財政金融委員会 第15号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2015/06/16
会議録
○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として蓮舫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に藤巻健史君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務大臣官房総括審議官迫田英典君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁岩田規久男君、同理事雨宮正佳君、同理事櫛田誠希君及び同理事武田知久君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。 我が国の景気は、緩やかな回復を続けています。企業部門では、輸出、生産が持ち直すとともに、収益は過去最高水準まで増加しています。その下で、前向きな投資スタンスが維持されており、設備投資は緩やかな増加基調にあります。家計部門については、今春の賃金改定交渉において、多くの企業で昨年を上回るベースアップを含む賃上げが実現する見通しとなるなど、雇用・所得環境の着実な改善が続いています。昨年秋以降慎重化していた消費者マインドも、このところ持ち直しの動きが明確になっています。これらを背景に、個人消費は底堅く推移しており、住宅投資にも持ち直しに向けた動きが見られています。このように、企業部門、家計部門共に、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと作用し続けています。先行きについても、景気は緩やかな回復を続けていくと考えられます。 こうした経済活動を支える我が国の金融環境は、緩和した状態にあります。企業の資金調達コストは低水準で推移し、企業から見た金融機関の貸出態度は改善傾向が続いています。銀行貸出残高は、中小企業向けも含めて緩やかに増加しています。 物価面を見ると、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見てゼロ%程度となっています。先行きは、エネルギー価格下落の影響から、当面ゼロ%程度で推移すると見ていますが、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇を背景に物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えています。二%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されますが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、二〇一六年度前半頃になると予想しています。その後は、平均的に見て、二%程度で推移すると見ています。 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。 日本銀行は、一昨年四月、二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために、量的・質的金融緩和を導入しました。さらに、昨年十月には、量的・質的金融緩和の拡大を決定しました。量的・質的金融緩和は、所期の効果を発揮しており、デフレマインドの転換は着実に進んでいます。 日本銀行は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続します。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う方針です。 ありがとうございました。
○委員長(古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○風間直樹君 よろしくお願いします。 今日は、前回に引き続いて、岩田副総裁と議論をさせていただきたいと思います。 最初に、日銀の国債の買入れ基準、一体どういう基準に基づいて現在買入れを行っているかということをお尋ねします。 配付資料の二枚目に日銀提出の資料を付けました。五月末現在の日銀が保有する国債の残高の資料であります。二年債から一番下の物価連動債まで保有残高が記されていて、その右側にそれぞれの銘柄をどの程度保有しているかというシェアが記されています。最後に加重平均の残存年数が記されています。 私、この日銀提出の資料を見てふと思ったんですが、各銘柄ごとの保有基準というのを日銀はどう定めて購入しているのかということが不思議なんです。例えば、ヨーロッパ中央銀行の場合、EU条約でマネタリーファイナンスが禁じられていますので、それを避けるために明確な買入れ基準を設けています。それは二つ、一つは発行体ごとに三三%、そして各銘柄ごとに二五%、こう明確にしています。 我が国の場合、将来、超過準備への付利の引上げが予想されますので、これを見通して、現在、国債買入れ基準を検討するのが当然だと思うんですが、現執行部、二〇一三年の四月四日現在のオペレーションを決定しました。その際、どのように買入れ基準の検討を行って買入れを開始したのか、お尋ねします。
○参考人(岩田規久男君) 量的・質的金融緩和の導入に際しましては、長期国債の買入れについては、イールドカーブ全体の金利の低下を促すという観点から、保有残高が年間約五十兆円に相当するペースで増加するように実施することを決定しました。また、長期国債の買入れ対象を四十年債を含む全ゾーンの国債とした上で、買入れの平均残存期間を、それ以前の三年程度から七年程度に延長することにしました。これは、導入時点ではこれが二%の物価安定の目標を実現するために必要かつ最も適切な施策であると判断したからであります。
○風間直樹君 ということは、各銘柄ごとに、長期国債であれば何年物という銘柄ごとにどの程度のシェアを保有すると、こういう基準は設けていないということですか。
○参考人(岩田規久男君) 長期、イールドカーブ全体を引き下げて名目金利を下げると、それによって金融緩和効果が出るわけですので、その金融緩和の効果の度合いが、今申し上げたような買い方をすることによって二%の物価安定の目標に達成するのに最適だということであります。
○風間直樹君 つまり、現在の日銀執行部の買入れ基準というのは、攻めの方針一方だということですね。守りの方針が全くない。先ほど申しましたように、ヨーロッパ中央銀行の場合は、マネタリーファイナンスを避けると、このEU条約の規定の下で先ほどの二つの条件を買入れ条件として明確に決めている。これが日銀の現執行部には欠落しているということですね。
○参考人(岩田規久男君) 量的・質的金融緩和の導入に際しましては、国債を買い入れていくのはあくまでも金融政策の目的、二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するために行うということで、財政ファイナンスということではないということを明記しております。
○風間直樹君 甚だ説得力に欠ける答弁でありまして、岩田さん、そんな答弁をしていて、マーケットが現在の日銀の国債買入れ、財政ファイナンスではないと納得しますか。とてもしませんよ。 マーケットに、今の日銀の国債購入によって現在の日銀の法定準備金が食い潰されることはないんだ、円の信認が毀損される、崩れることはないんだと、こういうメッセージを送ってほしいと思って私、今の質問をしたんですが、残念ながらそれに応える答弁はありません。 これでは、政府に対して日銀が財政基準を守れと幾ら言っても説得力がない。二倍、二倍と言って国債をどんどん買い入れる。大盤振る舞いじゃないですか。それで政府の背筋がちゃんと伸びますか。 基準がないというのは、支出の心配はしないでいい、任せてくれと、こう言うに等しいんじゃないですか。いかがですか。
○参考人(岩田規久男君) 国債を買っていく、まあ長期国債を中心ですけれども、買っていくのは、あくまでも二%の目標を達成するということ、それを安定的に達成するということであって、それが達成されたにもかかわらず、まだまだ財政再建を何か援助するために国債を買うというようなことはしないということであります。
○風間直樹君 配付資料の一枚目ですが、五月二十八日の日経新聞に、日銀が自己資本の積み増しを行っているという記事が出ました。これは財務の健全性を確保するためだと思うんですが、日銀の目的は何でしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 今回の量的・質的緩和は、従来の金融緩和政策とは違って、日銀の収益に非常に大きな振れが生ずるという可能性があると、そのことを踏まえて準備金の積み増しを行ったわけであります。
○風間直樹君 では、どのような場合に今おっしゃった振れが生ずる可能性があると考えていらっしゃいますか。
○参考人(岩田規久男君) それは、実際の市場の金利が、イールドカーブ全体がどういうふうに変化するかとか、そういったことにより影響し、それは日銀の金融政策だけでなく、海外の事情とかにもよりますが、そういったことで振れが生じやすくなっているということで、また、将来もいろいろな経済環境によって金融政策の変更もあり得るわけですので、そういう場合にどうしても収益が、これだけ大量に買うと振れるということであります。
○風間直樹君 先ほどの答弁と矛盾していませんか。さっきは長期国債の銘柄ごとに買入れ基準は設けていないとおっしゃった。今は、将来日銀の財務に振れが出る可能性があるとおっしゃっている。その理由を聞くと、うやむやむやと、はっきりおっしゃらない。こんなことで、日銀の現在の金融政策の運営、マーケットから信用を受けることができますか。 重ねてお尋ねしますが、私は日銀の財務体質がおかしくなる可能性は三つあると思っています。一つ目は、保有国債の利回りと超過準備への付利のバランスの結果、逆ざやが出るというケース、これが一つ目。二つ目は、現在日銀が保有する国債に含み損が出ていくケース。そして三つ目は、今、株を一生懸命購入されている、年間三兆円という目標で、この株に将来含み損が出るというケース。 岩田さん、日銀はこのどれを念頭に自己資本の積み増しをしているんですか。
○参考人(岩田規久男君) 先ほどの収益の振れについて説明が不十分だったということで付け加えますが、まず、今は量を拡大していますので収益は増加する局面にあります。しかし、次第にいつかは出口を迎えなきゃならないとすると、収益が減少するということで振れが生じるということであります。 以上ですが、あと御質問の趣旨は何だったでしょうか。その収益が振れるということと、あとは、出口でその収益が振れていくと、そういうことを全て、可能性は今検討をきちっとしながら金融政策を運営しております。(発言する者あり)
○委員長(古川俊治君) もう一度質問をしてください。よろしくお願いします。
○風間直樹君 質問をちゃんと聞いて答弁してください。もう一回答弁してください。
○委員長(古川俊治君) 質問をもう一度お願いできますか。(発言する者あり) ちょっと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(古川俊治君) 速記を起こしてください。
○参考人(岩田規久男君) 先ほど言った含み損のお話だと思いますが、それに関しては、日本銀行は、含み損益というのでは、償却原価法というのを国債の評価方法については使用しておりますので、それが評価損失として計上することはありません。
○風間直樹君 私は三つの可能性を挙げました。今おっしゃったのは保有国債に含み損が出るケースです。あとの二つ、逆ざやのケースと株、この含み損、これについて御答弁ください。
○参考人(岩田規久男君) ですから、逆ざや及び含み損、含み損は計上されていませんが、あるいはETF、REITにおいての損失、そういったことを勘案して自己資本の、剰余金の積み上げを行ったということであります。
○風間直樹君 答弁になっていないでしょう、岩田さん。こんな答弁で国会もちませんよ。 もう一回答弁してください。
○参考人(岩田規久男君) おっしゃるとおり、逆ざやが生じということがありますね。ですから、それに対して、したがって、その場合には自己資本が減少していくということがあるということで剰余金を積み増しているということであります。そしてまた、含み損が生じるとかETFなどによって損失が生じる。 しかし、日銀の資産と負債を大きく拡大する結果、出口においてもそうした振れによって日銀券の信用が毀損されるということのないように、今剰余金の積立てを行っているということであります。(発言する者あり)
○委員長(古川俊治君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(古川俊治君) 速記を起こしてください。
○参考人(岩田規久男君) 二つあると。評価損で先ほど申しましたように期間損益に反映されることはないんですが、逆ざやとETFの損失の可能性に対応して準備金を対応しているということであります。
○風間直樹君 ヨーロッパ中央銀行のように、保有する国債それぞれの銘柄について、私たち中央銀行はどれぐらいのシェアを上限に保有しますと、こういう基準を定めていれば、マーケットは、ああ、そうかと、じゃ、ヨーロッパ中央銀行がこの保有国債に仮に含み損が出た場合でも、それぞれの銘柄についてこの程度の含み損が出て、そして法定準備金はこの程度の食い潰しで済むんだなという想定がマーケットは成り立つ。今の日銀はそれが成り立たないんじゃないですか。どうですか。
○参考人(岩田規久男君) 日本銀行は二%の目標を達成するまでやるということでありますが、ヨーロッパの、ユーロの場合も、一応期限を示してはいますけれども、それでも、それが二%の安定していないという限りはオープンエンドで続けるということでありますので、基本的には同じだと考えております。(発言する者あり)
○委員長(古川俊治君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(古川俊治君) 速記を起こしてください。
○参考人(岩田規久男君) きちんと答えているつもりなんですが、要するに、買入れ総額に関してはECBも日銀も最初からオープンエンドであって、何か、どこまでしか買わないということはしていないということでは同じだということでありまして、市場の信認がそれによって異なるということはないと思います。 また、いろいろな、これに関してはどれだけ保有するとか、保有比率をですね、必ずしも決めなくても、きちんと二%の安定目標を達成するためにやっていくんだということを言えば、日銀券の信用が毀損されるということは私はないというふうに思っております。
○風間直樹君 オープンエンドにやっていないでしょう、最初に言ったように。条件を定めてやっているじゃないですか。だから、マーケットとしても、この条件の下であれば、ヨーロッパ中央銀行が保有する国債にもしこれ仮に含み損等出た場合でも、法定準備金の食い潰しはこの程度で済むなという想定が成り立つわけでしょう。今の日銀にはそれがないと言っているんです。ありますか。(発言する者あり)じゃ、明確に言ってください。
○参考人(岩田規久男君) 今、ECBはオープンエンドでないとおっしゃったんですけれども、三月九日に開始して、少なくとも二〇一六年九月までは実施するということですが、中長期的に物価の安定目標、二%未満かつ二%近傍と整合的な物価上昇のペースが持続的に調整が見られるまで継続と、ちゃんとそういう記述にもなっておりますので、基本的にはオープンエンドだと。 むしろ、結果ベースですね、結果できちっと物価安定目標、ECBの物価安定目標までするんだという点で、そういう点では全く日銀もECBも同じだということでありまして、二%の物価安定を超えて、財政を支えるために日本銀行が何か国債を買い続けることはないということを申し上げているわけです。
○風間直樹君 岩田さん、それ全然質問に対する答弁になってない。 今おっしゃっているのは、日銀が達成しようとする目標のことをおっしゃっているんですよ、岩田さんは。私が聞いているのは、今のままだと財政ファイナンスだとみなされるんじゃないかということなんです。そうみなされないために日銀がどういう国債の買入れ基準を持ってやっているのか、その結果、日銀の法定準備金が食い潰されるおそれがない、どうしてないのか、そのことを聞いているんです。もう一回言ってください。
○参考人(岩田規久男君) ですから、二%の物価安定を超えて財政ファイナンスをするわけじゃありませんので、その心配はないということを申し上げているんです。(発言する者あり)
○委員長(古川俊治君) 一回速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(古川俊治君) 速記を起こしてください。
○参考人(岩田規久男君) 要するに、二%を達成するために、物価安定の目標のために長期国債を買っているんであって、そのことに関して、そういう、中央銀行が物価安定のために長期国債などを買うということに対して、それが財政ファイナンスだと言っているような、私、国はないというふうに思います。アメリカにしろ同じことをやったわけですね。物価安定の二%と、アメリカの場合は雇用の最大化がありますけれども。ECBも同じですね。あるいはイギリスのイングランド銀行も同じですね。要するに、物価安定のために長期国債を随分買ったわけです。 先ほど申したのは、二%安定的になるまでは、だから、財政ファイナンスのためにやっているんじゃないということを申し上げているんです。これはどこの中央銀行でも同じです。
○風間直樹君 岩田さん、副総裁の発言は非常に重いです。一つ一つの発言について慎重に正確に御発言をください。でないと、マーケットに混乱を与えます。 私、日銀の副総裁という方が、これほど楽観的な思い込みで日本銀行の金融政策の運営を行っているとは思いませんでした。今日びっくりしました。自分たちが目指す目標はここなんだ、これは財政ファイナンスじゃないんだ、アメリカの金融当局も同じことをやっているんだ、だからマーケットに対して誤解を与えないんだと、そんなメッセージが通用しますか。 保有国債と超過準備への付利、この利回りが将来逆転する可能性もあります。それをマーケットは非常に心配している。それに対して、そんな心配はない、我々は今財政ファイナンスをやっているけど、二%を超えたらしない、だから不安に思わないでくれと、こういう御答弁じゃないですか。いかがですか。
○参考人(岩田規久男君) 今、財政ファイナンスやってはおりません、先ほどから言っているように。二%物価安定の目標のためにやって、金融政策の目的でやっているためで、財政がどうであれ、これは、今財政が例えば健全でも同じことをやっているわけなんです。デフレ脱却のためには、同じような政策を恐らくやっていると思います。 それから、将来、付利金利をもし上げるということがあれば、おっしゃるような逆ざやというようなことも生ずるということはあると思いますが、しかし、それは必ずしも、どれだけの逆ざやになるかというようなことは、今具体的には計算はなかなか難しいという状況だと思います。 ただ、中央銀行というのは、長期的にはやはり通貨発行益というのがあって、収益はきちっとプラスになっていくという、中長期的に考えればそれでいいと。例えば、一時的に逆ざやになっても、それは日本銀行券を毀損するような問題ではないということであります。
○風間直樹君 過日、この委員会で確認しましたら、日銀保有国債の平均利回りは〇・四七三%だと。これに対して、現在、超過準備への付利は〇・一%。その差は僅か〇・三七三%です。 内閣府が今年の二月に公表した中長期の経済財政に関する試算によると、名目長期金利は一八年に三%、また、二一年には四・三%を超え、さらに消費者物価上昇率は二%を超えると想定されています。 この場合、現在の日銀の国債ポートフォリオを前提とすれば、保有国債の利回りと超過準備への付利の逆ざやによって日銀が被る年間の損失額が出てくると私は思う。マーケットもそれを恐れている。でも、今、岩田さんは、それは、おそれはないとおっしゃったんですね。その損失見込みも試算も行っていないとおっしゃったんですね。本当ですか。
○参考人(岩田規久男君) 出口において、どういう政策によるかによって、その収益の状況がいろいろ異なってきます。付利の場合もあるでしょうし、そうでない場合もあるでしょうが、そういうものによっていろいろ収益異なっているので、一応それがどういうパターンになるかということは試算はしておりますが、ここで具体的に申し上げるという段階ではないというふうに思っております。
○風間直樹君 では、その試算の結果、どういう認識をお持ちになっているんですか。
○参考人(岩田規久男君) 全く問題ないというふうに認識をしております。
○風間直樹君 果たして本当にそうなんでしょうか。この保有国債の平均利回りと超過準備への付利の差が僅か〇・三七三%です。 米国の場合は、はるかに高いですよね。日本の場合、まさに薄氷を踏む状況です。これで本当に全く問題ないんだという認識をお持ちなんですか。
○参考人(岩田規久男君) 基本的には問題ないというふうに思っていますが、市場で心配が生じるというような場合があり得るという可能性も考えて、剰余金の積立ても行っているということであります。
○風間直樹君 日経新聞のこの配付資料の記事ですが、ここにこうあります。「仮に長期金利が一%上昇すれば十兆円規模の評価損が生まれ「量を減らしたくても売却できない状況に陥る恐れがある」」。また、同じ五月二十八日付けのフィナンシャル・タイムズ、こういう記事が出ました。日銀がインフレ率二%の目標達成に成功し、仮に短期金利を三%に引き上げれば、毎年数兆円単位での業務損失を発生させかねない。これに対して、FEDは、日銀とほぼ同規模の資産を保有しながら、米国債やMBSに付いている金利が高いため、日銀の八倍の利益を得ていると。 八倍の利益のFEDでさえ、公開された議事録を読むと、岩田さんよりはるかに深刻な認識を持って金融政策の運営に取り組んでいますよ。だから、私は心配をして、今日、法定準備金の積み上げと自己資本比率についてお尋ねしたんです。でも、あなたは全く心配がないんだとおっしゃる。本当にそんな答弁でいいんでしょうか。 岩田さん、もっと明確に答弁してください。マーケットが納得するような答弁をしてください。
○参考人(岩田規久男君) 当然、量的・質的金融緩和というのは日本銀行の財務に影響を与えるわけですが、日本銀行の責務は、物価の安定のために必要な政策をやっているわけでありまして、財務のもちろん健全性に留意しながら必要な政策を行っているということであります。目的はあくまでも物価の安定にあるということを御理解いただければと思います。
○風間直樹君 物価の安定に目的はあるんでしょうが、その目的を目指して今、日銀の行っている政策運営が、攻める一方で守りの策が全然ないんじゃないのということを今日私は言っています。国債の保有銘柄ごとの買入れの基準もない、将来逆ざやが生じる可能性がある、保有国債に含み損が出るケースもある、株の含み損も想定される。自己資本が食い潰されないかということを心配しています。 それに対して、今日の岩田さんの答弁は、全く御懸念には及ばないということでありました。私は、岩田さんの答弁を聞いていて、今日、納得することが全くできません。 時間が来ましたので、今日はここで終わります。
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。 今日は、岩田副総裁は私は答弁お願いしておりませんが、岩田さん、もしお時間があれば、今日は御質問しませんけれども、冒頭のところだけちょっといてください。 日銀で私も十八年間仕事をさせていただきましたので、風間さんの横に座っておりますと、私もOBとして怒られているような気がして非常にいたたまれません。 先ほど私が席を立ったのはどういう意味かと申し上げますと、岩田さんのおっしゃりたいことは私はよく理解できましたけれども、話の流れの中で、二%に達した後は財政ファイナンスしないという、こういう文脈で御発言されたんです。後で議事録見てください。 それで、与党の先生方にもお願いしたいんですけれども、これ、私がもし理事をさせていただいておりましたら、この局面、日本のマーケット、とりわけ長期金利に影響を与えないように、理事の判断であそこは止めて、ちょっと岩田さん、先ほどあなたは二%に達した後まで財政ファイナンスはしないと言ったけれども、いや、それは間違いだから訂正をしてくださいと言って、理事として止めて、議事録を修正してもらう努力をします。あるいは発言を訂正してもらう努力をします。そのぐらい、副総裁、ここでの一言一言は重いんです。何となく流れで、ふわっとした発言で済む場所じゃないということだけ是非御理解いただけますか。 そのまま、この場の雰囲気はそれで流れたとしても──ちょっと後ろ、今大事なところなんだからちょっと待って。バックベンチも、本当に大事なときにアシストで話しかけると、人間、両方の音聞けないから。その後、二%に達するまでは財政ファイナンス今しているというふうに、いや、副総裁が発言したというふうに勝手に解釈されて報道されたら困るんですよ。だから、あそこは訂正するべきではないかということで、大変私も越権で席を立ったことはおわびを申し上げますけれども、みんな、日本国を悪くしたいと思っている人は一人もいませんから、日本国が財政的な問題で混乱に至らないように一言一言は論理的に整合性のある形で御発言をいただきたいという趣旨で思わず席を立ちましたことは、お許しをいただきたいと思います。 それで、今日の本題に移らせていただきたいと思います。 まず、総裁、ちょっとお願いでございますが、国債関連資料というのを日銀と財務省の御努力で毎月月初に配っていただくことになりました。これは非常に私は意味のある資料だと思っておりますが、後ろから二枚目見ていただくと、日銀の保有国債の平均残存期間が記載されておりますが、これ、できれば本当は毎月出していただきたい。ただ、事務負担もあるだろうから三か月に一回ということで今は流れておりますけれども、今日の風間さんの資料を拝見したら、五月末は六・五年と出ていますので、六・四八年がまた延びて六・五年になったということだと思いますので、是非、大変だとは思いますけれども、事務的には、金融政策が正常化するまでの間は、非常に重要な数字なので、できれば毎月算出してこの国債関連資料に掲載していただくようお願いをしておきます。 総裁、これは御検討いただくということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 検討いたします。
○大塚耕平君 ありがとうございます。
○委員長(古川俊治君) 副総裁は。
○大塚耕平君 私はいいです。
○委員長(古川俊治君) じゃ、御退席ください。
○大塚耕平君 加えて、委員の先生方のお手元には今日は資料はないんですが、配付が始まった国債関連資料、その五番目の資料は、マネタリーベースと日本銀行総資産の対名目GDP比率ということで、これは毎月分出ているわけです。五月末は、マネタリーベースの対名目GDPが六二%、日本銀行総資産の対名目GDPが六九%、いずれも過去最高を更新しているわけでありまして、やはりこういう状況に対する危機意識というのはみんな共有していますので、それは総裁におかれても共有していただいていると思うんですが、二月のここでのやり取りで、総裁はこの比率には上限は設けていないとおっしゃったんですが、今もそれは変わりないということでよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 上限を設けておりません。
○大塚耕平君 先ほどの風間さんの質問、それからこのGDP比率に上限を設けていないということ等々を含めて、日銀の今の政策目標を達成するためにはどこまでも努力をしていくということは理解しつつも、一方ではリスクもあるということは、それはもちろん総裁も御理解いただいているということでよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 金融政策につきましては、毎回の金融政策決定会合におきまして、様々な上下双方向のリスクというものもよく検討いたしております。また、御案内のとおり、半年に一回の展望レポートあるいは金融システムレポート等におきましてもかなり詳細にリスクについての議論はいたしております。
○大塚耕平君 その上で、今日通告してある質問に移らせていただきたいと思います。 先週、衆議院の財務金融委員会で、総裁は為替相場についてコメントをされて、マーケットが随分動きましたけれども、あの委員会で言わば特定の為替水準に言及するのと同様の効果を有する発言をあえて行われたのはなぜでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 国会の質疑の中で、実質実効為替レートについて質問がございました。 そこで、私からは、足下の実質実効為替レートというものは確かに八〇年代半ばと同程度の水準まで下がっているという事実を申し上げましたが、このところの為替レート、名目為替レートについての評価とか先行きの予測として申し上げたわけではございませんで、あくまでも、実質実効為替レートについての御質問がございましたので、その御質問に沿ってあくまでも理論的な御説明をしたということでございます。
○大塚耕平君 いえ、普通はそういう質問をされると、特定の為替水準についてのコメントは差し控えさせていただきますというのが定番の御回答ですが、それと違う答弁をされたのはなぜでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 今申し上げましたとおり、実質実効為替レートというものは、足下の、あるいは今後の二国間あるいは多国間の名目為替レートの動きについて云々するものでは全くありませんので、その際も、あくまでも名目為替レートの水準とか動きについて具体的なコメントは差し控えさせていただきますというふうにお断りした上で、この実質実効為替レートというものについての御質問に対してお答えしたということでございまして、あくまでも名目為替レートの水準とか先行き評価というものを申し上げたわけではございません。
○大塚耕平君 ということは、今後は、実質実効為替レートについては質問申し上げたら水準についてコメントしていただけるということでよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 御承知のように、この実質実効為替レートは、まず、実効為替レートですので、特定の円とドルとか円とユーロという関係ではなくて、日本の貿易相手国の為替、数十種類の貿易ウエートで加重平均したものが実効為替レートで、これは特定の二国間為替レートの動きを直ちに占うものでもありません。 それから、実質ですので、物価というものでデフレートしているわけです。すなわち、円高になって物価が下がるのと円安になって物価が上がるのと同じように捉えられますので、あくまでも実質実効為替レートというものは、IMFもそれから各国の中央銀行も計算して統計として示しておりますけれども、為替レート、名目為替レート、特に二国間為替レートの水準とか動きについて何か先行きを占ったり評価するというものではないというふうに理解をしております。
○大塚耕平君 今の御答弁を一応受け止めさせていただいた上で次の質問をさせていただきますが、委員の皆様方のお手元には日銀の物価安定目標の達成時期に関するコミットメントの変遷ということで、これも二月に配らせていただいたんですが、四月の三十日に新しい展望レポートが作成され五月一日付けで公表されましたので、そのコメントが十三番として付加をされております。 達成時期は二〇一六年度前半頃というふうにまた変わったわけでありますけれども、これはある部分、予想の範囲内なんですけれども、その前段に、「現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、」と。これは今ほぼゼロ%なんですよ。ゼロ%が一年後に二%に上昇していくとの前提に立てばというのは、なぜそういう前提に立てるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 「原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提」というのは、これは原油価格についての前提であります。展望レポートにも書かれておりますとおり、昨年十二月から今年の初めまでの平均のドバイの指標が五十五ドルぐらいだったわけですが、そういった水準から、二〇一七年度にかけて七十ドル台前半に緩やかに上昇していくという前提で展望レポートあるいは委員の方々の物価・経済見通しも作られておりますので、その前提を申し上げたわけでございます。
○大塚耕平君 ここのくだりが原油だということを今明確にしていただいたので、より理解しやすくなりました。 しかし、そうであったとしても質問の本質は変わらないわけでありまして、今ゼロ%のものが、一六年度前半というとちょうど一年後ですから、これが二%になるということは、これどういうピッチで上がっていくんですか。三か月ごとに〇・五ずつ上がっていくという理解でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 政策委員の経済・物価見通しは、年度一本で出しておりまして、四半期ごとの数字はございません。ただ、展望レポート、御承知のように、半年に一回出し、その中間地点で見通しの変更ということもありますので、そういった観点からは、ある程度のペースで、四半期に一回ぐらいのペースで見通しの中央値は変動していく可能性はございます。 そうした下で、現在の政策委員会の物価見通しの中央値は、二〇一五年度がプラス〇・八%、二〇一六年度がプラス二・〇%、二〇一七年度がプラス一・九%となっております。そこで、この二〇一五年度の〇・八%という、これは年度全体ですので、足下でゼロ%程度で推移しているということからいいますと、年度の後半にかけてある程度のスピードで物価上昇率が上がっていくということを含意しているとは思いますけれども、四半期ごととか、そういう細かい見通しは提出はしておりません。
○大塚耕平君 四半期ごととかの見通しは精査していないというのは、それはよく理解できますが、そこで、さっきの為替の話と関係してくるんですけれども、なぜ為替の話をお伺いしたかというと、今の水準から一年後に二%に達成していくのに、円安効果も期待しながらでなければこれは相当難しい上昇ピッチなんですよ。だから、先週の御発言で総裁は名目ベースの円安は望まないということで、円安にならないにもかかわらず、一年でこの目標を達成させるというのは結構難しいことをお考えだなと思ったわけですが。 そうすると、先ほどの話ですと、あくまで実質実効為替レートのことについてコメントしたので、名目ベースではやはり円安にある程度ならないとこの目標は達成し難いとお考えだと理解していいですか。
○参考人(黒田東彦君) 原油価格につきましては非常に大幅な変動であり、今各国とも物価上昇率がほぼゼロ%程度まで下落したというような状況もありますので、原油価格についての見通しの前提を一致させて委員の間で見通しを作ったわけであります。 他方、金融市場の動向につきましては、市場の見通しを織り込んだような形で見通しを作っていただくということになっていまして、金利何%とか為替幾らというようなことを具体的に決めて見通しを作っているわけではありません。 その下で、やや詳しく申し上げますと、どうして来年度前半頃に物価上昇率が二%程度に達する可能性が高いという見通しを展望レポート等で公表したのかと申し上げますと、やはりこの物価の基調というものが着実に改善している、更に今後とも改善していくという見通しに立っているわけであります。 まず、需給ギャップは御承知のとおりおおむね過去平均並みの水準まで改善しておりますし……
○大塚耕平君 いやいや、そこまで聞いていないです。止めてください。
○委員長(古川俊治君) 総裁、お座りください、済みません。
○大塚耕平君 よく分かりました。巧みに為替についての質問に対する答弁は避けたというのがよく分かりましたので。 だから、繰り返しお伺いしたいのは、日銀が政策目標実現のために努力をしておられるのは分かります。しかし、これ、だんだん後ずれしてきて、二〇一六年度前半、あと一年後ですから、そこに二%に達するためには、円安が是か非かは別にしてですよ、別にして、名目ベースでのある程度の円安もなければ相当難しい目標だと思ったので、私は、先週の御発言はちょっと驚きだとは思ったんですが、ただ、もうこれ以上の円安は望まないということは、私は政策判断としては正しいと思いますけれども。 繰り返しでありますけれども、そうすると、繰り返しというかちょっと角度を変えますが、名目ベースでの円安がなくてもこの二〇一六年度前半頃の目標達成は可能だというふうに考えておられますか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、名目ベースでの円安を望んでいないとか、円安にならないだろうということを申し上げたわけではありません。 その上で、先ほど申し上げようとしたように、需給ギャップあるいは物価上昇期待、予想というもの等々から見て物価の基調は改善しておりますし、特に原油価格について先ほど申し上げたような前提に立ちますと、消費者物価、除く生鮮食品の前年比に対するエネルギー価格のマイナスの寄与というのが二〇一六年度前半にはおおむねゼロになるというふうに試算されますので、そういった原油価格の前提に立ちますと、消費者物価の前年比が二%程度に達する時期は二〇一六年度前半頃になるというふうに今予想しているわけであります。
○大塚耕平君 事前にお伝えしてある二番目の質問をお伺いします。 出口戦略に向かう手段として、マネタリーベースの縮小以外にどのような手段があるかと。どのような手段かということについてはもう御答弁結構ですので、その中でも、準備預金に対する付利、過剰準備に対する付利を引き上げるということは選択肢として考えておられますか。
○参考人(黒田東彦君) 出口の具体的な手段というのは、御指摘のとおり様々な手段があり得ると思いますが、多額の超過準備が存在する下で金利水準を引き上げていく方法としては付利金利の引上げというのも一つの有力な手段であろうと思いますが、まだ具体的な出口の手段とか方法、時期等について申し上げるのは時期尚早であろうと思います。
○大塚耕平君 可能性としてはあるということですが、私はこの段階で反対をしておきます、付利を、水準を引き上げるということについては。 二月の質疑の中でもお伺いして数字を述べていただきましたが、過剰準備に対してこれまでに既に、一四年度上期までに二千二百五十六億円の不労所得が金融機関に発生しているわけですね。この付利金利を上げるということは、これ、過剰準備二十兆円ですから、今の〇・一を仮に〇・一上げて〇・二にすると、もう二千三、四百億円、金融機関に利子収入を与えるわけであります。 これは、金融政策の一環としてやむを得ざる過剰準備が発生しているわけで、それによって更に金融機関に利益が発生するというのはいかがなものかと思いますので、私は、この段階で過剰準備に対する付利を、金利水準を引き上げるということは日銀としては余りお考えにならない方がいいということを申し上げた上で、もう時間もあと三分ですので締めに入らせていただきますけれども、まずは、先ほど岩田副総裁、アシストしていただこうとされたスタッフの皆さんにはちょっと厳しいことを申し上げて恐縮でしたが、趣旨はさっき申し上げたとおりでありますので、是非御理解をください。大事な場面では、やっぱり副総裁によく聞いていただかなきゃいけないと思っていますので、少し厳しい言いぶりになったことはおわびを申し上げたいと思います。 しかし、その上で、私、初当選させていただいたときに、副総裁は山口副総裁でありました。山口さんは、中央銀行の金融政策というのは政治からニュートラルであるべきであるというかなり強いお立場を取っておられたと思います。私も同感であります。 そのときにも申し上げましたけれども、金融政策というのは、どっちに動いてもメリットとデメリットがあります。それから、インフレ、デフレもメリット、デメリットがあります。インフレ、デフレは、発生すれば、これはマクロ経済としては所得の再分配が起きることと同義ですから、所得の再分配というのは政治そのものであります。どういう判断でどういうふうに所得の再分配をするのかということ。したがって、日銀法に定める物価の安定というのは、本来は中央銀行の独自の判断としてはゼロ%以外にあり得ないと思っています。つまり、政治的意味を伴う所得の再分配につながるような物価水準を、変動を中央銀行自らが求めるべきではないと、そのときもそう申し上げました。 したがって、そうはいいながら、日本経済の健全な発展に資するためには、政府のコミットメントを前提に、例えば今のように二%の物価上昇を目指すというのは分からないではありません。しかし、それを二年以内に実現するということで、日銀も政府のコミットメントに言わばサポートをする形で日銀としてのコミットメントもしたわけでありますが、今日のこの変遷表を見てもお分かりのとおり、もう一六年度ということは、一三、一四、一五、一六と、二年と言っていたのが四年ですから、しかも明示的にこれ以上の円安はやっぱり日本経済にとってはマイナスの方が大きくなってきていますから、そろそろここは中央銀行本来の立場に少し軸足を移されて政府と慎重な協議をされるべきだと思いますが、最後に総裁のコメントをお伺いして終わりにしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 二%の物価安定の目標というものは、二〇一三年の一月に日本銀行の政策委員会で決めたわけでございますが、同時に、政府との共同声明におきましてもそれをコミットしたわけであります。 そこでコミットされたこと、あるいは日本銀行の金融政策決定会合で決めたことは、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということでありました。その上で、量的・質的金融緩和を同年の四月に決定した際に、二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期にと、こういうふうに申し上げましたのは、もとより、できるだけ早期にということが、期間が全く分からないということでは十五年続いたデフレからの脱却ということには不十分であるし、それから、具体的にどのくらいのものをする必要があるかということは、どの程度の期間を念頭に置いているかということがないと具体的な量的・質的金融緩和の中身というものも決められないわけでありまして、そういったことから先ほど申し上げたようなコミットメントをしてやってきているわけです。 政府との関係では、委員御指摘あるいは御承知のとおり、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということでありますし、政府は政府で財政と成長戦略についてのコミットメントをしておられます。それぞれは言わば役割分担でありますので、日本銀行としては、あくまでもこの二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということで引き続き目標実現までしっかりやっていきたいと思いますが、一方で、政府は政府で、きちっと財政再建、財政の持続可能性、健全性を確保するとともに、潜在成長率を引き上げていくような様々な構造改革をしっかり実現していただきたいというふうに思っております。
○大塚耕平君 終わります。
○藤巻健史君 維新の党の藤巻です。 今の大塚委員の量的緩和の出口のところで、超過準備、今〇・一%ですけれども、それへの付利の利上げ、これは選択肢の一つだというふうにお答えになりましたけれども、これは当然のことながらFRBがやっているシナリオですし、民間で議論されているメーンシナリオなわけですね。 だからこそ、風間委員が先ほど質問したような質問も出ているし、民間でもみんな怖がっているわけですけれども、そういう状況でありながら、日銀としては量的緩和の出口戦略を発表する気はないのかどうか、教えていただければと思います。いつ発表されるかどうか。
○参考人(黒田東彦君) 量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しておりまして、物価の基調は着実に改善していると考えております。もっとも、現在は二%という物価安定の目標をできるだけ早期に実現するように最大限の努力を行っている最中でありまして、道半ばであり、出口戦略を議論するというのはやはり時期尚早であるというふうに考えております。
○藤巻健史君 アメリカのFRBは、出口戦略を二〇一一年の六月に発表して、二〇一三年の十二月にテーパリングを開始したわけですね。要するに、テーパリングを始める二年半前に出口戦略を発表しているわけですよ。 黒田総裁はいつもアメリカが参考になるとおっしゃっていますけれども、そういうことを考えると、出口戦略を発表してから二年半ぐらいはテーパリングを始めないのかと。要するに、テーパリングを始める二年半ぐらい前に出口戦略を発表されるのかなというふうに想像してしまうんですが、そうなると、これ、ずっと量的緩和が二年半続くわけです、これから二年半以上。 一方、アメリカの方の利上げというのは、九月と言う人もいるし十二月と言う人もいる。そして、更にどんどん利上げが続くというふうに言われていますけれども、そうなると、これは金融政策が全く逆方向なわけです、日米。これ、円安ドル高がかなり進んでしまうと思うんですよね。 黒田総裁は名目為替レートについてはお答えにならないというふうにおっしゃるかもしれませんが、これ、マーケットの人間は、私もマーケットの人間でしたから、これは明らかに金融政策がこんなに反対に長い間続くのであれば円安ドル高がかなり進むと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) まず、御質問の前提の米国の出口戦略、二〇一一年六月に出されましたが、これは結局現実に合わなくなって、新しい出口戦略というのは二〇一四年の九月にFOMCが出しております。したがいまして、時期尚早にいろんなことを言っても実際にやったことと違うことになってしまうということもありますので、出口戦略につきましては今は時期尚早であるというふうに思っております。 為替につきましては、具体的なことを申し上げるつもりもございませんが、確かに、金融政策が為替レートに影響を与え得るということは事実なんですけれども、金融市場の状況が為替市場に影響するということは事実なんですが、それも、為替市場側がそういった金融政策や金融市場の動向をどの程度既に織り込んでいるか、あるいは織り込んでいないかということによっても変わりますので、一概に、米国が金融政策を正常化するというか金利を上げていくということから即今後更にドル高になるというふうに言えるかどうかは、市場の織り込み度合いとか、その他の、さらにその金融政策以外の様々な要素も為替レートに影響しますので、なかなか先行きの予測を言うということは難しいと思いますし、中央銀行としては、そういった為替の水準とか先行きについて何か申し上げるということは差し控えたいと思います。
○藤巻健史君 確かに、FRBは二〇一四年の九月に出口戦略変えましたですよね、元々バランスシートを縮めるという方向から、逆に超過準備に付利の利上げをするというふうに変えましたけれども、申し上げたいことは、そんなにすぐやらないで最初から何年も、出口戦略は一回修正したかもしれないけれどもかなり早い段階で発表しているということ、その事実からするとやはり日銀のテーパリングはかなり先なのかなというふうに感じるわけです。 次の質問に入りたいんですが、実は今日こういう本を持ってきたんですけれども、「元切り上げ」という本なんですが、これ、二〇〇四年に黒田総裁がお書きになった本で、私はふだん人の本を買ったり読んだりすることないんですけれども、偶然週末に、私、書棚で見付けたもので、質問を変えて、これちょっと質問したいんですけれども。 というのは、当時、私も、総裁とは違って非常勤で一橋にいましたので、だから買ったのかなという気もしますし、あと、中国があれほど今元気なのは元安のせいだろうという持論を持っていましたので、それと同じようなことを書いているという書評を読んでこの本を買った記憶があるわけですね。 要するに、中国というのは、二〇一〇年に日本が名目GDPで中国に抜かれた、三位になってしまったと大騒ぎをしたと思いますけれども、たった四年で、今、中国の名目GDPって二・二倍なわけですよ、日本の。物すごい中国元気。これはひとえに人民元が安かったせいだと私は思っているんですが、総裁はどうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、中国経済というのは、非常に高い成長を、特に二〇〇〇年代初頭から金融危機までの間は平均で一〇%を超える成長を遂げたわけです。輸出も非常に高い伸びを示しておりました。こうした中国の輸出拡大、これが成長を支えたということは事実だと思いますが、輸出拡大の背景としては、委員御指摘のような為替レートも一定程度寄与したとは思いますけれども、他方で、安価で豊富な労働力を有するという中国が、積極的な対内直接投資の受入れを通じて設備投資の拡大、あるいは技術の伝播を通じて競争力を高めてきたという面も大きかったと思いますので、人民元安だけで輸出増、高度成長ということを説明するというのは難しいと思います。
○藤巻健史君 総裁、今そうおっしゃいましたけど、この総裁が書かれた本には、いずれにせよ、かなりの人民元安になっていることは確かであり、これが中国の輸出の急増と高度成長の原動力になっていることは明らかだ、つまり、人民元安の下で、輸出が直接的に成長率を引き上げるだけでなく、強い価格競争力を背景に外国から直接投資が流入し、それが更に輸出増と高度成長を促すという好循環が起きているんだと書かれているわけですね。明らかに、少なくとも二〇〇四年には、人民元安が中国の景気に非常に重要だったというふうに書かれていると思うんですが。 同じロジックで聞きますけれども、円安は日本経済にとってよろしいんでしょうか、悪いんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これも、為替の水準とか動きについてのコメントということではなくて、一般論として申し上げますと、確かに円安は輸出の増加あるいはグローバルに展開している企業の収益を改善させる、さらには株価の上昇といったプラスの効果も持つ一方で、輸入コストの上昇、その価格転嫁を通じて非製造業の収益あるいは家計の実質所得に対する押し下げ圧力として作用するという面もございます。このように、円安の影響は経済主体によって異なり得るものだというふうに思います。 いずれにいたしましても、為替相場につきましては経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと思いますし、そういうことであれば、全体として経済に悪影響を及ぼすことはないというふうに考えております。
○藤巻健史君 一九八五年から九〇年というのは狂乱経済と言われたバブル経済だったんですけれども、あのときって物すごくドル・円が動いたんですよね。八四年末が二百五十円ぐらいかな、その次、八五年が二百円、その次の末が百六十円、そして百二十二円と、毎年毎年四十円ずつぐらい、三年間で百三十円も円高に振れたわけです。 一方、あのときの消費者物価指数、全国、生鮮品を除いた数字が八五年で二・〇、八六年で〇・八、八七年で〇・三、八八年で〇・四、八九年二・四と極めて低位安定していたわけです。日銀が今目標にしている二%より、ほとんどの期間で低位安定していたんですね。それでも経済は狂乱したんですけれども。ということはどういうことかというと、あれだけの円高、円が暴騰していたからこそ消費者物価指数が安定していたのではないかと私は思うんですよね。 とすると、あの狂乱経済のときのように、株価、不動産価格が上がってきている、経済も好転し始めている。円が暴騰しないで円は円安の方向に動いているとする。そうすると、かなりのハイパーインフレになっちゃうんじゃないかなと私は思うんですが。あれだけ、一年間で四十円ずつ円高が進んでいたからこそ消費者物価指数は安定的だったわけです、日銀のおっしゃる二%より低かったんですけれども。これが、もし円が安くなったり若しくは円が安定していたらば、かなり大変なことになるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、消費者物価はやや長い目で見れば需給ギャップや予想物価上昇率によって決定されるわけですけれども、短期的には御指摘のような為替相場あるいは国際商品市況など様々な要因の影響を受けます。委員が述べられた、八〇年代後半における大幅な円高の進行というものが消費者物価の下押し要因の一つとして働いた面はあるというふうに思います。 なお、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率二%と定めて、これをできるだけ早期に実現し、しかも、これを安定的に持続するために、今、量的・質的金融緩和を実施しておりまして、ハイパーインフレになるということはないというふうに考えております。
○藤巻健史君 また、この「元切り上げ」の本を参照いたしますと、黒田総裁は、あのバブルのときに金融を引き締めるべきだったけれども遅れちゃったと書いてあるわけです。 今みたいに、こんなに量的緩和、あのときも物すごい金融緩和をしていた。今も量的緩和で物すごい金融緩和をしている。そういうときに、あのときは金融引締めが遅れたと御自身が分析しているわけです。今これだけじゃぶじゃぶにしていて、かつ円安方向に行っていて、金融引締めが遅れるというふうにお考えにならないんでしょうか、お答えください。
○参考人(黒田東彦君) 考えておりません。 と申しますのは、八〇年代後半、特にバブルが膨張しバブル経済と言われていたときは明らかに金融的な行き過ぎが多方面で見られたわけでして、その原因としては、財政政策の行き過ぎとか金融政策の引締めが遅れたとか、あるいは金融規制が十分でなかったとか、様々な分析がされておりますが、私はその三つがバブルの膨張に影響したことは否めないと思っております。 先ほども御答弁で申し上げておりましたとおり、日本銀行の金融政策決定会合では毎回様々なリスクを検討しておりますし、特に金融的な行き過ぎがないかどうかということも議論しております。さらには、半年に一回の展望レポート、そして金融システムレポートにおきまして、かなり詳細に、行き過ぎがないかどうか、過度の期待の強気化がないかということをチェックしておりまして、これまでのところ、そうした兆候は見られていないということであります。 しかしながら、委員御指摘の点は十分留意して、今後とも、政策委員会におきまして十分そういったリスクがないかどうかは点検してまいりたいと思っております。
○藤巻健史君 バブルのときは、金利引上げというブレーキがあったんですね。ところが、先ほど来議論していますように、ブレーキがあるのかどうか分からない、利上げができないんじゃないか。要するに、先ほど風間委員なり大塚委員等が御質問しましたように、付利を、金利を上げていくという、超過準備金に対して利上げをしていくというのは極めて難しいのではないか、ブレーキがないのではないかという議論があるわけです。だからこそ、早く出口を公表して、大丈夫だ、ブレーキがあるんだということを是非国民におっしゃっていただきたいと思います。 以上です。
○大門実紀史君 大門です。 今までの議論を聞いて、私も久しぶりに出口の問題、ちょっと一つだけお聞きしたいんですけれども、私は一貫してもうこの異次元緩和始まったときから何度も一つの問題をお聞きして、まともに答えてもらったことはないんですけれども、要するに、これだけ大量に日本銀行が国債を購入して保有し続けて、いわゆる出口ですけれども、どこかでそれをまた吐き出していかなきゃいけない、そのときにマーケットに影響を与えないで日銀が保有している国債をマーケットに吐き出す方法があるのか、株に影響を与えないで、あるいは国債価格に影響を与えないで吐き出す方法があるんですかということをお聞きしてきたわけですけれども、最初の頃は出口の話をするのは早いなんという話でお答えされませんでしたが、もうあれから二年たっておりますけれど、方法としてあるのかどうかですね。いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、出口ということになりますと、拡大したバランスシートの取扱いをどうするか、あるいは付利金利についてどうするかということが当然議論になってまいります。その場合にどういった手法で適切に金融政策を行っていくかというのは、あくまでもやはりそのときの経済物価情勢、そして市場の動向を十分踏まえて、市場の安定を確保しつつ整合的な金融政策を進めていくということに尽きるわけでして、これは中央銀行としての当然の責務であろうというふうに考えております。
○大門実紀史君 そうじゃないんですね。私が聞いているのは、マーケットにですよ、これ予算委員会で聞きました、二年前にですね、マーケットに影響を与えないで、その後もう二年間でがばっとまた持たれたわけだけれども、マーケットに影響を与えないで元に戻す方法があるんですかと、そのとき何考えるじゃなくて、手段としてあるんですかと。そんなことあり得ないんじゃないかと私は思うんですよね、これだけ大量に買ってですよ。どこかに別に移しちゃうなら、何か別個の機構をつくってマーケットに出さないというなら別ですけれども、日銀が持っていたものを市場価格に影響を与えないで、マーケットに影響を与えないで出す方法というのは私はないと思うんですよね。あり得ないと思うんですね。必ず影響を与えると思うんですよね。 そのことはお答えできないんですか。それ、ないというのは分かっていらっしゃるんですか。今おっしゃったこと、全然答えになっていないんですよね。そのときで手段考えますじゃなくて、基本的なことを伺っているわけですが、それ以上お答えできないということでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 米国の場合もどこの国の場合もそうですし、それからいわゆる伝統的金融政策の場合でも、緩和が長く続いた後に引締めに転換していくときの金融システム等に対する影響というのは十分配意しながらやっております。 米国を見ましても、また私ども、これからも市場に不測のあるいは過度の影響を与えることなく、そもそも適切な金利、金融状況をつくり出していくということは、これは中央銀行としての責務ですので、その点は、従来から申し上げているとおり、経済あるいは物価の動向と整合的な金利、金融状況をつくり出していくと、そのための具体的な手段、方法につきましては、あくまでもそのときの経済や物価、そして金融市場の動向に即してやっていくということに尽きると思います。
○大門実紀史君 何度聞いてももう二年間同じことばっかりおっしゃるんですけど、全然聞いたことに本当答えていらっしゃらない。お分かりですよね。多分それに答えられないんじゃないかと思うんですね。 これだけ大量の国債をどこかで吐き出していけば、必ずマーケットは反応しますよね。だから、そういうことができないから、私は、出口がいつとか出口戦略じゃなくて、そもそも出口のない世界に入っていかれたんですよ。強いて言うなら、マーケットに出さない、何か別の機構でもつくって日銀が持っているものを移して、こんなことならウルトラCがあるかも分かりませんけれども、日本銀行がそのまま吐き出すとしたらマーケットに影響を与えないわけにいかないと、これだけの大量ですからね。そうなると吐き出すわけにはいかない、だからいつまでも持っていると。そうすると、先ほどから出ているように、財政ファイナンスと当然見られていくことになるということがありますので、私はこの異次元緩和そのものが間違っているということは何度も指摘しているとおりでございますが、もう同じ話をするのもあれなので、今日は別の角度からちょっとおかしいんじゃないかという話でございます。 量的緩和の以前から低金利、ゼロ金利政策が続いてまいりました。何が起こったかということですけれども、お手元に資料を三枚用意しましたけど、要するに、一枚目が家計部門の受取利子、支払利子がどうなったかということですけれども、どういう計算をしたかというと、もしも九一年の金利水準が二〇一三年まで続いていたらどうなったであろうという数字であります。これは内閣府のデータを基に日本銀行に作ってもらった最新の資料ですけれども、簡単に言いますと、家計部門でいえば、逸失利子、つまり利息が高ければもっと受け取れたであろう利子が五百七十五兆円、利息が安いことによって助かった、負担が軽くなったのが百九十九兆円で、差引き三百七十六兆円、これが九一年から二〇一三年の二十三年間で受け取れたはずの利子所得ということであります。 二枚目が逆に企業部門ですけれども、これは、結論だけ申し上げますと、同じく二十三年間で払わなくて済んだ利息が五百四十一兆円、つまり五百四十一兆円の所得が、受け取ったということになるわけであります。 この問題は私が初めてではありませんで、何人かの議員が今までも折に触れて指摘をしてきたと思いますけれども、これはマクロ的にいえば家計部門から企業部門に所得が移ったということだと思いますが、その辺の認識は、総裁、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 一般論として、金融緩和というものが資金の貸し手から借り手への所得移転を伴う性質を持っているということは、これは、これまた伝統的金融政策であろうと非伝統的金融政策であろうと同じことだと思いますが、金融緩和によって景気が改善するということであれば、雇用者所得も増加して家計にも利益をもたらすということにもなりますし、いずれにいたしましても、金融政策は経済全体の状況を踏まえて物価の安定という目的のために行っているというものであります。
○大門実紀史君 白川前総裁のときに、例えばこの委員会でいえば大塚耕平さんとか前いらっしゃった佐藤ゆかりさんがこの問題を質問されていて、そういうちょっと人ごとのような話じゃなくて、やっぱり金利については日銀もいろいろ関与されているので、日本銀行の見解としては、もちろん家計部門はマイナスだけれども、企業部門がプラスなんだから総合的な効果を期待したいというふうなことを白川さんのときにおっしゃっていたんですよね。 ところが、三枚目の資料を見てもらえば分かるんです。これは新しい資料でありますけれども、よく今、内部留保がたまっていてそれが家計に回らないということが、もう政府も指摘しているような、私たちだけ言うんじゃなくて、政府も指摘しているようなところでありますけれども、今見てもらったように、マクロ的にいっても家計部門から企業部門へ所得が移転されていると、総裁が今言われたとおりですね。通常の利益もそうですけれども、企業部門にたまっているわけですね。 お手元の資料は、これは、このBEAというのはアメリカの内閣府みたいなところでありますけれども、そこの資料なんですけれども、要するに金融機関以外の企業の手持ち流動性、日本が非常に増えているということであります。つまり、先ほどもちょっとありましたが、企業部門に金余り現象が起きているわけであります。白川さん言われたのは、企業部門の、こういうふうに利子の面で、利息の面で所得が移転されたとしても、企業から家計に回ることによって経済効果が期待されるとおっしゃったんですけれども、白川さんの場合は。そうなっていないというのがこの三枚目の資料でありますし、この間、安倍内閣、安倍首相も認めておられる、内部留保が還元されないと麻生さんもおっしゃっているところなんですよね。 したがって、そういうふうに考えますと、一般的な経済効果論でこういうことあり得るんだというところから、もうこの政策そのものが金余り現象で、家計の所得を奪って消費を冷え込ませているという側面も見なければ、これだけの積み重ねになってきているわけですから、そういう面でも、それを目指してやっているとは申し上げませんが、結果としてそういうことに日本銀行の量的緩和政策も関わってきているといいますか、後押ししている状況だということの認識は持たれるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 長引くデフレの下で企業部門において手元流動性が増加したということは、委員御指摘のとおりであります。これは、デフレの下では現預金の実質的な価値が高まるわけですので、企業にとっては内部留保を積み上げて現預金として保有することが相対的に有利な投資になるということで、デフレ下では設備投資を行ってリスクを取って新しいビジネスに挑戦するインセンティブが低下したということも、やはり企業部門において手元流動性が積み上がった一つの要因であると考えております。 この点、二%の物価安定の目標が実現して人々のデフレマインドが払拭されれば、現金や預金を保有することよりも設備投資などへ支出することが相対的に有利になりますし、また昨年、約二十年ぶりにベースアップが実現したと。さらには、今年の賃金改定交渉でも多くの企業で昨年を上回るベースアップを含む賃上げが実現する見通しにあるということで、量的・質的金融緩和の下で企業部門においてもやはり所得から支出へという前向きの動きが進んできているのではないかというふうに考えております。
○大門実紀史君 先ほどもそうですけれども、日銀がやっていることは財政ファイナンスを目指しているわけではありませんと、こんなの当たり前なんですよね。日銀がやっていらっしゃることが別に所得移転を目指したわけでもありませんと、当たり前なんですよね。 申し上げたのは、結果としてそうなっているじゃないかということについて申し上げておりますので、どうしてそういう肝腎なところでそういう何か変なものを読んで余計な話で終わるのか。もうちょっときちっとした総裁としての、聞かれたことに対してちゃんと答えないといけないと思うんですよね。そういうきちっとした答弁をされることを求めて、質問を終わります。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。 資料を配付しております。潜在成長率について日銀が出した資料でございまして、二〇一五年四月に日銀の展望レポートの経済・物価見通しに載っている日銀統計局の試算値のグラフでございます。三十数年にわたってのグラフであり、非常に分かりやすいグラフになっていると見ております。 一九九〇年代に潜在成長率が一気に低下いたしました。二〇〇九年度以降は一%を割り込んでいます。その大きな要因となっていますのが、この白い部分の労働時間。当時、日本人は働き過ぎだと言われて、週休二日制が取られ、労働時間が短縮されるなど、労働時間の減少が潜在成長率を引き下げる要因となっているとこのグラフから読み取れます。 OECDの労働時間の国際比較では、日本で時短やパートの比率の拡大が進んだ結果、年間実労働時間は一九九〇年代以降、日本は米国より少ない状態となっております。これは別の資料でございますが、労働時間についてはそのような状態でございます。 また、就業者数、これはグリーンの部分ですけれども、就業者数の減少も潜在成長率を引き下げる要因となっております。一九九〇年代後半からは設備投資の減少から資本ストックの蓄積も停滞し、二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降は資本ストックもマイナスとなっています。これはオレンジのところになりますが、二〇一四年以降、ちょっとプラスの方に出てきております。 この一%以下になっている潜在成長率について、私は適切な政策を取ることによって潜在成長率を高めることができるのではないかと考えているところでございます。このまま潜在成長率を一%以下のままにしておいてよいとは思えません。引き上げるすべはないのだろうか。 この点について、日銀総裁としてというよりは、まあ日銀の資料ではございますが、黒田さん御自身のお考えでよろしいんですけれども、何とか潜在成長率を引き上げていくすべについてお考えをお聞かせいただければ大変有り難いと思います。
○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘のとおり、八〇年代は四%程度であった潜在成長率が、九〇年代に入って一%台に落ち、リーマン・ショック後はゼロ%台の半ばぐらいに落ちているということはそのとおりでありまして、その背景としても、委員御指摘のとおり、設備投資の先送りによる資本ストックの伸びの低下、さらにはマイナス、人口高齢化、労働時間短縮による労働投入の減少、それからイノベーションの停滞による生産性の伸び率低下といったことが挙げられますので、逆に言いますと、潜在成長率を引き上げるためには、こうした三つの面において引き上げるための取組が重要であるというふうに思います。 御案内のとおり、政府は成長戦略としてこの潜在成長率を今のゼロ%台半ばというところから二%に向けて引き上げていくということで、様々な成長戦略を議論をしております。必要なことは、これを着実に実行していくということであろうというふうに思います。 日本銀行として貢献できる面としては、やはりデフレマインドがありますと、なかなか投資とか、これは物的投資も人的資源に対する投資もあり得ますし、RアンドDに対する投資というのもあると思いますが、デフレマインドがありますと、どうしてもそういう面に積極的になれないということがありますので、デフレマインドを払拭して二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するということで間接的にそれに貢献してまいりたいと思いますが、何といっても必要なことは、政府における様々な規制改革、あるいはRアンドD等に対する投資促進、さらには女性の活躍の促進等々、成長戦略にあるというふうに思います。
○中山恭子君 ありがとうございます。 適切な政策を取ることによってこの潜在成長率を高めていくという可能性もあるということのお答えと考えます。是非、その政策を取っていかなければいけないことだと考えております。大変ありがとうございました。 また、先日の報道では、景気判断を半歩というか一歩前進というふうにおっしゃられたということでございますから、その意味でも潜在成長率を高めるところに持っていけるのではないだろうかと少し期待をしているところでございます。 財務省の方にお願いいたします。今年六月、先日ですね、六月一日に財政健全化計画等に関する建議というものが提出されたと聞いております。この建議というものは、まず最初のページに、「本建議の趣旨を真摯に受け止め、政府が策定する財政健全化計画に反映させるとともに、今後の財政運営に当たるよう強く要請する。」という文言が書かれておりますが、この建議はどのような位置付けのものなんでしょうか。財務省の政策を財務省が取っていくときに縛るものなんでしょうか。その点についてまずお伺いいたします。
○政府参考人(西田安範君) 御指摘の財政健全化計画等に関する建議は、財政制度等審議会、財政に関する審議会の言わば答申、建議でございます。審議会でございますので、私どもといたしましては、こうした審議会のその建議を踏まえながら財政に関する政策を検討していきたいと考えてございます。
○中山恭子君 多分この建議というものを財政当局としては踏まえていかないといけないんだろうと見ておりますけれども、この中に、十一ページ、十二ページ、十三ページの辺りに、政府の出しております、今年二月十二日に経済財政諮問会議が提出した中長期試算で示されています名目経済成長率のケースについて、ベースラインケースと経済再生ケースについて、この建議では、「財政運営が「経済再生ケース」の一ケースに過度に依拠することは、避けなければならない。」というように、非常に強い調子でこの経済再生ケースについて、どう言ったらいいんでしょう、反発しているというか、目の敵にしているような文章がこの十二ページに並んでおります。 例えば、この経済再生ケースについて、これは「一つの立場としてあり得るとしても、その場合でもあくまで、「経済再生ケース」の実現は従来の経済成長を大幅に上回る「ストレッチ目標」であることを忘れてはならない。」とか、非常に強い調子の反発したような意見が述べられております。 この経済再生ケースというのは名目三%以上、実質二%以上の高い経済成長を前提にしたものということではあるんですけれども、それでは、この建議は、これは駄目だというのであれば、一体何を目指していると財務省の方はお考えなんでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) 御指摘のように、六月一日の建議では、例えば、経済再生ケースの実現は従来の経済成長を大幅に上回るストレッチ目標であるというような文言があることは事実でございますけれども、これは、この経済再生ケースができないとか、あるいは、こういうことを当てにしてはいけないというような、そういうことでは必ずしもないというふうに思っておりますが、比較的、こういう財政健全化計画を作る際の前提についていろいろときちっとした見通しを置かないと、それを前提にした後の計画が、市場も含めて、あるいは国民を含めて、なかなか信頼を勝ち取れないのではないかという、そういう問題意識からこういうメンションをしておられるんだろうと思います。 政府としては、この経済再生ケース、これは内閣府が試算を行ったものでございますけれども、民需主導の経済成長に円滑に移行するんだという、そういうシナリオを前提に計算をしているわけでございまして、こういったシナリオが実現するかどうかにつきましては、先ほど来御指摘のあるような、まさに潜在成長率の上昇という点が非常にキーポイントになるというふうなことだろうと思います。そのために、先ほどからありますような労働参加の拡大であるとか生産性の向上等であるとか、そういうふうなことを含める第三の矢である成長戦略、これをきちっとやるべしということが前提にないといけないのではないかと、そういう趣旨でこの建議は語られているものだというふうに承知をいたしております。
○中山恭子君 今お答えの中でありましたように、今やらなければならないことというのは、今の状態をそのまま考えて財政支出を抑えていくというのがこの建議の主な主張だと思いますけれども、そうではなくて、今やらなければいけないことというのは、今お答えの中にもありましたように、経済成長をどのようにして実現していくのか、その政策を考える事柄だと思っております。 先ほど黒田総裁のお答えの中にもありましたけれども、女性の働く環境を整えるとか、私は定年制をもう廃止すべきではないかといったようなことを主張しております。又は、女性が働くためにも、ただ時間とか子育てのための直接的なものだけではなくて、三世代住宅、住宅政策を徹底して変えていくというようなことも必要だと思いますし、この建議では公共事業の額は増やしてはならない、増やさない、はっきり書いてありますけれども、それもまた経済成長を高めるのにはマイナスの要因になると考えておりまして、社会保障をこのままにして公共事業を抑えた場合というのは、やはりデフレが続いていくのと同じような状態が今後も続く。とても経済再生ケースには持っていけないということだと考えておりまして、そういったことも含めて、この建議では日本が豊かな国になることは決してないと思えますものですから、財政当局としては、もう少し自分で考えて、豊かな国をつくる方向で進めていただきたいと思っております。 お答えいただくのは難しいことだと思いますので、取りあえず……
○委員長(古川俊治君) 終了時間となりましたので。
○中山恭子君 時間が来ていましたので、終わらせていただきます。
○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。 私も、先週の衆議院の財務金融委員会での実質実効為替レートに関する黒田総裁の発言についてお聞きしていきたいと思います。 答弁そのものというよりも、報道のされ方によってあれだけ為替相場が動いてしまったという思いが黒田総裁には強いのではないかなというふうに思いますけれども、ただ、議事録を確認していく中で、やはりここはちょっと真意を聞いておかなきゃいけないなというところがございますので、そこを中心にお聞きしたいと思います。 総裁は、理論的にいうと、実質実効為替レートがここまで来ているということは、ここから更に円安に行くことはありそうにないと、こう発言をされました。総裁は、一般的にですとか理論的にという枕言葉を多用されて、注意深く議論を行おうとしている姿勢というのは分かるわけでありますけれども、これ、円安という言葉を使ったりしていますので。為替の水準を決定する理論というものは私はないというふうに思っているんです。その中で、理論的にというふうにおっしゃっていますけれども、それはどういうことなのかということをお聞きしたいと思います。 私が思うに、総裁がおっしゃっていたことだけで判断すると、プラザ合意前の水準まで来たから、まあこれ以上は行かないだろうと直感的におっしゃっているというふうに思えるわけであります。普通に考えるとという言葉も使っていましたが、これ直感的にということなんじゃないんですか。そこのところを御説明いただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 先ほども別の委員の御質問の際に御答弁申し上げたとおりですが、先般の国会質疑で実質実効為替レートについて御質問がありまして、それに対して私から、足下の実質実効為替レートは確かに八〇年代半ばと同程度の水準になっているということを申し上げました。ただ、その際にも一般的に、理論的にと申し上げたとおり、これが為替レートの水準とか日々の動きを何か占うとか先行きについて何か申し上げたということでは全くないわけでありまして、従来から申し上げているとおり、為替レートの水準、あるいは日々の動きについてはコメントを差し控えさせていただきたいということであります。
○中西健治君 それだとまだ分からないということなんじゃないかと思うんです。理論的にというのはどういうことなのかということが分からないんです。 ちょっと私、今日、チャートを一つ配付させていただいております。おさらいですけれども、実質実効為替レートというのは、デフレであれば円の価値が低くなる方向、資料のチャートでいえば下の方向に数値が出てくるというルールで計算される指標であります。実質というのは、実質金利と同じで、インフレを考慮して計算をした数値というものということであります。 したがって、このチャートの赤い線、円の実質実効為替レートが実際の為替の変動、これドル・円で一応代表させていますけれども、貿易相手国のウエーテッドアベレージになっているわけで、本来はそうなんですけれども、この緑の線と赤の線を比べて赤の線がずるずると下がってしまっているというのは、日本が長い間デフレ状態にあったという事実を示していることにほかならないというふうに考えております。もしデフレでなければ、もっとこの赤い線は緑の線に近似していたでしょうし、ワニの口のように広がるということがなかったということなんじゃないかと思います。 ですので、私が推測するに、総裁が言わんとしたことというのは、二%の物価目標が達成されればデフレは終わります、したがって、他国のインフレ率との兼ね合い次第でありますけれども、理論的というのではなくて、論理的には実質実効為替レートにおけるデフレによる下方向へのバイアス、下方バイアス、これはなくなって、むしろインフレによる上方バイアスもあり得る、これが日銀総裁の真意だったんじゃないんですか。
○参考人(黒田東彦君) 実質実効為替レートは大変難しい概念であり、これが何を示しているかということについては様々な理論が、あるいは議論があり得るわけでして、価格競争力を示しているのであるとか、いや、逆に言うと、その水準が下がるということは非価格的競争力が低下したので価格競争力がそれを補うように水準が下がっているんだとか、まあいろんな議論があって、必ずしも割り切った議論はできないというふうに思います。 その上で、一般論として申し上げますと、確かに名目為替レートが変化せずに国内の物価が上昇すれば、計算上、実質実効レートは円高方向、上の方向に向くということにはなるわけですが、一方で、内外の物価の先行きについての見通し、見方が変化すれば名目為替レートにも影響しますので、したがって、一概にどっちの方向に、そもそも実質実効為替レートの動きも一概に言えませんし、それから、その背後にある為替レート、物価上昇率、そして多国間の貿易関係というのは非常に複雑ですので、基本的に、実質実効為替レートから為替とか物価の動きを予測するということは難しいと。事後的に、こういう計算ができて、それが価格競争力を示しているとか、あるいは逆に経済の実力を示しているとか、いろんな議論があるんですけれども、いずれにせよ、このものから為替の先行きを予測するということは難しいということに尽きると思います。そういう意味で、理論的な概念というふうに申し上げたわけです。
○中西健治君 いや、総裁、総裁は理論的という言葉を枕言葉に置いていますけれども、円安に行くかというか、上に行くか下に行くかは基本的に分からないと言っている中で、円安に行くことはありそうにないと言っちゃっているわけです。そういう言葉を、というか、私、目の前で議事録読んでいるわけですから、そのままずばりを申し上げているわけでありますけど、やはり物価上昇目標との絡みにおいてこの実質実効為替レートについて言及されるのであれば私は分かるんです。そうじゃないというふうにおっしゃるのであれば分かりませんけれども、そこはいかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 何度も申し上げて恐縮なんですが、実質実効為替レートの水準について、衆議院の委員会の方で質問された方が、この三十年来の数字を示されて実質実効為替レートがこれだけの円安の水準になっていますねということを言われたので、実質実効為替レートの水準がそうなっているということはそうなんですけれども、ただ、それが名目為替レート、特に二国間の為替レートについて、現状の評価とか、あるいは先行きの見通しに何か関係してくるということは言えないと。あくまでも理論的な、事後的な概念であって、それを先行きの物価や為替の見通しに使うということは難しいというふうに思います。
○中西健治君 総裁、お言葉ですけれども、ここから更にという言葉を総裁は使っていらっしゃるんですよ。今後のことについて、名目為替レートじゃないですよ、けれども、実質実効為替レートについて、ここから更に円安に振れていくことは普通考えるとなかなかありそうにないということかと思いますとおっしゃっていますから、やはり私は、物価上昇との、物価目標との関連で言う以外は少しこれだけだと当然誤解を生じる、当然そのような報道になっていくであろうということなんじゃないかなというふうに思います。 では、総裁、このチャートを御覧になって、この教訓を導くとしたら、この間の発言についてじゃないですよ、教訓を導くとしたら、私は、十五年以上前からもっと積極的な金融緩和策を取って、デフレから脱却する、そうしたことを行っていくべきだったのではないか、こういうことを読み取るべきなんじゃないかと思いますが、総裁はいかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私自身、一九九八年から二〇一三年まで十五年続きのデフレというものを克服してデフレマインドを払拭しなければならないということは全くそのとおりだと思いますが、それは、過去十五年、二十年の物価の状況とか経済の状況を見ればある意味で明らかなことであって、この実質実効為替レートから、先ほど申し上げたように、これは為替と物価としかも多国間の貿易関係と、三つの関係を含んでいますので、これから十五年続きのデフレが好ましくなかったということを引き出そうというのはこの理論的な概念とはちょっと離れているので、あくまでも十五年続きのデフレというものはデフレ自体で問題であるし、経済の停滞につながったという意味でこれから脱却しなければいけないということはまさに委員と全く同じ意見ですけれども、それはこのグラフから出てくるというよりも、むしろ直接的に物価の動向や成長あるいは雇用等のデータから明らかなことではないかというふうに思っております。
○中西健治君 この実質実効為替レートですけれども、これはよく使う人いるんです。使う人というのは、今は表面的には円高に見えるけれども本当は円安だ、だからこれ以上円は安くなっちゃいけない、こんなような円高論者がよく使う指標かなというふうに思います。市場関係者の中では、エコノミストでは使う人はいますけれども、実際にディーリングを行う人たちは全く見ていないということですし、長期的なものを示すといっても、企業が長期の為替レートを推測するときにもこれは全く使われていないということなんじゃないかと思います。 その中で、この実質実効為替レートについての評価ですけれども、総裁は、迂遠なもの、金融政策を策定するに当たっては迂遠なものという評価をこの間はされていましたけれども、私自身は、もうこれは金融政策を検討する際には一顧だにしないものだということなんじゃないかと思いますが、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは日銀総裁としてというよりも、実はこの実質実効為替レートというものが最初に開発されたのがIMFで開発されたわけですね。その当時、私はIMFで勤務しておりましたので、それをめぐる議論とかその論文等を読んだことがあるわけです。その後四十年ぐらいたって、委員御指摘のとおり、これから何かを読み取るとかするのは非常に難しいものであって、これはやはり、金融政策とかそういうものについては、これがすぐに何か役に立つとか言われても、それは役に立たない。非常に迂遠なものだし、先ほど申し上げたように、為替の動きを占う面でも直接的にこの含意がはっきりしているというものでもありませんので、そういう意味で、私は、理論的なものとしてあるけれども、金融政策との関係ではやっぱり非常に迂遠なものであると思いますが、ただ、この理論を開発した人を私はたまたま知っておりますので、全く無意味だ、一顧だにするなと言われると、そこまで言う必要はないと思いますが、ただ、金融政策にこれが何か非常に深い意味があるとか縁があるとか、そういうことはないという意味では全く同意見であります。
○中西健治君 質問を終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十九分散会