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186回国会参議院2014/03/13

予算委員会公聴会 第1号

発言数
298
登壇者
29
会派数
8
開催日
2014/03/13

会議録

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。  本日は、平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。  この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  本日は、平成二十六年度総予算三案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で着席のまま御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、経済・財政につきまして、公述人第一生命経済研究所主席エコノミスト永濱利廣君及び早稲田大学政治経済学部教授原田泰君から順次御意見をお伺いいたします。  まず、永濱公述人にお願いいたします。永濱公述人。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 第一生命経済研究所の永濱でございます。この度はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私はかねてから、日本の財政健全化のためには、まずデフレ脱却、経済成長、これが最も重要でありまして、そういった観点からプロビジネスな政策、これをいかに進めていくかということが重要と考えております。そういった考えの下、お手元の資料に、アベノミクスの現状と課題という資料を基に、僣越ではございますけれども、これまでのアベノミクスの評価と今後の課題について御説明させていただければというふうに考えております。  では、早速本題に入りたいと思います。  一枚おめくりいただきまして、まずアベノミクスの一本目の矢から御説明させていただきたいと思います。  こちらにつきましては、私、個人的には大いに評価をしているというところでございます。実際に足下までの株価の水準が表しているとおりなんですけれども、これについていろいろな意見がございます。アベノミクスの第一の矢は関係ないとかという話もあるんですけれども、実際に、お手元の資料の左側のグラフを御覧いただきますと、株価上昇のきっかけというのは、このグリーンの縦棒、いわゆる衆議院の解散発言、当時の野田首相がされたタイミングで急激にマーケットが激変しているということからすると、紛れもなく大胆な金融緩和の期待というところから円安、株高が始まっているということで評価できるというふうに思います。  足下の金融政策につきましては、今日銀の方で、今年の年末までにマネタリーベースを二百七十兆円まで増やしてインフレ率を二%に持っていくと、そういったような目標を掲げているわけでございますが、強いて課題を挙げるとすれば、仮に日銀が前提としているインフレ率を下振れしてくるというような状況になってきたら、やはりこれは積極的に追加の緩和をしていくという必要があると。さらには、まさに足下で今日銀がやっている大胆な金融緩和というのはリーマン・ショック以降にアメリカが既に実施をしておりまして、これもアメリカですら金融緩和、五年程度必要だったということからすると、二〇一五年以降も金融緩和が引き続き求められるのではないかというふうに考えております。  一本目の矢につきましては、評価は以上でございます。  続きまして、二本目の矢、こちらにつきましては、私、個人的には非常に評価が分かれているというところでございます。具体的には、まず第二の矢ということで最初に打ち出されたのが、去年、真水十兆円の補正予算、これが打ち出されたわけでございますが、私、こちらにつきましてはやや規模が大き過ぎたのかなというふうに考えております。  一つの理由といたしましては、やはり国債の増発が必要になってしまったということ、さらには、今年の四月から消費税が引き上げられるというタイミングの中で大規模な十兆円の補正予算、特に公共事業が実施されるということからすると、逆に消費税が上げられるこの四月から公共事業が剥落することによって消費増税の悪影響を増幅してしまうと、こういったようなリスクがあったんじゃないかなというふうに思います。そういった意味では、十兆円の真水の補正予算につきましては、若干ちょっと規模が大き過ぎたのかなというふうに考えております。  ただ、それがやられてしまったという前提の下で考えれば、今回打ち出されております五・五兆円の追加の補正予算、こちらについては一定の評価をしていいのではないかというふうに考えております。  といいますのも、既に真水十兆円の補正予算が進んでいて、これが何もやらないと、まさに先ほど申し上げましたとおり、消費税を引き上げるタイミングで公共事業が減り始めて、場合によっては景気の腰折れにもつながりかねないという中では、今回の補正予算、さらに、中身を見てみると、公共事業のウエートは、あくまで私の計算でございますが、金額でいうと二兆円は下回ってくるんじゃないかなということで、ほかにも減税ですとか幅広い内容が含み込まれておりますので、ここについては一定の評価ができるのかなということでございます。  実際にアベノミクス始まってから一年強たつわけですが、実際に、二ページ目の右側の経済成長率のところを見ていただきましても、四四半期連続でプラス成長と。内訳を見てみますと、民間需要、公的需要、こういったところがプラスになっているということで、実体経済にも第一の矢、第二の矢の効果が出ているというふうに判断できると思います。  そうなりますと、先行きの経済を見通す上では、やはり今後の消費増税の影響がどう出てくるか、景気がどうなるかということが問題になってくるわけですが、その点につきましては次のページを御覧いただきたいと思います。結論から申し上げますと、九七年のような景気の腰折れというのは避けられるのではないかというふうに考えております。  まず、今回の消費増税の負担増、この金額を過去の消費増税のタイミングとの比較をしてみたものが三ページの左側のグラフでございます。これを御覧いただきますと、前回の九七年度の消費増税のときと比べて、当時は消費増税以外にも負担増がありました関係で八兆円を上回る負担になったわけですけれども、実は今回も負担増の規模でいうと遜色がないということでございます。  ただ、当時と大きく違うのは、やはり景気対策を今回は打ち出しているということでございます。先ほども申し上げましたとおり、五・五兆円の経済対策を打ったことによって、公共事業、去年大きく出たわけですけれども、今年についても名目ベースでほぼ横ばいぐらいで維持できるのかなと。それに対して九七年度のときには公共事業が二・七兆円ほど減っているということからしますと、こういったところが一つ大きな違いなのかなということでございます。  実際に消費税三%上げたときのマクロ経済への影響というのを右側のグラフで試算していますけれども、やはり消費税を無防備に上げてしまうと、この青い棒グラフにありますとおり、大きな悪影響が出ることが想定されるわけですが、今回の景気対策、減税も含めて、政府の試算では一%の押し上げ効果ということなんですが、私の試算ですと〇・七%程度と若干低くはなりますが、消費増税の悪影響を緩和するという意味ではそれなりに効果があるのかなというふうに判断をしております。更に付け加えますと、九七年の当時と比べると、やはり経済の環境が大きく違っているということも支援材料かなというふうに考えております。  次のページをおめくりいただきたいと思います。  アベノミクスについてはいろいろ光と影の部分もあるかと思うんですけれども、マクロ経済の経済指標で見てみるとやはり紛れもなく効果が出ているということでございまして、例えば四ページの左側のグラフでありますと、これは日銀短観の業況判断DIというデータでございますが、これにつきまして、これまでは、例えば小泉政権のときの戦後最長の景気回復、このときは実感なき景気回復というふうに言われたわけですが、その背景には、このグラフの手前のところにあるとおり、いわゆる最大の雇用の受皿である中小企業の非製造業、ここが景気回復局面でも一度きりとも水面上に上がってこなかったと。ここが要因だったと思うんですけれども、今回につきましては二十一年十か月ぶりにプラスに出てきているということからすると、これは紛れもなく実体経済に大きな効果が出ているのかなと。それを考えると、九七年のときと経済環境は大きく違っていると。  さらにもう一つ、アベノミクスの非常に大きなポイントとしては、取りあえずアベノミクスで去年は企業の業績が上がりました。今年の課題はいかに企業業績が増えた部分が分配に回るかというところだと思うんですけれども、昨日の春闘の集中回答の結果でもお分かりいただけますとおり、近年まれに見る賃上げが実現しそうであると。  実は、こういった結果というのは事前から予想されておりまして、具体的には、この四ページの右側のグラフにありますとおり、春闘の賃上げ率の結果はまだ出ておりませんが、大体その賃上げ率の結果と連動性の高いデータというのが毎年一月の末に労務行政研究所というところから発表されるんですけれども、このデータを見ますと、水準的にいうと十五年ぶりの水準まで賃上げ率は上がるというところからすると、いわゆる好循環という意味での分配というのもそれなりに出てきていると。  さらに、余り報道では出ていないんですけれども、今年、来年度ですか、四月からについては、これまで公務員の給与の削減の部分があったんですけれども、来年度からそれがなくなって元に戻るというところもありますので、マクロ的に見た賃上げというのは結構行くのかなという、そういった面でも消費税の悪影響というのは一時的にとどめられるのかなというふうな状況になっているということだと思います。  以上が第二の矢までの評価でございまして、第二の矢はやや限定の部分もありますけどおおむね評価できるという中で、やはり個人的に、私はこれからの大きなアベノミクスの課題と考えておりますのが第三の矢、成長戦略かと思います。こちらにつきましては、確かに非常に高い岩盤規制等ありましてなかなか踏み込みにくい部分ではあるとは思うんですが、今のところやはり踏み込み不足と言わざるを得ないと。  特に成長戦略でどういった部分が重要かと考えますと、やはり、私、個人的にはビジネス環境を整えるということが非常に重要と考えておりまして、そういった意味では、かねてから国内産業で指摘されている産業の六重苦、これをいかに解消するかというところだと思います。ここについて今後の課題を指摘させていただきたいと思います。  まず、六重苦の一つ目というのは異常な円高ということだったわけでございますが、これにつきましては、第一の矢が今のところ非常に効いているということで、ほぼ解消されているということでよろしいかと思います。ただ、六重苦の二つ目でございますね、こちらが高い法人税ということなんですけれども、こちらについては、やはりこれから踏み込みが期待される部分であるということだと思います。  五ページの左側のグラフにありますとおり、これはもう既に御案内のことだと思うんですけれども、法人税率非常に高いということでございます。やはり、国際的な、その平均的な水準で見ますと二〇%台半ばということでございますので、この部分については早急な引下げが求められるということでございます。  ただ、そうはいっても、法人税を下げるということからしますと、私、個人的には、一方で、法人税を下げると経済の活性化が進むことによって、法人税の減収分そのもの、全てをほかの財源で賄う必要はないと思うんですが、部分的には、やはり租税特別措置なんかを含めて一部財源確保することは必要だと思うんですけれども、今報道で出ているとおり、配当課税の強化ですとか、そういったところまで議論が踏み込んでしまいますと、まさにこれ、アベノミクスの重要な部分であるいわゆる民間への活力ですとか株価の上昇、こういったところに非常に大きなダメージを及ぼしてしまう可能性がございますので、ここの部分については踏み込んでいただかない方がいいのかなというふうに考えております。  続きまして、六重苦の三つ目でございますけれども、こちらは経済連携協定の遅れということでございます。  五ページの右側のグラフにありますとおり、これは主要国のいわゆる貿易額に占める経済連携協定を組んでいる国との貿易の割合を見たものでございますが、これは去年六月時点でのデータですけれども、日本はやはり発効・署名済みが非常に低いということでございます。ただ、一方で、TPPを始めとしていろいろな経済連携協定の枠組み、交渉参加しておりますので、交渉中のところは非常に増えているということでございますので、ここをできるだけ早急に発効・署名済みに変えていくということが必要になってくると思うんですが、ただ、特に足下のTPPにつきましてはなかなか難航しておりまして、その背景には、やはりアメリカが中間選挙を控えているということもあって、なかなかアメリカも折れないという状況からしますと、こういう状況の中で余り日本が譲歩をし過ぎて国益をそぐ形で早急な合意というのもかえって悪影響になってしまうかもしれませんので、そういったところはしっかりとやはり日本の国益を最大化させるという形での交渉が求められるというふうに考えております。  次が六重苦の四つ目でございます。次のページをおめくりいただきたいと思います。  四つ目は、労働規制が厳しいというところでございます。特に重要なのは、やはり正社員の解雇がしにくいというところだと思います。特に、正社員の解雇がしにくいというと、これを解雇しやすくすると一見リストラが横行するような感じで捉えられる向きもあるんですが、むしろ今の民間企業は正社員が解雇できないという、そういう下で若年雇用の採用に非常に慎重になってしまっておりまして、これが若年雇用の収入面とか所得面、雇用面の悪化をもたらして、ひいては少子化に拍車を掛けていると、そういった悪循環だと思います。解雇規制の緩和をしたとしても、実際に本当に解雇が横行してしまえばそういった企業には当然優秀な人材は集まってこないわけでございますので、そういった意味では、この解雇規制の緩和、これは早急に必要なことなのかなというふうに考えております。  ただ、そうはいってもなかなか難しい岩盤規制でございますので、諸外国のいわゆる解雇規制が緩い国を見てみますと、例えば六ページの右側にございますとおり、特に言われているのがデンマークですとかオランダというところがあるわけですが、こういったところはやはり解雇がしやすい一方で転職もしやすいと、そういう環境が整っているということだと思います。そういった意味では、今のところ政策としては、転職するときの助成的な政策は金額が増えてはおりますが、さらに職業訓練を充実させるですとか、あとは失業保険の給付をちょっと厳しくしたりするとか、そういった形でのいわゆる積極的な労働市場政策、これを並行的に進めていくことで、解雇がしやすい規制緩和、こういったことが求められてくるのかなということだと思います。  それからもう一つ、労働規制のところでいうと、ここは今、日本の公共事業の効果が出にくいというところと結び付いていると思うんですけれども、やはり建設労働者の不足、これが非常に大きな問題となっているということだと思います。実際、六ページの右側のグラフを御覧いただきましても、十年ほど前に比べて建設業の就業者は百二十万人減っておりまして、これから日本人で建設労働者を賄うというのは恐らく不可能だと思います。そういったことからすると、やはり足下では高度人材を中心に外国人労働者の受入れというのは進んでいるとは思うんですが、少しここの規制を緩くして、もう少し外国人労働者を幅広く受け入れるという政策が求められてくると思います。  実は、これは外国人労働者を増やすというところが最終目標ではなくて、例えば二〇二〇年以降の日本の財政を考えますと、やはり日本は将来的には移民を受け入れないと今のままの財政はもたないと思います。そういったことから考えますと、こういったいわゆる外国人労働者の受入れを広げる、さらにはオリンピックに向けて外国人観光客を増やすという形で、移民に対する国民の免疫というのを徐々に緩めていくことによって、将来的な移民受入れ、こういった議論が早急に出てきてもらうということを期待したいなというふうに考えております。  次のページをおめくりいただきまして、六重苦の五つ目と六つ目、これは環境規制が厳しい、エネルギーコストが高いというところでございます。  こちらにつきましては、いかにエネルギーコストを下げるかという意味では、やはり足下で天然ガスのジャパン・プレミアム、こういった問題がありますから、ここの部分をいかに下げるかという意味では、もう既にいろいろなところから、シェールガスとか、いろんな調達先の多様化というのを進めておりますが、ここをもっと、インフラ輸出のトップセールスみたいに積極的に国が交渉に前面に出ていくことによって交渉力を上げていくと、一刻も早くジャパン・プレミアムを解消するということが求められてくると思います。  さらには、規制緩和の面では、やはり発送電分離、電力自由化。これ、二〇一七年からの実施予定になっていますけれども、できるだけ早急に進めること。さらには、今足下で安くなっている石炭火力発電、これの有効活用、これも求められてくると。実際に既に新設も進んでおりますが、今のところの実際の稼働予定が二〇二〇年からということで非常に先になっていますので、これをできるだけ早められれば早めるということだと思います。  結局、エネルギー政策につきましては、十二ページの右側のグラフにあるんですけれども、やっぱりドイツが一つ参考になると思います。脱原発を打ち出しながらも原発の停止というのは徐々にしていく中で、石炭火力発電の比率を上げる一方で再生可能エネルギーを増やしていくと、こういう政策が非常に重要になってくるのかなということでございます。  以上申し上げましたとおり、アベノミクスにつきましては、第三の矢、こちらにつきましてはまだ踏み込み不足のところは否めないということだと思います。  一方、今週の月曜日に発表されましたとおり、経済成長率、昨年十―十二月期、下方修正されまして、今年度の経済成長率の達成の可能性がほぼゼロとなったということでございます。これというのは、やはり改めて経済政策に安倍政権は軸足をより深めてやっていかなければいけないと、そういうシグナルだと思いますので、是非とも今後のアベノミクスの推進、これが加速するということを願って、私からの御説明を終わらせていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) どうも永濱公述人、ありがとうございました。  次に、原田公述人にお願いいたします。どうぞ、原田公述人。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 早稲田大学の原田でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。  それでは、お手元の資料に基づきましてお話ししたいと思います。  まず最初に、スライドの三のところに予算の概念整理の問題というように書いてあります。これ、ちょっとこういう言葉がよかったかどうか分からないんですけれども、最初に主要経費別の内訳というのがあって、そこの合計で、これは国債費を除いたものなんですけれども、当初予算同士を比べて予算が伸びているか伸びていないかということが注目されております。ところが、実際には毎年ほぼ補正予算が組まれておりまして、その補正予算が増えることによってかえって歳出が増えてしまって財政規律が保たれないという問題があるのではないかというように思います。  もう一つの概念の問題なんですけれども、次の四ページに、国債費のところが利払い費と債務償還費に分かれております。この国債費の両方が財政赤字であるかのように言われているんですけれども、債務償還費というのは借金を返しているわけですね。ですから、家計で言えば、何か頑張って住宅ローンを余計に返すと、そうするとこれ赤字が増えるということになってしまうわけです。それはおかしいわけで、一生懸命借金を返したら、それは貯蓄、つまりマイナスだった貯蓄のマイナスが減るわけですから、これは貯蓄が増えたんだというように考えるべきであって、こういうふうに予算を考えるのはおかしいんじゃないかというように思います。というわけで、この予算概念をもうちょっと常識にのっとって整理した方がいいんじゃないかというように思います。  六ページで、このように言いますと、財務省の方の言い分というのは恐らく、補正後の総額と現在の予算とを比べますと必ず予算が減ります。そうすると、予算が減っているから駄目じゃないかということになって、結果的に増やしてしまうから、こうやってごまかしておいた方がいいんだというのが恐らく財務省の方の言い分なんじゃないかと思うんですけれども、そういうふうにごまかしてうまくやろうというよりも、もっと長期的なことを考えて、財政支出の長期目標を作ればこれは解決できる話であります。実際に、小泉政権から安倍第一次政権のときには長期の支出目標というのを作っておりまして、その中で支出を安定的にしたと、一方、金融の量的緩和政策によって景気が良くなりまして税収が増加いたしましたので、結局、財政再建に成功したという実績があります。  財政再建に成功していたんだと私が何度もいろんなところで申し上げているんですけれども、余りそういうふうに思っておられない方が多いですので、七ページのグラフを見ていただきたいんですけれども、これは一般政府の債務をGDPで割った比率です。そうしますと、小泉政権の末期と第一次安倍政権、スライドの七ですね、第一次安倍政権時に政府債務の対GDP比率が低下しておりまして、財政が再建されていたということが明らかであります。  ですから、長期的な支出の目標を作って財政支出が余り伸びないようにするということをしていれば必ず財政再建は達成できますし、また、それをしないと達成できないのではないかと思います。  財政がなぜこういうふうに赤字になってしまったかという問題なんですけれども、次のスライドの八ページのところで、二〇〇七年ぐらいまでは政府支出というのは八十兆円ちょっとだったわけですけれども、それが現在百兆円近くなっておりまして、十八兆円も歳出が跳ね上がっているわけです。  ですから、まず、何で二十兆円近くも増えてしまったのかと、この部分を何とかしないと到底財政再建はできないのではないかというように思います。消費税を五%引き上げても十兆円ちょっとしか税収は増えないわけで、であるにもかかわらず、何かいつの間にか二十兆円も歳出が増えてしまっていて、しかもこのことに何か関心を皆様余り持たれていないんじゃないかという気がいたしますので、これが何で増えてしまったんだということを分析して、これを減らすということが必要なんじゃないかというように思います。  この財政赤字の原因というのは、時間もなくなってきますので少し飛ばしまして十二ページに移っていただきたいんですけれども、短期的には公共投資を増加したことだというように思います。その結果、建設部門で人手不足になってしまっているわけですけれども、要するに、失業がいっぱいあるから公共事業で失業者を減らして、賃金を払って景気を良くすると。仕事をつくって景気を良くするということに意味があると思うんですけれども、人手不足になっているということであれば景気刺激効果というのは非常に小さくなっているんじゃないか、公共投資の景気刺激効果は非常に小さくなっているんじゃないかというように思います。  その結果、建設単価が上がっております。建設単価が上がっているから予算を増やさなきゃいけないと言う方もいらっしゃるわけですけれども、それをしても民間企業の方は、民間の方も建設コストが上がってしまって、民間に対して、じゃ予算で助けるということはできませんので、民間の建設工事のコストを高めるということになってしまいますので、それは東北復興とか原発事故の収束とか東京オリンピック建設のむしろ妨げになるんじゃないかというように思います。つまり、例えば東北で自分の家を建てたいと思っても、建設資材や人手不足で賃金が上がっているので自分の家を建てるコストが上がってしまうと、そういうことは問題ではないかというように思います。  それから、長期的にはもちろん社会保障支出の拡大という問題がございます。  結局、現在の水準の高齢者向けの社会保障費というものを維持するということは、私は不可能なのではないかというように思います。これは国民には言いにくいことだとは思いますけれども、それはできないということを言わざるを得ないのではないかというように思います。  十三ページから、社会保障支出の将来予測というのをしております。  現在、百兆円以上の社会保障支出をしておりますけれども、そのうちの七十五兆円以上が高齢者に対するものです。そうしますと、年齢ごとの社会保障支出を推計して、かつ年齢ごとの将来推計人口と掛け合わせれば、簡単に将来の社会保障支出が推計できます。  一方、GDPの予測というのは、もちろんいろんな考え方あると思いますけれども、人口当たりのGDPを固定して将来の生産活動年齢人口と掛け合わせれば将来のGDPも推計できます。この試算ではインフレも生産性の向上も考えないんですけれども、インフレ率と生産性が上がれば社会保障支出も上昇するわけですね。ですから、分母、分子の関係は余り変わらないということになります。  そのように計算してまいりますと、現在、社会保障支出の対GDP比というのは、十四ページになります、現在、社会保障給付費の対名目GDPの比率というのは二一・七%ですけれども、二〇六〇年には四〇%になります。ということは、一八・六%、GDPの一八・六%分、社会保障支出が増えるということです。これを全部消費税増税で賄うとします。別に消費税増税じゃなくてほかの方法でやってもいいんですけれども、要するに税金を高くするという意味では同じです。そうしますと、消費税一%で大体GDPの〇・五%分の税収がありますので、消費税増税三六・六%上げなきゃいけないということになります。そうすると、こういうような三六%の消費税増税というのは到底無理な話ですから、これはできないということになるということです。  今お話しした中では、生産性が上がらないと仮定しております。生産性が上がればもっと税収が上がってそんなに上げなくてもいいんじゃないかというように御批判があると思いますけれども、生産性が上がるということは賃金が上がるということですから、お医者さんの賃金も介護士さんの賃金も全部上げなきゃいけない。それから、一般の賃金が上がっているのに年金をそのままにしておくというのも難しい。  そういうふうに考えてみますと、生産性が上がってもやっぱり大変だということになります。あるいは、生産性が上がっても年金は上げない、つまり、生産性の上昇がなければ年金は下げなきゃいけないということになります。生産性の上昇があれば年金は下げなくていいんだけれども、働いている人の賃金が上がっても年金は上げないと、そういうことをしなければいけないということになります。  ですから、ここで社会保障支出を抑えるために重要なのは、十六ページにありまして、上から二番目の薄い茶色の線なんですが、これが高齢者一人当たり高齢者向け社会保障給付費を一人当たりGDPで割ったものです。つまり、高齢者の社会保障給付費を一人当たりGDPで割ったものですね。だから、この比率が下がることが重要だということになります。  実際ここで見てみますと、一九七〇年から一九八〇年ぐらいまで急速に上がっていたんですけれども、一九八〇年からこの数字を引き下げるということが行われておりまして、下がっておりました。ところが、自民党政権の末期から民主党政権の頃ですね、その頃に一挙に上がってしまって、また大変なことになっているということです。ですから、ここの比率を下げるということをしないと到底財政再建はできないということになります。  そろそろ時間がなくなってまいりますので、あと一点だけお話ししたいと思います。  二十一ページになりますが、復興予算と成長戦略について、東日本大震災の復興予算ですけれども、東日本大震災で深刻な被害に遭われた方は五十万人程度だと思うんですね。その五十万人に対して二十五兆円の復興費を使っております。ということは、被災者一人当たり五千万円使っているということになります。  今までは、日本経済全体にとっては小さな、人間にとっては大変なことですけれども、日本経済全体にとっては小さな部分で起きたわけですけれども、もし東海・東南海・南海連動型地震が起きれば、深刻な被害者というのは間違いなく数百万、例えば五百万ぐらいになるということは当然考えられることです。そのときに一人当たり五千万円の復興費を使えば、その金額は二百五十兆円ということになります。日本経済はそのような負担には耐えられないと思いますので、今から効率的な復興政策、どうしたら余りお金を使わないで効果的な震災復興ができるのかということを考えておく必要があると思います。  それから、成長戦略で、先ほど永濱先生からも御説明ありましたけれども、いろいろな問題があって、私は確実にうまくいくのは女性の活用だと思います。なぜかといえば、それは女性の労働力が増えるわけですから、これは間違いなく大きな効果があります。  そのためには保育所が必要なわけですが、そのコストは実は極めて高いわけで、子供を一人預かるコストというのは月に二十万円から三十万円掛かります。もちろん、女性が働くことで元が取れると思いますけれども、規制緩和、新規参入の促進、料金の引上げが必要だと思います。現在、幼稚園就園奨励費というのも予算で増えているようですけれども、幼稚園に預けても女性は働けないわけですから、保育所の予算を増やすというのは成長戦略になりますけれども、幼稚園の予算を増やしても全然成長戦略になりません。  というわけで、こういう予算を見てみますと、本当に財政再建ができるのかということを疑問に思います。  最後に結論として述べておきますと、予算の概念整理、ちょっとこの言葉いいかどうかよく分からないんですけれども、これを考え直すことは財政規律の上でも重要だと思います。  財政赤字の原因は、短期的には公共事業の拡大、長期的には社会保障支出の拡大です。現在、建設賃金が上昇しているということは、公共事業をやり過ぎているということだと思います。社会保障支出は削るしかないので、これは高齢化によって削るしかない状況になっておりますので、これは誰かのせいというわけではなくて国民全体が子供を産まなかったせいなんですから、何とか終わりにしないといけないということです。  復興予算は非効率ですので、将来の大震災に備えて効率的な復興政策を考えておくべきだと思います。  成長戦略は難しいですけれども、必ず効果があるのは女性の活用です。その部分でも効率的な政策を進めるということが必要だと思います。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。どうも御清聴大変ありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) どうもありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

古賀友一郎自由民主党

○古賀友一郎君 自由民主党、長崎県選出の古賀友一郎でございます。  今日は、本当に公述人の先生方、参考になるお話ありがとうございました。しかし、聞けば聞くほど、我が国が大変な国難に直面している、ハードルが高いなという思いを一層強くしたわけであります。  今国会は好循環実現国会ということでございまして、このアベノミクスのいい流れを民間主導の自律的な景気回復につなげることができるかどうか、これが問われている国会であるというふうに認識をいたしております。  その際、鍵を握るのがやはりGDPの六割を占める国内消費、個人消費だというふうに思っているわけでありまして、そのためにも物価の上昇あるいは今回の場合は消費税の増税、これを上回る賃金の上昇というものが必要だということで政府も一生懸命取り組んでいるわけでありますけれども、安倍総理もその先頭に立って経済界に対して賃上げを要請して、これに呼応する企業も出てきているという状況でありますし、先ほど永濱先生から春闘のこれからということで、近年まれに見るというお話もございました。ただ、全体的にはやはりまだこれからの状況ではないのかなというふうに私自身感じております。  政府においても賃上げの状況をこれから公表をして促していくという取組もこの前当委員会でお話がありましたけれども、やはりできることなら企業自身が進んで自発的に賃上げをやっていく、しかも、単発で終わってもつまらないわけでありますから、今後、持続的に賃上げをやっていくようなそういう社会環境、条件整備というものが大変重要になってくるのではないかなというふうに思っているところであります。  そこで、まずお二方にお伺いをしたいと思いますけれども、企業の自発的かつ継続的な賃上げを促すような条件整備のために政府はどういう施策を講じるべきとお考えなのか、それをまずお伺いしたいと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 御質問ありがとうございます。  お答えさせていただきますけれども、結論から申し上げますと、労働需給の逼迫というのが求められてくると思います。実は、確かに今、アベノミクスの効果もあって日本経済、回復基調にあるんですけれども、需給ギャップという数字を見ますと、まだ供給過剰、需要不足という状況である中で、なかなかそういう状況ですと自発的に企業が賃上げをするということには難しい状況だと思います。  ただ一方で、これを市場の原理に任せたままで置いておくと、今年の四月から消費税が上がる中で賃金が上がらないとせっかくのアベノミクスの好循環もついえてしまうという意味からすると、やはりこれまでの長きにわたる、十五年にもわたるデフレが続く中で、恐らくその賃金のところも、いわゆるデフレ均衡という形でなかなかやっぱり政府が背中を押してあげないと賃金上げられないという状況だと思うんですね。そういった意味では、今回のある程度政府が介入する形での賃上げというのは私は評価をしていいと思います。  今後、持続的に企業が賃上げをやっていくためには、まさに需給ギャップを解消して成長を持続させていくと。実際に過去の小泉政権のときの事例で見ても、失業率が大体三%台半ばを切ってくるような状況になってくると賃金も上がりやすいというような関係もありますので、そういった意味では、まさにこの好循環を持続させて景気回復を持続させるというところが企業が自発的に賃金を上げるというところの最短の近道であるというふうに考えております。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 永濱さんがおっしゃったこととほとんど変わらないんですけれども、賃金が上がるためには、景気が良くなって失業率が下がって人手不足状態をつくらないと、賃金は持続的に上がっていかないということであります。今、順調に失業率が下がっておりますので、いずれ、政府が主導しなくても順調に賃金が上がっていくと思います。  ただ、政治家の立場に立てば、マスコミが、物価が上がっても賃金が上がらないじゃないかと、だから生活水準むしろ下がってしまうじゃないかとマスコミがたたきますので、政治家のお立場とすれば、賃金を上げるように企業に頼むというのはまあやむを得ないことで、それは政治家に選挙運動するなと言うようなものですから、それが何かおかしいとかおかしくないとか言っても仕方がないんじゃないかと。  企業ももちろん自分の経営状況をちゃんと考えて上げているわけですから、それが何か経済的メカニズムをゆがめて変なことが起きているというようなことにはならないというように思っております。

古賀友一郎自由民主党

○古賀友一郎君 どうもありがとうございました。  労働需給ギャップの逼迫によって賃金が上がっていくであろうというお二方のお話でありました。  ただ、そのためには需要が創出されなければいけないと。今、第二の矢で公需をフォローしているわけでありますけれども、いつまでもそれが取れるわけではないということで、まさしく民需が労働需給の逼迫を呼び起こすような、そういう環境にならなきゃいけないのかなというふうに思いますけれども、しかし、それはもう鶏と卵のような話でありまして、お話をお伺いしていても、やはり一つのきっかけとしてそのムードができていくと逆回転、いい循環が始まるのかなとも感じました。  よく企業が内部留保をため込むというお話がありますけれども、私自身感じておりますのは、企業も好きでため込んでいるわけではないんだろうと。恐らく、投資をして、それが資本回収できるんであれば、投下資本の回収ができるんであれば進んでそういう投資環境が整うんじゃないかと、そのように思っていますので、そういうところを促すようなやっぱり政府の対策というのは必要なのかなというふうに思っている次第でございます。  非常に時間も限られておりますので、次に移りたいと思います。  次は、消費税増税に関するちょっと御質問をさせていただきたいと思います。  私自身は、財政の持続可能性あるいは我が国自身の信認ということを考えますと、増税やむなしという考えを持っている一人なわけでありますけれども、特に消費税については、いわゆる逆進性の問題というのが付いて回る、そういう税目でありますので、やはり中低所得者層に対する影響というものも慎重に見極める必要があるのだろうなというふうには思っているわけであります。  もちろん、今回の予算案について直接関係する話ではありませんけれども、また一〇%の問題というのが目先にぶら下がっているわけでございますので、この際、お伺いをしたいというふうに思っているわけでありますが、消費税増税の逆進性対策について、軽減税率の問題あるいは給付付き税額控除の問題、議論があるわけでありますけれども、そういう対策はどうあるべきなのか、もし先生のお考えがあればと思っております。これについては、永濱先生にお考えをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  結論から申し上げますと、私は軽減税率に反対でございます。  といいますのも、もう既にヨーロッパ諸国で軽減税率導入されているんですけれども、それを前向きに捉えている意見というのはほとんどないと。実際に、いわゆる逆進性の解消とはいっても、軽減税率をすることによって、結局、低所得の人に比べても高所得の人の方が例えば食費はお金をたくさん使うわけですね。それを考えると、確かに表面上は分かりやすい政策なんですけれども、逆進性緩和の効果というのは大きくないと。逆に言えば、軽減税率で減ってしまうであろう財源の部分をひとしく万人に給付した方が実は逆進性解消の効果は高いんですね。  それでも、やはり財源が大き過ぎてしまうということから考えると、簡便的には、今やられているような低所得者向けの簡素な給付、さらには、いわゆる所得の把握ができるようなことができるようになれば、むしろ給付付き税額控除という方がこれは逆進性解消の効果は高いのかなというふうに考えております。

古賀友一郎自由民主党

○古賀友一郎君 大変ありがとうございました。参考になるお話でありました。それもこれから、お話をしっかり踏まえて私も考えていきたいと思います。  今日は本当にありがとうございました。終わります。

安井美沙子民主党・新緑風会

○安井美沙子君 民主党の安井美沙子でございます。  永濱公述人、原田公述人におかれましては、貴重なお話をありがとうございました。  先ほど来、春闘の話が出ておりまして、私もこのことを聞きたいと思っておりました。大手製造業を中心に久々のベアを実現したということで、私もこれは朗報と受け止めておりますけれども、あくまでこれは一部の企業でありまして、今後これが中小企業に広がっていく保証はありません。  先ほど、マスコミがこれをたたきますからというようなコメントもいただきましたけれども、民主党政権のときに比べるとマスコミのたたき方というのは本当に緩くて羨ましいぐらいなんですけれども、私たち、健全野党ですから、そういうふうに、何というんでしょうか、ネガティブなことを喧伝するつもりは全くございませんで、中小企業への波及あるいは非正規への波及、これができない、もしならなかった場合のことを非常に心配しております。  実際問題、電力料金が上がったり保険料が上がったり、あるいは医療費の窓口負担増、それからアベノミクスによる政策的な物価上昇、これらを総合しますと、可処分所得は実質的に切り下がる人の方が多いのではないかと思っています。  こういう中、アベノミクスの目指す経済の自律的好循環、いわゆるトリクルダウンというのが本当に起こるのかということ。これがもし起こらない場合は、景気は気からというのが逆に悪循環を招いてしまうわけですから、私はこの四月以降の日本の経済状況というのを本当に真剣に心配しております。  この辺について一言ずついただけますでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) まず、消費税で可処分所得が減るというのは、増税したわけですから当然減るのは当たり前で、それはやむを得ないことだと思います。それは増税すると国会で決めたことですから、そのとおりのことが起きるだろうというように思います。  ただ、その効果が、影響はどのぐらいかというと、先ほど永濱公述人から説明があったように、長期的なトレンドの成長率を少し下げるということですので、消費税増税を乗り越えて日本経済何とか成長していけるだろうというように思っております。  アベノミクスで経済が良くなるということですけれども、それは今までデフレ均衡の中にあったものが二%の安定的なインフレ率の下での均衡に移るわけですから、支出が増えていくと。そのことによって失業率が下がって雇用が増えていく。賃金は、今回のベアなどもあって今回賃金上がると思いますけれども、今までも賃金余り上がっていなかったんですが、雇用は増えております。そうすると、賃金は余り上がらないんですけれども雇用が増えていることによって賃金所得の総額、それは順調に増えておりました。そのことによって所得が増えている。所得が増えることによって消費も増えて、消費が増えるから更に仕事が増えて、仕事が増えるからまた消費も増えると。消費が増えているから設備投資も、需要が増えているわけですから設備投資もできるという好循環があったということですので、消費税増税の分を除けば明らかに国民の可処分所得はどんどん上がっているということは間違いないことだというように思います。  だから、それを通じて経済が少しずつ良くなっていって、失業率がだんだん下がって、更に賃金が上がっていくということが期待できると思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) まず結論から申し上げますと、原田さんと同じ、賃金は消費増税分までは上がらなくとも、一方で雇用も増えますので、マクロの雇用者報酬という形で見れば可処分所得は減らない可能性があるというふうに思います。  実際に足下でも、いわゆる中小企業ですとかいわゆる非正規労働者の賃金上昇、実は徐々に波及してきているというデータがございます。例えば、帝国データバンクが発表した中小企業に対して賃上げをするかというアンケート調査に対して、二〇〇七年からの調査で見ると過去最高の四七%の中小企業が賃上げをするというふうに答えていますし、また、リクルートの調査なんですけれども、今年一月の派遣労働者の時給、これ前年比で三・三%上がっています。  ということからすると、やはり何よりも重要なのはこの景気回復の好循環を持続させていくということで、さらに中小企業や派遣労働者、こういったところの賃金も上がっていくということが期待できるんじゃないかなというふうに考えております。

安井美沙子民主党・新緑風会

○安井美沙子君 続いて、永濱公述人にお伺いします。  復興特別法人税の一年前倒し廃止についてなんですけれども、永濱公述人は六重苦の解消の一環として法人税を下げるべきだというふうにおっしゃっておりますが、これは私、賃上げの呼び水として一年前倒し廃止するというのは非常に筋の悪い政策だと思っております。ちょっと詳細を述べる時間がありませんけれども、どうせ三党合意をほごにするならば、むしろ復興特別所得税の方を繰延べするか減税するべきかと思っております。その方が合理性があるのではないかと思っております。  今の可処分所得を下げる、これを少しでも緩和するためにもその方が効果的ではないかと思っていましたが、いわゆるアベノミクスの自律的な経済の好循環には資さないからこれは駄目だという答弁を以前にいただいております。私もちょっと確定申告をしたばかりで、この復興特別所得税というのが、二・一%ですけれども、まあ重いなと、復興のためと思いながらも重いというのが実感で、国民の皆様も今まさにそれを感じていらっしゃるところだと思います。  ベアを実施するための呼び水として、甘利大臣が、法人税減税を前倒しして原資は渡しているというふうにすごんでいらっしゃいましたけれども、この復興特別法人税を納める企業は黒字企業である約三分の一の企業にすぎないという、そういう意味も含めて、この前倒し廃止について、またこの代替案としてむしろ所得税の方の繰延べや減税をすべきではないかという、この提案についてどう思われますか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 恐らく根本的な経済に対する概念の違いからだと思うんですけれども、私、個人的には、これ恐らく世界経済の潮流からもそうなんですけれども、やはり経済がグローバル化する中では、結局、経済成長の源泉は企業であり、いかに国の立地競争力を高めるかということをしないと、結局そこで働いている人の賃金も上がらないですし、そういうことを考えると、結果的に企業の活動しやすい環境をつくるということがひいては、今回、賃上げがそれなりに実現したわけですけれども、家計も潤っていくという好循環をつくるというような考え方は私は正しいと思っていますので、そういった意味では、先ほど申し上げましたとおり、法人税については前倒し廃止にとどまらず、段階的な引下げ。  一方で、これも世界的な潮流なんですけれども、やはり社会保障の財政の維持のためには、段階的な、将来的な消費税の引上げというのはこれは避けられないのかなというふうに考えております。

安井美沙子民主党・新緑風会

○安井美沙子君 私も法人税の引下げについては異論はないんですが、復興法人特別税についてお伺いをしたつもりでございました。  最後になりますけれども、原田公述人にお伺いします。  公共事業について問題点を指摘されていたと思います。アベノミクス、三本の矢から成る経済政策といいながら、一年以上たちながら三本目の矢がまだなかなか見えてこないという問題がありますけれども、だからゆえに一本目、二本目への依存度が過剰になっていると思います。  本来は、この公共事業というのはカンフル剤的役割のはずなんですけれども、この三本目が元々効果の発現に時間が掛かる内容のものですから、本来同時に三本放たれなければいけないと思っていましたけれども、この効果が出ないということであると、カンフル剤依存をどうやって脱却していったらいいのかというふうに思っています。  もしお時間ありましたら永濱公述人にも、消費税が上がる中、公共事業を減らすのは景気の腰折れに、非常に心配だというコメントもありましたので、お二人にお答えいただければ幸いです。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 公共事業というのは、その公共事業をやった結果、経済が効率化されるようになって、その結果GDPが増えるというものでないといけないと思うんですけれども、じゃ現在の公共事業というのがそういう効率的なものであるかどうかというと、私は疑問に思っております。例えば、震災復興でも巨大な堤防を造っておりますけれども、あれが本当にその地域の復興に役立つものであるのか、その費用は大変なものなわけですから、それをやって本当に良くなるのかということについて疑問を持っております。  それでも一時的なカンフル剤として効果があるのではないかという議論はあると思うんですけれども、その公共事業をやることによってかえって円高になるという効果があります。今円安なんですけれども、公共事業をしていなければ更に円安になっていたはずですから、そのことによって輸出は更に伸びていた可能性がありますので、公共事業の増加がむしろ経常収支の赤字を拡大してしまうという効果もありますので、公共事業をしなくても日本経済、第一の矢だけで何とか回復するということは可能だったのではないかと思います。現実に小泉政権のときの、金融の量的緩和をやっていたわけですが、そのときには公共事業はむしろ減らしていたわけです。でも、それでも日本経済は成長しておりました。そのことを考えれば、第二の矢の効果というのはそれほど大きくないと言えるのではないかというように思います。  ですから、第一の矢と、それから同時に第三の矢を放つということで日本経済は十分成長できたのではないかというように思っております。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) それでは、永濱公述人、時間もありますので、短めにお願いいたします。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 私は、結論から申し上げますと、公共事業につきましてはある程度安定的な金額を維持すべきだと思います。  背景といたしましては、やはりこれまでのように公共事業が増えたり減ったりという中で、日本の建設労働者の不足というのが出てきてしまったと。一方で、国のいわゆる老朽化インフラ、これは非常にこれから増えてくるということからすると、できれば日本国内で建設労働者の雇用というのが確保されるのがより望ましいわけですから、そういった意味では、当然中身の精査というのは必要だと思うんですけれども、ある程度の公共事業が中期的にも期待できるというようなビジョンを示すこと、これも国によって必要かなと。  一方で、財政のところはどうするかというと、時間がないので簡潔に御説明しますけれども、やはりPFIですとかそういったものを使って、できるだけ民間のお金を活用できるような形で政府の負担を少なくすると、そういう形で進めていくことが必要かと思います。

安井美沙子民主党・新緑風会

○安井美沙子君 ありがとうございました。

杉久武公明党

○杉久武君 公明党の杉久武と申します。  本日は、お忙しい中、この公聴会に御参加いただきまして、改めまして感謝申し上げます。  私からは何点か、まず、先ほど来ありますように、春闘の話について御質問させていただきます。  昨日、春闘の回答でおおむね良好な回答が出てきたということが報道等でもなされております。これは、昨年来、政労使会議を通じて政治側からもメッセージをさせていただく中で、企業側がそれに応えていただいたという結果であると思います。一方で、報道等で出てくる中で、今年は特別の要因であるという評価をされている企業もございます。  私自身は、大学を出て、卒業したのが一九九八年になりますので、社会人になってから、給料が上がる、また物価が上がるということを実感していない世代でもありまして、やはりこういったマインド自体が変わっていかないと、継続的また持続的なやはりインフレまた賃上げというものがなかなか定着しないんではないかというように考えております。  その辺りについて、今年は賃上げ、かなりいい水準になってくるんではないかと思うんですけれども、継続的、持続的な賃上げを成し遂げていくためには、やはりそのメッセージだけではなく政策的な面でも手当てをしていかなければならないと考えておりますが、その辺りについて両公述人に御意見をいただければと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  やはり将来的な明るい展望が描けるという意味では、やはり当然のことながら三本目の矢を中心に成長戦略を進めていくということが重要だと思うんですけれども、これって実は短期的な効果は余りないというような議論が多いんですけれども、実は株式市場においても外国人投資家を中心に非常にこの三本目の矢というのは注目をされておりまして、ここが踏み込まれることによって相当株式市場にもプラスの効果が出てくると。  実際にその経済データを見てみても、実際に日本国民で株式を保有している世帯というのは一割にも満たないぐらいですか、実際に消費マインドのデータと株価の動きというのを見てみると非常に連動性が高いということから考えると、やはり引き続き経済政策を世界的な投資家から評価されるような形で進めていくことによって株価の上昇というのを持続させると、こういったことが最も重要なのかなと。  あとは、中長期的に考えれば、一方でやはり社会保障、ここのところの効率化、これを徐々に議論を進めていくという形で、安心な社会保障の構築というのはなかなか難しいと思いますけれども、話を進めていくということが重要になってくると思います。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 第三の矢については、今、永濱先生がおっしゃったとおりなんですけれども、第一の矢で今順調に雇用が回復していって雇用環境が良くなっていると、これを続けていけば必ず持続的に賃金が上がっていくというように思います。

杉久武公明党

○杉久武君 ありがとうございました。  続いて、永濱公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほども質問にありましたけれども、法人税の実効税率の引下げについてであります。  私は前職が公認会計士をしておりまして、日本の上場会社、又はアメリカでも駐在をしておりましたので、アメリカの現地の会社で実際にそういった実効税率を分析をする、そういう仕事もしてまいりました。  その中で、法人税の実効税率については、やはりヨーロッパやアジアと比べると相対的に日本は高いと。今回、復興特別法人税の一年前倒し廃止もありましたけれども、それでもまだ高いという水準にあります。一方で、私もアメリカの勤務経験がありますので、アメリカは、今日御説明いただいた資料の四〇・七五というのはどこかの州をベースに算定された実効税率であると思います、連邦税だと多分三四%で、各州のいろんな州税がありますので、総じて四〇・七五%ということになりますが、やはり世界一の経済大国であるアメリカは日本よりも高い実効税率を持っているわけでありまして、アメリカが日本よりも高いという中で日本はなぜ引き下げなければならないのかという、そういった観点で御見解をいただければと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  アメリカの法人税率、確かに足下では水準は高いということになっておりますが、これは既に御案内のことだと思うんですけれども、アメリカの議会でも法人税引下げの議論というのも出てきておりまして、私の個人的な感覚としてはアメリカでも法人税を下げるのは時間の問題かなというふうに考えております。  さらに、そういった中でも日本の法人税率引下げの必要性が高いというのは、やはり企業において非常に競合する相手というのが近隣のアジア諸国があるということがまず一つ。さらには、アメリカについては、それなりに法人税が高いとしても、それ以外の例えばエネルギーが取れたりですとかいろんな規制が緩いですとか、やはり企業がビジネスをする上での非常に有利な環境が整っておりますので、そういったところと対等にやはり競争するには、日本の場合は、やはりアジア諸国並みの法人税率の引下げ、これは将来的に必要なんじゃないかというふうに考えております。

杉久武公明党

○杉久武君 ありがとうございました。  続けて永濱公述人にお伺いさせていただきたいと思います。  今日御説明いただいた中でも出てまいりましたエネルギーの問題であります。特に石炭火力の問題でありまして、私自身も先月にJパワーの磯子の発電所の視察にも行かせていただきまして、私も初めてその場に伺ったんですが、それは石炭を燃やしているというような雰囲気もないぐらい本当にクリーンな状況で、発電コストの安定性、あと発電コスト自体がやっぱりLNGと比べると低いと、あとは日本の最高の技術水準があるということで、こういったものがどんどん、逆にインフラとしての輸出もどんどん進めていくべきではないかと思うんですけれども、石炭火力について少し御見解をいただければと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  まさにおっしゃるとおりでございまして、補足をするとすれば、石炭火力発電というのは恐らくエネルギー安全保障の面でも非常に優位性があると。  具体的には、天然ガスですとか原油、こういったのはやはり取れるところが非常に集中的にありまして、中東を中心にですとか。そうなりますと、中東情勢が悪化してくると急激に価格が上がったりというリスクがあるのに対しまして、やはり石炭につきましては、世界中で埋蔵しているところは点在しているというところもあって、かつ埋蔵量も一番多いと。さらには、先ほどお話があったとおり、日本の技術が一番高いということから考えますと、まさにおっしゃるとおり、インフラ輸出も含めて日本の経済成長に大きく貢献できるんじゃないかというふうに期待しております。

杉久武公明党

○杉久武君 ありがとうございます。  また、石炭の場合は、今後の課題はやっぱりCO2対策だと思っておりますので、私もそちらについては今後注視をしていきたいなというふうに思っております。  続いて、原田公述人にお伺いをさせていただきます。  先ほど御説明いただいた中で、女性の活用が今後の日本経済にとって非常に大切であるという旨の御発言をいただきました。私自身も、やはり女性の労働力というものは日本経済にとっても非常に重要であると思います。先ほどは、その対応として保育所、コストの面も含めて対応が必要だというお話がありました。  一方で、日本の場合は、税制等も含めてなかなかまだ共働きについては十分な仕組みができていないんではないかというように思っております。  昨今、世帯ベースでの所得税をやるべきではないかという議論も一部出てくる中で、この保育所の点以外において更に女性の活用において考えるべき点があれば、御教示いただければと思います。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) お手元の資料のスライドで二十三ですけれども、どこの国でも残念ながら女性の賃金は男性よりも低いし、女性の労働力率は男性よりも低いという関係がございます。  これは主要国について男性を一として女性の比率を書いたものですけれども、この一番左に日本があって、日本の比率がほかの国よりも低いというのが明らかであります。これをアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス並みの平均並みにすると、GDPは一八・五%ぐらい増えることが可能だということになります。そうしますと、これは非常に大きな効果があるということですので、これをしっかりやるということは成長戦略の中でも非常に重要だと思います。  それをどうするんだということになりますが、一つは保育所の充実ですけれども、それは非常にコストが掛かることでありますので、その保育所の、いろんな企業が保育所サービスに参入できるようにして、その質が高く、かつコストの安いものをつくらないといけないということはあります。  それからもう一つは、保育所の料金を上げるということも必要なんじゃないかというように思います。夫婦で働けば高額所得者になるということは十分あるわけですから、それによって当然、高い保育料、現実に掛かる保育コストに近い保育料を払うことも可能な夫婦というのもたくさんいらっしゃるわけですから、そういうことが必要なんじゃないかと思います。  それから、世帯ベース所得税という考え方なんですけれども、これはもちろんいろんな考え方があると思うんですけれども、これはなかなか難しいと思うんですね。つまり、夫婦合算して所得税掛ければ、累進ですから高くなってしまうと。そうすると、結婚することに対する課税になってしまうので、それはまずいと思います。現実にどういう制度であるのかということについてお聞きしていないので、一概には言えないと思いますが。  それからもう一つは、アメリカの場合ですと、子育て、つまり子育てに掛かった費用のかなりのものを所得から控除できます。つまり、保育所に行って、例えば残業した場合に延長保育が必要であるとかあるいはベビーシッターさんを雇ったとか、そういうようなものについては全部所得控除できます。  日本の場合には保育所に対して非常に高額の税金で補助されていますので、その費用を更に所得控除するというと二重に税金控除するようなことになりますので、それはおかしいと思うんですけれども、ベビーシッターさんの費用であるとか、そういうようなものは当然控除すべきであって、そのことによって女性がばりばり働けるようにする、そのばりばり働いていることに過大な税金を掛けるということをなくすことが必要なのではないかというように思います。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 公述人に申し上げます。  非常に失礼かもしれませんが、委員の質問時間限られておりまして、後ろの方もございますので、どうぞ答弁簡潔にお願いしたいと今後お願いいたします。

杉久武公明党

○杉久武君 以上で終わります。ありがとうございます。

中西健治みんなの党

○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  本日は本当にどうもありがとうございます。  まず、原田先生、原田教授の方にお伺いしたいと思います。  補正予算が財政規律を弱めている、もうまさにそのとおりではないかと思います。私も先週の予算委員会で、補正はもう原則、なしにすべきであると、補正予算がない年もつくるべきであると、こんなようなことを申し上げたわけでありますが、財政支出の削減の長期目標を作るということにも、まさにそのとおりだというふうに思いますが。  政府が持っている政策目標として、プライマリーバランスの半減ですとか、いわゆるGDP比、こんなのがありますが、そのプライマリーバランスというのは自然税収増減の部分も入ってきますので、かなりな結果論だなという印象を非常に強く持っておりまして、このPBというものが政府の目標たり得るかどうかということについて、まず原田公述人の御意見いただけますでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 政府がコントロールできるのは支出の方で、税収の方は、もちろんそのときの景気、世界経済情勢によって変わってしまうわけですから、確かにその差額を目標にはできないんじゃないかというのはおっしゃるとおりだとは思いますが、やはりそうはいっても、財政赤字を小さくするんだということが目標になりますので、それも目標とせざるを得ないというように思います。  ただ、主眼は、まず支出の方を目標にすると。収入の方は予測ですから、ただ、一応予測して、その予測の結果、財政赤字はこれだけ減るという、そういう二次的な目標という、そういう意味の、何というか、目標としての強さの異なる二つの目標だというように国民にお示しするのがよいのではないかと思います。

中西健治みんなの党

○中西健治君 まさにそのとおりじゃないかなと私も思います。PBが意義がないと言うつもりは全くないわけですけれども、やはり一次的、二次的というものを分けていく必要があるんじゃないかなと思います。  その中で、歳入については予測ですがとおっしゃられましたが、その予測の部分、成長したらどれぐらい税収が増えるのかと。この税収の弾性値について、政府は一・一という数字を使っておりますけれども、この妥当性などについて、もし御意見があれば、原田公述人、永濱公述人、いただければと思います。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 税収弾性値は、景気回復の初期にはもっと高いわけでありまして、それが二であるとか三であるとかということは十分あり得る、現実に今そうなっていると思います。  ただ、じゃ、その税収弾性値が三だというのが永久に続くのかというと、そういうことはないわけでありまして、何で最初高いかというと、景気回復の初期には企業利潤が一挙に増えて、その企業利潤が高まることによって法人税収入が一挙に増えるから高くなると、こういう仕組みです。  ところが、あるレベルに達すれば、その法人の利益の成長率が安定的になりますので、最終的には弾性値が一・一になるというのは、それは正しいと思います。ただ、最初の景気回復の数年においては、三であるとか、そういうことはあり得るということです。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 私も原田さんと全く同じ意見でございまして、じゃ、その背景には何があるかというと、これはあくまでも私の分析なんですけれども、やっぱり欠損法人の比率ですね、これが動くことが非常に大きいんだと思います。  欠損法人の比率がバブルのときのように五〇%ぐらいに安定していれば税収弾性値は一・一近くなると思うんですけれども、今みたいに三割も下がっている、三割以下にも下がっているような状況であれば、景気が回復すると、単純な法人税を払っている企業が払う金額が増えることに加えて、法人税をそもそも払える企業が増えてきますから、そういうことを考えると、あくまでも私の試算ですけれども、足下の税収弾性値というのは三近くあるんじゃないかなと。逆に、だからそれを前提とすれば、余り緊縮財政をやり過ぎて景気にブレーキを掛けてしまうと、むしろ財政再建にマイナスになってきてしまうと、そういった観点は非常に重要なんじゃないかなと考えております。

中西健治みんなの党

○中西健治君 原田公述人にお伺いいたします。  原田公述人はずっとリフレということを積極的にお唱えになっていらっしゃったというふうに考えております。私ども、大変参考にさせていただいておりますけれども、今後の日銀の金融政策について、これでよしと考えていらっしゃるか、今後更なる追加緩和が必要と考えていらっしゃるか、そこら辺はいかがでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 今までのところ、非常にうまくいっていると思います。ただ、これから何があるか分からないわけですから、これからの指標の動きを見ながら日本銀行は適切に判断して、必要があれば緩和をするということだと思います。それで、それについては黒田総裁がそのようにおっしゃっておられますので、そのようになさるんじゃないかと思います。  それからさらに、じゃ、この二年間だけ緩和すれば大丈夫かということになりますけれども、そのときも二%のインフレ目標というのがあるわけですから、それを達成するためには、二年で終わりではなくて更に続けるということも必要だと思います。それについても、二%のインフレ目標ということをはっきりとおっしゃっているわけですので、それにのっとって金融緩和政策が続けられていくというように考えております。

中西健治みんなの党

○中西健治君 永濱公述人は昨年も委員会へお越しいただきまして、そのときに日銀の出口戦略を考える必要があるのかという質問をさせていただいたところ、FRBの例が先に来るから、それを見て学ぶことがあるんじゃないかと、こういうお答えをしていただいたと思いますが、今のFRBの動きを見て参考になるところというのは何かありますでしょうか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 結論からいうと、非常にうまくやっているなということだと思います。  やはり、出口を余り強烈に押し出しし過ぎてしまいますと長期金利が跳ね上がるというリスクがある中で、今足下でFRBがやろうとしているのは、今までのフォワードガイダンスでいわゆる失業率が六・五%までに下がるまでは利上げはしないと、ゼロ金利を続けるということをしていたのが、一応出口には向かうんだけれども、失業率が六・五%、下がったとしても、インフレ率が二%を下回る状況であれば利上げはしないと、そういった形で配慮を示したということは、非常にこれ、今後日本が出口戦略を進めていく上でも参考になるのかなというふうに考えております。

中西健治みんなの党

○中西健治君 最近の経済指標等を見ていて謎だなというふうに思うのが、日本の貿易収支の赤字と、輸出が全然伸びてこないというところだと思うんですが、この輸出が伸びてこないということに対してどのような理由なのかということについて両公述人の見解をお聞かせいただきたいのと、そういう理由であれば、今後のこの貿易収支、経常収支の見通しについてもお聞かせいただければというふうに思います。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 輸出が伸びない理由ですけれども、いろいろなことが考えられて、現在のデータではまだ完全に分からないと思うんですけれども、既に海外に工場がかなり移転してしまいましたので、これから増やすことが難しいであるとか、それから国内の景気がいいのであえて輸出しなくてもいいとか、いろんなことが考えられます。  ただ、多くの方が、日本の景気回復は必ず輸出主導で起きているというふうに考えておられる方が多いんですけれども、過去のデータを見ますとそんなことはなくて、小泉政権のときの輸出拡大による経済成長というのがむしろ例外であって、八〇年から七回景気回復があるわけですけれども、そのうち三回ぐらいが輸出主導、それ以外はそうではなくて、かえって景気が良くなって輸入が拡大して経常収支赤字が拡大している、そういうこともありますので、皆さん非常に心配されているんですけれども、そんな心配されることではないというように考えております。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 結論は原田さんと全く同じなんですけれども、余り言われていない話なんですけれども、そもそも去年というのはIMFのデータでも世界経済の成長率が三%しかなくて、歴史的に見ても非常に成長率が低かったというところがまず一つあるんだろうと思います。そうはいっても、やはり構造的にこれまで異常な円高が長期間続いてしまったこと、さらには、震災に伴ってエネルギーのコストが上がってしまったこと等によって空洞化が進んでしまったということもあると思います。  そういう中で、じゃ経常収支どうなるかということなんですけれども、恐らく足下では、いわゆる消費増税前の駆け込み輸入、さらには、国内需要が強いので、輸出でつくったのが国内でという分もあると思うので、年度明け以降になってくれば経常収支の赤字はまた解消してくるとは思うんですが、やはり中長期的に考えると、日本が経常収支の黒字を維持するためには、やはりある程度貿易収支を元のように黒字にするというのは難しいと思いますので、そういった中では、一つは、アメリカが参考になると思うんですけど、結論からいうとサービス収支の赤字を黒字化すると。  例えば日本の観光産業をもっと活性化させて諸外国ぐらいに比率を上げるですとか、さらにはアメリカみたいに、いわゆる知財ですね、特許権使用料、こういった形で、ほかの国でつくれないものを知財で稼ぐと、そういった形でサービス収支を黒字化していくことによって、所得収支と併せて黒字化を維持していくということが望まれるんだと思います。

中西健治みんなの党

○中西健治君 どうもありがとうございました。  終わらせていただきます。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。  お二人の公述人の方々、本当に今日はありがとうございました。  四月から消費税が値上げされるということですけれども、先ほど消費税の影響がどうかという話の中で、やはり九七年の消費税増税のときと私違うのは、サラリーマンの給料がやはりそのときと比べて六十万円ほど年間で引き下がっていることではないかと思っております。ですから、去年の、二〇一三年のサラリーマンの現金給与というのは一九九〇年以来最低になったということも報道されておりますし、この影響というのはもう計り知れないと私は思っております。  そんな中で、中小企業のやはり消費税の影響というのはこれまた大きいと思っておりまして、賃金が増えていないわけですし、円安による原材料費の高騰というものがあります。そして、特に小売業なんかは消費税増税の分を価格に転嫁できないということが言われておりますけれども、その影響ですね、中小企業に与える影響というのをどう見積もられているのかということをまずお聞きしたいと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  確かに、おっしゃるとおり、やはり相対的に大企業に比べれば中小企業の方が苦しいということは、やはり現実の問題だと思います。  ただ、そういう中で、そうはいっても賃金が増えていないというお話あったんですけれども、実はマクロの賃金というのは、正規労働者と非正規労働者で分けるとどっちも実はちょっと増えているんですね。要は、雇用が増えて、非正規労働者の割合が増えているのでトータルの賃金は下がっているんですけど、かつ雇用も増えているということからすると、そこまでマクロ賃金は下がっていないと。  ただ、問題なのは、先ほどお話あったとおり、やはり価格の転嫁がしにくいというところだと思うんですけれども、ここについては私、個人的にはどこまでその効果があるのか測りかねるんですが、一応転嫁Gメンというのを採用して価格の交渉の現場でいろいろ監視をするという話が出ておりますので、ここのところにある程度期待をしたいなというところはあると思うんですけれども、ただ、経済成長が持続していって労働需給逼迫してくればやはり好循環が実現して、中小企業にも恩恵というのはこれから進んでいくという期待は持てるんじゃないかなというふうに考えています。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 永濱公述人のおっしゃったこととほとんど同じなんですけれども、景気が良くなるということは様々な部分に支出が増えていくということですから、様々な部分の支出の引受手が中小企業ですので、その中小企業にも当然、現在の景気回復の恩恵は回っていくと思います。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 もう一つ、産業構造のことについてお聞きしたいと思うんです。  先ほどから、この間、円高によって輸出大企業がしんどいと、円安になれば楽になると、景気良くなるということで、いろんな円安政策といいますか、行われてきたと思うんですが、円安になった結果、輸出がさほど増えていないということであります。例えば自動車産業においても、トヨタ自動車は二〇一三年は、前年二〇一二年比で見ましても、国内生産、これは百九十四万台から百八十九万台へと減らしております。一方で、海外生産は二十九万台増やして五百五十三万台になっていると、こういうことなんですが。  長らく日本というのは、そういう輸出企業が日本の経済を引っ張っていると、そこがもうかればまさにそれこそトリクルダウンで滴り落ちていくということが言われてきたわけですが、そうではないんじゃないかと。経済構造、先ほどおっしゃられたように、産業の空洞化というものが進んで、決してそうにはならないということが言われている中で、じゃ、そういう産業構造の変化を踏まえてどういう経済政策、その輸出大企業がもうかるような経済政策だけでいいのかと、国内の需要や、国内の海外に行けない中小企業こそ応援していくべきじゃないかというふうに私は思うんですけれども、お二人の公述人の御意見をお聞かせいただければと思います。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 日本の製造業が海外に展開してしまったというのは、過去の過度な円高の影響が大きいわけです。ですから、そういう政策がなければまだ日本国内に生産基盤があって、円安になったときにすぐ輸出を拡大できるということができたと思いますけれども、それが難しい状況になっていたということがあると思います。ですから、その過去の政策が間違っていたわけですけれども、過去、起きてしまったことは取り返せないということなので、現在そう簡単に増えないというのは事実です。  ただ、取りあえず企業の利潤は上がっている、生産は増えなくても企業の利潤は上がっている。これまで企業が危機に陥ることによって、もう一切合財捨てて海外に展開してしまうと、あるいはリストラをするということが起きていたわけですから、そういうことはなくなると。つまり、マイナスがゼロになる若しくは小さくなるという面でのいい影響というのはもう非常に大きく現れていると思います。その結果、現在、雇用、それから賃金はこれから上がっていくと思いますが、雇用が増えることによって賃金総額が増えていく、その賃金総額が増えることによって様々な分野での支出が増えて、それが中小企業にも波及していくということが起きていると思います。国内の観光産業であるとかそういうところにも回っておりますので、いわゆるトリクルダウンというものが現実に起きているし、これからも継続的に起きていくということは期待できると思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) まず、これまでの円高に伴う空洞化の話なんですけれども、実は、今回円安になって、例えば自動車産業一つ取ってみても、これまで国内生産にこだわりを持ってきたところが非常に大きな恩恵を受けて、海外生産を積極的に行ったところは恩恵を受けにくかったというところからすると、やはり今後はある程度その空洞化という意味では円高が持続したときよりも抑制される可能性が高いのかなと。とはいっても、やはり付加価値の低いものが実はどんどん合理的に外に出ていくということはこれは避けられませんので、そういった意味では、おっしゃるとおり、産業構造の転換というのが必要だと思います。  私、個人的に非常に期待しているのが、先ほどの話とも結び付くんですけれども、やはり観光産業ですね。諸外国、諸外国で大体GDPの一割ぐらいが観光産業なんですけど、日本は半分の五%ぐらいしかないんですよね。これは外国人観光客を増やすことに加えて、やはり日本人がなかなか休日を有効に活用できないみたいなそういう議論もあると思いますので、そういったところを含めて観光産業を活性化させていくと。  さらにもう一つは、円安に伴う副作用の大きな問題として、やはりエネルギーですね、ここの問題があると思いますので、どう考えても今のエネルギー政策はいわゆるコストを最小化するという意味でのベストミックスじゃないと思いますので、そこのところを、いろんな側面からエネルギーコストを下げるという政策をやる必要があるんじゃないかなと考えております。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 ありがとうございました。  私は、アベノミクス、一本、二本、三本、もうこれは国民生活、中小企業の営業をずたずたにするものだと思っておりますし、とりわけ第三の矢の規制緩和ですね、先ほど解雇規制、緩和をした方がええという話もありましたけれども、私は、今の日本の法律でも解雇厳しい厳しいと言うけれども、しかし電機産業ではリストラが十四万人、まあ二十万人のところまでリストラが進んでいると。また、追い出し部屋であるとかロックアウト解雇であるとか、また最近では非正規雇用の増大がありますから、低賃金労働者が増えていると。それがブラック企業の、はびこらせる原因になっているというふうに思っております。  最後に、原田公述人にお聞きしたいんですが、ブラック企業のことについて幾つか書いておられることもあると思うので、そこの若者のブラック企業の問題意識ですね、少しお聞かせいただければと思います。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 原田公述人、時間が参りましたので、よろしくお願いいたします。恐縮です。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) はい、分かりました。  ブラック企業というのは、期待だけ持たせて、その期待に応じたことをやってくれないということなんですけれども、じゃ、何で若者が何かそういうところに、何か結果としてだまされてしまうということが起きるかというと、今まで非常に雇用が悪くて、これ正社員になれないと大変な目に遭うんじゃないかという恐怖感を持っていて、正社員にしてあげるということで働かせて、しかしその御褒美がないという、そういう企業がブラック企業で、それがはびこっていたというのが事実としてあると思うんですけれども、これが景気が良くなって雇用が良くなれば自然とそういう企業というのは淘汰されていくと思います。  それから、時間ないんですけれども、それを政策的に行うということも考えられると思います。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 ありがとうございました。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。よろしくお願いいたします。  原田公述人が最後の方で、財政再建大丈夫かな、できないかもしれないなんてちらっとおっしゃっていましたけれども、私も財政に対して極めて危機意識を持っております。  永濱公述人が冒頭に、財政再建には景気回復とデフレ脱却が必要だとおっしゃいましたし、原田公述人もスライドの六ページで量的緩和政策による税収増が必要だというふうにおっしゃっておりますが、いわゆる上げ潮政策だと思うんですけれども。  私の記憶によりますと、一九九〇年、バブルの一番最後の年ですね、あのとき、まさに狂乱経済と言われたときですけれども、あのときの税収は六十兆円だったと記憶している。ちょっと数字一〇〇%確かじゃないんですけど、六十・一兆とかその辺だったと思うんですが、消費税が三%だったので、八%だとすると税収七十兆ですよね。千十八兆円の借金があった場合、一%上がると、すぐにじゃないですよ、もちろん、すぐにじゃないんですけれども、金利支払って十兆円増えるわけです。今の支払金利、十兆円ですが、これがうなぎ登りになっちゃうわけですよね。そのときに税収七十兆で大丈夫なのというふうに私は思います。  そういうことで、景気を良くして財政再建というのは到底無理なわけで、原田公述人、二〇六〇年には四〇%の消費税が必要だというふうにおっしゃいましたが、先日、日経新聞、ブラウン博士、アトランタ連銀上級顧問、五三%と、二〇七〇年までとおっしゃっていましたが、まあ何となく数字が似ているなというふうに思いましたですけれども、原田先生の想定には金利はまだそんなに高く行っているんじゃない、低いところでやっているんじゃないかと私想像するんですが。ただ、今、政策金利〇・一%ですけれども、私がディーラーになった一九八〇年、政策金利一二・七五%でした。まあ一二・七五も異常でしたけれども、〇・一も異常だということを考えると、アベノミクスが成功して金利が例えば五%上がったらどうなっちゃうのというふうに私は考えます。  そういうことで、消費税は確かに、原田公述人は四〇%必要だけどそれは無理だろう、だから社会保障のところを切れとおっしゃいましたけれども、これも国民感情からすると、社会福祉を切れというのは、これ極めて難しいことになるかと思うんですね。消費税はそこまで上げられない、そして社会保障費を切れないということになると、残る政策というのはインフレ政策しかないですよね。  極端な話ですけど、ちょっと分かりやすくするために、タクシー初乗り一兆円になれば、今の千十八兆円の借金というのは実質的になくなると、この方法しか私ないと思うんですね。コンビネーションはありますよ。それは、歳入を増やす、消費税を四〇%なり三〇%に増やして社会保障を半分にするとか、それとインフレをコンバインして何とか財政をもたせるという方法はあるかと思うんですが、最初のその歳入増、歳出減はなかなか難しいとなると、どうしてもインフレに頼らざるを得なくなるんじゃないかと思うわけです。  となると、そこでちょっと御質問したいんですが、私、今アベノミクスというのは、皆さん景気対策だとおっしゃっていますけれども、究極の財政再建政策だと思っているわけですよ。インフレが加速していってハイパーインフレになって、実質的に千十八兆円の借金が実質なくなっちゃうと。分かっていらっしゃるか分かっていらっしゃらないか分かりませんけれども、究極の財政政策、財政再建政策。ただし、国民は物すごいインフレで地獄の苦しみを味わうわけ。ただ、国は生き残りますねと、こういう政策じゃないかと思うんですが、なぜそうインフレへ行っちゃうかというと、やはり出口戦略がないんだろうと思うんです。  先ほど来出口戦略の話が出ておりましたけれども、黒田日銀総裁は、出口というのは考えるの時期尚早とおっしゃっていました。これもまた非常に不思議な話で、我々が現役のときに財政金融政策というのは金利を上げるか下げるかだったんですけれども、金利を上げるか下げるか、一年後にインフレになりそうだ、金利を上げるというときはすぐ日銀総裁答えられましたよね、どういう方法があるって。それは、預金準備率を上げるとか公定歩合を上げるとか売りオペをやるとか、いろんなことをやっていました。でも、時期尚早としかおっしゃらないんですけれども、両先生、出口戦略本当にあると思われますか。  私は、御存じのように、三十年来金融の世界にいて、あと大学でも非常勤講師として半年ずついろんな大学で教えましたけれども、私の頭じゃ出口政策思い付かないんですね。頭が悪いせいかなとも思うんですけれども、先生方も出口戦略あるのかどうか教えていただきたいなというふうに思います。今度の量的緩和というのは、三十年、四十年債まで買っていますよね。それ、売ろうと思っても買手いないですよね、きっとね。で、私はないと思うんですが、両先生の考え得る出口戦略ってあれば教えていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  確かに藤巻先生のおっしゃるとおり、大胆な金融緩和というのはリスクもはらんでいるということだと思います。ただ、藤巻先生がおっしゃるような多分現象というのは、キャピタルフライト的な多分状況になるんだと思うんですけれども、私は日本はそういう状況には、少なくとも過去の諸外国のキャピタルフライト的な状況になった国を見ると可能性は低いのかなというふうに考えていまして、といいますのも、日本というのは民間金融部門の対外純資産が非常に多いと、かつ国債が九割以上が国内で消化されているということからすると、急にキャピタルフライト的な状況がほかの国みたいにすぐ起こるかというと、まあその可能性は低いんじゃないかなというふうに思います。  そういう中で、出口戦略、逆に言うとその長いところの国債買うところがないというお話もありましたけれども、例えば日本の生命保険会社なんか考えますと、いわゆるデュレーションマッチングということで長めの国債を買わなきゃいけないという状況になっていますし、そういうことを考えると、当然、一方で、最終的にはやはり財政の維持可能性だと思うんですけれども、いわゆる政府債務残高のGDP比を安定させるということからすると、今のところ政府が国際公約をしているプライマリーバランスの二〇二〇年までの黒字化と、いわゆる名目金利を、名目成長率を上回ると、いわゆるドーマー条件を二〇二〇年までに達成させるようなことができれば、私はそういったキャピタルフライト的な状況は避けられる可能性はあるのかなと。当然、そのためには社会保障の効率化というのも必要になってくると思うんですけれども、そういう方向性で考えております。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) まず、一九九〇年に日本の税収が六十兆円というのはそのとおりであります。スライドの九にあります。藤巻先生は、金利が上がると今までの過去の債務のストックが非常に大きいので大変なことになるとおっしゃったんですけれども、これは別に早くやっていれば、つまり一千兆円の借金になる前に早く量的緩和をやっていればまず何の問題にもならなかったと。つまり、過去に失敗したから今、更に失敗するんだというのは私は変な議論だというように思います。  それから、金利が五%上がったら大変だというのは、それは五%上がったら大変ですけれども、金利が五%になるということは日本の景気は物すごく良くなっているということであって、名目GDPが五%以上で成長しているということですから、そのときの税収というのは非常に大きくて、バブル期のような税収が上がっていると思います。  それから、インフレ、アベノミクスは超インフレ政策を起こしてその社会保障支出を実質的に削減して財政再建するものだというようにおっしゃったんですけれども、アベノミクスというのは二%のインフレをするということですから、二%以上になったらこれ引き締めなきゃいけないわけで、それは安倍総理が自らおっしゃっておられますし、黒田総裁もこれは目標は二%だとおっしゃっているわけですから、その超インフレにはならないということになります。  出口戦略ですけれども、それは景気が良くなったら徐々に引き締めていくということだと、まあ引き締めていくというよりは徐々に緩和をやめていくということだと思います。一つは、インフレ率が二%を超えるということであれば当然緩和をやめるわけですから、そのことによって自然な出口戦略になっていきます。それで、そのときの金利というのは、名目GDPが順調、まあ例えば名目GDPが二%、三%になれば最終的にはそれは金利は二%、三%になるでしょうけれども、そのときの税収の増の方が大きいので、まあそれほど心配なさるには及ばないのではないかというように考えております。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 済みません。時間ですので。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 はい。  キャピタルフライトが起こらないというふうにおっしゃっていましたけれども、まあここまで、これ以上日銀が買うと、日銀のバランスシート、疑念を持って円安が進むんじゃないかなというふうに私は思います。  ちょっと時間が来ましたのでこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、お二人の公述人、本当に示唆に富むお話ありがとうございます。  まず初めに、女性の活用について原田公述人にお聞きをいたします。  今日は、女性の活用がキーポイントだということで話をしていただいて意を強くしたところです。ただ、日本の女性の問題は、例えば女性の貧困ということが大変大きな問題がある。日本の女性の貧困の特色は、外国と違って、働いても貧困、共働きでも貧困、シングルマザーの年収は年収百数十万でしかない、非正規雇用率が五四%、働いても働いてもじっと手を見て貧乏というのが日本の女性の実態だと思います。  ですから、女性の活用といった場合に、長時間労働の規制と雇用の平等、これを車の両輪としてやらなければならない。女性が働くためには、私も子育てしながら働いてきましたが、保育園に迎えに行くためにも男女共にやはり長時間労働の規制が必要だということを痛感をしています。ワーク・ライフ・バランスと労働法制の規制というか、長時間労働の規制と雇用平等の実現をしないと、女性の活用といってもほんの一部の女性だけが働いて、あとはやはり極めて悪い労働条件の下で働くと、そういう点についてはいかがでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 先生がおっしゃったことというのは現象として確かに事実としてあると思います。それに対してどうしていくかということですけれども、企業に無理やり賃金を上げろとか、そういうことを言ってもなかなか難しいことでありますので、貧困を解消するのは政府の役割ですので、それは政府がある程度援助するしかないのではないかというように思います。ですから、保育所も基本的には母子家庭を優先して預かるということになって、それで十分働けるようにというふうにやっているわけですけれども、十分な時間働けないということもあると思います。    〔委員長退席、理事北川イッセイ君着席〕  それからもう一つは、企業の働かせ方にも問題があって、日本の企業では、個々の労働者がどれだけきちんと働いているかよりも何か長時間労働を働いてやる気を見せると偉いとか、そういうようなおかしな労働慣行もありますので、そういうようなことも是正していく必要があると思います。ただ、それを、じゃ政府がどういう政策によって是正していくことができるのかというと、それは非常に難しい問題だと思います。  ちょっと先生の御質問に全部答えられなくて申し訳ないんですけれども、以上でございます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 では次に、今日のお話で社会保障を削るしかないというのには、でも、消費税って社会保障のためにと言われて、社会保障費を削ると言われるとやっぱり国民はショックを受けるかなと思ったんですが、もう一つ、公共事業の評価について是非御教示ください。  大規模公共事業をとにかくやって景気を良くするというのは、私も公共事業チェックの会などにも入っているんですが、チェックをする必要はあるだろうと、本当に費用対効果などはどうなんだろうかということで。必要な公共事業はやる、しかし、それを本当にチェックをする必要もあり、また、経済財政という観点からも公共事業のやはり限界というのもあるのではないかと思いますが、その辺、専門家としていかがでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 公共事業の効果については全くおっしゃるとおりでありますので、それについては基本的にはコスト・ベネフィット分析でされているわけですけれども、ベネフィットの方を非常に過大に計算してコストの方を非常に過小に見積もるということがずっと行われておりますので、どうしても効果の小さい公共事業が行われてしまうということになっております。ですから、これをしっかりチェックして、効果の大きい公共事業だけに絞ってやっていくということが非常に重要なことだと思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 予算の概念整理の問題点のペーパーで国債費の中における利払い費と債務償還費についての記述があります。  利払い費が今十兆円という極めて大きくて、私は日本の財政の圧迫は、一つは国債の利払い費の多額のことにもあるんじゃないかと実は個人的には思っているんですが、これ何とかならないか、どうしたらいいのかという点について、原田公述人、教えてください。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 利払い費は、現在金利は非常に低いわけですから、これが高いということはないと思います。  つまり、国債管理政策でもっと安くできるんじゃないかということは、可能性としてはあるかもしれませんけれども、それで大きく削減できるというものではないと思いますので、じゃ、これ、つまり、一千兆円の借金があって利払い費が十兆円ですから、一%ということですよね。ですから、これを更に大きく何とかするということはできないのではないかと思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 永濱公述人にお聞きをいたします。  解雇しやすいというか、そしてその失業対策をやるというのもお考えなんですが、今、日本は解雇が世界の中でしやすい国かというと、そうではないと。それから、解雇しやすい法制度に変えると、正社員は解雇されまいとして非常に長時間労働でもパワハラでも耐えて働くというようなことも起きてしまうんではないか、非正規雇用になりたくないために頑張るみたいな悪循環も出るんじゃないかと。労働法制は、やはりできるだけ働く人を守る、あるいはさっきの女性の活用は長時間労働の規制をしない限り実現できないんではないかという、この労働法制の緩和の問題についてどう思われますか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  おっしゃるとおりの部分もあると思うんですけれども、あくまで私が、解雇ルールの明確化というのを実現するには、やっぱりある程度の経済規模の拡大、経済成長が実現した中での話だと思うんですね。逆に、そういう中では、労働市場が、もっといい職場環境が、転職しやすいですとか、そういう状況になってくると思いますので、そういう環境をつくれば、ひいては、より経営者側よりも労働者側の方が、例えば賃金面とかでも強く立てるのかなと。更に言えば、国内経済全体で考えても労働力の最適な配分という形でうまくいくんじゃないかなと。逆に、景気悪くなったときはやっぱりそれなりの対応が、別の対応が必要になってくると思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 今はやはり余り景気が実は良くないというふうにも思うんですね。ですから、安倍総理の世界で一番企業がビジネスをしやすい国というのは、事、企業の側から立てばいいんですが、それで一歩間違えると、世界で一番労働者がひどい目に遭う国になっちゃうんじゃないかと思ったりもするんですが、そういうことについてはいかがでしょうか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 私も今すぐに解雇しろとか、あれしろというわけじゃなく、先ほどもお話ししたとおり、いろいろな逆に言うとセーフティーネット的な政策も構築する中で景気回復とともに徐々にやっていくということが望ましいと思っています。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 日本の景気良くしたい、国民の生活良くしたいというのは、本当に政治家、党は違っても思っていることだと思うんですね。どうしたら良くなりますか。それぞれ原田さんと永濱さん、一分ずつ教えてください。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) アベノミクスの第一の矢と第三の矢をしっかりやるということだと思います。  第三の矢の企業がビジネスをしやすい国にすると労働者がひどい目に遭うというようにおっしゃったんですけれども、企業というのは企業同士競争しているわけですね。ですから、ある企業がひどい労働条件をつくっていても、経済環境全体が良ければひどい労働条件では人を雇えないわけで、景気が良くなっていけばお互いに企業が人を求めて競争をしていきますので、労働条件も良くなっていくと思います。  もちろん、じゃ、十分に働く能力がないとか、何らかの理由で十分に働けないという方がいらっしゃるというのは事実だと思いますので、それは政治が手を差し伸べて助けていくということは現在の福祉国家の中で当然のことだと思います。

北川イッセイ自由民主党

○理事(北川イッセイ君) 済みません、答弁簡潔にお願いいたしたいと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 今の足下の経済データを見ても、先ほど申し上げましたとおり、もうそれこそ二十何年ぶりとか十何年ぶりという、バブル崩壊以降で今恐らく最も景気の回復の勢いがある時期だと思うので、そういった意味で、やっぱり今の政策というのは私は間違っていないと思いますので、それをより加速して進めていくということが重要だと思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 どうもありがとうございました。    〔理事北川イッセイ君退席、委員長着席〕

平野達男新党改革・無所属の会

○平野達男君 改革・無所属の会の平野でございます。  今日は、公述人のお二方、本当にありがとうございます。  まず、永濱公述人にお伺いしますけれども、アメリカはあの二〇〇八年のリーマン・ショックの秋から、秋というかその年から、いわゆるQE、量的緩和というのを実施して、その前に日本も量的緩和を実施したんですけれども、短期市場に働きかけるということで、余り国債の金利に影響を与えないような形での量的緩和をやったんですけれども、アメリカはもう、ざっ、ぱっと変えて、いわゆる日本でいうところの非伝統的な、とにかく金利付きの国債も買う、いろんな財産も買うということで、かなり大胆な金融緩和をやって、日銀も今それをどちらかというとフォローしているということですね。  お聞きしたいのは、御案内のとおり、今年に入って縮小の、イエレンさんになりまして量的緩和の縮小段階に入ってきて、これが順次縮小するという方向で今動いていると。これが開発途上国とか何かでは、通貨の下落、株価の下落とか様々な影響出ているようなんですけれども、この量的緩和の縮小の影響という、世界経済に与える影響と日本に与える影響というのをどのように捉えているかということをまずお聞かせいただけるでしょうか。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) 結論から申し上げますと、新興国にはややマイナス、日本にはプラスに効いてくるというふうに考えています。  やはり新興国は経常赤字の国が多いですので、そういった国にとってみたら、アメリカが金融緩和の蛇口を閉め始めるということは、やはり通貨が下落しやすいということで悪影響出やすいんですけれども、ただ、それを、じゃ緩和をアメリカが続ければ今度はアメリカがバブルの懸念が出てきてしまいますから、そうなると、やはり新興国はこれからいかに自国の通貨暴落を短期的に抑えながら自国の構造改革をしていくかというところが非常に求められてくると。  一方で、日本につきましては、緩和の出口に向かうということは円安になりやすいと。さらには、ドル建てで見た資源価格も多分上がりにくくなってくると思いますので、これいずれも日本経済にプラスになってくると思います。過去の局面を見ても、アメリカが金融緩和の出口から引締め局面というのは日本経済は大体必ずいい状況になっているということからすると、しばらく、数年の間は、FRBが金融引締めの局面にある間は日本経済には大きな追い風が吹くのかなと期待しています。

平野達男新党改革・無所属の会

○平野達男君 分かりました。いずれ、もうちょっとこれは様子見る必要があるということもあるかと思います。  それで、永濱公述人にもう一問。法人税の引下げということを言っておられますけれども、御案内のとおり、ISバランスを見ますと、金融機関の貯蓄は下がってきている、それから個人の貯蓄も下がってきていて、いわゆる非金融機関の貯蓄過剰が最近目立っているということですね。それをそっくりそのまま日本の場合は政府が国債というのを発行してそのお金を吸収するという形で、今のISバランスのシートを見ますと、ほぼそのまま均衡しているような感じします。プラス、今、日本は経常収支、まだ僅かではありますけれども黒字続けていますから、お金は海外に出ています。  それで、ここで法人税を下げるというのは、今、安倍政権ではそれを人件費に転嫁する転嫁するということで一生懸命やっていますけれども、それがどれだけ功を奏するか分かりません。だけど、今のこれまでの実態、かなり内部留保がたまっていて、その上投資が出ないという状況で、それが国債に回っている。法人税を下げて国債をつくって、それでまたそこの中で空回りするというような構図ということもなりはしないかと。  本当に法人税の減税というのが投資に回るとかというのは、今までの傾向からすると、状況からすると、世界経済が、これからアメリカも多分シェールガス革命とか何かあってもうだんだんだんだん良くなるみたいなこともあったりして、プラス要因はあります。ありますけれども、今のこれまでの現状から見ますと、この法人税の引下げというのが果たしてどこまでの効果があるのか。これは立場によって随分変わってきましたね。あると言う方とないと言う方ということで分かれてしまうんですけれども。  改めて、永濱公述人にお話をちょっとお聞きしたいと思います。

永濱利廣第一生命経済研究所主席エコノミスト

○公述人(永濱利廣君) ありがとうございます。  私は、法人税率の引下げの最大のポイントというのは、いかに対内直接投資を増やすかというところが最大のポイントだと。対内直接投資を増やすか。日本は対内直接投資は非常に少ないので、それを増やすための一つの方法だと思います。  一方で、家計の貯蓄が減っているというお話でしたけれども、法人税だけじゃなくて、今は大胆な金融緩和をやって、株も上がって、家計の金融資産も増えているという状況にあります。さらに、これまでは内部留保でたまってきたかもしれませんけど、今、大胆な金融緩和のおかげで実質マイナス金利の状況でございますので、こういう状況になってくれば自然とやはり設備投資にお金が流れてくるということからしますと、法人税だけではなくていろんな金融緩和とかとのセットでやっていく中では、法人税率の引下げというのはプラスに効いていくのだと。逆に、下げないと、下げないことによる日本企業が海外に流出するマイナス効果が大きいというふうに考えております。

平野達男新党改革・無所属の会

○平野達男君 私は、そこはかなり違った見解を持っているということだけちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  原田公述人にお伺いします。  先ほど国債の金利の話についていろいろ御議論がありまして、私は、やっぱり千兆に近い借金がたまっている中で、これだけこれから国債の金利がどうするかというのは非常に大きなテーマだと思います。  今はもう本当に長期金利も非常に低いですから、先ほど福島委員から十兆の利払いということがありましたけれども、その前にどなたさんかからありましたが、仮に一%上がりますと、それだけで金利が、一気に十兆上がります。長期間、国債の平均発行期間が七年ですから、七年で十兆に上がるということですね。これ、結構かなりな金利の負担になると思います。もちろん、原田公述人が言われましたように、景気が上がればそれに基づいて名目成長率が上がって金利が上がるという状況は、これはいいと思います。もっとも、五%上がったら、それで仮に経済成長があったとしても、五十兆の税収が本当に来るか、あるかどうかという問題はちょっとあるかと思いますが、その問題はさておいて。  私が言いたいのは、そういう成長と国債金利の上昇というのは一致しない場合があるということで、これは要するに国債の信認ということになるわけですけれども、こういう、どんどんどんどん、要するに、今回も四十一兆、国債の発行、新規発行国債続きます。それで、今のこの割合の四十兆を続けて、今、償還期間は六十年で償還していますから、一千兆というと十七兆償還したとしてもその差分はどんどんどんどんその場合はたまっていくということで、今の財政構造は国債発行の残高がどんどん膨らむという構図になるわけです。どこかの時点でその金利の上昇というのが経済の成長から逸脱して増えていく、上がってくるのではないかということが要するにいわゆる国債の管理リスクとしてあるわけですね。  そこのどこかということについての見通しということについて、原田公述人はどのような考え方を持っておられるでしょうか。

原田泰早稲田大学政治経済学部教授

○公述人(原田泰君) 過去の国債が非常にたくさんあるので金利が上がっては大変だということですけれども、景気が良くなって金利が上がったら大変だということなんですけれども、じゃ、景気を良くしていなかったらどうなったかというと、この過去のあれがもっと増えてしまうということですから、もちろん二十年前に金融緩和して景気良くしていれば一番よかったわけですけれども、いつかはやらなきゃいけないんだから、今やるしかないということです。  じゃ、次は、今やって大丈夫かということですけれども、もちろん十年前だったらかなり楽だったんですけれども、今でもやるしかないということです。それをやったときに自然増収がありますので、私の計算では大丈夫なんですけれども、現在の財政を見ますと、自然増収があるからいいじゃないかといって何か使ってしまっているんですね。  だから、つまり、私は、金融緩和だけやって、金融緩和で上がった分を使わなければ必ず大丈夫ですと言っているんですけれども、金融緩和で上がった税収を全部使ってしまえば、それは駄目だということになります。  ですから、やはり長期的な支出の目標というのをつくって、余り政府支出が増えず、結果的に財政赤字が自然増収で減っていくと、そういう姿を見せなきゃいけない。そういう姿を見せれば何かパニック的な状況になって大変なことが起きるということは避けられる。だから、そのために国会議員の先生方に是非しっかりその点はお願いしたいと思います。

平野達男新党改革・無所属の会

○平野達男君 時間がなくなりましたからここでやめますけれども、私の質問の趣旨がちょっと通じていなかったと思いますけれども、今日の原田公述人が言われたことは、私、基本的にはもう賛成です。あとは政治が本当にやり切るかどうかなんですね。  ただ、申し上げたかったのは、経済成長と国債の金利というのは、ひょっとしたら今のままだったらどこかで乖離する可能性があるんじゃないかと。そのことをもうちょっと頭に入れてこの問題を真剣に考えていきたいということで申し上げたつもりでした。特に私が言いたいのは、いつ、通常の経済成長からちょっと逸脱したような、金利が上がるかというのは、私はやっぱり誰も予測ができない、だからおっかないんだということをちょっと申し上げたくて今日お話をさせていただきました。  ありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。  本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) それでは、速記を起こしてください。     ─────────────

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) それでは引き続き、公述人の方々から御意見をお伺いいたします。  この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  本日は、平成二十六年度総予算三案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で着席のまま御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。お答えの際は、恐縮ですが、御起立のほどお願いいたします。  それでは、外交・安全保障について、公述人駒澤大学名誉教授西修君及び元内閣法制局長官・弁護士阪田雅裕君から順次御意見を伺います。  まず、西公述人、お願いいたします。西公述人。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 本日は、このような席でお話をさせていただく機会を得ましたことを大変光栄に存じます。  私は、安全保障法制の構築に向けてという、こういうテーマでお話をさせていただきたいと思います。何分にも二十分という非常に限られた時間でございます。早速私のレジュメと資料に沿ってお話をさせていただきたいと思います。  まず第一に、東アジア地域の安全保障情勢をどう考えるか、どう見るかということでございますけれども、皆様方御存じのように、三月五日には中国の全人代報告によりまして、二十六年度国防予算が約十三兆円、十年間で約四倍に増加しております。しかも、非常に不透明で、実際は一・五倍から二倍ぐらいになるんじゃないかというふうに言われております。そういう中で、日本の二十六年度防衛予算、ここに書いてある四兆七千八百三十億円で、三倍近いということでございます。細かいことは省略させていただきますけれども、一言で申し上げるならば、上に書いてありますように、平和を脅かす露骨な軍拡路線が見られると言えると思うのであります。  それから、北朝鮮からは挑発的な言動の繰り返し、さらに、韓国、ロシア、いろんな問題がまだ懸案のままであります。  一方、米国でありますけれども、QDR、四年ごとの国防防衛見直し計画、三月四日に発表されたものによりますと、今後まず十年間で国防費が約五十一兆円もの削減が義務付けられている、米軍全体の危機対応能力が低下は否めない。アジア回帰をうたっておりますけれども、やはりその全体の低下の中で、日本、韓国、豪州などに補完的な指導力を期待している。  こういうことが、結論から言うと、高まる不安定と緊迫度、これが一つのキーワードとして言えるのではないかと思います。そういう現実の中で我々の安全保障法制というものを考えていく必要がある。もっとも、これは短期ではなくて中長期的に考えていかなければいけないことは当然であります。  幾つか申し上げたいことがあるわけでございますけれども、国家安全保障会議はもう既に設置されました。動いております。それから、特定秘密保護法の制定、これも法律が成立をいたしました。そこで今日は、集団的自衛権の解釈是正の問題とそれから憲法改正にも少し触れたい、このように思うわけであります。  レジュメに沿って申し上げたいと思いますが、憲法九条の成立過程、文理解釈から見て、本来、自衛のための戦力保持は可能と解釈すべきであると思うわけであります。そういう意味において、政府解釈は元からおかしい、原点からおかしい、このことを申し上げておきたいと思います。  私自身の解釈でありますけれども、憲法九条は自衛権を放棄しておりません。否定しておりません。国連憲章五十一条は、集団的自衛権を、個別的自衛権とともに固有の権利、自然権、すなわち国家として元々保有している不可譲の権利で、これはここには書いてありませんけれども、国際慣習法上確立された権利であると、こんなふうに位置付けられております。  そこで、結論でありますけれども、憲法九条が自衛権を否定していない以上、解釈上、集団的自衛権は個別的自衛権とともに当然に認められている、こう整理すべきだと思うわけであります。いかなる場合に個別的自衛権あるいは集団的自衛権を行使するかは政策判断の問題であって、憲法解釈の問題ではない、このように思います。そうすると、解釈改憲なのかということを、疑問もあるわけでありますけれども、これにつきましては後ほどお話をしたいと思います。  さて、そこで、よく政府解釈はずっと一貫しているんだというふうに言われてきているんですけれども、本当にそうだろうかということで、政府解釈の変更の数々ということで、ほかにもいろいろあるんですけれども、ここでは取りあえず幾つか述べてみたいと思います。  まず、戦力の解釈でありますけれども、昭和二十六年の、大橋武夫法務総裁は、憲法九条に申し上げまする戦力というのは、陸海空軍、これに匹敵するような戦争遂行手段としての力を意味するのでございます、下線の部分を中心に申し上げたいと思います、このように解釈をしていたのでありますけれども、その後、実は必要な限度だとか必要相当な限度というような解釈も言われているわけでありますけれども、吉國一郎内閣法制局長官は、昭和四十七年の段階で、政府は、昭和二十九年十二月以来は、憲法第九条第二項の戦力の定義といたしまして、自衛のため必要な最小限度を越えるという先ほどの趣旨の答弁を申し上げて、近代戦争遂行能力という言い方をやめております。ここで完全に戦力、やっぱりこれは憲法上非常に重要な解釈であります、戦力の解釈を政府が完全に変えたということであります。  次に文民でありますけれども、ここに書いてあるとおり、平成十六年の段階でありますけれども、当初は、自衛官は文民に当たると解していた、でも、昭和四十年に、自衛官は文民に当たらないという解釈を示したものである。ここでも、憲法六十六条二項でありますけれども、文民、これはやっぱり非常に重要な憲法解釈の問題であります。これを変えております。  集団的自衛権でありますけれども、岸内閣総理大臣は、昭和三十五年の段階で、ちょっとこのままなので読みにくいんですけれども、そういう意味において一切の集団的自衛権を持たない、こう憲法上持たないということは私は言い過ぎだと、かように考えております。要するに、集団的自衛権を一切持たないのは憲法解釈上言い過ぎだということをはっきりここで言っておられた。ここには書いてありませんけれども、その後、昭和三十六年には、赤城防衛庁長官は、非常に制約された集団的自衛権は憲法上持っているんだとはっきり言っておられるわけであります。  その後、一九八一年ですね、今の憲法の解釈が確立されたわけでありますけれども、その前は一九七二年、昭和四十七年ぐらいから今の政府の解釈に変わってきておりますけれども、そこで、次の平成十三年の政府答弁でありますけど、憲法に関する問題について、世の中の変化を踏まえつつ、幅広い議論が行われることは重要であり、集団的自衛権の問題について、様々な角度から研究してもいいのではないかということで、かなり柔軟に集団的自衛権の解釈変更、研究をしてもいいということをはっきりこのときの政府答弁は言っているわけであります。  そこで、私自身でありますけれども、この政府解釈というのはどうしても限界があります。時代的な限界はこれは不可避と言えると思います。一つは国内的要因、内政上の諸問題、国会の勢力分布、世論の動向などあります。国際的要因といたしましては、冷戦時、それから冷戦後、さらにポスト冷戦後、国際社会がいろいろ変化してきている。そしてまた、国際的緊張度や米国軍事力への依存度など、いろいろやっぱり影響を受けることは否めないと思います。  実は、駒澤大学で研究室が隣だった林修三元内閣法制局長官から、やはり限界があるんだということを直接伺ったことがございます。阪田先生、お隣にいらっしゃいますけれども、読売新聞の三月七日付けによりますと、内閣法制局は内閣の機関だから内閣の判断に合わせてやってきた、六十年前の政権が、当時の野党が与党なら、今と違った解釈である可能性はある。これを見ましたら、ああ、やっぱり林先生と同じなんだなということを痛感したことを覚えております。  さて、そこで、今日でありますけど、国内的要因といたしましては、社会党の委員長の村山富市首相が首相になったとき、自衛隊合憲、日米安保条約堅持を主張なさいました。これによって、国内的な世論、特に国会の中での議論がかなり変わったように思うんです。それから、世論も現実的な安全保障観へ変容してきております。国際的要因も、先ほど申し上げましたように、東アジアにおける緊張度の高まりあるいは米軍軍事力の相対的低下など、大きく変化しております。  そういう中で、数十年前、例えば今の集団的自衛権について言えば、先ほど言いましたように、昭和四十七年あるいは昭和五十六年、数十年前の政府解釈を墨守してよいのかどうか、これが問われていると思うわけであります。  砂川事件に関する最高裁判所大法廷判決、昭和三十四年十二月のことでありますけれども、まず大法廷判決の多数意見、憲法九条は、我が国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを何ら禁ずるものではないということを大法廷の判決、多数意見で述べていると同時に、私が非常にここで着目したいのは、そのときの田中耕太郎長官が補足意見でこんなことをおっしゃっておられます。  自衛は国家の最も本源的な任務と機能の一つである。そして、法的に認め得ることは、国家が国民に対する義務として自衛のために何らかの必要適切な措置を講じ得、かつ講じなければならないという大原則だけである。さらに一国の自衛は国際社会における道義的義務である。最後ですけれども、換言すれば、今日はもはや厳格なる意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち他衛、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである。したがって自国の防衛にしろ、他国の防衛への協力にしろ、各国はこれについて義務を負担しているものと認められるのである。  これは昭和三十四年ですから、もう五十数年前、既に最高裁でこういう判決が出ていると、またそういう意見も出ているということを我々は認識をする必要があると思うわけであります。  次に、第一次安倍内閣のいわゆる安保法制懇、これは私もメンバーでありますけれども、この事例は後ほど使わせていただくことがあるかと思いますので、ここでは省略をさせていただきます。  さてそこで、この集団的自衛権についての私見を申し上げたいと思います。  私は、考え方の基本に置かれるべきは、国家の平和と安全、国民の生命、身体、自由、財産の確保に資するためのありようであって、様々の要因で構成されている政府解釈のいたずらな踏襲ではない、何か考え方の倒錯現象が見られるように思えるわけであります。国際社会が大きく変化している中で、従来の政府解釈を金科玉条視し、絶対に動かすべからざるものとして対応していくのか、あるいは国際社会の変化に対応して政府解釈の見直しを図るべきか、常識は後者を選択するものと考えます。  本来ならば、九条の成立過程などを踏まえて抜本的に解釈が改められるべきところ、従来の延長線上の自衛のため必要最小限度の中に集団的自衛権を含めることは、いわゆる解釈改憲ではない。集団自衛権を認めるとしても制限を付すべきは当然でありますし、現在、国連憲章五十一条で幾つかの要件が定められております。また、ニカラグア事件における一九八六年六月二十七日の国際司法裁判所でも幾つかの要件がはっきり書かれております。  プラスして、我が国の安全保障と密接な関係にあること、すなわち地球の裏側に行って米国とともに武力行使をすることは、通常考えられません。当該国からの明確な要請があること、原則的には事前、やむを得ないときには事後の国会承認を得ること、そしてそれに伴って関連法律の作成など、こういう幾つかの制約あるいはそれに伴ってくる措置、そういうものを講ずることは当然だと考えます。  解釈上、権利を認めるのであって、行使の義務ではありません。権利をどのように行使するかは高度な政治的判断、内閣、国会がそれに関与していくということであります。よく言われる、戦争できる国にするためではなくて、戦争をさせない国にするため、そのような意味においても、この抑止力の強化ですね、するためにも、集団自衛権の解釈を変えるということは必要であると、こんなふうに考えるわけであります。  時間が限られておりますので、次に憲法改正の方に移りたいと思います。  憲法改正については、九条の改正と国家緊急事態対処条項の導入について必要だというふうに考えるわけであります。九条でありますけれども、曖昧な文言に伴う多様な解釈、非武装解釈から自衛戦力保持可能解釈まで非常に幅広い。果たしてそれで妥当なのかどうなのか。また、国家緊急事態条項の導入をどう考えるか、こういうことが問われていると思うわけであります。  私の場合は、世界の各国憲法と同時に日本国憲法の成立過程もかなりやっております。そういう中で、共産党の、この八月二十四日の議事録をちょっと御紹介をしたいと思います。後ろの方ですね。  当時の共産党の、議事録見ますと、要するに当憲法第二章、すなわち今の九条であります、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない、我々は当憲法が可決された後においても、将来当憲法の修正について努力するの権利を保留して、私の反対演説を終わる次第であります。  私は、民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない、共鳴するところ大なものですから、これをあえて引用させていただいたような次第であります。今の共産党はちょっと違うようでありますけれども。  それはともかくといたしまして、そこで、比較憲法の視点から調査した若干の資料を提起させていただきたいと思います。これは付録ですね、資料のところに、まず一つは産経新聞で「正論」に書いたところで、これは省略いたしますけれども、各国憲法の制定年と改正の実際、これも百八十八の憲法を調べて、いろいろ言いたいところはあるんですけれども、時間がありませんので下線の部分だけを申し上げたいと思います。  ずっと古い方から順番に取り上げますと、日本国憲法は世界の成典化憲法保有百八十八か国中、今や古い方から十四番目です。決して新憲法ではありません。それから、一見してお分かりのように、特にこの四〇年代までの二十ぐらい挙げると、もう世界の憲法は頻繁に憲法を改正している、これが実情であります。  次に、世界の現行憲法と平和主義条項というものを見ていただきたいと思います。これは私なりに百八十八を①から⑰のカテゴリーを一応書いていって、これ先行研究がありませんので、百八十八を全部私なりに整理をしました。そうしたら十七、一応これは平和主義条項と言えると思うんですけど、こういう平和主義条項を今幾つ持っているか。百八十八か国中百五十八か国であります、八四%。一言で言うならば、今や平和主義条項というのは当然の条項であって、日本だけが唯一の憲法ではない、このことを申し上げたいと思います。  そして最後に、この一九九〇年二月から一四年一月までの新しく憲法を制定されたものを見て一言で言うならば、これも平和主義条項は世界の九八%、国家非常事態条項は一〇〇%。何を言いたいかというと、世界の憲法は一方で平和主義をうたい、一方で国家非常事態条項をうたっている、このことを十分認識する必要がある。  そこで最後に、私の私見を申し上げたいと思います。  提言。非武装解釈から自衛戦力保持可能解釈まで存在する条項は、独立国家として余りにも不自然であります。非武装賛成派からは解釈が拡大していくことに強い懸念を抱いていらっしゃる、自衛戦力保持派からは軍の明記を要望している。であれば、誰が読んでも非武装としてしか解釈できない条文にするか、あるいは軍の保持を明記するための憲法改正案を同時に国民に問いかけたらどうか、こんなふうに思うわけであります。  最後に、強固な安全保障法制の構築に向けて、シームレスな法体制のありようを真摯に考察していかなければいけないのではなかろうか。  本日は、安全保障の構築に向けて、ちょっと早口になったかもしれませんけど、私の見解を申し上げました。  どうもありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ありがとうございました。  次に、阪田公述人にお願いいたします。阪田公述人。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 今日はお招きをいただきまして、ありがとうございます。  今の西先生の最後の部分は私もある意味では賛成でありまして、憲法九条が分かりにくいということについては否定するものではございません。そして、私が分からないのは、今の安全保障環境がどうかということなんですけど、もし我が国も集団的自衛権の行使をする必要があるという状況であるとすれば、それは是非憲法改正をしてやっていただきたい。今の九条をそのままにして、解釈でこれができるというのは余りにも乱暴ですねという、その一点について申し上げたいと思っております。  西先生のようにちゃんとは書いていないのですが、レジュメに沿ってお話をさせていただきます。  大前提として、政府がこれまでどう解釈してきたかということを改めて御紹介をしなければならないわけですけれども、憲法の九条というのを改めて見ていただきたい。条文、お手元に配付をさせていただいていると思います。九条の第一項は、今、西先生もおっしゃいましたように、ほかの国々でもたくさん置かれている規定でございます。これは、古くは一九二八年、不戦条約以来、こういうことで、正しくない戦争は駄目なんだと、戦争の違法化を進めてきたという規定であります。  日本国憲法の非常に大きなポイントというのは、言うまでもなく二項なんですね。これは、戦力を持たないと、それから交戦権を否認すると書いてあるわけです。  政府の解釈はとても分かりにくいというんですけれども、九条と今の状態を整合的に説明することについて多少工夫が要ったということだと思うんですけれども、自衛隊がなぜこの九条第二項で書いてある戦力に当たらないのかというのが最大のポイントだったわけですね。それは、政府は合憲だと言ってきた。当時の憲法学界、今でもそういう方は学界では多いですけれども、自衛隊を含めて一切の実力組織を置くことを憲法九条は認めていないという中で、そうではないと申し上げてきました。でも、それと裏腹の関係として自衛隊は海外に出かけていって戦争することはできないのですということも、これは今の西先生のお話とはちょっと違うんですが、自衛隊ができたときから一貫して申し上げてきております。  なぜ自衛隊が合憲なのかと。これはなかなか素直に読んでも導きにくいですよね。これは、自衛隊というか、憲法は九条だけであるわけではないという考え方を取ってきたからなんですね。例えば、前文を見てください、これは国民が平和的に生存する権利というのをうたっているでしょうと。第三章には基本的人権の保障をしています。例えば、ここにも抜粋してありますけれども、十三条御覧いただきますと、これはそれぞれ国民が幸福追求をする権利があるんだと書いてあるわけですね。そういう幸福の追求みたいなことを個々人が、国民が勝手にやればいいということでは決してないのであって、それは国がしっかりと国民が平和で幸福に生活できるような環境を守る、その責任があるということなのだと申し上げてきたわけです。  とすれば、一朝有事、もし外国の軍隊が我が国に攻めてくるということを考えてください。国民の生命、財産、安全、たちまち危機に瀕するではないかと、そんなときに国家が指をくわえて見ていろというのが憲法九条の下命であるか、命ずるところであるかということであります。それは、そんなことはないねと。今、西先生も引用された砂川事件の最高裁判決でも、自衛権、国家の自衛権というのは容認されている。自衛権があるとすれば、そういう事態に対して、国がそういう侵略、急迫不正の侵害といいますが、武力攻撃を排除する、排除して国民を守る、これは最低限の責務ではないでしょうかということだったんですね。そういうための、国民を守るための必要最低限の実力組織を持つこと、これは九条二項の戦力とは質が違うのだと、戦力を保有することには当たらないということを言ってまいりました。  ですけれども、その結果として、自衛隊はそういうものでありますから、普通の軍隊とは違うのです。普通の軍隊であれば戦力を持てるわけですからね。持てないと書いてある。だから普通の軍隊と違う。何が違うか。この二番目に自衛権発動の三要件と書いてありますけれども、その第一の要件、自衛隊が実力の行使に及び得るのは、我が国に対する急迫不正の侵害、つまり外国からの武力攻撃があることというのが条件なんですよということを言い続けてきたわけであります。  三要件としてほかに二つ書いてありますけれども、ほかの二つは大したことはない。二番目はたまたまほかに手段があれば必ずしも実力に訴えなくてもいいということを言っているだけでありますし、三番目は、自衛権発動の三要件とはいっていますけれども、これは発動するための要件というよりは、発動したときにどこまで実力の行使ができるのかと。どっちかというと交戦権否認との関係で出てきた考え方だと思いますけれども、たまたま攻めてきたということを奇貨としてどこまで行ってもいいということではないのだと。例えば、外国の領土を占領してしまう、占領行政をしく、そういうのは交戦当事国では普通には認められるわけですけど、我が国はできないと申し上げてきたわけでございます。  ですから、今必要最小限度というのは、政府は二つの場面でしか使っていないんですね。自衛隊が国民を守るための必要最小限度の実力組織であるということ。それからもう一つは、有事に際して自衛隊が実力行動に及んだときにどこまでその武力を行使できるかが必要最小限度、国民を守るための必要最小限度ですというところをちょっと頭に置いておいていただきたいと思います。  そこで、集団的自衛権ということでございますけれども、今、西先生からお話がありましたように、これは国連憲章で初めて現れた概念である、非常に新しい概念なんですね。  国家の正当防衛権、これを普通自衛権というふうに私どもは考えてきたわけですけれども、これは十九世紀の頃から国際慣習法上認められていたと言われています。これは何かというと、自分の国が攻められたらそれを反撃する、そういう権利であります。それに対して集団的自衛権というのは、この国連憲章ができるまで誰も知らなかった概念なんですね。起源についてはいろいろあるようですけど、ラテンアメリカの国々が地域同盟の発動に安保理の許可が要ることとされたことに大変強く反発をしたというようなことがきっかけだと言われていますが、ですから、この集団的自衛権という言葉が入ったとき、これが一体何を意味するのか、発動要件もそうですけれども、その外延がどこまでかということについても国際法上はいろんな議論があったというふうに聞いています。  今、岸総理の答弁を西先生お引きになりましたけれども、あの答弁の中でもはっきりと岸総理はおっしゃっているわけですが、集団的自衛権、どこまでを集団的自衛権と呼ぶのかについてはいろんな議論があるようだと、必ずしも実力の行使だけではない、例えば日本が行っている米軍への基地提供あるいは交戦当事国への財政支援、そういうものも集団的自衛権に含まれるという議論もあります、もしそうであるとすれば、憲法九条はそういうものまで全てを否定していると私は思いませんというのが岸総理の答弁です。ですけれども、その中核的な概念でありますところの実力の行使、これは憲法九条の下では許されないというふうにおっしゃっております。  大前提として御理解いただきたいのは、二十世紀になって、もう国際法上は戦争というのは基本的に違法だと、もちろん国家の正当防衛は別ですよ、攻められたときの、ということになったんですね。今許される戦争というのがこの集団的自衛権の行使しかないんです。もう一つは安保理決議に基づくものというのがありますけどね。これは制裁戦争と言われるものであります。それ以外は集団的自衛権の行使しか適法な戦争ができない。あとはみんな違法な戦争ですから袋だたきになるわけですね、もしやったとすると。  ですから、どの国であっても、第三国の戦争に介入をするとき、これは集団的自衛権というのを掲げざるを得ないわけです。典型的にはアメリカのベトナム戦争であり、アフガンでの戦争であり、あるいは旧ソ連のチェコやハンガリー、アフガニスタンへの侵攻なんですね。ですから、これが平和主義だということであるとすれば、もうアメリカやイギリス、中国、ソ連を含めて全部の国、世界中の国が今平和主義の下にあるということでございます。  日本国憲法は、要するに、九条第二項は特にそうですが、戦力というのはそういうものだと、自衛のためのものだと。さっき申し上げましたように、我が国が有事でない限りは外に出ていけないのだということで言ってきたわけでありますから、その点がほかの国と違う平和主義なのだというふうに政府も言い、国民にもそのように理解されてきたと私は思っています。  よく言われるんですけれども、権利があるじゃないかと、集団的自衛権、国連憲章で行使を認めているではないか、それを主権国家、認められている国家が行使できないというのはおかしいんじゃないかという議論があります。ですけど、国際法というのはこれは国家間の合意ですから、何だって基本的に禁止していること以外は国家に許すわけですよね。許されている国家、国が、その国際法上許されていることを全部やらなきゃいけないなんてそんなばかなことはないので、そのうちどこまでやらせるか、やらせないか、これは国民が決めること、国民の意思で決めること、まさに憲法であり法律であります。  例えば、オーストリアの憲法は永世中立なんですね。永世中立だというのはどういうことかというと、ほかの国と軍事同盟を締結することができないんです。日本も安保条約を結んでいますけど、こんなのは国際法上、どの国とも国家は安全保障条約を結ぶことができるわけです。あるいは、国連海洋法条約というのがあります。これは、十三海里の範囲内で沿岸国は全部領海を設定することができるわけです。できるからとして、行ってやらなきゃいけないということではないのだと。それは、国民の意思で領海を設定していない国もあります、設定しているけれども三海里にとどめているという国もあるというのが国際法と国内法の関係。  国際法上はもちろん集団的自衛権ありますよ。ですけど、日本はさきの敗戦の反省に立って、国家の勝手に戦争をやらせないと決めたのが九条だということだと理解をされてきたわけでございます。  それからもう一つ、必要最小限度との関係ですね、さっき申し上げた。必要最小限度をちょっと緩めれば、必要最小限度の範囲内で自衛隊は実力の行使ができると言っているんだから、政府は、これをちょいと緩めれば集団的自衛権の少なくとも端っこの方は引っかかるんじゃないかというような議論がございます。  ですけれども、さっき申し上げたように、必要最小限というのは二つの次元、場面でしか使っていない。一つは、自衛隊が国民を守るための必要最小限度の実力にとどまらなきゃいけないということなんですよね。それをどんどん広げるというと、それは物すごい大きな自衛隊になる可能性はありますよ、緩めていけば。GDP一%どころか、中国並みに二%、三%という国になることはあり得る。  それから、自衛隊が実力の行使に移ったときに必要最小限度の範囲内でとどまらなければいけない。これを緩めていくと、もしかすると、今は駄目だと言っている占領、外国領土の占領みたいなものも認められるかもしれません。ですけど、これらを幾ら緩めてみても、我が国に対する武力攻撃がない、国民の生命、財産あるいは国土そのものが脅かされていないという状況の中で自衛隊が出ていくという理由にはならないということなのであります。  この集団的自衛権の行使を憲法九条の解釈を変えることによって認めるということについて、何が疑問であるかということを申し上げたいと思います。  何といっても、これは憲法の読み方なんです、今見ていただきました九条第一項、第二項、どう読めば我が国も普通の軍隊が持てるんだと、アメリカや中国と同じように外国に行って戦争をすることができるんだと読めるのですか。  逆に言えば、今私が申し上げたような解釈、これは自衛隊は違憲だという意味で間違っているとおっしゃる人はいますよ、結構ね。それはまあそれなりに九条を見ていたらそういう理屈もあるかなとは思います。ですけど、この政府の解釈のどこがどのように間違っていることなのかということについて、政策上こんなことで日本はいいのかということとは全く別に是非説明をしていただきたい。また、その説明がなければ、それは国民も誰も納得しないということだと思いますね。  それから、これは集団的自衛権とか、言わばちょっと分かりにくい、難しい感じで議論をしていますけれども、実は九条を削除するということと一緒なんですね。  憲法を見てください。お配りしてありますけど、九十八条というのがあるんですね。九十八条第二項に国際法を守らなきゃいけないと書いてある。さっき申し上げたように、国際法で今許されている戦争、集団的自衛権の行使しかないんですから。ちょっと抜かしましたけど、国連安保理決議に基づくものがありますね、制裁戦争。これも同じ理由で、我が国が攻撃をされていないということですから、政府は、加われない、多国籍軍に参加することはできないと言ってまいりました。それを除きますと集団的自衛権の行使しかない。そして、九十八条二項で国際法に違反する戦争はできないとすれば、九条があってもなくても我が国がやれることというのは集団的自衛権の行使しかないんです。  だから、憲法九条というのは一体何の役に立っているのかと、もしこれで集団的自衛権の行使ができるということであるとすればですね。というのが非常に大きな疑問、これは国民の常識とは違うんじゃないかと。学校の教科書なんかを見ましても、中学校の公民の教科書ですけど、日本の憲法というのは、国民主権、基本的人権の尊重と並んで平和主義、これに立脚しているんだということを高々と書いてあるわけですよね。こんなの全然うそっぱちかと、この平和主義はアメリカやイギリスと同じなのかということでございます。  それから、言うまでもなく立憲主義という問題でありますね。憲法というのは統治、まさに国の行為を縛るということがこれは役割であります。それを守るべき主体は国であります。守るべき張本人が、多少都合が悪いから要するに都合よく解釈しようというふうなことがもしありだとすれば、それは普通の法律についていえば、守っているのは国民なんですよね。だから、国民は、俺は気に食わないと、そんなところで何か、医者に勝手になれないなんというのはけしからぬと、わしは試験を受けないで医者になるんだと言ってもいいなんということとほとんど同義なんですね。それはやっぱり私どもが教わっていた国会の多数決とは違う、立憲主義に反するのじゃないかということでございます。  ほかにもいろいろありますけれども、これはずっと六十年、政府は同じことを言い、国会で申し上げ続け、皆さんはそのことを前提にしてああでもないこうでもないという議論を繰り広げたわけですね。さっきおっしゃったその文民条項なんというのと議論の重みが全く違うわけです。言わば国の形を変えること、こんなことを簡単に一内閣がやめたと言って成り立つのなら一体議会制民主主義というのは何だということでもあります。  法律、今国会にもたくさん多分政府はお願いしているんだと思うんですけど、何のために法律改正、議会にお願いをしていくのですかと。これはもうみんな時代遅れになるからですよね、時代に合わせなきゃいけないから。そうですよね。憲法だって同じじゃないですかと。ちゃんと改正手続があるわけです。三分の二で発議する。そして、国民の覚悟も要ることですよ、集団的自衛権の行使をするというのは。ミサイルが飛んでいくとかインド洋の船がどうかということじゃない。最悪、地上戦はあるわけですから。これは、自衛隊員はもとより国民全体に覚悟が要ること。だから、そんな覚悟を求めるというのは当然のことでしょうと、なぜ憲法だけデュー・プロセスを取れないのかというのが大きな疑問でございます。  ちょっとお時間をオーバーして申し訳ありませんでした。以上で終わります。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 自由民主党の堀井巌でございます。  公述人のお二方には貴重な御所見を賜りまして、誠にありがとうございます。  今お二方からの御所見をお伺いをしておりまして、まず、我が国をめぐる、特にこの東アジア情勢を鑑みたときの安全保障環境の厳しさということをまずもって痛感をしたわけでございます。そして、それらの中で我が国が戦後培ってきましたこの平和主義というもの、これを更に国内外において信頼と理解を高める中で、いかに国民の生命そして安全を守っていくのかということが今政府として大変問われているというふうに感じたところでございます。  そういった中で、先ほど来出ております集団的自衛権というものの在り方についても、国会で御案内のとおり議論が行われているというところでございます。  まずは、西公述人の方にお尋ねをしたいと思います。  実は、この予算委員会におきましても、この集団的自衛権の在り方、参議院の方でも今までやり取りが行われております。一つ紹介をいたします。  二月七日の予算委員会で、これ、安倍総理の答弁ですけれども、同盟関係ではなくても密接な関係がある国に対しては、これは言わば集団的自衛権としての権利を持っている、これは国際的なまさに常識と言ってもいいんだろうと思いますという話の後に、こっちの方なんですが、もう一点加えさせていただきますと、まさに個別的自衛権を、個別的自衛権をどんどん広げていくという考え方自体は、これは安保法制懇において、ある意味、国際的においてはむしろこれは非常識であるという議論の方が強いのではないかというふうに私は認識をしているというふうなやり取りが、これは大塚委員とのやり取りの中で安倍総理の答弁としてございました。  私もこのことは個人的には理解できるところではあるんですけれども、かつて安保法制懇でも御議論にも参画をされておられた中で、この個別的自衛権というものを積み上げていくという考え方というのは、安全保障というものを考えるに当たってどのような課題があるのか、そしてその中で集団的自衛権というのがどのような位置付けで議論をされてこられたのか、少し御所見をお聞かせいただければと思います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 申し上げます。  私の場合は、第一次、第二次の安保法制懇のメンバーでありますので、第二次につきましてはまだ報告書出ていませんのでその間はともかくといたしまして、先ほどちょっと飛ばした、私のメモだと三ページですね、レジュメの三ページに第一次安倍内閣の安保法制懇で検討された集団自衛権の事例、一つだけ申し上げたいと思います。  共同訓練などで公海上において、我が国自衛隊の艦船が米国の艦船と近くで行動している場合、米軍の艦船が攻撃されても我が国自衛隊の艦船は何もできない。今の政府解釈では、この場合は我が国に対する攻撃でありませんので、集団的自衛権でこれはできないと、こういうことになっているわけであります。  ここのところ、もう一つの問題は、我が国の近くでとありますけれども、これは実際問題として、共同訓練をするのは決して近くではないらしいんですね。もう数百キロメートル離れている。もう水平線上の向こうで共同訓練をしている。そこで、例えば給油中であれば、これは、この米軍に対する攻撃は、すなわち我が国への攻撃になって個別的自衛権でできると思います。数十メートルとかそんなに多くなかったらいわゆる武器等防護というのがありますけれども、それでできると思います。しかし、数百キロも離れているということだったら、これは個別的自衛権は無理だと思います。  じゃ、何もしなくてもいいのか。今の日米安保条約では、余りこれ長くなると悪いので、アメリカが日本の自衛隊がやられたら日本を防衛する義務がある、アメリカは駄目だということですね。そういう中で、共同訓練をやっている中で、個別的自衛権ではどうしても無理である、個別的自衛権の積み重ねでは無理であるということになると、じゃ、これはやらなくていいのか、やるとなればどうすればいいか。これはやっぱり集団自衛権を考えざるを得ないということで、個別的自衛権のこの重なりといいますか、積み重ねでは限界があるということを申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 ありがとうございます。  次に、阪田公述人にお伺いしたいと思います。  この委員会でのやり取りでも、よく法制局の長官の答弁等でも引用されております政府の質問主意書への答弁ございます。平成十六年の六月十八日の衆議院議員島聡君の関係でございます。ちょっと時間がございませんので全部読み上げるのは少し省略いたしますけれども、いわゆる憲法を始めとする法令の解釈についての政府答弁でございます。  憲法を始めとする法令の解釈は云々かんぬんとありまして、第二段落目、もう恐らくこれを出されたときには法制局におられたと思いますので十分御案内だと思いますが、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である、こういうところがございます。  この憲法解釈の変更について、一概に全くできませんと、一ミリたりともできませんというふうな答弁ではないと。ただし、その当否については個別的、具体的に検討されるべき。もちろん、前項の方が前提でありますが、その趣旨というものについてどのように御理解をされておられるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) ありがとうございます。  全くそのとおりだと思っています。それは法律の解釈ですから一つしかない、これが常に絶対に正しいなんということではないんですね、それは物理や化学ではありませんから。ですから、当然いろんな選択肢がある。今の九条の解釈も一定の選択をした結果だというふうに私自身も思っております。  ですけれども、変えるというのは、やっぱりその必然性といいますか合理性、それから何よりも法規範ですから論理的に説明ができるということでなければいけない。言ってみれば、解釈の枠の中でなければいけないということなんですね。  ですけど、九条に関していいますと、九条というか集団的自衛権に関していいますと、それは、どのように読めば何でもできるというのが解釈の枠の中に収まるのかということが分からないのですという意味で、ちょっと今の政府が変えられないわけではないということの枠を私自身は超えているというふうに思っています。しかし、一般論としてはもちろん、およそ変えることはできないなんてことではあり得ないということです。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 貴重な御所見ありがとうございました。  続きまして、今度はまた西公述人にお伺いをしたいと存じます。  今の、個別的、具体的に検討されるべきものというところですけれども、例えばこの集団的自衛権ということを考えるときに、地球の裏側まで行って武力の行使をするということまで今誰も考えていないとは思うんです。西公述人の中でも、これは制約があって、そこまでは否定的に解しておられると。  自衛権の発動にも三要件という考え方があって、そしてその中で自衛権が発動される。そういったときに、この集団的自衛権というものは、先ほど、もうアプリオリに、やるともうすぐに駄目なんだというふうな概念整理になるのか、あるいはこの集団的自衛権という概念を考える上の中でも、乱暴ではなく緻密に議論をしていく中で、様々な要件等々がある中で、この憲法、今の現行憲法に合致をする、その範囲の中で行われる平和主義というものがしっかりとこれまで以上に堅持、発展していく考え方の中でどのような形、そういった集団的自衛権があり得るのかどうかということについての御所見をお伺いしたいと思います。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 済みません、時間の感覚を見ていただいてお答え願います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 分かりました。  まず、地球の裏側に行くということについては、あくまで先ほども申し上げましたように我が国が主体になって行くというわけですから、通常は考えられないように思います。  それから、もう一つの、後の問題でありますけれども、ちょっと済みません、もう一度、その後の方について。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 質問の中身を分かりやすくということだそうです。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 申し訳ございません。  現行憲法のこの解釈の中である程度の要件を満たせば集団的自衛権というのは……

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 分かりました。自衛権の三要件をどうするか。  自衛権の三要件でありますけれども、当然これは、第一要件の我が国に対する急迫不正ということではなくて、もしその集団自衛権を認めるようであれば、我が国及び我が国と密接な関係にある国に対する急迫不正ということになっていくと思います。集団自衛権を認めながら今の自衛権三要件をそのまま適用するということは、これはちょっと無理だと思います。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 堀井巌君、収めるようにお願いいたします。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 かしこまりました。  もう時間が参りましたので、終わらせていただきます。貴重な御所見ありがとうございました。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 民主党の田中直紀でございます。  今日は、西公述人そしてまた阪田公述人には大変ありがとうございます。  まず、集団的自衛権の件でございますけれども、安倍総理は積極的な平和主義と、こういうことで今方針を進めておるところでございます。内容的にはこの集団的自衛権の行使の容認とどうも懸け離れているのではないかと、そういう大変危惧をする方々が非常に多いわけでございますが、西公述人、どう受け止められておられますか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 私は、積極的平和主義と、それから集団自衛権を認めるということは、まず申し上げると、集団的自衛権を認めることによって積極的平和主義を打ち消すといいますか、それを否定すると、こういうことには絶対ならないと思います。  我が国の憲法は、先ほど前文のことをおっしゃいましたけれども、前文ではやっぱり国際協調主義をうたっております。国際協調主義の中で、国際的な協和の中で我が国はどうやっていくかということになると、やはり国際的な貢献といいますか、協力といいますか、平和をどうやって構築していくか、そういう中で我が国が参加していく、これは当然のことだと思います。矛盾していないと思います。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 自由民主党は国防軍の創設を進めているわけであります。したがいまして、憲法改正ということになりますとその方向が出てくるわけですから、その面では、国際協調という中にあって、やはり自衛隊を軍隊にしていこうと、こういうことはもう見えてきているわけでありますので、大変その辺のギャップを感じるということでございます。  阪田公述人にお伺いいたしますが、先ほど岸信介首相の発言がございましたが、それ以降、佐藤栄作首相以下自民党の政権の中で十数内閣、小泉内閣前にあるわけですが、もう全て集団的自衛権は憲法第九条で認めていないんだと、こういう考えをずっと進めてきたわけですね。それを今日の状況の中で変えようというのは、確かに言われるように小手先ではないかと、憲法改正を進めるべきではないかとの主張、私もそう思うわけでありますが、その解釈をしてきたという当事者でありますから、どういう信念の中でこの解釈をしてきたか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 私は解釈をしたわけではなくて、もう既にそういう仕事をするようになったときには、もう六十年近く、五十年ぐらいこういう解釈で固まっていたわけですね。  信念は格別ないんですけれども、ずっと古い議事録などを読み返してみまして、やっぱりいろんなところから、いろんな角度から質問を受けているわけです。それに対して、そこをよくガラス細工とかいうふうにも言われるんですが、論理はそれなりに一貫して、整合して、制御がされているなということは思い、退官後は、たまたま第一次安倍内閣であったこともありまして、少しあちこちで九条について話をさせていただくことがあったんですけど、話せば話すほど、この政府の解釈のレベルというのは高いなというふうに思うようになりましたですね。ですから、今は何か非常に自信を持って、これはこの論理が誤っていたと言うのはとても大変だろうなというようなことを思いながら話をさせていただいています。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 九条と今回の問題というのは非常に密接なわけでございますし、九条の中の解釈を変えるとなると、表題の戦争の放棄というこの平和主義の中身といいますか、自民党の方は安全保障体制と、こういうことで変更していこうと、こういう題目を変えておりますけれども、九条の、戦争の放棄というのはこの解釈によってどういう位置付けになるんでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) さっき申し上げましたように、第三章は無意味な規定になると、法規範としては空文化するということですね、もし集団的自衛権の行使もできるということであれば。  ですから、今、改憲派、護憲派というのがあって、自民党などは改憲をされよう、それから共産党などは護憲だというような立場でありますけれども、もし解釈変更が行われた後の状況を考えますと、これは、護憲というのは何でもできるということですから恐らく右サイドの方々が護憲ということになると思いますし、改憲というのは何とか歯止めを掛けたいということで左側サイドの人が一生懸命改憲を運動するという、非常に珍妙な姿になるのではないかと思います。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 結局、憲法の改正ということになれば国民全体がその問題に対して大変真剣に考えていく必要が出てくるわけですが、閣議で変更しましたと、こういうことになりますと、一体どういうふうになるんだということは私は非常に心配されるわけでありますし、いわゆる小松法制局長官が、逆に言いますと、閣議決定するけれども行使をするために国家安全保障基本法を提出する考えはないんではないかと。また、そういう面では、じゃ、行使するのかしないのか、できるのかできないのか、閣議決定してどうなるんだと、こういうことにも立ち入るわけですね。  西公述人、憲法解釈の変更ということも念頭に置くべきだと言っておられますが、これはただ閣議決定しただけで、国民が混乱するばかりなんですね、今の状況でいけば。私はそれは進めるべきではないと思いますが、いかがですか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 申し上げます。  今、阪田公述人は、政府解釈の正しさというものをますます自分は強く感じるというふうにおっしゃっておりましたけれども、私は政府解釈の誤りがますます深くなってきたんじゃないかと。むしろ、やっぱり自衛のためであれば戦力も可能であるという本来の解釈に戻るべきではないかというふうに思うわけであります。  それから、今のその線上で、閣議決定、これは本来ならば閣議決定で、今まで閣議決定でやっていたわけですから閣議決定でやれば、それは手続的には私はそれでいいと思います。思いますけれども、やっぱりこれは非常に国民的な議論になっているわけでありますから、より丁寧に、閣議だけではなくて、やっぱり与党、あるいはできれば野党の方々の合意を得るという、これは手続上で丁寧であればあるほどいいとは思っていますけれども、だからといって政府解釈を変えてはいけないということはないし、また今、今まで公約でそういうことを言っていたわけだし、またどこかの内閣でそれが矛盾があれば、それをやらなきゃいけないということが現状ではないかというふうに思います。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 お二人の公述人にお伺いしますが、集団的自衛権というのは、確かに国連、国際連合の憲章の中にあるわけですが、実際にこれに基づいて戦争をやっているわけですね。先ほど阪田公述人のお話。代表的な戦争というのはどんなものがありましたですか、代表的なもので結構です、お二人。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 例えば、ソ連でいえばチェコですね、チェコに入っていった、それからアフガンに入っていったのありますよね。それから、アメリカでいえばベトナムですね、ベトナム。アフガンの場合は、あれは個別的自衛権ですね、アメリカは。テロがあって個別的自衛権でやって、NATOその他が集団自衛権でそれを応援したということで。集団自衛権について言えば、ソ連からいったらチェコとアフガンですか、それからアメリカでいえばベトナムということで私は理解をしておりますけれども。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 同じです。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 そうなんですね。世界で国連に報告しているのは十一ありまして、米国がアフガニスタンにテロ対策で戦争をしたというようなこともありますし、イラクがクウェートに侵攻したと。それから、ソ連がアフガニスタン、チェコですね。米国はベトナム。いろいろもう世界の多くの戦争は集団的自衛権で発生しているわけですね。  先ほど言いましたように、権利はあるけど義務はないと、こういうことは、これは集団的自衛権の問題はそうですが、日米安保条約があるわけですね。義務があるわけですよ。これは、これだけを考えてはいけないんで、我が国の立場というのは、日米安保がある、憲法がある、そしてその上に集団的自衛権というパッケージで国が守られているわけでありまして、私はそういう面では、権利があって義務がないというのはちょっと言い過ぎではない、と思うんですが、いかがですか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) いや、権利があるから義務があるのではなくて、権利ですよということと、それがすなわち義務に、今いろいろ議論されているのは、義務があるということを言っているんですけど、権利があってもそれは義務を行使するかどうかは、これは高度な政治的判断でお考えいただいたらどうかということを私は申し上げたわけで、ちょっと誤解があるかなと思いますので。

田中直紀民主党・新緑風会

○田中直紀君 時間になりましたから、これで終わります。どうもありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 速記起こしてください。

河野義博公明党

○河野義博君 公明党の河野義博でございます。  本日は、両公述人、大変貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。  早速質問させていただきます。お二人にまず共通の質問をさせていただきます。  我が党といたしましては、集団的自衛権の行使は認められないという解釈が非常に長い時間を掛けて政府が内閣法制局で解釈を積み重ね、体系的に整合性を保った考え方として現時点で確立されていると評価をしております。私自身も、この解釈は戦後七十年、我が国の発展に大きく貢献してきたんではないかと考えておりますけれども、この集団的自衛権の行使を認めなかったこと、このことが果たした歴史的な役割とその評価に関して両公述人の意見をお聞かせください。西公述人からお願いします。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) まず、政府が決めたのは、七十年というよりも、先ほど申し上げましたように、政府が完全に決定したのが一九八一年、それから三十何年ですか、ということで七十年ではないという、確立されたものでないということでちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、メリット、デメリットでありますけれども、これは今まで集団自衛権を行使したことはありませんので、これは何とも言えないと思いますけれども、問題は、やっぱり集団的自衛権を完全に認めないことがいいのかどうなのか。これが先ほどの私の事例なんかですね、あるいは安倍総理もおっしゃっていらっしゃるように、レーダーですね、弾道弾ミサイルが飛んでいった、それによってアメリカに甚大な影響を与える、技術的に可能であるけれどもそれを撃ち落とせないという、そういうことでいいのかどうか。状況はかなり今変わってきていると思います。今から何十年前は、まさに日米安保が合憲かどうか、基地を提供するかどうか、そういう時代だったわけであります。しかし、米軍の相対的な変化によって非常に変わってきている、そういう中でやっぱり考えていく必要があると思います。  ですから、メリット、デメリットということになると、私の立場からすると、やはり解釈を変える方がメリットが多いんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) ちょっとお答えの前に、今、一九八九年だという……(発言する者あり)八一年。  集団的自衛権という言葉で全面的に駄目だと言ったのはその年だと思うんですけれども、自衛隊の発足のときから、これは海外に派兵をする、そして武力を行使をするということはできません、やらせませんということは政府はずっと言ってきております。そして、なぜ一九八一年なんということになったかというと、さっき申し上げたように、集団的自衛権というのはどこまでその概念として含むのかというのは国際法学上議論があったからだということなのです。済みません、質問とは関係なくて。  そして、集団的自衛権の行使ができなかったことが果たしてきた憲法九条の役割ということだと思うんですけど、これは私のような立場で軽々に申し上げることはできないんですけど、事実としては、ベトナム戦争にも、それからアフガンの地上戦にも我が国は加わってこなかったわけですね。結果として自衛隊員に一人も犠牲が出ていないというところは、やっぱりこの九条に負うところが多いと思うんです。例えばベトナム戦争ですと、韓国、フィリピン、オーストラリアですか、等々の国々はみんな参加をし、韓国軍に至っては四千人以上の犠牲者が出ているということですし、アフガニスタンでもヨーロッパの国々中心にかなりの犠牲者が出ているというふうに聞いています。  結果的にそういうふうにならなかったというのは、ほかのメリットが何があるか分かりませんけれども、あるいはデメリットがどうなっているのか分かりませんけれども、これは我が国が憲法の制約の下で参加ができなかったということの大きな帰結だろうというふうに思っています。

河野義博公明党

○河野義博君 ありがとうございました。  続いて、現時点で政権は、政府の集団的自衛権の行使を禁止するという憲法解釈に現政権は今の時点では立っているわけで、それを変えようとするのであれば、なぜ変える必要があるのか、どのように変えていくのか、そして変えた結果がどのように影響を及ぼしていくのか、それを慎重に広く深く議論していくべきだと私は考えておりますけれども、もし変えるのであれば、最終的には国民の理解を得る必要があり、また近隣諸国や国際社会にも理解を促す努力が必要だと考えておりますけれども、国民的な議論の重要性、また、近隣諸国への配慮の重要性といった観点からどのようにお考えか、これも両公述人から御意見をお聞かせください。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) お答えします。  私は憲法改正をするべき問題だというふうに思っていますので、当然、まず議会内で十分に議論をしていただいて、必要があればやるということで、三分の二以上の多数で発議をしていただく。そして、国民も一人一人それに賛成かどうかということを意思を表明する国民投票、チャンスを与えていただくということが真っ当な在り方だと思います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) では、憲法改正しないと集団自衛権を行使できないのかということでありますけれども、これは、集団自衛権の行使をできるかどうかというのは、これはあくまで解釈上の問題でありまして、例えば自衛権そのものが否定されている、けれども自衛権を行使するということであれば、これは非常に重要な問題で憲法改正にまで進む問題だと思いますけど、要するに、必要な最小限度の自衛権は認められるわけですから、その範囲の中の解釈の変更であって、私は憲法解釈の変更にまでは及ばないというふうに考えます。  それから、おっしゃるように、国民的な議論、当然であります。その場合、先ほど申し上げましたように、じゃ、どういうふうに変えるか、どういうふうにこの限界があるかということで申し上げますと、先ほど申し上げましたように、集団自衛権が認めても、それはすぐに義務ではないし、すぐ行使するわけではない、そこにいろんなやっぱり制約を付すということで、平和主義の命題は全く変更されないというふうに思いますし、近隣諸国も、今、中国と韓国以外は日本の集団自衛権の是正については特に反対をしていないようでありますので、ただ、やっぱり、そういうなるべく多くの国の同意を得るということは、これは当然であります。そういう、やっぱり国民、それから国民の世論、それから国際的なものに対する丁寧な説明、これは当然のことだと思います。

河野義博公明党

○河野義博君 ありがとうございました。  阪田公述人の方からも、近隣諸国への配慮といいますか、この議論をどういうふうに説明していくのか、また、その国民的な議論の必要性というのは御意見いただいているかと思いますが、近隣諸国への配慮というのはどういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そこは私は全く門外漢でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

河野義博公明党

○河野義博君 私は、政府が政府の意向を決定するには、やはり国民的な理解を広く得る必要があり、また、国際社会への説明というのもしっかり行っていかなければならないと考えております。それだけ申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

松沢成文みんなの党

○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。  今日は、西、阪田、両公述人の皆さんには大変貴重な御意見をいただきまして、勉強になりました。ありがとうございました。  まず、阪田公述人に伺いたいんですが、憲法九条の解釈、特に自衛権に対する解釈で、恐らく公述人は、集団的自衛権は認められないんだという一貫したずっと内閣の姿勢があって、それを急に変更するということは、もうこれは国の形を変えることになって大変な問題を含むんだという御指摘だったと思うんですね。  ただ、集団的自衛権と個別的自衛権を分けて考えがちなのはちょっと日本の特性でありまして、普通、自衛権という大きな枠で考えると、憲法ができて、それから自衛権についての解釈というのはかなり時の日本の安全保障環境で変わってきているわけですよ。  例えば吉田総理は、個別的自衛権すら認められないと、日本の戦争の反省があったと思います、最初そう言い出したんですね。いや、でも、それじゃ日本何もできないだろうということで、その個別的自衛権はやっぱりあるんだと。でも、集団的自衛権というのは米軍に頼るしかない、こんな見解が出たときもあったと思います。それから、その後、個別的自衛権だけはある、集団的自衛権はないという解釈に変わってきて、その後に自衛権の必要最小限度論が出てくるわけですよね。  ですから、自衛権に関しては時の安全保障環境で、例えば朝鮮戦争が起きたとか、あるいはアメリカとの様々な話合いがあったとか、あるいは最近では、西公述人がおっしゃっていたような中国の軍拡だとか、日本の大変厳しい安全保障の環境、その中で、自衛権をどう使うかという解釈について柔軟に考えていくということがあってもいいんじゃないかと私は考えるんですが、その辺りはいかがなんでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) お答えいたします。  松沢先生今おっしゃった、自衛権、個別的自衛権と集団的自衛権があるというのは、国連憲章で初めて出てきたことなんです。ですから、これを二つ両方同じように自衛権といって議論をされるというのが一部の方々の特徴でもあるんですけれども、個別的自衛権、国家の正当防衛権といって認識されていたものは、国連憲章ができるまではですよ、不戦条約の頃までは少なくとも、自分自身の国が侵害をされた、武力攻撃を受けたという場合の自衛権しか国際法学上頭になかった。で、突然集団的自衛権が出てきて、これを二つを固有の権利として並べて書いた、それは確かにそうなんです。でも、同時に日本国憲法ができているわけですよね。  日本国憲法は三つ考え方がある。全部駄目なのか、それから伝統的なものはいいのか、新しくできたものも含めていいのかという三つしかないわけですよね。で、平和主義だと。だから、一番左が、全部駄目だというのは大変有力でした。吉田総理もそうおっしゃったことがあるというふうに私も承知をしています。ただ、吉田総理の答弁は、もちろん自衛隊がないとき、それから内閣として九条の解釈をこうしようというような意思決定をしてやったものでもない、その後すぐに撤回もされているということなんですね。  自衛隊ができた、そこが大きなターニングポイントだったと思うんですけど、そのときから、まず自衛権がどうというよりもこの九条をどう読むのだと、戦力を持たないと書いてあるじゃないかと、この戦力を持たない中で自衛隊をどのように説明ができるんだということですよね。これは、自衛隊を持たざるを得ないという政治判断があってのことだと思うんですよ、全く個人的な見解ですけれどもね。  それで、さっき、るる御説明したように、我が国国民の生命、財産を守る、砂川基地事件で認められている自衛権というのもそういうものだとして政府は理解をし、それは最低限国家として必要でしょうと。だけど、それを超えて集団的自衛権になる、これは九条は何にもない、アメリカの憲法やイギリスの憲法と日本は同じだということになってしまう。もちろん、当時の政治状況があったと思います、それは今日のように自民党は圧倒的な多数ということでなかったという問題もあると思うんですけれども、中でやっぱりこういう理解でいこうという決断をして、そして六十年もやってくればさすがに国民の中にも常識になっているんじゃないかということだと思いますね。

松沢成文みんなの党

○松沢成文君 ちょっと角度を変えてお聞きいたしますけれども、憲法九条の第一項で、国際紛争を解決する手段としては永遠にこれを放棄すると、それで、二項で軍隊を持たない、交戦権はないと書いてあるんですが、やはり、ここでやっぱり芦田修正をどう考えるかなんです。芦田さん、本当に頭が良かったと思うんですが、このままいったら日本は自衛の軍隊すら持てない国になっちゃうじゃないと、これじゃ生きられないということで、前項の目的を達成するためと、ここに絶妙な文言を入れているんですよね。  それで、要するに侵略戦争をやるためには軍隊を持たない、交戦権をしないんだということにこれ読めるわけです。で、自衛の戦争、これは個別的自衛であれ集団的自衛であれ、これは自分たちの国を守る戦争にはそれは及ばないんですよというふうに読めて、私は、これ自衛権日本は持っている、その自衛権は個別だけじゃなく集団的な自衛権もある、そこで、それはあとは政策判断で形をつくりましょうというふうに私は読めるんですけれども、まず、これで終わっちゃうかな、お二人にこの芦田修正の見解を聞きたいと思います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 芦田修正はそのとおりであります。それで、憲法の成立過程、余り言うと時間がありませんので、最初は実は戦争そのものを放棄していたんです、マッカーサー・ノート、それをケーディスという総司令部の民政局長がその部分を削除したんです。それが第一。それから、芦田修正がありますね、自衛のためだったら戦力を持てる。  これに対して、この後が言われていないんですけど、非常に強い反応を示したのは極東委員会なんです。極東委員会は、自衛のためならば軍隊を持てる、軍人ができる、そうすると大臣になる、これは駄目だというんで、文民条項が極東委員会の非常に強い圧力で出てきたんです。  ですから、芦田修正だけではなくて、芦田修正との関係の文民が出てきた。すなわち、自衛のためであれば戦力を持てるんだと、それが本来の解釈です、成立過程においてね。最初にそれが言いたかったんで、そこに本来は政府の解釈は行くべきであります。しかし、そこに行かないから、じゃ、集団自衛権の今までの中で解釈をするのがせいぜいではなかろうか。私は、本来は先生の、全く解釈は同じです。  以上です。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 芦田修正については、制憲議会でそもそもその文言自体について何も議論が行われていないということは大前提としてあると思いますね。  今、松沢先生がおっしゃったような趣旨であるとすれば、これはなぜ二項が要るのかと。一項で十分戦争を放棄しているわけですよね。それで足りるので、戦争を放棄している以上、そのための戦力はある意味では持てないのは当然ではあります。なぜ、わざわざ二項を書いてあるのか。文理的に言うと、前項の目的を達するためというのは、なぜ、じゃ交戦権には掛かっていないんですかと。戦力だけ廃棄、放棄したってしようがないじゃないですかという議論もあります。  それから、侵略のための戦力は持てないけれども、普通の国際法上許されているための戦力は持てるというのは、それは戦力の質としてどのように違うんだろうかと。政府は、自国を防衛するための戦力は持てる、したがって他国に対して専ら攻撃的に使われるような軍備は持てないという、そういう意味でも一定の意味を持ってきたわけですけれどもね、その戦力について。  だけど、侵略のためは駄目だけれども集団的自衛権ならいいんだということになると、そこは質の差は恐らく付かないだろうと。まあいろんな意味で、ちょっと芦田修正というのは、こう言っちゃあれですけど、箸にも棒にも掛からないというのが私どもの理解であります。

松沢成文みんなの党

○松沢成文君 最後に、ちょっと憲法改正の国民投票について、ずっと憲法に取り組んでこられた西先生にお伺いしたいんですが、今、国民投票をどういう形でつくるか法案の議論をしているんですね。それで、憲法改正の国民投票に参加できる投票権が十八にしようというのが大きなコンセンサスであるんです。もう一方、国政選挙、今度、国会議員を選ぶ国政選挙の選挙権が今のままだと二十歳のままで残ってしまう可能性もあるんですね。同じ国政に参加する、こちらは憲法改正、こちらは国会議員を選ぶ。でも、この参政権が片や十八、片や二十歳と分かれちゃうというのは、これ参政権のダブルスタンダードになっちゃうと思うんですが、やはりこれは私は絶対一致させなきゃいけないと思うんですが、西先生、いかがでしょうか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 今、これは三つの宿題の第一の宿題ですよね。これは、私は十八歳でもいいと思います。やはりきちんと成立させる。これは、実は施行までに国会で定めることになっていましたけど、私から言えば国会の怠慢だったと思います。  むしろ、三つの宿題で私がちょっと懸念しているのは公務員の政治活動ですね、政治的行為には全く及ばない。これは、やっぱり組織的な面で行動をするということになると非常に問題があるんじゃないかということで、ちょっとプラスして申し上げておきたいと思います。

松沢成文みんなの党

○松沢成文君 合わさった方がいい、同じ十八なら十八で。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) それは合わせるのが当然だと思います。

松沢成文みんなの党

○松沢成文君 はい、分かりました。どうもありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ちょっと済みません、またちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) それでは、速記を起こしてください。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今日は、公述人のお二人、ありがとうございます。  公述の中で、我が党の憲法制定当時の議論についての紹介がございましたが、今は違うというふうに公述人も言われましたように、私どもは今憲法の全面実践という立場であるということは申し添えておきたいと思います。  先ほど、集団的自衛権が過去に行使をされた例について、西公述人からもチェコのソ連の侵略であるとかベトナム戦争のことがございました。となりますと、集団的自衛権の行使が可能ということになれば、こういう過去行われたようなものにも日本が参加することができるのではないかと。他方、西公述人は、権利を認めることと行使はまた別なんだと、高度な政治的な判断、内閣や国会が関与するというふうにおっしゃいましたが、これ合わせますと、時の政府、それを構成する国会の多数派の判断によって、過去行われたようなそういう戦争に日本が参加できるようになるということになろうかと思うんですが、それぞれから御意見をお願いしたいと思います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 先ほど言いましたように、やっぱり一番の大きな問題は、もう集団自衛権そのものを持っていないんだというようなことを憲法の解釈で導き出す、これが私は問題だと申し上げているわけであります。そういう集団自衛権の行使は可能であるということを導き出しながら、しかし、それはいろいろな制約があるんだと。  しかし、もしそれが認められるとすれば、じゃ、どうやって行使するかということになると、これはやっぱり国会、それから内閣の非常に主体的な高度な判断で、やっぱり国民のため、それから国家のため、一番大切なのは国家の平和と生存、国民の身体などであります。そういうものを高度な政治判断の中でどう判断するかということになると、集団自衛権を認めるとすれば、やはりそこにいかざるを得ないんじゃないか。それに参加しないということも十分あり得るわけですし、認めるからといってすぐそこのところへ直結するというのはいかがかなと。そこのところにこそ主体性があるんじゃないかということを先ほどから申し上げている次第でございます。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そこは西先生と私も全く同じでありますので、憲法上できるからといって全部行くということではない、そこは、その後は恐らく政治の判断だと思います。  ただ、立憲主義というのは何かということをもう一度申し上げたいのですけれども、要するに多数決でも誤ることがある、多数による少数者への不合理な人権侵害を許さないというのが立憲主義の政治だと言われているわけですね。ですから、法律というのは統治のためには今何でもできるわけですが、法律を持っても許さない、ここまでは駄目よと、ここからは駄目よというのが憲法規範でありますね。その一部として九条があるわけであります。  ですから、今のままですと、当然ながら国家の意思として、国民の意思として、外国には戦争に行かないということになっている。そこを、本来であれば、そういう国になるのであれば、その憲法規範を変えて、国民も合意をして、覚悟もしていくという姿がやっぱりあるべき姿なんですね。国会の多数であるから憲法違反のことをやってもいいということにはやっぱりならないのだというふうに考えています。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 もう一回確認ですが、要するに、過去行われたようなベトナム戦争であるとかアフガンの実際の戦闘などに、時の多数によって参加することは、この解釈を変えることによって可能になると。実際行使するかどうかは別ですよ。それは、それぞれそういうことだということで確認してよろしいですか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) もし解釈を変えるということになったら、やっぱり結果的にはそうならざるを得ないと思いますけれども、しかし、それを本当に国民なりあるいは国際世論が承認するかどうか、これは本当に高度な判断だと思います。  立憲、立憲主義の関係で一言申し上げたい……(発言する者あり)よろしいですか、はい。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 可能であると思いますけれども、もしかすると最高裁判所で、憲法違反であって、それは無効だというようなことが判断されるときが来ないというふうなことは言えないと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ありがとうございます。  先ほど、もし解釈を変えるとすれば、自衛権発動の三要件の一つ目についても変えなくちゃいけないということを西公述人が言われました。  ただ、この自衛権発動の三要件そのものは、九条の解釈としてずっとやられてきたものでありますから、これを変えなければ、変えるということそのものが、つまり憲法九条の制約の下での集団的自衛権という議論がありますが、そのこと自体が成り立たないということを示しているんではないかと考えるんですが、阪田公述人、その点いかがでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 済みません、ちょっと、御質問をもう一度。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 済みません。つまり、九条の制約の下で集団的自衛権を行使をするということ自体が矛盾をしているんじゃないかと、あり得ないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうかと。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そのとおりですね。ずっと申し上げているように、現在の九条の下ではちょびっとだけでも全部でも集団的自衛権。要するに、我が国に対する武力攻撃がないという状態の中で実力を行使するということは論理的に読めない、そういう戦力としては用意されていない自衛隊であるということであります。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 数十年前の解釈、憲法解釈を墨守するのが良いのかというような公述もあったわけでありますが、先ほど過去の答弁書などにもありましたけれども、やはりこの問題はずっと国会答弁の積み重ねがあり、そしてそれに基づいてたくさんの法律が作られております。それぞれいろいろな、我々は当時論戦をしたわけでありますけれども、過去に確立をした解釈がそのままあるというよりも、そういう様々な積み重ねがあるものだからこそ私は変えることはできないというのが、先ほど紹介のあった答弁書の閣議決定の趣旨だと思うんですが、その点、阪田公述人、いかがでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 一般論として、およそ一度決めた解釈を変えることができないということではないというのが質問主意書の趣旨だと思いますよね。  ですから、合理的な理由がある、そして論理的にしっかり説明できる、国民もそれが納得ができる、それからもちろん時代も変わったと、そういうことがあれば、そして絶対に必要なことだということであれば、それは変えるという判断は当然あってしかるべきだと思いますね。法律でもそういうことがないとは言えない。  ですけれども、法治国家、立憲主義、基本的にはどうしているかというと、今法律の場合でも、ちょっと無理があるけれども、まあこれで読んでやっていこうよというのではなくて、やっぱり政府としては、少し疑義があるときには国会に改正法案を出して審議をしていただくということをやっているわけですね。  まして憲法、これは六十年、本当にそういう議論を前提にして、その土台の上にたくさんの法律ができ上がってもいるわけです。そこを言ってみれば土台からひっくり返すということでありますので、やっぱりデュープロセス、その土台を変えるための手続がまさに憲法改正手続として決まっている、それから国民投票法も既にあるという状況ですから、是非政治としてはそれにチャレンジをするというのが正しい姿だと思います。  申し上げているように、今九条の解釈、集団的自衛権の行使をできるというふうにするということは九条を削除するというのと同義ですから、これはやっぱり大きな国の形の変換だと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 立憲主義の言葉が出ましたけれども、総理はこれは王政の時代の古い考え方だというような主張もされておりますが、私はこれは近代憲法の脈々と流れる考え方だと思っておりますが、こういう立憲主義というのは王政の時代の古い考え方だということについて、阪田公述人の御意見を伺いたいと思います。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) これは西先生の方が多分ふさわしいんで、私は憲法学者でもないので、余り立憲主義について深く研究したということもありませんけれども。古いということは決してない、近代民主主義国家共通のルールだというふうに考えています。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ありがとうございました。  以上で終わります。

中野正志日本維新の会

○中野正志君 日本維新の会の中野正志でございます。  今日は大変にありがとうございます。早速ながら質問をさせていただきたいと存じます。  先ほど西先生のコメントの中で、三ページに、阪田公述人が、内閣法制局長官当時のコメントだと思いますが、内閣法制局は内閣の機関だから、内閣の判断に合わせてやってきた、六十年前の政権が、当時の野党が与党なら、今と違った解釈である可能性はあると、こう申し上げられておられるようですが、これは事実ですか。また、今現在の考え方は変わったということになるんでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) それは現職のときの発言ではありませんで、最近のものでございます。  法制局は政府の一組織なんですよね。ですから、法律事務所みたいなところでいうと、唯一のクライアントが政府だと、内閣だと言っていいと思います。ですから、内閣の施策の実現のために法制面で最大限の努力をする、これは極めて当然のことだと思っています。ですから、理屈だけ、理屈というのは、さっきも言いましたように、ただ一つ、これだけは絶対正しいのだということはないのですよね。  九条について言っても、これは非武装中立だという意見がむしろ学界なんかでは圧倒的な多数説だったと言っていいでしょう。その中で政府はこういう解釈をしてきた。それは、法制局だけが頭の中でひねり出したということではあり得ないので、これは政府がどういう政治をやっていくのかということを踏まえて、十分に国民に納得していただける理屈を考える、意見を申し上げるという仕事をやってきたということだと思うんですね。  ですから、今の九条の下でも、例えば海外に自衛隊を派遣する、これはPKOを嚆矢にしてアフガニスタン、イラク、やってまいりましたね。これは九条があるから無理だよというのも一つのそれは判断だと思います。でも、法制局はそういうことは言わない、言えない。これは、どうすればこの九条の枠の中で、どういう法的な枠組み、仕組みをつくれば憲法違反しない、つまり海外で武力行使をしないということを担保して自衛隊の国際貢献をやってもらうことができるのかということについて一生懸命知恵を出す、汗を流すと、そういうことですよね。だから、そういう努力をずっと続けてきた役所であるということを申し上げたまでであります。

中野正志日本維新の会

○中野正志君 九条に触れられましたけれども、確かに九条、もう戦争の放棄という大きな字で当然ながら書いて、あと条文。私も学生時代、この文言の解釈からしたら自衛隊あり得ないよな、実はそう思っておった。確かに、アメリカ合衆国から言われ、もちろん当時の自民党政権、警察予備隊だ、保安隊だ、自衛隊だ。今、公述人阪田さんおっしゃるように、やっぱりその当時の政体、これはどうしたって内閣法制局、まごう方なく影響を受ける、当然です。もう憲法判断どうするかというのは、これはひとえに最高裁判所の役目でありますから、私はそれでいいと思うのであります。  ただ、この九条、自衛隊の問題についてそこほどまでに解釈をされたのならば、阪田公述人、なぜこんなにこだわって、集団的自衛権の問題について別な側を手厳しく御批判なさるんでしょうね。もう既に憲法第九条で解釈改憲したのも事実ですよね、我々からしたら。さっき言ったように、文言解釈ならもう学界で言われるように非武装なんですよ。自衛隊なんか持てるわけないですよ、文言解釈だけからしたら。中学生に読ませてみてください。誰も自衛隊なんか持てると解釈する中学生なんかいないですよ。それはやっぱりいろいろ悪知恵の限りを尽くした、あえて言いますけれども、そして自衛隊を持たせるようにしてやってきて、ましていわゆる自由主義圏、共産主義圏の問題があって、日米安保条約まで結んで、そしてその流れで今日まで来て、途中であの社会党までが自衛隊を認めて、日米安保条約まで認めたんです。是非、阪田公述人、そこ、なぜなんでしょうかと、あえて聞かせていただきます。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そのために、冒頭、なぜ自衛隊が合憲なのかということをずっと申し上げたつもりであります。それは中野先生とお考え、もしかしたら違うかもしれませんけれども、私は、従来の政府の解釈、これは自衛隊発足当初から一定の支持は受けてきたと思いますし、納得のできる理屈であったというふうに思っています。  その後もいろんな国会の質疑、言わば風雪に耐えてきたわけでありますので、これを今、とにかく九条はあってもなくても同じなんだというふうに解釈をする、九条一項だけならともかく、二項はああいうふうに文言がそのまま変わらないままでやれ、これは、今私が申し上げた理屈でどれだけ納得していただいたかということは別として、やっぱりもっと納得される人がはるかに少ない世界になるのではないかと。  それは、やっぱり解釈、法を読むという世界ですから、法制局はさっき言ったようにそれは最大限努力はしますよ、ですけど、やっぱり理屈の役所ではあるんですね。これは、理屈がそれなりに皆さんに御説明して御納得いただけるということでないとこれは立ち行かないわけでありますので、そこまで何でもいいじゃないかという解釈をしろというあれにはなかなかお答えしにくいのではないだろうかというふうに思います。

中野正志日本維新の会

○中野正志君 西公述人にお伺いをいたします。  考え方、非常に理解をいたしておりますし、大分私たちも似通っているなと思います。その中で、四ページにありましたけれども、戦争をできる国にするためではなく、戦争をさせない国、抑止力の強化にするためと、こう書いておられまして、なるほどなと。いろいろ今日までもこの集団的自衛権の問題について議論をし、また、メディアもいろいろ書いていますけれども、あえてこういう書き方で先生の考え方を潰そうとする方々も現実いらしたわけでありますけれども、この中身についてもうちょっと詳しくお触れいただけませんでしょうか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) よくこういうような議論があります。戦争できる国にするために集団自衛権を変えるんだと。そうではありませんよと。  これは時間の関係でごく簡潔に申し上げたいと思うんですけど、例えば友達関係で、私がやられたら助けてくれ、おまえがやられたらうちの規則でおまえを助けることはできない、これはもう友人関係なくなると思うんです。それと同じように、今度は自分たちが一緒にいじめっ子を、いじめっ子に対して、自分としても、もし自分がやられたらこちらが助ける、そういうような中で友人関係がきちんとできていればいじめっ子も二人をいじめないだろうと、そういうやっぱりまさに抑止力ですね。こちらがやったらこちらがやる、そういうやっぱり抑止力の中でこの集団自衛権も考えていかなきゃいけない。そういう、ちょっと非常に卑近な例を挙げたかと思いますけれども、こういうことを言われることがありますので、決してそうではないということの私の意思をごそんたくいただければと思います。

中野正志日本維新の会

○中野正志君 国際大学学長の北岡伸一先生の論文にこんな一言がございました。憲法を厳密に守るより国家の安全を保つ方が大切だ、日本は既に戦力の不保持などをうたった憲法九条二項から最小限の自衛力を持てるという解釈を導き出している、この飛躍に比べれば、集団的自衛権を認める憲法解釈の変更は大したジャンプではない、こう話されております。  西公述人、いかようにお考えになりますか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 北岡先生は私たちの安保法制懇の座長代理でありますけれども、それは、北岡先生は北岡先生として、私は、本来的にはやっぱり自衛のための戦力を持てるという、本来の解釈はそこに行くべきであります。  先ほどちょっと阪田公述人がおっしゃいましたけど、内閣法制局は政府の、内閣の、クライアントであると。内閣の、クライアントが持ち上げてきたのが内閣の今の解釈です。それを、本当にいいのかどうなのか、今ここでまさに考えましょうと。この場もそうですし、国会議員の方々も果たしてそれでいいのかどうか。そういう意味においては非常に私は重要な問題提起が今なされているというふうに思います。  以上です。

中野正志日本維新の会

○中野正志君 貴重な御意見ありがとうございました。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は両公述人、本当にありがとうございます。  先ほど西公述人が、ベトナム戦争、イラク戦争にも参加をし得たというふうに、集団的自衛権の行使を認めればという旨発言されたようにも思ったんですが、憲法九条は、一体何を禁止している、何ができない、何を制限しているとお考えでしょうか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) まず、先ほどから問題になっているのは戦争ですね。これは今、国際法で戦争という言葉はありません。だから、戦争はまずできません。それから、今、国連憲章で認めているのは武力の行使なんですね。武力の行使についても基本的には否定されていますけど、ある前提の中で武力行使はできることになっております。  そういう中で憲法を考えてみますと、まず、侵略のための戦争、侵略のための武力行使はできません。自衛のための武力行使は可能であります。そしてまた、自衛のための武力行使をどうするか。このためには、個別的自衛権は当然であります。それからまた、個別的自衛権と同じように、先ほど、国連憲章になってから、一九四五年になってからということでありますけど、やはり、そこで国連に入っている加盟国が全部一致して固有の自衛権、そしてまた自然権といった、その重みは非常に重いと思います。  したがいまして、侵略のための武力行使とかいうものはできない、それから自衛権をどう考えるかについては、個別的自衛権も集団自衛権も当然認めるというような形で国連憲章に違反するようなものもできないというふうに私は考えます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 今、侵略戦争は禁止されています。どこの国もできない、侵略戦争はできないということになっているので、ですから、さっき出ている十何件の集団的自衛権の行使を援用したケース、ソビエトのアフガン侵攻やアメリカのベトナム戦争、ニカラグアへの侵攻、全て集団的自衛権の行使、実は私は侵略戦争だと思いますけれども、侵略戦争はできないということになっているので集団的自衛権の行使を援用したと。  日本は憲法九条があるわけですから、侵略戦争ができないということが九条から導かれるわけではないと思うんですね、憲法九条は何を、憲法九条によって日本政府は何ができないか。それは、集団的自衛権の行使、他国防衛のために、あるいは海外で武力行使ができない。だから、あの小泉さんも、私たちはイラク特措法に反対でしたが、武力行使はしません、非戦闘地域といって武力行使はしなかったわけです。これはやっぱり、私はそれは反対でしたが、ぎりぎり、集団的自衛権の行使はしないという自民党の当時の見解のぎりぎりで武力行使はしなかったんだと。つまり、憲法九条は、集団的自衛権の行使を制限している、禁止しているというので、阪田公述人いかがでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そのように政府は解釈してきたということですね、それだけができない。それと、国連安保理決議に基づく制裁戦争への参加、その二つができないということですね、国際法上許されているけれども。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 集団的自衛権の行使ができるとすれば、ベトナム戦争にもイラク戦争にも日本は参加、参戦し得たわけです。つまり、今、阪田公述人おっしゃったように、集団的自衛権の行使を憲法九条は制限している。ですから、これを解釈でできるとすることは、憲法九条を削除するもの、無意味にするものというものになるというのでよろしいですね、阪田公述人。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 先ほど申し上げたとおりであります。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 集団的自衛権の行使は違憲である、これは今の時点における政権も戦後の自民党政治も、そして様々な人たちも集団的自衛権の行使はできないということで、これで日本の戦後政治をやってきました。これを変えるというのはやっぱり九条を無力化するもので、私は、安保法制懇の議論も、違憲のことを議論する、集団的自衛権の行使の解釈ができる余地を議論するのは、憲法尊重擁護義務にも反するし、間違っていると実は思っております。違憲のものは、他国防衛のための武力行使は違憲である、違憲であることを合憲にすることはできません、法規範というものはそういうものであると。総理大臣も憲法の下にある、憲法に私たちは従わなければならない。  ですから、違憲のものは、集団的自衛権の行使は、先ほど阪田公述人は、ちょびっとでも、一般的にもこれは違憲でできないんだとおっしゃったですが、そのことをもう少し話してください。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 大前提として、戦争が違法化されているということですよね。ですから、国際法上で認められている武力の行使が国家の正当防衛、まさに個別的自衛権と言われるもの、それを別にすれば、集団的自衛権の行使と国連安保理決議に基づく多国籍軍参加のようなものしかないということでございます。  憲法九条は平和主義というふうに言われていましたけれども、政府はそんな中で、国際法上認められている海外での武力行使、これができないというのが六十年間の一貫した解釈であったわけです。ですから、逆に言いますと、これをできるというふうに理解をするということは憲法九条の法規範としての意味が失われると。我が国も九十八条第二項がありますので国際法は守らなければいけない、国際法を守る限りは違法な戦争は当然できず、集団的自衛権の行使と多国籍軍への参加、制裁戦争への参加しかできなくなるということですから、それらができるということは、つまり何でもできる、だから、自衛隊は専守防衛ではなく普通の軍隊になるということであります。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 私は明文改憲に反対ですが、憲法があって九条があるにもかかわらず、それを閣議決定のみによって無効、無力化する、これはもう日本国憲法殺人事件だと私は思っているんですね。  閣議決定のみで今まで違憲とされたことを、しかもこれは、ちょっと簡単なことではなくて、私たちは、集団的自衛権の行使を認めるということは、私たちが、私たちの子供が、私たちの孫たちが戦争に加われるということなわけです。戦争をする、人を殺す、殺されるということを日本が認めるということですから、大変なことだと思っています。閣議決定でこういうことを変えることについて、阪田公述人、いかがでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) これも繰り返し申し上げていますように、私はやっぱり、デュープロセス、憲法改正手続を取って改正するべきであって、解釈で変えるのは立憲主義に反するというふうに考えています。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 この集団的自衛権の行使は、単に安全保障の問題だけではなく、憲法、私たちが立憲主義の下で政治をやるかどうかという、本当に根本的なことが問われているというふうに思っております。  ベトナム戦争やイラク戦争に日本は参戦しなくて本当によかったというふうに思っています。若者が本当に、参戦することで、誤った戦争で殺されることがなく、人を殺すこともなく、よかったというふうに思っております。  憲法九条の果たしてきた役割について、阪田公述人、御教示あればおっしゃってください。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) そこは私は、九条がとても尊いとか、九条をこれからも守りましょうというようなことを考えているわけではありません。したがって、過去についても、九条がどんな大きな役割を果たしてきたか、あるいは逆に九条があったがために日本がどれだけ国益を損なわれてきたかというようなことについても語る資格がないというふうに考えていますので、お許しいただきたいと思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 ただ、立憲主義の観点から解釈改憲が認められないという点では、私は本当にそのとおりだというふうに思っております。  憲法尊重擁護義務を持っている総理大臣を始め、今の安倍内閣が閣議決定で決めるということについて、改めてもう一回御教示ください。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 何というんですかね、さっき教科書の話も申し上げましたけれども、我が国の憲法は外国の憲法と違うのだというのが、ある意味、これは政府が六十年間言い続けてきた結果なのかもしれませんけれども、あるいは九条そのものがあるからということかもしれませんけれども、言わば国民の間にもほぼ共有されている常識に近い考え方なんだろうと思うんですね。  それが今、集団的自衛権ということで、非常に、インド洋の米艦船とか日本上空のミサイルとかそういうことだけ言っていると余りぴんとこないんですけれども、集団的自衛権の本質というのが地上戦である、それからそれが世界でできる唯一の言わば戦争、武力行使であるということを考えますと、日本の今まで私たちが考えてきた一種の平和主義、それが全く実は違うことになる、アメリカやイギリス、ロシア、中国と変わらない国になるということなんですね。そこはやっぱり国民としても十分にそのことを理解し覚悟する、そしてそのことを分かった上でそういう国になるのもいいじゃないかという判断をされる、これがとても大事なことだと思っているのです。  ですから、内閣……

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) そろそろ、公述人、おまとめください。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) はい。  あるいは国会の判断だけで従来の言わば確立した憲法解釈を変えるということについて反対をしています。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 どうもありがとうございました。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 新党改革・無所属の会を代表して、西公述人と阪田公述人に若干質問をさせていただきたいと思います。  西先生の、私、ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラムに関する論文を読ませていただいて、大変、占領軍が日本人の戦争に関する贖罪意識を植え込むという、言ってみれば現代の情報戦のはしりのような受け止め方ができると思うんですね。  要するに、あの戦争がいかに日本の軍国主義によって引き起こされたということを植え付けるための様々な広報活動をされたということをいろいろと裏付けられているんですけれども、この総仕上げが東京裁判であり、ある意味では今の日本国憲法にもそういうGHQの戦略というものが反映されているんではないかと思うんです。  私、アメリカで仕事をしていたときに、要するに憲法というものもビジネスなんだと。アメリカの発想からすると、フィラデルフィア・リーガルセンターなんかは世界激変の中で、国が滅び、新しい国がどんどんできていく、旧ソビエトが崩壊して十五の共和国になった、そこに十五の新しい憲法が必要だ、十五の新しい国歌も国旗も必要だ、これはビジネスチャンスだということで世界中に憲法ビジネスを展開しているわけなんですね。  そういう国の言ってみれば影響を色濃く受けた日本国憲法、これは今にも及んでいることだと思うんですね。例えばTPP、要するに、アメリカの発想の下でアメリカのビジネスが世界で大きな利益を得られるような、そういう法律的な枠組みをアジア太平洋に覆いかぶせようという、そういう発想が当然あると受け止めるべきなんですよね。  そういうことの上で、まず西先生にお伺いしたいのは、このウオー・ギルト・インフォメーション・プログラム、これと日本国憲法ができたその相関性というんですか関連性、それをどういう具合に受け止めておられるのか御教示ください。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 申し上げます。  まず、憲法が押し付けかどうかということを言われますけれども、その原点を申し上げますと、アメリカの初期の日本に対する占領の基本的戦略というのがありまして、基本的指令がありまして、これにはこんなふうに書いてあります。  日本国が再び米国及び世界の平和及び安全に対する脅威とならないためのできるだけ大きな保証を与え、日本国が終局的には国際社会に責任ありかつ平和的な一員として参加することを日本に許すような諸条件を育成すること。  要するに、日本を米国及び世界の平和、安全の脅威とならない、これが原点であった、これをやっぱり認識をする必要があります。その上で憲法のいわゆる押し付け論というのがあるということがまず第一であります。  それから、憲法が、いわゆるウオー・ギルト・インフォメーションについて憲法の立場でいうならば、検閲、これがすごかったです。私はメリーランド大学で検閲資料を見てきました。要するに、日本国憲法が、総司令部の影響によってあの憲法が制定されたということは全部検閲ではねられました。だからこれは、それからアメリカがやったことに対する批判、これ全部はねられました。そういうことで、ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラム、これいろいろ言いたいことはありますけれども、その憲法の検閲も非常にその一環にありました。そこで、今の憲法の神聖視といいますか、憲法はやっぱり批判しちゃいけないというような、そういう批判したものについては全部削除されております。  だから、そういう意味において、私は、この日本国憲法の神聖化、タブー化の一つの原点がそこにあるんじゃないかというふうに理解をしております。  以上です。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 今おっしゃった日本国憲法ができたときの原点にアメリカの対日占領政策、あるいは日本人をある意味では洗脳していくという、そういう意味合いがあったから様々な検閲、その後の日本の国民に対する世論工作においてもGHQの政策というものがずっと今日まで、ある意味では尾を引いているんではないかと思うんですね。  そういった意味では、自主憲法の制定の問題もありますけれども、我々日本人、もう一度この憲法成立の過程を情報公開をしっかりしていく。メリーランド大学で先生が発掘された当時の憲法が制定されたいきさつというようなことも多くの国民に知らしめるということが必要ではないかと思うんですけれども、そういう意味で、日本人の本当の意味での自前の憲法を作っていく、そのプロセスについては何か具体的なアドバイスがあればお聞かせいただきたいと思います。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) こんなところで自分の書いた本を言うのはいかがかと思いますけれども、最後の主要参考文献のところで、「図説 日本国憲法の誕生」とか「日本国憲法成立過程の研究」のところで、今おっしゃったそのウオー・ギルト・インフォメーションの問題とかウオー・ギルト・インフォメーションについては「憲法改正の論点」にもありますけれども、そういったところで、やっぱり原点から考えてみよう、そして世界の比較から考えてみようと思っておりますので、自分の本を宣伝するのはいかがかと思いますけれども、そういうことをやっぱり本当に原点に立ち返ってもう一度憲法を考える、そして憲法のありようを考える、そういうことは是非必要である、是非やっていただきたい、願うわけであります。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 ありがとうございました。  阪田公述人にもお伺いしたいんですけれども、集団的自衛権とか憲法九条との関連でいろんな議論が巻き起こっているんですけれども、現実には、憲法で戦力放棄がうたわれていながら、例えばヘリコプター搭載護衛艦、これは最近も「いずも」が就航しましたし、「ひゅうが」もあります。これらは戦争中、戦前の戦艦大和と同じぐらいの規模の戦力、外から見るともう明らかにこれは、ただ単なる自衛というものを超えた具体的な周りに対する脅威を与えかねない戦力ではないかと思うんですね。そういう現実がどんどん憲法を置き去りにして進んでいる状況、こういう状況についてどういう具合に見ておられますか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 済みません、防衛の実務というか、疎いので何とも申し上げにくいんですけれども、必要最小限度の実力組織だというのが政府の立場であります。  そういう意味では二つの側面があって、一つは、量的にやっぱり自衛隊の規模というのは抑制されるべきだろうということですね。これはGDP一%なんて言っていたときもありますけれども、基本的には国会の予算で国民の代表の方々が判断されることというふうに述べてきました。  それから、装備の質的な面という意味では、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、専ら攻撃的に使われる長距離弾道弾であるとか航空母艦であるとか、あるいは、まして核兵器ですね、その種のものは保有できないということを申し上げてきております。  今、ただ、日本を攻めるかもしれない方の国の軍備、装備もどんどんどんどん高度化している、あるいは拡充しているという中で、日本も守るために必要最小限度でなければならないわけですから、守りに足りない部分はやっぱり補っていかざるを得ないということなんだと思いますし、そういう御判断の下にいろんな装備をそろえておられるんだというふうに想像をしております。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 それでは、戦力の定義、陸海空でそういうものを持たないということなんですが、今、世界は陸海空から宇宙やサイバー空間にまで戦場が広がっている。この憲法ができたときには想定していなかった戦域が広がっているわけですよね。そういうことに対して今の憲法の中で十分対応ができるとお考えでしょうか。

阪田雅裕元内閣法制局長官弁護士

○公述人(阪田雅裕君) 大変難しくなっているのかもしれません。ですけれども、それはそういうことが本当に難しくなっているのかどうかということも含めて、これはしっかりと国民に説明をする、そして、今の九条のままでいいのかということについて改めてそれは国民の判断をしてもらうということが、さっきのそもそも憲法が制定された経緯みたいなこともそういう意味では、ある意味で、何というんでしょうか、見直されるわけでもありますので、そういう手続を是非取っていただきたいというふうに思っています。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 じゃ最後に西公述人にお伺いしますけれども、憲法の、やっぱり天皇、象徴的な存在として国民の総意に基づくものだという記述がありますけれども、この総意というものをどういう形で判断できるのか。その総意というものをどうやって、我々がこの自分たちの憲法だという確信を持てるようにするためには、そこのところが何かこう曖昧になっている。その辺りについて、どうやって乗り越える方法があるとお考えでしょうか。

西修駒澤大学名誉教授

○公述人(西修君) 今の憲法の勅語に実は、日本国民の総意に基づいてこの憲法を制定したんだと。あのとき、本当に総意と言えるのかどうなのか、何も国民投票やったわけではありません。  ですから、今本当に総意がどうなのかということを今こそ問われているんじゃないかと思います。そこで、今日の一番最後のいわゆる憲法改正ですね、やはりそこにまで進んでいかなきゃいけないんじゃないか、それはまさに総意を問う、それを今求められているのではないかということを申し上げたいと思います。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 ありがとうございました。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。  本日は、誠に有益な御意見をお述べいただきまして本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ─────・─────    午後二時開会

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。  平成二十六年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き公述人の方々から御意見を伺います。  この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  本日は、平成二十六年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で着席のまま御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。その際は、恐縮ですが、お立ちいただいて御発言願いたいと存じます。  それでは、社会保障について、公述人淑徳大学総合福祉学部教授結城康博君及び神奈川県立保健福祉大学名誉教授山崎泰彦君から順次御意見をお伺いします。  まず、結城公述人にお願いいたします。結城公述人。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) よろしくお願いいたします。  資料を作ってまいりましたので、それに準じて説明していきます。  では、二ページ目を開いていただいて、社会保障の長期の在り方ということでお話しさせていただきます。  昨年八月に国民会議の方で報告書が出まして、それに基づいて今国会、法律が次々と議論されていると思いますが、長期的な展望に立って社会保障を考えた場合、まだ不十分な議論があると思われます。その意味で、私は論点を絞ってこれから私の考えを述べていきたいと思います。  三ページ目でございます。  まず、社会保障を、これから枠組みをつくっていくにおいては、まず現物給付にシフトすべきなのか現金給付にシフトすべきなのか、この辺の哲学をしっかりとこれから日本の超高齢化社会を迎えるに当たって考えていくべきかと思います。  私の考えは、むしろ現金給付型にシフトすべきよりも現物給付型にシフトしていく、そういう制度を構築すべきと思います。なぜならば、例えばお年寄りはなぜ貯蓄に回ってしまうかというと、自分が寝たきりになったときのことを考えてしまうということです。ですから、医療や介護、そういう面が充実することによって私は安心した暮らしができると思います。これは保育も同じことです。ですから、現金給付的な流動的なお金を増やすというよりも現物給付がふさわしいかと思います。  ただし、共済年金や厚生年金で多額のお金をもらっている方は、ある程度国庫負担分に相当する分をカットするなどの、これからある意味厳しいことも考えないといけないのかなと思います。  四ページ目が、ざっと厚労省のホームページから見たんですが、年金が一番給付では多いんですけれども、この辺の考え方も是非これから御議論いただければと思います。  次に、論点二といたしまして、社会保障を支える現役世代の雇用形態、これが私は非常にポイントだと思っております。  正直申し上げると、六ページも御覧いただくと分かるんですが、非正規雇用者がかなり増えております。私は基本的には、社会保障を支えるに当たっては、再度終身雇用制度を見直して、終身雇用制度のメリットをきちっと雇用形態に入れていくということであります。  結局は、終身雇用制度できちっとした雇用がしっかりしないと、保険料や税金を納める人がいません、少なくなってくると思います。また、子育てや結婚も、きちっとした就職がないとなかなか結婚や子育てに踏み切れない。その意味では、雇用形態を正社員を増やしていくということが、やはり社会保障をこれから長期的に持続可能にしていく上では必須の条件かと思っております。  次の論点三を御覧いただきたいと思います。  先ほど終身雇用制度で正規職員化について言いましたが、特に少子高齢化の少子化対策といたしまして出産、子育てに対する公的役割は非常に重要かと思います。  八ページを見ていただくと、日本はまだ福祉予算、まだまだ子育てのお金、保育サービスとか産科、周産期、努力はなさっているとは思いますが、まだまだ他国と比べて少ないと思います。その意味では、子育て、出産に対する公的支出を増やしていくというのは、これは必要なことだと思います。  なお、ただし、子育て支援、出産の問題は、これは公的支出だけ、サービスだけではなくて、企業側の役割も非常に大事ではないかと思います。例えば、子供が熱を出したときにすぐに会社を退社したりとか、そういう職場環境がきちっとできないと、幾ら保育サービスをつくっても子育て支援策にはならない。ここはやはり企業の役割というのも非常に大事かと私は思っています。  ただし、ここでちょっと間違ってはいけないのは、社会保障費の全体の給付の割合が高齢者部門に多いから、その分を少し引き下げて、その代替として子供の部分にやるというやり方は、私はそれはおかしいと思います。やはり、高齢者部門のお金も増やしながら、そして子育て支援もやるというようにやっていくべきと思います。  どうもここ数年見ると、高齢者と子育て支援世代という二分法的なロジックが見受けられると、私は印象を持っています。基本的に子育ては大学卒業までです。今、五〇%が高校三年生で四年制大学に進学しております。その意味では、ちょうど五十五歳ぐらいが孫の代の子育て時期になりますので、親の介護と重なる世代が五十五歳であります。その意味では、介護離職を防止して、労働政策の観点から、それから孫の世代の観点からも、高齢者と子育てという二分法的なロジックは余り好ましくないと私は考えております。  次の論点は、四番目、これは社会保障制度をよく支える仕組みですが、現在の社会保障は、基本的には自助と互助、共助それから公助という枠組みで、このような順番で枠組みが論じられがちです。確かに自助や互助という部分も大事だとは私は思いますが、実際の高齢者現場に行きますと、独居高齢者の急増、それから家族機能の希薄化、地域の希薄化や限界集落などによって、果たして互助機能がどこまで再構築できるかというのは、全国各地を回ってみるとなかなか難しいのではないかと私は思っています。  確かに一部の地域では再構築をしているところもあります。それは非常に、私も、これは続けていくべきですし、互助機能の再構築は必要不可欠だと思っていますが、やはり長期的展望を見ていくと、この互助機能というのは低下していくのはやむを得ないのではないかというように思います。まして、自助においても、独り暮らしがこれだけ多く、結婚しない世代が非常に多くなっている意味では、むしろ共助や公助といったところを厚くしていかないとなかなか難しいと私は思っています。もちろん、ここは地域によって差がありますから地域の分析が必要ですけれども、単純に自助、互助、共助、公助という順番ではなくて、共助、公助の重要性というものを私は訴えたいと思います。  しかし、この枠組みにもう一つ、企業の役割というのも私は一つ加えていくべきではないか。従来の高度経済成長期の日本の社会保障を考えると、企業の役割というのが間接的に社会保障の役割を担っていたと私は考えております。先ほど言った子育ての世代の労働環境づくりなども、これは企業の役割ですし、終身雇用制度を、きちっと雇用形態をしっかりすることによって社会保険の枠の中に入る人たちを増やしていく、こういうことも企業の役割かと思います。  その意味では、もう一つは、このように企業の役割できちっとした雇用形態をすることによって、社会保障的に見ると内需や個人消費、ある意味で労働者がしっかりとした経済的な基盤を持つことで経済効果も間接的にはあるのではないかと思います。その意味では、企業の役割というのも社会保障制度にきちっと私は入れていくべきではないかというふうに思います。  論点五といたしましては、今の社会保障制度は、家族単位に想定されているシステムと個人単位で想定されているシステム、これが非常に混在しています。例えば、医療保険やその辺は家族とか、生活保護も家族、世帯でありますが、介護保険や後期高齢者医療制度は個人単位になっています。ある意味、税体系もそうかもしれませんが、この辺のちぐはぐさが社会保障の矛盾点を来しているところがありますので、長期的社会保障を考えるに当たっては、個人単位で考えていくのか、家族単位、世帯単位で考えていくのかを、ある程度の統一性を考えていかないと、これからの枠組みは矛盾した制度をそのまま存続していくことになるのではないかというふうに私は考えております。  論点六といたしましては、地方分権と競争原理、規制緩和の行き過ぎ、これは私は、福祉現場において非常に関心を持って研究しています。昨今、特に福祉行政や介護保険制度においては地方分権化の流れが加速していると思います。私も、個人的には地方分権化を否定する立場ではございません。しかし、共助や公助、特にこういう公的部門のサービスというのは、地方分権が進めば進むほど地域格差が出るというふうに私は考えています。こういう公的サービスというのは、ある程度全国均一的なサービスを持つことが大事であると思います。その意味では、地方分権化というのは慎重に福祉行政においてはやっていくべきだと思います。ただし、雪国とかそういう地域によっては融通の使い方、その辺は地方分権の考え方が入るべきだと私は思っています。  なぜ、もう一つ、地方分権化が進むかというと、社会的弱者の声が通りにくくなるということです。どうしても社会的弱者はマイノリティーですので、地方分権化していきますと、政策決定過程において社会的弱者はその地域では本当に声が小さくなります。しかし、全国的な制度にしていくと、ある程度社会的弱者は一つの団体として制度に訴えることができる。その意味では、この辺の問題点をきちっと議論すべきと思います。  また、規制緩和や競争原理において、例えば混合診療の全面解禁や混合介護、これは社会保険との絡みですけれども、保険給付と保険外給付の組合せの促進議論が一部で、いろんなところで議論されます。しかし、私は、過度な規制緩和によって保険給付を完全市場と組み合わせてやっていくには非常に余計な給付費を生み出すのではないか、そういう危機が少しあると私は思っています。経済学にいうと、供給が過度な需要を生むという結果を招くおそれがありますので、社会保険である保険給付と保険外給付の組合せは慎重にやっていくべきではないかというのが私の考えでございます。  論点七といたしましては、再分配システムの強化、これは私が「エコノミスト」で書いたので後で御覧いただければと思いますが、再分配を考える上ではジニ係数というものが経済学では一応出ております。実際、ここ数年、当初所得のジニ係数はかなり格差が見られています。しかし、社会保障制度が効いているということで、再分配後の施策によって格差は是正されているというのが政府の一般的な見解だと私は理解していますが、実際、先ほど申し上げたように、福祉現場を歩いてまいりますと、認知症高齢者やサービスにつながらない、あるいは虐待とか、子供の中でなかなか潜在的な福祉ニーズを拾い切れていない人たちが非常に多くなっていると。  その意味では、社会保障やこういうサービスにつながらない人たち、こういう人たちは、非常にこの当初所得というか格差が拡大していることによって、潜在的福祉サービスのニードが増えている分、再分配所得も本当にこれで大丈夫なのかという議論がありますので、この辺の、再分配システムの強化ということをきちっと社会保障を考える上では議論すべきではないかと思います。  論点の八点目、十四ページですけれども、基本的にはこれからの日本社会においては、公共事業の予算額を更に減らしていき、社会保障で内需や経済を回していく、そういうような経済状態にしていかないと、日本の社会は非常に難しいのではないか。例えば、医療や介護の福祉の充実をすることによって雇用を創出し、ここから福祉に関連した労働者たちが個人消費につながっていくという、こういう福祉型社会を本格的に目指さないとなかなか日本社会は回っていかないと思っております。  十五ページに公共事業費の関係費を書いておりますが、確かに減ってはきていますが、更なる公共事業は福祉型転換にしていくべきと思います。ただし、公共事業でも必要なものはあります。例えばメンテナンスの公共事業とか、その辺の古い公共施設を直していく事業はやはり必要かと私は思っています。  続いての論点九でございますが、社会保険制度の限界、ここもきちっと私は議論していくべきと思います。  日本の社会保障制度は、基本的には社会保険制度が主軸であります。しかし、保険料が非常に増えていく、これは被保険者、現役世代も含めてですが、事業主にとっても死活問題であります。特に高齢者は、高額な年金受給者は余り影響ありませんが、介護保険料や医療保険料が定期的に上がることによって可処分所得が減っていきます。  その意味で、私は、社会保険制度というものが今の現状を維持して保険料を上げていくと生活や事業主にも非常に打撃があるということで、ある意味、例えば介護保険や国民健康保険や後期高齢者医療制度には更なる公費負担割合を高めて、保険料の緩和、上昇の緩和をやっていく。ある意味、社会保険と福祉の融合的な制度設計を考えていくべきだと私は思っています。  なお、自己負担においても、基本的には自己負担も社会保険においては必要かと思いますが、例えば今国会で介護保険法の改正で出されている自己負担二割のところ、二割負担については私は賛成でございますが、このカットラインは現在二百八十万か二百九十万辺りが議論されていますが、介護保険においては、一度、後期高齢者医療制度の現役並み所得三百八十三万円から入れて、そして様子を見ながら入れていくということも必要かと思います。  十七ページ、十八ページは、今後の保険料の推移を表したものです。  十番目は、これは人員問題で、介護現場が非常に厳しくなっています。  私は介護保険を専門と勉強していますが、財政の問題よりも人手不足によって介護が崩壊してしまうという危機感を持っていますので、これは予算と報酬との兼ね合いもありますが、是非、介護保険の資格とか外国人介護士のことも議論すべきと思います。なお、今回、介護福祉士の資格要件で一年延長になったことは現場を踏まえた議論で、私は評価をしております。  二十ページは、今後必要となる介護人材を示したものです。  最後に、やはりどうしてもこういう社会保障費を拡充していくには負担ですね、財源が非常に大事となります。その意味で、負担と給付の関係ですが、私は資産を加味した再分配システムの議論は避けられないと思っています。その意味では、預貯金を中心に持っている人はかなりの負担をしていく。ある意味、銀行口座やマイナンバーを絡めた問題をやっていくべきと思います。  なお、消費税の議論におきましては、消費税を引き上げることはこの先非常に大事かと思いますが、消費税の財源はできるだけサービスの拡充や保険料の上昇の緩和に使う、国民に直に、直接目に見える形で使うべきと思います。国債の借金返済においては、ほかの財源やそういう面でやっていくべきではないでしょうか。  なお、消費税五%アップのときには軽減税率を入れる、これは私は社会的弱者の一つの間接的な社会保障だと思っています。  最後に、現在二〇二五年へ向けて在り方が考えられていると今国会でも思いますが、行く行くは二〇四五年辺りの高齢者がピークとなる時期も考えて是非社会保障の在り方を考えていただければと思います。  以上でございます。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ありがとうございました。  次に、山崎公述人にお願いいたします。山崎公述人。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) この度は本公聴会にお招きいただきましてありがとうございました。  今国会に提案されています社会保障関係の法案につきましては基本的に賛成ということを前提に、さらに今後の機能強化、充実、さらには中長期的な持続可能性を高めるためにはどうしたらいいかということにつきまして考えていることを申し述べたいと思います。  昨年八月六日、社会保障制度改革国民会議で報告書を取りまとめました。その冒頭で、清家会長が次のような国民へのメッセージをまとめておられます。  日本が人類の夢であった長寿社会を実現したのは社会保障制度の充実のおかげであったことを忘れてはなりません。社会保障制度の成功のあかしが長寿社会です。その成功の結果が高齢化をもたらし、今度はその制度の持続可能性を問われることになったのです。私たちは、このすばらしい社会保障制度を必ず将来世代に伝えていかなければなりません。そのために社会保障制度改革が必要なのです。この報告書は、日本を世界一の長寿国にした世界に冠たる社会保障制度を将来の世代にしっかりと伝えるために現代の世代はどのような努力をしたらよいのかということを考え抜いた私たち国民会議の結論でございます。  この国民会議の報告書を踏まえて、昨年秋、臨時国会にいわゆるプログラム法案が提案され、成立し、さらに、それを踏まえ今国会に各種の改正法案が提案されていると、こういうことでございます。  将来を見据えたときに、確実に予測されるのは、世界に類を見ない超高齢社会の到来ということでございます。現在の人口推計では、今後五十年掛けて人口が四千万人減るということになっております。その過程で急速に高齢化が進行します。現在二五%の高齢化率、そして後期高齢者が半分近くということになっておりますが、二〇六〇年には三九・九%の高齢化率で、うち三分の二に当たる二六・九%が後期高齢者ということになります。  もちろん、この人口推計には幅がありまして、出生率それから死亡率につきまして、それぞれ低位、中位、高位の三つの仮定を置いているわけでございます。一般に使われているのは中位でございますが、仮に多く子供が生まれて多く死亡する、つまり寿命が余り延びないケースであっても三五・八%になるわけでございます。逆に、子供が余り生まれない、そして死亡率が低い、つまり寿命が長いケースですと四四・二でございます。一番高齢化率が低い三五・八%にしましても国際的には極めて高いレベルでございまして、二〇六〇年の、五ページの表にありますが、ドイツの高齢化率が三〇・一でございますから、それよりも相当上回るのが三五・八、中位推計では四〇%と、こういうことでございます。  それから、現在の、六ページでございますけれども、日本の福祉の水準、負担の水準につきましては、一般には中福祉中負担だということが言われています。しかし、実態としては中福祉低負担、十分な負担を伴っていない、その部分が赤字国債の発行によって賄われているというのが現状でございます。この中福祉には中負担を求め、給付と負担の均衡を確保することが急務でありますけれども、消費税を仮に予定どおり一〇%に上げても、社会保障の税財源を全額消費税で賄うにはなお七%不足するということでございます。さらに、二〇二五年といった、団塊の世代の高齢者が全て後期高齢者に移行する時期を展望すると、二〇%台の消費税率を射程に置かなければいけないというのが現状でございます。  現行制度を前提にすると、将来的には中福祉の水準を維持するにしても、超高負担は避けられないというのが人口構造から言えることでございます。一定の福祉水準を維持しながらも過度な負担増を回避するには、一つは支え手を増やす、二つ目には年齢別から負担能力に応じた負担構造への転換を図る、三つ目に給付の重点化、効率化が必要だというふうに考えます。  以下では、このうち、支え手を増やす、負担構造を見直す、この二点に重点を置いてお話をさせていただきます。  まず、七ページでございますが、前期高齢者を支え手にということでございます。人口構造からすると、どうも七十五歳辺りを一般的な引退年齢に置かなければならない、そういう社会が到来するということでございます。長寿健康社会を展望するときに、前期高齢者の方々には基本的に支え手に回ってもらうという方向を目指すべきだというふうに思います。過去を振り返りますと、昭和五十年代初頭までは五十五歳定年が支配的でございました。今では六十歳定年を実現し、希望者には全員六十五歳までの雇用を確保できるところまで成果を上げました。  将来を展望すると、この前期高齢者がどうかということになりますが、現実に日本の高齢者の労働力率は非常に高いわけでございます。六十五歳以降の高齢者の労働力率が二〇一一年で一九・七%です。アメリカが一七・九%と比較的高いんですが、イギリスが九・〇%、ドイツが二・〇%、イタリアは三・二%でございます。六十歳代後半だけを取りますと、三七・五%という高い労働力率であります。七十歳代前半でもなお二三・一%でございます。つまり、七十五歳まで現役社会、清家会長は生涯とおっしゃるんですが、七十五歳まで支え手に回っていただくということがそう不可能ではない実態があるということでございます。  ただ、この年齢層の方に全てフルタイムでということは誰も考えていないと思います。部分就労というのもあっていいし、いろんな形で地域での活動に参加していただく、そのかなりの方には前期高齢者として介護保険で提案しております様々な生活支援サービスに関わっていただく、そのことによって地域とのつながりを強め、介護予防、生きがいを持ってもらうという好循環も期待されるわけでございます。  次に、少子化対策の強化と女性の労働力率の引上げということでございます。  全ての女性が活躍できる社会をつくる、これは安倍内閣の成長戦略ですと。これは今国会での総理の施政方針演説でございます。実際に様々な新たな施策を講じようとされています。ただ、現実には、国際的に見て極めて、家族関係への支援、これは税による支援も含めて低水準でございます。  お手元に統計資料を用意いたしました。OECD諸国の比較でございますが、データのないトルコを除きまして、データのある三十三か国のうちで日本は二十七位でございます。GDP比で一・四八%でございます。これは二〇〇九年でございます。その後、子ども手当、児童手当の改善がありましたが、同時に年少扶養控除の引下げというふうなこともやっておりますから、全体としてはこの順位は余り変わっていないというふうに思っております。  それに対して、先進諸国なんかには四%前後のGDP比率を持っているところもあります。明らかに日本は低い水準ということになります。国民会議もこのことを最も重視しました。恐らく、一体改革を推進した自民、公明、民主でも共通の認識があったはずでございます。  今国会に、待機児童の解消、それから子ども・子育て支援の充実、社会的養護の充実、育児休業期間中の経済的支援の強化に向けた取組が提案されております。  当面は、この子ども・子育て支援の施行に向けて所要財源を確保しなければいけないということにあったわけでございます。所要財源は一兆円超で、そのうち七千億円は消費税で賄う、不足分三千億円超の財源確保が課題とされてきたわけでございますが、今年になってからの新たな推計では一兆一千百三十八億円、四千億円の財源が不足しているということでございます。これにつきまして、子ども・子育て会議のメンバーの多くが、何とか財源を確保してほしいと要望書をお出しになったということのようでございまして、私もその中におれば恐らく名を連ねさせていただいたかと思います。  取りあえず、昨日の決定で七千億円でスタートするということになったようでございますが、将来を展望するときに、やはりもう一工夫も二工夫も必要なのではないかということは国民会議でも議論し、私も提案させていただきました。  次のページでございますが、企業における両立支援の取組と子育て支援の充実について、両者の更なるバランスと連動を担保する視点から共助のシステムを活用するなど更なる施策の充実と安定財源の確保が課題と。これは私の提案もあって国民会議の報告書に載せていただいた記述でございます。あるいは、これから申し上げます年金税制の見直しによって、歳入増になる税財源を子育て支援に充てることによって世代間の連帯、きずなを強化するというふうな視点も考えられるというふうに思っております。また、両立支援を進める上で、育児休業の一層の普及、そのための育児休業給付の更なる改善が必要だと思います。今回、半年に限定してではありますが、育児休業給付、六七%まで引き上げるというのは画期的なことでございますが、更なる充実をお願いしたいというふうに思います。  それから、一昨年の法改正で、短時間労働者に対する被用者の社会保険の適用拡大を進めることになりました。平成二十八年十月から適用拡大が始まるわけでございますが、経済界からの要望もあったとはいえ、余りにも小さなスタートでございます。三年以内の見直しという規定がありますが、早期の検討に入っていただきたいというふうに思っております。  それから、非正規労働者の方の中には不本意ながら非正規で働いている方が少なくありません。それをゆがめている、雇用に対して障害になっている要素を、税や社会保険それぞれについて見直すということも必要だというふうに思っております。  それから、負担能力に応じた負担の要素を強化するということでございますが、従来手薄であった子育て世代に対する給付を充実させる、その一方で、高齢世代は全て受け手ではなくて、高齢世代であっても負担能力のある方にはきちんと負担していただくと、そのことによって全世代で支え合う全世代型の社会保障へというのが一体改革の中で一貫して言われてきたことでございます。その際、同時に少子化対策が重要だということも言われました。消費税の逆進性に対する対応として、簡素な給付措置、あるいは将来に向けては軽減税率ということも現在議論されているわけでございますが、さらに、社会保険を主体にする中で保険料の負担軽減、あるいは給付の面においても低所得者には配慮が必要だということが言われています。  ところで、その低所得者対策ということでございますが、一般に低所得者というのは住民税非課税世帯を言っているわけでございますが、この非課税の基準の取り方に世代間で著しい不公平があるということでございます。給与所得控除が最低六十五万円に対して、公的年金等控除が最低百二十万円でございます。住民税非課税といいますと、これに三十五万円が乗っかりますから、基礎控除が乗っかりますから、給与所得者であれば百万円から、年金受給者であれば百五十五万円が課税のスタートラインということになります。しかも、遺族年金、障害年金は非課税でありますから全く所得にはカウントされません。その結果、多くの高齢者が低所得者として支援を受ける側に立つ、その高齢者を支援しなければいけないというのが現状での低所得者対策でございます。  介護保険、六十五歳以上の第一号被保険者の統計がございます。六十五歳以上の高齢者の六割強が非課税でございます。これは個人で見て非課税ということです。世帯で見ても三割強が非課税世帯であります。特養の入所者の八割は世帯としても非課税でございます。これは多くの方が世帯分離して個人になるからでございますし、それから、女性が多くて、女性の年金が低い上に、女性は遺族年金をお受けになる方が多いんですが、その遺族年金は全くノーカウント、こういう状況があります。  こういう中からも、年金税制の見直しということも国民会議の報告書でお願いしておりますが、この見直しは、低所得者対策を本格的に進める上で必須の条件だというふうに思います。介護保険制度にとどまらず、後期高齢者医療制度や高齢者を多く抱える国民健康保険の財政基盤の強化を図る上でもこの年金税制の見直しは必要でございます。  一方、今回の介護保険制度の改正案では、一定以上所得者の利用者負担について二割負担をお願いする、そのほか、補足給付の対象者の判定に当たり預貯金等の資産や配偶者の所得を勘案し、支給段階の判定に当たり非課税年金を考慮することになっております。将来的には金融資産の一元的な把握が可能な体制を整備する必要があるというふうに考えています。  以上をもちまして、私の意見陳述を終えます。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

三木亨自由民主党

○三木亨君 自由民主党の三木亨でございます。  本日は、お忙しい中、両公述人のお二方にはお忙しいところ当委員会までお越しいただきまして、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  今、山崎先生の方からお話ございました少子化対策について、今お話しいただいたばかりですけど、早速お聞きしたいと思います。  昨年六月に閣議決定された日本再興戦略におきまして、女性の活躍、躍進が盛り込まれて、安倍総理も特に力を入れている政策でございます。本予算においては、女性が活躍するよう待機児童の解消に向けて保育の受皿確保の取組など行っておりますけれども、一方で、社会保障と税の一体改革で予定している子ども・子育ての充実には、先ほどお話ございました、私の資料では三千億の不足、七千億しか確保がでてきない、三千億の不足ということでございましたが、先生の最新情報では四千億の不足ということでございました。  政府においても、財源確保について鋭意努力しておるところかと思います。先ほどちらっとお話もございましたが、これ、先生、少子化対策に関わる財源確保の具体策というものを先生お持ちでございましたら是非御披露いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) お答えします。  一つは分かりやすい話で、年金税制を見直すことによって税収が増える、それを何らかの形で子育て支援に回せないかということでございます。年金課税を見直してそれに伴って税収が増えるんだから、年金の中で使うというのも一つの考え方であります。例えば、育児期間中、子供が一定年齢に入るまでの育児期間中の保険料を軽減し、その軽減の財源として税を充てるというのも考えられますし、あるいは、今まさに問題になっております子ども・子育て支援一般の不足財源に充てるということも考えられるというふうに思っております。  それから、もう一つ申し上げたことなんでございますが、実は共助のシステムのようなものが考えられないかと申し上げましたのは、育児休業をして育児休業給付を受けるわけですが、これは基本的に雇用保険の財源でございます。若干国庫負担が入っておりますが、基本的には労使の保険料財源ということになります。この育児休業を取らないでゼロ歳児でも働いておられるお母さんがちょこちょこおられます。非常に高い保育料になりますが、そこでの公費というのは税財源で埋められます。ですから、実は、育児休業を進める上ではその辺の調整をしなければいけない。  企業にとっては、育児休業を取ってもらわないでゼロ歳でも保育所を利用してサービスを利用していただいた方が、そちらの財源は税で賄われるわけですから、経済界にとっては、あるいは個別企業にとってもメリットがあるということでございまして、言わば育児休業と保育サービスの利用というのは表裏一体的なんです。一体的なんですが、財源の仕組みが全く別ですから、お互いに反発し合う関係なんですね。これはうまく一体化できないかということであります。  つまり、子ども・子育て、育児休業も含めて、労使の保険料財源をうまく組み合わせることによってその辺の調整を進めることができるのではないかということは、国民会議でも提案し、その趣旨のことが報告書に載っているわけでございます。  今すぐにとは言いませんが、新たな方向を少し考えなければいけないんじゃないかと。今までのように全面的に税財源で、子ども・子育ては全て税金ですよということでは、施策の拡充、長期的な安定した財源というのは確保するのが難しいのじゃないかという危惧をしております。  以上です。

三木亨自由民主党

○三木亨君 ありがとうございます。  非常に、先生の御意見、特に育休じゃなくて、公費で子供を預けられて働くようにするというのは非常に効率的な考え方であるというふうに思いますし、そういったこれから視点が必要なのかなと思います。ただ、女性からいうと、産後の肥立ちということもありますのでこの辺はよく考えるべきかなというふうには思いますが、その視点というのはこれからいろんなところに生かしていけるんではないかと。非常に参考になりました。ありがとうございます。  もう一つは、これは両先生にお聞きしたいと思いますけれども、介護保険制度に関しまして、介護予防の取組によって将来的に介護が必要になる時期を遅らせたりあるいはその状態を軽減できたりすることから、介護予防の充実を図ることは非常に大切だというふうに私も理解しております。ただ、それを今の介護保険の仕組みの中で、公費負担と保険料で賄っていくのかという点が課題であると私は思います。  要支援者に対する訪問介護や通所介護のサービスについて市町村事業に移行するというような方向性も示されているところでございますけれども、今後、それぞれの市町村が創意工夫を凝らして、いわゆるインフォーマルサービス、つまり外部の力を借りてこれを行っていくということでございますけれども、組み合わせたりしながら新たな介護予防の在り方を確立していくこと、これが求められてくると思うんですけれども、地域におけるマンパワーの確保とか、先ほど結城先生からも少しお話ございましたけれども、始めとするこういった課題の様々な解決に向けて、国、地方を通じた積極的な政策展開が私は必要不可欠だと思いますけれども、こうした点について先生方の御所見ありましたらお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) ありがとうございます。  地域支援事業の問題点でございますが、私は社会保障審議会介護保険部会において、まず、要介護認定が非常にあやふやですので、要支援二をある程度議論の俎上にすることはちょっと危険だということを述べました。もう一つは、市町村の現場力が、特に地域のコミュニティー力のマネジメント力が非常に格差があります。ですから、一生懸命やっている恐らく市町村は今回政府が考えているとおりに行く可能性はありますが、大部分の市町村はほとんど福祉関係の部署は事務的な人たちがやっていますので、果たしてそういうインフォーマルサービスをきちっとマネジメントできるのかどうかというところが問題点がありますので、要支援一だけをある程度地域支援事業に移して、そして状況を見ながらやっていくべきと私は考えております。  以上です。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 通所介護、訪問介護につきましては地域支援事業の方に移行するということでございまして、従来型の専門職による、国の定める基準を満たした事業者によるサービスだけじゃなくて、新たに地域地域で住民の主体的な取組、あるいは民間企業、あるいは生協のようなもの、いろんな事業者の取組を市町村独自に取り込んでサービスに結び付けるということでございまして、今までは国の指定する基準でなければ介護保険の財政支援が及ばなかったんですが、いろんな形の、配食、見守り、外出支援、必ずしもプロフェッショナルが担っているわけではございませんが、そういったものに対して新たな、今まで支援がなかった部分に新たな介護保険を通して財政支援が届くということで、地域を活性化する大きなきっかけになるのかなという気がいたしております。  今言ったような取組をやっておられるNPO等の事業者のほとんどが赤字で困っているというんでございますが、それに一定の資金が用意されることによって財政基盤が強化されることによって、うまく取り組めば好循環が期待できるのかなというふうに思っております。  以上です。

三木亨自由民主党

○三木亨君 もう少しいろいろとお聞きしたかったんですが、例えば山崎先生ですと、国保の運営主体を都道府県に移管するとかいう話がございますけれども、そういった面でもいろいろ問題が生じてくると思いますので、その話もお聞きしたかったんですが、時間がないので私はこれで終わりたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。

牧山ひろえ民主党・新緑風会

○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。  今日は、大変参考になるお話、またお時間、ありがとうございます。  現在の社会保障改革の流れは、昨年提出された国民会議の報告書がベースとなっているかと思います。この報告書では、基本的に、既存制度の手直しと、そして社会保障の給付カット、それから自己負担アップが中心の提言となっております。当初の趣旨ですと、年金制度改革も高齢者医療制度の改革など抜本的な制度改革も視野に入れていたはずなのですが、両公述人にお伺いしたいんですが、現在の社会保障の状況は年金制度改革や高齢者医療制度改革なども含めた抜本的な制度改革が必要な状況なのではないでしょうか。既存制度の手直しで済むレベルの状況なんでしょうか。その辺を教えていただければと思います。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 公的年金制度あるいは高齢者医療制度の将来像につきましては、当時の与党の民主党と野党の自公の間に大きな意見の隔たりがあって、まさにそれが何回かの選挙で争点になってきたわけでございますが、一体改革の中でそれは取りあえず三党協議の中で合意に向けて努力するということがありまして、一方、国民会議での議論にもなっていたわけでございますが、国民会議の方は一番残された医療と介護に重点を置いたということが一つです。その間、三党協議の様子を見ていたというのもあるかと思いますが、結局、三党協議の中では両者の合意が得られないまま国民会議の議論がどんどんどんどん進んでいったわけでございます。  国民会議では、年金につきましては、民主党の提案する所得比例年金への一本化ということについては、将来の検討課題にはしているんですが、当面は、すぐには難しいなと、いろいろハードルが大きいということを言っております。これは私もその言った者の一人でございます。  それからもう一つは、高齢者医療制度につきましては、国保制度改革等の改革を進める中で必要に応じて見直すという一行があります。ですから、民主党が提案するような所得比例年金への一元化それから高齢者医療制度の見直しというのは、捨てているわけではございませんが、当面のスケジュールからは外れているということになっておりますが、最初申し上げましたように、もし三党の、あらかじめ三党が協議するという三党の協議の中で一定の合意形成が見られれば、その場合にはもう少し違った対応が国民会議としてもできたのではないかなという気は私、個人的にはしております。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 国民会議のまず年金の考え方は、私はやはり不十分だったと思います。なかなか、消費税の関係等、それだけの、ある意味各論に終始したというふうに私は認識しております。  それから、後期高齢者医療制度の問題も同様に私は、各論に終始して、正直言うと、本当に七十五歳以上のお年寄りの制度がこれで持続できるかどうかというのは、やはり私は、医療や年金や介護というのはもう保険料が年金から天引きですから、総合的に考えた、ある程度社会保障制度の抜本的な方向性を議論すべきだったんではないかと認識しております。  以上です。

牧山ひろえ民主党・新緑風会

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  例えば年金については、現与党は今の制度で安心だとおっしゃっているわけですが、今の年金制度で一〇〇%安心だと思っている国民はほとんどいないと思います。年金制度自体は残っていたとしても、現状の制度が前提ですと老後の生活は成り立たないレベルの支給額になるんだろうと心配しております。これではとても安心できる年金制度だと言うことはできないと思います。しかしながら、安倍政権になって以来、与党は、いや、制度改革はもう必要ない、現行制度でいいの一点張りで、制度改革の議論をするつもりは残念ながら最初からなかったように思います。  民主党政権時、私たちは、持続可能な社会保障制度のため、まさに思い切って消費税増税に踏み込みました、賛成いたしました。今後も超高齢化が進む中で国民の皆様への更なる負担増も検討しなくてはならない局面も出てくるかと思います。その中で社会保障施策を展開していくためには、国が用意する社会保障制度への国民の信頼がなければ何事も円滑に進まないかと思います。  例えば北欧諸国では、子育てですとか医療なども含めて、安心で充実した社会福祉サービスを本当に誰でも受けることができる。そのために、もちろん高い負担にはやはり不満を持つ方もいるそうですが、政府への信頼は高いと思います。それに引き換え、各種の調査などを考慮しても、日本の場合、将来に対する不安も大きく、社会保障に対して高い信頼が持てる状況にないように思います。  そこで、山崎公述人、国民の社会保障に対する信頼を確保するための鍵となるのはどういった点だと思われますでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 一言で言えば、納得感、公平感というのが非常に大事だというふうに思います。

牧山ひろえ民主党・新緑風会

○牧山ひろえ君 私は、信頼の鍵として、まず目指すべき社会保障制度全般に関する国民的コンセンサスが成立していること、そしてそのコンセンサスが適正な国民的議論によって形成されること、これは手続面だと思いますが、これが重要なのではないかと考えております。  まず、中身の問題ですが、国民的コンセンサスに基づいた目指すべき社会保障制度全般、つまり目標、ターゲットですが、これは、長期的視野に立ち、かつ現実性、実現性を備えたものでなくてはならないかと思います。山崎先生がおっしゃるように、中福祉中負担を目指すのか、それとも高福祉高負担なのか。例えば中福祉だとすれば、とりわけ重視すべき福祉項目は何なのか。その辺りの最終地点も見極めたロードマップ的なものが今回の国民会議報告やそれに基づいた現在の施策の背景にうかがえるのか、結城公述人の御意見をお聞かせいただければと思います。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私が思うのは、今の御質問では、まず一番分かりやすいのは、国民の方に、消費税を上げた場合、目に見える形でサービスに直結しているということを見せることが必要だと私は思います。いずれ超高齢化社会になれば、消費税は一〇%から一五%、二〇%、もう上げなければいけない日が必ずやってきます。そのときに、きちっとその上げた分はサービスの拡充や保険料上昇の緩和になっているかどうか、そういう長期的なビジョンを見せることによって国民と政府の信頼関係ができ、消費税増税に関しても嫌悪感がないと、まずその辺が一番大事かと思います。  私は、分野においてはやはり高齢者分野、これは非常に拡充していかないと、先ほども言ったように介護離職の問題や孫の世代にも非常に影響があります。ある意味ファミリーで考えていく、そういうような重点化施策、高齢者とか子供とか現役だけではなくてファミリーを中心にしながら、ただし一人暮らし世帯も多くなっていますので、その人たちの考え方もするということを考えたいと思います。  以上です。

牧山ひろえ民主党・新緑風会

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  最後に、災害対策特別委員会の視察で最近私は南牧村という群馬県の地域に行ってきたんですね、雪が多く降って大変困った地域なんですが。そこは日本一高齢化が進んでいるところなんですが、財政措置は別として、こういった地域で誰が担い手になり得るのかという問題が付きまとうと思うんですが、こういった地域の問題、また地域間格差について何かございましたら、結城公述人、お願いいたします。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 結城公述人、お願いいたします。質疑時間が限られておりますので。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) はい。私は、やはり公務員とかそういう公共的な、働いている人ですね、もう一度、公務員というのはやっぱり必要なところには必要ですので、どんどん公務員を、人を減らすということはやはり私は難しいと思いますので、そういうような公の人の確保も必要かと思います。

牧山ひろえ民主党・新緑風会

○牧山ひろえ君 大変参考になりました。どうもありがとうございました。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 結城先生、山崎先生、今日はお忙しい中お越しいただきまして本当にありがとうございます。この社会保障の問題、本当にもう政党の枠を超えて国の課題として解決に取り組んで、そうして二度の政権交代を経て粛々と議論をお進めくださった山崎先生、結城先生に深く感謝を申し上げます。  両先生は同じ社会保障審議会の介護部会で、山崎先生は部会長として、また結城先生は臨時委員として議論に携わっていらっしゃってきたと承知をしております。その上で今日は様々な質問をさせていただこうと思っております。  まず最初に山崎先生にお伺いしたいんですが、昨年の十二月に国会を通りました社会保障制度改革プログラム法案、この法律は国民会議の成果を受けているというふうに評価できるかどうか、一言お願いを申し上げます。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 国民会議で提案しましたことをほぼそのまま受け止めていただいていると思います。高く評価しております。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 どうもありがとうございます。  今、審議中の平成二十六年度予算案について次はお伺いさせていただきます。これも山崎公述人にお伺いいたします。  今回の審議しているこの予算案では、社会保障費は三十・五兆円、これは昨年から一・四兆円、プラス四・八%増額となっているというふうに承知をしております。また、特に介護保険部会で様々論点がございました重点化、効率化、こうした国民会議の議論がこの予算編成の過程できちんと生かされているというふうに思われるかどうか、お伺いをいたします。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 細かいことは見ておりませんが、基本的に今予算に反映されているというふうに思っております。  ただ、残念ながら、子ども・子育て支援につきましては当初目指していた財源が、課題とはされていたんですが、課題のままにとどまっているというのは残念なんですが、この辺は、先ほど申し上げましたように、もう少し知恵を出す必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 ありがとうございます。  それでは次に結城公述人にお尋ねいたします。  この低所得者対策、消費税増税に伴う低所得者対策として、結城先生は、軽減税率の導入を急ぐべきである、先ほどおっしゃっていらっしゃいました。また、先生の寄稿も拝読いたしまして、しかもそれは急ぐ必要があるというふうにまでおっしゃっております。そういうふうにおっしゃる理由、背景をお教えいただければと思います。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 消費税というのは低所得者にとっては非常に不利になりますので、やはり生活必需品は私は軽減税率を用いて間接的な負担軽減ということがまず第一です。  第二点目といたしましては、やはりこれから消費税を上げざるを得なくなる日がどんどんやってきますので、もしこのとき消費税を上げて軽減税率を入れなければ、ただ負担感だけ残ってしまえば、やはり消費税に対する信頼関係も薄れますので、私は一〇%と同時に低所得者の人にやはりちゃんと優しい軽減税率を入れるべきと思います。  三つ目は、やはり三%、五%と上がっていった場合に、認知症、高齢者の人もいますし、なかなか情報を得にくい人たちもいますので、そういう人たちに対して、一応簡易な給付措置があるかもしれませんが、やはり生活の身近で少し税率が軽減されているというのは非常に優しい社会、消費者に対しても優しいんではないかという観点で私はこういう提言をしています。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 ありがとうございます。  続いて、国民会議の議論の結論として、地域包括システムの創設、そして推進をすべきである、こういう結論が出されていますけれども、これに至った背景についてお二人に伺いたいと思います。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 住み慣れた地域で生涯を全うしたいというのは誰も共通の願いだというふうに思います。  平成十七年の介護保険法の改正以来、そういう方向を目指しておりまして、前回の改正では二十四時間対応のサービスだとか複合型サービスも入れまして、更にそれを強化しようとしているのが今回でございまして、今回の改正では認知症施策等も新たに本格的に取り組むということになっております。  今回の新たな成果というのは、医療側からも積極的な関わりを期待できる状況になったということでございまして、日本医師会あるいは医療関係団体もこの方向に積極的に関わっていただくということになっておりまして、医療と介護を一体化することによって地域で受け止めるということでございます。  その一方で、医療提供体制の改革ということも言われておりまして、長期入院を是正し、回復期から療養病床、そして全体として在宅医療・介護を強化するということでございます。診療報酬改定もそれに向けて相当な知恵を絞っているように思いますので、将来に向けて新たな展望を開けるところまで来ているというふうに思っております。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 今、国が考えている地域包括ケアシステムの住み慣れた地域でみとりまでやっていくという考え方に私は賛成をしております。しかし、いろいろ各論を見ていくと、これから医療費や介護費がどんどん増えていきますので、一部家族の介護力にそれをもう一度何か頼ってしまうという、どこか一部分は経費削減を少し狙っているんではないかというのが私の印象です。  やはり、これからどんどん家族の介護力は減っていきますので、在宅在宅といってもやはり施設や病院ということも非常に必要不可欠になってきますので、そこの辺のバランスの取り方が私には、まあ理想はいいんだけれども、各論においてどこか家族やそういうところに依存しているところの政策理念もうかがえるんではないかというふうに今私は考えています。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 それでは次に、七十歳から七十四歳の高齢者医療制度の負担軽減についてお伺いをします。  現状の案では、七十歳から七十四歳、段階的に、本来二割であるべきこの負担割合を今は一割に据え置いている、それを段階的に五年間掛けて、平成三十年度までにかけて二割に上げていくという案で今審議が進んでおると承知しております。  このことについて、山崎公述人、結城公述人の御意見、コメントがあればお願いを申し上げます、この取組方について。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) これは元々、平成十八年の小泉内閣のときの改革で法律に書いたことでございまして、旧自公政権の下で踏み切れずに今日まで至ったことでございますから、これはもう本来の法律どおりに施行すると。ただ、いきなりということで経過措置を置くということで、新たに七十歳になる方からということでございますので、妥当な取組だと、進め方だというふうに思っております。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) これは元々法律で決まっていることですので、入れること自体は私もやむを得ないと思っています。  ただ、これ、入れるときの時期ですね。果たしてこの消費税が上がる時期に、同時にかそれに近いときに入れるというところのやっぱりこの時期ですね、その辺のところの具合をやっぱりもうちょっと慎重に議論すべきかと私は思っています。  以上でございます。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 貴重な御所見ありがとうございました。  私もこの件については本当にこれからもきちんと議論を尽くしていかなくてはいけない課題だと思っていますので、またいろいろ御教示いただければと思います。  本日は大変にありがとうございました。

松田公太みんなの党

○松田公太君 大変お忙しい中、今日はありがとうございます。  早速質問に移らせていただきたいんですが、まず結城公述人にお聞きしたいと思います。  結城公述人の基本的な日本型社会保障の考え方、これに関するお話は、先ほど来お伺いして理解できました。あえて他国で、この日本型ということですけれども、これに一番近い例といいますか、これが成功できているような国というのがあるとしたらどちらの国か、そしてそれはなぜかというのをお答えいただけますでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 正直申し上げて、私もヨーロッパとかいろいろ行きますけれども、やはり最後の行き着くところは私は日本型のオリジナルをつくるしかないのかなと思うんですけれども、私、参考になるのは、やっぱりドイツが社会保険を使っていますし、人口レベルもそれ相応の人口です。ただ、地方分権の度合いがちょっと違いますけれども、デンマークとかスウェーデンというのはやっぱり国が小さ過ぎますので、基本的には福祉制度ということと社会保険の兼ね合いが違いますので、ドイツを見ながら今後やっていくのも一つの方策かと私は思っています。

松田公太みんなの党

○松田公太君 それでは、引き続き結城公述人にお聞きしたいんですが、基本的に大きな政府を目指すべきだという考え方だと思いますし、再分配システムもこれをまた強化するべきだ、また医療制度も、違う文献でも読ませていただきましたけれども、おっしゃっていることを別に議論したいということではないんですが、結城公述人の考え方の方向に行くと、多分必ず反論としてあるのが、資本主義の世界なんだからと、またそうする負担が大きい側にとってはやっぱりデメリットの方が大きいんじゃないかとか、場合によってはモラルハザードが生まれるんじゃないかなんていう話もあると思います。  医療制度にちょっと戻りますけれども、もし仮に結城公述人の考える方向に日本の改革が進むとしたら、例えばその医療制度の部分で負担が大きいサイドにとって何か私は明確なプラスがあってもいいのかなというふうに思うんですね。一つ考えられるのが混合診療なんかがそうかなというふうに思うんですが、それについてはどのように思われるでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 混合診療に関していろんな方とも私も議論させていただきまして、推進して、患者さんの立場からも議論したことがあります。ただ、やはり全体的に見ると、混合診療を全面解禁してしまうと、先ほども言ったように、やっぱり無駄な保険給付が出るという可能性がちょっと懸念しています。  ですから、私は、混合診療を全面解禁するのではなくて、今のちょっと部分的条件付混合診療というか、今、実は言葉は違いますけどなっていますので、この辺を拡充することによって、ある意味民間のベンチャー企業の医療系の人もそういう枠組みの中でやっていった方が、私は、結果的に無駄な給付が増えないんじゃないかというふうな私は理解でございます。

松田公太みんなの党

○松田公太君 同じ質問を山崎公述人にお聞きしたいんですが、その混合診療についてどのようにお考えか、聞かせていただけますか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 余り積極的にはなれません、今まで程度にとどめてほしいと。それよりも、有効性が認められ、ある程度の広がりを持った段階で速やかに保険診療に入れるという努力をしていただきたいというふうに思います。

松田公太みんなの党

○松田公太君 山崎公述人にそれではお伺いしたいと思うんですが、資料を拝見して、そのページ六を見ていたんですけれども、一定の福祉水準を維持しながらも過度な負担増を回避するには、まず支え手を増やす、二、年齢別から負担能力に応じた負担構造への転換、そして三、給付の重点化、効率化が必要ということでございますが、この後のちょっと資料を読んでいて、またお話を伺っていて、一と二の部分については特出しといいますか、されていたんですが、この三の給付の重点化、効率化が必要というところがちょっと説明が少なかったかなという感じがしたんですけれども、そこについて、もしよろしかったらもう一度説明をしていただけませんでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) まさに今回の介護保険法の改正がそれを打ち出しているわけでございまして、一定以上所得の方には少し高い二割負担をお願いするだとか、あるいは補足給付につきましてもう少し厳格な、負担能力のある方にはきちっと負担をしていただこうだとか、それから、その一方で低所得者に対しては十分な配慮が必要だとかというめり張りを付けるということでございます。これは随所に、今提案されている法案にも出ているかと思います。

松田公太みんなの党

○松田公太君 ありがとうございます。理解しました。随所にばらばらに入ったと。  それで、引き続きこちらも山崎公述人にお聞きしたいんですが、地方と国のあるべき関係について、これも別の資料で読ませていただいたことがあるんですが、イメージ的には道州制的な考え方に近いものをこの件に関してはお持ちなのかなというふうに感じました。  つまり、地方自治体が介護について自由度が増せば、同じ財源でもより効率的な、効果的な事業ができるようになるとか、市町村の主体性を回復する、それが契機になったりとか、また、そのためには中核都市レベルまで市町村合併を進めて権限移譲の受入れ体制を整えるべきではないかというような話がありましたが、そこについてもうちょっとお聞かせいただきたいんですが。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) はっきりした流れは、介護でいうと、もう中学校区を基本にということですね。ですから、当然、市町村、保険者を今後とも維持するということでございますし、新たに始まる新しい子ども・子育てシステムにつきましても、介護保険と同じように市町村をベースということになっております。  それから、医療につきましても、今どんどんどんどん地域密着型の医療を普及させると、在宅医療を重視すると。で、介護との連携を図るということでございまして、市町村への負荷が非常に高まっているんですよね。かといって、これ、県が直接執行するような話ではないというふうに思います。  その一方で、今行革がどんどんどんどん進んでおりまして、都道府県も市町村も相当体力を落としている中で、新たに市町村に、基礎的自治体に相当重い負担をお願いするということになると、やはりもう一度市町村の足腰を強くするということを考えなければいけないんじゃないかということと、それから大きな流れとして、できるだけ基礎自治体に権限を移譲していくという流れがあると思いますから、その権限の移譲が受けられる、しかも今言ったような基礎自治体としての本来の役割を果たすことのできるような自治体に向けて再編が必要なんじゃないかなというふうな気がいたします。  今、国レベルではどうも道州制なんという議論が華やかでございますが、むしろ基礎自治体の足腰を強くするにはどうしたらいいかということを考えていただかないと、介護保険もちょっと困るなと、在宅医療、地域医療も困るな、子ども・子育てもやっていけるんだろうかということを非常に危惧しております。当面は、そこまで行けない段階であれば、都道府県にそういう特に零細な市町村へのいろんな形での支援、これは人的な支援も含めてお願いしたいというふうに思っております。

松田公太みんなの党

○松田公太君 ありがとうございます。  結城公述人も、たしか論点、何番か忘れちゃいましたが、地方分権について書かれたと思いますが、是非もう一度そこの点をお願いします。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 福祉とか介護というのは、正直言うと私は、行政でもマニアックとか専門性が非常に求められる分野です。今の市町村の公務員を見ているとほとんど事務屋ですね。  実は今回、生活保護の問題、不正受給も問題視をしていますが、私は、不正受給者の問題よりもケースワーカーの専門性が非常に問われていると。要するに、交通整理ができないケースワーカーがやっているわけですね。  ですから、公務員、今の市町村に地方分権しても、はっきり言って専門性を持っていない事務屋にやってもほとんど意味がない。一部、専門職を雇っている非常に能力の高い自治体もありますよ。でも、約千七百自治体のほとんどの福祉行政をやっている自治体は、素人が四、五年置きに異動しているわけですね。ですから、もっと生活保護に専門家を入れて、そしてきちっと不正受給を見抜くとか、そういう専門性が今足りないところに地方分権をやってもやっぱり意味がないと私は思いますので、一部は成功しています、ですから地方分権に反対という意味です。

松田公太みんなの党

○松田公太君 分かりました。どうもありがとうございました。

小池晃日本共産党

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  両公述人、ありがとうございました。  介護の問題、結城公述人にお聞きしたいんですけれども、この間、独居高齢者やあるいは老老介護世帯の増加、高齢者の孤立、貧困化というのが進行していて、やっぱり介護と福祉の両面で対応が必要だというふうに主張されてこられたと思うんですが、そうした中で、今の政権が打ち出している介護の改革、要支援者サービスの給付抑制、特養入居者の限定、こういったことが実行されると事態は一層深刻になるんじゃないかと思うんですが、公述人の御意見をお聞かせください。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は今、要支援一、二の地域支援事業のところですね、そこは非常に制度が複雑化になります、利用者からしてみると。給付のヘルパーとデイだけが事業になりますし、介護予防とかぐちゃぐちゃになりますので、まず一点目、複雑化して現場が混乱してしまうということですね。  それから、今議員がおっしゃった潜在的な福祉ニーズをどれだけ引っ張ってこれるかというのは、介護の場面でいくと地域包括支援センターですが、実は地域包括支援センターにも非常に温度差がありますので、介護保険の枠の中で地域支援事業でやっていますが、果たしてそこまで地域包括支援センターが地域をちゃんと見れるのかというところに不安が持っていますので、今回の法改正のところはそこが非常に懸念して、不十分なところも僕はあると考えております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 先ほどから、地域支援事業化すると要するに地域活性化につながると、創意工夫が生かされるという議論もあるわけですが、一方で、予防給付の給付費の伸びは自然増より削減するような、たがもはまっているわけで、結局、これはやっていくとやっぱりサービスの切捨てということになっていくんじゃないかという懸念があるんですが、その点はいかがでしょうか、結城公述人。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 今回政府が出している給付費の上限額は努力義務ということで、きちっとそうしなさいと言っているわけではありませんので、ここがまた地方分権のところですが、恐らく国が努力義務と言えば、多くの自治体はそれに準じて事業計画を立てるのではないかというふうに私は予想しますので、ある意味給付の削減になる可能性は否定できないと思っています。  ただし、第六期に関してはほとんどそんなに僕は影響は出ていなくて、ある意味第六期に関しては軽度切りにはならないと私は理解していますが、しかし、今回の努力義務のこの給付のところが、七期、八期になったときに非常に私はそういう可能性があるのではないかと懸念しております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 今後の問題として大変懸念があると私も思うんですが、ちょっともう少し大きく社会保障全体ということで議論をさせていただきたいと思うんですけれども、社会保障と企業の責任ということでちょっとお伺いしたいと思うんですね。  山崎公述人のお話の中には特にそういう指摘はなかったんですが、山崎公述人は、社会保障における企業の役割、法人税もあるでしょう、社会保険料の事業主負担ということもあるだろうし、福利厚生という面もあると思うんですが、その点について、こういう役割を果たすべきだという御意見お持ちでしたらお願いします。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) まさに社会保険の中で被用者を対象としている部分につきましては、日本でいうと労使折半ということでございますから、十分に企業に支援をお願いしているということだと思います。あるいは、関連する企業内の福利的なことにも一定程度企業は力を割いてくれていると思います。  私が今日発言した中では、子ども・子育ての分野につきましても企業に一定の関わりを持っていただきたい、またそうしないと、両立支援とそれから保育サービスがうまく回らないということを申し上げたつもりでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 今の水準でいいんじゃないかというような御意見かとお伺いしたんですが。  結城公述人にお伺いしたいんですけれども、公述人は、企業が安定した雇用を創出して国内消費、内需を喚起してこそ社会保障の安定財源ができるんだということをかねてから主張されていると思うんですが、今日のお話の中でもやはり企業の役割を間接的な社会保障という形で強調されていて、法人税は引き下げずに大企業の内部留保の一部を活用して労働者に還元すると。これは私も非常に大事な提起ではないかなと思うんですが、この点について更にもう少しお話しいただければというふうに思います。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は、やっぱり終身雇用制度をしっかりしないと保険料や税金を納める人がいなくなりますので、まずそこが視点で、終身雇用制度で企業がきちっと見直すと。  もう一つは、子育てをどんどん、少子化対策をやるには、保育やそういうある程度サービスを増やしても、結局は働く環境が、とにかく風邪引いたらすぐもうさっと出られるような体制とか、病児・病後児保育を幾らつくるよりも、例えば一週間ぐらいインフルエンザで休めるとか、ある程度人員配置も厚くしておかないと、なかなか私は子育てが安心して、特に乳幼児期は子供の風邪引きますので。そういう意味では、会社に穴を空けないためにも、人員配置というのはちょっと厚くしておかないと難しいと思います。  そういうものを法人税を引き下げずに使ったり内部留保を使うということで、私は、結果的に企業にとってもいいんじゃないかと私は思います。

小池晃日本共産党

○小池晃君 この間接的な社会保障という点でいうと、更にやっぱり法人税や社会保障料負担というのを今後の社会保障の安定的な財源としてやはり活用していくべきだという理解でよろしいでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私の理解は、間接的にはそういう理解でいいと思いますが、基本的には法人税を上げろということは全く思っていません。  ただ、やはり企業の役割というものは、これだけ消費税も上がっていくわけですから、法人税を下げずに、労働者の環境や間接的に社会保障を支える人たちを支える意味でお金を使って、結果的には企業の保険料負担やそういうものが軽減されるんではないかと、それから個人消費も増えるんではないかという私の考えでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 私どもも法人税率を引き上げるという主張を今しておりませんので、そこはやっぱりきちっと今の水準で、これ以上下げていくというようなことはやめるべきだという、そういうことであります。  時間もそろそろです。最後にもう一回介護保険にちょっと戻ってお伺いしたいんですが、特養入居の要介護三以上への限定ということについて、結城公述人は入所を必要とする高齢者やその家族を取りこぼしかねないというふうに指摘をされております。政府の方はより深刻な中重度者の入居を優先するためというふうに言っているわけで、それはもちろん中重度者を一刻も早くというのは必要だと思うんですが、結局これが特養を造らないという方向に政策的に誘導する危険があるんじゃないかと私なんかは思うんですが。この特養の入居者の限定という方向についてはどのように考えでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は社会保障審議会の介護保険部会で、要介護三ではなくて要介護二からというふうに言いました。なぜかといいますと、まず要介護認定がそれほど精度がまだ高くないので、ある地域では要介護二だけれどもある地域では要介護三になってしまうというところがあるので要介護二が必要かと思います。要介護一に関しては、私は特養ではなくてほかの資源でいけるのではないかと思っております。  なお、今議員のおっしゃった特養の整備率を引き下げる可能性があるんではないかということは、確かにそういう視点があって、ほかのサービス付き高齢者住宅とかそういうのになっていってしまう懸念はありますので、やはり特養は私は増やしていくべきというふうに考えております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 山崎公述人に、先ほどお話聞いていて一点、混合診療は余り賛成ではないというふうにおっしゃったので、そこは一致しているのかなという感じがしました。  どうして公述人は積極的でないのか、混合診療には賛成できないのか、その理由を簡単にお願いします。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 医療の世界は、やはり公的な医療でしっかり支えたいということでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 端的なお答えをありがとうございました。

東徹日本維新の会

○東徹君 日本維新の会の東徹と申します。  本日は、公聴会に来ていただきまして本当にありがとうございます。そしてまた、いろいろと参考になる御意見をありがとうございました。  社会保障の中でもまずちょっとお聞きしていきたいのがやはり介護のことでございまして、これからまだまだ介護を必要とする高齢者の方が増えていくという事態の中で、介護人材をどうやって確保していくのかという問題がいつも言われるわけですけれども、やはり介護というのは御存じのように、非常に肉体的にも厳しいし、精神的にも大変だし、そしてまた感染症などのリスクも高いし、そしてまた排せつ介助とかそういった本当に大変な仕事でありますけれども、やはりそれに見合った報酬というのがなかなかもらえないからなかなか介護人材も不足するんだというふうな意見もあります。  その辺の介護人材不足の解消について、まず結城公述人の方からお聞かせいただきたいと思います。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) ありがとうございます。  今日、私の論点十でもう少し詳しく述べますと、基本的には、介護報酬をアップして介護士に公的資金加算になっていますが、それを持続するということになります。しかし、できればしばらくの間はもう一回給付金に戻してもいいのではないかなというのも私の考えです。  二つ目は、今後、やはり介護士は業務独占にして、そしてもうこれから、地域包括ケアシステムで在宅医療を進めているわけですから、介護士にも一定程度の医療行為ができるようにして、社会的認知を高めていくことによって、そして報酬を請求していくと。ある意味、社会的認知が認められないとこれは賃金もどんどん上げていくことも難しいと思いますので、例えば准看護師業務を加えて業務独占にして、例えば短大を二年を三年にするとかにします。  それから、一部外国人介護士を少し入れて、教育システムをきちっとして、外国人介護士に一部だけ協力を得ると、こういうことによって介護人材の不足を解消へ向かっていく施策が出ればいいかなと思っております。  以上です。

東徹日本維新の会

○東徹君 介護報酬を増やすということになりますと、恐らく、来年その改定もありますが、介護保険料を上げざるを得ないとか、又は自己負担を上げていかざるを得ないとか、この辺のことについてはもう一定やむを得ないというふうな考え方でよろしいんでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は、今回、消費税が上がる分を一部、もう公費、今一応五〇%になっていますけれども、これを超高齢化社会に準じて五三%、五五%、五四%にして報酬をアップして、介護保険の保険料を一部緩和させると、それで準じて超高齢化社会を見据えながら段階的に消費税をまた上げていくというように、公費の負担の割合を増やしていくことによって報酬アップなどは可能かと私は考えております。

東徹日本維新の会

○東徹君 そこもちょっと気になるなというふうに思っておったんですけれども、先ほど山崎公述人の方からは、介護保険は一〇%に上げても賄えるのは七%不足しているというふうなお話もありました。  非常にこの国の財政そのものが厳しい中で、消費税を上げた分をそこに回していく。先ほど、目に見える形で上げていけばいいじゃないか。確かに目に見える形で上げれば国民からの理解は得やすいというふうにも私も思うんですけれども、なかなか非常に財政も、国債の借金の返済も二十兆円を返していかないといけない。一千十兆円という借金があって、まだまだこれが更に増えていって、プライマリーバランスの黒字化もちょっと厳しいというふうな試算がされておったりとか、そんな状況の中で果たしてそれは可能なのかなと思うんですが、いかがですか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) おっしゃるとおり、一千兆円の国債は非常に私も危機感を持っております。しかし、消費税一%上げると二・五兆円ですか、これを工面しながらやって、実際消費税を上げていくことによって借金を返せるかというのはなかなか私は難しいと思いますね。  ですから、やっぱりもっと、例えば所得税の最高税率を上げるとかもっと相続税を更に上げるとか、そういう、実を言うと、これ、負担に関係なく資産を持っているのはやっぱりお年寄りなんです、貯金を持っているのは。そういう意味では、もっと再分配のシステムを、もっと持っている人から手厚くすることによって借金返済も考えられますし、それから公共事業も本当に必要な公共事業だけに特化すれば、私は、実はこれは国債の借金ってお金に色付いていませんので、確かに社会保障費は国債で賄っているかもしれませんが、全体のももしかしたら国債で賄っているものも幾つかあると思うんですね。  そういうものを含めると、社会保障型の予算を組んでいくことが私は必要かなと。ちゃんと負担はきちっと取るべきは取るだと僕は思います。

東徹日本維新の会

○東徹君 資産、ストックにやっぱり目を向けていくというのは私も大事だろうというふうに思いますし、相続税もこれもまた上げていかざるを得ないんだろうというふうに私も思います。  ただ、先ほど話がありました公共事業なんですけれども、先ほどのグラフにも減ってきていますよというふうな説明がありましたが、この公共事業も、今首都直下型地震とか南海・東南海地震とか言われている中で、やっぱりメンテナンスは必要だというふうにおっしゃっていましたけれども、まだまだ減らせる公共事業はあるというふうにお考えでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 例えば、今整備新幹線なんかも一つの例ですよ。一つの例で、整備新幹線を延ばす計画が非常に出ていますけれども、果たしてその整備新幹線を増やしていくことと、必要なことは必要なのかもしれませんが、社会保障と優先順位を考えた場合に、私は社会保障の方が直近の優先順位、財政というのはやっぱり最後は正義論というか公正論で最優先課題を考えていくべきだと思いますので、そのときの例えば一例でいうと、整備新幹線なんかは私は社会保障の方が優先順位じゃないかなと思っております。

東徹日本維新の会

○東徹君 もう一点、先ほどの介護士の人材確保のところで、ちょっと戻ってしまうんですが、独占事業にすればいいじゃないですかというふうなところで、私もどういったところを独占業務にするのかなというふうに考えておりましたら、医療的な行為というところでお話ししていただきました。多分、たんを取ったりとか、ああいったところ、やっている部分もあるのかもしれないですけれども、そういった医療的な部分でやっていったらいいじゃないかというふうな御議論ですが、これは例えば医療の分野からそれは駄目だというふうな議論にならないのかどうか、その辺のところはいかがなんでしょうか。理解得られるんでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) これは正直言うと、看護の立場と介護士自身の立場で恐らくけんけんがくがくな議論があってなかなか前に進まない可能性はありますけど、でもしかし、そこは業界の人たちの声は声で、やはりこここそ政治決断をして、より良い業務独占というか資格で、看護師不足も深刻です、正直言うと、在宅医療においては。ですから、介護士がある程度の医療行為ができることによって在宅医療の看護師不足も私は解消されてきますので、ここは是非政党間問わずに政治的なリーダーシップで資格の改革をやっていただければと思っております。

東徹日本維新の会

○東徹君 あと、山崎公述人にお伺いしたいんですが、日本は中福祉超高負担を目指すべきと、目指すべきじゃないですね、それを覚悟すべきですかね、済みません、というふうなちょっとお話があったんですが、もう一度ちょっと御説明兼ねてお話しいただけますでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 現行制度のままだと将来的には中福祉の水準を維持するには超高負担が不可避だと、それはあり得ないと。それを回避するには、程々の福祉水準を維持しながら、かつ過度な負担増を緩和するにはこのような工夫が必要じゃないでしょうかということを言ったつもりでございます。

東徹日本維新の会

○東徹君 ありがとうございます。  我々も最初からこれで割り切れば本当にそんなに苦労しなくて済むんですが。あと一点だけ、済みません、年金についてなんですけれども、年金制度、余りこういう国民会議でも議論されなかったというふうに聞いておりますが、本当に果たしてこのままの年金制度で維持できるんだろうかというふうな懸念があるんですが、いかがでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 財政的には百年間の財政計画を持っておりますから、成り立つということになっておりました。  ただ、なぜ成り立つかというと、一番のポイントは、給与水準を調整することによって成り立つということになっているのであって、過度な、やっぱり特に基礎年金の水準が落ちることについては懸念しております。これは国民会議の報告書でもそのように書いておりまして、それを回避するには、やはりもう少し働く期間、拠出期間を延ばさなければいけないんじゃないかということまでも書いてあります。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 年金において一つだけ書いたんですけれども、高額なある程度年金をもらっている方は、国民年金の国庫負担分のところはある程度その給付額を下げても私はいいんじゃないかなと思っています。  以上です。

東徹日本維新の会

○東徹君 どうもありがとうございました。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、両公述人、本当にありがとうございます。  まず、結城公述人にお聞きをいたします。  社会保障プログラム法の評価についてお聞かせください。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 正直言うと、私としては、余り点数では言えませんが、合格点ではないということでございます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 その理由は何でしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) まず、消費税を上げた分が、ここにも最後に書いてありますけれども、やはり国民の見える形で直結していないと。私は、消費税の増税分は、自然増分と国民年金の国庫負担分とその程度を使って、あとは軽減税率とか充実とか、その点のちょっと組替えが私としては評価ができないという点でございます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 では次に、生活保護法改正の評価をお聞かせください。  先ほど、自助、公助、共助と重要なものがあるとおっしゃって、生活保護法の改正法は自助の強調になっていると思いますが、いかがでしょうか。結城公述人に。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 今回の法律に関しましては、私は、一部やむを得ないというところはあります。ただ、不十分なところは、ケースワーカーとか福祉事務所の担当ケース数とかそういうのをしっかり入れていないところに私は、結局は門前払い的なところが、要素があるんではないか。もし生活保護を、きちっと福祉専門職をやって、そういうふうにしてちゃんとソーシャルワークができる環境を法律の中に入れていって、件数を例えば六十件とか五十件とか入れていってやれば、今のような法改正でも門前払いはないというふうに思いますが、そこが不十分な点でございます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 今日も介護保険の改正をめぐってそれぞれ両公述人から御意見をお聞かせ願っていますが、私は特養に入る条件等も問題だと思うんですが、やはり要支援の訪問サービスと通所サービスを地域移管する、介護保険給付から外すと。いや、もちろん地域が元気にということにもなるかもしれませんが、地域が受皿がなければ一体これはどうなるのかという問題。あるいは、NPOやボランティアの価値を、確かにそうです。しかし、今日、結城公述人は、かなりプロフェッショナルとしての介護をやるべきだということもあり、今回の、まだこれから国会で議論ですが、介護保険の改正法案は非常に、保険料を払ったけれども介護なしみたいな状況が地域によっては起きるんではないかということも懸念しております。  結城公述人、介護保険法のその点についての評価を教えてください。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私も審議会に参画した意味では非常に責任のある立場でございますので、その辺も含めて、今回の制度改正は、先ほど申しましたように、地域支援事業の移行のところ、あれは少しちょっとやり過ぎの面もあったかなと。やはり要支援二のところはきちっと守るべきだったと私は思います。  実は、要支援二と要介護一は非常に行ったり来たりしていますので微妙なところですから、その辺が非常に私は心配していると。やるのであれば要支援一のみでいけばよかったんではないかというところが、私としては非常に残念で、私の責任も感じているところでございます。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 また、厚労委員会で議論するときにもまたいろいろ教えてください。  今日は、山崎公述人、それから結城公述人、両方から、社会保障の在り方だけでなくて、雇用や様々な点についても言及があり、実は大変意を強くいたしました。  山崎公述人は、女性の労働力率を高め、不本意な非正規雇用を減らすというふうに書いていらっしゃいます。また、結城公述人も、やはり雇用をきちっとしない限り社会保障の再建はないんだということも強調して今日お話をされたと思い、私は、その点はまさに本当におっしゃるとおりだというふうに思っております。  ただ、女性の労働力を高め、不本意な非正規雇用を減らすためには、女性のみに着目するのではなく、男性の長時間労働などをしっかり、今の三六協定でいいのか、今の労働時間規制でいいのかも含めやらなければ、男性並みに働ける女性と、子育てをしながらやっぱり非正規労働者で労働条件が悪いところにほとんど女性が押し込められるという二極分化がもう起きていますので、私は、女性の活用はそのとおりで、女性も男性もワーク・ライフ・バランスがあるといいと本当に思っている、いろんな選択があってもいいですが、この雇用の点について、山崎公述人、こうすべきだというのを是非教えてください。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) おっしゃるとおりで、まず男性の働き方を変えなければいけないと、今の男性の働き方と同じような働き方を女性に求めると、これはとてもじゃないけど両立にはならないということでございまして、全体として日本人の働き方を見直さなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。  それが一番大事だし、それから、非正規雇用が二十歳代まで広まっていて、出生率が落ちている一番の原因じゃないかな。つまり、結婚できない。男性でも相当非正規はありますから、この辺は国を挙げてやっぱり考えていただかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 もうおっしゃるとおりで、にもかかわらず、労働法制の規制緩和の方向に今行っているので、だとすると、社会保障を立て直そうとせっかく議論をしても、雇用が壊れれば何か元も子もないというか、という状況が起きるのではないかと思うので、是非、雇用の点でもまた発言やいろんなものをよろしくお願いします。  結城公述人の今日のペーパーの中で、世帯と個人の考え方というので、先ほども言及がありました。世帯単位か個人単位か、ライフスタイルも極めて多様化している。東日本大震災のときの弔慰金の働き方一つ取っても、世帯主に払うのか、あるいは百十万の壁のようなものもあり、それだと例えば半額になるとか、いろいろあるんですよね。この世帯か個人かというのは実は物すごい大きなテーマですが、これについてのお考えを御教示ください。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は、もう日本の社会保障というのは基本的には世帯単位でできていますので、個人的には世帯単位でもう一度考えていくべきではないかと思います。  ただ、申し上げたように、介護保険とか後期高齢者とか新しい制度は個人単位になっていますので、いきなりそれをまた、じゃ世帯に戻せとかという議論になってしまうと難しいですけれども、どこかで世帯は世帯、個人は個人というふうにやっぱりきちっと、これ税制の問題もこれは非常に関係していますので、そこはやっぱり世帯という、家族という単位で考えていった方が、ただ、独り暮らし世帯がこれ非常に多くなっていますので、その辺も留意しながら、もう一回世帯単位で考えていくべきではないかと思います。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 ただ、住民票も会計が別であれば夫婦でも別世帯にできるわけですし、世帯と個人というのをどう考えるのか実はよく分からない。あるいは、DVなどのケースは同じ世帯でも実は世帯と考えない方がいい例も、極端かもしれませんが、そういう例も少なくはないので、結構ここは重要なポイントかなというか、制度設計において。  山崎公述人、この点などについてはどうお考えでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 長期的にはやはり個人単位化に向かうのかなというふうに思っておりまして、今先生がおっしゃったように、かなり世帯分離というのが簡単にできる状況でございまして、これ高齢者を見てよく分かるんですよね、世帯分離した方がいいのか同一世帯の方がいいのか割と選択が利くような余地があって、またうまく利用されている部分があるんでございますが。  長期的には個人単位かなと思いながら、家計は世帯として一つであれば、やはり負担能力という点を、ものを見るときはやはり世帯がベースになるのかなとも思ったり。悩ましい、非常によく分からない。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 また、その辺も、現状も含めてまた教えてください。  結城公述人の論点、エコノミストに書いてあるので、ジニ係数では測れない貧困や現在の問題があるというのが、実は社会保障を考える上で非常に重要なポイントではないかと実は思っております。そのことについて、最後、御教示ください。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) これはやっぱり、福祉事務所とか公的機関の現場力、専門職、そういうのがやっぱりちゃんとしないといけないと思います。二〇〇〇年の社会福祉基礎構造改革、介護保険ができて、役所が大分福祉を委託することになっているんですね。でも、こういう潜在的なところというのは突っ込んで、家庭環境まで突っ込んでいかなきゃいけませんので、ここはやっぱり公務員とか公的機関がしっかり入ってこなきゃいけませんので、この潜在的なニーズを引っ張ってくるには、やはり公的機関の福祉専門職の確立が必要不可欠と考えております。

福島みずほ社会民主党・護憲連合

○福島みずほ君 どうもありがとうございました。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 新党改革・無所属の会を代表して、幾つかお二人の公述人に御意見をお伺いしたいと思います。  まず、結城公述人に関しまして、我が国の介護士不足の問題に対して幾つか御提案をされていますよね、この資料の中で。三番目の、外国人介護士に一部協力を求めるなどの施策が求められる、必要だと。私も同感です。  ただ、ここに書いてありますように、教育システムを充実しなければならないということ。そうすると、やはり商習慣が違ったり、宗教的な違いがあったり、物の考え方が違う中で違和感を感じる、介護を求める日本の方々に対してですね。やっぱり的確なサービスを提供できる介護士でなければ意味がないと思うんですよね。  そこで、現場でも、今フィリピンですとかインドネシアですとかあるいはベトナムからも、そういった外国人の方々が現場で、技能実習生として来られているし、将来看護師として日本で働きたいという希望を持って来られる。そういう方が結構な数でおられるんですよね。そういった人たちのもし声を聞かれていることがあれば、そういった人たちがなかなか、最終的に看護師の資格の試験を通ろうと思ってもなかなか難しい、合格率が本当に数%しかないという状況なんですよね。ニーズがあるのに、またそれを満たしたいと思って来ているのに、言葉の壁等があってなかなかそのギャップが埋まらない。  この問題をうまく解決する方法、何かいい知恵があれば是非御教示お願いいたします。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 今までEPAではフィリピンとインドネシア、そして今回ベトナムですね。たまたま私は、外務省の間接的な関係でベトナムの介護士の教育に携わっておりまして、今まで三月と八月、今度、来週もう一回行きます。  今回三回目で、外務省さんがすごく良かったのは、現地で一度集めて一定期間の教育をさせて、日本語とか、介護士を現地で一回教育して、そしてもう一回日本に持ってくるということで日本でやると。そこはフィリピンとインドネシアの大きな違いですので、やっぱり現地で一定程度きちっと教育してからやるという点があれば、私はかなり、スキルの問題でも試験の問題や言葉の問題でもクリアできるということなんで、今回のベトナムのやり方は参考になるのではないかと思っております。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 ありがとうございます。ベトナムの例がモデルケースになるようになればと思います。  また、外国人の技能実習生、数でいくと、もう圧倒的に中国人の方が多いんですよね。ベトナムもその後を追ってどんどん増えている状況ですけれども、同じアジアという、文化的な違いも乗り越えられる可能性があるし、しかも、やっぱり中国もベトナムもこれから、日本が抱えているのと同じような介護、福祉のそういう課題に直面するわけですから、課題先進国である日本が、そういう意味では途上国、ある意味では人材教育を通じて国際的な協力関係をつくっていくということは、日本の外交にとっても大変プラスだと思うんですね。  それで、ほかの先進国でやはり同じような課題を抱えている国もたくさんあると思うんですよね、ヨーロッパでも。そういう国ともし比較できるようなケースをお持ちで、日本がこれから外国人の看護師たちを受け入れる場合に、何か参考になるような事例があれば御紹介いただけないでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) 私は、毎年ドイツの介護施設へ行っておりまして、実はヨーロッパの介護施設というのは、私が行った七、八か所の介護施設、ほとんど三、四割がドイツ人ではありません、アジアの人とか東欧の人とかですね。  実は、ドイツでは介護士という職場がもう人気がないと、で、外国人がやっている。そうなってしまうのはちょっと危険かなと思うんですね。やっぱり、何かもう介護は外国人の人にやってしまえばいいんじゃないかっていう、それは絶対いけないと思うので、やっぱり介護はきちっとスキルを持って、外国の人に協力を得て、ウイン・ウインの関係を持っていかないとこれは非常に危険で、介護の産業自体が低迷してしまうと思います。  実を言うと、ヨーロッパ、スウェーデンに行ったときもそうでした。そのちょっと悪い事例を少し見習って、やはりお互いが協力関係ができる教育システムとか待遇とか、そういうものをやっていかないと介護は持続可能性になっていかないと考えております。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 大変参考になる御意見だったと思います。  山崎公述人にもお伺いしたいんですけれども、これからの高齢化社会、様々な課題を考えたときに、やっぱり人間の持っている、まだまだ未開発の、言ってみれば細胞の活性化、遺伝子治療ですとか、それから、何ていうかiPS細胞の研究が進んでいますけれども、やっぱり人間の機能を高めていく。年を取ればもう自然に老化してくるのが当たり前だと思っているような、そういう意識を変えていく。年を取るけれども、どんどん、アンチエージングではなくてリバースエージング、若返るんだと。  実際、アメリカの方では、そういう意識革命を推進することでいろんな医療、福祉関係の予算を抑えよう、また自分自身が社会と関わりを持つような、そういう元気な、何ていうんでしょうかね、高齢化社会、そういう意識改革の動きを外部で聞いているんですけれども、日本でもやっぱりそういう意識改革に向けての動きが必要ではないかと思うんですが、そういう点で何か参考になるようなアイデアあるいは動きというものを御存じであれば御教示をお願いできませんでしょうか。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 現実にも、アメリカでもよくアクティブエージングと聞きますけれども、多少日本より低いけれども非常に労働力率高いわけでございまして、日本のこの労働力率の高さに、高齢者のです、私、この数字を見てびっくりしたんでございますが、幸いに健康長寿を目指そうということで、私も実はもう今年六十九になるんでございますけれども、引退、一旦は定年退職しましたが、そういう意識は全くないので、定年を機に勝手気ままに割と自由な生き方ができるなということでございまして、何か団塊の世代、仲間たちを見てみましても、みんな閉じこもっていないので、この辺の力をうまく引き出していただけないだろうかと。  介護保険ではそういうアイデアを今提供しているところでございますが、いろんな場面で、従来型の労働じゃなくて新しい労働をつくるというようなこともあるのかなという気がいたしております、よく分かりませんが。日本ではそれが可能なんじゃないかなという気はしております。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 ありがとうございます。  是非、課題先進国日本としての、やっぱりただ単に長寿社会を世界にアピールするんではなくて、それはクールジャパンの一環で日本の食生活や自然との営みが長寿を実現しているんだと。世界から観光客、是非お越しくださいというキャンペーンをやっているんですけれども、じゃ来てみると、そんなに高齢者の人が積極的にボランティアでガイドをやっているかというと、そうでもないケースも多いんで、是非アクティブな高齢者、そのためにはやっぱり意識改革がとても大事だと思うんですよね。と同時に、最先端の医療といったものを積極的に導入する、その組合せが大事ではないかと思うんですね。  そういう意味では、例えばロボットの活用ですとか、やっぱり人間の細胞を活性化するための様々な新しい研究、そういったものを介護の現場ですとか社会福祉の現場にどんどん生かしていく。そういう意味で、新たな特区なんかもどんどん今、国家戦略特区なんかでも医療、介護の特区も進めようとしているわけですから、ですから、そういうものをうまく連動していくような、そういう働きかけが必要だと思うんですよね。  そういう意味で、何か参考になるような、結城公述人も含めて、何か海外の取組で、これはもう日本にも是非持ってくればいいんじゃないかというような、もしそういうケースがあれば御紹介いただけませんでしょうか。

結城康博淑徳大学総合福祉学部教授

○公述人(結城康博君) ありがとうございます。  介護ロボットとかも、すごい長期的に見ると私は開発は必要だと思います。これは、でも開発は開発段階で、やっぱり中短期的には人でやらないと介護というのはまだまだ難しいと思いますので、やっぱり人の養成とかそういうものを重点としながら介護のロボットは作っていくということで、いろんな欧米諸国でもそういうのはありますけれども、やはり私はまず介護は人ということを忘れることがない方がよろしいかと思っております。

山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学名誉教授

○公述人(山崎泰彦君) 海外からということになりますと、私は分かりません。むしろ、これから日本が発信する側じゃないかなというふうに思っております。

浜田和幸新党改革・無所属の会

○浜田和幸君 ありがとうございました。  以上で終わります。

山崎力自由民主党

○委員長(山崎力君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。  本日は、有益な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  次回は明十四日午前九時から委員会を開会することとし、これをもって公聴会を散会いたします。    午後三時五十六分散会

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