、個人的情義などから保証人となることが多い主債務者の配偶者を例外とするのは相当でないという指摘もございました。 しかし、個人事業主に関しましては、経営と家計の分離が必ずしも十分ではなく、主債務者とその配偶者が経済的に一体であることが多いことから、現に、配偶者を保証人とすることによって金融機関から融資を受けている事例も少なくないのが実情でございます。したがって、配偶者については、これを保証人とする客観的な必要性も高いものと考えられます。 また、個人事業主の配偶者は、一般に事業の状況などをよく知り得る立場にあると言え、保証のリスクを認識することが可能であるから、その意味で保証意思宣明公正証書の作成を義務づける必要性がそれほど高くないと考えられるところでございます。 このような実情を踏まえまして、法制審議会においても、とりわけ中小企業側の意見といたしまして、個人事業主による円滑な資金調達が困難にならないよう、主債務者の配偶者を例外として扱うべきことが強く主張されました。 そこで、改正法案におきましては、主債務者が個人事業主である場合のその配偶者については、主債務者の事業に現に従事しており、事業内容を把握することができる地位にあることを要件とした上で、保証意思宣明公正証書による保証意思の確認がされなくとも保証契約を有効に締結することができることとしたわけでございます。
○山尾委員 配偶者が保証人になるという実情が多いということは、それに伴って、一家もろとも、保証債務、主債務、両面から押しつぶされて、その家庭の子供も含めて非常に厳しい状況を生み出しているという事案もまた多いということにもつながるのでありまして、これを枠の外に置く理由には私はならないというふうに思っているのです。 また、その後、三点おっしゃったんですけれども、これは盛山副大臣が先回おっしゃったこととも同じなんですが、副大臣でも局長でも結構ですけれども、まず、その個人事業主の配偶者が事業の状況を一般的によく知り得る立場であるということが理由づけの一つになっていますよね。でも、事業の状況を一般的によく知り得る立場というのは、配偶者であるという要件から導かれるものというよりも、主債務者が行う事業に現に従事していることから導かれ得るものであって、配偶者であるからといって、当然ながら、一般的によく知り得る立場にあるというふうに必ずしも定型化できないというふうに私は思うのですけれども、この点いかがですか。
○小川政府参考人 先ほど申し上げましたように、主債務者と配偶者が経済的に一体であることが多いということ、これは経営と家計の分離が必ずしも十分でないことから、一般的な議論としては言えるのではないかというふうに考えております。
○山尾委員 それは、何かそれを裏づける数字でもお持ちなんでしょうか。(発言する者あり)
○小川政府参考人 数字としては承知しておりません。実態としての認識でございます。
○山尾委員 そういう肌感覚ということでいえば、先ほどからつぶやかれているとおり、母ちゃんは黙ってついてこいとか、そういう共同経営形態もあるわけですね、実態としての肌感覚として。一般的に知り得る立場にあっても、必ずしも知ろうと別に思わないとか、必ずしも母ちゃんが知るべきだとも思わないとか、それでも経営と家計が一体となって事業を進めている、こういうことは、実態として特に中小零細では非常に多いというのが肌感覚であるし、肌感覚議論になればこれは水かけ論でありまして、必ずしも定型的に、配偶者であればよく知り得る立場なんだということの根拠には私はならないというふうに思いますし、今の答弁では、そのことについて説明責任を果たしたというふうにはならないんだというふうに思いますね。 経営と家計の分離がされていないということが繰り返し言われるわけですけれども、経営と家計の分離がなされていないという実情が一部あるにしても、それを所与のものとして肯定的に捉えていいのかどうかということも、またこれ、私は大変疑問であります。経営と家計が一体化しているからこそ、仮にその事業が、リスクが顕在化したときに、本当に家計もろとも、子供も含めて、あるいは介護している両親も含めて、大変な状況に陥るということがあるわけで、さらにそのことを理由にして配偶者も保証人になることについて後押しするような改正がなされるのであれば、よりこのリスクは高くなるということになるんだと私は思います。 もしこの点について御意見があったらどうぞ。ない。 では、二番目に行きたいと思います。保証のリスクについても認識しているという可能性が大である、こういうお話があります。 今の話とかぶるんですけれども、表面上事業に現に従事しているとされる者の中で、現実にはそれほど事業の状況について精通しているわけではないんだけれども、表面上はさまざまな利便性を理由に従事者として扱われている立場の最たる者が私は配偶者だというふうに思うんですね。 そう考えると、配偶者が保証のリスクについても認識している可能性が大である、こういうふうにおっしゃる体感以外の根拠をお聞きしたいんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 今申し上げましたような保証のリスクの認識の点につきましては、これは個人事業主についてということになりますが、その点につきましては、法制審議会の中でも中小企業団体からその旨の御発言があったところでございます。
○山尾委員 ごめんなさい、ちょっとわからないんですけれども、中小企業の団体からどういった発言があったということですか。
○小川政府参考人 個人事業主の配偶者は一般に事業の状況などをよく知り得る立場にあると言えて、保証のリスクを認識することが可能である、そういう趣旨の発言でございます。
○山尾委員 可能であるかどうかというよりも、一般論として可能性が大であるかどうかという話をしているんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 実態としても、やはり可能性は大きいということは言えようかと思います。
○山尾委員 百歩譲って、そういう旨の発言もあるでしょう。でも一方で、私のような立場から、必ずしもそうは言えないんじゃないですか、こういう発言もあったのではないですか。 もう少し言いましょうか。別の立場からもう少し申し上げますと、私は、配偶者であるという立場は、保証のリスクの認識可能性については、一般論として、逆である可能性も高いと思うんですよ。主たる債務者の配偶者と第三者とを比べたとき、保証人になる際、どちらが保証リスクについて真剣に検討すると思いますか。一般論であれば第三者ではないですか。だって、自分自身が保証人になるときのことを考えてみたら、妻とか夫の保証人になるのと、隣にいる議員とかそういう人の、第三者の保証人になるときと、どっちが保証リスクを真剣に検討しますか。 少なくとも、配偶者であれば保証リスクを真剣に検討して認識している可能性が大であるというのは、ちょっと偏った雑駁な見方ではないかというふうに思うんですけれども、この指摘について何か御意見があればお答えください。どなたでも結構です。
○小川政府参考人 今回の制度の説明といたしますと、個人事業にかかわるものでございます。それに関する事業主の配偶者ということですので、もちろん、事業の経済状況については一般的に知り得る立場にあって、その意味で、リスクについても認識しやすい立場にあるということを繰り返し申し上げているわけでございます。
○山尾委員 近くにいるから知り得る立場にあり、したがって、そのリスクについても認識し得る立場にあるというのは、これはそういう見方もあると思います。でも、そうやって事業の中身を知ろうと思えば知れても、あるいはリスクについて考えようと思えば考えられても、それを特に知らずに、あるいはリスクについて真剣に検討せずに保証人になりやすいというのがまさに配偶者の情実性の問題だというふうに私は思うんですね。 先ほど、最初の方の答弁でも、やはり個人的な情義から保証人になるということの問題点の指摘もありました。保証の情義性、情が一人のかけがえのない人生を狂わせたり、また、このことについては、その家庭丸ごと、何度も申し上げますけれども、子供とか高齢の親御さんも含めて、本当にそういう家庭丸ごとを狂わせる、大きな犠牲を生むリスク、これを低減せずに、この保証ということについて、せっかく保証人を守ろうとしているのに、ここを枠の外に置くのは、私は本当に合点がいかなくて、したがってもう少し聞いてみたいんです。 三点目、配偶者に関して言えば、公正証書まで義務づける必要性に乏しいというふうにおっしゃるんですけれども、これはやはり配偶者ならではの、ほかの場合よりも定型的に保護の必要性が高いという面、ここをどこまで考えてくださっているのかということが気になるんです。 債権者との関係でいえば、例えば、お金を借りようとする主債務者に夫がいる、多くの場合妻がいるというときに、債権者の側から、せめて奥さんぐらいは保証人に立てられませんか、奥さんに対しても、奥さんぐらいは保証人になってくださいよ、あなたの夫でしょう、奥さんすら保証できないのに、どうやって赤の他人の私が信用できるんですか、こういう有形無形の、少し強い言葉で言えば圧力にさらされる場面というのは、配偶者だからこそ定型的にあるわけですね。 配偶者たる債務者と、夫、妻の関係にしても、保証人を頼むよという一言、説明不足の中で、リスクを真剣に検討する現実的な環境にない中で奥さんが保証人になっていくという場面こそがやはり一般的にある場面だというのが、私も、地元を回っていても体感でもあるわけですね。 こういう配偶者ならではの保護の必要性というのをどこまで検討していただいた上で、配偶者は保護の必要性が少ないというふうにおっしゃられているのか、もうちょっと率直な御意見をどなたかからいただければと思うんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 先ほども申し上げましたが、法制審議会の中の中小企業団体からは、こういった場合の配偶者の保証の必要性、有用性ということについての指摘はたびたびいただいたところでございます。
○山尾委員 これまでやはり、保証というのは必要性の観点からずっと語られてきて、必要だから必要だからと。でも、今回この改正をしたのは、必要だからということで保証債務がもし仮にかぶさってきたときの、その人の人生、それを本当に狂わせていいのか、そういうことをできるだけ少なくしようよ、こういう優しい思いからスタートしていることだと思うんですね。 全てを、一〇〇%とは言いません、でも、この配偶者の問題は、きょう私が申し上げたとおり、ここを保護せずして、やはりこれは魂が入らない部分だと思うんですね。だって、主債務者と配偶者が丸ごと主債務と保証債務を抱え込んだら、何度も言いますけれども、その家族全部の人生が変わる。これは、第三者が債務保証人になるのとはまた違う、本当に大きなリスクだし、本当に、夫婦という関係に子供があるということはよくあること、ない家庭もあるけれども、そういうことを考えたときに、そういう状況から子供も含めて救おうよということをもう少し私は考えていく必要があると思います。この点についてはこのまま私は仕方なしというふうには到底思えません。 法務大臣、この点について一言、いかがですか。
○金田国務大臣 委員御指摘の点につきまして、お話を伺っておりました。 融資の必要と保証人の保護というのは、やはり両方とも重要ではないか、このように考えております。(発言する者あり)
○山尾委員 ちょっと、なるほどというような答弁では私は受けとめられないのですけれども、また機会があると思いますので、一回議事録なども読んでいただいて、次は、さらに血の通った答弁をいただきたいなというふうに思うところであります。 では、次なんですけれども、今回、債務者から保証人となろうとする者に対して、情報提供義務を負うということが改正案の中にあります。そもそも、この情報提供義務について、私が知っているところによると、日弁連は情報提供義務を債権者に課すことを提案していたと聞いております。改正案では、この義務の主体が債権者ではなくて主債務者というふうになったのですけれども、それはなぜなのでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 提供すべき情報を保有しているのは債務者でございますので、その意味では端的に債務者の義務とするということでございます。
○山尾委員 私が勉強したところによっても、このことについては、提供すべき情報を持っているのは債務者であって、必ずしも債権者は主債務者に関する情報を広く把握しているわけではない、こういう理由があった、こういう御答弁だと思います。 では、その主債務者がこの情報提供義務に違反した場合に、保証契約の効果というのはどうなるんでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 この情報提供義務の実効性を確保する観点から、主債務者がこの情報提供義務を怠った場合には、そのために誤認をし、保証契約の申し込みなどをしたという保証人に保証契約の取り消し権を与えることとしております。
○山尾委員 しかし、その取り消し権には、誤認をして申し込みをしたという保証人の認識のみならず、もう一つ条件がついておりますよね。別に、書いてあることですから、私から申し上げますと、債権者が主債務者による情報提供義務の不履行、虚偽の情報提供の事実を知り、または知ることができた場合に限り、こういう条件がついております。そうですよね。はい、うなずいていただいています。 このことに関する立証責任は誰が負うことになるんですか。
○小川政府参考人 取り消し権を行使する保証人側だと思います。
○山尾委員 そうなんですよね。保証契約の取り消しを主張する保証人が、自分自身が、間違った情報を与えられたり、あるいは隠されたから、誤って、誤認をして保証しちゃったんだという自分の認識を証明するだけじゃなくて、主債務者が情報を提供しなかった、あるいはうその情報を提示した、こういうことについて、債権者がその事実を知っていた、あるいは知ることができた、そのことについても取り消し権を行使する保証人の方が立証しなきゃいけないわけです。 これは考えていただきたいんですけれども、実際に、債権者がいて、主債務者がいて、保証人がいて、保証人がそれを立証できる場合というのはどれだけあるんでしょうか。主債務者がうそをついた、隠したということについて、債権者、あなたは知っていただろう、あるいは知ることができただろうということを、こっちの端っこにいる保証人が立証できるというのは極めてハードルが高いんじゃないかというふうに思うわけです。 なぜなら、さっきおっしゃっていただいたとおり、そもそも契約の際の情報提供義務は、債権者は主債務者の情報を持っていない、主債務者の情報、債務の情報、財産の状況を知っているのは主債務者であるから情報提供義務を債権者じゃなくて主債務者に課した、こういう答弁でした。債権者と主債務者の距離ですらこれだけ遠いんです。さらに、主債務者を挟んだ債権者と保証人の距離というのはどれだけ遠いんでしょうか。 そして、取り消し権を行使したいと思う保証人が債権者の認識まで証明できるというのは立証責任として相当厳しいハードルで、このままでは、幾ら取り消しできるんだといっても、実効性担保に欠けるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○小川政府参考人 もちろん、立証の対象は、知っているという主観的な認識であるとともに、知ることができたということでございますので、それは客観的な状況によって知ることができたはずかどうかというのは決まってくるだろうと思います。そういう意味で、客観的な状況を主張、立証することは十分可能だろうと思います。 とりわけ、実務上の動きとして考えられることでございますが、保証契約が取り消されるリスクを完全に解消しておこうという観点から、要するに、金融機関とすると何でも知っておこうということになりますので、主債務者がどのような情報を提供したのかなどを積極的に確認する実務慣行が形成されることも予測されるところでありまして、そういう状況になりますと、そうであるにもかかわらず情報提供義務違反が生じたという場合には、それを金融機関が知り得るということも想定されるところでございまして、あくまで、やはり客観的な状況が重要であろうというふうに考えております。
○山尾委員 なので、債権者の認識を裏づける客観的な状況について、保証人がどこまでその情報を把握して立証するところまで持っていけるのかという実務上の困難さを私は申し上げているわけです。 やはり、ここの実効性を担保するには私はもう一工夫あり得るのかなというふうに思いまして、難しいのかもわからないけれども、例えば、保証人の側の立証責任は、自分自身が誤った情報あるいは情報を受け取れなかったことによって誤認をして保証契約をしてしまったという、自分自身の認識あるいはそれを裏づける客観的状況については保証人の立証責任の範囲ということで、それは妥当なんだろうと思いますけれども、では、そういうことについて債権者が実際に知っていたか、あるいは知り得る状況にあったのかということについては、立証責任の転換というようなことも保証人保護という観点からは一つの工夫としてはあり得るのではないかというようなことも考えております。 いずれにしましても、質疑時間が終了いたしましたが、きょうは済みません、たくさんの質問を用意して、御答弁も用意いただいていたかと思うんですけれども、まだまだ引き続き、落ちついたいい議論を続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、階猛君。
○階委員 民進党の階です。本日もよろしくお願いいたします。 今の山尾さんの質問、私もちょっとそこに関連する問題意識を持っておりまして、忘れないうちにそこだけちょっと聞いておきたいんですが、山尾さんのおっしゃっていたのは、多分、改正法の四百六十五条の十というところに関する御質問ということでよろしいですよね。この中で、契約締結時、主たる債務者が根保証の委託をするときに、財産及び収支の状況等々を情報提供しなさい、この情報提供したものが間違っていたような場合、その間違っているものだということについて債権者が知り、または知ることができたときは、保証人は取り消すことができるということなんですね。問題は、この債権者が知るとか知ることができたというのを、保証人の側に立証責任を負わせるのは酷ではないかということだったと思います。 私、この問題を解決するための一つの方策は、後で質問もしようと思っていたんですが、公正証書をつくる際に公証人に口授する事項の中に今四百六十五条の十に掲げてあるような情報を全部盛り込んで、公正証書に書き込んでしまえば、それを債権者は当然見るわけだから、後で知らなかったというような債権者側の抗弁を封ずることができるような気がするんですね。だから、口授する事項の中にそういったことも盛り込んでしまえばいいような気がするんですが、ちょっと、まずその点についてお聞かせいただきたいんです。
○小川政府参考人 口授すべき事項は、基本的に法律に書かれた事項でございます。保証の場合と根保証の場合に分けて、法律で四百六十五条の十に定めているところでございますが、実際上の運用として、公証人が公正証書を作成する段階では、当然のことながら保証する意思を確認していくわけですので、なぜ保証するに至ったか、その意味では、主債務者の財産状況がどの程度あるかについて一定の情報提供を受けているかということについての確認はすることになると思います。 この点を、きちんと情報提供を受けたのかということについて検証することは当然の内容だというふうに考えております。
○階委員 情報提供を受けたことを確認するだけじゃなくて、どういった情報を受けたのかということをちゃんと紙に書いて残しておくということにすれば、債権者には当然、公正証書の内容は知らしめられるわけですから、それによって、この四百六十五条の十で保証人が立証責任を負わなくてはいけないという問題をクリアできるんじゃないかなという気がするんですけれども、どうなんでしょうか。単に確認するだけじゃなくて、公正証書に盛り込むということはどうでしょう。
○小川政府参考人 立証の手段を与えるという意味では、一つの方法かとは思います。
○階委員 そういう方法もあり得るだろうということで、まず御提案をさせていただきます。 それと、先ほどの山尾さんの質問で、私も気になるのは、やはり、配偶者が保証人になる場合は公正証書をつくらずともフリーパスで保証してもらえるということについて、私も、これは非常に問題になるんじゃないかなという気がしますよ。 糟糠の妻とかというのがありますね。不遇の時代、旦那さんが事業を立ち上げたけれども、全然もうからない、そういうときに、奥さんも、保証するだけじゃなくて事業にも従事しながら、一生懸命稼いで、それでようやく事業が順調になった。そういう順調になったときに限って、えてして旦那さんは不倫とかするわけですよ。 それで、こういうのをげすと言うと思うんですが、糟糠の妻を見捨てて離婚してしまう。また、そういう離婚するような旦那だから、そんな成功は長続きしないんですよ。長続きしないで、いずれまた事業が失敗する。そうすると、事業が失敗したのでということで、保証人になっている奥さんの方に改めて、あなた、保証人だから保証債務を払ってください、こういう話になった場合、これはまさに踏んだり蹴ったり、私は、平成の踏んだり蹴ったり事件だと思いますよ。奥さんの平成の踏んだり蹴ったり事件。昔、踏んだり蹴ったり事件という有名な事件があったんです。そういうことも実際に起こり得ると私は思うんですね。 だから、私は、配偶者というのをあえて例外としてフリーパスで保証を認めるというのは余りよろしくないんじゃないかなと思うんですけれども、この点について御見解を改めて伺いたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 この制度の説明といたしましては、先ほども申し上げましたように、個人事業主について言えば、経営と家計の分離が十分されていないというような実態、あるいは保証のリスクについても配偶者の方が知り得る立場にあるといったことなどを考慮して、さらに加えて、中小企業団体の方からも非常に強い要望がございましたので、この制度を盛り込んだということでございます。
○階委員 いやいや、私が想定しているケースについて答えてほしいんですけれども。 離婚してしまった場合、しかも相手に帰責事由があるような場合ですよ、旦那さんの方に帰責事由があるような場合、なお配偶者である奥さんに保証履行責任を課すのは、本当に正義にかなうんでしょうか。私はちょっと問題があると思うんですが、そういうのも法務省はしようがないんだと言い切ってしまうんでしょうか。
○小川政府参考人 離婚の前に負った債務について保証の対象になるというのは、これはいたし方ないところだと思いますが、例えば、今お話ありました離婚について言えば、根保証のような場合は、事情が変わったということで特別解約権的な解釈ということで、離婚後発生する債務については負わないという考え方は解釈論としてあり得るとは思います。
○階委員 根保証ではなくて単純保証、特定債務の保証の場合はどうなんですか。
○小川政府参考人 例えば、一定の条件がついているような場合を除けば、やはり、離婚前の債務ですので、保証の対象になるというふうに考えております。
○階委員 それは余りに法務省としては酷な扱いだと私は思いますよ。やはり配偶者というのは、今、離婚も多い時代ですし、いろいろな状況の変化も起こり得るわけですから、例外に含めるというのは、私はちょっと判断としてどうかなと思います。この件については、また後ほど別な観点からお尋ねします。 前回私が質問した続きということで、まず大臣にお尋ねしたいんです。 前回、私の方から、三%の法定利率の見直し条項について説明をさせていただきまして、現在の金融情勢のもとでこの制度がスタートすると、実際には、下方硬直性といいますか、三%が二になったりすることはあり得ないんじゃないかということを大臣にお尋ねして、そういう認識でいいかどうかということを確認したかったんですけれども、大臣は、そのときは、「今の点につきましては、後で事務方にその辺はよく確認をしてみたい」ということで引き取られています。 改めて私の方からも説明しますけれども、仮にこの法案が成立して、二〇一九年の一月一日から施行と、切りのいいところで仮定した場合、これは、二〇一四年一月から二〇一八年十二月の五年間の貸出平均金利、これをもとにして、施行後三年間の見直し時に、その当時の金利水準、正確に言うと、二〇二二年一月一日が今の仮定だと見直しする日になりますから、二〇一七年一月から二〇二一年十二月までの五年間の金利水準、この両者を比較して、一%下がれば三が二になるということはあり得るということなんですね。 さするに、今の金融情勢は、マイナス金利政策もあり、極めて低い状況です。ちょっと試算してみましたところ、施行が二〇一九年一月とした場合、算定の基礎となる二〇一四年一月から二〇一八年十二月の貸出平均金利、これは、今現在の水準がその当該期間の終期である二〇一八年十二月まで仮に続くと仮定しますと、その二〇一四年一月から二〇一八年十二月の平均金利が大体〇・七五%ぐらいになるということです。〇・七五%ということは、既に一%を下回っています。そこから、〇・七五から一下回るということは、マイナスの領域に入ってしまうわけですね。でも、マイナスの領域に入る貸出金利というのは現実には起こり得ないと思っております。 ですから、今回の制度というのは、今の金融情勢を鑑みると、やはり三%から上に行くことはあっても下に行くことはない、こういう制度である、そういうふうに私は理解したんですけれども、これは大臣にも共有していただけるかどうか、まずその点をお願いします。
○金田国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました、今の金融の状況、制度を前提とすればというお話でございました。 御指摘のとおりだと私も思います。
○階委員 ありがとうございます。 ということは、三が下に行くことはないという前提で物を考えていくというときに、法定利率が適用される場面で典型的な例として、遅延損害金を計算する場合と、逸失利益の中間利息を控除する場合と、二つ考えます。 遅延損害金を計算する場合については、先般副大臣もお答えになられましたけれども、余りに三%より低い水準だと、これは債務不履行を助長することになるからよろしくないだろう、これは私も理解します。 ところが、中間利息を控除する局面は、実は、被害回復をする側にとっては、これは低ければ低いほど手取り額は大きくなるということですから、今の金融情勢よりも高い、高過ぎる三%という水準というのは余り好ましくないだろうと私は考えております。 そこで、遅延損害金割合と中間利息控除割合を、今回、わざわざ法律に規定を設けて同じ法定利率で計算しましょうということにしているわけですが、私は、必ずしも同じ割合で計算する必要はないと思うんですね。なぜ遅延損害金割合と中間利息控除割合を同一にしなくちゃいけないのか、この点について御説明いただけますか。
○小川政府参考人 確かに、法制審議会における検討の過程の中でも、中間利息控除に用いる利率は、いわゆる運用利率を参照として、遅延損害金の算出に用いる利率とは別に定めるべきであるという意見もございました。 もっとも、現在の裁判実務におきましては、特に交通事故訴訟や医療過誤訴訟などを中心として、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率が一致すること、これを前提に安定した損害賠償額の算定の実務が形成されていると言えようかと思います。 これは、かつて、中間利息控除に用いる利率を法定利率よりも低くすべきであるとの議論がある中で、最高裁が、平成十七年でございますが、遅延損害金の算出に用いる利率と同様に、中間利息控除に用いる利率も法定利率によるべきであると判断したことを受けたものというふうに考えております。 この最高裁の判断は、法定利率が民法制定当時の貸付金利などを踏まえて定められたことを前提に、そのように定められた法定利率を用いて中間利息控除を一律に行うことが、控除割合の判断が区々になることを防ぎ、被害者相互間の公平を確保し、損害額の予測可能性を確保して紛争の予防も図ることにつながるという趣旨に基づくものであるが、このような趣旨は、改正法案におきましても、法定利率を見直すこととする際に尊重すべきものと考えられるところでございます。 また、実際、運用利率を参照するといいましても、その主体が個人であるか法人であるかによってその割合は大きく異なると考えられますし、運用利率の算定が必要となる期間も、これは個別の事案ごとに、数年であったり、あるいは数十年に及ぶものもあるわけでございまして、それらの差異に応じた合理的な割合を算定することは実際上困難でございます。また、そういった数値が算定困難である以上、引き下げ用の数値として、仮に例えば二%とした場合であっても、制度の趣旨に照らした場合に、果たして合理的なのかどうかということについての説明は極めて困難であると考えられます。 以上のような検討結果を踏まえまして、現状の損害賠償額の算定の実務が合理的なものとして維持すべきものであることを前提に、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率とを同一のものとしたのでありまして、改正案はそういう趣旨に基づくものでございます。
○階委員 いろいろ述べられましたけれども、前半の方で、私が申し上げたように、遅延損害金の割合と中間利息の控除割合を分けるという議論もあったというふうにおっしゃられました。分けたからといって、最高裁の判旨に反するものでもないというふうに私は思っています。 最高裁の判旨によると、先ほど引用された平成十七年の最高裁ですけれども、これによると、通常の利用方法によれば年五%の利息を生ずるということであるとか、法的安定及び統一的処理が必要であるといったことを、当時、五%を中間利息の控除に用いることの根拠として挙げられているわけです。 ところが、この通常の利用方法によれば年五%というのはまさに今の時点では当てはまらないですし、これから法律を改正していく議論をしているわけですから、法的安定とか統一性というのは今この局面では当然変わるわけですから、変わった後、法的安定性、統一性が図られればいいということだと思いますので、必ずしもこの平成十七年の判旨には矛盾するものではないと私は考えております。 そこで、やはり、この三か二かというのは、私、前回も、重要な影響があるんだということを申し上げました。きょう資料で配らせていただいておりますけれども、これは、前回、参考人の黒木先生がお持ちになった資料から抜粋したものの写しが二枚目にあります。 ここで挙がっていますのは、モデル例ということで、二十七歳の男性、仮に月額四十一万ぐらいのお給料をもらっていて、この若さで事故とかに遭われて、四十年、就労可能年数があったとした場合、生活費の控除割合とかを勘案した逸失利益、五%で割り引いた場合だと五千五百五十九万なんですが、仮に三%とすると、この表の下の段で、七千四百八十九万という数字が出ています。確かに、現在の五%に比べれば、三四・七%ふえるので、これはこれで被害者のプラスになることは認めます。 ただ、もし現在の金融情勢を勘案しつつ、かつ、先ほど大臣にも確認したように、三が二になることはないということも踏まえて、最初から二%にしておいたならどういうことになるかというと、三%のときよりもさらに千三百七十四万円もふえて、八千八百六十三万円になるんですね。これは本当に、たかが一%とはいえ、これだけ大きな違いが出てくるわけで、我々としては、ちょっとここは重要なところだと思っております。 二%に逆にしないということになると、先ほど言いましたとおり、この金融情勢下であるということ、それから、引き下げる方向での見直しは事実上あり得ないということから、逸失利益を損害賠償請求する側にとって極めて酷ではないかと思いますが、この点についていかがですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 改正法案において、中間利息控除に用いる利率を年三%とすることにより、ただいまの資料にもございましたように、逸失利益として賠償される額は現在よりも上昇するわけでございます。その意味では、これは損害賠償を請求する者の保護につながるというのが今回の改正の趣旨でございます。 他方、中間利息控除に用いる利率を年三%からさらに低い水準とすることについては、損害賠償額が、今度は、いろいろ評価も含まれるかもしれませんが、著しく高額化することにもつながり、いわば現在の、これは保険も含む安定した損害賠償実務を混乱させるおそれもあるということかと思います。 また、法定利率が三%を下回ることが事実上ないという理由は、現在の市中金利が過去に例を見ない水準で推移しており、実際には法定利率が上昇することしか考えがたいという経済状況にあるということによるものでございまして、そのこと自体を特に取り上げて、当初利率をさらに低く定めるべきものとすることが適切かどうか、この点については慎重な検討を要すると考えております。
○階委員 著しく高額というのは、何をもって著しく高額かというのをはっきりさせてもらわないと困るんですよ。 要するに、私たちが考えたいのは、本来、逸失利益というのは、毎年毎年得られる金額を、それがトータルでどれだけに上るかというのを計算して、それを現在価値に割り引いて一括でもらうわけですから、逆に、もらった側としては、それを毎年毎年運用していって、トータルで見て、四十年間、普通にもらっていれば得られる金額とイコールになればいいわけですね。 今の金融情勢で、もし一括でもらったとして、三%で割り引かれるわけですけれども、一括でもらったものを三%で運用できるかというと、それはないと思うんですよ、実際問題。三%で運用できないということは、逆に言うと、本来もらえるべきものよりも少なくもらっているということにもなるんじゃないですか。 だから、著しく高額というよりも、私の感覚だと、今の金融情勢で三%の割引率を適用されるということは、著しく高額じゃなくて著しく低額だと思うんですが、その点はどうお考えになりますか。
○小川政府参考人 もちろん、そういう見方もあり得るところだと思いますが、先ほど申し上げましたように、基本的には、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率が同一であるということに合理性があるというふうに考えておりますので、著しく低額という評価は当たらないものと考えております。 また、そもそも、逸失利益の考え方自体、いわばフィクションに近いところがあるわけで、先ほどの例にありましたように、四十年先のことについては、もうある意味わからない部分もあるということではないかというふうに考えております。
○階委員 最初の方におっしゃったのは、法定利率を遅延損害金にも、この中間利息控除にも、両方に適用するのは合理性があるということだったんですけれども、まず、そこの認識が私は違うんですね。 前回の質疑の中でも、なぜ三%ということに当初決めたのかという中で、賠償する側がその同じ金額を金融機関などから借りる金利を参考にして決めますという話でした。そこで、遅延損害金の利率は三%ぐらいというのは私はわかるんですね。要するに、手元にお金がない人は、どこかから借りてその賠償金を払わないとどんどん利息が膨らんでくるということで、それで調達する金利が参考になるというのはわかるんです。 一方で、中間利息控除の場合は、そういう貸出金利ではなくて、もらった側の立場に立って、その人が幾らで運用できるか、運用金利の方で考えるべきだと思っています。運用金利を何を見て参考にするか、何を指標にすべきか、これはいろいろ御議論があると思いますけれども、やはり私としては、大体こういった逸失利益が問題になる場合は中長期の期間ですから、例えば十年物の国債の金利とか、そういったものも参考にしながら決めていく。当初の金利としては二%ぐらいにして、その後変動がある場合は、その運用金利である国債金利などの水準を参考にして決めていくというのが、私は合理的なあり方ではないかなと思っています。 いろいろ議論してきましたけれども、まず、遅延損害金割合と中間利息控除割合というのは同一の法定利率を適用しない方がいいんじゃないか、さらにその上で、見直す場合の参照すべき金利も、遅延損害金の場合は調達金利、中間利息控除の場合は運用金利ということで、参照金利も別にすべきではないかというふうに私は考えますけれども、この見解に対する大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○金田国務大臣 ただいままでの前回からの委員の御指摘に対しまして、私は、先ほど民事局長からも説明がございましたが、法制審議会における検討の過程においても、中間利息控除に用いる利率はいわゆる運用利率を参照して、遅延損害金の算出に用いる利率とは別に定めるべきとの意見もあったようでございますが、最終的には、同一のものとするのが適切であるとの結論になった、このように承知をしております。 その理由としては、大きく言えば、現在の安定した損害賠償の実務を混乱させるべきではないという配慮と、中間利息控除では、確かに、運用利率を参照するというふうにいいましても、その制度の趣旨を踏まえた適切な数値の設定が極めて困難であるという理由であったものと認識をいたしております。 委員の御指摘には、先ほどから申し上げていますように、傾聴すべき点もある、このように考えておりますけれども、以上述べました理由に照らしますと、やはり、遅延損害金の算出に用いる利率と中間利息控除に用いる利率は一致させるのが適切であるものと考えるものであります。
○階委員 ちょっと見解が違いますので、私としては承服しがたいところもあります。この点については、修正案を出すかどうかも含め、考えさせていただければと思います。 それから、個人保証の問題についても前回も少し議論させていただきました。 まず、確認として、前回申し上げたとおり、今回、貸し金等債務の個人保証については、それが事業にかかわらないものである場合は無条件でオーケーだということを前回確認させていただきました。 他方で、事業にかかわる債務であっても、要は公正証書があればオーケーなわけです。さらに、経営者とか一定範囲の人間については公正証書すらなくてもオーケーだということで、いわば貸し金等債務の個人保証は原則有効ですよ、こういうたてつけになっていると私は理解しています。 この委員会でもいろいろな方から個人保証の問題点を指摘されていまして、私は、個人保証というのは、原則有効ではなくて原則無効とし、ただ、資金調達上どうしても必要な場合、例えば法人が主債務者で経営者が保証するような場合、そういったごくごく例外的な場合に限って例外的に有効だ、原則無効で例外有効というようなたてつけにする方が私は今の社会情勢にも合っていると思いますけれども、この点について、なぜ貸し金等債務の個人保証を原則禁止にせず原則有効にしたのかということについて、参考人からで結構ですので、お答えください。
○小川政府参考人 保証の問題は、保証人が経営者である場合と経営者以外の者、いわゆる第三者の場合で分けて考えるということが一つの手法かと思います。 経営者の保証につきましては、やはりその必要性ですとか、必要性というのは融資のための必要性であったり、一定の経営の規律づけといった表現もされようかと思いますが、そういった観点からも一般に認める向きが多いのではないかと思います。 そうしますと、議論の中心は経営者以外の第三者の保証の点でございまして、もちろん、経営者以外の第三者の保証については全面的に禁止すべきという意見も法制審の中でもございました。 しかし、経営者以外の第三者によるいわゆる第三者保証の中には、これはエンジェルなどと呼ばれる形のものですが、個人の投資家が事業の支援として自発的に保証することなども現に存在することもございます。こういったことから、第三者保証を全て禁止することに対しては、とりわけ中小企業の円滑な資金調達に支障を生じさせ、金融閉塞を招くおそれがあるとの指摘が中小企業団体からの強い意見として示されたところでございます。 また、保証人がその不利益を十分に自覚せず安易に保証契約を締結するような事態を防止する施策を講ずることができれば、第三者保証を全面的に禁止しなくても、保証人がその不利益の具体的な内容をよく理解した上で、保証契約を締結するかどうかを自己の資力や主債務者との関係その他の事情を勘案しつつ決定することができると考えられるところでございます。 そこで、改正法案におきましては、貸し金等債務の第三者保証を原則禁止するということとはせず、保証人がその不利益を十分に自覚せず安易に保証契約を締結する事態を防止するため、事業のために負担した貸し金等債務を保証する際には、公証人による意思確認の手続を求めるということとしたところでございます。
○階委員 保証人の問題が出てくるのはこの委員会でも指摘されていますが、保証人が知識がなかったり、あるいは誤解に基づいて保証契約をしたような、いわば軽率な保証と言われる場合、それから、立場上やむを得ず、断り切れず保証する情義に基づく保証の場合、この二つの場合が主に保証契約がトラブルになる場合だというふうに理解していますけれども、そうすると、今回の法改正によって、そうした軽率な保証とか情義に基づく保証によるトラブルというのは完全に排除できるというふうに考えていますか。
○小川政府参考人 今回の制度は公証人の意思確認の手続でございますので、これを求める対象となるものにつきましては、少なくとも軽率さ、これは、先ほども出ましたが、保証意思の確認をきっちり公正証書で行うというものでございますので、軽率性という点につきましては解消されると思います。 それから、情義の点でございますが、これはまさに義理人情の問題でなかなか難しいところがございますが、これも公証人の方で重ねて保証意思の確認を求め、保証契約を締結するに至った点などについての確認をし、さらには保証に伴うリスクについても十分説明いたしますので、その点についても一定程度の効果は生ずるものと考えております。
○階委員 私は、だから、一定程度というところは完全にはリスクは排除できないわけで、他方で、資金調達ということの便宜というのは、経営者が保証することは認めているわけですから、そこでほとんどカバーできるのかなと。エンジェルという人については、別に保証という形態によらなくても、出資であるとか物上保証、すなわち担保を提供する、こういったことで対応すればいいわけで、エンジェルがあらわれなくなるから困るというのはちょっと的外れではないかなと私は思っております。 それと、先ほど、配偶者が公正証書をつくらなくても保証人になれる、例外の中に含まれているということを問題にしましたけれども、それ以外にも、公正証書なしで、それこそ軽率性とか情義性の問題をチェックせずに保証人にできるというふうになっている例外の範囲が極めて広いということだと思います。 それは四百六十五条の九にるる書かれておりますけれども、例えば、主たる債務者が法人の場合は、理事、取締役、執行役またはこれらに準ずる者ということで、経営者といえば、普通、株式会社だと代表権のある取締役だと思いますが、代表権のあるなしにかかわらず、およそ取締役であれば、社外取締役であろうと、単なる平の取締役でそんなに責任が重くなくてもフリーパスで保証人になれるというのは、ちょっと余りにも広過ぎるのではないか。まさに軽率性、情義性の問題を生じるのではないかと思っています。 この免除する人的範囲、四百六十五条の九にたくさん掲げられておりますけれども、極めて広くて、私はこれが合理的とは思えないんですけれども、このように広くすることの合理性について御説明いただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 改正法案の中では、保証人になろうとする者が、例えば主債務者が法人である場合のその取締役など、あるいは支配株主であったり、それから主債務者が個人である場合の共同事業者や配偶者ということで、例外的な者を掲げております。これらの者は主債務者の事業の状況を把握することができる立場にあり、保証のリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが類型的に低い者というふうに考えております。 また、中小企業に対する融資の実情として、これらの者による保証は企業の信用補完や経営の規律づけといった観点から有用とされているため、これらの者による保証が融資の前提とされていることが実際にも少なくないわけでございますが、厳格な意思確認の手続を義務づけると時間やコストを要することとなって、円滑な資金調達が阻害されるおそれがあることも否定できません。 これらのことを考慮して例外を定めたものでございます。 なお、先ほどお話がありました代表取締役か取締役かという点ですが、改正法案におきましては、今申し上げましたように、主債務者である会社の事業の状況を把握することができる立場にあり、保証のリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが類型的に低いと言える、そういう趣旨でつくっておりますので、その意味では取締役が公正証書作成の例外となるというふうに理解しております。 要するに、取締役であれば、代表権がない者あるいは社外取締役などでありましても株式会社に対して善管注意義務を負うため、いずれの取締役も会社の事業の状況を把握すべき立場にございます。また、会社の業務執行は取締役会あるいは取締役の過半数をもって決定することとされるなど、これは社外取締役も含めまして、取締役が業務執行の決定に参加すべき立場にございます。 そのため、平取締役や社外取締役でありましても、取締役であれば主債務者である会社の事業の状況を把握することができる立場にあり、保証のリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが類型的に低いというふうに言えようかと思います。そこで、代表権がない取締役の場合でありましても、取締役であれば公正証書作成の例外としたというところでございます。
○階委員 ただし、こういう広い範囲でフリーパスで保証が認められるということになりますと、世の中の流れ、この間も御説明しましたとおり、まずは第三者保証はなるべくやらないようにしましょうという金融庁からの監督指針が出され、そして最近では、第三者のみならず経営者の保証もなるべく頼らないようにしましょう、こういう時代の流れがある中で、まさに今回の改正法も社会、経済の変化に対応しましょうという改正なわけだから、むしろ保証に頼らない方向の改正をすべきなのに、一昔前に戻ったような、経営者のみならず平取締役、社外取締役にも保証責任を課すことを法律が容認する内容になっているわけですね。 こういう、そもそもの今回の法改正の大目的との兼ね合いで、私は、このような規定ぶりというのは整合しないのではないかと思います。その点について、どのように見解をお示しになりますか。
○小川政府参考人 基本的には、個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立は我が国社会において極めて重要なものであるというふうに認識しております。 お話にございましたように、金融庁は、金融機関向けの監督指針において、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする旨を明記し、自発的な意思に基づく申し出がある場合といった例外を除きまして、第三者との間で連帯保証契約を締結しないこととしております。これは、金融機関に対する監督を通じて、第三者保証と言われる経営者以外の保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立を図るものだというふうに理解しております。 他方で、改正法案におきましては、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するため、事業のために負担した貸し金等債務について個人が保証人となるには、原則として公証人による意思確認の手続を経なければならないとし、そのような手続を経ない保証については無効ということとしております。 このように、監督指針も改正法案も、要するに、行政的な手法を通じたものであるか民事上の基本的なルールに基づくものであるかに違いはあるものの、いずれも保証契約については、契約自由の原則に委ねることとはせずに、保証がもたらす弊害を念頭に、不健全な保証を抑止していこうという趣旨のものというふうに理解しております。 したがいまして、基本的には、監督指針などといった行政の動きと改正法案とで方向性に違いはないものというふうに考えております。
○階委員 方向性は同じ方向を向いているにしても、ベクトルの方向は同じでも、ベクトルの大きさが違うような気がするんですね。こちらの方が短いと思いますよ、ベクトルの長さが。だから、やはり現代の経済社会情勢に合ったというためには、もう一歩踏み込んだ保証の規制ということも考えなくちゃいけないかなと思っております。 今、公正証書のお話も出ましたので、資料の三ページ目を見ていただきたいんです。 先ほど来出ているような、保証人になろうとする者が公証人に口授すべき事項について、ここの規定に書かれております。保証契約と根保証契約でちょっと分かれておりますけれども、先ほど言ったように、この口授すべき事項には、山尾さんが取り上げた四百六十五条の十でしたか、こういった情報も口授して、それを書面に残すべきではないかとも思います。 また、もう一つあえて挙げるとすると、次の四ページを見ていただくと、今回改正の対象となった錯誤の条文、九十五条も挙げられていますが、いわゆる動機といいますか、「表意者が法律行為の基礎とした事情」、こうした事情に関することも公証人に口授をして、その内容を書面に書きとめておいたりすると、この事情に錯誤があった場合の取り消しというのも債権者側が知り得ることになりますから、これは取り消しがやりやすくなって、保証人の保護には資すると思うんですね。 私は、そもそも公正証書をつくればいいという立場には立ちませんけれども、公正証書をもしつくるとすれば、今申し上げました四百六十五条の十に掲げてあるような情報であるとか、この動機の錯誤に関する事情であるとか、そういったものも入れておかないと不十分ではないかなという気がしております。 なぜこの程度の、この程度のというのは、改正法の今の三ページ目の範囲の情報にとどめたのかというところについて教えていただけませんか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 先ほども申し上げましたように、四百六十五条の十の情報提供義務の点ですとか、あるいは保証に至った経緯、それから保証に伴うリスク、具体的には、例えば保証債務を履行できなければどういう状態になるかということについても、公証人とすると、保証人となろう者が十分に理解しているかどうかということを見きわめることが必要でございます。その意味で、説明を求めることはさまざまございます。それによって、十分に理解しているかということを確認するというわけでございます。 ただ、他方で、制度のつくり方として、法律上の口授すべき、口頭で述べなければならない事項そのものにつきましては、いわば法律の定める保証の内容ですとか、あるいは根保証の場合の極度額ですとかそういった特別なもの、さらには、連帯保証の場合は連帯保証についての特別なものということで、具体的な口授する事項そのものにつきましては、いわば法律の内容を求めるということで、そこも区別をしているわけではございます。
○階委員 要するに、口授した内容と書面にする内容は区別している、法律上はそこは分けて考えるということをおっしゃっているわけですか。 私の法律の文言を見た理解だと、例えば今の三ページ目の資料でいいますと二項の二号になるんですか、「公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。」というくだりがありますね。だから、保証人になろうとする者が言ったことは基本的に全部筆記して、それが公正証書になるというふうに理解したんですけれども、違うんですか。
○小川政府参考人 この条文の中の口授すべき事項というのは、公正証書に記載すべき事項ということになります。 ただ、現実には、公証人は、この記載すべき事項だけを聞き取るわけではなくて、先ほども申し上げていますように、リスクについての、どういうリスクをしょうことになるのか、あるいはどういう経緯なのか、さらには情報提供義務の内容についても説明を求め、いわばその答えを確認し、検証していくわけでございます。 委員御指摘のようなそういった点、いわば法律が求める記載事項以外の点についても公正証書に付記していくかどうかという点については、これは実務的な観点から少し検討させていただきたいと思います。
○階委員 いや、それは結構重要な話で、よく見ると「口述を筆記し、」とかと書いていますから、確かに一号の方は「口授すること。」ということで、表現もちょっと違いますね。 だから、ぜひ、保証人といろいろなやりとりをする中で、例えば、保証人は、主たる債務者から絶対迷惑はかけない、これだけ巨額の資産を持っているというような説明を受けたので保証するに至りました、こういったこともちゃんと書面に残しておくと、まさに、それがうそだった場合は錯誤の取り消しとか、あるいは四百六十五条の十に基づく取り消しとか、そういうことが容易に援用できると思うので、この口述を筆記するときにそういった中身も筆記していただく、これはぜひ実務上やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 検討させていただきたいと思います。
○階委員 そういうことにして、多分議論としては、私たちは、経営者以外の保証は全面的に禁止すべきだという立場に立ちます。ところが、今回の政府案は、原則有効として、一定の場合は公正証書をつくりましょうということだと思います。その両者のせめぎ合いの中でどうなるかということだと思うんです。 改めて大臣にお聞きしたいんですが、私たちの立場である、経営者及びこれと同視できる者以外の個人保証については原則禁止すべきではないかと我々は考えるんですけれども、この点について、大臣の考えもお願いします。
○金田国務大臣 委員の御質問でございます。お答えいたします。 これまで法務当局から述べてまいりましたとおり、法制審議会における審議の過程では、事業のために負担した貸し金等債務を経営者及びこれと同視することができる者以外の第三者が保証することについて、これを全面的に禁止すべきであるかどうかについても検討が行われたわけであります。そして、第三者保証の中には個人が自発的に保証するものなども現に存在するということのために、第三者保証を全て禁止することに対しては、特に中小企業の資金調達に支障を生じさせることになる、金融閉塞を招くおそれがあるとの指摘が中小企業団体からの強い意見として示されたわけであります。 そこで、改正法案の立案に当たりましても、中小企業の円滑な資金調達に支障が生じないようにしつつ、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するべく、両者のバランスをとることが重要であると考えられたわけであります。 こうした観点で、改正法案におきましては、第三者保証を全面的に禁止する措置は講じないこととする一方で、保証人がその不利益を十分に自覚せずに安易に保証契約を締結する事態を防止するための措置として、事業のために負担をしました貸し金等債務を保証する際には、原則として公的機関である公証人による意思確認を経ることとしたものでありまして、現在の中小企業金融の実情等に配慮をした適切な内容になっている、このように認識をしておる次第であります。
○階委員 この点については、隔たりがある部分ですので、さらに議論を尽くしたいと思います。 まだまだいろいろ聞きたいこともありますが、そろそろ時間なのですが、あと一点だけ聞かせてください。 民法九十条、公序良俗の規定がありますけれども、微妙に修正が施されていますね。今までは「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」となっていたんですが、今回は「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。」ということで、「事項を目的とする」というのが抜けております。 これはなぜなのか。何か、文言だけを見ると、例えば振り込め詐欺をやる目的でどこかのアパートの一室を借りた、こういうのは、今までの文言だとまさに公序良俗に反する事項を目的とする賃貸借契約で無効になりそうなんですが、新しい文言だとそういうのはどうなのかなとふと思ったものですから、この削除の趣旨を教えてください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 現行法第九十条によって無効とされますのは、公序良俗に反する事項を目的とする法律行為と規定されておりまして、その文言上は、これは「目的とする」というふうに書かれていますが、この場合の「目的」というのは法律用語としては内容ということでございますので、法律行為の内容が公序良俗に反するものが対象とされているというのがむしろ現行法九十条の読み方だというふうに考えております。 しかし、判例は、例えば賭博の用に供することや賭博で負けた債務の弁済に充てるという動機のもとで行われた金銭消費貸借契約のように、法律行為の内容自体は公序良俗に反するものではない事案においても、その動機を相手方が知っている場合には法律行為を無効としておりまして、民法制定以来の解釈、運用を通じて、法律行為の内容だけでなく、法律行為が行われる過程その他の事情も広く考慮して無効とするか否かが判断されるようになってきております。 そこで、改正法案においては、このような裁判実務における判断の枠組みを条文上も明らかにするために、「事項を目的とする」という文言それ自体を削除いたしまして、端的に、公序良俗に反する法律行為を無効とすることとしております。
○階委員 私も昔そんなふうなことを勉強しているときに聞いた気がしますけれども、ただ、文言がひとり歩きすると、さっき言ったような懸念もあるわけで、そのあたりは注意された方がよろしいかと思います。 以上で終わります。
○鈴木委員長 次に、藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。 きょうは、私は、約款の問題について質問をいたします。 ネット販売から保険契約など、まさに身近な商品から命や健康にかかわる契約にまで対応されているのがこの約款であります。ところが、約款というのは、情報量や交渉力に優位にある事業者がみずからに有利な約款をつくって、消費者の側は、事実上交渉の余地もなくそれを契約のもとにせざるを得ないということが多いわけであります。 配付資料をお配りさせていただいております。若干字が小さくて恐縮なんですけれども、内閣府がこの約款について行った調査であります。 百六十三の業者に対して二百二十五の約款を調べているということで、なかなかリアルだなと。 例えば三ページの下の方には、インターネットサービス契約で、「運営者は本サービスへの表示をもって、会員の承諾を得ることなく、いつでも料金規定の変更を含む、本規約および諸規定の変更を行うことができます。」。本当に一方的に料金含め変えられるよと。 あるいは、七ページには、これは賃貸借契約なんですけれども、真ん中あたりにあるんですが、「本契約事項の一つたりとも違反した場合は、乙は甲に何らの催告をしないで本契約を直ちに解約し、乙は無条件で明渡すものとする。もし乙がこれに従わない場合は、甲が勝手に本物件内に入り、乙の遺留品その他一切の物品を処分するも、乙は異議なきものとする。一旦処分された後は如何なる理由あろうとも返還しない。又それらの物品の片付け、処分等に要した費用は乙負担とする。」。 九ページには、加盟店契約で、下の方ですけれども、「甲は乙より支払われた加盟金、その他の料金等はいかなる理由があろうとも一切返還しない。」というようなこともあります。 これを見出すと大変なんですけれども、要は、契約者が一方的に契約内容を変更できるとか、それに対して消費者は異議なく承諾したと擬制する条項だとか、消費者の解除権は制限するんだけれども、一方で事業者はいつでも解約できますよというものだとか、あるいは損害賠償についても、事業者の損害賠償は上限を決めて制限する、あるいはそもそも清算義務を一切免除しちゃうとか、その一方で消費者には損害賠償義務を加重するとか。 まあ、何というか、余りに不公正な条項が横行している。資料を見ていただければ、理由のいかんを問わずとか、いかなる理由があってもとか、そういう表現が非常に目立つわけであります。こういう状況があるからこそ、本法案は、初めて民法に約款を盛り込むということに踏み出されたんだと私は認識をしております。 このもとで起こっている被害もちょっとだけ紹介したいんですが。国民生活センターに寄せられている被害は、例えば保険会社から勧められて、こっちの方がいいですよというので、がん保険からがん特約のある医療保険に切りかえた、ところがその直後にがんと診断されて給付を請求したんだけれども、がん保険から特約つき医療保険に切りかえたときに免責期間というのができてしまって、それに該当するからあなたには払いませんということを言われたと。保険会社から言われたからかわったのに、その免責期間の説明はなくて、一方的にその特約なるものに基づいていわゆる給付金が払われない。こういうようなことが起きたりしましたし、中古品を購入した直後にキャンセルしたら違約金が何倍もとか、それは割合はいろいろなんですが、物すごい違約金が請求されたとか、あるいは美容クリニックで、お医者さんでなくカウンセラーに相談して植毛の手術の契約をした、しかし、その後セカンドオピニオンを受けて解約を申し出たんだけれども前払い金は払わないということを言われたとか、こうした被害が国民生活センターには多数寄せられております。 大臣にお聞きしたいんですが、こういう実態があるからこそ、今回、民法典で約款というところに足を踏み出されたという認識でよろしいでしょうか。
○盛山副大臣 私の方から、まずお答えをさせていただきます。 今先生御指摘のとおり、定型約款、こういったことについていろいろな被害があるというのが、今回の民法の中にこういった約款というものを置く根拠づけ、大変大きな背景というのは、先生御指摘のとおりでございます。 それぞれの個別の事業法その他で定めをしているものもあるんですけれども、それ以外のものというのもやはり現在多数存在しているものでございますので、今おっしゃられたような、御指摘のような被害その他も起きている、こういうことでございます。
○藤野委員 この条項、不当条項と言われるような条項なわけですけれども、これはどうやって規制していくかという点で、法制審ではかなり議論がされたと認識をしております。その際、諸外国で、不当条項リストというものをつくって規制していこうというやり方、リスト化していくやり方というのも紹介されております。ドイツ民法やフランスの消費法典、EUの消費者の権利に関する指令案など、非常におもしろいなと思っております。 それらの特徴といいますのは、共通しているのは、不当条項リストを二種類あるいは三種類に分類する。例えばフランスの場合は、ブラックリストというものとグレーリストというのに分けまして、ブラックリストの方は反証の余地なく無効、これに対してグレーリストは、反証の余地は認めるけれども、その立証責任は事業者にあるということなんですね。 ちょっとこれは法務省にここだけ確認したいんですが、こういうことが法制審で議論された、資料も出たということ、それだけお答えください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 以上の点は議論されております。
○藤野委員 私も資料を読ませていただきました。 フランスの消費法典、これはR百三十二の二条というらしいんですが、ここにはこう書いてあるんですね。事業者と非事業者または消費者の間の契約において以下のような目的または効果を持つ条項は、事業者が反証を提出した場合を除いて、濫用的であると推定されると。ですから、事業者が一定のグレーな条項について、ある意味直ちにブラックだ、無効とするのではなくて、反証を認めるということで、硬直的な運用ではない、バランスをとりつつも、しかしその際の立証責任は事業者ですよということであります。 私は、約款をめぐる情報量やさまざまな力関係を考えれば、立証責任を事業者に負わせるというのは一つの知恵だなというふうに思いました。 法務省にお聞きしたいんですが、なぜ検討したのにこれが入らなかったのか、主にどの団体がだめだと言ったんでしょうか。
○小川政府参考人 今御指摘ありましたように、ブラックリストの問題ですとかグレーリストの問題なども議論されております。 もちろん、いろいろ議論はございますが、グレーリストを設けることにつきましては、当事者は、形式的にグレーリストに該当していれば、それが不当条項には該当しないと確信を持って判断することができない限り、無効とされるリスクを回避するという観点から、その条項をできるだけ契約に用いないこととせざるを得ず、これによって取引に過度な萎縮効果が働くおそれがあると懸念する意見が強うございました。こういった懸念は、事業者団体の方から主に出されたところでございます。
○藤野委員 反証というのは能力を持っていればできるわけで、過度に萎縮するなんというのは、全くそれはかみ合わないわけですね。 実際、日本でも、公正取引委員会がかつてつくっていたガイドライン、独禁法上のガイドラインの一つである特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針、こういうものがかつてあったんですが、ここには、黒条項、ブラックですね、灰黒条項、灰色と黒の間の条項、灰条項、グレー条項、こういう分類があったわけですね。 契約の世界の中でも約款の世界というのは、力関係という点でいえば、私は独禁法に親和性があるなというふうに思っているわけですが、つまり、日本でもこういうのがあったわけですから、十分可能な制度だというふうに思うわけです。しかし、それが、事業団体、経済界の反対で今回は実現しなかった。経済界としては、こういう立証責任というものを負うのが嫌だったんだろうと思うんですね。 大臣、しかし、ちょっとお聞きしたいんですが、こういうリストにあるように、いかなる理由があってもとか理由のいかんを問わずとか、ある意味ブラックな条項をさんざんつくっておいて、自分たちは立証責任は嫌だと。これは随分勝手な主張だなというふうに私は思うんですが、大臣、率直な御感想はいかがでしょうか。
○盛山副大臣 先生おっしゃるように、その事業に対するいろいろなノウハウその他、力関係も含めて、契約者たる相手方の消費者と大きな力関係、差があるじゃないかというのはそのとおりかと思います。ただ、これもいろいろな、ケース・バイ・ケースというんでしょうか、事業だとか、その会社によってさまざまなケースがあろうかと思います。 特に今、我々の法体系におきましては、公益事業その他のものにつきましては、それぞれの事業法で、標準約款その他の根拠も設けたりもしております。法制審議会でもいろいろな形で議論いたしまして、定型約款の内容を理解しないままに内容に拘束されるというその方の利益をどのように保護するべきかということを議論した結果でございますけれども、今回、このような形で民法の中に約款を設ける、これ自体についても大変大きな議論があったところでございますが、そんなふうに落ちついたものでございます。
○藤野委員 結果として、今回はこうしたリスト形式は実現しなかった。これが到達点だということだと思うわけですが、しかし、やはり今後さらに、この不当条項への規制のあり方というのは、これは終わりでなく、もっと豊かにしていく、あるいは国民にわかりやすくしていく。今回の法改正の最大の趣旨は、国民一般にわかりやすい民法をということでありますから、そのリストというのは非常にわかりやすいわけであります。ぜひ、こういう方向も検討していただきたい。大体、萎縮効果とおっしゃっても、ヨーロッパではばんばんやっているわけです。本当にそんなことがあるのかというのもしっかり研究していただいて、ぜひ今後取り入れていただきたい。 その意味で、今度は大臣にお聞きしたいんですが。 今回、初めて民法で不当条項が規制の対象になった、これは第一歩だということだと思うんですが、これで終わりではなくて、今後も、今回の不当条項の分野でも考え方をさらに発展させていく、そういう姿勢が大事だと思うんですが、大臣、そういう姿勢で臨まれるんでしょうか。
○金田国務大臣 委員御指摘の点については、例えば経済団体でもさまざまだと思うんですね。良好な企業活動というものもあろうと思います。したがって、そういうものを尊重していくという場合も必要だ、こういうふうに思うわけであります。 ただいまの質問に対しましては、一般法である民法において対応すべきものか否かという観点も踏まえながら、やはり改正法案施行後の定型約款を利用した取引の実情というものを注視していくことで対応をしていきたい、このように思っております。
○藤野委員 まさにこれは、国民の身近な暮らしから命、健康にかかわる大変重要な分野でありますので、ぜひそこは注視をしていただいて、これは第一歩なんだが、さらに前に進めていくという姿勢で臨んでいただきたいというふうに改めて要請させていただきたいと思います。 その上で、先日の参考人質疑で日弁連の黒木参考人からは、この約款について、大変重要な条文であることは間違いないので内実について立法提案者である法務省も含めて議論していただきたい、中身はまだこれからだという御要望をいただいたと認識しております。これは法務省だけでなく、まさに当委員会の責任も大きいなと感じているわけです。 そこで、幾つか質問させていただきたいと思っております。 まず、組み入れ要件。いわゆる五百四十八条の二第一項で、約款を見ていないことが多いんだけれども契約内容に組み入れるという規定があるわけですが、これは法制審の議論では、契約締結前に内容を開示させたらどうかとか、認識可能性というものを要件にしたらどうかとか議論はあったんですが、これは全部入りませんで、かなり緩い形で組み入れることが決まっているということなんです。 しかし、これによって立場の弱い消費者が知らないものに拘束されるがままという状況は起きないことが必要だと思うんです。そのための担保として、条文上は明文として規定はされていないんですけれども、事業者には、定型約款の重要部分について、信義則上の情報提供義務や説明義務があると解釈すべきだと思うんですが、法務省、この解釈で間違いありませんか。
○小川政府参考人 説明義務の点でございますが、まず、説明義務としては、例えば保険業法などのいわゆる業法の中には、顧客保護の観点から、事業者に対して契約を締結する際の説明義務を課しているものがございますので、こういったものは、事業者は所定の説明義務を果たす必要がありますので、今回の改正法においても、そのことについては、当然のことながら変更はございません。 また、裁判例におきましては、民法第一条第二項の定める信義則を根拠として、契約の一方当事者が相手方に対して、契約を締結するか否かの判断に影響を与える一定の事項について説明をしなかったことにより相手方が損害を受けた場合には、当事者の一方が損害を賠償する責任を負うとしたものがありまして、これは事業者に説明義務を課したものと理解することができようかと思います。 定型約款を利用した取引についても、個別の事案に応じた解釈によって、事業者側に説明義務が課されることはあり得るものと考えられるところでございます。 改正法案においては、一定の要件のもとで、定型約款の個別の条項について当事者が認識していなくても合意したものとみなすこととしておりますが、このような説明義務を履行する必要がなくなるものではないというふうに考えております。
○藤野委員 信義則上の義務はあるということでありました。 組み入れを緩やかに認めたわけですから、これはやはり重要な部分についてのそうした義務を果たしていくというのは当然必要だというふうに思います。 そして、もう一点。組み入れを認める、みなしていくというこの規定とセットの問題として、しかし、そうはいっても、みなし合意として認めるには余りに不当だということで、除外規定というものも五百四十八条の二の第二項に設けられております。 条文を読みますと、いわゆる不当条項だけを対象としているようにも見えるんですが、不当条項だけではなくて、いわゆる不意打ち条項ですね、通常予測しがたいような内容が盛り込まれているという不意打ち条項についてもこの条文で対応できる、適用される、こういう理解でよろしいですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 改正法案におきましては、相手方にとって負担となるような条項、すなわち相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する定型約款の個別の条項については、両当事者間の公平を図る基本原則である信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるときは、合意をしなかったものとみなすこととしております。 定型約款を利用した取引においては、画一性が高い取引であることなどから、相手方である顧客においても、約款の具体的な内容を認識しようとまではしないのが通常でございます。このような特質に鑑みますと、相手方である顧客にとって、客観的に見て、予測しがたい条項が置かれている場合において、その条項が相手方に多大な負担を課すものであるときは、相手方においてその内容を知り得るようにする措置を定型約款準備者が講じておかない限り、信義則に反することとなる蓋然性が高いと考えられるところでございます。 このような定型約款を利用した取引の特質が考慮されることをあらわすために、五百四十八条の二の第二項におきましては、定型約款の個別の条項が信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるか否かについての考慮事由として、「定型取引の態様」という表現を用いております。 以上申し上げましたように、委員御指摘の、いわゆる不意打ち条項でございますが、「定型取引の態様」という文言を入れたという点から見ましても、改正法第五百四十八条の二第二項の規定によって排除され得るものと考えているところでございます。
○藤野委員 何か、いろいろやっておられますけれども、やはり不当条項だけでなく、議論があって、不意打ちであっても不当でなければいいとか、不当であっても不意打ちでなければいいとか、そういうことではなくて、両方、この条文で対応していくんだということだというふうに思うんですね。 ですから、そこは、今の答弁でうなずいておられますので、確認されたと。ちょっと、もう一回確認しますけれども、大丈夫ですね。
○小川政府参考人 いわゆる不当条項と不意打ち条項、いずれも含むものでございます。
○藤野委員 そして、約款の変更についてもお聞きをしたいと思うんです。 この変更が緩やかに解されてしまいますと、まさに相手方はもう極めて不安定な立場に置かれる、この点については、産業界からも法制審でかなり意見が出されたと認識をしております。 法務省にお聞きしたいんですが、約款の変更については裁判例もまだそれほど多くない、ですから、これからの実務が大事になってくるわけで、法務省としても、この安易な変更を認めないように厳格に解釈、運用がなされるようにさまざま努力していく、そういう立場でよろしいですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 変更の可否の判断基準という点でございますが、変更に係る事情に照らして合理的な変更であるときという要件がございます。 その点につきましては、事業者側の事情のみならず、相手方の事情も含めて、変更に係る事情を総合的に考慮しなければならないものでありまして、かつその判断は客観的に見て合理的でなければならず、事業者にとって……(藤野委員「合理性を厳格にやるかどうかですよ」と呼ぶ)合理的なものと言えれば言えるわけでございます。 そういう意味では、一方だけのものではなくて、事業者側、相手方双方の事情も含めますので、適切な判断がされるということでございます。
○藤野委員 いや、違うんです。私が聞いたのは、変更というものが、それこそつくった人が勝手に変更すると極めて不安定になるから、変更については厳格に解釈、運用するべく法務省としても力を尽くすのか、こういう質問です。
○小川政府参考人 もちろん、変更はそれ自体もともと例外的なものでございますので、厳格に運用されることは適当なことだというふうに考えております。
○藤野委員 ちょっと一つ具体的に聞きたいんですけれども、その同条、五百四十八条の四には、さまざま合理性とかいろいろある中で、「その他の変更に係る事情」という文言があるんですね。これはちょっと抽象的なんですけれども、事前にお聞きしましたら、例えば不利益な変更、消費者にとっての値上げとか義務の加重があっても、ほかの条項で契約からの離脱とかが代償措置として規定されていれば自分で権利を守れるということで、そうしたことが、このその他の事情に入るというような説明もありました。 しかし、例えば、解除で契約から離脱する際に違約金だなんと言われて、先ほど言ったように消費者が違約金を取られるということであれば、これはもう大変なことで、そうしたことがない、まさに、他の条項においても消費者の立場でそうした事情が、合理性が判断される、そういう理解でよろしいですか。
○小川政府参考人 ただいま御指摘いただきました例に即して申し上げますと、定型約款の変更を望まない取引当事者に契約を解除する権利が付与されていることは、その取引当事者が契約を離脱することを可能とし、その負担を軽減する効果を有するものであるため、定型約款の変更の可否を判断するに当たっては、変更を肯定する方向で考慮され得る変更に係る事情でございます。 しかし、定型約款の変更を望まない取引当事者に契約を解除する権利が付与されていたとしても、解除によって過大な違約金を支払わなければならないこととされているなどの事情がある場合には、その権利が実質的には確保されているとは言えないというふうに考えます。 したがいまして、このような場合には、解除する権利が付与されていることを定型約款の変更を肯定する方向で考慮することはできないというふうに考えております。
○藤野委員 今のは一つの例ですけれども、そうした形で、実質的に消費者側の権利というものを含めて合理性の判断がなされるような解釈、運用をぜひ法務省も広げていく、そのために、周知徹底に大いに力を尽くしていただきたいと思っております。 最後になりますけれども、大臣、今回、経済界のいろいろな抵抗で抜け落ちた面もたくさんあります。黒木参考人は、先日、こうおっしゃっておりました。事業者の方はこれを狭く解するべきだとおっしゃるに決まっていますので、そのせめぎ合いというようなところもあるとおっしゃっておりました。 大臣、今、このせめぎ合いの中での審議がやられております。ですから、今後、今のような厳格な解釈、運用に向けて審議を充実させていくという点につきましての大臣の御決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○金田国務大臣 私どもも、委員御指摘のような思いを持って、丁寧かつ速やかに審議を進めていきたい、このように思っております。
○藤野委員 質問を終わります。
○鈴木委員長 次に、木下智彦君。
○木下委員 日本維新の会、木下智彦です。 きょうもお時間をいただきまして、ありがとうございます。大臣、半ごろまでお時間があるということなので、なるべくぱぱっと質問させていただきたいと思います。 きょうは、民進党さんもずっとお話しされていましたけれども、債務保証、第三者保証であるとか、保証制度について主に質問させていただきたいというふうに思います。 いろいろと話を聞いておりますと、いろいろな形で保証人の保護という方策が拡充されていく、これ自体は特に異論のないところだというふうに思っているんですね。 いろいろと前々から私の方からお話しさせていただいていますけれども、法制審議会でずっといろいろな議論がされてきた。読んでいると、すごい多岐にわたるので、読み応えもあって、内容も相当な議論がされているなというふうに感じて、その中で、この保証人の保護に関してお話があるところで、きょうも話をしていたんですけれども、経営者もしくは経営者の配偶者、そういうふうなくくりでお話をされています。 よくよく見てみると、これは、経営者というふうに言っていますけれども、経営者等というふうな、そういう形になっているかと思うんですね。 それは何でだろうなと思って見てみると、細かく書いているのをずっと見てみると、事業用融資の第三者保証の制限というところで、経営者だけじゃなくて、理事だとか取締役だとか執行役だとか、そういうところも含まれているというところも含んで経営者等というふうになっているんだなと思って見ていたんです。経営者等となっているんですけれども、そもそもは、恐らく経営者というところから話が始まっているんだなというのも、これは法制審議会の中でわかってきた。 そこで聞きたいんですけれども、今回こういう形で、ある種、経営者等という形にして、ある程度幅を持たせているんですけれども、そもそも、話をしていくその過程において、経営者の定義ということ自体が恐らく議論にあったかと思うんですね。 それで、ちょっと聞きたいんです。 そもそもは、その経営者の定義というのはどういうふうに考えられていたのか、もしくは、今回のこの法律の中で、経営者というふうにしてしまうと定義づけが非常にこれは限界があるということで経営者等という形にしたんだと思うんですけれども、そこも含めて、少し突っ込んでその辺を教えていただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 法制審議会における審議の過程におきましては、事業資金の貸し付けについての個人保証は、いわゆる経営者によるものを除いて制限するという考え方をとることを前提として、経営者の範囲を法律上具体的にどのように定めるべきかが検討されました。 ここで、いわゆる経営者による保証については制限が必要でないと考えられる根拠は、経営者が主債務者の事業の状況を把握することができる立場にあり、保証のリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが類型的に低いと言えるほか、中小企業に対する融資の実情として、企業の信用補完や経営の規律づけといった観点から有用とされているためでございます。 したがいまして、経営者という考え方は、以上申し上げたところからむしろ考えていくというのが当時のアプローチでございます。
○木下委員 もともとはそういう考え方だったんだろうと思います。これはわかります。 ただ、議論の過程の中で、ちょっとそこの話が欲しかったんですけれども、この中にあるような、理事だとか取締役だとか執行役だとか、総株主の議決権の過半数を有する者等とか、個人である場合は共同事業者または主たる債務者の行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者、この辺も全部含めてというふうになっていったわけですよね。 結局、一くくりにできなかったということなのかなと私は思うんです。一くくりで経営者と最初は言っていたんだけれども、現実を見てみたらそうじゃなかった、それじゃ限界があったよね、そういうことを示しているのかなというふうに思っているんですけれども、そういう解釈でいいんですか。経営者と一くくりでやっていこうとしたんだけれども、やはりちょっとそれができなかったのか、それとも、そもそもそういうことじゃないのか、ちょっとその辺も含めて教えてほしいんです。
○小川政府参考人 お答えいたします。 もともと経営者という概念自体が、よく私ども、いわゆる経営者という言い方をするんですが、具体的に、もちろん企業の形態もさまざまでございますし、場合によっては個人事業の方もいらっしゃるわけで、そういう意味では、これが経営者だという概念を決めるのはなかなか難しいところがございます。 そういう意味では、一般に、私どもも、いわゆる経営者の概念についてどこまで含めていくかということを検討したということだと思います。
○木下委員 そうですね。恐らくそういう話になっていく。ただ、それで、法律で何とかして落とし込んでいかなきゃいけないということだったと思うんです。 ちょっと時間がないのであれなんですけれども、そもそも、そこまでして、経営者等ですね、いわゆる経営者と言われるものだけを切り出してまで、保証の部分を、この範囲にならないよ、公証人までわざわざ行ってもらうどうこうとかいうふうな保護をしなくてもいいよという例外をここでつくっているわけですね、そんなことまでするんだったら、保証自体、全部一律同じような決め方をしたらいいんじゃないかなというふうに私は思うんです。 だって、考え方によったら、どこまでがいわゆる経営者に当たるのか、もしくはそれに関連する、関連すると言ったらまたここも難しいんですけれども、切り方が相当難しい、だったら、一々こんなところで、公証人の前でその意思を確認する人が、どうこうとかというのが誰で、誰がどうこうって、全員、公証人の前に行けばいいんですよ。何でわざわざこんなことをするのということを思うんです。 そもそも、これが百二十年間変えられなかった。それで、これから改正をしよう、時代に即してやろうと。時代に即してやろうというふうにして考えたときに、これから先、突き詰めていくと、では、この経営者の定義はどうなのとか、どこまでがどうで、どこまではしなくていいのか、これはいろいろな形が、考え得る以上のものが出てくる可能性があるというふうに思うんです。 だったら、もう一律、意思確認とすればいいじゃないかというふうに私はちょっと思っているんです。もしくは、もっと根本からいうと、債務に関する保証なんて、第三者、個人にさせることは一々しなくていいんじゃないかなというふうにちょっと思っているんですけれどもね。 余り長く言うとあれなので、もう次の話をしちゃおうかなと思っているんですけれども、もう一つあるのが、保証人のところで、貸し金等の債務ですね、そこはいろいろと保証人の保護というふうにされていると思うんですけれども、賃貸借契約について、私、ちょっと聞きたいなと思っているんです。 これはちょっと聞きにくいなというふうには思いながら、実例というのか、私が経験したことを踏まえながら話をしたいんですけれども。 今回の法律で保証人の極度額の定めが入ってくる、今までなかった。前置きを言うのを忘れました。例えば、どこかの部屋を借ります、賃貸借契約を結びます。そのときには必ず連帯保証人を立てるように大体されているんですね。定型フォームになっています、大体大きな不動産会社が持っていたりとかするところと契約するときは。そこの連帯保証人というのは、今の世の中では無限責任なんだ。だから、これはもう根保証と同じなんですね。 私なんかが普通に自分の家をサラリーマン時代に借りようとすると、大体、賃貸契約というのは二年間だと。二年間だけれども、それに連帯保証人をつけなきゃいけない、これを悩んじゃいまして、無限責任の連帯保証を誰にするか。やむなく兄にお願いをしたんです。でも、それを調べていく中で、兄貴にいろいろ言われるわけですよ。無限責任で、こんなのなかなかできるものじゃないよねと。こっちからも説明しなきゃいけないので、いやいや、無限責任といいながら家賃の範囲内か。家賃の範囲内じゃないんですね。原状回復義務があったり、しかも二年間を超えた後でもその債務が発生する可能性があり得る、だから極度額を設けていこうというふうな話だと思うんです。そんなことに、さすがに自分の兄でも、もういいかげんにしろよと言われました。でも、世の中、普通こうなんだというふうなことを説明するのは非常に大変。 そこで、私は不動産会社と交渉したんです。普通は当事者間の契約なんだから、契約書の内容のこの連帯保証の条項を、極度額を定めるか、もしくは外してくれと。外す条件としては、二年間のその契約期間内の家賃を一括で払うよというふうに言いました。そうしたら、いやいや違うんですと。その後の原状回復とかもあるし、しかも、そんなことはなかなか交渉では認められない。大きな会社で、今、約款の話もしましたけれども、約款に近いですね、定型フォームで全部決められているという状態になっていた。だから、これを少なくとも何とか前に進めようということで、この極度額についてはちゃんと定めをしよう、これはいいことだと思っているんです。 ただ、もう一つ、私は大きな問題が保証人保護について、この賃貸借契約についてはあると思っているんです。これを言うと業界団体の人たちにも相当嫌がられるところなので、言うかどうか迷ったことなんですけれども。 二年間契約します、そうすると、次にまた三年目住もうと思うと、契約書の中に更新事項があるんです。ただ、これは、意思をある程度言って、大体電話がかかってきて、更新しますというふうに言ったらそれでもうおしまいなんですね。当事者間はそうです。 それと同じように、賃貸借契約の中では、この保証人についても、保証人にその意思を確認することなく、そのまま保証が継続することになる。これは結構大変な話で、え、保証人の保護はされているのという話になります。ただ、そのかわり、業界団体もそうだし、借りる側もそうだと思うんですけれども、一々更新のときに保証人にもう一遍頼みに行くというのは、当事者、借りる側も嫌なんですよね。業界団体は当然、またその手続をしなきゃいけないので面倒くさい。実態としてはそれが、これでいいだろうという形で、この議論がされなかったのかなというふうに私は思っているんです。 それがいいか悪いか、社会の今の状況の中でそういう判断がされたというんだったら、それはそれでいいと思うんですけれども、そこを明確にしたいと思うので、今の私の解釈、それでいいのかどうか、ちょっと教えていただけますか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 実態を必ずしも十分把握しているわけではございませんが、今お話ありましたように、保証契約についても更新ということが行われて継続していくという状況かと思います。
○木下委員 そういうことなんですね。 私は何が言いたいかというと、保証人保護についても、社会の実態に合わせて、やはり限界もしくは落としどころ、バランスというのがあるんだなということだと思うんです。 大臣もきょう御答弁されていました、第三者保証について、業界団体等からの要望それから保証人保護の観点、そこの中でバランスをとって今回こういうふうにしたというふうに大臣は言われていた。だから、基本的にはいいのかなというふうに思って聞いていたんですけれども。でも、そもそも、この中で、例えば配偶者の話もさっきしていましたけれども、いろいろこんなことがあるんだったら、考えたときに、本当にこれはいいのと。中小企業者が生き延びていく策というのが現実問題あるから、中小企業団体からこういうふうなことを言われているというふうなことを言っている。でも、ただ、今、政府の考え方は本当にそうなんですかということなんです。 中小企業対策として実際にやらなきゃいけないのは、新陳代謝をちゃんとやっていかなきゃいけないですよね。不必要な保証をするのではなくて、ちゃんと事業承継するところに事業承継させられるような、そういう円滑化させるようなことを、ことしの春も法案が出ていましたよね、可決していましたよね。でも、ここの中で個人の保証云々をこうやって法律として助長してしまうと、それに私はブレーキをかけてしまう可能性だってあり得るというふうに思うんです。 例えば、金融庁なんかも言っていますよ、いろいろガイドラインみたいなことがあって、経営者保証に依存しない融資の一層の促進、こういうことを言っているんです。言っているにもかかわらず、法律の中に落とし込まれてしまうと、どうしても保証がありき、その中でどういうふうにしなきゃいけないか、こういう議論になってしまう。これはもういたし方ないことなのかもしれないですけれども、そもそもの、ここからを直していく必要が私はあるんじゃないかと思うんです。 ただ、それが、何でこれができないのかというと、法制審議会の中で議論されるのは法律事項にやはり特化してしまうんですよ。業界団体からいろいろ言われる、いろいろ言われたことも全部含めてやると言いながら、では政府の意向はどこまで入っているのか、私はそう思うんです。これが今回、民法の中で、法律ではそういう部分は排除されているかと私は思っているんですけれども、これは排除すべきではないと。本来、その時代に即して、これからこの国をどうしていくのかということをしっかりと民法の中にも私は落とし込むべきだというふうに思っているんです。 ということを考えたら、前にも言ったところで、国会議員の人が、そういった意味合いで法制審議会の中にも意見を言う、参加していく、そういうことは意義が出てくるのではないかなというふうな、こじつけなのかもしれませんけれども、私の考え方はそうなんですね。 だから、やはりしようがない、民法は、こういう形で、法律事項として落とし込んでいくとこうかもしれないけれども、もう少しそこの部分、前のめりになった、そういった改正をこれから私はしていっていただきたいなと思うんですけれども、大臣、最後にそれだけ、どう思われるかということを。
○金田国務大臣 委員御指摘のように、バランスをとるということも大事なんですが、それに加えて、私が思いますのは、引き続き、個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立といったような、関係省庁と連携もしながら、改正法案の施行後の状況を注視して対応していくという点も重要かな、こういうふうに思っております。
○木下委員 そういうことだと思います。 そういうことも含めて考えると、大きく改正するんじゃなくて、直すべきところがあったときにはすぐにやっていく、それがやはりそういう環境もつくることだと思いますので、ぜひともそういう観点でこれからも進めていってください。 以上です。ありがとうございます。
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。 本日も、質疑の機会を賜りましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。 木下先生の後でございまして、何となく、いつもの雰囲気であればこれで終わりというふうな空気も漂っているのかもしれませんけれども、私の質疑が残っております、あとしばらくおつき合いいただければと思います。 今回の改正で、保証について、先ほど来ずっと議論が積み重ねられております。私も先日、情報提供義務というところで質問を一題させていただいて、そこで時間が参りました。残りの質問について、まず一つさせていただきたいと思います。 先日は、保証人の保護の観点ということから、保証人に対する情報提供義務、これは極めて重要であるということでございました。前回の質疑では、主債務の財産や収支の状況について、主債務者が情報提供義務を負うという規定について確認をさせていただきました。 他方、保証人に対する情報提供という点では、債権者が保証人に対して情報提供を行うという規定が新設をされているというふうにお聞きをしております。 主債務の状況に関する情報提供義務について、この点、どのような改正が行われているかについてお聞かせいただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 主債務の状況に関する情報の提供義務に関しましては、一つには主債務の履行状況に関する情報の提供義務、二つ目は主債務の期限の利益喪失時における情報の提供義務について、それぞれ規定を新設しております。 まず、主債務の履行状況に関する情報の提供義務でございますが、保証人にとりましては、主債務者が主債務を履行しておらず遅延損害金が日々生じている状況にあることや主債務の残額が幾らになっているかといった情報、すなわち債権者が把握している主債務の履行状況に関する情報は、履行しなければならない保証債務の内容にかかわる重要な情報でございます。しかし、現行法には、これらの情報を保証人に提供する義務を債権者に課す規定はございません。 法律の規定がなくとも、保証人からの問い合わせに応じて、債権者が任意にこれらの情報を主債務者に提供することはあり得るところでございますが、主債務の履行状況に関する情報は主債務者の信用にかかわるものでございまして、これを保証人に提供することにより、守秘義務あるいは個人情報保護の問題が出てまいります。そこで、法律の規定がない状況では、保証人に対して情報を提供することに債権者がちゅうちょを覚えるという指摘もございます。 こういった点を踏まえまして、改正法案におきましては、主債務の履行状況に関する情報の提供義務に関する規定を新設することといたしまして、保証人が主債務者の委託を受けて保証した場合には、債権者は、保証人の請求があったときは、遅滞なく、主債務の元本、利息、違約金等の債務の不履行の有無、これらの各債務残額と、残額のうち弁済期が到来しているものの額に関する情報の提供を義務づけております。 それから、主債務の期限の利益の喪失時における情報の提供義務でございますが、保証人の責任は、主債務者が支払いを遅滞すると、日々発生する遅延損害金によって増大してまいります。とりわけ、主債務者が分割金の支払いを遅滞するなどして期限の利益を喪失し、保証した債務の全額について弁済期が到来した場合には、発生する遅延損害金の額が多額となります。しかし、こういった期限の利益を喪失したことは保証人が容易に知り得る情報ではなく、また、現行法にはこういったことを保障する制度もございません。 そこで、改正法案におきまして、保証人が個人である場合には、保証人を保護する観点から、主債務者が期限の利益を喪失した場合には、債権者は二カ月以内に保証人に通知しなければならず、通知をしなかったときは、保証人に対し、期限の利益を喪失したときから通知を現にするまでに生じた遅延損害金を請求することができないということとしております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。二つの義務について、それぞれ深く御説明いただいたかというふうに思います。 通告には、この後、一つ、実益というふうな点で通告をしておりましたが、これは少し割愛をさせていただきたいと思います。 その上で、私が今ちょっと感じていることですけれども、先ほど、山尾先生からこの情報提供義務について御質問もありました、取り消し権ということに関する立証責任というふうな深いテーマが議題になったかというふうに思っております。 私もこの点は非常に考えさせられましたけれども、恐らく、保証人に債権者の主観的事情を立証させるという重い責任というものも、私は、今の時点では、主債務者からの情報提供、それと債権者からの情報提供、これをきちっと組み合わせることができれば、もしかするとそういった立証責任の負担というものも何とかクリアできてくるのではないかなというふうな印象を今持っております。 この点に関しては、まだ私の浅はかな感覚なのかもしれませんので、これからも検討をさせていただきたいというふうに思っております。 もう一点、先ほど階先生また山尾先生からもありました、配偶者に関する、公正証書なくフリーパスというふうな問題、これも非常に重い問題であろうかとも思いますが、一方で、私がこの保証の話をいつも考えるときに、一つやはり心にとめておかなきゃいけないことは、私は今、保証人の立場に立っての議論でございますが、仮に債権者の立場に立ったときに、この保証契約、また物上保証という制度もありますけれども、これはとりもなおさず、債権者に、平易な言葉で言うと、損をさせないというふうな制度であろうかと思うわけですね。どちらが上、どちらが下かということではなく、あえて申し上げれば、例えば金銭債権であれば、やはりお金を貸すということの方が保護をされなければならないんだろうというふうな視点は、私は忘れてはいけないんだろうというふうに思っております。 中小企業の資金の円滑化等々で、この第三者保証の議論がこれからも深められていくとは思いますけれども、いずれにせよ、やはり債務者の保護というのも大切ではありますが、債権者の観点での議論というのもこれからやはりやっていかなければいけないんだろうというふうに、私は今思っている次第でございます。 次に移ります。 次に、根保証ということについて、少し初歩の質問から入らせていただきたいと思います。 そもそも、この根保証ですけれども、やはり国民的にはなかなか聞きなれない言葉であるのかなというふうな気もいたしました。そこで、確認の意味でございます。そもそも根保証というものは一体何なのかについて、簡単に教えていただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主債務とする保証契約でございます。根保証契約においては、特定の債務を主債務とする通常の保証契約と異なりまして、主債務となる債務が保証契約の締結後に追加される可能性がありまして、保証人が契約締結時には予想していなかった過大な責任を負うリスクがある、これが根保証契約の特徴でございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 保証人が個人である根保証契約、これは平成十六年にも民法の改正が行われているというふうにお聞きをしております。今回の改正法案において、根保証に関してどのような改正が行われているのか、この点についても確認をさせていただきたいと思います。
○小川政府参考人 先ほど申し上げましたように、根保証契約には、保証人が契約時には予想していなかった過大な責任を負うリスクがございます。 このため、平成十六年の民法改正におきまして、主債務に貸し金等債務、これは金銭の貸し渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務をいいますが、貸し金等債務が含まれている保証人が個人である根保証契約のみを対象として、保証人の責任の上限となる極度額に関する規律、保証の対象元本が確定する日であります元本確定期日に関する規律、特別な事情の発生によって保証の対象元本が当然に確定する元本確定事由に関する規律、この三つが設けられております。 改正法案におきましては、根保証契約に関するこのような規律のうち、極度額と元本確定事由に関する規律について、それぞれ適用対象となる保証契約の範囲の拡大等を行っております。 具体的には、現行法におきましては、保証人が個人である根保証契約のうち、主債務に貸し金等債務が含まれているものに対象を限定して、極度額を定めなければ契約が無効となる旨の規律を設けられておりますが、改正法案では、この規律の適用対象を、保証人が個人である根保証契約全般に拡大しております。 次に、元本確定事由に関する規律についても、現行法では、その適用対象は、主債務に貸し金等債務が含まれている個人の根保証契約に限られておりますが、改正法案の中では、個人保証人保護の観点ということで、この規律の適用対象を基本的に拡大することとし、個人の根保証契約全般に及ぼすこととしております。
○吉田(宣)委員 今、改正の概要をお聞きをさせていただいたというふうに思っております。 この極度額に関する規律、これは根保証契約全般に適用対象を拡大するというふうな趣旨でございますけれども、その理由はどういうものでございますでしょうか。確認をさせてください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、平成十六年の民法改正で、いわゆる貸し金等債務を保証の範囲に含む根保証につきまして、極度額を定めなければならないという改正がされたわけですが、この規律の対象とされた貸金等根保証契約以外の根保証契約についても、個人である保証人が予想を超える過大な責任を負うおそれはあり得るわけでございます。 そこで、法制審議会におきましては、規律の対象を拡大することの要否に関して検討がされ、裁判例の中には、不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証契約において、賃借人が長期にわたり賃料を滞納した事案ですとか、賃借人が賃借物件において自殺した事案などで、親類や知人である個人保証人に過大な責任を求めることが問題となったものもあることから、極度額に関する規律の対象を、貸金等根保証契約以外の、保証人が個人である根保証契約にも拡大すべきであるとの意見が大勢を占めました。 これに対して、建物賃貸借の根保証は、賃料以外にも賃借人が負う損害賠償債務なども保証するものであり、将来発生する損害などを予測して極度額を定めることは実務的に困難であるとの意見もございました。 しかし、予測が困難であることのリスクを個人保証人に負わせるのは適当ではなく、個人保証人については極度額を定めることとした上で、必要に応じて、現在の実務でも用いられている法人の保証人をより活用することが適切であるとの意見が大勢を占めたところでございます。 そこで、こういった点を踏まえまして、改正法案におきましては、極度額に関する規律の対象を一般的に拡大したということでございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。 次に、根保証契約における元本確定事由に関するルールについて、改正の内容を確認させてください。
○小川政府参考人 お答えいたします。 平成十六年の民法改正では、貸金等根保証契約については、契約締結後に主債務者が破産するなど、著しい事情変更となる事由が生じた場合には、個人保証人の保護の観点から、主債務の元本が当然に確定することとされております。これを元本確定事由と呼んでおりまして、現行法は、主債務者か保証人のいずれかが破産したり、死亡したり、あるいは債権者から強制執行などを受けるといった、合計六通りの事由が定められております。 もっとも、貸金等根保証契約以外の、保証人が個人である根保証契約においても、契約締結後に著しい事情変更が生ずることはあり得るわけでございます。そのため、法制審議会の中でも、元本確定事由に関する規律の対象を、貸金等根保証契約以外の、保証人が個人である根保証契約にも拡大することの要否について検討がされました。 その中では、予想外の事態が生じた場合における個人保証人の責任をできる限り低減するという観点から、貸金等根保証契約以外の、保証人が個人である根保証契約についても、基本的に元本確定事由の規律を及ぼしていくべきであるとの意見が大勢を占めました。 他方で、主債務者が債権者から強制執行を受けたことと、主債務者が破産したことという二つの事由につきましては、これを保証人が個人である根保証契約一般の元本確定事由とすることに否定的な意見が大勢を占めたところでございます。 これは、典型例と言えます不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証で見てみますと、これらの二つの事由によって主債務の元本が確定してしまうと、賃貸借契約は主債務者である賃借人についてのこれらの事由によっても終了いたしませんので、賃貸人としては、保証契約の存在を前提として賃貸したにもかかわらず、以後は保証契約がない状態での賃貸を強いられる、そういう事態になるわけでございます。 そこで、改正法案においては、これらの二つの事由を除く元本確定事由に関する規律について、個人保証、根保証契約全般に拡大することとしたわけでございます。
○吉田(宣)委員 今、平成十六年改正において創設された元本確定事由に関するルールをそのまま拡大しなかったというふうな御説明であったかと承知をしております。確かに、ルールをより広く適用していこうということであれば、さまざまな配慮が必要になってくるのは当然のことだろうと思います。 今回は、根保証に関するルールのうち、元本確定期日についてのルールは置かれておりませんが、それはどのような事情に配慮したことなのか、それについても確認をさせていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 法制審議会の中でも、保証人の責任を限定するために、元本確定期日に関する規律の対象を、貸金等根保証契約以外の、保証人が個人である根保証契約に拡大することの要否も検討いたしました。しかし、貸金等根保証契約以外で、保証人が個人である根保証契約の典型例であります不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証契約について見ますと、例えば、最長でも五年以内には元本が確定することといたしますと、賃貸人としては、保証契約の存在を前提として賃貸借契約を締結したにもかかわらず、借地借家法の規定によって、これは五年を超えて賃貸借契約が存続する場合がございますので、こういった場合には、保証がないまま賃貸することを強いられるという不都合が生ずるとの意見がございました。 他方で、個人根保証契約一般について極度額を定めるということにいたしますと、元本確定期日に関する規律の対象とされなくとも、保証人にとっても予想を超える過大な責任を負う事態は最低限回避されるのではないかということも言えます。 こういった事情を考慮いたしまして、改正法案におきましては、元本確定期日に関する規律の対象は拡大することとはしておりません。
○吉田(宣)委員 ありがとうございました。 根保証については以上のような確認をさせていただいて、これを利用する国民がわかりやすい制度運用をやはりしっかり今後図っていかなければならないというふうに私自身も思っております。 次に、実は通告でも、先日の参考人の加藤先生から大変大きな問題提起がございまして、いわゆる四百十五条、債務不履行責任のことについて、確認も含めて質問をさせていただきたいというふうに通告もさせていただいておりましたが、これに関しては、一つ一つの課題がやはり重たいなというふうなことも感じております。残り時間を勘案すると、それも十分質問もできないのかなというふうに今ちょっと感じておるところでございまして、少々早うございますが、私の質問は以上で終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十三分散会