法務委員会 第20号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2015/06/05
会議録
○奥野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、警察庁刑事局長三浦正充君、警察庁警備局長高橋清孝君及び法務省刑事局長林眞琴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。
○山尾委員 おはようございます。民主党の山尾志桜里です。 まずは、私が御質問をスタートしたいのは、先日、六月二日の鈴木貴子議員と上川大臣とのやりとりの中で、大臣の答弁でこういうふうにありました。今回の改正の源と言える諮問九十二号、この中に記載をされている「近年の刑事手続をめぐる諸事情」について、大臣は四つの具体的な事件名を挙げられたと思います。足利事件、郵便不正事件、氷見事件、そして志布志事件。 そういうことで、まずは大臣に御確認を申し上げたいと思いますが、この諸事情に当たる具体的なこの四事件、まずは、当たるんだということでよろしいですか。
○上川国務大臣 鈴木貴子委員とのやりとりの中での御質問でございました。 さまざまな事件があったということ、そしてその中でも、今御指摘いただいた事件があったということについては、そのように申し上げたところでございます。
○山尾委員 もちろん、この四事件に限らず、ほかにもさまざまな冤罪被害者の方がいらっしゃるということも前提で、ただ、一つの切り口として、それでは、今回の刑訴法の改正が行われたであったならこの四つの事件の冤罪の発生の可能性は低くなったのだろうかという視点で、ちょっと一つ一つお伺いをしたいと思うんです。 まず、郵便不正事件ですけれども、これは、皆さん概要は御存じかというふうに思います。郵便割引制度をめぐる、にせの証明書を発行されたと言われる事件です。 二〇〇九年五月、村木さんの逮捕に先行して、その部下である元係長が、にせの証明書を発行したということで逮捕されました。この捜査段階において、この元係長の供述調書、村木さんの関与を認める供述調書が作成されました。そして、翌六月、村木さんは逮捕されました。五カ月、身柄拘束が続きました。年が明けて二〇一〇年一月、村木さんは、初公判でも、捜査段階と同じく否認を継続し、無罪を主張しました。そうしましたら、この年二月から三月にかけて、この村木さんの公判において、元係長は捜査段階の供述を変え、実は村木さんは関与していませんでしたという真実を述べました。 検察官が立証の柱としたこの元係長らの供述調書四十三通のうち三十四通が、大阪地裁によって、検事が誘導して作成されたと判断され、証拠排除されました。その年九月十日、村木さんはようやく無罪判決を得たわけです。 まず、この村木さんの郵便不正事件という冤罪事件ですけれども、今回、裁判員裁判対象事件にあわせて検察官独自捜査事件が可視化の対象になりますので、もちろん、今回の法案が通れば、この事件は可視化をされていたということになります。これは一定の進歩だと思いますが、この事件についていえば、村木さんは、可視化をされていない密室の取り調べの中でも私はやっていないと一貫して否認を継続されましたので、この点がこの事件においていえば影響を与えることはなかった。 一方、この元係長の捜査段階で作成されたうその供述、村木さんが関与したんだというこの供述、これが、もし今回の改正案にある司法取引が導入されていたならばどういう影響が考えられるのかということを議論したいと思います。 まず、今回の司法取引ですけれども、対象犯罪の中に、この事件、罪名でいえば虚偽有印公文書作成、同行使罪、これは入っておりますか。事務方でも結構です。
○林政府参考人 今回の合意制度の対象事件に含まれております。
○山尾委員 含まれておりますということは、司法取引の制度があればこの事件も対象になると。 では、もう一回聞きます。 この元係長、司法取引がない中でも、うその供述を話してしまった、上司が関与したという供述を話してしまったわけです。一般論としてでも結構です。司法取引が制度化されていたならば、こういった、共犯者による他の共犯者に対する犯罪の関与を認める供述、これは司法取引によってその供述を得やすくなるんでしょうか、それともそういう影響はないんでしょうか。どちらでしょう、大臣。
○上川国務大臣 今、御質問のケースに今回のということでの当てはめの御質問をされたというふうに思います。一般論ということでよろしいということなので、その旨でのお話でございますが、この合意制度が導入されますと、被疑者、被告人が虚偽の供述をすることによって第三者の巻き込みが生じるというような御指摘がございます。今のケースについてはそういうことだと思いますが、制度上の手当てをしっかりとして、そしてそうした巻き込みが行われないようにしていくという形でこの合意制度を提案させていただいているところでございます。
○山尾委員 制度的担保の話は時間があれば後でしますけれども、一般論としては、当然とりやすくなるわけです、とりやすくするために入れているわけですから。そういう供述を得やすくするというのが立法趣旨ですので。 そういう場合、これは、たらればの世界ですけれども、この事件においても、もし、元係長に対して、上司の関与を認めればおまえの求刑を下げてやる、こういうふうに言うことが、今はできないけれども、制度があったらできるわけです。そうすると、上司の関与、他人の関与を、虚偽であろうとも認める誘因がより高まるというふうに私は考えますし、これは多くの方に賛同していただけるというふうに思います。 次に進みます。 それでは、一般に、司法取引において、共犯者が、捜査段階では上司が関与したと話した。でも、公判廷においてはその関与を覆した。いやいや、上司は関与していません、こういうふうに覆したとします。合意した供述を覆された場合、検察官はどうしますか。
○林政府参考人 合意制度に基づく供述というものは、基本的には、公判において、まず証人尋問という形で吟味されることになると思います。事前に供述調書が作成されるということも当然ありますけれども、供述調書はあくまでも伝聞証拠ですので、まず、他人の公判において争われた場合、そのときに立証する場合には、やはり当該供述を証人として尋問する、そういう形になります。その段階で、当然、その証人が、供述調書、捜査段階での供述と異なる証言をすることがあろうかと思います。 いずれにしても、その証言の信用性につきましては、当該裁判所において反対尋問等を通じて吟味されることになると思います。
○山尾委員 今申し上げているのは、捜査段階で検察官と合意した供述の内容が公判で覆った、この場合、この制度の成り立ちにおいては、検察官がその合意を破棄するという可能性が十分にあるのではないですか。
○林政府参考人 当該証人尋問において真実に反する供述をしたとなれば、それは、合意離脱という制度がございますので、検察官側は合意を離脱することができます。
○山尾委員 この合意の離脱の効果として、もう一方の約束である、求刑を下げる、あるいはその者の罪をのみ込む、こういう約束ももちろんなくなるわけです。 私が申し上げたいのは、今回、この村木さんの事件では、不幸中の幸い、元係長は、捜査段階の供述を公判廷で覆して、あのときの供述は違いました、実は上司は関与していませんでしたということを認めました。 でも、この制度が入ることによって、もしここで覆したならば自分の求刑が重くなる、あるいはのみ込んでもらえるはずの罪が起訴される、こういう今の制度にはない新たな葛藤が生まれるということを申し上げたいんです。大臣、この点いかがお考えですか。
○上川国務大臣 一般論ということでございますが、被疑者、被告人の供述が真正であるかどうかということについて、公判の中で立証する段階において、先ほど局長の方からの答弁のように、反駁をするという形、あるいはいろいろな形で真実であるかどうかということを事前にやはり証拠をもってしっかりと検証していく、そうしたことがない限りは、その合意そのものも成り立たないということでありますので、そういう意味では、事前の、きちっと客観的な証拠で裏づけた上での合意成立という形で公判に及ぶ。そして、その中で、虚偽であるということも起こり得るということではありますけれども、それについて、そうならないようないろいろな仕組みを担保するということで、巻き込みの危険性については排除する、こうした仕組みを想定しているところでございます。
○山尾委員 建前はそうです。もちろん、共犯者供述は司法取引があろうがなかろうが危ないですから、検察官はしっかり裏づけをとって真偽を見きわめるんだというのは、これは当たり前なんです。 でも、今まで、見きわめを誤って多数の冤罪事件が起きているわけですよね。なので、同じことを繰り返されても、正直言ってこれは納得のいく答弁にはならないわけです。私は本当に危惧します。 今回、村木さんの事件を発端として、この郵便不正事件を発端として、では、最後の最後、特捜事件も可視化しようということに一歩前進した。でも、村木さんのこの冤罪事件の本質は、実は、可視化だけではなくて、巻き込みによる共犯者の虚偽供述が村木さんの五カ月の勾留と冤罪事件を生んだわけです。 そして、この法制度を見たときに、なぜ、さらに第二、第三の村木事件を起こすような新たな司法取引というものがパッケージで出てきているのか。本当に、あの郵便不正事件を発端として、二度とこういうものを起こさないと考えたら、私は、司法取引を最初からパッケージにして出してくるということは考えられないというふうに思うんです。 大臣、先ほどから、これは制度的担保がなされているとおっしゃっておりますけれども、では、これまで検察官側の証人が偽証罪として起訴された例というのは何件ぐらい把握されているんですか。
○林政府参考人 検察官側の証人が偽証罪で起訴された事件という形でのお尋ねでございますが、そのような観点での統計的な把握はしておりません。したがいまして、事件数についてはお答えできません。
○山尾委員 検察側の証人が何人起訴されたかということも把握をされていない。この数字がない状態で、どうして、今回の制度、検察官側が最初に信じた共犯者が実は虚偽だったら、これはちゃんと罪を重くして五年というのをやっているから大丈夫なんだということが言えるんでしょうか。 私は、この立法事実をちゃんと見てもらわない限り、こんなのは認められないと思いますよ。今まで検察側の証人が偽証罪で起訴された例を法務省は把握していないんです。把握をしていないのに、なぜ、今回、新たに法案に出ていますけれども、最初に検事と合意した内容がうそだったら、ちゃんと制度的に新たな罪名で担保されているから大丈夫なんだと言えるんでしょうか。 一般論から言えば、検察側の証人、自分が、検事が信じてしまって合意をしてしまって、実はそれがうそだった、それを起訴するのが検事であれば、そんなのはなかなか起訴できないだろうなと思うのが一般論ですよ。 でも、実は検察官はそれでも、正義の側に立って、自分の過ちを認めて、検察側の証人もこうやって起訴していますという例があるんだったら、教えてほしいんですよ。それで初めて私たちは議論ができる。これは調べていただけないと困るんです。大臣、もしこの新たな制度で担保があるとおっしゃるんだったら、これまでも検察側の証人でちゃんと検事は起訴してきた、こういう実例を調査してこの委員会に出していただきたい。いかがですか。 今でなくて結構です、後で結構ですので、後でどうするか、答弁を。
○上川国務大臣 ただいまの調査ということでございますけれども、基本的に、個別事件をさかのぼって記録の精査をするという、そういう内容を伴うものでございますので、それでも把握をできない事柄もあり得るかというふうにも思います。 しかし、どのような範囲でできるかどうかということにつきましては検討を要するということでございますので、その範囲の中で精いっぱい記録を精査してまいりたいと思います。
○山尾委員 これは、出していただかなければ、今回の新制度が、本当に一定の、最低限の担保ができているのかどうか、私たちは議論ができません。ぜひ調査をして出していただきたい。 そして、もう一つ付言をしますけれども、裁判員裁判のときもそうだったのですが、やはり法務省は、刑事政策として自分が法案を出していく立場なので、そういう形でデータはとっていない、個別の事件を全部さかのぼらなければデータはない、そしてそのデータを検証するすべはない、こういう答弁は、もうこれから先はないようにしていただきたいと思います。これでは、立法事実が私たちは見つけられないんですよね。 ぜひ、ここから先、データのとり方をもう一度しっかり検討し直していただきたいと思いますけれども、局長、いかがですか。
○林政府参考人 一般的に、いろいろな刑事政策のためのデータというものを残すべきである、それを収集するということは必要なことだと思います。他方でまた、データの残し方におきましても、切り口というものが当然ありましょう。そのときに、全て各事件事件はさまざまな異なる要因の積み重ねでございますので、なかなか、どのように残すのかということについては、個別の必要性に応じて考えていく必要があろうかと思います。
○山尾委員 私たちがこの委員会で言ってきたのは、例えば裁判員裁判のときは、その議論の過程で、裁判員裁判前後から今に至るまで重大事件の起訴率が見過ごせないほど低下をしている理由は何なのかと。それについては、一定の説明はありましたけれども、これ以上はデータがとってないのでわかりません、そういう説明でした。 そして、今回、新たに司法取引を入れても、もしその取引の内容の供述が虚偽であったら、新設の罪名で五年という重い罰則があるから大丈夫なんだとおっしゃるから、では、今まではそういう仕組みの中でちゃんと起訴されて罰せられた事例があるんですかと聞いても、それがわからないと。私、そんな変な、重箱の隅をつつくようなデータを出せと言っているんじゃないと思いますよ。 少なくとも、今、この二点はもう一度問題意識を持たせていただきましたので、改めて、きょうからでも、毎日事件は起きていますので、そして毎日事件が処理されていますので、しっかりとそれに対応できるようなデータのとり方をしていただきたいと思います。
○奥野委員長 ちょっと、今の話、私もそれは賛成なんですけれども、具体的にどういう形にするかというのは理事会で少し検討してみましょうよ。それじゃないと進まないと思うからね。
○山尾委員 では、ぜひ理事会で検討をお願いします。ありがとうございます。 そこで、少し話が拡散しましたが、村木さんの郵便不正冤罪事件、これについて、今回の改正では、私は、核心が救えない、むしろ核心部分の可能性をふやす危険がある、そういう法案だという御指摘をさせていただきました。 では、二つ目、志布志事件。これは、二〇〇三年四月、鹿児島県議選をめぐる選挙違反。もう何人かの委員の先生がこれを取り上げていますので、詳細は申し上げません。十三人が起訴されて、うち、お一人は無罪を見ることなく亡くなられ、十二人が無罪判決を得ました。 この公職選挙法違反の事件ですけれども、今回、取り調べの可視化の対象範囲に入っていますか。
○林政府参考人 取り調べの録音、録画制度につきまして、それが検察官の独自捜査でなければ、これは対象事件とはなっておりません。
○山尾委員 これは今回の可視化の対象にならないんですよね。 では、一方で、この汚職の罪、司法取引の対象にはなっていますか。
○林政府参考人 公職選挙法違反につきましては、合意制度の対象事件とはなっておりません。
○山尾委員 一般的に、この事案の公職選挙法でなくても、汚職の罪、これは入っていますか。
○林政府参考人 贈収賄事件につきましては、合意制度の対象事件となっております。
○山尾委員 ここでも指摘をしたいのは、こういった政治、選挙が絡む事件について、必ずしも可視化の対象にはなっていない。一方で、この法案が通れば、司法取引の対象にはなるわけです。この重たさを考えていただきたいと思います。可視化にはならず、取引の対象になる、こういう事件がこの改正で生まれるんです。 この危険性について、大臣、どんなことをお考えになりますか。
○上川国務大臣 可視化、録音、録画の対象にするということの中で、さまざまな事件があった前後から、録音、録画について、検察の方では、試験的な運用、さらに本格的な運用、そして今回は義務化をするという、全面可視化ということでありますが、それの対象として、二つの類型ということでお願いをしているところでございます。 録音、録画につきましても、今の、対象でない段階におきましても、さまざまな運用をする中で、昨年の十月には、さらにさまざまな前進をしていくということで取り組みをしているところでございます。 今回は、義務化をする範囲の問題については対象としていないということでありますが、供述について、真正なものである、任意性が問われるというようなことについては、その意味で、現場でしっかりと対応していこうということで今取り組みを進めているところでございます。
○山尾委員 私は、この場で、現場の取り組みを信頼して、前提にして議論しようとは思いません。現場の取り組みにはやはりいろいろな間違いが起きるから、それを運用ではなくて法律として担保しようというのが今回の改正の趣旨だったと思いますし、これを、運用で頑張っていくから、現場の取り組みで頑張っていくからということでよしとしたら、私たち立法府の責任を果たせなくなってしまいます。 三つ目の氷見事件。これは、富山県氷見市で起きた、強姦罪に問われて虚偽の自白をとられ、実際に約二年間服役をした後に無罪が判明をした冤罪事件であります。 強姦罪は今回の可視化の対象事件になりますか。
○林政府参考人 強姦罪につきましては、録音、録画の義務づけの対象事件ではございません。
○山尾委員 ならないんですね。これは確認です。氷見事件、この大きな冤罪事件も今回の対象範囲にはならない。 そして四つ目、足利事件。私の方から事実を紹介しますけれども、これは、殺人事件、人の命がなくなっております。可視化の対象事件となります。 しかし、一方で、この冤罪被害者である菅家さんは、今回の法制審の答申を受けて、警察の取り調べで蹴られ、何もやっていないのに犯人にされた、全ての事件の取り調べを全面可視化してほしいと改めて訴えておられるということを御紹介申し上げます。 大臣、改めて、大臣自身がこの改正のきっかけとしてあえて具体的に挙げられたこの四つの事件を簡単に紹介してきましたけれども、これを今回の改正でどこまで救えるのか。そして、私が指摘をさせていただいたように、むしろ危険性をふやす例も出てくるのではないか。こういうことを申し上げましたけれども、大臣、いかがお考えですか。
○上川国務大臣 今回、さまざまな大変厳しい事件がございまして、それを受けて、検察のあり方について、根本から、大変大きな、危機的な信頼感の失墜につながる事件があったという、そうしたところから端緒になって今のような事態に至っているところでございます。 この間、検察のあり方、さらには、みずからが、現行の中でも、問題があったということについてそれぞれ真摯に向き合い、そして組織としてもそれに対して対応していく、そういう中で改革の方針を出しながら、現場の中で、絶えず、さまざまな冤罪、そうした無罪の判決に至るところまで追い込むようなことにならないような捜査と公判のあり方について謙虚に取り組んでいく、こういう中で、現場におきましても、さまざまな運用の改善も含めまして、抜本的な改革を進め、また、組織としても、そうした認識のもとで今があるというふうに思っております。 今回、そうした一連の流れの中で、冤罪防止のために、在り方検討会議を初めとして、法制審の中でもさまざまな御議論を進めていただいた過程で、犯罪捜査の多様性あるいはその適正を確保しながら、また、新しい時代に応じて、供述を中心としない、証拠の収集の仕方も多様化していく必要があるのではないか、こういう御指摘もいただき、また、公判の中でも適正化を図るための努力をせいということでございまして、その上で、さまざまな制度についても総合的な形でできるようにということで、今回、一体の流れの中で提案をさせていただいているところでございます。
○山尾委員 今、大臣の口から供述調書への過度の依存を改めてという言葉が出たので、では、ちょっと順番を変えます。 大臣、供述調書への過度の依存がいけない理由は何ですか。
○上川国務大臣 取り調べ及び供述調書に依存した状況について、これが過度であるということであります。 取り調べの過程の中で、事案を追求していこう、そのことを第一の目的とする余りに、そのことを追求する余りに、取り調べにおきまして手続の適正確保が不十分となるということ、そしてまた、問題が発生してきた事例の中でもそうした現象が起きてきたということ。 また、公判立証におきまして、供述調書の信用性に関する検討ということにつきましても、これに過度に依存するということになりますと、その信用性に関しての立証そのものを公判の場で行うということについて不十分になってしまうというような状況が起き、その結果として、公判での事実認定を誤らせるおそれがある、こうした認識に立っているというふうに考えております。
○山尾委員 今、最後の部分で、公判の認定を誤らせるおそれがあると。 言われているのは大きく二つなんですよ。やはり、供述に過度に依存するというのは違法な取り調べを生む温床になる、そして一方では、そういうことをやっていると、要は、うその供述が出てしまう、だから過度な依存はだめなんだ、こういうことなんだろうと思います。今、うなずいていただいていますけれども。 私が申し上げたいのは、今回、傍受の拡大については問題があると私も思っています。でも、一方で司法取引、これは、供述への過度の依存を改めると言いながら、なぜ共犯者あるいは第三者による供述に依存していこうという方向に引っ張っているんでしょうか、お答えください。
○上川国務大臣 取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況を改めるということで、このことを改めるためにも、証拠収集手段の適正化、多様化を図ることが必要である、さらに、公判審理そのものについても充実化を図らなければいけないということでございまして、その部分で、供述に過度に依存しない、取り調べ以外のさまざまな方法によって証拠を収集していくという一つの制度として、合意制度というのを今回の法律の中に含めたものでございます。証拠収集手段の適正化、多様化に資するものということで位置づけられているところでございます。 また、合意制度そのものは、先ほど御指摘のとおり、他人の公判におきまして被疑者、被告人の供述を表に出すということでございまして、その意味で、供述調書は重視されない、証人尋問が中心となる、そうした制度ということでございます。 これについては、公判審理の充実化を図るということに資する制度であるということで、今回、合意制度につきましては、取り調べ、供述調書への過度の依存を改めるという今回の改正法案の趣旨に照らして、この制度導入を含めているところでございます。
○山尾委員 自白への過度の依存を改めるということであれば、一つ理屈が通るんですね、共犯者供述や参考人供述、第三者の供述を求めていく。でも、これは、供述調書への過度の依存を改めるんでしょう。 そして、供述調書への過度の依存の何が悪いかといったら、やはり、虚偽の供述、こういうものがあり得るから、供述調書でどんどん立証していこうというと、とにかく語ってほしい、事件の筋に沿ったことを客観証拠じゃなくて供述でとっていきたい、こういう心理が働くから、できるだけ供述調書への依存を改めよう、こういうことなんじゃないんですか。 だから、私が申し上げたのは、今回の法案で傍受の拡大がいいとは私は思いませんけれども、そういった傍受の拡大なんかの客観証拠でやっていくんだということなら、まだその流れの中では筋が通るんです。でも、もう一つの柱で、なぜ司法取引が出てくるんですか。 そしてさらに、本人からとれないから、では周りからとっていこうとしたら、結局、そういう供述調書に依存することによって、追及的な調べがあったり、あるいは、うそでもとってしまおうという心理が働いたりということを抑制できないどころか、さらに後押しする、選択肢をふやすんじゃないですか。場合によっては、確かに、おどしたり殴ったり、そういうものはなくなるかもしれない。でも、今までは決してやってはいけないとされてきた、いわゆる利益誘導による取り調べで、さらに虚偽の供述がふえるんじゃないですか。 供述調書への過度の依存を改めるという趣旨にまるっきり反していくんじゃないですか。大臣、どうですか。
○林政府参考人 今回、取り調べあるいは供述調書への過度の依存という問題から脱却するための制度ということでございますが、供述というものは、取り調べによって供述を得るということもございます。また、供述ということであれば、証人が証言という形で供述することもございます。その場合の供述について、これまではやはり取り調べに非常に比重があった、取り調べという形で供述を求めていた。さらに、その結果として供述調書というものがつくられて、最終的な事実認定の証拠として供述調書というものが証拠になる、こういったことが多く見られていた。 この状況を改めるということで、まず、今回、供述を求めるにしても、基本的に、取り調べという形で求めるわけではございません。まずは、協議、合意という制度を設けて、その上で供述を求めるわけでございます。 その供述というのは、今回の合意制度において、合意が成立した後に供述調書が録取されることはありますけれども、基本的に、他人の公判での立証となりますと、供述調書というものは伝聞証拠でございますので、まず証人尋問が行われます。その証人尋問の中で当該合意をした人が供述をするということにおきまして、供述調書というものは重視されません。そうしますと、やはり、他人の公判における、証人尋問による公判廷における供述、これが吟味されることになります。 そういった意味におきましては、今回、明らかに、供述調書への依存から脱却するということの趣旨に合っておりますし、かつ、取り調べに比重があり過ぎたという点でいきますと、証言という形での、公判廷での、公判審理の充実化ということの趣旨にもこれはかなうものであろう、こう考えております。
○山尾委員 全く納得できません。 それは、公判で証人としてしゃべらせるということが立証の柱になるんでしょうけれども、そのしゃべらせる大前提として、やはり、この人がこうやりましたという調書がつくられるんですよ。それが今回の制度の全ての始まりであるんですよ。そして、この調書については、実際に使われる公判廷においては、これは合意による調書ですということでもちろん判こがつくわけですけれども、やはり一番のスタートは供述調書になるんですよ。 そして、さきに申し上げたことをもう一度言えば、これがあることによって、もし、そこで、検事の前で虚偽のことを言ってしまったら、自分の罪を軽くしてもらうがためにうそをついてしまったら、今の制度よりもさらに、これを覆して本当のことを言いにくくなる制度なんですよ、これは。 今、局長は、取り調べと合意は違うとおっしゃいました。私もわかっていますけれども、あえて言いますよ。一般人にとっては、取り調べも協議、合意も同じですよ、その心理的な圧迫、制約は。そういうことを申し上げています。 では、もう一つ聞きますけれども、この間、この法務委員会で視察に行ってまいりました。私、現場の検察官に聞きました。法改正がなされる前である今、上司の指示があったということをしゃべれば求刑を軽くするぞ、こういう調べは許されているんですか、こういう調べがあったということをDVDで見てしまったらあなたはどうするんですかと聞きました。そうしたら、その現場の検察官は、まずは、そんなので得られた自白は使えないので、ほかで立証できないかを考えるとおっしゃいました。私、その場ではそれ以上申し上げなかったですけれども、排除すればいいというものではないということは言わなかったですけれども、今の現場ではこれは許されていないわけです。 そして、なぜだめなんですかとも聞きました。私は大変貴重な言葉を伺いましたよ。やはり、これまでの歴史、経験といったものから、こういう形で得られた供述は虚偽の可能性あるいは任意性に問題がある、これが、検察庁のということだと思います、現場の検事がおっしゃったんだから。これが検察庁の今まで導いてきた歴史であり、経験であると。私は本当にそのとおりだと思いました。 局長、任意性に問題がある、虚偽の可能性が高まる、そういったことで現場が認めていない、やっていない、法が許していない、利益誘導による供述を求めるということが、なぜ今回許されるんでしょうか。
○林政府参考人 この問題は、例えば自白ということについて、任意性ありやなしやということで問題となってきます。これについて、特に約束による自白というものに任意性がないとされた判例がございます。そうしたことから、この判例の中で約束自白の任意性が否定されているということに鑑みまして、やはり、検察の実務でもそうですし、あるいは裁判の実務でもそうでしょう。また、これに対して防御する弁護人においても、こういった約束による自白というものについては任意性が否定されることがあるということを前提に、これまで実務は行われてきたものと思います。 その上で、約束の自白の任意性を否定したというこの判例でございますけれども、これにつきましては、一定の、例えば自分が不起訴になるということ、このことを契機として自白をした、そしてその後起訴された場合に、その自白の任意性は否定された、こういった事案でございます。 結局、この場合の任意性が否定された判断としましては、当該自白というものが起訴、不起訴の決定と直接に結びついていた。その上で、こういった場合に、当該事案において被疑者が検察官とやりとりする場面では全く弁護人の関与もなく一対一で行われていた。こういったことから、このような場合については、不起訴処分を自分が受けたいために、それが事実に反するものであるとしても、当該供述をしようとする強い誘因がある状況であろう。そういった強い誘因があるような状況については、やはり、そういった状況のもとでの供述というものは虚偽の供述であるおそれが高い類型的な状況であるので、そういったものは任意性を否定する。 こういったものがこれまでの判例だったと思います。 それに対しまして、今回の合意制度でございますけれども、これにつきましては、まず、協議の開始から合意の成立に至るまで、弁護人が関与しております。そして、被疑者としては、弁護人から十分な援助を受けつつ、自分の利害得喪について全て任意に判断することが可能になっている。そういう状況を法律として認めて、そういう手続的な保障を受けた上での制度でございます。 その上さらに、自己の有利な取り扱いと関連づけられることになる当該供述自体も、他人の刑事事件についての自己の記憶に基づく供述であるということがございます。さらには、合意をした者が捜査機関に対して虚偽の供述をした場合には、新設の罰則による処罰の対象ということもございます。 こういったことからしますと、今回の合意制度のもとにおきまして、特定の供述を、事実に反するものであることを知りながらあえてするということについての誘因というものは、先ほど申し上げたような判例での事案に比べて、その誘因の程度は弱いものにとどまっていると考えられます。 したがいまして、類型的にその任意性が虚偽の供述を生むという任意性の否定というところでは、判例の事案とは異なる状況が生まれますので、今回の合意制度につきましては、これまでの判例の趣旨と反するものではないと考えております。
○山尾委員 ちょっと今、長く、なかなか理解困難な答弁かと思いますけれども、二つのことをおっしゃったと思います。弁護人の関与があるのだということ、そしてまた、虚偽の合意をすれば罰則があるのだということです。もうこの点はこれ以上言いません、また後の質問のときにしっかり深掘りをしますけれども、罰則については、さっき理事会で協議をするということになりましたので、それが今までもちゃんときいてきたんだという立法事実を見せてください。 そして、弁護人の立ち会いについては、私もこの件について何人も何人も弁護士の方と話しましたけれども、弁護人の立ち会いで、自分のクライアントが他人の罪を供述することによって軽くしたい、こういう場合に、それが本当かどうかを実際に捜査する、調査する権限もなければ、あるいは、それをやるべきかどうかについてもためらいがあると。それはそうだと思いますよ、弁護士という職責として。この点は引き続きしっかり議論をしていきたいというふうに思います。 次に、がらっと話はかわりますけれども、私が申し上げたかったのは、そうやって、この改正の契機となった大きな四つの事件、もちろんほかにもあります、そういう四つの事件やほかの冤罪事件をこれで救える、少なくとも大方救えるという法案になっていないのはなぜなんだろう、そもそも新時代の刑事司法制度特別部会という名前になったのはなぜなんだろう、これは冤罪をなくす特別部会であるべきではなかったんだろうか、どうしてこういう国民の良識と違う話になっちゃうんだろうということをいろいろ考えました。 やはりこれも、前回、鈴木貴子議員が、この部会の委員構成について問題に挙げました。大臣から、委員、幹事四十名中、捜査機関に関係する者は十四名である、三五%である、こういう答弁がありました。 改めて皆さんのお手元に配りました。「委員等名簿」とあります。二枚物ですね。 委員を見ていただくと、委員は二十四名。現職の、いわゆる国の行政機関職員ですか、四名。そして、裁判所だから行政ではないですね、司法の分野から現職二名。これで六名。 皆さん、めくっていただいて、資料二、審議会等の組織に関する指針という閣議決定がございます。通し番号でいうと三ページ目です。三ページ目の下のパラグラフに下線を引きました。「委員等については、行政への民意の反映等の観点から、原則として民間有識者から選ぶものとする。国会議員、国務大臣、国の行政機関職員、地方公共団体又は地方議会の代表等は、当該審議会等の不可欠の構成要素である場合を除き委員等としないものとする。」 この六名、どういう理由づけで「当該審議会等の不可欠の構成要素である」というふうに認められたんでしょうか。原則としてはしないんですから、例外的な理由というのは何なんでしょうか。しかも、二名ずつ必要だったんでしょうか。 幹事も見てください。そういう専門的な知見や、今、行政がどうなっているかを知りたいんだったら、幹事にいっぱい名前を連ねていますから、法務省も警察庁も。 何で、本来委員になってはいけない国の行政機関職員がこれだけ入っているんでしょうか、答弁ください。
○林政府参考人 御指摘の閣議決定の指針等におきましては、国の行政機関職員を「属人的な専門的知識及び経験に着目して委員等とすることは排除しない」とされておりまして、また、審議会等の運営に関する指針におきまして、所管府省出身者につきまして、「属人的な専門的知識経験から必要な場合を除き、委員に選任しない。」とされております。 法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会におきましては、諮問の趣旨及び内容からしまして、刑事司法制度全般のあり方に関する調査審議が行われることが必要とされたことから、捜査の実情や刑事司法制度に関する専門的知識及び経験を有する実務家をも委員として任命する必要があったところでございます。そのために、刑事司法制度に関する専門的知識及び経験を有する警察関係者、法務省関係者、検察関係者も同部会の委員、幹事として任命されたものでございます。
○山尾委員 例外的に属人的な専門的知識及び経験に着目して委員とされたのは、これは村木厚子さんなんですよ。これは、行政機関職員としての立場ではなくて、まさに冤罪を戦った当事者として、村木さんの属人的な知識及び経験に着目して、なくてはならない人だから入っているんですよ。 この人たちは属人的に入っているんですか。法務省を代表して、警察庁を代表して、まさに役所としての知識と経験を持って入ったのではないんですか。 もう一つ申し上げます。同じことですけれども、通し番号の五ページ目です。下線を真ん中辺に引いてありますけれども、これはOBの委員への任命で、「府省出身者の委員への任命は、厳に抑制する。」なんです。これは、警察庁、検察庁、法務省ですね、そして裁判所と、仲よくOBが一人ずつ入っているんです。厳に抑制すべき府省出身者がどういう理由でここに入っているのか。まあ、同じ答弁が来ると思うので申し上げません。 私が申し上げたいのは、大臣、こういうメンバーでなされた今回の答申なんだということ。そして、今後また参考人、当事者としていろいろなお話が聞けたらいいと思いますけれども、この部会に入っていらした村木さん、あるいは映画監督の周防さん、御自身たちの認識の中では、いわゆる民間有識者は六名、部会長を入れたら七名だった、こういう御認識です。周りは本当に、自分たちとはちょっと物の見方、立場が異なる専門家、こういうことでできた答申だということ。 そしてもう一つ、これはちょっと答弁いただきたいですけれども、今、ほかのいろいろな審議会があると思います。これは、やはりほかの省庁の審議会とは特異ですよ、法務省の審議会のメンバー構成というのは。一度ぜひ洗い出していただいて、原則として入っていないはずの行政機関職員がどれだけ入っていて、それに本当に理由があるのか、厳に抑制されているOB出身者が今どれだけ入っていて、それに本当に理由があるのか、ちょっと検証していただけないですか。
○上川国務大臣 法制審議会を初めとして、さまざまな研究会の中で、外部の有識者の皆さんに、本当にお願いをして、さまざまな課題について検討、検証していただくというようなこともあわせて、さまざまなレベルでしているところでございます。 今の委員の御趣旨、よく拝聴しましたので、そのことにつきましてもしっかりと対応していきたいと思います。
○山尾委員 ちょっと、時間が本当にあと五分になってしまって、委員長には申しわけありません、聞ける範囲で聞きたいと思います。 今ちょっと話に出しました、いわゆる、御自身たちを民間有識者と感じて、特にその中の部会の五名の皆さんは、本当に、この取りまとめに当たっては、さまざまな思いをのみ込んで、しかし、この可視化がこれから拡大をしていく第一歩なんだということの強い期待を持って、そしてその強い期待を踏まえてやっていただけるということを懸命に文書で文字に落として闘いながら、この取りまとめに最終的には応じておられます。 でも、この前、委員長はこうおっしゃったんですよ。そもそも制度の対象事件は、録音、録画の必要性が特に高い裁判員裁判に限定すべきであると考えておりますと。これは、もう第二歩目はないとおっしゃったに等しいんですね。 このことを踏まえて、もし私の受けとめに誤解があるようであれば、もう一度答弁いただけないですか。
○山谷国務大臣 御指摘の全事件、全過程の録音、録画についても将来の議論の対象として必ずしも排除されるものではないということは、先日お答えしたとおりでございます。裁判員裁判対象事件の録音、録画の実施状況を丁寧に検証しながら検討すべきものだと考えております。
○山尾委員 大事な答弁をまずは第一歩でいただいたというふうに思います。 そして、委員長、資料三を見ていただけますでしょうか。この通し番号でいえば七ページなんですけれども、これは、委員長が先日の答弁でも複数引いていらした警察捜査における取調べ適正化指針というものです。これは、通し番号でいうと七ページ、線を引いてあります。「(オ) 便宜を供与し、又は供与することを申し出、若しくは約束すること。」これは、監督対象行為として、不適切な取り調べだというふうに指針でなっております。 これとの関係で、今回、司法取引という制度、いわゆる制度として、まさに起訴しないだとか求刑を低くするだとか、被疑者にそういうような便宜を供与することを申し出て取り調べをすることが、さっきの局長でいえば、これは取り調べではないと言いましたけれども、そういうことが制度として今回適法化される法案になっております。 法制度として、この指針との整合性はいかに御理解をされておられますか。
○三浦政府参考人 現在におきましては、こうした合意制度というものは現行法上ございませんし、また、一般的に、こうした、「便宜を供与し、又は供与することを申し出、若しくは約束すること。」といった行為、いわゆる利益誘導的な取り調べということについては厳に戒めているというところでございまして、それは今後においても変わるものではないというように考えております。 ただ、今回の法案における合意制度のもとでは、先ほど来御答弁もございますように、虚偽の証言などが行われるという一定のおそれがあることを念頭に、協議や合意への弁護人の一貫した関与等々、制度的なさまざまな手当てが設けられているものと承知をしておりまして、また、捜査機関としても、その証言等の信用性を客観証拠などによって十分に裏づけるという運用となると考えておりまして、その適正性は担保されるものというように考えているところでございます。
○山尾委員 この点は、今、事務方の答弁がありましたけれども、また改めて委員長と議論したいと思います。 最後に、委員長、見ていただきたいんです。この適正化指針ですけれども、これはやはり、さまざまな冤罪事件、そこで露見した警察の取り調べの問題点、これを契機に出された指針です。 私がちょっとやはり驚きますのは、これは通し番号の十番、十一番のところを見ていただきたいんですけれども、「人事上の措置」、下線を引いていますけれども、「取調べ官等職員の勤務成績の昇任、給与等の処遇への一層的確な反映に努める。」次、「取調べ官等職員の功労を適切に評価し、表彰を一層積極的に実施する。」こういうことになっているんですね。 民間と比べるとまでは言いませんけれども、何か不祥事があって、その不祥事の根元にある問題点を部下たちに指摘し、戒めるときに、どうして、さらにそういう人たちを表彰しよう、功労を評価しよう、こういう話が一緒に書かれてしまうんでしょうか。 私が予測するに、こういうことで取り調べ官のモチベーションが下がると困るからこういうものも入れていくんだと、何だか私、自分が多少現場にいたときに、そんな説明を受けた記憶もなきにしもあらずなんですけれども、これは、委員長、当時、委員長でなかったときに出された指針ですよ。でも、いかが思われますか。 むしろ、こういう人事上のことがあるんだったら、取り調べに問題があったときは、それは人事としても大きくマイナスの評価になるよ、そうならないようにもしっかり適正な取り調べをせよということが人事上の項目としてあるべきで、表彰を一層積極的に実施するとか昇任をするとか、そういうことになっているのはやはりちょっとおかしいなと思うんですけれども、委員長、御見解を。
○奥野委員長 山谷大臣、時間が来ていますから、短くお願いします。
○山谷国務大臣 「監督対象行為を認めた場合は、諸要素を総合的に考慮して、懲戒処分を始めとする厳正な措置を講ずる」ということも記されておりまして、冤罪を生まないように、取り調べの適正確保は極めて重要な課題だと認識しております。
○山尾委員 内部の監督がどれだけ行われているかということも引き続き議論していきたいと思います。 ありがとうございました。
○奥野委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時二分休憩 ————◇————— 午前十時五十分開議
○奥野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いをいたします。 連日、私もこの法案について理解を深めようと一生懸命勉強しておりまして、この勉強を大学受験のときに生かせば、二年も浪人して親不孝をすることもなかったなと思うのですが、まさに、必要意識といいますか問題意識を持って勉強をさせていただいております。 実は、きのう、村木厚子さんからお話を伺いました。検察改革、そしてこの一連の改革の一つの大きなきっかけをつくっていただいたという言い方がいいのかわかりませんが、そうした村木厚子さんのお話を聞きました。 私は、この法案は、取り調べの可視化、司法取引、通信傍受、そして保釈、そのほかも幾つか項目があって、そうした大きな四つの論点があるのかなと思っていたんですが、村木厚子さんがきのう真っ先におっしゃったのは、今回、この法案を見て、何としても思いを遂げていただきたいのは、三つのポイントがあると。それは、取り調べの可視化、保釈の状況の改善、そして証拠の取り扱い。村木厚子さんはこの三つに言及をされました。 そこで、きょうは、まず、保釈をめぐる状況と、その法改正について伺っていきたいと思います。 本会議で大臣から一定の所見をいただきましたので、きょうは、まず、保釈の請求に対して判断をされている裁判所側に、きょう大変朝早くの連絡で恐縮でございますが、平木さんにお越しをいただきましたので、伺いたいと思います。 保釈については、いわゆる人質司法と呼ばれる、そういう批判、指摘が、これまで幾つかの事件、特にやはり無罪となった、冤罪の判決が出たような事件の後の報道を見れば、御本人や弁護側の声を聞けば、そうした長期の勾留というものが冤罪の一つの原因になっている、証拠の隠滅、逃亡のおそれ、そうしたことを本当に勘案してこの保釈というものが運用されてきたのか、そういう議論がこの人質司法という言葉にあると思います。 そこで、私の方で全地方・簡易裁判所の保釈をめぐる数字を見てきたのですが、保釈の率という意味で申し上げますと、勾留状を発付された被告人の人員に対する保釈が許可された人数というものは、例えば平成二十五年ですと、五万五千百六十九人が勾留状を発付され、そのうち保釈許可をされているのが一万一千三百九十一人、率にして二〇・六%。これは、十年前は一二・一%でしたので、上昇傾向にあります。 そして、もう一つ。保釈を請求した被告人というのは、五万五千人のうち一万九千九百八十五人が平成二十五年に保釈を請求して、その五七%、一万一千三百九十一人がこれを認められている。この率の経過を見ますと、五五%を超えたのが平成十九年以降、平成二十五年は五七%、多少の上下動はあります。そして、それ以前、平成十六、十七、十八年は五一・六から五三・二。非常に緩やかな傾向ではありますが、多少ふえているのかなという思いもあります。 まず、この保釈をめぐる状況、保釈についての認識、裁判所の中でどのような認識をお持ちなのか、また、どのような議論があるのかを伺いたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 保釈の判断は、被告人の身体拘束にかかわる重要な判断であると認識しております。 もとより、個々の事件におけます保釈の判断は各裁判官の判断事項でありますが、保釈の判断につきましては、裁判官の間でも議論が重ねられているところでございます。その議論の中では、この事件で罪証隠滅の余地が本当にあるのか、被告人に罪証隠滅の意図がどの程度あるのかなど、保釈の要件について、抽象的にではなく、個々の事件の実情に基づいて具体的に丁寧に判断するという保釈の判断の基本を改めて徹底すべきであるという議論がなされておるところでございます。 保釈の許可率、保釈率につきましては、その時々の事件の動向などさまざまな要因に作用されるため、最近増加傾向にある原因は一概に言えるものではございませんが、先ほど申し上げましたようなことも背景の一つになっている可能性があると考えております。 裁判所といたしましては、今後も、保釈の判断につきまして、一件一件丁寧に判断してまいりたいと考えておるところでございます。
○井出委員 ありがとうございます。 今お話があったような、具体的にそれぞれを見て判断することを徹底すべきである、保釈について一概の判断をするものではない、その上で、こうした緩やかな増加傾向というものについては可能性の一つとしてあるということをお話しいただきました。 法務大臣に伺いたいのですが、さきの本会議、五月十九日、私が保釈についての認識を伺ったときに、私が人質司法という言葉について尋ねたことについては、「御指摘のような批判があることも承知しておりますが、一般論としては、裁判所において、刑事訴訟法の規定に基づき、事案の内容や証拠関係等の具体的な事情に応じて適切に判断されているものと承知をしております。」と。今回の改正は、「特定の事実認識を前提とするものではなく、」これは私が人質司法と言っているところについての言及だと思いますが、「裁量保釈の判断に当たって考慮すべき事情について、実務上確立している解釈を明記し、法文上明確化するものですが、そのことにより、保釈の適正な運用にも資するものと考えております。」こういうお話をいただいているんです。 改めて伺いたいのですが、裁判所の中でも、今、保釈について、一つ一つの案件を具体的に見て判断をしていこうという議論がされている。この日の本会議の答弁の「適切に判断されている」というところは、裁判所において刑事訴訟法の規定に基づき判断されていると承知をしている、そういうことをおっしゃられているんですが、裁判所の方では、やはり保釈というものは一件一件見ていかなければいけない、そうした議論が、一概には言えないけれども、最近の傾向に出ているというお話がありました。 そうした裁判所なりの問題意識、そういったものも含めて、これは、「適切に判断されている」、そういう御答弁でよかったのか、改めてこの答弁について伺いたいと思います。
○上川国務大臣 ただいまの御質問の、刑事訴訟法の第九十条ということでの御質問があった折に、先ほど御指摘いただいたような内容の答弁をさせていただきました。 刑事訴訟法の九十条にのっとった現場の取り組みということにつきましては、裁判所として適正に運用していくということであると思っております。 今回、法律案におきまして、改正ということで、九十条そのものにつきましては、「裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」というこの条文に加えて、「保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、」ということの文言を追加するものでございます。 ここにつきましては、現在の運用について特定の事実認定そのものを前提とするというものではなくて、裁量保釈の判断に当たって考慮すべき事情について実務上確立している解釈を明記して、そして法文上明確化をするということであって、そのことによって、結果として保釈の適正な運用にも資するもの、こう考えているところでございます。
○井出委員 今までの議論でも紹介をさせていただきましたが、村木さんの事件の関係でいえば、村木さんの逮捕のきっかけとなった、元部下が事実と異なる供述をした、村木さんは百六十四日間の勾留、それに対して元部下は、検察の意向に沿った供述をすることによって早期の釈放がなされているんです。 もう一点伺いたいのは、村木さんもおっしゃっておりますし、多くの方がおっしゃっているんですが、人質司法という指摘、それを承知はしておりますという話を言っていただいております。 やはり罪を認めるか認めないか。勾留、保釈というのは、今私が申し上げているのは起訴されてからの話なんですけれども、一般の人にとっては、逮捕された段階の、検察送致までの四十八時間、そしてその後の十日、十日の二十日間の勾留も、その後の起訴後の勾留も、制度の趣旨や流れというものを、多くの方が必ずしもその全てを理解しているわけではありませんし、警察に逮捕されて身体を拘束されたときから、もうそこで、極端に言えば罰を受けている、そう考える方もいますし、そこのところも考えなければいけないと思うんです。 この人質司法という言葉を承知はしていただいていると。しかし、私は、個別にどれとは言いませんが、そうしたことがたびたび言われて、そうした報道がたびたびされている。そのことについて、一般的で結構ですが、もう少し重く受けとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 厚労省元局長村木さんの事件に沿って御質問をいただきました。 この事件につきましては、捜査が尽くされないままに逮捕、起訴が行われたことなど、さまざまな問題があったというふうに考えているところでございます。 保釈を許可するかどうかにつきましては、先ほど、一般論としてということで裁判所の方からの御答弁がありましたけれども、それぞれの証拠関係に基づいて裁判所の方で判断されているということでございまして、今回の村木さんの事件につきましても、そのことにつきまして法務大臣として言及するということはできないわけでございますが、あの事件の中で、検察の逮捕、起訴自体にいろいろな問題があったということを考えてみますと、その後も身体拘束が相当期間、長期間に及ぶことになったということでございますので、そのことについては検察の対応にも問題があったということにつきましては、否定できないというふうに考えております。
○井出委員 次に、国家公安委員長に伺いたいのですが、逮捕された被疑者、そして起訴された後の被告の勾留ということで、逮捕されてからの四十八時間や、検察庁に送致されてからの二十日間、いわゆる二十三日とも言われるんですが、そして、その後、起訴後の勾留といろいろな手続がありまして、恐らく、警察の方が身柄を拘束するのが最初の四十八時間、その後は検察庁と裁判所の請求と許可の範囲なんですけれども、私は、一般の方からすれば、警察に逮捕されて身体拘束が始まった時点で、制度上の違いはあっても、そこは同じような状況下に置かれる。 重徳委員がこの間質問をした代用監獄という言葉もあるんですけれども、この保釈をめぐる議論、人質司法と呼ばれる言葉の指摘について議論をしていくときに、警察の最初の逮捕をするしないの段階、身柄を拘束するしないの段階も、私は、一般の人から見たら一緒だと思うんですよ、警察署の留置場に入れられて拘束されるわけですから。 その認識を共有していただけるかどうか、まず伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 警察といたしましては、捜査は可能な限り任意捜査の方法により行い、逮捕、勾留等の身柄拘束は必要最小限にとどめるように努めているところであります。 その上で、身柄拘束の判断については、個別の事案ごとに、罪を犯したことを疑うに足りる理由のほか、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれなどを十分に検討いたしまして、必要に応じて検察官とも連携しつつ、慎重、適正に行っているものと考えております。
○井出委員 少し失礼な例えになるかもしれませんが、もし山谷大臣がこういった今のお仕事をされていなくて、警察関係、法務関係の専門分野とおかかわり合いがなくて、もし何もしていないのに警察に逮捕された、四十八時間、その後の二十日間、何もしていなくて起訴されるということは通常考えにくいですけれども、もしそういうお立場になったときに、その区別というものは果たしてつきますか。
○山谷国務大臣 いきなり身柄拘束というのは、罪を犯していない場合の話ですけれども、なかなか戸惑うかもしれないと考えております。
○井出委員 少し失礼な質問でしたが、当事者の思いをちょっと想像していただきたいということで質問させていただきました。 林刑事局長に伺いたいのですが、今回の保釈の考慮事由の明確化、この議論というのは、私は、起訴されてからの保釈についての議論だけであると考えてこれまで勉強してきたんですが、その認識でよろしいかどうか、教えていただきたいと思います。
○林政府参考人 今回の、特に法制審議会等での議論の過程におきまして、この問題については、捜査段階での身柄拘束、この問題もあわせて議論がなされていたと承知しております。
○井出委員 そうしますと、今回、保釈の事情を考慮するところを明確化する、そのことは、警察に被疑者が逮捕されて、逮捕状が出て、身体を拘束されて、それに対して当然、逮捕に当たらない、私は逃げません、証拠隠滅もしません、そういう申し立ても被疑者の側は裁判所にできると思うんですが、警察が逮捕された段階で何かそういう不服の申し立てがあったときに、今回のこの保釈事由の明確化というものがちゃんとそこに反映されていくことになるかどうかを伺いたいと思います。
○林政府参考人 現行法上も勾留請求について裁判所の判断が加わっておりますし、その後、勾留延長という手続の中でまた裁判官の司法的なチェックが入ります。また、勾留理由開示というような手続もございます。 それを前提として、それ以外に、被疑者段階における身柄拘束のあり方というものについては、法制審議会においても、被告人段階での身柄拘束のあり方とあわせて広く議論がなされていたと承知しております。
○井出委員 広く議論がされたということは、この法律が実際に行われていく場合には、逮捕されたときの勾留理由の開示ですとか、そうした手続においても、保釈事由の明確化という法律の趣旨が、これはまた裁判所側の話にもなってくるんですけれども、しっかりと考慮されるということでいいんでしょうか。
○林政府参考人 直接的な法制度の話となりますと、今回、これは裁量保釈についての条項でございますので、それについては、そのこと自体が、またそのことの運用でありますとか、その解釈のあり方自体につきましては、法制審議会で広く議論なされたことが直接的に反映するものではなかろうかと思います。
○井出委員 直接的に反映しないとなると少しここは議論をしていかなければいけないと思うのですが、裁判所に伺いたいのですが、先ほど保釈について、率が上がってきている、恐らくそれぞれの裁判所において個別に向き合った判断がされている、そこも少しは傾向に出てきているというお話がありまして、確かに私もそうだなと思うんです。 しかし、起訴されてから保釈を請求した人、それが許可された人というのは、冒頭申し上げましたように、約二万人に対して一万人をやや超えるというような数字です。 しかし、警察が逮捕をする、身柄をとるという人は、年間大体十一万、十二万人近くで推移をしております。そして、このうち、一度逮捕された人間の勾留が認められる率は、平成二十三年で見れば九三・一%だ。十二万人が逮捕されたら十一万人が勾留を認められる。その勾留が却下される人員がどのくらいかといいますと、身柄をとられた十二万人の中のほんの一%にすぎない、一千人程度の話だ。 これは、最近の新聞記事なんかを見ますと、勾留請求の却下の割合がふえている、そういう記事もあって、確かに、平成二十六年十二月四日の日本経済新聞を見れば、二〇〇二年は〇・一%だったのが二〇一三年には一・六%に上昇した、こういうグラフを描いてもらっているんですけれども。ただ、上昇しても一%をちょっと超える程度であって、本当に警察段階の勾留請求というものの扱いは桁が違うなと私は考えているんですね。 そこで、さっき私も申し上げましたし、山谷さんにもちょっとお話をいただいたんですけれども、私は、警察段階の逮捕、勾留や起訴後の逮捕、勾留というのは、一般の方からすれば、代用監獄、警察署にずっと置かれるということもありますし、変わらないと思うんです。そのあたりは、裁判所は、起訴された後の保釈について、私の一定の目的意識にかなう答弁をいただいているんですけれども、逮捕された段階の勾留、ここはそれに比べるとはるかに大幅に認めてしまっているなと。ここの議論をやっていかなければいけないと思うんですけれども、それについての認識を伺いたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、保釈の判断のみならず、逮捕の判断も、捜査段階の勾留の判断も、被疑者、被告人の身柄の拘束にかかわる大変重要な判断であると考えております。 保釈の判断のみならず、逮捕、勾留の判断につきましても、先ほど申し上げましたような、裁判官の中での議論が活発に行われているところでございます。委員御指摘のとおり、勾留請求却下率も上昇傾向にあるところでございまして、そのような議論が一定程度影響している可能性もあるというふうに考えております。 裁判所といたしましては、身柄全般にかかわる重要な判断につきましては、全て一件一件丁寧に対処したいと考えておるところでございます。
○井出委員 上川大臣に伺いたいのですが、今、柴山委員からちょっとささやきがあったんですけれども、確かに、警察が逮捕した段階というのは捜査が始まったばかり、起訴されてからの保釈というのは、起訴されたとなれば、検察としては、ある程度もう事実が確定して、これで裁判に入るんだ、そういう状況ですので、この数字が大きく違うことについて、私は、数字が同じでなきゃいけないという考えは到底ないんですが、ただ、今の議論で、逮捕をされても、また起訴後の勾留であっても、一般の人にとっては置かれる状況は一緒だと私は思うんですよ。 そこを踏まえて、今回の保釈の議論というものは、やはり警察の逮捕段階のところも、今回、これからの審議の中でしっかりと議論をさせていただきたいと私は思いますし、その問題意識を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 今回、保釈については、裁量保釈に関してお願いをしているところでございますが、法制審議会の審議におきましては、先ほど局長の方からも答弁をいたしたところではございますが、被疑者、被告人の身体拘束の現在の運用の当否、評価という形で審議をしていただいたところでございます。 認識におきまして、今、委員の認識ということでお示しをいただきましたけれども、それぞれ認識に大変大きな相違があった、その審議の中での相違があったということがございまして、そこで、結果として共通の認識の上でというところまでには至らなかった、そういうプロセスがあるというふうに理解をしているところでございます。 そういう意味で、今回、刑事訴訟法の第九十条の改正をお願いしたところでありますが、これは、裁量保釈の判断に当たっての考慮すべき事情として、先ほど来答弁をさせていただいておりますけれども、実務上確立をしている解釈を明記し、そして法文上明確化するものであるということでございまして、結果として、保釈の適正な運用にも資するものというふうに考えているところでございます。
○井出委員 先ほど林局長の方から、法制審でも起訴後の保釈と逮捕時のものについて広い議論があった、だけれども今回は、直接的には裁量保釈に対するところの話なので、私が今申し上げた逮捕段階のところに直接的に反映はしないという御答弁だったんですけれども、そこは私は、身体を拘束されるという意味においては、ここは議論を今回徹底的にさせていただかなければいけない、そのことだけは申し上げておきたいと思います。 次に、前回時間が来て終わってしまったところの議論をしたいんですが、通信傍受と特定秘密の関係であります。 前回の議論で、通信傍受の捜査を行っている過程で特定秘密をたまたまキャッチすることがあり得る、そういう答弁をいただきまして、それはそういう一つの見解なのかなと思いますが、当然これは、ですから、通信傍受捜査をしていて、何か思いもしなかった情報をキャッチされて、特定秘密にこれはなり得る、外交、安全保障上重要で、別表に該当して、非公知性がある、そういうものは特定秘密に指定されるということでよろしいか、まず警察庁警備局長に伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 前回、そういうことで、一般論としては通信傍受をしている際に特定秘密である情報を傍受することはあり得るというふうに申し上げましたけれども、今御質問のように、やはり、個別具体的に、どういう情報かにもよりますので、なり得るということしか、ちょっと申し上げられません。
○井出委員 一般論の議論ですので、それが見つかれば一〇〇%指定されるとかそういう話ではないと思いますので、そういう情報が見つかれば特定秘密に指定することはあり得る、そういうことだと思うのですが、特定秘密に情報が指定をされますと、当然それは、警察の中だけの管理ではなくなりますし、日本国内でもそれを共有すべき省庁が出てくれば、特定秘密であれば共有しますし、必要であれば出さなければいけません。 また、海外との情報交換を外交、安全保障上する必要があるとなれば、海外との情報共有もしていくのが特定秘密だと思うのですが、通信傍受で得られて特定秘密となった情報は、それ以外の特定秘密と同じように、それが情報共有、情報交換されたり、また、その特定秘密をもとにこれはもっともっと情報収集をしていかなければいけないな、そういう運用がなされるのかどうかを伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 特定秘密につきましては、委員御指摘のとおり、特定秘密に指定された場合には法律に基づいた手続に従って取り扱いがなされるということになりますが、通信傍受法に基づく通信傍受によりまして特定秘密に該当する情報を傍受したとしても、これを、例えば諸外国との情報交換といった情報収集活動に用いることはしないということでございます。
○井出委員 もう一度確認をさせていただきますが、通信傍受という捜査の手法で得られた情報がたまたま特定秘密になり得る、そして、なった。その情報というものは、情報そのものは特定秘密になるけれども、そこから何か、それを情報共有したり、そこから派生してさらに情報収集が始まるということはない。 つまり、私が申し上げたいのは、捜査の過程で得られた捜査の情報、捜査の証拠、その中から特定秘密になり得るものが出てきたときに、特定秘密として運用していくことは、政府としての情報管理であったり情報の取り扱いであったり、政府としての情報収集、情報交換、そういうことに分類されるかと思うんですけれども、そこは捜査と政府の情報活用というものをきちっと分けて、通信傍受で特定秘密が得られた場合は、指定することはあり得るが、それが政府の情報活用として使われることはない、そういうことでよろしいでしょうか。
○高橋政府参考人 通信傍受法に基づき傍受した通信につきましては、刑事手続以外の目的で使用することとはしておりません。 したがいまして、今委員御指摘のように、通信傍受によりまして特定秘密に該当するようなものを入手した場合でも、情報収集活動等に用いるということはしないということでございます。
○井出委員 実はきょうも指定権者の長官にお願いしようかと思ったんですが、警察庁で特定秘密を扱うのは警備局だけだ、そういうお話もありましたので警備局長に御答弁をいただいておるんですが、今、捜査で得られた情報は捜査には使うけれども、それを政府の情報活動に使うことはしないとおっしゃられたんですけれども、その、しないというところをどのように担保するのか。 前も申し上げたんですけれども、我々、また国民からすれば、そこは全くわからないわけであります。それはどのような取り組みをされるおつもりか、今の段階のお考えをいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 政府による情報収集活動につきましては、法令を遵守して適正に行われなければならないことは当然でありまして、通信傍受につきましては、現在あります通信傍受法により適正な手続がとられるものというふうに承知しておりますので、その手続に従って行われる、それによって担保されるというふうに考えております。
○井出委員 警察庁内でのそうした取り決めといいますか運用指針というものがあるのかないのか、また、警察庁と政府との間で、通信傍受で得られた情報は政府の情報活動とは一線を画さなければいけない、捜査情報と政府としての情報活用というものは明確に線を引いているような取り決めというか、そういうことが今までもう既になされているのか、これからされるのかを伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 繰り返しになりますけれども、やはり政府による情報収集活動というものは法令を遵守して適正に行われなければならないというふうに考えておりますし、現にそのように活動しているところであります。 そういう意味では、そういう取り決めというようなものは現時点でございませんけれども、やはり、それぞれの法律等に基づいて、その趣旨を体して、それを徹底して、適正に行うというものでございます。
○井出委員 我々や国民からすれば、秘密の管理ですので、当然、うかがい知る余地はありません。ですから、善意に解釈すれば、私は今のお言葉を信じたいのですが、特に、やはり警察内部での捜査情報と行政、政府機関の情報の一線を画すところ、そして、警察庁として、政府のほかの機関等に対して、捜査情報というものは政府の情報と一線を画さなければいけないというものを、公開して話し合えとかそういうことは言いませんけれども、そういうものを、ちゃんと言質をとる、形にする、そういう検討をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 委員御指摘の特定秘密保護法と通信傍受法につきましても、例えば国会等への報告とか、適正な手続がなされているかどうかのさまざまな担保措置がございますので、そういうことを通じて明らかになるといいますか、我々が適正にやっているということが示されるんじゃないかなというふうに考えております。
○井出委員 お願いしたことにはなかなかお答えをいただけず、そしてまた、国会の方などでチェックをしていくというのは、もちろん国会の役割ですので、当然そのことはやっていきたいと思いますが、私は、警察庁の中でこういう文書を出して、捜査情報と行政情報の区別を明確化したとか、政府内でそういうことを徹底したというものがあった方が話はしやすいと思いますが、きょう御答弁をいただいたことを踏まえれば、きょうの議論をもとに、通信傍受の話でしたけれども、これから捜査情報と政府の情報活用というものは一線をきちっと設けていく、そういう話が、そこまではできたと思っております。それをもとに、国会の方でまた報告等に対するチェックなどもこれから出てくるのかなと。 とにかく、特定秘密保護法というものは、三十年、場合によっては六十年、秘密の指定がありますし、非常に長い目で見ていかなければいけないものですので、まだ最初の段階ですので、そこをしっかりと確認させていただきました。 一点、前回の委員会で上川大臣にお伺いしたところで、私の質問が恐らくぼそぼそしゃべって悪かったと思うんですけれども、御答弁の中で、 通信傍受をしている過程でキャッチされた情報そのものが特定秘密に指定されている情報である、こうしたことについては現実的にはあるわけでございます。 しかし、それはそれとして、特定秘密の目的に照らして指定をされた情報そのものが通信傍受でたまたまとり過ぎたということでございまして、そのことについては、そういう現実は起こり得るということではございますけれども、通信傍受をしていたものの中でその指定をするというようなことについて、これは、目的に対して考えてみると、この目的ではないというふうに私は考えております。 というお話をされているんです。 これは恐らく私の質問が声が小さくて悪かったと思うんですけれども、ちょっと整理をさせていただきたいんですが、大臣は、「通信傍受をしている過程でキャッチされた情報そのものが特定秘密に指定されている情報である、こうしたことについては現実的にはある」と。それは確かに、通信傍受をしていて、事実上特定秘密になっているものが、また何かそこで会話されることも可能性はゼロだとは私も言わないんですけれども、私が今の議論とこの間の議論で質問していたのは、通信傍受をしているときにとれた情報が特定秘密になり得るかどうか。 だから、未来の話で、もともと指定されているものがまた出てくるという議論ではなかったので、改めて、そこの認識を、私の質問の悪かった点も含めて、いただきたいんです。それが一点。 もう一点、その後半なんですけれども、「通信傍受をしていたものの中でその指定をするというようなことについて、これは、目的に対して考えてみると、この目的ではないというふうに私は考えております。」と。だから、私は、そのとき、通信傍受で得られた情報というものは特定秘密に指定をしないという趣旨で御答弁されたのかなと受けとめていたんです。 まあ、私の質問が回りくどくて悪かったんですよ。ですけれども、きょう、通信傍受で得られた情報が特定秘密に指定されることはあり得る、そういうことを改めて確認させていただいたので、そこのところは認識をちょっと修正していただきたいと思います。(葉梨副大臣「想定できない」と呼ぶ)
○上川国務大臣 先日の御質問ということで、私の方が答えた内容について、今確認ということでございました。 通信傍受の過程で得た情報について、仮に特定秘密になるかどうかということについては、そのトップが判断をするということでございますので、先ほど答弁をされた枠組みだというふうに思います。 私が申し上げたかった点は、通信傍受法と特定秘密保護法が、そもそも目的、理念がそれぞれございます。その意味で、通信傍受法は犯罪捜査のための通信傍受に関する手続を定めているということでございますので、そこで傍受した通信につきましては、刑事手続ということでの利用ということでありますので、それ以外の目的で使用しないということが厳格になされていくべきだということで申し上げたところでございます。 そういう意味で、きょう確認ということでございましたので、まさに御指摘のイメージとしては、私は、その前の、もし特定秘密情報が流れていたならばというところを明示したということにつきましては、質問の趣旨について少し誤解をしていたなということについては、そのとおりだというふうに思います。
○井出委員 誤解をさせたのは私の質問が悪かったというところなので、そこはもう申し上げませんが。 私は、前回、今回と、特定秘密に、テロに関するものがあって警察庁が情報をとる、通信傍受の犯罪の対象が大きく広がるので、そうすれば当然重なり合うところが出てくる、大臣がおっしゃった、理念と目的が違う、それを踏まえて、先ほど警備局長にいろいろ整理をさせていただいたんです。 副大臣に伺いたいんですが、今それが想定できないとおっしゃられたんですけれども、なぜ想定できないのか、そう言い切れるのか、お話しください。
○葉梨副大臣 今大臣からお話があったとおり、通信傍受の法律とそれから特定秘密の法律は、趣旨、目的が全然違うわけです。 通信傍受の法律の体系の中でやっていかなきゃいけないことというのは、まずは令状をとって、それで通信を傍受いたします。それで、その犯罪に関連する情報、あるいは別表に掲げるような犯罪に関する情報、これについては傍受をして、その他の記録は消去するということになるわけですが、その結果というのは通知されるわけです、通信の当事者に対して。それで、その通信の当事者というのは、通知を受けて、その開示を求めることもできる。そして、原記録は裁判所にあって、裁判所に対して開示を求める。 そういうことになってくると、では、特定秘密保護法によって特定秘密に、指定できないというわけではないが、指定したとしても、通信の関係者から後に開示を求められるということになると、なかなか現実の問題としては想定できないのではないか。 ただ、全くあり得ないことではなくて、例えばですけれども、通信傍受の結果、これは特定秘密に当たり得る、でも、これはやはり捜査の目的以外には使えないので、この捜査の関係者がまさにその秘密をしっかり保護するために本当に短期間指定するというのは、もしかしたら私は個人的にはあり得るのかなと。これは全く個人的見解ではありますけれども。 いずれにしても、通知をして、それで開示ができるというような手続が、これは特定秘密に指定されようがされまいが、通信傍受法の世界では必ず守っていかなければいけない手続がございます。そうなりますと、なかなか現実問題としては想定しづらいんじゃないのかなというような個人的な見解を、こちらでひとり言で申し上げた、そういう次第でございます。
○井出委員 通信傍受の方がしっかりと原記録を裁判所に届けて、犯罪に関係ないところは消して、かつ当事者に通知をされる、それはおっしゃるとおりだと思います。 しかし、特定秘密というものは、特定秘密に該当するのか、実際指定されているのかどうか、それは当事者であっても知り得ない情報もたくさんあると私は思います。言っていることはわかりますか。 ですから、例えば、テロをたくらんでいる人が何かいろいろやっていて、それが特定秘密として情報を察知されていても、そのテロの犯人が特定秘密になっているかどうかを知る知らないみたいなところなんか、知らなくて当然で、そんなことが、では、裁判の原記録が当事者に通知されて、その人がテロ犯で、その部分が特定秘密であるかどうか本人が知らないから情報として価値があるわけであって、本人が、政府が特定秘密としてキャッチしているという話になったら、そもそもテロ犯だって、おい、ちょっとまずいぞということになるわけですから、通知や開示がちゃんとなされるから全く想定されないというのは、私は、若干考え方が異なるかなと思います。
○葉梨副大臣 これもちょっと個人的な見解で申し上げさせていただきますと、そもそも、関係者というのは、通信傍受をされているということ自体を知らない。だから、本当にそれ以外の手段がない場合ということですけれども、令状をとって、それで、事後的ではありますけれども通知をするわけです。 その通知をした関係者というのがテロ犯の関係であれば、それは、特定秘密に指定されていようが指定されていまいが、本人にはその情報が捜査機関に渡ったということがわかってしまうわけですから、現実問題として、その情報自体を特定秘密に指定することの実益というのがどれほどあるのかなということを個人的に私自身は思ったということで、補足をさせていただきたいと思います。
○井出委員 通信傍受の大幅な拡大、特定秘密保護法が始まってまだ日が浅いうちに、こうした議論をしっかりと整理しておかなければいけないということでお話をさせていただきまして、今副大臣としての思いも述べていただきましたので、そこはしっかりと私もまた考えていきたいと思いますけれども、想定できないと言い切れるものではないのかなというのが私の率直な思いであります。 国家公安委員長山谷さんに伺いたいのですが、特定秘密と通信傍受、この二つの法律をもとに、きょう、捜査の情報と政府、行政の情報活用というものは明確な一線を引かなければいけない、そのことは警備局長から言っていただきました。 ただ、しかし、その線引きが一番難しいのが、私は、テロの捜査であったりスパイに関する捜査だと思います。きょう、そこは明確に線を引いていただいたとは思うんですけれども、では実際これからどうなるかというところは、国会の方でも見ていかなければいけない非常に難しい分野だと思います。 捜査情報と政府の情報活用という部分をしっかり警察として分けていく、そのことについての大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○山谷国務大臣 今、さまざまな御議論、やりとりがございました。 通信傍受は、具体的な犯罪の捜査として行うものであり、過去に具体的な犯罪が何ら発生していない場合に、特定秘密の収集を目的としてテロ防止等の観点から通信傍受を行うことはできないわけです。 なお、通信傍受は、厳格な要件に基づいて裁判所が発付した令状により、法で定められた厳格な手続に従い実施されておりまして、濫用という懸念は当たらないと思います。国会でのチェックということもございます。 国民の皆様が御理解、納得できるように警察として進めていくというのは当然のことだと思っております。
○井出委員 きょうが法案全体の概括質問の後半ということで、少し考えを述べさせていただきたいんですが、法案に入っております、国選弁護人の対象を拡大していく、そのことについては私自身もおおむね前向きに考えられるのかなと思っております。 ただ、その一方で、証拠隠滅罪の引き上げ。これも、証拠隠滅罪というものが、近年、状況といいますか実績を見て、本当に法定刑を引き上げる必要があるのか、そういう問題意識を今後の議論の中で取り上げていきたいと思います。 そして、先日、委員長に大変な御理解をいただいて、視察に行ったのですが、私はそのとき、東京地検の刑事部長と、現場で活躍されているお若い方、中堅の方、お二人いたんですけれども、我々の質問がなかなか的を得なかったところもあるかもしれないんですが、私がそのとき思ったのは、現場の方はかなりハードなお仕事をされているなと。余りこういうことを言っていいのかわかりませんけれども、本当にお疲れの表情をされている方もいて、取り調べの可視化されたものをしっかりと見て、一・五倍速で見て、立件するしないの判断もしなければいけない、そういうような御苦労も伺いましたし、捜査に第一線で取り組まれている現場の、これは検察官だけではありませんが、警察官の思いについても、特に私は個人的には、記者をしていたときにそういった方のお仕事を理解する場面もありましたので、そこもしっかり踏まえて議論をしていかなければいけない、そのことはきょう最後に申し上げておきたいと思います。 また、これから、それぞれの大きなテーマについてしっかりと議論をさせていただきたいと思いますので、きょうはこれで質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○奥野委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。 前回に引き続きまして、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、概括的質疑に立たせていただきました。 今週、法務委員会で視察に行きまして、原宿警察署、それから東京地方検察庁、そして東京地方裁判所と見てまいりました。やはり、視察に行くというのは、実際に現場を確認する、留置施設だとか取り調べ室だとか、非常にリアルに感じることができましたし、あと、現職の警察官や検察官と、短時間ではありましたけれども意見交換をすることができたということも貴重な体験でした。とりわけ、裁判員裁判が行われている法廷へ行きまして、被告の席にも立たせていただきまして、奥野委員長からは予行練習かと言われましたが、絶対そんなことにはなりたくないと思っております。 視察というのが非常に有意義で、政府の方がちんたら質疑されるよりましだというふうにもおっしゃっておられましたけれども、きょうは一時間という時間をいただきましたので、しっかりと充実した審議を進めていきたいと思うんです。 いずれにしましても、この法律は、可視化の一部義務づけ、それから日本で初めての制度となります司法取引、そして盗聴捜査の拡大、その他さまざまな重要な中身がパッケージとして入っておりまして、国民の関心も高まりつつあるのではないかと思っております。 それで、上川大臣に初めに伺います。 今般の刑事司法制度改革のきっかけが、いわゆる村木事件などの一連の冤罪事件であった、まさに「極端な取調べ・供述調書偏重の風潮があったことがうかがえ、この点に本質的・根源的な問題がある」と指摘した検察の在り方検討会議以降の答申を受けたものだというふうに答弁されておられます。 これらの冤罪被害を根絶する上におきまして、被疑者、被告人の人権擁護、こうした観点がとても重要だと思います。本来ならば、今回の刑事司法制度改革に全面的に生かされなければならないと考えます。 法務大臣としての基本的な認識をただすわけですが、日本国憲法で定められた国民の基本的人権を、こうした刑事訴訟法の中でも、どんなときにも守るという立場が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 刑事司法そのものは、国民の基本的人権を守り、また、真相解明のために適正な手続のもとで取り調べをし、適切な刑罰法規を適用する、これにのっとってやるべきことであるということでございます。
○清水委員 では、伺いますが、日本国憲法第三十六条には何と書いているでしょうか。
○上川国務大臣 日本国憲法第三十六条を読み上げさせていただきます。「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」と規定されております。
○清水委員 日本国憲法の中でも、絶対という言葉が入っているのは極めて珍しいんです。今大臣が述べられましたように、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」 なぜ絶対という言葉が込められているのか。戦前は、特高警察などによる拷問、それによる自白などが強要されてきました。二度とこのようなことが起こってはならないという思いも込められて、絶対に禁ずるというふうになったと考えます。 では、続きまして、日本国憲法第三十八条、その第二項にはどう規定されているでしょうか。
○上川国務大臣 憲法第三十八条第二項の規定でございます。読み上げさせていただきます。「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」旨、規定をされております。
○清水委員 「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」と述べられました。 では、現行の刑事訴訟法第三百十九条一項、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」とあるのは、これらの憲法の規定を受けてつくられたものだと承知してよろしいでしょうか。
○上川国務大臣 そのとおりだと存じます。
○清水委員 そのとおりだと。 私はここで、検察の在り方検討会議第九回に発表されました日本弁護士連合会の全会員向けに行われたアンケート、いかに検察による不当な取り調べがあったかということをまとめたものがございます。幾つか特徴的なものを紹介したいと思います。 検察官がこう言ったそうです。「否認するなら保釈しない。」これは複数の弁護士から報告されております。「絶対に保釈はきかさん。検察庁が阻止する。」被疑者に言っているんですね。さらに、「否認していると勾留延長する。」さらに、「認めないと長くなる。」こういうやりとりがされたと報告されているんですね。 一方で、こうした不当な利益誘導と言われるやりとりも紹介されております。認めたらすぐに出してやる、認めれば正月には帰してやろう、ただし、二人だけの秘密にしてくれ、俺が執行猶予にしてやる、他人に言ったら約束は守れない等々の、今まさに大臣がお答えになられました「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」、これをとろうとしたものだと思うんです。 今、この日弁連のアンケートに記されたやりとりをお聞きになられて、憲法第三十六条、三十八条並びに刑訴法第三百十九条一項に照らして、これは大変そごがあると思われませんか、上川大臣。
○上川国務大臣 今、弁護士会の方の調査という形でお読み上げになったそれぞれの事象ということで、ちょっと全体観がよくわからないことで、それぞれの御指摘だと思いますけれども、どういう状況で行われたかということも含めて、適正性ということについての判断、それは、通常、手続の中での適正性、さらには、それが憲法に照らして逸脱しているかどうかというさまざまな要因で多分判断されていらっしゃる言葉かなとも思うんです。 この間、先ほど御指摘のように、厚生労働省の元局長の事件にあるとおり、一連の事件も含めて、警察の方でもさまざまな検証をしながら、そこに逸脱したような強制性の高いものがあったかどうかということ、そういう検証の結果の中には、そうした事態があったのではないかということでの反省をしっかりと報告書の中でも述べているところでございます。 私自身、今この場で答弁をさせていただくとするならば、今のような事態については、そのような事例があったということでございますので、その限りにおいては、事実としてあったのではないかというふうに推測をしております。
○清水委員 ここで資料をごらんいただきたいと思います。 これは、二〇一三年五月、国連の拷問禁止委員会によって採択された、日本に対する定期報告に関する最終見解です。ここでは、代用監獄の制度における保護措置の欠如について深刻な懸念が表明されております。「逮捕から最初の七十二時間は弁護士へのアクセスも制限され、被疑者に保釈の可能性がなく、最大で二十三日間警察の留置施設に収容されうることを遺憾に思う。」と指摘されております。 検察官の起訴を受けると、裁判が終わるまで、未決囚として今度は拘置所に勾留される。このような代用監獄と言われるような制度が、とりわけ冤罪被害者にとって耐えられない苦痛となってきた。いわゆる郵便不正事件の村木厚子さんは、裁判を受ける前から罰を受けているようだと、このような勾留について感想を述べられているんです。 上川大臣、とりわけ冤罪被害者にとって、このような代用監獄、自宅に戻れない、長時間、長期間勾留される、これは、耐えがたい苦痛となってきたという認識はお持ちでしょうか。
○上川国務大臣 ただいま、代用監獄の制度ということで、それと自白の強要との間に関係があるかどうかという趣旨の御質問ではないかと思うところでございますが……(清水委員「違います。冤罪被害者にとってこれだけ長く勾留されることがどうなのか」と呼ぶ) 今、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律、まさに刑事収容施設法ということでありますが、被勾留者等について、刑事施設に収容することにかえて、警察に設置された留置施設に留置することができるとする制度でございます。これがいわゆる代替収容制度ということで定められているところでございます。 一般的に申し上げてということでございますが、留置施設における勾留が自白の強要につながるということについては、そのようなものではないというふうに考えております。
○清水委員 今紹介しました拷問禁止委員会の最終見解は、日本に対して、「代用監獄制度の廃止を検討すること。」このように意見を述べているんですね。 大塚政務官でしたら、きっと、外国留学の経験もございますので、代用監獄の制度を英語訳するとどうなるかということはわかるかなとも思うんですが、ちなみに、私が紹介しますと、ダイヨーカンゴクシステムというんですね。日本語なんですよ。カラオケとかフジヤマとかと同じなんです。カローシというのもありますけれども。 つまり、日本独自のいびつなものだということで、国連拷問禁止委員会から廃止するよう指摘を受けている。ただ長いというだけじゃなくて、先ほど日弁連のアンケートを紹介しましたように、認めなければ出さないぞ、認めれば早く出してやる、こういう不当な自白を強要することにもかかわって、代用監獄のシステムが問題があると指摘されていると思うんですね。 今から皆さんにも聞いていただきたい事例があります。 二〇一一年一月二十七日、検察の在り方検討会議第六回ですね、意見陳述に来られた大阪府枚方市元副市長の小堀恒隆さんが意見陳述をされておられます。 この方は、副市長当時、談合への関与を疑われ、大阪地検特捜部に二〇〇七年五月三十一日逮捕、二十一日間勾留された例です。 談合捜査のエキスパートと言われた大阪府警の警部補が関与した事件でした。表では、この小堀さんに対して、談合防止のために相談に乗ってやろうと言っておきながら、実は、裏ではゼネコンとつながって一千万円を受け取っていたということで、警部補が逮捕された事件です。この小堀さんは、その警部補の供述、いわば引っ張り込みというんでしょうか、このことによって逮捕されたと述べられております。 長時間に及ぶ深夜までの取り調べ、くずやろう、ばかやろうといったばり雑言、恫喝しながら椅子を蹴飛ばし、壊れるほどだった。談合に協力するよう市長の指示で警部補に情報を流したんだろう、こうした取り調べ官のストーリーに同調するよう激しく求められたそうです。 さらに、二度と枚方市に住めないようにしてやる、おまえの息子も会社におれないようにしてやろうか、こういった身内、家族の問題を取り上げ、さらには、下半身不随で介護施設に寝たきりの母親まで取り調べる、こういうことも言われたそうです。密室での取り調べですね。 最もひどいと感じたのは、腎臓が片方しかない小堀さんに、投薬もさせず、水も飲ませず、排尿用のカテーテルで、血尿を介護用のおむつで受けながらの取り調べだったということです。 死ぬことをも覚悟された。起訴するまで一日も休まず、非人道的で苛烈な、拷問と言えるような取り調べがあったと語られております。 小堀さんは、起訴されたものの、二〇〇九年四月に無罪判決を受けました。まさしく密室での取り調べ、家に戻ることを許されない代用監獄、人質司法、これらが生み出した冤罪事件だと言えると思います。 上川大臣、これは繰り返しになりますが、先ほど述べられた憲法や刑訴法の規定に照らしても、あってはならない、そういう事件だった。こういう事件を生み出してしまったのは、密室による長時間の取り調べ、そして人質司法と言われるような制度だったという認識はお持ちでしょうか。
○上川国務大臣 今御紹介をいただきました一つの事件ということで、それに関してのコメントにつきましては、私の方からの答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、まさに、検察の在り方検討会議で御議論いただいたさまざまな事例も含めての検討について、先ほど申し上げたように、逸脱したことがあったということを深く反省しながら検察としては改革を進めていくという基本に立って、今に至るさまざまな改革への取り組みに邁進しているということでございます。 これから先においても、そうしたことがあったということについての深い反省の中で、その原点にしっかりと立ち返りながら、検察そのものの適正な捜査と手続に基づいてしっかりと真相究明を果たし、刑罰を科していく、そして、そのことについての一連の手続、一連のプロセス、このことについても適正にしていくという、これから大変大きな課題と責任をしょって絶えず邁進していかなければいけない事柄であるということを改めて強く認識しているところでございます。
○清水委員 上川大臣、ぜひ、冤罪被害者の生の声、こうした意見陳述にしっかり目を通していただきたい。そうでなければ、今般の刑事司法制度改革、この契機が冤罪事件の根絶だったとおっしゃっておられるわけですから、冤罪被害を受けた方々の生の声を聞いて、これを二度と起こさないためにはどのような抜本的な解決が必要なのかという問題意識をお持ちいただくことが極めて重要だと私は思うんです。 その場にいた元検事総長の但木敬一さんは、「あなたの身体的に非常につらい状況にある中で過酷な調べをしたことについても、深くおわびを申し上げたい」と、その場ですぐ謝罪をしておられるんですね。そして、「あなたの人生、取り返しのつかない部分を奪ってしまった」、つまり、取り返しがつかない、謝って済む問題ではない、こういうことで述べられたと思うんですね。 私は改めて伺いたいんですが、代用監獄の制度、長期間勾留するという制度、この制度が続く限り、こうした過酷な、苛烈な取り調べによる冤罪被害というのはなくならないのではないかと考えます。 私、鈴木貴子委員のお父様の鈴木宗男さんのお話も、先日、お伺いさせていただきました。ムネオハウスでの追及もあったんですけれども、それとは別個、お話を聞かせていただきまして、とにかく保釈されなかったというんです。保釈されない理由が、証拠隠滅と逃亡のおそれと。何度も家宅捜索を受けて、たくさんの証拠を持っていかれて、これ以上隠す証拠があるか、逃亡のおそれと言うが、この顔でどこに逃げろと言うのかと。この話を聞いて、まさしく人質司法、代用監獄の制度はおかしいなと私は思いました。 先ほど言いました副市長の小堀さんの話に戻るんですが、最初に、逮捕される前、任意同行したときに、既に車中で激しい恫喝を受けたそうなんです。 きょうは、資料の二枚目に、最近起こりました大阪府警柏原警察署の事件について紹介をさせていただきたいと思います。 これは五月二十六日の共同通信の配信なんですが、大阪府警柏原警察署で、逮捕されていた少女に対し、黙秘していたわけですが、黙秘というものは悪いことをした人がすることだ、しゃべれと強要をされていたと。これは、留置施設に戻るエレベーターの中で言われたというふうに報道されているんですね。小堀さんは車中で、あるいは、この少女は留置施設に戻るエレベーターの中で。 ですから、取り調べ室の中だけを可視化すればいいということではありません。やはり、警察や検察の被疑者、被告人に対する取り調べの姿勢、ここを抜本的に改善することが求められているのではないかと私は思います。 小堀さんは在り方検討会議でこう言われております。どうすればいいか、全過程での録画、録音、弁護人の常時立ち会い。これは村木厚子さんもおっしゃっておられますね。プロの検察官と一対一で取り調べを受けるというのは、アマチュアがプロボクサーとリングの上で、レフェリーもいない、セコンドもいない、こういうところで戦えと言われているようなものだ、弁護人が最初からいればというふうに述べておられます。 そして、証拠の全面開示です。村木さんの事件でも、初めからフロッピーディスクが出てくれば、あれほど長期間勾留されることもなかったでしょう。 つまり、こうした抜本的な改革が求められ、代用監獄や人質司法を改善していく、これがまさに、今、国民から求められている、これらの一連の冤罪事件を受けての改正方向だったと思われませんか。上川大臣、お願いします。
○上川国務大臣 今回のさまざまな厳しい事態を受けて、二度とそうした事態が起きないように検察の改革をしていくという中で、過度に供述調書等に依存するような取り調べについては、こうした事態にならないようにしていくという中で、新しい刑事司法手続について御議論をいただき、また、今般の提案を提出させていただいているところでございます。 捜査手法を多様化し、また適正化するということ、また、公判審理につきましても充実化を図るということ、こうしたことを踏まえて、さまざまな制度が、総合的な取り組みの中で、結果として冤罪になるということを避けるために、そうしたさまざまな手法を取り入れて、そして過度に供述調書に依存したような仕組みから脱するということ、そしてそれによって真実の究明を図っていくということ、このことを目的に、今回のさまざまな取り組みの制度について御議論をいただいているというふうに考えております。
○清水委員 大臣、真実の究明はもちろん必要なんです。 私が言いたいのは、今述べられた新しい刑事手続だとか、捜査の適正化、多様化、その中に、私が述べましたような、あるいは冤罪被害者が異口同音に語られている、全過程の録画、録音、弁護人の常時立ち会い、証拠の全面開示、代用監獄や人質司法の根絶、これらがこの法案に全く入っていないではありませんか。これが本当に、国民から求められた、冤罪根絶を契機に在り方検討会議が持たれた、これらの答申を受けての出口なんですか。もっと言えば、冤罪被害者の方々が盗聴の拡大や司法取引制度の導入を求められましたか。お答えください。 〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕
○上川国務大臣 検察の在り方検討会議、御提言をいただきながら、また新しい刑事司法に適したさまざまな取り組みをしていくということで諮問がなされて、そして、審議会におきましてもそれぞれのさまざまな御指摘がある中で、今の全面の録音、録画ということも含めて、そのメリット、デメリット等、いろいろな角度から御議論をいただいたところで、メンバーの皆さんが十分な審議をした上で、今回のような結論で答申をしていただいたというふうに思っております。一つずつのことについて十分な御議論の上で結論に至ったということでございまして、そしてこれにのっとって御審議をしていただくということでございます。 この法務委員会の中で、委員を初めとして、さまざまな課題につきましてもただいまのように御指摘をいただいているということ、このことは大変重いものだというふうに受けとめているところでございますが、そうしたこと一つずつにつきまして、丁寧にまた説明をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。 いずれにいたしましても、新しい時代の刑事手続におきまして適正性を確保することができるように、また審理そのものをしっかりと法律にのっとって行うことができるように、さまざまな取り組みについては、もとの冤罪防止ということに鑑みて考えたときにも、それに資するように、全てのものをトータルとして実施させていただくべく、御審議を賜りたいというふうに思っております。
○清水委員 新しい時代の刑事司法手続とおっしゃいますが、私は、新しいどころか、古くなっていっているんじゃないか、逆戻りしているんじゃないか、こう考えるんです。 布川事件の教訓を忘れてはならない、こう考えます。桜井昌司さんと杉山卓男さんは、連日の深夜にわたる取り調べと自白の強要、無実のアリバイを求める立証責任の転換、目撃調書を初め無実を証明する証拠の徹底した隠蔽、都合の悪い部分を切り取る証拠テープの改ざん、これらにより無期懲役の有罪確定を受け、二十九年間、刑務所に入りました。四十三年後ですよ、無罪が確定したのは。 捜査官の筋書きに沿って事件をでっち上げて、裁判所が、推定無罪ではなく推定有罪で、無実の者を有罪に追い込んだ。こういうことが二度と起こらないようにというのが真の意味での新しい捜査手法であり、新しい時代の刑事司法制度改革だと言わなければなりません。 もちろん、捜査官にも個々に差異はあると思うんです。全ての捜査官や検察官が同様の取り調べをやっているということではないでしょう。しかし、これまで、捜査官の人権意識の欠如、そして代用監獄の留置、密室での取り調べ、弁護人は立ち会わせない、場合によっては接見も厳しく制限する、こうしたことが冤罪を生み出してきたわけです。ここは認識が共通していると思うんですが、ここを構造的に変えていくということをしなければ冤罪根絶につながらないというのが、先ほどから私が繰り返し述べている問題意識なんです。 ところが、捜査手法の適正化、多様化と言いながら、合意制度、司法取引、盗聴捜査の拡大、これらがパッケージとして出てくる。可視化は一部だけ、弁護人の立ち会いも入らない、証拠開示手続についてはリストのみ、それも例外事由が設けられております。見直し規定があるという議論もありますが、見直すまでもなく、これら冤罪被害者の思いに十分応えるものにはなっていないと言わなければなりません。 先ほどの小堀さんも、冤罪を生まないためには取り調べ室の全過程の可視化が最低限の条件だと述べておられました。最低でも全過程の可視化が必要だと。 刑事司法改革の方向性というのは、やはり密室の取り調べというものを反省する、刑事手続での公開性あるいは透明性を高めるということも求められていたと考えますが、この公開性、透明性というのは、大臣が述べられている新しい刑事司法制度改革に合致するものでしょうか。公開性、透明性を高める、このことについてお答えいただけるでしょうか。 〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕
○上川国務大臣 今回、取り調べの録音、録画制度につきましては、対象事件を限定するとはいえ、これを新しい制度としてこの中に導入する、つまり、法律として義務化するということでございます。取り調べの録音、録画の必要性が最も高いということで考えられる類型の事件ということで、裁判員制度対象事件と検察官の独自捜査事件を対象として、原則として義務化をするということでございます。 そうしたこと自体、もともと御指摘がございました事件に照らして考えたときに、こうしたことにつきましても、捜査の手法そのものを多様化し、また透明性の高いものにしていくということ、そして公判の手続の中でも、その任意性が問われるということになったときに、そのことが大変大事な証拠として使われるということでございますので、そういう意味で、まさに透明性を高める、また公開性につきましても、そうした趣旨にのっとって今回御議論に付しているところでございます。
○清水委員 今述べられたお話を勘案しますと、捜査の適正化を図ると。そのことによって、被疑者の人権を、あるいは黙秘したいという権利を、守るということにつながるというふうにお考えでしょうか。 つまり、私が先ほどから問題意識としているのは、公開性あるいは透明性が取り調べの中では大切だ、刑事司法手続の中でも重要だ、そういう認識でお話をさせていただきました。今、大臣は、供述の任意性の的確な立証を担保するだとか、取り調べの適正な実施に資するものだ、こういうふうに述べられましたが、同時に、それが被疑者の人権を擁護するものでなければならない、こう考えるんです。 つまり、録画、録音というものが、取り調べを受ける人の権利を保障するものである、こういう目的で導入するということでよろしいでしょうか。
○上川国務大臣 今回の取り調べの録音、録画ということでございますが、これは、被疑者の供述の任意性等の的確な立証判断に資する、取り調べの適正な実施に資する、こういうことでの有用性が認められるということでございまして、この有用性に照らして、必要性に照らして、刑事司法制度に取り組むためということで導入するものでございます。 全ての刑事手続におきましては、先ほど冒頭で憲法の規定もございました、基本的人権をしっかり守りながら、そして刑事司法についてもその適正性を担保しながら、真相究明を果たし、刑罰を科すという一連の取り組みでございますので、そのことについて、今回の制度そのものも、有用性が高い、必要性が高いというものに絞ってまずスタートをするということでお願いをしているところでございます。
○清水委員 今、憲法の話にも触れられましたので、いわゆる被疑者の権利保障、人権擁護、それらも目的の一つにあるというふうに理解したいと思います。 ぜひ確認していただきたいのは、「検察の再生に向けて」という提言がございます。その「はじめに」というところで、「被疑者の人権を保障し、虚偽の自白によるえん罪を防止する観点から、取調べの可視化を積極的に拡大するべきであることとした。」と述べております。 つまりは、可視化というものは、録音、録画というものは、被疑者の人権保障として位置づけられたということを大臣もしっかりと受けとめていただき、対象事件の問題、今回は、全拘束事件の三%ですか、裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件に限られ、全過程ではなく、例外事由が、つまり録音、録画しないでいいという事由が設けられ、それが取り調べ官の裁量に委ねられている、こういう規定になっております。 私は、今後、この可視化の問題を議論する上で、今述べられた、憲法に合致したものであるか、可視化という制度の導入が被疑者の人権保障の観点から本当に充実したものになるかどうかという問題意識で深掘りを進めていきたいと考えております。 ちょっと話がかわるんですが、透明性、公開性という観点からいいますと、やはり密室でどんどん取り調べをやるということに国民の皆さんや冤罪被害者の方々が警鐘を鳴らされているわけですよ。今言った可視化というのは、透明性、公開性も含め、資するものであるというふうに述べられたと思うんですが、では、通信傍受の拡大、対象犯罪をふやそうということは、これは公開性とか透明性を高める手段となるんでしょうか。どうしてもこれが理解できません。このことについて、どなたかお答えいただけるでしょうか。
○林政府参考人 通信傍受の対象事件の拡大等々につきましては、これは、取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況を脱するための一つとして、証拠手段の適正化、多様化、こういったところから今回の法案に入れさせていただいているというものでございます。
○清水委員 適正化、多様化ということは趣旨説明にもありました。私は、なぜ今回、冤罪事件の根絶という契機で始まった見直しが、適正化、多様化の名のもとに、通信傍受の拡大、いわゆる盗聴捜査の拡大になるのかと繰り返し述べてまいりましたが、上川大臣におかれましては、そのことに対して一対一でお答えすることは難しいという答弁もいただいております。 今、適正化、多様化というふうに刑事局長も述べられたんですが、私が聞いたのは、いわゆる国民にとって、この捜査手法が公開性、透明性を拡大するものなのかどうなのかという観点でお伺いしたんです。そうでなければ、ちょっと違うというふうに述べていただいても結構ですよ。
○林政府参考人 通信傍受につきましては、当然、その権利を制約することでございますので、非常に厳格な手続で、かつ適正な手続で実施されなくてはいけない。現行の通信傍受法の中でも、そういった措置がとられているわけでございます。 そういった意味で、公開性とかいうことではなくて、適正な捜査手段、証拠収集手段ということについては、現行法ももとよりでございますが、対象事件の拡大等々の本改正の中でも、当然、その適正さの確保というものは必要となっており、かつ、そのような措置がとられているものと考えております。
○清水委員 つまり、盗聴という捜査手法そのものが、令状を出すにしても、あらかじめ盗聴する対象に令状を見せて、あなたをこれから盗聴するからな、令状を見ろというふうにすれば、これは捜査手法としては成り立たないわけで、傍受記録が出た後に、実はあなたの通信を傍受していましたと見せるわけですから、透明性、公開性という点では全く相反するものだと言わなければなりません。 それで、私は、盗聴、通信傍受という捜査手法が憲法を制約するものである以上、これまでの検証を十分にしないまま対象犯罪を拡大し、また、濫用の防止とされていた、自民党、公明党・改革クラブ、自由党の与党修正で、これが歯どめだということで、通信事業者の常時立ち会いが義務づけられたわけです。今度はこれを外すと。それでいいのかということについて検証したい。 この盗聴捜査の検証をするには、どうしても、私たち日本共産党としては、当時国際部長だった緒方靖夫宅盗聴事件、この問題を検証せずにはいられません。 これは法務省に聞きたい。 検察は、この緒方宅盗聴事件をどのように総括しておられますか。
○林政府参考人 法務当局として、お尋ねの事件については、東京地検において、事件に関与していたと認められた警察官二名を起訴猶予処分にしたというふうに承知しております。
○清水委員 検察庁が起訴猶予処分にしたと。 ここで、専門用語に詳しくない方のために、私も含めてですが、不起訴と起訴猶予の違いを教えていただけませんか。
○林政府参考人 不起訴処分の中の一つとして起訴猶予という処分があるということでございます。
○清水委員 では、聞き方を変えます。 私、手元に、一九九九年七月一日、参議院法務委員会で、日本共産党の当時の橋本敦参議院議員が、検察庁がこの緒方宅盗聴事件について不起訴処分にしているんですが、第一次不起訴処分をしたときに、当時の次席検事が記者会見をしております、どういうものだったかということで。末端の警官だけを処罰することは過酷だ、首謀者、責任者的立場とも認めがたいこの二人を処罰するのは過酷に過ぎる、つまり組織犯罪なわけだから指揮命令した人物がほかにいる、残念ながらそれが誰だかわからない、だからこそ、わからないということだから、わかっているこの二人だけを起訴するのはかわいそうだということで起訴しなかったと記者会見で述べているんですね。 これは、検察としては、警察官による盗聴だったと認めているわけです。さらに、今私が述べたように、組織犯罪だから指揮命令した人がほかにいると。 これに対して、当時の警察庁長官が、間違いございませんと述べておられるんです。これが歴史の真実であります。 つまり、指揮命令した人物がほかにいる、だからこの二人は起訴しないんだということは、裏を返せば、指揮命令した人がいた、つまり、この緒方宅盗聴事件は組織的犯罪だったと言えるんじゃないでしょうか、法務省。
○林政府参考人 お尋ねの事件を捜査した東京地検におきましては、立件した被疑者二名がその首謀者ないしは責任者的立場にある者であるとは認めがたいといたしました。他方で、この被疑者二名以外に本件に具体的にかかわった者を認定して、刑事事件として積極的に本件を組織的犯行であるとまで認定し得るに足る証拠は認めるに至らなかったものと承知しております。
○清水委員 今おっしゃられましたけれども、二人は責任者ではなかった。だから、別に責任者はいたということですよ。指揮命令した人がいたということです。これがわからなかったから起訴しなかった。つまり、警察による組織的犯罪だと逆説的に言えるわけですね。 それで、山谷国家公安委員長にお伺いしたいと思います。 これまでも、私の本会議での質問に、警察として、今まで違法な通信の傍受は過去に行っておりません、こういうふうに御答弁され、緒方宅盗聴事件については、警察による盗聴であることを否定されました。 今の法務省の答弁をお聞きになって、当時の検察庁の記者会見の中身を聞いていただいて、今なお、警察による盗聴ではなかったとお考えでしょうか。
○山谷国務大臣 昭和六十二年当時、東京地方検察庁の捜査において、警察官による盗聴行為の未遂があったと認められたものの、組織的犯行を認定したものではなかったと承知しております。
○清水委員 つまり、未遂であるというふうに述べられました。そこは争いのあるところだと思います。警察官が盗聴未遂をしたということについては、今答弁がありました。 資料の一番最後のページに、会議録を持ってまいりました。赤い線を引いている、関口政府委員、これは当時の警察庁長官であります。 緒方事件につきましては、昭和六十二年当時の東京地方検察庁の捜査におきまして、警察官による盗聴行為があったと認められたこと、またその後の民事訴訟におきましても、同様な行為があったことが推認されたことは、警察としても厳粛に受けとめているところでありまして、まことに残念なことであったと考えております。 警察といたしましては、本件の反省を踏まえまして、今後とも国民の信頼を裏切ることのないよう厳しく戒めていく所存であります。 私は、改めて上川陽子法務大臣に伺いたい。 今回の刑訴法等一部改正案の中には、通信傍受の対象を大幅に拡大しよう。ところが、特別部会でも在り方検討会議でも、この十六年間の運用が憲法に照らしてどうだったのか、国民の人権保障、権利保障ということでどうだったのかということがまともに検証された跡は一つもございませんでした。そして、これまで警察は、違法な盗聴はやったことはありません、この答弁は一貫しております。 今のやりとりを聞いていただきましたら、当時の検察庁は、警察官の犯行だと断定している。そして、認めないものの、警察としては、厳粛に受けとめ、当時、「反省を踏まえまして、」と述べている。 法案提出者の上川陽子大臣として、法務大臣としてですよ、この緒方宅盗聴事件の真摯な総括をしないまま、これらの法案を審議することなどできないと思うんですが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 昭和六十一年のいわゆる共産党の幹部宅盗聴事件ということでのお尋ねでございまして、今、さまざまな御指摘をいただいたところでございますが、これについての所見も含めてということになりますと、検察当局が捜査して処理した個別事件ということでございますので、法務大臣としてこれに関して所見を述べることは差し控えさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。 今回の通信傍受法についての取り組みにつきましては、適正な手続によって、しっかりと、捜査の真実解明ということの中で限定した形で適用していくということでお願いをしているところでございまして、まさに、さまざまな御懸念がないような形で、適正な手続を設けた上での対応ということになるところでございます。 その点について、その限りの答弁ということでございますので、よろしくお願いいたします。
○清水委員 その答弁では懸念は払拭されません。個別の事件と言いますが、警察官の行った盗聴だった、そして、二人が責任者ではなかったので組織的な犯罪だと。これらを法案提出者の法務大臣として真摯に総括しないまま、どうやって法案を審議するんでしょうか。 私は、事前通告の中で、上川大臣と山谷国家公安委員長に別の議事録をお渡ししております。 これは、先ほどと同じ、一九九九年七月一日のものです。橋本敦参議院議員が、「下稲葉法務大臣が九八年三月十一日の衆議院法務委員会において、「神奈川県警の警備部の警察官による共産党の方に対する盗聴事件だ、こういうふうに認識いたしております。」と、こうお答えになった」ということを紹介した上で、その当時の陣内大臣に、あなたもそのとおりでいいですか、こう質疑しているんですね。すると、陣内大臣は「今御指摘の下稲葉法務大臣の御認識と私も同様でございます。」こう答えている。 二人の法務大臣が、「神奈川県警の警備部の警察官による共産党の方に対する盗聴事件だ、こういうふうに認識いたしております。」と述べているんです。ですから、個別の事件ではなく、法務大臣として、この緒方宅盗聴事件に対する真摯な総括と反省、これなくしてどうしてこの法案を審議しようというのでしょうか。 私は、ぜひ委員会の皆さんにも聞いていただきたい。現行の盗聴法は、一九九九年に成立しました。どのような経過でこれが成立したでしょうか。 衆議院の法務委員会では、与党が定例日でない日に委員会を立て、野党欠席のもと、採決されました。参議院法務委員会では、共産党、社民党の質疑を打ち切って、出された動議をもとに強行採決。議事録を読んでみましても、当時、参議院の法務委員長の採決をする発言は途中で途切れておりまして、採決の議事は確認できておりません。参議院本会議では、投票する際、牛歩戦術が行われ、夜を徹しての国会となりました。同僚議員の畑野君枝委員もその国会の場におりました。 まさに国民のプライバシーを侵害する盗聴という捜査手法について、憲法違反ではないかという、当時、多くの国民の怒りと不安、批判の声が高まったからこそ、このような状況のもとで強行採決されたのが現行盗聴法の成り立ちです。 質問ですが、現行の通信傍受法制定後、衆議院、参議院でそれぞれ何度の廃止法案が出されたか、大臣、御存じでしょうか。
○上川国務大臣 通信傍受法の廃止法案の提出回数ということでございますが、把握している限りでございますけれども、法律案につきまして、衆議院におきましては平成十二年から十三年の間に三回、参議院におきましては平成十二年から十五年の間に八回、いずれも議員立法という形で提出されまして、廃案となったものというふうに承知をしております。
○清水委員 では、上川大臣に改めてお伺いしますが、衆参合わせて十一回も廃止法案が出された法律がほかにあったでしょうか。大臣の記憶の中で、これ以上に廃止法案が出された法律がありましたか。
○上川国務大臣 詳細につきましては思い出せない状況です。
○清水委員 つまり、これほど繰り返し繰り返し廃止が求められた法律というのはほかにない。つまり、それだけ国民の怒りと不安の中で生み出された現行盗聴法を、さらに対象犯罪を拡大し、立会人を外してしまう。これを、私この間、ずっと議論してきた代用監獄や人質司法、さらには冤罪の根絶、こうしたものとパッケージで審議をする、これはどうしても認められない。盗聴法については価値の体系は私たち変わっておりませんので、廃止を求めていきたい、この決意を申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。 —————————————
○奥野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております本案審査のため、来る十日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十一分散会