法務委員会 第13号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2016/05/12
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、柳本卓治君及び溝手顕正君が委員を辞任され、その補欠として三木亨君及び大沼みずほさんが選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案を議題といたします。 この際、仁比君から発言を求められておりますので、これを許します。仁比聡平君。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、ヘイトスピーチ根絶に関するいわゆる野党案の質疑を突如終局し、直ちに採決に進もうとするこの委員会運営に強く反対の意見を表明するものです。 我が党は、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて政治が断固たる立場に立つことを求め、社会的包囲で孤立させる運動の発展に努力するとともに、立法措置の在り方については、国民の間に様々な意見がある中で、国会内外で大いに議論を尽くすことを通じた合意形成を大切にして審議に臨んできました。 とりわけ、昨年八月の野党案の実質審議入り以降、今年三月に実現した参考人質疑、続けて行った川崎市桜本の現地視察など、当委員会の取組に当事者と国民の強い関心が寄せられてきましたが、ここにはヘイトスピーチ根絶の実りを上げるという国会の重い政治的責任が示されています。四月、いわゆる与党案が提出されたのは、何よりヘイトスピーチによる被害の深刻さと根絶を求める当事者と国民の声に与党も対応を迫られたからにほかなりません。 今求められているのは、ヘイトスピーチ根絶への一歩前進を実らせるために、より良い法案に向けた協議を尽くし、できる限り全会一致で成立させることであり、野党案の採決に臨むなら、改めて野党案に対する十分な質疑と野党案をたたき台にした協議を行うべきであります。 野党案に対しては、ヘイトスピーチ規制への期待が寄せられる一方で、ヘイト根絶を求める市民、学者からも、禁止される不当な差別的言動について、嫌がらせ、迷惑を覚えさせるなどの定義の不明確さ、それが行政による差別の防止施策と相まって濫用される危険はないのかなどの疑問が示されてきました。 どのような行為がなぜ許されないか、ヘイトスピーチの焦点を十分に議論し、定義として明確にすることが根絶の大きな力になるとともに、恣意的な解釈による濫用のおそれをなくすために重要です。その重要性については、昨年八月六日の私の質問に小川発議者が、そのとおりと答弁された上で、例えば不特定の者に対しての表現禁止など、法案作成の苦労話を語られたとおりです。 この間の修正協議は、与党案をたたき台に、民進党と我が党の修正要求について附帯決議を含めできる限り全会派が一致できるよう行われてきました。野党案をたたき台にした協議は一切行われておらず、この間の修正協議を踏まえたとき、野党案の意味内容がどのようになるのか、その立法者意思は明確ではありません。にもかかわらず、昨日まで全く提案もされていなかった野党案の質疑終局、採決を強引に行うことは、政党間の信頼関係にも禍根を残すものです。 以上の理由から、野党案の質疑終局には強く反対し、このまま採決に進むこととなれば、賛否を表明する前提を欠いている以上、残念ながら棄権せざるを得ません。 改めて、できる限り全会一致で実りを上げるために必要な協議を求めて、意見の表明といたします。
○委員長(魚住裕一郎君) この際、お諮りいたします。 本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案に対する質疑は終局することに決定いたしました。 本法律案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本法律案に対する意見を聴取いたします。岩城法務大臣。
○国務大臣(岩城光英君) 本法律案につきましては、政府としては反対であります。
○委員長(魚住裕一郎君) これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。 御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 少数と認めます。よって、本案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省人権擁護局長岡村和美さんを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案を議題といたします。 本案の修正について矢倉君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢倉克夫君。
○矢倉克夫君 私は、ただいま議題となっております本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 本法律案は、いわゆるヘイトスピーチの解消が喫緊の課題であることに鑑み、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進しようとするものであります。 本法律案に対する本委員会での審議等を踏まえ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の定義に「本邦外出身者を著しく侮蔑する」を加えるとともに、附則に検討条項を加える修正を行うため、本修正案を提出するものであります。 以下、主な内容について御説明申し上げます。 第一に、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の定義に「本邦外出身者を著しく侮蔑する」を加えることとしております。 第二に、不当な差別的言動に係る取組については、この法律の施行後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとすることとしております。 以上が修正案の趣旨であります。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(魚住裕一郎君) これより本案及び矢倉君提出の修正案について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。 まず、この法案の条文についてお尋ねしたいので、法制局に質問させていただきます。 この第二条に、「定義」と題して定義が記載してございます。「この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、」と始まります。そこで、その後ずっと続くんですが、この文章の結語としまして、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。」ということでこの定義の文章は締めてあります。 そうしますと、この文章は、定義として、本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは、結局、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうと、こういう文章になると思うんですが、これはいかがでございましょうか。
○法制局参事(加藤敏博君) 第二条の定義につきましては、この前、四月十九日の法務委員会におきまして法案発議者の矢倉先生の方から御答弁がございました。 それによりますと、不当な差別的言動があることで地域社会を分断するようなことがあってはならないという理念の下で、まず大きなくくりとして、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動、この部分を挙げましたというふうに御説明がございました。また、それを表す典型例として、生命等に危害を加える旨を告知するなどの部分を記載したものでありますという御説明がございました。 発議者の御答弁でございますので、これに尽きるというふうに思っておりますが、御質問いただきましたので、若干敷衍して御説明を申し上げたいと思います。 この法律案は、前文の第一段落の一番最後の部分でございますが、ヘイトスピーチにより、本邦外出身者が多大な苦痛を強いられるとともに、地域社会に深刻な亀裂を生じさせていると規定しております。この法律案は、このような事実認識を前提としているものでございます。 このような事実認識を前提といたしまして、矢倉先生の御答弁にございましたとおり、地域社会を分断することがあってはならないという理念の下に、この第二条において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動についての定義規定を設けたところでございます。 このようなことから、この定義においては、大きなくくりのものとして、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する差別的な言動という部分を規定したものでございます。その上で、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動の典型と言える具体的な例として、本邦外出身者の生命等に危害を加える旨を告知すること、これを規定しております。また、先ほど御提案がなされました修正案におきまして、本邦外出身者を著しく侮蔑することを規定しております。 なお、定義規定の前半の典型となる規定の具体例の一番最後に「など、」というふうに規定しております。これは、今申し述べました二つの典型的な具体例のほかに、本邦外出身者を排斥する旨を告知することなども当然この定義に入ってくるものと考えております。 以上でございます。
○小川敏夫君 私の質問の趣旨は、法律の文章ですから、この法律を制定した意義とかそうしたことをお尋ねしているわけではなくて、むしろその法律を制定した意義からするとこの文章の定義が少し狭過ぎるのではないかと、こういう観点から質問しておるわけでございます。 私があえて提案者でなくて法制局にお尋ねしたのも、この法律の文章として、結局は、その「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、」という定義の、この文章の主語に対応する結論の言葉は「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」だと、このようになると。そうしますと、いわゆるここでいう差別的言動は、本邦外出身者を地域社会から排除する、それを扇動することが不当な差別的言動、この法律でいう不当な差別的言動なんだというふうに結論となるわけでありまして、それで、この本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的行為の理由として修飾語がいろいろ付いていると。 ですから、この法律で、まさに「不当な差別的言動」と定義しているこの法律の適用範囲は、やはりこの文章においては、結論として「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と、これだけを定義付けしているということになる。そうしますと、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」、つまり地域社会から排除するという行為が言わば差別的言動であって、それに当たらない行為は差別的言動にはこの法文上は当たらないんじゃないかと、こういう観点から質問しておるわけであります。 法務省のこれまでのヘイトスピーチを許さないという態様ですと、威嚇、排除、侮蔑という三つの類型をヘイトスピーチとして捉えて、それに対して言わば様々な施策を講じておるわけでありますが、この法律の第二条の「定義」ですと、結論的には、「地域社会から排除する」というこの排除だけをこの法律の対象としておって、威嚇すること、侮蔑すること、その行為自体はこの法律の適用対象には外れているのではないかと、こういう観点から質問しておるわけでございます。 この文章の中に、確かに、「危害を加える旨を告知」し、また今回の修正で「本邦外出身者を著しく侮蔑する」という言葉が入りました。しかし、あくまでもこの言葉は結局はその理由の部分でしかないんで、この行為の態様としては結局、地域社会から排除することを扇動するという行為だけが対象となっているというふうにありますので、日本語の文章としてはあくまでも地域社会から排除する行為、これが対象なんだと。ですから、ただ単体として威嚇する行為、あるいは今回修正で入った著しく侮蔑する行為というものは、それ自体の単体の行為ではこの法律の対象から外れるのではないかと、このように思ったわけでございます。 じゃ、提案者の方に私のその懸念について御説明していただければ。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。 小川委員の御疑問は、この「定義」にある「排除すること」ということの意味内容はまさに言葉として出ていけという言葉だけに限定されているのではないかと、それであれば狭過ぎるのではないかという御議論であったかと思います。恐らく、今法務省が実態調査で、ヘイトスピーチの分類として、排斥する言論と危害を告知する言論と侮蔑する言論という形で分析をしたわけですけれども、小川議員の御議論は、そのうちの一番最初の排斥という言葉だけ、文字として出ていけという言葉だけがこれは定義として限定しているのではないかというような御疑問であるというふうに理解もいたしました。 であれば、それはそういう意味ではございませんで、こちらはより広く、まさに地域で共生をしている人たち、その中にわあっと入っていってその人たちの人格もおとしめるような、そして、今法制局の方からもお話もありました多大な苦痛を強いて地域社会の共生に深刻な亀裂を生じさせるような、そして社会を分断させるようなことに向けられている言論、これを、そのような態様のものを広く捉えて地域社会から排除することを扇動するというふうに捉えています。 表現の内容が直接的に出ていけという言葉かどうかという意味ではなくて、そういったものも含めて広い意味合いで捉えている。侮蔑の表現もそうですし、危害を告知するというような、まさに対象者に対しての人格というものを否定して、あなたたちは存在意義がないから出ていけと、こういったような許されないような言論、こういったものは許されないという理念の下で、そういったものを広く捉える包括的な概念としてこれは排除することを扇動するというふうに捉えて定義をしております。 それで、先日も御説明したとおり、その典型例として、この「など、」で書かれている前に、当初は危害を告知する旨を、告知というのを挙げたわけですが、様々な御議論もいただいたその上で、さらにそれ以外に広がらず、これが典型例だということも明示する意味合いも込めて、今回、「本邦外出身者を著しく侮蔑する」という表現も修正として入れさせていただいたという趣旨でございます。
○小川敏夫君 この差別的言動に対処しようというお気持ちは共通していると思うんですよ。ただ、もっと分かりやすく言いますと、要するに、危害を加える旨を告知するとか本邦外出身者を著しく侮蔑する行為、これが地域社会を分断するような、地域社会から排除するという意味を当然包含するものなんだからこの表現で足りているという御趣旨に私は今の答弁を理解したんですが、しかし、どうでしょう、例えばこういう言動をする人物が、いや、地域社会から排除する気持ちなんか更々ないんだよ、どうぞその地域にいてください、私はただ嫌がらせをしたいんだと、そのつもりだけでやっているとしたら、地域社会から排除するという意思が全くないという、ただ困らせてやろう、嫌がらせしてやろうというような意味で侮蔑したり危害を加える旨を言ったような場合にはこの法律からは外れちゃうんじゃないかと、そういう意味で私はこの文章上ちょっと心配していますんで。 ですから、いや、そういうものも当然、もう社会の常識的な解釈から入るんだということであるならそれが望ましいんでありまして、是非、そういうことも入るんであればそういうことも入るということを明確に御答弁いただければと思います。
○矢倉克夫君 やはりこの定義に入るかどうかの判断は、当然ですけど、その言論を言っている人間に解釈の権限があるわけではありませんで、その人たちが、いや、嫌がらせ目的だからといってその解釈が正当になる、そんなものでは当然ございません。そうではなくて、やはり前後の文脈等もしっかりと含めた上で、まさに先生おっしゃった一般の解釈の下でこれに該当するかどうかというところであります。先生の御趣旨のとおりのものは含まれ得るというふうに理解もしております。
○小川敏夫君 終わります。
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。 二〇一三年をピークにしまして日本中で差別の扇動であるヘイトスピーチが吹き荒れてまいりました。それから三年近くがたちましたけれども、例えば今年の四月二十九日、大阪梅田のヨドバシカメラ前で、やはりヘイトスピーチを目的とした、平和の日というくくりで街宣活動が行われました。それは、平和の日という、これはヘイトスピーチやるときには、例えば四月十七日、岡山では、拉致問題をテーマにして実際にはもうヘイトスピーチばかり語っているという異常な状況がずっと続いてまいりました。 しかし、四月二十九日、梅田のヨドバシカメラ前で行われたその街宣においては、ある人物、具体的に言いますと、京都朝鮮第一初級学校を襲撃し、徳島県教組を襲撃し、ロート製薬に抗議に行き強要罪で逮捕され、一年六か月の実刑判決を受けた人物が出所をしてまいりまして、そのヨドバシカメラ前での街宣活動に参加をしておりました。その彼がマイクを持って大きな声で在日コリアンの排斥を語り出したときに、周りにいた主催者がその発言を止め始めた。こんなことはこれまでありませんでした。これは、ヘイトスピーチの現場で戦い続けた方々、あるいは被害当事者たちの戦い、あるいはそれを支えた地道な専門家の方々、その大きな戦いがやはりそういう成果を生んだんだろうと私は判断をしております。 もちろん、大阪はヘイトスピーチ条例が制定されましたし、この四月二十九日というのは、与党法案が四月八日に提出をされて私たちが法務委員会でずっと議論をしてきた、そうした影響もやはりそういう差別をする人物たちにも深い影響を与え始めたんだと、私はそのように理解をしております。 そこで、この与党法案について具体的に質問をいたします。 まず、法務大臣にお伺いをいたしますけれども、ヘイトスピーチって何ですか。
○国務大臣(岩城光英君) ヘイトスピーチの概念ですが、これは必ずしも確立されたものではございませんが、法務省の人権擁護機関におきましては、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動を念頭に置いて、これらが許されないものであるとする啓発活動を行っております。 また、昨年度、法務省が公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託して実施した調査におきましては、一般的にいわゆるヘイトスピーチと指摘されることの多い内容として、一つに、特定の民族や国籍に属する集団を一律に排斥するもの、二つに、特定の民族や国籍に属する集団の生命、身体等に危害を加えるもの、三つに、特定の民族や国籍に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更に誹謗中傷するものという三つの類型があることを念頭に調査が実施されました。 ヘイトスピーチの対象とされている方々などに御協力いただいた聞き取り調査におきましても、多くの方々がヘイトスピーチと聞いてイメージするものとしてこれらの内容を中心に挙げられていたものと承知をしております。
○有田芳生君 次に、提案者にお聞きをしますけれども、国際人権法においては定義はされていないんだけれども、ヘイトスピーチを規制するということは三つの条約で明らかになっております。具体的に言えば、人種差別撤廃条約、ジェノサイド禁止条約、そして自由権規約です。 ヘイトスピーチの本質というのは国籍でくくるものではなくて民族である、私はそう理解しておりますし、国際人権法の観点からいってもそのようにこれまで認識をされてまいりましたけれども、そこでお聞きをしたいんですが、本与党の法案では本邦外出身者に狭められておりますけれども、その理由はどういうことなんでしょうか。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。 まず、先ほど有田先生が冒頭でお話をいただいた事案、まさに我々も、まず回答に入る前にちょっと一言だけ。 私たちが目指しているのは、このような言論、対抗言論も許されないような気勢でわあっとやってくる言論、抵抗も発言も許されないような形で大勢でわあっとやるような言論はこれは許されないと、そういうような理念をつくる。多くの人は、それは悪いものだけど声を上げられなかったけど、それを上げてもらうような形で理念として掲げて、そういう社会をつくっていかなければいけないんじゃないかという思いでこの法律を今作らせていただいているところであります。 そういう意味でも、有田先生始めこの問題に尽力をされた方々の努力がどんどん社会に普及をしているというところであり、改めて有田先生のこれまでの活動に敬意を表したいというふうに思います。 その上で、本邦外出身者に狭めた理由ということでありますが、こちらは経緯に少し関わるところもありますので。私も公明党でありますけど、公明党も、一昨年にはこのヘイトスピーチに関してのプロジェクトチームをつくって、昨年の七月に内閣の方に対案を提出をいたしました、提言もいたした。すぐに予算措置をとって実態調査をしていただいたわけで、私も、八月にはこの場でヘイトスピーチに特化した形での理念法というような話もしたところであります。 そのときにやはり注意をしたことは、一つは表現の自由なんですけど、もう一つは、理念法である以上、国民全体の一体の意思としてこのような社会は許されないという意思を発現しなければいけない、そのためには全体の意思としての理念というものがしっかりと確認できるような形のものがまず大事であるというところであります。 その意味で立法事実というところを捉えたところ、ちょうど京都朝鮮第一初級学校事件で、やはりまさに地域社会で本邦外出身者の方々がその出身というものを理由にして差別をされている、このようなものは表現の自由の範囲外でもあり、法の保護にも値しないというような事実もあった、立法事実があったというところであります。ですので、理念を掲げる上ではまず立法事実があるところをしっかりとこれは明記をしていこうというところで、本邦外出身者という言葉をこれは付けさせていただいた。 ただ、あくまでこのような分断を生むような言論というものは許されないし、そのようなものは金輪際なくしていくような社会をつくっていこうという理念を我々高らかに宣言しようとしているところであります。この趣旨からも、ここでこういうような言葉が書かれているから、それ以外のものは、じゃ、許されているというような趣旨を当然出しているわけではございません。一つの立法事実として全体でしっかりと共有できるところをこれ明記をした、その意味でのこの文言を設けさせていただいたわけですが、それ以外のところが許されるというところではないというところをあらかじめ申し上げておきたいというふうに思います。
○有田芳生君 差別者団体、在特会などが例えば一番注目を最初に受けたのは、二〇〇九年、カルデロンちゃん一家排撃事件でした。これは、在留資格がない御両親の下で娘さんが生まれまして、御両親はフィリピンに帰らざるを得なかったんですけれども、カルデロンちゃんは中学に通っていたところに、差別者団体、在特会たちがヘイトスピーチを子供たちに向けて始めた、それが注目をされた最初なんですけれども。 もちろん、これまで東京の新大久保、大阪の鶴橋、あるいは川崎の桜本地区へのヘイトスピーチもずっと続いているという異常な状況があったんだけれども、在日コリアンの人たちだけではなくてオーバーステイの人たち、あるいは難民の人たち、そういう人たちへも攻撃が続けられてきました。あるいは、奈良の水平社博物館への攻撃が二〇一一年にありました。この間、四月二十五日に高松高裁で、徳島県教組襲撃事件については、これは拉致問題なんかも利用していたヘイトスピーチでしたけれども、高松高裁では、人種差別的行為というふうに控訴審判決で認定をされております。つまりは、在日コリアンだけではなくて、水平社博物館などなど様々な対象に対してヘイトスピーチが行われております。 人権擁護局長にお聞きをします。 アイヌ民族に対するヘイトスピーチというものもこの数年間ずっと、今でも続いておりますけれども、その実態、把握されていますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務省においてその実態を網羅的に把握しているとは言い難いところではございますが、内閣官房アイヌ総合政策室が平成二十七年に行いましたアイヌの人々千人を対象とする調査の報告書においては、ネット上でアイヌに対するデマや偏見が見かけられる、心の奥底の本音なのだろう、あるいは、銭湯でアイヌが入った後の湯には入らないでと言っているのを聞いたことがありましたなどの記載がございます。
○有田芳生君 提案者にお聞きします。 今、人権擁護局長が実態調査の中から語ってくれたアイヌ民族へのヘイトスピーチ、あるいは難民、あるいはオーバーステイの人たち、そういう人たちへの差別の扇動攻撃というのは、与党法案から判断をしてもこれは許されないという理解でよろしいですね。
○矢倉克夫君 まず、難民については、難民の後も、これは申請後の特別資格等もあります、適法にという部分にも該当をする。また、オーバーステイであったり、またアイヌの方々、また先ほども申し上げましたとおり、この法律は理念法として、このような人の人格というもの、これも尊厳もおとしめて、そして地域社会からも排除をしろというような目的の下で向けられた言論というものは、これは日本社会も分断するものであり許されないということを国民一体の意思としてこれは宣言するものであります。 その趣旨から考えて、文脈上、これに該当するというようなものであれば当然それは許されないということを強く宣言したものであるというふうに理解をさせていただきたいと思っています。
○有田芳生君 更に提案者にお聞きをします。 一部の国会議員は、例えばツイッターで、この法案、与党法案では米国軍人に対する排除的発言が対象になります、あるいは、許されないということを宣言することがこの与党法案の骨子なんだと。米軍基地に反対する人たちが今日も、今の時間も、辺野古のゲートの前で様々な行動をしておりますけれども、基地反対運動に対するヘイトスピーチというものを何とかしようというのがこの与党法案の目的の一つなんでしょうか。明確にお答えください。
○西田昌司君 この法案は、先ほどから説明してまいりましたように、いわゆる地域社会に適法に居住する本邦外出身者に対する不当な差別扇動でありまして、米軍の反対運動、基地反対運動とは、全く立法事実としてそういうことは想定しておりません。そして、かつ、一概にどういうことを彼らが言っているのか分かりませんけれども、いわゆる米軍の反対運動というのは、これは政治的な発言であり政治的な運動でありますから、そういうことをこの法律をもって、元々禁止規定はありませんけれども、そのことをやめようとかいうことを言っているものでは当然ございません。
○有田芳生君 この法務委員会に参考人として、在日のコリアンとして来てくださったお二人が、四月二十九日に私宛てにメールを下さいました。与党法案がどうなるんだろうかということで様々な議論がある中で、一人は、京都朝鮮第一初級学校襲撃事件されたときの保護者であり、そして参考人にも来てくださり、さらには刑法学者である金尚均さん。皆さんに資料をお配りしておりますが、読み上げます。金尚均さんのメールです。 「本法案が成立しても実効性がなく、無意味だし、与党のアリバイ、ポーズのための法案で、むしろマイナスだから反対する主張がありますが、私はそうは考えません。従来、このような法律が日本に全くなく、初めての試みです。その意味で最初の一歩と位置づけて、この度の法案をなんとしても国会で成立させることが急務と考えます。その意味で付帯条項をつけることに賛成します。 本法案が廃案になることを考えると、本法案が成立することのプラス面は社会にとって多大と考えます。 どうかよろしくお願いします。」。 もう一人、参考人で来てくださった川崎桜本にお住まいの崔江以子さん。ちょっと長いので、途中省略しながら御紹介をします。 「この法案や附帯決議について、新聞等報じられている指摘にあるように不十分な点はありますが私は胸がいっぱいです。私たち桜本の街はあの絶望が、希望で上書きされていく明日を喜び歓迎しています。会う人、会う人が私の手を握り「言葉にならない」と涙を浮かべます。あのヘイトスピーチによって沈黙を強いられた若者は「日本を嫌いにならなくて済んだ」と安どの表情で語りました。 なによりも胸を痛ませながら法案の行方を祈るように見守り、痛い足腰で杖をついて院内集会に参加したハルモニ方が喜びます。」。 「私たち川崎桜本地域はこの法案と附帯決議をもって、胸を張って、川崎市に「国がヘイトスピーチの根絶を宣言しました」「国が地方公共団体に着実に実施するよう定めました」と具体的な実効性のある対策を求め、共に根絶する立場で汗をかくことができます。」。 「ヘイトスピーチに触れてしまい自身が在日コリアンだという事を絶対に打ち明けられない。墓場まで持っていくと涙を流した大学生の人生が変わります。川崎市長さんへ「助けてください」と涙を流した」、息子さんの名前が書かれておりますけれども、「「法律がないから」と救われずに傷ついた心がやっと癒されます。十三歳の子どもが大人を信じたことを悔やまないで済む社会が実現します。」。 「胸がいっぱいです。涙が出ます。絶望で起き上がれずに、涙にくれた日々が終わり、希望への歩みを進める道が法案と附帯決議によって整えられました。これからこそが大切な一歩となります。ヘイトスピーチ根絶の道しるべとなる法案、附帯決議が全会一致で決まるその時を安寧に共にありたいと思います。」。崔さんの言葉です。 崔さんは、今日、この審議が始まったときも、川崎市長と対面をして、三万人の署名、三万筆の署名をお渡しして、これから川崎市にヘイトスピーチの抑止する条例を作ってください、自分たちで運動を進めていくんだと、その訴えをして、今この現場に急いで車で向かっているはずです。あるいは、もう来ていらっしゃるかも分かりません。 これは川崎の桜本だけではありません。東京でも神戸でも京都でも、ヘイトスピーチをなくそうという条例を作る運動がこれからも続いていきます。人権問題というのは終着点はありませんので、今日を出発点として、私たち国会議員は当然ですけれども、差別の現場で直接体を張って対峙する人たち、被害当事者、そして地道な専門家の方々とともに人種差別撤廃条約をこの日本に具体化する運動を更に進めていくことをお誓いしまして、質問を終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今、有田議員からお二人の思いが紹介をされたように、ヘイトスピーチによる被害の深刻さと、当事者そして支援の皆さんの身を振り絞るようなヘイトスピーチ根絶をという声につき動かされてきたこの私たち参議院法務委員会の取組が、今日一つの節目を迎えようとしているわけです。 そこで、与党案について最後に確認をさせていただきたい二つの点、先ほどの有田議員の質問にも重なりますけれども、まず第一は、在日米軍のありようを批判する人々が米軍は日本から出ていけなどの声を上げる言動、これは、私が読む限り、本法案の前文の趣旨に照らしても、また法案二条に言う「本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と、この定義にも当たり得ないと考えるわけですけれども、実際には、先ほども御紹介のあった与党議員の発信などもあり、四月二十五日の沖縄タイムスの社説においても、与党の法案にその意図が隠されているのであれば、憲法で保障された表現の自由に基づき米軍基地問題で住民らが米軍は沖縄から出ていけなどと叫べばヘイトスピーチとされるおそれがある、国会審議でただされなければならない重要な点だと指摘をされているわけですね。 この問題について、自民党、公明党両発議者にきっちりとした御見解を伺いたいと思います。
○西田昌司君 先ほどもお答えしましたけれども、そもそもヘイトスピーチを抑制するこの法案、我々の法案の中に、米軍の問題というのが立法事実として初めから含まれておりません。そして、なおかつ、この文章を読んでいただいても分かりますけれども、そもそも適法に居住する方々を排除するという目的でやっているわけでありまして、米軍というアメリカの軍隊、そういう機関、そういうことは元々この中には入っておりません。 さらに、具体的なその中身を見ないと分かりませんけれども、いわゆる沖縄の基地などの前でされている活動というのは、これは政治的なそれぞれの活動であると、政治的な政策であったり、その政策に対する批判であったりだと思います。当然、そういうことは憲法上許される表現の自由の一番大事なところでありますから、我々自身がこの法案を作るときに一番気を付けたのは、まさにそうした様々な自由、表現の自由、それから思想、信条の自由、そうしたものが制約を受けない、その受けない中でどうやって実際に行われているヘイト事例を排除していくかということに腐心をしたわけでございます。 したがいまして、仁比議員が御質問されましたそういういわゆる米軍に対する排撃というのは元々入っておりませんし、政治的なそういう活動に対してこの法律が使われることもあり得ないという認識であります。
○矢倉克夫君 今、西田発議者の回答、答弁とほぼ趣旨同じではございますが、定義に沿って更に補足させていただきますと、二条は「本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、」と書いています。まさにその人の出身がどこかとか、そういうことを理由にした言動。今の米軍というものに対しては、これは出身云々というものにもそもそも当たらない。まさに米軍というものの存在に対しての評価を前提にしたこれは議論でありますし、政策として日米安保その他をどういうふうに捉えるのか、それはまさに政治的言論として御発言をされているものでもありますので、そういう点からもこれには当たらないという趣旨であります。 我々も、繰り返しになりますけど、表現の自由ということを、これをどのように保護するのか。当然ですけど、表現の自由と言うときに、その自由の対象としてあのようなヘイトデモとかをこれ念頭に置いて言っているわけではございませんで、私は個人的にはそういうのは保護に値しないものだというふうに思っていますが、ただ、名宛て人としては、いろんな方の、何人にも対してのこれ規制が掛かる、その全ての方の表現の自由に対してどうやって配慮をすればいいかという悩みからこのような形での立法になったところであります。 そのような趣旨からも、今のような言論が対象になるということではないということであります。
○仁比聡平君 定義との関わりで矢倉発議者から御答弁がありましたからちょっと重ねて確認ですが、西田発議者が政治的言論というのはこれは一番大事なものだと憲法上の保障の意義を語られたわけですけれども、これがこの対象になり得ないということについて、この法案に言う不当な言動ではあり得ないというふうにも思いますけれども、そういう理解でもよろしいのかということについては、矢倉さん、どうでしょうか。
○矢倉克夫君 まさにそのような趣旨で御理解をいただいて大丈夫であると思います。
○仁比聡平君 もう一点、米軍という機関、これを排除の対象というふうにはそもそも捉えていないというお話があったんですが、これはちょっと、ちょっとというか、こういうことなのかなと思いますのは、例えば沖縄タイムスの社説の部分に、そもそもヘイトスピーチはマイノリティーに対するものだ、米軍人は日米地位協定によって特権的な地位を与えられ、マイノリティーでもない、この表現については与党、もしかしたらいろいろ御意見があるのかもしれませんが、つまりマイノリティーに対する排除という言動、これがヘイトスピーチの大きな焦点であって、そういう意味ではこれは当たり得ないと。言ってみれば、強い者に対して国民の側、市民の側がこれを排除するという概念がヘイトスピーチではあり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
○西田昌司君 我々は、今申しましたように、政治的な表現活動について制限を加えるつもりは全くございません。 しかし、もう片っ方で、例えば米軍の話今出ましたけれども、アメリカ人出ていけとかいろんな発言もあろうかと思うんですよね。そのときにアメリカ人が、例えば今の仁比委員の発言ですと、マイノリティーじゃなくて強いから言ってもいいんだということにもならないと思うんですね。そうじゃなくて、マイノリティーであるかどうかというのは別で、要するに不当な差別的言動とは何かといえば、いわれないということなんですよ。本人がその責に負わない、全くいわれないことで差別的言動で侮蔑を受けたり、それから地域社会から排除を受けたりする、そういうことを我々は不当な差別的言動として、国民としてやめようじゃないかと、そういう差別的なことは恥ずべきことだという、そういう思いでこの理念法を作っているわけであります。 ですから、当然、米軍基地の話はそれとは全く違う話でありますから対象になりませんが、アメリカ人に対して何を言ってもいいのだということを我々は言っているつもりもまたないということは確認させていただきたいと思います。
○仁比聡平君 今おっしゃっているのは、それはそのとおりの話だろうと思うんですね。 あともう一点確認をしたいのは、今の問題とパラレルではありますけれども、政府の政策やそのありようを批判する人々の言動があります。これは政府対抗言論などともよく呼ばれますけれども、これも同じように当たり得ないと考えますけれども、いかがでしょうか。
○西田昌司君 全くそのとおりであります。 私も仁比議員も恐らくいろんなところで街頭遊説をやって自分の政策を言っておりますけれども、時には、野党のときには我々与党に対し批判もするし、当然皆さん方も政府に対し批判もあるわけでありまして、それを制限を加えたりしていたらこれは言論の自由そのものを否定することになりますので、全くそういうことにはなりませんし、想定もしておりません。
○矢倉克夫君 もうまさに全く想定もしておりませんし、そのような言論をしっかり自由に、言論は言論でやり合うということが民主主義であります。これは、まさにそういう対抗言論というようなものを許さないような形で社会を分断するような言論というのは駄目だということを理念でしっかり言っているわけですけれども、今先生がおっしゃっているのは、まさに民主主義の根幹たる言論の自由そのものであるというふうに思っております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。 いよいよこの質疑そのものも終わろうとしているわけですけれども、最後にちょっと、通告はしておりませんでしたが、お二人にお伺いをする時間が少しありますので。 こうして私どもが立場は違えど取り組んできて、この大きな節目を迎えようとしているわけです。私は、この取組を踏まえて、国会の内外でこれからヘイトスピーチを根絶をするために一層力を尽くしていくということが私たち国会議員に求められていると思うんですね。とりわけこの問題を十分な審議を尽くしてきたこの参議院法務委員会のメンバーとして、是非御一緒にヘイトスピーチ根絶のために国会の内外で力を尽くそうではありませんかとお二人に呼びかけたいと思うんですけれども、それぞれ御決意を伺いたいと思います。
○西田昌司君 全く仁比議員の御発言に賛同いたします。要するに、我々は、いわゆるヘイトスピーチ、これなかなか禁止という形では、法律上、言論の自由の関係でできなかったわけですけれども、とにかくそういうものは日本人として恥ずべきものであると、そういう共通認識でやってきたわけでありますので、この法律が成案できましたら、是非その趣旨を多くの国民の方々に共有をしていただいて、ヘイトスピーチをしている方自身がそういう恥ずべき行為だということを認識していただいて、自ら自重していただきたいと思っております。
○矢倉克夫君 まさに我々こういう形で理念法を作った、それは、国民全体の共通認識としてこういう社会をつくっていこう、そのような言論を許さない社会を、みんなが声を上げていくような社会をつくっていこうという理念を掲げて、それに向けてしっかり全体で努力をして実現していこうということを高らかにうたい上げて、それがまた国民世論に更に醸成させていくということでこのような法案を作らせていただいたところであります。 当然ですけれども、主権者たる国民の代表として我々がまず中に入っていって、こういうような社会をつくるための第一歩であるということをこれから更に努力をしていって、実現に向けて全体でこれは議論をして、そして努力をしていこうということをしっかりと私からもまたお誓いを申し上げて、またお呼びかけをしたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 終わりたいと思います。 お疲れさまでした。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。 これより原案及び修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。 私は、本法案、原案、修正案に賛成の立場で意見を述べます。 まず、本法案について問題点を指摘いたします。 本法案は、いわゆるヘイトスピーチについて、これを解消することを国民の努力義務とすることにとどめ、禁止する規定としていません。このため、努力をする意思のない者に対してヘイトスピーチをやめさせることの実効性はないとも思われます。これでは、本法案が成立、施行されてもヘイトスピーチが収まることはなく、法施行後も現状と変わらずにヘイトスピーチが繰り返されることが予想されます。 また、差別的言動の定義についても、文理上、地域社会からの排除だけを対象としているようにも読めるもので、疑問がないわけではありません。 こうした点から、ヘイトスピーチを規制するために立法措置等の更なる取組が必要であると考えております。 以上の指摘点があるものの、本法案にそれなりの意義がないわけではなく、本法案の成立を望む声もありますので、本法案に賛成するものであります。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、与党提出の修正案及び修正部分を除く原案について、いずれも賛成の立場から討論を行います。 先ほども申し上げたとおり、与党案の提出は、当委員会の取組の中で、ヘイトスピーチによる被害の深刻さとその根絶を求める被害当事者、国民の声に迫られたからにほかなりません。その内容には大きな問題点がありますが、ヘイトスピーチの根絶に向けた立法府の意思を明確にする理念法としての意義を評価し、賛成するものです。 与党案には、適法に居住する本邦外出身者を対象とするというその骨格が、人種や民族を理由とする差別は許されないという憲法と人種差別撤廃条約の趣旨を曖昧にするのではないか、「不当な差別的言動」との用語が明確性を欠くのではないか、また、前文で「許されないことを宣言する」としながらヘイトスピーチの違法性を明確にしていないなどの問題点があります。 我が党は、ヘイトスピーチ根絶の運動や自治体決議、条例制定などの取組を踏まえ、与党案に対し、以下の修正を求めてまいりました。 一、法案の名称をヘイトスピーチ根絶に向けた取組の推進に関する法律などとすること。二、何人もヘイトスピーチを行ってはならない旨の規定を設けること。三、ヘイトスピーチの定義について、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に換えて、人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は集団、以下、民族等としますが、この社会からの排除、権利、自由の制限、民族等に対する憎悪又は差別の意識若しくは暴力の扇動を目的として、不特定多数の者がそれを知り得る状態に置くような場所又は方法で行われる言動であって、その対応が民族等を著しく侮辱、誹謗中傷し、脅威を感じさせるものをいうとのような規定を置くこと。四、「適法に居住する」との要件は削除すること。五、地方公共団体の責務は、「努めるものとする。」に換えて、国と同様、「責務を有する。」ものとすること。 こうした法案修正は成りませんでしたが、質疑の中で、対象となる言動は本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動であり、扇動の定義も例示しているから、「不当な」や「差別的」という曖昧な用語がそれだけで要件とはならないこと、政府や在日米軍を批判する言動は対象たり得ないこと、アイヌ民族や難民認定申請者など在留資格の有無、争いにかかわらずヘイトスピーチは許されないこと、道路使用許可など行政処分あるいは司法判断において理念法が根拠規範となり得ることなどが答弁で確認をされたことを前向きに評価し、賛成をするものです。 ヘイトスピーチを根絶するために一層国会内外で力を尽くそうではありませんか。 その決意を表明し、賛成討論といたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案について採決に入ります。 まず、矢倉君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、矢倉君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 この際、有田君から発言を求められておりますので、これを許します。有田芳生君。
○有田芳生君 私は、ただいま可決されました本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対し、自由民主党、民進党・新緑風会、公明党、日本共産党及び生活の党と山本太郎となかまたちの各派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対する附帯決議(案) 国及び地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一 第二条が規定する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、本法の趣旨、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処すること。 二 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の内容や頻度は地域によって差があるものの、これが地域社会に深刻な亀裂を生じさせている地方公共団体においては、国と同様に、その解消に向けた取組に関する施策を着実に実施すること。 三 インターネットを通じて行われる本邦外出身者等に対する不当な差別的言動を助長し、又は誘発する行為の解消に向けた取組に関する施策を実施すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま有田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、有田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、岩城法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩城法務大臣。
○国務大臣(岩城光英君) ただいま可決されました本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。 引き続いて、いわゆる通信傍受の濫用防止の観点から種々質問させていただきたいと思います。 まず、通信傍受を行った場合、犯罪関連通信があって傍受記録を作成した場合にはその対象者に通知すると、傍受があったことを通知するということになっております。この通知するやり方ですか、通知の仕方等について、今現行どのような扱いで行っているのか、警察庁の方にいただきたいと思います。 まず、個別に聞いてまいりますけれども、通知は具体的にどのような方法で対象者に通知しているんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) 通信傍受法第二十三条によりまして、当事者への通知は書面により行うこととされております。具体的には、傍受を行った事件に従事する捜査員などが当事者本人に対面で書面を交付するなどにより通知を行っております。 また、当事者への通知を行った際は、当事者本人に受取書への署名押印を求めるなどしておりまして、また、通知の状況は通信傍受手続簿に記載をしております。加えて、当事者への通知をしたときには、速やかにその旨を裁判官に通知しております。
○小川敏夫君 まず、一つ一つお尋ねしますけれども、通知するのはまさにその傍受をした捜査官、あるいはその捜査官と同じ捜査チームといいますか、そうしたチームに所属する捜査官、これが行うと、こういう実務になっているということでありまして、そうすると、その通知をするために、そうした捜査チームあるいは傍受を行った人物とは全く別に、通知をするための部署といいますか、あるいはそうした担当者が設けられているということではないんですね。
○政府参考人(三浦正充君) 議員今御指摘のとおりでございまして、傍受を行った事件に従事する捜査員などが通知を行っております。
○小川敏夫君 それから、その通知の方法ですけれども、対面で渡すと。渡す場所はどのようなところで渡すんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) それは特に定まったものがあるわけではございませんけれども、実際には、例えば取調べ室でございますとか、あるいはその本人の自宅で交付をするといった運用を行っております。
○小川敏夫君 交付した通知書のそれと同文の控えというものは保管されているんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) 通知は書面で行うわけでありまして、その通知につきましても、その書面の同様のものを裁判官の方にも送るということになっております。
○小川敏夫君 その通知の受取書というのは、またこれは別の文書として受取書なるものをもらってくるんですか。どういう方法でその受取書をもらってくるんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) 通知をする相手方に渡す書面につきましては所定の様式がございますけれども、受取のものに関しては特段定められた書面という様式のものはございませんけれども、相手が確実にそれを受領したということを証明する何らかの受取書というものをもらうという運用になっております。
○小川敏夫君 そうすると、通常の事務としては、通知の控えと、そして通知をしたらその通知の受取書、受取については所定の方式はないということですが、受取を証する書面というものがあると。それをワンセットにしてこれはどこかに保管するんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) それは私ども警察の方で保管をするものでもございますし、また、先ほど申し上げたように、通知の状況を通信傍受手続簿というものに記載をすることとされております。また、当事者への通知をしたときには、その旨を裁判官に書面をもって通知をするということになっております。
○小川敏夫君 一つ一つ細かいことをちょっとお尋ねしましたけど、私が一番お尋ねしたいところは、通知すべきであるにもかかわらず通知が漏れてしまったというふうなことがないようにこれをチェックすると、そういうような仕組みはどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) 通信傍受法第二十三条第二項では、傍受の実施が終了した後三十日以内に、通信の当事者が特定できない場合やその所在が明らかでない場合を除き、傍受記録に記録されている通信の当事者に対して通知しなければならないこととされております。また、法二十三条第三項では、三十日経過後、通信の当事者が特定された場合又はその所在が明らかになった場合には、当該通信の当事者に対し速やかに通知しなければならない旨規定されておりまして、これに従い、順次通知が行われることとなっております。 これは法律に定められた義務でもございますので、確実に通知がなされるということについて、それは常に業務指導といいますか、通信傍受、実施自体は組織的に行われるものでございますので、その通知が確実に行われるよう指導もしておりますし、また、そうした業務のチェックを行っているということでございます。
○小川敏夫君 私の質問の趣旨は、通知しなければならないと、そういうことが義務付けられておるわけでございます。その義務付けられていることが漏れてしまったら、あるいはやらなかったというようなことがあってはいけないんで、ですから、通知が確実になされたということをチェックする制度的な仕組みはどうなっているでしょうかと。少なくとも法律上書いていないものですから、これは運用する警察の中の内部の問題だと思いますが、その漏れがないかと、漏れてはいけないということをチェックする、必ず通知がされるということをどのように担保しているかという観点からお尋ねしておるわけでございます。
○政府参考人(三浦正充君) 国家公安委員会規則で定めております様式の一つに通信傍受手続簿というものがございまして、この中に、通信の当事者に対する通知も含めまして法定の手続の実施状況を記載をするということになっております。 傍受記録の当事者が誰であるかということは、これはもろもろの書類上明らかなことでもございますので、この者に対して通知が行われたか否かということについては事後的にチェックができる、そういった仕組みになっております。
○小川敏夫君 事後的にチェックができる、それは誰かが調べようと思えば分かるはずだと、すなわち、捜査記録の中に受取書があるべきだから、その受取書を見れば分かるだろうというお話ですか。
○政府参考人(三浦正充君) そうした定められた書類をチェックをしていくことによって、そうした通知の漏れがないようにということで見ているところでございます。
○小川敏夫君 つまり、私が言いたいのは、要するに、捜査するチームが通知をする、通知したんであれば記録にとじるというのが本来の、本来というか、通常行っている事務だと。ただ、私が心配しているのは、それが漏れてしまった、通知が漏れてしまったという場合のことをチェックできるかという観点から聞いておるわけです。 そうすると、例えば例を挙げれば、捜査を終えたときに、捜査チームの責任者が必ず通知がされたかどうかをチェックすることが内規で決められているとか、あるいは、捜査チームではなくて、そうした通知が必ず行われるかどうかを傍受に関しては全てをチェックする、そのような仕組みになっているとか、そういうような仕組みを聞いているわけでして。 だから、今の局長の答弁ですと、記録にとじてあるから見れば分かるだろうと、それはそうかもしれませんけど、じゃ、それを定期的に見てチェックする、そうしたことの仕組みはあるか、あるいは定期的にチェックするということをやっているのかどうか、そういう仕組みについてお尋ねしているわけです。
○政府参考人(三浦正充君) 特にそうしたチェックを定期的に行うというような仕組みはそれはないのでございますけれども、一般に警察の業務というのは、例えば業務監察といったような形で業務が適正に遂行されているかどうかということをチェックをする、そうした機能もございますので、そうした業務の一般の監査といいますか、そういう中でそうした通知が適正に行われているかどうかということも含めてチェックが行われるべきものというように考えております。
○小川敏夫君 今の御答弁の趣旨は、私が例示したような仕組みは取っていないというふうに私は受け止めたんですけれども。 私が言いたいのは、警察が初めから出さないでやろう、出さないでやろうと意図して出さないということを心配しているんじゃないんですけれども、ただ、人間社会の流れとしまして、例えば通知を出し忘れたというようなミスがあった場合、しかしミスがあってもそのミスが露見しない、ミスが発覚しないとまた同じようなミスが繰り返されていく、そして、だんだんだんだんミスが繰り返されていく、間違ってもどうせ発覚しないんだとなると今度は意図的に間違えてくるというようになって、だんだんだんだん実務がルーズになってくる、ルーズから更に意図的なことにまで及んでいくという、そういう流れができてしまうことを私は心配しておるんで、まずきちんと、すなわち、間違いがあればその間違いがきちんとチェックされるという仕組みが必要ではないかと、こういう観点からお尋ねしておるわけでありまして。 この通知の仕組みも、ですから私は、捜査官が通知するのを忘れちゃった、あるいはもっと悪意に考えれば、どうも違法、濫用に及ぶ傍受をしちゃったから、なるべくそれがばれないようにと思って意図的にというようなことも考え得ることは考えられるわけでして、だから、そういう場合にチェックもないまま通用しちゃうと結局更にルーズになっていくんだなというふうに思うわけでありまして、まさにその通知制度があるから濫用の防止に機能しているんだという。通知がしかし漏れてしまっていることが発見できない、防止できないというような仕組みであれば、やはり私は不十分だと思うんですよ。 これから、これまでは傍受の件数が年に十回程度ということでかなり少なかったんですけれども、今度のこの改正案ができますと相当傍受を行う回数が増えてくると思うんですね。ですから、私は、数が増えれば間違いが伴って増えてもしようがないというような考えじゃなくて、もちろん警察もそういうことは考えていないでしょうけれども、やはりより徹底して間違いが起きないような、そういう組織の運用、あるいは組織の在り方、チェック機能というものをしっかりと構築していただきたいと、こんなことで意見を述べておるわけでございます。 具体的にどうするかということは別にして、チェック機能はしっかりとしなくちゃいけないという、総論的には御賛成いただけると思うんですが、そこら辺のところの御所感はいかがでしょう。
○政府参考人(三浦正充君) もとより、この通信傍受といいますのは大変重要な捜査手法でもございますし、また、その制度導入の際には大変大きな議論があって、そうした中で捜査機関にとっては与えていただいたという大変大事な捜査手法であるというように認識をいたしております。 これまでも非常に厳格な手続の下で、また緊張感を持って一件一件の傍受を実施してきたというように自負をしておりまして、そうした間違いが起こらないようにということで常日頃指導もしているというつもりではございますけれども、また、その中でこの通知というものは通信傍受制度を支える大きな一つの制度として大変重要な位置付けを持つものというようにも理解をしておりまして、そうした通知という制度が適正に行われるように今後とも指導してまいりたいというように思いますし、また、それを確実に行われているというようなことが、まあこれまで行ってきたつもりではありますけれども、それ以上に何かあるのかどうかということについては更に検討をさせていただきたいと思っております。 ただ、ちなみに、今現在運用しております通信傍受手続簿の様式におきましては通信の当事者に対する通知という欄がございまして、ここに傍受記録に記録されている通信の当事者というものが漏れなく列挙、まず列挙するというような様式になっております。それぞれにつきまして、通知を発しなければならない期間、また通知をした年月日について記載をすると、こういった様式になっておりますので、基本的には傍受記録に記録されている通信の当事者というものがきちんと記載をされていれば、それがいつ通知をされているか、あるいはまだ例えば特定ができないといったようなことで通知がされていないといったようなことが一応一目瞭然に分かるような仕組みにはなっております。
○小川敏夫君 通知の問題もきちんとやるようにという訓令、督励だけじゃなくて、やっぱり仕組みとしてそういう間違いが起きないように、間違いがあればすぐにチェックできるというような仕組みを是非つくっていただきたいと思います。 法務大臣にまたお尋ねします。 今、通知がそもそもなされるかどうかということを警察庁の方にお尋ねしましたけど、これまで私が法務大臣と議論していたのは、通知がなされるかどうかの間違いの問題じゃなくて、法律上、傍受した人に対して通知そのものが行かない法律上の仕組みになっているということについて何回も議論させていただきました。 もう同じ議論はと思いますけれども、やっぱり私は、警察官が、よし、通信傍受の制度ができたから、さあ早速違法な傍受をしてやろうなんて思っているとは思わないんですよ。ただ、やはりやっているうちについつい行き過ぎて、行き過ぎた傍受をしてしまったと、いけなかったなというようなことがあっても、しかし、それは気が付いてみれば、聞いてはいけない傍受を聞いちゃったんだけどといっても、通知が行かなければ露見しないと。露見しないと、いけないことをしても誰にも発覚しないし、誰からもとがめられない。まさに、大臣がこれまでおっしゃるような懲戒とかそういったことも全然ないということで済まされちゃうことになると思うんですよ。 そういう行き過ぎた傍受あるいは違法な傍受があっても結局露見しない、したがってとがめもないということがあると、また同じことを繰り返す、そして、そういうことが繰り返されるうちに、今度は、ああ何だ、行き過ぎた傍受、違法な傍受をしても結局通知さえ行かないんだから、結局露見しないからやっちまえと、こんなふうに流れていくんじゃないかということを私は心配しておるわけであります。 こういう総論的なことについては、大臣、賛成いただけますよね。そういう仕組みがきちんとしていないとやはりミスがどんどん増えていく、あるいはそのうちに意図的なことまで誘発してしまうような一般的な可能性があるという一般論は、これは御賛同いただけますよね。
○国務大臣(岩城光英君) 一般論としては委員が御指摘のようなことはあり得るものとは考えております。
○小川敏夫君 本当に、実際に通信傍受の実施例見ますと、一つの対象から千回も通信を、通話回数あった、だからスポットを千回以上やったということでしょうね、しかし全く犯罪通信がなかったというような例もあります。千回もまさに会話を、スポットでも含めて傍受されながら、全く通知も受けないから何も知らないというケースもあるわけであります。やはり、犯罪通信がなければ結局は通知が行かないというこの仕組みを是非変えていただきたい、今後も通知かあるいはそれに代わる制度を是非構築していただきたいというふうに思います。 〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕 これについては、そういうことは現在考えていないという答弁をいただきましたので、その後答弁も変わっていないでしょうから、今日は答弁いただかなくて結構です。もし変わっていたら答弁下さい。
○国務大臣(岩城光英君) 変わっていなくても答弁してよろしいでしょうか。 御指摘のように、傍受の実施を終えた時点から振り返ってみますと犯罪に関連する通信が一度も行われなかったという場合があり得ることは、先ほどもお答え申し上げましたとおり、あり得るものと思っております。しかしながら、捜査官が通信が行われるのを待ち受け、また行われた通信について該当性判断のための傍受をしている時点から見ますと、その後に全く犯罪関連通信が行われないということを予測できるものではございません。 すなわち、捜査官が該当性判断のための傍受を行っているときにその通信自体は犯罪に関連しないと判断できたといたしましても、その後に話題が変わって犯罪に関連する通信が行われることもあり得ますし、その後に別の通信が行われ、犯罪に関連する会話が行われることも十分考えられます。そして、そのような場合には、その通信は傍受記録に記録され、その通信の当事者にも通知をしなければならないこととなります。 そうなりますと、そのような通信の当事者等によって傍受の原記録がチェックされることにもなり得ますし、公判段階で被告人や弁護人が傍受の原記録を聴取等することにもなり得ます。捜査官といたしましてはこうしたことを想定して傍受を行わなければならないのでありますので違法な傍受は行い得ないと、そういったことで私はこれまでお答えをしてまいったつもりでございます。
○小川敏夫君 答弁いただくと私も反論したくなっちゃうんで。結局、違法な傍受をしてしまっても、さらにその後、その時点では通知が行かないでしょうけれども、その後の状況によっては通知が行くことになる可能性があるからと、そうすれば露見する可能性があるというようなお話、つまり限定したお話でされているわけでして、私から言えば、その後も傍受記録を作成する例がないということもこれは十分あるわけでして、また、捜査官がやばいことをやっちゃったからもうこれ以上はやめようといってその後がない場合もこれ十分あるわけですから、大臣がお話しした説明だけでは、一つの可能性があるというだけで、全部を正当化することはできないというふうに思います。これは大臣の答弁に対する私の意見です。答弁は要りません、もう既に何回も繰り返していますので。 話題を変えます。 特定機能電子計算機について前回質問させていただきました。それで、結局、特定電子計算機が法律で定められた機能を確実に有しているかどうか、これについて導入時の審査とか運用時の検査、そうしたものが法律上定められていないと。国家公安委員長からそういうことをしっかりやるという答弁は総論的にいただきましたけど、どうでしょう、内部で検査、審査するよりも、やはり第三者機関を設けるなり、あるいは国会でもいいですよ、国会の法務委員会が、あるいは国会が構成するんでもいいですけれども、まさに運用されている特定電子計算機の機能がこの刑事訴訟法に定められた要件を確実に守っていると、そして、警察庁の方で答弁されたように、このプログラムが人為的には変更されないように警察庁は直接その変更のアクセスができないと、このような仕組みが実際に実行されているということを検証する第三者機関、あるいは機関じゃなくても、警察じゃなくて外部の第三者にそれを判定してもらう、検査してもらうというような仕組みを導入すれば私はより確実に機能すると思うんですが、こういう考えについてはいかがでございましょう。
○政府参考人(林眞琴君) 今回の法律案におきましても、令状請求の段階で、この特定電子計算機を使う傍受を実施しようとするときには、それを裁判官に許可を求めなくてはいけないとなっております。 〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕 その上で、これは法律案の五条の三項になりますけれども、その請求があったときには、その請求を相当と認めるときは当該請求に係る許可を裁判官がするものとすると、このようにこの五条の三項で相当性の判断というものをすることになっております。 この相当性の判断の中で、今回特定電子計算機を用いることについて、特定電子計算機についてはこの法律の中で、それが法律で機能として、法定の機能というものが定まっておりますので、その法定の機能が、定まっているものどおりのものであるということは、この裁判官の相当性の審査の中で当然審査されるわけでございます。 その際に、更に言えば、それは請求の時点での審査になるわけですが、この傍受の実施する期間を通じましてこの特定電子計算機がそういった法定の機能を全て備えているということがこれは法律上必要でございますので、裁判官といたしましては、特定電子計算機が、審査の時点のみならず、実際に傍受が実施される段階においても法定の機能が備えられていることを確認しなくてはならないわけでございます。 そうした場合に、その確認をしてもらうに当たりまして、裁判官に向けまして、そういったその法定の機能を確保しているプログラムでありますとかソフトウエアがその審査後に改ざんされる余地がないかどうかということも裁判官が審査するわけでございまして、それに向けて、捜査機関につきましては、そういった改ざんの余地がないということを裁判官に向かいまして様々な方法で疎明をしていくということになろうかと思います。 その場合の疎明のやり方ということにつきましては、やはり実際にこういった特定電子計算機を開発する段階で捜査機関において改ざんができない機能を持たせるように発注して、その結果、そのような機能がある、改ざん防止の機能があるということを実際にメーカーでありますとかそういった製造した者からの証明をいただくとか、そういった証明書を裁判官に向かってまた提出するとか、こういうふうな形で初めて、今回の特定電子計算機が法定の機能を持って、しかも実施の期間を通じて法定の期間をもって実施がなされるということを裁判官に理解していただいて初めてこの特定電子計算機による傍受の実施請求というものが許可されると、こういうことになっておりまして、そういった意味で、こういった裁判官の審査を離れて第三者機関というものについての審査を求めるということは必要がないのではないかと考えておるところでございます。
○小川敏夫君 裁判官の審査で警察が運用している特定電子計算機が法律上の機能を備えているかどうかを審査するというのは、それは空論だと思いますよ。裁判官が、コンピューターに入っているプログラムが法律上の機能を備えていて、しかも改変できないなんということを御自身でできるとは思わないですよね。それから、そういうことはしないでしょう。だって普通は、要するに、そういう機能を備えたものですよという、そういう資料が来れば、当然それを前提としてそのほかの令状を発付するべき要件をそれぞれ判断するのであって、特定電子計算機を使うと言っているときに、その特定電子計算機が実際に法律上の要件を充足しているかどうか裁判官がチェックするということはちょっと考えられませんですけどね。 例えば我々の委員会だって、法務省の方でこの仕組みをいただきました、いかにこの法律上定めた要件が満たされた機能であるかという業者の詳細な資料をいただきました、我々はそれを信用して議論をしているわけでして、出された資料が本当かどうか、じゃ実際に我々が行ってチェックするなんということはできないわけでして、それからそうしたこともやらないわけでありまして、まさに刑事訴訟法上の令状の発付要件があることを審査するその裁判官に、警察が実際に導入した特定電子計算機のこの機能が法律の要件どおり間違いないものかどうかを審査させるというのは、それは空論だと思いますよ、幾ら何でも。 私は、そうではなくて、実際にそのコンピューターのプログラムをきちんと解析できる人、そうした専門家がこうした刑事訴訟法上の要件を備えているかどうかをやはり検査する、審査するのが必要であって、裁判官にはそういうことはできないでしょう。できないことが悪いんじゃなくて、裁判官には元々そういうことまで要求をされていないわけですから。 ですから、私は、そういう裁判官が審査するからという空論ではなくて、実際に導入されている特定電子計算機が刑事訴訟法上のこの要件を確実に満たしていると、しかも改変できない運用がされているということを第三者にチェックさせる、そうした機関なり制度を設ける必要があるんじゃないでしょうかとお尋ねしておるわけであります。 もし局長が答弁するなら、手短にお願いいたします。
○政府参考人(林眞琴君) やはり特定電子計算機が備えている機能、またそれが改ざんされないという機能、こういったことについては、実際にその装置の仕様書というものができますし、また、その当該装置を製造した民間業者、捜査機関ではない民間業者がこの仕様書に沿って製造したものであることを証する文書と、こういったものを請求に当たっての疎明資料として提出することになりますので、そういったことを通じまして、裁判官においてこの特定電子計算機の機能があるかどうかということについては判断することは可能であろうかと考えております。
○小川敏夫君 だって、私たちが例えば三菱の自動車を買って、カタログどおりに、ああ、これは燃費は幾らと書いてあれば、それを信用しますよ。自分自身で調べる能力なんかないですよ。やはり今言われた例だと、業者が特定電子計算機の機能を持っていますと説明してきたら、裁判官はそれを信用して判断するしかないでしょう。それを実際に調べる、実際にそのプログラムを解析して調べることはしないでしょうし、調べることもできないと思いますよ。また、そこまで裁判官にも要求されていません。 だから、局長の答弁はちょっと空論に過ぎますよ。私はそんなに難しいことを聞いているわけじゃないので、要するに、特定電子計算機について刑事訴訟法上でこうした要件を定めたんだから、その要件が充足されているかどうか、それは導入時なり運用をしているときに審査、検査をするということについて公安委員長は内部でしっかりとやると言っていたけど、そうじゃなくて、外部にそうしたものをチェックする機関を設ける気はないですかと聞いているわけですから、あるというのか、それともその必要はないというのか、この答弁は二つしかないので、一言で終わる質問をしているんです。どうでしょう、これは。
○政府参考人(林眞琴君) 裁判官においてこの特定電子計算機の機能があるかないかについてそれが判断できないとなればこの請求については許可されないわけでございまして、最後に裁判官にその判断をしていただくためには、ぎりぎりの状況としては、法律の建前としては裁判官としては事実の取調べということができます。そうすれば、その追加の資料を提出を求めることもありますし、あるいはその裁判官において専門家に意見を求めるということもこれは可能でございますので、そういった手続の中で、裁判官に向けていかにこの特定電子計算機の機能を備えているものであるかどうかということは理解をいただくということを捜査機関としてはすることになりますし、裁判官においても、疑問があれば、そういった事実の取調べをするということを通じて法定の機能を確保していくということになろうかと思います。
○小川敏夫君 結論として、第三者機関の審査、検査は要らないということですか。
○政府参考人(林眞琴君) 個々の請求の段階におけるその裁判官の判断でこれは審査がなされるべきであると考えております。
○小川敏夫君 だから、第三者機関の審査、検査は要らないということですね。
○政府参考人(林眞琴君) 裁判官の審査で足りると考えておりますので、第三者機関の必要性は考えておりません。
○小川敏夫君 裁判官の審査で足りると言ってもそれは余りにも空論で、その空論で押し通すというのはちょっと無理じゃないかと思うんですけど。 まあ次の質問に行きますけれども、この特定電子計算機ですけれども、要するに、通信事業者において暗号化して、それを捜査官、警察の方に送信すると、こういう仕組みになっています。それから、特に一時保存方式では、通信事業者においてこれを一時保存して、そして警察の方に送信すると、こういう仕組みになっています。そうしますと、この装置は通信事業者の方にも、そうした暗号化する装置、それから送信する装置、あるいは一時保存であれば保存する装置というものが当然これは通信事業者の方に置かなくちゃいけないわけです。 これは、そうすると、この特定電子計算機の機能を備えたその装置を通信事業者側に設置しなければならない、それは恒常的に設置するのか、その都度それを持っていって設置するのかは別にしまして、通信事業者の場に設置しなければならないと。これはどちらが、どちらというのは通信事業者なのかあるいは警察なのか、どちらが設置するんですか、その機器を、あるいは装置といいますかね。それを通信事業者が設置するんですか、警察が設置するんですか。
○政府参考人(三浦正充君) その設置主体が誰かという御質問であれば、それは通信事業者ということになると思いますけれども、事業者施設において暗号保存する際に用いる機器でありますとか、また通信事業者が通信の暗号化や伝送に用いる機器などにつきましては、現時点ではでありますけれども、警察庁において費用負担を行うことを検討しているところであります。 事業者に今後一定程度の負担をお願いをするという場面はあるというふうには思いますけれども、その負担が余り過度なものとはならないように、事業者との協議、調整も今後行ってまいりたいというように考えております。
○小川敏夫君 通信事業者は捜査に協力するはいいとしても、通信事業者に費用を負担させるという、捜査のために通信事業者に費用を負担させるというのは少し構造的におかしいのではないかと思うんですが、そこはいかがでしょう。
○政府参考人(三浦正充君) 具体的には今後通信事業者の方と様々な調整を行っていくものではありますけれども、やはりこういった全体のシステムを整備をしていく中で一定程度通信事業者に負担をお願いをせざるを得ないというものもあるとは理解をしております。ただ、その負担が過度なものとはならないように、事業者との十分な協議、調整を行ってまいりたいと考えております。 なお、先ほど申し上げたことの繰り返しですけれども、通信事業者が通信の一時保存、暗号化やその伝送に用いる機器につきましては、現時点では警察庁、私どもの方で費用負担を行うということを検討しているところでございます。
○小川敏夫君 そうすると、特定電子計算機のこの機能の部分、これは全部警察が用意するということですか。そうすると、通信事業者は何を、私の質問は初めから特定電子計算機の機能を備えたその装置のことを聞いていたんだけど、じゃ、その特定電子計算機の機能を備えた装置、これは通信事業者の場所に置くだけであって、その装置そのものは警察の方で費用負担、それから装置そのものを持ち込んで行うと、こういうことなんですか。
○政府参考人(三浦正充君) 装置そのものについては警察の方で調達をして、その後、通信事業者の方でそれを保管をして使用するということになりますけれども、そういったやり方について今検討しているところでございます。 ただ、一切その通信事業者の負担がないのかといえば、それは恐らくそうではなくて、一定程度の負担をお願いをするという場面は出てくるであろうと。ただ、それが余り過度なものにならないようにということで現在考えているところでありまして、具体的には今後事業者の方と十分な協議、調整を行ってまいりたいと考えております。
○小川敏夫君 負担ないというような趣旨から一定程度となって最後は今後協議するとなるから、何かだんだん膨らんでいっちゃうようなことがちょっと言葉の端々から感じたんだけど、まあそれは何兆円規模の収支がある大手の通信事業者から見れば大した費用じゃないかもしれないけれども、本来の趣旨として、捜査に協力していただくのに、その費用を協力していただく相手方に出させるというのは少し筋が違うんじゃないかなと思ってちょっと聞いたわけですが。 負担させないとは言わないから、今後協議するということならそれは協議にまつかもしれないけれども、趣旨としては、私は、捜査なんだから、捜査する側が負担すると思うんですよ。どうですか。
○政府参考人(三浦正充君) もとより、捜査機関側において負担をする、予算等によって調達をしていくということが基本であるとは思いますけれども、他方、通信事業者におきましても、公共的な性格を有する業務を行っているわけでございますので、一定程度の負担をお願いをすることはやむを得ない場合もあるだろうというように考えております。 ただ、やはり民間企業でありますので、その負担が過度なものとならないようにという点についてはそのとおりであるというように考えておりまして、今後、通信事業者等と協議をして、その点についても適切に対応をしてまいりたいということでございます。
○小川敏夫君 だから、一部負担していただく方針だということなんですね。同じことを繰り返してもしようがありません。 それで、また別な角度からお尋ねします。 私、捜査というものはこれは当然警察、捜査側が行うものでして、これまでも捜査について民間の協力をいただくということはあった、でも、あくまでも、協力をいただくことはあっても、捜査の行為そのものはこれは当然警察なりの捜査官が行っておったわけです。 今度、一時保存方式の通信傍受というものがありました。この一時保存方式の通信傍受の場合の一時保存する行為は、実は警察ではなくて通信事業者が行うわけですね。だけど、この一時保存行為というのは、単なる捜査の協力じゃなくて、通信を、会話を収集する、捜査目的で収集するという捜査の活動の一部ではないか、警察が行う捜査に協力するんではなくて警察が行うべき資料収集そのものを通信事業者が行うと、こういう構造になると思うんですよ。そうすると、これは、民間に対して協力をいただくんじゃなくて民間に対して捜査行為の一部を行っていただくと、こういうような法的構造になると思うんですが、これは法務省の答弁だと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおりでございまして、一時保存の形で行う場合に、通信事業者が暗号化して、そして一時保存をすると、それによって、その部分といいますのは傍受の実施過程の一部でございますので、基本的にはそれは委員御指摘のとおり、傍受という捜査手続の中の重要な一部を通信事業者において行っていただくということを意味しております。
○小川敏夫君 それで、捜査は警察が刑事訴訟法にのっとって、任意捜査も含めて警察が行うということは原則ですけれども、その捜査活動に、協力ではなくて、捜査活動の一部を民間事業者にやらせる、しかも、この法律上は命じるとなっているわけです。つまり、捜査側が民間業者に命じて捜査活動の一部である行為を民間人に、これは企業でしょうけれども、民間人に行わせるというのは、これは、こういう仕組みは過去なかったように私は思うんですが、どうでしょう、捜査活動の一部を民間人に命じて行わせるというような、こうした形態は今回がこれ初めてだと私は思うんですが、これはいかがですか。
○政府参考人(林眞琴君) 現行の通信傍受法との比較におきましては、今回初めて、こういった通信傍受の一過程について捜査機関ではない通信事業者において実施するということを今回導入しているものでございます。 この点につきまして、現行の通信傍受法では「必要な協力を求めることができる。」と一方でなっておりまして、今回、一方で、一時保存の場合には「通信管理者等に命じて、」と、このように法文の書き方が異なっている理由について少しお話をさせていただきたいと思いますが、現行法の十一条でいけば、通信事業者に対して「傍受のための機器の接続その他の必要な協力を求めることができる。」と、こうなっているわけでございます。これは、捜査機関が現行法の傍受を実施するに当たっては、やはり傍受のための機器の接続などを自ら行うことが事実上困難な場合が多いということに鑑みまして、これらの行為について通信事業者等に補助を求めることができるという趣旨でございます。しかしながら、現行法のこの十一条におけるその行為の主体自体は捜査機関でございます。仮にこの必要な協力が得られない場合であっても、行為の主体は捜査機関でございますので、法律上は捜査機関が自ら自力で執行するということは可能であるわけでございます。 これに対しまして、本法律案の、通信傍受法の二十条第一項、また二十三条第一項におきまして、通信管理者等に命じて通信の暗号化や暗号化信号の一時的保存、また暗号化信号の特定電子計算機への伝送、こういうことを行わせる旨を規定しているわけでございますが、これは手続の適正をむしろ確保する観点から、捜査機関がその部分について自ら行うことを許さない、通信管理者等においてこれらの行為を行わせることのみができるという趣旨でございます。この場合のその部分を行う行為の主体は通信管理者等となります。 したがいまして、ここにおいて、通信管理者等においてこの部分の行為をしなければ捜査機関が自力で執行できるという関係にはなりません。これは、やはりその重要な一過程を通信管理者等において担っていただくことがその手続の適正を確保することで重要であるという観点からこのような規定としたものでございます。
○小川敏夫君 私はその規定の趣旨を聞いているんじゃなくて、要するに、これまでの刑事訴訟法あるいは刑事訴訟に関連する法律の中で、警察が捜査に対する協力ではなくて捜査活動のその一部を民間に命じて行わせるというような仕組みがこれまでにあったかどうかを聞いておるのでありまして、局長の答弁は、随分と長々と答弁していたけど法律の解説しているだけで、私の質問には答えていないんですよ。 つまり、私は、捜査側が命じて民間人に捜査活動に属する行為の一部をやらせるというのは、これはこれまでにないことですからどうなのか、捜査の在り方として民間人に捜査の一部を行わせることを命じるということについての法的な問題をもう少し議論するべきじゃないかという観点からお尋ねしたわけであります。 ですから、私がそれで局長にさっき質問したのは、この法律以前に捜査側が捜査に属する行為の一部を民間に命じて行わせるような仕組みがありましたかと聞いているんです。ないならない、あったんならあったということを回答していただければいいんで、この法律の解説のためにそんな何分もお話しいただいても困るんです。
○政府参考人(林眞琴君) 同種の規定といたしましては、刑事訴訟法に記録命令付差押えという手法がございます。刑事訴訟法の九十九条の二でございますけれども、これにつきましては、「電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。」と、このようにございまして、差押えの前提として記録をさせるということをこの権限を有する者に命じるという形で強制処分を行うという規定がございます。
○小川敏夫君 それは、コンピューターに入っている情報を言わば文書化するといいますか、そうした作業をさせるということですよね。時間がなくなっちゃって、時間の関係で今は答弁要りません。 今度、裁判所なんですけれども、裁判所にお尋ねするんじゃありません、質問は法務省です。 この法律は、これまで裁判所というのは令状の発付を審査するだけで、審査した上で相当と認めれば令状を発付していたというのが裁判所の行う事務です。今度は、この法律では、裁判所が暗号と復号に関して、まさに復号のキーですか、こうしたものを管理するということが加わっておるわけであります。 そうすると、私は思うんですよ、これもう、裁判所はこれまで捜査そのものには一切関わらないと、ただ請求があった強制捜査に関する令状請求について、その令状請求が適正だったかどうか、これ判断して、適正と認めれば発付していたということしか行わなかったわけです。 今度は、令状を発付した後に捜査官が行う捜査活動に関して、復号キーを管理するという、まさに単なる申請について判断して令状を発付したというこれまでの業務の範囲を超えて捜査活動の中に、復号キーを管理するという捜査活動そのものの、捜査活動の一部について裁判所が関与するようなそういう構造になったんじゃないか。これ、裁判官の在り方として、裁判官が令状を発付したという審査だけじゃなくて、発付された令状の執行行為の一部に裁判所が関与する仕組みというのは、裁判所の在り方として私は疑問があるんじゃないかと思ってお尋ねしておるわけであります。 この裁判官が復号キーを管理するというのは、実は警察の捜査活動の一部を管理しているということに私はなるんじゃないかと思うんですけど、これは、法務省、どうです、その点については。
○政府参考人(林眞琴君) 今回、鍵を作成して交付するということが裁判所の職員において行われるわけでございますが、こういった事実行為をする、裁判所においてそういった事実行為をするということを法律で定めている例といたしましては、通信傍受法の中では傍受の原記録を保管するということがございます。もとより、それは傍受令状が出てからの話でございますが、いずれにしましても、この傍受の原記録の保管という事実行為につきましても、今回の鍵を作成して交付をするということにつきましても、通信傍受手続の中での手続の適正を確保するために裁判所にこのような事実行為の一部を行っていただくということで今回定めているわけでございます。
○小川敏夫君 原記録の保管は捜査活動じゃないですよね。捜査を行った活動の記録を、ただ記録が裁判所に届けられて、提出されて、裁判所は保管するだけです。 しかし、暗号の復号というのは、まさに捜査の一環として会話を暗号化して、復号化して、再生して聞くという捜査活動の一連の流れの行為なわけですよ。原記録の保管というのは捜査活動じゃありません。しかし、暗号化した情報を復号するというのは、これはまさに傍受をするための一連の作業の中の一つです。まさに、そうすると裁判所が捜査活動、つまり、令状発付という強制捜査をしていいかどうかの判断だけじゃなくて、今度は裁判所が許可した捜査活動についてその一部を裁判所が、司法が行うという構造になっているんじゃないかと、それは司法の在り方として大きな原則を、司法の在り方に関する大きな原則を一歩踏み出してしまったんではないかという疑問があるから私は質問しておるわけです。原記録とは違うと、原記録は捜査じゃないと思うんですけど、しかし、この復号に関しては私は捜査活動の中の一つの行為だと思うんです。 局長の答弁が随分長いし、私の質問に端的に答えていただけないんでもう質問時間が来ちゃいました。本当にまだまだ、残念ですけど、まだ本当に聞きたいことがありますけれども、私の質問、これで時間が来たんで終わりますけど、最後のところ、私は、原記録は捜査じゃないと、この復号キーの、暗号の復号は捜査活動の一環だからという私の指摘について簡単に答弁いただいて、私は終わります。
○政府参考人(林眞琴君) 確かに、原記録の保管というのは傍受が終わってからの手続でございますので、その意味では傍受という捜査手段の結果が発生してからの裁判所の関与ということになりますが、いずれにしても、捜査活動の全体としてその適正の確保のためにそういった機能を裁判所において行っていただくということでございまして、今回の鍵の交付というものも同じくやはりこの傍受という捜査活動の適正確保のために一部を行っていただくと、こういう形で法定しているものでございます。
○小川敏夫君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 一昨日、私は通信傍受の対象犯罪の拡大について大臣と御議論させていただいたわけですが、その議論の中でも、大臣が組織犯罪として前回確認をされた四類型というふうに限定をされるとおっしゃるんだが、その厳格な要件という組織犯罪性というのは、この法案上の対象犯罪の要件にも、そして令状審査の傍受の要件にも反映されないと。だから、盗聴が広く窃盗や詐欺の一般犯罪の捜査にまで広げられるのではないかという懸念は法文上全く払拭されないではないかということを明らかに私はなったのではないかと思うんですね。 そうした下で、傍受令状が発付された場合、今度の法案によりますと、言わば特定電子計算機という機械あるいは技術というものに絶対的な信頼を置いて、人間の第三者の立会いという目による監視は一切ない。しかも、これまでは通信事業者の限られた傍受場所に行かないとできなかったけれども、これから先、警察の特定電子計算機の開発と予算の確保次第では、いながらにしてどの都道府県警あるいは警察署でもこの通信傍受が可能になると。その下で、第三者の目の全くない秘密処分にほかならないではないか、ここで膨大な侵害されるプライバシーというのは、これは極めて捜査機関による濫用のおそれというのがあるではないかと指摘をしてまいりました。 その通信傍受の問題について今日続けてお尋ねをしたいのは、この傍受を実施する場合に、小川議員が繰り返し問われてきたスポット傍受というのがあります。 改めて申し上げると、令状で傍受を認められた罪というのは具体的な疑われている組織犯罪の事実であるはずなわけですね。実際、傍受する通話が組織犯罪として疑われている事実に関連するのかどうか、ここを通話の場合判断しなければならない。これ判断して初めて傍受をすることができるということになるわけです。それをスポット傍受というふうに言っているんですが、私どもの委員会の視察において警察は、例えば令状をもって傍受を始めると。ここで通話が始まったときに三十秒間この通話を聞いて、この間に犯罪に関連する通話はないということになったらば一定の時間のインターバルを空けて、更に例えば三十秒スポット傍受を行って、ここでもまた犯罪関連の通話がないとなると一定のまたインターバルを置いて、これを繰り返す。これをどれだけ繰り返すか、あるいは一旦傍受をやめて、けれども通話がずっと長く続く場合は、改めて、犯罪関連通信が行われているのではないかという容疑の下にこのスポット傍受を再開するなどの説明をされたわけですね。 このスポット傍受の、例えば何十秒スポット傍受をする、あるいは何秒置いてスポット傍受を再開するというようなことというのは、これ警察庁に伺いますが、どんなふうにして決まるんでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) お尋ねのいわゆるスポット傍受の詳細のやり方につきましては、国家公安委員会規則において定めがございまして、例えばそのスポット傍受における傍受中断の時間については、あらかじめ警察本部長が指定をすると、そのようなことになっております。
○仁比聡平君 今御紹介のあった国家公安委員会の規則というのがここにあるわけですが、もちろん規則なんですから、文字の体裁といいますか条文の体裁を取っているわけですけれども、ここには、スポット傍受を何秒行う、インターバルの時間を何秒とするという、そうした規定はないわけです。先ほど三浦局長が御答弁になったように、それは警察本部長が決めるということですね。 この警察本部長が決めるというのは、これ、何かその決め方についてのルールというのがあるんですか。
○政府参考人(三浦正充君) どれぐらいの時間まず聞くかといったようなことについてのある程度の標準的なものというのはあるわけでございますけれども、ちょっとそれを対外的に、具体的にそれが何秒ですといったようなことを明らかにいたしますと、当然それは犯罪組織の側に対抗措置を講じられてしまうといったことになりますので、その具体的な時間ということについてはお答えは差し控えているところではございますけれども、あらかじめ本部長が、そのスポット傍受の時間、どれだけの時間を聞いて、そしてどれだけの時間インターバルを空けるかということについては具体的に指定をするということになっているところでございます。
○仁比聡平君 ある程度の基準があるというのは、つまりスポット傍受を行う場合に、何秒という基準なのではなくて、言わば幅を持った基準であると。今の御答弁の中にありましたが、具体的に指定するということですから、個々に行う傍受の実施ごとにそれぞれ警察本部長が決めると、そういうことになるわけですね。
○政府参考人(三浦正充君) その時間の基準につきましては警察庁が示しておりまして、その基準の中でといいますか、それに基づいて個別の事件ごとに警察本部長が指定をすると、そのような仕組みになっております。
○仁比聡平君 個別の事件ごとに警察が決めるんだというふうにおっしゃっている。それで、ある程度の基準はあるんだけれども、けれどもこれは容疑者あるいは組織犯罪の集団に対抗措置をとられたらまずいから、これは言ってみれば捜査上の秘密だと、そういうことでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) それは捜査上の秘密ということに該当すると考えております。
○仁比聡平君 その捜査上の秘密であるところの、つまり傍受の実施の仕方ですね、これは傍受令状を請求するときに裁判所には説明をするんですか。
○政府参考人(三浦正充君) それは傍受令状の請求事項ではございませんので、裁判所に説明をするということはございません。
○仁比聡平君 大臣、今の警察の答弁、つまり、厳格な要件が定められている、これが裁判所の判断によって審査をされると、だから私が前回確認した四類型、これ以外の傍受が行われるということはこれは言ってみればないのだと、実際にこれらの厳格な要件を満たす事案は組織的な犯罪に限られることとなりますというふうに御答弁され続けているわけですが、令状を取ってどのような傍受を実施するかというのはこれは警察が決めることなのだ、捜査上の秘密なのだというわけです。しかも、令状発付のときに裁判所にどんな傍受をするのかということを説明することもないのだということなんですね。 それを前提に林局長にお尋ねをしますけれども、この傍受令状というのは一体何が記載事項になっているのか。この記載事項になっているというのは、つまり裁判所が何に対して証拠に基づく判断をしなければならないのかということになるわけですけれども、これ、警察や検察の請求に対して裁判所は何を審査するんですか。
○政府参考人(林眞琴君) 傍受令状の請求がありますと、法定の要件についてそれを満たしているかどうかを裁判官において判断し、かつ相当と認めるときに令状を発付するというわけでございます。 その際に発付されるのが傍受令状でございまして、傍受令状につきましては、現行の通信傍受法六条にありまして、その記載事項が定められております。その中で、被疑者の氏名でありますとか被疑事実の要旨、罪名、罰条、傍受すべき通信、傍受の実施の対象とすべき通信手段、傍受の実施の方法及び場所、傍受ができる期間、傍受の実施に関する条件、有効期間及びその期間経過後は傍受の処分に着手することができず傍受令状はこれを返還しなければならない旨、こういったものなどをこの傍受令状に記載するというふうに定められております。 それによりまして、実際の傍受の実施に当たりましては、例えばその中に掲げられている、傍受令状に掲げられている通信手段に特定して傍受を実施するのは当然でございますし、その際に、この傍受令状に掲げられている傍受すべき通信ということ、この内容に即して傍受を行うことができるという限定が掛かってくるわけでございます。
○仁比聡平君 条文の用語が続きますから少し分かりにくかったかもしれませんけれども、何だか限定が掛かっているかのように言うけれども、結局、令状の発付を受けた警察が実際に誰の目もないところで特定電子計算機を使って通話を傍受するときに何秒聞いていいのかということについては、裁判所は全く審査を行わないんですよ。令状にはそういう限定条件は記載をされません。 ちょっと引っかかるかもしれませんから、この第六条にそれにもしかしたら関わるかなと思われる条文として、「傍受の実施の方法」、「傍受の実施に関する条件」というのがありますけれども、この記載事項は何を意味しているんでしょうか、局長。
○政府参考人(林眞琴君) まず御指摘の傍受の実施の方法、記載事項の一つでございます傍受の実施の方法につきましては、これは、例えば電話の傍受の場合でありますれば、傍受録音機器を電話番号○○○○の回線に接続することにより実施するなどと記載されることとなります。 次に、傍受の実施に関する条件については、これは、例えば裁判官が傍受の実施をすることができる時間帯を一日のうち午後五時から午後十一時までの間というように限定する条件を付する場合、その条件の内容がこの令状に記載されることとなります。
○仁比聡平君 今の御答弁でお分かりのとおり、そもそも令状発付の要件であるところの組織犯罪性というのは、これは極めて曖昧なものであって、二人以上の容疑者があらかじめ共謀しているというふうに、役割分担を共謀しているというふうに捜査機関から疑われれば、そうすれば窃盗あるいは詐欺という、罪名はそうした一般的な犯罪に当たり得るという、そういう容疑で令状請求ができる。その被疑事実を裁判所がああそうですかということになれば、現にその令状をもって傍受を実施するところでの該当性の判断、つまり犯罪に関連していない通話でも聞くことのできる時間というのは、これは裁判所の審査は全く受けていない、それを個々の事件の捜査において決めるのは警察であると。局長、つまりそういうことですね。
○政府参考人(林眞琴君) スポット傍受の時間の間隔について申し上げれば、それについて裁判所の審査は経ていないわけでございますが、法律で必要最小限度の範囲で行うとなっておりますので、警察が定めたスポット傍受の時間の間隔は、必ずそれが必要最小限の範囲であるということを認めているわけではございませんので、結局、そのスポット傍受の時間間隔の定め方のいかんにかかわらず、結果としてなされた該当性判断の傍受が必要最小限のものであったかどうかについては後に事後の検証の対象となるということでございます。
○仁比聡平君 そこを次にお尋ねしたいんですよね。 現行法なんですけれども、十三条の一項に、これに必要な最小限度の範囲に限り通信傍受をすることができるという規定があります。けれども、その主体は誰かというと、検察官又は司法警察員なんですね。傍受令状が発付される、具体的に実施の現場に臨むその検察官、警察官が、これに必要な最小限度の範囲に限り傍受をすることができるというふうな規定ぶりになっています。 この必要最小限度というものを判断するのは、この現行法十三条一項の上では一体誰なんでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) この現行法の十三条では、傍受ができるという権限を検察官又は司法警察員に与えているわけでございますが、この該当性判断のための傍受の権限を与えているわけでございますが、その際に、必要最小限度の範囲に限りという限定をこの規定で加えているわけでございます。 したがいまして、この該当性判断の傍受について必要最小限度の範囲に限りというまず判断をするのは、当然その実施する検察官又は司法警察員となります。その上で、法の限定を守っているかどうかということが後に検証の対象となるということでございます。
○仁比聡平君 その必要最小限度の範囲に限りというのは、つまり、捜査官が個々の傍受ごとに判断する、先ほど来警察に伺っている国家公安委規則だとか個別具体事件ごとに警察本部長が定めると言っているのは、つまりそれの中身は、法十三条一項の実施はこれは警察の捜査の秘密の下でやっていくんだという、そういうことなんでしょう。
○政府参考人(三浦正充君) 先ほども御答弁がございましたように、通信傍受法第十三条第一項では、司法警察員が必要な最小限度の範囲に限られた中で該当性判断のための傍受を行うと、このように定めがございます。 具体的には、いわゆるスポット傍受と呼ばれる方法により行うわけでありますけれども、このスポット傍受の時間、中断の時間も含めまして、これはあらかじめ警察本部長が指定をし、その枠の、そのように定められた時間をきちっと守って現場で実施をされると、そのようなことになっているわけでございます。 更に申し上げると、警察本部長は警部以上の警察官を傍受実施主任官として指名をすることとされておりまして、この傍受実施主任官の指揮監督の下、捜査員があらかじめ定められた手順に従って犯罪関連通信の該当性の判断を行いつつ傍受を行っております。 また、この時間というのはあくまで現場で勝手に変えられるものではございませんで、あらかじめ指定をされた時間に従って基本的には機器をそのようにセットするわけでありまして、その定められた時間が来るともう自動的にその通話が中断をされる、そこでインターバルに入ると、そういう機械の設定を初めからそのようにするわけでございますけれども、そうしたやり方に従って傍受を行っているところであります。ですから、現場の裁量で勝手にその時間を引き延ばしたりとか、そういったことは一切できないと、このような仕組みになっております。 また、このスポット傍受の結果といいますか実施の状況といいますのは、もちろん様々な書面に克明に記載をされるほか、原記録に残りまして、それはそのまま裁判官に提出をされるということでございますので、どのような時間スポット傍受を行ったか、最初にどれだけ聞いたのか、どれだけ間隔を空けたのか、そういったことについては事後的にその原記録において検証可能なような仕組みになっているわけでございます。
○仁比聡平君 今、三浦局長がおっしゃったような、つまり警察がやるんですということなんですよ。それは現行法でも、それから改定案で新たな機能を備えたと称する特定電子計算機が開発をされ、それがたくさん納品をされるという下でも同じなんですよ、暗号だとか民間事業者がちゃんと検証するだとか、そんなような議論があってきましたけれども。つまり、具体的に令状発付を受けてこの事件について通信傍受をしようとするときに、その個々の具体的な事件ごとにスポット傍受の時間というのは警察本部長が決めて、もちろんその傍受の前にセットするということなんでしょうけれども、その電子計算機にあらかじめ決められた個別事件ごとの傍受のやり方を設定する、セットするというのは、これは警察がやるんでしょう。
○政府参考人(三浦正充君) そうしたスポット傍受の具体的な時間でありますとか、そういった設定は警察が行うことになります。
○仁比聡平君 そして、それをどのような決め方でやるのかは捜査上の秘密だから裁判所にさえ明らかにしないというわけです。それは、つまり、第三者の目の全くない、監視のないところで秘密処分を行うということにほかならないんですよ。 これまでは通信事業者の立会いがありますから、何だかえらく長いこと聞いているなと、あるいはその間にメモをしきりに取っているなとかというのはこれはおかしいなという外見があるわけですけど、この改定案で特定電子計算機を持ち込んで、立会いなしに、いながらにしてということを可能にすれば、私が申し上げているようなことをやることはこれは可能になる、仕組み上は。しかも、さっきちょっと例示した三十秒というふうに限る必要もないわけでしょうから、個別事件ごとに何だかもっと幅のある、幅のあるというか、もうちょっと長いような時間だって設定もし得るのかもしれない。 そうはいっても、原記録に傍受したところが残るんだから、だから問題ないじゃないかと言われるけれども、これはもう繰り返しこの場で議論されてきたように、犯罪関連通信で傍受記録が作成をされなければ通話の当事者には通知もないんですから、裁判所には保管されているかもしれないけれども、それを誰かが検証するって、そんな機会はないんですよね。 そこで、林局長にお尋ねをしますが、現行法の二十六条に不服申立ての手続があります。これは、不服申立ての手続は、当事者が通知を受けない限り、知らない限り申立てのしようがないじゃないですかと私も小川議員も繰り返して質問してきたんだから、それはもう今日はいいんですが、この不服申立て手続以外に今議論をしている法十三条の必要最小限度性、これについてただされる機会、争われる機会というのがどこかにありますか。
○政府参考人(林眞琴君) スポット傍受というのは、必要最小限度の範囲に限るための一つの方法にすぎません。したがいまして、そのスポット傍受を、警察において定めた期間は必ず、その期間、時間だけは必ず該当性判断のための傍受ができるということになるわけではございません。したがいまして、その結果が必要最小限度の範囲に限られているかどうかというのは事後に検証の対象となります。 その検証の対象としての手続といたしましては、一つには、その該当性判断のための傍受が法律で言う必要最小限度の範囲に限られている適正なものであったかどうかは、まずは通信傍受法二十六条第二項の規定による不服申立ての手続等において争われますが、それ以外には、例えば傍受記録又は複製等の取調べの請求があった被告事件、実際の刑事事件でございます、こういった事件においてやはりその点が争われ得ると考えております。
○仁比聡平君 結局、通信傍受が行われたらば、その時点で即時にプライバシー侵害というのは完成するんです。ところが、その当事者に通知は行かないわけですから、そんな傍受はやめてくれ、おかしいではないかという不服の申立てはやりようがないわけです。 その不服申立ての手続以外に争われ得るというのは、今局長がもう一つおっしゃった、その情報を刑事裁判の有罪証拠として捜査機関が取調べの請求をするという公判廷において、その証拠は一体何だと弁護側が争って、前回もちょっと議論しましたけれども、違法収集証拠ではないか、必要最小限度ではないではないかといって、その証拠として使うことはおかしいという、そういう争いをするときだけなんですよね。 違法収集証拠として排除されることも現実の裁判の例では極めて限られているわけですが、更に問題は、そうやって一旦プライバシーを侵害することによって警察が得た情報は、前回も指摘をし、確認をされたとおり、取調べで当てて自白を迫ることもできるし、捜索、差押えのほかの令状を発付する資料としても使うことができるし、何でも捜査に利用できるわけです。第一、起訴して、そのひそかに盗み聞きした証拠を出して有罪立証するという場面にならないと通話が傍受されていたということが分からないみたいなそんな状況で、一体どれほど卑劣な捜査が行われるか。 しかも、今日も確認されたとおり、特定電子計算機というと、何だかそれが本当に技術的に信頼できるかのように思いがちだけれども、それを使うのは人間ですから、セットするのは警察なんですから、それも何か基準があっているんじゃなくて、個別の事件ごとに警察が決めるんですから。そこに濫用の危険を感じないというのは、私はとんでもない刑事裁判、そして捜査に対する認識不足だと思いますよね。 そうした下で、もう一つ確認をしたいのはメールの傍受です。 このメールの傍受、あるいはSNSもそうなのかもしれませんが、これは、今お話ししてきた通話の傍受とは法律上の性格が違うということになっています。 そこで、お尋ねするのは、メールというのは、これは皆さんも経験のとおり、一瞬にして一覧できるものなんですよね。メール全体が配信されるじゃないですか。だから、これを見れば全部一読できるわけだけれども、このスポット傍受というのは一体どうやって行うのか。三浦局長、何文字で該当性の判断をするというんですか。
○政府参考人(三浦正充君) メールにつきましては、傍受を行うと同時に順次内容を判断することができる電話とは異なりまして、当該通信に係るデジタル信号の全体を一旦傍受した上で一定の方式で復元処理を行わなければ、その内容を知ることは困難であります。そのため、メール等を傍受する場合は、外国語通信や暗号を用いて行われる通信と同様に、通信傍受法第十三条第二項の、傍受のときにその内容を知ることが困難なため傍受すべき通信に該当するかどうかを判断できないものに当たるものとして、その全体の傍受を行うこととなります。 もっとも、この全体の傍受を行うといいましても、それは警察の保有するメール傍受装置に当該通信を取り込むのにとどまりまして、この段階で捜査員が当該メール全体の内容を閲覧するという運用は行っておりません。すなわち、その全体の傍受を行ったメールが犯罪関連通信に該当するかどうかの判断におきましては、これも国家公安委員会規則で定めておりますが、必要最小限度の範囲で閲覧を行うこと、その閲覧を行った部分を記録しておくこと等を義務付けているところであります。 具体的には、音声の場合のスポット傍受の方法に倣いまして、まず一部に限って画面に表示をさせ該当性判断を行い、判断が付かない場合には一旦中断をするといいますか、閲覧しない部分を残してスポット中断をした上で次の一部をまた閲覧をすると、こういった方法を取ることとしているところであります。
○仁比聡平君 お分かりになりましたでしょうか。つまり、メールというのは何らかのソフトで文字化しないと中身が分かりませんから、これは法律上は、外国語での通話とかあるいはファクスの送受信とかと同じような性格のものとして扱われている。その通信は、これは全部丸ごと警察がまず取り込むんだというお話ですね。 〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕 でもって、これ、だけれども全部を閲覧するわけではないんだという局長のそこの御答弁のところに、全てを閲覧する運用は行っておりませんというふうにお答えになりました。運用は行っていないというのは、つまり、それは警察の運用としてそうしているのであって、法律上規制されているわけではないという御趣旨だと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(三浦正充君) そのとおりでございまして、確かに法律にそういった規定はございませんけれども、その法律の第十三条第一項の趣旨、つまり必要最小限度で行うといったこの趣旨に鑑みまして、私ども、内部規則等によりましてそうしたスポット傍受の方法に倣ったやり方でメールについても閲覧をすると、このようにしているところでございます。
○仁比聡平君 つまり、そのようにしているだけであって、法律上求められていないんですね。通話の場合は犯罪関連通信かどうかの該当性を判断するために必要最小限度の範囲に限るというそうした規定になっているんだけれども、メールも含むそうではない通信については全部の傍受をすることができる、全部取り込むことができるという規定になっていて、あとは速やかに傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行わなければならないだけであって、その該当性の判断が必要最小限度でなければならないという要求がそもそも法律上ないんです。 今は、三浦局長が説明するように、捜査上の秘密で、何文字で判断するのかというのはお答えになれないということなんだと思うんだけれども、そういう犯罪関連の該当性の判断を仮にしているとしても、これ例えばメールなんですから、その犯罪関連に当たりそうなワードを検索を掛けるとかすればこれは一気に分かりますし、大体文章として、どれだけのデータ量か分かりませんけれども、二行とか十行とかというふうに決めれば、もう大体見えてしまうというようなことにもなるわけですよね。 そうしているのではないのかということを聞いているんじゃない、そういうことにできるんじゃないんですか、全部検索を掛けるということだって法規範上は可能なんじゃないんですか。
○政府参考人(三浦正充君) やはり通信傍受法の趣旨全体からしましても、メールに関しましても必要最小限度の範囲に限って閲覧をするということは、法律上の明文の規定ではないとしても求められているというように私どもは理解をしておりまして、したがいまして、先ほど来御説明をしているとおり、様々な内部規則等、通達等も含めまして、そういったことによりまして一部に限って順次閲覧をしていくと、こういった方式を取っているところでありまして、これに違反をしてそういった閲覧を行えば、それは内部規定違反、規律違反ということになるわけでございます。
○仁比聡平君 つまり、警察の内部規律違反になるだけであって、法律上違法な傍受にはならないんですよ。 これだけメールを始めとした、SNSも含めた通信が格段に発展している社会において、例えば広い一般的犯罪の疑いを掛けられて、ある携帯電話の電話番号やあるいはメールアドレスというのがこれが令状の対象だということになれば、そこに入ってくるメールって膨大なものになるでしょう。 先生方のアドレスに一日どれぐらいメール来ますか。複数のアドレスを持っていらっしゃる方々もたくさんいらっしゃると思います。SNSも含めれば相当な通信を、現実に読み切れないだけの通信が飛び交いますよね。 それをどのようにして傍受をするのかという手法も、裁判所にさえ捜査上の秘密だと言って、誰の審査も経ずに密室で取り込むことが可能だというのが今の仕組みなんですよ。これを一般的な犯罪にまでまともな要件もなしに広く拡大して日常化する、だから盗聴の自由化ではないかというふうに言われているんじゃないですか。 その評価についてお尋ねしたってお答えになるわけがないので、ちょっと私は、そうした通信傍受のプライバシー侵害の重大性に鑑みたときに、そこで蓄積される情報が一体何に使われるのか、とても恐ろしいと思うわけですが、局長に、警察庁に引き続きお尋ねしますけれども、私、昨年の八月の二十一日の本会議場で国家公安委員長にお尋ねをしました。 それは、戦前の反省に立った憲法の下で、政治警察は廃止され、戦後、発生した犯罪を捜査する司法警察活動と犯罪予防を目的とする行政警察活動は厳密に区別されることになった。ところが、盗聴というのは、これから起こる犯罪、これから行われる通話、通信というものをこれ対象にするわけだから、必然的に未発生の犯罪の事前捜査という性格を持つことになるではないか、それが日常化するということになるじゃないか、そうなると、過去に起こった犯罪の真相解明と摘発を行うという刑事捜査と行政警察活動の区別を崩壊させて、刑事事件の捜査のためとして盗聴で取得された情報が警備公安警察活動に利用される、そうした危険が極めて大きくなるんじゃないのかと。警察が秘密裏に取得をするそうした膨大なプライバシー情報をどんなふうに使って、何のためにやろうとするのかと。 私が指摘をしているような公安警察活動に利用されないという、そういう法律上の保障がありますか。 〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
○政府参考人(三浦正充君) 通信傍受法というのはあくまで犯罪捜査のための通信傍受に関する法律なのでございまして、具体的な個別の事件の犯罪捜査、もちろん組織犯罪が中心でございますけれども、そうした組織犯罪の解明等に使われる捜査手法というように理解をいたしております。これは、厳格な法律上の要件、手続の下で実施をされるものでございまして、また、もちろん裁判官から令状をいただいて実施をしているものであります。 その結果として得られた犯罪関連通信というものがあった場合、それは傍受記録という形で残されるわけでありますけれども、こうした通信を刑事手続上の証拠として用いて捜査活動を行ったり、あるいはそれが過去の犯罪の摘発につながったり、また逆に、結果として将来における犯罪の予防につながるということはあり得るものというように考えております。そうした適法に得られた犯罪関連通信がその後の捜査活動に用いられるといったようなことは、それは特に制限はされていないというように理解をしております。 他方、犯罪に関連をしない通信に関しましては、これはその後の消去、廃棄といった手続が厳格に定められているものでございまして、これを後の活動に利用するということはあってはならないものというように認識をしております。
○仁比聡平君 結局、将来発生する犯罪の予防も含めた活動に利用することは許されているという御答弁なわけですね。 大臣も同僚議員の皆さんもスノーデン・ファイルというのは御存じだと思います。暴露されたスノーデン・ファイルの中に、アメリカのNSAがメタデータをどのように利用しているかという、そうした文書があります。つまり、およそあらゆる人々の電話番号だとかそこへの通信、ファクスあるいはショートメッセージなどの送受信、あるいは加入者の位置情報、こうしたようなあらゆるメタデータにこの極秘のユーザーはアクセスをすることができると。そのメタデータにアクセスをすることによって、誰と誰の交友関係、あるいは生活活動に関する情報、これは詳細にプライバシーを暴くことができるので、そうしたプライバシーを明らかにすることが捜査上極めて有効であると、そうした評価がされているわけですね、だから行っているわけですが。 警察庁は、こうしたやり方についてどのような評価をしておられるのでしょうか。
○政府参考人(三浦正充君) 外国政府などが行う情報収集や犯罪捜査の手法につきましては、詳細を存じ上げているわけではございませんので、ちょっとコメントは差し控えたいと思いますけれども、確かに電話を始めとする通信の発信履歴やその位置情報といった情報が事案の解明に資する場合があるということは事実であろうと考えております。 もとより、警察におきましては、そうした情報を含めまして犯罪捜査に必要な証拠の収集に当たりましては、刑事訴訟法等の法令に従って適切に実施をしているところでございます。
○仁比聡平君 何が適切な実施をしているかと。前回も、堀越事件において警備公安警察が行った卑劣な、二十四時間、少なくとも十か月間にわたるプライバシーを暴き立てる捜査について、国家公安委員長もまるで何の反省もないと。だったらば、これからも行うのか、今現在もやっているのかと、そういう警察の実態を私、明らかにしたつもりです。 そこで大臣、お尋ねしたいのは、改めて、我が党元国際部長の緒方靖夫元参議院議員の自宅を何らの法的根拠もなく盗聴を行った警察犯罪、権力犯罪についての認識なんですね。 この事件で東京高裁判決は、盗聴は、その性質上、盗聴されている側においては盗聴されていることが認識できず、したがって、盗聴された通話の内容や盗聴されたことによる被害を具体的に把握し特定することが極めて困難であるから、それゆえに、誰との、いつ、いかなる内容の通話が盗聴されたかを知ることもできない被害者にとってその精神的苦痛は甚大であると、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を始め、プライバシーの権利、政治的活動の自由などが、警察官による電話の盗聴という違法行為によって侵害されたものである点で極めて重大であると、そういうふうに判決しているんですね。 プライバシーを侵害するということはまさにそういうことなんであって、このことについて一体どんなふうに認識をしてこの法案を推進をしておられるんですか。
○国務大臣(岩城光英君) いずれの当事者の同意も得ないで通信を傍受することは、憲法上認められる重要な権利であります通信の秘密に対する制約でありまして、いやしくも違法な通信傍受がなされることがあってはならないものと認識をしております。 この点、通信傍受法に基づく通信傍受は、犯罪捜査のため、厳格な要件と手続の下でのみ認められるものであり、通信の秘密を不当に制約するものではないと考えております。 なお、御指摘の判決におきましては、警察官が違法に電話の盗聴を行ったと推認される旨判示されていると承知をしているところであります。もとより、通信傍受法に基づく通信傍受は、同法に定められた厳格な要件の下でのみ行えるものであります。
○仁比聡平君 不当に制約するものではないなんて、不当に制約している、だからこの権力犯罪を断罪する判決は確定しているでしょう。実際に非合法なこんな無法で卑劣な盗聴を行っておいて、その事実を認めもしないというのが今の警察庁の姿じゃありませんか。日本の警察組織というのはそういうことでしょう。この国会でもなお、過去も現在もそうした違法な盗聴は行っておりませんと警察庁は言い続けてきました、三浦局長に改めて聞くまでもないと思うんですけど。 そうした捜査機関に対して、今日も明らかになったような密室の傍受を許し、しかも電子計算機の設定は警察が行うんですから、裁判所が審査もしないんですから、何が厳格な要件かと。こんな盗聴は絶対に許されない。これは憲法三十五条あるいは三十一条を始めとした日本国憲法の刑事手続に関するデュープロセスの保障を真っ向から踏みにじるもの、断じて許すわけにはいかないということを改めて申し上げたいと思います。 今日もう一つ伺いたいのは司法取引の問題なんですが、司法取引というのは、これまでも議論されてきたように、自らの罪を免れようとして他人を罪に陥れる、引っ張り込む危険というのを本質的に持っているわけですね。 この司法取引について、衆議院の段階で、せめてということなんでしょうけれども、無実の人間が冤罪に巻き込まれる危険性を減らすべきだというような観点で、検察官が司法取引を合意するかどうかの判断に当たって、当該関係する犯罪の関連性の程度というのを考慮すべきだという文言が修正で付け加わることになりました。 これ、分かりやすく言うと、他人の罪を密告して取引をして自分の罪を軽くするという、私、ちょっと今日は密告者というふうに呼びますけれども、密告者のその供述を信用して取引をしようという検察官の判断に当たって、落とし込まれる方の、つまり被疑者ですね、被疑者の犯罪との関連性の程度を考慮する、典型的には共犯事件にするなどのことになるわけですが、この修正部分の意味について林局長にお尋ねしますが、これ、そういうふうに書き加えられたとしても、結局、事情としての考慮というふうになっているだけなので、犯罪の関連性が全くなくても司法取引は行い得る、検察官はできる、そういうことになるんじゃないですか。
○政府参考人(林眞琴君) 被疑者、被告人が証拠を提供することができる他人の刑事事件、これについては共犯者等の事件である場合が多いと思われますが、必ずしもそれに限定されるわけでなく、被疑者、被告人が他人の刑事事件について重要な証拠となるべき情報を提供する場面というものは様々であると考えられます。そのために、制度上は両事件の間に関連性がない場合に合意をするということについては否定をしていないわけでございます。このことは、衆議院における修正後の条文の下でも基本的に同じでございます。 もっとも、例えば被疑者、被告人の事件と他人の事件との間に何らの関係もない場合には、被疑者、被告人がその当該他人の事件について捜査機関に提供できるような情報を持っていないことが多く、仮に何らかの情報を持っていたとしましても断片的で簡潔なものにとどまるのが通常でございまして、これを基に裏付け証拠を収集するということも困難でございますので、そういった被疑者、被告人の情報について信用性を肯定する事情というのは認められにくい問題があると思います。 また、その供述者は、自己の犯行については供述することがなく、そもそも当該供述をすることによって不利益を受けることがないことになるわけでございますが、そういった事情というのは、供述をすることにより不利益を受け得る場合と比較しますと、一般にその信用性に対してはやはり疑問あるいは警戒心を抱かせることとなると思います。そのために、裁判所においては、この被疑者、被告人の供述等についての信用性の判断というのは一層慎重に行われることになるわけでございまして、検察官としても同様にその信用性の判断を一層慎重に行わなければいけないことになりますので、基本的に被疑者、被告人から全く無関係の他人の刑事事件に関する供述等を得るために合意をすることはないものと考えられます。 したがいまして、衆議院による修正におきましては、検察官が合意をするか否かを判断するに当たっての考慮事情といたしまして関係する犯罪の関連性の程度というものが明記されたわけでございますが、これによって、今回の合意制度が利用される場面として基本的に想定されるのは、共犯事件など両犯罪の間に関連性が認められる場合であるということが十分に示されることになったものと理解しております。
○仁比聡平君 いや、濫用されるではないかとは言われたくないから長々と適正に行われるという趣旨の答弁をされるお立場は分かるんですが、そしてそのように運用をしようとしているのかもしれませんが、現に警察や検察は、そして裁判所も、全く密告者と被疑者、被告人の被疑事実が関係のないそうした証人、参考人のうその供述を完全に信用して、それに完全に乗っかって冤罪を数々つくり出してきました。 私が地元で関わってきた引野口事件という事件がありますが、これは、代用監獄の留置場の中で、被疑者にとってはたまたま同房になった別の事件の被疑者が、この被疑者があたかも殺害を行ったかのような密告を行って、それを証拠として警察は丸ごとそれに乗っかって、検察ももちろんそれに乗っかって起訴し、裁判所も有罪判決を下す、そうしたことをやってきたわけですよね。 何かあたかも関連のない事件では信用はしないんだから大丈夫だなんて、大概にしろと私は思います。そうした司法取引が検察官の訴追裁量権に基づいて行われるというのが、私の本会議質問に対する当時の上川大臣の答弁なんです。検察官の訴追裁量権というのは現行刑事訴訟法上極めて広範で、この公訴権の濫用というのが裁判でただされるのは極めて限られたときにしかありません。だから、密告者に関わる、関与する弁護人もその被疑事実を知ることはもちろんできないし、言わば検察やその意を受けた警察の手のひらの上でこの司法取引に関わるという仕組みになるわけですね。 その下で、ちょっと時間が迫ってきましたから、そうした司法取引で密告者が自分の刑を何らか軽減してもらうなりの合意をする、このときに二つの書面が作られます。合意しますという合意内容書面、それから、合意に基づいての供述調書、この二種類の書面が作られることになるんですけれども、結局、刑事裁判では、捜査段階の間にそういう合意と供述を取り、ここにはうそが本当に含まれている危険性が極めて高い、そういう証拠をつくった上で、裁判に起訴をした後に、これを有罪証拠として立証請求するということになるわけですね。 そのときには、証人としてその密告者を法廷に呼ぶという場合、それから、そこと関わることが多いでしょうけれども、その合意内容書面と合意に基づく供述調書を証拠として請求するという場面、両方ありますが、今度の改定案で二百九十九条の四という規定があり、検察官は弁護人に対してもその証人の住所あるいは氏名を隠してしまうと、そういう規定が盛り込まれようとしているわけです。被告人又は弁護人に対して、氏名にあってはこれに代わる呼称、住居にあってはこれに代わる連絡先しか知らせない。だから、どんな証人なのか、これ捜査段階では全く分からない。そこで取られたうそかもしれない供述が有罪証拠として裁判所に出されているのに、その密告者の本当の名前も住所も知ることができない、どこの誰だか分からないという、こうした有罪立証ができ得るという仕組みに読めるんですよね。 書面も、その条文の四項に証拠書類、証拠物も同じようにするというふうに書いてあるんですが、林局長、この司法取引によって得られた申し上げているような書面はこの二百九十九条の四に当たり得るわけですか。
○政府参考人(林眞琴君) この法律案の刑事訴訟法二百九十九条の四で、証人等の氏名、住居を秘匿する措置の対象を証人、供述調書の供述者等としておりますが、委員御指摘の合意制度の下で合意に基づいて証言する証人でありますとか合意に基づいて作成された供述調書の供述者をこの秘匿措置の対象から除外するような規定とはしておりません。 したがいまして、これらの者につきましても、加害行為等のおそれがあり、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないという、こういった所定の要件を満たす場合には、この氏名、住居を秘匿する措置の対象となり得るものでございます。
○仁比聡平君 今お話しのように、被告人、弁護側の防御権を、実質的に不利益を生ずるおそれがあると認められないというような条件を付しているんですけれども、その判断は一体誰がやるのか。 どう思われますか、皆さん。弁護人、被告人が防御の必要があるかどうか、名前が分からない、住所が分からないでは、その証人が一体どんなことを言っているのか、その反対尋問のしようもないじゃないかというこの判断、ここで実質的な不利益を与えてしまうかどうかの判断を一体誰がやるという仕組みになっているかというと、第一次的には検察がやるんです。この氏名は知らせないと決めるのは検察ですよね。弁護側は当然争います、明らかにせよと。けれども、それを、弁護側の主張を認めるかどうかは裁判所がやるんですよ。検察官だとか裁判官が被告人、被疑者、弁護人の防御権を実質的に侵害するかしないかなんて、何でそんなことが判断できるんだ。それが刑事弁護を破壊してしまうものだという認識は、局長は何でないんですか。 局長、そんな判断が検察や裁判官にできるとでも思っているんですか。
○政府参考人(林眞琴君) この法律案で導入しております証人等の氏名、住居の秘匿措置をとるためには、この証人等に対する加害行為等のおそれがあるということとともに、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないという、こういったことが要件となっておりますので、検察官がまずこの要件の有無を判断して措置を行おうとした場合に、被告人側からその措置に対して不服申立てがある場合には、今度は裁判所がこれらの要件を判断して、その措置の可否というものが決せられることになります。 こういった制度につきましては、例えば現行の証拠開示制度におきましても、類型証拠や主張関連証拠の開示につきましては、一方で被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度と、当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度というものが、この二つの要素をまず検察官が判断いたしましてその開示をするかしないかを考えます。それについて被告人側がやはり裁判所に裁定を請求したときには、裁判所がその開示の必要性の程度と弊害の内容の程度というものを考慮して結果的に開示の可否を判断するということになっておりますので、このように現行法の下におきましてもこうした被告人の防御に関する事項というものを検察官や裁判官が判断しておるわけでございまして、こういったことに鑑みますと、本制度の措置の要件が被告人側の防御に関することだからといいましても、検察官や裁判所が適切に判断することができないというものにはつながらないものと考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間を過ぎておりますので、おまとめください。
○仁比聡平君 時間が来ましたから終わりますけれども、今局長がこれまでにも例があるというふうに言っているものと、うその引っ張り込みが極めて危ぶまれる司法取引におけるうそかもしれない供述調書を弾劾さえできない、反対尋問もまともにできないようにするということとは決定的に意味が違う。 そうした下で、私が今確認をした二百九十九条の四に司法取引書面が当たり得るということは、法制審の議論の中では私は議論になっていないと思います。部分録画の、任意同行や起訴後勾留が義務付けの対象にならないというあの議論も、法制審では議論になっておりませんでした。弁護士さえだますのかと。 そんな中でこうやって強行されようとしているこの法案、断じて許すわけにはいかないと。質疑を打ち切るだとか採決を行うだとか、そんな段階では毛頭ないということを改めて強く申し上げて、質問を終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時三十七分散会