文教科学委員会 第12号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2014/04/24
会議録
○委員長(丸山和也君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、水落敏栄君が委員を辞任され、その補欠として小坂憲次君が選任されました。 ─────────────
○委員長(丸山和也君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、消費者庁審議官河津司君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(丸山和也君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小坂憲次君 おはようございます。 私は、電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟という超党派の議員連盟に所属しておりますが、その関係もございまして、本日、この法案審議に当たりまして質問をさせていただきたいと存じます。 本法律案の目的は、いかにして有効な海賊版対策の法的基盤を構築するか、また、インターネット社会の到来とタブレットやスマートホンなど携帯端末の普及によりまして電子的な複製や頒布が非常に容易にできる時代に即した著作権法の改正をすることにあると思います。 私も、専門家ではありませんけれども、作家、著作者と出版者というこの関係は、もちろん複雑多様なケースがあると思うわけでありますけれども、書籍の企画そして編集、あるいは印刷を管理し出版する、広報し頒布に至る、各段階において互いに協議をして、出版者は出版のプロとしての立場から助言や企画提案などを行い、場合によっては新人の発掘や育成と、こういったことにも関与するなど、我が国の優れた出版・活字文化をつくってきたと思うわけであります。また、すばらしい作品であれば誰もが読みたいと思うわけでありますし、また本も売れるわけでありますが、同時に、最近ではすぐに海賊版、すなわち違法コピーがインターネットにも出回ることになります。 さて、現状は、著作権者は、紙媒体であろうとインターネット上であろうと、海賊版がある場合には著作権に基づき差止め請求が可能であります。しかし、著作者は、多忙な著作活動、その傍ら自ら訴訟を提起することは困難でありまして、一方、出版者は、差止め請求権を持たない結果、出版物が売れなくなる等直接的に被害を被っていながらも、また、事務的、組織的な対応力は持っているものの、著作権者との関係から、その理解を得て差止め請求訴訟を提起することは種々困難が伴い、対策が後手に回って海賊版対策に有効な手段を欠いているのが現状であります。 これまでも契約によりまして電子出版自体は行われておりますので、今回の法律案により最も変わるという場所は、出版権の設定を受けた出版権者が、インターネット上に出回っている海賊版に差止め請求ができるようになることにあります。しかしながら、電子出版についての出版権の内容について、第八十条第一項第二号では、公衆送信権は含まれているものの複製権は含まれていないため、十分な海賊版対策ができないのではないかというふうにも、そういった意見もございます。 確かに、誰かが海賊版をアップロードしようとして複製行為をしたとしても、それが私的複製なのか、あるいは違法な海賊版の準備行為としての複製であるか、これを判別することは非常に困難でありまして、複製の段階で違法な複製行為として摘発することは極めて難しいと思います。 こういったことも踏まえて、これらの点についてどのように考えるか、政府参考人に伺います。
○政府参考人(河村潤子君) 御指摘をいただきましたように、公衆送信目的の複製権は今回改正案の出版権に含まれていないわけでありますけれども、仮に含めたとしましても、公衆送信を行う前の段階の複製行為というものは、通常、公然と行われるものではございませんので、発見すること自体が極めて困難でございます。仮にそのような海賊版を発見できたという場合には、出版権者は公衆送信目的の複製に対して公衆送信権の侵害予防のための差止め請求権が認められ得るために、海賊版対策はこれによって行えるというふうに考えております。
○小坂憲次君 また、インターネット上の海賊版対策については、法案作成の検討段階において、みなし侵害規定を設けるべきという議論もあったと承知しております。みなし侵害規定を設けることについて文化審議会で合意に至らなかった理由はどのようなものか、お話しいただけますか、政府参考人。
○政府参考人(河村潤子君) お答え申し上げます。 みなし侵害規定を創設するかどうかについては、御指摘の文化審議会出版関連小委員会の場で検討が行われました。その中で、意見といたしまして、既に著作権侵害に当たる利用態様を更にあえて出版権侵害とみなすということは従来の法制との関係で非常にハードルが高いという意見、それから、電子書籍に対応した出版権を今回設定できるようにするわけでございますけれども、そうした出版権を設定しない者に差止め請求を認めるということは法律としてバランスを欠くという意見等がございました。このようなことから、立法化についての合意形成に至らなかったものでございます。
○小坂憲次君 合意形成に至らなかったということでありますからやむを得ないと思いますが、法律の考え方にはいろいろなものが態様としてはあるんだと思います。将来課題として考えたいと思います。 また、この第八十条第一項には、一号と二号の出版権につきまして、権利の全部又は一部を専有するとあります。既に審議会の中で、これらの委員会審議の中で指摘もありましたように、一号と二号、あるいは一号と二号の出版権のそれぞれの中を更に細分化してしまうと海賊版に対する差止め請求ができる権利も細分化されてしまうので、できるだけ出版権は一体的に設定すべきと考えております。 したがって、海賊版対策のためには、紙媒体による出版についての出版権と電子出版についての出版権の両方をできるだけ一体的に設定することが重要だと考えております。契約に際して、原則として出版者が両方の権利を設定するということを推奨していけば、出版者は公衆送信権を専有することとなり、インターネット上の海賊版に対して差止め請求等を行うことができることになります。 しかし、著作権者の立場に立って考えてみますと、契約締結時に電子出版することを考えていない場合や、逆に、したくない場合も考えられるわけであります。法律案では、出版権を設定した者が出版の義務を負うと規定しておりまして、電子出版権を設定した場合は出版者は電子出版義務を負うのでありまして、両方の権利を設定する契約はこういった面からは困難になってくるとも考えられます。 したがって、著作権者と出版者の契約の際に、一号と二号の出版権を設定するが、両方とも設定するけれども、電子出版については著作者が別途許諾をするまで権利の行使及び出版の義務を停止する旨の特約を設ければいいと考えます。逆に、電子出版をまず実行して、後日、著作者の意思によって書籍の出版を行う場合も、同様に契約の内容として特約を盛り込めばいいのではないかと考えますが、この点について意見を伺いたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 改正案の第八十一条で出版義務という規定がございますが、ここでは原稿等の引渡し等を受けてから一定期間内に出版行為又は公衆送信行為を行うことなどを義務として規定をしておりますが、あわせて、設定行為に別段の定めがある場合はこの限りでないと規定しておりますので、当事者間の契約によって義務を柔軟に設定することが可能でございます。このため、著作権者が紙媒体の出版を希望し、当面は電子出版を見合わせたい場合において、当事者間において義務を柔軟に設定し、電子出版についての出版権を設定するということが可能でございます。また、逆のケース、その電子、紙の順番が逆のケースでも同様でございます。 このように、同一の出版者に第八十条第一項第一号、第二号の両方の権利が設定されることは、適切に海賊版対策を行う観点からは有効な契約パターンというふうに思料いたしております。
○小坂憲次君 しかしながら、一たび出版の義務を柔軟にしてしまいますと、著作権者が後に出版、電子出版をしたい、このように希望しても、その意思に反して出版や電子出版が行われないで放置される、いわゆる塩漬けの状態になるということが懸念される、このような指摘もあります。 また、電子書籍の進展に伴いまして、例えば挿絵が動くようなアイデアとか、あるいは今考え付かないような画期的な電子出版物というものも世の中に出回ることも考えられます。そういった場合に、当初契約した出版者とは別の出版者がいいアイデアを持っているのでそちらと契約したいな、こう考えて、著作者が別の出版者に出版権を与えたいというふうに考えた場合、これ、どのようにしたらいいんでしょうか。 塩漬けの問題、そういう懸念や、著作者が出版権を設定した者以外の第三者に出版権を設定したいと考える場合の対応方法について御意見を伺いたいと思います。政府参考人。
○政府参考人(河村潤子君) まず、御指摘のいわゆる塩漬け問題を懸念する場合でございますけれども、あらかじめ契約の中で、著作権者が電子出版を希望する場合には出版者と協議し期日を定めることができる、著作権者のイニシアティブでという、そういう旨を定めておくことが一つの方策かと考えられます。 また、出版権設定契約の際に、後日、著作権者が出版権を設定した者以外の者に出版権を設定することを想定する場合には、やはりあらかじめ契約の中で、著作権者が第三者から電子出版を行う場合は電子出版についての出版権の設定契約を解除することができるというようなことを定めておくのも一つの方策であると考えております。
○小坂憲次君 実は私は、先ほど申し上げた議員連盟の中で、著作権者の意向を非常に尊重しながら、なおかつ出版者の対応力、そういった差止め請求権等をしっかりとさせる、確立するという観点から、契約を重視した形で幾つかの標準的なパターン、ガイドラインというようなものを、文化庁あるいは第三者、法律家等が集まったところでそのガイドラインのようなものを提示して、そういう幾つかの契約パターンによってこういった問題を解決してはいかがかと、こういった提案をして、当時出席をされておられました出版者を始め多くの方の賛同をいただいたところであります。 当然いろんな御意見もあるわけでございますけれども、そういった観点から、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。 具体的に言いますと、第一番目の契約のパターンというのは、紙媒体の書籍等についての出版権と、それから電子配信による電子出版の両方を設定するパターンで、著作者甲と出版者乙はこの両方について合意をし、出版権を設定するものとするというような形の契約。 二つ目の、二番目の契約パターンというのは、当面電子出版する意向はないし実際に出版したいとも思っていないんだよという著作者向けでありまして、その得失をガイドブックのようなものでちゃんと解説をして、これをすることによって、電子出版は当面出版しないで、著作権者の意向によってそれは左右できるんだということをしっかり御理解をいただいた上で、しかしながら、同時に、この両方の権利を設定することによって出版者は海賊版対策がしっかりできるようになりますよ、だからこの契約のパターンを推奨するんですよというようなことをしっかり書いて、そして二番目のパターンというのは、書籍出版を設定する、また電子出版についても設定する、ただし、特約として、この電子出版部分については著作者の意向によって当面は実行しないものとする、また、それによる義務も免除するということを書いておくというパターンであります。 三番目のパターンというのはどういうパターンかというと、この二つ目のパターンに加えて、著作権者が第三者に対して電子出版をさせたい、出版権を設定したいと考えた場合に、出版権設定契約を解除して、その電子部分に、解除して新たに第三者を出版権者として設定契約を締結できるようにする、そういうパターンでありまして、著作者をしっかりと保護していく、かつ、同時に、いろんなパターンの出版者に対しても対応できるようにする、出版形態の発達にも対応すると、こういったことを提示するという考え方であります。 このような出版権設定契約を勧めることで海賊版対策は非常に有効に機能すると思いますし、文部科学省としては、今申し上げたような海賊版対策に有効な基本的契約パターンというものを設定することについて、これを関係者に周知してはいかがかとも思うわけでありますが、こういった点について、総括的に大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 今、小坂委員から海賊版対策に有効な三つのパターンについての具体的な御説明をいただきました。 御指摘の契約パターンについては、これにより著作権者と出版者、それぞれの都合に合わせた出版権の設定が容易になり、また、出版権の設定を受けた出版者は海賊版対策ができるようになるため、大変意義のあるものと考えます。 法律の、今回成立をさせていただければ、その後、改正後、この改正法の趣旨、それから内容とともに海賊版対策に有効な御指摘の契約パターンについて関係当事者に周知してまいりたいと思います。
○小坂憲次君 ありがとうございました。 電子出版につきましては、今まで申し上げたように、変化が激しい技術的進歩、あるいはSNS等の普及、こういったものありますので、あるいはメディア的な多様性というものも出てくるでしょう。そういった意味から将来を予測することは非常に困難なんですが、ちょっと振り返りますと、二〇〇四年に「電車男」というポータル文学とも呼ばれる作品が出版されたことがあります。これは、2ちゃんねるというインターネットサイトにおきまして、そのスレッドに電車男と名のる書き込み人を中心とした特定困難な複数の書き込みがありまして、それが一つの物語を構成し、進行し、出版に至ったというケースでございます。作者は、中野、単独の独に人と書いて中野独人さんという方が著作者になっております。これは、大勢の書き込みの中の一人が当たるんだということで、中の一人ということをもじったと言われておりますが、特定個人ではないわけであります。 この本はドラマ化され、また翻訳もされておるわけですが、この本がインターネットあるいは書籍として海賊版が出た場合、この差止め請求というのは可能なんでしょうか。これについて一つお伺いいたしたい。 もう一つは、最近、新聞を読んでおりまして、新聞に、アマゾン等の外国のサーバーからダウンロードされる電子書籍に関し、消費税が掛からない結果、国内の電子出版者との価格に差が出るという問題が書かれておりました。 こういった問題は今後いろいろと出てくると考えられますので、まず、この消費税問題について財務省から、また、先ほどのこの問題について政府参考人、あるいは大臣ももし御感想があればお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤井健志君) 我が国の消費税制度におきましては、インターネットを通じて国外から行われます電子書籍などの配信などの役務の提供は国外取引と扱われますので、消費税は課税されておりません。このため、国内外の事業者の経済活動に対する課税の中立性の観点から検討する必要があるというふうに認識しております。 平成二十六年度の与党税制改正大綱におきましては、このような国境を越えた役務の提供等に対する消費税の課税の在り方について、国際機関や欧州諸国における対応状況等を踏まえ、平成二十七年度税制改正に向けて具体的に検討することとされておりまして、国内外の事業者の事務負担に与える影響、適正な税務執行の確保など、幅広い観点から検討が必要でございます。 このため、昨年来、政府税制調査会において御議論がなされているところでございます。先日開催されました政府税制調査会におきまして、事務方から具体的な対応案のたたき台といたしまして、国外事業者が電子書籍や音楽の配信を含む消費者向けの役務を提供する場合には、提供する国外事業者が申告納税義務を負う国外事業者申告納税方式、それから、国外事業者が広告の配信など事業者向けの役務を提供する場合には、提供を受けた国内事業者が国外事業者に代わって申告納税義務を負います、いわゆるリバースチャージ方式との課税方式をお示ししておりまして、今後、更なる案の具体化に向けて、内外の関係者の意見を聞きながら具体化に向けて検討を進めることとしております。
○政府参考人(河村潤子君) まず、初めの方で御指摘、御質問のございました、いわゆるポータル文学についての海賊版への差止めができるかということでございます。 多数のネットユーザーの自由な投稿によって創作されるような作品の権利関係については、投稿のときの電子掲示板の投稿規定などによって、どのような処理がなされるかということについて様々であろうかとは存じます。 ですので、ちょっと一般論として申し上げさせていただきますが、ネット上で複数の者が創作した作品であっても、それぞれの人の寄与というものを分離して個別の著作物として利用することができるという場合には、出版者は、所在が、誰かということが判明している著作権者との間でその創作した著作物について出版権の設定が可能でございますので、それに基づく対処ができることになります。 ただし、各人の寄与を分離して個別的に利用することができない共同著作物という場合には、出版権を設定するためには全ての著作権者の合意が必要となりますために、著作権者の一部の方々が不明であるという場合には出版権の設定ができません。もっとも、共同著作物の場合であっても、一部の著作権者が判明していて意思がある場合には単独でインターネット上の海賊版に対しても差止め請求を行うことができますために、共同著作物については出版者とその判明している一部の著作権者とが協力して海賊版に対応する、これは、インターネット上でも、これまでの場合でも有効ということになるわけでございます。
○小坂憲次君 もう時間が来てしまいますので、大臣には総括でお答えをいただければと思いますが、今の答えはすなわち、特定することができないような著作権者がいる場合には、これは出版権は設定できないということですので、したがって差止め請求もできないということになってしまいます。 そういう意味で、この「電車男」という特定の例を考えますと、全体の六%ぐらいのスレッドをまとめて出版しておりまして、その中で特定できる人はいないことはないんですが、全部を特定しているわけではない。そういうことからすると、出版権が完全に設定できているとも考えられませんので、それに基づく差止め請求というのは、著作権者から出版権設定を受けていると言えない以上は、これは対抗し得ないという場合が生じる可能性があるということでございます。いろいろな例が今提示されました。 したがって、こういったことはこれからの研究課題でありますから、文化庁、文科省はこの問題について今後ともしっかり著作権法の更なる改定に向けて準備を進めていただきたいと、このことを一つ申し上げておきたいと思います。 まだいろいろ質問したいことはありますが、以上につきまして、大臣、御感想をいただけたら幸いであります。
○国務大臣(下村博文君) まず、消費税問題でありますが、先ほど財務省の方から答弁があったとおりでございますが、文部科学省としては、電子書籍を含め、我が国の出版文化の健全な発展が図られると、そういう観点から積極的な協力をしていきたいと思います。 また、今御指摘の点踏まえて、文科省、文化庁として、出版業界がしっかり繁栄していくような視点からバックアップをしてまいりたいと思います。
○小坂憲次君 ありがとうございました。終わります。
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。 先ほど小坂委員から、電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟についての言及がございましたけれども、私も小坂委員と一緒にこの議連にずっと関わらさせていただきまして、議連できる前から、もう二年半ぐらいになりますが、超党派の議員の皆様方と一緒にこの問題について取組をさせていただいてまいりました。そういう意味では、今日、こうしてこの委員会で著作権法の改正案、審議に立たせていただく、大変感慨深く思っておりますし、是非本当にいい形で今後の運用がなされるように議論させていただきたいと思いますので、大臣、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。 まず、小坂委員からいろいろと重要な論点について既に質疑がなされておりますので、なるべくそれ以外のところでやっていきたいと思いますが、最初に、出版の定義と電子書籍との関係について確認をさせていただきたいと思います。 衆議院の委員会での質疑の中で、政府からは、出版というのは有体物を複製して販売、頒布する行為であって、著作物を電子媒体で配信することは出版ではないという説明がなされておりました。 しかし、出版というのは、これまで長い間、小坂先生も言及されましたけれども、著作者と出版者との間の信頼関係に基づく営みとして、企画から編集、制作、宣伝、販売、こういった一連のプロセスを経て、日本の、我が国の本当に世界に冠たる出版、印刷物を国民、ユーザーの皆様に届けていくと、こういうことで発展をしてきたわけであります。最終的にユーザーに届く形が、新しい時代の中で紙になるのか電子の形になるのか、これは最終形がそうなっているかどうかという問題でありまして、出版ということについてはこれまでやられてきたとおり、一連のこのプロセスというものがやはりこれからの時代も変わらず大事なんだろうなと思うわけであります。 しかし、先ほど申し上げたように、政府は電子媒体で配信するのは出版じゃないんだというふうに定義をされている。これは余りに実態にそぐわない、むしろ現場に混乱を引き起こしてしまうのではないかというふうに強く懸念するわけでありますが、これ、改めてこの定義、むしろ電子もこういったプロセスを経て出版されるもの、これは出版として位置付けるべきではないかと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、出版界においても、著作物を電子媒体で配信する行為についても出版という概念で捉える方々も少なくないということは承知をしております。 しかし、我が国の著作権法、法律におきまして、出版は、著作物を文書又は図画として複製し、その複製物を刊行物として発売、頒布することを意味する語でございまして、法律用語でありまして、刊行物などの有体物を販売、頒布することが念頭に置かれているわけであります。また、今日の社会において、一般に出版という用語は有体物を発売、頒布することと理解している人も少なからずいるものと考えられます。 このような状況を踏まえ、改正案において、著作物をインターネット送信することについては、有体物を頒布するものではないということから、出版という言葉を使わず公衆送信という語を使うようにしているということでございます。
○石橋通宏君 大臣、確認ですけれども、要は、最終的に公衆送信する部分、電子の場合はですね、そこだけ取り上げて今回の法改正が組み立てられているわけです。新しい時代に、先ほど申し上げましたように、企画の段階から全て出版プロセスを経て、最終的に紙はもう出さない、電子だけ出すんだという形の出版というのも出てくるわけで、もう既に出てきておりますし、今後拡大していく可能性があるわけです。それは、じゃ、出版ではないというふうに政府は定義をされるということですね。
○国務大臣(下村博文君) まず言葉でありますが、通例、出版とは出版物などの先ほど申し上げましたように有体物を発売、頒布することを念頭に用いられる用語であると。著作権法においても、この出版の用語の意味について同様の理解に基づいて用いられております。一方、出版権という言葉ですけれども、これは法律により設定された特別な用語であり、その内容は第八十条において具体的に定められているところであります。 このように、出版権という用語は、出版という用語と異なり、法律により設けられた特別な用語であり、また法律によりその意味を具体的に定められたものであるため、電子書籍のインターネット送信についての権利も含めて用いることができると考えます。 出版権制度は、出版を引き受け、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという出版者の役割の重要性に鑑み、特別に設定されている制度であります。改正案においてもこうした制度趣旨を引き継ぐため、改正案では、電子書籍のインターネット送信についての権利も紙媒体での出版と同じ出版権の中で包含されているというふうに考えております。
○石橋通宏君 御説明いただきましたけれども、そこのところが、今回は、これまでまさに電子の書籍については出版権設定ができなかった、それを新しい時代にこの電子にも出版権を設定できるようにすると。 ですから、これまでは出版という概念はこうだったと、しかし今回の改正によって電子書籍も出版権を設定できる。でしたら、まずこの機会に、出版というものそのものを、電子という形で出てくる場合にも、これはきちんと出版なんだという新たな位置付けを今回与えるべきではなかったのかなというふうに強く思うわけです。それをやらずに、出版権の部分だけ、公衆送信のところだけでも出版権を設定できるというふうに法律上の立て付けでしてしまったがために種々問題が出るのではないかということを強く懸念をいたします。この点については、是非、小坂委員から指摘もございました、今後の更なる改正に向けての検討の中で十分な対応を図っていただきたいと思うわけであります。 その意味で、衆議院のこれまた答弁の中で、いわゆる純粋プラットフォーマーの問題について議論がございました。ここが一番私たちも懸念をするところでありまして、政府の方からは、公衆送信のみを行うプラットフォーマーも除外されないんだと。当然除外されないわけです。八十条に基づく二号の出版権者となり得ますから、純粋に公衆送信のみを行うプラットフォーマーも二号出版権を著作者との契約関係で得ることができれば、いわゆる出版行為に携わらなくても、最後のところの公衆送信のみで出版権を得て排他的なビジネス行為を行うことができるというふうになるわけであります。 そうすると、大臣、どういうことが想定できるかといいますと、これは可能性、いろんなこれからのシナリオが想定できると思いますが、一つのシナリオとして、五年後の日本の電子書籍市場を想定してみるに、非常に強いプラットフォーマーが多くの著作者の皆さんとこの二号出版権の契約を交わし、電子の部分を市場独占的に席巻をしてしまう、それによって電子の部分が一層一つのプラットフォーマーに集中をしてしまって、それが市場支配力を持って、価格統制力、価格支配力まで持ってしまうと、こういう事態もあり得るんだと思います。 大臣、まずお聞きしますが、こういう事態を政府としては望んでおられるんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 当然、望んでおりません。 これは、出版文化というのは、我が国の文化や知識を創造、普及し、これを次世代に継承するに当たり重要な役割を担い、我が国の活力ある社会の実現に寄与してきたものでありまして、このような出版文化が、この電子書籍等の法律改正によって結果的にプラットフォーマーが独占するようなことがないような対応もしていく必要があるというふうに思いますし、そのような配慮をしてまいりたいと思います。
○石橋通宏君 望んでおられないということです。そして、その対応をしていくということですが。 じゃ、大臣、具体的にいかなる対応をされるんでしょうか。法律上はこれは排除できないというのは既に衆議院の答弁で政府も確認をされております。法律上は排除できません。ということは、法律上排除できないものを今後の運用の中で、いかに具体的に実効性ある形で、こういった純粋プラットフォーマーが二号出版権を独占し、市場支配力を持ってしまう、これを防ぐということをやられるのか。具体的に、国民の皆さんにも説明する形でお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 企画、編集等を行い、著作者とともに様々な作品を世に提供してきた出版者は、我が国の多様で豊かな出版文化を支えてきた重要な存在であるというふうに思います。このため、多様で豊かな出版文化を維持する観点からは、書籍や電子書籍の制作や流通が特定の者に独占されるということではなく、多種多様な出版者等によって行われることが肝要であるというふうに考えます。 御指摘の、いわゆるプラットフォーマーが出版権者となり、電子書籍の公衆送信を独占することについての懸念についてでありますが、当事者間の信頼関係の下で、出版者が著作者への原稿依頼時等の契約交渉時に独占的利用許諾契約や出版権設定契約を締結することがまずはやはり重要であるというふうに思います。 文科省としては、こうした懸念を有する出版者のみならず、著作権者に対しても、この成立をさせていただければ、改正法の趣旨それから内容等について、改正法施行までの間、十分周知徹底をすることによって、石橋委員の御懸念等がそういう流れにならないような、しっかりとした対応をしていただくようにお願いしたいと思います。
○石橋通宏君 今大臣から御説明をいただきましたけれども、結論からいけば当事者間の信頼関係に基づく契約に委ねるんだということだと思います。必要なモデル契約ですとかガイドライン等々はお示しになるのかもしれませんが、最終的には市場の当事者間の契約に委ねられるということになるんだと思います。 そこで、先ほど小坂委員からも的確な御指摘がございましたけれども、著作者の側に立ってみて考えたときに、著作者の皆さんが一番何を望んでおられるかということを考えますと、やはり御自身の作品というものを広く世に問うていきたいと、多くの国民にいい形で、最適な価格で届けていきたいというふうに思われるんだと思います。 そうしますと、新しいまさにデジタルの時代で、出版、紙の書籍というのは、これまでの信頼関係に基づいて、今までどおりの出版社にお願いはするんだけれども、事デジタルについては、やはりデジタルに専門性のある、いいアイデアがあったり、そしてまた市場浸透力があったりという形でより多くのユーザーに届けたいと思うのが著作者側の心情ではないかなというふうにも思います。 そうなってくると、今回の法構成で、二号で、プラットフォーマー、純粋なプラットフォーマーが権利設定できるというふうにしてしまったために、市場に委ねて、信頼関係に委ねたときに、むしろ結果として、著作者の皆さんの望む形で市場が構成されていけば、やはり改めて電子の部分については支配力の強いプラットフォーマーに集中してしまうということが結果として生まれてしまうことは、これは、むしろ著作者側の皆さんの御希望、あるべき姿のことを考えますと、むしろそうなってしまう方向に行くのではないかということを強く懸念するわけであります。ですから、大臣、当事者間の信頼関係というふうにおっしゃいましたが、逆にそれに委ねることによって、結果、そういう今大臣が言っていただいた望まぬ方向にむしろ進んでしまう懸念が強まってしまうのではないかというふうに思います。 大臣、私まだ分からない、どうやって具体的にそういう方向にならないことを担保されるのか。市場に任せる、でも市場に任せては、逆に市場は規律できない方向に行ってしまうことは多々あるわけでありますから、そういう方向に進んでしまう。これ、大臣、もう一度、どうやって止めるんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) これはおっしゃるとおり、電子書籍出版というのが法律改正によってこれから市場において大きなシェアを更に占めていくということになってくると、今までの出版社も、紙媒体だけではもう対応できないということで、いかにこの電子書籍分野におけるクリエーティブな、創造的な出版社側のアイデアとかノウハウを、プラットフォーマーに対抗して、やっぱり会社としてといいますか企業としても備える必要はあるというふうに思います。 優先的に言えば、出版者が著作者への原稿依頼時等の契約交渉時に独占的利用許諾契約それから出版権設定契約を締結することはこれはできるわけですから、プラットフォーマーとは出版権者は非常に優位な立場であることは間違いありませんが、ただ、石橋委員から御指摘があったように、著作権者からして、より自分の作品が広く多くの方々に読んでもらう、あるいは理解をしてもらうためにこの電子書籍を有効活用したいということの中で、そういう懸念が、あるいはそういう要望があった場合、できたらやはり既存の出版社がそれについて十分対応できるような、そういう、この法改正に沿って、努力を是非していただきたいと思いますし、そういういろんな、先ほど小坂委員から御質問がありましたが、そういうフォーマット等、文部科学省、文化庁も、促進をしながら、是非、我が国の出版文化がこれによって衰退化することがなく、逆に活性化していくようなバックアップ体制を考えていきたいと思います。
○石橋通宏君 今言及をいただきましたけれども、実は当委員会でおととい、参考人の質疑をやらせていただきまして、中小零細の出版社を代表する参考人の方にもおいでをいただいてお話を伺わせていただきました。 実は、中小零細の出版社の方々も今はほとんどDTP、デスク・トップ・パブリッシング、デジタルの出版プロセスを導入をされておりますので、もう電子書籍への対応というのは中小零細だって十分できるんだというふうに自信を持っておっしゃっておられました。 ですので、むしろその中小零細の出版社の皆さんが一番心配をされておるのは、まさに今私が指摘をさせていただいた、著作者の皆さんが自分たちに二号を委ねていただけないのではないかと。中小零細の出版社の場合は、どちらかといえばやっぱり著作者の方々の、力関係でいいますと、契約関係でいきますと、の意向が強く出てしまう懸念があって、中小零細だからといって十分対応できるにもかかわらず二号を委ねていただけないのではないかと。 〔委員長退席、理事石井浩郎君着席〕 そうなってしまうと、一生懸命、紙の書籍を、企画力も持って、アイデア力も持って世に出す、しかし、そこまでやって、いざとなったら電子の部分は別のプラットフォーマーに行ってしまって、そこで売られるがために紙が売れなくなって、自分たちのビジネスはもう成り立たなくなってしまうのではないかということをやっぱり強く懸念をされているというのが実態です。 ですから、大臣、今、そういうことは望んでおられないということでありましたし、それについては施行後に十分対応いただけるということでありましたので、是非、こういう中小零細の皆さん、もう十分プラットフォーマーとも闘っていくだけの意欲を持っていらっしゃるし、準備もされておられます。しかし、結果として、契約関係の下で、残念ながら彼らに二号出版権が委ねられなければ、ビジネスとして成り立たなくなり、まさに大臣が言っていただいた多様なプレーヤーの方々に、中小零細も含めて、多様な形でこの出版・印刷文化というものを、発展に引き続き協力をいただくということが実現できなくなってしまうおそれがありますので、そこに対しては、それはもう政府、文科省の望むところではないんだということをしっかりと言っていただいて、これを現実のものとなるように対応いただきたいと思いますので、その辺、大臣、改めてそこだけで決意をお願いいたします。
○国務大臣(下村博文君) それはもうまさに御指摘のとおりで、これから我が国は是非、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて、同時に文化芸術立国を目指していきたいというふうに思いますし、そのためには、いろんな中小、出版社だけでなく、例えば町の本屋さん、書店も含めて、こういう電子書籍の導入等によって、現状維持ではなかなかやはり経営は厳しいと思います。ですから、こういう時代の変化に応じた創意工夫をしながら、逆に中小だからこそ創意工夫をすることによって身軽な対応ができるという武器の部分もあるというふうに思いますし、新たな時代の変化に対応できるような、それぞれの自助努力もお願いしながら、しかし、そういう多様な文化、出版が生き残っていけるような、それが望ましいことであるというふうに我々も思いますし、文科省、文化庁もそういう視点から是非協力をさせていただきたいと思います。
○石橋通宏君 大臣、是非そこのところはよろしくお願い申し上げたいと思いますし、また、引き続き私どもとしてもいい方向に進んでいくように議会としての対応をさせていただきたいというふうに思っております。 それでは、いろいろと質問もあるんですが、残りの時間もございますので、一つ、第八十条の一項について、これも先ほど小坂委員からも触れておられましたけれども、第八十条一項で、この「全部又は一部」の記述について、これまで衆議院の答弁の中でも、細分化できるのだけれども、これは際限なくどんどん細分化できるものではないし、実務などに混乱が生じるおそれがある場合にまで細分化して設定することを認めることは適当ではないという説明をされておられます。 しかし、これだけでは、じゃ具体的にどこまでの細分化を許容されるのか。現場の皆さんにとっては、これ、そうはいうんだけれども、じゃ、どこまでがオーケーでどこまでが駄目なのかということは全く分からない状況で現場に委ねられてしまうことにつながってしまうわけですが、どこまで許容されてどこからは駄目なのか、これは今明確になっているんでしょうか。なっているのだとすれば、具体的にどのようにお示しになるんでしょうか。これは、じゃ、参考人で結構です。
○政府参考人(河村潤子君) 第八十条第一項の「全部又は一部」ということについてのお尋ねでございますけれども、基本的には、その第一号の紙媒体等による出版のための権利と、それから第二号の電子出版のための権利について、両方、あるいは第一号と第二号のどちらか一方ということを想定をいたしております。それが基本形でございます。ですが、現行の出版権でも各号の、現在の出版権も更に細分化というか分けるという余地も認められておりますので、同様の考え方をしようということでございます。 どのような場合に出版権を細分化して設定できるかという点については、例えば第八十条第一項第一号の権利を、紙媒体による出版権とCD—ROM等による出版権とに分けるというように、利用態様としての区別が明確であって、権利を分けることによって実務等に混乱が生ずるおそれがない場合というお答えになろうかと思います。 個別具体的にどれがどうなのかということについては、やっぱり個別のケースによって、最終的には司法判断ということでお答えを申し上げたいと存じます。
○石橋通宏君 それでは、二号出版権の細分化の例を具体的に示してください。
○政府参考人(河村潤子君) 例えば、編集されるような全集と、それから個別の単行のものとして配信する場合というようなことは考えられようかと存じます。
○石橋通宏君 今、全集、単行本という例示を出していただきました。これは二号に限らず一号でもそうなんだというふうに理解をいたします。 つまり、全集だとか単行本だとか雑誌だとか、そういった大ぐくりの形態の書籍であれば、これは細分化して権利設定をし得るということでよろしいですね。
○政府参考人(河村潤子君) 個別の権利設定が可能であろうかと存じます。
○石橋通宏君 具体的に雑誌のケースをお伺いしたいと思います。 これ、今回の改正に至った一つの大きな理由も、雑誌の海賊版が横行していると。それに対してなかなか、雑誌というのはこれまで出版権設定ができてきていなかったために、出版者の方々も何ら対抗できなかったと。今回の改正によって、この雑誌にもきちんと出版権設定をして、そして出版者の皆様が海賊版に対して有効な対策を講じ得るというのが一つ大きな目標だったと思います。 具体的に、今回、雑誌の場合に、これ雑誌というのは御存じのとおり多くの著作物が包含されて雑誌というものが形成されるわけでありますけれども、この雑誌にいかにして今回出版権設定がされるのか、そしていかにして出版権を設定された出版者が海賊版に対抗できるのかを具体的に示していただけますでしょうか。
○政府参考人(河村潤子君) 実務界で雑誌に出版権が設定された実例というのがほとんどないということは私どもも聞き及んでおります。ですから、今までの出版権、現行法の出版権というのは、単行本等の出版の場合に設定するというのが言わば常識というか、そうした受け止めがされてきたのであろうというふうに存じます。 しかしながら、今回の改正を契機にいろいろと検討、審議をいたしまして、雑誌を構成する著作物についても、紙媒体、電子媒体のいずれであっても出版権を設定することは可能であるということで解することといたしております。ですから、まずは、雑誌についての海賊版対策の観点ということも含めまして、出版権設定は雑誌について可能だということをまず周知することが大事なんだろうというふうに存じます。 また、雑誌は複数の著作物によって構成されるという特性がございますから、雑誌に掲載される全ての著作物の著作権者と契約するというのはとても大変、事実上困難ではないかという懸念も御指摘のとおり考えられます。しかしながら、出版権の設定は著作物単位で行いますので、雑誌を構成する一部の著作物についてのみ出版者と著作権者が出版権設定契約を締結することも可能でございます。こうしたこともまずは周知の中で広めていきたいと存じます。 また、契約上の工夫といたしましては、例えば雑誌の発行期間などに合わせまして、ある程度期間を区切った、これまでの考え方よりは短期間の存続期間を設定するなどの方法論も考えられますけれども、こうした雑誌に適した契約モデルの構築について、関係当事者間でまたいろんな話合い、合意形成も必要だと存じますし、私ども必要に応じて助言とか協力などを行っていきたいと存じます。
○石橋通宏君 今の御説明がちょっとまだ不明確なんですが、例えば一つの雑誌に十の著作物があるとします。十の著作物がある、著作者がおられる、そのうちのお一人だけと今回出版権設定ができたと。この雑誌がデジタルで違法コピーされ、複製されて、海賊版出回ったと。この場合に出版者は、その一人の著作者との出版権設定契約をもって、その雑誌全体の違法コピーに、違法海賊版に対して対抗し得るということですか。
○政府参考人(河村潤子君) 今のような一人の著作権者との出版権の設定ということに関しましては、その方の著作物についての違法行為についての差止めということになると存じます。 ただ、雑誌丸ごと今度は海賊版が出るということになりますと、雑誌の編集を出版者は通常行っているわけでございますので、その編集著作権に基づく対応ということが別途可能であろうと考えます。
○石橋通宏君 済みません、ちょっとよく分からなかったですが、結局、今回の出版権設定の下ではできないということですか。一人の著作者としか出版権設定をしておらず、雑誌全体が丸ごと違法複製されてネット上に出回ったときには、出版者は今回の出版権の下では対抗できないということですか。
○政府参考人(河村潤子君) 今のようなケースですと、今回の出版権に基づくものとしては、出版権設定が行われている著作物に係る部分についてのみということになります。 しかしながら、元々、編集著作権を雑誌については出版者が有しているということでありますので、著作権に基づく差止め請求等の措置をとり得ると、元々丸ごとの問題についてはそういう対応ができるということでございます。
○石橋通宏君 編集著作権に基づく対抗ができるということは、これは今回の、じゃ、改正に関係なく現行でもできるという理解で、今回の改正はそこについては意味がないということですね。
○政府参考人(河村潤子君) 現在の法制に基づいて対応が可能であるということを申し上げました。
○石橋通宏君 ちょっとこの点に関わって続けられないので、その辺はまた今後フォローさせていただきたいと思いますが。 そうすると、先ほど、雑誌の場合には、契約上の工夫で例えば期間を区切ったというふうにおっしゃられましたが、雑誌の場合は一週間とか一か月とか、そういう短期間で大体次のものが出てくるのでと、そういう意味だと思いますけれども、そうすると、期間区切って一か月とかなりを設定した後は出版者は対抗できなくなってしまうという理解でよろしいですね。
○政府参考人(河村潤子君) はい、出版権に存続期間が設定されている場合には、その期間内での対応ということになります。 ただ、海賊版への対応が必要だということで著作権者と出版者が同方向での意思がある場合には、その期間をどのように設定するかということは十分に話し合って適切な期間を設けられるということが期待されるわけでございます。だから、必ずその発行期間に合わせなければいけないということを申し上げているわけではございません。
○石橋通宏君 若干矛盾があるんですが。雑誌に対して有効な、それは契約上の工夫で期間を区切ったと先ほど御説明されましたので、そうすると、雑誌に合った期間を区切ってやらないとそれは意味がないということだと思いますが、しかし今御説明で、期間を区切ってしまえば、その期間が来てしまえば対抗できなくなってしまうので、それでは意味がないから、じゃ適切なというと、じゃ延ばせということになったら、そもそも、やっぱり雑誌はなかなか出版権設定が難しいよねということになってしまうので、そういう御説明ではなかなか今後も雑誌について出版権設定が進んでいかないのではないかという懸念を強く持ちますが、本当にそれでよろしいんですか。
○政府参考人(河村潤子君) 期間が満了してしまいますと出版権に基づく様々な対応措置はとれなくなるわけでございますので、設定行為において存続期間を定める場合には、あらかじめ雑誌の発行期間に加えて海賊版対策として必要な期間を考慮して定めるということが必要かと思います。それはケース・バイ・ケースで、その海賊版の蓋然性、そのことを考えて当初の期間設定をするということになろうかと存じます。 元々雑誌には出版権が設定できないんじゃないかという、そこのところをまず私どもとしては、そうではなくていろんなやり方で設定できるということを周知したいというのはまず考えていることでございます。
○石橋通宏君 ちょっと今の御説明聞いても、まだまだ運用上しっかりクリアにしていただく部分があるんだと思います。 〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕 雑誌の場合に、結局、出版権設定して、これ出版権設定するというのは排他的に権利を得るということでありますから、じゃ海賊版対策のためだけに期間を長期化してしまえば、その間、著作者の皆さん方はほかと契約ができなくなってしまいますから、だから出版権契約が進んでいなかったというのが現状でありまして、今の御説明だとどうも有効な対策は今回も望めないのではないかなと逆に心配になってきましたので、大臣、この点は、ちょっと今のやり取りを聞いていただいた上で、しっかりと今後対応していただきたいと思います。 あと、いろいろ用意しておりましたけれども、時間がもう来ておりますので、最後に、今のような、まだまだ今回の中身についてははっきりしない部分、多いわけです。そうすると、大臣、先ほどちょっと私も触れましたけれども、現場に相当な混乱があってはいけないと思いますし、やっぱり当事者間で、著作者の皆さん、出版者の皆さんも、これどうやって運用したらいいのか、これどういうふうに理解したらいいのかということで多々問題が生じてくると思います。 であれば、きちんとそれを、じゃ裁判に行きゃいいということではなく、裁判に行く前に当事者間でしっかりと問題解決を図っていただく、様々な相談事例に現場でいろんな専門的な見地から対応いただく、そういう意味の紛争解決手段、これいわゆる出版ADRと我々呼んでおりますが、これを政府の責任においてしっかりと、整備されるように今後働きかけ、早急に対応していただくことがこれはもう必須だと思いますけれども、最後に、この出版ADRの整備についての考え方、大臣からお考えと、しっかりやっていただく決意をお願いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、出版をめぐる紛争が生じた場合の対応について、出版界は、出版契約に関する著作者と出版者間での問題を解決するため、ADRを行う仲裁機関の設立を検討していると表明をされているわけでございます。一般社団法人日本書籍出版協会によれば、当該仲裁機関では弁護士などを活用した紛争解決を行うことも検討しているということでもございます。現在、同協会と公益社団法人日本文藝家協会の二団体の連名で、仲裁機関の設立準備会への参加について関係団体への呼びかけを開始したところであるというふうに承知をしております。 文科省としては、実効性のある仲裁機関を設立を是非していただきたいと思いますし、また、設立されれば、契約に関する各当事者の不安解消につながることが期待されることでありますから、出版界による仲裁機関設立に向けた取組等について、継続的に注視するだけでなく、必要に応じて協力をしていくことによって、出版業界が健全なこれからも経営ができるようなバックアップをしてまいりたいと思います。
○石橋通宏君 ありがとうございました。終わります。
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。 これまでの議論を聞きまして、改めて、議論の焦点は、出版者による企画、編集など、出版文化の中核を成す貢献がこれまでも含めて正当に評価されているのかという問題があると思います。これは、今回の法改正の可否だけに懸かるようなものでもないかと思っております。議論の前提といたしまして、先ほど石橋委員からも出版というものについての意味合い、質問がありましたが、より形式的な法律条文解釈、二、三点確認したいと思います。 まず、現行の出版権の内容ですが、著作権法八十条によりますと、著作物を販売する目的を持って原作のまま複製する権利であります。出版というと、企画、編集を中核とした一連の行為を一般的に捉えるんですが、事法律的な出版権という言葉が持つ響きからもそのようには感じるわけですけど、実際の条文から見える出版権は、既に企画、編集を経て、創作、実在している著作物が目の前にありまして、それを前提にそれをコピーする権利を認めているものであるというふうに理解をしております。 例えば、Aという人が企画、編集して成立した著作物を、Aとは別人であるBが複製、すなわちコピーすることを捉えても出版権というふうに構成をしているという理解でございます。しかも、出版権を許諾できるのは、厳密には著作権者ではなく、著作物の企画、編集などに関与もしていない複製権者であります。 つまり、条文だけ見ると、出版権との関係では企画、編集行為の価値は必須とされていないというふうに確認せざるを得ない部分ではあるんですが、この辺りの理解の確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○政府参考人(河村潤子君) 御指摘のとおり、現行法において、出版権の内容は、「頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利」でありまして、企画、編集の内容は含まれておりません。 ただ、出版権制度全体の趣旨としては、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという出版者の役割の重要性に鑑みて設けられたということから、出版を引き受け、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという役割を担う者がこの設定を受けることが制度趣旨にかなうということで御説明をさせていただきたいと存じます。
○矢倉克夫君 次に、今回の改正の具体的内容の確認であります。時間の関係もありまして、二点まとめて質問させていただきたいと思います。 まず、法案の八十条一項二号規定のいわゆる二号出版権の内容たる公衆送信ですが、電子媒体の言わば複製、コピーであり、一号出版権である有体物の複製と二号出版権、行為としてはこれ対応しているという理解でおります。共通の基盤として主に言えることは、公衆への伝達を果たすという部分での基盤があるという理解であるか、これがまず一点でございます。 二点目は、もう一点目の確認として、今回の改正以前から著作権者がいわゆるプラットフォーマーと直接電子書籍の出版について独占的な出版権の許諾契約を結ぶこと、これまでは否定はされておらず、もっとも、これはいわゆる債権的利用権であり、出版権といった準物権的利用権ではないわけですが、いずれにしろプラットフォーマーが電子書籍に関する権利を独占するという懸念、これ自体はこの改正以前、今現時点からもう既にある問題であり、これに対して、企画、編集等を行った出版者といえども必ずしも対抗することは難しかったという理解であります。 以上二点について、御意見いただければと思います。
○政府参考人(河村潤子君) まず最初のお尋ねでございますけれども、紙の出版権について出版者が対抗要件を備えて独占的な出版を確保するということで、それからさらに、有効な海賊版対策を行うに当たって必要となる準物権的な権利を特別に専有させる観点から、頒布目的の複製権が出版者に専有されることとなっております。それの複製権、伝達の形式として複製権ということになっておりますけれども、今回の改正はそれに当たる部分を公衆送信といたしたという、御指摘のとおりでございます。 また、プラットフォーマーとの関係でございますけれども、いわゆるですけれども、いわゆるプラットフォーマーが著作権者と独占的な利用許諾を締結することなどの方法によりまして電子書籍の配信について独占的な権利を取得することは、現行法上も可能でございます。したがいまして、今回の改正によって新たにいわゆるプラットフォーマーが電子書籍を独占的に出版するということが初めて可能になったということではございません。
○矢倉克夫君 そこで本題ですけれども、これまで企画、編集といった価値に対しての保護は、もちろん編集行為そのものが著作権と認められれば別なんですが、明示にはやはり認められていなかった、保護はされていなかったのではないかという理解であります。全体として、趣旨として確認をするというような話が先ほど参考人からもありましたが、条文だけ見るとなかなか見えてこない。ですので、私としては、著者に加えて編集者や校閲者などを交えて質の高い作品を生み出してきたというこの出版文化の実態から考えると、特に時代状況変わっていったということも考えると、やはり一層の考慮というのが必要なのではないかなというふうに思います。 特に今、これまで紙媒体の著作物だけだったときは企画、編集した出版者が事実上ほぼ一〇〇%出版権を保持をいたしまして、企画、編集に対してなされた労力等の投下への回収がなされる、回収できるというような状態であったわけですが、電子書籍というものの技術革新を契機にして、企画、編集していない者であっても電子媒体の複製たる公衆送信することにより利益を上げることができるようになってしまった。これは今回の改正というよりは技術革新によってそういう事態が生じてしまったということであるかと思います。 大事なことは、やはり企画、編集した者の労力などが経済的価値として見合った収益を上げる体制をつくることであり、単に市場に委ねるという手法とはまた別に、しっかりと国としても経済活動の正常化を図る上では必要であるかと思います。この点に関しまして、大臣から御所見をいただければと思います。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、著作物が出版物として世に出るまで、著作者と出版者、それぞれの寄与のありようは様々ではありますけれども、出版者が企画や編集等、相当な努力をされている例が少なくないということは承知をしております。 現行出版権制度は、出版を引き受け、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという出版者の役割の重要性に鑑み特別に設けられたものであり、その趣旨は今回の改正案においても変わってはおりません。このため、従前の紙媒体に係る出版の場合と同様に、電子出版を引き受け、企画、編集等を通じて電子書籍を作成し世に伝達するという役割を担う者が電子出版に係る出版権の設定を受けることが制度趣旨にかなうものと考えられます。 御指摘のように、企画、編集等の役割を担い尽力された出版者がその努力に見合う利益を得られるようにするためには、当事者間の信頼関係に基づき適切な契約を結ぶという慣行を形成していくことが重要であるというふうに考えます。我が国の出版文化は、著作者と出版者との間の信頼関係に基づく企画、編集等の一連のプロセスから、出版事業がその基盤にあるということから、文部科学省としては、法律改正後も、当事者間における契約慣行の形成状況を見つつ、新たな出版権制度が効果的に活用されるよう取り組んでまいりたいと思います。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。 続きまして、次の質問に移らせていただきます。 国際的な海賊版撲滅に向けた取組となります。私、中国に滞在した時期があるんですが、外に出回ると、海賊版のDVD、出版ではなくDVDになるんですが、例えば一枚百円とかで売られているというような状況を見てまいりました。国内の著作権の改正があってもやはりそれは海外にはなかなか適用がなくて、本来的な意味での海賊版撲滅のためにはやはり国際的な枠組みというのをしっかりつくっていく必要はあるかと思います。 特に、ちょっと今、質問時間が関係ありますので私の方からこれまでの中国に対する関わりというのを幾つか言いたいと思うんですが、二国間協議等で日中で侵害発生国への法整備等の要請もされたということ、また中国の職員を対象にした研修事業も実施をされている、また権利者向けのセミナーの開催など様々な取組を行われてきたということをお伺いはしておりますが、ここ数年はなかなか動きがないという事実もまたお伺いもしております。 今後の一つの在り方としては、やはり日本が主導をしてこの海賊版対策等も含めた国際的な枠組み、ASEAN等を中心にした、特に、実体的な権利の部分ではなく、知的財産保護の執行体制整備のための助言や人材交流などをする枠組みをつくっていきまして、それに対して中国等もしっかりと入れていくというような在り方も必要かなと思いますが、この辺り、政府の方針等を御意見いただければと思います。
○副大臣(西川京子君) 先生御指摘のとおりでございまして、国内で幾ら整備をしっかりやっても、実際に海賊版がいろいろと中国その他で出て、被害を受けているのは現実でございますから、早急にその国際間の枠組みをしっかりと構築することが一番大事だと思っております。文部科学省としては、アジア地域を中心とする途上国を対象として著作権制度の整備を促進する、もうこのことが一番今大事なことと思っております。 具体的に、WIPO、これは世界知的所有権機関との共催によりまして、アジア地域著作権制度普及促進事業、これを平成五年から行っております。主にアジア太平洋地域でのシンポジウムの開催、途上国の政府職員や著作権管理団体職員等を対象とする研修の実施、これは主に東京でやっております。それから、途上国の国民を対象とした著作権の重要性に関する啓発を目的としたセミナーの開催等を毎年実施しておりまして、このシンポジウムと研修には、ASEANはもちろんですが、中国からの参加者も来ております。 引き続き、このような多国間の枠組みを使いまして、関係者や民間団体等も共に連携しながら、アジア地域における著作権制度整備への、主に日本が大きなリーダーシップを持って取り組んでまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。 以上で終わります。
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。よろしくお願いいたします。 まず、私は、ちょっと消費者庁の方、来ていただいているので、健全な電子書籍市場を形成していくというのがこの法案、改正の一つの目的ですが、市場というのは、当然、財やサービスの供給者側が健全に機能しなきゃいけないし、それを買ったり利用したりする今度は消費者というか受給者側ですね、こちらにもしっかりと情報が伝わっていないと健全に機能していかないわけですね。ところが、今回の法律案あるいは審議の内容を見ていても、著作権者だとか出版事業者だとかあるいはプラットフォーマーというんですかプロバイダーというんですか、こういう供給者の人たちの権利関係とかこういうことをしっかりしようということばかりで、電子書籍市場の受給者側ですよね、消費者側の対策、あるいはもう既に混乱が起きている、これに対してどう対応していくかという視点が非常に少なかったというふうに思うんですね。 配付資料を見ていただきたいんですが、これ朝日新聞の記事でありますが、見出し躍っていますけれども、「電子書籍 消える蔵書」とか「企業撤退で読めなくなる例も」という、こんな記事が出ておりまして、私もこれ読んでびっくりしました。 そもそも、紙媒体の書籍というのは、これは物でありますから、買ったら所有権があるわけですね。ところが、電子書籍というのは、これ物ではないので、所有権にはならないと、買っても。ですから、物ではなくデータ、情報なんだということだと思います。この前の参考人の方に言わせますと、こんなふうに言っていました。閲覧権を期間限定で買っているというふうに捉えるべきとか、あるいは、条件付レンタルと言った方が消費者には分かりやすいんじゃないかと、こう言っておりました。 そうであれば、やはり電子書籍を買うときに、これはこういうものなんですよということをしっかり言っておかないと、多くの消費者はかなり勘違いすると思うんです。というのは、今、書籍の値段と電子書籍の値段はまだ余り変わりません。どんどん電子書籍の方は値が下がって販売されていますけれども。そうすると、当然、本屋さんで本を買うのと電子書店で電子書籍を買うのは同じようなものだと思っていますから、自分のものになったとみんな思うわけですね。ところが、プロバイダーあるいはプラットフォーマーというんですか、こういうところが、これから市場が大きくなってくると当然淘汰も始まるでしょう、そのサービスを、その事業をやめてしまうという事業者も出れば、あるいは倒産してしまってどこかへ行っちゃったということにもなる。そうすると、サービスがそこで途切れるわけですね。そうなったら、あれっ、自分のものだと思っていた電子書籍がもう使えなくなった、見られなくなった、こういうことが起きるわけですよ。 私もちょっと調べてみたんですけれども、これ一番大きなアマゾン・キンドルストア利用規約というのがあって、これネットで引いてみると、細かい字で八十行ぐらい規約の内容を書いてあるんですね。書いてあるんですが、この中に僅か一・五行だけ、キンドルコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありませんと、一行だけ僅かこう書いてあるんですね。これ、買う人はこんな規約みんな読まないし、読んだとしても、この一行半が、あなたのものにはなっていないんですよ、これデータを貸しているというふうに捉えてくださいねというふうに、分かった、じゃ、それで買おうといって買っている人はほとんどいないと思うんですね。 このままにしておくと、もう既に、プロバイダー、倒産したり事業を廃止したりするところが出てきて、トラブルも始まっているわけですね。そうすると、市場がどんどんどんどん大きくなる中で、やはりかなり消費者とのトラブルが出てくるということが予想をされるわけなんです。 そこで、消費者庁として、せっかく買ったのに事業者が配信から撤退してしまって読めなくなってしまうというような消費者に不利益を与える事態、これにどう今後対応していくとお考えか。それと、消費者にこうした電子書籍の実態というのを知らせることの必要性についてどのように認識しているか、御意見いただきたいと思います。
○政府参考人(河津司君) お答え申し上げます。 まさに御指摘のとおりでございまして、いわゆる電子書籍は、データを閲覧をする、利用する権利を取得するというものでございまして、いわゆる私どもが思います紙媒体の本を買うというものとは随分、いろいろな様々な言わば制約が掛かっているものだと理解をしております。したがいまして、まず利用する側の方々がやはり書籍というものを買うというイメージではないんだということをしっかり理解をしなければ、御指摘のようないろいろなトラブルが起こるということかと思います。 こういう新しいサービスが技術革新によって生まれるということは、これはある意味いいことでございますけれども、そういう情報提供をきちんと消費者にしていくということは、これはまず、そのサービスを提供する事業者自身がしっかりとまず取り組むことが大前提であると思っておりますが、加えまして、実は私ども消費者庁、あるいは所管をしております独立行政法人であります国民生活センター、そこでも、注意喚起といいますか情報提供をさせていただいております。これはたまたま持ってきておりますけれども、国民生活センターが出している資料、雑誌の中でも、電子書籍というのは電子書籍を読むライセンスを得ている方が分かりやすいというようなことも提供してございます。 こういうような形で、今後とも連携をしながら、消費者に対する情報提供というのはこれからますます普及していくと思いますので、力を入れてまいりたいというふうに思っておりますし、加えて、関係省庁と連携をいたしまして、やはり事業者に対しても消費者に対する情報提供というのをしっかりやっていただくようにまた進めていきたいというふうに思っております。
○松沢成文君 事業者に対する指導を是非ともこれお願いしたいなというふうに思います。 次の質問、再販制度と電子書籍の価格についてお伺いしたいんですが、皆さん御承知のとおり、一般の紙媒体の書籍というのは、これ再販制度がありますから、書店は値引きして売れないわけですね。ただ、再販制度というのは例外でありまして、そもそも独占禁止法があって、もう自由な市場の中で価格競争しながら頑張りなさいということなんですが、紙媒体の書籍については様々な理由、これ何年か前に大きな議論がありましたけれども、再販を維持するかしないか、規制緩和の観点からいろいろございました。 さあそこで、大臣、大臣は、日本の文化を守るというのも一つの文科大臣の大きなお仕事だと思いますけれども、紙媒体の書籍に再販制度が必要だということを、大臣はどういう理由からこれが必要だというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 書籍は、文化や知識を創造、普及し、これを次世代に継承するに当たり重要な役割を担っているものでありまして、我が国の活力ある社会を実現するためには、書籍等の出版文化の健全な発展を図ることは文化政策上極めて重要であるというふうに考えております。 紙媒体の書籍の再販制度は、全国どの書店でも、地域的な偏在ということがなくて、同一価格で入手するということを可能とするとともに、流行にとらわれない多様な書籍の流通を可能にするという点においても、我が国の出版文化の振興を図る上で意義を有しているというふうに考えております。
○松沢成文君 そこで今度、電子書籍ですよね。一般の紙媒体の書籍は再販制度で、ある意味で価格は守られているわけですが、電子書籍も同じような情報を消費者はそこから得るわけですね。 今後、電子書籍の市場がどんどん大きくなってくると、電子書籍の価格は今よりももっともっと下がっていきます。そうすると、紙媒体の書籍もそれに影響されて、少し下げないと負けちゃうなといって下げようとするわけですね。そうなると、今度、手間の掛かる本をなかなか作ろうとしなくなる。つまり、作者と編集者がいろいろ情報交換し合いながら有益な本を作っていこうというよりも、出版社側からしてみると、電子書籍の安い価格に負けないようにとにかく売れる本を出そうと、こういう発想になってしまう可能性もありますよね。 そこで、実はヨーロッパではフランスやドイツが、この電子書籍、まだまだ市場は小さいですけれども、これは今後大きくなってくる、その中でどんどんどんどん電子書籍のダンピングが進んじゃうと本来の紙媒体の書籍の文化というのも影響を受けてしまってかなり混乱していくんじゃないかということで、電子書籍にも再販制度を適用し始めているんですね。 さあ大臣、こういうヨーロッパの国の先行事例もありますが、我が国において今後電子書籍が発展してくる、その中で、紙媒体の書籍とのいい意味での、流通という意味での役割分担を果たす中で、電子書籍への再販制度の在り方というのはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、現状では、独占禁止法上、電子書籍は再販制度の対象とはなっていないわけでありますが、それにより自由な競争が促進され、適切な価格の設定が行われることを期待する意見があるという一方で、電子書籍の価格の在り方が御指摘のように紙媒体の書籍の流通にも影響することから、電子書籍を再販制度の対象にするよう要望する声もあるというふうに承知をしております。 文科省としては、紙媒体の書籍と電子書籍の双方がそれぞれの特徴を生かしながら普及し、我が国の出版文化が全体として発展していくことが重要であるというふうに当然考えているわけであります。 このような観点から、電子書籍の再販制度の扱いについては、電子書籍の価格の動向や紙媒体の書籍の流通に与える影響等を注意しつつ、今後、関係者の意見も踏まえながら検討していくべき課題であるというふうに認識しております。
○松沢成文君 是非とも今後検討していただきたいなというふうに思っております。 最後に、皆さんは、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構、CODAというんですか、頭文字を取って、私の配付資料にも付けましたけれども、こういう組織、御存じでしょうか。 実はこの組織は、海賊版対策で、特に動画とか、最近では漫画とか、こういうものに対して海賊版をやっている業者にそれは違反だからやめてほしいということをきちっと言って、それ、かなりの成果を上げているんですね。それでまた、本来のちゃんとした流通をしてほしいということで、実はちゃんとしたプロバイダーとしてやってほしいということも、改善をしてもらっているという、こういう組織であります。 今まで動画とか、最近では漫画とか、こういうところで成果を上げてきた、上げつつあるわけですけれども、是非とも今後、こういう民間の組織を使って海外の海賊版に対してきちっとまず何というか改善を促す、そして、できれば正規の流通にきちっと入っていただくということもやっていかなければいけないというふうに思うんですけれども、こういう民間団体を支援して海賊版対策をしっかりやっていくということに対してどのようにお考えでしょうか。これは経産省の方ですかね。
○政府参考人(大橋秀行君) 私ども経済産業省は、平成二十五年度の補正予算でコンテンツ海賊版対策強化事業というものを計上いただいて、委託先でありますCODAを通じて出版分野も含めた対策に乗り出すこととし、業界横断的に海賊版情報を共有した上で、侵害サイト等に対して海賊版の削除要請を実施することで侵害サイトに掲載された海賊版を減らして、海賊版による逸失利益を回復することに取り組んでいます。 また、CODAでは、こうした取締りと併せて、海外の海賊版の視聴者に対して海賊版ではなく正規サイトを利用するよう普及啓発を行うというふうな取組、すなわち正規のコンテンツ市場の育成にも取り組んでいるところであります。 海賊版の取締り、そして正規の流通促進というのはセットで推進していくべきというふうに私ども考えておりますので、今後も文部科学省様の方と協力をしてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところであります。 以上です。
○委員長(丸山和也君) 時間です。
○松沢成文君 終わります。ありがとうございました。
○田村智子君 海賊版への対策が急がれる下で、電子書籍への出版権の拡大は必要な法改正だと考えます。一方で、参考人質疑でも指摘をされました、紙の出版物と電子書籍双方の発展のために施策検討は大変重要ですが、時間が大変短いので、これは指摘にとどめます。 視聴覚的実演家の権利について質問いたします。 この国会で北京条約批准の承認も行われる方向ですが、この条約は、視聴覚的実演について実演家の財産権を規定しています。一方、日本の著作権法では、実演家の財産権が映画については除外されていて、DVDやネット配信など二次利用による収益は、法律上、俳優や声優などには還元されない仕組みです。このことに対しては、日本芸能実演家団体協議会や日本俳優連合などが映画についても二次利用に関わる実演家の財産権を認めるようにと繰り返し要望していて、北京条約批准を契機として、著作権法の改正も期待がされていたところです。 ところが、日本政府は北京条約採択の外交会議の場で、既に著作権法第九十一条等と本条約とは整合性が取れている旨の発言をしていて、これが外交会議の議事録にも記録をされました。このことは、文化審議会著作権分科会国際小委員会にも報告をされています。 一体、文化庁は俳優や声優などの実演家の皆さんからの繰り返しの要望をどのように受け止められていたのか、お答えください。
○政府参考人(河村潤子君) 我が国全体といたしまして、この北京条約の交渉過程において実演家団体等と意見交換を行ってまいりました。本条約の作成及び締結については、その過程でおおむね支持が得られているものと存じます。 本条約実施のための著作権法改正についても実演家団体等と意見交換を行ってきたところでございます。一部の団体から、今後の課題として、実演の二次利用について実演家に適切な対価が還元されるための制度整備を望むという御意見がありまして、この点については、関係者の合意形成の状況や円滑な利用への影響などを踏まえながら、今後、必要に応じ検討を行うべきものと受け止めております。
○田村智子君 現行法制度が作られた一九七〇年当時から、映画の二次利用というのは今日大変に拡大をしています。秀和システム社がまとめた二〇〇六年のデータを見てみますと、映画の興行収入はこの年、二千二十九億円、これに対して映画のマルチユース市場は五千四百八十億円と、二・七倍にも上っています。しかし、俳優の皆さんは映画制作時の出演料を一度受け取るだけで、その出演料も、日本俳優連合のアンケート調査によりますと、主演クラス以外の方々は今低予算化が進んでいて七、八割方下がっていると、こういう指摘もあります。 これは、これからの映像文化の発展のことを考えますと、やはり映画に出演されている俳優の皆さんに対する財産権の保障というのは、これは検討がされるべきだと思います。実際、日本でも、声優の皆さんは長年運動に取り組んできまして、二次利用分の報酬は出演料とは別建てで受け取るという仕組みを確立してまいりました。 こうした取組も参考にして、まずは当事者間での協議が前向きに進むように政府としての働きかけも必要だと思いますが、大臣の所見を伺います。
○国務大臣(下村博文君) 実演家の許諾を得て映画の著作物に録画されている俳優の演技などの映像の実演については、当該録画物を更に録画したり放送したりするなど二次的に利用する場合には、実演家の許諾や報酬の支払には、必要ない、対象にならないということとされているわけでございます。これは、映画の著作物は通常一つの著作物に多くの実演家による実演が含まれている場合が多いため、当該映画の著作物の二次利用について、個々の実演家の許諾を不要とすることで映画の著作物の円滑な利用を図り、実演家は最初の録画の際にその後の二次利用も含めて対価を得ることとしたということであります。 視聴覚的実演の二次利用に関する実演家の権利の在り方などにおきましては、当事者である実演家団体と映画制作者団体等の間で協議が進められることがまずは肝要であるというふうに考えます。 文科省としては、関係者の合意形成に資するように、視聴覚的実演の二次利用に関し、参考となる事例の収集、分析を進めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 是非、私は法改正にまで進んでいくようなことが必要だと思いますので、前向きに取り組んでいただきたいと思います。 この映画については、一昨日、二十二日、文化芸術振興議員連盟の映像問題研究会で、映画監督の崔洋一氏から映画制作に関する報告をお聞きする機会もありました。その中で、映画興行の収入は、まず映画館が半分を取る、それから配給会社や宣伝部門などが確保をして、制作する側、スタッフの側には、制作委員会には最後に還元されるということなどが説明をされまして、映像文化の制作者に支援が必要だということを痛感をいたしました。 この点で、今日はアニメーション制作現場の問題についてお聞きをしたいと思います。 世界に誇る日本のアニメーションの文化ですが、制作現場の労働条件は極めて劣悪です。東京都のアニメ制作会社A—1Picturesで正社員で働いていたアニメーター、二十八歳、男性の方です、この方が二〇一〇年十月に自殺をされました。この自殺は過労によるうつ病が原因であると新宿労働基準監督署が今月十一日労災認定を行いました。この男性のカルテには、月六百時間労働などの記載があり、三か月間休みなし、残業代も未払だったということも報道されています。 これ、月六百時間労働というのは三十日間毎日二十時間働き続けるという働き方で、余りに異常です。日本アニメーター・演出協会が二〇〇八年に行った調査、七百二十八人から回収があったということですけれども、これ賃金を見てみますと、動画の部門で年収二百万円未満という方が九割、回答者の九割、百万未満という方も半数おられたということです。労働時間の管理がされていないとか、社会保険未加入だという事例も多数に上っていることが分かっています。 これは、当然労働行政サイドから指導監督がそれぞれの会社にやっていくということも求められているんですけれども、やっぱり業界の問題、全体の問題でもありますので、映像文化の問題、映像文化を制作しているという分野の問題として文化行政からも労働条件改善の啓発を行うことが必要でないかと思いますが、大臣、お願いいたします。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘ありましたように、文部科学省でもアニメーターの生活実態について、平成十七年、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会が実施した実態調査によると、ほとんどの年代で全産業の平均額よりも相当下回っていると。特に二十代、二十歳から二十九歳では、アニメーターの平均年収が百三十一・四万円、全産業の平均額は三百四十二・九万円ですから、これは、また相当過酷な労働時間を伴ってですから、恐らく労働時給で言ったら相当な低い中での余儀なくされている状況があるのではないかと思います。さらに、近年、動画の制作工程が海外に流出し、それに関わる人材が減少するなど、国内で優れたアニメーターが育ちにくい状況も指摘をされております。 このような状況を踏まえ、文科省として、引き続きアニメーター等の活動や生活の実態把握に努めるだけでなく、若手アニメーターの人材育成事業を通じてその活動の支援をしっかりと図っていくことが必要であるというふうに認識しております。
○田村智子君 平成十七年当時と比べても、今デジタル化が進んでいて、更に労働条件厳しくなっているという指摘もあるんですね。 今、クールジャパン戦略にアニメ産業が位置付けられていて、文化庁も若手アニメーター育成プロジェクトとして二〇一〇年度からOJTを中心とした事業を制作会社に委託をされています。昨年度の委託会社の一つが今挙げたA—1Picturesなんです。私、OJTを行うための予算を否定するものではありません。しかし、少なくともその委託先の会社が労働環境が改善されるような事業に結び付いていくようなことが求められていると思うんです。 今、動画ワンカット二百円、この四十年間で百円しか引き上げられていないと言われるような制作費について、適正な労働時間と賃金を保障するものになるように働きかけるとか、DVDやネット配信、キャラクター製品等二次利用による収益が制作者、アニメーターにも還元されるような仕組みということも、これは検討していくことが必要だと思います。行政サイドからできることはあると思います。 既に、東映アニメーションでは、こうした異常な事態の中で、テレビアニメメーンスタッフへのロイヤリティー還元、支払ということを始めていて、七〇年代の作品にまで遡って二次利用の収益の還元に踏み出しているということです。 こうした取組も是非お調べいただきまして、その取組が広がるように、そうなってこそ世界に真に誇れる日本の文化の発信となると思いますので、そうした取組やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 先週土日にASEANプラス3文化大臣会合がベトナムでありまして、六回目、日本の文部科学大臣として初めてなんですが、出席をし、同時に、初めて日・ASEAN文化大臣会合を今年から開催する、スタートするということにいたしました。 その中で、ASEAN諸国からも特にこのアニメについての期待感というのは非常にありまして、アニメーター等を是非送ってほしいと、あるいは、各大学でアニメを学ぶ、そういうコース等も設定したいということで日本の支援をしてほしいという要望がありました。 是非、このアニメが世界に誇る日本の、産業的にも十分成り立って、そして、関係者の方々が最低でも平均的なほかの産業界の所得が得られるような環境づくりをトータル的につくるということが日本のポップカルチャーの育成のためにも必要なことであるというふうに思いますし、トータル的なそういう視点から文部科学省としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○委員長(丸山和也君) 田村君、時間です。
○田村智子君 最後にですけれども、映像文化制作者へのそうした支援というのは本当に急がれていて、単行本で大ヒットをして、昨年テレビアニメ化された「進撃の巨人」が放映開始から間もなくアニメーター急募ということを総作画監督がツイッターで発信してファンに衝撃を与えたという、こういう事例もあるんです。 制作者の労働環境の改善なくして映像文化の発展はあり得ませんので、文化行政としての支援を強く求めまして、質問を終わります。
○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。 最初に、ちょっと質問通告をしていなかったんですけれども、今日の質疑を聞いていてどうしても聞きたくなっちゃったことがあるのでお聞かせいただきたいんですが、質問通知しなかったので答えられる範囲で結構です。あと、かつ、ひょっとすると消費者庁関係になっちゃうかもしれないので、それだったら駄目だということで結構でございますけれども。 今日のいろいろな質疑で、日本の質の高い出版文化とかいうことが何度も出てきましたし、それから、石橋委員の質問に対して河村次長が雑誌社に編集著作権があるという話をされていたので、それでちょっと聞きたくなってしまったわけなんですけれども。 私自身の話ですけれども、私は今まで二十数冊本を書いてきて、これは一〇〇%私が書いたと自信を持って言えるんですよね。ただ、一冊だけ、最初の方の段階で、余りにも忙しいので出版社の方を呼んで、まあ一時間半か二時間ぐらいしゃべっただけで、そうしたら、ちょっとしたら本当にもう本の形になって出てきたわけですよ。さすがに内容は、私は円安論者なんですけれども、円高だとか書いてはいなくても円が暴落するべきだぐらいに書いてあって、文体も全部全く私の文体じゃなかったので、冗談じゃないと、こんなものが藤巻健史と書いて出版されたらとんでもないということで、全部最初から書き直したんですね。これ、思ったときに、これがそのまま出ていたら半分虚偽表示じゃないかなと。私だって嫌だけれども、消費者だって冗談じゃないと思うんだろうなと思ったわけですよ。 私、というのは、新聞なんかも署名記事というのを非常に重要視しているんですけれども、例えば論説委員長の名前が書いてあったところに新入社員が書いてあれば、これは頭きちゃうわけですよね。 ということで、やっぱり著作者の名前が出ているのならきちんとやっぱり書いていないと、本人が書いていないとおかしいなと、こう思っているわけなんですが。これ、例えば最初の例みたいに、私がちょっとしゃべって本が一冊できてくる、普通だったら二か月ぐらい私は一生懸命書くんですけれども、二時間、一時間半しゃべってできてくる場合、これは、著作権というのは編集著作権として出版社にも行くんじゃないかなと、感覚的にね、と思うんですが、それはいかがでしょうかという話。そうだとすると、海賊版への対処も、今ある法律である編集著作権ということでブロックができるんじゃないかなと思ったのが一つあるのと。 もう一つ、これはちょっと消費者庁問題かもしれないんですけど、そういう本が藤巻健史で名前出ていると、これ、虚偽表示じゃないかなと。何でしたっけな、音楽の方でもありましたけど、本ではいいのかなと。いや、藤巻健史(談)ならまだいいと思うんですよ。でも、それが、藤巻健史、ぽんっと書いちゃってそれが出ていくというのは、ちょっといかぬのじゃないかな、やっぱりまずいんじゃないかなというふうに思うわけなんですが、いかがでしょう。医学書とか学術書というのはそういうことないと思うんですけれども、私が書いているような一般書の場合にはちょっとそういうケースもあるのかなと思っちゃうんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(河村潤子君) 著作物が本となって世に出るまでの著作者と出版者の関係というのは、本当に多種多様でございます。論文でも、仕上がったものを持ち込むという場合もありますし、もう既に一度出版されていたものが復刻版などで出る場合は、そこは余り企画、編集という要素が入っていないとか様々でございますので、非常に一概にお答えするのが難しいのですけれども、複数の方々が共同して著作物になったり創作したという場合には、共有ということもあり得ると思います。 済みません、大体そういう、ケース・バイ・ケースですので、非常にちょっとお答えしにくいということを御理解いただければと存じます。
○藤巻健史君 二番目の方のちょっと虚偽かもしれないねという話は、ちょっと考えておいていただければと思いますので。名前の書き方の問題だろうと思うんですけどね。 次に、質問通知の方の質問に入りますけれども、松沢委員の質問に対して大臣の方からの答弁にありましたんですが、再度、電子書籍の発展に対して文科省は積極姿勢か、それとも中小書店を守るという観点から消極姿勢なのか、基本的スタンスをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) その前に、私の方からも、藤巻委員がたくさんの本を書かれておられると。私も実は今八冊目ぐらいの本を書いている最中なんですが、やっぱり昔と今とで違っているのは、これは一〇〇%昔は私が書いた本を編集もしないでそのまま出版するというのが当たり前だったと思うんですが、今は、かなり出版社の方が、いかにやっぱり書くからには売れるかということで、相当アイデアとか一体となって、つまりチーム下村みたいな形でやっている部分というのが率直に言ってありまして、何から何まで全部私が書いていたときの本と今とで違っていて、そういう意味では、出版社から見ても、やっぱり出すからには売れる本を出さなければ意味がないということですね。 そういう形態が違ってきている部分はあるので、藤巻委員が納得されていればそれは別に藤巻健史著といっても偽造には当たらないのではないかと思いますが、ただ一方で、ジャンルによって相当違うと思うんですね。それは、研究、例えば著作物でしたら、これはやっぱり、それはまさに研究者が責任を持って全部作っていかなかったら、それはその研究者としての著作物とは言えないと思いますし、どんなジャンルかということによって相当違ってくるところもあるのではないかということを聞いていて感じさせていただきました。 それで、御質問ですが、電子書籍の発展についての積極姿勢、消極姿勢云々ということでありますが、出版文化は、我が国の文化や知識を創造、普及し、これを次世代に継承するに当たり重要な役割を担い、我が国の活力ある社会の実現に寄与してきたわけでございます。我が国の多様で豊かな出版文化を更に発展させ、読者の多様なニーズに応じる観点から、電子書籍の流通促進を図り、紙媒体の書籍と電子書籍の双方が共存して発展していくことが望ましいというふうに考えております。 今回の改正案によりまして、紙媒体による出版文化の継承、発展と健全な電子書籍市場の形成が図られ、我が国の多様で豊かな出版文化の更なる進展が期待されるところであるというふうに考えております。
○藤巻健史君 今回の法律は確かに非常にプラスになるかと思うんですが、ただ法律を作っただけでは単にインフラということで、それだけじゃ電子出版物発展しないと思うんですね。私が見ている限り、少なくとも私の分野では、まだまだ印税なんかを見ても全くスズメの涙ぐらいにしか売れていないわけで、まだまだだなという実感があるんですけれども、法律以外に文科省で何か考えていらっしゃるということはあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) まずは、もしこの改正を成立させていただきましたならば、この趣旨などについて十分に周知をしていきたいと存じますし、また、この法律の改正に向けての議論の中で、出版者あるいは著作権者、そのほかの業界の方々、いろいろな方々がその知恵を寄せ合ってこの法案まで来たということの中で、これからこれをよく活用していい電子書籍市場をつくっていこうという機運はできてきているというふうに存じますので、そのための例えばいい契約慣行をつくっていくということに関しても、私どもも必要ならばお手伝いをしていくということで考えているものでございます。
○藤巻健史君 次に、ちょっとテクニカル的な話をお聞きしたいんですけれども、もう既にオンラインで漫画等の海賊版が流されていると思うんですけれども、この法律が成立したならば、これは昔から流れているものに対しても有効なんでしょうか、それとも、今後新しく流れる海賊版のみに対してしかこの法律というのは有効ではないのか、教えていただければと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 電子出版についての出版権の設定を受けた出版者は、たとえ法改正前からその出版権侵害、著作権者に無断で公衆送信されている著作物についても、この無断の公衆送信が継続的に行われているという場合には、電子出版に係る出版権の侵害ということで差止めや損害賠償等の請求を行うことが可能と解しております。
○藤巻健史君 もう一つテクニカル的な話なんですけれども、海外で侵害された著作権とか出版権、これに対して日本の法律で、これも日本の法律なわけですけれども、日本の法律というのは有効かどうかということをお聞きしたいのと、実際に有効だとしても、実として差し止めることが可能なんだろうかという点についてちょっとお聞きしたいんですけれども。実効面としてですね、法律はあっても実際うまく制御ができるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 海外における著作権侵害への対応については、基本的にその侵害行為地における法律に基づくことが原則となっております。ですので、出版権の設定を受けた者が海外の海賊版を差し止められることができるかどうかということは、出版権がどうその国の法律で評価されるかということに懸かってまいります。 一方で、著作権者は、条約関係を持っている国でございますと、その国の法律に基づいて著作権の保護を受けるということですので、出版者が著作権者と協力して何かの対抗措置をとっていくことができるということでございます。 しかしながら、実行を本当にできるのかということについては、確かに訴訟のための手間暇でありますとか費用など、様々な課題はあるというふうに承知をいたしております。できるだけ実効ある対応が取れるように、侵害発生国地域における、むしろその法制を担う人たちへのトレーニングなど、私たちとしても、それぞれの侵害の起こっている国で実効が上がるような環境をつくっていくということについて、政府全体として対応してまいりたいと思います。
○委員長(丸山和也君) 時間です。
○藤巻健史君 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○柴田巧君 結いの党の柴田巧です。 私の方からも幾つかお聞きをしていきたいと思いますが、今回のこの法改正は、デジタル化、ネットワーク化が進展をする中で、電子書籍に対応した出版権を整備することを内容とするもので、基本的に賛同するところでありますが、その上で、この前も参考人質疑ございましたが、参考人の方からも今回の法改正はゲートウエーだと、これから第二段階、第三段階というのもあるんだというお話がございました。その一つがいわゆる孤児著作物の問題だという御指摘もありましたが、まずこれについてお聞きをしていきたいと思います。 改めて言うまでもありませんが、書籍や映像や各種データ等で著作権者が不明な状態にある著作物をいうわけですが、世界的にはオーファンワークスと言ったりしますが、これがこれからのデジタル社会の行方を左右するような大変大きな問題だと言われておるところです。 何で問題かというと、非常にそれが莫大なものになるからで、例えばイギリスでは、大英図書館で著作権期間中のそういう可能性のある書籍というのは約四三%もあると。ミュージアム所蔵の写真では九〇%に近くなると言われておりますし、アメリカにおいても学術資料の五〇%が権利者不明という調査結果が出ております。我が国においても、国会図書館の明治期図書の著者のうち七一%は連絡先どころか没年も不明だということですし、最近のテレビ番組や記録フィルムでもかなりの高率で権利者が不明だということであります。 御案内のように、著作権者の許可を得ずにコピーやデジタル化、ネット配信等を利用すると、これは法律違反になるということですが、これが、したがって、デジタル時代の今日においては、本や映像等を収集、保存するアーカイブをつくったりテレビ番組をDVD化したりする際の壁になるということになるわけであります。作者が亡くなって死後五十年たつと権利が切れて自由に使えるということにはなってはおりますが、作者自体の行方が分からない場合は使いたくても使えないということになるわけでありまして、しかも映像作品の場合は出演者も権利者になるため事態は大変深刻で、出演者全員の了承を得ないとDVD化やネット配信が基本的に二次利用できないということになるわけですから、大変なことになっているわけです。 そういう中で、我が国においては文化庁の裁定手続というのは一応あるということになっておりまして、業界団体への照会や新聞等に尋ね人の広告を出すなど、相当な努力をしたと認められる場合は一定額の供託をして作品が使えるようになるということになっておるんですが、これがなかなか機能していないんじゃないかと言われているところでありまして、まずこの裁定制度の現状といいますか、この利用状況、どういう状況にあるのか、まずお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 裁定制度とは、相当な努力を行っても権利者と連絡することができない場合に、文化庁長官の裁定を受けた上で、著作物等の通常の使用料額に相当する補償金を供託することによって適法に著作物等を利用することを可能とする著作権法上の制度でございます。 平成二十一年にこの著作権法の一部改正を行いましてこの制度を見直し、第一に、著作権者不明の著作物のみに利用可能であった裁定制度を実演等にも適用することといたしました。第二に、それまで文化庁長官の裁定が出るまで利用できなかったけれども、裁定申請中であっても担保金を供託することによって著作物が迅速に利用開始できるようにするという措置を行いました。 これらの改正によりまして、平成二十一年度のこの改正前は年間実は数件程度の裁定件数であったんですけれども、二十二年度以降は増加傾向にはなりまして、年間二十件から四十件程度となっております。 なお、一度で複数の著作物の裁定申請も可能でございますので、多いときには一度の申請で数万件という著作物が対象となったことがございます。また、主な利用者は、裁定の件数から見ると出版社や放送事業者等、裁定を行った著作物等の数では国立国会図書館が最も多いケースでございます。
○柴田巧君 幾らか改善がされたとはいえ、まだまだ利用状況は少ない、ちっちゃいわけで、また利用者もいわゆる一部の組織的にやれるような方々ということなんですが、したがって、このいろんな見直し等々も図っていかなきゃなりませんけれども、まず基本的に、これから先、そういう権利者不明の作品をそもそも最初から出さないという予防策、工夫が必要なんだと思いますが、だとすると、どういうものが考えられるのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 著作権は、特許とか実用新案などと異なりまして、その権利発生のためには登録といった特別の手続が必要となっておりません。著作物を創作した時点で自動的に権利が発生をいたします。ですので、その権利者不明著作物を増やさないためには何らかの機関が関与をするような仕組みというものが重要かと思います。 例えば、現時点で考えられますものでは、各分野における著作権等の集中管理という仕組みがありますけれども、これの一層の整備充実ということがあると思います。また、関係団体等において権利者情報を検索できるデータベース、例えばJASRACは音楽の分野で百数十万件の今データベースを持っておりますけれども、こうしたデータベースの整備なども有効な手だてであると考えております。
○柴田巧君 ありがとうございます。 加えて、例えば作品を発表する際に作者が利用ルールを公開するクリエーティブコモンズといったようなパブリックライセンスというのもある、そういう手法もあるんだろうと思います。これはどうでしょう、これも有効なものだとお考えになるでしょうか。
○政府参考人(河村潤子君) 権利者自身が行い得る措置として有効であろうかと存じます。
○柴田巧君 ありがとうございます。 いずれにせよ、こうやって初めからそういうものをつくり出さない措置というのも大事でしょうし、何よりも、先ほどもありましたように、裁定制度がまだまだ十二分に活用されていないという状況にありますので、これは大変もったいない話だというか、こういう著作物の再利用を可能にするということは、言わば知のインフラの整備をしていくということに私はある意味つながることだと思っておりまして、それが間違いなく日本の産業基盤や地域の活性化の鍵になっていくだろうと思っております。 今のところ使えない、あるいは眠っている、そういうものをきちっと流通させて発信をさせていく、それが日本の文化を、先ほどから出ている活字や書籍や出版文化を更に発展させていく、あるいは経済政策という観点からも大変重要だと思うわけであります。 既に知的財産推進計画二〇一三の中にもその裁定制度の見直しについては明記をされているところでありますし、文化審議会でも検討されているというふうにお聞きをしておりますが、まず裁定制度の見直し、そして早急なやっぱり対応をしていくということがこれから大変肝要なことだと思いますが、どのように取り組んでいくのか、大臣にこれはお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘の権利者不明著作物について、権利処理の円滑化を図ることにより過去の著作物等の利用を促進すること、重要な課題であると認識しております。 このような観点から、平成二十五年度の文化審議会著作権分科会におきまして、権利者不明の場合の裁定制度の在り方等についての検討を進めてきたところでございます。検討の結果、まずは手続の簡素化、迅速化の観点から、裁定制度において、権利者捜索のために求めている相当な努力の要件について一部緩和する等の見直しを行うことなどによりまして、現在その実施に向けた準備を進めております。 文科省としては、今後とも、権利者不明著作物等の利用の円滑化について、国内外での様々な取組等も踏まえつつ、必要な措置について適切に検討を進めてまいりたいと考えております。
○柴田巧君 ありがとうございます。 そのいろんな見直しの中で、あるいは対応策の中で、例えば今おっしゃった以外でも、EUなんかだと裁定不要、一定の努力しても権利者が見付からない場合は裁定不要で非営利のアーカイブに使えるとか、あるいはまた民間委託をして、より迅速化、簡素化を図るべきではないかというような考え方もあるようですが、この点については大臣、どのようにお考えがありますでしょうか。あれば、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘の点も参考にしながら、有効に生かせるように検討してまいりたいと思います。
○柴田巧君 もう時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
○委員長(丸山和也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(丸山和也君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、大島君から発言を求められておりますので、これを許します。大島九州男君。
○大島九州男君 私は、ただいま可決されました著作権法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党、日本共産党及び結いの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、我が国の「知の再生産」や「日本文化の創造と伝搬」に貢献してきた日本の多様で豊かな出版・活字文化を、グローバル化やデジタル化が進展する新しい時代においても一層発展させ、著作者の権利を保護しつつ、多様な著作物を多様な出版形態でより多くの国内外の利用者に届けていくことが重要であることに鑑み、真に実効性ある海賊版対策の実施など、本法により拡充された出版権制度の更なる利用促進に向けて必要な対策を講ずること。 二、我が国が世界に誇る出版・活字文化は、著作者と出版を引き受ける者との間の信頼関係に基づく企画から編集、制作、宣伝、販売という一連のプロセスからなる出版事業がその基盤にあることを踏まえ、本法によって設定可能となる電子出版に係る出版権の下でも従前の出版事業が尊重されるよう、その具体的な契約及び運用の在り方を示して関係者に周知するとともに、その実務上の効果について一定期間後に具体的な検証を行い、必要に応じた見直しを検討すること。 三、電子出版の流通の促進を図るためには、契約当事者間で適切な出版権設定を行いつつ、関係者の協力によって有効な海賊版対策を行うことが必要不可欠であることから、これまで出版権設定が進んでこなかった雑誌等、複数の著作物によって構成される著作物などについても出版権設定が可能であることについて周知に努めるとともに、具体的な契約モデルの構築について関係者に対する支援を行うこと。また、物権的に細分化された出版権が設定された場合に、当該出版権が及ばない形態の海賊版が流通した場合には効果的な海賊版対策を行うことができないため、効果的な海賊版対策を講ずる観点から適切な出版権が設定されるよう推奨すること。 四、効果的な海賊版対策を講ずる観点から、著作者が契約締結時において電子書籍を出版する意思や計画がない場合であっても、紙媒体の出版と電子出版等を合わせて一体的な出版権の設定がなされることが想定されるが、その後、電子書籍の出版を希望するに至った場合において、著作者の意図に反して出版が行われず放置されるといったいわゆる塩漬け問題が生ずることのないよう、適切な対策を講ずること。 五、電子的な海賊版については、一たびインターネット等で公衆送信が行われればもはや完全に差し止めることは困難であり、甚大な被害が生じてしまうことから、電子出版に係る出版権しか持たない出版者においても、違法配信目的で複製がなされた場合には、第百十二条第一項の「出版権を侵害するおそれがある場合」としてその段階で差止請求を行うことができることを出版者に対し周知すること。 六、出版権者及び著作権者による海賊版対策の取組の状況を踏まえ、紙媒体の出版についてのみ出版権の設定を受けている出版権者であっても、インターネット上の海賊版又はDVD等の記録媒体等による海賊版に対し差止請求を行うことができる契約慣行の改善や「みなし侵害規定」等の制度的対応など効果的な海賊版対策について検討すること。 七、海賊版については、日本国外での被害が圧倒的多数であることから、その対策強化を図るための国際的な連携・協力の強化など、海外での不正流通取締対策に積極的に取り組むとともに、出版物の正規版の海外流通の促進に向けて官民挙げた取組を推進すること。 八、本法によって、多様な形態の出版権設定が行われる可能性があることから、著作物における出版権設定の詳細を明らかにするため、将来的な利活用の促進も視野に入れつつ、出版権の登録・管理制度等を早急に整備するため、具体的な検討に着手すること。また、当事者間の契約上の紛争予防及び紛争が発生した際の円満な解決の促進を目指し、出版契約における裁判外紛争解決手段(ADR)を創設すべく、必要な措置を講ずること。 九、ナショナルアーカイブが、図書を始めとする我が国の貴重な文化関係資料を次世代に継承し、その活用を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、その構築に向けて、国立国会図書館を始めとする関係機関と連携・協力しつつ、著作権制度上の課題等について調査・研究を行うなど取組を推進すること。 十、教科用拡大図書や副教材の拡大写本を始め、弱視者のための録音図書等の作成においてボランティアが果たしてきた役割の重要性に鑑み、障害者のための著作物利用の促進と円滑化に向け、著作権法の適切な見直しを検討すること。特に、障害者の情報アクセス権を保障し、情報格差を是正していく観点から、障害者権利条約を始めとする国際条約や関係団体等の意見を十分に考慮しつつ、障害の種類にかかわらず全ての障害者がそれぞれの障害に応じた形態の出版物を容易に入手できるよう、第三十七条第三項の改正に向け、速やかに結論を得ること。 十一、視聴覚的実演に関する北京条約や関係団体等の意見を十分に考慮しつつ、俳優、舞踊家などの視聴覚的実演家の権利に関し、契約及び運用の在り方や法制上の在り方も含め検討を行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(丸山和也君) ただいま大島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(丸山和也君) 全会一致と認めます。よって、大島君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、下村文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。下村文部科学大臣。
○国務大臣(下村博文君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(丸山和也君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十四分散会