憲法審査会 第1号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2015/02/25
会議録
○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 幹事の補欠選任についてお諮りをいたします。 委員の異動に伴い現在幹事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。 それでは、幹事に儀間光男君を指名いたします。 ─────────────
○会長(柳本卓治君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 先般、本院から、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国及び英国における憲法事情、憲法改正の動向及び国民投票制度の制度内容・運用状況に関する実情調査並びに各国の政治経済事情等視察のため、本審査会委員を中心に議員団を構成した海外派遣が行われました。 同議員派遣につきまして、本審査会の調査に資するため、海外派遣議員から報告を聴取いたします。 まず、団長を務めさせていただいた私から便宜概略を報告いたしました後、副団長を務めていただいた金子洋一君から具体的な調査内容について概要を報告いたします。 それでは、着席のままで失礼いたします。 平成二十六年度重要事項調査議員団第三班は、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国及び英国における憲法事情、憲法改正の動向及び国民投票制度の制度内容・運用状況に関する実情調査並びに各国の政治経済事情等視察のため、去る一月十三日から二十一日までの九日間、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国及び英国を訪問いたしました。 派遣議員は、金子洋一君、小坂憲次君、河野義博君、吉良よし子さん及び私、柳本卓治の五名であります。 各訪問国の選定理由は、ドイツにつきましては、強い連邦制を取り、憲法裁判所等、我が国と異なる憲法保障の制度が採用されていることに目を向けるものであります。イタリアにつきましては、まさに今、憲法改正、特に統治機構改革のさなかにありまして、その最新情報を得ることを目的といたしました。英国につきましては、不文憲法の国ですが、近時、実質的意味での憲法が改正されており、それらについて調査することを目的としたものであります。 派遣メンバーで事前に調査項目を定めましたが、その主な内容を申し上げますと、環境保護規定の運用状況、緊急事態に対する議会統制、財政均衡条項の実効性確保手段、憲法裁判所による抽象的違憲審査の運用状況、議会の行政監督機能、上院改革の経過と展望などです。 派遣団は十三日に東京を立ち、ロンドン経由でドイツ・ベルリンに到着しました。ドイツでは、連邦議会、連邦参議院、連邦憲法裁判所を訪問し、その後、十五日夜にローマに入りました。イタリアでは、憲法裁判所、議会下院、内務省を訪問し、十八日に最後の訪問国である英国・ロンドンに到着しました。英国では、最高裁判所、議会両院を訪問したほか、法曹関係者、憲法学者と会談し、二十一日に東京に帰着いたしました。 訪問先では、事前に示しておいた調査項目について説明を聴取し、それに対して団員から疑問点をただすという形式で会談を進めるとともに、あわせて、議事堂や裁判所の法廷を見学し、英国上院では、ちょうど開かれた本会議を傍聴する機会に恵まれました。 英国上院におきまして、フランセス・デ=スーザ議長にお会いしました。デ=スーザ議長は、昨年、我が国を訪問され、参議院でも山崎議長、輿石副議長と会談されました。今回の懇談の中で、デ=スーザ議長は、昨年の訪日の際のお礼を述べられた上で、日本と英国の国会議員の間には両院議員から成る友好議員連盟が存在しているが、別途、上院間の関係を強化するための方法を模索したいとの意向を示されました。 また、上院副議長のジョン・スーウェル氏から昼食の招待を受け、懇談する機会がありました。 本議員派遣は、昨年夏以来の懸案事項でありながら、災害や衆議院解散等の事情によりまして、派遣時期を厳寒期である一月に設定せざるを得ませんでした。パリにおけるテロ事件直後で一部には厳戒態勢もしかれておりましたが、幸いにも気候に恵まれ、無事に任務を果たしてまいりました。 団員ごとに立場を異にしておりましたが、それぞれの問題意識で各国要人との会談に臨み、所期の成果を収めるとともに、認識を共有できる部分も多々あったかと存じております。 今回の調査におきましては、会談に快く応じてくださった各国の要職にある方々、クリスマス、年末年始を挟んだ短い準備期間であったにもかかわらず、御協力いただきました外務省並びに在外公館を始めとする関係各位に対し、心より感謝申し上げ、報告を終わります。 金子洋一君。
○金子洋一君 ただいま柳本会長から概略報告のありました議員派遣について、副団長を務めさせていただいた私から、具体的な調査内容を報告させていただきます。 訪問したドイツ、イタリア、英国の三か国は、EU加盟のヨーロッパ先進国という意味では共通しておりますが、憲法との関係ではそれぞれ特色が見られます。そのキーワードとなるのが、ドイツは連邦国家であること、イタリアはまさに憲法改正の渦中にあること、英国は不文憲法の国であることであります。 それでは、調査日程の順に、具体的な調査内容を報告いたします。 まず、最初の訪問国であるドイツ連邦共和国ですが、同国の憲法は、「ドイツ連邦共和国基本法」と名付けられております。これは、制定時の西ドイツにとって、東西再統一後に新憲法を採択することを念頭に置いたことによるものでありましたが、実際には、一九九〇年の東西ドイツの再統一は、東側の州が西ドイツに編入されるという形で実現したため、今も基本法の名前のまま通用しております。 最初にベルリンにおいて、連邦議会を訪問し、事務局関係者から、これまでの基本法改正の経緯やその後の状況について話を伺いました。 まず、財政均衡条項についてですが、当地では「債務ブレーキ」という呼び方が用いられていました。基本法第百九条及び第百十五条の財政均衡条項は二〇〇九年に改正されたもので、均衡財政を義務付け、赤字国債の発行を法的に禁止するものの、一年当たりGDPの〇・三五%の累積債務の増加は例外的に認めるというものです。 国民の間には、国の借金が増えると社会保障制度を守れなくなるとの危機感があり、国庫債務の膨張を放置しないことは、下から湧き上がって形成された政治的コンセンサスであり、それを基に基本法改正が実現したことが紹介されておりました。その後、ドイツの国家財政は、二〇一四年に、一九六九年以来初めて黒字に転じたと伺いましたが、これがギリシャ危機以降のユーロ安によるドイツの輸出の好調を背景にしたものであることも否定はされませんでした。 次に、環境保護規定に移らせていただきます。 基本法第二十条aでは、「国は、来るべき世代に対する責任を果たすためにも、憲法的秩序の枠内において立法を通じて、また、法律及び法の基準に従って執行権及び裁判を通じて、自然的生存基盤及び動物を保護する。」と規定されています。これは一九九四年に導入されたもので、「動物」の語がここに加わっていることが特徴的であると説明されていました。基本法の規定として置かれたことによって、国や立法者はそれに見合った考慮を払うことが求められるものの、それを、いつ、どのように遂行するかは規定されていないため、その意味で立法者には裁量があるとされております。 次に、緊急事態条項に移ります。 緊急事態への対処が基本法に規定されるに当たっては、非常に大きな反対があったものの、改正後には議論は収まり、今問題視されているのは、連邦軍が国内のテロに対処することの是非のような、国内での個別テーマとなっているとのことでした。 ドイツ基本法においては、緊急事態条項は、内的緊急事態と外的緊急事態に区別して規定されておりますが、その背景にも連邦制があり、例えば、自然災害のような内的事態では、州単位で規定されている警察権等の越境が必要となってくることが挙げられておりました。 このような事態に対して議会がどのように関与するかにつきましては、外的事態については立法府の関与が大きいが、内的緊急事態には、それを緊急事態と認めることや終息させるのに議会の関与は必要ないとの制度になっており、それに対する批判も見られるとのことでした。 連邦議会におきましては、予算委員長であるゲジネ・レッチュ女史、司法・消費者保護委員長であるレナーテ・キューナスト女史とそれぞれ意見交換の場を持つことができました。お二人とも女性で、かつ野党出身の議員でした。野党議員が下院の予算委員長であるということは、我が国では考えにくいことですが、ドイツの伝統であるとのお話でした。 レッチュ予算委員長からは、彼女の所属している左派党は債務ブレーキに反対し、むしろ、税収を増やすための税制改正を考えるべきであるとの主張が述べられました。 キューナスト司法・消費者保護委員長からは、彼女が緑の党の所属であることも関係していると思われますが、環境保護を基本法に規定することによって、それが国の目標として設定され、環境と相対する権利主体に対抗する措置が可能となったことが強調されておりました。基本法の環境保護規定を基に、環境保護政策が国の任務であるとの正当性が得られることも強く述べておられました。 続いて私たちは、ドイツ連邦参議院を訪問しました。 連邦参議院は、その構成が各州政府の代表から成り、その表決態度は州からの指示に基づくものであるという点において、通常の二院制における第二院ではないとされております。 各州の表決態度は統一して表示しなければ無効であるとのことで、それは憲法裁判所の判決においても示されており、逆に、州政府の指示に反する表決態度でも、州の投票が統一して行使されれば無効でないとの説明を受けました。 各州が保持している表決権の数の基準は基本法に規定されていますが、それが各州一票とする考えと人口比例の考えの中間を取って決められたものであるとの説明がありました。我が国での法律の規定事項が基本法に規定されていることになります。 また、各州の態度が州政府の指示によるものであることから、連邦参議院での審議にどれほどの意義があるのか疑問に感じていたところですが、州政府からの指示は必ずしも確定的なものばかりではなく、連邦参議院の本会議に先立って開かれるシェルパ会議において州の間での探り合いによって調整される可能性もあるとのことでした。 日を改め、私たちはドイツ連邦憲法裁判所を訪問いたしました。この裁判所は、首都ベルリンではなく、ドイツ南西部のカールスルーエという都市に所在しています。この町はコンパクトシティーのモデルともなっており、電流、電圧の異なる近郊電車と市電が相互乗り入れする等の様子をバスの中から見ることができました。 連邦憲法裁判所では、ペーター・フーバー裁判官からお話を伺いました。 我が国のように司法裁判所が事件を処理する上で違憲審査権を行使するのとは異なり、憲法裁判所は、具体的な訴訟事件を離れて抽象的に法令等の違憲審査を行う権限を与えられています。その抽象的違憲審査の運用状況と憲法裁判所判事の民主的正統性に対する意識が私たちの主な関心事でした。 法律に対する抽象的判断を求められた場合の運用については、事例や資料が足りないときには、それらが出そろうまで判決を控えることもあるとのことで、また、法律を違憲と判断した場合でも、直ちに無効とするのではなく、議会に対して期限を設けて改善を求めるというような工夫により、具体性を備えた妥当な判断を追求しているとのことでした。 また、憲法裁判所の裁判官は、議会で選ばれ、政党に所属することがあるものの、裁判官となった以上、一党一派に偏した判断をするようなことはなく、アンケートでは、国民の九〇%に上る信頼を得ているとの紹介がありました。 派遣三日目、私たちはドイツを立ってイタリア共和国に移動しました。 同国の最近の政治の動きは急で、政権の交代が相次ぎ、現在の首相は民主党のマッテオ・レンツィ氏ですが、その下で、憲法改正、特に統治機構改革が進められている最中です。また、私たちがイタリアを訪れる直前に、ジョルジョ・ナポリターノ大統領が辞任し、その後任を選定する最中という状況下での調査となりました。 イタリアで最初に訪問した憲法裁判所では、副長官のジョルジョ・ラッタンツィ氏から話を伺いました。 イタリア憲法裁判所も抽象的違憲判断を行う点で、ドイツと共通しているのですが、その運用において、具体的・付随的違憲審査とどれほどの差があるのかという点が私たちの関心の中心でした。 ラッタンツィ副長官からは、憲法裁判所の違憲判決は対世効を有し、法律に欠けている部分を補う追加的違憲判決を下した場合には、それによって判決内容が法律に置き換わるという強い権限を持っていると伺いました。我が国であれば、立法権の侵害であるとの批判が予想されるものです。 また、イタリアでは、緊急の必要があるときに政府が自らの責任で緊急措置令を発することができますが、これに対しては議会が承認権を持ち、憲法裁判所は、法律に転換した後でなければ違憲審査を行えないとのことでした。 続いて私たちは、議会下院を訪れ、憲法問題委員会の副委員長であるロベルタ・アゴスティーニ女史に話を伺いました。 最近のイタリアの統治機構改革は動きが速く、我が国にも詳細な紹介がなされておらず、憲法改正が現在どのように進行しているのかが関心の的でした。 下院で審議中の憲法改正案は四十条にも及ぶ大規模なもので、その大きな改正点は、①対等な二院制の改革と②地方制度改革であるとのことでした。議会に関係する主な改正点としては、上院議員の定数を大幅に削減し、地方代表色を強く打ち出すこと、重要な案件については議会に対して六十日以内に審議を終わらせることを政府が要請できるようにして法案審議の迅速化を図ることが挙げられていました。 既に上院では一度可決されたとのことで、議員自らの身分に関して大きな変革をもたらす改正案が、比較的短期間で可決されたという点に驚きを覚えたところです。 しかし、下院での審議は難航しており、三十を超える修正案が出される中、それらを一つずつ処理していくことになるとのことでした。 イタリアでは、憲法改正には上下両院がそれぞれ間を空けて二度議決することが必要で、かつ二回目の議決で三分の二以上の賛成がなければ国民投票が必要となるそうですが、アゴスティーニ副委員長は、たとえ三分の二を取ったとしても国民投票が必要だと考えるとの個人的所見を述べておられました。 続いて私たちは、イタリア内務省を訪れ、選挙局関係者から話を伺いました。 最初に、選挙法について憲法裁判所で違憲判決が出ていることが紹介されました。上下両院の選挙に関し、①最大得票した政党に五割を超える議席を保証する「多数派プレミアム制」と②拘束名簿式の比例代表制について、いずれも国民の意向が議席に反映されないとの理由で憲法に反するとの判断が下ったものです。 話題の中心は、国民投票についてのものでした。イタリアでは国民投票が多用されており、その主な種類は、憲法改正のための国民投票と法律廃止のための国民投票です。 説明の中で、最低投票率に話が及びました。近時は、国民投票に対する関心が高くなく、話題を呼んだ二〇一一年の原子力発電の再開の是非を問う国民投票でも、投票率は五四%でした。法律廃止のための国民投票には最低投票率が定められており、最低投票率を割ることが少なくないと紹介されていました。最低投票率を定めると、ボイコット運動が必然的に行われるものの、そのような運動の是非がどのように受け止められているかを質問したところ、そもそも、そのような問題意識を持っていないような印象を受けました。 最後に英国に渡り、調査を締めくくりました。 まず、英国在住の藤田明日香弁護士にお会いし、英国憲法の特質について意見交換を行いました。日本人として活動されている、ごく少数の法廷弁護士の一人で、日本、英国いずれの法制度にも精通されている方です。 藤田弁護士は、マグナカルタ以降の英国憲法の歴史を説き起こし、その二大原則である議会主義と法の支配の説明をされました。 英国は不文憲法の国ですが、実際には、法律の形で実質的意味の憲法が存在しています。それらは、議会主権の下では過半数の賛成で改正することができ、その意味では軟性憲法でもあるのですが、英国においては、多くの慣習、判例が存在し、それらとの関係を調整する必要があることから、一発改正というものは考えにくく、大きな変革は容易ではないと述べておられました。 次に、憲法学者でロンドン・メトロポリタン大学教授のピーター・レイランド氏に話を伺いました。 英国における憲法の成文化に向けての動向については、従来から成文憲法化の主張がなされてきたが、その実現は困難であるとの見方が示されました。成文化の主張内容が多様で、収束しそうになく、また、実質的憲法を形成している慣習には様々なものがあり、それを全て成文化することは技術的に困難であるとの理由です。 不文憲法であることによる国民に対する憲法教育の困難さについての質問に対しては、マグナカルタ以来の法制度が生きていることが前提であるものの、成文法がないことによる困難さが深刻であることも否定されませんでした。 また、貴族院改革の方向性につきまして、レイランド教授は、上院改革が頓挫しているのは議会の中で反対があるだけでなく、これまでに提案された改革内容に欠陥が多かったことによるとされ、今後の方向性として、労働党の提案のように上院に地域代表色を出すというものもあるが、仮に改革が進んでも、上院としては、下院の判断の再検討、見直しの役割を担うにすぎず、より強い権限を持つこととはならないだろうと予測されていました。 次いで、最高裁判所を訪問し、事務局長から最高裁判所の位置付け等について話を伺いました。 英国では、従来から貴族院が最高裁判所の機能を担ってきましたが、二〇〇九年、最高裁判所が設置され、権力分立の徹底が図られました。 この貴族院からの最高裁判所の独立は、司法の権限を政治から分離させるための試みとのことでしたが、実質的には大きな変化はないと言えること、最高裁判所判事を選考する選考委員会は議会から独立しており、政党政治は選考に関わらないこと等が紹介されました。 翌日、私たちは英国議会を訪問しました。 今年は、英国議会の起源とされる「諮問議会」が召集されてから七百五十年の記念の年であり、私たちが議会を訪問した一月二十日は、まさにその日に当たり、議事堂のホールでは記念のイベントが催されておりました。 上下両院においては、最近の実質的意味における憲法の改正や上院の委任立法統制、貴族院改革についての話を伺いました。 まず、二〇一三年王位継承法については、保守党の下院議員であるジェイコブ・リースモッグ氏と意見交換を行いました。同法は、王位継承権を男女平等とすることを目的として制定されたものです。同議員は、必要に迫られて同法が成立したが、立案段階を含め、細目にわたる検討がなされたわけではなく、拙速な立法であったとの所感が述べられました。具体的には、①貴族階級のタイトルや財産の継承に触れていないこと、②王位継承と領地継承が分かれているという背景が顧慮されなかったこと、③王家とカトリックの関係が未決であることの問題が指摘されました。 王権に関する慣習を明文化することについては、そのような意見がないわけではないが、主流とはなっていないことが示されました。 次に、委任立法統制について、ロバート・イームズ氏ら三名の上院議員から話を伺いました。 英国議会では、行政監督が主に上院の役割とされており、その委任立法の内容についての議会によるチェックは我が国でも注目を集めております。そこでは、議会が制定する法律を第一次立法と呼ぶのに対し、委任立法は第二次立法と呼ばれ、その根拠は第一次立法で明確にしておくことが必要とされています。その上で、策定された第二次立法について、上院の委員会が精査するという仕組みが採用されています。 イームズ上院議員らからは、上院の第二次立法監視委員会は他の議員に対して答弁義務を負うこと、第二次立法の審査は政党に関係なく委員会の任務として行っていること等が述べられ、本院の行政監視委員会に通じるものがあると感じたところでもあります。 なお、実際には、上院が第二次立法の審査を政府や下院に対する対抗手段、すなわち遅延戦術として用いることもあると紹介されたことも付け加えておきます。 続いて、二〇一一年議会任期固定法について、労働党のファビアン・ハミルトン下院議員から話を伺いました。 この法律は、下院の総選挙の期日を五年ごとの五月の第一木曜日に固定するもので、首相の解散権が制限を受けることとなります。 ハミルトン議員からは、議会任期が固定されることによって選挙時期の予測が可能となったが、選挙運動の期間が長くなることによる疲弊も見られるとの話を伺いました。与党提出の不信任案を可決することで、首相は、言わば自由に解散権を行使できるのではないかと考えましたが、同議員は、与党議員が自らの同僚に対して不信任案を出すことはあり得ないと答えていました。 同議員からは、貴族院改革の展望についても話を伺いましたが、国民は貴族院の改革に関心がなく、下から改革の機運が盛り上がることはないこと、一代貴族の選出方法に透明性のないことが紹介され、同議員は、選考委員会のメンバーも知らないとのことでした。上院で政党に属さずに活動するクロスベンチャーと呼ばれる議員が重要な役割を果たしているが、国民の関心は、そのことにも及んでいないとのことでした。 以上が派遣調査の概要です。今回の派遣は日程が少々タイトでしたが、充実した調査を行うことができたとの感想は、全ての団員の共有するところだと思います。九日間にわたる活動で所期の成果を収めることができたのも、快く面談に応じていただいた各国要人の方々を始め、外務省や在外公館等、様々な方の御協力のたまものであると存じます。 ここにお礼を申し上げて、報告を終わります。
○会長(柳本卓治君) 本議員派遣につきましては、議院運営委員会に報告書を提出することとなっておりますので、御参照いただければと存じます。 次に、他の派遣議員の方々からも御発言をいただきたいと存じます。 なお、発言は着席のままで結構でございます。 小坂憲次君。
○小坂憲次君 審査会長、ありがとうございます。 先ほど審査会長並びに金子副団長の方から御報告がありました。 私の方からは、まず最初におわびを申し上げなきゃいけないのは、本来、この派遣は、昨年の八月、私の審査会長としての責任においてなすべきでございましたけれども、当時、災害が起こりまして、大変大きな広島の災害、また現地のイギリスが夏休みということがあって、それだけならよかったのですが、議会の修復ということで工事が行われているということもありましたので、そういう状況が判明したところで、これを延期させていただきました。しかし、その後、延期をした十二月が今度は選挙ということになりまして年を越したわけでございまして、柳本会長の下で派遣を実現できたことは誠によかったと思っております。 ただいま御報告がありましたこと以外に何か付け加えることがあるかなと思って書いてまいりましたけれども、かなりの部分、金子副団長の御報告の中にカバーされております。 若干の私の気付いたところを申し上げますと、まずドイツでございますけれども、ドイツの基本法の中には財政均衡条項というのがございます。この財政均衡条項というのは、我が国もそうでありますが、最近いずれの国にも見られる状況として、歳出が膨張していくという傾向がある。これに歯止めを掛けるということで、ドイツでは景気が良いにもかかわらず新規債務が膨らんでいるといったことを受け止めて、国民の声に従ってこのような条項が入ったと。しかし、憲法はあらゆる状況下においても通用する必要性があるわけでありまして、そういった長期的な視点からすると、景気の調整局面においてはいろいろな状況があるわけですから、財政均衡条項が本当に厳格に守られるのかという疑問があります。 ドイツ基本法では、対GDP比で〇・三五%の新規債務は例外的に認められるとされておるわけですが、この〇・三五%は必ずしもリジッドに運用されていることではないようでありますけれども、我が国のように、財政法に規定をされていることによって、毎年、法律によって公債発行特例法、特例という形で対処できるという我が国のやり方との違いを、これを考えると、法律ではなくて、いわゆる憲法にこういったことを盛り込むことが財政を動かす上での柔軟性という観点から適しているのかなというふうな疑問を持ったところであります。 また、ドイツの連邦参議院でございますけれども、まあ連邦参議院が特異な第二院というふうに思って見てまいりましたけれども、先ほど御説明がありましたように、州代表で構成されるということでありながら、必ずしもその人口比に、一つの方程式に従って配分されるということではなくて、かなり大ざっぱにそれが決められているという点からすると、アメリカの州二人というような、そういった州代表制というものとはちょっと比較すると何となく中途半端な違和感を持ったところであります。また、こういった細かいことまでも憲法で定めてしまうということにも驚いたところでございます。 また、こういった議員の投票行動というのは各州の指示に基づいているということでありましたけれども、その指示は、それに逆らってその議員が投票した場合、それは無効かというと、直ちに無効にならないということでありまして、こういったことも詳細に聞いてまいりますと、州の意思決定の過程というものが必ずしも透明性がないということ。で、その部分は州の閣議で、州政府の閣議で決定されるということがあるんですが、一方、その議員は現場におるわけですから、現場の議論を聞いてその自分の指示を変えたいと思うことはあるわけでございますから、そういった場合にはそれに従って行動するということもあり得る。しかし、それは必ずしも無効ではないが、いろいろな形で最終的には州政府の閣議決定されたものが反映していくということになると、審議というものが、先ほど金子さんの報告にもあったように、ここで議論をするということがどれほどの意義があるのかなという疑問を持ったところであります。 また、イタリアについてでありますが、イタリアの二院制については、いわゆる双子の二院制と呼ばれておりますけれども、権能、議員の選出方法等もほぼ同じ。で、政府は上院の信任も必要ということで、上院についても解散が認められている、可能であると。その場合に上下両院が同時に解散されるということなんだそうですが、我が国には参議院の緊急制度も設けられておりますけれども、このような場合、緊急事態になったらどのようにするのかなと、国民の意思はどのように反映されるんだろうかというふうに思いましたが。 また同時に、現在行われている二院制改革については、上院の権限を縮小させて下院の優越、そして上院にはむしろ地方代表的な性格を持たせる、このような現在の取組状況を御説明いただきましたが、これも政権をより安定させようという試みかなと、こういうふうに感じたところでありますが、これは我が国の在り方というものも関係してくると思いますので、彼らの決定後の推移というものをしっかり見守ってまいりたい、いろいろ参考にすることはあるのかなと思った次第でございます。 最後に行ったイギリスでございますけれども、いわゆる慣習法の国として不文憲法ということでありますけれども、先ほどの御指摘もありましたように、憲法教育にはやっぱり書いたものが必要じゃないかなということで、やはり国民に憲法というものをしっかり理解してもらうための教育という観点からすると、成文憲法も必要ではないかという気がいたしましたし、またそういった必要性も感じているようでございました。 また、お会いした方々から聞いたいわゆるヨーロッパ人権条約に従って、いろいろな法律がこの人権条約に反するかどうか、これを最高裁の判決によって審査されているということを聞きましたが、条約が法律の上位にあるような印象を受けて、この条約が成文憲法のような役割を果たすのには何となく違和感を覚えたところでございます。 また、更に面白いと思ったのは、こういった在り方、人権条約に照らして最高裁が審査するというようなやり方については、やはり拒否反応というものが保守党の中にもあって、保守党の中からは人権条約から抜けようといった意見も出ているというふうにお聞きしたところでございます。 あとは貴族院改革でありますが、私もイギリスに住んでおりまして、そのときにも、まあ貴族院というのは議席が、全員が出たらとても議場に入れるような議席ではありませんし、また、新興貴族が次々とその貴族院にメンバーになっていく、名誉職のような立場で、審議には誰が参加するんだろうかと、そんな思いでおりましたが、今回行ってみると、いろいろと更に疑問が膨らんだりもいたしました。 特に、お会いした下院の方々からいろいろ意見を聞いても、貴族院改革について余り熱心でないなという印象を受けましたし、また国民全体も、私が感じていたようなことと若干ダブりますが、貴族院というものに対しての関心が若干薄いのかなという気もいたしました。 私は、お会いした上院の方とのお話の中で、貴族院改革は、出てこない人、いわゆる名誉職としてそのタイトルだけあればいいという人たちと、それから実際に出て審議に参加するという常時国会に出てくるという人とのステータスで二つに分けられたらいかがなものかと。そして、議席にちゃんと座れる人数をいわゆる常時出席される上院として認定をし、また、名誉職で俺はいいんだと言われているような方については、やはり直ちにその貴族院としてのタイトルを剥奪するというのは問題があるのでしょうから、そこはそれで立場だけは残して、そういうような改革の方向性というのはいかがなものかとお話ししましたら、まあそういうのも一つの案かもしれないなとおっしゃっておりました。 この辺で私の意見は終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 次に、河野義博君。
○河野義博君 公明党の河野義博でございます。 今回、調査団のメンバーとして派遣をさせていただいたこと、心から感謝と御礼を申し上げます。 まず初めに、最も私が今回の派遣で印象的だったこと、これドイツで憲法改正に関して伺ったことですけれども、ドイツでは戦後、憲法改正を五十九回行われておりまして、六十回近く、毎年、一年に一度改正が行われているような国でございました。我が国と同じく硬性憲法の国でありまして、連邦議会の三分の二、連邦参議院の三分の二のそれぞれ可決を必要といたしますけれども、あくまで民意の発露として、国民が必要としているから、国民の議論を基に、国民的な議論を喚起した上で改正がなされてきたという点、非常に今興味深く関心を持ち勉強させていただきました。 その上で、各国、三か国回らせていただきましたので、我が国の立法府に関しましても示唆に富むと思われますトピックを抽出いたしまして、極力、小坂先生、金子先生と重複しないように報告をさせていただけたらと思います。 まず、ドイツでございます。 債務抑制規定が導入をされまして、二〇〇九年に導入をされ、連邦政府は二〇一六年までに財政赤字をGDPの〇・三五%以内とすることが義務付けられました。その結果、計画を前倒しして、二〇一五年の予算は新規借入れを伴わない財政均衡を一九六九年以来達成をしたということ、これは金子先生から御報告のとおりでございますけれども、これも国民的な世論として、国債は国民の税の未払なんだと、今の借金は将来の税金なんだという国民的議論の高まりによって憲法の中に導入されたという点が非常に関心を持って聞かせていただきました。 もう一つは、ドイツに緊急事態法という条項がドイツ憲法の中にございます。これは、ワイマール憲法下の反省に立ちまして、平時から戦時に至る危機段階を細分化をいたしまして、各段階に応じて政府がとり得る非常事態の措置を憲法に定めているんですけれども、この点は、議会が政府の非常措置を実効的に統制をして濫用防止はしっかりとできているといった点が非常に関心を持って勉強させていただきました。 一方で、イタリアに渡りましてちょっと驚きを持って聞いておりましたのがイタリアの緊急事態法でございまして、イタリアも同様に、政府が緊急時に限って法律と同様の効力を有する命令を発することができるわけですが、これは緊急命令でございますので、公布後六十日以内に国会が承認をして法律に転換をする義務がございまして、法律に転換されない場合は失効されるんですけれども、イタリアは御案内のとおり完全な二院制でございまして、なかなか決められない政治が続いております。このことによりまして、国会ではなかなか法律が決められないということで、緊急命令によって経済対策などが度々行われているということを伺ってまいりました。 帰国をいたしまして調査をしてみますと、緊急政令を発せられましてそれが法律に転換される割合というのが約三割、三〇%の緊急政令が実際に法律になっているということで、恒常的な暫定措置として今まで使われていると。この点改革が必要だという点はイタリアの方からも伺ってまいりましたので、我が国も仮に緊急事態に対応するのであれば、こういった点も参考にしながら進めていくべきだなと感じました。 最後に、イギリスでございます。 行政監視機構として、上院の役割として、下院から送られてきた法律を徹底的に審査をする二次立法の委員会が設置されていることも金子先生から御報告がございました。政党に関係なく議員が詳細な審査を行っているという点、これは二次立法、我が国でいうと政省令に当たると思いますけれども、政省令も国会がつぶさに監視をして立法統制をしているという点、示唆に富むなと感じて帰ってまいりました。 最後に、今回の派遣に当たりまして、様々御協力をいただいた関係各位に心から御礼を申し上げまして、私の御報告とさせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 次に、吉良よし子さん。
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。 私が今回の派遣に当たって最も印象に残ったのは、ドイツのレナーテ・キューナスト司法・消費者保護委員長の言葉です。彼女は、いろいろなお話の中で、憲法は解釈によって変えるものではないとおっしゃいました。この発言に照らせば、日本の集団的自衛権の容認のように、憲法九条の下ではできないというこれまでの歴代政府の解釈を百八十度変えるという解釈による改憲というのは、ほかの立憲主義国家から見ても異様な事態であるとの認識を新たにしました。 もう一つ印象に残ったのは、訪問した国々の憲法において、とりわけ人権については国際法など国際社会の到達を反映させたものにしているということです。 今回訪問したドイツ、イタリア、イギリスは全てEU加盟国ですから、立法や違憲判断の過程でEU条約等に配慮しているとの旨の発言は各国でありました。事実、憲法改正を繰り返しているドイツの改正内容を調べますと、EU法などの条約批准に伴うものもあります。 では、国内の法改正や違憲判断に当たり国際法やEU条約などに配慮しているのはEUに加盟しているからなのかといえば、それだけが理由とは言えません。例えば、不文憲法の国イギリスの最高裁判所において、とりわけ人権に関わって、国内の議会法の妥当性についてEU人権条約など国際法に照らして判断を下すというお話がありました。それは先ほど小坂先生のおっしゃったようなことです。 一方で、イギリスにおいては、五月の総選挙を前にEUからの脱退も議論されております。そこで、もしEUから脱退した場合にはイギリスにおいて規範となる法がなくなってしまうのかという点を伺ったところ、それはどうなるか実際にやってみないと分かりませんが、たとえEUから脱退したとしても、その他の人権をうたう国際法はいろいろとあり、それらが判断の基準になり得るとの回答がありました。つまり、EUに加盟しているかどうかにかかわらず、とりわけ人権に関しては国際法や国際社会の到達点というものを国内法にも反映させるという姿勢が貫かれていると考えられます。 現在、日本においても、日本国憲法九十七条に「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」とあります。これを読めば、今の日本国憲法は国際社会の到達というものをしっかりと取り入れていることが分かります。 こうした点からも、日本国憲法は決して古いものではないこと、むしろ現在の国際社会の到達にも合致する生きた憲法になっていることを誇るべきだと、今回の派遣で再認識いたしました。 また、最後になりますが、金子副団長からの御報告もありましたように、イタリアの国民投票の最低投票率について、ボイコット運動があるのではないかという点について問題意識はないというお話がありました。その背景には、国民的関心が高い事項であれば最低投票率を超えると、だからボイコット運動というのは問題にならないという話も印象に残りました。そのことも付け加えさせていただき、私からの御報告といたします。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 以上で海外派遣議員の報告は終了いたしました。 これより、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国及び英国における憲法事情、憲法改正の動向及び国民投票制度の制度内容・運用状況等について、発言希望に基づき、会長の指名により委員間の意見交換を行います。 発言を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。 発言に対して所感又は回答を求める場合は、必要に応じ委員名を明示願います。 また、所感又は回答を述べようとする委員は、挙手願います。 多くの委員が発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。発言の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。発言を終わった方は、氏名標を横にお戻しください。 なお、御発言はいずれも着席のままで結構でございます。 それでは、発言を希望する方は氏名標を立ててください。 赤池誠章君。
○赤池誠章君 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。自民党の赤池誠章です。 今回の諸外国の視察の報告を聞かせていただきました。私の関心は、前回のときにも発言をさせていただきましたが、憲法教育、参政権教育というものがどうあるべきかということでございました。その辺、もう少し諸外国の事例、もし派遣委員の先生方の中でありましたら、また是非教えていただきたいなというふうに思っているところであります。 御承知のとおり、憲法改正国民投票法が制定をされまして、投票権年齢が十八歳という形に引き下げられたわけであります。公職選挙法においても十八歳にという議論も進んでいるというふうに聞いておりまして、改めて憲法教育、そしてその大前提であります政治的教養、政治教育がどうあるべきかということは、本憲法審査会でも、それぞれの先生方からの意見、また有識者の先生方からの意見も聞いているところであります。 御承知のとおり、教育基本法の第十四条第一項の中には、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」ということが教育基本法に位置付けられているわけであります。 学校においては、その基本法を踏まえて、学習指導要領の中に憲法の基本的な考え方や我が国の民主政治や議会の仕組み、政治参加の重要性や選挙の意義について指導が行われるということで、それぞれ小学校社会科、中学校社会科、高等学校の公民科の中で、発達段階に応じて学校の中で教えられているわけであります。 こういった形の中で、憲法改正国民投票法が十八歳以上となったときには、今までも当然でありますが、より以上の新たなる有権者、若い方々の政治、選挙への関心を引き出して、政治参加を含めて主体的に社会生活を営む知識や実践力、態度を育むということが大変重要になってくるわけであります。 御承知のとおり、昨年十一月に中央教育審議会におきまして学習指導要領の改訂の諮問が文部科学大臣からなされました。これは、選挙年齢や憲法改正の国民投票十八歳ということを踏まえて、高等学校において主体的に社会参画の力を育む新科目を設置するということが諮問をされておりまして、今後具体的な検討が中教審で行われるわけであります。 そういう中で、来年もし仮に十八歳選挙権ということになれば、総務省や文科省におきましても副読本を作って、それで高等学校でその先駆けとして、前触れとしてしっかり教えなければいけないという議論が進んでいるということも承知をしているところであります。 その中で、私、改めて、戦後いわゆる現行憲法がGHQの占領下で国民に与えられたという、そういった戦後から民主主義が始まったという考え方ではなく、明治維新の五箇条の御誓文、立憲政体の詔や、様々な、大日本帝国憲法を含めて、また大正デモクラシーの時代の中で、我々先人の方々が大変な努力の中で参政権、護憲運動や普選運動などでつかみ取ってきたという、このような近代の歴史をしっかり我々は、改めて学校そして私たちもかみしめる必要があるのではないかというふうに感じている次第であります。 大正デモクラシーといいますと、民本主義の吉野作造先生が有名であります。吉野作造先生の本を今回改めて読ませていただきましたが、憲政の常道というのは、制度や運用はもちろんでありますが、やっぱりその大前提としては国民の知徳、国民の教養が大事である。教育の重要性を説かれ、そしてそれから生み出される我々選良が、単なる国民におもねるだけではなくて、そのリーダー、精神的指導者たるべしということを序論で明記されていたことが大変印象でございました。やはり、普遍的に今でも通じることがたくさんある。 そういったことを我々が学び、また学校教育の中できちっとした先人の歴史を学ぶことが、単に参政権というのが与えられたものではなく、まさに先人からの相続財産だというような視点からしっかりつかみ取ることによって、選挙に対する意識、主体性というものが生み出されていくのではないかと思っております。 その中で、最後に一つ提案がございます。本参議院は、今までも子ども国会という形で何度か開催をされているということを聞いているわけであります。是非、参議院が先導して、子ども国会は小学生が対象でありますが、若干ちょっと上げまして中高生対象にしても、是非、子ども国会、若者国会というもので、それぞれ今見学がなされているわけでありますが、実際、政治というものがどういうものか、そのような体験活動も参議院が率先して行うべきではないかと提案をさせていただきまして、私の発言を終えさせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 藤末健三君。
○藤末健三君 民主党の藤末でございます。 私は、三点、意見と申しますか、もし行かれた方、視察された方で御意見があれば伺いたいということを三点申し上げたいと思います。 一つは、ドイツの基本法でございますけれど、ドイツの基本法は非常に修正、変更されている、改正されているということでございましたが、私の記憶によると、一条の例えば人間の尊厳の保障とかいう基本的なところは三分の二であっても修正できないということをお聞きしていますが、もしその点につきまして御存じの方がおられたら、ちょっと教えていただきたいというのがまず一つございます。 そして、もう二つございますのは、やっぱりこの憲法におけます議論の中で九条の議論がございます。我が国の九条は、一項で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、そして、二項として「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」ということを書いてございますが、イタリアも同様にこういうのがございまして、例えばイタリアの憲法十一条には、イタリアは、他の人民の自由を侵害する手段及び国際紛争を解決する方法としての戦争は否認するということ。そして、ドイツ基本法は二十六条におきまして、諸国民の平和的共同生活を妨げ、特に侵略戦争の遂行を準備するのに役立ち、かつ、そのような意図を持ってなされる行為は違憲である、このような行為を処罰するものとするというふうに書かれておりまして、このような平和条項に対する御意見があれば伺いたいというのがございます。 そして、三番目にございますのは、この報告の中にもございましたように、違憲判断をどのように行うかということで、各国におきまして、ドイツ、イタリア、憲法裁判所があり、抽象的な案件であっても違憲判断を行えるという状況でございますが、我が国は具体的な案件がなければ違憲の裁判も起こせないという状況でございますが、その点につきまして御意見があればお願いしたいと思います。 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 山下雄平君。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。 私は、七百五十年とも言われる議会制の歴史を持つ英国について意見、そしてまたお伺いしたいと思っております。 英国の上院、貴族院は、皆さんも御存じのとおり、任命制で公選制ではありませんけれども、現在のキャメロン政権は公選制を掲げました。しかし、現在、選挙制度改革の各党の思惑なども絡み、上院改革は頓挫している状態だというふうに聞いております。 派遣報告を聞く限り、上院の改革の方向性、上院に公選制を導入したいという方向性は堅持されているんだろうと思います。欧州の中では、デンマークのように二院制から一院制に変わった国もありますけれども、派遣団の皆様が訪れられたイギリスやイタリア、ドイツなど大きな国は二院制を堅持しております。 イギリスのように公選制ではない上院についても公選制を目指す動きが出ております。そのことを考えると、日本のこの衆参共に選挙によって議員が選ばれるという制度というのは、規模の大きな国、人口の大きく、そして経済の大きな国では、多様な民意を反映させるためには非常に理にかなった制度ではないのかなというふうに私は感じております。 日本の参議院のもう一つの意義というのは、私は、参議院は任期が六年で、そして解散がないということで、長期的な視野を持って議論ができる、これが日本の参議院の意義だと思いますけれども、先ほどの金子副団長の話に出てきました、イギリスが下院の総選挙を五年ごとに法律で規定するということは、またこういった日本の参議院と同じように長期的な視野で議論をする狙いがあるのではないかなというふうに感じましたけれども、一方で、総選挙を五年ごとにというふうに規定することによって、おっしゃったように、内閣総理大臣の解散権を縛ることになると思うんですけれども、そうすることで立法と内閣の抑止と均衡のバランスをどのように保っていかれるというふうにイギリスの中では考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければなというふうに感じております。 日本のように立法府が強い、そして内閣の方が弱いというふうな、いや、日本よりもイギリスというのは議会が弱いからこそ、内閣の力を一定程度、解散権を縛ることによって抑止と均衡のバランスをイギリスは保たなければならないということでこういった改革に踏み込まれたんでしょうか。もし分かればお聞かせください。
○会長(柳本卓治君) 西田実仁君。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。 派遣の皆様方、大変にお疲れさまでした。また、御報告ありがとうございます。 私の方からは、特にイギリスにおきます行政監督としての上院の役割の御報告をいただきましたが、この点についてお聞きしたいというように思ってございます。 一言で申し上げますと、この上院が、ここにあるように、日本でいえば政省令等の第二次立法ですね、これをチェックをしていくという機能を持っているということでございました。その際、これはいわゆる議会拒否権ということだと思いますけれども、この議会拒否権を有効に機能させるためにどのような工夫がなされているのかということについて私は非常に関心を持っております。 すなわち、上院が第二次立法を審査するに当たっての仕組みでございます。例えば、上院におきます審査に資する調査スタッフ等がどのように、どのぐらいの人数で整備されているのか、また、一次立法を全て上院において二次立法として審査をするのか、その審議時間はどのぐらいなのか、そうしたことについての制度的な担保がどのようになされているのかということについて、より詳細に知りたいというふうにお聞きしながら思いました。 また一方で、この御報告も先ほど金子副団長からもいただきましたけれども、これが遅延戦術とか対抗手段というふうに下院や政府に対しての道具としても使われるという御紹介もございました。そういう意味では、いわゆる決められない政治ということとこの議会拒否権ということについてどういう関係なのかを知りたいというふうに思いました。 と申しますのも、憲法に非常事態条項ということがかつて議論もされましたが、この議論においては、権力による不当な人権侵害を防ぐための議会拒否権をいかに有効に機能させるかということが大変重要な論点になってくるというふうに思っているからでございます。災害対策基本法にも既に百九条の第四項には、この議会拒否権というのが既に日本にも使われてはおりませんが定められておりまして、今後こうした、特に参議院としての役割としての議会拒否権、憲法保障機能ということについての参考に是非したいと思って発言をさせていただきました。 以上です。
○会長(柳本卓治君) 阿達雅志君。
○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志でございます。 調査団の皆様、実情調査お疲れさまでございました。 日本では、その制定の経緯から、アメリカ合衆国憲法については勉強する機会が非常に多いわけでございますが、ヨーロッパ各国の憲法というのはなかなかこういう形で運用まで含めて話を聞く機会がないものですから、今回の御報告、そういう意味で非常に興味深く聞かせていただきました。 憲法改正という面でいきますと、ドイツにしても、国民投票がないという点では若干軟性なんでしょうけれども、基本的には硬性憲法に当たると。イタリアも硬性憲法でございますし、非成文憲法であるイギリスというのがそれぞれちょっと対比があるわけですけれども、そういう中で、それぞれの国において憲法改正が非常にダイナミックに行われているということは、私としては非常に印象的でございました。 また、ドイツ、イタリアが抽象的憲法訴訟を認めているのに対して、英国の場合というのはそもそも成文憲法がなくて、憲法規範はコモンローの下で裁判所が定め、個人の権利に直接結び付いている、そういう点でも、これは憲法規範あるいは憲法保障の考え方に世界各国で非常に大きな違いがあるのではないか、そういうように思いました。 こういう連邦と州の関係、あるいは二院制の在り方、司法権の在り方とかいう統治機構は、これはもちろん各国の歴史的、文化的違いがあるわけですけれども、ただ、それに加えましても、やはりその憲法の中にどういう条項を入れるかというところで、先ほど小坂先生の御指摘もありましたけれども、財政均衡条項、環境保護規定、緊急事態条項など、時代の変化に即して非常にいろいろな規定が憲法規範の中に組み込まれていっている、これが今のどうも世界の状況ではないかというふうに思いました。 そういう点からいきますと、どうも昔私どもが学校で習ったような、憲法というのは何か一つということではなくて、現代憲法というのは非常に多彩であって、法による統治という点を除いては近代憲法のような共通原則を読み取るということは非常に困難なのではないかと、むしろ社会情勢に応じていろいろなところへ変えていくものではないかと、こういう印象を受けたわけでございます。 その現代憲法の多様性を今回の調査は裏付けたのではないかというふうに思うのですが、その辺りについて、調査団の皆様、何か御感想があれば是非お聞かせをいただきたいと思います。 以上です。
○会長(柳本卓治君) 牧山ひろえさん。
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。 まずは、調査団の皆様方、お疲れさまでした。ありがとうございます。 御報告にもありましたけれども、ドイツの憲法に当たるドイツ連邦共和国基本法は、その柱となる憲法原則につきましては、あらゆる改正は認められないと明確に規定されております。具体的には、基本権、人間の尊厳、民主主義的統治形態、連邦制と社会国家といった原則は、後に基本法が改正されたとしても、あるいは全く新しい憲法が制定されたとしても、これを侵害することは許されないとされています。 先ほど藤末先生も触れられておりましたけれども、基本法の永久条項などと表現したりしますけれども、これはワイマール憲法がナチスの台頭を許したという歴史を教訓として生かしているものと思われます。憲法制度や憲法秩序を構築するのに歴史への反省を基礎とするこういった姿勢は、日本も参考にするべきではないでしょうか。 また、ドイツでは、国民は誰でも法令、行政行為、裁判所の判決について違憲と考えるものを憲法裁判所に持ち込むことができ、そして基本法にそれも定められております。いわゆる憲法異議と言われる制度なんですけれども、もちろん、通常の裁判上の救済手段を全て尽くしているといったようなことなどが前提となりますので全く無制限というわけじゃないんですけれども、毎年何千人もの国民が憲法異議を申し立てているという事実があります。このような、国民一人一人が憲法に則して直接問いかけられる制度は、憲法を生きたものとして機能させる上で非常に大きな役割を果たしているんではないかと考えております。 私たちも、憲法を変えるとか変えないということだけではなくて、憲法の理想をどう反映させていくかということも含めて議論を進めていくべきだと思います。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
○福島みずほ君 ありがとうございます。社民党の福島みずほです。 二点申し上げたいと思います。あるいは、派遣された吉良委員の方からでも意見があればと思います。 一つは、立憲主義についてです。 EU、ヨーロッパにおける憲法は、いずれも立憲主義に立脚をしています。イギリスはヒトニヒトゴト(一二一五)マグナカルタから憲法が発生しているわけですし、国家権力を縛るものが憲法であるというのが世界の、あるいはとりわけヨーロッパ、EUにおける憲法です。一度、愛国心を憲法に規定している国があるかということを調べたことがありまして、中国など限られた国は愛国心を憲法に規定しておりますが、ほとんどの国で愛国心を規定している憲法はありません。 かように、国民を縛るのではなく、国民に憲法尊重擁護義務があるのではなく国家権力を縛るものだというのは、イギリスでもイタリアでもドイツでも当たり前だと思いますし、EUの憲法はそれに立脚をしております。そういう考え方についての議論というのはあったのでしょうか。 それから二点目は、ヨーロッパはヨーロッパ人権裁判所があり、カウンシル・オブ・ヨーロップ、ヨーロッパ評議会があります。日本はオブザーバーステータスをカウンシル・オブ・ヨーロップ、ヨーロッパ評議会に持っておりますので、死刑を廃止しなければ入れないということで、オブザーバーステータスを持っている日本の国会議員としてヨーロッパ評議会で発言をしたことがあります。 何が言いたいかといいますと、憲法の人権擁護もさることながら、他方、様々な条約で選択議定書をほとんどの国が、とりわけヨーロッパは批准しておりますし、また国連に申し立てる、あるいはヨーロッパ人権裁判所に申し立てる、あるいはカウンシル・オブ・ヨーロップやいろんなところで人権や社会保障の議論をするという、そういうコンセンサスがあるというのは非常にすばらしいというか、様々な形で人権が保障されると思っております。そういうことへの何か言及やそういうのが、もし知見がありましたら教えてください。
○会長(柳本卓治君) 丸山和也君。
○丸山和也君 自民党の丸山和也です。 派遣団の一行の皆さん、御苦労さまでございました。 私は、一点だけ絞ってお聞きしたいし、また意見も述べたいと思っているんですが、いわゆる憲法というのは法の中の一番大事なもう法律であることは間違いないんですけれども、いわゆる憲法裁判所といいますか、日本には憲法裁判所というのはないんですけれども、いわゆる違憲審査といいますか、こういうことの重要性について、各国どの程度実際違いがあるのか。 日本を見ますと、ほとんど日本の司法というのは死んでいるんですね、まあ死んでいるという言葉はあれですけれども。ずっとやってきていまして、お飾りのようなもので、最近、一票の格差辺りで少し元気を出していますけど、極めて消極司法。特に、若干政治的な問題が絡むと違憲審査なんてまずやらないというふうなことで、非常に日本の司法というのは自らを絞めているということがありまして、やっぱり法治国家としてやや情けない状況じゃないかと私は常々思っているんですけれども。 いわゆるドイツにしろイタリアにしろ、イギリスもそうですけれども、特にドイツ、イタリアで憲法裁判所があるということなんですが、これがどの程度重視されているか、機能しているか、あるいはここでどの程度の数のといいますか、量的にそういう審査がなされているのか、こういうことも非常に興味がありますし、それから、とりわけイタリアのように、ドイツと比べて、違憲だという判断が下された場合、原則としてそれは無効だと、法律がですね、であるし、さらに、法のカバーしていない部分について判断が下された場合は、それは立法的、法律的効力を持つというようなことまで報告されているんですけれども、こういう非常に積極的な憲法判断がされている状況を国民はどう捉えているかということもお聞きしたい。 それから、イギリスで、今度は貴族院から憲法裁判所というのは分離、分離といいますか、独立して生まれたように書かれているんですが、この理由が、政治との独立を目指したものであるというふうに理由は報告されているんですが、実態は変わらないということはどういう意味なのか。要するに、政治と余り切り離されていないという意味なのか、独立して、以前も余り問題がなかったのかという、ちょっと報告が、これどういう意味なのか、実態は、できたけれどもイギリスでは余り変わっていないということはどういう意味なのかということをお聞きしたい。 そして、一番の関心は、最初に言いましたように、やっぱり憲法裁判の機能というものがそれぞれの国においてどの程度重要性を持っているのか、また期待されているのか、そこらを是非お聞きしたいと思っております。 以上です。
○会長(柳本卓治君) 仁比聡平君。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 感想をまず二つ。一つは、環境保護規定の問題や緊急事態に関する御報告を伺っておりまして、我が国において憲法改定問題としてのそのような議論の必要性はやはり存在しないという感想を持ちました。もう一つは、上院改革の各国の様子を伺って、改めて我が国における二院制が大変良くできているという感想も持ちました。参議院が、全国民の代表、国権の最高機関として、とりわけ審議の原理を徹底して尽くしてこの憲法の要請に応えることこそが今求められているというふうに思います。 一つ質問なんですけれども、御報告を担当された金子幹事にでもお伺いしたいと思うんですが、国民投票制度に当たっての最低投票率の問題です。 イタリアでは法律の廃止について五〇%の最低投票率が定められているわけですけれども、派遣議員団の、この最低投票率の定めがボイコット運動につながるのではないか、運動の是非についてどのような議論がなされているかといった問いに対して、そもそもそのような問題意識はないといった印象を皆さん持たれたということでした。それは、つまり、五〇%という最低投票率が定められていることに何か弊害があるかというと、そうした問題意識はイタリアにはないという、そういうことだろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○会長(柳本卓治君) 主濱了君。
○主濱了君 御指名ありがとうございます。 先ほど、憲法審査会の幹事会の方に出席をいたしまして、中座をいたしました。申し訳ございません。 その中でお話があったかもしれませんが、私も一点お伺いをしたいなというふうに思います。 これは、憲法の改正限界、憲法改正をここで議論するわけですが、その憲法の改正に関して限界はあるのかないのか。日本国憲法には三つの原則、あるいは四つとも言われておりますが、そういうふうな原則があるわけであります。そういうふうな原則を超えてまで憲法を改正できるのかどうか、こういったような点について、例えば、先ほどは牧山先生からお話がちょっと出ましたけれども、ドイツ憲法の中では七十九条三項でこの改正限界と言われるものがもう明記をされていると、こういったようなことでありますけれども。 私は、やはりこの憲法の改正限界というのは、これはあってしかるべきだ、じゃないと、もう憲法がどこまでも変わっていく、その国が変わっていくことになってしまうのじゃないかなというふうに思うわけでありますが、この辺についての議論、ドイツにしろ、それからイギリスにしろ、この辺の議論があったのかどうかちょっと伺わせていただきたいなというふうに思います。 以上です。
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。 初めに、団長始め皆様の御報告に心より感謝を申し上げさせていただきます。大変多くのことを学ばさせていただきました。 所感として申し上げさせていただきます。 一つは、各国によって、なるほど、憲法の作り方が相当違っているということでございます。ただ、私の知る限り、ドイツの基本法でございますけれども、郵便の制度ですとか、あるいは運輸行政についてですとか、あるいは銀行の制度について、つまり我が国でいえば法律で規定しているようなことまで盛りだくさんに規定されているのがドイツの憲法でございます。また、イタリアの憲法も我が国でいうところの公職選挙法やあるいは地方自治法で定めているようなことまで書いてあって、ほとんどの過去のイタリアの憲法改正、今回のテーマはまさに二院制の議員定数等まで変えるということですので日本国憲法の憲法事項に当たるような改正だと思いますけれども、過去のイタリアの改正、もうほとんどが我が国でいうところの法律事項の改正であると。ですので、ほかの国が憲法を変えているからといって我が国は変えた方がいいんじゃないかという議論というのは私は間違っているんだというふうに思います。 むしろ、多くの委員の先生方がおっしゃっておりますように、憲法とは何か、変えていいものと変えていけないものがあると。つまり、憲法というのは国民の自由や権利を保障して、そのために国家権力を制限する。つまり、この近代立憲主義以外の条項を憲法に書いてはいけない。書いた瞬間にもう憲法が憲法でなくなってしまうというのがこの世界の近代立憲主義の共通の考え方でございます。 これは、一七八九年のフランスの人権宣言の中にも、そうした国民の権利保障の機能を欠くものは憲法と呼ぶに値しないというふうに宣言をされておりまして、現に今もフランスの憲法、フランスの人権保障の規定はこの二百年前のフランス人権宣言の規定がそのまま用いられているところでございます。もう二百年たったから、あるいは今後、二百年たつから、じゃ、フランス人権宣言を破棄するのかということと日本国憲法の人権規定を見直すのかということは、私は憲法論的にもあるいは政治的に見ても同じようなことではないかというふうに考えました次第でございます。 最後に、憲法とは何かで、やはりこの国会で議論させていただかなきゃいけませんのは昨年七月一日の集団的自衛権行使を始めとするその解釈改憲の問題でございます。 憲法の前文がございまして、このように書いてございます。「日本国民は、」「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と書いてあります。すなわち、日本国民の国民主権はただの国民主権ではないわけでございます。過去の政府が行ったような、国家機関、これは国会も含みます、そうした戦争を勝手に起こさせないために天皇主権の国から国民主権の国に改めるのだということを宣言するわけでございます。 とするならば、国民主権の究極の行使は憲法改正の国民投票でございますので、憲法改正の国民投票なき新しい戦争を日本国憲法の上に許容する、つまり集団的自衛権の行使を可能にするということは、この憲法前文の規定に真っ向から違反するわけでございます。 そして、この憲法の前文の規定はただの文句ではございませんで、憲法九条の解釈指針であり、さらに憲法九条そのものがこの憲法前文に書かれた、あと二つあるんですけれども、全世界の国民の平和的生存権の保障の規定もございますけれども、そうした三つの平和主義の考え方が具体化したもの、つまり、憲法九条というのは憲法前文がダイヤモンドのように結晶したものだというのがこの国会の下で確立してきた政府の憲法解釈でございます。 つまり、集団的自衛権の行使というのは、もう日本国憲法からどう考えても憲法違反であり、七月一日の閣議決定は違憲無効のものであるということを確認をさせていただきたいと思います。 今申し上げましたこと、日本国が平和国家であり、平和主義の国であるということは、小学生も中学生もみんな義務教育で習っております。我々は、子供たちを始めとする、その命と尊厳、人権を守ると同時に、彼らにちゃんと代議制の下の国民代表として説明責任を果たさなければいけません。その先頭にこの憲法審査会が、柳本会長の下、我々がしっかり頑張ることを申し上げまして、私からの所感とさせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) どうもありがとうございます。 ほかに御質問ございますか。 ただいま十一名の委員から所感並びに御質問がございました。貴重な発言であったと思います。この御質問、御所見に対しまして派遣委員から所信なり御回答をお願いを申し上げたいと思います。随時お願いいたします。 金子洋一君。
○金子洋一君 どうもありがとうございます。 私どもの出張では、例えばドイツではこの項目についてどう考えるかということをまさに担当の方にお尋ねをしておりましたので、先生方からの非常に抽象度の高いと申しましょうか、言わば大戦略的な観点からの御質問には十分お答えはできないと思うんですが、一つ二つ私なりにお答えをさせていただくといたしますと、まずドイツにおいて、例えば連邦制とかそういったような、永久条項以外のものは変えられるけれども、そういった永久条項は変えられないというのが明確にこれは先方の御説明の中にもありました。 それを踏まえて我が国にちょっと引き付けてまいりますと、まさに我が国のコンスティテューションとでも申しましょうか、そういったものについては恐らく変えることはできないんではないかなというように受け止めております。 さらに、イギリスにおいてヨーロッパの人権条約が余りにも頭越しに国内の法律を規定し過ぎるというような、非常な、これは保守党も、与野党を超えてそういったコメントがあったように思っております。この点についてやはりヨーロッパ大陸とイギリスというところでは随分と物の受け止め方が違ったというところがあるんだろうと思っております。 その点、我が国でもやはり外国の、外国のと申し上げますか、海外の条約で決められたものが直ちに我が国でそれが法律化されるべきものなのかどうかというのは、やはり国民からの意見を広く聞かなければならないのではないかなというような感じを受けたところでございます。 以上です。
○会長(柳本卓治君) 小坂憲次君。
○小坂憲次君 会長の御指名もありますので若干のお答えをしたいと思いますが、今、金子さんの方から、金子副団長の方からお答えがありましたように、私どもは基本的に事前に相手方にお渡しをした質問条項に基づいてお答えをいただいたことに対して質疑を行ったものですから、ただいまそれぞれ御披瀝のありましたような点について、残念ながら、私ども、憲法学者のようにその国の憲法を研究して、そしてそれに対して調査をしてきたわけではないものですから、必ずしも的確なお答えができるとは思いません。 しかし、それぞれの御意見の中にありましたように、とりわけ、そうですね、阿達さんの御意見だったかと思いますが、それぞれ近代的な、近代社会に合わせる形でそれぞれの国が憲法改正についていろいろな議論をし、またそれに対応しようとして努力をしているという姿はそれぞれにあったように思います。それが二院制改革であったり、貴族院改革であったり、いろいろな形で、国民の中にある現行の制度に対する社会の変化に対応していないんではないかという形での意見に対応しようと努力している姿だと、このように感じたところでございますが。 仁比さんの御指摘がありましたように、環境権だとか、あるいは上院改革というような、そういった動きについて、あるいは国民投票の最低得票の基準とか在り方とかというものについては、我が国は我が国独自としての議論を更に進めていくべきであろうと、こう感じたところでございます。 いずれにしても、今回の調査を通じて、大ざっぱに申し上げれば、我が国の憲法の姿、全体的に見れば非常にバランスの取れたものであり、この我が国の二院制の運用の実態というものも、各国の悩んでいる状況からすれば、比較的我が国としての特色ある運用をしているのではないか、そういう印象を持ったところでございます。
○会長(柳本卓治君) 河野義博君。
○河野義博君 立法監視委員会に関して御質問がございました。 委員会のスタッフィング並びに審議時間に関してはちょっと答えを持ち合わせておりませんけれども、対象範囲は一次立法に記載をされた、二次立法を伴うと記載されたものに関しては全て審査を行うと。かつ、どういった工夫がなされているかという点に関しましては、この委員会に所属する議員は、政党に関係なく議員が活動すると、そういうふうな工夫が加えられているということを学んでまいりましたことを御報告させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 吉良よし子さん。
○吉良よし子君 立憲主義についての質問などもありましたので、私の方から一言言わせていただきますと、具体的には、先ほど先生方がおっしゃったように、立憲主義を議題にするということはなかったのではありますが、しかしやはり国民を縛るものだという、憲法が国民を縛るものだというよりは、国民が主体となるものであるということは前提となっているような印象を受けました。 例えば、イタリアでも憲法改正について相当長い間議論がなされている中で、その委員長自身もやはり国民投票が必要だとおっしゃるだとか、またイギリスにおいても上院改革が進まないのは国民の関心が低いためだとか、そういうお話がありまして、やはり憲法を変える主体は国民であって、その関心が低ければ変える必要はないと、そういう意識でした。 とりわけ印象的だったのはドイツなんですけれども、ドイツで、先ほど私は、司法委員長が憲法は解釈によって変えるものではないとおっしゃったと言いましたが、それも立憲主義に関わるお話だと思いますし、印象に残ったのは、政府関係者や議員の皆さんなど懇談された方が必ず手元に憲法の法典を書いた冊子を手元に持って、それを見ながらお話、説明をしてくださったということで、やはり憲法を守るべきなのは、そういう政府関係者であったり議員であったり、そうした権力を持っている側であってと、そういう意識があるのではないかなという印象を受けたということをお話しさせていただきます。 また、人権についての国際的なコンセンサスというお話ですが、先ほども私から御報告したとおり、やはりEU人権条約であったり、そうしたものにかなり配慮しているというような様子は見られましたし、とりわけイギリスなどにおいてはそういう国際的な人権意識が国民の中に浸透していると、だからこそそこに配慮する必要があるんだというようなお話もあったかに思っております。ですから、たとえEUから脱退したとしても、国際法に照らしてというのと同時に、それに準拠するような国内の人権法も作るべきではないかという議論もされているというお話があったやに思っております。 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) ありがとうございます。 委員各位から御質問がございました。回答の方につきましては、全面的にお答えする場面ができ得なかったかも分かりませんけれども、しかし、詳細につきましては、後日、海外派遣の面談記録として各委員の皆様方に冊子を配付いたしまして、御疑問の点、問題点については御報告できると思いますので、よろしく御理解をしていただきたいと思います。 他に御発言はございませんか。──他に御意見もないようですから、委員間の意見交換は終了いたします。 本日の調査はこの程度にとどめます。 ─────────────
○会長(柳本卓治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のうち、憲法とは何かについて、来る三月四日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十六分散会