財政金融委員会 第8号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2015/04/23
会議録
○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁長官官房審議官島根悟君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁岩田規久男君、同政策委員会審議委員原田泰君、同理事雨宮正佳君、同理事櫛田誠希君及び同理事武田知久君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。 我が国の景気は、緩やかな回復基調を続けています。企業部門について、今月公表した三月短観を見ますと、企業の業況感は総じて良好な水準を維持しています。企業収益は今年度も高水準を持続する見通しであり、こうした中、企業は前向きな投資スタンスを維持しています。輸出は持ち直しており、在庫調整の進捗などもあって生産も持ち直しています。また、昨年に続き今年の春闘においても、多くの企業でベースアップを含めた賃上げが実現する見通しにあるなど、雇用・所得環境は着実な改善が続いており、個人消費は全体としては底堅く推移しています。このように、企業部門、家計部門共に、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと作用し続けています。先行きについても、景気は緩やかな回復基調を続けていくと考えられます。 こうした経済活動を支える我が国の金融環境は、緩和した状態にあります。企業の資金調達コストは低水準で推移しているほか、銀行貸出残高は緩やかに増加しています。 物価面を見ますと、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見てゼロ%程度となっています。先行きは、エネルギー価格下落の影響から、当面はゼロ%程度で推移すると見ています。もっとも、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇を背景に、物価の基調は着実に高まっていくと見られます。こうした下で、消費者物価の前年比は、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくとの前提に立てば、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高め、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと見ています。ただし、原油価格の動向によって二%に達する時期が多少前後する可能性がある点は留意が必要です。 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。 日本銀行は、一昨年四月、二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために、量的・質的金融緩和を導入しました。さらに、昨年十月には、量的・質的金融緩和の拡大を決定しました。量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しており、デフレマインドの転換は着実に進んでいます。 日本銀行は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続します。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う方針です。 ありがとうございました。
○委員長(古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○愛知治郎君 おはようございます。自民党の愛知治郎です。よろしくお願いをいたします。 さて、黒田総裁、大変お忙しい中だと思いますけれども、この日銀報告に対する質疑というのも、積み残しもございますので、しっかりとした議論をさせていただきたいと思います。御協力をいただきたいと思います。 本日は、景気、経済の動向全般についての議論をさせていただきたかったんですが、その本題に入る前に一点お伺いをしたいと思います。セキュリティーについてであります。 昨日、総理官邸の屋上にドローンが落下したという報を聞きまして、私も驚きましたけれども、物騒な世の中になったなと思うことと、また、こういった民主主義に対する挑戦のような行為、調査は今進んでいるところでありますけれども、許してはならない。ただ、現実的対応として、セキュリティー体制を強化していかなければいけないというふうに考えております。 また、先日のことなんですが、ECBのドラギ総裁が記者会見をしているところに、いきなり女性が机、テーブルですね、壇上に飛び上がってビラをまいて騒いだという事件がございました。こういった事件もありますし、また、先日のことですけれども、韓国において米国の大使が切り付けられるという事件もございました。 これから、こういったセキュリティーに関しても改めて見直しをしていかなければいけないと思いますが、日銀総裁のセキュリティーの現状について確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(武田知久君) 日本銀行では、記者会見に参加する報道関係者を含めまして、建物の中に入る入館者の本人確認を徹底するなどセキュリティーに関して十分注意を払っております。 今後とも、日本銀行として、対外的なコミュニケーションの充実を図りつつ、総裁を始めとする役職員などのセキュリティーの確保にも万全を期してまいりたいと考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 余り詳細について問い詰めるというか聞くのは、またセキュリティー上問題があるのでこれぐらいにしておきたいと思いますけれども、はっきりと申し上げたいと思います。日銀総裁の立場、いろんなこれから政策的議論またされますし、今はいいですけれども、また考え方の違う方たちがいろいろ指摘されることもあるでしょうし、日銀総裁がこれは身分的にも物理的にも守られているというのは、やはりそういったいろんな意見やいろんな考え方の違いを乗り越えて、本当に国のため国際情勢のために正しい政策を実行していただく、そのために守られているわけですから、その体制は強化していただきたい、しっかりと確保していただきたいと思います。 私は、改めて提言をさせていただきますが、この今の状況における一段階上のセキュリティーを取っていただきたい、そういうふうに思いますので、まず、これは通告ではないんですけれども、感想というか、総裁自身のお考え方を聞かせていただければと思います。
○参考人(黒田東彦君) 大変温篤な御意見を伺いまして、私も身の引き締まる思いでございますけれども、御指摘のようなことを十分踏まえて、しっかりとセキュリティーも含めて対応してまいりたいと思っております。 なお、先日、ワシントンで会議がございまして、その際にはドラギECB総裁にもお会いしまして、そのときの状況なども伺いましたし、十分注意してまいりたいと思っております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 国際会議であるとか他国に行けばそちらのセキュリティーに基本的には従うということでありますけれども、十分気を付けて対応していただきたいというふうに思います。 では、本題に入りたいと思います。 景気、経済全般の話に移りたいと思いますが、今、統一地方選挙の後半戦が行われているところでありますけれども、いろんな意見、お伺いをするところでもございます。多くの方の意見は、日本経済全体としては、景気はこれは良い方向に向かっていると考えているけれども、やはり地方や中小企業まではなかなかその恩恵が行き渡っていないのではないかという話をよく聞きます。 日銀には支店長会議とか様々な情報収集の機会があると思うんですけれども、その支店長会議等々の報告も踏まえて、現状認識どのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) まず、日本経済全体としては、企業部門、家計部門共に所得から支出への前向きな循環メカニズムが作用しておりまして、景気は緩やかな回復基調を続けているというふうに考えております。特に企業部門では収益が過去最高水準まで増加しておりまして、設備投資も緩やかな増加基調にございます。家計部門を見ますと、失業率が構造的失業率近傍まで低下しておりまして、賃金も緩やかに増加するということで、雇用者所得は緩やかに増加しており、個人消費も全体としては底堅く推移しております。 そういったことで、日本経済全体としては良い方向に向かっておる、好循環のメカニズムが働いているというふうに思いますが、御指摘のように日本の各地域ではどうかということになりますと、今月行われた支店長会議での報告によりますと、確かに景気は緩やかな回復基調にあるという評価でありますし、その中でも、特に北陸、東海、近畿の三地域では回復テンポが高まって景気判断を引き上げるという報告もございました。 ただ、やはりこの間、為替や国際商品市況がかなり変動しまして、その影響というものは当然業種や企業規模によって異なりますし、各地域間では産業構造が異なっておりますので、その効果の波及具合にもやはりばらつきがあるというふうに感じられました。 日本銀行といたしましては、本支店を通じて地域経済の現状の把握に引き続き全力を挙げて取り組み、そうした中で得られた情報というものを十分に生かしながら適切な政策運営を行ってまいりたいと思っております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。 地域によってばらつきがあるということでございましたけれども、全体としてやはり押し上げていくことが大事だというふうに思います。その点ではいい方向に向かっているんだと思います。 また、個人所得に関しても、これは徐々にではあるけれども増えているということでありましたが、一方で、所得が増えてもなかなか消費が伸びていないのではないかというふうに感じるんですが、足下の個人消費についてはどのように見ているか、お考えを伺いたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お尋ねがございました個人消費の動向、昨年からの動きを振り返ってみますと、確かに昨年の消費税率引上げ後の落ち込みが長引いたことは事実であるというふうに認識しております。その背景としては、一つは、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減ですとか実質所得減少の効果が大きかったということと、昨年の場合にはやはり天候不順の影響があったということもあったというふうに考えております。 ただ、この間、消費の基調を形成する大きな環境を見てみますと、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、雇用・所得環境は改善を続けておりますし、タイトな雇用情勢や良好な企業収益を背景に、名目賃金、緩やかに上昇してございます。今春の賃金交渉では、ベースアップも含めた賃上げについて昨年を上回る回答を示す企業が増えてございますし、雇用者数が増えてございますので、賃金掛ける雇用者というふうに見た雇用者所得全体でございますけれども、こちらの増加はより明確でございます。 したがいまして、足下の個人消費は一部で改善の動きに鈍さが見られるということは事実でございますけれども、マインド面は持ち直しの動きが見られておりますし、消費税率引上げ後の反動減等に起因する下押し圧力につきましても収束しつつあるということでございますので、先行きにつきましては、この雇用・所得環境の着実な改善が続く下で個人消費、底堅く推移していくのではないかというふうに見てございます。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 消費税の反動減であるとか天候要因というお話がありましたけれども、やはりマインドが一番大きいと思いますね。総裁の取っている今の政策についても、アベノミクス全体についても、やはり皆さん動向を見守っていて、何とかいい方向に行ってほしいと思っているんですが、まだまだどうなるか分からない。だから、ちょっと迷っているというところがあると思うので、これからが正念場だと思いますから、是非頑張っていただきたいというふうに思います。 今回の報告においては、消費者物価なんですが、前年比ゼロ%程度にとどまっているという報告がございました。この先行きについてお伺いをしたいというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 物価上昇率は、特にエネルギー価格の下落の影響から各国でも低下しておりまして、日本でも消費者物価の前年比が消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見てゼロ%程度となっております。もっとも、需給ギャップあるいは中長期的な予想物価上昇率によって規定される物価の基調的な動きには変化は見られておりませんので、先行き、物価の基調は着実に改善していくと考えております。 そうした下で、消費者物価の前年比は、原油価格の動向によって多少もちろん前後する可能性があるということは先ほど申し上げたわけですけれども、原油価格が現状のような水準から先行き緩やかに上昇していくという前提に立ちますと、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高めて、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いというふうに見ております。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、石油価格の動向というのはなかなか予測し難いところがありまして、実はワシントンの会議でも石油価格の動向についていろいろな議論がありましたけれども、先ほど申し上げたような、現状ぐらいからだんだん緩やかに上がっていくというのは、石油価格の先物価格を参考にして、市場の想定を参考にして見ているわけですけれども、市場の想定自体も現実の中で上に行ったり下に行ったりしますので、十分よく見ていきたいというふうに思っております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 原油価格、この原油価格という言葉を聞くと、私は個人的に大変センシティブに感じてしまうんですが、この原油価格が物価に与える影響、相当程度あるということでしたが、基本的にこの原油価格の下落、日本経済にとって私はプラスだと思っておりますので、物価を押し下げる効果があるとしても、特にこれに対応する政策等々は必要ないと思っているんですが、その点についての考え方をお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) この原油価格の下落を金融政策上どう位置付けるかということについては、各国の中央銀行が採用している考え方の筋道というのがございまして、御指摘のように、まず何よりも原油価格の下落は経済にとってプラスの効果を持つということで、基本的には、原油価格の下落そのものに対応して何か金融政策を動かすということはしないということでありますけれども、しかしながら、それが予想物価上昇率の変化を通じて賃金や価格設定などに対して二次的な影響を与える、あるいはそのリスクがあるということであると、やはり政策的に対応するということになろうかと思います。 この点、日米欧の金融政策の対応を見ますと、米国では今申し上げたような二次的な影響というものが余りないと。逆に言いますと、二%の物価安定目標の付近に予想物価上昇率が比較的アンカーされているということで特別な対応はしておりませんけれども、日本銀行と欧州のECBは、やはりその予想物価上昇率が下落していく、そういうおそれに鑑みまして追加的な金融緩和というのを行ったわけでございます。 昨年十月に量的・質的金融緩和を私ども日本銀行も拡大を行ったわけですけれども、その効果もありまして、幸い予想物価上昇率は、毎月毎月の原油価格の下落によって消費者物価上昇率はどんどん落ちてきたわけですけれども、予想物価上昇率自体はやや長い目で見ますと全体として上昇しておりまして、また企業の賃金とか価格設定行動にも前向きの傾向が続いておりますので、そういったことから申し上げますと、昨年十月の量的・質的金融緩和の拡大というのは一定の効果があったのではないかというふうに思っておりますが、基本的な考え方は委員御指摘のとおりでございます。
○愛知治郎君 ありがとうございました。 もう時間が迫ってきておりますので、最後の議題に移りたいと思います。欧州の状況でございます。 二十四、二十五でユーロ圏財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。そこでギリシャの支援延長の改革案について議論がされるやに聞いておりますけれども、最近のこのギリシャ情勢を踏まえた上での欧州債務問題に関する見通しについてお伺いをしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 本件もワシントンで様々な議論があったところでございますが、御承知のように、ギリシャは、現在の支援プログラムの下で四か月間の支援延長に関する合意というものが二月にできまして、その合意に沿って引き続き関係諸機関との間で経済再建策の具体化交渉を進めております。仄聞するところによりますと、ワシントンでもそういった交渉が行われていたようでございます。 四月末の、いろいろな期限が迫ってくる中で、まだ合意に達していない、御指摘の二十四日のユーロ圏の財務大臣会合を控えてまだ合意ができていないということは事実でありまして、政府の資金繰りがかなりタイト化しているということもあって市場ではかなり緊張した状況が続いております。今後も、ギリシャ政府と関係諸機関との交渉の帰趨も含めて、ギリシャの情勢そして欧州における債務問題の展開については注意深く見てまいりたいと思っております。 私どもとしては、適切な合意ができて、債務問題について大きな問題を生じないようになることを切に希望しております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 では、最後の質問、一番聞きたかったところなんですけれども、こういったギリシャの問題、予断を許さないというか、どうなるか分からないので慎重に見守っていかなければいけないんですが、それに関して影響を受けるかもしれないということであるんですけれども、バーゼルの銀行監督委員会で銀行が保有する国債の金利リスクについて議論がされているようでありますけれども、この議論の趨勢と、それが邦銀経営に与える影響についてどのような見解をお持ちか、伺いたいと思います。
○参考人(櫛田誠希君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、現在、バーゼル銀行監督委員会におきまして、銀行勘定の金利リスクに関する議論が行われているところでございます。 御承知のとおり、銀行の国債なんかの保有している資産、負債については、短期的な売買差益を目的とする取引についてはトレーディング勘定に計上されて、それ以外の取引については銀行勘定に区分されるわけでございます。現在の枠組みにおきましても、金利リスクについては、トレーディング勘定については資本の賦課が求められているということになっているわけでございますけれども、さきの金融危機を踏まえて、その他の銀行勘定についてもこれをどうするかという議論が今行われているという状況でございます。 この議論は、国債に限らず、銀行勘定で保有する資産、負債全体のリスクを対象としたものでございますけれども、その内容については、規制の是非を含めて今様々な議論が行われている段階だというふうに認識いたしております。 いずれにしましても、日本銀行としては、金融機関が抱える金利リスクの実態を的確に把握した上で、規制が及ぼす銀行経営や金融市場への影響を見極めながら適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○愛知治郎君 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○前川清成君 おはようございます。 今日はいつもと違いまして報道用のマイクも出ております。岩田副総裁におかれましては、教壇にも立っておられましたので分かりやすく説明することはお得意だろうと思いますので、是非、報道を接して副総裁の発言を見聞きされる国民の皆様方にも分かりやすいように、端的に御答弁をいただければ幸いでございます。 今日は、まずはいわゆる量的緩和についてお尋ねしたいんですが、不景気になりますとお金がない、だから、企業は設備投資をしない、個人も住宅を建てない、その結果需要が生じないと。そこで、かつては公定歩合、日銀の各金融機関に対する貸出金利を下げた。公定歩合が下がったら、各銀行は言わば仕入れ値が下がるわけですから安く金を貸すことができると。金利が安いんだから、そうしたら借金してでも工場を建ててみようか、住宅を建ててみようかと。これらの需要が言わば呼び水となって景気が回復すると、これがいわゆる教科書に書いてあったような金融政策であります。 ところが、今、日銀がやろうとしているのは、いわゆるマネタリーベース、世の中に供給するお金の量を増やそうと、二年間で二倍に増やそうと、そうしたら二年間で物価が二%上昇すると、これがアベノミクスの一本目か二本目か知りませんが三本の矢の一つであって、クロダノミクスと言う人もあります。 そこで、まず岩田副総裁、お尋ねしたいのは、何のためにこの金融緩和を行うのかと。インフレを起こして庶民の暮らしを厳しくする、これは目的ではないだろうと思います。今お金が眠っている、だからインフレを起こすことでそのお金に目を覚ましてもらうと。デフレからインフレに誘導することで企業や個人がお金を使うようにする、お金が回り出すことによって企業や個人が景気が良くなっていくと。こういう理屈だろうと思うんですが、そうだとすると、世の中に供給するお金の量を増やしたらどうして企業や個人はお金を使うようになるのか。この点を、期待に働きかけるとかいうことはおっしゃらずに、分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) 日本銀行は、十五年にわたるデフレから脱却するために、二〇一三年四月に御案内のとおり量的・質的緩和を導入したわけでありますが、この量的・質的金融緩和というのは大きく分けて二本の柱から成っておるということであります。 一つは、二%という物価目標というのを、安定ということに、その実現に強くコミットメントする、コミットするということであります。 そして、もう一つの柱は、そのコミットメントを裏打ちするようなですね……(発言する者あり)大規模な金融緩和によって、今、予想物価上昇率を引き上げるということをして、実際に予想物価上昇率はこの金融緩和、量的緩和以後、緩やかにですが、振れを伴いますけれども、上昇傾向を示しているわけであります。 そして同時に、名目金利というのは、長期名目金利、短期金利だけでなく長期金利も下げるということによって、名目金利から予想物価上昇率を引いた実質金利ですね、これを引き下げるということであります。この実質金利を下げるということによって実物の民間需要が刺激されて経済の需給ギャップが縮小し、物価上昇に圧力が掛かるというメカニズムになります。 ただ、その際に、同時に、実質金利が下がるということは、どうしてそういうことが起こるのかと申しますと、デフレの予想が……
○委員長(古川俊治君) 答弁は端的に、質問者の趣旨に正面から答えるようにしてください。
○参考人(岩田規久男君) はい。 そういうメカニズムがあるということですが、ただ、その所期の効果がきちっとやはり発揮しておりまして、消費税率引上げ前は、直接の影響を除くベースで、二〇一四年四月には一・五%まで実際に物価は上昇したわけであります。これは、量的緩和の前よりも二%ポイント上昇したということを意味します。 しかしながら、その後、消費税率引上げ後の反動減が長引いて、需要面の弱さが見られたことや、昨年夏場以降の原油価格が大幅に下落したということで、実際は二%になっておりますが……
○前川清成君 あのね、副総裁、僕はその実質金利が云々かんぬんとか、そういうへ理屈は聞いていないんですよ。お金の供給量を増やしたらどうして企業や個人はお金を使うようになるんですかという質問、端的に答えてください。
○委員長(古川俊治君) 今の質問に端的にお答えください。
○参考人(岩田規久男君) やはりそれは実質金利が影響するということなんですね。つまり、デフレの中でデフレ予想をしている場合には、お金を現金や預金で持っているだけで価値が上がるということになります。実際にそういう状況の中では、企業というのは普通はお金を、内部留保などを設備投資に使うわけですが、実際はそれに使わないで現預金で持ってしまうというような、企業までもが持っているお金をため込むだけになってしまうと。それはやはりデフレ予想を変えてしなければできないということであります。
○前川清成君 今、岩田さんが答えているのは、金利が上がったら企業がお金を使うようになりますということを答えている。僕が聞いているのは違うんです。通貨の供給量、お金の供給量を増やしたらどうして使うようになるんですかと聞いているんです。
○参考人(岩田規久男君) 先ほどから申し上げましたとおり、物価安定の二%目標にまず強くコミットメントするということです、日本銀行が。このコミットメントが非常に大事だということです。そして、それを裏打ちするためにいわゆるマネタリーベースをどんどん増やしていく。その場合には、長期国債のような、そういう少し長めのものを買っていく、あるいはリスク性のあるものを買っていくということが大事であります。それによって予想がやっぱりデフレから実際インフレ予想に転換したわけですね。 ですから、そういうことで、お金を持っているだけでは、現預金だけ持っているだけでは駄目だということで、企業が支出に使い出す、あるいは消費者も支出に使い出すと、それが実際に起こったことであります。
○前川清成君 僕が岩田さんの講義を取っていたら、必ず単位を落としますね。言っている意味が分からないもの。 それで、岩田さん、何というのか、机上の空論じゃなくて、もっと分かりやすく具体的に答えてほしいんですが、例えば今極めて大事とおっしゃった、日銀が物価にコミットメントすると。中身はどういうことですか、具体的に。
○参考人(岩田規久男君) 中身は、二%の物価目標に向けてできるだけ早くそれを達成し、それを安定的に達成するまでにきちっと金融政策を、それに適切な運営をするんだという、そういうコミットメントです。それが人々の予想に働きかけるということであります。
○前川清成君 それは結局中身がないじゃないですか。物価を上げるために金融政策をしますと、分かっていますよ、それは。だから、物価を上げるために何をするんですかということ。 それと、もう一度、最初聞きますけれども、日銀の目的は物価を上げることが最終目的なんですか。そうじゃなくて、世の中の寝ているお金が起きてもらうと、お金が動き出すことが、お金が回り出すことが最終目的なんでしょう。それに対して全然説明がない。 それで、日銀の金融政策が始まった時点で銀行の預貸率は七割を切っていました。地域金融機関だったら五割を切っていたところもあります。つまり、銀行に集まったお金の三割は貸し出されていなかった。お金がなぜ回らなかったのか。銀行にお金がないから銀行は貸したくても貸し出せないじゃなくて、銀行にはお金はいっぱいあった、お金はあったんだけれども借りてくれるところがないからお金が動かなかった。それにもかかわらず、日本銀行が大量のお金を供給すると。どうしてそれでお金が動き出すのか。預貸率の現実を考えれば、私はこの金融政策というのが、金融緩和というのがどれだけ実証的なものか極めて疑問に思っています。 これは釈迦に説法ですけれども、二十五年三月時点のマネタリーベースが百四十六兆円、二十七年三月で二百九十六兆円、百五十兆円増えました。じゃ、金融機関の貸出総額はというと、二十五年三月で四百四十一兆円が去年の十二月の段階で四百六十一兆円、二十兆円しか増えていない。百五十兆円も世の中に供給されたお金はどこへ行ったのか。日本銀行の当座預金、二十五年三月時点で五十八兆円だったのが二十七年三月時点で二百一兆円、プラス百四十三兆円です。 つまり、日本銀行は世の中にせっせせっせとお金を供給しているつもりなんだけれども、そのまま日本銀行の当座預金で寝ている、お金は寝る場所を日銀の当座預金に移しただけ、これでどうやって景気が良くなるんですか。
○参考人(岩田規久男君) マネタリーベースは、量的・質的金融緩和の下で日銀が民間の銀行から大量の国債等を買い入れて、その代金として民間銀行の日銀当座預金を増加させるということで、前年比三割台の伸びになっていますが、一方、マネーストックですが、銀行貸出しの前年比が二%台半ばのプラスの下で、マネーストックは全体では三%台の伸びになっています。量的金融緩和の下で大量のマネタリーベースの供給というのは、金利の低下を通じて銀行が貸出しを増加させやすい環境をつくるということでありまして、このことはマネーストックの増加にも寄与しております。 ただ、もっともマネーストックの伸びは、こうした環境の下で銀行の貸出し姿勢や個人や企業の資金需要にも影響されます。実際に企業の資金需要を見ると、潤沢な手元資金を持っているので、まずそれを使って生産に回す、あるいは設備投資に回すということをするわけでありまして、つまり、デフレマインドが変わってくることによって、インフレマインドになることによって内部資金を先ほど言った生産等に使うようになるということです。それで足りない人も企業もありますので、それはやはり銀行に貸出しを、今、銀行の金利は非常に下がっていて借りやすい状況になっていますので、借りるということであります。したがって、たくさんの今潤沢なまだ内部資金を持っているという状況では、マネタリーベースのすぐには貸出しが大幅に伸びるということはやはり時間が掛かってくると思います。 したがって、マネタリーベースの伸びとマネーストックの伸びが一対一に対応するわけではないということですが、今申し上げた経路でマネーストックはやはり増加はしているということであります。
○前川清成君 企業がたくさんの内部留保を抱えていること、これは二年前には分からなかったことなんですか。あるいは、企業がいわゆる間接金融じゃなくて直接金融に資金の入手を移行している、これは分からなかったことなんですか。それにもかかわらず、それにもかかわらずですよ、二年間で二倍にお金の供給量を増やしたら物価は二%上がります、景気が良くなりましたと、これは一体どういう理屈で言ったのかが全然理解できないんです。 それで、申し上げたいと思いますけど、岩田さん、もうへ理屈は結構ですからね。僕の質問を繰り返すのも結構です。時間、三時間あるんだったらやってもらってもいいけど。岩田さん、分かりやすく言ってくださいよ。あなたは、マネタリーベースを二倍にしたら二年後には二%のインフレが起こると、起こらなかったら辞めると、ここまでおっしゃったんだけど、マネタリーベースを二%にしたら、どういうプロセスをたどって、因果の流れをたどって二%のインフレが起こるんですか。
○参考人(岩田規久男君) この金融政策を始める前に、企業が潤沢な資金を持っているということを認識していなかったということではありません。十分認識しておりました。したがって、私が申し上げたのは、今言った政策をすることによってデフレマインドをインフレマインドに変えることによって、企業が内部で持っている資金を、現預金で持っている資金をまず使い始めるんだということを申し上げた。で、実際にそれは起こったことであります。そういう意味で、所期の目的を発揮しているということであります。 それが二%にまだ達成していないじゃないかというのは、先ほど総裁が申し上げましたが、やはり原油価格の五割以上も下がるようなことが実際起こっていて、これは何も日本だけではございません、原油価格の下落によって大抵の国は大幅な、消費者物価の前年比は低下しておりまして、実際に二%の物価目標を日本と同じように挙げているアメリカ、ユーロ、英国でも、最近の三か月ぐらいは消費者物価の前年比はゼロないしマイナスになっているという状況であります。
○前川清成君 岩田さん、僕は今言い訳をしてくださいと言っているんじゃないんですよ。これはこの後また聞きますよ、あなたが言いたいんだったら。違って、二年前に、マネタリーベースを二倍にしたら物価が二%上がりますと、こうおっしゃったのはどういう根拠なんですかと聞いているわけです。 もう一つ。じゃ、二倍にしたら二年後に二%とおっしゃった。二年後というのはどういう根拠だったのか。これを因果の流れで、僕、最初言ったでしょう、公定歩合を下げると銀行の仕入れが下がる、仕入れが下がるから安く貸し出すことができる、こういう因果の流れで説明してくださいよ。
○参考人(岩田規久男君) 因果に関しては先ほどから申し上げているとおりでありまして、一方でデフレマインドからインフレマインドに変えていくということと、長期名目金利を下げて実質金利を下げるということであります。それによって人々がお金を使い出すということであります。 二年ということでありますが、ある程度、それは、一般に中央銀行のこれから二%の目標を、物価目標を挙げている国が、これはもう二十年ぐらいの経験があるわけですが、その中で、大体二年程度でその目標を反映しているという実績がある。そのためにはどのぐらいマネタリーベースを増やせばいいかということを一応モデル計算をしているということであります。 しかし、そういう中で、実際想定しなかったような原油価格の下落とかいうことが起こる、そのために今その物価目標の二%が少し遅れているということであります。しかし、実際の原油価格の下落というのは、総裁先ほども申し上げたとおり、中長期的に見ると、経済を活性化して物価を押し上げる要因ですので、今のその下がっていることということはそれほど心配するということではないということであります。
○前川清成君 あなたは二年以内に達成できなかったら辞めるというふうにまでおっしゃったんだけど、その二年の根拠は大体二年なんですか。大体二年って何の大体二年なんですか。
○参考人(岩田規久男君) 二年といいますか、二年程度ということで、大体二年程度ということになります。
○前川清成君 いや、聞いているのは、あなたが先ほどの答弁で大体二年だとおっしゃったでしょう。それはどういう根拠で大体二年とおっしゃってるんですかと具体的に聞いているわけよ。
○参考人(岩田規久男君) それは、先ほど申しましたとおり、物価目標の安定を二%に挙げている国という実績が、大体二年程度ではそこに上げているということであります。ただ、実際の物価はその周りでどうしても振れますけれども、大体その二年で行っていると。そのためにはどのくらいのマネタリーベースを増やせばいいか、あるいはマネタリーベースを増やす手段はどれがいいか、あるいはコミットメントをどういうふうに強めたらいいか、そういったことがやはり影響してまいります。
○前川清成君 その今大体二年と言っておられるのは、どこかの国のことをおっしゃっているの。何をおっしゃっているの。
○参考人(岩田規久男君) その二%の物価をうたう、二%だけじゃないんですけど、三%の国もあります、目標は。ありますけれども、多くの国は大体二%の周りに目標を設定している。それが、ニュージーランドが始めたのが一九九〇年ぐらいでありますが、それ以来いろんな国が二%ぐらいで大体やっていて、その実績は大体二年程度で、中期的といっていますが、実績はそこ、大体それを達成しているということであります。
○前川清成君 大体二年と言い出したのはあなたで、それに対して大体二年というのはどういう根拠ですかと言えば大体二年ですと言えば、こんなの永遠に終わらないですね。これトートロジーというんですけれども。 それで、原油が下がったことをぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ言い訳しておられますけれども、じゃ、日銀の金融緩和というのは、原油価格は下がらない、言わば原油神話というのを前提にしていたんですか。そうであれば、そのことを二年前に説明しておられたんですか。
○参考人(岩田規久男君) 原油価格が振れるということは想定できるわけですが、半年当たりで五割以上も下げるということはちょっと想定できなかったということであります。
○前川清成君 それでは、お聞きしますけれども、二十五年三月五日の衆議院議院運営委員会において、我々が求めたわけではありません、どなたかが、御自身から、達成できなかったとき、最高の責任の取り方は辞職することと、誰がおっしゃったんですか。
○参考人(岩田規久男君) 副総裁就任に当たりまして申し上げたことは、目標が達成できなかった場合には、まず果たすべきは説明責任であって、仮に説明責任が取れなかった場合には、最終的あるいは最高の責任の取り方は辞職であるということを申し上げて、そうした考えには今でも変わりありません。
○前川清成君 いや、誰が言ったんですか。
○参考人(岩田規久男君) 私です、それは。
○前川清成君 聞かれたことに答えましょうね。小学校でもそう習ったでしょう。 二十五年三月十二日の参議院議院運営委員会において、中西議員や渡辺議員の質問に対して、最終的にはやはり辞職するというのが一番だと、ただし投げ出したというふうには思わないでいただきたいと思いますと、こう答えたのは岩田さんですね。
○参考人(岩田規久男君) はい、そうです。
○委員長(古川俊治君) 委員長が指名してから御発言をお願い申し上げます。
○前川清成君 二十五年三月二十二日の記者会見において、達成できなかったときに、自分たちのせいではない、ほかの要因によるものだと言い訳をしない、そういう立場に立たないと市場が金融政策を信用しない、市場が金融政策を信用しないと、幾ら金利を下げたり量的緩和をしても効き目がないというのが私の立場ですと、こういうふうにお述べになったのはどなたでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 私でありますが、その真意はどういうことかというと、詳しく述べたいと思いますが、要するに、デフレという現象を世界的に共通した事象でもって、ほかにデフレになっていないのにそれをその理由として言うのはそれは責任逃れだと。 例えば、中国からの輸入が増えているから物価がデフレになるんだというのは、中国から輸入していれば、世界全部輸入しているわけですが、日本だけがデフレになっているという場合にはそれは言い訳であって、理由じゃないわけですね。しかし、原油価格の下落というのは、先ほど申しましたように、どこの国でもどうしても避けられない。これほどの、まあ原油価格が多少下がったってどうということはないんですけれども、五割から六割も下がるようなことが生じれば、これはきちっとほかの国でも同じようなことが起こっているので説明がやはりできる、合理的な理由だというふうに考えています。
○前川清成君 二十五年三月二十二日の記者会見において、達成できなかったときに、自分たちのせいではない、ほかの要因によるものだと言い訳はしない、そういう立場に立たないと市場が金融政策を信用しない、市場が金融政策を信用しないと幾ら金利を下げたり量的緩和をしても効き目がないというのが私の立場ですと、こういうふうに岩田副総裁はおっしゃいましたが、この委員会で、聞かれる前から原油が下がったとか、あれがこうだこうだと言い訳をしておられたのはどなたでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) それは申し上げましたが、それは今申し上げましたように言い訳ではなくて、言い訳というのは、誰もそれが実際の真の理由にならないようなことを言う場合でありまして、しかし原油価格というのは、足下で下がっているのはどこの国でも、二%の物価目標を達成しようとしている国、どこの国でも起こっている現象でありますので、私は、それは説明できているという意味で言い訳とは違うというふうに思っています。
○前川清成君 ちょっと今、言い訳の定義について何かよく分からなかったんですが、要するに、私先ほども聞きましたよ。原油にしたってサンマにしたってお米にしたって何にしたって、物価というのは上がったり下がったりしますよね。それを一切想定していないというのは、賢明な岩田副総裁やあるいは賢い方ばっかり集まっておられる日銀の方が、物価の上下を勘案していないというのはあり得ないですよね。それにもかかわらず、原油が下がったのは言い訳じゃないんだと。言い訳じゃなくてそれは何と言うんですか。
○参考人(岩田規久男君) 先ほども申し上げましたように、原油が上がったり下がったりというのはある程度想定して備えているということであります。下振れリスクがあったり上振れリスクがあるということはそれで対応するということでありますが、ただ、原油価格が半年もしないうちに五割六割下がるというようなことは、事前にやはり想定して金融政策を組むことはなかなか難しいということであります。 余りそれで、本当にそれを予想してしまうと、金融政策がずっと変わってしまうということであります。
○前川清成君 原油価格は、例えば過去二回のオイルショックもありました。逆にですけれども、大幅に変動していることもあります。だから、それは想定している範囲を超えたんだと言われたら、それはその程度の理屈なの、金融緩和って。今の岩田さんのぐちゅぐちゅした言い訳を聞くと、結局、量的緩和によって物価が上がるんじゃなくて、原油が上がることによって、原油が上がることによって物価が上がりますと。原油が上がったら人々が、ああ、お金を使わないと駄目だなと思い出してお金が動くようになると。これ、金融緩和じゃなくて、じゃ、日銀はもう仕事をやめなさって、どうですか、神様にお願いするのと、あるいは原油価格の上昇をただただ期待するということしか中身はないのかなと、こういうふうに思います。 ただ、いずれにしても、もう私の時間も僅かですので、岩田副総裁、あなたが心配されたように、我々は投げ出したというふうには思いません。ここであなたが言い訳を繰り返せば繰り返すほど、市場は日本銀行を、そして岩田さん、あなたを信用しない。信用しなかったら、市場が信用しなかったら幾ら金融政策を、金融緩和をしても、更なる第三弾の金融緩和をしても効き目がない。それならば、いつまでも副総裁というポストにしがみつくんじゃなくて、名こそ惜しけれという言葉もあります、あなたが人生を懸けて研究してきた金融政策のためにも、ここは潔く辞職するべきだと。辞職するべきだというのは私が言い出したわけではありません。恨まれたくないので申し上げておきます。あなたが衆参それぞれの議院運営委員会で自ら言い出したことなんです。 そうであれば、あなたは、この責任を取るというのが、学者の世界ではなくて、日銀という組織の責任者としては当然に取るべき対応ではないかと、私はそう思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 目標を達成できない場合に、まず果たすべきは説明責任であって、その説明責任が仮に果たせない場合には最高の責任の、あるいは最終的な責任の取り方は辞職であるというふうに申し上げたのです。現在の原油価格がこれほど想定を上回るもので、急激に半年の間に下がるということであれば、各国も同じようなことが起きているということからは説明責任も果たしているというふうに思っております。
○前川清成君 これで終わらせていただきますが、あなたの答弁に対して、野党席からではなく委員会室全体から何度も何度も失笑が起こりました。これで説明責任を果たしているというのは、私は余りにも独り善がりではないかと思います。 今日は、実は警察庁に闇金のことを、あるいは不招請勧誘のことで経産副大臣もお越しいただいています。これはまたシリーズでお尋ねをいたしますが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 岩田さん、あなたの決断だと思います。
○礒崎哲史君 民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。 私の方からも黒田総裁、岩田副総裁の方に今日は質問をさせていただきますが、当然様々な節目がございますので、二年、一つの大きな節目だというそういう観点で、状況の変化も先ほど来、岩田副総裁、お話をされておりますけれども、あろうかと思います。率直な振り返り、それから今後の課題認識、あわせて今日は幾つか質問をさせていただくということで、よろしくお願いをいたします。 今、前川委員との間でも様々なやり取りがございました。岩田副総裁、辞職という言葉は、確かに我々が使ったのではなくて御自身が発せられた言葉。確かに様々な環境変化がありますから、当然その二年というタイミングではなくて、それが早まったり遅まったり、これはあると思うんですね。であれば、反省するという言葉も、その当時、就任会見のところでは述べられておりましたので、素直に反省をすれば私はよかったと思うんですけれども、今もお話をされました、説明責任が果たせなければやっぱり辞めますという、私はこれは発言としては本当に反省されているのかなということを正直思います。 先ほど来、前川委員からもありましたけれども、日銀の信頼性をしっかりと高めていくということを一番に私は考えていただきたいというふうに思います。御自身の考えをもってどうのこうのというのではなくて、そのお立場の中で日銀という組織の信頼性を高めていくという考えの中でしっかりと私は御発言をしていただきたいなというふうに思っておりますので、また、二年前の就任会見のとき出てきていた、説明責任果たせなければ辞めますという御発言をまたここで繰り返しされているのも、少々私としては非常に残念な思いで今発言を聞かせていただきました。 今お話を岩田副総裁されていますけれども、腹の中では、そうはいっても二年間でやってやるぞという思いでされてきたとは思います。結果的には、今二十四か月、二年間というタイミングでは、これ物価上昇目標は達成できなかったということであります。説明責任をしっかりとやはり果たしていただくという意味で、改めてなぜ達成できなかったのか、原因はどこにあったのか、その原因分析について、岩田副総裁の見解、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) 量的・質的金融緩和というのは、先ほど申しました、一方で予想物価上昇率を上げるとともに片方で名目金利を引き下げて実質金利を下げるということで、実際に凍り付いたお金が動き出すということ、それによって物価が上がるとともに景気も良くなるということを目指しているわけでありますが、実際にその効果は、所期の目的は発揮されておりまして、先ほど申しました一四年四月、消費税がちょうど増税されたときには一・五%まで物価が上がっております。それは、我々が量的・質的緩和を始めたときはマイナス〇・五でありましたから、約二%ポイント上げる力があったわけであります。 しかしながら、ちょっと、その後、消費税率引上げの反動減が非常に長引いてしまって、これも九七年の消費税増税のときは七—九にはもう経済は成長経路へ戻っていたんですけれども、今回はそれも戻らない。いまだ、まだ消費税増税の影響は完全にはなくなっていないというような状況であります。 それが需要面の弱さ、消費の弱さをもたらして消費者物価の上昇率を低下させたわけですが、さらにそれに加えて、先ほど申しました原油価格が大幅に下落するということで、その後の伸び率として現在はゼロ%にあるということであります。 先ほども申しましたように、原油価格の下落による物価上昇率の低下は世界的に見られる現象でありまして、米国、英国、ユーロエリアでは、消費者物価の前年比はゼロないしもう小幅のマイナス状況にあります。 ただ、今申し上げました二つの要因のうち、消費税率引上げ後の反動減に起因する下押し圧力は収束しつつあります。また、原油価格の下落については、まだ影響がこれから残るとは思いますが、やや長い目で見れば、経済活動に好影響を与えることによって結局は物価上昇要因になっていくということで、前年比で見た物価引下げ圧力はいずれ剥落するということで、こういう中で、需給ギャップというのは、過去の平均で見るとゼロ%に程近くなっておりますし、予想物価上昇率も、原油価格の下落にもかかわらず、あるいは足下の物価上昇率が消費税を除くと低下しているにもかかわらず予想物価上昇率は安定しているということで、二つの重要な需給ギャップの縮小と予想インフレ率の安定的な上昇ということは、そういう基調にはやっぱり変わりがないということで、現在の量的金融緩和を続けることによってその二%へ向けた基調というのは保たれていくというふうに考えております。
○礒崎哲史君 先ほどは、原油価格の下落、予想外というお話が前川委員との間でありましたが、消費税についても一つ原因ということで今新たに加わってきました。 二つお話をされたんですが、岩田さん、就任会見の中でもこういうお話をされていまして、金融政策で期待に影響する最初の段階はこれは資産市場なんだと、マーケットという言い方をされていました。そのマーケットを通じて、それから実体経済に移っていくということで、その期間で必要なのが大体二年間、ほかの外国の例も見ても大体二年間ということですけれども、今のこの時点において実体経済に影響というのは及んでいるという認識でしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 実体経済に関して一番顕著に良い環境が現れているのは、やはり雇用市場だというふうに思っております。 失業率が、我々が量的・質的緩和前には四%台だったと思いますが、それが三・五%まで低下している。有効求人倍率も一倍を超えているという状況であります。そして、賃金も上昇傾向にあるということで、消費増税の分で二%急に物価上昇、上がりましたので実質賃金は低下しましたけれども、基本的な賃金は上がるという方向には働いております。昨年と今年について何年ぶりかにベアもアップするというようなので、実際に雇用市場は良くなっているし、失業者はどんどん減っていて職を得ていると。これは何よりも一番いいことだというふうに思っております。 そのほか、企業収益も、短観などを見ると、よく非製造業で中小は大変だと言いますが、それもリーマン・ショック前のピークぐらいに収益も、中小企業、非製造業でも達しております。 そういうことで、実体経済に対してはいい影響を与えるし、今後もこの金融緩和を続けていくことによってそういう状況を後押しできるというふうに考えております。
○礒崎哲史君 実体経済に及んでいるということで今幾つか例を出されましたけれども、ちょっと正直言うと違和感があるところもあります。例えば、失業率の件でいけば、当然今団塊の世代が六十五歳を迎えて、企業としてはどんどんどんどん人がいなくなっていくわけですから、これ自動的に新入社員雇わないと企業としては人材としては減ってしまいますからね。事業活動をやっていく上では、人材を確保するという面では、これは抜けた分を補充しなきゃいけないというのは、これは僕はタイミングとして当然合ったタイミングだというふうに思います。ですから、この点が金融緩和政策によって大きく改善された点かというと、私はほかの要因、今私が言ったそもそもの人口構造から来ているという点も私は大きいんじゃないかなというふうに思います。 今、最後に、リーマン・ショック前に戻ったというお話もされました。リーマン・ショックの前はデフレだったんじゃないですかね、またね、十分デフレ環境だったというふうに私は認識をいたしますけれども、そこまで戻ったというのは元々あったところにやっと戻ったということですから、大きく飛躍をしているというふうな見方をするのは私はやはり違和感があるなというふうに思います。 そうすると、今、実体経済には影響が及んできているというお話をされましたけれども、これ、指標としては、今後どういった指標というものが更に伸びてくる、その実体経済に対しての働きかけという意味では、どういった指標を見ていけばいいというふうにお考えでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 団塊の世代がちょうど退職したタイミングで、その効果が大きいということでありますが、確かにそういうこともあるかもしれませんが、いずれにしても、生産年齢人口というのは二〇〇〇年ぐらいからもうずっと減っているわけですね。そういうことになると、生産年齢人口が減っているということは、普通に考えれば、労働者が減っていくわけですから労働市場は売手市場になってこないとおかしいわけで、失業率が上がるということ自体がおかしいわけですね。やはりそれは金融政策含めて経済政策に何らかの問題があって、そういう生産年齢人口も少なくなっている中でも失業率が上昇してしまう、失業者が増えるということが起こったんだと。やっぱりそれを止めて逆転させたという、量的・質的緩和はそういう力があったというふうに考えております。 それから、リーマン・ショック前はデフレだったんじゃないかということですが、リーマン・ショック前は、原油価格の高騰にも助けられていると思いますが、ある程度物価がゼロかプラスの領域辺りをうろうろしていたわけでありまして、完全にデフレ脱却したわけではありませんが、何よりもリーマン・ショック前は世界経済が実は絶好調だったんです、まれに見る、世界史的にも。アフリカというようななかなか低開発で成長しないと思われた国も、年率でいうと、もしもそれが続けば十年で二倍になるようなGDPが伸びていくというふうに、世界的なあれだけの好況というものは余り見られない状況、その中で達成した水準の収益に今近づいているということであります。
○礒崎哲史君 いろいろな切り口があると思いますので今言った見解もあると思いますが、そういうお話であれば、リーマン・ショック前は世界経済が良かったという意味でいけば、今もアメリカ経済は絶好調です。始まったのはやはり一年前、二年ぐらい前からではないかというふうに思います。 その意味でも、ちょうどアメリカ経済が戻ってきた、あるいは欧州の経済の低迷、言わばギリシャの破綻の話が一段落したタイミングでまさにこの金融緩和始まったわけですから、その恩恵も十分に受けているというふうに私は見てもいいというふうに思いますので、全てがそこかと、全てが日銀の金融緩和による成功の部分なのかというと、もう少し私はそこは冷静な見方をしていただかないと、この後の政策、見誤る可能性あるんじゃないかなということをまずは申し上げておきたいというふうに思います。 実際問題、二十四か月というところでは、物価上昇率というのはゼロ、言ってみれば振出しに戻ってしまったという状況だと思いますが、改めて、いつになると二%の安定した物価上昇に戻ってくるのかということが疑問になります。 ここでまた一つ、私非常に不思議なのは、原油価格の下落、これは予想が付かないことであった、ですから二%達成できなかったのはしようがない、それはそうかもしれません。なのに、期間に対する、二年程度を念頭に置いてという言葉について、ここについては全く考えはぶれていないんだという説明。予想外のことが起きていて、実際に二十四か月では達成できていないけれども、期間についての考え方については全くぶれていないんだという説明は、私にはなかなか納得ができません。 既に以前のこの委員会の中で民主党の大塚委員の方からも資料も提出させていただきました。文言が変わってきていました。政策決定会合の声明文の中では、二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現をする。これがその年の暮れには、一四年度後半から一五年度前半くらいにかけてということですから、まあ自信があった形での御発言かなというふうに思います。 ただ、その後、四か月、五か月たちますと、一五年度を中心とする期間を考えていますということで、明らかに発言としては変わってきたというふうに思いますが、黒田総裁にお伺いいたしますけれども、この二%の物価安定目標達成、最大ここまでには達成できるだろうという見込み、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
○参考人(黒田東彦君) お尋ねの件につきましては、るる岩田副総裁からも答弁申し上げましたけれども、まず量的・質的金融緩和を二年前に導入した際に申し上げたことは、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、その場合も二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に達成できるような量的・質的金融緩和を行うということでありますが、それと同時に、その量的・質的金融緩和というものは、二%の実現を目指して、それが安定的に持続するまで継続しますと言っておりまして、具体的にいつまでやるかということ自体はオープンエンドということになっておりました。 その上で、物価の見通しについてお尋ねのことだと思いますけれども、このところ一貫して、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと、こういうふうに申し上げております。これは、展望レポートという半年に一回政策委員会で議論して決めた見通し、それに沿って申し上げているわけでございまして、現時点での展望レポートでは、申し上げたような二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと、これは見通しです。ただ、その上で、原油価格の動向によって前後する可能性もあるということも申し上げているわけでございます。
○礒崎哲史君 その展望レポート、見通しによりますと、二〇一五年度、今年度ですね、これが一・〇%、中央値ですけれども一・〇%、二〇一六年度で二・二%という見込みだというふうにそこにはありました。昨日の新聞辺りで少しこの今年度の見込み一・〇というのも下方修正するのではないかなんというのが既に記事には出ておりましたけど、そこについては特に今日は伺いませんが、状況としては厳しい状況なのかなというのもそういう報道を通じて感じ取れます。 二〇一六年で二・二%になるということですけれども、これは実質始めてから四年後ですよね。金融緩和を始めて二〇一六年度の中で達成ということは丸三年以上掛かっているということですから、二年程度の期間を念頭に置いてということで、これが本当に二〇一六年に二%に達したときに市場に対してはどういうふうに受け止められるのかなというのは私は正直言うと少々疑問を抱いています。 要は来年、三年たったところで同じ議論をしている可能性があるわけです。丸三年たった時点で、来年の議論の中でも二年程度を念頭にという御説明を日銀の皆さんがされる、その説明のやり取りを聞いたときに市場の皆さんはどういうふうに受け止めるのかなと。黒田総裁を始め日銀の皆さんは問題ないと、目標は変えていないと、ぶれていないとお話をされますけれども、来年も同じ論議をしていたときに市場は果たしてそういうふうに受け止めてくれるのか。 私が心配しているのは、こういうやり取りをせざるを得ない状況を、これは当然市場が見たときに、日銀に対する、日銀の政策に対する信頼性、これが落ちていかないかなというのが私は心配をしています。これ様々な指標を使って、物価の安定というのはこれはやっていただきたいんですね、やっていただきたいんです。そのためには日銀の信頼性が重要だということ、これは私も十分分かっています。その信頼性を高めようと思って今日も前川委員始め論議をしていると思うんですけれども、なかなかそういう説明をいただけていないと。これ何か、この二年程度という政策決定会合で出した声明文、これの見直しを図る、少し言い方を変えていくということは考えられていないんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 金融政策決定会合においてどういった議論になるかと、あるいは半年に一回の展望レポートの経済見通しがどのようになるかということについて私から先見を持って何か申し上げることはできませんけれども、御指摘の、日本銀行の金融政策について信頼性というものが非常に重要であるという点は全くそのとおりでありまして、私どもも引き続きそういった点には十分留意しつつ適切な金融政策を行ってまいりたいというふうに思っております。
○礒崎哲史君 是非、来年の議論でも二年程度を念頭にという言葉が使われないように私は見直していただくことを改めてお願いを申し上げます。もしかすると、これは政策協定なので、日銀が一方的に変えたいといっても変えられないのだというふうにも思います。当然、政府の意向がありますから、もしかすると政府の意向で変えられないということもあるかもしれませんけれども、こういったことでの日銀の政策信用低下が起きないように是非御検討をいただきたいというふうに思います。 では、この後の二年間、二年程度の期間の後半二年間についてお伺いしたいというふうに思いますけれども、先ほど、実は岩田副総裁と前川委員のやり取りの中で、黒田さんも言われているんですけれども、今後、原油価格の上昇を見込んで、二〇一六年度二・二%ですね、これの達成見通しも見込んでいるという御説明だったかというふうに思いますけれども、なぜ上昇を前提としているんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 様々なものの価格の動きというのは消費者物価の上昇率に影響を与えるわけですけれども、今回のような、半年で五割以上原油価格が下がるといったことは極めて大きな影響を短期的には与えるわけです。そういう意味で、この原油価格が五割下がったところからどのように動いていくかというのは、どうしても、日本のみならずどこの国でも消費者物価の動向を予測する上では重要な要素になります。 その上で、どういった前提を置いて経済見通しを作ったらいいのかというのはいろんな議論があり得るわけですけれども、IMFその他の国際機関も含めて、原油価格について一方的にその予測を作るというよりも、マーケットの先物価格等の、マーケットの予測を前提にして経済予測を作るということをしておりまして、私どもも、今回のような極めて大きな急速な原油価格の下落、これを受けた物価の見通しについては、一定の原油価格についての前提を置いて政策委員会での見通しを作ったということでございます。
○礒崎哲史君 IMFの予測含めてというお話でしたけれども、その中で、原油価格は徐々に緩やかに上昇していくだろうというのが全員の同じ意見だったのかなというのをちょっと疑問に思うんですけれども。 普通、こうした予測を立てる、若しくは政策を立てていく上では、リスクを見込んだ政策というのを立てていくのが、私、本来の姿じゃないかなというふうに思うんですが、これ、物価上昇を目指していく日銀にとっては原油価格の上昇は大変都合がいいですよね。そうすると、自分たちに都合のいい方向に前提条件を置いて政策を、政策目標といいますか、その目標達成の見込みを作ってというのは、私は政策を決定するプロセスとして少々おかしいのではないかなと。リスクサイドに立った政策決定、若しくは将来の見込みというのも同時に示すべきではないかなと思いますけれども、御見解、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは、IMFの今回の世界経済見通しについても、やはり現状程度から緩やかに原油価格が上がっていくということを前提にして世界経済見通しを作っております。 それから、ECBもそういうことをかなりはっきり言っておりまして、原油価格が今後緩やかに上昇していくと、その数字も明らかにしております。それらの前提も、ほとんど全て市場の先物価格を、客観的に得られる市場の予想を使ってやっているということでありまして、何か意図的に原油価格の見通し、前提を作っているというのではなくて、あくまでも市場で得られる原油価格の動向、指標を使って、IMFにしてもECBその他のいろいろな中央銀行にしても、それを前提にして経済見通しを作っているということでございます。
○礒崎哲史君 そうすると、原油価格が上がってということを前提にというよりも、世界的にそういう方向性を持って様々な予測が立てられているので、それに足並みをそろえてというふうに理解をする方がきっと正しいのかなというふうに受け止めましたけれども、ただ、それも違和感が少し残ります。 というのは、世界の流れがこうだから日本もそれでいいよねという姿勢で様々な政策を組まれているのか、そうではなくて、世界的な流れはこうかもしれないけれども、我々はそこに更にリスクを加えてもこれは達成するんだという姿勢を示していくかどうかというのも、市場に対する信頼性の向上ですとか日銀が絶対にやるんだという姿勢を見せていく意味では、私はそういう考え方を示した方がよりインパクトはあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、そこは考え方の違いがあるんだろうなというふうに今受け止めました。 ちょっと、この後の具体的なリスクということで一点お伺いをしたいことがあります。 さきの決算委員会の中で、私、甘利大臣、それから安倍総理とも少しやり取りをさせていただいたんですけれども、実は、甘利大臣が、昨年一年間、なかなか実体経済が、消費が浮いてこなかったと、上昇してこなかったということで、原因を四点お話をされました。一つは、天候不順だというお話をされました。それから二つ目に、輸入品を中心とした物価上昇があった、それで消費がなかなか浮いてこなかったと。それから三番目には、実質賃金が低下をした、これによって消費行動が冷え込んだ。四番目には、将来不安からくる生活防衛に皆さんが走ってしまったということでお話をされました。 これが実体経済が良くなかった、伸びなかった、景気が冷え込んだ理由ということですが、今言った四点、一個目の天候不順はどうにもならないですが、二個目、円安による物価上昇、三個目、実質賃金の低下、これは言わば物価上昇に追い付かなかったという話、四番目、将来不安からくる生活防衛。この後ろ三つは、これ大いに日銀の今回の政策が関わっているというふうに考えますけれども、こうした大臣の見解に対して日銀として何かお考えありますでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 今御指摘になりました三点について、まず円安、為替でございますけれども、二〇一三年度にはかなり円安になりました。二〇一四年度はそれほどでもなくて、二〇一五年度に入って若干円高になっているようですけれども、いずれにせよ、私どもの金融政策はあくまでも物価安定目標の実現ということを目指しておりまして、その過程で為替が振れるということは確かにあり得るわけですけれども、円安を当てにして何か金融政策を運営しているというものではございません。 二番目の実質賃金の点については、確かに実質賃金が低迷したことは事実でありますけれども、昨年の実質賃金あるいは実質雇用者所得の動きを見ていただきますと、消費税の増税による実質賃金、実質所得の下落というものがありますので、消費税の直接的な影響を除いた消費者物価の上昇率で割り引きますと、実質賃金はプラスだったりマイナス、実質雇用者所得はプラスが続いておりまして、消費税そのもののことはこれは金融政策のらち外で、政府、国会でお決めになったことであって、私どもの政策によることではないというふうに思っております。 将来不安云々というのはこれは極めて重要な要素だと私どもも思っておりますけれども、これももう金融政策の影響、そういうものも無視すべきというふうには思いませんが、恐らく多くの消費者の方は、将来の年金であるとか、あるいは将来の賃金であるとか、そういったことを踏まえて言っておられたのではないかというふうに思っております。ただ、この最後の点につきましては確かに私ども十分配慮していく必要があるというふうに思っております。
○礒崎哲史君 今お話を申し上げたのは、その委員会でも言いましたけれども、二%という数字を絶対目標として掲げて急ぐこと、また第三弾、第四弾があるか分かりませんが、そうした形を打つことによって、一日も早い二%目標を達成することによって、逆に今言った実質賃金の低下、これが改善をしていかない、結果的には、将来賃金が上がるかどうか分からないからまた買い控えが始まっちゃうということになってしまっては、これは本末転倒ではないですかということをその場でも言わせていただきました。是非、その点については、日銀法の第二条でありますけれども、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」、この観点に立てば、国民経済の健全な発展というのが最終目標でありますので、物価安定の二%達成が最終目標ではないというのが私の認識でありますので、今言った政府の見解の点については、十分政策の中で懸念点として、マイナス要因として働く可能性があるということは是非御検討いただきたいというふうに思いますが、最後にこれだけ確認をさせていただきたいと思います。 今、総裁のお話聞いた上で、また以前の岩田副総裁の御発言も聞いた上で、改めて確認をしますが、日銀の政策のみでこの二%はやはり達成可能だというお考え、これ岩田副総裁に改めて確認をしますが、日銀の政策のみで二%達成は可能だというこのお考えは今も変わっていないでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) 物価を決める要因としては、短期的にはいろいろなものがあります。原油価格もそうですし、増税もそうですし、いろいろあるわけですが、最終的にはやはり金融政策で二%を達成するという、最終的にはですね、いろんな要因によってヘッドウインドがあったりして時間が掛かる場合もありますけれども、最終的には金融政策で可能だというふうに思っております。
○礒崎哲史君 今、最終的にはというお話、当然今回、政府と協定を結んで一本目、二本目、三本目の矢があって、一本目のところで責任を負ってということですけれども、その三つの、三本の矢があるけれども、絶対的に決定力、影響が大きいのはやはり日銀の政策なんだということなんでしょうか、今の御発言。ちょっとそういうふうに理解をしてしまうんですが。
○参考人(岩田規久男君) 三本の矢で物価を最終的に決めていくというので一番大切なのは第一の矢だというふうには思っております。ただ、例えば成長戦略というのがあってそれがうまくいけば、それはヘッドウインドじゃなくて逆に経済活動が活性化するように働けば、同じ金融政策でも、より二%は早くなるということはあります。あるいは、むしろ実体経済が高い実質成長率を伴って成長戦略をやれば物価は二%だと。逆に、その成長戦略が全然うまくいかないという場合には、少し低い実質成長率だけれども二%だという組合せがあるということで、組合せは変わると思いますが……
○委員長(古川俊治君) 時間が過ぎておりますので。
○参考人(岩田規久男君) はい、済みません。
○委員長(古川俊治君) おまとめください。
○礒崎哲史君 組合せ云々のお話をされてもやっぱり二%は達成できるという発言だったので、この点については、政府の施策を含めてどういうことになるのかは引き続きまた論議をさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。 まず日銀の黒田総裁に御認識をお聞きしたいと思いますが、異次元緩和から二年が経過をいたしました。景気の立ち直り、ビジネスマインドの改善と。先ほど来から話がある数字の物価そのものを除けば所期の目的は達成しつつあるのではないかと、このように思うわけでありますが、どのような御認識をお持ちでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、企業あるいは家計両部門共に所得から支出への前向きな循環メカニズムが作用しておりまして、景気は全体として緩やかな回復基調を続けておると。しかも、これが今後とも持続するという見込みでございます。そういった意味では、確かに量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しているわけですけれども、物価そのものにつきましては、原油価格の大幅な下落もありまして、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見ますと、ゼロ%程度で推移しているということであります。 ただ、物価の基調は確かに着実に改善しておりまして、需給ギャップはおおむね過去平均のゼロ%程度に改善しておりますし、予想物価上昇率もやや長い目で見れば全体として上昇しているというふうに見られますので、量的・質的金融緩和を持続していくことによって二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということで、現在の政策を着実に実施していこうと、いく必要があるというふうに思っております。
○西田実仁君 所期の目的を所期の効果というふうに言い換えられまして、また物価の基調は著しく改善している。これはアメリカでの御講演でもそのようなお話があったというふうに思っておりますが。 今お話がありましたGDPギャップでありますが、日銀統計では、昨年の第四・四半期、マイナス〇・一%で、名目ベースですと〇・五兆円と、内閣府のはかなり大きくて十一・五兆円ぐらいありますが、これは原油の急落によって交易条件が改善をしていると。昨年九月から今年二月までの交易利得は年率で十兆円ほどございます。法人企業統計の経常利益も史上最高を更新、あるいは春闘での賃上げ効果で雇用者報酬も拡大と、こうしたことは消費を押し上げるであろうと思われるわけです。 需給ギャップの解消は時間の問題ではないかというようにも思われておりまして、今年度中のデフレの脱却ということも見越せるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○参考人(黒田東彦君) デフレの定義というのは様々でございますけれども、日本銀行といたしましては、物価安定の目標、これは消費者物価の前年比上昇率二%ということでありますので、その早期実現のために引き続き量的・質的金融緩和を推進していく考えでございます。 ただ、その下で、御指摘のような需給ギャップの動向あるいは物価上昇期待の動向、その他は十分注視してまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 先ほど来からお話がございます原油価格の下落というのは予想外であるということは、確かにそうであろうと思います。 一方で、今日もお話がありましたが、この原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提、これは具体的な数字として、先物価格等を見てこの二年で七十ドルぐらい、回復することを前提とされているものと思われますが、こうした七十ドルまで上昇することを前提にして期限を切った物価目標というのは、ある種の賭けに近くなってくるのではないかという懸念を持ちます。 もちろん、今日お述べになったところには、原油価格の動向によってその達成する時期が多少前後する可能性があるということを率直に言われているわけでございますけれども、そういう意味でそもそも何のための金融政策かということに立ち戻る必要もありまして、確かに物価二%ということをかなりはっきりと言われたということもありますので、そこはなかなか微妙な言い回しになるのは理解できなくもないんですけれども、しかし、物価二%の目標というのをある意味でこういう留意をしなきゃいけないということを置きながら今日もお述べになったわけでありますので、それをやや、事実上、中長期の目標という形に置いても景気の勢いがそがれるということにはならないのではないかというふうに私は思っているわけでございまして、そうした今日お述べになったこの留意点ということも含めて、意図していることをちょっと総裁からお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 二%の消費者物価上昇率という物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということは、一昨年一月の政府と日本銀行の共同声明でうたわれているところでありまして、二%の物価安定目標を早期に実現するということに変わりはありません。ちなみに、この二%の物価安定目標というのは、現時点では欧米を含めて先進国の中央銀行はほとんど同様の目標を立てておりまして、それに向けて金融政策を運営するということをいたしております。 委員御指摘のとおり、二%に達する時期に若干前後する可能性はあるということは私どもも認めているわけでございますけれども、やはり二%の物価安定目標を安定的に達成し、それが経済の持続的な成長の一つの基礎になるということは変わっていないと思いますので、御指摘の点も含めて、十分労働市場とかその他の市場の動向は見ていく必要があるというふうに思いますけれども、やはりこの二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するというのは、これは中央銀行としての最も重要な目標であろうというふうに思っております。
○西田実仁君 物価二%の目標達成が重要であるというのは、それはそれで、別にそれを変えるべきだというふうに申し上げているわけではありません。余りそのこと自体に、何か物価が上昇する、七十に上がることを前提にして、一種の賭けのようにして、そのために何が何でもそうするんだみたいなもしお考えであればという懸念を持って御質問させていただきました。 先ほど需給ギャップの話を申し上げましたが、この需給ギャップが解消するということは、実体経済にも相当いろんな大きな影響を与えて、景色が一変するというふうに思います。 ちなみに、過去十年間のGDPギャップと設備投資、あるいは企業の付加価値額、経常利益、そして消費者物価との相関係数を計算をいたしますと、設備投資においては〇・八二ございます。付加価値額は〇・七八、経常利益は〇・七七、消費者物価は六か月先行でありますが〇・七八と。つまり、こうした設備投資とか企業の付加価値額とか利益とか消費者物価とは相関係数が〇・八ほど大体ありまして、大変に高い相関関係があるという意味では、需給ギャップの解消ということが今年度には何とか達成することによって、景気そのものの景色が一変するんではないかというふうに思うわけであります。 金融政策、特に金融緩和政策については当然デフレ局面では重要だというふうに思います。しかし、デフレを脱却してからは、やはりこれは金融政策は当然転換をされて、投資を促進していく成長戦略の第三の矢の方に大きく成長全体のバトンタッチをしていくということが必要ではないかと私は思いますけれども、総裁の御認識はいかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、日本経済が持続的な成長を達成していくためには、企業による積極的な投資を促す等、民間の経済主体の前向きな動きを引き出していくということが絶対的に重要でありまして、何といってもこの経済の成長力を強化する、そうした面で御指摘のいわゆる投資促進のための成長戦略、第三の矢ということが重要であるということはそのとおりでございます。 二〇一五年版の産業競争力の強化に関する実行計画というものでは、日本再興戦略のうちの重点施策について、各施策の実施時期とかあるいは担当大臣も明示するということで、相当迅速かつ確実に実行していく方針が示されておりまして、是非この着実な取組を行ってほしいというふうに強く期待しているところであります。 また、他方で、企業による積極的な投資などを促すためには、やはりデフレマインドを払拭するということも大事でございますので、日本銀行としては、この二%の物価安定目標を着実に達成していくということもやはり引き続き重要だろうと。ただ、御指摘のように、こういうふうに需給ギャップが縮んできた下では、まさにその供給力を増やす、成長力を増やすということが極めて重要になっているということはそのとおりであります。
○西田実仁君 先日終わりましたG20中央銀行総裁会議におきましても話題になりましたAIIBについてお聞きしたいと思います。 今日は、副大臣にもお越しいただきましてありがとうございます。このAIIBにつきましては、二〇一三年の二月に行われましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議におきまして、次のような合意がございましたことが背景にあるんではないかというふうに思われます、もちろん中国のいろんな思惑がありますが。 この合意では、インフラを含む長期投資ファイナンス強化の重要性が確認をされ、現地通貨建てで債券市場や資本市場、機関投資家の健全な育成強化が必要である、新たなスタディーグループを設置して、世銀、OECD、IMF、FSB、国連、UNCTADなどの協力、手法やインセンティブに関する分析、調査を実施して、厚みのある安定した地域資本市場が重要な役割を持つと、こういう合意がなされました。その年の十月に習近平国家主席がAIIBを表明されたわけであります。そして、昨年の二月のG20中央銀行総裁会議におきましては、二〇一八年までにG20全体のGDPを少なくとも追加的に二兆ドル引き上げるという目標を設定をされました。そのためにも、グローバル・インフラ・イニシアチブを承認して、一連のリーディングプラクティスに合意というふうになされたわけでございます。 そこで、世界経済に与える影響ということをお聞きしたいと思いますけれども、もちろんこのAIIBの設立そのものはG20が何か決めたわけじゃないんですけれども、今申し上げた背景のことでお伺いしたいんです。G20におきましては、今申し上げた二〇一八年までに二兆ドルの追加的な需要拡大策を実施するとしております。一方、AIIBにおきましては、この十年間でアジアに生じるであろう八兆ドルにわたるインフラ投資需要に対応していくということも報じられております。 こうなりますと、明らかに世界経済全体としては需要過多になってしまうんではないかというふうに思ってございます。需要が過多になりますと、世界経済に非常に過熱感が出まして、その後の激しい景気後退の原因にもなってしまいかねません。経済合理性を超えたインフラ投資というものは、投資国の経済負担を拡大し、資金回収が困難になって世界不況の再来というふうにもなりかねないという、そうした世界経済のマクロの調整ということもよく考えなきゃならないというように思うわけでございますけれども、この点、どのように認識をされていますでしょうか。総裁、お願いします。
○参考人(黒田東彦君) まず、G20の関係について私からお答えいたしまして、AIIBの関係は財務省の方からお答えいただきたいと思います。 御指摘のように、G20がここ数年二つのことをやってきておりまして、一つは、御指摘のように、二〇一八年までにG20の全体のGDPのレベルを二%引き上げる、まあ二兆ドルというか、引き上げるという。これは、ただ、構造改革、構造政策によって供給力を引き上げるということでありまして、需要をいっぱい付けようということではなくて、むしろ各国に構造改革を要請し、各国がそれをコミットしてG20の経済規模のレベルを二%引き上げようと、そういうことによって強固で持続可能かつ均衡ある成長を遂げようと、こういう話であります。 もう一つのイニシアチブは、それとも関連するわけですけれども、先進国も、途上国、特に途上国ですが、インフラ投資が必要であると。それは当面の需要も付けるけれども長期的な供給力にもなってくると。したがって、インフラの投資を進めようと、そのための部会等もつくって、インフラ投資を進めるための具体的な勧告等をやろうと、こういうふうになって、その話、両方ともG20をベースにして進んでおります。 それとこのAIIBがどのように関係しているかというのは、私どももよく分からないわけですが、中国がこのAIIBについて提案をされ、幾つかの国が参加を表明しているというのが現状でありますが、このAIIBがどのような具体的な政策をするのかということ等はまだ私どもは存じておりません。
○政府参考人(武内良樹君) 先ほど、ADBの試算八兆円のお話、頂戴しました。八兆ドル、失礼いたしました。これは、二〇一〇年から二〇二〇年までのインフラの投資需要の総額ということでございます。御指摘のとおり、その八兆ドルがそのまま乗れば、世界のマクロ経済にどのような影響を与えるかということはよく考えなきゃならないと思っております。 アジアのインフラ投資、これは大事なことでございますから、できるだけ適切に資金を確保した上で、他方では経済が過熱しないように考えながらGDPの引上げに一生懸命努めてまいることが肝要だと思ってございます。
○西田実仁君 最後にお答えいただければと思いますが、黒田総裁、ADBの総裁のときに副総裁が金さんでして、AIIBの初代総裁というふうに一般的には報じられ、それは分かりません、しかし、それはともかくとして、ADB黒田総裁当時の副総裁の仕事ぶりなり、どのような御感想をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、今、AIIBの初代総裁として目されている金さんは、私がADB総裁在任中、副総裁を務めていただきまして、大変よくサポートしていただいたというふうに思っております。 それから、この方は英文学の大変な素養のある方でありまして、しばしばシェークスピアのいろんなせりふを引用されたりする大変インターナショナルな方でもございます。ただ、これは私の個人的な関係、感想でありまして、AIIBの総裁としてどうとかこうとか、そういう話とは全く関係ございません。
○西田実仁君 終わります。
○藤巻健史君 維新の党の藤巻です。よろしくお願いします。 先ほど、前川委員の方から、量的緩和がどういうことで景気にいいのかという質問に対して、岩田副総裁が大分難し過ぎたので、代わりに私がお答えいたしますけれども、前川さんいらっしゃらないんですが。 まず、いろんな経路がありますけれども、一つは、余ったお金が株とか土地に行く、そうすると株とか土地の値段が上がる、上がると消費も増えるという、いい回転が起こるわけですね。昔、バブルのときにシーマ現象という言葉がありました。要するに、株と土地が上がったおかげで当時の日産の最高級車シーマがばか売れする、それを見て日産の株が更に上がる、そして日産のシーマがたくさん売れれば、当然ながら、日産の従業員の給料も上がって、ベアもあると。これを資産効果と言うわけですけれども、量的緩和によって、資産効果であって、まさにあのバブルの狂乱経済が生まれたという経路が一つあります。 それから、先ほど、二番目に、黒田総裁は金融政策はそのためにやらないとおっしゃいましたけれども、量的緩和によって円安が進む、円安が進むことによって日本の競争力が上がる。それは、別に輸出だけじゃなくて、サービス、輸出物、それから労働力も競争力が上がる。すなわち、観光業が今円安によって観光客が増えているのと同じように、サービスも良くなるし、それから円高で海外に行っていた工場が戻ってくることによって、日本人のベアにも貢献するというような非常にいい回転が起こる。 ということで、量的緩和がいいというのは、私も今日だけを考えれば認めます。特にまた、今、大企業とか金持ちだけじゃないかという批判もあるかもしれませんけれども、これは、経済の景気回復というのは、当然のことながら、お金持ちとか大企業が先にスタートして、その後に中小零細企業の収益等が上がっていくということで、これは単なる時間差の問題でして、これだけお金じゃぶじゃぶにすれば、やはり最終的には世の中良くなるし、景気も良くなるし、インフレ率も上がってくると思います。 その点に関してはいいんですけれども、問題は、量的緩和の評価というのは事後的に評価されるべきだと思うんですね。多少今日は良くても、それがコントロールを失って、それが悪性インフレになったらば、今日良くても全てのプラスというのは霧散してしまって、国民は地獄に陥ってしまうわけです。ですから、重要なのはこのインフレがスタートした後にコントロールできるかどうか。ということで私はいつも出口戦略を聞いているのに、黒田総裁は時期尚早としてお答えくださらない。 最近、この前の参議院のデフレ調査会でも三人の日銀のOBの方が懸念を表明されておりましたけれども、出口になってはかなりインパクトが、日本経済に対しても日銀に対しても悪影響があるだろうと。要するに、日銀が損を垂れ流しになったときにどうやって対処するかとか、そのときには円が暴落し長期金利が暴騰するのではないかということで、その出口というのはかなり大変なことになるだろうと。 そういうふうに大変なことが起こる可能性があるときに、やはり前もって出口を検討する、日銀だけじゃなくて多くの人が検討することは重要ではないかと思うので、出口戦略をいつ時期尚早と言うのをやめて開示するのかを是非教えていただきたいと思います。 それはなぜかというと、FRB、アメリカの場合には、まず二〇一一年の六月に出口戦略を開示しています。そして、二年半後の十二月にテーパリングを開始したわけですよね。要するに、二年半前に出口戦略を発表しているわけです。 二〇一五年を中心に二%達成するという自信をお持ちならば、当然のことながらもう出口戦略は一般公開してもいいと思うんですが、それをしないのはいかがなんでしょうか、お教えください。
○参考人(黒田東彦君) FRBがいろいろな機会にFOMCとして出口戦略その他について議論したことは事実でありますが、二〇一一年六月の出口戦略は事実上そのとおりにならずに、結局、その後の実際にテーパリングが行われた後において新しい言わば出口戦略的なことを述べられたということであります。 したがいまして、委員の御趣旨はよく理解するわけですけれども、現在はまだ二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するように最大限の努力を行っている最中でありまして、今の時点で出口戦略を議論するのはやはり時期尚早だろうというふうに思います。いずれ議論する必要が出てくるだろうということはそのとおりでありますが、まだ時期尚早であるということであります。
○藤巻健史君 二〇一一年六月に出口戦略を出して、総裁がおっしゃったように二〇一四年の九月に第二弾の出口戦略を出しましたけれども、これは事態が変わっていて、最初の出口戦略というのは利上げは最初にやるという話だったんですよ。ごめんなさい、バランスシートを縮めるというのが最初の出口戦略で、第二弾というのは先に利上げをするという方法で、その最初の出口戦略がもう実行不可能だと思ったから第二の弾を出したわけだと思います。 それはともかくとして、FRBはかなり早い段階で出口戦略を出しているので、日銀も出すべきだと思います。私はきっと出口がないんじゃないかなと思っているので、だからですけれども、まあそれは議論は別として。 次の質問に入りますけれども、総裁は任期が二〇一八年、あと三年あると思うんですが、先ほど岩田副総裁が最高の責任の方法は辞任することというふうにおっしゃっていましたけれども、黒田日銀総裁はその三年後の満期で辞める意思があるのか辞めないのか。私は絶対に辞めちゃいけないと思うんですよね。というのは、なぜかというと、これ、お金をじゃぶじゃぶにして景気を良くするなんて極めて簡単な方法なんですよ。誰でもできますよ、正直言って。そこで辞められたらもういいとこ取りもいいところで、この後はやっぱり出口がないと私も思っていますし、出口むちゃくちゃに大変なので、これ次の総裁は修羅場ですよ。出口まできちんとやって、状況を平常に戻してから辞める、そこまでの責任感があるかどうか、その決意をお聞きしたいんですが。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来、あるいは従来から申し上げていますとおり、現在は出口戦略を議論するのが時期尚早であるということでありまして、量的・質的金融緩和はオープンエンデッドで二%の物価安定目標の実現を目指し、それを安定的に持続できるようになるまで継続するということでございますので、具体的な出口戦略の議論あるいはその時期というのを今明示するということはできません。 なお、私の任期は、先ほど御指摘のように二〇一八年の四月八日でございますけれども、私の任命というのは、内閣が指名し、国会において承認されて、後に任命するということでございますので、私から何かそれについて申し上げることは一切できません。
○藤巻健史君 やはりまさに、やらせてほしいとおっしゃっていただかないと責任感ある立場だとは思えませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。 それから、次に、出口戦略、まだ時期尚早とおっしゃっていますけど、ちまたではもうかなり議論されているわけですよ。この前も、例えば日銀にある当座預金残高の金利を上げていくという方法、これは難しいということは、私、こういう場でも何度も申し上げていますけれども、また、もう一つほかに、過剰準備預金をこれを準備預金化しちゃう。要するに、過剰準備預金については今〇・一%金利を付けていますけれども、それをゼロ%にしちゃうという、それでもう固定させてしまうという議論があるかと思います。 先日、日経新聞「経済教室」で翁京大教授がそのようなことを述べていましたけれども、そういう説について、過剰準備預金を準備預金化してしまうというアイデア、これについてはどういうコメントをお持ちでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これも従来から申し上げていますが、出口に当たっては、金利水準の調整あるいは拡大した日本銀行のバランスシートの扱いなどが当然問題になるわけでありまして、そのための具体的な手段としては、保有国債の償還あるいは各種の資金吸収オペレーションのほか、いわゆる付利金利、補完当座預金制度の適用金利ですね、これの引上げなどが考えられるわけですけれども、実際にどのような手段を用いるか、あるいはどのような順序で出口を進めるかというのは、やはりその時々の経済や物価情勢、さらには市場の状況などによって変わり得るものですので、早い段階から具体的なイメージを持って申し上げることはかえって市場に不測の影響を与えるおそれがあるというふうに思っておりますので、差し控えさせていただきます。
○藤巻健史君 先ほど私の質問に関して、過剰準備を準備預金化するというのを、もしそんなことをやったら日本中の銀行はばたばたと倒産してしまうと思います。 ですから、いろいろ黒田日銀総裁が時期尚早だというお話をされていますけれども、ちまたではいろんな方法を考えられて、一つとしてまともなというか、適切な出口を考えられていないんですよね。みんな否定されてしまう、欠点が否定される。ですから、日銀は頭のいい方がそろっていますから、ちまたではきっと議論されていない新しい、発見できていない新しい方法があるんだというふうに確信しておりますので、頑張ってください。 もう一つ、私もこれも何度か質問していますけれども、四月九日の日経に総裁の記者会見の要旨がありまして、そこに、記者が、バブルと判断すれば物価目標が未達でも緩和を縮小するかという質問があります。要するに、一九八五年から九〇年のバブルのとき、あれは消費者物価指数が極めて低かったにもかかわらず、土地と株が狂乱して、経済自体が狂乱した。日銀は消費者物価指数だけに目をやっていて、株価、不動産価格の上昇に目を配らなかったのを反省して、遅かったんですけれども利上げをしたわけですが、そういう事実があるにもかかわらず、黒田日銀総裁はこの記者会見のときに、日銀は物価の安定と金融システムの安定が二つの重要な目標だ、金融システムの安定について考えるべきはマクロプルーデンシャルな対応で、中央銀行は物価安定を第一に考えるべきという人が多いというふうに、消費者物価は物価ですけれども、土地の価格、不動産価格というのは消費者物価指数には入っていません、上昇はね。 ということは、この記者会見の記事を読んでいる限り、土地と株の値段が上がって、今、昨日もというか、今日も二万二百円ぐらい株価は行っていると思うんですけれども、このまま上昇し続けても、あくまでも消費者物価指数を重視して量的緩和を中止しないのかどうか、それをお聞きしたいと思います。 もし中止してしまうと、逆に言いますと、中止してしまうと日本の財政はお財布は空。要するに、何を申し上げたいかというと、今年の国債発行額百五十三兆円のうち百十兆円は日銀さんが買っていますから、要するに国の借金の七割は日銀が貸しているわけですよ。日銀がやめてしまうと借金の七割を貸してくれる人がいなくなっちゃうわけで、国は資金繰り倒産をしてしまうと思うんですけれども、そのときに、それでも量的緩和をやめるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいなと思っています。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、二%の物価安定の目標の早期達成ということを目指して現在の金融政策を進めておりますが、その際には常に、経済・物価見通しに加えて、上下双方向の様々なリスク要因を点検し、展望レポートなどで公表をしております。そうした枠組みの下で資産価格の動向についても点検しておりますけれども、現時点で資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていないというふうに思います。 ただ、先行き、金融緩和がもたらす様々な影響には引き続き目配りしていく必要があると思いますが、十五年にわたりデフレが続いてきた日本の現状を踏まえますと、量的・質的金融緩和を継続していくということは非常に重要だろうと思います。ただ、そういった中で、今言った目配りというのは当然であろうと思います。 なお、先ほど御指摘になりました記者会見の中で私が指摘しましたのは、一般的に、まさにほとんどの中央銀行の人あるいは国際機関などが言っていることを引用したということでございます。
○藤巻健史君 ちょっと質問残りましたけれども、時間が参りましたので、ここで終わりにします。
○委員長(古川俊治君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大門実紀史君 大門でございます。 午前中少し西田さんからありましたが、AIIB、アジアインフラ投資銀行について質問いたします。 これは二〇一三年の十月に中国が呼びかけて、アジアのインフラ整備に資金を提供するということで、今年の三月に参加国が締切りされて、日本、アメリカを除いて、ヨーロッパを含めて五十七か国が参加をすると。この六月に正式な設立協定の調印がされるということですけれども、日本が参加しなかったことについて賛否両論が今起きているところであります。与党の中でも議論があるというふうに聞いておりますけれども。 まず、財務省に、なぜこのAIIB、アジアインフラ投資銀行に参加しなかったのか。麻生大臣にはちゃんとお聞きしますけれども、麻生さんに聞くといろんなことをおっしゃりますので、まず、事務方として、答弁書を書くのは事務方でしょうから、簡潔なきちっとした答弁を聞きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(武内良樹君) アジアインフラ投資銀行については、アジアのインフラ資金需要を背景にその構想が出されていると承知してございます。他方、国際金融機関による融資につきましては、既存の国際金融機関と遜色のない公正なガバナンスの確保、理事会の役割、環境社会配慮が必要だと考えてございます。 日本は、AIIBに関しましては、域内国として中国に次ぐGDPの規模があることから、日本の加盟はAIIBにとっても大きな意味を有すると考えられます。中国も日本の意向に関心を示しているところでございます。 そうした中で、日本といたしましては、ほかの国々とともに交渉に参加するよりも、交渉の外から直接中国に働きかける方がAIIBが責任ある国際機関となるために有効であるとの判断により、交渉に参加していないものでございます。
○大門実紀史君 交渉の外からって分からぬ。外からの方が、何ですか、要するにずっと入らないということですか、そうしたら。入るんですか。入ることを前提に、今のところは入らないで外から意見言った方がいいということなのか。入らないつもりだったら何の交渉力もないじゃないですか、関係ないんだから。どっちなんですか。入るつもりで、いずれ入るんだけれども、今は入らないでいろいろ外側で意見言った方がいいんだということなんですか。
○政府参考人(武内良樹君) お答え申し上げます。 入るか入らないか、いずれ入るか入らないかにつきましては、まずはAIIBがどのような機関になるのか、それを見極めた上でなければ判断が付かないことと考えてございます。AIIBがどのような機関になるかを、その責任のある機関として社会環境配慮などをする、理事会の役割をきちんとする、そういったことができるかどうかについてまずは見極める必要があろうかと思います。 その上で、その見極めるに際して日本側の意見を伝える伝え方でございますけれども、外から直接中国側に申し上げる方が有効ではないかと考えているところでございます。
○大門実紀史君 それは、だから、入ってみんなでこれから作ろうとしているわけですよ。何で入らないでやるのか分からないですね。何かいろんな審査基準がどうのとか、貸した金が返ってこないとか、いろんなけちを付けられることばかりおっしゃっているんだけれども、それはほかの国だって危惧があるわけですよね。入ってルールを作るのに参加するということで入っているわけですよね。だから、財務省の言う理屈って何かちょっとよく分からないんだけれども、何かただけちを付けているみたいな、こう思うところがあるんですけれども。 もう端的な話、これは、あれですか、アメリカが参加していてもそんな理屈で入らなかったんですか。
○政府参考人(武内良樹君) お答え申し上げます。 AIIBがまともな機関になるためにどのような形で働きかけをするのかということでございますけれども、交渉のメンバーとして中に入らなかったとしましても、中国側とは日本側は直接会話ができるわけでございます、働きかけはできるわけでございます。そういった中で、中国に対して日本が外からきちんと日本側の懸念を伝えるということでやることの方が有効ではないかと考えた次第でございます。
○大門実紀史君 答えにくいですか。 いや、これ僕思うんですけれども、アメリカなんか日本を裏切りますよ、平気で。平気で裏切りますから、アメリカの顔色を見て、最初はそうですよね、G7そのものにアメリカが働きかけて、G7は今回ちょっと見送ろうかと思っていたのが、イギリスが抜け駆けしたものだからみんなわっと入っちゃったと。で、日本が残っちゃっているわけですね。 だから、これは流れでいくとそうなっているわけですから、日本の場合はアメリカの顔色を見てやっぱり踏みとどまったと。意見交換もされてきたという話は聞きましたから、そうだと思うんです。それはまあ別に、いいと思いませんけれども、ありのままだとしてですよ、それならそれでもうちょっと何かちゃんとした理屈で入らないとか入るとか組み立てるべきで、何かごちゃごちゃごちゃごちゃいちゃもん付けて、これからでも話ができるとか何だとか、そんな甘いものじゃないですよね。やっぱり、最初に参加して、参加した中でどういう形か組織ルールも作るわけだから、そこで物を言わないと、何か変えられるということにならないと思うんですよね。 それはあれですか、それじゃ、今後、仮にアメリカが、アメリカなんか日本を無視して入るときは入りますからね、アメリカが入ってもまだ同じことを言い続けるんですか。どういう観点ですか、今の理由は。
○政府参考人(武内良樹君) 米国がAIIBに入ったならば日本はどうするのかという御質問かと思いますけれども、そういう仮定に基づく答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思っています。 ただ、いずれにせよ、AIIBの参加の是非は、AIIBが責任のある機関となるかどうかということをまず見極めた上で、その上で議論をする必要があろうかと思っております。
○大門実紀史君 だから、財務省としてもその程度のことしか今言えないといいますかね。こんなの、今そんな一生懸命おっしゃいますけれども、急に政治的に判断が変わったらどうするんですか。今言ったような答弁、何にも残らないですよ。意味がなくなりますよ。だから、何というのか、もっとどっしり、入らないなら入らないと、それはこういう日本の戦略があるからだというようなことがあればまだ聞こうと思うんだけれども、何かけちばっかり付けているんですよね。 ちょっと情けないなと思っておりますし、流れからいきますと、IMF改革というのがこの委員会でも議論になったことがあります。あれは亡くなられました中川財務大臣の頃だったかなと思いますけれども、そのときにはやっぱりそういう新興国が今のIMFの在り方とか、世銀もそうですけれども、いろいろかなり要望が出た。ところが、アメリカがそのIMF改革を拒否するといいますか、ちゃんとやってこなかったと。そんないろんな流れがあってこう来ていると。 なおかつ、今、参加したアジアの国々は、日本が実際に懸念しているような、中国主導になるんじゃないかとか、中国がいろんなことを勝手にやるんじゃないかとか、そういうことが思われるからこそ日本に入ってほしいというふうにアジアの国は思っていたりするわけですよね。だから、もっと何かもうちょっと大局的に捉えた方がいいんじゃないかなと私は思いますし、この前のG20の声明にそのもの、IMFの改革そのものの要望が入っているぐらいですので、もうちょっと大きく捉えた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、あとは麻生さんに聞きます。 このAIIB参加の賛否について黒田総裁に聞いてもこれは答える立場じゃないということになるのは分かっておりますので、ちょっとこの情勢を踏まえて大きな話をお聞きしたいと思うんですけれども、アジアの経済あるいは金融の連携というのはこの委員会でもよく議論になってまいりまして、私もアジアの経済金融連携は進めるべきだという立場から、さっき言ったように、もうとにかく今までアメリカの顔色ばっかり見てやるんじゃなくて、日本がもうちょっと自分の頭で考えて、アジア全体のためにイニシアチブを発揮して、中国とも対等に渡り合う、あるいは中国とも協力すると。 ただアメリカじゃなくて自分で考えてやるべきだということは何度も議論したことがありますし、谷垣財務大臣の頃、あるいはさっき申し上げた中川大臣の頃に、このアジアの連携でいいますと、かつて九七年の通貨危機のときに日本がアジア通貨基金構想を出したらアメリカに潰されたわけですよね。ただ、当時の政府はなかなかでして、その後、新宮澤構想とかチェンマイ・イニシアチブとか、これはいざというときの通貨スワップですけれども、アジア債券市場とか、アメリカの顔色は見ていたかも分かりませんけれども、日本独自でやることはやろうというような流れがあって、私はそれを非常に評価して、更にその点頑張って、もっとアジアでの共同を日本がイニシアチブを取ってやるべきだと言ったら、本当に谷垣さんとか中川さんとはもう意気投合したというのを覚えておりますけれども、この委員会でですね。 ところが、その後、それはその狭い範囲でやっぱりアメリカの顔色ばっかり見ているからTPPのことが出てきたりしてきて、その間に中国は経済力も発言力も増してきて、そしてとうとうこういうふうに、自分たち主導、中国主導でこういうものを始めたというふうな流れになってくることを思うと、日本は何していたのかと。本当にアメリカのことばっかり思っているから立ち遅れてきているなというのをつくづく思うわけであります。 私は、そういう面で、このAIIB見ると、もちろん中国の思惑はありますし、堂々と言っていますよね。自分たちの過剰生産能力の問題とかシルクロード構想とか、もう隠さないですよね、中国は、自分の思惑を。しかし、五十七か国も参加して規模がこれだけの規模になって、なおかつアジアの人たちは、いろいろ中国の思惑はあるけど、やっぱりこれは使える枠組みだということで参加すると。だから、規模のメリットとかはありますから、いろいろありますけれども、やっぱり日本も参加していい共同の投資銀行にしていくことに力を尽くすべきだというふうに思うわけですけど、まあそういうことを思いますが、それを聞いても黒田さんとしてはどうかということにならないと思いますので。 その中の一つなんですけれども、これは金融問題が、私、背景にあると思っていまして、中国も、インフラだけではなくて、過剰生産能力を処理するだけではなくて、人民元の国際化というのを掲げているんですよね、これ。私は、円の国際化をもっときちっと進めるべきだという立場で質問をしてきました。その点でいくと、今回のこのAIIBの中国が始めた意図の一つは人民元の国際化と。これについて、駄目という意味じゃなくて、やっぱり円の国際化ということと対峙する上でもきちっと見ておく必要があると思うんですね。 一言言えば、イギリスがなぜ急にAIIBに入ったかというと、私は大きな理由として金融問題があると思っております。やっぱりイギリスのロンドンを金融センターのままで維持するためにはこれに参加しておいた方が得だというようなことがあったように思いますので、やっぱり金融面で考える必要もあるかと思うんですけれども、特に中国の人民元の国際化ということについて、黒田総裁のお考えをちょっと聞かせてもらえればと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、中国は人民元の国際化ということを目標に掲げて、様々なことを既に始めております。 具体的に申し上げますと、人民元が完全に国際通貨として、ドルやユーロ、あるいは円などと同様に自由に使えるようになるためには、幾つかの要件があると思いますが、一つは資本規制の廃止と。資本勘定がまだ規制されたままですので、人民元がありましても、それをほかの通貨に自由に替えられない、あるいはほかの通貨から人民元に自由に替えられないということですと、なかなか人民元の国際化というのは進まないということになりますので、中国人民銀行は既に資本規制の緩和ということをかなり明確に打ち出しておりまして、それが今後どのように進むのかというのは非常に関心のあるところであります。 二番目が、金利の自由化を含めて金融自体をある程度自由化しないと、人民元を使うということになりますと、結局は銀行を通じて決済あるいは資金の運用ということが行われますので、金融の自由化ということも必要であろうと思います。 更に言いますと、様々な決済が国際的に行われる仕組みができてこないといけないということでありまして、これらも全て実は人民銀行が金融の自由化も着実に進めておりますし、決済についてはまだ資本規制が残っておりますので自由ではありませんけれども、そちらの方向にも進んでいるということで、そういうことでは、政府あるいは中央銀行が行うこととしてはかなり着実に進めていると。ですから、そういうことが進んでいけば、将来人民元が国際化し、国際的な通貨として広く使われるようになるだろうと思います。 日本円につきましても、今申し上げた資本規制の、これはもう完全に廃止されていますし、金利等の金融の自由化も進められておりますし、また、決済の国際的なものについても次々に進めておりますので、そういった意味では、規制の緩和というか、そういう政府、中央銀行の対応としては日本の方がはるかに進んでいるわけですが、中国もかなり急速に進めておりますので、これが具体的に円と同様に、あるいは円以上に人民元が広く国際的に使われるかどうかということになってきますと、やはり民間の投資家、金融機関等がどの程度本気になってやるかということにも懸かってきまして、日本の場合は、政府、中央銀行としては全て国際的に使えるようにしたわけですけれども、ドルのようには国際化していないと。あるいは、ユーロと比べてもやや劣るということでありますので、最終的には民間の投資家、金融機関がどこまで対応するかということに懸かっていると思いますが、中国の人民元が国際化していくこと自体は私は大変結構なことであると、好ましいというふうに思っております。
○大門実紀史君 終わります。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。 今の大門先生の質問を聞きながら非常に同じ思いをいたしました。 まず、その前に、今回のG20の共同声明で、米英が強固な成長を続け、ユーロ圏と日本の経済見通しが最近改善されており、これは世界経済のより強い回復を支えるとあります。また、黒田総裁の記者会見で、日本の金融政策について中で議論はなかったというお答えがありました。この様子を見ながら、このG20を始め国際社会の中で日本の経済政策については非常に強い信頼が置かれているのだろうということを読み取りまして、私としては大変心強いというか、今の黒田総裁始め日銀の皆様の御活動、そして財務当局にはもうちょっとやってもらいたいことがありますけれども、経済関係者の動きに敬意を表しているところでございます。 このAIIBの動きにつきまして、私もどのような対応をしたらいいのか、もちろんはっきりつかめているわけではありませんけれども、ただ、そのAIIBの問題の前に、今、大門先生からもありましたIMF改革とか、もっと大きく言えばブレトンウッズ体制をどのように再興していくのか。IMF、世銀、ADBなどの機関の連携と言っていいんでしょうか、そういったものをより強固なものにしていく必要があるのではないだろうかと思っております。 その中で、日銀、それから日本政府が果たせる役割というのはいろいろあると考えておりまして、随分古い話になりますが、私もIMFに勤務しておりましたときも、アメリカが孤立するというようなときにも西欧諸国と日本が一緒になって解決をしていった様子を目の当たりにしておりまして、日本がそういった役割を果たせるのではないかと思っておりますが、このアメリカに対してヨーロッパ諸国と組んで改革を進めるなり、ブレトンウッズ体制をどのように再構築するのか、又はこのままで再興できるのかといったようなことを御検討いただけたらと思います。 質問通告とちょっと違っているかもしれませんが、お答えいただければ有り難いことでございます。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、世界経済は従来IMFが見通していたよりも少し良いということで、特にユーロ圏と日本経済が従来見ていたよりも成長が高くなりそうだということで、世界全体の経済成長の見通しも上方修正したわけであります。 ただ、その中で必要なことはやはりそれぞれの国が適切な政策を取ることであるということで、日本については、幾つか言われていますけれども、二つほど特に指摘しておりますのは、一つは、やはり財政再建ということをきちっと目標とその手段を含めてより明確にする必要があるのではないかということと、もう一つは各種の構造改革を進める必要があるということを指摘しております。金融政策についても若干の引用がありますけれども、基本的に大きなのは財政再建の話と構造改革ということだと思います。 そうした中で、日本の国際的な役割、御指摘のようにG20あるいはIMFでも現在米国の次のシェアを持っているわけですので、当然主要国とともに様々な国際協調を進めていく必要があると思いますし、現に、これは主として財務省ですけれども、進めておられるというふうに思います。 具体的にIMFのクオータの倍増とガバナンス改革については、確かに米国が議会が通らないということで、百八十数か国の加盟国のほとんどの国の議会が承認しているにもかかわらず、言わば拒否権のある米国の議会がまだそれを通していないということで改革進んでいないということについては、確かに特に新興国を中心に不満が高まっておりまして、そうした中で日本とかヨーロッパが言わばアメリカと新興国との間に入るという形で何とかこの改革を進めていきたいというふうに思って、いろいろ努力はしております。 今後とも、引き続き、これは主として財務省ですけれども、中央銀行の立場からも協調を進めていきたいと思っております。
○中山恭子君 それでは、公共事業の方の質問を先にさせていただきます。 日本の中で今公共事業というのがそれほど大きな額を占めておりません、過去に比べてですね。ただ、今回のG20でも、国内における投資を促進、共同声明ですけれども、投資を促進するという我々のコミットメントを再確認するということで、九月の会合までに投資戦略をそれぞれの国が策定するというように共同宣言ではうたわれております。 日本としても、規制緩和等もあろうかと思いますが、私自身はやはり必要な公共事業は政府として行っていく必要があると思っております。今の金融、それから金融緩和の動きの前には、私どもは二百兆円規模の基金を日銀に積んででも民間事業が動かない限り政府として公共事業を進めていく必要があるというような主張をしておりましたが、今はそこまでのもう必要はないのかもしれませんが、財務省としてインフラ整備に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(武内良樹君) 御指摘のとおり、G20の中でインフラ整備の必要性について述べられております。あわせて、財政再建、財政の問題も指摘されてございます。 今般のG20のコミュニケは、効率的なインフラ投資の促進に触れつつ、高水準の公的債務の存在が重要な課題であることを言っているわけでございます。また、IMFは公共投資について、明確なニーズがあり効率的な投資を行える国では増やし得るものの、既に債務残高対GDP比が高い国々では債務を更に増加させるリスクがあるということも指摘しているところであります。 こうした観点から、日本におきましては、債務残高の対GDP比が二〇〇%を超える厳しい財政事情や将来の人口減少を踏まえ、老朽化対策や防災・減災対策などに重点化しつつ、質の高い社会資本整備を適切に実施していくことが重要であると考えてございます。
○中山恭子君 是非、財政再建と公共事業というのが相反するものではなく進められる可能性が十分あると考えておりますので、積極的な財政政策を取ってくださるように、今なおその思いはありますので、よろしくお願い申し上げます。 物価上昇についてでございますけれども、確かに時期が少しずれているということは言えるのだろうと思っておりますが、でも私自身は、日銀の皆様がやはり二%を目標にして、さらに達成後も二%を維持していくという強い信念で金融政策を取ってくださっていることに本当に心から敬意を表しますし、自信を持って進めていただきたいと祈るような気持ちで過ごしておりますが、二%になかなか達しない理由が消費税の増税、これはある程度きちんと整理されていることと思いますが、今日午前中にもいろんな意見がありました原油価格の下落というものも一つの大きなテーマであろうと考えております。 その原油価格が、先物市場を見て緩やかに上昇するであろうという今見通しを立てていらっしゃるということですけれども、実は今年二月二十六日に原油価格について短い質問をいたしましたとき、黒田総裁から、この原油価格の下落の影響は一挙に直ちに出るというよりも若干のタイムラグを伴って出てきますので、短期的には幅が縮小する可能性が高いと思っているというお答えがありました。 この原油価格の五割以上の下落については世界的に予想をはるかに超えた動きであると、これは明確に言えるものであれば、これだけの大幅な原油価格が、経済的にはもちろん大きなプラスの面もある、それからタイムラグがあるということも勘案した上で、もう少し精緻な形で、消費者物価に対する影響というのは確実にあるわけでございますから、しかもそれが消費者物価の高さ、低さだけではなくて時期についても大きな影響があると考えておりまして、私、経済学者ではないのでそれ以上何とも申し上げられないんですが、専門の方々にこの原油価格の下落が経済政策に対するプラス、マイナスの影響、それから物価に対する影響、幅それから時期について精緻な分析をしてもらって、その点も物価上昇について考慮に入れてよろしいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、原油価格の下落ということは基本的に経済成長にとってはプラスですけれども、その結果として物価にもプラスになってくるわけですが、その物価へのプラスの影響というのはかなりタイムラグを伴います。足下ではむしろ原油価格の下落ということによって物価上昇率が落ちてくるということはそのとおりであります。 そこで、その効果がどのくらいかということでございまして、これは一定の前提を置いて計算されたものでございますけれども、前回の政策委員会の経済見通しを公表した際に、原油価格について一バレル五十五ドルを中心に、この二〇一六年度末までに七十ドルぐらいまで緩やかに上昇していくという前提に立つと、その場合の消費者物価におけるエネルギー価格の寄与度というのが一定の前提で計算されまして、そうしますと、二〇一五年度でマイナス〇・七から〇・八%ポイント、つまり消費者物価の上昇率をそうでない場合と比べて〇・七から〇・八%程度押し下げるという効果があると。ただ、二〇一六年度になると〇・一から〇・二%ポイント引き上げる効果があるというふうに試算されるということでございます。 ただ、これは一定の前提を置いた試算でございまして、なかなか、原油価格だけを取り出して、それの価格、物価上昇率への影響というのはなかなか計算が難しいんですけれども、おおむね今のような状況ではないかというふうに思っております。
○中山恭子君 ありがとうございます。是非、皆様でしっかりした政策をお続けいただきたい、自信を持ってお続けいただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。よろしくお願いします。 物価安定目標の達成時期と出口戦略についてまずお伺いしたいと思いますが、四月十九日日曜日のミネソタでの総裁の講演、こちらで二%の目標達成時期に関して、英語での講演だったからかもしれませんが、かなりはっきりと二〇一五年度又は二〇一六年度の始めということまでおっしゃられております。当委員会においては、二〇一六年度のいつなんですかということをこれまでお聞きしたところ、いや、時期は特定できません、はみ出すことは二〇一五年度からあるかもしれませんと、こうお答えになっていたのが、アーリー・フィスカル・イヤー・ツー・サウザンド・シックスティーンとおっしゃられました。アーリーシックスティーンというのはいつを指しているのでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは、従来から二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いということで、二〇一六年度に若干はみ出す可能性もありますということを申し上げました。それと同趣旨で、二〇一六年度の前半というか初めというか、そういう頃に達する可能性が高いということを申し上げたわけでございます。
○中西健治君 いや、同趣旨といっても、アーリーという言葉、英語の達者な黒田総裁が使っていらっしゃるわけですから、二〇一六年度の第一・四半期、六月ぐらいまでを指しているのか、それとも九月ぐらいまで、前半を指しているのか。じゃ、それはどちらなんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この辺りは次回の展望レポートに向けて政策委員会のメンバーがいろいろこれから議論するところでありますので、私から今出ている展望レポートの範囲を超えて申し上げるのは若干僣越かと思いますが、個人的には先ほど申し上げたような感じの意見を持っております。
○中西健治君 六月か九月までという、そこの特定まではいかなかったということですが、年度の前半ということだというふうに総裁御自身はお考えになっているということのようです。 総裁、今、日銀のメーンシナリオは、当面ゼロ%で推移した後、秋頃からかなり物価上昇率が加速していくと、こういうことをおっしゃられているわけでありますけれども、秋以降ゼロから二%に向かっての急上昇が始まるということになりますから、同じくミネソタで総裁は、ザ・ジャパニーズ・マーケッツ・クッド・ビー・サプライズドと、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、いや、マーケットが驚くだろうと言っている場合ではなくて、総裁、驚く前に出口政策を示さなきゃいけないんじゃないですか。驚かせないことが必要なんじゃないかと思いますが、時期尚早だ、時期尚早だとおっしゃっていますが、急上昇が起きて相場が驚き出しているという、ひょっとしたら右往左往しているような時期にやっと出口の議論に差しかかってきているんだというのではなくて、その前に出口の議論というのは明示していかなきゃいけないかと思います。そこはいかがですか。
○参考人(黒田東彦君) ミネソタでの講演の中で、実は会場からの質問で、米国の金融政策は遠からずノーマライズする、一方で日本の量的・質的金融緩和は当面続くということになると、ドル高円安に更に行くのではないかという御質問があったものですから、私は、為替の動きというのはなかなか分からないんですと。 例えば、米国の金利の先行きについて、FOMCのメンバーのドットでいくとかなりのテンポで金利が上がっていくということになっているんですが、市場の期待はずっと上がらないというふうになっているんです。そうしますと、もしFOMCの見通しのように金利が上がれば、サプライズがあって、ドル高円安になり得るわけですね。 逆に、今度は日本を見ると、市場の金利の期待もずっと低いまま行くというふうになっているんですが、私どもは二%の物価安定目標に近づいていき、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと見ていますので、そうなりますと、おのずと金利も市場が見ているよりも上がる可能性があると。そうしますと、またサプライズで、今度は円高ドル安になるということなんですが、どっちもそういう要素があるので、どっちに転ぶか分からなくて、為替というのはなかなか分からないんですという、やや持って回った御説明をしたところ、その一部のサプライズが日本であるというところだけ何か報道されたものですから、若干ミスリードしたのかなと思って、反省をしております。
○中西健治君 そちらについては分かりましたけれども、出口戦略について議論するのは時期尚早だということはずっとおっしゃられております。 一方で、総裁は内部的には議論は行っていると、政策委員会ではなくて、日銀内部、それ以外のところでということだと思います、そういう答弁もされているわけであります。これは委員会でされているということであります、国会でされているということでありますけれども、スタッフペーパーですとかワーキングペーパーといった形で内部の議論をあらかじめ公開する、そうしたことによって、市場から後手に回ったということにならないように、なるべくならないようにするということも、一つ政策の透明性を確保する点からもやってみたらいいんじゃないかと思いますが、それについてはどうお考えになりましょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のような考え方もあり得ると思うんですが、私どもとしては、やはり量的・質的金融緩和の出口の在り方というのは政策委員会で検討すべきものであろうと。現時点ではまだ時期尚早ということで、これまでの政策委員会の議事概要が出ているわけですけれども、出口については議論をまだしておりません。 ただ、そうした下で、様々な状況に対応できるように金融市場調節手段などの技術的な側面の検討は事務方で常々行ってきておりまして、従来から申し上げているとおり、出口に当たって金利水準の調整とか、あるいは拡大した日銀のバランスシートの扱いといったことが当然課題になりますので、そのための具体的な手段、様々なものが考えられますけれども、そういったことについて技術的な検討は事務方でしておりますが、具体的に実際にどのような手段をどのような順序で行うかという出口の議論はまだしておりません。
○中西健治君 申し上げましたとおり、メーンシナリオが秋からの急上昇ということであれば、急上昇して市場が落ち着きをなくしている、失いつつあるというようなところで初めて出口の政策を議論するのではなくて、やはりあらかじめやっておかなきゃいけないということなんだろうというふうに思います。 これとも関連するんですが、市場との対話ということについて御見解をお伺いしたいと思いますが、前回の十月の末に行われた緩和、これ参議院の財政金融委員会がその数日前に行われて、日銀報告、総裁の方から経済の基調や物価に関する見方全然変わりありませんよと、強気な見方が示されて、数日後にすぐさま原油安などを理由にして、リスクがあるということで、大胆な金融緩和、第二弾を行ったわけですが、国会との対話という意味で非常に不満があるということ、こうした不満について、この委員会でも私も苦言を呈させていただきましたし、各委員からそうした不満というのは聞こえているわけですが、同じことは市場との対話ということでもまるっきり当てはまっちゃうんじゃないかというふうに思います。 前回の緩和は、予想していなかっただけにサプライズとして効果を上げたのかもしれませんが、総裁は今後もサプライズによって金融政策の有効性を高めていく、そういうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私どもの考え方は、基本的に金融政策の透明性が金融政策の有効性を高める上でも重要であるという考えでございまして、何かわざわざサプライズを狙って、あるいはサプライズによって効果を出そうというようなことは考えておりません。 昨年十月末の量的・質的金融緩和の拡大につきましては、従来から、二%の物価安定目標の実現のために、必要になればちゅうちょなく調整を行うという方針は申し上げてきたわけですけれども、十月三十一日の政策委員会において、かなり激しいというか、いろいろな議論がありまして、結果的に量的・質的金融緩和の拡大、これによって、原油価格が下落して消費者物価が下がること自体は、それ自体はそれに対応する必要はないわけですけれども、特に日本のような場合に、それが期待物価上昇率、あるいは、ひいては賃金の上昇率や企業の価格設定行動に影響が出てくるおそれがあると、そういったおそれを懸念し、あるいは重視して拡大ということが決まったわけですが、かなり議論が伯仲したと言うと変ですけれども、五対四で決定されたということでございます。
○中西健治君 残念なんですけれども、よく市場関係者やエコノミストと話しますと、総裁の発言を額面どおり受け取ると金融政策の予想を誤ると、こういうふうに言われております。これは、市場との対話という意味で、それと政策の透明性という点で、額面どおり受け取っちゃいけないと言われているわけですから、大変嘆かわしいことなんじゃないかというふうにも思うわけです。 先日、総裁が決定会合の後の記者会見で、秋以降、物価上昇率はかなり加速していくであろうと、かなりという言葉をお使いになられて、これは文字どおりかなり突っ込んだ発言だというふうに思いますが、そこで金利はなぜか低下をいたしました。まさに総裁の言っていらっしゃることを信じない方がいいんだというふうに相場は反応しているということかと思いますが、こうした十月のサプライズのような、言わば透明性を欠くような政策を行ったがゆえに市場との対話がそごを来しているという認識はありませんか。
○参考人(黒田東彦君) そういう認識はありません。 市場とは十分対話しておりますし、ただ、その場合でも、欧米の中央銀行の政策あるいは市場との対話の状況を見ましても、必ずしも市場は中央銀行の主張していることをそのまま受け入れているというわけではなくて、そこにはいろいろな状況があるということであります。 私どもとしては、二%の物価安定目標の早期達成ということが最大の目標であり、そのために必要であればちゅうちょなく政策を調整するというスタンスに変わりはありませんで、一貫しておりますし、ただ、その中で、確かに市場が、なかなか金利が上がらないというか、なかなか物価上昇が加速していかないという見方を取っているのは確かでございますが、私どもとしては、年度前半は原油価格下落の影響が大きく残りますので、なかなか物価上昇率は上昇していかないと思いますが、後半には上昇していき、従来から申し上げているような二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いというのは、現時点ではそういうふうに考えております。
○中西健治君 必ずしも、おっしゃられた、中央銀行が思っていることと市場が思っていることは一緒じゃないということは往々にしてあるということだろうと思いますけれども、ただ、やはり今、総裁自身がお使いになった言葉で、日銀に対する疑念と日銀が思っている自信との間にかなりギャップがあるということですけれども、このギャップ、これを埋めるためには何か努力をしなきゃいけないと、こういうお考え、ないでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) ここはなかなか難しい、哲学的な問題だと思うんですけれども、市場は市場ですので、マーケットはマーケットの考え方で動き、政策当局は政策当局の考え方で動くと。実際の状況は、それぞれの時点で事態が明らかになっていくわけですけれども、事前にそこを完全に同じようにするというのは、先ほど来申し上げていますように、今、米国でもヨーロッパでも困難ですし、マーケットを中央銀行の思うとおりに完全にするということは、やはりマーケットはマーケットなので困難であろうと。ただ、先ほど来申し上げていますように、政策の透明性ということはできるだけ最大限重視していきたいと思っております。
○中西健治君 終わりますけれども、二%達成が二〇一六年の前半にあるというふうに自信を持っていらっしゃるのであれば、先ほどほかの委員からの話もありましたけれども、やはりそれに従って、当然それより前に出口戦略の議論をしなきゃいけないと、こういったことをちゃんと見せていけば、それは市場の期待も当然そのようになっていくのではないかというふうに思います。 私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平野達男君 平野達男です。 中西委員に関連してちょっとお伺いします。 ミネソタでは、アーリー、要するに二〇一六年前半というのは明示しておっしゃったんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私が申し上げたのは年度でございまして、年度です、フィスカルイヤーで、二〇一五年度を中心とする期間というのをパラフレーズして、二〇一五年度中あるいは二〇一六年度の方にずれ込むというか、二〇一六年度の初めの頃になるかもしれないというふうに申し上げたわけでございます。
○平野達男君 先ほどそれを聞いていまして、今回の概要説明のペーパーではこう書いてあるんです。二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いと見ていますとしか言っていないんですね。これとのそごというのはないですか。
○参考人(黒田東彦君) それは、従来から申し上げているとおり、二〇一五年度を中心とする期間ですので、二〇一六年度にはみ出る可能性もありますということは従来から申し上げております。
○平野達男君 こういうところで、そういうミネソタの中で二〇一六年というところを明示的に言っておいて、おっしゃって、こういう中では、あくまでも文面の方では二〇一五年度を中心にということで通すというのは、聞きようによってはちょっと違和感を覚えますね。 ここは、アーリー、要するに二〇一六年度というふうにあって、そこの前半というところとおっしゃっているわけですから、こういうところの報告の中には、ポジション、ミネソタで言った話というのは大きい話ですから、ここの中でもやっぱり書くべきではないかというふうに思います。 というのは、この問題は何回も何回も議論されていますから、あそこでこう言って、今度、先ほど中西さんではそういう言い方されましたけどどうなっていますかという議論をしなくちゃならない。しかし、この報告書には、字面で見れば、二〇一五年度を中心としてという字面になっている。ここの部分は、やっぱり総裁としてのお言葉というのは、この一言一言は多分市場全部見ていると思いますけれども、やはりきちっと気を付けられた方がいいんじゃないかと思います。 少なくとも、ごめんなさい、私、ミネソタのあれはちょっとそこまで、中西さんほど詳しく見ていなかったから、あくまでも二〇一五年度を中心という頭しかなくて、前にも、多少ずれ込むかもしれませんみたいな話は聞いたような気がしますが、二〇一六年ということを言葉の中で明示したのは私としてはちょっと初めてではなかったかという気がしますが、私のそれは誤解であれば誤解で結構です。 ただ、ここの全体の今日の報告の中でも、二〇一六年度という概要説明の中では言っておられないということですから、ここはちょっと気を付けられた方がいいのではないかと思いますが、特にコメント、申しませんが、こういうところが何かだんだんだんだんなし崩し的に、言葉は悪いですけれども、目標の後退の、時期が下がっていっていますねという印象が、しかしどこかで、明示はしていないんだけど何となくどこかで含みを含みながら、じわじわじわっと後ろに持っていくというようなもし印象が出てくるとすれば、これはやっぱり大変な話だと思います。 だから、そこのところの目標時期というのは、今日の岩田副総裁に対して質問もいろいろありましたけれども、物すごい、これをいつ達成するかということについては、出口戦略と併せると同時に、今出口戦略が大事だ大事だと、もちろん大事なんですけれども、その出口戦略に至るための様々なひずみがずっと蓄積するわけですから、この問題については、慎重に言葉を選ぶというよりも、これならばこれだというふうにここの文章の中にやっぱり書いていただきたかったという思いだけちょっと伝えさせていただきます。 それから、あと、私は量的緩和につきましては、日銀総裁にも申し上げましたけれども、これはもうここまで来たら、とにかく早い段階で、できるだけ早い段階で物価安定目標というのを、二%を達成していただきたいということしかないんですね。ここで途中の経過でどうのこうのと四の五の聞いてもなかなかしようがないんですが、若干の時間がありますので質問させていただきますけれども、国債の長期金利が非常に下がっていて、今直近では〇・三%ということになっています。この〇・三%というのは、別な見方をすれば国債が非常に高くなっているということですね。それで、日銀が今百兆を超えるペースで国債を買っていますが、その国債の多分金利は〇・三%じゃなくて一%とか、長期金利のやつが一%以上のも多分あるんだろうと思います。 そうすると、国債を買ってもらっただけで、そこの中でかなりの利益が出てくるのではないかというふうに思いますが、その額というのは、金融機関がどれだけそれで利益を上げるという、その数字なんかはつかんでおるんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 昨年度の上期の銀行決算における税引き前当期純利益の額は合計で二・七兆円であります。このうち、〇・三兆円が債券関係損益であります。ただ、この〇・三兆円の債券関係損益のうち、日本銀行への国債売却により生じた利益の額ということは把握しておりません。
○平野達男君 こういう国債の大量の買上げということで、金利の低下が起こる中で、その中で国債を売るというだけで金融機関はかなり利益を上げると同時に、日銀さんは逆に高い国債を保有することになりますから、将来的に物価が二%という状況で達成した場合には、今度は金利が上がってきますので、今度は含み損というリスクを、日銀さんの場合は含み損というのがあるのかどうかちょっと分かりませんが、そういうリスクをやっぱり抱えているということなんだろうというふうに思います。 それから、あと、株価が今かなり、また二万円という状況にまで一時的に上がりましたけれども、これと実体経済との関係というのは日銀総裁はどのように御覧になっておりますか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げていますとおり、相場の水準とか動きについて具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、その上で、一般論として、株価は基本的には将来の企業収益の見通しを反映するものではないかと思っておりまして、その意味では、現在の株価上昇の背景には企業収益が過去最高水準まで改善しているということがあるのではないかと思いますが、いずれにせよ、相場の水準、動きについては具体的なコメントは差し控えたいと思います。 なお、先ほど申し上げましたとおり、量的・質的金融緩和を進めるに当たって、やはり経済・物価見通しだけでなく、様々な上下双方向のリスク、その中には当然金融システムへの影響ということも含めてリスク要因を点検しておりまして、展望レポートでも示しておりますし、半年に一回の金融システムレポートでもかなり詳しく示しております。日本銀行としても、引き続きそういった状況には十分注意していきたいと思っております。
○平野達男君 私も余りお聞きすることないんですけれども、最後の質問として、やっぱり先ほどの物価安定目標二%の達成ということについては、これはできるだけとにかく早く達成していただかなくちゃなりませんが、ただ、日銀総裁のミネソタでの講演あるいは今日の概要説明ではかなり自信を深めているという印象を受けますけれども、市場関係者との中ではまだちょっと乖離があるのかなという認識がある。この認識の乖離はなぜ起こっているのかということと、この乖離を埋めるために日銀総裁はこれからどういうことをやっていかなくちゃならないのか、そのことをちょっとお伺いして、私の最後の、おしまいの質問にしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 民間の方の見通しと私どもの見通しとの差がどこにあるのかというのは、必ずしも民間の見通しも様々ですのではっきりしませんが、大まかに言って二つあり得ると。 一つは、需給ギャップの見通し、これは今後の成長率がどのぐらいに行くかということの見通しと関連していまして、成長率が余り上がらないと需給ギャップもそれほど縮まらないという見方をしている市場関係者もおられると思います。ただ、最近は、IMFの成長見通しも上方修正されていますし、足下の需給ギャップも非常に縮んでおりますので、そこの違いはそれほど大きくないのかもしれません。 もう一つの違いは、物価上昇予想、物価上昇期待についての見通しの違いで、ここは引き続き、これも市場関係者によって非常に悲観的な方と、かなり上昇していくという見方の人といますので分かりませんが、察するに、物価上昇期待が今後そう簡単に上がっていかない、なかなか上がらないという見通しを持っている市場関係者がやや物価上昇について悲観的な見通しを持っているのではないかと。 ですから、需給ギャップと予想物価上昇率、この二つについての見方の違いというのが大きいのではないかというふうに思っております。
○平野達男君 ありがとうございます。終わります。
○委員長(古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(古川俊治君) 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生財務大臣。
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。 内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害等の危機時における必要な資金供給を確保するとともに、地域活性化等につながる民間による成長資金の供給を促進することは重要な課題であります。政府は、こうした観点から、日本政策投資銀行について、完全民営化の方針を維持しつつ、その投融資機能を活用するため所要の施策を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。 第一に、当分の間、日本政策投資銀行に対し、危機対応業務を義務付けるとともに、その適確な実施のため、政府出資に係る期限の延長等所要の施策を講ずることといたしております。 第二に、同銀行が、地域活性化や日本企業の競争力強化等につながる出資等の業務を、期限を定めて集中的に実施するものとし、このため、政府出資等所要の施策を講ずることといたしております。 第三に、これらの施策を講ずる間、各業務の適確な実施を確保する観点から、政府は、各業務に対応し必要な同銀行の株式を保有することとしております。 第四に、日本政策投資銀行は、他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないこととするほか、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
○委員長(古川俊治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時散会