法務委員会 第16号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2015/05/22
会議録
○奥野委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房法曹養成制度改革推進室長大塲亮太郎君、警察庁生活安全局長辻義之君、警察庁刑事局長三浦正充君、法務省大臣官房審議官高嶋智光君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省保護局長片岡弘君、法務省人権擁護局長岡村和美君、外務省大臣官房審議官岡田隆君、外務省北米局長冨田浩司君、国税庁徴収部長古賀明君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局中村総務局長、菅野民事局長兼行政局長及び平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋君。
○黒岩委員 皆さん、おはようございます。民主党の黒岩宇洋でございます。 冒頭、昨日、政府において、法務省において、司法試験の合格者数を当面千五百人以上にする、こういう方針が示されました。 一月ほど前に私は一般質疑でそのような提案をしまして、私の提案が受け入れられたわけじゃないということは重々承知しておりますが、一定の評価をしております。ただ、まださまざまな論点がありますので、この後、我が党の階委員の方からもこの点についてまたいろいろと大臣の御見解をお聞きすることになりますけれども、一つの進歩だと思っております。 きょうは、私がたまさか政務官をさせていただいた当時、法務行政、政策を担当していた課題等について、現状どうなっているのか、また、その課題というものがこれからどういうふうに克服されていくのか、この点の確認をさせていただきたいと思っております。 今後、刑訴法の審議等ではかなり厳しいやりとりになるかもしれませんが、きょうは、肩の力を抜いて、現状を確認しながら大臣の御見解もお聞きしたいと思いますし、細かな点については、また局長、事務方の皆様からもお聞きをしたいと思っております。 きょう私がテーマとして考えているのは、再犯防止なんですね。 これは大臣も御承知かと思いますが、我が国は、内外ともから治安のいい国だと思われています。これは、国際的な比較においても、世界的にも最も低い犯罪率の水準だというような数値でもあらわれております。 ただ、治安がいいという理由は、もちろん、捜査機関である警察や準司法機関である検察の活躍、活動というものも大きいんですけれども、もう一つは、再犯率が低く抑えられている、これが非常に大きな要因であるということをやはり我々は強く認識しなければいけないと思っております。 法務省では刑事三局と言います。刑事局も大変光の当たる大きな柱ですけれども、その後、矯正施設に入所してから、そして出た後、ここを連綿とつないでいくのが矯正局と保護局の仕事でありますよね。仮釈放して保護観察官がつくだけでなく、これはまさに世界に希有な、日本が唯一と言ってもいい保護司制度という公的ボランティアの方のお力もかりながら、とにかく二度と犯罪は起こさせないんだ、こういう活動を連綿と続けてきたことによって、再犯率が低くなり、結果として我が国の治安が保たれている。こういう強い認識に立って質問をさせていただきたいと思います。 私どもの政権といたしましても、当然このことを柱に置きまして、犯罪対策閣僚会議のもと、例えば、保護司さんが自分の家で出所者等の皆さんの相談になかなか乗れないときに、そういった相談に乗る空間をつくろうじゃないかと。平成二十年からこの構想が始まって、更生保護サポートセンターというものをつくっていきましょうと。 ただ、現実には、二〇一〇年にはまだ全国に二十一カ所しかなかった。これが、幸いなことに、平成二十五年度、二〇一四年までに、今、二百四十五カ所と、飛躍的に伸びている。こういうような活動にも政府としても取り組んできたわけです。 このぐらい重要な柱であるということを改めて申し上げながら質問をさせてもらいたいんですけれども、平成二十四年七月に、その犯対閣、犯罪対策閣僚会議において、再犯防止に向けた総合対策という報告書が取りまとめられました。この方針に基づいて、今、さまざまな施策が打ち出されているわけです。 それで、冒頭お聞きしたいんですけれども、先ほど申し上げた再犯率というのは、戦後、昭和二十三年から約六十年の間の全ての出所者に対して、再犯率というのは約三割に抑えられていた。これは、世界的に見れば非常に低く抑えられています。 これは局長にお聞きしますけれども、近年、この再犯率というのは、一体どういう数字の推移を直近までされているのか、それについて教えていただけますか。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 一般刑法犯の認知件数は、検挙件数も同じでございますが、減少傾向にございますが、実際に検挙された人員に占める再犯者の割合、再犯者率につきましては、平成九年以降、一貫して上昇しておりまして、御指摘のとおりでございます。平成二十五年には約五割、正確に申し上げますと四六・七%を占めるまでに至っております。 また、実際に受刑した者、刑務所に入った者に占める再入者の割合である再入者率は、平成十六年以降、これも一貫して上昇しておりまして、平成二十五年には約六割、正確に申し上げますと五八・九%を占めるまでに至っております。 以上でございます。
○黒岩委員 今お聞きのように、今まで大体この法務省での施策というのは、再犯率三割だというような、こういったことを打ち出しながらやっていたんですけれども、実は、現状ではもう五割に近いんですよね。 先ほど申し上げた治安維持機能の大きな柱である再犯率というものがここまで高くなってきている。その原因についてはどう分析しているのか、お聞かせいただけますか。
○高嶋政府参考人 恐らく、出所した者が、出た後に、自分の仕事、どういう仕事をするか、あるいはどこに住むか、ここの確保が十分でないということが一つの原因かというふうに思っております。
○黒岩委員 総論的にはそういうことが大きな原因だと思います。よく言われる、孤立感がある人たちが再度犯罪を犯す。その孤立感を薄めるためにもといいますか、それを除くためにも、今審議官がおっしゃったように、仕事先と、そして居場所である帰住先、住まいを確保していく。これができないとなかなか再犯率というものが下がらないし、結局、それができないがゆえに再犯者がふえている、そういう御認識ですよね。これは、今後の各論にも大変大きな課題でありますので、改めて確認をさせていただきました。 そうしますと、先ほど申し上げた再犯防止に向けた総合対策において、では、この再犯者、もっと言えば再入所者を減少させていく、この数値的な目標は一体どういうものを立てているのか、その点について説明していただけますか。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 一つの数値目標としまして、二年以内の再入率を下げるということを考えております。 具体的に申し上げますと、平成十八年から二十二年までの間に刑務所を出所した者が二年以内にまた刑務所に入ってくる、そういう率が約二〇%でございました。今後、これを二〇%削減して一六%以下にする、平成三十二年に刑務所を出所する者の二年以内再入率を一六%以下にする、こういうことを目標としております。 以上でございます。
○黒岩委員 私が補足するのもなんですけれども、非常にわかりづらいところがあるのが、簡単に言うと、平成二十四年時点で二年以内の再入所者の割合が、たまさかちょうど二〇・〇%だったんですよね。これを、これから十年の間にこの二〇%の人間の二割を削減するから、十年後に一六%にするということですよね。ですから、全体の二年以内の再入所の割合を二〇%から一六%、要するに四%下げるんだということなんですよね。そういうことですね。これは、最初聞くとなかなかわかりづらいので。 それで、平成二十四年から取り組んで約二年です。では、この二年間で、この進捗状況、どのくらい減少しているのか、これについて説明していただけますか。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 過去二年間、二十三年に出所した者が二年以内に再入した率については、一九・四%まで下がっております。さらに、翌平成二十四年に出所した者が二年以内に再入した率、二十六年までに再入した率につきましては、一八・六%まで下がってきております。 以上でございます。
○黒岩委員 要は、二〇%のものが二年間で一八・五六%まで下がった。これは、さっきからわかりづらいですけれども、二〇%というのは、数にすると、再入所してくる人間が六千人ぐらいいるわけですよね。その数が、今言ったように二〇%が一八・五六%というと一・四四%ですけれども、その実際の六千人は、全体で約七・二%減っているわけですよ。二年間でこのペースですから、このペースでいくと、あと四年間、すなわち始まってから、これは済みません、大臣に質問するから聞いておいてくださいね。これからあと四年、このペースでいけば、当初立てていた目標はあと四年間でクリアできるんですよ、今のペースでいくと。 そうすると、十年後に二〇%下げると言っていましたけれども、今のペースでいけば、始まってから六年間で、今言った二年以内の再入率というものを二〇%下げることができそうなんですよね。だから、いいペースなんですよ、そういう意味では。 私が大臣に申し上げたいのは、とはいっても、この目標を達成しても、約四千八百人、五千人弱の人は二年以内に再入所するわけですよ。もちろん、これをゼロにできればいいですけれども、それはなかなかゼロというわけにはいかないかもしれません。ただ、今申し上げたとおり、目標を達成しても五千人近い人間は二年以内に再入所するという状況であるし、そして、今言ったように、目標年限よりも前倒しで今対策が効果を見せているわけですね。 大臣は犯罪対策閣僚会議の一員でありますね、議長は総理大臣ですけれども。ただ、もちろん、再犯防止という意味においては大きな所管をする大臣なわけですから、私は、犯対閣において、今言った目標年限をさらに前倒しにするとか、ないしは目標数値をもっと高めるとか、そういった提起を上川大臣からしていただきたい。この点についての大臣の前向きな御答弁をいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 目標をしっかりと設定し、それに向かって、その目標までに達成すればいいということではなく、できるだけ前倒しをして達成していくという中で、今、取り組みをしているというふうに理解をしているところでございます。 その意味では、今委員御指摘のように、丁寧に、年ごとにきちっと評価をしながら、そしてさらにそれを加速していくということは、これはどんな政治におきましても非常に大事なことだというふうに思っております。 五年後の見直しということでございますので、それに向けて、前倒しをしながら達成ができて、さらにそれに上乗せをすることができるようなということを課題にしながら、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○黒岩委員 前向きな答弁、ありがとうございます。 というのは、どんなプロジェクトでも、ある程度のところで目標を達成しちゃうと、その後、簡単に言えば中だるみが起こっちゃうわけですね。そんなことがあってはいけないわけですよ。 くどいようですけれども、今、再犯率というのはこれだけ高くなっているわけですし、再犯防止というのはまさに不断のたゆまぬ永続的な活動が必要なわけですから、ある時点でそれが前倒しでいっているのなら、さらにもっともっと前に進めていこうということは、これはまさに、所管大臣である上川大臣から積極的に提起をしていただく、こういう内容を今おっしゃっていただいたと、それはありがたく評価をさせていただきます。 さて次に、今申し上げた、三年前に総合対策というものが打ち出されて、昨年、平成二十六年の十二月十六日、まさに解散・総選挙の二日後に、現政権の犯罪対策閣僚会議、犯対閣において宣言が出されましたよね。再犯防止に向けての宣言が出されました。 この宣言は、「宣言」と銘打って、「犯罪に戻らない・戻さない」と強い決意で、今までの総合対策はあるんだけれども、改めて、また特出しで再犯防止に対して宣言を打ち立てた。 ここで私、一点、非常に違和感を覚えるところがあるんですよ。それは、「宣言」の本文の一行目にこうあります。「二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を控え、世界一安全な日本を創ることは、国を挙げて成し遂げるべき使命である。」 このことだけを見れば、それはそれで一定の合理性のあることかもしれませんが、今言ったように、再犯防止という大きな宣言の一行目にこの東京オリンピック・パラリンピックが来て、そして、その後続くんですね。そのために再犯防止をしましょうという文言が並ぶわけですよ。そしてその後に、先ほどの仕事先の確保だとか帰住先の確保についても、年限は二〇二〇年までにという、全て東京オリンピックまでにこの施策、目標値を達成しようという書きぶりなんですね。 そうすると、私の違和感は、そもそも再犯防止の目的は何かといえば、これは、我が国全体の治安の維持向上、そして国民生活の平穏を保つという大変大きな大きな課題であるし、そして、繰り返しますけれども、これは別に年次を切る話ではなく、永続的に続けていくものであるわけですね。にもかかわらず、昨年末に出された「宣言」というものが、あたかも東京オリンピック・パラリンピックのための再犯防止と受け取られかねないような、そういう書きぶりになっているわけですよ。 東京オリンピックを成功させるためにという看板の中に、多分、メニューが五十も百もある。その中に、東京の、日本の治安をやはりよくしていこう、その中には、再犯防止もしっかりやっていきましょうねという、そういうようなものがあるなら、逆にこれはこれでわかるんですけれども、片や、こちら側から見れば、法務省から見れば、再犯防止と打ち立てていながら、それが、今言った書きぶり、本文の一行目から書き出されて、今言ったように、二〇二〇年という年限を切って、東京オリンピック・パラリンピックのために再犯防止を進めていこうというのは、本来の再犯防止の我々の方針の打ち出し方からすると、これはちょっと違和感があると私は思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。
○上川国務大臣 再犯防止についての宣言ということで、今回、大変大きなメッセージを出させていただいたところでございます。 先ほど冒頭で委員が御指摘いただきましたが、これは、国民の皆さんの理解と協力が大変大事であるということ、その意味で、例えば保護司さんの制度についてお触れになりましたけれども、今は、仕事と生活を大事にしていくという意味で協力雇用主の皆さんの御協力もいただくというようなことになっておりまして、そういう意味では、大変大きな意味で、国民の皆さんの御協力を全面的にいただきながら、そして、自分たちの国を安全、安心にしていくためにも、再犯防止という取り組みに一致団結して取り組もう、こうした大きな歴史的な流れも踏まえての今があるというふうに理解をしているところであります。 五年という年限の中に、二〇二〇年、オリンピック・パラリンピック東京大会が幸運にも国際的な決定によってなされたということもありますし、また、そのときにはさまざまな海外からのお客様も来られるということでありますので、そういう意味では、二〇二〇年という節目の年ということについては、大変意味のあるものであるというふうに思います。 今回、前提として、それを達成するためにというような意味合いでという、そういう分析の中でおっしゃったというふうに思いますが、その二〇二〇年という節目の年に当たって、力を合わせて目標を達成していきながら、さらにその先に向けてもしっかりと対応していく。こうした意味では、たゆまぬ改革の一里塚の中に二〇二〇年という節目の年をしっかりと置いて、そしてそれに総力を結集して取り組んでいく、そしてさらに、その後におきましても、そうした力を最大限有効に活用していくということについては、私は、大事な枠組みの一つではないかなというふうに思っております。
○黒岩委員 大臣、「宣言」というのはもちろん読まれていますよね、ペーパー五枚程度のものですから。 私は、もちろん、東京オリンピック・パラリンピックの成功というものは心から祈っておりますよ。ただ、今まで再犯防止に多少なりともかかわってきた立場とすれば、どうもその目的というものが、余りにも限られた、限定されたものになってしまっている。そして、「宣言」というものは、今言った総合対策が出た二年後にも出ているわけですから、毎年出したっていいわけですよ。 先ほど申し上げたとおり、二年以内の再入所者の率、こういったものの目標も変えていくことだって必要なわけです。そういう意味では、今言ったように、誤解を与えかねないような違和感を私は持ったわけですから、これも、大臣、犯対閣において、これは別に一年後でもいいですけれども、大臣の方からまた、新たな宣言、これはやはり、広範な目的で、なおかつ永続的な取り組みだということを再度確認するような、そういう宣言を提起していただきたいんです。お願いいたします。
○上川国務大臣 この「宣言」の内容でありますが、一たび犯罪や非行をした者を社会から排除し孤立させるのではなく、責任ある社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会というものを実現するために、その中の手法の一つとして設定をしているということであります。 先ほどの保護司の制度そのものも、過去百数十年の歴史の中で、仕事と居場所をつくっていく、当時からのそうした考え方の中で今があるというふうに思って、そういう意味では、非常に鍛えられたところで再犯防止についてこれまでも取り組んできたということでありますが、先ほど来のお話のように六割になんなんとしているということでありますので、そこに着目をして、そして数値目標を掲げながら、期限を切りながら、さらにそれに対して精力を傾けていく、国民の皆さんの協力もいただいていく、このことの意味は大変大きいというふうに思っております。 不断の見直しというのは私も全く同感でありますので、そういう意味では、私自身もそのようなことに絶えず心がけながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○黒岩委員 済みません、ちょっと長目で余りよくわかりづらかったのですけれども、まあ、これ以上はあれですよ。 ただ、私はやはり、「宣言」をつくるときに、当然、保護局の方だってかかわっていたと思うので、ああいう書きぶりに違和感を覚えなかったことに違和感を覚えている。 今言った、これは本当に広範で永続的な、そして我が国の治安維持にとって物すごく重要な対策でありますので、このことで何か国民に誤解を与えるようなことがいささかもあれば、それをやはり私は危惧、懸念しますので、そういったことはぜひ大臣の力で除去していただくということを重ねてお願いをさせていただきます。 では、この「宣言」の具体的内容に入っていきましょう。先ほどから何度も出てきた、仕事先の確保ということであります。これは大変重要なんですね。実際に、仕事先ないしは帰住先、これは出番と居場所と言ってもいいんですけれども、やはり出番と居場所のない人が再入所、再犯を起こすということはデータ的にも立証されているわけですから、その二本柱のうちの仕事先の確保について、今、現況でどういう数値目標を立てているのか、その点について、局長、お答えいただけますか。
○片岡政府参考人 お答えいたします。 御指摘のとおり、刑務所出所者等の就労を確保するためには、その事情を理解した上で雇用してくださる協力雇用主による雇用を拡大していくことが極めて重要であります。 そのために、かねてから、厚生労働省を初めとする関係機関との連携を強化するとともに、特に平成二十五年度からは、協力雇用主に対しまして月額約二万円の職場定着協力者謝金を支払う制度を創設するなどしております。(黒岩委員「聞かれたことだけに答えてください」と呼ぶ)はい。 このような努力をしまして、二〇二〇年までに、実際に刑務所出所者等を雇用していただく協力雇用主の数を三倍にするという目標を立ててございます。(黒岩委員「三倍というのは何社でしょうか」と呼ぶ)四百七十二事業所の三倍ということでございます。
○黒岩委員 平成二十六年の段階で四百七十二社で、今、大体五百ちょいになって、少なくとも保護局からのペーパーでは、その五百を三倍にするから千社増加だと伺っていますけれども、そういうことでよろしいんですよね。 それで、今出てきた協力雇用主という方たちと実際に雇用している雇用主という方たち、これは数字が違うわけですから、近年、五年ぐらいだったかな、私は数字をいただきましたけれども、今言った数字の変化についてちょっと御説明いただけますか。
○片岡政府参考人 御指摘のとおり、協力雇用主として登録されている雇用主の数と、それから実際に刑務所出所者等を雇用している雇用主の数というのは違いがございます。例えば、平成二十六年におきましては、登録している協力雇用主の数は一万二千六百三であるのに対して、実際に雇用されている雇用主の数は四百七十二というふうになってございます。 これを、例えば約五年前の平成二十二年と比較しますと、登録されている協力雇用主数は、八千五百四十九から、平成二十六年に一万二千六百三になっております。また、実際に雇用されている雇用主数は、平成二十二年の三百十四から、平成二十六年には四百七十二になっている。こういうふうな経過がございます。
○黒岩委員 今時点で協力雇用主が一万二千六百社登録されていると聞くと、先ほどおっしゃられた、これから五年間で、実際に雇用する雇用主、事業者を千社ふやしていくというと、何となく、たやすくとは言いませんけれども、可能なのかなという気が、受ける方もいるんですけれども、現実に、今の局長の説明でもわかるとおり、協力雇用主に占める、実際に雇用する雇用主というのは、わずか三%とかなんですよね。この乖離。 わざわざ登録しているわけですよ。わざわざ登録しているけれども、実際には、登録しながら、人を雇うのは三%の雇用主しかいない。この乖離の原因は一体何なのか、この点について説明をいただけますか。
○片岡政府参考人 お答えします。 まず、協力雇用主として登録されている雇用主の方々、これは、条件がそろえば、あるいはきっかけがあれば、実際に雇用していただく意思があるという方が登録されているというふうに考えておりますが、実際に雇用するとなると、やはり不安あるいは負担というものが気になるところでございまして、それら協力雇用主の不安や負担を軽減するための方策が必要になってくるのではないかと考えているところでございます。
○黒岩委員 もうちょっと的確にお答えいただきたいんですけれども。 わかるんですよ。私の地元にも、地元の市の協力会の会長さんなんかがいらっしゃって、私、何度もその方にお聞きしても、なかなか定着しないとか、いざ協力雇用主会で話をしても、登録はしたいけれどもいろいろな不安もあると。 そういった中で、実際に雇用していただくことがどんなに大変かということは、それは施策に当たる皆さんもそうですし、当委員会でもやはり改めて認識しなきゃいけないんですよね。本当にそんなに簡単なものではないということは、今の説明でも私は理解しているつもりですよ。 そこで、さっきちょっと先走って言っていただいたので、でも、改めて聞きますけれども、今までは三百社ぐらいですよ、実際に雇用している雇用主というのは。全国で三百社といったら、やはりそんなに多くはないですよね。四十七都道府県で割ったら、一県で一桁ぐらいなわけですよね。でも、幸いなことに、直近の一年間で九十二社、約百社ふえたわけですね。これは私、画期的なことだと思うんですよ。 なぜ百社ふえたのか、それについてちょっとお答えいただけますか。
○片岡政府参考人 お答えします。 先ほどは失礼しました。先ほどの問いにやや述べさせていただきました。 従前から、厚生労働省を初めとする関係機関の連携を強化してきたところでございますが、特に平成二十五年度からは、協力雇用主に対して月額約二万円の職場定着協力者謝金を支払う制度を創設するなどして、実際に雇用していただく協力雇用主さんの開拓に努めてきたところでございます。その予算額は、平成二十六年度の額でございますが、二千八百万円を計上してございます。
○黒岩委員 大臣、今のでおわかりですよね。月々二万円の謝金を、これは十四週間以内という限定ですけれども、出していく。そして総額は、これは多いと見るか低いと見るかですけれども、大して多くない、年間二千八百万の予算でこういう効果が生まれたわけです。これはやはりすごく重要なことなんですよね。 そして、お聞きすると、四百七十二社から、百近くまではいかないけれども、大体三、四十社まで、実際に雇用している事業主さんが今存在しているわけです。 そして、今回、二〇二〇年、東京オリンピックを目指しているわけですから、そうなると、あと五年間で千社必要になるとなると、平均すれば一年間で二百社ふやしていかなければいけないわけですよ。 これもあえて局長にお聞きしますけれども、どうですか、これは、達成する見込みとその方策というのはあるんですか。お聞かせください。
○片岡政府参考人 お答えいたします。 ただいままさしく御指摘がありましたとおり、協力雇用主さんによる実際の雇用に向けて、さらに協力雇用主さんを支援する施策が必要と考えております。 そこで、平成二十七年度、本年度からは、刑務所出所者等を実際に雇用して生活指導等を行う協力雇用主に対しまして年間最大七十二万円を支給する制度、これは、当初の六カ月間で一カ月当たり最大八万円を支給する制度を創設したところでございます。また、本年度の予算額で三億八千万円を計上しているところでございまして、これらの執行によってどれだけ実際の雇用が伸びていくかを注視しながら、また、矯正施設やハローワーク等との連携強化も図っているというところでございます。
○黒岩委員 やはり、月額二万から八万というのは大きいですね。特に、地方で低賃金でありますし、実際に、雇用主というのは割と建設業の方とかが多くて、月八万というのはありがたい話です。そして、三億八千万というのは、何せ予算の少ない法務省の保護局で、まあまあよく捻出されたと思っております。 ただ、ここはあえて大臣にお聞きしたいんですけれども、今言った奨励金制度ができたからといって、本当に飛躍的に二百社ができるかどうかというのもまだわからないんですよね、ことしからですから。ですから、そういった制度、予算だけじゃなくて、どんな取り組みも、本当にこれは大事なことですから、法務省として、大臣として、どんどんどんどん積極的なものを打ち出していただきたい。その前向きな姿勢をこの委員会でお示しいただきたいので、どうかよろしくお願いいたします。
○上川国務大臣 再犯防止に係るさまざまな施策に本当に総合的に取り組んでいくというのは、非常に大事な御指摘だというふうに思います。 特に、刑務所の中にいるときから、出所する、そしてその先の生活自立ができるところまでのシームレスな取り組みという意味で、刑務所の中では、職業訓練をしたり、さまざまなプログラムをしっかりとその方に応じて対応するでありますとか、あるいは協力雇用主の皆さんとのマッチングもしっかりとしていく、こういう一連の取り組みそのものが非常に大事ではないかというふうに思っております。 そういう意味でも、今の協力雇用主に対しての補助金制度ということについては、これは大変大きな鍵になるとは思いますが、それだけでは成り立たないということでありますので、総合的な取り組みについては全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○黒岩委員 ありがとうございます。 今のやりとりでも、仕事先の確保の目標達成というのは、ある程度期待が持てるのかなと。ただ、くどいようですけれども、これはその目標が達成できればいいというものじゃなくて、もっともっともっともっとふやしていかなきゃいけないわけですよ。 何といっても、今言った、一万二千六百社の協力雇用主と、実際に雇う雇用主が三%、四%、この乖離をどんどんどんどん埋めていけば、高い目標も掲げられるし、やはりそのための政策なり予算というものも投入をしていただきたいということを、これはもう強く要請しておきます。 さて次に、二本目の柱、帰住先です、居場所の確保。この帰住先の確保についてどういう数値目標を掲げているのか、これも端的にお答えください。
○片岡政府参考人 刑務所出所者等のうち、帰るべきところがない者がございます。二〇二〇年までにその数を三割減らすという目標を立ててございます。(黒岩委員「まず母数を言ってください」と呼ぶ)今現在、六千三百六十八人から約二千人を減らすという目標を立てております。
○黒岩委員 目標はわかりました。 それで、先に聞けばよかったのかもしれませんけれども、では、その帰住先のない六千三百何十人という今現在の人、この人たちは、出所して、一体どういう場所で暮らし、どういう生活をしているんですか。ちょっとお答えいただけますか。
○片岡政府参考人 お答えします。 まずもって、保護局で把握している数でございますと、更生保護施設あるいは自立準備ホームというところに結局受け入れるという者がございますが、統計上はその多くが不明ということで、帰住先がない、あるいはわからないということになってございます。
○黒岩委員 局長、今おっしゃったそういった更生保護施設に入っている人というのは、帰住先が確定されている方ですから、六千三百人には含まれていませんからね。ちょっと、誤解を生むようなことは言わないでください。 不明ということも非常に心もとない話ですけれども、ただ、事務方に聞けば、実際にはやはりホームレスになったりとかいうような状況なんですよ。 ですから、今言った帰住先のない方の三人に一人、三三%は二年以内に再入所しているということも、これは本当に残念でありますけれども、環境からすればそういうこともあるのかなということですから、やはり帰住先というものをしっかりと確保していく政策が必要となっている。 そこで、時間の許す限りなんですけれども、三つの公的ないしは準公的な施設の制度というものについて改めて確認していきます。 一つ目、これは、まさに国、法務省が自前で建設し運営している、自立更生促進センターというものですね。これは全国に四カ所しかないんですけれども、まずは自前で、国の予算でこのセンターを増設していく、この予定はおありですか。
○片岡政府参考人 お答えいたします。 まず、今御指摘ありました、現在、四カ所の国が設置、運営するセンターがございます。(黒岩委員「端的でいいです。あるのかないのか」と呼ぶ)現在、新たな設置等の予定は考えてございません。
○黒岩委員 そうなんですよ。その四カ所の定員は十二名から二十名で、全部合わせてもたった五十八名なんですよね、国が自前で一時的な帰住先を確保しているところは。 これは、余りにも余りにも残念な状況だと私は思っていますよ。しかも、平成十九年から二十二年の間に四カ所つくって、その後約五年間で全く増設していないわけですよね。 これは時間がないので、まずは、国としても予算をかけるなら、今言ったように、これは確かに、地域がなかなか受け入れてくれないといったいろいろな事情もあります。私も視察に行ってきましたよ、何カ所も。だけれども、この五年間で一カ所も増設していないというのは、帰住先の確保、確保とあれだけ言っていながら、私は、申しわけないが、国としてはこれは怠慢だと思っている。そんなにかかりませんよ。私は実際に見に行きました。そんなに大仰な施設ではありませんから、この部分は、予算もつけて、ぜひ前向きに進めていただきたい。 では次に、二番目、これは民間の施設です。日本には、過去の歴史から、慈善事業というような形で、更生保護施設というものが、民間の更生保護法人を中心として百三カ所ありますね。これはあくまでも民間施設なんですけれども、この定員が二千三百四十九人でしたかね、これが今、実際にそこに入っている割合が七五%程度なわけですよ。これを高めていくということが、次の機能強化、これは、ちゃんと「宣言」の中に書き込まれている更生保護施設の帰住機能の強化というわけですから、この機能強化で、今言ったようにもともと二千人の帰住先を確保しなきゃいけないんですよ、これから五年で。 では、この五年間で、この更生保護施設の機能強化でどれほどの帰住先が確保できるのか、これも端的にお答えください。
○奥野委員長 片岡局長、なるべくわかりやすく、シンプルに。
○片岡政府参考人 まず、実情、平成二十五年度におきまして、それら更生保護施設で年間約八千三百人を受け入れております。それが御指摘ありました七五%という数字でございますので、仮に一〇〇%を達成したとしたら、約二千人ぐらいの計算になるかと思います。
○黒岩委員 局長、本当に一〇〇%達成できるんですか。
○片岡政府参考人 一〇〇%を目指して各種指示を講じてまいりたいと思っております。
○黒岩委員 私は、事前に現場の方たちともやりとりして、一〇〇%なんてとてもとても無理だ、いいところ七五パーから八五パーぐらいだ、九割は無理だと聞いているんですよ。この場で局長が一〇〇%で二千人だと言っちゃうと、これは大変なことですよ。これは五年後に検証されるわけですよ。局長が宣言して、これで二千人だと言い切っちゃったんですよ。 もうこれ以上議論が進まないな、これだったら。ああ、そうですか。ほう。 いや、もういいです。そこまで言い切ったなら、その達成度をしっかりと見させていただきましょう。 これだったらもう議論は終わっちゃうんですけれども、せっかくだから三つ目。三つ目があるんです。もう一つあるんです。 これは、更生保護の専門施設でない、例えばホームレスの方が入所するような施設だとか、例えば一般の障害者や高齢者が入所する施設の空き部屋等を代替施設として位置づける、これは、登録して事業者に行ってもらう、こういう自立準備ホームという制度があるわけですよ。これは今、二百八十五事業者が登録しているわけですけれども。 この自立準備ホームの拡充によって、この五年間で、この三つ目のカテゴリーでどれだけの帰住先を確保できると見込まれているのか、お答えください。
○片岡政府参考人 お答えします。 保護局長の心意気としましては、数百人から一千人程度の自立準備ホームによる受け入れの拡充を二〇二〇年までに目指したいと考えておりますます。 以上です。
○黒岩委員 まず、自前の自立更生促進センターはふやさない。二番目のカテゴリー、これは今、定員が二千三百何十人で、いいところ一〇%ふやす、要するに二百三十人ふやして、年間の回転率が三倍ぐらいだと聞いていますから、掛けても七百人ぐらいしかふえないんですよ。第三番目のカテゴリーの自立準備ホームも、いいところ年間で十五から二十ぐらいふえる。一事業者当たり大体四人ですから、年間で八十人なんですよ。掛ける五年だと四百人だ。だから、どう足しても、千人台の前半ぐらいまでしか今見えないんですよ。 大臣、最後に、やはり帰住先の確保はこんなに困難な状況なんですよ。ここを何とか、施策として、せめて二千人の目標を達成できるような、そういった施策をしっかりと打ち出す、このことを今ちょっと宣言してください。お願いいたします。
○上川国務大臣 「宣言」の中に盛り込まれた数値目標、特に仕事と居場所ということでございまして、その目標に向かって実現できるように、あらゆる施策を総動員して目標達成に向かって頑張ります。
○黒岩委員 済みません、時間がなくなりましたので、最後に、大臣、保護局、矯正局の連携というのは、地道であるけれども大変重要な仕事でありますので、ぜひそれを最大限評価していただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、階猛君。 十時十分までやらせていただきます。大変申しわけないけれども、階さんの議論は一旦そこで中断させてもらいます。
○階委員 おはようございます。民主党の階猛です。 先ほど黒岩委員も触れられていましたけれども、きのう、政府の顧問会議の場で、今後の司法試験の合格者数について、検討結果の取りまとめ案というものが出されました。 資料としてお配りしております資料一の方をごらんになっていただければと思うんですが、簡単な一枚の紙ですけれども、私はいろいろ問題があると思っています。 まず、二行目ぐらいに、「法曹人口は、全体として今後も増加させていく」というふうにあります。「全体として今後も増加させていく」ということでいうと、資料二を見ていただくと、例えば千五百人という合格者であったとしても、今、平成二十七年あたりで四万人ぐらいなのが、平成三十五年、十年もたたないうちに五万人近くになる。仮に二千人、ちょっと前までは二千人だったわけですけれども、この資料二のシミュレーションでいくと上の段の方にありますが、平成三十二年、オリンピックの年には五万人近くになるということで、二千人を千五百人にしたからといって、増加のペースというのはそれほど弱まるわけではない。 だから、ただ増加させると言うだけではなくて、どの程度増加させるのか、法曹人口を将来的にどの程度の規模に持っていくのかというところまで言わないと、増加させると言っているだけでは、千五百人が正しいのか二千人が正しいのか、はたまた、今、やめられる数が大体五百人ぐらいですが、四十年ぐらい前は司法試験の合格者は五百人でしたから、毎年千人合格させても五百人ずつふえていくわけですね。千人でも十分たくさんの数が毎年増加していくというわけですから、どの程度の数を今後増加させていくのかというところを示す必要があると私は思うんです。 この点について、大臣の見解を伺います。
○上川国務大臣 顧問会議にお出しをさせていただきました「在り方について」のまとめ案でございますが、御指摘のとおり、全体の法曹人口の数につきましては、検討結果の取りまとめ案に示されておりません。 その理由についてこの案では明らかにされていないのでありますけれども、新たに輩出いたします法曹の相当な規模を検討するに当たっては、法的需要に影響を及ぼし得る社会的また経済的な外的な諸事情に極めて流動的な要素があるということなどが指摘をされていることから、法曹全体の相当な人口を一義的にお出しするということにつきましては極めて困難なのではないかというふうに考えているところでございます。 いずれにしましても、今後、法曹養成制度改革推進会議におきまして、最終的な取りまとめに向けまして検討し、また結論を出してまいるというふうに思っております。
○階委員 では、今後増加させていくといった場合に、将来的に五万人なのか六万人なのか七万人なのか、この点については全く明らかにならないまま毎年の合格者を決めて、それで問題ないというお考えですか、大臣。
○上川国務大臣 今回の調査でございますけれども、さまざまな視点を踏まえた形で、アンケート調査もして、そして推進室でまとめ上げているというところでございます。 その調査の結果におきましては、需要の状況でありますとか、あるいは法曹の供給状況ということにつきまして、法曹全体の輩出規模ということについて考察するに値する事情が明らかになっているということでございますので、また、この調査を踏まえまして、大体の輩出の規模というものを見通しているところでございます。 先ほどのシミュレーションということで、千五百人になりますと、二〇二三年時点におきまして約五万人近いということでありますが、その後の数値も推計しているわけでありますけれども、そうした規模を念頭に置いているというふうに考えております。
○階委員 従来、三千人目標というのがあって、これはもう撤回されましたけれども、その三千人目標は平成二十二年に達成し、それを継続することによって平成三十年には法曹人口が五万人になるんだということが従来の司法制度改革審議会意見書などで示されていたと思うんですね。 ですから、三千人という目標は、五万人という法曹人口を前提として定められたと考えておりますけれども、その三千人目標は何を根拠に定められていたのか、私の言っている五万人との関係で定められたということではないんでしょうか。 大臣です。大臣に通告しています。これはちゃんと明確に通告しています。何を根拠に定められたか。
○上川国務大臣 司法制度改革審議会におきまして審議がされていた当時の御議論ということでございますけれども、その当時、我が国の法曹人口そのものが先進諸国と比べまして大変少ないということであって、そして、今後予想される需要に対しても、将来の見通しでも十分に対応できないというような認識があったというふうに思っております。 それゆえに、まず法曹人口の大幅な増加が急務であるという御指摘がございまして、そうした課題に対処するために、当面の目標といたしまして、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備状況、こうしたものを見定めながら、平成二十二年ごろには司法試験合格者数につきましては年間三千人とすることを目指すべきとなったところでございます。 この目標につきましては、当時、さまざまな状況分析を踏まえまして、熟議を経た上で結論づけられたものと考えているところでございます。
○階委員 五万人との関係はどうなっていたのかということを、当時の議論を教えていただけますか。これは事務方で結構です。
○大塲政府参考人 お答えいたします。 先ほど来出ております平成十三年の司法制度改革審議会意見書では、「平成二十二年ころには新司法試験の合格者数の年間三千人達成を目指すべきである。」とされているわけです。「このような法曹人口増加の経過により、おおむね平成三十年ころまでには、実働法曹人口は五万人規模に達することが見込まれる。」ということで、若干の表現の違いはございます。 委員も既に御案内だと思いますけれども、トータルとしての法曹人口数というのは、今いる人口数に新規に入る人たちを足す、それから引退する人たちを引くと出るわけでありますので、法曹人口数というのは、ほとんどイコール新規に入っていく人たちの合算ということになると思いますので、そういった関係だと思っております。 それで、年間三千人を平成二十二年に輩出すれば、平成三十年には積み上げて五万人になる、こういう計算だったんじゃないかと理解しています。
○階委員 では、政府としてはこれまで、あるべき法曹人口、例えば、五万人があるべき数なのか、六万人なのか七万人なのか、これを議論したことはないということでいいんですか。
○大塲政府参考人 私が把握している限りでは、改革審の意見書のところで、全体としての法曹人口が平成三十年に五万人になることが見込まれるというものがあり、その後、御案内のとおり、平成二十五年の七月の法曹養成制度関係閣僚会議で、合格者数ですけれども、三千人にすることは現実性を欠くから調査検討せよというふうなことで宿題をいただいている。 そのときに、ではトータルとして何万人にするかとか、そういった議論は、少なくとも関係閣僚会議決定書きの中には出ていないと考えております。
○階委員 恐るべき話だと思っていまして、目標がないまま増加させて、青天井でふやしていって、本当に弁護士という仕事が成り立つんでしょうかね。やはり、五万人なのか六万人なのか、そういう議論がまずあった上で、それで毎年の合格者数を決めるというふうなことから、わざわざ二年間かけてこの「法曹人口の在り方について」というペーパーをまとめられたんじゃないですか。何のためにこの二年間を費やしてきたんですか。 法曹人口の具体的な数字を出さないで、十分調査検討がなされたということで、自信を持って言えますか。
○大塲政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、毎年の新しい法曹の輩出の規模、これがどれぐらいなのかということを考えていく。そうすることによって、いつの時点でトータルとしての法曹人口は何人になる、こういう計算は十分可能ではないかと思います、先ほど出ていましたシミュレーションのとおりでありますので。 では、具体的に何年に何万人というのが、申しわけありませんが、いろいろな調査はしましたけれども、法曹の活動というのは非常に広うございます。なおかつ、報酬の制度といいますか、報酬もまちまちでございますので、こういう業務があるから法曹はあと何人足りないよ、何万人足りないよというような計算は、調査をしてもなかなか出てこなかったというのが実際のところであります。 それで、毎年の法曹の輩出量、何人できるのかという観点で検討したのが今回の取りまとめということになります。
○階委員 結局、「法曹人口の在り方について」と言っていますけれども、肝心な法曹人口のあるべき姿というのは示されないまま毎年の合格者を決めるんだったら、何も二年間、時間をかける必要はなかったと思いますよ。私は、現下の、弁護士を目指す人がどんどん少なくなってくる中で、一刻も早く改革に手を打たなくてはいけなかったのに、二年間、時間を浪費したと思っていますよ。 合格者数、さすがに千五百という数字が出てきた、これはよしとしますけれども、この間、貴重な時間を費やしたことについては、私は責任は重いと思っています。 また、この千五百という数字についても、このペーパー、資料一をよく読みますと、いろいろと疑問が湧いてくるわけです。 例えば、この千五百人という数字が出てきた根拠なんですけれども、資料一の真ん中よりやや上ぐらいですね、「法曹養成制度の実情及び法曹を志望する者の減少その他の事情による影響をも併せ考えると、法曹の輩出規模が現行の法曹養成制度を実施する以前の司法試験合格者数である千五百人程度にまで縮小する事態も想定せざるを得ない。」「このまま何らの措置も講じなければ、司法試験合格者数が千五百人程度の規模を下回ることになりかねない。」ということで、要は、千五百人を下回りたくないから千五百人を目標とするんだということを言っているだけであって、この千五百という数字に対して何ら積極的な根拠づけはないと思っていますけれども、この千五百人の合理的根拠を説明していただけますか。
○大塲政府参考人 「法曹人口の在り方について」、法曹養成制度改革推進室が作成した検討結果取りまとめ案では、これまで、年間二千百人から千八百人程度の規模の司法試験合格者を輩出してきたことには一定の相当性を認めるとしております。他方、法曹養成制度の実情、法曹志願者の減少等の諸事情に照らせば、現行の法曹養成制度を実施する以前の司法試験合格者数である年間千五百人程度の規模にまで縮小する事態を想定せざるを得ず、あるいは、このまま何らの措置も講じなければそれを下回る事態に陥ることにもなりかねないという危機感を示しております。 その上で、質量ともに豊かな法曹を輩出し、全国あまねく法の支配を及ぼすという法曹養成制度の理念に照らしまして、今後も法曹養成制度の改革を進めて、新たな法曹を年間千五百人程度輩出できるよう、さらには、これにとどまることなく、より多くの質の高い法曹を輩出できるよう、関係者おのおのが最善を尽くすべきであるという立場を示したものであります。
○階委員 だから、結局、旧司法試験の時代ですら千五百人だったんだから、それを下回るわけにはいかないからそこを目指すんだ、要はそういうことでしょう。 なぜ千五百人なのか。千五百人でも、先ほど言いましたように、当面は毎年千人ずつ純増していくわけですよ。平成三十年代半ばには五万人を突破して、その後もどんどんふえていきますよ。そのような意味を持つ数字だということを千五百人はもたらす、ここまで踏まえた上での結論というよりは、旧司法試験で千五百人採っていたんだから、さすがにそれを下回るわけにはいかないねというような、極めて消極的といいますか、自分たちの保身のための理屈ではないか。 なぜならば、千五百人の時代であれば、司法研修所だけで十分足りたわけですよ。旧司法試験で受かった人を和光の研修所に集めて、それでキャパシティーは十分足りたわけですよ。ところが、これから二千人、三千人というふうに合格者をふやしていくのだと、それでは法曹教育が賄えなくなるというところから法科大学院をつくったという経緯があるわけですね。弁護士会も、それだからこそ法科大学院を認めたということだったと思うんですよ。 ところが、今、千五百人もなかなか厳しくなってきたという現状認識の中で、さすがにこの千五百人は下回るわけにはいかないというところで、過去の経緯との整合性をとるために何とか千五百人を維持したい、そうとしか見えないんですよね。この千五百人ということについて、もうちょっと積極的な理由づけが必要だと思いますよ。 大臣、今、議論を聞いていて、この千五百人というのは意味のある数字だと思いますか。
○上川国務大臣 二年間に及びます検討を重ねた上で、そして大規模な調査も重ねて、需要と供給についての質的な御意見も賜りながら、その要請を踏まえた上で、需給のバランスの中で取りまとめられたというふうに私は理解をしているところでございます。 その意味で、これから、七月十五日に向けましての最終的な検討につきましても、さらに御理解をいただくことができるようにしていく必要があるというふうに思っております。
○階委員 あともう一つ確認したいのは、この中で、「当面、」という表現が出てきます。千五百人程度は輩出されるよう必要な取り組みを進めるということで、「当面、」という表現が出てきますけれども、この「当面、」というのは具体的にはいつからいつまでを指すのか、教えてください。
○大塲政府参考人 検討結果の取りまとめ案における「当面、」とは、推進会議において結論が出された後に、例えば、社会的、経済的な諸事情の推移等によりますけれども、差し当たり五年程度の期間を言うのではないかと考えております。
○階委員 五年というのは、ことしを含んで五年なのか、来年から五年なのか。ことしの合格者から始まるのかどうか、教えてください。
○大塲政府参考人 今申し上げましたように、ことしの推進会議において結論が出された後と申しましたけれども、これは設置期限が七月十五日ということですので、近々出るわけですけれども、そこから五年という意味であります。
○階委員 そうすると、このままいけば九月の合格者からは千五百という数字が適用されるという理解でよろしいですね。結論だけ。
○大塲政府参考人 千五百という数字というよりも、この検討結果に書かれた内容と言うことが正確だと思います。(階委員「ことしの九月からですね」と呼ぶ)はい。
○階委員 わかりました。 では、ここで一旦終わります。
○奥野委員長 階委員の質問は、休憩後にもう一度、二十五分、やらせていただきます。 それでは次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。 質問の機会をいただき、ありがとうございます。 私は、議員になるまで弁護士として働いてまいりましたけれども、一般的に、普通に言いまして、皆さん、なかなか弁護士のところなんか行きたくないんですよね。弁護士のところには行きたくない、お金がどれだけかかるねんとか、プライベートなことをどこまで話さなあかんねんということで、本当は行きたくないんだけれども、いろいろなトラブルがあって、周りの人に相談したけれどもどうにもならない、だからやむを得ず弁護士のところに行くということで、そういって来られた相談者、依頼者の紛争解決また悩みの解決のために、こういった国会で審議された法律、今ある法律を駆使して、奔走してきました。 そういった弁護士活動の中で、私は、今ある法律だけではなかなか解決できない、依頼者、相談者を救えない歯がゆい思いをしたこともございます。その中の一つが、勝訴判決を得ても債権を回収できない、支払いを確保できない場合があるといった問題でございます。 つまり、訴訟を提起して、お金もかかります、時間もかかります、そうしてようやく勝訴判決を得たとしても、債務者が、相手方が任意に支払いに応じない。こういった場合には、次のステージとして強制執行を考えないといけない。 ただ、この強制執行の申し立てをする場合というのは、差し押さえるべき財産というのを特定する必要があります。しかし、その財産がどこにあるかわからないということで強制執行を断念せざるを得ず、結局、判決では勝ったんだけれども債権を回収することができないという場合があります。 私自身も、弁護士になりたてのころ、ボス弁から、國重、やってみろということで振られまして、ある事件をやりまして、一年目のときでしたが、三千万の勝訴判決をとりましたけれども、結局、一円も回収できなかったという苦い経験もございます。 そこで、まず前提として、裁判所に伺います。 債務者の財産がどこにあるのかわからない場合、一般的に、預金を持っていそうな金融機関に当てずっぽうで債権者が差し押さえをする場合があります。このときに、どこまで特定する必要があるのか。債務者の預金債権の差し押さえをする場合に、金融機関、支店、また口座番号など、どこまで特定すれば差し押さえができるのか、答弁を求めます。
○菅野最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最高裁判所平成二十三年九月二十日第三小法廷決定は、大規模な金融機関の預金債権の差し押さえに関し、取扱店舗を一切限定せずに支店番号で順位づけする方式による申し立ては、差し押さえ債権の特定を欠き不適法であると判示しております。 事務当局といたしましては、全国の取り扱いを必ずしも把握しているものではございませんが、執行実務においては、預金債権を差し押さえる場合、取扱店舗や支店の特定が必要であるとの取り扱いが一般的であると承知しております。
○國重委員 今の答弁で、要は、支店までは特定する必要があるということでよろしいですね。口座番号までは必要ないけれども支店までは特定する必要があるということで、これが実務の現状ですので、費用をかけてでも、例えば、債務者の住居の近くの金融機関、これをじゅうたん爆撃的に、各金融機関、各支店の差し押さえをする債権者もおります。ただ、そこに財産がなければ、預金がなければ、結局、空振りに終わるというのが現実です。 債務者に支払い能力がない場合はやむを得ないとしても、債務者は恐らく財産を持っている、持っているんだけれども、例えばこれがサラリーマンであれば給与債権とかを差し押さえることができますけれども、そうでない場合に、なかなかこれは、恐らく持っている物とかからしてあるんだけれども差し押さえができない。相手方の財産の特定ができないので債権の回収ができないということであれば、判決が紙切れになってしまって、司法に対する国民の信頼というのは得ることはできません。 先日、裁判員裁判の改正法について議論がされましたけれども、あれも国民の司法に対する信頼ということが眼目にありました。こういった民事裁判においても、この執行というのは非常に大事になってまいります。 そこで、平成十五年に民事執行法が改正されまして、財産開示制度が導入されました。そして、これは翌十六年四月から施行されております。 この財産開示制度は、お配りしております資料一にも書いておりますとおり、勝訴判決を得た債権者が債務者財産に関する情報を得ることができるようにして、権利実現の実効性を確保するための制度であるというふうにされております。 この財産開示手続の申し立て件数、これも資料一、二の方に書かれていますとおり、年間千件前後でございます。 そこで、まず、この財産開示制度の利用状況についてどのように評価をされるのか。今、上川大臣は参議院の本会議に行っているということで聞いておりますので、法務省を代表しまして葉梨副大臣にお伺いしたいと思います。 〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕
○葉梨副大臣 当然、申し立てというのは個別の債務者の履行状況等にもよるものかと思いますが、これは平成十六年から運用が始まっておるわけですが、これが千件前後で、しかも平成二十四年が一千八十五、平成二十五年が九百七十九ということですから、率直に申し上げて、低調であるというふうに言わざるを得ないと思います。
○國重委員 ありがとうございます。私も同意見でございます。 平成二十二年から二十六年の五年間で見て、債権執行申し立ては年間平均十一万件以上でございます。倒産執行申し立て、不動産執行申し立ては年間平均約四万件です。こういったことに照らし合わせましても、財産開示手続の申し立て件数が年間千件程度というのは、利用状況としては極めて少ないと私は認識しております。 また、諸外国にも我が国の財産開示制度と同じような制度がありますけれども、こういった諸外国の利用状況に比べても圧倒的に少ないというのが現状でございます。 例えば、二〇〇九年のドイツにおける財産開示手続の申し立て件数は約二百八十万件。ドイツに比べて財産開示制度の歴史の浅い韓国においても、これは二〇〇四年のデータになりますけれども、財産開示手続の申し立て件数は約十三万件。これに比べて、日本の申し立て件数は年間約千件前後ということで、いかに我が国の財産開示制度の利用状況が少ないか。 では、なぜこのような状況になっているのかといいますと、端的に申しまして、使い勝手が悪い、実効性が乏しいということにあると思います。 さまざまな問題がありますけれども、ここでは詳細に触れるつもりはありません。ただ、大きな問題点として、債務者の不開示に対して、開示自体を強制するための手続がないことが挙げられます。 現行法では、開示義務者が、正当な理由なく、財産開示期日に出頭しない場合とか、陳述しない場合また虚偽の陳述をした場合には、ペナルティーとして三十万円以下の過料に処せられることになっておりますけれども、この過料の制裁の発動は裁判所の裁量に委ねられておりますし、また、そもそも、開示を強制する機能もありません。例えば、三十万円以上の債務を負っている債務者が別に裁判所に出頭しなくても、うその陳述をしたとしても、上限三十万円までの制裁さえ覚悟するのであれば、財産開示をしなくて差し押さえを免れた方がかえって得だということにもなりかねません。 配付した資料二の方をごらんいただきたいんです。 財産開示の今の状況を書いているものですけれども、ここで、既済事件の方をごらんいただきたいんです。例えば、平成二十六年、既済総数は九百九十二件ということになっておりますけれども、このうち、不出頭を含む不開示が四百二十八件ということになっております。このように、今の財産開示制度というのは十分に機能しているとは言えないと思います。 一方、弁護士会照会制度といって、弁護士の申請を受けて弁護士会が、官公庁とか企業等の団体に対して、必要事項を調査、照会する制度もあります。弁護士法二十三条の二で規定されておりますけれども、これも実情でいいますと、金融機関は、お金を支払うべき人の財産調査に対して、個人情報の保護とか守秘義務を理由に回答を拒絶する場合が少なくありません。 こういったことから、制度はあるんだけれども、つくったんだけれども、それが十分に機能していないので、判決はとったけれども支払いは確保できないという現状があります。 だから、実務上、勝訴判決をとっても、その後の執行のことを考えると、裁判の途中で何とか和解で話をまとめて、減額してでも和解で話をまとめて、早期に支払ってもらうというようなことも間々ございます。 このように金銭債権の執行の実効性が確保されていない現状について、副大臣としてどのようにお感じになられるか、副大臣の所感をお伺いいたします。 〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕
○葉梨副大臣 委員御指摘のとおり、まず、財産開示制度が、債権者の権利実現の実効性の確保、債務者のプライバシー保護の要請等の均衡の上で、平成十五年に組み立てられたというわけですけれども、率直に申し上げて、今申し上げましたとおり、低調である。 その意味で、債権者の権利実現の実効性の確保というのがなかなか図られていないんじゃないかという指摘があることは、やはり重く受けとめなければならないだろうというふうに思います。 その理由としては、財産開示の要件が非常に厳格過ぎる、あるいは今委員もおっしゃられましたとおり、虚偽の陳述あるいは不出頭等についての制裁が非常に低いというようないろいろな問題点も指摘されておるところでございます。 私どもとしても、権利実現のより一層の確保を行うために、財産開示制度についての法律の改正、あるいは第三者照会制度の新設などについて、今後やはり検討をしていく必要があるというふうに考えています。
○國重委員 ありがとうございます。 副大臣、次の私の質問も含めて回答いただいたと思いますけれども、一応少しお話しさせていただきますと、日弁連が、大分前になりますけれども、二〇〇八年一月に実施しました財産開示手続に関するアンケートでも、財産開示制度について現状のままでよいとする回答はわずか六%にとどまっております。今副大臣おっしゃったとおり、私も、この財産開示制度については改正の必要性があると思っております。 その上で、財産開示について債務者の申告だけに頼る制度では限界があります。 そこで、先ほどちょっと副大臣もおっしゃっていただきました、第三者に対する照会制度ということでお話が出ましたけれども、法務省、金融機関等の団体に対して裁判所を通じた債務者の財産の照会を行える第三者に対する照会制度、これを新たに創設することも検討すべきだと考えております。 財産開示制度の法改正とか、また第三者に対する照会制度の創設、これについてどのようにお考えになるかということをお聞きしたかったのですが、先に今答弁をいただきました。意を酌んでいただいて先にお答えいただいたと思いますので、今後しっかりと。 私、事前の打ち合わせをしているときに、法務省の中でも今内々にこういったことが議論もされているということはお伺いしました。今副大臣も法務省を代表して、しっかりと法改正も、また新制度の創設も含めて検討していきたいということですので、今後の取り組みを期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 法律相談で多いのは、やはり借金問題の相談というのが多くございます。そういったときに、御相談を受けますと、個人の場合ですと、そういったことの処理方法はいろいろありますけれども、例えば任意整理、破産とか、民事再生というようなことがございます。 このうち、例えば民事再生、個人再生ですね、詳しい制度の中身をここでお話しすることが目的ではありませんので大ざっぱに言いますと、債務を大幅に圧縮しまして、それを分割払いするというのが民事再生、個人再生の手続です。その分割払いを終えれば、その他の借金については法律上返済する義務が免除されるということになります。ただ、公租公課、つまり税金や国民健康保険料、年金保険料等については、民事再生手続の中で支払い額が圧縮されることはありません。 そこでまず、これは民事局長の方にお伺いいたしますけれども、この民事再生手続における公租公課の位置づけ、またその趣旨についてお伺いいたします。
○深山政府参考人 今お話があったとおり、民事再生法は、経済的に困難な状況に陥った債務者、すなわち再生債務者について、債権者の多数の同意を得た再生計画によって債務の減免等の権利変更を行うことによって、その経済的な再生を図る手続でございますが、御指摘の公租公課の債権のように、一般の先取り特権やその他の一般に優先権がある債権、これは通常の再生債権とは異なりまして、民事再生法上、一般優先債権とされて、再生手続開始後もその手続の影響を受けることなく自由に権利を行使することが可能ですし、再生計画による減免等の対象にもならないものとされております。これが取り扱いです。 公租公課の債権のような一般優先債権についてこういった特別な取り扱いがされている理由ですけれども、結論的に言えば、主として中小企業の再生を念頭に置いて、簡易迅速な手続として創設された再生手続を複雑なものにしないという政策的な配慮によるものです。 もう少し具体的に言いますと、一般優先債権は、御案内のとおり、通常の再生債権に優先して支払いを受けることができる実体法上の地位にございます。このような債権についても再生手続の効力が及ぶこととしてしまって、再生計画による権利変更が許されるということにしますと、再生計画案の決議に際しては、一般優先債権者を通常の再生債権者とは別の集団とした上で、別個に多数決の決議をとる、会社更生などはそのようになっていますが、こういうような手続にする必要がございます。こういった手続を複雑化するような制度設計は相当でないと考えられたために、このような扱いとなっているものでございます。
○國重委員 ありがとうございます。 今答弁いただいたような趣旨で、公租公課については民事再生の手続外というようなことになります。 実際、国税を滞納したり地方税を滞納したりする債務者の方もいらっしゃいます。こういった場合に、資料三をお配りしておりますが、この中で、納税の猶予及び換価の猶予というようなことが記載されております。 実務上は換価の猶予の方が多く行われているようですけれども、例えば、換価の猶予、これまで税務署長の職権において、納税について誠実な意思を有する場合において、財産の換価を直ちにすることにより事業継続、生活維持を困難にするおそれがあるとき、または、財産の換価を猶予することが直ちにその換価をすることに比べて徴収上有利であるとき、こういった場合は換価の猶予がなされることができると規定されております。 この要件に当たった場合、これまで税務署長の職権で換価の猶予がされてきましたけれども、換価の猶予がされる取り決めになっていたのかどうか、お伺いいたします。
○古賀政府参考人 お答えします。 滞納整理に当たりましては、納税者の事業内容、業績、資金や財産の状況等を十分把握しました上で、法令に定める要件に該当する場合には、換価の猶予を適用しているところでございます。 これは、民事再生を申し立てた納税者につきましても同様でございまして、法令に定める要件に該当する場合には、換価の猶予を適用しているところでございます。
○國重委員 ありがとうございます。 私がこれまで民事再生手続申し立て、個人再生手続も含めて申し立てをしているときに、滞納している国税とか地方税があるというときに、このような猶予制度によって猶予をしていただける場合もあれば、非常に高圧的に一気に差し押さえをしてくるというような場合もありました。これは私の感覚だったんですけれども、なぜこちらに差し押さえをしてきて、こちらに差し押さえをしないんだというのがよくわからないような感覚になったこともありました。 民事再生申し立て準備中、弁護士が受任通知を送って、これから民事再生の申し立てをしますよというような受任通知を送って、この申し立ての準備中に、どのような場合であれば、先ほどの要件の中の、納税についての誠実な意思がないとされ、差し押さえがなされるのか、お伺いいたします。
○古賀政府参考人 お答えします。 納税についての誠実な意思を有するとは、納税者が、その滞納に係る国税を優先的に納付する意思を有していることをいいます。 具体的に申し上げますと、従来において期限内に納付していたこと、滞納国税の早期完納に向けた経費の節約、借金の返済額の減額などの努力がなされていることなどの事情を考慮しまして、その有無を判定することとしております。 一方、財産や収支状況などに基づく具体的な納付計画が示されないような場合や、納付約束の不履行が繰り返されるような場合には、期限内に納付した納税者との公平の確保を図る観点から、財産の差し押さえを行うなど、厳正に対処しているところでございます。 いずれにしましても、滞納整理に当たりましては、今後とも、一律に滞納処分を行うのではなく、納税者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応してまいりたいと存じます。
○國重委員 納税についての誠実な意思ということですけれども、これは、もちろんこれまでの納税の態度というのも一要素としては判断されるけれども、これからの態度というのも考慮されるということだったかと思います。 そうしたときに、やはり私は、そういったことを踏まえても、現場の実務として、こういったことが、ある税務署ではある程度柔軟に猶予を認めていただける場合と、別の税務署であれば認めていただけない場合があったかと思います。私はきのう数人の弁護士に連絡をしましたけれども、やはり申し立て準備中に差し押さえがされていたケースもございました。 今回、平成二十七年四月一日から適用ということで、換価の猶予の見直し、これは、納税者の申請が新設されております。こういったことも踏まえて、今後また、より適正な運用がされるように周知徹底また指導をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○古賀政府参考人 お答えします。 国税当局におきましては、研修等を通じて、職員に対し、猶予制度の見直しの趣旨の周知徹底を図っておりまして、今後とも、個々の納税者の実情を十分に把握しました上で、法令に定める要件に該当する場合には、適切に換価の猶予を適用してまいりたいと存じます。
○國重委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。 ちょっと時間が中途半端に残っているんですけれども、本当は、ストーカー対策についてそれぞれの関係省庁から伺おうと思っておりましたけれども、聞くとかなり時間がかかると思いますので、これについては次回の一般質疑の中でさせていただきたいと思います。 少し時間が早目になりますけれども、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○奥野委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時三十八分休憩 ————◇————— 午前十時五十一分開議
○奥野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。階猛君。
○階委員 前半の方、私は、きのう行われた法曹養成制度改革顧問会議で「法曹人口の在り方について」という案が出されたということで、そのペーパー、資料一をもとに、どういうことが書かれているかということを確認していきました。そして、先ほどの答弁の中で、「当面、」というのはことしを含めて五年間だ、千五百人は何とか死守したいというような趣旨の御答弁がありました。 ただし、このペーパーの一番最後に、「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでないことに留意する必要がある。」ということも書かれております。つまり、千五百人ということにこだわる余り、質が低い人を合格させてはならないということであります。 他方、私、この委員会で昨年指摘しましたけれども、昨年の司法試験の最低合格点がその前の年より十点下がっていて、仮に同じ点数だったとしたら千六百五十五人程度しか合格しなかったんだということを指摘しました。今後、千五百人を確保するためにまた合格点を下げるようなことがあれば、私はこれは断じてあってはならないと思いますけれども、そういうことはないというふうに理解してよろしいですか。
○大塲政府参考人 司法試験の合格点数の関係につきましては、それぞれのときの試験の結果に応じて司法試験委員会の方で判断されることですので、一般的にどうだということを言うことはできませんけれども、この資料一の下の三行にありますように、これは、やはり国民の権利保護の見地から法曹の質の維持を優先することとするというふうな趣旨を込めたものでありますので、この下の三行に沿って運用がなされることを期待したいというふうに思ってはおります。
○階委員 そもそも資格試験なわけだから、競争試験とは違って、問題の難易度が年によって上下するということはあってはならないと思っています。多少のぶれはあるでしょうけれども、それは誤差の範囲内にとどめるべきであって、合格最低点が極端に下がるようなことがあれば、それは無理やり合格者を確保するための策を講じたということになりますから、そこは我々としては断じてあってはならないというふうに申し上げておきます。 そして、その上でですけれども、もし質も確保していくということになれば、やはり、競争環境がどの程度確保されているか、つまり、受験者がどの程度いるかということも重要だと思っています。 この点、資料の三を見ていただきますと、ことしの受験者数まで出ています、上段の司法試験のところ。これは、ことしと去年を比べてみますと、ほぼ同じ、一人だけふえています。ようやく底を打ったのではないかというふうに一見見てとれるんですけれども、実はそんなことはないわけです。と申しますのも、昨年、この委員会でちょうど今ごろ司法試験法を改正して、それまでは五年間で三回しか受験できなかったものを、五回まで、五年で五回受験できるようにしました。ですので、ことしからは、今までいなかった四回目の受験者が入ってきているわけです。出願時点で、その数字は千人を超えていたと思います。 ですから、この数字だけ見るとほぼ横ばいのように見えるんですけれども、これは、四回目が入ったというかさ上げ要因、千人が含まれてのことですので、決して事態は好転しているわけではない。 なぜ千人入っても一人しかふえていないのかということを考えると、やはり法科大学院の入学者がどんどん減ってきているわけですね。ことしは、ちょっと後で触れますけれども、そこまでは減っていないんですが、昨年までの数年間、毎年四、五百人ずつのペースで減ってきている。だから、四回目の人が受験者に加わっても、ほぼ横ばいという結果になっちゃっているわけですね。 この先どうなのかということをちょっと考えてみたいと思うんですが、来年は、ことしと同じ理屈で五回目の受験者というのが新たに加わりますから、そのプラス要因はあります。でも、他方で、同じように入学者が減ってくる影響も出てきますから、恐らくことしとそんなに状況は変わらないんだろう、受験者は変わらないだろう。去年は八千十五人で合格者が千八百十人で、ことしは八千十六人で千五百人ほどを目指すということですから、何とか来年ぐらいまでは、千五百というのはまあまあいい数字なのかと思います。 ところが、問題は再来年以降でありまして、再来年以降は、そういう五回受験できることになったかさ上げ要因がなくなってきますから、今度は、法科大学院に入る人が減ったことによって、減ってくるということになると思います。 そのあたりも考えて、先ほど室長は、「当面、」というのは五年間という意味だと言いましたけれども、我々は、千五百人というのは、目標として掲げられる期間というのはせいぜい三年程度だろうということで、去年の十一月に、提言をまとめて党の方から出しました。 どういうことを言っていたかといいますと、「来年以降は、」来年というのは、去年言っていることですから、今でいうとことしですね。「本年の合格者数千八百十人を約三百人削減した千五百人程度を数値目標とすべきである。 その上で、今後三年間の司法試験の最低合格ラインや新規法曹の就職状況の推移を見つつ、改めて合格者の数値目標の見直しを行うのが妥当である。」こういうまとめにしています。 私は、五年というのは、今のような受験者あるいは法科大学院の入学者の動向からすれば、ちょっと長過ぎるのではないかと思っています。 また、先ほども申し上げましたけれども、千五百人という数字は、裏を返せば、毎年毎年法曹が千人純増するということであります。増加させていかなくてはならないというようなくだりもありましたけれども、しかし、これがどの程度増加すべきであるかという議論はされていないという中で、果たして、毎年千人純増、五年間続ければ五千人純増です、これだけの数をさばき切れるかどうかということは今の段階で到底読めないわけでありまして、やはり私は、ことしから三年ぐらいでまた新たな合格者の数字というのは見直す、場合によっては下方修正もあり得べしというのが妥当ではないかと思っています。 大臣、戻り次第で恐縮でございますけれども、三年ほどで下方修正も含めて見直しを行うべきではないかと私は考えていますが、その点、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 これからの社会の中で、法曹の皆さん、有為な人材を輩出することができるようにという状況の中で、その活躍していただく状況を目指すということでございます。 今後、法曹養成制度改革推進会議ということについて、この取りまとめ案についてまた検討をし、最終的な結論を出していきたいというふうに思っております。御意見は頂戴させていただきました。
○階委員 では、この「当面、」というところ、五年というところも含めて、ちゃんと考えていただくということでよろしいですか。
○上川国務大臣 そのような御意見を踏まえて、また検討をしてまいりたいというふうに思います。
○階委員 ぜひここは、千五百人というのは純増千人だということも踏まえた上で、しっかりとした検討をして、結論を出していただきたいと思います。 丹羽副大臣、お待たせしました。 法科大学院もしっかりしないと、質の高い法曹というのは確保できないわけでありまして、そこで、資料の四ページ目、資料四をごらんになってください。 先ほど申し上げたとおり、ここ数年、四、五百人ずつ法科大学院の入学者が減ってきた中で、ことし、平成二十七年度は、前年に比べると七十一人しか減っていない。これも、何か底打ち傾向が見られるのかなと一瞬思うわけでございますけれども、志願者数のところを見ていただくと、やはりここは大幅に減っていまして、前年に比べて千八十人、パーセンテージでいうと九・四%減っているわけです。他方、入学者数は七十一人の減少、パーセンテージでいうと三・一%にとどまっている。 ということは、何を意味するかというと、一番右端の競争倍率、これが、二倍だったものが一・八七倍、受かりやすくなっていますね。これは質の低下につながるのではないかと思います。 そもそも、法科大学院は競争倍率二倍ということを目指すというのをどこかで見た記憶がありますけれども、この一・八七という数字、問題なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○丹羽副大臣 お答えさせていただきます。 私も、階委員の資料四の方の、出願者数がことしで約千人以上減ったことには非常にびっくりいたしております。 そういった中で、入学者選抜は、各法科大学院の責任において実施されております。司法試験合格率の低迷等は法曹志願者の減少が一つの要因と考えられておりますが、これはさまざまな要因も含んでいるというふうに思っています。例えば、金銭的な面とか、またさらには合格率の面とか、そういったことも含んでおります。ただ、全体で一・八七倍となったということは、二倍未満となったことは大変重く受けとめております。
○階委員 この資料の一番右下には、ピーク時では競争倍率四・四四倍だったというのがありますね。四・四四倍が一・八七倍になってしまったら、これは普通に考えると、やはり法科大学院に入る人の水準が下がるのは当然だと思います。ここを安易に下げるようなことがあれば、さっき申し上げましたとおり、法曹の質の低下につながるので、ここはきっちりやっていただきたい。 それから、入った後、今、共通到達度試験ということで、進級の都度、一年から二年に上がるとき、未修者であればさらに二年から三年に上がるとき、ここで共通到達度試験というのを受けさせて、クリアしないと進級できないという仕組みを設けるやに聞いています。これも非常に大事だと思いますが、今の進捗状況と、本格実施がいつになるのかということを教えていただけますか。
○丹羽副大臣 お答えさせていただきます。 本年三月に、法科大学院の一年次に在籍する学生を対象に、憲法、民法、刑法の三科目により、第一回の試行試験を実施させていただきました。五十七大学、四百八十四名の学生が参加したところでございます。今後は、平成三十年を目途に本格的な実施に移っていきたいというふうに考えております。
○階委員 平成三十年というと、平成三十年度ですから、平成三十一年の三月とか、そういうイメージですよね。うなずいていらっしゃいますけれども、ということは、まだあと四年ぐらいあるわけです。私は、もっと早くしないと、今、質の高い法曹人口を確保する上でなかなか厳しいのではないかと思っています。 また、法科大学院では、司法試験の合格率を七、八割にするという大目標もあったと思います。 これは資料五というのを見ていただきたいんですが、大変細かい数字が並んでいて恐縮なんですけれども、ここで言っている七、八割というのは、要は、毎年の、例えばA法科大学院のことし受験した人の合格率が七割でしたよというのではなくて、ある年次にA法科大学院に入った人たちが、五年五回受けて、それで累積して合格率が七、八割、これを目指すという意味なのかなと思っていますけれども、それで正しいかどうかというのをまずお教えいただけますか。事務方でも結構ですよ、細かいことは。
○義本政府参考人 お答えいたします。 ここで言う七、八割というのは、階委員御指摘のとおり、累積の合格率でございます。
○階委員 そこで、資料五の一番右の下の隅のところを見ていただきたいんですが、今、累積合格率は四九・二%です。問題の七、八割、つまり七割を超えているところがどれだけあるかということなんですが、私が見る限り五校しかありませんね。 こういう状況の中で七、八割を達成するというのはなかなか大変なのかなと思っていますが、七、八割はいつまでに達成するのか、副大臣、お願いします。
○丹羽副大臣 お答えさせていただきます。 司法試験の合格率につきましては、法学既修者の累積合格率は、委員おっしゃるとおり、各年度ともほぼ七割近くまで達している一方、法学未修者の累積合格率につきましては、三、四割と低迷いたしております。 文部科学省といたしましては、平成三十年度までを集中改革期間といたしまして、入学定員の削減など組織の見直しの促進や、法学未修者教育の充実を含め教育の質の向上などに取り組んで、司法試験合格率の向上に努めてまいりたいと考えております。
○階委員 要は、平成三十年度の司法試験において合格率七、八割ということを目標とされているということでよろしゅうございますね。 そこで、七、八割を達成するために、合格者千五百人という数字が先ほど議論の中で出ました。当然のことながら、今の定員は、減らしたとはいえ、まだ三千百何人いるわけですね。これだと、千五百人との比較でいうと多過ぎるのではないかと思っています。千五百人との関係でどこまで定員を削減するおつもりなのかということをお聞かせいただけますか。
○丹羽副大臣 失礼いたします。済みません、先ほどの答弁にちょっと漏れがございましたので。 先ほどの質問でございますが、司法試験の合格率を七割から八割とすることにつきまして、達成の時期を明言するという問題です。私、先ほど平成三十年度と申しましたが、平成三十年度までの集中改革期間ということで御理解いただきたいというふうに思っております。最終的には修了者のうち七割から八割が司法試験に合格することを目指して、この集中期間の間に改革を加速させていきたいというふうに思っております。 そして、法科大学院の定員規模の適正化は喫緊の課題であるというふうに認識いたしております。 法科大学院の入学定員につきましては、公的支援の見直しの強化を通じ、平成二十七年度の入学定員はピーク時の約半減の三千百六十九人でございました。学生募集を停止した法科大学院は二十五校に上っております。 今後、中教審の法科大学院特別委員会等において、定員規模の目標値やそれに向けた入学定員の削減方策について専門的な検討を進めていきたいと考えております。
○階委員 丹羽副大臣、急にトーンダウンをされて、ちょっとがっくりしましたけれども、平成三十年度までに七、八割は達成せず、具体的な時期は結局定めていないということになりますか。 それは、そもそも、今時点で達成されていなくてはならない数字なわけですよ。それを、我々としては一刻も早く達成しなくてはいけないと思うけれども、改革途上だから多少の猶予期間は与えましょうということで、平成三十年度でも相当遅いぐらいだと私は思いますよ。今、二十七年度ですから、あと三、四年あるわけですから。それが結局、三十年度まで努力するけれども、七、八割はいつになるかわかりませんだと、ちょっと私は納得できないですね。 もう一回、政治主導でしっかりした答弁をお願いします。
○奥野委員長 丹羽副大臣、短く、肝をしゃべってください。
○丹羽副大臣 お答えさせていただきます。 階委員おっしゃられるとおり、我々文部科学省といたしましても、集中改革期間を通して、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○階委員 集中期間は平成三十年度までですから、平成三十年度には達成するという決意をおっしゃったということでよろしいですか。 大事なことですから、副大臣ですよ。
○丹羽副大臣 平成三十年度までの集中改革期間でさまざまな改革案を取りまとめさせていただいて、達成時期の明言というのは非常に困難であるというふうに考えておりますが、最終的には約七割から八割の方々が司法試験に合格することを目指して、改革を加速させていきたいというふうに考えます。
○階委員 一刻も早く達成しないと、どんどん志願者が減ってきますよ。先ほども言いましたけれども、ことしだって、実入学者で見るとそれほど減っていないように見えますけれども、志願者は大きく減っているわけですから、本当にこのままでは大変なことになりますよ。 また、もう一つ言うと、これは法務大臣に聞きたいんですけれども、法科大学院の志願者は今言ったとおりなんですが、法科大学院を経ないで、予備試験に合格して司法試験を受ける人、これはしばらく増加傾向にあったんですが、資料三を見てください。 資料三の下の方に予備試験の受験者数の数字も出ておりますけれども、平成二十三年からスタートして、毎年毎年ふえてきたわけですよ。平成二十七年には、一万三百三十四人、前年比マイナス十三ということで、初めて前年を下回ることになりました。つまり、法科大学院が不人気というだけではなくて、法曹全体が不人気になってきている。法曹志願者が予備試験も含めて減ってきているというのは、極めて憂慮すべき事態だと思います。 大臣、こういうことも踏まえて、今、丹羽副大臣からは、三十年度までにやるというふうに私は受け取りましたけれども、まだちょっと危機感が足りないようにも思えます。私は、平成三十年度までに合格率七、八割というのを達成できなければ、法科大学院はそもそも存在価値がないということで廃止したり、廃止しても、千五百人であれば、司法研修所で十分キャパシティーがありますので、そちらで充実した法曹教育を行えばいいと思いますし、さもなければ、法科大学院修了者に司法試験の受験資格を与える制度を廃止すべきではないかと思っています。 最後の質問になりますので、副大臣からまずお答えいただいて、後で法務大臣からもお願いします。
○丹羽副大臣 お答えさせていただきます。 委員おっしゃられるとおり、二十一世紀の司法を支えるにふさわしい質量ともに豊かな法曹を養成するために、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の維持発展が不可欠というふうに認識いたしております。 文部科学省といたしまして、法科大学院教育の抜本的強化のため、昨年十一月に公表いたしました総合的な改革方策に基づきまして、組織の見直しの促進や教育の質の向上にさまざま取り組んでいるところでございます。 委員おっしゃるとおり、危機感を持って、法科大学院の体質強化、また司法試験合格率の向上に取り組んでいきたいと考えます。
○上川国務大臣 有為な法曹を育て、また実社会の中で活躍をしていただく、これについて、今の現実については大変厳しいさまざまな課題があるということでございます。 その意味では、文科省、今、副大臣の御答弁でございますけれども、危機感を持って取り組むという中で、法曹養成のあり方も含めまして、そして試験制度そのものも含めまして、しっかりと検討をし、結論を得ていきたいというふうに思っております。
○階委員 ぜひ、危機感を持って、目標を達成できなければ、今の法曹養成制度を抜本的に見直すということを進めていっていただければと思います。 私も弁護士ですけれども、先ほどの國重さんとは違ってそんなに優秀でもなかったので、仕事をしながらこつこつ勉強して、それでやっと法曹になれたということで、当時はそういうことをやる人も結構いました。いろいろな分野から、いろいろな方法、いろいろな勉強の仕方で法曹を目指した。それが法曹の裾野を広げ、豊かな人材が法曹界に入ってきた。私だけではなくて、山尾さんも元女優なのに法曹になられたということで、いろいろな方が法曹に入って法曹界というのは成り立ってきたわけです。何か、このままだと、非常に法曹の裾野が狭まって、法科大学院にお金と時間をかけて通える人しかなれなくなるということでは、私は大変問題があると思います。 法曹界の裾野を広げる、さまざまな人材を入れるという観点から、そろそろ抜本的な見直しをということを最後に申し上げまして、終わります。 ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。 間もなく刑事訴訟法の改正法案が提出されるところでありますが、その刑事裁判手続と密接というか、テーマそのものでもあります日米地位協定に関する質問をきょうはさせていただきたいと思っています。 私は、維新の党の中でも沖縄問題に関するプロジェクトチームというのがありまして、そこで、例えば参議院には儀間光男議員といった沖縄選出の議員さんもいらっしゃいまして、そういう方とともに沖縄問題に取り組んでいるところでございます。 言ってみれば、二十一世紀の治外法権あるいは不平等条約とも言えるような日米地位協定なんですけれども、御存じのとおり、これは昭和二十七年に日米行政協定が結ばれまして、昭和三十五年に現在の日米地位協定に改正されて以来、一度も改正がされたことはございません。 この間、五十五年間、世界の情勢も国内事情もいろいろと変わる中で、米軍人あるいは軍属の事件、事故が繰り返し発生をしておりますが、そこへの対応に対しまして、沖縄県民の皆さん初め基地周辺の住民の皆様方からは、大変な不満が高まっておるところです。政府はその都度、米国に対して再発防止を申し入れたなどといったコメントをされるんですけれども、やはり地元の方々から言わせれば、アメリカ側の綱紀粛正なんというのは名ばかりで、いまだに占領意識、支配者という意識が抜けていないんじゃないか、そういう声が上がっております。 資料一をごらんください。 問題は、日米の裁判権なんですけれども、やはり通常であれば、日本国内で起こった、しかも日本人が被害者であれば、当然日本で裁かれるべき、日本の司法によって裁かれるべきところを、この図でいうと、丸い緑色の中が、右側はアメリカ側に第一次裁判権があるんだ、こういうルールになっているんです。 まず確認ですが、第一次裁判権、この日米への帰属、どのように規定されているんでしょうか。
○冨田政府参考人 お答えをいたします。 日米地位協定において、両国の裁判権が競合する場合の取り扱いについてのお尋ねでございますけれども、この点につきましては、協定の第十七条第三項に規定が置かれております。 その規定によりますと、こうした裁判権が競合する場合に、米軍人軍属の公務執行中の作為または不作為から生ずる罪、それから、専ら米国の財産、安全や米軍人などの身体、財産のみに対する罪、これらについては米側が第一次裁判権を有するというふうにされております。 一方におきまして、これらの犯罪以外については日本側が第一次裁判権を有するとされているところでございます。
○重徳委員 公務執行中、公務の間の事件であればアメリカの方で裁判の手続に入るということなんですけれども、これはちょっと古いデータかもしれませんが、一九八五年から二〇〇四年の二十年間、公務中の事件は約七千件あったという数字がありまして、死者も二十一人出ているという数字もありますが、これがアメリカで軍法会議にかけられたのは一件のみとか、あるいは懲戒処分も全体で七千件中三百十八件しかない。ということは、大半は軽い処分だとか無罪放免というんでしょうか、そういうような扱いも受けているんじゃないか。 それから、通勤途中の交通事故も公務中だという取り扱いになっているようですし、さらには、米軍当局がこれは公務だというふうに言えば、日本側が反証を、もちろん異議申し立ての機会はあるといいますが、これまで二件しか異議申し立てもしていないということなんです。 今、北米局長、ルールは御説明されましたけれども、なぜ公務中のものについてはアメリカの裁判権になるんでしょうか。ちょっと理由が不明確だったんですけれども。
○冨田政府参考人 米軍の軍人等の公務執行中の行為が犯罪を構成するような場合、基本的には、軍の規律違反の問題として軍隊の法規範に照らして判断されるべきという考え方がございまして、そういう考え方に基づいて現在の規定に至っているというふうに理解をしております。
○重徳委員 そうですね。ですから、軍法会議にかけられて、きちんとした裁きがあってしかるべきということなんですが、必ずしもそうなっていないのではないかという指摘が絶えないところであるんです。 それから、資料二をごらんいただきたいんです。 これは東京新聞の記事でありますが、結局、駐留米兵の起訴される率というのが非常に低いということであります。 今、公務のものについては裁判権がアメリカにあるということでありますが、公務外であっても、例えば身柄引き渡しに制約があったり、それから、この後ちょっと質問させていただきますけれども、裁判権を行使するのかどうかということも一定の期間内に判断しろとか、それから、実際、起訴、不起訴の判断が、なかなか起訴に持ち込むことが難しいような状況になっているのではないかという指摘があるんです。 まず、日本側に裁判権がある、つまり、主に公務外のものについて、身柄拘束のルール、身柄引き渡しのルールというのはどうなっていますか。
○冨田政府参考人 お答えをいたします。 お尋ねの点でございますけれども、日米地位協定の第十七条の5(c)というところに規定が置かれておりまして、これによりますと、日本側が裁判権を行使すべき事案について、米軍人等の身柄が米側の手中にある場合、日本側が起訴するときまで米側が引き続き拘禁する旨を規定しているところでございます。 他方におきまして、日米両国は、平成七年の日米合同委員会合意によって、凶悪な犯罪について、起訴前の日本側への身柄の引き渡しを可能とする枠組みを設けたところでございまして、このような枠組みのもとで、実際に起訴前の身柄の引き渡しが行われた例もあるということでございます。
○重徳委員 起訴されるまでは引っ張ってくることができないということなんですね。 ただ、平成七年からは、凶悪犯罪、これは殺人または強姦といったものだというふうに聞いておりますけれども、これもちょっと今理由がよくわからなかったんですが、なぜそういう取り扱いになっているかというあたり、御説明いただけますか。
○冨田政府参考人 米国はさまざまな国と地位協定を結んでおります。 その中で、身柄の引き渡しに関する規定があるもの、ないもの、さまざまございますけれども、起訴の時点での引き渡しというのを決めているのは、NATOとの地位協定、それから日米の地位協定、この二つの例だというふうに理解をしております。その他の場合、例えば米韓の地位協定におきましては、一定の凶悪犯罪については起訴時としておりますけれども、その他の犯罪については判決の執行時というふうになっているところでございます。それぞれ取り扱いはさまざまでございます。 その中で、もともとの規定に踏み込んで、凶悪な犯罪について起訴前の引き渡しを認めたということは、これは沖縄で起こりました事案、それに対する地元の皆様方の感情、そういったものを勘案いたしまして日米間で協議をした結果、合意に至ったものでございます。
○重徳委員 理由をお尋ねしたんですが、理由というよりは、他国との間で、むしろ日本は、起訴時の引き渡しというのも、まだ日本にとって有利な方だというような御説明だったと思うんですが、ほかにもいろいろ制約があるんですよ。 第一次裁判権を行使する、つまり、公務外のものであって、これは第一次裁判権は日本のものだということの判断を通告する期限が定められているというんですね。これについてもルールを御説明ください。
○林政府参考人 裁判権が、第一次裁判権、第二次裁判権とありますと、第二次裁判権の行使については、第一次裁判権の行使がなされるかどうかということがその前提となりますので、この間の調整のために、日米間で一定のルールがなされております。 その日米間の合意によりまして、裁判権行使通告期間制度というものが設けられております。これは、所定の期間内に、我が国として、当該事件について裁判権を行使するか否かを決定して、これを合衆国側に通告することとしまして、裁判権不行使の通告をした場合はもとよりでございますが、その期間内に行使または不行使の通告をしなかったときには、合衆国は当該事件について裁判権を行使し得るというものでございます。 具体的には、原則として、我が国の法令によって六月以下の懲役以下の刑に当たる罪等の一定の軽微な罪につきましては、犯罪通知というものがなされた日の翌日から起算して十日以内、その他の罪につきましては、同様の起算日から二十日以内に裁判権行使の通告をすべきものとされております。 ただし、我が国において裁判権行使の決定を留保することを欲する旨の通知をした場合には、十日以内に通告すべき事件についてはさらに五日、二十日以内に通告すべき事件につきましてはさらに十日を経過するまで、米国側は裁判権を行使しないということとされております。
○重徳委員 最長、もろもろ合わせて、軽微でない犯罪については三十日間以内に通告をするということでありますけれども、こういった期間制限があることによって、あるいは先ほどの身柄引き渡しに制約があることによって、取り調べも十分行えないような状況もあるんじゃないかという感じもいたします。 そして、今、林局長が言われたこの第一次裁判権行使の通告に関するルールですけれども、これは、私の手元では、刑事裁判管轄権に関する合意事項というので定められていると認識しておったんですが、今、局長はそう言われましたか。
○林政府参考人 そのとおりでございます。合意事項で定められております。
○重徳委員 では確認なんですが、日米地位協定はこれまで一度も改正を行われていないわけなんですけれども、この合意事項というものは、もう少し改正に当たってのハードルは低いんでしょうか。このあたりはどう認識しておけばよろしいんでしょうか。
○冨田政府参考人 地位協定につきましては、御指摘のとおり、地位協定自体については締結当時から一度も改正を行っていないところでございますけれども、他方で、地位協定の実施を行うためにさまざまなルールというものを随時、そのときの状況に応じてつくっていくという取り組みは、一貫して行ってきております。 そうしたルールについては、基本的には、日米間で行っております合同委員会の合意という形で今まで行ってきたわけでございます。
○重徳委員 ということは、合同委員会で、地位協定本体よりは弾力的な見直しが可能といえば可能だというふうに認識しておきたいと思っております。 そして、この新聞記事にも書いてありますけれども、起訴率、起訴というものが通常よりも低いんじゃないかという指摘がありますが、これは法務省の方に、どういう形の統計があるかによりますけれども、日本の検察が受理したもののうち、起訴、不起訴はどの程度の割合になっているんでしょうか。 そして、不起訴といっても、その中には、結局、公務中というような理由で第一次裁判権が日本にはないんだということで、いわば返上したような、そういう理由の不起訴もあると思うんですが、このあたりはどのような状況か、御説明をいただきたいと思います。
○林政府参考人 今回、法務当局におきまして、手元の資料をもとに計算した限りにおきますと、まず起訴率全体について申し上げますと、期間としては平成二十一年から平成二十五年まで、そして対象としては刑法犯全体で見ますと、受理した事件のうち起訴した人員数と不起訴にした人員数、これの合計に占める起訴した人員数の割合で申し上げますと、日本全国でいきますと約一七・三%、米軍関係者にしますと約一一・五%となっております。 また、米軍関係者の刑法犯全体の事件について、例えば公務中の犯罪などと判断されて裁判権がなくて不起訴となったことに着目しますと、これは、全国の検察庁が平成二十一年から二十五年の間に受理した米軍関係者の刑法犯の事件のうち、公務中犯罪であるために第一次裁判権なしとして不起訴にした人員数は四百四人となっております。この人数を前提に、同じ期間の刑法犯の起訴人員数と不起訴人員数の合計が二千二百五十人でございますので、その中に占める割合というのは約一八%になろうかと思います。
○重徳委員 この数字の評価はもう少し分析してみないとわかりませんけれども、いずれにしても、受理したものの中の二割近くは公務中だという理由で不起訴となったということでございます。 この内容は、もちろん正当化される部分もあるとは思いますけれども、本当にそういう扱いでいいんだろうかということを地元の被害者の皆さんからは思われるものもあるのではないか、こう感じますが、これは、もう少し詳細に分析をした上で、また指摘すべきは指摘していきたいと思っております。 こうした米軍関係者の起訴率、これは公務だからということも含めてではありますが、いろいろな数字が出ているんですけれども、公務だからということで除かれるのはある意味ルールだからということなんですが、そのほかを見ても、どうも、強姦罪だとか強制わいせつ罪については、起訴される割合が通常より低いんじゃないかというような指摘もございます。 この米軍関係者の起訴率、一般に低いなんと言われておりますけれども、これはどう評価されていますか。そして、問題じゃないかと言われたら、どうお答えになりますか。
○林政府参考人 先ほど、日本全国とそれから米軍関係者の起訴率について、取り急ぎの資料としての数字をお示ししました。 一つには、この比較をする場合、もとよりでございますが、日本全国では起訴人員と不起訴人員の合計数というのは四百二十九万八千人余りございます、これに対して米軍関係者については二千二百五十人でございますので、まず、数字の規模が非常に異なっております。これを比較して有意な傾向、特徴を見出せるものかどうかは、若干疑問なしとしないことがございます。 もう一つ、この差について考えますと、もちろん、先ほど言及しましたが、米軍関係者については、第一次裁判権なしなどという米軍事件特有の理由による不起訴処分が相当数ございます。 もう一つ、米軍関係者以外でございますと、日本全国において、検察庁に送致されずに警察段階で処理される、いわゆる微罪事件というのがございます、非常に軽微な事件。これにつきましては、検察庁にも送致されませんので、当然、起訴、不起訴の分母の部分に入ってきません。他方で、米軍関係者については、微罪事件についても検察庁に全件送致されているということになりますと、やはりそれは不起訴人員数の増加に寄与することとなろうと思います。 そのようなこともございますが、基本的に考えられる、今わかるところでは、そのような差があろうかと思います。
○重徳委員 現状はわかりました。 さまざま制約はある中でありますが、先ほどから申し上げております、地位協定そのものは改正はされておりませんけれども、今、北米局長からありました平成七年の運用見直しなど、随時、運用レベルでは見直しが行われているわけなんです。平成七年の、凶悪犯罪に関して起訴前も身柄拘束を可とするこの見直しは一つ大きな見直しだったと思いますが、その後、最近どのような見直しが行われているのか、ここで御説明いただきたいと思います。
○冨田政府参考人 お答えをいたします。 幾つか具体的な例を御紹介いたしますと、平成二十三年の十二月でございますけれども、公務の範囲に関する合同委員会合意を改正いたしました。それに伴いまして、公の催し事での飲酒の場合も含めて、飲酒後の自動車運転による通勤は、いかなる場合であっても公務として取り扱わない、すなわち、日本側が第一次裁判権を有するということを確保したという例が一つございます。 さらに、平成二十五年、二〇一三年十月でございますけれども、この合意におきましては、米軍人等が起こした事件について、米側による裁判や懲戒処分の結果の通報を受けまして、被害者や御家族にその内容を開示するための枠組みを新設したというふうな例がございます。 御紹介をしておきます。
○重徳委員 ありがとうございます。 公式なパーティーで飲酒をした場合はその飲酒運転は公務なんだなんという取り扱いがつい三、四年前まで続いていたというのも驚きでありますけれども、こうした見直しは引き続き、運用レベルとはいえ、行っていっていただきたいと思います。 さて、それで、若干切り口が変わりますが、こうしたアメリカ軍から見て日本で治外法権的な取り扱いがされるその理由の一つとして、たびたび、実は、日本において刑事訴訟制度が、アメリカと比べて被疑者の人権が守られないおそれがあるということが指摘をされるわけです。 国際的に見て、日本の、特に被疑者の取り調べなどにおきます人権、これが、例えばアメリカでいえば、平成二十五年四月に、アメリカの国務省の国別人権報告書なんていうのがあるんですね。それから、平成二十六年八月には、国連自由権規約委員会の最終見解があるんです。 起訴前の勾留について、日本では適正手続が欠如しているんじゃないかという指摘があります。例えば、起訴前の留置場における勾留が長過ぎるとか、保釈される権利が不十分だとか、それから長時間の取り調べ、取り調べの時間とか時間帯のルールが不十分だとか、それから弁護士さんの立ち会いがないとか、こういった指摘がされていると思うんです。 国際的にどのような指摘がされているか、少し正確なところを御説明いただきたいと思います。
○岡田政府参考人 まず、御指摘の自由権規約の関係でございますが、昨年七月に行われました自由権規約の対日審査を踏まえまして、昨年八月に国連自由権規約委員会から公表された最終見解がございます。 そこにおきましては、同委員会から我が国に対しまして、起訴前の保釈の権利や国選弁護人選任の権利がないこと、代用監獄での自白強要の危険性、取り調べに関する厳格な規制がないこと等に懸念が表明されております。その上で、我が国への勧告といたしまして、起訴前の勾留期間の保釈等代替手段の検討、被疑者の弁護人を依頼する権利の保障及び弁護人の取り調べ立ち会い、取り調べの時間制限、方法を規定する立法、それから不服審査メカニズムを保障するためのあらゆる措置をとるべきこと等が勧告されております。 また、御指摘の、米国国務省より二十五年四月に発表されました国別人権報告書についてでございますが、被勾留者に対する適正手続について、指摘がいろいろございます。 具体的には、一つには、警察による同一被疑者の再逮捕の手法が使われていること、それから取り調べ時の心理的な強制による自白獲得が行われていること、それから取り調べが当局により選択的に録画、編集され、裁判所が心理的強制を確知できない場合があるといったこと、さらには、二名の誤認逮捕は強制による自白であったこと、そういう指摘がなされているところでございます。
○重徳委員 相当さまざまな指摘をされているわけなんですけれども、時々取り沙汰されます平成二十一年の読谷村における米兵のひき逃げ事件なんかにおいても、やはり被疑者側は、確かに犯罪を犯したわけなんだけれども、しかし、取り調べにおいて人権が保障されていない、自白を強要されるんじゃないか、ちょっときつく言えば拷問的な取り調べが行われるんじゃないか、こういう懸念から供述を拒否する、こんなような状況になっているわけです。 こうなりますと、犯罪者もそれはもちろん悪いんだけれども、日本の制度も悪い、こういう話になってしまうわけでありまして、このあたりから今回の刑訴法改正の内容と関連してくると思っているんです。 今回の刑訴法改正において、可視化導入というものがあるわけなんですけれども、今まで、裁判員制度の対象に限るとか、いろいろな理由で制限的で、これをもっと広げるべきじゃないか、与野党問わず、いろいろな声が上がっています。今の国際的な観点から見て、対象事件をより拡大し、また事件の全過程を可視化する、こういう取り組みを、あるいは日米地位協定、あるいは沖縄基地を初めとする基地周辺住民の本当につらい悲しみの観点からも、もっと可視化を広げていくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 取り調べの録音、録画制度ということの対象事件を拡大する、そういう御指摘でございます。また、国際的な見地にのっとってということでございました。 今回、法制度の対象としている事件につきましては、捜査への影響に対する懸念というものも踏まえまして、制度の対象外の事件について運用によりましての録音、録画が行われるということも考慮しながら、必要性が最も高い類型の事件としたものでございます。法律上の制度としてより広い範囲の事件を対象として制度化する、こういうことにつきましては、運用とのバランスの中で今回の提案をしているところでございます。 検察の運用上でございますが、録音、録画が必要な事件につきまして、罪名を限定しないで、積極的に録音、録画を実施しているというところでございますので、制度と運用をあわせて考えますと、相当な件数の事件で録音、録画の実施が見込まれるというふうに考えておりまして、範囲は広いというふうに考えております。
○重徳委員 非常に曖昧な答弁だと思うんですね。 ルール化されているものは非常に限定的で、ただし運用でやっていますとか、積極的にやると警察あるいは検察当局が言っていますとか、そういうことをもって、例えば今も私が申し上げている米軍兵の言い逃れを許している結果を招いているんだと思います。 ほかにも、先ほどの国際的な指摘を踏まえて、幾つかあるんですが、日本における留置場での勾留が期間が長過ぎるとか、あるいは再逮捕を繰り返すことでずっと勾留されるような運用になっている、こういうことなんですけれども、今の現行におけるルールをまず御説明いただけますか。
○林政府参考人 現行法上、被疑者の勾留につきましては、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ住居不定、罪証隠滅のおそれ、または逃亡のおそれがあると認められる場合に限り、裁判官の決定によりまして、原則として十日間、そして、やむを得ない事由があるときは、裁判官の決定により、さらに十日間を限度として延長が認められることとなっております。 その際、被疑者側としましては、勾留決定あるいはその延長決定に対して不服申し立てをすることができるということとされております。
○重徳委員 これもよくわからないんですね。 つまり、取り調べのために勾留するわけではないんだと。つまり、証拠を隠滅するとか逃亡するおそれがあるから勾留するんだけれども、言ってみれば、その期間に便乗して取り調べを厳しく行っている、こういう不透明なルールだと言われても仕方がないような感じがするんです。 これはまさに国際的に指摘されている点ですが、例えば期間を短縮するとか保釈を認めるとか、これに対するいろいろな解決方法はあると思うんですが、ちょっと政務官にお尋ねしたいと思います、どのようにお考えでしょうか。
○大塚大臣政務官 国際的に見て、いろいろな制度のたてつけが国によってあるんだと思うんです。 日本の勾留原則、請求をして、裁判官によって決定をされれば十日、さらに最長二十日まで延びるという制度ですけれども、身柄を拘束し続けるということについて、例えば、ヨーロッパの国などでは数カ月とかあるいは年に及ぶ単位でこうした勾留がなされるような国もあるわけでございます。 あるいは、短いような国においては、例えばイギリスなどは令状なしで逮捕ができるとか、要するに、入り口のところが非常に緩やかに逮捕ができるようなバランスになっているような国もある。あるいは、アメリカなどですと、かなり高い確率で起訴をしていく。これは、黙秘のようなことが積極的に利用されているので、取り調べようと思っても、弁護士がやってきて、あなたは黙秘権があるからしゃべるのをやめてくださいよ、こういうようなことでなかなか取り調べが進まなくなる。よって公判にすぐに行く。こういうようなさまざまな制度のバランスが国によってございます。 日本の場合は、逮捕に至るまでにかなり厳密に調べて令状をとって逮捕していくということになっておりますので、その前段階で相当絞り込みをされているということがあろうかと思います。 こうした制度の全体のバランスを考えたときに、やはり、十日から二十日といったような期間というのは取り調べで必要ではないか。その場合にも、裁判官がしっかりと、これは必要があるかどうかということをよく吟味して決定をしていくということですし、不服がある場合には準抗告という手続も設けられているということですので、全体として日本の制度はバランスがとれていないとは私は言えないのではないかというふうに思っておるところでございます。
○重徳委員 つまり、今、国際的な批判は当たらないということを大塚政務官は言われたんですかね。そう言われても、いや違うんだ、常にバランスがちゃんととれた制度だから、そういう批判は当たらないんだよということでしょうか。
○大塚大臣政務官 当たらないとまで言うかどうかということもありますけれども、日本の制度なりにバランスがとれたものになっていると思いますし、ほかの制度で運用している国の方から見ると、いろいろと気になる点も出てくるのかなという気もいたします。
○重徳委員 もう一つ、私もまだ法務委員会に所属して日が浅いので、いろいろと思い至らない部分があって、本人への取り調べの時間数だとか取り調べる時間帯というものが、一体、ルールはどうなっているんだろうと。警察は、今言われた十日とか二十日の間、いつでも、体力が尽きるまでずっと取り調べができるようなイメージもあった一方で、でも、そんなことできるわけないなと思ったり。 まず、ルールはどうなっているんでしょうか、教えてください。
○林政府参考人 法的な意味での取り調べの時間数という形での制限というようなものはございません。あくまでも、先ほどの勾留の期間というような形での制限はございますが、その中での取り調べの時間数といった形での制限はございません。 もとより、どのような取り調べをするのか、あるいは一日の時間数、あるいは深夜に及ぶ場合についてどのように考えるのかというのは、それぞれ、検察、また特に警察において内部的に方針を決めていると考えております。
○重徳委員 ということは、別に夜中にやろうと朝方にやろうと、それは取り調べる側の都合はあるかもしれませんけれども、あるいはコンディションはあるかもしれませんけれども、そこには全く制限がないということなんですね。時間帯については制限なし、もちろん、時間数も制限なしと。
○林政府参考人 特に時間帯について、殊さらに深夜に及ぶような取り調べはしないというようなことでの方針というのはあると承知しております。 他方で、警察の場合、特にありますけれども、実際の任意同行がなされた時間が深夜であった場合、あるいは逮捕が深夜になったような場合というのもございますので、一律にそういった場合の取り調べを除外するというような形での取り決めにはなっていないと考えております。
○重徳委員 要は決まっていないということですよね。 まさにそこが指摘されているんじゃないかなと思うんですが、大塚政務官、このことも批判には当たらない、日本の制度はバランスがとれているというふうに言えるんでしょうか。あるいは、改善すべき点はないんでしょうか。
○大塚大臣政務官 これは、制度というよりも運用の中でということになってくるんだと思うんですけれども、非常に圧迫的な、例えば時間の使い方にしても、深夜にわたり、また早朝からというようなことでやれば、当然、得られた供述の任意性というものにも疑問符がついていくということになるんだと思うんです。そうすると、当然、それは不服申し立ての対象になってこようと思います。 どれぐらいの確率で起きるかというのは、人間がやることですから全く間違いが起きないということはないわけですけれども、例えば、聞いている範囲では、警察では、しっかり内部で通達を出して、夜の十時以降あるいは早朝五時以前に取り調べをするようなことはしないようにという通達を出しているというふうに聞いております。また、検察でも、過度に遅い時間に極力ならないようにするし、前の日に余り遅くなるようだったら翌日はそんなに早くからやらないような、そういう配慮は運用ではされていると思います。 にもかかわらず、やはり人間のすることであるということで、時として任意性が争われるような事態に至るということもあるわけです。 しばらく前の調査だったと思います。ちょっと数字は正確でないですけれども、千件に三件ぐらい任意性が争われるというようなことだったと思いますので、やはりその限りにおいて問題はあるんだと思います。実際に任意性が否定されたケースは一万件に一件、信用性が否定されたのは一万件に一件ぐらいだったというふうに記憶をしておりますけれども、ちょっと不正確だったら、また後ほどお知らせをいたします。 いずれにしろ、こういう件は、しかしそうはいっても、一件でも起きれば、万に一件でも起きれば非常に人権問題でもあるということですから、こういうことが断じて起きないように、運用面でこういう手だてを講じてきて、厳しくしてきているわけですけれども、さらに不断の努力を重ねていく必要があるというふうに思っております。
○重徳委員 非常に力強い政務官の決意を今述べていただけたと思っております。 これはもうちょっと私自身も調べてみたいと思いますけれども、やはり問題があるんじゃないかと思いますね。 それから、もう一つ指摘された点があります。 取り調べに弁護士を立ち会わせる、これはアメリカではミランダ・ルールと言うらしいんですけれども、こういったことも日本ではまだ取り組まれていないわけであります。この点、大臣、いかがでしょうか、弁護士の立ち会い。
○上川国務大臣 被疑者取り調べにおける弁護人の立ち会い制度ということで、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会におきましても、この点については議論がなされたということで承知をしているところでございます。ただ、問題点も御指摘がございました。取り調べのあり方を根本的に変質させるものであるということで、機能を大幅に損なうおそれが大きいというような御意見もございました。 そこで、具体的な検討対象としてはなされなかったということで、その結果として、答申にも盛り込まれなかったというふうに伺っているところでございます。 御指摘の、被疑者の取り調べに弁護人を立ち会わせる権利を認めるかどうかということでございますが、この点につきましては、さらに慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。
○重徳委員 これももちろん日本の司法ルールの全体的なバランスの中でということでありますので、ここの部分だけ切り取って導入するということではないとは思いますが、例えば、先般の裁判員制度の議論の中でも、これまでの供述調書中心の裁判の仕組みから、もっと公判を中心、つまり口頭弁論を中心にした裁判におのずと変わっていくだろう、あるいは変えるための環境整備の一環として、可視化もそうですけれども、この弁護人の立ち会いというものも指摘をされる有識者も、参考人の中にもそういう方がおみえになりました。 そして、きょう私が申し上げております、これはやはり国際的に見て理解されない部分があるわけですね。少なくとも、日米間では、ここの部分が問題があるから、だから取り調べには応じないなんという、そういう米軍の容疑者が登場するぐらいでありますから、これは非常に揚げ足をとられるような状況に陥っていると思います。 しかも、これは平成十六年の運用改善合意の中では、先ほど局長からの御紹介はありませんでしたけれども、起訴前の身柄引き渡しに伴いまして、米軍の被疑者の取り調べに米軍司令部の代表者が同席をすることが認められるようになったと。これは外務省のホームページに認められるようになりましたと書いてあるんですけれども、認められるようになったのはアメリカ側の話でありまして、何で日本が認められるなんて言う必要があるんだと思います。これはむしろ、例外的にアメリカの兵士だけを、容疑者、被疑者の人権を守るということでありまして、日本人の方は一体どうなっているんだということにもなります。 この点は次回以降また議論していきたいと思っておりますが、まず、上川大臣に、こういった被疑者の人権に関する日米間の刑事訴訟制度上の考え方、違いをどうごらんになっていますか。先ほど大塚政務官も、日本は全体的にはバランスがとれているんだから問題ないと言いつつ、改善すべき点もあるというふうにおっしゃっていただいたので、それは非常によろしいかと思いますけれども、全体的に日米でどちらがどうなんでしょうか。大臣の認識をお伺いします。
○上川国務大臣 各国の刑事司法制度につきましては、その国のよって立つさまざまな要因、それまでの経緯、犯罪の事情、あるいは刑事政策そのものということで、制度全体のあり方を俯瞰しながらということであると私は思っております。 先ほど、大塚政務官の方から、制度の一部分を捉えてそこで単純に比較するということについては、全体のバランスの中で刑事司法が成り立っているという大原則からすると、それは意義についてはどうかというような指摘もございましたけれども、日本は日本の中で刑事訴訟手続における権利の保障をしっかりと組み立てていく、こうした基本的な考え方にのっとって対応していく必要があるのではないかというふうに思っております。 日本の特徴ということでございますが、権利に配慮した制度ということにつきましては、これまでもいろいろな努力をしてきているわけであります。例えば、身体拘束あるいは捜索、差し押さえにつきましての令状主義ということにつきましては、国によっては、令状なくして、無令状のままで逮捕が幅広く認められている。この点については、アメリカにおきましては、まさにその典型的な例でありますが、逮捕者の人口比で見てみますと、何と我が国の三十九倍というような、そうした数値もあるわけでございます。 そういうことを比較しながらも、全体としてそれぞれのバランスの中で、しかし、個々の制度の部分につきましては、やはり権利保障という観点からも十分に見直しをしながら、よりよい制度になるように努力を重ねていくということが必要ではないかというふうに思っております。 今回の刑事訴訟法の改正におきましても、そのような立場で、被疑者の権利利益の保護というようなことも含めましてお願いをしているところでございます。
○重徳委員 きょうは、お忙しい中を中根外務大臣政務官に出席をいただきました。 最後にお尋ねしたいんですが、きょうの議論をお聞きいただきまして、日米地位協定、これはやはり改正していかなくちゃいけないという声は非常に強いんですね。そのときに、この可視化を初めとしたさまざまな日本の刑事訴訟制度がネックになっている、こういう意見もあります。 ここをきちんと、今はまだ不十分だと思いますが、これをもっと改善、改革していくことを通じて、日米地位協定の改正に向けた、日本にとっていい影響が出していけるんじゃないか、交渉していくに当たって前進につながることも今後見込んでいける、あるいは期待されるのではないかという感もあるんですが、その点、どのように捉えていらっしゃいますか。
○中根大臣政務官 まず、御指摘の法律案は、日米の裁判権の分配や身柄の引き渡しといった日米地位協定に基づく両国間の権利、義務を変えるものではありません。 もっとも、日米地位協定上、日本側が裁判権を行使する米軍人等の公務外の犯罪については、これまでも関係当局において、我が国の法令に基づいて適切に処理、対処してきているところでございます。この点、米軍人等による事件とそれ以外の事件との差異が今までもあったわけではございません。 したがって、この法案が国会で可決され成立した場合には、これらの米軍人等の被疑者、被告人についても、改正法に従って取り調べ等が行われることになると思っております。
○重徳委員 もう少し、政治家としての、前に向かっていくお気持ちも出していただきたかったなと思います。 問題は、日米関係の中でも、やはり今非常にゆがみがあると思うんですね。沖縄など基地が極端に偏って立地している地域に住んでいる方々とそうじゃない方々は、全然捉え方が違うんです。やはり、いわば基地周辺住民の皆さんのそういう負担の上に日米の安全保障という体制があるわけですので、我々は、そこに対する思いをもっと、外務省はもちろん法務省の方にも認識をしていただきたい、こういう思いでございます。 これからもこういった議論を続けさせていただきたいと思います。 本日はありがとうございました。
○奥野委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 まず、地方裁判所の支部新設、復活について伺います。 地方裁判所の配置について、支部がないために、支部の新設、復活を求める声が全国にございます。日本弁護士連合会には、利用者から次のような声が寄せられています。 「千葉県の京葉地区(船橋市、市川市、浦安市)の人口は百二十万人以上なのに、裁判所支部がない。千葉市にある本庁まで出かけなければならない。」「和歌山県は県北東部に裁判所支部が設置されていない。橋本市やその周辺の住民は、裁判をするために往復三時間かけて和歌山市の本庁まで行かなければならない。」「新潟県では、かつて存在していた裁判所支部が四つも廃止され、近隣住民は不便を被っている。廃止された村上支部、柏崎支部、六日町支部、糸魚川支部を復活させ、住民の利便に応えるべきだ。」「京都府では、南部地域に裁判所支部がない。近年発展した地域であり、管轄人口の急激な増加を考えても、この地域に裁判所支部を設置すべきだ。」などの声です。 全国の裁判所支部の新設、復活をという声にどう対応されるつもりですか。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 支部の配置を含めました裁判所の配置は、人口動態、交通事情、事件数の動向、あるいはIT技術の進展等も考慮しながら、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した、国民の利便性を確保するという見地から検討していかなければならない問題だと承知しているところでございます。 現在、委員御指摘のとおり、複数の地域におきまして、裁判所の支部設置の要望が出されていることは承知しているところでございます。 今申し上げました観点からいたしますと、直ちに新たな支部を設置したり、廃止した支部を復活させなければならないという状況にあるものとは考えておりません。 もっとも、今後とも、事件動向や、人口、交通事情の変化、IT技術等を注視しながら、必要があれば、支部の新設、統廃合を含めまして、裁判所の配置について見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
○畑野委員 それでは、これまでに裁判所支部を新設、増設した例がございましたら、御説明ください。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 比較的最近の例を二例お答えいたします。 昭和四十七年に沖縄県が我が国に復帰したことに伴いまして、那覇地方・家庭裁判所の支部として、コザ支部、名護支部、平良支部、石垣支部の四つの支部が設置されました。コザ支部については、名称は今、沖縄支部と変更されております。 その次の新設でございますが、平成二年四月に全国的な地家裁支部の配置の見直しを実施いたしました際に、札幌地家裁苫小牧支部、横浜地家裁相模原支部を新設することを決定しました。なお、実際に開庁したのは、苫小牧支部が平成五年、相模原支部が平成六年でございます。
○畑野委員 最近の例から見ましても、二十数年がたつということです。 一昨日、私も、千葉家庭裁判所市川出張所、市川簡易裁判所に伺いました。地域の方は、例えば、御高齢の方が詐欺事件に遭って裁判所に行こうとすると千葉本庁に行かなければならず、とても苦労していると訴えておられました。 千葉県の京葉地区に裁判所の支部がないことで、住民の方が不利益を感じていらっしゃることは承知されていますか。
○中村最高裁判所長官代理者 平成二十六年六月に、市川市、船橋市、浦安市の各市議会で、支部の設置を求める意見書が可決されております。京葉地区は、人口が多い地域であるにもかかわらず、司法基盤が人的、物的に不十分、未整備であるという指摘がその意見書の中でされているということは承知しているところでございます。
○畑野委員 千葉県の京葉地区の実情をつぶさに考慮いたしますと、裁判所の支部そのものを新設する必要があると思いますが、いかがですか。
○中村最高裁判所長官代理者 先ほど御答弁させていただきました意見書については、裁判所といたしましても重く受けとめているところではございますが、先ほど答弁させていただきましたとおり、裁判所の支部の設置につきましては、種々の要素を考慮しながら決めていくということになると思います。 現時点におきまして、現状の京葉地区の千葉本庁までの交通事情を鑑みますと、他の地域に比較した場合に不便であるという実情にあるとまでは言えないというふうに考えております。 いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、今申し上げましたような観点から諸事情を注視いたしまして、必要があれば、支部の新設等を考慮していくということになろうと思います。
○畑野委員 家裁市川出張所で家事事件を新しく受けた件数というのは、本庁や支部と同規模になっているということもよくつかんで、対応していただきたいと思うんです。 裁判の迅速化法に基づいた第四回報告書で述べている支部のあり方について伺います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 第四回の迅速化検証の報告書におきまして、「各支部の規模や事件状況、社会経済状況の変動状況を始めとする地域環境等を勘案しながら、各地域における司法サービスの充実を図るための様々な方策について多角的に検討を進める。」ということが書いてあるところでございます。 この点につきまして、最高裁におきましては、現状でも同様の認識を持っておりまして、適正迅速な事件処理に支障を来すことのないように対応し、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 地方における裁判所支部というのは、住民の皆さんが司法サービスを受ける一番身近な窓口であると思います。 労働審判などを初め身近な法律紛争を解決する場として、支部は国民の皆さんの司法サービスにとってとても重要な存在であるということですので、今おっしゃられた立場から、一層、司法サービスの充実のために、支部の新設、復活に向けて検討を進めていただきたいということを申し上げたいと思います。 次の質問に移ります。盗聴法、通信傍受法の問題を伺います。 電話、メール、公開されていないSNS、ソーシャルネットワークを他者から監視されない権利は、憲法二十一条二項、通信の秘密によって保障されておりますが、個人の秘密はプライバシーとしても保護されると考えられております。個人の秘密は、人が社会生活を送っていく上で大変重要な権利だと思います。 上川法務大臣に伺います。 現代の社会で、電話、メール、公開されていないSNSなど、他者とのコミュニケーションをとる手段は、個人の尊厳、人格的生存のために極めて重要な人権と考えますが、いかがお考えになりますか。
○上川国務大臣 委員御指摘の、電話、そして電子メール、あるいはソーシャルネットワークということで、技術が大変進歩する中で、多くのコミュニケーションの手段が広がっているところでございます。 いずれも通信の秘密に係る大変重要なものでございまして、そうした保障が及んでいるというふうに考えております。
○畑野委員 さらに上川大臣に伺います。 電話、メール、公開されていないSNSを盗聴、盗み見されることは人権侵害に当たるとお考えになりますか。
○上川国務大臣 通信の当事者のいずれの同意も得ないで通信を傍受するということについては、これは通信の秘密を制約するものであるというふうに考えております。 しかし、通信傍受法に基づいての通信傍受でございますが、厳格な要件と、そして厳格な手続のもとでのみ認められるもの、こういう中で、通信当事者の通信の秘密を不当に制約するものではなくて、憲法上も許容されるものである、こうした認識でございます。
○畑野委員 法律の二条の二項に、傍受とは、他人間の通信を、当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けることと。これ自身が大きな問題をはらんでいると私は言っておきたいと思います。 そこで、次に伺いますが、きょうは、警察庁から提出されました資料を皆さんにお配りいたしました。ごらんください。 一枚目が電話傍受装置、二枚目がメール傍受装置でございます。これは私も初めて見ましたけれども、多分、新しい装置としては初めて公表されたのではないかと思います。特にメール傍受装置というのは私も初めて見ました。 伺いますけれども、この装置の開発にかかわっている会社はどちらですか。
○三浦政府参考人 電話傍受装置、またメール傍受装置、いずれにつきましても、これらの装置は、日本電気株式会社、NECから調達をしているところでございます。
○畑野委員 具体的な会社名も初めて伺いました。 電話、メール、公開されていないSNSを傍受する場合に、どのような装置、システムを使うのか。今、写真も出されましたが、少し具体的に、短く説明していただけますか。
○三浦政府参考人 まず、電話等の音声傍受につきましては、令状に記載された通信を事業者から受信し、アナログ音声のデジタル変換を行った上で、傍受装置本体において傍受を実施することとなります。 電話傍受装置の写真によりますと、こちらから見て手前左側に黒い箱が二つ重なっておりますが、上下に重なっておりますけれども、この上の小さな箱が音声変換装置でございます。 また、右側のパソコン様のものが傍受装置本体ということでございます。 さらに、写真中央手前に二つのドライブが並んでおりますけれども、傍受をした内容は、この二つのドライブによりまして同時に二つの記録媒体に、これはDVDでございますが、こちらに記録をされることになります。一つは、原記録として、傍受の実施の終了後等に立会人が封印をして、裁判官に提出をすることとなります。もう一つは、犯罪関連通信等に当たらない通信の記録を消去した上で、傍受記録として刑事手続に使用するということになります。 他方、二枚目のメール等傍受装置の関係でございますが、メール等の傍受につきましては、事業者からの送信データから令状に記載された通信のデータのみを抽出し、傍受を実施することになります。 傍受した内容は原記録に記録をされます。それを複製した媒体から犯罪関連通信等に当たらない通信を消去したものを、傍受記録として刑事手続に使用するものでございます。 写真上では、左側の黒い箱がデータの選別、抽出装置でございます。そして、中央の機器が記録装置でございまして、右側のパソコン様のものが傍受記録の作成装置ということになります。
○畑野委員 今、写真に基づいて説明をしていただきました。 次に、メール等というふうにおっしゃっていただいたので、私も、メール等傍受装置と、等をつけさせていただきますけれども、メール等傍受装置のスポット傍受、これについて少し教えてください。 どのようにやるのかというのは皆さんよく御存じでないわけで、また、インターネットを通じて全国の国民の皆さんも見ていらっしゃると思いますので、わかるようにお答えください。
○三浦政府参考人 メール傍受装置を用いてメール等の傍受を行う際には、令状に記載された傍受対象のメール等を選別した上でそのメール等を傍受することになるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。 そして、選別されたメール等につきましては、その内容を複製した媒体を、例えばメール等の冒頭の一部に限って画面に表示をさせまして、またしばらくして一部を表示させるといったことを繰り返しながら、つまりスポット傍受と同様の方法で断片的に閲覧をしながら、犯罪関連通信に該当するかどうかという該当性判断を行うとともに、犯罪関連通信に該当しない通信についてはこれを消去して、傍受記録を作成するということになります。
○畑野委員 そうしますと、今御説明のありました傍受がなされた場合に、メール、公開されていないSNSの発信先、それから送信先、内容も全て捜査当局が認識することになるわけですね。
○三浦政府参考人 通信の形態はさまざまなものが生じているところでありまして、具体的な傍受や閲覧の方法について一概には申し上げられないわけでありますけれども、メール等の発信先や送信先の情報につきましては、犯罪関連通信に該当するかどうかの判断の必要に応じて、捜査当局において確認を行うということになります。 また、通信の内容につきましては、犯罪関連通信に該当するかを判断する際には、これに必要な範囲に限って閲覧等を行うこととしておりまして、結果として犯罪関連通信に該当しない場合には、その全体の閲覧等は行わないということになります。
○畑野委員 お認めになりました。 資料三枚目を見ていただくと、今の関連が載っているというふうに、これも警察庁からいただいた資料です。 この絵の中にも立会人という図があるんですけれども、電話傍受、メール傍受の際に、この立会人は同じ部屋で作業を見守るのですか。
○三浦政府参考人 立会人は、捜査員が傍受を行っている部屋と同じ部屋におります。 具体的には、通信事業者の施設の場所をお借りしているわけでありますが、同じ部屋におりまして、傍受のための機器に接続をする通信手段が傍受令状によって許可をされたものに間違いないか、あるいは、令状で許可された傍受の期間や時間が遵守をされているかなどの確認を行いまして、また、裁判官に提出をする原記録の封印を行う、そういったことを行っております。
○畑野委員 三枚目の資料なんですけれども、この一番下に指摘しておきたい言葉が書かれているんです。 「問題点」といって、「実施直前の要請、深夜・早朝の実施では立会人確保が困難であり、捜査上の支障大」「事業者施設以外では実施できず捜査体制の負担大」と書かれているんですね。これは、警察の都合しか考えていないことじゃないかと思うんです。 先ほども言いましたけれども、傍受とは何か。それは、他人間の通信を、その同意を得ないで受けるということなんですね。ですから、刑事訴訟法の使命である国民の人権を尊重する観点は入っていないと言わざるを得ません。 奥野委員長に申し上げます。 法務委員会として、きょうせっかく写真が出たんです、私たち、ぜひ現場に伺いたいし、そして、この立会人を含めて、どういう状況かということを調査していただきたいということを求めますが、いかがでしょうか。
○奥野委員長 理事会で検討させてもらいます。
○畑野委員 以上で質問を終わります。
○奥野委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。 私は、一昨日の当委員会で、通信傍受法、いわゆる盗聴法について質疑をさせていただきましたが、盗聴した通信のうち、実に八五%が犯罪とは無関係であるということが明らかになりました。これが本当に適正な捜査と言えるのかという私の質問に対し、上川陽子法務大臣は、最小限度の範囲にとどまるんだ、そういう中での通信傍受であるというふうに肯定化されました。 そもそも憲法違反の盗聴という行為に必要最小限という概念が用いられていいのかどうかということについて、きょうは質問したいと思います。 捜査機関は、通信傍受をどれだけしたかということを国会に報告する義務があるんですね。それで、二〇一一年に捜査が行われた通信傍受令状第四号事件について伺いたいと思います。銃刀法違反にかかわって、五件の、五枚のと言った方がいいんでしょうか、通信傍受令状が裁判官によって発付された一つの事件です。 この事件の傍受期間の延べ日数は何日だったか、また、傍受した通信回数の総回は何回に及んだか、数字をお答えいただけるでしょうか。
○林政府参考人 お尋ねの事件の通信傍受の実施期間の延べ日数は八十五日であります。また、傍受した通信回数の延べ回数は二千七百二十一回であります。
○清水委員 実施期間は総数八十五日、通信回数の総回、電話を何回聞いたか、これは携帯電話ですけれども、二千七百二十一回聞いた、盗聴したと。 では、そのうち犯罪関連の通信は何回ありましたか。
○林政府参考人 お尋ねの事件の通話回数のうち、犯罪に関連する通信はゼロ件でありました。
○清水委員 驚くべきことですね。二千七百二十一回、しかも延べ日数八十五日間にわたって盗聴して、犯罪にかかわる通話がただの一回もなかったということなんですね。 資料の方をごらんください。 これが私が今取り上げました第四号事件ですが、第五号事件を見ていただきましても、同様に、携帯電話を三十日間盗聴し、四百六十回通話を傍受して、結局これは、犯罪にかかわる通話がゼロだったということなんですね。 上川大臣に改めてお伺いしますが、これら全て、犯罪とは無関係の通話が傍受されたということです。二千七百二十一回ですよ。これは、大臣の言われる最小限度の範囲の傍受とお考えですか。
○上川国務大臣 ただいま、具体的な個別の事案ということで御質問がございました。その件については、個々お答えを申し上げるということができないということで、差し控えさせていただきたいと思います。 その上で、通信傍受の制度につきましては、必要最小限というふうに申し上げたところではございますが、厳格な手続そして厳格な運用の上で実施をするということでございます。 結果としてどういう状況であったとしても、しっかりと厳格に、そして手続にのっとって厳密に傍受をする、そのことについては、極めて抑制的に、また必要最小限に絞ってという原則をしっかりと運用の中でも実現していくこと、このことに最大限注意を払って実施しているというふうに考えております。
○清水委員 大臣、私の先日の質問に、御自身の電話が盗聴されていたらどんな思いになられますかということについて、日常生活の中では非常に不快感があるというふうに申し上げられました。二千七百二十一回の犯罪に関係のない通話が双方に知らされずにまさしく盗聴された。この方々はどういう思いになるんでしょうかね。 今、厳格な要件だとか厳格な手続のもとにというふうに言われましたが、それでもこれだけ多くの犯罪と無関係の通話を傍受しなきゃならないということなんですね。 今大臣ちょっと、私は非常に気になる発言がありましたね。結果としてどのようなことになったとしても厳格に適用されているんだというふうにおっしゃったけれども、結果が大事なんです。今の言い方を逆説的に言えば、この捜査手法においては、犯罪にかかわる通話を傍受するためなら、それこそ犯罪にかかわりのない通話を無限大に傍受してもいいというふうにとられるんじゃありませんか。そういうふうな御認識で言われたんでしょうか。
○上川国務大臣 捜査手段として通信を傍受するということでありますので、そういう意味では、非常に厳格な手続で厳格に運用していく、このことなくしてこの制度そのものが成り立たない、こういう思いを込めて申し上げたところでございます。 その意味で、適正な手続で厳格に実施をしていくということ、そしてその中で真相究明にしっかりと資することができるようにしていくということが極めて大事である、こういう思いでございます。
○清水委員 私は、結果としてどのような無関係の通話を傍受したとしてもというところについてお伺いしたかったんですが、ちょっと違う観点で、これは警察庁と法務省にそれぞれ確認したいんですね。 この四号事件でいいますと、二千七百二十一回の通話が全部犯罪と無関係だったわけですね。例えば、そのうち十回は犯罪と関連のあるものだった、ですから、それを除くものについては無関係のものを傍受したけれども、必要最小限の厳格な要件と手続によって行われたものだったというものではないんですよ。何日間も、何回も何回も通話を傍受して、結局、犯罪関連の通話が出てこなかった、こういう捜査手法をそれぞれよしとされるんですか、お答えください。
○林政府参考人 捜査手段として通信傍受を実施した結果、ある特定の事件では、その間の傍受の実施にかかわらず、犯罪関連通信等がなかった、こういう事案というのは、当然、このようにあったわけでございます。 他方で、これまで、通信傍受法施行から平成二十六年まで、実際、事件で見ますと九十九件実施されておりまして、そのうち八十八件に至っては、これは全体の八九%ほどになると思いますが、犯罪関連通信とか他の犯罪の実行を内容とする通信、その双方かあるいはいずれかがあったということでございます。 いずれにいたしましても、実施した結果、こういった犯罪関連通信がない場合というのは、一定期間傍受したときに、傍受すべき通信かどうかの必要最小限度の該当性判断を行った、しかし、そういった犯罪関連通信とは認められなかったという通信が今言われた犯罪関連通信がないという実態でございまして、そういった該当性判断のためにのみ傍受したものについては、これはその後、刑事手続に用いる傍受記録からは消去されるという形になっております。 こういうような形で、非常に厳格な要件、そしてまた厳格な実施要件、実施手続のもとで、必要最小限の範囲で権利を制約するということに基づきまして、この該当性判断という手法が認められておりまして、これについては、こういった、通信の秘密という非常に重要な権利を法律によって制約するということについては、適正な手続になっておるかと思います。
○三浦政府参考人 警察におきましては、裁判官が発付した傍受令状に基づきまして、適法に通信傍受を行っているというように認識をしております。 そうした中で、一定期間内に犯罪関連通信の傍受が行われるか否かということについては、傍受の実施時期でありますとか、その期間内の被疑者らの行動状況等の種々の要因によるものでありますので、結果として犯罪関連通信が傍受されなかったからといって、その事件について通信傍受を実施したことが妥当でなかったということにはならないというように考えております。 いずれにしましても、警察としましては、今後とも、通信傍受の有効かつ適正な実施に努めてまいりたいと考えております。
○清水委員 今、法務省の林眞琴刑事局長が、八十八件は犯人検挙につながったんだというふうにおっしゃいましたけれども、そのために七万四千三百十五回の犯罪と無関係の通話が盗聴されたという事実。そして、その関係のないものについては後は傍受記録から消去するとおっしゃったんですが、盗んだものを後で返せば許されるんですか。私は、ちょっとそういう言い方は、本当に、この捜査のあり方を正当化するものなのかどうかというふうに疑問を生じます。 今、警察庁の方からも、裁判所が令状を発付したことに基づいてというお話がありました。では、その裁判所の令状発付が適正に行われているのか。この四号事件のように、二千七百数十回聞いても、八十五日間聞いても、犯罪にかかわる通話が一回も出ないような令状発付が適正かどうかということについて私は検証したいと思います。 法務省に聞きます。 現行盗聴法が施行されて以降、昨年までの通信傍受の令状請求件数と発付件数をそれぞれ教えてください。
○林政府参考人 通信傍受法施行後、平成二十六年までにおける傍受令状の請求件数は合計二百八十三件でありまして、そのうち、傍受令状が発付された件数は合計二百八十一件であります。
○清水委員 資料二枚目をごらんください。ここには、この法律ができて以降、捜査機関が請求した令状請求件数と、裁判官がそれを認めた発付件数を表にさせていただいております。ほぼ一〇〇%ですね。二件だけなんですね、却下されたのが。私、むしろこの二件の方を知りたいです、どうして却下されたのか。多分、個別の事件ということで出てこないというふうに思うんですが。ほぼ一〇〇%、裁判官が発付しているわけですよね。 厳格な運用だとか厳格な手続というふうにおっしゃるんですが、私、一つ裁判所に聞きます。いいですか。 令状審査に当たって、請求された通信傍受、会話を盗聴するということが、犯罪の実行に関連する通信が行われる蓋然性が認められていること、さらに、盗聴以外の方法によって事案の解明が著しく困難であるということまで勘案して発付しているんですか。それだけお答えください。
○平木最高裁判所長官代理者 令状の発付等の審査につきましては、裁判官が事件ごとに判断すべき事項でございますので、事務当局としてお答えする立場にはございませんが、一般論として申し上げますと、法律の要件に従いまして適正に判断がなされているものと考えております。
○清水委員 裁判官がやっていることを裁判所が答えないで、誰が答えるんですか。 適正に行われていると言いながら、これだけ関係のない通話が傍受されているわけですよ。そして、令状発付率はほぼ一〇〇%ですね。これが本当に厳格だというふうに言われるんでしょうか。 この盗聴できる要件というのは、私が今申し上げたように、犯罪にかかわる蓋然性が高い、これによって以外事件の解明ができないという警察や検察、捜査機関のそういう請求をチェックすることになっていないんじゃないですか。私はそう思うんですね。つまり、裁判官による厳格な令状発付だという言いわけは、犯罪に関係のない国民のプライバシーを侵害するという歯どめに全くなっていないと言わなければなりません。 三枚目の資料をごらんください。これは、盗聴法が施行される前の朝日新聞の記事です。このときに、裁判官が警察からの令状に対してどういう心構えで発付しているのか、もう簡単にやっているんだということと、いやいや、そんなことはないよという論争がありました。それで、この論説委員が最後の三段目のところにこう書いています。「警察官が「令状は、審査が甘い裁判官が宿直の時に請求するんだ」と言い、実際に警察署の壁に裁判官の宿直当番表が張ってあった。そんな話を聞くと、この国の人権は大丈夫だろうかと心配になってくる。」ということなんですね。 通信の秘密を侵し、基本的人権やプライバシーを損ねる、望まない会話を盗聴するという行為に対して、これが果たして厳格な要件、厳格な手続をもって行われていると言えるんでしょうか。 結局、盗聴法審議の際に、令状審査が人権侵害の歯どめにならないという議論がされておりました。そのとき、当時の橋本龍太郎総理大臣は、「通信傍受についても、令状制度によってその適正を図ることができる、」というふうに答弁しております。 あれから十六年あるいは十五年たって、犯罪捜査に当たって、八五%の通話が犯罪と無関係、そして、四号事件にあるように、何日聞いても何回聞いても出てこない、そして裁判官の令状発付率はほぼ一〇〇%。こういうことで本当に人権を守るということができるのか、大臣、この盗聴法という捜査手法の持っている本質的な問題に鑑みてお答えいただけるでしょうか。
○上川国務大臣 現行法の施行がありましてから二十六年までの間に、先ほど来御指摘がございました、令状請求件数と発付件数がほぼ一致しているというようなことも含めまして、適正に行われているかどうか疑問であるという御指摘でございます。 この制度そのものは、国民の皆さんの通信に関しての大変大きな権利に対して公益性の観点から制約をするものの中で、厳格、厳重に手続を踏んで行われるということでございます。それぞれの役割の中でこの制度が真相解明に資することができるようにということで、そのようなぎりぎりのところでなされているというふうに私は思っているところでございます。 裁判官につきましても、捜査令状の請求を受けたときに、その要件等をしっかりと吟味をし、慎重に検討をするという形の中で発付をしているというふうに考えております。その令状を踏まえて、それぞれの役割の中で通信傍受が的確になされるということが大前提の制度であるというふうに考えております。
○清水委員 その大前提が崩れているのが現状だという認識を重く受けとめていただきたいというふうに思います。 さまざまな問題点が明らかになったと思います。この盗聴法はもう廃止するしかないという立場で今後も審議に臨んでいきたいと思います。 質問を終わります。
○奥野委員長 本日の質疑は終了しました。 次回は、来る二十六日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十七分散会