法務委員会 第15号
- 発言数
- 285 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2014/05/15
会議録
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、前川清成君、江田五月君、宮沢洋一君及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として礒崎哲史君、直嶋正行君、豊田俊郎君及び大野泰正君が選任されました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び会社法の一部を改正する法律案(参第一〇号)を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。今週も質問の機会をいただき、ありがとうございます。 今回の会社法の改正案はコーポレートガバナンスの強化を盛り込んでおり、日本企業への内外の投資を高めるために非常に有用だと思いますし、日本の経済発展に良い影響を与えるのではないかと思っております。今回、私の質問では、社外取締役の選任の問題を中心に質問させていただきたいと思っております。 今回の改正案では、社外取締役を置かない企業はその理由を株主総会で説明することとして、そうしたスキームで企業に社外取締役を選任するよう促す制度となっております。 では、まず議論の前提として、そもそも日本では社外取締役を置いている企業は少ないという認識でよろしいんでしょうか。他の主要国と比較して、日本企業の社外取締役の選任割合はどのようになっているんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 他の主要国における社外取締役の要件あるいは選任に関する規律、さらにはコーポレートガバナンスの仕組みというのが区々様々でございますので、日本企業における社外取締役の選任率と各国における選任率とを単純に比較することがなかなか困難だという事情がございます。 例えば、我が国の監査役会設置会社、これは上場企業の大部分がそうですが、社外監査役が二名以上置かれていますけれども、これなどをどうカウントするかという問題があることはあるんですけれども、しかし、一般論として申し上げれば、他の主要国と比較して日本企業における社外取締役の選任率は一般論としては低いというふうに思っております。
○山下雄平君 制度が各国まちまちなので一律には比較できないということだとは思うんですけれども、そもそも義務付けしているところは一〇〇%ということもありますし、日本が各国に比べてぬきんでて社外取締役の選任率が高いというわけではないと思いますし、また、高めていく必要があるからということで今回の法改正が提案されているわけだと思います。 私は、二年ほど前まで日本経済新聞の記者をしておりました。日経新聞の紙面でもしばしば企業の不祥事が紙面を飾ることがありました。そういうときには必ず、日本の会社は十分な企業統治が行われていないとか、外国企業に比べて透明性に欠けるというような批判が書かれておりました。 外部の目による監視、監督が必要だということで、社外取締役の充実を求める声は強まっております。しかし、一方で、個別の事件、不祥事は例外的な事例で、これを一般化して見直しを進めれば適切に経営されている企業に過剰な負担を強いるというような指摘もあります。 では、そもそも、政府として社外取締役を選任することが望ましい、政府として選任を推進するという立場であることを改めて説明してください。
○政府参考人(深山卓也君) 今委員が御指摘があったように、社外取締役の導入を促進することについては様々な意見があることは承知しております。 しかしながら、社外取締役については、業務執行者から独立した立場で業務執行者による業務執行全般を評価し、これに基づいて取締役会における議決権の行使等を通じて業務執行者を適切に監督することが期待できますので、その導入を促進することによって日本企業のコーポレートガバナンスが全体として強化されることになるものと思っております。 そういった観点から、改正法案では社外取締役の導入を促進するための措置を講じておるわけですけれども、改正法案ではその促進策として、例えば、社外取締役を置いていない上場企業等に社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会で説明する義務を課すといった措置を講じておりますけれども、これは各社の実態に最も適した体制でコーポレートガバナンスを向上することを促すという趣旨で、委員が御懸念のように、一律に強制することによって企業に過剰な負担を課すということにはなっていないものと思っております。
○山下雄平君 政府として社外取締役の選任を推進するんだ、推奨するんだということだと思いますけれども、では、議論を深めるためにその現状について把握しておきたいと思います。日本において社外取締役を選任している会社の推移はどのようになってきているのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 近年、社外取締役を置く上場会社の数は増加傾向にございます。東京証券取引所の一部上場会社のうち、社外取締役を選任する会社の割合は、平成二十三年には五一・四%でございましたが、翌平成二十四年には五五・四%、昨年、平成二十五年八月末現在では六二・三%にまで上昇するに至っております。 改正法案で社外取締役を置くことの促進策が導入されますと、今後一層その傾向が強くなるものと予想しております。
○山下雄平君 社外取締役を選任している企業というのは増加傾向にあるということでしたけれども、その要因についてどのように分析されているんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役につきましては、業務執行者から独立した立場で業務執行者による業務執行全般を評価して、これに基づいて取締役会で議決権を行使することを通じて業務執行者を適切に監督することが期待できます。委員御指摘のとおり、社外取締役選任企業が増加傾向にあるのは、こういった社外取締役の機能を活用すべきだという認識が我が国の企業関係者、経済社会に広く浸透しつつあることによるものと思われます。 また、先ほどの数値で、直近の平成二十五年に特に選任している企業の数が増加しておりますけれども、このことにつきましては、平成二十四年の九月に法制審議会が今回の改正法案の前提となりました会社法の改正に関する要綱を法務大臣に答申し、その内容を公表いたしましたので、その中で社外取締役の選任を促進する法改正が予定されているということが一般に明らかになったということも影響しているものと考えております。
○山下雄平君 法改正が提案されるから更に伸びてきたということだとは思うんですけれども、一方で、ずっと傾向を見ておりますと、そもそも企業自身が外部の目を取り入れなければならないという意識が高まって社外取締役を選任する企業が増えてきたと。どんどんどんどん増えてきているということであるのであれば、そのまま任せていても、つまり、法改正をしなくても社外取締役の選任は進んでいくんじゃないかと、そういうふうにも想像されるんですけれども、あえて政府として、法務省として、法改正をしてまで社外取締役の選任を促すということはどういった理由があるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 確かに、今までお話ししたとおり、社外取締役を置く上場会社の数は一貫して増加傾向にありまして、それが、社外取締役の機能を活用すべきであるという認識が我が国の企業関係者、経済社会に広く浸透しつつあることの表れと考えられますことから、今後も社外取締役を選任する企業は増加するものと考えております。 もちろん、社外取締役の機能を活用すべきであるという立場からはこのような傾向は望ましいものだと思っておりますけれども、改正法案はこういった傾向を更に推し進めよう、後押ししようということで、社外取締役の導入を促進する更なる措置を講じているものでございます。
○山下雄平君 昨年六月の日本再興戦略では、会社法の改正について、外部の視点から社内のしがらみや利害関係に縛られず監督できる社外取締役の導入を推進すると、そういうふうに明記されております。これは、社外取締役といっても、関連会社の人だったり親族だったりしたら外部の目で監督するということにはならないと、そういう趣旨だと思います。 ただ、そうであれば、利害関係者に縛られずに監督するためには、重要な取引先、これについても社外取締役の対象から外すべきではないかというような指摘もあります。今回の改正による社外取締役の要件厳格化では、重要な取引先関係者を外さなかった理由というのはどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) アメリカ等の諸外国におきましては、株式会社の重要な取引先の関係者はその株式会社と取引関係に基づく利害関係を有しているということから、重要な取引先の関係者でないことを社外取締役、あるいは独立取締役という言い方の国もありますが、の要件としている例も存在しております。 そこで、我が国においても、社外取締役の要件に株式会社の重要な取引先の関係者でないことを追加すべきであるという指摘もされております。ただ、取締役が社外取締役の要件を満たすかどうかという問題は、その取締役が関与した取締役会決議の効力に影響する場合がございますので、株式会社の重要な取引先を社外取締役の要件に加える場合には、重要な取引先であるか、つまり、重要であるかどうかの基準を一義的に明確なものにして規定すべきだと思われます。 そして、その基準を検討するに当たっては、取引先が株式会社にとって重要であるという場合と、その会社が取引先の方から見て重要である場合と、両方の場合があるので、それを分けて考える必要があると思っております。しかし、まず、ある取引先が自分の株式会社にとって重要かどうかということは、その取引先の代替性の有無であるとかその時々の事業の状況によって変化し得るといった事情でございますし、また、自分の会社がその取引先にとって重要かどうかというのは、相手方の会社の事情でありますのでなかなかその判断が難しいという問題もございます。 実は、法制審議会の会社法制部会でも、重要な取引先の関係者でないことを社外取締役の要件とすることの是非について議論がされましたけれども、今申し上げたような重要な取引先と言えるための基準についても、またこれを要件とすることの是非についても、意見が大きく分かれてコンセンサスを得ることができませんでした。 そこで、今回の改正法案では、株式会社の重要な取引先の関係者でないことというのを社外取締役の要件とすることはしていないものでございます。
○山下雄平君 重要な取引先という基準が非常に難しいということで、この法律の中に盛り込むというのがなかなか困難だったという指摘だと思います。一方で、アメリカなんかはそういったことを法制化しているという御説明でした。 この重要な取引先ということに関しては懸念の声がしばしば出ているので、実際の法改正の運用を見ながら、もしやはりそういう懸念が消えないのであれば、更に検討を進めるという必要がまたあるのではないかというふうに考えております。 政府として健全経営のためにこの社外取締役が必要だというふうに言っているわけですけれども、何人社外取締役を置くべきかということについてはこの法案では触れられておりません。 四月に安倍総理が指示されてまとめられた対日直接投資に関する有識者懇談会報告書というものがあります。その中では、各企業に社外取締役を三分の一以上置くように提言しています。一方で、火曜日のこの委員会の参考人質疑では、東京証券取引所の静常務が社外取締役は最低二人は必要だと思うというふうにも発言されております。 社外取締役を複数人選任すべきだと、そういった主張に対して、法務省の見解をお聞かせください。
○政府参考人(深山卓也君) 今委員が御指摘になったような対日投資の促進という観点から、日本に投資を考えている企業の皆さんが三分の一以上の社外取締役が必要だという御意見を述べられ、それがまとめられ、また、先日の静参考人が社外取締役は最低二人は必要だと思うという発言をされたことは承知しております。 ただ、社外取締役を実際何人置くかということは、各社がそれぞれ自分の会社の実情に応じて適正と考える企業統治体制を構築する中で決められるべきものでございます。 そもそも、取締役自体を何人置くかということも各会社まちまち、非常に数が多い取締役を置いている企業もあればすごく絞っている会社もございますので、何人の社外取締役を置くことが適切かということを一概に言うというのは難しいものと思っております。
○山下雄平君 現在のところ、政府として何人がいいということを言うのは難しいということだと思います。 一方で、やはり複数に、一人じゃなくて複数人いいんじゃないかという声もまた強いわけでございますから、政府として今後どう対応していくかというのは、また今後の検討課題ではないのかなというふうには思っております。 ところで、選任数の数は別としても、政府として社外取締役の選任は望ましいんだということがずっとこの間主張されておりますけれども、そもそも、そうであれば、なぜ社外取締役の選任を義務付けなかったのでしょうか。改めて説明してください。また、主要国の中で社外取締役の選任を義務付けている国というのはどれくらいあるのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化することを目的として、社外取締役をより積極的に活用すべきであるという指摘が強くされていますから、法制審議会の会社法制部会でも、この社外取締役の選任を法律上義務付けるかどうかという点は最も重要な検討課題として取り上げられました。 部会では、社外取締役の導入について、社外取締役に監視される立場の業務執行者の自律性に期待することには限界があるという理由で、もうこの際、法律で義務付けることとすべきだという賛成意見と、義務付けをしますとかえって各会社の規模、業種、業態等に適した企業統治体制を構築することを阻害するので、導入は各会社の自由な選択に任せるべきだという義務付けに反対する意見とが激しく対立をいたしまして、議論は非常に何度も重ねられたのですけれども、結局のところ、コンセンサスが得られませんでした。そこで、法制審議会の法務大臣に対する答申では、社外取締役の選任の法的な義務付けは盛り込まれなかったものでございます。これを踏まえた改正法案では、社外取締役の選任の義務付けの規定は設けないこととされました。 それで、お尋ねの二点目ですけれども、主要国の中には確かに義務付けている国がございます。その義務付けといってもいろいろな程度がありますので、一番典型的な例を挙げますと、一つはアメリカでございます。アメリカは会社法が各州によって異なっておりまして、最も代表的だと言われているデラウェア州法、デラウェア州の会社法上は社外取締役に関する特段のルールはございません。しかし、ニューヨーク証券取引所の規則において、上場会社は取締役の過半数を独立取締役としなければならないということとされていますので、上場企業である以上、このルールを上場規則で守らなくちゃいけないという形で義務付けがされているということでございます。 また、法律で義務付けている国としてはお隣の韓国がございます。韓国は、商法それから大統領令において、上場会社は取締役の数の四分の一以上を社外取締役にしなければならない。それから、直近の事業年度末における総資産額が二兆ウォン以上の上場会社については、社外取締役を三人以上選任し、かつ、取締役の総数の過半数を社外取締役にしなければならないといった法的なルールを設けていると。 この二者が義務付けをしている典型的な例でございます。
○山下雄平君 アメリカと韓国では義務付けているけれども、一般的にどこの国も義務付けているわけではないという御説明だと思います。 今回、日本としても義務付けを見送った理由として、先ほど深山局長は、反対意見の中には、義務付けるとかえって会社の規模や業績や業態等に適した企業統治が妨げられるというような反対意見があったと言われておりますけれども、具体的にどういう場合がその妨げられるということになるのでしょうか。つまり、社外取締役を選任しない企業が株主総会でどういう説明をするというふうに想定されているんでしょうか。 もちろん、法務省だったり政府がこういう説明をすると、社外取締役は置かなくても大丈夫だというような、余り具体的に言ってしまうと、企業にとってのエクスキューズのマニュアルを作ってしまうみたいになっても困るわけですけれども、なので、なかなか言及しづらいということはもちろん承知しておりますけれども、ただ、政府として説明を求めるスキームをつくるということであるのであれば、何らかの想定はされているのではないかなと思っております。 衆議院の方の法務委員会では、例えば、発展途上の会社は負担が非常に重いことがないわけではないなどとか、業務が極めて特殊などと例示をされておりました。このほかに、社外取締役を置くことが困難な事例というのはどういうことがあるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置かない会社がどんな理由で置いていないかというのは各会社の個別の事情によってもちろん異なりますので、取締役が株主総会に説明義務を負っている社外取締役を置くことが相当でない理由というのも各会社の個別の事情に応じた内容でなければならないというのがまず大前提です。 そのため、どういった内容であれば相当でない理由と認められるかということをこの場で一概にこうであると申し述べることはなかなか事柄の性質上難しいですし、その具体的な例示というお話でしたけれども、具体的な例を示すことは、これも委員御自身言われていたとおり、それに準拠しておけばこれは法の要請を満たすんだという安易な対応を招く危険もありますので、余り適当であるとは思っておりません。 ただ、社外取締役を置くことが相当でない理由でございますので、単に置かない理由を説明するだけでは足りませんで、置くことがかえってその会社にとってマイナスである、マイナスの影響を及ぼすといった具体的なその会社に特有の事情を説明しなければならないと、こういうものでございます。
○山下雄平君 今の深山局長の説明にもありましたし、衆議院の方では谷垣大臣からも同じような説明があったと思いますけれども、つまり、置くことによるマイナスを説明しなければならないんだというような形で一定の基準を法務省として示されているとも取れます。それは、説明をするという実行の形式だけを求めているのではなくて、説明する内容まで問うているわけです。説明の内容規制とも言えるかもしれません。 ただ、説明内容についての、適当である、不適当であるというのはなかなか基準としては判然とはしません。説明が適正かどうかというのは、誰がどのように判断するのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置くことが相当でない理由というのは、定時株主総会で取締役が株主に対して説明する。さらには、これは法務省令事項で予定していることですけれども、業務報告や株主総会参考書類でも書面上相当でない理由を記載して株主に開示すると、こういうものでございますので、第一義的には株主によって適切な説明がされたかどうかということが判断されることになります。 もっとも、仮に、相当でない理由の説明や、あるいは株主の書面での開示というものが不十分であったという場合に、取締役の善管注意義務違反に基づく責任追及の訴えの原因になることもあり得ますし、それから、取締役の選任決議の取消しの訴えが提起されるというようなこともあり得ます。こういうことになった場合には、最終的に裁判所において、これらの説明や記載が十分であったかどうかということが判断されるということになります。
○山下雄平君 企業ですので、最終的には株主が評価する、判断するということのようです。 しかし、例えば、紋切り型の説明ばかりをしていても株主が余り問題としてこなければ、木で鼻をくくったような説明が横行してしまうというような事態が起こり得ないとも限りません。社外取締役を設置しない企業に株主総会でその理由を説明させるという立法の趣旨が有名無実化してしまった場合はどのように対応していくんでしょうか。附則に盛り込まれた二年後の再検討の中で法改正も含めて対応していくということになるという認識でよろしいでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、改正法案では、施行後二年を経過した場合の検討事項が置かれております。社外取締役の選任状況や、選任されない場合の株主総会での置くことが相当でない理由の説明の状況についても、この検討事項において検証されることになるものと思っております。 その二年を経過した場合の検証の結果、仮にですけれども、この相当でない理由の説明が不十分であるというようなことが非常に多いということであれば、それに対する対応、法的な対応をその時点で考えなくちゃいけないと思っておりますが、現時点でそれ、どういうことになってどういう施策を講ずることになるかというのを予測することはなかなか難しいと思います。 もっとも、社外取締役の機能を積極活用すべきだという、そのこと自体は、先ほど来申し上げていますとおり、我が国の企業関係者、経済社会に相当程度既にもう共有されておりますし、今回の改正法の施行後は更にそのような意識が一層浸透すると思っておりますので、その社外取締役を置くことが相当でない理由の説明についても、いいかげんな説明が横行するというようなことではなくて、適切な運用が積み重ねられていくんではないかと、こう期待しているところでございます。
○山下雄平君 私も、企業はそんな変な説明ばかりをして法の趣旨を、脱法行為をするというふうに思っているわけではございませんけれども、万が一そういった事態が起こり得るかもしれないということで、法務省としても重大な関心を持って運用の中で対応していっていただきたいと思っております。 谷垣大臣は水曜日の法務委員会で、法改正により内外の投資家の信頼が高まり、経済の成長につながるというふうに今回の法改正の利点を言及されました。一方で、中には、社外取締役がいるから業績がいいと言えるようなデータはないとか、社外取締役の選任により業績が伸びたと、そういったような相関は見られないというような指摘もあります。社外取締役の選任を促進しようとされている大臣として、こうした声にどのように応えていくのか、お聞かせください。
○国務大臣(谷垣禎一君) 社外取締役に期待されるのは業務執行に対する監督ですよね。だから今指摘のようなお声があるわけですが、立派な社外取締役を選んだからその企業が急に成長していくのか。特に、業務執行はもう一つだなということであれば、それは成長には結び付かないと思うんですね。 ただ、業務執行者と独立の立場から社外取締役が健全な監督をすることによっていわゆるコーポレートガバナンスが向上していくと、そういう健全な環境の中で業務執行自体が、何というんでしょうか、より良きものになっていくという可能性は私は十分にあると思います。 特に、内外の投資家、特に海外の投資家から、日本はコーポレートガバナンスが弱いんではないかという懸念が見られるという指摘がございましたから、そういう意味合いからも、こういうことを行っていくということが日本企業に対する信頼を増して日本に対する投資を呼び起こす、そのことが経済成長につながっていくと、こういうことではないかと思っております。
○山下雄平君 大臣がおっしゃるように、コーポレートガバナンスが高まって日本の企業の信頼性が高まり、投資をする環境が非常に良くなって、最終的には日本の経済の浮揚につながるというふうに私も期待しておりますし、今改正案が成立して、また二年後検討するというような附則が盛り込まれているわけで、今議論をしました社外取締役の要件を更に厳格化する必要があるのかどうか、選任の数は本当に一人、二人、三人、複数がいいのかどうか、そういったこともまた今後検討を進めていっていただきたいというふうに思っております。 最後に何問か、この整備法の方に含まれています水俣病関連についてお伺いしたいと思います。 法案には、日本維新の会から、水俣病特措法についての改正を追加するという修正案が提出されております。修正案の趣旨は、今回の会社法の改正により現在の水俣病特措法で定められたスキームが変更されないようにするためというふうに理解しております。そうであれば、本来は、政府提出法案の中で水俣病特措法の整備も対象としておくべきではなかったのでしょうか。水俣病特措法が整備の対象とされなかった理由を法務省の方から伺いたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 整備法案でございますが、これは、各省庁において会社法の改正法案に伴う整備が必要であると判断した法律の改正規定を一本の法案に取りまとめる形で立案したものでございます。具体的にある法律の改正規定を整備法案に設けるかどうかというのは、その法律の所管省庁の判断ということになります。 議員が指摘された水俣病特措法について少し経緯を申し上げますと、法務省ではこの種の大きな立法をするときには、通常やっていることですけれども、法案の各省説明会というのを行います。平成二十四年の七月十二日に各省説明会を開催して、各省庁の担当者に来ていただいて、会社法自体の改正法案の内容の概要を説明いたしました。 今御指摘の水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法、いわゆる水俣病の特措法ですけれども、これにつきましては、所管省庁である環境省から、平成二十四年の七月から八月にかけて、子会社の株式等の譲渡について株主総会の決議は要しないことを内容とする特則を置く置かないということについて相談を受けました。その後、環境省において特措法に特則を置くことの要否について検討を続けておられると聞いておりましたけれども、その年の八月の下旬頃、結論として特措法に特則は置かないこととしたという連絡を環境省から受けました。その結果、整備法においては特措法を整備対象としておりません。 このように、整備法に特措法の改正規定が含まれていないのは所管省庁の環境省の御判断ということになりますので、その理由というお尋ねですけれども、法務省から具体的な理由をちょっと申し上げることは難しいということでございます。
○山下雄平君 ただいまの深山局長の説明では、環境省の判断で整備の対象とされなかったということでございました。 では、環境省にお伺いしたいと思いますけれども、水俣病特措法を整備しなかった理由に関してお聞きしたいと思います。
○政府参考人(清水康弘君) お答え申し上げます。 今回の会社法改正につきましては、これが水俣病の原因企業に適用されるかどうかにかかわらず、特措法の環境大臣承認の要件が何ら変更されるものではないところ、環境省といたしましては、水俣病の補償、救済の観点から、水俣病の原因企業の株式譲渡につきましては、被害の補償や救済が確保されるよう、特措法に基づき環境大臣としての判断をしっかり行うことが重要であると認識しておりました。 また、現状におきまして、株式譲渡のための環境大臣承認の要件が整っている状況にはないと認識しておりまして、こういったことから、今回、株式総会の特別決議を新規に義務付ける旨の規定を水俣病の原因企業の株式譲渡については適用しないとする内容の改正を行う方針は取らなかった、こういうことでございます。
○山下雄平君 二〇〇九年に自民、民主、公明の協議の上で制定された現在の特措法のスキームを維持していくためには、維新の会から提出されているような修正案のように水俣病特措法を改正する必要があるということだというふうに思っておりますけれども、この修正の内容は現在の特措法のスキームを変更するものではなく、これを維持するという認識でよいのでしょうか、環境省にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(清水康弘君) お答え申し上げます。 今回の議員修正につきましては、提案者であられます西田譲議員から、今先生御指摘あったような形で、水俣病特措法の枠組みを維持するものであるというような御発言があったということは承知しております。 環境省といたしましては、水俣病問題の解決に向けて自らの役割をしっかり果たしていくことが重要であると認識しておりまして、今回の議員修正によって水俣病特措法の株式譲渡に係る環境大臣の承認手続については何ら変更がなされるものではなく、環境省といたしましては、水俣病の被害の補償や救済が確保されるよう、水俣病特措法の規定に基づきしっかり対応してまいりたい、このように考えております。
○山下雄平君 最後に、この修正について谷垣大臣の御自身の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 御指摘の修正は水俣特措法に関するものでございまして、これは環境行政とも関するところがございますので、法務大臣としては、いささかもごもごしたところもあるわけでございます。 ただ、今おっしゃったように、五年前、各党各会派大変御努力をされまして、そして、ああいう大きな被害をどうやって補填していくかということについて特措法ができたわけですね。私は当時、一国会議員としてそういう方々の御努力、熊本選出の方が中心でございましたが、そういう御努力をされているのを間近で見ておりまして、そういう立場からすると、今度修正案をお出しになった日本維新の会の西田譲議員が、制定当時とは異なる手続を加えるべきではないという説明をされております。当時の経緯を知っておりますと、まあそれはそういうことだろうなという思いは禁ずることができません。 したがいまして、いずれにせよ、修正案についても会社法改正案と一緒に国会において十分御議論をいただきたいと、このように考えております。
○山下雄平君 以上で質問を終わります。 ありがとうございました。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。 今回の会社法は新しくつくられます制度が幾つかございまして、本日はそうした制度についてお聞きをしていきたいと思っております。 まず、多重代表訴訟制度についてでございますけれども、これは、親会社の株主が一定の場合に直接子会社の取締役の責任を追及できる制度でございます。この制度をまず創設した理由、背景についてお尋ねいたします。
○政府参考人(深山卓也君) いわゆる多重代表訴訟制度でございますが、これは、企業グループの頂点に位置する株式会社の株主が、その子会社や孫会社の取締役等の責任について代表訴訟を提起することができる制度でございます。 御案内のとおり、現行法では、株式会社の株主は、その株式会社の取締役等に対して代表訴訟を提起することができますが、その株式会社の子会社の取締役等に対してはこれを提起することができません。 しかし、近年、持ち株会社形態や完全親子会社関係にある企業グループが多数形成されるようになっておりまして、このような企業グループにおきましては、実際に事業活動を行っている完全子会社の企業価値がその完全親会社である持ち株会社の企業価値に大きな影響を与えることとなっております。 他方で、株式会社の取締役等が株式会社に対して損害賠償責任を負っている場合には、株式会社の取締役等とその完全親会社の取締役等の企業グループ内の人的な関係や仲間意識から、完全親会社が唯一の株主ですけれども、株主として代表訴訟を提起して子会社の取締役の損害賠償責任を追及するということを懈怠するおそれが類型的、構造的に存在しております。そのため損害が賠償されず、結果として完全親会社、ひいては完全親会社の株主が不利益を受けるおそれがございます。 そういった背景事情の下で、改正法案では、こういった地位に置かれる完全親会社の株主を保護するために多重代表訴訟制度を新設することとしたものでございます。
○佐々木さやか君 御説明をいただきましたように、親会社の株主の利益、また企業集団の業務の適正化にもつながる改正であると思いますけれども、ただ、こういった代表訴訟といいますのは、やはり濫用的に提起されるというおそれもございます。こうした場合には、応訴の負担から会社の業務に支障が出る可能性もあるわけでありますけれども、こういった濫訴の防止策についてはどのような制度になっているんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、今回新たに設けられる多重代表訴訟制度につきましても、その濫用的な提起を防止する必要があるものと考えております。 そのため、改正法案では、多重代表訴訟の提起が株主等の不正な利益を図り又は株式会社若しくは最終完全親会社等に損害を加えることを目的とする場合には、多重代表訴訟を提起することができないこととしております。また、最終完全親会社等の株主が多重代表訴訟を提起するためには、一%以上の議決権又は株式を有していることを要するということとしておりますし、さらに、多重代表訴訟の対象となる取締役等の責任を重要な完全子会社の取締役等の責任に限定しております。 これらの要件はそもそもは濫用防止を直接の目的としたものではございませんけれども、提訴することができる株主や提訴の対象となる取締役等が限定されることによって多重代表訴訟の濫用的な提起を抑制する効果を実際上持つことになると考えております。 こういったことによりまして、委員の御懸念の濫用防止ということについて必要な対策を取っていることでございます。
○佐々木さやか君 多重代表訴訟は親会社の株主が子会社の取締役の責任を追及できるものでございますので、親会社の株主による子会社の監督を強化するものでありますけれども、この多重代表訴訟制度の導入によりまして、親会社の取締役の子会社に対する監督責任、これもこれまでよりもより強く求められるということになるんでしょうか。どのようにこの点は変化するというふうに法務省は考えますか。
○政府参考人(深山卓也君) 先ほど来申し上げていますように、多重代表訴訟制度は完全親会社の株主を保護するために導入するものでございます。他方で、親会社取締役による子会社の監督責任は、親会社の取締役が親会社に対して負っている善管注意義務の一環として、親会社の資産として有している子会社株式の価値の維持、増大のために、株主権を適切に行使することによって子会社を監督する責務を負っているという考え方で導かれ得るんだろうと思います。 これを親会社の監督責任と言うかどうかはいろんな考え方があると思いますけれども、このような監督責任が親会社取締役に認められるという立場に立った場合には、多重代表訴訟制度の有無にかかわらず、親会社の取締役は、子会社の重要性や子会社の株式の所有目的、態様等の事情に応じて子会社の株主権を適切に行使して、これを監督しなければならないということになると思われます。 要するに、多重代表訴訟制度の導入によって親会社の取締役の子会社に対する監督責任がより強く求められるというわけではないと思っております。
○佐々木さやか君 確かに、法的には明確な変化はないのではないかと思いますけれども、今回の改正自体が企業集団の業務の適正をより確保していくという方向性にあるのだと思いますので、実務的には株主としてもそうした子会社の監督をより期待していくのではないかなと個人的には考えております。 この企業集団の業務の適正化についてですけれども、この業務の適正を確保するために必要な体制の整備に関する定めというものが会社法施行規則の百条一項五号にございました。これが今回は新たに会社法の条文の方に規定をされるというふうに理解をしております。第三百六十二条の四項六号でございますけれども、このように会社法の条文に規定されることになったのはどうしてなんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のように、現行の会社法施行規則百条一項五号では、現行法の三百六十二条四項六号に規定されたいわゆる内部統制システムの一つとして、当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制というものを挙げております。 ところで、改正法案の同じ条文、三百六十二条四項六号では、会社法本体において、取締役会等で定めるべき内部統制システムについて、株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制と規定することとしております。 これは、近年、株式会社とその子会社から成る企業集団、いわゆるグループ企業による経営ですね、グループ経営が進展をして、特に持ち株会社形態が普及してきていることから、株式会社及びその株主にとって株式会社の子会社の経営の効率性、適法性の確保が極めて重要になってきていると、こういった事情を踏まえまして、株式会社及びその子会社から成る企業集団に係る部分も内部統制システムに含まれるということを会社法本体に規定することが適切であるという判断に基づいてこういう改正をしたものでございます。 この改正法案は、こういった現行の会社法施行規則の下における規律を、規律自体を変更するということではなくて、事柄の重要性に鑑みてその内容を会社法本体に言わば格上げして規定したと、こういう性格のものでございます。
○佐々木さやか君 確認的にお聞きしますけれども、会社法の条文に規定されるようになったことで、取締役の当該体制の整備を行うべき注意義務には内容として変化があるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今お答えしたとおり、改正法案は、内部統制システムの整備に関する現行の会社法施行規則の下における規律を、それ自体は変更するものではなくて、その重要性に鑑みて会社法本体に言わば格上げして規定したものですので、今回の改正によって取締役の内部統制システムの整備を行うべき注意義務に特段の変化が生ずるということはないものと考えております。
○佐々木さやか君 この点についても先ほど私の考え申し上げましたとおり、全体として企業集団の業務の適正を確保をよりしていくという意味合いでの改正でありますので、株主としては、また実務上は、取締役としてはしっかりとその責任を果たしていく、こういう期待が掛けられるのではないかなと思います。 次に、特別支配株主の株式等売渡し請求権、これについてお聞きしたいと思います。 この売渡し請求権も新たに創設されるわけでありますけれども、この制度を創設した理由、また背景について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 株式等売渡し請求制度は、機動的なキャッシュアウトのための手段として設けるものでございます。 キャッシュアウトと申しますのは、ある株主が他の株主の有する株式の全部を、それらの株主の個別の承諾を得ることなく金銭を対価として取得することをいいます。実務上は、長期的視野に立った柔軟な経営の実現、あるいは株主総会に関する手続の省略による意思決定の迅速化、さらには有価証券報告書の提出義務等の法規制を遵守するためのコストや株主管理コストの削減といったことを目的として行われております。 ところで、現行法においてキャッシュアウトを行うための手法としては、金銭を対価とする株式交換、あるいは全部取得条項付種類株式の取得という方法が考えられますけれども、実務上は全部取得条項付種類株式の取得を用いることが通例だとされております。しかしながら、この全部取得条項付種類株式の取得につきましては、キャッシュアウトを行おうとする株主が大多数の議決権を保有している場合であっても、常に対象会社の株主総会の特別決議が必要となります。そのため、キャッシュアウトを完了するまでに長期間を要して時間的、手続的なコストが大きいという指摘がされております。 そこで、機動的なキャッシュアウトを可能とするために、改正法案では、対象会社の総株主の議決権の十分の九以上を有する株主、これを特別支配株主と呼んでいますが、これが対象会社の株主総会決議を要することなく、他の株主等の全員に対してその有する対象会社の株式を全部売り渡すことを請求することができるという趣旨の株式等売渡し請求制度を創設することとしたものでございます。
○佐々木さやか君 今、次の質問も併せて答えていただいた感じになるんでしょうか。そうしたら、次、ちょっと飛ばしますけれども。 今回のこの特別支配株主の株式等売渡し請求権といいますのは、この新制度の狙いについて端的にお答えお願いします。
○政府参考人(深山卓也君) 先ほどの答弁をもう少し補足させていただきます。 従来のキャッシュアウトの手法としては、金銭を対価とする株式交換や全部取得条項付種類株式の取得が考えられると申し上げました。 しかし、金銭を対価とする株式交換につきましては、キャッシュアウトを行う株主、これは株式会社ですが、が対象会社の総株主の議決権の十分の九以上を有していれば対象会社における株主総会の決議を省略することができる、いわゆる略式株式交換ができるとされております。 しかしながら、税制上の理由から、キャッシュアウトの手法としてこの金銭を対価とする株式交換というのは実務上広く利用されるに至っておりません。また、先ほど申し上げた全部取得条項付種類株式の取得につきましては、たとえ十分の九以上の議決権を有している場合でも対象会社の株主総会の特別決議が常に必要になってしまうという問題があります。しかも、この全部取得条項付種類株式の場合には、これを取得した後、端数株式の売却を行った上でその代金を少数株主に交付するというふうに手続も複雑になります。 これに対して、今回の株式等売渡し請求制度といいますのは、株主総会の決議や端数株式の売却の手続を要することなく、端的に少数株主の株式が特別支配株主に移転し、その対価も特別支配株主から売渡し株主に対して支払われるということになっておりますので、こういった過去のこれまで使われてきた制度と比べて機動的なキャッシュアウトが可能になると、ここがこの創設の狙いでございます。
○佐々木さやか君 金銭を対価にして少数株主を会社から退出させるというキャッシュアウトには一定の必要性、合理性があると思いますけれども、同時に、少数株主の保護もなされなければなりません。新しく創設されました新制度における少数株主の保護というのはどのように図られているんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、株式等売渡し請求がされますと、対象会社の少数株主は、その意思にかかわらず、自ら有する対象会社の株式を売り渡すことになります。そのため、このような少数株主の利益を保護するための手当てを改正法案では設けております。 まず、この制度に固有の手当てといたしまして、株式等売渡し請求には対象会社の承認を要すると、承認がなければこれができないということとしております。株主等の利益に配慮すべき立場にある対象会社の取締役が善管注意義務に基づいて株式等売渡し請求を認めるかどうかを判断する、この判断を経なければこの請求が進まないということになっているわけです。 また、現行法上キャッシュアウトを行うための手法とされている、先ほど来申し上げている金銭を対価とする株式交換や全部取得条項付種類株式の取得における少数株主の保護の施策とのバランスを考慮いたしまして、株式等売渡し請求制度においては次のような少数株主の保護の施策を取ることとしております。 まずは、株式等売渡し請求による売渡し株式等の取得につきましては、全部取得条項付種類株式の取得の手法によるキャッシュアウトと異なりまして、対象会社の株主総会決議を要しません。これがまさにメリットなんですが、したがって、株主が株主総会決議取消しの訴えによってキャッシュアウトの効力を事前に阻止する余地がないということになります。 そこで、これに代わる株主の事前の救済方法として、売渡し株主、少数株主は、株式等売渡し請求が法令に違反する場合、あるいは対象会社が売渡し株主に対する通知等の手続を行う義務に違反した場合、さらにはその対価として交付される金額が著しく不当である場合、こういう場合には売渡し株式等の全部の取得の差止め請求ができることとしております。 次に、売渡し株式等の対価として交付される金銭の額、対価の額ですね、これに不満がある売渡し株主を保護するために、売渡し株主は取得の日の二十日前から取得の日の前日までの間に裁判所に対してその有する売渡し株式の売買価格の決定の申立てをすることができる、裁判所に適切な価格を決めてくれという申立てができることとしております。 さらに、売渡し請求手続等に瑕疵があった場合の事後的な売渡し株主の保護の施策として、取得日において売渡し株主であった者に取得の無効の訴えという新しい会社法上の訴えを創設して、この訴えの提起を認めることとしております。 そのほか、取得日以降、売渡し株式について対価が支払われないというようなことがあった場合には、個々の売渡し株主は売渡し株式の売買取引を個別に解除するということが、これ一般原則でできると解されますし、また、大部分について対価が支払われないということになりますと、先ほどの取得の無効訴訟の無効事由になるという場合もあると解されます。
○佐々木さやか君 御説明の中にありましたように、この制度といいますのは対象会社の取締役会の承認で行えるということで、この取締役の善管注意義務、判断がどのようになされるかということが非常に重要な制度でございます。ですので、本制度が今後活用されるに当たっては、取締役の行為規範がどのようにあるべきかというところが重要な検討課題になるというふうに言われておりますけれども、この対象会社の取締役というのは具体的にどのようなことを考慮して承認を行うべきと考えられるのか。少数株主の利益保護に関する善管注意義務、取締役の行為規範、こういったことについて法務省としてはどのように考えるのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 株式等の売渡し請求がされますと、対象会社の少数株主はその意思にかかわらず株式を売り渡すことになりますので、先ほど申し上げたとおり、そのような少数株主の利益を保護する趣旨で、売渡し請求には対象会社の承認を要することとしております。これは、株主等の利益に配慮すべき立場にある対象会社の取締役が株式等売渡し請求を認めるかどうかを判断するというものでございます。 そこで、対象会社の取締役は、売渡し請求を承認するかどうかを決定するに当たりましては、売渡し株主の利益に配慮をして、自ら負っている善管注意義務に基づいて、売渡し請求の対価あるいは取得日がどう定められているかといった売渡し請求の条件が売渡し株主にとって適正と言えるか、あるいは不利ではないかといったことを検討することになります。 そのため、対象会社の取締役は、売渡し請求の条件が適正でない場合にはもちろん承認をしてはいけないと、承認をしたら善管注意義務違反になってしまうということになります。したがって、適正な条件でないにもかかわらず承認をして売渡し株主に損害を与えた場合には、売渡し株主から対象会社に対する善管注意義務違反を理由として取締役は損害賠償責任を追及されるということになります。
○佐々木さやか君 この制度は、特別支配株主の売渡し請求によって少数株主から支配株主への売渡しを強制的に実現することができる制度でありますので、そういった点で少数株主に不利益である、不利であるというような指摘もありますけれども、大臣はこの制度における少数株主保護の問題についてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) いわゆるキャッシュアウトというのは、今までの現行法でもできないわけではなかった。しかし、今までの制度がキャッシュアウトそのものを目指していた制度とは必ずしも言えない面があったのではないかと思います。 そこで、先ほど民事局長がいろいろ御答弁申し上げましたように、いろいろ企業経営上キャッシュアウトというようなことをして、特別支配株主が企業であればいわゆる一〇〇%子会社をつくることがこれによってできる、それによって長期的に見て柔軟な経営ができたり、あるいは迅速な意思決定ができたり、あるいは企業経営に関するコストを削減することができる、こういう狙いを持ったものですが、先ほど来御答弁申し上げているとおり、少数株主はその意思にかかわらず自分の持ち株を手放さなければならないということですから、そういう少数株主の保護がきちっと図られているかどうかというのはこの制度を立てる上には基本的に大事だと、御指摘のとおりだと思います。 それで、先ほど民事局長がるる御答弁申し上げましたけれども、少数株主保護の制度というのは今回の改正立法の中で私は基本的に整備ができていると、このように考えておりまして、少数株主の保護に欠けるところはないのではないかというふうに考えております。
○佐々木さやか君 じゃ、次の質問に移りたいと思います。 次に、組織再編等の際の差止め請求について、これも新しく拡充された制度でございますので、お聞きしたいと思います。 今回、通常の組織再編について、法令又は定款違反、また株主が不利益を受けるおそれがあるという場合には、株主の組織再編の差止めを請求することができると、こういった規定が置かれました。従来は略式組織再編の場合には規定がありましたけれども、今回、通常の組織再編等につきましても拡充をした理由、背景についてまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 合併、会社分割等々の組織再編が法令や定款に違反する内容や手続によって行われようとする場合には、株主に大きな不利益を与えるおそれがございます。しかし、現行法では、委員が今指摘されたように、総株主の議決権の十分の九以上を有する株主との間の組織再編、いわゆる略式組織再編については株主による差止め請求に係る明文の規定が設けられておりまして、そういった不利益の発生を事前に回避する手段が認められておりますけれども、それ以外のいわゆる通常の組織再編につきましてはこのような明文の規定は置かれておりません。そして、通常の組織再編について株主による差止めが認められるかどうかにつきましては、解釈論においても見解が分かれているところでございます。 また、現行法上、株主や債権者が事後的に組織再編の効力を争う手段として組織再編の無効の訴えがございますけれども、事後的なこういった救済方法によるだけでは一旦は株主に不利益が生ずる事態を避けることはできませんし、事後的に組織再編の効力が否定されるということは法律関係を不安定にするおそれもございます。そうであるならば、株主が組織再編の効力発生前にその差止めを請求することができる制度を正面から認めるというのが相当ではないかと考えられます。 そこで、改正法案では、法令や定款に違反する組織再編によって株主が受ける不利益を事前に回避するための手段として、株主はこういった組織再編の差止めを請求することができるという明文規定を設けることとしたものでございます。
○佐々木さやか君 こうした差止め請求につきましても、例えば適法な組織再編がなされたにもかかわらず差止め請求がなされるというように濫用的に行われる可能性というものもございます。ですので、不当な萎縮効果が生じないようにしなければなりませんけれども、この制度における濫用の防止策というものはどのようになっているのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘があったように、通常の組織再編の差止め請求制度を創設するということにつきましては、法制審議会でも消極論としてその濫用の可能性や会社に対する萎縮効果があるのではないかという指摘がございました。もっとも、こういった消極論というのは差止め事由が明確でない場合に強く妥当すると考えられます。 そこで、改正法案では、その差止め事由を法令又は定款の違反に限定をいたしました。そして、法令又は定款の違反というのはこれまでも会社法にるる出てきている概念で、取締役の善管注意義務や忠実義務違反、あるいは対価の不相当といった事由はこれに含まれないと解されておりますので、差止め事由が明確でないといった懸念は払拭されていると考えております。 したがって、現在の立て付けであれば、濫訴のおそれや萎縮効果といった懸念は当たらないのではないかと思っております。
○佐々木さやか君 次に、詐害的会社分割における債権者の保護について伺いたいと思います。 ある会社が、非採算部門だけを残して採算部門と資産を新しい会社に移して会社分割をするということが行われる場合がありますけれども、こういった場合に、承継会社に履行請求ができる債権者とできない債権者を恣意的に分けることで分割会社にしか請求できないことになってしまう、債権者を害すると、こういった問題がしばしば指摘をされてまいりました。こういった場合には、これまでは債権者の詐害行為取消し権というものを主張されることが多くありまして、その場合にその行使を認める裁判例もあったわけであります。 今回の改正法では、こういった詐害行為取消し権というものとはまた別に、分割会社の債権者の承継会社に対する履行請求権というものを創設したわけでございますけれども、この理由についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ましたいわゆる詐害的な会社分割、これが近年しばしば行われているのではないかという指摘がございます。こういった、優良資産だけを分割承継会社に移して、債権者を二分して、承継される債権者とされない債権者と分けてしまって、承継されない債権者が十分に債務の弁済を受けられなくなってしまうというような事態が生じた場合、こういう詐害的会社分割について、承継されない債権者の保護策として、これも今委員御指摘のとおり、幾つかの法的な手段があると言われておりますけれども、一番通常なのは詐害行為取消し権を用いるということで、最高裁判所の判例もこれを認めているというところでございます。 しかし、承継されない債権者の保護を図るためには、会社分割による財産の移転を詐害行為として取り消す、で、財産を元へ戻すということですね、そこまでの必要はなくて、端的に、こういった債権者は吸収分割承継会社に対して債務の履行を直接請求することができるとした方が直截かつ簡明であると考えられます。 そこで、改正法案では、吸収分割会社が承継されない債権者を害することを知って会社分割した場合、このような債権者は承継会社に対して債務の履行を請求することができると、こういう制度にしたものでございます。
○佐々木さやか君 私が問題になるであろうと思っておりますのが、分割会社が分割をした後に非採算部門だけが残った方について破産手続などを開始した場合なんでありますけれども、こういった場合にはこの債権者の承継会社に対する履行請求権というのはどのような法律関係になるんでしょうか。破産手続等が開始した場合にも行使ができるのかどうか、また、例えば既に承継会社から履行を受けてしまっている場合なんかはどうなるのか、この辺について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) まず、詐害的な会社分割が行われた後に分割会社に破産手続が開始して倒産手続に入ったという場合に、破産管財人が会社分割について否認権を行使して、承継会社が承継した財産を破産財団に復帰させて破産債権者に対する配当を行うということはもちろん考えられます。 こういった場合に、破産債権者でもあるこの承継されない債権者が今回創設した直接請求権を個別に行使することができるということにいたしますと、破産管財人による否認権の行使との競合が生ずることになって、破産財団の確保が事実上困難となる場合が生じ得ます。しかも、今回の請求権というのは詐害性を先ほど言ったように要件としておりますので、否認権行使の要件と極めて類似をしているということになりますと、倒産手続が開始して総債権者のために財産の換価、配当が予定される段階に至った以上は、破産債権者の平等の方を優先して、今回の直接請求権の個別行使を認めないとすることが適当であろうと思われます。 そこで、破産管財人に否認権が認められている破産手続であるとか再生手続、更生手続等が吸収分割会社、残った会社の方に始まった場合には、承継されない債権者であっても今回創設した直接請求をする権利を行使をすることができないというルールを設けております。 他方で、もう一点お尋ねがあった、破産手続等が始まる前に既にこの権利を行使して、承継されない債権者が履行を受けた場合の取扱いがどうなるかということです。 これは、結論的に言いますと、特段の調整規定を設けておりませんで解釈論に委ねられているということなんですけれども、なぜ特段の調整規定がないかということですが、実は現行法の下でも承継会社の方に承継されない債権者が直接請求できる場合というのが存在しております。これはややちょっと専門的になりますが、分割会社がいわゆる人的分割、つまり、吸収分割の効力発生日に承継会社の株式を分割会社の株主に交付するというタイプの会社分割を行う場合には、承継されない債権者は会社分割について異議を述べるということがまず認められていて、この場合に、分割会社から分割について各別の催告を受けることになっています。分割についての催告を怠られてしまって、知らないうちにこういうことをされちゃった場合には直接の請求権が、今回創設した請求と同様の請求権ですけれども、現行法でも認められております。 したがって、現行法の下でも、承継されない債権者が吸収分割承継会社に債務の履行を請求して弁済を受ける、その後に破産手続等が開始するということはあり得るわけですけれども、この場合に、直接請求権、行使し、また直接請求権と破産手続との調整規定は現行法にも設けられていない。 そうしますと、同様の請求権、言わば拡張して今回認めたわけですけれども、調整規定を置くというのがなかなか困難であるということで、ここはもう解釈に委ねざるを得ないんではないかということで、今回、直接の調整規定は置いておりません。したがって、ここは解釈論ということになります。
○佐々木さやか君 一つ目の方の質問で、破産手続等が開始した場合には行使ができないということでありましたけれども、ただ、こういった詐害的会社分割がなされる場合というのは、多くの場合、もう分割会社にはなかなか立ち行かない状況なわけですので、破産手続等が開始されることが多いのではないかなと思っております。 そうしますと、やっぱりそこで行使ができないとなりますと、余り、この履行請求権をせっかく認めた意味が少し薄くなるのではないかと、債権者保護の実効性に欠けるようにも思われるのですが、この点についてお聞きしたいのと、あともう一つ、ちょっと通告しておりませんけれども、破産手続等が開始をして配当などが受けられたと、その場合に、弁済を受けられなかった部分について承継会社の方に請求するというようなことはできるんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(深山卓也君) まず、破産手続が先行しちゃった場合にはもうこの直接請求権は行使できないというルールを設けたという点について、債権者の保護に欠けるのではないかという御指摘でした。 ただ、これも御案内のとおりですが、破産手続開始原因があって、債務超過、支払不能という裁判所の認定の下に破産手続が開始いたしますと、総債権者の平等、公平な弁済ということが最も重要な状況に立ち至るということですので、個別債権者に与えられていた権利行使の機会が、総債権者の弁済が足りない状況の下で総債権者の平等弁済のために言わば制約をされてしまって、そこが犠牲をかぶるというのはこれは制度上やむを得ないんじゃないかと思っております。 それと、破産配当を受けた後に、破産配当はもちろん全額弁済はないのが普通ですから、残った債権について直接請求権の行使が可能かということです。その点についてもちろん明文の規定はございませんが、先ほど申し上げたとおり、直接請求権の行使の要件と否認権の行使の要件はほとんど実質かぶっております。そうすると、破産管財人が否認権を行使して取り戻せる財産を取り戻し、換価した上で総債権者に平等に配当した後に残った債権ということになりますので、これは直接請求権を行使するというその根拠に欠けてしまう、つまり、詐害的に移ったもの、あるいは否認権の否認該当行為として移った財産はもう戻って換価されて平等弁済を受けている、その後のということになりますので、解釈論ではございますが、なかなかその行使は難しいのではないかと思います。
○佐々木さやか君 以上で質問を終わります。 ありがとうございました。
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。 私は、まず初めに、水俣病特措法の改正規定関連について伺いたいと思います。 まず最初に、今日は環境省にお越しいただいていますので、伺いたいと思います。水俣病の補償、救済は終了したという認識にお立ちでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えさせていただきます。 水俣病の原因企業によります子会社の株式譲渡につきましては、水俣病特措法第十三条におきまして、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することとされております。 救済の終了につきましては、文字どおり救済の終了ということでございまして、今後、水俣病対策にしっかりと取り組む中で適切に判断させていただきたいと考えておりますが、現在、救済の終了に当たる状況であるという認識は持っておりません。
○行田邦子君 ただいま、救済の終了に当たるという状況ではないという御答弁をいただきました。 その上で伺いたいんですけれども、この度の会社法の改正法案におきましては、衆議院で整備法案の修正がなされました。改正会社法第四百六十七条第一項第二号の二に関係してなんですけれども、親会社が子会社の株式を譲渡しようとする場合は株主総会の特別決議が必要となるといった会社法の改正がなされるわけですが、その中で、水俣病の原因企業は対象としないというような衆議院での修正がなされたわけであります。 そこで、環境省に再び伺いたいと思うんですけれども、この改正会社法の、親会社が子会社の株式を譲渡するときの株主総会の特別決議が必要かどうかといった条項を、水俣病の原因企業に適用されるか否かにかかわらず、水俣病の被害者の救済が終了するまでは子会社の株式譲渡を環境大臣は承認しないという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。 水俣病特措法におきましては、水俣病の原因企業が事業を行う子会社の株式を譲渡しようとするときはあらかじめ環境大臣の承認を受けなければならないこと、また、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することが規定されております。 今回の議員修正によりましても、株式譲渡については環境大臣が最終的に判断をするという仕組みには何ら変わりございません。したがいまして、議員御指摘の、水俣病の被害者の救済が終了するまでは子会社の株式譲渡を環境大臣は承認しないという御理解で差し支えないと存じます。
○行田邦子君 ありがとうございます。 それでは、環境省への質問はこれで以上ですので、御退室いただいて結構です。
○委員長(荒木清寛君) 塚原環境保健部長は退席してください。
○行田邦子君 それでは、まず社外取締役の導入について、先日に引き続いて質問したいと思います。 まず、谷垣法務大臣に伺いたいと思います。 社外取締役がコーポレートガバナンスの強化におけるその役割や重要性ということは様々な意見がなされていますけれども、大臣御自身はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私もこの立法に当たりましてはいろんな方の御意見を伺いまして、様々なお考えがあるなと思いました。それで、公的に申し上げれば、やっぱりきちっと監督機能、業務執行に対して第三者的な立場といいますか、利害関係が直接ない方々が監督機能を発揮し得る、それは業務執行者の業務執行全体を評価する、そしてその評価に基づきながら、取締役会において業務執行者の選定あるいは解職の決定に関して議決権を行使することもできると。それから、加えて、利益相反の監督機能、つまり、株式会社と業務執行者の間に利益相反を監督する機能や、あるいは株式会社と業務執行者以外の利害関係者、例えば親会社との間の利益相反を監督する機能もあると思います。 私自身いろんな方に聞いた中で一番印象的だったのは、ある企業経営者がこうおっしゃいました。要するに、自分が育ててきた、自分の部下のような取締役が大勢いるところで発言するのと、やっぱり、社外の方、社外の重きを成しておられる方の前で説明をして納得してもらわなきゃならないと、その緊張感が違うんだというふうに、社外取締役の意味はそういうところにあるとおっしゃった。まあ、それはそうなんだろうなと思ったような次第で、そういうことを通じてコーポレートガバナンスが機能を高めていくということを私は期待できるのではないかと思っております。
○行田邦子君 今大臣が御答弁されたように、村社会の中での取締役会ということではなく、社外の方が入ることによっての緊張感が高まるということも一つあるのではないかなというふうに私も思っております。社外取締役がコーポレートガバナンスの強化におけるその役割の重要性というのは広く認識されていると、大臣の今の御答弁でも伺うことはできました。 そこで、この度の会社法の改正法案におきましては、社外取締役を置かなかった場合ですけれども、社外取締役を置くことが相当でない理由を定時株主総会で説明しなければいけないという説明義務規定が設けられています。 そこで、局長に伺いたいんですけれども、この説明なんですけれども、どの程度の説明をすれば説明義務が果たされるのか、また、社外取締役を引き続き置かない企業においてはどのような説明が想定されるのか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置かない会社がどのような理由で置いていないのかというのは、もちろんのことですが、各会社のそれぞれの事情によって異なりますので、置くことが相当でない理由というのもそれぞれの会社の個別の事情に応じた内容でなくちゃいけません。そのため、一般的に言えばこういうことですとはなかなか申し上げることができないということとともに、具体的にこうであればというのもなかなか、こうすればいいというような形になって、かえって適当でない面もございます。 ただ、相当でない理由を述べるわけですから、置かない理由を単に説明するということとは違います。置くことがかえってその会社にとってマイナスの影響があるという具体的なその会社に特有の事情を説明していただくということになります。ですから、例えば、当社には社外監査役が二人いて社外者によるチェックは十分ですというような程度のこと、あるいは適任者がいませんという程度のことでは、置くことが相当でない、置いたらかえって会社にとってマイナスだという理由の説明にはなっていないというふうに思われます。
○行田邦子君 置くことが相当でない理由というのは、一般論ではしっかり説明されたということには当たらないと、その会社特有の具体的な事情を述べなければいけないだろうという御答弁をいただきました。 そこで、続いて局長に伺いたいと思いますけれども、この説明義務についてなんですけれども、対象となる会社が、上場企業、約三千五百社あると認識していますけれども、これらの中で、引き続き社外取締役を置かないことになった会社が定時株主総会で説明をしなかった場合、どのような対応が取られるんでしょうか、どのような措置がとられるんでしょうか。罰則などがあるのかどうかという確認です。 それから、その対象となる、説明をしなければいけない対象となる企業が、仮に、定時株主総会で説明をしなかったかどうかをどのように確認をするのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置かない会社が置くことが相当でない理由を株主に開示する、示すというのは、実は細かく言えば三つぐらいの場面があります。 一つは、定時株主総会で、年度末に、置いていない会社については取締役が口頭で説明をするということ。それから、株主に対して事業報告というのをいたしますけれども、これは書面でやりますが、事業報告の中に社外取締役を置くことが相当でない理由を書面で書いて開示をするということ。それから、株主総会で取締役選任議案をかけるときに、社外取締役が一人もいないのに、社外取締役を含まない取締役の選任議案を出す場合には、株主総会参考書類というその選任議案の説明書類の中で、やはり書面で株主に対して、当社では社外取締役を選任しないのはこういう相当な理由があるんですということを明らかにしなくてはいけないと。 それぞれについて、それが違反であったりいいかげんであった場合の効果は違います。 まず、取締役が定時株主総会で口頭で説明をするという義務に違反した場合あるいは不十分だった場合には、もちろん取締役が法律上負っている義務に違反しているということですから、善管注意義務違反ということになります。ただ、これがどんな場合に、さらに、それ以上の効果がどこまで行くかというのはその場面によって違いますので、まず善管注意義務違反の状態になるということは言えると思います。 それから、もう少し具体的にルールが決まっているところを申し上げますと、事業報告の中で書面で記載すべき相当でない理由を記載しなかった場合、あるいは不十分な記載だった場合には、取締役等の関係者に百万円以下の過料の制裁が科されるということになっております。 また、先ほど言いました取締役の選任議案の中に社外取締役を入れていないという場合に、その参考書類に相当な理由の記載を欠いた場合あるいは不十分な場合には、これは株主総会の招集手続に法令違反があるということになって、取締役の選任議案に係る総会決議の瑕疵、取消し事由があるということになって、総会決議の取消し訴訟の対象になるという制裁が加えられることになります。 こういった相当でない理由の開示あるいは説明というのは皆株主に対して書面あるいは口頭で行うものですので、最終的にチェックをする、最終的にといいますか第一義的にそのチェックをするのはもちろん株主ということになりますが、それぞれの過料の裁判あるいは決議取消し訴訟が起こってしまったというようなところまで行けば、今度はそれが裁判所で判断をされるということになります。
○行田邦子君 御説明ありがとうございます。 説明義務がなされなかったことによって不利益を被るのは株主であって、一義的には株主がチェックをすると。そこで善管注意義務違反などがあればそれは裁判所で、提訴をするということになるということで理解いたしました。 それでは次に、大臣に伺いたいと思います。 社外取締役の導入というのを推進するという全体的なお立場は政府も同じだと思っております。ただ、単に社外の人間が取締役会に増えればいいということでもないというふうに思っていまして、いかにその独立性というものが重要かということを私自身は認識をしております。 そこで、この度出された閣法におきましても、社外取締役の独立性の厳格化といったことが条文として盛り込まれています。そこでは、例えば親会社や兄弟会社や子会社の業務執行者はこれは社外取締役に当たらないといった改正です。こういったものが盛り込まれています。また、業務執行者等の近親者も駄目です。ところが、主要な取引先の関係者はこれは引き続き社外取締役として認めるというふうに残っています。 先ほどもほかの委員から質問がありましたけれども、この主要な取引先の関係者を社外取締役として認めると残したその理由をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど山下委員との御質疑の中で民事局長が既にお答えしたところではございますけれども、今委員のおっしゃったような制度の立て方ですね、アメリカ等では確かに重要な取引先の関係者でないことを社外取締役の要件とすると、そういう制度を取っているところもございますし、現にこの立法の過程で法制審議会でもこの点は随分議論の対象となったところでございます。 結局、取締役が社外取締役であるのかどうか、要件を満たすかどうかということは取締役会決議の効力に、仮にその人間が社外取締役の要件を満たさないじゃないかということになりますと、その人間が参加した取締役会の決議の効力に影響が出てくるという、こういうことでございますので、これをつまり社外取締役の要件に加える場合には、明確性というものがある程度なければそういう決議の効果や何かを非常に不安定にさせてしまうと。重要であるかどうかというのが一義的に定められるかどうかということが議論の焦点になったわけでございます。 そこで、取引先がその会社にとって重要であるかどうかというのは二つの側面があるねと。一つは、ある取引先がその会社にとって重要であるかどうかというのと、この会社が向こう、取引先にとって重要であるかどうかという両方の要件が、両方の面があるのではないかと。ある取引先がその会社にとって重要であるかどうかは、しかしかなり時によって変化すると。あの取引先が納めてくれるあの部品がないとうちの製品はなかなかできないんだというときには非常に重要な取引先かもしれないけれども、技術の変化や何かによってそれは変わってくる場合もあるだろうというような議論ですね。 それからもう一つは、私たちの会社が取引先にとって重要であるかどうかというのは、これはまた相手方の事情もあってなかなか明確にできないねというような議論がございまして、そういう意味では両方の議論が闘わされたんですが、その明確性という点で結論がなかなか出しにくかったと。やはり決議の効力を安定化させるためには、重要な取引先という要件はこの際採用するのはやめようということであったということでございます。
○行田邦子君 主要な取引先、重要な取引先の客観的な定義、線引きのところで様々な議論がなされたというふうに今御答弁をいただきました。 その結果、今回は落としたということでありますけれども、例えば社外取締役、独立取締役の選任が非常に進んでいるアメリカやイギリスなどでは、実際に独立取締役の要件として、当該会社との経済的関係や取引先企業との関係といったものの線引きもなされているわけであります。そういった例もありますので、今後検討事項として、より社外取締役の独立性を強めるといったこと、これは今後も検討していくべきではないかなと。線引きというのは、これは私は議論をした上で十分に可能ではないかなというふうに考えております。 ただ、今回盛り込まなかった理由のまた別の理由としては、東証一部上場の中で四割がいまだに社外取締役を置いていないという状況を考えると、今一足飛びに余りにも社外性の要件というものを強めてしまうとなかなか社外取締役の選任が進まないのではないかという懸念ももしかするとあったのではないかなというふうに推察をしております。 そこで、また次の質問に移りたいと思います。簡潔にお答えいただいて結構なんですけれども、局長に伺いたいと思います。 社外取締役についてなんですが、諸外国においてはどういった規律になっているのか、特徴的なものを教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) それでは、幾つかの国の社外取締役の規律の状況について御説明いたします。 まずアメリカですけれども、アメリカは会社法は州法ですので各州違いますけれども、一番代表的だと言われているデラウェア州の会社法上は社外取締役に関する特段のルールはございませんけれども、先ほどもちょっと申し上げましたニューヨーク証券取引所の規則において、上場会社は取締役の過半数を独立取締役としなければならないとされております。 また、イギリスは、やはり会社法上は社外取締役に関する特段のルールはございませんけれども、英国財務報告審議会というところが定めているUKコーポレートガバナンスコード、イギリスのコーポレートガバナンスコードというコードにおいて、取締役会は、独立性があると考えている非業務執行取締役を年次報告において特定する、議長を除く取締役のうち少なくとも半数は取締役会において独立性があると判断された非業務執行取締役で構成すべきであるというコードがございまして、上場規則によりましていわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールが採用されていて、上場会社は年次報告において、このコードの規定を遵守しているかどうか、そして遵守していない場合はその理由を開示するというルールになっております。 また、ドイツですが、ドイツは政府の委員会がコーポレートガバナンスコードを定めておりまして、その中で、適切な数の独立しているメンバーで日本法上の取締役会に類する監査役会を構成するということが推奨されております。そして、株式会社についての規律を定めている株式法という法律でいわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを採用して、上場会社の監査役会は毎年このコードにおける推奨を遵守しているか、あるいは遵守していないか、していない場合はその理由を表明しなければならないという法律のルールになっております。 さらに、フランスですけど、フランスは企業の連合体がやはりコーポレートガバナンスコードを定めておりまして、その中で、浮動株主が多く支配株主のいない会社については取締役の過半数を独立取締役にすること、支配株主がいる会社については少なくとも三分の一を独立取締役とすることがそれぞれ推奨されております。そして、商法においていわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを採用して、上場会社がこのコードを参照することを決定した場合には、株主に送る報告書に、遵守していないコードがあればその理由を記載しなければならないと。 こういった形で、ルール自体が法律であったりコードであったり様々ですし、それから、それに対して説明を求めるという法的根拠も国によって様々ということでございます。
○行田邦子君 今御説明いただいたアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどは、恐らく日本とは監査、監督機関の制度設計が違うのかなというふうに思っておりますけれども。 そこで、次の質問は、監査等委員会設置会社制度の創設について伺いたいと思います。 まず、局長に伺いたいと思いますけれども、日本では委員会設置会社という制度がありますけれども、これがなかなか増えていません。私の認識では五十数社しかないということですが、この委員会設置会社が少ない理由は何と分析されていますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話にあったとおり、委員会設置会社制度の利用は極めて少数にとどまっております。その理由としては、社外取締役が委員の過半数を占める指名委員会と報酬委員会が業務執行者の指名とそれから報酬の具体額の決定の権限を持つと、このことに対する各会社の抵抗感があるということが一般的に指摘されております。
○行田邦子君 ありがとうございます。 指名や報酬を決定するような委員会制度というのは日本の企業文化になかなかなじんでいないということなのかなというふうに思っておりますが、そこで、この度の法改正案におきましては、第三の類型としての監査等委員会設置会社制度の創設が盛り込まれています。 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この第三の類型の制度創設の意図をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 現行法はいろんな類型が会社にあるわけですが、主な類型としては監査役設置会社とそれから委員会設置会社ということになりますが、先ほど委員がおっしゃったように、委員会設置会社はほとんどない。上場企業の東証の場合には九七・八%が監査役設置会社でございます。ただ、監査役設置会社の場合は、代表取締役の任免を含む取締役会決議に監査役は議決権を有しないことから、その監督機能というものは限界があるという指摘があるわけでございます。そこで、社外取締役をもっと活用できないかという指摘が出てくるわけでございますが、社外取締役を置かなければならない委員会設置会社は、先ほど民事局長が申し上げたような理由でなかなか採用が、利用が進まないという現状がございました。 監査役設置会社の方はかなり、監査役設置会社で任意に社外取締役を選ぶ会社も上場企業でだんだん増えてきてはいるわけでございますけれども、まだまだなかなか大多数の企業でそうだというわけにはいかないと。それは、二人以上の社外監査役の選任が義務付けられている中で、更に社外取締役を置かなきゃならないということに対する何か負担感というものがやっぱりあるんだろうと思います。 そこで、今度の改正法案で、先ほどおっしゃった監査等委員会設置会社、これは業務執行者に対する監督機能を強化することを目的としまして、取締役で構成されて、かつ社外取締役が過半数を占める監査等設置委員会、これが監査を行い、他方で、監査役を置くことができないこととして社外監査役との重複感を緩和しようと。そういう形で社外取締役の導入を、監査機能を重視しつつ社外取締役を推進していこうという狙いでこういう制度をつくったわけでございます。
○行田邦子君 この新しい制度の創設の一つの大きな意図としては、やはり今御答弁いただきましたように、社外取締役というものをもっと活用していこうというようなことがあるのではないかというふうに思っております。 そこで、局長に伺いたいと思います。 この新しい制度が創設されることによって、類型的には制度が三つになります。既存の委員会設置と、それから監査等委員会設置と、そしてまた、あっ、ごめんなさい、既存の委員会設置と、それから監査役会設置と、で、三つ目の新しい監査等委員会設置会社と。今も私も混乱してしまいましたけれども、そもそもこれ日本語の名称での話ではありますけれども、非常に名前も似ていて、三類型になりますと、特に外国の投資家にとって分かりにくくなるのではないかと。かねてから、監査役会というのは日本独特の制度であって、それ自体が非常に外国の投資家からは特に分かりにくいという指摘もなされていました。 そこで、新しいこの制度を創設するに当たって、内外の投資家に向けて制度の周知の必要性があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 委員御指摘のとおりだと思っておりまして、今回新しく創設する監査等委員会設置会社というのはまさに新しい会社類型で、我々とすると大いに利用が進むことを期待してはおりますけれども、そのためにも内外の投資家に対してこの新しい類型の会社がどういうものであるかということを十分周知する必要があると思いますし、さはさりながら、現在のところ上場企業の大多数は監査役会設置会社でございます。しかも、御指摘のとおり、監査役という機関が日本独特のものであるために、特に海外の投資家からはその仕組みが分かりにくいとかねてより指摘がされておりますので、監査役会設置会社も改正後であっても相当程度今後も利用が続くと考えられますことから、今後も海外の投資家に十分にその内容を周知していくということが必要だと思います。 さらに、委員会設置会社は余りないというお話を申し上げましたけど、しかし、いずれにせよ、日本の会社法制では三つの機関構成の会社が併存するということになっておりますので、一体それぞれがどういうもので、なおかつどう違うのかという辺りのことを、三つにもなっているという意味で、やや数が多くなっていますので、そういった違いや特徴についても内外の投資家に十分周知する必要があると考えております。
○行田邦子君 続いて、この監査等委員会についてなんですけれども、ちょっと別の視点から質問したいと思うんですけれども、この第三の類型の監査等委員会ですが、これは取締役会の中に置く、つまり監査等委員が取締役を兼ねるというような制度設計になっていますけれども、このことによって監査の独立性というのがきちんと保たれるのかどうか、こうした懸念があるのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、監査等委員会は、業務執行者を含む取締役の職務の執行を監査するというのがその仕事でございます。したがって、その実効性を確保するためには、監査等委員会、ひいてはそれを構成する委員、監査等委員自身が業務執行者から独立している必要があるというのは御指摘のとおりだと思っております。 そこで、今回の監査等委員会設置会社におきましては、監査等委員会の独立性を確保するために、監査役設置会社における監査役の独立性を確保するための仕組みを参考として、監査等委員である取締役の選解任、それから任期、さらには報酬、この三点について特別の仕組みを設けることとしております。 まず、監査等委員会設置会社におきましては、取締役の選任について、監査等委員である取締役とそれ以外の普通の取締役とを区別して株主総会の決議をしなければならないというルールを設けております。その上で、監査等委員である取締役の選任議案を、誰を選任するかという議案を株主総会に提出するには、監査等委員会自身の同意を得なければならないというルールにしております。 また、一般の取締役を解任する場合には株主総会の普通決議によって解任は可能ですけれども、監査等委員である取締役の解任については特別決議によるということにもしております。さらに、監査等委員である取締役の選解任あるいは辞任については、監査等委員である各取締役が株主総会に出席して意見を陳述するという権利を付与することにもしております。 次に、任期ですけれども、独立性を確保するために一般の取締役の任期よりも長い期間とすることとしておりまして、監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役の任期は二年、それ以外の普通の取締役の任期は一年というふうにしております。 さらに、取締役の報酬に関する事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して、定款又は株主総会の決議で報酬を決めなくちゃいけないと、こういうふうにしております。 定款や株主総会の決議で、監査等委員である各取締役の個別の報酬を決めることなく、総額の上限を決めるということも許されると解されておりますけれども、その場合には、その上限額の範囲内で個々の監査等委員である取締役に幾らの報酬を払うかという決定は監査等委員の協議によるというようなルールも設けておりまして、こういった種々の、一般の取締役と違う独立性確保の措置を講じているところでございます。
○行田邦子君 監査等委員の独立性確保のために選解任や任期や報酬について特別のルールを設けたという御説明でありますけれども、それでも私の印象としては、そもそも日本の企業の取締役会というのは身内で固められていると。その中に外部の視点を設けて、しっかりとその企業のためにも厳しい目線で監査をしようと思って社外取締役兼監査等委員が選任されたとしても、その取締役会の中にいるとなあなあになってしまったりして、なかなかしっかりとした外部の視点での監査が結局はなされなくなってしまうような、そのような印象を抱いているわけであります。 そこで、ちょっと続いて大臣に伺いたいと思うんですけれども、社外取締役を増やすということは、私はこれはコーポレートガバナンスの強化上、非常に意義があると思っております。ただ、それだけではなくて、そもそも日本企業の取締役会の役割や機能といったもの、これも変わっていくべきではないのかなというふうに考えております。 そこで、大臣に伺いたいんですが、コーポレートガバナンスを強化する上で、取締役会の機能やその在り方がどう変わっていくべきなのか、どう期待するのか、大臣の御所見、伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は企業経営の経験がございませんので、なかなか肌身で感じるというようなことを申し上げることができないんでございますが、通常、取締役会の機能というか役割というのは大別して二つ言われていると思うんですね。一つは、業務執行に対する監督、取締役会としてきちっと監督していくということ、それからもう一つは、やはりその企業の業務執行の決定を適切に行うといいますか、決定機能と監督機能と言ってこれはいいんだろうと思うんです。 今度の法案は、今委員もコーポレートガバナンスというふうに表現されましたけれども、社外取締役の活用等々を通じましてコーポレートガバナンスの強化を狙っているわけですが、これはどちらかというと、今の監督機能の強化、監督機能をきちっと発揮させようということだと思います。 ただ、こういう組織体はやはり運用によって随分違いますし、どちらも必要な要素だと思うんですね。企業の意思決定を適切にやっていくということと監督、どちらも必要で、それぞれの企業によってどこに重点を置いて運営していくかというのはかなり違うのではないかと思います。 ですから、私、法務大臣としては、コーポレートガバナンスも十分重視しなければなりませんけれども、さりとて意思決定とか、適正な企業の意思決定ということがおろそかになるようなことでは困るんでございまして、それぞれの企業でそこは工夫をしていただきたいと思っているわけでございます。
○行田邦子君 丁寧な御答弁ありがとうございます。 それでは、残る時間で、キャッシュアウトを行うための制度について伺いたいと思います。 キャッシュアウトを行うための新たな制度として、株式等売渡し請求制度というものがこの改正法案には盛り込まれております。新しい制度を創設するということなんですけれども、にもかかわらず、これまでの既存の制度である、全部取得条項付種類株式、それから株式の併合というこの既存の制度もキャッシュアウトの方法としてあえて残しています。 その理由をお聞かせいただきたいんですけれども、私のこの質問の趣旨というのは、この既存の制度、二つの制度というのは、そもそもキャッシュアウトの方法として創設された制度ではないと認識をしております。例えば、全部取得条項付種類株式というこの制度は、これは平成十七年の会社法の制定時にできたわけでありますけれども、経営状態が悪くなった企業を倒産の手続によらずに再建させるという制度の設計の趣旨があった、目的があったと思うんですけれども、それが今、キャッシュアウトの方法という別の目的に使われているわけであります。また、株式の併合というのも、これは株式会社が株式を管理しやすくするための一つの方法として制度が設けられたというふうに理解しているんですけれども。 こういったそもそも違う目的で設けられた制度をキャッシュアウトの方法として引き続き使い続けるということがいかがなものかというふうに私は感じておりまして、その点について御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ましたキャッシュアウトを行うための既存の制度として、全部取得条項付種類株式を用いる方法と株式の併合を用いる方法があると、それはそのとおりでございます。この両者は共通している面がございまして、少数株主が有している株式を一株に満たない端数となるようにして、その端数の合計数に当たる株式を売却したお金で渡すという形でキャッシュアウトを実現するというものでございます。 法制審議会の倒産法部会では、キャッシュアウトのための新しい今回の制度を設けるのであれば、こういった端数を処理してお金に換えてキャッシュアウトを行うと、実際上ですね、こういうようなことはできないようにすべきじゃないかという意見もございました。ただ、こういった手法は実務に既に広く定着しているということを踏まえると、現時点でこれを一律に禁止するというのは相当でないという意見の方が有力でございましたので。 ただ、しかし、まさに委員がおっしゃったとおり、それぞれの制度は、そもそも典型的に考えた利用の場面はキャッシュアウトではございません。全部取得条項付種類株式は、言われたとおり倒産のときのいわゆる一〇〇%減資を実現しようというものでしたし、株式併合も会社の合理的な株式管理の必要上どうしても必要な制度だということで設けられているもので、キャッシュアウトの手段になるというのを元々目的とした制度ではございませんので、キャッシュアウトに使うことについてはいろいろ弊害があると言われておりました。とりわけ、少数株主、キャッシュアウトされる側ですね、に対する情報開示が不十分であると。つまり、一言で言えば少数株主の保護がこういった既存のやり方は足りないんじゃないかと。 したがって、利用できないようにするということについては反対が強かったんですが、しかし、少数株主保護の措置も今回併せて、株式併合、それから全部取得条項付種類株式について設けるべきだと、こういう議論になりました。 その結果、まず、全部取得条項付種類株式につきましては、いわゆる事前開示手続、それから取得後の事後開示手続、さらには、法令違反等があった場合の差止め請求の制度などを創設して少数株主の保護のバランスを取った手当てをいたしましたし、株式併合につきましても、事前の情報開示手続や事後の開示手続、さらに差止め請求、あるいは反対株主の株式買取り請求制度などを創設するということで、それぞれの制度どれを使っても少数株主の保護の程度にばらつきが生じないようにして残したと、こういうことでございます。
○行田邦子君 最後の質問ですけれども、局長、簡潔にお答えいただけたらと思うんですけれども。 この株式等売渡し請求制度ですけれども、百七十九条に明文化されていますが、この中に、取締役の善管注意義務として、少数株主の利益に配慮することというのが明文化されていません。この取締役の善管注意義務として、売渡し株主の利益に配慮するということは含まれるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) これは、株式等売渡し請求が対象会社の取締役の承認の判断に係らしめられているというこの制度趣旨自体から、取締役としては、少数株主の保護のためにこういう制度が創設されているということですので、その制度趣旨からして、少数株主が不公正な扱いを受けていないか、不公正な条件で売渡しを強制されていないかということをチェックして承認するかどうかを決めると、こういうことになるわけでございます。
○行田邦子君 質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ─────・───── 午後一時二十分開会
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、豊田俊郎君、大野泰正君、直嶋正行君及び礒崎哲史君が委員を辞任され、その補欠として森屋宏君、江島潔君、野田国義君、前川清成君が選任されました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 休憩前に引き続き、会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○前川清成君 前川清成です。どうぞよろしくお願いいたします。 今日は会社法の議論ですけれども、前回少しやり残した定期借家権、これを少しだけ議論させていただきたいと思います。 前回も申し上げましたけれども、今残念なことに各地の商店街がにぎわいを失って、大規模店舗がにぎわっております。御所の商店街よりも橿原のアルルの方が今大勢の人が集まっているというふうに申し上げました。 ところが、この大型ショッピングモールの多くは定期借家権が設定されておりまして、定期借家権という制度は、制度創設当初は、一定の何らかのやむを得ない事情がある場合に設定が可能だった、締結が可能だったわけですが、現在は何ら限定がございません。この限定を取り払ったのは平成十一年の議員立法でして、隣の国土交通委員会で、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法というのが成立をいたしまして、これに伴って定期借家権、現在の形となりました。 ただ、この良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法は、第一条にその目的がありまして、この法律は、良質な賃貸住宅の供給を促進するため定期建物賃貸借制度を設けると、こういうふうになっておるんですけれども、ショッピングモールが定期借家権、ショッピングモールに入居しているテナントの多くが定期借家権という現状は、この特別措置法の射程の範囲、目的の範囲を逸脱してしまっているのではないかなという感じがいたします。この点でまず法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十一年の借地借家法の改正は、今、前川委員がおっしゃいましたように、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法の形で行われたものでございますが、今、第一条をお読みになりましたが、その中に、その目的を、良質な賃貸住宅その他賃貸の用に供する建物の供給を促進することにあるというふうに規定しております。 それから、改正後の借地借家法の第三十八条第一項も、建物の賃貸借をする場合においてはと定めるだけでございまして、定期借家制度の適用対象を居住用建物の賃貸借契約に限定しているわけではございません。 そこで、この制度の導入時から居住用建物の賃貸契約以外にも同制度を適用することが予定されていたというふうに考えておりまして、店舗等の営業を目的とした建物賃貸借契約につき定期借家権を設定することも、この制度導入の趣旨を逸脱するとは言えないのではないかというふうに考えております。
○前川清成君 大臣、聞いていただいたと思いますけど、ショッピングモールに、店舗用の賃貸借に定期借家が適用するのが違法だとか言っているわけじゃなくて、その当初目指したのは住宅の供給にあったんじゃないでしょうかと、こういう点でございますので、違法だと言っているわけじゃありませんので、そのことは念のため申し上げておきたいと思います。 その上でですけれども、定期借家権であれば、せっかく頑張って開業してお客さんが付いても、期限到来とともに退店しなければならないことになります。起業、起こす方の起業ですけれども、起業件数が低迷しています。その原因の一つは、日本社会が安定して豊かになった、他方では、やはり起業にはうまくいかないリスクがあると。 リスクにせっかく挑戦して、お店もはやって商売繁盛になったのに、更に定期借家権で追い出されるリスクまで背負ってしまったならば、これは安心して起業できないんじゃないかなと、こういう心配をしてしまうわけですけれども、そういう心配については、大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、前川委員、前回もあるいは今回も、具体的なアルルと言うんでしょうか、名をお挙げになって、そこの実態をおっしゃって、御地元としてそういう御心配をされることは私もよく分かります。よく分かりますが、ですから、いろいろとこの契約については書面等を要求して、それから、単に定期で終わるよというだけじゃなしに、きちっとまた別の文書でそれを言わなきゃならない等々の手当てをしているのだろうというふうに考えておりまして、確かにそういう御心配の点は私もなきにしもあらずとは思います。
○前川清成君 アルルというのは、別に私の地元というより、私が生まれ育った橿原というところと副大臣の選挙区の御所の間にありまして、正直言って、中南和の田んぼの真ん中に造ったイオンのショッピングモールですけれども、そこに年間何千万人という方々が集まるようになって、というので例としてお出しをしただけでございます。 そこで、今日は国土交通省にもお越しをいただいているんですけれども、先ほど申し上げた良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法が成立した際に、平成十一年十二月七日ですけれども、参議院の国土・環境委員会で附帯決議がございました。その附帯決議の第十一項で、法施行後四年をめどとする建物賃貸借の在り方の見直し等に資するため、国は、本法二条から四条に定める国、地方自治体等の責務に基づいて具体的にとった措置についての取りまとめを行うとともに、関係機関が受け付けた相談・苦情や紛争処理に関する内容の分析結果を収集するなど、居住の用に供する建物賃貸借等の実態について詳細な状況把握に努め、これに関し定期的に公表することというふうに定められております。 ついては、この附帯決議に基づいて、所管が国土交通省というふうにお聞きしておりますので、今私が問題意識を持っておりました定期借家権、住宅ではなくて店舗用の定期借家権についてどのような検討をしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。 国土交通省におきましては、今、前川委員御指摘のとおり、附帯決議の趣旨も踏まえまして、居住の用に供する建物賃貸借等の実態を把握するため、賃貸住宅市場に関する調査を継続的に実施して公表をしております。この調査におきまして、定期借家制度の利用状況、認知度について、民間賃貸住宅の定期借家の実態を把握しておりますけれども、店舗等の事業用定期借地の状況については調査対象とはしておりません。
○前川清成君 店舗については調査していないということですけれども、先ほどの法務大臣の御答弁をお聞きいただいたらお分かりのとおり、この平成十一年の法律は賃貸住宅の供給の促進ではありませんよと、賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法ですよというふうに法務大臣が御答弁されました。この等の中に店舗用の賃貸借も含まれるというふうな御答弁でございました。 ついては、国土交通省におかれて、今は調査もしていないかもしれないけれども、今後、店舗用の賃貸借について何か問題はあるのかないのか、この辺、関心を持って調べていただいたらと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。 店舗等大規模な商業施設に係ります事業用定期借家制度の実態調査につきましては、法制度を所管しておらないこと、また住宅とは異なりまして国土交通省が所管する事業ではないことから、その実施は困難であるとは思っております。 ただ、委員御指摘の問題意識につきましては、法務省など関係する省庁や、事務所ビルのオーナーの団体など国土交通省が関係いたします業界にお伝えして情報共有を図ってまいりたいと思っております。
○前川清成君 是非お願いをしたいと思います。 ただ、法務省は、午前中、財政金融委員会で会計参与の統計についてお尋ねしたら、調べていませんと、こういうことでした。法務省というのは余り調べることに熱心でないみたいですので、ちょっと国土交通省の方でも連携しながらフォローをしていただけたらと、そういうふうに思います。 それと、私は何も定期借家権の全てが悪いと、定期借家権をなくせと、こういうふうに言っているつもりではありません、もちろんのことですけれども。せっかく清水の舞台から飛び降りるつもりで起業しましたと。しかし、多くの皆さん方は、国民の皆さん方は、法律についてはそんなに詳しいわけではありませんから、賃貸借契約だと思って契約をしたと。ところが、契約書には書いてあるのかもしれないけれども、そんな細かいところまでよく見ていなかったと。それが定期借家になっていたと。せっかくお客さんが付いて商売繁盛したのに、一定の期間が来たら出ていけと言われると。あるいは、出ていくのが嫌だったらテナント料を倍にせいと言われると。これだったら、本当にこれからの地域経済というのもうまくいかないのではないかというふうに思いますので、是非、法務省、そして国土交通省においてもこの問題について御検討をお願いできればと、そういうふうに思います。 前回の残りの質問についてはこれぐらいにさせていただいて、この後、会社法に関して質疑をさせていただきたいと思います。 それで、今日、法制度、法令審査についていろいろお聞きしたいと思いまして、御多忙の中、小松法制局長官にお越しいただいたんですが、通告をさせていただきましたところ、今日三時から何か会議があるので、できれば出席したくないというふうな連絡を私の事務所にいただいたんですけれども、今日三時から何かあるんでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 会議の出席、三時からではございません。私、担当の者がどのようにお答えをしましたか、つまびらかにいたしませんけれども、三時台の後半に日程があるということは事実でございます。
○前川清成君 三時台の後半にどのような御予定があるんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 内閣の中、部内における会議ということでございます。
○前川清成君 私の質問時間は一時二十分から八十分間ですので、二時四十分に終わるわけです。すると、長官が、答弁を避けられましたけれども、部内の会議まで一時間空いているわけですよ。一時間も余裕があるにもかかわらず、出たくないほどに重要な会議、国会の委員会の審議以上に重要な重要な会議というのは何なんでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 出たくない会議というのは、それは担当の者がどのように申しましたか、そこはつまびらかにいたしませんけれども、そういう日程があるので、できれば、会社法の法令審査についての御質問でございますので、担当部長の御答弁ということでやっていただくわけにはまいらないでしょうかということをお願いしたと思います。
○前川清成君 長官は病気を押して精励されていることには敬意を表したいと思っているんですけれども、例えば予算委員会等々で長官に対して質問があるのは憲法九条ばっかり、内閣法制局長官というよりも、憲法九条、集団的自衛権担当大臣のような活躍をされていますけれども、内閣法制局長官というのは、民法であろうと憲法であろうと、およそ基本法、いや、基本法にとどまらず、内閣が提出する全ての法案について内閣として最終責任を負っていただいているわけで、会社法だから俺は出てこないなんていう理屈は成り立たないということでいいですよね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) それは委員の仰せのとおりでございまして、部長の答弁でやらせていただくわけにはいかないかということをお願いした経緯はございますけれども、おっしゃるとおり、会議と日程が直接バッティングしているわけではございませんので、このように出てきている次第でございます。
○前川清成君 そうしたら、部内の会議と国会の委員会とバッティングしたらどうなるんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) そこは、部内の会議と申しましても、内閣法制局部内の会議ということではございませんで、内閣全体の会議、内閣全体の中での部内会議ということでございますので、これは内閣としてどうしてもお願いをする必要があると、バッティングしたときにお願いをする必要があるということであれば、議運でございますとか、そういうところでお願いをするということも理論的にはあり得るかもしれませんですけれども、今回の場合は、今委員が正しくも御指摘なされたとおりに、日程が直接バッティングしているわけではございませんので、国会審議を優先するのは当然かと考えます。
○前川清成君 長官が言いたがらないので私もあえて詰めてないんですよ。長官が部内の会議、部内の会議とおっしゃるから、私も部内の会議と言っているんですよ。もしも何か重要な会議だったらここで言ってください。ただ、部内の会議と国会の委員会と重なって、国会の委員会を優先するというのをはっきり言っておくべきじゃないんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 今申し上げたとおりでございまして、部内の会議と国会の委員会がバッティングをする場合には、一般論としてこの国会の審議を優先すると、これは当然だと考えております。
○前川清成君 それで、今日は余計なことに時間を費やしてしまいましたけれども、私が先ほど敬意を表していると申しましたが、法制局長官としていろいろ頑張っていただいていることは有り難いんですが、ただ、是非この機会に、私は内閣法制局に反省をお願いしたいことがあります。そのために今日来ていただきました。集団的自衛権については一切触れるつもりはありません。 じゃ、何を私は議論したいかというと、内閣法制局が頑張れば頑張るほど法律の条文が読みにくく、分かりにくくなってしまっていることであります。会社法に関してはこの後具体的に議論したいと思いますけれども、最近の政府提出の法案については、日本語が難解というよりも、むしろ悪文じゃないのか。その原因として時折耳にするのは、内閣法制局のいわゆる法案審査というのが、重箱の隅までつついて、法律を使う国民の方に目を向けていない、分かりやすく、主権者である国民の皆さん方が利用しやすいというふうな配慮が欠けているのではないかと、こういうふうに思っております。 そこでお尋ねしますけれども、内閣法制局の法案審査というのはどのような作業なんでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これは言うまでもないことでございますが、内閣法制局は内閣法制局設置法に基づいて仕事をしているわけでございまして、これは第三条の三号でございますか、二号でございますか、法令案の審査に当たっているわけでございます。 この法令の審査に当たりましては、憲法との整合性、他の現行法制との関係、立法内容の法的妥当性についての検討はもちろんのこと、立案の意図が法文の上に正確に表されているかどうか、条文の配列等の構成は適当であるかどうか、用字、用語の誤りはないかという点についても、法律的、技術的にあらゆる角度から検討を行っているところでございます。 この法令審査の在り方についての御批判というのは、これは私が就任する前、もう何代も前から、結果が国民にとって分かりやすくなっていないのではないかという御批判は繰り返し承っているところでございまして、歴代長官も今から私が申し上げるのと同じような、言い訳といってはなんでございますけれども、答弁をしているわけでございますけれども、法令の文章表現ができるだけ簡潔で国民に理解されやすいものであることが大切であることは当然でございますけれども、他方、法令が国民の権利義務に関わるものである以上、必要な事柄を過不足なく正確に表現することが求められておりまして、その規定の表現が言わば非常に硬いものになったり、ともすれば読みにくくなるという面があることは避け難い面もあるということを歴代長官も申し上げているところでございます。 いずれにせよ、御批判は謙虚に受け止めまして、今後とも極力分かりやすく法令の規定を表現するよう心掛けてまいりたいと思っております。
○前川清成君 必要なことを過不足なく書かなければならないというのは、言わば当然だと思います。しかし、それは一定のレベルの法律を勉強した人であれば誰でもできることで、内閣法制局というプロ中のプロは、必要なことを過不足なく、かつ分かりやすく、国民の皆さん方が、例えば民法だったら、実際にこの国で生活しておられる方々、会社法であれば、弁護士だとか裁判官だとか特定の人たちだけじゃなく、会社に働く人たちも分かるように、学説の対立だとか最高裁の判例がどうだとか、そこまでは分からなくても、およそその国の法体系というのは、その国の、例えば会社に関するルールというのは会社法を読めば分かるというふうになくてはならないのではないかと、そう思っています。 それで、内閣法制局長官がずっと反省をしていただいているということなんですけれども、しかし、残念ながら今回の会社法も非常に難解な日本語になっています。 その難解になっている理由の一つに、主管官庁の案がまとまった段階で予備審査がスタートすると。これが早過ぎるんじゃないのかと。本来は、主管官庁が法律案を書き上げてきて、その後に法制局がチェックをしたら、もうちょっと分かりやすいものになるんじゃないかという意見もあるように聞いていますけれども、これはいかがでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 予備審査のタイミングのような問題につきましても、先ほど私が答弁申し上げたような観点から、何が改善できるのか真剣に検討したいと思います。
○前川清成君 それで、連休中に会社法の条文を、二〇〇五年、成立したときに私も法務委員会の末席に席を並べておったんですが、そのときは一生懸命読んだつもりなんですが、十年近く会社法の条文を隅から隅まで見ることはなかったので、連休中目を通してみました。しかし、やっぱりこの会社法を読んでいるだけだったら、引用も多いし括弧書きも多いのでよく意味が分かりません。私だけが分からないのかなと、私が勉強不足なのかなと、こういうふうにも思っていましたら、神田秀樹さんが岩波新書のあとがきの中で、会社法に関して、その内容がよく理解できないというふうに書いておられます。 長官、神田秀樹さんというのはどなたか御存じですよね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 東大法学部の教授でいらっしゃると承知しております。
○前川清成君 東大法学部の教授といっても、刑法の教授でも民事訴訟法の教授でもなくて、会社法の研究者で、しかも、二〇〇五年の、平成十七年の会社法改正に先立って法制審議会会社法(現代化関係)部会というのが開催されていたわけですが、その法制審議会のメンバーだった方です。東大の会社法の先生で、かつ法律を作ったときの法制審議会の委員の方でさえ分かりにくいと書いておられる。 これは私はちょっと大問題ではないのかなと、そういうふうに思っているんですが、谷垣大臣、今のやり取りを聞いていただいて、これからこの後には債権法もあります、基本法の改正が続くかと思いますので、立法のありようについてお考えをお聞かせいただけたらと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、前川委員おっしゃいましたように、私も、余り会社法等々得意でないせいもございますが、なかなか正直言って読むのには苦労するというのが率直なところでございます。前川委員おっしゃいましたように、引用であったり括弧書きみたいなのがたくさんありまして、なかなか読んだときにすとんとこう腑に落ちるというわけには必ずしもいかない場合がございまして、その辺もう少し表現の仕方があるのではないのかというのは、しかし、厳密に正確に遺漏なく表現しようと思うとまあそういうことになる場合もあって、痛しかゆしだなと思いながら、しかし、これは工夫をいろいろしてみなきゃいけないなと思っております。
○前川清成君 先ほど法制局長官から、法令審査の内容として、憲法や他の法令との関係、あるいは法文の表現、そして法文の配置、これについても審査すると、こういうふうにおっしゃいました。 今の会社法が分かりにくいなと思うのは、私たちが勉強した当時の旧商法、旧会社法と現在の会社法との条文の配置が全く異なっているからだというふうにも、そのことも一つの大きな原因じゃないかと思います。 旧法時代に、会社法の中で最も有名な条文を一つ挙げろと、こういうふうに言われたら、例えば憲法だったら憲法九条が出てくるように、旧会社法であったら二百六十六条の三だったと思います。 この二百六十六条の三が、長官、これクイズ番組でもありませんので、今何条になっているか御存じですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 申し訳ありませんが、承知しておりません。
○前川清成君 四百二十九条になっているわけです。 二百六十六条の三というのは、会社が倒産してしまって債権者が自らの債権を回収できない場合に、その会社の経営者、取締役の責任を追及する条文で、これは、それこそ民法でいえば七百九条のように、判例が蓄積されている最も実務ではよく使われる条文の一つだと思いますけれども、その条文の位置でさえ、私も探しましたし、長官もすっと出てこない。政務官はすっと出てきますか。関係者が誰もすっと出てこないというのもやっぱり問題で、この条文の配置の問題というのも是非お考え直しをいただきたいと思います。 その上で、今週火曜日、五月十三日の質疑で、隣にいらっしゃる小川先生が質問をされて、それに対して法務省の民事局長がお答えになりました。何についてお尋ねになったかというと、今度新たに創設されます会社法百七十九条、特別支配株主の株式等売渡し請求、それを複数であっても構わないんですかという小川理事の質問に対して深山民事局長は、複数で構いませんよと、こういうふうに当初答弁しておられたんですけれども、その後訂正をなさいました。これも会社法の、しかも、先ほどの四百二十九条と違って、今審議の対象になっている条文、それを恐れ多くも民事局長でさえ間違ってしまう。この百七十九条の一項について、私は少し修正したらどうなのかと、こういうふうに考えていますが、百七十九条の一項のこの売渡し請求の主語に関して、法制局の中でどのような審議があってこのような結論になったのか、お答えいただきたいと思います。
○政府特別補佐人(小松一郎君) ただいま委員が御指摘になりました条文でございますが、この条文につきましては、当局における法案審査において、これは原則として単一の株主を示すと、特別支配株主でございますね、単一の株主を指すんだという旨の説明を法務当局からいただきまして、基本的にはそれと同じ考え方に基づいた用例もあると。それは会社法の第四百六十八条の第一項でございますけれども、この現在既にある、しかも、累次の運用がなされている、現実に運用されているという条文との整合性も踏まえ、原案どおりとしたというのが審査の経緯でございまして、当局としては是正の必要があるとは考えてございません。
○前川清成君 じゃ、法制局で特に審議されていないのであれば、長官であっても、あるいは法務大臣、どちらにお答えいただいても結構ですけれども、特別支配株主に関して、百七十九条一項をどのように読むと一人の株主だと、複数の株主ではないというふうに読み取れるのでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) この条文はたくさん括弧等が付いておりますので、まず、その括弧等を取り外して、株式会社の特別支配株主は、当該株式会社の株主の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができると、まず括弧を外して読まないとなかなか頭に入らないことは事実でございますね。 それで、特別支配株主という場合に、株式会社の総株主の議決権の十分の九と書いてあります。私、小松長官のおられる前でこういうことを言うのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、法制局的にぴしっと理解しておりませんが、ここで十分の九と言っているところ、これは複数とも単数とも書いてございませんが、要するに、それだけ多数を持っているという意味で、ここで私は単数と読むのではないかというふうに思います。ただ、ちょっとほかの条文にそれにぴしっと当たるところがあるのか、ちょっと今すぐ網羅的に思い浮かびませんので、差し当たってそういうことではないかと思います。
○前川清成君 今、谷垣大臣がおっしゃったように、まず、これは括弧の中を飛ばして読まないとちょっと分かりにくいんですよね。株式会社の特別支配株主、ずっと飛んで、は、当該株式の全員に対しと、ここまで飛ばして読むと。株式会社の特別支配株主の株主の「主」の後の括弧から、この白表紙でいうと後ろから三行目、「以下同じ。」、ここまでが一つの括弧、言わば大括弧があって、その大括弧の中に、大括弧がこれは特別支配株主の定義なんですけれども、その大括弧の中に株式会社の総株主の議決権の十分の九というのがあって、十分の九の限定をするためにまた括弧があって、これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にはその割合になっていると。で、云々かんぬんと続いて、「その割合」の下の、「以上を」、十分の九以上を当該株式会社以外の者、ですから自己株、金庫株は含みませんよと、及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人と。 だから、分かりやすく言うと、一〇〇%子会社、一〇〇%株式を持っている会社、オーナー会社、当該者及び、例えば前川と、前川が一〇〇%株を持っている会社で十分の九を持っていたら特別支配株主ですと。こういうふうに、大臣がおっしゃるように深読みをするのではなくて、この一項の主語の中に書かれているんじゃないかと私は思います。長官、これでいいですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 先ほど申し上げました私どもが法務当局からこの案文の構造として説明を受けた内容は、既存のこの会社法の規定でございます事業譲渡等の承認を要しない場合に関する四百六十八条でございますけれども、ここで言っている特別支配会社、その後で「他の会社」という言葉で同じその会社のことが出てまいりますが、これは一者であることが当然の前提として既に実務的にも運用されていると、そういう御説明を受けまして、今般新たに設けますこの百七十九条の規定、これは特別支配株主についての規定でございますけれども、基本的にはこれは一者であるという構造と似ているので、基本的にはそういう合わせた表現とすべきではないかという御説明を受けて、その説明に合理性があるであろうと判断したという次第でございます。
○前川清成君 いや、私がお尋ねしているのは、法制局と法務省でどういうやり取りがありましたとかじゃなくて、これは、残念ながらドイツ語で書いてあったら私も分からないんですが、日本語で書いてあって、ここに座っておられる先生方はみんな日本語に堪能なわけですよ。法制局の法案審査で表現ぶりについても審査されると、こういうことですからお聞きしているんです。私が谷垣大臣とは違う見解を述べたわけですよ。谷垣大臣は解釈としてというふうにおっしゃったけれども、私は、日本語としてこれは一人としか読めませんよと、こういうふうに言っているわけです。そこで、法令審査はどうなっているんですかと聞いているわけです。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 今委員がお示しいただいた解釈という、基本的にそういう考え方でよいのではないかと考えます。
○前川清成君 それで、ちょっとここから申し上げたいことは、日本で一番法律に堪能な法務大臣でさえ、何というんでしょうか、条文ではなくて解釈に頼ってしまうというのは、申し訳ないけれども、この百七十九条一項の条文の立て方が悪いんですよ。こんな括弧を、括弧だけでも六個あるでしょう。特別支配株主という主語だけで請求主体を規律しようとしてしまうからじゃないですか。 例えばですけれども、特別支配株主の定義の条文を置いて、それはここにあるように議決権の十分の九ですよと、ただし書で、ただし、これを上回る割合を定款で定めることができますよと。それで、二項か何かで、その特別支配株主は、当該株主及びその株主が発行済株式の全部を有する株式会社も含めますよと。次に、株式会社と同じようなものも法務省令で定めますよと。こういうふうにしておけば、普通の日本語に関する能力を持っている方であれば誰もが容易に会社法に関して理解できるはずなんです。 何というのか、こっちの方が、法制局的に言うと、素人は分かりにくくて俺たちだけ分かって格好いいだろうみたいな、私は、大変失礼ながら、あしき職人気質みたいなものが表れているんじゃないかと思うんです。 長官、今私が申し上げたように、この百七十九条の一項の、主語だけで売渡し請求の主体を決めるのではなくて、条文を起こして幾つかの条文に書いた方が分かりやすいということについては御同意いただけますか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、確かに、条文を幾つかの条文に分けて記載をするという方法があり得て、またそれがより日本語として分かりやすいのではないかという面もあるのではないかと、私も浅学ながら考えるところはあるわけでございますけれども、他方において、先ほど御答弁申し上げましたように、既存の会社法四百六十八条の規定がございまして、これは現実に実務の上で同じような構造を持っている、ここでは特別支配会社でございますけれども、それについてこういう書き方をしてあるというその現行規定との整合性という観点から、新百七十九条、この百七十九条についてもそれに合わせたような書き方が適当ではないかという御説明を受けまして、それも一つの可能性であり、一定の合理性がその説明の中にもあるなというふうに判断したということでございます。
○前川清成君 押し付けるわけじゃないんですけれども、私が申し上げているのは、特別支配株主の定義に関する条文を立てると。それは、まず第一項は、特別支配株主は十分の九以上持っている人をいいますと。二項で、ただし、これについては定款で十分の九という割合を引き上げることもできますよと。三項で、特別支配株主には対象会社、当該会社は含みませんよと。四項で、特別支配株主には、対象会社の株式を所有している者ではなくて、一〇〇%株を持っている会社を通じて対象会社の株を持っている場合も含みますよと。さらには、五項で、一〇〇%株を持っているのと同等に評価できるような会社についても法務省令で定めますよと。こういうふうに決めたらいいんじゃないかと、こういうふうに思っています。 私は、今まで、こうやって長官と議論させていただくのは初めてですから、あちらこちらで聞いていたのは、いや、自分たちは分かりやすい条文作って持っていくんだけれども、内閣法制局が寄ってたかって難しい条文にしてしまうんですわというふうに聞いたこともあるんですよ。じゃ、この百七十九条に関しては冤罪だったと、こういうことですね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 冤罪という言葉が適当かどうか、それからまた、この審議の場において、何と申しますか、責任の押し付け合いをするというような、仮にもそういうような意味合いが私の答弁の中で出るということは不適切だと考えますので、なかなかお答えしにくいわけでございますけれども、この百七十九条を審査いたしましたときの経過については、現行の規定との整合性ということについての法務当局の、原省の御意見も承って、その説明にも一定の合理性があるなというふうに判断したということで御理解をいただきたいと思います。
○前川清成君 それで、先ほどおっしゃっている四百何十何条ですけれども、じゃ、整合性を言うのであれば、いっそのこと、この百七十九条一項とその四百何十何条と同時に改正してしまうと、そうしたら分かりやすくなるというのもアイデアですよね。大臣、こういう議論の中で出てきたことですので当然通告もしていませんけれども、いかがですかね。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も不勉強であったんですが、今いろいろ御議論を聞いておりまして、十分の九と定めたのは、確かに今長官がおっしゃった事業譲渡とか組織再編の場合の十分の九というのと言わば平仄を合わせたと。そのときに、どういう平仄を合わせたのか、どう規定するかというのは多分いろいろ議論があったんだろうなと思います。 ただ、今、前川議員がおっしゃいましたように、やっぱり分かりやすい表現を今後どうしていくかということは、これはなかなか意を用いませんと、私も浅学ではございますが、なかなか読み方に、今委員と議論をして苦労しながら読んでいるわけでございますので、やはり分かりやすい条文の表現は何なのかということは、今後とも意を用いていかなければいけないと思います。
○前川清成君 それで、法制局長官は整合性というふうにもおっしゃるんですが、例えばですけれども、現行会社法の四百三十三条というのは、総株主とありまして、やはり同じように括弧が何重にもなっていて、百分の三以上を持っている総株主というのは会計帳簿の閲覧等を請求できると、こういうふうになっています。ここの四百三十三条に言う総株主というのは、百七十九条の場合と同様に一人の株主を指すんでしょうか、長官。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 今お挙げになった条文については、複数の株主ということであると考えております。
○前川清成君 私ちょっと今、百分の一と言ったかもしれませんが、百分の三が正しいですので、それは訂正させていただきます。 ですから、今の、金科玉条にはされていないでしょうけれども、整合性、整合性といっても、条文ごとにそういうふうな違いもあるわけですので、余り、何というんでしょうか、ほかの条文でこう書いているから全部そのまままねしなければならないんだというふうにも当たらないと私は思っています。 その上で、これは大臣にお尋ねすることになろうかと思いますけれども、特別支配株主の売渡し請求を行使するにはどのようにすればいいんでしょうか。請求の方法をお尋ねいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 請求の方法ですね。これは、特別支配株主が株式等売渡し請求する条件がございます。価格は幾らにするかとか、あるいは売渡し日はいつにするかとか、そういう条件等々を定めまして、これを対象会社、当該会社に通知をすると、そのことによって開始するということであります。
○前川清成君 条文でいいますと百七十九条の二という条文がありまして、売渡し請求は次に掲げる事項を定めなければならないと、こういうふうに書いていまして、もう議論が単純になるように、分かりやすくなるように、新株予約権がどうこうとかもう抜きにして議論させていただきたいと思いますけれども、要するに一項の二号で対価として交付する金銭の額又はその算定方法、三号で割当てに関する事項、五号で取得する日、取得日、これを決めると。百七十九条の三で、特別支配株主は、株式等売渡し請求をしようとするときは、対象会社に対して、その旨及び前条第一項各号に掲げる事項、今申し上げたような対価とか取得日などを通知して承認を受けるんだと、こういうことなんだろうと思います。 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、この百七十九条の二の一項の二号、対価として交付する金銭の額又はその算定方法というのは分かります。要するに株価、株価を何ぼにするかと、その金額とその計算式だろうと思うんですけど、この三号に言うところの割当てに関する事項というのは何を指すんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 三号ですか。
○前川清成君 三号です。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、誰に幾ら割り当てるかということと思います。
○前川清成君 いや、誰にというか、株主平等の原則がありますから、石井さんの持っている株は百円で買って小川さんの持っている株は一株五十円というわけにはいきませんよね。全部同じ値段を決めて、あとは持ち株の数によって算定するわけですので、今の大臣の御説明はちょっと納得できないんですよ。
○国務大臣(谷垣禎一君) 二号は要するに総額で幾らになるかということでございまして、それで三号の方はそれぞれ、確かに前川委員のおっしゃるように、株主平等の原則が働きますから、一人一人の価格が違うというようなことがあってはいかぬですが、それぞれ何株持っておられるというのは違いますから、そこのところを個別に書くということだと思います。
○前川清成君 それでしたら、要するに一番シンプルな場合は、こうこうこういう計算式で一株百円になりましたと、これが百七十九条の二の一項の二号。その結果、小川さんには三百万円、山下さんには五十万円、前川さんには一千万円とかというのが三号。その上で、平成二十六年の十月一日が取得日ですよと。一番シンプルな場合はこの三つを決めて通知をすると。そうすると、株主であるそれぞれの、石井さんだったり山下さんであったり小川さんの返事も待たずに、取得日が来ると自動的に株の所有権が移転すると、こういうことですよね。
○国務大臣(谷垣禎一君) 対象会社に通知をいたしまして、それでもちろん対象会社の取締役が、まあ取締役会ということになることが多いと思いますが、そこでその提示された条件を承認するかどうかという手続がございます。それができますと、今おっしゃったような段取りになっていくということだと思います。
○前川清成君 失礼しました。その承認という手続を経てと、こういうことだと思います。 その上で、もう一度、百七十九条の二の一項二号に戻りたいわけですが、株の価格、これは例えば上場している株式であれば、新聞を見ると一株五百五十円だとか三百円だとか書いているわけですよね。じゃ、例えばですけれども、ある上場会社の株の十分の九を私が持っていて、残り十分の一を売渡し請求権を行使しようという場合には、新聞に出ている五百五十円でなかったらあかんわけですか。 要するに、市場価格でないと、ここで言う、百七十九条の二の一項二号に言うところの対価の額、対価は市場価格ということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員がおっしゃったのは、そのときの時価で、時価といいますか、相場、市場の価格でなければいかぬのかということだったと思います。 必ずしもこの法においてはそこは定められてはおりません。もちろん金銭でなければならないことは言うまでもございませんが、それらを含めて取締役が妥当であるかどうかということを判断するという構造になっていると存じます。
○前川清成君 大臣、大変失礼ながら、決めていないことはなくて、決めているんじゃないんでしょうかね。 百七十九条の七の一項の三号、次に掲げる場合において、売渡し株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡し株主は、特別支配株主に対し、株式等の売却請求に係る売渡し株式等の全部の取得をやめることを請求することができるとあって、第三号でその価格、著しく不当である場合と。 ですから、市場価格でなくても構いませんよと、しかし、著しく不当であれば、売渡し株主は、そんなんやめておいてと、こういうふうに言えるというのが法律の立て付けであるので、結論として申し上げれば、市場価格を多少は逸脱しても、もっと言うと、不当な価格であってもいいけれども著しく不当な価格であってはならないと、こういうふうに読めるんじゃないかと思いますが。
○国務大臣(谷垣禎一君) それはおっしゃるとおりです。厳密な意味での市場価格というのでなくてもよろしいと。場合によってはむしろ高くするというような場合もあるだろうと思いますが、著しく不当になれば当然今おっしゃった手続が今度出てまいりますので、おっしゃるとおりだと思います。
○前川清成君 そこで、法制局長官にお尋ねしたいんですが、どうして相場でなくても著しく不当でない価格であればいいのか。不当な価格であっても構わないと、著しく不当でなかったらいいんだというのがこの会社法の趣旨ですが、憲法二十九条との関係でどのように考えればいいでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) それは、著しく不当であるかどうかを裁判所に判断をしていただけるという権利が留保されているからだと思います。
○前川清成君 長官、私の質問聞いていただいていましたか。どういうふうに裁判所で決めるかとかじゃないんですよ。 裁判所は、著しく不当な価格であれば売渡し請求をストップするわけです、著しく不当であればね。でも、昨日の終値が五百五十円の株を五百五十円で買わなくてもいいわけですよ、五百円だっていいわけですよ。それは憲法二十九条との関係でどう考えればいいんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) その点は、今五百五十円、時価が五百五十円で、五百円だったらどうなるのかということですね。恐らく、こういう企業買収等々の場合には、なかなか五百五十円のものを五百円というような提示で通る場合は私は少ないんじゃないかと思うんです。何らかのメリットを含めて提示をするということがむしろ普通のことではないかと思います。 それで、今回の立て付けは、最終的には著しく不当であれば先ほど委員がおっしゃった手続に乗せることができるわけですが、そういったことを含めて当、不当、その会社、要するに買収でございますから、その当、不当を対象会社の取締役ないし取締役会が判断をして、これは当然、少数株主の意を体した善管注意義務というものがあるわけでございますから、その中で判断するという仕組みになっているんだろうと思います。それは、今申し上げたような意味での、びしっとその当日の市場価格というようなことに固定しないで、ある意味でのフレキシビリティーを持たせているということではないかと思います。
○前川清成君 今大臣がおっしゃったような企業買収の場合というのは任意の売買ですよね、売りましょう買いましょうですよね。ところが、今度新たにつくられた制度というのは、買いましょう売りましょうじゃなくて、無理やり売れなんですよ。だから、企業買収云々かんぬんの議論というのは当てはまらない。 私がむしろ申し上げたいのは、憲法で財産権を保障しているわけですよ。それで、もちろん全くの無制限であるわけではなくて、大臣も御存じのとおり、正当な補償の下にこれを公共のために用いることができると書かれているわけです。いずれにしても、正当な対価を支払ったら、こういう公のために私有財産であっても使うことができる。しかし、ここの、著しく不当である場合にはストップできるということは、時価額でなくても構わないということですよね。だから、どうしてこういう財産権の制限が、私有財産の制限が正当化されるのかという点をお尋ねしているんです。
○国務大臣(谷垣禎一君) もちろん、今のようなある程度フレキシビリティーを持たせて、売買の場合にはそのメリットもやっていくような値付けというのがあるのが普通だろうとは思います。ただ、この制度の立て付けとしては、一つはそれを、先ほど申し上げているように、取締役が善管注意義務をもって判断するということがございますし、それから、この売買価格に不服がある場合、売渡し株主は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に裁判所に対して売渡し株式等の売買価格の決定の申立てをすることができると、こういう道も開かれているということでございます。
○前川清成君 今大臣が善管注意義務とおっしゃったのであえて申し上げますけれども、取締役の善管注意義務、更に言えば忠実義務というのは、株主に対して向けられているんじゃないですよね、会社に対して向けられているんですよね。そうしたら、取締役は善管注意義務に基づいて、あるいは忠実義務に基づいて株主の株価を守ってやらなければならないというような義務は当然には発生してきませんよね。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の点は、会社の取締役ないし取締役会がその価格の妥当性を含めて申出を承認するかどうかを決めるということは、当然、これは少数株主を保護する役割をこの承認のプロセスに、手続に委ねたわけでございますから、その場合、買取り請求の相手方になっている少数株主の立場に立って考えるのがこの場合の取締役の、何というんでしょうか、職責である。そういう意味で、善管注意義務の中には当然、少数株主の立場を考えながら行動するということが含まれているというふうに考えます。
○前川清成君 そうしたら、今の、対象会社が承認をするに当たっては、売渡し請求を承認するに当たっては、売渡し株主の利益のことも考えてやりなさいよというふうな義務が発生するんだというのは大臣の解釈ですか、条文に書いてあるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと今、条文は私すぐ頭に浮かびませんが、要するにこの制度の全体の立て付けとして、少数株主の利益をどう守っていくかということが一つの制度の立て方、立てた場合のポイントでございまして、そのときに当該会社の取締役の承認ということに係らせようとしたわけでございますので、当然そこの善管注意義務の、善管義務の内容には入ってくる、このように考えます。
○前川清成君 今新しい制度の議論をしていて、新しい仕組みについてお尋ねして、条文に書いているか書いていないか知りませんという答えはないと思いますよ。条文は書いていないんですけれどもね。まあいいです。 その上で、百七十九条の八についてお聞きしますけども、不満があったら裁判所が決めろというふうに今大臣もおっしゃいましたが、裁判所はいつまでに決めたらいいんですか。特別な規定はありませんよね。
○国務大臣(谷垣禎一君) おっしゃるように、特別な、いつまでに決めろという規定はございません。
○前川清成君 そうなると、価格についてどちらかが不満で、地裁でも決まらない、高裁でも決まらない、最高裁まで行く、何年も掛かってしまうということもあり得るわけですよね。
○国務大臣(谷垣禎一君) そういうことは可能性としてはあるだろうと思います。
○前川清成君 百七十九条の八の三項で、特別支配株主は、株価の決定があるまでの間に適当な額を、公正な売買価格と認める額を支払うことができると。支払うことができると書かれています。できると書かれているんだから、支払っても支払わなくてもどちらでもいいと、こういうことですね。
○国務大臣(谷垣禎一君) そうです。まだ売買価格の決定のない段階ですね。おっしゃるとおりです。
○前川清成君 そうしたら、もう一度遡ってお考えいただきたいんですが、百七十九条の二の一項五号で取得日を決めるわけですよね。取得日を決めて通知をする。会社が承認をする。売渡し株主の方はその価格については不満があったから裁判所で争うと。そうなると、例えば取得日が今月末と決めて通知をして会社がそれを承認してくれた。ほな、その日に売渡し株主は株式に対する所有権を失うわけですけども、そこから価格が決まるまで何年も何年も何年も代金をもらえないと、最高裁の決定があるまで争われて。 普通は、前回、小川理事もおっしゃいましたけれども、同時履行の抗弁権というのがあって、物を売り渡すときはそれと同時に代金を受け取ることもできるわけですけれども、この売渡し請求においては、株式の所有権が移転する時期と代金の支払時期とが何年間もずれてしまうということが場合としてはあり得るということですよね。それでいいんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、法律の立て付けの上ではそういうことが全くないとは言えない仕組みになっていると思います。
○前川清成君 ついては法制局長官にお聞きしたいんですが、このようなことが憲法二十九条の財産権の保障として許されるんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 株式等売渡し請求は、確かに少数株主に株主としての地位を失わせるものではございますけれども、株主の財産権の保障という観点からは、もうこの本日の質疑の中で幾つも繰り返し出てきているわけでございますけれども、対象会社の承認を要することを通じた対価の適正さに対するチェック、百七十九条の三項の第一項でございます。それから、法令違反や交付される対価の額が不当である場合等における差止め請求ができると、百七十九条の七でございます、それから、株主による裁判所への売買価格の決定の申立て、こういうような諸措置が講じられておりまして、憲法との関係においても、適切な売渡し株主の保護のための措置が講じられているというふうに考えております。
○前川清成君 長官、私の質問は、この会社法改正案の仕組みについて答えてくださいじゃなくて、それはもちろん長官にお聞きするんじゃなくて大臣にお聞きすることですから、そこを聞いているんじゃなくて、このように株式の引渡時期と、所有権移転時期と代金支払時期が制度上何年もずれることがあるにもかかわらず、憲法二十九条で許されるんですかという質問ですよ。そこはどうですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) この株式等売渡し請求がなされますと、対象会社の少数株主などはその意思にかかわらず自らの有する対象会社の株式等を売り渡すことになりまして、その際、支配株主による売買代金の支払があることは必ずしも売渡しの要件とはなっていないと、これは大臣が御答弁になったところでございます。 しかしながら、売買代金の支払がなされないのであれば、解除でございますとか損害賠償といった民法上の制度によって少数株主などの権利を保護することは可能でございますし、株主等売渡し請求が法令に違反する場合であれば、売渡し株主などの取得の無効の訴えによることも可能でございます。 したがって、御指摘の点を踏まえても、株主等売渡し請求には憲法上の問題はないと考えております。
○前川清成君 憲法の解釈が全然ないんですけれども、私も八十分もあったはずの残り時間が少なくなってきましたので、また憲法の解釈についてはこの後お聞きしたいと思うんですけれども。 今の長官の答弁の中でも、あるいは先日の小川理事の質問に対して民事局長の答弁の中でも、今回は株の売買時期と支払時期がずれる場合ですけれども、そもそも支払われない場合、解除したらいいんだと、売渡し株主は解除したらいいんだというふうに民事局長もお答えになったんですけれども、どのような根拠に基づいて何を解除するんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) いや、これは解除、債務不履行であれば解除になるというのは、これは一般原則だと思います。
○前川清成君 ということは、民法の五百四十一条ですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 民法の一般原則に戻るということです。
○前川清成君 売買であれば、ここで言う特別支配株主が売ってくださいという請求をして、売主が分かりました売りましょうと承諾をして、意思表示が合致があって売買が成立しますよね。履行されない場合にはその売買契約を取り消す、解除するわけですけれども。 この売渡し請求において解除の対象になるのはどの意思表示なんですか。解除の対象。
○国務大臣(谷垣禎一君) 結局は売買契約ですから、それが解除の対象になろうと思います。
○前川清成君 ですから、今大臣申し上げたでしょう。この売渡し請求は、売りましょう買いましょうの売買はないですよね。売ってくれで、それで終わりでしょう。売渡し株主の意思表示はないですよね。で、売買なんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、確かに取締役会の承認で権利移転と申しますか売買が成立するような形になっておりますから、それを解除するということになると思います。
○前川清成君 その売買が成立するという理屈をちょっと御説明いただけませんでしょうか。 私、何度も言っているように、民法五百五十五条で、売ってください、はい、分かりました、売ってあげますと、意思表示が合致して売買ですよね。これは、売ってください、で、第三者である会社が承諾します。売主の方の意思表示はないんですよ。で、売買なんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは民法上の典型契約の売買と同じではないと思います。今委員がおっしゃいましたように、少数株主が承諾をする、売るぞという意思表示は行わない、その代わりに対象会社の取締役の承認に係らせるという構成を取っておりますから、売買というのが適当かどうかは分かりませんが、少なくとも民法上の典型契約の売買と同じでないことはおっしゃるとおりでございます。
○前川清成君 典型契約である売買でないというのは私が言っているんですよ、大臣。私が売買じゃないと言っているんですよ。それに対して大臣が売買だとおっしゃるんですよ。だから、その売買というのはどういう構成になっているんですかとお尋ねしているんです。
○国務大臣(谷垣禎一君) 民法上の典型契約の売買ではないと申し上げているんですが、やはり契約には典型契約以外のいろんなものがあると思いますし、今度の会社法のこの問題では、これを売買と名付けるのか、そこはちょっと私定かではございませんが、少なくとも対象会社の取締役の承認ということによって係らせて、言うなれば権利移転の効果が生ずるという仕組みになっているわけでございます。
○前川清成君 そうしたら、深山さんがおっしゃった売買とか、先ほど大臣がおっしゃった、売買って繰り返されましたけど、売買であることは取り消されますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これはどういうふうに言葉を定義していいのか私も迷いますが、ただ、申し上げられるのは、民法上の典型契約の売買と同じではないということは申し上げられると思います。
○前川清成君 民法上の典型契約である売買ではないけれども、民法上の五百四十一条以下の解除は適用されると、こういうことですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) それはそうだと思います。
○前川清成君 どうしてそうなるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、必ずしも解除というのは典型契約だけに適用されるわけではない一般原則であろうと思います。
○前川清成君 典型契約でなくてもいいんですけど、少なくとも契約でないといけないですよね。契約である以上は意思の合致が必要ですよね。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは定義にもよると思いますが、私今すぐ例を思い出すわけにはいきませんが、要するに、権利移転の効果が生ずるような、法律効果を生ずるようなものの中に必ずしも当事者の意思の合致を要求していない、いろいろな事例があったと存じます。今すぐちょっとそれを思い出してこうこうこうと申し上げるわけにはいきませんが、そういうことはあると存じます。
○前川清成君 今日八十分議論させていただいたんですが、この特別支配株主の売渡し請求について予定していた論点さえ終わりませんでした。 私、この問題について、実は法務省の説明に大変大きな問題があったんじゃないかと思っています。といいますのも、例えば私たちは部門会議でもこの会社法に関して説明を受けましたし、私の場合は、今週月曜日、法務省の担当官に来ていただいて会社法の改正案について説明を受けました。そのときに法務省からいただいたのはこの資料で、全部で七枚あるわけですけれども、一枚目は監査等委員会設置会社の創設ですよ、二番目は社外取締役ですよ、三番目は社外取締役の導入の促進ですよとあって、最後の最後までこの特別支配株主の株式等売渡し請求に関する説明というのはなかったんですよ。 これをもっと早い段階から、いや、もしかしたら大臣はそういう気持ちないかもしれませんよ。しかし、担当者の方で、いや、後ろめたいなと、実は。大臣の趣旨説明にも入っていませんよね。最初に、全部で、第六にとおっしゃっているけれども、その中にも入っていないと。大臣はそう思っていないかもしれないけれども、もしかしたら担当者は、いや、この売渡し請求ってえらいの作ってしまったよねということで、各政党に対する説明が不十分だったんじゃないんでしょうかね。 この売渡し請求についてもっと丁寧な説明があれば、今日八十分もわんわんわんわんやって、しかも大臣も生煮えの、いや、売買だとおっしゃったり、売買によく似た契約だとおっしゃったり、そこもきっちりと詰めて議論できたはずなんですよ。ちょっと私は、この会社法に関する事前の説明について問題点があったんじゃないかなと、こういうふうに思っています。 この点を申し上げて、大変残念ですし、今日は社外取締役も多重代表訴訟もいろいろやりたかったんですが、時間が来ましたので、一応終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 ちょっと趣を変えまして、お手元に資料をお配りをしておりますけれども、私、今回の会社法の改正と、投資ファンドあるいは悪質な略奪ファンドについて、今日は少し事例も紹介しながらお聞きしたいと思っているんですが。 今度の改正案は、安倍政権の日本再興戦略の一環として位置付けられているわけで、こうした改正によって海外投資家の評価を高めて、投資も呼び込んでいきたいといった趣旨なり、狙い、目的の発言ももちろんあってきているわけですが、この改正が当然、私が今申し上げようとしているような悪質な略奪的なファンドを日本の会社の中に呼び込もうという話じゃないだろうと。これはもうそのとおりだろうと思うんですけど、恐らくそうだろうと思うんですが。 まず大臣に、この新たな監査等委員会設置会社を設けるとか、あるいは社外取締役の設置を促進をするとか、こういったコーポレートガバナンスの強化ということと日本再興戦略との関係ということについて、まず御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の会社法ですと、コーポレートガバナンスに関する記述については、社外取締役の機能を活用するなど、取締役に対する監査、監督の在り方を強化せよという御提言が今までもずっとあったわけですね。この背景には、もちろん今、仁比委員がおっしゃったような悪質なものを入れようというわけではございませんけれども、やはり海外の投資家等々に信頼を得て、海外の投資も引き込んでくる必要は当然私はあると思います。 コーポレートガバナンスを強化することによって、外国企業と比較して日本企業の収益性が低くて株価も低迷していたというところが解消する一助になるのではないかと。それからもう一つは、親子会社に対する法規制も弱かったというように指摘をされておりますので、そういった辺りの規定の整備を図ることによって、日本企業に対する信頼が高められ、投資が促進されて、そのことが経済の成長につながっていくと、そういうことを期待しているわけでございます。
○仁比聡平君 そこで、会社法の改正というのは、つまり会社制度の改正なり、この社会的インフラとしての企業法制を変えるということになるわけですけれども、まず、その制度の改正がどのような形で企業統治あるいは経営監視機能の強化に結び付くのかということで、民事局長に改めての話になりますが、二〇〇二年の商法改正で、米国型企業統治形態であると言われる委員会設置会社、それから、これが導入はされたけれども上場企業において採用する企業が少ないということが今回の改正案につながって、その中で、監査等委員会設置会社というのを設けることができる、設けるようにするというわけですが、こうした委員会設置会社だとか監査等委員会設置会社によってどうその経営監視機能が強化されるということなのか、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ました委員会設置会社、それから今回導入する監査等委員会設置会社、これはいずれも社外取締役による業務執行者の監視、監督を強化するということを目的とすると、その意味では共通の面がございます。 御案内のとおり、社外取締役ですから、業務執行者から独立した立場にございますので、しかも取締役会の決議における議決権がある、代表取締役の任免に議決権を行使して関与できると、こういう立場にありますので実効的な監督が期待される。委員会設置会社の場合には三つの委員会を設け、監査等委員会の場合には監査等委員会一つですけれども、いずれも社外取締役が過半数を占めていると、こういう委員会でございます。 こういった社外取締役が中核を成している委員会が業務執行を監督するというシステムとして委員会等設置会社が設けられましたけれども、この利用が余り進んでいないということにも鑑みまして、で、その理由がまた、三つの委員会のうち、指名委員会、報酬委員会に取締役候補者の指名と報酬額の決定権限を委ねることに各会社に非常に抵抗があるということから、このモデルがなかなか採用が進まないと指摘されておりますので、今回、同じような委員会を設けるタイプの、社外取締役中心の委員会を設けるタイプの会社ですけれども、監査等委員会設置会社で、指名、報酬委員会を設けなくてこの一つの委員会を設けることによって業務執行者の社外取締役を中心とした監視、監督を強めるタイプの選択肢を増やすということを考えるに至ったと、こういうことでございます。
○仁比聡平君 今のお話の中に出てきます、業務執行者から独立したというその独立性の意味なんですけれども、もうちょっと砕いて言うと、会社との利害関係を持たない、業務執行者はもちろん会社の利益を追求するということでしょうけれども、そことの利害関係を持っていないというのが社外性とか独立性とかそういったことなのかなという感じがするんですけれども、そうした社外取締役が過半数を占める委員会の設置をして、その監査委員会は、従来の監査役と異なって、差止め請求権の行使も、業務執行者の違法性だけではなくて妥当性にまで及んで行うことができる、こうした機能を期待しているということでしょうかね。
○政府参考人(深山卓也君) 今先生御指摘のところは、期待される機能の一部であることは間違いありません。それ以外にも、社外性がある取締役が中心となる委員会が監視、監督を行うことによって、その差止めの場面だけじゃなくて、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、取締役会で代表取締役の選解任の議決に議決権を行使して加われるというところも非常に大きな監視、監督の権能だと思います。ここがまた、監査役はそれは全くありませんので、大きく違うところです。
○仁比聡平君 つまり、そうした形で委員会の権限や独立性というものを飛躍的に強化するということによってガバナンスの強化を図ろうという制度設計だと思うんですよ。 この制度設計はそれとして、それが実際に実効性が確保されているのか、二〇〇二年の改正法が現実に施行された後も実際どうなのかということを、ちょっとお手元のペーパーも見ていただければと思うんです。 前回の参考人質疑でおいでいただきました東京証券取引所の常務取締役の静参考人に一問だけお尋ねをしたAPF、アジア・パートナーシップ・ファンドという投資ファンドがあります。これが、このペーパーの一番上の英国領バージン諸島というのは、これはタックスヘイブンとよく言われるところですね、ここに資産管理会社を置いて、その一〇〇%が、今日のところイニシャルでKというふうに申し上げておきますが、この代表者、このファンドの代表者の資産会社が置かれていると。 この代表者Kが、昨年の十一月、証券取引等監視委員会から、四十一億円という個人に対してはもう前代未聞という額の課徴金納付命令を行うべきだということで金融庁に勧告をされているわけです。 この事件というのは、このAPFが一〇〇%それぞれ支配しているその下の明日香野とかあるいはAPFというホールディングスがありますが、さらにそれらが支配している昭和ホールディングス、これが東証二部の上場企業です。この支配をしているウェッジホールディングス、この株価を操作をする、価格を上昇させるということを企てて、そこによって不正な利得を得ようということを企てて、偽計を用い有価証券の価格に影響を与えたのであると。その被害を与えた額、課徴金の額は約四十一億円に上るのであると。ざっくりそうした勧告であると思いますけれども、それは事実ですか、金融庁。
○政府参考人(三井秀範君) お答え申し上げます。 昨年十一月一日、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対しまして、ウェッジホールディングス株式に係る偽計事件につきまして、金融商品取引法に基づく課徴金納付命令を発出するように勧告が行われております。
○仁比聡平君 中身についてもおおむね私の申し上げているとおりということなのだろうかなとは思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三井秀範君) 仁比先生御指摘のおおむねとおりでございまして、十一月一日付けの証券取引等監視委員会のホームページで公表しておりますように、有価証券の相場の変動を図る目的を持って、偽計を用いてその有価証券価格に影響を与えたものであると、こういうことで勧告を金融庁に対してなされておるところでございます。
○仁比聡平君 念のため確認ですが、その四十一億円にならんとするような課徴金というのは、これは過去例がありますか。
○政府参考人(瀬戸毅君) 過去にそのような事例はございません。
○仁比聡平君 という重大な事態なんですね。 こういう投資ファンドの悪質な行動が、他にも日本の市場あるいは世界の市場を食い物にして大問題だということは、恐らく立場を超えて共有できる問題意識だと思うんですが、この勧告が十一月に出されて以降どうなっているかと。これ、手続としては審判開始の決定が出されれば公開での審判が行われるということになっているわけですが、これ、審判は行われましたか。
○政府参考人(三井秀範君) 本件は個別の事件の審判手続でございますので、本件についてのお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論で申し上げますと、勧告がありますと、審判手続開始決定がなされます。開始決定がなされますと、審判手続、そして審判官による決定案の作成、それに基づく課徴金納付命令という決定の流れになっておるところでございます。
○仁比聡平君 私が伺うところでは、その公開の審判の期日が指定はされるんだけれども、これがこれまで度々、四回というふうに伺いますが、延期をされて開かれないと。去年の十一月の勧告からすれば既にもう半年がたとうとしていると。これほど重大な勧告が行われながら審判がこんなふうにして開かれないと、こういうのは皆さんにとっては普通ですか。
○政府参考人(三井秀範君) お答え申し上げます。 まず、その審判手続開始決定につきましては、勧告と同日付けで、したがいまして昨年の十一月一日付けで行われております。法的には、先生御指摘のとおり審判手続中になります。そうしますと、争いが仮にある場合に、被審人といいまして、違反者であるというふうに名指しされた方に、もしその勧告内容ないし審判手続開始決定の内容に異議がある場合には、審判期日が開始されるということに、開かれるということになります。 個々の個別事案について、審判期日の変更の有無やその理由につきまして、特に変更の理由につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、一般的に、法令上は審判手続の行政上の手続でございますけれども、その適正手続の確保を含みます正当な理由があります場合には、職権又は当事者の申立てによりまして期日の変更をすることがあり得るということになっていまして、それに基づきまして行われているところでございます。
○仁比聡平君 こうした重大な勧告で、もちろん新聞報道もされているわけで、これに先立っては、二〇一〇年の六月に証券取引等監視委員会から強制調査がこの関連会社に入っていると思います。そうした中で、このグループ下の、一番下の真ん中の枠に昭和ゴムという事業会社がありますが、この事業会社の事業が顧客からの信用を失い、取引先が手を引き、経営の悪化が進んでいるわけです。 元々、ちょっと経過を申し上げると、この昭和ゴムという会社は、千葉県のゴムの製造販売の言わば名門といいますか老舗の製造会社でした。この会社について、二〇〇八年の六月にくだんのAPF関連グループ企業が第三者割当て増資によってこの事業に介入をしてくると。このAPFの代表者であるK氏が昭和ゴムの社外取締役、代表権ある取締役の会長にその実の弟が就任して、そのほかの役員も相当数がそのファンドから送り込まれてくるということになっているわけですね。 元々のその昭和ゴムという事業会社は、昭和ホールディングスという会社と事業会社である昭和ゴムに言わば分社するという形になって、昭和ホールディングスが東証二部の上場企業、今も上場されているということだと思いますが、このKがその社外取締役、その弟さんが代表権のあるCEOということになっているわけです。 実際に、その第三者割当て増資は、およそ十四億五千万円の出資ということで行われているわけですけれども、その直後からおよそ一年半の間に、元々昭和ゴムという事業によって蓄えられてきた資金、現金が、これが本当にひどい手口で総額三十三億円持ち出されていくという形で、真面目な企業が食い物にされているわけですね。その持ち出された三十三億円もの現金、これを労働者が、その昭和ゴムの事業に働く従業員、労働者の皆さんがからくりを告発していくと、その労働組合、労働者を敵視し、嫌忌して排除しようとする。こうしたことが次々に起こっているわけです。 その下で、このK氏ないしはAPFのこの悪質な行為の一部として、今私が申し上げている偽計によるこの四十一億円の勧告というのが行われているわけですけれども、その勧告からも半年以上になっている。事態はどんどんどんどん悪化すると。このままでいくと、この勧告の結果、そのKの違法行為がただされるというか明らかになったときには、既に事業会社は例えば廃業に追い込まれているとか、従業員は路頭に迷っているとか、当然、地域経済にも関係債権者にも大きな被害を広げてしまうとかいうことになりかねないのではないのか。 金融庁、どなたになるのか分かりませんが、勧告が行われ、審判の手続が先ほどのような御説明だというのは、それはそうなんでしょう。だけれども、現実のその間にこうした実害、被害が進行しているということについてはつかんでいらっしゃるんですか。
○政府参考人(三井秀範君) そのグループ全体に様々な経済的な影響が及んでいるというふうな先生の御指摘がございました。 課徴金制度、刑事手続に加えましてこの証券市場における課徴金制度を導入している趣旨でございますけれども、先生御指摘のとおり、証券市場において不正が行われたというものに対して、違反者に対する適正手続を確保しつつも迅速かつ適切な金銭的な負担、賦課を用いることによりまして違反行為の抑止を図ると、こういう制度でございまして、先生御指摘のとおり、その適正手続の下ではありますけれども、迅速に手続を進めるべきものというふうに私どもも心得ているところでございます。 個別の案件について御説明することは差し控えざるを得ないわけでございますが、本件につきましては、審判の手続の適正手続を確保する観点から、期日変更上正当な理由があるということで、職権を含めまして期日変更しているところでございまして、何とぞその点についての御理解を賜れば有り難いと存じます。
○仁比聡平君 私が伺うところでは、この審判の手続がどうなっているのかということも含めて、この申し上げている利害関係者、特に労働者が、どうなっているのかと金融庁にお尋ねをするとか、あるいは申入れをするとかいうような経過がありながら、言わば門前払いをされておられるようなんですが、この事案に限らず、金融庁のこうした取組、証券市場の適正を図るためのこうした取組というのは経済活動に重大な影響を与えるわけじゃないですか。逆に言えば、だからこそ監視委員会があり、そこで勧告をし、こういう公開での審判を行おうとするわけですよね。 この状況がどうなっていくのかということについて、少なくともですよ、少なくともその行方において極めて重大な利害関係を持っている、この会社が倒産する、廃業するということになれば、もう生活の基盤が奪われてしまうというそうした労働者の方々、元々その違法行為についての告発も監視委員会にもした、そうした経過もあるようですけれども、そうした労働者の方々には、この審判がどんなふうになっているのかという、そういう説明ぐらい、金融庁、できないんですか。
○政府参考人(三井秀範君) お答え申し上げます。 必要な限りにおきまして、審判の期日などは公開するということを法令上も認めていただいておりまして、当然のことながら、その規定に基づいて公開すべきことは公開する、開示すべきことは開示するというふうに行動すべきものはそのとおりでございます。 ただ、この件につきまして、期日を設定するに当たり、そのための適正手続を踏む必要がございまして、その詳細について公の場で説明することは差し控えるべき事柄がございますので、その点についての詳細な説明は、重ね重ねで恐縮でございますが、控えさせていただきたいと存じます。
○仁比聡平君 私は、是非、改めて声を聞いていただいて、可能な限りの対応はしていただきたいということを求めておきたいと思うんです。 それで、先ほど、その事業会社からおよそ三十数億円の現金を流出させるという手口というふうに申し上げたのは、プロミサリーノートという聞き慣れない言葉ですが、そうやって聞き慣れない言葉ではあるけれども、結局のところ、将来、先々お返ししますからと。だけれども、それは、そういう書面は作るけれども、あたかも手形、約束手形か何かであるかのような外形上の紙の大きさみたいなものはあるけれども、だけれども、そこに書いてあるのは単なる支払を、あるいは返済を約束した念書にすぎない。そうしたものを有価証券であると、そう言って、言い張る手口を行っているんですね。 そこで、この昭和ゴムだとかの有価証券報告書には、有価証券を保有しているんだということが報告をされている。こういう事実は、監視委員会、御存じですか。
○政府参考人(瀬戸毅君) 個別事件の内容につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。
○仁比聡平君 投資家保護というふうに言うけれども、その有価証券報告書そのものを虚偽の記載をしているわけですよね。それがそのまま上場企業であり続けるというのかと、それが証券市場の今のありようなんでしょうか。 ちなみに、このAPFというファンドは、金融商品取引法上の第二種金融商品取引業者としての登録も行っていません。いわゆる無登録のファンドですが、それはお分かりになりますか。
○政府参考人(瀬戸毅君) これにつきましては、個別の案件でございますので、お答えは差し控えさせていただきますが、証券取引等監視委員会といたしましては、市場の公正性、それから透明性の確保のために、問題がある事案については努めて適切に対応することとしております。
○仁比聡平君 この無登録のAPFあるいはそのグループファンドが、名前を申し上げれば皆さんが知らない人はいないというような著名人、週刊誌などには実名でも出されていますけれども、を看板にして様々な一般投資家からお金を吸い上げているわけですよ。それ、お金を吸い上げて、もう何件も裁判が起こり、その結果、敗訴をしたり、あるいは和解に持ち込んだりとかして支払義務が確定するんだけれども、その返済は行わないと。去年の四月には十五人の被害者の方々の集団提訴も起こり、メディアからはインチキ投資ファンドといった批判も浴びているわけです。 個別はお答えにならないんですが、こうした悪質なファンド、これ、金融庁、どうやって規制するんですか。
○政府参考人(三井秀範君) 具体的な会社についての答弁は差し控えさせていただくとともに、一般論になって恐縮でございますけれども、日本国民の一般投資家に対して不適切な投資勧誘をするということから投資家を保護するのが金融商品取引法の目的でございます。 現在の金融商品取引法、先生の御指摘の第二種金融商品取引業者ということになりますと、投資家に金融商品、金商法に定義されています金融商品を販売、勧誘していると、こういうものでありますと登録をしなければならないということでございまして、無登録でこの法律で登録を義務付けられている行為を行いますと刑事罰の対象となるところでございまして、この点につきましては、刑事当局と連携を取りながら適切に対応をする、刑事当局に情報提供をいたしまして連携しながら対応する、あるいは、被害者の拡大を防ぐために消費者庁を含む消費者保護行政当局や団体と協力しながら活動していくと、こういったことになってくるかと思います。 また、その開示、ディスクロージャーについて虚偽の記載がある等の投資家の保護にもとる行為がある場合には、その観点からの法定開示規定違反についての刑事ないし課徴金、あるいは行政上の手続を取ることを含めまして、その違反の抑止を図っていくというふうな対応を取るということでございます。
○仁比聡平君 そうした手さえ打たれているのかと。もしかしたら幾つかのことについては進めておられるのかもしれないですけれども、個別は答えられないというふうにおっしゃる。 実際にこのファンドの問題が明らかになったのは、少なくとも二〇〇八年とか、この一般投資家の方々の被害を広げていったのは二〇〇〇年代に入ってからなんですね。もう規模は数百人あるいは数百億円というふうにまで言われているわけですけれども、にもかかわらず、いまだに今おっしゃったような、紹介をされたような手だてが表に出ているわけじゃないじゃないですか。 その中で、去年の十一月に監視委員会の勧告が出されたと。悪質な違法行為の中の一部ですけれども、このグループ内のウェッジホールディングスというところの株価を操作したという偽計で四十一億円という異例の勧告がなされながら、半年たってなお一体どうなるのかという。それで本当にこうした悪質ファンドに対する規制が働いているというふうに言えるんでしょうかね。私がなお心配になるのは、そうした事態になれば、同じようなファンド、同じような悪質行為が日本の市場を食い物にしても、結局よく分からないままどんどんどんどん被害だけ広がるということになりはしませんかということなんです。 参考人質疑でお尋ねした東証の静参考人は、違法行為だというところまでは認定されているというふうに考えている。だが、会社自身は、その上場企業自身は事実関係を否定しておるという下で、今後、金融庁による審判手続、あるいは自主規制法人というところに委託をしているそこの調査の中で事実関係が明らかになっていけば、それを踏まえて、上場ルールの違反があったのか、あるいは上場適格性に問題がなかったのかなどを今後判断していくというふうにおっしゃっていて、今も二部上場企業として市場で証券は取引の対象になっているわけですよ。 しかも、事情がよく分からないと、まだ、ということの理由に、金融庁の審判そのものが全く進んでいないということもありまして、事情が余り私どもとしてもつかめていないというふうに思いますというふうに言っているんですね。 こうした事態になっているという下で、一般投資家の保護、あるいは大臣に冒頭お尋ねしたような海外からの投資の呼び込み、それ一般的に私否定しているものじゃありませんけれども、コーポレートガバナンスを強化するという形は整えても、現実にはそれが本当に、実際それ信じていいんですかということになりませんか。
○政府参考人(三井秀範君) 審判手続が始まらない、進んでいないという御指摘がございました。 先ほど説明を少しはしょりまして大変恐縮でございます。この審判手続、審判期日というのを公開して行うということが法律に規定されておりますが、公開の審判期日を開くに当たって、法令上次のような手続を踏むことが予定されてございます。 審判手続開始決定を行うというところまで申し上げましたが、その後、その審判手続開始決定書の謄本を、被審人といいまして違反者と目されている方に送達をし、そして審判期日、場所、違反事実、課徴金などの記載したものが相手に送達された後、相手に反論の機会を保障することに法令上なっておりまして、答弁書の手続という、法令上使う言葉ですが、その反論の書面を出していただけることになっております。そして、争いがある、要するに、先生から御指摘あるように、その会社は争っているということでございますが、仮に争うということにこれは一般論としてなりますと、そのための主張をする機会が保障されており、そして争点の整理あるいは証拠の整理を行います。ここまでが非公開で行われまして、その争点あるいは証拠の整理がなされ、それで、審判期日で実際に事実認定に至るような手続が迅速に行えるという整理を付けた上で公開の期日が開始されるということになります。 現状、具体的に個別の案件でどこまで何が進んでいるということは申し上げるわけにはいかないんでございますけれども、公開の審判期日に至るまでにはそれ相当の適正手続が法令上要求されているところでございまして、これを法と証拠に基づき粛々と進めるというところが私どもの使命であるというふうに考えてございます。
○仁比聡平君 大臣、ちょっと通告していたのかしていないとおっしゃるのか分かりませんけど、今のお話ちょっと聞いていただいて、事業が実際に経営破綻をしてしまったり廃業に追い込まれたりしてしまった後にファンドの犯罪が確定してももう遅いと。これ、当然、審判の手続は適正手続を踏まなきゃいけないと、これは当たり前のことですよね。だけれども、そういうことをそれぞれ言っている間に、結局、実際の経済活動が損なわれて、とりわけ健全な事業活動が食い物にされて、どんどんどんどん資金がどこか訳の分からないところに行ってしまうと。こんなことでいいのか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、非常に違法な活動をして、それがどこかに金銭が消えてしまう、富が消えてしまう、今までもそういうことがなかったわけではありません。そういうことがしばしば行われていいはずはないんで、やはりそれはきちっと、企業統治そのほか違法の摘発等々やらなきゃならないことだろうと思います。
○仁比聡平君 厚生労働省においでいただいています。 このAPFは、そうした形で経営者の悪質行為を告発した労働組合を嫌悪して排除する、そういう中で分社化を事業と労働者丸ごと行って、団体交渉にも応じないということをやっているわけですよ。こんなやり方というのは許されるんですか。
○政府参考人(熊谷毅君) お答え申し上げます。 投資ファンド等の労働組合法上の使用者性につきましては、基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができるかどうか、これを判断基準とする最高裁の判例が確立しております。 この判例を踏まえ、個々の事案に即して裁判所や労働委員会において判断されるものと考えております。
○仁比聡平君 いや、その最高裁判例があるのは存じ上げていますけれども、そういう部分的とはいえ同視できる程度にとか言っている場合ですか。現実にファンドが巨額の金や様々な術策を使って襲いかかってくるわけでしょう。その中で、会社が乗っ取られてしまう、事業が破綻していくと。このときに労働者が必死になって何が起こっているのか調べて、頑張って告発する、そういう活動を阻むために分社化をしたり団交に応じないなんという態度を取るわけですよね。 そのときに、そのファンドが、例えばこの場合であったら、一〇〇%株主であるそのK氏がですよ、今言われるような基準に当たるのかどうかといったような枠組みで考えるんですか。このファンドがこういうことをやってきているという現実に起こっていること、そこに着目して、新たな基準なり考え方なり、もし必要な法制が必要なんだというんだったら、そういうことを検討して提起するというのが皆さんの仕事なんじゃないですか。
○政府参考人(熊谷毅君) 本件の事案、個別の事案といたしましては、現在、労働委員会の方で審議されておるということでございますので、それについてお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、現在、この労働組合法上の使用者性につきましては、先ほど申し上げましたような内容の最高裁の判例が確立しておりまして、労働委員会の命令あるいは裁判所の判決、こういったものも近年、この最高裁の判例で確立した基準にのっとって行われているというものと承知しております。
○委員長(荒木清寛君) 仁比君、おまとめください。
○仁比聡平君 はい。 時間が参りましたから終わらざるを得ませんけれども、私、こうした事態を議論をしてみて、改めて、企業の健全な活動を発展させるために、労働者、労働組合の役割というのは極めて重いなということを感じます。本当に、本業で積み重ねた資産を流出させるとか海外に回してしまってどこに行くか分からないとか、そんなことをやめさせよう、まともな経営を求めようと、そういう声がやっぱり持続可能な経営というのをつくっていくんだと思うんですよね。それが企業の社会的責任をしっかり果たさせていくという道になるかと思います。 今回も含めて、会社法のそもそもにこうしたステークホルダーの位置付けがどんなふうになっているのか。今回、そうしたコーポレートガバナンスの強化という狙いでの改正が行われながら、このステークホルダーについての役割についての仕組みなり記載なりというものは行われていないということは残念でありまして、答弁はもう求める時間ありませんけれども、大臣、是非こうした利害関係者が会社の中で果たす役割というのも、しっかり今後検討していっていただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。 本日の議題であります会社法の一部を改正する法律案につきまして、前回に続いて質問させていただきたいというふうに思います。 まず初めに、今回の会社法改正案と日本再興戦略との関係につきまして、まず初めにお伺いさせていただきたいと思います。 平成二十五年六月十四日に閣議決定をされました日本再興戦略には、成長戦略の基本的な考え方の中で、止まっていた経済が再び動き出す中で、新陳代謝を促し、成長分野への投資や人材の移動を加速することができれば、企業の収益も改善し、それが従業員の給与アップ、さらには雇用の増大という形で国民に還元されることとなるというふうにされております。そうすれば、消費が増えまして、新たな投資を誘発するという好循環が実現し、地域や中小企業、そして小規模事業者にもこれは波及をしていくということとなると、また企業活動の好循環の目標がこのようにしてうたわれております。 そして、今回の会社法改正につながる内容といたしましては、コーポレートガバナンスを見直し、公的資金の運用の在り方を検討するとの項目の中で、会社法を改正し、外部の視点から、社内のしがらみや利害関係に縛られず監督できる社外取締役の導入を促進するという項目がこれは盛り込まれておりました。 加えて、三つのアクションプランの中で、コーポレートガバナンスの強化といたしまして、攻めの会社運営、会社経営を後押しすべく、社外取締役の機能を積極活用することとされており、このため、会社法改正案を早期にこれは国会に提出をして、独立性の高い社外取締役の導入を促進するための措置を講ずるなど、少なくとも一人以上の社外取締役の確保に向けた取組を強化すると述べられておりました。 そこで、今回の会社法改正でこの日本再興戦略の中でうたわれた戦略項目が今後どのように実践をされていくのか、そしてまた実現されようとしているのかをお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 昨年の六月、日本再興戦略が決定されまして、その中に今、谷委員がおっしゃったようなことがいろいろうたわれているわけですが、一つは、社外取締役の導入を促進していかなきゃいけないと。今回の改正では、社外取締役を置きやすい新たな会社類型を考えようということで、監査等委員として社外取締役を最低二人は置きなさいと、そういう監査等委員会設置会社制度を創設すると。 それから、事業年度の末日で社外取締役を置いていない上場会社等は、その事業年度に関する定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないし、あわせて、法務省令も改正しまして、事業報告、それから株主総会参考書類で社外取締役を置くことが相当でない理由を株主に開示するということも検討しております。 それから、改正法案に含まれている内容ではございませんが、法制審議会の附帯決議を踏まえまして東証が上場規則の改正を行っておりまして、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するよう努めなければならないというような規定を設けております。 こういった規定が相まって、社外取締役、確かに社外取締役を選んだら急にいろんなパフォーマンスが良くなるというわけではないと思います。しかし、これでコーポレートガバナンスを改善することによって、全体、好循環に入るということが期待されているわけでございまして、先ほどお引きになったようなことが回転してくることを私どもは期待しているわけでございます。
○谷亮子君 谷垣大臣、御丁寧に御答弁ありがとうございました。 前回のときもお話をいただいたと思いますし、またさらに、この社外取締役の義務化の促進というのは日本再興戦略の中でうたわれていて、どのように実現されるのかなと見守っていた方たちも多かったと思います。しかし、それはほとんど義務化に近いような形で実際に運用されていくのだということで、さらには、やはりコーポレートガバナンスの更なる強化の期待ですね、これを更に今後運用と同時に法律となった場合に期待をされていくということだというふうに私も認識をいたしております。 そして、今、谷垣大臣の方からもお話出ましたけれども、このコーポレートガバナンスについてどのような御認識をお持ちでいらっしゃるのかを少しお伺いさせていただきたいというふうに思います。 二〇一三年二月に東京証券取引所が公表いたしました東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書二〇一三を拝見いたしましたけれども、コーポレートガバナンスについての会社の取組に関する基本的な方針ですとか、さらにはコーポレートガバナンスの目的といたしましては、企業価値に言及する会社が、これは五三・三%、前回調査比で〇・九ポイント増と全体の過半数を占めておりました。また、連結売上高や外国人株式所有率が大きくなるに従い、ただいま申し上げました企業価値に言及する会社の割合も増加する傾向がうかがえるのだというふうに思います。また、企業不祥事を契機としてその在り方が議論されることの多いとも言われておりますコーポレートガバナンスでありますけれども、企業価値の向上こそがやはりコーポレートガバナンスの本来の目的であるという認識が、これは広がっているということがうかがえるというふうに思いました。 また、経営監視機能につきましては、監視又は監督に言及している会社は三六・六%ということで、これは前回の調査に比べますと一・七ポイント減少しているということで記載がされておりました。 これまでコーポレートガバナンスというのは、ある意味、監視ですとか監督するということにこれは重点を置いておられたと思うし、今もそういう議論がされていると思いますが、しかし、近年のこうした調査を見てみますと、コーポレートガバナンスの中で最も企業が求めているものというのは企業価値にこそあると。その企業価値というのは、企業の成長ですとか優れた人材が経営に入っているのか、さらには、創造性ですとか法令遵守ですとか等々ございまして、やはり今までの監視、監督という部分から、どちらかというと、そうした積極的な取組を目指す内容に重点を置くといった、その企業価値を高めることに割合が増加している傾向になってきている現状があります。 そこで、お伺いさせていただきたいんですが、このように、近年、コーポレートガバナンスについての企業認識が監視、監督から企業価値の向上に転化する傾向が明らかになってきております。 法務省といたしまして、コーポレートガバナンスについて、この企業価値ということにつきましてどのような御認識をされているのかをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) コーポレートガバナンスにつきましては、特別な定義というか明確な定義というものは必ずしもないのかもしれません。 ただ、一般的には、今委員がおっしゃいましたように、いろいろ不祥事等も起こりました。企業経営がやはり適法なものでなきゃいけない。そういう監督といいますか監査といいますか、そういったものを確立していこう、適法性を確立していこうという流れが一つあり、それからもう一つは、今企業価値という言葉でおっしゃったかと思いますが、企業の効率性やいろいろな意味での能力を高めてパフォーマンスを良くしていこうという二つの側面があるのではないかと思います。 それで、その議論も、言わばその適法性と企業の効率性というような、どっちに比重を置いて議論してきたかといいますと、平成五年に旧商法を改正した頃までは、どちらかというと、やはり適法性、そういう企業不祥事などをきちっとコントロールしていこうという方に重点が置かれていたように思いますが、平成十三年、十四年の旧商法の改正の頃から、日本企業が失われた何年とかいってなかなか業績悪化に苦しんでいたということもあったと思いますが、効率性、どうやったらそのパフォーマンスを上げていくかという点に比重が、どっちが大事というわけではないと思いますが、そちらの方の比重も重きを置かれるようになってきたのが議論の流れなのかなと私どもも認識をしております。
○谷亮子君 大臣、ありがとうございます。 ただいま大臣から御答弁いただいたとおりだというふうに私も認識はいたしておりますけれども、そこで、併せて伺わせていただきたいんですが、今回改正される会社法にも、日本の企業の実情や立法者のコーポレートガバナンスについての考え方が生かされたものでなければ実効性というものは高まらないというふうに思います。 また、今回の改正会社法に、ただいま大臣には企業価値についてどのようなお考えかということをお伺いさせていただきましたが、この企業価値の向上を促進する取組が今回の法改正でどのように盛り込まれているのか、お伺いさせていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(深山卓也君) これまでの議論の経過で明らかなように、コーポレートガバナンスの目的は大きく、コンプライアンス、適法性の強化という面と、それからもう一つ、今特に強調されている企業経営の効率性の向上と。この企業経営の効率性の向上というコンプライアンスの一つの大きな目的は、すなわち企業価値の向上ということに結び付く話でございます。 そして、今回の改正法案では、コーポレートガバナンスの強化を図るために社外取締役の機能を活用するということで、そのための改正点として、既に話に出ています監査等委員会設置会社制度を新たに創設するということ、それから社外取締役の要件を厳格化するということ、それから、社外取締役を選任しない場合には、これを置くことが相当でない理由を株主総会で説明することを義務化することといった社外取締役の活用の強化策というものが盛り込まれておりますし、また、会計監査人の独立性を強化するということも目指しておりまして、そのための改正点として、会計監査人の選解任等に対する議案の内容の決定権を監査役に付与するというような改正も行っております。 これらが総体として、コーポレートガバナンスの強化に資する、ひいてはコーポレートガバナンスの一つの大きな目的である企業経営の効率性、企業価値の向上に結び付く、そういう改正内容でございます。
○谷亮子君 御答弁いただきましてありがとうございます。 本当にそのコーポレートガバナンスの重要性というのはうたわれていますが、様々な方向からの取組というのがまさに必要であるというふうに思います。 そして、やはり海外の投資家から日本はどのように見られているのかというようなことも、どのような評価をされているのかといったようなこともよく言われるんですけれども、そこで、日本の決算書を作る際の会計基準というのは、これは国際会計基準、IFRSと、日本基準、そしてアメリカ基準の三つが認められております。そして、企業統治研究会報告書等を見てみますと、その中では、海外からどのように評価をされているのかというと、日本の企業の多くがグローバルに展開を現在しており、また、日本の株式市場も外国人比率が非常にこれは高くなってきていると。このような中で、社外取締役、社外監査役の独立性の強化や社外取締役の導入促進など、日本の企業統治に関するルールの在り方について海外からもこれは提言が寄せられているということも報告をされておりました。 そこで、改めてお伺いさせていただきたいんですが、今回の法改正で社外取締役の選任の義務化が見送られたことに関連して、内外の投資家に対してもう少し、日本政府と企業にはコーポレートガバナンスについての認識の進展について積極的であるという見方をこれはお示しする、海外に対して拡大をしていくというところも少し必要なのではないかなと考えますので、その辺をもう少しお聞かせいただければというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回の改正法の評価、内外の投資家がどう見ているか、いろいろだと思いますが、一つの目的は、日本企業は少しコーポレートガバナンスが弱いんじゃないかと、それが結局収益性等も十分でない理由ではないかというような見方が従来なかったわけではありません。それで、それを払拭しようというところが一つの狙いであるわけですね。ですから、そういう意味では、政府としての一つの積極性の表れと我々は主張しなきゃいけないんだと思います。 それで、しかし、さはさりながら、コーポレートガバナンスというのは、もうここまで行けばおしまいとかそういうものではなくて、やはりそのときそのときのいろいろな事柄を見ながら、足らざるものを補っていく、それは適法性といいますか、監督の面でもそうでございましょうし、効率性とか企業価値を高めるという意味でもそうだと思うんですね。 ですから、今回の法でも二年後に見直し規定を置いておりますのは、ある意味で、これでもうおしまいじゃないんだよと、これから先、やっぱり問題があればどんどん取り組んでいくんだよという意味でもあると私は思っているわけでございまして、こういった辺りを少し、何というんですか、発信し、内外の投資家にも御理解いただくような発信もこれからもう少し力を入れる必要があるのかなと思っているところでございます。
○谷亮子君 谷垣大臣のまた今後の取組にも御期待を申し上げさせていただきたいと思います。 今の谷垣大臣の御答弁を受けまして、日本の企業の投資家向けの広報、IRと、ガバナンスコンサルティングを行っているジェイ・ユーラス・アイアール社の報告によりますと、多くの日本企業はコンセンサスベース、これはある意味、ボトムアップベースの経営手法を取っておりまして、グローバル企業でのより一般的なトップダウンの経営手法、取締役会が経営の監督を担う手法とは異なっているとの報告がされております。 しかし、どちらの経営手法がこれはより効率的である、効果的であるのかを議論するのではなくて、グローバルの機関投資家がどのような考え方を持っているのかを日本企業はまず理解をした上で、自社のビジネスがどのような成果を上げているのかを経営陣が責任を持ってこれはお示しをし、説明をして、ガバナンスが機能しているということを発信することで、資本コストにネガティブな影響を与えたり、不必要な株主アクティビズムを生み出すようなことはなくなるのではないかと、顧客に対しましてもこれは理解を得ることができるというふうに私は思います。そして、世界標準で行われている自社のガバナンスをしっかりと説明する企業行動というものが、会社法改正後にも私はこれは必要になってくるのではないかなと考えております。 そして、次に、監査等委員会設置会社における監査等委員の独立性についても伺っておきたいというふうに思います。 監査等委員会設置会社における監査等委員は、経営者の職務執行の監視、監査を責務といたしておりますけれども、監査の実効性を確保するために地位が経営者から独立している必要があるというふうに思いますし、その必要性があるということが言われております。その独立性を保つ制度というのはどのように定めていらっしゃるのかを改めてお聞かせください。
○政府参考人(深山卓也君) 今委員の御指摘があったとおり、監査等委員会は、業務執行者を含む取締役の職務執行の監査をすることが仕事でございますので、その実効性を確保するためには、監査等委員会、ひいてはそれを構成する監査等委員が業務執行者から独立している必要があるというふうに考えております。 そこで、監査等委員会設置会社におきましては、監査等委員会の独立性を確保するために、一般の監査役設置会社における監査役の独立性を確保するための仕組みを参考といたしまして、監査等委員である取締役の選解任、それから任期、さらに報酬について特別の仕組みを設けております。 まず、監査等委員会設置会社におきましては、取締役の選任につきまして、監査等委員である取締役とそれ以外の普通の取締役とを区別して株主総会の決議をしなければならないということにしております。その上で、監査等委員である取締役の選任議案を取締役会に提出するには、監査等委員会の同意を得なければならないというルールも設けております。 また、一般の取締役を解任する場合には、株主総会の普通決議により可能でございますけれども、監査等委員である取締役の解任につきましては、株主総会の特別決議によることにしております。 さらに、監査等委員である取締役の選解任又は辞任については、監査等委員である各取締役、それ自身に株主総会における意見陳述権を付与することにしております。 次に、監査等委員である取締役の任期ですけれども、任期につきましては、その独立性を確保する観点から、それ以外の一般の取締役の任期よりも長い期間とすることとしておりまして、監査等委員である取締役の任期は二年、それ以外の普通の取締役の任期は一年と決めております。 さらに、報酬ですけれども、報酬に関する事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の一般の取締役とを区別して定款又は株主総会の決議で決めなければならないというルールにしておりまして、その定款や株主総会の決議で監査等委員である各取締役の個別の報酬を定めずに取締役全体の報酬総額の上限を定めるということも許されますけれども、その場合には、定款又は株主総会の決議によって決められたその上限の範囲内で、実際に個々の監査等委員である取締役の報酬をどう決めるかについては、監査等委員自らの協議によるというようなルールも設けております。 こういった種々の一般の取締役とは違った独立性確保の仕組みを設けるということにしているものでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。 ただいま御説明いただきましたことによりますと、監査等委員の、経営者から独立性を確保するための取組につきましては、監査等委員の選任、解任を、監査等委員である取締役を、その他の取締役とは別に株主総会で選任する株主総会選任型と、それから監査等委員を取締役会の議決によって選定する取締役会選定型の二つの方法が考えられるということが今お話しいただいたというふうに思います。 今回の改正では、株主総会選任型が採用をされて、改正案の仕組みを設けることと伺っておりますけれども、社外取締役への信頼が制度上も会社法に取り入れられないかという意見も、これはずっと強い意見がこれまでもあるという現状がございますので、監査等委員会設置会社の導入が進みましたところで検証を進めていくということもこれは今後必要になってくるのではないかなというふうに考えております。 そして次に、最終完全親会社等の株主による責任追及の訴えについてもお伺いさせていただきたいと思います。 多重代表訴訟制度の創設には、審議会で賛成、反対の大変な御議論があったことは承知をいたしております。結果として、利用できる範囲が限定的になって多重代表訴訟制度が創設をされたということでございますけれども、この制度が導入された背景には、一つには、現行法上では、完全親会社の株主は株主代表訴訟により完全子会社の代表取締役の責任を追及することができず、完全子会社の取締役と完全親会社の取締役との間に仲間意識というものがあるのではないかと言われておりまして、完全親会社が完全子会社の株主として株主代表訴訟を提起して当該完全子会社の取締役の責任を追及しないというおそれもあるとのことでございました。しかし、これらの企業ガバナンスを信頼するということで、この制度が必要かどうか、根拠を改めてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今御紹介があったように、この多重代表訴訟制度の導入につきましては、法制審議会においても積極、消極、両方の議論がありました。消極の議論としては、例えばその子会社の取締役等に責任を追及されないという問題が生じたら、それは子会社の監督を怠ったことについて親会社の取締役の責任を親会社株主が追及すればそれで足りるのではないかと。あるいは、その子会社の取締役の責任を追及するということになると、小さな子会社の取締役というのは親会社で見れば役員クラスではない、従業員クラスの方についても、使用人クラスの方についても代表訴訟の対象にすることになって、一般の代表訴訟とバランスを失するのではないかとか、あるいは新しいこういう制度を設けると濫訴の懸念があるのではないかと、こういったような論拠から消極的な意見もあったわけでございます。 ただ、この点も今委員がお触れになったとおり、現行法では、子会社の役員が会社に対して損害賠償責任を履行しない場合に親会社が株主として適切に代表訴訟を提起することは、その人間的な関係とか仲間意識からなかなか難しいという面があることも事実でございますし、また、こういった消極論の論拠について様々な議論がされまして、親会社の取締役の責任を追及すれば足りるということには必ずしもやっぱりならないと、直接、子会社の役員の責任を多重代表訴訟で追及できるということの方がやはり救済が厚いというふうなことが一つあります。 また、実質的に使用人に当たる者まで子会社の役員の責任追及の対象になるのはおかしいという点につきましては、重要な子会社に限定をして、大きな子会社の取締役に限ればそういう問題はないだろうということで、そういう要件もはめました。 また、濫用的な多重代表訴訟の懸念につきましては、多重代表訴訟の提起が株主間の不正な利益を図るとか、あるいは完全親会社に損害を加える目的というふうなものがある、言わば濫用的な提起の場合にはこれは許さないというような明文のルールを設けるというようなことにもしておりますし、提起権者を一%以上の議決権又は株式を有している株主に限定をするということもしておりますので、こういった様々な措置を講ずれば、消極論が前提としたような問題点というのは解消されるであろうと。そういったことで、積極的な考え方を採用して多重代表訴訟制度を今回新設したものでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。 実際には、ただいま御説明いただきましたように、救済につながるという観点からそのようにされたのだということが分かりました。私といたしましては、親会社がグループ企業全体のガバナンスの向上への自主努力に対して信頼が高ければ多重代表訴訟の制度は実効性を持たない制度となると思いますので、これはそうなることを個人的には望ましいというふうに感じているところでございます。 そして次に、また伺ってまいりたいんですけれども、改正案であります第二百五条二項関係と二百四十四条第三項関係について伺いたいというふうに思っております。 現行法第二百四条第二項では、募集株式が譲渡制限株式である場合には、募集株式の割当てを受ける者及びその者に割り当てる募集株式の数の決定は、株主総会の決議、これは取締役会設置会社にあっては取締役会の決議によらなければならないものといたしております。株主の個性が問題となる会社の譲渡制限株式ですので、株式総会の承認を要することで規律するものでございまして、実質的には譲渡制限株式の譲渡の承認の規律を譲渡制限株式の募集に際しても及ぼそうとする趣旨に基づく規定であるということでございます。 これに対しまして現行法第二百五条は、募集株式を引き受けようとする者がいわゆる総数引受契約を締結する場合には、募集株式の申込み及びその割当てについて定める現行法、二百三条及び二百四条の規定を適用しないものとこれはしております。総数引受契約というもの、本来は、引受先と会社との間で発行する株式の全部をこれは引き受ける契約でございまして、既に引受先が決定をしていて出資金の払込みが確実である場合、総数引受契約を締結することにより手続をこれは省略することが可能になるという規定であります。これにより、スケジュールを大幅に短縮でき、形式的で瑣末な書類を多数作成して送付する等のコストがこれは省けることにもなるわけでございます。そして、募集割当て手続が取締役会決議あるいは株主総会決議になくても、これは代表取締役の決定で割当て先が決定できるということになるわけでございます。 今回の改正法の二百五条二項では、募集株式を引き受けようとする者が総数引受契約を締結する場合にあって、当該募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社には事前に株主総会の特別決議、これは取締役会設置会社にあっては取締役会の決議によって当該契約の承認を受けなければならないとされており、ただし、定款に別段の定めのある場合にはこの限りではないとして、二百四条の二項と同じ規律を及ぼすようにこれは改正をされております。 また、第二百四十四条第三項の規定でも、募集新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数引受契約を締結する場合においては、第二百五条の二項と同様の規律がこれは設けられております。 この改正は、今回の会社法制の見直しに関する要綱の中では、これはその他のところに分類されておりまして、これはある意味実務上は大変でまた重要な改正であったというふうに私は感じているんですけれども、なぜこのような二つの規定が今まで設けられずに今回の改正になったのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今委員から詳しく説明していただいたとおり、現行法では、募集株式の割当てについて、その募集株式が譲渡制限株式である場合、こういう場合には、株主総会決議、取締役会設置会社では取締役会の決議ですけど、これを要するという第二百四条二項の規定は、総数引受契約といいまして、募集株式を引き受けようとする者がその全部の総数を引き受ける契約を締結する場合には適用しないという、適用除外の規定が二百五条に設けられておりました。 しかし、元々、二百四条の二項という、株主総会の決議あるいは取締役会の決議を要するというこのルールの趣旨は、譲渡制限株式の譲渡の承認について株主総会あるいは取締役会の決議を要するという譲渡制限株式の原則的なルール、この同じ趣旨を譲渡制限株式の募集に際して及ぼそうという趣旨のものでございましたので、この趣旨から考えますと、総数引受契約で募集株式を募集するという場合に、これを適用除外にするというのは、むしろその趣旨からして余り合理性はなかったんではないかというふうに思われます。 そこで、改正法案では、総数引受契約を締結する場合であっても、募集株主が譲渡制限株式であるときは、この譲渡についての基本ルールを及ぼすという趣旨で、株主総会の決議、あるいは取締役会がある場合には取締役会の決議によってその承認を受けなくちゃいけないということにして、やや合理性を欠いた適用除外規定を原則どおりの取扱いに戻すということを明定すると、こういうこととしたものでございます。
○谷亮子君 御丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。 ただいまお話ございましたように、総数引受契約がこれは締結される場合であっても同様に当てはまると考えられますので、総数引受契約が締結される場合であっても、募集する譲渡制限株式の割当てに関する事項の決定については事前の株主総会の決議を要するものが相当であると考えられるためと、そのために改正されたものであるということでよろしいかというふうに受け止めさせていただきました。 このことは、法務省から会社法制部会に御提案を最終的には申し上げられまして、要綱に盛り込んでいただいたものであるというふうに思いますけれども、これは本当に必要な改正にしっかりと取り組まれているということで、今日最後に取り上げさせていただきましたけれども、さらに、今回の会社法が企業の成長と日本の経済の発展に貢献されるように、運用において今回の改正の趣旨が生かされますことを期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、柳本卓治君が委員を辞任され、その補欠として滝波宏文君が選任されました。 ─────────────
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。 会社法の一部を改正する法律案に関して、まず冒頭に、整備法の修正に関する質疑を提案者にお伺いをしたいと思います。 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の改正規定を追加し、同法第十二条第一項の特定事業者のうち特定会社については、改正後の会社法第四百六十七条第一項第二号の二の規定は適用しない旨の修正が衆議院で行われました。 そこでお伺いいたしますが、十三日の参考人質疑でも明らかになりましたけれども、水俣病不知火患者会は、水俣病に関する裁判が係属していることなどを挙げて、チッソの責任を免責し、水俣病の幕引きを図ろうとする修正案提出は許されないと訴えています。このように訴える患者団体に対して修正案提出の理由等を丁寧に説明されたのか疑問でございます。 また、整備法について、修正の必要性と、修正しなかった場合の影響について、修正案提出者に確認をしたいというふうに思います。
○衆議院議員(西田譲君) 糸数議員にお答え申し上げます。 今、冒頭御質問の中でお触れになりましたとおり、先日の参考人質疑等で、参議院で、その地元の被害者の方々の御意見をお聞きになられて、そして、そういった方々のお訴えにまさしく気持ちを寄せていらっしゃる先生の御質問また政治姿勢に対しては、心から敬意を表するものでございます。 この修正案を提出する前に、我が党所属のまさに熊本県選出でこの特措法の制定においても御尽力されました園田博之議員の方から、不知火会の代表者の方と面会をさせていただいて、今回の修正案の趣旨について丁寧に説明をさせていただいたものでございます。 そしてまた、今回の必要性、そして修正しなかった際の影響ということでお尋ねでございますけれども、今回の修正案によって救済の時期等について何ら影響が出るものではないというふうに認識をしております。ただ一方で、この救済の時期に対する影響はないんでございますけれども、その後の清算処理等のこの水俣病特措法スキーム全体に対しては何らかの影響が出るのかもしれないという認識は持っております。 いずれにいたしましても、繰り返しの答弁になりますが、当時のやっぱりこの特措法を制定された立法の趣旨を尊重するという意味においては、新たな法手続若しくは権利行使の根拠となるようなことは適切ではないというふうに考えております。
○糸数慶子君 私、参考人質疑のときにも、やはり不知火患者会の皆さんの悲痛な訴えというのが今も耳に残っているわけですけれども、やはりこの救済に関しては、全体に何らかのその影響があるかもしれないという今のお話でございましたけれども、是非、全体が救えるようなその状況をやはりつくるべきだというふうにあえて強く申し上げたいというふうに思います。 次に、環境省としては、整備法が修正されず、会社法の改正の規定が適用された場合でも、水俣病特措法における事業会社のこの株式の売却に関してやはり問題は生じないということでしょうか。 そもそも、問題があるということであれば、整備法の提出の際にきちんと手当てしておく必要があったのではないかと思います。問題は生じないということであれば、どのような理由からこの会社法の改正の適用が問題ないと判断したのか、環境省にお伺いいたします。
○政府参考人(清水康弘君) お答え申し上げます。 環境省といたしましては、水俣病の原因企業の株式譲渡につきましては、水俣病被害の補償や救済が確保されるという観点から、水俣病特措法の規定に基づき環境大臣としての判断をしっかり行うことが重要であると認識しているところでございます。さらに、現状、株式譲渡のための環境大臣承認の要件が整っている状況にはないと認識しております。こういうことを勘案いたしまして、今回、株主総会の特別決議を水俣病の原因企業の株式譲渡について適用しないとするような内容の改正をするという方針は取らなかったと、そういうことでございます。 今回、議員立法についての議員修正でございますが、水俣特措法の制定に関わられた議員の方々のお考えに基づき提出されたものというふうに受け止めておりまして、賛否という形でのコメントを申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。 いずれにしましても、今回の議員修正によりまして、水俣病特措法の株式譲渡に係る環境大臣の承認手続については何ら変更がなされるものではございませんので、環境省といたしましては、水俣病被害の補償や救済が確保されるよう、水俣特措法の規定に基づきしっかりと対応していきたい、かように考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 先ほども申し上げましたけれども、やはり今の患者会の皆さんの思いがしっかり行き届くような、そして補償されるような状況を是非とも環境省には強く申し上げたいというふうに思います。 次に、今回の法案に対する対案に対しての質問をさせていただきたいと思います。 社外取締役のその人数についてでありますが、特定大会社においては取締役のうち一人以上は社外取締役でなければならないものとしていますが、社外取締役に期待される経営に対する監督機能を果たすためには取締役会において何人の社外取締役が必要なのでしょうか。 社外取締役の選任の義務化の人数として一人で十分と言えるのか、発議者に確認をしたいと思います。
○前川清成君 ありがとうございました。 特定大会社におきましては、私たちの提案では、社外取締役が任期の途中で退任した場合には、ほかに社外取締役が一人も取締役会にいなければ選任義務違反の状態となりまして、それ以後の取締役会におかれてなされた取締役会決議は無効なものとなってしまいます。したがいまして、一人しか社外取締役がいなかったとしても、自らの立場を言わば拒否権的に使うことができて、社外取締役は一人であっても十分に機能するのではないか、こういうふうに考えています。 ただ、もっとも、一人よりも複数いた方がいいことは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、今経済界で社外取締役の人選等について極めて否定的な雰囲気がある中で、あえて複数の社外取締役を義務付けるという状況にまでまだ至っていないのではないかと、こういうふうに考えて、今回は一人という提案をさせていただきました。 何人が望ましいのかというお問合せもいただきましたけれども、それはまさに会社の規模でありましたり、あるいはその会社の業務内容、取締役会の構成人数、そして当該社外取締役の能力だったり意欲だったり、そういったものに左右されるのは当然だろうと思いますけれども、ただ、海外で主流の委員会設置会社においては社外取締役が半数以上というふうになっておりますので、将来的には私たちの提案しております特定大会社に関しては半数以上というのを目指すべきではないかと、こんなふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 将来的には半数以上ということは、これは時間が掛かるかと思いますけれども、そのように進むことを望みたいと思います。 次に、社外取締役の義務付けの定め方についてでありますが、これは、東京証券取引所は有価証券上場規程を改正し、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するよう努めなければならない旨を定め、今年二月十日から施行しましたが、これは一昨年九月の法制審議会の総会で採択された会社法制の見直しに関する要綱の附帯決議に基づくものであると承知しております。しかしながら、社外取締役の導入を会社法で定めるべきか、金融商品取引所の規則等に委ねるべきであるかについては、法制審議会会社法制部会では議論が重ねられたというふうに聞いております。 そこで、やはり会社の経営管理機構の在り方の基本に関わる事項は会社法で定めるのがよいのではないか、将来を見据えて会社法が社外取締役の活用を促進することは有益であるというふうに思われますが、このことに関しても発議者に確認をしたいと思います。
○前川清成君 まず、この社外取締役の義務付けという会社法の最も基本的な部分でありますので、会社法に定めておくことは私はむしろ言わば当然だというふうに考えています。 それと何よりも、経済がグローバル化しています。そんな中で、日本の会社に関するルールを日本の会社法を見ても分からないと、会社法だけじゃなくて、例えば、法務省の通達も見なきゃいけないし、上場規則も見なければいけないし、あるいは判例も見ないとトータルとして会社に関するルールが分からないというのであれば、やはり日本市場というのは海外からの投資の対象にならない、グローバルな競争の中に残っていけないと、そういうふうに思っております。 それと、東証の上場規則に関しては、今、糸数先生がおっしゃったように努力義務というふうに書かれておりますけれども、その努力義務の違反の効果というのもはっきりされておりません。そういう意味において、やはり私たちは会社法の中にルールとして明記するべきだと、こういうふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 次は、政府案に対する質疑を行いたいと思います。 現行会社法におけるガバナンスの面の規制と、その評価と課題についてでありますが、二〇〇六年、これ平成十八年の五月に施行された現行の会社法は、非上場のベンチャー企業や小規模企業から上場大企業まで全てを対象としており、従来の商法等の規定と比較して、会社の組織設計や資本金など、経営の自由度を高める規定となっています。また、他方では、証券取引法を改組する形で平成十九年九月に施行された金融商品取引法では、市場の公正性確保や投資家保護の観点から、上場企業の情報開示に関する規定が定められています。 もとより、金融商品取引法と会社法はその目的を異にするものでありますが、その後生じた企業の粉飾決算等の事例を踏まえて金融商品取引法の情報開示規制がしばしば改正がなされていることを踏まえれば、会社法においても現実の企業経営の実態に合わせて必要な規制を適時適切に講じていくことが必要であったのではないかというふうに考えます。 今回の会社法改正案では、監査等委員会設置会社制度や、社外取締役、社外監査役の位置付け等、ガバナンス強化の観点からの改正項目も含まれていますが、現行会社法におけるガバナンスの面での規制をどのように評価し、そして課題を認識しているのか、お伺いいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 現行の会社法におけるいわゆるコーポレートガバナンスについては、幾つかの批評がございまして、要するに、取締役に対する監査、監督の在り方が少しぬるいのではないかと、そこを見直すべきであるというような御指摘がありました。それで、それは結局のところ、こういう御指摘の背景には、日本企業ではコーポレートガバナンスというのが不十分なんじゃないかと、そして、そういうことが結局、日本企業の収益力が上がらないし、株価も低迷して魅力のある投資先に映らないのではないかというような、内外、主として海外からそういう御批判があったのではないかと思います。そういうことから、社外取締役の活用等を考えろと、こういう御意見が出てきたと。 今回、そういうお声に応えるという意味で幾つかの改正をしたわけでございますが、コーポレートガバナンスを強化するということは、先ほど来の御議論で、一つは、やはりコンプライアンスの強化というか適法性、あるいはいろいろな企業の腐敗していくことをきちっとコントロールせよという面と、それからやはり企業の企業価値といいますか、収益性といいますか、企業の魅力といいますか、そういうものを、効率性ということもございますね、そういうことを図るということが、両方あると思います。 今回、先ほど来御議論のように、義務付けということはこの私ども出したものではしておりませんが、いわゆる相当義務付けに近い内容になっているということでございまして、これによって日本企業に対する内外の投資家の信頼が高まることを期待しているということでございます。
○糸数慶子君 そもそも、小規模企業とそれから上場している大企業では、株主や従業員、取引先などの利害関係者の数も大きく異なります。求められるガバナンスの在り方にもおのずから相違があるというふうに思います。小規模企業のガバナンスを軽視するものではもちろんありませんが、一般的には上場企業それから大企業となるほど利害関係者との関係がより複雑となるため、ガバナンスの更なる強化が求められることになります。 現行の会社法においても、一定の大企業には取締役会や監査役の設置、そして内部統制システム構築の方針決定などを義務付けていますが、更に進めて、上場企業、大企業のガバナンスを特に強化する枠組みを会社法に設けることも必要ではないかというふうに考えます。その際、現行は会社法と金融商品取引法に分かれている上場企業の情報開示に関する規定の整理や、上場企業を対象とする特例の会社法制、いわゆる公開会社法なども考えられますが、こうした考え方について改めてまた大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 会社法とそれから金融商品取引法を一本化したらどうだと、特に開示制度等々は一元化すべきではないかというようないろんな御議論があることは私も承知しております。 ただ、会社法は、やっぱり企業の設立、あるいは組織、運営、管理、こういうものに対する組織の基本を定めたものでございます。そういう中で、会社あるいはいろいろなステークホルダーの利害調整というものを図っていると。一方、金融商品取引法は、投資家一般の擁護といいますか権利を守るといいますか、そういう観点から作られた、不正取引の規制等々を行うということで、両法の狙いは私は違うと思うんですね。そこで、一本にまとめるということは、そういう観点から申しますと、かなり規律の目的であるとか機能が違う、かなり一本にまとめるというのは困難があるのではないかと思っております。 ただ、実際、私は十数年前、金融担当の閣僚もやらせていただいたんですが、当時は、会社法と当時は証券取引法ですね、随分考え方も違うというか、相当悪い言い方をすれば角突き合わせるということも多かった、必ずしもないわけではなかったと思います。今必要なことは、こういう法体系は違うわけですが、だからといって実務の負担の軽減ということを考えなくていいわけではない。両者の規律の調整が、角突き合わせていればいいというわけではない。両法の規律の調整を図るというようなことが私は必要ではないかと思います。 そういう面は、十数年前、金融担当をやらせていただいた頃から比べますと意識も変わってきておりますし、かなりいろいろな面で進んできた面があると思いますので、これからもそういう点は意を用いていかなければいけないのではないかと思っております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 かつて私も財政金融委員会に所属しておりましたので、谷垣大臣とはその頃からのお付き合いでございますけれども、今の御発言にございましたように、やはり進んでいくという状況を見守っていきたいというふうに思っております。 次に、社外取締役制度の強化に向けた対応についてお伺いをしたいと思います。 今回の改正案では、社外取締役、社外監査役の要件の厳格化が図られる一方で、経済界からの反発等を背景にして、社外取締役選任の義務化自体は見送られています。これに対しては有識者からも批判があるほか、与党内でも義務化を求める意見があったというふうに報じられていますが、日本では社外取締役に対して、その会社や業界についての知識がないなどとしてその役割を懐疑的に見る意見もいまだに少なくありません。また、身内で固めた経営陣の中に社外の人物を入れたくないという意識もあるのではないかというふうに思われます。 ただ、本来、取締役ないし取締役会にとっては、会社の業務執行だけでなく、業務の監督、モニタリングも重要な役割でありますし、社外取締役の役割をどのように位置付けているのか、法務省の御認識をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役につきましては、業務執行者の業務執行全般を評価して、これに基づいて取締役会における業務執行者の選定、解職決定についての議決権を行使するといったことを通じて業務執行者を適切に監督するという機能が期待できると思っております。 また、利益相反行為の監督機能、すなわち、株式会社と業務執行者との間の利益相反を監督する機能や、株式会社とその業務執行者以外の、例えば親会社等の利害関係人との間の利益相反を監督するという機能もよく果たせるのではないかと期待をしております。 このように、社外取締役には、コーポレートガバナンスを強化する上で非常に重要な機能を果たすことが期待できると思っているところでございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 次に、社外取締役の選任状況等に対する評価について、金融庁と法務省についてお尋ねをしたいと思います。 東京証券取引所が昨年九月十日に公表した東証上場会社における社外取締役の選任状況等によれば、東証第一部上場会社の六二・三%で社外取締役を選任しています。第二部やマザーズ、ジャスダックも含めた全上場会社ベースでは五四・二%と、過半数の会社で社外取締役を導入している状況にあります。 社外取締役の選任の義務付けは、必ずしも法律で規定するものでなくても、証券取引所の規則で対応する方法もあります。現に東京証券取引所では、独立役員制度を設け、各上場会社に対し、現行の社外取締役等よりも要件を厳格化した独立役員を一名以上確保することを求めています。さらに、法制審議会の会社法制の見直しに関する要綱の附帯決議に対応して、本年二月以降は取締役である独立役員を一名以上確保することと改められています。 政府としては、上場会社の社外取締役選任状況をどのように受け止めているのか、また、取引所規則によりますと、規律と、会社法自体に明文の規定を置くことによる規律について効果の違いをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今般の改正法案では社外取締役の選任を義務付けることはしておりません。それは何度もお話に出ていますけれども、法制審議会ではこの点が最大の検討テーマとして取り上げられて何度も議論をしたんですけれども、賛成、反対、それぞれ論拠を持って非常に強く両者の意見が対立をしてコンセンサスが得られなかったというのがその最も基本的な理由です。 さはさりながら、仮に義務付けるとした場合でも、会社法だけではなくて上場規則などの手段もあるのではないかという点についてもお尋ねがありましたけれども、義務付けするという結論になった後の話として、どういう形式で、つまり、ソフトローである上場規則でやるか、法律である会社法でやるかというのは、どちらの選択肢も少なくとも論理的にはあると思います。 今の段階で、義務付けの結論を得ていない段階で、どちらがいいとか、どちらでなくちゃいけないということはありませんけれども、諸外国の例を見ても両方の例があるということは明らかですので、それは、仮に義務付けるとなったときにどちらがいいのか、我が国にとっていいのかということをその段階で考えなくてはいけない問題だと、こういうふうに思っております。
○政府参考人(氷見野良三君) ただいま民事局長から御答弁ありましたとおり、二通りの方法があり得るというふうに私どもも考えてございます。その上で、仮に義務付けを行うこととなった場合、いずれによるべきかという御質問だったと思いますけれども、一つは、会社法は、会社の設立、組織、運営及び管理に関する事項を定める民事の基本法でありますが、一方、上場規則は、投資者保護、有価証券の売買の公正、円滑などの観点から、取引所が上場有価証券に関して必要な条項を定めるものでございまして、仮に議論する場合には、こうした会社法と上場規則の目的や機能の違い等も踏まえながら考えていくことになるのではないかというふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 次に、昨年秋に顕在化したみずほ銀行の反社会的勢力への対応に関連して、当時のみずほ銀行の取締役会に社外取締役が選任されていなかったことを問題視する意見がありました。昨年十二月に取りまとめられました金融・資本市場活性化に向けての提言においても、上場している銀行及び銀行持ち株会社について、独立性の高い社外取締役の導入を促すことが必要であるというふうにされております。金融庁は、監督指針を改正して、上場銀行、銀行持ち株会社に対し社外取締役の選任を促す方針とされております。 一方、金融庁がまとめたところによりますと、上場している八十五の銀行そして銀行持ち株会社のうち、東京証券取引所が定める基準に適合する独立取締役を選任していないところが三十六に上っているというふうに言われております。 政府は、社外取締役を導入することで金融機関の経営、業務執行にどのような効果をもたらすと考えているのか、また、現在、社外取締役の選任状況をどのように評価しているのでしょうか。さらに、現在、銀行、銀行持ち株会社についてのみ議論されていますが、保険会社や証券会社など他の金融業態でも、保険金不払事案やそれから公募増資インサイダー取引事案など不祥事がしばしば生じています。他の金融業態についても同様に社外取締役の選任を促すことが考えられるのではないでしょうか、この点についてお伺いいたします。
○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。 金融庁では、ただいま先生から御指摘がございましたように、昨年十二月に公表されました金融・資本市場活性化有識者会合の提言を踏まえまして、本年二月に上場銀行等におけます独立社外取締役の導入促進に係る監督指針改正案をパブリックコメントに付させていただきまして、現在、いただいた御意見を精査させていただいているところでございます。 金融機関に独立社外取締役を導入することの効果というお尋ねでありますが、金融機関が健全かつ適切な業務運営を行うに当たっては、経営管理が適切に機能していくことが重要であると考えられます。その際、独立社外取締役の導入は、経営管理の有効な機能発揮に資するものであるということを期待しているところでございます。 あわせて、金融機関における独立取締役の選任状況についての評価というお尋ねでございました。 今御指摘がございましたように、上場しております主要行など、あるいはその銀行持ち株会社におきましては、七先中七先全てに独立社外取締役が設置されておりますが、上場の地域銀行等におきましては、御指摘のとおり、八十五先中、四十九先では独立取締役が選任されておりますが、三十六先においては未設置であるというのは御指摘のとおりでございます。 私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、現在、こうした上場銀行等におけます独立取締役の導入促進に係る監督指針の改正案を公表させていただいているところでございまして、今後、こうした改正後の監督指針に沿いまして、上場銀行等におけます独立社外取締役の導入を通じてガバナンスの強化を図ってまいりたいと考えております。 さらに、あわせまして、保険会社、証券会社についてのお尋ねがございました。 御指摘のとおり、保険会社や証券会社につきましてもしっかりとしたガバナンス体制の構築が重要であるということは御指摘のとおりだと思います。このため、保険会社や金融商品取引業者等に関する監督指針においても経営管理体制の整備を求めているところではございますが、他方、独立社外取締役の導入ということになりますと、例えば保険会社につきましては、株式会社形態だけではなく、相互会社形態のものでありますとか、海外保険会社が現地法人形態で進出している場合があるなど様々な形態がある。また、証券会社については、国際的に活動している大手証券から地場証券まで、規模、業務内容がまちまちであるということで、一律に独立社外取締役の導入を求めていくということについてはなお慎重に検討をする必要があるのではないかと考えております。 ただ、いずれにしましても、保険会社、証券会社におきましても適切なガバナンスの発揮がなされるよう適切に配意してまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 次に、今回の改正案の附則第二十五条には、施行後二年を経過した場合の企業統治に係る制度の在り方についての検討条項が置かれています。また、金融・資本市場活性化に向けての提言においても、企業統治の強化については、会社法の一部改正法案の附則を踏まえ、一定期間後には、社外取締役の選任状況等を勘案し、企業統治の在り方について検討を加え、更なる対応を検討すべきであるとの提言もなされています。 この規定や提言項目が設けられた意義はどのようなものであるか、また、このいずれにおいても勘案すべきとされる社外取締役の選任状況とは具体的にどのような状況を指しているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今回の改正法案はコーポレートガバナンスの強化を図ることを大きな目的とするものでございます。ただ、コーポレートガバナンスに関する制度については、その性質上、これで完全だということはあり得ませんで、我が国の企業のコーポレートガバナンスをより一層前進させるというために、あるべきコーポレートガバナンスの姿に向けた議論はこの改正法が成立した後も継続される必要があると思っております。 こういった点を踏まえますと、コーポレートガバナンス、すなわち企業統治に係る制度の更なる改善を図るために、その在り方について今後も引き続き検討を加えていくということで附則第二十五条、今お話に出た検討条項を設けました。 政府は、施行後二年を経過した場合に、社外取締役の選任状況その他の社会経済事情の変化等を勘案して、企業統治に係る制度の在り方について検討を加えて、必要な場合にはその検討結果に基づく所要の措置を講ずるというものでございますけれども、これは具体的に、例示としては、例えば社外取締役を置くことの義務付けというようなことも挙げておりますが、これは、二年たった段階で、実際に社外取締役がどの程度導入が進むのか、現在から見てですね、また活用状況やその評価はどうなのかといった点を十分に調査して、その結果に基づいてどうするのかということを決める趣旨でございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 次に、監査役、監査役会の意識改革の必要性についてでありますが、監査役、監査役会は本来強力な権限を持っているはずですが、実際には選任も経営者の意向によることで、言わば社長の部下でしかないとの厳しい指摘もされてまいりました。 オリンパスや大王製紙などの不祥事、それからみずほ銀行の反社会的勢力融資問題でも、監査役が職責を果たしたとは言えない状況だというふうに思います。今回の改正案では、監査等委員会といった新たな監査体制の枠組みをつくる一方で、会計監査人の選任議案の決定権が新たに監査役会等に付与されることとなり、より一層権限が強化されますが、こうした中で、社内監査役、社外監査役問わず、監査役、監査役会自体の意識改革が果たされなければやはり権限強化を使いこなすことも期待できないと考えますが、御認識はいかがでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 現在の我が国の企業の圧倒的な大部分が監査役設置会社あるいは監査役会設置会社でございますので、監査役それから監査役会は、我が国の企業においてコーポレートガバナンスが適切に行われるためには重要な役割を果たしているというのは事実でございます。 今回の改正法で新たな会社類型として監査等委員会設置会社制度を創設いたしましたけれども、実際にはその改正法施行後も相当な数の従来型の監査役設置会社あるいは監査役会設置会社が存続し続けるということになると思いますので、各会社のコーポレートガバナンスが適切に行われるためには、監査役も含めた企業関係者がガバナンスの強化の重要性について更に理解を深めて、監査役についていえばその職責の重要性を更に認識をしていただいて職務を遂行していただくことが重要だと思っております。 社会の変化に伴ってそういった監査役の役割に対する理解や認識は浸透してきているものと考えておりますけれども、法務省としては、改正法が成立した暁には、今回、コーポレートガバナンスの強化を大きな目的として改正をしたのだという改正法の趣旨を監査役も含めた企業関係者に理解してもらえるよう周知広報に努めたいと思っております。
○糸数慶子君 会社法に基づく会計監査人、それから監査及び会計の専門家である公認会計士や監査法人から選任することになっております監査人の役割は株主のために監査を行うわけですが、その選任及び報酬の決定は監査の対象である経営者によって事実上行われることになります。監査対象から選任され報酬を受けるという構造上、監査人は独立性を保っていないという、いわゆるインセンティブのねじれの問題もあるわけですが、この対応策の一つとして、平成十九年の公認会計士法等の改正の際には、選任議案の決定権そして報酬等の決定権を、現在は同意権にとどまっている監査役、監査役会に与えるべきとの強い意見が主張されてまいりました。 今回の改正案では、監査役、監査役会等に選任議案の決定権が与えられる一方で、報酬等の決定権を付与することは見送られています。このような改正となったのはどのような理由でしょうか。また、監査報酬のその決定権については、平成十九年六月十四日の参議院財政金融委員会において、会計監査人の報酬の決定を定款の定めによって株主総会の権限とすることも可能であるとの答弁がなされていますが、この点についても現在でも変更はないでしょうか、お尋ねいたします。
○政府参考人(深山卓也君) まず、御質問の前半部分でございますけれども、現行法では、御指摘のとおり、会計監査人の報酬等の決定は取締役又は取締役会の権限としつつ、監査役等が報酬決定についての同意権を有するとされております。この点については、いわゆるインセンティブのねじれが存在するということを理由として、会計監査人の独立性を確保するためにはこれを監査役等の権限とむしろすべきであるという指摘があるのは承知しております。 この点は法制審議会でも議論にもちろんなりましたけれども、会計監査人の報酬の決定というのは選解任についての議案の内容の決定とは異なりまして、会社の財務に関する経営判断と密接に関連する、お金を出すという話ですので、そういう事柄の性質から考えて監査役等が報酬を決定するのは適当ではないんではないかというような意見が有力で、今回はこの点について特段の変更は加えておりませんけれども、他方で、選解任の方の議案についてのインセンティブの半分のねじれは解消しているということもございますので、今後は、それと相まって、報酬についても選解任の議案についての決定をする際に実際上様々な考慮をするという形でより独立性が高まるんではないかということも期待しております。 それから、御質問の後半では、平成十九年の参議院の財政金融委員会において、会計監査人の報酬の決定を定款の定めによって株主総会の権限とすることも可能である答弁が今も生きているかという趣旨だと思いますけれども、これは現在でもそのような定款の定めは有効であると解釈しております。
○委員長(荒木清寛君) 糸数さん、おまとめ願います。
○糸数慶子君 はい。 まだ通告はしておりましたけれども、時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時四十分散会