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186回国会参議院2014/05/13

法務委員会 第14号

発言数
189
登壇者
18
会派数
8
開催日
2014/05/13

会議録

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る八日、島田三郎君が委員を辞任され、その補欠として吉田博美君が選任されました。     ─────────────

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 理事の辞任についてお諮りいたします。  有田芳生君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。  それでは、後日これを指名いたします。     ─────────────

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び会社法の一部を改正する法律案(参第一〇号)を議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

石井準一自由民主党

○石井準一君 自由民主党の石井準一です。  企業の基本的なルールを定めた会社法の審議ということであります。まず、社会における企業の在り方について考える良い機会だと思います。  日々真摯な経営に取り組まれている企業の多い中、一部とはいえ企業による巨額の粉飾決算や背任事件など不祥事に触れるたびに、企業の在り方とその社会的価値について考えさせられます。企業は経済を支える重要な存在で、企業の発展なくして経済の発展はあり得ません。同時に、企業は社会においても重要な役割を担っております。  利益を追求することは企業活動の基本ですが、それはあくまで手段であり、その存在の目的は、本来、事業などを通じて得た利益を何らかの形で社会に還元をし、社会の役に立つということではないのでしょうか。利益追求の先にある社会的責任を果たすことで社会からの信頼を得ることができ、その存在価値を確立する、この好循環を生むことが企業の存続発展を考える上で重要なことではないのでしょうか。  本改正案では、日本経済の強化を図り、企業の信頼度を高めるための施策が盛り込まれておりますが、企業経営を行うのはあくまでも人であります。私は、日本の企業に対する信頼度を高めるために、まずは法的基盤の整備をしっかりと行い、社会秩序の確立を図っていくのと同時に、携わる一人一人が正しい道徳観や高い倫理観に基づき行動していくことが大切であり、企業に対しては、過度に利益追求に傾倒し過ぎないよう社会の一員としての責任を担いながら、個々の良心に従って正しい経営を行うことが求められております。そうした考え方に基づき、本法案の審議に当たってまいりたいと存じます。  我が国は現在、長期にわたる不景気、急速な少子高齢化とそれに伴う労働力の減少など、経済面においても多くの課題に直面をしております。現在、安倍政権は、これらの課題克服のためアベノミクスと呼ばれる経済政策を行っているところでありますが、その結果、円安、株高となり、二十年にわたる不景気からの脱却に向け、以前に比べると世の中が明るい雰囲気になりつつあるように感じておるのは私だけではないと思います。  アベノミクス効果が着実に現れている今、本改正案が企業の経営に関わる基本的なルールとして新しく法制定された平成十七年以来初めての正式改正案としての審議が始まったところでありますが、成長戦略の一つに位置付けられている会社法改正がどのように日本経済の成長につながることが見込まれているのか、アベノミクスにおける重要度と併せて、まずは谷垣法務大臣の所見をお伺いをしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、石井委員から、どのように今回の法改正が日本経済の成長につながっていくのか、またアベノミクスの中での位置付けは何なのかというお問いかけでございました。  今回の会社法改正は、いわゆるコーポレートガバナンスと申しますか企業統治、現行法ですね、現行法では社外取締役の機能が十分活用される形になっていないんじゃないか、取締役に対する監査や監督の在り方を見直すべきではないかと、こういうことから今回の改正法を作ったわけでありますが、その背景には、日本企業では十分なコーポレートガバナンスが行われていないんじゃないか、このことが外国企業と比較して日本企業の収益力を低くしており、また株価も低迷している原因となっているのではないか、特に海外の投資家からこういうような懸念が寄せられていた、そういう不信感にお応えしようということがございます。  それから、我が国の会社法制では、従前から親子会社に対する規律等々が十分整備されていないのではないかという御指摘もございました。  ですから、今度の改正法案は、こういう状況の中で、いわゆるコーポレートガバナンスを強化してコンプライアンスも強化する、それから企業経営の効率性の向上も図って親子会社に関する規律の整備もやっていこうと、こういう目的で作ったということでございます。  したがいまして、この改正によって日本企業に対する内外の投資家の信頼は高まるのではないかという期待をしておりまして、そのことが日本企業に対する投資の促進とか、ひいては日本経済の成長につながっていくのではないかと、こういう考え方でございます。  それから、アベノミクス、昨年の六月十四日に日本再興戦略が閣議決定されましたけれども、その中にも主要政策例の一つとして、会社法を改正して、外部の視点から、社内のしがらみや利害関係に縛られずに監督できる社外取締役の導入を促進するということが書き込まれておりまして、アベノミクス、日本再興戦略の中でも大きな位置付けを持っているというふうに考えております。

石井準一自由民主党

○石井準一君 大臣の方から企業統治の強化策、また企業の信頼度を高めるためにというような発言があったわけでありますが、改めて、本改正案では、企業への投資促進を図るため、企業の信頼度を高めることを目的に民間活力を最大限に引き出すための施策として企業統治の強化策が盛り込まれております。  その一つ、社外取締役の導入促進について、安倍総理は本年一月に開催されましたダボス会議におきまして社外取締役を増員することの発言をされておりますが、本法案で講じられている具体的な措置について、大臣にお伺いをしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 安倍総理がダボス会議で今おっしゃったような発言をされたということは私も承知しております。  それで、社外取締役導入の促進策として、まず、社外取締役を置きやすい会社類型というのをつくる、監査等委員として社外取締役を最低二人置く必要がある監査等委員会設置会社制度というのを創設することにした、これが一つでございます。それからもう一つは、事業年度の末日において社外取締役を置いていない上場会社等の取締役は、その事業年度に関する定時株主総会で社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなきゃならないこととしております。  それからもう一つ、これと併せまして法務省令を改正しまして、事業報告、それから株主総会参考書類で社外取締役を置くことが相当でない理由を株主に開示することも検討しております。  それから、改正法案に含まれる内容ではございませんが、法制審議会の附帯決議を踏まえまして、東京証券取引所が上場規則の改正を行っておりまして、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するよう努めなければならない、こういう規定を設けております。  そこで、これらの規律が相まって、社外取締役の導入に向けての取組が一段と促進されることになるのではないかと期待しているところでございます。

石井準一自由民主党

○石井準一君 今、大臣の方から企業への投資促進、信頼度、また企業統治の強化のために社外取締役の導入促進についての所見が述べられたわけでありますが、社外取締役を増やすためには、その選任の義務化の必要性も問われる中、本改正案では義務付けが見送られております。その理由について改めて大臣にお伺いをしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 業務執行者に対する監督機能を強化する、そのためには社外取締役をより積極的に活用すべきであるという指摘は今までも強くされてきておりまして、それで法制審議会の会社法制部会におきましても、これを義務付けるかどうかということが一番の論点となったわけでございます。  しかし、部会の中では義務付けるかどうか意見が大きく対立しまして、一方では、会社に任せておいてはなかなか進まないぞと、だから義務付けをしてコーポレートガバナンスの改善に役立てろという御意見が一方である反面、義務付けるとかえって、それぞれの会社の規模とか業態、業種、それぞれ適切な企業統治体制があるけど、一律に義務付けるとかえって弊害が生ずる、社外取締役の導入は各会社の自由な選択に任せた方がいいと、こういう御意見がもう厳しく対立をしまして、結局コンセンサスが得られなかったと。義務付けについてのコンセンサスは得られなかったということで、今回の答申では義務付けが盛り込まれなかった。それを踏まえて、今回の改正法になっているわけでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、各種の、義務付けこそはしておりませんが、その導入が促進されるようないろいろな手だてを講じたと、こういうことでございます。

石井準一自由民主党

○石井準一君 今の大臣の答弁を踏まえまして、法務担当者の深山民事局長にお伺いをしたいと思います。  本改正案では、施行後二年を経過した時点で見直しを行い、必要に応じて社外取締役設置の義務付けなど、所要の措置を講ずるものとする検討条項が置かれておりますが、本改正案の成立に伴う社外取締役の導入において二年間でどの程度の進捗が見込まれているのか、その効果をお伺いをしたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) この改正法案によりまして、社外取締役の導入がどの程度進むのかというのは、各会社それぞれの事情によるために、これは定量的に今の段階で正確に予測するというのは困難でございますが、先ほどの大臣の御答弁にもありましたとおり、社外取締役を置いていない上場会社等においては、社外取締役を置くことが相当でない理由の説明を毎年の定時株主総会でしなければならなくなるということになりますので、各会社においては、そのことを前提に社外取締役を置くかどうかを検討することになります。したがいまして、この相当でない理由をなかなか説明できないという会社については、社外取締役を置くことが強く促されることになると思います。  他方で、近年、社外取締役を置く上場会社の数は顕著な増加傾向にございまして、東証の一部上場企業のうち社外取締役を選任する会社の割合は、平成二十三年は五一・四%でありましたけれども、翌年の二十四年は五五・四%、昨年、二十五年の八月現在では六二・三%まで上昇するに至っております。  改正法案によって社外取締役を置くことの促進策が更にこれに追加して導入されるということを考えますと、今後一層その傾向は強くなるものと考えておりまして、二年後にはこういった社外取締役の導入というものが極めて進展をしているんではないかと期待しているところでございます。

石井準一自由民主党

○石井準一君 今の答弁を踏まえましてですけど、オリンパスの巨額粉飾決算、大王製紙の巨額背任事件など、過去に不祥事を起こしてしまった企業においても社外取締役が選任をされていたというケースもあることから、現行法の下では、本来、監査的役割を担う社外取締役や監査法人、公認会計士などがその役割を十分に果たせないということが考えられますが、このような事件も踏まえ、企業の不正を根絶していくためには監査機能をより一層強化を図っていく必要性があると考えますが、本改正案で講じられている措置及びその効果について、改めて深山民事局長にお伺いをしたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、コーポレートガバナンスの強化、とりわけコンプライアンスの強化と、そのためには監査機能を強化することも重要でございます。そこで、まず改正法案では、社外監査役の要件の厳格化をしております。  この点について少し付言しますと、現行法では、社外監査役は、株式会社の監査役であって、過去にその株式会社又は子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいうというふうにされております。したがって、例えば親会社の関係者、それから兄弟会社の業務執行者、さらには業務執行者の近親者であっても、現行法の下では社外監査役となることができることとなっております。  しかし、こうした会社と関係の深い者が業務執行者に対する実効的な監査をするというのはなかなか期待することができないんではないかという指摘がございました。そこで、改正法案では社外監査役の要件を厳格化いたしまして、親会社の関係者や兄弟会社の業務執行者、さらに業務執行者の近親者といったものはその株式会社の社外監査役となることができないということにしております。  このように、要件が厳格化されて独立性が強化された社外監査役が業務執行者に対する監査を行うことによりまして、監査機能が現行よりもより強化されることになると考えております。  次に、もう一つですけれども、監査機能の強化のために会計監査人の独立性を強化する措置も講じております。  会計監査人の選解任につきましては株主総会の決議によってされますが、現行法では、株主総会に提出される会計監査人の選解任に関する議案は取締役あるいは取締役会が決めて、会計監査人の独立性を確保する観点から、監査役又は監査役会がこれについての同意権と提案権を持つという立て付けになっております。  しかし、こういった現行の仕組みにつきましては、監査役や監査役会がこの選解任に関する議案についての同意権や提案権を必ずしも積極的に行使していないという現状にあることも併せ考えると、会計監査人の独立性確保の観点から必ずしも十分でないという批判がございました。  そこで、改正法案では、会計監査人の選解任に関する議案の内容は、監査役設置会社にあっては監査役が、監査役会設置会社にあっては監査役会が自ら決定するということにしております。このことによりまして、会計監査人の独立性がより強化され、ひいては会計監査人による監査機能の強化につながるものと考えております。

石井準一自由民主党

○石井準一君 これで終わります。ありがとうございました。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。  今回の会社法改正とアベノミクスの点について、一つだけ質問させていただきます。  今回のこの会社法改正は、平成二十二年二月二十四日、当時の民主党の千葉法務大臣が、企業の信頼を確立するために企業統治の在り方や親子会社に関する規律等を見直す必要があるということで、検討するようにということを法制審に諮問しました。そして、いろいろ議論を経て、中間試案等も経て、平成二十四年八月一日の法制審で要綱がまとまったということでございます。  そうしたまとまった要綱を踏まえて今回法案化されたということであると思うので、そうしますと、平成二十四年八月に要綱まとまったけど、二十四年の暮れに政権が替わったわけでございますが、しかし、この会社法改正の流れはそうした経過を経て今回の法案提出になったと思います。  そうすると、何か安倍総理が、アベノミクスということで、自分のイニシアチブでどんどん進めているかのようなことを言っているのは少し言い過ぎではないかというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど石井委員にお答えしたことと重なってしまうと思いますが、民主党政権でこういう諮問が行われたことは、千葉大臣がされたことは事実でございますし、また民主党政権の間に法制審議会で検討が進んだということもおっしゃるとおりだと思います。そして、その背景には、外国人投資家等々から日本企業の、何というんですか、ガバナンスが必ずしも十分でない、そのことが、効率性も悪いし、結局収益力も劣ることではないかという疑惑といいますか不信感みたいなものが従来あったと。それを何とか克服しようという、民主党政権もそのような発想であったろうと思います。もう一回私どもが与党に戻りましても、その発想は全く踏襲しているということでございます。  それで、アベノミクス、日本再興戦略の中にも、今まで議論されたものをその流れに、何というんでしょうか、沿ってといいますか、何かここら辺の表現はデリケートでございますが、アベノミクスの目指す方向とも一致しているということで、昨年閣議決定された日本再興戦略の中に位置付けられていると、こういうことであろうと思います。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 例えば、二十四年八月にこの要綱がまとまったと。そのまとまった要綱と今回この会社法として出ている法案の中で、要綱案と違う部分はあるんですか。実質的に異なる部分なんというのはあるんでしょうか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 幾つか、細かい点も含めれば違う点がございます。  要綱案の中で法制度化することが予定されていたもののうち法律に盛り込まれていない一番重要な違いというのは、金融商品取引法違反の株式取得があった場合に、そのような取得をした株主の株主権の行使を差し止める制度を入れるべきだという、要綱のこれ最後の方にあるんですけれども、そういう提案がございましたが、これはいろいろ政府部内で制度的な検討をした過程で、今回の会社法の改正案の中には条文として盛り込むのはいろいろ理論上の問題等もあるということで盛り込まれておりません。それが一番大きな違いですが。  もう一つは、先ほど来話が出ています、社外取締役の選任を義務付けてはおりませんけれども、事業年度末に社外取締役を導入していない会社の取締役は、定時株主総会で、社外取締役を選任することが相当でない理由を総会で口頭で取締役が説明しなくちゃいけないという義務、これが現行法の法案に入っていますが、これは要綱ではそこまでは書いていなくて、むしろ、法務省令事項ではありますけれども、業務報告の中でその旨を開示するというふうになっていたものを更に格上げといいますか、取締役の株主総会における義務に格上げした形で法制度化されているという点が違うと思います。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 今の局長の答弁の最初の方は、外したんだから、別に安倍さんが新たなものを付け加えたんじゃないから何の意味もないわけで、それから、社外取締役の努力化ということではほぼ同じじゃないですか。答弁は要りません。  次に、時間がないので具体的なことに行きます。  株式等売渡し請求というのが入っております。この対象は全ての会社、大会社も個人会社も含めて全ての株式会社が対象ですが、九割の株を持っているとそのほかの一割未満の株を買い取ることができる、その請求された方はもう売り渡さざるを得ないという、そういう規定になっていますよね。これは、株主としては自分は少ないけど持っていたいという人間の意思まで無視して、九割を持っている株主が買い取ると請求すればそれで買い取られちゃうというこの仕組みは、私は法制度の在り方として余りにも行き過ぎじゃないかと思うんですが、これはどうでしょうか、こういう規定があるということは。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) いわゆるキャッシュアウトということでございますが、これは実務上、上場会社等において次のような、今から申し上げるような幾つかのメリットがあるということで行われてきたわけです。  まずその一つは、長期的視野に立った柔軟な経営を行う必要がある、それから株主総会に関する手続の省略による意思決定の迅速化を図る必要がある、それから有価証券報告書の提出義務等の法規制を遵守するためのコストや株主管理コストの削減、こういったことを目的として行われるわけでございますが、今委員がおっしゃったのは、少数株主の利害が十分に保護されているかどうかという問題意識ではないかと思います。それで、それについては、少数株主の保護をする手だてがこの今回の改正法の中でも講じられておりますので、私どもはその点は手当てができているというふうに考えております。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 まず具体的に聞きますが、九〇%の株式を持っているとという要件があります。この九〇%を持っている株主というのは単独の株主のことをいうんですか、それとも九〇%以上の株主が集まればいいという、こういうことなんでしょうか、どちらでしょうか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 必ずしも一人でなくても、何人かが集まって九〇%を超えて、その何人かが一致した意思で売渡し請求をするということがあれば、それで可能でございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 この買取り請求をするという場合に、九割以上持っていると、残りを全部まとめて買わなくちゃいけないんですか。それとも、そうじゃなくて、こいつの分は買うけどこいつの分は買わなくていいやという選択的な行使はできるんですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 買い取る人の子会社というような実質同一と見られる人を除いては、選択的に個性に注目してこの人のを買うとかこの人のは買わないということができるわけじゃなくて、子会社は別ですよ、自分の子会社が持っているのは自分が持っているのと同じですから、子会社が持っている部分以外のものは全て、個性に関係なく全部買い取るという制度です。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 それは条文に書いてありますか、選択的に行使できないと。買い取るならその全部を買わなくてはいけないということは条文に書いてありますか。何条ですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 条文上も全部買い取るということになっております。百七十九条の一項の大分長い条文ですけれども、全員に対しその有する株式の全部を売り渡すことを請求することができるというふうになっております。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 それから、買った以上は当然代金は払わなくちゃいけないわけで、代金はいつ支払うんですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 取得日というのがこれ請求すると必ず決まりますので、取得日以降は支払う義務が生ずるということで、普通は取得日に払われる、払わなければ払う義務が生じている状態になるということでございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 買い取るんだから代金を払うのは当たり前ですよ。物を買うときは普通はお金を払って買うんですよ、同時履行なんですよ。  私が聞いているのは、これお金ももらわないのに取得日という法律で指定された日に権利は行っちゃうわけですね。代金の支払に関する規定は次号なんですか。この代金をいつまでに支払う、あるいはその代金を必ず支払わなくてはならないと担保される規定はこの法律の中にありますか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 売買契約が成立した状態が法律上当然に生じます。それで、目的物の引渡しは取得日になります。ですから、代金請求権はもちろん生じているわけです。ですから、先ほど申し上げたように、通常は取得日あるいはその直後に払うでしょうが、払わなければもちろん訴訟でそれが行使されるということになります。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 大臣、これ大変な欠陥法案ですよ。だって、買い取る人はただの、大株主かもしれないけど、一私人ですよね。強制的に買い取っちゃう、その日にちが来たらもう強制的に権利は移転しちゃうと。だけど、まだ金は払っていないんですよ。今の局長の答弁聞いたんですか。いや、払うことになっていますから払われるでしょうって。では、その払う人が仮に倒産しちゃったり金持って逃げちゃったらどうなるんですか。  法律というのは、民法なら同時履行というのがあって、自分の権利を失うときには、必ずその反対給付は同時じゃなくちゃ渡さなくていいという権利があるんですよ。だけどこれ、権利は法律的に強制的に行っちゃって、代金は買った人が払うことになっているから払うでしょうなんという、そんなので法律としていいんですか、これ、大臣。  今、局長の答弁聞きましたよね。取得日に株がもう強制的に行っちゃうんですよ、権利は移転しちゃうんですよ。代金は払うことになっているから払われるでしょうなんという、そういう規定で株を買い取られちゃった人のこの立場は守られるんでしょうか。私はこれ欠陥だと思いますよ。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、確かに小川委員がおっしゃいますように、民法の場合には同時履行の抗弁権が一般的には認められている。ただ、契約等々によって同時履行ではない場合もいろいろございますし、その設計の仕方はいろいろだと思います。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 これ、契約じゃないんですよ。売りたくなくたって強制的に移転しちゃうんですよ。  じゃ、一つの例を想定しましょう。ある会社の経営者が、自分の株を九〇%持っている、MアンドAしたいと。幸いに買ってくれる人がいた。十億円なら買ってくれると。ただし条件がありますよ、九〇%じゃ買わない、一〇〇%にしてこいと。その人は、しかし十億円の借金を負っていると。じゃ、買取り請求して、はい、買取り請求したよと。で、株が来ちゃうわけですよ。当然、一〇〇%の株は法的に買い取っちゃうんだから、一〇〇%の権利を取得しちゃうわけですよ。で、MアンドAです、はい、売りました、十億円入りました。でも、十億円はこっちの借金で返しちゃいました、あとはすかんぴんですと。そうしたら、強制的に株を取られちゃった人、お金もらえないんじゃないですか。これをどうやって、そういうことがないような手当てをしてあるんですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 先ほど申し上げたとおり、これは確かに当然に売買契約が成立した状態になりますので、代金を払わなければ解除はされるということになります。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 だって、法律上取得日が決まっていて、そこでもう権利は移転しちゃうんですよ。じゃ、後で代金を払わなかったら契約解除、そんな規定どこにあるんですか。代金を払わないけど、それじゃ、買った人間がよそへ売っちゃったらどうなるんですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 売買契約が成立した状態になるわけですから、代金を払わなければ解除されるというのはごく一般的な話で、解釈上当然そうなるということでございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 法律は取得日に移転すると書いてありますよね。じゃ、売買契約の解除の手続を取れということですか。しかし、その手続を取る前にその買い取った人間がよそへ売っちゃったらどうなるんですか。どういう法律関係になるんですか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) これ、株式の売買契約がされて、代金が支払われずに解除された、しかし解除される前にその株式が移転したというときの、一般的な、ごく普通の株の売買の場合と同じことになります。したがって、名義書換がされているかどうかとかいろんな事情によっていろいろ変わるということでございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 答弁になっていないよ。一般の売買はそれぞれが任意でやるんだからね。だから、金を払わなきゃ株を渡さなきゃいいんだから、自分で守る手だてがあるわけですよ。これは自分で守る手だてがないから聞いているんですよ。買い主が買取り請求すると。言葉では売渡し請求になっていますけど、売渡し請求をすると。日にちが来たら、取得日が定まったら、定まったその日に権利は移転しちゃうよと書いてあるわけですから。自分が前もって代金を引換えじゃなきゃ嫌だとか、先に払ってくれなくちゃ嫌だということにはなっていないんですよ。金もらっていなくたって、あるいは金をいつ払うかということを決めなくたって、株の権利は行っちゃうんですよ。これ欠陥法案ですよね。  それからまた、価格が折り合わない、つまり一方的に価格を言ってくるわけですよ。しかし、冗談じゃないよと、強制的に取り上げられちゃう方は、そんな価格じゃ嫌だといった場合に、価格については裁判所に対して適正な価格を決めてくれという申立ての規定はあると。しかし、そういう申立てをしても取得日は変わらないんでしょう。つまり、そういう申立てはして、じゃ後で事後的に裁判所で価格を決めなさいというだけであって、取得日、すなわち株が移転しちゃうということは変わらない。価格の査定の申立てをすることによってもこの権利が移転してしまうということは変わらないわけですね。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) それはそのとおりでございます。  ただ、権利が移転した時点で株の代金を払う資力が全くないということが分かっている場合には、それは会社の承認が必要ですので、会社の方がそういうものは承認をしないということになって、買取りできないと思います。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 会社のことは、承認しないといったって、九割の株主ですよ。社長は、あなた、自分かもしれないし、あるいはその九割の株主が選んだ人間じゃないですか。何をそんな法律にないようなことを勝手に言って、都合のいいことを言っているんですか。  すなわち、私が言いたいのは、じゃ、えらい安い価格の売渡し請求があったと。じゃ、裁判所に異議を申し立てますよ、こんな価格じゃ嫌ですよと言っていたって、その価格が決まるまでは何か月も掛かるわけだ。しかし、権利は二十日間で行っちゃうんでしょう。しかし、延々と裁判をやっておる間はお金は全然来ない、金額は不満だと。その間に、さっき言ったように、買い取った方がとんずらしちゃったら取られっ放しじゃないですか。強制的に株を買い取られちゃう方の手当てが全くされていないのと同じですよ。  もう欠陥を指摘しましたから、次にほかのこと聞きますが、例えば、大臣、これ強制的に買われちゃうと。先ほどは、会社の都合のことばかりあって、こういうことだからということを述べました。買われる方の立場も考えてください。大会社もあるけれども、小さい、自分のお父さん、おじいさんがつくった会社の株を持っているというような個人会社もあるし、それぞれの思い入れがあると。買われる方の立場の人の都合を全く考えないで、ただ単に九割の株を持っている大株主の都合だけで全部強制的に買い取らせちゃうと、それが何かさっき大臣が説明したようなことでいいんだという見方は余りにも一方的じゃないですか。  例えば、具体的なことを聞きます。株は、証券市場で売る場合と相対で売る場合とでは税制が違う場合があると。今は同じかもしれないけれども、過去は証券市場で売れば一〇%の源泉税だった、しかし外で売れば二〇%だったと。あるいは、バブルの頃は、売った株の一%を納めればもう源泉分離で、あとは納税義務が発生しないと、上場株式の売買には。しかし、市場外で売ればこれは普通の、そんな優遇税制の適用を受けないというようなことがあったと。  つまり、株主の方はやはり売り方によってもかなり利害があるんですよ。そういうことは全く無視して、一律にただ九割以上持っている株主が、はい、おまえ、売り渡せと言ったら、もうこれは売り渡さなくちゃならないということになってしまうというのは、これは余りにもひどい規定だと思うんだけれども、そうした株式を失ってしまう方の立場の都合ということは考えていらっしゃらないんでしょうか。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) この株式等の売渡し請求制度はそもそもが、最初に大臣が御答弁申し上げたとおり、キャッシュアウトのための制度です。現在、キャッシュアウトは……

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 日本語で言いなさい、日本語で。日本語で言わないと、キャッシュアウトなんて訳分からないよ。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 金銭による全株の買取りの制度です。このことは現在もできます。それは、金銭を対価とする株式交換をすれば同じことができますし、全部取得条項付種類株式を用いてもできるというのは御案内のとおりです。  この組織再編の一つとしての金銭を対価とする株式交換、これ自体は現在も何ら怪しまれることなく行われていること、それと全く同じことを今回やろうということですので、その場合でも、もちろん少数株主は自分の意に反して株を換価されてしまう、お金に換えられてしまうわけです、株式交換の過程で。しかし、これは組織再編の一つの類型として、原則として特別決議が必要ですけれども、それでできるということになっていて、もう既に実務にも定着している状況でございます。  それと、もう一つ、済みません、最初に私が答弁したので一つ間違えました。取得のときの九割の要件というのは複数でいいのかというお話で、私、複数でいいと申し上げましたけれども、これは間違いでして、自分と自分の子会社が合わせてもいいけれども、それ以外の、自分以外の、全然関係ない第三者が複数で九割の場合は駄目でしたので、申し訳ありません、訂正させていただきます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 大事なことをそんな訂正されちゃ困るよね、だけど。昨日の説明でも、合わせればいいと聞いたけどね。そんなにあなた、それがころころころころ解釈が変わるなんというのは、十分な検討をしていないということじゃないですか。  今日は、非常にまだこの点で全然納得していないからもっと議論を深めなくちゃいけないけど、法制局長官にお越しいただきました。憲法では財産権というものが保障されているわけでして、法制局長官、じゃ、一つ一ついきましょう。  個人が持っている株式、これは憲法で保障されている財産権の範囲に入るんでしょうか。

小松一郎内閣法制局長官

○政府特別補佐人(小松一郎君) 入ると考えます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 当然入りますよね。  そうすると、財産権は憲法上保障されているわけです。自分自身はそれを売りたくもないのに法律が強制的にそれを売却させてしまうということ、これは憲法の財産権の保障の趣旨に反するんじゃないでしょうか。

小松一郎内閣法制局長官

○政府特別補佐人(小松一郎君) 財産権も、憲法上、合理的な理由があれば制限することは可能であると考えます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 その合理的な理由というのは具体的にはどういうことですか。

小松一郎内閣法制局長官

○政府特別補佐人(小松一郎君) 先ほど来、法務省当局から御答弁申し上げておりますように、株式等売渡し請求や全部取得条項付種類株式の取得は、いずれも株主としての地位を失わせるものであるという意味において財産権を侵すものではございますが、株主の財産権の保障という観点からは、先ほど来御答弁が行われておりますように、次のような措置が定められておりまして、憲法上の問題はないものと考えてございます。  まず第一番目に、対象会社の承認を要することや株主総会の特別決議を通じた対価の適正さに対するチェック、これは先ほど来御答弁がありましたけれども、本法律案第百七十九の三の第一、会社法の第三百九条第二項第三号、このようなものがございます。それから、法令違反の場合などにおける差止め請求ができるということになってございます。これは、本法律案第百七十九の七、第百七十一条の三に該当の規定がございます。それから三番目でございますが、株主による裁判所への売買価格の決定の申立てができるということになってございまして、これは、本法律案第百七十九の八、会社法第百七十二条に該当の規定があると承知しております。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 私は憲法上の観点から聞いているので、もっと端的に聞きましょう。  会社というのは営利を目的とする会社ですよ。一私人ですよ。株主もその私人ですよ。いいですか。しかし、憲法上の問題ですよ。さっき長官は合理的な理由と言いましたけど、憲法には合理的理由なんて書いていないですよ。公共の福祉とかいうふうに書いてあるわけで、つまり、財産権というものは保障されていると、それを制限できるのは公共の福祉の事由がある場合だけですよ。  そこで、長官、お尋ねしますよ。営利を目的とする会社の都合のために人の財産を取り上げる、これは公共の福祉と言えるんですか。大事なことだよ、これは。

小松一郎内閣法制局長官

○政府特別補佐人(小松一郎君) キャッシュアウトという言葉は英語で、より適切な日本語があるようでございます。私、門外漢で正確な言葉は存じておりませんが、いわゆるキャッシュアウトは、対象会社における長期的視野に立った柔軟な経営の実現と、株式総会に関する手続の省略による意思決定の迅速化の点で対象会社の企業価値を向上させるメリットがあるということを所管官庁より説明を受けておりまして、当局としてもその内容に合理性があると判断したものでございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 何を言っているんだ。全然関係ないことを言っているじゃないか。  私が聞いているのは、憲法の問題を聞いているんですよ。憲法の公共の福祉、公共の福祉がある場合には財産権を制限できる、基本的人権の一つの財産権を制限できると。私はその公共の福祉について聞いているんですよ。利益を目的とする一私人の株式会社の都合のために個人の財産権を強制的に取り上げるということは、これは憲法に規定する公共の福祉に入るのか。一私人の利益を実現することが憲法で言う公共の福祉の範囲に含まれるかどうかを聞いているんですよ。キャッシュアウトがどうのこうのなんて話じゃないでしょう。時間を無駄にしないでくださいよ。  入るか入らないか、どちらかです。

小松一郎内閣法制局長官

○政府特別補佐人(小松一郎君) 企業のいろいろな活動がこのような制度により容易になるということは全体として国民経済の発展に資すると、そういう観点で公共の福祉に入るものであるというふうに考える次第でございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 いやいや、驚きました。  例えば、道路を造るから、土地の所有者に売りたくない土地でも強制収用ということができますよ。道路を造るという公の目的のために個人の財産権は制限される。それでも土地収用委員会という手続があって、それが本当に正しいのかどうか、公益性があるのかどうか十分に判断して、そして、それに対して不服の申立てもできるという手続的な救済方法もある。それが公共の福祉の名による基本的人権の制限のものですよ。  何ですか、この規定は。まず、利益を目的とする、企業の利益、そのやりやすいようなためにということが公共の福祉に入る。一私人の利益ですよ。  それから、先ほどこの法律の欠陥として取り上げさせていただいた不服申立ての方法が、非常に違法な場合とか、制限されている。値段が不服だからといって異議を申し立て、裁判所に決定の申立てをしたって、権利はもう先に先行して取られちゃう。代金ももらっていないのに権利は取られちゃう。しかも、買った人間がとんずらする、パンクしちゃえば取りっぱぐれになっちゃうかもしれないという、手続的な保障も全くいいかげん。こんな憲法にも抵触するような、そして実質的にも株を買い取られてしまう人の意思を無視して、あるいは実際にこのリスクにさらすような、こんな規定は欠陥法律以外の何物でもないですよ。  私の質問時間は来ましたけれども、どうですか、最後に、私のこのやり取り聞いていて、大臣、何か感想はございませんか。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 私、法制局長官のおられる前で憲法解釈を云々するほど学はございませんが、これは、企業ですね、企業にはたくさんの株主がおりまして、要するに共有しているわけですね。そして、その企業統治がうまくいくように、それぞれの所有者というのは、個々の株主というものの権利が制限される場合も企業統治の中にはあるのではないかと思います。それが、今おっしゃっていることはまさにその合理性を超えているかどうかということをお問いかけになっているんだと思いますが。  私は、この企業の活動の中で、そのときの経済状態に敏速に適応していくためには、既に先ほど民事局長が御答弁申し上げたように、いわゆるキャッシュアウト、私も舌をかむような言葉でございますが、既に広く行われていることである。それは経済界あるいは企業界においても特段の疑問なく行われていることではないかというふうに考えておりまして、小川委員の問題提起でございますが、私は必ずしも当たらないのではないかというふうに考えております。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 既に行われているというのも、大臣、認識が違いますよ。全部取得条項付種類株式とかあるいは株式の併合というのは、キャッシュアウトをするためにできた法律じゃないんですよ。また全然別の目的のためにできた法律。だけど、それを言わば流用してこういうことが行われているんですよ。しかも、それによって買い取られてしまった一部の少数株主が不利益を被っているけど、そんな、当然のことのごとく行われていることを追認したという認識じゃないですよ、大臣、これは。  時間が来ましたので、今日のところはこれで終わります。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  会社法は平成十七年に成立をしまして、平成十八年の五月に施行されました。それから約八年間、実務に定着してきたわけでございますけれども、今回はこの会社法について、企業統治の在り方、また親子会社に関する規律という点について主に本格的な見直しを行うものでございます。  改めまして、このような改正がなされることになった背景はどのようなものなのか、お伺いしたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 今お話にありましたとおり、会社法は平成十七年に成立をいたしまして十八年五月から施行されておりますが、会社法におけるコーポレートガバナンスに関する規律については、経営者からの影響を受けない社外取締役の機能をより活用するなど、取締役に対する監査、監督の在り方を見直すべきであるという指摘がされておりました。  こういった指摘の背景には、先ほど大臣のお話にもありましたとおり、日本企業では十分なコーポレートガバナンスが行われておらず、このことが外国企業と比較して日本企業の収益力が低く株価も低迷している原因となっているのではないかという内外の投資家の不信感があると考えられるところでございます。  また、少し別のことですが、我が国の会社法制では、従前から親子会社に関するルール、規律の整備が不十分であるという指摘もされておりましたし、平成十七年の会社法案の国会審議においてもこの点が認識されておりまして、衆参両議院の法務委員会の採決に当たって、親子会社関係にある取締役等の責任の在り方など、いわゆる企業結合法制について検討を行うことという附帯決議がされていたところでございます。  改正法案は、このような状況の下で、コーポレートガバナンスを強化すること、それから親子会社に関する規律の整備を図ると、この大きな二つの目的で会社法を一部改正しようとするものでございます。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 今御説明がありましたとおり、以前から指摘されてきたいろいろな問題点について改正を行うことということでありまして、早期の成立が必要であるというふうに思っております。  今回の改正では、監査役会設置会社、また委員会設置会社に加えて、第三の機関設計としまして監査等委員会設置会社制度が新設をされます。これは、監査役に代えまして、過半数が社外取締役で構成される監査等委員会を設置するものであります。そして、従来の委員会設置会社と比較をいたしますと、指名委員会と報酬委員会を除いたものと御説明をされますけれども、この指名、報酬の部分で、委員会設置会社制度に比べましてコーポレートガバナンスを緩めたものと受け止められかねない懸念もあるかと思います。  今回、委員会設置会社とは別にこの監査等委員会設置会社を創設した狙いというものはどのようなところにあるのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 御指摘のように、監査等委員会設置会社では、現行法上の委員会設置会社とは違いまして、指名委員会それから報酬委員会を置くこととはしておりません。これは、現行法上の委員会設置会社を採用する会社が極めて少数にとどまっていることの原因として、社外取締役が過半数を占める指名委員会あるいは報酬委員会が取締役候補者の指名や報酬を決定する、そこに決定を委ねてしまうということへの抵抗感があって使われないんだという指摘がありましたことを踏まえたものでございます。  それで、他方で、監査等委員会設置会社におきましては、監査等委員会に取締役の指名、それから報酬についての株主総会における意見陳述権を認めているわけでございますが、社外取締役を中心とする監査等委員会が、この意見陳述権を背景として取締役会における取締役の指名、それから報酬の決定に主導的に関与するということを可能としております。  それから、併せまして、監査等委員会設置会社におきましては、監査等委員である取締役の選解任と報酬につきましては、監査役設置会社の監査役の場合と同じように、業務執行者からの独立性を確保するというための措置を講じているところでございまして、このように監査等委員会設置会社は、御指摘のように、指名委員会、報酬委員会を置かれてはおりませんけれども、監査等委員会を中心として業務執行者に対する監督機能を強化していくという仕組みを取っておりますので、コーポレートガバナンスを緩めるという批判は当たらないのではないかと思います。  それで、なかなか現行法上、この社外取締役の、何というんでしょうか、活用が進まない、そのことによってコーポレートガバナンス、企業統治、規律というようなものに対する不信感もあったところでございますので、こういう形で社外取締役を活用していくということを進めていきたいと、こういうことでございます。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 社外取締役の義務付けにつきましては、いろいろな議論があったところでありますけれども、今回は見送られました。しかし、先ほど議論にも出ましたけれども、社外取締役、また社外監査役の社外性の要件については厳格化が行われております。  この社外性の要件を厳格化した理由についてもお聞きしようかとは思ったんですけれども、先ほど議論に出ましたので、ちょっとそこは省略をいたしまして、こういった社外性の要件の厳格化が行われている一方で、過去要件につきましては、従来の無期限というものから、今回、就任前十年ということで短縮をされているわけであります。これは社外性の要件の厳格化ということと矛盾をしないのかどうか、また就任前十年と緩和した理由、それから、この十年よりも更に短縮をすべきと、こういった議論もあったようでありますけれども、これが採用されなかったのはどうしてかという点についてお伺いをしたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) まず、過去要件の対象期間を十年に限定した理由の方でございますけれども、現行法では、過去に一度でも株式会社、その子会社の使用人になるなどしてその業務執行者の指揮命令系統に属したことがある者は社外取締役になることはできないこととなっております。ただ、過去に業務執行者の指揮命令系統に属したことがあっても、その後一定期間会社や子会社との関係が存在しなければ業務執行者との関係が希薄になって、社外取締役の機能を実効的に果たすことが期待することができるのではないかと考えられます。  また一方で、改正法案では、これも御指摘のとおり社外取締役の要件の厳格化をしておりますので、社外取締役の人材の確保の必要性にも配慮する必要があると思われます。  そこで、改正法案では、過去に株式会社、その子会社の業務執行取締役等であった者も、就任前十年間、株式会社とそのような関係になければ社外取締役になることとして、過去要件を限定したものでございます。  それから、ただし、また限定をするとなると、なぜ十年か、より短くてもいいんではないかと、そういう意見もあったんではないかというお尋ねですけれども、確かに御指摘のとおり、法制審の部会では、今日では人材の流動化が非常に増大しているので過去要件に関する対象期間も五年程度でいいんではないかという意見もございました。ただ、部会全体の議論としては、いかに人材の流動性が増しているとはいっても五年程度では業務執行者からの影響が希薄になったと言うことはできないので、やはり十年が適当ではないかという意見が多数でございましたし、また対象期間を五年とすることは実際の経営者の在任期間に照らしても相当でないと思われます。  直近の平成二十五年八月末時点の全上場企業の経営者の平均在任期間は七・二年でございます。その結果、過去要件の対象期間を五年といたしますと、候補者が五年前にその指揮命令系統に属していた当時の経営者、すなわちそのときの上司ですが、五年経過してもまだ同じ人がいるという可能性が相当程度高くなります。そうなってしまいますと、社外取締役として経営者から独立した立場で監督を行うことを期待するのは難しいんじゃないかというようなことも考えられますので、これらの事情を考えて十年としたものでございます。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 監査等委員会は取締役で構成をされることになります。これは、業務について知識、経験を持つ取締役が監査を行うということで実効性のある監査を期待するものであるというのが趣旨でございますけれども、一方で、これまでは取締役ではない第三者である監査役が監査を行うことで適切な監査が行われると考えられてきた面もあるわけでございます。  監査等委員会が適切な監査を行うためには、監査対象からの独立性が確保されなければなりません。先ほど大臣からも少しお話ありましたけれども、改めまして、この点について、監査等委員会の独立性についてはどのような制度になっているのか、お聞きしたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 監査等委員会設置会社におきましては、御指摘のとおり、監査等委員会の独立性の確保という必要性がございますので、一般の監査役設置会社における監査役の独立性を確保するための仕組みを参考といたしまして、監査等委員である取締役の選解任それから任期、さらに報酬について特別の仕組みを設けることとしております。  まず、選解任ですけれども、取締役の選解任について、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して株主総会の決議をしなければならないというルールにしております。その上で、監査等委員である取締役の選任議案を株主総会に提出するには監査等委員会の同意を得なければならないということにもしております。また、一般の取締役の解任は株主総会の普通決議で可能でございますが、監査等委員である取締役の解任については特別決議によることにもしています。さらに、監査等委員である取締役の選解任又は辞任については、監査等委員である各取締役に株主総会における意見陳述権を付与するということにしております。  次に、任期ですけれども、監査等委員である取締役の任期につきましては、その独立性を確保する観点からそれ以外の普通の取締役の任期よりも長い期間とすることとしておりまして、監査等委員である取締役の任期は二年、それ以外の取締役の任期は一年としております。  さらに、報酬ですけれども、取締役の報酬に関する事項は監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定款あるいは株主総会の決議で決めなければならないということになっておりまして、定款や株主総会の決議では、監査等委員である各取締役の個別の報酬を定めずに、監査等委員の取締役全体の報酬総額の上限を定めることも許容されると解釈されておりますが、その場合には、その定められた上限の範囲内で個々の監査等委員である取締役の報酬を幾らにするかということにつきましても、監査等委員である取締役の協議によることとしております。  といったようなことで、今の三点について独立性確保の仕組みを設けているところでございます。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 時間が迫っておりますので一つ質問を飛ばさせていただきますけれども、最後に、委員会設置会社制度というのはなかなか採用が進まなかったわけですけれども、今回新しく創設します監査等委員会設置会社というものについては、その採用、活用の見通しというのはどうなのでしょうか。この点、お聞きします。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、委員会設置会社の制度はなかなか採用が進まなかったわけですけれども、その原因としては、これは先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、社外取締役が過半数を占める指名委員会そして報酬委員会に取締役候補者の指名や報酬の決定を委ねることへの抵抗感があるという指摘がされておりました。  監査等委員会設置会社においては指名委員会と監査委員会を置く必要はございませんので、その採用についての抵抗感は相当程度低いのではないかと思います。ただ、監査等委員会設置会社となるかどうかは各会社がそれぞれの実情によって自らの選択で決めることでございますので、法改正後、現時点でどれだけの数の会社がこれを選択するかを的確に予測するのは困難でございます。ただ、海外の機関投資家は社外取締役の選任を求める傾向が非常に強くございますので、日本の企業でも少なくないですが、海外の機関投資家が大株主になっている監査役設置会社を中心として監査等委員会設置会社が選択されていくことを期待しております。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 以上で終わります。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  会社法の一部を改正する法律案が政府から提出をされて今審議をしているところでありますけれども、同時に、私どもみんなの党を含む民主党などの共同提案の議員立法が、同じ会社法の一部を改正する法律案ということでこの参議院に出されています。今日は十五分のお時間をいただきまして、参議院に提出されました議員立法を中心に質問させていただきます。  まず初めに、法案提出者に伺いたいと思います。  この参議院に提出されました議員立法ですけれども、社外取締役の選任を義務付けするといった内容になっています。このような法案を提出した理由をお聞かせいただけますでしょうか。

松田公太みんなの党

○委員以外の議員(松田公太君) 行田委員にお答え申し上げます。  近年、コーポレートガバナンスが問われる事件が多発をしております。閣法のきっかけとなりました大王製紙、またオリンパス、そのような事件は記憶に新しいところでございますが、それ以前にも、大きなものでいいますと三菱自動車のリコール隠しやカネボウの粉飾決算、そして最近ではみずほ銀行による反社会勢力への融資というものが挙げられます。これらは取締役会が機能せずにコーポレートガバナンスが失敗した例ではないかなというふうに考えております。  取締役会が機能しない例というのはいろいろあると思いますけれども、その一つとしましては社外取締役の人数の少なさがあると思いますし、そもそも社外取締役が不在だということも挙げられるのではないかなと考えております。  例えば、東証の上場企業のうち社外取締役を一名以上選任しているのは、全体、つまりマザーズやジャスダック、二部、一部も含めまして五四・二%にしかならないんですね。つまり、約半分の会社が、上場しているにもかかわらず社内取締役しかいないという状況になっております。一部上場企業に限っても、実は六二・三%という数字にとどまっております。ちなみに、社外役員を増やすのはいわゆる米国型企業統治をモデルとしていると言えますが、米国では既に取締役の半数以上が社外取締役で占められている状況です。  そこで、社外取締役の設置を法的に義務付けることによって少なくとも社外取締役の増加のファーストステップとしたいと、こう考えた次第でございます。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 社外取締役の選任、導入といったことがコーポレートガバナンスに果たす役割といったことは指摘がなされています。また、答弁にありましたとおり、コーポレートガバナンスがうまくなされていない粉飾決算などといった事案が頻発したわけであります。  そこで、続けて法案提出者に伺いたいと思いますけれども、法案提出者は御自身も起業家であり、また経営者としての経験もおありだと思いますが、そうした御自身の経験も踏まえてお聞きしたいんですが、社外取締役が導入される、その社外取締役に何を期待するのか、何が期待できるのか、伺いたいと思います。

松田公太みんなの党

○委員以外の議員(松田公太君) 質問通告を受けておりませんが、お答えいたしたいと思います。  内部昇格をして上がってきた常勤の取締役というのは、外部からの社外取締役と違ってやっぱりしがらみが私はあるというふうに思うんですね。そうすると、例えば問題点を発見しても、改革を促したいと思っても、なかなか社内取締役ではしがらみがあって、社内の問題もあってそれを推進することができないということがあると思います。  社外取締役会は、私は、株主重視という観点と経営の透明性を確保するという両方の観点から、公明正大な立場に立ってボードメンバーとしての役割を果たしていただければというふうに思います。  私自身のちょっと経験で大変恐縮ですけれども、私も会社をIPOさせた、若しくはMBOしたという経験があるんですけれども、最終的には社外役員の数を過半数以上にしたんですね。それによって、思い起こしますと今、非常に厳しい経営判断を迫られたという局面も多々あったなというふうに思います。ただ、今考えてみれば、そのような判断が最終的には、株主重視といいますか、株主を守るという観点からはよかったのかなというふうにも感じております。そのような公明正大な立場に立って社外取締役には御自身の役割を果たしていただく、そのような義務を果たしていただきたいと、このように感じております。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 御自身の経験も踏まえて御答弁されましたけれども、社外取締役が導入されたからといって、それだけでコーポレートガバナンスが保たれるということではもちろんありません。けれども、その導入によってやはりコーポレートガバナンスに一定程度の役割を果たすというふうに私も考えておりますし、またそれを法律で義務付けるということも必要ではないかというふうに思っております。  続けて法案提出者に質問したいと思います。  この議員立法におきましては、社外取締役の選任の義務付けをする会社の範囲というのを絞っています。公開大会社であって、そのうちのいわゆる上場企業ということに絞っています。このように限定した趣旨というのはどのようなものなのでしょうか。

松田公太みんなの党

○委員以外の議員(松田公太君) 行田委員がおっしゃるとおりでございます。三百三十一条五項で、社外取締役の設置義務を公開大会社のうち委員会設置会社を除く有価証券報告書の提出義務がある会社に限っております。  委員御存じのとおり、大小に関わらず、株式会社が一部でも発行しています株の譲渡制限、これを、譲渡制限をなくしてしまえば公開会社となるわけですね。つまり、小規模な株式会社でも譲渡制限のない株式を発行しているところは存在するので、そのようなところにまで社外役員の設置を義務付けてしまうというのは私は負担が大きくなり過ぎるんではないかなというふうに感じております。  また、資本金が五億円以上若しくは負債が二百億円以上の会社は大会社と定義付けられるわけですけれども、その中には、例えば株主が資産家で一人で五億円を出資して資本金を全額を出して一〇〇%株主のオーナー社長という方もいらっしゃるわけですね。そのような会社にわざわざ社外役員を設置を義務付けて監視するというのも私は必要性がないのかなというふうに感じております。  そこで、まず公開大会社を対象としまして、そしてさらに公開大会社の中でも委員会設置会社を除く有価証券報告書、有報ですね、この提出義務がある会社を特定大会社と限定いたしました。つまり、上場企業を中心に限定した、対象としたと考えていただいて結構だと思います。上場企業に関しましては、やはり社会的影響が大きいですし、不特定多数の株主が存在するため、その株主に対する透明性を確保するという観点から今回このような議員立法に至ったわけでございます。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 この範囲をどの程度まで対象を絞るのかといった議論もあるかと思いますけれども、やはり上場会社というのは社会に与える影響というのは大きいわけであります。また、様々な株主がいる中で、その個々の株主が直接経営に影響を及ぼすということはなかなか難しいという実態もあります。そういうことを踏まえれば、上場会社に対してはやはり外部の視点からしっかり監督をできるような、物が言えるような社外取締役の導入というのは必要だと思います。  一方で、先ほど御答弁いただきましたように、必ずしもその規模によっては、また形態によっては社外取締役といったものが必要ではないような企業もあるわけであります。そうした会社に対しては、義務付けするというのはこれは無理があるかなと私も思っておりますし、またコスト負担に耐え得るかどうかといった問題もあるわけであります。そこのところをこの議員立法では加味した、踏まえた上での措置となっているというふうに理解をいたしました。  政府参考人への質問をちょっと飛ばさせていただきます。また続きまして、法案提出者に伺いたいというふうに思います。  この議員立法におきましては、取締役の選任の義務付けは一人以上というふうに三百三十一条五項になっています。一方で、附則に検討条項が盛り込まれています。第三項ですけれども、「複数の社外取締役の選任を義務付けるための制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」という検討条項が盛り込まれています。この複数の社外取締役選任の検討条項を盛り込まれた趣旨をお聞かせいただけますでしょうか。

松田公太みんなの党

○委員以外の議員(松田公太君) お答え申し上げます。  我々みんなの党では、今後、更なる透明性の確保のために、社外取締役の比率を増やしていくことが重要であるというふうに考えております。  今回は社外取締役を一名を義務付けたいというふうに思っているわけですけれども、実際問題、一名だけではなかなか取締役会の中で孤立をしてしまう可能性があるということでございます。やはりある程度の人数があってこそ、その機能、社外取締役としての機能が生きてくるんではないかなというふうに考えております。  先ほどの東証の例に少し戻りますけれども、社外取締役が存在する一部上場企業の六二%の中でも、一人しかいない会社というのが何と三一・八%、つまり半分になるんですね。そして、二人が一七%、三人以上というのが一三・四%と、非常に少ない状況が続いているわけです。社外取締役の人数を複数名義務化するということは私はよりベターだというふうに思いますけれども、まずは第一歩として今回一名の義務化を実現していきたいと、このように考えております。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 確かに社外取締役の義務付けということは私も必要だと思いますけれども、今までなされていなかったものをいきなり複数を義務付けるというのは、これはちょっと急ぎ過ぎと、拙速かなというふうにも確かに感じております。まずは一人以上を義務付けるというところから今回の法案は始まっているというふうに理解をいたしました。  そこで、法案提出者に最後の質問をさせていただきます。政府参考人にはまた別の機会に質問させていただきます。  最後の質問になります。社外取締役選任の義務付けをなされるこの議員立法でありますけれども、このことをすることによって日本経済にどのような影響を与えるのか、法案提出者御自身のお考えをお聞かせいただければと思います。

松田公太みんなの党

○委員以外の議員(松田公太君) お答え申し上げます。  社外取締役が入ることによって株式会社の透明化が進み、ガバナンスが高まることによって株主からの信頼が私は高まるというふうに思っております。それによって内外の投資家を増やす効果が出てくるのではないかなというふうに感じております。特に外国人投資家は、日本の上場企業のディスクロージャーのレベル、これに非常に不満を持っておりますので、外国人投資家を増やすきっかけにも私はこれはつながっていくんではないかなと考えております。  また、日本の上場企業の現預金の残高というものが二百二十五兆円以上あるというふうに言われておりますけれども、社外取締役が増えることによって、それまで保守的に流動預金を増やそうということで進められてきた内部留保、それがそれによって増えたわけですけれど、またその配当金、そういったものに対する考え方も変わってくるのかなというふうに思います。つまり、積極的な投資に回そうじゃないかということを言う社外取締役が増えてくるんではないかなというふうに感じているわけでございます。また、設備投資や人材に対する先行投資も増えてくると。また、先ほども言いましたが、配当が増えればこれも間違いなく株主を増やして、全体のマーケットを押し上げるという効果も出てくるのではないかと考えております。  その他の、実は株主のお話を私、今中心にしましたけれども、ステークホルダー全体に対するプラスの効果も私はあるのではないかなと思っております。例えば、ステークホルダーといいますと、銀行等の債権者も含まれるんではないかなと思いますけれども、そういった金融機関にとっても透明性が高まるというのは非常にプラスである、経営内容を把握することができるようになるわけですから非常に重要だというふうに思いますし、また、社員にとっても、経営陣がどういう判断をしているかという部分がよりディスクローズされることによってプラスの効果が出てくるかなと思います。  また、最後はお客様とか消費者、ここにとっても私は効果的にプラスになるんじゃないかなと思っておりまして、例えば最近、冒頭も申し上げましたが、日本でガバナンスが利いていないところが増えてきて問題になっているというわけですけれども、上質な社外役員が増えれば、利益のみを優先するというところから、安全性であったりリスクマネジメント、こういった部分をしっかり考えてチェックをするという体質が生まれるのではないかなというふうに考えております。  もちろん社外取締役の義務付けのみでこういったものが全て解決するというふうには思っておりませんが、ここを起点に日本全体のプラスを図っていければというふうに思っております。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 ありがとうございます。  外国の投資家からの信頼が得やすいという利点もあるでしょうし、また、先ほどの御答弁のとおり、それだけではなくて企業の統治、経営といったことにも外からの視点を盛り込むということでのメリットがあると私も思っておりますし、債権者それからまた従業員にとってもディクローズされるという利点、そしてまた社会全体にとっても利点があるというふうに私自身も考えております。  かつて会社は誰のものかといった本がヒットしましたけれども、会社は従業員のものであり、また株主のものでもあるし、それだけではなく社会全体のものでもあるといった議論がなされたかと思いますけれども、このような社外取締役の導入の義務付けがなされることによって、日本経済に対しても良い影響が与えられるものだと私自身確信しております。  質問を終わります。ありがとうございます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、水俣病問題に絞ってお尋ねをいたします。  加害企業チッソは、既にその事業を一〇〇%子会社であるJNCに分社化をしております。今回の会社法改正案は、子会社の株式を譲渡するには株主総会の特別決議を必要とすることにしようというわけですけれども、日本維新の会提出の修正案は、これをチッソに関して適用除外にしようとしております。被害者あるいは被害者団体から、なぜ加害企業だけ特別扱いをするのかと。被害者が苦しみ続けているのに水俣病の幕引きは許されないと憤りの声が上がるのは当然であります。  そこで、修正案提出者にまずお尋ねをしたいと思いますのは、今年の二月十二日、天草市の市長が、今、水俣病特措法の未認定患者救済策において、対象地域外の申請者が汚染魚の多食や水銀暴露などの厳しい証明を求められているという問題について、この対象地域の線引きを撤廃することを国や県に求めるということを明らかにいたしました。  市長は、あたう限りの救済をうたう特措法の趣旨からすれば、現状は決して満足する到達点ではない、対象地域外でも被害を認められた住民は多く、線引きの意味はないのではないか、症状を持ちながら線引きが弊害となって救われないということがあってはならないと、そうおっしゃっているんですね。  修正案提出者はどんな御認識ですか。

西田譲日本維新の会

○衆議院議員(西田譲君) 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。  先生御指摘のとおり、この水俣病特措法においては、救済を受けるべき人々のあたう限りの救済というものを原則としているわけでございますし、当然この原則にのっとって、今のこの水俣病特措法のスキームの下で、被害者の方ができるだけ早く救済を、給付を受けられることが重要であろうという認識でございます。  ただ、御紹介がありましたとおり、今回の我が党の修正案に対して、チッソの責任の早期の幕引きを図るものであるとか、あるいはチッソによる事業会社の株式の売却の円滑化を図るものであるという批判があることも承知をしているところでございますが、一方で、この特措法のスキームの中で、事業会社の株式の譲渡については、認定患者の方々に対する将来にわたる補償というものがきちんと確保される、あるいはそのときの状況等もきちんと考えた上で環境大臣の承認をもってということで担保されているわけでございますので、今回の会社法改正で新しい権利行使の根拠となるような法律要件を課すことは、この水俣病特措法のスキーム、当時、これは自民党、公明党、民主党の中で熟議が重ねられた、平成二十一年でございますが、その立法者の意思からは離れてしまうものではないか。そういう中で今回修正案を提出させていただいたところでございます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 救済の終了がなければ株式の譲渡なんてあり得ないんですよ。  地元の市長さんが、こうした対象地域の線引きがこのあたう限りの救済の弊害となっているという指摘までされるようになった。それは、天草で国賊とまで言われながら差別や偏見を乗り越えてノーモア水俣病訴訟の原告となって闘ってきたそうした被害者たちが、これまで手を挙げられなかった天草の被害者の皆さんが声を上げるようになってきた、そうした運動の力なんですよね。  御所浦とかあるいは龍ケ岳という対象地域になってきた地域と、そうではない、圧倒的に天草の地域というのは、提出者も御存じだと思いますけれども、まさに指呼の間です。目の前ですよね。海は、潮は流れていますし、魚は回遊していますし、海に線が引けるものかということが今大問題になっているわけです。  この天草を中心に、ノーモア・ミナマタ第一次訴訟の原告のうち、対象地域外から数百名の方々が原告になっていますけれど、平成二十三年の和解でその約七割が国によって救済対象と認められました。倉岳、栖本、本渡市、新和町、河浦町など、一円に国が被害者と認めた方々がいらっしゃるわけですね。ところが、そうした被害者の皆さんと同じように暮らし生きてきた住民の皆さんが、今度の特措法の申請で次々に切り捨てられています。これが納得いくわけないじゃありませんか。  この地域での、とりわけ戦後、そしてその後の時期、主食は魚だと言われますよね。例えば、太田尾という漁村で生きてきた今年七十二歳になるある方は、小学校五年生のときから漁に出てきました。水俣沖にも船で行って、魚を捕り、水俣病が問題となってくる時期、海面近くでふらふらと変な泳ぎ方をしている魚を見かけたら、それは捕りやすいから、捕って持って帰ってたくさん食べるわけですよね。煮干しに加工したり近所に配ったりもする。毎食、丼にいっぱい、そういう魚を食べる。幼い頃から働いて、魚しか食べられないようなそんな生活をしてきた、そうした方々が、この太田尾には三つの網元があるんですけど、一つの網元とその船に乗っていた方々には暴露が認められて該当だというが、ほかの二つの網元の下で働いてきた方々は非該当だというわけです。こんな扱い、納得がいくわけがないじゃないですか。だから裁判が起こっている。  こうした事態が、救済が終了したというふうに言えると考えますか。

西田譲日本維新の会

○衆議院議員(西田譲君) もう、まさに先生御指摘の点の問題があろうということは私も仄聞をしているところでございます。  しかし、今回の会社法で我が党が出した修正案というものにつきまして申し上げるとしますならば、あくまで現行の水俣病特措法のスキームを前提とした修正案でございます。ですので、余りこの特措法そのものについての認識についてこの場で果たして私が修正案を超えてお答えするものが適切なのかというふうに考えるところでございます。御理解をいただければと思います。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 政治家としての感想も示せないのかと。  スキームとおっしゃるけれども、特措法はあたう限りの救済を目的としているんでしょう。あなた方が提案をしておられるのは、その加害企業であるチッソの株式譲渡を容易にしよう、特措法以上のハードルは課させないと、そうしたものであるから幕引きを図ろうとするものだと抗議の対象になっているわけです。  年齢による線引きはどうか。実際に、昭和四十四年以降、例えば昭和四十五年の早い時期に生まれた方々が長く苦しみ続けてこられました。子供の頃から転びやすい、いろんな不自由があるんだけれども、長じて働くようになって、職場で食事をみんなとしているときにも手が震えたり物を落としたりする。そうしたら、薬物中毒じゃないかとかアル中じゃないかとか、そんなふうにからかわれるんですよね。両親も同じような症状で、すぐ上に生まれているお姉さんやお兄さんも同じように魚を食べて生活してきて被害者と認められているのに、その妹さんだけは救済の対象にされない。昭和四十四年十一月という線引きにどんな合理的な理由があるんでしょうかと、そうおっしゃっている被害者がいます。  同世代の女性被害者は、意識を全然しなくても足がぴくぴくけいれんすることがあるんですね。生まれたばかりの三歳くらいになった息子さんから、お母さんの足ぴくぴくして怖い、そんなふうに言われて本当に悲しい思いをした、そうした被害者たちが一方的に国が設定した線引きによって切り捨てられていいはずがない。  もう一度お尋ねします。これで救済が終了したというふうに言えると思いますか。それを前提に株式譲渡の要件を議論する、そんな場面だと思いますか。

西田譲日本維新の会

○衆議院議員(西田譲君) やはり今回、先ほど私申し述べさせていただきましたとおり、まず水俣病特措法の原則となっている被害者のあたう限りの救済、そしてこの水俣病特措法が制定された当時の先輩の先生方の御議論の中で、やはり水俣病問題の最終解決をもういよいよ図らなければいけないし、これ以上地域の紛争を長引かせてはいけないんだという本当に真摯な御議論の中で、衆議院では委員長提案で制定されたのがこの水俣病特措法でありました。  その後、先生がおっしゃるような問題が起きていることも事実でございますし、裁判中である件もあるわけでございます。当然、その司法の結論というものが出ればそれに従って対応はされなければならないと考えておりますし、この特措法制定時の原則であるあたう限りの被害者の救済、これ、ここから何分ずれるものではないというふうにも思います。  そういった思いで、今回の修正案は、その水俣病特措法のスキームに新しい権利行使の要件を入れることは、当時のこの非常に大きな議論の中で、御努力の中で制定された特措法の立法者の意思とはそぐわないものであろうかというふうな認識でございます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 つまり、救済の終了とおっしゃりはしないわけじゃないですか。  今日は環境副大臣においでいただきました。今申し上げているとおり、特措法の申請者に対する非該当判定を不服だとして納得のいかない被害者、あるいは申請が打ち切られて後も救済を求める被害者が広がって、裁判が続いているわけです。  新潟県では、非該当判定の異議申立てを認めて、この五月から行政不服審査法に基づく審査が開始される見込みのようですけれども、これ、副大臣、御存じですか。九十人いらっしゃるんですね。これ、結果が出るなんというのは少し先の話になるわけですね。  公健法上の認定をめぐっても、感覚障害だけで水俣病を認めた昨年四月の最高裁判決にも励まされて、認定申請も広がっています。裁判も続いています。熊本、鹿児島合わせて八百四十六人の新たな認定申請が行われているけれども、だけれども、その審査の目途さえ立っていないという、そういう状況でしょう。にもかかわらず、あたう限りの救済を終えたと言えるのかと。  五月の一日の水俣病犠牲者慰霊式の後に、チッソの社長ができるだけ早い時期に株式売却の態勢ができればと思っている、特措法救済策の対象者確定が救済の終了と考えているなどと、この株式譲渡をすぐにでもできるような、そんな発言をしたことが一層被害者の怒りに油を注いでいるわけですが、これ環境省として、こうした株式譲渡の条件があるとでも考えているんですか。こうした被害者の被害の訴えがある限り、株式譲渡、さらにはチッソの消滅を認めるのはあり得ないのではありませんか。

北川知克自由民主党環境副大臣

○副大臣(北川知克君) ただいま仁比委員御指摘の、先ほど来からお話があります特措法に関しての今回の会社法の措置等についてでありますが、今委員御指摘のチッソの社長の発言等、私は直接は聞いておりませんが、救済の終了という点につきましては、今後水俣病対策にしっかりと取り組む中で、どういう状況か、それに当たるか、環境省としては今後適切に判断をしたいと考えております。  また、水俣病の原因企業による子会社の株式譲渡につきましては、この特措法の第十三条におきまして、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結をするということにされており、環境省といたしましては、現状において原因企業による株式譲渡を承認できる環境にはないと考えております。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 仁比君、時間が来ておりますので、おまとめください。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 はい。水俣病を終わったとしようとすること自体が絶対に許されないんですよ。  結局、特措法も、被害の実態に合わない、水俣病問題を解決するということにはならないということが私ははっきりしたと思います。これであたう限りの救済を果たしたなどと強弁するのではなくて、やるべきは、症状に見合った救済制度を確立をすること、地域ぐるみの被害をしっかりとつかむために沿岸地域の悉皆的な調査を断固として行うということが今国としてやるべきことだということを強く申し上げて、質問を終わります。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。  本日の議題であります会社法の一部を改正する法律案、閣法二二号について質問させていただきます。  本改正案提出の経緯につきましてはいろいろな御説明があったと思いますけれども、平成二十二年二月二十四日に当時の法務大臣から出されました諮問を受けまして、法制審議会会社法制部会におかれまして、平成二十四年八月一日までに二十四回にわたる審議を経て、本当にたくさんの議論がなされたということでございます。そして、九月七日に法制審議会総会におきまして、会社法制の見直しに関する要綱と附帯決議が決定されまして、法務大臣に答申をされました。  今回の会社法の一部を改正する法律案は、この答申を受けて平成二十五年十一月二十九日に閣議決定し、さきの百八十五回臨時国会に提出されたものであると伺っております。この法制審議会会社法制部会では、平成十七年の会社法成立で実現がされませんでした社外取締役の選任の義務付けの議論や、また多重代表訴訟制度の導入に取り組まれまして、委員の会社法研究者の方、また経済界、そして実務家の方々の間で大変なこれは御議論がなされまして、その取りまとめにつきましても大変な御苦労があったことは議事録等を拝見させていただきまして強く感じられるところでございました。  論点は多岐にわたるわけなんですけれども、取締役会の役割につきましては、周知のとおり、マネージングモデルと、経営者の解任、選任を基礎とする監督を重視した取締役会の形態であるモニタリングモデルの二つの理論が論じられます。マネージングモデルを重視すれば取締役には専門的知識が要求されますので、取締役の導入には消極的にならざるを得ないという意見もございます。また、平成十四年の商法改正で、このモニタリングモデルを導入する制度といたしまして委員会設置会社の制度が設けられましたけれども、これは日本では採択が進みませんでした。  そこで、今回の法改正で監査等委員会設置会社の制度が創設されますけれども、一方で、社外取締役の選任の義務化が求められている背景もこれはございまして、平成二十五年九月十日に公表されました東京証券取引所の社外取締役の選任状況の調査の資料を拝見させていただきましたところ、これは先ほどからもお話ございますが、平成二十四年九月時点で社外取締役が選任されている一部上場会社は九百三十社、五五・四%であったものが、平成二十五年八月時点で千九十二社、六二・三%となったところでございました。近年、社外取締役を選任する会社の増加がこれは伸びてきているということが示されているものだと思います。  また一方で、社外取締役の選任に消極的な意見の代表的なものは、社外取締役を設置しない会社に現在ガバナンス上の重大な問題が生じているのかという現況、これは社外取締役を置かなくてもしっかりとその運用がなされているといったことですとか、すなわち、企業統治の実質的な向上に資するかはこれは不透明、不明確であるという意見もありますし、社外取締役は非常勤であるということもありまして、会社の事業内容に精通するには限界がある等々の御意見がございました。これは先ほどから谷垣大臣がお答えいただいているところでございます。  しかし、社外取締役選任の義務化につきましては、業務執行に対する監督機能を更に強化することが期待できるという意見もございまして、経営の透明化を向上させて内外の投資家の信頼に応えるということにもつながるというふうに思われております。また、取締役会の活性化につながることは、先に選任を図った企業からも評価されているところでもございまして、今回の会社法改正で、監査等委員会制度の導入と東京証券取引所の上場規則の改定と相まって社外取締役の選任が加速していくということが期待されておりますけれども、いずれにいたしましても、社外取締役の選任が実効性を高めるためには、社外取締役の要件の厳格化も含め、これは対処を図らなければならないというふうに私も感じております。  そこで、お伺いさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し述べましたように、取締役会の活性化等のために社外取締役を選任する企業がこれは増えてきているという現況がございます。そこで、取締役の選任の義務化について法務省はどのような御所見をお持ちでいらっしゃるのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役は業務執行者から独立した立場にあることがその要件とされておりますので、業務執行者に対して遠慮をしたり、あるいは社内のしがらみにとらわれることなく取締役会において忌憚のない意見を述べ、あるいは議決権の行使をすることが期待できるわけでございます。したがいまして、委員も御指摘のとおり、取締役会の活性化というものに資する、その結果として取締役会の業務執行者に対する監督機能が強化されるということが期待されます。  また、近時、社外取締役を選任する企業が増加傾向にあるというのも委員御指摘のとおりでございまして、これは社外取締役の機能を活用すべきであるという認識が我が国の企業関係者にも広く浸透しつつあることを示しているものと思われます。  こういった事情を背景にして、この社外取締役の機能を更に積極的に活用するためには、社外取締役の選任の法的な義務付けに踏み切るべきだという指摘もありまして、これも御指摘のとおりですが、法制審議会の会社法制部会におきましては、この社外取締役選任を法的に義務付けるかどうかが最も重要な論点になりました。  部会ではもちろん賛成する意見と反対する意見があり、賛成する意見は、会社の自律性に委ねて社外取締役の導入を促進するといっても限界があるんじゃないか、あるいは、社外取締役の選任を法的に義務付ければ内外の投資家の期待に応えられるのではないかというようなことから、是非義務付けをすべきだという意見と、他方で、義務付けをすると、各会社の様々な規模とか業種等々の事情に適した企業統治体制を自ら構築していくということをかえって阻害をしてしまうので、各社の自由選択に委ねるべきである、あるいは、現在の日本の状況では人材の不足も懸念されるのではないかというようなことから反対する意見と、両方ございました。  この両者の対立、これは本当に人数的にも様々な論拠としても五分五分の状況で、ずっと議論が重ねられ、最終的にはコンセンサスが得られないということで、法的な義務付けについてはですね、法務大臣への答申には社外取締役選任の法的義務付けは盛り込まれませんでしたけれども、ただ、社外取締役の機能を活用すべきであるということについては法制審議会で異論はございませんでしたので、改正法案においても、その導入を促進する措置は様々講じているところでございます。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 ありがとうございます。  ただいま御説明いただいたとおりだというふうに私も思っておりまして、このことにつきましては、今お話しのとおりで、本当に二つの意見がございまして、その一つは、社外取締役の導入につき、監視される立場にある業務執行者の自律性に期待することにはこれは限界があるということで義務付けに賛成するという、これは強い意見があったということ、そして他方、義務付けるとかえって、ただいま御説明いただいたとおりでございます、会社の規模や業種、そして業態等に適合した企業統治体制をつくることが妨げられるということですとか、社外取締役の導入は各会社の自由な選択に任せるべきだという強い意見が出された結果となったということも私も確認をさせていただきました。そこで、そうしたこと、いろいろなことを含めまして議論が重ねられまして、かなりこれは義務付けに近い形にはなっていますけれども、明示に義務付けるという形にはしない今回の改正案となったのだというふうに思います。  また、今回の会社法改正と東京証券取引所の上場規則改正等と相まって、社外取締役の導入が進み、各企業の取締役会の活性化、そして透明化が市場や投資家の期待どおりにこれは進展をして、二年後の検討に向け十分な環境が整っていくということを法務省におかれましても期待をされているところであるというふうに思います。また、会社法制部会の議事録等を拝見させていただきましたけれども、部会の最後に部会長がおっしゃっておられましたように、コーポレートガバナンスにつきましては改善の不断の努力が必要であり、また、更なる検討や実務の改善を進めることによって企業経営の適正が確保され、我が国企業の競争力が強化されていくということを強く期待しているとされておりましたので、この考えにつきましては私も同じ考えを持っているところでございます。  こうしたことを踏まえた上で、次に、東京証券取引所の平成二十五年八月に公表されました研究結果によりますと、独立社外取締役がいる会社といない会社の自己資本利益率、ROEが、株主から負託されている資本を活用してどれぐらいの利益を上げることができたかを比較してみたという研究結果がありまして、二〇一二年時点で独立社外取締役を一名以上選任している会社の平均値は五・〇九%、二〇一一年で四・〇二%でございまして、選任していない会社は、二〇一二年はマイナス〇・六一%、二〇一一年は二・六八%の結果になっておりました。また、独立社外取締役が選任されている会社は、上場会社のROEに数値的には明確に貢献しているという状況が表れていると確認できました。  また、社外取締役を選任する企業が増加傾向にありますけれども、社外取締役が形骸化また形式化しないために選任した企業の努力というものは求められると思いますけれども、社外取締役の選任が各企業で進んで形骸化、形式化が今後進むのであれば、二年後の義務化に向けた検討に影響を与えるものと考えられるというふうに思います。  そこで、法務省としてどのような施策を講じようとお考えでいらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 社外取締役の導入を促して我が国の企業統治を強化していこうというのが今回の改正法の狙いの主要な狙いでございますが、導入すればそれで能事終われりというものでないことは明らかでございます。それぞれの企業において社外取締役の機能が十分に発揮できるように、これは努力していただくことを私たちは期待しているわけですね。  それで、法務省としては、この法案ができましたら、やはりその本来の狙い、目的というものを正確に理解していただくような啓発と申しますか、そういう活動にまずは力を入れなければいけないと思っております。  そして、二年後の見直しということが書き込んでおりますが、コーポレートガバナンスというのは、何というんでしょうか、永続革命といいますか無窮動といいますか、そういうところがございますので、今いろいろ谷委員が御議論になりましたようないろいろなことが今後どういう形で現れてくるのか。今の段階で、じゃ二年後どういうことに取り組んでいくかということはまだ定かではございません。今回の改正の影響をよく見ながら永続革命をうまく進めていくような努力をしたいと思っております。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 谷垣大臣、ありがとうございました。  これは実際に施行されてから、改正の影響を見ながら永続的に続けていけるように努力されていくということでございました。今お話ございましたように、啓発等にも力を入れられ、そしてまたコーポレートガバナンス等にも今後取り組まなければならないというお話であったというふうに思います。  今大臣からお話ありましたように、私も同様の意見を感じているところございまして、社外取締役の普及は、やはり後戻りしない不可逆的な傾向として、日本の大企業の標準として進むものと期待されているというふうにも思います。ここで形骸化、形式化の対策を講じることによって投資対象としての日本の企業の魅力を高めるということができるものとも私は同時に思っている次第でございます。これらにつきましては、第一義的にはそれぞれの企業が自らの企業価値を高める方策として社外取締役を有意義に活用される御努力もこれは期待されるところであるというふうに私も同時に感じております。  まだまだ質問の通告をしていたんですけれども、今日は時間が限られておりますので次の機会に、質問の機会がありましたら質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  最後でございますので、通告重なった部分もありますけれども、改めて聞かせていただきたいと思います。  会社法の一部を改正する法律案の中で、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対する懸念についてまずお伺いをしたいと思います。  監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行する際には、必要的に設置されている社外監査役をそのまま監査等委員になる社外取締役にスライド就任させることが法的には可能であると言われておりますが、そもそも社外監査役とそれから社外取締役とでは求められる役割やそれからふさわしい人材が異なるのではないかというふうに考えます。また、これまで社外監査役であった方が、取締役会において議決権を有する取締役である監査等委員としてすんなり就任してもらえるのかという疑問もございます。  また、元々、社外取締役の人数を集めるのは実務的に厳しいという話もあり、今回の監査等委員会設置会社において新設されても状況は変わらないのではないかという指摘もあるわけですが、そこで、その監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に際し、これまで社外監査役であった方に監査等委員へ就任してもらえるのかどうか、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へスムーズに移行するのかという懸念について、谷垣法務大臣の御所見をお伺いいたします。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する際に、今までの社外監査役が社外取締役に言わば横滑りするということは制度の上では可能です。  私の知人でも、今まで社外監査役をやっていたんだけれども、今度から社外取締役になることになったと、そういうことをおっしゃっている方もあるわけですが、しかし、委員御指摘のように、取締役と監査役とではもちろん取締役会における議決権の有無とか職務権限の違いがございますので、その適性も全く同じというわけにはいかないだろうと思うんですね。それから、今まで社外監査役だったら俺は引き受けたけれども、社外取締役をやれと言われたって困るんだよなという方もいらっしゃるので、合意がなければできないわけですね。そのため、そういう監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行するに当たって、社外監査役をそのまま社外取締役に言わば横滑りするのがいいのかどうかというのは、それぞれの企業でよく判断をしていただかなきゃいかぬということになるだろうと思っております。  今委員がおっしゃったことは、しかし、その人材不足も指摘されているではないかということですね。ある意味での社外監査役のプールというのはあるわけですが、社外取締役に果たして人材が得られるのかどうか。これについては、そういう人材をプールして、その情報を各企業に提供するということが一つの有効な解決策であろうと思います。現に民間においてそういう取組を行っている団体が幾つかあることも承知しておりまして、そういった活動、活躍が、何というんでしょうか、いろんな意味で補っていっていただくことを私たちは期待しております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、今回新設される会社法第三百二十七条の二、社外取締役を置いていない場合のその理由の開示については特段の経過措置は設けられていないために、これは仮に改正法の施行日を平成二十七年四月一日とした場合、この事業年度末日において社外取締役を置いていない三月決算会社は、平成二十七年六月の定時株主総会において相当でない理由を説明しなければならず、その相当でない理由を説明しないように社外取締役を選任するのであれば、本年六月の総会で選任しておく必要があるというふうに思います。  東証一部上場企業では既に六割を超える会社が社外取締役を選任していることなどを踏まえますと、本年六月の総会で社外取締役を選任しておくことがまず必要だというふうに考えられます。しかし、社外役員の要件の見直しや、それから証券取引所規則の改正の内容等も踏まえておく必要があり、候補者の選定等に要する時間を考えますと、本年の総会までに選任することが難しい場合、来年総会で選任し、来年の総会に限り相当の理由を説明することも選択肢とせざるを得ない場合もあるのではないかというふうに考えます。  そこで、まずお伺いしますけれども、今回新設される会社法第三百二十七条の二の社外取締役を置いていない場合の理由の開示については特段の経過措置が設けられていないことを法務大臣にまず確認をしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員のおっしゃるように、特段の経過措置は設けられておりません。この理由は、何らかの新しい制度をつくるとかいうことではなくて、要するに、社外取締役を置いていない、置くことが相当でない理由というその説明をすればいいことだし、それから、できるだけ早くそういう制度に移行していくことが望ましいという観点から特段の経過規定は置かなかったということでございます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 さらに、社外取締役を置いていない場合の理由の開示義務が定められたことによる会社法改正案の施行を想定した社外取締役選任の必要性について、施行日の見通し等も含めてお伺いをしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今度の改正法の附則第一条で、「公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日」というのを施行日としているわけですね。  それで、改正法案はコーポレートガバナンスの強化、それから親子会社に対する規律等の整備を図るものでございますから、できるだけ早く施行していきたいという気持ちがある一方、今回の改正内容はかなり多岐にわたることも事実でございます。  それで、改正法案成立後に法務省令の改正も含めて、それからまたその規律内容の周知を図っていくということも必要でございますので、十分な準備期間を確保しておかなければならないという必要もございまして、以上の点を踏まえますと、現在考えておりますのは、この通常国会で改正法案が成立した場合には平成二十七年、来年の四月ないしは五月頃を施行日としたらよいのではないか、今のところは一応そのように考えております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、多重代表訴訟制度創設の意義についてお伺いしたいと思います。  今回の改正では、特定責任に係る責任追及の訴え、いわゆる多重代表訴訟制度が創設されます。これは一定の要件を充足する場合にのみ最終完全親会社等の株主が子会社の役員に対して責任追及の訴えを提起することが認められますが、多重代表訴訟を提起できる株主は最終完全親会社の株主に限定されるとともに、最終完全親会社にも損害が生じていることを要件としています。また、責任追及の対象は、責任の原因となった事実が生じた場合において重要な子会社である株式会社の取締役等の責任に限定され、重要な子会社であるかどうか、当該子会社の株式の帳簿価額が最終完全親会社の総資産額の五分の一超であるかどうかを基準に判断することなどが定められています。  もっとも、これらの要件を満たす子会社は必ずしも多くはないと考えられることから、実際に多重代表訴訟を現実的な問題として捉えておく必要のある会社は限定的であるというふうに考えられます。  そこで、多重代表訴訟の制度は創設されることになりましたが、完全子会社の範囲にも重要な子会社という相当な縛りが掛けられ、さらにまた、総株主の議決権又は発行済株式の百分の一以上を有する最終完全親会社等の株主が多重代表訴訟を提起できるというふうにされています。  このように、単独株主権ではなく少数株主権にされたことなど、多重代表訴訟を利用できる場合は極めて限定的になってしまったのではないかというふうに言えるのではないでしょうか。  そこで、今回の改正により導入される多重代表訴訟制度の創設の意義が実質的にはなくなるのではないかという気がいたしますが、法務大臣からこのことについて御説明をお伺いしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党法務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 現行法では、株式会社の株主はその株式会社の取締役等々に対しては代表訴訟を起こすことができるわけですけれども、その株式会社の子会社の取締役に関してはこれを提起することができません。  ただ、この頃、近年、持ち株会社形態や完全親子会社関係にある企業グループがたくさん形成されるようになりまして、こういう企業グループでは、ホールディングカンパニーというのは具体的な事業をやっているというわけではございませんで、むしろその完全子会社の企業活動、企業価値がその親会社の企業価値に決定的な影響を与えてくる。  それから、株式会社の取締役等が株式会社に対して損害賠償責任を負っている場合には、株式会社の取締役等とその完全親会社の取締役との企業グループ内の人的関係や仲間意識がございますので、完全親会社が株主として代表訴訟を提起して取締役等の損害賠償責任を追及することを怠るというおそれが類型的にあるのではないかと思います。そのために株式会社の損害が賠償されなくて、その結果として、完全親会社、ひいては完全親会社の株主が不利益を受けることとなるおそれがあると。それで、こういう完全親会社の株主を保護するために今回の制度を設けたわけでございます。  それで、今少し形骸化されているんではないかという疑念をお持ちになっているようですが、私は、従来必ずしも認めておられなかったものをこういうふうに拡大していくことによってその機能を発揮できる、これは将来どういうふうにしていくかまた考えなければならないかもしれませんが、私は、こういう広げることによって十分その意義は期待できるのではないかと、現在はこのように考えております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございます。  次に、支配株主の異動を伴う募集株式の発行等についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正では、公開会社において総株主の議決権の過半数を保有する支配株主が新たに登場することとなる第三者増資をする場合には、あらかじめ株主に対してこの第三者割当て増資に関する事項を通知、公告することが求められ、この結果、総株主の議決権の十分の一以上の株主の反対があると、株主総会決議を得なければならなくなりました。  これは、会社としては、総株主の議決権の十分の一以上の反対がなければ従来どおり株主総会なしにそのまま第三者割当て増資を行いますが、実際に通知、公告をしてみたら想定外に総株主の議決権の十分の一以上の反対があった場合は、そこから株主総会を開催しなければならなくなります。株主総会の開催まで大体一、二か月程度の時間が必要と承知しており、増資のスケジュールが大混乱になる可能性があるのではないかというふうに思います。  そのため、例外規定として、事業の継続のため緊急の必要があるとき設けられ、そして緊急時には株主総会を開かなくても第三者割当て増資が実施できることとなっておりますが、そこでお伺いいたします。  まず、法制審議会の会社法制の見直しに関する要綱では、当該公開会社の存立を維持するための緊急の必要があるときとされていたのが、改正法案では、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときと変更されている理由を大臣に確認をして、終わりたいと思います。

深山卓也法務省民事局長

○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘のとおり、株主総会の開催というのはある程度の期間が要りますので、総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から募集株式の引受けに反対する通知があった場合に常に株主総会の決議が必要だという原則しか設けませんと、例えば、公開会社が経済的に窮境にある場合、倒産に瀕しているような場合、必要な資金調達が間に合わずに株主総会を開くまでの間に倒産してしまうということで、かえって株主の利益を害する結果となるおそれがございます。  そこで、改正法案の二百六条の二第四項ただし書では、当該株式会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該株式会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、このような反対通知があったとしても総会の決議による承認を要しないとしたわけですが、今御指摘の点は、この要綱、元々の法文の要綱ではその表現ぶりが少し違うじゃないかと。当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の存立を維持するため緊急の必要があるときは決議は要らないと言っていたのが、法文ではそこが、存立を維持という言葉が事業の継続のためと、こういうふうに変わっている理由は何かということだと思います。  これは、要綱を受けてこれを法文化する際の政府部内の検討で、専ら法制的な観点からより適切な用語を用いるということで、ルールの内容を変えるということではなくて、その規定ぶりを検討の結果変えたというものでございます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 終わります。ありがとうございました。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後一時開会

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案を議題といたします。  これより、三案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、四名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人は、株式会社東京証券取引所常務取締役静正樹君、三菱商事株式会社法務部長藤田和久君、早稲田大学大学院法務研究科教授岩原紳作君及び水俣病不知火患者会会長大石利生君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方について申し上げます。  まず、静参考人、藤田参考人、岩原参考人、大石参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、静参考人からお願いいたします。静参考人。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。  東京証券取引所の静でございます。  本日は、このような場にお招きをいただきまして、意見を申し述べる機会を頂戴しましたこと、大変光栄に存じております。  それでは、本日、私の方からお話し申し上げたいことはお手元の横書きのペーパーにまとめてまいりましたので、一枚お開けいただきたいというふうに思います。本日、当委員会で申し上げたいポイントは大きく三点ございます。  一点目でございますけれども、市場秩序の維持のために重要な改正ということでございます。今回の法案では、いわゆるコーポレートガバナンスに関する改正というところに大変注目が集まりがちでございます。けれども、それ以外にも、私ども取引所でございますので、市場開設者という立場から見て、市場秩序を維持していく上で大変重要な改正項目というのが含まれておりますということでございまして、この項目につきましては、内外の投資家に安心して投資をしていただくために大変欠かせない重要な改正となっておりますので、是非とも実現をしていただくようお願いを申し上げたいというふうに思います。  二点目でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたコーポレートガバナンスに関する項目でございます。政府提出法案では、社外取締役の選任につきまして、会社法では義務付けを見送るけれども、一方で、上場ルールの方で努力義務を課すという形に今回なっております。上場会社の皆さんの間では急速に社外取締役の普及が今進みつつあるというところでございますけれども、今回この法案が成立をいたしますと、その流れが更に強く強力に後押しされることになるというふうに思っておりますので、これも是非実現をしていただくようお願いを申し上げたいというふうに思います。  そして最後に、三点目でございます。今回の法案の基となりました法制審議会の改正要綱が確定してから既に二年近くが経過しているということでございます。できるだけ早く、早期の法案成立をお願いできればということを最後にお願いを申し上げたいと思います。  以上三項目につきまして、順に説明をさせていただきたいと思います。  一ページお開けいただきまして、二ページと右下に書いてあるところにお進みください。  ポイントの一点目と申し上げましたのは、市場秩序維持のために重要な改正ということでございますけれども、この中身は大きく二つあります。まず、第三者割当ての規制ということについてお話をしたいと思います。  会社法では、一番上のところに書いてありますように、第三者割当て増資をするときには取締役会の決議が必要だということになっております。しかしながら、上の方に四つ枠組みがありますけれども、一番左の方にございますように、現行法の仕組みでは、株主総会の承認までは要らないということになっております。そして、左から二つ目、隣の枠ですけれども、このことを濫用する事例というのが実際上場会社の間で起こっております。上場会社の中には、取締役会だけでできるというこの第三者割当て増資というのを悪用いたしまして、①のところに書いてございますように、既存株主の持分を大幅に希薄化することで投資家を苦しめるとか、あるいは②のところにありますように、会社が勝手に支配株主をすげ替えることで投資判断の前提を覆してしまうといったような会社が現実に現れたというわけでございます。  私どもでは、左から三つ目の枠になりますけれども、上場規則による規制ということを新たに設けざるを得なくなりました。①のように大幅な希薄化を伴う第三者割当て、あるいは②のように支配株主の異動を伴う第三者割当て、このときには、取締役会の決議だけじゃなくて、株主総会の承認あるいはそれに類するような一定の手続を取ることを上場会社に求めてきたというわけでございます。  今のところ、おかげさまで再発はないということで防止できておるわけでございますけれども、仮に、今後この上場規則を守らない会社がまた出てきたということになりますと、何が起こるか。それは、私どもは、単純に申し上げますと上場廃止で応じるかどうかということを考えざるを得なくなるということでございます。しかしながら、仮にそうなった場合には、上場ルール違反の第三者割当て増資で苦しめられた投資家が、今度は、引き続いて取引所に上場廃止で苦しめられるということになりかねないということでございます。そこで、会社法にも同様の規制を入れていただくことで、そうした事態が元から起こらないようにしていただきたいということをお願いしてきたというわけでございます。  最終的には、一番右の枠でございますけれども、今回の会社法改正案には、そうしたことを踏まえまして、全部とはいかなかったんですけれども、この②の支配株主の異動を伴う第三者割当てにつきましては、一定の条件は付いておりますが、株主総会の承認を得なければならないという新しい規制を盛り込んでいただいたということでございます。これが一点目でございます。  一ページお開けいただきまして、三ページと書いてあるところに進ませていただきます。市場秩序維持のために重要な改正の二点目についてお話を申し上げます。  会社法では、一番上のところに書いてございますように、原則的な考え方として、会社が発行可能な株式数は実際に発行している株式数の四倍までという決まりがございます。しかしながら、一番左上の枠組みを御覧いただきますと、現行法の仕組みでは、株式併合で発行している株式が減少した場合には、発行可能な株式数はそれに応じて減るわけではなくてそのままで変わらないという、現在そういう仕組みになっております。その結果、会社は株式併合することで、発行している株式の四倍を大きく超えるような株式数を発行することが可能になっております。  そして、左から二つ目の枠組みでございますけれども、これを濫用する事例というのが実際にやはり起こっております。ある上場会社ですけれども、十株を一株に併合するということを使いまして、発行している株の本来四倍までしか発行できないんですが、四十倍近い株式を発行しようとして、その結果、既存株主の持分を極端に希薄化させるというようなことが起こってきたわけでございます。  先ほどと同様、私どもでは、その隣でございます上場規則による規制というのを新たに設けたわけでございますが、上場会社が発行している株式の四倍を超えるような第三者割当てを行うことは取引所のルールで禁止をするということをしてあるわけでございます。こちらについても、今のところ再発は防止できておるという次第でございます。しかしながら、先ほどと同じように、今後、仮にこの規則を守らないという会社が出た場合に、上場廃止で応じるかどうかということを考えざるを得なくなるという事情は先ほどと同じでございます。そこで、会社法に同様の規制を入れていただくことで、そうした事態が元から起こらないようにしてほしいというふうにお願いをし続けてきたわけでございます。  その結果、一番右の枠になりますけれども、今回の会社法改正案では、そうしたことを踏まえまして、株式併合で発行する株式数が減少したときにも、その四倍までしか発行できないこととするというような規制を盛り込んでいただいております。  以上、二点、内外の投資家が安心して投資をしていただくためには大変重要な改正だと思っておりますので、いずれにつきましても是非実現のほどをお願いしたいというふうに思っておる次第でございます。  一枚お開けいただきます。ポイントの二つ目でございますけれども、コーポレートガバナンスに関する改正でございます。こちらにつきましても大きく二つ項目がございます。  一つ目は、御覧いただいているスライドの上の方、一、社外性要件の強化と書いてあるところでございます。それで、こちらについてお話を申し上げたいと思います。  会社法では、社外取締役あるいは社外監査役になれるかどうかという基準として、社外性の要件というのが決められております。けれども、私どもの上場規則では更に厳格なグローバルスタンダードに準拠した要件を定めておりまして、これを独立性の要件というふうに呼んでおります。上場会社に対しまして、私どもでは、少なくとも一人はこの独立性の要件を満たす人を社外役員として選んでいただいて、私どもへ届け出ていただくと。独立役員という制度ですけれども、そういう仕組みをつくっておりますけれども、その独立役員になれるかどうかという基準がこの独立性の要件でございます。  独立性の要件は、ざっくり申し上げますと、その左に並んでおります五つぐらいに分類することができます。その右にバツが五つくっついているのがこれが上場規則でございますが、この五つの独立性の要件のどれか一つにでも抵触すると、私どもの上場ルール上の独立役員にはなれないという、こういうことになっております。一方、その右隣に現行会社法と書いてあるところがございますけれども、これは下の三つが丸というふうになっております。この三つにつきましては、どれに抵触しても社外役員には会社法上なれるということでございます。  私どもでは、この下の三つの丸につきましても今回会社法でバツにすること、つまり社外性の要件として御採用いただくということをお願いしてまいったわけでございます。その結果、今回の会社法改正案では、一番右にございますけれども、全部とはいかなかったんですが、そのうち二つを御採用いただけるということになっております。  一方で、一番下の主要な取引先の関係者という項目は、今回は採用が見送られております。しかしながら、皆様よく御存じの三年前のオリンパスの事件というのを受けまして、私どものルールでは、会社と社外役員の間に取引関係がある場合には、あるかないかということ、そしてどんな取引があるのかというその概要を過去十年分にわたって発表していただくということにいたしましたので、当面はその開示を通じて株主による監視が行われるということに期待したいというふうに思っておる次第でございます。  二つ目の項目は、スライドの下半分でございますけれども、社外取締役の確保についてということでございます。これについてお話をしたいと思います。  世界中にいろいろな国があります。主要な先進国では、しかしながら、経営のモニタリングというのは社外取締役が行うんだというスタイルがもはや常識になっております。我が国はこの点で極めて遅れておるということでございまして、内外の投資家の評価というのは大変厳しいものがあるというふうに言わざるを得ません。そこで、私どもでは、社外取締役の普及を促進しようということで、これまで会社法による義務付けということをお願いをしてまいったわけでございますけれども、残念ながら今回の政府提出法には採用されておりません。  しかしながら、一方で、国によって、よくよく見てみますと、社外取締役を普及させるための手法というのはかなり違いがあるということが分かります。下の図の一番上のアメリカの例でございますけれども、これは選任を義務付けるということをやっております。その下のイギリスですけれども、こちらはコードという名前の規範を作りまして、義務付けはしないんですけれども、社外取締役を採用しないとか、一定の人数置かないとかいった形でコードを破る、守らない会社にはどうしてそういうことをするのか説明義務を課す、そういう国もございます。  一番下が我が日本でございますけれども、これまでと書いてあるところにございますように、これまでは私どもの独立役員制度で、独立性の高い社外役員、これは取締役でも監査役でもいいんですけれども、それを最低一名確保するということを上場会社の義務だということで義務を課してきたという、これは言わばアメリカ方式でございます。  今後はどうなるのか。一番下でございますけれども、これに加えまして、上場規則では独立性の高い社外取締役の選任努力義務を課すということにいたしまして、しかしながら、これは努力義務ですので罰則はありませんので、どちらかというとイギリスのコードと同じような位置付けになるというふうに思います。一方、会社法令では、現在の予定されている法案のところでは、社外取締役を置かない会社に対してそれを置くことが相当でない理由の説明義務を設けるということでございます。この二つの組合せは、どちらかといえばイギリス方式ということになると思います。  そのように分析しますと、今後、我が国では、独立役員についてのアメリカ方式と社外取締役についてのイギリス方式を併用して、ハイブリッドで普及を促していくということになるというふうに理解をしております。この組合せがうまく功を奏しまして、ほとんどの上場会社で社外取締役が選任されることになればもうそれでいいということでしょうし、そうでない場合には、政府提出法の方で申し上げますと、施行の二年後にどうするかという、再検討するということになるんだというふうに理解をしておる次第でございます。  最後のスライドを御覧いただきます。三点目のポイントについてお話を申し上げます。  法案の早期成立についてでございます。これに関しましては、現在確実に実態の改善が進んでおりますので、それに触れながらお話をさせていただきたいというふうに思います。  私ども東京証券取引所ではもう十五年ぐらい前の二〇〇〇年頃から社外取締役の普及に努めてまいりましたけれども、その当時、十五年前ぐらいになりますけれども、その当時の上場会社の普及率というのは、社外取締役のいる会社の率というのは一九・九%程度ということで二割弱ということでございました。一番下の二〇一三年、去年を御覧いただきますと六二・三%、この十四年間で四二%の上昇ということでございますので、一年間に平均して三%ぐらいずつ普及率が上がっているということになります。特に、昨年は普及率が一年間で七%という記録的な上昇を記録しております。つまり、加速度的に改善が進みつつあるということがお分かりをいただけるんじゃないかというふうに思います。  右の方、目を移していただきまして、主な出来事欄を御覧いただきますと、この間、政府の各種の審議会でいろんな議論が行われました。あるいは、上場会社の方で国際的な企業不祥事だとかが起こったというようなこともございます。そのたびに私どもの上場ルールが強化をされまして、それと足並みをそろえるように普及率が高まるという傾向があるようにも見えます。  私どもでは、今回御審議をいただいているこの法案の審議に先行いたしまして、今年の二月には、先ほど御紹介をいたしました独立性の高い社外取締役の選任努力義務を上場会社に課すという制度改正をいたしております。しかしながら、私どものこのルール改正につきましては、今回の法案とセットで機能するということが元々予定されてきたものでございます。今後も、社外取締役の普及がより確実かつ強力に進み、内外の投資家の私どもの市場に対する信頼が一層高まりますよう、できるだけ早期の法案成立を最後にお願いをいたしまして、私の説明にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  次に、藤田参考人にお願いいたします。藤田参考人。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 三菱商事株式会社法務部長の藤田でございます。本日は、このような意見陳述の機会を設けていただき、誠にありがとうございます。  私は、経団連におきまして会社法などコーポレートガバナンスについて議論しております経済法規委員会企画部会の委員でもあることから、会社法の一部を改正する法律案について、お手元の資料の冒頭にございますA4の一枚紙に沿って経団連の考え方を御説明するとともに、その後ろに添付しております資料、持続的成長を支える三菱商事のコーポレートガバナンス体制、これは昨年弊社が発行したアニュアルレポートから抜粋した資料でございますけれども、こちらに基づきましてコーポレートガバナンスに関する弊社の取組を御紹介させていただきます。  初めに、今回新設されます監査等委員会設置会社制度の導入については、従来の監査役会設置会社、今回の法改正により指名委員会等設置会社に名称が変わります委員会設置会社に加えまして、ガバナンスの選択肢を増やすものでありまして、自社によりフィットしたガバナンス体制の構築につながるものと期待しております。法案が成立し、施行規則の制定等により制度の詳細が明らかになってまいりましたら、各社で移行の是非等について本格的な検討が開始されるものと考えております。  一方で、会社のガバナンス形態としてこのような三つの類型があるということにつきましては、海外の投資家を中心に分かりにくいのではないかという懸念も指摘されておるところであります。そもそも社外取締役選任に関する議論が、社外監査役が必ず選任される我が国の監査役会制度について海外の投資家に十分理解されていないことも一つのきっかけとなったことに鑑みますと、監査役会設置会社を含め、監査等委員会設置会社についても海外の投資家から理解を得られることが重要であるというふうに考えております。  経済界では今後も各社が自らのガバナンス体制について株主、投資家に十分な説明を行ってまいる所存でございますが、政府におかれましても、これらの三類型がガバナンス上等価値であるということも含めまして、制度への理解が進むよう国内外への周知に力を入れていただければというふうに思っております。  ここで、弊社、三菱商事におきますコーポレートガバナンスに関する取組について御紹介させていただきます。  資料の二ページ目の持続的成長を支える三菱商事のコーポレートガバナンス体制、これはページが六十四というふうに打っております。弊社では、コーポレートガバナンスの継続的強化が重要であるという観点から、監査役設置会社を基礎といたしまして、社外役員による経営監督機能の強化や、執行役員制度による意思決定、業務執行の迅速化、効率化といったものを図ることによりまして、実効性のあるコーポレートガバナンスの構築に努めておるところであります。  六十五ページを御覧ください。  弊社の取締役会は社外取締役五名を含む計十四名で構成されておりまして、監査役につきましても五名のうち三名が社外監査役ということになっております。これら社外取締役及び社外監査役は東京証券取引所等が定めます独立役員の要件を満たしておりまして、それぞれの客観的、専門的な視点を通しまして、取締役会での適切な意思決定や経営監督の実現というものを図っておるところであります。  また、取締役会の決議によって執行役員に業務を分担させるといったことによりまして、先ほどの意思決定や業務執行の迅速化、効率化を図るとともに、業務執行を行う役員の機能、責任の明確化を図っております。  こういった取締役会の関連の体制に加えまして、弊社では、取締役会の諮問機関といたしまして、社外役員それから社外の委員を中心としますガバナンス・報酬委員会、また国際諮問委員会というものを設置いたしまして、取締役会の監督機能の強化を図っております。ガバナンス・報酬委員会では、コーポレートガバナンス関連の課題につきまして議論しておるところでありますけれども、それに加えまして役員報酬制度等について審議、レビューをしております。また、資料の飛びまして七十二ページに書いてあります国際諮問委員会では、海外の企業経営者、有識者の方々をメンバーといたしまして、グローバルな観点から経営課題について議論をしていただいて経営への助言をいただいているところであります。  次に、社外取締役、社外監査役の社外性要件の見直しについて申し上げます。  資料冒頭のA4の一枚紙の二を御覧ください。  社外役員につきましては、実質的に活躍し得る有為な人材を広く集める必要があるということから、できるだけ多様性を認めるべきであるというふうに考えております。こうした観点からは、法案が定める見直しの方向性は適切であるというふうに評価をしておるところです。  法案の内容を踏まえまして、施行前ではございますが、各社では本年の株主総会に諮る役員の選任議案について、改正法の施行後においても要件を満たすよう検討や対応が進んでいるものと理解をしております。また、重要な取引先関係者につきましては、企業価値向上のインセンティブを共有しているとともに、当該企業の業務内容等について知識や経験を有しているため、ガバナンスを適正に保つことに貢献するという利点もございます。利益相反が生じるおそれがあるとして、取引先関係者は社外取締役として認めるべきではないという御指摘もございますが、監査役によるチェックや取締役会の決議を行う場合、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないといった仕組みがございますので、こうした懸念は払拭できるものではないかと思っております。  続いて、社外取締役の選任の在り方について申し上げます。  取締役として経営の適正な監督を行うことができるか否かは、社外者であるといった形式的な属性ではなく、個々人の資質や倫理観といった実質によって決まると考えております。近年、不祥事の未然防止やROE向上のためなどの観点から社外取締役に対する様々な期待が示され、選任が義務付けるべきという議論がございますけれども、そもそも社外取締役は会社法上、業務執行権限を有しておりません。社外取締役の選任義務付けについて議論する際には、社外取締役に期待される役割と、社外取締役が法律上できること、できないこととの関係を整理して議論する必要があると考えております。  また、特に海外において取締役会の役割として認識されておりますモニタリングモデル、すなわち取締役会は経営者を監視、監督する役割を担っているというものを前提に社外取締役の選任を義務付けるべきという主張も見受けられます。しかし、我が国の企業のほとんどが採用しております監査役会設置会社においては、社外監査役が半数以上いる監査役会が経営者を監督する役割を担っております。それに加えて経営者の監督のために社外取締役の選任を義務付ける必要があるのか、立法事実の有無について十分な議論が尽くされていないようにも思っております。  またさらに、法令等で社外取締役の選任を義務付ける場合の影響についても注意が必要かと思っております。具体的には、社外取締役は選任すればそれで終わりというわけではなく、むしろ選任された後、いかにその役目、ファンクションを果たしてもらうか、そのための社内のサポート体制をどのように整えていくかといった課題がございまして、それが重要であるというふうに考えます。仮に選任が義務付けられる会社を上場会社に限ったとしても、特に地方の上場会社においては経営に関する知見を持った人材の確保が難しく、結局は取引先にお願いするしかないとの声が寄せられております。  また、ベンチャー企業に関しては、既に東証において、新規上場時や市場替えのときの上場審査において独立取締役設置に関する審査が強化されておりますが、こうした企業は知名度が必ずしも高くないことなどから、経営の知識を有する人材に社外取締役を引き受けてもらえないなど、人材を確保するということが難しい状況です。  経団連といたしましては、社外取締役が企業のガバナンス向上に貢献し得ることや、各社がその必要性に応じて自主的に社外取締役を選任すること自体を否定するものではございません。現に、昨年九月時点で、東証一部上場企業においては、六割を超える企業が社外取締役を選任しております。今般、法制審議会の附帯決議に基づき、東証の上場規則の改正により一名以上の独立取締役の選任が努力義務とされたことと相まちまして、この流れは今後ますます広がっていくというものと考えております。  しかし、法令等によってこの社外取締役選任を義務付けるだけの立法事実があるのか、また義務付けた場合の影響については慎重に見極める必要があると思います。  この点について、内閣提出の法案では、社外取締役を選任することが相当でない理由を株主総会で開示することを義務付けられておりますが、社外取締役の選任自体は、企業の自主的な判断が尊重されるものとして評価しておるところであります。  なお、弊社では、三菱商事では、経営監督機能の強化を図るため、以前から社外役員の拡充に取り組んでまいりました。社外役員の選任に関しましては、お手元の資料、先ほどのコーポレートガバナンス体制の六十六ページにもございますように、社外役員選任基準を設けまして、その役割や選任方針を明確化するとともに、社外にも開示しております。現在就任いただいている社外役員のうち、社外取締役については、学識経験者、企業経営者等でございますし、それぞれの経験や専門性に基づく客観的、専門的かつ多様な視点から経営への助言、監督を行っていただいておるところであります。  次に、会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権を監査役へ付与する点について申し上げます。再度、冒頭の資料の四を御覧ください。  当初の議論では、選解任に加えて報酬の決定についても監査役に権限を付与することが検討されていたというふうに思っておりますけど、監査役が持つ権限を十分に発揮することで、会計監査人の選任、報酬決定に関する利益相反のリスクは排除することができると考えております。  この点について、法案では、会計監査人の選解任等については監査役の権限を付与するとされておりますが、報酬の決定については従来どおり取締役の権限とされており、その点は評価をしております。  最後に、多重代表訴訟制度についてです。  経団連は当初、本制度により、子会社取締役が積極果敢な事業運営をちゅうちょするということで、経営のダイナミズムが失われるばかりでなく、戦略的な親子会社関係の構築がためらわれるという点から企業の組織選択の判断をゆがめることや、濫訴による会社役員賠償責任保険の負担増加等、訴訟リスクへの対応に多大なコストが生じること等から反対しておりました。  この点について、法案では、提訴要件を始め、対象となる子会社の範囲が適切に限定されており、こうした懸念が相当程度払拭されたものと評価をしております。  以上、るる申し上げましたけれども、経済界といたしましては、法案の早期成立をお願いしたいと思います。多くの企業が株主総会を開催する六月が近づく中、一部の企業では、今回の法改正に対応するため、法案の成立、施行を条件とした定款変更を行い、施行と同時に各種の対応を行うことを検討する動きもあったようです。しかし、未成立の法案の成立、施行を条件とするのはふさわしくないとの指摘もあり、改正法に沿った対応が取りにくい状況にもございます。企業が法改正にいち早く対応するためにも、法案の早急な成立を望む次第でございます。  私からの説明は以上でございます。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  次に、岩原参考人にお願いいたします。岩原参考人。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 早稲田大学の岩原でございます。  本日は、このような機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じております。  私は、資料がなくて大変申し訳ないんですが、口頭でこれから意見を申し上げさせていただきます。  私は、この内閣提出の会社法改正法案のベースになりました、法制審議会が取りまとめました会社法制の見直しに関する要綱の作成に法制審議会の会社法制部会長として参加いたしました。そこで、そのような立場から、内閣提出の会社法改正法案について意見を申し上げさせていただきたいと存じます。  同法案の目的は、企業統治と親子会社に関する規律の見直しにございます。その問題意識は、我が国企業の企業統治や親子会社に関する規律に問題があって、それが日本企業、ひいては日本経済の競争力の低下や日本の資本市場への不信を招いているのではないかという危機感にあったと思います。  具体的には、株式持ち合いなどがなお根強く残る我が国の企業支配の現状下では、従来のような従業員出身の内部取締役だけで構成される取締役会では、株主利益や企業の収益力を重視した経営が行われにくく、経営陣への批判的な意見が出にくいし、経営のプロが育ちにくいのではないか、そのような企業統治の在り方では、我が国の企業がグローバルな競争にさらされている中で、日本企業は果断な経営改革を行って収益力を上げ、世界の競争の中で生き残っていくことが難しいのではないか、そのような日本企業の株式等を取引する日本の資本市場も世界の投資家から見放されてしまうのではないかということが問題意識としてあったわけでございます。  親子会社につきましても、親子会社等によって構成されております日本の企業グループは、グループ全体の統制がきちんと取れていなくて、グループ化することが企業グループ傘下の企業全体の収益力の向上につながっていないケースが多いのではないか、むしろグループ化することがかえってグループ傘下企業全体の収益力の低下をもたらしていることもあるのではないか、親会社にとって子会社が不祥事の原因や温床になっている例も多いのではないか、また、親会社と子会社の間で不公正な取引が行われることがあるのではないかといったことが問題として意識されました。  そこで、会社法制部会におきましては、世界各国で進んでおりますような社外取締役の採用を促進する策が検討されました。そして、その中では社外取締役の設置強制をするという案も検討されたわけであります。  しかし、これに対しましては反対論も強く、結局、法案は、設置強制の代わりに、有価証券報告書提出義務のある会社につきましては、社外取締役が存在しない場合は、社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会で説明する義務を課すということにいたしました。  また、会社法制部会は、金融商品取引所の規則において、上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要があるという旨の附帯決議を行い、これに従った上場規則の改正が行われたところは先ほど静さんが申し上げられたとおりであります。  また、社外取締役の採用促進を一つの目的として、監査等委員会の制度も導入することとしております。  また、法案は、社外取締役や社外監査役の経営者からの独立性を高めるために、経営者等の親族や親会社、兄弟会社の関係者の社外性を否定するという社外要件の厳格化も図っております。  このような社外取締役の採用促進策、また社外性の強化策については、不十分だという御意見と、逆に企業の自主性に任せるべきだという御意見、双方の御意見がございました。  しかし、このように社外取締役の採用促進に対する異論もある中で、少しでもガバナンスの改善を実現させるために、各界の了解が得られた内容である本法案を成立させることが何よりも重要であると考えております。  本改正法案が成立し、上場規則の改正が行われることによって、上場会社等が原則として社外取締役の採用が義務付けられ、それに従わない場合は企業統治体制の在り方の説明義務を課せられるということになるわけでありまして、自らの企業統治を見直す機会が与えられること自体に非常に大きな意義があるものと私は考えております。  監査等委員会は、監査役に代わって過半数が社外取締役である監査等委員会を設けることができるとするものでございます。委員会設置会社におきます監査委員会のみを採用する制度のようにも見えますが、監査委員会とは異なりまして、監査等委員会は、監査等委員以外の取締役の選任や解任や辞任、あるいは報酬等について株主総会における意見陳述権を有するものとされております。それによって、委員会設置会社におきます指名委員会や報酬委員会の機能も一部果たすことが期待されているわけであります。  そこで、この監査等委員会はそれ一つで委員会設置会社の指名委員会、報酬委員会、監査委員会の三委員会に代わるものとして位置付けられるものでありまして、定款で定めれば、監査等委員会設置会社においては執行役に取締役会権限を委員会設置会社と同様のレベルで権限の委任が行えるものとされ、経営の機動性が委員会設置会社並みに高めることが期待されるわけであります。  このほか、監査役制度につきましても、その機能強化を図るために会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権が監査役に与えられます。これも重要な改正であります。また、監査を支える体制や監査役による使用人からの情報収集に関する体制の運用状況の概況を事業報告書に記載することになる予定になっております。このようにして、監査役の機能がより充実したものにすることが図られているわけであります。  会社の資金調達の場面におきます企業統治の問題につきましては、支配株主が異動するような大規模な新株発行であっても、日本では取締役会限りで決定され、既存株主の利益を損なうケースがあったということが海外機関投資家等からの批判を招いてきたわけであります。これも先ほど静さんが御指摘になったところであります。  そこで、改正法案は、募集株式の引受人が総株主の議決権の過半数を有することになるような、つまり支配株主になるような募集株式の割当てを公開会社が行う場合には、原則として株主に対して当該引受人の氏名等を通知、又は公告をし、総株主の十分の一以上の議決権を有する株主が反対の通知を会社に行えば、株主総会の普通決議による承認が必要になるということにいたしました。  また、我が国では最近仮装払込みによる募集株式の発行といったことも非常に問題になりました。これも当然投資家を害する非常に不公正な資金調達でありまして、海外機関投資家あるいは国内の投資家からも強い批判を受けていたところであります。  そこで、改正法案は、このような仮装払込みをした者に対しては、現行法では仮装払込みをしても結果的に失権することによって払込み義務がなくなってしまうというような非常に不合理な法制度になっているんですけれども、それを改めまして、そのような仮装払込みをした者にもちゃんと払込みを強制したり、払い込むまでは株主としての権利行使を認めないなど、仮装払込みの弊害に対処するための法制の整備を図っております。  次に、親子会社の規律で特に問題になりましたのは、我が国の特に完全持ち株会社の場合、実際には子会社に経営の中心があるというケースが多いのでありますが、ところが株主は親会社にしかいませんので、株主による子会社の経営に対する監視が制度上及びにくいという問題がありました。その結果、企業グループに対する株主によるガバナンスが利いていないと思われる例がかなり見られたわけであります。  そこで、これに対処するために親会社取締役の子会社監督義務に関する規定を設けてはどうかということが法制審議会では検討されました。しかし、これには反対も強く実現しなかったので、そこで、それに代わるものとして、親会社株主による子会社経営者のチェックを利かせるために、親会社の株主が子会社の経営陣に対する株主代表訴訟を提起できるという多重代表訴訟の制度を導入することになりました。  ただ、これにつきましては濫訴の懸念等の御主張もありましたので、先ほどの藤田さんの御指摘にありましたように、結局、法案としましては、最終完全親会社の百分の一以上の議決権又は株式を有する株主に限って、最終完全親会社の総資産の五分の一を超える重要な子会社の役員などのみに対し株主代表訴訟を提起できるという非常に限定的な多重代表訴訟の制度にしております。  したがいまして、実際に適用されますのは、例えばメガバンクの持ち株会社の株主が子銀行の役員等に対する代表訴訟を提起する場合等に限られると思いまして、濫訴等の懸念はほぼないものと考えております。  このほか、企業グループに関する株主による監視を強化する改正として、親会社が総資産の五分の一を超える子会社の株式等を譲渡して子会社支配権を失う場合に、事業譲渡に準じるものとして株主総会特別決議による承認を要求し、反対株主に株式買取り請求権を認めることにしております。  また一方で、企業組織の改編を容易にして企業組織の合理化を図ることを可能にする改正としまして、総株主の議決権の十分の九以上を有している特別支配株主による少数株主に対する売渡し請求権の制度も改正法案に盛り込まれております。これにより、少数株主を締め出して、会社の意思決定等の簡素化、スピードアップをすることを可能にする一方、その場合の少数株主保護のために、差止め請求権を認めたり、裁判所に対する売買価格決定の申立て権等を認めることにしております。  なお、会社債権者からの請求を逃れるために詐害的な会社分割や事業譲渡を行うことが横行しておりますことから、詐害的な会社分割や事業譲渡がなされた場合に、会社債権者が悪意の吸収分割承継会社や譲受け会社に対し、承継財産の価額を限度に承継されなかった会社債務の履行請求を行うことも認めることにしております。  以上のような本法案の内容は、日本企業の企業統治を前進させ、企業グループにおけるガバナンスを向上させる内容であると確信しております。今までの二人の参考人の方が申し上げられましたように、速やかにこの会社法改正法案を実現して、成立させていただきたいと願っておる次第でございます。  御清聴ありがとうございました。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  次に、大石参考人にお願いいたします。大石参考人。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 水俣病不知火患者会会長の大石利生と申します。本日は、意見陳述の場をいただき、誠にありがとうございます。  今回の会社法の改正では、子会社の株式売却につき株主総会の特別決議が必要とされています。ところが、水俣病の加害企業であるチッソを適用除外する修正案が衆議院で可決されました。私はこのチッソを優遇する修正に反対する意見を述べます。  加害者は、全ての被害者への補償、救済に最後まで責任を負うべきです。ところが、どうして国会が公害加害企業であるチッソを特別扱いにして優遇するのですか。どうして国会が公害加害企業チッソの責任逃れを手助けするのですか。水俣病に苦しみ続ける私たち被害者は絶対に納得できません。  水俣病は、チッソがメチル水銀を含む工場排水を海に垂れ流して起こりました。激しくけいれんして短期間で死亡に至る劇症型がよく知られておると思います。しかし、現在の被害者は、手先、足先の感覚が痛みを感じにくいという症状が多く見受けられます。私の場合には、三十八歳のときに交通事故に遭い、ガラスの破片が足の裏から甲まで突き抜けたことがありました。しかし、痛みを感ぜず、血だらけの足を見るまでけがに気付かず平気で歩いておりました。  ほかにも様々な症状が出ます。現在の水俣病被害者の生活の一つのイメージはこうです。委員の皆様方も一応考えてみてください。朝起きたときから頭が重い、食事は味も匂いも分からない、よく物を落とす、よく転ぶ、家事も仕事もよく失敗する、手が震える、口が回らずしゃべりたくない、引っ込みがちになる、少し疲れたらこむら返りで激痛を覚える、夜は耳鳴りで眠れない、やっと眠れたのにこむら返りの激痛で起こされ朝まで眠れない、こういうものです。想像できますか。外から見ただけでは分かりにくい被害かもしれません。しかし、今の被害者は水俣病に苦しみ続けております。  胎児性患者の坂本しのぶさんは、本当は健康な体で生まれてきたかった、私は苦しみながら生き続けるのに、その加害者であるチッソはその罪を免罪されて晴れ晴れと生き続ける、こんな不条理は絶対に許せないとおっしゃっています。これは全ての水俣病被害者に共通の思いだと思います。  今回の修正案の提案者は、被害者救済と水俣病問題の最終解決を妨げてはならないと言います。しかし、これは現実を全く無視するものです。水俣病特措法は、チッソの子会社の株式の売却をして、それを被害者の補償に充てる仕組みとなっています。子会社の株式を売ることで一時的にお金はつくれます。しかし、被害者補償へ回せる金額の上限が決まっています。  ところが、今も未救済の被害者が多数取り残されております。今後、被害者が補償を求めても資金不足でチッソからの補償を受けられなくなるおそれもあります。これでは被害者救済にも水俣病問題の最終解決にも逆行することになります。  驚かれるかもしれませんが、公式確認から五十八年も経た今、未救済の被害者はまだまだ多数取り残されております。水俣病は全く終わっておりません。平成二十二年から特措法の受付が始まりましたが、非該当として不当に切り捨てられた被害者がたくさんおります。  まず、ずさんな検診で症状を認めてもらえず切り捨てられた方がいます。配付資料のこの一ページの写真を御覧ください。これは、痛みの感覚の検診で医者からつまようじを強く突き刺されて出血した方の写真です。御覧いただけますか。私どもが把握しているだけで二十件以上はありました。検診を担当する医師は行政が依頼するわけですが、中には申請者の感覚障害を疑ってかかる医師もいたわけです。  感覚の検査では、手先、足先と胸など体幹部を比較する決まりです。しかし、私たちの会員である山本サト子さんのケースでは、医師がその比較の検査をしませんでした。山本さんは元看護師なので、おかしなことが分かったんですよね。人の命と健康を扱う医者があんないいかげんな検診をするなんて絶対に許せないと怒っています。  次に、半世紀前の資料を出せと行政から無理強いされて、出せずに切り捨てられた方もいます。水俣病被害者と認められるには、症状に加えて、メチル水銀に汚染された魚介類を多食したという暴露要件も必要です。行政が一定の地域を対象地域と定め、そこでの居住歴、生活歴があれば暴露ありとされる仕組みです。  ところが、行政は、客観資料を要求します。客観資料とは、住民票や雇用歴や学歴の証明書などです。しかし、半世紀前の住民票は廃棄されて残っていない場合もあります。引っ越しても住民票を移さなかったケースは昔はよくありました。私たちの会員の大野良實さんは、三歳から六歳までを不知火海沿岸の女島という水俣病患者の多発した漁村で暮らしました。しかし、住民票を移していなかったために非該当とされました。大野さんは、当時同居した女島の親戚の証言を文書で出したのに認めてもらえなかった。行政は住民票を移さなかった親を恨めというんですかと憤慨しております。会員の七十七歳のIさんは、昭和三十年から三十二年まで水俣の洋服屋に住み込んで働いていましたが、今では店もなく雇主の行方も分からず、雇用証明書を出せずに非該当とされました。国は私たちをずっと放置してきて、今になって六十年前に雇用証明を取っておかなかった私が悪いというのですかとおっしゃっています。  対象者が多数取り残されていることが最も明白なのは対象地域外の地域、特に天草です。配付資料の三ページを御覧ください。この地図が付いているところですね。左上の九州の地図の真ん中に熊本県があります。数字の、①の足下が水俣です。熊本県の一番南です。左下の地図で、八代海は不知火海のことです。東に水俣、西に天草となります。そして、右の図で細かい斜線を引いた地域が特措法の対象地域です。天草は、御所浦と龍ケ岳だけが対象地域で、その他の地域は対象地域外です。  従来、行政は、地域外というだけで水俣病と認めてきませんでした。住民の側も、行政から対象地域外とされれば、ある方は自分が水俣病のはずがないと思い込み、ある方は申請しても無駄だと諦めてしまってきました。しかし、平成二十一年の民間の住民検診では、天草の住民から水俣病の症状が確認されました。手先、足先の感触障害は珍しい症状で、汚染のない地域の住民には百人に一人いるかいないかというレベルです。ですから、手先、足先の感覚障害を持つ人が多数見られれば、地域ぐるみのメチル水銀汚染が強く疑われるのです。その後、天草の地域外から数百名がノーモア・ミナマタ第一次訴訟の原告となり、平成二十三年の和解で地域外の約七割が救済対象となりました。その後、特措法でも、私どもが把握しているだけでも、地域外の会員のうち数百名が救済対象となっております。  被害者がいないはずの対象地域外から数百名単位で水俣病被害者が出た事実を他の住民が見て、救済を求める声が更に広がっております。水俣病不知火患者会は、被害者の掘り起こしや検診を進めています。ノーモア・ミナマタ訴訟では、天草の倉岳、宮野河内、姫戸の三地区が中心でしたが、その特措法では、楠浦、新和、栖本など沿岸地域一帯に申請者が広がっています。これは資料の四ページを御覧になると新聞記事が載っております。  対象地域外の地元自治体も対象地域の拡大を求める意見書などを出されています。天草の不知火海沿岸で対象地域外とされている地域の人口は少なくとも三万人以上でした。天草での救済は始まったばかりです。そのほか、魚介類が流通した内陸部、山間部や昭和四十三年以降生まれた障害者の救済も取組が本格化しようとしています。  特別措置法の平成二十四年七月の申請期限に間に合わなかった被害者もいます。過去の差別、偏見の影響で、子や孫の結婚や就職の心配から申請をためらう人が残っております。水俣市と周辺の市町村を比べると、水俣市の申請の割合が低いようです。というのも、チッソのお膝元であるというのが一つ影響しているのではないかと私は考えております。  県外転出者にも情報が届いておりません。以前、高度成長政策のときに、当時は中学校を卒業すると東京、大阪方面へ集団就職で移住しております。その人たちがもう今はある程度の年になり、私たちと全く同じような症状が出ておりますが、それが水俣病だということをなかなか分かってくれない、分からない、誰も教えてくれないというのが現状です。  以上のように、未救済の水俣病被害者が多数取り残されております。被害者救済が終わる見込みは全くありません。水俣病は終わっていないのです。  このような中でチッソを優遇する修正案は絶対に許せません。国がチッソを優遇して子会社株式売却を手助けすれば、残されている多数の被害者がチッソから補償を受けられなくなるのです。また、水俣病問題の最終解決にも逆行します。  加害企業チッソを擁護したとしても、国の賠償責任は消えません。関西訴訟最高裁判決では、国の責任割合は四分の一ということでした。しかし、今後、国がチッソの消滅を進めたために被害者が賠償を受けられなくなれば、国が損害の全額を負担すべき事態が生じるのではないでしょうか。重大な結果が国にも降りかかるのです。  全ての加害者は、全ての水俣病被害者への補償、救済を全うすべきです。私たち被害者は全ての被害者救済まで闘い続けます。  参議院の先生方におかれましては、良識の府として慎重に御検討いただきますようお願いいたします。  以上、御清聴、誠にありがとうございました。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

石井準一自由民主党

○石井準一君 自由民主党の石井準一です。  参考人としてお越しくださった四名の皆さん、本日はそれぞれのお立場での見地をお伺いすることができ、今後、本法案の審議を進めていく上で非常に有意義な時間となりました。ありがとうございます。  急速に複雑多様化する現代社会において、経済のグローバル化など、経済を取り巻く環境も刻々と変化をしております。しかし、いつの時代も企業の強い組織活動なくして強い経済を確立することはできません。皆様方も御承知のとおり、我が国は現在、長期にわたる不景気から、デフレ脱却、景気回復へ向け、強い経済基盤を確立するため、安倍政権の下でアベノミクスと称される大胆な経済政策が行われているところであります。  安倍総理は、一月のダボス会議におきまして、本改正案に含まれる社外取締役の促進に触れるなど、日本の経済強化を図る上でも企業の構造改革を行うことの重要性を示されております。  私も、やはり経済と密接な関係にある企業について、その力を十分に発揮できるよう社会システムを整備していくことの必要性を感じております。  しかし、法的基盤を整えるのは国であっても、その運用を行うのは国民一人一人、企業経営者そのものであります。本改正案では企業の信頼度を高めるための施策が盛り込まれておりますが、その効果を最大限発揮するためにも、その運用が正しく行われることが重要との考えを軸に法案の審議に当たってまいりたいと思います。  そこで、法制審議会で初期より本案に携わられてきました藤田参考人にまずお伺いをしたいと思います。  社外取締役の設置の効果として、取締役の監督機能強化や外部からのチェック機能を高めることで、投資家や株主に対して好印象となる、経営の透明性を打ち出せるなど、企業のイメージアップにつながるというメリットも考えられます。そのような経緯もあってか、社外取締役について定めがない現在でも自発的に社外取締役を設置している企業が散見されます。特に上場企業など大規模な会社において社外取締役の設置が積極的に行われているように見受けられますが、そのような中、改めて本改正案で社外取締役設置の促進を図ることになった意図、経緯についてお伺いをしたいと思います。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 社外取締役を選任するという各社の動き、これはもちろん外部的な要因もございますけれども、専ら企業として、いかにそれぞれの会社が企業の統治を高めていくかというところで社外取締役を選任するしないという判断がございます。  実際、先ほども申しましたけれども、年々、社外取締役を選任するという企業の数は増えております。我が社においても、実際に十年前、じゃどうだったかというと、現在のように五名もいない状況でございまして、当初は二名程度、取引先の企業の社長、会長といった方が社外取締役としていらっしゃいました。ですけれども、現在のように五名という体制になりましたのは近年のことであります。このように社外取締役を選任するということの効用については弊社としても実感しているところでありますし、社外取締役の意義というものについては経団連各社も認識をしているところであります。  一方で、社外取締役を今回、選任を義務化しないということで法案が出されているという点で、経団連としてもどうしてこうなるのかといいますと、もちろん社外取締役を自主的に選任すること、これはまさに会社の判断として反対はしておりませんけれども、これは各企業の必要性に応じて選任すべきものというところから、義務付けというところまでは行わないものではないかというふうに思っております。  また、その形でいいますと、法律として社外取締役の選任を義務付けしている国というのが、必ずしも全ての国がそうしているわけではございませんで、それぞれ上場規則とか、そういったソフトローといったところで決められている国もあるということでございますので、その意味で今回の改正案が各国と比較して遜色のあるものというふうには思っておりません。やはり企業統治の向上というのは、各企業がそれぞれの形で進めていくべきというふうに考えておる次第であります。

石井準一自由民主党

○石井準一君 改めて藤田参考人にお伺いをいたしますが、社外取締役の選任に当たる各企業における人材確保の現状についてでありますが、本改正案成立に伴い、各企業においてはその構造改革を必要とされることが考えられます。大小様々な規模の企業が存在する中、その事務的、管理的な負担が生じることで本来の事業に支障が出ることも懸念をされます。  その参考に、現在、実際に社外取締役の選任がどのように行われているのか、その方法や課題、対策など、現場の声をお聞かせいただければ有り難いと思います。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) まず基本的には、社外取締役に期待する役割と望ましい資質等に鑑みて自社で人選を行うということになるわけですけれども、企業によっては、法律事務所とかそれから人材を紹介する会社といったところに依頼して人選を行っているところもあるというふうに伺っております。やはり苦労しております点は、企業が望む資質を備えた方を確保することが難しいということ、また、望ましい方がいらっしゃったとしても既に複数の社外取締役として御就任されている場合もございますので、そうした場合は自社の社外取締役としての十分な時間を割いていただけるかどうかといった点に不安を感じ、諦めざるを得ないということもあるように伺っております。  対策としましては、企業としてもこういった人材を紹介する仕組み等が考えられて、既に一部企業では人材あっせんを委託しているという場合もあると伺っております。ただ、弊社の場合でも、社外取締役を人選させていただく場合は、先ほどお渡ししました資料にもございますけれども、社外取締役の企業経営者としての豊富な経験というところで、かなり年月、月日掛けまして候補者を選定させていただいております。著名な候補者になりますとやはり数社既に社外取締役になられているという方もいらっしゃいますので、かなりリストを広げてみて、それを他社との関係とか見ながら絞り込んでということで、時間その他コストを掛けながら今現在選任させていただいているのが現状であります。

石井準一自由民主党

○石井準一君 藤田参考人から御意見をお伺いしたわけでありますが、趣旨はかぶるかもしれませんが、静参考人にもお伺いをしていきたいと思います。  社外取締役の適格な人材と最適人数についてでありますが、本改正案では義務付けが見送られた社外取締役ですが、監査的役割を担う上で、その機能を十分に発揮するためにはどのような人材をどの程度の人数その役に充てることが適当であると考えているのか、本改正案に先行して既に上場会社についても最低一人以上の独立役員を確保することを定めている東京証券取引所からお越しくださっております静参考人にお伺いをしたいと思います。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。  社外取締役の人材にどんな人がいいのか、あるいは人数はどれぐらいかという御質問かと思います。  人材、どんな人がいいのかというのは言い出すと切りがないと思うんですけれども、基本的に最低必要な資質として、やはり客観的な立場から経営を監督するというのが社外取締役に一番期待されている役割、共通して期待されている役割でございますので、一つ目としてはやっぱり独立性がしっかりしている人ということになると思います。形式的な独立性の要件はありますけれども、単に形式的に独立しているというだけじゃなくて、いろんな意味で独立して社長にちゃんと物が言える人という、そういうふうな積極的な意味も含めて独立性が高いというのが一つの大きな要件でございます。  もう一つは、私ども市場開設者でございますのでその立場から申し上げますと、やはり社外取締役というのは、ブラックボックスである取締役会、この中で行われていることは外には完全に秘密になっているわけですね。その中に株主の代表選手が入ってもらって監視をしてもらうことで、株主が安心して投資ができるということを確保するために非常に重要というふうに投資家は思っているわけでございます。  そういう意味で申し上げますと、投資家といいますか株主といいますか、特に少数株主ですね、力は持っていないんだけれども、経営に対する影響力はないんだけれども、会社の価値が上がってくれることだけに期待をして投資をしているという普通の株主のことを言いますけれども、そういう方々の利益を代弁できるということが社外取締役にとって二つ目の大きな役割だというふうに思いますので、そういう意味で申し上げますと、その少数株主の利益というのはどういうところに気を付けてあげればいいんだということについて一定の理解を持っているというふうなことが資質として大事なんじゃないかというふうに思います。  もちろん、会社の戦略上、この分野は弱いからこの分野に強い人材が欲しいということはあると思います。例えば、女性向けの商品を作っている会社であれば女性が欲しいだとか、国際的に活躍している会社であれば国際感覚のある人が欲しいだとか、あるいは同じ業界の方、その業界に詳しい方が欲しいだとかという、ニーズはそれぞれ違うと思いますので、そういうアドバイスをしていく上での、経営に対する適切なアドバイスができる知識、経験があればなおよしということになると思いますけれども。基本的には、独立していて客観的に経営に物を言える人、そして少数株主の利益について一定の理解をしている人、できれば、さっき申し上げましたように、経営が望むようなアドバイスを的確にできるというような資質があればなおよいということだと思います。  人数につきましては、私どもの場合、最低限独立した社外取締役一名ということを努力義務として課しているわけでございますけれども、国によって違います。アメリカでは過半数が義務になっておりますし、イギリスは、義務ではありませんけれども、通常の会社は二名、そして大会社、上位三百五十ぐらいの会社については過半数ということで、国によって少しずつ違うわけですね。  ですから、これぐらいあればいいというのは、世界中の共通するものがあるということではないんですけれども、しかしながら、実際に日本の国で社外取締役をやっていらっしゃるという方に伺いますと、やっぱり一人は寂しいという言い方をしますよね。なぜ寂しいかといいますと、自分のためだけにいろいろ議事の進行を妨げちゃうというようなことがあるし、それから、何か物を言おうとしたときにも、もう一人いれば示し合わせていろいろと相談しながらできるのに、一人だとなかなかそれがしにくいと言う方はいらっしゃいます。したがいまして、少なくとも二名ぐらいいた方がよろしいのではないかというふうに私は考えております。

石井準一自由民主党

○石井準一君 ありがとうございます。  監査役の議決権有無について岩原参考人にお伺いをしたいと思います。  監査強化策として、社外取締役に対し取締役会における議決権を持たせるという趣旨で監査等委員会設置会社という新たな機関設計の創設が盛り込まれておりますが、その効果についてお伺いをいたします。コーポレートガバナンスの改善強化という観点から見た本改正案に対する評価と社外取締役の議決権の有無が及ぼす影響についてお伺いをしたいと思います。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 御質問の御趣旨は、監査等委員会を導入した意義と、それともう一つは……

石井準一自由民主党

○石井準一君 監査役の議決権。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 監査役が議決権でしょうか。

石井準一自由民主党

○石井準一君 取締役会における。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 今回法案で提案しておりますのは監査等委員が取締役の中から選ばれて一定の権限を持つということでありまして、監査役が取締役会で議決権を持つというものではございませんが、恐らく御趣旨は監査等委員会の制度ができることがどういう意味を持つかということに集約できるかと思いますので、そういう御質問として答えさせていただきます。  一つは、監査等委員会の制度を取りますと、監査等委員は社外取締役が過半数を占めなければいけないということになっておりますので、監査等委員会制度を取るということは少なくとも二名以上の社外取締役の人が存在することになるということでありまして、社外取締役の採用の促進をするという基本的な政策にかなったことになるのではないかということがございます。  それと、あと、監査等委員会の制度の議論の中で非常に問題になりましたのは、既に以前、新しい取締役会制度の改革の方向としてアメリカ型のモニタリングモデルに従った委員会設置会社という制度ができていたわけですけれども、ところが、この委員会設置会社という制度は必ずしも多くの会社に広がらず、上場会社のうち実質五十社程度しかないということで、二%から三%しかないと。  その広がらない大きい理由が、委員会設置会社は監査委員会、指名委員会、報酬委員会という三つの委員会を必ず持たなければいけなくて、それぞれについて社外取締役は過半数でなければいけない。その結果、とりわけ問題になりましたのが指名委員会でございまして、結局、取締役の人選の案を決定するのが指名委員会でありますので、究極的な企業の言わば人事権を社外が過半数を占めている指名委員会が握るということになります。これに対して日本の経営者の方はかなり大きい抵抗感があって、指名委員会も採用しなければ委員会設置会社になれないという点が抵抗感があるから委員会設置会社に移行することはできない、監査役設置会社にとどまるという企業が非常に多かったんですね。  そこで、そういう抵抗感を少しでも和らげて社外取締役がより取締役会の中に入れるようにするためには、委員会設置会社のように指名委員会を必ず採用しなければならないとしないで、監査等委員会という制度をつくって、監査等委員会は取締役の選任の案の決定権までは持たないけれども意見だけは株主総会で言うことができるという、言わば中間的な制度をつくることによって、監査等委員会に社外取締役が過半数入るという形で社外取締役の採用の促進が進むということが期待されるし、また、さっき言いましたように、委員会等設置会社と言わば監査役との中間のような制度ですので、従来から一歩でも二歩でも先に進んで、少しでもよりモニタリングモデル的な、きちんと株主の利益がより反映されるようなガバナンスを実現していくためのステップとしては非常に有効なのではないかと考えております。

石井準一自由民主党

○石井準一君 質疑時間が過ぎておりますので、終わらせていただきます。  ありがとうございました。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。今日は、参考人の方、貴重な御意見ありがとうございます。  初めに、静参考人、藤田参考人、岩原参考人に会社法の関係でお尋ねさせていただきます。  ざっくばらんに申し上げまして、社外取締役あるいは監査等委員会の設置等、制度をつくるということは大変前向きなことであると思っておりますが、最近起きました粉飾決算事件等におきまして、例えば、社外取締役がいるのにそういう事件が起きたというようなケースもございました。翻って考えますと、そういう制度をつくっても、そういう役に就く人、社外取締役なら社外取締役に就く人は、結局は代表取締役なりあるいは執行部が事実上選定する方がなるんじゃないかと。そうすると、幾ら制度をつくっても、そうした役に就く方が結局代表取締役の言いなりになっているんじゃ全くこの制度は機能しないわけでございます。  ですから、ここで、そういう役に就いた方が執行部の言いなりにならないできちんと申すことは申すというその職責を果たすということを考えると、制度をつくるだけじゃなくて、もう一つ何かが必要じゃないかというような感想を持っておりますが、こうした観点から、もし御意見をいただけたらと思います。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。  御質問いただいた点につきましては、私も同感でございます。  今回、会社法あるいは上場制度上は社外取締役の推進が図られるということがほぼ確定ということになったと思いますけれども、実際にその方々が役に立つのかどうかというのがこれからは試される時期に入ってくるということだというふうに理解をしております。今までは入れることが重要でしたけれども、これからは何をしてもらうかということだと思います。それが何もない中で人だけ連れてきて、何も知らない人だからちょうどいいと社外取締役にしても、これは役に立たないというのは、それはもう皆さんがおっしゃるとおりだと思います。  結局のところ、投資家はじゃなぜ社外取締役を欲しがっているのかという話なんですけれども、一つは、先生御指摘の不祥事の防止ということがございます。しかしながら、御指摘のあったのは恐らく三年ぐらい前の事件のことだと思いますけれども、ある程度形跡が取締役に見えても、なかなかそれが止められないというようなこともあります。しかしながら、普通の場合には、取締役会にはそんな不祥事の前兆というのは余り分からないというようなこともあります。したがいまして、社外の取締役がいるということと、中で内部通報のシステムとか内部統制のシステムとかが動いていて、それがうまく連携をしていくということが大事なんだろうというふうに思います。社外の人にしか止められない、でも社内の人にしか分からないというのが不祥事の通常の形でございますので、この二つがうまくつながるということを投資家は望んでいると。  もう一つは、そこをよく理解して社外取締役は働くべきだと思いますので、内部統制のシステムとかそういう内部通報のシステムとのアクセスを良くしていくみたいな工夫が、先ほど藤田参考人からもありましたけれども、そういう工夫が非常に大事だということになると思います。  もう一つは、企業価値を高めることです。投資家が社外取締役に期待しているのは、百年に一遍の不祥事を止めてくれることよりも、毎年毎年の言わば企業価値の向上をしっかりやってもらうことでございます。つまり、自分の出番は百年に一遍しかないわけじゃなくて、毎月でもあるんだという意味で申し上げますと、社外取締役がちゃんと経営を、いわゆる企業価値が高まるように、株主から見た価値が高まるように、全てのステークホルダーに対して満足してもらって、その上株主にも満足してもらえるような経営してもらっているのかどうかということがとても大事なことで、それを見るために社外取締役が、さっき申し上げたブラックボックスの中の取締役会にいてほしいということでございますので、そういう基本的な社外取締役としての目の付けどころみたいなものを、社外取締役になる方が、基礎的な素養として少しは皆さん御存じになってくることが望ましいと私どもでは思っております。独立役員ハンドブックというような本を出したりとか、e―ラーニングでその内容を確かめていただけるようなことを今進めておりますけれども。  そういう形で、最低限、株主が社外取締役に期待していることということを理解をして、ああ、こういうときは俺の出番なんだということをいつも感じていただけるような、そういう環境づくりに私ども取り組んでいきたいと思っていますし、会社としても、そういうものがちゃんと働くような、資料をちゃんと取締役会に提出するとか、そういうことに気を付けていっていただくという形で、運用上しっかりと社外取締役を活用していくと、そういう道をつくっていくことが極めて今後は大事になってくるというふうに私は考えております。  以上でございます。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 私も発言のところで申しましたけれども、選任自体も大事ですけれども、運用といったところが非常に大事だと思っております。特に社外取締役につきましては、社外監査役とはちょっと異なりまして独自の調査権限というのが与えられているわけではございませんで、情報量の格差というのが、単独で不祥事を未然に防止できるとは限らないというところがございます。したがって、我が社でも、ガバナンス・報酬委員会での話も含め、その他企業の中の内部統制をつかさどっているような部門、各種ございますので、そこといかに連携をしていただくかというところを重視しております。  なかなか、運用の実態として、現実に弊社の経験では、やはり社外の方々は取締役会において一般株主の視点で各種の資料も御覧いただいて活発な議論をいただいているように思っておりまして、その意味では、運用というのが非常に大事かなというふうに認識しておる次第であります。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 私も静さん、藤田さんと共通するんですが、何といっても、社外取締役の方に活躍してもらうためには社内のサポート体制ができていることが非常に大事だと思います。この内部統制の部門がきちんと確立して、そしてそれが社外取締役の活動を支える、しかも、社外取締役との間でコミュニケーションがきちんとできているだけでなくて、まさに手足となって働けるような体制をつくっておくということが大事であります。  海外の特にアメリカなんかの企業を見ますと、日本の企業の内部統制部門の数倍の規模の内部統制の部門を持っております。しかも、日本と人事の在り方が違いますので、内部統制の担当者、コンプライアンスとか監査の担当者というのはむしろそれの専門家、プロフェッショナルでありまして、日本みたいにゼネラリストの社員を育てていくのと違って、そういうところに専門化して、場合によってはほかの企業のまたそういう監査部門との間で人事交流があるというような人たちが社外取締役の委員会の下に付いて、事務局になって支えているわけであります。  日本でも、企業のそういう人事の在り方を含めて変えていって、実際にこの内部統制が本当に機能するように、社外取締役を本当に支えられるようにしていくということが非常に大事だと思います。  あとは、もっと大きい話ですけれども、ガバナンスの上の組織を幾らいじっても限界があると思っています。最終的にガバナンスを利かせるためには、投資家が強い発言力を持ち、投資家がきちんと経営をチェックできるようになっていくことが一番大事でありまして、そのためには、年金基金ですとか保険会社、投資信託、その他の機関投資家が本当に株主の利益のために発言し、行動し、会社の経営をチェックしていけるようにしていくと。そのためには、むしろ会社法を超えて、機関投資家法制その他を本当は見直していくということが必要ではないかと考えております。  以上です。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 では次に、岩原参考人にお尋ねいたします。  少数株主の排除ということがございました。今回の法改正でいけば、株式等売渡し請求あるいは全部取得条項付種類株式等の問題だと思っております。これもざっくばらんに言いまして、私のような、もし株主になっても個人零細株主にしかなれない者の立場からすると買い取ることはあり得ないわけで、買い取られる側にしか成り立たないわけでありますけれども、自分が売りたくないのに強制的に買われちゃう、あるいはそういう仕組みを取られちゃうというと、その結果、株主じゃなくなって意見も言えなくなってしまうということがあるわけですが、この制度について、まず概略、岩原参考人のお考えをちょっと解説的にお聞かせいただければと思いますが。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 確かに、新しくできます株式等売渡し請求の権利、さらに、既に存在しております全部取得条項付種類株式等の制度によって、株主は自分の意思に反してでも自分の株式を買い取られてしまうという制度になっていることは確かであります。それに対する異論が出ることもあり、価格決定の申立てなど、かなりのたくさんの事件が起きております。  ただ一方で、会社の組織を合理化していくために一定の多数決でもって組織を変更し、その結果、株主の権利内容を変更せざるを得ないという企業合理化の方のニーズもあることも否定できない。一番最初の形は合併がそうですね。合併も、自分が株主であった会社と違う法人の株主にさせられてしまうわけですから、アメリカなんかは十九世紀の前半では、合併も株主の言わば財産権を侵害するから、全部の株主の同意がないと合併できないというような制度だったんです。しかし、それでは実際に企業が合理化していけないものですから、多数決でもって合併なんかもできるようにしていると。  それからだんだんいろんな形でのそういう多数決で株主の権利内容を変更することを認めていった例が、まさに全部取得条項付種類株式ですとか、今度提案しております株式等売渡し請求の制度。言わば企業の合理化のニーズと一方で株主の利益をきちんと守る、その折り合いをどこで図っていくかということが重要だと思っておりまして、今回の株式等売渡し請求につきましては、一つは従来の全部取得条項付種類株式になかった差止め請求というものを少数株主に認める、あるいはまた価格決定の制度もきちんと整備する、その他開示等もきちんと整備するという形で、相応な少数株主保護の制度を図った上で、一方でキャッシュアウトをすることを支配株主に認めるということで、両者のニーズをうまく折り合わせた制度ではないかと私は考えております。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 例えば、この全部取得条項付種類株式をこれ導入したときも、決してキャッシュアウトを目的にした制度じゃなかったと思うわけです。企業が倒産した場合の解決的な処理ということが目的であったと思うけれども、しかし法律がそれを許しているということで、言わば少数株主の排除ということが行われるようになってしまったと。それについて、その是非の議論がないまま、むしろ今度は株式等売渡し請求という形でそれを制度化して、言わば無条件で認めてしまうと。違法な場合というような限定的な場合には差止め請求があるかもしれないけれども、そういう状況がなければ無条件で認めてしまう、株式等売渡し請求をすれば、日にちがたてばもう取得されてしまうということになると。でも、この少数株主の締め出しが制度化しちゃうということで、私ちょっと疑問に感じておるんですが。  それから、今日午前中の質疑でも行ったんですが、今回のこの会社法ですと、代金をもらう前に株がもう買い取る方に取得されちゃうと。その後、その代金が確実に入ってくるということについて、それを確実化する手だての法もないものですから、買い取った人間が元々破産状態にあれば、あるいはどこかに逃げちゃったりしたら、株は強制的に取られたわ、お金は入ってこないわみたいなことになっちゃうようなところがあって、ちょっと法の規定として足らないところがあるんじゃないかと、こういうふうに思っているんですが、私のそんな思いをちょっと、もし感想があればまた岩原参考人、お聞かせいただきたいんですが。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 確かに御指摘のような懸念もあり得たところで、法制審議会でも若干の議論はあったんですけれども、一応、制度の立て付けとしては、売渡し請求をするためには会社の承認がなければ行えないということで、会社がその売渡し請求を承認するときに、本当に買取りをしようとしている特別支配株主がそれだけの資力があって信頼に足る人物であるかと、それにきちんと履行できるかということをチェックした上で承諾を与えるという制度にしておりますので、そういう形でそういう問題点についての一応の手当てはされているかと思います。  買取りの時期が繰り上がりましたのは、むしろそれ以外のほかの技術的な問題があって買取りの時期を繰り上げることにしたんですけれども、まさにそういう場合も、会社側の承認という形でチェックすることによって、そういう懸念をなるべく払拭しようとしているということであります。

小川敏夫民主党・新緑風会

○小川敏夫君 時間が来ましたので終わります。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、四人の参考人の皆様、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。とりわけ大石参考人におかれましては、水俣病の被害者の方々の悲痛なお声を困難な状況の中で訴え続けてこられたことに改めまして敬意を表し、貴重な御意見をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。  私の方からは、会社法の改正につきまして、まず藤田参考人にお聞きをしたいと思います。  今回の法改正は、社外取締役の選任を促進を進めるものであって、同時に社外性の要件も厳格化をするものであります。それに当たりまして、そうした厳しい要件を満たす人材の確保ができるかどうか、こういったところについてもいろいろと声があるところでございますけれども、この新しい制度への移行を施行に当たっては円滑になされるように進めていくことが重要であると思いますけれども、何か実務上混乱を防ぐために注意を払うべきところがございましたら、現場の視点から御意見をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 基本的には、個別の会社で選任いたしますので個社の考え方に応じてということなんですけれども、一般的に、経営の経験のある方、それから法律、財務あるいは国際的な知見といった、そういう知見の豊富な方というところで各社ともお探しになっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう方を探しますと、やはり著名な方に集中しやすいというか、そうしますと、お願いしようと思うと、何というんでしょう、何社もやられているとかいうことで、ちょっとちゅうちょしてしまうところがあると思います。  したがって、逆に言いますと、そういったことのデータベースというんでしょうか、公で、そういうのが選びやすいようなことがもしもあれば、そういう仕組みがあればいいかとは思うんですけれども、これもなかなか難しいところかと思っておりまして、したがって各社の努力にしかないのかなということで、我が社もいろいろと工夫しているところではあります。  例えば弊社の社外監査役の方ですと、取締役会の出席のほか監査役会の出席もありまして、年間でやっぱり百時間ぐらいのお時間をいただいているところでありまして、そうしますと、そういう方が何社も掛け持ちされても、恐らく我が社のガバナンスに寄与という点で、何社もやられてもちょっと心配になってしまうというところがありますので、その辺りのことを各社心配しながら進めているような気がいたします。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 次に、多重代表訴訟制度についてお伺いをしたいと思います。これは、同様に藤田参考人と、あと岩原参考人にもお伺いしたいと思います。  今回創設されます多重代表訴訟制度によりまして、親会社の株主は一定の場合に子会社の取締役の責任を直接追及できるようになるわけであります。これは株主による監督の強化ということであると思いますけれども、これは、親会社の取締役の子会社に対する監督責任というものもこの制度が導入されることによって強化をされていくことになるのか、どのようにこれから変わっていくのか、若しくは直接の影響はないのかどうか、この辺りについてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 先ほどの私の最初の意見陳述の中でも申し上げましたように、親会社株主による子会社経営に対するチェックをより利かせる方法として、一つは多重代表訴訟が提案され、もう一つは、今先生が御指摘になりましたような、親会社取締役の子会社の経営に対する言わば監督義務というか監視義務に関する規定を設けて、そのような義務があることを明確化しようという案もあったわけであります。  ただ、これについてはそのような規定を設けることに対する異論も強くて、結局、現在の会社法施行規則の中にあります、企業グループにおけるガバナンスの体制整備に関する会社法施行規則百条一項五号等の規定を言わば会社法の法律の中に明文化する形の改正だけが入るということになりまして、そういう意味では、親会社取締役の子会社の経営に対する監視義務が現行法と変わるということはございません。  ただ、今回の議論を通じまして、親会社の取締役にとって子会社というのは言わば財産でもありますから、その重要な財産である子会社の経営がきちんと行われるということについて、親会社の取締役は、当然その注意義務の中で、子会社の経営についてもちゃんとチェックをしているということが必要なんだということははっきり認識されたと思うんですね。実は、下級審判例の中にはそういった義務があたかもないような表現を取った判例などもあって、そういう点が懸念されていたんですけれども、今回の議論を通じてそういう義務は存在するのだということははっきり認識されたというように私は考えております。  以上です。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 経団連でも、当初、本制度によって子会社の取締役が積極果敢な事業運営をちゅうちょするといったことがあるんじゃないかということで、経営のダイナミズムという点で、また戦略的な親子会社関係の構築がためらわれるといったことも考えておりまして、企業の組織選択の判断というのがゆがめられる可能性というのはちょっと心配しておりました。また、濫訴による会社の役員に対する賠償責任保険といったものがございますけれども、これの負担が更に増えるんじゃないかとか、訴訟リスクへの対応といったところでコストが増加するんじゃないかと、こういった懸念を持っておりました。  子会社をどうして会社としてつくるかといいますと、やはりある程度の自律性を持たせてその会社で経営をしてもらうと、こういう気持ちでやっておりますので、当然ながら、グループ、弊社でもグループ企業と呼んでいますけれども、中で内部統制はきちんとできているかとか、コンプライアンスがどうかとか、こういうのをきちんと見てはおるつもりでおりますけれども、やはり子会社の自主性というところも十分考えながらグループ経営をやっているところでございます。  その点では、今回の法案では提訴要件それから対象となる子会社の範囲が適切に限定されたということで、先ほどの経済界が当初抱いていた懸念についてはもう相当程度払拭されているなというふうに思っているところであります。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 次に、特別支配株主の株式等売渡し請求制度、これも創設をされるわけでございます。この点について、再度、岩原参考人と藤田参考人にお聞きしたいんですが、この制度は取締役会の承認によってキャッシュアウトが行えるようにするというものでありますけれども、このときに、先ほども議論になりましたが、対象会社の取締役は、売渡し株主の利益に配慮し、キャッシュアウトの条件が適正なものと言えるか検討する職責を負うということになっております。  そこで、本制度の活用に当たりましては、取締役の行為規範がどうあるべきか、少数株主の利益についてどう配慮していくべきなのかということがこれから検討されていくべきなんだと思いますけれども、この点についてどのようにお考えになるか、お聞きをしたいと思います。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) なかなか難しいところでございまして、九〇%以上の株式を持っている株主、逆に、一〇%以下の株式を持っている少数株主の方から見たときのその会社に対する思いというか、何を期待しているかと。それは、単なる配当を待っているだけなのか、積極的に経営意思に関わろうとしているのかというのもあると思います。  したがって、逆に九〇%以上持っていらっしゃる株主さんが完全にその会社を自分として主体的に経営したいといったときに、少数株主の保護という点ももちろん重々考えて制度設計はされながらも、それはある程度金銭的なものでカバーされるという制度だと認識しておりますので、それは、各企業の自由な経営を担保するという意味では一つのある手法かなとは認識しておりますけれども。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 私は、この対象会社の取締役会による承認という制度は、非常にある意味で画期的な制度だと思っております。今までの取締役の義務というのは、あくまで会社に対する忠実義務であり、善管注意義務だったわけでありますけれども、この特別支配株主による売渡し請求に対する取締役会の承認に当たっては、主として考えられるべきなのは、少数株主の利益がきちんと配慮されているか。先ほど申しましたように、ちゃんと売渡し請求をしている株主が資力があって、きちんと約束を守れるか、そしてまた、その条件が適正であるか。まさにその条件の適正性ということを、会社の利益と少数株主の利益、両方配慮して、特に少数株主の利益がきちんと守られ、それこそ、先ほど小川先生の御質問にありましたように、言わば財産権の侵害にならないような形できちんと行われるかということをチェックするのがこの場合の対象会社取締役の義務ということになりますので、従来の単なる会社に対する忠実義務、善管注意義務を超えて、少数株主を保護するという義務がここで明確に規定されることになるというように理解しております。  以上です。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 時間が迫ってまいりましたので、以上で終わります。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日、四人の参考人の方々におかれましては、貴重なお時間、また御意見をいただきまして、ありがとうございます。特に大石参考人におかれましては、これまでのずさんな検診の実態、また被害者としての認定がなされるのに要する書類の多さ等々、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  まず初めに、藤田参考人に伺いたいと思います。  三菱商事さんにおかれましては、今現在は十四人の取締役のうち社外取締役が五名ということでありますけれども、それ以前は社外取締役を置いていなかったときもあったというふうに思っております。社外取締役が選任、導入されたことによって、恐らくそれ以前の取締役会とはまた違った議事の仕方とか、あるいは取締役会の頻度が変わってきたりとか、もう少し言いますと、企業統治における取締役会の役割というのも変化してきたのではないかなというふうに推測をしておりますけれども、その点、御社におきましてどのような状況だったのか、お聞かせいただけますでしょうか。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 頻度につきましては、以前から月に一度はというような形で行っておりまして、その点は特に変更はないんですけれども、ただ、中身、審議の内容ですけれども、議題は同じでも、例えば社外の取締役の方はそれ以前にビジネスについて個別のビジネスも含めて御存じないというところもございますので、まず就任時点で会社の方から概要について説明という機会を設けさせていただいております。かつ、月に一度の議案、提題につきましては、個別の取締役に対してブリーフィングといった形である程度理解の程度を合わせるといいますか、御説明を差し上げております。そういうことによりまして、一つは、皆さんからの意見がある程度のレベル感を持っていただけるような形にするということでやっております。  それから、社外の方が入られてから一つ大きいのは、執行側から選出されているというか、取締役の方と、それから監督側ということで社外の取締役の方というのを対峙していただく形で質疑応答をしていただけるような形にしておりまして、かなり以前よりも更に質疑応答がよくなされるようになったという認識を持っております。  それと、もう一つは、以前ですと会社として常識なことってほとんど質疑応答出てこないわけですけれども、一般社会から見た常識というものと会社内で当然と思われていることとのギャップみたいなのもございますので、やはりその社外取締役の方には一般株主の代表という視点もございまして、いろんな意見をいただいているというふうに認識しております。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 さらに藤田参考人に伺いたいと思うんですけれども、これまでの御意見の中でも社外取締役の企業統治における必要性、役割というのは広く認識されているというふうに思っていますし、御社におかれてもそうだというふうに認識しております。そこで、あえて伺いたいんですけれども、一方で社外取締役を置くことの経営者サイドにとってのデメリットというか、リスクといいますか、がもしあればお聞かせいただけたらと思います。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) まず、先ほども申しましたけれども、社外取締役の方を選任すればそれで終わりということではなくて、いかに役割を果たしていただくかということで、かなり社内のサポート体制というのはどのように整えていくかということもあるので、我が社の場合はそれなりに整えているというふうに自負しているところでありますけれども、デメリットということは我が社の場合は余り認識はしておりません。  ただ、やっぱり選任かなり難しいところもございまして、中小企業含め、一般的に、例えばこれ上場会社で義務付けされて導入されたとして、こういった知見を持った人材の確保というのがどこまでできるのかなというのはございますし、その分やはり企業への負担というのはそこにはあるのかなというふうに思います。ただ、選任されてそれ以降というのは、デメリットというよりは手間、時間、コスト、それはやはり以前に比べれば掛かるのかなとは認識はしておりますけど。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 私がデメリット、リスクという言葉を使ったので非常にお答えしにくかったのかなというふうに思いますが、社外取締役を選任するだけではなく、やはりいかに活用していくのか、運用というのが重要だという、その点でのいろんな工夫や御苦労はあるのかなというふうには思っております。  続きまして、静参考人と藤田参考人に伺いたいと思います。  今回のこの改正法案の中で社外取締役の社外性の要件について盛り込まれていますけれども、そこで、先ほど静参考人からもお話がありましたけれども、親会社、兄弟会社の関係者や会社の関係者の近親者、これは除外、不可ということになっていますが、一方で、主要な取引先の関係者というのは、これは引き続き、会社法上、社外取締役になれるというふうになっております。  そこで伺いたいんですけれども、主要な取引先の関係者が社外取締役となれる場合、具体的にどのような問題が生じるのか、お聞かせいただけたらと思います。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) 実は、先ほども申し上げましたけれども、先ほど御紹介した独立性の要件というのは言ってみればグローバルスタンダードで、どこの国に行ってもやっぱり主要な取引先の関係者というのは抜かれるというのは通常だというふうに思います。といいますのは、やはりその方は取引先の方なので、取引先としての利益というのを持ってくるわけですね。つまり、ただ単に社外取締役としての知識、経験があるからというだけじゃなくて、言わば自分の会社から、おまえ、あそこ取引先だから行ってこいと言われて来ているということですから、派遣された先の会社の純粋な利益というのも、もちろんこれも考えるのは取締役として当然の義務にはなるわけですけれども、一方で自分が本来所属している会社の利益というのも考えなくちゃいけない。この二つの会社の間には取引がありますから、どっちかが得すればどっちかは損するという関係が必ずそこには生まれてしまうということですね。  ですから、小さい取引関係であれば問題はないんですけれども、大きな取引関係であるとすると、例えば、ある会社からほとんどを買ってもらっている、製品を買ってもらっている会社の取締役で行くとすると、その行った先の会社で嫌なことを言ったらもう二度と取引してもらえない、自分の会社が潰れちゃうということになりますから、言いなりになるということも起こり得るということ、極端なことを言いますと。  そういうことなので、取引があってはいけないとは言わないんですけれども、主要な取引先はやはり独立性に疑いが生じるので、投資家は、信用できないと、純粋に株主のことを考えてくれるとは信用できないということなので、そうじゃない人から選んでくださいということなんです。  そうじゃない人から選ぶのは社外取締役だけですから、もしその社外取締役という名前が要らなければ、取引先の方が非常に知見があると、うちの会社のことをよく知っているので是非取締役になってもらうということであれば、社外という名目じゃなくて普通の社内の取締役で選べばいいというだけのことなので、余り主要な取引先を入れないということについては、社外の要件に入れないということについては余り、何というか、説得力が私はないんじゃないかなというふうに思っておる次第でございまして、したがって、入れた方がいいということをずっと申し上げてきたわけですけれども、主要な取引先まで禁止してしまうと、今の人材不足なんかを考えるとなかなか難しいというような実務界の要請などがあって、ここは残念ながら入らなかったということだというふうに理解をしております。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 取引関係があるといった、それを理由にして経営者への影響力があるとかないとか、どの程度ということは、事業内容とか、それから取引関係をめぐるその時々の具体的状況によって違うかなというふうに思っております。したがって、一義的にこういう基準ならいいでしょうとか駄目でしょうということがなかなか難しいんじゃないかなと。  また、事業再編とか事業内容などの見直しなどで取引状況が変わるたびに社外取締役に該当するかしないかといった判断を、ここが変動するとか変更するといったことになりますと法的には極めて不安定かなというところがございますので、取引先については社外性の要件から除外すればという、そういう考えであります。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 続きまして、今度は岩原参考人と静参考人、お二人に伺いたいと思います。  この度の政府からの改正法案におきましては、社外取締役を置かない場合は定時株主総会で置くことが相当でない理由を説明する義務、説明義務が設けられていますけれども、そこで伺いたいんですけれども、株主側の立場として、この説明がどの程度のものであれば説明責任が果たされるのかといった質問です。岩原参考人と静参考人に伺いたいと思います。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) まさに社外取締役を置くことが相当でない理由という、そういう書き方をしているということは、社外取締役を置くことがむしろ原則であって、置かないという場合は、その企業に特有の何らかの理由があって置かないんだということを説明してもらおうということですね。社外取締役が万能ではありませんので、企業によっては、その企業の特色から社外取締役以外のガバナンスの在り方の方がよりよいんだということもあり得ないわけではない。そういうときは、そういう具体的な、何でうちでは社外取締役以外の形態を取ることがいいんだということを説明していただくということを求めているわけです。したがって、単に既に社外監査役が複数いるからそれでもう社外者が必要ないんだというような理由では足りないのであって、その会社の特有の事情によってこの社外取締役以外の体制を取った方が会社の利益、株主の利益のためによりよいんだということを分かりやすく説明していただくということが必要だと考えております。  以上です。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) 岩原先生がおっしゃったことに私の方から付け加えることは何もないんですが、あえて申し上げますと、イギリスなんかではコンプライ・オア・エクスプレーンというシステムがあって、社外取締役を例えば二人以上置けと言っているのに置かなかったら、その理由を説明するということになっています。その理由が余りにうまく書けていないというので、最近、いろんな議論がイギリスの国内ではあるようです。要は、問題というのは、余りうまく書けていないから、理由が、ということだというふうに私は理解しております。  つまり、社外取締役がいない、あるいは二人と要求されているのにいないということに対して、どうしていないのかという個別的な具体的な事情を説明するときに、余り説得力のある理由がないので、結局のところ大した理由が書けないということになってしまって、一番投資家から見て評価が高いのは、いつ入れるのかとか、今は入れられないけれどもこういう条件が整ったら入れるんだとか、そういう説明が一番投資家の受けがいいというふうに聞いたことがございますので、日本でもひょっとすると、そういう会社についてはそういう記載例が増えてくる可能性があるなというふうには見ております。

行田邦子みんなの党

○行田邦子君 ありがとうございました。  時間ですので、終わります。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は参考人の皆さん、ありがとうございます。  まず、大石参考人に水俣病の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先頭に立っての御奮闘に心から敬意を申し上げたいと思うんですが、先ほどもお話がありましたように、これまでの特措法の救済策が対象地域や年齢による線引きをし、先ほどお話のあったようなずさんな公的検診ということも問題になってきたわけですが、そうした結果、該当しない、非該当であるという判定を一方的に通知してくることに対して、熊本県や鹿児島県では異議の申立てさえ認めない。それは、国、環境省が異議の申立ては認めないのだと、そういうふうに言っているからだということになっているわけですが、この一方的に線引きをし、切り捨てておいて、異議の申立てさえ認めないといった国の姿勢について、大石参考人や被害者の皆さんはどんなふうに感じておられるでしょうか。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 今の質問に答えさせていただきます。  確かに、今私たちが訴えている特措法ですら救済されない。特措法というのは元々、あたう限りの救済をするという目的で始まった特措法ですよね。それが実際なされていない。仮になされたとしても、書類によって審査をするわけです、実際、公的検診を受けさせるわけではなくて。また、公的検診を受けたとしても、先ほど言ったように、医者が患者の手先をつまようじでもって血が出るまで突いてみるとか、そういうことをするのが全く本当の検診なのかというのもあります。  だから、私たちは、この被害者を救済するためにはどうしても、そういう一方的な書類だけによるものではなくて、全ての申請者に公的機関での検診を受けさせるべきだと思っております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 私は、先ほど申し上げたような線引きだとかずさんな公的検診だとかということは一切改めて、全ての被害者を救済するという立場に立った上で改めて特措法の申請を開始するといった、そうした態度こそあたう限りの救済という方向に沿うのではないかとも思うんですけれども。  ちょっと話題変えまして、新潟県では異議の申立てを認めているわけです。私が患者団体に伺いますと、九十件の異議の申立てが既に行われているそうで、そうしますと、行政不服審査法に基づく審査が行われる中で、県が一旦行った非該当という判定が覆っていくと。その中で、特措法の運用は本来こうであるべきであるというような議論が新潟県に関しては起こっていくということがあり得るというか、もう現に起こっているわけですよね。  仮に、熊本や鹿児島でそうした異議の申立てが認められるならば、今の天草を始めとした被害者の皆さんの救済というのはもっと様々な形で広げ得るのではないかと思うんですが、その辺りはどう考えますか。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 全く先生が言われるように、新潟では異議の申立てが認められております。しかし、同じ環境省の管轄でありながら、熊本県、鹿児島県はそれを認めようとしない。というのも、環境省がそう言うからという形で私たちの異議申立てを受け付けておりませんので、私たちはやむなく司法による救済というのを求めて第二次のノーモア・ミナマタという訴訟を起こしているわけです。  司法によってしか私たちは救済されないと思っておりますけれども、やはり本来あるべきは、先ほど言われたとおり、あたう限りの救済という呼びかけをした特措法ならば、わざわざそういう異議申立ての受付云々ということを言わなくても、ちゃんとした症状があれば、民間の医者が診断書を出して、水俣病だという診断書を出している以上は、それをちゃんと素直に認めて救済に図るべきだというふうに思います。特に四十四年以降に生まれた人たち、また近辺に居住してきた人たちに対しても、年数が足らないからとかなんとかじゃなくて、やはり、先ほど言った、医者の診断です、これがちゃんと症状があると認めたら、いろいろな、五十年前とか四十年前の書類を出せと言わずに、もう症状だけで、診断書だけで救済をすべきだと思っております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 私は、この特別措置法というのが六万五千人もの申請に広がって、当初、法律が制定されたときの想定を大きく超えて救済を広げてもきたというその力には、大石参考人を始めとして被害者団体の皆さんの頑張りというものが本当に大きな力になっていると思うんですね。  ただ、一方で、この特措法の実際の実施状況を見たときに、水俣病特措法だけで水俣病問題が解決できるかというと、決してそんなことはないということが明らかになったのだと思うんですね。そうした下で、全ての被害者の救済を本当に進めていくためには何が必要かという点について、参考人の御意見を伺いたいと思います。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 確かに、言われるとおりに、全ての被害者を救済するとなれば、私たちが訴えているのは地域住民の健康調査、それから環境調査、これをやらなくては本当の水俣病の終わりというのはないと思います。それを幾ら行政に呼びかけて、私たちが訴えても、今更やっても無駄だというような言い方をしますけれども、しかし、行政自身が四十年も五十年も前の書類を出せという、そういうことすら、無理なことを言ってくることすら間違いであって、私たちが訴えている沿岸住民の健康調査、また関係住民の健康調査をやり環境調査をやると、必ず症状を持った人が出てくるわけです。そうすると、今後の水俣病問題についても解決法というのは、それができるというふうに私は思っております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 五十年前の魚を買った領収書はなくても、皆さんの被害に遭っている体そのものは現在目の前にあるわけですから、実際、政府の関係者も皆さんの住民検診を直接御覧になって、新たに手を挙げる被害者の姿が絶対にうそではないということはどうもお認めになっているようですけれども、そうした悉皆的な健康調査、あわせて水俣病認定の基準についても改めるべきだと、そんなお考えですかね。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 今言われたように、申請の結果についても、私は、最高裁でも司法の判断が出ているということを踏まえて、やはり被害者救済のためにはそのことを実動に移してほしい。そうしなければ本当の被害者というのは救済されないんです。  現に、私がこういうふうにしてしゃべっていても、見た目では本当に普通のおじさんにしか見えぬと思うんです。しかし、私は、自分の体をちょっと皆さんの前にさらけ出すのはやめますけれども、幾ら自分のここを、手を指でつねっても痛いということが言えないんです。そして、今日も昼も食べたんですけれども、刺身なんかを食べても私自身は味が取れません、刺身とか、食べている品物が味が分からない。これは本当に普通の人から言わせると何かおかしいというふうになるかもしれない。しかし、私はそれでずっと生き続けておりますので。一番申し訳ないと思っているのは、うちの奥さん。家内が私のために毎日食事を作ってくれているんですけれども、その作ってくれた食事に対して私は、ありがとう、おいしかったね、今日の食事はおいしかったよというのが、言ったことがありません、言えないんです。そういうのが水俣病の今の被害者です。これは私だけの問題じゃありません。  先ほど意見陳述の中で言いましたように、水俣病の被害者というのは目に見えては分かりません。これは劇症型の患者さんだったらテレビとか映像で分かるんですけど、私を見て水俣病の患者と思われる人はまずいないと思うんです。そういう問題、みんなが、今の患者さんというのは見た目では分かりませんが、それぞれ苦しみを持っております。ある人は視野が狭い、ある人は頭が痛い、重い、肩が凝る。私も全くそれが全部入っているんですけれども。  あるとき、風呂が大好きだという自分の孫が遊びに来たので、よし、じいちゃんが、初めてだけん、風呂に入れてやるねと言って、私が湯舟に入ってお湯の温度を調整して、いいよと言って、その子を連れてきてもらって風呂の中につけた途端にその子が大声で泣き出したんです。私は、何で泣くのかなと、風呂が好きだという子が何で泣くのかという気持ちでおったところが、うちのが飛んできて湯舟に手を入れて言ったのが、あなたはこの子をゆで殺すつもりかと言われました。それだけ私の体というのは熱に対しても鈍いんです。  そういうことからして、本当に熱いというのが分からぬのかと思って、私自身も、シャワーを温度計入れて最初より五十度の温度に設定して、それを自分の膝に掛けてみたんですけれども、熱いとは感じませんでした。そして、自分の足首を見ると真っ赤になっておりましたけれども、熱いとは分かりませんでした。  そういう被害者が今いるということを皆さん知っていただきたい。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 ありがとうございました。  ちょっとテーマを変えて、静参考人に一問だけお尋ねしたいんですが、社外取締役なんですね。  アジア・パートナーシップ・ファンドという、APFというファンドの一般投資家への詐欺だとか、あるいは傘下企業からの資金流出や労働組合潰しなどの不当労働行為が問題となってきたわけですけれども、そのファンドが支配をしている昭和ホールディングスという東証二部の上場企業があります。その企業の社外取締役にファンドの代表者が就いているわけなんですね。  ついては、そのファンドの代表者に対して、つまり上場企業の社外取締役に対して、昨年の十一月、証券取引等監視委員会が一般投資家に対する偽計などを理由として、四十一億円という異例の課徴金の納付を勧告をしています。また、同じ会社の社外取締役がインサイダー取引で課徴金命令の勧告を受けていると。  こういうことについて、証券取引所として調査を行ったりはされているんですか。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。  今御指摘があった四十一億円の課徴金というのは、昨年出ていると思いますけれども、そういう上場会社の、その後は、そこの課徴金は、同じく傘下会社ですけれども、ウェッジホールディングスという別の会社の偽計取引が、このAPFの代表の方がやられたということで出たというふうに聞いております。  もちろんこの問題につきましては、上場会社自身の行為が違法と認められたものではなくて、代表の個人的な違法行為だというところまでは認定されているというふうに思っておりますけれども、単純に申し上げますと、投資家の方は的確な投資判断ができないといけないので、本当なのかどうなのかということを会社には開示をしてもらっております。  会社自身は事実関係を否定しておるということになっておりますけれども、今後、金融庁による審判手続、あるいは私どもの事情聴取などを経て明らかになっていくであろう事実関係というのが今後あると思いますので、それを踏まえて、上場ルール違反があったのかとか、上場適格性に問題がなかったのかということを今後判断していくことになるんだろうというふうに思いますけれども、今のところは、審判そのものが全く進んでいないということもありまして、事情が余り私どもとしてもつかめていないというところだというふうに思います。  この調査だとか認定という問題につきましては公正中立な判断が求められますので、私どものように上場会社を直接のお客様としている取引所ではなくて、同じ傘下の会社ですけれども、自主規制法人というのを独立した形でつくって、そちらで委託して調査を行っていただいておりますので、調査は今どこまで進んでいるのかにつきましては私どもとしても知り得る立場にないので、それ以上のことは今のところ分からないということでございます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 時間が参りましたので終わりますけれども、そうした重大な違法行為が上場企業の社外取締役について指摘をされても、これだけの間、調査が現実に行われるわけではないと、上場され続けているというのが現状なんだなというのが今分かったということを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。  本日は、四人の参考人の皆様に大変貴重な御意見を拝聴させていただきました。ありがとうございます。  また、大石参考人におかれましては、本年五月をもちまして水俣病の公式確認から五十八年がたつこととなりますけれども、一昨年七月に締め切られました水俣病被害者救済特別措置法には六万五千人の方が救済を求められました。また、公害健康被害補償法に基づく水俣病の認定申請数は、熊本県で六百一名、そして鹿児島県では二百四十五名いらっしゃいまして、被害者救済はこれは道半ばであるということで、先ほどからもお話出ております健康調査ですとか環境調査等々、全ての水俣病被害者の方々の救済が完了するまで、やはりこれは国の責務は尽きないということを冒頭申し上げさせていただきたいというふうに思いました。  そして、本日の議題であります会社法の一部を改正する法律案につきまして、まず初めに静参考人にお伺いさせていただきたいというふうに思います。  この度の法制審議会会社法制部会の委員を務められまして、社外取締役の選任義務化にこれは積極的なお立場から、実務上の前進に向けて大きな貢献をされてこられたというふうに思いますし、今後につながるものであるというふうに感じております。  そこで、平成二十四年九月に法制審の総会で採択されました会社法制の見直しに関する要綱の附帯決議第一項で、社外取締役に関する規律については、金融商品取引所の規則におきまして、上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要があると、これは定められましたし、この附帯決議を受けて東京証券取引所では、所要の手続を経られまして有価証券上場規程第四百四十五条の四、これは取締役である独立役員の確保として、「上場内国株券の発行者は、取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するよう努めなければならない。」と、これは監督指針を改定されました。この規程は平成二十六年二月十日から施行されております。東証としてこの法改正に先んじて対応を確実に進められたということは、これは評価されるべきことであるというふうに私も感じております。  また、昨年、平成二十五年九月十日に東証が公表された資料、これは東証上場会社における社外取締役の選任状況等についても拝見させていただきましたところ、社外取締役を一名以上選任する上場会社の比率は昨年よりも七・〇ポイント、これは百六十二社増加をいたしておりまして、六二・三%、千九十二社となったとのことでありました。また、独立社外取締役の選任状況と自己資本利益率、ROEの関係に関する研究の結果を見てみますと、二〇一二年の値ですけれども、独立社外取締役を選任している会社のROEの平均値がプラスで五・〇九%ありまして、選任していない会社グループの平均値マイナス〇・六一を上回る結果となっておりまして、独立社外取締役の選任が上場会社のROEにこれはプラスの影響を与えているということははっきりと分かりました。昨年、平成二十五年六月十四日のこれは政府の日本再興戦略の中でもこの会社法の議論がなされておりまして、いろいろな議題が出て議論が行われたということであります。  そこで、お伺いさせていただきたいと思いますけれども、今回の会社法が日本の経済の閉塞感というものを打ち破り、日本の投資魅力を回復する契機となるということは誰しもが期待をされているということであるというふうに思います。今後更に日本の企業が成長をし活性化を遂げるためには、今後どのような努力が必要であるとお考えでいらっしゃいますでしょうか。市場開設者の実務家のお立場から御意見をお聞かせいただきたいと思います。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。大変いろいろな御指摘をいただきまして、また過剰なお褒めの言葉もいただきまして、ありがとうございます。  私どもといたしましては、今回ここの場で審議をされております会社法の法案につきましては、審議会の開設当時からずっと関与をしてまいりましたし、言いたいことも申し上げまして取り入れていただくことは取り入れていただけて、本当、大変有り難く思っております。  そういう意味で申し上げますと、関係者が長年にわたって議論を続けてやっと合意できた点がここだということでございますので、制度的な意味で申し上げますと、現時点でできるのはやっぱりこのぐらいまでが限界なのかなということでございます。いろんな諸現実の事情を考えますと、原理原則どおりにはいかない、あるいは他の国と同じようにはすぐにはなれないという部分はあるんだろうと思います。しかしながら、先生御指摘のとおり、この法案だけではありませんけれども、こういう言わば社会インフラみたいな法案の整備も含めまして日本経済がこれから再興していくということはとても大事なことで、国民の皆さんが皆期待していることだと思います。  そういう意味で申し上げますと、制度の整備は、今できることは会社法でも今回やっていただくことになりましたし、私どもでもできることはやっているということでございますので、ここで一段落と言ったら変ですけれども、そこだけでこれから進めようと思っても、もうできることは余りないのかもしれません。むしろ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現にでき上がった制度をどうやって本当に有効に活用していくのかということが問題で、社外取締役を入れてみたけれども、ちっとも役に立たないとか、何の意味もなかったとか、日本はやっぱり駄目だなとかと言われることが一番困るんじゃないかというふうに思います。  そういう意味では、先ほどから藤田参考人も岩原参考人もおっしゃっていますけれども、やっぱり大事なことはこの法案をしっかりと根付くように運用を支えていくということでございまして、内部統制システムとの連携ももちろんその例でございましょうけれども、企業価値の向上に結び付けるという前向きの使い方がとても大事だというふうに思います。  そういうことで申し上げますと、社外取締役になられる方というのは、通常は、藤田参考人が御指摘のとおり、なかなか奪い合いになるぐらい立派な方ばかりなのかもしれませんが、そうでない、先ほども私申し上げたように、二つ三つの要件を満たせば比較的しやすいんだと思うんですね。社外監査役の場合には、大体三割ぐらいが公認会計士の先生とか弁護士の先生です。あと七割が会社の経営者出身の方が大体多いんですけれども、社外取締役になりますと、そういう専門的な会計士さんだとか法律家だとかという方はむしろ減って一割ぐらいしかなくて、九割ぐらいが会社の経営者、経験者ということになっているわけですね。  何でそうなのかというと、やっぱり経営の感覚をある程度持っていらっしゃる方の方が、要は、監査役と違って、適法性を見るだけじゃなくて妥当性まで見なくちゃいけませんので、そういう意味で、経営者の背中を押してあげて、リスクを積極的に取ってリターンを積極的に取ってもらう、むちゃなことはさせないというようなことができるという、こういう期待なんだろうと思いますね。  そういう方々に、やはり最低限、せっかく社外取締役で入った以上は、株主の利益を代弁して、会社にとって一番いいことを目指してもらうという客観的な立場でやるんだという基本的な考え方ですとか、あるいは、そのときに必要な注意点みたいなことを誰もが持てるような環境をつくっていくことだというふうに私は思っております。  海外へ行けばそういうのは当たり前なのかもしれませんけれども、日本はどちらかというと、社外取締役といっても、先ほどからお話出ている、取引先でよく知っている人だから入ってもらうとか、社長の友達だから入ってもらうとかってどうしてもなりがちで、そういう人は、こら、やめろと言えないわけですね。  そういうことがとても大事なんだとかという当たり前の常識的なことを広めていくと、そういうことがちゃんとできるような社外取締役の方の環境をつくっていくというのは私ども市場開設者に課せられた一つのテーマだと思いますので、そういう意味で、実質的に社外取締役が機能する環境の整備ということに私どもも努めていきますけれども、上場会社の皆さんにもお力添えを願えれば有り難いなというふうに思っております。それが一番今大事なことではないかというふうに思います。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 ありがとうございます。  今お話ございましたように、日本の経済の再興に向けて、やはりこのでき上がった法律、制度が今後どのように運用をしていくのかということが重要なのだということが分かりました。ありがとうございます。  次に、藤田参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  三菱商事では、二〇〇一年に執行役員制度を導入されまして、取締役と執行役員の機能、責任の明確化を行われましたし、二〇〇四年には、取締役の任期を二年から一年に短縮をして機動的な取締役会体制の構築をされまして、二〇〇六年には、取締役会運営の機動性を確保するために、取締役会の書面決議を可能とする定款変更をされていらっしゃいます。また、二〇〇七年に社外役員選任基準を制定されまして、社外役員の機能の明確化、強化を図る取組もこれは早くから取り組まれていらっしゃいますし、進められていらっしゃいます。  また、法務部におかれましては、百八人のスタッフ、そのうち社内弁護士が十六人いらっしゃって、留学してアメリカの州弁護士資格を取得されている方もおられるとのことでございまして、大変充実した陣営を擁していらっしゃるというふうに思います。  そこで、藤田参考人にお伺いさせていただきたいと思いますが、社外取締役の人選につきまして、必要とされる専門性と社会における一般常識、またさらには経営に関する一般的常識等々、高度な適格性と資質が求められるというふうに思いますけれども、特に総合商社という業態から御社ではどのような基準により人選がなされるのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 法務部についてもお褒めいただいてありがとうございます。  お手元の資料の六十六ページの選任基準で、例えばこの社外取締役の選任基準と、それから社外監査役の選任基準と微妙にちょっと書き分けておりまして、何かと申しますと、やっぱり社外取締役については、企業経営者としての豊富な経験に基づくといったところがございます。それから、こちらには、世界情勢、社会経済動向等に対する高い見識と、こういうのが書いてございます。  一方で、社外監査役の選任基準には、様々な分野に関する豊富な知識、経験というふうに書いてありまして、これがどのように反映されているかという、これ必ずしもそれにこだわっているわけではございませんけれども、現状、見ていただくと、監査役の方々については、会計の専門家、それから弁護士としての法律の知見が高い方といった形でお願いをしておるところですし、一方で、社外役員については、経営という立場でのお願いの仕方と、それから国際的な知見といったところで選任させていただいている方といったような形で、社外役員の中でも社外取締役の方については、経営という視点がベースですけれども、それ以外にも国際性とかいろんな観点で多様性を図ろうということで選ばせていただいております。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 ありがとうございます。  先んじて取り組んでこられていらっしゃると思いますし、これが、今お話しいただいたことが大きな指針、ベースになるというふうに多くの方たちが今感じているというふうに私も思っております。ありがとうございます。  次に、最後に岩原参考人にお伺いしたいと思います。  今回の会社法改正は、長年未解決であった立法上の課題が項目事項として含まれておりまして、部会長として大変にこれは調整に御苦労があったと伺っておりますし、社外取締役の選任の義務化が法制化されることへの議論も重ねて行われたと思いますけれども、これは、バランスの取れた解決法が見出されたと大変大きな評価もされております。  また、今回の法改正の大きな柱でもございます多重代表訴訟制度の創設には、審議会で賛成反対の大変な御議論があったとも伺っておりますけれども、そこで、今回の改正案では、第八百四十七条の三第一項の関係で、六か月前から引き続き株式会社の最終完全親会社等の総株主の議決権の百分の一以上の議決権を有する株主又は当該最終完全親会社等の発行済株式の百分の一以上の数の株式を有する株主は、当該株式会社に対し、特定責任に係る責任追及等の訴えの提起をこれは請求することができるとされていますが、議決権の百分の一以上とされたその根拠というのはどのようなところにあるのか。  これは、先ほどの一番最初のお話のところで、濫訴ということはないと考えられるとの御意見もあったように思ったんですけれども、もしかしたら濫訴のバランスを考えてのこともあるのかなと私は思っていたんですが、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) まず、法制審議会での要綱、そして今回の法案について評価をいただき、大変有り難く思います。  御質問の八百四十七条の三の多重代表訴訟提訴の要件でございますけれども、これも、御指摘のとおり、部会の内部で非常に議論が分かれまして両方の御意見があったわけでありますけれども、結局、多重代表訴訟の場合は、従来の代表訴訟と違いまして、子会社の経営者に対する、取締役等に対する責任追及を親会社の株主に認めるということで、言わば親会社の株主にとっての利害関係というのは、自分が株主である親会社自体に比べるとやや遠い関係にあります。  したがって、基本的には子会社の経営というのは子会社になるべく任せるということを藤田さんもおっしゃいましたけれども、そういうこともある程度成り立ちますので、親会社の株主の中でも特に利害関係が大きいと思われる少数株主に認めることにしようということにしたわけであります。  その際の要件をどうするか、これもいろいろ議論があったところでありますけれども、少数株主の要件を要求するとき、会社法で一番低い要件が百分の一でございます。したがいまして、なるべく広く少数株主に代表訴訟の提訴権を認めるという意味では一番低い百分の一にすべきではないかと。  しかも、百分の一ということになりますと、実際上、この適用が問題になりますような大きい会社を考えますと、機関投資家などかなりの大型の投資家で、相当株主として慎重に行動することが期待できるような人しか実際には提訴できませんので、そうしますと、濫訴的なことは実際には起きないのではないかということでこのような要件にさせていただいたわけでございます。

谷亮子生活の党

○谷亮子君 ありがとうございました。  やはり濫訴ということは考えられないということで、私もそうかなとは思っておりましたけれども、大変貴重な御意見をありがとうございました。  終わります。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  今日は四人の方に、会社法の一部を改正する法律案に対する貴重な御意見を拝聴することができて、本当にありがとうございました。  最初に大石参考人にお伺いをしたいと思います。今、患者の先頭に立って頑張っていらっしゃることに本当に敬意を表して、今回のこの会社法に関する質問をしたいと思います。  今、子会社の株式売却につきまして、株主総会の特別決議を要求する改正に対して、チッソを適用除外するという会社法修正案に反対される理由として、一点目に、加害企業チッソが水俣病被害者救済の責任を免れる手助けをするもの、二つ目は、それは水俣病特措法の目的である被害者救済と水俣病問題の最終解決にも逆行するものというふうに先ほど述べていらっしゃいました。  このチッソの分社化、そして子会社株式譲渡は特措法で決まったことだから変更できないというその意見についてどう思われますか。そして、あわせて、水俣病の最終解決のために本当に何が必要だと考えていらっしゃるのか、改めてお伺いをしたいと思います。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) ありがとうございます。  今、糸数議員から御質問がありました点について、衆議院の方で四月の二十三日付けですか、一応法案が可決されたようですけれども、私が一番今日ここに来て言いたかったのはそのことであって、加害企業を守るため、まして、被害者がまだいるのに加害企業を守るために作られた法案であるというふうに感じております。  だから、ここで言う会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案要綱ということで、一つ、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法第十二条第一項の特定事業者のうち特定会社について、改正法四百六十七条第一項第二号の二(子会社の株式等の譲渡に係る親会社の株主総会の特別決議による承認)の規定は適用しないということは、先ほどからずっと私伝えております、加害企業であるチッソを擁護するための法案でしかないと思っておりますので、参議院の議員の皆さん、是非ともこのことは肝に銘じて、本当に、他の会社法案については私もよく存じておりませんが、事この百十六条の新設関係ということについては、是非とも私たち被害者の立場に立ち返って、本当に被害者の苦しみを知っていただくために、このことを是非とも認めるようなことはしないでほしい、これは是非お願いしておきます。  それと、済みません、もう一つ何か。ごめんなさい。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 水俣病の最終解決のために何が必要と考えていらっしゃるのか、お伺いします。

大石利生水俣病不知火患者会会長

○参考人(大石利生君) 先ほどから言っておりますけれども、水俣病の最終解決とは被害者がいなくなるということです。そのためにはどうすればいいかということは、私たちは常に訴えております。まず関係住民の健康調査、それをやって、ああ、この地区にはもうそういう症状を持った人はいないなということが出てくるまで私たちはそれを訴え続ける。また、それをできるのは国であり行政だと思っているんです。それをやろうとしない今の行政というのは、とてもじゃないけれども、これでもって、被害者は救済しない、加害企業を救済するという、そういう偏ったことをやるという今度の会社法制案の新規にあるこの条項を是非とも私は皆さんの力で阻止していただきたいと思っております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございました。  今おっしゃいましたように、被害者がいなくなるというのが最終的なその解決法であると力強くおっしゃっていただきましたけれども、多くの委員からありましたように、皆さんの本当に望むところへこの国が進んでいくように、最後まで応援をしてまいりたいと思います。  次に、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に関する懸念についてでありますが、岩原参考人、藤田参考人、そして静参考人、お三方にお伺いをしたいと思います。  まず、監査役会設置会社から、それから監査等委員会設置会社に移行する際には、必要的に設置されている社外監査役をそのまま監査等委員になる社外取締役にスライドして就任させることが法的には可能であると言われていますが、そもそも社外監査役と社外取締役とでは求められる役割とふさわしい人材が異なるのではないかと思います。  それで、これまで社外監査役だった方が取締役会に議決権を有する取締役である監査等委員としてすんなり就任してもらえるのかという疑問もあります。また、元々社外取締役の人数を集めるのは実務的に厳しいという話もあり、今回の監査等委員会設置会社が新設されても状況は変わらないという指摘もあるというふうに聞いております。  監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対するその懸念について、先ほども申し上げましたが、岩原参考人、静参考人、藤田参考人、それぞれにお考えを伺いたいと思います。

岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授

○参考人(岩原紳作君) 御指摘のとおり、制度上は従来の監査役設置会社の社外監査役の方が新しくできます監査等委員会の監査委員になるということも可能であると。社外性の要件が今回ちょっと変わっておりますので、それに関する問題はありますけれども、原則的には可能だと思います。  その際に必要とされる資格といいますか望ましい資質としては、確かに監査役に要求される資質と社外取締役である監査等委員に要求される資質というのは重なっている部分も多いと思います。無論、コンプライアンス等、従来監査役として求められていたことが今度は監査等委員会の委員としてやっていただくということも十分に考えられますので、したがってスライドして就任されるということも十分あってしかるべきかと思います。  ただ一方で、取締役になりますと、御指摘のとおり、取締役会で議決権を持ち、従来の違法性監査だけではなくて、妥当性監査、つまり経営の上で何が適切かということの判断をもしていただくことになります。そういう意味では、従来の監査役にはなかった資質も要求されるわけでありまして、社外監査役の中でそういうのに適切でないという方は外れるということも一方ではあるというように思います。直ちに自動的にスライドさせるべきだということには当然にはならないというように考えます。  以上です。

静正樹株式会社東京証券取引所常務取締役

○参考人(静正樹君) 私の方からは、それでは、違うお答えをした方がいいのかもしれないと思いましたので、じゃ、社外取締役の人材いるのかみたいな話のことを御説明した方がよろしいかと思います。  さっきちょっとお話ししましたけれども、確かに社外監査役の人材と社外取締役の人材というのは、実際に見てみても出身母体が少し違ったりということがあります。それはやはり今、岩原先生が御説明になったようなところに起因するんだろうというふうに思っております。  ところが、じゃどういう人が社外取締役になっているんだというと、ほかの会社で経営の経験があるという方が一番多いわけですよね。実は日本には、私どもJPXグループだけでも三千四百の上場会社があるわけです。つまり、三千四百人のトップ経営者というのがそこには存在、上場会社の経営の経験者というのは存在しているわけですね。そういう方々が、しかも代が替わればどんどん出てくるんですけれども、今は会社の中に囲まれてしまって、余りほかの会社の社外取締役になったりってすることが比較的少ないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。つまり、一度社長になれば、その後、個室と車と秘書が付いて、ずっといてくださいみたいな会社が比較的多くて、外行ってどんどん活動してくださいというふうになかなか今なっていないという会社も多いんじゃないかなということでございます。  逆に申し上げますと、その部分というのは、ひょっとすると良い人材プールに今後成長していくという可能性もあるんじゃないかというふうに思っておりますし、会社としても、先ほど藤田さんがおっしゃったように、経営感覚みたいなものを求めたいという、社外取締役だったらという、そういう御意見も多いと思いますので、比較的マッチングはうまくいくんじゃないかという感じがいたしております。  つまり、今後、今でも各種団体でそういうマッチングをしようということで、そういう仕組みを新たに設けたりとか、そういうことが盛んになってきていますし、人材紹介会社みたいなものも、役員レベルのもの、社外役員に重点を置いたようなものもだんだん出てきておりますので、そういうものが適切な人材の確保にそのうち役に立っていくんじゃないかと。そのときの人材プールとして三千四百ある上場会社の経営者OBなんていうのは比較的有望なんじゃないかというようなことを考えますと、必ずしもそれは今までマッチングをしていなかっただけで、マッチングをし出せばそれなりに人材出てくるんじゃないかということも考えておいた方がいいんじゃないかというふうに思います。  一方で、地方だとなかなか人が採りにくいというようなお声もございますけれども、最近、私どもで新規上場する会社というのは、実は半分が東京以外の地方の会社なんですね。ですから、こういう傾向を見ますと、そういう面も少しずつ改善されていくんではないかというふうに考えている次第でございます。  以上です。

藤田和久三菱商事株式会社法務部長

○参考人(藤田和久君) 直接のお答えにならないかもしれませんけれども、監査等委員会設置会社に移行しようとかという場合のメリットということを考えますと、今でいいますと重要な業務執行の決定を一定の場合に個々の取締役に委任可能ということで、取締役会の負担が軽減できるんじゃないかなというふうにちょっと思っておりまして、そういう観点から移行される会社というのは出てくるのかなと。  ただ、移行については、改正法成立して公布後に、施行規則の整備状況を踏まえて各社で本格的には検討されるというふうになると思っております。それと、監査役会設置会社にとって社外監査役に加えて更に社外取締役を選任するという重複感というのもありますので、やっぱりそういった企業が移行を検討するのじゃないかと推測はしております。  ただ、一つには、今これで三類型になるわけですけれども、この三類型の一つの類型が特に非常に優秀だとか、そういうことではなくて、三類型とも同じ価値であると、それぞれにガバナンスに工夫をするということかと思いますので、この監査等委員会設置会社についても、三類型の一つの類型ということで、特にそちらに持っていこうとか、そういう話ではないかというふうに認識しています。  また、先ほど社外監査役二名に加えて更に取締役一名となると負担だからという、ただ、それが理由で替わっていただくというのは、本来コーポレートガバナンスの高まりという点でいうと変な話だと認識していますので、その辺りは懸念というか、そういう理由ではなく移行していくように各企業とも考えていかなきゃいけないのかなというふうに思っています。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 時間になりましたので、終わりたいと思います。

荒木清寛公明党

○委員長(荒木清寛君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ時間を割いていただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表して深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十三分散会

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