予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 294 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 11
- 開催日
- 2016/03/10
会議録
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。 本日は、平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。 本日は、平成二十八年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、経済・財政について、公述人経済評論家林健二郎君及び東短リサーチ株式会社代表取締役社長チーフエコノミスト加藤出君から順次御意見を伺います。 まず、林公述人にお願いいたします。林公述人。
○公述人(林健二郎君) おはようございます。林でございます。 本日は、このような機会を頂戴いたしまして、感謝しております。よろしくお願いします。 平成二十八年度予算案を支持する立場から、予算案の評価を含めて、経済の現状と展望について、課題等について御報告申し上げたいと思います。 日本経済は、御案内のとおり、アベノミクスの効果で回復に転じましたが、ここに来て、足取りが鈍っているようであります。主な原因は二つあります。一つは、世界貿易が縮小して我が国の輸出が減少していること、第二は、予想以上に消費税引上げの影響によって消費が停滞しているからであります。 まず、輸出減少の背景として世界経済をどう見るかということについて御説明させていただきます。資料を御覧ください。 先月末のG20財務相・中央銀行総裁会議で金融、財政、構造改革の政策総動員ということが合意されたわけでありますが、リーマン・ショックから九年間、九回の会議を振り返りますと、御案内のとおり、様々な対策を実施してまいりましたが、依然不安定な状況が続いているということであります。 第一回会合では、金融、財政など政策総動員を決めまして、それによって金融危機を回避はいたしましたが、その結果、先進国の中央銀行のバランスシートが膨張し、中国は膨大な過剰設備を抱え、資源国は原油の供給過剰という三つの過剰を抱えて、リーマン・ショックの後遺症が依然残っているという状況であります。昨今、中国の経済についてその失速が懸念されておりますが、先進国も一%程度のGDPギャップを抱えておりまして、依然デフレから脱却できていない状況と考えられます。 まず、アメリカでありますが、昨年の十二月、金融正常化に向けて利上げに踏み切りましたが、雇用と物価は依然改善道半ばでありまして、なお一%以上の需給ギャップを抱えております。 問題は、利上げを織り込んでドルが四割高騰したことでありまして、その結果、景気が減速しております。これまで、ドルが四割、実効レートでありますけれども、四割以上高騰して景気が失速しなかった例は過去にございません。この点で、ドル高はアメリカ経済のみならず世界経済にも深刻な影響を与えることでありますので、今後のアメリカの金融政策の運営に当たっては十分な配慮が求められるところであります。 次に、中国でありますけれども、四兆元の財政出動の後遺症で膨大な過剰設備を抱えているわけでありますが、稼働率から見て、現在の過剰設備の解消には十年以上掛かりそうであります。今回、全人代で第十三次五か年計画が発表されまして、供給サイドの構造改革を推進すると同時に、財政金融政策で景気の下支えをしようとしておりますが、貿易が急減少しておりまして、人民元レートのある程度の切下げが必要と見られますので、為替投機等を回避しながら経済のソフトランディングを果たすのはなかなか容易ではないというふうに考えられます。 原油価格につきましては、一年半の間に約百ドルから二十ドル台に、四分の一に暴落いたしましたが、過去四十年間の動きから見て、ほぼ大底に達した模様であります。今後、緩やかな回復が予想されますが、膨大な過剰設備を抱えておりまして、原油の低価格時代はしばらく続きそうであります。 とはいえ、光もございます。景気の先行指標である世界主要四十五か国の通貨供給量は昨年九月にプラスに転じまして、今年一月は前年同期比で三%程度の回復に転じた模様であります。世界の通貨供給量は、世界のGDP、世界貿易及び国際商品市況とかなりの相関関係がありますので、通貨供給量が増えれば、やがてGDPも増え、世界貿易も回復し、国際商品市況の底入れも可能であると考えられます。 原油価格が大底を打ち、ドル高もそろそろ転換点に来ているのではないかと思われます。中国も財政金融構造改革で経済の再建に取り組んでいるところであります。世界の主要国が金融・為替政策で緊密に協調して金融市場の動揺を抑えることができれば、世界経済は安定を取り戻すことができると期待しております。 次に、我が国の経済でありますけれども、昨年十—十二月は実質でGDP前期比年率一・一%のマイナスでございました。世界貿易が昨年後半から数量ベースでマイナスに転落すると同時に我が国の輸出もマイナスになり、生産が停滞しております。昨年十—十二月の寄与度で見ると、家計消費はマイナス二%でありまして、消費停滞の影響が大きかったことが分かります。家計調査で見ると、さきの消費税引上げ後の消費支出が大幅に落ち込みまして、一三年の一〇〇に対して今年一月、名目九五・九、実質九二・一で、消費税引上げ前の水準から大きく落ち込んでおります。GDP統計で見ても、実質家計最終消費支出を見ると、二〇一三年の二百五十四・四兆円に対して、一五年は二百四十六・八兆円で、七・六兆円下回っております。消費税引上げの家計消費への負担は約六兆円と見られますので、消費停滞の約八割がこれで説明されます。 消費税の引上げの影響が予想以上に大きかったのは、GDPギャップを抱えて需要が供給を下回る中で、消費税の引上げで財布のひもが一層締まって消費性向が低下したためと考えられます。この消費停滞に加えて、輸出の減少で景気の足取りはしばらく鈍い状況が続きそうであります。 幸い、原油を始め国際商品価格の下落で交易条件が大幅に改善いたしました。一三年の燃料輸入額は二十七・四兆円で、円建て燃料輸入価格が一三年の一五四・八から一六年一月の七七・八に五〇%下落しましたので、我が国は十三・六兆円の価格効果を得たことになります。 それにもかかわらず原油下落効果が余り現れていないのはなぜでしょうか。これは、原油が暴落すると、当初は原料価格の低下で業績が浮上しますが、製品価格への転嫁が進むにつれて売値が下落して業績が悪化します。しかし、原料価格の転嫁が終わって、原油安に見合った新しい価格体系に移行しますと、業績が回復し景気が浮上するというこれまでの経験則が当てはまっているのではないかと思われます。 目下のところ、原油安効果のほとんどが企業と家計の貯蓄にとどまっているようであります。この価格転嫁には大体一年間ぐらい掛かりますから、交易条件の改善効果が現れるのは平成二十八年度後半に遅れるのではないか、そういう可能性が高そうであります。 この原油安効果を最大限に生かすためには、円安の是正も必要であります。 円安は、輸出産業にはプラスですけれども、輸入にはマイナスであります。この原油安効果を最大限生かすためには、行き過ぎた円安の是正が求められます。平成二十八年度の日本経済は、前半は低空飛行だと思われますが、年度後半には徐々に明るさが出るのではないかと期待しております。 このデフレ脱却の指標であるGDPギャップを御覧いただきますと、アベノミクス効果もありまして、一二年十月から十二月のマイナス二・四%から、昨年十—十二月はマイナス一・六%に改善しつつあります。過去十五年間のGDPギャップとの相関係数を見ますと、企業の付加価値額は〇・七七、設備投資は〇・八三と高く、人件費との関係は〇・五〇であります。需給ギャップが解消すれば経済活動が活発化して賃金が増え、消費も増えて景気の好循環が始まると考えられますので、GDPギャップの解消こそが当面の急務と考えます。 景気の回復には為替の安定も必要であります。 アメリカは金融の出口戦略のために利上げをしたがっている、日本と欧州はデフレ脱却のためマイナス金利政策を取り、中国のハードランディングを回避するためにはある程度の人民元安が必要と考えられます。現状を放置すると、国際金融市場が不安定になりかねません。その意味で、さきのG20の蔵相・中央銀行総裁会議の合意を基に、伊勢志摩サミットに向けて金融・為替安定のための国際協調行動のリーダーシップを是非発揮していただきたいと思います。 日本経済が抱えるもう一つの課題は、所得格差の拡大であります。 内閣府の家計調査によると、世帯主の定期収入五分位階級別の世帯当たりの年間収入は、表で御覧のとおり、過去十五年間で第一分位から第五分位に至るまでこのような数字になっております。この意味で、中低所得層の減少が明確であります。格差拡大を抑制するためにアベノミクスの下で様々な施策が講じられておりますが、消費税再引上げに当たっては、この点にも十分な配慮が必要であります。 言うまでもなく、財政再建も重要な課題であります。 幸い、消費税の引上げと予算を上回る税収で公債等残高の対GDP比がピークアウトしつつあります。この流れを確かなものにするためには、経済を再生すると同時に消費税再引上げが必要でありますが、それによって景気が失速することがあってはならないわけであります。この意味で、さきの消費税引上げで消費が失速した教訓を生かすことが肝要であります。 そのために、第一は、平成二十八年度中にGDPギャップの解消を図ること、そのためには予算案の早期成立と速やかな執行及び原油安効果を最大限生かすことでありまして、第二は、消費税引上げに際して軽減税率の導入を行うことが適切と考えます。 御案内のとおり、消費税には、消費水準に応じて比例的に負担を求めることができる反面、所得に対する負担割合が逆進的となることに対する対策が必要であります。さきの消費税引上げに際して簡素な給付措置を講じられましたが、消費支出に対する食料の比率、エンゲル係数は所得が低いほど高いわけでありますから、食料を中心とした軽減税率の導入が効果的と考えられます。 最後に、六ページで御覧いただきましたように、過去百年余の国際商品価格の歴史を振り返りますと、ほぼ三十年に一度、三倍程度に高騰することを繰り返しております。いずれも新興国の台頭と国際紛争などを背景にして高騰し、暴落の後に新しい国際秩序が形成されております。今後、世界経済が回復するにしても、従来の延長線上ではなく、技術革新、金融、資本力をバックにした通貨の安定、人材、文化力などを背景に新しい国際秩序が形成されると見るべきではないかと思います。 この点で、我が国は、技術革新で世界をリードし、人材を育て、豊かな文化を発信することによって世界経済の新しい秩序づくりに貢献するチャンスであります。そのためにも、一日も早くデフレから脱却し、一億総活躍社会の実現を目指すための予算成立とその執行を期待しているわけであります。 以上であります。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 次に、加藤公述人にお願いいたします。加藤公述人。
○公述人(加藤出君) おはようございます。東短リサーチの加藤でございます。 本日は、このような貴重な場で発言の機会を与えていただき、大変ありがとうございます。 今、林先生から世界経済の状況の御説明をいただきましたので、私の方からは、主に金融面の話を今日はさせていただこうと思います。 お手元の資料を御覧いただきますと、最初一枚めくっていただいて、二ページのところですけれども、中央銀行の資産の名目GDP比のグラフを載せています。 我が国の中央銀行である日銀は、一三年四月に二年程度でインフレ率を二%に引き上げると宣言して、国債などを大規模に購入する量的・質的緩和策、QQEを開始しました。その結果、市場から猛烈に国債を買い取っていますので、この赤い線のように、FRBやECBとは比較にならない勢いで日銀の資産が膨張しています。世界に類を見ない大胆な政策が行われていると言えます。 その結果、一番顕著に表れたのは、為替が円安方向にこの三年間動いてきて、それによって株高が起きてきたということで、次の三ページですけれども、円安、株高、それによる輸出大企業の収益向上、その結果、大手企業を中心とするベアの実現、また円安によるインバウンド観光客の急増ということが起きたということだと思います。 その点はいいわけですけれども、しかし、次の四ページ目ですけれども、インフレ率を二%に引き上げるということで始めた政策ですが、赤い線がインフレ率、消費者物価指数の総合から生鮮食品を除いたものですけれども、二〇一四年の四月、五月ぐらいは一%台半ばまで行きましたが、その後下がってきて、この一年近くはゼロ%近辺で推移していると。エネルギー要因が大きいですので、エネルギー価格を除いた青い線で見てみますと、これは一%前半まで最近上がっていたのですが、ここに来て下がり始めています。 円安傾向が止まってきましたので輸入価格の上昇が鈍ってきていますので、その点では、今後、これ緩やかに落ちてくる可能性もあるかと思います。 インフレ率が二%になかなか届かない、それから、年初からの金融市場の混乱が春の四月の春闘などにも悪影響を及ぼしてはまずいという恐らく判断だったと思いますけれども、日銀は、一月二十九日にマイナス金利政策を導入したわけです。従来のQQE、量的・質的緩和策にそれを加えるという形でマイナス金利政策が始まりました。五ページ目ですけれども、日銀当座預金を三つの階層に分けて、その一部分にマイナス金利を掛けるという政策が始まっております。 次の六ページ目ですけれども、この政策、基本的には本音の部分では円安誘導を狙っているのだと思います。ただ、日本のような大きな経済の中央銀行が通貨安誘導が目的だとは公式には言えないわけですので、ただ、実際はそういうことかなと思っておりますが、及びそれにより株価を押し上げるということが期待されていたんだと思いますけれども、六ページ目のグラフは、このマイナス金利政策が決定される前日の一月二十八日以降の主な国の株価指数、株式指数の変化を表しています。 日本は昨日までで二・三%下落していますけれども、ほかの主な国はこの一か月ちょっとの間上昇しています。ドイツの上昇が弱いのは、ドイツの大手金融機関の経営問題が言われたりとかいうようなこともありましたけれども、それを除くと欧米は緩やかに上昇していたわけです。あと、日本の株価の悪化の要因が中国のハードランディング懸念とよく言われますけれども、ただ、この一月ちょっとで見ますと、中国のこれは上海の株価ですが、それから香港はむしろ上昇しています。それから、原油要因で混乱しているともよく言われますけれども、右手の方で、ロシア、サウジアラビアあるいはブラジルはしっかりと上昇しているということで、この一月ちょっとというのは、世界的には、緩やかですけれどもリスクオフと言われる危険回避行動がやや緩んでいた一か月ちょっとだったと言えます。 ところが、日本の方はマイナスになっているというのは、一つにはマイナス金利政策の負の側面が表れてしまったということかと思います。その負の側面というのは、一つは、金融機関の収益が相当悪化するだろうということで金融株、特に銀行株が急落したと、それから、日銀の黒田総裁の政策で円安誘導していくということがどうもなかなかうまく今後もいかないかもという市場の見方もあって円高方向に来ているわけですけれども、それによる輸出企業の株が下がっているというようなことが相まったということかと思います。 また、次の七ページ目ですが、消費者のマインドもこの一月ほどは悪化している面があります。昨日発表されました内閣府の消費動向調査の消費者態度指数を見ますと、上に行くと消費者のマインドが良くて下に行くと悪化ですけれども、二月に入ってどの所得層においても急激な悪化が見られます。この日銀の緩和策、今回の緩和策が始まった一三年四月の水準よりはいずれも低いところにいるという状態です。ただ、マイナス金利政策、また後ほど触れますが、実際は個人の方々の預金がマイナスになる、金利がマイナスになるということはなかなかないんだと思いますけれども、その不安感を生んでしまったという面があるかなと思います。 ヨーロッパの場合、ヨーロッパでもマイナス金利始まったときにやっぱり一般の市民の方が、貯蓄をするとペナルティーが掛けられるというのは一体何なんだと、特にドイツ中心に結構怒りが沸き起こって、中央銀行がそれをなだめるという構図が見られましたけれども、ただ、例えばデンマークのように高福祉社会、デンマークの場合、社会福祉の支出がGDP比で世界一大きい国ですが、ああいう国ですと、一般の方々が老後のために自分で貯蓄して、その預金金利を当てにするとかということはああいう福祉国家ではないので、スウェーデンもそうですけれども、福祉国家でマイナス金利をやってもそんなに一般の人は余り気にしないようなんですけれども、日本の場合は、やっぱりなかなか高齢者の方々も不安があるということで、やや過剰な反応が出てしまっているということかと思います。 続く八ページ目ですけれども、金融機関の収益にとっては相当日本の場合厳しいということがこの八ページ目の表に表れております。 ヨーロッパでマイナス金利をやっている国々と日本の比較ですけれども、真ん中辺りに銀行間の翌日物金利というのを載せております。隣に十年物の国債の利回りを載せております。この開きが、スプレッドというところですが、この開きが大きいと基本的には金融機関というのは収益を上げやすいわけですが、日本の場合、もう既にこれが非常に横ばい、あるいは若干マイナス方向になっています。 しかも、一般的には、例えば長期の住宅ローンというのは国債の金利に上乗せして一般の方々にローンが、貸出しが行われますけれども、日本の場合、この非常に低い金利に、さらに金融機関同士の競争も激しいですから、十年固定の住宅ローン金利が、報道されていますように、一部大手行では〇・五とかあるいは〇・八とか非常に低い状態になっているわけですが、一方で、例えばスウェーデンですと、十五年の固定住宅ローン金利二・七%、あるいはデンマークは五年から十年程度のローンの平均は二・一%程度、それからスイスの十年物のローンは一・六%前後だったりということですので、日本の方は非常にローンの金利が低いと。 それは一般の方々にはメリットではあるんですが、ただ、経済全体で見た場合、日本のように非常に高齢化している社会ですと、その低金利の恩恵を受ける人の比率が、人口の比率がもう小さい社会になってしまっていますので、金利を下げることでの経済刺激効果というのもある程度はあるわけですけれども、高齢化した社会ではそれが出にくいという傾向はあるかと思います。 また、金融機関の収益が、著しくそこが圧迫されますと中小企業などに貸出しをする体力がだんだん奪われてくるというおそれもありますので、金融仲介機能が毀損されるおそれがないかという点には今後注意していく必要があると思います。 地方の金融機関からは、安倍政権が目指している地方創生という、その関連のプロジェクトをやろうと思っても、今これだけ収益環境がマイナス金利で厳しくなってしまうと、取りあえず目先どうやって収益を上げるかという方に力を入れざるを得なくて、地方創生の議論がちょっとむしろ後回しになってしまうんじゃないかというような懸念すら出るぐらいの厳しい状況になってきているということかと思います。 あと、ヨーロッパの状況をもうちょっと見ますと、九ページ目ですが、ヨーロッパでは、大手企業やあるいは機関投資家などの大口預金がマイナス金利となっています。ここにスイスフランの紙幣の流通残高を載せていますけれども、千フラン札、額面で十一万円か十二万円という非常に大きなお札ですけれども、マイナス金利を始めてから発行量が急に伸びています。これは、スイスの年金がマイナス金利で運用難で非常に困ってしまいまして、しようがなく現金を引き出して金庫にしまうということを年金が始めています。スイスの場合、やっぱり年金制度もつだろうか、大丈夫だろうかという議論が大分行われています、国債の金利が随分下がってしまっていますから。 また、マイナス金利で企業の口座もいろいろマイナスになっていたりもしますので、デンマークの場合、企業が税金を納めるのを早めに多めに納付しようとする傾向が見られます。早めに納めて後で還付請求すると、銀行に預けておくとマイナス金利で目減りしちゃいますけれども、まず税務署に一回入れておこうという変な話が起きています。 逆にスイスでは、地方政府の口座もマイナス金利になっていますので、ある地方政府は納税は期限ぎりぎりまで遅らせてくださいと頼むというようなことまで起きています。まあこれは一種の混乱が起きているということなので、決して余りいい話ではないと。 ただ、一般の方の個人預金は、やっぱりマイナス金利にしてしまうと皆さん引き出そうとするでしょうから、銀行のシステムが成り立たなくなってしまいますので、ヨーロッパを見渡しても、まずマイナス金利にはなっていません。 十ページ目に、個人の預金金利もマイナス金利にする方策みたいなことを有名な経済学の先生方がいろいろおっしゃっていますけれども、ちょっと説明は飛ばさせていただきますが、現実には導入は難しいという流れだと思いますけれども。 そういう意味では、預金金利が余りマイナスにできないということは、貸出金利もマイナスにはならないので、全体としては、物すごく効果がある政策というわけでもなく、一方で、本来は物すごく弊害があるという政策でもないんですけれども、日本のように量的緩和、質的緩和で国債の金利を既に相当押し潰した後にマイナス金利政策という流れでいきますと、金融機関の収益悪化からくる金融仲介機能の悪化というところが懸念されるという点で、余り過度な金融緩和策というのはやっぱりそろそろ見直す方がいいのではないかというようにも思います。 また、日本のインフレの状況ですけれども、十二ページ目以降ですが、十二ページ目でアメリカと日本のインフレ率を比較しておりますけれども、左側の物の値段に関しては、もう日本の方がアメリカよりもインフレ率高くなっています。テレビなど耐久消費財は日本の方が相当インフレ率高くなっていますが、これは円安によるものです。 一方、右側のサービス価格、こちらはなかなか上がっていない。アメリカの方はしっかり上がっているけれどもサービス価格はなかなか上がらないと。これは、一つはやっぱり人件費、賃金が上がっていかないとサービス価格は上がりにくいですし、あるいは下の方の二十八番、二十九番のように家賃関連、これは、アメリカはしっかり上がっていますけれども、日本は、統計上の問題もありますが、少子高齢化で住宅需要が弱いということもあり、なかなか上がらないと。 そういう意味で、金融政策で無理やりインフレを二%に押し上げようとしてもやっぱり無理がある、じっくりと狙うのはいいと思うんですけれども、余り短期間に無理やり上げようとするとあちこちでゆがみが出てしまうということではないかと思います。 十四ページ目に賃金と物価の関係を載せておりますが、左側が平均年間賃金の推移、右側が消費者物価の推移ですけれども、やはり安定的に賃金が上がっていけば物価も上がっていくわけです。それを日本も目指すべきであり、安倍政権が賃金上昇を財界に要求しているということも正しいアプローチだと思いますけれども、ただ、なかなか一朝一夕にはいきませんので、そこはやっぱりじっくりと日本の潜在成長率、経済の実力を上げていくということが重要になってくると思います。 それには、十五ページにもありますが、株価は上がっているけれども、必ずしも実質の平均成長率がアベノミクスの間にそんなに上がっていないと。これは、やっぱり潜在成長率が下がってきているということだと思いますので、説明は省かせていただきますが、人口動態等々の問題もありますので、構造改革等を含めながら、その潜在成長率をいかに上げていくかということもやっぱり同時に行っていく必要があるということではないかと思います。 私の方からは、ひとまずここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌でございます。 本日は、林公述人そして加藤公述人におかれましては、貴重な御所見を賜りまして本当にありがとうございます。 それでは、質問をさせていただきますその前にお話の感想を申し上げて、質問をさせていただきたいと存じます。 まず、林公述人のお話の中で、いわゆる今の日本経済を取り巻く世界経済の現状についての御所見がありました。この資料でいえば、四ページにありますような米国の景気減速、そしてまた中国経済の失速、また原油安と、様々なこの日本経済を取り巻く大きな世界の課題があるということも改めて認識をしたところでございます。そういった中で、こういった環境の中にあっても日本経済がこれまで長く苦しんできたこのデフレからいかに脱却するか、そのために我々は今何をなすべきか、まさにそういう状況にあるというふうに感じたところでございます。 他方で、林公述人の方からは、少し先を見通した明るいお話も示唆をいただきました。例えば、世界経済にあっては世界の通貨供給量、これが回復基調にあって、これが世界経済にプラスの側面ももたらすのではないかというようなお話もございました。 私、いろんな、経済を見るときにやはり課題というものが見えてきますけど、やっぱり将来に向けて何か、特にこの日本経済から見たときにも新しい明るい兆しというものをどのようにしっかりとつかみながら経済運営を進めていくのかという、このことが重要だというふうに思っています。 例えば中国経済、資料でいいますと五ページですけれども、今過剰設備等で失速をしているというような解説もありますけれども、他方で、今全人代で議論されている計画、まだ六・五%の成長率を今後五年間見込んでいると。これは、もう日本の今の経済からいうと、もっともっと非常に高い数字であります。確かに、中国は、物づくりの場としては日本企業の進出の勢いもまた従前とは異なっていますけれども、やはり大きな大きな十三億人の消費市場としてこれだけの経済成長を続けていくということからすれば、日本の隣にこのような大きな大きな消費市場があるということは、やはりこれ日本経済にも相当程度寄与する可能性も十分にもちろんあろうかと、そのような見方もできるのではないかというふうに思います。 また、原油安においては、先ほども御示唆いただきましたように、本年二十八年の後半にはこの原油安効果がプラスの効果として日本経済に寄与してくるのではないかというような見通しもいただきました。大変その点、意を強くし、もし本当にそうなれば有り難いなと、このように思ったところでございます。 そこで、質問でございますが、日本経済においてはGDPギャップ、需給ギャップの解消を急げというこの十ページのお話がございました。私も、もちろんこれを、長年苦しんできた、デフレに苦しんできたことがこのGDPギャップで図としてもう本当に明確になっていますので、今ようやく解消できるかもしれないというところまでやってきたわけでございますが、今後一年あるいは少し先を見通して、先ほどの原油安効果等もございますけれども、どのような点が、この日本経済を確かな回復軌道に乗せていく、GDPギャップを解消するのにこういった正の側面があるかもしれないということで期待できるものとして見ておられるかというのを、もう一度御所見をお伺いできればというふうに存じます。林公述人にお願いします。
○公述人(林健二郎君) 今先生おっしゃったとおりだと思います。 このGDPギャップ、昨年十—十二で一・六%でありますけれども、仮に昨今の潜在成長率を前提にして政府の二十八年度の経済見通し、実質GDPベースで、が実現すれば、二十八年度の第四・四半期、つまり来年の一—三月にはGDPギャップが解消する見込みであります。その意味で、この政府の予算をしっかり実現して、それで見通しどおりの経済ができれば私は十分可能だと考えております。
○堀井巌君 ありがとうございます。 この政府予算、今度の今我々が議論をしております平成二十八年度の総予算でありますけれども、これが日本の経済の回復、GDPギャップの解消に寄与するというふうな御所見もいただきましたですけれども、具体的に今回の予算の中でどういった点が貢献するというふうに評価しておられるか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。
○公述人(林健二郎君) 中でも、この一億総活躍社会を実現するために様々な施策があります。例えばIoTであるとかロボットであるとか、こういった生産革命を推進するという、こういったことに予算がしっかり付いていますし、さらには農業の輸出の振興とか物流システムの拡充であるとか、そういうきめの細かい施策がありますので、その点に期待しております。
○堀井巌君 ありがとうございます。 私も全く同感でございまして、特に、様々な新しい改革というものが、これは、すぐには経済にどのような正の効果を及ぼすのかというのは見えにくいところはあるかもしれませんが、確実に日本の経済の構造を景気回復の軌道に乗せるような形で寄与していくものだというふうに期待をしておりまして、今がやっぱり私は正念場だというふうに思っております。 原油高のときに、我々は原油高で日本経済本当に大変だというような話をしておりました。原油安でも、今も大変だ大変だと言う。原油価格が高くても安くても課題というものは、経済に対する様々な負の側面というのはあります。でも、正の側面もある。しっかりと冷静に分析していくことが重要だというふうに思っております。 済みません、時間がなくなりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長浜博行君 両公述人におかれましては、大変すばらしいお話をありがとうございました。 昨今の新聞を、表紙を見ると、アベノミクスの失敗によるところの消費増税見送りという観測記事が大分出るようになりました。景気弾力条項を削除して、もう消費税は上げるものという状況の中においてこういう判断をする場合には、もちろん法律を改正しなければならないので、かなりの政治的なリアクションを呼んでいくというふうにも思いますが、加藤公述人の十三ページの資料にあるように、元々かなり無理があった二年間でのインフレ目標設定ではなかったのかなというふうに思っております。二回総理大臣をされますので、その気合と迫力は委員会質疑でも度々感ずるところはあるのでありますけれども、何か物すごく焦っているなという状況の中での無理を感ぜざるを得ません。 特に、QQEの話が出ましたけれども、一三年の四月から量的・質的金融緩和が行われ続けているわけでありますが、この参議院の一月二十一日の決算委員会の質疑の中で黒田総裁が、QQEは所期の効果をもう既に発揮しているんだということと、民主党議員のマイナス金利の質問に対して、現時点でマイナス金利を具体的に考えていることはないと、ECBの件もコメントされましたけれども、FRBの形の中でのアメリカの利上げの問題を含めて、マイナス金利にする必要はないのではないかという頭の中にあったところが、すぐ、一月の二十九日でしたか、もう既にこれを決定して二月から実施をするという。 これは、スイスというかヨーロッパの状況の中にも見られないような、極めて短期間の中での政策変更が行われたと思いますが、これの影響というのは、加藤公述人、急激に行われたことによるリアクションというのも私は非常に事務的な面でも多かったと思うんですが、どのようにお考えになりますか。
○公述人(加藤出君) 先生おっしゃられましたように、余りに急激な導入だったものですから、やっぱり金融の実務の面での混乱が起きたということかと思います。 ヨーロッパ、ECBの場合、マイナス金利政策、一四年六月から始まりましたけれども、一二年の暮れぐらいからはECBの幹部がマイナス金利政策やるかもしれないよという情報発信あるいは観測気球を上げて、金融業界に例えばシステム面の対応であるとか税務面、会計面あるいは制度面でマイナス金利に対応できるかということをやっぱり準備させておいたという感じがあったと思うんですが、我が国の場合、突然始まってしまったということで、今でもマイナス金利を会計上どう扱うかとかあるいはシステムにまだ入らないとかいうことがありますので、やっぱりまだ混乱の余波は続いているということだと思います。 また、こういう形で、実務面の混乱を余り重視しないで急に始められたことで、先行きの出口政策というのはやっぱりすごく市場とのコミュニケーションが重要になると思うんですが、そういうときにも、もし何か乱暴にやられたら大変だというようになるでしょうから、出口時の市場の期待のコントロールというものも難しくなってしまうのではないかと懸念されます。
○長浜博行君 まさに、出口戦略のお話もされましたけれども、私、別に民主党とは言いませんけれども、自民党で安倍さんの後にやられる方は本当に私は大変だなと思うんですね、出口戦略をどういうふうに付けていくのか。 現状の中でも、マイナス金利付きQQEが例えば民間の金融機関の貸出増加とかリスク資産への運用資産の配分見直し、いわゆるポートフォリオのリバランス、こういったことがこの急激な変化の中においても政策的効果を既に出している、あるいはこれから出していかれるというように思われますか。
○公述人(加藤出君) 元々、もう既に国債の金利は非常に低い状態に二〇一三年四月からの政策でなっていましたので、多くの金融機関は安全資産である日本国債を買っている、それだけでは収益が十分出ないという状況で、もう既にリバランスはある程度行っていたという中で更にその状況が厳しくなっていますので、ここから先のリバランスというと、やっぱり相当苦渋の決断、あるいは本当は取りたくないんだけれどもしようがないということで取っていくリスクということになりますので、危険な面も出てきてしまいますから、ポートフォリオ・リバランスというのもやはり程度の問題というのがあって、余り金融機関を追い込んでしまうと後で大きな反動が出てくるおそれもありますし、あと一方で、リーマン・ショック以降、世界的に金融規制当局は金融規制を強化してリスクを取るなというようにしているわけですので、非常に規制当局と中央銀行で逆方向の政策を行っているというちぐはぐ感もあり、及びその間に挟まれてしまって一般の金融機関の運用というのは非常に厳しい状況にあるのではないかと思います。
○長浜博行君 結果として金庫が売れて、日本でも十万円札を作らなきゃいけないんじゃないかという、こういうふうに預金の引き出し等々が起こっただけということにはならないようにしなければいけないというふうにも思います。 スプレッドマイナスのお話などもされていましたけれども、私、心配するのは、これだけの低金利、マイナス金利の中において基本的に一番プラスなのは、大量の国債を発行しているといいますか膨大な借金を抱えている日本国でありますので、財政規律の緩みを政治家にあるいは政策担当者に与えるのではないかなという、こういう財政規律に関しては、先生、どうお考えになられますか。
○公述人(加藤出君) やはり大胆な緩和策で国債の名目金利を下げるということの長期的な大きなリスクの一つは、財政規律に対する国民あるいは議会の意識が低下するリスクということだろうと思います。これは海外でも随分議論されているわけで、ヨーロッパにおいても、特にドイツの中央銀行が量的緩和策にいつも非常に後ろ向きであるということの大きな理由の一つは、財政再建を含む構造改革が南欧で進まなくなるのではないかという懸念もあったりするわけです。 超緩和策、こういった金利を押し下げる超緩和策が構造改革を行う際の痛みの痛み止めということであれば、パッケージではいいことだと思うんですけれども、痛み止めの方に甘んじてしまって逆に改革の方が遅れてしまうということに、単なる痛み止めのモルヒネになってしまうと、長い目で見ると我々の将来世代にツケを回してしまうということにもなりますので、大胆な緩和策にはそういった副作用もあり得るということを意識しながら使っていくということが非常に重要ではないかと思います。
○長浜博行君 ありがとうございました。
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。 林公述人、加藤公述人、お二人の先生方におかれましては、本日は貴重な御所見を賜りまして、心より感謝、御礼申し上げたいと思います。 まず、林公述人に何点か御質問させていただきたいと思います。 林先生からは、来年度予算案、税制に対する力強い御支持とともに、現在の我が国の経済状況に対しまして、世界経済の動向あるいは消費性向から足取りが鈍っているという御指摘がございました。 そうした中で、原油安の価格転嫁の効果を生かすためにも円安の是正が求められること、さらにはGDPギャップの迅速な解消が必要であること、そして、その中でも所得格差の是正を進めるべきという御所見がございまして、消費税の引上げに際してはこの点を留意して軽減税率の導入を図るべきという貴重な御意見をいただいたところでございます。 そこで、この軽減税率につきましてもう少し先生から御所見を賜れればというふうに思いますが、この軽減税率、様々な議論が与党の中でもありました。また、今も国民の皆様からいろんな御意見をいただいているところでございます。 一つメリットとして御指摘させていただきたいのは、やはりこの消費税、今の日本が抱える財政状況の財政健全化に向けた消費税を引き上げるに当たって、国民の皆様の御理解をいただくということ、それから痛税感を低所得者対策として緩和していくということ、さらには、将来的にはインボイスを導入する、このことに道を開いて税負担の公平性を確保していく、こうしたメリットがあるのではないかと私は考えておりますが、林公述人から、この軽減税率導入のメリットにつきまして御所見を賜れればというふうに思います。
○公述人(林健二郎君) 今先生おっしゃったように、逆進性を解消するという対策としていろんな案がありますけれども、一番効率的なのは、私は現段階では軽減税率だというふうに思います。将来、所得の正確な掌握ができるような時点であればまた別な議論もありますが、現段階では軽減税率だと思います。 それから、やがては、日本経済を考えますと、将来的には消費税中心の税収体系になる可能性がありますから、なるべく早い段階からしっかりした制度をつくっていくと、その意味でもインボイスの導入は将来必要だというふうに考えます。公平性の点からもそれが正しいというふうに思われます。 特に、先ほど触れましたように、今、中低所得者、低所得者だけじゃなくて中低所得者の収入減ということと消費の停滞というのが起こっていますので、そういう意味では、幅広い階層に影響を与えるという意味で、より幅広い影響を与えるという意味で軽減税率が有効だというふうに考えます。
○石川博崇君 先生からは、資料の中で、エンゲル係数を用いて、所得階層二百万以下の方々については三三%、また一千五百万以上の方々については二〇%という点から考えても、低所得者対策としてもこの軽減税率が重要なのではないかという御指摘をいただきました。 一方で、国民の皆様からの御議論の中では、この軽減税率導入によって事業主の方々の事務負担が増える点についての懸念、それから、線引きについてこれまでも様々御議論がございました。 今回は食料品全般を、外食と酒類は対象外とさせていただきますけれども、それ以外、加工品も含めて食料品全般を対象とすることによりまして、線引きについてはできる限り分かりやすいものになったのではないかというふうに考えておりますが、こうした国民の皆様の御懸念に対してどのように対応していくことが適切なのか、特に事業主の方々の事業費負担、これを軽減していくこと、これは極めて重要な点でございますが、この点について林公述人から御所見を賜れれば幸いでございます。
○公述人(林健二郎君) その事務負担は当然掛かりますけれども、しかし、世界主要国においては軽減税率の導入ということが多く行われていますので、日本においてもそれが実現できるように、予算措置も含めて対応していかなければならないというふうに思います。これからまだ約一年間の余裕がありますから、その間に十分説明をして、どういう対策が必要かも十分議論されて、その上で進めていただきたいと思います。 今回の軽減税率の対象については、一応私は社会常識から見て適切な御判断ではなかったかと思います。
○石川博崇君 ありがとうございます。 消費が、前回の五%から八%に引き上げた段階以降、引き続き落ち込みが続いているという御指摘でございまして、この消費を引き上げていくためにも、あるいはこれ以上、今回、来年の四月に引上げの段階で落とさないためにも軽減税率導入が重要だという御指摘でございましたが、あわせて、しっかりと景気、経済を向上させていくためにも、中小企業あるいは地方にも今のアベノミクスの恩恵を行き届けさせる、そういった取組が重要なのではないかというふうに思います。それとともに、やはり賃金上昇に向けた流れを築いていくということが大事ではないかと思います。 そこで、加藤公述人にお伺いをさせていただきたいと思いますが、加藤公述人からは、最後に潜在成長率の引上げが重要であるというふうに御指摘を賜りました。まさにそのとおりだというふうに思っております。今のこの成長を引き上げていく上で、例えば中小企業の生産性を向上させていくこと、そして地方も含めて賃金上昇の流れをくんでいくこと、こうしたことによって潜在成長率をしっかりと引き上げていくことが重要かと思いますが、そのための具体的な施策につきまして御所見を賜れれば幸いでございます。
○公述人(加藤出君) 例えば、日本の場合、新しい会社を起こす起業のしやすさという点でもやっぱりまだいろいろ制約があるんだと思いますが、例えば、世界銀行が毎年出していますビジネスのしやすさランキングというのがありますけれども、起業のしやすさで見ると、二〇一六年は日本は八十一位で、前年の七十七位よりまた低下しているということもあり、一つは、やはりいろいろ規制緩和などを進めながら新しいビジネスを起こしやすいようにする、チャレンジしやすい社会にしていくということがまず大事かと思います。 また、私の資料の十六ページ目にも載せておりますが、やはり何といっても人口が減っていく、しかも働く世代の人口が減っていくという中で、日本の消費のマーケットというものがやっぱりなかなか魅力的に企業から見えず、どうしても外に投資が行ってしまうという状況ですから、せっかくの金融緩和もなかなか投資のチャンスとして生かされず、お金は外に向かいがちに、企業の収益は、せっかく稼いだ収益は外に投資されてしまうという状況ですから、やっぱりこの人口問題ということも非常に重要、あるいはこの十六ページ目の下に載せておりますけれども、イノベーションが起きやすい環境となると、海外の優秀な才能もどんどん取り込みながらやっていくというようなアプローチも重要になってくるであろうと思いますので、人口対策あるいは移民対策等々もタブーなく議論していくことが必要ではないかなと思います。
○石川博崇君 ありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 林公述人、加藤公述人、今日はありがとうございます。 加藤公述人にお伺いをしたいと思います。 日銀は異次元緩和、強力な金融緩和をやっているわけですが、出口についてなかなか説明をしないんですね。この点は他国の中央銀行はどうなのか。FRBは、入口のところで既に出口について基本的な考え方を示して、国庫納付金に与える影響なども説明をしている、試算を示しているわけですが、出口のリスク、コストについて説明をしているというふうに聞いているんですが、中央銀行としてはやっぱりこの点どうすべきなのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(加藤出君) 確かに、FRBに比べると、やっぱり出口に関する日銀の説明は不足しているということはあるかと思います。 FRBの場合、議会から、こんなに大量に市場から債券を買い取ってあとどうなるんだということを、主に共和党サイドから激しい批判もあったので、その議会に答えるという意味合いもあってかなり説明していたということがあるかと思いますけれども、あと、日銀もある程度出口政策のイメージは既に説明されているわけですけれども、余り踏み込んだことを言っていないのは大きく二つ理由があるかと思いますが、一つは、期待に働きかける政策、インフレを二%にしますよといって、それをみんなに信じてもらってインフレ率を上げるという政策なので、それが実現する前に出口の話を余りしたくない、できないという、その政策のアプローチからきてしまう制約があるんだと思います。 あともう一つは、やっぱり根本的な問題としては、これだけ巨大な政府債務のある我が国で国債を猛烈に買い取っているということで、どうやって将来の日銀が国債の買入れをやめていったときにうまくソフトランディングを長期金利ができるのかというところの問題というのは、財政再建とも直結してくる話でしょうから、実際のところなかなかそこを日銀の方からイメージをつくれないということと、両方、二つ理由があるのかなと推測します。
○小池晃君 国会でもかなり問いただしているんですけど、答えないんですね。おっしゃるように、やっぱり政府も含めたこれは責任だと私も思うので、ちょっと引き続きこの問題を取り上げていきたいというふうに思います。 それから、二%物価目標が個人消費に与えた影響についてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、期待物価上昇率を引き上げる、今もお話ありましたが、実質金利が下がれば投資が進むんだと。そうなっていないわけであります。 個人消費について、原油価格が下がってきてはいますけれども、円安の影響で食料品価格など生活必需品の物価も上がって個人消費に悪影響を与えた側面もあるのではないかというふうに思うんですが、この間のこの日銀の行動が個人消費に与えた影響についてはどのようにお考えでしょうか。
○公述人(加藤出君) 日銀の政策によって、円安、株価である程度消費者のマインドも明るくなったと、それから大手企業を中心に賃上げもあったということでのマインドの好転というのはまあ実際あったんだと思いますが、ただ、円安主導で輸入物価を上げていくと、一番顕著なのは、食品価格が上昇すると生活コストの上昇になりますから、ほかの消費が停滞してしまうということが起きてきたこの三年間ということだと思います。 ですので、賃上げに伴う、購買力の増加に伴う物価の上昇といういい形のスパイラルが起きればいいわけですけれども、金融政策だけで早期にインフレを起こそうとすると、まずは輸入物価を押し上げてということにやっぱりどうしてもなってしまいますので、その点では、消費においてはマイナス面も出てしまっているということゆえに、先ほどの私の資料の七ページ目の消費者態度指数も、今の政策を始めた三年前よりも必ずしもマインドが高い位置にいないというのは、やっぱりそういう面も出てしまっているということだと思います。
○小池晃君 今お話あった消費者態度指数、これはもう二月、がたっと落ちているわけですね。これはやっぱり、あのマイナス金利という政策そのもののイメージ、まあ国民からすると、もう何というか打つ手なしというようなイメージを与えてしまう。それがこの消費マインドにかなり大きな影響を与えたのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○公述人(加藤出君) 例えば、ECBが一四年六月にマイナス金利を始めたときなんですが、ドラギ総裁の説明は、当面これは金利の底ですという説明をして、まあ実際はその後下げていくんですけれども、やっぱりそのマイナス金利という未知の政策ゆえに国民にショックが出ないように慎重に導入していったわけですね。なので、マスコミの取り上げ方も当時そんなに大きくなくて、記者会見の記者の質問も二つくらいかな、ほとんど余り質問が出ないぐらいの注目度の低さでそうっと始まっていったわけなんですが、まあ日本の場合、その緩和の、これからどんどんマイナス金利を下げますよという印象を強く出したこともあり、翌週、長期金利が急速に低下してマイナス圏に入っていったということも相まって、その不安感が強まったということなんだと思います。 ただ実際は、先ほど申し上げましたように、個人の預金金利がマイナスになるということまではいかないんだと思いますけれども、ただ、やっぱりどうしても、本来、通貨というのは価値保存機能というのがあるわけですが、それがマイナス金利だと、ほっておくと価値が減っていくのかという印象を余り過度に与えてしまうと、かえって消費や投資にはマイナスになってしまいますので、やっぱりそういう意味では、ちょっとその最初のイメージを強く出し過ぎたという問題はあったかとは思います。
○小池晃君 最後に、投機マネーとの関係をちょっとお伺いしたいんですが、原油価格の急落は、これは需給関係だけでは説明できないわけで、やっぱり、世界もう全体で株、土地、金利、為替も変動幅が大きくなっていっていると。これはやっぱり、この間、世界の中央銀行で金融緩和をやっている、これがやっぱりその原因だというふうに思うんですが、その問題点、金融緩和と投機マネーの関係について、公述人の考え方、お聞かせ願いたいと思います。
○公述人(加藤出君) おっしゃるように、それはリーマン危機以降の先進国の金融緩和で、局所的にはバブルというのはやはり起きているわけで、その巻き戻しが今年の一月から部分的に起きていて混乱が起きていると言える面もあると思います。また、スウェーデンでも今盛んに、インフレを二%にするためにここまでマイナス金利とかをやって大丈夫かという議論が結構起きていまして、スウェーデンの場合は元々住宅バブルぎみのところにこれが起きているものですから、余り過度に金融政策に依存しない方がいいのではないかという議論は結構行われていたりもします。 日本の場合、人口が減っていきますので不動産バブルというのは局所的にしか起き得ないかなとは思いますけれども、ただ、余り金融機関や機関投資家を追い詰めて、安全資産の利回りを押し下げ過ぎて追い詰めてしまうと妙な投資行動が起きてしまうというリスクはあり得ますので、そこは注意しながらやっぱり見ていく必要があるということだと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。終わります。
○東徹君 おおさか維新の会の東徹でございます。 本日は、林公述人、加藤公述人、大変お忙しいところをありがとうございます。 先ほど林公述人の方からは、日本経済というものはアベノミクス効果で回復に転じたけれども、ここに来て勢いが鈍化してきていると、原因は輸出の減少と消費税引上げの影響が大きかったというお話がありました。今非常に、林公述人も言われました過剰設備を抱える中国経済の減速、そしてヨーロッパの、林公述人からは先進国の中央銀行のバランスシートの膨張というお話がありました。また、原油の供給価格の過剰と、こういったものが続いてきておると。 こういったことがありましたけれども、これは非常に深刻な状況であるというふうには思っておるんですけれども、この点につきまして、世界経済の縮小という意味で、これは林公述人、加藤公述人、両方にお伺いしたいと思うんですけれども、縮小傾向にあるのではないのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○公述人(林健二郎君) 今の世界経済を見ますと、名目ベースで見ますと、GDPもマイナスになっています。それから貿易もこれは数量ベースでマイナスになっています。その意味で、今日の世界経済というのは、この八年間で金融財政出動をやって一応金融危機から脱出しましたけれども、いろんな後遺症を抱えておりますので次第に景気が今鈍化しているという状況だと思うんです。その中には、やはり大きいのは、中国の減速と、それから原油価格の影響によって資源国、新興国がかなり痛い目に遭っていると、こういうことの重みが結構大きいと思うんです。 しかし、先ほどの加藤公述人のときの資料にもありましたように、この間で世界の為替が、ドルは四〇%上がりましたけれども、その裏側でほとんどの国が大幅に為替が下落していると。この為替の下落の効果によって、ぼちぼち輸出のマイナス幅も回復している国があるということが一つ。 それから、資源国には問題が大きいんですけれども、この資源価格の減少というのは、世界の多くの国々にとって、特に消費国にとってはプラスになるわけです。今は輸出が低迷していますけれども、例えば中国にしても日本にしても、その輸出先の国々における資源価格の下落によるメリットというのは意外と大きいんです。そういう意味で、この影響が半年とか一年後、徐々に出てくる可能性があるというのが二番目。 それで三番目には、先ほど触れました世界の通貨供給量がここにきて持ち直していると。これはまだレベルが小さいですから余り影響は出ませんけど、やがてこれが時間を持って影響を与える可能性がありますので、今はマイナスになりかかっておりますけれども、もしこの段階で、世界不安を解消するために世界主要国が一緒になって金融危機を抑える、為替の混乱を抑える、金融政策を協調するということで安心感が広がれば、今後は徐々に明るさを持ち直すのじゃないかと期待しております。
○公述人(加藤出君) 現状は御指摘のように世界経済、調整局面ということかと思います。二〇〇〇年代に入ってからBRICSを中心とする新興国が急成長してきたわけですけれども、金融危機の後に先進国の金融緩和策でそういったところに先進国からお金が大量に流れていったということで過剰債務傾向になって、そこの今行き過ぎの部分の調整が行われているということだと思います。 このため、ここの調整はまだしばらく続くんだと思いますけれども、ただ、もうちょっと長い目で見ますと、私の資料を見ていただきますと、十六ページ目、御覧いただければと思いますが、十六ページ目に、働く世代の二十歳から六十四歳の人口の推移を載せていますが、九五年を一〇〇として見ますと、日本のように減っていくところもあるわけですけれども、水色の線で、世界を見ますと、世界はこれ堅調に増加していくわけですので、そういう意味では、今調整局面だけれども、そこを乗り越えていけばまた新しい需要もいろいろ生まれてくるということだろうと思いますので、ただ、この増加していく部分というのはイスラム圏の人たちが多いということもありますので、そこをいかにうまく経済を一緒にやっていくかという大きな課題にはなりますけれども、長い目で見ればまだまだ成長のチャンスはある。 あるいは、調整局面においても、例えば中国も、消費やITなどを中心とするよくニューチャイナと言われる部分がありますけれども、そういったところはまだ伸びていきますから、セクターによっては探していけば海外に成長のパイというのはあるんだと思いますので、個々の企業の方々もそういうところをいかにうまく狙っていくかということが大事なのかなと思います。
○東徹君 ありがとうございます。 林公述人に一点お聞きしたいと思うんですけれども、消費税に対して結構慎重なお話がありました。来年四月から消費税引上げ、これはやはりちょっと延期した方がいいんじゃないのかと、こう思っておられるんじゃないかなと思ったりするので、その辺についていかがなのかなというところと、軽減税率はこれは必要だというか、そういうふうなお話でありましたけれども、この軽減税率も、ヨーロッパでは結構二桁台、消費税率が、そういったところが一般的だと思うんですけれども、一〇%にするときに軽減税率はちょっと早いんじゃないかなと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○公述人(林健二郎君) 軽減税率の導入は、私は早ければ早いほどいいと思うんです。もちろん、一〇%以上になってからという意見もございますけれども、庶民からとるとなるべくそれは生活費安い方がいいという意味で、現段階での導入というのは私は適切じゃないかと思っております。
○東徹君 では、加藤公述人にお伺いしたいと思います。 実質賃金、なかなかこれ伸び悩んでおりまして、企業は過去最高でありますので、どうすれば上がるのかなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○公述人(加藤出君) 非常に難しいテーマですが、これだけ大手企業が過去最高収益と言っていながら賃金の上昇が遅いというところは大きなテーマ、悩みなわけですけれども、労働組合の方も、これだけもうかっているのにもっと上げろと言わないのはなぜなのかというと、やっぱり将来に対する自信が経営者だけじゃなくて組合の人たちも余りないということなのかなと。 例えば、二〇二〇年のオリンピック以降の日本に対する自信が余りないとか、あるいは、今いい業種であっても、日本の基幹産業である自動車ですけれども、もしかすると次世代の自動運転の世界になってくると日本の家電業界のように急激にその利益を外に取られてしまうんではないかとかいろんな不安が多分あって、現状もうかっていてもそれを消費や投資に、国内に、賃金などになかなか使えないということなのでしょうから、イノベーションが起きやすいような環境づくりというものを地道にやっていくということが基本的には必要なのかなと思います。
○東徹君 ありがとうございました。
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。 林公述人にまずお伺いしますが、世の中ではデフレの話を、世の中というか国会の中でもしているんですけど、ただ一人、安倍総理はデフレではないというふうにいつも前置きで言われるんですけれども、デフレギャップがまだこんなにあるよという話をしているときにデフレではないという言い方は適当な表現なんでしょうか。そこをもう一遍説明していただければと思います。
○公述人(林健二郎君) デフレの定義というのはなかなか難しいと思うんですけれども、確かに需給ギャップはまだ大きいので、その意味では、なかなか経済が正常化、健康体に戻っているとはまだ言えないと思うんです。ただし、物価がマイナスかどうかといいますと、物価は僅かながらプラスになっておりますので、その点ではどちらとも見えるんじゃないかなというふうに思うのでございますが。
○小野次郎君 加藤公述人も何かちょっと反応がおありのようなので、同じ質問についてよろしくお願いします。
○公述人(加藤出君) まさに今、林先生がおっしゃったように定義の問題もあって、純粋に消費者物価指数の動きということでいえば、マイナスには最近はほとんどなっていないという点ではデフレではないと言ってもいいのかなとは思いますが、ただ、デフレの定義を、その需給ギャップ等々も含めて、あるいは日本経済の力強さというふうに範囲を広げていってしまうとデフレ脱却と言いづらい面はあるのかとは思いますけれども、ただ、金融市場の世界でいえば、純粋に物価指数で見ればデフレではないとは言っていいのかなとは思います。
○小野次郎君 ありがとうございます。 もう一つ、消費税の八%から一〇%に引き上げることについて、今の景気の動向の中では適切ではないという意見を私自身も持っておりますけれども、国会での審議の中で、政府側は、リーマン・ショックのような極めて予想し難い大きな事件、事象が起きない限りは予定どおり上げますよということを言っておられます。さらに、議員の質問の中に、税率を上げることはできても結果として税収が増えないような増税であれば意味もないですよねと。意味がないというか悪い増税ですね、それは逆に言えば経済の足を完全に引っ張っているわけですから。 その足を引っ張る増税になっちゃうか、つまり、税収が増えない増税になるかどうか、僕は八から一〇に上げる場合のことを言っているんですけれども、それは先行指数では、例えばGDPの統計なんかでいうとどの辺の数字を見ていれば、税収が増えないよ、減っちゃうよという可能性があるよというのは、四半期ごとの数字でいうと今年の夏ぐらいが最後の数字だと思うんですけれども、マイナスどれぐらいが出たらそれは税収にとってはプラスにならないという分岐点になるんでしょうか。 まず、加藤公述人にお伺いしたいと思います。
○公述人(加藤出君) 一つには、やっぱり先行きの賃金の上昇などを国民がイメージできる環境であれば、あるいは景気が先行き良くなるという環境をイメージできるのであれば消費税の引上げというものを乗り越えられるんでしょうけれども、おっしゃるように、今は非常に微妙な時期ではあるんだと思います。 そういう意味では、消費の強さ、あるいは賃金の伸びの強さというものを見ていく必要があるんだとは思うんですが、ただ、非常に悩ましいのが、消費税を先送りすることで海外の格付機関から日本国債の格付を引き下げられるというようなことがあると、また、それが同時に日本の金融機関の格下げにもつながっていきますのでいろいろと影響が出てくるおそれもあり、そういったことも全体を考慮しながらの消費税の判断というものが必要になってきますし、また、あと、ヨーロッパのように消費税が二〇%前後でやっている国がありながら、なぜ日本は五から八に上げただけであれだけ反動が出てしまうのかというと、やっぱり根本的には、例えば賃金の伸びが弱い、あるいは将来不安があるというような流れの中で、欧米に比べると低い消費税なのに上げづらいということになっているんだと思いますので、今のままだと、いつ来るか分からない高成長を待たないと消費税が上げられないということでは、いつまでも上げられず先行きに問題が起きてしまいますので、その意味でも、潜在成長率をいかに上げていくか、あるいは、企業の稼ぐ力を上げていくかということの議論もやっぱり一緒にやっていく必要があるのではないかと思います。
○小野次郎君 同じ質問を林公述人にもお伺いしたいと思います。
○公述人(林健二郎君) 具体的に言いますと、実質GDPがマイナスが続くかどうかということだと思うんです。去年の十—十二月はマイナス一・一でありますけれども、今年の一—三は、いろんな予測がありますけれども、大体とんとんかなと。それが四—六以降は徐々に回復するというふうに思われますけれども、仮に、一—三も四—六もマイナスというふうになった場合には若干懸念が出てくると思うんです。ただし、税収自体については、御案内のとおり、過去五年間、毎年毎年大幅に上振れておりまして、現状の税収の予測はかなりいい線がいくと思うんです、ただし、そういうマイナス成長が引き続き続いていくというふうな状況であれば、それは四—六もマイナスであれば要注意だと思います。
○小野次郎君 先ほど加藤公述人がおっしゃったことなんですけど、どうして日本は五から八、八から一〇という、私もヨーロッパにいたことがあるんですけれども、税率というと、消費税の低ベアというか、付加価値税的なものの税率でいうと極端に低いのに、えらく景気への影響が大きいような気がするんですけど、その違いというのはどんなところに違いがあるんでしょう。もう一度ちょっと御説明いただければと思うんですけど。
○公述人(加藤出君) GDPに対する国民の税負担の比率も小さいわけですから、欧米と比べますと、平均と比べますと、ですので、そこは非常に不思議な議論でもありますが。やや表面的な議論ですけれども、ヨーロッパの場合、内税方式が多いですから、実際のところ幾らVATが、付加価値税が取られているのか見えにくいというのがありますね。また、軽減税率のこれは良しあしの問題でもありますが、複雑過ぎて、町の一般の人に付加価値税幾らですかと言うと、普通の人は答えられないですね。あるいは、増税があったときも、いや、よく分からないんだよねという話で、まあ、これは増税する側にしてみるとむしろ利点なのかもしれませんけれども、その分いろいろ問題も起きますけれども、まず表示の仕方の問題というのが一つあるかとは思います。 あとは、社会福祉等々も含めての痛税感というものがやっぱり感じやすくなってしまっているということなのだと思いますけれども、ただ、景気が良くなったら上げましょうという議論だけしていくと、今のように日本の潜在成長率、日銀の試算でもプラス〇・二前後ぐらいしかないので、ちょっとした、外需が弱かったりするとすぐマイナスに行ってしまうと。そうすると増税ができないということになると、いつまでもできないということになり、結局若い人たちが自分たちの社会保障は大丈夫なのかというふうにいずれやっぱり怒り出すということになるでしょうから、全体の議論をいかにやっていくかという、まあ難しい話ではありますけれども、目先の景気の話と中長期的な財政再建の話と両面で議論することが必要かと思います。
○小野次郎君 どうもありがとうございました。
○中山恭子君 日本のこころの中山恭子でございます。 今日は、林先生、加藤先生、貴重なお話、ありがとうございました。お一人ずつからもっと長い時間を掛けてお話を伺いたいと思ったところでございます。 今のお話の続きからと言っていいんでしょうか、潜在成長率が特に日銀の場合は非常に小さい数字が出ておりますが、これをまず高めようとした場合、どういった手段、どういった政策を取るということが必要でございましょうか。加藤公述人、もしできれば、後ほど林公述人からもお話伺えたらと思います。
○公述人(加藤出君) 潜在成長率を上げていくにはやっぱり生産性を上げていく、あるいは別の言い方で言えば、企業のもうかる力を強めていくということであったりとか、あとは、働く人の数を増やしていくということの両面が必要だろうと思います。 私の資料の十六ページ目を御覧いただくと、先ほどもお見せしたグラフですが、二十歳から六十四歳の人口が、九五年以降、特に二〇〇五年から減り始めてきているわけでして、また、ここに来て、二〇一五年近辺で下げがまた、減少がきつくなってきていますので、やっぱりこれだけ人口が、労働年齢人口が減っていくという経済と、例えば緑色のアメリカのようにコンスタントに増えていくというところでは、そこは例えば消費のパイにおいても全然違いが出てくるわけです。 あと、次の十七ページ目の下の方を見ていただきますと、ベビーブーマー世代とミレニアル世代という表を十七ページ目の下に載せておりますけれども、今、ミレニアル世代という一九八〇年から二〇〇〇年生まれの世代がアメリカで消費の中心として非常に注目されていますが、この世代が九千百万人ぐらいいまして、かつて一番人口が多かったベビーブーマー世代が七千五百万人ですので二割以上人口が多いということで、アメリカの企業も、それから海外の企業もそこの消費をどう攻略するかということですごく投資をするんですけれども、日本の場合は、同じ年代を比較しますとむしろ一五%も減ってしまうとなると、日本の消費の市場が魅力的に見えないというふうになってしまいますので、やっぱりなかなか投資が起きにくいということもあるのかと思います。 ただ、一方で、少子高齢化を逆手に取って、世界一早く高齢化していくがゆえに、高齢者向けのビジネスというものが真っ先に日本では始まってきているわけですから、いろんなITやロボット技術などを使ってそこのノウハウを高めていけば、今後アジアも全般に高齢化していきますから、そこに対してそのノウハウや商品を売れる、サービスを売れるということがいろいろ出てくると思いますので、そういった世界の高齢化に合わせた商品開発というようなものも併せてやりながら日本企業の稼げる力というものも高めていく、及び新しいビジネスを起こしやすいような規制緩和というようなものも進めていく。先ほど申し上げました世界銀行の起業のしやすさランキング、八十一位と大分低いところにいるわけですので、年々下がってきていますので、やっぱりこういったものを上げていくような工夫も必要ということかなと思います。
○公述人(林健二郎君) 第一は、やっぱり労働力人口が増えることですね。毎月毎月の数字を見ていきますとやっぱり着実に回復してきている、特に女性の参加によって労働力人口がじわじわと増えているというのは朗報でありますが、これを更に加速しなくちゃいけない、それがアベノミクスの中にある一億総活躍社会だと思うんです。 二番目は、生産性の上昇なんですけれども、特に、御案内のとおり、日本の場合にはサービス産業の生産性が低い、国際的に。これをいかに高めるか、それから中小企業の生産性を高めるか。御案内のとおり、日本経済の最大のパワーは私は中小企業だと思っています。この中小企業の生産性を高めるための対応が二番目だと思います。 三番目は、もちろん設備投資を増やすことですけど、これは先ほども触れましたように、需給ギャップが改善すればおのずとこれは回復してきますから、これは時間掛かるけれども、それに対する例えば税制面からの支援ということではないかと思います。
○中山恭子君 ありがとうございます。 まだやらなければならない政策、取る必要のある政策がたくさんあると考えております。 先ほど、今回の消費税引上げ、前回のですね、が予想以上に影響が大きかったというお話を林公述人からいただきました。消費税の引上げについて私どもは再延期すべきだと主張しておりますけれども、この点につきましてお二人の公述人からお考えをお知らせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○公述人(林健二郎君) 景気の観点からいえば、それは増税しない方がいいのはもう当然だと思うんです。しかし、先ほど加藤さんの方からお話もありましたように、仮にこれを延期するということになった場合にやはり心配なのは、日本に対する信頼感というか政策に対する信認感、それから格付といった問題がありますので、これは私はできれば、なるべくできるような環境をいかに整備するか、これが来年度の課題だというふうに思っております。必ずしも今の状況はいいわけではありませんけれども、先ほど触れましたような観点から、徐々に徐々に景気は底上げしていく条件はありますので、これをじっくり守っていただきたいと思います。
○公述人(加藤出君) 短期的な景気の観点からいうと、消費税を上げることのマイナスの影響というのが心配はされますけれども、ただ、今、林先生おっしゃったように、国債の格下げということがどういった副作用を生むかということもやっぱりそろそろ、今までは何とかなっていた面はあるんですけれども、そろそろ、海外の規制当局も日本国債をリスクフリー資産から外すという動きがもう既に始まりつつある状況なわけですので、また、外人投資家が去年日本国債を買ったと言われていますけれども、基本的には期間の短い国債に集中していますので、決して中長期的な日本の財政の信認というものが評価されているわけではないという状況ですので、そことのやっぱりバランスを考えながらと。 また、この間消費税の引上げを一回、一五年のを延期したときに、次は一七年にという話であったわけですが、それも延期ということになると、次はいつだろうと、そこのやっぱり信認を得るのがなかなか難しいかと思いますので、やっぱりそこに対する配慮もすごく慎重にやっていく必要があるんではないかと思います。
○中山恭子君 大変ありがとうございました。
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。今日は、両先生方、ありがとうございます。 私の方から何点かあるんですけれども、まず両先生にそれぞれお伺いしたい点が一個あります。 今、前にも出たんですが、日本の信認という辺りで、いわゆる二〇二〇年プライマリーバランスを黒字に持っていきたい、こういう議論があるかと思います。菅政権、民主党菅政権からもう公約しまして、安倍政権でもこれを遵守するということで、半ば国際公約のような形になっています。ただ、残念ながら、財務省試算、内閣府試算によってもなかなか達成できないんではないかというような数字もありまして、この辺り、もし達成できない場合の国際的な信認は今後日本はどうなる可能性があるのか。 もう一つ懸念しておりますのは、オリンピック、これは絶対に成功させるべきだと思いますが、負の側面もあるかと思っています。もしオリンピックを過ぎてなかなか日本というのは構造改革が進まないとなると、オリンピックという極めて大きなイベントでも、ああ、変わらない国なんだと、こういうふうにレッテルというか貼られる可能性があるんではないかなと。もちろん、オリンピック直前まではいろんな設備投資等は期待はできるものの、その後そういった生産財が具体的にどういうふうに二〇二〇年以後使われるのか、これは直ちに評価されるかというふうに思っております。 そういった意味で、二〇二〇年、もう直近に迫っておりますが、このいわゆるプライマリーバランスに対する国際公約、それからオリンピックとの関係において、その後、日本の国際信認というのはどういうふうに見立てていられるのか。加藤公述人、林公述人、それぞれお答えいただければ幸いです。
○公述人(林健二郎君) まず、プライマリーバランスの問題でありますけれども、私は個人的には、二〇二〇年度のプライマリーバランスのマイナス脱却というのは可能だと思います。理由は、私は税収の弾性値がもう少し高いんじゃないかということであります。 もちろん、プライマリーバランスは、御案内のとおり、その国の財政に対する節度を表すものでありますけれども、プライマリーバランスというのは、御案内のとおり、GDPに対する公債等の残高が発散しないための条件ということがあります。御案内のとおり、既に平成二十七年度をピークにしてこの残高が徐々に減っていく可能性が出てきております。その原因は、言うまでもなく、消費税を引き上げたことと税収が上振れているということなんでありますけれども、この流れを考えていきますと、私はプライマリーバランスの二〇二〇年の目標達成は必ずしも難しくないというふうに思います。 しかし、万一それができなかった場合ということでありますけれども、私は、そういう状況が起こった場合には、かなり日本国内ではなくて世界経済の影響でもって達成できないという可能性があるんじゃないか、その場合には、その点については十分配慮されるんじゃないかと思います。 それから、オリンピックの問題、これ私、専門じゃなくて分かりません。しかし、イギリス等を参考にして、御指摘のとおり、二〇二〇年以降もそれが社会の公共財として活用されるような施策をこれから打っていかれるだろうと期待しております。
○公述人(加藤出君) 現状ですとプライマリーバランス二〇二〇年黒字化というのは難しいんではないかなと思っておりますけれども、ただ、大事なのは、中長期的には財政再建に向かっていくというスタンスを示すということかと思います。 というのは、まだまだ日本には、現状、日本は経常黒字ですし、対外資産も大きい状況ですので、今のところプライマリーバランスの黒字化ができないことで一挙に日本の信認が大幅に低下するということではないんだと思いますけれども、ただ、先ほど申し上げましたような国債の格付の格下げなどを通じてじわじわとその評価が低下していくということでの悪影響というのは、プライマリーバランスの黒字化達成ができないと、そこもじわじわと影響が出てくる可能性はあるかとは思いますので、その中長期的なコミットメントというところはぐらつかないようにしていく必要があるということだと思います。 それから、オリンピックが中期、長期的に経済を活性化させるかという議論は、最近の経済学者の海外の議論だと、それが成功したケースというのは余り多くないというのが一般的かとは思います。ただ、中には成功しているケースもあり、バルセロナのように、それ以前は非常に寂れていた古い製造業の町であったのが、オリンピック以降、画期的に観光都市として生まれ変わったということもありますので、成功例もありますので、日本の場合は、オリンピック前後にやってくる観光客の人たちに今後も来てもらえるような、あるいはよりラグジュアリーなレベルに支出を、より大きくお金を落としてもらえるようなサービスをいかに提供していくかというようなことをやりながら、またオリンピック関連の建設したものがホワイトエレファント化しないように、無用の長物とならないようにうまく利用していくということの、オリンピックというチャンスをいかにうまく利用するかということは大事になってくると思います。
○山田太郎君 次に、需給ギャップの解消ということについても重要だと思っております。 先ほど堀井委員の方からもこの関連の質問をされていたようでありますけれども、IoT、ロボットということを特に林公述人の方は触れられました。ただ、残念ながら、今回の予算、IoTに関しては合計で約五億円ぐらいでありまして、ロボットもそう多くはないと。 実は、私、これは去年、安倍総理と具体的に質疑をした経緯がありまして、御案内のとおり、ドイツのインダストリー四・〇では、政府は二百八十億、アメリカのインダストリアル・インターネットでも二百五十億規模、中国の二〇二五製造では七千五百億のファンドを積んでいるという形で、かなり本気でいわゆる産業インフラのベースメントというものをしっかり政府がつくっているという動きにある中で、果たして日本は、そういう流れの中で、単純な小さな施策でもって大きな流れの中での需給バランスの解消ということがこの波でできるのかなと、こういうふうにも思っております。いわゆるサービス業重視という発想も出ているんですが、とはいえ、実際、製造業には千四十万人の雇用があるわけでありまして、ロボットの使い方も間違えてしまえば結局リストラにしかつながらないというふうに思っております。 そんな中で、もう時間がありません、一言のコメントで結構でございます。林公述人の方から、今のを踏まえて、需給バランスの解消、どんなことがそれ以外でもあるのか、是非お聞かせいただければと思います。
○公述人(林健二郎君) やはり私は、需給ギャップ解消の一番大きいのは、御指摘のとおり技術革新を推進するということだと思います。これは、今後、日本の将来にわたって国民が希望が持てるためには、日本の技術革新は世界一なんだと、こういう状況を早くつくり出す必要がありますので、私は、できれば来年度の予算のみでなく、更にこの点についてはもっと本腰を入れて支援していただきたいと思っております。
○山田太郎君 じゃ、ちょっとだけ時間あります。加藤公述人にも一言お願いします。関連、もしいただけたら。
○委員長(岸宏一君) 時間がありませんので、簡単に。
○公述人(加藤出君) おっしゃるとおり、そういったインターネット関連あるいはIT関連には予算をめり張りを付けて投入してもいいんではないかなと思っております。 また、やっぱり労働年齢人口が減っていくだけに、そこを補うためのロボットの開発であるとかいった、そういった点からも、IT関連をいかに伸ばしていくかということが非常に大きな課題だろうと思います。
○山田太郎君 ありがとうございました。
○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。 林公述人、加藤公述人、今日はお忙しい中ありがとうございます。 この公聴会は来年度予算についての御意見をいただく場でございます。まず、両公述人に、今議論されております来年度予算について、評価する点あるいは問題点、両先生のお考えについてお伺いをしたいと思います。
○公述人(林健二郎君) 私は、来年度予算について、国債発行額を減額し、その結果、対GDP比を削減する、その比率がリーマン・ショック前の水準まで戻すということで、これが一番大きい要因であると同時に、財政再建をすると同時に経済成長についてもしっかりとした施策が打たれていると。この二点であります。
○公述人(加藤出君) 国債発行額のGDP比を抑えたりという点では評価される点があるんだと思うんですけれども、一方で、そのリーマン・ショックの後の非常時対策で膨らんだ予算、それからそれが一回減るのかなと思ったときに震災対策もまた必要になったということで、過去最高水準の支出の状況と比べると、そこが基準になってしまっているという点からすると、これだけ税収が上がっているのであればもっと過去の借金を返済する方向性に本当は進むべきなんだろうと思いますけれども、そこまでは行けていないという点では、前進ももちろん見られて評価されるべきなんだと思いますが、ただ、一番財政支出が大きかったところが基準になって議論をされているという点での心配というのはあるんだと思います。
○吉田忠智君 私も、予算案の問題点、歳入歳出、様々な問題点があると思っております。 歳入面においても、やはり消費税にウエートが掛かり過ぎてきたのではないかということもございますし、歳出面でも防衛費が五兆円を初めて超えましたし、社会保障については圧縮をされているという問題点もあるんだろうと思います。やはり、なかなか財政再建の道筋が示せていないという意味では、四年連続して補正予算も含めて百兆円規模の予算でございますし、例えば税収の上振れ分は補正予算、本来なら国債の償還に充てるべきだと、そのように考えています。国、地方を合わせて一千六十二兆円という債務を抱える中でどのような財政再建の道筋を描いていくかという意味では、この予算案についてその道筋が私は描けていないのではないかと、そのように考えています。 財政再建、これから進めていくためには、国民はその点を一番不安に思われているわけでありますけれども、どのようにしていくべきなのかにつきまして、かなりざっくりした話になりますけれども、両公述人に御意見を伺いたいと思います。
○公述人(林健二郎君) やはりプライマリーバランスを着実に改善していくということに尽きると思うんでありますけれども、その点でやはり税収をしっかり上げていくと。税収を上げていくためには、やむを得ませんけれども、消費税を引き上げるということはやはり必要になってくるんだと思うんです。それを適切にやることによって、今後着実にプライマリーバランスも低減していきますので、その点は期待しております。
○公述人(加藤出君) 日本の場合、財政再建の合意がつくりにくい原因の一つが金利が非常に低いと、国債の金利が非常に低い、もう今はマイナス金利になってきましたので、なおさら政府債務の巨大さに対する危機意識が出にくいというのがあるんだと思います。 ただ、それは逆に、国の利払い費が小さくて済むというメリットなわけで、そこを、その状況を利用すべきなんですが、五、六年前に私、ロンドンにいたとき下宿していた先のイギリス人のおばさんが、当時の労働党政権の結果、イギリスの政府債務がGDP比で一〇〇%前後でしたけれども、そのことをすごく嘆く、恐れるんですね。全く普通のおば様で、決して経済の専門家ではない人までもそういったことにすごく心配しているというのは、イギリスのような国ですと、財政赤字や政府債務が膨らむと金利上昇ということが起きてきて、結果的に一般の人たちにもその打撃が及ぶという経験則が、経験があるということで、やっぱり財政再建というのはある程度やっていかないといかぬという感覚があるんだと思いますが、日本の場合、そういった生活の実感からくる財政再建の必要性というものが理解、なかなかつかみにくいということもあり、その議論が難しくなっているのかなと思います。
○吉田忠智君 昨年、ドイツは連邦予算、収支均衡いたしました、御案内のとおりでありますが。もちろん、ドイツと日本は置かれている状況は相当違うわけでありますけれども、日本がドイツに学ぶ点があるとすればどういうところがあるか、これも両先生に御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(林健二郎君) ドイツと日本というのは、国民性はいろいろ似ていると思います。特に勤倹貯蓄という、こういうDNAがありますから、これは必要でありますけれども、最近は日本はそれが若干緩んでいるかもしれないと、この点でこれはかたくなに守っていく必要があるんじゃないかなということであります。
○公述人(加藤出君) 財政黒字の状況でも経済がある程度成長しているという状況を維持しているというのは、非常にドイツにやっぱり見習う点は多いんだろうと思います。 ただ、公共事業、あるいは学校の校舎が大分傷んでいるとか、そういうところはやっぱりめり張り付けて対応してもいいんだろうと思いますけれども、一方で、今日もECBの理事会がありますけれども、ECBがもっと緩和を常にしたがるわけですが、ドイツの中央銀行、ブンデスバンクは量的緩和策の拡大になかなか渋いですけれども、理由の一つは、マイナス金利となってしまった国債を中央銀行が買うことのリスクというものを非常に気にしていて、それはその中央銀行にリスクが、損失が発生し得るということなんですが、今、日本の国債の金利もマイナスに入ってきていますから、日銀がどんどんどんどん国債を買うと、日銀が持っている国債の利回りがいずれマイナスに近く下がっていきますので、将来、日銀に損失が出やすくなってくると、出口政策に行くときにですね。それは、結局は、もし日銀に損失が出れば財政で負担しなくてはならなくなってきますし、その辺でやっぱり日本はいろんな意味でそこの感覚がドイツに比べると弱いなというところもありますので、ドイツにやっぱり学ぶべきところもあるというようには思います。
○吉田忠智君 ありがとうございました。
○渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。 林公述人、加藤公述人、今日はお忙しいところありがとうございます。 私は、まずお二人にマイナス金利政策について伺いたいと思っております。 私は、マイナス金利政策、有効な金利政策ではないかと思っております。マイナス金利と申しましても、政策金利残高の部分、この十兆円の部分がマイナスになるだけでありまして、これに対して基礎残高、二百十兆円の部分はプラス〇・一%であります。一般の金利と比べるとこの〇・一というのはかなり優遇されているのではないかと思っておりまして、今回のマイナス金利政策、銀行への負担が少なく、かつマーケットに強いメッセージを与えているのではないかなと思っております。 そこで、お二人に伺いたいのは、先日の私の予算委員会の質問で黒田総裁が、経済、物価のリスク要因を点検して、物価安定の目標の実現のために必要な場合には、量、質、金利の三つの次元でちゅうちょなく追加的な対応措置を講ずるとおっしゃっていました。 そこで、今後、マイナス金利が続く、又はマイナス金利が拡大する場合に想定されるメリットとデメリットについて御意見をいただきたいと思います。
○公述人(林健二郎君) マイナス幅が拡大すれば、今御指摘のように、当然その影響は強まると思います。しかし、そのメリットを生かすためにはやはり融資が拡大するような条件整備をするということが必要でありまして、金利だけ下げてもその影響は限定的と。マイナス金利の影響を顕在化させるためには、そのための融資環境の整備というのが必要だと思います。 もう一つのデメリットとしては、必ずしもマイナス金利をしたからといって国内の景気が良くなるわけではありませんで、金利を下げればその分海外に資本が流出するわけでありまして、世界経済にとってはプラスかもしれない、世界の金利が上がらないように抑えるメリットはあると思うんです。しかし、日本だけじゃありませんで、ヨーロッパがどうなるか、アメリカはどうするかという観点からいけば、その点で国際金融市場が不安定化するリスクがあると思います。私は、一番大きなリスクはその点だと思っております。
○公述人(加藤出君) マイナス金利を日本銀行がより深くマイナスを下げていくという場合のメリットとしては、基本的には円安方向の力が加わると。ただ、為替レートというのはこれだけでは決まりませんから、ほかの材料が上回ってしまうと円安には行きませんけれども、円安をどこまでメリットと見るかという議論もありますが、円安方向にある程度力を加えるということはあるかと思います。それに伴って、輸出企業などの株価がある程度上昇するということはあり得るかとは思います。 ただ一方で、金融機関の収益上からいうと、個人の預金金利はそれでもマイナスにはできないでしょうから、結果的には金融機関の収益が圧迫されるということでの金融仲介機能の悪化がどの程度となるかと。そこは余り行き過ぎない範囲内にマイナス金利を抑える必要があるかとは思います。 あと、マイナス金利が進むと、企業や機関投資家などの預金口座がいずれマイナス金利になってくる可能性というのはあり得ますので、あるいは、個人の方々がマイナス金利にならなくても、いろんな手数料という形で負担が転嫁されていくということはあり得ますので。 一方で、貸出しの金利もある程度は下がると思うんですけれども、先ほどおっしゃられていたように、金利のここから先、若干の低下しか余地がないと思いますが、貸出金利に関しては、そこの部分をいかに生かすような、資金需要が出るような環境をつくっていくかということも必要になってくるということかと思います。
○渡辺美知太郎君 ありがとうございます。 お二人の御意見も伺っておりますと、もちろん私もマイナス金利だけで景気が良くなるとは思っておりません。 そこで、またお二人に聞きたいんですけれども、ベストなポリシーミックス、いわゆる金融政策、財政政策、構造改革、この三つのバランスについては、お二人はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
○公述人(加藤出君) 元々、アベノミクス始まったときに三本の矢という形で始まったわけで、第一の矢である金融緩和策というのは、海外と比較しても類を見ないほどの大胆な積極的な政策が行われているわけです。第二の矢に関しては、財政上の制約がどうしても出てきてしまいますから、そこは限られてしまうわけですけれども、やはり第三の矢が、即効性はないものの、地道に潜在成長率を上げていくような対策を少しずつでも取っていくという方向性がより出てこないと、旧第一の矢だけでやろうとすると、このマイナス金利政策というある種奇策にまでも踏み込まざるを得なくなってしまっているということでもあるんだと思います。 デフレからの脱却、インフレ率をマイナスからプラス圏に持っていくということは必要だと思うんですが、長い目で見れば、二%程度のインフレに持っていければ海外との為替レートの関係においてもそれは望ましいことだと思いますが、ただ余りに短期的に二%を目指そうとすると、今の状況ですと金融政策に対する負担が掛かり過ぎて、かえって一般の人たちが不安に思ってしまうような領域に金融政策が行ってしまいますので、そこは総合的な対策、そういう意味ではポリシーミックスということにもなりますけれども、合わせ技でやっていく必要があると思います。
○公述人(林健二郎君) 財政に余裕があるときには財政出動は有効だと思います。しかし、これがある程度の限度以上の状況になった場合には必ずしも、それは効果は乏しくなってくると思うんです。その点で、金融政策についても当然有効でありますけれども、マイナス金利を更にどんどん拡大していくということで、果たして本当に効果が出るかはやはり疑問です。 私は、経済政策というのはもちろん三つあるわけでありますけれども、やはり国民がしっかり頑張る、努力するというところがなければならないわけで、その点では、国民、企業、家計も含めて、いかに一生懸命働くかということを促進すること抜きには難しいという意味で、この点も含めて私は今第三の構造改革に大きなウエートを掛けるべき時期にはなっているんじゃないかと思っています。
○渡辺美知太郎君 時間になりましたので、私の質疑は以上とさせていただきます。 本当に今日はありがとうございました。
○平野達男君 平野達男でございます。 今日は、両公述人の方々、ありがとうございます。 冒頭、世界経済ということについてお尋ねをしたいと思います。 林公述人からは、リーマン・ショック以降の世界経済の流れ、そして現下の足下の状況についてかなり詳しいお話がございまして、大変参考になりました。 二〇〇八年のリーマン・ショック、英語ではもうグレートリセッションという、大不況という言葉を使っていますけれども、そこからずうっとはい上がってきたというのがこの二〇一六年までの世界的な流れではなかったかというふうに思います。 そのはい上がる中で様々な努力をしてきているわけですが、一つの方策として、借金をしながら景気刺激をするということを傾向としては世界各国やってきたということではないかということが言われています。日本もアメリカも、特に中国も、ここの七、八年間、この八年間といいますか、の中で、かなりのコーポレート債務、それからプライベート債務も含めて債務がどんどんどんどん膨れ上がってきているということも指摘されておりまして、ここからこれをどのように調整していくかということがかなりの大きな課題になってくるのではないかということも言われています。 先ほどの林公述人のペーパーの中で、特に中国を引き合いに出して過剰設備の問題等々が紹介されましたけれども、過剰融資ですね、過剰融資の背景は、セットとして、これはもう債務の積み上がりということになると思いますが、これがこれからの世界経済の運営についてどのような影響が出てくるというふうに考えておられるのか。これは林公述人と加藤公述人のお二方にお聞きしたいと思います。
○公述人(林健二郎君) 御案内のとおり、中国の過剰債務というのはかなり膨大になっておりまして、これをいかに改善するかということはかなり重要な問題になっております。 しかし、今回の計画でも、当面金融の大幅な緩和をするということになっておりまして、事実、今年に入ってからも中国の融資量は一段と膨張しております。その意味で、中国の抱えている過剰融資が一段と増えているというのは、これは憂慮すべき時期だと思うんです。 この問題を、じゃ、どのくらい掛けて改善するかということでありますけど、私は、十分、十年を超えるくらいの長い期間を掛けて改善していかねばならないと。それは当然、中国経済の抑制要因になりますから、それはひいては世界経済にとっても成長率を下げる要因になってくる。それは同時に、日本経済にとってもマイナス要因になってくるということで、この辺は一応、今後十年の間、十分日本としても留意していかねばならないと思っています。
○公述人(加藤出君) 中国の問題、中国経済、従来の重厚長大産業、特に債務を膨らませながら過剰な生産ラインをつくってしまったというような部分のオールドチャイナと呼ばれる部分と、一方で消費やIT、環境関連などを中心とするニューチャイナと呼ばれる部分があるかと思いますが、中国経済全体としてサービス産業がもうGDPの五割を超えてきていますので、オールドチャイナの方の調整はまだまだ続くということだと思いますし、あるいは不動産関連の過剰投資の調整もまだまだ続くということだと思いますが、中国の場合、中央政府の財政の状態は比較的まだゆとりがありますので、財政支出をしながらオールドチャイナのソフトランディングをやっていくということだろうとは思います。 日本からすると、オールドチャイナの方に投資してしまうとなかなかそこは打撃を受けてしまうわけですけれども、まだ伸びる余地があるニューチャイナの方にアプローチしていけば、全体としての中国の成長は落ちていても、日本企業が稼げるチャンスというのはまだまだあるのではないかなとも思いますので、何分減速しているとはいえ巨大な経済、もう日本経済をはるかに上回る巨大な経済で、六%台に成長が落ちているといっても毎年増える部分が非常に巨大ですから、やっぱりそこのパイをうまく取っていくということが日本企業にとっては重要ではないかなと思います。
○平野達男君 ありがとうございます。 併せて言われているのは、やっぱりそういう構造調整、中国も進めていかなきゃいかぬ、アメリカも実はリーマン・ショックから完全に立ち直っていなくて、個人消費の回復もそれほど進んでいないという中で、世界経済がゆっくり成長するという、成長するにしてもですね、あるいはセキュラースタグネーションといって長期間続く停滞ということを言われる方もおります。 私がここから問題にしたいのは、成長を前提に今日本は財政再建を考えておりますけれども、そんなに高い成長を望むという中での財政再建というのは、余りこれ望んでもできないのではないかと。 先ほど加藤公述人からソブリンリスクの話がございましたけれども、これだけの公的債務を抱えていて、金利一%が上がっただけで、国だけでいえば七百兆債務抱えているとすれば、金利一%上がっただけで七兆の金利が増える。もちろん国債の発行残高は五年か六年ですから五年か六年掛けて増えるという形になりますが、大変なリスクを抱えているという中で、私は、この成長しなければ財政再建できないんだということについては、もうちょっとこれは保守的な見方をして、そして負担と財政再建というのを、ある程度の負担をしながら財政再建をしていく、それから生活をしていくということをもっと根底から訴えていかないと、先ほどイギリスの例の話がございましたけれども、日本の財政再建は更に先に先送りされるんじゃないかというちょっと懸念を少し持っています。 そのことに関しての最後の御感想をちょっとお伺いして、私の質問に代えたいと思います。
○委員長(岸宏一君) お二人からですか。
○平野達男君 林公述人、加藤公述人にお願いします。
○公述人(林健二郎君) 確かに今世界経済はいろんな課題を抱えてしばらく調整局面にあると思います。しかし、八十年前に、アメリカが大恐慌の後に景気が回復した一九三七年に引締めをして、それで失速してしまったという、こういう大変大きな教訓があります。くしくも今年はリーマン・ショックから丸八年でありまして、景気も回復してきたのでということでアメリカは利上げに踏み切ったわけでありますけれども、これは是非ともこの八十年前の教訓を生かして、それで緩やかな出口戦略を探っていただきたいと思うんです。 これは日本もヨーロッパも同じでありまして、その点で国際協調をしっかり進めていけば、問題はありますけれども、緩やかな回復がこれから期待できると思いますので、その点で、今想定される程度の経済再生シナリオというくらいの数字は、私は日本の実力からいって十分可能ではないかと思っております。
○公述人(加藤出君) 日本国債が暴落するかしないかという議論、前からずっとあるわけなんですけれども、一つのポイントとしては、日本の若い世代がもう日本を見限って、これは駄目だといって外に逃げてしまうということになると誰が税負担をするんだということになってしまうわけで、これは五、六年前にイタリアであった議論ですが、非常に有名な大きな大学の学長が自分の息子に出した手紙で、おまえはこの国にいてももういろいろ難しいから外国に行って働きなさいという手紙を出したのがマスコミに出て、大きな話題及び問題にもなったんですけれども、ただ、そういったことというのは日本も気を付けないと起き得る、若い世代がここにいると非常に不公平感があるといって外に行ってしまうと、それは日本の財政負担はどうなるんだという、誰が負うんだということになってしまいますので、若い人が絶望しないような中長期的な財政再建のコミットメントということも必要であろうと思います。
○平野達男君 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、お二人の公述人の先生に一言御礼を申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。(拍手) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○委員長(岸宏一君) それでは引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。 この際、公述人の先生お二人に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 本日は、平成二十八年度総予算三案につきましてお二人から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、外交・安全保障について、公述人元統合幕僚会議議長・公益社団法人隊友会会長西元徹也君及び慶應義塾大学名誉教授・弁護士小林節君から順次御意見を伺います。 まず、西元公述人にお願いいたします。西元公述人。
○公述人(西元徹也君) ありがとうございます。ただいま御指名をいただいた西元でございます。 参議院予算委員会という我が国の国政上極めて重要な場に公述人として陳述する機会を頂戴いたしまして、誠に光栄に存じております。 小生は、平成二十八年度の防衛関係費の概算要求について詳しく承知しているわけではございませんけれども、過去の経験を踏まえながら、私が知る限りにおいて意見を述べさせていただきたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。 まず最初に、平成二十八年度防衛関係費概算要求に御配慮をいただいている主要な事項について申し述べさせていただきます。 第一は、防衛関係費、平成二十八年度は要求額でございますが、これの四年連続の増額と初の五兆円超えということであります。 平成二十八年度の防衛関係費の概算要求は、二六防衛計画の大綱、現中期防衛力整備計画に基づく防衛力整備の三年度目として、統合防衛力の構築に向け引き続き防衛力整備を着実に実施するという基本的な考えの下に、かつてない現下の厳しい安全保障環境を勘案され、防衛関係費の概算要求額は平成二十五年度から四年間連続しての増加となり、しかも、SACO関係費、それから米軍再編関係費などを含み、初めて五兆円を超え、南西地域の防衛態勢の強化及び日米同盟の強化に重点を置く予算案となっていると考えております。これは誠に時宜を得たものと考えます。 しかしながら、ここには幾つかの問題もあることを私は認識いたしております。この点について、後ほどまた申し上げたいと思います。 第二は、南西諸島方面の防衛態勢の強化についての配慮でございます。 現下の諸情勢から最も重要な戦略正面と考えられます南西地域の防衛態勢強化のため、陸海空自衛隊の編成、装備の充実強化、この細部は後ほど申し上げます、配備の空白を埋めるための新たな部隊配備の準備、例えば、沖縄本島を始め西南端の与那国島、そして石垣島、さらには奄美といったようなところがこれに該当します。また、統合運用体制及び日米共同運用体制の強化などを重視されたのは時宜を得たものと考えておりまして、日米同盟の強化や、あるいは抑止力の一層の強化に資するものと確信いたしております。 第三は、効率化、合理化についての御配慮であります。 現下の自衛隊は、御案内のとおり、大きな改革の途次にあります。このような中にあって、格段に厳しさを増す財政事情を勘案されて、長期契約による取組や従来複数年で調達していたものを一括調達するなどの措置を通じて単価を抑制し、一層の効率化、合理化を徹底されているのは、財政事情に配慮した取組として評価すべきであると考えております。 代表的な一例を挙げますと、もう十分御案内のことだと思いますけれども、海上自衛隊の対潜水艦探知能力や攻撃能力の向上した哨戒ヘリコプター、SH60K十七機の取得に際し、航空自衛隊のUH60J八機との長期契約によって、一括調達により所要の機数を確実に確保するとともに、調達コストを縮減するといったような措置をなされているのがその大きな例であります。 次に、先ほど申し上げました、今後より一層の御配慮を期待する主要事項について申し上げます。 ほとんどは次年度以降の問題になるかと思いますが、第一は、活動経費の圧迫への配慮であります。 一般物件費と言われます陸海空自衛隊の平素の活動経費は、さきに申し述べました喫緊の課題である南西地域の防衛態勢強化のため、我慢をせざるを得ません。したがって、平素の隊務運営に影響を及ぼすことが懸念されますので、次年度以降、活動経費の増額については特段の配慮をお願いいたしたいと考えております。 特に、活動経費のうち装備品などの修理費、整備費と言ってもいいと思いますが、これの伸び率を見ますと、ほかのに比べて僅か〇・三%でございます。このままでは装備品の可動率が低下する可能性は否定できません。すなわち、使えない装備が出てくる可能性を否定できないということでございます。そうなれば、必然的に戦力の低下につながるおそれがあります。このような状況に鑑み、活動経費の増額とともに修理費、整備費でありますが、この増額を図る必要があるものと考えております。 第二は、後年度負担の影響への配慮でございます。 現下の我が国を取り巻く安全保障環境の悪化に対応するため、島嶼部に対する攻撃への対処や弾道ミサイル攻撃への対処など、必要な多くの装備品、例えば水陸両用車AAV7、それから機動戦闘車、ティルトローター機、潜水艦、哨戒ヘリコプター、最新鋭の戦闘機F35、新早期警戒機などの充実強化が不可欠となっております。また、イージス艦用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発の推進も必要となっております。 格段に厳しさを増す財政事情の中でこのことを実現するためには、どうしてもパイの大きさから後年度負担に頼らざるを得ないといったのが実情でございまして、このことは来年度以降の予算編成に苦慮することが予想されます。特に、前項で申し述べました活動経費の確保には特に苦慮するものと思われますので、次年度以降の防衛関係費の増額については、ここで申し上げるのは不適当かもしれませんが、特段の御配慮をお願いしたいと考えております。 第三は、自衛隊員の処遇に関する配慮であります。 平和安全保障法制の制定をまつまでもなく、今後の自衛隊の活動は、アジア太平洋地域の安定化への対応、グローバルな安全保障課題への対応など、その活動範囲が拡大していくことが予想され、自衛隊員の士気の高揚は従来以上に重要な問題になるものと考えております。 そのために、単に形而下の処遇、例えば自衛隊員の任務、職務の特性を考慮した自衛官独特の給与制度の新設や若年定年制への配慮、それだけではなくて、形而上の処遇、特に隊員の使命感を醸成し得る地位の明確化や栄典などについて特段の配慮を一OBとしてお願いをいたしたいと思います。 第四は、人員の増加に対する配慮でございます。 防衛力の規模が一般的に縮減される傾向にある中で、陸海空自衛隊は、本来任務の増大、任務の多様化、国際化により人員、装備に大きな負担が掛かっている反面、平成十九年度と平成二十七年度の自衛官の現員を比較してみますと、約一万五千名の減員となっております。このことはどういうことを意味するかというと、陸海空自衛隊共に自らの骨身を削りつつ対応しているのが実情ではないかと認識しているところでございます。 是非とも、定員、実員共に、特に任務の多様化、国際化や装備品の高性能化を踏まえて、幹部、准尉、曹の階級を優先して充実していただきたいと切望するものでございます。 最後に、第五は、国内基盤の強化についての配慮でございます。 防衛産業・技術基盤は、防衛装備品の研究開発、生産、運用、維持整備などを通じて防衛力を支える重要かつ不可欠の要素であるということはもう言うまでもございません。このような国内基盤を強化することは、潜在的な抑止力及び対外的なバーゲニングパワーの維持向上にも寄与するものと考えております。 したがって、コストダウンに取り組む企業などの調達における随意契約の活用、あるいは企業の将来予見性を高め得る更なる長期契約などに対し、これを実際に動かす場合には特段の配慮をお願いいたしたいと考えております。 いずれにいたしましても、結びに代えまして申し上げておきますのは、我が国の外交、安全保障に対する意思を示し、日米同盟をより一層強化し、抑止効果を高めること、さらに、現場においては、今後における予算執行計画の作成、諸計画の策定、さらに教育訓練の準備など、この予算がお認めいただいた後にはそのような多くの業務が残っております。したがいまして、できれば一日も早い御承認をお願いして、小生の陳述に代えさせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 次に、小林公述人にお願いいたします。小林公述人。
○公述人(小林節君) 私は、西元将軍のような自衛隊高官出身者ではありませんで、御存じのとおり憲法学者、つまり政治の法学の観点からお話を申し上げます。 全ての前提問題として、防衛予算というものは、ある意味で聖域という言葉で言われますが、であると私は思っております。つまり、自由だ、人権だ、民主主義だといっても国がなくなっては始まらないわけでありますから、そういう意味では、真っ当な防衛費は、まず、仮に苦しくても先に出さなきゃならないものであるということは私は認めております。ただ、もちろんその内容が正当性があるかどうかの議論はさせていただきます。 レジュメのとおりに参りますが、先ほどの御指摘にもありましたように、四年連続防衛費増加であります。私は、昨年の安全保障法制論議でも強調させていただきましたけれども、政府・自民党がずっと守ってきた専守防衛というこの政策は、私は正しかったと思っております。だからこそ、今こうやって我々は平和な独立国家に暮らしておれるわけですから。ですから、専守防衛に掛かる費用というのは、とにかく当然出してしかるべきである。 それから、最近はこういう科学技術が進歩した時代ですから、情報収集衛星の充実という予算が組まれておりますけれども、要するに、危険を事前に察知するということは大変良いことでありまして、これも極めて専守防衛の一環として良きことであると思っております。 ただし、毎度のことで恐縮でございますが、昨年議論になりました新安保法制、私はそれを戦争法と呼ばせていただいておりますが、あの法律について衆議院と参議院とそれから参議院公聴会と三回呼ばれて発言させていただきましたけど、一度も私自身が納得させられる御返答をいただいていないものですから、納得しておりません。 そういう意味で、元々憲法九条二項が軍隊と交戦権を否定している以上、海外で戦争する道具立てが我が国にはないわけですから、そもそも戦争法自体が御無体であると。である以上、政策的配慮は別にして、憲政の常道として憲法違反というのはそもそも踏み込んではいけない領域でありますから、その費用は私は不当支出であると思います。 そしてさらに、日米同盟の強化というのは私は基本的に異論はないんですけれども、だけど、先ほどの西元将軍のお話にもありましたけど、国際化とかグローバル化として日本の防衛責任が世界に伸びていくことについては憲法が予定していない。安倍総理が論及されたそうですが、ならば憲法改正論議をちゃんとして国民の承認を得てやるのが筋である、手続的にも内容的にも私は間違っていると思います。 ですから、そして、あのときも申し上げましたけれども、米軍の友軍として世界に展開することは、ある意味では、九百年の背景のある十字軍戦争のようなものがいまだに続いているわけですから、言わば我々が志願してキリスト教の二軍になりに行くわけでありまして、きちょうめんなイスラム原理主義者の反撃を食らう危険について、私はそれを受ける理由がない、つまり、お金を使って危険を招く、全く意味がないといまだに思っております。お教えいただけたら有り難いと思っております。 それから、辺野古の基地の建設の問題は、日米安保も大事だと思います。でも、だからといって、あの沖縄に七五%もの駐留米軍の負担を押し付けておくことは歴史的背景を考えても大変失礼なことであって、憲法の九十五条は、国策として特別の負担を特別の一自治体に負わせるときは拒否権があると読める趣旨の条文がありまして、これはある意味では民主主義の基本でありまして、これはアメリカやフランスの常識でありまして、ですから、そういう意味では、あの建設を強行する予算があるというのは基本的には憲法違反ではないかという思いがあります。 それから、在日米軍のための思いやり予算につきましては、私はこれは必要経費だと思っております。だけれども、そのことを政府は国内外にきちんと説明し得ていないと思います。アメリカの有力な政治家が日本は日米安保にただ乗りしているなどと堂々と言えてしまうというのは、認識させ方がまずいと思います。 確かに、アメリカが日本に与えた、これは私が言っているんではなくてアメリカ政府高官が私に言ったことですけど、アメリカが日本に与えた憲法の制約で日本が海外に派兵できないから相互的に軍事出動をする安保条約は結べないけれども、その代わり、日本は、主権を放棄するがごとくに国土を割愛して、地位協定を付けて米軍に世界戦略のために必要な基地を貸しているわけでありまして、その費用まで持っている。このことはきちんと国内的にも、そして何よりもアメリカの人たちにきちんと説明する責任がある。これをただ乗りなどと言わせていることは政府の怠慢であると思います。 それから、ODAの増額、様々な無駄な支出、それは相手国のシステムやレベルの問題があって、いろいろ出ますけれども、やはり国連の第二のスポンサーであるような大国日本にとって、国際責任、しかもやはり戦争責任をいまだに引きずっている日本にとっては、ODAというのは大変大事な支出であると私は思います。 でありますが、最近そのルールが改正されまして、他国の軍隊関連の支援もできるということは、憲法九条が現存している限り、それから敗戦国で出直した日本としては筋が通らないのではないかと。私が常々申し上げているように、自民党は正直にこの九条論議を堂々となさるべきであると私はずっと言ってきたんですけれども、もう最近は飽きてしまいましたけれども。その上で、国策をまとめて、まとまれば進めるし、まとまらないときに勝手に進むというのは民主的でもないし立憲的でもないと私は思います。 つまり、我が国はやはり平和国家としてのブランドが確立されていると思うんですね。これは、逆に、戸締まりをきちんとした上で平和国家としてのブランドを維持すれば安全が守られると思うんです。 今回のことで、アフガンでかんがいの指導をしているお医者さんがいますよね。ああいう方たちが、とうとう日本が武器を持ってやってくるという認識がイスラム社会に広がることによって自分たちが危険になると訴えておられましたけど、それはデマではないと思うんですね。現実にああいう方たちが殺されたり撤退してからでは遅い。ですから、海外で軍事的なことに日本国がコミットメントするということは、本当にきちんと国内的合意を得てやるべきことであって、何か政府は数の力で押し切っている感じがいたします。 去年、私が戦争法と呼ぶ法律が成立した後、総理は国連に行って、そういう国際的な責任を果たすことを条件に安全保障理事会に入りたいとはっきり宣言なさいました。だけれども、今の体制でいく以上、二つに分かれて軍事的ににらみ合っている世界で、どちらかの仲間にくみして安全保障理事会に入れるとどうして考えられるのか。拒否権がある以上不可能なわけでありまして、むしろ、世界史上異例、異形な平和大国日本という、これは歴史上ほかにありません、この立場で、仲裁者の立場で安全保障理事会、安全保障理事会ですから、追求するのがむしろ日本的でいいと私は本当に思うんですけれども、今、そのちょうど境目に来ていて心配であります。 あと一つ、原発立地自治体に対する対策交付金が減額、これは、今たくさん止まっているから使いようがないから減るんですけれども、これはすなわち、実際にそういうお金をもらって動いていた自治体にとっては今不自由があるわけで、お金が増えれば自由が回復するわけで、つい再稼働に向けてという、これは動機付けにはなるんですけれども。 ただ、福島のあの騒ぎで我々見てしまったと思うんですね。原発はまず安全でない、安くもない、そしてあれが誤作動した場合には人類のDNAと自然環境に不可逆的な被害を与える。これは、だから我々としては、科学技術の能力として造り得たけれども、使ってはいけない禁じ手の類いであって、そういう意味では、遅まきながら気付いた小泉総理は私は正しいと思うんですけれども、なぜあのお考えが世の中に広がらないか私分からないんですけど。そういう意味で、頑張って原発の再稼働に向かっていく政府にも私はおかしいと思います。 それとの関連でいえば、あの戦争法を制定する際に、中国の脅威と北朝鮮の脅威を途中から立法事実に加えました。最初はホルムズ海峡でと、もう一つは朝鮮半島から逃げてくる日本人の母子、それがなくなった後は中国の脅威と北朝鮮の脅威を加えましたけれども。北朝鮮の脅威が本当にあるのならば、なぜ日本海沿岸にたくさんあるあの原子力発電所をパトリオットで守らないのか。全く無防備ということは敵が攻めてこないと承知なのではないかと。となると、これは架空の立法事実になっちゃうんですよね。 だから、そういうところが何か自民党は傲慢ではないかと言われてしまうんだと私は思います。大変残念です。これは、きちんと事実を詰めていけば、正義はちょうど中間辺りにあると思うんです。今ではまだオール・オア・ナッシングのバトンの投げ合いのような状態になっておりますが、これをきちんと、やはり大きい方の自民党が余裕を持って歩み寄って議論をきちんとかみ合わせるべきではないかと私は思います。 少し早いですが、以上で冒頭陳述を終わります。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○宇都隆史君 自民党の宇都隆史です。 両公述人、本当にありがとうございました。 平成二十八年度の防衛予算を中心に少しお話を進めていきたいと思います。 両公述人からございました今年の防衛予算、初の五兆円超えということですが、米軍の再編経費を含んでおりますので、正確に防衛省として年度で使える予算は四兆八千六百億というふうになっております。 昨年から比べて、確かに四年増加、〇・八%増なんですが、私は、いささか世論のこの増えている増えているという意見に対しては、中身を見ると、やはりもう少し中身をしっかりと拡充しなければ一年間の日本の安全はおぼつかないのではないかと思っている面がございます。 その中身といいますのも、この四兆八千億全て活動に使えるわけではございません。隊員の給与、退職金、営舎での食事などに係る人件・糧食費、まずこれが四四%を占めていると。その他、じゃ残りが使えるのかというとそうではなくて、昨年度までの契約に基づいて支払わなければならないいわゆる後年度負担分のリボ払い分、歳出化経費といいますが、これが三五%の一兆七千億と。それ以外に、地方の自治体に基地対策費として四千億円支払っていますし、研究開発費二百七十五億円、新しい装備品の購入等の言わば頭金に三百三十億円、施設の整備費等に三百五十九億円。じゃ、一年間に本当に自衛官が油を買って修理をして教育訓練に使えるお金は幾らなのかといったら、これは全体の、非常に、七%ぐらいに満たない三千三十九億円しか実は使えないんだと。この活動費が年々圧迫されているという実態をやはり我々国会はよく知らなければならないのではないかなと思っております。 特に、契約していくものの値段というのが、単価も上がっていますし、二年前に財政法の改正をいたしましてまとめ買いをできるようになりましたから、後ろに行けば行くほどこの歳出化経費というのは膨らんでいっている。実際に、この五年間を見てもずっと膨らんできているんですね。そうすると、防衛費というのは若干でありますが右肩上がりになる方が私は健全なのではないかというふうに考えております。 西元公述人、この元々持っている防衛予算の構造の面から、先ほど、来年更なる増額をというお話をしたというふうに認識しているんですが、それでよろしいでしょうか。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 確かに、人件・糧食費、それから歳出化経費、さらにその他、その年に後年度負担として使える新しい装備を買う経費、これも、実はその両者の圧迫を受けて微々たるものであることは間違いございません。したがいまして、隊員が実際に活動経費として使える額というのは極めて限定されておりまして、俗に言う一般物件費は一兆二百十五億円と理解しております。 そういったことを考えますと、ただいま宇都先生おっしゃったとおり、全体的な構造をもうちょっと国民にしっかり御理解いただいた上で防衛費全体を更に増額していただくということは、私は必要だと考えております。
○宇都隆史君 要は、この防衛費が四年連続で増加しているというのは、自衛隊がより活動してもらうための実質経費をしっかりと確保している、つまり国民の安全につながる予算であろうと。その面では、この二十八年度予算も評価をすべきではないかというふうに思っています。 また、もう一つ、国内産業を守らなければいけない、それに十分な配慮をというお話もございました。今回、新たな装備品の契約をするわけですけれども、この中身を見ていきますと、例えば、オスプレイと言われるティルトローター機の四機であったり、先ほどお話にも出ました60シリーズのいわゆる対潜ヘリコプターですね。それから、新たに購入するF35戦闘機、それから滞空型無人機のグローバルホークと、いわゆるこれはよその国の企業に対して我が国の国富を外に出している、非常に大きな外出しの予算であって、我が国の国内に対しての、国内産業に対してのメリットというのが非常に少ない予算になっています。 もちろん、それに代わる装備品というのが国内の企業で造れないという実態もあるわけなんですが、私は、今後、装備品移転三原則も新たにできました、装備庁もできました、この新しい防衛予算の組立てというのには、一定のルールであったり枠組みをつくって、国内産業を維持するような新たな何かの形が必要なんではないかというふうに思っています。この点からは、西元公述人、いかがでしょうか。
○公述人(西元徹也君) ありがとうございます。 今おっしゃった点で二点だけ、重要な要素を申し上げたいと思います。 一つは、確かに先生のおっしゃるとおりに、今申し上げられました主要な装備は全て外国の、ほとんど外国のものということになれば、手は一つだと思うんです。それは、共同開発、共同生産、これに取り組むといったこと、更に言うならば、外国のそのようなもののライセンスを取得してライセンス生産を行うと、手としてはこういうことしかないのではないかと。 もう一つあえて申し上げますと、今年の研究開発費というのはたしか減額されていると私は理解しているんですが、僅かでございますが、この研究開発費を増加していくということで私は日本独自の新たなものができるのではないかと、このように期待いたしております。 以上でございます。
○宇都隆史君 まさにおっしゃるとおりでして、来年度の研究開発費は、前年度比で金額ベースで二十九億円の減と。つまり、先々を考えた投資というのに対しては、いささかやはり二十八年度予算というのはまだ物足りなさを残していると、そこの事実もしっかり我々は認識しておく必要があると思います。 最後のテーマに移りますが、やはりこういう過酷な環境の中で、隊員は一生懸命自分たちの努力でもって年間の守りというのを構築しているわけなんですが、それに対しては非常に処遇という面がおざなりになっているんではないかなと認識しております。やはり出口をきっちり守るということをしなければならないと思っていまして、隊員の再就職の支援、それから、隊員は定年が早いですから、その早期退職金、給付金の拡充であったり、こういうものもしっかりすることが隊員の士気につながると思いますが、いかがでしょうか、西元公述人。
○公述人(西元徹也君) 大変温かいお言葉をありがとうございます。 確かに、隊員の若年定年制に対する配慮、私も申し上げましたが、具体的にはただいま先生のおっしゃったようなことでございまして、もう一つ、先生のおっしゃった再就職の問題、いわゆる我々では援護と言っておりますが、それは今非常に苦しい、一面において苦しいのが現状であります。特に曹のクラスと士のクラスですね、任期制隊員が辞めるときになかなかいい仕事に就けないという、これは何としてもやっぱり改善していただきたいと考えております。 以上でございます。
○宇都隆史君 終わります。
○長浜博行君 長浜博行です。 御意見を拝聴させていただきまして、どうもありがとうございました。 外交、安全保障の大きな転換点は、やはり一昨年の閣議決定によるところの憲法解釈の変更、そして昨年のいわゆる法整備にあったのではないかなというふうに思っております。多分、お立場は違うかもしれませんが、両公述人におかれましても、外交・安保の転換点ということの観点で御質問をさせていただきたいと思います。 西元公述人にお伺いをします。 二〇〇一年九月のアメリカ同時多発テロの後に公述人が書かれた「世界と日本」、「テロ撲滅への多様な国際貢献—日本の安全保障と危機管理対策」の論文を拝読をさせていただきました。 この九〇年代、湾岸戦争が起きたときに、当時も政党がいろいろありましたが、自公民の三党合意、この民は民主党じゃなくて民社党だったと記憶をしますが、三党合意で自衛隊法百条の五に基づく特例政令ですか、自衛隊機が救出に向かうということも、実現はしませんでしたけど、こういった状況にあったというふうにも思います。 しかし、国会の議論の中においては、九〇年はPKO法は廃案になり、そして九二年のいわゆるPKO国会、この頃に私は政治の場に出させていただいたわけでありますけれども、いわゆる百三十億ドルの資金協力の問題と、日本が何をし得たのかという状況があったというふうに記憶をします。 そして、九〇年の湾岸危機から経て二〇〇〇年のさっきのアメリカのテロですね、起きたときにも、この集団的自衛権の行使の問題は、NATOやANZUSではもう既に集団的自衛権を行使するという発言をされておりましたから、あのときも日本はどうするんだという議論を同盟国の中においては意識をせざるを得ない状況にあったというふうに思います。 西元公述人におかれましては、今回の閣議決定によるところの憲法解釈の変更、そしてこの法整備は、いわゆる恒久法を制定をして日本の安全保障を確立すべきだという議論を二〇〇〇年代から展開をされておられたということも存じておりますので、遅きに失したというふうにお考えなのか、あるいはもっと早い時期に、今申し上げた九〇年代にこの議論が整理をされていれば今日本の形はどういうふうに変わっているのか、安全保障上の、あるいは外交上の位置付けの中において、例えば、当然のことながら国連憲章五十一条で言うところの個別も集団的もなく自衛権を発動する状況の中において、世界で集団的安全保障の概念の中においても指導的地位を発揮する国になっているのか、九〇年代にもし安倍政権が今回取ったような形での法整備を行ったらば現在日本の形はどのように変わっているというふうにお思いになっておられるのか、お考えをいただければと思います。
○公述人(西元徹也君) 大変難しい御質問を頂戴いたしました。 確かに、今おっしゃったような今回の平和安全法制で規定されたことが仮に湾岸戦争の頃、一九九一年の頃に仮にできていたとすると、私は、可能性としてはほとんどなかったと考えております。 というのは、少なくとも、今先生が御指摘のような形のことを実行動に移すということは、少なくとも第一に、何としても国民の合意が得られなければならないと、これが第一点でございます。そして第二は、その国民の合意を得た国会において真剣な是か非かという審議がなされた上、その上でそのようなことは実現されるのではなかろうかと思います。私は、今回遅きに失したとは必ずしも考えておりません。それは、今二つの問題が未解決のままずっと来ているからでございます。 そして、今回の国会の審議の中で、本当にどうしたら日本が国際社会の中で生きていけるか、日本の安全を確保できるかといったようなことは当然審議されたわけなんですが、それは、現在の憲法の枠内では、今回の平和安全法制が一つの大きな限界だったのではないか、あそこまでが精いっぱいだと、私はこのように理解いたしております。
○長浜博行君 今の御意見を受けて、議論を受けて小林公述人にお伺いをしますが、今の議論の中においても、国民の合意が九〇年代あるいは二〇〇〇年代の事象のときにはなかなか取れなかったけれども、今の西元公述人のお話では、今の段階ならばぎりぎり国民の合意形成の中においてもとり得る措置であった。もっと言えば、ひょっとしたら、私は中谷防衛大臣に予算委員会でも質問しましたけれども、こういう手法ではなくて憲法改正手続によって国民の合意形成を図るべきではなかっただろうか、少なくとも、発議は国会の役割であって決めるのは国民ですからというようなことでこの議論は申し上げたところでありますが、小林公述人におかれましては、一連の、おととし、去年の公述人として出られたこともありますけれども、国民の合意形成がなされているというふうにお思いでしょうか。
○公述人(小林節君) 私は、合意は形成されていなかったと思います。あの直後だって八割くらいの国民が、とにかく分からない、説明不足だと、世論調査ですけど社会学的調査で出ているわけですから。しかも、あの当時の議論で一番嫌であったのは、衆参一貫して議論がかみ合っていなかった、野党議員はそれなりに的確な質問をしていますけれども、政府側はそれに答えようとしていないことがありありとしていて、私も参考人として一貫して無視されましたけれども、だけど、そういう状況の中で国民的合意が形成されているとはさすがに言えないと思います。
○長浜博行君 終わります。ありがとうございました。
○新妻秀規君 西元先生、小林先生、大変貴重な御所見ありがとうございました。 まず、西元先生にお伺いをしたいと思います。 先ほど宇都先生から質問がありました。これは、国内産業を守るという観点で西元先生から、二点目重要な点としては研究開発費、これをきちっと確保をして日本独自のものを造っていくんだ、こういうことに期待をしているというふうにおっしゃいました。 この日本独自のものを造るということの意義について教えていただければと思います。
○公述人(西元徹也君) お答えいたします。 ただ端的に申し上げれば、日本独自の技術、これを新たに開発することができる、そのことは必ず民用にスピンオンされるといったようなことを考えますと、やっぱり日本独自のものができればそれはいい。ただ、そこにはコストパフォーマンスがありますので、外国のものを買った方がいいのか、外国のものをライセンス生産した方がいいのか、あくまで国内で開発して生産した方がいいのか、その三つの選択肢のうちのどれを取るべきかということが重要な問題だと思います。
○新妻秀規君 あと、それに関してなんですけれども、このいただいたレジュメの一番最後に、国内基盤の強化についての配慮ということで、防衛産業は防衛力を支える重要かつ不可欠な要素だとあります。一方で、防衛費の削減によってどんどん撤退をする、そういう事業者も相次いでいるというふうに伺っています。こうなってしまうと、どのようなことが防衛力にとってマイナスになっていくのか、具体的に教えていただければと思います。
○公述人(西元徹也君) 確かに、中小の企業の中には撤退をしていくものがあるということは私も漏れ伺っております。私は、詳しい状況は、失礼ですが存じ上げません。 しかしながら、中小の企業の中には、世界でも一流のものを作っているところもあると伺っております。例えば、最近有名な小説の「下町ロケット」ではございませんけれども、そのような本当に小さい企業でもそのような技術を持っているところがある、それを下請としてしっかりとつかんでそこに依頼ができないというのが国内における生産の量、額が減ってきている一つの結果ではないかと、こう思います。 したがって、そういった面では、国内生産額そのものを上げるということがやっぱり一つの大きな問題なのではないか、そのことによって初めて民間にも立派なものが適用され、日本の経済発展に資するのではないかと、このように思います。
○新妻秀規君 先ほど、こういう日本の会社の、一流のものを作っているそういうちっちゃい会社もあるんだというお話でした。もしそういう会社が撤退をしてしまって海外から買物をしなくちゃいけなくなる、そういう場合には、言葉は悪いんですけれども、吹っかけられたりする、こういう可能性もあるんでしょうか。
○公述人(西元徹也君) それは、私が先ほど申し上げましたとおり、長期契約あるいは一括契約によってコストを下げ、それで大量のものを生産するということがバーゲニングパワーに通ずるということを申し上げました。したがって、そのような措置がとられればそういう問題の解決の一助になるのではないかと、このように考えます。
○新妻秀規君 ありがとうございます。 このいただいたレジュメの、既に配慮をいただいている主要事項の三つ目に、今先生がおっしゃった長期契約、一括調達、まとめ買い、こういうことが述べられているわけなんですけれども、こうした取組は今後もこれを強化すべきだというふうに思われますでしょうか。
○公述人(西元徹也君) 私は、基本的にそう考えております。そのことが結局、もう繰り返しになりますが、コストパフォーマンスを上げ、単価を下げ、そしてそのことによって競争力を高めるといったようなことが可能になると考えているからでございます。
○新妻秀規君 ありがとうございます。 次に、平和安全法制について伺いたいと思います。 西元先生は、北朝鮮の第一次の核危機のときに統合幕僚長としてアメリカとの対応に当たられた、法制面の様々な問題に直面されたと承知をしております。この度成立をいたしました平和安全法制について先生の御評価をお願いしたいと思います。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 私は、基本的には今回の平和安全法制は、我々、安保法制懇でも審議しましたとおり、本来は憲法改正によるべきだというのはもう多くの先生方から同一な意見でございました。しかしながら、その憲法改正には非常に多くの年月を要すると予想されます。したがって、現在の憲法の許す範囲でぎりぎりのところ、今回の法制ができ上がったものと、私はこのように理解いたしております。 したがいまして、これは、言わば、現下の厳しい情勢に対応する言うならば緊急避難的な措置だと、私個人はそのように考えております。
○新妻秀規君 この平和安全法制、この月末にも施行がされるというふうに承知をしておりますけれども、施行に向けた準備が進む中、北朝鮮のミサイルの発射がありました。私、仄聞するところによると、これによって日米の連携がより迅速に取れたというようなお話を伺っておりますけれども、今回の平和安全法制の施行によって例えばミサイル発射のような事態に対してはどのようなメリットがあるのか、教えていただければと思います。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 弾道ミサイル防衛において一番重要なのは、発射の瞬間をつかむ、すなわち、発射された、それがどの方向へ飛んだ、どこへ落下する可能性がある、このことを知るということが最も重要でございまして、これはアメリカの早期警戒衛星に依存しております。したがって、自前の早期警戒衛星を残念ながら我が国は持っておりませんので、そこのところは米国に全面的に、ほとんど大部分を依存せざるを得ないといったのが実態でございます。しかも、アメリカの早期警戒衛星は、射程三百キロ以上の弾道ミサイルが発射されれば、その発射された方向と落下地点を予測して直ちに我が国に知らせてまいるはずでございます。 そのようなところがいわゆる日米共同の第一歩になると思いますが、そのほかの情報、事前の情報交換であるとか、あるいは実際に発射された後の対処するための日米共同のイージス艦、PAC3などによる対応の共同、これはもう具体的にはお時間の都合上省略させていただきます。申し訳ございません。
○新妻秀規君 終わります。ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は、お二人の公述人、貴重な御意見をありがとうございます。 まず、防衛予算に関係してお聞きいたします。 安保法制、私どもも戦争法と呼びましたが、この審議のさなかに、この法律によって軍拡になるのではないかと、こういうことに対して政府は、中期防の枠内でしかないんだからそうはならないということが答弁でありましたが、しかし、この間の防衛費の増額、とりわけ装備のところでいいますと、このペースをはるかに上回る状況で進んでおります。 そこで、西元公述人にお聞きしますが、この状況や先ほどおっしゃったような様々なことを鑑みますと、中期防の見直しということが必至になるんではないかと思うんですが、この安保法制と中期防との関係をどのようにお考えでしょうか。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 現在の傾向から予測する防衛関係費の今後の推移、これについては、残念ながら私はまだ推計をしたことがございませんので、大変申し訳ございませんが、お答えする知識を持ち合わせておりません。 しかしながら、問題は、今後の日本を取り巻く諸情勢、それから、日本がこれだけ多くの海外資源をいただきながら、海外の、いわゆるアジア太平洋地域はもとより、国際社会の平和と安定が日本の平和と安定を支える重要な要素になっておりますので、それへの貢献といったようなことも考えますと、場合によっては、今先生のおっしゃったように増額をせざるを得ない状態というのが起こり得るとも予想されます。このことは何とも言えませんけれども。 しかし、もしそうなれば、私は是非そのような中期防の見直しという措置をとっていただければ有り難いと考えます。
○井上哲士君 この安保法制のときに、専守防衛は変わらないんだというのが政府の答弁でありました。 一方、実際の訓練であるとか、それから装備はその枠をはるかに超えているのではないかということを私どもはただしました。例えば、米国のカリフォルニアで、五十キロ、七十キロという広大な砂漠で日米が日本から戦車を持っていって共同訓練をする、共同で侵略された国を守るというような訓練をしております。これなど明らかに専守防衛をはるかに超えていると思いますし、また、F35であるとか、そして先ほどありましたグローバルホーク、それから空中給油機なども、これも超えていると私は思うんですけれども、この点、今の装備や訓練がこの専守防衛の範囲を超えているのではないか。 西元公述人、そして小林公述人も海外派兵の費用は違憲だというふうに言われましたけど、こうした費用についてどうお考えか、それぞれお願いしたいと思います。
○公述人(西元徹也君) お答えいたします。 ただいま事例として挙げられました幾つかの件が違反になるのではないかという御下問でありますが、例えば、戦車のカリフォルニアの砂漠における、あるいはアラスカの射場における共同訓練というのは、日本においてそのような射撃ができないからアメリカでやっているわけでありまして、これは海外への進出を予期した訓練ではないということだけは、私の知識では、はっきりさせていただきたいと思います。 それから、F35、グローバルホーク、空中給油機、これらの点につきましては、あくまでも我が国の防衛、特に島嶼部の防衛あるいはその情報収集のためのものでありますから、あくまでも我が国を守る今考えている専守防衛の範囲には私は収まっていると、このように理解をいたしております。 特に空中給油機は、遠く海外へ運ぶために、これはPKOその他のものは運びますが、戦闘部隊を運んで海外で戦争するために使われているものではなくして、この空中給油機を使うことによって、スクランブルに出た戦闘機が長時間にわたって空中で待機できるというためのものだと私は理解しておりますし、また、輸送機にも空中給油装置を付けたということがその展開をするために必要なものだと、国内でですね、特に島嶼部において展開するために必要なものだと、このように理解いたしております。
○公述人(小林節君) まず、前提問題として、教育訓練に海外に行くこと自体は海外派兵ではない、これは西元将軍がおっしゃるとおりでありまして、それから、離島の奪還の訓練というのは尖閣防衛を前提に考えているわけで、これは専守防衛に矛盾しない。やはり訓練のアイテムによって問題があると思います。 私は、砂漠での共同作戦なんということは日本の専守防衛に一切関係ないですから、それこそ砂漠に、米軍にお付き合いすることを前提に、少なくともアメリカ側はそう思っていると私はアメリカで訓練を受けた人間として承知しております。ですから、そうやって徐々に合憲の専守防衛から海外派兵の準備が広がっているのは間違いない事実だと私は思います。 以上です。
○井上哲士君 装備についても。
○公述人(小林節君) 済みません。 空中給油機につきましても、私は西元将軍と同じ認識を持っているんです。つまり、飛行機って飛んでいてこそ使えるものであって、上がったり下がったり止まっているときって役に立たないんですよね、狙われるだけで。だから、長いこと滞空しているために空中で給油するというのは専守防衛に資すると私は思います。
○井上哲士君 予算の土台は政治の在り方だと思います。 私どもは、昨年の戦争法が違憲であり、そして立憲主義を破壊するものだと。これを回復するために野党が力を合わせなくちゃいけないということで、我々は政府構想も明らかにしましたし、そしてこの間様々な、五党合意ということも行われたわけですが、与党からは野合だという批判も出ておりますが、この野合批判について小林先生の御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(小林節君) かつて自民党と公明党が連立を組むとき、私、創価学会の偉い方に、当時、自民党が政教分離に反して違憲な存在だと公明党を批判していたことについてわびを取れと言ったんですけれども、いいよ、そこまで言わないでくれと言われて、うやむやなままに両者合体。私はこれを野合だと思っているんですけれども、権力のために原則を曲げてくっついた。それに対して、憲法を守る、少なくとも憲法を守る政治を軌道に戻すという点では誰も共通項、自民党と公明党は別として、共通認識だと思うんですね。これを野合と言うのは言葉の本来の意味でおかしいと思います。真っ当な連立志向であると私は思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。終わります。
○東徹君 おおさか維新の会の東徹でございます。 本日は、大変お忙しいところ、西元公述人また小林公述人、どうもありがとうございます。 私の方からは、どちらの公述人からも防衛費の関係費ということで四年連続の増加、初の五兆円を超えたというふうなお話がありました。日本の、我が国の安全を守るためには必要であれば仕方がないというふうに考えておりますが、その中で、西元公述人の方からも話がありました。昨年九月の新安保法制、このことによりまして、今回、南西諸島方面の防衛態勢の強化についての配慮、また日米共同運用体制の強化、こういったことも防衛費の予算の中に出てきているんではないのかというふうに思いますが、昨年の新安保法制、このことについて、立法事実、こういったことについてどのような、過去の御経験からでも何でも結構ですが、立法事実として、こういったことがあったからああいう法案を作ることになったんだというふうなことがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 どんな事実があったかということ、一番分かりやすい例からいくと、PKOから申し上げます。 PKOにこれまで、一九九二年のカンボジア以来、翌年のモザンビーク、さらにルワンダ難民救援、ゴランと出て、今日も東ティモール始め南スーダンに出ておりますが、この中で一番重要な問題は、これは、PKOというのは国際的な共同活動でございます。その中で、片方の者が襲撃された、助けてくれ、ほかに手段がないといったような状態で、これを見殺しに、悪い言葉で言えば見殺しにすると、このことは基本的に国際的な共同行動を阻害することになるわけでございまして、日本はこれまでそのようなことができなかった。できなかったというのは、国際標準とは違う行動をせざるを得なかった。 さらに、そのまま放置すれば我が国に対する武力攻撃に至るおそれのある重大な事態、今回は重要事態、以前は周辺事態と言っておりましたが、この中における後方支援においても、武力行使と一体化とならないような措置を講ずるということで、依然として制限はありますけれども、しかしながら、武器は別にして、弾薬の補給はできるとか、あるいは発進準備中の航空機に対する給油、整備はできるとか、そういったような、従来はそれができなかったわけですね。そのことは結局日米同盟の信頼性を阻害すると、そういったことになるといったようなことを考えますと、事例としては、私が今思い付くのはそういうことでございます。 不十分ならば、また後でお答えします。
○東徹君 今回の新安保法制の中で、存立危機事態という言葉がありました。これは非常に分かりにくいというか曖昧というか、そういう思いがいたしておりまして、先ほど西元公述人からの話でも少しありましたが、日米同盟、やっぱりここを強化していくためには、はっきりと条約に基づいた米国ということに限定した方がいいのではないかというふうに思ったりもするんですが、その点についてはどのようにお考えになるでしょうか。
○公述人(西元徹也君) 今おっしゃったことも私は一つの選択肢としてあり得ると思います。しかしながら、現在の国際情勢というものを考えますと、各国の共同によって事態を鎮静化し、あるいは抑止をするといったようなことが非常に重要な問題となってきております。したがって、それを、米軍だけを後方支援したり、あるいはアセットの防護をしたりするということは必ずしも好ましいことではないと考えております。 したがって、これはあくまでも国際協調あるいは共同のために、米軍と限定せず、我が国の平和と安全に影響のある事態へ行動する者に対してはやっぱり支援をし、アセットの防護をするべきだと、このように考えております。
○東徹君 ありがとうございます。 小林公述人にお伺いをしたいと思います。 新安保法制のときに、いろんな学者の方から、また元内閣法制局長官とか、また元最高裁判所長官とか、そういった方からの、違憲であるとかそんなようなこともありました。ただやはり、元とかいう方では、これは本当の言うべき立場ではないというふうに思っていまして、やっぱり本来、憲法裁判所のようなものがあるべきではないのかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○公述人(小林節君) 憲法裁判所をつくっても、その構成によると思うんですよ。むしろ、今の最高裁のようなものをもう一つつくっても逃げ回ってしまうと私は業界にいて思います。むしろ、やはり国会における憲法論議をきちんとすることが、このレベルの問題は高度に政治的ですから裁判になじまないというのが、日本どころかアメリカ、フランスの確立された最高裁判例ですから、だから、むしろ国会での憲法論議をきちんとするという方がどちらも後で据わりがいいと思います。
○東徹君 ありがとうございました。 もう時間が中途半端でございますので、これで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。 私からはまず小林公述人にお伺いしますが、私は去年、おととしか、集団的自衛権の話が国会でもなり、また法案の形も出てきたときに、何か過去からずっと安全保障に関する、特に自国防衛の充実強化に対する議論の中で、ゆがんできている気がしたんですね。つまり、集団的自衛権の話をしなくたって、もっと手前に越えるべき、また越えることができるハードルがあったんじゃないかというのをずっと思っていまして、それは先生自身が雑誌につい最近お書きになったやつにも分かりやすく書いてあるんですけれども。 私は警察出身なんですね。だから、どっちかといえば刑法の正当防衛とか何かという方はもう身に付いているわけですけれども、例えば、兵器を使用した、武器を使用したかどうかという価値判断なんですけれども、銃を人に向けて服を脱げとか金を出せとか言ったら、それは立派に兵器を使用したと言えるんだと思うんですよ。つまり、特に丸腰の人が言うことを聞かざるを得ないという状態になればそれはもう立派に使用したことになるので。 それを兵器のレベルに変えるならば、もう例の糧道を断つという答弁の基になったみたいに、重要港湾の前に潜水艦を全部、もう猫の子一匹かな、出入りできないように配置されてしまって、日本への物資の流通も人の出入りもできなくなって、その上で政治的な要求を突き付けられて、日本はそれに応じなきゃいけなくなったという事態においては、それは弾が一発も撃たれていなくても十分に自国防衛のために反撃することは憲法も容認していると思うんですけれども。 その辺の議論がなくて、撃たれていないときは全部集団的自衛権で対応するしかないんだみたいな話になっちゃったというのは、どこかゆがんでいるような気がするんですけれども、先生、そうお思いになりませんか。
○公述人(小林節君) 戦争というのは本来国際法の話でありまして、ところが、日本国憲法が軍隊と交戦権を禁じているので、国際法の戦争の領域に入らないので、第二警察、警察予備隊としての自衛隊をつくって、そうするとそれが、自衛隊というのは警察法制ですから、警察比例の原則で、やられたらやられた範囲でやり返すという、御専門ですけれども、そういう議論に入っちゃったんですね。 ところが、国際法でいけば、確かに封鎖されたら、それは宣戦布告ではなくても、なくてもですよ、宣戦布告に代わる事実の行動があるわけですから、それを宣戦布告とみなして反撃することは可能になるわけで、だから、それがまず入口の間違いだと思います。
○小野次郎君 軍事の専門家という意味でいえば西元公述人にも同じ質問をしたいんですけれども、これまで何十年にもわたって我が国では、そういうふうに何か本当に自分の、自分のというか、自国の中に的中しなければ、何か向こうの、敵の攻撃のミサイルなのか弾なのか知りませんけれども、それ以外、的中するとき以外は個別的自衛権では反撃できないみたいなどうして理論構成になったんでしょう。そこが一番ゆがみの始まりじゃないかと思うんですけれども。
○公述人(西元徹也君) 私は、大変恥ずかしい話でございますが、法律の専門家でないので、自分が攻撃されていなくて友軍である例えば米軍を守ると。自分自身が攻撃された場合はもう問題ございません。また、自分が攻撃されていない場合において友軍を守るということは、少なくとも個別的自衛権の範囲には入らないと理解しております。 少なくとも、例えばペルシャ湾における給油活動のように、くっついて行動しているときはどちらが狙われたか分かりませんから、そのときは当然個別的自衛権は使えると思いますけれども、そうでない場合には個別的自衛権は使えないと理解いたしております。
○小野次郎君 去年の議論を再びリオープンしてもしようがないかもしれませんが、西元さんにじゃお伺いしますけれども、ということは逆に言うと、集団的自衛権では自国防衛にはつながらないということなんじゃないですか。
○公述人(西元徹也君) それは必ずしもそうは言えないのではないかと思います。と申しますのは、日米安全保障条約第五条には、もう先生には釈迦に説法ですが、日本の領域の中、施政の中における共同行動、これには、日本の防衛として米艦が例えば攻撃された場合には反撃することが可能でございますよね。ところが、仮に日米両方のイージス艦が日本海で北朝鮮の弾道ミサイルへの対応をしている段階において、公海です、公海でしている段階において米艦が攻撃された場合にこれを反撃するということは、少なくとも今回の平和安全法制が制定されない限りこれを救うことは無理だと考えています。だから、自己防衛になると。
○小野次郎君 ありがとうございました。 じゃ、小林公述人、もう一度お伺いしますけれども、戦後国連に報告された集団的自衛権の行使事例って十四例あるんですね。ハンガリー動乱とかプラハの春のときだとか、ソ連軍だけじゃない、アメリカ軍もあります。南ベトナムへの進駐とか、どこをどう取り上げても、自国防衛とは、何十年たって翻って遡って見てみても、誰が考えてもならない代物ばかりなんですけれども。それが自国防衛のために理論上じゃなくて実際もあるんだという理屈付けはどこか無理があると思うんですけれども、先生、そうお考えになりませんか。
○公述人(小林節君) これは、要するに日本海に米艦と日本の自衛隊が並んでいて、公海上に、それはだけど日米安保条約に基づいて日本を守りに来ているんですね。こういう文脈の中で、それで現代の兵器体系で北朝鮮からミサイルが来て、どれほど正確か知りませんけれども、たまたまどちらかに当たったと。始めた以上、どんどん来ますよね。だから、攻撃の着手は確かに形式上日本の領海内ではない、施政下にはない、だけれども、それはある意味ではEEZ内ではあったりするわけですよね。このときに、自分の国の中に弾が入ってくるまで反撃できないで待っているというのは、これは法律の遊びだと思うんですね。むしろ、だったら、そのために憲法を拡大解釈するんじゃなくて、個別的自衛権を使っていく方が説得力あると思います。 それから、国際法は厳格な立法過程も何もない世界ですから、日本という大国がその先例を主張すれば済むことなんです。
○小野次郎君 よく分かりました。 どうもありがとうございました。
○中山恭子君 日本のこころ、中山恭子でございます。 貴重なお話を伺いまして、ありがとうございます。 私からは、西元公述人にいろいろ教えていただきたいと思っております。 今、先ほどもありましたが、国際社会の中で日本が平和を維持し続けていくために、どういう国として存立できるのか、これが私どもにとって一番大きなテーマであると考えております。そういった中で、一つには、今、北朝鮮の話が出ておりました。ミサイルの問題ではありませんけれども、今の自衛隊は、北朝鮮の中が動乱が起きたり混乱状態になったときに、その国の同意がなければ救出に向かうことができないということになっておりまして、その辺りをもう少ししっかりした形で動ける体制を取る必要があると考えておりますが、その点はいかがでございましょうか。
○公述人(西元徹也君) ありがとうございます。 確かに、北朝鮮は弾道ミサイル、核、それに韓国に対する挑発などなど、これらの行動も非常に懸念されるわけですが、私はもう一つ重要な懸念事項として、多分先生はそのことを念頭に置いておっしゃっているんだと思いますが、北朝鮮の内部崩壊という問題でございます。 金正恩の強権的な体制から見て、北朝鮮に動乱が起こり、内部崩壊する可能性というのは全く否定できません。その際に、何といいますか、邦人を救出、特に拉致被害者ですね、この方々を救出するためには、少なくとも現在の平和安全法制では残念ながら可能ではないと思います。そこは米軍若しくは韓国軍に取りあえず第一陣の、すなわち三十八度線のこちら側、あるいはむしろ海岸線のこちら側へ連れてきていただくという方法しか現段階ではできないのではないでしょうか。
○中山恭子君 今、非常に情けない国の状態が続いているということが言えるかと思います。もちろん、日本が平和を維持するためにはあらゆる手段、同盟関係も米国でいいのか、いろんな形を取っていかないといけないわけでございますから、米軍に拉致被害者の保護を頼むということは致し方ないのかもしれませんが、国際社会の中で国家として存立するのであれば、自国の国民は必ず守ります、領土は守りますという国家の意思がしっかりと明快に表明されて、可能性としてそれができるという状況がない限り、現在の国際社会では独立した国家として友好関係を結ぶことすら拒否されてしまうというのが今の状況だろうと思っております。 そんな中で、私自身アフガニスタンとの接触をしたことがございまして、このとき、国際テロ、あのアメリカの九・一一の事件の前後でございましたが、あの国際テロ集団は日本を除外しているのかという質問をしたことがございました。そのとき返ってきた答えが、日本は原爆を落とされた国であることは知っているけれども、自分たちの対象でありますと、対象から外していませんという答えが返ってまいりました。 今、例えば戦争ということについても概念が随分変わってきているかと思っておりますが、こういった国際テロ集団に対して日本としてどのような対応を取ったらいいのかについて、西元公述人のお考えをお伺いいたしたいと思います。
○公述人(西元徹也君) 国際テロ集団に対する対応というのは、国内で対応するのと国外で対応するのと二つの方法があると考えます。 国内においては、ほとんどはこれは主体は警察の方々に依存をしているというのが現状だと思いますが、仮に、先ほど、どなたの先生か、日本海側に多く所在する原発に対してテロ攻撃があった場合どうするのかという御質問がありましたが、そのような事態が、もし警察力を超えるようなことがあれば当然、現在の法律では治安出動によってこれを排除するということは当然必要でありますが、その前に、いわゆるテロ集団に対する様々な情報と入国管理の厳格化といったようなことでこれは国内に対するテロに対しては行動できるんだと思いますが、それは国民全ての方々がそのことに認識を持って情報を共有するということが最も大事だと思います。 第二点の、国外においてはそれではどうするかということについては、少なくとも現段階でそれを制圧するということは基本的に無理があると、現在の法制では無理があると考えます。したがって、ODAその他の手段によって、彼らがテロ行為に走るような、多くは貧しさとか、あるいはもう宗教的な信念に凝り固まっている方は別にして、そのような手だてを講じて、また、我々は能力構築活動というのを実施しておりますが、その中でも、私はやっぱりその国の軍、治安機関、これに対して最もディフェンシブな自衛隊がそのお手伝いをするということは非常に意義のあることではないかと、このように考えております。
○中山恭子君 私自身、そうですね、時間が来てしまいました。 また、いずれいろいろ御指導いただけたらと思っております。国際的な反テロ組織というもの、国際機関のようなものをつくる必要もあるのではないかと思っておりまして、これからもどうぞ御指導くださいますようによろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。 今日は、西元先生、小林先生、ありがとうございます。私の方から数点それぞれ御質問させていただきたいと思っています。 まず、現下の財政は非常に厳しいと。ここは予算委員会の場ですので、やっぱり防衛費の在り方というのを少し議論をしておく必要があるかと思っております。その場合の、いわゆる防衛費の適正化というか適正サイズと。かつて我が国では、何かGDP比一%以内とか、そんなことをさんざん言われた時代もあったんですが、昨今は全くそういった歯止めというか、その辺りの議論が余り議論されなくなってきてしまったかとも思っております。 ただ、もちろん必要なものは必要だというふうには思っておりますから、そこで両先生方にはそれぞれちょっと逆の立場のような形で少しこの辺り議論してもらえると面白いと思っているのは、まず西元公述人の方には、先生の方には、今の防衛費というのは十分なのかどうか、もし十分でないということであればどれぐらいもうちょっとここに掛けないといけないのかどうか、その辺りですね、不足部分についての議論をちょっと教えて、観点からしていただきたいなと。 小林公述人の方からは歯止めの考え方、専守防衛というのは非常に大切だと思いますし、私も専守防衛であるべきだと思っておりますが、専守防衛ということで、防衛費に対してもやはりある限度があるのではないかなと。というふうになれば、その歯止めに対する考え方というのはどうあるべきなのか。特に、この辺の歯止めの考え方がなければ、やはり他のアジアの諸国から見ると日本はまた軍拡だというふうにも取られかねないということでもあるかと思っております。 そういう意味で、多いのか少ないのかという議論もあるとは思うのですが、この防衛費をめぐる適正化の問題、両先生からお話しいただければと思っています。
○公述人(小林節君) 昔の、当時はGNPと言っていた、GDP一%と、あれは全く根拠のない議論でありまして、勝手に、目安ですよね。 最初に申し上げたように、防衛費というのは、必要なものは必ず付けなければ国がなくなってしまう。だけれども、それは、項目として海外派兵はおかしい、憲法上問題がある、専守防衛に徹するべきであると。専守防衛という点からいくと足りないところが、島を防衛する装備とかチームということが出てきた。それは手当てされている。 それから、先ほど西元将軍から、宇都議員からかな、すごく節約して、どちらかから、節約しながら練習している。これは、でもアメリカみたいに、私はアメリカで訓練を受けた人間ですけれども、余りに弾使い放題みたいな、あれは人間の感覚として僕はおかしいと思うんですよ。自衛隊は弾を数えながら節約して使っている、極めてこれ美徳であって、能力も高いしね。それで能力が下がったらば駄目ですよ。だから、日本人の、何というのか、倫理観で抑えて使っている。そういう意味で僕は、誠に申し訳ないですけど、欲望は無限ですから、それを考慮するなら僕は十分なものがあると思っています。 今年、海外派兵用に出っ張ったところは、これは憲法上問題あり、これが私の判断基準です。
○公述人(西元徹也君) どの額が適正かということは、私は要因は二つだと考えております。 第一は、我が国が置かれた我が国の安全保障、防衛上の状況、それに対してこの額で十分なのかということを精査する、これが第一点だと思います。 第二点は、我が国の予算の構造、すなわち、これをもう一度見直す、あるいはガラガラポン、言葉は悪いんですけど、ガラガラポンでそれを一回整理する、その上で考えるということも必要なのではないかと考えております。 と申しますのは、人件・糧食費が四八%、それから歳出化経費が三七%、足しますと八五%、残り一五%。これでどうやって、何といいますか、平素の隊務運営ができるのか、あるいは諸活動ができるのかといったようなことは、もう一度きちっと精査して、その上で防衛費を決定するということは極めて重要なことではないかと思います。 ただし、歳出化経費には予算を、今枠が、パイが少ないから、先延ばしにしておいて払うといったような性格のものもあれば、製造に時間が掛かるから、四年、五年と後年度負担をするという経費も間違いなくあります。したがって、それをどのように、引き延ばすということをどう整理していくかといったようなことが非常に重要なのではないかと。 えらい専門的で申し訳ございませんが、私は専門ではないんですが、そのように考えております。
○山田太郎君 時間が迫ってきました。 一問だけ、これは小林公述人にお伺いしたいと思っています。 ODAの話触れたんですが、日本の安全保障にこのODAが今後どう資するのかというような内容でお答えいただければと思っております。 御案内のとおり、ODA、アジアに対しては戦後補償の意味合いもありながら、ただ、アジアに対しては非常に成長の糧にもなったと。インドネシアも、最大のODA受入れ国といっても、最近新幹線が受注できないということの頭の痛い問題があったり、ベトナムも、ドイモイといっても、いろいろ政策が変わってきた。少し性格が変わってきたかもしれないんではないかという中で、それでもやはり安全保障に対しては資するものなのか、ちょっとその辺りの、今後のODAと安全保障との関係、この辺り、小林先生にお伺いできればと思っています。
○公述人(小林節君) やはり国際関係である以上、いわゆる仲よしに対しては疑いが生じにくいとか構えにくいとかいうことは、人間ですから、組織も、ありますから、そういう意味では、私も中国とかインドネシアとか行くと、結構無駄もありますけれども、感謝もされているんですよね。この、何というか、つながっている関係というのは、僕はいいことだと思います。様々なトラブルはありますけど、それはあちらの国のカルチャーの問題で、そこは割り切って付き合うしかないんじゃないかと思っております。 以上でございます。
○山田太郎君 もう時間がありませんので、これで終わりにします。ありがとうございます。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。 今日は、お忙しい中、お二人の公述人、本当にありがとうございます。 まず初めに、小林公述人にお聞きをいたします。 レジュメに「海外派兵の費用は、違憲であることに加えて、むしろわが国に危険を招く不当支出になろう」というふうにあり、戦争法の問題点をきっぱり言っていただいたと思います。私は、違憲、違法ということもあるんですが、もう一つ、実際にこの法律が施行され、作動されるようになると莫大なお金が掛かるんではないか。集団的自衛権の行使ももちろん、もちろん人命もそうですが、お金が掛かる。もう一つ、後方支援という名の下に弾薬を提供する。弾薬は消耗品であるというのが中谷防衛大臣の答弁ですから、どんどん使っていけば、これは莫大なお金が掛かるんじゃないかというふうにも思っておりますが、この点についていかがでしょうか。
○公述人(小林節君) 私も、いつだったか、数年前ですけど、ホワイトハウスに仕事で立ち寄ったときに安全保障担当の補佐官とお話ししたら、もうあっけらかんと、いつ日本は、言葉は違いますけど、アメリカが与えた憲法九条の縛りを改正してアメリカと一緒に戦争する国になれますかねと明るく聞かれたんですね。僕は改憲論者として登録されていますから。それで、僕はそのとき、イギリスのようにですかと言ったら、そうですと言うんですよね。 ということは、アメリカは今戦費破産状態にありますから、あの国に付き合ってくれよと言われるわけですから、日本も第二の戦費破産国。戦争というのは始まったらほとんど終わらないじゃないですか。ですから、垂れ流し破産状態。始まったら引けないですからね。そういう大変な経済的危険を抱えていると思います。
○福島みずほ君 五兆円を予算案で防衛予算が突破していることに、やはりこれは問題であるというふうに私は思っているんですね。というのは、骨太方針で、社会保障費は三年間の間に一兆五千億円削減をすると、抑制をすると。どこもやっぱり、実は今日本はお金がない。何を削るか、どこに手当てをするか、本当にシビアな議論があります。その点でどうかというので、改善の必要があるのではないかというか、御意見を是非、西元公述人にお聞きしたいと思います。 オスプレイは今一機幾らかと聞くと、一機百億円、整備に百億円、一機二百億円だというふうに言われるんですね。金額が非常に変動したり、整備費という形などで加算すると、結局、一機二百億円になってしまう。こういうのはやっぱりお金が掛かるんじゃないか、ですから防衛予算、とりわけ戦闘機とかそういうときにチェックというのはもっとやるべきではないかという点についてはいかがでしょうか。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 私は、安全保障、防衛とそれから経済の発展というのは車の両輪だと、これはもう先生には釈迦に説法ですが、そのように考えております。どちらも国家存立のために欠かすことのできない重要な要素だと考えております。 そこで、防衛費が幾らが一体適正なのか、今のを削減できるのかどうかといったようなことは、もう先ほどもお答え申し上げましたとおり、我が国が現在置かれている安全保障の実情、それを考えた上でそのことは精査されるべき問題だと思います。もちろん、その中でたとえ一銭の無駄遣いもあってはならないと思いますが、少なくとも、私は、現在の額は必要な額であり、もっと率直に言えば、少し足らないかなと、こう考えています。
○福島みずほ君 私は、改善の必要やチェックの必要があるんではないかというふうに思っております。 ローンで長期にやるので単年度でのお金が割と分かりにくいという問題、あるいは、日本は注文してアメリカから例えば買うとなっているが、納品がなかなかまだされていない、お金を払っただけとか、あるいは、為替で日本は買いますから、ドル建てで買うと為替の安いときに現金払うとか、やっぱり貴重な税金ですからもっとシビアにそこは対応すべきだと思いますが、いかがですか。
○公述人(西元徹也君) その点は私も否定することはできないと思います。 以上でございます。
○福島みずほ君 先ほど小林公述人に、この戦争法が作動されるようになったときに莫大なお金が掛かるようになるんじゃないか、アメリカは、これはパリのテロの前のあれですが、ISILに対する掃討作戦に一年間に四千億円掛けているわけですよね。今はちょっと分かりませんが。 というと、日本は結局、非常に集団的自衛権あるいは後方支援という名の下に莫大なお金が掛かっていく、この予測についてはいかがですか。
○委員長(岸宏一君) 小林公述人ですね。
○福島みずほ君 あっ、ごめんなさい。西元公述人です。
○公述人(西元徹也君) 現在の平和安全法制、すなわち限定的集団的自衛権の行使、あるいは重要影響事態における後方支援、さらに国際安定活動に対する後方支援などなど、そういったものが一体どのくらいの額になるのか、それは限りなく膨れるのか、それは現段階では条件が不足してお答えすることは残念ながらできませんが、少なくとも我が国は我が国の身の丈に合った額をきちっとその範囲の中で行動するんだろうと、それは先生方の国会における審議においてきちっと具体的に御検討いただいた上で決定されるべきものだと、そのように考えております。
○福島みずほ君 小林公述人にお聞きをいたします。 辺野古の新基地建設の増大は問題であるというふうに先ほどもおっしゃいましたが、その点について一言お願いします。
○公述人(小林節君) 裁判で負けが出る前に和解で先延ばししたような状態になっていると私は見ております。その中で、結局はアメリカが先にいつまで延びるよと言っちゃったようなわけでありまして、つまり双方とも立場を変えていない。ですから、沖縄が納得していないものを造るんだという政府の方針が変わっていないことは、私は問題だと思います。 以上です。
○福島みずほ君 今、防衛予算案が五兆円を超えていて、そして、まさにこの戦争法が作動するようになると更に増えていってしまうのではないか。社会保障費が非常に抑制され、かつ給付型奨学金すら実現していない日本で、お金の使い道はきちっとやるべきですし、是非、金額のチェック、無駄のチェック、これはしっかりやっていくべきだということを申し上げます。 お二人の公述人、本当にありがとうございました。
○渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。今日は、西元公述人、小林公述人、本当にありがとうございます。 私事ではありますが、私の親族に自衛官がおりまして、西元公述人のことをよく存じております。また、JMAS、日本地雷処理を支援する会の会長も務めておられましたし、また、小林公述人におかれましては、私は同級生が先生の教えを受けた者がたくさんおりまして、今日はそんなお二方にこうやって質問の機会をいただけますことを本当に感謝をしております。 まずは、西元公述人に伺いたいと思います。 陸上自衛隊の削減について二点ほどお尋ねします。 西元公述人は、統幕議長当時の一九九五年に陸上自衛隊の定員を削減されました。この点をまずどのように評価をされているのかというのを伺いたいと思っております。 二つ目は充足率について伺います。 当時も十八万人の定員を十四万五千人に削減して、実際の実員、実際にいる実員は十五万一千人しかおりませんでしたと。これ、現在もこの充足率の問題ありまして、私はこの充足率に満たないこの現状に危機感を覚えております。現在も続く実員と定員に開きがあることについてどのようにお考えでしょうか、伺いたいと思います。
○公述人(西元徹也君) まず最初の、私が当時、陸上自衛隊の定員を削減したということについてお答えさせていただきます。 理由を簡単に申し上げますと、当時十八万体制でありました。そして、部隊の充足率は大体八五、六%。ということは、非常に大きな部隊の隙間ができて、連隊で七十数%、中隊にいくと六〇%を切るといったような状態でありましたので、部隊の実員を上げるためにはどうしたらいいかということを本当に身を切る思いで考えました。そして、その結果、行き着いたのがいわゆる十四個師団二個混成団体制を六個旅団八個師団体制に削る。そして、その代わり、更にその中には、連隊の中には基幹要員だけある、いわゆる骨幹部隊だけの連隊もつくるといったようなことで、何といいますか、定員を減らす。そして、その定員の減らしたところへ実員は変えないでそのまま入れて、そしてしっかりとした訓練や隊務運営ができるようにする。これが第一の問題の解決策でございました。その後、情勢は明らかに変わって、やるべきことはいっぱい増えてきたから、当然定員もまた更に増やさなければならないのかなというのが現状だと思います。 二点目の充足率という問題は、これはもう全く御指摘は有り難いことでございまして、そもそも、何といいますか、年度を通じて充足率が一〇〇%を超えない時期を持つといったような観点における充足率というのは、大体九六、七%だと私は考えております。私、昔人事行政をやっていたものですから、その当時の計算ではそのように考えました。 しかしながら、現在は九二%前後というのが実態でありますので、非常に大きなまだ隙間があるということなんですね、実員について。したがって、先ほども申し上げましたとおり、陸海空、これはもう陸海空自衛隊全く同じ、ほぼ同じ充足率ですから、全く同じような苦労を重ねているというのが実態だと考えております。したがって、できるだけ早くこれは埋めていただきたい、こう思っています。
○渡辺美知太郎君 西元公述人、ありがとうございます。たしか、ちょっとうろ覚えなんですが、現在の充足率が九一%ぐらいですから、九六とか七はもうちょっと掛かるかなと思っております。今の自衛隊は技術者集団ですから、例えば海上自衛隊にいる船乗りが足りない場合に陸上にいる人をすぐ船に乗せればいいかって、そういう話ではないと思っていますので、私はこの充足率については国会でも訴えていきたいなと思っております。 次に、小林公述人に伺いたいと思います。 昨年の七月の朝日新聞のアンケートによると、憲法学者の六割以上が自衛隊の存在そのものについて違憲ないし違憲のおそれがあると回答しておりまして、我が国が置かれている安全保障環境や国民意識を踏まえると、正直ちょっと乖離しているのではないのかなと思っております。特に、安全保障に関しては、現実問題に対してどのように憲法を当てはめていくかという視点も議論進めていくべきではないのかなと思っておるのですが、その点について、先生はどのようにお考えでしょうか。
○公述人(小林節君) 私は、昔から、今六十六歳です、三十三歳から大学の教師をやっていますけれども、つまり学会のメンバーですけれども、一貫して自衛隊は合憲と言ってきて、そのゆえに、しばらく、不思議なことで、学会からパージされまして、最近東大の樋口陽一先生のお声掛かりでなぜか最前線に呼び戻されていただけているんですけれども、私は、これ割り切っているんです。自衛隊が警察予備隊、つまり第二警察として始まったことが象徴しておりまして、要するに、攻めてはいけないけれども、何か間違って攻めてきた場合は、内乱の規模のでかいようなものがそこにあるわけですから、これは国内的には犯罪でありますから、普通の警察で対処できないものを軍隊のごとき腕力を持った警察が対処する、これが自衛隊法制の本質でありますから、これは憲法九条に違反しないと思ってきました。 ただ、外へ出ると憲法に違反するというのが今回の議論になっているわけでありまして、ですから、私はずっとそれを言ってきましたけれども、最近、おかげで海外派兵が違憲だと言うついでに今のことを言う機会が増えまして、かなり自衛隊の合憲性については、逆にいわゆる護憲派の方たちの中で理解が広まったという手応えがあります。これは追求していくべきことであると思います。
○委員長(岸宏一君) よろしいですか。
○渡辺美知太郎君 ありがとうございます。先生がなぜ学生に人気があったか、よく分かりました。 ちょっといろいろと質問したいことがたくさんあるんですが、時間になりましたので、私の質問は以上にさせていただきます。 ありがとうございます。
○平野達男君 平野達男でございます。 今日は両公述人の先生の皆様方、どうもありがとうございます。 今日は予算の審議ということでありますけれども、先ほど来、防衛費全体の予算額五兆円ということをめぐって幾つか質疑が交わされておりますけれども、防衛の問題というのは、本当に今テクノロジーの進歩が著しくて、例えば、敵を捕捉するためにどういう機械が必要か、それが発達したら今度はその機械を捕捉されないようにするためにどういう装備が必要かという、そういう何か競争がどんどんどんどん進んでいるような感じがしまして、その分だけコストが非常に高くなってくるという傾向があると思います。 その一方で、日本の予算にもそんなに潤沢な予算があるわけではありません。先ほど来、必要なものは装備すべきだというお話がございましたけれども、西元公述人に防衛の専門家としてお尋ねしますけれども、これから日本の防衛費というのは重点をどこに置いていくという方向で編成すべきだというふうにお考えか、ちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。
○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。 どこに重点を置くべきかということでございますが、目下は二つ、大きな問題は二つあると考えております。 一つは、現在の最も重要な戦略正面である南西諸島、沖縄はその中核にあって極めて重要な戦略要衝であります。これは、特に中国の様々な行動と相まって、この正面の防衛態勢を十分なものにするということが一点。 もう一点は、北朝鮮への対応という問題であります。これは核弾道ミサイルはもちろんのことでありますが、北朝鮮は莫大な、もうほぼ陸上自衛隊の要員に匹敵するほどの特殊部隊を持っております。その特殊部隊に対して、日本海側にある重要施設、特に原発でありますが、これをどのように守るかという、これは大きな二つ目だと思います。 更に加えるならば、我が国は資源の多くを海外に依存しております。したがって、海外から我が国へ物を運ぶ海上交通路の安全確保といったような問題、これらが今後の防衛の重点でありますし、さらに、そのようなことが起こらないようなアジア太平洋地域の安定と国際社会の安定に対する努力、二つと最初申し上げましたが、この四点だと思います。
○平野達男君 国際情勢は本当に今また大きな変動というか、そういう時期に入っていると思いますし、安全、防衛ということを考える意味においては、本当は危機管理という意味においてはいろんなことを装備するというのが基本的には考え方だと思います。 だけど、その一方で、予算というものについての制約があるという中での優先順位の付け方ということについては、これは、是非これを分かりやすく、これは国民にも説明していくことが必要だと思いますけれども、この点について、小林公述人、何か御意見があるでしょうか。
○公述人(小林節君) 私は、ど素人の強さで架空の議論をさせていただきます。 専守防衛は専守防衛なんですけど、陸上に上がられちゃったら大変なことになりますので、上がられる前に、つまり制空権と制海権、それから宇宙からの衛星による、何というか情報収集、これに金を掛けたら安全じゃないかなと思います。 以上です。
○平野達男君 分かりました。ありがとうございました。 ちょっと話は変わりますけれども、東日本大震災のときに、私は現場に行くときには若い自衛隊員の運転でジープに乗せていただいて現場に行きました。そのときの自衛隊員というのは、昼の弁当も持っていないんですね、昼の弁当。何も持たないで、水筒も持っていきませんでした。何も持たないんですかと言ったら、いや、我々はこれが任務ですといって、ジープを朝からずっと運転してもらったんです。そして、昼前になったときに、昼飯になりましたから、私は弁当を持っていましたので、それを分け合ってちょっと食べたんですけれども、いつ御飯食べるんですかと言ったら、夜帰ってから食べますという、そういう規律の中で動いていました。 その後、東日本大震災、十二号台風で近畿の土砂崩れ、自衛隊は本当に大きな大きな働きしていただきましたし、特に遺体の捜索、それから御遺体の処理、この若手の自衛隊員の働きというのは、警察官も含めて、これは本当に敬服します。一方で、自衛隊員には無限責任じゃないですけれども、一旦有事がありますと、自分の命をとにかくこちらに置いて現場に飛び込まなくちゃならないという、そういう責務も持っておられるということであります。 そういう中で、最近自衛隊の希望する方がちょっと増えてきて、先般も私、入隊予定者の激励会に出てきたんですが、競争が随分高くなってきているんですね。高くなってきて、それはそのことでいいことなんですが、いつも私が思い出すのは田村元参議院議員。私が自由党時代のとき一緒だったんですが、自衛隊にとって必要なのは名誉と地位だと、それをとにかく認められなくては駄目なんだということを繰り返し繰り返し言っておられました。 先ほど宇都委員から再就職の問題ということで御質問がございましたけれども、私は、自衛隊に対する国のいろんな様々な働きやすい、仕事をしやすい環境づくりということについて、具体的にどういうことが必要か、冒頭、西元公述人から何度かお話がございましたけれども、そのことをもう一度公述人の方からお話しいただければ幸いだと思います。
○公述人(西元徹也君) まず、現職にある者について申し上げますと、自衛官は、例えば一例を挙げますと、階級が一つ上がっても給料はほんの僅かなんですね。数百円の範囲です。それしか上がらない。というのは、国家公務員の給与表をそのままスライドしていますから。となると、やっぱり自衛隊は、余りいい言葉ではないんですが、上下の関係がしっかりして、上の命令はきちっと下に伝わるようになっています。ということは、階級が上がれば少なくともその分だけ少し少なくとも差額を付ける。いわゆる自衛官としての給与制度をつくるといったようなことは非常に大事なことでありますし、さらに、何といいますか、若年定年制というのは、これは自衛隊の精強性を維持するためには避けて通れない道ですので、この若年定年制に対する配慮ということが必要ですし、さらに、今先生いみじくもおっしゃっていただきました形而上のいわゆる名誉だとか地位の確定だとか栄典だとか、そういったようなものについて特段の配慮をお願いできれば有り難いと、このように考えております。
○平野達男君 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、お二人の公述人の先生に一言御礼を申し上げたいと思います。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後一時四分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。 平成二十八年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 本日は、平成二十八年度総予算三案につきましてお二人から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますから、どうぞよろしくお願いをいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、社会保障・国民生活について、公述人水戸市長高橋靖君及び日本労働組合総連合会事務局長逢見直人君から順次御意見を伺います。 まず、高橋公述人にお願いいたします。高橋公述人。
○公述人(高橋靖君) 座ったままで失礼させていただきます。 御紹介いただきました水戸市長の高橋でございます。 本日三月十日、水戸の日にこのように地方の状況をお聞きいただく、そういうチャンスを与えていただきましたこと、心から御礼と感謝を申し上げたいと思います。 早速でありますが、社会保障・国民生活ということで、子ども・子育て支援、介護あるいは医療について、時間の許す限りお話をさせていただきたいと思います。 水戸市の人口は約二十七万一千人でありまして、今、合計特殊出生率が、平成二十六年において一・五一となっております。ゼロ歳から五歳までの就学前児童は約一万四千人となっています。現在、第六次総合計画の中で、未来への投資プロジェクトと題しまして、子育て支援、教育といったところに重点化しようというところで、今施策を展開しているところであります。 本市の子育てにつきましては、国のまちづくり交付金等を活用させていただきながら、町中やあるいは商店街に多世代交流・子育て支援センターを二か所ほどつくらさせていただいて、そこで、相談業務であるとかあるいは一時預かりであるとか、さらにはお子さんあるいは保護者の居場所づくり等に努めているところでもあります。そういった中で、一方、今話題となっております待機児童の数がやっぱり慢性的に多くなっている状況でもございます。 平成二十一年度から国のいわゆる子育て支援対策臨時特例交付金、いわゆる安心こども基金を活用させていただいて、さらには、平成二十五年度からは待機児童解消加速化プランを積極的に活用させていただきながら、待機児童解消に向けた民間保育所の整備を行ってまいりました。平成二十一年からこの間、現在開所できたものが十二か所あります、認可保育所でありますけれども。定員利用を千人増加をさせていただいた結果、直近の十月一日における待機児童は、前年度と比較して百二十一名少ない百七十五名となっております。このままのペースでいけば、何とか平成二十九年度には待機児童が解消できるかなという計画を立てているところでもあります。 引き続き、国の保育所等整備交付金を活用させていただきながら、需要を見て、保育所の整備に努めていきたいと考えております。 ただ、一方で、この内容を見てみますと、どこの市町村もそうだと思うんですけれども、待機児童の中のいわゆる三歳未満児が水戸市も約八七%を占めている状況であります。やはりこういったことで、ゼロ、一、二というこの三歳未満児に対してしっかり光を当てていかなければならないということで、平成二十一年度からは家庭的保育事業も県内で初めて始めたところなんですけれども、引き続き、二十八年度から子ども・子育て支援新制度における小規模保育事業、今回の予算にも入っているみたいでありますが、その小規模保育事業を安心こども基金を活用させていただいて積極的に整備、展開をしていきたいというふうに考えております。さらには、今後、事業所内保育施設等にも着手をしていければなと考えているところでもあります。 やはりそういった多様な市民の保育ニーズに対して、多様化した形で保育サービスを提供していかなければなりません。ただ一方で、小規模保育施設については、三歳以上になるとどこか転園をしなければならないということがありますから、連携施設をしっかりつくっていかなければならないというふうに思っています。その選択の一つが認定こども園になってくるのかなというふうにも思っております。 水戸市においては、私立幼稚園十六園のうち十二園が幼稚園型又は幼保連携型認定こども園に移行が進んでいるところであります。しかしながら、どうしても保護者が保育園に選択肢を一本に絞ってしまうものですから、なかなかそこの周知が至らなくて、認定こども園の利用がなされていない状況にあります。やはり連携施設として特に認定こども園の利活用を促進するため、PRであるとかあるいはその機能をしっかり説明する責任を地方としても果たしていきたいと考えておりますので、また国においても全国的に周知をしていただければ有り難いというふうに思っております。 さらに、全国的な問題となっております保育士不足でありますが、県庁所在地であります本市であっても、保育士数の確保ができず、勤務体制等に支障が生じて認可定員まで受入れが困難な保育所も存在している状況にあります。保育士の人材不足は深刻でありまして、保育士確保のための人材派遣会社などを利用して運営をしている保育施設もございます。 水戸市では、ハローワーク水戸とタイアップしまして、職場体験の受入れであるとか、あるいは就労応援フェアへの参加で潜在的な保育士の確保を試みているところであります。さらに、保育士の確保とその処遇改善として、平成二十七年度におきましては、保育所の運営費として支払われる公定価格に処遇改善部分が反映されているということでございますが、今後とも、保育士が働き続けられるよう、一層の処遇改善と保育士加配に関する環境整備について国にお願いをしたいというふうに考えております。 また、保護者の負担なんですが、新制度に移行いたしまして、特に幼稚園の保育料が統一されたこと、あるいは階層区分を決定するための基準となる対象税目の変更によりまして利用者負担が増になった方も中にはいらっしゃいます。そういった中で、少子化対策として今国会で審議されている多子世帯の軽減制度が成立されることは大変意義がありまして、未来への有効な投資になるというふうに私は思っております。しかしながら、現段階における多子世帯の軽減策が制限年収三百六十万円となる予定であると伺っているんですけれども、本市においては、そうなりますと約三割の方しか該当しないということでありまして、その辺の枠の拡大を検討していただければ有り難いというふうに思っております。 さらに、子育て支援の一環として子供の医療費助成についてなんですけれども、本市におきましても、県制度に準じた一定の所得制限を設けて、中学校三年生までを対象に約二万六千人に現物支給によって、この給付方法で実施をいたしております。一方、国においては、地方が行う現物給付による医療費助成の取組に対し国民健康保険国庫負担金等の軽減調整措置を講じております。水戸市においては全体で八千万円になるんですけれども、そのうち約一千万円が子供の医療費助成によるものでございます。 非常にこの国の減額調整措置というのが地方の少子化対策を推進する上での足かせになっているところでもございます。こういった中で、国において子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を立ち上げて、今秋をめどに報告書がまとめられるべく検討がなされるということを伺っております。非常に歓迎するものでありまして、是非より良い方向をお示しいただければ有り難いというふうに思っております。 是非、この軽減調整措置を撤廃するようにお願いを申し上げたいのと同時に、マル福利用者の適正受診、あるいはジェネリック医薬品の利用促進、そういったことも併せて地方と国とで知恵を出し合っていくべきではないかなというふうに思っております。 次に、介護について述べさせていただきます。 介護保険制度、法施行から十五年がたちますが、急激に高齢化が進んでおりまして、本市においては、要介護認定者が平成十二年のときには三千五百人でありましたが、現在は一万二千三百人に増加しております。それに伴って、保険給付額も、平成十二年約六十億円だったものが、現在は二百億円を超える規模となりました。 国において、介護保険制度を持続可能な制度とするために、介護予防や地域包括ケアセンターなど新たな施策を打ち出しております。本市においても、お手元のパンフレットのように、高齢者支援センターを八か所整備をさせていただいて、中学校区ごとに割り振りをさせていただきました。しかしながら、やはり地域資源であるとか人材の確保、ネットワークの構築など新たな課題も見えてきたところでございます。 この地域包括ケアシステムの中で、いわゆる介護の担い手をどうすべきか、地域のNPOやボランティアをどのように育てていくか、そういった課題が生まれてきております。そういった中、やはり在宅での介護ということは、共稼ぎ世帯も多くなっているし認知症も多くなっていることから、やはり限界がございます。 そういった中で、やはり安価に入所することができる特別養護老人ホームの整備が非常に重要となって、ニーズも高まっているところであります。介護を機に仕事を辞める介護離職のストップと入所待機者の解消を目標に、水戸市は毎年一つずつ整備をさせていただきました。この第六期の事業計画においても二百五十床の整備を見込んでいるところであります。入所対象者の要介護度が引き上げられたこともあって、待機者は四百名程度で、少しは減少しております。 これからも、国、県の補助を利用をしながら引き続き整備をしていきたいというふうに考えておりますが、ただ、平成二十六年頃から、施設開設時における介護職員の確保に苦労しているという話を聞くようになりました。また、せっかく介護の仕事に就いても、長続きせず職を離れていくという職員もあると耳にしております。その影響もありまして、開設後満床になるまでの期間が長期化しているという現象が現れています。 ちなみに、本年一月三十一日の調査では、水戸市の場合、定員千三百四十一床に対して入所は千二百五十九床となっておりまして、四百人の待機者がいながら八十二、約六%が空きベッドになっているということで、職員の手配が必要であるというふうに思っております。 介護の現場は誇りとやりがいのある職場であると思いますが、高い資質と経験を積んだ介護職員を確保して介護職員の離職ゼロを実現するために、介護従事者の処遇改善が必要であるというふうに思っております 是非、職務に邁進できる体制を構築するための更なる財政支援をお願いをしたいというふうに思います。 また一方、施設の整備が進むと、サービスは良くなるんですけれども、介護保険料も上昇します。水戸市でいえば、特別養護老人ホームを一つ整備をすると大体八十円から百円上がります。これまでも、前期に比べて施設整備に伴う増だけでも二百五十円ありました。その結果、第六期の基準月額五千九百円となりまして、前期と比べて一九・七%、茨城県内においては二番目の高い保険料となってしまいました。 平成二十七年四月から、消費税を財源とする公費負担の投入により、低所得者の保険料の軽減に取り組んでおりますが、今後、更に保険料が上昇していくことが見込まれます。このような保険料の上昇は特に低所得者を中心に生活を圧迫して、保険料負担の限界が近づいているというふうに認識をしております。介護保険制度の存続性の確保が困難になりつつある状況があるというふうに思っております。 今、折半ルールになっております。公費の負担が五〇%、そして国民負担が五〇%ということになっております。そういった公費負担の割合というものを見直すなど、特に、国、県、市の負担割合というものもやはりみんなで、地方と国が協力し合って知恵を出していくべきではないかというふうに思っております。 時間がないんですが、次に、医師確保策、医療についてのお願いでございます、お話でございます。 茨城県においては、人口十万人当たりの医師数が全国四十七都道府県中四十六位ということでありまして、特に、診療科別で見ますと、小児科医が全国最下位、産婦人科医が四十一位、外科医も四十四位ということで低い数字になっているところでもございます。非常に、本県においては医師の絶対数の不足に加えて地域偏在、特に南北格差があります。それから診療科目の偏在、つまり、小児科であるとか産婦人科が厳しいという状況であります。特に、救急医療において地方の医師不足地域の拠点病院では完全な休日を取ることもままならないという状況にありまして、医師が奮闘しているという現状があります。 厳しい勤務環境の中で、修学金の義務年限を終えた医師が、医師が集中して待遇の良い大都市に職場を移行しているという現状もございます。また、地方の拠点病院では指導的立場の常勤医師が不足をしております。更なる若手の常勤医師の確保を困難にし、負のスパイラルに陥っている現状があります。 そういった中で、国の方で公的病院に対する特別交付金を出していただいて、今、公的病院、周産期であるとかあるいは救急医療のための助成をさせていただいております。是非この特交について引き続き維持をしていただきたいというのと同時に、地域医療介護総合確保基金、これも茨城県の方で設置して、水戸市の医師会の新しい看護学校の施設整備なんかにも使っておりますので、是非この基金についても引き続き財源の確保をしていただきたいというふうに思っております。 特に小児科、産婦人科が厳しくて、小児科が水戸市で平均年齢六十一・三歳です。そういった状況も鑑みて、医師の地方への特段の御配慮をいただけますようによろしくお願いを申し上げます。 早口で申し訳ございませんでした。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 次に、逢見公述人にお願いいたします。逢見公述人。
○公述人(逢見直人君) ただいま御指名をいただきました連合の逢見でございます。 本日は、このような場で私たち連合の意見を表明する機会をいただき、感謝申し上げます。 私からは、働く者の立場から見た我が国の経済社会における課題を踏まえ、とりわけ社会保障並びに教育分野において取るべき政策について申し述べます。お手元に資料がございますので、参照願いたいと思います。 まず、働く者を取り巻く環境と経済の好循環に向けた課題でございます。 働く者を取り巻く状況を見ますと、円安が継続し原油価格が低位に安定していることなどから、大手製造業を中心に企業業績は好調さを堅持していますが、ほとんどの国民は景気が良くなったという実感がありません。現在の日本は、企業規模や雇用形態あるいは男女間など国民の間に様々な格差が存在しており、加えて、貧困に苦しむ国民も増え続けています。近年では、主に家計を支える非正規労働者が増えており、その多くは年収二百万円にも満たないワーキングプアです。さらに、生活保護受給者は約二百十七万人にも達し、極めて深刻な状況だと言えます。 連合は、希望する誰もが学ぶことや公正で公平な労働条件の下で働くことができ、人として当たり前の暮らしを営むことができる国にしなければならないと考えています。そのためにも、社会的、経済的に弱い立場に置かれた人たちに光を当てた政治や政策が必要です。 お手元の一枚目のスライドを御覧ください。 私たち労働者の賃金は、一九九七年をピークに低下の一途をたどっており、厚生労働省の国民生活基礎調査でも、生活が苦しいと感じる人の割合が全ての所得層で高まっています。企業の保有する現金、預金の残高が過去最高を更新する一方、労働者の実質賃金は二〇一三年以降の三年間でもマイナス傾向にあり、こうした分配のゆがみがGDPの六割を占める個人消費を冷え込ませる要因となっています。 これらを踏まえると、政策面においては、非正規労働者の正規労働者への転換はもとより、正規労働者との均等待遇の実現を図ることが重要です。そのための第一歩として、最低賃金の引上げ、社会保険の適用拡大は欠かせません。 さらに、スライドの二枚目にあるように、世界的に見て低水準である税や社会保障による所得再分配機能の強化が必要です。所得税における累進性の強化や、人的控除の社会保障給付への振替、給付付き税額控除制度の導入などによって所得格差を是正し、暮らしの底上げで消費の拡大につなげていくことが経済の好循環の実現に欠かせない課題だと考えます。 その一方で、今国会で審議中の軽減税率は、高所得者ほど受ける恩恵が大きいことや対象品目の合理的な選定が難しいこと、約一兆円の税収減を賄う財源の確保が先送りされていることなど、多くの問題を抱えています。この制度は将来にわたって我が国の経済社会に大きなゆがみをもたらす懸念があることを改めて強調しておきたいと思います。 次に、社会保障の基盤整備と人材の確保に向けてであります。 一点目は、財源の問題です。 二〇一二年の子ども・子育て関連三法案の国会審議において、質と量の充実を図るために一兆円超程度の財源確保に最大限努力するという附帯決議が行われています。しかし、二〇一六年度予算案では約〇・六兆円にとどまり、約束はいまだ果たされていません。また、低年金者のための年金生活者支援給付金制度の実施は消費税一〇%への引上げと一緒に先送りされており、低所得者対策として講じる予定であった総合合算制度も、軽減税率の導入によって先送りされようとしています。 全ての国民が安心して暮らし続けられるようにするためには、社会保障の充実と機能強化に向けて恒久的な財源を確保し、一体改革を着実に実行すべきであります。 二点目は、社会保障の担い手の確保の問題です。 一億総活躍社会を実現するための柱である介護と保育現場においては、高齢者の尊厳の確保と自立の支援、子供の健やかな成長を支えるという仕事に見合った労働条件が確保されていないという問題があります。 介護サービスでは、求人に対する応募が少なく、入所定員を減らさざるを得ない事態が起きています。また、厚生労働省は、二〇二五年には介護労働者が現在の一・四倍必要となる上、一億総活躍緊急対策として介護施設を前倒しし上乗せ整備するために、二〇二〇年初頭には更に五万人が必要になると言われています。 三枚目のスライドのとおり、福祉施設介護員、いわゆる介護施設職員やホームヘルパーの年収は三百十万円前後で、全産業平均四百八十九万円に比べて百八十万円程度低くなっており、勤続年数を考慮する必要はありますが、このことが介護労働者の離職率が高い一つの要因であると考えます。 一方、保育所待機児童は減少傾向にありましたが、昨年度に再び増加に転じ、いまだ二万三千人余りの子供が認可保育所に入れずにいます。保育職場は都市部を中心に慢性的な人材不足であり、保育士の有効求人倍率は、昨年一月には二・一八倍に達しています。 四枚目のスライドの下にあるように、保育士の約半数が五年未満で保育の職場を辞めていますが、保育士としての就業を希望しない理由を聞いた調査では、賃金が希望に合わないが最多に挙げられています。 二〇一七年度末までに五十万人の保育の受皿を確保するためには約九万人の保育士が必要になると試算されており、保育現場の処遇改善は喫緊の課題です。しかし、政府の緊急対策は、復職支援と新たな資格取得を目指す人への支援が中心で、現在働いている人への対策は不十分と言わざるを得ません。ましてや、外国人労働者の活用で人手不足を補うという考え方には賛成できません。施設の拡充を含めた介護や保育サービス充実のためにも、人材の処遇改善が最優先であることを改めて強調しておきたいと思います。 三点目は、介護離職ゼロに関してです。 私たち連合は、さきに述べた介護従事者と同様に、家庭で家族を介護しているようなケアラーについても介護離職のない社会を目指すべきと考えます。家族を介護している人の離職を防ぐためには、男女が協力して家事、育児、介護へ参画することや、余暇を享受できる労働環境を実現しなければなりません。そのためには、男性の長時間労働の是正や介護休業日数の延長、柔軟な働き方に係る制度の拡充、介護休業給付の引上げなど、全ての労働者に対して仕事と介護の両立支援を充実させるべきです。加えて、家族を介護している人を支援する体制が必要であり、これらを実現するための法整備や企業の取組を促進する政策が求められます。 次に、子供の貧困解消と教育機会の格差の是正に向けてであります。 五枚目のスライドにあるように、我が国は六人に一人の子供が貧困の状況にあります。最近の研究では、都道府県別のデータが示され、沖縄県で三人に一人以上、大阪府や鹿児島県などでは五人に一人以上が貧困の状況にあるとされています。実際に、学校では、体操着や上履きを買い換えることができず、小さくなって擦り切れたままのものを使い続ける子供や、給食のない夏休みの間に痩せ細ってしまう子供が散見され、これがGDP世界第三位の経済大国で起こっている現実かと疑うばかりです。 加えて、親の経済的背景が子供の初等教育における学力と正の相関があることや、最終学歴と生涯年収にも正の相関があることなど、多くの先行研究で教育の差が将来の子供の所得差をもたらすことを示唆しています。これは、親の所得による教育格差が貧困の連鎖を生むことを示していることにほかなりません。 最後のスライドには、昨年実施した連合の調査結果を記載しています。 世帯年収が二百万円から四百万円の大学生、大学院生のうち六割以上が奨学金を利用しており、卒業後の平均返済額は三百万円を超えることも明らかになっています。こうした状況が結婚や子供を産み育てることを希望する若者の足かせとなり、希望出生率一・八を目指すとする政府方針と逆行する結果をもたらすことは言うまでもありません。 政府は、先延ばししている就学前教育の無償化を一刻も早く実現するとともに、高額化する大学授業料の是正や高等教育における給付型奨学金の導入を今すぐ決断すべきです。貧困の連鎖をなくし、国民全体の格差是正、底上げ、底支えを図るためにも、同じスライドにもあるように、先進国でも極めて低い水準と言われる公的教育支出を拡大し、それらの政策を実行に移していくことを切に訴えます。 最後に、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の課題についても一言触れたいと思います。 年金積立金は、労使が拠出した保険料を原資とするものであり、保険料拠出者の意見が確実に反映されるガバナンス体制を構築する必要があります。それにもかかわらず、労使や国民に十分な説明を欠いたまま、二〇一四年十月にリスク運用の拡大に大きくかじが切られるとともに、政府による民間企業支配につながる株式のインハウス運用の解禁までもが議論されたことは極めて問題であると考えています。 今、日本は、本格的な人口減少社会を迎え、本日申し上げた格差や貧困、分配の在り方など、経済社会のあらゆる側面での構造的な課題に直面しています。私ども連合としても、こうした課題を一歩ずつ克服していくため、二〇一六春季生活闘争において、全ての働く者の底上げ、底支え、格差是正を目指し、定期昇給相当分を含め四%程度の賃上げを目標に掲げながら、サプライチェーン全体で生み出した付加価値を適正に分配する公正取引の実現に向けて取組を進めていく所存です。 そのことを最後に申し上げ、私からの意見陳述とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○高橋克法君 本日は、高橋靖公述人並びに逢見直人公述人のお二人から貴重な御意見を賜りました。心から感謝申し上げます。また、お忙しいところ本当にありがとうございます。 高橋公述人は、水戸の市長として地方行政の最前線に立って、先ほどお話がありましたように、少子高齢化、人口減少、地方創生等の諸課題に取り組まれている。実は、私もお隣の栃木県で、水戸には全然かなわないんですけれども、小さな町の長をやっておりましたので、高橋公述人の日々の御苦労は我が事のように重々分かる次第でございます。 そういう中で、高橋公述人のお話の中で、待機児童解消のための課題はたくさんありますけれども、その一つとして保育士不足、この問題に対処するために、ハローワークとタイアップしたり人材派遣会社とのタイアップをしたりして懸命に人材の確保をしていらっしゃるという、そういう現実のお話がありました。 ただ、実際には、保育現場で働いている保育士さんは大体日本全国で四十万人。一方で、保育士資格を持っているけれども実際に保育現場に出ていない潜在保育士、この方々が七十万人存在する。これは厚労省の資料の方に載っておりますけれども、そういう現実を受けて、政府は今度、新たな施策なんですけれども、その代表的なものを三つ申し上げます。 一つは、潜在保育士の再就職支援事業。つまり、資格を持っているけれども現場に出ていない潜在保育士の方々が保育現場に就業を決めた場合に、いわゆる就職準備金というような形で十五万円から二十万円貸し付けるわけですが、ただし、就業した後二年以上その保育現場で勤務されたときには返還を免除しますという制度が一つです。それからもう一つ、現場の保育士さんたちの労働負担の軽減。つまりは、それは離職防止ということになるんですが、いわゆる保育士資格を持っていない補助保育士さん、こういう方々を雇った事業所には、そういう事業所には保育補助者雇い上げ支援事業ということで約年間三百万円を貸し付けると。ただし、その補助保育士さんが三年以内に保育士資格を取った場合には返還は免除するというような制度。さらには、保育業務日誌等、大変、本来の保育以外の事務作業が現場でのしかかっているけれども、それらの軽減をするためにICT、ソフトの導入等へも支援しますという、これ新たな施策なんですけれども。 こういった今私が申し上げた、一部ですけれども、それらを受けて、現場で毎日苦労されている高橋公述人としては、今申し上げたような新たな施策、効果があるでしょうかね。ちょっとそれをお聞かせください。
○公述人(高橋靖君) ただいま高橋先生の方から話がありました再就職支援であるとかあるいは補助保育士の政策というのは、大変効果はあるというふうに思っています。 今、私たちも、どうしても潜在的な保育士を掘り起こしたいということで、ハローワークや職場体験等をやらさせていただいているんですけれども、やっぱりずっとちょっと離れていた方が現場に改めてまた戻ってくるという、ちょっと怖さがあるみたいなんですね、看護師さんと同じようにやっぱり人の命を預かるということでありますから。やっぱりそういった部分をちょっと何かケアをしていただくような施策がまたさらにあればいいかなというふうにも思っております。 いずれにいたしましても、そういった財政的な支援、そして補助制度を活用することによって、やはりそういった多様化した政策の選択肢が生まれてくるということでありますから、地方としては、有り難く受け止めて活用させていただきたいというふうに思っております。
○高橋克法君 高橋公述人のお話の中で、茨城県は人口当たりの医師数が全国都道府県で四十六位、とりわけ小児科医が最下位ということをお伺いいたしました。先ほどのお話の中で、医師が待遇の良い大都市に移ってしまう、それから、多分時間の都合でお話しにならなかったと思うんですが、実際の現実として、公立病院から大学への医師の引き揚げ問題とかもあると思うんですよ。その辺のところ、ちょっと詳しく聞かせていただけませんか。
○公述人(高橋靖君) 実は、周産期医療関係で、ある公的病院がごっそりと全て大学病院の方に引き揚げられてしまうというような経緯がございまして、特に県央、県北地域は、その周産期医療がなくなってしまうと、もう一つのところに集中してしまって非常に負担が大きくなってしまって、いわゆる壊滅状態、パンク状態になってしまうんですね、周産期医療が。何としてもとどめたいということがありまして、県と市で一千万円ずつ出させていただいて周産期医療の支援策を講じさせていただきました。 そういった一般会計からの繰入れで医療を守っているという現状が水戸市に限らず地方にはあるということを、また先生方にもいろんな面で御認識いただきながら御支援いただければ有り難いというふうに思っております。
○高橋克法君 高橋公述人、医師不足は、医師の数はあっても偏在していれば、これは偏在しているところは不足なんですね。 これ、もう端的に、この問題はどの切り口で切り込んだらよろしいとお感じになっているか、端的にお願いします。
○公述人(高橋靖君) 私は、大学病院とのネットワーク、しっかり構築したいというふうに思っています。 今、ある大学病院といろいろ連携の作業に入っているところなんですけれども、茨城県は筑波大学しか医学部がないものですから、やはり継続的に、その先生がいるから今何とか守られているということではなくて、やっぱりある大学と継続的にもう医師の派遣のやり取りができるような強固なネットワークの構築というものが必要なのかなというふうに思っています。
○高橋克法君 時間がなくなってしまって、逢見公述人には大変申し訳ございません。 ただ、平成二十五年、二十六年で四十九兆円の内部留保、企業に積み上がっています。しかし、それが賃金に反映したのは五千億です。これ財務大臣もよく認識していますので、これをどういうふうに賃金にこれからより多く反映していくか、またいろいろ御教示をいただきたいと思います。 ありがとうございました。
○長浜博行君 ありがとうございます。 高齢化社会の到来の中においての介護の問題ということを、高橋市長から切実な問題、施設があるのに働く人がいないと、こういう御指摘を受けたわけでございます。 昨日、新聞を見ておりましたら、連合の芳野副会長ですか、女性代表ということでありますが、一九八六年施行の男女雇用機会均等法の第一世代というようなことで、連合の中においても、女性の雇用問題、まさにフロンティアとして活動をされているわけでありますけれども、九一年の育児・介護休業法等々、それから二〇〇五年にこれは改正されたわけでありますが、こういった機会を通して、女性が働くためにも、この介護の問題、昔は介護は嫁の仕事だと、こう言っていたものを社会全体の中で受け止めようとして、高橋市長の話にもありましたように、介護保険十五年たつわけでありますが、この問題が今クローズアップをされているわけであります。 去る三月二日に民主党は、他の野党四党と共同で介護職員等の処遇改善法案、これを提出をさせていただいて、介護や障害者福祉に携わる人の賃金を、まあ関係者からすればまだ少ないんでしょうけど、六千円から一万円何とか引き上げる、そして、逢見公述人が言われておられたように、今働いている人の処遇を改善をすると、こういったことに重点を置く、こういう法案の審議も始まろうとしておりますが、この問題について、逢見公述人、どうお考えになるでしょうか。
○公述人(逢見直人君) お答えいたします。 介護の問題でございますが、介護保険法が成立したことによって、家族が抱えている問題を社会で解決しようと、そういうことについては大変意義があると思います。今後ますますこのニーズが高まってくる。 しかし、なり手が、現在、介護福祉士の登録者が百四十万人である一方、従事者が六十六万人ということで、一旦は介護の道を選びながら実際はその仕事に就いていないという人が半数以上いるわけでございます。こういう方々も含め、誇りを持って介護を担っていただくためには、介護職の専門性の評価と相まって抜本的な処遇改善が必要だというふうに思っております。 そういう意味では、やはり今働いている人たちの処遇が改善され、その人たちが専門職として社会的に評価されるような仕組みをつくっていくことが今は重要だというふうに思います。
○長浜博行君 野党も、こういった閣法ではありませんが議員立法をしておりますが、高橋市長、何か御感想ございますか。
○公述人(高橋靖君) やはり現場の声を聞きますと、大変やりがいのある仕事であるというふうに現場の方々からは言われております。しかしながら、自分たちがプライドを持ってやっているその質と量に比べてやっぱり給料等が十分ではないという声は聞いているところでありますので、お金が全て解決するわけではないんですけれども、やっぱりそこって一番のポイントになってくるというふうには思っております。 そういった処遇改善とともに、やっぱりこの福祉の業界全体のイメージアップと職場環境の充実、セットでいろいろ制度設計をしていく必要性があるのではないかなというふうに思っております。
○長浜博行君 それから、国民生活の分野では、やっぱり働くということが国民生活では大変重要な要素だというふうにも思います。 ILOという国際労働機関がございます。以前、厚生労働省で働いていたときに、あれは労働大臣会合だったか、この機関の国際会議に出ると、これは政府関係者だけじゃなくて使用者側、そして労働者側と、この三者が参加をするという、国際機関では珍しい会議をやるわけですね。ですから、経団連の方と連合の方と御一緒した記憶もありますが、その中で、国際条約を様々批准をするんですが、日本はヨーロッパ諸国の、実はこのILOの条約、半分ぐらいしか批准していないんじゃないかということを当時言われた記憶もあるわけであります。 ですから、労働法制をやる場合に、厚生労働委員会の中においても法律を審議しますが、その中においても必ず労政審という機関を通して、これは厚生労働省の設置法に書かれている問題でありますけれども、ここを通してから労働法制の改正をしていくという手順が代々伝統的につながっているというか、制度として保障されているわけでありますが、この頃の労働法制の議論の中において、果たしてこの労政審を通して労働者側の、あるいは消費者側の、そして政府、提出する側のこういった意見がきちんと反映されるような体制になっているかどうかということについて逢見公述人の御意見を拝聴できればと思っております。
○公述人(逢見直人君) ILOは、我が国からも、政府、使用者、労働者代表、それぞれ理事を出しておりまして、非常に日本もILOに対する貢献が高い国だというふうに認識しております。 今御質問がありましたように、ILOは三者構成原則というのを取っております。これは、労働政策に関しては、政府が一方的に政策を決定するのではなくて、労使双方の参画の下に政策を決定すべしという三者構成原則によるものでありまして、これは、各国においても労働政策を決める際にはそうした三者構成原則にのっとるべきという原則がございます。 我が国においては、この三者構成原則の審議会は労働政策審議会であるというふうになっておりまして、ILOに対してもその旨の報告がなされております。 しかしながら、この労働政策に関して、特に労働者側が参加しない中で政策が審議されているということが散見されるわけです。やっぱりこの三者構成原則というものをしっかり尊重した形で労働政策を検討すべきであるということを申し上げておきたいと思います。
○長浜博行君 ありがとうございました。終わります。
○荒木清寛君 高橋市長が社会保障に熱意を持って取り組まれていることを感じ取りました。 まず、医療費助成制度に対する国民健康保険の国庫負担金減額措置の廃止については、公明党も全く同意見でして、乳幼児医療にしっかり取り組む自治体がペナルティーを受けるようなことはおかしい、このように申し上げて、昨年の夏、厚生労働省の中に検討会が設けられたところです。しかし、まだまだ壁は厚いと思っておりまして、改めて、この点についての高橋公述人の思いといいますか意見をお聞きしたいと思います。
○公述人(高橋靖君) 今、どの自治体も当たり前のように中学三年生まで医療費を無料化にしています。水戸は、ちょっと数少なくなってしまったんですが、所得制限を設けているんですけれども、これも順次やっぱり撤廃をしていきたいというふうに考えております。 撤廃すればするほどやっぱり医療費がある程度掛かってくる、そうなるとまたペナルティーということになると、やっぱり私たち、また少子化対策をやっていく上において、子育て支援をやっていく上においては足かせになってしまうということでありますから、早期のうちにこのペナルティー制度については撤廃をしていただければ有り難いというふうに考えております。
○荒木清寛君 次に、子育て支援につきまして、いわゆる日本版ネウボラについてお尋ねいたします。 妊娠から出産、産後まで切れ目なくワンストップで総合的な相談を支えて行うのが子育て世代包括支援センター、いわゆる日本版ネウボラでありまして、これも予算措置で、新年度予算におきましては二百五十一市町村、四百二十三か所で行っていただく分の予算措置をしておるところですが、水戸市でもこうした取組をされていかれますでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 水戸市も、今回、今議会会期中なんですが、私の所信表明の中でまさに今の話をさせていただきました。 今度、不妊治療のほかに不育治療の助成まで設けることにしたんですけれども、やはりまさに結婚から妊娠、出産、そして子育てにもう切れ目なくその支援ができるような、そういう仕組みがあれば、国の制度を活用させていただきながら水戸市の方としても取り組んでいきたいというふうに思っております。
○荒木清寛君 介護についても課題が山積をしております。特に、認知症対策というのは社会的な大きな課題であると思います。この認知症の予防、またそうした方を、なられた方を地域で支える仕組みについて、水戸市として取り組んでいることがあれば御紹介願いたいと思います。
○公述人(高橋靖君) 実は、水戸市は早くから元気アップ運動というちょっと先進的な体操を取り入れさせていただいて、介護予防や健康づくりに資するような取組を行っております。 それと併せて、これは茨城県全体の取組でもあるんですけれども、シルバーリハビリ体操といいまして、これはどちらかというと、一旦ちょっと具合が悪くなった方のためにリハビリのための体操ということで、この元気アップとリハビリ体操とちょっと分けて考えているんですけれども、そういった役割分担の下に、市民の皆さんがまさにボランティアで組織をつくって、この教室を各地でやっていただいております。シルバーリハビリですと多分四万人ぐらい、延べにして年間受講しているということでありまして、これが介護予防であるとかそういった健康づくりにつながっている特徴的な取組であるかなというふうに思っております。
○荒木清寛君 次に、逢見公述人にお尋ねをいたします。 景気回復を地域中小企業にしっかり及ぼしていくことが喫緊の課題であると考えます。公明党が強く主張しまして、地方版政労使会議がほとんど全ての都道府県で行われているところです。この地方版政労使会議について、連合としてはどう評価されているのか、お尋ねいたします。
○公述人(逢見直人君) 中央の方の政労使会議は、実は過去二年間行われていたんですが、今年度は開かれないままで終わってしまいました。 ただ、地方の政労使会議は現在も続いているところがたくさんございまして、そういう中で、雇用に係る問題、賃金に係る問題、あるいは勤労者生活に係る問題等が審議されております。そういった意味では、地方政労使会議というのはそれぞれの地域の政策の中でかなり有効に機能しているのではないかというふうに受け止めております。
○荒木清寛君 次に、先ほどの公述で、正規労働者と非正規労働者の均等待遇の実現を図ることが重要である、このようにお述べいただきました。安倍内閣は同一労働同一賃金の実現を目指しておりますが、この点、連合も同じ考えと理解してよろしいですか。 また、これは働き方の改革を伴うものですから、当然、政労使の合意がなければ実現は不可能だと思います。この点につきましても、働く者の最大の団体である連合として、どうこの同一労働同一賃金について取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
○公述人(逢見直人君) 同一労働同一賃金につきましては、連合はかねてからこうしたものが必要であるというふうに考えております。これは、ILOの憲章の中にも記載されている普遍的な理念というふうに考えております。特に、雇用形態間の格差が著しいという問題について、これは、雇用形態にかかわらず均等待遇原則の法制化ということが必要だというふうに考えております。 今や、非正規労働者が雇用労働者全体の四割を占めている、あらゆる現場で今必要不可欠な存在になっている、一方で、主に自らの所得で生計を支える非正規労働者の割合も増加していると。こうした格差を解消するためにも、労働政策審議会等でこうした問題が早期に議論されるべきであるというふうに思っております。
○荒木清寛君 終わります。ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は、二人の公述人、ありがとうございます。 まずは逢見公述人にお聞きいたします。 先ほど、与党の方の質疑の中でも、内部留保が拡大をしながら賃金に回っていないということは政府も与党も問題と考えていると、こういう御発言がありました。 この改善のためには、職場における運動や交渉ということと同時に、やはり政治の問題があると思うんですね。先ほどありましたように、非正規の拡大であるとかということも、これが全体を下げていく大きな問題になっていると思うんですが、こういう賃上げの必要性を政府が言いながら、一方で、むしろこういう非正規の拡大であるとかリストラの促進になるようなこともかなり見受けられると思うんですが、今の政府がやっている様々なそういう労働政策の問題でこの賃金の確保に逆行していると思われる点はどこにあるのか、それをどう改善すべきかという、この点をまずお願いしたいと思います。
○公述人(逢見直人君) お答えいたします。 二十年にわたってデフレ経済が続いてきた中で、労使とも、その中でどのようにして生き残っていくべきかという懸命な努力をしてきたわけです。 ある時期は、雇用を優先するということで、ある程度雇用のためには賃金も諦めざるを得ないというところもありました。また、リストラに対しても、それを失業という形で外に出すのではなくて、できるだけ抱えていくことによってその不安をなくすという対応がありました。 しかし、それが長く続いたことによって経済そのものが萎縮してしまっているというのがあって、企業の内部留保も高まっている中で、デフレ脱却に向けて賃金を引き上げていく必要がある、我々もこのように考えておりまして、今、連合としてもベアを含む賃上げの要求を掲げております。 しかし一方で、それが貯蓄に回ってしまうと意味がないわけで、消費の拡大につながっていかなきゃいけない。しかし、その消費の拡大につながるためには、先行きに対する安心感というか、そういうものがないといけないんですが、なかなかそれが払拭できないでいる。それは、やっぱり政府の経済政策の中にまだ将来に対する安心が展望できないというところがあるんだというふうに思います。そういうところを改善していく必要があると思います。
○井上哲士君 労働法制でいろんな、この間、政府の法律提案もあるわけですが、その点で、言わば全体の底上げに逆行していると思われる点はどういう点でしょうか。
○公述人(逢見直人君) 労働政策については、規制改革という中で、特に政府が岩盤規制というものの中に労働も位置付けて、この岩盤に穴を空けなきゃいけないんだということだったわけですが、しかし、この雇用というのは、安心して働ける環境をつくることがやはり働く人たちにとって重要なことであって、その岩盤を壊すということが働く人たちにとって不安を増幅させることになれば全く逆行する政策になるわけです。 そういった意味で、規制緩和を主張するが余り、雇用の安定あるいは安心して働ける環境というものを壊すようなことになってしまってはいけない。そういう意味で、昨年、労働者派遣法の改正審議が行われ、それは成立しました。今、なお労働基準法改正案が今国会に継続審議として残っております。これについても、長時間労働を助長しかねない内容のものというふうに考えております。
○井上哲士君 先ほど、最低賃金の引上げのことに触れられました。大変重要だと思うんですけれども、政府は、年成長三%、それに合わせて全国平均一千円を目指すと、こういうふうに言われているわけですが、むしろ、最賃を引き上げることによって成長をつくっていくという考え、私は大事だと思っているんですが、そういう点でどうかということと、今の政府の目標というのは政労使の目標よりも遅い時期になってしまうと思うんですけれども、今の取組についてどのようにお考えでしょうか。
○公述人(逢見直人君) お答えいたします。 最低賃金の引上げが必要だと、そして千円という目標に向かっていくという政府の姿勢は、我々自身がかねてから主張してきたことなんですが、ただ、政府の方針というのは、GDP六百兆円の達成に向けて賃金を引き上げていく、そのために最低賃金の引上げが必要だという、目標がそのGDP六百兆達成というところにあるようでありまして、我々は底上げということが必要だという考え方でやっております。 その引上げのプロセスもまだ十分に明らかにされておりませんし、そういった意味で、どのような形でいかにして実行していくかという、そういうこともしっかり示す必要があるというふうに思っております。
○井上哲士君 ありがとうございます。 次に、高橋公述人にお聞きいたします。 様々な努力を重ねていらっしゃることをお聞きいたしました。介護についてお聞きするんですけど、この間、要支援につきましては地方自治体の施策というふうに転換をしていく、それから、今、政府内では要介護一、二の部分についても、この介護保険の中でいうとかなり削減をしていくという、給付、動きが起きております。 このことは、かえって言わば要介護を悪化をさせてしまって、結果としては保険財政にいろんな問題が起きてくるのではないかと、こう思っているんですけど、現場でやっていらっしゃる感覚として、こういう軽度の方を下げていくということのやり方についてどうお考えでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 特に、現場から際立ったそういった低下したという評価を、報告を受けているわけではないんですけれども、ただ、これから市町村がやる事業に移行するということについて、ちょっとやはり格差が生まれてくるのではないかという懸念はあります。 先ほど言った地域包括をつくるにしても、もう市町村のところが、地域地域によってそれぞれ人材がいたりいなかったり、あるいは施設等の資源があったりなかったりということでありますから、この地域包括ケアの仕組みを市町村でやるということに対して、ある程度福祉の部分については平準化が図れるような応援をいただければ有り難いというふうに思っております。
○井上哲士君 以上です。ありがとうございました。
○清水貴之君 おおさか維新の会の清水貴之と申します。 本日は、お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。 まず、高橋公述人にお伺いしたいと思います。 様々御苦労をされながら取り組まれているというお話を聞かせていただきました。私がお聞きしたいのは、水戸市の中で様々取組をされているのも非常によく分かったんですが、周辺自治体との連携の部分ですね、一つの市だけではやっぱりなかなかできなくて、逆に、広域でやった方が効果が出ることもあるでしょうし、若しくは、でも逆に、やってみたけれどもうまくいかなかったこともあるかもしれませんが、この辺り、広域の考え方についてお聞かせいただけますでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 実は、まさに今それをやろうとしているところでありまして、今、水戸市が中心市宣言をさせていただいて、定住自立圏形成の中で医療の充実を図ろうということでやらさせていただいております。 〔委員長退席、理事岡田広君着席〕 例えば、水戸市が持っております休日夜間緊急診療所、この中で、もう三〇%は他の自治体の方の利用なんですね。特に、小児科に至っては四〇%が他の、水戸市以外の方の利用になっているんです。しかしながら、やはり財政的には私どもが負担をしているということ、特に医師の確保策、先ほど言った小児医療を充実させて三百六十五日体制を整えるのにお金が掛かっています。そういったことをこの定住自立圏形成の中で協定を結んで、国からいただく八千五百万、それぞれの市町村の千五百万、これを活用して医師の確保策をやっていくということは大変有効でありますので、これらはその広域連携でやっていくことが非常に意義深いというふうに思っています。
○清水貴之君 それに対しては、周辺自治体は、負担が今のところは余り掛かっていないところは負担が逆に増えることになるかと思うんです。その辺り、了承は得られそうな感じであるんでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 実は、確かに先生おっしゃるとおり、温度差があるというのは感じております。 やはり自分のところは、特に水戸市がやっているんだから今のままでいいんじゃないかというような自治体ももちろんあるかと思いますけれども、ただ、自治体の中には、自分たちも水戸市の施設を使わせていただいているんだから、やっぱりこれからは堂々と水戸市の方に行ってくださいと市民にあるいは住民にきちんと啓発できるように、お金を負担すれば堂々と使えるんじゃないかというような考え方もあるように聞いております。 そういった中で、ただ、国からいただく定住自立圏形成関係のお金ですから新たな負担は生じてまいらないということですので、賛同いただける市町村が出てくるというふうに考えております。
○清水貴之君 関連してではないですけれども、地域における差といいますか、この辺りについてもお伺いしたいなというふうに思うんですけれども。 先ほどおっしゃっていたとおり、介護保険料などですと、やっぱり水戸市は施設が多い分上がってしまっているというような話だと思います。こういうのが周辺自治体との中でも、もう様々な分野で、それこそ例えば学校の授業料を無償化するのか給食をどうするのか、若しくは子供の医療費をどうするのかということで、一律だったら問題ないと思います、それぞれやっぱり自治体ごとに差が生じてくると思うんですね。 それは、もちろん自治体のそれぞれの努力によって、もう今少子化の時代ですから、うちの市になるべく少しでも子供来てほしいと、若い夫婦来てほしいという思いでされている。それは努力の部分でもあるかもしれませんが、その一方で、差が生じることによって逆に何か様々なあつれきが生じてしまっているんじゃないかとか、そういうのがあるならば、逆に今度は国が一律で同じような仕組みで同じような制度をつくった方がいいというふうに思われるのかなとも思ったりもするんですが、この辺りについての考えはいかがでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 地方創生の時代ですから、アイデアを出した市と出さない市と、それぞれいろいろその差が生まれてくるのはやむを得ないのかなというふうに思っておりますが、ただ、地方創生の様々な振興策の政策と福祉の政策ってやっぱり違うと思うんですね。やっぱり、福祉はある程度みんなが同じようなレベルで享受できるようなことができるんだったらば、その方が地方を預かる立場としては有り難いというふうに思っています。 先ほど言った子供の医療費もそうです。今、先ほど言った多子世帯なんかも、恐らく三百六十万という年収制限をされるとお互いまた競争し合う可能性があるんですね、自分のところは五百万にしようとかということで。そうすると、お金のある自治体とない自治体でまた差が出てくるということでありますから、福祉の分野においては、ある程度もうセーフティーネットというか、それぞれこの基準でというような部分で余り格差が生まれないような形で国の方が支援していただくと有り難いなというふうに考えています。
○清水貴之君 同じ質問を逢見公述人にもお願いしたいと思うんですけれども、その地域差ですね、福祉の分野、社会保障の分野における地域差、これについてはどのように考えられますでしょうか。
○公述人(逢見直人君) 基本的には、社会保障というのはナショナルミニマムとして設定すべきものであって、地域差が出てくることは好ましくないと思います。もちろん、サービス水準で自治体間で上乗せするとかそういう部分はいいと思いますが、国がやるべきことは、やはりミニマムとして、きちんとそれをどこの市町村にいても提供できるという部分が社会保障の基本だというふうに思っております。
○清水貴之君 続けて逢見公述人にお願いしたいと思うんですが、同一労働同一賃金です。 最近は、安倍総理も同一労働同一賃金ということを言われ始めまして、今後政府として進めていかれると思うんですが、まだ詳しくはちょっと出ていないからどうなんですかね、内容についてどう評価されているのかということと、もし、何か同一労働同一賃金についてこういったことはするべきだとか、最低限こういったことは入れるべきだとか、そういった何か思いがあったら教えていただけますでしょうか。
○公述人(逢見直人君) 同一労働同一賃金原則、これは普遍的な原理であるということで、それを我が国の労働法制の中に入れるべきだということは連合としてもかねてから主張しておりました。そういう意味で、今政府がそういう方向に動き出したことについては基本的には歓迎したいと思います。 〔理事岡田広君退席、委員長着席〕 ただ、これをどのように具体化していくかというのはやっぱり国によって違いがあります。男女間の格差の問題については労働基準法四条で既に成文化されておりますが、今問題になっているのは雇用形態間の格差、これをどのように是正していくかということだと思います。 そういう意味では、同一労働同一賃金というのは、同じ仕事だから同じ賃金というそれだけではなくて、国によって抱えている問題をどう是正するかということで、例えば均等待遇の原則をつくっていくとか、あるいは合理的な理由のない格差についてそれを認めないような法律を作っていくとか、それぞれの国によって、問題の設定によって変わってくるわけです。 まだそういった議論が深まっていないので、これから我々としてもそうした議論にも積極的に関わっていきたいと思っております。
○清水貴之君 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。 公述人のお二方、今日は貴重なお時間と貴重な御意見をありがとうございました。 私の方からは特に保育士の問題について、子育てのことで高橋公述人からもお話しいただきましたが、この保育士の処遇改善について、これは特に民間の保育園の保育士とか幼稚園の教諭とか、そういったところが今、大変処遇が改善していく必要が特に強いんだろうと思っております。 そういった意味におきまして、今、維新の党それから民主党と共同で会派を組んで、特に保育士の処遇改善についての法案というのを今準備をしているんですが、これは介護士についても処遇改善という助成金というのができました。それと同じような仕組みでこの保育士についても処遇改善ができないかということで検討しているんですが、それについて、高橋公述人、いかがお考えでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 先ほども陳述で申し上げさせていただきましたが、やはり処遇の問題で人が集まらないという例が出てきているということで現場からも聞いております。ですから、やはり、どういう法律かはちょっと私も何とも申し上げられませんが、何らかの形でこの保育士の処遇改善が図られれば有り難いのと同時に、保育士の地位の向上にも是非先生方目を向けていただければというふうに思っております。 どうしてもやはり福祉の担い手、福祉従事者みたいな形になりまして、水戸市の場合には、保育所から小学校に上がる子供の方が圧倒的に多いんです。就学前の児童の教育が大事だと言われている中で、やはり保育士も教育者であるということで、そういった地位というものが向上すれば、やはり社会全体で保育士の処遇を改善しようという機運につながっていくんじゃないかなというふうに認識しています。
○川田龍平君 逢見公述人にもお願いしたいんですが、逢見公述人が季刊労働法、二〇一四年の秋季の雑誌に、非正規労働者を正規化する動きというのが注目されているということで書かれておられます。特に、非正規労働が人手不足対策として急上昇してこういった正規労働に移行しているということなんですが、これは介護とか保育とかそういった現場でもずっと人手不足続いているんですけれども、これが正社員化していかない理由というのは何でしょうか。
○公述人(逢見直人君) 公営施設の場合は定数があって、その定数を超えて雇うことができないという問題があるんだと思います。また、保育というのは、自治体の補助もありますが、入所の親からのお金が基本的にはその収入源になるわけですが、それで十分な保育サービスあるいは人的な保障をするのは不十分だということだというふうに思っております。
○川田龍平君 私も、この保育とか教育とかいったところで、やっぱりそこから利益を得ようとしていくと非常に難しいのではないかと思っております。 そんな中で、特に大学の授業料なども日本の場合、非常に高額になってきておりまして、年々上がっているんですけれども、大学の授業料は今、奨学金を給付制度にする、給付型奨学金にするということも一つの策ですが、それ以上に、大胆に大学の授業料をなくしていく方向で考えていくべきではないかと私は思っているんですが、それについて、高橋公述人、逢見公述人、どう思われますか。
○公述人(高橋靖君) 全く無料というのがどうかなというふうには思います。ただ、やっぱり人間誰も、負担は軽減され、無料だったら一番有り難いなというふうに思っておりますけれども、やはりここで、国の財源等もありますから、なかなか私も無責任な発言はできないんですけれども、ある一定、やっぱり所得の高い人もいらっしゃいますから、それぞれ受益者負担の原則というのはあっていいかなというふうに思っておりますけれども、その辺のバランスというものをやっぱり国民的な議論で考えていくべきではないかなというふうに思っております。
○公述人(逢見直人君) 私も国立大学を出て四十年ぐらいたつんですけれども、その当時の授業料というのは年間三万六千円で、私より一つ先は一万二千円だったんですね。今、五十万円を超える授業料になっているということなんです。 これは、国際的に見ると、アメリカとヨーロッパでは考え方が違うんですが、アメリカは、自分の投資、ですからやがてこれは個人にリターンが来るんだと、だから、高い負担をしてもらっても見返りがあると。それから、ヨーロッパはそうじゃなくて、これは国の宝なんだと、教育は宝、だから、無料にしても、そうした優秀な人材がその国に育ってくれることが国富につながるという考え方です。どうも日本は、最初はそうだった、明治以来そうだったんですけれども、途中からアメリカ型に変わってしまったようなところがあります。 ですから、もう一度やっぱり、授業料というのは何なのかと、それは個人の投資なのか、あるいは人材を宝として考えるのかということに振り返って考え直す必要があると思います。
○川田龍平君 逢見公述人に、労働移動支援助成金について、今、新聞などでもリストラ助成金だと言われていて、中小企業向けのものが、以前二億円だった予算のものが三百億円に、またこれが大企業にも使えるようになったことで、リストラの強要を指南する人材派遣会社などが委託を受けるだけで企業に十万円、六か月以内に再就職が実現すれば、この委託費用の一部が、六十万が上限までで払われるということで、以前の雇用調整助成金とはまた違ったこういうこの労働移動支援助成金についてどのように考えますか。
○公述人(逢見直人君) 最近、この労働移動助成金が本来の趣旨と違う形で利用されているんじゃないかという問題が出てきております。 本来の趣旨は、人員削減が避けられなくなったときに、その失業のリスクをできるだけ避けるために再就職支援なんかを民間の企業に委託すると。そこでは再就職に必要ないろんなアドバイスやキャリアカウンセリングも行うということなんですが、本来、その人員削減が本当に必要かどうかという検証もしないうちにそれがリストラ助成に使われてしまう、それが大企業にも使えるようになる、あるいは契約しただけでもう十万円もらえるとか、そういうことが、趣旨にたがう使い方になっているという問題があるんではないかと私も思っております。
○川田龍平君 この「みんな笑顔で介護保険」という利用ガイドを今日お配りいただいて、これとてもよく分かりやすくて、私、今年四十歳になったんですけれども、いつの間にか介護保険料が取られていて、上がっていたんですね。気が付かなかったんです。先ほど四十一歳の清水委員にも聞いたところ、気が付かないうちに上がっていたと。 六十五歳で多分これは配付されるんじゃないかと思うんですが、四十歳のときにやっぱり、こうなるよということで是非配付していただきたいと思いますが、質問したかったんですが、時間ですので、終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○和田政宗君 日本の和田政宗です。 逢見公述人に主にお聞きをしていきます。 保育園落ちた日本死ねという書き込みが議論になっていますけれども、この言葉遣いはいただけないとしても、保育園不足、保育所の人材不足は事実でありまして、私も強く認識をしております。そして、私は、この問題は政治全体の責任であるというふうに思います。この問題を政争の道具に使って、結局解決しないということだけは避けなくてはなりません。 保育所不足、保育士の人材不足や待機児童の問題は、自民党政権、政権交代後の民主党政権、そしてその後の自民党政権と連続して取り組んできた案件だというふうに認識をしております。どう解決をしていくのか、各政党が建設的に案を出して、速やかに更なる手を打っていかなくてはならないというふうに考えております。 逢見公述人に伺いますけれども、この問題と政治の責任について、なかなか解決に向かわないということも含めてどのようにお考えか、お願いいたします。
○公述人(逢見直人君) 社会保障予算の中では、従来、高齢者向けの医療、年金、介護といった部分が中心になって、子育てというものを社会保障として位置付けて、そこにきちんと予算をあてがうということが優先順位としては下の方だったのではないかと、そういうことがこの保育の問題を顕在化させてしまった原因があると思います。 ようやく政府も子育てのための施策の重要性を認識し出したわけですけれども、今、まだまだ圧倒的に保育人材が不足しているということだと思います。冒頭の公述でも申し上げましたけれども、今やるべきは、まず保育人材の離職を食い止める、このことを最優先に取り組むべきというふうに思っております。
○和田政宗君 実は私も五歳と四か月の子供がおりまして、子育てをしている親です。妻がどうしても参加をしたい用があって子供を保育所に一時的に預けようとしても、埋まっていて無理だったりですとか、まさに友人も子育て世代ですので、保育所はやはり不足しているという認識は強く持っております。 じゃ、この問題を解決していくためにどうするのか。先ほど逢見公述人からもありましたけれども、保育士の賃金など雇用環境を良くしていくことが重要なわけですが、私は、アベノミクスによる雇用環境の改善によりまして失業給付金、これ減少しておりまして、労働保険特会に積立金が七兆円近く積み上がっております。これを取り崩して保育士の給与引上げや増員などに使えばこうした問題も改善に向かうのではないかなということは、これは昨日も述べたわけですけれども、そこで逢見公述人にお聞きしたいんですが、連合は政策について様々な深い研究をされているというふうに思いますけれども、先ほど逢見公述人は、人材の処遇改善が第一であるということをお話しになりました。 それに加えての案でありますとか、こういった場合に、やはり、じゃ財源はどうなんだというようなことが議論になるわけですけれども、その辺りについてお考えがありましたら、よろしくお願いします。
○公述人(逢見直人君) 保育の現場では、自治体が独自に補助制度を設けるような取組が行われておりますけれども、国レベルでは、介護については介護職員処遇改善交付金や加算といった政策が取られてきましたが、保育についてはそうした措置が取られてこなかったというのがあると思います。 二〇一五年度補正予算あるいは本年度の本予算、二〇一六年度本予算案において、保育士の待遇改善を図るべく保育士の人件費について国家公務員の給与改定に準じた内容の公定価格への反映が行われるということは承知しておりますが、そもそも福祉職の俸給表というのは、主任保育士で二十三万四千四百九十八円、所長でも二十五万三千三百円という低い水準になっています。 少なくとも、介護職員のように処遇改善を政策として推し進め、保育士が不本意に職場を離れることがなく保育のサービスの質と量を確保する、このことを緊急対策としてやるべきというふうに思っております。
○和田政宗君 この問題を考えたときに、一番考えなくてはならないのは子供のことだというふうに思うんですね。幼いときは親と子供は一緒にいたいというのが願いであるというふうに思うんです。自分の意思で働く母親もおりますけれども、母親が働きに行かざるを得ない場合については、夫の稼ぎが少ないというやむにやまれぬ経済的理由があります。 だからこそ、経済を良くして所得を上げていくとともに、母親が一旦退職しても再就職の際に正当な能力評価を受けられる社会をつくっていかなくてはならないというふうに考えております。こうした社会になれば、子育てを一定期間しっかり行って子供のそばにもいて、ある程度子供が大きくなってからの再就職もできるようになるというふうに思っております。父親、母親の親であるおじいちゃん、おばあちゃんと三世代同居できるようにしたり、近住を進めることで母親をサポートする体制をつくることも重要です。 昨年、我が党はこうした法案、家庭における子育て及び介護の支援の推進に関する法律案というものを出したんですけれども、これ審議されずに廃案になってしまいました。各党も保育士の給与を引き上げるなどの法案を出すというふうに聞いておりますし、報道もされております。 この問題については、各党が建設的に解決に向け議論し実現をしていかなくてはならないというふうに考えておりますが、ちょっと時間が少なくなりましたので、最後の質問に行きたいというふうに思うんですが。 国民生活の観点から現行憲法のことについてお聞きをしたいというふうに思うんですが。社会の現実に現行憲法がなかなか即していない部分が出てきているのではないか。これは、新たな権利、権利がカバーできていないところも含めて憲法改正をすべきではないかという議論があります。 これについて逢見公述人は、そういった部分も含めて憲法改正をすべきかどうか、その辺りをお願いいたします。
○公述人(逢見直人君) 憲法制定から七十年を経過して、時代も大きく変化している中で、現行憲法を一言一句そのまま維持すべきという考え方は取っておりません。やはり人権についても、当初と比べると人権の考え方の幅が広まってきているということがありますから、そうした考え方に合わせて改正はしていくべきだろうと思います。 ただ、これはやはり与野党がしっかり議論してやるべきことで、その与野党間のきちんとした合意がなくして一方的に進められるということは、やはり立憲主義の立場からいっても問題があるのではないかというふうに思います。
○和田政宗君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○山口和之君 日本を元気にする会・無所属会の山口和之でございます。本日はどうもありがとうございます。 先ほど来から、専門職としての質の確保、いわゆる価値というもののお話がお二人からいただいているところだと思います。子供を育てるということは国の宝であって、それは保育も教育であるというお話、そしてまた介護においても、質の高さが自立を支援して要介護状態を悪化させないということからすれば、両方とも国益につながると、質の高さというのは国益につながることなんだというふうに、自分もそう思います。 そこで、先ほど来、資料の中の逢見公述人のいただいた資料の三番目のところに給与の位置付けが出ているんですけれども、やはり価値を評価する上で給与というのはやはり高いところだと思います。 例えば、小学校の先生、中学校の先生、大学の先生、自分たちのポジションについて、まあ満足しているかどうか分かりませんけれども、そんなに大きな問題は出てこない。保育になってくると、教育になってくると早めに辞めなきゃいけなかったり、そこで賃金の問題が出てきたりします。実際問題として、ちょこちょこちょこちょこ上げていったところでこれ何年先になるか分からないわけですから、もうずばっと目標を、この位置関係でいうとどの辺なのかというのをお二人にお伺いしたいと思います。
○公述人(高橋靖君) 済みません、ちょっとその資料を私はよく把握をしているわけではないから申し訳ないんですけれども、ただ、先ほど来申し上げているように、やはり保育士という職業が、質と量においてもう社会的に認められなければならない立場にあるにもかかわらず、それに対して応分の処遇がされていないということ、そして、もう現実的に十万とか十一万とかというのがほかの産業と比べて開いているということ、これがやっぱり大きい数字だというふうに思っておりますので、それをどこまで埋めていけばいいかという、ちょっと今私もここで答えを持っているわけではありませんが、やはりその改善という方に向けて国も市町村も県も知恵を出していくべきだというふうに思っています。
○公述人(逢見直人君) 賃金には、労働の対価という部分と、それからそれによって生活ができるという側面があるわけですが、この資料に示したように年収三百二十三万円という、これは年齢、勤続年数という要素を見なきゃいけませんけれども、しかし、これが他の仕事に対して余りにも低いというのをやはり上げていかなきゃいけない。三百万で自立して生活するというのはぎりぎりだというふうに思いますので、やっぱりそういう意味ではこれを引き上げていく。 労働の対価として幾らが適切かというのをなかなかこれ合理的に示すのは難しいんですが、しかし、やっぱり低過ぎる現状というのを改善する必要はあると思います。
○山口和之君 ちょっと違うかもしれませんけれども、診療報酬ということで医療機関の中で報酬が決定されていくんですけれども、あることを充実させようとするときには診療報酬を、そこはそちらの方にシフトさせるわけですね。点数高いところを設定していきます。そうすると、世の中全体の医療機関がそちらの方にシフトしていって、そこの充実が図られるということがよくあることだと思います。間違いなく、政治の段階でここを誘導していくことはとても大事なことだと思っております。 先ほど、高橋市長さん、公述人さんから出ました国の支援をお願いしたい、また逢見公述人の方からも国の支援をお願いしたいという話でしたけれども、重なるかもしれませんけど、ずばっとここをこういうふうにお願いしたい、具体的に出してもらえたらと思うんですが。
○公述人(高橋靖君) それぞれ、子育て、介護、医療、本当におねだりになっちゃうんですが、私たち地方の人間がこういう席に出ると。いろいろ申し上げてお願いしたいことはあるんですけれども、やっぱり子供、子育てについて、処遇の改善、さらには保育施設を整備するための補助制度、さらには運営費、総合的に国の支援をいただくのと同時に、やはりこの負担の割合に追い付いて、県と市町村としっかり議論をし合ってその負担割合というものを決めていくべきであるというふうに思っています。決して国の責任にばかり押し付けるのではなくて、私たち自治体も、やはりその負担というものについてしっかり考えていくべきだというふうに私は思っております。
○公述人(逢見直人君) 医療とか介護は、これは保険料収入があって、その保険料をどのように分配するかというので診療報酬の仕組みを見直したりしているわけですけど、保育に関して言うと、基本的にはまず親御さんからの保育料収入と、しかしそれでは不十分なので、そこに税金を充てて施設の整備や人材の確保をやっていると。しかし、それが不十分だということについての認識は与野党とも共通していると思いますので、やはりそれを、限られた財源ではありますけど、やはり保育の方に向けていく。 特に今、施設整備はいろいろ補正予算等でもなされていますが、問題は人材の確保だということだというふうに思っております。今はそちらの方にも財源をシフトする必要があるというふうに考えております。
○山口和之君 ありがとうございます。 給与ベースを上げていくことは非常に重要だと、経済の好循環につながるということなんですけれども、ちなみに、消費税は上げるべきか上げざるべきかお伺いしたいんですが、両方の公述人、お願いします。
○公述人(高橋靖君) 請求書と商品がきちんと届くことが前提だというふうに思っています。いわゆる消費税という請求書、そして社会保障という商品、そしてその商品にはしっかり説明書が付いていなければ駄目だと思います。そういったセットがあって国民理解というのが出てくるのかなというふうに、私は地方を預かる立場として認識をいたしております。
○公述人(逢見直人君) 税と社会保障の一体改革の中で、負担を次世代に先送りするのではなくて、やはり自らの世代でその必要な経費が負担できるような仕組みをつくろうと、しかしその負担する部分、社会保障に全額をつぎ込んで安心の社会保障の仕組みをつくる、そういうことで合意したと思います。やはり、この合意に基づいて、消費税の負担と併せて、この安心社会をつくるための社会保障の仕組みということをセットで考えていくべきだというふうに思います。
○山口和之君 久しぶりに、何となくやり取りを聞いていますと、コンクリートから人へという言葉を思い出してくるんですけれども。 茨城県におきましては、大田仁史先生という有名な先生がいらっしゃって、地域リハビリテーションの先進県であります。ベースがあれだけできていても、地域包括ケアシステムというのはなかなか構築が難しいという先ほどのお話がありました。何とか茨城県から全県下にいろんなことを発信していただければと思います。 本日はどうもありがとうございました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。 今日は、二人の公述人、本当にありがとうございます。 まず、逢見公述人にお聞きをいたします。 人間が安心して働き続けるために長時間労働の規制、最低賃金、賃金をちゃんと上げていくということなど必要だと思うんですが、まず長時間労働の規制、EUは残業も含めて週四十八時間以下にしろというふうに一応指針を出しておりますが、日本でももっと労働時間規制をすべきではないか、いかがでしょうか。
○公述人(逢見直人君) 今EUの事例が示されましたけれども、国際的に見ると、EU型は最長労働規制とか、あるいはインターバル規制という上限をきちっと設定して、その中で働き方を考えなさいという仕組みなんですね。アメリカは、そういう上限規制はありませんけど、その代わり五〇%の、残業という、時間外労働に対して厳しく課していると。 日本は、日本の労働基準法は原則なんです。基本的に原則なので、細かいところを見るといっぱい抜け道があって、結果として長時間労働を放任しているということだと思いますから、やっぱり今の現実考えますと、労働基準法の枠の中にもっと厳しい規制が必要だというふうに思っております。
○福島みずほ君 現在、国会に継続中の労働基本法改正法案、残業代不払法案と私は呼んでおりますが、評価を教えてください。
○公述人(逢見直人君) この辺については、政府は、法案の中には、長時間労働を是正する仕組みが必要だということを言っておりますが、しかしその中身は非常に不十分。一方で、働き方の柔軟化を進めるということで、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションと言われる残業をしなくてもいい働き方を増やすとか、あるいは裁量労働制を増やすとか、こっちは長時間労働を更に助長しかねない中身になっておりまして、そういう意味では非常に問題のある法案だというふうに思っております。
○福島みずほ君 今アメリカの大統領選でサンダース候補は時給十五ドルというのを出して、非常に若い人たちの本当に生きさせろという支持を得ているわけですが、先ほども最低賃金について質問がありました。最賃、日本も抜本的に上げるべきだ、いかがでしょうか。
○公述人(逢見直人君) 我々は、まず誰でも千円という考え方を掲げておりますが、まだまだそこには道が遠いところがあります。ここ数年、最低賃金も引き上げられてはおりますけれども、そのまだ速度は非常に遅い。 アメリカは今十五ドルに向かって動き出しているわけですけれども、日本はまだ、レートにもよりますけれども、七ドルにも満たないということなので、やはり先進国の中でも著しく低いこの水準を早急に引き上げていく必要があるというふうに思っております。
○福島みずほ君 高橋公述人にお聞きをします。 今日は、自治体の首長として、まさに自治体で本当にどうやってやっていくかという、そういう話を聞かせていただいて、ありがとうございます。また、子供の医療の助成に関してのペナルティーについても、本当にそのとおりだと思います。 先ほどからもありましたが、地域包括ケアシステムというのは大事だと思いますが、やはり介護の私は改悪だと思いますが、要支援一、二が介護保険給付から外されて地域包括ケアセンターに移行する。障害者の施策も全部やらなければならない。それだけ基礎自治体のある意味負担というのはとても増えているし、実際これ回っていくのか、この点いかがでしょうか。
○公述人(高橋靖君) ほかの自治体のことにまでちょっと私も言及するほど情報はないんですけれども、今、水戸市としては二十九年度から始まるべくその準備をさせていただいているところなんですけれども、やはりもちろん負担がないと言えばうそになります。それは負担があります。 ただ、じゃ、この制度の中でより良きいいものをつくっていこうと今職員一丸となって努力をさせていただいているところなんですけれども、やはり、先ほど申し上げたとおり、市町村の事業にいろいろ移行されて、そして地域包括ケアシステムの中で、例えばいろんなNPOとかボランティアの方々にも協力をいただきながら、いわゆる素人集団、いわゆる事業者ばかりじゃなくて素人集団の方々にも、地域で見守りとか、介護予防だとか、生活支援とかやっていただこうというような仕組みをつくる中で、やっぱり地域によってその地域資源、いわゆる人材という地域資源が温度差があるんですね。いたりいなかったり、協力してもらったりもらえなかったりという、そこをやっぱりしっかり、先ほど言った、ある一定の線を守って、それぞれのどこの地域に住んでも安心して生活できるような地域包括の仕組みができるか、そこに今苦慮しているところでもあります。 そういったところも国の方でケアをしていただきながら、地方の現場をよく見ていただいて仕組みづくりをこれからも応援をしていただければ有り難いというふうに思っています。
○福島みずほ君 地域格差という、どこの地域でもやれるようにというところが奪われるかもしれないというところを国でちゃんとやれというのは、しっかり受け止めて頑張りたいと思います。 逢見公述人にお聞きをいたします。 今日の陳述の中でGPIFのことについて発言がありました。これは今、年金、公的年金運用機関が母国市場に占める株式保有割合は、日本は七・六%などとても高くなっていると。それで、国家公務員共済年金、地方公務員共済年金、私学共済を合わせると、大体計算したところ一二%ほどに、市場に占める割合がそれぐらいになるというふうに、一二%になるという計算をいたしました。 結局、市場の中に、年金積立金の株の運用、国内市場において、でも一二%占めてしまうとなれば、プールの中で鯨が泳いでいるという状況ですし、鯨引き揚げるわけにもいかないし、何か、どうなるのかという、これは働いている人、それから国民年金も全部入っているわけで、このみんなの貴重な虎の子、老後の唯一の、何というか、唯一のお金という人も非常に多いと思うんですが、このGPIFの運用の仕方やこの割合等についての御意見をお聞かせください。
○公述人(逢見直人君) 年金積立金というのは、我々労使が出した保険料あるいは国民年金のお金でありまして、拠出者にとってはそれが自分の老後のまさに虎の子なわけです。その運用というのはやはり堅実に安定的に運用するというのが基本だと思います。株式は非常にリスクが高いものです。全く投資するなとは言いませんけれども、やっぱり一定の低い限度に抑えて、そういうリスクが年金積立金に大きく影響することがないようにすべきだというふうに思っております。
○福島みずほ君 それでは、今日は貴重な御意見を本当にいただきましたお二人に本当に心から感謝です。 世田谷は給付型奨学金を五千万で始めたりしておりまして、自治体での頑張り、それから労働組合の頑張り、心から期待し、国会でも頑張ります。 ありがとうございました。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。本日は誠にありがとうございました。 まず、二人にお伺いさせていただきたいんですけれども、今、この社会保障制度は本当に持続可能なのかということです。どのように危機感を持っていらっしゃるのか、そして、それを継続させるためには最優先事項として何を行わなければならないとお考えなのか、それぞれのお立場から伺ってもよろしゅうございますでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 先ほど申し上げたとおり、子育てにしても、それから介護にしても医療にしても、地方で抱える課題、問題はたくさんあります。ですから、そういった人材の確保にしても、このままでいくと本当に持続可能ではない、持続不可能になってしまうような懸念はございます。 やはり、どういうような形で財源の確保をしていくべきなのか、消費税なのかあるいは行財政改革なのか、経済の成長戦略なのか、その辺のところをしっかり国の方で財源の確保をしていただきながら、やはり地方の現場の声を聞いていただいて、やはり心配のないようにこの仕組みづくりをそれぞれの分野でやっていただければなという思いであります。
○公述人(逢見直人君) 社会保障の持続可能性についての不安というのはまだ国民自身も多く持っていると思います。しかし、老後にとってもあるいは子育てにとっても社会保障というのは国民生活に欠かせないものでありますので、やはり安定財源を確保した上で安心の仕組みをつくること、これが重要だと思っております。 そういう意味では、税と社会保障の一体改革の中で与野党が合意したものがあるわけですから、それをベースに政策を進めていくべきというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 では、高橋公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。 総理もよくおっしゃるんですけれども、やっぱり経済って生き物ですよね。いつ、どのように、何が起こってしまうか、やっぱり世界情勢の中でも、経済というものが安定をしていかなければ成長可能だということもない。とすれば、やっぱり支出をいかに抑えていくのかということがこれからの日本の課題にもなってくるかと思います。 一番伸び率が多いのが介護と医療ですよね。介護と医療の予防ということは国策でもありますけれども、一番重要なのは地方自治体の取組というものだと私は考えております。どのような予防策というものが今まで経験なさった中で有効であるのか、また、これからのプランとしましてどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 先ほどから国の方にいろいろ御支援をお願いしたいという言葉を連続しておりますけれども、やはり、私たち自治体も責任を持って、この医療についても介護についても子育てにしても、そういったいろんな部分の抑制を図りながら持続可能なものとしていく義務は負っているというふうに思っております。 ただ、やっぱり私たち、基礎自治体でありますから、常に住民と接している部分があります。どうしてもやっぱりサービスを向上させていくというところに今まで力点を置いて施設の整備を行ってきたし、保育所もどんどん造ってきたしというようなところをやらさせていただきました。正直申し上げて、今ここで決定打をお話しするというほど知識がありません。 ただ一方で、先ほど、医療であるならばマル福の方々に少なくとも適正受診であるとか、あるいはジェネリック医薬品を使っていただけないかとか、あるいは介護であるならば、健康予防の体操にもうちょっと力を入れていこうとか、あるいは生涯学習の方に力を入れて、病院だとか介護施設に行くのではなくて市民センターで遊んでいただこうだとか、やっぱりそういった地道な地方の積み重ねがあって幾分抑えることもできるのかなと。 私たちは、ダイナミックないわゆる大きい政策はできないかもしれないですけれども、やはり、一つ一つ市民の方々のボランティア活動をいろいろと促進をしながら、市民との協働でやはり気付く点について一つ一つきめ細かくやっていければなというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 今のところに関連付けまして、私ども、がん検診もすごく困っているんですね。市町村事業ですけれども、なかなか受診率が上がっていかない、やはりこういうことというのは、一つの市民文化をつくり上げていくということが私は大事なんではないかと考えているんですけれども、その辺りの市民感覚というものと首長としての施策、そして国政としての施策、どうもギャップがあるように思うんですが、その辺りは、感覚を教えていただけますか。
○公述人(高橋靖君) それぞれの検診については、正直申し上げて、ここで自慢できるような数字を持ち合わせていません。水戸はかなりがん検診を始めいろんな特定健診等を含めて低い状況にあります。それを苦慮しているところなんですけれども、出張で市民センター等でやって、来ていただくことに便利さを保つであるとか、やはり、いろいろな啓発をさせていただいているんですが、正直申し上げて、決定打にはなっていない状況であります。 これから、申し訳ないですけれども、どういうふうにこの受診率を上げていくべきなのか、先ほど申し上げたとおり、地道な啓発活動であるとか、そういった、できるだけ身近で受診していただく利便性の確保というものをやはり続けていくしかないのかなと。芸能人の関係で乳がんの検診がぐんと上がったというのもあります。何かメッセージの出し方で変わるのかなというような部分もあります。そういった啓発、広報活動というものもちょっと工夫をしていきたいというふうに思っています。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 ある意味、もう制度もいっぱいあり過ぎてしまいまして、なかなかその中身が伴っていかないということが、厚生労働の私ども委員会の中でも今本当にみんなで議論をしているところでございます。文化をつくる、モデルケースとして是非水戸が手を挙げていただければ大変うれしゅうございますので、よろしくお願いいたします。 逢見公述人にもお伺いさせていただきます。 そういった意味におきまして、やっぱり健康経営というものが大変これ重要な施策となってくるかと思います。ですので、逢見公述人がその健康経営に対する何か新しい思いでしたり、もっとこういうことをした方が労働生産性も上がるぞということ、あえてございましたら、教えていただけますでしょうか。
○公述人(逢見直人君) 健康経営というのは今企業経営の中でもプライオリティーが高くなりつつございます。これは、定期的な検診ということだけではなくて、今心のケアということも重視されるようになってきておりますので、心と体と両面から、検診するということと併せて、職場環境がやはり働きやすい、あるいは健康で働けるような職場環境づくりということが重要だというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 時間になりましたので終わります。本当にありがとうございました。
○荒井広幸君 新党改革の荒井です。 今日は逢見公述人、高橋公述人、ありがとうございます。 まず、先ほど逢見公述人から、私も大変同じことを考えていたので、我が意を得たりだったのですが、昔、子供は子宝に恵まれたと言いました。今最近、ちまたでは金食い虫みたいに言われちゃっているんですね、子供が。昔宝で今金食い虫ですから、随分違う。それだけ世の中がお金を要求して、子供環境を非常に悪くしているということだと思うんです。高橋市長さんからもありましたけど、そういう中で、格差が所得にもある中で何とかしていかなくちゃいけないというようなことももう重なっての問題だと思うんです。 そこで、私は、我が意を得たりと逢見公述人に申し上げましたのは、医療、福祉、介護だけを我々は従来、社会がみんなで助け合いながら、もちろん自分も、今度、子供たちの場合は親もということになりますが、そういうものを負担しながらみんなでやっぱり支えていくんだという、そういう社会保障の領域じゃないかというところに我が国もいよいよ議論が入ってきたと思うんですね。 スウェーデンというのはもう既に無料ですよね、大学出るまで。だから、そういう社会保障の概念で進めていかないと、高橋市長さんもうんと苦労されているように、隣の市町村と全く違うというようなこともあったり、体力によっても違うわけですね、自治体の。こういう問題が出てきて、ますますその格差が自治体でも出てくる、ひいては格差が加速する、過疎化が加速するとかということが出てくるんじゃないかと、こういうふうに思ったわけです。 いま一度、逢見公述人の、いわゆる今までの社会保障の概念に、子供は社会の宝というようなお話があったわけですけれども、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(逢見直人君) 従来、社会保障というのは年金、医療、介護という高齢者の部分に重点があったと。相対的に子育て、特に現役世代の部分に対する給付というものがおろそかであったということは否めないと思います。 それは、やっぱり子供は親が育てる、もちろん育てるのは親なんですけれども、しかし、家計が余りにもそこに大きな負担を掛けると、子供を、一子、二子、三子とたくさん産むことがだんだんできなくなってしまう。そういう意味で、社会で育てるという考え方が重要視されてくるようになったと思います。 そういう意味で、子育ての保育のための施設あるいは費用であるとか、そういったものを国が負担するというのもあるし、それから教育の費用、これも個人の負担に、義務教育は当然、税金でやらなきゃいけないんですけれども、そうじゃないところもできる限り社会化していくということが重要だと。特にこれから少子超高齢社会になるわけですから、やっぱり子供を社会で育てる、国が責任を持つという考え方を更に強めていく必要があるというふうに思います。
○荒井広幸君 そういう御指摘の中では、再分配と同時に再負担という観点からも見ていかなくてはならないのかなということで、大変ありがとうございました。 また、高橋市長さんには先ほどもお話しいただいたわけですけれども、医療の場合は、ある程度、救急指定の病院ですと、広域連携とか、隣の町に行っている、市に行っているというのはしょっちゅうあるわけです。だからといって、救急夜間指定の病院をどこにでも置ける、町村ごとに置けるというわけでもないわけです。 しかし、保育というのはなかなかこれは難しいなと思うんですね。やっぱり身近なところ、すぐ隣が違う町で、ちょっと百メーター行ったら違う町で、すぐ保育園があるとかなんという場合もあるかもしれませんけれども。広域連携で、医療、介護、そして福祉、年金というのは別として、そして保育含めて、児童園、こども園含めてですけど、どういう連携の仕方があるかなというふうに思うんです。お医者さんは偏在というのはもう間違いないです、これは。いるところにいて、いないところにいないというのはもうはっきり数字でも表れているので。 そういうものを調整する一つのやり方としては、自治体としては広域連携とか、お互いに、先ほどのお話ですが、定住圏ですね、そういうものの広域定住圏の考え方とかいうのはあると思うんですが、その辺、社会保障についてはどういうふうに切り分けて連携したらいいんでしょうか。
○公述人(高橋靖君) 従来、今までこの社会保障の例えば保育所の整備であるとか、あるいは介護施設の整備であるとか、そういった部分においてお互い協力してやりましょうというちょっと価値観は正直言って各自治体にはなかったというのが現実であります。 ただ一方で、やっぱりもう地方都市へ行くと、実は待機児童があるという自治体が珍しいんですね。例えば、茨城なんかも水戸とかつくばがここで半分占めちゃうんですが、あと幾つかなんです。ですから、場合によっては今後、市町村によっては定数割れの保育所も出てくるんだと思うんですよね。だから、一方で待機児童があると、やっぱりそういうところを少し広域的に考えて、お互い流動的にマッチングしていくことによって、必ずしもどんどんどんどん保育所を整備するばかりではなくて、近隣の利活用をさせていただきながらそういった待機児童解消策というものも考えられるというふうに思います。ちょっと今、それがどういうふうな制度化が必要かということはちょっと今知識がないんですけれども、そういったことが広域連携でもできるのかなという思いはあります。
○荒井広幸君 ちょっと百メーター行ったら隣の町でという場合はあるわけですよね。ですから、そういう意味では、自治体間の連携みたいなもので随分、当面救われるということもできるし、将来、自治体負担を少なくしながら一番重要であるお母さんや子供さんたちをお手当てできるということはあるんだろうなというふうに思いますので、その辺も大きな一つの課題かなということで、大変参考になりましたことを申し上げて、お礼に代えさせて終わりといたします。 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人お二人に一言御礼を申し上げます。 本日は、非常に有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手) 次回は来る十四日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、これをもって公聴会を散会いたします。 午後三時五十七分散会