法務委員会 第20号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2016/05/25
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 二階俊博君外八名提出、部落差別の解消の推進に関する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官佐伯修司君及び法務省人権擁護局長岡村和美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。 質問に先立ち、申し上げます。 本法案は、提出もされていない五月十八日の段階から理事会の協議とされました。翌十九日に、自民、公明、民進の三会派共同により提出され、二十日には趣旨説明が強行されました。昨日の理事懇談会では、日本共産党が徹底審議を求めたにもかかわらず、今国会で成立させることを前提とし、本日、たった一回の質疑をもって終局させ、採決をする日程まで押し切りました。 人権にかかわる重大問題でありながら、国民的議論も尽くさず強引に採決するやり方は、民主主義にかかわる問題であり、徹底審議を求めた我が党の主張について、自民党の理事からも、一理も二理もある、こう言いながら、なお日程を決めてしまいました。 ところが、けさの理事会で突然、質疑を続行するとの申し出が提出会派から正式にありました。 採決しないことは当然でありますが、提出会派の思惑によって混乱を招いた責任は極めて重いものであり、抗議したいと思います。 続いて、部落差別の解消の推進に関する法律案の質問に入ります。 本法案の提出が我が党機関紙しんぶん赤旗にて報道されるや否や、同和行政の終結にかかわってきた我が党地方議員、元議員や関係団体から声が寄せられました。 大阪府吹田市選出の元府会議員は、法案の提出に驚きと怒りを持って、かつての亡霊がよみがえったようだと述べ、同じく大東市の元市議からは、不公正な同和行政に支出した公金の返還を求めた住民訴訟でも勝訴した、今回の法案が通ればまた、大手を振って実態のない相談業務等に市財政が使われるのではないかと危機感を募らせ、滋賀県甲賀市の現職市会議員からは、甲賀市は、同和行政と決別すべく、部落解放・人権政策確立要求びわこ南部地域実行委員会から退会した、今回の議員立法はこれまでの地域の運動に逆行するものであり、禍根を残すと反対を表明しました。 大阪市の元市会議員からも、乱脈な同和行政をめぐりましては、例えば飛鳥会事件あるいは芦原病院問題等々、不公正、乱脈な公金支出があり、これを是正させるために、それこそ血のにじむような努力を関係者や地方自治体が行ってきた、ぜひとも、この法案について通さないように、大阪市の豊かな経験も生かしてほしい、こういう激励をいただいたところであります。 また、全国地域人権運動総連合、略称人権連からは、埼玉県で同和行政を終了した自治体があります、このような法律ができれば、終了がほごとされ、部落解放同盟などの要求どおりに事業復活するという混乱が生じるのではないかと、法案の制定に反対する要望書を法務委員各位に届けているはずであります。人権連の要請に対応したある自民党議員の秘書は、同感です、何で今さらなのでしょうかと述べたといい、自民党理事の一人は、理事懇談会の席で、説得力ある要望書だとも述べました。 改めて申し上げます。 部落問題とは、江戸時代までの古い身分制度の名残です。一部の地域が社会的差別を受けていたものであり、部落問題とは、封建時代の悪習であり、遺物です。 民権連の前身である全国部落解放運動連合会、略称全解連は、地域格差の是正、偏見の克服、住民の自立、自由な社会的交流の進展を部落問題の四つの指標とし、社会的運動によってそれらを克服することが大切だとしてきました。 いつの時代にも、偏見や誤解を持つ人はいます。しかし、そのような言動があったとしても、そんなん、口にすることと違うやろ、いつの時代の話してるんや、周りの人たちがこうたしなめたり批判したりして、社会として通用しなくなる状況がつくり出されることが部落問題を解決した状態であるということであります。 民権連と大阪府教育委員会とで、次のようなやりとりが昨年なされています。 生徒から先生に対し、被差別部落は今もあるのですか、どこですかと聞かれたら、先生はどう答えるのか。先生はこう言いました。「生徒から聞かれたとしても、そんなん、今、被差別部落なんてないよという言い方になると思います。」「どこやと聞かれたら答えないです。かつて差別されたところはあるかもしれませんけれど、今はそんなことないよという言い方になります。」 これが今日の同和問題の到達点であり、これを解決するために努力されてきた方々の本流だと私は思うんです。 ここで質問に入ります。 それを解消するために政府は何をしてきたのか。総額十六兆円以上と言われる予算を投じ、三十三年間にわたって同和立法による特別対策を行ってきました。同法律が二〇〇二年三月に終結した理由について、総務省に確認したいと思います。 二〇〇一年一月二十六日付の総務省大臣官房地域改善対策室が発表した「今後の同和行政について」の中で、特別対策を終了し一般対策に移行する主な三つの理由が書かれています。この三つの理由について述べてください。
○佐伯政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘の平成十三年一月の文書では、特別対策を終了して一般対策に移行する主な理由として、一つとして、特別対策は本来時限的なものであり、これまでの事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化したこと、二つ目としまして、特別対策をなお続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではないこと、三つ目としまして、人口移動が激しい状況の中で、同和地区、同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難であることが挙げられているところでございます。
○清水委員 今、総務省にお答えいただいた内容は、資料の一枚目にあります。ぜひごらんいただきたいと思うんですね。 一枚めくっていただいて、資料の二をごらんください。 これは、二〇〇二年三月、まさしくこの法律が終了したときに総務省が発行した「同和行政史」という本です。この中に、今、総務省に答えていただいた同和特別対策を終了する理由が詳しく記述されております。 第一の理由である同和地区を取り巻く状況の変化については、同和関係者が同和関係者以外の者と結婚するケースは大幅に増加の傾向を示しており、差別意識も確実に解消されてきたことがうかがえると。 第二におきましては、特別対策は、差別と貧困の悪循環を断ち切ることを目的として始められたものであるが、全国の同和地区を全て一律に低位なものとして見ていくことは、同和地区に対するマイナスのイメージを固定化することになりかねず、問題の解決に有効とは考えられないと断言しております。 第三の理由についても、産業構造の変化と大規模な人口変動の状況下では、同和地区、同和関係者に対象を限定した施策を継続することは実務上困難としているわけであります。 私が今読み上げました「同和行政史」、ここで書かれていること、今読み上げたことは間違いありませんね。確認だけお願いいたします。
○葉梨委員長 うなずいてくれればいいのかな。
○清水委員 うなずいているということで、結構です。 ちなみに、このときの大臣は、現在、おおさか維新の会共同代表の片山虎之助さんであることを加えておきたいと思います。 次の質問に移ります。 ことし一月の「毎日フォーラム 日本の選択」という記事の中でこう書いていますね。「自民党が部落差別の法規制を検討 二階総務会長呼び掛け」「自民党は二階俊博総務会長の呼びかけを受けて部落差別の法規制の検討を始めた。」とここでは報道されております。また、和歌山県の人権課題解決に向けた集会を東京都内で開催したことを報道しております。 この法案の提出者の山口壯議員は、自身の二〇一六年五月十三日のブログの中でこのように述べておられます。「二〇〇二年に「同和対策事業特別措置法」が終了した後は、同和行政の根拠法が存在しない状態が続いていました。」と述べて、中略しますが、「そこで、今年二〇一六年に入り、二階俊博総務会長の強い意向を受けて、」中略「この度、法案をまとめるに至った」とブログに書いておられます。 つまり、「毎日フォーラム」の記事や御自身のブログにあるように、今回の法案は、二階俊博議員の意向を受けて、同和行政の根拠法をつくりたいというのが動機なんでしょうか。山口議員にお尋ねいたします。
○山口(壯)議員 お答えします。 清水委員が言われたような経緯はともかく、今回、二〇〇二年に同和対策事業特別措置法が失効して、それは生活環境の改善だったと思うんです。生活環境の改善についてはある程度の改善が見られたということで、一応の区切りをつけた。 しかし、いろいろな実態はまだあるわけですね。部落差別という言葉を聞けば、みんな誰でもわかっています。政治家であればみんなわかっています。その意味で、何とかそれを解決したいという強い願いは、二階会長は提出者の一人ですけれども、二階会長のみならず、全ての日本の政治家がそれを共有していると私は信じています。 その意味で、これは、ある個人の願いではなくて、やはり日本の政治家が、全ての人がそれぞれの可能性を最大限引き出せるようにという願いの中でこの法案を、私もつくらせていただいた一人です。 今、経緯のこともありましたけれども、生活環境の改善とともに、法規制云々という言葉もありました。これは法規制を目指すものではありません。その意味では、そのメディアの書き方が少し不正確かなと思います。 今回は、理念法ということで、特に強制力を持った法規制とかいうことがないように心がけたつもりです。
○清水委員 今言われましたけれども、政治家であれば誰でも部落差別はだめだというふうにおっしゃられました、誰でもイメージできるだろうと。仮にそうであったとしても、法律ができれば、この法律について守らなければならなくなるのは国民ですから、やはり国民が、どういう法律がつくられようとしているのかという議論なしに立法化を進めるというやり方はどうなのかというふうに思うんですね。 いずれにしても、「毎日フォーラム」の記事や、あるいは提出者の山口議員のブログを読ませていただくと、特定の議員を中心に活発に活動を行い、立法化を進めてきたことがうかがえ、同和行政の根拠法を制定しようとしていたと言える。 理念法とおっしゃいましたが、条文の中には、今は触れませんが、国や地方自治体の責務や努力規定というものが含まれておりますので、決して一概にそう言えるものではないということはつけ加えておきたいと思います。 続いて、法務省と総務省にお伺いします。 本法案の名称や条文には、部落差別との用語が用いられております。今、提出者の山口議員からもありました。 法務省及び総務省に伺うんですが、これまで、部落差別という用語を使ったり、部落差別を定義したりした法律は存在しましたか。法務省はぜひ盛山副大臣に答えていただきたいと思います。その後、総務省に同じく答弁をお願いしたいと思います。
○盛山副大臣 今現在ある法務省所管の法律におきまして、部落差別という用語を用いたり、部落差別を定義したものはございません。
○佐伯政府参考人 お答えいたします。 現在、総務省では関係する事務を所掌しておりませんことから、部落差別に関してお答えする立場にはないと考えておりますけれども、現在、総務省が所管する法律や過去の同和関係の特別措置法におきましても、部落差別という用語を使用したり、定義しているものはないと承知しております。
○清水委員 部落差別という用語を用いた法律はないということであります。 今、総務省の方から、答える部局が今はないというふうにおっしゃられましたが、これがこの問題の到達点をあらわしているんじゃないでしょうかね。 法務省人権擁護局は、今回の提出会派の提出者から、この法案の中にある部落差別の定義について明確な説明を受けていたんでしょうか。これも盛山副大臣にお答えいただけますでしょうか。
○盛山副大臣 本法案におきまして部落差別という用語が用いられておりますが、その定義規定は置かれておりません。また、私ども人権擁護局の担当者からは、本法案における部落差別という用語のより具体的な定義に関しまして、特段のことは承知しておりませんという報告を受けております。 なお、法務省の人権擁護機関におきましては、人権啓発活動、調査・救済活動において同和問題という用語を用いておりまして、この同和問題という言葉は、日本社会の歴史的過程で形づくられた身分差別によりまして、日本国民の一部の人々が、長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられ、日常生活の上で差別を受けるなどして、我が国固有の人権問題を指して用いられていると承知しております。 私どもの担当者からは、本法案における部落差別という用語は同和問題に関する差別を念頭に置いているものと理解できる、そういう旨の報告を受けているところでございます。
○清水委員 今、法務省の、同和問題に対する定義についてどう考えるのかということをるる述べられたと思うんですけれども、私はとんでもないと思うんですね。 部落差別という言葉を使った法律はない、皆さんにもぜひこれを押さえていただきたいんですね。総務省においては、答える部局もない。政府は、この法案に対する部落差別の定義に関して説明は受けていないということなんですね。ないない尽くしなんです。 それで、私、改めて提出者の方にお伺いさせていただきたいと思います。 法律案の第一条にはこうあります。「この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、」というところから始まるんですね。ここで言う部落差別の定義についてお答えいただけますでしょうか。
○山口(壯)議員 法律上の定義を置かずとも、この部落差別の意味というのは極めて明快であるというふうに思っております。 一般的には、もちろん、その者が部落の出身であることを理由にした差別というふうに解されるでしょうけれども、同和の話と部落差別の話というのは少し経緯があると思うんです。 まず、同和対策特別措置法でもって、社会的な身分云々でいろいろな部落が今まであったわけですね。それについて、この特別措置法の適用になりたい部落は手を挙げてくださいと。手を挙げたところがこの同和対策のいわゆる対象地域になったわけです。その意味では、同和という言い方でもって、いわゆる部落差別を少しマイルドにという意向もあったかもしれません。 しかし、そこには経緯的なものがあったわけなので、私たちは、今回は、この部落差別というものの現実を直視する、そして、その直視する中で、まだ今、生活環境の改善はとりあえずの区切りはついたろうけれども、結婚あるいは就職についていろいろの、いわゆる人権侵害をこうむっておられる、あるいは落書きをされ、あるいはインターネットの書き込みをされ、そういう実態がある中で、私たちは、それを何とか解決に持っていきたい、あるいは解消に持っていきたいというふうに願った次第です。 先ほど、突然という話もあったと思いますけれども、これは、相当長い歴史で、皆さん、我々の先輩も含めて議論されてきたと思います。 二〇〇二年に法律が失効して以降、二〇〇二年にすぐ、あのときは人権擁護法案という名前で法案が提出され、そしてそれは、約一年余りだったと思いますけれども、十分国会で議論され、しかし、衆議院解散に伴って廃案となりました。 それから、その後、今度は二〇一二年の十一月に、当時の民主党政権でも人権委員会設置法案という名前で法案が提出され、それも解散によって廃案となりましたけれども、国会においても今までいろいろ議論を積み重ねてきた経緯があると承知しています。 そしてそれは、自民党のみならず、あるいは当時の民主党のみならず、各党においても、この問題については、かなり深い今までの議論、そしてまたお互いの意見交換の場があったように承知しています。それからさらに、それぞれの一人一人の政治家の皆さんの地域において、実際に肌で感じる実態もあろうかと思います。 その意味で、今回は、部落差別という現実を直視して、そして、なおそこに残る実態について、何とかこれをなくしたいねという理念を法律の形で整えさせていただいた、そこに尽きると思っています。
○清水委員 私は、とんでもないことだと思いますよ。部落差別の定義を置かずとも明確だというふうにおっしゃられました。 公明党の提出者の江田康幸議員に同じことを聞きたいんですが、この法案における定義を置かずとも、この法案に関する部落差別の定義というのは明確だと、同様の考えですか。
○江田(康)議員 お答えをいたします。 部落差別とは何であるかについては、先ほど山口委員の方からも申されましたとおり、我々は、法律上の定義を置かずとも理解できるというのは、多くの国民の皆様が実感なされていることであろうかと思っております。 ですから、定義はないけれども、部落差別ということについて、やはり、差別そのものの解消を推進していくということ、また、そのことで部落差別のない社会を実現することをこの法案は目的としておりますので、こういう趣旨から、同和問題ではなくて部落差別という用語を用いて立法化しているところでございます。
○清水委員 ちょっと私も全然理解できませんね。私、何のために法務省や総務省に、部落差別を用いた法律や定義はあるかというふうに確認したんでしょうか。今までそんな法律や定義はないということなんですよ。法律をつくる以上、部落差別の定義がどういうものなのか、これを明確にせずにこの法律を国民に対して課していく、こんな乱暴なやり方があるんでしょうか。 これは、提出者が九名ですね。賛成者が三十九名。それぞれの概念でそれぞれの定義を持っておられるということでしょうか。法律で定義づけるのが当たり前の話じゃありませんか。 私、皆さんに見ていただきたいんですが、資料の三枚目、これは、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ法です。 ここでは、「定義」として第二条に「この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、」と書き、定義を定めているんですよ。本邦外出身者とは誰のことか、不当な差別的言動とは何を指すのか、それこそ、参議院の法務委員会においては、この定義についてかんかんがくがく議論したわけじゃないですか。ヤンキー・ゴー・ホームというのがヘイトに当たるのかどうかということを含めて、答弁者の方々も、参議院は発議者というのですか、真摯に答えておられましたよ。 今回初めて、突如として使われる文言。盛山副大臣も、同和問題に対する法務省の認識、人権擁護局の認識は語られましたが、部落差別ということについての定義を持っていないんですよ。その定義さえ置かず、目的や理念はあるかもしれないけれども、定義なしにこの法律を国民に課すなどというのは、私は、とんでもないというふうに思いますよ。 それで、私、もう一度、江田議員に聞きたいんですけれども、このヘイトスピーチ法、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、この定義を大事にして、これを提出し、賛成されたんじゃありませんか。そういう意味では、法律の定義というのは何よりも大事だと思うんですが、江田議員、もう一度お答えいただけますでしょうか。
○江田(康)議員 定義については、先ほどからも申しますように、定義を置かずとも、これは一般的に国民が理解しているものだと思っております。この法案では定義は置きませんけれども、一般的には、その方が部落の出身であることを理由として差別を受けるということと考えております。 この部落という言葉の定義につきましては、一般的には、身分的、社会的に強い差別待遇を受けてきた方々が集団的に住む地域とも解されているところでもあろうかと思っております。 したがって、この法案は、先ほどから申しますように、部落差別は許されないものであるという基本にのっとって、差別そのものの解消を目指して、部落差別のない社会を実現する、これが目的でございますので、そのような意図から部落差別という単語を用いているものでございまして、御理解をいただきたいと思っております。
○清水委員 全く理解できませんね。一般的に部落差別が国民の中に定義として浸透しているみたいな発言をされました。 では、盛山副大臣にお伺いしますが、人権擁護局や法務省の調査で、国民の一〇〇%がこの部落差別について知っていますか、理解していますか。
○盛山副大臣 私どもの方では、そのような調査は行っておりません。
○清水委員 人権擁護局。
○葉梨委員長 岡村局長。(清水委員「調査はやっていませんか」と呼ぶ) やっていないということですよ、清水君。
○清水委員 いわゆる部落差別ということについてはやっていないということですよね。同和問題についてはやっておられると思うんです。 いずれにしましても、児童生徒に対するアンケートも含めて、部落差別を知らない、同和問題を知らない、こう答える生徒はいるんですよ。それを、一般的に国民の中に統一した定義もないのに、これを理解していただきたいというのは、私はとんでもないと思います。 もう一回、提出者の皆さんにお伺いします。 この法律に定義されている、今回皆さんが出された部落差別の解消の推進に関する法律案で言うところの、ここに「現在もなお部落差別が存在する」と書いているんだから、ここで言う存在する部落差別というものは、誰が誰に対してどのような行為を行い、その結果、誰が誰に対して何を認定するものなのか、法文上、定義がどうなされているか、誰でもいいから答えてください。
○山口(壯)議員 先ほど、定義の話ですけれども、この法案では、今回、理念法ということにとどめました。したがって、財政の援助あるいは処罰とかいうものは一切外しています。その意味で、これまでの、人権擁護法案のときの人権委員会、あるいは人権委員会設置法案のときの人権委員会とは全く様相を異にするわけですね。 したがって、定義というものは、例えば、財政的にどの地域を特別措置法としてカバーするのか、あるいは処罰としてどういうものをするのかということから、私はむしろ、かえってこの法案が差別を助長することがないようにという趣旨でこの法案のたてつけを考えました。 この法案の中で部落差別ということに対して考えるときに、いわゆる心理的な差別が今残っているわけですね。我々が今念頭に置いているのは心理的な差別です。心理的な差別というのは、例えばインターネットにもあらわれてくるように、地域に限定されません。あるいは、これから新しい形で出てくるように私には見受けられます。そういう意味では、えたいの知れない部分があるわけですね。 そのことをあえて定義という格好で限定するということは、心理的な側面を持った今の差別に対して果たして適切なのかどうかというところから、私はむしろ、部落の出身者であることをもって差別される、そういう一般的な理解でもってよしとするというふうに考えた次第です。
○清水委員 一般的な理解では困ると思うんです、法律ですから。 それで、今、山口議員は、理念だから定義がなくてもいいようなことをおっしゃいましたが、ヘイトスピーチ法は理念法でしょう。罰則規定はありませんよね。定義を置いているじゃないですか、ヘイトスピーチとは何かということを。理念法であろうがそうでなかろうが、あるいは物理的な差別であろうが心理的な差別であろうが、その定義が定まらない以上、法律として機能しないんじゃないですか。 この質疑を通じて私は何がわかったかということなんですが、結局、目的や理念は書かれています。それから、財政的措置を講ずるものではないというふうにおっしゃられましたが、細かく見ていくと、国と地方公共団体は、例えば、その地域に応じた施策を講ずるよう努めるとか、あるいは相談体制の充実だとか、あるいは人権教育や啓発の推進だとか、これは、既に同和行政を終結した自治体に対しても新たな財政支出をさまざま求めかねない条文ともとれるんです。だからこそ、なおさら、どこからどこまでがこの法律の規定なのかということは厳密に規定するべきものであるはずなんです。 結局、もしこの法律が成立しますと、定義がありませんでしょう、ということは、それこそ、これは部落差別だと誰かが主観的に認定すれば、もう際限なくこの法律の濫用を生み出しかねないわけですよ。それは、インターネット上の問題であろうが落書きであろうが、投書であろうが発言であろうがそうですよ、定義がないんですから、定まっていないんですから。 それこそ、今私が申し上げましたような同和対策事業の復活や、あるいは確認・糾弾活動の根拠となり得るもので、それこそ、政府自身が、部落差別という定義はないと。同和行政についても、総務省は二〇〇二年に特別措置法を終わらせてきた。その理由についても明確です。歴史的な到達をゆがめ、同和問題の解決の本流を逆流させるような重大な局面に今あると私は言わなければなりません。 そして、法律はさらに深刻なんですね。第六条では何と書いているか。法律案の第六条では、今議論しました曖昧な定義の「部落差別の実態に係る調査を行うもの」とあるんですね。 これは、何をどう調査するんですか、提出者の方にお伺いしたいんですが。
○山口(壯)議員 調査に関しては、今、非常に少ないわけですね。例えば、五年に一度、内閣府でもって行われている人権に関する世論調査とか、極めて限られている。 人権については、ほかにもいろいろな差別の話があります。例えば、人種に関する話、男女差別の話、アイヌの話、エイズの話あるいはハンセン病の話。その中で、同和問題という言葉になっていますけれども、非常に少ない。その手の調査も念頭に置きながら、例えば、インターネットも含めてどういうことになっているのか、そういう一般的な実態の調査ということを念頭に置いています。 それから、先ほど来の議論の中で、ヘイトスピーチというのは非常に新しい現象だと私は思っています。その意味で、この部落の話とは大分歴史が異なるので、その意味で、やはり定義的なものも相当必要だったのではないかと思っています。それに比べてこの部落の話というのは、歴史が物すごく、国会の中の議論でも、もう何十年にもわたって議論しているわけです。 それから、特別措置法において、物理的な環境面での議論が終わったとはいえ、いわゆる結婚、みんな心理的な話ですね。その中で侵犯事例として出てきているものはありますけれども、実際には、我々がふだんの政治活動においても実態をよく肌でわかっているように、実はもっともっと多いんじゃないのかなということはよく感じています。だけれども、みんな外にはなかなか言えないですね。 そういう意味で、実態について我々はもっと詳しく現実を受けとめる、そういう調査が必要なんじゃないか、そういう趣旨で書いた次第です。
○清水委員 法務副大臣が、部落差別に関する調査はやっていないと先ほど言ったんですね。法案には、「国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。」と。この法律上定義されていない部落差別というものを、どのように、何を調査するんですか。そのような、今言われたような内容については、この法律案からは全く読み取れません。 こんな定義の定まらない実態調査をやるということになると、結局、何を調べることになるか。出身地あるいは血筋、こういうものを特定していくことが実態調査の中に入っていく。これこそプライバシー権の侵害ですし、もともと封建時代に日本の施政下になかった北海道や沖縄、こういうところにも部落差別の実態調査をやらなきゃならない。どんどんこれが拡大されていくことになるんじゃないですか。 それで、今、この議論を通じて、私は、同和地区、被差別部落という行政上の概念はもうないと、はっきりしたと思うんです。一般的には定義しなくてもいいと言いますが、それこそ恣意的な濫用を引き起こしかねない。定義のないこの部落差別法案は、とんでもないと言わなければなりません。 今回の法律ができることによって、新たな差別を掘り起こしたり、特定の地域と住民を部落と示唆し得るものであり、まさしく理念法をつくること自体が部落差別を固定化、永久化するものだと言わなければなりませんが、いかがでしょうか。
○山口(壯)議員 この実態調査については、もちろん、新たな差別を生むことが絶対にあってはならないというふうに考えています。清水議員の御指摘の点を踏まえて、法務省において、そういうことがないように調査が行われるべきものだというふうに認識しています。 ちなみに、法務省が人権侵犯事件調査処理規程に基づく救済手続として行っている調査というのは、我々が六条で考えている調査には全く含まれません。その意味で、この実態調査というものはもう少し理解していただければと思うんです。 それから、先ほど御懸念されたような糾弾、これも一切ないようにということをかなりきちっと心がけて条文をつくったつもりなので、その意味では、その点も御懸念に当たらないのかなと。 それから、地域の実情に応じてということを何度も何度も書かせていただきました。それは、言ってみれば地域的な偏在も見られるわけなので。 ただし、例えばインターネットでの拡散という状況が起こってくると、それを、おもしろ半分に、もてあそびつつやっている人たちが出てきているわけですね。これは、非常に心が痛みます。だから、その意味で、我々は、現実を直視した上でこれに触れる場合と、全く知らないでこれに触れる場合とでは、脆弱性において非常に違いがあると思うんです。 だから、その意味で、最終的には、部落差別がない社会を想定すれば、そこにおいては、今我々が心配しているようなことはないでしょう。しかし、今現実に存在するんですから、存在する以上は、それをどういうふうに解消していくか、それが我々のポイントだと思うんです。そういう意味では、何もしないというよりも、根拠法としてあることが大事だと思うんです。 特に、今これは、生活環境の改善と心理的な側面というふうに分かれているわけですけれども、生活環境の改善を目指した同和対策の例の三法、この三法が終わった時点で、地方公共団体の方々の中には、多くの人たちが、ああ、もうこれで、同和の方の相談を受けても、彼らが言うのは同和のことですが、相談を受けてももうできないんだなというふうに、ある意味で勘違いをしている方が相当おられるわけです。だけれども、それは、現実には、部落差別の解消という観点からはおかしいと思うんです。 本流という言葉も言われましたけれども、本流ということでいえば、生活環境の改善というものは終わったけれども、実際にその根っこというものは残っているんじゃないのかなというふうに私は思っています。
○清水委員 いろいろ言われたんですけれども、結局、この理念法をつくることによって部落差別が固定化、永久化するのではないかという私の質問には答えていないように思います。 私、自民党の皆さんにも紹介したいと思うんですね。 ここに、「部落解放基本法制定要求の取扱いについて」という、昭和六十一年一月二十七日、自由民主党政務調査会、政発一号というものを持ってきました。これは、自由民主党所属の衆議院議員、参議院議員各位に送られたものであります。 こう書いていますね。「現在、一部民間運動団体等により、「部落解放基本法」制定に対する署名の協力要請が展開されております。部落差別の解消を目的とした法律を基本法として制定することは、その被差別対象地域及び住民を法的に固定化させるという、極めて重大な政治的、社会的結果を惹起する恐れがあり、」署名要求活動には一切応じないようにと自民党の政務調査会が出しているんですよ。この認識はいつ変わったんですか。これこそ、私は、同和問題を解消する運動の本流だと言わなければなりません。 もう時間が来ましたので最後に申し上げますけれども、さまざまな問題があれば市民相互で解決に取り組むことができる、やはりそういう時代を醸成していくということが一番大事だと思うんですよ。部落問題に対する非科学的な認識や偏見に基づく言動が地域社会で受け入れられない状況をどうつくり出すかということを、国民、市民が真摯に議論するということが大事であり、定義もない法律を一律に押しつけるというようなことは絶対あってはなりません。 政府自身も、三十三年間、十六兆数千億円を費やして同和対策の特別法をやってきた。二〇〇二年三月、十四年前に終結したわけですよ。終結するときも、全国の精緻な生活実態と国民意識調査を十分に実施、分析して、審議会で各界からの意見を聴取して、議論を重ねて、万全を期して終了したんです。その経緯や関係者の血のにじむような努力を乱暴に無視するような今回の法案は、絶対に認められません。 私は、廃案にすることを強く求めて、質問を終わります。
○葉梨委員長 これにて清水忠史君の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前九時四十二分散会