法務委員会 第11号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2015/04/24
会議録
○奥野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る五月十二日火曜日及び十三日水曜日の両日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官露木康浩君及び法務省刑事局長林眞琴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○奥野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。
○山尾委員 おはようございます。民主党の山尾志桜里です。 きょうは、裁判員裁判の改正法の審議ということで、私の方はこの法案に絞って質問させていただきたいというふうに思っております。 まず最初に、私は、この法案の賛否を考えるに当たって、二つの大きな問題意識がございます。 まず、そのうちの一つは、この改正案そのものですけれども、大きく四つあるというふうに整理をされております。そのうちの最初の一つ、著しく長期、そして、著しく多数というのも何げについているんですけれども、長期事件を除外できるというこの規定について、裁判員裁判制度の趣旨との整合性や、そこに立法事実は明確にあるのかという疑義、そして法文としてしっかりと明らかになっているのか、これが除外になるのかならないのかという予測可能性が担保されているんだろうか、こういう問題意識がまず一点ございます。 そして二点目は、この法案から外れている裁判員裁判の課題についてです。 裁判員裁判が実施されて六年たとうとしている中で、今回俎上に上がった四点以外にもたくさんの課題が浮上してまいりました。もちろん、その中には、事の大小もあるでしょうし、優先順位もいろいろあろうかと思います。ただ、その六年間で、さまざまな方の努力で浮き上がってきた課題を、今、法務省が真摯に受けとめ、それをしっかり検討して、それぞれにつき解決の道筋をつけ、それでも法改正をしなければならないものとしてこの四点をしっかりと責任を持って出してきたのかどうか、そのほかの課題についての姿勢をたださせていただきたいということがございます。 この二点です。 まず、前提として、刑事裁判というものの目的、そしてその刑事裁判の中の一つの類型である裁判員制度の目的、そしてそれぞれの制度の目的の関係について少し整理をしたいというふうに思っております。 刑事訴訟の目的、これは刑事訴訟法の一条に書いてございます。読みます。「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」 シンプルに整理をすると、刑事裁判の目的というのは、事案の真相を明らかにすること、そして刑罰法令を適正迅速に適用すること、これが二つの大きな目的だとうたわれていますし、これは共通の認識になっていると思います。この目的を達成するために刑事裁判というものがあり、その刑事裁判の一つのやり方として裁判員裁判というものが始まり、そしてそれが六年たとうとしている。 改めて、これは大臣にお伺いします。 前回の質疑でも問われておりました裁判員裁判の目的、趣旨、もう趣旨と目的を一緒にしますね。裁判員裁判の目的、何のために裁判員裁判というのは行われているのかということを改めてお伺いします。
○上川国務大臣 裁判員裁判の趣旨でございますけれども、一般の国民の皆さんが裁判の過程に参加をするということでありまして、裁判の内容に対して国民の健全な社会常識がより反映されることによりまして、国民の司法に対する理解、さらには支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるとの観点から導入されたものというふうに思っております。
○山尾委員 重ねて尋ねます。 それでは、裁判員裁判の目的の中に、裁判官裁判よりもより事案の真相を解明していくということは入ると思われますか、入らないと思われますか。
○上川国務大臣 ただいま、制度導入の目的、趣旨ということで発言させていただきましたけれども、裁判員裁判そのものについては、刑事訴訟手続の一つということで導入されたということでございます。 刑訴法の目的、先ほど委員の方から読み上げていただいたところでございますが、「事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」ということでございまして、そういう意味で、裁判員裁判、裁判員と裁判官が合議体でかかわるということでありますけれども、これにつきましても、真相解明機能ということについては十分に果たしていくということが大切だというふうに思います。
○山尾委員 済みません、もう一度。私の意図するところがちょっと伝わらなかったと思いますので。 私が申し上げたのは、裁判官だけで行う裁判よりも、裁判員を含めることによってより真相解明に近づけるという目的は入ると思いますか、思いませんかという質問です。 もちろん、裁判員裁判であれ裁判官裁判であれ、刑事裁判ですから、事案の真相を解明するという目的はあるんですけれども、裁判官だけで行われる裁判よりも、より制度として事案を真相に近づけていく、こういう機能は予定されているのかされていないのか、そこを聞いています。
○上川国務大臣 これは、真相解明機能がどちらがすぐれているかという御質問だというふうに思いますけれども、裁判員制度による裁判でありましても、プロフェッショナルな裁判官による裁判でありましても、真相解明機能につきましては変わりはないというふうに考えております。
○山尾委員 法務大臣の見解としてはやはりそうあるべきなんだろうというふうに私は思います。もちろん、さまざまな方の御意見がありますし、裁判員が入った方が少なくとも事実認定においてよくなったという考えの人もいれば、そうじゃない、いろいろな考えの人がいますけれども、やはり制度のたてつけは、大臣がおっしゃったとおり、私もそういうふうに思います。 要は、裁判官であっても裁判員であっても、過去にさかのぼって何が起きたかを見ることはできません。なので、裁判官であっても裁判員であっても、よく言われる、証拠と法だけに基づいて裁くのであると。いろいろな証拠が事件の痕跡として残って、そういう証拠から何が起きたかということを推測する力は、裁判官の経験則による力もあるでしょうし、裁判員の経験則にとらわれない一般常識の力もあるでしょうし、これは今の時点で優劣をはっきりさせることはできないのであろうというふうに私も思っております。 このことはちょっと後とも関係するんですけれども、改めて確認させてください。 裁判員裁判というのは、あくまでも、刑訴法の目的、事案の真相解明と刑罰の適正な実現にあるのであって、裁判員の負担を軽減することは大事だけれども、過度な対応によって真相解明が害されてはならないというふうに私は思っているんですけれども、その点はいかがですか。
○上川国務大臣 真相究明の機能を、手続の上においても、また実態の解明においても適切に行っていくということは、大変大事なことだというふうに思います。 その運用の段階の中で、法と証拠に基づく手続を公正に行うことができるように、また適正に行うことができるにしていくということに照らして考えたときにどうかというような御質問ではないかと思いますが、まさに、適正に運用がなされることができるようにしていく、つまり真相解明にしっかりと近づくということについて、あらゆる努力を重ねていくということが大切ではないかというふうに思います。
○山尾委員 では、まずは、それぞれの制度の趣旨と関係で共通の認識ができたところで、最初に問題提起をした一番目、今回、超長期事件を除外した、このことについてお話を進めていきたいと思います。 まず、そもそも裁判員裁判というのは、さっき大臣がお話しになったような目的で導入をされた。そしてその際には、どこから始めようかという議論がなされ、やはり重大な事件からやるべきではないかということになった。重大というのは、裁判員法の二条にありますけれども、死刑、無期の懲役、無期の禁錮、あるいは故意に被害者を死亡させた事件、こういうふうに対象が設定されております。 今申し上げたような重大な事件を裁判員裁判の対象にしているということの趣旨について、大臣、お答えください。
○林政府参考人 裁判員制度は、先ほど来ありますように、国民が裁判過程に参加することによって、国民の司法に対する理解、支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることを目的として導入されたものでございまして、その新たな制度の円滑な導入のためには対象事件を限定する必要があるという観点から、刑事事件の中の一部の事件から始めることが適当であると考えて、その際に、その適当と認められる範囲につきましては、まずは、国民の関心が高く、社会的にも影響の大きい、法定刑の重い重大犯罪というものにされたと承知しております。
○奥野委員長 刑事局長、もうちょっと大きい声でしゃべってもらえますか。聞こえないよ。僕は聞こえない。 山尾さん。
○山尾委員 そういう説明であったかというふうに思います。今の答弁を大臣もお聞きいただいたというふうに思います。 そこで、大臣にお伺いをします。 今回、著しく長期にわたる事件、あるいは著しく公判が多数にわたる事件というようなものを除外できるというふうにしたんですけれども、まさに、著しく長期になるような事件というのはめったにない事件ですから、国民の関心が極めて高く、社会的影響が極めて大きい事件であるかと思うんです。その最もこの趣旨に合致するものを除外できるということは、裁判員裁判の趣旨を没却しないでしょうか。その点、いかがお考えですか。
○上川国務大臣 今回、裁判員制度そのものの趣旨ということで、広く国民の皆さんが裁判の過程に参加をし、また、日常の中での感覚というものを裁判内容にしっかり反映していただくということで、これに対して、この裁判員制度そのものが六年ということで経過をしてきたところでございます。 今局長から対象事案については答弁でなされてきたわけでございますけれども、ただ、余りにも長い審判期間がかかるというようなことになりますと、一般国民に負い切れないような過重な負担を課す。過重な負担を課すということになりますと、それによって、裁判員裁判そのものに対して参加を促すという本来の趣旨からすると、そのようなことに対してなかなか参加しにくくなるというふうなこと、こうしたことを避けるためにも、裁判員裁判そのものを適正かつ円滑に運用していくという観点からも、例外中の例外という形の中でこのような改正をお願いしているところでございます。
○山尾委員 ただ、さっき大臣がおっしゃった、国民が参加をすることで司法基盤をより強固にしていくという趣旨から考えますと、もし、今までにないこういう事件、本来裁判員裁判なんだけれども、これは超例外で超長期だから裁判官だけでやるというようなことが大きく報道されて、大きく国民の耳に伝わる。えっ、これだけ、一番私たちが関心のある事件になると、これは私たちの手から離れて、専門家、裁判官だけで判断をされることになってしまうのか、だとすると、裁判員って本来どこまで意味があるものなんだろうか、重大な事件だから、国民の皆さん、参加をしてくれと言われて参加をしようと思ってきたけれども、一番重大な事件になったら、最後は自分たちの手から離れてまた専門家に戻るのか。もしこういう意識が生じた場合には、かえって、司法への信頼とか、国民参加で司法基盤を強化するとか、そういう趣旨が揺らぐということも十分あり得るというふうに私は思うわけです。 また、かえって参加意欲をそぐんじゃないかという答弁をされましたけれども、そうおっしゃるなら、裁判員裁判が始まってから、これまでの質疑にもありましたけれども、そもそも、参加したいという率がどんどんどんどん下がっているわけですよね。 この前の裁判所の答弁ですと、「あまり参加したくない」「義務であっても参加したくない」、こう回答した方の割合の合計は、平成二十一年度は八〇・二%だったのが、スタートして五年たったら八七%で、七%増加してしまったと、これは清水委員の質疑への答弁で出てまいりました。出席率が下がる、辞退率が上がる、これもこれまでの質疑で明らかになっているとおりです。 もし参加意欲ということを言われるのであれば、今の裁判員裁判の中で下がってしまっているという実情を謙虚に受けとめて、それに対してどういう手当てをするのかということこそ、まずはこの改正の俎上に上げるべきじゃないかというふうに私は思います。 この点について、大臣、いかがお考えですか。
○上川国務大臣 ただいま、裁判員制度の中で大変長期に及ぶとか、今回、除外規定という形でお願いしているところでございますけれども、一般国民に負い切れないような過重な負担を課すような事態につきましては、これを避けることによりまして、裁判員制度を一層円滑かつ適正に運用するということが何よりも大事ではないかというふうに思っております。 裁判員の負担が過重となる事件についてでありますけれども、必ず裁判員制度によります裁判を行うというふうにするとするならば、裁判員になる皆様に対しましても無理を強いてしまう。それによりまして、司法に対する理解あるいは支持を損なうというふうなことも起こりかねないということもございます。 また、審判が著しく長期であることによりまして裁判員の負担が過重になるということになると、必要な員数の裁判員が選任できないというような場合、あるいは、審判期間がさらに長期化して、迅速な裁判を受けるべき被告人の利益を不当に損なうことにもなりかねないというようなことでございます。 そういう意味で、このような例外中の例外ということについても規定として設けるということになったところでございます。
○山尾委員 私が申し上げたいのは、抽象的な可能性、おそれがないとは言いませんよ。超長期の事案で、どうしても、どんな努力を重ねても、裁判員を確保して判決まで至るのが不可能だという抽象的な可能性がないとは言いませんよ。でも、その抽象的な、まだ見えていない可能性に対して、こうやって法制度でまた変えようとするのであれば、大臣は、裁判員裁判について、経験された方がアンケートで九五・九%もよかったという回答をしているとか、そういう前向きなところを一生懸命おっしゃるわけですけれども、実際には、経験をする前の方の参加意欲とか辞退率とか、そういうものには極めて問題のある傾向が出ているというところもあわせてしっかり受けとめて、せめてそこの部分の対策もちゃんと講じるということをやはり担保していただく必要があるのではないかというのが一つの問題意識なんです。 今、本当に実際上不可能だという可能性があり得るというお話がありましたので、そこでいきますと、まず、裁判所に事実をお伺いします。 実際に裁判をやってみて、補充裁判員も含めて、どうしても更新をせずには続けられないという状況になった、要は手続の更新があった事案ですね、これは今までこの六年で何件ありましたか。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判員の交代等のため更新手続が行われたものが三件ございます。
○山尾委員 たったという言葉を使っていいかわからないですけれども、六年で三件なんですね。更新というのは、要するに、最初からしっかり証拠調べに携わった裁判員あるいは補充裁判員だけでは審理ができなくなったので、新しい人を新たに選任して入れることによって、それまでの証人尋問とかを、DVDなりで、一度全部認識を共有させるために更新をして、そこからまた続きをスタートするという制度ですけれども、この手続の更新が使われたのは六年間で三件。 では、続けてお伺いします。 この三件については、しっかりと裁判員裁判による判決が出たということでよろしいでしょうか。
○平木最高裁判所長官代理者 いずれも裁判員裁判により判決が出てございます。
○山尾委員 あともう一つ確認をします。 これまで審理が比較的長期に及んだ事例の一覧表というのが、調査室の資料にも出ておりますし、これまでの質疑でも示されているかと思うんですけれども、一番長く及んだ神戸の事件、これは、職務の従事期間百三十二日、公判期日の回数は二十九回というものです。これを含めて、これまで、長期の事件も全て裁判員裁判によってしっかりと判決まで導けたということの確認をさせてください。裁判所。
○平木最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、今のところ裁判員裁判で全て判決が出ております。
○山尾委員 それでは、法務省にお伺いをします。 これまでの答弁で、今までできたような審理期間の事件については、できているのだから、今回の超長期には当たらないのだというような趣旨の答弁が出ております。 質問します。 例えば、今までの職務従事期間、百三十二日であります。同じような日数がかかる事件が今後出てくるとします、公判前整理手続の計画の中で。でも、そのとき、例えば、今と同じような傾向で、どんどんどんどん出席率が下がっていき、辞退率が上がっていき、平成二十七年では確保できたんだけれども、このまま下がっていくと、同じ日数でも、今回は確保できなさそうだ、あるいはできなかった、こういうことも今の傾向でいくとあり得るわけですよね。その場合はやはり、一項、超長期であるから確保できないとして除外されることになり得るんでしょうか。
○林政府参考人 今回の除外決定は、著しく長期にわたる審理計画がなされた裁判におきまして、その事件における選任手続の経過などを考慮した上でなされるものでございます。 そういった状況のもとで、その時点における当該事件における選任手続の経過の中で辞任等が相次いで、選任手続を継続しても選任等が困難である、裁判員の確保が困難であるというような事態が生じる場合には、この除外決定がなし得るものと考えます。 もとより、それは、今までのように、裁判員裁判として実施できている事案について、それを除外できるようにするための改正ではございません。これはあくまでも、今後生じ得るであろう、その時点におきまして、そのまま裁判員裁判で実施をしなければいけない法律のままでありますと、国民に負い切れない負担というものを負わせてしまう、そのような事案にまで裁判員裁判を行うとなりますと、最初のスタート点に立っておりましたところの、国民の司法への支持、理解を深める、それで国民的な基盤を得るという目的を損なうことになりますので、そういった場合には例外的に除外できるようにしようとするものでございます。
○山尾委員 私も、別に何も、今までできているものを除外するためにこの制度をつくろうとしているというふうには思っていませんよ。 ただ、もう一回言いますけれども、出席率は、二十一年が四〇・三だったのが二六・七まで下がっている。参加したくない、あるいは義務であっても参加したくないという人の割合は、八〇・二から八七に七%も上がっている。こういう状況を放置して、それで、裁判員が確保できない場合の除外規定だけをぽんと俎上に出してくるというのは、やはりちょっと努力を怠っている部分があるんじゃないですかということを申し上げているんです。 今の答弁だと、要は、今だったら、今、この平成二十七年のこれまでの状況だったら、何とか裁判員の皆さんに参加をしていただけたけれども、今後また、参加意欲がこのまま低下をし、あるいは出席率がこのまま低下をし、その結果、したがって、同じ期間であっても確保できなくなったというような場合には、これは当てはまるわけですよね、制度として。 だから、こういう改正を出してくるんだったら、この参加意欲とか出席率とかいうものをしっかり真摯に受けとめて、そこをどう担保するのかということを法務省の方からちゃんと出してくるべきではないですかというのが私の問題意識なんですけれども、大臣、いかがですか。
○上川国務大臣 裁判員裁判が実施されて六年という経過の中で、出席率でありますとか辞退率ということで、この間、データをとって、そのトレンドについても見ていくということで、客観的な判断をしていきながら丁寧に対応していくということが大事であるというふうに考えております。 今委員から御説明があったようなこと、これは、最高裁の事務総局が発表したさまざまなデータによりましても、例えば、審理予定日が長くなればなるほど裁判員候補者の辞退率が高くなっている、かつ、裁判員等選任手続の期日における裁判員候補者の出席率が、審理予定日が長くなればなるほど低くなる傾向がある。こうしたクロスの集計もしているということでございますので、そういったことから考えると、長い時間になればなるほど裁判が実現できる環境そのものは厳しいということもあって、未然措置としての取り組みということで今回の提案をさせていただいているところでございます。 だからといって、参加率がこのままでいいとか、あるいは辞退率をこのままというようなことで、その数値そのものをただ傍観して見ていくということでは全くありませんので、これについては、さまざまな運用の改善でありますとか対応を含めて考えていくべきことである、これはたゆまぬ改善が大変大事であるというふうに私は思っているところでございます。
○山尾委員 それでは、課題は捉えているということですけれども、そのさまざまな運用の改善と対応ということについては、大臣は、その中の一部でも結構ですので、どういうものが念頭にあって今答弁されたんでしょうか。
○上川国務大臣 裁判員裁判そのものに対しては、一つの調査によりましても、認知度は比較的高いというふうな数値が挙がっているところでございます。ただ、裁判員制度に対して、参加する前と後によりましては、やはり不安感とか懸念ということについてなかなか払拭し切れていないなという数字もあるところであります。 さらに、参加した方たちの、実際に経験した後の評価については、先ほど御紹介いただきましたけれども、九五・九%というような高い数値がある。そういう意味では、裁判員制度そのものがどういうものであるかということ、その内容、あるいはこれまでの六年間の実績ということも、わかりやすくさまざまな形で説明をしていくという努力は、これまでもしてきたところではありますが、これからもさらに重ねていかなければいけないことではないかというふうに思っております。 ちなみに、法務省におきましては、ホームページに裁判員制度についての窓を設けておりまして、それにアクセスしていただきながら、またさらにきめ細かな質問についても対応していく、こうした取り組みも行っておりますし、また、パンフレット等も、できるだけ幅広く御理解いただくことができるように、また、学校や地域社会の中でも、そうした説明もさせていただきながら、疑問に丁寧に答えさせていただくということもあります。 また、参加をしていただく側の参加率を高めるためにも、特に、仕事をしながらということになりますと非常に負担が大きいということも指摘があるところでございますので、その点については、企業側に対して、こうした裁判員裁判に参加をするということについての理解を深め、そしてそうした休暇などもしっかりとっていただくことができるようにしていくということについて御理解を仰ぐ、こうしたことも、きめ細かく、総合的な形で啓蒙啓発に努力をしていきたいと思いますし、その意味で、これまでもしてきたところでございます。
○山尾委員 だから、今おっしゃったのは、最初からしていたことなんですよ。私も、検察官をやっていた最後の年ぐらいには、裁判員裁判をやるということがほとんど決まって、いろいろなパンフレットができたりだとか、模擬裁判をしたりだとか、高校に出前講座をしたりだとか、そういうことは、始まる前から確かに取り組みをされていました。今おっしゃったのは、ホームページで説明をしていく、あるいは参加率を高めるために企業側に休暇の制度も含めて協力を仰いでいく、これは全部、始まる前からやっていたことなんです。そういうことを始めて、始めてみたらずっと低下をしているというのが事実なんです。なので、私は今、大臣の答弁が十分なものとはとても思えません。 とはいえ、そこは、もし、参加率が下がっているから新しくこういうことをやってきたんだよというのがあれば、またおっしゃっていただけたらいいかと思います。 要は、除外規定を決める前に、参加できるように、参加意欲を高める努力を含めていろいろな努力をしてくださいよという話をしているわけですけれども、もう一つ、公判前整理手続で、できるだけ充実かつコンパクトな審理をしよう、これは、この六年間、さまざまな運用改善を含めてかなり努力をされてきていると私は思います。 私が質問したいのは、これは裁判所に事実関係ですけれども、区分審理というのがありますよね。裁判員裁判を最初にやろうという話になったときに、やはり、そもそも、かなり長期になると裁判員は大変だよねと。そこで、一人の被疑者に係る複数の事件で分けられるものは分けて、そしてそれぞれの事件ごとに裁判員を選んで裁判をしてもらおうという制度がつくられました。これはこの六年間でどれぐらい利用されているんでしょうか。
○平木最高裁判所長官代理者 制度施行から平成二十七年二月末までに区分審理決定のあった判決人員は六十九人でございます。
○山尾委員 六十九人。きのうの夜聞いたものですから今初めて聞いたんですけれども、もしわかればで結構です、局長に御答弁いただきたいと思うんですけれども、今回、この区分審理の六十九件、これを法務省としてしっかり把握して、実際これぐらいの審理がなされているのであれば、超長期の場合もこれを使ってどんなシミュレーションになるなとか、そういうことは、何か検討を加えられたことはあるんでしょうか。
○林政府参考人 今回、著しく長期にわたるような事案を除外するという法改正をするに当たりましては、少なくとも、その前提といたしまして、今ある既存のいろいろな制度、あるいは、公判前整理手続における、迅速な裁判を行うためのさまざまな整理の工夫、こういったものを全て駆使して、それでも回避することができないというときに今回の除外決定ができるような形で組み立てる必要があると考えまして、その中で、当然、現行の制度の中には区分審理制度というのがございます。そういったことで、区分審理制度についても、長期になることを回避することができないときにおいてと法改正で規定しているところの、そういった回避手段の一つとして、当然検討しておりました。 その上で、区分審理決定というものについては、これまで活用がなされた事案がございますが、他方で、先ほど指摘がありました、今までの中で非常に長い審理期間を要した事案については、区分審理というものは行われていなかったわけでございます。 こういったことについては、区分審理というものにつきましては、ある一定の場合、全てを区分して審理をすることができない事情のある事案もございます。そういったことから、全ての場合で区分審理決定ができるわけではございませんので、そういったことで、今回、そういったものから外れて、結果としてやはり回避することができないような場合について、今回の除外規定を置こうというものでございます。
○山尾委員 それについてはおおむね納得をいたしました。 そこで、次に移ります。 先ほどから話に出ているように、やるべき努力はしっかりやっていただきたいですし、そこに足りない部分があると私は思っておりますけれども、百歩譲って、それでも予防的にこういった制度をつくっておく必要があるのだということを認めた場合に、今回、著しく長期あるいは著しく多数という言葉になっています。これは、百歩譲ったとしても、裁判所に白紙委任はできないんですよね。要するに、本来裁判員でやるべきものを、最終的には職業裁判官の判断で、やはりこれは裁判官だけでやろうというふうに戻す制度ですから、これはとても白紙委任はできないですし、それを、やはり基準を明確化するのが、今、この法務委員会の、立法府の役割だというふうに私は思っております。 ここでお伺いをします。 著しく長期と言われても、私たち、この法務委員会にいる者全員が、いま一つ、どんな事件がこれに当たるのか、多分、イメージが全く共有できていないと思うんです。 検討会のいろいろな方々の発言を見ると、例えばこういうのがあります。ビルを爆破して千人が死亡した事案、あるいは十年、二十年に一度起きるかわからない事態とか、とてもとても、なるほど、こういうものなんだね、それならしようがないよねというところまで行き着かないんですよね。今もなお、この法律を見ても、行き着いていないと思うんです。 著しく長期ということの、やはり、おおむねとかつけてもいいから、一年とか、何らかの基準を示したらいかがですか。それで、見直し規定をつけて、では三年間それでやってみましょうと。それで、なるほど、今回三年間やったけれどもありませんでしたねとか、一件あったけれどもこれはこういう事案でしたねとか、ではもう一回ちょっと考えてみましょうかとか、今回、やはり何か目安を立法府に示していただくべきだと私は思っているんですけれども、これは大臣、いかがですか。
○林政府参考人 確かに、委員指摘のとおり、今回の立案の過程におきましても、こういった具体的な期間というものを定めて規定をつくれないかどうかということは、当然議論がなされました。 その中で、例えば六カ月であるとか、それでは一年を超えたらどうかとか、こういったものを定めることができるかどうか、ここにつきましては、やはり、まずは事案ごとの個別の事情で判断されることであるので、そういったことを一律の基準で定めることは性質上困難であろうということが一つでありました。 さらに、では、一定の具体的な数字を明記した場合、どのようなことが起きるのかということにつきましては、まずは、今回、除外決定をするのは、当該受訴裁判所ではございませんが、別の裁判体ではございますが、結局、裁判所における審理計画の立て方のわずかな差によって、これが除外されるようになったり、あるいはされなくなったりするということがあり得ますし、また、審理計画自体が、基本的には、公判前整理手続の中で当事者参加のもとでなされるわけでございますが、そうしますと、訴訟当事者としましては、場合によっては、除外がなされる方向に向けて、意図的に、例えば請求の証拠の数をふやしたり、あるいは審判の期間の基準とされた期間を超えるようにしむけるような訴訟上の駆け引きということも生じ得るということから、今回、具体的な基準というものは定めることとしなかったものでございます。
○山尾委員 理由になっていないと思うんです。なぜかというと、事案の性質上定められないというのは、これは紋切り型の話であって、別に目安を定めることはできるわけです。 その後におっしゃられた二点ですけれども、わずかの差で除外されるかどうか変わってしまう。だから、私は、おおむねとかつけたらいかがですかと。それで、常識の範囲の中で運用していただければいいと私は思いますよ。裁判員裁判というのは、結構そういう形で一生懸命運用されているんじゃないですか。 二点目ですけれども、意図的に除外がなされる、これは弁護士のことをおっしゃっているのか検察官のことをおっしゃっているのかわかりませんが、私が言うのは、裁判所が意図的に除外をするようなことがあったら困るので、やはり一つの目安、基準を立てるべきではないかと言っているわけです。それを、検察官や弁護士がこれを悪用して意図的に除外するとも限らないとか、余りそういうことはどうかなという感じがします。 いずれの法曹三者にしても、そういう危険性がないとは言いません、人間ですから。でも、だったら、この制度の本質からいえば、やはり、裁判所が裁判員を除外して自分たちだけでやるかどうか決める制度ですから、裁判所のそういう恣意的な運用がなされないようにというのがまず最初に来るんじゃないかというふうに私は思います。 大臣、何か意見があれば。
○奥野委員長 大臣の前に、最高裁判所、何かコメントはありますか。(山尾委員「いいです、裁判所はないと思いますので。大臣で結構です」と呼ぶ)ないんだったら、では、大臣がやってください。(発言する者あり) 周りは少し静かにしてください。
○上川国務大臣 具体的な基準を定めていないということで、委員からは、具体的な基準、その中には、おおむねというような形で目安を設けるということについての御意見をいただいたところでございます。 局長答弁にもございましたけれども、基準を定めた途端に、やはり、審理計画のわずかな差によりまして除外の可否が分かれることになるということもありますし、訴訟上の駆け引きに用いられるおそれも否定できないということでありますし、おおむねをつけたとしてもそのところの問題は生じるということでございますので、その限りということでございます。
○山尾委員 局長と同じ答弁なら結構です、時間がもったいないですので。 話を続けますけれども、今、私は納得がいきませんでした。 さらにお聞きをしたいんですけれども、著しく多数というのは、これはなぜ必要なんですか、大臣。これは、著しく長期と著しく多数が除外できる。著しく長期の話をしましたけれども、では、それとは別に、著しく多数が必要なのはなぜですかという単純な問いかけですから、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。
○奥野委員長 先に事務方が答えなさいよ。その後でちゃんと大臣が答えればいいんだよ。 林刑事局長。
○林政府参考人 これにつきましては、裁判員や補充裁判員となる国民の負い切れない過重な負担というものを避けるための例外的措置としましては、そのような負い切れないような過重な負担がかかる場合といたしましては、まず一つには、審判の期間が著しく長期にわたるということは当然でございますが、それだけでなくて、審判の期間が著しく長期であるとまでは言いがたいものの、例えば週に四日、五日、こういったような頻度で連日にわたって公判が開かれるなど、その結果、その回数が著しく多数に上るとき、このような場合につきましても、負い切れない過重な負担がかかる場合としてあり得ることから、今回、これにつきましても除外の対象としているものでございます。
○山尾委員 前回の質疑でされた局長答弁と同じなんですけれども、これはすごく疑問なんですよね。 では、ちょっと事実関係を聞きます。これは通告していないですけれども、感覚として局長はわかられると思います。 週に四日とか公判期日が入る裁判員裁判というのは、これまでの六年間の中でもあったのではないですか。
○林政府参考人 当然、私は網羅的に把握できてはおりませんけれども、あり得た可能性はあると思います。 ただ、今申し上げたのは、そういったことが連日にわたって、週に四日あるいは五日というような審理計画がさらにその翌週ずっと続いていくというようなことによって、結果的に全体の公判期日日数が著しく多数に上る、こういった場合を想定しております。
○山尾委員 私の問題意識は、全ては著しく長期に収れんされるんじゃないかということなんです。 公判前整理手続で必要とされる公判期日の回数というのは大体決まってくると思うんですよね。それをどれぐらいの頻度で入れていくべきかというのは、やはり裁判員の負担のことを考えて、考慮がありながら今までもやってきたんでしょう。これはやはり、必要な公判期日が多くて、それを例えば週に三回とか週に四回とか、こういうふうに詰めていけば、全体としての日数はすごく長くなってしまう、これはわかりますよね。そこまでいかないけれども、そこまで長くはないんだけれども、審理計画で週に四回とか詰めていけば、これは著しく多数にわたるということになってしまいますよね。 要は、著しく長期というのは、その事案の内容によって必要とされる公判期日が決まり、これが長期かどうかというのはそんなに裁量の余地がないです。でも、公判期日が著しく多数に上るかどうか、週に四回とか五回のペースで開かれるかどうかというのは、事案だけじゃなくて、それをどういうふうに詰めていくかという、まさに裁判所が主導する法曹三者の計画で決まっていくわけではないのですか。だとすると、なぜ著しく多数という要件まで必要なのか。 今出ているような、本当に重大な事件で、物すごく証人調べもしなきゃいけない、被害者もいっぱいいる、そういう事案は著しく長期になるのであって、著しく長期じゃないけれども週に四回も五回も詰めなきゃならないような特別の事情がある事件というのは何なんですか。
○林政府参考人 御指摘のとおり、審理計画の立て方ということでございますので、その場合に、事案ごとに、やはり個別的な事情によってさまざまな審理計画がございます。 場合によっては、これを恣意的に、審理計画上、一週間の公判期日をあえて重ねて設定して、それによって除外しようとするようなことが起きるのかという懸念につながるものだと思いますけれども、審理計画自体、事案の個別事情、例えば、証人が外国に居住していて、その証人の仕事の都合などによって証人尋問が一定期間に集中せざるを得ないような場合とか、あるいは、多数の証人尋問を行う必要がある事案において、証人の記憶が薄れないように集中的に証人尋問を行わざるを得ないような、そういった事案があり得ることから、審理計画上は過密な日程にせざるを得ないような事案というのも一応想定されるものだと思います。そういったことから、全体の期間としては著しく長期とまでは言えないにしても、公判期日の回数からしますと著しく多数に上るというような、そういった審理計画を立てざるを得ないというような事案があり得ると思います。 そういった場合に、そういった審理計画のもとで、当然、実際にそういったことが回避できるような事案であれば、今回の除外決定はできないわけでございます。あくまでも、そういったいろいろなことをしても、審理計画上そういった審理計画にならざるを得ない、そういった回避することができない場合において、それで実際の当該選任手続の経過などを考慮した上で除外決定を行うということになろうかと思います。
○山尾委員 では、今までの六年間でそういう事案というのはあったのですか。
○林政府参考人 そういった事案については承知しておりません。それは、先ほどの著しく長期にわたるものについても同様の考え方でございまして、今回の著しく多数の公判期日という要件に当たる事案についても、これまでの事案でそういったものが生じていたのかということについては承知しておりません。
○山尾委員 せめて、選任手続をやることを要件にした方がいいんじゃないでしょうか。これは、実際には、法文を見ると、選任手続をやってみても、それでもどうしても確保できなかったということが必要的要件になっておりません。 今の御説明だと、例えば外国の証人がいっぱいいるとか、多数の証人で記憶の減退のために詰めなきゃいけないとかおっしゃいましたけれども、仮に仮にそういう事情があったとしても、では、それで審理計画を立てて、実際に選任手続をやってみて、そして、誰一人としてというか、必要な人員をどうしても確保できない、これをやはり要件にしないと、何かすごく雲をつかむような、今までは一度もない事例のことを予防的に網をかけて、そして、やってみてもできないという、選任をしてみたということも要件にせずに、裁判所に決めていただくことができる。 やはり私はちょっと腹に落ちないんですけれども、その点は、大臣、いかがですか。
○上川国務大臣 法律案で今回改正をお願いしている三条の二ということでありますけれども、選任手続の経過は、除外の要否の判断のための主な考慮事情の一つとしては挙げられておりますけれども、過去に除外決定があった事案を大きく超える審判期間の場合や、また、審判期間が数年間に及ぶものは、選任手続を行わなくても除外の要否の判断が可能な場合があるということでございますので、そういう意味で、選任手続の実施を必要的な要件にということにつきましては、すべきではないというふうに考えているところでございます。
○山尾委員 ごめんなさい、なぜ選任手続を要件とすべきではないのかということがわからなかったので、もう一度御答弁ください。
○上川国務大臣 過去に除外決定があった事案を大きく超える審判期間の場合、あるいは審判期間が数年間に及ぶものにつきましては、選任手続を行わなくても除外の要否の判断が可能な場合があるということでございまして、そういう意味で、選任手続の実施を必要的な要件としていないということでございます。 ただ、選任手続の経過につきましては、除外の要否の判断という意味では、主な考慮事情の一つということでございます。
○山尾委員 可能な場合があると言われても、どういう場面を大臣が想定されているのか。私はやはり、やってみてできなかったということは、まず最初、一つの要件だと思いますし、私が役所から聞いているのは、まず、今まだ除外決定された裁判員裁判というのはないわけですよね。だから、始まるまでは、そういう過去の事例がないから、選任手続はやるということがこの法文上の一つの解釈になっているのだというふうに伺っています。 私の提案も、もしそうであれば、見直し規定をちゃんとつけて、例えば選任手続を要件としてやってみたらいかがですかということを言っているんです。だって、認めているんだから、最初のうちは選任手続をやらざるを得ないよねと。だって、こういうことをやって除外したという事例が今までゼロなんだから。やったことがないんだから。過去に参考とできる例がないんだから、最初のうちは選任手続をやるということが念頭にあるわけだから。 だから、これを改正するんだったら、まずは、選任手続を要件とするところからちゃんと始めて、そして見直し期間をつけて、見直し規定をつけて、そして、それまでの累積を見て、本当に選任手続が必要なくて判断できる場面がこれまであったのか、こういうやりとりを、何年後か知らないけれどもさせていただきたいです。 なぜ、できるだけ抑制的に、できるだけ裁判員が参加できる方向でというふうにされないのかという問題意識をお伝えして、質疑時間が終わっておりますので、続きは次のラウンドでさせていただきます。
○奥野委員長 それでは次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山でございます。 山尾先生の活気ある御質問の後に、私の後にも山尾委員が続きをされるということでございますので、私は、葉梨副大臣と大塚政務官、また法務省当局とやりとりをさせていただきたいと思います。 質問はいろいろ重なっておりますけれども、公明党を代表しての、会派を代表しての質問ですので、御了承いただければと思います。 まず、裁判員法が施行されまして、本年は六年目に当たるわけでございます。私も、ちょうど七年前に参議院の法務委員長をさせていただいておりましたので、その立場で、先ほど山尾委員からも御説明がありましたけれども、模擬裁判を東京地裁に見学に行かせていただきまして、当時はまだ施行されていませんでしたので、なかなかイメージがつかめなかったわけでございます。 この裁判員制度の導入というのは、平成十一年から本格的にスタートした司法制度改革の柱中の柱と言っても過言ではないものでございまして、その目的は、これは今、最高裁のホームページに書かれていることをそのまま引用させていただきますと、「裁判官と国民から選ばれた裁判員が、それぞれの知識経験を生かしつつ一緒に判断することにより、より国民の理解しやすい裁判を実現することができる」、これが目的だということになっているわけでございます。 このことを確認させていただいた上で、副大臣の個人的な御見解も入れていただいて構わないのですが、この六年間を振り返りまして、より国民にわかりやすい裁判を実現するんだという目的、目標に向かって、この制度がどの程度達成をされているかについて御見解をいただければと思います。 〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕
○葉梨副大臣 裁判員の法律が成立しましたのが平成十六年でございまして、あの当時のことを思い出してみますと、裁判員という方が参加して、死刑の判断なんということを下すことができるんだろうかとか、あるいは、裁判員が本当に集まるんだろうか、国民の協力を得られるんだろうか、むしろ、そちらの方をたしか議員の間では心配していたというように記憶しております。 それでいいますと、確かに、この委員会でも御議論がございますけれども、低減しているとはいいながらも、候補者として選任された方の七割以上が現在も出席をされているということや、最前来、お手盛りじゃないかという御批判もあるんですけれども、少なくとも、裁判員を経験した方の九五・九%は、終わってみたら、やはりいい経験だと思っているということで、現行の制度は、当時、施行前に我々が考えていたことと比較しますと、おおむね順調に定着しているのかなというような形で思います。 そういう意味でいいますと、この裁判員制度の目的というのは、これは完全に達成されたかどうかというのはまた別として、徐々に達成されつつあるというふうに私自身は考えています。
○遠山委員 私も、副大臣とほぼ同様な認識を持っております。 特に、全ての国民が裁判員を経験できるわけではないわけでございますけれども、しかし、後日この委員会で参考人質疑等もあって、またいろいろなことがそこでもお話しされると思いますが、やはり、裁判をするという当事者になることによりまして、多くの国民の皆様が、今までかなり遠い存在だった、テレビドラマとか映画の中で時々その関連したシーンを見る程度にすぎなかった方々が、実際に法律に基づいて、死刑の問題は一番最後に御質問させていただきますけれども、時にかなり重たい深刻な決断をするということも経験することによって、より司法制度が国民に身近になっていくということは、この制度の運用を通じて徐々に広がっているのではないかというふうに私自身思っているところでございます。 二点目に、大塚大臣政務官にお聞きをしたいと思いますが、先ほど来、きょうも議論になっております、いわゆる長期にわたる事件等の対象事件からの除外を定めた規定についてお伺いをしたいと思います。 この裁判員法ができた当初に除外が見送られた背景には、いろいろな意見があったと思いますが、主なものを二つだけ紹介したいと思います。 一つは、長期にわたる事件だったら裁判員裁判の対象になりませんよとやってしまうと、争点を意図的につくり出して、意図的に裁判員裁判を回避することが可能になるのではないかという意見が当時あったと理解をしております。それからもう一つは、国民的関心が高い事件が裁判員裁判の対象から除外されることになるのではないか、そうしますと、制度の趣旨から外れるのではないかという意見があったというふうに認識をいたしております。 他方で、裁判員制度施行後六年間、審理期間の長期化が原因として判決に至らなかった事例というのは一つもないということでございます。 これらの点を踏まえまして、私は、総論的なお答えで構いませんけれども、どうして今回の改正で除外を規定することとしたのか、説明を求めたいと思います。
○大塚大臣政務官 先ほど来議論になっておりますように、また今委員からも御指摘のように、何で今回こういう除外規定を設けるかということでございますけれども、確かに、裁判員法立案時にもいろいろ議論があったと承知しております。長期にわたる審判を要する事件を除外するべきではないかという意見もかなりあった中で、やはり、今委員が御指摘になったようなことも背景に、とりあえずスタートの時点では盛り込まなかったということだろうというふうに思います。 これは、一つには、施行前でありましたので、実際に運用するとどういう状況になってくるのか、どういう事案が発生してくるのか、これがよくわからない。実際の事例がないわけですから、基礎的な情報がないということで、除外するかどうか、具体的な議論というものもなかなか詰め切れなかったというところがあろうかと思っております。 一方で、今、六年が経過をいたしましたので、一つには、例えば百三十二日に及ぶような事件もございました。あるいは、先ほど、たった三件ということでございましたけれども、実際に更新に至ってしまったという事件も三件発生をしたわけでございます。 これまでのところは、幸い、長期にわたるものと更新をしなければいけなかった事件というものが重ならなかったということもありますし、何とか裁判員裁判で結論にたどり着いてきておりますけれども、実際、これまでの経緯を見ますと、長期にわたった場合で、例えば、裁判員が、百回ぐらいの期日が予定されている中で、五十回ぐらいまでいったところで、インフルエンザで多くの補充員が払底してしまうようなことが起きないとも限りませんし、何らかの事情でこういうことが起きることがないとは言い切れないなということが、事件の集積によって見えてきたところもあるわけでございます。 そういうことも踏まえて、裁判員制度に関する検討会によるさまざまな議論、こういうことがしっかりとできるようになってきた。 これまで確かに、三条の規定によって除外決定がなされたものを除いて、全て裁判員裁判によって判決に至ることができたわけでございますけれども、今後、そういうことが起きてしまってからでは遅いということだと思うわけでございます。 現に審理が立ち行かなくなってからでは、そこから立法するということでは対処ができませんので、このような事態に陥ることを未然に防ぐために、今回、六年たったところで、このような三条の二の規定を設ける必要があるということで提案をさせていただいたところでございます。
○遠山委員 そうしますと、山尾さんは後でまたいろいろ御意見があると思いますが、今までの六年間の中で究極問題になった事例はない。そういう意味でいうと、耳に痛い言い方をすれば、立法事実としてどうなんだということがあるわけですね。だけれども、六年間やってみたら、非常に長くて、裁判員の方に負担が実際かかっているような事例もあったので、将来的にそういう不測の事態が起こったときにきちんと対応できるように、予防的にこういう規定を入れようということだと思うんですね。 刑事局長と少し深掘りしてお話をしたいんですが、まず、さっき私が指摘した創設当初の懸念事項の中に、意図的に裁判員裁判を回避されることが出てくるんじゃないかということがあったわけですが、こういうことはないと断言できるのかどうか、もしできるのであればその根拠を示していただきたいのですが、お願いいたします。
○林政府参考人 今回の除外規定が意図的に裁判員による裁判を回避するために利用されるというようなことは、この裁判員法の導入の趣旨に照らし、許されないことでございます。そのために、本法律案におきましても、そういった恣意的な除外というようなものが行われないような制度上の仕組みを設けているところでございます。 まず一つには、対象事件からの除外決定の要件が厳格に定められるということでございます。 すなわち、この除外決定をすることになりますのは、まずは、審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること等を回避することができない場合というものが必要でございます。その上で、裁判員等選任手続の経過等のさまざまな事情を考慮して、裁判員の選任が困難である、こういうふうに客観的に認められる事情が必要でございます。 まず、ここで、回避することができないということにつきましては、これは、手段を尽くしたものの、やはり審判が著しく長期になることが見込まれるということに至ったという客観的状況を意味しております。この手段といいますと、現行では、公判前整理手続での十分な争点の整理などが一つございますし、区分審理制度の活用などもございます。また、弁論の併合、分離を活用するということもございます。そういったことをしても回避することができないという客観的事情が必要でございます。その上で、さらには、裁判員等選任手続の経過等のさまざまな事情を考慮して、客観的に裁判員の選任が困難であると認められる必要がございます。 なお、こういった除外決定の判断でございますが、これは、当該事件の公判審理を行う受訴裁判所とは別の裁判官の合議体が決定を行うこととしております。一つには、受訴裁判所という形で今後審理を行おうとする当事者であるところの裁判所とは違う裁判体が除外決定を担当するということにしておりますし、さらには、この除外決定につきましては、即時抗告というものがございます。したがいまして、これに対して不服の申し立てがあれば、これは結局、その除外決定の当否自体が、高等裁判所においてその適否が判断されることになります。 このようなことから、意図的に不当な裁判員制度対象事件からの除外が行われる余地はないものと考えております。
○遠山委員 詳しい答弁、ありがとうございます。 私がここで確認したかったのは、今回、こういう除外の規定は設けられるんですが、あくまでも例外的な措置だと。つまり、逆に言えば、除外されるときというのは、今局長が詳しく説明してくれた厳格な要件に全部合ってなきゃいけないですし、手続上も、意図的な、あるいは恣意的な除外ということはできないようになっているという御説明でございましたので、そのことを確認したいと思います。 それで、ちょっと時間の関係で、一個飛ばさせていただいて、次の質問は、まだ関連していますけれども、三条の二第一項第二号のところについて伺いたいと思います。 これも局長の御答弁で結構ですが、裁判員裁判の審判が終了する前に裁判員の不足が生じて、員数が欠けて、かつ補充裁判員もいない場合で、その後の審判に要する期間が著しく長期化するときなどに除外決定を行えることが規定をされております。 確かに審理の途中で、先ほど大塚政務官もインフルエンザということを言っていましたけれども、裁判員の員数が欠けるということが生ずれば、それも一人じゃなくて複数同時にということがあれば、これは中断をして、場合によっては審判期間の長期化につながる可能性がございます。 ただ一方で、先ほど私が確認させていただいたように、除外というのはあくまでも例外的な措置だということを考えれば、そのような事態に仮に直面をしても、基本的には運用を工夫することで裁判員裁判を維持する必要性があると私は考えておりますが、見解を求めたいと思います。
○林政府参考人 法律案の三条の二の第一項第二号のような事態が生じた場合にとり得る手段についてお答えいたします。 当然、裁判員等の員数に実際上途中で不足が生じたというような場合について、その時点において、それ以後の審判期間が著しく長期にわたることがないようにするための運用上の工夫がまずなされなくてはいけません。 具体的に、これはさまざまなものがあると思いますけれども、例えば、公判前整理手続でなくて、こういった場合は期日間の整理手続というのがございますが、期日間の整理手続において、それまでの審理状況を踏まえまして、争点及び証拠の整理を再度行うということ、あるいは可能な限り手続に要する時間が短縮できるように公判手続の更新の方法等を工夫してみること、こういった工夫を行いまして、その上でもなお、やはりその後の審判期間が著しく長期にわたりまして、結局、必要な員数の裁判員の選任が困難となる場合、こういった場合につきまして三条の二第一項第二号が適用されることとなると思います。 こういった、その後の審判期間が長期にわたることを回避するための手段というものが十分に尽くされているのかどうかということについても、先ほど来申し上げた、これについての不服申し立てとかそういったことの中で適否は判断されることになると思います。
○遠山委員 よくわかりました。 それで、今のやりとりに関連する具体的な事例があります。平成二十六年の一月、水戸地裁におきまして、裁判員の不足かつ補充裁判員も一部欠けたという事例が実際に起きたことを承知しております。これは、一回中断をされて、しばらくたってから再開をされたと理解をしております。 これは最高裁の平木刑事局長にお伺いをしますけれども、昨年の一月の水戸地裁の事例において、再開までにどういう手続を経て、また再開までにどれくらいの時間を要したのか、また混乱等は生じなかったのか、具体的な事例からくる課題等があればお答えをいただきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御指摘の事例につきまして、事務当局で把握しているところを御説明いたします。 この事件は、第一回公判期日から判決宣告期日まで四日間の予定でした。選任手続において裁判員六名と補充裁判員二名が選任されましたが、選任された当日に、裁判員一名と補充裁判員一名が解任されました。予定どおり公判期日が開始されましたが、公判期日二日目に、裁判員一名がインフルエンザに罹患していることが判明したため、その裁判員も解任となりました。 その結果、裁判員が五名となり、公判を直ちに続行できなくなりましたことから、公判期日を延期することといたしましたところ、この時点で残っていました裁判員五名全員につきまして、日程の調整がつかないとの申し出がございましたため、この五名についても解任となりました。 約一カ月半後ぐらいだったかと記憶しておりますが、新たな期日において新たな裁判員の選任手続を行い、その新たな裁判員による構成で審理、評議、判決を終えたと認識しております。 裁判員に不足が生じた場合の対応策としましては、補充裁判員から裁判員を選任する方法がございますが、補充裁判員の数につきましては、これまでも、個々の裁判体が、事件の審理の予定や内容に応じまして、裁判員候補者の方々の負担も考慮しながら、適切な選択になるよう努めてきたものと承知しておりますが、今後とも、各裁判体が、これまでの経験も踏まえつつ、必要かつ十分な補充裁判員数の選択に努めていくものと考えておるところでございます。
○遠山委員 今の御説明にあった水戸地裁の事例は、当時の朝日新聞では「裁判員 そして誰もいなくなった」という見出しの記事になっておりまして、今、最高裁の刑事局長が御説明になったように、連続で、インフルエンザ等の理由でだだだっと解任されてしまったということがあります。 これから数が重ねられていきますといろいろなケースが実際出てくると思いますので、最後に局長がおっしゃっていたように、補充裁判員を少し多目に選任しておくとか、あるいは、インフルエンザというのはなかなか裁判員に選任された方の自覚がないとわからない面もあると思いますけれども、あらかじめ、でき得る健康チェックとか、そういったことはしっかりと遺漏なくやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次の質問でございますが、改正案第三十三条の二第一項で、裁判官等は、被害者特定事項の秘匿決定があった事件の裁判員等選任手続においては、裁判員候補者に対し、正当な理由がなく、被害者特定事項、これは氏名などですね、これを明らかにしてはならないとされておりますが、このときの正当な理由というものにはどのようなものがあるか、林刑事局長に伺いたいと思います。
○林政府参考人 裁判員等選任手続におきましては、裁判の公正及びこれに対する国民の信頼を確保するために、裁判員候補者が事件に関連する不適格事由に該当しないかどうか、あるいは不公平な裁判をするおそれがないか、こういったことを判断するために、裁判員候補者と被害者の関係を把握する必要がございます。 そのように、裁判員候補者が被害者と一定の関係を有して事件に関連する不適格事由に該当しないかや、不公平な裁判をするおそれがないかを確認するために、被害者特定事項を明らかにせざるを得ない場合がありまして、このような場合には、裁判員法上認められた手続に従ってこれを明らかにするのであれば、そういった場合については、本項に言う正当な理由があるということになろうと思います。
○遠山委員 それで、これに関連して、仮に裁判員候補者が被害者特定事項を今局長が言ったような状況の中で知り得た場合、守秘義務が課されているわけでございます。 一方で、この守秘義務違反に対して罰則が設けられていないということもございまして、仮に、ある特定の被害者情報を知り得た裁判員候補者等が、後に、法律で課されている守秘義務に違反してそれを公にした場合には、罰則がない。 なぜ罰則をつけなかったのかというのが一つ、それから罰則がない中でどういうふうに対応を当局はするのか、ちょっと二つの質問になりますけれども、お答えいただければと思います。
○林政府参考人 まず、罰則を設けていない理由でございますけれども、裁判員候補者は、裁判所からの呼び出しに従いまして選任手続に出頭いたしまして、被害者特定事項についても選任の判断に必要な限度で裁判官等から一方的にこれを明らかにされる立場にございます。こういった裁判員候補者につきまして、今回定める守秘義務に違反した場合に罰則まで設けるということにつきましては、こういった裁判員候補者の立場に鑑みまして、その言動に過度の制約を課すもので、相当ではないと考えたものでございます。 また、こういった義務を課すことによって、みずからに課せられた義務を遵守することを期待できるということで、あえて罰則を設ける必要に乏しいと考えたものでございます。 他方、それにおきましても、やはりこういった守秘義務に違反する場合というのが生じ得ることはあるわけでございます。 この場合の対応でございますけれども、どんな法律関係が生じ得るかといいますと、まず、事案によりましては、民法第七百九条の不法行為というものが成立する場合がございます。その場合には、当事者間において民事上の措置がとられることが考えられます。また、刑事上でいえば、名誉毀損罪が成立するということもあり得るわけでございます。その場合には、そういった形での刑事罰の対象にはなり得るということでございます。 〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕
○遠山委員 ありがとうございます。 最後の質問になります。 本年二月四日、最高裁は、裁判員裁判による死刑判決を破棄し無期懲役とした二つの高裁判決を支持する結論を出しました。これは、当該事件の関係者に大きな衝撃を与えるとともに、刑事裁判に市民感覚を生かすことを目的として導入された裁判員裁判制度の意義について改めて議論を深める必要性を多くの国民に痛感させたと私は考えております。 今回の審判について、最高裁は、死刑は究極の刑罰で、裁判結果は何人にも公平であるべきだと指摘をしております。私は、この主張につきまして、死刑制度が廃止されない限り、そういう考え方の妥当性は認める立場でございます。 一方で、であるならば、死刑が想定されるような事件を裁判員裁判の対象とせずに、最初から、プロの裁判官、つまり量刑等について専門的知識を有するプロの裁判官に任せればよいのではないかという意見も出てきかねないということも事実だと思います。そうなってしまいますと、裁判員制度そのものの存在意義が問われることになります。 ちょっと難しい質問で恐縮ですが、言いかえれば、死刑判断の公平性と、市民感覚を司法制度に反映するということ、この二つの価値のバランスをどうやって司法制度改革の文脈の中で捉えるのか。難しい問題だと思いますが、通告もしておりますので、副大臣の御見解をいただきたいと思います。
○葉梨副大臣 まず、個別の裁判について私自身がコメントをする立場ではないわけですけれども、一般論で申し上げます。 裁判員裁判であろうが裁判員裁判でなかろうが、これは、上訴審においてその判断をチェックして、また別途の判決を下すということは当然あり得ることだと思います。 その上で、最前来も議論がございましたが、この裁判員裁判というのは、社会的にも非常に大きな反響もあって、かつ重大な事件ということについて市民感覚を生かしていこうと。ですから、死刑が想定され得るようなものを除外してしまうというと、何のための裁判員裁判なんだということになってこようかと思います。 ですから、死刑についても、今、遠山先生がおっしゃられたように、やはり究極の刑罰ですから公平性という観点は必要だ、でも、やはり市民感覚というのも必要だ。このバランスの上で、三審制の中でしっかりと判断をしていくということであろうかと思いますから、裁判員裁判で死刑判決が出たという結果は、当然、上訴審で、たとえ別の判断をしたといたしましても、十分に重く受けとめられた上で、公平性と市民感覚とのバランスをとっての判断をされるものだというふうに思います。
○遠山委員 今のこの死刑と裁判員制度の関係につきましては、いろいろと大事な問題もはらんでいると思いますので、また別の機会に大臣等とも議論をさせていただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 刑事局長に、ちょっと、先ほどの続きで疑問に感じたことをお伺いします。 先ほど、著しく多数の例として、外国の証人の方で公判に協力していただける期間が限定されているというような場面を挙げられました。 これは、著しく多数じゃなくて、あえて言うなら著しく過密ならわかるんですけれども、今の例は著しく多数には当たらないんじゃないでしょうか。
○林政府参考人 著しく多数の公判期日というものが、週に四日、五日のような非常に過密な審理計画がその翌週もさらに続いていくということにおきまして、全体の公判期日が多数に上るというような場合も想定されるのではないかということで申し上げたものでございます。
○山尾委員 いや、ちょっとこれは大事なところなのでお伺いしますけれども、だとすると、先ほど、公判に協力できる時期が限られているから、多数に上らなくても過密になってしまうと。では、過密なだけでは当たらないんですね。
○林政府参考人 おっしゃるとおり、過密なだけでは、それで直ちに当たるわけではございません。
○山尾委員 そうすると、過密であることが何週も繰り返されてということを前提とするならば、これはやはり著しく長期ということに収れんされるというふうに私は受け取るんですけれども、著しく長期ではなくて、かつ著しく多数というのは、どういう場面を想定されているんですか。
○林政府参考人 公判期日が著しく多数回に及ぶということであれば、審理期間も長期にわたることは当然だ、同じだと思います。 ただ、長期につきまして、やはり長期という観点で、著しく長期ということで今回法文上の要件としておりますので、審理計画を立ててみたところ、そこまでは当たらないけれども、週の中での公判期日が多数回に及んでいて、それを重ねていくと公判期日の回数としては著しく多数というものもあり得るのではないかということで、今回の法改正の案とさせていただいたものでございます。
○山尾委員 今の論は、例えば、著しく長期について、私が提案申し上げているとおり、おおよそ一年とか、そういう一定の目安があるという前提であれば今の議論というのはかみ合うと思うんですね。でも、著しく長期ということについて何ら目安がないにもかかわらず、著しく長期には当たらないけれども著しく多数になる事案があるのだと言われても、ちょっと、立法事実としてそういう事案を今想定できないんです。こういう問題点を指摘させていただきたいというふうに思います。この疑問は、私の中ではまだ解消されておりません。 そして、次なんですけれども、これも刑事局長にお伺いをしたいのですが、法文上に、考慮すべき事情として三つあるわけです。一つ目が、ほかの事件における裁判員の選任または解任の状況。二つ目が、法二十七条一項に規定する裁判員等選任手続の経過、これは当該裁判の選任手続の経過ということですね。三つ目が、その他の事情。 お伺いしたいのは、便宜的に1と言いますけれども、ほかの事件における裁判員の選任または解任の状況というのは、これまでに裁判員裁判から除外された前例事件における裁判員の選任または解任の状況というふうに解釈されると私は役所から伺っているんですけれども、それでよろしいですか。
○林政府参考人 今委員御指摘のとおりと理解しておりまして、ほかの事件における裁判員の選任または解任の状況といいますのは、当該事件とは別の過去の裁判員裁判対象事件におきまして、裁判員の選任の難易でありますとか、解任の頻度とか、その他の事由、そういった過去の裁判員制度対象事件において生じた事情が考慮されるものでございます。
○山尾委員 私が申し上げたのは、過去に裁判員裁判から除外された前例事件が他の事件に当たるというふうに私は理解をしたんですけれども、そうではないということですか。 他の事件というのは、私がレクを受けたときは、これは、過去に裁判員裁判から除外をされた前例事件における裁判員の選任または解任の状況をいうのだというふうに私は説明を受けたと理解しているんですけれども、違いますか。
○林政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、過去に除外された事案についてでございます。
○山尾委員 だとすると、おっしゃるとおりで、私はそういうふうにしっかり受けていますから。 そうすると、さっき申し上げたことなんですけれども、まだ一度も前例がないこの状況で、1は考慮事情から除外をされる。ないですから。 そうすると、最初にあり得る事件というのは、要するに2以降、当該事件における選任手続の経過、これがその他以外は全てになるわけです。最初に問題になる、これから起きるかもしれない、除外が問題になる事件については、過去にはないですから、当該事件の選任手続が行われるということが前提になるわけです。 これも、私はそのように説明を受けました。刑事局長、そこも確認いただけますか。
○林政府参考人 他の事件における裁判員の選任または解任の状況ということでございますが、先ほど申し上げましたが、典型的には、除外事由が決定された他の事件というのがここの事情に当たると思います。 ただ、他の事件における裁判員の選任または解任の状況というものにつきましては、必ずしも法文上除外決定がなされた事案だけに限定されるものではございませんが、いずれにしても、他の事件における裁判員の選任または解任の状況というところで言っておりますのは、基本的に、裁判員の選任手続における辞退の状況でありますとか解任の状況というようなことが、他の事件においてのそういった事例が考慮事情になるということでございます。 ただ、結局のところ、他の事件におけるこういった裁判員の選任または解任の状況というのは、現時点におきましてはそういった事例というものがございませんので、基本的には、三条の二の一号で最初に除外決定をするに当たりましては、やはり他の事件における例になる事情というものがないわけでございますので、実際には、裁判員等選任手続を実際にやってみて、その経過などを判断して除外決定に至るということが、今後、法改正後に想定される事態であると考えております。
○山尾委員 今の三回の答弁はかなり不明確な答弁だと思います。 他の事件というのは、二回目の答弁では、除外された前例事件だというふうにお答えになったと私は受け取りました。そして、今の答弁は、必ずしも法文上はそうなっていないけれども、実質的にはそうなのだというような、これは大事なところですから、はっきりしてもらわなければ困るんです。 他の事件というのは、除外された前例だけではなくて、要は、限定されず、これまで裁判員裁判が行われた事件も入るのか入らないのか、どうなんですか。
○林政府参考人 法文上は、除外決定がなされた事案だけがここでの考慮事情になるわけではございません。
○山尾委員 そうすると、私が受けた説明は違ってくるわけです。この場が審議の場ですのでいいですけれども、私が受けたのは、他の事件というのは除外されたこれまでの前例事件なのだ、したがって、これから先、初めてこの除外が問題になるときは、1は考慮事情とならないので、2、つまり、初めての事件については選任手続が行われることが前提となるのだと。 でも、局長、今の話で言うと、この法律がもし仮に通って、除外が問題になった最初の事件、この場合でも、選任手続が行われない可能性がある制度だということですね。
○林政府参考人 法文上は先ほど申し上げたようなことでございますが、立案当局が立案時に想定しているところを申し上げますと、現在の時点で、他の事件における裁判員の選任または解任の状況という考慮事情を満たすものがないと考えておりますので、基本的に、今後、法改正後に除外決定がなされる場合を想定するとすれば、当該事件において裁判員等選任手続が行われてみて、その経過等を考慮事情として、除外決定がなされるかなされないかということが判断されるものと考えております。
○山尾委員 これは法律ですから、明確にできるところは明確にした方がいいと思いますし、この法文上、そのまま読めば、今刑事局長おっしゃったとおり、除外された前例に限らず、他の事件ですから、実行できた裁判員裁判も含めて、およそ全ての裁判員裁判の選任または解任の状況まで考慮事情に入れることができるたてつけに法文上なっているわけですね。 したがって、それをさらに前に進めると、今後、初めて除外すべきかどうかが俎上に上がったときに、選任手続もせずに、選任できるかどうか、裁判員に参加をしていただけるかどうか、やってみることも必要的要件とされずに、今までの、除外されていない裁判員裁判の選任または解任の状況を見て、これは今までの前例からするととても裁判員にはやっていただけないはずだよねという、何の根拠もない状況で除外されてしまう可能性を十二分に残している法文だというふうに私は思います。 これは、さすがにちょっと、一切必要性を認めていないわけではないですけれども、もう少し抑制的にたてつけをしたらいかがですか。先ほど申し上げたように、これから先、例えば三年、今まで六年なかったものだから、そうたくさん出てくると思えないですよね。そういう中で、まずは選任手続は必要としようというところから始めたらいかがですか、大臣。
○上川国務大臣 先ほども御質問がある中で、局長が答弁した法案の趣旨ということでございますけれども、裁判員等選任手続の経過について、この除外決定の要否を判断するための考慮事情の大変大きな要素であるということでありますので、そういう意味では、運用上、スタートをするに当たって、一番初めの案件につきましても、この裁判員等選任手続の経過につきましては、判断材料になるというふうに私は思います。
○大塚大臣政務官 一点だけ補足しますと、他の事件における裁判員の選任または解任の状況が考慮事情となっておりますけれども、他の事件において選任ができたということも考慮しないといけないということもございますので、ここで完全に、除外した事件以外は全て除外してしまうということも適当ではないのかなというふうに考えております。
○山尾委員 委員長もちょっと首をかしげておられましたが、選任ができたという事情も、できなかったという事情も、要は、何でも考慮に入りますよというのが、他の事件における裁判員の選任または解任の状況ということですね。それが明らかになったのかなというふうに思います。 これは本当に考えていただいた方がいいと思いますよ。除外をするという、最初の最初の、最初のスタートですから、やはり最初は選任手続を要件にした方がいいんじゃないでしょうかと私は強く提言をさせていただきますし、これは絶対見直しが必要だと思いますよ。 何年かたって、では、実際どういう事情が考慮されて、今、そもそもこれは立法事実はないですから、三年たって、これが使われたの使われなかったの、やはりこれを国民の皆さんと検討したいですよね。 こういうことを強く申し上げて、たくさんあるんですけれども、ちょっと次に移りたいというふうに思います。 守秘義務の関係でちょっと一点伺います。 さっき話になりましたけれども、経験をされる前は、参加意欲が下がっていたり出席率が下がっている。経験された後は、直後のアンケートだという問題点は私も感じておりますけれども、それなりの高い満足度を推知させる数字も出ている。この前と後の乖離というのは、私、この守秘義務に物すごく関係しているんじゃないかというふうに思っているんです。 たくさん言いたいことはあります。本当に今、守秘義務の範囲というのは明確になっているのか、この制度ができたときの附帯決議で、明確にすると言ったけれども、その後どういう努力がなされているのか、正直、私には余り見えていません。 ただ、一つ具体的な指摘でお伺いします。 大臣、裁判員が、一年に一回名簿に載って、あなたは今後一年、裁判員になる可能性がありますよと通知が来ます。では、今後一年、私は裁判員になる可能性があるんだという人がいっぱいいるわけですよね。 ごめんなさい、その前に裁判所に聞きます。 裁判員の名簿に載って候補者となる人は、一年に平均で何人いらっしゃるんですか。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 平成二十二年から二十六年の五年間に裁判員候補者名簿に記載された者の一年当たりの平均人数は、二十八万八千四百十四人となっておるところでございます。
○山尾委員 ありがとうございます。 そこで、大臣、この二十八万八千四百十四人の人たちは、例外はありますが、基本的に、自分が候補者になり得るということを公表してはいけないんですね。事情があれば身内あるいは職場にはいいということになっていますけれども、公表してはいけないということになっている。 これは、公表してもいいと私は思っているんです。だって、全国で二十八万八千四百十四人の人が裁判員候補者になり、これを禁止することの意味合いというのは具体的にどんなものがあるんですか。何が困るんでしょう。
○上川国務大臣 この守秘義務については、裁判員裁判が始まるということの中でも大変大きな議論になっていたというふうに理解をしておりますし、また、附帯決議などにおきましても、十分に周知するようにというような御指摘もあったということでございます。 公表することによっての不都合はどういうところにあるのかという御指摘ではないかというふうに……(山尾委員「候補者ね」と呼ぶ)裁判員候補者に対してということでありますけれども、請託、威迫等がなされるおそれがあるということ、あるいは興味本位で取材を目的とした接触行為がなされやすくなるということ、その結果、裁判員が公正な判断を行うことが妨げられるおそれがあるということ、そのような事態を防止する必要がある。さらに、裁判員候補者のプライバシーあるいは生活の平穏を極力保護するという、そういう趣旨でこうした守秘義務というものが定められているというふうに思います。
○山尾委員 だから、それを一斉にどこかの役所が公表すべきだとか、そんなことを言っているんじゃなくて、例えば、候補者になった人が、自分は候補者になった、でも、基本的にそのことを人に言えない、例えば、裁判員経験者ネットワークに接触をして、実際にどんな経験があったのか、どんなことが行われたのか、そういう心構えについても話し合いたいとか、そういうこともできないわけです、候補者であることを言っちゃいけないから。 そういういろいろな問題があって、それに比べると、この二十八万八千四百十四人の人が、その中でごく一部の方が、自分の判断で、そういう必要な場面で、候補者になっているんだということをお話しする。どういう具体的な威迫があったり脅迫があったり、それを言い出すと、そもそも裁判員は法廷で裁判員をお務めになっているわけですから、それは大変なことだと思いますよ。でも、それは具体的な理由にはもはやなっていないのではないかなというふうに私は思います。 ぜひこれは、候補者であることを、場合によっては自分の判断でお伝えし、心構えを考えたりとか経験を分かち合ったりとか、そういうことができるようにすることの大きなメリット、それは、さっき申し上げた、要するに、経験する前は物すごく意欲が低いけれども、した後はなかなかよかった、やはりこの乖離を埋めていく一つの手段にもなると思うんですよ。 候補者の方が、候補者になったんだと、それをきっかけに、いろいろなところにアクセスをしたり、周りの人とそれを公に話し合う。だって、二十八万人の人がいるわけですから。でも、その中で、多くの人はならないでしょう。でも、なったんだということを、二十八万人の人が自分の判断で分かち合うことができれば、これはまさに、この裁判員裁判の目的とする、国民の参加によって司法的な基盤を強くするという大きな大きな足腰になるというふうに私は思うので、ぜひ一度検討してみていただきたいと思いますが、いかがですか。
○上川国務大臣 守秘義務をどうするかということについては、スタートの時点から大変大きな議論になってきている、また、アンケート調査等におきましてもそうした御指摘もあったというふうに伺っておるところであります。 委員の御指摘、大変貴重な御指摘でございますので、検討してまいりたいと思います。
○山尾委員 次にといいますか、最後になりますけれども、最初に、真相解明という機能を絶対に害してはいけないんだという私の強い思いも申し上げました。そういう中で、前回、重徳委員が、委員長のお取り計らいで資料も出ましたけれども、殺人罪の起訴率が顕著に低下をしているということを御指摘されていました。また、それは、理事会で出された資料でもありますので、今後明らかになっていくかと思いますけれども、私、残りの時間でもう一つ御指摘をしておきたいと思います。 お手元に配付をしている資料の、一枚、二枚めくっていただいて、三枚目から。これは、罪名別の起訴率を表にしているものです。 左側に罪名があって、強盗致死傷というところに線を引かせていただきました。平成十二年からスタートして、丸印を打っております。平成十二年、八六・七、十三年、八八・七、十四年、八四・六、十五年、八五・四、十六年、八六・七、十七年、八七・一、十八年、八〇・一、十九年、七五・八、二十年、七一・四、裁判員裁判が始まった二十一年、六四・一、二十二年、五三・五、二十三年、四四・三、二十四年、三七・七、二十五年、三四・四。 いろいろな原因がありますから、短絡的には今この場では申しません。ただ、殺人の起訴率も顕著に低下している、強盗致死傷の起訴率も顕著に低下をしている。 そして、これは致傷も入っていますけれども、この二つの一つの特徴は、人が死亡している事件で、あるいは人が傷害、重傷を負っている事件もあるでしょう、外形的な結果はさることながら、内心が非常に立証の肝となる事件だということです。殺人であれば殺意の有無、強盗であれば強盗の目的の有無。 重大な結果を生じている事件であって、内心が立証の肝になる殺人と強盗致死傷について、これだけ顕著な起訴率の低下が明らかだ、そして、裁判員裁判が始まって以降の五年間に非常に低下のスピードが速まっているということを、一つの事実として御指摘したいと思います。これは、裁判員裁判の施行が、事件の真相解明に、もしかしたら何か問題点をはらんでいるのではないかという一つの数字だと思います。 まずはこれを確認していただいて、今後どういった大臣なりの調査研究あるいは検証をされるのか、コメントがあればお伺いしたいと思います。
○奥野委員長 もう時間になっているんですが、これは私にも説明をしなさいと事務方に言ってありますから、これはどこかで公式的な法務省見解を時間をとってやってもらったらいいと思っているんです。だから、私だけではだめだろうと思うから、皆さんにも情報共有化の上でやってもらいたいし、きょう、重徳委員がまたおやりになるから、その中でやっていただくのも一つだろうと思います。 そういう形にして、今の段階では答弁はなしということにさせてください。
○山尾委員 はい、結構です。 以上です。
○奥野委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。 一昨日に続きまして、資料の提出をいただきましたので、これに基づいて少々補足の質問をさせていただきます。 提出資料一をごらんください。三枚出していただきましたが、資料一に基づいて質問させていただきたいと思います。 これが、「殺人罪(未遂を含む)の起訴率の推移について」の法務省から提出された資料でございます。ここ三十年間、昭和五十九年からの起訴、不起訴、そして起訴率が記載をされております。 起訴率のところが太枠で囲ってありますので、これをごらんいただきますとわかりますように、ずっと数字を追っていくと、この間、二回ほど、極端に起訴率が減少した時期があるんです。それを除くと、起訴率はおおむね五〇%から六〇%台前半であります。 二回というのは、昭和六十二年、六十三年、ここで大きく下がっています。三七・九%、二二・一%まで下がっている。極端ですね。それから、平成五、六、七年、この三年間が、三五・六%、三九・三%、四三・九%という形ですね。あとはずっと安定した数字で推移しているんです。 そして、今回問題にしたいのが、二十一年以降急激に下がりまして、平成二十五年は三〇・一%に落ち込んでいるということでございます。 このあたりの要因につきまして、特に近年五カ年は裁判員裁判の影響との見方もありますけれども、どのように分析をされていますでしょうか。
○林政府参考人 御指摘のとおりに、起訴率というものが、昭和六十二年、六十三年、あるいは平成五年、六年、七年において、その前後の年と比較して低下している、そういう事情がございます。 これについて、その原因やいかんということでございますが、まず、基本的にはこれは、検察当局において、起訴、不起訴の判断、個別の事案に即して判断した集積であるところの統計でございますので、なかなかその原因を一概に述べることは困難であろうと思います。 もっとも、これらの年におきましては、不起訴の件数がその前後と比較して相当数増加しておりまして、その中でも、嫌疑なしを理由とする不起訴の件数が特に増加しておりまして、これが全体の不起訴件数の増加及び起訴率の低下というものの一因になっていることはうかがわれるのではないかと思います。ただこれが、では、これらの年において具体的にどういう類型の事案があったかという中身の問題についてまでは、ちょっとここでお答えすることが困難な状況にございます。 なお、一点付言いたしますと、昭和六十三年の数字につきましては、関連する平成元年版の犯罪白書におきまして、「殺人の新規受理人員四千二百三十四人中二千二百八十三人は、同一受刑者が多数の矯正職員を殺人未遂で告訴・告発した事件であって、事実自体が犯罪とならないもの」だった、こういった指摘がなされておりまして、このあたりについては、六十三年の特殊な事情というようなことをうかがわせているかもしれません。 以上でございます。
○重徳委員 今局長は、不起訴の数がどんとふえたということが大きな要因だというふうにおっしゃいました。確かに、昭和六十三年なんかは、他の年と比べて二千人規模で不起訴の人がふえているわけでありまして、ここは特殊なケースだったと言えると思います。 一方で、ここ五年間の状況を見て、不起訴がふえているというのもあるんですが、一方でさらに顕著なのは、起訴の件数が急激に減っているということなんですよ。だから、起訴率というのは不起訴の数がふえればもちろん下がるんですけれども、一方で、起訴の数が減ったことによって起訴率が下がっていると見られるのは、特にこの五年間が顕著だと思います。このあたりをちょっと御説明いただきたいんです。 ちなみに、せっかくいただいた資料の一番右側に認知件数というのがありますね。警察が出している数字です。警察が殺人事件というふうに認知した件数です。この件数は、先ほどの、この年だけ何千件ふえているとか、そんなようなことはありませんで、認知件数は比較的安定しております。 私は、この認知件数に占める起訴の割合というものを、分子と分母が必ずしも関係ない部分もありますが、おおむねの傾向を見るために、分母を認知件数、分子を起訴数として、パーセンテージをこの三十年間で独自に計算してみたんですが、ここ五年間に至るまで、実は一貫して五〇%を超えています。五〇%から六〇%台前半の間に全ておさまっています。それが、平成二十年からなんですけれども、四五・六%、二十二年は四〇%を切りまして三五・五%、さらに平成二十五年に至ると三三・二%と、ここは本当に顕著だと思いますよ。 起訴率の低下の原因を、不起訴がふえたというふうに局長はおっしゃいましたが、起訴がここ五年間著しく減っているということについては、何かコメントはありますか。
○林政府参考人 御指摘のとおり、起訴の人員についてはここ数年のところで減少傾向にあるわけでございますが、その原因、これが何によるものなのかということについては、一概に述べることが困難であります。
○重徳委員 今の御答弁では誰も納得しないと思うんです。一概に述べてほしいとまで言いませんが、少なくとも裁判員裁判の影響がゼロではないんじゃないかということは、誰がどう見ても推測されます。 ちょっと大臣にお聞きしたいのですが、今の局長の御答弁、いかがでしょう。起訴率低下そのものが、それ自体が必ずしも問題とは限りません。もちろんいろいろな事情があるとは思いますが、これは一般論ですけれども、検察が本来起訴すべきでない人を起訴しちゃうのもそれは問題ですけれども、よく問題になっていますが、逆の問題もありますね。重大犯罪ですから、本来起訴すべき、この起訴に過度に慎重になってしまう。こういうことによりまして、重大犯罪に対して適切な処罰が行われない、そういう可能性だってあるわけですよ。 先ほど山尾委員がおっしゃいましたが、内心というものが立証の肝であるというケースがかなり多いんですね。私は元検察官の方にちょっと個別に意見も聞いたんですが、例えば、未必の故意というのは非常に難しいようですね。ついかっとなってしまったというケースが多い中で、実は心臓部分に包丁を深く刺しているんだけれども、ついかっとなってやってしまったんだということに対して、本当に故意、つまり殺意があったのかどうかを裁判員の方が認めるかどうかというのは、すごく難しいことだと思います。それによって殺人罪なのか傷害致死罪なのかという非常に大きな違いが出るわけでありまして、このあたり、本当に難しいものであります。そういう判断が裁判官裁判と裁判員裁判でちょっと違うんじゃないかとか、そういうことを予見して、今、起訴するかしないかというところに影響しているんだとすれば、これは非常に重要なところです。 いわば、ちょっと言い方が適切かどうかわかりませんが、起訴するかどうかでそこをコントロールしてしまっているのが今の状況だとしますと、逆に言うと、今まで、裁判官裁判のときと同じような率で起訴されていたとしたならば、もしかしたら有罪率が逆に下がるかもしれませんね、裁判員裁判をやった結果。 今、裁判員裁判による有罪率は九九%を超えているんですよ。変わりません、これは。裁判官裁判だった時代も九九%以上、今も、裁判員裁判でも九九%以上、この有罪率は維持されているんです。 これは、言い方は悪いですが、起訴率によって有罪率をコントロールしているんだとすれば、それは非常に裁判員裁判における大問題でありまして、もし今までどおり起訴していたら、有罪率が下がっていたかもしれない。 このあたり、非常に検証が必要な問題だと思いますが、大臣、どのように認識されていますか。
○上川国務大臣 先ほど、殺人罪等について、内心について問いかけるというのは非常に難しいと。そういう中で、法と証拠に基づいて裁判をするということでありますので、そういう意味では、有罪率とかそういうことも含めまして、やはり裁判所において適正に判断され、また、起訴におきましても、そうした問題意識でしっかりと取り組んでいるというふうに思います。 コメントを私からということでございますけれども、今、事実としてデータを示していただきましたし、いろいろなデータがクロスしながら比率について出していらっしゃるということもございまして、そういう意味では、そこから、裁判員裁判においてはこうかというような形で導き出すというところまでは、私としては十分なる判断ができないということでございます。 いずれにしても、法と証拠に基づいて的確にやっていくということについては、いかなる場におきましてもそうすべきであるというふうに思いますし、運用としてもそういう方向でやっているというふうに思っております。
○重徳委員 これは、先ほど委員長御自身もおっしゃいましたけれども、明らかに検証が足りない部分だと思います。刑事局長も、一概には言えないという御答弁ですし、今大臣も、十分判断できない、そういう御答弁でございました。一体、この五年間、六年間の裁判員裁判をどこまで検証したのか。そして、明らかに著しい変化が出ている数字に対して、十分な検証が行われないままに今回の法改正に至っていると思います。 今回の法改正の中に、本来は、そのあたりも含めて検証した結果を、その課題に応えた内容として法案に盛り込むべきであると思いますし、今後も、引き続きこの部分については不断の検証が必要であると私は考えます。 いずれにしても、現時点で、このことについて、起訴率の低下について、検証が全く不十分であるということはお認めいただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 委員御指摘ございました、起訴率の低下の要因の分析についてということで、検証につきましては不断にしていくべきだという、私も、その問題意識は大変重要であるというふうに考えておりますので、そういう意味で、必要性の有無も含めまして検討してまいりたいというふうに思っております。
○重徳委員 今のは、つまり、この委員会においてもしっかり検証を行っていくという御答弁と理解してよろしいでしょうか。
○奥野委員長 理解していいと思います。 さっき申し上げたとおりで、データだけ出てきていて、読みがないわけですよ。だから、その読みを、二週間時間がありますから、その間にしっかりやっていただいて、ここで議論していても前へ進まないから、もう少し時間を置いてからやったらいかがですか。ちゃんと仕切りますから。
○重徳委員 ありがとうございます。ぜひとも、法務省、裁判所あわせて、きちっとこの場でも、委員会においても検証してまいりましょう。よろしくお願いいたします。
○奥野委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いします。 今の重徳委員と、さきに山尾委員が御指摘された起訴率の件なんですが、私は、やはり起訴にかかわることですので、起訴率の低下というものは、起訴する権限を有している検察の姿勢、体質、そういうものが一つ検証の材料として上がってくるのかなということを、今質疑を聞いていて感じました。 きょう、私からは、検察のあり方にもかかわってくるんですが、まず、開示された証拠の目的外使用の禁止ということについて伺いたいと思います。 この法改正は、裁判員制度を導入する、従前よりも証拠をたくさん公開するようにする、そのことによって裁判の充実と迅速化を進めていくという方向性の中で、では、証拠をより速く、よりたくさん出すのであれば、目的外に証拠を使わないでほしい、そういう趣旨でこの法改正があったと承知をしております。 ただ一方で、この目的外使用というものは、その運用をめぐって、弁護側また報道関係から大きな反発がありまして、公明党さんを中心に、その禁止のあり方については慎重に判断をしていくという追加の条項が設けられたという経緯もあります。 そこで、きょう伺いたいのは、これもニュースにさんざんなっている件なんですが、平成二十三年の七月に、大阪地裁の裁判員裁判で、傷害致死被告事件だったんですが、無罪判決が出た。この判決が確定をした後に、その弁護人を務めていた方が、当時証拠として提出された、被告人だった人の取り調べの様子を撮影した映像をNHKに提供した。それをNHKが、検察官の顔や当事者の顔をぼかして、そういったプライバシーに配慮をして放送いたしました。 しかし、このことについて検察は、目的外使用に当たる、罰則までは問えないが法に違反するということで、大阪弁護士会に懲戒請求をした。懲戒請求の理由としては、弁護士としての品位を欠く行為だと。そういうことがありました。 私は、この報道が、判決が確定してから全てが動き出している、VTRの放送に当たって裁判当事者の合意を得ることにも努め、そして、この証拠の映像は裁判無罪の決め手となった、被告人だった方の供述の信用性を決め手とする、これは公にする意義がある、この裁判をわかってもらう意義がある、証拠の取り調べ状況を可視化するということがどれだけ大切なことかを世に問う意味がある、そういうことで、NHKの放送と弁護士の意向があったと思います。 そうした裁判の趣旨を国民に広く理解してもらう、裁判制度のあり方を広く国民に考えていただくという機会がどうして弁護士の品位を著しく欠くというものになるのか。局長、まず答弁をいただきたいと思います。
○林政府参考人 この懲戒請求は、平成二十五年五月二十三日に御指摘の懲戒請求がなされたものと承知しております。これにつきましては、当該行為が法に定める目的外使用に当たるということで、その懲戒請求を行ったものでございます。 この懲戒請求に対しましては、二十六年一月十四日に、まず、懲戒の前段階であります、大阪弁護士会綱紀委員会が、目的外使用に当たるものの、懲戒の必要はないという形での議決をなされたということを承知しております。 以上でございます。
○井出委員 承知は私も承知をしているんですよ。この行為が弁護士として品位を欠くものであったのかということを伺っているんです。 この法律ができたときに、国会の議論の中で、先ほど申し上げましたが、修正が加えられている。これは、刑訴法の二百八十一条の四の二項という項目が修正によって加わっているんですが、この規定に違反した場合の措置について、「被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、」この後なんですが、「その取調べの方法その他の事情を考慮する」とあります。 このVTRは、被告だった人の、検察官が作成された調書とその取り調べの実態の違いを明らかにするものでありました。 そして、もう一つ、この法律が成立をしたときに、国会で附帯決議がついております。参議院の附帯決議を読み上げますと、その中に、「開示された証拠の目的外使用の禁止条項の運用に当たっては、制度の趣旨を十分踏まえるとともに、裁判公開の原則並びに被告人及び弁護人の防御権にも十分配慮するよう周知徹底に努めること。」と。 裁判の実態、問題点を広く世に問うことは、私は大いに認められるべきだと思う。それを、弁護人の品位を欠いている、そういう捉え方を、法と正義を守る検察官がするということは、私は著しくおかしいと思うんですよ。 品位を欠いているのは、むしろ、そのときの大阪地検、検察側じゃなかったか、そう言いたいんですが、どうでしょうか。
○林政府参考人 刑事訴訟法二百八十一条の四の二項に、前項の規定に違反した場合の措置について考慮事項が書いてございます。その事情についてはそのとおりでございます。 大阪地検において、これを踏まえた上で懲戒請求がなされたものだと思います。それを受けて、当該請求を受けた大阪弁護士会綱紀委員会においては、目的外使用に当たるものの、懲戒の必要まではないという形での議決をされたということだと思います。 これについて、懲戒請求の適否自体について法務当局から何かコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井出委員 この問題をもう少し一般化して考えますと、被告人の取り調べ調書の作成と取り調べの様子の実態が違っていた、検察にとって問題のある事実が明らかにされた一件だったんですが、この懲戒請求を大阪地検がされたということは、よく検察は、一度やったことは後に引けない、間違いを認めない、そういう組織であるということがかつて言われたことがあります。その最たるものは、村木さんの無罪事件、その後さらに発覚した証拠の改ざん事件。 私は、検察官の皆さんは、お一人お一人、現場で一生懸命お仕事をされていると思います。特に刑事事件に当たっている方は、被害者の心情も踏まえて、精いっぱい立証に取り組んでいると思います。 しかし、村木さんの事件の教訓、誤りがあったときに認める、引くべきところを引く、組織としてそういった体質になっていかなければ、現場で一生懸命頑張っている検察官一人一人が仕事がやりにくくてしようがないだろうと。 引くことを認めない、誤りを認めない検察という組織の姿勢がこの懲戒請求にあらわれていると思うんですが、どうでしょうか。
○林政府参考人 当該個別の事件において、大阪地検において、これは懲戒請求をすべきであるという判断をされたこと、これについて法務当局から何かコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井出委員 この大阪の懲戒請求は、私は、きょうは一例として取り上げていて、今問いたいのは、村木さんの件もありました、この大阪の件もあった、そして、もっと言いますと、先ほど重徳委員、山尾委員が問題にしている起訴率の低下。これは、起訴の権限を持っている検察官のやり方、考え方というものも一つ背景にあるのではないかと思うんですよ。 私は、引くことをしない、誤りを認めない検察が、重徳委員、山尾委員がどうお考えなのかは申しませんが、その件に関しての私の思いを申せば、有罪率が下がることをよしとしない、公判で誤りを認めたくない。そこに、失敗は許されない、失敗は認められない、そういう検察の体質が出ているんじゃないか。そこを、裁判員裁判が始まって六年、ここで見直しをする。 私は、広く裁判というものが国民に理解をされていくということは、裁判員が単に参加するだけじゃないと思うんですよ。検察の姿勢、取り組みというものも、司法に対する国民の理解が広がる大きな要素だと私は思っております。どうですか。
○林政府参考人 こういった裁判員制度の導入を初め、数々の司法制度改革がございました。それに対して、検察として、その趣旨に沿うような形で検察権の行使をすべきことは、委員御指摘のとおりであろうと思っております。 その上で、検察においては、検察の立場として、単なる当事者ではなくて、やはり、公益の代表者として、あくまでも法と証拠に基づいて適正に検察権を行使すべきであるというその姿勢については、この間、絶えず組織としても、そういったことで検察権の行使をするということで、さまざまな改革等を行ってきたものと承知しております。
○井出委員 さまざまな改革に取り組まれてきたと。確かに、その最たるものは、私、最近でいえば、やはり村木さんの件だったと思います。無罪が出て、その上で、後日、証拠の改ざんという事実が明らかになって、そこで検察は再スタートを切らなければいけないと。その中で、この弁護士の懲戒請求、検察が、自分たちの誤りを認めない、こういうような対応をするというものは甚だ疑問です。 開示された証拠の目的外使用については、再審事件、かつての足利事件、そして袴田さんの事件、再審が始まってからは、無罪と推認されるような証拠がテレビでも出ますよ、支援者の集会でも出ますよ。しかし、そうした証拠の写真とか映像を弁護人の方が支援者の理解の一助に使おうとしたときに、そこで検察から暗にストップをかけられる。そこのストップに応えないと、再審の決定に影響が出るんじゃないか、再審公判の中身に影響が出るんじゃないかと、弁護人はそこで自重せざるを得ないわけですよ。 私は、そういう体質を自覚されているのかと。不断の改革というものを続けていかなければいけないと思いますが、いかがですか。
○林政府参考人 この目的外使用の条項につきましては、少なくとも、目的外使用を禁止するということの条文がまずある中で、委員御指摘のとおり、そういった禁止規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ等々、さまざまな事情を考慮するというふうにあえて第二項でつけ加えてあるということでございます。 基本的に、開示された証拠の目的外使用についての禁止というのは、ある意味で、被告人の防御権でありますとかその他の活動との間のバランスで慎重に考慮されなくちゃいけないからこそ、こういった第二項がつけ加えられているものと思います。そういったことは、当然、検察権の行使においても踏まえるべきことであると思います。 それで、具体的な当該事案においてどのような対応をしたかということにつきましては、それは法務当局からコメントすることはできませんけれども、いずれにしましても、検察権の行使が適正なものであることの取り組みというのは今後とも不断に行われていかなければならないことであることは、そのとおりであろうと認識しております。
○井出委員 この二百八十一条の四の二項という項目は、国会の議論の中で追加をされたものでございます。それを、柔軟に慎重にそこをよく踏まえていただく運用がされないのであれば、これは再び法改正の議論をしなければいけないんじゃないかと私は思います。 大臣に伺いたいのですが、私は、今のやりとりの中で、裁判、司法に対する国民の理解を深めていくということは、必ずしも裁判員が参加するだけのことではないと思うんです。裁判員が参加されて、その方が、参加された方がいい経験をしたと。でも、それは全国民の中からしたらほんの一部であって、多くの国民に司法、裁判への理解を深めていただくというときに、このテレビの、NHKの放送もそうなんですけれども、検察の役割、検察の取り組みというものは非常に重要だと考えておりますが、大臣の感想をいただきたいと思います。
○上川国務大臣 一連の刑事訴訟の手続の中で、裁判員裁判が導入されるということで、この六年間、非常にいろいろな角度から検討していただきながら、実際に運用してきているということでございます。適正な手続をしっかりと国民の皆様にも理解をしていただき、また裁判員裁判にもしっかりと参加をしていただく、そのためのさまざまな工夫ということについては、検察のみならず、法曹三者も含めまして、いろいろ協力をいただきながら、また議論いただきながら前進してきているというふうに思っております。 証拠開示の規定につきましても、やはり、法と証拠に基づいてという法の趣旨をしっかりと生かすことができるようにしていくということが何よりも大事なことであるというふうに思っております。
○井出委員 これから取り調べの可視化の議論ですとかそういうものが始まりますが、今の日本の刑事裁判において検察の果たしている役割というものは非常に大きいわけですから、そこのところはこれからもずっと、どんなにうまくいっているときでも、常に、組織のあり方、方針というものを不断の見直しをする、そういう姿勢を持っていただきたいと思います。 もう一つ、裁判員裁判の関係で取り上げたいのが、先ほどの議論にもありましたが、裁判員の判決が上級審で覆ることであります。 その最たるものは、先ほど遠山委員から御指摘のあった、裁判員裁判で死刑となった二件が高裁で無期懲役になって、それが確定をした。その案件は、先ほど遠山委員からお話があったように、死刑というのは究極の刑だから、公平性が大事だと。 もう一つ例を挙げますと、死刑に限らず、求刑の一・五倍の判決がなされた事件についても、それを最高裁が破棄したという事例が、平成二十六年七月二十四日の最高裁の判断としてあります。このときも、ほかの裁判結果との公平性が保たれた適正なものでなければならず、過去の量刑傾向を共通認識として評議を深めることが求められると。死刑を破棄したものと趣旨は近いのかなと思っております。 ただ、その一方で、最高裁が検証報告書というものを平成二十四年十二月に、最高裁判所事務総局が作成をしているものなのですが、それを見ますと、控訴審の高裁の対応の中で、高裁が一審判決を受けて被告人質問や証拠調べ、これをあわせて行うようなケースは、裁判官時代は四一%、それが裁判員裁判の場合は二三・九%に減っていると。 この報告書の中でも明確に言われているんですけれども、控訴審として高裁が許容すべき第一審、裁判員裁判の量刑の裁量の幅というものは、制度が始まる前よりもかなり広くなるという共通認識が得られていたといっていいと。これは、裁判員裁判の判決を尊重しろと一般的に言われている部分だと思います。 死刑や懲役の極めて長い事件について、判決がひっくり返って、それが大きなニュースになる。その一方で、懲役がそんなに長くないと言ったらちょっと語弊がありますが、例えば傷害致死事件を例にとれば、裁判官だけのときを振り返ると、判決のピークというものは、傷害事件は懲役三年から五年だった、そういう指摘もあります。それが、裁判員裁判では懲役五年から七年以下に上がっている。傷害致死事件ですとか性犯罪というものが罪が厳しくなっているということは、これまでの議論の中でも、最高裁からもそういう事実、データとして御答弁があったと思うんです。 ですから、私は、量刑の極めて重いものに対して、公平性が広くニュースとして、国民も関心を持つところになっている一方で、懲役の短いものについては、高裁、二審がその重罰化を黙認している。 私は、判決の量刑の基準といいますか、その結果がここへ来てダブルスタンダードになってきている、これは深刻に考えなければいけない問題だと思いますが、まず、最高裁に見解を伺いたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 委員御関心の点につきましては、平成二十四年の、裁判官が行いました司法研究がございまして、その中では、「死刑も量刑問題の一つであるから、一般の量刑についての審理・評議の進め方と基本的には異ならない」としつつ、「死刑の特殊性は、懲役刑の刑期のように数量的な連続性がない、いわば質的な問題であるというところにある。」と指摘されております。 また、最高裁平成二十七年二月三日第二小法廷決定は、「死刑は、懲役、禁錮、罰金等の他の刑罰とは異なり被告人の生命そのものを永遠に奪い去るという点で、あらゆる刑罰のうちで最も冷厳で誠にやむを得ない場合に行われる究極の刑罰であるから、昭和五十八年判決で判示され、その後も当裁判所の同種の判示が重ねられているとおり、その適用は慎重に行われなければならない。」「他の刑罰とは異なる究極の刑罰である死刑の適用に当たっては、公平性の確保にも十分に意を払わなければならないものである。」と指摘されておるところでございます。
○井出委員 死刑と懲役の著しく長い刑について、最高裁が裁判員裁判の判断について、過去のもの等をよく見なければいかぬ、そういう判断を出している。一方で、そのほかの事件と言いますと言い方がちょっとまた適切ではないのかもしれませんが、裁判員裁判によって罪が重くなっているものについて、高裁はそれをそのまま尊重しているというケースがある。 私は、これは、死刑を含めた極めて重要なものだけ判例重視ということがぱっと広がって、その陰で、ニュースにならない事件の懲役は裁判員裁判の前と後ではっきりと変わっているものがある、ここはしっかりと検証のテーマの一つに上げなければいけないんじゃないか、よく検証する必要があると思っているんですよ。どうでしょうか。
○平木最高裁判所長官代理者 死刑は究極の刑罰でございますので、検討対象としやすいのでございますけれども、有期懲役刑、十年とか五年とかいった有期懲役刑になっております事案につきましては、事案の個別性が強くて、一概に裁判官裁判と裁判員裁判を比べて重くなったという評価もなかなか難しいところでございます。
○井出委員 私は、裁判員裁判が始まって、その対象事件について今までずっと御説明をいただいてきましたけれども、やはり、その対象事件というものを罰則の極めて重いものに限定している、そういう限定をした理由は今までいろいろあったと思うんです、結果からすれば。 ですから、国民の関心ですとかそういうところが量刑のところに今行っているという現状は、やはり裁判員裁判の対象事件の選び方にかかってくる部分が大きいんじゃないか。そこを、私もまだ結論を得ているわけではないんですけれども、裁判員裁判の対象事件というものが今のままで本当にいいのかというところは、いまだに強い疑問を持っております。 きょう、資料を一枚持ってきたんですが、昭和三十四年十二月十七日の朝日新聞なんですね。これは、あの有名な砂川事件の最高裁判決が出たときの朝日新聞の紙面で、右側は東京地裁の裁判長が取材に答えられて、左側は最高裁の長官がインタビューに応じられている。 その中で、私がピンク色でマークをつけているところは後で皆さんに読んでおいていただきたいんですけれども、国民感覚というものを取り入れる何か一つの深い示唆をいただいていると思うんです。 私は、この記事をちょっと見たときに、まず、当時のこの裁判の方がよっぽど、これだけ裁判官もニュースに出てきて、国民に開かれて、国民に身近じゃないかなと思うんですよ。国民の関心が高いものに対して、きちっと答えている。 国民の関心の高いもの、社会への影響の大きいもの、それは、決して刑事裁判の罪の重いものだけではなくて、過去の私の質問の中で、本当に裁判員にふさわしい事件とは何なのか、まずそこからの議論だということは大臣からもお話しいただいているんですが、今私が申し上げたように、死刑を含めて極めて罪の重いものに対して公平性だということがオープンに出ている、それ以外のものに対しては余り注目もされない中で厳罰化になっているものがある。 そういう現状もよく見ていただいて、この対象事件というものは、これはかなり本当に深い議論をやっていかなければいけないと思いますが、大臣の感想をいただいて、終わりたいと思います。
○奥野委員長 もう時間が過ぎているんですが、短くやってください。
○上川国務大臣 裁判員裁判で対象事件をどのような範囲にするかということについても大変大きな御議論の上でスタートして、六年ということになります。 こうしたこと、今の犯罪の状況等も照らしながら、いろいろな角度で裁判員裁判の対象事件ということについても考えていく必要があるというふうに考えております。
○井出委員 終わります。ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。 一昨日、私は、冤罪事件をテーマにした院内集会に出席いたしました。ここにおられる多くの委員も参加をされておりました。袴田巌さんの事件など、関係者の方々がお見えになりまして、人生を取り戻せないという無念の思い、冤罪はあってはならないということを訴えておられました。関係者の方々から冤罪がつくられていく過程をリアルに伺って、改めて、冤罪を許してはいけないという思いを強く持ちました。 刑事裁判に国民が参加する裁判員裁判が、無罪推定の原則を貫き、国民の社会常識、市民感覚をよりよく反映させ、事実認定を適正化する制度となるよう、特に冤罪がつくられないよう、制度的に保障することが必要だと考えます。 上川法務大臣に伺います。 裁判員制度は国民の参加が大事だと大臣はおっしゃっておられますが、その意義についてどのようにお考えか、伺います。
○上川国務大臣 裁判員裁判の意義につきましては、一般の国民の皆さんが裁判の過程に参加をしていくということを通じて、裁判の内容に国民の健全な常識、社会常識、こうしたことがより反映されるようにしていくということ、それによりまして、国民の中で司法に対しての理解、支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようにするということがこの意義というふうに考えているところでございます。 今、委員から、幅広い国民の参加が重要ではないかということでございますが、そうした制度趣旨から考えてみましても、裁判員等の選任手続におきましても、できるだけ多くの国民の皆さんに出席をしていただき、できるだけ幅広い層の国民の中から裁判員が選任されていくということが望ましい、その意味での手続が定められているというふうに考えております。
○畑野委員 今、上川大臣から、できるだけ多くの国民の皆さんが参加できるようにということが御答弁としてありました。私もそう思います。 被告人が冤罪を訴えている事件は、本来、裁判員裁判の対象とするべきだと私は思いますが、現行法では、死刑、無期の懲役、無期の禁錮などの法定刑によって対象の範囲を限定しております。 上川法務大臣に伺いますけれども、法定刑で限定している趣旨はどういうことでしょうか。
○上川国務大臣 先ほど裁判員制度の趣旨ということで申し上げたところでございますけれども、国民の皆さんの感覚を裁判に反映させる、さらに司法に対しての国民の皆さんの理解と支持を深めていくということでございまして、こうした趣旨に鑑みますと、国民の皆さんの関心が高くて社会的にも影響が大きい、法定刑の重い重大事件を対象とすることが相当ではないか、そうした観点から対象事件が定められたというふうに考えております。
○畑野委員 今、上川大臣がお話しになりましたように、国民の関心が高い重大事件こそ、国民参加が本当に大事になってくる、多くの皆さんに参加してほしいということだったと思います。 法務省に伺います。 現在の裁判員裁判において、長期にわたった事件についての典型例の概要を御説明ください。
○林政府参考人 これまで実施された裁判員裁判の中で、審判が長期間または多数回に及んだ事案といたしましては、裁判員の職務従事期間が百三十二日、公判期日が二十九回となった神戸地裁における殺人等被告事件や、職務従事期間が百日、公判期日が三十六回となったさいたま地裁における殺人等被告事件、また、職務従事期間が九十七日、公判期日が十九回となったさいたま地裁における組織的犯罪処罰法違反等被告事件、さらには、職務従事期間が七十五日、公判期日が二十回となった鳥取地裁における強盗殺人等被告事件等が挙げられるところでございます。
○畑野委員 それでは、今回の裁判員法改正案について伺います。 先ほどから各委員からありましたが、法案では、著しく長期にわたる事件を裁判員裁判の対象事件から除外するとしております。著しく長期にわたる事件はどのような事件を想定されているのか、著しくというのはどういう基準なのか、伺います。
○林政府参考人 裁判員制度の趣旨に照らして、できるだけ広く裁判員裁判を実施すべきであるという観点からしますと、これまで裁判員の参加する合議体で審判することが可能であった事案と同程度の事案につきましては、今後も、通常、裁判員の参加する合議体で取り扱われることとなると考えられます。 そのため、今回の法律案第三条の二によって除外しようとする事件につきましては、裁判員制度の施行後、現在までには生じたことのない審判期間を要するものとなりまして、こういった事柄の性質上、具体的に審判期間がどの程度になるか、どの程度が著しく長期に当たるかというようなことの基準を示すことは困難でございます。したがいまして、この著しく長期に該当するか否かは、個別具体的な事情に基づきまして、裁判所において判断されるべきこととなります。 なお、こういった形で、これをどのように認定していくか、除外決定を行うかという観点につきましては、やはり具体的に、法文上、「他の事件における裁判員の選任又は解任の状況、」また「裁判員等選任手続の経過その他の事情を考慮」するとされておりますところから、施行後、当分の間におきましては、実際に裁判員等選任手続を行いまして、その上で、審判期間が長期となる見込みであることを理由として裁判員になることの辞退の申し立てが相次ぎ、必要な員数の裁判員を選任することが困難であると認められるときなどに除外決定を行うことが想定されると考えております。
○畑野委員 長い条文をお読みいただきましたが、皆さん、わかりますか。 確認ですけれども、長期にわたった事件が、最初に御説明ありました百三十日、百日。それは、著しく長期にわたる事件には当たらないわけですね。確認です。
○林政府参考人 立案当局といたしましては、これまで可能であった事案と同程度の事案につきましては、今後も通常の裁判員の参加する合議体で取り扱われることになると考えております。
○畑野委員 そうすると、今回、著しく長期にわたるということに、これまでの長期にわたる事件が当たらないのはなぜということになりますか、簡単に言うと。確認です。
○林政府参考人 今回の法案、法文で、裁判員等選任手続の経過などに鑑みということの考慮事情がございますが、これまでの事案につきましては、実際に裁判員等選任手続を実施いたしまして、裁判員の選任の確保ができた事案でございます。そのようなことから、除外決定という要件には当たらないものと考えております。
○畑野委員 まだ起きていないということでございますけれども、本当に、基準も曖昧だと各委員からもあったとおりだと思います。私も思います。 それでは、裁判員裁判において、著しく長期にわたる事件として除外するかどうかを判断する権限を持つのは誰ですか。
○林政府参考人 法律案の規定上、これは地方裁判所とされておりまして、具体的には、当該事件の公判審理を担当する受訴裁判所、訴えを受ける受訴裁判所とは別の裁判官の合議体が判断する権限を持つものでございます。
○畑野委員 つまり、結局、裁判所が判断するということですよね。裁判員裁判から除外するかどうかという審理にそもそも国民が参加できていない。おかしいじゃありませんか。 不明確な基準で、しかも、職業裁判官が裁判員裁判の対象事件を決するということは、大臣もおっしゃられた、国民が参加する、多くの皆さんが参加するという裁判員制度の前提そのものが壊れてしまうということになるんじゃありませんか。 著しく長期にわたる事件であったとしても、参加できる国民はおります。著しく長期にわたる事件を除外するということは、裁判員裁判への国民参加の機会を奪うことになるんじゃありませんか。いかがですか。
○林政府参考人 今回の除外決定をなし得るにつきましては、裁判員等選任手続の経過等さまざまな事情を考慮して、裁判員の選任が困難であるなどと認められる場合でございまして、その要件は厳格なものとなっていると考えております。 そして、これまで実施された裁判員裁判の中で審判に要する期間が長期にわたった事案と同程度の事案につきましては、通常、裁判員の参加する合議体によって取り扱われるものと考えております。 こういった形で、法律案で除外の対象となるのは極めて例外的な場合であると考えられます。 その中で、こういった極めて例外的な場合に限られるわけでございますが、そういった場合に、たまたま、個々の国民においては、裁判員となること、裁判員として裁判に参加したいという希望を持っておられる方も当然存在されると思いますけれども、制度としては、やはり、多くの国民にとって、その事案が、裁判員となることが極めて負い切れないような過重な負担となるような場合に、それを裁判員裁判としてあくまでも実施するということは、裁判員制度導入の趣旨として適切とは言えないと考えております。
○畑野委員 誰が参加するか参加しないかというのは、国民みずからが決めるわけですよ。国民参加を、その権利を奪うことになるじゃないかというそもそもの法律の問題、法案の問題を言っているんです、私は。 このような公判審理に著しく長期間要するような非常に複雑な事案、大事な事案こそ、裁判員裁判は実施されるべきだと思いますよ。だって、著しく長期にわたる事件を裁判所の判断で勝手に裁判員裁判の対象から除外してしまえば、裁判員裁判に期待されている、先ほど大臣も言われた、事実認定などに裁判員が社会常識とか市民感覚を反映させるということができなくなるじゃありませんか。 私は、裁判員の負担軽減ということについて申し上げたいと思うんです。 そもそも、裁判員制度を施行したことというのは、人を裁くという重責を担う決意を国民の皆さんに迫ったんですよ、お願いしたわけですよ。一緒にやろうと誓い合ったわけじゃありませんか。このように国民の皆さんに重大な決意を迫った以上、その真摯な決意に応えるように、制度的な手当てをして、環境整備をするのが道理ではないかと思うんです。 私は、幾つか、こういう改革、改善が必要だと思うので申し上げますけれども、一つは、例えば、裁判員選任手続で、公正迅速な裁判における裁判員等の重要な役割をきちんと知らせるということ。二つ目に、裁判員等に選任された場合、裁判所が主体となった、職場のサポート体制など、職場保障の改善強化をすること。裁判所の周辺に保育所や学童保育を整備すること、今、裁判員ママということにもなるわけですから。また、介護施設を整備することなどですね。それから三つ目に、公判前整理手続段階から検察官手持ち証拠の全面開示をすること。四つ目に、検察官、弁護人双方の体制を強化することなど、できる限り裁判員が裁判に参加できるような体制を構築することによって、今ある問題を解決するべきだと考えるんです。 最高裁に伺いますけれども、いただいた二〇一三年の最高裁の資料によりますと、辞退が認められた裁判員候補者数の内訳は、事業における重要用務が二七・六%となっておりますね。裁判員等に選任された場合に、裁判所が主体となって、職場のサポート体制など、職場保障の改善強化をするべきではないかと思いますが、いかがですか。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判員等に選ばれた方とその方の職場との個別の関係につきまして、裁判所が主体となって裁判員等の方の職場を保障するためのサポートをすることは、労使関係への介入となるおそれがありますので、行うことができないと考えております。 もっとも、各地の裁判所におきまして、裁判官が企業等に出向いて説明等を行う出前講義を行っておりまして、一般的に、国民の方々の協力が裁判員制度を支える基本的な要素であり、多くの方に裁判員として裁判に御参加いただくことが前提となる制度であることなどを、実際の裁判員制度の運用状況や裁判員経験者の声等の紹介を交えながら説明するといった取り組みをしておるところでございます。 裁判所といたしましては、企業の関係者に従業員が裁判員裁判に参加することの意義を御理解いただけるよう、引き続き、こうした広報活動に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○畑野委員 できることを本当に全力でやるということを求めたいと思うんです。 上川法務大臣に伺います。 四月二十二日のこの委員会で、大臣は、辞退率上昇について各委員が質問されて、環境整備が必要であると答弁されましたが、具体的な対応について伺いたいんです。特に、職場のサポート体制など、職場保障の改善強化についてどのようにお考えになりますか。
○上川国務大臣 先ほど、冒頭の御質問にあった、国民の皆さんの一般の感覚を司法の中に生かし切る、この裁判員制度そのものの趣旨ということになりますと、やはり多くの皆さんに御参加をいただくということが何よりも大事なスタートということでございます。 積極的に御参加いただくということになりますと、裁判員になるという観点の意識を持っていただく、あるいは知識を持っていただくということと同時に、裁判員として送り出す側の企業の皆さんにおきましても、この意義ということについての十分なる御理解をいただくということが大切であるというふうに思っております。その意味では、この間、広報活動についても力を入れてきているところでございますが、まだまださらなる補強をしていかなければいけないというふうに思うところであります。 裁判員になることの不安の一つとして、仕事と両立をすることができるかどうかというのも、アンケート調査にもそうした御指摘がございました。その意味では、裁判員の仕事をしていただくに当たってお休みをとっていただくということにつきましても、これは法律で認められているところではございますが、さらに法務省のウエブサイトなどにおきましても、さまざまな説明会におきましても十分に御理解いただくようにしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。 また、従業員の皆さんが裁判員の職務を行うために休暇を取得したということを理由にした解雇等の不利益な取り扱いにつきましては、現行法でも禁止をしているということでございますので、こうした面につきましても十分なる徹底を図っていきたい、また、御協力をいただくことができるように環境整備をさらに拡充していきたいというふうに考えているところでございます。
○畑野委員 裁判員制度が始まってもう六年になるわけですよね。ですから、本当にこれをやられてきたのかということが、皆さん、問われているというふうに思うんです。 附帯決議がこの衆議院の法務委員会でも出されてまいりました。二〇〇四年の附帯決議では、「国民の理解を十分に得て、国民が自ら進んで裁判員として刑事裁判に参加してもらえるよう、関係省庁間において的確に連携協力する」とか、それから二〇〇七年には、「国民や企業等に対する周知徹底が十分なされるよう」、さらに「国民が裁判員として刑事裁判に参加しやすくなるよう、刑事裁判の更なる迅速化に向けた工夫を行うほか、有給休暇制度の促進及び保育・介護施設等の環境の整備に努めること。」こういうことが言われてきているわけですよね。 ですから、こういう点では、上川大臣、きょうの今までの議論も、また皆さんの議論も踏まえてなんですけれども、裁判員法の問題点、こういうふうに変えなくちゃいけないという点はもっともっと検討するべきじゃないかと思うんですが、大臣の御認識はいかがですか。
○上川国務大臣 今委員が御指摘いただいたこと、また附帯決議にも盛り込まれているところでございます。こうしたことについても、改善ができるように、今の実態についての評価も重ねながら、運用をしっかりとしていくべく努力を重ねていきたいというふうに思っております。
○畑野委員 日本の刑事裁判が自白偏重の裁判の結果、数多くの冤罪が生じて、大きな社会問題になっていることは周知の事実だというふうに思うんです。裁判員裁判は国民が参加して事実認定、量刑を行う制度ですから、国民の理解が得られているということが裁判員制度を運用していく前提だというふうに私は思います。 この裁判員制度の問題点については、政党だけでなく、日弁連、自由法曹団など法律家団体を初め諸団体やメディアでも、多くの改善すべき提起がされてまいりました。 現行法の問題点でいえば、対象事件の拡大をする必要があるとか、捜査全過程で録音、録画をすることとか、証拠の全面開示、あるいは守秘義務の限定などなど、たくさんの問題が提起をされているわけです。しかし、今回の法案で対象となったのはわずか四点ですよ、たくさんある中で。しかも、一点目、私はほんの一部だけ質問しましたけれども、これは極めて不当だと私は思います。 ですから、よりよい裁判員制度にしていくためには、真に国民のための制度にしていくためには、本当に国民の議論がないがしろにされてはいけない。今国会でこの議論がされたということを契機に、全面的に裁判員法を見直していく、そういう議論をするよう私は求めまして、質問を終わります。
○奥野委員長 次回は、来る五月十二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時六分散会