法務委員会 第8号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2016/04/01
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 第百八十九回国会、内閣提出、総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は、去る三月三十日に終局いたしております。 この際、本案に対し、城内実君外一名から、自由民主党及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。城内実君。 ————————————— 総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○城内委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。 本修正案は、東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律の有効期限が延長されたことに伴い、必要な技術的な修正を加えるものであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○葉梨委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○葉梨委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 第百八十九回国会、内閣提出、総合法律支援法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、城内実君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○葉梨委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、城内実君外四名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びおおさか維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。逢坂誠二君。
○逢坂委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び日本司法支援センターは、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 司法アクセス障害を有する高齢者・障害者に対する法的支援の重要性及び必要性に鑑み、特定援助対象者に対する資力を問わない法律相談援助の実施に当たっては、その趣旨を没却することがないよう、その対象者の該当性を判断するとともに、費用負担を求める基準及びその負担額を定めるに当たっては、利用者がちゅうちょすることのないようにすること。 二 特定援助対象者の司法アクセス障害が真に改善されるよう、特定援助対象者への代理援助等の対象となった「自立した生活を営むために必要とする公的給付に係る行政不服申立手続」の範囲については、柔軟に解釈するとともに、代理援助等の対象とする手続を、行政機関への申請行為にも拡大することを引き続き検討すること。 三 福祉機関等や弁護士等による総合的な高齢者・障害者への生活支援の実施の必要性に鑑み、福祉機関等と弁護士等との連携活動の促進のため、地方公共団体への協力要請等、必要な措置を講ずること。 四 国民の生命、身体、性的自由等の重大な法益を守り、安心・安全な生活を提供するという国の責務に鑑み、特定侵害行為の被害者に対する資力を問わない法律相談の実施に当たっては、その趣旨を没却することがないよう、その対象者の該当性を判断するとともに、費用負担を求める基準及びその負担額を定めるに当たっては、利用者がちゅうちょすることのないようにすること。 五 国として、真に援助が必要な犯罪被害者に対し適切な援助を行うことにより、その生命、身体が危険にさらされないよう、捜査機関との調整、民間支援機関・行政機関との交渉等の場面における弁護士費用の援助及び未成年者である犯罪被害者への費用償還を要しない援助の必要性について引き続き検討すること。 六 本法に基づく政令によるいわゆる激甚災害の指定に際しては、その趣旨を没却することがないように留意するとともに、政令で定める期間を超えて被災者の法的ニーズに応える必要がある場合には、法律相談援助以外の法的援助を含めた立法措置を講ずるよう努めること。 七 日本司法支援センターが国民の多様な法的ニーズに迅速かつ適正に対応することができるよう、十全な財政措置を含む必要な措置を講ずるよう努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岩城法務大臣。
○岩城国務大臣 ただいま可決されました総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、日本司法支援センターに係る附帯決議につきましては、日本司法支援センターにその趣旨を伝えたいと存じます。 —————————————
○葉梨委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○葉梨委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官前原正臣君、内閣府大臣官房独立公文書管理監佐藤隆文君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、警察庁長官官房審議官斉藤実君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君及び公安調査庁次長杉山治樹君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長桜田桂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局総務局長中村愼君、刑事局長平木正洋君及び家庭局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
○吉野委員 おはようございます。自民党の吉野正芳です。 岩城法務大臣におかれましては、我々福島県の選出の地元の大臣であります。これからの法務行政、一生懸命頑張るようにエールを送りたいと思います。 きょうの質問は再犯防止です。 実は、私が国会議員になりたてのころ、法務委員会に所属をさせていただきました。更生保護施設等々を見てまいりました。そのときに、吉村昭さんの書かれた「仮釈放」という本を読めということで読ませていただきました。刑務所を出所された方々が社会に溶け込むまでいかに大変な御苦労をしているか。本当に、若い先生方、この本をまだ読んでいなかったら、ぜひ読んでいただきたい、このように思います。まず、真人間になるということなんですね。そのためにはどうすればいいかということが書かれている本であります。 再犯率が、統計をとると、刑務所を出てからまた刑務所に戻ってくる方が一八・一%もいる。この原因は何なのか。この原因で一番は、やはり社会が受け入れてくれない。生活するためには仕事につかなきゃならないわけでありますので、就職がなかなかできないという、ここに第一の原因があろうかと思います。 そういう意味で、我が党は、刑務所出所者等就労支援強化特命委員会とか、更生保護を考える議員の会という会をつくって、この再就職に一生懸命取り組んでいるんですけれども、協力雇用主という制度がございます。これの実態についてお知らせを願いたいと思います。
○田所大臣政務官 御指摘のとおり、刑務所出所者等の再犯防止において、仕事と居場所の確保は極めて重要であるというふうに認識をしております。 刑務所出所者等の就労を確保するためには、その事情を理解した上で雇用してくださる協力雇用主の存在が不可欠であります。協力雇用主に登録いただいている事業主の数は、平成二十七年四月一日現在、一万四千四百八十八事業主に上っておりますが、実際に刑務所出所者等を雇用している協力雇用主の数は、同日現在で五百五十一事業主にとどまっており、実際に雇用してくださる事業主の数を引き上げることが重要な課題であるというふうに思っております。 そこで、法務省は、平成二十七年度から、刑務所出所者等を雇用し指導に当たる協力雇用主に対して年間最大七十二万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金支給制度を導入し、協力事業主に対して支援の充実を図るなどしたところ、その後、刑務所出所者等を雇用している協力雇用主の数は増加しており、平成二十八年一月一日現在で八百二十三事業主になっております。 政府目標といたしましても、平成三十二年までに、刑務所出所者等を実際に雇用している協力雇用主の数を約千五百事業主にすることとしております。協力雇用主となっていただく方の御理解をさらに深めていただいて、そして支援も一層充実し、雇用の拡大に努めてまいりたいというふうに思っております。
○吉野委員 ありがとうございます。 登録している方、雇っていいよという方が一万四千社もあるわけでありますから、実際に雇用が進むように、これからも全力を尽くしていただきたいと思います。 二番目の理由なんですけれども、これは、心が弱いから、意志が弱いから、我慢する心が弱いからかなというふうに私は想像をするわけなんです。では、強い心を持つためにはどうしたらいいのかという観点から考えた場合、こういう実験例があります。今からちょうど三十年前です。昭和六十一年に静岡大学で実験をしました。ネズミのお母さんが子供ネズミをどう育てていくかという実験です。 コンクリートの箱と金属の箱と木製の箱、ここで実験をしたんですけれども、何と、二十三日たった子供ネズミの生存率、木製だと八五%です。金属だと四一%。何と、コンクリート、たった七%です。九三%もの子供のネズミが死んでしまった。 そして、母ネズミの子育ての状況を見ると、木材の箱で育てた母ネズミは、子供を育てようとする優しい母親心が見られたというのが実験結果でわかっています。金属とコンクリートの子育て状況は、子供を育てようとしない、特に弱い子供ネズミについては食い殺してしまう、そういう凶暴性も見られたという実験結果が、三十年前ですけれども出ております。 実は、ビルは鉄筋コンクリートの建物しかつくれないというふうに今まで日本の国はなっていたんですが、きょうからです、四月一日から、CLTという木材、これは直交木材で、ビルが建つんです。五階建て以上のビルが何と木材で建つ時代にきょうからなったわけでありますので、強い心を持つためにも、刑務所施設等はやはりCLTで、木材の、そういう環境でやれば、必ずや強い心を持つ方が出て再犯率は低くなる、このように考えるわけですけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。
○岩城国務大臣 刑務所などの矯正施設は、再犯防止施策の実現のための土台として極めて重要なものでありますが、その半数が現行の耐震基準が制定された昭和五十六年以前に建築されたものであるなど、老朽化が著しく、その整備は急務であると考えております。 そこで、吉野委員から御指摘のありました木が与える人間に対する好影響につきましては、私も市長のときに学ばせていただきました。そして、木造校舎を建築するなどの取り組みをさせていただいた経緯がございまして、今そのことを思い出しておりました。 また、CLTについての御指摘もございましたが、たまたま先般、個人的にでありますけれども、福島県の湯川村、あそこのCLTを活用した集合住宅を視察してきたところでありました。 そこで、法務省施設の木材の利用についてでありますけれども、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、法務省施設の木造化、内装の木質化を可能な限り促進することとし、矯正施設におきましても、エントランスホールなどの国民の目に触れる機会が多い部分や、被収容者のいる区域内の壁や床に木の表情やぬくもりが感じられる内装の木質化を取り入れるなどして、所要の整備に取り組んでいるところであります。 今後、法務省といたしましては、これはコスト面等を慎重に考えなければならない点もございますけれども、委員御承知のとおり、CLTのような新しい技術により木材の機能が極めて高いものとなっていることや、木材本来の人間、人に与える好影響などの点も参考にさせていただき、所信においても述べさせていただきました矯正施設の整備の推進の中において、十分に検討してまいりたいと考えております。
○吉野委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただいたというふうに理解をしております。 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で吉野正芳君の質疑は終了いたしました。 次に、藤原崇君。
○藤原委員 おはようございます。自由民主党の衆議院の藤原であります。 本日は一般質疑ということで、二十分間、お時間をいただきました。委員長、理事を初め委員の先生方に大変感謝をしたいと思っております。 きょう何を質問しようかなということを考えておったわけで、せっかく時間をいただいたので、本来は法務省さんに裁判に関することをお聞きしたかったんですけれども、ちょっとその前に、前の委員会の質疑のときにちょっと気になる答弁が最高裁からありましたので、その点について、きょうは二十分使ってお聞きをしたいと思っております。 この前、三月十六日の法務委員会での若狭委員に対する答弁でございますが、定員法の改正案でしたが、その中で若狭委員の方から、司法権の独立の関係で、このようなお尋ねをしておりました。 「一般的に、もちろん、判決を受けて、その判決についていろいろと議論するのは、政党の部会等においても許されるという理解でよろしいでしょうか。」と。 それに対して、平木刑事局長だと思いますけれども、お答えが難しいところではあるんですけれども、政党の部会等で国会議員の方々が個々の事件につきまして裁判官の判断の当否について検証するという形になりますと、先ほども申し上げたような職権行使の独立性という観点から問題が出てくると思っております、そのような答弁をしていると認識をしております。 検証という言葉が、なかなか、いろいろな観点からあると思うんですが、これは捉えようによっては、政党内で議論をすること、そのことがまかりならぬとまで言えるのかどうかはわからないんですが、読みようによってはそういうふうに読める可能性がある答弁だと思っております。 これについて、もう少し趣旨を明らかにしていただくようにお願いをしたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 御指摘の三月十六日、法務委員会においては、冤罪の検証という観点から質疑がされておりました。ただ、仮に、裁判内容を議論した結果を公表するといった意味で検証を行うとなりますと、特に冤罪かどうかが確定していないような状況では個々の裁判官の職権行使の独立に影響を与える可能性があるところでありますので、そういった意味で、委員御指摘の答弁をさせていただきました。 もちろん、政党の部会等で個別事件の裁判内容について議論、検討し、種々の政策立案に生かされることは何ら問題がないと考えておるところでございます。これまでも、部会等において個別の事件の判決を取り上げる場合には、こうした点について適切に御配慮いただいてきたものと承知しております。 前回の答弁につきましては、御説明の前提となった検証という内容について明確にすることなく御説明してしまったもので、御説明として適切さを欠き誤解を招いた点について、おわびいたします。
○藤原委員 丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 個別の事件について政策立案の中で議論をすることというのは、特に問題がないというような趣旨の御答弁だったと思っております。実際に、やはり政党の部会、さまざまな党派の方々がいて、それぞれ賛否のある判決というのはいろいろあると思うんですが、それぞれについて、それぞれの政党内で議論をするということは問題がないというふうに御答弁をいただいたと思います。 一般論としてなんですけれども、もし、そういうのを冤罪以外の場合で許されない場合があるとした場合、議論をすることが、どういう場合それが許されないというふうにお考えなのか、これは最高裁の方で具体的にお示しをいただきたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。裁判全体ということですので、私の方から答弁させていただきます。 政党の部会等で裁判の内容について議論、検討され、種々の政策立案に生かされるということは、当然のことでありますけれども、裁判官の職権行使の独立との関係で問題が生ずる余地はないというふうに考えております。 ただ、議院内閣制を前提とした統治機構のもとで、国政政党というのはとりわけ重い地位にあるということを鑑みますと、例えば係属中の個別事件について、党やその部会が公の見解として一定の方向性が相当であるという意見を取りまとめること、例えば個別事件についてその判断を、請求を認容にすべきであるとか棄却をすべきである、こういうような一定の方向性というものの意見を取りまとめるということにつきましては、それが最高裁に対する申し入れの形であるか否かを問わず、個々の裁判官の職権行使の独立、すなわち裁判官の自由な判断形成に対して重大な影響を与える可能性が高いように思われます。それは確定した個別事件であっても同様であろうかと思います。 このように、政党が裁判官の判断の当否に関する議論をされることが裁判官の職権行使の独立との関係で問題となり得るかは、例えば、その対象の個別性、個別事件の裁判の当否を論じるものであるのか、一般的な訴訟類型の裁判の問題を論じられるのであるのかといった点や、行為の態様、自由な意見交換、提言なのか、いわゆる検証といったようにその当否を検討されるものなのかといった点を総合的に考慮しながら、裁判官の自由な判断形成に事実上重大な影響を及ぼすおそれがあるか否かによって決せられるのではないかというふうに考えております。 これは、あくまで影響を及ぼすおそれということでございまして、おそれがある場合というのを明確に線引きすることは困難であるように思います。 これまで、裁判官の職権行使の独立についての重要性というのは御理解いただいておりまして、部会等におきまして個別の事件の判決を取り上げる場合には、このようなおそれが生じないよう適切に御配慮いただいているというふうに承知しておりまして、今後も同様の運用をしていただけるものというふうに考えております。
○藤原委員 ありがとうございました。 かなり具体的に御答弁をいただいたと思っております。 基本的には自由闊達に議論をするということは問題はないけれども、係属案件などは特に、一定の方向性について示す、そこまでやるということは司法権との関係で問題があるのではないかということでした。個別具体的に提言を見た場合に、確定案件、個別なのか一般論なのか、そういう総合的な判断をするということです。 最近、私が非常によく感じることは、司法と立法との関係というのが、また一つ新しいステージに入ったのではないかなというふうに思っております。 先般、最高裁の判決を見ましても、JRさんとの保護責任者の問題の判決、これも、国の大きな、家族のあり方に影響を与える問題でありますし、あるいは、さまざまな経済的活動についての判決、個別には申し上げませんが、非常に社会的な影響のある判決というのがいろいろと出てきております。 そのこと自体は、私は悪いことではないと思っております。いろいろな問題があったときにしっかり司法の場で解決をするというのは、法治国家の建前として当然大事なことなんですが、それと同時に、その判決の影響の大きさを考えますと、もちろん、最終的には裁判所が判断することですが、立法であろうと広く一般であろうと、やはりその判決あるいは問題の考え方ということについて広く議論をしていくということは当然許容されることであると思いますし、時には批判的見地からも議論をしていくということは、司法権との関係では何の問題もないというふうに考えております。 もう少し確認をしていきたいと思っております。 例えば、委員会の質疑において、このような形で議論をしている中で、かつ、最高裁以外に答弁を求めているという状況においては、こういう裁判の考え方というのは間違っていると思うんですがと所管の大臣とかあるいは政府に答弁を求めるということ、これについては問題があるのかないのかということをお願いいたします。
○中村最高裁判所長官代理者 委員会の御質疑の場におきまして、議員の皆さんが個別事件を取り上げて、内容面について、批判的な意見も含めて議論されることは、裁判官の職権行使の独立との関係で問題が生じる余地はないというふうに考えております。
○藤原委員 ありがとうございました。 もう一つ、補足でお伺いをします。 例えば、有志の議員、これは与党だけではなく野党もまぜて超党派ということもありますし、与党の議員の先生方がまとまってということもありますが、議連において政策的な議論をする場合、こういう場合について、同じように、このような判決の考え方は間違っているのではないかとか、そういう議論がなされるということ、これについてはいかがでしょうか。
○中村最高裁判所長官代理者 今御質問にありました議連というものの性格につきまして、必ずしも我々は正確に理解しているところではございませんので、その議連という団体の性格づけというところが一つ問題になろうかと思います。 それが、複数の議員の方々の集まりとして見るのか、あるいは、政党に近いものと見るのか、ここら辺は少し個別具体的な話になってくるんだろうと思いますけれども、それが、前者、すなわち、複数の議員が集まられてそういうような形で議論される、このことにつきましては、裁判官の職権行使の独立の関係で問題が生じる余地はないというふうに考えております。
○藤原委員 ありがとうございました。 幾つか、大事なことかなというふうに思いましたので、個別具体的なことについても最高裁の方の認識としてお聞きをさせていただきました。 当初、三月十六日の委員会の答弁を聞いて、その後、議事録をちょっと読ませていただいて、非常にある意味で誤解を招きそうな答弁ではないかなということで、きょうその内容をただしましたが、非常に丁寧にお答えをいただいたというふうに思っております。 先ほどの話とも絡むんですが、最近、裁判というものが非常に身近になってきていると思っております。 これは、法務省の皆様のお力もいただいて、先ほどの総合法律支援法もそうですが、何か問題があったときには、アウトサイダーな解決をするのでもなく、泣き寝入りをするのでもなく、しっかり裁判に持っていく、そういうあらわれだろうというふうに思っております。 それは非常にいいことだと思っておりますが、その一方で、ある意味で、私も最高裁の皆様がどういうふうに考えて判決を出しているかということは必ずしも直接知っているわけではありませんが、やはり、最高裁判事を務められた方々の本なんかを読みますと、かなり社会的な影響ということも考えられた上で丁寧な判断をしているというふうに認識をしております。ただ、やはりその一方で、非常に大きく影響を与えることというのもたくさんあります。 先ほどは言わないという話もしたんですが、この前も、高裁か最高裁かはちょっと失念しましたが、タクシーの一日の乗務距離について、一定の制限を国の方ではめていたんですが、それは行き過ぎた規制だということで、乗務距離については制限を外すというような判決を出したというふうに認識をしております。 これも、法律がそういうふうになっているということであれば当然それでいいんだと思うんですが、ただ、その一方で、本当にそれで安全性が守れるのかということも政策論としては考えなければいけないし、単に、法律にこう書いてあるから、社会的影響がどうなろうがそれは関係がない、私は司法であってもそういうものではないというふうに思っております。あくまで法の解釈をするというときには、社会的にどういう影響があるのか、そういうことを考えた上で適正な解釈を導くというのは絶対に必要なことなんだろうというふうに思っております。 これからより一層、社会に影響を与える裁判の判決、社会に影響を与える裁判というのは、何も大きな、原発の問題であるとかそういうものじゃなくても、たくさんあると思っています。 そういうときにはやはり、そういう判決を出す、それに対して議員あるいは一般の方々、はっきり言えば政党であっても、私は、それについて賛否両論、自由闊達に議論をすることは何らの問題もないんだろうと思っております。 もちろん、その結論を取りまとめて最高裁に、この結論はおかしいと思うとか、あるいは、極端な話を言うとこの裁判官はよくないとか、そういうことを申し入れをするというのは当然問題があるんだろうと思っておりますが、党内や国会内において政府に入っていない議員が広く判決の内容について議論をすることは、結果を最高裁に申し立てをしない限りは、職権行使の独立の観点では何ら問題がないというふうに考えておりますが、その点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 先ほども答弁させていただきましたが、政党というものが公の見解として一定の個別事件について方向性を取りまとめる、これについては個々の裁判官の職権行使の独立に影響を与えるおそれがあると思いますが、それ以外のものにつきましては、基本的にそういうおそれはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○藤原委員 ありがとうございました。 私とは司法権の独立についての範囲で少し認識のそごはあるかなとは思うんですが、それはそれぞれの見解だと思っております。私としては、裁判官の皆様は非常にプライドを持って仕事をしていらっしゃる、誇りを持っていらっしゃる、仮にそういう声明が出たとしても、少なくとも司法権の独立が害されるということはないと思っておりますし、それらしい外観が損なわれるかどうかというところはいろいろな議論があるんだと思うんですが、そこについては私もこれからも問題意識を持って、こういう点についてはいろいろと議論をしていきたいというふうに思っております。 きょうは最高裁の方々にだけお話を聞いているんですが、もう一点、お聞きをしたいと思っております。 少し抽象的な話をしておったんですが、次はちょっと身近な話題で、一点質問をしたいと思います。 後見制度についてお聞きをしたいと思っております。 今、日本というのは非常に高齢化が進展をしておりまして、長生きができるようになっております。長生きができるということは非常にいいことだなというふうに思っておりますが、それと同時に、やはりどうしても自分での判断能力というのが十分にとれなくなってくる人というのもふえてきている。そういうもののために、今、国では後見制度あるいは補助、保佐、こういう制度が用意をされております。 ただ、その中で、私の方で危惧をしているのは、非常に高齢化が進展している中で、後見人になってくれる人、ちょっと判断能力がなくなった人の金銭管理とか身辺の面倒を見ていただく、そういう法律上の後見人、この前たしか任意後見の促進の法律が議論されたと思いますが、そのなり手というのが、今までは専門家の方かあるいは親族の方が多かったと思いますが、これから、その後見人のなり手というのが非常に少なくなるのではないかと思っております。 今、地方では、市民後見人ということで、関係ない、でも御近所の方々に後見人になってもらって地域社会を支えてもらおう、そういうことを議論していたりしております。あるいは、障害を持ったお子さんの後見人に親がなる、そういうような事例もあります。 しかし、そういう中でよく一般の方から聞くのは、後見人になると、これは人のお金を預かっているわけですので勝手に使っちゃいけないというのが事実ですし、ちゃんと報告をしなければいけないということなんですが、なかなか、一般の方からしてみると、裁判所に、これくらいお金を使ってこうしましたとか、そういう報告業務というのが非常に負担が重い、そういう意見も聞くわけなんであります。 適正にちゃんと使われているかというのを監督する必要もありますが、それと同時に、やはり一般の方が後見人になった場合に事務負担を軽減する必要があると思うんですが、その点について最高裁の取り組みの状況というのを教えていただければと思います。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、成年後見人等の報告事務の負担が必要以上に重いものとならないようにすることは極めて重要だというふうに考えておりまして、裁判所といたしましても、成年後見制度が国民にとって利用しやすいものとなるように努めているところでございます。 そのような観点から、全国の家庭裁判所におきましては、近年、成年後見人等から報告の際に一律に提出していただく資料を絞り込んだ上で、作成していただく報告書につきましても、チェックリスト方式のひな形を用意するということなどをいたしまして、特別の知識経験をお持ちでない方でも労力をかけずに報告ができるように工夫をしているものと承知をいたしております。 一方で、各家庭裁判所では、提出していただいた報告書や通帳の写しなどを見て、不審な点があれば追加の資料の提出や説明を求めるということなど、必要な調査を行って、不正行為を見逃さないように努めておりまして、報告書を簡易なものにしているということで適正な後見監督ができなくなっているといった状況は生じていないというふうに考えております。 最高裁判所といたしましても、各家庭裁判所において適正な後見監督を行いつつも、後見人の報告事務が過重な負担とならないようにするために必要な取り組みが進められるよう支援をしてまいりたいと思っております。
○藤原委員 ありがとうございました。 後見の問題も恐らくこれからが本格的に出てくると思いますので、ぜひ最高裁には、法務省さんと協力をして取り組みを強化していただきたいと思っております。 これで質疑を終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で藤原崇君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。 本日も質疑に立たせていただきましたこと、委員長、理事、また委員各位に心から感謝を申し上げたいと思います。 本日、私は、死因究明についてお伺いをしたいと思います。 公明党は、昨年来、PTを立ち上げまして、この問題について複数回議論を積み重ねてまいりました。その中で、さまざまな問題が存在していることを学んでまいりました。その全てをここで質問という形でお話しすることはできませんけれども、本日は、法医学教室というものをもっとしっかり活用していくべきではなかろうか、そしてまた、法医学教室がその役割を十二分に発揮できるような、そういった施策というのも政府においてしっかり打っていくべきではないか、そういった観点から幾つか質問をさせていただければと思っております。 まず初めに、法務省にお伺いをしたいと思っております。 ちょっと通告が不十分だったかもしれませんけれども、この死因究明という問題について法務省はどのようにかかわりを持っているのか、そのことについてまずお聞かせください。
○林政府参考人 お尋ねの死因究明についての法務省とのかかわりでございますが、まず、法務省といたしましては、刑事事件に関しまして、検察当局におきまして、刑事訴訟法に基づく検視、あるいは刑事訴訟法に基づく司法解剖、こういった場面で死因究明にかかわることとなります。 死因究明に関しましては、御案内のとおり、我が国における実施体制の充実強化が喫緊の課題であるということを踏まえて、平成二十四年六月に死因究明等の推進に関する法律が制定されたほか、死因究明等推進計画が閣議決定されるなどして、政府全体として諸施策の推進に取り組んできたものと承知しておりまして、法務省におきましても、こういった中で、死因究明体制の充実が迅速かつ的確な犯罪の発見等の観点から極めて重要であるという認識のもとに、関係省庁と連携しながら、死因究明等の推進に関する施策に積極的に取り組んできたところでございます。
○吉田(宣)委員 今お話がありました関係省庁との連携、これは極めて重要かと思います。しっかり取り組んでいただければというふうに思います。 ところで、日本で年間に亡くなっている方、その八人に一人が、警察によって御遺体を取り扱うというふうなことが昨今の現状でございます。八人に一人というと、高齢化というふうなことも踏まえるとこれからちょっとふえていくのかなと思いますが、できれば、人間というのは、安らかに、安全にといいますか、その生涯を終えたいと思うところですけれども、なかなかそうはいかず、八に一人は警察のお世話になっているというふうな現状でございます。 例えば、平成二十七年の統計を見てみますと、昨年の全死亡者数、百三十万二千人がお亡くなりになっておりますけれども、そのうちの死体取扱総数、警察が取り扱った総数というのが十六万二千八百八十一体ということで、実に全死亡者数の一二・五%が警察によって取り扱われたという現状でございます。 ところで、警察が御遺体を取り扱うということについてはさまざまな法令のもと行われていると思いますけれども、まず、警察が御遺体を取り扱うことに関する意義について、いささか漠然としているかもしれませんけれども、御説明を賜れればと思います。
○露木政府参考人 警察が御遺体を取り扱う意義でございますけれども、警察は、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務といたしております。 そうした観点から、取り扱い死体について、その死が犯罪に起因するものかどうか、あるいはその死因が災害、事故など市民生活に危害を及ぼすものであるかどうかについて判断をいたしております。
○吉田(宣)委員 警察が取り扱うということに関しては、いわゆる犯罪性であったりとか、災害等の拡大とか、そういった観点から取り扱う意義があるとお聞きをいたしました。 私は、民事的な側面にも、死因というものをはっきりさせることの意義が、副次的なものかもしれませんけれども、警察の力によって得られるのかなというふうに思っています。 例えば、人が死ぬと、相続というふうな問題が起きて、所有権その他の権利の帰属主体が変化するわけですね。相続人に移るというふうなことがあります。ただ、相続ということも、もし仮に、相続人の方が被相続人を殺害してしまった、故意に殺してしまったというときにおいては、これは欠格事由に該当して相続権を失うというふうなことが民法の規定にあるかと思います。 今言った、相続人が被相続人を殺してしまったというふうな案件については、他の相続人がいれば、その相続人は殺してしまった相続人への損害賠償請求権を取得する、そういうふうな民事上の効果もあるのかなというふうに思っておりますので、そういった意味においても、やはり死因を究明する意義については極めて大きいのではないかというふうに思っております。 日本は御承知のとおり高齢化社会を迎えていて、先日の人口統計も、減少というふうな事実に直面をしたところでございました。実際、日本でお亡くなりになる方は、ここ十年間で二〇%ぐらいふえていっているというふうな状況でございます。また、これに歩調を合わせるかのようですけれども、警察が取り扱う死体も、近年は若干減少傾向でございますけれども、総じて増加傾向にあると言っていいのかなというふうに思います。 先日勉強させていただいたところで、警察がお取り扱いになる死体というものは、犯罪死体というもの、変死体というもの、そしてその他死体というものに分類をされるというふうにお聞きしておりますけれども、それぞれについて、その違いがわかるように御説明をいただければと思います。
○露木政府参考人 取り扱い死体の分類についてでございますけれども、犯罪死体は、その名称のとおり、死亡が犯罪によることが明らかな死体でございます。変死体は、犯罪による死亡の疑いがある死体というふうに分類をいたしております。また、その他の死体とは、警察が取り扱います死体のうち、先ほど申し上げた犯罪死体と変死体以外の死体を総称したものでございまして、具体的には、自殺でありますとか、自宅で突然亡くなったりした御遺体などを意味しております。
○吉田(宣)委員 今御説明いただいた分類、犯罪死体、変死体、その他死体、その内容がよくわかりました。 次は、その分類に基づいて、手続面で少しお話をお聞きしたいと思います。 まず、犯罪死体というのは、死因究明がどの法令に基づいてどういう方法で行われるかについてお聞かせいただければと思います。
○露木政府参考人 犯罪死体につきましては、刑事訴訟法に基づきまして死体に対する検証あるいは実況見分が行われますほか、同法に基づき司法解剖を行うことなどによって、犯罪の立証といった観点から死因の究明が行われるものでございます。
○吉田(宣)委員 では次に、変死体についても同様にお教えいただければと思います。
○露木政府参考人 変死体につきましては、刑事訴訟法等に基づきまして、医師の立ち会いのもとで検視が行われます。その後、必要に応じて、死因・身元調査法に基づく検査、さらには司法解剖、あるいは死因・身元調査法に基づく解剖が実施され、犯罪性の見きわめがなされるということになります。
○吉田(宣)委員 加えて、その他死体についてもお教えをいただければと思います。
○露木政府参考人 その他の死体につきましては、死因・身元調査法に基づいて、医師等の協力を得ながら死体調査が実施され、その後、必要に応じて、同法に基づく検査や解剖が実施されることになります。
○吉田(宣)委員 お教えいただきありがとうございました。死体の分類、それからこの手続、少しわかりにくくなっているのかなと私は感じましたので、ちょっとお聞きをしました。 犯罪死体については、主に刑事訴訟法を根拠法令として、検証や実況見分、それから司法解剖によって、犯罪捜査の観点から死因というものを究明する、変死体についても、刑事訴訟法それから死因・身元調査法に基づく調査等、解剖も行われておりますが、そういったことがなされる、その他死体についても解剖等がなされるということで、いずれにせよ、どの分類にされた御遺体であっても、警察が取り扱う御遺体については、解剖というものが一つの共通項になってくるのかなというふうに思っております。 そこで、解剖ということが極めて重要かと思うのですけれども、解剖はどこで行われるかについてお教えいただければと思います。
○露木政府参考人 まず、司法解剖につきましては、刑事訴訟法に基づく鑑定に必要な処分として実施をされるものでございます。解剖に関する専門的な学識、技能を有する医師に嘱託をして行っております。 次に、死因・身元調査法に基づく、いわゆる新法解剖と呼んでいるものでございますけれども、これは、同法六条第三項の規定に基づきまして、国立大学法人、公立大学法人などであって、国家公安委員会が厚生労働大臣と協議して定める基準に該当すると都道府県公安委員会が認めたものに委託をして実施いたしております。 いずれの解剖も、そのほとんどが大学の法医学教室において実施されているものと承知をいたしております。
○吉田(宣)委員 そのほとんどが大学における法医学教室で行われるということでございますけれども、では、何ゆえに大学で行われなければいけないのでしょうか。すなわち、例えば、医師の資格を有する人を警察できちっと雇用して、その上で、医師の手に基づいて警察の中で解剖するというふうなことも考えられないわけではないのかなという気もするのですけれども、大学における法医学教室で解剖が行われる意義についてお教えいただければと思います。
○露木政府参考人 解剖につきましては、先ほども申し上げましたとおり、解剖に関して専門的な学識、技能を有する医師が、解剖を実施するための機械器具が確保された適切な施設で実施することが必要でございまして、警察におきましては、そうした要件を満たしている大学の法医学教室等に委託をして解剖を実施しているところであります。 私ども警察におきましては、現在、そのような医師や施設を有しておりませんので、みずからが解剖するということはやっておりません。
○吉田(宣)委員 施設面においても、警察で解剖するということはなかなか難しいということでございます。 とすれば、やはり法医学教室で解剖というものはやらざるを得ないわけでございますが、私は、いわゆる専門的知見を有する医師が御遺体をきちっと見定めるということは極めて大切なことだと思います。一方で、解剖の結果というものが刑事裁判においては証拠として用いられるというふうな観点からすれば、証拠における中立性というものも法医学教室で解剖が行われた際には担保できるのかな、そういったいい側面があるというふうに思っております。 ここ数年、ちょっと統計を見させていただき、きょうはお示ししておりませんけれども、やはり解剖数も増加傾向であるというふうに見させていただきました。 公明党は、昨年の八月二十五日に、公明党の法務部会、死因究明プロジェクトチームで国家公安委員長宛てに申し入れを出させていただいたところでございます。その中の項目の一つに、「司法解剖を主とする法医学関連解剖の謝金・検査費、死体検案謝金を十分に確保すること。」を申し入れさせていただいているところでございます。 すなわち、予算というふうな側面で法医学教室が十分な解剖ができなくならないように、こういったお願いをさせていただいているところでございますが、この申し入れに対する警察のお受けとめについてお教えいただければと思います。
○露木政府参考人 警察庁におきましては、委員今御指摘の申し入れなども踏まえまして、今年度、平成二十八年度予算におきまして、警察における適正な死体取扱業務の推進に要する経費として、前年度に比べて約七千五百万円増の二十八億一千百万円の予算を計上し、今般お認めいただいたところでございます。 引き続き、適正な死体取扱業務が推進できるよう、必要な予算の確保に努めてまいる所存でございます。
○吉田(宣)委員 解剖する御遺体の数がふえるということで、予算の方も上げさせていただいているということでございます。しっかりとした予算を確保して、今後も努めていただければというふうに思います。 次に、死因ということからは少し離れてお話をさせていただきますけれども、法医学教室というものについては関連することでございます。 ことしの一月十三日の新聞を見ながら少しお話しさせていただきますが、鹿児島で冤罪事件が発生をしたというふうなことでございます。事案について詳細にはお話しはしませんけれども、一つの強姦事件において、第一審でDNA判定を警察が行っているんですけれども、それについては型の判定ができなかったというふうな状況のもと、第一審については有罪判決が出た。ただ、控訴審判決において法医学教室でDNA鑑定を行ったところ、いわゆる被告人とは違う型のDNAが検出されて、それをもって無罪の確たる証拠ということで、いわゆる逆転無罪という判決が控訴審判決で出された。この判決は確定をしております。 警察の捜査ということに関しては非常に残念な結果であったというふうに私は思いますけれども、この鹿児島の事件に関する警察の受けとめについて、まずお聞かせいただければと思います。
○露木政府参考人 委員お尋ねの事件でございますけれども、平成二十四年十月七日、鹿児島市内において、当時十七歳の女性を姦淫したという容疑で、当時二十歳の男性が逮捕、起訴されたというものでございます。委員今御指摘のとおり、控訴審におきまして、被害者の膣液から採取した精子のDNA型鑑定を実施しました結果、元被告人のものとは異なるDNA型が検出されたことなどを受けまして、無罪判決が出されたというものでございます。 この鑑定の対象試料につきまして、鹿児島県警察におきましては、膣液の中に精子が微量に含まれている混合状態のまま鑑定を実施した場合には精子のDNA型が検出されないおそれがある、こういう判断から、精子のみのDNAを抽出する作業を行いました結果、DNA型鑑定に必要な精子のDNA量、濃度でございますけれども、これが得られなかったということで、その後の鑑定を続行しなかったというふうに報告を受けております。 この点に関しまして、控訴審におきましては、鹿児島県警察における当該鑑定において、鑑定検査記録は作成されてはいたものの、その検査記録だけでは、行われた鑑定手順や内容を再現し、その信用性、信頼性を吟味するには足りない旨の指摘がなされたというふうに承知をいたしております。 警察庁といたしましても、今回の判決における指摘を真摯に受けとめまして、公判での立証に資するようなDNA型鑑定記録の作成を徹底する、立証上極めて重要な証拠については、DNA量が微量であるため全部または一部の座位でDNA型の検出に至らない可能性がある場合であっても、鑑定の実施を検討することを指示いたしました。また、あわせて、鑑定員等に対する科学警察研究所の研修内容の見直しを図っていくというふうにもいたしております。
○吉田(宣)委員 しっかりとした検証がなされているというふうにお聞きをしました。その点、この一つの教訓を生かして、今後、このようなことにならないように努めていただきたいというふうに思います。 ところで、このDNA鑑定ですけれども、先ほど申しましたとおり、第一審のレベルでは警察が行ったDNA鑑定というもの、控訴審の段階では法医学教室が行っている、すなわち、実施主体が異なっているわけです。 そこで、お聞きしたいのは、法医学教室、大学でDNA鑑定が行われるような、そういったケースというのはどういう場合なのかについてお教えいただければと思います。
○露木政府参考人 まず、一般論としてでございますけれども、今回、控訴審において行われた鑑定もそうであったというふうに承知しておりますが、複数の人物に由来するDNA型が混合している試料につきましても、私ども警察の科学捜査研究所においてDNA型鑑定を行うことは、技術的には可能でございます。ただ、先ほど申し上げたように、微量である方が型が出ない場合があるということで今回はやらなかったというふうに聞いております。そういう経緯がございます。 なお、捜査段階におけるDNA型鑑定の全てを科学捜査研究所で実施しているわけではございません。技術的に困難なDNA型鑑定につきましては、大学の法医学教室など適当な外部機関に委託して行っているところでございます。 技術的に困難な鑑定とは具体的にどういうものかと申し上げますと、例えば、細胞内のミトコンドリアのDNAを分析するという場合には、その鑑定をできる設備などが整った法医学教室などに依頼して行っております。
○吉田(宣)委員 技術的に高度なDNA鑑定については、やはり法医学教室で、大学で行わざるを得ないというふうなところかと思います。いろいろとケース・バイ・ケースなのでしょうけれども、難しい鑑定の必要性というのがある場合には、できる限り、やはり法医学教室、大学の方でしっかりとした鑑定をやっていただきたいなというふうに思うところでございます。 そういった意味においては、すなわち、やはり冤罪を起こしていけないということなんですね。冤罪を起こしてはいけないわけですから、警察は、そういうところについては、やはり自分たちの能力の限界というものを謙虚に見きわめて、鹿児島のような案件であれば、大学でDNA鑑定を行っておけばこういったことにはならなかったんだというふうに私は思っておりますので、ぜひそういったところはよろしくお願いしたいと思います。 先ほども申し上げました国家公安委員長への申し入れの中で、我が公明党では、次に申し上げる項目についても申し入れを行わせていただいたところでございます。 遺伝子構造検査、これがDNA型と言われるもので、この法的中立性を確保する仕組みというものを確立することを国家公安委員長に申し入れをさせていただいているんですけれども、この申し入れに関する警察庁のお受けとめというものを教えていただければと思います。
○露木政府参考人 警察におけるDNA型鑑定の中立性及び客観性を担保するということは、委員御指摘のとおり極めて重要な事柄であると認識をいたしております。 そのために、DNA型鑑定の実施体制につきましては、捜査部門と独立した科学警察研究所あるいは科学捜査研究所において行うということはもちろんでございますけれども、実際の鑑定の運用に当たりましても、予断を排除し、先入観に影響されることなく、専ら科学的知見に基づいて客観的に事実を明確にするということと、可能な限り試料の一部をもって鑑定をして、残部は確実に保存をして再鑑定のために備えるといったことを、犯罪捜査規範あるいは私どもの通達でありますDNA型鑑定の運用に関する指針において定めてございます。 引き続き、DNA型鑑定が適正に行われますよう、都道府県警察の指導を徹底してまいりたいと考えております。
○吉田(宣)委員 DNA鑑定の法的中立性ということは、やはり極めて重要だと思います。それに十分たえ得るような体制の維持、今御説明いただきましたが、しっかりやっていただきたいというふうに私は思います。 以上、きょうは、死因究明という問題について、いわゆる手続の面、解剖の面、それからDNA鑑定という側面からお話をお聞かせいただきました。今のお話の中に、保存ということもありました。これも極めて大切な問題だと私も承知しておりますので、今後しっかり取り上げていきたいなと思っております。 冒頭、法務省の方から、死因究明についての法務省におけるかかわりというものをお聞かせいただきました。それから、警察庁において御説明をたくさん賜ったところでございますけれども、冒頭、他省庁との連携というのが極めて重要だというふうなことを御指摘させていただきましたけれども、以上のようなやりとりを受けて、岩城法務大臣にぜひ御所見を賜れればと思います。
○岩城国務大臣 吉田委員からさまざまな観点から御質疑をいただきました死因の究明でありますが、刑事事件における真実の発見や、適切な捜査、公判の遂行のために重要であるもの、そのように認識をしております。さらに充実した検視や司法解剖を実施していく必要がある、そのようにも考えております。 したがいまして、法務省といたしましては、関係省庁と連携しながら、死因究明に関する施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
○吉田(宣)委員 法務省としても積極的なかかわり、今御答弁いただきましたが、そういったことに期待をしたいと思いますし、私はこれからもこの問題を取り上げていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 本日はありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。 次に、木下智彦君。
○木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。 まず冒頭なんですけれども、きょうはちょっと、用意させていただいた話の前に、一言お話しさせていただきたいんです。 大臣が先日また死刑執行の命令を出されたということで、御就任されてから二度目、正確に言うと三人目、四人目の執行だったということで、たまたま私が数回前のこの委員会で死刑執行の制度について少しお話をさせていただきまして、大臣からも御答弁いただきました。 御答弁は求めないのであれですけれども、法治国家では確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないのは言うまでもないというふうに大臣はその後、コメントをされております。まさしくこれは、法の秩序の確立というものに、死刑執行制度自体の議論は相当あるかと思いますけれども、法律で決められたことを粛々とやっていくということは、本当に大臣に対して敬意を示させていただきたいと思います。 というのは、短い時間ですけれども、ちょっと余談を話させていただきたいんですけれども、今回の件で死刑執行された一人の対象の方、私、実は物すごく頭の中にあります。 というのは、昭和六十二年に大阪の住吉区で誘拐された辻角公美子ちゃんという小学校三年生の女の子でした。私が高校生のときだったんですね。非常にセンセーショナルな報道がされまして、頭の中に非常に残っておりました。 その後、犯人が捕まって、ただ、この対象で捕まったわけではなく、別件で捕まっていて、別で四人も殺していた。自供等々の証拠があって、何と、発覚したのが平成七年。ですから、八年も九年もたったとき。自供に基づいて死体遺棄現場を見ると、もう白骨化していたということで、犯人だというのがわかったときもそうだったですけれども、もともと失踪、誘拐されたといったときも非常に頭の中に残っている、痛ましい事件でございました。 これが最高裁で上告棄却をされて死刑判決が確定したのは平成十七年、ですから、今からもう十一年前。実際、前にもお話しさせていただきましたけれども、法律では、確定判決後六カ月以内に執行するというのが基本という形で、いろいろなことが書いてありますけれども、まあ、六カ月以内。実際には、十七年からことしでもう十年、十一年たっている中で、大臣には難しい御決断だったと思いますけれども、これから先も法の秩序の確立のために邁進していただきたいと思います。一言と言いながら大分長い間話させていただきましたが、よろしくお願いいたします。 それでは、本題に入らせていただきます。 きょうは、民事事件の賠償金の支払いという点についてお話をさせていただきます。 民事事件で、被害者と加害者の間で判決が確定した、賠償金の支払いも決まったという状態になっていても、実際に被害者側にその賠償金が、お金が入ってくることがなかなかない、ないというのか、難しい局面があるというふうなことがあって、いろいろ問題になっております。 端的に聞かせていただきますけれども、加害者が被害弁償する財産を持っていない場合はどういうふうな手だてがあるのか。それから、あわせて聞かせていただきますが、加害者側の親族なんかに代位弁済の法的義務はあるのかないのかといったところを、事務方で結構ですので、お話しいただければと思います。
○小川政府参考人 お答えいたします。 犯罪の結果、被害が発生した場合には、一般的に、加害者の被害者に対する不法行為が成立し、被害者は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。 もっとも、加害者が損害を賠償するのに必要な財産を有していないような場合には、被害者は加害者から損害賠償を受けることはできないということでございます。制度としては確定判決に基づいて強制執行することができるわけですが、結果として財産がない場合には、今申し上げましたように、加害者から損害賠償を受けることはできない状況になるということでございます。 それから、加害者の親族の方から支払う義務があるのかということでございますが、民法第七百九条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めておりまして、犯罪の被害者に対して損害賠償責任を負うのは加害者のみでございます。したがって、犯罪の加害者の親族は、被害者に対して損害賠償責任を負いません。 ただ、例外的に加害者の親族が損害賠償責任を負う場合として、犯罪の加害者が未成年あるいは責任能力がない者であった場合に、監督義務者であるなどと認められた場合には損害賠償責任を負う、こういう状況でございます。
○木下委員 ありがとうございます。 今のお話を聞いていて、やはり、加害者がお金を持っていない、財産を持っていないという場合には、確定判決が出ていても、被害者が賠償金を受け取るようなことは相当難しいんだということになってしまうんですね。当然、親族でも代位弁済の義務はないというふうな話です。これは、本当に被害者はかわいそうだなと。感情で言う話じゃないのかもしれませんけれども、これも本当につらい話だと思います。 刑事事件の場合はそうではなくて、刑事罰である罰金などの場合は、完納できない場合は、労役場留置といって、裁判で定められた一日当たりの金額が罰金の総額に達するまで日数分を労役場にて留置させ、所定の作業を行わせることで弁済させるというふうな話がある。ただ、そのかわり、民事事件の場合は、当然のことながら、留置とかそういうふうな話にはならないので、実際、こういうこともできない。これは本当にやはり何とかするべきだと。 もう一度お話しいただきたいんですけれども、では、判決確定から、その確定権利、ですから被害者側が賠償をもらえる、そういったことに対する時効の期限というものはあるのかということなんですけれども、これは、時効は何年とかと決まっているんでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 犯罪の被害者ということでございますので、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効について御説明させていただきますと、民法上、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は、被害者等が損害及び加害者を知ったときから三年ということでございます。
○木下委員 そうなんですよね。時効があるわけですよね。 それで、今、いろいろなところで調べていると、こういったものに対して、賠償金の時効の中断の訴えを出していらっしゃる被害者の方がいらっしゃるようなんですね。そういった被害者の方のお母さんが、加害者には時効があるが、被害者には時効はない、時効制度の不平等さに改めて気づかされたんだというふうな感じのことをコメントされております。 個別の案件になってしまうとあれなんですけれども、では、この時効の中断ということはどういった基本的な要件があれば可能なのかということなんですけれども、これはどういった要件で可能なんですか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 時効の中断は、民法百四十七条によりますと、大きく三つの類型がございまして、請求、それから差し押さえなど、承認、この三つによって生ずるとされております。 請求の最も典型的なものは、裁判上の請求でありまして、裁判所に訴えを提起することでございます。それから、差し押さえは、確定判決等に基づく権利実現のための手続でありまして、強制執行によって債務者の財産を差し押さえ、換価することをいいます。それから、最後の承認、これは債務者自身が債務の存在を認めることでありまして、債務者が支払い猶予を申し出た場合もこれに当たり、この場合は特別な方式や手続による必要はございません。
○木下委員 今のお話を聞いていると、最初の請求だけが、救いと言ったらあれですけれども、それでその後どうするんだという話はありますよね。 というのは、相手に財産がないといった場合に、差し押さえするものはないわけですし、加害者が自分からそれを認めなかったりとか、そんなものはない、しようがないじゃないかというふうに言ってしまうと、被害者側は救済の余地がほとんどなくなってくるということだと思うんですね。 だから、最後になりますけれども、国には、加害者に刑罰を受けさせるということだけに集中するのではなくて、少しでも被害者の方に負担なく、加害者からしっかりとした被害弁償をさせる、そういうふうな制度設計がやはり求められているんじゃないかなと。今の話を聞いていても、なかなか、そういった部分がしっかりとまだ確立していないような気がするんです。 こういったことをしっかりと御指示いただき、そして指導していただくようにお願いしたいんですけれども、最後に大臣、お願いいたします。
○岩城国務大臣 犯罪の加害者が損害賠償義務を履行すること、及びこれによって被害者が相当な金銭的補償を受けることは、木下委員御指摘のとおり、いずれも重要なことと考えております。 一般論として言えば、加害者が損害賠償義務を履行しない場合でも、国が関与するなどして、被害者が相当な金銭的補償を受けられるようにすることが望ましいものと考えております。 法務省は、被害者の補償に関して国が関与する制度を所管しておりませんけれども、被害者保護の観点から、関係省庁に対して必要な協力を進めてまいりたいと考えております。
○木下委員 ありがとうございました。 そうですね、政府の補償事業という部分がありますので、ここをもう少し拡充していくというふうなこともアイデアとしてはあるかと思いますが、ぜひとも、引き続きこの辺について御検討いただきますようよろしくお願いいたします。 以上です。ありがとうございます。
○葉梨委員長 以上で木下智彦君の質疑は終了いたしました。 次に、階猛君。
○階委員 民進党の階です。 きょうは、特定秘密保護法について、まずお尋ねします。 先日、こちらの衆議院情報監視審査会の平成二十七年年次報告書というものが公表されました。 中身を見ますと、最初の方に、八ページ、「政府に対する意見」というのがありまして、(1)から(6)まであります。その冒頭に何と書いてあるかということなんですが、「特定秘密の内容を示す名称(特定秘密指定管理簿の「指定に係る特定秘密の概要」及び特定秘密指定書の「対象情報」の記載)は、特定秘密として取り扱われる文書等の範囲が限定され、かつ、具体的にどのような内容の文書が含まれているかがある程度想起されるような記述となるように、政府として総点検を行い、早急に改めること。」という記述があります。 そこで、今申し上げた中に「特定秘密指定管理簿の「指定に係る特定秘密の概要」」というのがありました。お手元の資料の一ページ目に、その特定秘密指定管理簿、これは公安調査庁に係るものでございますが、この指定管理簿から抜粋したものをおつけしております。 左から三つ目の項目に「指定に係る特定秘密の概要」というのがありまして、大変細かい字で恐縮なんですが、皆さんのお手元に書いてあるものとは別にも公安調査庁の分があるわけです。 例えば、皆さんのお手元にあるものには抜けておりますけれども、「特定有害活動の防止に関し、外国の政府から同国において特定秘密保護法の情報保全措置と同等の措置が講じられているものとして提供を受けた情報」、あるいは、「テロリズムの防止に関し、外国の政府から同国において特定秘密保護法の情報保全措置と同等の措置が講じられているものとして提供を受けた情報」というのが指定に係る特定秘密の概要として記載されている内容です。 私は、これを見たときに、これは法文の要件をそのままなぞっているだけではないかなと。これを見て外部の人間が、この指定が果たして適切なのかどうか、なかなか判断できない。皆さんの立場としては、法律の条件に従って指定しているんだと言われるんでしょうが、外部から見るときに、やはりこれでは不十分ではないか。恐らく、そういう立場に立って、今回、この審査会の方からも政府に対する意見というのが出されているんだと思います。 今のような「指定に係る特定秘密の概要」という書き方では、過度に広範に過ぎて、私としては、外部からのチェックに極めて不便ではないかと思っております。 そこで、先ほどの「政府に対する意見」の冒頭にあるように、この記載の内容については改めるべきではないかと思いますが、公安調査庁の見解を伺います。
○杉山政府参考人 ただいま先生から御指摘がありましたのは、外国から提供された情報に関するものと思われますけれども、こういった情報を団体や個人別に指定するなどした場合に、特定秘密の内容が推察されるというような懸念もあることから、対象情報をまとめた形で記述して一件の特定秘密として指定している、そういう事情でございます。 対象情報の記述と指定の理由に照らせば情報の範囲は明確でありますし、取扱業務に携わる者にとって何が特定秘であり何が特定秘密でないのかが明らかになるように指定されておると考えておりまして、過度に広範なものとは言えないというふうに考えておるところでございます。 今、外部からのチェックというような観点で御指摘がございましたけれども、こういった観点に関しましては、引き続き、内閣府独立公文書管理監、あるいは、衆参の情報監視審査会による検証あるいは審査に誠実に対応することによって外部への説明を尽くしていきたい、そういうふうに今考えております。
○階委員 私が聞いたのは、先ほどの「政府に対する意見」の第一項に従うつもりがあるかどうかということを聞いたんですが、今のままでも十分だという趣旨で今お答えになったということでいいんでしょうか。改めるべきと考えていらっしゃらないのか。そのことについて確認させてください。
○杉山政府参考人 審査会から意見が出ているということを踏まえて、指定の仕方というものについては不断に検討することが必要なものだろうとは考えております。 ただ、他方、政府の統一的運用ということもあるので、政府全体であり方を考えていくべきものではないかと考えております。
○階委員 特定秘密の指定のあり方について、公安調査庁にかかわる部分について、この報告書を見ますと、いろいろと審査会でのやりとりが記載されています。 その中に、「各省において外国との情報協力によって得られた情報を特定秘密に指定しているが、相手国について、国名や数など特定をした説明をしていただきたい。」と、国名を説明していただきたいというくだりがあったり、あるいは「国名自体が特定秘密に該当するとは思わないがどうか。」という質問があったり、これに対して答弁としては、「国名自体が特定秘密に該当している。」こういう答弁なんですね。 しからば、予算委員会でも取り上げましたけれども、会計検査院としては、決算の検査をするのに、公安調査庁の皆さんがちゃんと有益な活動を税金を使ってしているかどうかということをチェックしたい、そういう場合に、公安調査庁の方々のテロ情報の収集活動がどのようにされているか、相手方がどうだとか訪問先がどうだとか、こういったことについても知りたいと思うんですね。 こういうことを求められた場合に、公安調査庁としてはどのように対応することになりますか。
○杉山政府参考人 特定秘密に係るものについて提供するのかどうかという論点だと思いますけれども、会計検査院の検査に必要な資料の提供は、公益上特に必要と認められる業務を行う者への特定秘密の提供ということで、特定秘密保護法第十条第一項一号を根拠として行われるところでございます。 そのため、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り提供されるという限定が法文上適用されるものでございますが、実際にこの規定によって特定秘密の提供が行われないということは、実務上、およそ考えられないと。
○階委員 結論として、では、先ほどのテロ情報の収集活動をしているときの相手方の情報とか訪問した場所の情報、こういったものは会計検査院には開示されるということでよろしいんでしょうか。
○杉山政府参考人 具体的な状況いかんによるので、提供するしないというお答えはできませんけれども、会計検査に際しては、検査の目的に照らして必要かつ十分な範囲のものを提供するように実務上調整を行った上で資料を提供しております。ですから、特定秘密の提供に際しても、その実務上の調整の過程で我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないということを確認し得るというふうに考えております。
○階委員 もうちょっと一般論でお聞きしますけれども、法務大臣にお尋ねします。 いわゆるサードパーティールールということで、情報の入手先から第三者への提供を禁止するという条件で提供を受けた特定秘密、これを我が国政府として会計検査院から提供を求められたという場合にどのように対応するのか、このことについてお答えください。
○岩城国務大臣 特定秘密保護法第十条第一項第一号の限定が具体的に適用されるかどうかは、特定秘密の内容、それから入手の経緯のほか、保護措置の度合いなどによるものでありまして、したがって、一定の特定秘密が当然に提供されないというものではありません。 会計検査院に対しましては、従来から、検査の目的に照らして必要かつ十分な範囲のものとなるよう実務上の調整を行った上で資料を提供してきたものと認識をしておりまして、特定秘密の提供に際しても、その実務上の調整の過程で我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないことは確認できる、そのように考えております。 したがいまして、会計検査に必要な特定秘密の提供が行われないということは実務上およそ考えられないもの、そのように考えております。
○階委員 先ほどのこの報告書には、これは審査会の方から相手国について説明していただきたいということがあったのに対して、政府側の答弁は「提供元も国名の秘匿を前提に情報を提供しており、国名自体が特定秘密に該当している。」ということで、情報提供されなかったようなんですね。 今回、サードパーティールールがあるということを前提にして、特定秘密の提供を会計検査院から求められた場合どうするのかということをお尋ねしています。国会に対しては、さっきのような答弁がありました。会計検査院に対しては、実務上考えられないということは、幾らサードパーティールールがあったとしても提供はされるということでよろしいんでしょうか。
○岩城国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、必要な実務上の調整を行った上で、そして提供するもの、そのように考えております。
○階委員 必要な実務上の調整というのはどういうことを指すんでしょうか。サードパーティールールを解除するとか、そういうことなんでしょうか。ちょっと具体的にわかりやすく説明してください。
○岩城国務大臣 必要な実務上の調整と申しますのは、安全保障上の支障を及ぼすおそれがないことを確認するため、提供される資料の範囲や形態、保護措置などについて確認することなどが想定されるものと考えております。
○階委員 やはり、その調整というプロセスの中で、会計検査院とはもう何度もやりとりしましたけれども、憲法九十条によって、全て決算について検査をすると言っていますし、会計検査院法の方でも、求められたら資料を提供しなくてはいけない、こういう規定もありますね。ですから、調整はするにせよ、最終的には会計検査院の意向に従う、会計検査院の意思に従うということになるかと思うんですが、この点、それでよろしいですか。
○岩城国務大臣 会計検査院に対しましては、検査の目的に照らして必要かつ十分な範囲のものとなるよう実務上の調整を行う、そういった上で提供を行うということであります。
○階委員 検査の目的に照らして必要かつ十分な範囲であるかどうか、これについて最終判断するのは誰ですか。
○岩城国務大臣 例えば、会計検査の目的を達成するためのさまざまな方法について提案し協議することもあり得るものと認識をしておりますが、いずれにしましても、会計検査院から会計検査に必要であるとして求められた資料が提供されないということはおよそ考えられない、そのように考えております。
○階委員 そうすると、結論だけはっきりしてほしいんですが、会計検査院が、これは検査の目的に照らして必要かつ十分な範囲なんだという主張をしてきて特定秘密の提供を求めてきたら、これはもう出さざるを得ない、こういうことでよろしいですか。
○岩城国務大臣 その場合には提供させていただきますということになると思います。
○階委員 提供されるということで御答弁をいただきました。会計検査院との関係では、非常に、今の御答弁を踏まえますと、政府として情報開示に積極的であろうというふうに私は認識しました。 ところで、これも予算委員会でたびたび皆さんにお見せしている二枚目の資料でございますけれども、会計検査院とともに、国会も政府に対する監視の役割を担っているわけですね。 しかも、国会は国権の最高機関であり、日本国憲法では議院内閣制をとっていまして、内閣は国会に対して連帯して責任を負う、つまり、内閣があって国会があるんじゃなくて、国会があって内閣がある。国会から情報提供を求められたら、そういう今の憲法のたてつけ上、会計検査院と同等かそれ以上に、積極的に情報開示をしなくてはいけないのではないかというふうに私は思います。 ところで、先ほどの報告書を見ますと、会計検査院には開示されるであろうテロ情報を集めた相手国の情報などについて、開示できませんという答弁がありましたよね。これは、私にとってみると、国会と会計検査院でなぜこんなに差をつけるんだろうか、会計検査院と同等かそれ以上に、国会に対してももっと積極的に情報を開示すべきではないかと考えますが、この点、いかがですか。
○岩城国務大臣 国会への提供と会計検査院への提供、その関係についてお話をいただきましたので、お答えをさせていただきたいと存じます。 まず、国会に対する対応でありますが、国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められました場合には、政府としては、これを尊重して適切に対応することにしております。 国会への特定秘密の提供の適否については、個別具体的に判断する必要があり、提供を拒否することが見込まれる特定秘密をあらかじめ全てお示しすることは困難でありますが、例えば、第三者に提供しない条件を付された情報や人的情報源というような情報につきましては、国会法等の規定に基づく内閣の声明を出して提供を拒否することがあり得ます。 他方で、会計検査院への秘密事項の提供に関する従来の取り扱いについては、特定秘密保護法の施行により何らの変更がないと考えておりまして、会計検査のために必要として提出されてきた資料等は、これまで同様に提出されるものと考えております。 国会の情報監視審査会は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況について調査し、並びに審査するため、必要な資料の提供を求めるものであります。一方、会計検査院は、国の収入支出の決算を検査するために必要な資料の提供を求めるものでございます。 両機関が資料の提供を求める目的は異なっておりまして、おのずとその種類、範囲も異なりますことから、一概に両者の関係をお答えすることは難しいものと承知をしております。
○階委員 今、国会の中でも情報監視審査会ということを特に取り上げて、会計検査院との比較を述べられました。 実は、審査会だけではなくて、この委員会からも特定秘密の提供を求めようと思えば制度上はできるわけですね。資料の三枚目にありますけれども、先ほど来議論になっております情報監視審査会、こちらが提出を求める場合もあれば、あるいは、この法務委員会などの常任委員会あるいは特別委員会から国政調査の一環として情報提供を求める場合もある。 私、前回の質問で、国際テロについて公安調査庁はどういう活動をしているのかということをお尋ねしましたよね。そのときの大臣の答弁を確認しますと、「国際テロに関しましては、公安調査庁において、テロの未然防止に向け、国際テロ組織等の動向に関する情報の収集、分析、国内において国際テロ組織とのかかわりが疑われる不審人物や組織の有無、及びその不穏動向に関する情報の収集、分析、テロの標的となるおそれのある施設に関係する不穏動向に関する情報の収集、分析などを行っている」というようなことをおっしゃられたわけです。 こういう情報の収集、非常に私も重要だと思っていまして、特に最近の情勢を見ると、その思いを強くしています。だからこそ、我々、この法務委員会で、こうした情報収集が実際どのようになされているか、今現在どういう情報を集めているのか、これは出せない部分もあるのも承知していますけれども、これは可及的に出していただく、そのことが、テロの防止について国会と内閣が一丸となって取り組んでいくことにも資するのではないかと思っています。 先ほど、会計検査院とは、調整しながら、検査の目的に資するようにということで協力していくんだというお話でした。国会、とりわけこの委員会に対してもそういう姿勢で臨んでいただきたいと思うんですが、法務大臣、いかがお考えでしょうか。
○岩城国務大臣 ただいまお話のありましたとおり、当委員会を初め、それぞれの委員会、調査会等から求められました場合には、これまでも適切に努めてきたつもりでありますけれども、なお、今度の報告書等も踏まえまして、そういった御指摘、御意見等も踏まえまして、これからも国会の御意向を尊重して適切に対応してまいりたいと考えております。
○階委員 ところが、特定秘密に当たる情報を開示せよといった場合に、法律には幾つかの前提要件がございますよね。保護措置ということを設けなくちゃいけない、あるいは秘密会にしなくちゃいけない。その保護措置という部分で、今、国会の中で対応がおくれている面があるというふうに思っております。 先ほど見ていただいた資料の三に、常任、特別委員会では、国会が定める保護措置Bとして、会議は非公開、特定秘密に接する者の範囲制限、物理的に保護された施設等というような例が挙げられておりまして、こういう保護措置を講じないと特定秘密の提供がされないように読めるわけですね。 ところで、これは国会法などで、あるいは特定秘密保護法にも関連した条文があったと思うんですが、国会においてこの保護措置は定めるということだったと思うんです。 きょうは衆議院の事務方にもお越しいただいていると思うんですが、この保護措置Bなるものの検討あるいは制定の状況についてお答えいただけますか。
○阿部参事 お答えいたします。 いわゆる保護措置Bと申しますのは、先生御指摘のとおり、常任委員会や特別委員会が特定秘密の提供を受ける場合の保護措置でございますが、現在のところ定められておらないという状況で、今後定められる場合には、議院運営委員会における御検討と御協議を経て定められるものというふうに承知しております。
○階委員 これは議院運営委員会のマターだということになっていますけれども、先ほど政府の方も会計検査院にはちゃんと提供していくという中で、我々国会にも提供していただきたい、そのための環境をちゃんと国会として整えるべきだと思っています。 特定秘密保護法の担当の大臣として、これは政府側なので国会に対しては何の権限もないことは重々承知しておりますけれども、今の現状に対して何か御所見があればお願いします。
○岩城国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、国会への提供を適切に努めていきたいと思っておりますが、そのためには保護措置がとられることが前提となりますので、そういったことも踏まえまして、国会の方で適切に対応していただきたいと考えております。
○階委員 葉梨委員長にもこの際お願い申し上げますけれども、議院運営委員会の方に、委員長の方からも、この保護措置Bというものは非常に重要なものですので、早急に制定していただくようにお取り計らいをお願いしたいのですが、いかがですか。
○葉梨委員長 後刻、理事会でも協議いたします。
○階委員 それでは、次の質問に移りますけれども、前回、TPPのISD条項についてお尋ねしました。先日の答弁だと、仲裁判断で外国投資家に対する我が国からの賠償が命じられた場合には、基本的にはその賠償義務を履行するんだというお答えがあったわけですね。 ところで、そういうことになりますと、我々立法府としても、今後何か法律をつくるときに、ISD条項で訴えられて損害賠償が課せられないようなことをおもんぱかって、例えば、公正衡平待遇義務、こういうものに反しないようにしたりとか、あるいは間接収用に当たらないようにしたりとか、いずれも非常に抽象的な概念なので、当たるか当たらないか微妙なものですから、萎縮してしまう感じもするわけですね。 こういう立法行為への萎縮効果が生まれるという意味で、このISD条項は非常に問題ではないかと思うんですが、先般の御答弁に関連していますので、再び法務大臣に伺います。
○岩城国務大臣 お答えをさせていただきます。若干整理してお話ししたいと存じます。 まず、基本的に三つに分かれますが、一つは、階委員の御懸念は、我が国の制度等が正しく理解されず、誤った仲裁判断がなされ、その結果、我が国が賠償を命じられるような事態を想定してのことと理解をしておりました。そして、そのような事態が生じることをどこまで想定すべきかという点は、TPP協定の具体的内容、仲裁廷の信頼性にかかわることでありまして、これは私がお答えする立場にありません。また、仮に実際にそうした事態が生じた場合の対応については、当該紛争を所管する省庁が中心となって政府全体で検討することになると考えられます。 そこで、あくまで一般的な仮定として、我が国が受け入れがたい仲裁判断が出て、政府として賠償金を支払わないという判断をすべき事態ということになりました場合には、我が国が賠償金を支払わない結果、相手方である外国投資家としては我が国の裁判所に民事執行手続を申し立てることも考えられます。その民事執行手続において、我が国としては執行決定の要件に即して仲裁判断の問題性を十分に主張することになり、その結果、我が国の裁判所においてそうした主張が認められ、公序に反しないことといった執行決定の要件を満たさないと判断されれば、執行決定が出されず、当該仲裁判断に基づく強制執行はなされないということになるものと思われます。 それから、政府統一見解についても前回お話がありましたので、このことについても説明をさせていただきますが、これは、同一の紛争について我が国裁判所の判決と仲裁判断がともになされた場合、これを前提としての統一見解であります。 そのような場合は、TPP協定のもとで実際にどの程度生じ得るかはお答えすべき立場にありませんが、政府統一見解は、仮にそのような事態があったとすれば、当事者が任意に一方を選択することで決まることもあれば、改めて民事執行手続を裁判所に申し立てることで当該裁判所の判断で決することもあると示したものであります。 そして、三点目でありますが、基本的に賠償義務を履行することになるとの前回の答弁の趣旨でありますけれども、これは、TPP協定におきまして、紛争の一方の当事者は原則として遅滞なく裁定に従うこととされていることに照らしまして、仮に、我が国が仲裁判断において負け、外国投資家に対する賠償を命じられたとしても、基本的にはこれに従うことになると考えられるので、そのように申し上げたものであります。 なお、TPP協定の解釈の詳細については、これは私がお答えするべき立場にないことは、改めて御理解いただきたいと存じます。
○階委員 それで、最後におっしゃられたことを私は問題だと思っていて、基本的には仲裁判断に従わなくちゃいけないということなんですが、そこは我々の司法権とは別なところで、誰が判断するかというのも、日本法とか日本の秩序に対して詳しくない方が判断されるかもしれないということで、そういうことが制度として予定されている以上、このISD条項というのは非常に問題ではないかと思っています。 それで、お話の中で、前回もありましたけれども、執行手続の段階で公序良俗に反しないかどうかという観点でチェックをして、そこで問題があれば執行決定が出されず、仲裁判断に基づく強制執行もなされず、損害賠償に応じる必要がなくなるというようなお話がありましたよね。 ただ、公序良俗に反すると果たして仲裁判断で、例えば公正衡平待遇義務違反だということで損害賠償が課せられているのに、それを我が国の執行裁判所で公序良俗に反するということで、ほぼ矛盾するようなことになると思うんですけれども、こういうことが実際執行裁判所でやれるのかどうか、私は疑問にも思うんです。 司法権の独立ということであれば、当然そこは我が国の常識に照らして公序良俗違反かどうかというのは判断すべきであって、幾ら仲裁廷で公正衡平待遇義務違反だと言っても、それにはとらわれないということになるのが当然だと思いますが、この点について最後に確認させてください。
○岩城国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、民事執行手続になった場合には、我が国は、執行決定の要件に即して仲裁判断の問題性を十分に主張することになりますが、最終的には当該裁判所の判断によるものになるものと思っております。
○階委員 いや、そういうことを聞いているのではなくて、もし不服があれば執行裁判所で争うことはできるというお話をされていますので、執行裁判所では、公序良俗に違反していると判断すれば損害賠償に係る強制執行を認めないという判断も出し得るということだったので、その公序良俗違反かどうかということは、仲裁廷の判断とは別個、独立に、きちんと司法権の独立を保った上で日本の裁判所が判断できるということでよろしいかどうか、確認させてください。
○岩城国務大臣 あくまでも我が国の裁判所で判断することによるものです。
○階委員 わかりました。 では、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で階猛君の質疑は終了しました。 次に、井出庸生君。
○井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。 きょうは四月一日でありますが、法務委員会はエープリルフールはなしということで、きょうもお互い頑張ってまいりたいと思います。 済みません、中村さんに、ちょっと先ほどの関連で、藤原委員との質疑ですね、政党が判決についてどうこうという話のところで、きょう、藤原委員の質問でその趣旨は大分明らかになったのかなと思うんですが、一点、中村さんがおっしゃった、個別の事件に一定の方向性を取りまとめる、これはちょっと問題がありそうだというようなことだったんですけれども、それは具体的にはどんなことがあるんですか。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 余り具体的な例で申し上げるのは適当でないと思いますので、ある刑事事件が具体的に係属していると仮定いたしますと、その事件について、例えば、それを有罪にするのは不当であるとか、あるいは、量刑について懲役何年にするのは重過ぎるとか、そういうような形で、個別の事件について議論されて、その方向性、その結論についての一定の取りまとめをするということで答弁させていただいた次第でございます。
○井出委員 今、刑事裁判の例を出されたんですけれども、それが高裁、最高裁と続いていくのに、一審の判決がどうだこうだと政党が申し上げるのは議論があるということなのかなと思うんですが、ただ、刑事裁判一つとっても、今、裁判員裁判が始まって、裁判員の意見が二審でひっくり返って、その是非が問われるようなことがあるわけですよね。ですから、それは個別の事件ではなくて、裁判員制度のあり方として、そういう議論が今、現実としてございます。 もっと申し上げますと、行政訴訟の場合は、時の政府の極めて政策的な判断が争点になることがあって、これは、判決は当然ですけれども、判決が出る前から、この裁判に対するスタンスというものは、それはどこの政党も広く発信していると思うんです。 前回、最初のきっかけとなった平木さんの答弁を聞いたときに、これは、一々話していたら、きょうみたいな議論は余りしない方がいいかなと思っていたんですね。もう平木さんの答弁は聞かなかったことにして、自由にやらせていただこうと思っていたんです。 ですから、今私が申し上げたように、特に行政訴訟の面、政策的なものというものは、それぞれ政党はそれぞれの政策に対する考えがありますから、そこは自由にさせていただいて、裁判官が、いや、我々は三権分立で裁判官の独立を守ってやっています、そう言っていただく以外にないと思いますけれども、いかがですか。
○中村最高裁判所長官代理者 裁判官の職権行使の独立との関係で問題になりますのは、基準というか要素として、対象の個別性という問題がございます。それは、個別事件になるのか一般的なものになるのか、今委員が言われたような例えば裁判員事件ということになりますと、一般的な話になってくると思います。そういう前提のもとに、おそれという場合についての明確な線引きというのは難しいというふうに考えております。 これまで、裁判官の職権行使の独立についての重要性というのは十分御理解いただいていると思いますので、それぞれ政党等において、個別事件、あるいはもう少し一般的なものでございましょうとも、そういう事件を取り上げて議論される場合には、このようなおそれが生じ得ないように適切に御配慮いただいていると思いますし、今後も同様な運用をしていただけるものというふうに考えているところでございます。
○井出委員 余りこれを議論すると、私の個人的な考えからすれば、何か要らぬルールをつくることになりかねないのでもうやめますが、これまでと同様の運用をしていただければというところを受けとめさせていただきたいと思います。 特定秘密の関係で、三十日に衆参の情報監視審査会が年次の活動報告書を出しました。三十一日の朝刊、また三十日の夕刊などでも、法案審議のときに比べたら比較的小さな扱いですが、マスコミにも取り上げられまして、例えば朝日新聞の一面では、「特定秘密の国会監視困難 政府、詳細説明拒む」。また、毎日新聞の二面には、「特定秘密遠い指定解除」。産経新聞には、「特定秘密「一層の説明」要求」、これは、審査会が一層の説明を求めたという趣旨の見出しです。それから、私の地元、信濃毎日新聞を見ましても、社説で、政府への不信がにじむ国会報告書と、これは、審査会も国会への説明に対してなかなかじくじたる思いがあったのだろうというところを社説で書かれているんです。 まず大臣に、衆参の報告書をごらんになったのか、また、どのように受けとめられたのかを伺いたいと思います。
○岩城国務大臣 お答え申し上げます。 衆議院及び参議院の年次報告書につきましては、私も見せていただきました。そして、国会の情報監視審査会は、行政における特定秘密保護法の運用を監視するという役割を担っており、政府としては、審査会における調査に対し誠実に対応してきたものと考えております。 なお、報告書では、審査会における調査結果に基づき、政府に対する意見、指摘がそれぞれ盛り込まれております。 政府としましては、報告書の内容を精査の上、その趣旨を十分に踏まえまして、必要な対応を検討するとともに、審査会の調査に対しましては引き続き誠実に対応してまいりたい、そのように考えております。
○井出委員 きょうはまた独立公文書管理監の佐藤さんにも来ていただきましたが、佐藤さんは、この報告書、衆でも参でも構いませんが、読まれたのかどうか、また、読まれたのであれば、その受けとめを教えてください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。 私の方でも報告書を読ませていただきました。そして、私の方に対していただいた御意見については、真摯に受けとめて検討してまいりたいと思っております。
○井出委員 以前、独立公文書管理監の特定秘密のチェックに対していろいろ質問をさせていただきました。そしてまた、国会の情報監視審査会の方からようやく報告書が出てきて、私は、独立公文書管理監の出された特定秘密の報告書、チェックの内容と、国会の、衆参の出された報告書と、これで一つ、議論ですとか比較のたたき台といいますか、その前提となるものが出てきたのではないのかと思っております。 今回、衆議院の情報監視審査会の報告書は、その大半、三分の二程度を、情報監視審査会の中で一体どういうことをやっているのか、当然、秘密会で、言えること、言えないことがあるので、書けること、書けないことがあるというような注釈もありますが、そういうことで、その議論も国民にわかってもらえるような、そういう記載にかなり割いております。 その情報監視審査会のやりとりが、先ほど御紹介した新聞の見出しでかなり取り上げられまして、監視審査会の政府に対する意見、一層の説明責任、一言で言えば、粗っぽく言えばそういうことなんですが、そういう結論に至っているのかと思います。 佐藤さんは、この報告書を読んで、独立公文書管理監が政府の調査をされたとき、百十九回の聞き取りやら何やらをやったと報告書で伺っておりますが、その聞き取りに対する政府の対応というものが衆議院の報告書と比べてどのようなものであったのか、所見を伺いたいと思います。
○佐藤政府参考人 比べてということになりますと、まず、国会の情報監視審査会の方でなされた報告書についてある種コメントする形になってしまいますので、情報監視審査会の報告書については、内容についてコメントする立場にはないと考えておりますので、お答えを差し控えさせていただきます。
○井出委員 コメントしていただいて結構だと思いますよ、政府と国会との議論ですので。コメントしていただいて結構だと思うんですが、私が端的に伺いたいのは、独立公文書管理監の調査の中で、聞き取りの中で、回答できない、持ち帰る、答弁を控える、そういうようなことがどのような状況で行われていたのかを教えていただきたいというのがまず一点。 それと、私は前回も問題提起をさせていただいたんですが、独立公文書管理監の報告書は、特定秘密の指定に関しては適正であった、そう結論づけていて、衆議院の報告書はそういった結論に至ってはいない。結論には至らないが、結論的なものは出しておりませんが、今後の改善を求める意見を六つ出した。 独立公文書管理監の方は、何か、百十九回の聞き取りですとか、かなりの労力を使って調査をされたと思うんですが、何か政府に対する意見というもの、今後こうしてほしい、そういうものがあったのかなかったのか、その二点を教えていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 二点お尋ねがあったと思いますので、最初の方からお答えします。 先ほどは若干形式的な答えになってしまいましたけれども、まず、我々の報告書のスタンスは、これまでの我々の活動状況についてできる限りわかりやすく、当室の業務に対する理解が進むように心がけて作成したものではございます。そのような立場で、我々としては、これがよかれと思って、その時点で、試行錯誤を経てですが、作成して外に出したということでございます。 委員御指摘のとおり、国会の方の、特に先ほど御指摘のあった衆議院の方の審査会の報告書を拝見したところ、審議の経過、各省庁とのやりとり等を詳細に記載しているというところは感じたところで、そのようになっているなというのは感じたところでございます。 我々の報告におきましては、そのような各行政機関との個別のやりとりについては逐一記載していないところでございます。 これは、考え方を申し上げますと、各行政機関との質疑がかなり多岐にわたって、また、委員御指摘のとおり、秘密にわたる事項も必然的に多くなってくるものですから、それをわかりやすく公表文書の形でまとめるというのがなかなか難しかったということがございます。また、各行政機関との質疑は、それを公開するという前提で行っているものではないということもございます。 それで、今回の報告書についてはこのような書きぶりにしたということではございますけれども、今後の報告書の記載のあり方については、また引き続き検討してまいりたいと思っております。 二点目の御質問の方、我々の方としては、特定秘密、平成二十六年中のものが三百八十二という数で、その指定の適否についての判断をまず最優先として、第一次的な優先事項として判断を終わらせて、公表、報告に至るということにいたしました。 その関係では、その過程で、各省庁に対する指摘事項を、前日御質問いただいた点でございますけれども、三点の指摘事項をして、それはある種結論が出たという意味で、是正には至らないけれども、指摘ということで、ある種結論めいたものは各省に対して指摘したところでございます。
○井出委員 衆議院の報告書の質疑の部分というのは、当然、公表できる部分、政府の中でこれまで公表していない、それが特定秘密であろうとなかろうと、公にしていないもの、政府が公表を望まないものについては恐らく配慮がされている、そういう注釈も書いてあるので、これがやりとりの全てではないと額賀会長もおっしゃっておりましたが、できるだけの範囲でその実態を知っていただきたい、そういうことだと思います。 この質疑を見て、独立公文書管理監の調査においてはこれと似たようなイメージのものがあるのか、それとも、独立公文書管理監は、衆議院の情報監視審査会は六つの意見を出していますけれども、それを出さなくてもいいぐらい非常に円滑、スムーズに聞き取りがいったのか、そこの現場の感覚というものを教えていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 たびたび御説明申し上げておりますけれども、我々も、まさに試行錯誤というか、前例がない世界で、特定秘密という一番機微な、保全度の高い秘密についての検証、監察ということでございますので、各省庁もそれなりに、ハードルというか、やはり抵抗感は当然あるところです。 ただ、一方において、閣議決定で各省が協力するという義務が定められておりますので、それは果たしていただいたと考えておりますが、それは、一番最初からスムーズにというか非常に円滑にというわけではなくて、やはり、試行錯誤的にだんだん繰り返していくうちに、各行政機関との信頼関係あるいは理解も得られて、必要なものは情報を入手することができて、そして最終的に判断して公表するに至ったという経緯でございます。
○井出委員 衆議院の審査会の報告書、それに関する報道の論評とかも見ておりまして、特に、審査会の中でどのようなことが行われているのか、そういうことが報告書の中に出たということを評価している記事もございました。 しかし、私がいろいろな記事を見ていて、率直というか、この報告書の中身を一番言い当てているなと思ったのは、やはり実質的な成果は少ないというような記事、コメントがありまして、それは言うまでもなく、特定秘密にたどり着いてチェックをしたのかどうか、その部分に対するマスコミからの厳しい意見だった。実質的な成果が少ない、そこが一番端的な指摘であったのかなと思っているんです。 それに比べますと、佐藤さんのところでは、九十一件百六十五点の特定秘密を見たと。なぜ佐藤さんのところで特定秘密を見るのか。それは、特定秘密を記録する文書の内容が、指定された情報の内容と整合しているか、また、特定秘密の表示が特定秘密保護法に従って適正に行われているか、表示の措置が困難である場合に取扱者への通知が法律に従って適正に行われているか。 前段は、まさに文書の内容が指定の情報と整合がとれているか、ここは大変重要なことだと思います。秘密の表示が適正かどうかというものは、恐らく、特定秘密という決まった書式にちゃんとはまっているかというところをチェックされているかと思うんですが、前段の、特定秘密を記録する文書等の内容が、指定された情報の内容と整合しているか、ここの調査の部分というものが内容的に一体どこまで踏み込んでいるのかをちょっと伺いたいのです。 つまり、まだ文書の方は三百八十二件のうち九十一件しか見ていない、見た限りで恐らく問題はなかった、そういう結論だと思うんですが、一般論で、文書の内容と指定の情報とが整合していない、そうしたときに、秘密の内容は特定秘密たり得る、しかし、指定の情報が間違っている、それだったら指定の情報の方を直してもらえばいいのかなと思うんですけれども、特定秘密の中身そのものが別表の該当性と照らしてもこれはちょっとおかしいんじゃないのと。 また、国会の議論でさんざん懸念になりました、要は行政、政府側にとって、省庁側にとって不都合なようなものが、違法な秘密の指定はありませんと、私、当時の森大臣の答弁がこびりついておりますが、一般論で、そういうものがあったときに、佐藤さんのところで、何か、きちっとそれに対する対策、是正というものが打てるだけの調査なのかどうか、そこを教えてください。
○佐藤政府参考人 お尋ねの点は、検証、監察の手法ということに関してだと思います。 特に、一番最初は、指定された特定秘密が適正かどうかということについての検証、監察の手法というふうにまず理解いたしまして、御説明いたします。 平成二十六年中になされた特定秘密の指定について、その指定自体の適否を検証、監察するに当たっては、我々の手法ですけれども、我々の考え方、やり方としては、各行政機関からヒアリングを通じて繰り返し説明を聴取いたしました。そして、三要件を満たしているかなど、法令や運用基準に従って、行政機関の長の行為であります指定行為自体が適正になされているかどうかを確認して判断したということでございます。 他方、委員御指摘のもう一つの観点は、実際に特定秘密が記録されている文書等について、それが指定の内容と整合しているかというのが二点目だと思いますけれども、我々は、一点目の指定自体の適否という検証、監察をまず終えてから文書等の整合性を確認していくというアプローチをとりました。それで、指定の方の適正の判断というのは終わったけれども、文書の方は、先ほど委員が挙げられた数字のように、まだ途中でございますということを報告書にも表示しているわけでございます。 文書の内容が指定と整合しているか、情報を指定しているのでありますから、指定した情報と、それが形になった文書の内容が整合しているかどうかということについては、次のようなやり方、つまり、各指定に係る典型的な文書を行政機関に提供させ、中身を確認した、これは報告書にもそのまま記載しているところでございます。 このようなやり方をとった理由なのでございますけれども、我々とすれば、試行錯誤で、初めての作業でやるときにいろいろな選択肢も考え得たわけでございますけれども、やはり最も重視したのは、速やかに作業に着手して、今後の検証、監察の手法を確立させていくということが一つ。そして、各行政機関から特定秘密を実際に我々のような外部の機関に提供させていく、その実例を積み重ねていくということで将来の検証、監察につなげていくということを重視したわけでございます。
○井出委員 一回目の報告では、恐らく、私が懸念しているような特定秘密、そもそも役所の方に、提出をしてくれ、一類型でできるだけ複数のものを出してくれ、そういうことで文書の提出を求めているので、そこに変なものが入っているということはおおよそ考えられないなと思うんです。 ただ、佐藤さんのところは、やはり、今おっしゃったように試行錯誤でやってきて、これからの調査方針というものもありますから、ですから、私が申し上げたように、特定秘密を見て、衆議院は全然見ていないんですよ。参議院もちょびっとしか見ていないんですよ。恐らく、この一年間のチェックということでいえば、佐藤さんのところが一番特定秘密をごらんになっていますし、これからもごらんになっていくのかなと思うんですけれども、そこで、特定秘密の中で一番の懸念である、特定秘密の内容そのものがおかしい、そういうことになったときに、どういう対応をとられるのかなと。 この間、政治資金収支報告書の話をしたんですけれども、あれをもう少しわかりやすく言いますと、政治資金収支報告書は、提出前に会計士なりに監査をお願いするんですね。監査をお願いするときは、きちっとそこに帳簿やら何やら出すわけですよ。 しかし、他方で、総務省ですとか地元の選管というものは、帳簿の提出は求めないわけですね。提出された領収書ですとか収支報告書をくまなく見て、でも、それでもそのチェック能力たるや物すごいものがあって、この漢字が一文字間違っているとか、これは住所がありませんとか、そういうところを、私も今まで三回選挙をやって、五、六年やってきていますけれども、特に一回目の収支報告なんかは、自分で書いて自分で訂正に行っていましたから今も記憶にありますけれども、その調査能力たるやすごいんですよ。それは恐らく、それだけの能力というものを、まあ、特定秘密を選挙の収支報告に例えるのは余り例えが似つかわしくないんですけれども、ほかのことが思い浮かばなかったので。 ですから、私は、佐藤さんのところの指定書のチェックですとか、特定秘密、出してもらったものと指定の情報をチェックするというところ、そこはかなりやっていただいていると思うんですけれども、ただ一点、地元の選管も総務省もそうなんですけれども、これは何かおかしいなと、報道に出たりすることもありますけれども、そのときは、個別の判断だといって中身そのものの適否に踏み込まないんですよ。 佐藤さんのところの調査が、総務省とかのように書面上のチェックで、そこに特定秘密が入っているかどうかは各省庁の判断だ、各省庁の解釈だ、そういうことで踏み込まないのか、それとも、いや、これはおかしいと何らかの是正を求めて、それが余り大きなことであれば何か世間にわかるような形にするのか、そのような調査というものが皆さんのところはどこまでできるのかな、どこまでやるおつもりなのかなというところを教えてください。
○佐藤政府参考人 政治資金報告書との関係ということでは、ちょっと、申しわけないですけれども、私の立場では非常にお答えしにくいところで、正確に、そちらの方の制度を所管したり、理解したり、日々運用しているわけではございませんので、なかなか比較ということができる立場ではないと思っております。我々の特定秘密の世界で、特定秘密保護法、そして施行令、そして運用基準、こういうルールの中での適否を我々は判断しているわけでございます。 そして、先ほど来御指摘の、特定秘密の指定ということと文書自体を確認するということとの関係なのでございますけれども、我々の理解では、まず、特定秘密自体が、大臣あるいは行政機関の長の行為として、一定の要件を満たしているとして情報として指定しますので、その後で、そのことと、それが実際に表示された文書自体の表示とか、整合した文書に表示されているか、それとも整合していない別な文書に表示されているのかということを、段階を分けて二段階で考えているということでございます。 ただ、御指摘のとおり、実際に文書を見ていくということは我々も必要だと思っているのでやっていまして、まだ途中だということで報告書にも挙げていますけれども、今後も引き続きやってまいりますし、その際はどのような手法をとるのがより効果的かというのは、引き続き御指摘も受けて検討してまいりたいと思います。
○井出委員 私が懸念をしているのは、衆議院と参議院の審査会の報告書が出ました。しかし、特定秘密の中までこの一年でチェックをするというケースはほとんど衆参はなかった。その点においては、独立公文書管理監の調査、特定秘密まで行き着くというところは、私は、この一年間に関しては、国会のチェック機関よりはやっていただけたと思います。だけれども、それが、さっきの選挙の話は例えですけれども、総務省や選管みたいに、何か問題があるような事例のときに、個別のものには踏み込みません、そういうような話になっていけば、それは、どんなに特定秘密にたどり着いても、国民の、特定秘密を監視する、当時、法案の審議のときに議論になったチェック機関としての期待される役割を果たしているのか。そもそも、国会の衆参もそれをしっかり果たしていかなければいけないんですけれども。 私は、国会の衆参の情報監視審査会と佐藤さんのところは、切磋琢磨といいますか、協力できる部分は協力するといいますか、何といっても、調査にかける期間、人員、恐らく調査の能力も高いのではないかなと推察しているんです。 そういうこともあって、恐らく、衆議院の報告書では、独立公文書管理監に、定期的な報告をする制度を構築してほしい、また、文書の保存期限の関係も、文書の保存期限と特定秘密の指定の期間と、そこのところ、特定秘密の指定期間の間に文書がどんどん捨てられるような、そういう状況がないように、あったとしてもそれはきちっと説明がつくように、説明を受けるようにしてほしいというような意見をつけさせていただいておりまして、そこに対しての見解をいただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 衆議院の報告書の意見についての見解というお尋ねをいただきました。 一点目の方でございますけれども、定期的に活動状況をという点でございますけれども、私どもといたしましては、情報監視審査会からのお尋ねに対しては、これまでも誠実に対応させていただいたつもりでございます。今後とも、お求めがあれば誠実に説明を尽くしてまいりたいと考えております。 二点目の方、廃棄関係でございますけれども、私どもは、運用基準で、特定行政文書ファイル等の管理が法令に従って適正に行われているかを検証、監察するものとされておりまして、それは我々の任務でございます。 移管、廃棄といった保存期間満了後の措置も含めた特定行政文書ファイル等の管理に関する検証、監察は、そういった意味で我々の任務でございますので、本来移管すべき特定行政文書ファイル等が廃棄されることがないよう、検証、監察を行ってまいりたいと考えております。
○井出委員 誠実に行ってきたつもりと、そんなにつもりのところに力を入れて言わなくても大丈夫ですので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。 それと、きょうは会計検査院の桜田次長さんにも来ていただいているんですが、会計検査院が衆議院の報告書を読んでいただいているかどうかわかりませんけれども、先ほどの階委員とのやりとりの中で、会計検査院については、サードパーティールールのような秘密でも、必要な実務上の調整の上で行う、安全保障上支障がないことを確認するため、秘密提供の形態であったり保護措置、そういうことをやっていくと。それは、これまでも、特定秘密保護法がなくても、重大な秘密についてはそういうことがなされてきたんだろうなと思っています。 でも、先ほどこの答弁を聞いていて、情報監視審査会に対する対応とは、違うとおっしゃられていましたけれども、やはり違うんだなというものもありましたし、どうも先ほどの答弁を聞いていれば、お互いやることの目的が違うから一概に難しいんだと言いますけれども、国会への報告と検査院への報告を比べると、やはりこの不等号はこうなってしまうのかなと。 そこで、桜田さんにお伺いしたいのは、この報告書とか報告書に関係する記事をちょっとでもごらんになったのか、それを見て、ああ、審査会はちょっとかわいそうだな、気の毒だなと思ったかどうか、教えていただきたいと思います。
○桜田会計検査院当局者 お答え申し上げます。 ただいまお尋ねのありました報告書でございますけれども、一昨日出たということで、全体的には目を通してはございません。 会計検査院のチェック機能という観点からのお尋ねという理解でございますけれども、会計検査院では、検査院法第二十条の規定に基づきまして、会計経理を監督し、是正を図る、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等さまざまな観点から検査を行っております。 そして、会計検査院法第二十六条におきまして、帳簿、書類その他の資料の提出の求めを受けたものは、これに応じなければならないと規定されておりまして、これまでも、検査上の必要がある場合、検査を受けるものから、安全保障に関する秘密も含めまして、秘密事項について提供を受けているところでございます。 こうしたことから、あくまでも会計検査の必要から、特定秘密を含めまして、秘密の提供を必要とする場合に、これをお願いして、その提供を受けることとしているということでございます。
○井出委員 せっかく来ていただいたのに、呼んじゃって大変申しわけないなと思っておりますが。 大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、私、先日も申し上げたんですが、秘密というものはいろいろなところから得ますし、秘密に金がかかるというようなことも当然現実としてはあるので、先ほど、私の問題意識は、前回も言ったんですけれども、会計検査院のやる収支の問題と、情報監視審査会ですとか独立公文書管理監がやる秘密の指定の適否の問題というのは、私はこれは完全に切り離すことはできないと思っているんですよ。 実際、海外の国会の政府に対する監視組織というものは、政府の対外情報組織そのものの活動をチェックする。それに比べたら、残念ながら、今、国会も独立公文書管理監のチェックも、別表に合っているかとかそういう話で、別表に、イのaの(b)、ロ、ハ、ニだとか、そういう何か要件がいろいろ書かれているんですが、そういうところをチェックするのではなくて、本来であれば、お金も含めた、ですから、情報監視審査会の質疑というものがそういうところに入っていくことも想像されます。 ですから、さっき大臣がおっしゃられた、情報監視審査会は指定、解除、適性の審査だ、会計検査院は収支なんだと。私はそこは、密接不可分な関係であって一概に線引きは難しいとはおっしゃいましたが、ぜひ、国会に対する、情報監視審査会に対する情報提供、会計検査院に対する情報提供、これを同じとしていただくように御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岩城国務大臣 国会から特定秘密の提供が求められました場合には、これを尊重して適切に対応してまいったものと考えております。 そこで、国会の情報監視審査会は、先ほども申し上げましたけれども、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況について調査し、並びに審査するための必要な資料の提供を求めるものであります。一方、会計検査院は、国の収入支出の決算を検査するために必要な資料の提供を求めるものでありまして、同じ情報提供を求める立場でありましても、役割は異なっているわけであります。 だから、そのことは御理解いただきまして、今、同じように取り扱ってほしいという趣旨のお話、質疑だったと思いますけれども、この辺は、この役割の相違がありますので、それに応じて私どもは真摯に対応していきたいと考えております。
○井出委員 役割が異なるというお話がありましたが、私は、恐らく将来的には、政府の対外情報機関の活動そのものが、きちっとやっているかチェックすべきだという議論も出てくると思います。特に与党の国会議員ですね。与党の国会議員は政府にも入っておりますから、政府に一度入っている方、政府に入っている方が、例えばこの特定秘密の情報監視審査会に入ったときに、恐らくこの報告書の質疑をやっていれば、何でこんなことをやらなきゃいけないんだと。実態を知っている方もいらっしゃると思うんですよ。 ですから、必ずそういう議論は起こってくると思いますし、そういう意味において、誠実に真摯に検討すると恐らく内閣官房の方にも言っていただけると思いますので、きょうは特に聞きませんが、そういう問題提起をさせていただきたいと思います。 あと、警察と法務省の林さんに伺いたいのですが、別件でございます。 取り調べの可視化の機器が何か部屋のスプリンクラーのように小さくなったというようなニュースを見まして、私も本会議の質問で、ICレコーダーにしたらどうですか、一個二千円で買えますよと、ちょっと恥ずかしいなと思いながら言ったんですけれども、一定の小型化が図られているということはよしとしたいなと思っております。 ただ、小型化をするのであって、私が視察で見させていただいたカラオケ機器みたいな大きいマシンは一体百万かかるという話でしたけれども、スプリンクラーみたいな小さいのも結構金がかかると思いますので、これから本当に、いろいろなものの進歩でICレコーダーもまた変わっていくと思いますし、最近は携帯の音声認識なんかもありますから、携帯電話を置いておけば調書ができちゃうんじゃないかとも思っているんですけれども、いろいろな技術を駆使して適正な捜査に対応していただきたいと思います。 そこで、きょう一点伺いたいのが、被疑者ですね、逮捕されるされないにかかわらず、被疑者が自分でICレコーダーを持って録音して、それを証拠に提出する、それが結構、裁判で決定的な証拠になるようなケースが散見されるんです。 ただ、被疑者が録音をすると、していないか聞かれたり身体検査をされたり、多分、捜査側としたら被疑者の録音を望んでいないと思うんですけれども、特に、任意の取り調べで録音をやめさせる、何かその正当な理由があるのか。庁舎管理権以外で、警察署とか検察庁じゃなくて、時にはどこかのホテルで調べることもあるでしょうし、御自宅に行って話を聞くこともあるでしょうし、それでも録音はだめなのか。それをだめと言い切れる何か根拠、理由があれば教えてください。
○露木政府参考人 まず、被疑者等が取り調べの録音、録画をすることを求めてきた場合に、私ども警察がそれに応じなければならないのかといいますと、これは、それに応じなければならないという法的な根拠はございません。 次に、では、私どもが応じるべきなのかどうなのかという点でございますけれども、これも法案審議の際に申し上げましたけれども、取り調べは、その中で、関係者の名誉、プライバシーにかかわる事柄もございますし、それが公になりますと捜査の遂行が難しくなるというようなものもございます。被疑者等がこれを録音、録画して外部に流出させるというようなことがあってはならないものでございますので、私どもとしては、録音、録画の要望、要求があったとしても、それには応じないことといたしております。 取り調べは、もちろん捜査のために行っておりますので、供述証拠の収集ということが目的でございます。その収集にさわりがあるような形での取り調べになるということについて、私どもはやはり応じかねるという立場でございます。
○井出委員 何か関係者のプライバシーの話がそこで出る、それは捜査以外のことに使用されたくない、それは確かにおっしゃるとおりかなと思うんです。 ただしかし、今、別に電話で詳細な取り調べをするとは到底思っていませんけれども、電話一つとっても、こっちが望まなくても、何か、安全のため録音しますみたいな電話もありますし、それは、相手方の録音を許さない、望まない、よしとしない、そういう運用ではなくて、そもそも捜査もこれから取り調べの可視化がされていくわけですから、やはり任意の調べも、何らかの形で、これだけいろいろな機器が発達している中で、公開されることを前提としなくてもきちっとやってもらわなきゃ困るんですけれども、やはり録音、録画は捜査側だけの権限じゃなくて、それは自分たちも当然されるんだよということを念頭に、特に任意の調べですとか初動捜査のところの、警察が来たらこっちだってびっくりしますし、そこはやはり柔軟に対応する、そういう時代にもう入っていると思いますので、そういう認識のチェンジをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○露木政府参考人 その点は、先ほども申し上げましたように、取り調べは、被疑者等から供述を引き出して、それを証拠として用いる、そういうことを目的として行っておりますので、相手方が私どもの知らないところで録音、録画するとなりますと、取り調べそのものにさわりがあるということでございますので、それについては応じかねるというのが私どもの立場でございます。
○井出委員 ぜひ、それをめぐって、何かトラブルですとか、被疑者に不利益になるようなことだけはないようにしていただいて、議論はまたの機会で続けたいと思います。 どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。 岩城大臣は、かつて私の質問に答えまして、冤罪はあってはならないと述べられました。当然のことだと思っております。また、数ある冤罪事件に関して申し上げますと、適正な捜査を行っていれば、あるいは適正に証拠を吟味していれば防げたであろう冤罪というものもあるんだろうと考えております。 きょうは、私は、鹿児島県強姦冤罪事件について、その捜査の適正化についてただしていきたいと思います。 鹿児島県鹿児島市で、二〇一二年、当時十七歳だった女性に暴行したとして強姦罪に問われた岩元健悟さんを懲役四年とした鹿児島地裁判決を破棄して、福岡高裁宮崎支部は逆転無罪を言い渡しました。控訴審判決において、ことし一月二十六日、福岡高検は上告を断念しましたので、岩元さんの無罪は確定しております。 確定判決は、鹿児島県警や検察の証拠とされたDNA型鑑定のあり方を厳しく批判しております。 最大の裁判の争点は、女性の体内から検出されたDNA型判定なんですね。鹿児島県の科学捜査研究所、科捜研の鑑定書では、精液は確認されたが、得られたDNAが微量だったため、DNA型鑑定は不能だったと結果を出した。 一審では、精液そのものがあるので、いわゆる岩元さんが暴行したということを裏づけて、有罪を導いたということであります。 ところが、控訴審で、高等裁判所宮崎支部が実施した再鑑定、再鑑定を行ったのは法医学の権威であります日本大学医学部法医学名誉教授押田茂實博士であります。この方が再鑑定をすると、簡単にDNA型が検出された。しかも、重大なことは、被疑者、被告とされていた岩元さんとは異なる人物のDNAが出てきたということで、無罪が言い渡されたという事件であります。 最高裁にお伺いいたします。 控訴審判決の六ページ、下から三行目、「所論のいうように」という、以下七ページの三行目まで何と書いているか、教えてください。
○平木最高裁判所長官代理者 委員御指摘の箇所を読み上げます。 所論のいうように、赤瀬の鑑定技術が著しく稚拙であって不適切な操作をした結果DNAが抽出できなくなった可能性や、実際には精子由来ではないかとうかがわれるDNA型が検出されたにもかかわらず、それが、その頃鑑定の行われていた被告人のDNA型と整合しなかったことから、捜査官の意向を受けて、PCR増幅ができなかったと報告した可能性すら否定する材料がない。 このように記載されております。
○清水委員 つまり、科捜研の鑑定技術が稚拙だった、技術が未熟だったのではないか、もしくは、被告人のDNA型と合わなかったから、鑑定はできた、でも合わなかったから都合が悪いので、捜査官の、検察官の意向を受けて虚偽の報告、微量だったので型が出ませんでした、こう報告したのではないか、その可能性すら否定する材料がない。これは重大だと思うんですね。 最初から外部に委託をする、例えば押田茂實博士もそうですが、別人のDNA型が出てきて、二年四カ月も勾留されることはなかったと言わなければなりません。 再発防止のためにも、警察と検察の捜査のあり方は検証されるべきだと思います。 鹿児島県の科捜研が初めに行った鑑定、第一次鑑定ですね、先ほども申し上げましたが、DNAが微量だった、濃度が薄かった、だから出なかったんだというふうにされているんですが、このときのDNAの定量値、つまり、どれぐらいの濃度があっていわゆる鑑定できなかったのか、その定量値について教えていただくことはできますか。警察庁。
○露木政府参考人 お尋ねの定量値については、鑑定書に記載がございませんでしたので、現時点においては私ども承知をいたしていないということでございます。
○清水委員 やはり科捜研ですから、科学的に鑑定書を記載するのは当然だと思いまして、微量という抽象的な言い回しではなくて、これこれの濃度だったから鑑定できなかったと書くのが私は当たり前ではないかと思っております。 先ほど申し上げましたように、今度の事件で、DNA型の再鑑定を押田博士が行われた。この方に私は直接話をお伺いいたしました、押田先生に。そうすると、鑑定した際のDNAの濃度は、〇・二一ナノグラム・パー・マイクロリットル、ちょっと舌をかみそうですけれども、〇・二一、値があったということなんですね。 実は、鹿児島県の科捜研は、独自の基準で、〇・〇一以下は鑑定不能ということで、それ以下は検査しないという基準を設けていたそうです。つまり、〇・〇一と鹿児島県の科捜研がみずから決めた、これ以下は出ないと決めた基準の二十一倍の濃度が出た、だから簡単にDNA型が出たというふうに押田教授は述べられました。まさしく、この科捜研の報告の信憑性が根本から問われるのではないかと私は思うんです。 改めて警察庁にお伺いしますが、この濃度の定量値からいいましても、DNA型鑑定は可能だったのではありませんか。お答えください。
○露木政府参考人 委員お尋ねの控訴審の鑑定、押田鑑定でございますけれども、被害女性の膣内容物、ここに男性の精子が混合しているという状態のものを鑑定されたというふうに承知をいたしております。 私ども警察、科学捜査研究所においても、そのように複数の人物に由来するDNA型が混合している、いわゆる混合試料について、DNA型鑑定を行うことは技術的には可能でございます。 ただ、本件について申し上げますと、膣液と精子が混合状態であるというものをそのまま鑑定いたしますと、例えば、膣液の方のDNA量が非常に多い、他方、精子の方は少ないとなりますと、少ない方の型が出ないことがあるということでございまして、したがって、本件につきましては、精子のDNA型のみを取り出す作業を行った、いわゆる抽出作業を行ったということでございまして、そのために精子のDNA量が減ってしまって濃度が薄くなってしまって、結果として鑑定に足る量に至らなかったというものだというふうに承知をいたしております。
○清水委員 今述べられた検査過程について、それを詳しく立証するワークシートやメモは残されていましたか。
○露木政府参考人 本件におきましては、鹿児島県警の科学捜査研究所の鑑定員が鑑定検査経過記録というものを作成いたしておりましたけれども、そこには、さっきお尋ねのような定量などの記載はございませんでした。微量であるという記載にとどまっていたということでございまして、その記載からだけではつまびらかにならないというものであったというふうに承知をいたしております。
○清水委員 今回、重大なことは、ワークシート、ノートブックですけれども、それに検査工程を記す、そして、そのワークブック以外にも検査過程で行った工程等を記録する、これは公判の証拠になるわけですから、メモについても残しておくということは当たり前のことだと思うんですね。 それで、私はあえて紹介したいんですけれども、DNA型鑑定の運用に関する指針の運用上の留意事項に、これは警察の通達なんですけれども、「鑑定結果又はその経過等が記録されている書類」、これは、鑑定に用いた方法、その経過の記録、ワークシートなどについて、「鑑定内容の確認や精査等が必要となる場合に備え、適切に保管しておくこと。」とあるわけですね。これは平成二十二年に出されたものであります。 このワークシートなどにメモは含まれないという認識でしょうか、それとも含まれるということでしょうか。
○露木政府参考人 委員御指摘のDNA型鑑定の運用に関する指針の当該部分でございますけれども、メモが含まれるかどうかということではなくて、あくまでその内容であるというふうに考えます。 立証において、立証上、鑑定の経過などについて検証がされるときに、それに必要十分な記載があるということがやはり求められるだろうというふうに考えております。
○清水委員 それは不適切じゃないですか。ワークシートなどについて、記録を残すというふうに通達に書いているわけですからね。 加えてお伺いしますが、昨年五月二十一日の参議院法務委員会において、当時民主党の有田委員の質問に答えて、科捜研、科警研において技術的に難しいDNA型鑑定につきましては、大学の法医学教室などの外部機関に委託して行うことがあると露木さん自身が答えられております。 今回、鹿児島県の科捜研で出なかった、これは技術的に難しかったのかもしれない。なぜその後、法医学教室などに、あるいは研究所等に再鑑定しなかったんでしょうか。そういう発想はなかったんですか。
○露木政府参考人 先ほども申し上げましたように、科学捜査研究所においては、精子由来のDNAの抽出作業を行った結果、型判定に必要な量を確保できなかったというものでございます。 それ以上に鑑定を行うとなりますと、これは残余試料がなくなってしまうということもございますので、これは先ほど申し上げた指針においても、まず残余試料をきっちり残しておいて、公判における、今回も行われましたけれども、再鑑定に備えるということが重要でございますので、捜査段階でどんどん消費するというようなことはちゅうちょをするということであったというふうに認識をいたしております。
○清水委員 露木さん自身がみずから答えたことと整合性がどう図れるのかというふうに思いますよ。 そうしたら、今後のことについて聞きますけれども、死体の取扱業務などについては、予算を七千五百万円ふやして二十八億円、法医学教室などの外部委託を行うというふうにきょうの法務委員会で答弁されました。これは当然、DNA鑑定等についてもふやしていくということでよろしいですか。
○露木政府参考人 死因究明に要する予算については引き続き充実を図っていくということでございまして、その中で、DNA型鑑定が必要となるものについては、その予算の中に含まれているという理解でございます。
○清水委員 ぜひ、警察の方で技術的に出すことができなかったということであれば、科警研だけじゃなくて、やはり外部にしっかりと委託をして真相を究明していくということが、私は、こうした間違った事件を起こさない重要なポイントになるというふうに指摘をしておきたいと思います。 それで、法務省にちょっとここでお伺いしたいんですけれども、第一鑑定員は、結局、技術的に未熟だったか、もしくは意図的に、結果が出たんだけれども出さなかったのかというふうに裁判所で指摘をされているんですよね。 それで、その部分を、最高裁、控訴審判決の三十二ページ一行目から七行目まで何と書いているか、教えていただけますか。
○平木最高裁判所長官代理者 委員御指摘の箇所を読み上げます。 本件においては、検察官が公益の代表者として重要な資料を領置していることを奇貨として、秘密裏に、希少かつ非代替的な重要資料の費消を伴う鑑定を嘱託したもので、その結果が検察官に有利な方向に働く場合に限って証拠請求を行う意図があったことすらうかがわれるのであって、単に上記の本来の在り方を逸脱したにとどまらず、訴訟法上の信義則及び当事者対等主義の理念に違背し、これをそのまま採用することは、裁判の公正を疑わせかねないものである。 このように記載しております。
○清水委員 今、これは検察官が指弾されているんですね。なぜ指弾されたかというと、第一鑑定は鹿児島県警科捜研がやりました。微量で出ませんでした。控訴審の再鑑定で押田教授が鑑定したところ、別人のDNAが出ました。本来ならば、ここで無罪の蓋然性が高まるわけですが、何と検察は、裁判所や弁護側にも秘匿して伝えず、ないしょでそのDNA試料を持ち出して、そして、大阪の高槻まで行って、大阪医科大学教授に再々鑑定を求めたということなんですね。 これは、通常、補充証拠を設けるときには、控訴審後であってもあり得ることだろうというふうに思うんですが、特に、露木さんがおっしゃられたように、鑑定をすればその試料そのものを消滅させてしまう可能性があるというふうに言われたような微量なものを、希少で微量でほかにかえがたい証拠を、裁判所や弁護側にも伝えず勝手に鑑定したということがここで厳しく指摘されているんです。 法務省、このことへの反省はどう受けとめるんでしょうか。
○林政府参考人 検察当局におきましては、こういった控訴審で検察官がDNA型鑑定の嘱託をしたということについては違法な点はなく、必要性、相当性が認められるべきであると認識していたものと承知しております。 その点につきまして、まず一般論として言いますと、検察官は、刑事訴訟法二百二十三条一項に基づきまして、公訴提起の前後を問わず、任意捜査としての鑑定嘱託というものができることになっておりまして、鑑定嘱託の結果はいずれは当然訴訟に顕出するわけでございますが、鑑定嘱託の時点において、必ず事前に裁判所または弁護人に伝えなければならないものとはされていないところでございます。 もっとも、公判の状況でありますとか、例えば鑑定試料の残存状況などに鑑みて、検察官が独自に鑑定を嘱託することを、違法とかいう点をおいても差し控えた方がよいのではないかと考えられる場合があり得ないわけではないと思っておりますけれども、本件におきましては、検察当局においては、控訴審でDNA型鑑定を嘱託するに当たりましては、再鑑定の可能性というものも十分に配慮をした上で嘱託をしているというふうに承知しております。
○清水委員 残存状況を見れば、警察庁の答弁から見ても、これは極めて不適切だと私は言わなければなりません。 それで、あえて聞きますけれども、裁判所と弁護側に伏せてDNAの証拠試料を再々鑑定に出したんですが、その試料を大阪の高槻まで、鈴木教授のところまで運んだ人は誰ですか。
○露木政府参考人 鹿児島県警が検察官からの連絡を受けて、今おっしゃった運搬した者は、鹿児島県警の科学捜査研究所の職員であると承知しております。
○清水委員 つまり、第一鑑定人の方がその試料を再々鑑定に直接持っていっているわけなんですよね。しかも、裁判所や弁護側に伏せてそうした行為を行った。これは極めて、確証はありませんけれども、疑惑が持たれる行為だというふうに言わなければなりません。 なぜなら、最初の鑑定を証明させる上で、この人物に何かしらの作為を持って証拠に手を加える機会を与えるということにもつながるわけです。だからこそ、裁判所の判決は、従来のあり方を逸脱したにとどまらず、訴訟法上の信義則及び当事者対等主義の理念に違背し、裁判の公正を疑わせかねないものであると厳しく指摘しているわけなんですね。 それで、法務大臣にお伺いしたいと思います。 やはり証拠の適正化、科学的に証明するという上でも、外部機関に判定させるということが私は非常に重要だと思っているんです。例えば、捜査機関側だけに証拠を独占させておくと今回のような状況が起こるというわけですから、中立性、客観性を担保する上でも、警察だけに、あるいは検察側に証拠を独占させるというのはやはりやめさせるべきだと思うんです。 そして、二〇一三年一月の、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想、ここでも、DNAの証拠の取り扱い方についてはいろいろ意見の対立が出たというふうに言われております。しかし、やはり証拠の保全についてはどうするのかというルール化ですよ、法制化ですよ。これをするということが証拠を捏造すること等による冤罪を防ぐということにつながると思うんですが、大臣の所見をお聞かせください。
○岩城国務大臣 検察当局といたしましては、DNA鑑定を含む鑑定を嘱託するに当たりましては、事案の内容や鑑定事項に応じて、科学捜査研究所、科学警察研究所に限らず、それぞれの鑑定事項について十分な知見を有し、適正かつ信用性の高い鑑定を行うことができる適切な鑑定受託者を選定しているもの、そのように承知をしております。 そして、さらに、DNA型試料の採取及び保管等のあり方にかかわる法制化をすべきではないかというおただしでありますが、捜査機関におきましては、DNA型試料を含む証拠品の採取及び保管等は法令等に基づき適切に行われているものと承知をしております。 委員から御指摘がありましたとおり、この問題につきましては、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会において議論がなされております。そこで、DNA型情報の採取は適法に行われており、新たに法整備を行う必要はないなどの指摘がなされ、具体的な検討対象とはされず、その要否及び当否を含めて別途検討されるべきとされたものでございます。 したがいまして、御指摘のありました立法化に向けた手当て等につきましては、その要否を含めまして慎重な検討を要するものと考えております。
○清水委員 大臣、そんな一般的に答えられても、今回の事件、そのまま見ていただいたら、いかに弁護側がアクセスできないか、捜査機関側だけが独占することがいかに危険かということが浮き彫りになった事件ですから、ぜひ検討していただきたいと思います。 最後に委員長にお願い、お伺いをしたいと思います。 今回問題になりました警察庁科学警察研究所、科警研、あるいは押田茂實教授がおられる鑑定科学技術センター、こうしたところを我々法務委員会としてやはり視察に行って、DNA型鑑定がどのように行われているのかということをつぶさに見るということは非常に重要なことだと思いますので、お諮りいただきたいと思います。
○葉梨委員長 後刻、その点も理事会で協議をいたします。
○清水委員 質問を終わります。
○葉梨委員長 以上で清水忠史君の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時八分散会