法務委員会 第22号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2015/06/10
会議録
○奥野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、特に取調べの録音・録画制度の創設について、参考人として、中央大学大学院法務研究科教授椎橋隆幸君、日本弁護士連合会副会長内山新吾君、映画監督周防正行君、布川事件冤罪被害者桜井昌司君及び弁護士加藤健次君、以上五名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れば幸いに存じます。よろしくお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、椎橋参考人、内山参考人、周防参考人、桜井参考人、加藤参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。御発言があれば、手を挙げていただきたいと思います。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。 それでは、まず椎橋参考人にお願いいたします。
○椎橋参考人 ただいま御紹介いただきました中央大学の椎橋でございます。本日は、このような場でお話しする機会を賜りまして、大変光栄に存じております。 私は、刑事訴訟法の研究をしておりまして、今回の法律案につきましては、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会の委員としてかかわりました。本日は、本法律案に賛成の立場から、本法律案に盛り込まれている取り調べの録音、録画制度を中心に意見を申し上げさせていただきたいと思います。 以下、基本的に、配付させていただきました簡単なレジュメに沿って話を進めさせていただきます。 御案内のとおり、平成二十三年五月、検察の在り方検討会議の提言を受けて、当時の江田法務大臣から法制審議会に対して諮問九十二号が発せられました。その内容は以下のとおりであります。つまり、「近年の刑事手続をめぐる諸事情に鑑み、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入など、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について、御意見を承りたい。」こういうものでございました。そして、その審議のために特別部会が設置されたわけであります。 これは、審議の対象が国民の生活にも影響する刑事司法全体のあり方に及ぶものであったために、特別部会では、刑事司法の専門家だけでなく、一般の有識者もさまざまな立場から委員に加わり、幅広い観点から活発な議論が行われました。 各委員の立場やその見解も多様でありましたが、三年余りの審議を重ね、最終的には全会一致で答申案をまとめることができました。これは、それぞれの委員が、立場の違いを乗り越えて、我が国の刑事司法を前進させていこうという強い思いを持って、真摯な姿勢で粘り強く審議に臨んだからであり、非常に画期的なことであるというふうに思っております。 それでは、本題に入りまして、まず、取り調べの録音、録画制度の導入の意義について申し上げます。 取り調べの録音、録画制度は、本法律案に盛り込まれている制度の中でも最も大きな柱であり、ただいま申し上げました特別部会の審議においても、一番多くの時間を費やして検討が行われたわけであります。 被疑者の取り調べを録音、録画しておけば、事後に自白の任意性に争いが生じた場合に、取り調べの違法、不当を客観的に判断するということができ、取り調べ状況をめぐる水かけ論というものは解消されます。また、取り調べ時点においても、心理的抑制が働くために、取り調べの適正が確保されるということになります。 従来、我が国の刑事司法につきましては、事案の細部に至るまで徹底的な解明に努めるということを特徴として、それが精密司法という名で呼ばれてきました。その中で、取り調べは、諸外国に比して他の証拠収集手段が限られているということもありまして、最も中心的な捜査手法として重要な役割を果たしてきたわけであります。 このような我が国の刑事司法は、事案の真相解明を求める国民の支持を受け、良好な治安の維持に大きく貢献してきた面がある一方で、誤った事件の構図に基づき、裏づけを怠った取り調べがなされた結果、虚偽の自白が採取され、誤判が生じたという事案が生じております。取り調べや、その結果として作成される供述調書に過度に依存している現在の刑事司法が制度疲労を起こしているということは、否定しがたいのではないかというふうに考えられます。 取り調べの録音、録画の導入は、取り調べや供述調書に焦点を当てた初めての法改正であり、捜査の適正化、公判審理の充実化に資するものであって、取り調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却に向け、歴史的な意義を有するものであると考えております。 次に、本法律案の取り調べの録音、録画制度が構想された経緯について、特別部会における議論に触れつつ御説明いたします。 特別部会におきましては、録音、録画の有用性を生かすという観点からは、政策的にできる限り広い範囲で録音、録画が実施されるものとすることが望ましいという観点と、それから、録音、録画の実施によって取り調べや捜査の機能等に大きな支障が生ずることのないような制度設計を行う必要がある、こういう二つの観点を踏まえて、二つの案が出されました。 一つは、一定の例外事由を定めつつ、原則として被疑者取り調べの全過程について録音、録画を義務づける案でございます。もう一つは、録音、録画の対象とする範囲は取り調べ官の一定の裁量に委ねるものとする案でございます。 両案について検討が行われ、それぞれの枠組みを具体化しながらさまざまな議論が行われた結果、例外事由を適切に設定した上で、原則として被疑者取り調べの全過程について録音、録画を義務づけるという枠組みとされたわけでございます。 その上で、この枠組みによって取り調べの録音、録画を義務づける対象事件については、例えば、裁判員制度対象事件に限定すべきという意見とか、それ以外の全ての身柄事件における検察官の取り調べも対象に含めるべきだという見解など、さまざまな意見が出されまして、幅広い観点から議論が行われた結果、制度の対象とならない事件についても検察等の運用による取り調べの録音、録画が行われることもあわせ考慮した上で、法律上の制度としては、録音、録画の必要性が最も高いと考えられる類型の事件である裁判員制度対象事件及び検察官独自捜査事件を対象とする、そして、制度の施行から一定期間経過後に必要な見直しを行う旨の規定を設けるというふうにされたところでございます。 次に、幾つかの重要な論点について、私見を申し上げます。 まず、本法律案の取り調べの録音、録画制度に対しては、対象事件の範囲が狭いのではないかという意見がございました。 取り調べの録音、録画の有用性だけに着目すれば、確かに、広い範囲の事件で義務化をすべきことになろうというふうに思われます。しかし、取り調べの録音、録画には、被疑者の心理に影響を与え、十分な供述が得られなくなる場合があるという問題点もございます。 犯罪が発生した場合には、犯人と証拠を発見、収集し、裁判の手続を経て、証拠によって認定された事実に刑罰法令を適用して事案を解決し、犯罪によって乱された社会の秩序それから安全を回復しなければなりません。個人の基本的人権を尊重しながらも、事案の真相を解明し、刑事事件を適正に処理、解決することが重要であることは言うまでもありません。 取り調べの録音、録画制度は、我が国で初めて導入する制度であり、取り調べや捜査に影響を及ぼして真相解明を損なうことも懸念されるところからすると、やはり、早急に過ぎることなく慎重に対応し、必要性が最も高い類型の事件を義務化の対象とするというのは、十分に合理的な考え方であると思われます。現実には、自白の任意性が争われる事件は少なく、幅広い範囲の事件で一律の義務化をすることは、費用対効果の観点からの疑問もございます。 また、検察は、運用による取り調べの録音、録画を相当に拡大する方針を明らかにしております。近時の公判実務においては、取り調べ状況の立証のためのベストエビデンス、最良証拠、これは取り調べの録音、録画記録であると考えられるようになってきておりまして、必要な録音、録画がされていない場合には、検察官はそのような最良証拠を公判に提出できず、大きな立証上のリスクを負うことになるため、運用による録音、録画は相当に幅広い範囲で行われることになると思います。 さらに、裁判員制度対象事件、検察官独自捜査事件は、それぞれ、警察捜査、検察捜査のいわば顔とも言える重要な事件でございます。そのような事件で義務化をする意味は大きく、取り調べの手法や捜査官の意識の変化などを通じ、他の事件への波及効果も小さくないというふうに考えます。 以上のような事情も含めて考えますと、法律で定める取り調べの録音、録画制度としては、裁判員制度対象事件及び検察官独自捜査事件を対象として導入し、その後、制度の運用をよく検証してみて、必要があれば見直しをするというのが、最も現実的で着実な方法であるというふうに考えます。特別部会においても、このような結論において意見の一致を見たところでございます。 次に、取り調べの録音、録画の例外事由について、これを設けるべきではないという御意見や、捜査機関が例外事由を恣意的に運用するのではないかという御指摘もございました。 取り調べによる供述の獲得を重視する余り、違法、不当な取り調べによって虚偽の自白を得るということは、決してあってはならないことです。しかしながら、取り調べ自体が否定されるべきものではなく、適正な手続に基づく取り調べは、引き続き、刑事訴訟法の目的である事案の真相の解明のために必要であるということを改めて確認しておきたいと思います。 証拠収集における取り調べの比重を下げるとしても、犯罪事実やその背景を含めた事案の全容を客観証拠だけで解明するということは非現実的であり、取り調べはなお一定の重要な役割を担うことから、録音、録画義務の例外事由は、適正な取り調べによって事案の解明ができるようにするため、過不足なく定める必要があります。 特別部会においては、例外事由についても、真に必要な例外が確保されるものとなっているか、不必要に広い例外を認めるものとなっていないかという両方の観点から詳細な検討が行われました。もとより、初めて導入する制度であり、実際の運用を注視していく必要はありますが、現時点で考えられる範囲で適切な例外事由が定められていると思っております。 そして、例外事由の運用については、捜査機関が例外事由に当たると判断して録音、録画を実施しなかった場合に、公判で例外事由の存否が問題となったときは、裁判所による審査の対象となり、捜査機関側の責任で例外事由を的確に立証する必要があります。 また、例外事由に該当する場合であっても、法的効果としては、取り調べの録音、録画義務が解除されるだけであり、検察官が自白の任意性の立証責任を果たさなければならないことに何ら変わりはありませんので、捜査機関としては、必要な録音、録画を実施しないということは、取り調べ状況の立証のための最良証拠をあえて放棄するということにほかなりません。 したがいまして、この両方の面から見て、例外事由について捜査機関が恣意的に判断することはできない仕組みになっているものと考えております。 以上、取り調べの録音、録画について私見を述べさせていただきました。 この録音、録画制度が今回の改正案の大きな柱であることは間違いありませんが、そもそも今回の法案の大きな狙いは、捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存しているという状況を改めるものだということでございますので、そういう観点から考えますと、取り調べの録音、録画制度の導入のみならず、捜査、公判のさまざまな点にわたる幅広い改正が必要になると考えられます。 例えば、組織的な犯罪において背後の首謀者等を適切に処罰するためには、犯罪組織内部におけるやりとりを明らかにしなければなりません。そのためには、取り調べに頼らない捜査手法として、例えば、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度、それから、客観的な証拠収集方法である通信傍受の合理化、効率化というものは、取り調べに頼る場面を減らすという観点から大きな意義を有するものだというふうに思います。 同時に、捜査段階において無理な取り調べが行われないようにするという観点からは、被疑者国選弁護制度の拡充も重要でございます。さらには、公判審理の充実化を図るという観点からは、証拠開示制度の拡充とか犯罪被害者等、証人を保護するための措置なども同様に重要でございます。 本法律案は、こうしたさまざまな改正項目が盛り込まれており、いずれもが、取り調べ及び供述調書に過度に依存しているという我が国の刑事司法の現状を改め、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するという観点から極めて重要な意義を有するものでありまして、その実現は喫緊の課題であると考えます。 この点を改めて申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○奥野委員長 ありがとうございました。 次に、内山参考人にお願いいたします。
○内山参考人 皆さん、おはようございます。日本弁護士連合会副会長の内山新吾と申します。 私は、この四月に副会長に就任しまして、日弁連内の可視化実現本部の担当をしております。 私からは、主に、取り調べ可視化を求める日弁連の見解と取り組みを紹介し、本日のテーマに対する意見の陳述とさせていただきます。 日弁連は、このたびの刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきましては、国会での充実した審議の上、国会の総意で早期に成立することを強く希望しています。それは、このたびの法改正により、対象事件が限定されているとはいえ、取り調べの全過程の録音、録画、すなわち可視化を法的に義務づけるなど、貴重な前進面が見られるからです。 法案には、このほか、通信の秘密や個人のプライバシー侵害のおそれのある通信傍受の拡大、それから引き込みの危険性が指摘されている捜査・公判協力型協議・合意制度なども盛り込まれているところで、この点については留意する必要がありますが、日弁連は、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会での議論の経緯なども踏まえて、本法案は全体として日弁連の目指す刑事司法改革を一歩前進させるものと評価し、成立を求めているものです。 さて、今から三十年ほど前になりますが、著名な刑事法学者である故平野龍一さんがその著書の中で、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であるというふうに評されました。これは主に、過度に供述調書に依存した捜査、裁判のことを指しています。 この絶望的な状況を打破し、刑事司法を改革するため、日弁連は、主に捜査段階に光を当てることにしました。率直なところ、弁護士の活動も、起訴され公判になってからの弁護が中心であって、捜査段階、逮捕、勾留段階での弁護は手薄なところがありました。特別な事件は除いて、広く一般の事件で、捜査弁護の充実というのは必ずしも図られていませんでした。 そういった反省も込めて、その時点で、日弁連は、全国で当番弁護士を展開しました。この当番弁護士制度は、その後、被疑者国選弁護制度の段階的な法制化ということで結実しました。さらに、法曹三者が協力をして新たに裁判員制度を実現し、その中で、一定の範囲ですが、証拠開示制度を法制化し、調書中心の裁判から、直接主義、口頭主義の実現へとつなげてきたという経緯があります。 このような刑事司法改革の流れの中で、日弁連は、取り調べの可視化を次の最重点の課題と位置づけました。密室での取り調べ、そこでつくられる供述調書が冤罪を生むんだ、冤罪防止のためにはまずそのブラックボックスをなくすことが不可欠だというのが、現場で刑事弁護を闘う弁護士の共通の認識でした。これは、数多くの冤罪事件の教訓でもあります。日弁連は、身体拘束の有無を問わず、全事件、全過程の可視化の実現を方針として掲げることにしました。 こうした中、先ほど説明もありましたとおり、二〇一〇年に一連のいわゆる検察不祥事が発生しました。これをきっかけに、同じ年に検察の在り方検討会議が発足し、翌年、提言が出されました。その中で、「取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方を抜本的に見直し、制度としての取調べの可視化を含む新たな刑事司法制度を構築する」との方向性が示されました。 これを受けて、二〇一一年に、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会が設置されました。この部会には、御承知のとおり、日弁連を含む法曹関係者や研究者、専門家だけではなく、国民を代表する各界の有識者の方々が広く委員として加わりました。 この特別部会の審議を通して、日弁連は、新たな刑事司法制度においては、捜査機関に対し、取り調べ全過程の録音、録画を義務づける制度を導入すべきだということを主張しました。それはまず、違法、不当な取り調べを防止するとともに、被取り調べ者の権利を確保し、また、取り調べを通じて内容虚偽の供述調書が作成されることを防止する、そして取り調べ状況及び供述の経過を客観的に検証できるようにする必要があるからです。 さらに、日弁連は、これに関して次のような立場をとりました。 捜査機関による裁量的な録画、録音は、可視化本来の目的からいうと極めて不十分、問題がある。内容虚偽の供述証拠について、あたかも適正に収集されたかのような外観を作出する、そういう危険性すらある。取り調べの録音、録画は、やはり全過程について義務づけるものでなければならない。また、可視化については、被疑者本人以外の者についても、やはり不適正な取り調べによって被疑者を罪に陥れる内容虚偽の供述調書が作成されてきたこと、これは、例えば厚生労働省元局長事件でも明らかだ。参考人調べの名目による全過程録画、録音の潜脱を防止するためにも、録音、録画の対象を被疑者取り調べに限定するのは相当ではない。 そして、このような可視化は一部の事件に限られるものではないし、被取り調べ者が身体拘束されている事件に限られるものでもない。捜査機関は、被疑者その他の関係者の取り調べを行うときは、その状況を全て録画、録音しなければいけないのであって、その義務に違反して収集した証拠は、証拠能力が本来否定されるべきものだ。 そういう見解を日弁連は述べました。 この特別部会で、可視化をめぐって、主に捜査機関の側からは、当然のことながら消極的な意見が出され、結果的には、残念ながら、日弁連の意見が丸ごと反映されるということにはなりませんでしたが、最終的には、昨年の七月、全会一致の形で刑事司法改革に向けた意見の取りまとめがされるに至りました。 この特別部会の取りまとめをもとにつくられた本法案では、可視化の対象事件は裁判員対象事件と検察独自捜査事件とされています。これは、私たち日弁連が求めるところと大きな隔たりがあります。しかし、この点は、私たちは、不十分ながら全件可視化に向けての貴重な一歩を踏み出したものというふうに評価しています。 そういうふうに評価できる事情を幾つか指摘します。 一つは、これは義務づけというわけではありません、裁量的なものですが、最高検がこの特別部会の動きに呼応する形で、昨年六月十六日に、「取調べの録音・録画の実施等について」という依命通知を発したことです。これにより、それまで試行されてきた四類型の事件、裁判員制度対象事件、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等の事件、精神の障害等により責任能力に減退、喪失が疑われる被疑者等、そして検察独自捜査対象事件、この四類型ですが、これについて本格実施されるということになりました。 あわせて、この本格実施とは別に、公判請求が見込まれる身柄事件であって、事案の内容や証拠関係等に照らし被疑者の供述が立証上重要であるもの、証拠関係や供述状況等に照らし被疑者の取り調べ状況をめぐって争いが生じる可能性があるものなど、被疑者の取り調べを録音、録画することが必要であると考えられる場合、その事件についても可視化の試行の対象になりましたし、被害者、参考人の取り調べについても、その必要性が認められる場合に試行の対象になる、そういう動きがありました。 これは確かに捜査機関の裁量によるものですけれども、私たち弁護人からの働きかけによって、これを大いに活用できるというものでもあります。 第二に、この特別部会、法制審の動きの中で、最終的に法制審が取りまとめた調査審議の結果の附帯事項があります。この中では、このたび法制化の対象とならない事件についても、「実務上の運用において、可能な限り、幅広い範囲で録音・録画がなされ、かつ、その記録媒体によって供述の任意性・信用性が明らかにされていくことを強く期待する。」ということが記されています。この点については、警察、検察も承認しているところであります。 また、特別部会の審議の中では、裁判官出身の委員から貴重な指摘がありました。それは、「任意性立証のために最も適した証拠が取調べの録音・録画の記録媒体である」という指摘です。あわせて、この裁判官委員は、「録音・録画媒体がない場合には、その取調べで得られた供述の証拠能力に関し、証拠調べを請求する側に現在よりも重い立証上の責任が負わされるという運用に恐らくなっていくのだろう」という見解を示しています。そして、「録音・録画義務が課されない事件についても、被疑者の供述が鍵となる事件においては、リスクの意味合いという意味では同様のことが言える」というふうに述べておられます。こうした捉え方に基づく裁判所の今後の運用が期待されるところです。 さらに、日弁連は、先ほども紹介しましたが、被疑者国選弁護制度の全面的な実施を目標に掲げてきました。これも、最初はごく限られた対象事件にしか実現しませんでしたが、その後、段階的に拡大させてきたというふうな実績があります。 こうしたことから、私たち日弁連は、このたびの立法の出発点においては、不十分なところ、限定された点があるとしても、さきに紹介した、捜査機関側の運用をてこに拡大していく、または裁判実務を変えていくという取り組みの中で、そうした現場の弁護実践の中で、可視化の運用範囲、その実例を拡大し、将来の対象事件の拡大、次の段階の法制化につなげていくことが可能だというふうに考えています。 日弁連は、全国の会員に呼びかけて、あらゆる事件での可視化申し入れの取り組みを進めるようにしています。また、可視化に対応できるように、捜査段階、公判段階における弁護活動の質の向上を図ることに努めています。全国から、実際に可視化された事例がどうなったのか、可視化されなかった事例がどうなったのか、そういう事例の集積をし、そこでの成果や問題点をしっかり分析、検討し、その成果を広く会員に発信したいというふうに考えています。こうした弁護実践を積み重ねていくことにより、可視化されていなかった取り調べの供述調書の証拠価値は認めない、証拠として認めないという裁判所の判断を定着させ、録音、録画の対象事件は拡大せざるを得ない、そういう状況を私たちはつくり出していきたいと考えています。 繰り返しになりますが、日弁連は、身体拘束されていない被疑者や参考人も含めて、全面的な可視化の実現を目指して活動しています。本法案のように始まりは小さな範囲であっても、現場での取り組みによって必然的に可視化を拡大させていくということは可能だと確信しています。取り調べの全過程の可視化を法制度上義務づけるということは、それによって、可視化されない事件との違いがくっきりと明確になってくるという面があります。可視化されない事件の問題点がいわば可視化されてくるという効果があると思います。 可視化の実現は、密室での取り調べに依存した日本の刑事司法のあり方を根本から変えていく突破口になります。刑事弁護の現場で被疑者、被告人の人権のために苦闘する弁護士の集団である日弁連がこのたびの法案の成立を望む理由は、今述べたところにあります。 改めて、日弁連として、全事件、全過程の可視化実現の貴重な一歩を踏み出すために本法案の成立を求めるということを申し上げて、私の意見陳述を終わります。 どうもありがとうございました。(拍手)
○奥野委員長 ありがとうございました。 次に、周防参考人にお願いいたします。
○周防参考人 おはようございます。 映画監督をしていて、まさかこういう場所でこういうふうにお話しさせていただくことになるとは想像もしていませんでした。人生おもしろいものです。 私は、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会で委員を務めさせていただきました映画監督の周防です。改めて、よろしくお願いいたします。 私が特別部会の委員に選ばれた理由の一つは、刑事裁判についての映画「それでもボクはやってない」というものを制作したことにあると思います。 しかし、映画監督としてというよりは、一市民として現状の刑事司法に疑問を持ち、それから三年半の取材を通して明らかになった事実をもとに脚本を書き、監督をしました。映画監督として映画をつくったというより、本当に一市民として疑問に思ったことを映画を通して多くの人に知ってもらいたい、そういう形の映画で、そういう映画をつくることになるとも実は考えたこともありませんでした。 その映画づくりの中で、現状の刑事司法について本当にたくさんの疑問を抱きました。本日の論点は取り調べの録音、録画にあるというふうにお伺いしていますので、そのたくさんの疑問の一つであった密室での取り調べについて、きょうは、私の考えを述べさせていただきます。 密室での取り調べ官と被疑者のやりとりが、取り調べ官の作文によって被疑者の一人称独白体となる、まず、そういった調書のあり方というものに本当に驚きました。こういうものが裁判で、私は痴漢事件の傍聴というのをよくやったんですが、調書に書かれている一字一句が争いになるんですね。しかし、その一字一句は、既にして取り調べ官が恣意的につくり上げた作文の中の一字一句です。確かに、被疑者、被告人がその調書にサインをしているという外形的な事実はありますが、その言葉自体が本当にその取り調べ室で語られたかどうかは誰にもわかりません。 長期勾留の中で続けられる糾問的取り調べ、その取り調べで得た被疑者の言葉を取り調べ官の思惑によってまとめた調書が判決の決め手になってしまう。これを調書裁判というんだ、取材の初期の段階でこういう事実を知り、本当に驚きました。この調書裁判が数多くの冤罪を生んできたことは誰も否定できない事実だと思います。 そもそも、新時代の刑事司法制度特別部会は、郵便不正事件で明らかになった検察官の不祥事がもとで発足した検察の在り方検討会議の提言を受けて設けられたものです。先ほどからの参考人の御発言にもありましたように、繰り返しになりますが、その提言とは、取り調べ及び供述調書に過度に依存した捜査、公判のあり方を抜本的に見直して、制度としての取り調べ可視化を含む新たな刑事司法制度を構築するための検討を直ちに開始せよというものでした。 しかし、問題があったのは郵便不正事件だけではありません。例えば、冤罪であることが明らかとなった、これは最近のことですが、氷見事件、足利事件、布川事件、東電OL殺人事件。そして、いまだなぜか争いが続く袴田事件、この経緯を見ていると、検察は今までの自分たちのやり方を反省してきたのかどうか、反省しているのかどうか、本当に疑わしいと思いますが、いまだ争いが続いています。さらには、PC遠隔操作事件で誤認逮捕された四人のうち二人が虚偽自白をするということもありました。そして、ことしの五月には、志布志事件の捜査の違法性が裁判で明らかとなっています。 実は、こういった社会の注目を大きく集める事件だけではなく、痴漢事件などのいわゆる軽微な事件と言われるようなものの中でも、取り調べの違法性は強く指摘されています。例えば、軽微な事件では、取り調べ官が、認めれば出してやる、否認するなら勾留を続ける、そういった利益誘導ともおどしともとれるような、取り調べに名をかりたそういった不適切な行為が行われているといった指摘は多々あります。そういったことを考えると、潜在的な冤罪の数はかなり多いというふうに思います。 以上のことから、率直に申し上げまして、私は、特別部会のテーマは冤罪を起こさないための司法制度改革にあると思い、会議に参加しておりました。 その冤罪防止策の一つとして、取り調べの録音、録画はとても有効な手段だと考えています。録音、録画することによって取り調べの適正化は進む、そういうふうに考えております。ですから、基本的に、全事件において取り調べの全過程を録音、録画すべきだ、そういうふうに考え、会議でもそのように意見を述べさせていただきました。 ところが、警察も検察も、全事件、全過程の録音、録画についてはそもそも物理的に困難である、そういうふうに反対されておりました。直ちに全警察の取り調べ室に録音、録画設備を設けることは難しいし、検察官が全ての録音、録画記録に目を通すことは時間的に無理がある、そういう御意見でした。 また、録音、録画することで取り調べの真相解明機能が損なわれるというふうにも主張されておりましたが、その意見は全く納得できるものではありません。そもそも密室での取り調べが冤罪を生んでいる事実があるんですから、密室での取り調べに真相解明機能があるなどとはとても言えません。 結局、最後まで全事件、全過程の録音、録画に賛同を得ることはできず、御存じのように、非常に限られた事件を対象とする可視化法案となってしまいました。そのことは本当に残念に思っています。 とはいえ、法案で録音、録画が義務化される事件以外の事件についても、検察庁の依命通知によって、運用として参考人も含めた上での広い範囲の録音、録画が検察取り調べで行われることが公に約束され、それが本部会で取りまとめた時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想の趣旨に沿うものであることが部会の席上で確認できましたので、今回の可視化法案は全事件、全過程での取り調べの録音、録画制度への第一歩になると考え、同意いたしました。 ちなみに、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想の趣旨というのは、「刑事司法における事案の解明が不可欠であるとしても、そのための供述証拠の収集が適正な手続の下で行われるべきことは言うまでもない」とした上で、取り調べの録音、録画については、「公判審理の充実化を図る観点からも、公判廷に顕出される被疑者の捜査段階での供述が、適正な取調べを通じて収集された任意性・信用性のあるものであることが明らかになるような制度とする必要がある。」というものです。 ちなみに、この録音、録画の三年後の見直し規定、附則の九条だったと思いますが、ここでもこの基本構想を踏まえて行われるということを約束していただきましたので、同意しました。当然、この基本構想を踏まえるならば、対象事件が縮小するなどということはあり得ず、拡大する方向への見直しが行われるものというふうに考えて同意したものです。 ただ、懸念がないわけではありません。見直しも含め、例えば、依命通知による多くの事件における録音、録画が行われても、本当に心配なことはあります。 特に、合意制度が導入された場合、共犯者とされる在宅被疑者の取り調べが可視化されなければ、村木さんが起訴された郵便不正事件と同じような構造の冤罪を生んでしまう危険があります。郵便不正事件では、厚生労働省の職員等が共犯者である在宅被疑者として検察官の取り調べを受け、検察官の見立てに沿った、事実に反する内容の供述調書が作成されました。その後、村木さんは起訴される一方で、在宅被疑者らは起訴を逃れました。 今回導入されようとしている合意制度については、共犯者から、刑事責任の減免と引きかえに、検察官の見立てに沿った、事実に反する内容の供述が獲得され、それによって無実の人が起訴され、有罪とされる危険が増大することが懸念されます。 したがって、郵便不正事件と同じような冤罪を生まないようにするためには、共犯者の取り調べ全過程の録音等の必要性があると思います。共犯者の初期供述から取り調べの全過程が録音等で記録されるようになれば、検察官の見立てに沿って無理に供述を変更させるような取り調べや取引を防止することができます。公判においては、取引や取り調べの前後の供述を比較することによって、供述の信用性等を適切に判断することができます。逆に言えば、取り調べ全過程の録音等もない共犯者の供述に基づいて裁判が行われるようなことになれば、郵便不正事件と同じような冤罪は防ぐことができないのではないでしょうか。 検察は、依命通知によって、運用として参考人取り調べを含めた録音、録画をすると約束しましたが、共犯者が在宅被疑者として取り調べられる場合もこれに含まれるのかは明確になっていません。郵便不正事件の反省、合意制度への懸念を踏まえた上で、共犯者は、在宅被疑者として取り調べられる場合も、参考人の場合と同様に、運用による録音等の対象であることを明確にすべきであると考えています。 そして、共犯者の取り調べは、不当な取引や取り調べを防止し、供述の信用性等を適切に判断するための必要性が高いことから、全過程の録音等を原則とすべきであると考えます。検察の見立てに合わない初期供述は記録せず、あたかも最初から検察の見立てどおりに供述していたかのように装うことは検察のあり方として不当であり、それでは冤罪を防ぐことはできません。検察は、郵便不正事件の反省を踏まえて生まれ変わったというのであれば、共犯者取り調べの全過程の録音等を実施すべきだと考えます。 今までのような密室での取り調べをこれ以上続けることは許されません。早期に取り調べの録音、録画を実現することが真の刑事司法改革へつながる第一歩であると信じております。 どうもありがとうございました。(拍手)
○奥野委員長 ありがとうございました。 次に、桜井参考人にお願いいたします。
○桜井参考人 皆さん、おはようございます。 布川事件という冤罪を体験しました桜井昌司と申します。 私は法制審議会の方に俺を呼べと何度も言っていたんですけれども、無視されまして、とうとう法律になってしまいましたけれども、きょうここにお招きいただきまして、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 参考人として呼ばれることが確定して以来、私、冤罪の仲間たちと何度も話しました。こんな法律、どうしよう、誰一人として賛成しないんですね。俺たちが入っていないのにどうするんだよと志布志の仲間は言っていますね。痴漢冤罪が入っていないじゃないかと言うんですよ。冤罪の苦しみは、強盗殺人だけが苦しいわけじゃないですからね。痴漢冤罪も同じように生活が暴かれて、苦しいんですよね。俺たち無視されて、どうするんだと怒っているんですよね。 それに、最も核心的なことは、私たちは、警察と検察は信用できないものだと体験として知っているから、このような中途半端な法律でいいと思えないんですよ。 話をした仲間に、大阪地裁所長襲撃事件と呼ばれるものがあります。お定まりのとおりに、不良少年が逮捕されまして、最終的には、三人の少年と二人の成人が起訴されて、裁判になりました。少年の一人が彼女にメールをしていまして、そのメールを彼女がたまたま保存していたらしいんですね。それが調べの中で明らかになって、アリバイが成立して、おかげさまで無罪になりました。 私、国賠裁判を傍聴に行ったんですよ。捜査責任者の福積さんという方が証言に来ました。そうしたら、この方が、私は今でも犯人と確信していますと言うんですよね。さすがに弁護士があきれまして、この少年たちはアリバイが成立して無罪になったんですよと言ったら、何と言うかと思ったら、私はそんなアリバイを認めませんと言うんですよ。では、あなたはこの少年たちをなぜ犯人と思うんですかと言ったら、裁判所の逮捕状がありますと言うんですね。その裁判所がアリバイを認めたんです。私はそんなのを信じませんという方が今でも現職の大阪の警察官をやっておられるんですね。 私はこういう警察官について悪党警察と言いますけれども、こんな警察を信用できるんでしょうか。検察も同じですね。残念ながら、検察が反省したなんていう反省会見をした大林さん、断腸の思いとやめましたけれども、多分、自分がおやめになるのが断腸だったんじゃないんでしょうかね、あのときは。何も反省していないじゃないですか。 私は、死刑、無期事件では、戦後七件目の再審無罪事件になったんですけれども、今でも検察庁そして法務省は、桜井昌司と杉山卓男を犯人だと断言していますね。たまたま、自白という判断が難しい部分が裁判所で左右されたにすぎないんだ、桜井と杉山は犯人だ、何も変わらないと公言しているんですね。 それはそれで、私は何を言われても構いません、いいですけれども、袴田事件は、昨年三月、裁判所が証拠の捏造を指摘して、しかも、これ以上拘置することは耐えがたいほど正義に反するという決定を出しているのに、いまだに検察庁は新聞記者に、袴田巌を死刑台に連れ戻すと言っているそうですね。腐っていますよね、人間が。こんな人たちのどこを信用できるんでしょうか。 私たちは、それぞれ違う理由で冤罪で捕らわれて、犯人にされていったんですけれども、最初に冤罪をつくるのは警察なんですよね。私は、長く刑務所にいまして、仲間ですからいろいろな犯罪者と仲よくしてきましたけれども、反省しない人は再犯するんですよ。反省して、自分はこの犯罪をやってしまって悪かったと思う人は再犯しませんけれども、警察も検察も何も反省しないのに、冤罪をつくらないなんてあり得ないじゃないですか。 例外規定というのがたくさんありますよね。何か、司法関係者は、すごく善意の方がいっぱいいらして、これで大丈夫だとおっしゃっていますけれども、機械の故障というのは何なんですかね。何か、真面目に議論していると思えないんですよ。 記録したらば十分供述が得られないときというのは、どういう状態なんでしょうか。要するに、やったと言わせられないときじゃないんですか。やったと言わせられないときは録画をとめて何をやるんでしょうか。昔と同じように、殴ったり蹴ったりしたり、おどしたりするんじゃないんですかね。それをやらないという保証はどこにあるんでしょうか。 こんな中途半端といいますか、信用できない、抜け道を用意しておいて可視化して、それが冤罪を防ぐ手段だなんて、私は到底思えないんですよ。この委員会でも何か、井出先生でしたか、御質問された方がいらっしゃると思うんですけれども。 そもそも、冤罪をつくっているのは警察と検察ですよね。その警察と検察がなぜ、今まで過度に調書、取り調べに依存したところがあってまずいということで法律を改正する審議会の委員になるんですか。不思議でしようがないんですよ。泥棒に鍵を与えるとまでは言いませんけれども、そもそも冤罪をつくった人たちが審議会に来て、新しい法律なんかできるんですか。できっこないじゃないですか。だから、こんな中途半端な法律になったと私は思うんですよね。 足利事件の菅家さんはこう言いましたね。俺が自白しちゃったのは逮捕される前だったんだよ、おっかなくてさと言っていましたよね。 柳原浩は、きのうもちょっと電話で話をしたんですけれども、彼の国賠裁判を傍聴に行きまして、国や県が何を言ったかというと、自白した柳原浩が悪いと言うんですよ。そもそも柳原は自分で進んで自白して刑務所に行ったんじゃないか、俺たちには責任がないと言うんですね。柳原さんは、真犯人が出まして、無実であることがはっきりしました。真犯人が出た事件で、その方が刑務所に行ってまでやったと認めた痛みというのがわからないんですかね、検察官も警察官も。それは三年ぐらいの大した事件じゃないかもしれないんですけれども、彼は本当に刑務所の中にいても怖くて、やっていないと言えなかったんですよ。その人に対して国や県は、やったと言ったおまえが悪いんだ、自分から進んで刑務所に行ったんじゃないかと。この言いぐさは何なんだというんですよね。 こんな警察や検察をそのまま許しておいて、例外事項をつくって、果たして冤罪が防げるのか、そんな一部可視化で。私は、絶対あり得ないと思いますね。そもそも、こういう柳原さんのような事件も可視化にならない、あるいは菅家さんのケースも可視化にならない。参考人で調べられる状況を警察は可視化しないじゃないですか。これで冤罪なんか防げませんよ。 どなたが言ったか忘れましたけれども、今、ICレコーダーというのは三千円か四千円であるじゃないですか。本当に真剣に冤罪を反省して、非道な調べをしないという思いがあるんだったら、全警察官に持たせればいいじゃないですか。先ほども、何かリスクが、可視化すると認めなくなるとかあるいは弊害があるとおっしゃった方もいますし、何か警察もそう言っているそうですけれども、弊害というのは何なんでしょうか。私はそれも理解できないんですよ。 そもそも公務員ですよね、警察官の方も。公務員が自分の仕事を録画されるというのになぜ反対するんでしょうか。我々一般人は、通行していても、常に監視されているじゃないですか。今、何か事件があるときに、警察の取り調べというのは街頭カメラがなかったら成り立たない状況じゃないですか。我々を丸裸にしておいて、自分たちは可視化されるのは嫌だなんて、こんなのはあり得ませんよ、大体。もしもそれで嫌だったら、そういう方は警察官をおやめになればいいだけだと思うんですね。それでもいいという方に警察官になっていただけばいいじゃないですか。 日本の治安は警察が守っているなんとおっしゃっているけれども、私はそう思っていません。今、犯罪検挙率というのは何%なんでしょうか。百件犯罪があったら、三十数%ですね。それは野球だったら非常に優秀な選手でしょうけれども、犯罪でたかだか三十何%しか逮捕できない警察が、我々が治安を守っているとどこから言えるんでしょうかね。 日本の治安なんというのは、日本人の規範性、規律性が守っているんですよ。もしあした全国各県で警察を廃止してALSOKやセコムにしたって、治安は変わらないと思いますね。確信しています。 本当に真面目な警察官、司法試験に合格して正義の検察官になろうという人たちはきっと同じ思いだと私は思うんですよ。本当に小さな冤罪事件も全て含めて、冤罪がなくなるような可視化にしていただきたいと思います。可視化についての議論はそういう思いです。 あと、証拠開示の問題ですけれども、なぜ証拠物が検察の独占物なんでしょうか。信じられません。法曹界の常識が信じられません。国民の税金で集めた、我々の税金で集めた証拠が検察官の独占物で、開示する法的根拠がないなんておっしゃいますよね。開示しなくていいという根拠はあるんでしょうか、法律が。ないはずなんですよ。運用として検察官の独占物だとやっているだけじゃないですか。 氷見事件では真っ黒な証拠しか出てこないんですよね、真面目に対応しません。今、私は国賠裁判をやっていますけれども、私の国賠でも同じですね。 やはり、冤罪を防ぐには、検察官が見られた証拠というのは、当然、法曹三者である弁護人も見られるべきだと私は確信を持っています。ですから、証拠開示については、リストなんかでは不十分ですね。何が書いてあるかもわからないリストで果たして正しい運用ができるか、私たちは疑問に思っています。これは反対します。 もう一つ、盗聴法なんて論外ですね。 共産党の国際部長だった緒方さん宅盗聴で、神奈川県警は個人的な犯罪なんて言いましたけれども、そんなはずないじゃないですか、誰が考えたって。そんな子供だましを言っていたらだめですよ、うそを言っちゃ。共産党だからいいんでしょうか。何か、公明党のどなたかが、秘密のことをささやかれたとありましたよね、先生。たしかあったはずなんですよ。 私、刑務所の中で、面会はのぞかれ、手紙は見られという本当に嫌な思いを味わったんですよ。真面目に警察がやってくれるのならいいですけれども、本当に不届きな人がいて、自由に盗聴できるようになったら怖いですね。しかも、可視化はたかだか数%なのに、窃盗を含めて膨大な量の盗聴を立会人なしでやるなんて気持ち悪いですね。こんな気持ち悪い社会を、皆さん、許せるんでしょうか。 あと、最後にもう一つは、司法取引。私は密告取引法と言っていますけれども。 今までも冤罪事件はたくさんありました。他人の犯罪を申し立てて自分が助かるということがたくさんありましたね。 西松建設事件というのはどうなったんでしょうか。あれは小沢さんを狙い撃ちした冤罪じゃないんですかね。つい先日の美濃加茂市の市長事件はどうだったんでしょうか。 もし検察あるいは警察がどなたかを狙い撃ちして、こいつの足を引っ張るよとやったら、誰でもできるんですよ。これは、先生方は恐怖を感じないんですかね。若狭先生あたりは大丈夫かもしれません、自分が検察官だったし、もしくは問題ないかもしれないですけれども。誰だってやられるじゃないですか。これは本当に、こういうものを何の怖さも感じずに平然と皆さんが立法を許すとしたら、本当に、私、信じられないような思いでいっぱいです。 余り時間がないので、最後にちょっと一つ申し上げますけれども、一九八〇年代に死刑四事件が再審で無罪になりました。検察官合同と称する首脳会議で、検察官は反省したそうですね。死刑四事件がなぜ無罪になったんだ、証拠を出し過ぎちゃったという議論をしたんだそうです。信じられませんよね。そういう議論をした人はもう全部退官していますけれども、何か、一遍死刑囚にしてやりたいですね、どんな痛みを感じるか。 カナダでは、あのマーシャル事件という冤罪をきっかけに、マーシャル法というのができました。なぜ冤罪が起きたんだということで、できましたよね。日本では、死刑四事件があっても、足利事件があっても、布川事件があっても、そして東電OL殺人事件があっても、何で何の究明委員会もできないんでしょうか。それが不思議でしようがないんですよ。これは本当に、私、国会議員の皆さんの責任じゃないかと思うんですよね。 ぜひ本当に冤罪の痛みを御自身の痛みと感じて、それは公共の福祉も大事かもしれないですけれども、やはり本当に一人の痛みに同調して、冤罪のない社会、そして冤罪の苦しみに悩む人がいない法律にしていただくために、ぜひ真剣に考えていただきたいと本当に冤罪者一同は思っています。 そして、このような中途半端な可視化や証拠リスト開示を含む法案は絶対通していただきたくないと思いますので、ぜひぜひ深く検討していただいた上で決議していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 きょうはありがとうございました。(拍手)
○奥野委員長 ありがとうございました。 次に、加藤参考人にお願いいたします。
○加藤参考人 ただいま紹介されました、弁護士の加藤と申します。 私は弁護士ですから、もちろん日本弁護士連合会の一員ではありますが、きょうは、今回の一括法案に反対する立場から意見を述べさせていただきます。 私は、弁護士をして二十七年になるんですが、特に刑事事件を専門としているわけではありません。ただ、いわゆる痴漢冤罪事件を何件か担当し、幸い、うち二件については、最終的には無罪をとることができました。また、例えば、国家公務員が休日に共産党の機関紙をまいたというだけで犯罪にされる、そういう国家公務員法事件を約十年間担当して、やっと最高裁で無罪を確定することができました。どちらかというと、裁判員裁判とはちょっと違うところでの刑事裁判で苦闘してきた、そういう経歴がございます。 また、私は、自由法曹団という全国約二千名の弁護士で構成している団体の常任幹事も務めておりまして、委員の皆さんのお手元には、今回の法制審答申や法案について批判する意見書を配付させていただいているところであります。 このような経験を踏まえまして、今回の法案についての意見を述べさせていただきます。 最初に申し上げたいのは、まず、今回の刑事司法改革の原点といいますか、目的であります。参考人がるる申し上げているとおり、今回の刑事司法改革の出発点は、相次ぐ冤罪に対する反省に立って冤罪を防止する、そういう刑事司法に改めていく、そういうことにあったことは明らかです。 先ほど来引用されております検察の在り方検討会議の提言では、「不当な誘導等を防止し、取調べ及び供述調書に過度に依存した現在の捜査・公判実務を根本から改める」、あるいは「虚偽の自白によるえん罪を防止し、被疑者の人権を保障する観点から見ると、被疑者の取調べの録音・録画が有効であり、その範囲を積極的に拡大していくべきである」ということが明瞭に書かれております。 しかしながら、今回の法案の提案理由説明あるいは衆議院本会議での趣旨説明を見ましても、この検討会議の提言で明記されている、冤罪の防止ですとか、あるいは違法、不当な取り調べの抑止、そういった目的が明瞭に述べられておりません。この点は非常に残念です。特にこの点は、法案全体の骨格、それから位置づけにかかわる重要な問題ですので、決して曖昧にすることなく、この委員会、そして国会で議論をいただきたいというふうに思っております。 それから、冤罪の防止という観点ですけれども、冤罪というのは、いろいろな事件の中でたまたま起こったというものではないと考えております。やはり、冤罪を生み出す構造がある。その点からすれば、この捜査構造というのは、代用監獄という警察の管理下にある留置場で長期間の身柄拘束がされる、そして、その密室の中で取り調べがされるという中で虚偽の自白が生まれる、これが構造的な問題です。この構造が、憲法三十八条が保障する黙秘権を侵害し、虚偽の自白を生み出してきた、これは明らかだと思います。 今議論されている取り調べ過程の全面可視化は、誘導やおどしによる捜査機関の違法な取り調べを抑止し、被疑者の黙秘権を保障するための最低限の措置です。したがって、さらに進んで、捜査段階における身柄拘束自体のあり方の問題、あるいは弁護人の立ち会い権、取り調べに対する拒否権など、この捜査構造全体の抜本的改革に議論が進むべき問題でした。 しかし、この間の法制審議会の議論では、このような本質的な議論については、議論をする前に封殺されてしまったと言わざるを得ないところが非常に残念であります。 ここで強調しておきたいのは、身柄拘束というものが被疑者や被告人に対して深刻な影響を与えるということです。これは、事件の大小を問いません。 先ほど申しました痴漢冤罪の例でいいましても、一人は、保釈されるまで百六日間身柄を拘束され続けました。もう一人は、二十八日間身柄を拘束されました。普通の社会人にとって、二、三日でも、あるいは十日間身柄を拘束されてしまえば、裁判で有罪、無罪が出る、その結論に関係なく、社会的な存在を抹殺されるに等しいような不利益を受けます。何年もかけて最終的に無罪を得たとしても、その間に失った多くのものを取り戻すことはできません。私が担当した痴漢冤罪の被害者も、最終的に無罪をとりましたが、さまざまな不利益をこうむり、その傷はまだ癒えておりません。 そして、そのような身柄拘束の不利益をわかっていればこそ、心ならずも、早く釈放されたいがために、やってもいない事件を認めて早く出してもらう、こういうこともよく見られるところであります。まず議論の出発点として、この点をぜひ御認識いただきたいというふうに思います。 こうした構造の中で、弁護人の立ち会いもなく、また長時間の取り調べがされれば、誘導やおどしによって虚偽の自白が生まれてしまう、これが構造的な危険です。この構造的な危険を改革しなければ実効性のある冤罪の防止にはつながらないというふうに思います。 もう一言つけ加えさせていただければ、特に痴漢冤罪事件では、被疑者に対する取り調べもそうですけれども、被害者の供述が大きく変遷したり、あるいは変わっていくということがあります。これは取り調べの中で思い込みがさらに固められるとか、あるいは捜査官の誘導によって実際には体験していない事実が詳細に語られるということは、私が担当した事件の調書でも見られるところです。そういう意味では、やはりこの供述調書自体がそういう危険を含んでいるということもぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。 法制審の特別部会の議論をやっているさなかの昨年三月二十七日に、静岡地裁で袴田事件第二次再審についての再審開始決定が出されました。 詳しくは申しませんが、この決定は、長期間の身柄拘束下での取り調べによる自白の強要、そういう捜査の仕方、あるいは捜査機関が証拠を隠蔽、捏造したことを厳しく指摘しています。この決定の指摘した中身を真摯に受けとめれば、取り調べ過程の全面可視化と、そして検察官の手持ち証拠の全面開示、これは待ったなしに実現すべき課題であることは明らかではないでしょうか。 しかしながら、法制審議会では、この袴田再審開始決定についてまともに議論された形跡すらありません。そればかりか、検察官は、この再審開始決定に対して即時抗告を行いました。いまだに袴田さんの再審公判すら開始されておりません。このような捜査機関の無反省な態度をそのままにして刑事司法改革を論じること自体、果たして許されることかどうか、お考えいただきたいというふうに思います。 次に、今回の法案の中身の一つである取り調べ過程の可視化の問題について意見を申し上げます。 今まで申し上げました冤罪の防止、特に違法、不当な取り調べの抑止、そして被疑者、被告人の黙秘権の実質的保障、そういう目的、観点からすれば、取り調べ過程の録音、録画を一部の事件に限定する理由はありません。当然、全ての事件に適用されるべきです。 しかしながら、今回の法案では、るる指摘されているとおり、その対象事件は裁判員対象事件と検察官の独自捜査事件という、全体の二%あるいは三%と言われる、ごく一部に限定をされました。 そもそも、法案では、捜査段階の自白調書を証拠として使うということが前提とされています。そして、この取り調べ過程の録音、録画というのは、専ら、裁判における供述調書の任意性立証の簡便化あるいは効率化、そういう観点から構成されています。つまり、これは、立証する側あるいは裁く側、その視点から専ら位置づけられているとしか言いようのない規定になっています。 つまり、被疑者、被告人の人権保障という観点からすれば、当然、規定自体が、自白調書の任意性の取り扱いではなくて、端的に捜査機関に取り調べの全過程の録音、録画を義務づける、そういう規定になるべきものが、なぜこの供述調書を使うことを前提にした任意性の問題にすりかわっているのか。私は、この点は非常に原理的な問題として看過してはならないというふうに考えます。 ところで、法律が定める対象事件以外で検察官が取り調べの録音、録画を試行する、そういう議論もあります。ここで強調したいのは、警察の取り調べ段階での録音、録画なしに、検察官の取り調べだけを録音、録画しても、違法な取り調べを抑止する効果はありませんし、かえって、警察段階で自白した後の検察の取り調べの過程を録音、録画したものが法廷に提出されると、仮に虚偽の自白を警察段階で余儀なくされた場合に、それを覆すことはより一層困難になると言えますので、やはり取り調べ過程の録音、録画、全過程を録画、録音しなければ意味がないということを改めて強調したいというふうに思います。 それから、今回の法案では、対象事件が一部に限られた上に、広範な例外規定が設けられています。 詳しくは申しませんが、これらの例外規定のうち、例えば被疑者が十分な供述をできないと認められるとき、畏怖させもしくは困惑させる行為がなされるおそれがあるとき、この要件自体は極めて抽象的ですけれども、本質的な問題は、この判断を一次的に捜査機関が行うことになっているということです。これでは例外規定の濫用を防ぐことはできません。 捜査機関が仮にこの規定に違反した場合でも、そのペナルティーは、録音、録画をしなかったその取り調べで作成された調書が証拠として採用されない、こういう限度にとどまります。ですから、ほかの録音、録画した取り調べで獲得した自白調書は証拠能力が認められる可能性が高い、そういう問題もあるということです。 さらに言えば、録音、録画をしないで、その過程で違法、不当な取り調べがあったとしても、被疑者、被告人が争わないでそのまま審理が終結してしまえば、その過程が検証されることはありません。そういう危険性にも注目していただきたいと思います。 今回の可視化のみならず全体の法案に関連することですけれども、刑事司法にかかわる手続というのは、ともすれば真相究明という大義名分のもとに、あるいは職務熱心と言ってもいいでしょうが、被疑者、被告人の人権が侵害される、それを正当化される危険が常に伴っています。したがって、刑事訴訟法等の規定には、その規定自身に、捜査機関による濫用を許さない、そういう歯どめがかかっているという厳密性が必要です。 前述した録音、録画の例外について、衆議院本会議において法務大臣は、「例外事由が恣意的に運用される余地はないものと考えております。」というふうに答弁されましたが、それは考えているだけで、規定を読む限り、そういう結論はとても出ないというふうに私は考えます。 また、いわゆる盗聴法、通信傍受法についても、法務大臣は衆議院本会議において、いわゆる組織性の要件についてですが、「確かに、通信傍受法の要件の上からは、二人の共犯事件が傍受の対象となることもあり得ます。」しかしながら、「実際に通信傍受の厳格な要件を満たす事案は組織的な犯罪に限定されることとなると考えております。」と答弁されています。しかし、法律上は適用拡大が可能だけれども実際にはそのようなことはしませんというこの答弁が一番危ないんです。これは今審議されているいわゆる安保法制、戦争法制でも同じような議論がされていますけれども、そういう濫用のおそれのある規定は絶対に許してはいけない、そういう立場からの吟味もお願いしたいというふうに思います。 それから、捜査機関の権限濫用のことで申し上げたいのは、捜査機関というのは、一つ権限を与えると、やはり可能な限り拡大して使おうとするということです。 先ほど申し上げた堀越さんの国家公務員法違反事件では、たかが休日にビラをまいた、これを犯罪として立件するために、約一カ月間にわたって、警視庁公安部が延べ百七十一名の警察官、六台のビデオカメラ、四台の車両をフル投入して、文字どおり二十四時間堀越さんを尾行し、盗撮を行いました。この事件は最終的に無罪になりましたけれども、これによって堀越さんがこうむったプライバシー侵害、あるいはそのつき合いのある人がこうむったプライバシー侵害の傷跡は消えることはありません。もちろん、この事件について警察は、緒方宅盗聴事件同様、いまだに謝罪もしておりません。 こう言いますと、お聞きの方は、これは共産党だとか、あるいは政府に反対する人が対象になるんじゃないかと思われるかもしれませんが、捜査権力というのは、一旦そういう武器を手にすると、限りなく肥大化していきます。これは与党、野党を問いません。 この点に関して、少し前ですが、一九八〇年に、元警察幹部の江間さんという方が、警察がいろいろな形で収集した情報をどう使っているかということについて、このように言っています。毎日報告書、こんなに分厚い報告書が内閣に出てね、何々大臣、何々代議士まで報告されていると。ここからが大事なんですね。代議士だって警察OB以外には行きませんよ、それから特別な人以外には行かない、だから、元警察庁長官というあいつらが大きな顔のできる理由は何かというと、その情報でしょう、こういう証言をされております。 皆さんの中で、この中の特別な人に当たるかどうかはちょっとわかりませんけれども、そういう意味でいうと、全ての方がそういう情報等の監視の対象にされている。法律が成立して、濫用の危険がわかってからでは遅いんです。今ここで、濫用のおそれのある規定はやはり直ちにやめさせる、成立させないということが大事です。 最後に、この一括法案全体の審議の問題について意見を申し上げます。ここが私が日弁連と意見を異にする最大の理由です。 今回の法案は、刑事訴訟法関連でも九つの大きな内容、それから五つの法律の改正案が一括法案として出されています。そのため、全く性格の異なる法律案が一括で議論されます。ですから、可視化がどうなのか、冤罪防止のために可視化がどうなのかの議論をしたいのに、盗聴法だ、司法取引だ、その他のことも全部一括しなければ法案にならないという非常に異常な形で法案が提出されていると言わなければいけません。 刑事訴訟法等改正案の中の等に、盗聴法、いわゆる通信傍受法の拡大が含まれているように見る人はいるでしょうか。誰もわからないです。 残念ながら、私が所属する日弁連は、取り調べ過程の可視化が法制化されるというその一点で、全体の一括採択に賛成をし、法案の早期成立を望むという見解を示しておりますけれども、これはやはり、国民から見れば理解のできない誤った方針だと言わざるを得ません。 実際、今回の法案提出に際しても、十八の単位会で反対あるいは慎重審議の意見が表明されております。はっきり申し上げますが、今回の一括法案に賛成する弁護士は決して多数派ではないというふうに私は自信を持って言い切れます。うそだと思ったら、弁護士に聞いてください。 法制審では、いろいろな思惑から答申が一括採択をされました。しかし、国会審議はそれに拘束される理由は全くないと思います。あくまで憲法や刑事訴訟法の原則、これを守るという立場で、国民の目線から、あるいは先ほど陳述された桜井さんのような当事者の立場から、内容について徹底的に審議を尽くしていただきたいと思います。 冤罪が起こった原因はどこにあるのか。その原因を克服するために何をすべきなのか。そして、取り調べ過程の全面可視化に反対しているのは誰で、どういう理由で反対しているのか。それが正しいのかどうか。盗聴法を拡大し要件を緩和することは本当に許されるのか。他人の犯罪立証に協力する見返りとして自分の罪を免れたり軽くしてもらう、そういう取引を制度化することが果たして許されるのか。一つ一つについて議論を尽くしていただければ、今回の一括法案が、極めて不十分であるというだけではなく、とても危険な内容を含んでいることが明らかになると私は確信をいたします。 国会において審議を尽くさないで多数による強行が許されないことは当然ですが、とりわけ刑事訴訟の分野、刑事司法の分野ではこのことが言えます。 ぜひ、今回の一括法案について、徹底審議の上、今国会では廃案にするということを訴えまして、私の意見陳述といたします。 ありがとうございました。(拍手)
○奥野委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○奥野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 先ほどちょっと申し上げたとおり、発言をされたい方は、ぜひ挙手をしていただいて、あるいはこちらから指名する場合もあると思いますが、ルールを守っていただきたいと思います。 宮路拓馬君。
○宮路委員 改めまして、おはようございます。自由民主党の宮路拓馬でございます。 本日は、法務委員会において初めて質問をさせていただく機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。 また、椎橋参考人、内山参考人、周防参考人、周防監督は、初めまして、すばらしい映画監督でいらっしゃると思っております、桜井参考人、そして加藤参考人、貴重な御意見を開陳いただきまして、まことにありがとうございます。胸打たれるものがございました。 今回の刑事訴訟法等の一部を改正する法律案でございますけれども、私は、法曹の専門家でもございません、そしてまた、昨年末初当選をさせていただいた国会議員として、どちらかというと一般人に近い立場で御質問させていただけるのではないかな、このように考えております。 今回は、取り調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却ということがメーンテーマということで、それにより、証拠収集手段の適正化、多様化、そして充実した公判審理の実現、これが具体的なあり方として提案されているもの、このように考えております。 特に、私は鹿児島の選出でございますので、志布志事件が記憶に新しいところでございます。したがいまして、今回の可視化につきましては、やはり、まずは志布志事件が頭に思い浮かんだところではございますが、今、参考人の皆様からそれぞれございましたとおり、志布志事件については対象事件には含まれないということでございます。 今回、対象事件につきましては、裁判員制度対象事件と検察官独自捜査事件であるということで、私も、ふだん報道に触れる限りでは、冤罪というのはそれなりにあるという意識があったんですけれども、政府側の説明を聞く限りでは、私が認識していないところでたくさんの事件があって、その供述の任意性が争われるのは、千分の一といったような数を聞いたこともございますが、そうした非常に限られた事件であると。 また一方で、先般、警察署あるいは検察庁におきまして可視化の現場を視察させていただきました。確かに、特に警察ですね、全ての署において可視化の機器を整備するのは物理的になかなか時間のかかる問題であると。あるいは、今後、当法案が成立いたしまして、可視化されたものが裁判所に提出されるに当たっては、当然、捜査機関側もその内容を確かめないといけない。それに膨大な時間がかかるというのは実際あることかなと思ったところでございます。 したがいまして、今回、まずは、裁判員制度対象事件そして検察官の独自捜査事件に対象を限定するというところは、一定の合理性があるのかなと考えているところではございます。 一方で、実務上の運用として、検察の方が、罪名を問わず、身柄事件であって被疑者の供述が立証上重要である事件などの被疑者の取り調べ、あるいは被害者、参考人の供述が立証の中核となる事件などの被害者、参考人取り調べにおいても取り調べの録音、録画を積極的に実施することとしているという運用がなされていること、そしてまた、先ほど椎橋参考人あるいは内山参考人のお話にもございましたとおり、こうした運用を積み重ねることによって、裁判所の方が、可視化されていない、つまり録音、録画されていない取り調べ、供述調書については証拠としての判断を抑制するようになる。そうした運用によって、より適切な取り扱いになるのではないか。そしてそれが、施行後三年経過後の検討において再度見直しが行われるということで、現実に即した、そしてこれからも改善の余地があるものと考えております。 改めて、各参考人に、今回の対象事件の範囲についての考え方についてお伺いできればと思います。椎橋参考人、お願いいたします。
○椎橋参考人 宮路委員御指摘のように、私は、現在の法案が出しております裁判員裁判対象事件、検察独自捜査事件、これをまず対象とするということが賢明であり、また現実的だというふうに思っております。 これは、両事件とも、やはり任意性に争いのある率の高い事件でございますし、それから、やはり社会的に見ても関心の高い事件ということでございます。それから、裁判員対象事件については、国民が参加する裁判において、やはりそれをわかりやすいものにするという必要がありますので、何か紛糾があった、任意性に争いがあるという場合には、確実にそれが録音、録画されているという裏づけがあるということが必要だというふうに思います。 それから、任意性を争う事件が実際には数の上では多くないということで、宮路議員御指摘のように、三年前ぐらいですと〇・三%、千件に三件ぐらい、最近の統計によりますと〇・一%、千件に一件ぐらいということでございます。そういうことから考えますと、これから検察も警察も幅広く試行的に運用を行うということになっておりますので、問題になりそうな事件はその運用によって賄われるということになる場合がほとんどだろうというふうに思われますので、運用を見て検証して、その上で、必要があれば見直すということが一番大事だろうというふうに考えております。
○宮路委員 申しわけございませんが、同趣旨の質問について、内山参考人の御見解をいただければと思います。
○内山参考人 内山です。 日弁連の立場としては、犯罪のいわゆる重大性がどれぐらいあるかどうかによって、その大小によって冤罪の危険性というのは変わらないというふうに考えています。したがって、あらゆる事件について全過程の可視化が必要だというのが基本的な立場です。 したがって、今回の立法についても、本来、対象事件を限定する十分な理由はないというふうに考えていますので、今回の立法については成立を求めるという立場ですけれども、これはなるべく早く拡大されていかなければいけないし、いくべきものだというふうに考えています。 その間の手当てとして、弁護士としては、なるべく早く逮捕、勾留された被疑者のもとに駆けつけて面会をして、場合によっては、しゃべるなと。そして同時に、捜査機関に対して、速やかに可視化をしろという要求を突きつけていくという実践で対応するということになろうかと考えています。 以上です。
○宮路委員 今、弁護士のお立場としての内山参考人の心意気をお聞きしました。私も、国会議員として、その運用実態あるいは成立後の実態を見きわめて、見直しの機会に、あるべき姿により近づけるようにしっかりやっていきたい、このように考えております。 先ほど申し上げたとおり、私は、どちらかというと一般人の感覚が色濃いと思います。昨年までは役所勤めをしておりまして、いわゆるサラリーマンとして通勤電車に乗って通っておりました。やはり痴漢の冤罪というのは、マスメディアの報道で見たりして、人ごとではないな、怖いなという思いで、なるべくそういう嫌疑がかけられないように注意をしていたところでございます。 今回は、痴漢の事件も、制度上は対象にはならない。しかしながら、検察官の運用のところで、任意性が争われそうなところについては録音、録画をやっていくというところで、それを積み重ねて三年後の話があるのかなというふうに思っておりますが、そうした考えも含めまして、周防参考人のお考えを聞かせていただければと思います。
○周防参考人 録音、録画の対象事件がこれほど少ないこの法案に同意というか合意した理由は、一つしかありません。これは、ちなみに、あの会議での有識者五人の意見を代表するものではありません。 私個人が一番強く考えたのは、このまま法制化をしない、要するに、取り調べの録音、録画の対象事件も決めず、それも、全過程であるかどうかも決めず、このまま放置しておくと、警察や検察は、それぞれ自分たちに都合のよい形での録音、録画をどんどん広げていく。要するに、法律がない中で、警察、検察にとって都合のいい録音、録画をすることによって、取り調べ室をちゃんと密室から開放しますよという形をとりながら、多分、いつでもそういうことができるような状況になるわけです。これは、一年でも二年でも法律がおくれていけば、録音、録画というものがどういうものかというのを、警察、検察それぞれが自分たちの組織にとって都合のいい形で広げていく。 それで、怖いのは、これを裁判所がどんどんどんどん追認していく。調書裁判につきましても、裁判所は、自分たちとは関係のないような顔をして、警察、検察のおかげで自分たちもだまされたというような顔をしてあの会議でもいらっしゃいましたけれども、実は、裁判所が曖昧な調書を認めてこなければ、調書裁判なんという現実は生まれなかったんです。皆さんなかなか裁判所批判はされませんが、僕は、現状の刑事司法について最も責任があるのは実は裁判所だと思っています。 それを考えますと、警察、検察が、自分たちの意思でこれほど、こんなふうに録音、録画をしていますという実績を積み上げて、それを裁判所が追認し、知らぬ間に、法律でない間に、いや、もう運用でどんどんやっているから法律は要らないでしょう、そういう状況になると、ますます冤罪を生む温床が拡大されていく。その危険を考えて、取り調べを録音、録画するとはどういうことかというのをきちんと法律で決めておくこと、対象事件が狭くても、今回、全過程での録音、録画が決められました。 ここで、例外事由というとんでもないものができていますが、これについては、裁判所に本当に厳しく、ここでまたいいかげんな例外事由を認めるようなことになって、録音、録画の実施がどんどん少なくなっていく、そういう状態をもし裁判所が生むようなことがあれば、ますます裁判所の責任は重くなると思います。 私は、裁判所を信じて、録音、録画を法律としてここで決めること、これは非常に大きなことだと思っています。私が合意したのは、実はそこです。今法律で決めなかったら、ますます録音、録画は間違った方向へ進んでしまうのではないか、それを大きく心配しました。 以上です。
○宮路委員 桜井参考人におかれましては、先ほど、大反対だといったようなお言葉をいただきました。その中にあっても、今、周防参考人のお話にもございました、全て可視化すべきだという中にあっても今回の改正案は意義があるという御意見をお聞かせいただきましたけれども、桜井参考人におかれましても、もし今回評価するべき点があればお聞かせいただきたいと思います。
○桜井参考人 私たちも、ただ怒っているわけじゃないんですよね。たとえ一部とはいえ、全てが録画されれば、それは大変大きな力になると思います。それは我々冤罪仲間でも評価しているんですよ。なぜやったと言ってしまうのか、言わされてしまうのか、その経過が明らかになれば、それは大きな力になりますけれども、とにかく、警察と検察庁というのはずるいんですよ。抜け穴を使うんですよ。 残念ながら、日本には韓国のような腰のある裁判官は少ないですよね。韓国が可視化されましたのは、ある裁判所で、全面可視化しない証拠は認めないという判決が出て全面可視化が始まったと伺っていますけれども、日本でそんな裁判官はいますかね。 それを考えますと、やはり私たちは、検察の言いなりに唯々諾々と有罪を重ねる裁判所を信頼できないという思いが非常に強いんですね。ただ、全面可視化されれば、それはそれなりに非常に有効だということは認識していますので、それだけは知っていただきたいと思います。
○宮路委員 桜井参考人からも、今後の運用をしっかりと見きわめて、見直すべきはしっかり見直せというお言葉をいただいたものと感じました。 加藤参考人におかれましても、同じく、今回の可視化につきまして、対象事件の範囲、もし御意見があれば再度お聞かせいただければと思います。
○加藤参考人 私も、取り調べの全体を可視化するということが一部であれ通ったこと自体は、この間の弁護士の努力も知っておりますので、別にそれ自体を否定するつもりはありません。 ただ、先ほども申しましたように、段階的にやるにしても何にしても、やはり取り調べの過程は録音、録画して検証可能にしなきゃいけないという原則を確認してほしいんです。これは国会でできることだというふうに思います。今の規定はそうではなくて、たまたま争いになりそうな裁判について、裁判での立証を簡便にする、効率化するというこの設計自体が僕は間違っていると思うので、そこはやはり大いに議論していただきたいと思います。 もう一点、痴漢冤罪事件などでいいますと、一番大きな問題は、全く不要な身柄の拘束がされているということなんです。サラリーマンの方がたまたま痴漢の容疑をかけられて、やっていないと否認したときに、では、家族を置いて逃げますかということなんですね。ところが、ほとんど逮捕されて勾留がついちゃう。ですから、私たちの一番大きな弁護活動は、最初の三日目に勾留裁判官と会って、とにかく何でもいいから釈放しろ、勾留するな、ここに精力を注がざるを得ない。 ですから、裁判所が安易に身柄の勾留の令状を出しているところにも大きな問題があるので、身柄拘束を前提にした議論なんですね、今の議論は。そうじゃなくて、本当に必要でない身柄拘束も含めて、今の令状のあり方も含めた議論が本来必要ではないか。痴漢事件では特にそのことを感じます。 また、痴漢事件では、逆に、被害者と称する方の思い違いや勘違いが正される機会がないままどんどん供述がつくられていく、そういうことを先ほど申し上げましたが、その点もあわせて御議論いただきたいというふうに思います。
○宮路委員 二十分というのは本当にあっという間だなという感じがいたしました。残り一分、二分しかございませんので、最後、済みません、加藤参考人に一つお伺いしたいことがございます。 今回、もちろん弁護側から録音、録画を求める意見が強まっている一方で、その録音、録画のもと、被疑者が黙秘するケースがふえているという声も一方で聞いております。その心として、弁護戦略としての黙秘の活用ということもあるというふうに伺っているところでございます。 今回、録音、録画をすれば、少なくとも対象事件に関しては、全て記録されて無理な取り調べはされなくなるのかなと。それにもかかわらず、あえて黙秘をする必要はないとも思うんですけれども、実際、こうしたケースがふえているという実感をお持ちか、そして、もしそうであるとすれば、どうした理由によるものか、お聞かせいただければと思います。
○加藤参考人 ちょっと、統計的なことについて私は申し上げる立場には全くございませんが、黙秘というのは、当然これは憲法上保障された権利ですから、権利を行使するかどうかというのは個々それぞれですから、私たち弁護人も、黙秘権があるのを前提に黙秘を勧める場合もあれば、逆に、積極的に真実を話すということを勧める場合もございます。 ただ、しゃべらなくなったから弊害があるということは全く承服できません。それは本来、しゃべらなくなったから弊害だということ自体、間違っているというふうに言わざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
○宮路委員 まだまだお聞きしたいことはたくさんあったんですが、今回、参考人の皆様方から、これは一里塚であるといったような話だったと私は受けとめております。宿題をいただいたという意識で、これからも取り組んでまいりたいと思います。 本日は、まことにありがとうございました。
○奥野委員長 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。 きょうは、五人の参考人の皆様、本当に貴重な御意見を賜りまして、心から感謝申し上げたいと思います。 早速質問に入らせてもらいますが、まず、この法案の全般、概括的評価について、椎橋参考人と内山参考人にお尋ねしたいと思うんです。 我が国の刑事手続が、捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存している、ここから脱却しなければならないという命題、これはもう当委員会でも、随分前から、長い間指摘され、議論されてきたところであります。有罪の者を無罪にしちゃならないし、逃がしちゃならないし、無罪の人を処罰してはならないし、この二つの命題をどういうふうに両立させていくのか、非常に難しい問題、難しい作業が我々に課せられておるんだというふうに思っております。 そんな観点から今回の法案を見てみますと、一方で、冤罪防止に有用な取り調べの録音、録画制度の導入、他方では、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の創設、あるいは通信傍受対象事件の拡大など、捜査機関に、新たな捜査手法の導入だとか従来の捜査手法の拡大が認められている内容になっております。 全体として、最初に申し上げた命題の一歩前進と言えるのではないのかなと思っておりますが、この点についてのお二方の参考人の御意見を聞きたいというふうに思います。
○椎橋参考人 御質問ありがとうございました。 私は、全体としては、一歩、二歩、むしろ三歩、かなりの前進をするというふうに考えております。 御指摘のように、今までいろいろ問題もございました。その原因は、やはり取り調べとか供述調書に過度に依存した捜査にあった。それを、それに依存しないで、充実した公判を実現する、そういう形に直していこうではないかということがあって、これが検察の在り方検討会議から法制審議会に引き継がれている問題だと。 それについて我々は検討したわけでありますけれども、全体として、録音、録画の義務化、国選弁護の充実、それから証拠開示の拡大といったような、非常に被疑者の人権に資するような、しかもそれが公判審理の充実に資する、そういうようなことが、取り調べを適正にし、そして公判を充実させるという、そのためのものであります。 他方で、取り調べに過度に依存しないという点については、捜査自体が大きな支障をこうむるということになると、犯罪が多発して、しかもそれが検挙できないということになると、国民全体の自由、財産、生命、身体、こういったものが侵されるということになりますので、これは防がなければいけない。そのために、より客観的な証拠収集の方法として通信傍受がある。それから、供述証拠についても、取り調べには依存しない、しかし、協議・合意制度とか、あるいは刑事免責というような手法を導入して、それを補っていこうと。 これはちょっと誤解があると困るんですけれども、協議・合意制度といいますのは、これは、それに応じるかどうかは全く被疑者の自由意思によります。そしてそれは、必ず弁護人がつくということになっております。そして、被疑者は、真実のことを言って、それに対する見返りとして恩典を受けるということで、真実でない供述というものはだめなんですね。ですから、うそを言って他人を巻き込むというおそれを指摘された方もおられましたけれども、これはそうではなくて、真実を言って初めて、その見返りの恩典がある。それを担保するために、真実の供述をしない場合には刑罰が科せられるということになっております。 それから、言ったことが、合意の内容が真実かどうかということは、これは、合意書面というのは証拠開示として出されて検討できますし、さらには、公判においても中身について反対尋問ができる、こういうようなことになっておりますので、それを今、余り全てにわたって言うと時間がないかもしれませんが、そういうような形で、およそ、取引をして、虚偽の供述をして、そして無実の人を巻き込む、そういうような仕組みのものではございませんので、全体として、一言で言うと、より捜査過程の適正化の徹底と、それから公判審理の充実のための法案だというふうに私は考えております。
○内山参考人 内山です。 今回の法案については、先ほど私が話をしましたように、日弁連がかねてから求めてきた取り調べの可視化については対象事件が限られるという内容であり、また、必ずしも日弁連が求めてきたものではない新しい捜査手法の導入というのも含まれているということで、全体としてどういうふうに評価するのかということで、会内で相当な議論をしました。 その中で、やはり、一部の対象事件とはいえ、取り調べの全過程の可視化が法的に義務づけられるということの意味は非常に大きいだろう、それを突破口にして、取り調べだけではなくて、公判も含めて刑事司法全体のあり方を変えていく、そういうてこになり得るという評価をし、また、新たな捜査手法等についても、できる限り一定の歯どめをかけていく、あるいは、今後の運用面、さらに改善していくというところでの取り組みを強めていくという姿勢で、全体として、今の刑事司法のあり方を一歩前進させるものになるだろう、弁護士全体の議論の中でそういう評価をして、今回の法案に対する姿勢を決めたという次第です。 以上です。
○漆原委員 続いて、桜井参考人と周防参考人にお尋ねしたいと思います。 桜井参考人は、布川事件の冤罪被害者として本当に大変な御苦労をされた。また、先ほども、本当に心情を吐露していただいたというふうに、心から感謝申し上げております。 また、周防参考人は、特別部会で、全面可視化ということで一生懸命取り組んでこられた、意見を述べてこられたということもよく承知しております。 今回は、残念ながらといいますか、皆さんにとってみれば残念ながら、いわゆる全面可視化ではなく、裁判員裁判対象事件そして検察官独自捜査事件に可視化が限定されたわけでありますけれども、まず、桜井参考人、これについて御感想をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○桜井参考人 私たちは、うその自白をさせられてこういう立場になってしまいまして、警察の取り調べのひどさといいますか、一旦思い込んだら何があっても引き戻せないといいますか、そういう調べを知っていますので、全面可視化を義務づけていただいて厳格に実行していただければ、それは大変ありがたいんですけれども、再三申し上げていますように、抜け道が多過ぎますよね。先ほど申し上げたように、取り調べ官が何か、遅い、これは言わなそうだなと思ったらやめちゃうなんというのでは、これはあり得ませんよね。 本当に人間というのは弱いもので、私も、たった五日間で、強盗殺人事件をやったと言わされてしまいました。 そして、私たちの場合は、一部可視化といいまして、図面を使って、やった事実をこう話せと誘導されまして、何日もかけて覚えた後に、そのとおり話しなさいと言われて、一部可視化されたんですよ。それが裁判で使われまして、二十九年刑務所に入れられましたので、都合のいい部分だけを可視化されましては本当に危険だと思いますので、私は、かえって、ない方がいいという気がしているんですよね。 ですから、本当に可視化をされるのであれば、厳格にやってほしい、規定を設けてほしいと思っています。そして、できれば、冤罪事件というのはみんな苦しみは同じですので、やはり可視化の対象を全ての事件に広げていただきたいと思っています。
○漆原委員 周防参考人にお尋ねしますけれども、特別部会の中では全面可視化の意見を強くお述べになった、また、そういう方もたくさんおられたというふうに聞いております。それが、こういうふうにわずか三%程度の対象にしかならないということになったわけですけれども、どんな経緯があったのか、なぜ全面可視化は採用されなかったのか、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。
○周防参考人 この場でそれにお答えするのはすごく大変なので、できましたら、本を書いているので、本を読んでいただくと。三年にわたる経緯なので、詳しくは述べられないんですが、メンバーを見れば、何でこんなに警察、検察関係者が多いんだろうという最初の印象どおり、全事件、全過程の録音、録画を主張しても、かなりこれは苦戦するというのは最初からわかっていました。 だから、一言で言えば、それを快く思わない人の数が最初から最後まで変わらず多かった、そういうことに尽きると思います。
○漆原委員 捜査機関には、警察、検察両方とも含めて、可視化が捜査の障害になる、こういう根強い考え方があるように思います。皆さんは、そもそも冤罪の防止策なんだから可視化して当たり前ではないかと。また、加藤参考人も、そこから出発すべきなんだという御意見を述べられました。 具体的に、検察あるいは警察が捜査の障害になるというのは一体どんな理由なのか、私は、昔から何回もこれを聞いているんですけれども、なるほどというふうに腑に落ちた理由を聞かせてもらっていないんですけれども、捜査の障害になる具体的な内容とは一体どんなことなのかなというふうにいつも思っているんですが、加藤参考人、いかがでございましょうか。
○加藤参考人 私に聞かれても答えようがないところなんですが、よく言われるのは、取り調べというのは人と人との交流だとか、心のキャッチボールだとか、いろいろなことを言われますけれども、先ほど言いましたように、身柄拘束中の取り調べというのは、それ自体で圧倒的な力関係の差があって、支配下に置いて取り調べをされるわけなんですね。ですから、その構造を変えるというのがこの可視化の問題なので、そこでうまく取り調べができるかどうかという議論自体が、もはや僕は通用しないんだと。ですから、そこでどんな支障があるのかないのかということが議論されること自体が、この可視化がなぜ議論されているのか。 ですから、私は、現場の警察官の方には、今は、仮に取り調べで調書をとってそれを証拠に使うのであれば、やはり後で検証可能な録音、録画がされたもとでないと、もはやこれは取り調べとは言えないんだ、こういう発想の転換をしていただかない限り、旧来の取り調べが正しいと思っている人が、旧来のやり方ができないからけしからぬと言っていたら、これは改革にはならないわけですから、むしろここは、皆さんの力で、今の水準でいえば、警察官というのはそういう制度の中でしか取り調べができないんだ、そういうものなんだということをきっちり国会の方で義務づけていただくような、そういう御審議をお願いしたいというふうに思います。 以上です。
○漆原委員 ここは、椎橋参考人、御意見があると思いますが、いかがでございましょうか。同じ問いでございます。
○椎橋参考人 いろいろな場合があるというふうに思います。 今話題になりました、取り調べの負の部分が大分言われておりますけれども、犯罪が起こって、その真相を明らかにして、真犯人であれば有罪になる、そうでなければ無罪になる、こういう機能が果たされないということになると、社会の安全というものは保てないということになると思います。 そして、真相を明らかにするというだけではなくて、従来の日本のやり方、心と心を通わせる取り調べのやり方はラポールと言われておりますけれども、これによって、本当に悪いことをしたということで、それが更生に結びついていく、こういう事実もあるわけであります。 日本は、世界で一番安全な国、それから再犯率ということを考えても低いということは、やはり、一番最初に、犯罪を行って、犯罪を行ったものと疑われている、そのときに、相手の捜査官も一生懸命になって真相を問いただす。そのときが犯罪について一番考えるときだというふうに私は思うんですけれども、そのときに反省の気持ちが生まれて、それが更生につながる、こういうような役割というのも決して無視できないというふうに思います。 それから、弊害の点ですけれども、これはやはりいろいろありましょうけれども、例えば、共犯事件で、その共犯者がまだ逃げていて、その共犯者が力のある人だ、あるいは犯罪組織の一員であるということになると、自分が供述をして、それが全部録音、録画されているということになって、それが後で見られるということになると、報復を受けるというおそれが強い。自分だけではなくて家族も報復を受けるということになると、これは、そういうような形ではしゃべりたくないけれども別な形であれば供述するということは大いにあり得るわけでありますので、そういう方法の有効性というのもやはり考えなくてはいけないというふうに考えております。
○漆原委員 最後に、内山参考人にお尋ねします。 取り調べの録音、録画の制度は、この改正によれば、刑事訴訟法の公判の章に、証拠調べに関する規定として置かれるというふうになっております。 しかし、今回の取り調べの録音、録画の導入というのは、捜査当局の一連の冤罪事件が発覚した、そこに端を発するものだというふうに思います。長い間、この法務委員会で可視化の議論をしてきたけれども、実現できなかったんです。だけれども、この冤罪事件、村木事件等によってようやく検察が動いたという実感を私は持っております。 そうだとすると、取り調べの録音、録画の規定は、訴訟法の捜査の章に規定して、取り調べの録音、録画義務を捜査機関に課すべきだ、そして、もしこの義務規定に違反した場合には証拠能力を否定するべきだ、そういうふうな考えもあるんですけれども、これに対する御認識を聞きたいと思います。
○内山参考人 今議員がおっしゃったとおり、このたびの法案では、取り調べの可視化を義務づける条文の位置は、三百一条の二という証拠法の部分に置かれています。しかも、その第四項ということで、その前の第一項の方で、いわゆる証拠が結果的に制限される、あるいは証拠調べ請求が課されるというのがありまして、その後の四項に位置づけられるということになっています。 今御指摘のとおり、日弁連、弁護士の感覚としては、なぜその位置なのかということに違和感を覚えるところではありますが、ただ、結果的にその位置に可視化を義務づける条文が置かれていたとしても、中身としては、日本の捜査のあり方を根本的に改める、可視化が原則であるということをうたう、捜査法上の大原則を中身とするものであるということに違いはないだろうというふうに思いまして、また、そういう意味合いに沿った法解釈が、条文の位置にかかわらず行われるべきものだというふうに考えています。 以上です。 〔委員長退席、盛山委員長代理着席〕
○漆原委員 以上で終わります。 参考人の皆様、本当にありがとうございました。
○盛山委員長代理 次に、黒岩宇洋君。
○黒岩委員 民主党の黒岩宇洋でございます。 きょうは、五人の参考人の先生の皆様に貴重な御意見をお聞かせいただきまして、心から感謝申し上げます。時間の制約上、五人の先生全ての皆様に御質問できない可能性もありますので、冒頭申し上げさせていただきます。 まずは、我が会派の方から推薦してきょうおいでいただきました周防参考人にお聞きしたいと思っておるんです。 四年半前、村木さんの郵便不正事件の無罪が確定したとき、そしてこの事件に関連して検察官が証拠のフロッピーディスクを改ざんしたというあの当時、当時は民主党政権でしたけれども、私、法務大臣政務官という役職におりまして、そして急遽、法務大臣のもと、在り方検討会議を立ち上げまして、その担当政務官として、十五回の会議を三カ月で行ったんですけれども、毎回参加し、いろいろな問題点を議論させていただきました。その後、集約し切れない部分を、これはやはり法制審特別部会に委ねよう、幅広く御意見を頂戴しようということで、周防委員や椎橋委員といった皆様に答申をお願いした側の人間でもあるということを付言させていただきます。 そこで、周防参考人の「それでもボクはやってない」という映画、これはもちろん以前にも見ていたんですけれども、この日曜日、再度見させていただきまして、本当に、我が国の刑事司法が抱えるさまざまな問題点が凝縮された内容でありましたし、なおかつ、その内容が多くの方にも明快に理解でき得る傑作だったと私は思っております。 そんな中で、人質司法に対して、朝、痴漢を犯して警察署に引っ張られてきて、密室の中で、今、自白すればすぐに出られるし、家族にも会社にも、誰にもわからないんだよと言われて、すぐに土下座して、私がやりましたと自白して、出ていく。それを、ベテランの留置されている人が、朝に来て午後に出ていくサラリーマンとやゆする。ああいった表現で、今の刑事司法の抱える問題というものが非常にわかりやすく表現されているなと思っております。 その後、「それでもボクは会議で闘う」という、周防委員が特別部会の委員として、三年間、三十回にわたる大変長い議論をされてきた内容というもの、実は私も、在り方検討会議の空気感というのはその空間にいましたのでわかっておったんですけれども、特別部会の空気感というのは答申を見ただけではなかなかわかりかねている部分が、この御著書を通読、熟読させていただいて、よくよく理解をさせていただきまして、本当にありがたく思っております。 質問に移りますけれども、先ほどの「それでもボクはやってない」、この映画に戻りますが、冒頭のシーンにこういう文言が描き出されるんですよね。十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ。これは、刑事司法における、長年言われてきた一つの格言でもありますし、原則なんです。 では、この格言の示す、ないしは求める方向性が、答申を受けて提出され、今議論されているこのたびの刑訴法等一部改正案、この法案の内容と合致しているとお考えになられるか、その点についての御意見をお聞かせください。 〔盛山委員長代理退席、委員長着席〕
○周防参考人 合致させるように頑張るしかないというのが正直なところで、実は、ずっと会議を通して、先ほどもありましたが、密室での取り調べがいかに事案の真相究明を果たしてきたかということを警察、検察の方は述べられるわけですが、そうじゃないからこの会議ができているということ。 ちょっと、さっきの突然の質問に、僕は答える言葉をなかなか選べなかったんですが、加藤参考人もおっしゃったように、今までの取り調べができないから録音、録画には賛成できないと、あの会議で堂々と言っていらっしゃるわけですね。今までの取り調べをさせないための法律をつくりましょうという会議のはずでしょうと、僕は何度言ったかわからないんですが、そういうやりとりを通して、例えば、そういう捜査機関の人が、十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ、これをどう考えているのかと思うと、多分、それはそうです、しかしながら十人の真犯人を逃すわけにもいかないんですと。 椎橋参考人も、今まで密室での取り調べがどれほど事案の真相を明らかにしてきたかというような発言がありましたけれども、いやいや、そうじゃない。十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれと言ったときに、いや、それでも十人の真犯人を逃すわけにはいかないんですよと言った瞬間にこの格言の意味が崩壊してしまうということをわかっていない人が多いんじゃないのかと。この格言の本質的な意味を、やはり捜査機関の方は余りにも御理解していない。 その中で決まった法案ですので、多分、捜査機関の方々は、心の中では、十人の真犯人を逃すくらいなら一件ぐらい間違ってもしようがないかな、それが治安を守ることなんだと思っていらっしゃるんじゃないかというのを感じました。はっきりそう言う方はいらっしゃらないんですが、私が三年間の会議を通して感じたのはそのことです。 ただし、そういうものではないんだよと幾ら言葉を尽くしても多分通じないので、こういう法律一つ一つ、システム一つ一つを変えることによって、実際、そう考えていなくても、十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれという世界が実現するように、もうシステムをつくりかえていくしかないんだ、そういうふうに思っています。そのシステムをつくりかえていく上での第一歩に辛うじてなるんじゃないかなというのが、今回の会議を通して私が感じたことです。
○黒岩委員 ありがとうございました。 私も、法務省にいる時代、検察官と話をすると、一人の無辜を罰するなかれ、当然だと。そして、十人どころか、一人の真犯人も逃さないと。この二つの命題を両立させるんだというのが検察側の確固たる考え方でした。 確かに、真実を完璧に解明できれば、一人の無辜を罰することもないし、真犯人を逃すこともないんです。これは論理必然としてそうなりますが、刑事司法というのは法と証拠に基づいてなされる、ただ、残念なことに、法と証拠はしゃべってもくれませんし、動いてもくれないわけですね。結局は、そこで人が考え、しゃべり、そして動くことによって刑事司法というものが成り立っていることを考えると、どうしても人には何らかの過失であったり何らかの失敗があり得る。この原点というもの、要するに、完璧なものではないという、やはり刑事司法の原点に立ち返るんだという趣旨と、今、周防参考人のお話を伺って感じておりました。なかなかこれは難しい根源的なところだと思っております。 話を進めていきますけれども、特に取り調べの録音、録画については周防参考人も大変強い思いを持たれて、そして、特に非専門家の皆様、有識者委員の皆様と非常に連携をされながら意見書等を出されて、そして、この御著書の言葉によると、妥協もしてきたと理解をしております。 そこで、この取り調べの録音、録画についてなんですけれども、周防参考人を初めとして有識者の皆様、録音、録画が今後拡大していく、そして将来において前進していくということをいわば条件といいますか前提として、先ほど申し上げた答申についても、妥協、もうちょっと平易な言葉で言えば許容したというふうにおっしゃっておられます。ただ、皆様のお力で、三年後の見直し、検討条項というものが入りました。これも一つの成果であったと思います。 ただ、この文言を見ると、可視化を取り入れることによって想定される三つのケースが条件づけされています。一つ目は、可視化は任意性の的確な立証を担保するものである、いいでしょう。もう一つは、可視化によって取り調べの適正な実施に資すること、これもよろしいでしょう。ただ、三番目に、捜査上の支障その他の弊害が生じる場合と、捜査上の支障と弊害というものを完全に明記して、これを踏まえて三年後に見直そうではないかという検討条項が附則九条に書かれているわけです。 いかがでしょうか、先ほど周防参考人を初めとして皆様が掲げた、可視化が拡大していく、将来にわたって前進していくという前提と、今回付された附則、検討条項というものは、この前提を満たすものであるとお考えかどうか、この点についても御評価をお聞かせください。
○周防参考人 実は、今の附則について、最後、新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果、その時点では、この文案に合意するかどうかということで、私は、今おっしゃっていただいたように、将来的な拡大の方向にあるんだというふうに、それを約束していただけたものだと思って合意したんですが、そこに書かれていることは、 取調べの録音・録画制度については、施行後一定期間を経過した段階で、その施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしている。その検討等は、基本構想及び本答申を踏まえて行われるべきである。また、制度自体の運用状況だけでなく、検察等における実務上の運用としての録音・録画の実施状況や公判における供述の任意性・信用性の立証状況も検討の対象として、客観的なデータに基づき、幅広い観点から分析・評価を行うことが重要である。 こういうふうに書いてあったんですね。 だから、拡大の方向しかないだろうということで合意したんですけれども、さすが、まるで私自身が密室でつくられた調書によって思わずサインをしてしまったかのような心境でして、今御指摘のあった三番目というのが、「客観的なデータに基づき、幅広い観点から」と。多分、この「幅広い観点から」に、というのはこういうことなんだということを具体的に示されてしまったんだというわけです。 でも、残念じゃないことに、あの議事録は公開されていますし、そういう意味では、密室での取り調べではなくて、あれは公開での取り調べだったようなものなので、この点については、先ほども実は法務省の担当の人に僕はそのことについて文句を言ったんですけれども、バランスを考えたらこれしかないですというふうに言われてしまいまして、さすが役人だと、また私は敬服した次第です。 というわけで、端的にお答えすれば、残念です。こういう形の文言がある附則ということについては、私は残念な気持ちです。 ただ、どの国の録音、録画制度を見ても、実施後、これが狭められるということはほとんどないので、多分、録音、録画が進めば、警察や検察の方もこの制度のすばらしさに気づかれると思うので、拡大される方向で検討されるというふうに信じています。
○黒岩委員 今委員会の審議でも、警察の国家公安委員長は、対象事件は裁判員裁判事件までというニュアンスを明言されていますし、先週、警察の視察ということで原宿警察署に行ってきまして、その警視さんははっきりと、裁判員裁判事件どまりだ、こうおっしゃっていました。 そう考えると、これからこの法案が仮に成立したとして、スタートしていく。上り列車の切符を持っていたと思ったら、実は、終着点が、駅がもう見えている。その駅名は、裁判員裁判事件どまりという駅名なんですよ。終着駅があるだけじゃなくて、ともすると、この附則を読めば、やはり縮小していく可能性はある、これは当然ですし、しかも、それについて、当局が大変強くそれを要請しているとなると、今言ったように、前進どころか後退する、拡大どころか縮小していく、下りの切符までも持たされて終着駅に向かっていくというようなことを私は危惧しておるんです。 この点について加藤参考人はどうお考えになられますでしょうか、よろしくお願いいたします。
○加藤参考人 結論としてはおっしゃるとおりです。特に、裁判員裁判どまりというところが、やはり私が冒頭に申し上げた、この法案をつくる骨格にかかわるところなんですね。 よく、裁判員を任意性の論争に長くつき合わせるわけにはいかないということで、既に裁判員裁判の中では録音、録画がされているわけですよ。ただ、それは、職業裁判官ならば自白調書については録音、録画がなくてもちゃんと判断できるという、僕はすごく思い上がりを感じます。 だから、そういう意味でいうと、裁判員裁判どまりというのは、職業裁判官こそが誤った調書で冤罪を生み出してきたということ、ちょっと違う角度の意見ですけれども、僕は、どまりというところにはそういうものを強く感じてしまうので、そういう意味でいうと、やはりもともとの基礎がちょっとおかしいんじゃないかなというふうに感じます。 以上です。
○黒岩委員 それで、周防参考人や椎橋参考人に御議論いただいた特別部会なんですけれども、名称も、新時代の刑事司法制度特別部会と。このとき、名称も、我々政務三役でも議論になったんですね。もともとの在り方検討会議でも、やはり冤罪防止からスタートしましょう、そして可視化についての議論がすごくさまざまだったんです。 在り方検討会議の提言をごらんいただくと、最後、可視化についてだけは一番集約できなかった。結果的には三つの論が併記されていまして、ア、イ、ウ、積極論、中間論、消極論と。その最後に、これを何とか収れんしていただくために、新たな会議体をもって、これは特別部会を指すんですけれども、新たな会議体をもって幅広い国民の皆様の意見を取り入れてくださいというのがあの提言で、それを経て特別部会ができましたので、実は、可視化という言葉を部会に入れようかとあったんですけれども、しかし、現実には、人質司法の問題であるとか証拠開示の問題であるとか、せっかく法制審に答申するならば、やはり刑事司法全般についてもっと抜本的な幅広い議論をということで、内容については特出ししなかったことを、今顧みて、ちょっとそこはもう少し考えればよかったのかなと思っているところであります。 特に、可視化だけでなくて、きょうも議論のありました司法取引、それも、自己負罪型ではなくていわゆる第三者型。これも、捜査・公判協力型などという言葉を使っているだけで、一般の国民にはなかなか理解できない。これは、共犯だけじゃなく、私がよく言っている、赤の他人も巻き込む。赤の他人型を入れるということは、やはり、冤罪防止からスタートしたにもかかわらず、冤罪の可能性を秘める法案になってしまいつつあるということが残念なんですね。 もちろん、通信傍受も、効率化、合理化という言葉が出ていますけれども、これは明らかに、条文上、二十二もの対象犯罪に広げるわけですから、この点についても、当初想定していたものとは少し方向性がいかがなものかなということを非常に危惧していることを申し上げて、済みません、最後、周防参考人に御質問したいと思います。 大変悩ましい特別部会の議論もあったと思います。その中で、有識者の方たちが見解を述べて、そして答申まで来た。その答申を受けて今回出されたことですけれども、この刑訴法等一部改正案であります。 これについて、周防参考人、周防監督と言わせてもらいますが、それでもボクは、このボクは周防監督を指しますが、それでもボクはこの改正案に反対はしないという趣旨と理解してよろしいでしょうか。
○周防参考人 反対しません。 理由をつけ加えますと、先ほども述べましたように、ここで法律をつくらないと、これ以上警察、検察が何をするかわからないという、その恐怖心です。とにかく、録音、録画に特化すれば、警察、検察の方が本当にやりやすい形での録音、録画制度が知らない間にでき上がってしまう、それを一番恐れました。非常に情けないんですけれども、何か、後退しながら、ここまでにさせよう、そういう会議になってしまいました。 これで答えになっているんでしたっけ。もう少し僕は何かを言うつもりだったんですけれどもね。 ただ、会議の中を通して、私、裁判所の方のお話の中で、非常に大事にしなければいけない言葉をたくさん聞きました。そのことも本に書かせていただいたんですが。今までの供述調書の任意性立証じゃだめですよ、録音、録画対象犯罪以外であっても、争いがあれば、それはやはり録音、録画媒体というものがベストエビデンスだということになっているんだから、当然そこは求めざるを得ませんよというような発言もありました。 また、司法取引に関しても、実は、これは今でもやられていることだと思います。それが法律で許されていないだけで、密室での取り調べですから、当然、先ほど言ったように、軽微な事件で、ここで自白すれば出してやるよというのも立派な司法取引だと思うんですが、そういうことが行われているわけでして、少なくとも、それが法律化されることで、これも会議の中で裁判官がおっしゃっていましたが、そういう司法取引を経てこの人はこういう発言をしているんだということがわかるわけだから、当然、その発言には注意を向けざるを得ないというようなことを言っていましたので、今までのように、司法取引があったのかなかったのかわからない状況の中で証言を聞くのとは、裁判官の心構えとしては違う。 僕は、今ここで、この法案について、これでもやってほしいと思うのは、最後の最後、もう裁判所も、この事態はまずいと思ってきちんとやってくれるだろうという、裁判所を最後に信頼する、そういう意味での同意でもありますので、ここでもし、またもとのような刑事裁判に戻るのであれば、そのときは、僕も、裁判所すら信じられない国になってしまったんだ、そういうふうに絶望するしかないんだなというふうに思っています。
○黒岩委員 きょうは、五人の先生の皆様、ありがとうございました。お一人お一人にはお聞きできなかったんですけれども、貴重な御意見を頂戴いたしましたので、今後、審議にしっかりと真摯に取り入れていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 きょうは、まことにありがとうございました。
○奥野委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党の井出庸生と申します。信州長野県の出身でございます。 参考人の皆様、きょうは、お忙しいところ、本当にありがとうございます。 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいんですが、まず、法制審の審議に入られていたお二人、椎橋さんと周防さんにお伺いをしたいんです。 可視化の対象事件が裁判員裁判になる、そういう話がどういういきさつで出てきて、そのときどういうお考えを持たれたのか。それぞれお考えがあると思いますので、お二方それぞれの思いで結構ですので、対象事件が裁判員裁判にかちっと決まったところが一つポイントであり、私としては疑問に感じておりますので、そこを、椎橋参考人、周防参考人の順に教えていただきたいと思います。
○椎橋参考人 いつの時点でという正確な時期はちょっと議事録を見ないとわからないんですけれども、最初、フリーディスカッションのような形で二巡ぐらいしたんですね。そういう中で、やはり、可視化の対象事件というものを、裁判員裁判はまず対象にしましょうねという案がありました。もちろん、全事件を可視化の対象にすべきだという御意見もありましたし、あるいは、身柄拘束されている事件については全て録音、録画の対象事件にしよう、いろいろな御意見がありました。 ただ、その中で多かったのがやはり裁判員裁判対象事件ということで、ある時期から、基本方針ですか、ちょっと忘れましたけれども、そのあたりからは裁判員裁判を対象にするというのが基調になって、さらにそれ以外にどのぐらい広げられるかということで、検察官が取り調べをする身柄事件については全て対象にすべきだというような案も有力になって、この裁判員裁判対象事件プラス検察官が取り調べを行う身柄拘束事件ということでかなり議論がなされました。 ただ、後者につきましては、警察官と検察官との関係で、警察官、検察官に同じように取り調べの権限が与えられ、そこでとられた調書についても証拠能力が同じような要件で認められているのに、どうして検察官だけの取り調べに限られるんだということで、理論的整合性が説明できないということで、それについては、意見としては結構あったんですけれども、理論的に説明できないでしょうということで、やはり裁判員裁判対象事件に限定すべきだという考え方も有力に議論されていて、かなり最後の段階になって、そういった後者の見解についての理論的整合性というものをクリアする形でもう少し広げられないかということで出てきたのが、検察官独自捜査事件ということです。 これは、検察官独自捜査事件であれば、警察を通さないで検察が直接取り調べをするということでありますので、警察の取り調べ権限との関係というものが問題になりません。しかも、検察独自捜査事件というのは任意性が争われる率も比較的高いということがある。それから、まさに検察独自捜査事件ですので、検察官のみが捜査にかかわる。 ほかの事件につきましては、通常の場合は、警察で捜査をして、それが検察に送致されて、検察が補充捜査をして立件するかどうかを決めるということで、これは日本の捜査機関の独特なところでありますけれども、警察と検察がある意味では非常にユニークなチェックス・アンド・バランシズの関係に立っている。 そういう形で事件の捜査にかかわるということで、ユニークなんですけれども、そういうようなことで、つまり、ほかの機関からチェックを受けないということもあって、それはやはり対象にすべきではないかということで、最終的にはこの二類型の事件になったというふうに理解しております。
○周防参考人 最初に対象事件が裁判員裁判対象事件というふうに出てきたのは、一年半にわたった議論の後に、第十八回会議で事務局が示したのは、「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想(部会長試案)」と言われるものなんですが、その中で、「被疑者取調べの録音・録画制度の導入については、以下の二つの制度案を念頭に置いて具体的な検討を行う。」として、「裁判員制度対象事件の身柄事件を対象とし、一定の例外事由を定めつつ、原則として、被疑者取調べの全過程について録音・録画を義務付ける。」と、もう一つの案が「録音・録画の対象とする範囲は、取調官の一定の裁量に委ねるものとする。」というのが出てきました。 これは、今の椎橋参考人のお話を聞いていると、何か二回議論があったところで対象事件を裁判員裁判にするのがいいという人が多かったようなことをおっしゃっていましたが、私の記憶はそうではないし、そのために書いた本の中でもこう書いてある。「録音・録画を義務付ける対象事件を、この段階で「裁判員制度対象事件の身柄事件」と絞り込んでいるのである。確かに全事件を対象にするのは物理的に無理であるという意見は出ていた。」ただし、この段階で対象事件を裁判員裁判に決めるだなんというような、そこまでの議論は全くできていませんでした。だから、私は、何でいきなりこの中間の取りまとめで既にして裁判員裁判を対象事件とするのかというのは驚きでした。 もっと驚いたのがもう一つの案で、それは取り調べ官の一定の裁量に任せるという対案だったので、こっちの驚きの方が少なくなってしまったんですが、とにかくこれには委員の強い反発があって、この段階で裁判員制度対象事件というものを要するに録音、録画の対象事件とするなんというのはおかしいということで、すぐこれは撤回されて、とりあえず対象事件は別にして、録音、録画という制度についての中身を話し合ってから対象事件を決めましょうというふうな流れになりました。 ですから、このときに見て、ああ、これが法務省が考える落としどころかなというふうに考えたのをよく覚えています。
○井出委員 ありがとうございます。 ちょっと時間がないので簡潔にお願いをしたいんですが、椎橋さんにもう一度お伺いしたいんです。 フリーディスカッションがあって、裁判員事件ですとか全事件ですとか、あと身柄拘束される事件という御議論があったかと思うんですけれども、そういう中で、法制審の委員の皆さんで、では最終的には裁判員だねというよりは、やはり、議論があって事務方の方にまとめてもらって、議論があって事務方がまとめてということの繰り返しだと思いますけれども、ですから、今、周防さんからお話がありましたけれども、やはり事務方から十八回目の冒頭に提示というような、そういうところは確かにそうだったなという感じなんでしょうか。十七回で、よし、では裁判員にしましょうというわけではなかったということなんですかね。
○椎橋参考人 十八回までの委員会では、もう裁判員裁判対象事件で限定していこうということにはなっていなかったというふうに思います。 ともかく、数は正確にはわかりませんけれども、裁判員裁判対象事件については、これは対象にしましょうという意見は多くありました。そして、さらにどういう事件まで広げられるかというのは、これはなかなか決定的なものがないものですから、そういう意味で、依然として裁判員裁判対象事件が有力な対象事件だという考え方は一貫してあったというふうに私は思います。
○井出委員 ありがとうございます。 次に、加藤さんにお伺いをしたいんですが、参考人の皆さんの話の中で、検察庁から平成二十六年の六月に依命通知が、できるだけ幅広にやっていく、裁判で立証できるように可視化をしていくというような通知が出ました。 私は、可視化の本来の目的というものは、裁判で客観的な立証に資する証拠を出す、あとは、取り調べをきちんとやりました、適正な取り調べであるということを証明する、その二つかなと思っておりますので、私は、自分の問題意識として、この依命通知というものが、検察だけじゃなくて警察も含めて、この法律のどこかにその趣旨をきちっと書き込めば事足りるんじゃないかなと思うんですよ。 それは、周防参考人にも少しお伺いしたいんですけれども、周防さんが言っていた、裁量とかそういったものはだめだ、恣意的にされてしまうおそれがある、そこと少し絡むんですけれども、まず、裁判で立証を尽くす責任は捜査側にある、それが、録音、録画の証拠が出されなければ裁判で不利、リスクを負うというような状況に裁判所がなってきた。 ですから、私は、この依命通知というものを、検察だけじゃなくて警察も含めて、法律にびしっとその趣旨を書けば、おのずと、全ての事件、一つ残らず全て録音、録画とはならないですけれども、少なくとも争いがありそうなものは捜査機関としては幅広に撮らざるを得なくなってくるんじゃないかなと思っておりますけれども、加藤さんの見解をいただきたいと思います。
○加藤参考人 依命通知の件ですけれども、警察の初期の段階から含めて全てやるという拘束力があるんでしたら、それはそれで意味があると思うんですけれども、果たしてそうなのかということに大いに疑問があります。 逆に、検察段階だけの録音、録画というのは、先ほど桜井さんもおっしゃったように、自白をしてからすらすらしゃべっているところが録音、録画されて、それが法廷に出されれば、かえって不利になります。 それともう一つは、やはり、今の理論は、あくまで立証する側が自白調書を証拠として採用させられるかどうかというその都合で考えているんですね。私は、広げるという趣旨を徹底するのであれば、捜査側が選ぶのではなくて、やはりきちっとあらかじめ全事件に義務づける、あるいは、もしすぐできないならば段階的に広げていく。 ですから、少なくとも全過程というのがやはり前提でないといけません。それから、あと、いつ否認に転じるかというのはわかりませんので、否認しそうだから録音、録画するというのも、本質からいえば外れているかなと。 ですから、拡大しようという趣旨については私は別に反対するわけでもないんですけれども、検察だけの録音、録画というのはかえって危ないというのもはっきり申し上げたいというふうに思います。警察段階から全部やるだけの効力がないものではだめだということははっきり申し上げます。 それから、もう一言申し上げると、法制化の前から、裁判員裁判が施行された後は、実際にやっているんです。なぜかというと、裁判員裁判で供述調書の証拠能力が争われたときに、そういう立証をしなければ裁判員が納得しないということで始まっているんですよ。 だから、ちょっと周防監督には申しわけないんだけれども、あえて今のレベルのものを法制化するために今の全体の一括法案を通すかどうかというふうに言われれば、私は、今まで、冤罪被害者の方の訴えとか、実際に裁判員が裁判に参加する中で、それなりの可視化を前進させているというこの到達点はやはりちゃんと見て、今の議論で全部が終わるわけじゃないということは申し上げておきたいというふうに思います。 以上です。
○井出委員 ありがとうございます。 周防さんに。私は、まだ問題意識に、飲酒運転で事故を起こして、その場でアルコールも検知されて認めている、そういうふうなものを最初から録音、録画、取り調べ室に引っ張っていったところから全部撮るというのも、まあ、そこまでしなくてもいいんじゃないかなと思うんですよ。 例えば、目の前に御遺体があって致命傷もないとか、これは難しそうだとか、まさに映画で取り上げられた痴漢の冤罪とか、そういうものこそ必要だと思うんですけれども、やはり事件の幅が狭くなっても、裁量ではなくて全過程が大事なんだというお考えでしょうか。
○周防参考人 そのとおりです。 法律によってそんな細かいところの線引きはできないわけですから、それはもうきちんとシステムとしてそうすること、それが重要だというふうに考えています。 また、依命通知は、僕は、逆に言うと、あの依命通知があったので、ああ、絶対法律にしなきゃだめだというふうに思った方です。依命通知によって検察が自分たちのやりやすい録音、録画体制をつくる覚悟なんだなということが非常によくわかったので、これはもう絶対、法律で録音、録画とはこういうものだというふうに決めなければいけないというふうに思いました。
○井出委員 ありがとうございます。 次に、内山さんにお伺いをしたいんですが、お話を聞いて、恐らく、この法律全体として、今後の第一歩としての賛成というようなお立場と伺いました。 確かに、可視化を進めていって、供述だけに頼っちゃいかぬ、その辺のお話の趣旨は理解できるんですが、私は、司法取引と通信傍受の拡大というものが盛り込まれたときに、司法取引というのはやはり供述、取り調べが舞台だろう、それで過度な依存から脱却したと言えるのかなという問題意識がありまして、司法取引と通信傍受、この間、警察の役所の方にも聞いたんですけれども、これはどちらが必要性が高いとお考えか。 内山さんの御意見で結構ですので、お考えをいただきたいと思います。
○内山参考人 私は、弁護士あるいは弁護人の立場としていえば、どちらも必要はない、あるいは必要性は低いというふうには考えています。 あとは、捜査機関の側、警察、検察がそれぞれどちらを重視しているかというのは一定の見解があるのでしょうけれども、弁護士の立場からいって、そういう新しい捜査手法あるいは従来の捜査手法の拡大の必要性ということについては、弁護士会として特に押し出しているというものではありません。
○井出委員 同じ質問を椎橋さんにもお願いしたいんですが、法制審の審議に入られて、司法取引と通信傍受の拡大、これはどちらが必要性が高いとお感じになって議論をされていたか、教えてください。
○椎橋参考人 司法取引という場合に、アメリカで有罪答弁制度があって、その前提として司法取引というのがあるんですけれども、日本の場合には、協議・合意制度、それから刑事免責制度というものが取り入れられまして、これが事実上全くないかどうかというとそうは言えないかもしれませんけれども、仕組みとしては、取引が入るような形ではない仕組みになっているということでございます。 それから、通信傍受との関係でいいますと、私は両方とも必要だと。要するに、取り調べとか供述調書に頼らない捜査方法、つまり、証拠収集方法の多様化ということで、片っ方は、供述を取り調べ以外の形でとるという方法で、他方は、通信傍受は客観的な証拠収集方法としての通信傍受ということであります。 しかも、通信傍受は、さっき協議・合意制度については少しお話ししましたので、通信傍受制度について申しますと、これは、対象となる今までの通信傍受制度があって、それは、私ははっきり言えますけれども、世界で最も厳格な要件を持った通信傍受法でございます。 今度は、それの対象犯罪を広げるということなんですけれども、それについては、生命の危険を伴うような重大犯罪と、それから子供とか女性とかそういったものを保護するために使われる、それから特殊詐欺の上位の犯人を捕まえるために使われる、そういうものであります。国民の生命、身体を守るために、それから女性とか子供の権利を守るためにというのは国際的にも要請されているということでありますし、それから、特殊詐欺については、高齢者の被害者をどうやって守るか、つまりそういう犯人をどうやって捕まえるか、今までのやり方ですと、受け子、ともかく末端の人間を捕まえるだけしかできないということに対して、それを補うという制度であります。 しかも、新たに対象犯罪とされる犯罪については、組織性の要件というものが加わっておりますので、これは濫用できないような要件が定められていると私は受けとめております。
○井出委員 桜井さんにもお伺いしたかったんですが、ちょっと時間になってしまって、大変申しわけございません。 きょうは、皆さん、ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。 本日は、五人の参考人の皆様方、何かと御多忙の中、こうして委員会に足をお運びいただき、心から感謝を申し上げたいと思います。 初めに、桜井さん、先ほど氷見事件の柳原さんに思いをはせて、桜井参考人が絶句され、桜井さん自身も二十九年間つらい思いをされたということを吐露されて、私も泣きました。 そうした思いに応えて、この刑事訴訟法、しっかりと議論しなければならないし、今度の可視化、録音、録画を本当にこれ以上冤罪を生み出さないものにしなければならないという立場で臨んでまいりました。 最初に桜井さんにお伺いしたいんですが、死刑になるかもしれない、無期懲役になるかもしれないにもかかわらず、うその自白をしたのはどういう心境からですか。差し支えがなければ教えてください。
○桜井参考人 そうですよね、やっていない人がなぜやったと言ってしまうのかというのは、一般の人は一番、実は私自身もこういう立場になるまでは、やっていない人がやったと言うと思わなかったんですよ。 ただ、警察というのは、職業的冤罪製作者といいますか、常に悪い人と出会って、常に人を疑うというか人の言葉を信じないんですよ。私もアリバイを主張したんですけれども、調べたらおまえは来ていないと言っていると言われまして、うそを言われまして、自分の記憶がわからなくなってしまって、うそ発見器にかけられて、おまえが犯人と出たと言われた瞬間に、やっていないと言い続ける心が折れちゃったんですね。 とにかく朝から晩まで、おまえだ、おまえだ、おまえだと言われる。けんか状態といいますかね。夫婦げんかしたってつらいですよね、目の前でやっていたら、それは逃げられますけれども。取り調べ室というのは、何か、信頼関係だとさっきおっしゃった先生がいらっしゃいましたけれども、調べられない人はお気楽だなと思いますね。留置所に入って、真っ裸にされるんですよ。する立場とされる立場の絶対的立場、心が通うわけないじゃないですか。神話ですよ、こんなの。そこに生まれるのは、奴隷の心か、奴隷にならないかの違いであって、毎日毎日やられてしまうと、その痛みに、目の前の痛みに負けて、やったと言ってしまうんですね。 ですから、心情というのはそれぞれでしょうけれども、私の場合は、うそ発見器にかけられ、うそを言われまして、証拠がある、もうだめだと言われて、心が折れてしまったということなんですね。
○清水委員 まさしく、そうした密室での長時間の取り調べがうその自白を引き起こしてきたのだなというふうに思いました。 続いて、それにかかわって、日弁連の内山参考人にお伺いしたいと思います。 もともと、日弁連は、全事件、全過程での可視化を求めておられたわけです。私の地元の大阪弁護士会の玄関にも、「ないな、可視化しかないな」という回文がありまして、あそこへ行った人はみんなそれを覚えて帰るんだなと思っております。 もともと、この議論の中で、可視化の目的が任意性だとか信用性、供述調書の立証をするためだという議論からなかなか出ないんですね。本来は、今の桜井さんの話じゃないですけれども、やはり被疑者の人権擁護、あるいは冤罪防止のためだった、こういう立場で日弁連としては取り組んでこられたということでよろしいですか。
○内山参考人 今おっしゃられたとおりです。やはり何よりも冤罪防止のための可視化ということです。
○清水委員 ありがとうございます。 そこで、今回は刑訴法等一部改正案ということで、録音、録画の法律とあわせて、新たな冤罪を生み出しかねない危険があるとさまざまな委員から指摘をされている司法取引、あるいは成立当時から国民の大きな批判や怒りを買った通信傍受法、盗聴法の運用拡大、さまざまな法律がパッケージとして提案をされております。 そこで、内山参考人にお伺いいたします。 確認なんですが、日弁連としては、現行の盗聴法に反対していたと思うんですね。私、一九九八年二月三日の日弁連の通信傍受法に対する意見書を読ませていただきました。そのときの価値の体系というのは変わっていないと思うんですね、日弁連として。 なぜ、人権団体である日弁連が、それこそ、基本的人権やプライバシーを侵すと当時反対していた盗聴の拡大、さらには新たな冤罪を生み出しかねない司法取引、こうした法律を盛り込んだ一括法案に賛成したのかということは、国民にとって非常にわかりにくいと思うんですね。このことに対して、どのように国民に対して説明をされますか。
○内山参考人 今御指摘にありましたように、なかなか一言でわかりやすく説明するのは難しいという点で、わかりにくさはあるんだろうというふうに思います。 これには、本法案が提案される前の、既に話、経緯が出ています特別部会での審議の過程がありまして、その最終の取りまとめの段階で、今回の法案のいわば原型になるものが提示された。それに対して、日弁連の方としてどういう対応をするのか。可視化については、全過程の録画は一部の実現、他方で、今おっしゃられたような司法取引だとか通信傍受の拡大だとかそういったものがセットになっているということで、それに対してどうするのかということです。 ちなみに、日弁連は、現時点でも、通信傍受、盗聴についての基本的な考え方は変えていません。それが通信の秘密を侵害し、個人のプライバシーを侵害する、そういう危険性を持った捜査手法なんだという見方については一貫をしています。また、いわゆる司法取引についても、引っ張り込みの危険性があるものだということも認識をしているところです。 そうした中で、特別部会での最終的な取りまとめに日弁連としてどういうふうな判断、受けとめ方をするのかということで、かなり会内で議論をしました。相当いろいろな意見も出まして、最終的には理事会で採決をするというところまでやりました。 結論としては、可視化の全過程の義務づけが一部ではあるけれども獲得できる、その前進面が大きいだろうということと、それから、その可視化の実現が、特別部会の経緯等を踏まえると、一括で採択をされる、一つのものとしてでなければ、言い方をかえれば、その委員の全員一致という形でなければ法案化されるということはないだろうというような情勢のもとで、その他懸念される内容を含むものがセットにはなるけれども、それを全体として評価して刑事司法改革を前進させることができるかどうかということで、その中でできる限りよりよい判断をしていくという中で、会内議論をした結果、全体としては前進面を評価できるということで、足りないところについては今後前進をかち取っていくし、危険がある面については、きちんと指摘をした上で、それをどういうふうに除去していくのかということを今後の法改正等も通じて、運用を見た上で、的確なそこでの歯どめをかけ、いい方向での法改正を求めていくというような方向で対処をするという意思決定をしたものです。 以上です。
○清水委員 周防参考人にお伺いしたいと思います。 「それでもボクは会議で闘う」、読ませていただきました。ぜひ、この法務委員会のメンバーの皆さん、これを読めば、特別部会でどのような流れでこの刑訴法等一部改正案のもととなる答申が出されたのかということがリアルに読み取れるんじゃないかと思うんですね。 その冒頭、周防参考人は、絶望的なメンバーだ、こうおっしゃられて、四十二名の委員が一堂に会して会議をやる、非常に場違いであるというふうに思ったと。また、節々で、もう席を立つしかないというお言葉もありまして、非常に葛藤される中で、この特別部会、努力されてきたんだろうなということを私は実感いたしました。 それで、「おわりに」というところ、ここは私、一番大事なところだと思うんですが、周防さんはこうおっしゃっているんですね。「取調べの可視化においていちばん大事なことは、違法な取調べの防止にこそあるのだ。」と。私、これは非常に印象に残りました。だとすれば、それを保障するためには、全ての事件で全ての過程において、被疑者だけではなく参考人や証人も含めて録音、録画をするということがなければならないと思っていましたし、村木厚子さん初め、周防さんもその立場で最初から最後まで臨んでおられたと私は認識しております。 では、なぜこのような結果になったのか。幾ら周防さんがシャル・ウイ・カシカ、こう言っても、みんな、ノーと言う、イエスと言わない。これはやはり警察や検察の抵抗に遭ったというふうに思うんですが、周防さんは、録音、録画をすれば供述がとりにくくなるという捜査側の意見に対して、諸外国の実態についても言及されていると思うんですが、その辺も含めて、ひとつ感想を述べていただけるでしょうか。
○周防参考人 その諸外国のことなんですけれども、実は、実際に録音、録画されているどの国でも、最初はやはり捜査機関の抵抗はあったんですね。ですから、抵抗する気持ちはわかります。いろいろな理由はあるんでしょうけれども、とにかく、今までやってきた方法では通じなくなる、それが組織としてはやはり一番大変なことだと思います。多分、裁判員裁判対象事件だけであっても、警察も検察も、本当に、これからどういう取り調べが有効なのかということで大変な努力をしなければいけないと思います。 諸外国の例をとりますと、その後、やはり取り調べ自体の考え方が変わっているんですね。日本の検察官のどなたかのインタビューで読んだんですが、録音、録画されてしまったら、もう取り調べはインタビューでしかあり得ないというふうにおっしゃっているんですね。それでいいじゃないですか。そのために必要な法律だというふうに僕は考えています。 多分、インタビューでやるというこの考え方は、やはり、今までの歴史を振り返れば、全く思いつかないことなんだろうとは思います。 先ほど椎橋さんが、刑事訴訟法学者の椎橋さんですら、密室での取り調べで反省を促し更生の道までつける、そういういいところもあるんだとおっしゃったので、それを聞いちゃったら、一気に全部可視化なんかできるわけないでしょう。刑事訴訟法の学者の方が、取り調べとはそういういいところもあるんだと言う、まだそういう段階の国なんですよ。僕はさっき、そこに座っていて、その場でぱっと手を挙げたくなるぐらい驚いたんですが、学校でそういうふうに教えていらっしゃるわけですよね。 これはどこの国に行っても、取り調べについてそんなことを言ったら、反対されるどころか、理解していただけませんよ。実際、僕はその場を見ています。国際的なシンポジウムの場で日本の取り調べのことについてお話ししたときに、取り調べ室で反省を促し更生への道をつけるという話を聞いた瞬間に、それは一体どういう意味なんだと。そんなひどいことはないじゃないんですよ。言っていることの意味がわからないと。日本での取り調べということに対する考え方というものが、それだけゆがんだものだというふうに僕は考えています。 ですので、本当に苦渋の決断でしたけれども、こんな国で一気に変わることはないんだな、少しずつしか変えていけないんだなと。だから、これは本当に戦略というか、日弁連の中でも反対をしていらっしゃる弁護士の皆さんには本当に申しわけないんですけれども、これから闘って、これを、全事件、全過程の可視化をかち取るための足がかりにしてほしい。非常に心苦しいんですが、そういうふうに思って決断しました。
○清水委員 ありがとうございました。非常に参考になりました。 加藤参考人にもお伺いします。 録音、録画されると捜査側が取り調べによる供述の獲得が困難になる、だから新しい捜査手法が必要だということで、盗聴捜査の拡大や司法取引が盛り込まれているということなんですが、この点については整合性があると思われますか。
○加藤参考人 法案の説明などを見ると、それが何か論理必然のように出てくるんですけれども、明らかに飛躍した論理だというふうに思います。 例えば布川事件にしたって袴田事件にしたって、物証はいっぱい残っていたわけですね。あるいは目撃者の証言等もあるわけです。だから、本来、供述調書に過度に依拠しないといえば、何が問題になるかというと、では、なぜ物証からきちっと押さえていかなかったんだと。だから、別に捜査方法がなかったから間違ったんじゃなくて、現に収集している物証や客観的な証拠あるいはいろいろな証言、きちっとそれを踏まえて捜査をしていかずに、最初から桜井さんが怪しいあるいは袴田さんが犯人に違いないというふうに人を決めて、そこから自白をとっていくというやり方で間違ったわけです。 ですから、自白偏重から脱却するというときに、別に新しい捜査手法がないからできないんじゃなくて、現にある客観的な証拠から丹念に丁寧に積み重ねていくということを怠ったからこの事件は起こっているので、僕はこの議論が決定的に欠けていると思います。 なぜか、可視化すると供述調書がとりにくくなって、では新しい捜査手法だというんだけれども、これは完全に論理の飛躍だし、現実の冤罪事件の経過を見ても間違っているというふうに思います。 それから、さらに言うと、司法取引というのは、言ってみれば、今まで最悪の供述証拠なんですね。さっき周防参考人が、隠れたのが明るみになることにそれなりの意味があるとおっしゃって、それを言われると何となく、うっと思うんですが、何で明るみにできなかったかというと、今までの裁判所の考え方だと、取引で利益誘導をやった供述というのはおよそ信用できないと。だから、明らかにできなかったんです。それを法律で制度化してしまうというのは、やはり非常に恐ろしいことなんですね。できなかったことをわざわざできる制度をつくるということになります。 それから、盗聴法に至っては、実際に盗聴で捕捉できるのは過去のものではありません。過去の犯罪の痕跡は収集できません。これから起こり得る会話やメールでの通信などしか傍受できないわけですね。 ですから、過度の供述証拠への依存から脱却というのであれば、今までの冤罪事件のどこが間違っていたのかを丹念に検証すれば、新しい捜査手法の問題ではない、これは捜査のあり方、構造の問題ということになるので、可視化と、新しい捜査手法と言われている司法取引や盗聴法を結びつけるというのは論理飛躍だし、この委員会ではもう一回、やはりそこはゼロベースで考えていただかなきゃいけないというふうに思います。
○清水委員 では、それに関連してなんですけれども、それでも冤罪が生み出されてきた構造的な要因、代用監獄も含めて、ここにやはりメスを入れないと、私は、冤罪の根絶はできないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○加藤参考人 では、時間がないようですので、短く。 そのとおりです。 ですから、さっき桜井さんがおっしゃったように、やはり身柄を拘束して長期間密室で取り調べるというこの構造自体が、言ってみれば支配者と被支配者という関係をつくる、その中で自白が強要されたわけですから、大もとの身柄拘束のあり方、あるいは取り調べ、今、受忍義務というのがあるんですけれども、本当にそうなのかというその辺も含めて、議論が必要だろうと思います。 もう一つは、やはり証拠の開示の問題です。 布川事件で今国賠をやっていますけれども、いまだに隠れている証拠を出す出さないという議論をしています。袴田事件もそうです。これは異常ですよね。数十年もたって、しかも、再審で無罪が確定した事件でまだ証拠が隠されている。 密室での取り調べという構造と、全部の証拠を検察官が独占して自分に有利なものを取捨選択してしか出さないというこの仕組みをやはり変えないと、今までの冤罪の教訓を生かしたということにはならないというふうに考えます。
○清水委員 もう時間が来ましたので、椎橋参考人にも聞きたかったんですけれども、大変申しわけありません。 最後に、内山参考人に日弁連の早期成立を求める会長声明について伺って、終わりたいと思います。 ここに、「国会の総意で早期に成立することを強く希望する。」とあります。 先ほどのお話を聞きますと、弁護士の中でもこの法案に賛成する者は決して多数派ではないという意見もありましたし、理事会の採決では、私の聞くところ、かなり多くの単位会が一括採決に反対をしたと伺っておりますし、現に盗聴法の拡大についても、十八の単位会が反対声明を出されているんですね。 私は、日弁連そのものの総意となっていないものを国会の総意にして早期に成立をというところに非常にわかりにくさがあるわけですが、よもや短期間に強引に成立させろ、こういう思いで述べておられるものではないと認識しておりますが、いかがでしょうか。
○内山参考人 まず、日弁連の総意という点では、先ほど申し上げたように、昨年の理事会でこの問題についての方針は決めたということです。 それから、今国会での審議についてですけれども、これも会長声明にあるとおり、また日弁連も、特に通信傍受だとか司法取引だとかそういったものについての問題点も指摘をしています。今後どういう方向に進んでいくべきかということについても声明の中で述べていますので、そういった課題だとか問題点が審議の中できちんと確認される、それが何らかの形で成立はするけれども、今後の立法の、運用のあり方だとか次なるステップにつながっていく、そういう意味で充実した審議をされるということは非常に意味のあることだというふうに考えています。
○清水委員 五人の参考人の皆さん、どうもありがとうございました。 これで質問を終わります。
○奥野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 次回は、来る十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会