政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2014/02/26
会議録
○委員長(岸宏一君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、田城郁君及び辰已孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として西村まさみ君及び田村智子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(岸宏一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りします。 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所研究企画部長佐藤寛君、世界銀行駐日特別代表塚越保祐君及び2015防災世界会議日本CSOネットワーク代表・特定非営利活動法人国際協力NGOセンター理事長大橋正明君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(岸宏一君) 政府開発援助等に関する調査のうち、新たな援助の潮流と日本のODAの在り方に関する件を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 議事の進め方でございますが、まず、佐藤参考人、塚越参考人及び大橋参考人からお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず、新たな援助の潮流と日本のODAの在り方に関する件のうち、「官民連携、特にODAを活用した地方自治体や中小企業の海外展開の支援の在り方」について御意見を伺います。佐藤参考人。
○参考人(佐藤寛君) ありがとうございます。 御紹介いただきましたアジア経済研究所、佐藤と申します。私、三十年間開発援助について研究してきた研究者でございますが、この今日いただきましたテーマについて意見を述べさせていただきます。 まず、今日のテーマであります新たな潮流でございますけれども、国際開発、ODAの世界において新たな潮流とは、一言で言えば民間セクターへの期待の高まりでございます。民間セクターと申しますのは、もちろんNGO、これから大橋さんもお話しになりますが、NGOもありますし、また、ゲイツ財団のような財団というものも新たなアクターとして登場しております。しかし、それにも増して、民間企業がODAの世界あるいはODAと目的を共有してどのようなことができるのかというのが一番新しい潮流かと考えております。 これがODAの世界とビジネスの世界が相互接近しているというふうに考えておりますが、その理由は両方にあります。まず、ODAの世界の方は、二〇一五年までのMDG、世界の開発目標ですが、これの達成に向けてまだ十分なお金が調達できていない、公的資金だけでは足りないということから、民間セクターへの期待が高まっているところでございます。他方、民間セクターの方は、リーマン・ショック以降、いわゆる強欲資本主義というものに対する世界的な批判もありまして、国際的な多国籍企業も社会のために何かしなければいけない、これはビジネスとしてやらなければいけないということがありまして、開発の世界とビジネスの世界が相互接近する傾向にございます。 そのようなときに、その両者をつなぐものとして登場したのがBOPビジネスという概念でございます。BOPビジネスと申しますのは、ベース・オブ・ザ・ピラミッドですが、世界の最貧困層、最といいますか、貧困層の方々を対象としてビジネスを行いつつ、単にそこで利益を上げるだけではなく、様々な商品やサービスを提供することによって人々の生活水準を上げていこうということでございます。例えば、水とか電気を安価に提供することとか、あるいは様々な家電製品を安価に提供することによって、ビジネスが成り立つと同時にそうした人々の生活も良くなる。これまで公共セクターがやっているということだったんですが、それをビジネスが肩代わりできるのではないかということで官民双方の接近がございました。 その中で、今、日本でもこのBOPビジネスを接点といたしまして官民連携の動きがございます。これは、二〇〇九年に経済産業省がBOPビジネスをこれからやりましょうという旗を振り始めました。この理由は、これまでのような日本の企業が国内市場だけを見ているという、いわゆるガラパゴス化ということがあって、これでは日本企業は世界に太刀打ちできない、では、どうすればいいかというときに、先進国の富裕層だけをマーケットにしているんでは駄目であると、これからは世界の人口の半分以上を占める途上国をマーケットにすべきだということで、しかしながら、日本の企業にはそういったところになかなか慣れ親しんでいないので後押しをしようという形で経済産業省はBOPビジネスを推していきました。 他方で、外務省、JICAの方も、先ほど申し上げましたように、ミレニアム開発目標達成のために民間セクターの力とお金が要るということで、BOPセクターに対する支援を始めました。したがいまして、JICA、ジェトロ双方が途上国の開発ビジネスに展開する企業を支援する方策を着手したのが二〇〇九年でございます。 そのような中で、昨今、中小企業の海外支援ということをODAを活用してできないかという議論が起こっております。基本的には、日本の産業政策として中小企業を海外へ展開させる、日本の市場だけでは駄目なので海外へ展開させるというのは正しいと思いますが、ただ、産業政策とODAとが混在してしまうことには危険があると私は考えております。 一つは、売らんかなということで、とにかく日本の企業さえ支援すればいいのだという形でのビジネスサポートをいたしますと、まず第一に、それをODAで行った場合、本来のODAの趣旨から逸脱するおそれがあります。もう一つは、WTO等のルールの中で選別的な制度を設けることも禁止されておりますので、ODAを活用して中小企業支援する場合には、ODA支援の枠として途上国の生活の改善が必ず達成されるというロジックを忘れてはならないと考えております。その上でODAを活用するのでなければ国際社会からの批判が免れないということです。 二点目は、一九七四年一月に田中元首相が東南アジアを歴訪したときに、東南アジア各国で反日デモに遭いました。特にバンコクでは反日デモのために空港に行けないという事態にも陥ったんですが、これはなぜだったかというと、その当時、日本からの製品が東南アジアに一気に流出していて、人々の間に日本の経済帝国主義であるという感情があったからです。 このようなことは今はありません。むしろ、アフリカで中国の製品に対して反感が高まっていますが、しかし、中小企業の海外展開支援という形で余りにも日本企業を注視したODAで日本企業進出をすると、このような東南アジア諸国における反日感情の高まりも惹起してしまうかもしれません。したがいまして、ODAを活用して中小企業支援する場合には、あくまでもODAの趣旨にのっとり、中小企業が活用できる技術とかノウハウを現地のニーズに即した形で提供するという本旨を外してはいけないと思います。 ジェトロやJICAでも結構たくさんのBOPビジネス支援をしておりますが、多くの中小企業からのお問合せがありますが、多くの場合は自分たちはこういう技術を持っているのでこれはどこかで使えないかというお問合せなんですが、このようなプロダクト・アウトの方法ではほとんど成功しておりません。BOPビジネスが成功するのは、現地に具体的なニーズがあり、そのニーズを解決するためにどのように自分たちが持っている技術を使えるのか。例えば、汚い水しかないところにどうやって水を浄化するのか、あるいは配電網がないところでどうやって電気を、これはソーラーパネルですけれども、使っていくのか、あるいは学校がないところへどうやって教育を届けていくのかという、そうした個別のニーズに応じて日本の中小企業が持っている高い技術を活用するという、その工夫のところが必要でございますが、この部分は中小企業が投資するには余りにも額が多く、かつリスクが高うございます。 したがいまして、ODAを活用して中小企業支援する場合には、現地のニーズを探り、そのニーズと実際に日本企業が持っている技術とをどのように組み合わせるのかというイノベーションの部分にこそ注視すべきだと考えております。そのような形でマーケット・イン、つまり、途上国の個別のニーズ、それは今日の日本からはとても考えられないニーズがございますが、実は、日本企業は高度経済成長期に日本の市場の中でそうしたある種貧困層をターゲットにしてどうやって物を売っていく、作っていくのかという経験を持っておりますので、私は日本の中小企業にはこの部分において大きな比較優位があると考えております。 したがいまして、ODAを活用する場合、特に中小企業の進出を活用する場合は、既にある製品をどこに持っていくかではなく、アフリカならアフリカ、南アジアなら南アジア、ラテンアメリカならラテンアメリカ、それぞれの状況をきちんと把握することについてまず資源を投入し、かつその情報を企業に開示し、そして企業が自分の持っている技術をその生活改善のために使える開発の部分に支援する、そうした形のODAの活用の仕方が望ましいのではないかと考えております。 一つだけ重要な例を申し上げますが、イギリスのODA機関は、ボーダフォンという会社と組みまして携帯電話を利用した送金システムというのを開発いたしました。それは、アフリカでは銀行制度がございません。そして、多くの人たちが町やあるいは外国に出稼ぎに行っています。ところが、その出稼ぎに行った子供たちは、親元に送金をしようとすると銀行が使えないので、あるいは銀行の手数料が高い、あるいは誰かにお願いして持ってきた場合には一割取られてしまう。そこに着目しましたイギリスの援助機関とボーダフォン社は、プリペイドカードを買って番号を入れるだけで、それを送信すると田舎でお金が引き出せるというサービスを開発しました、発見いたしました。この技術開発にイギリスのODAは使われております。 当然のことながら、特定の会社を支援するわけですので特定の会社をどうして支援するのかという理由付けが必要になりますが、その際には、この技術を開発することによって他社も参入できる、そして現地で抱えている、特にアフリカにおいては送金をしたいという、しかしそこは危険であるということのリスク、それを軽減するための社会的問題の解決になると、そういうロジックが使えると思います。このようなものは、特に水とか電気とかにおいて非常に多いと思います。それが例でございます。 それからもう一つは、日本のODAの特色の中に円借款がございます。この円借款はこれまで、アンタイドにしろというようなことをヨーロッパから言われておりまして、日本のお金でありながらその仕事を日本が取れないということが起こっておりました。ただ、これについてはいろいろな議論がございますけれども、今後、円借款の原資はまだまだございますので、円借款をこうしたBOPビジネスに活用する、そのための様々な制度変更は必要かと思いますが、そういったことも考えていいのではないかというふうに考えております。 特に、先般、パキスタンで保健分野のプロジェクト、パキスタンの政府が行う予防接種の活動に対しての円借款が付きました。従来は、円借款というのは造った橋とかあるいは道路でそこからの経済的な上がりを期待してお金を返してもらう仕組みでございましたけれども、予防接種を幾らしてもお金にはなりませんのでこれまでは実際には円借款が使えなかったわけですが、ここにビル・ゲイツ財団が入っていきまして、パキスタン政府がきちんと予防接種をすれば、その対価、その実績に見合わせてビル・ゲイツ財団が借金を肩代わりするという仕組みを導入いたしました。 このような形で、円借款というツールは非常に有効だと考えておりますので、こうしたものも活用することがODAを活用し、かつ途上国の貧困削減に資するという形になるのではないかというふうに考えております。 私からの意見は以上でございます。
○委員長(岸宏一君) どうもありがとうございました。 次に、「新興国(新興ドナー)との協調を通じた国際協力の在り方」について御意見をお伺いいたします。塚越参考人。
○参考人(塚越保祐君) ただいま御紹介にあずかりました塚越でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本委員会では、昨年六月には私どものジム・ヨン・キム総裁がお話をさせていただいておりますが、本日はまたこのような機会を賜りまして、誠にありがとうございます。 本日は、新興国との協調を通じた国際協力の在り方とのテーマをいただいております。 現在、世界経済の成長の原動力として中所得国はその重要性を高めておりますが、そうした中で世界銀行グループも新たな国際協力の在り方を展開しようとしているところであり、そういった点について述べさせていただきます。 本題に入ります前に、簡単に世界銀行の概略と主要な支援国である日本との関係について触れさせていただきます。 私どもは、現在、五つの組織から成る世界銀行グループとして活動しております。この五つの組織とは、一つ目が、中所得国及び信用力のある低所得国に貸出し、保証やアドバイスを行います国際復興開発銀行、IBRDでございます。二つ目が、最貧国に超長期、低利の融資あるいは贈与を行う国際開発協会、英語の省略形でIDA、これをアイダと呼びならしております。三番目が、民間セクターへの投融資を行う国際金融公社、IFCでございます。四つ目は、民間投資における政治リスクなどの保証を提供する多数国間投資保証機関、英語の省略形MIGAをミガと呼びならしております。さらに五つ目に、国際投資紛争の調停手続を支援する投資紛争解決国際センター、ICSID。この五つの機関で構成されております。さらに、このうち国際復興開発銀行、IBRDとIDAとを総称して世界銀行と呼びならしております。 IBRDは、戦後の世界経済の復興と安定を推進するために一九四五年に設立されております。日本は一九五二年に加盟し、当初は最大の借入国としての一つでありました。一九六七年にその借入国から卒業をいたしまして、最貧国を支援するウインドーであります国際開発協会、IDAが一九六〇年に発足いたしますと、多大な貢献を行いまして、現在、世界銀行において米国に次ぐ第二位の出資国としての地位を占めております。 それでは、新興国経済が世界経済の成長の牽引役として重要性を高めているという状況を踏まえまして、世界銀行グループがどのような展開を図っているかについて述べさせていただきます。 ここでは、新興国としまして、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのいわゆるBRICS五か国と言われる国だけではなく、こうした国を含みます中所得国を対象とさせていただきます。中所得国とは、世界銀行の分類で、国民一人当たりの年間所得が一千ドル強から一万三千ドル弱の国々を指しております。 現在、極度の貧困層、すなわち一日を一・二五ドル未満で生活する人々は世界人口の二〇%程度にまで減少し、一九九〇年の極度の貧困層の人口割合を二〇一五年までに半減するというミレニアム開発目標の重要なゴールの一つを数年早く達成することができました。これは、中所得国を中心とする途上国における過去二十年間の総じて申し上げれば良好な経済成長によるものと言えます。特に、中国の近年の経済成長によって、約六億人の、極度の貧困状況から抜け出したということが大きく貢献しております。 新興国が世界経済運営でも発言権を高めており、二〇〇九年には先進七か国から構成されるG7に代わりまして主要な新興国が参加するG20が国際経済協力に関する第一のフォーラムとして指定されておりますが、この辺の事情を端的に物語っているものと考えております。もちろん、依然として極度の貧困層を多く抱える低所得国が多数存在し、また、中所得国の間でも発展の状況はまちまちで、その中には国内における所得格差が拡大している国も多くございます。後にも触れますが、こうした問題が私ども世界銀行グループにとって大きな課題でございます。 こうした新興国は、世界銀行グループから見ると、シェアホルダー、株主として、それからクライアント、顧客として、またグローバルなアクター、パートナー、協力者としてそれぞれの役割で重要性を増しております。 第一に、シェアホルダー、株主として新興国の役割や発言力が高まっているということであります。例えば、IDAの三年ごとの増資において、新興国は経済発展に応じた拠出を行っております。かつてはIDAの借入国であった中国、タイ、マレーシア、インドネシアといった新興国も、今では開発援助のドナーとしての役割を果たしております。また、世界銀行の意思決定は、国連と異なりまして、出資比率に応じた投票権に基づき行われております。新興国の意見もより一層政策に反映されるようになっております。なお、こうした中で日本は、他の先進国と同様、投票率を若干減じてはおりますが、第二位の株主の座を維持されているところであります。 第二に、新興国は世界銀行の依然として重要なクライアント、顧客であります。割合は減少いたしましたが、一日を一・二五ドル未満で暮らす極度の貧困層は依然として世界で十億人以上おります。さらに、一日を一・二五ドルから四ドルの間で暮らす貧困層は世界で二十数億人おり、その七割以上が中所得国で生活しております。 中所得国にとって成長と投資のための資金を国内で調達することはますます重要になっておりますが、現在のところ、依然として国外からの資金流入が主要な調達先でございます。その内訳ですが、途上国全体で民間資金の純流入が現在年間一兆ドルと言われております。また、移民労働からの送金も拡大傾向にあり、来年には五千億ドルに達するとの予測もございます。これに対しましてODAは千二百五十億ドル程度にとどまっておりますが、民間資金は一部の国、一部のセクターに偏っているという現状がございますので、ODAの役割は依然として大変に重要であるというふうに考えます。 投資環境が不十分であることから民間資金の調達が進まず、民間資金の調達が進まないので必要なインフラ整備が遅れるとの状況を抜本的に変えなくてはなりません。また、途上国においても、雇用の九割以上は民間セクターにより創出されており、金融環境の整備による零細中小企業を対象とする金融の安定化は急務であります。極貧の状況から脱しても貧困層が依然として多く存在し、依然として社会経済基盤の脆弱な中所得国が持続的成長を実現するためには、国際社会が公的部門の機能強化、法的枠組み、司法制度の整備等を含む投資環境の整備を支援することの重要性は以前にも増して大きくなっております。 第三の、新興国の立場は、私たちから見るとグローバルなアクターとして世界銀行グループの重要なパートナーとなっているということでございます。既に触れましたが、今や新興国はG20やAPECなど国際的なフォーラムにおいてリーダーシップを発揮しております。また、成長センターであると同時に世界の貧困層の七割以上を抱える新興国における低所得層を取り込んだ持続的な成長は、貧困削減、国際金融の安定、気候変動・エネルギー、食料や水資源、国際貿易などの面で地球規模の好影響を及ぼします。 世界銀行グループといたしましては、新興国をこうした重要な地球規模の問題に対処していく上でのパートナーとして関係を深めております。さらに、新興国が世界銀行の有する開発問題に関する知識、経験をより活用することをこれまで以上に促していくと同時に、新興国自身の知識、経験が他の途上国の発展のために活用されるように、世界銀行グループ等を通じまして提供することを促しております。 こうした世界銀行の新興国の知識を中心としましたパートナーシップの一例として、ブラジルのボルサ・ファミリアと呼ばれるプログラムの波及を御紹介したいと思います。 このプログラム自体は、ブラジルにおける貧困家庭に対し、子供を学校に通わせる、あるいは妊婦に予防接種を受けさせることを条件に現金給付を行うというものでございます。ブラジルでは、千四百万世帯の五千万人、人口のおよそ四分の一にその恩恵が届いております。その多くが女性であります。 このプログラムは世界銀行において成功例として高く評価され、同様のプログラムが世界銀行を始め他の地域開発金融機関でも支援され、現在はラテンアメリカ地域にとどまらず、世界四十か国で導入されております。世界銀行は、このように新興国とパートナーを組むことによって、途上国間での知識、経験の仲介を図ること、いわゆる南南協力の推進を図っております。 さて、新興国の発展の中で、私ども世界銀行は二つの大きな目標を掲げております。これにつきましては、昨年の六月、私どもの総裁からも申し上げたところでございますが、一つは、二〇三〇年までに極度の貧困層をなくすということ、もう一つは、所得の下位四〇%の人々の所得を引き上げて繁栄の共有を促進するということでございます。この目標の達成のためには、民間セクターにおける更なる活発な雇用創造が鍵となるのですが、世界銀行グループの役割は、資金的支援だけではなく、途上国が民間セクター主導の持続的な成長を可能とするような社会や環境の条件を自ら整備することを支援することにあると考えております。 また、繁栄の共有とは、同じ世代の中における社会的公正を図りつつ、所得の下位にある人々を成長プロセスに取り込むということを意味することは当然でありますが、同時に、成長が将来の世代を犠牲にしないようにするということも意味しております。気候変動や自然災害への対応、水と土地を含む天然資源の保護、生態系の保護といった地球規模の問題に積極的に取り組んでいくことが不可欠であると考えております。 こうした大きな目標を達成するためには、冒頭で触れさせていただきましたが、世界銀行グループの中で民間セクターに直接関与する二つの組織、すなわちIFCとMIGAの業務を世界銀行と統合してグループ一丸となって戦略を展開することとしておりまして、現在、所要の組織改正を行っているところでございます。 最後に、こうした世界銀行グループの繁栄の共有という目標達成の観点からも、また持続的な成長のための知識、経験のブローカーとして世界銀行の役割の観点からも非常に注目されております、世界銀行と日本の最近における協力事例を一つ紹介させていただきます。 これは、日本・世界銀行防災共同プログラムと、その一環として設立されました東京防災ハブであります。途上国、特に新興国では人口増加、急速な都市化、環境の劣化などにより自然災害への脆弱性はむしろ拡大しており、貧困削減と持続的成長にとっての大きなリスクとなっております。脆弱な小国では被害総額がGDPの一〇〇%以上にも上るということもあり、公共財政の悪化を引き起こしております。こうしたことで、長年の開発の歩みを消し去ってしまうという危険に対して、私どもとしても十分な対応をしていかなきゃいけないと考えております。 世界銀行は、以前より開発における防災の重要性を認識いたしまして、日本などの支援を得て、開発プログラムやプロジェクトにおいて防災の視点を中心的に取り込むことに取り組んでまいりました。 長年、自然災害の脅威と向き合ってきた日本は、防災を開発政策などの主流に据えることを自らの問題として実践し、世界のリーダー的存在にあります。特に、東日本大震災の直後より、世界銀行は、防災に関する日本との共同研究を進め、東日本大震災からの教訓をまとめ、災害リスク管理の分野で協力関係を強化し、一昨年秋、日本で開催されました世界銀行・IMF総会においては、災害に強い社会の構築に向けた提言を仙台レポートとして発表しております。 この度、さらに世界銀行は、日本政府の御支援と協力を得て、日本・世界銀行防災共同プログラムを立ち上げたわけでございます。このプログラムは、自然災害リスクの特定、リスク軽減、事前準備などに関する技術協力、パイロットプロジェクト支援、人材育成などを通じまして、日本の知識、経験、技術を世界各地の専門知識と結び付け、開発計画や投資プログラムの一環として世界銀行東京事務所内に防災ハブを設置しております。防災ハブは、日本国内及び世界各地域の防災に関する知識、経験、技術に関する情報のネットワークを構築するなど、途上国における自然災害リスク管理に関する需要がいかなるものか日本の官民セクターにお伝えして、開発における自然災害リスク管理に関するグローバルな知識のハブとなることを目指しております。 本プログラムも含めまして、日本が資金的支援、人的支援、さらには知識、経験、技術の面で支援等を通じまして、貧困の撲滅、繁栄の共有という世界銀行の目標達成のために引き続き御支援いただけますことを改めてお願い申し上げまして、私の話とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) どうもありがとうございました。 最後に、「新たな日本のODAの可能性と課題」について御意見をお伺いいたします。大橋参考人。
○参考人(大橋正明君) ありがとうございます。 皆さんのお手元に私のパワーポイントが届いているかと思います。 私は、今日、今までの打合せの中で、防災の主流化ということで、主に日本のODAの在り方について御意見を申し上げたいというふうに思っております。私の立場は、日本で一番大きな国際協力NGOのネットワークのJANICの代表ということと、私どもがつくり上げました2015防災世界会議日本CSOネットワークの代表という立場で御意見を申し述べさせていただきます。 いずれにせよ、立法府がこういう形でODAのことに積極的に関与してくださることを私どもは大変心からうれしいと思っておりますし、こういうふうに呼んでくださったことも感謝を申し上げます。 御存じのとおり、NGOあるいは市民社会組織CSOというのは、どういう政権下であろうと理想主義を掲げ、比較的クリティカルな物の見方で、長期的なあるいは中期的な人道主義、あるいは日本の国益というのはそれに沿ったものだと私は当然思っておりますけれども、そういうことの立場から意見を申し上げていきますので、よろしくお願いいたします。 まず、二〇一五年の国連防災世界会議ですが、これは、御存じのとおり、先生方が恐らく、今まで二回とも日本が開催地をしてくださっております。国連の一つの会議ですけれども、この三回目を二〇一五年の三月の十四日から十八日に仙台で開いてくださる。これは私どもも大変うれしいことだというふうに思っております。 特に、この来年の三月の仙台の会議というのは、その前の第二回会議、兵庫神戸で行われた会議なんですけれども、さっきから前の参考人の方もおっしゃっていますけれども、MDG、ミレニアム開発目標みたいな、そういう貧困をなくしていこうというのと同じように災害についての行動目標というのが決まって、これが兵庫行動枠組、HFAというふうに呼んでおります。これの次のもの、HFA2というふうに今仮称になっておりますけれども、これを決定することになっております。 御存じのとおり、国際的なこういう取決めというのは、今まさにこの内容を下書きしている最中でありまして、いろんなところでいろんなレベルで話合いが行われております。最終的には今年の六月に日本の方が参加できるのはアジア防災閣僚級会議というのがバンコクで行われますので、それまでにいろんな意見を述べておかないともう本体には反映されないという形になっておりまして、私どもは今これに向かって動いております。 日本政府は、この防災の主流化、ポストMDGとかSDGの中にこれを入れたいということを盛んに言ってくださっておりまして、私どもも全くそう思っているんですが、世界的に見ますと、スイス政府が少しそれを後押ししていますが、あとは日本政府が言っているだけというような状態になっていますので、もっとこれは先生方も含めて働きかけないといけないんではないか、十分な働きかけをしていかないといけないんではないかというふうに思っております。 私どもの方は、そういう思いをNGOのレベルでも共有して、私どもJANICほかの団体が呼びかけてこの2015防災世界会議日本CSOネットワークというのをつくりました。ですから、防災の主流化とかいうことを是非やっていこうと思っておりますが、具体的には、来年の三月に七千人か八千人ぐらいの方が仙台にお見えになりますので、私たち、三・一一の経験交流ということ、これは特に民間レベルでも草の根レベルでもいろんなことが行われましたので、そういうものをお互いに学び合っていくようなこと。それから、やっぱり福島の教訓というものをなるべく生かして、これを防災的な立場で取り上げていかないと、私たち、やっぱり正直言ってチェルノブイリのことをよく分かっていなかったために、福島の事故が起きた後、右往左往してしまって、不必要に怖がったり、また危険なこともやってしまったというふうに思っておりますので、これも是非共有をしていきたいというふうに思っている。そういうような枠組みです。 これまでが非常に早くしゃべってまいりましたが入口のところで、申し上げたいことは、今から五つの点をお願い申し上げたいと思います。 まず最初に、そのパワーポイントのレジュメを見ていただきますとお分かりになりますように、同じような災害でも、やっぱり被害というものは、インパクトというものは開発とか貧困のレベルで大きく違ってくるということです。これは世界銀行の方や佐藤先生の前で申し上げるまでもないんですが、ここに挙げさせていただいたように、いろんな地震がある、これは地震だけを取り上げてみただけのことですけれども、三・一一が九・〇でも二万人弱で済んだというのは、例えばスマトラ・アンダマンの場合は二十二万人だし、ハイチはマグニチュードでは七・〇なのに三十一万六千人が亡くなっているという。これは、ですから防災と貧困は表裏一体の関係にあるということを強調したいと思います。 去年十一月のフィリピンのハイエン台風では、ずば抜けて規模が、被害がひどかった。もちろん台風も大きかったわけですが、やっぱりインフラがちゃんとできていない、住宅がすごく壊れやすい、人々がそういうことの理解をしていなかったり、もちろん予報が正確でなかったり、それからちゃんと逃げること、防災対策が個人レベルでも取れていなかった、いろんなことがあって被害を大きくしている。 そのために、私たちが考える防災の中で、減災の中で大事なのは、まず貧困をどうにかしていくということが一番大事だと思っております。例えば、貧しい人が農地をちゃんと確保できる、仕事ができるようにする、失業対策がある、生活保護があるというようなこと、こういうことをやっぱりODAがちゃんと後押ししていかないといけないんだろうと思うんです。 ところが、そのODAというのは、先生方の前にあれですが、GNIの〇・一八%がたしか二〇一〇年か一一年の記録で、これは世界の最も低いレベルで、〇・七%というMDGsの約束には到底追い付かない。この次の表がまさに一般会計予算の中の減り具合。ここ数年ちょっと減り方が減ってきましたのは先生方のおかげですけれども、これを反転させていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。これがまず一つ目のお願い。 二つ目のお願いは、どちらかというと防災対策はやっぱり大きなものに目が行きやすい。要するに、強度が高い大規模な災害に対して防災対策が取られがちなんですが、貧しい人々にとっては日々の災害ということが一番問題であるというふうに強調をしています。 例えば、スラムに住んでいる人たちにとっては、その住んでいるところで崖崩れが起きたり、道が寸断されたり、洪水が起きたり、下水道がなくなって病気が蔓延したりというような、日常生活での災害の方が実は日常的に頻度は全くそちらの方が大きいわけですので、ただマスコミにほとんど報道されることがない、それがゆえになかなか手当てが行かないということがあります。 病気も大きな病気になる前に予防する方が大事だというのと同じように、災害も日常生活の中に起きているような低強度の、低度の中小の災害にも適切に援助を配分していっていただきたいというふうに思っております。これが二番目。 三番目のお願いは、ここに書いてありますが、東日本大震災のときでも、やはり高齢者の方々、それから障害を持っている方々の犠牲が残念ながら非常に多うございました。やはり、これは三番目のお願いなんですが、災害は貧困層だけじゃなく災害弱者にも大きな犠牲を強いるということを訴えたいと思います。 ですから、防災、減災では、やっぱり災害弱者と言われる方々、これをどこまで含めるかというのは難しいかと思いますが、障害を持っている方々、高齢の方々、妊娠している方、もちろん乳幼児を持っている方、傷病者の方、少数民族あるいは少数者の方々、外国人等を重視することがやはり被害を圧倒的に少なくすることにつながっていくというふうに私どもは考えております。 次の四つ目のお願いは、ちょっと写真を入れておいたんですけれども、これは私が所属しておりますシャプラニールというのがネパールのタライ平原でやっている防災対策の活動ですが、やはり今回の東日本の一番の重要な教訓というのは、人々が自分たちでお互いに助け合った、自助、共助というのは、これは私たちだけじゃなくて政府も皆さんおっしゃっていることですが、これが非常に大きな役割を果たしたんだろうと思います。私もバングラデシュに約六年ほど赤十字等で駐在しておりますので、災害が起きますと、やはり最初の四十八時間ぐらいは自分たちだけで、あるいはコミュニティー同士が助け合うというのが非常に重要なことだというふうに思っています。 また、途上国の多くは地方政府がまだまだ発達しておりません。日本の場合は見事なまでに地方政府が発達しておりますので、防災対策、災害後の対策本部も地方自治体がイニシアチブを取っておりますが、そこのところが欠けている場合が少なくありません。こういうところでは、やはり住民組織、そしてそれを支援するNGO、市民社会組織が大きな役割を果たすことになっているというふうに思っております。 そういうことで、自助する能力を高めるということをCSOやNGOを通じて、コミュニティー、地元の自助、共助を強化する活動を後押ししていただきたいというふうに思っております。具体的には、余り詳しく申し上げることはありませんが、小中学校や母親教室での防災教室、あるいは識字教育での防災教室、学校区や避難シェルターや集落単位での防災対策とか避難訓練、あるいはハザードマップなどを作っておくといったような、そういったことが必要なんではないかと思っております。これが四つ目のお願いでございます。 五つ目のお願いは、今から申し上げる、これは次のパワーポイントは地震のリスクをやっております。これをお示ししたのは、この次のページ、原発の建設予定地との関連を見ていただきたいからであります。 三・一一で福島の事故が起きたことは大変悲しいことでありますが、その現実としっかり向き合っていく必要があるだろうと思っております。今後、欧米や日本では、あるいは韓国での建設というのは比較的ブレーキが掛かって、途上国での建設が広がっていくんだろうというふうに思います。原発に対する態度はいろいろあるにせよ、原発が途上国に広がっていくということは、福島のような原発災害を、起きてほしくはないが起きる可能性はより途上国に高まっているというふうに断ぜざるを得ません。私たちは幅広い防災の先進国という立場にあるというふうに思っておりますので、三・一一東日本大震災での教訓を十分に発信し、活用するようにしていただきたい、これをODAの中にも取り入れていただきたいと思っております。 防災先進国である日本は、複合災害と言われておりますこの三・一一の福島の災害というのは、地震が起き、津波が起き、そして原発事故につながっていたわけでありまして、そのプロセスもいろんな原因がありますけれども、こういう複合的災害が今後もっと大きくなってくる、あるいは産業災害的なものもどんどん多くなってくるだろうと思います。世界の産業の生産センターというのは途上国へどんどん移っていくわけであります。そういうところに地震や洪水が起きていく、そういうところで私たちはリーダー国として果たす役割が大きくあるんではないか、あるいはその責任があるんではないかと強く思っております。 三・一一東日本大震災の最大の教訓というのは、起こるわけがないというふうに考えていたところが起きてしまったというところにあるんじゃないかと私どもは思っております。これは福島のこともそうですし、一部の堤防に頼っていたところでもそういった傾向はあったというふうに言われています。大丈夫だと思ってしまったがゆえに、起こるはずがないと思ったがゆえに避難行動や対応行動が遅れてしまった。だから、安全神話ではなくて、ちゃんとリスクを理解し、基本的な対応を決めておくことが極めて重要なのだというふうに考えております。 ですから、日本で起きた複合災害がアジア諸国で起きるリスクというのを減らしていかなくちゃいけない。そうすることで、途上国からの信頼を一層厚くしていく必要があるのではないかと思っております。私、そんなにヨーロッパのことをよく分かっておりませんが、フランス政府は、見ておりますと、原発が起きたときのリスクを十分住民に周知をしています。日本は今までそれを行ってこなかったというところが非常に問題なのではないかと私は思っております。 原発災害や産業災害を含めた複合災害の防災に日本が積極的なリーダーシップを発揮して、世界に輝かしいリーダーになっていただきたいと思っております。特にODAに関しては、原発を推進するためだけに使うんではなくて、どういうリスクがあるのか、どういう災害が起きたときにどういうことが必要なのかという知識や経験も伝え、やっぱり途上国の人々が、本当に原発を選ぶのか、選んだときにはどういうリスクがあって、どうすればいいのかということが分かってくるような、そういう使い方、ODAの使い方もしていただきたいと思っております。 以上でございます。
○委員長(岸宏一君) どうもありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言をお願いします。 参考人の方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。 また、各委員の発言時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほでございます。 参考人の皆様、本日はお忙しい中、参議院までお越しいただき、誠にありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。 まず最初に、佐藤参考人にお尋ねいたします。 今後のODA支援の在り方として、貧困層向けのいわゆるBOPビジネスや、またPPPといった官民連携の強化がますます重要視されていくことと思います。特に、BOPビジネスは将来の日本と途上国のウイン・ウイン関係につながる取組だと思います。 一方で、例えばオリセットネットの公共調達では、評価の声が大きい反面、農薬入りの蚊帳の安全性に対する疑問の声もありますし、結果的に特定の企業への資金流入といった問題も指摘されております。参考人からもございましたけれども、こうした、ネットに限らず薬などもそうですが、安全性に対するリスク、また企業の公平性の確保をどう確立していくのかということについてもう少し具体的にお聞かせいただければと思います。 また、さらに、このBOPの貧困層のニーズ把握というのが非常に重要になってくるわけでございますが、現地でのしっかりとしたパートナーが必要だと考えます。やはり偏った情報に基づかない正確なニーズ把握のためには、このパートナーとなり得る人材や、また組織の人材育成といった視点も必要になってくるかと思いますが、そういった点についてどのようにお考えか、お聞かせいただければ幸いです。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございました。簡潔にお答えいたします。 まず、公平性の確保につきましては、確かにこれが一番の問題でございまして、JICA、ジェトロに御相談になる企業も、やはり企業秘密がございますので、なるべく開示してほしくないというふうにおっしゃっています。ですので、一つには、JICA、ジェトロ等がこうした御相談を受けた場合にどこまでなら開示していいのかということについてのルールを明確化し、なるべく多くを開示するという形になると思うんですが、ただ、そうしますと、大企業は自分でやるということになると思うんですね。 ただ、中小企業の方は、そうであってもやはり助けてほしいという方がいらっしゃいますので、特に中小企業に関しては、その中小企業の競合他社の考えもありますけれども、できる限り情報を開示するという方法を確立することによって、特定の企業を支援することの公共的な意味、つまり、それによって産業を育成し、あるいは途上国に対する進出を支援するわけですが、更に言えば、途上国に対する進出を支援した結果、途上国の企業が乗っ取ってしまうことがあるかもしれません。しかし、ODAの趣旨からいえば、現地で企業が育成することはODA的には間違ったことではないので、そこのところの兼ね合いはあると思いますが、ODAでやる限りにおいては、その現地の企業に裨益するということ、あるいは現地の産業を育成するということにも寄与するという形で理由付けができるかと考えております。 二番目のニーズ把握とパートナーでございますけれども、これは確かに中小企業の方々がよくおっしゃいます。例えば、バングラデシュに行きたいんだけれども英語をしゃべる社員がいないというようなことですね。 二つありまして、一つは、特にJICAさんですが、青年海外協力隊という制度がございます。現地に言葉を学び、そして現地の人と寝泊まりする、そうした方々が帰ってきて結構失業しているんですね。こういった方々を、人材プールとしてはJICAさんもやっていらっしゃいますけれども、中小企業の方々に御紹介する。ただし、中小企業の社長さんたちがおっしゃるのは、協力隊とかNGOとかやっている人たちは夢ばっかり食っていて全然使えないんだよとおっしゃるんですが、この部分はやはり協力隊OBに対する教育ということもあると思いますので、帰国、赴任から帰った後の教育も含めてそうした人材育成をやっていいのではないかと。 もう一つは、日本にいらっしゃっている留学生ですね。非常に途上国から多くの留学生がいらっしゃっているんです。私たちアジア経済研究所のそばにも神田外語大学という大学がありますが、そこの方がおっしゃっていたのは、途上国から来ている留学生は日本でのごみの出し方を知っていますと。こういったことを知っている人材がいるわけですね。ただ、そういう人たちを、中小企業、地方の中小企業の社長さんたちはアクセスができていません。ですので、日本に来た留学生を活用するという意味でも人材育成ができるかというふうに思っています。 それ以外にも、ジェトロでもやっておりますが、企業さんの若手の方を研修員として現地の企業に派遣するとか、あるいは、JICAでもやっておりますが、現職の企業の方を関連する事業のところに派遣する。ただし、そこではやはり公平性の問題がありますが、そこでは、先ほども申し上げましたように、現地の産業が育成できるということであれば、特定の社を支援することがあったとしても理由付けはできるのではないかと思います。 最後に、オリセットネットですが、実は私ども国際開発学会でもこのオリセットネットをめぐる市民フォーラムを開催いたしました。いろいろな事業についてはプロもあればコンもあるわけですけれども、しかしながら、そうした機会をつくることによって幅広く国民の間にODAに関する知識を広めること、これはある種国民参加型ですが、やっぱりODAの知識を国民に広めるということは非常に重要だと思いますので、そういった機会をつらまえて特にいろんなところに広報していくことで対応できるのではないかと考えております。
○大沼みずほ君 ありがとうございます。 日本の中小企業が進出する中で、やはり知財権の問題は国としてもしっかりと整えていく必要があると感じました。ありがとうございます。 次に、塚越参考人にお尋ねいたします。 中国やインド、またブラジルといった国々がインフラ整備等を中心とした新興ドナーとして南南協力を実施し、ODA援助国として存在感を示し始めています。日本としてもこうした新興ドナーに対する協力を技術面、資金面で行っているわけでありますが、特に現在、日中間は政府間においていい関係とは言えない中で、二〇一三年のODA白書においては戦略的互恵関係という文言もなくなっていたことが少なからずの衝撃を与えました。 特に、この日中間におけるODAの協力関係構築、これが今競争のようにアフリカでは映っておりますけれども、ここをどういうふうにしていくのがいいとお考えかをお聞かせいただければと思います。
○参考人(塚越保祐君) 御質問いただき、ありがとうございます。 一つは、私ども世界銀行、これはほかの例えばアフリカ開発銀行といった地域開発金融機関もそうでございますが、一つの開発目的を明確にして、それに参加した国、世界銀行の場合は現在百八十八の国が加盟国でございます。そこに集まりました資金は、それぞれの国の御事情もありますが、その組織としての目的を達成するためにそれぞれの開発活動を続けております。したがいまして、例えばアフリカにおきましては、日本はTICADの枠組みの中で日本政府と合意した枠組みを進めておりまして、これは世界銀行も日本も同じ方向を向いて進めさせていただいているわけでございます。 そうした中で、新興国の活躍がバイラテラルのエード等で目立つわけでございますが、これは私どもとしての考え方としては、こうした国際的な枠組みがしっかりした中で、中国のお金であろうとブラジルのお金であろうと、私どもの開発目標に沿った形で供与されることをメンバー国として期待しているわけでございます。特に、汚職防止ですとかセーフガードですとかソーシャルセクターへの対応ということでは、私ども非常に明快な規定を持って、百八十八の国が合意して対応しているわけでございます。こういった国際的な枠組みを中国もブラジルも、その他お名前の挙がりました新興国が私どものグループとして活動していくということが期待しているところでございます。
○大沼みずほ君 ありがとうございます。 ちょっと時間が来てしまいましたので、大橋参考人にもお聞きしたかったんですが、私の質問はこちらで失礼させていただきます。 今日はありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 大沼さんの質問は終わりました。 大久保勉君。
○大久保勉君 民主党の大久保勉です。 実は、私は昨年の九月、参議院ODA派遣第一班の団員としまして、東アフリカ三か国に視察に行きました。具体的には、エチオピア、ウガンダ、そしてケニアです。ケニアにおきましては、世界銀行のケニア駐在員事務所に行きまして意見交換をしました。そういったことも踏まえまして質問したいと思います。 塚越参考人に質問します。 まず、ODA視察で感じましたことは、やはりこういった途上国におきましては道路、鉄道そして発電所等が必要であると、社会インフラを造ることが重要であります。その中で注目したのは、中国のODAが非常に活発であります。新興ODA供与国と言われていますが、アフリカにおきましては日本よりももっとプレゼンスが高かったという実態がございます。あと二点目、やはり大型プロジェクトでありますから、環境問題であったり、また政府高官の汚職、こういった問題があります。 こういったことを踏まえまして質問したいのは、世界銀行に関しましては様々な知見がございます。例えば汚職防止であったり、若しくは環境対策、こういった知見を日本のODAにどういう形で生かしていくのか、若しくは世界銀行グループと日本がどういう形で共同で開発をしていくのか、この点に関して質問したいと思います。
○参考人(塚越保祐君) 大久保委員におかれましては、日頃、世界銀行グループの活動に様々な御支援を賜っております。この機会をお借りしまして御礼申し上げる次第でございます。 御質問いただきました点でございますが、まず、アフリカへの私どもの資金援助、特にODAが基になっておりますIDAの援助でございますが、二〇一三年度でいきますと、運輸セクター等に二二%、そのほか様々な形でエネルギー分野等インフラの強化につながっております。 さらに、私どもの特徴は、それぞれの国のガバナンスの強化に資金を投下していることでございます。単にエネルギーセクターあるいは運輸セクターのインフラのプロジェクトを融資するだけではなくて、その背景にあります政府自体の能力を高めるということで、行政、法律、司法の整備等にやはりアフリカでは運輸セクターと同様の二二%の資金をIDAから回しているところでございます。こうした私どもの支援によってその政府の質の向上が図られる、投資受入れ環境として十分な実施能力のある政府機構をつくっていくということが世界銀行グループとしては重要なものとなっております。 さらに、先ほど来、本日の参考人の方々からもお話が出ておりますが、やはりアフリカにおいても民間セクターをどうやって取り込んでいくかということが大変重要でございますが、そのためには、先ほど世界銀行グループの中にIFCとMIGAという二つの組織がございます。投融資を促すIFC、それから政治的リスク等、投資が入ってくる際のリスクを保証する組織でございますが、こうした二つの組織も、汚職のガイドライン、それから環境のガイドライン等の厳しいチェックを行いながらプロジェクトを選択しております。こういったような私どものMIGAやIFCのチャンネルを通じながら、ODA資金だけではなく民間資金もこうしたきっちりとした形でアフリカに流れていくことを促していきたいというふうに考えているところでございます。
○大久保勉君 ありがとうございました。 世銀の知見をしっかりと使い、若しくは日本のODAを活用してもらいまして共同でできたらと思っております。 次に、世界銀行に関しまして、日本は第二位の出資国であります。しかし、常日頃から言っておりますが、日本人の職員の比率は非常に少ないんじゃないかということで、実際にケニアに行きまして世銀の駐在員事務所に行きましたところ、日本人のスタッフはいるかと言ったら、いないと、もう帰ったということでありまして、この辺りが課題かなと思います。 そこで質問したいんですが、世銀に対する日本の出資比率及び日本人の職員比率はどうなっているのか。また、人数はある程度いるかもしれませんが、どうもいわゆるシニアな人が少ないということで、例えばインデックスというのをつくると、上位二〇%に関しては例えば五倍加算する、次の二〇%は四倍とか、そういう形でインデックスをつくった場合どのくらいの比率になるか、このことを質問したいと思います。 また、これに関連しまして、実は、昨年の五月二十二日、当特別委員会におきましてTICADに関した決議を行いました。内容に関しましては、国連開発計画、世界銀行等の国際機関における邦人役職員の更なる増強を含めて我が国が人的貢献のより一層の拡充を図ることを決議しました。また、六月四日にはキム世銀総裁を迎えまして、私も意見交換をしたんですが、そこで、是非、日本人がしっかりと活躍できるような環境をつくってほしいと、こういった要請をしたわけです。 そこで質問なんですが、世銀で、あれから半年たっていますが、どのようなアクションプランをしているのか、このことに対して質問します。
○参考人(塚越保祐君) お答えいたします。 大久保委員御指摘のとおり、世界銀行における日本の出資比率は現在七・二%でございますが、日本の職員比率は二・二%ということでございます。世銀のいわゆるインターナショナル採用の専門職員ということになりますと、世銀、世銀とIDAは一緒でございますが五千四十三人、そのうち日本人が百十二人ということで二・二%ということでございます。 では、より役職のランクの高い職員はどうなっているか。これは委員御指摘のインデックス化の基礎資料になるかと思うのでございますが、これは局長級以上ということにしますと、先ほどの五千強の人間が全体で三百十一人ということになります。これが局長以上の人数でございまして、このうち日本人が九人でシェアは二・九%、若干全体よりは上がります。ただ、課長級ということになりますと、これが千六百人強おりますが、日本人は二十三人でシェアは一・四%に下がってしまうということでございまして、合計して全体で二・二%ということでございます。 御指摘のように、こうした問題はキム総裁も含めまして世銀グループ全体の問題意識として強く持っているわけでございまして、世界銀行では二〇一〇年からほぼ毎年、日本人だけを対象にした採用ミッションというのを派遣しております。その結果、二〇一〇年には十二名、二〇一一年には六名、二〇一三年には現在のうち六名の採用が決まったところでございます。ただ、残念ながら、二〇一三年の六名のうち一名の方は御辞退されましたので、実際は五名ということでございます。この取組は日本だけに行われております非常に特別な採用プロセスでございまして、これを引き続き本年も続けていきたいというふうに考えております。 また、そのほかにも、これは幾つかの国、ドイツ等十か国等も同様の仕組みを持っておりますが、リプレゼンテーションの低い国々が共通の採用支援プログラムというものを持ちまして、三十二歳以下それから三十二歳以上のキャリアの人々の採用を進めておりますが、例えば私どもの国ですと、二〇〇九年以降毎年四名から五名の採用を続けております。こうした活動も地道に続けていきたいと考えております。 取りあえず、私どもとしては、日々のリクルートメント等におきましても様々なジョブのオファーが空席に対しては出ますので、それを私どものニューズレター等で御紹介したり、あるいは既に世界銀行に採用されている日本人職員が日本に仕事や休暇で寄った際には、コーヒーアワーと称しまして、彼らをスピーカーとして、世界銀行グループに職を得ることに興味を持っている皆さんに集まっていただいて体験談を聞いていただくといったようなこともしております。 引き続き、また様々な努力を続けていきたいと考えております。 取りあえず、以上でございます。
○大久保勉君 最後になりますが、採用に関しては評価しておりますが、採用した人をいかに引き止めるか、リテンション、そしてメンター制度、こういったことが必要であります。特に、課長クラス等を含めてしっかりと採用、またリテンションできるようなことを考えていただけたらと思います。 終わります。
○委員長(岸宏一君) 大久保君の質問は終わりました。 平木大作君。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 まず、参考人の皆様、本日は開発援助の新たな潮流ということで、貴重なお話をお聞かせいただきまして、大変にありがとうございました。 まず最初に、大橋参考人にお伺いをしたいと思います。 今日の御講演の中では主に防災、減災というところに重点を置いてお話をいただいたわけでありますけれども、以前の論考の中では、いわゆる防災、減災の後、実際に発災してしまった後の支援について双方向の支援活動というのが非常に大事なんだという御指摘をされておりました。これ、通常、援助というと日本から途上国に対してという一方向性がこれまで主だったわけでありますけれども、そうでなくて、実際に日本に向けて今度は世界各国から援助していただく、その実際の実践の場が東日本大震災であったというふうに理解をしております。 そうする中で、この東日本大震災の現場において、政府とNGOの連携がなかなかスムーズにいかないところもあった、反省点もあったと、例えば初期の救援スキームにおいてNGOがもっと関わるですとか、そういったこともできたんじゃないかというふうに御指摘をされておりました。 こういういわゆる大変貴重な経験あるいは知見が積まれたわけでありますけれども、実際にこの知見、経験、このCSOの中にはどうやって蓄積をされているのか。また、結局、こういったものというのは発災してから何か関係性を築こうと思ってもなかなか難しい。政府との連携というのは日頃のうちから当然つくっておかなければいけないと思いますけれども、ここについて、今現在、実際にこのCSOと政府との間、連携というのはできているのか、あるいは、もし政府に対して注文のようなもの、そういったものがあれば是非お聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(大橋正明君) 平木先生、御質問ありがとうございます。 私は、国際協力というものは、一方的に援助する、そして一方的にされるというものではなくて、やはり困ったときはお互いに助け合う、それがあるがゆえに、三・一一の後も世界中の方々、私が特に深く関わっているバングラデシュからも、私たちのレベルでの貧しい村人からの支援というのもあったわけで、そういうものをやっぱり大事にしていくということが極めて大事なんだろうと思います。 しかし、国際的な目で見ると、日本政府というのは、日本の援助の仕方というのは、普通、外国人のあるいは外国のNGOは余り歓迎しない、入れないという立場になります。もちろん、現場で外国の団体さんが来て通訳の問題とか施設の問題で困るということは分かるんですけれども、何となく閉じたというイメージを持たれるのは余りいいことではなく、適切にそういう受け入れるシステムというのもつくっていただきたいなというふうに思っております。 また、発災直後には、今、平木先生御指摘のように、ああ、NGOさんね、それはボランティアでしょうという形で、ボランティアさんというのは御存じのとおり、ある程度状況が落ち着いた段階で人手、人海戦術でいろいろ被災者の方を個別に支援していくというシステムなわけですが、NGOの中には、もう非常に能力を高めておりまして、発災直後から現場にいろんな形でそれなりの物資を持って駆け付けたりする人たちも多くございます。 もちろん警察や消防といった専門家には及ばないわけですけれども、その直後からそういうものをサポートしていくという体制になっておりますので、例えば三・一一の直後には高速道路なんかの使用許可を私たちにはほとんどいただけなかったという問題がありまして、何人かのここにいらっしゃる先生方にも多分お電話してお願いしたようなことがあると思いますけれども、そういうことを、いわゆるボランティアも大事にしたいし、いろんなレベルで活躍するNGO、CSOがございますので、そこをきめ細かく認識をしていただいて一緒に効果的に動かしていただきたいというふうに思っております。是非、私どものセクターをボランティアという形で一まとめにしないで、具体的にどういうものがあるかということを見ていただきたいというふうに思っております。 その話合いというのは、いわゆるNPOを中心に、あるいはJPFなんかを中心に話合いが続いておりますし、私たちの方もその一翼を担って話合いを続けております。もっと地方自治体と特定のNGO、NPOがふだんから関連性を持ち、もちろん中央政府の方もそのことを認識をしていただいて、今度、まあ起きてはほしくないですが、今度起きた場合にも前よりは多分効果的にできるということを、まだ十分できておりません、そのための、何となく一回喉元過ぎちゃったところがあるので急いでやらなくちゃいけないと思っておりますが、そのことの重要性は極めて高く認識をしているつもりでございます。
○平木大作君 ありがとうございます。 時間の関係がありますので、続きまして佐藤参考人にお伺いしたいと思います。 お話の中で、やはり官民の連携といったものが大事であると、特に途上国におけますBOPビジネス、こことの関わり方、連携の仕方、ここが大事であるというお話をいただきまして、従来の例えばODAですとかそういったものも、いわゆる建設業、あるいは大企業との連携といったもの自体はあったわけでありますけれども、特にこのお話の中で、やはり中小企業の海外進出、ここと結び付けてお話をいただいたのは大変新鮮な視点であったなというふうに思っております。 お話の中で、BOPビジネスには結局一つの大きな誤解、思い込みがあるんだという話を論考の中でもされておりました。結局、このペナルティーを解消しさえすればしっかり潜在ニーズというのは出てくるんだと、しっかり払ってくれる、また、そのためには働きかける企業の側にもイノベーションが必要なんだ、工夫が必要なんだという御指摘をいただいておりました。 実は、私、以前、経営コンサルタントとして仕事をしておりましたけれども、最後に手掛けた仕事というのは基本的に日本企業の新興国展開、海外での新規事業の立ち上げでございまして、インドですとかインドネシア、現地に入り込んでいろいろ調査を私もさせていただきました。そうする中で、例えば小売店一つ取っても、メントス、一束で売っているんではなくて、小さな一粒単位、五円ぐらいで売っていたりですとか、現地に入ってみないとなかなか見えてこない生活の実態、そういったものをつかまないと、これはやはり効果的な援助にもつながりませんし、またビジネスにもつながっていかないと、こういう大事な御指摘であったんじゃないかと思います。 一方で、このBOP層の生活の実態の調査、ここを知るというのが実は中小企業にとっては大変大きなハードルになるんじゃないかというふうにも考えています。私は、主にコンサルタントとして大企業のためにはこういった市場調査していまして、例えば、インドでオートリキシャの運転手さんの家に実際に上がり込んで、冷蔵庫、どんなものを使っているのか、何が入っているのか、そういったものを見せていただきながら、大企業のためには仕事をさせていただきました。しかし、これ中小企業でやろうと思うとなかなかできない。こういったいわゆる一番最初のステップ、BOP層の生活実態の調査について、これ具体的にどういうふうにやっていくといいとお考えなのか、アドバイスをいただけたらと思います。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございます。 実は、BOP層の生活実態をどのようにして知るのかということについてはJICAもジェトロもいろいろ試行錯誤しておりまして、ジェトロは中小企業の皆さんをお連れするミッションというのを企画しております。これも、ふだんであれば中小企業の方ではなかなかアクセスができない民間のマーケットに行ってみたりとか、あるいは彼らにとってはライバル企業に当たるようなところを見せてもらったりということがあります。 しかしながら、これ蓄積されておりませんが、一つには、日本人の研究者で途上国のことを研究している人は結構いるんですね。ただ、それは必ずしもビジネスには直結しませんが、そうしたデータベースを集めてきてビジネス向けにそうしたデータを整えていくということは、ある程度お金と人があればできると思います。ですので、これも恐らくはODAのお金でできるのではないかと思いますが、どこがやるかは別として、そうした情報を国民あるいは中小企業に向けてプールし、それを整理するという活動は予算さえ付けばできるのではないかと思います。 それから、そういう意思のある中小企業の方々が現地に赴く際の補助金ですね、そういったものは、中小企業支援としてもあるいはODAとしても、特に現地でのカウンターパートを見付けさえすれば、現地の産業育成にもなりますので利用可能ではないかというふうに考えております。
○平木大作君 最後に、塚越参考人にもお伺いしたいと思います。 お話の中で、やはり民間セクターをどう取り込んでいくのかというところを一つ視点として御提示いただいたというふうに思っております。ここについて、その民間への支援については、例えば世界銀行として貸付けをする場合もあるけれども、それよりも規制緩和を通じて民間企業を育成する取組を支援するような政策アドバイス、こういったものも大事なんだというお話を論考の中でされておりました。 ここについてお伺いしたいんですけれども、どうしても世界銀行といいますと、かつてのいわゆる構造調整融資ですとか構造調整計画、こういったものでどうも賛否両論あったというふうに記憶をしております。こういう過去の経験を踏まえて、実際、今後、この政策アドバイスを世界銀行としてやっていく、あるいは公的な開発援助としてやっていく上で、特に現地のニーズをしっかり拾うために必要なこと、この過去の経験を踏まえた上で何か御意見いただけたら頂戴いたしたいと思います。
○参考人(塚越保祐君) 御質問いただきましたように、一九九〇年代、二〇〇〇年代、構造調整融資といったような形で資金を展開したりとか、世界銀行ですとかIMFは、委員御存じのように、ワシントン・コンセンサスというような形で市場主義経済を押し付けたと様々な御批判をいただいたわけでございますが、この十数年間、世界銀行は何を展開したかと申しますと、非常に地域それから各国のオフィスを強化いたしまして現地政府とのパートナーシップを組む、それぞれの需要を酌み取って援助を展開するということをやってまいりました。 さらに、この後、ジム・キム総裁になってからは、世界中の知的な蓄積を我々は活用しながらグローバルに展開していくという方向になっているわけでございますが、その際、一つの認識が、先ほどちょっと申しましたが、プライベートセクターをどういうふうに活性化していくと、雇用の九割はプライベートセクターが生んでいるというこの事実を踏まえてどう対応していくかという問題の展開になっております。 その際、今やっておりますのは、冒頭で少し詳しく世界銀行グループとはということを述べさせていただきましたが、まさに世界銀行、国際復興開発銀行それからIDA、この二つに加えて、IFC、民間に対して直接投融資を行っている組織、それから民間が投資をした際に政治リスク等をカバーするMIGAと、この二つを一つのグループとして戦略を展開し、今それを組織の中で一体化させる活動をしております。これを組織的にも統合しまして、それぞれの国に合った、それぞれの国が必要とする戦略をきめ細かくいろいろな資金のチャンネルで支援していくということを今一つ目指しているわけでございます。 同時に、プレゼンテーションの中で申しましたように、世界銀行の強みというのは、その国に働きかけてその国の行政と制度を強化すると、中央政府が強くても地方政府が弱い場合はそれを強化していく、さらには司法制度が整っていない場合はそれを強化していく、そういったような活動をしておりますので、それもまた一体化させて民間セクター全体の環境を支援していく、投資の環境全体を支援していくという活動に今後大きく展開していくというふうに考えております。
○平木大作君 私の質問は以上です。 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 平木君の質問は終わりました。 山田太郎君。
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。よろしくお願いします。 実は、私も平木議員と一緒で、国会議員になる前、直前は、日本の技術系の会社を東南アジアとか新興国に連れていく、展開するという仕事をしておりまして、まさに一番困っていたのは、現地での情報集め、このいわゆる資金を誰が出すのかと。もちろん売れる市場が出てくれば、当然、これはリスクを取って商売人ですから経営者がやるべきなんですけれども、その前の基本的な情報というのはなかなか集まらない。ジェトロさんも一生懸命やっていただくんですけれども、やっぱり技術の中身までは分からないので、なかなか情報源というのは難しかったので、ちょっとこれは是非取り組んでいきたいと思っていますので、特に佐藤参考人の方のアイデアは一つ参考になりますので、いろいろと今後ともよろしくお願いします。 さて、佐藤参考人にもう一つお話というか、お伺いしたいのは、先ほど円借款の問題でアンタイド、タイドの問題がございました。 確かに、実は先般行われたこの委員会での話でも私は同じような質問をさせていただいたんですが、民間の資金をやっぱり取り込んでいかないとならぬと、又は民間の投資がその地域の開発に非常に有効なのだと、そういうことをお伺いしましたが、ただ、そうなってくると、今のような例えば円借款部分はアンタイドであると、もしかしたら返ってこないのではないかと。実際には、御案内のとおり、これも前回の委員会で私、御指摘しましたが、円借款でも九千億円ぐらいのお金が今焦げ付いているというような話もありまして、そうなったときに本当に民間を取り込めるのかなと。 そうなってくると、円借款であったとしても、もちろんこのODAの趣旨というのはよく分かりますけれども、タイド、アンタイドという考え方を少し見直すべきなのかどうか、いや、そうではないのか、ちょっとその辺りも整理していきたいと思っておりまして、まず佐藤参考人にはその辺りの話をもうちょっと突っ込んでいただきたいと思います。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございます。円借款は余り専門ではございませんが、思うところを述べさせていただきます。 まず、タイド、アンタイドの問題と、それから借款自体をグラント化するべきかという議論が二つあると思います。 従来、日本の援助というのは借款であり、かつタイドであった部分がありました。この借款の部分は基本的にはグラント化するのが正しいということでこれまでずっとやってきたわけですが、ここに来て中国が借款を出してきていると。しかも、日本が借款を出してきた背景には自助努力の涵養という精神があったわけですが、この部分の理論武装が十分にできていなかったがために、OECDの場でこの借款についての主張をできなかったという部分があると思うんですね。ですので、まず借款の有用性についてきちんと言っていく、第一点だと思います。これは、単に先生方だけではなく学界の方も、私どものような研究者の方も借款の有意性についてきちんと理論武装する必要があると思います。 その上で、タイド、アンタイドですけれども、特に持続性を考えた場合、日本の援助で、特に無償で行ったものになんですけれども、後々のメンテナンスは極めてタイドで行ったものがいいんですね。これはもう明らかですので、そうしたことをきちんと実証付けて、タイドの良さというものについてもきちんと言っていくべきだと思います。 ただし、これはタイドでもいいんだというときに、日本企業だけのタイドでは多分駄目で、恐らくは日本企業と中国企業、あるいは現地企業、韓国企業、そういったところを取り込んでいかなければいけないと思いますが、何らかの形で日本企業に、きちんと日本の経済に跳ね返っていくような形の理論武装というのもこれからできるのではないかと。特に、これは開発経済の分野ですけれども、私どももやっていきたいというふうに考えております。
○山田太郎君 ありがとうございます。 次は、塚越参考人にお伺いしたいと思っております。 今国会でIDAの三千三百億円の追加拠出に関してちょうど審議している最中でございます。巨額のお金、もちろん、今日お伺いして、なるほど現地へのメリットというんですか、世銀さんのやられている内容については理解をさせていただきましたが、ただ、やっぱり最終的には国民の血税でございます。 そういった意味では、今度逆に、世銀を通じたODA、顔が逆に見えにくいということで分かりにくさもあると思うんですね。特に日本側に対して、日本の国民に対してどう役に立っていると言うと語弊あるのかもしれませんが、是非メッセージをいただけるとより国民の方が理解が深まるのではないかというふうに思っておりまして、世銀さん又はIDA等を含めたこういった拠出がどうやって最終的に日本の利益につながっているのかという辺りを整理して一度お話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(塚越保祐君) IDAにつきましては、本年二〇一四年から三年間の活動の財源を賄うために実施いたします第十七次増資ということにおきまして、日本の重視する施策が世界銀行の施策に大きく反映されたことを御評価いただきまして今国会に所要の法案が提出されているところでございまして、誠に有り難いことだと思っております。また引き続き御支援をいただきたいと思っております。 IDAの場合も、基本的には、例えばクライメートチェンジと防災といったような形で日本が大変重視していただいている施策がプライオリティーとして入っております。あるいはまた、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジといったような施策です。これが日本と共同で展開をされていくわけで、昨年、キム総裁が日本に参りましたときもいろいろな日本の関係者の方とお話しして、世界銀行と日本のJICA等が一緒に例えばアフリカのプロジェクトに出ていくと、お互いに知見を出し合いながら、アフリカのプロジェクト、例えば防災のプロジェクト等を展開していくということを話し合っております。 今後もよくダイアローグを続けながら、今、世界銀行では、再来週にまたTICADのフォローアップ会議の際に関係者が入りまして日本の関係者の皆さんとよくお話しすると同時に、今回初めてなんですが、日本の企業の皆様とお話しする機会を設けまして、また日本の企業の側の皆様のお考えもよく聞きながら今後協調を展開していきたいと考えておりまして、こういった考えで協調の関係、会話を続けながら政策を適切に運営していきたいというふうに考えているところでございます。
○山田太郎君 最後、質問させていただきますが、ちょっとこれ適任の方どなたか分からないですが、関連としてはもしかしたら大橋参考人になるかもしれませんが、防災に関しての援助ということで、ODAの位置付け、なるほどというふうに思ったんですが、実は私、先ほど技術を海外に持っていくというふうに言っていたんですけれども、実は中小企業で一番当時多かったのは環境関係の技術なんですね。いわゆる、防災もそうですが、環境技術というものももう一つ、我が国、重要なというかアドバンテージを持っている、特に中小企業が資するところは非常に大きいのかなというふうに思っています。 その辺りの動きに関して、是非、何か防災並みに国際会議として日本がイニシアチブを取れないものかなと、こういうふうに思っておりまして、是非その辺りのお話を伺える参考人の方がいらっしゃいましたらば、佐藤参考人の方が大きくうなずいておられるのであれば、佐藤先生、お願いしたいと思うんですけれども。じゃ、佐藤参考人、お願いします。
○参考人(佐藤寛君) 済みません、これも得意ではないんですが、環境技術に関しては、特に環境リサイクルの部分とそれから環境保全の部分がございますが、環境リサイクルの部分についてはやはり日本の技術は非常に優れておりまして、これを、まだ調査の段階なんですけれども、私どもアジア経済研究所ではアジアにおけるリサイクルの作業の実態を調査しております。その中から様々なビジネスのチャンスもあるかと思います。環境保全等については、これは一般論でございますけれども、経産省の取組があると思いますが、これはジェトロの方で環境機械産業部というところがございますが、そこで特に注力してやっているところでございます。
○山田太郎君 以上でございます。 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 山田君の質問は終わりました。 田村智子さん。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。本日はありがとうございます。 まず、大橋参考人にお聞きをいたします。 私も昨年九月のODA調査団の中に一員として入れていただきまして、インドネシアなど東南アジアの国々を視察をしてまいりました。その中で、インドネシアのジャワ島の火山噴火による、そこから町を復興するための砂防ダムの地元、その現場を視察をしてきたわけですけれども、そのときに大変印象に残りましたのは、もちろん日本の様々な砂防技術というのを生かしてのODAの事業であったけれども、そこのインドネシアでの砂防の技術が、逆に日本の雲仙・普賢岳などの火砕流被害、これを防ぐため、あるいはそこの対策を行うための技術に逆に生かされたんだ、技術の還流があるんだというお話をお聞きいたしまして、大変これは勉強になりました。先ほども、支援するだけ、あるいはこれは、何というんですか、ボランティアだというような位置付けではなく、より専門的にやはり日本に取り入れる技術がODAの中から災害の問題ではたくさんあるのではないだろうかと。 大橋参考人の御意見を、あるいは御経験をお聞きしたいのと、あわせて、やはり自然災害、近年の気候変動のこともあり、やはり特にアジア地域での気象データをそうした災害のODA活動の中で日本としても蓄積をしていく、そういう研究データを交流をしていく、あるいは、火山であるとか地震であるとかのメカニズムを探るという点でも、このアジア一帯の、太平洋を環流するこの一帯のそうしたデータ蓄積などがODA事業を通じても行われていくことが非常に重要ではないかと思うのですが、そこの御意見をお聞かせください。
○参考人(大橋正明君) 御質問ありがとうございます。 ODAが具体的に全部どうしているかということを私は必ずしも承知しているわけではありませんが、今先生御指摘なさってくださったように、防災というものはやっぱりそれぞれのローカルな知識というものが実は極めて有効で、それを結構、先ほども申し上げましたけれども、見落としがちなわけですね。 例えば、インドやバングラデシュは洪水が多いところですが、支援物資が来ないという間にどうしたらいいかといったら、やっぱりヤシの木の実というのは一番いい水筒になるわけでありまして、もちろん洪水のときにそこにつかまることもできるし、その実は水筒にもなる。それから、土の中に、例えばつぼの中に食べ物や水を入れてきちっと油紙やビニールで蓋をして何十センチか下に埋めておけば、これは水が引いた後、取り出せばまたすぐ使えるというようなことがあります。もちろん、家々が高床式であるということも、そういう意味での一つの暮らしの知恵であるわけです。 それがそのまま日本に持ってこれるかどうかというわけではなく、それはまたいろんな形でアレンジされなくちゃいけないし、ということはあると思いますが、とにかく、向こうの人たちが、何といいますか、私たちはしばしば、全く無知で災害の前になすすべがない人たちだという視点で見ることはやめないといけない。彼らの持っているその知恵というものを私たちが持っている知恵、更に技術というものと合わせてどうしていけるかという視点で物を考えないと、やはり援助というものは、皆さんに申し上げるのもなんですが、私たちの側を偉いものにして相手側を無視してしまう、そういう環境をつくり出してしまいますので、そういう視点。特に、コミュニティーが何をするかということについては極めて重要な役割。例えば、イスラム教の教会といいますか、モスジットなんかがどういう役割を果たせるのか、そういうところに、じゃ異教徒の人たちが入っていって避難行動が取れるのかと、そういう視点で物を考えていかないといけない。日本でもお寺さんなんかは大きな役割を果たしていますけれども、そういう視点で見ることが必要なんじゃないかと思います。これが第一点。 第二点目は、ODAでもアジアの各国の災害対策を共通して支え合うというような組織も日本政府も拠出してつくっておりますので、それが十分かどうかと言われると私はちょっと判断はできかねますけれども、ただ、もうちょっとこういう草の根のことを聞いてほしいとは思っておりますけれども、そういうものも一生懸命動いていることだけは承知しております。
○田村智子君 続いて、塚越参考人にお聞きをしたいんですけれども、私、やはり新しいODAの方向ということでは、この間、アフリカ会議が日本で行われて、そしてこれからは援助から投資へということが安倍内閣の一つのスローガンにもなってということで、アフリカに対する投資というのに一つ大きくかじを切っていくのかなということを本会議での演説なども聞いていて感じるところなんです。 そこで、私も、様々なアフリカの情報の中でどうしても気になっているのはモザンビークのプロサバンナの計画で、先ほどJICAと世銀が一緒にアフリカに対する様々な事業をこれから展開していくというお話もあったので、なおのことお聞きをしたいんですけれども、モザンビークの政府としては積極的だからこそのスタートだとは思うのですが、現地の実際にその対象となる地域では、農民の皆さんが土地収奪につながるということで大変な反対をされていて、横浜で開かれたアフリカの会議では、その農民の代表が農民連合の手紙も持って、どうか見直しをと日本政府に求めてくると。こういう事情の中でどう考えたらいいのか。 やはり、政府としてはこの方向と、しかし現地の地域の住民はその政府に対しての反対の意見を持っている、これは日本の中でも様々に起こり得る問題で、そのときに、確かに政府間の交渉によってODAが組まれていく、それだけでいいんだろうかと。その地域の住民の皆さんのその意見というのは、もちろん内政の問題でもありますので主にはモザンビーク政府に対してそれがどう問われるかということになるとは思うんですが、しかし、それを無視した形で日本のODAが進んでいきますと、これはやはり国際的な問題にもなり得ることではないだろうかと。 このアフリカには世銀の皆さんも一つの焦点を置いていると思いますので、このプロサバンナのことについて何か御見解をお聞きできればと思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(塚越保祐君) 私、世界銀行を代表しておりまして、日本国の行われていますバイラテラルな援助について個別のコメントをすることは難しいということをまず委員御理解いただけたらと思うところでございます。 一般論として世界銀行の行っているプロジェクトはどういうふうに行われているかというふうに申しますと、先ほどちょっと触れさせていただきましたが、やはり環境ガイドラインですとかその他の環境には十分な配慮をいたしまして、それでも十分調査の上更に疑義があるときは、それを処理をするシステムを導入しております。 私、日本国においても同様の対応をされているというふうに考えておりますが、やはり開発した場合には利害の異なる方がいらっしゃる、それをどういうふうに調整していくかと。必要なのは、やはり住民の方も含めて関係者が十分に納得して開発を進めていく、そのことが長期的にはサステーナブルな、持続可能なプロジェクトにつながっていくということが私ども世界銀行グループとしては考えるところでございます。 それで、先ほどの御質問にもお答えしたんですが、環境セーフガードあるいは汚職のガイドラインといったものをきっちりと整備いたしまして、メンバー国がそれをきっちりと守りながら対応していくと、それは当該国も同様でございまして、そういう対応を今後やっていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 答えにくい質問で済みません。 やはり、政府間の話合いの中で決まることを、その実際の利害の異なる立場の人をどう捉えるかというのはこれ非常に重要な問題になると思いますので、私たちもこれから深めていきたいと思います。 最後に、佐藤参考人にお聞きをしたいんですけれども、BOPビジネスというのを私、初めて聞きまして、ああ、こういうODAの形というのも新たに来るのかというふうに勉強になったんですけれども、やはり公衆衛生の面とかあるいは生活の質の向上という点で非常に求められるビジネスだから日本の中小企業も中に参入ができる、それは非常に取っかかりとしてよく分かります。同時に、それだけ、公衆衛生とか生活の質の向上ということになってくると、やはりその現地の産業がそれに応えるという形で発展をしていくことも必要になってくるだろうと。日本の中小企業が恐らくは輸出というような形で最初は参入するということになるんでしょうけれども、それが本当にその国の産業の向上につながっていくような発展の仕方ということを考えたときにどのような問題意識や御意見をお持ちかをお聞かせください。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございました。 確かに、BOPビジネスは、例えば日本における貧困ビジネスと同じように貧困層を食い物にするんじゃないかということはよく言われます。特に、消費財だけを売る場合にはそのことはあると思います。 しかしながら、消費財を売るにしても、じゃ、どこから持っていくかというと、日本から持っていくと高くなるわけですね。そうすると、場合によっては、東南アジアのような新興国で生産したものを持っていくという意味ではその新興国における輸出増につながりますし、さらには、簡単なものであれば現地で生産する。そこにおいてまさにパートナーが必要になってくるわけですけれども、これまでは単に代理店しか使っていないで販売していたんですけれども、これからのBOPビジネスというのは、現地のパートナーを発掘し、そして現地のパートナーとともに産業を育成していくというふうに、そういうふうに誘導していくべきだと思うんですが、ODAの資金はその誘導の部分にこそ使っていいと思うんですね。単なる中小企業支援であればただ行けばいいわけですけれども、それだけではなくて、ODAを使うのであれば、そこで誘導していき、現地の産業に根付かせるというふうに持っていくことはできるんではないかと思っております。
○田村智子君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 田村智子さんの質問は終わりました。 アントニオ猪木君。
○アントニオ猪木君 元気ですか。挨拶で済みません。 最初に、大橋参考人にお伺いをいたします。 去年の九月二十四日にパキスタンで大地震がありまして、大変な被害が出て、一週間後に我々はみんなと物資を送ろうということでパキスタンに入りました。しかし、国境なき医師団も入れないという大変危険な状況で、それは諦めて帰ってまいりましたが。私とパキスタンの関係は非常に古くて、モハメド・アリと一九七六年に戦ったときに、その後、最初に挑戦してきたのがパキスタンの英雄でありますアクラム・ペールワンという、本当に殺し合いの試合になってしまいましたが、それ以来、四十年来の交流を続けております。 パキスタンは、災害もさることながら、タリバンという本当にいろんなレッドゾーン、そしてオレンジ、イエローと分かれていまして、なかなか一般人が入りにくいところです。そんな中で、二〇一二年ですね、おととし、私どもの一行がちょうど国交六十周年ということでイベントを組みまして、ラホールとペシャワールで興行をやろうと。大使館から大反対が起きまして、ラホールはいいけどペシャワールは困るということで、そういう場合特に燃えるものですから、危ないから行くぞということで興行を実行いたしました。 しかしながら、びっくりしたことに、興行の前後、本当に装甲車も付いて護衛をしてくれたんですが、全くテロ行為が起きなかったという、ワシントン・ポスト紙も一面を大きく割いてくれて、なぜかという。多分、湾岸戦争の折もありますが、日本人という非常に対アメリカじゃない好感度というか、もう一つは、私がモハメド・フセインという名前を持っていますので、そんな仲間として受け入れてもらったのかなと思います。 したがって、このような最も今一番支援を必要とする地域がなかなか物資が届かないという状況にあります。JICAの職員、青年協力隊の人などの命を預かっており、そういう方が、まずは命という守らなきゃいけない基本がありますが、こういうところでこの方たちがもうちょっと使命を果たせるような何か方法はないのかなということ。 そこで、南アジアの活動が多いと聞いております大橋参考人に伺います。そのような紛争地域で真に援助が必要な災害弱者を守っていくために今後日本としてどのような取組が必要か、質問いたします。
○参考人(大橋正明君) 御質問ありがとうございます。 私も実はヒンディー語、ウルドゥー語をかじっておりまして、パキスタンに対しては非常に親近感を抱いているところであります。猪木議員におかれましては、現地に入っていただいたりということをお聞き及びしておりまして、大変心強く思っております。 この紛争地域なり危険地域への日本人の立入りについて、これは一般的に大使館がそういう情報を出してくるわけですが、大使館の情報がすごく適切な場合と必ずしもそうでない場合があって、そのことによって、私どもの活動、特に日本政府からの資金をいただいている場合に非常にそれが左右されてしまうというのは、ちょっとつらいものを感じております。 今、このための話合いを外務省とも一部している最中だと思いますが、私どもは、やっぱり民間といいますか、NGOセクターというのは政府と違うことに意味があるわけでありまして、例えば協力隊員というのはやはりODAの一部ですからその中に入らざるを得ない、そういう安全基準に入らざるを得ないと思うんですが、雇用形態、法人形態が違うところまでお金が出ているからといって同じように求められてしまうと、私ども、命が惜しくないと言っているわけではなくて、私たちなりに独自の基準なり、あるいは現地の人々と同様な基準で日本政府とは必ずしも一緒でないものに動く、これをどこまで認めていただくかという細かい話合い、前よりは話合いに応じていただいておりますので良くなっていくのではないかと思っております。そうでないと、やはり日本というのは一つではなくて多面性があるんだということを示していかなくてはいけないんだろう。しかし、安全管理というのはもちろんそのようにきちっと自己責任でやっていかなくちゃいけないということはよく分かっておるつもりであります。 もう一つは、やはり、ですからこそ現地のNGOやCSOとの関係というのが極めて重要なんだろうというふうに思っております。日本の政府は、私ども日本のNGOに対して約八十億円ぐらいの資金をいろんな形でいただいておりますが、現地のNGOに在外公館を通じて百億円弱ぐらいのお金も出しております。私どもは、もっと全額を、もっと規模としてですね、ODAの中でのNGOに渡す額というのは日本はやっぱり欧米なんかに比べると極めて少ない割合ですので、これを何倍かにしていただきたい。 やはり現地のNGOのことは私たちの方が非常に親しく関係を持っておりますから、NGOから現地のNGOというパートナーシップを強化する形で、それはその中に外務省の方が入っていただくのは構わないんですけれども、それの主流の流れというのをそういう形にしていただかないと、やっぱり今議員がおっしゃったように、なかなか外部から入れなくても現地の人たちは必ず動いているわけですから、そこを外からでも支援していく、信頼できるパートナーというものを築き上げるような、そういうために私どものところを通じてのNGOセクター、世界中のNGOセクターに日本政府から流れる流れというものを強化していただきたいというふうには思っております。
○アントニオ猪木君 佐藤参考人にお伺いいたします。 世界人口が今、五〇年には九十六億あるいは百億と言われている。ちょうどハスの池に例えると何万年掛かって一輪が二輪、四輪になって半分に池が埋まった、今その状況かもしれませんね。あと五年なのか十年なのか、そういう人口増加の問題が環境問題、あるいは今の大気汚染の問題、水の問題、全部に関わってくると思いますが、そこで、日本の優れた農業技術を、前回にもお話がありましたが、その土地に合わせた農業技術でないとなかなか難しい。私も十四歳でブラジルに移民をいたしましたので、コーヒー、それから綿、落花生、いろんなものを作らせてもらいました。そんな中で、その土地に合った農業というのは非常に大事だと思います。 その中で、リサイクルというか、昔、かつてブラジルで、今、パキスタンの方でも大変興味を持ってくれて、サトウキビ、あるいは稲わら、麦わら、全てを家畜の餌にしていくという、あるいは堆肥を作るという、日本が本来持っているそういう技術をこれからもっと普及していこうと私は思っているんですが、先ほどのODAの関係も含めまして、そういう食料問題についてどういうお考えがあるか、ちょっとお聞かせください。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございます。 私、これ農業も専門ではございませんが、日本の農業分野の技術は、特に技術協力において、実際に日本の専門家が行き、そしてその現地の人々と一緒に作業をするというところに特質がございます。国際機関等のものですと、現地のコンサルタントに委託して仕様どおりにやっていただくと、そういう形なんですが、日本の援助はその分コストが高いというふうに批判されております。特に、アフリカで今、米の増産等をやっておりますけれども、この評価の仕方について国際基準では効率が悪いというふうに言われがちです、生産量がなかなか伸びないと。 しかしながら、その現地で実際にやることによって現地の人々に自立の力が付くとか、あるいはその援助が終わった後も現地の人たちが自分たちでビジネス化できるというようなこともございますので、もちろん大きくは食料増産が必要なことは間違いありませんが、日本には日本の特質がございますので、そういうハンズオンと申しましょうか、現場で日本人の専門家が汗をかくというタイプの援助を守っていくことが、ひいては日本の援助はこうなんだという特質を出すためにも有効ではないかというふうに考えているところでございます。
○アントニオ猪木君 終わります。
○委員長(岸宏一君) 猪木君の質問は終わりました。 柴田巧君。
○柴田巧君 結いの党の柴田巧です。新しい会派ができて初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いをします。 そしてまた、今日は三人の参考人の方にはお忙しい中御出席をいただき、それぞれに貴重な御意見を頂戴をしましたことに私からも感謝を申し上げたいと思います。 御案内のように、この日本のODAも六十年という大きな節目を迎えて、先週もこういう参考人の質疑がございましたが、何を継続して何を変革していくかという視点、大変大事なことだと認識をしております。 後で時間があれば地方自治体のインフラ輸出のことなどもお聞きをできればと思いますが、インフラの単体としての輸出、整備ももちろん大事ですが、総合システムとしてどう輸出をしていくかということなど、運営管理とか、そしてその政策、制度構築支援ということへのシフト、これが非常に重要なことになってくると思っております。 そこで、塚越参考人にお聞きをまずしたいと思うんですが、先ほどのお答えの中で政府の質の向上の重要さに言及されたかと思いますし、司法制度のことについてもお触れになったと思っておりますが、日本の今取組の中で、アジア諸国などでの法整備支援というのが非常に私は重要なものだと思っております。 今回のベトナムの憲法の改正もそうですし、あるいはカンボジアの民法、それからミャンマーともこれからいろんな法整備支援を約束をしているわけで、こういうソフト的な支援の在り方は大変重要なことだと思っておりますが、それがいわゆるグッドガバナンスに、それぞれの国につながって、そのことが日本とのいろんな経済関係あるいは人の行き来の安全を図ったり、広い意味で日本にとっても安全保障上いろんな意味でメリットがあるとは思いますけれども、こういう法整備支援など、あるいは政府の質の向上について、世界銀行としては特に具体的にどういう取組が、もしあるとしたらどういう取組をやっておられるのか。また、こういうような法整備支援というのは非常に今申し上げたように重要だと思いますが、拡大に向けてどういう取組をしていったらいいか、御見解をお聞かせをいただければと思います。
○参考人(塚越保祐君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。 まさに、委員御指摘のとおり、私どもは、単にインフラが出ていく、あるいは民間資金をそこに呼び込んでいくというだけではなくて、その国のガバナンスを高める、政府の質の向上を高めるということを従来より大変重視しております。 基本的には、日本の民間の方とお話ししておりまして一つよく挙がりますのが、やっぱり投資環境の整備が不十分である、したがって私どもの資金が出ていきませんというお声が非常に強うございます。 その際、いろいろな意味での整備が整っていないということだと思うんですが、一つは例えばセキュリティー、治安の問題をおっしゃる方もいる。それから、投資で何かいさかいが生じた場合、それを法的に解決する手段が、法整備ができていないと。そういったことが具体的にいろいろ御要望をいただいておりまして、そういったことは日本の企業だけでなくていろいろなところから挙がっているわけで、それぞれの国に応じたそういったような対応を、先ほど申しましたように、世界銀行としては各国の実情に応じて各国のイニシアチブの下で進めていくということを行っております。 それから、大分古い例になりますが、例えば一九九七年、八年、アジアの金融危機があったわけでございますが、その際、一つ事例として私も記憶しておりますのは、インドネシアは例えば破産法がオランダ語でできていると。これは破産を処理するというのは大変重要なことでありまして、当時はたしかアジ銀が非常に力を入れていただいて破産法の整備を進めたと思っております。 そういったような形で、地域開発金融機関も様々な形で司法制度の整備あるいは政府体制の強化を行っておりますので、そういったものを今後我々も、いろいろ民間の方あるいは日本のODAに関与している方々の意見も聞きながら、それも何よりも増して現地の政府がどういうイニシアチブを取ってやっていくかを聞きながら対応していきたいと考えております。
○柴田巧君 どうもありがとうございました。 次に、これはお三方にそれぞれ御見解をお聞きをしたいと思いますが、今日もテーマが新たな援助の潮流と日本のODAの在り方という大きなテーマでございます。先ほども申し上げましたように、大きなこれからODAの在り方も変わっていく中で、またいろんな変化を踏まえていろんなことを改革もしていかなきゃならぬと思いますが、そのためにも、このODA外交等についての国民のやっぱり理解、支持というものがなければならないでしょうし、また、それを担っていく人材をどうこれから育成をしていくか、あるいはまた、その関係の、今日もいろいろ官民の連携あるいは新興国ドナーとの協調等々のお話、防災等もございましたが、それぞれの分野の研究支援といいますか、そういったことを含めて、ODAの広報そのものもさることながら、開発教育の支援であるとかあるいは人材の育成であるとか、それぞれの分野の研究支援、こういったものを今後どういうふうに日本はやっていけばいいか。 長年、それぞれの現場におられて、またいろんな経験もされてきたことだと思いますが、それらを踏まえて、それぞれ、限られた時間ですが、お考えをお聞かせいただければと思います。
○委員長(岸宏一君) 限られた時間でございますので、簡潔にひとつお願いをいたします。済みません。
○参考人(佐藤寛君) 簡潔に申します。 まず、人材ですが、日本にはまだ人材がいると思います。日本人はなかなか外に行かないと言っていますが、この分野には優秀な人たちが入ってきています。 欧米と違って日本にはキリスト教文化が共有されていません。それゆえに、欧米は国のODAと国民の考え方が一緒なんですが、日本はそれが一致していないので説明をする必要があります。しかしながら、この説明は、日本が戦後やってきたように、官民連携で東南アジアに輸出をし、インフラを造りとやってきたわけですね、投資もしている。これは実は今中国がやっていることなんですが、これは実は日本の国民はしっくりくる。これをきちんと理論武装して、欧米に向けても、こういう形のODAがあるのだということをやっていくことが大事ではないかと考えております。
○参考人(塚越保祐君) それでは、私は、国民の御理解を得られるにはどうしたらいいかという御質問中心にお答えさせていただきます。 実は二週間ほど前、先ほど申しました世界銀行と日本の防災リスクのハブの立ち上げのイベントをさせていただきました。その際お集まりいただいた方が、基本的には企業あるいは民間も含めまして防災に関心のある方であったということ。従来ですと、私どものセミナー等ですと、ODAですとか開発援助に興味のある方に来ていただくんですが、やはり防災のときは違った手応えを感じました。 一つは、やはり日本の問題が防災、防災は日本の問題であると。今後、開発援助、様々な分野がございまして、御指摘の政府の機能の強化といったものがあるわけですが、日本の問題として取り組んでいる方々が一緒になって開発の世界でも取り組んでいただくこと、そのための御理解を得られるよう私どもとしては努力していきたいというふうに考えております。
○参考人(大橋正明君) 御質問ありがとうございます。 ちょっと私、もう六十になっているんですけれども、青っちょろいことを申し上げるかも分かりませんが、やっぱり日本のODA、もっと僕は本格的に人道主義に立たないと日本の国益が大きく損なわれるという気が非常にしております。 短期的な、経済的な、あるいは日本の経済に対するリターンを考えていいんでしょうか。地球全体が非常に危機に向かっているときに、グローバルな利益、人道主義の立場に立って困っている人たちを助け上げていくというような、そういう立場に立った、中長期的な視野を持った理想的なODAを増やしていかないと、私、そこで働く人材も結果的には限られてきてしまうんじゃないかと思います。是非、理想主義を掲げて、それが全部になるか、なってほしいと思いますが、少なくとも半分ぐらいはそういう発想転換をしていただきたい。 NGOというのはまさにそのために先頭を走っていく団体であるというふうに思っておりますので、是非先生方には、日本の中長期の国益というものを実現するような人道主義に乗った世界、この辺はなかなかほかの新興国の援助ではできない部分でありまして、日本がまさに特徴を発揮できるところで、そこで張り合う、そうでないところで張り合ってみても多分どうしようもならないんだろうと私は思っております。 世銀さんなんかも、長く見ておりますとそういうふうに、だんだんそういうことを、前よりも社会正義のことをすごくおっしゃるようになって、もっと日本がそれを前で引っ張る必要があるんじゃないか。そのためのNGOというものを活用していっていただきたいと思っております。 外務省さんからはいろんな形で支援をいただいていますけれども、支援整備事業というのをいただいていますが、もっと研究開発とかに、いわゆる厚生省とか文部科学省には科研費というのがありますけれども、外務省的には科研費がないんですよね。だから、いろんなことでの研究というのはなかなかうまく進まないということがあります。もちろん、NGOの支援もこれ以上にやっていただきたいと思っております。 それから、その中には、どうしてかというと、開発教育というものを、NGOがかなり進めてきたものです。文部省的にはこれ国際理解教育になってしまって、世界の貧困、格差の問題を考える、そのための私たちの責務は何かという本来の開発教育が下手をするとODAを使うための宣伝になってしまうと、これはやっぱり、さっき言ったことと同じように、非常に限られた人材しか養成できなくなると。 是非、そういう発想転換をしていただきたいと思っております。
○柴田巧君 どうもありがとうございました。終わります。
○委員長(岸宏一君) 柴田君の質問は終わりました。 次に、又市征治君。
○又市征治君 社民党の又市です。 今日は、御三方、本当にお忙しい中、いろいろと御説明いただき、ありがとうございました。 大橋さんに初めにお伺いいたします、大変熱意を持って今お話がございましたので。長年のNGOの活動に携わられて、東日本大震災の被災地での御活躍も大変敬意を表したいと思います。 そこで、大橋さんは、そういう経験を通じて、「三・一一から一年 日本はどう変わったか」という、雑誌の「外交」の座談会で次のように述べておられますね。「できれば原発に関するODAをもう少し中立化する方向に踏み込んでほしい。具体的には、原子力発電のメンテナンスや技術協力だけでなく、そもそも原子力発電が必要なのかという議論を行う基盤づくりにODAが使われてもよいと思います。」云々と述べられているわけです。 私どもは、社民党は原発はもう元々反対でありますけれども、それ以前の問題として原発に関するやっぱり情報が広く周知徹底される必要があるということなんだと思うんですが、ここでおっしゃっている意味をもう少し補足をして御説明をいただく、ODAがこの原発問題についても基盤づくりに使ったらいいというお話の意味をもう少し御説明いただきたいと思います。
○参考人(大橋正明君) 御質問ありがとうございます。また、読んでいただいてありがとうございます。 私が、これは「外交」の雑誌での座談会でのことでございますが、申し上げたかったのは、ODAと原発というのは結び付けていただきたくないというのはJANICの公式な立場であります。これは、非常に微妙ないろいろな賛否があるものをやはりお金を持っている者が一方的にそれを引き寄せていくというか、押し付けていくというようなことは、現地にとって、人々にとって非常にある意味での不快感をもたらす可能性は十分あるだろうと思っております。 しかし、私自身の個人の立場はともかくとして、現地の人々がどのエネルギーを選ぶかは最終的には現地の人たちが決めることだと思っています。だけど、そのときに選ぶための情報というものを十分出さないと、シェアしないと現地の人々はやっぱり判断し切れないだろうと。バングラデシュ、それからパキスタン、インド、私は長く暮らしてきましたけど、彼らにとって原発というものは大きな爆弾で、敵を大いにやっつけてくれるいいものだという以上の認識はなかなか持ってもらえない。原子力発電も同じようなもので、バングラデシュも今二基建設が続いています。しかし、そのことを本当に人々がどこまでちゃんと理解し、リスクを管理するようになって理解した上で選択しているかというと、かなり危ういもの。先ほどのガバナンスの話を世界銀行さんが言っておられますけど、現地の人々は、あれはマフィアが活躍してお金をポケットに入れるためにあの大きなプロジェクトを組んだにすぎないといううわさが現地で流れています。新聞でも流れていますけれども。 そういうことじゃなく、本当に人々が必要とするなら、それはちゃんとリスクを管理した上で使えるという、そのためにどういう問題が例えば福島であったのか、どうして福島に立地が起きるのかというような、そういう問題も全て、単に技術的な協力じゃなくて、その以前にこういう問題もありますよ、それでもされるんですか、それは皆さんの御自由ですよというような情報提供や訓練、あるいはNGO的な立場で疑問を出すような、そういうものまでが支援されるのがやはり日本のODAとしての役割なんじゃないかということを申し上げたかった。そういう意味でのODAの中立化という言葉を使わせていただきました。
○又市征治君 そういう意味では、一国の総理が原発の輸出のトップセールスに歩くというのはよくないですね、これ。 そこで、塚越さんに次にお伺いをしたいと思うんですが、途上国支援の新たな段階とも言える新興国ドナー、新興援助供与国の役割が増大している状況については理解を当然誰もがするんですが、それに関連して幾つかお伺いしますが、事前に読まさせていただいた二〇一一年版ODA白書には、新興ドナーによる途上国に対する支援もこれまでの援助の在り方、方法に沿って行うことが途上国に過剰な負担を掛けることにつながるという御指摘がありました。具体的にどのような負担が途上国側に掛かっているのか、その点をまず一つはお伺いしたい。 それから、同白書では、民間資金との連携事例として、先ほど佐藤さんもお話しになったんですが、パキスタンにおけるポリオ撲滅キャンペーンにおける日本とビル・ゲイツ財団との協力が紹介をされております。そこで、ゲイツ財団が最終的にはパキスタン政府に代わって円借款の債務全額を支払うということですが、財政的な負担以外にゲイツ財団の役割があったとするならばどういうことなのか、二つ目にお聞かせをいただきたい。 また、民間企業との連携としましても、ラオスにおける株式会社ツムラの活動も紹介されておりますけれども、このツムラ以外にも多くの企業がアジアに進出をしています。企業だけの利益を追うというのではなくて、その国の国民生活の向上、経済発展に貢献することが企業には求められると思いますが、その他何か事例がありましたら簡潔にお知らせいただきたいと思います。
○参考人(塚越保祐君) ありがとうございます。 まず、新興国へ掛かる負担との御指摘ですが、恐らく御引用いただきましたのは、日本国の政府開発援助の白書の方かと思うのでございますが、そういったことを踏まえて一般論としてお答えいたしますが、私たち世界銀行としましては、先ほど少し触れたところでございますが、例えば環境のセーフガード、社会のセーフガード、これを百八十八の加盟国が共同のルールとして守っていくと。 かつて、また現在も、一部の国にとっては、例えば環境のセーフガードを守ることが非常に大きな負担になるといった議論もございました。ただ、私の感じではかなり理解が進んで、逆に、行政機構を整えなきゃいけない、あるいは法制度を整えなきゃいけないということであれば、先ほど申しましたように、私ども、そういった分野に大変力を入れて支援をしておりますので、あるいはキャパシティービルディングということで政府職員を教育する、あるいはテクニカルアシスタンスという形で技術を供与するという形で対応させていただいているところでございます。
○又市征治君 幾つかお聞きしたんですが、ビル・ゲイツのところの財団。
○参考人(塚越保祐君) 申し訳ございません、私の知見をちょっと超えておりまして。ただ、これも一点触れさせていただきますと、今、私どものパートナーと言っている、それからODAの資金全体でもいわゆる政府開発援助の額が全体でどんどん少なくなっております、それからIDAのお金もODA全体の中では少なくなっておりまして、その代わりにビル・ゲイツ財団とかそういったような民間の資金の比重が非常に高まっております。したがいまして、非常に密な協力関係を持ちまして、そういったところと一緒にプログラムを展開しているという状況でございます。
○又市征治君 それじゃ、最後に佐藤参考人にお伺いをいたしますが、BOPビジネスについて大変興味深く読まさせていただきました。 佐藤さんは、貧困層の特徴として一般的に言われるような金がないというのは事実に反していて、実はインフォーマルセクターからの収入があると述べられておりますね。一般的に年間三千ドル以下の人たちを低所得層あるいは貧困層と特徴付けていると思うんですが、佐藤さんがインフォーマルセクターからの収入と指摘される場合、それは三千ドル以外の所得を指しているのかどうか、またインフォーマルセクターからの収入というのは具体的にはどういうものを指されるのか、この点、ちょっと教えていただきたいと思います。 それから、フェアトレードにつきましても、私はこのフェアトレードの拡大が途上国における貧困層削減に非常に大きな意味があるというふうに思うんですけれども、現在のWTO体制そのものが途上国における貧困層を拡大をしてきたという側面もあると思うんですね。確かにドーハ開発ラウンドは途上国の現状に配慮する面があると思いますけれども、交渉は余り進んでいないように見られます。 そこで、佐藤さんの御意見をお伺いしたいんですが、WTOの途上国軽視の背景あるいは理由、どのようにお考えか、この点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございました。 まず前半ですが、三千ドルは公式統計ですので、この三千ドル以下に入っている人たちの間にも更に別の収入があると思います。どのような収入かといいますと、例えば青空市場で売り買いをしているものは統計に入っておりません。さらには、先ほどもちょっと申しましたけれども、子供、息子や娘が都市から送金しているものも多くの場合は入っておりません。ですので、三千ドル以下プラスアルファがあると思いますが、三千ドルと申しますのは一日八ドルになるんですね。MDGで言っているのは一日一・二五ドルが最貧層、それから二ドルが貧困層になっていますが、そこは恐らくBOPの外だと思うんですが、二ドルから八ドルの間、ここにたくさんの層がおりまして、そこがBOPでのターゲットだと思います。 二番目の点はフェアトレードですけれども、WTOの体制、実は私自身もWTOドーハ・ラウンドの研究をしておりまして、なぜWTOドーハ・ラウンドがうまくいかないのかというと、途上国の人たちがWTOにコミットするインセンティブがないんですね。WTOに入るためにはいろいろ規制緩和がありますけれども、その規制緩和をするためには国内でいろんな意見調整をしなければいけない。特に、成長セクターをサポートする援助はエード・フォー・トレードとしてやっていますが、成長セクターでなくなる産業、衰退産業が、もちろん貧困層はいるわけですが、この衰退産業の人たちをどうやって成長産業にシフトしていくのかという調整コスト、これは政治的にいってとても高いんですが、その部分は誰もやっていないんです。 ですから、私は、日本も含めて、ODAはこの調整コストの部分をサポートすることによってWTO体制も推進できるのではないかというふうに考えております。
○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 又市君の質問は終わりました。 浜田和幸君。
○浜田和幸君 新党改革と無所属の会、浜田和幸です。 昨日、私は地元の鳥取県におりまして、中国からのPM二・五、注意警報出ました。不要な外出は避けるように。北京とか重慶とか上海がPM二・五で大変な問題だということは皆さんよく御存じだと思うんですけれども、私の地元の鳥取県では、PM二・五が問題になる前は、黄砂の影響で国立公園大山、冬場の雪が白い雪じゃなくて黄色い雪が降るという、まさに環境問題、大変な中国から好まざるギフトをいただいているんですね。 それで、中国は経済成長がどんどん進展しまして、北京五輪のときから、もうODAは卒業だと、自分たちがアフリカや世界に援助するんだと、こういうことで動いてはいるんですが、やはり事環境問題になると、ころっと立場を変えて、いや、まだまだ我々は発展途上国だから日本からの技術や援助や資金が必要なんだということを言うんですね。 やはり日中間の様々な今の課題を考えたときに、政治問題を克服するためにも、どうやって日中関係が改善するか。やっぱり、中国が一番困っていること、あるいは中国が世界から懸念の材料になっている環境問題をどうやって力を合わせて克服するかということはとても大事だと思うんですね。 そこで、佐藤参考人、中国との間の環境技術を通じたODAの在り方というんでしょうか、この六月から経団連の会長が替わりますよね。東レの榊原会長、中国でも一万人以上を雇用して、中国の水や大気の浄化のビジネス、これはODAじゃなくて民間のビジネスとして大変手広くやっておられる。だから、そういう技術があるわけですから、それをどうやってODA、官民連携の中で日中関係の改善に役立てるような方策、可能性があるんじゃないかと思うんですが、そのことについては何か御示唆があればお願いします。
○参考人(佐藤寛君) 御質問ありがとうございます。 まず、環境問題については、私どもアジア経済研究所に何人か環境問題の専門家がおりまして、彼らは中国の環境問題について調査しております。彼らが中国に行くときには、相手方カウンターパートは大学の先生なんですけれども、彼らは本当に心を開いていろいろな情報も開示してくれます。そういう意味では、環境技術の分野において政治的な問題はないと思うんですが、御指摘のとおり、それをODAにしようと思うときに様々な障害が発生するんだと思います。 民間については御指摘のとおりですが、それ以外にもNGOはやっていますが、ここでの問題は中国のNGOのカウンターパートがまだ十分に育っていないということなんですが、私は、この部分は中国のNGOが育っていくところを例えば様々な形で日本が支援していく、これはODAが使えると思います。それから、中国以外の第三国における環境プロジェクトというものを仕立てて日中で協力していくというような形で、日本の技術がきちんと中国の企業なりODAに組み込まれていくような、そういう形の協力もあっていいのではないかというふうに考えております。
○浜田和幸君 ありがとうございます。 同じテーマについて塚越さんに、世界銀行、国際機関として、やっぱり中国始めいわゆる環境問題に苦しんでいる。しかし、現実的には資金もあるわけですよね。だから、政治的な、ある程度国際的な水準に合致させようと思えば、やはり国際的な機関からの働きかけがあれば中国の環境政策というのも変わってくるんじゃないかと思うんですけれども、そういうような可能性はどうでしょうか。
○参考人(塚越保祐君) 委員御指摘のとおりでございまして、私どもの世界銀行グループという形で活動しまして、先ほど来から申し上げておりますが、私どもとしての基本的な施策を持って臨んでおります。その中で、地球規模の問題、まさに気候変動の話ですとか水資源をどうするか、それからエネルギー資源をどうするか、そういったもので同じ価値観を持って、そして同じ政策を持って進めていくということが私どもの目的でございます。 したがいまして、非常に重要な中所得国である中国、実は貧困削減の問題でも、先ほど申しましたように、最貧国、一番の極貧の人たちは六億人減りましたけれども、その次の層がまだまだいっぱいいると。貧困国問題でも中国はこれからいろいろとやっていってもらわなきゃいけないと。同時に、それが次世代とも共有した形の持続的な成長になるということは中国にとっての問題でありますので、それを私たちは世界銀行グループとして進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○浜田和幸君 ありがとうございます。 大橋参考人にお伺いしたいんですけれども、様々なNPOの中で、特に宗教団体ですとか、あるいはビル・ゲイツ財団のような財団ですよね、そういうところが宗教的な使命をバックに、あるいは世界最大の富を持っているビル・ゲイツさんが個人の資産をなげうって、世界のポリオの撲滅ですとかそういうことに取り組んでおられる。大変すばらしいとは思うんですが、一方で、本当のところの狙いは何だろうかということを盛んに議論する、そういうNPOもあるわけですね。 要するに、ゲイツさんが自分で支援しているのは、最終的には終末を迎えたときの例の種子のバンクですよね、世界の種子を全部ビル・ゲイツ財団が集めて、そして食料危機、あるいはエネルギー危機、そういう最悪の事態になったときに全てはビル・ゲイツの下でひれ伏さなければならないような、そういうことももくろんでいるんではないだろうかということが言われるぐらいでありますよね。 ですから、NPOでいろいろとやっておられて、資金を持っている、あるいは宗教的なミッションがあってすごく献身的に取り組んでおられる、ただし、その本音の部分というのをやっぱりある程度わきまえておかないと、本当は全然違う目的でお金を出したり人を出したりしているんではないかということになりかねないという危惧を抱くんですけれども、大橋さん、現場で御覧になっていて、そういう危惧、あるいはそういう可能性、あるいは、いろんな団体と付き合われて、やっぱり日本とのカウンターパートをつくっていく上で何か工夫されていること、これから日本が考えなければいけないこの幅、協力の幅を広げるときの、やっぱり政府だけではなくて、既存の政治、経済団体だけでなくて新しいNPOを巻き込んでいくときの何か知恵があれば、是非最後にお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大橋正明君) 大変難しい、しかし重要な問題を御質問いただきまして、ありがとうございます。 私ども、NGO、NPO、日本的にはNPOというものがありまして、これは多分、NPO法を作ったときも盛んに議論になったんだろうというふうに思っております。そういう問題、要するに隠された意図があって、それをNPOの仮面をかぶっているのではないかというふうな言い方というのはよくされることがあります。 ただ、そのために制度というものが私は存在しているのであり、さらに制度では足りないから申合せとか自己規制というものをつくっていく。そうでないと、本当にその意図があるかどうかも分からない段階で、それはこういう意図があるから来ているに違いないという形でやってしまえば市民活動の幅を狭めていってしまうことになる。だから、やっぱり過去にそういうことがあったのか、今回の三・一一のときも、私は日本NPOセンターという団体の副代表をしておりますけれども、やっぱりそういう苦情がいろんな形で来たときにはなるべく敏速に対応し、余り争いにならない形で御理解をいただくということには努めてきたつもりであります。 ですから、NPO法、あるいは一般財団、社団というものの中に、特にNPO法は公開を規定していますし、政治的な動き、イデオロギー的な動きについての定義というのはきちっとされていると思います。それ以上に、私どものような業界を束ねる団体がいろいろ行動基準やものをつくっていくということは極めて重要なことなんだと。だけど、だからといって宗教的なバックグラウンドがあったとしてもそれと一緒にやらないというわけにはいかない。ある目的を一致する以上はやっぱり一緒にやるという、そういう是々非々の態度で臨む以外にこれをきちっと分けられるというふうにはならないだろう。そういう意識を持つことが極めて重要だと理解をしております。
○浜田和幸君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で浜田君の質問は終わりました。 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日お述べいただきました御意見は、今後の調査の参考にしたいと存じます。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時十六分散会