法務委員会 第3号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2016/03/10
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官河合潔君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。 本日は、質問の機会を賜りまして本当にありがとうございます。 八日の所信表明におきまして、岩城法務大臣は法務省の任務について、基本法制の維持及び整備、国民の権利擁護等と述べられました。基本法である民法でございますけれども、女性の再婚禁止期間に関する規定が、先般、最高裁におきまして違憲と判断されたわけでございます。 そこで、最高裁にお聞きいたします。 これまでに、法令違憲、適用違憲の最高裁判決にはどのようなものがございますでしょうか、概要をお知らせください。
○最高裁判所長官代理者(菅野雅之君) お答えいたします。 これまでに最高裁判所が法令違憲であるとした判断は、実質的な件数を数えますと十件ございます。また、判決又は決定要旨などで違憲である旨が明示されており、いわゆる適用違憲の判断をしたと言われている裁判例は、同様に、実質的に数えますと八件ございます。 法令違憲の最高裁判例のうち、民法又は刑法の規定を違憲としたものを御紹介いたしますと、まず、尊属殺の法定刑として死刑又は無期懲役のみを定めた刑法二百条は憲法十四条一項に違反するとした昭和四十八年四月四日判決がございます。 次に、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする民法九百条四号ただし書前段の規定は、遅くとも平成十三年七月当時において憲法十四条一項に違反していたとした平成二十五年九月四日判決がございます。 さらに、民法七百三十三条一項の規定のうち、百日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、平成二十年当時において憲法十四条一項、二十四条二項に違反するに至っていたとした平成二十七年十二月十六日判決がございます。 以上でございます。
○三宅伸吾君 ありがとうございます。 法令違憲の判断を最高裁がしたもの、主なもので十件あるわけでございます。そのうち、法務省所管のものですね、刑法、それから民法、それから実は戸籍法もございまして、法令違憲、主なもの十件のうち四件が実は法務省所管の基本法でございます。 刑法とか民法は、我が国の言うまでもなく基本法制でございます。基本法制は、国の形、社会の枠組み、人権に大きく関わってまいります。その内容について違憲性が大きな争点となった訴訟が提起された場合、又は規定の憲法上の妥当性を含めて規律の在り方に対して社会的関心が大きく高まった場合、法務省はどのような対処基本方針でこの問題にこれまで向き合ってきたのか、お聞きしたいと思っております。 特に夫婦別氏問題では、違憲判断が出ていない中で法制審議会等で議論を始めたことがございました。一方で、再婚禁止期間に関する民法の規定では、なぜ違憲判決を待たずに改正できなかったのか。また、刑法の尊属殺重罰規定をめぐりましては、違憲判決が出た後、長らく違憲の規定が国の基本法である刑法に残っていたという事実がございます。 これ、法務省の責任だけとは申しません。様々な与野党内の議論、国民の深い心情に関わる問題でございますので様々な要因があるかとも思いますけれども、今日お聞きしたいのは、憲法上の疑義等が浮上した場合、その違憲性、合憲性が社会的な議論になった場合に、法務省として所管する基本法の見直しに向けて憲法の視座からどのような見直し作業に取り組まれてきたのか、それから今後どう取り組もうとされているのか、忌憚のない御所見を賜りたいということでございます。
○副大臣(盛山正仁君) 三宅委員から大変厳しい御指摘をいただきました。 今、最高裁からも御説明ありましたし、三宅委員の方からもお話がありましたとおり、民法の規定が憲法に違反すると判断が示されたものとしては、嫡出でない子の相続分を嫡出子の二分の一とした規定、そして女性に係る再婚禁止期間を六か月と定めている規定、この二件がございました。そして、刑法につきましては、昭和二十二年に日本国憲法の施行を受けて所要の改正がなされておりますが、その後は、最高裁において尊属殺人罪の規定が違憲であるという判決がなされたことを受けまして、尊属殺人罪の規定等を削除する改正がなされております。 そういう経緯でございますけれども、こういった国民の基本的なところを律する民法、刑法、あるいはその他法務省が所管する法律について、どのように法務省としてその改正を対応しているのかと、こういうお尋ねだったかと思います。 私人間の法律関係を規律する民法と犯罪の成立要件及びこれに対する刑罰の内容を定める刑法とでは、改正の要否等を判断する際の考慮要素が異なります。民法について申し上げれば、社会、経済の状況の変化、実務上のニーズや改正による社会的な影響等を総合的に考慮した上で政策的に判断しております。また、民法の規定についてその合憲性に疑義があるとの指摘がなされている場合、つまり最高裁等の判断の前にということでございますが、そのことも改正の要否を判断する際に考慮すべき事情の一つになろうかと思っております。 これまでなかなか、判決が出てから、あるいは判決が出る前からの社会情勢の変化に対しての法務省の検討が、あるいは動きが、あるいは実際の具体的な法案の提出が遅いのではないかと、こういうような問題意識ではなかろうかと思いますけれども、いずれにしましても、民法等の基本法を我々法務省は所管しておりますので、これらの社会情勢の変化等に伴い、既存の法律について改正の必要が生じていないかどうかについて詳しく検討、吟味していく必要があり、必要に応じて法制審議会等を開催いたしましてその内容についての検討を具体化しているところでございます。
○三宅伸吾君 ありがとうございます。この問題につきましては、機会を見てまた御議論をさせていただきたいと思います。 続きまして、継続審議扱いとなっております外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案、これ衆議院の方でございますけれども、成立すれば新たな認可法人をつくるということになっております。認可法人の主な業務、陣容、予算の規模について、ごく簡単に御説明をいただけますか。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。 いわゆる技能実習法案におきましては、制度の一元的な監理・運用機関として外国人技能実習機構を設けることとしてございます。 その主な業務といたしましては、主務大臣、これは法務大臣と厚生労働大臣の共管の大臣でございますけれども、主務大臣の委任を受けまして、技能実習計画の認定でありますとか監理団体の許可に関する調査、さらには実習実施者・監理団体に対する報告要求、実地検査などを行うほか、機構固有の業務といたしまして技能実習生の相談対応及び援助などを行うこととされております。 機構の陣容でございますが、本部のほか全国十三か所の地方事務所を設置することとし、本部に約八十名、地方事務所約二百五十名、総勢約三百三十名程度の体制を確保したいと考えてございます。その職員につきましては、民間から職務に応じた適切な人材を確保したいと考えておりますが、円滑な業務を開始できるよう、必要最小限の人数は、任期終了後に公務員に復帰させる前提での現役出向をさせることを検討してございます。 また、機構の予算でございます。現在御審議いただいている平成二十八年度の予算といたしましては、年度途中に機構を設立し職員を採用していくなどのことを積算いたしまして、約十七億六千万円を計上しておるところでございます。 以上です。
○三宅伸吾君 以上で終わります。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。 今日は、環境大臣政務官にもお越しいただきましてありがとうございます。 まず、動物の愛護の方の質問通告しております。そちらの方を先に質問させていただきます。 今、家庭におきましても、犬や猫を中心に、愛玩動物として家族の一員のように生活しているという方も随分多くおりますし、また社会においても、そうした犬や猫に限らず様々な動物も人間の社会の中の一つの存在として有意義に認められるものと思っております。 そうした中で、今動物の愛護管理の法律というものがあるわけですが、私自身は、まず法律の規制というものは非常に重要だと思いますけれども、それよりもまず動物の愛護の精神を啓蒙することが最も基本的なことだというふうに思っておるわけでございますが、そうした点、動物の愛護に関する啓蒙活動というようなことについて、その取組を環境省の方から御説明いただければと思います。
○大臣政務官(鬼木誠君) 失礼いたします。 御通告では動物虐待についてということだったんですが、愛護については……(発言する者あり)はい、済みません、私も初めてなもので、失礼いたします。 もう動物の愛護とまたその啓発ということは本当に大切なことであると考えております。環境省も動物愛護には本気で取り組んでおります。
○小川敏夫君 分かりました。 政府参考人の方でも結構ですけれども、そうした啓蒙活動に関する取組状況について具体的に御説明いただければと思いますが。
○政府参考人(亀澤玲治君) 動物愛護管理法におきましては、一般家庭における犬、猫の飼育を始めとしまして、大変多くの方々が犬、猫等を飼育されておりますことから、その取扱い等に関しましての普及啓発というのは最重要課題の一つだというふうに考えておりまして、パンフレットの作成とかいろんな説明会とか、いろんな場を通じて啓蒙を進めているところでございます。今後ともその充実を進めてまいりたいと思っております。
○小川敏夫君 そうした一般的に動物愛護の啓蒙のほかに、この法律の趣旨の徹底というものもございます。環境省と警察庁でそうした啓蒙のポスターも作成しているというようなお話もいただきました。そのポスター等について、具体的にはどういう規模でどのような貼り方をしていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(亀澤玲治君) 幾つかポスターを作っておりますけれども、遺棄、虐待の防止も大変重要な課題だと考えておりまして、こういうポスターを環境省あるいは警察庁とも共同で作成をしておりまして、毎年十万枚程度の規模で配付をしているところでございます。済みません、こういう、もう少し大きなものですけれども。
○小川敏夫君 それは、十万枚ぐらいを各地方の自治体とかそうした公的な施設に貼っていただくように配付していると、こういう御趣旨ですか。
○政府参考人(亀澤玲治君) 各自治体に配付をいたしまして、各自治体の方で貼っていただいております。
○小川敏夫君 そうした動物愛護の精神が社会に浸透して刑事罰を科すこともないような状況になれば一番望ましいと思うんですが、そうでなければ、やはり刑事罰の適用ということもあるわけでございます。 警察の方で、こうしたまず法律において刑罰を科すという、摘発して起訴を求めた、事件として立件して送検したというのは数的にはどのくらいになるんでしょうか。
○政府参考人(河合潔君) お答えいたします。 平成二十七年中に都道府県警察から報告のありました愛護動物の殺傷、虐待又は遺棄に係る動物愛護法違反の検挙状況は、五十六事件、六十三人となってございます。 虐待事案につきましては、連続的に発生するなど悪質な事案の迅速な検挙に努めるとともに、自治体、関係機関、団体と連携して適切な対応に努めてまいりたいと存じます。
○小川敏夫君 動物の方は自ら被害の申告ができないし、被害の状況の説明もできないから、警察で捜査するといってもなかなか御苦労が多いかとも思いますが、ただ、直感的に私、感じまして、動物に対する虐待は相当あるんじゃないかというふうに、これは私も具体的に数えたわけでもないし、数えられるわけでもないのでありますけれども、かなりあるのではないかと。そういう中で、五十六件ですか、立件したのが五十六件だとすると、立件までには至らないけれども注意したとか、そうしたものもあるんでしょうけれども、直感的には少ないのかなという気もするんですが、立件しないで、立件まで至らないけれども指導とか相談で対応するとか、そうした件数も随分多いのかと思いますが、そこら辺のところはいかがですか。
○政府参考人(河合潔君) ここで具体的に申し上げられる数字はございませんけれども、日々の活動において、動物の愛護に努めるように、あるいは動物の虐待が行われているという状況につきましては注意しているものというふうに存じてございます。
○小川敏夫君 中には、猫の首を切断して公衆の目に付くところに放置するような、社会に不安を与えるような事件もございます。そうした面、まず動物の愛護という精神をしっかり啓蒙するということ、そしてまた、そうした刑事罰又は刑事対応が必要な例に関してはしっかり取り組んでいただきたいということを述べさせていただきまして、この点の質問は終わります。 環境大臣政務官は退席いただいて結構でございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 鬼木政務官、退席、結構でございます。
○小川敏夫君 それでは、まず公職選挙法の事前運動について質問させていただきます。 我々も常日頃選挙に臨んでおるわけでありまして、そうした中で、もちろん選挙法に触れるような活動はしてはいけないし、特に事前運動というものはしてはいけないということは十分もちろん分かっておるわけでありますが、なかなか公職選挙法そのものは、要するに選挙運動は選挙期間中にしかしてはいけないという規定があるだけで、それに違反すれば罰則という規定があるだけで、具体的にじゃ事前運動というのは何なのかということは、具体的な要件は法律には書いていない。 そうした中で私が感じているのは、選挙運動もあるけれども、選挙運動期間前、我々政治家は政治活動をするけれども、その政治活動というのは、やはり来るべき選挙にしっかり勝ち抜くということもこれは究極の目的の一つとして一生懸命活動しておるわけであります。 そうすると、刑事罰で禁止される選挙運動とそうではない日常の政治活動というものの境界線が余りはっきりしないと、非常に政治活動がやりにくい。やりにくいというのは、萎縮してしまうと。万が一違法な事前運動ということに当たるとすれば処罰されることになるわけでありますから、そこら辺の区別が明確でないと、疑わしいような意見があり得る場合は控えようかということになっていくと、どんどんどんどん政治活動が萎縮してしまうということがあるんで、そうした観点からお尋ねしたいんでありますけれども。 まず、基本的な総論としまして、選挙運動と選挙運動には当たらない政治活動の区別について具体的に説明していただけますでしょうか。
○副大臣(土屋正忠君) 今、小川先生から御質問のありましたことは、もう既に法律家としての隆々たる御経歴の上で御質問でありますので、言わば十分お分かりになった上での御質問かと存じます。そういった意味では、いささかお答えするのがはばかるわけでありますが、そういうことを含めて、総務省の見解、今までの積み上げたものを申し上げさせていただきたいと存じます。 何が選挙運動に当たるかについては、とりわけ事前運動でありますが、これは国会での議論やこれまでの長年における判例、実例等の積み重ねによってその基本的な考えが確立をしてきていると、このように考えている次第でございます。 具体的に申し上げますれば、公選法上、選挙運動とは、最高裁の判例などによりますと、要素として、一つ、特定の選挙について、二つ、特定の候補者の当選を目的として、三つ目として、投票を得る又は得させるための直接又は間接に必要な有利な行為、分かりやすく言うと依頼活動ということになるんでしょうか。選挙の特定、候補者の特定、そして具体的な投票依頼、この三つの要素が重なったときに事前運動だと、このように最高裁の判例等では確定していると、このように理解をいたしております。
○小川敏夫君 その要件について、そういうことで私も特に要件そのものについては納得しておるんですけれども、難しいのは、具体的な当てはめが非常に難しい。 例えば選挙の特定ですか、何月何日から始まる衆議院選挙とか区議会議員選挙とか、そういうふうに明示すれば特定されるんでしょうけれども、実際にはそういうような明示しなくても、そうした趣旨が分かるような特定の仕方でもいいということになるわけですね。この春に、ある現職の区議会議員が、この四月に免許書換えがございますので、四月の大事なときには是非よろしくお願いしますと言えば、選挙は特定していないかもしれないけれども、現職議員がまたこの春に免許の書換えだと言えば、当然それは選挙を表している言葉だなということになるわけであります。 当然のことですけれども、選挙の特定というのは、具体的にそう明示しなくても、社会の通年上ある選挙を特定しているというようなことが分かる表現であれば要件に当たっちゃうわけですよね、これは。
○副大臣(土屋正忠君) 今御質問のあった件は、極めて具体的な例としてどうかということのようでありますが、これらについては、公職選挙法で禁止されているものに該当するかどうかということについては、行為の態様、あるいは時期、場所、方法、数量、対象等について総合的に勘案して判断されるとされております。今の事例など、免許書換えと言った場合に、その人の個人の免許の書換えかも分かりませんし、恐らく非常に微妙なお話になるだろうと思います。 私も、四十一年間にわたって十二回の自分の選挙をやってきた立場からいきますと、その辺のところは非常に苦慮しつつ、公職選挙法に触れないように努力をしながら、かつ適正な政治活動をやるということでありますが、先ほど申しましたように、その態様だとか表現ぶりだとか、そこは個別の判断になっていくだろうと思います。 ただ、私もずっとこういう仕事をやってきて、政治の仕事をやってきて思いますのは、何で公職選挙法が厳しく個別に例示して決めていないのかということを考えますと、これは一つには、思想、信条の自由とかそれから政治活動の自由という根本のいわゆる民主主義社会における権利というものは最大限尊重する、その上でフェアな競争をしましょうねという成り立ちになっているというふうに理解しているところであります。これは別に総務省の公式見解ではありませんが、そういうふうなことを感じておる次第でございます。
○小川敏夫君 いや、私もその趣旨に異論はないのでありまして、そのとおりだと思うのであります。 また、投票依頼も、投票してくださいと言えば投票依頼なんでしょうけれども、どうしても私を議会に送ってください、是非お願いしますという表現も投票依頼だと、総合的に解釈すればそういうようなこともあり得るでしょうし、なかなか難しいところがあるわけであります。それを、じゃ、どうするんだといえば、それは個別の事情に即して決めるしかないというのも誠におっしゃるとおりで、そこはよく分かっておるわけでございます。 ただ、私は、もう一つ更に進めて、一番懸念するのは、言わばその境界線が具体的に明確になっていないで個別のケースに照らして総合的に判断するというと、非常にグレーゾーンの幅が広い。このグレーゾーンの幅を非常に緩く解釈すると、選挙出ることを目的として政治活動をやっている方のほとんどは違反をやっているんじゃないかというふうにもなりますし、反対に、がちがちに要件を厳しくすれば、何言ってもこの言葉さえ使わなければ全てセーフだといって、実質的な事前運動が見逃されてしまうようなことにもなるし、なかなか難しいことはよく分かっております。 ただ、私の一番の懸念は、みんな同じようなことをやっていると、しかし刑事罰があると、そうすると、みんな同じようなことをやっているんだけど、警察はそのみんなを捕まえるわけじゃないので、その中のごく少数の例しか摘発しないじゃないかと、そうなると、よほど運が悪い人だけが損をするとかあるいは警察からにらまれた人が損をするとか、そんなことになって、この政治活動について警察の側の恣意的な判断による影響が及ぶようなことが出てくるんではないかと、そんな懸念も私、するわけでございます。 それで、警察庁の方に一つお尋ねしたいんですけれども、この公職選挙法の事前運動の在り方についてはなかなか適用の判断が難しい部分があることは重々承知してあるわけでありますけれども、実際この適用例どのぐらい、最近、例えば国政選挙に限ったとして、この事前運動で摘発された、あるいは立件された件数というのはどのくらいあるんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 委員、事前運動の検挙件数についてのお尋ねでございましたけれども、私ども、事前運動のみの統計を取っておりません。全体の違反の件数ということになりますけれども、まず衆議院議員の総選挙の違反取締りにつきましては、これは期日後九十日現在の数字となりますけれども、第四十五回、平成二十一年八月三十日施行分は、検挙件数二百九十五件、検挙人員五百七十一人。四十六回、平成二十四年十二月十六日施行は、百八件、百四十一人。四十七回、平成二十六年十二月十四日施行は、八十七件、百五人となっております。 また、参議院議員の通常選挙の違反取締りにつきましては、これも期日後九十日現在の数字でございますけれども、第二十一回、平成十九年七月二十九日施行は、百五十六件、二百三十七人。二十二回は、平成二十二年七月十一日施行でありますけれども、二百二十件、三百三十九人。第二十三回、平成二十五年七月二十一日施行は、百三十三件、百七十人となっております。
○小川敏夫君 事前運動について議論したかったんで、事前運動以外の公選法違反は全部、買収だとか選挙妨害だとかいろんなことがあるでしょうから、そうした総数だと余りちょっと参考にならないんですが、なかなかこの事前運動の態様というのは、警察も難しいんでしょうけれども、我々政治家側から見ても非常に難しい。少しでも、違反にならないけど、しかし違反にはならないけど、しかし選挙に効果的なお願いをしたいというところの心情があるわけでして、非常に難しいわけであります。 それで、個別具体的にその状況を判断するということでしょうけれども、例えば全国津々浦々に捜査する警察署があるわけであります。これが余りばらばらに対応されてはなかなかよろしくないかと思うんですが、そこら辺を統一的な解釈で対応するというような方策は取られているんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 都道府県警察に対する私どもの指導状況でございますけれども、まず基本として、選挙違反取締りは常に不偏不党、厳正公平な立場を堅持して当たるべきものであるということは当然のことでありまして、その運用が恣意的に流れるということのないように指導を徹底するということが重要であるということは、これ繰り返し私どもも認識し、県警にもそのように言っておるところでございます。 具体的には、国政選挙があるというときには、例えば衆議院議員の総選挙につきましては、全国警察本部長会議、全国選挙違反取締主管課長会議、これを必ず開催するということをいたしておりますし、参議院の通常選挙につきましては、本部長会議を開催する場合もございますし、取締り担当の主管課長会議、これは必ず開催するというような運用をしております。 そういう会議における指示を行うことはもちろんでありますが、それ以外にもあらゆる機会を利用して違反取締りに関する指導教養というものを実施をしているという状況でございます。
○小川敏夫君 もう法律なんか全く無視してどんどんやっちまえばいいんだというケースは別でしょうけれども、大方の場合には、やはりそうした法に触れないようにと、しかし法に触れないけれども、しかし効果的な表現は何かと、みんなそれぞれ陣営は工夫していろいろ活動するわけでありますけれども、中にはその陣営の解釈と警察の解釈が違って、陣営では大丈夫だと思ってやったんだけれども警察の解釈ではこれは駄目なんだということで摘発される例もあるかとも思うわけであります。 ただ、この境界線が曖昧なケースについて、陣営の方では大丈夫だろうという判断をした、それが警察の判断とは違ったというのでいきなり摘発される、あるいは立件されるというのは、法的にはそれはあってもしようがないのかもしれないけれども、実際の運用面においては過酷なんではないかと。特に、大体政治家はみんな同じようなことをやっている中で、ほとんど差がないようなケースで、ある一部の者だけがというのも少し立件された側には過酷なんじゃないかと思うのでありますけれども。 そうした観点から私思うのは、警察は立件する前に警告ということをよく行っておりますよね。この警告というのは、ある意味では、そうした政治家の陣営と警察の解釈が違うようなときに非常に有効な効果があると思うんですね。陣営が合法だと思っていても警察は合法とは思っていないよということで警告をすると。そうすると陣営も、であればやめるでしょうから、やめれば警察も立件しないというと平和に収まるとは思うんですが、この警告についての運用というのかな、実際の状況はどうなんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 委員お尋ねの警告の運用でございますけれども、私ども、選挙違反の取締りにおきましては、例えばポスターの掲示のような外形上明らかな違反というものにつきましては速やかに警告を行い、違反状況の早期除去と違反の続発防止を図るということに努めているところでございます。 文書違反でございますと、その文書の内容ですとか頒布・掲示の時期、頒布・掲示の場所、頒布・掲示の部数などの様々な事実関係を踏まえた上で、法と証拠に基づいて警告を行い、違反状況の速やかな除去と続発の防止を図ると、こういったことを今運用しているところでございます。
○小川敏夫君 ある程度、違法と合法の明確な区別がなかなか具体的には明確にしにくい、そしてそれぞれの判断要素が人によっては幅があるということになると、私はこの警告というのを、法律には入っていない制度であるけれども、実際の運用面においては一つのルール化してもらうと非常に政治家の活動としてもやりやすくなる、政治活動が思う存分できる。幾ら合法だと思っていても、それと違うという判断を示されればそれに従うでしょうから。で、警告を受けて、それに従って中止すれば、事実上、検挙、摘発はされない、このような一つのルールができていれば政治家の方も安心してできると。じゃ、警告受けるまで何やってもいいんだといってやられても、それはまたそれで困るわけでありますけれどもね。 もっと普通の正常な政治活動の範囲では私はその警告というものは非常にそうした面で有意義に作用する仕組みじゃないかなと思うんですけれども、実際の運用において警察は、そういう今の説明のように、ポスターとかビラで警察が違法だと判断するものがあれば警告するということでありましたけれども、警告して、警告はやめろという警告なんだから、それでやめれば何となく、じゃ、もう立件はしないでいいのかなという気もするんですけれども、実際、警告をして、警告に従ったにもかかわらずそれを摘発した、いわゆる事件として立件したと、こういうケースはどうなんでしょう、あるんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 私ども、そういう報告を都道府県警察から求めていないものですから、実際に警告に従わなかったことを理由に検挙に至ったというケースは承知をいたしておりません。
○小川敏夫君 警告というのも法律に定められた制度じゃないから、実際の警察の捜査活動に伴う一つの措置なんでしょうけれども、やはりそうした信頼関係があると政治活動も必要以上な制約を受けなくてできるという大変なメリットがありますので、そうした警告の運用の在り方についてもう少しその意義とかあるいは効果的なものをお伺いしたかったんですが、そこら辺はいかがでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、警告は速やかな違反状態の除去などを目的といたしておりますので、私どもも外形上明らかな、しかも軽微な違反というものにつきましてはなるべく速やかに警告をするということを旨として運用をしているところでございまして、委員の御指摘なども踏まえながら今後とも適切に運用してまいりたいと考えております。
○小川敏夫君 委員の考えを踏まえながら今後も適切に運用していきたいというのは、私の意見を採用してくれるということですか。
○政府参考人(露木康浩君) 警告の意味というのが、先ほど申しましたけれども、違反状態の速やかな除去ということにございますので、そういう趣旨に鑑みて、速やかに警告すべきものは警告をするということが法律の安定的な運用にも資するであろうと、こういう趣旨で申し上げたものでございます。
○小川敏夫君 政治活動が思う存分にできるというところの制約がないような対応を是非していただきたいというふうに思います。 まだ多少時間があるので、私、素朴に思っているんですけれども、今度はポスターの件です。 これは逆に、総務省の方かな、事務方でも結構ですけれども、参議院ですと、任期満了の六か月の期間に入ると個人の政治活動のポスターは貼れないということになっていまして、しかし、政党活動ということのポスターなら貼れると。 巷間言われているのは、一人の表示じゃ駄目で、選挙に出る予定の方ともう一人その政党の方の二人を表示して、なおかつ政党の表示も必要だといって、三分の一、三分の一、三分の一のスペースで大体表示すれば合法でいいんだというふうに一般に言われていまして、大体みんなそれに従っておるんですけれども、これは何か、三分の一、三分の一、三分の一であれば合法だと、そうでなくて、それ以上個人の表示が多いと違法だとかいうような法律の根拠はあるんでしょうか。
○副大臣(土屋正忠君) 三分の一という数字の規定はないと理解しておりますが、今御質問のあった件は、六か月を切った場合には個人の政治活動はできませんよと、そして六か月切った場合には、しかし政治活動の自由とか政党活動の自由、こういうことがあるわけですから、それを担保するようなポスターなら、それは当然、政治活動の自由あるいは政党活動の自由というのはこれはもう国民主権の社会においては当然でありますから、それは許容されると。ただ、その際、候補者だけでっかく書いて、その他いわゆる候補者にならない人をちょこちょこっと書いたんじゃ、それは脱法行為じゃないでしょうかという、そういう理屈の上で成り立っているんだろうと思います。 私も、政党人としてそういう理屈の上にのっとって、あくまでも任期満了半年前になりましたら、これは政党の政治活動はやりますが個人の政治活動のポスターは貼り出していないと、こういう解釈だと存じます。
○小川敏夫君 いやいや、私も同じように半年間に入ったら、候補予定者の名前と政党のどなたかの名前と政党の表示ということでやっておるんですけれども、政党のポスターだから当然個人の表示が大きくなくちゃいけないなということもよく承知していますし、政務官がおっしゃられることも全くそのとおりだと思います。 ただ、私の質問の趣旨は、そういう基準を誰が決めたのかなと。つまり、三分の一、三分の一、三分の一ならいいんだというふうに、選管にお尋ねしても大体そういうふうに言うし、そういうことで実際の実務はそういうふうに動いておるわけでありますけれども、しかし明文の規定はないんですよね。ただ、政党のポスターであるから趣旨として政党の表示はなくちゃいけないし、政務官おっしゃられたように……(発言する者あり)大変失礼しました、副大臣でございました。副大臣がおっしゃられたように、立候補予定者の名前だけ大きけりゃ脱法行為じゃないかというのも全くおっしゃられたとおりだというふうに思います。 ですから、そういうことの全体の評価で何か三分の一ルールができて、それでみんな動いていると思うんですけれども、明文の規定はないと思うんですね、三分の一でなくちゃいけないとか、政党の表示は三分の一以上なくちゃいけないかとかですね。 ですから、私の感じているところの趣旨は、結論的に言いますと、公職選挙法を運用面とか解釈で物事を進めるのではなくて、やはり違法、合法の境目なんだから、もう少し違法なものは違法という要件を具体的に明示して、余り判断で違法かどうかということを頭を悩ますことがないようにもう少し具体的に法律で明記した方がいいのではないかというところが私は言いたかったわけであります。 そうしたところで、副大臣にもいろいろお知恵をいただきました。副大臣がおっしゃられたとおり、全く私も同感でありますし、そういうことでやっておるんですけれども、もう少し公職選挙法、具体的に違法、合法の境目を区別していただきたいなというのが私の思いでございました。 もし何か御意見があればいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○副大臣(土屋正忠君) 先ほど答弁いたしましたが、三分の一という、何といいますか、一つの行政的な基準というのは、過去の実例や解釈の積み重ねによって、法文上明文な規定はないけれどもそのように基準を示しているというのが総務省の見解であります。 同時に、先生がおっしゃったことを敷衍化すれば、いろんなことが考えられる。例えば弁士が四人ぐらいいて、その場合にはどうなんだと。そうすると、政党名、ただ、その弁士の率が、特定の土屋なら土屋とか小川先生を特定、でかくしないで並ぶ場合もあります。あるところの市議会では、政党が書いてあって、その上に市議会の立候補する人がみんなずらっと並んで、もう一人誰か違う人が並んでいると、こういうこともありました。 でありますからして、いろんなケースがあるんだろうと思いますが、果たして先生がおっしゃったように厳しく基準を決めて、三分の一ならいいよとか均等ならいいよとか、こういうことを決めることが適切かどうかについては立法府の皆様方の中で御議論をいただいていくというのが筋ではなかろうかと思います。 ちなみに、先生のポスターも私、最近、先生のポスターじゃなくて先生が弁士になっておられる政治団体のポスターもしかと拝見させていただきました。 どうぞよろしくお願いします。
○小川敏夫君 終わります。
○有田芳生君 民主党・新緑風会の有田芳生です。 二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックを迎えるこの日本において、この数年間、ヘイトスピーチ、いわゆる差別の扇動問題が社会問題になっております。それだけではなくて、例えば外国人観光客が今増えている状況の下で、東京の銀座あるいは京都の祇園などでもジャパニーズオンリーと、日本人だけしか入れませんよというような排外主義的なお店がいまだ残っているということを考えますと、やはり日本の根深い差別問題というものを、私たちは東京オリンピック・パラリンピックを一つの目標として解決をしていかなければいけないというふうに考えております。 〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕 そこで、今日は、根深い日本の差別の土壌を切り崩していかなければいけないと、そういう立場から、まず最初に人権擁護局長にお聞きをしたいと思います。 一九七〇年代に部落地名総鑑問題が社会問題となりましたが、これは一体どういう事件、あるいは問題が出てきたと理解されていますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 委員御指摘の部落地名総鑑事件とは、昭和五十年、一九七五年十一月に、全国の同和地区とされる地区の所在地等を記載した図書が販売されている事実が判明した後、平成元年、一九八九年七月までの間、法務省が人権侵犯事件として調査し、合計六百六十三冊の部落地名総鑑を回収した上、同図書の発行者、販売者等に対し、今後、部落差別にわたる行為のないよう特段の配慮をされたい旨勧告するなどした事案のことと理解しております。
○有田芳生君 今お話ありましたように、六百六十三冊を回収されたというお話でしたけれども、実は一九七五年にこの問題が発覚して以降、一九八九年までの段階で何と十種類のこういう部落地名総鑑というものが発売をされていて、明らかになっているだけでも二百社以上の会社がこれを購入していたということが明らかになっております。この部落地名総鑑を作った人物の証言によりますと、その九九%が被差別部落を特定することによって、結果的にそれを利用をして就職差別そして結婚差別に使われていると、そういう作成した人物が発言をしております。 〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕 実は、それをきっかけにして、これはもう結論だけお伝えをしますけれども、こういうことがあってはいけないということで、例えば大阪では一九八五年、熊本、福岡では九五年、香川、徳島では九六年に、作成、販売などについて、いけないんだという形で条例ができているんですよね。しかし、それにもかかわらず、今お話があった部落地名総鑑が社会問題として発覚したのは一九七五年、それから四十年たつんですが、地名総鑑問題というのは全く終わっていないんですよね。 そこで、もう一度人権擁護局長にお聞きをしますけれども、この部落地名総鑑あるいはそれと同じようなものがネット上で流れているということについては、いつ把握されましたでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 当局においては、御指摘のように、インターネット上で特定の地域を同和地区であるとする情報を掲載していることを把握しております。従前からこの事実を把握しておりますが、今回確認することができた限りでは、平成十三年頃にはその種の事案を把握していたと今回確認いたしました。
○有田芳生君 今、平成十三年というお話でしたけれども、ちょっと日常的に西暦で考えることがあるんですが、平成十三年というと一一年ですよね。実は……(発言する者あり)二〇〇一年。だから、二〇〇一年にそういうことが把握されていたということなんですが、実はネット上で、例えば今でも、同和問題のタブーをおちょくるという表現をしながら部落地名総鑑と同じようなものが、しかも、昭和の時代に作られたものに加えて現住所どうなのかというようなものがネット上に流れているんですよね。 そこで、具体的にお聞きをしたいんですけれども、部落解放同盟の東京都連がそのネット上の部落地名総鑑問題について東京法務局と話し合ったという事実はありましたか。
○政府参考人(岡村和美君) その事実はあると確認しております。
○有田芳生君 そこでの話合いの内容、かいつまんで紹介いただけますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務局が民間運動団体との間で意見交換等を行うことはありますが、個々の話合いの内容をつまびらかにすることはここでは差し控えたいと考えております。
○有田芳生君 差し控えたいということならばこちらから御説明をしますけれども、二〇一四年四月三十日、部落解放同盟東京都連と東京法務局の交渉の中で、結論的に言えば、ネット上で現れているそういう差別的なリストについて、東京法務局は本省と協議して削除要請を検討すると。本省と相談している。本省と相談している中身が明らかにされないというのもちょっと不可解なんですが、さらに、一四年九月三十日、やはり話合いが行われていて、そこでは、削除要請するなど適切な対応をしていると。つまり、ネット上に現れているそういう差別リストについて本省と相談をして削除要請をしていると、そういう話なんですが、これ間違いありませんね。
○政府参考人(岡村和美君) 委員が御指摘のとおり、部落解放同盟も含めて民間運動団体との意見交換を法務局がすることはございますし、その場合は、具体的な差別事象について情報提供を受けるなどして人権状況等の把握に努めております。
○有田芳生君 擁護局長が中身については説明できないということでしたから、私がそのときの話合いについて、本省と協議をした内容について今お伝えをしました。それは事実なんですか、どうですかとお聞きをしています。
○政府参考人(岡村和美君) 事実でございます。
○有田芳生君 ならば、二〇一四年の段階で、ネット上にそういった差別的な地名リストが流れていることに対して本省と相談をして削除要請をした。削除できたんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 個別の事案についての削除要請を行ったかどうかについてはお答えを差し控えさせていただきます。
○有田芳生君 そうすると、こういった差別を誘発する、扇動する地名リストが流れていることに対して、それを削除要請をしたんだと東京法務局は明言している、本省と相談した上で。では、それを本省は確認できないんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務局と本省とは相談をいたしております。ただ、削除要請を行ったかどうかについてはお答えを差し控えさせていただきます。
○有田芳生君 そのお答えを差し控える理由というのは何でしょうか。こういう重大な差別問題について本省が答えられないというのはどういう理由なんですか。
○政府参考人(岡村和美君) 一般的に、削除要請を行ったか否かを開示することにより、削除要請を受けたサイト管理者と法務省、法務局との間の信頼関係を保持したいと、これからの調査、救済にも影響いたしますので、法務省とサイト管理者等との信頼関係を保持するために、一般的に個別の案件についてのお答えは差し控えております。
○有田芳生君 様々な差別リストがある中で、私は今、個別のリストについて摘示をして質問したんではないんです。東京法務局と部落解放同盟東京都連が二度にわたって協議をして、そこでは法務省本省と相談をした上で削除要請を行った。本省だって当然確認されているわけですよね、お答えできないだけで。だけど、個別のこの問題、このサイトを削除したということを聞いているんではないんです。一般的に聞いているんです。 東京法務局と部落解放同盟東京都連が話し合った結果、そこで問題になったサイトというのは削除されているんですか、されていないんですか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務省の人権擁護機関では、関係行政機関からの情報提供を通じて、差別を助長、誘発することを目的として特定の地域を同和地区であるとする情報がインターネット上に掲載されている事案を認知した場合は、当該情報の削除をプロバイダー等に要請するなどの対応に努めております。
○有田芳生君 結論を言いましょう。削除されていないんですよ。 二〇一四年にそういう話合いがあって、問題であると。で、本省とも相談をして削除要請をした。だけど、のうのうと、同和問題のタブーをおちょくるといったふざけた書き込みを含めて、二年近くたつのに削除されていない。それが、就職差別、結婚差別などに利用されている可能性が極めて高いものがどうして二年も放置されるんでしょうか、お答えください。
○政府参考人(岡村和美君) 私どもの削除要請は任意の協力を求めるものでございます。これからも粘り強く啓発活動に努めていきたいと思いますが、どうして削除要請したのにそのままかということにつきましては、お答えは難しい状況でございます。
○有田芳生君 この問題の最後には大臣にも御感想をお聞きしたいというふうに思っておりますが、そうやって削除要請をしても削除しないプロバイダーもいれば、そういうのを作成しているグループがあるわけですよね、実際に。そこで差別が温存されたままどころか、結婚差別も含めてずっと続いている。この事例ではありませんけれども、結婚差別の問題をめぐっては自ら命を絶つような事件がずっと戦後何件も何件もあったという、これを忘れてはいけないというふうに思うんですよね。 しかも、同和問題のタブーをおちょくると今でも公言している人たちは、戦前に作られた全国部落調査、それを復刻出版しようとした動きがありましたが、それは承知されていますか。
○政府参考人(岡村和美君) はい、承知いたしております。
○有田芳生君 具体的にはどういう動きだったんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 私どもは情報提供等により認知したところでございますが、本年二月、インターネット通販サイトにおきまして、全国部落調査復刻版と題する書籍の販売を本年四月一日に開始するとして予約を受け付けていたという案件がございます。その後、予約受付は停止されていると認識しております。
○有田芳生君 今お話がありましたように、一九七五年に明らかになった部落地名総鑑、それの基になったと言っていいんですけれども、戦前の全国部落調査。そこには、ふざけたことに、戦前の住所が現在はどういう地名になっているかということも書かれたものがネットで今でも広がっていると同時に、復刻販売するということは今擁護局長がお話しになったとおりなんです。 これは、どういう予約がなされたかは御存じですよね。お答えいただけますか。
○政府参考人(岡村和美君) どういう予約がなされたかということについては、通販サイトのことですので、把握をいたしてはおりません。
○有田芳生君 アマゾンで予約されたんですよ。アマゾンで、繰り返しますけれども、差別に直接結び付く全国部落調査を復刻出版するということでアマゾンが予約を取っていたんですよ。五十数冊予約があったんです。ところが、ゆゆしきことだということで、東京法務局でもなく法務省人権擁護局でもなく、心ある人たちが英文でアマゾンの本社に抗議をして、こういう差別許せないじゃないかということで、アマゾンは予約販売を中止をしたんです。それは御存じでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 本日現在、予約が停止されているということは把握しておりましたが、経緯については委員にただいまお教えいただきました。
○有田芳生君 これが、二十一世紀の日本、東京オリンピック・パラリンピックを控えての日本の差別の現状の一端なんですよね。 大臣に最後にこの問題についてお聞きしたいんですけれども、一つは、地名総鑑のようなものが作成、販売されるというようなことがあれば、それは各府県で条例を作っているように、例えば規制する条例とかあるいは法律というものもひとつ検討する必要があるというふうに思うんですよね。 それと同時に、差別につながる戸籍を第三者が取得をして、それで様々な就職差別、結婚差別などにも利用されるという事例が今でもありますから、例えば、二〇〇九年六月に大阪狭山市で始めたことなんですが、登録型本人通知制度、つまり、登録をしておけば、誰か第三者が戸籍謄本などを取得した場合には本人に通知が行く、誰が取ったのかというような通知が行くというような、そういう制度が全国に今広がりつつありますけれども、やはりこれを全国の全ての市町村で導入すべきだと私は考えている。 だから、そういう人権問題上からもやはり登録型本人通知制度というものを、まあ戸籍法の改正が必要だと思いますけれども、そういった問題として、人権大国日本をつくっていく方向性というのを真面目に急いで検討すべきだと思いますが、今の流れの質疑をお聞きになっていて、大臣、どのようにお考えになったでしょうか。
○国務大臣(岩城光英君) 東京オリンピック・パラリンピックを控えて、委員の御指摘のような対応をしっかり取っていかなければいけないというのが基本的な考え方でございます。 そこで、現在でもインターネット上で不当な差別的取扱いを助長、誘発する目的で特定の地域を同和地区であるとする情報が今なお掲載されていることは人権擁護上看過できない問題であり、あってはならないことであると、このように考えております。 そこで、今局長からいろいろ話がありましたが、関係行政機関からの情報提供等を通じて、差別を助長、誘発することを目的としてこういった特定の地域を同和地区であるとする情報がインターネット上に掲載されている事案を認知した場合には、この情報の削除をプロバイダー等に要請するなどの対応に努めてまいりましたが、その要請に応えていない事実があることも承知をいたしました。 したがいまして、先ほどの地名名鑑の話、それからこういったプロバイダー等に要請するなどの対応を、引き続きこれを強く要請していく、そういった対応をこれから検討してまいりたいと思っております。 いずれにしましても、同和問題に関する偏見や差別をなくすための啓発活動に取り組んでまいりたいと思います。 そして、登録型本人通知制度についてのお話がございましたので、このことについてお答えをさせていただきたいと存じます。 第三者による戸籍謄本等の請求に係る事前登録型本人通知制度の導入につきましては、正当な理由によって戸籍謄本等の交付を受けた第三者の個人情報や、裁判所に保全命令を申し立てるために債務者の戸籍謄本等を求める債権者、配偶者から暴力を受け離婚調停等を申し立てるために当該配偶者の戸籍謄本等を求める被害者の利益に配慮すべきとする意見もあり、法制化については慎重に検討すべきものと考えております。 平成十九年に戸籍法の一部改正が行われ、戸籍謄本等を請求できる者の範囲が限定されるとともに、偽りその他不正の手段によりまして戸籍謄本等の交付を受けた者に対する罰則は強化されております。戸籍法を所管する法務省におきましては、これまでも市町村に対する助言等を通じて戸籍謄本等の不正請求防止に真摯に取り組んできたところであります。今後とも引き続きそういった対応をしてまいりたいと考えております。
○有田芳生君 現代版の部落地名総鑑というのは、これは表現の自由では全くなく、当事者にとってはもうナイフそのものなんですよね。だから、そういう問題としてこれから真摯に、これは与野党超えて解決していかなければいけないというふうに思います。 後半の問題について、また人権擁護局長にお付き合いをいただきますけれども、まず警察庁にお尋ねをいたします。 三月六日、銀座でいわゆる右派系市民グループがデモを行いましたけれども、その概要についてお答えください。
○政府参考人(斉藤実君) 三月六日の午後でございますけれども、銀座におきまして右派系市民グループによるデモが行われ、これに反対をする人々が、デモやデモ参加者の言動に対してプラカードですとか横断幕を掲げるなどして抗議を行っていたものと承知をいたしてございます。
○有田芳生君 銀座というのは、御承知のように、今でも歩けば中国人、韓国人の観光客を含めてヨーロッパなどからの旅行者というのが非常に多い土地なんですが、いわゆる右派系市民グループ、在特会、在日特権を許さない市民の会、在日特権なんというのはないんですけれども、そういうものを掲げて集会、デモをやっている人たちが交じってその銀座のデモを三月六日に行いました。 警察庁にもう少しお答えいただきたいんですけれども、例えば去年、東京でどのぐらいのそういったデモがあったのか、あるいはその中で銀座で何件デモがあったのかはつかんでいらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(斉藤実君) お答えいたします。 平成二十七年中の東京都内における右派系市民グループのデモ件数は約三十件でございまして、このうちの約二十件が銀座において行われたものと承知をいたしております。
○有田芳生君 そのとおりでして、御承知のように、東京の新大久保、いわゆる在日コリアンの方々が多く商売などをなさっているところではデモができなくなっているという状況の下で、どんどん場所を変えて、外国人がいるところを狙ってそういうデモをやっている。中身についてはヘイトスピーチ、差別の扇動なんですよね。 今指摘していただいたように、昨年は東京で三十件、そのうち銀座では二十件と、そこに端的に表れていると思うんですが、今年に入って、まだ三月初めですけれども、銀座でどれだけそういったデモがあったと認識されていますでしょうか。
○政府参考人(斉藤実君) お答えいたします。 二月末現在の数字で御了承いただきたいのでありますが、都内で三件行われ、うち二件が銀座で行われたというふうに把握をいたしております。
○有田芳生君 そこで、三月六日の在特会の前会長も含めたデモ、その人数は、私数えましたら、五十人ちょっとぐらいでしたでしょうかね。それに対して、抗議をする人たちが恐らく五百人近く、数寄屋橋の交差点で黙ってプラカードを掲げて、差別は許さないと。そこには、写真、資料でお配りしておきましたけれども、「ヘイトスピーチ、許さない。」と。これは、法務省が作ってくださったチラシから大きくこういうものを作って、差別はいけないんだよという人たちが活用されていると。ですから、法務省が作ってくださったチラシ、ポスターというものは非常に有効に役立っているということをお伝えしておきたいんですが、右派系のそういう団体に対して、差別はいけないんだということが圧倒的な数で反対行動がありました。 しかし、そのデモ行進の先頭に立ってマイクを持って差別の扇動、ヘイトスピーチをまき散らしていたのが在特会の前会長でした。この人物に対して、昨年十二月二十二日、法務省は勧告を行われていますけれども、どういう経過でどういう内容についての勧告をなさったんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 本件は、右派系市民グループ元代表者が、氏名不詳らとともに平成二十年十一月から平成二十三年十一月までの間、三回にわたり、東京都小平市所在の朝鮮大学校前において、同校内にいた在日朝鮮人二名らに対し脅迫する言動を行うなどし、それらの言動の一部を撮影した動画を複数の動画共有サイトに掲載した事案と考えられます。 本件の経緯について申し述べますと、東京法務局は被害者二名からの申告を端緒に人権侵犯事件として立件し、元代表者から聴取するなどの調査を行った結果、元代表者の行為を人権侵害と認定いたしました。そして、東京法務局長は元代表者に対し、反省し、今後同様の行為を行わないことなどを勧告するとともに、複数の動画共有サイトの管理者に対してその動画の削除を要請いたしました。
○有田芳生君 ヘイトスピーチ問題を質問するときにいつも悩んでいるんですけれども、その中身をやはり知ってもらわなければなかなか実感として伝わってこないというじくじたる思いがありますが、同時に、そういうことを言葉にしてお伝えすることでまた大変なつらい苦しい思いをされる方がいるんですけれども、昨日、この法務委員会の皆さんにはどういったヘイトスピーチがなされているのかという短い五分バージョンの映像を事務所にお届けしておきましたので、機会があれば是非御覧になっていただきたいんですけれども。 在特会前会長が東京法務局から勧告を受けた朝鮮大学前でのヘイトスピーチについてはあえて御紹介をしておきます。映像にも入っておりますが、こういうことを言っているんです、学校の前で。そこで聞いている朝鮮人、ちょっと出てこいよ。たたき殺してみせるから出てこいよ。日本人をなめるんじゃねえぞ、ゴキブリども。君たちもね、北朝鮮人のプライドがあるんならちょっと出てこい。金正日のためにここでなぶり殺しにされろよ。殺してやるから出てこいよ。朝鮮人を殺しに来ました。我々は朝鮮人を殺しに来たんです。いつまでもいつまでも日本人が黙っていると思うな。おまえたちはね、余りにも多くの血を流し過ぎた。次はね、我々がおまえたちの血を流す番だというようなことをずっと言っていたことに対して勧告をしてくださった。呼出しも行った。 ところが、こういうことをやっている人物は、法務局から勧告文が来たら、その封筒を手に持ってえへらえへらとネット上で映像で、こんなものが来ましたよと、じゃ、皆さん見たいですか、開けてみましょうかと思わせぶりにそういうそぶりをしながら開けて、ちらっと画面に見せて、びりびりびりびり破りましたよ。つまり、勧告なさったことは非常に正しい方向だというふうに思いますけれども、そういう居直っている人物について効果ないんですよね。 先ほども言いましたけれども、三月六日だって、銀座の先頭に立ってえへらえへらとヘイトスピーチ、差別の扇動をずっとやっていた。これからも、例えば四月には岡山に行ってデモが準備されていますよ。全国各地に出かけていって、こういうことをやっている。これからもやるでしょう。そうすると、せっかく勧告してくださったのに、こういう人物がいれば、何だ、勧告されたって問題ないんじゃないのと。これは、法務省にとってもこけんに関わることだと私は思うんです。 ですから、勧告をなさった、それに対して全く従わない者に対してはやはり何らかの更なる措置が必要だと思いますが、擁護局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務省の人権擁護機関の講ずる勧告などの措置は強制力を有するものではなく、あくまで任意で行うものにすぎません。そこで、御指摘のような場合でも、法務省の人権擁護機関としては、できる限り相手方に更なる反省を促し、人権侵害を繰り返さないよう勧告するなど、適切な救済に引き続き努めてまいりたいと考えております。 また、こうした問題については、社会全体の人権意識を高め、こうした言動が許されないことであるという認識を醸成することが重要であると考えており、これからも引き続きヘイトスピーチを許さないとする姿勢を粘り強く、かつ地道な啓発活動を通じて社会全体に訴えてまいりたいと考えております。
○有田芳生君 ですから、そういった確信犯的な人物たち、確かに全国各地、法務省の御努力もあり、さらには現場での様々な抗議行動があり、あるいは公明党の地方議員の方々、民主党も共産党もそうですけれども、地方議員の方々の努力もあり、全国各地でのヘイトスピーチのデモの人数はどんどん減っているんです。ただ、件数は変わらない、増えている。しかし、残っているのは、何を言われたって続ける人たちなんですよ。 だからこそ、朝鮮学校襲撃事件の民事訴訟の大阪高裁判決、やはり新たな立法措置がなければそういったものは何ら対処できないんだという、最高裁の決定もありましたけれども、ですから、現行法では対処できないということがやはり問題だということを指摘しておき、さらには、もう一点確認したいんですけれども、在特会前会長が朝鮮大学の前で三回にわたって行ったヘイトスピーチについて、ネット上でも流れていましたけれども、これは削除要請されたのでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 東京法務局長は、複数の動画共有サイトの管理者に対してその動画の削除を要請いたしました。
○有田芳生君 複数要請されて、全部消えましたか。
○政府参考人(岡村和美君) 現在のところ、そのうちの一部の管理者が削除に応じております。
○有田芳生君 先ほどの地名総鑑問題と一緒なんですよね。だから、ネット上の問題というのは新たな私たちの課題だというふうに思います。特に電子化された情報というのは、それを消すというのはなかなか厳しい現実ですから、今そういうネット上での差別問題というのも非常に決定的な問題が起きているということを指摘をしておきたいというふうに思います。 次に、地方公共団体において、そういう差別の扇動、ヘイトスピーチの集会などが、しばしばと言っていいですけれども、行われようとしております。 まず、人権擁護局長にお聞きをしたいんですけれども、東京弁護士会が、人種差別撤廃条約に基づいて、厳格な条件の下で公共施設の利用を制限するガイダンスを発表したというのは御存じでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 東京弁護士会が、公共施設の利用申請を拒否する法的根拠などをまとめて地方公共団体とヘイトスピーチと題するパンフレットを作成し、地方自治体に配付していることは承知いたしております。
○有田芳生君 実は、直近でいえば三月十三日、今度の日曜日ですけれども、大阪市で、ヘイトスピーチをもう体にまといついたようにやっている人物たちが講演会、討論会を行います。交流センターひらの、そこでは午前中、そして午後には東住吉会館でそういう集会が行われますが、皆さんにお配りした資料の中の写真の右側、顔は消しておきましたけれども、そこで講演をする人物、御承知のように、ナチス・ドイツのハーケンクロイツの旗を背にして語っている人物で、ヒトラーの生誕記念祭というものをやってきた人物ですけれども、その人物ともう一人、今四十五歳になる、大阪の方で地方選挙にも立候補して落選した人物ですが、この人物は必ずヘイトスピーチを行っている。必ずなんです。一部をその資料の下の方に御紹介しておきました。 これは擁護局長に一般論としてお聞きをしたいんですが、こういう発言をしている。一番最後です。「自分たちがキムチ臭いということを感じないんですよ! だから平気で我々に暴力を振るってくる。これが在日朝鮮人の実態なんですよ!」。これは差別じゃないでしょうか。大阪高裁判決などでも明らかな差別じゃないでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 何をもって差別とするかは人によって様々な考えがあり得るところであり、経緯や背景の詳細も不明である個々の発言一つ一つについて差別に当たるかどうかを判断することは難しいこともありますので、お答えは差し控えたいと思います。 しかしながら、一般論として申し上げれば、特定の民族等を排斥したり誹謗中傷するような言動は、人としての尊厳を傷つけたり差別意識を生じさせることになりかねず、あってはならないものと考えております。
○有田芳生君 人種差別撤廃条約に日本は加入しておりますけれども、その例えば第二条の第一項(d)、各締約国、つまり、これは国だけではなく地方公共団体も含めてであるということは人種差別撤廃条約の第四条(c)に明らかなことですけれども、国も地方自治体も要するに、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる義務があるんですよね。 だから、地方公共団体も、そういう差別発言が必ず行われているという集会については慎重に対処すべきだというふうに思うんですよ。ですから、今、大阪市はそういう公共施設を貸し出していますけれども、事前に必ず差別をするということが十分予測される人物たちに対して、やはり条件を付けるというような動きもこれからは必要だというふうに思っております。 二〇一三年、山形県の生涯学習センターでは、在特会の当時の会長などが集会をやろうとしたときには、混乱が起きる可能性があるということで、公共施設貸し出しませんでした。二〇一四年には大阪の門真市が、一旦貸し出したんだけれども、あっ、この人物だったら、調べてみたら必ず差別の発言をするということで、門真市は一旦貸し出したのを取り消したんですよね。だから、そういう現場での判断、覚悟というものがこれからは重要になってくるだろうというふうに思っております。 もう時間が来ますので、最後に大臣にお聞きをしたいんですが、実は、龍谷大学の教授の金尚均さん、この方々が中心になって、ヘイトスピーチによる被害実態調査と人間の尊厳の保障研究プロジェクトで千四百八十三人の韓国籍、朝鮮籍、それから日本国籍の生徒たちにアンケートを取った。結論だけにしますけれども、あなたは日本で生活していてコリアンに対する差別を感じますかと。それに対して、感じる、やや感じるというのは全体の八〇%なんですよね。大事なのは、恐怖や怒りをヘイトスピーチに感じるというのは何でですかということに対しては、人間として平等に扱われていない、これがもう七三・三%。人間としての尊厳、平等が損なわれているという現実がこの日本で今でもずっと続いている。だからこそ、法務大臣、法務省、それから政府が一丸となってこれから人権大国日本を東京オリンピック・パラリンピックに向けてつくっていかなければなりませんけれども、こういう調査結果も踏まえて、これからの日本をどう人権大国にしていくのか、最後に大臣にお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 岩城法務大臣、答弁は簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(岩城光英君) これまでも申し上げてまいりましたとおり、外国人に対する偏見や差別、これはあってはならないことだと考えております。そこで、法務省でも、従来から外国人の人権をテーマとした啓発活動、これに取り組んでまいりました。更なる取組の強化を行っているところであります。 おただしのように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として国内の人権状況、これを良いものにしていかなければなりません。そのために、人種、障害の有無などの違いを理解し、自然に受け入れ、互いに認め合うことのできるユニバーサル社会を目指す必要があると考えております。 これからも引き続き粘り強く、かつ地道な啓発活動を行うとともに、人権相談等を通じて人権侵害の疑いがある事案を認知した場合は人権侵犯事件として立件し、適切な救済に努めてまいりたいとも考えております。
○有田芳生君 終わります。ありがとうございました。
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。 大臣所信、非常に幅広いテーマを網羅されたものであるというふうに評価もさせていただきたいところであります。テロ対策など国民の安全に関するところは当然ではございますが、そのほかにも、私も以前質問させていただいた無戸籍の問題でありますとか、一日も早く戸籍を作っていただくためのアドバイスを懇切に行っていただくということもおっしゃっていただきました。例えば、裁判費用の援助などについてもまた御検討をいただきたいというふうにも思っております。 あと、さらに角度の違うところとしては訴訟機能の充実、とりわけ法的紛争をこれ未然に防止するための予防司法機能の充実というところもおっしゃっていただいたところであります。非常に大事なところでもあるなと。社会全般の裁判コスト、訴訟コストとかをこれ下げていくという部分でもそうですし、とりわけこれは、法務省はほかの省庁とは一味違う専門家集団の集まりでもありますので、私個人の思いとしても霞が関の顧問弁護士という思いで、この部分は更に充実を図っていただきたいというふうにまず冒頭申し上げたいというふうに思います。 それで、今日は大臣も所信でも強調されていた再犯の防止について幾つか御質問をしたいと思います。 今、超党派の議連でも議員立法等に向けても鋭意努力をしているところではございます。我が公明党でも、遠山清彦衆議院議員を座長にしまして、私が不肖事務局長を仰せ付かりまして、今プロジェクトチームも立ち上げているところであります。これまで様々なところを視察も参りましたし、保護司の方や協力雇用主の方なども御意見をいただくような会合も設けたところであります。 ちなみに、視察したところの一つが川越少年刑務所でありまして、非常に老朽化が進んでいるところであります。それについても、どうやってこの設備更新等も、耐震等も含めてこれはやっていくのかというところは、我々もしっかりとこれ後押しをさせていただきたいというふうに思っております。 その会合の中で、保護司の方お二人にお話をお伺いいたしました。お一人は野崎さんという方で、多摩地区の保護司会の連絡協議会の会長をされている方であります。もう一人は横山さんという方で、これは大田区の保護司会の会長もされていらっしゃる方であります。 二人のお話を聞いていて非常に特色があるなと思ったのは、非常に地元の自治体との協力関係というのをこれしっかりつくられて活動をされているなというところでありました。 野崎さんが会長もされている多摩地区の保護司会などは、例えば多摩地区二十六市三町一村、その広いエリアを束ねていらっしゃるわけなんですけど、人口四百万人で、自治体等の協力もいただいて大体お一人当たり七円という形を負担をいただいて、トータルで二千八百万円、それをしっかりと拠出をいただいて保護司会の活動の充実に充てていくというような連携もされているというようなお話がありました。 大田区の方の横山さんは、大田区は区長も議長も副議長もこれ保護司さんである、非常に地域との連携というのがよくできていらっしゃって、例えば公的機関の場所もお借りするような対応もされているし、電気代とか水道代などもこれは自治体の方が負担をいただいているというようなお話もお伺いもいたしました。すばらしい連携の在り方でもあるし、とりわけ保護司さんは地域の篤志家として、やはり愛する地域を守って安定を図っていくためにも御自身の私生活もある意味犠牲にされながら頑張っていらっしゃる方、そういう方の仕事を支えていくにもやっぱり自治体の協力がこれ更に必要であるなということもお伺いして実感したところなんですけど。 他方で、お二人が口をそろえておっしゃったのは、私たちは特殊ですと。特殊と言うと言い過ぎかもしれないですけど、やはり自治体との協力というのがまだなかなか、不十分という言葉が正しいかどうか分からないですけど、もう少し自治体と協力関係が取れるような全国的な展開というのができないかというような要望もいただきました。例えば、研修会場や対象者との面談場所の貸与すらなかなか受けられないようなところもやはりある。保護司会活動にも支障が出てしまっているようなところもあるかなというふうに思っています。 再犯防止に当たって自治体から協力をいただくためにはいろんな法的根拠もあって、更生保護法の二条二項など、自治体は協力をできるというような形で規定もしておりますし、保護司会活動など、十七条でも同じようにできる規定で、規定はあるわけですが、やはりそれぞれ自治体ごとに取組に不均衡もある。 こういうようなものをどうやって是正をしていき、保護司会活動を更に充実させていただくために政府としてどのような取組をされていて、また考えられているのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。 ただいま御指摘のとおりで、地方自治体の協力がますます重要になってきております。具体的な例を挙げましても、今、保護司の後継者の確保につきまして非常に課題が多いところでございますが、その保護司のなり手としまして、公務員を退職された方あるいは学校の先生であった方等が有力な供給源になってございまして、地方自治体にそのような方々についての御協力をお願いするということもしてございます。それから、今御指摘ありました更生保護サポートセンター、これは保護司の活動拠点でありますが、その設置場所の提供も自治体にいただいているということでございます。それから、従来から続けております国民への広報活動、社会を明るくする運動につきましても、各地方自治体の首長が率先して運動に携わっていただいているというところもございます。 そういうようないろいろな御協力をいただいておりますが、その関係で、法務省といたしましても、法務大臣を始め政務三役が全国各地に直接出向くなどいたしまして地方自治体の首長等に協力を依頼するなどしているところでございます。また、法務省保護局長と総務省担当審議官の連名で地方自治体に対する協力依頼文書を発出しているところでもあります。 そのような取組を通じまして、減少していた保護司の数が増加に転じました。そしてまた、更生保護サポートセンターも今や全国で四百四十六か所設置するという状況でございまして、地方自治体の協力を得まして、ますます保護司の活動を充実したものにしてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君 今、総務省との連名でのお話もありました。いろいろ他省もしっかり巻き込んで、より保護司会また自治体が積極的に更に支援をいただくような体制をつくるためにも、議員立法等でもしっかりまた後押しをできればというふうに思っております。引き続きよろしくお願いします。 保護司さんが地域の篤志家であれば、やはり再犯をした方々が更に更生をしていくための生活の基盤を特に雇うという雇用の部分で支えていらっしゃるのが協力雇用主さん、時には住まいも支えていらっしゃる方でもあると思うんですけど、私も二人ぐらいお会いをしました。北九州の野口さんという方と、さいたまの白石さんという方でございます。お二人も、お話も聞いていて、やはり体当たりで更生に向かって頑張っていただいているんだなというドラマもいろいろとお伺いもして、感動もした次第でございます。 他方で、やはりいろいろと悩み等も抱えていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。とりわけ、それが雇用主さんが実際協力する上でやはり支障になっている部分もあるかなと思って、それでお尋ねをしたいと思うんですが、受け入れてもやはりまた再犯を犯してしまったというようなこともある。そこで、ああ、また再犯を犯してしまったのかと気落ちをしてしまうというようなこともあるというようなことも率直におっしゃっておりました。ただ、それでも例えば白石さんなどは、ずっとそれでも手紙を書き続けてその人の更生のためにまた頑張っていらっしゃるという努力もおっしゃってくださったわけですけど。 協力雇用主さんという形で今一万六千人ぐらいの方が登録されていらっしゃいますが、法務省の助成金などの仕組みなども効果を上げまして、平成二十七年四月の段階では五百五十一ぐらいだったのが、平成二十八年には八百二十三ぐらいの方が実際雇用をされるようなぐらいに数も伸びていらっしゃる。 ただ、他方で、これを更に雇用をされる方を増やしていくためには、やはり雇うとして受け入れた方々をしっかり更生する、矯正させるための体制づくりというのもこれは必要であるなというふうに思います。協力雇用主の方も矯正の専門家ではないので、一点目としては、まずそういう方々へのサポート体制、矯正の部分での、そちらについての御意見をちょっといただきたいと思います。 そして、まとめてもう一つお伺いしたいんですが、あとはやはり大事なところは、協力雇用主さん、いろいろと助成金等で今補助もしていただいている。金銭面での補助という部分もそうなんですけど、私が大事だなと思うのは、協力雇用主さんがある意味御自身の部分を犠牲にしてでも社会のため頑張っていらっしゃるというこの誇りをやはり大事にしていくというところは当然大事であるなというふうに思います。こういうような方々のお仕事がどれだけ社会的に意義があるのかということをしっかりアピールする方策というものもこれは大事であるかなと思います。 ちょっと二点についてまとめていただければと思います。
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。 まず、ただいま御指摘ありました刑務所出所者等就労奨励金支給制度というのを本年度から開始しまして、御指摘のように、昨年四月一日の時点で五百五十一事業主だった事業主がその後九か月で二百七十二事業主増えまして、本年一月一日の時点では八百二十三事業主になったということでございます。この数は実際に刑務所出所者等を雇用していただいている協力雇用主さんの数ということで、実際に雇っている数字ということでございます。 そしてまた、雇用主さんへのサポート体制、どういうものがあるかということですが、今現在で全国の十六か所でございますが、更生保護就労支援事業というのを展開してございます。これは、保護観察所が就労困難と判断した刑務所出所者等に対しまして、保護観察所から委託を受けた民間事業所の就労支援員が矯正施設や協力雇用主の下を訪問するなどして就職活動支援等を行うものでございます。平成二十六年度になりますが、その実績は、支援対象となった七百八十七人に対しまして五百九十三人の就労を確保したと、七五・三%の就労が実現したという数字になってございます。 また、協力雇用主さんの更なるサポートの関係でございますが、これは本年度からの取組でございます、刑務所出所者等を実際に雇用していただいている実績のある協力雇用主さんに対しまして、感謝の意を表すために法務大臣の感謝状を贈呈するという表彰制度を創設したところでございます。また、そのほか、社会を明るくする運動等の広報活動を通じまして、協力雇用主さんの存在、あるいはその意義を一般国民に知ってもらうべく、広報活動にも協力雇用主さんの活動ぶりを組み込んでいきたいと考えておりまして、これらの協力雇用主さんに対しますサポート体制、支援体制をより一層充実させてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。 今、全国就労支援事業者機構、それぞれの地域団体との委託も十六団体に今や及んでいるというところ、それを更に広げていくため、全国四十七都道府県全部に広げていくためには、やはり予算の更なる拡大というのも大事であるかなというふうに思います。そちらもしっかりと引き続きやっていただきたいのと、感謝状というところは、これはもう非常に大事だなと思います。やっている方々のお仕事を顕彰することで、それぞれドラマがあるわけですけれども、それがまたいろいろと広がっていって、いろんな方々の御理解にもどんどんこれ広がっていくわけですので、これは良い取組だと思いますので、是非引き続きお願いもしたいと思います。 それで、やはり国民の理解が大事であるなと。再犯防止も、ともすれば、いかにも犯罪を犯した人に対して国がお金を出しているんじゃないかというような一部御意見も若干ではあるところではあるんですが、私が大事だと思うのは、やはりこれ、再犯防止は当然ですけど、その方々、出所者の人生のやり直しというところもあるわけですけれども、それをしっかりやることでいろんな、例えば矯正施設の人件費とか、食事も出すわけですので、入所者の人たちには、そういうふうなコストがなくなるという部分もありますし、その人たちが更生してちゃんと仕事をして納税者になっていけばしっかりと国に対しても財政的なリターンというのもある、こういう部分の全体的なコスト感覚というのもこれは必要であるかなというふうに思っております。 それで、大臣にお伺いしたいんですが、再犯防止施策がもたらしてくれる経済的、社会的効果なども、これももっと客観的に検証をしていくことが国民の理解を得るためにも大事だと思うんですが、その辺り、御所見をいただければと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 私も、再犯防止について説明をするときに、今お話のありましたような経済的あるいは社会的な効果、こういったものを併せて話ができればより理解を深まると、そんなふうに考えてはおります。 そこで、再犯防止施策の効果としましては、一般論として二つの方向のものが考えられます。まず一つ目は、犯罪による被害や取締り等に要する費用等の社会的負担の減少、二つ目は、対象者が立ち直ることなどによる社会的利益の増大、こういったものが考えられると思います。 委員の御指摘は、このような抽象的な説明でなく、より量的に、あるいは数字的なもので国民にお示しできないかということであろうと思いますが、これはやはり量的な算定をすることはなかなか難しいといった側面があることも御理解いただきたいと思います。ただ、御指摘は非常に大事なことだと思っておりますので、再犯防止施策の効果をできるだけ国民に明確に示すということはこれからも努力をしていかなければならないと考えております。 そこで、まずは再犯の現状とその防止に向けてどのような施策を行い、それがどのような効果を期待され、また実際の効果を発揮したかを説明できるようにしていくことが重要だと思います。 そのため、法務省では、まず検察庁、刑務所、保護観察所等が保有する情報のうち相互利用に適する情報を共有して一元的に管理し、施策の効果検証、再犯要因等の調査、検証への活用等を可能とする刑事情報連携データベースシステム、この開発を平成二十七年度から進め、来年度中に運用を開始する予定であります。これからこういったシステムを活用するなどして施策の効果を検証し、より効果のある施策を推進していくとともに、その施策の効果を国民の皆様方に説明していくことにより、一層の御理解と御協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君 今、大臣から具体的なデータベースのお話もありました。より積極的に進めていただいて、見える化というところも進めていただきたいというふうに思います。 麻生大臣とお会いしてお話もして、再犯防止の話になったときにも麻生さんからも、そういうコストというのもしっかり見えるような形にしていくことが更に大事だというような御指摘もいただいたということも併せて申し上げたいというふうに思います。 最後、再犯の問題等もそうなんですけど、やはり私も法務省の仕事を見ていると、再犯も当初は法務省単独の話であったのが、これから厚労省であったりとか、どんどん連携をしていかなければいけないというような、そういうような広がりを持っていくような話であった。 他方で、大臣も所信でおっしゃっていた司法と福祉の連携という部分、法テラスの関係であるとか、あれなどは、福祉部分だったものをやはり司法が関与しなければいけないというような、そういう違う方向での広がりだったと思うんですが、法務省の仕事というのは、少子化も高齢化もそうですけど、その流れの中でいろんな方面と連携をしてやっていかなければいけない仕事というのがやっぱり増えているなと。法務省は、やはりそれの旗振り役としていろんな省庁との連携というのをこれやっていく使命というのは非常に大きくなっていっていると思いますので、大臣には是非その旗振り役の役割を更に推進していただくことを改めて御期待を申し上げまして、質問を終えたいと思います。 ありがとうございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 一月十九日のこの委員会で、私の質問に大臣はおおむね、公選法の選挙権年齢と少年法適用年齢は必ずしも連動しない、再犯、再非行は刑事施設と比較して有意に低く、少年院での矯正教育は一定の効果を上げているという趣旨の御答弁をされました。そんな謙遜することはない、我が国の戦後少年法の仕組みは世界的に見ても極めて有効に機能していると私は申し上げたわけですが、しかし、そうした少年法や少年事件の現状と少年法に対する国民の意識との間にはある種の乖離があるのが一方の現実のように思うんです。 例えば、内閣府の二〇一五年、少年非行に関する世論調査で、五年前に比べて少年の重大な事件が増加したとお答えになった方が七八・六%、およそ八割で、減少したという方が二・五%、変わらないと答えた方は一六・八%だったわけですね。こうした少年非行の動向の見方もその一つだと思うんです。 そこで、まず法務省に、五年前に比べて少年非行、また重大事件は増えているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(高嶋智光君) 平成二十七年度版犯罪白書によりますと、まず一般的に、少年による一般刑法犯の検挙人員は平成十六年以降ずっと減少しておりまして、平成二十六年は一般刑法犯は六万二百五十一人の検挙人員でございました。他方、少年十万人当たり、これは十歳以上の少年ですが、十歳以上の少年十万人当たりの一般刑法犯の検挙人員の割合は、成人の十万人当たりの一般刑法犯の検挙人員の割合よりは高くはなっております。 さらに、御指摘の凶悪犯罪、また重大犯罪の一つでございます殺人罪の検挙人員でございますが、平成二十七年度版白書によりますと、平成二十二年以降はおおむね横ばいで推移しておりまして、平成二十六年は五十二人でありました。
○仁比聡平君 つまり大きく減っているわけですね。 念のため確認ですけれども、先ほどお話のあった人口比ですが、これ少年の人口比で見ても、つまり少年の数そのものが大きく減ってきているわけですけれども、それ以上にその少年の中で非行に走る、陥る、その子たちは急激に減っているというふうに思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(高嶋智光君) 先ほどの人口比でございますが、人口比の割合についても減っているということは、すなわち人口比以上に減っている、犯罪が減っている、人口が減少した割合以上に犯罪自体が減っていると、こういう趣旨でございます。委員御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 大人に比べて少し人口比が高いという御発言もあったんですけれども、どの国でも子供が逸脱行動に走るというのはこれは多く見られることであって、日本の特徴というのは、前回も議論させていただきましたけれども、初発非行の年齢と累犯化の関係が著しい欧米に対して、初発への介入が適切に行われて効果を上げているという評価もされていることがその数字にも出ていると思うんですね。いずれにしろ、つまり大きく減っているわけです。 ちょっともう一個確認しておきますが、犯罪白書を始めとした刑事司法の統計の中で、少年非行全体が凶悪化しているということを基礎付ける資料や分析というのは何かありますか。
○政府参考人(高嶋智光君) 今年度の二十七年度犯罪白書におきましては、そのような記述はございません。
○仁比聡平君 そのとおりです。 ちなみに、家庭裁判所の少年保護事件、一般保護事件の数を見ましても、二〇一〇年と二〇一五年で比較しますと、およそ事件数というのは四割以上、四二%から四三%、大きく減っているわけです。 そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、大きく減っている、これはいいこと、つまり全体としては大きく改善されていると言ってよいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩城光英君) 平成二十七年版犯罪白書、これによりまして、少年による一般刑法犯の検挙人員については、先ほど答弁したとおり、平成十六年から減少しております。そして人口比も、この割合は先ほど答弁したとおり減っているわけですけれども、成人の割合よりも高いということは、これも今御指摘のあったとおりの状況だと思います。さらに、少年による殺人の検挙人員についても、先ほど政府参考人が答弁したとおりでありますが、過去五年間では大きな変化がないものと認識をしております。 加えまして、警察庁生活安全局少年課が作成した少年非行情勢によれば、社会の耳目を集める凶悪犯罪が発生しているほか、振り込め詐欺の検挙人員が増加、また再犯者率の上昇など、少年非行を取り巻く情勢は引き続き厳しい状況にあるとされておるわけでございます。 したがいまして、少年犯罪に対する対策は引き続き重要であると、そのようには認識をしております。
○仁比聡平君 大臣の御答弁の中で今触れられた社会の耳目を集める事件、こうした事件や振り込め詐欺などが存在して、この対処が必要なのだということについては、これはもちろんそのとおりだと思うわけですね。 問題は、少年非行全体が凶悪化しているという何かの根拠があるかというと、それはないということだと思うんですね。全体としては大きく改善されていると。一方では、国民意識として少年事件や少年法に厳しい見方がある。ここにある種の、まあ言葉がこれで正しいかどうか分かりませんが、乖離があるとしたら、これは大臣、どんなふうに捉えておられますか。
○国務大臣(岩城光英君) 国民の皆様方が、少年の事件、これが非常に重大事件が増えていると、そうした認識についての私の考えでよろしいですか。
○仁比聡平君 はい。
○国務大臣(岩城光英君) 昨年行われました少年非行に関する世論調査において、少年による重大な犯罪が増えていると思うと回答した方が多いとの結果が出ております。そのような回答が多数を占めた理由については、そもそもこの世論調査においてなぜ増えたと思うかという質問がありませんので、お答えすることはちょっと難しいなと考えております。 ただ、この点に関しまして、若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会におけるヒアリングに応じていただいた有識者の方々からはこんな意見が出されております。一つには、テレビやインターネットなどの影響を指摘する御意見、それから報道の現場としても凶悪事件が後を絶たないという実感があり、一般人も同じような感覚ではないかと、こういった意見などが述べられたものと承知をしております。 ですから、といったことが国民の世論の形成になっているのかなと、そんなふうに受け止めております。
○仁比聡平君 今の御答弁は、つまり、そうした勉強会で述べられている意見なども踏まえながら勉強、探求していくべき課題という御認識なのかなとも思ったんですけれども、その勉強会が今急ぎ足で開催されているわけですが、これは確認でお伺いしたいんですが、少年法と少年非行の現状が国民的に理解されないまま、適用年齢の引下げという刑事政策上の大きな変更を引下げありきで進めてはならないと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(岩城光英君) 少年法の適用対象年齢につきましては、少年非行の情勢などの少年法固有の観点から検討を行う必要があるほか、公職選挙法の選挙権年齢や民法の成年年齢についても考慮する必要があると考えております。 そこで、法務省におきましては、若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会、先ほども申し上げましたが、これを開催し、少年法の適用対象年齢を引き下げるべきか、仮に引き下げる場合には刑事政策上どのような措置が必要となるのかといった点を含む幅広い事項に関連する検討を行うための基礎的な知見を得ることとしているところでございます。
○仁比聡平君 つまり、引下げありきではないんだということですね、ちょっと念のため。
○国務大臣(岩城光英君) ですから、引き下げるという方針を決めて勉強会を重ねているとか検討しているということではございません。
○仁比聡平君 その第四回の勉強会で主婦連合会の方が、ヒアリングを受けることが決まってから女子少年院と少年刑務所の視察をしたと、想像していた以上に非常に手厚く丁寧に行われていて、その理念、実践共に社会システムとしてとても誇れるものであると再認識したと述べていらっしゃいます。 また、全国高等学校長協会会長の先生は、この機会に初めて少年鑑別所と少年院を訪問した、本当にびっくりしたというか、ここまで丁寧にやっているのだと思った、子供たちは恐らくここまで自分のことで丁寧に関わってもらったという経験はこれが初めてなのかなと思うくらいだったとおっしゃっているんですね。 校長会の会長の先生が、子供たちはここまで自分のことで丁寧に関わってもらったという経験はこれが初めてなのではないか、つまり少年司法の処遇において初めて体験しているのではないかと感想を述べておられるのは、僕はとても大事だと思うんですね。 少年法の議論は、少年非行の現状や背景を把握して、こうした少年司法の現実の姿とともに広く国民の皆さんと共有をするということがまず重要であるし、出発点なのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(岩城光英君) 委員がおっしゃるとおり、現状を把握して、その把握した現状を国民と共有していく、国民の皆様方に広く知っていただく、そのことは極めて大事なことだと思っております。
○仁比聡平君 今、世の中を見ますと、犯罪や非行に対して自己責任のみを強調して制裁と排除を求める、そうした風潮というのもあるように思うんですね。非行の背景、要因を明らかにして、それに対応した貧困対策、社会的支援など諸政策を進める、強めるということでこそ非行、再非行や犯罪の減少につなげていくことができる、私はそうしたことがとても今大事なのではないかと思います。少年法を始めとした法改正や刑事政策を議論するならば、エビデンスに基づいた議論、立法事実を探求する議論を行うべきが政府と国会の務めだと思うんですね。 その国会議員、とりわけ与党自民党の例えば稲田朋美政調会長が、一年前、少年犯罪が非常に凶悪化していると、少年法見直しを強調したといった報道がされましたけれども、引下げありきで排除の風潮をあおるような発言というのはもうおやめになるべきだというふうに思うんですね。 そこで、非行の要因について次にお尋ねしたいと思うんです。 厳密にその少年の非行との因果関係が認められる原因かどうかというのはこれはちょっと別に置いて、非行に至る要因や要素として諸外国でこうした研究があります。反社会的な仲間集団の存在、家庭の社会経済的地位の低さ、反社会的な親の存在、放任や厳し過ぎなど不適切な親子関係、親による虐待、学校での態度や成績の悪さ、こうした要因が非行に影響を与えるという研究なわけですが、こうした要因の分析は刑事政策を検討する上で私は重要だと思うんですね。 そこで、大臣は、少年のこうした養育環境や学歴あるいは階層、これは非行に関連ないし影響があるとお考えですか。
○国務大臣(岩城光英君) 少年の非行には、本人の資質とともに、家庭、学校、職場等の様々な問題が多重的、複合的に関わっているものと、そのように認識をしております。そのような問題を抱える少年非行について、矯正関係機関としては、少年鑑別所において非行の背景にある資質上及び環境上の問題を明らかにするように努めております。また、家庭裁判所の保護処分により少年院送致となった場合には、その少年院において、個々の在院者の性格、年齢、経歴、心身の状況及び発達の程度、非行の状況、家庭環境その他の事情を踏まえた矯正教育を行ってきております。 今般の少年院法の改正及び少年鑑別所法の制定を機に、少年鑑別所におきましてはより精度の高い鑑別等に努めており、少年院においては個々の在院者の事情に応じた各種プログラムの実施や就労・修学支援等の社会復帰支援の一層の充実に努めております。これからも、そういった意味で個々の少年非行の問題性に柔軟に対応しつつ、処遇に資する鑑別やきめの細かい矯正教育、そういった対応をしてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 私が大臣にもう一度確認したいのは、養育環境だとか学歴、階層などが非行に影響があるかという問題なんです。例えば、先ほど来法務省の方でお答えいただいている犯罪白書には、少年院の入院者のそうした例えば教育程度だとか、実母のみといったその親の状況などを分析をしておりますし、平成二十三年の犯罪白書ではそうした要因に迫る特集を組んでもいらっしゃるわけですけれども、それはつまりそうした要因が非行に影響があるという、その認識ということですよね、大臣。
○国務大臣(岩城光英君) 今お話がありましたとおり、犯罪白書におきましても、本人の資質の問題のみならず、家庭、それから学校、職場、地域社会といったレベルを異にする環境上の問題等、様々な問題が多面的、複合的に関わっている、こういったことが明らかにされておりますので、私自身も、先ほども申し上げましたとおり、そういう同じ認識でおります。
○仁比聡平君 そこで、最高裁家庭局長においでいただきまして、一問だけお尋ねしたいんですが、お手元に資料をお配りをいたしました。これ、家庭裁判所が少年ごとに記載をする少年一般保護事件票というもので、家庭裁判所や最高裁の司法統計の基礎になるものだと思うんですけれども、このお手元にあるのは平成十年までのものなんですね。私がラインマーカーを付けましたように、本件行為時の少年の教育程度に加えて、右の欄にその行為時の職業があったかなかったかなど、それから、その行為時の保護者として実父母がそろっているか、あるいは一人親か、あるいは祖父母が同居しておるか、養父母かなどの種別、生活の程度が富裕か普通か貧困か被保護かなど、そして親御さんの職業がどんな職業かといった項目について調査をそれまではしていたわけです。 これ、調査していた理由はまず何でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 現在の裁判統計の主な項目には、お配りの資料にもいろいろございますとおり、裁判所が取り扱っております事件の数ですとか種類、審理期間等の審理の状況、それから結果と、こういったことがございまして、これらは裁判所が取り扱っておりますところの各種事件の処理状況、これを明らかにするという目的で統計項目とされているものと考えております。 また、統計のそれ以外の目的としては、各事件処理をする上で参考となり得る資料を収集すると、こういう目的もあろうかと思いますが、委員御指摘の少年の行為時の職業ですとか保護者の種別というようなことで御紹介をいただきました事項は少年の環境に関する事項と考えられますので、今申し上げた目的のうちの後者の方、すなわち事件処理をする上で参考となり得る資料を収集するという目的に資すると考えられて調査をしていたものというふうに考えられます。 ただ、この点に関して、この記録を取っていた当時の正確な記録が残っておりませんので、確実な理由としてお答えを申し上げることは難しいというところは御理解をいただきたいと思います。
○仁比聡平君 というように、少年の環境に関する事項としてこうした統計をしていたんだけれども、九九年以降、この項目を取らなくなった。ですから、その後、この項目は統計上表れなくなっているわけです。 端的に言えば、私、こうした調査項目をよく検討して、このままでいいかというのはあるかもしれないんですが、更に虐待の有無なども加えて改めて調査対象とするようにしてはいかがかと思うんです。 といいますのは、もう皆さん御存じのとおり、少年事件は全件家庭裁判所に送致されるという全件送致主義の下で、その審判は非公開で行われるという、この大原則はとても大事なことなわけですが、そうした下で、多くの国民の皆さんにとって、あるいは犯罪学などの研究者の皆さんにとっても個々の事件の審判の中というのは全然分からないわけですね。ですから、少年法、あるいは少年非行の現状、処遇の取組というのを広く共有して研究に資していく、それが刑事政策の基礎資料を充実させることにもなるという上で、家庭裁判所が果たしていただく責務というのはやっぱり大きいものがあるんじゃないかというふうに思うんですね。 そうした中で、もちろん職員さんの負担などは、事件数は大きく減っているわけですけど、その下で必要な増員を是非大臣にもお願いしたいとも思うんですけれども、方向性としてこうした項目を言わば復活させるというふうにした方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 申し上げるまでもなく、裁判所の役割は個別具体的な事件を適正、迅速に処理をするということでございますので、委員のお話にありましたような非行の現状を広く国民との間で共有したり一般的に研究に資する資料を提供しよう、あるいは刑事政策の基礎資料のためというような、そういう目的で統計事務を裁判所が行うというのはなかなか裁判所の役割としてはそぐわないところがあるのかなというふうに考えておりまして、そういう目的のために一般的な統計項目に改めて加えるというところは現時点では考えておらないというところでございます。
○仁比聡平君 現時点では考えておらないということなんですけれども、戦後七十年にわたっての少年審判社会調査の中で積み重ねられている少年非行の見方というのは、これはとても大事な財産だと思います。個々の事件を適正に解決をしていくということを進めながら、是非御検討を願いたいと思うんです。 時間が参りましたので、少年院の多様な取組について御答弁をいただく時間がなくなってしまったのが残念なんですが、男子の和泉学園のウオーターボーイズだったり女子の青葉女子学園のオペレッタだったり、本当に高い評価を受けている個別処遇と多様性という実践があります。是非大臣も現場を見に行っていただいて大いに応援をしてもらいたいということを強くお願いして、今日は質問を終わります。
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。 今、子供をめぐる問題が非常に話題を呼んでいるというふうに思います。まず、ネットで評判になった保育園入れないという、これもう本当に今ちまたでは怒りの声が、子供たちを持つお母さんたちを中心ですけれども、怒りの声が渦巻いているという感じがします。それから、安倍政権は、少子化のために出生率を上げようという、そういう目標も挙げています。それから、今、子供の貧困というのもやっぱり一方で問題になっております。 私、これから取り上げる問題は、以前もこの委員会で伺った問題なんですが、これも子供の貧困に関連する問題ではないかということでこれから伺っていきたいというふうに思っております。 まず、岩城大臣にお伺いしたいんです。子供の貧困、これについてどう思われるか伺いたいと思います。そしてもう一つ、子供の貧困、この原因が親の離婚ということと関係があるのかどうか、これについてもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 子供の貧困についてでありますが、子供が自らその未来を切り開き、その可能性を追求するために必要となる前提条件に関わってくる問題だと思います。子供の未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはならないと考えております。したがいまして、子供の貧困を解消し貧困の連鎖を断ち切ることは極めて重要であり、政府が一丸となって取り組むべき課題であると認識をしております。 また、離婚との関係についてでありますが、一方の親が子育てと仕事を両立させていかなければならないところであり、必ずしも安定した就労や十分な就業時間を確保することができないなどの課題を抱えることがあるものと思われます。そして、本来支払われるべき養育費が支払われていない場合があると、こういった問題もあるものと認識をしております。こういう意味で、子供の貧困と両親の離婚とはある程度関係があるものと、そのように受け止めております。
○真山勇一君 貧困、両親の離婚とある程度関係あるんではないかというお答えでした。 それを証明するようなデータもありまして、厚生労働省の方からいただいたデータ、ちょっと数字だけですけれども御紹介したいと思うんですが、人口動態統計によると、ここ数年、離婚というのは一年間に二十二万から二十三万組が離婚している、一年間に。そして、そのうち子供がいる夫婦の離婚というのが十三万組というふうに言われています。つまり、離婚件数全体のおよそ六〇%に当たるということですね。かなり大きな比率を占めているというふうに思います。 それから、子供の貧困率です。こちらは、厚生省の国民生活基礎調査というものの平成二十四年の数字です。これ、いろいろ伝えられているので非常によく知られている数字ですが、子供の貧困率は一六・三%、つまり子供の六人に一人が貧困であるという、この数字は結構いろいろなところで衝撃的に伝えられたということですけれども。そしてさらに、子供と大人一人の世帯、これ、つまり一人親世帯、一人親家庭というわけですけれども、その一人親家庭の貧困率というのは五四・六%ということなんですね。こちらも、一人親で子供がいる家庭というのはやはりその半分のところが貧困であるという、そういうことで、これ余り名誉なことでないんですが、先進国の中でも最悪の方の部類に入る数字であるというふうに言われています。 先ほどの大臣の答弁にもありましたけれども、やっぱり養育という問題絡んでくる、そして、その養育が別居ですとか離婚ということで子供の生活に影響を与えていってしまうということなんですが、一方の親が子供を連れて家を出てしまう、そうすると、会えないという問題と同時に、やはり養育費が取れない、あるいは支払われない、もらえない、そんな状態が起きてきて、こうしたことが貧困の原因になってくるというふうに言われておりますし、大臣の認識も私はそのようだったというふうに思っております。 こうしたことを改善するために実は民法の改正が行われたと、過去に、平成二十三年行われたんですね。お手元の資料一を見ていただきたいんですが、もう皆様御存じのことと思いますけれども、改めてこの平成二十三年一部改正された民法、この中で初めて子供の監護に要する費用の分担というのを離婚の協議事項として明記をしたという、そういう改正をしたわけですね。御覧いただきたいと思います。第七百六十六条一項のところにありますけれども、これ特に読みませんけれども、一行目の後ろの方に、子の監護に要する費用の分担ということが書いてあります。そして、最後の方に、この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない、子供のことを優先して考えるんだよ、親の勝手とも言われかねない離婚でもやっぱり子供のことを考えなくちゃいけないという、そういうことが付け加えられたということなんですけれども。 大臣、この平成二十三年の民法改正でその効果、つまり、子の養育費用、これを分担するんだということを明記したこの改正で効果が出ているんでしょうか。特に、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとなっているんですが、この辺り、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩城光英君) 子の利益を最も優先されなければならないと、まさにそのとおりでありまして、このことを基本に様々な施策をまた進めていかなければいけないと思いますが、この改正によりましてある程度成果は出ているものと、そのように受け止めております。
○真山勇一君 ある程度成果は出ているというお答えでしたけど、私は出てないんじゃないかなというような気を今持っております。というのは、これから後また御紹介しますけれども、いろいろなデータもありますので。 やっぱり離婚で一番大きな問題というのは、何といっても、当人同士は当人同士のことで話合いすればいいんですけど、そのあおりをやはり子供が食うわけですね。やっぱり子供は犠牲者だと思うんです。やっぱり子供のことを考えて、親だったら子供のことを考えるというのが大事だと思うんですね。やはり離婚で課題になるのは子供の養育費の面が一つ。それからもう一つは、離婚で別れてしまった場合、どちらかの親が今の日本の法律だと引き取るということになるんですから、片方の親は会えるか会えないかという問題もやっぱり出てくると思うんです。 そういうことで、やっぱり子供を連れ去るということがよく起きてくるわけですね。一方は身を隠したまま全く連絡が取れなくなって、その結果、調停も進まなくなったり面会交流ができなくなったりという、そういう例が多いんですね。こういう例見ていると、やっぱり本当に子供のためということなのかどうかという感じがするんです。 改めて、どうでしょうか、子供がやはりこの離婚の犠牲になっているということが現実としては起きているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(岩城光英君) 今お話のありました子供の連れ去り、こういった現状があることはやはり子供にとって好ましくないことでありまして、その辺のところを様々な対処をしていかなければいけないと思っております。
○真山勇一君 そういったことで、やはり面会交流ができなくなってしまうということがある、やはり親にとってはそれが非常に大きな悩みになるということで、実は私、面会交流ということの問題について悩んでいる男性の方からメールをもらったんです。ちょっと長いメールなんですが、これ非常によく分かるので、皆さんに聞いていただきたいというふうに思うんです。 この男性は四十代の男性で、お子さんは三人いらっしゃいます。大学生、高校生の男の子と小学生の女の子。別居を四年経て、去年の十二月に離婚が成立したということなんです。その間は子供には会えなかった、一回も会えなかったと。ただ、それでも婚姻期間、これ婚姻期間というのは、離婚が成立しないで別居している場合、それを婚姻期間というふうに呼ぶそうですね、その間は養育費として月二十六万支払っていた。そして、去年の十二月、離婚が成立してからは月二十二万養育費を払っていた。きちっと養育費をこの男性は払っていたわけですね。 それで実は、面会交流について私がいただいたメールの手紙、こういうものです。ちょっと聞いていただきたいと思います。 面会交流は、申し立てればそのまま認められるわけではありません。認められても、多い人で二週間に一回、最近は月一回というのが相場のようです。その一方で、手紙やメールなどでしか子供と連絡を取れない間接交流という決定が出されるケースも少なくないようです。これは、裏を返せば、直接会うことを禁じられてしまうケースです。 私は、婚姻費用の調停時に元家裁調査官の調停委員に、お子さんと会えるようになりますよと勧められ、面会交流を申し立てました。その間に、試行面会、試す面会ということですね、試行面会という、家裁内で長女に会う試みがありました。これは、子供が私に対して拒否的な反応がないか、家裁調査官が調査をする行為のようです。 数年ぶりに私と会った長女は満面の笑みを浮かべていました。ところが、おかしな点が一点ありました。それは、ほとんど話さなかったということです。長女は大変おしゃべりな子ですが、この日ばかりは、にこにこ笑っているのですが、我慢してほとんど口を利こうとしませんでした。大変不自然でした。妻は以前から長女に対して、パパに会っちゃ駄目と言い聞かせていたそうです。口を利かない長女を観察した家裁調査官は、それを報告書にまとめ、裁判官に提出しました。その結果、裁判官は、長女が口を利こうとしないじゃないか、間接交流だと私に明言しました。まだ正式の決定が出る前でしたので、私は慌てて面会交流の申立てを取り下げました。長女が否定的な拒否的な反応を示しているという理由だけで間接交流が出されそうになったのです。間接交流の決定が出れば直接の交流が禁じられるところでした。裁判所は手紙のやり取りも面会交流と位置付けているそうですが、このようなへ理屈が通るのは裁判所という常識の通用しない役所だけです。 親と子の関係は接している時間だと考えています。今の制度は子供と会える手だてがありません。それだけでなく、裁判所は間接交流の決定で会うことを禁じるという決定を出し、親と子のきずなを積極的に切り裂いているのです。 こういう内容です、一部割愛させていただきましたが。 やはりお読みになると、もちろんこれ一方的な父親からの言い分で、その反対の母親からも言い分はもちろんあると思います。これは父親からのことですけれども、やはりこの手紙、裁判に面会交流したいということを申し出たら、このように直接でなくて間接交流ということを申し渡されそうになったので慌ててやめてしまったということなんですけれども、こうした間接交流というのが実際どのぐらいあるのかというのは、その数字などはつかんでおられるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 面会交流の頻度等については統計を取っておりますけれども、その実施の方法については様々な方法ございますので、今御指摘のありましたようなものがどのぐらいの数、割合を占めているかというところまでは把握をいたしておりません。
○真山勇一君 私も、面会交流というと普通は会うことだというふうに思っていたんですが、やはり場合によってはこういう、何というんですか、本人ではなくてメールとか写真でもいいという、それが間接交流、それなら許されるというようなことがあるらしいんですが、このメールの男性はやっぱりこれは詐欺行為じゃないかと、そこまでおっしゃっているわけですね。やっぱりそれだけ父親の子供に会いたいという、親の子供に会いたいというその切ない気持ちというのはよく分かると思うんです。 ただ、そういう中でこういうふうなことになってしまうわけですけれども、調停中もこの面会交流というのは実際に認められないということのようですし、それから、一回やっぱり決められてしまうともう面会交流ができなくなって会えなくなってしまうという、親によってはもう絶望に苦しめられるという、そういうことも言われております。 こういうことに対する何か救済措置ということは法的にあるのかどうか、伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 まず、最終的な面会交流の在り方についての調停、あるいは審判での結論が出るまでの間でありましても、先ほど委員からお話がございましたとおり、試行的な試しに行う面会交流というようなものが行われるということはございます。 また、お話に出ておりました間接的な面会交流も、これは基本的にはすぐに面会することが難しい場合の代替的あるいは準備的な方法として行われているということが多いというふうに承知をしておりますので、そういう形を経た上でまた改めて面会交流の申立てをしていただいた上で、実際に会うという形の面会交流がふさわしいかどうか、また時期を見て話合いをしていただいたり、あるいは裁判所の判断をすると、こういったことは考えられるのではないかと思います。
○真山勇一君 今のお話でちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、私がちょっと知っている限りで言うと、一回間接交流の決定がなされると、なかなか直接交流の、つまり普通の面会交流ですね、それをやっても認められることがほとんどないと。だから、一回でも間接交流ということで決定なされてしまうと、もう本当に絶望的というか、面会交流をしたいという希望が全く閉ざされてしまうというふうなことも言われているんですが、今のお話ですと、面会交流をするためのそういう前段であって、ですから間接交流から直接交流にも行く場合があるというふうに制度がなっていると考えてよろしいんですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答えいたします。 間接的な面会交流につきましては、法制度上、条文上は、先ほど委員の御説明にありました民法の七百六十六条一項において、父又は母と子との面会及びその他の交流ということが決められているだけでありますので、それが必ず準備としてしなければいけないとか、こういう順番を踏まなければいけないとか、こういったことが事細かに法令上規定されているものではございません。 ですので、運用でということにはなっておりますが、実際の運用を見ますと、先ほど申し上げたとおり、準備的な形で行われている例が多いのではないかというふうに承知をしております。
○真山勇一君 その運用というのが結構、やはり子供に会えない親にとっては非情というか情け容赦のない言葉に聞こえるんですね。運用がなかなか運用をされないでそのままになってしまうというケースが多いというふうに言われています。 私が前回の委員会なんかでもお尋ねした、特にDVですね。DVというのは、もちろんこれは何としても避けなくてはいけない。ですから、最初のやっぱり避難というのは必要だ。だけれども、その後、そのDVというものをどうやって調査するのかというのも、前回のお答えでは非常にまだ十分でありませんでした。一回DVと決められてしまえば、それを覆すには大変な努力が要るということも分かりました。 ですから、そういう人たちにとっては、一回そういうふうに決められたり、それから今回はもう間接交流だということで決められた場合は、確かに運用はあるんでしょうが、実態として、いわゆるリカバリーというか修復するための運用が非常に逆に言うと厳しい、とても厳しい。もう少しやはり両者、つまり会いたい人と会わせたくない人がいるわけですから、両方の意見をきちっと聞くようなシステムになっているのかどうかということが大変気になります。 その辺りが、やはり特にDVなんかですと、もうどちらかの言い分を一方的に聞いたもので決めてしまうということが非常にやっぱり多く起きているというふうに言われておりますし、私もそういう話を随分聞きました。ですから、運用というのは大変、まあ恣意的とは言いませんが、やはり一回決まってしまうと固定化してしまうということがあるのではないかという見方が強いんですけれども、その辺についてはどうでしょうか、もう一回ちょっとお尋ねしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 当事者の話合いの中で、あるいは裁判所の判断において間接的な面会交流の方がふさわしいというふうに判断されたケースにおいては、恐らく直接の面会に支障のある事情があったのかと思われますので、仮にそれが準備段階として間接的な交流が行われたということであれば、直接的な面会が難しい事情が解消されていたかどうかといった辺りを重視してその後の適切な面会交流ということに、もしその後に申立て等があれば、それを判断していくということになろうかと思います。 その際には、もちろん改めてその最新の時点での状況がどうかというようなことを家庭裁判所調査官の調査等によって、双方の意向ですとか子供の状況、こういったものを確認し、また改めて裁判所で試しの試行的な面会交流を行った上でということもございます。そうした最新の情報に基づいて最も適切な方法を探していく、あるいは当事者とも協議をしていくと、こういう形になろうかと思います。
○真山勇一君 やはりその運用の辺りが、会えない人の方はやはり被害を受けているという気持ちが大変大きいので、やはり対応によっては冷たいというようなことを受けるのかもしれませんけれども、これは確かに一方的な事情だけで決めるというよりは、やはり裁判の過程の中で両者から等しく平等に正確に話を聞くということが大事じゃないかと思って、私は、今の裁判の批判をするという意味ではありませんけれども、やはり実際にこういうことの調停とか裁判をやっている人にとっては、この辺がどこかやはり平等でないところがあるという感じを持っておられるんじゃないかというふうに思います。やはりこの辺は、制度として是非今後検討していただきたいというふうに感じております。 こうしたことがやっぱり起きてしまうのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、日本の場合は子供の養育とかそれから保護というのが片方の親ということで、これも民法の八百十九条に決められておりますけれども、いわゆる親権者というのをどっちか一方に決めなくちゃいけないということがあるわけですね。これは、もうずっと民法でこういうことで決まってきておりますので、いろいろ論議が出ております、最近。 特に民法の家族をめぐる問題というのはいろんな様々な形で、結婚の問題ですとか、そういうことでも出てきておりますけれども、資料の二を見ていただきたいんですが、これは国会図書館が出している調査と情報という小冊子があります。そこから拝借してきた、引用してきたものでございます。 各国の離婚後の面会交流、養育費に関する法制度、これを見ていただきたいんです。細かく説明する必要はないと思うんですが、日本とアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国というふうに幾つかの国を挙げて、離婚後の親権、つまりどちらが養育とか保護をするかということと子の養育義務ということについて比較をしております。やはり単独、いわゆる片方の親が親権を持つという単独親権は日本で、ここに挙がっている国に関しては共同親権ということになっています。 どちらがいいかというのは、これはやっぱり国民的に論議をしていかなくちゃいけないというふうに思いますし、ただ、子供にとってはどっちの方がいいのかなということも考えながらいろいろ議論をしていきたいというふうに思うんですけれども、岩城大臣は、こうした各国と日本との比較見て、単独親権と共同親権はこれはどちらが望ましいというふうに思われるか。それから、親権はともかく養育について、これは単独でいいのか、あるいは共同で養育するのかという辺りですね、この辺りをどうお考えか、伺いたいと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 御指摘がありました離婚後の共同親権あるいは共同監護等の制度を導入することにつきましては、一つには、国民の間にも様々な意見があること、それから二つ目に、実際にも離婚に至った夫婦間では意思疎通をうまく図れず、子の養育監護について必要な合意を適時適切にすることができないなど、かえって子の利益の観点から望ましくない事態を生ずることになるおそれもあるものと思われます。そうしたことを考慮しますと、このことにつきましては慎重に検討する必要があるものと考えております。 それから、養育についてのお話がございましたが、一般論といたしましては、父母が離婚した後であっても子供にとっては親であることに変わりはなく、離婚後も両親が適切な形で子の養育に関わることは、子の利益の観点からは非常に重要なものであると思っております。 これらの問題につきましては、現在、超党派の親子断絶防止を考える議員連盟において検討がなされているものと承知をしております。法務省におきましても、その議員連盟において必要な説明や協力をさせていただいているところでありまして、そこでの議論も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○真山勇一君 時間が参りましたので、ごめんなさい、質問が大分余ってしまいましたが、また次回に是非伺いたいと思います。 ありがとうございました。
○谷亮子君 谷亮子です。 三月八日に行われました岩城法務大臣による大臣所信につきまして、本日は質疑をお願いしたいと思います。岩城大臣、そして盛山副大臣、田所政務官、そして法務省の皆様、そして本日御出席いただいております関係の省の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。 岩城大臣におかれましては、昨年十月に第三次安倍改造内閣の発足に伴いまして法務大臣に御就任されました。いわき市長を二期お務めになられまして、地方自治にもこれは精通されておられますし、第一次安倍改造内閣では内閣官房副長官、そして参議院の議院運営委員長等の要職を歴任されていらっしゃいます。また、明日で発災から五年目を迎える東日本大震災の被災地復興に御尽力されていることについて、心から敬意を表したいと存じます。 岩城大臣は、大臣就任時に、安倍総理から法務行政の課題としての御指示をお受けになられました。一つ目に、司法制度改革の推進、そして二つ目に、きめ細やかな人権救済の推進、そして三つ目に、世界一安全な国日本をつくるため、犯罪被害者の支援、そして刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援、組織犯罪対策など、社会を明るくしていくための施策の総合的な推進、そして四つ目に、我が国の領土、領海、領空の警戒警備について関係大臣と緊密にこれは連携をして情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処するとのこの四つの御指示がありました。 そこで、岩城大臣は、法務大臣就任以降、法務行政を推進されていらっしゃいますけれども、法秩序の維持、そして国民の権利擁護を通じて、国民生活の安全、安心を守るための法的基盤の整備という大変重大な使命を帯びている法務行政のトップとして、今後この法務行政をどのように推進していこうとお考えでいらっしゃいますでしょうか。その課題と展望について、まず初めにお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 法務行政の責任者として取り組むべき様々な課題につきましては、一昨日のこの委員会におきまして所信として申し述べさせていただいたとおりであります。 その上で、お尋ねに対してお答えさせていただくならば、私としましては、それぞれの地域ごとに法務行政の実情あるいは法務行政への期待も異なるものでありますので、これらをまずしっかりと把握し、国民の皆様にとってより身近で頼りがいのある法務行政を目指していきたいと考えております。これは、法務大臣就任以来、私が繰り返し申し上げてきたところでもあります。 また、法務行政は非常に多くの、そして様々な分野の民間の方々のお力や地方自治体の御協力に支えられております。このことに感謝を申し上げ、一層そのことを大事に思い、協力関係をより広め、深めていきたいと考えております。そして、こうした民間のボランティア的な活動に携わっている方々の後継者が育っていくような環境を整えていく、それが私の使命でもあると、そんなふうに思っております。 こうした思いの下、これまで各地の規模の大きなところから小さなところまで、機関あるいは現場、そういった施設などを視察し、職員や民間協力者の方々、あるいは首長を始めとする地方公共団体の方々と意見を交換してまいりました。様々な御意見をいただきました。 例えば、被災地の皆様方からは、住宅再建、町づくりの前提となる登記所備付け地図の作成や、風評に基づく差別的取扱いなどの人権問題への対応を期待する声を伺いました。空海港を有する地方公共団体は、急激にその数を増している訪日外国人を安全かつ円滑に受け入れるための人的、物的基盤の整備を求める声もありました。また、再犯防止に取り組んでおられる民間の協力者の方々からは、更なる支援の強化を含め、国との一層緊密な連携を図ってほしいと、そういった御要望もいただいております。 法務省が国民の皆様方から多くの期待を寄せられていることを改めて実感いたしましたので、その期待にしっかりと応えていかなければいけないという思いを一層強くしたところであります。 今後も、所信で申し上げたことを迅速、確実に実践し、国民の皆様にとって安全、安心な生活を守る基盤を確固たるものにするために努めてまいりたいと考えております。
○谷亮子君 岩城大臣、御丁寧にありがとうございました。 やはり法務行政は多岐にわたる諸課題が本当にたくさんございますし、岩城大臣におかれましては、大臣就任後、積極的に視察等も行われていらっしゃいまして、こうした総理から受けたこの度の御指示が国民生活にとって大変重要な課題ばかりでございますので、法務行政のトップとして、是非先頭に立って、より良い方向に向けていっていただきたいなというふうに思っております。 そして、本日は大臣所信についての質疑でございますので、私の方からは、厳格な水際対策の徹底と円滑な入国審査の両立の現状と課題につきまして伺ってまいりたいと思っております。 政府は、現在、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年に二千万人にする目標を掲げておりますが、二〇一五年の外国人旅行者数は九月中旬には昨年実績の千三百四十一万人を上回りまして、年間総数では千九百七十三万人を超えまして二千万人に迫る勢いでございました。これは、過去最多であった昨年を約六百三十二万四千人、四七・一%も上回った現況でございます。 このように二〇二〇年を待たずにその目標の達成が確実となったために、新たな目標が必要だと判断されまして、昨年十月下旬、官房長官は御講演で、外国人旅行者の誘致について、首相を議長に、新たな目標に向かって進む態勢を近いうちにつくりたいとのお考えを明らかにされまして、これはすごい早かったんですけれども、翌十一月には総理を議長とする明日の日本を支える観光ビジョン構想会議が設置されましたし、また新たな目標設定に向けての検討がこれは進められていると伺っております。 また、観光庁のまとめでは、外国人が旅行中に日本国内で使ったお金も、前年比約一兆四千四百九十三億円増の約三兆四千七百七十一億円で、初めてこれは三兆円を超えて過去最高となったということでございました。 このように外国人観光客の経済効果は大変大きくて、外国人観光客をこれは増やしつつ、また、テロリスト等の入国を防ぐため、国際空港、港湾等において法務省の入国管理局が出入国審査等の水際対策を的確に推進していくことがこうしたテロ等への脅威に対する重要な役割を果たせると私も思っております。 そこで、本日は、港湾等における出入国審査における現状と課題などについてでございますけれども、訪日クルーズ客増加に対応するため、二〇一四年には改正入国管理法がこれは成立し公布されたところでございますが、クルーズ船の外国人乗客に係る入国審査手続の円滑化のための措置が昨年一月一日からこれは施行されて約一年が経過をいたしましたけれども、港湾における入国審査の現状について法務大臣にお伺いいたします。法務省の方にお伺いいたします。
○政府参考人(井上宏君) 失礼いたします。 細かい数字もありますので、私の方から御説明を申し上げます。 委員御指摘のように、平成二十六年の入管法改正におきまして、法務大臣が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象として、個人識別情報の取得や外国人入国記録、いわゆるEDカードと言っている書類です、これの記載内容を簡素化するなど、簡易な手続で上陸を認める船舶観光上陸の許可制度というものを創設していただきまして、これが昨年一月一日から施行され、運用がちょうど一年以上たったところでございます。 それで、昨年一年間におきますクルーズ船による外国人の入国者数等でございますが、入国者の総数は約百十一万六千人でございます。このうち約九六%に当たる約百七万二千人は創設した船舶観光上陸許可によって入国しておりまして、運用開始から一年で実に多くの方々に利用していただけているという現状でございます。 その結果、審査時間がどのように変わったかということでございますが、クルーズ船の入港が最も多いのは博多港でございまして、そちらで少し調べたところを例に挙げますと、平成二十六年までは、乗客数が約千六百人の船舶の場合におおむね百五十分程度全体での審査時間を要しておりましたが、新制度を運用した平成二十七年中では、乗客数がそれより多く約二千四百人くらいの船舶の場合でもおおむね八十分程度で審査を終了するなど、以前と比較しても審査時間が大幅に減少しているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございます。 ただいま御答弁いただきましたことを踏まえた上でお伺いしたいと思いますが、昨年の外国船クルーズの寄港回数ランキングでは、先ほどお話がございましたけれども、一位が博多港の二百四十五回、そして二位が長崎港の百二十八回、そして三位が那覇港の百五回、四位が石垣港の七十九回、そして五位が鹿児島港の五十一回と、九州、沖縄の港がこれは上位五港を占める結果となりました。 このように寄港回数が九州、沖縄に集中しているのは中国発のツアーの多さからのようだというふうに伺いましたけれども、更に新たな航路が開かれればこれは地方の港への寄港も始まるでしょうし、クルーズ船の大型化によりまして港の施設の整備も必要となってくるわけでございます。 観光立国に向けたアクション・プログラム二〇一五では、クルーズ百万人時代実現のための受入環境の改善がこれは掲げておられましたし、クルーズ船による外国人観光客は今後ますます増加していくものと考えられます。 そこで、港湾からの入国、日本への入国時における検疫、そして入国審査、また動物検疫、植物検疫、税関検査がこれはどのように行われているのかについて伺いたいと思います。 空港においては検疫から税関検査までが、この手続というのが一連の流れとして行われているんですけれども、港湾から日本に入国する場合でございますけれども、これは港湾にターミナルがある場合と港湾にターミナルがない場合の港がありますけれども、それぞれどのような入国審査等が行われているのか。 港湾にターミナルがない場合には船の中に乗り込んで入国審査等が行われているというふうにも伺っておりますけれども、その場合、空港からの入国時と同じように、検疫、また入国審査、そして動物、植物の検疫、さらには税関等が本当にきちんと行われているのかということについて御紹介いただきたいというふうに思います。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。 委員御指摘のように、海の港、海港といいますけれども、その場合、専用の旅客ターミナルがあるところとないところがございます。 まず、旅客ターミナルが設置されている港につきまして申し上げますと、そのターミナルの中に上陸審査場がありまして、そこには審査用のブースが設置されておりますが、これは空港と同じようなものでございます。そのブースの中に設置された機器を用いまして、順番としては、検疫の方を通ってこられたお客様から空港と同じように上陸許可の申請を受けまして、同じように審査をしてお通りいただいているということになります。 旅客ターミナルがない場合どうかといいますと、実は旅客ターミナルありましてもクルーズ船が大き過ぎて遠くに着けるような場合もありまして、要するに旅客ターミナルが使えない場合という意味になりますけれども、この場合には、入国審査官が船内の適当な場所をお借りしまして、そこに携帯、持ち運びできる審査用の端末がございます、これを臨時に置きまして言わば臨時の審査用のカウンターをつくるわけでございまして、それができますともうあとは同じでございまして、検疫の方を終わられたお客様がいらっしゃって通常の審査をしていくということになりますので、基本的には空港でも海港でも、審査をする場所に若干の違いはございますけれども、審査の内容や手順は同じことになっております。
○政府参考人(樽見英樹君) 検疫の扱いについてお答え申し上げます。 今、入国管理局の方から御説明がありましたけれども、クルーズ船が着きますと、検疫の場合にはまず検疫官が乗船をしまして、症状のある方がいらっしゃるかどうかということの聞き取りをいたします。 ですが、その上で、ターミナルがある港ではターミナル、それからターミナルがない港あるいは船内でやるほかの、先ほど局長おっしゃったようなそういうところでは、船内でサーモグラフィーの前を通っていただきまして体温測定をし、それから検疫官の呼びかけ、それからあとは必要に応じまして問診とか検査というのを行うということで、先ほどの入国管理局の方の御説明のとおりでございます。
○政府参考人(永山賀久君) 動植物の検疫につきまして申し上げます。 畜産物あるいは植物等を所持されている方は、入国審査の後に速やかに申し出ていただく、それで現物ですとか書類のチェック等の検査を行うわけですけれども、検査の場所につきましては、先ほど来お話ありますけれども、ターミナル等が設置されておればもちろんそこで、設置されていない場合にはやはり検疫官が船に乗り込みまして、そこでいずれにしても適切に実施をいたしておるところでございます。
○政府参考人(藤城眞君) 税関について申し上げます。 税関におきましても、入国審査が終了いたしました旅客の皆様に対しまして、客船ターミナルの検査ブースがある場合には、迅速な通関を確保しながら、不正薬物やテロ関連物資などの密輸阻止というもののために必要な検査を実施しているところでございます。 こうした流れは、船内で検査を実施する場合にも同様というふうになっております。
○谷亮子君 ただいま各省の皆様に御丁寧に御説明をしていただきましたけれども、報道等を見てでございますけれども、こうした外国人観光客がクルーズ船から降りてきましてすぐにバスに乗り込みまして、そしてすぐ観光へ向かうというようですがというようなお声を私はたくさん伺いまして、きちんと船から降りてきて入国審査は済まれているんだろうか、しているんだろうかというようなたくさんお問合せがございましたので、そうしたことから今御丁寧に御説明いただいたとおりなんですけれども。 やはりこうした一連の手続また審査というのは、テロの脅威への対策又はテロだけではなく、ジカ熱やエボラ出血熱等の感染症対策として感染者が我が国への入国を未然に防止していくためにも、これは船内、ターミナルにおいてもやはりしっかりと行われるべきものであるというふうに思いますし、また船内での、また航海中のテロ等も、出入国審査ということを考えますと、これは当然御想定されていらっしゃるというふうに思いますけれども、そうしたことを入国審査を担当される法務省が担っておられるということから考えますと、やはり各省とこれは連携をしてしっかりとした厳正な入国審査を、船内で執り行うに当たってもこれはきちんと、より厳正に、迅速化そして円滑化を図りながら執り行っていただきたいというふうに思っております。 そこで、今後、クルーズ船による外国人観光客の増加に対しまして、法務省としては、これからどんどん増えていくと思いますが、どのような対策を今お考えでしょうか、伺います。
○政府参考人(井上宏君) クルーズ船がだんだん大型化してまいりまして、入港の回数も増えてまいりまして、多くの審査官をここに充てて円滑にかつ確実な審査を行っておくことが重要だと思っておりますが、クルーズ船の場合には、定期的に入ってこないということと、一回当たり三千人、四千人の規模もありまして、飛行機十機、二十機分が一遍に参りますので、一遍に大量の審査官を投入する、しかも常設に置いておけないので、結局応援派遣をうまく機動的に回すということの対応になってまいります。 そのような意味で、平成二十五年には既に福岡入管局に十七人、二十六年度には東京入管局に六人、これは全国的に機動的に応援で回せる人員の確保、増員の措置を得ております。また、本年度におきましては、年度途中、昨年七月に入国審査官三十五人の緊急増員をいただいたのですが、そのうち福岡入管局に配置した十人が、これはクルーズ船への対応も含めた地方空海港に機動的に派遣する要員ということで付けていただいております。さらに、二十八年度政府予算案におきましては、特に沖縄地域に入港するクルーズ船対応を中心に考えまして、那覇支局の方にこれも十人の増員を計上してございます。 法務省といたしましては、今後とも、クルーズ船による訪日外国人旅行者数の推移を踏まえつつ、入出港に合わせて機動的に審査要員を派遣する体制を整備いたしまして、クルーズ船乗客に対する円滑と厳格を両立させた出入国審査に努めてまいりたいと考えております。
○谷亮子君 ありがとうございました。 ただいまお話しいただいたとおり、昨年は外国人観光客の急増に対応するために、七月に三十五人、そして十二月に五十七人の入国審査官の増員が図られましたが、外国人観光客の急増にこれは私は追い付いていないのではないかなというふうにも思っております。 なぜなら、昨年八月に広島港五日市埠頭にクルーズ船の乗客約四千人が上陸した際に、広島入管は五県の審査官約二十八人を集めて対応しましたが、審査終了までに約二時間半掛かったとのことでございました。クルーズ船の滞在時間は十時間程度というのが多く、観光消費のある商店などからは円滑な入国を望む声が大変強く出されたということも存じております。 また、二〇一五年度に引き続き二〇一六年度も入国審査官はただいまお話ございましたように増員される方向でございますが、人的体制の整備だけではなく、例えば公海上の外国籍船舶内での臨船審査を行うことなどの方策等についてこれは検討を行うべきだと思いますけれども、これに対する御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(井上宏君) 委員御指摘のように、待ち受けて審査するだけですとどうしても限界がある場合もございますので、あらかじめ審査官を外国の出発地に派遣して、クルーズ船に乗り込んで公海上で個人識別情報の提供を受けるなど、こちらに、日本に来てから行う審査の一部を事前的に準備的なことを船の上でやるという海外臨船審査の実施に向けて準備をしておるところでございます。具体的に申し上げますと、公海上とはいえ外国籍のクルーズ船内においてそのような準備作業を行うということから、その船籍国の方の同意を得るという必要があろうということで、その同意を求める手続を順次進めております。 現在、既に一部の国からはそれに同意する旨の回答を受けておりますので、まずはそれら船籍国のクルーズ船から海外臨船審査を行えるよう、船会社等との協議を進めてまいりたいと思っております。
○谷亮子君 ありがとうございました。 現状は日本の港に着いてから審査官の皆様が搭乗していくというような形を取られているんですけれども、ただいま御答弁いただきましたように、実際に外国の港に行って、そこから乗って、入国審査官の方たちが搭乗されて、そこから入国審査等を行っていくというような方法も今検討されているということでございまして、そうなるとまた非常に大変だなというようなことを思うんですけれども、これはやはり、ただいまお話ございましたように、船籍国の同意という意味では、お互いの国がこうしたテロ等への脅威に対して本当により良い方向に向かうということが第一だというふうに思いますので、これから積極的な推進とより良い方向に向けていっていただきたいなということをお願い申し上げまして、まだまだ質問通告させていただいていたんですけれども、本日は終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時十七分散会