法務委員会 第16号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2015/06/11
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る四日、森屋宏君が委員を辞任され、その補欠として有村治子さんが選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房法曹養成制度改革推進室長大塲亮太郎君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。 実は、昨日、大阪市で画期的な条例が可決される予定でした。全国で初めてヘイトスピーチ規制条例というものがずっと準備をされておりまして、昨日までずっと各党の間において、やはりこの条例というのは、規制をしなければいけない。特に、皆さん御承知のように、大阪鶴橋、生野区、東大阪市など在日コリアンの方々が歴史的に多く住んでいらっしゃるところで、もうこの数年間ずっとヘイトスピーチ、差別の扇動、集会、デモが行われてまいりました。それをきっちりと規制をしていく条例ということで議論が進んでいたんですが、残念ながら、最終的には継続審議ということになりました。自民党の皆さん、あるいは公明党の皆さんにお話を伺いますと、やはり大阪でそういう条例は必要なんだけれども、同時にまず国がしっかりとした法整備をするべきだと、そういう意見から合意に至らず、継続審議というふうになりました。 その代わりに、昨日、大阪市において、市議会において、ヘイトスピーチの根絶に向けた法整備を求める意見書というものが採択をされました。その最後にはこう書かれております。ヘイトスピーチの根絶に向けて実効性のある法律の整備を視野に入れた対策を早急に進めるよう強く国に要望すると、そういう内容になっております。やはり私たちが率先して更にこの問題についてきっちりとした形にしていかなければならないと私は考えております。 まず、お手元に資料をお示しいたしましたので、御覧いただきたいというふうに思います。 ポスター三つに、下に写真です。これは、この間の日曜日に川崎市で行われたヘイトスピーチの集会とデモ、その写真で、私が撮影してまいりました。聞くに堪えない、見るに堪えない集会とデモが、ずっと富士見公園から川崎の駅前まで続きました。そこに、写真にありますように、こういうポスターが掲げられておりました。「反日市長 行政汚鮮」、汚鮮のオはそのとおりですけれども、センは朝鮮の鮮です。ちょっと警察官の方のヘルメットで見えませんが、「気持悪い 川崎国」、イスラム国になぞらえた、こういうプラカードが掲げられておりました。 川崎の市長さんは、自民、公明、民主が推薦で、今立派なお仕事を進められておりますけれども、川崎というのは在日コリアンの多くの方々がいらっしゃる町ですけれども、そこでヘイトスピーチが行われていることに対して、川崎市長は、断固としてこういうことは許されないんだということをはっきりと記者会見などでも述べてこられました。それに対して、在特会を始めとする差別扇動を事とする人たちが集中的に川崎市長に抗議を続けているというのが先日の日曜日も行われた集会とデモでした。 そこには、大阪から、在特会、在日特権を許さない市民の会の前会長の桜井誠氏、さらには、差別と扇動をネット上で事とする保守速報を民事の裁判で訴えている李信恵さんという在日の女性も抗議のために訪れました。そして、私などとともにこのデモに並走しながら抗議を続けていたところ、その在日の李信恵さんに対して、マイクを持った男が、この売春婦というようなことを何度も何度も罵るということが続きました。 御承知のように、そういった行為に対して民事で訴えればそれは裁判になるわけだけれども、不特定多数に対するそういう罵詈雑言、差別扇動というものは現行法では取り扱うことができない。だから、繰り返しますけれども、やはり新たな法整備というものが国際的にも要請されているということを強調したいというふうに思います。 実は、このヘイトスピーチのデモというのは川崎だけではなくて、その前の週には東京の十条、これは朝鮮学校のあるところで、駅前で、朝鮮学校で催しがあったものに対して多くの人物たちが来て、子供たちに向かって差別と扇動の言葉を吐く。あるいは、その日は名古屋でも、あるいは大阪でもヘイトスピーチのデモが行われました。実は、今度の日曜日は京都の西院というところで、在特会の前会長が来て、やはり在日コリアンたちが多く住む場所の近くで差別と扇動をやる。だから、社会的な批判は高まっているんだけれども、そうやって毎週のように全国どこかで差別と扇動の集会、デモが行われております。 そこで、警察庁にまずお伺いしたいんですが、今も続くこうした差別扇動のヘイトスピーチの集会、デモ、昨年は一年間で百二十件だというふうに理解をしておりますが、昨年の件数、そして今年、もう半年がたとうとしておりますけれども、今までどれだけの件数が確認されておりますでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。 昨年の右派系市民グループのデモの件数については、今委員御指摘のとおり、約百二十件でございました。本年に入ってから五月末現在では約二十件ということでございます。なお、この五月末現在で昨年の数字を見てみますと約六十件ということで、本年との対比では、本年は三分の一に減少しておるというところでございます。
○有田芳生君 恐らく警察庁の方としても把握の数に入っていないだろうと思われるのは、例えば大阪の鶴橋なんかは、京都朝鮮学校襲撃事件で実際に逮捕された人物が個人で出かけていって罵詈雑言浴びせかけるというようなことを突然やるんですよね。あるいは大阪鶴橋でないところでもそういう行為が行われていて、つまりは、インターネット上で告知をするとそれに反対する人たちが現れるので、そういったゲリラ的な差別と扇動というのが行われていますから、恐らくこの今お示しになった二十件以上の散発的なものはあるんだというふうに理解をしております。 問題は、これは人権擁護局にお聞きをしたいんですけれども、先ほどの川崎のデモの前の集会においても、法務省が積極的に作ってくださった「ヘイトスピーチ、許さない。」という、資料の上の段の一番左が法務省作成の本物なんですけれども、それに対して、ネット上でも、あるいは集会、デモにおいても、偽造のポスターというものが物すごく作られている。そこにお示しした二枚はおとなしいものです。あえておとなしいものにしておきました。ネット上、あるいは集会、デモの現場ではもっとひどい偽造のポスターが使われておりますけれども。 法務省のホームページを拝見しますと、この「ヘイトスピーチ、許さない。」のポスター、リーフレットについては、ちゃんとこれを使ってくださいと、つまり偽造は許さないと書かれているわけですけれども、それに対して、こういったことが横行している現状に対してどのような対処を取られているんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 当局では、法務省ホームページにおいて、当局の作成したヘイトスピーチに焦点を当てた啓発ポスターは一切改ざんせずに使用することをお願いしているところであります。それにもかかわらず、デモの際やインターネット上で改ざんされたポスターが使用されているものがあることは承知しております。大変残念なことと思っております。 当局としては、インターネット上で悪質な改ざんがされているポスターが掲出されている場合にはサイト運営会社などに削除を要請するなど、適切に対応するよう努めております。
○有田芳生君 その削除を要請されることは当然やらなければいけないことだと思うんですが、この間、どのぐらいの要請を行い、どれだけの削除が行われていますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 本年四月、五月、合わせて八件削除依頼をいたしまして、これまでのところ、おおむねその削除要請には応じていただいております。
○有田芳生君 本当に出たり入ったりのやり口でずっと続いておりますので、これからも、面倒な話ですけれども、そういう対応を是非取っていただきたいというふうに思います。 一言付け加えておけば、法務省がお作りになったこの「ヘイトスピーチ、許さない。」というポスター、リーフレットについては、差別と扇動のヘイトスピーチに反対する人たちが現場でこれを自分たちで印刷をして掲げて、抗議をずっと続けておりますので、そういう間接的な形でも、法務省がこれまでやってくださったことが差別に反対する人たちの大きな力になっていると思いますので、これからもポスターをもっと増やすとか、リーフレットを増やすというようなことを含めて取り組んでいただきたいというふうに思います。 そこで、もう一点、ポスターの偽造についてお尋ねをしたいんですけれども、ネット上のこういう偽造ポスターについては削除要請をやってそれを削除してもらうということが実現しているわけですけれども、集会なんかでもこういうものを掲げている人たちが実際いるんですよね。この間の川崎でも、デモのときは隠していましたけれども、集会では明白に持っておりました。 そういうことに対して、法務省の係員の方が毎回そこに行って、これは駄目なんだと言うことは難しいだろうと思いますので、そうしたときに、例えば現場の警備をなさっている警察官の皆さんと協議をして、実際に警察官の方々はその横にいらっしゃるわけですから、これは駄目なんだというようなことを伝えるような、そういう連携というのは取っていただけないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 御指摘いただきましたことについて、これから検討してまいります。
○有田芳生君 そこになってくると、表現の自由との関わりなど難しい問題が出てくると思いますけれども、やはり法務省としていけないことだということを明示されているわけですから、それを現場においてどのように対応するかというのは、やはり注意ぐらいできるような体制というのを警察当局とも連携していただきたいなということを強くお願いをしておきたいと思います。 それと、次に、警察庁にお聞きをしたいんですけれども、警備というものが本当にしっかりなされているということは現場にいてよく分かっております。去年まで続いていた東京新大久保での集会、デモに対して、それを抗議する人たちがいる、だけど、そこでトラブルが起きないようにというために警察官の皆さんが、恐らく、差別扇動のデモをする人たち、それに反対する人たちの倍を超えるような方々がいらっしゃるということは目視をしてきました。 この間の川崎でも、差別と扇動をやっていた人たちは、始めは十数人、恐らくデモのときでも数えてみると三十人前後、それに対して反対する人たちが二倍を超える人たちがいる。だけど、警備の方々というのは、暑い中を大変だと思いましたけれども、御苦労だと思いました、恐らくざっと数えて二百人はいらしただろうというふうに思います。 この間の川崎はそういう状況でしたけれども、例えば全国各地の警備の状況というのは違うんですよね。大阪なんかだったら、あるいは京都なんかだったら非常に厳しい対応を取っていらっしゃる。つまり、抗議する方に厳しい対応を取っていらっしゃるとしかどうにも見えない。だから、去年の八月のジュネーブで行われた国連の人種差別撤廃委員会の日本審査の場においても、何人もの委員の皆さんから、映像を見ると差別をする人たちを警察官たちが守っているというふうにしか見えないと何人もの方が言われました。 実際、私なども現場にいると、そうとしか見えないという残念な現状があります。例えば、大阪で行われたそういう差別扇動のデモに抗議する人がいる、そうすると、警察官の皆さんがそこにずっと配備をされて、去年の少なくとも秋口までは抗議する方を警察官たちが押し返してきた、威圧的に押してきたという状況があった。だけど、それが去年の十二月からは大阪ではなくなったんですよ。警備をされるんだけれども、押し返すというようなことはなかった。 そこで、非常に特徴的だなと思ったことでお聞きをしたいんですけれども、これも最近、福島県の福島の駅前で人種差別集会が行われました。そのとき、当然抗議する人たちもいっぱいいたんですけれども、警察官の方々の警備の仕方が、ヘイトスピーチをやる人たちに警察官が向かっている、だけどこっちには抗議する人たちがいる、だから、交互に、向こうを向いている警察官とこっちを向いている警察官がいらっしゃる。ああ、これはよく考えられたなというふうに思いました。これだと、差別している人たちを警察が守っているというふうには当然見えない警備の仕方だというふうに思いました。 実は、昨年、東京で行われたデモのときに、そこにいた警察官の方とちょっと会話をしました。何か、差別やっている人たち守っているというふうに国連では見られているんだよ、知ってますかと言ったら、分かってますと、だけど最近は指示が出ましたというようなことをおっしゃいました。それは本当かどうか確認できませんでした。その指示というものが何だか、今も分かりません。 だけど、これまで警察庁で、誤解されるような警備の仕方はやめるべきだというような通達というのは出されましたでしょうか。あるいは、全国で警備の会議があったときに、国際的にも国内的にも誤解されるような警備の方法はやはり工夫した方がいいというような、そういう通達あるいは指示というものは出されたのか、そこをお聞きしたいというふうに思います。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。 デモ関係者とデモに反対する者が寄り集まるデモの現場において、警察はトラブル防止や関係者の安全確保などを図るため必要な警備措置を講じておりますが、その際においても、警察が講じる措置の公平性に疑念が生じることのないよう、デモにおける厳正公平な対応を都道府県警察に対して指示してきたところであります。 さらに、デモをめぐる種々の情勢に鑑みまして、警察庁として厳正公平な対応の徹底が図られるよう改めて都道府県警察を指導しているところでありまして、引き続きこうした指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
○有田芳生君 もうちょっとお聞きしたいんですけれども、その福島県警の対応というのはいいことだなと思っているんですけれども、それは具体的な指示をされたんでしょうか、それとも福島県警の自らの創意工夫によってこういう警備が必要だなという判断をされた、どっちなんでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) 今お答えしたところでありますけれども、厳正公平な対応の徹底が図られるようということで、そういった行動があるたびに警察庁の方で現場の都道府県警察と連絡を取って指導しているというか、この対応の徹底を図っているところでありまして、あと、それぞれの行動はそれぞれの行動の事情がありますので個別具体のケースによったと思いますけれども、福島独自の判断、また警察庁から指示というよりも、そういった指導の中でとった措置ということで御理解賜りたいと思います。
○有田芳生君 本当にもうこの数年間、暑い中、すごい装備の中で、特に新大久保のときなんかは機動隊の方なんかは大変な状況の下で警備をされているわけですから、誤解をされないような体制で警備をこれからも続けていっていただきたいとお願いしたいというふうに思います。 次に、大臣にお聞きをしたいんですけれども、差別について、それはヘイトスピーチ一般だけではなくて、日本に残っている居住差別から就職差別から様々な差別について、五月十四日のこの委員会で、川崎市がアンケート調査をしたことについてお尋ねをしました。そのとき、大臣はこのように答弁なさっております。特に外国人の方が集中しているような地域につきましては、こうした同種のもしかしたらアンケート調査等を含めた実態調査をしているのではないかというふうに思うと、そこに続いて、そういった面につきましては早急に情報収集をしてまいりたいというふうに思っているところでございますというふうに答弁なさいました。 五月十四日の質疑からもう約一か月ですけれども、結果はどうなりましたでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 御質問があった五月十四日の日に、私の方から、各自治体においての多文化共生に係る様々な調査が実施されている可能性が高いと、川崎市の事例からもそのようなことでございましたので、その後、早速に人権擁護局に対しまして、地方公共団体による調査の実施状況につきまして調査をするよう指示をしたところでございます。
○有田芳生君 それでは、その指示に基づいてどのような調査、実態というものが分かったのか、人権擁護局にお聞きしたいというふうに思います。
○政府参考人(岡村和美君) 法務大臣からの指示を受けまして、私どもでは、全国の各法務局、地方法務局を通じて、地方公共団体による外国人住民を対象とした外国人の人権に関する調査の実施の有無及び内容について調査をしているところであります。現在まさに調査中の段階でございます。
○有田芳生君 いつまで調査をされるのか、期限区切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 私どもから、全国の法務局、地方法務局への指示といたしましては、第一回の期限としては六月十五日ということでお願いをしております。
○有田芳生君 その収集された結果をいつまでに分析するんでしょうか。あるいは、その分析した結果を公表される予定はありますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 現在まさに調査中、作業中でございまして、調査結果を踏まえてから内容を検討する必要がありますので、現時点でお答えすることはなかなか難しい状況です。
○有田芳生君 だけど、各地方自治体が川崎も含めて調査をやって、その結果を明らかにしてホームページにも出しているわけですから、それを法務省が全国的な調査を行った上で公表するかどうか分からないというのはちょっと解せないんですが、やはり公表すべきだと思いますが、いかがなんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 委員の御指摘は承りました。
○有田芳生君 何度もこの委員会でもお聞きをしてきましたけれども、人種差別撤廃条約に日本が加入をしたのは国連で採択をされてから何と三十年も後、それから今二十年もたっておりますけれども、日本政府は、二〇〇一年からずっと今に至るまで、この日本には新しい法律を作るほどの差別の思想の流布もあるいは差別の扇動もないと、そういう立場をずっと取っていらっしゃった。 私は、ここで何度も伺いましたけれども、どれだけ実態調査なさっているんだろうかというずっと疑問があったんです。だから、こういう質問をしているわけですから、日本政府がこれまでどおり日本には差別の思想の流布も扇動もないという立場取っているんだったら、その根拠を示さなければいけないと思うんですよね。だから、本当に差別の思想の流布、扇動がないのかどうかということを私たちが知る上でも、やはり調査結果、明らかにするしかないんですよ。だから、それを是非やっていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。 ここでもう一度原点に立ち戻ってお聞きをしたいんですけれども、人権擁護局、そして大臣にもお聞きをしたいんですが、ヘイトスピーチというのはどういうものだと認識されていますか。
○政府参考人(岡村和美君) 繰り返しになりますが、いわゆるヘイトスピーチについて、その概念は必ずしも確立されたものではないと思われます。その中で、当局がヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動の対象として念頭に置いているのは、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動であります。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま局長が答弁したところに沿って、法務省としてもこの問題について対応をしているところでございます。ヘイトスピーチのポスターにおきましても、そのようなことにつきまして説明をさせていただいているということであります。 特定の民族、そして国籍の人々を排斥する、そうした差別的言動につきましては、その尊厳を傷つける、そういうことでございまして、さらに差別意識そのものも生じさせることにつながるということであるので、そういう意味で、あってはならないことだというふうに認識をしております。
○有田芳生君 よくこの問題、議論しますと、定義がないという言い方をします。例えば、私の個人的な経験でいうと、オウム真理教についての裁判のときに裁判官などが、マインドコントロールというようなことの定義はないんだということをしばしば繰り返しました。でも、これは全く事実と違って、確定した定義はなくたって一般的な了解はあるわけですよ。 このヘイトスピーチについてだって、日本政府が加入をした国連の人種差別撤廃条約、明白な規定はあるわけですよ。あるいは、もう少し細かく言えば、例えば分かりやすく言うと人種差別撤廃委員会の一般的勧告三十五、これは二〇一三年に出たものですけれども、そこには、ヘイトスピーチというのは人間の尊厳と平等を否定するものである、そういう規定があるわけなんです。だから、これは定義というものをもっともっと一般的なものにしていかなければいけませんけれども。 平べったく言うと、例えば京都朝鮮学校襲撃事件、もう最高裁も大阪高裁の判決を確定しましたけれども、京都朝鮮学校襲撃事件で攻撃を受けたお父さん、お母さん、子供たち、今でもですよ、今でもつらい思いをしているのは何かというと、子供たちがお父さん、お母さんに、朝鮮人って悪いことなのと、そう聞かれる、それが一番つらいと。あるいは、関西の在日韓国人の方は、毎週日曜日になると、子供たちを連れて買物に行くときにインターネットを調べて、今日、差別扇動の集会、デモがあるかというのを調べるんですよ。そして、そこに子供が遭遇しないような、そういう日常生活を送っている。私たち日本人、そんなことありませんよ。やはり、同じ社会に暮らしていて、同じ社会的な交流をして、心配なく日常生活を行うことができるということが人間の尊厳だと思います。 一九六四年にアメリカで公民権法、人種差別法が制定されました。そのとき、当時のリンドン・ジョンソン大統領が、子供たちの前で侮辱されない権利があるんだと、そういう言葉を発しましたけれども、それが人間の尊厳であり、ヘイトスピーチがそれを損なうものなんです。だからこそ、新しい法律というのを私たちは考えていかなければいけないというふうに思っております。 そこで、内閣法制局にお聞きをしたいと思います。基本法というのはどういうものなのでしょうか。
○政府参考人(岩尾信行君) お答えいたします。 法律の題名ですが、○○基本法の名称を持つ法律は現時点では五十本近くあると承知しております。一般的に、このような基本法は、国政に重要なウエートを占める分野につきまして、国の制度、政策等の基本方針を明示する法律が通例であります。そして、その特徴としては、いわゆるプログラム規定で構成されるものが多く、基本法に示された方針に基づきまして、政策実現のための個別法が制定されることが多いといった点が挙げられるところでございます。
○有田芳生君 今五十本という数字を出してくださいましたけれども、例えば障害者権利条約批准のときには、これは二〇一四年ですけれども、その前に障害者基本法というのがもうできていたんだけれども、障害者権利条約を批准するときに、やっぱり抜本的に中身を変えなければいけないというような経過をたどりました。 やはり、今日皆さんにお聞きをした人種差別の問題にしても、繰り返しになりますけれども、人種差別撤廃条約に日本が加入をしてからもう二十年もたっているのに多くの人たちが苦しんでいる現状がある。だから、この基本法がないことがやはりおかしいのであって、少なくともあの人種差別撤廃条約に加入したときに整備すべきだったと私は強く思っておりますので、今後、この基本法についても皆さんとともに議論を進めていきたいということをお伝えをいたしまして、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。 今日もDVをめぐる問題について伺っていきたいと思っております。 DV被害に対応している現場というのは一体どんな実情になっているのかということをちょっと調べてみたいというふうに思いまして、先日、東京青山にあります東京ウィメンズプラザというところを訪ねてみました。お手元の資料を見ていただきたいんですが、写真が二つあります。上の写真です。 この東京ウィメンズプラザというのは、女性の被害、特にDVなどの被害相談だけでなくて、男女共同参画の事業、それから様々な相談事業などをやっております東京都の施設ということなんです。御覧のように、青山にあるということで青山らしいちょっとおしゃれで小ぎれいなビルでして、東京ウィメンズプラザというから、何をやっているのかな、ちょっと入ってみたいなという気を起こさせるような、そんな雰囲気を持ったビルでした。男女共同参画ということなんでしょうけれども、女性だけでなくて、こちらでは男性のための悩み相談ということも行っているということを伺いました。 それからもう一つ、下の写真を見ていただきたいんですが、これはそのプラザにありましたポスターなんですが、DV防止を呼びかけるポスターということなんですね。漫画の絵で、お母さんと子供が描かれています。DVというのは配偶者に対する暴力ということなんですけれども、やはり家族が巻き込まれてしまうという、そういう意識で取り組んでいるという話をこのプラザの担当の方から伺いました。それでこういう防止のポスターを作って呼びかけているということなんです。 そこで伺った話、DV被害の相談、このプラザでは年間で五千件くらい、もうかなりの数ですね。これ、単純にちょっと日割りをしてみますと、一日平均十数件くらいあるのかなという感じがするんですが、やはり最近、ほかの統計でも分かるように、増えているということなんですね。この相談の結果を一か月ごとに内閣府の方へ報告をしていますということでした。このプラザでは、相談に来たDV被害の方のお話を聞くために相談カードというのがあって、そのカード、被害を聴き取って、そして、その中から内閣府の方から要望のあった項目を報告しておりますというお話を伺いました。 そこで、まず伺いたいんですけれども、内閣府の統計の中に、先日伺ったところによると、DV被害者に子供がいるかどうかという統計はないというお答えをいただいたんですけれども、この窓口、現場では、相談の事例で子供がいるかどうかというふうなことを含めて、そういう報告を、項目を欲しいということで求めているのかどうかということを伺いたいと思います。
○政府参考人(久保田治君) 各相談センターの相談受付の段階におきまして、子供がいるかどうかについて可能な限り把握いただくように努めておりますが、網羅的に全ての相談案件で子供がいるかどうかを確認できていない状況でございます。 また、委員御指摘の、内閣府の方からそういう項目を設けているかということについては、現段階では設けておりません。
○真山勇一君 この東京ウィメンズプラザの相談の窓口で伺いましたら、カードの質問の中に、私も見せていただきましたけど、子供がいますか、いませんかという、そういう設問がありました。設けているんですね。ですから、もし内閣府の方から要望なり希望があれば、それは出せますというお答えでした。 何で子供を相談の中に入れているかというと、大体DV被害者の相談に来た人の八割方、これは相談員の方の感覚と言っていましたけれども、八割方がやっぱり子供がいるんだそうです。これは、なぜ子供がいるかいないかの質問があるかというと、母親へのDVというのはやはり子供へのDVになる可能性がある。これはいわゆる面前DVと言われているわけですね。ですから、母親が夫からDVを受けていれば、当然、子供はその前でそういう状況を見ていれば、それは面前DV。これはDVなんですね。それが起きている。それからもう一つは、児童に対する虐待があったときに、やはり母親は止めようとする、止めようとした母親に対して父親は暴力を振るう、これもDVですね。 ですから、やっぱり、DVというのは配偶者に対する暴力というんですけれども、家庭の中に子供がいた場合は子供が巻き込まれる、そういう可能性は十分高いと。だから、子供がいるかいないかということもDVの現状を知るためには大変重要な要素であるということで、これも含めて調査をしておりますと。大変分かりやすい、もっともだなというお答えなんですね。 ですから、やっぱりこれが、要するにDVを、何というんですか、対応している現場の本当の感覚じゃないかなというふうに思っております。先ほどポスターもありましたように、DVというのは、子供も一体で家庭というものを捉えているのが必然であると、私もやっぱりそのとき思いました。 ですから、せっかく現場でそういう統計取っているわけですから、やはりそういうことも吸収していくという、それも必要ではないかなというふうに思っているんです。 こうしたことで、夫から例えばDVの被害を受けて、そこから逃れたいということになると、大抵、子供がいる場合は母親と子供ということで緊急避難をしてくる。これが八割も答えているということは、やっぱり多いわけですね。 いわゆる一人親世帯になってしまうということがあるわけなんですけれども、もう一つ重ねてお伺いしたいんですが、それでは、一人親世帯になった理由というのはいろいろあると思うんですね。その中に、やはりこれだけDVというのが増えていれば、一人親世帯になる一つの理由としてDVということも十分考えられるわけですけれども、一人親世帯という調査の中で、DVが一人親世帯になった理由だというような、そういうような調査あるいは統計というのはありますでしょうか。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。 厚生労働省におきましては、一人親世帯の生活実態を把握するため、おおむね五年ごとに全国の母子世帯等調査を実施しております。この調査におきましては、一人親世帯になった理由として、死別ですとか離婚あるいは未婚等の状況について把握しておりますけれども、その原因がDVであるかどうかについては把握しておりません。
○真山勇一君 確かに、私の方も厚生労働省のホームページをちょっと見てみましたら、母子世帯になった理由ということで、死別、離婚、未婚の母というような分類がありますが、DVが理由ということはないんですね。 ただ、今の社会を見ていますと、このDV、これだけたくさん、実際に本当に増えているということはもうこれは現実なわけで、一人親世帯あるいは母子家庭というのがどういう原因で出てきたということをやはり一つ踏まえる意味でも、DVが理由になっているということもやはり調べてこれからいくべきではないかなというふうに思うんですけれども、その辺りはどんなふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。 DV被害者は、特に加害者に居場所ですとかを知られたくないという、そういう御希望も多々ございます。そういう意味で、個々の世帯を対象とした調査の実施につきましては、そういった被害者本人の意向ですとかその用途を十分考慮しながら、慎重な検討が必要であろうと思っております。
○真山勇一君 そうですね、被害者の方のプライバシーというか、それが加害者の方へ伝わってしまう、知れてしまうということはやはり避けなければならないことなので、その辺の要するに調査とか資料を作るということは慎重にやらなくちゃいけないと思うんですけれども。総合的に数を集めて出すという部分についてはそれほど、そういうことも難しいことではないと思うし、やはり家族とか家庭の在り方というのは今大きく変わっているわけですから、それに合わせたこういう調査の仕方、統計の取り方というのをしていかないと、結局、DVの一時的なところに対応はできても、じゃ、その後、それを解決するための何か指標になる、基本になるというものがこれではなかなか見えてこないんじゃないかなという気を、私は今回の現場のお話の中から感じました。 もう一つ、さらに、DV被害があったら、その後、緊急避難として、一時避難場所ということでシェルターに親子が避難をするわけですね。このシェルターも、ですから単身者用というのと親子用という二つあるそうですね。つまり、親子で避難するということがあるわけですよ。この東京ウィメンズプラザは、相談センターと違うんで、直接シェルターを持っていないというふうに伺いました。これは、シェルターに入る場合は相談センターに移して、そしてそちらで行ってもらうということなんですけれども、当然、このシェルター、どこにあるのか私はちょっと気になったんで伺ったら、これはやはり加害者の方からいろいろ追跡されると困るので、それは申し上げられませんと言いました。ちゃんと、そういうことはきちっと現場では秘密を守ってくれているなという、そういう思いがしました。 ですから、シェルターも親子用がちゃんとあるんだし、そして、現実に今、DV被害が増えているということを反映して、シェルターが足りないんだそうですね。それで、民間のボランティアのそういう施設もあるんですが、これも協力を仰いでやってもらっているが運営が大変厳しいと、そういうことで取りやめてしまうケースもあって、DVシェルターは不足しているというような今状況だということを伺ったんですが、このDVシェルターが現在どういうふうになっているのかという、その現状の把握というのはなさっているでしょうか。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。 配偶者暴力防止法におきましては、婦人相談所又はその委託した施設におきまして、配偶者暴力の被害者及びその家族の一時保護を行うこととされております。この婦人相談所につきましては厚生労働省が所管しておりまして、婦人相談所における一時保護数は、厚生労働省の調査によりますと、平成二十五年度におきまして一万一千六百二十三件と承知しております。 こういった法律の体系に基づくものにつきましては統計が取られておりますが、民間で独自に活動されている部分については把握しておらないところでございます。
○真山勇一君 実際にDV防止法の関係で女性の保護などをやっている内閣府の方ではどうなんでしょう、こういうことについての把握というのはなさっていますか。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。 配偶者暴力防止法の体系の中で内閣府は全体を取りまとめるという役割を担っておりますが、各制度の所管につきましては各省庁がそれぞれ分担して役割を果たすというしつらえになっておりますので、それぞれの、例えば一時保護であれば厚生労働省の方で所管いただいていると理解しております。
○真山勇一君 やはり感じるのは、こういうDVの問題それから家族の問題などというのは、省庁別で縦割りじゃなくて、やはりそれを超えたところで取り扱っていかないといけないケースが、そういうことが増えているんじゃないかなという、そういう印象を受けました。現場でも相談員の方なんかは、そうしたお話をしていますと、やはり縦割りではもう対応し切れない部分がありますと。ですから、そういうものをどうやって総合的に捉えていくかということも考える必要があるんではないかというような、私もそういうことを感じました。 やはり最初の被害から保護するということ、これはもう物すごく大事なことで、ただ、それをやった後ですね、やっぱり別れっ放し、家族をばらばらにさせっ放しじゃなくて、その後。やはり今母子家庭が増えているということもありますので、そうすると、例えばさらにそこから貧困の問題なんかもあるんで、やはりこうした辺りの統計とか調査の仕方も、これからやっていくべき問題がこのDVの中には含まれているんじゃないかなという、そんな思いを今回現場の声を聞いて私は感じましたので、是非そういう対応をこれからもできればやっていっていただきたいというふうに思っております。 それから、まだちょっと時間がございますので、あともう一つ、先日からお伺いしてちょっと残っている質問をさせていただきたいんですが、今度は加害者側の方の話なんですけれども。 やはり被害を受けてどうしても加害者側から身を隠したいということで、例の住所の非開示というのが地方自治体の窓口でありますね。非開示になった場合、やはり何とかして、DVは反省して何とか修復したいとか、理由はいろいろあるんでしょうけれども、そういうことで、現在、自分の配偶者がどこにいるのか、子供に会いたいんだけれどもどこにいるのかみたいなことで、住所を探したいというときに、言ってもなかなかそれがかなわないと、拒否され続けてくるということが、地方自治体の市民課というところだと思うんですが、そこの窓口であります。 先日の伺った話ですと、その窓口での住所非開示の問題について、不服があったりあるいは何とか改善したいというときに、行政不服審査法、これが改正されて新しいシステム、新しい制度になるということで、窓口が市町村長のところへ一本化されて、そして不服申出があった場合には、審理員ということと、それから不服申立て審査会という二つの、こういう新しいこれ仕組みだと思うんですが、こういうものができるというふうに先日伺いました。 行政不服審査法というのは、これ改正されたのが去年の六月の十三日、ちょうどもう一年ですね。二年以内に施行ということなんで、もう間もなく、そろそろいろいろ準備されていると思うんですが、この審理員というのと不服申立て審査会というのは新しい仕組みだと思うので、地方自治体の窓口にできるものだというふうに理解しているんですが、例えば人選とか、そしてその役割というのはどういうものなのかということを伺いたいと思うんです。
○政府参考人(長屋聡君) お答え申し上げます。 ただいま委員から紹介ありました改正行政不服審査法におきましては、審理、裁決の公正性を高めるためということで、審査庁が指名する審理員が審査請求の内容について審理を行うということと、審査庁が裁決する際には、審査会、いわゆる第三者機関に諮問するということにされております。 審理員につきましては、審査庁に所属する職員のうち、除斥事由に該当しない者から指名するとなっておりまして、審査請求人や処分庁の主張の聴取など審理手続を自らの名において行うということで、その結果を意見書にまとめまして審査庁に提出するということを役割としてございます。 また、審査会、第三者機関の方につきましては、こちらは外部有識者から構成される合議体でございまして、審査庁が裁決を行うに当たって、あらかじめ審理員が行った審理手続の適正性とか、法令解釈を含めた審査庁の判断が妥当かどうかと、こういったことをチェックすることを役割としているものでございます。 それで、このような審理員、第三者機関の具体的な人選につきましては、こういった、今申し上げました制度の趣旨、役割を十分踏まえた上で適材が任命されるというように考えているものでございます。
○真山勇一君 やっぱり新しい制度で、今伺って分かるところもあるんですが、まだこの辺はどうなのかなというちょっと曖昧な感じのところも受けるんですけれども、実は、先日、これも地方自治体の窓口へ行って聞いたら、この新しい制度始まるということは聞いているけれども、一体どういうふうなやり方でやったらいいのか大変現場の窓口は不安も感じていると率直な意見を言っていたんですね。 その辺り、現場、不安を感じているということに対しての、この新しいシステム、本当に運用できるかどうか、その辺りはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○政府参考人(長屋聡君) 五十年ぶりの改正でございまして、大改正成立いたしまして、今、施行に向けた準備、本省の方でもやっておりますけれども、地方自治体の方でも施行しなければいけないということで、本省の方から各自治体に声を掛けまして、希望する自治体には研修会、これはもう何百団体の参加を得てやっておりますし、個別に希望があればこちらから出向いて説明に伺うとかやってございます。 今、規定類の整備をしているところでございまして、このようなものがまたできましたら、できるだけ速やかに、かつ十分な説明をした上で円滑な施行に努めていきたいと思っております。
○真山勇一君 時間が参りましたので、先ほどの東京ウィメンズプラザの件もありますけれども、やはり現場で声を聞くと、本当に現場の人たちは、DV被害を何とかして防がなくちゃいけないし、その後の例えば別れてしまった配偶者とか子供のことも考えていかなければならない、そうした大きな問題点を非常に強く認識しながら大変熱意を持ってこの問題に当たっているという私は印象を受けました。そういう意味でも、こうした運用のシステムというのをやはり積極的に現実に合わせて変えていくということをこれからも是非やっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 私、今日は、五月二十一日に続いて、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチ根絶への政治の責任についてお尋ねしたいと思います。 前回の質疑で、九一年の海部首相の在日韓国人問題に関するメッセージ、あるいは九五年の村山談話を経て、一九九八年の小渕恵三総理と金大中大統領との日韓共同宣言を御紹介をいたしました。この日韓共同宣言では、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的な事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのおわびを述べたという小渕総理の立場を始めとして、これを機に両国間の関係を発展させようというメッセージが確認をされ、在日韓国人が両国国民の相互交流、相互理解のための懸け橋であると、そうした宣言が高らかにされたわけです。 こうした立場を言葉だけでなく行動に示していくこと、日本の政治全体の中で貫いていくことが政治の責任ではないか、先ほども有田議員から御指摘のあった現に起こっているヘイトスピーチは、この歴史的な到達に対する逆流なのであって許されないという私の問いに、大臣も、歴史的な経緯を踏まえた上で、日韓両国の中での取決めが様々な形で行われ今がある、それゆえに、その意味で排斥するというような言葉につきましてはこれは許されることではないという御趣旨の御答弁をなされました。 そこで、今日は、この在日朝鮮人の法的地位の歴史的な経緯について少し概観したいと思うんです。 一九一〇年の韓国併合で、朝鮮人は、自らの意思とは関わりなく、日本国籍を持つ帝国国民として扱われるようになったわけですね。戦後どうかと。まず行われたのは、四五年の十二月に参政権を停止をしたことです。そして、四七年の五月に外国人登録令が出され、台湾人及び朝鮮人は当分の間これを外国人とみなすというふうな勅令が出て、以来、外国人登録証の携帯、提示を強制され、これがその後、指紋押捺の強制になっていくわけですね。そして、五二年の四月に国籍が一斉に剥奪をされました。それが民事局、当時法務府ですけれども、民事局通達として五二年四月十九日に出された通達を根拠にして行われたわけですが、そこで、民事局長、このような内容の通達を定めた理由は何でしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘の通達は、日本国との平和条約の発効によって朝鮮に属すべき人の日本国籍が喪失したという旨の解釈を明らかにしたものでございます。 平和条約は、その第二条の(a)項において、日本国は、朝鮮の独立を承認して、朝鮮に対する全ての権利を放棄すると規定しているところですけれども、この規定は、日本が朝鮮に属すべき人に対する主権、いわゆる対人主権ですね、これを放棄したことを意味しますので、平和条約の発効によって、その当然の法的な効果として、朝鮮に属すべき人は日本の国籍を喪失したものと解釈されます。こういう解釈を明らかにしたのが御指摘の通達でございまして、この解釈は昭和三十六年四月五日の最高裁判所の大法廷判決でも確認されているところでございます。
○仁比聡平君 今御紹介のあった平和条約の文理そのものから直ちに一義的に民事局長通達が書かれているかというと、これはそうではないんですね。解釈を明らかにしたと今局長がおっしゃったように、これはこの平和条約の条項をどう解釈するのかという解釈があって、それをこの通達に示しているわけですが、その民事局が平和条約の解釈権限があるはずがない。 であれば、例えば外務省を始めとして他省庁と協議をした記録はあるのかと、その理由を私、以前から問い合わせていたんですが、五月一日付けで民事局から紙で御返事をいただいて、具体的な記録については確認した限りではいずれも存在しないという、そういうお答えをいただいていますが、局長、そのとおりですか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 大臣、この民事局通達というのは、自分の意思によらずに日本国民と、帝国国民とされた人たちの国籍を一斉に今度は剥奪するということなわけですよ。残りたいなら帰化をしろと。その帰化に当たっても、かつて帝国国民、臣民たることを強制したこと、つまり日本国民であったこと、あるいは日本国籍を失ったことを特別に配慮することもしないというふうになっているわけですね。 これ、一旦外国人にして、様々な排除や選別もその後ことごとく国籍が持ち出されることによって正当化されていくという法的な枠組みがここでつくられたわけですが、その通達の根拠を示す記録が存在しないというのは無責任だとは思われませんか。大臣。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま民事局長から御答弁をいたしたところでございますが、まさにサンフランシスコ平和条約の発効によって生じたこの日本国籍の喪失ということについて、この御指摘いただいた通達そのものは平和条約の解釈を明らかにしたものということでございます。 重ねての御質問で、その関係の文書についてはということでございまして、それにつきましては確認をしたということで私も報告を受けているところでありますが、その限りの中ではそれに係る文書については存在をしていないと、こうした状況でございます。 その中での判断ということでありますが、まさにこの通達そのものは平和条約の解釈を明らかにしたものということでございます。
○仁比聡平君 納得いきませんけれども。 むしろ、平和条約に至る戦後の日本政府の態度は、在日朝鮮人やあるいは台湾人の国籍選択の自由を前提にしていると思われるんですね。 選挙権を停止する、そのときの国会で、堀切内務大臣が、これまでの例によれば、内地に在留している朝鮮人、台湾人に対しては、日本国籍を選択し得るということになるのが例であって、今度も恐らくそういうことになるのではないでしょうかと。長く日本に親しみ、全く内地人と何ら差別なく、また今後どういう変化が起こってもやはり日本の国籍を選択してそのままでいこうという多数の朝鮮人、台湾人があるであろうということを私どもも認めているのでありますというふうに答弁をしているわけです。 今日、外務省においでいただいていますが、四九年の十二月二十一日、当時の川村政府委員が、国籍は銘々の希望に沿うだろうとは思いますが、これはまだ平和条約が決定しなければ見通しははっきりしませんという趣旨の答弁をしていますが、この国籍は銘々の希望に沿うだろうという答弁の根拠は何でしょうか。
○政府参考人(吉田朋之君) 今委員お尋ねのございました一九四九年十二月二十一日の答弁でございますが、これは衆議院外務委員会におきます佐々木議員と川村外務政務次官のやり取りだと承知いたします。 この答弁は、平和条約の準備の段階、過程においてなされたものでございまして、その答弁の中で、朝鮮人等の国籍の扱いについては平和条約で確定されるものとの認識を前提とした上で御指摘のような答弁、やり取りがなされておると承知しております。 その根拠についてお尋ねがございましたけれども、これはあくまで、もう数十年も前のことでございますので確たることはよく分かりませんけれども、そういうことでは推測の域を出ませんが、その後の一九五一年十一月五日の参議院平和条約及び安全保障条約特別委員会におきまして、当時、西村条約局長が、日本に相当数の朝鮮人諸君が住んでおられます、これらの諸君のために、特に日本人としていたい希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけであります、その点を研究いたしました結果、今日の国籍法による帰化の方式がございますので、この帰化の方式によって十分在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しまして、特に国籍選択というような条項を設けることを要請しないこととしたわけでございますと述べておられます。 一九四九年から、先ほどの川村外務政務次官の答弁、四九年から五一年、今の西村局長答弁にかけて様々な検討が行われる過程で、政府内で一つの可能性として国籍法による帰化の方式について検討がされていたと推測されます。戻りまして、四九年十二月二十一日の外務政務次官の答弁は、その時点における見通し、見方を述べたものと承知します。
○仁比聡平君 いや、戦後、四五年、つまり終戦直後の時期、それから四九年の年末の時期には国籍選択の自由を前提にしているわけですよ。それは否定できない。 実際、他国の例を見ても、ドイツの敗戦によるオーストリアの独立に当たっては、旧西ドイツではドイツ国内に居住するオーストリア人に国籍選択権が認められました。イギリスからの新独立国の市民も外国人とは扱われませんでした。そういう国際法の様々な到達点の下で、とにかくこのときには国籍選択の可能性があることを前提にしていた。ところが、平和条約の審議に当たっての、今御紹介のあった五一年十一月五日のこの条約局長の答弁はそれを否定するわけです。 しかも、御紹介のあったように、日本政府として特に国籍選択というような条項を求めることを要請しないことにしたというふうに答弁しているんですが、これは日本側として求めなかったからこういう平和条約になっているという意味だと思うんですが、これは確認ですが、どうですか。
○政府参考人(吉田朋之君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、当時の答弁のやり取りを申し上げることしかございませんけれども、その西村条約局長は、当時、特別な条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけであります、その点を研究しました結果、国籍法による帰化の方式がございますので、この帰化の方式によって朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達したということで、国籍選択というような条項を設けることを要請しないこととしたわけでありますというふうに答弁しておられます。 平和条約におきましてその条項を入れなかったのは、一九五二年四月二十八日に発効したサンフランシスコ平和条約によって我が国は朝鮮独立を承認して、朝鮮の領土並びに朝鮮の方々に対する主権を放棄し、これに伴って在留朝鮮人の方々は日本国籍を喪失したというようなことで、従来から政府としては御説明、答弁してきている次第でございます。
○仁比聡平君 問いに答えないじゃないですか、質問時間も短いのに。私が聞いているのは、要請しないことにしたというから、それは日本側の意思でしょうと聞いているんですよ。 実際、その理由をうかがわせる答弁が、その委員会、五一年十月二十九日に、当時の吉田茂首相によって行われています。吉田総理は、もうはしょりますけど、何か騒動が起きると必ずその手先になって、そうして地方の騒擾その他に参加するという者も少なくない、いいのと悪いのと両方あると在日朝鮮人に対して根拠もない悪罵を投げ付けて、朝鮮人に災いを受ける半面もありまたいい面もある、政府としては朝鮮の将来の関係もありますが、特に朝鮮人に日本の国籍を与えるについてもよほど考えなければならぬ、密貿易であるとか密造であるとか、あるいは泥棒であるとか、いろいろな問題が朝鮮人に関して紛糾した状態で起こっているなどという答弁をしているんですね。 帰化というのは、つまり日本国家が、自分の意思で国籍を選択するといいますか、相手を日本国民にできるかどうか決めるというわけでしょう。それ、法務大臣ということになるわけじゃないですか。吉田総理は、そういう理由と私は思うけれども、その委員会で述べているわけですよ。 そういう理由から日本国として在日朝鮮人の国籍選択は認めないと、そういう意思だったということなんじゃないんですか、外務省。
○政府参考人(吉田朋之君) 当時のやり取りにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、数十年前のやり取りでございますので、それ以外に何かその背景として何らかのことを示すものがあったのかどうかについては定かではございません。 繰り返しになりますけれども、一九五一年十一月五日の条約局長答弁では、委員御指摘のとおり、国籍選択というような条項を設けることを要請しないことにしたわけでありますというふうに言っておりますので、それ以上でもそれ以下でもないだろうと思います。
○仁比聡平君 何ではっきり言わないんですか。それ以上でもそれ以下でもないって、そう言っているんだから日本国側の意思でしょうと。外務省が何でそんなことを認められない。外交交渉、それでできるんですか。日本側の意思なのか違うのか、私、それはっきりさせなきゃいけないと思いますよ。 外務省、お尋ねしますが、この吉田当時総理の答弁を、もっと分かりやすくその意味を述べたと私は思うんですが、マッカーサー宛ての手紙というのが、恐らく四九年の八月末から九月初旬に書かれたと推定されるものがあります。 ここでは、朝鮮人居住者の問題に関してはというくだりで、彼らは総数百万人に近く、その半数は不法入国であります、大多数の朝鮮人は日本経済の復興に全く貢献しておりません、更に悪いことには、犯罪分子が大きな割合を占め、共産主義者並びにそのシンパで、最も悪辣な種類の政治犯罪を犯す傾向が強く、常時七千名以上が獄中にいるという状態にありますなどと事実誤認と民族的偏見に満ちた手紙を、述べて、その結論は、だから原則本国に送還すべきだと。在留を希望する朝鮮人は日本政府の許可を受けなければならない、許可は日本の経済復興に貢献する能力を有すると思われる朝鮮人のみに与えられるんだ、そういう仕組みにすべきだ、それだったら私はお金を出すと、そういう手紙になっているわけですよ。 そういう手紙ありますよね。この委員会に提出いただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(下川眞樹太君) 今委員から御指摘のありました、吉田総理がマッカーサー連合国軍最高司令官に宛てたとされる書簡につきましては、様々な文献で紹介されていることは承知しておりますが、政府として、その書簡につきまして現時点で確認できていないところでございます。
○仁比聡平君 私は、在日朝鮮人の法的地位の戦後の出発点に関わる極めて重要な文書だと思います。この委員会で繰り返し議論されているヘイトスピーチの根絶に向けての政治の責任をはっきりさせるためにも、この委員会への提出を理事会で是非協議をいただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
○委員長(魚住裕一郎君) 理事会で協議をいたします。 仁比君、時間です。
○仁比聡平君 時間が来てしまいました。 本当はこれを前提に、こうしたヘイトスピーチの論理として、今、在特会などが主張している問題が、戦後の日本政治の中でも抱えられてきた極めて重大な政治問題の逆流なんではないのか、それと同じ論理が使われているのではないのか。これを根絶するために、法務大臣始め私たち政治家の重い責任が問われているということを引き続き議論していきたいと思います。 今日は終わります。
○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。 今日は、司法制度改革について幾つか質問させていただきたいと思います。 先月、新聞を見ていますと、司法試験合格千五百人に、目標半減という記事がありました。そこで、平成二十六年度の司法試験受験者数八千十五人に対し、合格者数は千八百十人、平均年齢は二十八・二歳とのことであります。政府が二〇〇二年三月に閣議決定した司法制度改革推進計画において、新司法試験の合格者数を二〇一〇年頃に三千人程度とすることを目指すとしていたことを踏まえると、それだけの数の人材が毎年新たに法曹界に入ってくることを想定されて人員計画を立てておられたと推測します。 この目標自体は二〇一三年七月に撤回されましたが、先月、政府は司法試験の合格者数を年千五百人以上とする案をまとめ、七月、来月の十五日までですか、法曹養成制度改革推進会議で政府方針として正式決定する見通しとのことであります。二〇〇二年の司法制度改革推進計画から大きく転換することとなり、三千人という当初のもくろみからすると半減したわけであります。 そこで、この千五百人という合格者数は、合格者の人数を確保したいから人数ありきであって、その人数までは質については不問にするという誤解も招くおそれもあるし、今の方針ではとにかく千五百人以上の合格者を出す、それが第一目的になっているような気もするわけであります。 そこで、合格者数を千五百人以上とした根拠は何か、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(大塲亮太郎君) 法曹人口の在り方につきましては、私たちの法曹養成制度改革推進室が検討結果取りまとめ案を作成いたしまして、五月二十一日の法曹養成制度顧問会議にお示ししたところであります。 司法試験合格者数の目標を三千人としていた関係でありますけれども、平成十三年の司法制度改革審議会におきまして、我が国の法曹人口が先進諸国との比較において社会の法的需要に現に十分対応できていない状況にあり、今後の法的需要の増大をも併せ考えると、法曹人口の大幅な増加が急務であるという指摘がなされております。 この課題に対処するために、政府は、当面の目標として、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備状況等を見定めながら、平成二十二年頃には司法試験合格者を年間三千人とすることを目指すべきであるとしたわけであります。 今回の取りまとめ案では、調査により判明した法的需要の状況や弁護士の活動状況に照らしますと、法曹人口は全体として今後も増加させていくことが相当であるとした上で、これまで年間二千百人から千八百人程度の規模の司法試験合格者を輩出している点につきましては、現状において新たに法曹となる資格を得た者のうちの多くの者が、社会における法的需要に対応した活動の場を得ているという点で一定の相当性を認めることはできるとしております。 他方で、法曹養成制度の実情、法曹志願者の減少等の諸事情に照らせば、現行の法曹養成制度を実施する以前の司法試験合格者数である年間千五百人程度の規模にまで縮小する事態を想定せざるを得ず、あるいはそれを下回る事態に陥ることにもなりかねないという危機感を示しております。 その上で、質、量共に豊かな法曹を輩出し、全国あまねく法の支配を及ぼすという法曹養成制度の理念に照らしまして、今後も法曹養成制度の改革を進めて新たな法曹を年間千五百人程度は輩出できるよう、さらにはこれにとどまることなく、より多くの質の高い法曹を輩出できるよう関係者各々が最善を尽くすべきであるとしておるところであります。 質の点でありますけれども、この取りまとめにもあるんですけれども、司法制度改革においては、司法制度を支える人的基盤として、質、量共に豊かなプロフェッションとしての法曹を確保するとされておりますので、私たち推進室が作成した取りまとめ案におきましても、新たに養成し、輩出される法曹の規模に関するこの取りまとめは、法曹養成制度が法曹の質を確保しつつ多くの法曹を養成することを目的としていることに鑑み、輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものではないことに留意する必要があるとしているところであります。
○田中茂君 人数千五百人の根拠というのがもう一つ分からないんですが、その千五百人、司法制度改革以前の数字が、大体数字がそのぐらいだということですが、そうなると、一体司法制度改革というのは何のためにやったのか分からなくなるんですが。 次の質問として、二〇〇二年の司法試験合格者数三千人計画と、あと二〇〇四年の法科大学院の開設、二〇〇六年の新司法試験の開始も、当然ながら司法制度改革の一環であったはずであります。それが三千人の当初目標から千五百人では、当然、法科大学院にも、その後の新司法試験にもいろんな影響が出てくると思います。 少々見通しが狂ったというレベルでは当然ないと思っております。たった十年のうちになぜこれほどまでに方針が変わるのか、当初の計画に無理があったのか、何か別の理由があるのか、その背景について説明をお願いいたします。
○政府参考人(大塲亮太郎君) 確かに旧司法試験の制度の下でも千五百人弱の司法試験合格者数が出ていたことは委員御指摘のとおりでありますけれども、推進室が作成した取りまとめ案では、今後も法曹養成制度の改革を進めて新たな法曹を年間千五百人程度を輩出できるよう、さらにこれにとどまることなく、より多くの質の高い法曹を輩出できるよう関係者各々が最善を尽くすべきであるという立場を示しておりますが、御指摘のとおり、三千人という当初の目標は達成できていなかったということはありますので、二年前の平成二十五年の関係閣僚会議決定で、その三千人というのは事実上撤回して、新たに法曹人口というのを調査せよという宿題をいただいたので、今回、その結果を取りまとめたということであります。 その意味では、千五百人程度は旧試験制度の下で輩出していたわけでありますけれども、更に法曹人口を拡大するためには、それまでの言わば司法試験、一発の試験で法曹を選んでいくのではなくて、プロセスとしての法科大学院を中核とした法曹養成制度を導入することによってより多くの法曹を輩出できると、こういう構想で来たわけでありますが、実際のところ三千人には届かなかったというところであります。
○田中茂君 まず、この司法制度改革の趣旨なんですが、法曹人口の増加と多様な人材を確保することであると、国民にとって頼りがいのある迅速な判決、権利の実現を期待できる、すなわち、質、量共に豊かな法曹、国民に身近で利用しやすい司法という理念であったわけであります。その基本が瓦解したわけでありますので、司法制度改革そのものへの信頼性が失墜する可能性もあると思っております。 そこで、関連した質問なんですが、司法試験予備試験に関してお聞きしたいと思います。 この司法試験予備試験について、二〇一一年から法科大学院を修了しなくても司法試験受験資格を与える予備試験が実施されておりますが、なぜこのように二つの道を設けることにしたのか、その目的をまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大塲亮太郎君) 司法試験の予備試験、司法試験予備試験といいますけれども、これは経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由によりまして法科大学院を経由しない人にも法曹となろうとする道が確保されるように設けられた試験であります。 〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
○田中茂君 二〇一四年には予備試験の受験志願数が法科大学院の志願者数を上回る状態でありますが、合格率は極めて低く、予備試験に合格できず法科大学院に入っているとも聞いております。 そこで、先ほどおっしゃっていましたが、経済的な理由等で法科大学院へ進むことが困難な人にも司法試験の受験の道を確保すべきであると、そういう考え方は理解しております。その意味で、予備試験などの措置を講じることは否定しません。 しかし、現状の予備試験は受験資格に経済的困窮などの制限がありません。どちらが司法試験合格に有利かを比較して、先に予備試験を受験し、それに落ちたら法科大学院へ行くと、そういう学生もいるとも聞いております。それでは、経済的な理由等で法科大学院へ進むことが困難な人を想定した当初の目的とは全く違った現状が生まれているわけであります。 〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕 また、確かに法科大学院での学費はかなり掛かるのは事実ですが、最近の法科大学院の学生確保策として奨学金制度も充実しているとも聞いております。それを考えると、果たして経済的な理由等で予備試験という道を設けたことに意義があるのか、疑問に感じざるを得ないわけであります。 一定の受験資格制限をするなどの対策を講じないと、法科大学院の存在意義が薄れて、存続がますます厳しくなってしまうのではないかと思われますが、この件について御意見を聞かせてください。
○政府参考人(大塲亮太郎君) 予備試験は、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない人にも法曹となろうとする道が確保されるように設けられた試験であります。大学生や法科大学院生が多数受験し合格しているなど、本来の制度趣旨とは異なる状況が生じているのではないかという指摘があります。 その一方で、出願時の申告によりますと、毎年の予備試験の受験者の過半数を占める、無職、会社員、公務員等といった者につきましては、法科大学院に進学できない者あるいは法科大学院を経由しない者である可能性が認められまして、予備試験がこれらの者に法曹となろうとする道を確保するという本来の制度趣旨に沿った機能を果たしていると考えられます。 法曹養成制度改革推進室といたしましては、こうしたことを踏まえまして、法曹養成制度改革顧問会議の意見も聞きながら予備試験に関する方策の在り方について検討しているところでありまして、この検討結果は本年七月十五日の設置期限までに法曹養成制度改革推進会議へ報告し、同推進会議におきまして判断が出されるものと認識しております。
○田中茂君 その予備試験に関して、また法学部の学生の予備試験合格後、法科大学院には行かないで司法試験を目指す学生の増加というのもあるみたいですので、その点についてちょっとお聞かせいただきたいんですが。 法科大学院設置を打ち出した司法制度改革審議会意見書、平成十三年に出したやつなんですが、かつての司法試験の現状について、合格者数が徐々に増加しているにもかかわらず依然として受験競争が厳しい状態にあり、受験者の受験技術優先の傾向が顕著となってきたこと、司法試験における競争の激化により、学生が受験予備校に大幅に依存する傾向が著しくなり、ダブルスクール化、大学離れと言われる状況を招いており、法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼすに至っていると指摘し、質の高い法曹を養成するためにプロフェッショナルスクールとしての法科大学院の設立を提言したと、そう承知しております。 この提言を受け、文科省が発表した告示で、専門職大学院に関し必要な事項について定める件ということで、第五条、法科大学院の教育課程ということですが、第五条に四つほどあるんですが、法律基本科目、あと第二の法律実務基礎科目ということで、法曹としての技能及び責任その他の法律実務に関する基礎的な分野の科目をいうと、この二番が入っておるんですが、あと、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目、それぞれあると承知しております。 司法試験科目だけでなく、広く多様な科目を履修すべきことは法曹としての責任を受容するということにおいてはとても重要だと、そう思っております。しかし一方で、予備試験の合格者はこのような科目を履修せずに司法試験を受験することとなるわけであります。さらに、司法試験を目指す法学部学生は、大学在学中から、先ほど言いましたように、司法試験予備校の予備試験コースの特訓を受け、合格後は法科大学院に行かないで司法試験を受験する学生がいると、先ほど言ったように、聞いております。これでは、そもそも、法科大学院の志望者が減少し、法科大学院が目指した質の高い法曹養成が困難になってしまうのは明らかであります。 何らかの改革が必要と考えますが、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(義本博司君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、二十一世紀の司法を支えるふさわしい資質、能力を備えた人材を法科大学院を中核とするプロセスとしての養成により行うということが司法制度改革の基本的な考え方であるというふうに認識しておりますし、プロセスとしての法曹養成の理念をしっかり堅持していく観点からは、法科大学院の魅力を高めていく、その中で志願者の回復を図り、質の高い法曹を安定的に社会に送り出していくということが重要であると考えておるところでございます。 文科省におきましては、昨年十一月に法科大学院の強化と法曹養成の安定化に向けた総合的な改革方策を策定、公表し、今現在、改革に取り組んでおるところでございます。 具体的には、累積合格率を七割から八割を目指せるような定員規模の実現など、将来の見通しを持って法科大学院を志願できるようにするために、公的支援の見直しの更なる強化を最大限活用して入学定員の見直しなど組織見直しの促進を図っていく、あるいは海外のロースクールへの留学ですとか、地方自治体、企業との連携によって魅力ある教育プログラムを開発、実施するとか、さらには法学未修者教育の充実ですとか、進級判定のための共通到達度確認試験を導入するとか、あるいは累積合格率など客観的な指標を活用して認証評価を厳格にするなど教育の質の向上を図る、さらには早期卒業、飛び入学などの制度の活用ですとか、あるいは奨学金の充実を始めとして、時間的、経済的負担への対応など、誰もが法科大学院で学べる環境づくりというふうな観点から、平成二十七年度から平成三十年度までの期間を法科大学院改革の集中期間といたしまして抜本的な改革を実施することとしているところでございます。 文科省としましては、これらの取組を通じまして、引き続き、法科大学院に有為な人材が集まるよう、法科大学院教育の充実、改善に取り組んでいきたいと存じます。
○田中茂君 いろいろなことをやっていくということなんですが、現実的に予備試験合格者の司法試験合格率は六六・八%で、法科大学院修了生の合格率は僅か二一・二%であります。 それで、今回、司法制度改革の、先ほど言いましたように趣旨でありますが、質、量共に豊かな法曹、国民に身近で利用しやすい司法のための手段がどこに力点を置いているのか分からないわけでありまして、法学部を残し、予備試験もあると。何か全て中途半端に終わるのではないかという、ちょっとそういう危惧をするんですが。 そこで、最後に、法科大学院の在り方について質問したいと思います。 現在、二十七の法科大学院が数年以内に募集停止をすると発表しております。つまり、これまでに設立された法科大学院のほぼ三分の一が自ら撤退すると言い出しているわけであります。法科大学院の志願者数、入学者数、社会人数も全て減少傾向にあります。法科大学院発足当時は入学者の半数近くを占めていた、先ほどお話がちょっとありましたが、社会人、今は全体の二割程度で、人数そのものも減少しております。 法科大学院を修了し司法試験受験資格を得ても受験しないいわゆる受け控え率も、当初は四%にも満たなかったと。二〇一一年では二〇%を超えているわけでありますが、これは法科大学院を出ても三回以内で司法試験に合格しなければならないということでありましたが、去年からですか、これを五回にするということで、回数制限は撤廃されたと、そのように聞いております。 ただ、これ五回不合格になりもう一度法科大学院に行くとか、あるいは予備試験に合格すればまた受験資格が得られるということで、これでは以前問題になった、制度改革の原因となった、合格するまで延々受験し続けるという司法試験浪人と同じではとも考えるわけでありますが、前ほどはひどくはないと思いますが、そういうこともあり得ると。こうなる原因には、法科大学院の教育の質の低下も一因と言われております。 合格率の低下、さらに入学者の減少、経営難、教育の質の低下という負のスパイラルになっていると。そうならないような施策の一環だったとも思いますが、受験生の負担を減らすことは質の低下にもつながるわけでありまして、抜本的解決策にはならないのではないかと。今回の回数制限撤廃の効果がどれほどかは分かりませんが、それはびほう策にすぎず、このままでは早晩完全に立ち行かなくなる可能性もあると。 また、法科大学院を統廃合するという話もありますが、設立当初の設置基準をきちんとクリアして十年以上教育を続けてきた学校を国が強制的に廃止するのは、大学の自治や財産権を保障している憲法二十九条との関係で深刻な問題もはらむかと考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。
○田中茂君 それで、質問させていただきますが、このような状況下で法務省を始め法曹界も危機意識はお持ちだと思いますが、今後の法曹人材の育成という観点から、大臣の長期的展望をお伺いしたいと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、時間ですので、答弁は簡潔に願います。
○国務大臣(上川陽子君) はい。 司法制度改革の、先ほど委員、理念として掲げられておりました国民に身近で利用しやすく頼りがいのある司法の構築、そのためには、それを支える質の高い法曹が多数輩出されるような法曹養成制度となることが必要であると、ここの理念については今も変わらないというふうに思っております。 しかしながら、法曹養成制度そのものの中核となる法科大学院の修了者、先ほど御指摘のとおり、司法試験合格率が当初想定されていた水準に達していないということもございまして、そういう意味では、当初の目標というか構想が十分に実現していないと、ここについては大変大きな危機意識を持って取り組んでまいらなければいけないというふうに考えております。 経済、社会の情勢も大変大きく変化をしておりますし、またグローバルな、また高齢化の時代の中の司法ニーズということにつきましても、的確な法曹が、そして質の高い法曹が養成されなければいけないし、社会に輩出されなければいけないということでございますので、そうした意味で、期待をされる法曹養成の制度になるべく、魅力のある法曹養成に向けての改革は積極的に進めていくべきというふうに考えております。
○田中茂君 時間が来ましたのでこれで質問を終わりにしますが、国民の信頼が高くなるような是非とも司法制度改革へと進めていただきたいと、そう思っております。 ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午前十一時三十四分散会