予算委員会第三分科会 第1号
- 発言数
- 530 件
- 登壇者
- 63 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2015/03/10
会議録
○金田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算中外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。岸田外務大臣。
○岸田国務大臣 平成二十七年度外務省所管予算案について概要を説明いたします。 平成二十七年度一般会計予算案において、外務省は六千八百五十四億三千九百九十六万四千円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、約二・九%の増額となっております。 ODA予算は、外務省所管分として、対前年度比〇・二%の増額の四千二百三十八億千四十三万八千円となっており、五年連続の増額としております。 私は、国際協調主義に基づく積極的平和主義を具体的に実践する外交を引き続き展開していく所存です。 平成二十七年度予算案の作成に当たっては、こうした考えを踏まえつつ、以下申し上げる五本の柱を掲げ、めり張りをつけた上で必要な予算を計上いたしました。 第一の柱は、戦略的対外発信です。領土保全、歴史認識を含む日本の正しい姿の発信、ジャパン・ハウスの創設を含む日本の多様な魅力のさらなる発信、親日派、知日派の育成、在外公館長、在外公館による発信のさらなる強化という観点から、必要経費を計上しております。 第二の柱は、積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献です。軍縮・不拡散、気候変動、女性、人権、中東、国連外交の強化といったグローバルな課題に積極的に取り組みます。 第三の柱は、アベノミクスを後押しするための経済外交の推進です。経済連携のさらなる推進を初めとして、日本企業の海外展開支援を含め、日本経済の再生に資する取り組みを強化します。 第四の柱は、ODAの積極的、戦略的活用です。普遍的価値の共有、途上国と日本の成長、人間の安全保障の推進、ODA卒業国への支援を含めた戦略的パートナーシップの構築の四点を重視しながら、ODAを積極的、戦略的に活用していきます。 最後に、第五の柱は、外交実施体制の飛躍的な拡充です。以上の外交課題に応えるため、人的体制、在外公館等の物的基盤の整備を含めた総合的外交力を強化する必要があります。在外公館八公館の新設と定員八十二名の純増を含めた必要経費を計上しております。 以上が、平成二十七年度外務省所管予算案の概要でございます。 金田主査を初め、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付しております印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
○金田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま岸田外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金田主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○金田主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。
○山田(賢)分科員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。 国家の責務というものは、言うまでもなく、国民の生命、自由、そして財産を守ることです。これは外交においても同じで、外国勢力から国民の生命、自由、財産を守るということ、これに尽きると思っております。 しかしながら、驚くべきことに、我が国においては、何の罪もない国民がある日突然連れ去られ、四十年間もこれを取り戻すことができない、こんなことが続いております。これは、国家としての責務を果たしていないと言われても仕方ありません。 そこで、まず、北朝鮮による拉致問題についてお伺いします。 昨年の五月の日朝協議を受けて、速やかに日本、北朝鮮双方が行動をとるということで、日本側は七月に制裁の一部を解除しました。その際、九月までに北朝鮮側から報告があるということであったんですが、北朝鮮側からは、形ばかりの調査機関を設置したという以上の進展は何もございません。 少なくとも昨年解除した制裁はもとに戻して、さらに制裁を強化すべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○岸田国務大臣 北朝鮮による拉致問題ですが、これは、言うまでもなく、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大問題であり、安倍内閣にとりましても最重要課題であると認識をしております。 北朝鮮は、昨年五月の日朝合意に基づいて、特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始したわけですが、その後、昨年九月の瀋陽での会合におきまして、北朝鮮側から、調査は初期段階であり、日本人一人一人に関する具体的な調査結果を通報できる段階にない、こういった説明がありました。こうした説明は我が国としましては絶対に受け入れることはできない、こういった認識のもとに、昨年十月、代表団を訪朝させまして、北朝鮮に対して、迅速な調査を行い、速やかにかつ正直に結果を日本に通報するよう強く求めたところであります。 こうした経緯を振り返り、現状の北朝鮮の対応を考えましたときに、我が国としてどう対応するかということでありますが、今、基本的には、北朝鮮から前向きな行動を引き出すために何が最も効果的なのか、こういったことをしっかり検討しなければならないと考えています。そして、現状においては、今申し上げました特別調査委員会の通報を速やかにそして正直に一刻も早く行うべくしっかり求めていくというのが我が国の基本的な対応であると認識をしております。 そうした対応を求めつつ、北朝鮮の対応をしっかりと判断し、今後の対応を考えていくというのが基本的な姿勢であります。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 もちろん、相手が誠実な国であれば、そういった、相手の言うことも聞いて、お互いの話し合いを続けていけばいいと思うんですけれども、これまでも何回もだまされている国でございます。これでは、相手の行動を信頼するというよりも、嫌でも言うことを聞かせる、こういった形に持っていくべきではないか、このように考えております。 そこで、一つ、昨年十二月に、国連では、北朝鮮人権非難決議というものを総会で決議して、国際刑事裁判所に付託するよう安保理に促したというふうに聞いておりますが、その後どうなっているのか、これは外務省の方からお願いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。 昨年の十二月に、国連総会本会議におきまして、我が国及びEUが提出いたしました北朝鮮人権状況決議が賛成多数をもって採択されております。 決議の内容は、北朝鮮における人権に関する調査委員会報告書や昨年の人権理事会決議を反映させまして、これまで以上に強い内容のものとなっております。具体的には、御指摘のとおり、安保理に対しまして、北朝鮮の人権状況の国際刑事裁判所への付託等についての検討を含め、適切な行動をとることを促してございます。 こうした動きを受けまして、その翌週には、安保理において北朝鮮の状況が初めて議題として採択されまして、北朝鮮の人権状況を含む包括的な議論が行われております。 今後の具体的フォローアップにつきましては、拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害を解決するためにいかなる方法が効果的か、安保理のメンバーや北朝鮮人権状況決議の共同提案国であるEUを含む関係国と協議してまいりたいというふうに考えております。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 もちろん日本は平和国家でございますから、話し合い、そして法的手段、こういった平和的手段で取り戻すということが何より大前提ではございますけれども、話し合いで決着がつかない場合、これは実力で取り返すということも考えなければならないと思うんです。 ただ、やはり憲法解釈あるいは憲法の制約といったものがございます。考えてみますと、冒頭に申し上げましたように、国民の生命、自由を守るということは国家の最大の責務であって、このことは憲法十三条にも明文で規定されております。拉致被害者の実力奪還について憲法上の制約がもし仮にあるとするならば、憲法を改正してでも取り返す、国民の生命、自由を守るべきだ、このように考えますが、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要であると認識をしております。 政府としましては、さまざまな状況を想定して対応を考えるべきだということは当然のことでありますし、北朝鮮の情勢も注視しつつ、拉致被害者の安全確保の観点から何ができるかということについては、引き続きしっかりと検討していかなければならないと思います。 このように、現実に即して、我が国としまして対応できることについてはあらゆる可能性を考えていかなければならないということ、これは当然のことだと思っています。 ただ、御指摘のように憲法改正という部分につきましては、やはり国民の議論をしっかり深めながら議論を進めていくべき課題ではないかと認識はいたします。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 確かに、憲法の問題となっていくと国民の皆さんの御理解が必要だということはそのとおりでございます。ただ、戦後、国民の皆さんが平和ということを享受しているその傍らで、四十年近くも自由を奪われ祖国に帰れない人たちがいる、このことをもっと積極的に国民の理解を求めていく必要があるかと思います。 そして次に、もう一つ、最近の事例ではございますけれども、国民の自由が奪われている例といたしまして、産経新聞の加藤前ソウル支局長が大統領を批判した引用記事を掲載したということで名誉毀損に問われ、出国禁止という状況になっております。この件に関しまして、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘の件ですが、まず、報道あるいは表現の自由という観点から、さらには日韓関係の観点から、これは極めて遺憾なことであると認識をいたします。また、この産経新聞前ソウル支局長が韓国から出国を認められないという状況が続いています。この点につきましても、行動の自由が著しく制限されているという観点から、憂慮しております。 これまで韓国政府に対しましては、さまざまな形で、そして累次にわたり我が方の懸念を伝達し、適切な対応を求めてきておりますが、現状何ら事態が改善していないことはまことに残念であると認識をしております。 政府としましては、種々の機会あるいはさまざまなレベルで、引き続き、韓国側に適切な対応を求めていかなければならないと考えております。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 種々の機会で適切な対応ということですけれども、やはり具体的に国民の自由を守る、解放するということについて進めていただきたいと思っております。 そこで、この根拠となっております韓国の法律、情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律の第七十条には、名誉毀損をされた本人以外の者であっても、必ずしも本人でなくても、第三者であっても告訴は可能であり、その第三項に、被害者が具体的に明らかにした意思に反して公訴を提起することはできないと書いてあります。すなわち、名誉毀損された本人の明示の反対があれば、起訴は取り下げ、解放されるということ、このような理解でよろしいでしょうか。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 ただいま御指摘がありましたように、韓国刑事訴訟法二百三十四条によりますれば、何人も犯罪があると思料するときには告発することができるというふうに規定されていると承知しております。 と同時に、韓国の情報通信網利用促進及び情報保護に関する法律七十条第三項によりますれば、情報通信網を通して公然と虚偽の事実を摘示して他人の名誉を毀損した罪については、被害者が具体的に明らかにした意思に反して公訴を提起することはできないというふうに規定されているというふうに承知しております。
○山田(賢)分科員 ということは、仮にもしそうであれば、これは、よく世間では、裁判手続自体は司法の問題だ、行政が関与できないということで事態を見守るように言われておるんですけれども、名誉毀損の被害者である朴大統領自身がこれは起訴は望まないんだと言えば、起訴を取り下げられて解放することができる。ということは、結局は朴大統領の意思一つなんじゃないかなと思うんですね。 そうであれば、日本政府としても、朴大統領に対し、韓国は表現の自由を尊重する近代国家なんだ、国際社会でそのように認められるためにも、こんな大人げないことはやめて、さっさと解放しなさいと要請すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 我が国政府としましては、先ほども申し上げましたように、韓国側にしっかりと適切な対応を求めるべく働きかけは行っていかなければならないと思っています。今日までもさまざまな懸念を伝達し、そして適切な対応を求めてきておりますが、残念ながら、事態は改善していないという状況にあります。 今、委員の質問は韓国側の対応も含む御質問でありましたので、我が国としましては、引き続き、韓国側に対して、さまざまなレベル、機会を通じて適切な対応を求めるべく働きかけは続けていきたいと存じます。ぜひ韓国側からそれに応えて適切な対応が行われることを期待したいと思っております。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 韓国が近代国家の仲間入りができるように、私も期待したいと思っております。 続きまして、これは国民の生命、自由もそうなんですけれども、領土が奪われている事態、長年にわたって、六十年以上も領土が奪われている、この一つに竹島の問題がございます。 ここでちょっときょうはお聞きしたいんですけれども、政府主催の竹島の日の式典を行わない理由はどこにあるんでしょうか。
○相川政府参考人 お答え申し上げます。 二月二十二日の島根県主催の竹島の日の式典に関しましては、政府といたしましては、この十年間尽力されておる島根県の関係者に敬意を表しているところでございます。 お尋ねの点に関しましては、竹島の領有権の問題に関する我が国の立場を主張し、問題の平和的解決を図る上で有効な方策について不断に検討しているところでございまして、引き続き、諸般の事情を踏まえまして適切に対応していきたいと考えております。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 これが適切であればいいんですけれども、国民の皆さんが御存じのように、韓国は決してこの件に関して友好的な態度をとっていない。日本がどれだけ気を使っても、配慮しても、変な話、竹島の日の式典を政府主催でやらなくて島根県の方が一生懸命やっている、そこへ大臣あるいは総理が行かなくて、今回、松本政務官もお越しいただきましたけれども、政務官の方が行ったといっても、それでも文句を言っている。これはもう配慮しても意味がないんじゃないかというふうに考えております。 そして、政府としては、竹島は言うまでもなく日本固有の領土だ、そして韓国は不法占拠しているんだ、このことを公式に表明しているわけですから、下手に遠慮するんじゃなくて、堂々と政府主催で竹島の日の式典をやって、総理以下、関係閣僚の皆様方が出席すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○松本大臣政務官 お答えを申し上げます。 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も、明らかに我が国固有の領土であります。 政府といたしましては、竹島の領有権の問題に関する我が国の立場を主張し、問題の平和的解決を図る上で有効な方策につきまして、不断に検討をしてきたところであります。その結果といたしまして、今回、竹島の日の式典には私が出席をすることが適当と判断をいたしまして、私が政府の代表といたしまして参加をさせていただきました。 いずれにいたしましても、政府による竹島の日の制定や式典の開催につきましては、諸般の情勢というものを踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
○山田(賢)分科員 ぜひ政府主催で式典をやって、全閣僚が出ていただけるようにお願いをしたいと思います。 ただ、これが目的ではなくて、幾ら政府主催の式典をしようが総理大臣が御出席なさろうと、竹島が返ってくるわけではございません。やはり、現実にどうやって竹島を取り返すのか、これが一番重要だと思っております。 そこで、なぜ国際司法裁判所に提訴、単独提訴でもしないのか。もちろん、再三にわたって共同提訴を呼びかけてきておりますけれども、相手は応じないということはもうはっきりしているわけですから、単独提訴に出るべきではないかと考えますが、外務省、いかがでしょうか。
○下川政府参考人 竹島問題に関しましては、国際法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決するという考え方に基づきまして、さまざまな検討、準備を進めているところでございます。今後、種々の情勢を総合的に判断して適切に対応していく考えでございます。 竹島問題は一朝一夕に解決する問題ではございませんが、韓国側に対して、受け入れられないものについては受け入れられないということをしっかり伝えながら、大局的観点に立って、冷静に粘り強く対応していくというのが基本的な考え方でございます。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 外交の話なので、こういったオープンな場で、どういうふうな方法で交渉するとかということは言えないのはもちろんだとは思っております。 ただ、やはり国民の皆さんが思うことは、一体これはどうなっているんだ、いつ返ってくるんだと。適宜適切とかそういったことを言っていても、返ってきそうにもない。我々が見ていても、竹島は我々の領土だ、日本の固有の領土だと言っていても、相手は返さない、訴訟にも応じない。そして、日本は平和国家ですから、武力による紛争解決は行わない。ということは、百年たっても返ってこないんじゃないか、こんな諦めにも似たような声が聞こえてまいります。 そこで、一つ例を挙げますと、フィリピンという国がありまして、南シナ海における中国との領有権問題について、国連海洋法条約に基づく仲裁手続というものを開始しました。この条約に基づく仲裁手続というのは相手国の同意が不要というふうに聞いておりますが、竹島についても同様の手法をとることはできないんでしょうか。
○秋葉政府参考人 仲裁手続についてのお尋ねでございましたが、この点について我が国がどうするかということを具体的に述べることは、今後の対応に差しさわりがあり得るので、差し控えさせていただきます。 他方、一般論として申し上げることができます。 国連海洋法条約に基づいて設置される裁判所は、第二百八十六条により、同条約の解釈または適用に関する紛争について管轄権を有するものとされております。そして、同条約は領有権の帰属についての条文を持っておりません。そのため、これらの裁判所に領有権紛争自体について付託することは想定されないものと考えております。 いずれにしましても、我が国としては、引き続き、この問題に関しまして、法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決する考えでございます。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 今、領有権に関するものは対象になっていないということですけれども、これは知恵の絞りようでございまして、陸続きのところでどっちの領有権だといえばこれは関係ないにしても、島を中心とした領海あるいは排他的経済水域、これは海の話でございますので、やりようによっては国連海洋法条約の対象になり得ると思いますし、もしくは、それを提起するということだけで、国際社会に向かってこの問題の存在をPRすることができるのではないかと思いますけれども、個々具体的なことはまた外交方針にかかわることでしょうから、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。 そして、これもさっきのソウルの産経支局長の話と関連するんですけれども、韓国も、やはり近代国家として国際社会の一員として認められるということを望むのであれば、きっちりと国際社会の共通の価値である法の支配という近代国家の根本原則を尊重して、司法手続にのっとってこういった諸問題を解決するよう強く呼びかけるべきだと考えますが、大臣、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○岸田国務大臣 竹島の問題につきまして、司法的な手続に基づいて解決すべきだという御質問でございます。 我が国は、竹島問題の平和的手段による解決を図るため、一九五四年、そして一九六二年、さらには二〇一二年に、韓国政府に対し、竹島問題を国際司法裁判所に合意付託することなどを提案しております。これまで韓国政府は我が国の提案に応じてはいませんが、竹島問題を冷静、公正かつ平和的に解決するために、これらの提案に応じることを引き続き強く求めていきたいと考えています。 竹島問題は、この現状を考えますときに、一朝一夕に解決する問題ではありませんが、ぜひ、大局的観点に立って、そして冷静に、かつ粘り強く対応していきたいと考えております。
○山田(賢)分科員 ありがとうございます。 一朝一夕に解決しないのはそのとおりなんですけれども、今のような対応をやっていても、いつ返ってくるんだ、これがやはり島根県の方々そして日本国民全員の気持ちでございます。ぜひ、速やかに解決できるようにお願いしたいと思います。 特に、日本よりはるかに経済規模も小さいようなフィリピンという国ですら、領土を守るために、必死で知恵を絞って、できる手段は何でもやるということで、ありとあらゆることをやっております。我が国は、竹島の問題は大したことがないんじゃないかと、ややもすると国民の中には思われがちになってしまっています。拉致の問題もそうです、多くの人が平和に暮らしているからいいじゃないか。こんなことでは、取り残されてしまう人たちがいる。これを救うことが国家の責務だと考えております。 フィリピンのような必死さをどうか出していただいて、拉致問題も領土問題も国家の存立にかかわる重要な問題だという御認識を持っていただいて、あらゆる手段を講じて、速やかに我が国の国民そして領土を取り戻していただけるようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございます。
○金田主査 これにて山田賢司君の質疑は終了いたしました。 次に、樋口尚也君。
○樋口分科員 公明党の樋口尚也でございます。 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。大臣も早朝から大変お疲れさまでございます。 きょうは、二〇〇六年十月十四日に採択された国連安保理決議一七一八号、いわゆる北朝鮮核実験実施に対する国連制裁決議に関連して質問をさせていただきます。 昨年、二〇一四年七月の二十八日、国連安保理の北朝鮮制裁委員会は、北朝鮮の大手海運会社オーシャン・マリタイム・マネジメント社、OMMを制裁対象に追加いたしました。これは、一昨年、二〇一三年夏、OMMが運航していた北朝鮮籍貨物船が、キューバから未申告のミグ戦闘機の部品を積みパナマ運河を通ろうとしたところ、パナマ政府に拿捕されたことに端を発するものであります。これを受けて、国連加盟国は、OMMに対し、資産凍結、取引の禁止、関係者の海外渡航禁止といった制裁を科したところでございます。 その後、先月、二月の二十三日、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、OMMが安保理の制裁対象となった昨年七月以降、中国近海などで制裁逃れのため船舶の名前を変えて運航を続けているとする報告書、附属書を含めて三百十三ページのものでございますが、この報告書をまとめ、これに関与した、寄与した企業三十四社などを制裁対象にすべきだと勧告をしたところであります。 大変驚いたことに、この報告書の中に日本人の名前が出てまいります。報告書には具体的に名前、個人名が書かれておりますが、本日は、個人のお名前は控えることといたします。 そこで、まずお伺いをいたします。この報告書には日本など十カ国の団体と個人名が挙げられていますが、その中で日本人についてどのように報告をされているのか、外務省、御説明ください。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど委員から御指摘がありました、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルに関する報告書でございますが、安保理決議の実施状況を包括的に分析しまして、北朝鮮による個別の違反事例等に関する調査結果をまとめたものでございます。 その報告書の中で、制裁対象に指定されておりますオーシャン・マリタイム・マネジメント社、OMMと日本の団体、個人との関係について、例えば、香港に所在するミレ・シッピング社という会社がOMM関連船舶のために活動を行ってきており、OMMの代理人として、または指示を受けて現在も活動を継続している可能性があるということ、さらには、このミレ・シッピング社が保有するグレートホープ号とOMMの関係に言及しながら、このミレ・シッピング社の代表を務める日本人が安保理決議一七一八号の採択以降もOMM関連船舶と長期的な関係を有していること、さらには、このミレ・シッピング社の代表を務める日本人が日本に所在する他の企業の代表も務めており、同社とミレ・シッピング社との間にビジネス関係があることなどの指摘を行っているというふうに承知しております。
○樋口分科員 日本人が代表を務める香港の企業及びその日本人が現在も安保理の調査対象になっている、こういう理解でよろしいのでしょうか。
○下川政府参考人 本報告書、専門家パネルの報告書が行った調査自体は、二〇一四年二月八日からことし二〇一五年二月五日までの間の調査結果について記載されたものでございます。 他方で、この報告書におきまして、専門家パネルは、これらの団体、個人とOMMとの関係性について調査を継続するという見解を示しているところでございまして、今後とも国連安保理北朝鮮制裁委員会における調査が継続されるものというふうに承知しております。
○樋口分科員 ありがとうございます。 報告書により、この日本人が制裁対象のOMMと取引に関与していたことが明らかになったわけであります。 外務省は安保理のこの報告書が出る前に日本人の関与について把握をしていたのかということについて、お伺いをしたいと思います。外務省には国連からこの件について照会が来ていたのかどうか、あわせてお答えください。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 報告書の作成過程におきまして、安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが我が国に対しまして書簡を通じて照会を行いまして、日本政府から回答を得たということが報告書に記載されているところでございます。 国連安保理北朝鮮制裁委員会とのやりとりの具体的な中身についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国といたしましては、報告書は対北朝鮮措置の実効性を向上させるものとして有益であるという認識のもとで、安保理決議の趣旨を踏まえながら、書簡でのやりとりも含めまして、緊密に専門家パネルと意見交換を行ってきているところでございます。
○樋口分科員 次に、過去に安保理によって制裁対象とされた団体や個人の中に日本企業また日本人の名前があったかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。 安保理の制裁決議で現在有効なものというものは多数ございます。イラクの関係のもの、リベリアの関係のもの、コンゴ民主共和国関係のもの等々ございますが、現時点で有効な安保理決議のもとでの制裁対象者に、日本国民または日本国内にいる個人もしくは団体は含まれておりません。
○樋口分科員 今の御答弁の中で日本企業も日本の個人名もないということでありますけれども、今回のこの件は、今後、安保理における調査次第では、日本人が初めて制裁対象者になる可能性があるというふうに思います。 そこで、事実関係をもう一度確認したいと思いますけれども、先ほどのこの報告書にある日本人が代表を務める企業はミレ・シッピング・ホンコンであるということ、また、この会社はグレートホープという船舶に乗組員を提供することでOMMと接点があったということ、この二点、間違いないでしょうか。
○下川政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。
○樋口分科員 今後、制裁を検討する際の判断材料となり得る情報や事実関係がもたらされた場合に、日本政府としては安保理に情報の提供をして検証作業に協力をすべきだ、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど答弁申し上げましたとおり、北朝鮮制裁委員会専門家パネルと我が国政府との間では緊密に意見交換を行っているところでございまして、対北朝鮮制裁措置を実効的にあらしめるという観点からこの調査は行われており、その意義を十分踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○樋口分科員 大臣にも今の点ですけれども、今後何か新たな情報が出てきた場合に、安保理に情報提供をして、そして検証作業に協力をするべきだというふうに思っております。安保理決議の重要性ということを考えますと、政府としての立場というか、そういう点で積極的に協力をするべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○岸田国務大臣 まず、報告書において、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、これらの団体、個人とOMMとの関係性について調査を継続するという見解を示しております。そして、先ほど答弁の中にもありましたように、我が国としましては、引き続きこの専門家パネルと緊密に連携しながら、なおかつ、国内におきましても関係省庁の間で連絡調整をしながら、適切に対応していかなければならないと考えています。 そして、この報告書のフォローアップにつきましては、これは大変重要なことであると認識をしています。このフォローアップも含めて、引き続き専門家パネルとの緊密な連携を続けていかなければならないと思っています。 そして、引き続き調査は継続しておりますので、現段階で何か仮定に基づいてお答えするのは適切ではないとは思いますが、一般論として、安保理決議を誠実に履行するということ、これは我が国の対応として当然のことだと思います。そうした考えに基づいて、適切な対応を我が国として考えていきたいと思っております。
○樋口分科員 ありがとうございます。 少しこれから具体的なことを申し上げたいと思います。大臣にもよくお聞きいただきたいというふうに思います。 私は、ミレ・シッピング・ホンコンの業務内容についてちょっと調査をしてまいりました。そうしますと、この安保理の報告書の中で同社が関与したというふうに証言をされているグレートホープという船舶があるんですけれども、この船舶と同社とのかかわりを示すデータが見つかったわけであります。 それが、ここにお持ちしたんですけれども、グレートホープという船舶は、総トン数一万九千三百四十トン、積載重量三万三千二十四トン、一九八四年の八月に日本で建造されたばら積み貨物船でございます。 この船舶の所有関係をこれで調べたんですが、もともと日本の海運会社が所有をしておりましたけれども、一九九五年にノルウェーの船舶管理会社に一千三百四十七万ドルで売却をされております。そしてその後、さらに転売をされて、二〇〇八年九月の二十二日からは、ミレ・シッピング・ホンコンがグレートホープのレジスタードオーナーになっていることが判明をいたしました。ここにありますけれども、この時点ではパナマ船籍になっています。レジスタードオーナーというのは、登記上の船舶所有者、船主、船舶のオーナーという意味であります。すなわち、ミレ・シッピング・ホンコン自身がグレートホープのオーナーだ、こういうことでございます。 同社は、二〇〇八年にグレートホープを二千八百万ドルで購入しています。そして、公表されたこの報告書の六十ページにありますけれども、同社は、安保理の専門家パネルに対して、OMMのグレートホープ号に乗組員を提供していた、また、OMMが運航する船舶のオーナーとは関係がなく、乗組員の提供にとどまる、こういうふうに回答をしたというふうにここには書いてありますけれども、外務省、それで間違いなかったでしょうか。
○下川政府参考人 御指摘がございましたとおり、この報告書のパラ百四十五におきまして、専門家パネルによる調査に対する回答として、ミレ・シッピング・ホンコンは、同社が保有するグレートホープ号の船員にOMMが供給する者を雇用したことがあるが、OMMの海外拠点に関する知識が全くない、また、同社はミレ・シッピング・シンセンと何らかの管理、運航上の関連を有していることを否定したというような一連の記述がございます。
○樋口分科員 その記述だと思うんです。というふうに書かれてはおりますが、私が調査したところ、今申し上げましたように、このグレートホープのオーナーはミレ・シッピング・ホンコンであります。グレートホープは同社が所有する貨物船、こういうことになるわけであります。 このミレ・シッピング・ホンコンは、OMMのグレートホープ号に乗組員を提供していた、また、乗組員をグレートホープに配乗していただけだ、こういうふうに安保理に先ほどの御説明のとおり説明をしていますが、そもそもオーナーでありますから、乗組員の配乗を受ける立場にあり、配乗する立場ではありません。だとすれば、乗組員の配乗ではなく、制裁対象になっている北朝鮮のOMMに乗組員つきで船体も提供をしていたということになるわけであります。 推測でありますが、ミレ・シッピング・ホンコンは、安保理に対してOMMとの関与が乏しいと受けとめられる証言を寄せて、あえて制裁対象から逃れようとした可能性があるとも思います。 外務省は私が今申し上げた事実関係について御承知されているかどうか、お伺いをしたいと思います。
○下川政府参考人 再び報告書からの引用で恐縮でございますが、その次のパラ百四十六におきまして、ミレ・シッピング・ホンコンは専門家パネルに対して二〇一四年にOMMとの関係を終了するという意思を知らせたが、同社は保秘を理由にそれを裏づける書類の提出を拒否した、専門家パネルはミレ・シッピング・ホンコンの主張を裏づけることができなかったということが報告されているところでございます。 こういったような点を含めて、これから専門家パネルで引き続き調査が継続されるものであるのかなというふうに理解しているところでございます。
○樋口分科員 さらに注目するべきことを申し上げたいと思いますけれども、この安保理の報告書は、先ほど御説明ありましたとおり、昨年の二月の八日からことしの二月の五日まで一年間にわたり調査をして、二月の二十三日に発表された報告書であります。 そのさなか、昨年の十二月に、ミレ・シッピング・ホンコンはグレートホープを売却しております。売却先は、香港のファーヘン・シッピングという、これもOMMと取引の実績のある企業でございます。船籍がパナマからこの時点でカンボジアに変わっている事実も申し上げたいと思います。このファーヘン・シッピングは、OMMが所有するサウスヒル二号の運航者または管理者として、長年OMMと取引があります。 ミレ・シッピング・ホンコンは、二〇〇八年九月の二十二日から昨年の十二月まで六年数カ月にわたってグレートホープ号を所有し、安保理からの調査中に同船を売却しております。このことからも、同社が安保理に虚偽ともとれる不正確な説明をしている可能性が極めて濃厚でございます。 外務省に、この事実関係を御存じかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○下川政府参考人 ただいま御指摘のありました船舶の転売といいますか売却につきましては、ただいま手元に資料がございませんで、ちょっとこの場で確認することはできません。申しわけございません。
○樋口分科員 私が調べたところはそういうことであります。多分、資料がないかもわかりませんけれども。 外務省は、国連安保理の北朝鮮制裁委員会において資産凍結等の制裁対象に追加指定された個人や団体については、外為法に基づく資産凍結等の対象者として追加指定の告示を行うもの、こういうふうに承知をしているところでございます。 御答弁があったように、公表された国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル報告書によりますと、制裁対象に指定されている北朝鮮の海運会社OMMの活動にこの日本人が関与している可能性があり、専門家パネルはOMMとこの日本人の関係性について調査を継続する、御答弁をいただいたとおりです。 調査の結果、仮にこの日本人がOMMの活動に寄与しているとされ、国連安保理の北朝鮮制裁委員会がこの日本人を資産凍結等の制裁対象に追加をした場合、先ほど述べた外務省告示に追加をするというふうに当然なると思いますけれども、そのような理解でよろしいかどうか、確認をしたいと思います。大臣、お願いします。
○岸田国務大臣 専門家パネルとしては調査を継続するという見解を示しておりますので、今の段階で仮定に基づいて何か申し上げるのは適切ではないとは思いますが、やはり我が国として、これは一般論ではありますが、安保理決議等そうした判断、見解が示されたならば、そうしたものをしっかり尊重するということ、そしてそれを誠実に履行するということ、これは当然のことであると思っていますし、重要な対応ではないかと考えます。そういった姿勢に基づいて、今後、具体的に対応していくことになると考えます。
○樋口分科員 今申し上げましたこのミレ・シッピング・ホンコンとグレートホープの所有関係については、国際的に大変権威のあるイギリスの海運事情調査機関でありますフェアプレー社から入手したシーウエブの情報に基づいたものであります。このフェアプレー社のシーウエブの情報をぜひごらんいただきまして、このシーウウエブによる情報は、各国の裁判所が船舶の差し押さえを決定する際にその根拠として扱うほど、極めて信用性の高いものだというふうに国際社会では評価を受けている、このシーウエブの情報に記載されていた内容でございます。 大臣にお伺いをしたいというふうに思います。 このミレ・シッピング・ホンコンが安保理に説明している内容と異なる事実が私の調査では判明したところであります。この事実に基づけば、同社のOMMへの関与はかなり強いことが想定をされます。まあ、想定をされるという範囲でございますけれども。 安保理の制裁決議に協力をする日本の立場として、報告書よりも重大な事実が判明した場合に、こうした内容を安保理に情報提供するなり、安保理の検証作業に協力をする、こういったお考えがありませんでしょうか、大臣のお考えを伺います。
○岸田国務大臣 まず、委員のこうした調査、取り組みについては心から敬意を申し上げたいと思います。 そして、御指摘の資料、おっしゃるように権威のあるものであるとしたならば、そうしたものを専門家パネルとしても注目するのではないかと想像をいたしますし、我が国としましては、先ほども申し上げましたように、専門家パネルとは今後とも緊密に連携、意思疎通を図っていかなければならないと考えています。 そうした取り組みの中で、国連安保理において判断が下されたならば、我が国としまして、そうした決議なり判断に従って対応していく、誠実にその内容を履行していく、これは当然のことであると考えます。
○樋口分科員 ありがとうございます。 大臣がおっしゃったとおりだと思います。安保理というものの重たさ、重要性、今も与党で安全保障の法整備化の話をしておりますけれども、まさにこの安保理の取り扱い、極めて重要だというふうに思っております。こういう安保理に積極的に情報提供するなり、検証作業に協力をしていくという国の姿勢は、国連中心主義の中で極めて大切なことだと思っておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。 二〇〇六年十月の十四日に採択をされました国連安保理決議一七一八号は、いわゆる北朝鮮核実験実施に対する国連制裁決議でありますけれども、国連憲章第七章第四十一条に基づく経済制裁を実施することが盛り込まれておりまして、現在までに、安保理制裁委員会により、二十の団体と十二名の個人が北朝鮮の核関連その他大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画に寄与するものと指定され、資産の凍結等の措置が講じられているところでございます。 最後に大臣に御決意を伺いたいというふうに思いますけれども、政府は、四月の十三日に期限が到来する北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮との輸出入禁止措置について、これを二年延長するための閣議決定を行うことを検討されております。 平成十八年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び同年十月の北朝鮮による核実験実施の発表を受けて、特定船舶の入港禁止に関する特別措置法に基づき北朝鮮籍船舶の入港を全面禁止するとともに、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入を全面的に禁止いたしました。さらに、平成二十一年四月の北朝鮮によるミサイル発射及び同年五月の核実験を受けて、同年六月、外為法に基づき、北朝鮮への輸出を全面禁止いたしました。 全ての北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮からの全ての品目の輸入禁止については、閣議決定に基づき、これまで九回期限を延長し、実施をしております。また、北朝鮮に向けた全ての品目の輸出禁止措置については、平成二十一年六月に新たな措置を閣議決定し、これまで四回期限延長をしています。 このように、我が国では独自の北朝鮮に対する措置を講じております。このような立場を踏まえて、政府は安保理に対してあらゆる協力をするべきだ、こういうふうに考えますけれども、大臣の御決意、安保理に対する協力の決意と、あわせまして、閣議決定をされるわけでございますが、この閣議決定、延長の閣議決定への御決意を伺いたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、我が国は、北朝鮮との関係において、核、ミサイルあるいは拉致問題、こうした諸懸案を包括的に解決していく、こうした方針で臨んできております。 そして、その中にあって、政府としましては、北朝鮮をめぐる諸般の状況を総合的に勘案して、平成十八年に輸入、平成二十一年に輸出をそれぞれ全面禁止する措置を講じました。また、平成十八年に北朝鮮籍の船舶の入港を禁止する措置を講じた次第であります。そして、御指摘のように、四月の十三日ですか、この期限が到来いたします。 現時点では、引き続き、北朝鮮をめぐりましては、まだこれからさまざまな動きが発生する、こういったことを否定することはできません。ですので、四月の措置について、現時点において予断を持って何か申し上げることは控えなければならないと考えています。ぜひ今後、先ほど申し上げましたこの諸懸案を包括的に解決する我が国のこうした立場に立って、北朝鮮の動向をしっかりと確認した上で、この四月の対応についても判断をしなければならないと考えています。 そして、あわせて、国連安保理決議等に対して我が国としてしっかりと対応する、貢献をしていく、これは当然のことであると考えております。
○樋口分科員 ありがとうございます。 ことしは戦後七十年でありまして、世界に向けて、国際社会に向けて、日本が平和をつくり込んでいく。私も、去年も中国にも韓国にも行かせていただきましたが、日中関係も極めて重要でございます、日韓関係も重要です。何としてもこの北東アジアの平和と安定を確立して、そして、世界の平和に貢献をしていくという我が国の姿勢でなければならないというふうに思っております。 その上においても、やはり国連中心主義という立場に立って、世界の平和そして世界の繁栄のために我が国が積極的な役割を講じていく、このことが極めて重要だと思っておりまして、私も議員の一員として全力で外交にも当たってまいることをお誓い申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて樋口尚也君の質疑は終了いたしました。 次に、岡本充功君。
○岡本(充)分科員 おはようございます。 きょうは、外務省にかかわる案件についての質問の機会をいただきました。本日は、邦人保護のあり方について大臣と議論を交わしたいと思います。 それに先立って、本年に入りまして、いわゆるIS、イスラミックステートにおいて日本人が拘禁され、そして殺害されたという情報に接しました。大変な憤りを覚えるとともに、本当に、この御両名の御冥福を祈らざるを得ないという気持ち、また、御遺族の皆様方へのお悔やみの気持ちで私はいっぱいであります。 こうした情報に接するに当たって、私は、邦人保護、危機管理のあり方、これをやはり見直すことが必要じゃないかということで、きょう質問をさせていただきます。 まず冒頭、大臣でも局長でも結構でありますけれども、お答えをいただきたいんですが、いわゆる退避勧告が発出されている国及び地域において、今どのくらい日本人は滞在しているんでしょうか。
○三好政府参考人 お答え申し上げます。 現在、全土に退避勧告が出ている国が六カ国、それから、一部を含めますと二十五カ国に退避勧告を出しております。 私ども、退避勧告を出すに際しましては、可能な限り邦人の方に退避していただくようお願いしておりまして、国によってまちまちでございますが、大体数十名単位で、それぞれの退避勧告地域に邦人がやむを得ない事情でおられるというような状況でございます。
○岡本(充)分科員 総数としては大体何人、もしくは、はっきり言えるのであれば、何人というふうにお答えいただけませんでしょうか。
○三好政府参考人 申しわけございません、詳細はちょっと控えさせていただければと思いますが、総計で数百名というところだと思います、二十五カ国で。
○岡本(充)分科員 まず、これは何が言いたいかというと、やはり外務省としてきちっと把握できているのかということ。どういう理由で数字が答えられないと言われているのかわからないんですけれども、私は、把握できていない人数がいるんじゃないかということも含めながら質問しています。つまり、把握できていない人が外にいるんだという理解でいいのか、それとも、きっちりその人数は確認できている、こういう理解でいいのか、そこをお答えいただけますか。
○三好政府参考人 数字を申し上げられないのは安全上の理由ということでございまして、退避勧告地域に何人いるというのは、各在外公館で把握して、日々、安否確認の形で、残留されている邦人の方とは連絡をとる、あるいは情報提供を行うというような邦人保護の手だては講じております。
○岡本(充)分科員 そうしますと、退避勧告が出ている国及び地域で、所在が確認できていない、もしくは行方不明だという日本人は、外務省は現時点で把握していないということ、もしくはゼロだということ、どちらなんでしょうか、お答えいただけますか。
○三好政府参考人 行方不明者というのは、御家族から捜索願が出ている等の数字はまた別途ございますが、退避勧告地域におきましては、現状では、基本的に私ども把握していると思っております。
○岡本(充)分科員 ということは、把握できていない方はいらっしゃらない、こういうことですね。うなずかれました。 それに基づいてさらに少し御質問をしたいと思います。 そうしますと、先ほどちょっと局長からもお話がありました、世界じゅうで行方不明の方、きのういただいた資料ですと、外務省で把握している方は、行方不明と言われる方は三人、三件ということだそうでありますけれども、それ以外の方で、海外において日本人で今行方不明になっている方はいない、こういう理解でよろしいですか。
○三好政府参考人 お答え申し上げます。 今議員御指摘の数字というのは、恐らく外務省が出している邦人援護統計ということだと思いますが、この統計上行方不明としておりますのは、失踪の原因が明確でなくて、かつ、御家族等から現地警察に対して捜索願が出され、現地当局が捜索活動を実施したものということになっております。ですから、御家族がまだ捜索願を出していないですとか、あるいは現地当局がまだ捜索に着手していない、そういったものはこの三人以外にあり得るかと思います。
○岡本(充)分科員 そうすると、捜索に着手していなければ行方不明とカウントしないということになるわけでありますね。 私は、どれだけの人が行方不明になっているかという状況を、やはり外務省はしっかり把握するべきじゃないかと思っています。やはり、危機管理の意味においても、こうした行方不明者の情報をさまざまな媒体から得て、それに対して対処していくということが求められると思いますけれども、大臣、今のような、捜査当局が捜査に着手しなければ行方不明とカウントしないという話ではなくて、本当に在留届が出ていて、本来いるべきはずの人、もしくは現地の報道によって行方不明になっているんじゃないかという情報に接している人、こうした人数も含めて、きちっと私は数字を出すべきだと思うんですね。こうした数字、調査していただけませんでしょうか。
○岸田国務大臣 政府として、邦人の安否確認そして安全状況の確認、これは大変重要な課題であると認識をいたします。 そして、今の状況については、今、領事局長から答弁させていただいたとおりでありますが、御指摘の、捜査に着手していない点等、その詳細につきましては、一度私自身も確認した上で考えてみたいと思います。 いずれにしましても、政府としましては、しっかり事実を確認し、そして、情報の取り扱いについては安全の問題等においていろいろと細心の注意を払わなければなりませんが、実際の把握につきましては全力で行い、そして絶えず検討を加えていかなければならないと考えます。
○岡本(充)分科員 ありがとうございます。では、その結果を待ちたいと思います。 続いてもう一つ、これも局長からお答えいただくのかもしれませんが、今度、逆側に、外国のテロ組織また犯罪組織などに邦人がかかわっているという情報に外務省は接しているんでしょうか。
○三好政府参考人 現在、海外において犯罪組織等に拘束されている邦人の有無につきましては、仮に拘束されている邦人がいた場合、その事案が明らかになると当該邦人の生命に危険が及ぶ可能性もあるということで、ここでのお答えは差し控えさせていただければと思います。
○岡本(充)分科員 何人と聞いているわけじゃないんです。そういう情報に接しているのですかと聞いているので、そこはお答えをいただきたいと思います。
○三好政府参考人 申しわけございません、戦闘員としてかかわっているかということでございましょうか。(岡本(充)分科員「戦闘員だけでも」と呼ぶ) 外務省としては、邦人がISILを初めとするイスラム過激派などに戦闘員として参加しているという事実は承知いたしておりません。
○岡本(充)分科員 戦闘員だけじゃなくて、犯罪組織はいろいろあると思うんですね。イスラミックステート以外にもあると思いますけれども、そうした犯罪組織にかかわっているという情報に接しているかということです。ほかの組織も含めてお答えいただきたいと思います。
○三好政府参考人 どうも失礼いたしました。 テロ組織あるいは麻薬組織等犯罪組織に協力している邦人がいるかという御質問だと思うんですが、これは、犯罪捜査にもかかわる問題でございますので、お答えすることはできません。
○岡本(充)分科員 いや、何人と答えてくれと言っているわけじゃなくて、そういう情報に接しているのかということだけですから、それは犯罪捜査等個別具体的な話ではありませんので、そういう情報に接しているか否かだけ答えていただきたい、こういう趣旨です。
○三好政府参考人 接しているかどうかも含めまして、ちょっとお答えすることは差し控えたいと思います。
○岡本(充)分科員 大臣、これは、日本のこれからの邦人保護、まあ犯罪に加担している人を保護するのかという話は別の議論だとは思いますけれども、さりとて、日本人がこうしたテロ組織や麻薬組織においてさまざまな役割を果たすというようなことになってくるとすると、これはやはりいわゆる日本の国際的なあり方を批判される可能性がある。例えば、たくさんの日本人がそこに参加しているなどという話になれば。 だから、そういう情報の機微に触れるところをここでつまびらかにしてくれということは私は求めていないわけでありまして、そういった情報に接しているのかどうか、接していないのかどうか、なかなかアクセスが難しいのか、こういうことも含めて、私は、やはり答弁をもう一度考え直していただく必要があるんじゃないか。 要するに、我が国は、そうした組織に加担している人たちがいるのであれば、その対策をとらなきゃいけないわけです。それは法整備なのかわかりません、国会ができることなのかどうかはわかりませんけれども、その対策をとらなければならないということにもなりますし、一方で、そうした情報に今のところ接していないということであれば、これはまた別の角度でもう少しゆっくりとした対応がとれるのかもしれない。 そういう意味で、急いでやらなければいけない課題があるのかどうか、これを知るためには、やはり今のような答弁ではなくて、機微に触れる部分まで明らかにしろとは言いませんが、そういう情報に接しているのかどうかを明らかにした上で議論を進める必要があると私は考えるんですが、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、委員の問題意識については、重要な視点であると考えます。 ただ、御質問が、犯罪組織に接している、協力している、こうした邦人ということでありますが、この犯罪組織というのもさまざまなものがあり、さまざまな範囲があると思いますし、それから、協力、接するという形態につきましてもいろいろなことが考えられます。 ですので、捜査にかかわるという観点だけでなくして、今申し上げました観点からも、具体的に何かお答えするのは難しい御質問ではないかとも考えます。
○岡本(充)分科員 その上でもう一度、これもどういう答弁ができるのか、今の型どおりの答弁ではなくて、やはり今私が指摘をさせていただいた観点から、急いで対策をとる必要があるのかどうかを明らかにする必要があるんじゃないかと私は思っているんですね。急いでとらなければならない対策があるなら、それは与野党を超えて対策をとらなきゃいけないわけですから。 そういう意味で、詳細な情報を提供しろという話ではなく、そういう情報に接していて、現に、まさに今どこでということまで私は求めていません。世界のどこかでそういう行為に加担をしている者がいるのかどうか、それはやはりいずれかの段階で間を置かずに明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、政府としてそういった問題意識を持つことは大変重要だと思います。そして、状況を把握するべく努力する、これも大変重要なことだと思います。それを明らかにする、表に出すという問題は少し別ではあると思いますが、政府として、こうした実態把握についてはしっかり努力をしなければならない。御指摘についてはそのとおりだと思っています。
○岡本(充)分科員 ぜひそういう姿勢で取り組んでいただいて、また御連絡を待ちたいと思います。 それで、今度は二番目の観点に行きたいと思います。 今回、私の地元的な話題になるんですけれども、一昨年の十月、愛知県稲沢市の市議会議員の桜木琢磨市議が中国で拘束をされたという情報があり、そして、大臣にも、稲沢市議会の皆さん方に面会していただいて適切な助言をいただいた、そう承知はしているところであります。 今、この桜木稲沢市議と外務省、二月に面会したというふうに、きのうレクで御説明いただきましたけれども、現状において、健康状態を含め良好であり、そしてなおかつ外務省とのコンタクトが密にとれているということであるかどうか、ここについて確認を求めたいと思います。
○三好政府参考人 外務省におきましては、領事面会の実施あるいは御家族等への手紙の転達、そういったような支援を行っておりますほか、日本におられます御家族に対しましても、面会手続の支援や差し入れ等の手続支援など、必要かつ可能なあらゆる支援を行っているところでございます。 御指摘のありました邦人の方につきましても、既に領事面会を八回行っているところでございます。
○岡本(充)分科員 私がきょう質問する趣旨、後段にもう少し説明したいと思いますが、もう一つお願いしたいのは、やはり稲沢市議会においても情報を求めています。そういう意味では、議会事務局初め議会のメンバーの皆様方に、お伝えできる情報については伝えていただきたいと思いますし、判決が延びたというふうにも聞いておりますけれども、こうした中で、関係者の皆さんの置かれている不安な気持ちは大変強いと思いますので、これについて十分配慮をお願いしたいということを申し述べさせていただきたいと思います。 大臣からコメントがあれば、いただきたいと思います。
○岸田国務大臣 先ほど領事局長から申し上げましたように、外国における邦人受刑者に対して、あるいは邦人受刑者家族に対して、あらゆる支援を行っていかなければならないと思っておりますし、その過程において、我が国としまして得ている情報についてもできる限り関係者の皆様方に提供することによって、関係者の皆様方に状況をしっかり理解していただくことは大変重要だと認識をいたします。そういった努力もできる限り行いたいと存じます。
○岡本(充)分科員 ぜひ詳細な、そしてまた細やかな配慮をお願いしたいと思います。 その上で、少し一般論になるわけでありますけれども、日本に比べて刑罰の重い国、例えば今回の話でもそうでありますけれども、麻薬の運搬の容疑がかかっているわけでありますけれども、こうした方、また密売だったんじゃないかという容疑がかかっている方などで、既に死刑判決が確定している方は何人いらっしゃいますか。
○三好政府参考人 お答え申し上げます。 既に確定判決を受けておられる既決拘禁邦人数は二名となっております。
○岡本(充)分科員 そうしますと、確定判決は受けていないものの、既に一審ないしは下級審で死刑判決を得ている、もしくは死刑になる可能性のある邦人は世界で何人いらっしゃいますか。
○三好政府参考人 現在上訴中のいわゆる未決拘禁邦人数は二名、それから裁判中で死刑を含む求刑をなされている被拘禁邦人数が一名ということでございますので、先生が今言われたカテゴリーの邦人は全部で五名ということになります。
○岡本(充)分科員 私がここで議論しておきたいのは、日本に比べて刑罰が著しく重いと思われる、特に死刑の適用について日本より広い罪状で問われる可能性のある国、そしてまた実際に執行された方もいる、こういう中で、やはり我が国が強い関心を示すというだけで本当にいいのか。正直申し上げて、民主党政権のときにも執行されているわけでありまして、そういう意味で、私もそのとき大いに違和感を感じたわけでありますけれども、日本政府として、邦人保護のあり方の一つとして、日本に比べて著しく重い刑罰を科される可能性がある、もしくは科されそうだというときに、外務省は何をするべきなのか。 いろいろな国々が、自国民保護もあり、それぞれ抗議しています。つい先日も、インドネシアでの事案をめぐって、オーストラリアが強烈な抗議をした。 死刑があるかないか、存置国かどうかということが一つの線引きだ、こう外務省は言われるかもしれませんが、そもそも日本で死刑にならない刑罰で死刑になることについてのあり方だとか、それから、もし、死刑が我が国にもあるんだから他国で死刑をすることはやむを得ない、それは内政干渉だ、こういうのであれば、またもう一つ大きな論点として、やはり執行の仕方、例えば、我が国で行われている執行方法と違う、国によっては石打ち刑などというのもあるようでありますけれども、こうした執行方法であっても、我が国は、それについて、内政干渉だということで、関心を示すという意見表明にとどまるのか。大臣、これについてやはり少し整理する必要があるんじゃないかと思うわけですね。 そういう意味で、やはり一つの方法として、少なくとも年に二回、こうした皆さんのところに面会に行ってみえるようでありますけれども、こうした面会の回数を外務省としてふやしていく、ほかの刑罰の受刑者の皆さん方も年に二回の面会だそうでありますけれども、死刑の確定判決もしくは死刑判決を受ける可能性のある方々に対して、より領事の面会の回数をふやすとか、まずそれはできるはずです。 さらに言えば、我が国からのさまざまなメッセージの伝達の方法として、関心を持っているという程度の話ではなくて、我が国として、在留邦人保護のあり方の観点から、こうした刑罰の差、内政干渉だというだけでなく、やはり我が国の一つの目安を何か示すべきじゃないか。 先ほどお話をしましたけれども、我が国では死刑まで問われない、そういう刑罰でありながら、死刑を求刑され、場合によっては執行される、そうした日本人が出てくることに対して、大臣のお考えと、そして、今私がお話をしましたように、こうした皆さん方に対して日本政府としてしっかりとフォローしていくための取り組みのあり方を検討する必要があると考えるわけでありますが、それについての御見解を求めたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、各国においていかなる犯罪にいかなる刑罰を科するかというのは、その国における犯罪事情ですとか刑事政策ですとか、そうしたことを踏まえて、各国の国内事情に属する問題だとは考えます。 しかしながら、御指摘のように、特に死刑判決が出た場合などにおける我が国国内の国民感情等をしっかり考慮して、我が国としては対応していかなければならないと考えます。 具体的には、理由となった犯罪の中身ですとか、さまざまな事情を個別具体的に考えていかなければならないとは思いますが、御指摘の点等も踏まえながら、我が国として適切に対応するという姿勢は大事にしていかなければならないのではないかと考えます。
○岡本(充)分科員 今、適切にという話の中で、関心を表明するというくだりのメッセージを届けているようですけれども、やはり我が国として、こうした、我が国の量刑と比べて著しく差がある、特に死刑に関してですね、懲役何年という年数までの話を言っているわけじゃない、死刑に関して。これに関しては、やはり我が国と差がある場合には、日本国として、国民感情ももちろん重要でしょうけれども、やはり邦人保護の観点でいっても、これはやはり政府として、今行っている対応より強い対応をしていかなければならないことがあるんじゃないか、こう思っているんです。それについてはいかがですか。
○岸田国務大臣 基本的には、いかなる犯罪にいかなる刑罰を科するかは各国の国内事情によるものであるとは考えますが、御指摘のように、特に死刑判決等が出た際には、我が国としまして対応を考えていかなければならないとは思います。そして、具体的な対応については、個別具体的に考えていきたいと考えます。
○岡本(充)分科員 そこはやはり、我が国の邦人保護のあり方としてしっかりメッセージを出さなきゃいけないと思っていますので、ぜひ御検討を加えていただきたいと思います。またいずれかのときに私もこれを聞きたいと思っています。 さて、最後に少し、感染症などによる、自然災害もそうですね、人によらない、今、さまざまな退避勧告が出ている国がある。テロにしろ、そして犯罪にしろ、治安情勢にしろ、人がかかわることで退避勧告が出るという話とは別に、例えば感染症だ、自然災害だ、こういうときに、やはり渡航の是非を検討するべきだという状況に陥ることがあると思います。こういうときに出す情報、きのうホームページを見ましたけれども、大変わかりづらい、申しわけないですけれども。私、見させていただいたホームページの表現だと、不要不急の渡航については延期も含めて検討してください、不急不要の渡航は延期してください。どっちが重いのかわからないですね、大臣。不要不急と不急不要、一般的にどっちが重いか。外務省はこれで段階をつけているそうです。こうした表現も見直していかなきゃいけないし、やはりわかりやすい表現でメッセージを届けなきゃいけないと私は思います。 そうしたことについて、大臣、御検討いただいて改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 わかりやすい情報提供が重要だという御指摘はそのとおりだと思います。 御指摘の感染症危険情報ですが、WHOによる勧告を踏まえて発出されるものですが、他の危険情報とはまた少し性質の違うところもあるということも聞いております。 例えば、治安情勢悪化に伴う対策としましては危険地域からの早急な退避が基本となりますが、感染症の場合には、パンデミックの状態に至った場合には外出すること自体が危険であるとか、対外避難が不可能となる場合もあるといった、こうした特有の事情もあるということで、危険レベルの区分け自体が必ずしも一致しないなど、発出の仕方の難しさもあるということも聞いております。 可能な範囲で、感染症危険情報の内容を、国ごとに発出している四段階の危険情報に適切に反映させるよう努力をしているわけですが、結果としてわかりにくいという御指摘があるとしたならば、これは謙虚に受けとめ、引き続き適切な情報発信に努力をしていかなければならないとは考えます。
○岡本(充)分科員 最後にお願いしたいんですけれども、いざ退避をしなきゃいけないときに、残念ながら、日本の所有機が飛んでいない、日本国の会社の所有機が飛んでいない地域などもあります。他国の所有機に搭乗しなければいけないときもあります。 きのうの役所の皆さんとのディスカッションの中では、民間航空会社と一邦人がそれぞれ交渉してもらって、退避をしなければならないときに乗る飛行機を決めるという話でありましたけれども、やはり、混乱をする中で在外公館の力が必要なときもあります。ぜひ、そうした折には在外公館があらゆる面で協力を惜しまないということを大臣に御表明いただいて、私の質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 在留邦人が退避するに当たって在外公館として全力を尽くさなければいけない、御指摘のとおりであります。 航空機の座席等の確保についても、在外公館として座席の確保のためにしっかり支援をしていかなければならないと思いますし、そして、さらに状況が悪化した場合には、チャーター機の確保ですとか、さらには友好国との協力の可能性、あるいは政府専用機の活用等も含めて、あらゆる手段を可能性として追求しなければならないというようには感じます。 邦人の避難支援に全力で取り組んでいきたいと考えます。
○岡本(充)分科員 ありがとうございました。
○金田主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。 次に、井坂信彦君。
○井坂分科員 おはようございます。維新の党の井坂信彦です。 本日は、外交に関して、幾つか基本的なところからお伺いをしたいと思います。テーマは、日中、日韓関係について、三十分させていただきます。 まず、最も基本的な認識をお尋ねいたします。日中、日韓の速やかな関係改善こそが日本の国益にかなう、こういう認識かどうか、まずお伺いいたします。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○岸田国務大臣 中国あるいは韓国との関係を改善し、そして発展させるということ、これは我が国にとりまして重要な課題であるということ、申すまでもありませんが、強く認識をしております。 日中関係、最も重要な二国間関係の一つであると認識をしております。 日韓関係も、重要な隣国関係であり、良好な関係は、このアジア太平洋地域の平和と安定にとっても不可欠であると認識をしております。 この大切な二つの二国間関係、ぜひ改善、発展させるべく、しっかり努力をしていかなければならないと考えます。
○井坂分科員 まず、韓国との関係についてお伺いをいたします。 韓国との関係改善に向けて、今、局長レベルなど、いろいろ接触を重ねているというふうに思うんですけれども、関係改善が当面の日本の外交目標だとする中で、交渉ですから、領土の問題も含めていろいろな問題がある中で、日本は、まず大方針として、何をここは守る、堅持する、一方でこの分野では交渉していく、あるいはこの分野では韓国にこういう便宜の供与も含めてカードとして切っていく、交渉の基本的な方針、方向性をお聞かせいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 韓国は、先ほど申し上げましたように、最も重要な隣国であると認識をしています。アジア太平洋地域の平和と安定にとって日韓関係を良好なものにするということは不可欠であると思っていますし、ぜひ、未来志向で関係を構築するべく、粘り強く対応していきたいと存じます。 その中にあって、御質問として、何を譲り、何を得るのかということでありますが、具体的な内容についてやりとりを申し上げるというのは、韓国との関係においても、また交渉ということを考えましても、この場で申し上げるのは適切ではないと考えますが、現在、局長級協議等を通じてさまざまな課題について議論を行っています。難しい問題があるからこそ、こうした意思疎通は重要だと考えておりますし、ぜひ、そういった意味では、局長級協議、さまざまなレベルでの意思疎通が重要だと思いますが、より高い政治のレベルでの対話につなげるべく努力をしていかなければならないと考えています。 ことしは日韓国交正常化五十年という節目の年です。ぜひ、この年を両国にとって意義ある年にするべく努力をしていきたいと考えています。
○井坂分科員 もちろん、交渉の前に、ここが最終防衛ラインだとか、ここはもう譲るんだとか、そんな細かいことをここで明らかにしていただくことはできないとは思うんですが、しかしながら、交渉のチャンネルをどんどんふやしていく、あるいはより高いレベルでのチャンネルを開いていく、こういう御努力はよく事前に教えていただいております。ただ、チャンネルを開いた先に、やはりどういう方針で交渉していくのか。全てつまびらかにはしていただけないまでも、全くここで議論できませんということになると、では、国会としては、韓国との大事な交渉の方針を大臣に丸投げなのか、そこはブラックボックスで、ここでは一切議論できないのか、それもおかしいというふうに思っておりますので、事前に通告の上、お尋ねをしているわけであります。 例えば、領土の問題に関しては、これはもう譲る余地が日本としてはないんだ、歴史認識の問題に関しては、これはよく話し合っていって何らかの解決を模索していける部分なんだ、あるいは経済の問題に関しては、韓国は今こういうところが困っているから、ここはあえて助けてあげることで交渉を前に進めていくんだ、こういう大まかな方針は何か明らかにしていただいてもいいのではないかな、こういう立場でお尋ねをしておりますので、もう一度よろしくお願いいたします。
○岸田国務大臣 日韓関係には、隣国であるがゆえに難しい問題が存在いたします。そして、その難しい問題の中に、御指摘のように、領土の問題、あるいは歴史認識にもかかわる問題、こういった問題が存在いたします。 こうした領土の問題、歴史認識にかかわる問題というのは、それぞれの国民世論もあり、また歴史的な経緯もあります。これは、それぞれの国の立場を考えますと、一朝一夕に何かをすれば解決できるというような簡単なものではないとは認識をしております。だからこそ、粘り強い取り組みが重要だと思っておりますし、逆に、こうした問題があるから話し合いに応じないというような態度はあってはならないのではないか。 やはり、難しい問題があるからこそ、話し合い、意思疎通が重要だと我々は認識をしておりますし、こうした難しい問題があったとしても、日韓関係、両国の間には、年間五百万人を超える多くの人々が行き来をする、政治、経済のみならず、文化、スポーツ、さまざまな分野において交流があり、大変重要な二国間関係となっています。この大切な二国間関係全体をしっかりコントロールする、マネージをしていく、こういったことを重視しながら対話をしていくことが重要なのではないか、このように考えております。 ぜひ、こういった姿勢で、日韓の間で対話というものを重視しながら、両国関係をしっかりとマネージし、コントロールしていく、こうした姿勢を明らかにしていきたいと考えております。
○井坂分科員 対話重視で粘り強くやる、これは当然そうしていただきたいんですが、きょうは時間が幾らでもありますのでもう一度お尋ねしますが、とはいえ、重要な二国間関係で、しかも関係改善が求められる現状において、本当に、基本的な大まかな線で、どういう戦略で関係改善をしていくのか。これぐらいはここで議論できなかったら本当に外務委員会は何を議論するのかという気がいたしますので、その中身についてお尋ねをいたします。
○岸田国務大臣 基本的な考え方としては、話し合いをする、対話をするに当たって条件をつけるべきではないというふうに思っています。条件をつけることなく、高い政治のレベルで議論を行うということが重要だと考えています。そして、そのことによって二国間関係全体を改善し、発展していく、こういった取り組み、姿勢が重要だと基本的に考えております。
○井坂分科員 なかなかお答えをいただけないようですので、ちょっと観点を変えたいと思います。 外務省のホームページで韓国の呼び名が変わった、こういうことが報道されております。もともとは、基本的な価値観を共有する重要な隣国というふうに書いてあったものが、基本的な価値観を共有するという文言が抜かれてしまったということで報道されているわけであります。 これは、もとをただせば、別に外務省が勝手にホームページの文言を削ったわけではなくて、総理の施政方針演説ですとか、あるいは大臣の外交演説で韓国に対してそういう呼び方に変えた。過去の演説の歴代の総理とか外務大臣の呼び名を全部取り寄せましたけれども、今回、変えられたわけですね。基本的な価値観を共有するという文言をそれらの演説から今回あえて削って総理も大臣も演説をされた、外務省はそれに従ってホームページを変えたんですよ、担当者はこういう説明をしているわけであります。 そこで、お伺いをいたしますが、そんな、日本のホームページのたかが文字が抜けた入ったで一々いちゃもんをつけられる筋合いはない、こういう一般の方の受けとめはわかるんですが、一方で、外交の世界では、相手の国をどういう呼び名をつけて呼ぶかというのは死活的に大事な問題だというふうに思っています。例えば二国間関係で、戦略的パートナーシップと呼んでいた関係を包括的な戦略的パートナーシップと、包括的なを一個入れただけでこれはもう重要な格上げだと喜ばれるような、これが外交の世界だというふうに思うわけであります。 今回、基本的な価値観を共有するという文言を抜いたのは、これは当然、外務省の中でもいろいろ議論があった末に、きちんとした意思を持って抜いたものだというふうに思いますから、その理由についてお伺いをいたします。
○岸田国務大臣 総理の施政方針演説また外務大臣の外交演説につきましては、毎年毎年、その時々の国際情勢全体を見ながら、全体の分量あるいはバランス、こういったものを考えながら検討を行っています。 ことしの施政方針演説あるいは外交演説の表現につきましても、現在の国際情勢ですとか、あるいは演説のボリューム、全体のバランス、こういったものを考えながら検討をした次第であります。 全体にかかわる問題、他の分野とのバランスにもかかわる問題ですので、詳細についてここで申し上げることは控えなければなりませんが、いずれにしましても、韓国につきましては、最も大切な隣国、こういった表現については全く変わっておりません。ぜひ、この認識のもとに、未来志向で韓国との関係は改善、発展させていきたいと考えております。
○井坂分科員 重要な隣国という、そこはもちろん変わっていないんですけれども、もともと、ずっと歴代でついていた基本的な価値観を共有するという文言を今政権であえて本当に抜いているわけですよね。別に、ボリュームといったって、そんなもの、言う、言わないで二秒も変わらないわけでありまして、明快な理由があると思うんです。 勘違いをされては困るのは、抜くべきではないとか、なぜ抜いたんだと怒っている立場でも別にないんです。どういう意図かをお伺いして、なるほど、こういう理由があって基本的な価値観を共有するというのを抜いたんだなというお答えがいただければ、私は納得できる立場であります。あるいは、外交上のこういう問題があってとても、価値観を共有している、今あえてそこを抜いて一旦突き放した方が外交上韓国との関係でいろいろいいことがあるんだ。こういう何らかの理由があって抜いた以外に考えられない、そんな勝手に抜けるものではないですから。その理由についてお伺いをしたいという趣旨であります。
○岸田国務大臣 理由につきましては、さまざまな観点から総合的な判断を行ったということであります。 具体的な理由について何か一つ一つ申し上げることは適切ではないと考えています。
○井坂分科員 私、外務委員会は初めてなものですから、大体そういうお答えになってしまう委員会だというのを今ひしひしと感じているわけでありますが、ふだん何を話し合われるのかなと素朴な疑問を持っているところであります。 もう一つ、韓国の問題で、慰安婦の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 日本の立場は、慰安婦の国家賠償の問題については、これはもう一九六五年の日韓請求権協定で完全に解決済みであるという立場だと思います。一方で、韓国は、慰安婦問題の国家賠償は今からでも請求可能だ、請求権協定には慰安婦問題は入っていないんだ、こういう公式な立場で、慰安婦問題に関して国家賠償が請求できるのかできないのかという問題に関しては日韓両国の見解が真っ向から対立しているのだというふうに認識しておりますが、まず、基本的な認識として、それで間違いないか、お伺いしたいと思います。
○岸田国務大臣 御指摘のように、慰安婦問題を含め、日韓間の財産、請求権の課題につきましては、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって完全かつ最終的に解決済みであり、この点につきましては、韓国に対しても、また国際社会に対しましても累次にわたって説明をしてきている、これが我が国の立場であります。 韓国側にはこういった我が国の立場についてしっかり説明をしてきているわけでありますが、韓国側は韓国側の立場を主張しているというのが現状であります。
○井坂分科員 日韓請求権協定の中身も私は見せていただいたわけでありますが、日本の公式見解どおり、もう完全に解決済みであると私も思います。慰安婦問題の国家賠償は、国際法上も今から請求できるようなものではないというふうに私も思うわけであります。 そのことを、今大臣も少しおっしゃいましたけれども、やはり国際法上もうこの問題は明らかなんですよ、韓国も判こを押して完全に解決したとずっと当時から言っているんですよ、こういうことを主要各国にきちんと伝えて納得してもらう。日本の言うとおりだな、慰安婦問題、いろいろ韓国は言うけれども、しかし、今から韓国が慰安婦問題に関して国家賠償を請求するのは、これは国際法上明らかに間違ったことだなということを主要各国にしっかり理解、納得していただくことが必要だと思います。 日韓関係ではこれは真っ向から対立しているので、二国間で幾らやっても、裁判所があるわけではないですから、これは平行線だと思いますので、主要各国にきちんと、国際法上どちらが正しいのかということをよくよくわかっていただく必要があると思いますが、そのような努力を十分にされていますでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、我が国の法的な立場については、先ほど申し上げたとおりでありますし、このことにつきましては、これまでも再三にわたって韓国あるいは国際社会に対して説明をし続けております。 そして、日本としては、それに加えて、心の問題として、アジア女性基金を初め、さまざまな取り組みも行ってきた。こうした我が国の取り組みについても理解を得るべく、努力を続けてきた次第であります。 こうした両方につきまして、これまでも努力はしてきましたが、引き続きまして、韓国側、そして国際社会に理解を得るべく、より戦略的に情報発信、対外広報を続けていかなければならないと考えています。
○井坂分科員 ところが、また昨日も韓国が、女性家族相が国連本部の女性の地位委員会というところで演説をしているわけですね。どういう演説かといえば、慰安婦問題はまだ解決していない、未解決だ、そして、必要な措置が完全な説明責任とともになされるべきだ、要は必要な措置がされていない、こういうことを強く国際社会に訴えているわけであります。 これは、もちろん韓国の立場ですから、韓国がどこで何を主張しようと構わないわけでありますが、しかし、では、韓国がいつもこういう主張を世界でするときに、それに対して、それを聞いたほかの国は、なるほど、韓国の言うとおり確かにまだ未解決だな、あるいは、日本はまだやるべきことがあるのに何をぐずぐずしているんだ、こういう受けとめになってしまってはいないですか。それとも、日本の主張がちゃんと各国に浸透していて、また韓国は何をおかしなことを言っているんだ、国際法上決着済みで明らかじゃないか、何度言ったら韓国はわかるんだ、そういうふうに各国は思ってくれていますか。
○岸田国務大臣 まず、この慰安婦問題につきまして、我が国の法的な立場、そして、それに加えて、我が国が取り組んできた取り組み、こういったものについてしっかり説明をしなければいけない、これは当然のことだと思います。そして、それに対して韓国側は韓国の立場から発言をしているわけです。 いずれにしましても、国際社会にしっかり理解されなければなりません。より日本の法的立場、そして我が国の今日までの取り組み、これが理解されるためにはどのような働きかけが最も効果的なのか、こういった観点から具体的な対応を考えていかなければならないと思います。ぜひ、国際世論、多くの国々から我が国の立場が理解されるためにはどういった具体的な対応が最も効果的なのか、適切なのか、こういった観点からこれからの対外広報についても戦略的に考えていかなければならないと考えます。
○井坂分科員 やはり、今後やるべきことがある、まだ課題があるという御認識だというふうに思うんですけれども、例えば、おわびの気持ちのあらわし方の問題もあわせておっしゃいましたが、きょうは私、そこはあえて議論から外しています。まず、国際法上、国家賠償の請求権があるのかないのか。この問題は理詰めできちんとやれる分野だと思いますので、おわびは、足りている、足りていない、相手が納得した、しない、いろいろな問題が絡んできますけれども、国際法上、国家賠償請求権はもうないんだということは、これは理詰めで主要各国を説得できる話じゃないかなと思います。 私の考えは、これは各国ちゃんと、単に広報といって言いっ放しでばっと広めるのではなくて、一国一国きちんと、歴史的事実、交渉の書面で韓国がその後どうだったのか全部伝えて、国際法上の問題に関しては決着済みですよ、そうですよね、確かにそうですねという言質を一国一国とって回るぐらいする必要があると思いますが、いかがですか。
○岸田国務大臣 財産そして請求権問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的にこれは解決済みである、この我が国の立場は明らかでありますし、これについてはしっかりと説明していかなければなりません。法的な立場については、これは間違いないと思っておりますし、これについてはしっかりと説明をしていかなければならないと存じます。 そして、加えて、この問題について、多くの国々から我が国の取り組み全体を理解されるべく、効果的な方法についてしっかりと考えていきたいと思っています。
○井坂分科員 大臣が何でそうぼかされるのかが私はよくわからないんですが、日本はこう思っています、こういうふうに説明をしています、していきます、それは、もちろん日本のすることだから、当然そうしていただきたいんですが、大事なのは、一国一国ちゃんと理詰めで、確かに日本の言うとおりですね、そうですねと言質をとっていく必要があるのではないですかというふうにお尋ねをしていますので、そういうことが必要だと思われるかどうか、お伺いをいたします。
○岸田国務大臣 具体的に、言質をとるということについて、どういったことが考えられるかは考えてみたいとは思いますが、ただ、法的には先ほど申し上げたとおりであります。 ぜひ、この法的な考え方については、しっかり理解されるべく努力したいと思っています。
○井坂分科員 続きまして、日中関係も含めた問題で、戦後七十年談話についてお伺いをしたいと思います。 昨日、メルケル首相が来られまして、東アジアの緊張を緩和するために過去の総括をして和解すべき、こういうメッセージを発しておられます。 この戦後七十年談話、今有識者の会議が始まりまして、内閣官房で取りまとめをされるわけでありますが、私は、この問題は、もちろん総理の個人的な見解でもだめで、あるいは今の有識者、内閣官房だけで決めていい問題でもなく、まさにこの問題は、単なる談話ではなくて、一歩間違えれば、日韓、日中初め、欧米諸国とも、関係に甚大な影響を与えるテーマだというふうに思うんです。 極端な話で言えば、変な言葉の選び方をすれば、世界じゅうから総スカンを食らいかねない問題だ。この分野の専門的に責任を持つ外務省が、どういう文言を選んだらどの国とどういう問題が起こるのか、こうしたことをふだんの外交でやっておられるのと同じように緻密に予測して、文言の選定、こういったことに責任を持ってかかわっていくべきだ、当然だと思いますが、外務省が七十年談話に責任を持ってかかわっていくのかどうか、お伺いをいたします。
○岸田国務大臣 七十年談話につきましては、さきの大戦への反省あるいは戦後の平和国家としての歩み、そして、今後我が国としてどのような国際社会に対する貢献ができるのか、こういったことについてしっかりと世界に発信していかなければならないと思っています。 そして、その作成過程につきましては、今、二十一世紀構想懇談会、この有識者会議において議論が行われようとしています。政府としましては、まずはこの懇談会の議論を注視していきたいと思います。懇談会の意見を伺った上で政府として内容を検討していくことになると考えていますが、政府として検討する段階においては、外務省としても、政府の一員として適切に関与していくことになると考えています。
○井坂分科員 政府の一員として適切に関与、それは大まかに言えばそうなんでしょうが、もうちょっと突っ込んでお伺いをしたいのは、やはりこの談話の内容がどうなるかで、日韓、日中だけじゃなくて、欧米諸国との関係も含めて、これは一歩間違えれば甚大な影響、今外務省がいろいろ御努力されていろいろな国との関係を結んでいるのがもう一遍にぶち壊しになってしまうようなことが起こり得る、破壊力のあるテーマだと思うんですね。 当然、どういう談話を出して、その談話を出した結果どの国と、例えばある国と関係が一気に悪化したら、これは外務省の責任だと私は思いますが、いかがですか。
○岸田国務大臣 いわゆる戦後七十年談話ですが、この談話は大変重要な談話であると認識をしています。であるからこそ、今、有識者の間でしっかり議論が行われ、その上で政府としてしっかりとこの内容について検討していく、こうした丁寧な作業を続けている次第です。 ぜひ、政府の検討の中にあっては、外務省として、私、外務大臣としても関与していかなければならないと考えています。
○井坂分科員 周辺諸国あるいは欧米諸国とこの談話一本の文言の選び方をもって破滅的な関係悪化を招かない、そういうことは絶対に外務大臣として責任を持って起こさない、それぐらい言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸田国務大臣 戦後七十年談話は、我が国の今日までの歩みを振り返り、そして未来に向けて我が国がどのように国際社会に貢献していくのか、これをしっかり示す大変重要な談話だと認識をしております。 我が国が、国際社会の中にあって、しっかり存在感を示し、そして平和や安定や繁栄に貢献できる、こういった結果につながる談話にならなければならないと考えています。
○井坂分科員 やはり大変難しい日中、日韓二国間関係です。交渉事に例えましたけれども、領土の問題とかあるいは法的な国家賠償の問題とか、これはもう譲れない分野がある中で、例えば韓国の呼び名の問題とか談話とか、そういうところでさらに関係悪化の種をつくっているようでは、もうこれはどうしようもないというふうな観点から申し上げましたので。 とにかく、守るべきところはきちっと守る、当たり前の話であります。一方で、余分ないさかいの種をつくらない。さらには、交渉ですから、チャンネルをつくるだけでなく、しっかり、では、守るべきところを守る、かわりにどこで交渉を進めていくのか。こういった戦略的な立場でぜひ二国間関係、日中、日韓、そして主要各国、欧米諸国も巻き込んで関係を改善していっていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 ありがとうございました。
○小林(鷹)主査代理 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)分科員 維新の党、富山県富山市から参りました吉田豊史と申します。よろしくお願いいたします。 先日の予算委員会の島根の地方公聴会で初質問はさせていただいたんですけれども、私、国会議事堂におきましてはきょうが初質問になります。一生懸命頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。 けさからこの委員会の議論を拝聴いたしておりまして、私は、きょう、外交ということを質問していくに当たって、やはり問題を解決していくときに一番大切なことはお互いの信頼関係というところにあるんだろう、こういうふうに改めて思っておるところでございます。短い三十分の時間ですけれども、改めて、岸田大臣、そして外務省の皆様にお聞きするに当たって、交渉事の基本になる信頼ということをベースに質問していきたい、こう思っております。 まず初めに、北方領土のことと、それから拉致問題と、具体的なところでお聞きしようと思っておるんです。 北方領土は、富山市出身と私は申し上げましたけれども、北方四島から引き揚げた都道府県を見ますと、北海道を除いて、富山県が一番多いという県でもございます。先日、二月七日の北方領土の日の方も、私も初めて国会議員として参加してまいりました。その中でやはり改めて思いましたのは、この問題というのは、交渉の最前線に立っていらっしゃる外交の皆様、そしてそれを支える国民、この両方があっての問題解決への前進だろう、こう思うわけです。 きょうは、その最前線の皆様に、実際のところ、北方領土問題の解決に向けて、政府の改めての基本方針、そして現状はどうなっているのか、このことからお聞きしていきたいと思います。
○岸田国務大臣 北方領土問題は、戦後七十年たとうとする現在においても解決しない大変難しい問題であると認識をしております。ロシアとの間で政治対話を積み重ねつつ、我が国の国益に資するよう日ロ関係を進めているわけですが、その中で領土問題に取り組んでおります。 最近では、昨年十一月、北京APECにおきまして日ロ首脳会談が行われました。その際に、安倍総理から、今後の平和条約締結交渉に関し、二〇一三年四月の共同声明に基づき進めていくことを中心とする考え方を述べた上で、プーチン大統領との間で率直な意見交換を行いました。本年二月、日ロ次官級協議におきましても、二国間関係全般を議論する中で、平和条約締結問題について率直な意見交換を行いました。 引き続きまして、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、この我が国の基本方針のもとに、元島民の方々を初めとする全ての国民から政府の取り組みに対する理解と力強い支持をいただくよう努力をしながら、交渉を粘り強く進めていきたいと考えています。
○吉田(豊)分科員 その状況の中でやはり私が大事だと思うのは、信頼関係と最初に申し上げたように、人と人との信頼関係というところをより重要にしていかなくちゃいけないと思うんです。 幾つか確認させていただきたいと思うんですが、もちろん、外務大臣と外務大臣としての交渉もあるでしょうし、それから首相と首相との話ということ、それから現場の担当という方々同士の関係もあると思うんです。そういう信頼関係というもの自身が、長い期間がある中でどういうふうに、特に近年のところ、よりしっかりとしている、そういう中での交渉が進んでいるのか、それともそうではないのかというところも、大臣の直接の御経験というか、その交渉の中からも教えていただきたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、首脳間の信頼関係ということで申し上げるならば、安倍総理が就任しましてから、ロシアを訪問することで首脳会談を行いました。たしか、日本の総理のロシア訪問は、公式には十年ぶりだったと記憶をしております。そこから始まりまして、既に首脳会談の数も七回に及んでおります。この二年二カ月余りの間に既に首脳会談を七回行うということで、首脳間の信頼関係を積み重ねております。 そして、私も就任した直後、一昨年の四月に、ロンドンにおきましてG7の閣僚会合が行われた際に、ロンドンの日本大使館におきまして日ロ外相会談に臨みました。その後、ラブロフ外相との間においてさまざまな外相会談を行い、そして、日ロの間においては、歴史上初めて、日ロ2プラス2、すなわち外務・防衛担当閣僚の会議を開催する、こういった対話の努力も続けているわけであります。 現状、ウクライナ問題があり、日ロの対話については難しい状況も存在いたしますが、日ロ関係は、北方領土問題も含めて、我が国にとって大変重要な二国間関係だと認識をしており、ぜひ政治的な対話についてはこれからも大事にしていきたいと考えております。 こうした信頼関係の中で、北方領土問題についてもぜひ前進をさせるべく努力をしていかなければならないと考えています。
○吉田(豊)分科員 ありがとうございます。非常に心強い状況だなと改めて思いました。 ことしの二月七日の北方領土の日ですけれども、前半のところで、元島民の一世、二世、三世の方々から直接、それぞれ、どうやって今現状の交渉に向けての信頼関係というものをつくっているかということの報告をいただいたわけです。特に私が思いましたのは、小学生でしたけれども、三世の子たちもそれぞれ、やはり自分たちができるところでお互いの、ロシアと日本との間の信頼関係を築こうとしている、こういうものがあった上での交渉じゃないかなということを思っていたんです。現場の皆さんがそういうふうにしてやっていらっしゃるということが最終的には問題解決に一番必要なところだ、こういうふうに改めて感じたところでもございます。 続いて、拉致問題というところなんですが、拉致問題も実は富山県は、富山湾の方で水中スクーターが見つかったりとか、直接に関係のある県でもございます。 こういう中で、拉致問題の解決が、信頼関係というふうなところで北朝鮮と進んでいるのかどうかということ自身が難しいような状況だとは思いますけれども、それでもやはり全ての基本は信頼関係だ、こういうふうに思うんですが、改めて、この拉致問題の解決についての基本方針を確認したいと思います。
○岸田国務大臣 まず、北朝鮮による拉致問題ですが、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、安倍政権にとりましても最重要課題の一つであると認識をしています。そして、従来から、北朝鮮との交渉に当たっては、対話と圧力、そして行動対行動、こうした原則に基づいて臨んできました。 圧力の部分については、北朝鮮に対して、国連安保理決議に基づく国際社会全体としての制裁に加えて、我が国独自の制裁も行うなど、取り組んできたところです。 しかし、対話と圧力、この両方が重要だとしているわけですので、対話の部分については、二〇一四年の三月に一年四カ月ぶりに対話を再開し、日朝政府間協議を再開したということであります。その後、五月にストックホルムで日朝政府間協議、七月に北京で日朝政府間協議、そして九月に瀋陽で日朝外交当局間会合、こういった協議を重ねることによって北朝鮮に対しまして働きかけを続けているわけですが、現状、五月のストックホルム合意に基づいて設置されました特別調査委員会、この特別調査委員会の通報を速やかに正直に行うべきだという働きかけを行っています。 ぜひ、この通報をしっかり受けた上で、今後の展開をしっかりと考えていきたいと思っております。 我が国の基本的な方針は以上申し上げたとおりでございます。
○吉田(豊)分科員 その上で、昨年平壌訪問をしていると思うんですけれども、これについて、交渉の実質的なところ、特に我が国としての現状をきちっと伝えてくる、そういう努力がなされているかと思うんですけれども、少しお伝えいただけますでしょうか。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 平壌訪問に至る経緯も含めて御説明させていただきたいと思いますが、昨年十月末の訪朝に先立ちまして九月末に瀋陽で行われました日朝外交当局間会合におきまして、北朝鮮側から、調査は初期段階であり、日本人一人一人に関する具体的な調査結果を通報できる段階にはないという説明があったところでございます。我が国としましてはこのような説明は容認できないということで、その立場から、拉致問題こそが最重要課題であるとのこれまで北朝鮮側に繰り返し伝えてきた日本政府の立場を、直接、調査委員会の責任者に明確に伝えること、そして調査の現状について詳細を聴取すること、そして北朝鮮が迅速に調査を行い、その結果を速やかにかつ正直に通報することを強く求めるため、訪朝するということになったわけでございます。 その結果ですが、残念ながら、事前に判明したとおり、拉致被害者の方々の安否情報や消息についての具体的情報を得ることはできなかったわけでございますが、この訪朝を通じまして、拉致問題解決に向けた日本の強い決意を北朝鮮の最高指導部に伝え、北朝鮮からは、過去の調査結果にこだわることなく、新しい角度から調査を深めていく、特殊機関に対しても徹底的に調査を行うというような説明を得たわけでございます。 このような経緯がございましたが、政府としましては、北朝鮮に対して、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を通報するよう強く求めているところでございます。
○吉田(豊)分科員 今ほどの報告をお聞きしまして特に思いますのは、やはり交渉事ですから、まずテーブルに着くというところは基本でしょうけれども、着いている人が現場についての認識をきちっと持って、そして、そこで問題があるんだということ、そしてその問題に対する共感を持って取り組もう、これこそが別の意味では信頼をつくっていくということにつながっていくと思うので、ぜひ、今の方向をより強く推し進めていただいて、解決に向けて進めていただきたい、こういうふうに思うところでございます。 次に、もう一つお聞きしたいと思いますが、拉致問題のこういう交渉を今なさっている中にあって、そうはいっても、北朝鮮は何が起こるか、あるいは何をするかわからない国だという中にあって、例えば不測の事態、核実験ですとかミサイル発射ですとか、こういうようなものを一方的に行ってくる可能性がある国だということも想像しておかなくちゃいけないんですが、こういう場合の対応について改めて確認したいと思います。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 これまでの日朝間の協議におきましては、日本側から、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を目指すという基本的な立場に言及した上で、核実験ですとか長距離弾道ミサイルの発射等が行われれば日朝関係に深刻な影響が及ぶ旨を強調してきているところでございます。 我が国といたしましては、対話と圧力の一貫した方針のもとで、日朝平壌宣言に基づきまして、引き続き、米国及び韓国を含む関係国とも緊密に連携しながら、拉致、核、ミサイルといった日朝間の諸懸案を包括的に解決すべく、粘り強く交渉を続けていく考えでございます。
○吉田(豊)分科員 おっしゃるとおりだと思いますし、特に物事の解決というのは、対話と圧力というところにおいては、どちらにしても、やはり根本のところでのお互いの言っているところ、それからやろうとしているところ、将来に向けての展望、こういうものを共有する中での信頼というものがあった上でしか交渉にならないだろうと思いますので、改めて、そういうところについてしっかりと、現場の方々の一人一人の信頼関係をつくっていくというところも、もというよりもそれが一番基本ではないかな、こういうふうに感じたところでございます。 そういう中で、きょう私は交渉事の信頼ということをお伝えしようとしているんですが、まず、外交、外務関係に携わる方々が交渉事にかかわるに当たって信頼というものが一番重要だと思っていらっしゃると思うのですが、改めて確認したいわけです。 外交官あるいは外交にかかわる方がこの信頼というものをどのように考えているか。これは、当然、私は交渉事にかかわる者が持つべき基本的な資質だろうと考えております。私は、今そういう方々が、例えば日本という国に対して、あるいは自分の語る言葉に対して、こういうものをどれだけ重く思っていらっしゃるかということを改めて確認したいと思うんです。 私は、信頼の基本は、約束を守るとか、うそを言わないとか、それから相手を敬うとか、こういうところから始まると考えています。そういう観点からの日本という国、当然、我が国は日本語を使うわけで、母国語、日本語を使うんですが、国語というところを改めて私は意識したいと思っています。これについてお考えをぜひお聞きしたい、認識をお聞きしたいと思います。
○上月政府参考人 お答えいたします。 外交交渉におきまして、我が国の立場や主張を他国に理解させ説得すること、そして信頼を得ていくこと、これは外務省の非常に重要なことでございまして、外務省員は、そういった場合に、相手が外国でございますので、高い外国語能力が求められることがまずございます。 そして同時に、我が国の外交を強力に推進していくに当たりましては、外交政策について国民への説明責任をしっかり果たす、こういうことも重要と思っておりまして、国民の理解を得ること、そのためには、我が国外交官として適切な日本語による説明能力や日本語に対する鋭敏な感覚を持っていることが重要と考えております。 今後とも、外務省員が国語を正確かつ適切に操るとともに、外国語能力を強化していくよう、人材の育成に努めていきたいと思っております。
○吉田(豊)分科員 私が申し上げました国語というところは、今のお話はもちろんそのとおりですし、その上で、例えば日本の国内の教育ということを考えたときに、グローバル化する国際関係あるいは現代において、英語能力というものが非常に必要だろうという話も進んできているわけですね。 だけれども、それを言うときには、やはり英語力を鍛えるその手前に、日本語という自分たちが基本として使っている言葉の重要性というものも当然あった上での話だろう、こういうふうに思っておるわけです。そういうことを現場で一番感じていらっしゃる、最前線で感じていらっしゃるのが、もちろん、外務大臣初め、外交にかかわる方々ではないかな、こういう趣旨も込めておりますので、改めて大臣、自分たち一人一人が交渉事に立つに当たって、日本という国、それから国語も含めた、そしてその背景にある、日本を誇りに思う、愛国心を持つ、こういうことの大切さというのを現場で日々お感じだと思うので、そのことについての重要性をぜひお伝えいただければなと思います。
○岸田国務大臣 先ほど委員の方から、外交において信頼が大事だというお話がありました。 信頼関係が重要だということを考えますときに、やはり外交の基本は人間対人間だと思います。そして、人間対人間で外交を進めるに当たって、お互い言語を通じて話し合いをするわけですが、その際に、もちろん語学も重要でありますが、やはり究極的には、何を語るか、この中身が重要だと思っています。 そして、この中身が重要だということを考えますときに、適切な日本語、母国語による説明能力ですとか、日本語に対する敏感な感覚ですとか、こういったものがやはり重要になってくるのではないか。こうした感覚や能力がまずあってから、それが他の言語等を通じて相手に伝わる、こういったことなのではないかと思います。 こういったことから、外交官にとって、母国語、そして我が国の日本語の大切さということを痛感いたしますし、それから、今御質問の中で愛国心ともおっしゃったと思いましたが、この愛国心ということについても、我が国、みずからの国をしっかりと語るという意味において大変重要な要素ではないかと考えます。
○吉田(豊)分科員 本当に私の想像していたとおりの答えをいただいて、非常に心強く思っております。 特に私が思うのは、交渉事が難しければ難しいほど、やはり相手の立場も理解して、そして相手のことを敬ってというところが、つながっていくための、結論に導いていくための大事なポイントになる、こういうふうに考えるんですけれども、普通に考えまして、人のことを敬うというときには、相手に何かすごいなと思わせるものがないといけないと思うわけですね。 ですから、今ほどの大臣の話はまさに私の思うとおりだったというのは、やはり日本人として日本を代表して交渉していくに当たって、相手に、ああ、こういうところはすごいな、この国はすごいなと思わせるためには、自分たち自身のまず足元のことをしっかりと背中に背負って、そしてそれをもって相手と交渉する、こういうことが基本中の基本だろうと。そういう意味で、私は、国語、母国語、そして愛国心というものの重要性を現場の最前線の皆さんに確認させていただいて、そして、想像どおりだったというところは非常に心強い、こういうふうに改めて思っておるところでございます。 そして、この話の先に進みますが、グローバル化というところの中にあって、外交官そして外交に携わる方に求められる資質、これは、私は今こういうものだろうというふうに申し上げましたけれども、それをどのように育成していくか、このお考えについてお聞きしたいと思います。
○上月政府参考人 お答えいたします。 我が国外交を推進していく上で、外務省員の育成は非常に重要なことと考えております。 その中で、現在、国際問題は多様化、複雑化しておりまして、我が国の外交の幅は拡大しております。そういった中で、外務省として、各地域、分野の専門家を育成するということは重要だと考えておりまして、研修の充実や専門性を考慮した人事配置を通じ、専門家の育成に努めているところでございます。 しかし同時に、よき外交官となるためには、外国における十分な経験だけではなく、我が国国内において国内の情勢、政策についても理解を深め、一般的なゼネラリストとしての素養を養うことも必要と考えております。 今後とも、語学、地域、分野ごとの専門性の強化と、そして国内での経験に基づきましたゼネラリストとしてのバランス、これに配慮しつつ、各職員の能力や資質が時代の要請に応じたものとなるよう、適切な人材の育成に努めてまいりたいと思っております。
○吉田(豊)分科員 今の答弁に、もう少しお聞きしたいと思うんですけれども、グローバル化すると専門性というものがより必要になってくるというところは、わかるようでわからないというか、現場からするとそうなんだろう、僕はこう思うんですけれども、日本を代表してという場合に、専門性というのが、例えば地域ということの専門性なのか、それとも経済ですとか文化ですとか、あるいは国際関係の中の特殊部分なのか、こういうことについて、何の専門性なのかということを少しお伝えいただきたいと思います。
○上月政府参考人 お答えいたします。 専門性と申す場合に、一つは、地域の専門性というようなことがございます。先般のISISの事件に見られましたとおり、ああいった中東地域の独特なところをわかる専門家、そして、さきのアフガニスタンの問題なんかではアフガニスタンの専門家、あるいは、ロシア、中国、そしてアメリカ、いろいろなところの地域の専門家。それは、言葉を操り、長年の勤務を経験して実際の人も知っている、そういった裏づけが必要な分野、この専門性として地域ごとが一つございます。 あわせて、外交に求められるところが、いろいろな機能ごとの専門性も随分求められておりまして、例えば国際法の分野での専門性、経済協力の分野で長年培った上での専門性、経済分野の話。 そういった地域ごとの、機能ごとの専門性も養っていくということでございまして、今後の専門性の育成に当たりましては、そういった縦軸と横軸の両方で見ながら養っていく必要があるかと思っております。 外務省員に採用になりますと、それぞれ、外国語を勉強することになっておりまして、その言葉の勉強を通じてその地域をやるというところが、まず地域性になっております。そしてまた、配置を通じて自分の経験を積んでいくという分野ごとの専門性。この組み合わせで外交官が成長していく、こういうことかと存じております。
○吉田(豊)分科員 我が国の外交交渉のリーダーを今務めていらっしゃる岸田大臣、そうすると、非常に長い任期なさっているわけですけれども、その御経験の中で、大臣の専門性というか、私はここが得意だとか、そういう地域というのは出てきているものでしょうか。
○岸田国務大臣 今、官房長の答弁にもありましたように、外交官として、さまざまな分野あるいは語学あるいは地域など、専門性というものが一つ求められると思っています。 私自身、その専門性があるかと言われると、大変お恥ずかしい限りですが、専門性の重要性とあわせて、私の経験からして、外交官に求められるものとして、やはり外交官自身の人間性というものがあるのではないかと思います。 やはり、外交官の人間性。先ほど委員の方から信頼という話もありました。何を語るかということが大事だという話も先ほどさせていただきました。外交官として、人間として、何を思い、何を考え、どう対応するのか、まずこれが基本としてあり、それをより具体化し、そして相手に伝え、そして結果につなげるために専門性というものが大事になってくるのではないか。 このように、外交官としては、一人の人間としての人間性に加えて、先ほど官房長から説明がありましたさまざまな専門性、これが加わることによって、国を代表して外交にかかわる者としての役割、責任を果たすことができるのではないか。こんなことを、私自身、外務大臣を経験する中で強く感じているところであります。
○吉田(豊)分科員 本当にありがとうございます。おっしゃるとおりだなと思うわけです。 私、きょうは、具体的に北方領土のことと拉致とをお聞きしたわけですけれども、きょうの委員会のお話をお聞きしていて、領土問題は非常に難しい問題だというのを改めて感じておるところなんですが、北方領土の日、竹島の日、こうある中にあって、大臣がまさにおっしゃった、交渉のときの人間性、そしてそこから生まれる信頼ということを考えたときに、少し言い過ぎなことを申し上げるかもしれませんが、例えば、竹島の日はキムチを食べる、そして、北方領土の日はボルシチを食う。食うんだけれども、そのときに、やはりうまい、おいしいな、こういうふうに言うということこそが、相手の文化も尊重しつつ、でも食っているんだぞと。こういう部分というのは、日本の交渉を考えたときに、きちっと相手の文化とかそういうことを尊重しつつ私たちは主張しているんだぞと。 そういうところで、何で私は食べ物のことを言ったかというと、例えば、外国に行ったときに日本の食べ物はおいしいねと言われれば、それだけでやはりうれしいという単純な気持ちというのはあるわけですね。こういう人の感情に訴える部分というところから交渉というところも進んでいくんじゃないかな、こういうふうに思いまして、そういう意味での人間性、そして人を信頼していくというところにつながっていくとか、こういうことを、たわ言ながら、私自身が思っておるところでもございます。 きょうは、信頼ということで、本当に現場の皆様のお考えを確認できたということを非常にうれしく思っています。本当にありがとうございます。
○小林(鷹)主査代理 これにて吉田豊史君の質疑は終了いたしました。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕 —————————————
○金田主査 次に、財務省所管について政府から説明を聴取いたします。麻生財務大臣。
○麻生国務大臣 平成二十七年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明をさせていただきます。 まず、一般会計歳入予算額は、九十六兆三千四百十九億円余となっております。 この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十四兆五千二百五十億円、その他収入は四兆九千五百三十九億円余、公債金は三十六兆八千六百三十億円となっております。 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、二十五兆六千五百七十二億円余となっております。 このうち主な事項につきまして申し上げますと、国債費は二十三兆四千五百七億円余、復興事業費等東日本大震災復興特別会計へ繰り入れは五千八百八十二億円余、予備費は三千五百億円となっております。 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げさせていただきます。 国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出いずれも二百六兆八千四百五十四億円余となっております。 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。 株式会社日本政策金融公庫国民一般向け業務におきましては、収入一千七百四十三億円余、支出一千六十七億円余となっております。 このほか、同公庫の農林水産業者向け業務等の各業務及び沖縄振興開発金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付をしてあります印刷物をもちまして詳しい説明にかえさせていただきますので、記録にとどめてくださいますようよろしくお願い申し上げます。 以上、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○金田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま麻生財務大臣から申し出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金田主査 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○金田主査 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代君。
○高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。 久方ぶりに麻生大臣に、そしてまた、同じ東京の菅原副大臣また竹谷政務官に質問をさせていただきます。 分科会でございますので、地元東京の課題を中心に質問をいたします。 まず、東京・府中市の米軍跡地というのがございます。これは、昭和五十六年、米軍通信施設十五ヘクタールが返還をされまして、一部はまだそのままになっております。 これにつきましては、昭和五十一年、国有財産中央審議会で三分割答申、また、六十二年、留保地答申では原則留保、例外公用、公共用利用、また、平成十五年、財政審では、「大口返還財産の留保地の今後の取扱いについて」ということで原則利用、計画的有効利用へと一転をいたしまして、五年程度を目途に土地利用計画を策定するということになりました。その間、二十八年間放置されたというのが現状でございます。現在までに約三十四年間そのままということになっておりまして、相当な荒廃が見られます。 府中市は、こうした流れから、国の要請を受けまして、跡地の利用計画の策定に取り急ぎ取り組んでいるところです。一方で、地元住民からは、環境、特に景観、また防災、健康、治安面から、早急に廃墟建造物の撤去を求める強い要望が寄せられております。 国も含めた最終的な利用計画の策定にはなお時間を要することから、当面の対応を大臣にお願いをさせていただきたいと思います。 まず、利用計画の策定の状況につきまして、簡潔に御答弁願います。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。 御指摘の府中空軍施設跡地でございますが、昭和四十八年から六十一年にかけて米軍より順次返還された財産でございますが、これまで、国の研究所の移転地とする、あるいは国家公務員宿舎を新たに建設するといった利用計画はございましたが、計画途中で中止された経緯がございます。現在においても財務省において管理しているものでございます。 この財産につきましては、現在、改めて、府中市において具体的な利用計画を策定していただいているところでございます。財務省といたしましては、府中市が策定する具体的な利用計画を十分踏まえながら、府中市と相談し、処理を進めてまいりたいと考えてございます。 なお、本財産を処分等するまでの間の維持管理でございますが、不法侵入防止柵の設置、あるいは一日三回の巡回警備の実施、警察当局への重点巡回警備の要請、財務局職員による定期的な巡回、あるいは草刈り等の実施といった措置を講じているところでございます。さらに、昨年度からは、地元からの御要望も踏まえまして、害虫駆除を実施させていただいているところでございます。
○高木(美)分科員 そこで、資料をごらんいただきたいと思います。 まず地図の方ですが、これは、府中駅からも近く、大変利便性の高い場所となっております。周辺は住宅地が主で、府中の森公園とか、周りにも府中市の所有する多くの公共施設等があるところです。 ピンクのところがこの中にあります建造物、赤いところがそのエリアになっておりまして、この周りは金網状況で上の方は鉄線が張られているというところですが、一部切られていたりというところは何カ所かあります。そこで、この一番上のところ、右側の黄色いところが隣接する都営団地になっておりまして、都営団地の目の前が廃墟というのがこの地図から見てとれるかと思います。 そこで、写真の方をごらんいただきたいと思います。 まず、一番、二番、ここは、鉄線が切られまして、ドアも窓も破損している状態が見てとれます。三番もそうです。五番、六番、この様子が都営住宅のすぐ隣、下の十番のところがそうなんですが、実はこの一番手前のカメラを持っているのはうちの西村市議会議員でございまして、この木のすぐ右側のところがもう都営住宅の壁ということです。十一番につきましては、もう民家の隣にこのような廃墟が目の前にあるという状態。そして、十二番につきましては、さっき申し上げた、窓をあけたら目の前が廃墟という、この状態が見てとれるかと思います。 まず、大臣、この状況をごらんになっての御感想をお聞かせいただきたいと思います。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○麻生国務大臣 これは高木先生知らないわけじゃありませんけれども、ここは結構不幸な歴史だったと思いますね。 先ほど役所の方から説明があっておりましたけれども、これは、返還をされて、昭和四十八年から順次返還されていったところなんですけれども、結構利用計画というのはありまして、衛生研究所なんかやろうとしたんですけれども、これは地元が反対した。何かばい菌が飛んでくるとかわけのわからぬ話になって、これはだめになった、あの当時。それが一回目。 その後、それが結構長く続いた後、今度はここにいわゆる公務員宿舎の話が出たんだと記憶しますが、このときは、たしか地元の反対と、それからもう一点は、たしかあの当時は民主党内閣で、公務員の宿舎が何とかかんとかでというので、両方とも、たしかその種の話が来てこれはだめになっちゃったというのが背景だったと記憶をいたします。 そういった意味では、今この宿舎をやるとすれば、それは、最も簡単なことを言えば、これを競売にかけちゃったら一発でなくなりますよ、競売にかけたら。しかし、それは多分府中市は反対なんですよ。 したがって、府中市に断りもなくぱっと一方的に競売にかけるなんかとんでもないという話に多分なると思いますので、これはぜひ、こういったようなものがあるんだったら、私どもとしてはもう、前々から計画がずっととめられた、我々の出した提案というのはとまった形になっておるわけですから、府中市としては、こういうアイデアがあるからこれをしてもらいたいというような話が府中市の方から出てくるような形にしていただかないと、こちらの方から一方的に言うのは、それこそ地方創生やら何やら言っておられるんだったら、こちらこそ、ぜひという案が出てくることが望ましいと思っております。
○高木(美)分科員 おっしゃるとおりだと思います。 ですので、今、府中市の方も急ピッチで利用計画を、ただ、十五ヘクタールの相当広いところですので、そこまで必要かといいますと、この地図にもありますとおり、いまだに利用されているというこのブルーの米軍の通信施設が真ん中にどんとあるわけです。ですから、これを全部一括で競売にかけて、さあというふうにいくかどうかというのも、とてもここは微妙な課題が残る話だと思います。防衛省に確認しましたら、使っていますという回答でした。ですので、ある程度、府中市としては、この部分が欲しいとか、あってもそういう話になるのかな。近くに大きな公園はありますから、これ以上公園は要らない、そういう話は府中市からは聞いております。 ただ、問題は、こうやって三十四年間、どういう事情があったとしても、周辺住民にとってみると、景観はひどい、大臣も御想像いただいて、御自分の家の窓を、大きなお屋敷でいらっしゃるかと思いますが、窓をあけたら廃墟がいつもいつも目の前にある。しかも、住民の方たちからは、虫や小動物が繁殖しやすい、ネズミ、タヌキ、ハクビシン、人畜由来感染症の発生の不安もある。廃墟マニアらしい人が出入りしているようだ。このサイトも見ますと、相当、米軍通信施設の機械室のようなところまで入り込んで写真を撮っている。また、春から夏にかけて、敷地内の雑草や樹木の繁殖によって通行に支障を来している、子供が草で足を切ったとか、夜間などは不気味で近寄りがたいとか、強風のときは廃墟側から何かが吹き飛ばされて降ってくるとか。また、道路ぎりぎりのところでこの廃墟がそびえ立っているので、災害時など崩落しそうで大変怖い、火を投げ入れられたら一気に周辺に延焼してしまう、こういう危険性がずっと残っているわけです。 そこで、恐らく市もそうですが、住民の要望としては、利用計画が決まるまでの間、長期になるのはわかっている、せめて更地にできないだろうか、せめて目の前のこの廃墟のような建物だけでも撤去してもらえないだろうかと。また、ここの通路、周囲の道路が本当に狭くなっておりまして、金網フェンスを少しセットバックして道路を拡幅してもらいたいとか、除草、剪定を小まめにしてもらいたいとか、特に東側の隣接した部分だけでも、これは都営住宅のところですね、ここを何とかしてもらいたいとか、こういう御要望が寄せられているわけでございます。 私も見まして、確かに廃墟建造物の撤去が急務だと思いました。隣接する部分だけでもまず着手をすべきではないか。これまでももう既に、財務省におかれましては、建物倒壊の危険性などの理由で、国有建物解体撤去等、工事を実施した事例はたくさんあります。大臣の御所見を伺いたいと思います。ぜひとも着手をしていただきたいと思います。
○麻生国務大臣 これは、直接、この部分につきましては高木先生御要望があっておりましたので、よく調査をした上で改めて御返事申し上げます。
○高木(美)分科員 ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。この上のところ、北側のところ、ぜひよろしくお願いいたします。 次に、海外赴任者の住宅ローン控除適用につきまして、このような御要請がございました。 それは、夫の海外赴任が五年を経過して、国内帰国命令が発令される対象となりました。御長男が就学年齢に近づいたので、辞令を待たずに家族の帰国を計画して、帰国後の住居の確保のためマンションを購入しました。住宅借入金等特別控除の適用を希望しましたが、税務署の見解は、購入した本人が購入時は非居住者であって、住宅借入金等特別控除の対象者にはならない、購入後六カ月以内に家族が入居したとしても適用されないということだった。 国籍が日本人で、業務の都合で海外に赴任をしているんです、そういう非居住者を適用除外するのはいかがなものか、経済のボーダーレス化に伴い海外で活動する日本国民に対して余りに冷たいではないか、銀行などは、海外で働く日本人に非居住者であっても住宅ローンを組めるように配慮している、柔軟に取り組んでいるのに、旗振り役の国が海外で働く日本人に対してそういう対応であるというのはいかがなものかという話がございました。 契約時に日本に居住していて、一日でも入居して海外赴任した人は対象となりまして、その適用は帰国後ずっと受けられるわけです。余りにこれは不公平ではないかと私も思います。このような事例につきまして、適用できるようにすべきと考えますが、竹谷政務官の答弁を求めます。
○竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。 高木委員の御発言の中にありましたように、住宅ローンの控除は、国内において住宅を取得した居住者がその取得後六カ月以内にその住宅に居住した場合で一定の要件を満たすときに適用が受けられることとされており、非居住者は適用を受けることができないということになっております。 委員の御指摘、非居住者である期間に日本で住宅を購入した場合であっても住宅ローン控除の適用を認めるということにつきましては、海外駐在員の方などが日本へ帰国して居住者となった場合に、その時点から適用を認めることとすべきかどうかということが検討課題となってまいります。 その場合、居住者となる時期次第、つまり、いつ戻ってこられるかということで適用の有無が変わってきますため、いかにして公平性を担保するかということが課題であり、こういった課題をクリアできるかということについて十分に検討する必要があると考えております。
○高木(美)分科員 先ほど申し上げましたように、購入したときに、契約したときに日本にいる、そして一日でも入居する、その方が海外赴任されても、帰った後から、三年間とか二年間とか、きちんと適用されるわけです。 ところが、海外赴任していた、日本に戻ることになった、やはりいち早く、御家族の御都合もありますから、そういう方たちが先に帰るために住宅ローン契約を結ぶ、購入をする。当然、住宅ローンを組まなければ購入できないというサラリーマンがほとんどですから、そういう形をとる。ところが、その人は全く、ずっと一生その適用を受けられないというのは、これは大臣、余りに不公平で、財務省はさらに御検討いただかなければいけないんじゃないかと私は思うんですが、一番グローバルで活躍してこられた大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 先生、これはやはり公平性の確保というところが一番最後にひっかかるところだと思いますので、これは検討させていただきます。
○高木(美)分科員 大臣の検討させていただきますというのをそのまま信じていいかどうかというのは、先ほどの御答弁から……(麻生国務大臣「信じていいですよ」と呼ぶ)そうですか。では、今そうだとおっしゃっていましたので、麻生太郎大臣のお言葉ということで、ぜひとも前向きにお願いしたいと思います。 安心して赴任できる、じゃないと、一時期、それこそ一年間帰ってこなければ購入できないとか、これでは企業も安心してその人に行けという発令が出せなくなるわけでございまして、何らかのそれは条件とか、また、例えば会社からの申請とか、こういう公的な何かを担保していただくということもあろうかと思いますけれども、そこはまたぜひ大臣、御検討を重ねてお願い申し上げます。 最後に、都市農業、生産緑地につきまして質問をさせていただきます。 都市農業につきましては、市街化区域内農地、これは、都市計画法におきましておおむね十年以内に宅地に転用されることが前提とされております、それを、生産緑地法によりまして、あくまでも経過措置として農地として維持するという構造になっております。そのため、当面の営農継続に必要な支援策は実に短期的な措置にずっと限られてきたんです。いつかは、十年ぐらいで全部宅地化しなければいけない。 そうして、あの高度成長期、バブル期、そのときには、ともかく地方からたくさん来る方たちに住宅を提供する、そういう要請にずっと縛られてまいりました。しかし、もう宅地供給が必要な高度成長期は終わりまして、東京も住宅がたくさん余っております、空き家もふえております。そういう中で、今は、地方創生、また人口減少に伴いまして、都市農地が果たす役割も変化をしてきております。 都市農地は、実は、地産地消とか、また環境とか防災とか、そしてまた食育とか、多面的な機能を持っております。むしろ、ここは平米当たりの収穫高が実は日本一高いというのも、この都市農地、ずっと工夫しながら皆様が営農してこられた、その一つの結果でございます。都市農地は、これからの時代は、むしろ、住民の社会的共通資本という認識で、人に優しいまちづくりに大変大きな役割を果たすというふうに私も考えております。 そこで、こうした都市農業の振興を図ることは重要な政策課題であるということは自公で共通認識を持っておりまして、既に議員立法といたしまして都市農業振興基本法案を、昨年の十月三十一日、自公PTで取りまとめまして、与党政策責任者会議も通過をいたしまして、今、各党に働きかけて今国会における成立を期しているところでございます。 この基本法案の中には、政府は、都市農業の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上または金融上の措置その他の措置を講じなければならないということを書かせていただきました。こうした検討の内容は、二十七年度の与党税制改正大綱にも検討項目として盛り込まれたところでございます。 また、舛添東京都知事からも、政府に対して都市農業振興に関する要請が行われたばかりでございます。 振興策は、もちろん、国交省、農水省、それぞれさまざまなものを所管しております。でも、一番のこの肝は、税制特例措置、これを受けられるかどうかというところでございまして、この適用範囲の拡大に負うところが大きいというのが私ども自公で携わったPTの最終結論でございました。 こうした議員立法の趣旨も踏まえまして、市街化区域における小面積の農地についても評価すべきだと考えます。今は生産緑地制度の面積要件がございまして、五百平米以上というふうになっております。こうしますと、例えば、隣の土地と一緒に合計によって面積要件を満たして、五百平米を一生懸命やっている、そこでおいしいトマトとかコマツナとかをつくっている、そういう場合に、隣地の所有者がもうこれ以上自分はやりたくないと営農を断念するというときには、もう一方の所有者はやりたくてもやれない。今、そういう状況がずっと続いております。 ですから、五百平米ではなくて、三百とか二百とか、そういうふうに下げていくべきだと考えておりますし、またそれは、そのように都市計画法上、面積要件の緩和はされたとしても、そこに税制上の特例措置がついてこなければ、やる意味はないということになるわけでございます。 このような内容につきまして、本来は、この平米要件ももう、先ほど大臣がおっしゃったように地方自治の、地方分権の時代ですから、自治体が自由に決められる、こうするのが一番望ましいんだと思うんです。どのようにまちづくりをするか、そういう考え方から進めていくのが一番妥当かと思います。 まず、この面積要件の緩和とあわせて税制上の特例措置、どのように考えるか。実は、都市農業振興PTの私は今座長を務めておりますが、その前、事務局長でずっと取り組んでこられたのが竹谷政務官でございまして、政務官の答弁を求めます。前向きにお願いいたします。
○竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。 高木委員御指摘のとおり、地価が高い都市部におきましては農地に係る相続税の負担が大変大きく、都市農業の振興に当たっては相続税を初めとする税制が重要な役割を果たすということにつきましては、十分に認識をいたしております。 御指摘のとおり、現行制度上、三大都市圏の市街化区域の農地につきましては、生産緑地の指定を受けたものに限って相続税の納税猶予が適用される仕組みとなっているところでございます。これは、市街化区域の農地については、生産緑地指定を受けたものは保全する一方で、それ以外の農地は宅地化すべきものと整理されてきたことによるものでございます。 しかしながら、今般、高木委員の御発言にありましたとおり、政府・与党におきまして、都市農業の振興を図るという観点から、市街化区域の農地の位置づけとその利用のあり方を見直すことが検討されているものと承知をしております。 市街化区域の農地に係る相続税の納税猶予のあり方につきましては、こうした政府・与党による都市農地の利用のあり方についての検討の結果を踏まえて、平成二十八年度改正以降、見直しをしていくことになると考えております。
○高木(美)分科員 重ねて大臣の御所感を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 今、竹谷政務官の方から御答弁申し上げましたように、これは来年度、二十八年度以降の与党税制改正の中で検討するということになっておりますので、見直していくことになるんだと思いますけれども、今この場でいつというのは申し上げられませんけれども、二十八年度の税制改正の中で検討させていただきたいと存じます。
○高木(美)分科員 あわせて、二十七年度から相続税の税制改正になります。これがことしの年末の大綱策定までずっと、もう既にスタートするわけでございまして、それから考えると、やはりことしの年末の税制改正大綱取りまとめのときには何らかの結論を示していくというのが重要ではないかと思っております。私どもも、この議員立法の成立に向けまして自公で全力を挙げてまいる決意でございます。 もう一点、一般の農地と同様に、都市農地につきましても貸借できるようにしてもらいたいという強い要望があるんです。例えば、市民農園とか、また農業生産法人がやる場合とか、そういうときに相続税納税猶予制度を適用してもらいたいという強い要望でございます。確かに、これがありますと安心してこれを継続することができる。当然、障害を負うとか、それから末期のがんになるとかというときにはさまざまなシステムは組み込まれておりますけれども、ただ、それではなく、むしろ兼業とか、さまざまな状態もありますので、ここをもっとオープンにすべきではないかと考えます。重ねて、竹谷政務官、お願いいたします。
○竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。 先ほどの問題と根源が同じということでございますので繰り返しになってしまいますが、現行制度上、市街化区域の農地は原則宅地化すべき農地であると整理されており、農業の振興の観点から設けられている貸借についての特例措置が講じられていないことから、税制についても、貸借を行う場合には相続税の納税猶予の対象となっていないというところでございます。 しかしながら、今般、政府・与党において、都市農業の振興を図る観点から、市街化区域の農地の位置づけとその利用のあり方を見直すことが検討されていることと承知をしております。 御指摘の貸借の問題も含め、都市農業に係る相続税の納税猶予のあり方については、こうした政府・与党による都市農地の利用のあり方についての検討の結果を踏まえて見直していくことになると考えております。
○高木(美)分科員 あともう一つ皆様の強い御要望は、死ぬまで農業をしなきゃいけない、そうしないとこの相続税の特例措置は受けられないというところが、大変つらい思いが皆さんあられるようで、そこまでやるのかというその踏み絵を踏んで、私は親の生産緑地を守りますというのを二十代とか三十代に決めるわけです。それからずっと五十年、六十年、死ぬまで、今長寿命化していますので、もう少しそこは、中小企業はある程度配慮もありますけれども、そのような形も組み込むべきではないかということも検討をぜひともお願いしたいと思っております。これこそ一般の農業とのまさに公平性にかかわるところが大だと思いますので、総合的に御検討をお願い申し上げます。 以上で終了いたします。ありがとうございました。
○金田主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。 次に、武正公一君。
○武正分科員 民主党の武正でございます。 久しぶりに大臣とこうして委員会でお目にかかって質疑をさせていただきます。 今、お手元の方に資料を配らせていただきました。民主党政権時代から、中古住宅市場の活性化、そして住宅の評価を適正に行おうということで成長戦略に位置づけ、また、政権がかわってからも、日本再興戦略にも位置づけられていると承知をしております。 大臣は金融担当大臣でもありまして、分科会は別な分科会ということなんですが、兼ねてもおられますので、金融庁さんもこのラウンドテーブルに御参加をいただいて、もう間もなく最終報告が取りまとめられるというふうに伺っております。きょう、お手元の方には、その中間報告の資料の抜粋を持ってまいりました。一ページ、二ページ、三ページということでございますが、国交省からお見えでございますので、政務三役、この今の経過、そしていよいよもう最終報告ということですが、御報告をいただけますでしょうか。
○うえの大臣政務官 人口減少、少子高齢化が進む中で、既にある住宅を活用していくということは非常に大事だと思います。 御指摘のように、中古住宅市場の活性化に向けた課題の一つとして、中古住宅が取引市場において適切に評価されないというようなこともございます。 中古の戸建て住宅につきましては、税法上の耐用年数などを参考にして、住宅の状態にかかわらず、一律に築後二十年から二十五年程度で市場価値がゼロになるというような取り扱いをされるのが一般的でございまして、こうした問題もございますので、私どもとしては、きちんと手をかけた建物が評価されますように、平成二十六年三月には、中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針を策定したところでございますが、さらに、委員御指摘のとおり、民間金融機関や不動産、リフォーム関係の事業者の代表者が一堂に会して、中古住宅市場活性化ラウンドテーブルを設置いたしまして、この指針の考え方が市場に定着するように、そのための努力をしていきたいというふうに考えています。 これにつきましては、平成二十五年度、また二十六年度に集中的に取り組んでいるところでございますが、本年度末にこれまでの議論を取りまとめさせていただいて、報告書として公表させていただきたいと考えておるところでございます。
○武正分科員 今、国交省さんの取り組み、金融庁も一緒にということでございますが、日本再興戦略の中にもこのように書かれております。「都市・住環境の向上」、これは、平成二十五年の方、最初のアクションプランですね。「透明性・客観性の高い不動産市場を実現するため、各種の不動産情報やその提供体制の整備、国際基準を踏まえた不動産の評価基準の整備等を行うとともに、フロー拡大からストック充実に向けて質の高い多様な住宅ストックの形成を図るため、既存住宅のインスペクション(検査)や長期優良住宅化のための基準等の整備、既存住宅の建物評価に係る指針策定等を行うことにより、居住面の環境整備を促進する。」ということで、今のこのページでいいますと、今政務官が言われたのは三ページ目に当たりますかね。この上に出ておりますように、「流通市場において、戸建て住宅が一律に経年減価し、築二十から二十五年程度で市場価値がゼロとなる慣行が存在。」 これは、欧米では手入れをすれば建物価値が上がっていくというようなこととの比較がよくされて、この間、政府でも取り組みということでありますが、大臣、この点について、もし御所見を伺えればと思います。
○麻生国務大臣 武正先生、所見ということで、私、学生時代にイギリスに住んでいたんですが、住んでおりましたその小さな小さなマンション、築二百五十年。ですから、十八世紀のころからあったという小さな三階建てみたいなところにみんなで間借りしているんですけれども、基礎のところに、えっ、これが二百五十年前かいと思った記憶があるんです。 建物が壊れないから、初代が土地を買って、二代目がうちを建てて、三代目が家具を入れて、あとはやることがないから、ざあっと五代、六代とつながってストックがたまっていくから、フローでは金がなくてもストックでは金がたまっているというのが多分ヨーロッパなんだと思うんですね。 日本のうちはそれは建たないんですかと聞いたら、当時、木造ですからという木で鼻をくくったような返事をしたのが建設省の役人だったので、では、ちょっと伺いますけれども、東大寺って、あれは木造ですよねと。東大寺は、あれだけ長いこと、一千数百年もって、最近の建造物は建たないんですか、では、最近の技術の方が落ちたということですかと言ったら、物すごく嫌な顔をされて、へ理屈は言わぬでくださいと。いや、現実を言うておるんですと。僕が建造物に最初に興味を持ったのはこれです。 それから今日までいろいろやらせていただきましたけれども、日本で豊かにならぬ一番大きな理由は、うちというストックが蓄積していかないということが継続されていかないということなんだと思っております。 したがいまして、私は、これが二十年たったら価値がゼロになるというんだったら、せがれがためた金はまた全部うちをつくらないかぬというのではなくて、やはり中古住宅というものの価値を正式に査定してもらえるようなきちんとした機関というものがありさえすれば、武正さんのあのうち、おやじは死ぬんだから、あのうちをちょっと売ってやという話で、そのうちを幾らで評価してくれるか。 となると、そのうちをきちんと評価してもらうためには、水回りとか屋根とか、そういったところを十年とか二十年に一遍きちんとやっておいてくれさえすればそのうちの値打ちは下がらぬわけですから、それはアメリカなんかはみんなやっていますし、そういった意味で、いかに自分の住んでいるうちを出ていくときに高く売れるかというために手間をかける。ペンキを塗るというようなことを評価してくれるところがやはりないんですよ。だから、相続した途端に、どんな立派なうちでも、全部建て壊して平地にしなきゃ財務省は受け取らぬわけです。 そういった意味では、やはりきちんとしたものをつくっていくというのが、日本の国をより豊かにしていく一番大きな根本がこれかなと、基本的にはそう思っております。
○武正分科員 まさにそのとおりで、この夏、また財政再建の考え方をまとめていく政府においても、また、社会保障と税の一体改革を三党で進めて今日に至っている中でも、全てやはり所得と資産というものもあわせて考えていかないと、なかなか、所得だけ、あるいは負担だけ、そして資産は別にといったところも当然出てくる話でありますので、この中古住宅の適正評価ということで、今のインスペクションのお話では、三ページに出ておりますように、不動産鑑定評価、宅地建物取引業者の査定ということで二業種出ておりますけれども、こういったインスペクションの重要性ということで、後でまたこれは、加えて損害保険業もあるんじゃないのかということは伺わせていただきたいと思います。 そこで、四ページをお開きいただきますと、先ほど、評価がどうなんだというお話で、二十二年で建物評価がゼロになってしまうと。この一つ大きな理由に、財務省さんが策定されている減価償却の耐用年数が大きな影響を与えているのではないのかと言われております。特に金融機関の評価などもそれが当てはまるということで、この二十二年ということは、特に現行の住宅の、一番右の二十二年、これがそれに符合するのではないのかと言われておりまして、昭和四十一年、平成十年、現行ということで、財務省においてはだんだんと耐用年数を短くしてきております。 その理由というものが、特に事業者からすれば、減価償却の年数を短くして、それによって経費に対する税処理の分を大きくとりたい、経営を楽にしたい、経営者からのそういった発想はうなずけるところはあるんですが、これをやってきたことによって、国民の貴重なストックである資産が過小評価されることにつながっているのではないのかということを持つわけです。 これについて、財務省とすればどういうお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 今お話がありました中古の戸建ての価格評価に当たりましては、法人税法上の耐用年数というのを参考にして利用されているという指摘があるというのは承知をいたしておりますが、このような、住宅状況にかかわらず、税制上の耐用年数を参考に建築後の年数に応じて一律に住宅価格を下げていくというような価格評価のあり方というものにつきましては、所管の国土交通省において問題意識を持っておられて、改善に向けた検討が行われていると承知をいたしておりますので、こうした取り組みの成果が上がるということを私ども期待をいたしております。 また、委員の御指摘、住宅地における価格評価の適正のために税制上の耐用年数というものを見直すべきだというように伺いましたけれども、税制における耐用年数というのは、課税所得を計算する際の適正な費用配分を行うという観点から、原則として、資産本来の用途とか用法によって使用できる年数というものを効用持続年数とかいろいろな表現をしていますけれども、そういうものになっておりますので、費用配分の期間としては、余り長期になり過ぎないという観点を踏まえて決定されておるとは思いますけれども、あくまでも税制上の見地から設定されているものではないというように御理解いただければと存じます。
○武正分科員 たしかイギリスではこういった住宅に対しての耐用年数というのがないと伺っていますし、あと、フランスとか欧米の各国は、日本よりは長いけれども耐用年数はあるということですから、耐用年数よりも、住宅の平均寿命というんでしょうか、これが六十年、七十年、八十年というイギリスあるいはヨーロッパなどの話からすると、必ずしも耐用年数と一致するわけではないですが、これまでは大変大きな影響を持ってきたというふうに思います。 そこで、総務省からもお見えいただいておりますが、財務省の決めた耐用年数が、建物、住宅に対する固定資産税評価に影響があるのではないかというふうに思いますが、この点について伺いたいと思います。
○あかま大臣政務官 固定資産税における家屋の最終残価率に到達するまでの経過年数は、課税主体となる家屋の建築後の年数の経過に応じた減価を評価に反映するために定められております。 具体的には、家屋を継続して居住または使用するために必要な維持改修を加えながら保有し続けている場合において、家屋としての効用を発揮している限り、保持し続ける最低限度の価値を最終残価として定め、これに到達するまでの年数を家屋の構造、用途別に定めておるものでございます。 一方で、法人税の減価償却は、企業が固定資産に投下した費用を、その使用可能期間として設定した年数にわたって費用配分する税務会計上の制度でございます。この使用可能期間については、投下費用の回収期間であることを踏まえ、政策的配慮も加えられているものと承知しております。 したがって、趣旨、目的を異にする別な制度のもとにおいて、必ずしも法人税における法定耐用年数と連動するものではないというふうに思っております。 一方、国土交通省において、中古住宅に係る建物評価の改善に向けた指針等が作成されるなど、中古住宅を取り巻く状況も変化しておるものと承知をしております。そうしたことも踏まえながら、経過年数についても、建物の実態等の変化を踏まえて、そのあり方等をこれからも幅広く研究してまいりたいというふうに思っております。
○武正分科員 固定資産税の評価と耐用年数は連動しないというお話なんですけれども、事前にいただいております固定資産税の評価について、例えば木造については、昭和三十九年に決めました、これは点数でいろいろ住宅を分けているんですが、三万点以上という点数での経年減点補正率、これは経過三十年で〇・四六となっておりますが、昭和四十八年には、同じく木造については三十年経過で経年減点補正率は〇・三四ということで下げられております。これは、先ほどの耐用年数でいう、昭和四十一年の耐用年数の見直しの影響を受けたというふうに聞いております。 また、平成十年で改正をいたしておりますが、平成六年の土地バブルのときの居住用住宅などの固定資産税の減免措置のときに、あわせてそうした経過年数に応じた見直しをやはりしているということでありますから、完全に一致しないということではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○あかま大臣政務官 固定資産税の経過年数と法人税における法定耐用年数の関係性の有無ということだろうというふうに思っております。 固定資産税の経過年数と法人税の法定耐用年数の関係は、確かに委員御指摘のとおり、平成六年度の評価基準の改正により、経過年数と法定耐用年数がほぼ一致していたこともありますが、平成十年三月の大蔵省令の改正によって法定耐用年数が短縮されたため、現在は一致をしておりません。 また、平成十年三月の大蔵省令の改正は、建物の使用実態はともかく、投下資本の費用配分の期間としては従前の最長六十五年では長過ぎるということで、税務会計の立場からは投下資本の回収期間をより短縮すべきという政策的な観点から行われたものであり、通常考えられる維持補修を加えた状態において家屋として効用を発揮し得る最低限に達するまでの年数としては適当ではないと考えられたため、固定資産税の経過年数の短縮は行われておりません。 以上です。
○武正分科員 平成十年の話はそうですが、昭和四十一年のこと、そして平成六年の見直しということでありまして、法人税の耐用年数に固定資産税の評価が符合する形で減価をしてきたということでありますので、やはり法人税の耐用年数というのは非常に大きな影響があったというふうに私は思っております。 そこで、あわせて、先ほど二十二年というふうに言っているんですけれども、実は、土地建物の譲渡に係る譲渡所得の計算方法では、売却した土地や建物を買い入れたときの購入代金や購入時の仲介手数料などの合計について、売却した建物が自己の居住用などの非事業用資産である場合、事業用資産の耐用年数に一・五を乗じた年数により計算をしていると。ですから、木造住宅の場合、三十三年で計算をしているそうです。これは財務省に伺ったんですけれども、この点についてちょっと確認をさせていただいて。ですから、本来であれば、居住用の住宅は二十二年ではなくて三十三年であるというようなこともこのことから言えるわけなのです。 ですから、もし仮にこの耐用年数をもとに市場流通する中古住宅の価値がゼロになる年限を二十二年とするのであれば、居住用の住宅は三十三年だよというようなことも言えるのではないかと思いますが、この点について御紹介をいただけますでしょうか。財務省、いかがでしょうか。ちょっとわかりませんか。
○麻生国務大臣 武正先生、今の話は、御質問の話だけなので、どういう事情があるかちょっとよくわかりませんので、通告がなかったのでこの場では御答弁いたしかねますけれども、後に調べて御返事申し上げます。
○武正分科員 私からの紹介にとどめさせていただきます。 居住用の住宅については、事業用資産の耐用年数に一・五を乗じた年数により計算をしている。ですから、二十二年ではなくて三十三年で課税譲渡所得は計算をしているということですから、仮にこの耐用年数をもとにすれば、三十三年といったこともあろうかというふうに思うわけであります。 そこで、次に移りたいと思いますが、先ほど触れましたインスペクションということでありますけれども、三ページに書いてあります。今、年度末に向けて、先ほど国交大臣政務官がお話しになったように、最終報告書の取りまとめの中で、特に不動産鑑定士さん、あるいは、今度士(さむらい)になったわけですが、宅地建物取引士さん、それぞれにこうしたマニュアルとか基準づくりをお願いしているということであります。 それぞれ、先ほどもお話があった検査、評価、あるいは、この中で、「建物を基礎・躯体部分と内外装・設備部分に区分」と、三ページの右側、中段の四角囲いにあります。また、「基礎・躯体は性能に応じて二十年より長い耐用年数を設定」とか、「適切な内外装・設備の補修等を行えば、価値が回復・向上」ということであります、指針でありますが。これをしっかりと見ていただく、評価をしていただく不動産鑑定士さん、それから宅地建物取引士さん、ぜひ取り組みを、これは国交省、そしてまた特に金融庁ということでお願いをするわけであります。 先ほどちょっと触れましたが、米国などでは、インシュアランスのエージェンシー、損害保険代理業が、非常に社会的に地位が高いというんでしょうか、そういった中で、火災保険なども当然担当する損害保険代理業というものが、こうした建物の評価についても大きな役割を発揮するのではないのかというふうに思うわけです。 ですから、ここでは不動産鑑定士さんそして宅地建物取引士さんということに限定をされておりますが、私は、いろいろな方々がこの建物の評価にかかわっていくべきではないか、そして中古住宅の価値を適正に評価する、そうした取り組みが必要ではないかと思うんですが、損害保険代理業がこうしたところに参画をすることについての御所見について伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 これも通告がなくて、今いきなり御質問をいただいたのですが、最初に御質問のあったところの答えと基本的にはほぼ同じ答えになろうと存じます。 いわゆる第三者機関がきちんとしたものを、これはちょっと、民間でできるかどうか、何らかの形で役所がかまないと難しいかとは思いますが、いわゆる今の損害保険、火災保険はもちろんのこと、住宅建設をきちんと見切れる等々のことをやれる人たちによってきちっとした中古住宅の評価をしてもらって、遺産相続のときでも、それを売るときには、政府に物納するときには、立派な建物でも壊して平地にしないと政府は受け取らないということになっておるわけですから、そういったものをきちんとした評価のついたものにしてもらえば、そのうちを買います、いいうちだからというので、例というのはもう幾つも、亡くなった世田谷の今西さんのうちとか、今西の森と言われた立派な土地でしたけれども、あれは、全部木を切り倒して、うちも全部倒して平地にしたという史上最悪の相続だった、僕はそう思っています。 ああいった例を引くまでもなく、きちっとそういったようなものも評価されるべきものを残すためには、やはり今言われたような、評価をする、協会というんですか、そういった組織をつくった上で、そこが、武正のうちはこう、同じうちだけれどもこっちの方が安い、なぜならこっちは十年前に水回りがちゃんとしてあるからとか、こっちは瓦がちゃんと打ちかえてあるからとか、こっちは壁紙がちゃんとし直してあるからとか、きちんとそういったのを評価して、それで売ってくれるというのをつくらないと、やはり信用のないところでやると、不動産屋が入ってくると、何となく、またあいつらだますんじゃないかとか、いろいろなことを考えるのが、普通そういった意識になりますので、そういったものをきちんと組織としてつくっておく必要があるのかなという感じがいたします。
○うえの大臣政務官 インスペクションの話が出ましたので、国交省の所管の立場から若干御説明をさせていただきたいと思います。 委員が最初にお話しになった不動産鑑定評価を適正にしていくということ、これは、まず、ラウンドテーブルとも連携をしながら、私どもとしてしっかりとやってまいりたいと思います。 加えて、住宅の現況がどうなっているかということにつきましては、インスペクションということで、これも大変重要な役割を果たしております。 現在、平成二十五年の六月に、基礎的なインスペクションに関して共通して実施することが望ましい事項をガイドラインとして取りまとめまして、これに基づいて、民間においてインスペクションの実施者の育成というものが進められているところでございます。 より一層の普及が図られるようにこれからも進めてまいりたいと思いますが、このインスペクションを実施するに当たりましては、やはり住宅の建築や劣化あるいはふぐあい等に関する知識、あるいは検査の実施方法や判定に関する知識と経験が求められるというような観点から、建築士さん等の一定の資格を有していること、あるいは住宅の検査に係る実務経験を有していること等を先ほどのガイドラインの中でもお示ししているところでございまして、今後、国交省としては、この方向に沿って検討を進めてまいりたいというふうに考えています。
○武正分科員 本委員会は金融担当大臣の分科会ではないのでなかなかお答えしづらいとは思いますが、二業種に限らず、損害保険代理業なども含めて、金融庁もラウンドテーブルのメンバーですので、ぜひ幅広くお取り組みをお願いしたいというふうに思います。 なお、五ページをごらんいただきますと、これは、固定資産税の評価が、この二十年で、土地よりも住宅の方が評価が高くなっております。となりますと、これから中古住宅の評価を上げていくと、イコール固定資産税が高くなるというおそれがありまして、こうすると、何のことはない、中古住宅の評価が上がったら、イコール税金が高くなっちゃったら、これじゃ中古住宅の評価を高くしなくていいよという阻害要因になりかねませんので、この点も御配慮いただきたいというふうに思っております。 そこで、もうあと時間が限られておりますので、六ページをごらんいただきまして、財政再建のお話に移らせていただきます。 これは、内閣府が二月に発表しまして、二〇二〇年プライマリーバランス黒字化といった点からいうと、ちょっとこれは表が違っていたかもしれませんね、九兆四千億円というマイナスだということでございます。 それについては七ページをごらんいただいた方がいいと思いますが、七ページの方で、「国・地方の財政の姿」ということでありまして、プライマリーバランス、二〇二〇年マイナス九・四兆円ということですね。こちらの表の方がよかったですね。国がマイナス十三・九兆円、地方がプラス四・五兆円ということでございまして、国と地方を合わせてプライマリーバランス黒字化ということでいきますと、国が赤字基調、そして地方が黒字基調ということになっております。 そして、さらにページをめくっていただきますと、八ページには、国はこうした連結財務諸表を、もう十年ぐらいになりますか、つくっておられます。国あるいは国に関する組織のお金また資産、そしてまた、ストック、フローの流れが非常によくわかるということであります。 片や、地方自治体、総務省におかれては、九ページにありますように、各自治体に統一的な基準を周知されて、そして、ことしから三年間、移行期間の間に統一的な基準による財務書類を作成するということを立てておられます。 私は、この夏に政府が新たに財政再建の考え方を示すということであれば、国が今つくっている連結財務諸表を、やはり地方自治体も統一で全体をまとめていただいて、そして国と地方を合わせた連結財務諸表を示していくことが、この二〇二〇年プライマリーバランス黒字を目指す具体的なお金の流れを国民の皆様にもわかりやすく示すことになるのではないかというふうに思うんですが、財務省そして総務省、それぞれ御意見を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 国と地方の財務諸表、いわゆる一般でいいます帳簿というか簿記というか、比較貸借対照表ができるという、国の場合はなかなかさようなわけにはいかない理由はもう御存じのとおりで、徴税権とか造幣権というのは一体幾ら資産に計算するんだというのはなかなかできませんので、そういうのができないのは御存じのとおりなんですが、それでも財務諸表というのを平成十五年ぐらいから始めておるところです。 今、国と地方、約一千八百ぐらい地方公共団体があるんだと思います。この財務書類が整備をされているということが前提になるわけなんですが、全体の中で、一千七百八十九団体中で、今まだ財務諸表ができていない、手がついていないという地方団体というのが五十八団体と聞いております、今は少し進んでいるのかもしれませんけれども。 いずれにいたしましても、国と地方公共団体の間でそれぞれの重複分を相殺しないといけませんし、そういった連結の財務書類を作成するというのは、これは実務的な課題というのをかなりクリアせないかぬということになるんだと思いますが、こうした中にあって、地方公共団体について、たしか、ことしの一月に総務省の方から各地方公共団体に対して、原則として平成二十九年度までの三年間で全ての地方公共団体において統一的な基準による財務書類を作成するよう要請があったと聞いております。 このように、統一的な基準による財務書類が整備されていない今の段階で国と地方を合わせた財務書類と言われても、確たることを申し上げることは困難ですが、まずは、地方公共団体においてそれをきちっと整備して、それも、各地方公共団体、大分色柄がありますので、かなりいいかげんなものが出てくるかもしらぬから、それをきちんとしたものにしてもらわぬと、後で全部合わせると一番最後のけつが合わなくなったりしますので、そういったようなこともきちんとやっていただくというようなことの整備の状況を、まずは私らの立場としては見守らせていただかないかぬというところだと存じます。
○あかま大臣政務官 総務省といたしましても、今御指摘のありましたとおり、今後三年間においてという話でございます。 まず大前提として、地方全体の財政状況の把握、これは大変大事なことでございますし、また、財務書類の比較可能性を確保する、これは大事な観点であり、その上で、財務書類のデータを全国的に集計する、このことは重要な課題だというふうに認識をしております。 現在、この全国集計の前提となる統一的な基準による財務書類の作成を全ての地方公共団体ができるように、また円滑に進められるように努めているところでございます。まずはこのことに努めることによって、その以降というものが見えてくるんだろうというふうに思っております。 以上です。
○武正分科員 財務省は発生主義で、総務省は、発生主義とあわせて期末と両方認めているということなんですが、これを統一していくには、やはり発生主義でそろえて、国、地方を合わせた財務書類をつくっていただくことをお願い申し上げまして、質疑にかえさせていただきます。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。 次に、宮崎岳志君。
○宮崎(岳)分科員 第三分科会での質問をさせていただきます。本日は、ちょっと未熟でございまして、内容が盛りだくさんになってしまいましたが、お許しをいただきたいということでございます。 まず、東京オリンピックの会場計画の見直しについてお伺いをしたいというふうに思います。 東京オリンピックについては、建設費の高騰などを受けまして、会場計画の見直しが進んでおります。そのうち、自転車のトラックレースについては、東京の有明に仮設会場を設けて行う予定でしたが、費用圧縮のために方針転換を図っているというふうに伺っております。 私のふるさとでございますけれども、前橋市にグリーンドーム前橋という施設がございまして、一九九〇年に自転車の世界選手権トラックレースが開催をされているというようなところでございます。会場計画の見直しということで、前橋市においても誘致の声が上がりまして、山本前橋市長を先頭に取り組んでいるところでございます。経済界からも、商工会議所を中心に期待の声が大変強いというところでございまして、私も応援をしているわけであります。 それに関連して、自転車のトラックレースの会場の見直し状況についてお伺いをしたいと思います。 また、会場整備については、国、東京都、また組織委員会などがそれぞれ費用を負担するというようなことになっていると思うんですけれども、会場が東京の外に出た場合、また状況もいろいろ変わってくると思うんですが、それらの負担のあり方はどのようになるのか、教えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○芦立政府参考人 お答え申し上げます。 東京都におきましては、現在、自転車競技会場を、今委員御指摘のとおり、都内から他の場所へ移せないかということで検討していると承知いたしております。 ただし、これにつきましては、まず国際自転車競技連合という競技団体が了解をし、さらにその上で国際オリンピック委員会、IOCが了解するという段取りが必要になっているところでございますが、現状においては、まだこの了解をいずれもいただいていないという状況にあるということのようでございまして、したがいまして、まだ具体的にどの場所でということまでは議論が進んでいない状況にあるというふうに認識をいたしているところでございます。 またもう一点、費用負担の問題についてお尋ねがございました。 大会の費用負担につきましては、平成二十三年十二月の閣議了解がございまして、施設の新設、改善その他の公共事業については、その必要性等について十分検討を行い、多様な財源の確保に努めつつ、その規模を通常の公共事業費の中での優先的配分により対処し得るものとし、国庫補助負担等国の財政措置は、通常のものとするものということが決められております。まずこれが原則になるというふうに考えているところでございます。 また、今後、具体的にどういう移転、場所が変わるかということにつきましても、まず東京都と施設の設置者との間での議論があって、その上で検討されることになる、かように考えているところでございます。
○宮崎(岳)分科員 そうしますと、確認でございますけれども、競技会場については、どこがというよりは、まず、そこから移していいかということについてIOCなり国際的な競技連盟なりに了解を得る、そして、その許可がおりてから、その後、場所の選定を始める、この理解でよろしいんでしょうか。
○芦立政府参考人 手続そのものは、IOC、国際競技団体との話になりますので、全く具体的な施設がなく了解をとるかどうかというのはございますけれども、現時点においては、少なくとも何も決まっていないというふうに聞いているところでございます。
○宮崎(岳)分科員 東京近郊では、自転車トラックレースの開催可能な会場というのは、静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームと群馬県のグリーン前橋のほかにはないということなんですけれども、伊豆の方は、世界標準二百五十メートルのトラックを備えておりますが、常設の観客席が千八百しかないというところがネックであります。また、グリーンドーム前橋は、常設で七千六百席あるので、この点は有利なんですが、バンクは三百三十五メートルということで、この点については改修が必要になります。両方とも改修が必要であるということだと思います。 ただ、一九九〇年、自転車の世界選手権をグリーンドーム前橋で開催した際には、二百五十メートルの仮設バンクを設置して開催をしているということでありまして、改修費用では恐らく前橋の方が安上がりであろうというふうに考えるところであります。 また、交通の便においては、新幹線あるいは高速道路とかがありますので、東京から一時間十分から二十分程度で到着可能。北陸新幹線も開通して、そちらからのアクセスも飛躍的に向上したということで、私どもは前橋への誘致を展開していきたいというふうに思っておるところでございます。 一九九九年には、世界の室内陸上選手権も開かれているということで、国際的な開催のノウハウもあるというようなことだと思います。 私どもとしては、そういうことで、前橋への誘致を目指して取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、国が決めるという話ではないところなんですけれども、御理解をお願いしたいということを申し上げまして、この質問については終わらせていただきたいというふうに思います。 二点目といたしまして、造幣局の東京支局の跡地についてお伺いをしたいと思います。 造幣局の東京支局の跡地が豊島区に売却されて、再開発されるというふうに伺っております。山手線内最後の大規模用地だというような声もあるほどである、非常に貴重な土地であるということなんですが、その経緯、また、これまでの進捗状況についてお伺いできればと思います。
○麻生国務大臣 造幣局の東京支局につきましては、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針というのがございまして、これにおいて、有効活用の可能性について検討するとされているところであります。 地元の豊島区から、東日本大震災の直後に、防災機能向上のために、東京支局の移転及び跡地利用に関する要望があったことを踏まえまして、平成二十四年九月に埼玉県へ移転を既に決定しております、多分これは御存じだと思いますが。用地面積で約三万三千平米かなと思っております。 東京支局の跡地の利用につきましては、豊島区における検討の結果、昨年十月に、造幣局地区街づくり計画が策定されたと承知をしております。 今後、造幣局、豊島区などの間で売却に向けた具体的な調整が進められることになるんだと存じますので、売却は豊島区における街づくり計画などを踏まえて行われると考えられますが、価格につきましては、周辺の取引実勢に基づいて適正価格で行われる予定でありまして、私どもも極めて財政厳しい折から、豊島区では一円でも高く買ってくれるようにお願い申し上げます。
○宮崎(岳)分科員 これは国から豊島区に土地を売却して、そこで開発をされるということだと思うんですが、非常に貴重な土地であるというふうな理解であります。なるべく一体的に開発をしまして、また、公共的な、価値の高い使い方をしなければならないというふうに思っております。 例えば、そこが細分化されて分譲されてしまうというようなことになりますと、豊島区は一回それを買って、それを開発して分譲したり転売したりあるいは貸したりということだと思うんですが、そこの国から買うお金と、豊島区がまたさらに転売するような際に過剰な利益が出たりとかいうようなことになると、これは国民の財産を入札ではなくて随契で豊島区に、公共的な用地のためにということで売ることでありますから、本来の趣旨とそれてしまうのではないか。 いろいろ、とかくうがった見方もあるような土地でございまして、ぜひとも財務省としても、販売する以上は、国民全体の財産であるということを鑑みて、適正にその開発が行われるようしっかりチェックをしていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、昨年の十月に豊島区で策定をされました造幣局地区街づくり計画に基づいて行われるものと承知をいたしておりますので、少なくとも今言われたような御懸念には当たらないと思っております。
○宮崎(岳)分科員 ありがとうございます。今後、売却ということであると思いますが、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 さて、三点目でございます。ここから少々重くなります。被用者年金の一元化とKKRについてお伺いをしたいと思います。 本年十月に、サラリーマンの厚生年金と公務員それから私学の教職員の共済年金を統合する、被用者年金の一元化が行われます。 この点について、先日予算委員会の方で、一般的質疑で高市総務大臣に主に質問させていただいたんですが、その続きということになります。前回は市町村職員共済の関係のホテルでしたが、本日は国家公務員共済、KKRについてお伺いをしたいということでございます。 この資料の一番をごらんいただきたいんですが、被用者年金一元化で、保険料率は統一されます、年金給付額は統一されます、つまり、入り口と出口が統一されるんですが、その真ん中に年金積立金というのがあるわけですが、その部分は統合をされないということなんですね。 それで、資料の二をごらんいただきたいと思うんですが、積立金というのはGPIFに統合されるということではなくて、各共済組合等が一元化後も独自に運用をする。国家公務員であればKKRということになります。この表でいうと一番左のところ、サラリーマン(厚生年金)というのがGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人ということで、左から二番目のところが国家公務員、KKRということだと思います。そのほか、地方公務員は細分化された積立金がそのまま残る。私立の学校についてもそのまま残る。こういうような状況になっております。 そのKKRがホテルを経営しているところです。図の三番を見ていただきたいと思います。これは、KKRがホテルを経営していて、その建設費についてはおおむね年金積立金から借り入れているという状況でございます。まずはそのホテルの状況についてお伺いをしたいということであります。 過日、市町村職員共済について聞いた際には、彼らの経常収支ベースというようなところで、施設整備関係は含む、ただ、他会計からの繰り入れは含まないと。つまり、普通に単体の独立採算の、ごく一般的な数字だと思うんですね。こういった感じで出していただいたんですが、KKRの場合は、ホテルが幾つあって、この収支の状況はいかなるものか、教えていただきたいと思います。
○菅原副大臣 国家公務員共済組合連合会、いわゆるKKR、この機関は、いわゆる国家公務員の福利厚生のための宿泊施設を御指摘のとおり運営しております。 平成二十五年度現在で四十三施設ございます。このうち黒字施設が三十五、赤字が八施設となってございます。 こうした中で、さまざまな議論あるいは経営状況等を踏まえて、整理合理化ということも進めていかなければいけないということで、平成二十六年度においては二施設、二十七年度においては三施設、それぞれ廃止をすることとなってございます。
○宮崎(岳)分科員 確認でございますが、今の数字は繰り入れ等が含まれているか。あるいは、建設費や設備投資関係のお金、減価償却とか支払い利息とかだと思うんですが、こういったものが含まれているベースなのか。どういった数字なのか、ちょっとお願いできますか。
○菅原副大臣 基本的に、運営費ということなわけですけれども、各施設ごとの経営状況を踏まえて、減価償却のお話がございましたが、その前の、営業損益が二期連続赤字というものに関しては廃止の検討を行うことになってございますが、あわせて、建設等を含めて借入金を着実に返済するという観点から、いわばキャッシュフローが赤字の施設から優先的に廃止の検討対象となっているわけでございまして、減価償却費につきましては、実際の資金の移動を伴わないでキャッシュフローを生むという流れがございますので、そうした中で、施設別の営業費用に含めずに算定をするもの、このようになってございます。
○宮崎(岳)分科員 そうすると、先ほど、四十三施設のうち三十五が黒字なんだというお話だったと思うんですけれども、きのう質問通告の際に聞いてみて、その数字の出し方を見てちょっと驚いたんですね。 営業収支、営業利益という数字らしいんですが、これには、設備投資のために借り入れたりとかその返済にかかわる部分、つまり、通常でいえば、お金を借りて減価償却費の中からそれを返済していくというような形になると思うんですが、その建設、設備投資にかかわる部分が含まれていない数字なんですね。つまり、粗利ベースというんですか。そうすると、設備投資を抜いてしまって黒字、赤字というのが判断をできるんだろうかというのが、もちろん設備投資を抜いてしまって赤字だったら明らかな赤字だということになるんですが、そのホテルの建物の部分をすっぽり抜いて黒字だ、赤字だというのが経営分析にできるのかなという、大変ちょっと奇妙な感じを受けたわけであります。 この点で、今説明のあった四十三施設のうち三十五が黒字だということなんですけれども、全体では数字が出ていると思うんですけれども、これはどんな感じになっていますか。全体合わせての数字。
○菅原副大臣 ちょっと先ほどのお話に戻りますが、減価償却についてはキャッシュフローを生むという流れがございます。 ただ、宿泊経理、宿泊に関する経理全体では、御指摘の減価償却費を計上しておりまして、今お話のあった、全体ではということは、全体における……(宮崎(岳)分科員「そうですね、宿泊経理全体でということ」と呼ぶ) そこは、減価償却費、計上されておりますので、申し添えます。
○宮崎(岳)分科員 では、今言われた、宿泊経理全体で減価償却費を含んだ収支はどのようになっているか。 また、建物の建設については、年金積立金から借り入れてつくっていって、利益の中から積立金に返すんだという仕切りになっていると思うんですが、この状況はいかがか。 この二点についてお伺いできますか。
○菅原副大臣 宮崎委員よく御案内のことと思いますが、KKRにおきまして、平成十三年度以前は、宿泊施設の建設、改修、こういったものを行うために年金積立金から借り入れを行ってきたわけですけれども、平成十四年度以降は、新たな借り入れは行わずに、かつ、着実に返済をするということに努めてまいりました。 ちなみに、平成十四年度の借入金の残高が六百四十六億円、これが現在、平成二十五年度末には二百一億円まで返済が進んで、減少してきたところであります。 平成三十二年度の完済に向けて、引き続き着実に返済をしていきたい、このように捉えております。
○宮崎(岳)分科員 宿泊経理全体の収支についてはいかがでしょうか。
○菅原副大臣 十二億円の黒字となってございます。
○宮崎(岳)分科員 それで、資料の四番をごらんいただきたいと思います。 宿泊経理というのがありまして、ホテルを経営している。先ほど、減価償却等を含めないような状況の数字が出ているという御指摘をさせていただいたんですが、長期経理、これは年金の経理です、年金の経理からお金を借りてきます。黒字であったら、そのままそこから、借りてきたお金を利益の中から返すという話なんですが、実質的には赤字になっているんじゃないかということでありまして、返せない。それで、保健経理という別の経理からお金を繰り入れて返しているというのが実態なんですね。 この保健経理というのは、疾病予防とか健康増進、つまり、人間ドックとか予防接種について助成金を出したり補助金を出したり、あるいは保養のために宿泊施設に泊まるときに幾らか補助をしたりというようなお金なんですけれども、その財源は、基本的なところ、組合員の掛金と事業主負担で折半。事業主負担分は、国家公務員ですから国だということなんですね。だから、基本的に半分税金。KKRの場合はほかの税収もあると思いますけれども、これも聞いてみたら、もともと年金積立金の関係で出てきたお金ですので、基本的には税金が入っている種類のお金なのかなというふうにも思っております。 結局、宿泊施設の赤字を、保健経理からお金を入れて埋めて、長期経理、年金に返している。だから、返せて当たり前なんですね。 資料を二年分、ちょっと見せていただきましたが、平成二十五年度決算でいいますと、収入が二百十億円なんですね。支出が百九十八億円で、差し引き十二億円余りの黒字。これが先ほど菅原副大臣が言われた数字なんです。 ところが、収入の部分に保健経理というところから三十一億円余りが繰り入れられているということなんです。つまり、収入でいうと、実態は十九億円近い赤字なんです、宿泊経理全体で。十九億円近い赤字のところに三十一億円を全く別のところから突っ込んでいるので、十二億円の黒字というような形になっている。実際は、十九億円の赤字で百七十九億円の収入、つまり、三十一億円、よそから持ってきたお金を除くと、売り上げが百七十九億円で赤字額が十九億円ということですから、売上利益率みたいな指標をもし持ち出したとしますと、一〇%以上の赤字だということです。 二十四年度も、二百十五億円の収入で二百一億円の支出なんですね。十三億円余りの黒字だということになっているんですが、この年も保健経理から三十三億円繰り入れているということでございまして、実態は二十億円近い赤字ということになります。実態でいうと、百八十二億円の収入に対して赤字が十九億円出てきて、やはり売上高利益率では一〇%を超える赤字ということになるんですね。 そして、その突っ込まれているお金は、半分が、事業主負担という形ではありますが、税金だ。半分は掛金ということですから、これもいわゆる公費なんですよね。掛金の部分も公費だということだと思うんですよ。そうすると、これはちょっと、経営状態が黒字だからいいとか順調に返しているという話ではないのではないかと思うんですね。 だから、この点についての御見解と、それから、お金が保健経理から年々どれぐらい入っているのかということについて、ちょっとお伺いできますでしょうか。
○菅原副大臣 先に、後段の質問に私の方からお答えをしたいと思います。 KKRの保健経理から宿泊経理に、保健事業に支障を来さない範囲で繰り入れを行っておりますが、平成二十五年度の繰入金額として八十三億円となってございます。 KKRの宿泊施設の経営に関しまして、御指摘のとおり、労使折半の福祉保険料は組合員の福利厚生の目的に使われるものでありまして、繰り入れられること自体は問題がない、このように認識をいたしております。 KKRにおきましては、従前から、不採算で、組合員のニーズの低い宿泊施設の整理合理化に取り組んでいる、このように承知をいたしておりますが、今後とも引き続き、不断の見直しをしっかりやっていくように、またそのように監督をしていきたい、このように思っております。
○宮崎(岳)分科員 先ほど、繰り入れ自体は問題ないというふうに副大臣はおっしゃいました。法律的にはそのとおり、適法に繰り入れられているということなんです。 ただ、施設があって、赤字施設を埋めるために年間三十億円の公費が入っている、その実態がほとんど知られていないということは、本当にいいのかな。もちろん、そこで働いている方もいるわけで、すぐ廃止しろとかという話では、私は言わないつもりなんですけれども、ただ、余りにこの実態が世の中に、知らな過ぎるし、そこに税金がつぎ込まれていることについて鈍感過ぎるんじゃないか、そんな思いもしているところであります。 あとは、KKRの役員について伺いたいんですが、常勤役員のうち、国家公務員のOB、特にいわゆるキャリアのOBの方がどれぐらいいるのか、何人中何人ぐらいがということなのか。これはKKRですから、もしかしたら労働組合のOB等も入っている場合もあるので、そういう場合はまた違うのかもしれませんが、いわゆる天下りと言われるような状況がどれぐらいあるのか、またその待遇はどうなのかということについて、確認をいただきたいと思います。
○菅原副大臣 お尋ねのありましたKKRの役員につきまして、国家公務員共済組合法の第二十七条の規定によりまして、理事長一名、理事十名以内及び監事三名以内となってございます。 三月一日現在におけるKKRの役員は十四名おりまして、このうち国家公務員OBは理事長一名となってございます。その理事長の公務員時の最終職歴は国税庁長官でありまして、現在の報酬については、年収で約二千百八十一万円となってございます。 以上でございます。
○宮崎(岳)分科員 確認でございます。常勤役員が十四人いるということで、そのうち一名がということでしょうか。
○菅原副大臣 今の理事長に加えて八名が常勤という形でございまして、残り五名が非常勤となってございます。
○宮崎(岳)分科員 そうすると、八人の常勤役員のうち一名、理事長が国税庁長官のOBの方で、年収二千百八十一万円という理解でいいですか。 いずれにせよ、こういった形で、理事長、国家公務員OBがトップを務める。KKRという組織ですから、国家公務員の組織ですから、別にそこにいるのは不自然じゃないのかもしれないんですが、そこにある意味で税金ががっと入っているような実態がある。しかも、それが組合員にも知られていない。 多分、組合員は百万人ぐらいいると思うんですけれども、大体、自衛官のOB、国立大学の教職員、それから日本郵政関係、こういった方々がほとんどなんですけれども、そういった方々が、例えば、三十億円ですから、それぞれの人たちが三千円ずつ払っているみたいな感覚なんだと思うんですね。もしその三千円があれば、人間ドックも安く受けられる、あるいはインフルエンザの予防接種も安く受けられるという状況でもあると思うんですが、この施設の赤字補填につぎ込まれているというのが無自覚に行われているとすれば、これは大変問題ではないかというふうに私は思っておるんです。 麻生財務大臣にお伺いしたいんですが、先ほど言ったように、独立採算で三十五施設が黒字なんですよというふうに言いながら設備投資の分が入っていないという形で、設備投資が関係なければ大体黒字にできるわけですよね、どんな企業も。そういった数字しか持っていない、頼んでも出てこない、そういう状況で黒字、赤字と判断できるのかどうか、これ自体もおかしいと思いますし、それから、先ほど言ったように、実際に二十億円近い赤字が出ているのに、毎年三十三億円全く別のところから持ってきて、これは十二億の黒字ですというふうになる。私にはどうしても解せないわけであります。 もちろん、これは一朝一夕に直すのがいいかどうかというところもありますので、時間をかけて直していけばいいと思いますし、実際、時間をかけて直しているという御説明だと思うんですね。御説明だと思うんだけれども、実態を見ると、そういった数字も表に出ていない。共済に加盟している組合員の方、自衛官の方、学校教職員の方、多くの公務員の方、きょう、この場にも衆議院の職員の方もいらっしゃると思うんですが、自分たちが年三千円ずつ出してそういうKKRの施設を維持しているんだよという理解は余りないと思うんですよ。 ここについて、麻生大臣も企業人で、経営者として御活躍をされた方、菅原副大臣も日商岩井で大変優秀なサラリーマンとして活躍をされていたというふうに伺っていますけれども、本当に、民間の感覚で見ると、何か違和感が残るなというふうなところでございます。 最後に大臣の所感を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○麻生国務大臣 御指摘のありましたように、普通の経営からいきますと、設備投資等々が入っていないなんというのは、それは常識では考えられない話なんだと思います。 少なくとも、これまでの間、平成十三年度から見ますと、当時の年度末の残高が六百八十二億円、これが今、二百一億円まで順次減らしてきているという点が一点。対前年比で見ましても、毎年三十億から五十億ぐらいのものが返されてきて、平成二十五年ではマイナスの約五十八億円返済ということで、返済計画どおり事は進んでいるんだとは思っています。 いずれにしても、こういうものというのは、時代によって、あったところがいきなり、この間、日光の温泉の話でも出ていましたけれども、いきなり、ばたっと人がいなくなってきていますから、全く客が来なくなっているというようなところはどうするんだという。 状況も違ったりしますので、いずれも、各施設の経営状況なり、また、置かれている環境というものをきっちり把握して、それで、不採算で、組合員のニーズも低いというようなところに関しましては、宿泊施設の整理合理化というのを進めていかれることで、八十三施設がピークだったそうですが、三十八まで減少させてきておられますので、今後とも、まだもっといるところもあるのかもしれませんけれども、そういったところとして、これは私どもとしては、しっかり指導してまいりたい、そのように思っております。
○宮崎(岳)分科員 時間でございますので終わりたいと思うんですが、最後に。 先ほど、返していると。確かに返しているんです。年金一元化がありますので、それに備えてということも含めて、年金から借りてきているお金は返していると。返すんですけれども、もともとの施設は赤字なんです。赤字だから、本来、返せないんです。何で返せるかというと、よそのところから持ってきて、半分ぐらいが税金であるけれども、それを突っ込んでいるから返せている。 最後に、この表を私、用意させていただいたんですけれども、結局、年金積立金から借りたお金が、国からの事業主負担も含めた税金と組合員の掛金……
○小林(鷹)主査代理 質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
○宮崎(岳)分科員 はい。 最後に、ぐるぐると税金が回っているだけの話なんですね。だから、こっちは返せているけれども、こっちはお金が減っているというようなことで、これは本当に返せているということになっているのかどうか。こういった問題意識を持って取り組んでいるところでございます。 本日はありがとうございました。
○小林(鷹)主査代理 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。 午後一時に本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○小林(鷹)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。 外務省所管について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤貴也君。
○武藤(貴)分科員 自民党滋賀四区、武藤貴也でございます。 質疑の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。 本日は、来年度予算案について、特に対外発信、従軍慰安婦と言われる問題についての、外務省や内閣府が恐らく担当になると思いますけれども、対外発信の内容について質疑を行わせていただきたいと思います。 御存じのように、一九九三年に日本政府が、河野談話と言われるもので軍の関与というものを認めて、謝罪とおわびを行いました。それを皮切りに、何度も日本政府は、謝罪とおわび、それと償い事業と言われるものを、これは間接的な支援でありますけれども、アジア女性基金というものをつくって行ってきた。恐らく、政治的に、そういう誠意ある対応をしていれば収束するだろう、慰安婦問題は終わりに向かっていくだろうという読みが当時あったんだと思います。 その後、一九九三年に河野談話が出された後、三年後に、国連の人権委員会においてクマラスワミ報告と言われるものが出されました。これは、御存じのとおり、昨年朝日新聞が誤報だということを認めた吉田証言が証拠として採用されたものでありまして、これをつぶさに読みますと、内容がひどいところがたくさんあります。 例えば、仲間の慰安婦をリンチして首を切り落としてゆでて無理やり食べさせられたとか、こんなことは到底日本人が行いそうにない、想像してもあり得ない内容。例えば、数十人の女性を山奥に連れていって、穴を掘って水を入れて、そこに毒蛇を放して、慰安婦を裸にして放り投げて毒蛇にかませて死なせたとか、あるいは、板にくぎをあちこち打ちつけて、そこを肉が血みどろになって破片になるまで転がして、そして最後に切断をしたとか、こういうようなものが勇気ある証言として称賛される。証拠の全くないものをそのまま、証言を事実のように受け取って、報告書の証拠に添付をしたものであります。 これに基づいて、今度はその二年後、一九九八年に、さらにエスカレートさせたマクドゥーガル報告というものがあります。 これも国連の人権委員会に出された報告ですけれども、これにはさらに、慰安所はレイプセンターだ、訳せば強姦所というのかな、レイプセンターであって、ここで初めて国連の文書の中で人数が登場するんです、慰安婦は二十万人だったという人数が出てきます、このうち十四万人以上の朝鮮人慰安婦が死亡したというふうに書かれています。ひどい、誤報とも到底言えないような、捏造というか、歴史の歪曲とかいうレベルだと思います。例えば、日本の研究者である秦郁彦先生は、数万人の慰安婦がいたと言っていますけれども、そのうち六割は日本人だったという統計上のデータを「慰安婦と戦場の性」という本の中で示しています。 国連の人権委員会に、二つの報告、それ以降も十以上の報告が出されているんですけれども、この二つが一番有名なものであります。 その後、しばらくたって、二〇〇七年に米国下院で、今度は、日系三世の方だそうですけれども、マイク・ホンダさんという下院議員の主導によって、日本を糾弾する決議が可決をされました。 この文書の中にも、かつてないほどの残虐さと規模であった二十世紀最大の人身売買の一つという断定が行われて、性奴隷にされた慰安婦とされる女性たちへの公式な謝罪、歴史的責任、あらゆる異論に対する明確な論破及び将来にわたって教育することを日本政府に要求するというふうになっています。 NGOとか民間団体がこういう決議を行うならいざ知らず、アメリカの連邦議会の下院でこういう日本政府を非難、糾弾する決議が出されたということは非常に重く受けとめなければいけないと思いますし、これに対して、日本政府は、どのように今後、これは事実じゃないということを対外発信して、日本の名誉、私たちの先人たちの名誉を回復していかなければいけないか、本当に真剣に考えていかなければいけないと思います。 その後、今日でも、アメリカだけではなく、これはオランダの議会でも可決して、アメリカでは、それぞれの州議会でも上院、下院で可決し、それから今は慰安婦の銅像や石碑、広告が次々になされて、最近では高校の世界史の教科書でも教育の一環としてなされるようになった。どんどん広がっているというふうに考えられると思うんですね。 ですから、私たちが行ってきた日本外交は過ちであったということをまず認めて、それを今後訂正して、どのように対外発信をしなきゃいけないのかというのを見直すことが私は必要だと思います。 そんな中、ここは予算委員会の分科会ですから予算の話をさせていただきたいんですけれども、来年度予算では七百億円の対外発信に関する予算が、これは外務省所管でありますけれども、つけられた。これは、戦略的対外発信七百億円、補正予算が三百五億円入ってですけれども、この一番最初に、ジャパン・ハウスをフルに活用しつつ、以下の施策を強力に推進します。その一番目に、領土保全、歴史認識等の重要課題について、対外発信を抜本的に強化し、国際社会の正しい理解を獲得するという大項目が書かれています。抜本的に強化をして国際社会の正しい理解を獲得するために、では、どういうことを行うのか。 今のこれは外務省のペーパーですけれども、もう一つ、内閣府が三十六億円という予算をつけて、内閣府大臣官房政府広報室だと思いますけれども、同じような対外発信の予算がつけられている。 これらについて、やはり国民は、有効に活用して、日本の名誉、先人たちの名誉を回復するための対外発信であってほしいと。私も一国民であります、そういうふうに思う次第であります。 しかし、今、外務省の姿勢というか、この予算の具体的対外発信の内容について党の部会やあるいは個別に外務省の方々と協議をさせていただく中で、方向性が間違っているんじゃないかと。外務省はこれまで、何度も謝罪をしてきました、過ちを認めて謝罪をしてきました、償い事業もやってきましたと。こういうことを七百億円かけて、まあ七百億円全部じゃないですけれども、対外発信の予算をかけて海外に発信するという姿勢に終始しているというふうに私は受けとめます。 例えば、外務省のホームページを見ますと、「歴史認識」という項目があります。その中に、「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」というものがありますけれども、これも、河野談話から始まって謝罪の歴史、そしてアジア女性基金をつくった。 アジア女性基金というのは四十八億円を数年で支出したということですけれども、これは、日本政府が正式に強制連行に関与したことを認めないので、証拠はないので当然認めないわけですけれども、だから、何についての謝罪なのかは河野談話のところはよく書かれていないんです、軍の関与というだけで。いずれにせよ、第三者機関であるアジア女性基金というところに、四十八億円のうち、寄附だと言っていたんですけれども、政府から四十億円ぐらいが出されているんです、税金を使って。それを使って、償い金を、一人三百万ぐらい、慰安婦と名乗り出た女性に配る。あるいは、わび状ですね。おわび状と言われる総理の手紙というのを手渡す。それから、後でこれは質問をしたいんですけれども、フィリピン、韓国、台湾、それからインドネシア、オランダ等で、償い事業と言われる、福祉施設をインドネシアで六十九カ所つくっていますね、オランダでは、七十九人の方に、慰安婦の特定をせずに、名乗り出た方だと思うんですけれども、お金を渡すという事業をやってきた。これが全てなんですよ、外務省のホームページに出ている慰安婦に対する施策というのは。 例えば、今回、アメリカの教科書で間違った記述があるからそれに対して抗議を行ったということでありますけれども、これは政府として公式にやったことなんですけれども、こういうことはホームページに出ていない。 あるいはクマラスワミ報告に対する反論ですね。かつて、きちんと外務省が公式に作成した文書があって、国連にも提出したわけですけれども、これは認められないという国が幾つかあって、撤回をして、謝罪をしているので許してくださいというような文書に差しかえになったわけです。こういう過去の、幻の反論文書と言われていますけれども、クマラスワミ報告に対する日本政府の反論文書は公開を今されていない。まあ、公開するかどうかを検討するということでありますけれども。 こういう、謝っています、何度も謝罪していますということばかりをつらつらホームページや、あるいは公式にも言って、それに今回の対外発信の予算も費やされるんじゃないかという危惧を私はしています。 例えば、今回、アメリカで、二十世紀最大の人身売買ということが、下院決議が出されたわけでありますけれども、通過されるときに当時の加藤大使が、下院議員幾人かに書簡を送っているんですね。二〇〇七年二月十五日付で、原文もありますけれども、日本政府は既に慰安婦問題の責任を認めて謝罪済みだということ、慰安婦への補償に当たるアジア女性基金に政府は四千万ドル相当を拠出した、三番目、ポイントだけですけれども、学校教科書など多くの出版物が慰安婦問題を明記しているなどと日本政府の対応を説明した。下院でさっき言った決議が通過される反論として、これしか言っていないんですよ。事実関係に踏み込んだ反論は全くない。これだけ謝罪していますということを繰り返し言っているだけなんですね。 もう一回、六月二十二日にも書簡を送っているということなんですけれども、これも、採択される直前に、決議案が採択されれば日米両国の友好関係に長く害を及ぼすことはほぼ間違いないというような内容、それと、一九九三年以降全ての首相が元慰安婦に対しておわびの気持ちをあらわしてきたということ以外、事実に踏み込んだ反論なしで、語られていないんですよ。 今回の対外発信の予算をたくさん使って、こんなに謝っています、事業もしていますということを言い続けるだけでは、私たちの誇りや尊厳、先人たちの名誉を回復するということには決してならないというふうに私は思います。恐らく国民の皆さんもそう思っていると思いますよ。 お伺いしたいんですけれども、私は、過去、クマラスワミ報告が出たときの反論文というものを全文見させていただきました。これは昨年産経新聞が特集を組んでいますので、それに掲載されているんですけれども、外務省もその文書の存在はもちろん認めていますし、今後公開するかどうかを検討するという答弁なんですけれども、ずっと検討しているんですよね。 この反論文、外務省がつくってくれた反論文は、事実関係に対する反論、これもきちんと書かれています。それと、国際法に対する反論もきちんと書かれている。あれはアラビア語まで翻訳されて、国連に提出された文書でありますけれども、こういうものをしっかりホームページにアップするなり、あるいは公式文書として大使を通じて各議員に配付するなりして、日本の明確な立場というものを対外発信していただきたい。 これをしっかり検討していただけないかということをまず最初に御質問させていただきたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。 クマラスワミ報告書に対する非公開の反論文書の公開の問題でございますが、政府としましては、今後とも、我が国の立場への国際社会の理解を得るために積極的かつ戦略的に対外発信に取り組むということとしておりまして、その際、国際社会の理解を得るのに何が最善の方法かということについては、引き続き検討させていただきたいという立場でございます。その中で、本文書の公開の是非についても慎重に検討していきたいというふうな立場でございます。
○武藤(貴)分科員 ずっと検討してきたと思うんですよね、数十年も。一九九六年に出された反論文ですから、それ以降ずっと検討してきたと思うんですね。まだ検討するというふうにおっしゃる。私は、そういう姿勢が、この予算を通過させる上でも全く国民の理解を得られないと思いますよ。数十年間やってきたその曖昧な外交方針が慰安婦問題を拡大させてきた一番の要因ではないかと私は思います。 ですから、慎重にずっと何年も検討しているわけですけれども、もうここら辺で検討結果を出して、しっかり反論する文書を翻訳して海外に発信するということをやっていただきたいと思います。 それに加えて、もう一つ、政府がこれまで一般の図書について翻訳を求められてきた事例があると思います。例えば、慰安婦問題に関して、秦郁彦先生といえば日本では第一人者の研究家でありますけれども、「慰安婦と戦場の性」という、非常に客観的に、公平公正な立場から、海外のそれぞれの戦場で性の問題がどうであったか、公平中立に書かれた学術論文でありますけれども、こういうものを政府が翻訳をして対外発信に活用したらどうかという提案があったと思います。 これに対して、内閣府の広報官が秦先生に接触して、翻訳をして対外発信してはどうかという提案を行ったようでありますけれども、本人から聞きましたが、それぞれの記述の中に税金を使って翻訳するのにふさわしくないと政府が考えるというか、問題に当たるような表現があるので、そこを削除して翻訳したいという提案をしたときに、秦先生は全部訳してくれないんだったらだめだと言って断ったというふうに聞いています。 こういうものも、私は、政府が、先ほど言った反論文をしっかりやることに加えて、一般の図書も今後翻訳をして配るということを考えてほしいんですけれども、その辺はいかがお考えですか。
○別府政府参考人 お答えいたします。 対日理解の促進のためということで、今年度から、さまざまな層に対して日本人の美徳とか魅力を積極的に発信する、そういう目的で日本の書籍を英訳して出版する事業というのを新たに一応開始しております。そういう書籍、一般的なものを選んで翻訳していくという事業自体はやっております。 ただ、その事業につきましての書籍の選定に当たりましては、公正中立に行うという観点から、翻訳の出版事業選定委員会というのを設けておりまして、そちらの方の議論、推薦によって、どういう本が日本の魅力発信に資する書籍かということを検討した上でやっている、そういうことでございます。
○武藤(貴)分科員 今、内閣府ですよね。外務省も含めて両方、慰安婦問題に関する書籍がどういうものがいいのかということをぜひ検討していただきたいと思います。 いいですか。イエスかノーかで答えられますか。
○別府政府参考人 ただいま申し上げましたように、どういう本を選定して翻訳するかにつきましては、先ほど申し上げましたように、公正中立という観点で、選定委員の方々の議論、推薦によって選ばせていただきたいと思っております。
○武藤(貴)分科員 答えになっていないんですけれども。慰安婦問題に関する書籍を翻訳していただけますかと問うたんですね。慰安婦問題、いろいろ書籍が出ていますから、公平公正にどの本がいいかというのを選んでやればいいわけです。 外務省はどうですか。今回の予算で慰安婦問題に関して翻訳はしていただけますか。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 今回の対外広報戦略の予算の一環で、いろいろな、例えば論文を翻訳して発表する予算ですとか、それから招聘を通じて理解を深めるものとか、それから各在外公館のホームページの充実、SNSの充実といったような項目も含まれているところでございまして、そういったようなものを含めてどういうふうに活用するか、検討してまいりたいと思います。 書籍の翻訳ということにつきましては、先ほど内閣府広報室の方から御説明のありました手続に従ってやっていく必要があるんだろうというふうに理解しているところでございます。
○武藤(貴)分科員 今、イエスかノーかわからないんですよね、答弁を聞いてもよくわからないんです。慰安婦問題に関する書籍を翻訳すると言っているのか、しないと言っているのか、検討すると言っているのか。検討するんだったら検討すると言ってくださればいいんですけれども、そういう理解でいいんですか。検討するんですか、どうですか。
○下川政府参考人 今回の対外発信の予算の中で、いろいろなツールについて今度承認を求めるというところでございますので、それをどういうふうに活用することができるか、検討してまいりたいと思います。
○武藤(貴)分科員 慰安婦問題に関する書籍も翻訳することを検討するという理解をさせていただきます。そして、今後、いろいろ、部会や協議の中でチェックをさせていただきたいと思います。 次に、時間も限られているんですけれども、いわゆる償い事業と言われるものについて質問したいと思います。 外務省のホームページには、フィリピンや韓国、台湾、インドネシア、オランダ等々、先ほど申し上げたアジア女性基金ということを通じて、償い事業と言われるものをやっています。 それで、私は驚いたんですよ。特定をせずにどんどんとお金をばらまくというか、あるいは福祉施設をつくっている。 例えば、インドネシアの事例は、これは要請はないんですよ、インドネシア政府から。日本政府は、アジア女性基金とともに、日本国民の償いの気持ちをあらわすためにインドネシアにおいてどのような事業を行うのが最もふさわしいかについて検討してきたが、インドネシア政府が、元慰安婦の特定が困難である等としていることから、元慰安婦個人を対象にした事業ではなく、同国政府から提案のあった高齢者福祉推進事業に対し、日本政府からの拠出金を原資として、十年間で総額三億八千万円規模で行われてきた。同施設への入居者については、元慰安婦と名乗り出ている方や女性が優先されることとなっている。 しかし、特定が困難だと政府は言っているのに名乗り出ている女性が優先されることになっているというのは、これは不思議だなと思うんですよね、特定ができていないのに。 最終的には六十九カ所の高齢者福祉施設が完成したと言っているんです。これは、六十九カ所、日本の税金を使ってインドネシア各地に高齢者福祉施設を建てて、今、誰が入っているんですか。慰安婦が入っているということを確認しているんですか。そして、これは税金ですよね、償い事業だといって政府が使ったお金、慰安婦の問題とは全く関係のない方々がこれに住んでいるということは、これは問題になるんじゃないかと思うんですね。 オランダも同じなんですよ。オランダにおいては元慰安婦の方々の認定が行われていないことを踏まえ、これもいろいろ考えた。日本側は、償わせてくれという提案をして、委員会をつくって、その委員会が七十九名の方に事業を実施した。三年間で総額二億五千五百万円規模。 福祉施設も老朽化してくる。では、この耐震化も含めて更新も必要じゃないかという議論になってきますね、箱物をつくったら。これが今、どういう活用がなされて、どうなっているのか。 これも問いたいんですけれども、その前に、もう時間がないんですけれども、こういう事業をやって、慰安婦問題はおさまったんですか。総理がおわびの手紙を書いて、お金をまいて、償い金をまいて、福祉施設を建設して、いろいろやった結果、慰安婦問題はおさまったんですか。おさまっていないんですよ。答えを聞かなくてもわかっているんですけれどもね。 だから、この評価をして、そういう反省に立って、また新たな、ではどうしていけばいいかという戦略を立てて、対外発信をしていかなきゃいけないと思うんですね。その辺、感謝した女性がいたとかなんとかという答弁は要らないですよ。 ですから、これが慰安婦問題の解決に本当に役立ってきたと考えているのか、外務省の見解を簡潔にお答えしていただけますか。
○下川政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど委員から御指摘がございましたとおり、アジア女性基金の事業につきましては、それぞれの国におきましてどのような事業を行うのが最もふさわしいのか、それを検討した結果といたしまして、いろいろな国でいろいろな形での事業を誠実に実施してきたところでございまして、それぞれの事業の必要性について、当時、事前に十分に検討が行われたものというふうに認識しているところでございます。 その上で、先ほどの評価ということで申し上げますれば、例えば、フィリピンやインドネシア、そしてオランダで行いました基金事業につきましては、相手国政府や関連団体等からの理解や肯定的な評価のもとで実施することができたというふうに考えております。 他方で、韓国では、韓国国内における事情や日韓関係の影響などを大きく受けて、同政府や国民からの理解が得られなかったものの、先ほどちょっと御指摘もございましたけれども、その事業を受け取った元慰安婦の方々からはお礼の言葉が寄せられたということでございます。 この点をどういうふうに評価するかというところでございますけれども、このような基金の事業に関して、いろいろな国、そして韓国においても一部の慰安婦の方から、一定の評価を得たというのは事実ではないかというふうに考えているところでございます。
○武藤(貴)分科員 今、一定の評価を得たということなんですけれども、これは慰安婦じゃない人たちも入っているんですよ。それは、ただでお金をもらったり恩恵をもらえれば感謝しますよ、誰だって。それが慰安婦問題の解決に何も役に立っていない側面があるというふうに私は申し上げているんです。 もう時間もないので、最後ですけれども、先週、国連の人権理事会で、再度、韓国が慰安婦問題を持ち出して日本政府を批判しているという話を聞きました。クマラスワミ報告とかマクドゥーガル報告とか、十回ぐらい、日本を非難する報告、レポートが国連の人権理事会に出されているわけですけれども、こういうものをやはり再検証しなきゃいけないと思うんです。 というのも、こういうものが、クマラスワミ報告が米国下院の先ほどの決議にも影響を与えているというか、根拠の一つになっているんですね。それと、二〇一一年に韓国の憲法裁判所において、韓国政府が慰安婦への補償を日本政府に求めない外交は違憲だと判断をされましたけれども、この判決の根拠もクマラスワミ報告が挙げられているわけです。 日本政府は、かつて、幻と言われたこの反論文の中に、クマラスワミ報告について、簡単に言いますと、極めて不当、信頼するに足りない、甚だ不誠実、無責任かつ予断に満ち、歴史の歪曲に等しい、調査と呼ぶに値しないというふうに断じているんです。これが恐らく当時の外務省の本音の見解だったと思うんですね。こういったものがどんどんと根拠として広がっている。ですから、ここを見直さないと、私は、これからクマラスワミ報告を根拠とした日本非難が広がっていくと思いますよ。 ですから、国連の人権理事会で、検証委員会を設けて、もう一回、詳細で公正公平なレポートを出してほしいというように提言をしてほしいというふうに私は思います。日本政府として、日本の名誉を回復するために、国連の人権理事会にそういう提案を行う勇気はありますか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。 まず、クマラスワミ報告書への我が国政府のこれまでの対応でございますが、先ほどから問題になっております非公開反論文書とは別に、日本政府が簡潔に反論をまとめた文書というものを国連文書として配付しております。 その中では、日本政府としては、特別報告者が非常に限られた情報源に頼り過ぎているということ……(武藤(貴)分科員「そんなことは聞いていないですよ。理事会に提案するかと聞いているんですよ」と呼ぶ)申し上げたいことは、事実面及び法的側面についても重大な留保をつけているということでございます。 今後の国連場裏における対応につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国が国際社会の理解を得るためにどのように取り組むのが最善の方法かということから、引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。
○武藤(貴)分科員 聞いていることに答えてほしいんですけれども、今何が必要か検討していくということでありましたので、そういうことも検討していただけるんだろうというふうに思います。 これから、やはり過去の経緯を反省して事実をきちんと反論していかないと、誤解、歪曲が広がっていくんだということをちゃんと理解して、対外発信の予算をしっかり国民に理解されるように使ってほしいと思います。 時間が来たので、これで終わります。ありがとうございました。
○小林(鷹)主査代理 これにて武藤貴也君の質疑は終了いたしました。 次に、下地幹郎君。
○下地分科員 外務大臣、御苦労さまでございます。きょうで外務大臣の任期が八百五日間。現職の国会議員で一番長くて、そして歴代、戦後十三番目の長さなんですけれども、八百五日間外務大臣をやられて、自分で、外交的にこれをやった、今までの歴代の内閣と違うところでこれをやったというのを三つ挙げるとしたら、外務大臣、何と何と何が仕事の中で挙がってきますかね。質問通告していませんけれども、まあ自分のことですから。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○岸田国務大臣 外務大臣としての任期の長さについて御指摘をいただきましたが、当然のことながら、長くやればいいというものではなくして、中身が重要であります。 そして、就任する中で三つ、自分としての仕事を挙げろという御指摘でありますが、済みません、急な御指摘なので、頭の中、整理ができておりませんが、私として、まず挙げたいと思いますのは、一つは、私自身、被爆地出身の外務大臣でありますので、軍縮・不拡散、この分野において特に強い思い入れを持って取り組んだということを挙げたいと存じます。 NPDI、核兵器を持たない国による軍縮・不拡散の議論の枠組み、この枠組みにおいても、八回目にして、日本において、そして被爆地において初めてこの会議を開催するなど、具体的な形で、唯一の戦争被爆国としての存在感を示すなど、取り組んできたということ、これをまず一つ挙げたいと存じます。 そして、次に挙げるとしたならば、やはり、二年三カ月ほど前に政権交代が起こった時点で、外交において最も重大視しなければいけない課題としまして、外交の基軸であります日米関係が大変不安定であったということを挙げなければならないと存じます。 日米関係について、新しい政権が発足した直後、総理大臣と外務大臣がそろって訪米し、日米首脳会談に臨み、日米関係の改善、発展に努めた次第ですが、私自身、アメリカの国務長官と、クリントン国務長官、ケリー国務長官、合わせますと二十五回以上会談を、電話会談も含めますと三十回近い外相会談を積み重ねてまいりました。その中にあって、さまざまな課題を通じて信頼関係を回復することができている、こういったことも感じる次第であります。 三番目に挙げるとしたならば、ちょっと三番目まで頭の整理がまだ十分できておりませんが、やはり、特にアジア太平洋地域の安全保障環境、大変今厳しいものがあります。過去の歴史を振り返りましても、今の現状につきましては強い緊張感を感じているところであります。 この中にあって、厳しい条件の中ではありますが、隣国、周辺国との緊張緩和に向けて、私自身、限られた条件の中で全力を尽くして取り組んできた。このことについて三つ目に挙げたいと存じます。 急な質問ですので十分整理ができておりませんが、とりあえず三つ挙げさせていただきました。
○下地分科員 難しい外交ですよね。自分だけの思いで決めるわけにはいかないし、相手の国も、利害が絡むし。そういう中で外務大臣をきょうで八百五日間なされるということですから、これからもしばらく続くと思いますけれども、日本の外交のために頑張ってもらいたい。 一つの例を挙げさせていただきますけれども、平成九年の九月の十一日に小渕外務大臣が誕生したんです。 小渕外務大臣というと、外務大臣としてどうなのかなという声が、あのころ。私も、あのころ自民党にいましたから。私たちの派閥の長でありましたけれども。 その後、十一日に就任してから、九月の二十三日に国連で演説をするんですけれども、応援に行こうということで、私も国連まで行ったんですよ。 そのときに、食事をさせていただいたんですけれども、ある新聞社のワシントンの支局長とお食事をさせていただいたときに、この記者が小渕外務大臣にこう言うんですよね。アメリカでは、あなた、余り受けがよくないですよ、外務大臣として余り受けがよくないですよ、国内の派閥の問題ばかりやっていたみたいなイメージですよというようなことをこの記者が言われるんですよね。 私も、失礼な記者だな、一国の外務大臣に何を言っているんだというように思っていたら、もしこの場所で成果を上げるとしたら、対人地雷条約、この対人地雷条約、日本が承認していないので、アメリカも反対している、ロシアも反対している、中国も反対している、小渕さん、あなた、これをやったらどうですかね、橋本総理を口説いて、アメリカを口説いてこれをやったら、あなた、外務大臣として物すごい評価になりますよと言ったら、うなずいていたんですけれども。 もう大臣おわかりのように、この十二月の三日に対人地雷条約の承認を日本はやるわけなんです。 あれは大変だったと思うんですよね。総理大臣を口説かなきゃいけないし、それに日本の防衛の見直し、そのときの記事にも載っていますけれども、日本の防衛のあり方、地雷を一回北海道近辺に、海岸線にまいて、それから敵国が来た場合にそれをどうするかということの戦略をやったものを全部見直しをしなきゃいけない、これも大変だったというふうに言っておりますし、アメリカを口説くのも大変だったと思うんですね。 そのときに新聞が書いていることを読むと、やはり、アメリカが嫌っていること、アメリカがなかなか承認しないことを日本の外交でやり抜く力というのも、また外交的にも大事なことだと僕は思っていまして、これから、アメリカに追随する、アメリカがどう考えるかじゃなくて、日本がどう考えるかという中で、日本の外交を、アメリカと意見が違ってもやり抜いていくという外交も、ぜひ大臣には頑張ってもらいたいなというふうに思いますね。 それがどの項目か、私にもわかりませんよ。わかりませんけれども、そういう外交が、本当の意味での、この国家にとっても、できなければいけない時期が来ていると思うんです。 それを申しますのも、今度、安倍総理、訪米しますよね。池田総理以来、五十四年ぶりに米国議会で演説をする、岸総理以来だと五十八年ぶりに演説をするということになっていますけれども、アメリカ議会で五十四年ぶりに演説をするというのは、私は、アメリカとの関係を重視してきた一つの成果が、日本の総理大臣、ここで演説をしてみろというような一つの成果になったと思うんですよね。 言えば、一九七八年に思いやり予算というものをやってみたり、イージス艦を購入してみたり、アフガニスタンの復興に、日本だけですけれども五年間で三十億ドルの支援をしてみたり、海賊対処法を二〇〇九年につくってみたり、オスプレイの配備をやってみたり。 二〇一二年ですけれども、グアムへの移転、一兆円。他の国の一地域に兵舎をつくるとかいうことで日本が一兆円のお金を拠出するのは初めてのケースですよ。世界の中でこんなことをやる国はないと思いますね。ドイツがそんなことをアメリカのためにやるか、フランスのためにやるかというと、僕は、なかなかやらないんじゃないかと思うんです。 こういうふうな積み上げで、今回、私は、総理大臣の演説があるのかなというふうに思っています。 では、今度は、私たちの国が、アメリカにこれだけ、ある意味貢献をし、幅広い外交をしてきた中で、アメリカから何を得たんだろうか。 五十四年間アメリカに守られていました、個別自衛権しかなくてアメリカに守られていました、その論理だけで私たちの国がアメリカのさまざまな要求に今まで応えてきたということ以外に、何か、ダイナミックに、この五十四年間で、日本の外交で、アメリカが日本のためにこう変えたと。 一つの例でいえば、地位協定、大胆に改定をしたとか。運用の改定しか今ありませんよね。今度、環境の改定といっても、そう大きなものじゃない。 そういうふうなもの、ダイナミックな、何か、アメリカをくどいて変えたというのは何があるのかといったら、大臣、何があるんでしょうかね。
○岸田国務大臣 日本とアメリカの関係、日米関係は、先ほど申し上げましたように、我が国外交にとって基軸ではあると確信をしております。 そして、戦後七十年を振り返りますときに、確かに、日米安全保障体制、これは我が国の外交安全保障にとって大変重要な体制であると思っていますが、その間にあっても、国際社会は大きく変化をしてきました。アジア太平洋地域の安全保障環境も大きく変化をし、国際社会においても、さまざまな、新しいグローバルな課題が発生してきました。 今、現状においては、そのアメリカとて、一国のみではみずからの平和や安定、繁栄を守ることができない、こういった時代に来ていると認識をしています。 ですから、日本は、日本とアメリカの関係、日米関係、これは外交の基軸であるとして、引き続き大事にしていかなければならないとは思っていますが、国際社会が変化する中にあって、日本とアメリカの関係もこうした国際社会の中でどうあるべきなのか、こういった視点で、しっかり、絶えず検討し、考えていかなければならない課題ではないかと思っています。 こうした大きな時代の変化の中で、日本はアメリカとどういう関係を保ち、そして、日本としてどういった役割を果たしていくのか、そして、こうした時代の変化の中にあって、日本の国の国益、国民を守るためにはどうあるべきなのか、こういった視点で、時代の変化に応じて、絶えず見直し、検討していく、こういった姿勢は重要なのではないかと考えます。
○下地分科員 外務大臣がおっしゃる世界の変化、アジアの変化、そしてアメリカの変化、財政的に厳しいアメリカが軍事的な力を失っていく、そういうこともありますよね。 そういう変化の中で、日本は大きく変わりましたよ。今回も、安保制度をつくる、恒久的に自衛隊が外に行けるようにもする、集団的自衛権もやる。このアジアの変化とか世界の変化とかアメリカの変化に合わせて、日本は変わってきているんです、どんどん。 だけれども、僕は、アメリカの日本に対する姿勢、それがなかなか変わっていないんではないかと。 例えば、しつこいようですけれども、地位協定。 私は落選していたんですけれども、集団的自衛権を閣議決定するときに、私がこの場所に立っているならば、大声で言いたいのは、個別自衛権から集団的自衛権、片務条約が相互条約に変わっていく、そういう中で、特に沖縄の人たちが、この地位協定を変えてもらいたいと。 日本が、これまでのような、アメリカに守られるだけの立場じゃなくて、我が国がアメリカと共同で物事をやらなければいけないような新たな仕組みができたときに、それに合わせて地位協定を変えていけばもっと理解が深まったんじゃないかなと私は思うんだけれども、そのことについて話し合われなかったということは、私は、非常に、やってもらいたかったな、残念だなという思いがあるんですね。 今回、一つですけれども、日米首脳会談、この首脳会談でどんな演説をするのか、興味を持っているんですよね。 外務大臣、どんな演説になるんでしょうかね、安倍総理は。
○岸田国務大臣 まず、米国政府からは、安倍総理に対しまして、米国に招待する、こうした表明がありました。そして、具体的な日程については、今米国と調整中、これから調整していくことになります。 ですので、演説の中身等についてもこれから調整していくことになると考えていますが、安倍総理の演説については、先ほど申し上げました、時代の変化の中にあって、これから未来に向けて日米関係というものをさらに充実発展させていかなければいけない、こうした未来志向の内容が盛り込まれるということは、間違いないところなのではないかと存じます。 それ以上、詳細につきましては、まだ調整中ですし、何よりも総理の演説でありますので、私の方から立ち入って申し上げるのは控えなければならないと思います。
○下地分科員 総理の演説ですから、外務大臣が全部お話しするわけにはいかないと思う。 骨格をつくるのは外務省ですから、そういう意味でも、安倍総理は何をしてきたかという挨拶じゃなくて、日米同盟が未来志向型でどうあるかというだけではなくて、アメリカが日本に対してどう変わったかということを、アメリカをどう変えるかというような演説を、そしてその中で、今日本国民が持っているようなさまざまなアメリカに対する考え方が変わるような、特に、私は、しつこいようですけれども、地位協定について、これについては、しっかりと演説の中に盛り込むというぐらいの勇気があってもいいのではないかというふうに思っています。 それで、これの一環なんですけれども、この前、安倍さんと仲井真前知事が四項目の合意をしましたね、辺野古の承認をするときに。承認しましたけれども。 一つは、日米地位協定の改定、環境の立入調査をする、これは今、前向きに進められていますけれども。米軍普天間基地の五年以内の運用停止をする。牧港補給基地の七年以内の全面返還をする。オスプレイの県外の配置だとか、県外の訓練をふやしていく。 この五つと、三千億円を、五年間、十年間ですか、お入れになる。それと、那覇空港の第二滑走路の予算については別枠でやる。 この七項目を安倍総理と仲井真前知事との間で、全閣僚出席のもとに決めてあるんですよね。 私は、この辺も不満なんですよ。この前も、私は知事選に出たときも仲井真さんに言ったんですけれども、何でこれは合意文書をまかなかったのか、何で閣議決定させなかったのか、何で総理談話を発表させなかったのかと言ったら、いや、これはもう信頼関係がある、下地さん、一国の総理大臣が約束したこと、全閣僚の前で言ったことは、これは間違いありませんよ、覚書以上のものなんですよ、そういうふうに言っていたんです。 この四項目、基地問題の四項目、それと経済政策の二項目は、沖縄の県政が翁長県政になっても、政府としては、生きているんですね、間違いなく淡々と進めるんですね。
○岸田国務大臣 まず、先ほどの安倍総理のアメリカでの演説についてですが、確認ですが、先ほど申し上げましたように、今、日程については調整中でありますので、演説を行うことも含めて調整中であるということを確認しておきたいと存じます。 その上で、今の質問ですが、御指摘の項目につきましては、これは、仲井真知事からの強い要請を受けて、政府として全力で取り組むとして、今日まで取り組みを続けていることであります。 よって、引き続き、相手のあることではありますが、できることを全て行うということで取り組んでいくというのが現在の政府の姿勢であると認識をしております。
○下地分科員 今度、辺野古の印鑑を押したときに、菅官房長官も防衛大臣もこう言っているんです、前県政だろうが、そのときの県政が押した印鑑はこれは効力があるんですよ、個人でやっているわけじゃないんですよ、だから、翁長県政にかわっても印鑑を押したことは間違いないんですよと言って、今辺野古の問題が進められている以上は、これは、県政が誰にかわろうと、当時の県知事と約束したことは進める、その解釈でいいですよね。もう一回、イエスかノーか、それを答えていただけますか。
○岸田国務大臣 質問の御趣旨は、新しい県政になっても、約束した項目について、引き続き政府として取り組んでいくかという御質問かと思いますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、引き続き政府として全力で取り組む姿勢でおります。
○下地分科員 さっき、外務大臣、相手があることですからと聞いたものだから、あれ、相手がかわったら変わるのかなというので二回質問したので、そうじゃなければ、それで結構です。 それで、防衛省来ていますけれども、副大臣、辺野古の工事、二十年から二十七年までで、七年間で、今六百九十五億円ぐらい発注されていますね。 総額、幾らになりますか、これが一点。辺野古という基地をつくるときに、総額が幾らになるのかというのを、時間がないので、これは数字だけ言ってください。 それから、ことし一年間の予算は幾らなんですかというのが二点目。 三点目に、ことしの予算で、辺野古の全体像の何割の工事が完成するんですか。 それと四点目には、この前の予算委員会で私に防衛大臣が、夏ごろまでに土砂入れをするというふうなことを申されましたけれども、この発言には変更ありませんね。夏ごろというのは、七月、八月を意味していると私は思うんですけれども、この夏ごろまでに土砂入れをするということには、変わりありませんね。 この四項目、数字を教えてください。
○左藤副大臣 最初の三項目については、後ほど事務方から説明させていただきます。 中谷大臣のお答えでございますが、先生御存じのとおり、平成二十五年十二月末の沖縄県知事による埋立承認を受け、設計業務や海上ボーリング調査などを今やっているところでございます。 このうち、本事業に係る土砂投入を含む埋め立てを行うに先立ち、護岸が必要でございますので、二十七年度中に護岸工事を着手すべく、これまで契約手続を進めていたところでございますし、既に契約を締結した工事については、工事着手に向けて準備をしております。 先日、三月三日ですね、衆議院の予算委員会で、中谷防衛大臣の発言は、護岸工事の着手に当たっては、ボーリング調査や、この結果を踏まえた設計などの進捗を踏まえる必要があることから、現時点では具体的な着手時期について確定的なお答えをすることは困難だと前置きした上で、強いて申し上げるならば、各種準備が整うことを前提で、可能であればこの夏ごろに着手をしたいということで答弁をしております。 防衛省としては、この移設に向けた設計等の作業の進捗を踏まえつつ、速やかに代替施設、本体工事に着手するとともに、事業期間が少しでも短縮できるように頑張っていきたいと思っておりますし、普天間飛行場の危険性除去のためにも、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移転に向けて、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 埋立工事の総額につきましては、現時点で、三千億弱というふうに見積もっております。 また、これまでの契約状況でございますけれども、平成十九年度から現在まで、総額で約六百九十五億円を契約しております。そのうち、平成二十六年度におきまして、約五百四億円の契約をしております。 また、平成二十七年度につきましては、現在御審議をいただいているところでございますけれども、総額で約千七百億円の要求をさせていただいているという状況でございます。
○下地分科員 今話をしましたけれども、今六百九十億円予算を使っていますけれども、三千億弱と言いましたね。この答弁、重いよ。本当に三千億弱でこの工事ができるかできないか。今自分が言ったことを頭に入れて、やっておいてくださいよ。 僕は、これを確認したいんですよ。この三年から五年、この工事金額でできると私は思っていない。しかも、もうあと二千四百億円しかない。二千四百億円で、あの千八百メートルの滑走路二つ、それに箱物をつくる。防衛省の考え方、きょうはっきりわかりましたから、それをこれからしっかり見ていかなきゃいけない。 それで、あと警察庁。 メールをいただいているんですよ。機動隊の奥様からメールをいただいていて、このメールではこういうふうに書いているんです。もう時間がないんですけれども。 私には今の辺野古の現状がどうしても小さな戦争が起きているという気がします、基地内の子供たちのスクールバスに向かって死ねなど罵倒するのは本当に沖縄県のためでしょうか、反対する人がいるのも大事だと思いますが、マナーやモラルが欠けている方々が多いんですと、こういうふうなメールがありました。 そして、私の主人は県民の安全を確保するために現在辺野古へ出動しています、賛成、反対はないですが、反対の方、警察の方は、夜も眠らずに、会いたい子供たちにも会えずに必死でいます、警察という前にまずは一人の人間として、休息、食事、メンタルケアが必要ではないでしょうかと、こういうことを書いているんです。 私はわかりませんけれども、こういうメールが来たからきょう質問させていただきますけれども、警備に関してもう少しゆとりのあるような、沖縄の機動隊って三百人しかいませんよね、県警の機動隊って全部でそれぐらいしかいないんじゃないですか、あれであれをやるというのはなかなか難しいとよく言われるんですけれども、警察官が職務としてやる以上は、警察官がゆとりを持ってできるような体制をつくってもらいたい。これは私の希望です。 これをやることが私は大事だと思っていますから、ぜひそのことを、警察庁、成田のときもいろいろと全国から動員してやられたケースもあろうかと思いますけれども、私は、警察官の立場になった警備のあり方を、ゆとりのあるものもやってもらいたいというふうに思いますけれども、いかがですか。
○塩川政府参考人 お答えします。 今議員御紹介いただきましたメールについてはちょっと私どもの方では承知していないところではありますが、普天間飛行場代替施設建設工事の抗議行動に対しましては、沖縄県警察において、個人の生命、身体、財産の保護と公共の安全と秩序の維持という警察の責務に照らし、所要の体制を確保して警備を実施するなど、必要な措置を講じております。 現地におきましては、交通量のある国道に面したゲート前の路上で集団による抗議行動が連日行われるなど、関係者の安全確保のための警察活動は大変に困難で、かつ緊張感の高いものであると認識しておりますが、今後も、引き続き現場の情勢に応じて所要の体制を確保し、その際には、勤務状況などにも十分に配意して、必要な警察措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○下地分科員 このメールが来たのは私だけですから、あなたがわかるわけではないんだけれども、そういう声があるということを踏まえて、ぜひ、ゆとりのある警備をやって、仕事をなされる方のメンタルケアも考えて、やってもらいたいというふうに思っています。 私の質問はもう終わりますけれども、非常にこの問題、賛成、反対という論議だけではなくて、そこで仕事をしなければいけない人たちがいるというようなことも踏まえて、よく配慮しながら、国家の政策ですから、ぜひやってもらいたいというふうに思います。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて下地幹郎君の質疑は終了いたしました。 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。 米軍普天間基地問題について質問をいたします。 まず、けさの地元紙の報道についてですが、昨日、環境監視等委員会の議事要旨や配付資料が公開をされましたが、この資料の一部が改ざんされていたことが報じられました。 環境監視等委員会は、沖縄県の仲井真前知事の埋立承認を受けて、名護市辺野古の新基地建設を進めるに当たっての環境保全措置などについて議論するために沖縄防衛局に設置された有識者委員会ですが、昨年六月の二回目の委員会で配付された資料に関して、三本の仮設桟橋、岸壁が示されていた図が、公表の段階で一本に書きかえられたというものであります。 防衛省、事実関係を明らかにしていただけますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 沖縄防衛局は、環境監視等委員会の議事要旨等を沖縄県に提出するとともに、昨日までに同局のウエブページに掲載したところでございます。 御指摘の資料は、昨年六月二十日開催の第二回委員会で用いられた資料のうち、「仮設桟橋・岸壁及び工事用仮設道路の設置に係る計画及び環境の保全措置の概要」であると承知をしております。 当該資料には、当時検討を行っておりました仮設桟橋等が設置される可能性のある箇所の全て、具体的には、仮設桟橋二基、仮設浮き桟橋一基及び仮設岸壁一基を全て整備することを前提に、計画の概要及び環境の保全措置の概要について記載されたものと承知をしております。 今般のウエブページへの掲載に当たりまして、現在の計画である仮設桟橋一基、仮設浮き桟橋一基のみとする図面等の訂正を行ったと聞いております。 これは、当初、検討案をそのまま掲載することで、実際に計画している仮設物以上のものが現場に設置されるとの誤解を招き、これによる環境負荷について間違った理解を導くおそれがあったことから、訂正を行ったものであると承知をしております。
○赤嶺分科員 今、委員会に提出された資料を、委員会の会議を公表するに当たって別の資料に置きかえていたということを認められました。 配付された資料は、そのまま公表するのが当たり前であります。事業者である防衛省が勝手に資料に手を加えて公表するなど、これはあり得ないことです。誰の判断でこのような改ざんを行ったんですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 今回は、沖縄防衛局においてウエブページへの掲載を行ったものでございます。 今回の公表に当たっての当方の措置が、委員会の信頼性に疑義を与えたり県民に誤解を与えたとすれば本意ではなく、このような意味から、公表に当たり訂正を行ったことについてもあわせて記載すべきであったと考えられるところであり、今後、適切に対処してまいりたいと考えております。
○赤嶺分科員 しかも、資料の変更について何も知らされていない委員までいたことが報じられています。委員の了承も得ないで資料を公開したということですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 沖縄防衛局によりますと、委員の方々に対しましては、公表する内容を記載した議事録の確認時に、図面を訂正する旨を伝えているとのことでございますが、その結果、委員の方々がどのように認識されたかについては、現在、再度確認を行っているところでございます。 委員の方々への説明に当たって配慮に欠ける部分があったことから、今後は適切に対処してまいります。
○赤嶺分科員 これは、単なる手続上の問題ではないんですよ。この環境監視等委員会は、仲井真前知事が埋め立てを承認するに当たって、事実上の条件の一つとしたものであります。環境保全上の問題点はいろいろあるけれども、この委員会での議論に丸投げされた格好になっておりました。いわば条件だったんですね。その委員会での議論や資料が、こんなずさんなやり方で取り扱われている。このこと一つとっても、埋立承認の不当性は明らかであります。 次に、辺野古の新基地と強襲揚陸艦との関係について伺います。 三月二日付の地元紙の報道によりますと、防衛省が埋立申請書の中で示している係船機能つき護岸の長さが、米国防総省の安全基準に基づく強襲揚陸艦の接岸に必要な長さと一致することがわかったと報じられております。 アメリカの国防総省の外郭団体、海軍施設エンジニアリングサービスが同省の安全基準に基づいて作成している技術書によると、長崎県の米海軍佐世保基地を母港とするボノム・リシャールなど、いわゆるワスプ級の強襲揚陸艦の接岸に必要な護岸の長さは、二百七十一・八六メートルと計測されるとのことであります。防衛省が埋立申請書の中で示している二百七十一・八メートルと同じであります。 政府は、これまで、辺野古の新基地に建設する係船機能つき護岸について、強襲揚陸艦の運用を前提とするものでは全くない、このように説明をしてきましたが、事実はその反対で、まさに強襲揚陸艦の運用を前提に設計されたということではありませんか。
○原田大臣政務官 お答えを申し上げます。 御指摘の米国防総省の安全基準がいかなるものを示すのかは明らかではありませんが、仮に長さ二百六十メートルの強襲揚陸艦を運用する場合、現在計画中の護岸の総延長約二百七十メートル全てに係船機能があるとしても、長さは不十分であります。当該岸壁は、強襲揚陸艦の運用を前提とした設計とはなっておりません。 なお、仮に御指摘の根拠が米海軍施設エンジニアリングサービスセンターが米海軍の指示で作成した技術書であるとすれば、当該技術書は、艦船を桟橋や岸壁に固定するための係船ロープ、いわゆるもやいの配置等を検討するためNFESCが開発した計算ソフトの解説書であり、具体的な艦船係留のための岸壁延長を示したものではないと承知をいたしております。
○赤嶺分科員 今の説明を聞いても、これまでのアセスの経過をよく検討すると、まだ不可解であります。 防衛省は、これまでのアセスの手続の中で、この護岸は故障したヘリを船舶で輸送するためのものだと説明をしてきました。そして、使用する船舶として示してきたのは、T—AVB4という輸送船。写真入りで説明をしてまいりました。全長は約百八十四メートル、護岸の長さは約二百メートルだ、このように説明をしてきたわけです。 ところが、埋立申請書の中に係船機能つき護岸の利用計画図がありますが、そこで示しているのもこの輸送船です。全長は、より詳細に、百八十三・五メートルとして、係船柱を含めた距離は二百三十八・一メートルとしています。もし、この輸送船が接岸するためだけの護岸だということであれば、二百七十一メートルの長さは必要ないはずです。 なぜ、二百七十一メートルの長さが必要になったんですか。強襲揚陸艦のためではないんですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 辺野古に整備する係船機能つき護岸につきましては、滑走路の短縮により、故障した航空機を搬出する輸送機が着陸できなくなるため、かわりに運搬船が接岸できるようにするためのものでございます。 御指摘の、環境影響評価書の段階におきましては、対象船舶T—AVB4の全長約百八十四メートルを踏まえ、護岸の総延長のうち、係船機能つき護岸を約二百メートルとする旨、記載したところでございます。 一方、公有水面埋立承認願書の作成に当たりましては、船舶の係留に必要となる係船柱の配置といった詳細を設計した結果、係船機能つき護岸を約二百四十メートルとする旨を記載したものでございます。 なお、運用上の余裕を見込み、係船機能のない部分も含め、護岸の総延長を約二百七十メートルとしたところでございます。
○赤嶺分科員 ですから、防衛省が今まで説明してきたとおりの、故障したヘリを運ぶ輸送船のためだというのであれば、これは二百七十一メートルの長さは必要ないわけですね。 運用上の余裕というのは何ですか。それは、やはり強襲揚陸艦のためのものではないですか。
○山本政府参考人 先ほど原田政務官からも御答弁申し上げましたように、仮に約二百六十メートルの強襲揚陸艦を運用する場合には、現在計画をしております二百七十メートルの岸壁の長さでは不十分でございます。したがって、当該岸壁は、強襲揚陸艦の運用を前提とした設計とはなっておりません。
○赤嶺分科員 先ほどは、国防総省の資料、これについては、それでは不十分なんだ、このように答弁なさっておりますが、国防総省は、米軍施設の整備を行うに当たっての統一的な基準を作成しております。これは、UFC、統一施設基準と呼ばれるものです。 先ほどのものとは別の資料でありますが、桟橋、岸壁の設計についても、二〇〇五年七月二十八日付で作成された統一施設基準があり、公表をされております。このように、UFCということで、我々でも手に入る、公表された資料であります。 これを見ると、空母や潜水艦など、艦船の種類ごとに必要な施設の長さや喫水などが示されておりますが、強襲揚陸艦の接岸に必要な施設の長さについては、二百六十九・四メートルと書かれております。 米国防総省の統一的な基準からいっても、辺野古の係船機能つき護岸が強襲揚陸艦の運用を前提に設計されたということは、明らかではありませんか。
○原田大臣政務官 お答えさせていただきます。 強襲揚陸艦等の対象艦艇が接岸するための岸壁の長さにつきましては、配備する艦艇の安全確保を踏まえ、米側から要望されている配置要件等に基づき決定をしております。 なお、UFCを含む米海軍が定めております基準については、私どもでお答えする立場にございませんことを御理解いただきたいと思います。
○赤嶺分科員 ちょっと理解できない答弁でありますが。 アメリカ側が、今まで、例えば思いやり予算とか、そういう米軍の施設をつくるための基準として、UFCに基づいて日本側に提案してきたというのは、これは明らかですよね。 答えられないと言うのじゃなくて、アメリカ側から具体的にどのような要望があったのか、日米間で、この強襲揚陸艦、どういう協議が行われたのか、きちんと示すべきではありませんか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 繰り返しになりますが、辺野古に整備をいたします係船機能つき護岸につきましては、滑走路の短縮により、故障した航空機等を搬出する輸送機が着陸できなくなるため、かわりに運搬船が接岸できるようにしたためのものでございます。 防衛省が実施いたします提供施設の整備に当たりましては、米側の要望をもとに日本の基準等も踏まえて設計することとなりますが、当該岸壁や護岸につきましては、公有水面埋立承認願書に記載をしているとおり設計を行ったところでございます。
○赤嶺分科員 ですから、私、ここで確認したいんですが、いわば、アメリカ側のUFC、統一施設基準で、強襲揚陸艦の接岸に必要な施設の長さとしては、二百六十九・四メートルという基準が示されていることは、これは認められますね。
○山本政府参考人 繰り返しになりますが、強襲揚陸艦等の対象艦艇が接岸するための岸壁の長さにつきましては、配備する艦艇の安全確保を踏まえ、米側から要望されている配置要件等に基づいて決定をしております。具体的には、その艦艇の長さですとか艦艇間のスペースというものでございます。 米軍が定めている基準につきましては、防衛省としてお答えする立場にないということを御理解いただきたいというふうに存じます。
○赤嶺分科員 この基準は、先ほども申し上げましたように、公開をされております。それで、今までも、防衛省も、思いやり予算や米軍再編などで米軍施設を整備する際に、この基準を参考にする、こういうことをこれまで繰り返し答弁してきているんですよね。 この基準に、二百六十九・四メートル、このように書いてある。これは事実の問題として、素直に認めるべきではありませんか。これを知らないということはないはずですよ。いかがですか。
○山本政府参考人 繰り返しになりますが、米軍が定めている基準につきまして、防衛省としてお答えする立場にないということを御理解いただきたいというふうに存じます。
○赤嶺分科員 外務大臣も今のやりとりを聞かれたと思うんですが、知っていても答えない、強襲揚陸艦が接岸可能な岸壁になっていても、それを認めようとしない。これでは説明をしているということに全くならないと思います。 この強襲揚陸艦についてさらに聞いていきたいんですが、強襲揚陸艦が辺野古の新基地を使うかどうかというのは、基地機能の強化に直結する大問題です。同時に、住民の生活環境、自然環境にかかわる重大な問題でもあります。 強襲揚陸艦は、オスプレイに加えて、ハリアーやF35のような戦闘機の運用が可能であります。LCACというホバークラフト型の揚陸艇も搭載しています。 ボノム・リシャールは、三隻のLCACを搭載できるとされておりますが、この点は確認できますね。
○黒江政府参考人 米軍が運用しております強襲揚陸艦の能力に関するお問い合わせだと思いますけれども、ボノム・リシャールは、ワスプ級の強襲揚陸艦ということで、最大三隻のエアクッション艇、LCAC等々でございますが、これを収容可能なドック、及び、最大九機の航空機、ヘリコプターを同時に運用可能なフライトデッキを有しているということでございます。
○赤嶺分科員 LCACは大変な騒音被害をもたらします。海水を巻き上げながら航行するために、周辺の住民や農作物に塩害をもたらします。 強襲揚陸艦の母港とされている長崎県の佐世保基地周辺では、そうしたLCACによる騒音や塩害が問題になってきておると思いますが、いかがですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 米軍佐世保基地におきましては、当初、LCACは崎辺地区に配置をされておりましたが、その後、平成七年から崎辺地区の一部を暫定使用したところでございますけれども、当該施設が狭隘であり、また、周辺地域への騒音問題が生じたことから、既存の米軍施設へのLCAC施設の整備の要望が米側から当省に出されたところでございます。 これを踏まえまして、当省は、適地の調査検討を行い、西海市に、旧西海町でございますけれども、御理解をいただいた上で、平成十六年度から横瀬貯油所におきまして工事に着手いたしました。平成二十四年三月に当該工事を了し、米軍への提供手続を経て、平成二十五年三月、米軍は、LCACを横瀬貯油所へ移転し、同施設で運用を開始したところでございます。 なお、LCACによります騒音や塩害の問題でございますけれども、LCAC施設の移転に伴い、現在、九州防衛局におきましては、長崎県環境影響評価条例に基づく事後調査として、平成二十四年一月から平成二十七年三月末までの間、騒音等に関する調査を実施しているところでございます。 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、LCAC施設の運用に当たりましては、周辺住民の生活環境への影響を最小限にするよう、米側に引き続き働きかけてまいる所存でございます。
○赤嶺分科員 LCACの運用というのは、佐世保市から西海市に移転しても、横瀬貯油所に移転しても、被害は拡大する一方であります。 LCACが通ると、飛行機のような音が響く、塩が吹き上げられて洗濯物がべたべたする、騒音測定でも八十デシベルを超える騒音が測定されている、あるいは民間船舶との衝突の危険も深刻だという声が上がり、だから、LCACの運用に当たっては長崎県の条例に基づいて環境アセスが行われている。これだけ近隣に大きな被害をもたらしている。 佐世保市や西海市で起こってきた騒音や塩害の被害、これは辺野古でも発生する危険は重大だと思いますが、防衛省は、この点は、今までどのように認識してこられましたか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 繰り返しになりますが、辺野古の普天間飛行場代替施設におきます桟橋は、T—AVB4という運搬船を対象としたものでございまして、長さ約二百六十メートルの強襲揚陸艦を運用する場合、現在の総延長では不十分であり、当該岸壁は強襲揚陸艦の運用を前提とした設計とはなっていないという点について、御理解いただきたいというふうに存じます。
○赤嶺分科員 同じ答弁の繰り返しですが、UFCに書かれている基準については答えられないという立場でありますから、これは、強襲揚陸艦が辺野古には来られないんだ、来ないんだというような答弁にはなっておりません。 そこで、外務省、外務大臣に伺いますが、米軍の強襲揚陸艦が沖縄にやってくる際には、現在はホワイトビーチを使っております。この三月四日にも、ボノム・リシャールと、先月佐世保に配備されたばかりのグリーン・ベイという最新鋭のステルス揚陸艦が寄港していることが報じられました。LCACが水しぶきを上げて爆音を響かせながら訓練を行っている様子が伝えられております。 辺野古の新しい基地ができれば、海兵隊の陸上部隊と一体の基地になります。弾薬庫も隣接をしています。米軍からすれば、人員や物資の積みおろしを極めて効率的に行えるようになるわけです。これまでホワイトビーチに寄港していた強襲揚陸艦が、アメリカの運用の効率性を考えれば、辺野古にやってくるというぐあいに私たちが考えるのは非常に自然なことだと思いますが、辺野古にやってくることは明らかではありませんか。
○冨田政府参考人 お答えをいたします。 ただいま先生の方から、米軍の強襲揚陸艦のホワイトビーチへの寄港について御紹介がございましたけれども、このような点につきましては、恐縮でございますけれども、米軍の運用にかかわる事項でございまして、政府として承知をしていないという立場でございます。 その上で、辺野古の代替施設でございますけれども、この施設については、強襲揚陸艦の接岸を前提としていない設計となっているということについては、先ほど来防衛省から御答弁があるとおりでございます。
○赤嶺分科員 今までの環境アセスの手続の中で、護岸の長さは二百メートルだと説明してきたわけですよ。強襲揚陸艦が来るんじゃないかという質問をしても、二百メートルでは強襲揚陸艦は接岸できない、こういうことを言ってきたわけですが、今になって、二百七十メートル、これが埋立申請で出されている。 結局、住民の反対の声が広がるのを恐れて、埋立申請書という最後の段階まで本当の護岸の長さを隠し続けてきたとしか言いようがありません。外務大臣、いかがですか。
○金田主査 時間が参りましたから、簡単に答弁をお願いいたします。
○岸田国務大臣 御指摘の点につきましては、先ほど冨田北米局長から答弁させていただいたとおりであります。 防衛省から説明がありましたとおり、辺野古における護岸、これは強襲揚陸艦の接岸を前提としたものではないとの認識に立っております。
○赤嶺分科員 終わります。
○金田主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。 次に、畑野君枝君。
○畑野分科員 日本共産党の畑野君枝です。 初めに、神奈川県横須賀市に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンについて伺います。 私は、一九九九年十一月、国会で、神奈川県横須賀市などに寄港する原子力潜水艦に対して地方自治体から出されている米国の原子力軍艦の放射能事故対策への緊急要望に国が応えるよう質問し、当時の科学技術庁長官は、異常が発生したときの対応の必要性を初めて認められ、地方公共団体との十分な協議を約束されました。 さらに、二〇〇〇年三月、私は、米国原子力艦船の災害について防災基本計画に位置づけるよう求め、それはその後、加えられることになりました。 そして、原子力艦の原子力災害対策マニュアルが二〇〇四年八月に策定されました。 その後十年たちまして、このたび私は、国会へ衆議院議員として送っていただきました。 この十年の間に、横須賀市には、二〇〇八年、米国の原子力空母ジョージ・ワシントンが、多くの市民の反対にもかかわらず初めて配備されるという事態が起きました。しかも、二〇一一年の東日本大震災と福島第一原発事故を受けて原発の避難基準が見直されたにもかかわらず、原子力艦の避難基準の抜本的な見直しはされないままになっております。 横須賀市では、一昨年、二〇一三年の四月に続いて、昨年、二〇一四年八月にも、横須賀市長が、原子力艦に関する地域防災計画について、国の防災基本計画が改定されたことを踏まえ、政府としての考えを示してほしいと岸田外務大臣に要請されてまいりました。 そこで、内閣府に伺います。二〇〇四年の原子力艦の原子力災害対策マニュアル策定は、どのような体制、日程で行われたのですか。
○日原政府参考人 お答えいたします。 原子力艦の原子力災害につきましては、平成十四年四月の中央防災会議におきまして、防災基本計画の中に原子力艦の原子力災害対策に関する国、地方公共団体等の関係機関の活動事項を定めた章が追加されたことを受けまして、これに関する技術的な検討を行うため、平成十四年七月に、学識経験者、関係省庁、関係地方公共団体から成る原子力艦災害技術検討委員会が立ち上げられました。 この検討委員会におきまして平成十五年三月に取りまとめられた報告書の内容等を踏まえまして、平成十六年八月に中央防災会議主事会議におきまして原子力艦の原子力災害対策マニュアルを申し合わせたところでございます。
○畑野分科員 その中で、検討チームというのはどういうふうに進められたんですか。
○日原政府参考人 お答えいたします。 検討チームにおきましては、第一回を平成十四年七月四日に開催いたしまして、以後六回開催し、三月三十一日にまとめております。
○畑野分科員 どういう方々が入っていらっしゃるか、紹介していただけますか。
○日原政府参考人 お答えいたします。 学識経験者の方が六名、それから行政関係者、これは各省庁が入ってございます。そのほかに、関係地方公共団体として、神奈川県、長崎県、沖縄県、横須賀市、佐世保市、勝連町でございます。
○畑野分科員 そのようなことが取り組まれたというふうに伺いました。 それで、内閣府に引き続き伺いたいんですが、原子力艦の原子力災害対策マニュアルなんですが、今後の見直しについてどのような体制で行う予定ですか。
○日原政府参考人 原子力艦の原子力災害対策マニュアルの見直しにつきましては、現在政府内で行っております東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果を踏まえて関係省庁におきまして対処することといたしておりますので、まだ検討体制について定まったものはございません。
○畑野分科員 あすで東京電力福島第一原発事故から四年目を迎えます。本当に見直しがおくれていると言わなければなりません。 ところで、横須賀市には、原子力発電用燃料製造会社として発足したグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンがあります。サイクル施設の原子力災害対策指針について、今後の検討日程はどのようになっているか、原子力規制庁に伺います。
○片山政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンなどの核燃料加工施設を含めまして、実用発電用原子炉以外の原子力施設に係ります原子力災害対策重点区域につきましては、現行の指針におきましても、各施設の特性等に応じて施設ごとに設定をいたしているところでございます。 他方で、これらの重点区域につきましては、現行の指針におきまして、実用発電用原子炉に係る考え方も踏まえて見直しを行うこと、これが検討課題とされております。これも含めまして、現在、原子力規制庁において技術的な検討を進めているところでございます。 委員御指摘の核燃料サイクル関連の施設、非常に多様なものがございます。それらについてしっかりと技術的な検討を進めた上で、指針の改定案というのを規制委員会で御議論いただければというふうに考えてございます。
○畑野分科員 そうしますと、今見直しが進められているということでよろしいですか。
○片山政府参考人 原子力規制庁におきまして技術的な検討を進めているところでございます。
○畑野分科員 岸田外務大臣に伺います。 横須賀市長が繰り返し原子力艦の災害対策マニュアルの見直しを岸田外務大臣に求めておられます。岸田外務大臣としてどのように受けとめていらっしゃいますか。
○岸田国務大臣 原子力艦の原子力災害対策に関しましては、委員から御指摘がありましたように、平成二十五年四月そして平成二十六年八月に、横須賀市の吉田市長から私宛ての要請書をいただいております。政府としても、本件に対する横須賀市の高い関心については十分認識をしているところであります。 そして、原子力艦の原子力災害対策の見直しについては、先ほど内閣府からも答弁がありましたように、現在行っている東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえ関係府省において適切に対処していく、こういった考えに基づいて取り組みを進めているところであります。 この問題に関する政府内での議論の調整にはなお一定の時間が必要であることは御理解いただきたいと思いますが、外務省としましては、原子力艦の安全に対する地元の信頼を維持していくことの重要性、これは強く認識をしております。横須賀市を初めとする関係地方公共団体等の高い関心を踏まえ、関係府省とともにぜひ適切に対応し、努力を続けたいと考えています。
○畑野分科員 横須賀市は、市民の安全確保は当然図っていかなければならない、それから、市には、年間二百日を超える期間、米海軍の原子力艦が寄港している状況がある、そして、東日本大震災が起きて、政府内での議論を加速してほしい、こういうことを岸田外務大臣に要請されているわけですね。ですから、大臣、今おっしゃいましたけれども、ぜひそれが促進するように進めていただきたいと思いますが、いかがですか。重ねて伺います。
○岸田国務大臣 今申し上げましたように、政府としましては、しっかりと検討を重ね、そして適切な対応をしていかなければならないと存じます。こうした要請書をいただいた身としましても、外務省としてしっかり責任を果たすよう督励をしていきたいと考えます。
○畑野分科員 岸田外務大臣から、外務省としてもしっかり督励をしていくという御答弁がございました。 現在既に入港している原子力艦の原子力災害対策について早急に見直しを行うというのは当然のことでございます。私は、やはり大もとには原子力空母等の配備があるわけで、これは今後、日本政府は認めるべきではないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 次に、厚木基地の爆音問題について伺います。 沖縄に次いで米軍基地が集中しているのが神奈川県です。厚木基地周辺では、航空機の爆音に周辺住民は長年悩まされ、苦痛を押しつけられてまいりました。 防衛省に伺います。住民から、周辺自治体や神奈川県とともに、防衛省にも多くの抗議や深刻な苦情が寄せられていると思いますが、昨年は何件寄せられましたか。
○山本政府参考人 お答えいたします。 平成二十六年一月から同年十二月の間に防衛省が受けました厚木海軍飛行場関連騒音苦情件数は千六百七件でございます。
○畑野分科員 国に寄せられているのは、昨年、千六百七件ということでございました。大変な数です。あわせて、神奈川県と、大和市、綾瀬市を初めとした厚木基地周辺九市では、昨年、五千三百三十一件もの苦情が寄せられております。合わせたらさらに大きな苦情の件数になるわけです。 人口密集地域で、学校も病院も幼稚園や保育園もある地域を、昼夜の別なく米軍機は爆音をまき散らして訓練をしております。さらに、欠陥機であるオスプレイが厚木基地に飛来をいたしました。 最近の三年間、空母出港後の数日間、二十二時、夜十時から深夜にかけて多数の艦載機の飛行が行われており、深刻な被害を市民に与えております。 配付資料をごらんいただきたいと思うんですが、最初にございますのが、大和市基地対策協議会の要望書の資料でございます。二枚目をごらんいただきたいんですが、深夜の艦載機騒音により二百万人以上が被害を受けているという資料でございます。 これによりますと、昨年、二〇一四年、空母は五月二十四日に出港し、五月二十五日から二十六日にかけて深夜の艦載機の飛行が行われ、最高音は百六・七デシベル、最後の飛行時刻が午前零時五十六分、真夜中、騒音測定回数は十六回に及びました。さらに、一昨年、二〇一三年、空母は六月二十六日に出港し、六月二十九日から三十日にかけて深夜の艦載機の飛行が行われ、最高音は百七・六デシベル、最後の飛行時刻は午前二時二十五分です。騒音測定回数は二十回になっております。二〇一二年も資料のとおりです。 百デシベルを超える爆音というのは、間近で聞くクラクションにも相当する騒音で、深夜の静寂が突如打ち破られ、安眠を妨げられるなど、日常生活に深刻な被害を受けていると市民は訴えておられます。電車が通る際のガード直下の騒音とも言われております。 そもそも、住宅地での飛行訓練は、夜間も、そして昼間も、やめさせるべきです。 岸田外務大臣に伺います。少なくとも日米合同委員会の合意では、二十二時、夜十時以降の航空機などの飛行は原則禁止にしているというわけですから、これはすぐやめさせるように米国に求めるべきではありませんか。
○岸田国務大臣 御指摘のように、米軍機による騒音問題は、周辺住民の方々にとって大変深刻な問題であると認識をいたします。 日米合同委員会の合意につきましても、外務省としては、これまでも、騒音規制措置の遵守を繰り返し求めてきております。しかしながら、こうした御指摘のような状況であります。地元に与える影響を最小限にしなければならないと考えますし、そのために一層の努力が求められると考えます。日米合同委員会合意の遵守など、ぜひしっかりと働きかけは続けていきたいと考えます。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○畑野分科員 今、岸田外務大臣がお答えになりましたように、日米合同委員会の合意で決めていることは遵守をしっかり求める、地元への本当に大変な被害をなくすために取り組んでいただきたいと思います。 もう一つ、資料の三枚目のところにつけさせていただきましたが、「神奈川県と周辺九市への一日の苦情件数 着艦訓練とジョージ・ワシントンの出入港」という棒グラフの資料をごらんください。 深夜の爆音は、空母が出港して、艦載機が着艦資格取得訓練のために深夜に厚木基地に戻ってくることによるもので、資料で、着艦資格取得訓練を行っている昨年の五月二十五日から二十七日ころに苦情が急増しております。二十六日に百七十六件、二十七日に百七十五件と、このように高いグラフになって、苦情が寄せられております。 それで、着艦資格取得訓練は洋上で空母の甲板に着艦する訓練で、この試験というのは相模湾沖の太平洋上で実施されております。深夜に訓練を終えた艦載機が厚木基地に戻ってきて爆音をまき散らす、このようなことはやめるように米国に求めるべきではありませんか。
○冨田政府参考人 厚木基地を取り巻く騒音の問題につきましては、ただいま外務大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、騒音問題の深刻さ、外務省としても強い問題意識を持っておりますので、合同委員会による騒音規制の遵守を繰り返し求めているところでございます。 特に、今御指摘のございました着艦資格取得訓練との関係では、恒常的な空母艦載機の着陸訓練施設の整備が課題となっております。この点につきましては、平成二十三年六月二十一日の2プラス2の合意文書に基づきまして、現在、我が国の南西地域における防衛態勢の充実のための自衛隊施設を整備し、あわせて、その施設において、FCLP、空母艦載機着陸訓練でございますけれども、これを実施することについて検討を進めているところでございます。 このような恒常施設ができるまでは、引き続き、可能な限り硫黄島で全てのFCLPを行うよう米側に求めていく、そういう考えで対応していく所存でございます。
○畑野分科員 その後も、相模湾沖で着艦資格取得訓練が行われるというような米海軍司令部の報道もありまして、横須賀に空母の母港があるということが根本にあると思うんです。ですから、空母の母港は撤回すると先ほど私申し上げましたが、と同時に、人口密集地ですから、厚木基地を撤去していくことを米国に求めるべきだということを申し上げたいと思います。 防衛省の方でこの問題についてございますか。いいですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 日ごろから厚木飛行場周辺の住民の皆様方には航空機の騒音により大変な御迷惑をおかけしているということは、十分認識をしております。 米空母艦載機着陸訓練終了後の深夜飛行につきましては、米側としては厚木海軍飛行場騒音規制の遵守に努めているものと認識をしておりますが、米軍の運用上、やむを得ず二十二時以降の飛行を必要とする場合があると考えております。 防衛省といたしましては、米側に対し、二十二時以降の飛行等の活動は運用上の必要に応じ緊要と認められる場合を除き禁止される旨定めた当該騒音規制を遵守するよう機会を捉えて要請しており、FCLP終了後の深夜飛行については、改めて米側に十分な配慮を要請しているところでございます。 当省といたしましては、引き続き、米側に対し、深夜の飛行による周辺地域に与える影響を可能な限り軽減するよう求めてまいる所存でございます。
○畑野分科員 可能な限り求めるではだめなんですね。ですから、これは本当に、日米合同委員会の合意を遵守するということで、きちっとそれはやっていただきたい。外務省からも先ほどあったことを、私はもう一度防衛省にも申し述べたいと思います。 続いて、横須賀には、さらに夏までに新たにイージス艦二隻、二〇一七年夏までにさらにイージス艦一隻が配備される計画が明らかにされております。米艦船十一隻態勢から十四隻態勢となり、基地機能は格段と強化されようとしております。これは、基地の整理、縮小、返還という神奈川県の県是にも逆行するものです。米兵による犯罪、事故が増加するのではないかという住民の不安が増しております。 空母ミッドウェーが横須賀を事実上の母港としてから四十年以上が経過する中で、神奈川県内でも絶えず米兵による犯罪が繰り返されてまいりました。 二〇〇六年一月三日には、空母キティーホークの乗組員の米兵による女性強盗殺人事件が起きました。被害者の遺族山崎さんから、犯人の米兵と米軍、そして米兵を駐留させている日本政府の責任を追及する損害賠償請求訴訟が起こされました。 この事件は、最高裁まで争われ、判決は確定しております。補償はどうなっておりますか。米側にどのように働きかけているのですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 お尋ねの事案につきましては、平成十八年一月三日、雑居ビル前路上を出勤のため歩行しておられた被害者から米側当事者が金品を強奪しようと企て、被害者の顔面、腹部等を殴打するなどして殺害したものであると承知をしております。 この事案に関しましては、米側による補償金の支払い手続が進められており、現在、米側において審査が行われているところでございます。 防衛省といたしましては、被害者の早期救済が図られるよう、引き続き米側に働きかけてまいる所存でございます。
○畑野分科員 最高裁の判決から一年九カ月、事件から九年もたつんですね。どういうふうに進めているんですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 本件につきましては、平成十八年十月に提起されました米側当事者及び国に対する損害賠償請求に係る判決が平成二十五年六月に確定したことを受け、米側による補償金の支払い手続が進められているものでございまして、防衛省といたしましても、米側に対する働きかけを鋭意行ってきておるところでございます。
○畑野分科員 それが進まないということは、どういうことが問題なんですか。
○山本政府参考人 現在の時点まで米側における手続が了していないというところでございますけれども、引き続き、防衛省として、米側に対する働きかけを続けてまいりたいというふうに考えております。
○畑野分科員 損害賠償金と遅延損害金、これは一体不可分です。遅延損害金というのは、利息ではなくて、償われるべき正当な権利だということを米側にしっかり言う必要があるということを私は申し上げておきます。 それでは、二〇〇六年、同じ年の九月十七日に、タクシー代を払わずに乗り逃げしようとした米兵らを追いかけた運転手が逆に暴行を受け、全治一カ月の傷害を負わせられた事件の補償はどうなっていますか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 お尋ねの事案につきましては、平成十八年九月十七日、米側当事者がタクシー料金を支払わずに乗り逃げしようとしたため、被害者が米側当事者を追いかけ、タクシー料金を請求したところ、米側当事者が被害者の顔面を殴打する等の暴行を加え、傷害を負わせたものと承知をしております。 この事案に関しましては、米側による補償金の支払い手続が進められていたところ、平成二十四年三月二十九日に米側から提示された示談の内容に請求者が同意しなかったため、現在、米側において改めて検討が行われているところでございます。 防衛省といたしましては、被害者の早期救済が図られるよう、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○畑野分科員 示談書について、法的な観点から不合理な内容にならないようにしていく、米兵犯罪の被害者に対する早期補償の実現を図るように求めておきます。 次に、二〇〇四年に返還合意された神奈川県横浜市の米軍基地について伺います。 私は、二〇〇三年一月、国会で、深谷通信所、富岡倉庫地区、上瀬谷通信施設、根岸住宅地区の四つの米軍基地について、日米で返還協議が始まることについて質問いたしました。 そこで、米軍根岸住宅地区内部の米軍に接収されなかった地域に居住する御夫妻が訴えている問題について伺います。 日常生活などで不当な制限を受けている上に、昨年八月二十五日に米軍は二カ所のゲートを閉鎖しました。年内にも根岸住宅が閉鎖されるという話を聞かれて、ゲートがきちっと使えるのか、また、米軍の変電施設を経ている電気や上下水道など、ライフラインはどうなるのかと心配されているんです。政府はどのように対応されるお考えですか。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○山本政府参考人 お答え申し上げます。 根岸住宅地区に囲まれた土地、非提供地でございますけれども、ここに居住されている住民の方からは、これまで当省に対し、累次にわたり生活環境等に係る要望がなされており、これらの要望につきましては、当省から米側にその都度申し入れるとともに、必要な調整を行うなど、できる限り対応してきているところでございます。 当省といたしましては、引き続き、当該住民の方の今後の生活環境等の確保に係る御不安や御懸念を踏まえ、米側や関係機関と必要な調整を行い、適切に対応してまいる所存でございます。
○畑野分科員 横浜市ともきちんと相談して、心配のないようにやっていただけるということでよろしいですか。
○山本政府参考人 米側や、横浜市を含みます関係機関と必要な調整を行い、適切に対応してまいる所存でございます。
○畑野分科員 ここに居住される御夫妻は本当に御苦労されて、水道も、米軍とかけ合ってやっと整備をされる、そういう本当に人権侵害の状況がございました。一刻も早く救済されるよう、万全の措置をとることを求めておきたいと思います。 それで、一つだけ確認です。 深谷通信所ですが、市民が利用してきた野球場、これはどうなるのかという声が寄せられておりますが、これについてお答えをいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。 平成二十六年六月三十日に米側から返還されました旧深谷通信所につきましては、返還後の国有地の適正な管理及び速やかな跡地利用に資するとの観点から、既存利用者に対し、平成二十七年三月三十一日までに原状回復を行うことを要請しているところでございます。 他方、既存利用者である野球場利用者の方々からは、防衛省及び横浜市に対し継続使用に係る要望がなされたことを踏まえ、当省としては、公共性、公益性に鑑み、平成二十七年四月一日以降の野球場の利用について、横浜市及び財務省との間で協議を行っているところでございます。
○畑野分科員 上瀬谷基地の返還に当たっても、今後しっかり進めていただくようにお願いをしたいと思います。確認ですが、よろしいですか。
○山本政府参考人 上瀬谷基地の返還につきましても、既存の利用者の方々にも十分に説明をさせていただき、適切に対応させていただきたいというふうに考えております。
○金田主査 時間が参りました。
○畑野分科員 はい、わかりました。 では、最後に一言申し上げて終わります。 本当に、こういう基地があるゆえに被害が起きている、困難が生まれているということでございます。それをなくしていくためには基地の撤去が必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。
○金田主査 これにて畑野君枝君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○金田主査 次に、法務省所管について政府から説明を聴取いたします。上川法務大臣。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○上川国務大臣 平成二十七年度法務省所管等予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 法務省は、法秩序を維持し、国民の権利利益を擁護するという基本的な任務の遂行を通じて、国民の安全、安心な生活を守るとともに、時代の変化等に伴う新たな政策課題に取り組むため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。 法務省所管の一般会計予算額は、七千三百七十四億八千七百万円となっております。 また、復興庁所管として計上されている法務省関係の東日本大震災復興特別会計予算額は、十五億八千四百万円となっております。 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○金田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま上川法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金田主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○金田主査 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮川典子君。
○宮川分科員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の宮川典子でございます。 法務関係での質問は本日初めてになりますけれども、ぜひ有意義な議論ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、本日は、大きく二点のことについて伺いたいと思っております。一点目は成年年齢の引き下げの問題について、もう一つは少年法の改正についてでございます。限られた時間ではありますけれども、簡潔に御答弁を頂戴できればと思います。 まず、昨年、選挙権を十八歳に付与するということで、法律が通りました。国民投票法と、これから、次回行われます参議院議員の通常選挙からは十八歳も投票ができるということで、これはかなり大きな話題と現在なっているところであります。 そんな中で、選挙権の十八歳という年齢に合わせて成年年齢の引き下げも検討するべきではないかという議論があちらこちらで出ております。法務省の中でも、法制審議会の中に成年年齢に関する部会を立てられまして、今まで議論をされてきたと思います。その中では、一つの結論として、成年年齢も十八歳に下げるべきである、それが適当であるという結論が出たというふうに私自身存じております。 この審議会及び部会での議論、結論のもとに、現在のところ、これから先、民法の中で成年年齢が引き下げられるということに関してどのような取り組みを、法務省内、またさまざまな省庁と連携してやっているのか、現在のお取り組みをまず伺いたいと思います。
○上川国務大臣 ただいま委員から御質問がございました、民法の成年年齢の引き下げについてに係る法務省におけるこれまでの取り組みということでございますけれども、御指摘いただきましたとおり、平成二十一年の十月に、法制審議会から、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当である、こういう答申がございました。ただ、その際、引き下げを行うには一定の環境整備が必要であるということで、直ちに引き下げることにつきましては相当でないという旨の答申をいただいてきたところでございます。 この答申を受けまして、環境整備策ということで法務省として取り組んできたところにつきましては、法教育の充実等について努めてきたところでございます。 具体的なところでいきますと、若年者向けの法教育の教材の充実化を図るとともに、学校等からの要請に応じまして法務省の関係職員を講師として派遣する、こうした法教育の授業をサポートする、こうしたことにつきまして実施をしてまいりました。平成二十五年度を見てみますと、法務省関係機関の職員が、全国の小中高等学校におきまして三百二件、対象者数としては一万三千六百七十二名の学生の皆さんに法教育授業ということで実施をしているところでございます。
○宮川分科員 ありがとうございます。 今大臣がおっしゃった中に環境整備というお言葉がありました。私も、十八歳に年齢を引き下げるのであれば、まずは、十八歳、十九歳の子供たちというか若者が、しっかり、主権者たるというか成年たる意識を持てるような環境整備が大変重要だと思っておりますけれども、それにかかわって二点、単純な質問ですが、お伺いしたいと思います。 まず一点は、例えば、たばこや酒の許可年齢の設定はどうするのかというのが、この十八歳成年年齢の引き下げの問題を話すときに必ず出てくる話題であります。 また、これは、私はもともと教育現場におりまして、中学校、高校の生徒たちの生活指導をしておりましたけれども、もし成年年齢が十八歳に下がって、また、たばこや酒の許可年齢も十八歳に下がると、十七歳の子には吸ってはいけませんという話をして、十八歳の生徒には吸ってもいいよという話をしなければいけない。教育の現場ではかなりこれが大きな問題であり注目点ではあるわけですが、現時点でこのたばこや酒の許可年齢に関してどのような扱いをしていくのか検討しているのであれば、ぜひ警察庁から御答弁いただきたいと思います。お願いします。
○島根政府参考人 お答えいたします。 未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法は、満二十歳未満の者の喫煙及び飲酒を禁止しているところであります。 平成二十四年に内閣府の御協力をいただきまして実施しました喫煙・飲酒の年齢制限に関する特別世論調査におきまして、喫煙、飲酒ともに年齢制限を現行の年齢どおり二十歳とするという回答が八割に近く、国民の意識といたしましては制限年齢の引き下げに消極であるということがうかがえたことから、現時点におきましては、現行の年齢制限を維持することといたしております。 今後、この年齢条項を見直すべきかどうかにつきましては、これらの法律が、未成年者の健康被害を防ぐ、それとともに少年の非行を防止するためのものであると解されますことから、少年の健全育成を目的とする少年法の対象年齢の動向を十分に踏まえるとともに、年少者による飲酒、喫煙の健康への影響に対する指摘やその時点における世論の動向等を考慮しつつ、慎重に判断すべきものと考えております。
○宮川分科員 ありがとうございます。 あともう一点ございます。国民年金の話ですけれども、年金も、二十になれば加入をして、また納入をしなければいけないというふうにルールが決まっております。学業中、例えば大学生で大学に在学中の場合には猶予をされるということはありますけれども。 しかし、これがもし十八歳に成年年齢が下がり、十八歳で既に社会人になっている子たちがいた場合は、高校生は払わなくてもいいかもしれないけれども、十八歳の子たちは払わなきゃいけない、こういうことにもなり得るのかどうか、ぜひ厚生労働省からも御答弁いただきたいと思います。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。 年金制度は、老齢等により稼得能力が失われた場合の所得保障を行うものでございまして、保険料を納付する被保険者につきましては、稼得能力を持つ方、すなわち一定の所得を上げ得る方であることが必要との考え方に立っております。 被用者を対象といたします厚生年金につきましては、雇用という客観的な事実によりまして稼得能力を有するということを明らかにすることができるわけでございますが、雇用関係を前提としない国民年金制度につきましては、一般的に就労していると考えられる年齢により一律に区分するということといたしまして、国民年金法の創設以来、二十歳以上の方を被保険者としているところでございます。 なお、厚生年金につきましては、二十歳未満でございましても、常用的な雇用関係にあれば被保険者となり、保険料を納付することとなっているところでございます。 このように、年金制度の被保険者の範囲は成人年齢により機械的に定まるものではございませんが、成人年齢の引き下げに関する議論のほか、現実の雇用の実態などを踏まえて検討を進めていくべき課題と認識しているところでございます。
○宮川分科員 どうもありがとうございます。 今のお話二つ聞いただけでもわかりますけれども、例えば民法の中で十八歳が成年というふうに認定をされたとしても、例えば、たばこ、酒は、教育的観点、非行を防止する観点、また健康上の観点からなかなかそれを引き下げるのは難しいということ、例えば年金の問題にしてみれば、実態的な労働がない限り難しいということですよね。 ですから、決して民法が下がったからといって全部が全て下がってくるわけではないということでありますから、成年になったんだけれどもできないこともあるという、アンビバレントな、なかなかアンバランスな環境に若者が置かれる可能性もあるということをまず一つ考慮に入れなければいけないと思っております。 まず、ここが実は若い人たちにとっては一番重要なところで、成年というふうに言われているんだけれども、果たさなきゃいけない義務、それは例えば選挙権を持ったりするということで大きな権利を持つわけですが、しかし一方では、社会にまだ中途半端な存在として認められる自分たちのこのあり方というのが一体何なんだということが、恐らく、十八歳、十九歳、特にその年代の子供たちに発生してくる感情だと思います。ですから、その実態に合わせてこれから民法の引き下げをするのかどうかしっかり考えていかなければいけない、大切な観点だというふうに私は思っております。 ちょっと質問をかえますけれども、もし仮に成年年齢が引き下げられた場合、例えば、これに関しては今申し上げたような問題が起き得ると思います。そのほかの法律とはなかなか整合性がとれないというか、変わらないものもあって環境整備がし切れないという点も出てくると思いますけれども、そういう場合に、成年年齢が十八歳に引き下げられたということに対して、どういう正当性をつけて子供たちに、十八歳、多くが高校生であり、ある意味では扶養されている、扶養されているというか親にまだ見守られている年代であるにもかかわらず成年なんだという、その正当性をどうやって若い人たちに伝えていくか、世の中に普及させていくかということが大変重要な問題だと思います。 仮にこの引き下げが実現した場合に、法務省としてどのような取り組みをしていかれるおつもりがあるのか、また検討事項があるのか、お教えいただきたいと思います。
○深山政府参考人 今お話に出ています民法の成年年齢は、一つは、一人で契約をすることができる年齢を定めたもの、もう一つは、親権者の親権に服さなくなる年齢でもあるということでございます。 したがいまして、民法の成年年齢を仮に十八歳に引き下げるということになりますと、十八歳、十九歳の者が親の同意なく例えば悪徳業者から高額な商品を購入したような場合であっても、親が取り消すということができなくなりますし、また、親権に服さなくなる結果、自立に困難を抱えている若年者であっても親権者からの保護が受けられなくなるといった影響が考えられます。 そのほか、今もお話に少し出ていましたが、民法の成年年齢というのは、民法以外の多くの法律でも一つの基準年齢とされているところです。 こういった民法の成年年齢の引き下げは、十八歳、十九歳の若年者については、これまで受けていた法的な保護が受けられなくなるという意味で、非常に大きな影響があると思っております。 したがいまして、法務省としては、実際に民法の成年年齢が引き下げられることになった場合には、こういった十八歳、十九歳の者が消費者被害に遭ったり、あるいは親権者の保護が受けられなくて困窮するといった事態が生じないように、この結果どういうことが法律上生ずるのか、つまり未成年者の取り消し権がなくなってしまうということや親権者の保護が及ばなくなるといったような事情について、国民の皆さん、とりわけ大きな影響のある若年者の皆さんに理解をしていただいて、大人としての自覚を持って社会生活を送っていただくということを目指して、考えられる限りの手段、さまざまな媒体を使って、引き下げの意味、内容についての周知徹底を図っていきたいと思っております。
○宮川分科員 ありがとうございます。まさに、法的な擁護を受けられなくなるということをどうやって若い人たちに伝えて、教えて、また啓発していくかということは本当に重要な問題だと思います。 そのことを考えましたときに、たとえルールが変わっても、啓発のガイドブックとかいろいろなものが出ましても、結局、最後行き着くところは、多くの十八歳が毎日暮らしている学校教育において、どうやって、法律の勉強、また、成年たるは何であるか、成年になって大きな権利を自分が得るということはどういう義務が発生するのかということをしっかり教育しない限りは、これはかなり難しい話ではないかなと私自身は思っております。 私自身、高校三年生をもちろん授業や担任で見ておりましたけれども、そのときに感じますのは、決して高校三年生が子供だとは申し上げません、かなり意識の高い子もたくさんいます。しかし、一番問題は、社会との接点がほとんどない子たちです。学校に行っていますから、社会の何か大きなルールの中で動いているというよりは、学校や家庭や友達の中、小さいコミュニティーの中でまだ生きている年代なんですね。ですから、彼らに社会的な法的擁護が受けられなくなるということを教えるということは、これは大変難しい問題だというふうに思います。 かといって、もし民法で年齢が引き下げられることがあれば、もちろんこれはやっていかなければいけない問題ですから、今からそのことをしっかり考えて対応しなければいけないと思いますけれども。 これは文部科学省にお伺いしたいと思いますが、一社会人として、また一有権者として、一成年としてどうやって自覚を持たせていくかどうか、これについて、社会人教育、主権者教育ともいうべきだと思いますけれども、今後、成年年齢の引き下げがあり得るというふうに想定した場合どんな取り組みをしていかなければいけないとお考えなのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
○伯井政府参考人 お答えいたします。 高等学校等を中心に、学校教育におきましては、これまでも、社会参加であるとか、あるいは賢い消費者としてのあり方とか、市民性を育む教育を行ってきたわけでございますが、今後そうした教育をさらに充実させる必要があるということで、昨年十一月に、中央教育審議会に対して学習指導要領の改訂に関する諮問を行いました。その際、今後のそうした検討状況なども踏まえまして、高等学校に主体的な社会参画の力を育む新科目を設置することについて審議をお願いしておりまして、今後、具体的に検討が進むこととなります。 スケジュールどおり進めば、高等学校について、平成二十九年度に新しい学習指導要領を告示して、三十四年度から学年進行でそうした科目について実施をしていくということになりますし、引き続き、そうした市民性を育む社会参画、主権者教育の充実について取り組んでまいりたいと考えております。
○宮川分科員 ありがとうございます。まずもって教育の重要性というのは否定できないところでありますので、これは高校生からということではなくて、中等教育の初め、つまり中学校からしっかりと、主権者教育、成年になるということの自覚を育むような教育をぜひカリキュラムの中に入れていっていただきたいと思っております。 もう一問、ちょっと今の問題から派生するところでありますけれども、十八歳に選挙権が今度は付与されるということでありますけれども、私は少し危惧していることがあるので、せっかくですからここで御答弁いただきたいんですが、教育の現場での政治的中立性がしっかり保たれるかどうか、これは大変大きな問題だと思っております。 私がもし今現場にいて、参議院選挙があると。宮川先生はどこに、誰に投票するんですかといって、私が候補者でいたとして、自民党の宮川典子さんに投票しますと言ったら、多くの高校生は、クラスの担任の先生が言った人に多分投票すると思います。なぜなら、よくわからないからです。もしくは、親御さんがこの人に投票するのよと言った人に多分投票するというのが、申しわけないですけれども、実態だと思うんですね。 その場合に、もし私が教壇に立っている立場で、誰々を支持しているとか、どこの党を支持しているというふうに言った時点で、もう教育の中の政治的中立性が消えてしまうという大きな問題があると思います。これは教育をする側に対してよくよく啓発をしなければ、大きな、いわゆる、自分たちが意図しない先導を起こすことというのがあり得ると思います。 政治的中立性というのは二つあって、まず一つは、教職員がそこで政治的な活動をしないということの中立性と、もう一つは、教育において、教育内容においての中立性を保たなければいけないと思いますけれども、この中立性が保たれた教育を受けるということが、やはり成年になって、社会人になって大変重要なことだと思いますが、続けて文部科学省からぜひ御答弁いただけませんでしょうか。
○伯井政府参考人 お答え申します。 まず、教員につきましては、学校教育を担う教員が政治的中立性を確保するということはもう論をまたないところでございます。これまでも、教育委員会等に対しまして、選挙の際に、例えば、教員、保護者、生徒で行われる三者面談などの場で教員みずからが自分の支持する政党あるいは候補者の名前を挙げることが公職選挙法等に明確に違反するということを、教員の政治的中立性の確保についてたびたび通知を発出して、周知を、指導をしてきているところでございます。 今後、選挙権年齢が十八歳に引き下げられるということとなった場合には、生徒自身が選挙権を有するということになりますし、そうしたことを踏まえまして、教員が公職選挙法を初めとする関係法令を確実に遵守していただけるよう、法令の趣旨のさらなる徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。 また、先生御指摘いただきましたように、学校教育の中身として、一方で、政治参加を初めとして社会の形成者としての自覚を育んでいくということは、御指摘いただきましたように、小中高等学校を通じて極めて重要でございます。 ただ、そういう学校教育活動を行うに当たっても、教育基本法第十四条第二項に学校の政治的中立性確保の規定がございますが、そうした規定を各学校において前提として遵守して指導が行われるというのは当然のことでございますので、またそうした指導の徹底も図ってまいりたいと考えております。
○宮川分科員 ありがとうございます。ぜひ厳しい徹底を今後していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 では、ちょっと時間も足りませんけれども、二つ目に参りたいと思います。少年法に関してであります。 つい最近起きた事件であれば、佐世保の高校一年生の女子の同級生の殺害事件、そして、記憶に新しいところであれば、川崎の少年三人が中学一年生の子を死に至らしめるというような残忍な事件がありました。 これを見るにつけ、また世論も、少年法というのはこのままでいいのかという大きな議論が毎回巻き起こるわけでありますけれども、今、前の項目で成年年齢の引き下げのお話をいたしました。今、少年法は二十歳未満の子供たちへの適用となっていますけれども、もしこれが民法で引き下げられた場合、少年法の適用年齢をどういうふうに今後していくかどうか、方針があればぜひ御答弁いただきたいと思います。
○上川国務大臣 民法の成年年齢が満十八歳以上に引き下げられるということに伴う、少年法の適用対象年齢についてどうなのかということで御質問がございましたけれども、刑事司法の全般におきまして、成長過程にあります若年者の層をいかに取り扱うべきかという大変基本的な問題がございます。少年法固有の観点から検討を行う必要があるということでございます。 少年法の適用対象年齢を二十歳未満から十八歳未満に引き下げるべきかという問題につきましては、現在、保護処分を科すことができる年齢として十八歳、十九歳の者がいるわけでございますが、一律に保護処分を科し得なくすることが刑事政策的に相当かという観点から検討されるべきであるというふうに考えております。 そうした観点から、刑事政策的な観点からの検討結果ということでございますが、十八歳、十九歳の者によります刑法犯の動向について、また少年に対する刑事処分のあり方につきまして検討がなされ、いわゆる原則逆送制度が導入され、また、刑事処分可能年齢、これにつきましては十六歳以上から十四歳以上に引き下げられるなどの必要な法改正を行ってきたところでございます。こうしたことに照らしまして、現時点におきましては、十八歳、十九歳の者に対しまして保護処分の必要性が一律に失われたと評価すべき事情は今のところ存しないというふうに判断をしているところでございます。 もっとも、少年法の適用対象年齢を満十八歳未満に引き下げることが相当か否かにつきましては、御指摘がございました民法、さらに公職選挙法等のより一般的な法律におきまして、年齢のあり方、こうしたことも考慮に入れる必要があるということは考えておりまして、さらに必要な検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
○宮川分科員 ありがとうございます。 少年法というのは、もともと昭和二十三年につくられまして、当時は戦後の混乱期の中で、万引きをしたりとか食料をとりに行ってしまう、そういう苦しい状況から非行に走ってしまう子供たちを更生しようということでできた法律だと私自身は理解をしております。 しかし一方では、これまでの何年間で少年犯罪というのは凶悪化しているということもありまして、少年犯罪にもっと、極刑を与えてもいいんじゃないか、そういう世論があることも存じております。また、そういう研究結果があることも存じております。 今の、ここは実は二問別々にしておりましたが、一問で答えていただければと思いますけれども、現在、少年犯罪のあり方というか、それが一体どうなっているかということと、それともう一つ、やはりそこから見えてくる少年法の改正の必要性の有無、お感じになっていることがあれば、ぜひ大臣から御答弁いただきたいと思っております。参考人でも結構です。
○林政府参考人 まずは、少年犯罪の現在の発生状況等についての認識でございますけれども、少年による刑法犯の検挙人員というものは平成十六年から毎年減少しております。少年人口当たりの検挙人員の比率も低下が続いております。また、その中で重大犯罪の少年の検挙人員について見ますと、殺人については顕著な増減の傾向は見られません。また、例えば強盗について見ますと、おおむね減少傾向にあります。 こうして全体としては少年犯罪は減少傾向にございますけれども、他方では、御指摘のあるように、少年による凶悪重大犯罪というものは、全体的な量という意味ではなくて、発生はなお散見されるところでございます。その面では予断を許さない状況があると思います。 こういった状況を踏まえまして、例えば凶悪重大犯罪を犯した少年についての少年法の適用をどうするのかという問題につきましては、これまで、現在の少年法で見ますと、罪を犯した少年のうち、罪質とか情状に照らして刑事処分が相当であると認められる者については、家庭裁判所が決定をしまして検察官に送致する、これを逆送と呼んでいますけれども、そうすると刑事罰が科せられる、こういった制度がございます。 特に、平成十二年の改正におきまして、犯行時に十六歳以上の少年による殺人を初めとする故意の犯罪行為、こういったものによって被害者を死亡させた事件につきましては、こういった家庭裁判所の判断を、原則として検察官に送致する、いわゆる原則逆送制度と呼んでおりますが、そういった形での法改正がなされまして、重大事件については原則として刑事処分の対象となる、こういった法の手当てが既になされております。 さらにその上に、そういった凶悪重大事犯を犯した少年については少年法を適用しないというような法改正が考えられるのか、あるいは必要なのかということになりますと、一定の、どんな場合にでもこういった少年については保護処分を科し得ないということになりますので、そういったことが妥当かどうかは、これまでの改正経緯等を踏まえて慎重に検討すべき問題であろうかと思っております。
○金田主査 時間が参りました。
○宮川分科員 済みません、もう時間が来ましたので、実は最後に少年法の第六十一条についてお話をさせていただきたかったんですが、これはまた別の機会といたしまして、ぜひ大臣とも意見交換をさせていただきたいと思います。被害者を守る法律であるべきと思います。加害者だけがこれから守られていくのではなくて、やはり被害者の立場に立った法律というのが必要だと思っておりますので、ぜひ今後の検討課題としていきたいと思います。 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。以上で終わります。
○金田主査 これにて宮川典子君の質疑は終了いたしました。 次に、泉健太君。
○泉分科員 民主党の泉健太でございます。 大臣、お疲れさまです。どうぞよろしくお願いいたします。 大臣、きょうは、まず面会交流のことについてお伺いをしたいと思っております。 離婚を最初から望んで結婚される方はおられないわけですけれども、全国で大体二十三万組ぐらいが離婚をされるという状況の中で、六割ぐらいが子供がおられるという状態で離婚されているというような状況がございます。依然、高水準。 離婚は、さまざまな事情、理由があってのことですので、なかなか一概にいい悪いとは言えませんが、少なくとも、子供にはさまざまに生活の環境の変化があるものだというふうに思っております。 そういった意味で、今注目をされていますのが、対外的にはハーグ条約も、我が国もできました。それで国内体制をつくってきているわけですけれども、国内においても、残念なケースとしては、さまざまな事情で急遽親同士が別居をするという事態になり、子供からすると本当に急遽で、時にはいろいろな事情の中で、朝、家族一緒だったけれども、夕方には家族が別々になり、そしてそれ以降、もう片っ方の親と会うことができなくなるというような子供さんもおられるわけですね。 これまた一概に事情は言えないというところがございますけれども、やはり、そういったさまざまな離婚のケースにおいて、あるいは別居のケースにおいて、今、子供の立場から、子供の視点から、子の福祉ということから考えたときに何が適切なんだろうかということをもう一度整理しよう、そういう時期に来ていると思います。 その中で二つ出てくるのが、やはり養育費、そして面会交流だと思うんですね。 養育費、これは子供を産んだ親であれば、それは私はどんな事情があるにせよ、最大限努力をして養育をし続けるということではないかなと。特別な事情で、ある種合意があったりですとか、あるいはどうしても払えない状況があるというケースもあるかもしれませんが、ベースは、子供ができた以上は、やはり養育費をしっかり払い続けて、離婚をしたとしてもそういう義務を親として果たし続けるということが大変重要だというふうに思っております。 親にもいろいろなケースや事情がありますので、なかなか社会生活を送ることが困難な親、例えば犯罪に関与してしまった親、なかなか子供を会わせられない事情を持った親、いろいろなものも確かにあるかもしれません。しかし、純粋に、日常生活を送りながら、面会交流を求めている親もおられますし、それが果たされていない方々もおられます。 前置きが長くなりましたが、改めて大臣に、面会交流、そして養育費について、大臣自身どのような御認識を持っておられるか、お聞かせください。
○上川国務大臣 委員御指摘の親子の関係ということで、新しい時代に入るというような御指摘がございました。 夫婦になってそこで生まれる子供、かけがえのない希望の象徴たる子供の存在ということでありますが、さまざまな事情によりまして別居したり離婚するに至るケースについては、そうした状況がふえているというのも、大変残念なことではありますが、そういう状況であるということであります。ただ、子供にとりましては、唯一無二の存在であります両親のどちらかと離れ離れにならなければならないという極めてつらい状況に置かれることになるということにつきましても、事実であるというふうに思います。 子供の側から見て、離婚の原因が実は私にあったんじゃないかというような、自分は愛されていないんじゃないかと。そして、こうした不安感ということの中で、先ほど御指摘あったように、朝、団らんしていたその場から一斉に切り離されてしまうというようなことが現実には起こっているということであります。 離婚という親の事情によりまして子供が犠牲になるような事態は避けなければいけないというふうに考えておりますし、また、離れて暮らしている親と子供が適切な形で面会交流を継続するということによりまして、子供の持つ不安感というものも払拭をし、そして、両親にとって自分は愛されている存在なんだというふうに思うこと自体、その健やかな成長にとって大変大事なことであるというふうに思っております。 子供の心身の健全な成長、そしてこれが子供の利益のために重要であるという認識を私は持っておりまして、そういう意味で、面会交流も適切な形で行われ、また養育につきましても、しっかりと子供のためにということで責任を持った取り組みというのが、対応というのが必要ではないかというふうに考えております。
○泉分科員 ありがとうございます。 大臣に重ねて質問なんですけれども、民法七百六十六条が改正をされました。そこで新たに追加されたのが、「父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担」というものが七百六十六条に追加をされて、それを「協議で定める。」というふうに文言が整理をされました。そして、子の利益は最も優先して考慮されなければならない、こういう七百六十六条の改正がありました。 この改正の審議の中で、当時の江田法務大臣ですけれども、法案審議の中で、面会交流は子供の福祉にとっては大事、これを奪うということはよほどのことがないとやってはいけない、監護権のある親が面会交流に強く反対をしても、特別な事情がない限り、可能な限り家裁は面会交流ができるように努める、これはこの法律の意図するところであるというふうにおっしゃられております。 これは、法案審議の中で、法務省の見解としておっしゃられたわけですけれども、今、上川大臣も同じ御見解ということでよろしいでしょうか。
○上川国務大臣 民法七百六十六条の改正の折にそうした審議が行われてきたというふうに承知をしているところでございます。 面会交流そして経済的な対応ということにつきましては、法の趣旨にのっとって、今のような御指摘のとおり、しっかりと責任を持って対応すべきだというふうに考えております。
○泉分科員 ありがとうございます。思いは同じだという御趣旨だったと思います。 一方で、さまざま当事者の方々からお話を伺いますと、果たしてこれが現場にしっかりと周知徹底がなされているんだろうかという御指摘がなされております。確かに裁判一つ一つに介入はできないわけですし、しかし一方で、国会で審議がなされた、そして、それは時代の進展に伴ってやはり必要であるからこそ、こういった形で民法の改正がされたということでありまして、法律が改正されたということは非常に重たいと思うんですね。 そういったことについて、改めてですけれども、裁判官あるいは調査官、調停委員の皆さんへの周知、研修というものがどのように行われているのか、お聞かせください。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最高裁といたしましては、平成二十三年五月に民法七百六十六条が改正されたことを踏まえまして、その年の八月、全国の高等裁判所及び家庭裁判所に対して、改正法の立法趣旨の理解に役立てていただくために、改正法に関する国会審議の会議録を添付して、裁判官、家庭裁判所調査官、書記官等の関係職員への周知を依頼する書簡を発出しております。 また、その後も、いわゆるハーグ子奪取条約の発効等の機会を捉えまして、面会交流事件については民法七百六十六条改正の趣旨を踏まえた運用が重要であるという旨を周知する書簡を発出しているなどしております。 また、書簡の発出以外につきましては、司法研修所や裁判所職員総合研修所での研究会、各地の高等裁判所等で開催される協議会といった、裁判官を初めとする関係職員が集まる機会に改正法の趣旨を踏まえた面会交流事件の運用のあり方について検討がされておりまして、そのような機会に改めて最高裁から立法趣旨についての説明を行っております。 さらに、調停委員につきましても、各家庭裁判所における各種の研修あるいは研究会の機会におきまして、面会交流調停事件を取り上げて、改正法の趣旨を踏まえた運用のあり方について研修や協議が行われているものというふうに承知をしているところでございます。
○泉分科員 ありがとうございます。 今、趣旨を踏まえた運用というか、趣旨を踏まえた活動をしていただいているというところだと思うんですけれども、例えば、面会交流の可否を判断するに当たっては、時に、子供がどういう意思を持っているか、子供が会いたいと言っているとか、会いたいと言っていないだとか、そういうことが議論の俎上に上がってきたり、あるいは夫婦間で、会いたい、会わせたくないとか、そういうものが、意見が折り合わないということが、事実上、結果的に面会ができない状態が継続するという意味で面会制限という形に陥っているケースも数多くあるというふうに伺っております。 江田法務大臣が答弁でお話をしたように、監護権のある親が面会交流に強く反対しても、特別な事情がない限り、可能な限り家裁は面会交流ができるよう努めるということが、前回の民法改正の議事録、法務省の発言だとして、それを議事録として徹底されているということであれば、改めてですが、裁判官や調査官、調停委員というのは、この運用に当たっては、面会制限がなされている状態というか、面会が実らない状態というのは、大臣の言うところの特別な事情に当たるということなんでしょうか。ベースとして、基本は面会交流を最大限努力しているというのが家裁の方針であるかどうかについて、まず伺いたいと思います。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 子供とその子を監護していない親との面会交流につきましては、基本的には、面会交流が子の健全な育成に有益なものであるという認識のもとで、面会交流を実施することによってかえって子の福祉が害されるおそれがあるというような特段の事情、すなわち子への虐待などですけれども、こういった子の福祉の観点から面会交流を禁止、制限すべき事由がある場合を除きまして、面会交流を認めるべきである、こういう考え方が一般的だというふうに承知をしております。 各家庭裁判所におきましては、このような考え方のもと、個別具体的な事案に応じて、委員の御指摘ありましたような夫婦の間の意見の食い違いですとか子供の発言や意思、そういったものの実質的な理由あるいは背景、こういったものを十分に把握、考慮した上で、子の福祉の観点から面会交流を例外的に禁止、制限すべき事由があるかどうか、これを適切に判断しているものと承知しておるところでございます。
○泉分科員 ありがとうございます。 今、基本はやはり面会交流すべきだと。そういうことを前提にして、特別な事情、おっしゃっていただいたように、虐待ですとかそういったケースについては、やはり当然配慮しなければいけないというふうに思います。 その意味では、やはり、面会交流がなぜ成り立っていないのかということについて、なかなか当事者の親同士、みずからの行為と他者から指摘をされた事項と、それまた折り合わないことというのも多々あると思うんです。しかし、面会交流ができていないということの理由、本質が何なのかというのは、なかなか事実認定で難しい部分もありますけれども、ぜひ、双方の当事者にわかりやすく伝えて、最大限、こんがらがってしまった結び目をほどく作業というものに力を入れていただきたいし、やはり基本は面会交流をしていただくことが子の福祉になる、これを改めて家裁に徹底していただきたい、このように思います。 さて、続いてですけれども、面会交流の手法。 これはいろいろあると思うんですけれども、従来から、実際に会うということもあれば、第三者の立ち会いのもとに会うというケースもあれば、手紙を交換するということも聞いてはおります。 一方で、外国では、例えばスカイプで話をするですとか、あるいは、ネットに載っている子供の写真を見てもらうことで、もう片っ方の親に、直接会ってはいないけれども安心をしてもらうというか、ああ、今こういうふうに元気にしているのかというようなことを映像や画像をもって間接的に伝えるという、いろいろな手法もあると思うんです。 日本でも、既に現場でそういうインターネットを活用したさまざまな面会交流が行われているのかどうか、これを確認したいと思います。
○深山政府参考人 委員自身も御指摘があった、面会交流について定めた七百六十六条の一項は「父又は母と子との面会及びその他の交流、」という法文になっておりまして、これは、面会が典型例ではあるけれども、その他の方法、その他の交流があるということを意味しておりますので、もちろん、監護していない親と子とが直接面会する方法以外の方法、例えば、既に御指摘のあった手紙とか電子メールとかその他の方法は全て、法令上、「その他の交流、」ということに含まれております。 ただ、私たち法務省の立場で、それらのさまざまな手法による面会交流がどの程度、どういう形で行われているかという実態、これは夫婦間の合意であったり、家庭裁判所の調停で決まったことであったり、審判で決まったりするわけですけれども、そういった合意の内容を具体的に知るすべがございませんので、あくまで法律の建前としてはそういうことが許されているし、恐らくさまざまな工夫がされているだろうというところで御勘弁いただきたいと思います。
○泉分科員 まさに、さまざまな工夫がされている、特に、裁判所まで持ち込まれないケースの面会交流もありますから、そういうところではいろいろなことがあると思うんですね。 ただ、私が今回指摘をしたいのは、やはり、実際に双方にさまざまな提案を行ったり調停をしたり調査をしたりする方々にも、いろいろな方法があるんだということがしっかり浸透しているかどうか、またそれが、行政側というか、司法側からも、そういういろいろな手法があるんだよということが相手に提示されているかどうかというのは、私は重要だと思うんですね。 そういった意味では、研修、例えば面会交流のガイドラインみたいなものがあるのかどうか、ちょっと今現在で皆さんがどういう資料を使われて研修されているかわかりませんけれども、いろいろな面会交流の形があるのであれば、こういうのもある、ああいうのもあるということを、やはりある程度、いろいろな手法、事例を紹介して調停委員ですとかに伝えていくということもぜひ御検討をいただきたいというふうに思っております。 さて、続いてですけれども、この面会交流でありますが、厚生労働省もこの面会交流については支援をしていただいていると理解をしております。 面会交流支援事業ということで、一千四百万の予算、執行はそのうち一千万ぐらいということで、全国三カ所くらいの面会交流の支援をしている。東京、千葉、熊本ということで、大臣、これはまだ少ないですね、考えてみたら。予算も少ないなと思ったら、予算の行き先も少ないというのが現状でありまして、行き先が少ない以上、予算だけ膨らませてもこれは仕方がないということでありまして、これはまだまだ進んでいないというふうに私は思っております。 厚生労働省、これは確かに、手挙げ方式で、自治体と折半で補助金を出しているということになりますけれども、これはもっと、三カ所ではなく、数多く進めていくべきだと思います。こういったことの啓発活動というか、どのようにされる御予定でしょうか。
○木下政府参考人 お答えいたします。 ただいま先生がおっしゃいました面会交流でございますけれども、まずは、やはり子供の利益あるいは福祉の観点から進めるべきものと思っております。その上で、父母が自発的に合意をした上で協力して実施をするということでございますけれども、どうしてもやはりなかなか困難な事例もございますので、その意味では一定の支援が必要であると考えております。 このため、厚生労働省におきましては、平成十九年度から養育費相談支援センターを設置いたしまして、養育費のみならず、面会交流の相談にも応じているところでございます。 また、都道府県等を単位に設置されました母子家庭等就業・自立支援センターにおきまして、専門の相談員を配置いたしまして、面会交流あるいは養育費の相談に応じているところでございます。 ただいま先生が御指摘いただきました面会交流支援事業でございますけれども、平成二十四年度から、父母間に面会交流の取り決めがあり、かつ支援を受けることに合意がある場合におきまして、地方自治体が、面会交流の日程ですとか場所の調整、付き添い等の支援を行う事業でございまして、先生御紹介ございましたように、ただいま東京都、千葉県、熊本県等で行っているところでございます。 確かに件数は少ないわけでございますが、私どもとしても、県等を通じましてできるだけPRをして、やはり子供の健やかな成長にとって望ましいものであるといった観点も踏まえまして、関係省庁とも十分連携をとりながら進めてまいりたいと考えてございます。
○泉分科員 当然、離婚されている御家庭というのは、全国どの都道府県にも数多くおられるわけでありまして、東京、熊本、千葉だけというのは非常に心もとないというふうに思います。 そういった意味では、これは委託でやっていただいているわけですが、本当に委託じゃなきゃできないのかということも含めて、直接行政の方でしていただくことも一つの行政サービスではないのかなとも思いますし、そこに対してしっかり補助を出していく。しかも、一件当たりそんなにお金がかかる話でもないと思うんですね。ですので、ぜひこの辺は、さらに面会交流が進んでいくような取り組みをしていただきたいというふうに思います。 引き続いて、先進事例として非常に注目されているのは、大臣も御承知かもしれませんが、明石市なんですね。我々の元同僚でありました泉房穂さんという元衆議院議員である市長さんが大変この問題に関心を持っておりまして、まず特徴は、離婚時にしっかりとその離婚の親に対してさまざまな資料をお渡しする。養育費の取り決めはなされていますか、取り決めをする場合はこうこうこうですよという手引みたいなものをお渡しされる。共同の養育をするのであれば、こういう養育の仕方がありますよ、こういうお互いの養育計画書をつくりましょうねということを手渡しするという事業をしていまして、これは大変すばらしいというふうに思います。 きょう、実は、大臣はごらんいただいたことがあるかどうかわかりませんが、離婚届を資料として持ってまいりました。この離婚届の右下に、七百六十六条が改正された結果としての追記がなされたわけです。四角く囲ってあるところでありまして、「未成年の子がいる場合は、次の□のあてはまるものにしるしをつけてください。(面会交流)(養育費の分担)」と書いてあるわけです。 こういうことで、面会交流については以前よりかは意識はしていただくようになったわけですけれども、ちょっと話をもとに戻します。 明石市の方でまず一つ目にやられていることというのが、手引云々の話と同時に、面会交流をしようと思う親たちが面会交流しやすいようにということで、呼び水になるようにということで、明石市が持っている公共施設の、子供たちが楽しめるような施設を面会交流の場合は無料でお入りいただく、こういう事業をされているわけです。これはとてもすばらしい取り組みではないのかなというふうに私は思います。 厚生労働省の方には、これは法務省にやっていただくのがいいか厚生労働省にやっていただくのがいいか迷ったわけですが、ヒアリングの中でいろいろと伺っていると、なかなか、今まではどこというところがありませんでしたので、やはり、面会交流支援事業をやっておられる厚生労働省の方に、せめて、明石市で取り組まれているような先進的な事例について、各自治体、それは水族館であれ動物園であれ、いろいろな施設を持っておられる、そういうところを無料で提供していただくことが一つ面会交流の支援になるんだよということをぜひ普及啓発していただきたいというふうに思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。
○木下政府参考人 ただいま先生御紹介いただいた、親子の交流サポート事業という明石市が非常に先駆的にやっている事業でございますけれども、こういった地方自治体が独自に取り組む事業というのは、できるだけ私どもとしても都道府県、自治体に紹介をして、やはり支援策を広げていくことが非常に大事だと思っております。 そういう意味で、我々も、今後、さまざまな全国で集まった課長会議等々の担当の課長会議がございますので、そういった場を通じて、ぜひ広く普及をし、紹介してまいりたいと思っております。
○泉分科員 そうですね、課長会議での周知、さらには、できれば厚生労働白書のコラムぐらいにも載せていただきたい。いかがでしょうか。
○木下政府参考人 それもよく検討させていただきたいと思います。
○泉分科員 さらに、ちょっと厚生労働省に確認したいんですけれども、例えば、離婚件数というのは一時期だあっと、熟年離婚も含めてですが、ふえましたね。母子の福祉や離婚をされた後の寡婦の福祉ということは以前から法律はあるわけですが、これまで離婚問題に関しての検討会だとかというのは厚生労働省で持たれたことはあるんでしょうか。知識の範囲で結構です。
○木下政府参考人 離婚問題そのものというよりも、一人親家庭なり、母子家庭、父子家庭等についてさまざまにやはり支援策が必要であるという中で、こういった今の面会の問題ですとか養育費の問題ですとか、そういったものをいろいろ総合的に検討して、どういう支援策がこれから求められるかという議論はこれまでも何度かしているところでございます。
○泉分科員 大臣、これも、通告にはありませんが、ぜひ法務省、厚生労働省一緒になって、離婚をしてからということも一つの施策だと思うんですが、やはり離婚を考え始めた局面でどうサポートをするかだとか、それは積極的に離婚しなさいというサポートではなくて、思いとどまることも含めて、子供の福祉という観点でやはり重要なんですよという認識を親に持ってもらう、そういうことが必要だと思うんですね。 これはぜひ法務省、厚生労働省一緒に協力をしながら、実は、法務省にも家裁にもパンフレットがつくられているんですね、養育費とはとか面会交流とはと。ちょっといろいろな質問がまぜこぜになってしまっていますが、このパンフレット、どれぐらいの部数つくられているか、まず御紹介いただけますか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 裁判所におきましては、家庭裁判所における子供の手続全般に関するパンフレット、これをおおむね毎年五万部ほど作成しております。そのほかに、面会交流に関するリーフレットを二種類ほど、これは大体三万部から四万部毎年作成をいたしまして、各家庭裁判所に置いておりますほか、最初に申し上げた手続に関するものについては、市区町村あるいは警察署、児童相談所などにも置いていただいております。また、これらの内容は、裁判所のウエブページでも、どなたでもごらんいただけるようにしているというところでございます。
○泉分科員 大臣、やはり、離婚届をとりに来るときだとか、そういうときにこういうものが行き渡らなければいけないのではないのかなと。裁判所に置いてあっても、それは当然、もうそういう意思があって裁判所に来られている方々に対してのものでありまして。 実は、きょう、離婚届をわざわざ私は資料として提出をさせていただいたのは、面会交流や養育費、七百六十六条では「協議で定める。」となっているけれども、離婚届で「まだ決めていない。」にチェックをしても、届け出は通りますよね。通るんですよ。 ですから、法律を純粋に読んでも、なかなか世の中思いどおりになっていなくて、まだ決めていないといっても通ってしまうし、「取決めをしている。」に仮にチェックをしていても、それが本当に法的に効力を発揮するだけのものなのか。最初のうちは合意していても、後から約束が違うという事態になったときに、その口約束は全く成立しないという可能性があって、ここはもう全く、今、離婚届のところは任意で、私が決めていると思ったら決めているとただチェックをするだけなんですね。 その統計資料がさまざまな形で今出てきて、何らか取り決めをしている方が六割ですとかという話になっているんですが、それは現実の子供が置かれている環境と比べると、大分やはり実態と乖離があるんじゃないのかなというふうに私は感じているところです。 大臣、このことについて改めて御認識をいただきたいというふうに思っておりまして、養育費、そして落ちついた環境での面会交流ができる国でありたいという思いを持っております。最後に大臣からのこの問題に対する御見解をいただきたいと思います。
○上川国務大臣 ただいま、兵庫県の明石市の事例も含めまして、法律改正されたけれども、離婚の届け出にもこうしたチェック欄は設けられたけれども、なかなか実態についてはそれに追いついていないんじゃないか、法の趣旨にのっとってもっとしっかりやっていくべきではないか、こういう御指摘がございまして、私も委員の御意見を共有するところでございます。 子供の健やかな成長を、両方の親がしっかりと成長をずっと見続けていくということについて、大変大事な親の責務であるというふうに思いますので、そういう意味で、法律の趣旨にのっとってどこまでどのように支援することができるかということについては、明石市の事例もございますので、そうした事例をよく検証させていただきながら、さらに深めていきたいというふうに思っております。
○金田主査 これにて泉健太君の質疑は終了いたしました。 次に、中川正春君。
○中川(正)分科員 民主党の中川正春です。 引き続き、質疑をしていきたいというふうに思います。 事前の通告は一番最初の問いかけにはしていないんですけれども、大臣のこれまでの経歴を拝見させていただいて、その中で持っておられる世界観というか、そんなものの中でぜひここの部分を聞いていきたいなという気持ちになりましたので、聞かせていただきたいと思うんです。 今、国際化ということが政権のテーマにもなっていますし、私たちのときも、それに対して日本がどういう国を形づくっていくのかということは真っ向から真剣に議論をしなければならない、そういうときに来ているというふうに思っておりました。 そういう意味で、国際化の捉え方はいろいろあるんですけれども、私が今の根底の議論の中で一つ確実に抜けていると思うのは、人の移動というのがこれだけグローバルにされてきて、TPPや何かでもそうですけれども、人の移動というのは一つの大きなテーマとして、世界各国が共通する問題として考えていこうという背景が一つある。 そんな中で、日本も、観光客を受け入れるということについては一生懸命になっているんですけれども、そういう形ではなくて、日本に在留していくあるいは日本に帰化していく、ある意味での移民と、それからもう一つは季節的な労働力として日本に来て働きたいという人たち、そうした意味で人が日本に入ってくるということに対して国家としてどう国を開いていくのかという基本的な議論というのが要るんだろうし、国を開くということはどういうことかというと、入ってきた人たちの人権と、それからこの国に対してウイン・ウインの関係をどうつくっていくかということ、それがいわゆる社会のダイナミズムにつながっていくような社会の仕組みをつくるにはどうしたらいいかというふうなこと、こういう議論をしていくときなんだと思うんです。 これは、入ってきてほしくない、あるいはほしいということ以前の問題として、もう来るんだと思うんですよね、そういう波は。 そういうことを前提にしていく中で、私は、移民ということを広く捉えて、それこそ季節労働ということの中でやってくる人たちの問題も全てまとめて捉えて、これを国家としてどうするかという議論をするためにも、そしてまた入ってくる人たちの人権ということを保障していくためにも、また国自体がそれでもって活力をつくり上げていくということのためにも、移民の基本法というのをやはりつくっていく時期が来ているんじゃないかというふうに思うんです。 そこのところについての大臣の見解といいますか、世界観というのをまずお聞きしたいと思います。
○上川国務大臣 中川委員から、スタートから大変大きな御質問をいただきまして、野田政権のときに内閣府特命担当大臣として定住外国人の問題を御担当なさっていらっしゃったということで、この問題につきまして深く考えながら行動されてきたというふうに、敬意を表したいというふうに思っております。 国際化ということでございますけれども、物の移動から始まりまして、情報の移動、さらには今、人の移動ということで、御指摘の大きな動きということについては、全地球的な観点で移動については大きな課題になっているというふうに思っております。 この日本におきましても、かつては、日本の国内に入ってくる外国人の観光客の皆さんも大変制限されていましたし、また、日本から外国に出かけるということについてもいろいろな課題がありましたので、そう簡単に国境を越えて自由に行き来をすることができるというのは、私の体験の中でも非常にそういう壁が大きかった時代であります。 そういう意味では、物の移動、あるいは情報の移動、さらには人の移動という中で、誰もが国境を越えてほかの国にも行くことができるし、また日本の国の中にも入ってくることができる、これは、ある意味では、地球全体の公益的なところからしても大変大事なことではないかと思っております。豊かな、さまざまな国、あるいは文化、歴史の違うところを訪問しながら、そしてそういう中でいろいろなものを生み出していくことができる時代ということでありますので、環境が大きく変わったなというふうに思っております。 先ほど文言の中に移民という言葉がございましたけれども、移民の歴史というのも、日本においても非常に深い歴史がありますので、今のような状況の中で、移民政策というような形の文言をどのように定義して使うかということについては、私は、これそのものについても大きく議論をしていくべきことではないかというふうに思っております。 その上で、短期、そして中期、あるいは長期というような形の中で、御自分が生まれ育ったところでないところで住み続けることができる、あるいは一時的に住んでいくことができるというような制度につきましては、丁寧にやはり対応していくべきことではないかと思います。 とりわけ中長期になりますと、ただ観光に来て、一時期楽しんで、それでまた帰られる、あるいはリピートをするというだけにとどまらない。生活、子供が生まれましたらその子供の教育、あるいは先ほどおっしゃった人権、こうしたことを総合的なところで考えていくべきことであるというふうに思っております。そういう意味では、非常に丁寧に、このグローバルな時代の中でのあり方、国のあり方そのものを基本的なところから問うていくということを盛り込んだようなテーマではないかというふうに思っております。 おおらかな、開かれた国づくりということについては、私はそのような方向を目指しておりますし、また、その上で、国同士の、国境の部分にあるさまざまな制度あるいは考え方、そのよって立つ文化的、歴史的な背景、こういったことについても深く議論をしながら、しっかりと問題を見据えて取り組んでいくべき課題ではないかというふうに考えております。
○中川(正)分科員 その答弁を聞かせていただいて、我が意を得たりという思いをしました。 さらに、それで提案をしたいんですけれども、法務省でその問題を議論するにしても、今のところは入り口、出口ですよね。社会全体をどうしていくのか。例えば、雇用というものに対して、どのように人権をその中で保障していくのか、それからまた、子供たちをどのような形で、それこそ平等なチャンスを与えていきながら教育機会をつくっていくのかというふうな問題とか、各省庁にかかわった形でのトータルな議論というのがさまざまに必要なんだろうと思うんです、この問題は。 そういう意味で、しかし、どこが中心になってその議論を引っ張っていくか、あるいはつくり上げていくかということになると、私も、さっきのお話のように、内閣府でそれをやろうと思って取っかかったんですけれども、期間が短かったものですから、なかなか思うようにいかなくて、その思いを持ってお願いしたいんですよ。 ぜひリードしていただいて、内閣府の中でつくってもいいし、法務省が中心になって全体をまとめるということでもいい。そんな中で、国家戦略として、いわゆる国の形をここで恐らく議論するんだと思うんですが、そういう思いを持って、それこそ基本法に向けてのプロジェクトを国家戦略として立ち上げるというところまでぜひ言っていただきたいんですけれども、どうですか。
○上川国務大臣 先ほど私は自分の考え方ということで申し上げたところでございますけれども、御意見は御意見としてしっかりと受けとめさせていただきます。 その上で、基本法をということでございますけれども、目下、さまざまな課題がございまして、そうしたことに対していろいろな角度から検討するというプロセスそのものが大変大事だというふうに思っておりますので、そちらの方にかなり力を入れていきたいというふうに思っております。
○中川(正)分科員 何か迷いながらのというか、何かに遠慮しながらの答弁のような受けとめ方をしたんですけれども、遠慮せずに、私はやるんだ、こう言ってもらったら、そこからみんなついてきますから。 恐らく、それぞれの省庁でも、あるいは特に法務省の中でも、今の制度、このままではなし崩し的な形になってしまって、ヨーロッパやほかの国で、これは今非常に課題となっていて、問題をどう解決していくかというのは大きなテーマになっていますけれども、日本もそんなことを抱え込まなきゃいけないような状況になっていくんじゃないか、そんな危機感もあります。 それでも、私、なるほどなと思って感心したんですが、メルケルさんが来ていましたけれども、きょうの新聞を見ていたら、ドイツは移民を受け入れ続けるんだ、今、年間四十万人の移民を受け入れながら、国の活力としていくんだという筋の通った話をしておられます。そういう意味からいって、ここは、法務大臣、ひとつリーダーシップをとっていただいて、私はやるよというところまでコミットをぜひしていただきたいと思うんですけれども、もう一回、はっきりと言ってください。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○上川国務大臣 今、ドイツのメルケル首相のお話がございました。ドイツは、一九七〇年代にこの問題で大きなステージを開いて、そしてその課題もまた同時に多かったということで、今四十万と御指摘がありましたけれども、当時は大変大きな人数を受け入れたということで、その後大変大きな社会的な問題にもなったというふうにも思っているところであります。 この件につきましては、日本再興戦略の改訂二〇一四ということの中で、外国人材の活用を中長期的な検討ということで盛り込まれているところでございますので、中長期的な外国人材の受け入れのあり方につきましては、移民政策と誤解されないように配慮しながら、かつ国民的なコンセンサスを形成しつつ、総合的な検討を進めていく、こうした方針にのっとって対応してまいりたいというふうに思います。
○中川(正)分科員 もとに戻っちゃだめですよ、そんな役人の書いた答弁を読んでいたら。最初の答弁はそれを超えていたんですよ。 だから、移民ということは今考えないという政府の政策になっているから、そこが問題なので、考えなきゃいけないと私は言っているんですよ。違いますか。最初の答弁はそうだったんだ、考えなきゃいけないと。誰でもそれは思うんですよ。ところが、そこが、移民ということに対して逃げるものだから、さっきのような答弁になってしまうんです。 ちょっと、大臣としての見識を聞かせてください、そんな役人の答弁を読むんじゃなくて。
○上川国務大臣 これは、役人の答弁というよりも、日本再興戦略の大方針ということでございますので、私としては、そういう方針のもとで、目下の課題ということにつきまして取り組んでまいります。
○中川(正)分科員 そうすると、これから申し上げるような問題がいろいろ起きてきますということを指摘していきたいというふうに思うんです。 まず、単純労働の分野なんですけれども、単純労働というのは原則的には日本は受け入れていない、そういうカテゴリーで、労働力として受け入れるという制度は日本にないんだという理解でいいですか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。 外国人の受け入れに関しましては、いわゆる専門的、技術的分野の外国人の受け入れは積極的に行っていくけれども、専門的、技術的分野に該当しない分野の外国人の受け入れについては慎重であるというのが現在の政府の基本的な方針でございまして、単純労働というのは、恐らく非専門的、技術的分野に該当すると理解してございます。
○中川(正)分科員 ところが、現実は入ってきているんです。みんなそれぞれ、いろいろな矛盾の中で日本で頑張っている人たちがいます。 一つは、日系という名で入ってきている人たち、日系外国人。これが今何人ぐらい日本に在留しているかということ。 それからもう一つは、今政府の方から提案をされようとしていますけれども、建設労働で幅を広げる、あるいは介護人材で幅を広げるという技能実習制度、これを名目として入ってきている人たち。これがどれぐらいの数になっているか。 これもちょっと通告がなかったけれども、済みません、わかるでしょう。
○井上政府参考人 まず、技能実習の方でございますが、概数で申し上げますと、昨年現在で大体十六万人台の在留でございます。 それから、日系人の在留でございますが、これは、本当の厳密な統計はございません。ただ、ブラジル人とペルー人で在留資格が定住とか日本人配偶者等、これのかなりの部分が日系人であるという理解で大体の目安として申し上げますと、日本人配偶者等、定住者、永住者、これを合計いたしますと、平成二十五年の数字ですが、ブラジル人で約十七万七千人、ペルー人が四万七千人くらい、そのくらいのオーダーでございます。
○中川(正)分科員 恐らく統計的に漏れているところもあると思うので、両方合わせて五十万人から六十万人、こういう人たちがもう既に日本で生活をしているということなんですね。 私の地域、三重県の鈴鹿市、四日市市、これは、自動車産業を中心にしたところには日系というカテゴリーで入ってくる。日本で働くという目的で入ってくるんですが、違うんですよね。大義名分とそれから実態が違うんです。 大義名分は日系だから。いわゆる三親等までの人たちということなんですが、配偶者も連れてくるし、子供たちも連れてくるし、おじいちゃん、おばあちゃんも連れてきて、家族を帯同して来るわけですから、純粋なブラジル人、ペルー人の人たちがそれだけ日本で、いわゆる季節労働的に働いているという現実がある。しかし、この人たちの定義というのは、働くために来ているんじゃないんです、日系だからというカテゴリーの中で来ているということです。 それからもう一つ、技能実習の方は、これは技能移転だと。日本の先進的な職場環境の中で、国際貢献として技能を移転していくためにこの人たちの研修制度というのがあって、三年間で業種を限定しながらそこに受け入れているということですね。 これは、名目はそうなんですけれども、実態は、三K職種を中心にして非常に過酷な部分、あるいは、本来日本人を雇用していてはなかなか採算が合わない、賃金を抑えることによってそこで採算を合わせていく、そういう職種を中心に、組合をつくって受け入れているということです。 こういうことなものですから、大義名分は、労働ということじゃなくて、さっき言ったように、日系だから、あるいは技能を習得するために、こういう話になっているものだから、この人たちの働くということについての権利であるとか、それから社会全体の環境、例えば子供たちにどういうふうに教育環境をつくっていったらいいのかということだとか、あるいは、日系の人たちは特にそうなんですけれども、日本語の習得というのをどういう形で誰がコストを負担して、コミュニティーへ向いて、いわゆる多文化共生というような社会をつくっていけるのか、そういうことに関して国の政策をつくっていく根拠というのが今ないんですよ。 だから、そうした意味での対応というのは、地方自治体が中心になって、そこで予算づけをして、具体的にやってきた。だから、特にブラジル関係の人たちに対しての思いというのは、地方自治体が、国はこれではおかしいでしょう、余りにも無責任でしょうといって、たしか二十七か八都市あると思うんですけれども、集住都市会議というのをつくってきまして、私たちはこういう対応をしている、しかし、国はどうしてくれるんだというふうな形でずっと運動を続けてきました。私も、その中で、さまざまにそれぞれの地方自治体が取り組んでいる体制というものに対して支援もしてきましたし、同時に、問題点というか限界というのも感じてきたということ、これが実態なんです。 これは、もう一つ言えば、景気のいいときにはぐっとふえるんですけれども、景気がこの間のようにどんとひっくり返ってしまうと、さあ、では帰っていけ、少なくとも帰りの旅費だけは出すからといって、右往左往して対応しなきゃならない、そういう現状。そんな中で、これは、一旦は減ったけれども、また今ふえ始めている、技能実習というのもこれからふやそうとしている。 そういう、名目とそれから実態とが違ったようなシステムをこのまま動かしていこうという意思が政府にあるとすれば、それは恐らく将来に禍根を残す結果になっていくんだろうというふうに私は懸念します。 同時に、今それをしておかないと、それをというのは、本音のところで、この人たちが働きに来たい、日本で稼ぎたいんだということであるとすれば、それをそのまま受け入れて、その中で日本としてどういう対応をするのか、あるいは、単純労働という場合には、移民とは違って三年間で帰ってもらうということであるとすれば、そうしたルールをつくって、そして働くということを基準にした受け入れを真っ向から議論しようじゃないかとか、そういうような話がそろそろ出てこないと、中途半端にいろいろな問題を醸し出してしまうということ、これが実はもうずっと繰り返されてきた、いろいろな批判もされてきたということなんです。 そのことについて、法務省として、入り口と出口だけで、勝手に名目をつくっているだけなんだけれども、それでいいのか、中身を議論しなくていいのかということなんですが、どうですか。
○上川国務大臣 今委員の方から幾つかのケースということで御指摘がございまして、一つは日系人ということでございました。 主にブラジル人そしてペルー人ということで、今、一時期ピークを迎えていたわけでありますけれども、帰国ということの選択をしていただきながら、また、日本の国で住み続けて暮らしをしていきたいという選択をした皆さんについては、引き続き日本の国内で生活をし働いていくということを前提とした形の施策づくりということになってきたというふうに思います。 平成二十三年に日系定住外国人施策に関する行動計画ということで具体的に策定をいたしまして、自治体と連携をしながら、日系人のために、先ほどおっしゃったように、日本語でしっかりと生活できるための支援でありますとか、子育ての支援でありますとか、安定して働くための支援でありますとか、地域社会、コミュニティーの中の一員となるための支援ということで推進をしてきているということでございます。 これは、それこそ省庁横断的に取り組んでいかなければならない大変大事なことでございますので、そういう意味で、法務省としてもそうした連携をしながらしっかりと取り組んでいくということで、こうしたことにつきましてもしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。 それで、さらに技能実習につきましての御指摘もございました。先ほど来のお話の中で、実態と大きくかけ離れているのではないかと。つまり、国際貢献という形での本来の趣旨に合わせる形でこの制度そのものを、今抱えている課題や問題というものをしっかりと解消していくべく、制度づくりにつきまして対応していくということについて、これは目下大きな課題になっているところでございます。 いずれのケースにつきましても、日本の中で暮らす、そして子供たちを教育する、さらには技能実習で働くというような形の中でスキルをしっかりと母国に持ち帰っていただくという本来の制度の趣旨に照らして対応していくということ、そうした積み上げの中で、さまざまな中長期な課題につきましても取り組んでいくことができるさまざまな知見というものが得られるのではないかというふうに私は考えております。 そういう意味におきまして、中長期的な観点からということにつきましては再興戦略の二〇一四に述べられているとおりでございまして、私自身もそのテーマにつきまして真正面から取り組んでいくということについては先ほど申し上げたとおりでございます。
○中川(正)分科員 これまでの大臣の人生というか経歴を見ていて、本当にそういう答弁で満足されているのかどうかと不思議で仕方ないんですよ。政府でそういうことが決められているからその範疇の中で仕事をしていかなきゃならないという思いが強いんでしょうけれども、現実的に、こういう制度でもって日本の国内でどういう現状になっているのかというのを調べたことがあるのか、例えば技能実習で。 それで、厚労省の方に問いかけましたら、帰った人たち、いわゆる実習で帰った人たちのアンケート調査をしているんですよ。その中で、回答率が一五%ぐらいのものをもって、いや、返事してきた人たちは案外満足しているよと。それでいわば基本をつくっているんですよね。それは、回答してきている人たちというのは満足しているから回答してきている。あと、回答してきていない人たちの実態、それから現実にそれぞれの現場であれだけいろいろな報道があって、いろいろな問題があって、人権侵害もあって、国際機関からあれは奴隷制度だといって批判されていて、それに対しての反論もしていないんですよ、厚生労働省は。 いや、うまくいっているんだと言うんだったら、具体的なものをもってその反論をしなきゃいけないし、いや、ここが問題なんだということを実態的に調べたら、それに対してはちゃんと修正をしていかなきゃいけないということなんです。 私から言わせたら、大義名分と実態、働きに来ている人たちの思い、それから日本の社会で受け入れるときの彼らに対する思いがかけ離れている。本音と建前がこれだけ離れているような制度を維持していく限り、これは矛盾を拡大していくだけだというふうに思います。この制度はやはり廃止すべきだ、それにかわる真っ当な、それぞれの人たちの本音に基づいた制度組み立てというのをやはりやっていくべきだというふうに思うんです。 そういう意味で、単純労働の枠組み、これを正当化するというか、法制の中で正当化して、単純労働という枠組みの中でコントロールしながら受け入れていくというような議論がそろそろ出てきてもいいというふうに私は思います。そのことについて見解を聞かせていただきたいと思うんです。
○小林(鷹)主査代理 上川大臣、時間が来ておりますので、簡潔によろしくお願いいたします。
○上川国務大臣 ただいまの議論の中で、先生御自身が政府の立場の中でお取り組みになろうとしてきたことのお気持ち、思いというものにつきましては、大変大事な指摘ではないかというふうに思っております。 さまざまな制度がその趣旨にのっとって適正に動くことができるかどうかというのは、まさに運用のところの大きな鍵でもございます。実態はどうかということにつきましても幅広く調査をし、その調査結果を踏まえてさらにいいものにしていくべく努力を重ねていくということが極めて大事なことではないかというふうに思います。
○中川(正)分科員 政治的な判断の中で、きょうは、それに気づいてほしいという思いで質問させていただきました。この細かく書いた内容とは大分違って申しわけなかったんですけれども、ぜひ政治的に判断して頑張っていただきたいというふうに思います。 以上です。
○小林(鷹)主査代理 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。 次に、濱村進君。
○濱村分科員 公明党の濱村進でございます。 本日は、子供の最善の利益、あるいは子供の社会的養護というテーマについて質問をさせていただきます。 私自身も二人の娘の父親でございますが、大臣もお二人娘さんがいらっしゃるということで、立派にお育てになっていらっしゃることとは存じますけれども、日本における法整備が子供が中心となっているのかどうか、こういった問題意識を持ちながら、本日は質問をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。 まず、親子断絶の防止について質問をさせていただきたいと思いますが、親子断絶防止議連、きょう委員室に会長の保岡先生がいらっしゃるわけでございまして、また、先ほど民主党の泉委員からも、副会長をおやりになられているわけですが、質問がございました。面会交流についてとか、明石市の事例とか出てまいりましたけれども、重なる部分もございますけれども、質問をさせていただきたいというふうに思います。 私もその議連の一員でございますけれども、今、残念ながら夫婦関係が破綻してしまう、そういう方々は日本に毎年二十四万から二十五万組いらっしゃるということでございます。その六割につきましては未成年のお子さんがいらっしゃるというふうに存知しております。そのうち、親権を失って子供との面会交流ができなくなる親の方が六割以上に及ぶというふうにも聞いておる次第でございます。その結果、毎年十五万、十六万人の子供が片親との関係を断絶せざるを得ないという状況に陥っているというふうに存じております。 そういう状況がありながらも、今現在婚姻中でありながらも、離婚協議に行き着くという状況の中で、まだ婚姻中にもかかわらず子供を連れ去られて、あるいは家から一人追い出されて、実質的に子供と一緒に生活をしていないという状況で離婚調停を突きつけられたままであるという状況に陥るということがございます。こうした場合に、離婚によって親権を失うのではなくて、実質的に子供と生活していないということ、この事実をもって親権を失うということがあるというふうにも聞いている次第でございます。 子供の監護の継続性というもの、これは非常に大事であるというふうには思うわけでございますけれども、連れ去りに関しては多少悪用するケースもあるというふうに認識しているわけでございます。子の監護の継続性を理由に親権者になっているという御指摘があるわけでございますが、このことについてはどのようにお考えなのかをお聞かせください。
○深山政府参考人 裁判所が親権者とかあるいは監護者の指定をする際の基準として、親子の心理的な結びつきを重視して、それまでの監護状態を継続させることが子の利益にかなうという考え方がございます。 今委員御指摘の監護の継続性というのはこのような考え方を指しているものと思われますが、私たちが承知しているところでは、実際の裁判実務においては、それまで主としてその子を監護してきた者が誰なのかということのほかに、父母側の事情として、それぞれの養育能力、子に対する愛情、監護に対する熱意とか居住環境、面会交流に対する姿勢、あるいは監護補助者がいるかどうかというようなことを考慮いたしますし、子供の側の事情としても、その子供の年齢とか心情、意向といった諸事情を総合的に考慮して監護者あるいは親権者の判断がされているというふうに承知しております。 したがいまして、御指摘のような考え方のみによって親権者あるいは監護者の指定がされているわけではないというふうに考えております。
○濱村分科員 今、実務上は、ほかの、能力であったり愛情、熱意、こうしたものも考慮されているということでございました。また、子供の事情についてもしっかり考慮するということでございます。そこはそういう話もあるとは思うんですけれども、一方で、親権を失った側の親につきましては、なかなか、子供に面会できる機会が減ってくるということでございます。 子供の人格形成ということで考えますと、両方の親に会う、親が離婚して別々に暮らそうとも、子供にとってみれば人格形成には非常に重要でございますので、両方の親に会うということが大変重要に思うわけでございますけれども、そういった意味で、面会交流について現状どのようになっているのか、お聞かせ願えますか。
○深山政府参考人 親権者あるいは監護者でない親が子供とどの程度の頻度で面会交流をしている実情なのかということのお尋ねでございますが、実は、法務省として正確な実態を統計的に把握しているわけではございませんけれども、司法統計がございます。 平成二十五年の司法統計によれば、面会交流を求める家事調停事件それから家事審判事件において、面会交流を行うことが結論として定められたものの総数は年間六千四百六十四件とされております。 この司法統計では、この総数を、面会交流の定められ方に応じて、週一回以上、月一回以上、月二回以上、二、三カ月に一回以上、四から六カ月に一回以上、それからその他、こういうふうに分類をしております。今の分類のうち、最も多かったのは月一回以上でございまして、全体の約四六%、五割弱が月一回以上という区分になっている実情でございます。
○濱村分科員 この月一回以上というようなところが多いかどうかというところはいろいろな判断があるかもしれませんけれども、本来であれば、私も実はそうなんですが、週のうち一日、二日子供に会えるかどうかということでございますが、基本的に、私の場合は親はかわらないという状況でしっかりと子供に接することができるというわけでございますけれども、やはりそういう安定的な環境をつくるというのは子供にとって非常に大事であるという観点でいえば、頻度も非常に大事になってきます。ですので、面会交流もしっかりと進めていく、そういった取り組みが必要なんじゃないかというふうにも考える次第でございます。 また、子供の最善の利益を考えますと、監護の継続性を利用した、悪用と言ってもいい部分もあるかもしれませんが、子の連れ去りについてはあってはならないというふうには思うわけでございますけれども、むしろ大事なのは何なのかといいますと、どちらかというと、子供を監護できる、監護を行える親にしっかりと権利を与えることであるというふうに思うわけでございます。 その意味では、子供をより積極的にもう一方の親に会わすことができる、面会あるいは交流させることができる、そういう親に監護する権利を与えるという原則があります。いわゆるフレンドリーペアレントルールと言われますけれども、このルールについてどのような評価をなされておられるのか、お聞かせください。
○深山政府参考人 裁判所が親権者や監護者の指定をする際には、他方の親と子が面会交流を行うことについて積極的であることを重視すべきであるという考え方がございます。御指摘のフレンドリーペアレントルールというのはこのような考え方を指すものと認識しております。離婚した一方の親が他方の親と子との面会交流について積極的であるということは、一般論として申し上げれば、子の利益の観点からは望ましい態度であることは間違いないと思っております。 ただ、実際の裁判手続で親権者や監護者を指定する裁判においては、先ほども御答弁申し上げたとおり、面会交流に対する姿勢も考慮要素の一つであることはもちろん間違いないんですけれども、さまざまな事情を総合的に考慮して、当該事案で子の福祉の観点から最もいいという判断をしているというふうに承知しておりますし、また、制度としてはそうあるべきものだろうと思っております。 したがいまして、他方の親と子との面会交流に積極的であるということが一般論として望ましいし、考慮すべき重要な要素であるということはそのとおりなんですけれども、これのみをもって親権者あるいは監護者を指定するというようなルール化をするということについては、なかなか難しい問題があるのではないかと思っております。
○濱村分科員 私も局長が今お答えいただいたとおりだと思うんです。フレンドリーペアレントルールというのは大事なルールの一つ、大事な判断要素の一つではあるというふうには思いますけれども、ほかの要素も子供にとっては非常に大事であるということでございます。そういった意味で、これだけに頼らず、しっかりと環境を見定めていくということは非常に重要なことではないか、さまざまな事情ということでおっしゃっておられましたけれども、これは総合的に勘案するべきだということかというふうに思います。 子のさまざまな事情を行政においてどのように勘案していくのかというのも非常に重要なのかというふうに考えております。 先ほど泉先生の質問でもございました、兵庫県明石市では、離婚届をとりに来た場合に養育合意書の書式を配付しているということでございます。作成することは強制ではございません。一方で、養育費の金額あるいは支払い期間、面会交流の方法など、あるいは頻度についても記入するという状況で、これは、仮に離婚するとした場合に、離婚の検討中にしっかりと、今後どう子供と会わせるのかということを検討する、それを仕組みとして導入する意味では非常に重要な観点であり、大事な取り組みであるというふうに思いますし、養育支援の一環としては非常に価値があるのではないかというふうに考える次第でございます。 明石市のこうした取り組み、調停員経験を持つ専門家による無料相談もやったりとか、離婚を考えている夫婦を対象としたガイダンス講座、こうした取り組みもなされているというふうに伺っておる次第でございますけれども、こうした取り組みについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 兵庫県の明石市におきましての御指摘のような取り組みにつきましては、大変熱心に、丁寧に取り組まれているということで、承知をしているところでございます。 子供を持つ夫婦が離婚をする事情、さまざまな事情があるというふうに思いますが、大切なことは、親の事情で離婚をすることによりまして子に不利益が及ばないようにするという視点であります。こうした視点を持って対応していくということが子の利益の確保につながるというふうに考えているところでございます。 明石市の取り組みにつきましては、まさにそのような視点に立って行われているものというふうに考えておりまして、特に未成年の子供がいる夫婦が離婚をする際に、子育てに関しまして、互いに親として子供のことを考えて話し合いをする、そして子の養育費また面会交流等について自主的に取り決めをしていくということに対して市として支援をするということでございまして、子の利益の確保という観点から非常に望ましい政策ではないかというふうに考えております。
○濱村分科員 今大臣もおっしゃっていただきました、親の事情によって子に不利益が及ばないようにする、これが非常に大事でありまして、このことを行政の運用上の一つの施策として行っていくというのは非常に大事なポイントであるというふうに思うわけでございます。 こうした実際の事業の運用について、法務省がぜひリーダーシップをとっていただきたい。なかなか、法務省さんは非常に今、法務局も含めて、全国組織でございますし、いろいろなところで実際の運用にかかわる接点がおありだとは思うんですけれども、非常に専門性も高く大変な職務であるというふうにも考えますけれども、事業の運用という観点ではさらに御活躍をお願いしたいというふうに考えている次第でございます。 その意味で、もう一つお伺いしたいことがございます。市民後見人制度でございます。 市民後見人という用語、必ずしも定義が明確ではないというふうにも存知しておるところでございますけれども、厚労省において市民後見推進事業を行っていらっしゃる、認知症高齢者あるいはひとり暮らしの高齢者向けに介護サービスの利用契約等を中心にサポートする事業であるというふうに伺っております。これは、弁護士さんあるいは司法書士さんといったような専門職の後見人ではなくて、いわゆる市民、一般の人に後見人としてなっていただく、支援体制を構築していくということで、社会的に見守っていくというような側面もあるかというふうに考える次第でございます。 認定の、選任の手続、ステップというのはどういうものかというと、まず、市民を養成して候補者名簿に載せます、その後、家庭裁判所が選任していくというわけでございますけれども、弁護士さんあるいは司法書士さんといった専門職の方々、あるいは市民の皆さんを巻き込みながら、市町村が実施主体として取り組んでおられる。 三権分立の大原則というのは大事な大事な視点でございますので、家庭裁判所の業務独立性についてはしっかりと担保されなければいけないわけでございますけれども、社会福祉協議会とかで、いろいろな方々が寄り集まって協議をしているというような場が実際の現場ではあるわけでございます。ですので、この点で、家裁の方々、家庭裁判所が事業を運用する上で必要なポイントを指導するということは非常に現場の人たちに役立つというふうに考えるわけでございます。 市民後見人の養成についてぜひ家庭裁判所も一緒になってやっていただきたいという思いがあるわけでございますけれども、法務大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。
○上川国務大臣 委員が今御指摘いただきましたけれども、市民後見人の養成につきまして、厚生労働省において、同省が所管する老人福祉法等に基づきまして、市民後見人の希望者に対して研修実施を内容とします市民後見推進事業を実施しているというふうに承知をしているところでございます。 今後、高齢者の増加に伴いまして、成年後見制度に対するニーズが増大し、また成年後見人につきましても多くの担い手が必要となるということもございますので、市民後見人の養成につきましては今後さらに重要になっていくものというふうに考えております。 このような観点から、成年後見制度を所管する法務省といたしましても、成年後見人の養成につきましては、厚生労働省等の関係機関とよくよく協力をしながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○濱村分科員 ぜひ厚労省と協力をして市民後見人の育成に努めていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。 続きまして、子供の社会的養護と養子縁組についてお伺いをしたいと思います。 国連の子供の代替的養護に関するガイドラインというものがございます。ここにおきましては、望まれる養護形態について順位が定められておりますが、まず実の親あるいはそれに近い近親者、その次に養子縁組、そのまた次に里親による養育、最後に施設入所というような順番になっておるわけでございます。 国連の子どもの権利委員会は、施設入所は最後の手段であるべきだというふうに言っているわけでございますけれども、日本の現状を見ますと、里親委託率も非常に低いということで、一二%程度しかなかったはずだと認識しておりますけれども、社会的養護下にある子供の七割以上が施設入所であるということを考えますと、まだまだ改善が望まれるのかなというふうに思うわけでございます。 現状の運用状況と今後の取り組みについて少し厚労省にお伺いしてまいりたいと思うわけでございますけれども、まず、里親につきましては、委託率が上げられるような抜本的な取り組みの改善が必要なのではないかというふうに思うわけでございます。さらに、里親だけではなくて、養子縁組についても促進、改善がなされなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。 まず厚労省にお伺いしたいと思います。先ほど申し上げたとおり、施設入所、現状では多いわけでございますけれども、この運用状況と今後の取り組みについてお伺いできますでしょうか。
○木下政府参考人 お答え申し上げます。 まず、里親制度につきましては、保護者のいない児童、虐待を受けた児童につきまして、特定の大人との愛着関係のもとで養育することにより健全な心身の成長や発達を促すことができるものであると思っております。 今御指摘の里親等の委託率でございますけれども、御指摘のように非常に低いわけでございます。実数を申し上げますと、平成二十五年度末で一五・六%でございます。昨年に比べて〇・八ポイントの増となっておりますけれども、諸外国と比べますと低くなっている状況でございます。 こういったことを進めるために、厚生労働省におきましては、まず、社会的養護が必要な児童をより家庭的な環境で養育することができるように、里親ですとか、あるいはファミリーホームへの委託を積極的に進めているところでございまして、今後十五年かけて、平成四十一年度末までに里親等への委託を社会養護全体のおおむね三分の一程度にしていくことを目指しております。 このため、平成二十七年度予算案におきましては、一つは、児童養護施設あるいは乳児院におきまして里親支援担当職員の箇所数の増加、それからもう一つは、里親登録されているけれども里親委託されていない里親に対しまして、委託に向けたトレーニングを実施する事業の創設などについて予算を計上したところでありまして、こうした取り組みにより里親等への委託を推進していきたいと考えてございます。
○濱村分科員 ありがとうございます。 家庭的養護をふやしていかなければいけないというわけでございますが、里親支援担当職員についてふやしていくとか、あるいは予算の中でやっていただくということでございますけれども、実際、今、施設の現場において、児童相談所などが、施設に行ってもらうのか、この子は里親に預かってもらうのか、あるいは養子縁組かということをしっかり振り分ける機能は実は児童相談所、この児童相談所は業務環境的に非常に厳しい状況にあるというのがありまして、どちらかというと、今、パワー不足ということも言われています。 一つには、このパワー不足、態勢が不足しているということでございますけれども、マッチングプロセス、これは里親委託ガイドラインというのがあるんですが、このガイドラインが厳格でなかなかそれに手が回らないという状況があったり、あるいは、そもそも児童虐待対応で手が回らないという状況もある。あるいは、児童福祉司の少なさも、日本は極めて少ない。大阪でいえば、一人当たり担当する案件は年に二百二十五件。一方で、海外の例、ニューヨークは十二件、そしてニュージーランド、これは非行も含めた件数ですけれども、三十件と言われています。文字どおり桁違いなんですね。 こういったパワー不足、態勢が不足しているという点もありますし、あるいは一方で、実の親との良好な関係を維持したいであったりとか、司法手続が必要な養子縁組、こうした取り組みについてちょっと時間がないので回避したいというような利益相反する側面がある、こういうことが指摘されております。 こうした観点から見ますと、児童相談所の拡充についてもしっかり取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。 次に、養子縁組についてお伺いしたいと思いますが、普通養子と特別養子がそれぞれございます。どういった背景があってそれぞれ区別があるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○深山政府参考人 今御指摘のあった特別養子縁組は、養子縁組成立の日から実の親との親族関係を消滅させるものであります。これに対しまして、普通養子縁組は、実親との親族関係を消滅させることなく、養親、養子の関係と実親、実子の関係の併存を認める、こういう違いがございます。 こういった違いがあるために、特別養子縁組をするには、普通養子縁組とは異なりまして、養子となる者の年齢が原則として六歳未満であること、また、原則として実の父母の同意があること、さらに、子の利益のために特に必要があるといったもろもろの要件を満たす必要がございます。 特別養子縁組制度は、それまで存在していた普通養子縁組制度に加えて昭和六十二年に導入されたものですけれども、その導入の理由は、養親との間に実親と同様の実質的な親子関係を形成させることによってより一層年少の子の利益を図ることができるような制度を導入する、ここにあったものと承知しております。
○濱村分科員 今御説明があったとおりで、特別養子縁組というのは、基本的には、民法八百十七条の五におきまして六歳未満というのが原則になっているというわけでございます。 一方で、父母がともに知れない子、つまりお父さん、お母さんが誰なのかわからないという子供さんに関しては、未成年の間は特別養子縁組を認めてもいいのではないかというような御意見もあります。それは引き続き議論が必要なのかなというふうに思いますので、今後ともしっかり議論をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。 今、さまざまお話をさせていただきました。本当は養子縁組と里親についても厚労省の木下さんにお伺いしようかということも思っておりましたが、最後の質問にさせていただきたいと思います。 いろいろさまざまお話をさせていただきました。大臣に最後にお伺いしたいのが、いずれにしても、子供の最善の利益を実現していくということが大事かというふうに思っております。今、さまざま、社会的養護については世間的な認知が低いという状況があるかと思います。これを上げていくことというのは非常に大事でございますし、そうする中で、里親になっていただいて、実質的に里親になれる方というのもまたふえてくるんじゃないかというふうに思うわけでございます。 この認知を上げていくための取り組みについて、ぜひ大臣にお願いがございます。 法務省さんは、更生保護に関して、社会を明るくする運動というものをされていらっしゃいます。「おかえり。」と大きく掲げられたポスターがあるわけでございますが、私の部屋にも張っておりますけれども、これと同様に、もちろん、ポスターだけではなくてAC等のCMを使っていただいても結構かというふうには思うわけでございますが、子供の社会的養護についても、国民の皆様が関心を持って、積極的に参加しよう、そういう意識啓発をぜひ行っていただきたいというふうに考える次第でございます。 るる話してまいりましたけれども、子供の最善の利益の実現について多様な取り組みが必要であるというふうに思うわけでございますけれども、大臣のお考えを最後にお伺いできればと思います。
○上川国務大臣 ただいま、大変短い時間でありましたけれども、さまざまな視点から、具体的な取り組みを丁寧にやっていくべきではないかということで、たくさんの御指導をいただいて、ありがとうございました。 親の都合よりも子供の健やかな育ちを最優先にする社会づくりということで、それに資するような施策につきましては、厚生労働省を初めとして他省とよくよく連携をしながら、法務省として取り組むべきことにつきましては最大の取り組みをして、そうした状況整備、環境整備に努めてまいりたいというふうに思っております。 ポスター等の掲示も含めまして具体的な御提言をいただきましたので、それを参考にしながら取り組んでまいりたいと思います。 ありがとうございます。
○濱村分科員 ありがとうございます。終わります。
○小林(鷹)主査代理 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。 次に、若狭勝君。
○若狭分科員 ありがとうございます。 本日は、成り済まし入国の問題と性犯罪被害者の保護の問題についてお尋ねしたいと思います。 まず、成り済まし入国の問題についてお聞きしたいと思います。 いよいよあと五年で東京オリンピック・パラリンピックということになりますが、まさしく、オリンピック・パラリンピックを実施するに当たっては、治安の問題、特にテロの問題というのが重要であります。 最近のテロ情勢を見ますと、テロリストを国内に入れない、いわゆる水際作戦というのが一番重要だと思うんですが、この点について入管当局は目を光らせて、最近、不法入国者を年々減少させているということだと思うんです。 まずは大臣にお聞きしたいんですが、最近、そういう形で年々不法入国者が少なくなっている理由をちょっとお聞かせ願いたいんです。
○上川国務大臣 不法入国事件数の減少の背景ということでの御質問がございました。 法務省におきまして、テロ対策ということで、未然防止において、水際対策につきましてはさまざまな取り組みをしてまいったところでございます。 具体的なところでいきますと、指紋等の個人識別情報を活用しての入国審査を徹底するということ、国際刑事警察機構が構築する紛失・盗難旅券データベースを最大限活用していこう、空海港におきましてのパトロールにつきましてもしっかりと実施をしていく、さらに、偽変造の文書につきましての対策にも取り組むということでございまして、こうした水際対策につきましては、さまざまな面で警察等の関係機関との連携を図りながら取り組んできたところでございます。 こうした厳しい水際対策を実施してきたことも功を奏してということでございまして、不法入国事案の減少、さらに、不法入国事件として認知されたものの件数につきましても、平成二十一年当時は五千三百七十三人だったわけでございますが、二十五年の時点で千百二十八人にまで減少しているということで、そうした取り組みにつきまして、功を奏したのではないかというふうに思っております。
○若狭分科員 非常にすばらしい結果をあらわしていると思います。これはひとえに並々ならぬ入管当局の努力のたまものというふうに思いますので、私としても改めて敬意をあらわしたいと思います。 ただ、ここで考えておかなければいけないのは、いわゆる不法入国者側の方も不法入国に当たっての手口が巧妙になっていて、入管当局が捕捉できないような不法入国の実態があるのではないかということを危惧しているわけです。 例えば、最近の不法入国の方法として、いわゆる成り済ましという手口があるというふうなことが言われております。この成り済ましというのは、日本へ不法入国しようとする者が、いわば自分の国において他人に成り済まして、その国の公的機関から正規のパスポートを作成してもらって、その際に他人の名前をかたる。ただ、パスポートの写真は、不法入国を企てる者の写真が張られている。そういうことですので、日本に来て、入国審査の際に他人の名前をかたって、まさに成り済まして、そうすると、写真は目の前にいる人間の写真ですから、日本の入管が気づかないで、いわゆる成り済ましという形でそのまま日本国内に入れてしまう、そういう手口が最近あるのではないかというようなことを主張している人もいるんですよね。 ですから、そういうようなことが実際あるのかどうか、その辺の認識、入管においてどのように思っているのかということについてまずお聞きしたいと思います。参考人でも結構です。
○上川国務大臣 今委員から御指摘がございました成り済ましということでございますが、正規のパスポートなんだけれども、それをつくる際に自分が他人に成り済まして、正規のパスポートで、さらにそれを持って入国するという案件ということでございます。 テロの未然防止対策の一環ということでございますが、平成十九年十一月二十日から、我が国に入国しようとする十六歳以上の外国人に対しまして指紋及び顔写真の提供を義務づけ、これらの個人識別情報を活用した入国審査を実施しているところでございます。制度の導入から昨年末までに約五千二百人の入国を阻止しているところでございまして、この中には御指摘のような成り済まし事案も含まれているというところでございます。
○若狭分科員 恐らく指紋情報とかいろいろな各種情報等によって封じ込めをしているんだと思うんですが、ただ、実際問題は、外国からの情報もない、特に、テロリストとしてまだ把握されていない、日本国内の入管においては指紋もまだきちんと管理されていないという場合は、仮にテロリストが今のような成り済ましという方法で我が国に侵入してきた場合、入管当局とすると、今までの指紋と照合することもできないということになると、事実上、国内に入れてしまうというおそれもあるのではないかというふうに危惧しております。私自身も入管の仕事に何年か携わっていたことがあるんですね。ですから、私の経験からしても、そうした成り済ましのような形で不法入国されると、なかなか見抜くのは難しい面があるというふうに思っているんです。 ですから、もし、そういうようなことで入管当局において成り済ましを完全に捕捉できないような状況にあるのだとすれば、今ここで、今まで以上に対策をきちんと講じて、しかも、必要な手当てをするための予算措置を講じるなどして、その辺の徹底をやはりしていくべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 ただいま、法務省の方の入国の際に、今のような事案も含めて、水際については厳しく、しっかりと対応していく、こういうことで臨んでいるところでございます。 過去の退去強制歴を隠して入国しようとする者につきましては、個人識別情報を活用した入国審査により、御指摘のありました成り済ましによる旅券の不正取得者を含め、確実に発見できるようになっている。また同時に、過去に退去強制歴がなくても、関係機関からテロリスト等の指紋あるいは顔写真等の情報提供を受けまして、当該情報を活用することによって入国阻止を図っている。 さらに、そうしたリスクについては全てゼロというわけではございませんので、あらゆるリスクに対しても対応できるようにしていくということにつきましては、水際対策の中でも大変大事なことではないかというふうに思っております。警察関係とのさまざまな連携ということにつきまして、情報収集、分析というのが極めて大事なことであるというふうに思っておりますので、今後とも、そうした関係機関との連携を強化して、水際対策に万全を期すべく努力をしてまいりたいというふうに思います。
○若狭分科員 対策といっても、外国が絡んで、外国の正規の機関が発行しているパスポートということになるとそんなに容易ではないという面もあると思うんですが、いずれにしても、テロリストが一人我が国に入ってしまうと非常に大変な問題になるということですので、ここは、テロリストとはわからずに入れてしまった人間が、実はわかったときにはテロリスト、そのときには時遅しということがないように、我々も含めてみんなでやはりこの辺の問題をきちんと解決、対策を打っていくべきだというふうに思います。 続きまして、本日お聞きしたいもう一つのこととして、性犯罪被害者の保護の問題についてお聞きしたいと思います。 まず、便宜上、刑事手続の流れを三つの段階に分けて見ていきたいと思います。一つ目の段階は捜査段階における性犯罪被害者の保護の問題、それから二つ目の段階が起訴時における性犯罪被害者の保護の問題、そして三つ目の段階が、裁判段階、つまり、証人段階における性犯罪被害者の保護の問題という形で便宜上分けます。 ここの第三番目の、要するに裁判あるいは証人段階における性犯罪被害者の保護の問題については、この国会で法務省が刑事訴訟法の改正案というのを提出すべく用意しているというふうに理解しておりますが、この改正について、特に性犯罪被害者の保護に限定して、どういう形で改正がなされ、あるいはどういう観点で改正がされようとしているのかということについて、刑事局長の方からちょっと教えていただきたいと思います。
○林政府参考人 今回、法案に盛り込むことを予定しております、まず一点目といたしましては、証人等の氏名、住居の開示に係る措置でございます。 これは、検察官が請求する証人等に対する加害等のおそれがある場合に、被告人の防御の利益を害しない限度で、その氏名等を被告人に知らせてはならない旨の条件を付した上で弁護人に開示する措置や、特に必要がある場合には、弁護人にも知らせずに、そのかわり、代替的な呼称、連絡先等を開示する措置、こういった措置をとることができるようにするものであります。 これは、現行法上、被害者を含む証人等の尋問を請求する場合に、相手方にその氏名、住居を知らせなければならないこととなっておりますことから、一定の場合に氏名等を秘匿できるようにしまして、被害者を含めた証人等の保護を図る趣旨のものであります。 次に、公開の法廷における証人等の氏名等の秘匿措置がございます。 証人に対する加害等のおそれがある場合に、その氏名等の証人等を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにしてはならない旨の決定をすることができるようにいたしまして、起訴状の朗読でありますとか証拠書類の朗読等について、その氏名等を明らかにしない方法で行うこととするものであります。 これは、現行法上、被害者につきましては、一定の要件のもとで、その氏名等を公開の法廷で明らかにしてはならない旨の決定をすることができる仕組みが設けられているところでございますが、被害者以外の証人等につきましても同様の決定をすることを可能といたしまして、その保護を図る趣旨であります。
○若狭分科員 そうしますと、今回の刑訴法の改正において、裁判段階においては、性犯罪被害者の保護ということについては拡大していくということだと思います。今、安倍政権が掲げる、全ての女性が輝く社会の実現をということで、そのためには女性の権利を保護するということが大事でありますが、その意味では、まさしく今回の法改正というのは、その趣旨に沿った形ということで高く評価することができると思うんですね。 ただ、先ほど申し上げた第一段階、第二段階というところにおいての性犯罪被害者の保護が今どのようになっているのかということについて、きちんと見ていく必要はあると思うんですね。 まず、第二段階、つまり起訴における被害者保護、特に起訴状の書きぶり、つまり、起訴状に性犯罪被害者の実名、氏名を記載しなければならないのかどうかということについて少し展開したいと思うんですね。 これについては、結局、裁判段階、証人の段階では実名や何かを秘匿できるといっても、起訴状において性犯罪被害者の氏名が開示されてしまえば、裁判段階における保護というのは余り用をなさなくなってしまう。ですから、そういう意味においては、起訴状における記載においても、被害者の保護、つまり、被害者の氏名を開示しないというような取り扱いがどうしても必要になってくるのではなかろうかと思うんですね。 ついては、検察においては、私の知る限りですと、起訴する際に、被害者の名前を実名にせずに、いろいろな工夫をして実名を特定しないような形で起訴するという運用がなされているというふうに承知しているんですけれども、この運用について、果たして裁判官は、この検察の工夫を伴った運用をきちんと全面的に理解してくれているのか、あるいは逆に、検察のそうした工夫、運用を理解しない裁判官もいるのか。さらには、そうした被害者の名前を特定しないような起訴というのはそもそも適法ではないんだ、合法な起訴ではないんだというように考える裁判官もいるのかどうか。その辺について、刑事局長からお話をいただければと思います。
○林政府参考人 確かに、起訴状の段階でそういった被害者の氏名等を秘匿する形で起訴をすることがございます。被害者の保護という観点から、検察においてそうした運用上の工夫をしている。それに対して裁判所においてどのような対応がなされているかというのは、当然、個別の事案によって異なっておると思います。 もちろん、起訴状には訴因を特定して起訴しなくてはいけないということでございますが、その特定がもし欠けますと、場合によっては、訴因が不特定という判断をされまして、公訴が棄却される場合もあり得るところだと思います。あくまでもこれは一般論でございますが、そういった場合もあり得るということであります。
○若狭分科員 ちょうど昨日、三月九日の読売新聞においてこういう記事が載ったんですが、水戸地検において二月二十五日に強盗強姦未遂で起訴した案件がありまして、その起訴状においては、被害者については、女性、年齢○○歳というような形で、実名も入れずに起訴しているという案件があるように聞いているんです。 今後、裁判所がそれについてどういうふうに判断するかというのは少し推移を見てみないとわからないところなんですが、そもそも、裁判所が実名を記載しないとだめだよと言った場合には、最終的にはその起訴というのはどうなってしまうのかということについて、刑事局長にちょっと教えていただきたいと思います。
○林政府参考人 起訴状には訴因を明示して公訴事実を記載しなければならないわけでございますが、訴因の記載が不明確な場合、例えば裁判所は検察官に釈明を求めることと思います。それで、検察官がこれを明確にしないときには、やはり訴因が不特定であるとされて、その起訴の効力が否定されて公訴棄却とされる場合があり得るものと考えております。
○若狭分科員 いずれにしても、被害者氏名を伏せた起訴をどのように考えるか、そうした起訴を許すのか許さないのかというのが、裁判所ごとに扱いがばらばらになってしまうという可能性もあると思うんですよね。ただ、そういうようなことは、事態として非常に困るわけですね。と申しますのは、やはり被害者の公平という観点からも、この裁判所の場合はこうした記載が許されて、この裁判所の場合はこういう記載が許されないということになって、てんでんばらばらになってしまうということだと、刑事司法あるいは被害者の公平という観点からも非常に問題があると思うわけですよね。 今、いろいろと工夫して運用しているということは非常に結構なことだと思うんですが、裁判所がその工夫をなかなか理解せずに、今申し上げたように、全国的にばらばらの取り扱いのようなことになるのだとすれば、将来的には、起訴における起訴状の書きぶりについてもやはりきちんとした法整備をしていくということが必要になってくるのではないかと私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○林政府参考人 性犯罪等の被害者保護のために、刑事手続において氏名等の情報が適切に保護されるようにするということは重要なことであると認識しておるわけでございます。 現行法の中で、起訴状の公訴事実の記載につきましては、公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない、訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法をもって罪となるべき事実を特定しなければならないと規定されておりますけれども、被害者の実名を必ず記載しなければならないという規定になっているわけではございません。 そこで、審判の対象は特定しつつも、被告人に防御の範囲を示すという趣旨を害しない範囲で、現行法上でも、先ほど来申し上げておりますように、被害者保護のためにその実名を秘匿する運用というものが行われているものと承知しております。 御指摘のような、起訴状の公訴事実の記載において被害者の実名を秘匿するということを立法的に解決するという御指摘につきましては、今行われております運用における事例の集積を待って、それらの考え方を分析しながら十分な検討をしていく必要があると考えております。
○若狭分科員 いわゆる第二段階の話はこれで終わるとして、次に、第一段階、つまり捜査の段階における性犯罪被害者保護の問題についてお聞きしたいと思います。 これについては、いわゆる逮捕状、勾留状に被害者の名前を特定して記載するかどうかという問題になるわけですが、実際、逮捕状とか勾留状に被害者の実名を書いてしまうと、いわゆる犯人に被害者の氏名とか住所がわかってしまう。そうしますと、仕返しとかお礼参りとか、そうしたようなことが起きる。被害者にしても、自分の名前が犯人にわかってしまうのを非常に恐れるということが当然予想されるわけですよね。 この問題については、やはり検察あるいは警察においては、工夫をして、実名を書かないような形で性犯罪被害者の保護をしていると理解しているんですけれども、これまた裁判所はその理解が足りないと私は思うんです。 例えば、これも読売新聞に報道されていたんですが、水戸地方検察庁が昨年から十五件の性犯罪の事件について実名を伏せた形で勾留請求したところ、裁判所がそのうちの八件については実名を書いたまま勾留状を発布したという案件があったと聞いているんですよね。そういうような形で、裁判所の理解というのがやはり相当弱いと私は思うんです。 しかも、そのうちの一件については、要するに、裁判所によって実名にしない形が認められなかった八件の被害者のうちの一人が、我々は、やはり名前が公にされてしまうと復讐や何かを恐れるので、この事件のことは忘れるという形で解決するしかありませんという言葉を述べているようなんです。 これは、性犯罪被害者にとっては、どう見ても、やはりこの事件を忘れることによって解決したい。そんなことを我々が認めてはいけないんじゃないか。 犯罪被害者等基本法というのがあります。まさしくそこの三条には、犯罪被害者の気持ちや何かを尊重して、それを踏まえた形できちんといろいろな支援をしなきゃいけない、それも、途切れることなく、被害者が犯罪を受けてから生活が平穏に戻るまで、きちんとした措置を講じなきゃいけないというふうに書かれているんですよね。 そういう犯罪被害者等基本法の趣旨にのっとっても、そうした被害者、つまり、事件を忘れることによって解決するしかないというようなことをやはり放置しては絶対にいけない。裁判所の取り扱いによっては、そういう人たちが一人、二人出てきてしまうんです。 この辺のところは、性犯罪の犯人の性癖とか危険性、あるいは被害者の特殊な心理に理解が乏しい、そういう裁判官がやはり中にいるんだと思うんですよね。 となりますと、今後、とりあえずは今のような運用で裁判官を説得していくという方法はいいんですが、ところが、裁判官が依然としてそういう性犯罪被害者のことに思いをいたさないというのであれば、犯罪被害者等基本法の趣旨にのっとって、きちんとその辺の法整備を、要するに被害者が平穏な生活に戻れるように、途切れることのないような施策をきちんと法整備という形でしていく必要があると私は思うんです。 それについて、大臣の御見解、お考えをお聞かせ願えればと思います。
○上川国務大臣 ただいま委員から、勾留ステージ、さらには起訴ステージ、そして公判ステージということで、それぞれの段階に伴って、性犯罪等の被害者の方々の氏名等についてはしっかりと取り組むべきではないか、こういう御指摘がございました。 私も、犯罪被害者等基本法の成立に携わった者として、被害を受けたときから平穏な生活に至るまでシームレスにしっかりと対応していくという法の趣旨に照らして考えれば、その目的がしっかりと達成できるようにしていくということは、これは絶えず念頭に置きながら考えて取り組まなければいけないというふうに思っております。 今、ステージごとのさまざまな御指摘をいただきました。運用ということではないわけでありますが、いろいろなケースがございますので、その事例についてはしっかりと深掘りをしながら、それに対してどう取り組むかということについては検討しなければいけないというふうに思っております。 その一つとして、今回、公判段階ということで法制度を改正するということになりましたので、そういったこともあわせもって、今の法律の趣旨が生かされることができるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○若狭分科員 ありがとうございます。 最後に、やはり裁判官も、こうした犯罪被害者の特殊な心理、本当に恐れおののいて暮らす犯罪被害者の女性の心理というものをきちんと理解してもらえたら私もうれしいということで、私のきょうの機会を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小林(鷹)主査代理 これにて若狭勝君の質疑は終了いたしました。 次に、鈴木貴子君。
○鈴木(貴)分科員 上川大臣、お疲れさまでございます。先週、二日だったと思いますが、予算委員会での質疑に続きまして、引き続き、大臣に答弁をお願いしたいと思っております。 まず、質問の本題に入る前なんですけれども、岐阜県美濃加茂市の藤井市長に対して、無罪の判決が五日の午後、名古屋地裁にて言い渡されました。大臣も報道などで見聞きをされているかと思われます。ちなみに、その判決が出てから、藤井市長が記者会見を開かれました。その際の発言なんですけれども、取り調べの様子について藤井市長が会見で述べられていた内容が、はなたれ小僧だと、それは若いから仕方ないかもしれないが、はなたれ小僧に投票した市民は何を考えているんだと言われ、市民が侮辱されたと感じた、また、ひたすら自白しろということで、早くしゃべらないと美濃加茂市を焼け野原にするぞとも言われた、こういったことを会見で市長御自身、発言をされております。 また、昨日なんですけれども、富山県は氷見市で二〇〇二年に起きました婦女暴行事件で、再審無罪をかち取られました柳原さんが、違法な捜査で逮捕、起訴され、二年間の服役を強いられたとして、損害賠償を求めた訴訟の判決が出ました。富山地裁は、県に対して、約一千九百六十六万円を支払うように命じました。なお、ここが私は非常に重要だと思うんですが、裁判長が判決で、取り調べで虚偽の自白をつくり出すなど、警察の捜査に違法性があったとまではっきりと指摘をされております。 私も委員会は法務委員会所属ということでありまして、大臣の年頭の挨拶も聞かせていただいておりました。大臣、そこで、法治国家の根幹を支えるのがまさに法務省である、こういったことも述べられていた上川大臣ですが、こうした、強圧的、威圧的な、また、とり方によっては、私なんかはこれは脅迫まがいの取り調べのあり方だと思ったんですけれども、上川大臣はどのように受けとめられましたでしょうか。
○上川国務大臣 ただいま、美濃加茂市長の件についてのコメントと、そして同時に、氷見事件ということでの、二つの事案につきまして御指摘をいただきました。記者会見の内容等も踏まえての御発言というふうに思っております。 私自身、個別的な事案につきまして法務大臣としてコメントをするということについては、差し控えたいというふうに存じます。 ただ、当然のことではありますけれども、犯人でない人を処罰するということにつきましては、これはあってはならないことだというふうに思います。 そして、具体的な事案におきまして無罪判決が言い渡される理由につきましてはさまざまであるということでございますので、一般論としてどうかということにつきましても、申し上げるということにつきましては大変難しいということでございますけれども、いずれにしても、検察当局につきましては、基本に忠実な捜査、公判の適正な遂行に努めるというところの基本については、一つずつの事案に対してその姿勢で臨むということが基本ではないかというふうに思っております。
○鈴木(貴)分科員 大臣、御丁寧な答弁をありがとうございました。 ただ、私自身、この報道を見て、法務大臣の諮問によって法制審特別部会で捜査の適正化についてこれだけ議論がなされてきた、そしてまた、国民世論からも厳しい指摘もあった、そういったことを踏まえた上でもいまだに、それでもなおこういった取り調べが行われているというのはやはり大きな大きな問題であるな、この問題の根幹、根源というのが深いな、根は深いなということが改めてまさに浮き彫りになったのではないかなと。それを指摘させていただきながら、以下、質問に移らせていただきます。 大臣は、三月二日の予算委員会の答弁の中で、全体として刑事司法制度について機能するか否かを勘案するということが大変重要である、諸制度が一体の現行制度に組み込まれることによって時代に即した新たな刑事司法制度が構築されると述べられました。ちなみに、冤罪防止策である可視化であるとか証拠の開示といったもの、捜査権限の拡大であるいわゆる盗聴法、通信傍受法であるとか日本版司法取引、こういった本質というか性格の違うものを抱き合わせての法案化、議論のあり方というのはいかがなものかという私の質問に対しての答弁でありました。 取り調べの可視化であるとか通信傍受というまさに水と油の関係のものを一体化することでしか、逆に本来の目的である取り調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却ができないということにつながるのかなと思ったのですが、大臣の見解はいかがでしょうか。
○上川国務大臣 今回、御指摘の部分の答弁を踏まえての御質問ということで、改めてお答えしたいというふうに存じます。 法制審議会におきましては、「時代に即した新たな刑事司法制度を構築する」という諮問の趣旨を踏まえまして、捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存しているとされる状況から脱却を図るために、証拠収集手段の適正化、多様化及び公判審理の充実化を実現するという理念に基づいて、幅広い視点から検討が重ねられたものというふうに理解をしているところでございます。 その上で、答申におきましては、各制度を一体として現在の刑事司法の制度に取り入れるということが必要であるというふうな答申もあったところでございます。 そこで、法務省といたしましては、この答申に掲げられた各制度一つずつを検証するとともに、一体として取り入れるという観点から、現在、法律の提出というところに向けての作業を進めているという状況でございます。
○鈴木(貴)分科員 今も大臣は、一体としてという言葉を複数にわたってお使いになられたかと思います。 つまり、大臣がおっしゃっているのは、もともとの議論の根源である冤罪の防止にかかわる例えば取り調べの可視化であるとか証拠の開示、そしてまた同時に、捜査権限の拡大とされている司法取引など、まさに一体に、全体的に見て今の議論があるということを述べられていたのかなと思うんですね。 ということは、逆に言うと、例えば、可視化と司法取引もしくは通信傍受、これがお互いを補完している関係なんだ、その二つが双方一緒にならないとよりよいものにはならないということをおっしゃっているのかと思うんですけれども、であるならば、可視化導入によって生まれるデメリットまた弱点を司法取引がどのように補完しているのか、具体的に教えていただけますでしょうか。
○上川国務大臣 今の御質問は、それぞれの制度が相互に関連し合っているというようなことを踏まえ、そうした問題意識の中で御質問ということでございますが、今回の新しい刑事司法の手続についての一体とした取り組みというのは、それぞれがそれぞれに目的がございます。そして、刑事司法の新たな時代にふさわしいものとして、こうしたことを総合的に取り込んだ形で、よりよい手続がなされることができるようにという趣旨で、今回、その一体としてお出しするということだというふうに私は理解をしております。 そもそも、この諮問でございますけれども、これは、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するための法整備についての諮問ということで、平成二十三年の五月に、当時の江田五月法務大臣において法制審議会に発せられたというふうに承知をしておりまして、この諮問そのものにつきましては、大阪地検特捜部における一連の事態を受けて開催されました検察の在り方検討会議の提言を受けてなされたというところでございます。 こうしたさまざまな検察の新たなあり方についての提言を、さらに諮問会議でしっかりと御議論をいただきながら、今回の一体としての提言というところに至ったというふうに理解をしております。
○鈴木(貴)分科員 大臣は答弁の中で、全体として刑事司法制度について機能するか否かを勘案することが大変重要であると述べられております。その上で、改めてお伺いします。 可視化導入によって生まれるデメリット、弱点、司法取引がそこに入ることによって、どのようにその弱点が見直されるのか。具体的にこういったことだと大臣がここで答弁をできないのであれば、やはり私は、冤罪防止策である可視化、そしてまた捜査権限の拡大、これらについては二つに分けて議論するというのが本筋でないのかな、私はこのように思います。 大臣も今、御丁寧に答弁いただきました。まさに、今回の取り調べ可視化の議論、何が根源にあるのかというのは、あの村木局長事件、大阪地検の証拠改ざんであるとか、あと高圧的な取り調べ、こういったことが問題視をされた上での今の議論であります。 それを踏まえて、もう一度、大臣に改めてお伺いします。あえて、冤罪防止、これを根絶という議論のもとで出てきたこの議論、取り調べの可視化プラス司法取引もしくは通信傍受、これを拡大させたものを一緒に抱き合わせるそのメリットは何でしょうか。
○上川国務大臣 重ねて申し上げたいというふうに存じますが、今回の新たな刑事司法制度の構築ということでの諮問の趣旨を踏まえての御提言を踏まえて、証拠収集手段の適正化、多様化、そして公判審理の充実化を実現するという、こうした理念に基づいて、幅広い視点から検討を重ねた結果として、今回の制度として提案をさせていただきたいということで作業を進めているところでございます。 それぞれについてしっかりと、今申し上げた証拠収集手段の適正化、多様化及び公判審理の充実化に資するというところにこうした制度が貢献できるようにということでございますので、そのような趣旨に基づいての制度を構築し、さらに適正に運用できるようにしていくということが大事ではないかと思います。
○鈴木(貴)分科員 私は、上川先生が法務大臣になられたことを、一法務委員としても大変喜ばしく思っております。なぜかといいますと、大臣は、就任されての挨拶のときにも、犯罪被害者の人権だとか、しっかりと寄り添っていかないといけない、ふだんというか、光が当たらないところにこそ光を当てるのが政治だというようなお話をされ、私も、大きくうなずきながら、またしっかりと学んでいきたいなと意を新たにしたことを今も改めて思い返しております。 そういった意味で、大臣は今、公判の適正化のための議論であり、試案であるとおっしゃられました。大臣がおっしゃるわけです。私も、これは公判の適正化のための議論だと、大臣を信じる者として思っているところであります。 ですから、取り調べの可視化と、そしてまた、その議論のところに捜査権限の拡大が一緒に抱き込まれている、それによって生まれるメリットがある、その試案を法務省側はしっかりと出されていると思うんですね。なので、具体的にどういったメリットがあるのかということをぜひ答えていただきたいと思ったゆえに、今質問をさせていただいておりました。 冤罪の温床であった密室の中での取り調べを改善するのがまず第一だと私は思うんですけれども、そこに司法取引であるとか、あと通信傍受というのは関係がないのではないのかな、このように強く思っているわけであります。 続きまして、同様なんですけれども、いわゆる日本版の司法取引の問題点について質問をさせていただきたいと思います。 司法取引の対象となるのは、まさに可視化対象外の事件であります。密室の取り調べの中で、取引合意に向けた、まさに折衝、話し合いが行われるというリスクが残ると私は思うんです。ひいては、新たな利益誘導であるとか、捜査側との結託、協力というんでしょうか、こういったものが新たなリスクとして考えられるのではないのかな、このように思っております。 大臣自身は、私の今の指摘についてどのような見解をお持ちでしょうか。
○上川国務大臣 まず、合意制度についての、そもそもその導入についてのことでございますけれども、この合意制度のもとにおきましては、被疑者、被告人が自分の事件について有利な取り扱いを受けるため、他人の犯罪についてうその供述をするおそれがあるというような指摘がございます。そして、制度上そうした指摘に対してのしっかりとした手当てをしていくということで検討を進めているというところでございます。 この協議の開始から合意の成立に至るまで弁護人が必ず関与する仕組みにするということ。また、合意に基づく供述が他人の刑事裁判で使われるときは、合意内容が記載された書面が当該他人にも裁判所にもオープンにされ、供述の信用性が厳しく吟味される仕組みとするということ。そのため、検察官としても、十分な裏づけ証拠があって、しかも裁判でも、十分に信用される場合でない限り、合意に基づく供述を証拠として使うことはできない。こうして、合意をした者が捜査機関に対して虚偽の供述等をすると、新設の罰則によりまして懲役刑が科されることになる。こうした形で対応をしてまいりたいと思っております。 こうした意味で、本制度そのものが、さらに巻き込みというような形で危険にさらされるということにならないような適切な対処をしているというところでございます。
○鈴木(貴)分科員 今、挙げられている課題に対しての手当てをしっかりと施していきたいというような発言もありました。 改めて、この場で確認そしてまた提言をさせていただきたいと思います。 今、大臣、司法取引が行われるときは弁護人がいるんだというようなお話をされました。私は、まさにそこに改善の余地があると思っております。なぜならば、確かに今回の司法取引、検察官、そして当人というか被告、弁護士の協議、そして最終的に弁護士の合意、署名というものがあって初めて成立するというふうに私もその試案から見ております。ただ、弁護士が介在できるのは、司法取引が、既にその証言が完成してからである。つまり、結果を報告するという形で今議論がされていると思うんです。それでは、確かに大臣がおっしゃるように弁護士が介在している、しかしながら、その介在するポイントというのが遅いと私は思うんですが、大臣、この点について前向きに検討していただきたい。 私は、冒頭の段階からしっかりと、本来であれば取り調べにおいても弁護士が立ち会う、これが世界の潮流でもありますし、これまでのさまざまな強圧的な取り調べによって起こった冤罪をしっかりと見直し、そしてまた二度と冤罪を起こさないというその姿勢を見せる上でも必要だと思うんです。 この司法取引において、弁護士の介在、合意形成が行われた後に弁護士が入ってくるということについて、遅いと私は思うんですが、大臣の見解はいかがでしょうか。
○上川国務大臣 弁護人の必ずの介在というか関与でございますけれども、これは協議の開始から合意の成立に至るまでということで、プロセスにかかわるということでございます。ですから、御指摘いただいたように、合意の成立の段階というところだけにとどまるものではなくて、協議の開始からということでありますので、そういう意味で、弁護人の必ずの関与というのが大変大きな意味があるというふうに思います。
○鈴木(貴)分科員 まさに今回、取り調べの段階では、弁護人が立ち会うという議論が試案には盛り込まれていないかと思うんですけれども、そのプロセス、最初の方から弁護人が介在している、プロセス全体で見ているというお話でありましたが、取り調べに弁護人が立ち会えないというこの法制度の今の状況の中で、合意形成が行われている段階からそこに弁護人が介在するというのは、技術的に可能なものでしょうか。
○上川国務大臣 いや、申し上げたのは、合意制度につきましての、協議のスタートから弁護士が立ち会うということでございます。 今御指摘になりました取り調べへの弁護人の立ち会い制度という、そのことにつきましては、法制審議会におきまして議論がなされたということでございますが、取り調べのあり方について根本的に変質をさせるものであるということ、その機能を大幅に損なうおそれが大きいなどの問題が指摘をされたところでございまして、今回、具体的な検討対象とはされずに、答申にも盛り込まれなかったものでございます。 この制度につきましては、法制審議会で指摘されたようなさまざまな問題があるということでございまして、慎重な検討がさらに必要ではないかというふうに考えております。
○鈴木(貴)分科員 時間もないので、もう一つの、捜査権限の拡大の項目の方のいわゆる盗聴法の指摘をさせていただきたいと思います。 まず、今現在運用が行われている通信傍受法についてお伺いをいたします。 通信傍受をされた通話総数の中で、実際に犯罪に関連する通信が含まれていたのは平均で大体何%ほどでしょうか。
○上川国務大臣 ちょっと、御通告をいただいていないので、正確な数字をお答えすることが直ちにできないことにつきましては申しわけなく思いますけれども、正式にまたしっかりとお手元にお届けしたいと思います。
○鈴木(貴)分科員 承知をいたしました。また改めて、通告とともに伺わせていただきたいと思います。 通信傍受というのは、可能性で考えれば、善良な市民といいますか、誰でも、この部屋にいる私たち全員がもしかしたらその対象になる可能性、これは拭えないと思います。プライバシーの侵害にも当たるという指摘に対しての大臣の意見はいかがなものでしょうか。
○上川国務大臣 これまで通信傍受に関する取り組みについては既に動いているところでありまして、今回、対象を拡大するでありますとか、手続を合理化、効率化をするというような改正が行われるところでございます。 最も懸念されている、御指摘があった点というのは、まさにプライバシーの問題ということでございまして、現行の制度につきましても、この点については、十分なる対応ができるようにということで制度の中に組み込まれているというところでございます。 裁判官が発付する傍受令状が必要となるということ。そして、その傍受令状につきましては、その罪が犯されたと疑う十分な理由があるということ、他の捜査方法では犯人を特定することが著しく困難であることなど、厳重な要件を満たしていると裁判官が認めた場合にのみ発付されるということでございます。したがって、傍受をした通信そのものにつきましても全て記録をされる。不正な傍受が行われていないか、当事者が記録を聞いて確認する手続、あるいは裁判官が審査する手続、こういうことも設けられているところでございます。 その意味では、違法な傍受が行われることのないようにということでの裁判で判断された事例ということでございますが、十五年のうちに二百八十一件の傍受令状が発付されておりますけれども、これまでにそうした事例はございませんでした。
○鈴木(貴)分科員 ちなみに、傍受令状はこれまで一〇〇%通っている。そして、今度また改めて大臣の方からも数が手元に入り次第教えていただければと思うんですが、私の今持っているデータですと、二〇一二年までに盗聴された通話総数の中で、犯罪に関連する通信が含まれていたのはおよそ一五%。残りの八五%は犯罪とは直接関係のない通話で、つまり日常的な、日常生活の一般的な通話であった。こういった現実を踏まえての私の今の質問でありました。 今回の刑事訴訟法の一部改正、根源にある冤罪の防止、公判の適正化、これと通信傍受法、いわゆる盗聴法、どのように関係性があるのか。これを導入することによって、問題の諸悪の根源である冤罪防止にどのように効果があると大臣の方では試案を出されていらっしゃるんでしょうか。
○上川国務大臣 今回の通信傍受法の改正について、法案に盛り込むことを検討していることにつきましては、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、二つの柱ということで、一つ目は対象犯罪を拡大するということ、そして手続の合理化、効率化を図るということから成るものでございます。 対象犯罪の拡大につきましては、振り込め詐欺あるいは暴力団による殺傷事犯など、現に一般国民にとって重大な脅威となっておりまして、しかも社会問題化している犯罪の捜査において、組織的犯罪の全容を解明し得る客観的な証拠の収集を可能にするものというふうに考えております。 また同時に、手続の合理化、効率化につきましては、暗号技術等の進歩に伴いまして、今の法律のもとでは、立ち会いに伴いまして通信事業者の負担が大変重いということでありますので、それを軽減するとともに、捜査機関によりまして機動的、効率的な証拠収集を可能にするものということでございます。 そうした、令状発付も含めまして、適正にしっかりと取り組み、犯罪の捜査に資することができるようにしてまいるというのが法律の趣旨ということでございます。
○鈴木(貴)分科員 まさに今の大臣の答弁が全てである。通信傍受の拡大によって、近年、よく報道などでも、被害が大きくなっているオレオレ詐欺であるとか暴力団関係の事件、こういったものの捜査の進行に効果があるんだというようなお話でありましたが、大臣、そもそもは、オレオレ詐欺や暴力団の事件のためにこの諮問は出たのでしょうか。 先ほど冒頭大臣がみずから答弁の中でおっしゃったように、大阪地検特捜部による証拠の改ざん、こういったことを受けて、捜査を適正化しようじゃないか、冤罪は二度とやってはいけないんだ、間違った権力の使い方をしてはいけないんだという自分たちへの戒めから、反省の思いに立って、今回のこの議論になったと思うんです。 しかしながら、今、大臣みずからおっしゃったんです、通信傍受の拡大は、オレオレ詐欺だとか暴力団、組織犯罪、こういったものに効果があるんだと。 大臣、改めて、原点に戻る上でも、もう一度、冤罪防止である取り調べの可視化、証拠の開示拡大、そして捜査側の捜査権限の拡大、拡張、この問題というのは二つに切り離して議論を進めるべきだと思うのですが、大臣の見解はいかがなものでしょうか。
○上川国務大臣 冒頭の御質問に申し上げたところでございますけれども、そもそも、法制審議会におきましての諮問ということにつきましては、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するための法整備についての諮問ということでございまして、当時の江田五月法務大臣において法制審議会に発せられたものというふうに承知をしているところでございます。 この諮問の背景のところに、大阪地検特捜部における一連の事態を受けて開催されました検察の在り方検討会議の提言を受けてなされたということで、こうした一つずつの経緯を踏まえた形で今回の答申がなされた、それを受けまして今回の法律改正ということについて検討しているというところでございます。 先ほど申し上げましたとおり、証拠収集手段の適正化とあるいは多様化及び公判審理の充実化を実現するという理念に基づいて、幅広い視点から専門家の皆さん、あるいはいろいろな視点からの御議論をいただくことができるように、そうした御議論を踏まえた上での御提言ということでございまして、そのことを踏まえて、新たな時代にふさわしい刑事司法制度の構築というところに全力を傾注してまいりたいというふうに思います。
○鈴木(貴)分科員 今の大臣の御答弁を聞いて、私、この議論を引き続き続けていこうと意を強くしたところであります。 なぜならば、時代に即したと大臣はおっしゃいました。過去、この数年、五年の中で、東電のゴビンダさんの再審無罪、そしてまた、袴田さんも静岡地裁では再審開始が出ました。氷見事件もそうです。志布志事件もそうです。栃木は足利事件も再審無罪になりました。これだけの冤罪があるんです。村木局長の事件も忘れてはいけません。 これだけの冤罪が実際にもう報道もされている。まさに、時代に即した議論をするのであれば、冤罪をいかになくすか、私は、この一点にぜひとも集中をしてこの法律案も議論をしていただきたい、このように思っております。 最後に、大臣……
○小林(鷹)主査代理 既に質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
○鈴木(貴)分科員 はい、ありがとうございます。 大臣、先ほども申しましたが、犯罪被害者の皆さんに寄り添っていくという話をされております。ここで私からの御提言なんですけれども、この議論を成熟させていく上でも、冤罪被害者の皆さんに直接会ってお話を聞くという機会をぜひ持たれてはどうか、このように思います。ちなみに、前任の松島みどり大臣は、そのような機会、考えていくと、前向きな答弁を委員会でもいただいております。上川法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○小林(鷹)主査代理 上川大臣、短くお願いします。
○上川国務大臣 検討してまいりたいと思います。 ありがとうございます。
○小林(鷹)主査代理 これにて鈴木貴子君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○小林(鷹)主査代理 次に、財務省所管について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田憲次君。
○神田分科員 皆様、朝からの質疑で大変お疲れのこととは存じますけれども、よろしくお願い申し上げます。 自由民主党の神田憲次でございます。 本日は、貴重なお時間を賜りましたこと、そして同僚議員の先生に心より感謝、御礼を申し上げます。 本日は、宮下副大臣におかれましては、大変お疲れのことと存じます。お忙しい中答弁においでくださいまして、本当にありがとうございます。 さて、今さらながらなんですが、国会議員の役割とは何か、そんなふうに思いをはせるときに、目の前の問題の解決もさることながら、中長期的な視点で国の行方を示して、責任を持ってそれを構築していくこと、これが国会議員の役割かなと思っておるところでございます。 未来に責任を持つ、さらには次の世代にツケを回さないことというふうに考えましたときに、財政健全化に取り組むこと、これは政府・与党に課せられた課題であるかと存じます。 二月十二日の衆議院本会議での財政演説で麻生大臣は、「デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の三つの柱を軸に」「国と地方を合わせた基礎的財政収支を二〇二〇年度までに黒字化するという目標をしっかりと堅持し、その達成に向けた具体的な計画を本年夏までに策定する」というふうに述べられました。 また、二月十二日の経済財政諮問会議では、安倍総理、麻生大臣それぞれから、財政健全化への強い意欲が示されたところでございます。 そして、我が自由民主党におきましても、稲田政調会長のもと、二月五日に財政再建に関する特命委員会をキックオフいたしまして、党公約にもある二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化に向けた取りまとめを本年六月までに行うことにしております。特命委員会では、元幹事長の中川秀直先生から二〇〇六年度の歳出改革の話をお伺いしたんですが、社会保障費の抑制という身内にも有権者にも反対が多い政策に対して、政府・与党ががっちり一体となって推し進めなければならなかったという苦労話をそのとき伺いました。 つまり、政府・与党一体の財政健全化への強い覚悟を示すことが絶対に必要なのだと思うわけです。 先日の予算委員会では「平成二十七年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」が財務省から提出されておることとは思いますが、それによれば、経済成長率が三%という試算でも二〇二〇年度のプライマリーバランスはマイナス八兆円というふうに記されておりました。この数字を見ると、全く気の遠くなるような数字なんです。この先、我が日本は、この国はどうなっちゃうんだろうかと本当に思ってしまうわけです。 率直に申し上げて、長引く不況、そしてこの間の東日本大震災という未曽有の大災害の発生によって、財政健全化への意識が希薄になりつつあるような気もしております。これは本当に、大変に残念なことであると感じております。 一方で、世界を見ますと、幾つかの国が財政健全化に成功したというふうに言われておりまして、例えば、スウェーデン、カナダ、ニュージーランドなどがよく事例として挙げられますが、人口とか経済規模とか、その傾向を考えますと、我が国が一番参考になるのは、ドイツ、そしてクリントン時代のアメリカかなと思っておるわけでございます。 そこで、お配りしました資料一でございます。日本経済新聞の報道をごらんいただきますと、ドイツにおいては、昨年財政均衡を実現したとなっております。ドイツの財政均衡で言う数値は、我が国で言うところのPB、プライマリーバランスとはちょっと違う数字であるわけですが、赤字国債を発行しなくてもいいという現実は本当にうらやましい話でございます。 では、ドイツがどのようにして財政健全化を達成したのかということで、財政制度等審議会財政制度分科会の昨年の海外視察の結果を取りまとめた資料を資料二としてお配りしております。この資料二を見ますと、おもしろいことに、当初目標は達成できておりませんけれども、好調な経済活動の結果、予想外に財政再建を果たしたと読むことができるのだと思います。 多少乱暴な言い方かもしれませんが、クリントン時代のアメリカでも、IT革命の結果、経済生産性が飛躍的に向上して、好景気の結果としての税収増が、双子の赤字と呼ばれた巨大な財政赤字を解消させたと言われておるわけです。 そこで、宮下副大臣にお伺いしたいのですが、プライマリーバランス改善を進めていくためには、まずは経済の好循環を図っていくことが必要であると考えておるわけですが、財務省としての御意見を教えていただければと存じます。
○宮下副大臣 先生御指摘のように、今後の財政健全化を図っていく一番重要なことは、経済の好循環を図っていくことだというふうに認識しております。 先生おっしゃるように、生産性を向上させて、そして税収増を図っていくこと、過去二年間見ましても、そのことが財政には大変大きくきいている。そして、二十七年度予算で、赤字、債務の対GDP比の比率半減という目標があったんですが、これを達成できたのもそうした経済の好循環があったればこそということで、やはりその大切さは非常に感じているところでございます。そのためにもさまざまな政策を総動員して全力で頑張る、こういうことであります。 一方で、先生も御指摘のように、三つの柱ということを麻生大臣からもたびたび発言させていただいておりますけれども、経済再生に加えて、歳出改革、歳入改革、これもやっていかないとなかなか難しい。何となれば、本当に経済成長、好循環がうまくいっても、これは内閣府の経済モデルでやってみても、名目三%、実質二%というのはかなり高い水準でありますが、それでも内閣府の試算では九・四兆円足りぬ、赤字、こういうことでありますので、抜本的な歳出構造の見直し、これは国民の皆様に大きな御負担もおかけするのでしっかり理解を得た上でやること、歳入についても必要に応じて改革をしていく、これを同時にやっていかないと恐らく達成できない。 本当に厳しい目標だと思いますが、まず、その中でも特に大事なのは経済を元気にすること、地方創生も含めて、経済をさらに、成長戦略を実現していくということだと思っております。
○神田分科員 宮下副大臣、ありがとうございました。私自身も、与党の一員として、しっかり政府の方針を支えてまいりたいと存じております。 さて、今副大臣みずから御答弁いただきましたが、景気の好循環こそが財政健全化の最大の切り札であろうということを私も感じておるところですが、私の地元である愛知県は、東京、大阪、名古屋と言われる大都市圏、なおかつ、製造業の部分においてはアベノミクスの恩恵を一番受けている地域であろうかと思います。しかしながら、その割には自民党が選挙に弱くて困っておるわけですが。 今、トヨタや三菱重工業、そして富士重工といった製造業の大企業及び関連企業が集積しておりまして、製造業のGDPは愛知県単体で世界の十四位に位置すると記憶しております。さらには、貿易の玄関口、名古屋港は、十七年連続、貿易黒字一位の座を維持しております。 景気の好循環を生み出すために最も大切なことは企業や雇用が元気であることでありますから、こうした製造業や輸出産業を支えるインフラの整備も非常に重要になってまいります。 愛知県は、暮らしをするという観点で、イニシャルコストが主要三都市の中で比較的低うございますので、暮らしやすいところであるということは言えるかと思いますが、一つ欠点がございまして、それはやはり、先ほど申し上げたインフラ等々、物流の渋滞ということ、交通渋滞ということになるかと思います。 これには、今ほぼ環状ができつつある名古屋高速とNEXCO中日本、この二つの高速がリンクする関係もあるのですが、まず、名古屋高速についての不幸な歴史がかかわっておるわけでございます。 過去の革新市政下で建設凍結が長期間続いたものですから、一度は橋脚をつくって、名古屋高速は建設がストップしております。その結果、完成までの調達コストが著しく高騰し、高速料金も高目の設定となって、結局開通がおくれておるわけでございます。 そこで、お配りした資料三をごらんいただきますと一目瞭然なのですが、今、名古屋の都市高速については一通りの開通を見ております。これは、今、資料三の高速の六号線までですか、この状態でございます。 しかしながら、資料三の左下、青く塗られていない部分が、今建設中の三〇二号線名古屋西ジャンクションから伊勢湾岸道路に向けての残り約五キロ余りの環状線でございます。これは、名古屋の物流の大動脈である第二環状線なんですが、本当にあとわずかというところで、コンクリートから人へといったときにとめられた、計画が停止した路線でございます。 本日、国土交通省にお願いいたしまして、うえの政務官に足を運んでいただいております。所管外の第三分科会に出席いただいておりまして、まことに恐縮でございますけれども、うえの政務官にお尋ねしたく存じます。 この名古屋第二環状自動車道、通称、名二環と申すんですが、千音寺から先ほど申し上げた飛島ジャンクションまでの未完成区間ですが、現在の状況と今後の整備の見通しを御教授いただけたらと存じます。
○うえの大臣政務官 名古屋環状二号線の名古屋西から飛島間、これは委員の資料でよくわかるとおりでございますが、名古屋市街部の外縁に位置する環状道路の一部を形成しておりまして、名古屋都市圏の渋滞の緩和、また、委員から御指摘あったように、中京圏の経済活動の主要なインフラとして、その接続が大変期待をされるわけでございます。また、今後想定されます南海トラフ地震等においても、避難、救援、物資輸送ルートとして大変重要な道路であるというふうに認識をしています。 この資料にもあるとおりでございますが、環状二号線につきましては、高架部とそれから平面部、これによって構成をされております。 高架部につきましては、平成二十四年度から工事に着手をいたしまして、現在、全区間で橋梁下部工の工事を推進しているところであります。また、平面部であります、これは国道三〇二でございますが、高架部の整備にあわせて、四車線化を推進しているところであります。 現在、このように工事は全区間にわたって着々と進められておりまして、引き続き、皆様の御協力を得ながら、名古屋環状二号線の一日も早い開通に向けて私ども精力的に取り組んでまいりたいというふうに思いますし、神田委員におかれましては、地元代議士として、また一層の御尽力をお願いしたいというふうに思っております。
○神田分科員 うえの政務官、御答弁ありがとうございます。 本当に、今、名古屋の経済界で昇龍道という、安倍政権でも課題となっておりますビジット・ジャパン、二千万人を目指す、そういう観光立国ジャパンという観点からも、非常に重要な三〇二号線、名二環だと思っております。私みずからも日々地元の意見を集約する等々頑張ってまいりますので、どうぞお力をおかしいただければと存じます。 さらには、経済活動において物流の重要性というのは言うまでもないことですが、道路だけでなく、この地図で申します、名古屋西ジャンクションから北東に抜けます清洲ジャンクションのところまでの区間なんですが、鉄道やバスといった公共機関との連携も必要と考えておるわけです。 愛知には、名古屋には、名鉄と近鉄という二つの私鉄が走っておるわけでございます。ごらんいただくとわかるんですが、名古屋を中心に、名鉄本線、名鉄犬山線、それから名鉄津島線、名鉄瀬戸線と放射状に延びておりまして、それが先ほどの三〇二号線と交差しておるような状況でございます。この交差箇所がいわゆる渋滞の名所でありまして、今現在、物流のボトルネックになっているというのが現状でございます。 この三〇二、名二環との交差地点のうち、名鉄瀬戸線の小幡駅から大森・金城学院前間一・九キロの連続立体交差工事は進んでおりますし、名鉄犬山線との交差についても高架化事業の調査が着手されております。ですが、名鉄津島線との交差に関しては、まだ今のところ動きがございません。一方で、名鉄名古屋本線の方は、調査費もつきまして、いよいよ交差の実現に向けて動き出したところでございます。 そして、名鉄津島線との交差ということでは、今、踏切の状態で、三〇二号線が、道幅は確保されておるんですが、結果として、踏切を多くのトラックが横切っていくものですから、幅員を、一車線化にして、渋滞が発生しておるというような状況でございます。この渋滞箇所と申しますのが東から西に移動するというだけではなくて、当然、今の現状の踏切の状態ですと、交通事故が多発しておりますし、二〇〇四年だったと存じますが、踏切内で立ち往生した自動車が大破するというような鉄道との重大事故も起きております。 この名古屋環状二号線と名鉄津島線との交差地点ですが、事業整備の状況と今後の見通しについて、どのように取り組まれる予定かをお教えいただきたいと存じます。
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。 名古屋環状二号線と名鉄津島線の交差部の立体化についてでございます。 先生御指摘の名古屋環状二号線と名鉄津島線は踏切による平面交差となっておりまして、渋滞が激しいことから、主要な渋滞箇所に位置づけられているところでございます。この箇所の抜本的な渋滞対策といたしましては、鉄道立体化による踏切の除却が必要であると私どもも認識をいたしておるところでございます。 今後、国土交通省、関係自治体及び鉄道事業者との間で調整を図り、検討を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○神田分科員 御答弁ありがとうございます。 今御答弁がありましたように、鉄道と道路の交差であるわけですから、当然、鉄道事業者との調整というのが必要でありますし、難しいことが多いということは私もよく理解しております。 しかしながら、この区間は、長きにわたって三〇二号線の方は、幅員を減少すること、つまり一車線化することにより、名鉄津島線、それからその東面であるところの名鉄本線、今交通の渋滞が二カ所で分散されておるわけですが、名鉄本線側は事業化が昨年度から進んでおるという状況。そうしますと、取り残されるこの津島線側に交通が集中して、そして、先ほど来申し上げている平面交差という交通の難所、これがさらに、地域の人にもそれから物流にも、多くの迷惑というか経済的ロスを生じせしめてしまうということがございますので、善処方をよろしくお願いしたいと存じます。 景気の好循環をするためにもう一つ必要なこととして、総理みずからも地方創生と申しましたとおり、地方が元気であることが挙げられるかと思います。 労働人口の減少とか高齢化がどうしても避けられない中で、手をこまねいているという状況では、国内需要が低迷するということになるかと存じます。地域の魅力を再発見して地域を活性化していくこと、これに大きな効果があるのが観光であるかと思われます。 観光という観点から、二〇二〇年の東京オリンピックまでに訪日外国人二千万人の目標を立てておりますが、外国人の観光客の増大というのは、国際観光収支の改善をもたらして、なおかつ新規需要の創出、拡大という経済効果以外にも、国際観光交流を通じた相互理解や地域の魅力の発見にもつながると思います。 先日の春節で訪日された中国や台湾の方々が使った、我が日本で消費された一人当たり約二十六万円という観光によってもたらされた収入、それから昨年の観光庁の統計では十五万であったというような報道等、非常に強い消費意欲を感じておるところでございます。 今は専ら東京や京都、富士山といった有名な観光地を訪問しておられるわけですが、今後は、各地の特徴を生かした観光誘致を通じて、地方創生につながる成果を得られるのではないかと期待をしておるわけです。 そこで、最後にもう一問だけ。大都市とか名所という以外にも、多くの町に残される身近な史跡というものの活用を通じて、地域に活力をもたらす施策ができましたらと思います。 そして、今現在、私の地元に貝殻山貝塚というのがございます。これは国庫補助金でもって発掘がスタートしておるわけです。そして、多くの歴史的な出土品が出てきております。現在、その出土品の多くは、十分な管理が予算づけの上でもできておりませんで、一時保管というような状況でなされていて、公開を期待する声が高まっております。 そこで、例えば、今後、発掘調査を進める過程で重要な遺跡が周辺から発掘された場合に、文化庁として史跡の追加指定をすべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘の史跡貝殻山貝塚でございますけれども、これは、弥生時代前期から古墳時代前期までに営まれた東海地方屈指の集落遺跡である朝日遺跡の一角を占めているものでございます。 そして、発掘調査でございますけれども、朝日遺跡を含むかなり広大な地域につきまして、昭和四十五年から平成十九年にかけまして、高速道路ジャンクションの建設などに先立つ大規模な調査が行われ、先生御指摘のように、出土した資料二千二十八点が国指定の重要文化財になっているところでございます。 この調査主体は愛知県でございますけれども、現在は、出土品の保存修理事業に加え、資料館の拡充整備あるいはガイドブックの作成といった遺跡の魅力を発信する事業に重点を置いて推進しておられますけれども、御指摘の史跡指定地周辺部の発掘調査につきましては手が回っていない、県内の他の開発事業に伴う調査を優先せざるを得ないという状況だと伺っております。 文化庁といたしましては、愛知県と密接に連携を図りながら、県が発掘調査を行う場合には国庫補助金の交付などで必要な支援を行い、その際、重要な遺構が出土すれば、史跡の追加指定を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○神田分科員 御答弁ありがとうございました。 大都市や名所というところがついつい注目されがちなわけですけれども、多くの町に残されるそういった身近な史跡の活用を通して地域に活力をもたらすという施策が打てるかと存じます。文化庁の御活躍に期待をいたしております。 本日は、私の質問に御対応いただきまして、大変ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○小林(鷹)主査代理 これにて神田憲次君の質疑は終了いたしました。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○金田主査 次に、村井英樹君。
○村井分科員 自由民主党の村井英樹です。 宮下副大臣、そしてまた財務省の関係者の皆様、連日の予算審議、お疲れさまでございます。きょうも、八つの分科会と、財務金融委員会も同時に開催されているということで、もう既に時間も六時を回っておりますが、こんなようなところでお時間を賜りまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。 きょうのテーマなんですけれども、ことしの夏ごろに取りまとめられると言われております財政健全化計画、とりわけ歳出面の、その中でも社会保障の効率化について幾つか質問をさせていただきたいと考えております。 まず初めに、資料の方もお配りをしておりますが、今回、二月に内閣府の方で経済財政の中長期試算というものを公表いたしました。その中身でありますけれども、二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化、経済の健全化目標でありますけれども、この黒字化を達成するためには、経済再生のシナリオで九・四兆円、そしてまたベースラインのシナリオで十六・四兆円の財政健全化努力が必要であるといったようなことが示されたわけであります。 これについてはさまざまな議論があって、この経済再生シナリオの経済前提が、全要素生産性、TFPが二・二%といったような形になっておりまして、これがバブル期並みといったようなことで、そもそもこの経済再生シナリオの実現性というのはどれぐらいあるのかといったような指摘がなされております。 また、その一方で、PBの黒字化というフローに着目した目標を少し見直して、債務残高対GDP比のようなもの、ストックを重視した目標に切りかえるべきだ、変更すべきだといったような主張も一部の識者の方から見られるわけであります。 私がまずこの場で最初に強調させていただきたい点は、プライマリーバランスの二〇二〇年度の黒字化、これは全ての議論の出発点、大前提の中の大前提でありまして、揺らぐことがないようにお願いをしたいということであります。 振り返ってみますと、目標はそもそも二〇一〇年に策定されたものだと思いますけれども、その際も、国際社会の中、ほかの先進国は、財政健全化の目標を、プライマリーバランスではなくて、いわゆる財政収支ですね、利払い費も含めた中でやっている。ただ、日本だけ特段に財政の状況が悪いので、プライマリーバランスといったような概念でやらせてもらっているといったような中で、その中で、我々が努力を重ねて、皆様方が努力をしてくださった結果、二〇一五年度には何とか半減ができそうだといったようなところまでやってきたということであろうかと思います。 今、こういう道半ばの状態、そしてまた、世界が、また市場関係者が、これから日本が二〇二〇年の黒字化に向けてどのような取り組みを行っていくのか、どれぐらいやる気があるのかということを注目している中、目標を変える、さらには目標を緩めるといったようなことは、かなりリスクのあるメッセージを市場に対して発することになると思いますので、ここは確実に堅持をしていただきたいということをまず申し上げた上で、数字等さまざま、九・四だとか十六・四という数字が出ておりますけれども、私が考えるに、この中長期試算が言っていることは、少なくとも二〇二〇年度に九・四兆円の財政健全化の努力はしなくちゃいけないよということが私はこの中長期試算のメッセージだと考えておりますが、宮下副大臣の御見解と、また、夏に向けての、財政健全化計画の策定に向けての宮下副大臣の御決意を伺えればと思います。
○宮下副大臣 村井先生には、非常に大局的な見地から、また、事実を解説いただきまして、まさにそのとおりということであります。 ことしは二〇二〇年までの道筋を夏までに立てなければいけないんですけれども、先生のこの資料にもありますように、本当に全力でみんなで頑張って、生産性も上げて、それでも九・四兆足りない、こういう厳しい数字が内閣府の試算でも示されているところでありまして、そうしますと、経済再生、デフレ脱却、このために地方創生も含めて全力でやるというのが一丁目一番地でありますけれども、同時に、歳出改革、歳入改革もしっかりやってこの九・四兆をクリアしていかなきゃいけないというふうに考えております。 事実として、現在、社会保障自体がなかなか収支バランスがちゃんととれていない、このままでは給付と負担の両面で将来世代に負担を先送りしてしまう、こういうことですので、この社会保障について、歳出歳入両面にわたって持続可能な社会保障制度を構築する、まさに抜本的なことをしっかり検討しなきゃいけないということがまず第一。 社会保障以外につきましても、今後の人口減少社会を見据えて、行政サービスの見直し、また歳出の効率化、こういった徹底的な見直しを行う必要があるというふうに思っております。 大変高い目標ですけれども、逆に言えば、歳出見通しなんかも、過去トレンド、ずっと努力せずに伸ばすというようなモデルにもなっていますので、どこで努力すればこのカーブを変えられるのか、そういうことを一つ一つきちっと検証する中で、何とか実現できる絵を、お知恵もおかりしながら描いていきたいと思っております。
○村井分科員 宮下副大臣から、抜本的な改革に向けての強い覚悟を伺うことができました。 宮下副大臣は、経産部会長のときから大変お世話になって、大変お詳しいので、話をしていくのが何か恥ずかしい感じもあるんですけれども、しばらくおつき合いをいただいて、まず、済みません、資料の一と二で、ちょっと社会保障の効率化の必要性ということを扱いたいと思います。 資料一は、まず、先ほどから話をさせていただいている中長期試算について、二〇一五年度と二〇二〇年度の状況を数字化したものでありますけれども、これを見ていただくとわかるとおり、PB、基礎的財政収支の対象経費が、歳出で二〇一五年度七十二・九が二〇二〇年度で八十二・六、これは国だけでありますけれども、伸びる。その十兆近く伸びる中の六兆近くが社会保障関係費ということであります。 つまり、地方の方の話もあるので若干一概に言えないところもありますけれども、六割近くがやはり社会保障の伸びに依存をしてくる。二〇一五年度から二〇二〇年度で伸びる部分の六割は社会保障だということでありますので、そういう意味でも、社会保障の伸びの抑制が不可欠であるということをまずこの資料で申し上げたかったのと、済みません、一ページおめくりをいただいて、資料二であります。 これももう副大臣はいろいろなところでごらんになっているかもしれませんが、これは、OECD諸国と比較して対GDP比の歳出を見たものでありますけれども、左から二番目、我が国の社会保障支出を対GDP比で見ると、OECD諸国の中で大体真ん中ぐらいにあるわけであります。 その一方で、社会保障以外の歳出というのは、実は対GDP比で見るとOECD諸国最低だということなんですね。これは、社会保障以外の部分については、この数十年の歳出削減の努力が実ってというか形となって、小さい政府というか、大分スリムな予算の形になってきているということだろうと思います。 ただ、これを見ていただくとわかるとおりで、やはり、これからどうしても歳出を抑制していかなければならない、そのターゲットをどこにするんだということになると、社会保障の分野を避けて通ることはできないんだろうということであります。つまり、社会保障の効率化なくして二〇二〇年のPB黒字化なしということでありますので、そこの部分をしっかりやっていかなければならないと思います。 その一方で、やはりこの社会保障の分野というのは、もう御案内のとおり、国民生活に直結をする分野でもありますし、強い業界団体の皆さんもいらっしゃいます。さまざま利害が錯綜するところでありますので、政治的には難しい分野。でも、だからこそ政治家が強いリーダーシップを持って行っていかなければならない分野だとも思っておりますが、社会保障の効率化に向けての政治家としての宮下副大臣の御決意を伺えればと思います。
○宮下副大臣 先生御指摘のように、日本の社会保障制度は、社会保険方式をとってはいるんですけれども、御指摘のように、給付はそこそこ、中程度、しかし、負担が少ないということもあって租税収入も低い、結局、中福祉・低負担のような状態になっているわけでありまして、その分、公費負担が相当出ている。約四割依存しておりますし、その公費負担の財源も税で賄えていればいいわけですが、結局、そこも賄えないので、特例公債の発行をしている。この公債依存度が、おかげさまで二十七年度は減りましたけれども、それでもまだ三八%ある、こういうことでありまして、こうした状況は持続可能とは言えないということであります。 これから団塊の世代の皆さんがどんどん高齢化していきます。二〇二五年には全員の方が七十五歳以上、後期高齢者になるということもあり、そうなってしまう前に、この夏の、二〇二〇年に向けたプランを考えるに当たって、二〇二〇年までにはぜひ受益と負担の均衡がとれた社会保障制度を構築したい、こういう思いでございます。 これまで安倍内閣の予算編成でも、各年度予算でできることはやろうということで、平成二十五年度予算では生活保護の見直し、二十六年度予算では診療報酬改定、また、御審議いただいている平成二十七年度予算においては介護報酬改定ということで、それぞれ千数百億、財源を何とか効率化しようということで努力も続けてまいりましたけれども、ことし夏までに作成する財政健全化計画におきましては、これまでのこうした取り組みをさらに強化して、そして、先生御指摘のような中長期的な視点に立って社会保障の改革を一層進めて、歳出の重点化、効率化にもしっかり取り組んでいかないといけないという思いでございます。
○村井分科員 ありがとうございます。 宮下副大臣から、生活保護、診療報酬、介護報酬改定等、これまでの安倍政権の取り組みも含めて、さらにより一層社会保障の効率化を進めていただけるといったようなお話をいただいたかと思います。 そして、社会保障の効率化と一言で言っても、やはり個別にも見ていかなければならない。特に歳出の問題は、ともすると総論賛成、各論反対といったことになるわけでございまして、そういう意味で、ちょっと資料三をごらんいただきたいと思います。 これは、私が個人的に勝手に作成したものでありますけれども、二〇二〇年のPB黒字化に向けて、やはり社会保障の効率化をやっていかなければならない、そしてまた、それを、具体的にメニューをつくって一つ一つ実施していかなければならないという意味で、年金、医療、介護、そしてまた生活保護という形でまとめさせていただきました。実は、きょうは、この中の太字になっている部分、「高所得者の年金の減額」また「年金課税の在り方」と書かれておりますけれども、この二点についてさらに深堀りをさせていただきたいと思っております。 まず、その前に、宮下副大臣にお伺いをしたいのは、年金の部分につきましては、一昨年の十二月に社会保障制度改革プログラム法というものが成立をいたしましたけれども、その中には、「高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し」と、しっかりとこれが書かれているわけでありますが、この規定の趣旨、目的、また狙いについて副大臣から御答弁をいただければと思います。
○宮下副大臣 社会保障制度改革プログラム法第六条二項四号に先生御指摘の文言がございます。 これが書かれた背景といいますか問題意識としては、やはり現在、年金を受給しながら高額な給与を得ているケースがあります。そして、一口に年金受給者と言っても、その経済状況はそれぞれいろいろな状況がある。こういう中で、高所得者の年金受給者の方まで一律に現役世代と比べて優遇をしているということも客観的事実でありまして、高齢者間だけでなくて、現役世代と高齢者の皆様との間でもやはり不公平が生じているのではないか、こういう問題意識があったというふうに思います。 我々も、そういった問題意識に立って、世代間、そして世代内の公平性を確保する観点から検討していかなければいけないというふうに考えております。
○村井分科員 宮下副大臣から、世代内、世代間の公平をしっかりと期していくといったようなお話がありました。まさにおっしゃるとおりだと思っております。 時間が思ったよりも早く進んでおりますので、早速本題に入りたいと思いますが、資料四ですね。済みません、一ページおめくりをいただけますでしょうか。 これは、最初に高所得者の年金給付のあり方を伺っていくということでありますけれども、その中でもクローバックと言われる制度について一つ御提案をしたいということであります。 実は、この資料四、これはどういう資料かと申し上げると、前政権の時代なんですけれども、税と社会保障の一体改革の議論をされていたときに、そもそもの政府原案に含まれていた、高所得者の年金額の調整といったようなことをまとめている資料であります。 具体的にどういうことかと申し上げると、これは後に、与野党間の協議また国会審議等でこの規定は削除されるわけでありますが、どういった規定だったかというと、年金受給者の中で、所得が五百五十万円を超える方から、年収でいうと八百五十万円以上でありますけれども、年金受給額を減額していって、年収が一千三百万円を超える方については、国民年金、基礎年金の半額、国庫負担分については支給を停止するといったような仕組みが税と社会保障の一体改革の政府原案には含まれていて、それがなくなったといったような話であります。 この規定、もう一度検討の余地があるのではないかなというのが私の考えでありまして、と申しますのは、この年金制度、いろいろな趣旨があろうかと思いますが、その一つの趣旨は、やはり高齢者の生活の安定、現役を引退してから所得がなくなってしまうといったようなことを防ぐという意味でこの仕組みがつくられている。 そして、特に、国庫負担がなされている、ただの保険方式ではなくて税金が投入をされているということの趣旨は、いろいろなことが物の本には書かれているんですが、所得が低い方の生活を安定させてあげる、それがやはり税金が投入されている趣旨なんだろうと私は理解しております。 そうでなければ、保険方式で自分が積み立てた分だけ返ってくるといったような仕組みでもいいんでしょうけれども、やはり国がしっかり税金を入れているということは、所得の安定をそれなりに面倒見るという趣旨なんだろうということからいくと、逆に、高所得者についてはそこの税金負担分についてはお支払いをしないといったようなこともあっていいのではないか。 そもそも、年収が一千三百万円以上の高齢者というのは相当な高所得者でありますので、やはりそこの部分は何らか手当てがあっていいのではないかなと思いますし、また、一ページおめくりをいただくと、カナダの年金制度というのも入れさせていただきましたけれども、カナダでも同様で、税金で賄われている、基礎年金と言っていいんでしょうか、OASと言われる年金の部分については高所得者のクローバックの仕組みがございます。 そういう意味で、そもそもの制度趣旨からいっても、また諸外国の例などを見ても、この高所得者への年金の減額、もう一度検討する余地がある。また、さらに言うと、この資料四の一番下に書いてありますけれども、支給停止が、引き続き検討が加えられるようにといったような規定もまだ附則には残っているわけであります。 そういう意味で、再度、この点について、議論の、検討の俎上にのせていただけるようにお願いをしたいと思いますが、この点は厚労省にということでありましたので、済みません、厚労省の方からお答えいただければと思います。
○樽見政府参考人 高所得者の年金額を調整することについての考え方ということになりますけれども、御指摘のとおり、社会保障・税一体改革の過程の三党協議で御議論があったわけでございます。そこでは、社会保険方式で約束した給付を支払わないということ、これが社会保険の原則に反しないか、あるいは、保険料納付インセンティブに悪影響を与えるのではないかといった懸念が示されたという経緯がございます。 このような経緯も踏まえまして、平成二十五年の社会保障制度改革国民会議の報告では、高齢期の高所得者に対する方策としては、税制や他の社会保障制度全体を通じて適正な負担を求めることで対応することが必要というふうに提言されているところでございまして、こうしたことを踏まえて考えるべき問題というふうに認識してございます。
○村井分科員 ありがとうございます。 これは、副大臣、率直に言って、結構政局絡みで難しいところもあるんだと思うんですね、過去の経緯からいくと。ただ、必要なものは必要であるという前提に立って、ぜひもう一度検討していただきたい、このように考えております。 そして、もう一つのテーマであります公的年金等控除の問題に移りたいと思いますが、資料六をごらんいただけますでしょうか。 もう既に皆さん御案内かと思いますが、我が国の年金制度においては、拠出段階と給付段階の二段階で所得控除が認められるという仕組みになっております。 そもそも、拠出時、現役時代働いていて保険料を納めるときは、納めた保険料全額が社会保険料控除という形で認められます。一方で、給付時については、年金の収入額に応じた一定額の控除が行われるといったような形になっておりますが、済みません、一ページおめくりをいただきまして資料七を見ていただきますと、主要国と比較して控除がかなり広範に認められているということがわかるわけであります。 と申しますのは、アメリカとイギリスについては拠出段階では控除はありませんし、また、ドイツとフランスは両方の段階で控除が認められておりますが、ドイツについては、拠出段階の控除は七六%までしか認められませんし、額でいっても、二百八万円というアッパーがかかっていたりだとか、また給付段階も三四%までしか認められないといったような形になっております。そしてまたフランスも、拠出段階は全額認められますが、給付段階は一〇%の控除でアッパーが三十八万円ということでありまして、若干テクニカルなんですけれども、この資料から言えることは、諸外国と比較したときに、我が国の公的年金等控除というのは大分広範に認められているということであります。 そして、済みません、もう一ページおめくりいただけますでしょうか。今度は資料八であります。これは、給与所得控除と公的年金等控除を比較した資料であります。 よく世代間格差の議論というのがあって、この議論はすごく難しい議論なんですけれども、それを一つ顕著にあらわしているのがこの表かなと私は思っているんです。これはどういうことかというと、給与所得控除の額より公的年金等控除の額が多い部分というのが結構あります。黒い線が赤い線より上に行っているところでありますけれども、これは、逆ならわかるんですよね。給与所得控除が公的年金等控除より大きいというならわかるんです。 給与所得控除は、そもそもその経費性、サラリーマンであれば、仕事をするときにスーツが必要、文房具が必要、そういったような所得を得るために経費がかかるから、そういったような控除を認めてあげましょうということで、給与所得控除が認められています。 その一方で、公的年金等控除は、基本的に経費性から認められているものではないんですね。年金を得るために何か経費がかかるわけではありませんので、そういったものではない。調べてみると、昭和六十二年にこの仕組みができ上がっているんですけれども、どういったような理由だったかというと、年金受給者の担税力が低いためといったようなことが書かれているんですね。担税力が低いと言われるんですが、本当にそうかなということなのであります。 これはどういうことかというと、ちょっとこのグラフの中に数字を書き込むのを忘れてしまったんですけれども、例えば、二百五十万円の収入の方でそれぞれ控除額がどうなるかというと、公的年金等控除で百二十万、給与所得控除で九十三万円の控除が認められることになるんですね。これは、結果的に手元に残る額が大分変わってくることになると思うんです。 何が申し上げたいかというと、基本的に担税力というのは所得と資産で決まると思いますけれども、所得が同じ人、年金収入と給与収入が同じ人を比較して、そして経費性があるものとないものということで区分けされているにもかかわらず、公的年金等控除の方が額がでかい。さらに言うと、最近のトレンドとしては、高齢世帯の方が、若者世帯、若者よりも保有資産の額も大きいといったような調査もあるわけであります。だから、フローとストックどちらで見ても、担税力が低いからといったような理由で公的年金等控除を認め続けるというのは、ちょっと無理があるのではないかなといったふうに考えております。 ちょっと時間もなくなってきているので最後に御質問をしたいと思いますが、このように、公的年金等控除の問題、諸外国と比べても大分広範なんじゃないかといったような話もありますし、そもそも認められていた制度趣旨が今では認められなくなってきているんじゃないか、特に若者で二百五十万円ぐらいの収入の人というのは多いですから、そういう世代間の格差の問題等も踏まえてこの制度を是正、縮小すべきだと私は考えますが、副大臣の御見解をいただければと思います。
○宮下副大臣 先生から諸外国との比較も解説をいただきまして、ありがとうございました。 御指摘の点につきましては、過去の政府税制調査会等の議論におきましても、年金受給者に対して、その経済力にかかわらず一律に優遇する措置だということ、また、手厚い控除の適用によって、拠出段階から給付段階まで実質的に非課税に近い状態になっている、こういったことは指摘をされております。まさに先生御指摘のところです。これからの少子高齢社会において、年齢にかかわらず能力に応じて公平に負担を分かち合うという観点がやはり必要なのではないかと思います。 この年金課税の見直しにつきましては、税制抜本改革法、また、先ほど御指摘いただいた社会保障制度改革プログラム法、こうした趣旨に沿って、先ほども言いましたが、世代間そして世代内の公平性をきちんと確保する観点から、今後の年金制度改革の方向性も踏まえつつ、検討を行っていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
○村井分科員 宮下副大臣から終始一貫して御丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 最後に一言だけ申し上げたいと思いますが、やはり、この社会保障の分野、特に効率化ということになると、政治的にはかなり難しい、タブーとも思われるような分野でありますけれども、果実の分配の時代は終わって負担の分配の時代になって、その一方で社会保障費は毎年一兆円ずつ膨らんでいくという時代にあって、やはり我々政治家がこの問題から逃げることはできないと思いますし、そしてまた、さらに言えば、地元に帰って、社会保障の効率化の必要性、これをやはり丁寧に有権者に説明していく必要があるんだろうと思います。 きょう、高所得者の年金の減額の話、そしてまた公的年金等控除の話をさせていただきましたけれども、どちらも、そもそもの制度の趣旨に立ち返ったときに、今でもそれを存置しておくことが本当に適切なのかどうかということを考えると、やはりそうではないんだろうということを私思いますし、それを地元に帰ってしっかりと説明していけばわかっていただけるテーマだと私は信じておりますので、ぜひ、宮下副大臣も先頭に立って、財政健全化、社会保障の効率化、お願いを申し上げて、質問にかえたいと思います。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて村井英樹君の質疑は終了いたしました。 次に、藤丸敏君。
○藤丸分科員 早朝からお疲れさまでございます。自民党の藤丸でございます。 きょうは、経済再生、この道しかないという、アベノミクス、昨年の暮れに選挙で戦いました、このことについて、五問、質問をさせていただきます。 まず、宮下副大臣は経済学部出身でございますので、経済を中心に聞かせていただきたいと思っております。 まず一問目は、戦後の日本の経済を振り返ってということで、これは副大臣にお聞きしたいと思っております。 二問目は、バブルの状況と崩壊の分析、よく言われていることでありますけれども、一応、再認識ということで、これを政府、財務省にお聞きしたいと思っております。 三問目でございますが、デフレの状況下において一体何が起こっていたのか、そして、その対応はどうであったのかということを、これは政府と日銀にお聞きしたいと思っております。 四問目は、アベノミクスの第一の矢、金融政策を中心に、その中身について、これは日銀が中心にやられておりますので、日銀の方からお願いいたします。 それから五問目。これから経済再生の成功をなし遂げなければなりません。そして、継続をするためにはどうすべきかということについてお聞きをさせていただきます。これは政府と日銀、両方にお答え願いたいと思っております。 この資料を一枚めくっていただきますと、まず第一問目でありますが、戦後七十年でありまして、これは内閣府の経済成長の資料でございますが、最初の十年はこのグラフには載っておりません。一九四五年から五五年まではありませんが、これは日本が焼け野原から復興するまでの期間でございます。その次の六十年間が載っておりますので、大まかに言えば、二十年、二十年、二十年と、三つに分けられると思っております。 最初の二十年、一九五六年から。これは、高度経済成長ということで、本格的に昭和三十年から日本が復興していきますが、集団就職に始まって、エコノミックアニマルとも言われておりましたり、東京オリンピックがあったり、万博があったり、GNP世界第二位になったのもこの時期後半だったと思います。日本が大変頑張った時代のこの二十年で、大まかに言って、一〇%成長の時代と言ってもいいと思います。ここでオイルショックでがたっと落ちてくるんです。 そして、次の二十年に入ります。これは安定成長期と言われておりまして、この時期に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が出ておりました。五%成長の時代であります。 そして、最後の二十年が、バブルがはじけまして、低成長時代でございます。 この七十年を振り返りまして、宮下副大臣の御感想があれば、お聞かせ願いたいと思います。
○宮下副大臣 戦後全体を俯瞰するという大きな議論をしていただいて、敬意を表したいと思います。戦後の日本経済、それぞれ大きな転換が幾つもあったなということを、改めて先生のこの資料も見ながら感じたところでございます。 この区切りについて、先生おっしゃるように、十年、二十年、そして二十年の安定成長で最近の二十年という、大まかに見てそういうことなんだろうと思いますが、一応、政府としては、経済白書で、過去に、区切りの分析といいますか総括をした文書がありますので、それをせっかくですから御紹介します。 まず、最初の戦後復興期、これは日本経済が、戦後、朝鮮特需を契機に回復、浮上して、一九五六年の経済白書で、もはや戦後ではないと宣言した時代。まさに戦後の混乱期からの復興を十年でほぼなし遂げた、その時期が最初の戦後復興期。 二番目の高度成長期は、一応、経済白書では、一九五五年から一九七二年、これを高度成長期と称しておりますけれども、この間、旺盛な設備投資が主導して、このグラフにもありますように、年平均九%以上の成長、こういう時代。 そして、三番目の安定成長期は、一九七三年の石油危機以降、設備投資主導から個人消費等の主導によって、安定成長へ転換していった時代。 そして、直近の低成長期。これは、一九九〇年代から、バブル崩壊を一つの節目にしまして、約二十年間、総じて低い経済成長に甘んじてきた。こういう大きな流れであろうと思います。 安倍政権は、特に直近の停滞の二十年の経験を踏まえて、これまで、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、いわゆる三本の矢を一体的に推進して、デフレ脱却に向けて大きくかじを切ってきた。そういう意味では、まさに第五番目の新しい時代を切り開きつつあるというふうに認識しているところでございます。
○藤丸分科員 ありがとうございます。 そして、次の三ページ、これは棒グラフがGDPでございます。次は、第二問目といたしまして、バブルの状況、そして崩壊の分析についてでありますが、一般的には、一九九一年にはじけたんじゃないかと言われております。ニューヨークのロックフェラーセンターを三菱地所が買うということは、結構皆さん御存じのことであります。 私の理解では、バブルのときというのは、ちょうどプラザ合意がその前にあって、そこから円高に日本は苦しんだんじゃないかと思います。そして、低金利に入りまして、意外と好景気になってきて、低金利ですから不動産、株に向かって、それから、銀行が超貸し出しといいますか、私はそう思っているんですが、そして不動産バブルに至った。不動産中心だったんじゃないかという思いがあります。 土地神話という言葉があります。何か、タモリさんが、ビルを買ってくれと言われて、お金がないんだけれどもと言ったら、では、お金は貸します、買ってくださいというふうに言われたということを聞いたことがあります。 それから、今度はバブルが転換して落ちていくんですけれども、その理解は、私は、やはり日本がどこに行くんだろうかということで、最初の起こりは、日銀が、やはり金融を引き締めなきゃいけないということで、一九八九年あたりに公定歩合を上げてきたんだと思うんですね、一番初めに。それから二番目は、財務省の総量規制に入ったんだと思います。そういうことで、不動産に対して、今度はまた地価税というのも、これは、僕の師匠の古賀誠先生が地価税のときに部会長だったとか言っていましたので、詳しく聞いているんですけれども、そういうのが導入されたことによって、信用収縮とかいろいろなことが起こったのではないかというふうに考えております。 そういう理解をしておりますが、日銀の方で御答弁をお願いいたします。
○迫田政府参考人 お答えをいたします。 バブルの発生とその崩壊につきましては、いろいろな観点から考察が行われているわけでございますけれども、平成五年の経済白書に依拠して申し上げますと、まず、バブル発生の原因につきましては、ここでは資産価格の上昇期待というものをキーワードとして分析をしているようでございまして、株価、地価の継続的かつ大幅な上昇のもとで、今後も値上がりが続くだろうという安易なキャピタルゲイン期待を背景といたしまして、資産価格上昇期待に基づく投資行動が高まり、それによって経済のファンダメンタルズから大きく乖離した資産価格の上昇が生じたというのが、この当時の経済白書の分析でございます。 一方、バブルの崩壊の方でございますけれども、ちょうど今申し上げたメカニズムが逆回転をするような形でございまして、きっかけは、御指摘もありました公定歩合の引き上げ、あるいは土地関連融資の総量規制の導入といった金融環境の変化というものがきっかけであったわけでございますけれども、その後、資産価格が下落基調に転じまして、資産価格の値上がり期待を前提とした投機的需要が急速に剥落をする、その結果、一挙に需給バランスが崩れまして、資産価格はさらに下落する、そういった道行きをたどったのであるというのが平成五年の経済白書の分析であるというふうに承知をいたしております。
○藤丸分科員 それでは、次の質問に入ります。 四ページは、各国のGDP。各国は右肩上がりに全部上がっておりまして、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスというのが上がっていますね。また、三ページに戻れば、日本がこの二十年間デフレというのがわかりますので、私はこの表をよく使うんです。 安倍総理は、デフレは十五年と言われております。もちろん、物価が下がるのがデフレですから、見方はいろいろあると思いますが、この二十年間で一体どういうことが起こったのかということを確認させていただきます。この二十年間、日本だけが低成長、フラットの状態になりますので。 まず、前半は、当然、銀行は不良債権を抱えておりますので、不良債権処理に入ったんだと思います。金融国会というのが一九九八年に行われまして、これも師匠の古賀誠先生が国対委員長だったんですよ。私は脇で見ていて、宮沢先生が、総理を終わられて、大蔵大臣をまたされたというときだったと思います。ここで金融再生法等で公的資金が入った。この間、ちょっと前に、りそなが全部返し切るとかというニュースが流れておりました。これが、大ざっぱに言えば、この二十年間の前半だと思う。 その後半というのは、五ページをあけてもらいたいんですが、五ページのこの表を見ますと、何を言いたいかというと、内部留保がふえた。銀行の貸し渋りというのも、銀行は当然痛手をこうむっていますから、そう簡単にはばんばん貸さないと思いますので、そういう意味で貸し渋りが起こっているというふうに考えられます。 企業は内部留保に向かって、ブルーの棒グラフが内部留保でございます。そして、人件費は赤いグラフであります。この赤い折れ線グラフは上がっておりません。最初の方は緩やかに、一九九五年、二〇〇〇年ぐらいまでは少し上がっているんですけれども、あとはちょっと下がって、横線になっております。 この二十年間、なかなか大変だったとは思うんですけれども、ただ、政府、日銀はどのような対応をとられてきたかというのをそれぞれお伺いしたいと思います。 〔主査退席、小林(鷹)主査代理着席〕
○迫田政府参考人 デフレの期間にいろいろ生じたことというのは、ほぼ御指摘のとおりでございまして、特に、バブルが崩壊した後、資産価格の下落、先ほど申し上げたようなものが続く中で、いわゆる企業のバランスシート調整というのが非常に長く続いたということがまずあったと思います。そのバランスシート調整のもとで、企業が投資よりも負債の返済を優先するという流れでございますので、設備投資が先送りあるいは抑制といったような流れになってきたということだろうと思います。その結果、企業の活力が低迷をいたしまして、賃金が下落をしたということなどから、消費など経済全体の需要が低迷をして、デフレの要因となったということだろうと思います。 その後、長期にわたりまして日本経済の経済成長率が低迷をする中で、将来に対する成長期待の低下、デフレ予想の固定化といったようなものもあってデフレが継続してきたということが、ややラフなスケッチでございますけれども、デフレ下の日本経済に起きたことだろうと思います。 この間、政府もいろいろな手だてを工夫して打ってきたつもりでございますけれども、結果におきましては、こういう形でデフレがかなり長引いたということがあるわけでございまして、現時点においては、それからの脱却ということに向かって、先ほど副大臣から御答弁申し上げたような、三本の矢の政策というものを強力に進めるという段階に至っているということでございます。
○内田参考人 お答え申し上げます。 デフレの原因につきましては、御指摘の不良債権問題を含めまして、バブル崩壊後の企業あるいは金融機関のバランスシート調整、さらには新興国からの安値輸入品の流入など、さまざまなものが要因として考えられます。 ただ、問題は、やはり、デフレが長引くということにつれまして人々にデフレマインドが定着したことで、企業あるいは家計も、先行き、物価は上がらないのではないかということを前提に行動するようになりまして、その結果、支出活動が消極的になっていった、これが問題であったというふうに思っております。 その結果、価格が低迷し、売り上げ、収益が減少し、賃金が抑制される、消費が低迷し、またこれが価格の下落につながるという悪循環に陥りまして、いわば自己実現的にデフレが長引いたということかと思っております。 また、デフレのもとでは、どうしても現預金を持つことの実質的な価値が高まりますので、企業にとっては、内部留保を蓄えるということで現預金を保有するという方が有利になります。その結果、設備投資を行ってリスクをとるというような動きが抑制され、これが成長力の低下につながったというふうに思っております。 この間、日本銀行は、ゼロ金利政策、量的緩和政策、包括緩和政策等々実施してまいりましたが、今申し上げたような企業の状況でございますと、どうしても低金利が企業の資金需要に結びつきにくかったという面がございます。そういう面もございますので、現在、デフレマインドを転換するということが重要だと思っておりまして、二〇一三年の四月より、量的・質的金融緩和を実施しているということでございます。
○藤丸分科員 ありがとうございます。 今、ここが一番問題でありまして、さっき財金委員会で麻生大臣が答えていましたけれども、内部留保、ここは三百四兆円なんですけれども、一番新しい数字は三百二十八兆円だと。上がったということなので、ここをいかに吐き出してもらうかということで、税の即時償却とか、いろいろ工夫されてやられております。 次に、四問目の質問といたしまして、いよいよアベノミクスの第一の矢について確認をさせていただきます。 六、七、八の資料の、二〇一二年の十一月から全部反応をし出しております。二〇一二年の十一月というのはまだ選挙の前でございますので、選挙をやるぞと、九月ぐらいから選挙があるんじゃないかと言われていたときでありますので、どこも一斉に十一月から反応しております。 例えば六ページの株価、二〇一二年の十一月から反応しておりますし、為替相場も、平たく言えば二〇一二年十一月から反応していると言ってもいいとは思います。八ページの長期金利も、十一月、これは、ちょっと上がっているのは期待感で上がっているんじゃないかと思うんですよ。経済が成長するんじゃないかというので、十一月のちょっと上がっているのは、安倍政権に対する期待感。そして、マネタリーベースをふやすぞということで下がっていくということでございます。 大胆な金融緩和ということで、最初の選挙のときに打ち出しをされております。つまり、マネタリーベースをふやすということで、釈迦に説法で申しわけありませんが、確認という意味で、日銀が長期国債を買うということになれば十年国債あたりがだぶつきますので、当然、だぶつくと高くなって金利が下がるということでありますから、金利は下がるということになって、円安に向かいます。それは、世の中のマネーは金利が高い国に流れますから当然のことで、円安に入ると思います。そして、銀行に預けても仕方ないから、株に行ったり不動産に行ったりするわけであります。 そこで、円安に入っていますので、企業の業績と資産がよくなったという状況であります。上場企業は最高益を今出しておりますし、また、追い風で原油も五〇%下がってきておりますので、そしてまた、税収も国、地方ともに伸びている状況であります。福岡県も二割ぐらい上がっていると聞いております。 そしてまた、最後のところにつけているように、マネーストックも、マネタリーベースだけじゃなくて、十ページ、下の方の色つきのグラフですが、日本もマネーストックもふえている。マネタリーベースがふえてマネーストックもふえてきたということであります。 日銀にお聞きしたいんですが、要は、この流れがいつまで続くのかということを、日銀の今の政策という点でお聞きしたいと思います。
○内田参考人 まず、結論から申し上げますと、量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しているというふうに考えております。 先生まさに御指摘のとおりでございますが、量的・質的金融緩和というのは、第一に、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという明確なコミットメントによりまして予想物価上昇率を引き上げると同時に、御指摘ありました巨額の国債買い入れによりまして名目金利に低下圧力を加える、この二つによりまして実質金利を引き下げるということをいたします。その結果といたしまして、設備投資など民間需要を刺激し、これが波及していくということをメカニズムとして期待しているということでございます。 実際、名目金利につきましては、十年物金利で見まして〇・四%台まで低下しておりますし、一方で、予想物価上昇率は全体として上昇しているというふうに見ておりますので、その点を踏まえますと、実質金利はマイナスになっているというふうに思っています。 こうしたもとで、家計部門あるいは企業部門ともに所得から支出への好循環のメカニズム、前向きなメカニズムがしっかりと維持されておりまして、景気は緩やかな回復基調を続けております。物価の方は、原油価格の大幅な下落がありますのでプラス幅が縮小しておりますが、基調としては改善を続けているというふうに考えております。 日本銀行といたしましては、今後とも、二%の物価安定の目標の実現を目指しまして、量的・質的金融緩和を着実に推進していく考えでございます。
○藤丸分科員 ありがとうございます。 最後に、本日、これを聞くためにここまであったようなものなんですけれども、これからアベノミクス、経済の再生の成功と継続のためにどうすべきかというのを政府、日銀それぞれにお尋ねいたします。 経済政策というのは、最初に、二ページで戦後のを見ましたように、非常に難しいものだと思います。これは実は綱渡りのようなもので、三年上がったところというのはないんですよ。これをちょっと見たら、三年上がったところが、一九八三年、四年、五年しかないんですよ、三年連続で上がっているところというのは。だから、経済政策というのは難しいというふうに思います。 本来は、景気がよくなるということは、企業が投資をして、生産活動が活発になって、賃金が上がって、消費も伸びるという、そして中小企業、地方へ行き渡るというオーソドックスな、これが一番大事でございますけれども、そうはなかなか簡単にいかないというのはあります。 これから多分、アメリカの出口戦略も来ると思います。金利を上げてくると思います。大体連動して上がりますので、日本の金利も上がるとは思うんですけれども。私は、個人的に思うのは、為替はできるだけ百二十円で、どこまでいけるか、個人的な意見ですけれども。長期金利は当分は余り上がらないように、できるだけアベノミクスのマネタリーベースで長期国債を買ってもらって。 本当は、政府の方でも、金利を決めるときに多少、年間の買いというのは大体百五十兆ぐらいありますね、百五十兆ぐらい、買いかえまで。それで、八十兆は日銀に買ってもらっているわけですから、売り手市場じゃないかと思います。市場を大事に考えている人は市場が世の中を決めるというふうに言うんですけれども、そうではないと思いますね。 そういう意味では、日銀がマネタリーベースで買ってくれていますので、多少は国債の誘導が、コントロール、調整ができるんじゃないかと実は考えておりまして、行き着くところまでは、それは五年も十年もというのは簡単には無理ですけれども、金利を下げているということは、その分、さっき村井先生が言っていたように、年金も入っていますから、金利でも。だから、そう低金利でい続けるというのは経済として難しいと思いますけれども、そういうマネタリーベースの調整をやったり国債の金利の調整をすべきと個人的には考えております。 まだそのほかに税制や機動的な財政政策を打たなければならないと思いますけれども、これから経済を成功させて継続をさせていくという、どういうふうにお考えか、政府と日銀にお聞きしたいと思います。 〔小林(鷹)主査代理退席、主査着席〕
○宮下副大臣 まず、アベノミクスをさらに継続、成功、発展させなきゃいけないという先生の御指摘、そのとおりだと思います。 改めて、何が成功して何を頑張らなきゃいけないのかという論点でちょっとまとめさせていただきたいと思うんですけれども、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢の政策によりまして今はっきりその効果があらわれている主なところを三つ挙げますと、一つは、平成二十六年の十月から十二月の企業の経常利益、十七・六兆円というのは四半期別では過去最高ということは大きな成果だと思いますし、また、平成二十六年、暦年ベースで見た企業倒産件数九千七百三十一件というのは二十四年ぶりに年間一万件を下回ったということで、月別でも七百件程度に減少していることも、これはもう明らかな効果だと思いますし、第三に、平成二十七年二月の有効求人倍率一・一四倍というのは二十二年ぶりの高水準、こういう点については確実に経済の好循環が生まれ始めているということをあらわしていると思います。 御指摘の金利とか為替相場の水準については、当局の立場としてはちょっとコメントは残念ながらできないんですけれども、引き続き、企業がデフレマインドを脱して、そして、内部留保を賃金引き上げや設備投資に活用できるように変革を促していくということが大事だと思います。 このため、政府として考えている政策としては、コーポレートガバナンスのさらなる強化に加えまして、法人税改革、またイノベーションの推進によって生産性を向上させること、こういったことを一体的に進めて企業の稼ぐ力を高めていく方針でございます。 さらには、今、アベノミクスは大企業、グローバル企業を中心に非常に大きな成果を上げているという一方で、地方ではまだまだだという声もあります。 こうしたことを踏まえて、今回の税制改正でも、地方創生の実現に向けて地方拠点の強化税制を創設したり、また、昨年来の政労使会議等々においては、取引企業の仕入れ価格の上昇、これはアベノミクスによる円安によるコストアップという面もあります、そうしたところを踏まえた価格転嫁、また支援、協力などを経済界にもしっかり要請して、このもうかった大企業のお金が地方にも流れていくように、そういったことも政府を挙げてやっております。そして、企業収益の拡大が設備投資の増加、また賃金上昇、雇用拡大につながるように、そしてそれがさらに全国各地に広がるように頑張っていきたい。経済財政政策をしっかり運営してまいりたいと考えております。 以上です。
○内田参考人 好循環を維持するにはどうしたらよいかという御質問でございますが、デフレから脱却しまして二%の物価安定の目標を実現した世界におきましては、先ほど御説明いたしましたデフレ下での悪循環とは全く逆の循環が起こるというふうに思っております。すなわち、企業の売り上げあるいは収益が増加をする、賃金が上昇する、消費が活性化をし、価格の緩やかな上昇が起こるという前向きの好循環が生まれるということを期待できるというふうに思っております。 したがいまして、日本銀行といたしましては、二%の物価安定の目標の実現を目指しまして、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続するという方針でございます。
○金田主査 時間が参りました。
○藤丸分科員 麻生大臣、早朝よりお疲れさまでございます。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて藤丸敏君の質疑は終了いたしました。 次に、青柳陽一郎君。
○青柳分科員 維新の党の青柳陽一郎でございます。 本日は、分科会での質問の時間を三十分いただきました。ありがとうございます。 貴重な時間なので早速質問に移りたいと思いますが、本日は、これまで今国会でも議論があった件もあるんですけれども、麻生大臣を中心に、麻生大臣は安倍内閣を仕切る実力派大臣でございますので、ぜひ率直な御答弁をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 まずは、昨年四月の消費税増税時の景気の減速の要因について伺いたいと思うんですが、昨年四月の消費税増税後、明らかに我が国の景気は減速しました。しかも、それは想定を大きく超える景気の減速だったということでございます。 二〇一四年の四—六のGDP成長率はマイナス六・七、七—九はマイナス一・九、この景気の減速の最大の要因は何だとお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 消費税率を八%に上げさせていただいた後の経済状況につきましては、特に個人消費につきましては、いわゆる駆け込み需要の反動、それから夏の天候不順、異常に雨が多かったせいもありますし、また、円安方向に動いて輸入物価上昇等々がさらに追い打ちをかけて、消費税率を上げた割には、いわゆる物価の上昇に家計の所得が追いついていかなかったというようなことなどから弱さが見られた、総括してみるとそういうことになろうと存じます。 したがいまして、消費税率一〇%への引き上げ時期を十八カ月延期させていただいて、平成二十九年四月に一〇%に引き上げるということにしたんですが、一〇%に引き上げますには、我々としては、何といっても、少子高齢化になろうとも人口が減ろうとも、いわゆる世界に冠たる国民皆保険等々、社会保障制度というものをきちんと次世代に引き渡していく責任もあろうと思いますし、また、市場というか、マーケットとか、それから国際的な社会の中で国の信認を確保するために、これは景気判断条項をつけることなく確実に実施することにしているんですが、実施するためには、手前のところの、引き上げるまでの間の景気をよくして、あと二%上がってもしゃあないわなと思っていただけるような景気状況にしておかないと、また二の舞を踏むことになりますので、我々はその点に頭を痛めていろいろやっているんです。 結果として、有効求人倍率を見ますと、これは一番雇用がでかいんですが、有効求人倍率が、少なくとも二十二年ぶりのえらい高い数字になりましたし、また、二十六年度の賃上げ率というのは過去十五年間で最高の賃上げになりました。ことしも間違いなく賃上げに期待ができるところになりましたし、企業ででかかったのは、経常利益が一番、史上最高だったと思いますので、過去最高水準になりました。 そういった意味で、経済の好循環が生まれ始めていると思っておりますので、こういった循環を、アベノミクスとか三本の矢とか、いろいろな表現がありますけれども、少なくとも、こういった政策をきちんと進めて、我々は、デフレ脱却と同時にやらなきゃいかぬのは、こっち側に財政再建というのをやらなきゃいけないものですから、経済再生と財政再建の両立をきちんとやり上げるということをやっていかないかぬ。 やはり、この消費というものに関しましては、GDPの中に占める率としては一番大きなものが消費ですので、そういった意味では、今後とも、消費というものを冷え込ませないように、幸いにして、給料が上がり、石油の値段が下がり等々、いろいろな形で追い風が吹いている部分もありますので、きちんとした対応ができればと思っております。
○青柳分科員 大変詳しい御答弁をいただいて、ありがとうございました。 一言で言えば、消費の落ち込み、民間最終消費が落ち込んだということがこの景気減速の最大の要因だということだと思います。しかも、この落ち込みというのは、東日本大震災時の落ち込み以上に消費が落ち込んでいるというデータもありますし、一九九五年以来最悪の数字を記録しているというデータもございます。 だとすれば、安倍政権というのは、これまで、二〇一二年度の補正、一三年度の予算、一三年度の補正、一四年度予算と、景気対策と言われるものを目いっぱい打ってきたわけでございますが、その景気対策を打ってきたぐらいの効果、消費に対する効果というのは見られなかったんじゃないかなと。つまり、消費税増税の対策としての景気対策の効果というのは実際になかったんじゃないかなとも言えるんだと思います。 つまり、アベノミクスというのは、現在の景気対策上、必要な民間消費に直接寄与していないんじゃないか、あるいは即効性がないんじゃないかと思いますが、大臣はこうした点についてはいかがお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 一番わかりやすいのが、多分、民間でいえば税金だと思います。三年目の予算を今編成させていただいておりますが、三年前に日本の税収は四十二兆円で予算を組んだんですが、今回は五十四兆円で組ませていただいております。すなわち、三年間で税収が十二兆円伸びているということですが、半分の六兆円が消費税ですから、残り六兆円が法人税、所得税等々だと思いますので、間違いなく、税金がそれだけ伸びるということは、景気がよくなければ税収は伸びませんから、そういうことになっているというのははっきりしていると思っております。 また、今申し上げましたように、いわゆる雇用が伸びてみたり、いろいろな形で企業の経常利益が伸びておるのもはっきりしています。史上空前などということを言えるようになるというのは、アベノミクスの最大の目標はデフレ不況からの脱却ですから、その意味では明らかにデフレ不況というものを脱却しつつあるのに加えて、このままでというときに、石油の値段が百七ドルから四十何ドルまで、きょうでWTIで五十ドルちょっとぐらいのところまで戻ったんでしょうか、そういったところまでどんと落ちましたので、これが、いわゆる物価という面からいったらマイナスになりましたけれども、経済という面でいきましたら間違いなく日本の経済に大きないい影響を与えておりますので、そういった意味では、我々としては、このアベノミクスというのは全体として見て間違いなく成功しつつあると思っております。
○青柳分科員 昨年の十二月の総選挙でも、この道しかないと言って自民党さんは戦われたんですから、当然これからも続けていくおつもりなんだと思うんですけれども、一七年の四月に実際に消費税を増税して一〇%にするということを、我が党は反対していますけれども、お決めになられたということなんですが、そうすると、その際にも当然景気対策をまたやるんだと思うんですけれども、この際も、これまでどおりの公共事業中心の景気対策をまた打っていくおつもりなんでしょうか。 例えば、私どもは、子育て世代などにターゲットを絞った給付、こういうものが直接消費を喚起する景気対策として有効なんじゃないかということで提案していますけれども、こうした点も含めて、一七年の四月に一〇%に増税するときの景気対策についての大臣のお考えについてお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 青柳先生御存じのように、今、二〇一五年度の予算をやっている真っ最中に、二年先の補正の話なんか、とてもじゃないけれども鬼が笑うどころの騒ぎじゃない話になりますので、お答えはとてもいたしかねますが、少なくとも、今申し上げましたように、都市部とか大企業に主に光が当たっているという点はよく指摘されているところでもありますが、今回の場合は、地方創生で地方そして零細中小企業に光が当たるようないろいろな補助、支援、予算等々をやらせていただいておりますので、このまま順調にいけば、補正を組まずにいけるようなものにしていかねばならぬと思っております。
○青柳分科員 今の御答弁は結構大きいと思います。補正を組まないということをおっしゃられたので、それはぜひ見ていきたいなと思います。 次に、これもこの国会でさんざん議論になっているんだと思いますが、私からも質問させていただきたいと思います。軽減税率について伺ってまいりたいと思います。 軽減税率は、税の簡素、公平という原則から逸脱しますし、対象品目や社会的コストの面から、消費税の特徴である、課税ベースを広くして効率的に税収を調達するという機能が失われますので、私も反対していますし、我が党も反対でございます。 さらに、これまでの財務大臣、麻生大臣の発言を確認しましたけれども、麻生大臣御自身も、軽減税の導入には消極的というか、明らかに反対の姿勢が明確だったと思います。大臣の答弁でも、軽減税率は、対象品目の線引き、区分経理の面から難しい、検討するにも時間が必要だという御答弁をされております。 こうしたお考えについては大臣は現在もお変わりないと思いますが、念のため確認させてください。
○麻生国務大臣 まず最初に、本予算をやっているときに補正予算を組みますなどと言う人はいません。だから、そういうことは、初質問か何か知らぬけれども、とにかくこういうことは、聞いても、やらないとみんな言うの。やると言ったら、何で今入れないんだと言われるだけだから、そんなことは言いっこないんだから。だから、その言葉で何となく俺は何かつかんだみたいなことを考えると勘違いするから、まずやめた方がいい。それが一点。 二つ目の軽減税率の件については、これは定額給付金とかいろいろなやり方があるのはもう御存じのようで、要は、消費税が上がったときに低所得者に対する対策はどういうのがあるのかというと、よく言われるのが軽減税率と定額給付という話なんですが、それぞれ一長一短があって、軽減税率をやった場合は、どれを安くするかを決める話が物すごく大変で、早い話が、ウイスキーはいいけれどもブランデーはだめだとか誰が決めるんだという話になって、もう物すごく面倒くさいことになりますよ。 それから、簡単なことを言えば、消費税を納めていないような小さな商店でもインボイスみたいなのを書かなくちゃいけなくなりますので、これは事業者にとってえらい手間がかかりますよというのはみんなノーという話になりますし、これの税源、穴があきますので、何をするかによっても違いますけれども、食料品だ何だかんだといろいろなものがありますので、それをやるとその分だけ援助が要りますので、それを埋めるネタが要りますので、そのネタを何にするかというのが大変。だから、これは面倒だと。 傍ら、定額給付金の方はそういうものはないんですが、逆に、あの人は幾ら持っているかという捕捉がまず面倒くさい。加えて、今は、無記名とか海外とか、そういった所得というものを捕捉する方が物すごく面倒くさい。それからもう一つは、給付するときに、地元の役場で、どこで給付するという、いわゆるそういうシステムがもう一つ面倒くさい。これは一長一短あるということははっきりしていると思っております。 したがいまして、これはどちらがいいとは、まだ議論の分かれているところなので、今、与党でいろいろやっておられる真っ最中なので、私どもとしては、その話をよく聞いていきたいと思っているんですが、少なくとも、約束では一〇%時にやらせていただきますということを書いておりますので、その段階で何らかの対策を考えたいと思っております。これ以外にもっといい手があるのかもしれませんし、そういったようなことを考えて、今はどちらともまだ申し上げられる段階にはない。与党の論議は今やっている真っ最中ですので、それを見守りたいと思っております。
○青柳分科員 与党の税制協議会の方は、二十七年度税制改正大綱というので、軽減税率については、我々は反対していますけれども、税率一〇%時に導入すると明記されていますけれども、今の大臣の御答弁からすれば、やはり大臣は、我々と同じように、この時点においても反対だということが明確にわかりました。 給付つき税額控除の問題についてはこの後で質問させていただきますが、一方、今の御答弁の中には逆進性についてのコメントは全くありませんでしたけれども、軽減税率については、導入の理由に、一般的には逆進性の解消につながるから導入するんだというお話がよくございます。大臣はこれは御否定されると思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣 逆進性の話は、これは、軽減税率でやった場合は、お金があってもなくても皆一律軽減税率になりますので、何の解消にもならぬということになるんだと思いますので、その点に関しましては、給付つきの方がより的が絞りやすいというのははっきりしています。
○青柳分科員 ありがとうございます。 逆進性についても明確に否定されたということでございますので、我々としては、やはり大変頼もしい答弁だなと思いました。 一方、給付つき税額控除については、先ほど麻生大臣は、所得の捕捉が難しいからなかなか現実的じゃないんじゃないかというお話がありましたけれども、マイナンバーを導入されるわけですから、これからマイナンバーが導入されていけば所得の捕捉が確実になるし、そういう意味からすれば、今大臣御自身が答弁された、逆進性の解消には給付つき税額控除の方が効果があるということですから、まさにマイナンバーを導入し、所得を捕捉して、逆進性解消のために給付つき税額控除を導入する、きょうのこれまでの議論では大臣はそのように答弁されているというふうに理解しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣 マイナンバーにつきましては、まだスタートしていないので、これがどれくらいちゃんと日本で捕捉できるのか、また、今、海外の人がすごくふえていますから、海外、それから高齢者の方々は、所得じゃなくて、いわゆるフローじゃなくてストックで持っておられる方々の部分に関しまして、これは全く見えないという形になりますので、なかなかそういった捕捉が難しい、マイナンバーがあったにしても難しいということになるんじゃないかなという感じがしますので、マイナンバーがどれぐらいきちっと捕捉できるかというのがまだ見えていない段階で、なかなか申し上げにくいところだと思います。
○青柳分科員 ありがとうございます。 マイナンバーの質問はまた別の機会にさせていただいて、そこで、捕捉がきちんとできる制度なんですよ、所得がきちんと捕捉できるシステムなんですよというのがわかれば、給付つき税額控除の方にしっかりかじを切っていただけるんだろうという力強い御答弁だったと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。 それともう一つ、大臣の御見解について伺いたいのは、与党税制改正大綱のところに、軽減税率をもしやるとすればという話になりますけれども、「税率一〇%時に導入する。」というふうに書いてあるんですが、この解釈について、やるんだったら一〇%と同時に導入するのか、あるいは、税率一〇%時代が何年続くかわかりませんけれども、そのときにやればいいんだという解釈をされているのか、この読み方について、大臣なりの解釈を教えていただきたいなと思います。
○麻生国務大臣 これは、この「時」の定義なり意味というものを、きちんとした解釈を政府として申し上げるのは控えさせていただきたいと存じますが、一〇%時といえば一〇%の間にということであって、一〇%を導入するときと書いてないので、一〇%時といえば、一〇%のときにというように理解した方が日本語としてはよりわかりやすいのだと思っていますけれどもね。個人的見解とすればそうです。
○青柳分科員 やはり大変すばらしい御答弁だったと思います。ありがとうございます。きょうは大変勉強になっております。 事前通告で財務省の役所の人と議論していると、全然大臣の答弁が違うものですから、想定していた質問と大分変わってきてしまうんですけれども、それだけきょうは大臣の御見解を率直に述べていただいているんだということで、ありがたいと思います。 私は、当初、役所とお話ししているときは、軽減税率を導入していく方向だということで、想定して幾つか質問をつくっていたわけなんですけれども、きょうの御答弁は全くそうではなくて、むしろ所得が捕捉できれば給付つき税額控除でいいんだよという御答弁でしたので、本当にありがたいなと思っております。 そうすると、ちょっとこの質問というのも余り意味がないのかもしれませんけれども、参考までにお伺いするとすれば、先ほど大臣からは、対象品目の線引きが難しいと。これもよくある議論ですけれども、そうすると、どこで線を引くかというのを政治的に決めていくということがよくある話になってくると思いますし、国際的にもそういうことで失敗しているという論文も散見されているわけですけれども、税率についても同じだと私は思っているんです。 例えば、一〇%に増税したときに、では、この品目は九%、この品目は八%でいいとか、あるいは八・五とか九・五とか、そういう数字も出てくるんじゃないか。自民党さんがよくやってこられた政治は、足して二で割るとか妥協点を探るとか、実際それは政治の機能としてあっていいと私は思っていますけれども、そうすると、そういうような、品目だけじゃなくて税率についてもいろいろ政治的な解決が図られるリスクがむしろ高まってきて、どんどん複雑になってきて、どんどん政治的要素が強まるんじゃないかと思いますが、大臣、こういうリスクについてどうお考えになられますでしょうか。
○麻生国務大臣 その可能性は否定できません。
○青柳分科員 ありがとうございます。 否定できないということは、やはり軽減税率というのはやるべきじゃないなということですよね、大臣。
○麻生国務大臣 それほど単純でもありません。
○青柳分科員 ありがとうございます。 それでは、きょうは十分率直に御答弁いただきましたので、軽減税率の問題についてはこの辺にしまして、次に、もう一つの問題について伺いたいと思います。 租税特別措置の課題について伺いたいと思いますが、租税特別措置というのは、その活用状況や効果を見きわめて改廃を行っていくというのは当然のことだと思います。例えば、特定の企業でしか利用されていないもの、あるいは特定の業界でしか利用されていないもの、またはほとんど利用されていないというものも散見されているわけです。 そういうことがありまして、二〇一〇年に租税特別措置透明化法というのができたんだと思いますが、この法律が成立して以降、実際に見直しや改廃というのはどの程度行われてきたんでしょうか。これは、細かい話になるようでしたら、副大臣の方の御答弁でも結構でございます。
○麻生国務大臣 それでは、二十七年度のところだけですけれども、期限が到来するもののうち、十九項目について廃止を含めた見直しを行ったところなんですが、いずれにしても、こういったようなものは、その時代には必要であっても今はもうないんじゃないかというようなものを常に見直すというのは大事なことだと思いますので、今後ともしっかりとこの点は見直すと同時に、これはやった方がいいというものは当然時代によって出てくるでしょうから、それはまた改めて租特というものをつくるということを考える。柔軟に対応していくべきものだと思っております。 ただ、こういうのは、下手にやりますと、真に必要なものにやらぬとかなりゆがむ可能性がありますので、そこのところは十分注意しておく必要があろうと存じます。
○青柳分科員 今、十九項目を廃止したという御答弁でしたか、廃止されていると。(麻生国務大臣「廃止を含めた見直し」と呼ぶ)見直しされていると。はい。ぜひこうした改廃についてはきちんと行っていただきたいと思います。 残された時間がなくなりましたので、最後に一問だけ質問させていただきたいと思います。酒税について伺いたいと思います。 最近、サッポロビールが開発している商品の税率について、大変話題になっていると思います。これは、話題になっていること自体、余り好ましいことではないと思っておりまして、現行の酒税に課題があるということを示しているんだと思います。 現行の制度では、企業にとっても開発意欲やイノベーションを台なしにする可能性も含まれている。今回のケースはそうだと思います。あるいは税務当局にとっても、税収が少なくなったり、あるいはそうした批判が起こるということで好ましくないという状況になっている。さらに、消費者にとってみても、我々も、ビールだか何だかわからない商品を間違えて買ったり、わからずに飲んでいるということもあって、これは、企業にとっても税務当局にとっても、消費者にとってもよくないという、三方悪しという今の状況じゃないかと思いますので、酒税の見直しについて、大臣のお考えについて最後に述べていただいて、終わりたいと思います。
○麻生国務大臣 これは、一番騒ぎになるのはビールなんですが、理由は簡単で、一番税金の比率が高い。だから、ビールを外税で売ったら、まず誰も買うやつはおらぬだろうなと思うぐらい。あれは内税だからみんなだまされて飲んでいるんだよ。外税だったら、何だ、こんなに税金かよと思ったら、飲まぬよ、あんなものと思うぐらい高い、簡単に言えば。 したがって、ビールは何でそんなに高いんだといえば、これは、明治三年に初めて日本にビールが輸入されたときに、外国の酒として入ってきたものですから、以来ずっとビールというものは高い税率のままで今日まで流れてきたというのが背景なんですが、技術が進歩して、今言われたようにいろいろな形のビールが出てきて、発泡酒だ何だかんだ出てきたということになっているんだと思います。 やはり一つのビールという名前の中でそんなに格差があるのはいかがなものかというような話は前からあるところでもありますので、日本酒も、かつては、あなたよりもっと若い時代、昔は一級とか特級とか二級とかあったんですけれども、今は全部一律に、あれはいつになるか、加藤主税局長かな、あのときにやらせていただきましたので、結構騒ぎになったんですが、あれも全部一律にした結果、酒はえらくうまくなりましたし、日本の酒というのは輸出できるほどうまくなってきたという状態でもあります。 私どもとしては、こういったものはなるべく簡単なものがいいのであって、税金というのは大概頭のいいやつがやるものですから、みんなどんどんどんどん難しくなってよくないので、なるべく簡単なものにしないといかぬものだと思っています。 ぜひ、そういった意味では、このビールの話につきましても、酒類間の差が非常にややこしくさせる、何となくこれは怪しげに見えるとかいうのは全然よくないので、私どもとしてはきちんとそういったものを統一するような方向に行こうと思っておりますけれども、ただ、何といったって、この税金の額が、酒税は一兆三、四千億あるんだと思いますが、ビール関係だけで九千億を超えて、ただのビールだけで六千億ぐらいあると記憶しますので、そういった意味では、やはり税額がでかいものですから、ちょっとなかなか簡単には扱いにくいというところになっているのが現状だと存じます。
○青柳分科員 質問を終わりますが、これは予算の分科会で目立たないんですが、今、大変すばらしい答弁があったなと。ビール党にとっては朗報だと思いますよ。ビールの内税を知ったら、こんなだまされているぐらい高い税率だということですから、大胆に見直していただいて、もっとビールを安く飲めるということを御期待申し上げまして、質問を終えたいと思います。 ありがとうございました。
○金田主査 これにて青柳陽一郎君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。 これにて本分科会所管の審査は全て終了いたしました。 この際、一言御挨拶を申し上げます。 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後八時四分散会