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186回国会参議院2014/02/26

国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第2号

発言数
72
登壇者
16
会派数
8
開催日
2014/02/26

会議録

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、田城郁君及び藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として難波奨二君及び浜野喜史君が選任されました。     ─────────────

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。  本日は、デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、京都大学大学院工学研究科教授・同大学レジリエンス研究ユニット長藤井聡参考人及び中央大学商学部教授建部正義参考人でございます。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  両先生、御多忙のところ、わざわざ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  忌憚のない御意見を頂戴をいたしまして私どもの調査の参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず藤井参考人、建部参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後三時三十分頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、藤井参考人からお願いいたします。藤井参考人。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) それでは、京都大学の藤井がお話を申し上げたいと思います。  本日は、かような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。(資料映写)  今日は、こちらに出ております「今、デフレ脱却のために必要なのは、「戦略的・財政政策」である」、こういう趣旨で二十分ほどお話し申し述べたいと思います。本日の私の発言は終始、京都大学教授としての、一学者としての立場でお話し申し上げるということを申し添えまして、今からお話しさせていただきたいというふうに思います。  まず、この「戦略的・財政政策」という言葉を使わせていただいた趣旨でございますが、例えば経済政策を行うときに、金融政策、財政政策、それからいろんな制度改変、こういったものが一般的な、どの国問わず一般的に理論的に考えられる経済政策と、こう呼ばれるんですけれども、これをばらばらに遂行していては方向が定まらなくて効果的な経済政策ができないということでございますので、そこで必要になってくるのは戦略性であります。  すなわち、様々な経済政策というものをどうやって一本にまとめていくのか、計画的に推進していくのか、合理的に推進していくのかということが大事であるというのがこの戦略的という言葉の意味であって、そしてその中心に財政政策というものがやはりデフレ脱却の中には重要になってくると。そういう意味で、全てを束ねながら財政政策を行っていくということが重要ではないかという意見を、今日は「戦略的・財政政策」という言葉にのせてお話ししたいというふうに思います。  まず、デフレ脱却を考える場合に、デフレとは何かを理解しないといけないんですが、デフレとは何かを理解する前に、地震とは何かからお話をしたいと思います。  地震の定義には例えば二つほど考えられます。地面が揺れること、あるいは地下で岩盤が割れること、この二つ、どちらが正しいのかというと、一般的に我々、非科学者であれば地面が揺れることが地震だと思っているんですが、科学的に言いますと、地震が起こるというのは、地面が揺れることではなくて地下で岩盤が割れることをいいます。これが科学的な地震の定義であり、これが地震の実態であります。これが物理世界で、実態的な社会でこれが起こったことで、その結果として地面が揺れるんだということが科学的な地震の定義であります。  この考え方でデフレというものを考えるとどうなるかというと、デフレといいますと、物価が下がる、貨幣量が少なくなる、あるいは貨幣の速度が、巡りが悪くなる、速度が低下すると。それに加えて、倒産、失業、所得が減ると、そういうことがあるわけでありますけれども、デフレという現象は全部この四つが同時並行で進んでいるものではありますが、どれが科学的な実態的な現象なのかというと、実は一、二、三ではなくて、四番目の、倒産、失業が増えて所得が減るというのがデフレ不況の正体なのだ、デフレの正体とはまさにここにあるのだということをまず地震の比喩から申し述べたいと思います。  そして、これが起こると皆さんお金を使わなくなるので貨幣の巡りが悪くなる、巡りが悪くなると一定期間の間で市場の中で使われるお金の量自体が減って、最終的に物価が下がるというふうになります。当然ながら物価が下がると需要が減りますので、もう一度倒産、失業が増えるということにもなって、スパイラルになるわけでありますが、実はこの四番、倒産、失業が増えるためには、物価が下がるだけで起こるのではなくて、例えばリーマン・ショックがあったり、あるいはバブルが崩壊したり、あるいは地震が起こったり、その他もろもろの様々な原因によってこの四番が起こると。この四番が起こると、これを起点として、さながら地下で岩盤が割れることが起点となって地面が揺れるようにこの一、二、三というものが起こって、そして更に地震よりも恐ろしいのは、これがスパイラル状に悪くなっていくというのがデフレの正体なのだということを申し述べたいと思います。  これを考えますと、必然的にデフレ脱却のために必要なものはこの二つになってくるということになるわけであります。倒産、失業を減らし所得を上げることがデフレ脱却において必要であるということが、これは理論的に、科学的に推測されるようになるわけであります。  そのために何が必要なのかということを考えますと、ここではAとB、申し述べておりますけれども、やはり財政政策、金融政策というものを一体的に推進することで国内産業に仕事をつくっていくということであります。これが、政府がそういう国内産業の働けるような仕事をつくることができれば、倒産、失業が減って所得が上がるという結果が生まれて当然デフレ脱却にできるということでありますが、それだけではなくて、雇用、中小企業、地域産業、こういったものを直接保護したり、あるいは支援をすることを通して倒産、失業が減っていったり所得が上がるということもあると。保護だけではなくて支援もしていくと、当然そういうデフレ脱却の、もう地下で岩盤が割れるそのもの、患部そのものを治療していくことができるようになるということを申し述べたいと思います。  しばしばこういうAとBという政策はカンフル剤だと呼ばれるんですが、私はこの言い方は間違いであると。場合によっては間違いの場合があると言った方が正確かもしれませんが、デフレ脱却のためにこのAとB、財政・金融政策といろいろな雇用、中小企業、地域産業保護・支援政策を行うというのは、カンフル剤ではなくて点滴なのだということを申し述べたいと思います。  この違いは何か。カンフル剤というのは、打つ前の状況にその薬が切れたら戻るということであります。これではやっても意味がない。しかし、点滴というものは、病気のときに打てば、適切に打てば、病気の体が健康体になってそれ以後点滴を打つ必要がなくなるということであります。例えば三本打つことが必要であるならば、三本打てばもう四本目も五本目も不要になると、これが点滴というものであります。ところが、三本打たないといけないときに一本とか二本しか打たなかったら、これは意味がない。病気に、元へ戻ってしまうということでありますから、こういう財政・金融政策と保護政策、支援政策というものはカンフル剤ではなくて点滴なのだという御理解を持っていただきたいということを一学者として持ってございます。  以上の理論的背景に基づきますとデフレ脱却の方法はどうなるかというプロセスをお話ししたいと思います。  まず、目的は、倒産、失業を減らし所得を上げるということでありますが、そのためには、実体経済、物やサービスが売り買いされているそういう経済が活性化すれば失業、倒産が減って所得が上がるということになります。実体経済を活性化していく、いろんな人がいろんな物を買うということになればこれは皆さんに仕事が回っていくということでありますが、ここの実体経済がぐるぐると回るためには、やはり金融市場からマネーが供給されないといけないと。言わば経済というものを人体として考えるのならば、言わば銀行というのは心臓のような役割を果たしているということで、お金というものをぐるぐる回すときに銀行というものは重要な役割を担うということであります。  銀行に預けられたお金を誰かが借りて、ここで書いておりますように、民間が借りてそれを市場で使えば、そして実体経済が活性化していってみんなに仕事が回るということになるのですが、デフレの場合は残念ながらみんな稼いだお金を貯金してしまって、内部留保にしてしまったりして余り使わないということになります。この絵でいきますと、これが小さくなると。そして、金融市場から実体経済にお金がなかなか流れなくなって、逆に実体経済のお金を金融市場が吸い上げるというような状況になっていきます。これはどういうことかというと、実体経済で稼いだ金をもう一回使うのではなくてずっと貯金に回してしまうという内部留保が増えるということであります。  こういう格好で、実体経済から金融市場に血流が逆流するようにマネーの流れが逆流してしまうのだというのが、これがデフレ病の一つの重要な症状なのであります。この状況が続く限りにおいて、実体経済は当然活性化せず、倒産、失業が減ったり所得が上がるということはなくなっていってデフレが悪化するということになりますから、重要なのは金融市場にあるマネーをどうやって実体経済に回すかということであります。  ここで、民間市場の方にそれを、お金を使ってもらえればいいんですが、これはトートロジーになりますけれども、デフレですからこれができないわけであります。これがデフレ病の厄介なところでありますので、そこの市場とは関係のない行動を取れる人がこれを行わなければならない。それは誰かというと、やはり中央政府を中心とした政府であります。政府がお金を金融市場で借りてしっかりと実体経済の中でお金を使っていくということがあれば、実体経済から金融市場に血流が、お金の流れが逆流しているのを逆にまた元どおりの正しい方向に流していくということができるようになってまいります。  このときに、ただただ実体経済を活性化するためにお金さえ使えば良いのかというと、決してそうではなくて、どうせお金を使うのならば適切にお金を使っていくということが必要であると。そして、今デフレのためにこのお金を、財政政策を取るのならば、そもそも雇用とか中小企業とか地域産業が疲弊しているというのがデフレの正体だったわけでありますから、その患部に直接に、まあ赤チンを塗ったり、何か薬を塗ったりするように、直接そこに財政政策を投入していくというような対策を取ることが極めて効率的なデフレ脱却政策になるのではないかと。同じ一兆円を使うんだったら適切にお金を使うべきなのだというのがこの「戦略的・財政政策」と私が申し上げたいポイントであります。これが要するにBというものであります。  さらに、この金融市場のお金をどんどんどんどん実体経済に流していくと、そのうち金融市場のお金が枯渇してきます。そうするといろいろな、クラウディングアウトとか金利の上昇とかいろいろな不具合が起こってまいりますので、その不具合を最小化する意味でも、きちんと日本銀行が、中央銀行が金融市場にマネーを供給していけば、このお金が、金融市場が枯渇していくということもなくなってまいります。  そして、このAの財政・金融政策、日本の場合でいいますとアベノミクスと呼ばれておりますけれども、これが第一、第二の矢というものになるわけであります。そういう格好で、このAとB、財政・金融政策と、いろいろな保護政策、支援政策を行うことで、日銀、金融市場、実体経済、そして国民、企業ということで、お金が正しい方向に流れていくという状況が出てくるわけであります。  ここで補足的なお話を、補足的に申し上げたいと思いますが、この金融政策は実は民間の需要と消費を刺激するというふうな効果を持っております。  例えば、一般に言われておりますのは、期待インフレ率が上昇していったり、あるいは金融政策をやることで期待が上がったり、あるいは資産効果といって株式が上がって、それで企業の価値が上がって、資産の価値が上がって、それで投資がしやすくなったり、あるいは円安が進んで輸出企業がもうかっていくようになるというような効果があるということも考えられるんですが、実際に考えてみますと、期待インフレ率を上昇させるためにはずっと驚かせ続けなければならないということで、これは驚かせて、それがしばらくばあっと緩和して期待インフレ率が上がっても、それを、最初は驚くかもしれませんけれども、ずっと続けているうちにそれで慣れてしまうとそういう効果がなくなってしまうと。こういうのを一般に何と言うかというと、カンフル剤と呼ばれるのではないかなと考えられるわけであります。  資産効果の方は、上場企業にとっては当然ながら株式市場が上がっていって企業価値が上がっていくということがいいわけでありますけれども、ほとんどの上場企業でない中小企業に関しては直接的な効果が必ずしもあるわけではないという点を我々理解しなければなりませんし、為替効果に至っては、輸出企業はもうかるかもしれないですけれども、例えばエネルギーを、何かの都合によってエネルギーの油とかガスをたくさん購入しないといけないような国家、そういう状況においては原油価格とかガス価格が上がることを意味しますから、かえって円安になることで貿易赤字が悪化するということもありますし、例えば日本の状況ではまさにそういう状況にありますから、何と昨年の貿易赤字は一昨年よりも更に更に拡大してしまっていて、トータルとしては経常収支はまだ黒字ではあるんですけれども、経常収支も悪化しているというのが実態の客観的事実でございますから、そういうこともありますので、余りにこの金融政策による民需拡大効果というものを期待し過ぎるのは危険性を一部はらむ、一部というか結構はらむものではないかという危惧を当然ながら学者も政策担当者も持たなければならないということは理論的に当然考えられるわけであります。  ところが、じゃ、民間が借りてお金を使うというこの消費・投資、民間消費・投資が活性化されることはないのかというと、決してそんなことはございません。実体経済が活性化すれば、放っておいてもみんな金を使うようになります。すなわち、実体経済の活性化によって、この民間が借りてお金を使うという部分が大きくなります。そうなると、金融市場から実体経済の方にお金がどんどん流れていくようになりますから、そうなると財政政策は不要になります。  ということで、今やった治療行為は全部要らなくなります。全部要らなくなって、日銀、金融市場、実体経済、そして国民、企業ということで、お金が正しい方向に流れていくのであって、これこそが今デフレ脱却のために必要な政府がなすべきことなのだというふうに私は理論的に考えているわけでございます。これは私は理論的に確信している流れでございます。  以上は一般論でございますが、日本経済の状況はどうかというと、デフレであることは皆さん共有認識になってまいりましたが、快方に向かっているということも共有認識になっています。例えば、倒産数は減っていますし、失業率も下がりました。そして、物価の方も徐々に上がってきているので、確かにデフレは緩和しつつあることは間違いないですが、残念ながら完治には程遠いという状況であります。  例えば、実質GDPは、年末の状況では二、三%上昇するのではないかと多くの人々が年始の状況では皆さん予想していたのですけれども、駆け込み需要があるにもかかわらず、結果を見てみると、蓋を開けると一%しか上昇していないということであって、快方には向かっているんですが、完治からは程遠いということが考えられるわけであり、更に恐ろしいことに、労働者の平均の給与、すなわち現金給与総額というものは、九〇年の調査開始以降最低水準の記録を更新してしまったのが昨年でございます。  ということで、このデータを見た上で、もうデフレは脱却したんだということは誰も言うことができないはずだということを一学者として心の底から確信している状況でございます。そんな中で、更に増税が行われ、しかも補正予算が削減されるというショックがあるわけでございますから、これはひどい肺炎から治りかけたのに町内マラソン大会に出なあかんというような最悪な状況にあるのではないかということを私は一人で夜中、心配しているわけでございます。  ということで登場するのが、日本経済危機仮説でございます。これは当然ながら一学者の単なる仮説であって、事実かどうかは皆様に御判断いただきたいところでありますが、この仮説を思っている理由は四つでございます。一、二、三、四。  一、四月以降、増税による消費、投資の低減、これは皆さん御案内のとおり。  二番目、この増税に加えて、補正予算が削減されます。それによって内需が、政府関係の内需が十一兆円程度削減するのではないかということが予期されています。  この計算はこうなっています。補正予算が十兆円から五・五兆円に削減し、四・五兆円減ります。当初予算は一応一・八兆円プラスになるんですけれども、しかしながら増税で八兆円が、内需が削られてしまうということも危惧されます。これを全部勘案するとプラス・マイナス十一兆円の崖ができる。これは言わばアメリカ経済の財政の崖なんという言葉に倣って言いますと、日本版財政の崖、十一兆円の崖ができ上がるのではないかということが危惧されますし、駆け込み需要があり、それが四月以降の需要を前借りしているのだとしたら、それも二兆円前借りしていたらここに四兆円の崖が例えばできてきますから、これが一番、①の効果でありますけど、それを考えると四月一日以降とんでもない崖ができ上がるということは理論的に予期されるわけであります。  さらに、三番目として、ヨーロッパ、アメリカ、中国経済が非常に不安定化していて、さらに来年度中とかにリーマン・ショック・パートツーみたいなものが起こらないとも限らないわけであります。例えば、FRBの金融引締めを行っておりますので、これがアメリカの株安をもたらし、日本の株を安くするという可能性も危惧されます。中国のシャドーバンク問題というものもあります。さらに、ユーロ危機というものもあって、世界は非常に火種だらけでありますので、非常に危機的な状況にあって、これが日本経済にダメージを与えることも危惧されます。  しかも、財出が少ない中、金融緩和ばかりやり過ぎると、日本銀行から金融緩和、ここにマネーがたまって実体経済の方にお金が流れていかないと、金融経済だけがもう肥大化していきます。そうなったときに起こるのは、一般的にミンスキー先生等々が言っているのはバブルというものであります。そして、バブルというものは定義上、必ずはじけるものでございますから、このまま何も内需拡大策が取られないまま金融緩和が続けられていくと、そのうちマネーが滞留してバブルと、そしてそのバブルの崩壊の危機が増進してしまうと。これは日本で起こるとも限らなくて、この日本の金融緩和が、アメリカで起こったり諸外国で起こるということすらこのグローバル化時代には起こる可能性すらあります。この四番の確率は一番とか二番の確率よりは低いわけではありますけれども、こういうリスクがあるということは、政策担当者、そして学者は当然ながら心の中にとどめておくべきであると私は確信しているわけであります。だから、今こそ徹底的な財政出動を行って内需を拡大していくことが必要ではないかと考えるんですが。  次が最終のスライドでございますが、しつこいようですが、どうせ財政政策をやるんだったら、きちんとデフレから脱却できるように適切な、うまいお金の使い方をするべきだというふうに私は考えます。そのときに考えている対策は、一応この五つほど考えてまいりました。  これ、一例でございますけれども、例えば、元々デフレというものは中小企業が疲弊していることで起こっているというのが原因でありますから、中小企業対策ですね。これは、中小企業融資とか投資ファンドというものを異次元のレベルで数兆円規模で例えばつくって、これで徹底的に投資をしていくと。そうすることで中小企業の倒産をどんどん防いでいったり、収益を上げていったりとかということも対策一として考えられますし、あるいは、どうせお金を使うんだったら、将来の成長に役立つようなエネルギーインフラとかITインフラとか貿易インフラとか運輸インフラとかを造っていったり、あるいは人的な、あるいは知識的な将来の成長の起爆剤であります教育とか研究開発の投資をしていったりというものにお金を使っていったり。当然ながら、このときに外国企業を優遇しては意味がなくて、国内企業に発注していくことでデフレという病気が治療されていくというのは先ほどの定義上自明であります。  対策三というのは、将来の成長の阻害要因の除去のための投資、これはややこしいことを申し上げていますけど、例えば地震が来ると十年後のGDPがそれこそ五十兆とか六十兆とか低下しているかもしれませんけど、ここで防災投資、強靱化投資というものをやっておけば十年後のGDPの低下というものを最小限に食い止めることができるということが考えられるとすると、これは立派な成長戦略そのものだということが言えるというふうに思います。したがって、例えば防災投資、強靱化投資、老朽化対策というのは将来のマイナス成長を小さくするというプラス成長、マイナス掛けるマイナスはプラスでございますから、そういう効果があるだろうというのが対策三であります。  以上の対策一、二、三は政府がやるべきこととして今申し述べたわけでありますけど、こういった投資を民間がやりやすくするような対策というものをやっていくというのが対策四であります。投資減税、投資補助、そのための制度の見直し、規制緩和等々が考えられるでしょう。そして、この公共事業の単価の適正化というのは、建設企業において建設産業自身の投資を拡大していくための対策としてここに書かせていただいておりますけれども、そういうものをやることで建設供給能力が向上して、それを通して更に公共投資というものが進むことでこの対策二というものがどんどん進んでいくということも考えられるということも考えられます。  対策五でありますけれども、この一、二、三、四、いろいろなこういう対策、考えられますけれども、こういうものを万一阻害するような検討が実際に進められているとするのならば、例えば過当競争の促進とか、あるいは過剰な雇用の流動化政策の促進とかそういうものが進められては、元々この一、二、三、四を通して倒産とか失業とか所得の低減を防ごうという対策をしているときに過当競争とか過剰な雇用流動化なんていうものをやってしまうと元のもくあみになってしまいますから、そういうものがあるのかどうかということを確認したり、確認してあったとするならば見直しをしていくということも重要になってくるのではないかなというふうに思います。  こうした戦略的な財政政策、これを、ここでアベノミクスという言葉を使うのならば、第一の矢、第二の矢、第三の矢をしっかりと毛利さんのように一本にまとめて、そして折れないようにしてまとめてコーディネートして、しっかりと財政、金融、成長戦略というものをコーディネートしながら戦略的に政策を行っていくということが今なすべき経済政策なのではないかなと思います。  付録に関しては、いろいろとデータがございますが、また御質問をいただいたときに必要に応じてお話しいたしたいと思います。  ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、建部参考人にお願いをいたします。建部参考人。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) お手元に五枚から成るレジュメが届いていると思います。それに即しながら説明したいと思います。  この調査会の名称は、デフレ脱却、財政再建ということなんですけれども、私の今日の報告、報告といいますか説明は、基本的にまず金融の問題について、あるいは金融の立場からデフレ脱却という問題をどう考えるべきか、それについて発言させていただきます。もちろん財政についても私なりに意見を持っておりますけれども、その点については質疑の中で私なりの意見を述べさせていただく、そういう形にしたいと思います。  それで、レジュメの一ですけれども、これは量的・質的金融緩和政策の内容を黒田さん自身の講演に即して整理しました。これは既に御承知のことということですので説明は省略させていただきます。  ただ、確認しておきたいのは、一の③、「わかりやすい金融政策」のうちの二つ目の柱ですけれども、量的な緩和を行う場合の指標としてマネタリーベース、マネタリーベースというのは上の方に説明しておきましたけれども、日銀券発行高プラス市中銀行保有日銀当座預金残高、これを足し合わせたもの、これは、従来、日銀は金利を指標として金融政策をやっていたわけですけれども、昨年の四月四日以降、量的指標に政策的な指標を変更している、この点を後の議論との関連で確認しておきたいと思います。  それで、よく誤解されていることなんですけれども、黒田日銀総裁下の量的・質的金融緩和というのは、グローバルスタンダードにやっとたどり着いたんだ、世界標準に即したそういう金融政策がなされているという意見が多いんですけれども、私に言わせるとそうじゃなくて、まさに世界の中央銀行がやったことのない新しい歴史的な実験、それが進められているんだ。  このこと自身、そうですね、昨年の九月あるいは十一月頃から黒田さん自身が講演の中で明確に発言するようになりました。二、三拾っておきましたけれども、一ページ目の一番下ですね、昨年の九月二十日、きさらぎ会において黒田さんはこういうことを言っています。二ページ目に入りますけれども、量的・質的金融緩和は、中央銀行にとって主たる政策手段である短期金利の引下げ余地がなくなる中で、予想インフレ率を引き上げる、予想インフレ率を引き上げるというのはこれは世界最初です、という世界的にも過去に例のない問題に対する挑戦です。それから、十月十日のブレトンウッズ委員会インターナショナル・カウンシル・ミーティングではこういうふうに言っています。同じ内容ですけれども、量的・質的金融緩和は、名目金利の引下げ余地がなくなる中で、予想物価上昇率を引き上げるという世界的にも過去に例のない、どっちにも「世界的にも過去に例のない」、こういう言葉が出てきますよね。この点をしっかり押さえていただきたいというふうに思います。  じゃ、どの点で新しいのかというと、これもニューヨークでの十月十日の講演ですけれども、こういうふうに説明しています。  日本では、予想インフレ率は二%の物価安定の目標と比べて低過ぎる水準にありますので、これを引き上げる余地が十分にあります。このとき、名目金利を予想インフレ率の上昇よりも小さめの上昇に抑制することができれば、その分だけ実質金利を低下させることができます。この実質金利の低下によって設備投資や個人消費が刺激されることで景気が押し上げられ、実際の物価も徐々に上昇していくと期待できます。そして、実際の物価上昇はインフレ予想の上昇にもつながります。  つまり、思い切った量的緩和をやって予想インフレ率を引き上げる、予想インフレ率が上がるということになれば名目金利も上がるじゃないか、そうしたら元も子もなくなるということで、年間五十兆円程度の長期国債を日銀が買い取る、そういう形で名目金利は低く抑えるんだ、そうすると、この中にも出てきますように、実質金利が下がるだろう、実質金利が下がれば設備投資も個人消費も増えるはずだ、そういう形でデフレが脱却できる。まさに、予想インフレ率に働きかけるという意味で、繰り返しになりますけれども、世界に例のない、そういう金融政策が取られているんだと。  そうすると、次の問題は、アメリカだって量的緩和政策やっているじゃないか、黒田さんのやっているのと同じというふうに考えられないかということですが、この点も私に言わせると誤解されていまして、バーナンキがやっていた、バーナンキもう替わりましたけれども、バーナンキがやっていた、あるいは現在FRBがやっている政策というのは金利に対する働きかけなんですよね。予想インフレ率に対する働きかけではありません。  ちょっと長くなりましたけれども、バーナンキがビジネススクールで四回連続の講演をやった、それが日本語に翻訳されているんですけれども、連邦準備制度と金融危機、非常に明快なことを言っております。  諸君は通常の金融政策については知っていると思います。通常の金融政策はフェデラルファンズ金利、これは日本でいうコールレートのことですね、通常の金融政策はフェデラルファンズ金利と呼ばれるオーバーナイトの金利の管理を必要とします。短期金利を上げたり下げたりして連邦準備はより広範な金利に影響を与えることができます。そして、それが次に消費支出、住宅の購入、企業による設備投資などに影響を与え、それらが経済の生産に対する需要を提供し、成長への回復を刺激するという点において役に立つのです。これは伝統的な金融政策の中身ということで、まさに金利政策ですよね。  ところが、アメリカの場合、もうやっぱりゼロ金利という、そういう限界に到達するわけで、本質的には、二〇〇八年十二月までにフェデラルファンズ金利は基本的にゼロまで引き下げられた。それ以上引き下げられない。どうするかということで、それで、マスコミでは、その下の部分ですけれども、マスコミでは量的緩和、英語で言うとクオンティタティブイージングですけれども、むしろバーナンキは、その言葉は使いたくないんだ、私としてはLSAP、ザ・ラージスケール・アセット・パーチェシズ、大規模資産購入と言う方が適切なんだ。  大規模な資産を購入するとどういう効果を持つのかというと、下の四行ですね。では、これはどのように機能するのでしょうか。より長期の大規模な、しかも長期の国債を買い入れるということで、より長期の金利に影響を及ぼすために、連邦準備は国債の大量購入を実施し始めました。国債を購入して我々がバランスシートに計上し、これらの国債の入手可能な供給を減らすことによって我々はより長期の国債の金利を実際に引き下げたんだ。  アメリカでやっている量的緩和というのは、実質的には金利政策なわけですよね。短期金利はもう限界に達した、ゼロという限界に達した。長期金利を引き下げますよ、そういう政策を我々はやったんだという、こういうことであります。  話が戻りますけれども、ですから、黒田さんがやっている現在の量的・質的金融緩和というのは、誤解はされていますけれども、アメリカと同じものではないんだという、そこを強調したいわけです。  そうすると、黒田さんの場合は期待インフレ率に働きかけようというわけですから、そういう政策というのは経済学的に考えてどういう位置付けになるのかということで、二つほど他の人の発言の引用を取っておきました。  一つは、白川さんが昨年の三月十九日に退任記者会見されたときにこういうふうに発言されています。期待に働きかけるという言葉が中央銀行が言葉によって市場を思いどおりに動かすという意味であるとすれば、そうした市場観、政策観には私は危うさを感じます。もう辞められたもので、白川さんの発言というのは無視されがちですけれども、私に言わせると、こういう非常に重要なことを言っていたんだということになります。  それから、慶応大学の池尾さんですけれども、池尾さんというのは非常にキャッチフレーズを作るのがうまいなという、後の方で出てきますけれども、気合さえ入れれば信じてもらえるというのは、信仰の表明ではあっても、到底ロジカルな主張だとは言い難い。期待に働きかける、そういう金融政策のことを、気合さえ入れればそれで事が済むのかと、そんなものじゃないだろうというふうに言っているわけですね。私もまさに池尾さんの言うとおりだというふうに感じます。  それで、問題は、期待に対する働きかけという金融政策がうまく機能しているということであれば特に異論を唱えることもないわけですけれども、その次は、今年の一月二十四日付けの日本経済新聞の記事です。日本経済新聞はこの間、一貫してアベノミクス、あるいはその一環としての黒田総裁が進めている日銀の量的・質的金融緩和政策、これを擁護するといいますか後押しする、そういう記事が目立ってきました。ところが、その日経新聞でもこういうふうに言わざるを得なくなっているわけですね。  順調に見える物価改善は円安の恩恵が大きい。野村証券の試算では、去年の十一月ですね、十二月は一・三%になっていますけれども、十一月の物価上昇率は一・二%だった。そのうち〇・七%分は円安に伴うエネルギー価格の上昇による効果だ。円安と公共投資頼みの物価回復では持続力に欠ける。民間予測平均の一五年度、来年度ですね、一五年度、二%の物価上昇を実現する、日銀が目標年度にしている、それが一五年度ですけれども、物価上昇率は一%弱にとどまり、日銀の二%程度に及ばないとの見方は根強い。実は日銀調査統計局も物価の先行きを慎重に見ている。右肩上がりの改善を終え、夏にかけて、今年の夏ですね、夏にかけては一%前半程度で物価上昇率が推移する、そういう高原状態に移るだろう。  こういうふうに問題を整理してくると、理論的にも期待に働きかける政策というのは非常に危うさを含んでいると同時に、実態に照らしても必ずしもうまくいっていないんではないか、そういうことになります。  そこで、いよいよデフレについての話ということになりますけれども、問題は、デフレは貨幣的な現象なのかということですよね。貨幣的現象であるということになれば、これは日銀の責任ですよ、こういうふうに話が進むわけで、金融政策何とかしろ、こういうことになります。  安倍さん、あるいは黒田さんですけれども、安倍さんの発言は首相になった後のものです。それから、黒田さんのものは総裁になる前のものですけれども、安倍さんはデフレは貨幣的現象だと明確に言い切るわけですね。黒田さんはちょっとトーンが違いますけれども、デフレ脱却の責任は日銀にある、要するに日銀の政策次第でデフレは脱却できるよ、そういうことになるわけですけれども、じゃ、こういうことですよね、日銀は経済が必要とするお金を必要なだけ十分に供給しなかった、だからデフレが起こっているのかと、そういうことになります。  ところが、これも事実を調べてみれば分かる話で、まず日銀券の流通量ですよね。例えば、経済の世界ではヘリコプターマネーという言葉があります。日銀がヘリコプターで空からお金をまく、それを国民が拾ってそれを消費に充てる、その場合には日銀券の発行量あるいは発行高、これ日銀が決めるというふうに言えますよね。だけども、企業だとか家計は、自分たちが市中銀行に持っている預金を解約して日銀券を手に入れるわけですよね。クリスマスだ、年末、お正月だということになると手元に現金が欲しい。市中銀行に行って窓口から現金を下ろして、それで小売店なら小売店で使いますよ。小売店は余った日銀券を市中銀行に持ち込んで預金にする。こういう形で日銀券が流通しているわけで、これもやや誤解が多いんですけれども、日銀券の流通量は日銀ではなく企業、家計がその決定者であって、日銀は出ていく日銀券については受動的に対応するしかない。  大体、今、日銀券はどの程度流通しているんだということですけれども、これ、四月四日が量的・質的金融緩和の発表された時点ですから、昨年の三月末の数字を取ってみました。八十三兆円ですね、八十三兆円。これを国民一人当たりに直しますと、私もいつもびっくりするんですけれども、約六十五万円です。こういう状況で、日銀券が不足だ、あるいは日銀が必要な銀行券を発行していないなんてとても言えませんよね。  それから、日銀当座預金について見ても同じです。白川さんの時代にも金融緩和措置が相次いでとられていました。私に言わせると、もうその時代から日銀はじゃぶじゃぶと言えるほどの当座預金を市中銀行に供給してきたんだ。  準備預金制度というのが我が国にはありまして、法律上、必要準備というのが決められています。法定準備は八兆円ですけれども、それに対して日銀が供給している準備預金というのは五十三兆円。四十五兆円も超過するという形で供給しているわけですね。ここからも、日銀が必要な貨幣量を供給しない、そのためにデフレが起こっているなんてことはとても言えませんよ。  その後、また白川さんの言葉ですけれども、マネタリーベースと物価との関係を調べてみると、マネタリーベースは増えているけれども物価はちっとも上がらないじゃないか、貨幣数量説、あるいはマネタリストが言っていることと日本の現実とは相応しませんよ、そういうことを言っています。  そうなると、一体デフレの本当の原因は何なんだということになります。これも最近随分論調が変わってきたなと思うんですけれども、日銀の審議委員の佐藤さんという方がいらっしゃいます。昨年の二月六日の講演ですけれども、こういうふうに言っているんですよね。日銀の現役の審議委員ですよね。それにしても日本はなぜ十数年もの間、デフレから抜け出せないのであろうか、その主因は賃金にあると考えている。もう時間がありませんので、ずっと下の方に行きますと、したがって、物価安定の目標である二%の消費者物価上昇率を目指すには、とにもかくにも賃金の回復が重要である。現役の審議委員がこういうふうに言っている。  それから、吉川洋東大教授ですね、小泉さんの時代の経済財政諮問会議の民間議員でしたけれども、この人が昨年、「デフレーション」という本を出しました。非常に評判を呼んだ本ですけれども、そこでもこういうふうに書かれているわけですね。最後のページに行っていただいて、二行目、なぜ日本だけがデフレなのかという問いに対する答えは、日本だけで名目賃金が下がっているからだ、はっきりとこういうふうにこの本の中で断定しているわけです。  それから、黒田さんでさえ、昨年の、これはたまたま五月二十三日の記者会見の中身を取り上げましたけれども、何度か記者会見で同じことをおっしゃっています。黒田さんでさえ、二%の物価安定の目標は、消費者物価の対前年比上昇率が二%という水準に達するということを目標としていますが、まあそこまでは金融政策で持っていけるよという、そういう意味が含まれているのかもしれませんけれども、とにもかくにも、その持続的な達成は、賃金や雇用も改善する、言わば生産、所得、支出とのバランスの取れた改善が続かなければ容易ではない。黒田さんでさえ、金融政策だけじゃなくて、やっぱり賃金も雇用も改善しないとデフレの本当の克服にはつながらない、こういうふうに考えているんだと思います。  その次に、先人の箴言ということで、私はマルクス経済学者なのでマルクスから引用しておきましたけれども、資本主義的生産様式における矛盾、商品の買手としての労働者たちは市場にとって重要である、しかし、彼らの商品の売手としては、資本主義社会はそれを最低限の価格に制限する傾向を持つ。  つまり、賃金というのは、企業から見るとコストであると同時に自分の商品を買ってくれる需要の側面を持っているわけですね。両面持っている。ところが、コストということを重視する余り賃金を下げちゃった、デフレになったよと。それはそうですよね。日本では個人消費の比率はGDPの六〇%です。そこの部分を下げちゃうわけですから、当然物価が下がる、デフレになるということになるわけで。ケインズも合成の誤謬という言葉を使っておりまして、要するに個々の企業が合理的、つまり賃金を下げるということですね、個々の企業が合理的に行動したとしても、経済全体としては、ケインズの言葉で言うと有効需要ですよね、有効需要が減っちゃって不況になっちゃうよ、そういうことを合成の誤謬というふうに呼んでいます。  最後の結論ですけれども、ですから、結局インフレターゲティングを今日銀がやっているわけですけれども、賃上げターゲティングという、そういう方向に政策転換する必要があるんではないかと。ただ、その賃上げターゲティングということになると、もう金融政策から離れます、政府の広い意味での経済政策の一環ということになるわけで。じゃ、賃上げ、どの程度かといいますと、これは日銀が試算しているんですけれども、消費税率が三%上がった場合、消費者物価はどの程度上がるかというと、二%程度だろうと。そうすると、この分を埋め合わせてなお賃上げが必要ということになると三%以上という、そういう数字が出てくるんではないかと。  財源というのは、これも最近ではいろいろあちこちで言われていますけれども、大企業の内部留保は二百七十兆円もあるよ、そのうち現預金、これは中小企業も含んだものですけれども、現預金は二百三十兆円もあるでしょう。  そうすると、日銀は何もしなくてもいいのかと。もちろんそういうわけではありません。さっきFRBのLSAP政策を紹介しました。私に言わせると金融政策の王道は金利政策にあるわけで、ですから長期金利に働きかける、そういう意味で金融政策は依然として有効であるし、日銀はそういう政策を取るべきである、こういうふうに考えております。  以上です。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。     ─────────────

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) この際、委員の異動について御報告をいたします。  本日、山田太郎君が委員を辞任され、その補欠として渡辺美知太郎君が選任されました。     ─────────────

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようにお願いを申し上げます。  質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願いを申し上げます。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  西田昌司君。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 自民党の西田でございます。両先生、ありがとうございました。  それでは、簡潔に質問しますが、まず藤井先生ですね。  今、これから必要なのは、内需を増やしていくと、そのためには政府の財政出動だと。特に先生は公共投資事業の有効性を唱えられておられるんですけれども、ただ、今、公共事業、補正予算が減ったということもありますけれども、どうもこの十数年、二十年近くですね、いわゆる政府の国土開発計画など長期的なそういう公共事業に対する指針がなくなってしまって、災害が起きるたびにぽそっぽそっとやります、景気が悪くなったらぽっと出しますという形なんですよね。  しかし、これではインフラ整備ができないと。本来のインフラ整備ができないだけじゃなくて、そもそも事業者を始めそういう方々が長期的にそういう予算に対して、将来自分たちが仕事があるだろうから準備しておこうと、設備を、それから人を雇ったりとか、こういうことができなくなるんですよね。ですから、まず予算を出す、公共事業を出すということも大事なんですけれども、そういう長期的な支出の方向性を安心してそれぞれの地域や事業者が予測できる仕組みが大事じゃないかなと思うんですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。  それから、建部先生には、給料を上げるべきだというのは全く私も同感であります。そんな中で、今総理が財界に是非給料を上げてくださいとおっしゃっていますね。それも上げていただいたらそれなりに効果があるんだと思うんですけれども、しかし、これは共産主義国家ではないですから、なかなかこれ全部、こっちが、政府が言ったからって上げないですよね。しかし、上げるところがあるんですよね。それが言わば国家公務員なり地方公務員なり、要するに行政に携わる部分の職員の給料というのは、これは政府の予算で全部できるわけですよね。  ところが、これを随分この二十年間小さくしてきました。給料も抑えてきました。それから雇用形態も変えてきました。これ、実はかなりの影響があったんじゃないかなという気がしているんですね。だから、なかなかそういう統計資料がないものですから、私は直感的に、給料を上げてくださいというのを要請するよりも、そういう制度として予算で配分できる部分を増やす方が確実に効果が出るのではないかと思うんですけれども、その辺の御見解についてお聞かせください。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) どうも御質問ありがとうございます。  まず、公述の中でも申し上げておりましたですけれども、公共投資を行う場合、それが建設関係等々である場合には建設産業の供給力が必要である、その供給力が不十分な場合はそれ以上出動できなくなるということで、結局それを通したデフレ脱却方策というのが取りにくくなるということで、そうなりますとデフレ脱却がしづらくなってきて結局デフレが放置されるということになりますので、実は、この建設産業の供給力不足問題というのはマイナーな議論のように思われがちなんですが、日本国家全体の行く末を考える上で極めて重要な問題だというふうに認識しているということをまず申し上げたいと思います。その上で、西田先生が今御質問いただいたところは極めて重要な論点になると思います。  話が違うところから始めさせていただきますと、もしも建設供給力が全くこの国において不要であるのならば、それは、建設供給能力を上げるということはデフレは脱却できたとしても国益にはかなわないということになりますから、それを上げても仕方がないということになろうかと思いますけれども、巨大地震のリスクがあったりとか老朽化の問題が喫緊の課題としてあるということを考えたり、あるいは中国等々のインフラ整備水準との格差がどんどん広がっているということを考えると、トータルとしての国益を考える上で一定程度のインフラ整備水準を確保するということが重要ではないかということが大前提としてあるということをまず申し述べて、その前提で申し上げたいと思いますが、そうなるとすると、この状況の中で建設供給能力を上げるということが確実に必要になってくると。  では、どうするのかということになってまいります。そうすると、私は二つの方法があると思います。それは、ゼネコンさん、大きなゼネコンさんと、それから中小の建設業界でまた違った対応になるだろうということであります。  まず、ゼネコンさんで考えますと、彼らのヒアリング等々いろいろなお話を聞いていると、こういうことを言います。我々は確かにオリンピックまではそれなりに需要があるということを予想している、しかしながら、それ以降需要がそれほど伸びないのではないかなと危惧しているので、今建設投資を伸ばすということは控えているんだ、新しい人を増やすのはやめているんだということで、二〇二〇年、あれだけ先のことまで決まっていても、それでも不十分だと大手ゼネコンは言っていて、それによって供給力が上がらないという大問題があります。  この問題に関しては、これはもういろいろな経済学者の間でも最近共有認識が広まりつつあるんですけれども、西田先生がまさにおっしゃるとおり、政府がこれだけの投資を十年間、二十年間やっていくんだというプランをきちんとコミットしておくという、こういう戦略が重要になってくると。これは経済学的に言うと期待を形成するということですね。こういうような格好で政府がそういう期待を形成するために必要なのが国土計画、都市計画等となってくるわけでありますけれども、そういうことがあると安心して建設供給能力は上がっていくということがあるのではないかというのが西田先生の御質問であったかと思いますけれども、私も全くそのとおりだと思います。これが一つ。  しかしながら、それとは無関係に行動しがちな、する傾向が高いのがやはり中小の建設業者で、今年、来年のビジネスが潰れるか潰れないかの中でやっていらっしゃる会社がたくさん多い中で、もう十年後、二十年後のことを言われても、何かそこまでのことは考えられないという方が中小になればなるほど増えてまいります。そういう方々にとって重要なのは労働単価の問題であります。公共事業の単価であります。  これはどういうことかというと、建設産業というのは、例えば政府が受注すると政府がお金を払います、建設業者に。で、建設業者が労働者にお金を払います。政府が建設産業にお金を払うときには政府の規定で何ぼの賃金だということが積算されます。これは規制で決まっている金額であります。ところが、労働市場から労働サービスを買い取るときは自由マーケットで購入するんです。したがって、これは値段が上がったり下がったりします。そして、今非常に人手不足が言われていますから賃金が物すごく上がっている。したがって、ほんまは二万円払わなあかんのに政府から一万三千円しかもらわれへんというようなことが全国で起こっています。こういうことが続くと、もう余り仕事受けたくない、更に言うと、こんな安い仕事したくないということでなかなか増えていかない。  こんな状況の中で人を増やしても養われないということで、この問題があって建設供給力は増えていないということは経済理論の中ではほとんど議論されていません。しかしながら、現場ではこれは徹底的に認識されていて、いつも理論的にそれを上に上げるんですけれども、経済理論の中にそういう理論がないからということでほとんど却下されているという状況がありますから、今申し上げた労働単価の問題、これ資材の問題もありますけれども、こういう経済マーケットで決まってくる値段と規制の中で決まっている値段というものをちゃんと一致させていくというふうな仕組みをつくっていく、こういう規制緩和が建設供給力を上げる上で重要であって、これが進めば公共投資をすることでどんどん雇用を吸収していくというようなことができて、デフレ脱却効果がより一層効果的に進んでいくのではないかと。  もとより給料を上げるということが先ほどの建部先生のお話にもございましたようにデフレ脱却の本丸であるということは、総裁もおっしゃっているというようなことを今書かれておりましたですけれども、そういうことから考えると、今申し述べたような第二の方策というものがデフレ脱却において極めて重要であるということは、これは論理的必然ではないかというふうにも思います。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 二点説明いたします。  一つは、さっきケインズの合成の誤謬ということを言いましたけれども、恐らく個々の企業経営者も、こういう状況の中では賃上げをやらざるを得ない、あるいは賃上げがデフレ克服につながるという、そういう認識をかなり広範にお持ちだと思うんですけれども、ところが、やっぱりよその企業が付いてきてくれなきゃ俺のところだけ上げるというわけにいかないよという、そういう側面があると思うんですよね。ですから、私は、賃上げに当たっては、政治家であるとかあるいは財界人のリーダーシップ、財界人トップのリーダーシップが非常に重要ではないかというふうに考えております。もちろん、共産主義社会じゃないわけですから、最終的には労使の交渉で賃上げ率が決まっていく、そこは残しておかなければならないと思いますけれども、そういう明確な方向性を出すというのは十分可能ではないかと思っております。  それから、二つ目は、公務員の給与の引下げ、これがある意味で民間企業の賃下げを先導するという側面があったということは否定できないだろうと思うんですよね。この部分は、もちろん財政の制約もありますけれども、政策的に対応すればできるわけで、ここでも政府あるいは国会がリーダーシップを発揮するという、そういうことが重要ではないかというふうに考えております。  以上です。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 江崎孝君。

江崎孝民主党・新緑風会

○江崎孝君 民主党参議院議員の江崎でございます。両先生、ありがとうございました。  端的にお伺いします。  量的緩和を含めて、それに対して財政緊縮という状況もありますけれども、その財政緊縮の方の話をするときに必ず出てくるのが長期金利の問題だろうと思います。  そこで、藤井先生にお伺いしたいんですけれども、資料の中に、国債暴落Xデーが訪れるという、これがあります。これをできれば少し御説明をいただけないかと、これが私の質問です。  それと、建部先生には、量的緩和の問題は分かりました。それと、今度は、その量的緩和と違って、今、藤井先生がおっしゃった財政出動、これがデフレ脱却に必要だという考え方が今、藤井先生から示されたんですけれども、それに関しての御見解をお聞きしたいと思います。  以上、二つです。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) どうもありがとうございます。  お手元の資料ですとスライドの十五を御覧いただきたいと思います。このスライド十五は、このままでは国債暴落Xデーが訪れるという言説がありますが、これが言い難いのではないかと考えられる根拠を示したグラフでございます。  これは、元々、国債暴落Xデーとは何かというと、誰かが、このままだったら国債が安くなってしまうと思ってたくさん売り出します、そうすると、今度みんなは国債安うなってしまうんちゃうやろかと思って、その不安が広がって、次は、俺も売ろう俺も売ろうといって、もう芋づる式にといいますか、坂道を転げ落ちるように国債の価格が下がっていくと。そして、これはややこしい話ですけれども、国債の価格が下がるイコール長期金利が上がるということになりますので、それが起こるんじゃないかということになります。したがって、国債暴落Xデーが起こるということは、今国債を持っている人が投売りをするかどうかに全て依存しているということになります。  そういうことで、私は、この問題をどういうふうに、できるだけ科学的に、国債暴落Xデーが起こるということが起こりにくいのかということを科学的に証明するためにどうしたらいいのかなと思いあぐねて行ったのがこの調査であります。何をしたかというと、実際に国債を持っている人が、あなたは国債暴落Xデーのときにどうなると思いますかとその人に聞くというアンケート調査を行いました。そして、面白いもう一個の視点が、国債暴落Xデーが起こる起こると言っている人はどういう人かというと、実際は国債を持っていないのに、机上の空論で何か起こるんちゃうやろかと思っている人が多いんじゃないかなという仮説を私はつくって、この二つを検定するために行った調査であります。  要するに、国債投売りについてエコノミスト、証券マンに、Xデーのとき、インフレ率と投売りされる国債のパーセントを直接尋ねました。そうすると、金融資産を持っている、要するに、国債を実際運用していることがある人の予想インフレ率、Xデーのときです、Xデーのとき、ですから、もうひょっとすると物すごいインフレ率になるかもしれないのに、この人たちの予想インフレ率は一四%しかありません。そして、国債の何%が投売りに出されるかというと、彼らは実に三・九七%しか、Xデーだと言っているにもかかわらず三・九七%しかいっていないということで、実際に運用している人はXデーのときに大したことにならぬやろうと、そんなXデーなんかけえへんやろうと思っている様子がうかがえます。  ところが、実際に債券を動かしていなくて理論だけいじくり回している人々はその平均がそれぞれ倍以上になります。平均インフレ率は二八%、そして国債投売り率は八%。要するに、お金を、実際に債券を動かしていないので、何かようさん大変なことになるんちゃうやろかと思ってはるということで、彼らが新聞やテレビで騒いでいるのではないかということの疑義がここで表されると。  しかも、面白いことに、本来は投売りが多ければ多いほど予想インフレ率が高くなりますよね。投売りが五%なのにインフレ率が一〇〇%になるって何を考えているんやろうということになるわけですけれども、逆に、予想インフレ率が五パーしかないのに一〇〇%投売りされまんねんとか言っているやつって、ちょっとおかしいんちゃうかということになるわけですけれども、そういうやつは実際にお金を動かしている人には全然いないんですけれども、全然債券を動かしていないやつらにはいるんですよ、こういうやつらが。分かりますかね。投売りなんてないにもかかわらずインフレ率一〇〇パーやと言っているやつとか、あるいは国債投売り率一〇〇パーや言うてるのにインフレ率聞いたら一〇パーやと言っている。これ隣で聞いたら気付くかもしれないんですけれども、全然違う調査で聞いたので頭の中でつながっていない、思考が止まっているということを証明してやったと僕は思っていたんですけれども。  そういうことで、よくそういうことが言われるのは、こういうような非金融資産の運用家たちがテレビや新聞で騒いでいるのではないかなと思いますというのが一つ。  もう一つは、実際に売るかどうかということを現場で考えている人はそんな投売りなんかしないというふうに判断している。なぜか。売ったところで手元にある円の運用の仕方が分からないからであります。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) まず、財政政策と金融政策、どこが違うのかというそこから説明したいと思いますけれども、財政政策の場合は直接需要をつくり出せるわけですよね。金融政策の場合、さっき言いましたように、私は、王道は金利政策である。短期であれ長期であれ金利を下げる、それが設備投資、個人消費の増加につながっていく、これが金融政策の本来の姿。ということになると、金利を下げてそれが実際に設備投資、個人消費につながらないと駄目だと。間接的にしか消費を喚起できない、そこが恐らく財政政策と金融政策の違いということで、ですから、その意味で財政政策の重要性というのを私自身否定するつもりは全くございません。  ただ、乗数効果というのは、さっき名前を出したケインズにつながる、そういう概念なんですけれども、最近、公共事業の乗数効果、つまり国民所得を増やす効果ですね、これが非常に低下しているということが言われます。これは、大体どの立場の研究者も公共事業の乗数効果が落ちているというのは共通認識になりつつあるようでして、そうするともちろん財政出動といっても従来型では心もとない。そうなると、じゃどこにということになるわけですけれども、私はやっぱり、これもよく言われていることですけれども、医療だとか福祉だとか介護あるいは、私は大学の先生ですから教育にもっと支出を増やすべきだろう、こういうふうに考えております。

江崎孝民主党・新緑風会

○江崎孝君 ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 次に、河野義博君。

河野義博公明党

○河野義博君 公明党の河野義博でございます。今日は、両参考人、ありがとうございました。  初めに、両参考人に一問ずつ同じ質問を伺います。  お二人ともデフレ克服に当たっては所得を上げるんだ、賃上げが大事なんだということで同じ見解であったかと思います。その中でも、公共部門に関しては我々政治の力が大きく寄与し得る、公務員の給料ですとか公共事業の賃金というのは政治である程度寄与できることかと思いますが、先ほど来質問の中にもございましたが、民間部門の給料をどうやって上げていくのかというのがまさに大きな課題でございまして、政府一丸となって、政労使会議を開きリーダーシップを発揮しながら賃上げに努める、大企業の中でも一部ベアを行う、それにつられて、一次下請、二次下請もつられてベアをという動きも見られるようになりまして、非常に僅かながらですがいい傾向が見られているんではないかと思うんですが、今なおやっぱり大企業の賃上げが必要なんだと、大企業が、民間企業がやり玉に上がりまして、民間部門の給料を上げなきゃいけないんだというような御批判もございますけれども、それでは、それ以上に、どうやって政治の力で民間の給料を上げていったらいいのかという点に関して両参考人に具体的なアドバイスを頂戴できればと思います。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) さっきも言いましたけれども、最終的な賃上げの決定の場というのは、労使の場で決定されるべきものだと私はやっぱり思います。だから、政府が、何%賃上げしてほしい、あるいは賃上げすべきだという、そういうリーダーシップを発揮するということはもちろん現時点では非常に大事ですし、より声を大きく上げてほしいと思うんですけれども、じゃ政府が何%という具体的な数字まで出していいのかどうかというその辺りについては、政府自身がそこまで踏み込んでいいのかという点については若干の疑問を持っております。  ですから、まとまりのないことを言いましたけれども、要するに、政府、財界人トップは、賃上げについてそういう世論を喚起する上でリーダーシップを発揮すべきであるけれども、最終的な賃上げが何%になるかというところは、結局のところ労使交渉に委ねるしかしようがないんではないかと、こういうふうに考えております。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) どうもありがとうございます。  どういうふうにお答えしようかなと思ったんですが、その中で、比喩を一つ申し上げたいと思います。太陽と北風の比喩でございます。  例えば、賃上げをするということをコートを着ている旅人からコートを脱がせるというふうに考えますと、一つの方法は、脱げ脱げと無理やり引っぺがすような、そういう規制でやったりとかする方法、これが北風であります。また、別の方法は、別の人が、まあ月か何かが出てきて脱ぎましょうよ脱ぎましょうよと、こう言うと。ところが、でも寒かったら脱がないわけであります。でも、百人のうち何人かぐらいは、脱ぎましょうよと言われたら、まあ脱ごうかなという人も出てくるかもしれません。しかしながら、温度が上がってくればみんなおのずと脱いでいくと。  やはり、全体の賃上げを求めるのならば、こういう太陽の、太陽作戦のように、太陽の方法のように全体の温度を上げていく、実体経済の温度を上げていく、すなわち実体経済における活性化、これを目指していくということが一番大事なのではないかと思います。  そのために何が必要かということをやっぱり、賃上げというのはミクロな現象のように見えるんですけど、コートを脱ぐというのはミクロな現象のように見えるんですが、今申し上げた比喩が重要なポイントは、実はそこの気温というマクロな状況によってコートをすぐ脱ぐ人々がいっぱい出てくるんだということであります。したがって、脱ぐというミクロな行動を誘発する、その賃上げというミクロな行動を誘発するためにも、マクロ状況を改善するということが最善でしかも最短の方法ではないかと私は思います。したがって、金融・財政政策が中心になってやるべきだ。  そして、温度を直接上げるときに、金融政策というのは間接になりますから、直接温度を上げるのは、これは建部先生がまさにおっしゃったように、直接内需を拡大することが財政政策でできますから、やはり財政政策を中心にやっていくべきであって、そのときに、とにかくお金を使えばよいというのは全く無駄なお金の使い方になるかもしれませんから、したがって、より効果的に服を脱いでもらえるように、コートを脱いでもらえるような様々な工夫を凝らしながら財政政策をやっていくということが一番いい方法なのではないかなというふうに考えている次第です。

河野義博公明党

○河野義博君 ありがとうございました。  建部参考人、続きましてお尋ねいたします。  私は、社会人になりまして四年間、銀行員として企業に融資をしてまいりました。その後、商社に転職して、今度は銀行からお金を借りて企業買収をやっておりました。MAの場に七年間働いてまいりました。そういった経験を踏まえて質問させていただきます。  私、バランスシート、BS、PL、キャッシュフローの、財務諸表の中で生きてきたんですが、先生の御提言の中に、企業の内部留保を使って給料を上げるんだと、財源に不足はないんだと。いただきました資料の五ページ目最後にも、大企業の内部留保が二百七十兆円、それに対して企業の現預金は二百三十兆円、これを賃上げに充てろという御主張であるかと思いますし、また事前に配付された資料にもそのように書かれているかと思いますが、これはBSの世界から考えますと非常に誤解を招く表現であり、かつ実現が非常に困難であると私は思っております。  と申しますのも、内部留保というのは、皆さん御案内のとおり企業の利益剰余金でありまして、利益剰余金がそのままキャッシュに残っている会社というのはどこにもございませんで、多くは成長資金、MAや設備投資に充てられて、またリスクバッファーとして残されている、かつ、上場企業というのは期末には手元現金をより少なくして資金効率化を図っている、またキャッシュじゃぶじゃぶにしておきますと買収リスクにもさらされますので、大企業、上場企業というのは特にキャッシュを極力少なくする傾向にございます。  そういった観点から、内部留保の金額をそのまま賃上げに回すというのは実現まさに不可能でありまして、現預金と内部留保というのは違う勘定科目でございますので、国会議員の先生方にも企業の内部留保が何百兆円あるのでそれを給料に回せとおっしゃられる方もおりますが、私はこの表現は間違っていると思います。  ちなみに、私の手元に、ちょっと数字が先生のものとは異なりますが、二〇一二年度の大企業の内部留保というのは三百四兆円、そのうち手元現預金というのが百六十八兆円という数字がございます。中でも、この百六十八兆円のうち、中小企業すなわち資本金一億円未満の企業が保有しているのが百一兆円ございますので、すなわち大企業は六十兆円何がしという中で、それを一社当たり割り当てますと数千万円にしかならない。それを財源に大企業の内部留保が悪いんだという指摘は、私は必ずしも正確ではないんではないかと思います。  一方で、内部留保に回らない、すなわち当期の利益剰余金に回らない範囲で、ストックの内部留保にピンポイントを当てるんではなくてフローであります当期の剰余金を少なくするように企業の賃金を上げていくという論調であれば私は納得感がいくんですけれども、参考人の御意見を伺いたいと思います。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 内部留保といったって現預金で持っているわけじゃなくて、既に設備投資その他、当面の設備投資あるいは運転資金に流用されているんだよ、だからそれを賃上げの原資に回せない、回すといったって回せないんじゃないかという、そういう御質問だと思いますけれども。  今日その数字を持ってまいりませんでしたけれども、内部留保の中身を点検した、そういう論文が幾つか散見されます。それを見ると大企業を含めて有価証券が圧倒的に多いんですよね。有価証券ということになると国債だとか他の企業が発行した社債だとかCPだとかということになるわけで、したがって、有価証券というのは処分可能ですよね。それを原資に回すということは十分考えられるというふうに考えておりまして、それで、ただ、内部留保の数字だけじゃなくて、中小企業も含みますよという、そういう限定を付けましたけれども、企業の現預金というのは二百三十兆円ある。  それから、たまたま今日持ってきた新聞記事の切り抜きですけれども、十二月十七日付けの日経新聞です。企業の国債保有、急増ということで、リードの部分だけ読み上げますと、上場企業が国債の保有を増やしている、業績の改善で潤沢になった手元資金を比較的安全で換金しやすい国債の購入に振り向けているためで、トヨタ自動車の国債保有額は四兆円増えた、上場企業はコマーシャルペーパーや社債市場でも資金の出し手側に浮上、資金が活用されずに内部に積み上がっている側面も強く、将来の成長へどう資金を生かしていくかが次の課題になる。  これが日経新聞の記事でして、要約しますと、もちろん部分的に現預金以外の形を取っている、そういうものがあることを否定しませんけれども、かなり大きな比重が有価証券という形で持たれている。有価証券は売ろうと思えば現預金に換えることができるわけで、十分に賃上げの原資になり得るんだ、こういうふうに判断しております。

河野義博公明党

○河野義博君 時間が参りましたので、最後に一点だけ。  上場企業が投資目的で有価証券を大量に保有するというのはなかなか考えづらい、マーケットからいいますと考えづらいので、純粋な投資目的で、私はそれはごく一部に限られる話だと思っております。また、繰り返し申し上げますけれども、内部留保というストックを原資にした給料の賃上げというのは現実的ではございませんので、フローの収益の中から賃上げというのは議論していくべきだということを一言申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 次に、渡辺美知太郎君。

渡辺美知太郎みんなの党

○渡辺美知太郎君 みんなの党の渡辺美知太郎です。藤井先生、建部先生、今日はありがとうございます。  まず、藤井先生には二つ伺いたいことがあります。  一つ目は、財政出動としての公共投資でありますが、公共投資は従来からの道路や橋のほかにも医療や福祉、介護といった投資もあります。これらは道路よりも継続的な雇用の拡大などにつながるのではないのかなと思いまして、その道路や橋に代わりましてこういった医療や福祉への投資についてはいかがお考えであるか、伺いたいと思います。  あともう一つ、もしこれちょっと間違いがあれば訂正いただきたいんですけど、先生はよく景気刺激効果の分析に公的固定資本形成を用いられていると思うんですね。公的固定資本形成は土地代が含まれていないですよね。日本の場合は公共事業に占める土地代の割合が非常に高いと思います。もし公的固定資本形成を用いた場合に、景気刺激効果が減殺されてしまう、あるいは公共事業の実情を反映されないといったことはないのかということをちょっと伺いたいなと思います。  建部先生にも二つ伺いたいことがあります。  先生は、日本のデフレの原因は賃金の引下げにありと、金融緩和ではなく賃金の引上げによってデフレ脱却が解決するとおっしゃっていました。しかし、昨年は金融緩和で景気が多少なりとも上向いたという分析もありまして、この結果について建部先生はどのように捉えているか、ちょっと伺いたいなと思います。  もう一つは、先生がインフレターゲティングに替えて賃上げターゲティングにするべきとおっしゃっておりましたが、もう金融緩和をする必要はないのかどうか、ちょっと伺いたいなと思います。よろしくお願いします。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) どうも御質問ありがとうございます。  まず第一点の、公共投資を行う場合に、医療、福祉、介護等を排除する必要があるのかといいますか、その辺りは出動項目としてどうだろうという御質問でございますが、まさにそれも含めて戦略的な財政政策、これを考えなければならないというふうに思います。それがまず第一点であります。  そして、そのときに、ちょうどいい御質問をいただきましたので少し論理的なことを申し上げますと、公共投資を行うことで国益を増進しようと考えるときには、フロー効果というものとストック効果というこの二つを必ず考えなければならないという点は申し添えたいと思います。しばしばストック効果だけを語る方がおられたり、フロー効果だけを語る方がおられるときもあるんですが、学術論文ではそれはあり得るんですけれども、実際の政策においてはどちらも見据えなければならないということを申し添えたいと思います。  フロー効果とは何かというと、例えば一兆円の事業を発注することでそれが所得になって、それでまたお金を使って乗数効果二だったら二兆円の景気刺激効果があると、これがフロー効果と呼ばれるものですけれども、ストック効果というのは、一兆円の事業を出動して、それで例えばこういう研究開発ができて、その研究開発ができることで日本のGDPは二兆円増えましたとか、例えばそういうふうなお金を使ったことででき上がったもの、あるいは知識も含まれますけれども、教育の効果も含まれますけれども、そういうもので景気がどれだけ良くなったのかという、これがストック効果と呼ばれますけれども、この両面を必ず見ながら議論をしていただきたいというふうに思います。  それで考えたときに、医療、福祉等に関してのものとインフラというものとどちらが上になるのかというのは、これはもう是々非々であります。インフラ投資をやった方がいいような項目もあれば、医療等々に投資した方がいいこともあるでしょうから、その辺りはきちんと様々な論点を考えながら考えていくということが必要だろうというのが二点目であります。  三点目でありますけれども、実際のところ、限界費用といいますか、限界効果というのはだんだん逓減していくという効果が、これは一般に経済学で言われておりますけれども、今御指摘になったのは社会保障の部分でありますけど、社会保障は実は平成八年が十五兆円程度であったものが今はたしか三十兆円弱とかそれぐらいでしたですかね、それぐらいまで伸びてきておりますので、かなりそこには財政出動がされているという状況があります。一方で、例えば公共投資的な、公共投資の部分に関しては十五兆円から七兆円程度まで半減しているということがありますから、どちらの方に投入することがより景気刺激効果があるかというと、実は公共投資の削られてきているところの方に投入する方がより効果があるという可能性もあります。その辺りは、ただ是々非々でございますので、そういったこと、今申し上げたこと全体を含みながら御議論いただくことが必要であると。戦略的というのは総合的に考えましょうという提言であります。これが第一の御質問に対する御回答であります。  第二の問題は土地の問題、これはまさにおっしゃるとおりでございます。公共事業関係費とそれから投資額、IGと呼ばれるものとはその土地のところがずれるということは昔から指摘されているところであって、当然ながら私もそのとおりであるというふうに思います。そうしますと、土地に流れていくお金は、これは賃金に必ずしもすぐにはならないという効果があります。この点は確実に公共事業のフロー効果を考えるときには絶対に忘れてはならない論点であるというふうに思います。これが第一点。  第二点でありますけれども、さはさりながら、昨今はインフラのメンテナンスの需要というものがどんどんどんどん増えてきております。このメンテナンスに関しては、維持更新に関しては土地の買収が要らないという大きな特徴がありますので、二十一世紀の今日から先においては、御指摘の問題点というのは逓減していく傾向にあるだろうというのは事実であろうというふうに思います。これが第二点。  第三点なんですが、これは先ほど申し上げた王道のニューディール政策とは変わってくるんですけれども、土地市場というものも非常に重要な日本経済の尺度の一つでありますので、ただ、それはバブルとかの問題もありますから、必ずしもそこの土地が売れることはいいかどうかということは総合的に考えなければならないんですが、土地が、地価が安くなってくるということを底支えするという効果も一部見られるということもあるんだろうと思います。ただ、それはバブルになると元も子もないということの繰り返しになりますけれども、そこの点については総合的に考えなければならないと思いますけれども、いずれにしても、その点は勘案しながら、かつ総合的な項目を考えながら投資項目を是々非々で考えていくということが必要ではないかなと思います。  まさに御指摘の二点は、いずれもきちんと考慮しながら財政政策を戦略的に考えていくべき重要項目の二つであったというふうに認識しております。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 量的・質的金融緩和の効果という、その点についてですけれども、現状で確認できるのは円安だとか株安に伴う効果ですよね。要するに、量的・質的金融緩和と円安が時期的に一致したということはそのとおりだと思うんですけれども、じゃ量的・質的金融緩和が直接に円安に効果があったのかというと、必ずしも私はそれが主要な原因ではなかろうというふうに考えていまして、御承知のように、二〇一一年から日本の貿易収支は赤字になっているわけですよね。それに伴って経常収支も、まだ黒字ですけれども、だんだんだんだん減り始めている。ですから、タイミングとして、経済のそういう基礎的な状況からして、そろそろ円高が止まって円安になっても不思議ではない、そういう状況があったわけですよね。私はやっぱりそっちの方が円安の基本的な原因ではないか。  ただ、こういう問題はあります。実務家の間でソロス・チャートという言葉があって、マネタリーベース、どこかの国の中央銀行がマネタリーベースを増やすとその国の為替相場は下がるという、投資家の一部がそういうソロス・チャートに従いながら行動しているということは実務家の人たちからよく聞かされます。  ですから、量的緩和、基礎的にはもう円安になってもおかしくない、そこに量的・質的緩和効果が出てきた、これはソロス・チャートを適用して一もうけするときだという、そういうふうに投資家が行動した、その側面も否定できないだろうと思います。それが金融緩和の円安に関係する問題ですね。  それから、株高についてもやっぱり外国人投資家の動きに注目すべきだろうと思うんですよね。よく言われるように、東京証券取引所の日々の売買高のうちの六〇%は外国人投資家というふうに言われているんですよね。株高になっていると、日経新聞なんかを丁寧に読んでいますと必ず外国人投資家の買いが入ったという、そういうことで、外国人投資家の中にはヘッジファンドが当然含まれているわけで、投機的な動きというのがその中には織り込まれているわけですね。特に去年の五月なんか一時株価が暴落しましたけど、あれはもうここで一もうけして利益を確定しておこうという外国人投資家の売りが絡んでいるわけで。  ですから、株高が資産効果を通じて一部消費に活気を与えている、そのことについては否定しませんけれども、その裏には日本人投資家よりも外国人投資家の大きな動きがあるんだという、そこを押さえておく必要があるんではないかと思って、ですから、たまたま昨年四月四日の量的・質的金融緩和が外見的には円安株高に結び付いて景気を良くしたというふうに見えますけれども、その基礎にあるファンダメンタルズ、あるいは外国人投資家の動きにも十分目を配っておく必要があるんではないかというのが私の考え方です。  それから二つ目は、じゃ、おまえは賃上げターゲットと言っているじゃないか、そうするともう日銀は金融緩和をやらなくてもいいのかと。そうは言ったつもりではないんですよね。私は、金融政策というのは、王道は金利政策であるということを何度も強調しました。もう短期金利、昨年四月まで、白川さんの時代には短期金利がゼロから〇・一%ということで、操作目標としての短期金利がゼロから〇・一ということで、事実上ゼロ金利になった。それで、白川さんの時代でも、最初は二年物国債まで買い増すよ、その後、三年物の国債まで買い増すよということで、三年程度の中長期金利まで金利を下げる、そういう形で金融政策を運営するんだと、そういう姿勢をはっきり見せていたわけですよね。  ちょっと話が長くなりますけれども、なぜもっと五年、六年、今、黒田日銀の下では国債の残存期間が平均七年になるようにという形で国債を買っているわけですね。白川さんの場合は三年程度までしか買わなかった。それは、日本の企業借入れが大体三年程度、銀行から借りる場合に三年程度ということで、アメリカのように、アメリカの住宅ローンということになると二十五年ですよね。そういう長期の金利というのは日本は余りないので、それで実態に合わせて三年にしていたと、そういうことを言っていました。  要するに、長期金利に働きかける、そういう意味での金融緩和は当然日銀は続けるべきである、そういうふうに考えております。

渡辺美知太郎みんなの党

○渡辺美知太郎君 もう私、時間がないので終わりますけれども、本当に先生方、今日はありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 辰已孝太郎君。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  まず藤井先生にお聞きしたいんですが、所得を増やしてデフレ脱却ということなんですが、今、国土強靱化と言われていると。その中で財政出動ということも先生唱えられていると思うんですが、国土強靱化の中でも、これから、例えば国交省が所轄する公共インフラの十分野でいいますと、すなわち道路、治水、下水道などの老朽化ですね、これが問題にもなっておりまして、これ国交省の試算でも、この老朽化対策するだけで年間四兆円で、今後五十年で延べ二百十兆円ぐらいの財政出動、老朽化対策必要じゃないかという試算が出されております。私たちは、むしろそういうところには老朽化対策ということで公共事業もきちんとやっていく、手当てする必要があるんじゃないかというふうにも思っているんです。ですから、その辺の藤井先生の、老朽化対策というところでの財政出動ですね、そこの重要性といいますか、その辺の先生の所見をお聞かせいただきたいと思っております。  それと、建部先生の方には、今回、補正予算では復興特別法人税が一年前倒しで廃止をされるということになりました。この間の法人税の議論を見てみますと、法人税を下げればその分が賃金に回ってということが言われております。より一層法人税減税をしていこうというのがこれからの流れになってくるんですが、先生は、法人税減税でいわゆる日本の経済、デフレ脱却につながるのかどうかということと、あと四月から予定されている消費税、来年十月の消費税一〇%ですね、これが与える日本経済への影響、デフレ脱却にどう影響してくるのかということを二つお聞きしたいと思います。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  まさに先ほど、これからの戦略的な財政政策を考えるときの一つの項目として老朽化対策というのを入れさせていただいておりましたですけれども、これは確実にやっていくことが必要であるというふうにまず考えております。これが第一点。  第二点でありますが、それをどういうふうに戦略的に計画的にやっていくのかということが次に問われると思うんですが、これに関して私の持論を申し上げますと、次になります。  私は、橋梁とかダムとか堤防とか等々全部、鉄道もですけど、含めて、将来のインフラ長期プランというものを作っていく必要があると思います。国土計画とか地域計画とか都市計画というものとも当然リンクしてくるというか、そういう意味合いを帯びるものだと思いますけれども。  これはどういうプランであるべきなのかというと、基本的にインフラというものを三つに分けたらいいんではないかと思います。まずは、維持すべきもの。今既存のもので維持すべきものはどれなのかと、長期的に考えて。そして二つ目は、長期的に考えて維持しなくてもいいものはあるのか。これが二つ目。三つ目は、長期的な将来のビジョンにおいてどういうインフラが追加的に必要なのか。この三つですね。  既存のものを、どれを維持し、どれを撤退し、どれを付けるのかということで、二十年後とか三十年後にどういう国を、どういう地域を、どういう都市をつくっていくのかというビジョンを作って、そのプランの下で、当然ながら、維持をすると決めたものに関しては徹底的に維持管理の老朽化対策投資を行っていくと。そして、新規に造ると決めたものに関しては新規投資を徹底的にやっていくと。そういう格好で、合理的に将来の国の形、地域の形、都市の形をつくっていくということを考えるのがやはり一番戦略的で合理的な投資計画になるんじゃないかなと。すなわち、維持管理と新規とを分けないで、両者を一体化して合理的に考えていくということが一番大事なのではないかというふうに私は考えている次第でございます。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 法人税を下げたら景気が良くなる、あるいは、最近の新聞を読んでいますと、税収も増えるんじゃないかという、そういうふうな一部の学者の見解も伝えられていますけれども、法人税を下げたからといって賃上げの方に結び付かないと思いますけれども、要するに、企業収益が増えるとそれがいずれは賃金の上昇につながっていくよと、そういう考え方はトリクルダウン理論というふうに言われてきたわけですね。我が国ではトリクルダウンという言葉がいつ頃から使われたのかなと。私の印象では一九九〇年代の末ぐらいからそういう言葉が使われ始めたという印象を持っているんですけれども、それ以来、日本の現状を見ていますと、企業収益が増えたからといって賃金が引き上げられた、さっき藤井参考人もそのことに、給料が下がっているよということについて言及されていましたけれども、残念ながら、日本の二〇〇〇年代あるいは二〇一〇年代の現実を見ると、トリクルダウン理論が実現したとはとても言えないわけですね。  ですから、要するに、デフレを克服するためには何を最優先にすべきか、何がデフレの真の原因かという、結局そこに最後は行き着くと思うんですけれども、私は、この間の賃下げがデフレの原因ということになるわけで、そうすると、デフレを克服し日本経済を立て直すためには、やっぱり賃金の引上げというそこであって、企業をこれ以上優遇してみても、本当にそれが賃上げにつながって景気の回復につながるのかという、そういう保証はない。だから、法人税の引下げについては私の立場としては疑問を持っているというふうに申し上げたいと思います。  それから、消費税の問題ですけれども、三%分の消費税の引上げという点ではもう一か月先に迫っていて、これを撤回するというのは非常に難しいと思いますけど、それを前提として問題を捉えますと、さっきも言いました、日銀の試算では、三%消費税が上がると消費者物価が二%程度、三%全部が転嫁されるわけじゃなくて、まあ二%ぐらいだろうという、そういう数字を出しております。ですから、二%の賃上げがあって初めて消費税を埋め合わせる、そこでやっと国民の消費能力が維持されるということで、景気の回復につながるためにはそこから更に積み増す必要があるんではないかということで、さっきは三%以上という、そういう数字が出てきますよということを申し上げました。賃上げと結び付かなければ、消費税の引上げが景気を冷やす、そういう方向で作用するという可能性は十分に考えられます。  以上です。

辰已孝太郎日本共産党

○辰已孝太郎君 ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 次に、藤巻健史君。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 両先生、ありがとうございました。  藤井先生にまずお聞きしたいんですが、先ほど江崎先生の御質問のときに、国債Xデーは起こらない、持っていない人が騒いでいるにすぎない、なぜならば債券投売りなど誰もしないからというふうにおっしゃいましたが、私は、イギリスのファイナンシャル・タイムズにドクター悲観論藤巻と書かれた男でございまして、国債暴落があしたにでもあるんではないかというふうに思っている男です。  その点で申し上げますと、先生は投売りをしないと国債は暴落しないとおっしゃいましたけれども、今年度予算は今のところ四十一兆円の赤字なんです。ということは、四十一兆円を誰かが、厳密に言うと四十一兆円から六十分の一ずつ毎年償還していますから、四十兆円近くの国債を毎年誰かが買い増さなくちゃいけないんですね。毎年毎年四十兆円近い国債を買い増していかなくちゃいけない。売らなければいいんじゃなくて、買い増さなくちゃいけないんです。ということは、買い増す人がいなくなれば国債は暴落しちゃうわけです。今なぜ国債が暴落しないかというと、日銀がマネタリーベースを二百七十兆も上げるということで買い増しているからですね。これ、日銀が二百七十兆のマネタリーベースに、目標に行っちゃって、日銀が買ってくれなかったら誰が買うんですかという問題がありますが、その辺について先生はどう思われるかということをお聞きしたいと思います。  先生の御主張を聞いていますと、財政政策と金融政策を最大限やるというお話だと思うんですが、まあ財政に関しては、もう千十八兆円という世界で類を見ないほどの借金がたまっています。それから、金融政策ですと、建部先生のおっしゃったように、金利を下げるということが最大の金融政策ですから、もう最大の金融政策をやっております。それにもかかわらず、日本経済は二十年間名目GDPは伸びていません。その間、ちょっとうろ覚えですけれども、中国がたしか二十五、六倍、アメリカでも二・五倍の名目GDPが上がっています。日本は低迷しているんです。ですから、金融政策、財政政策に頼ればいいということであるならば、今頃日本は世界最大の経済大国になっていたはずなんですが、今までのところは全くなっていない、逆な方向に動いています。それでもまだ財政出動が必要というふうにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。  その次はちょっと私の単なるコメントなんですけれども、先生のおっしゃる岩盤というのは私は円高だったと思います。岩盤が揺れるというのは、円高がゆえにデフレが進んでおったし、また、円高だったがゆえに倒産が増え、地方が疲弊し、そして人件費も下がったということだろうと私は思っています。  それに関しまして建部先生に御質問なんですけれども、まず一つは、先ほど渡辺先生の御質問で、金融政策は今後とも長期金利に働きかけるのはいいとおっしゃっておりましたけれども、私はこれ非常に危険だと思うんですね。要するに、量的緩和をやる前、金利で動かしているときというのは、日本銀行が買っている債券は成長通貨を抜かしてはほとんど短期金利だったんです。この前の量的緩和から脱却のときに分かったことというのは、出口は満期待ちしかないということだったんですけれども、今度買っている債券はそれこそ残存平均七年、十年債、四十年債まで買っているわけです。出口がなくなっちゃっているわけなんですけれども、それでも長期国債を買うべきだというふうにお考えなのかということを一つお聞きしておきたいということです。  それともう一つ、これもまたコメントだけでいいんですけれども、先生はインフレターゲットじゃなくて賃上げターゲットにすればいいというふうにおっしゃっておりましたけれども、かつ、デフレが進んだのは賃下げのせいだったとおっしゃいましたけれども、私は全てが円高のせいだと思っているわけですね。円高ですから、当然、外国人の賃金は安くなる。当然、工場は海外へ行ってしまう。これは日本人よりも外国人の方が安いんですから、仕事はみんな行ってしまう。だったならば、当然これは賃下げになっちゃうんです。ひとえに、先生のおっしゃっていることというのは鎖国経済だったらいいんですけれども、やっぱり今グローバル戦争ですから、円高というのは全て値上げですから、日本人の、それはもう海外へ行っちゃうということで、インフレターゲット論じゃなくて円高を修正しろということの方が先生の御主張に合うんじゃないかなと私は思っております。  以上です。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  まず、先ほど御紹介しました暴落Xデーが訪れるということは言い難いのではないかというデータについての私のコメントは、というデータが得られているので、というXデーが訪れるという可能性は幾ばくか低くなるんではないでしょうか、このデータがあるということはと、控えめに言うとそういうことであります。起こらない、絶対起こらないということは申し上げていないということはまず御理解いただきたいと思います。  ただ、したがって、いろいろと経済政策を行うときには、例えばこういう政策を行ったときにリスクとしてXデーが訪れるというリスクと投資をしないことによるデメリットと勘案しながら、全てのリスクを全て見ながらやっていかないといけないんだというふうに理解いただきたいと。それをやっていく上において、余りにそのリスクについての確率を過剰に評価していると適切な政策運用ができなくなるのではないかというふうな主張であるということをまず御理解いただきたいのが一点目。  二点目、御質問の一つ目でございますけれども、四十一兆円ずっと買っているじゃないか、これがずっと続くとそのうち暴落するんじゃないかという御指摘だったかと思いますけれども、まず、四十一兆円ずっと買い続けているというのは、デフレが続いているからという状況であって、だからこそ私はデフレを脱却するための処方箋を論じたわけで、この処方箋を論じて、それに基づいてデフレが脱却すると、この四十一という数字が当然変わっていくというのが第一点。  第二点でありますけれども、日本銀行が買っているという指摘をされましたですけど、まさにおっしゃるとおり日本銀行が買っているということがあるわけでありますけれども、それがなぜゆえに日本の暴落Xデーに結び付くのかということについては、ここは様々な意見があろうかと思いますけれども、少なくとも、私が知る限り、日本銀行、中央銀行がたくさん買い続ければ暴落が起こるということを証明するような実例とかというものは必ずしも存在していないのではないかと。そういうふうに議論することはできるかもしれませんけど、そういうこともあるかもしれないですけれども、そうじゃない可能性もある中で、その事象だけ考えて、もしもそれをやらないということであれば、結局国益が大きく毀損するようになってしまうんじゃないかということも考えられるわけであります。  いずれにしても、日本銀行が国債を買うということの是非については、日銀の独立性の議論とか等々ありますが、私はこの一点だけは申し上げたい。とにかくマクロ経済政策、財政政策、金融政策において重要なのは、物価がどうなのか、失業率がどうなのかということが極めて重要であって、それに次いで金利がどうなのか、そして為替がどうなのか、そして経常収支がどうなのかということが重要であって、日銀の国債保有残高がどうなのかということは、高まるとどれかが悪くなるということが起こった場合においてのみ悪くなるのであって、そういうことが起こらなければ、それが上がろうが下がろうが関係ないというふうに言えるのではないかというふうに思います。  いずれにしても、明治時代から今日にかけてどんどんどんどん経済規模が大きくなっていますけど、その分は確実に日本銀行がお金を刷ってきて大きくなってきているというわけでございますから、日本銀行の負債が増えるということイコール経済にとって悪いということになるということは少なくとも言えないのであって、過剰に増えるのが駄目だとすると、その過剰とは何なのかという丁寧な議論が必要になるのではないかというふうに思います。  したがって、先ほど御指摘になったような四十一兆円毎回買っているから問題なのだという議論は、それはデフレが終わったら止まるということであり、そしてそれが一体何なのか、ソー・ホワット、それがソー・ホワットということを、日銀が買っているということがソー・ホワット、一体何なのかということをきちんと丁寧に議論した上でないと議論ができないということは申し添えたいと思います。  それから、デフレに突入して以降、デフレに突入したのは九〇年ではなくて、皆様御案内のとおり、九八年からデフレーターがどんどん下がってきておりますので、九八年からというふうに考えますと、その間、先ほどのお話でありますと、財政政策をどんどんどんどんやったにもかかわらずデフレが脱却できていないではないかという御指摘、御認識をお聞きいたしましたけど、残念ながら、ちょうどその頃からシーリングといいまして、公共投資のシーリングで毎年毎年公共投資額が削られてきております。そして、その間、社会保障費は二倍になった一方で、公共投資額というものは半分以下にまで、最後のコンクリートから人へ時代においては半分以下にまでなったということを考えると、少なくともこの我が国日本が公共投資を拡大してきた国家なのだとは全然言えないということは言えるのではないかなと思われます。  したがって、今デフレが脱却できていない、財政政策しているのにデフレが脱却できていないじゃないかという説は、その前提から崩れているような言説になるのではないかなというふうに私は感じております。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 三点にわたって問題を整理したいと思いますけれども、まず、現在日銀は量的・質的金融緩和政策を取っているわけですけれども、おっしゃられるように出口政策というのは非常に難しくなっていると思います。  これは黒田さん自身が最近の講演で挙げている数字ですけれども、二年後ですよね、二%の目標が実現できるというふうに黒田さんが考えている二年後にマネタリーベースは、さっきもどなたかがおっしゃっていましたけど、二百七十兆円になるわけです。これ、対GDP比率では五〇%、この五〇%という数字は黒田さん自身が挙げておられるわけですよね。それに対して、今アメリカのFRBが出口政策を模索していますけれども、GDPに対する比率は二〇%なんですよね。それで、イギリスで二三%。だから、出口政策を考えるという時点では、アメリカはもう二〇%のところで出口を探り始めているのに、日本はもう五〇%を超えている。こういう状況の中で本当に出口探れるのか。  それで、国債の満期が順々に来るのを待てばいいじゃないかと。これは、さっきバランスシートの話もありましたけれども、日銀のバランスシート上では、所有している、資産としての国債が落ちて、それでその分、政府から償還されるわけですから政府が所有している日銀当座預金が減る、こういう形になるわけですね。ですから、言いたいことは、要するに、市中銀行が保有している、あるいはそこに日銀券流通高を加えたマネタリーベースは減らない、満期を待っても減らないんですよね。そこの問題が非常に大きくて、私は出口政策を本当に取れるのかなと、そういう危惧を持っております。  それから、二つ目ですけれども、なお、おまえは金融政策の余地があるよと言って、こんなに日銀、国債を持っているのにまだ国債買わせるのかということですけれども、ただ、例えば白川さんの時代には銀行券ルールというのがあったわけですよね。銀行券ルールというのは、日銀のバランスシート上、バランスシートの話ばっかり出して恐縮ですけれども、日銀のバランスシート上では日銀券というのは負債の項目に入っているわけですね。しかも、その負債というのは年々徐々に増えているけれども、戦後ずっと一貫して増えていて減ったことはないんですよね。ですから、長期負債、そういう意味で日銀券はバランスシート上負債に計上されているだけではなくて長期の負債として考えることができる。それに見合う資産は何かというと、長期国債だろう。だから、長期国債は銀行券、八十三兆円という数字をさっき挙げましたけれども、八十三兆円までは買ってもいいけれども、それ以上は買わないよと、そういう日銀内部、日銀法に定められているわけじゃありません、日銀内部のルールですけれども、そういう節度があったわけですよね。そういう節度の下で長期金利を下げる、そういう余地は金融政策として残されているのではないかというふうに考えております。  それから、三番目、一番大きな問題は、賃下げよりもデフレの原因は円高にあったんじゃないのか。円高と言った方がおまえの論理は一貫するぞということですけれども、これは因果関係をどう見るかという、そういう問題に帰着すると思うんですよね。  私自身の因果関係は、賃金が下げられた、そうすると国内の消費というのは当然狭隘化しますよね。賃金が下がっているわけですから有効需要がそれだけ減る。そうすると、企業としては、国内では売れないからということで輸出ドライブを掛けざるを得ない、それが円高につながっていくということで。  藤井先生もおっしゃいましたけれども、賃金が下がり始めたのは九七年、九八年ぐらいからなんですよね。その中で、賃金は一貫して下がっているけれども、円高の局面もあったし、円安に動いた局面もあるわけですね。でも、デフレは一貫していたわけですよね。そういうことを考慮すると、さっき申し上げたように、賃金が下がった、それが輸出ドライブにつながって、それが円高につながっていった。賃下げからやっぱり問題を整理した方が分かりやすいのではないかと依然として考えております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 議論したいんですけれども、時間がないのでこれで終わりにします。ただ、九七年というのは、構造改革法案を橋本首相が作った年で、それから借金が三倍になっているという点だけはちょっと覚えておいていただければと思います。  ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 真山勇一君。

真山勇一結いの党

○真山勇一君 結いの党の真山勇一です。藤井参考人、そして建部参考人、今日はお話ありがとうございました。  私の方からはお二人にそれぞれお伺いしたいと思います。それぞれというか、一度で質問させていただきますので、よろしくお願いします。  まず、デフレを克服して経済を活性化するということで、今日この場でも、様々な施策が行われている、金融面、財政面、そういうお話いろいろ伺いました。お二人のお話を伺っていて共通と私が思うのは、やはり一つは、景気を良くするためには消費、つまり賃金、所得を増やすことということではそれぞれ同じような意見をお持ちだというふうに思うんですね。  私は、今日は賃金ということで御質問をさせていただきたいんですけれども、例えば、今景気を良くするためで公共事業をやっていますけれども、これで景気回復目指すといっても、これまでだったら確かに公共事業をやるとお金が流れて景気が回復するということが言われていたかもしれないけれども、現在のいわゆる少子高齢化の中では、やはりもう日本の社会の形が変わってきているのではないかと。今までのようなお金の使い方ではなかなか景気回復できない。  特に賃金をというところで見れば、やはり高齢者はお金をため込んでしまうということが一つあるし、働き盛りの人口というのは減っているということで、やはりお金の回り方がどこか今までと違ってきているのではないかなというような感じがするんです。公共事業に幾らお金を注いでも、もうかる人も決まっているし、一部に集中してしまう。内部留保ということもあるということで、なかなかうまく、先ほどのお話にあるように、お金を、流れるという、適正にいろいろ使うということがなかなかうまくいかないんじゃないかというふうに思うんですね。  例えば、そうした辺り、賃上げターゲティングというお言葉も出ましたけれども、所得を増やすために政策的に調整をするようなことというのはやることはどうだろうかと。お話の中で、政府が余り賃上げのことに踏み込むのはどうかというような話もございましたけれども、やはり私は、今そこまで多少は政策的にやっていくこともどうかなというふうに思っているので、そういうふうに踏み込む、政策的に調整するということをどうお思いになるか。あるいは、そういうことをやるとやはり何か弊害みたいのがあるのでしょうかということを一つ伺いたいということですね。  これは、全体の所得を増やすということで今伺ったんですが、二点目は、個人個人の所得ということで考えたいんですが、今、やはり働き盛りの三十代、四十代という方の所得が非常に少なくなっています。ニートの方も多くなってきて、なかなかお金が稼げないという状況があります。お金が稼げなければ消費が当然滞るわけで、ですから、その辺りの人たちの、特にニートとか正社員じゃない、正規の社員じゃない方のいわゆる賃金ですね、その部分を上げる。  例えば、具体的に言えば、最低賃金というものをもう少し政府主導というか、政策できちっと決めていくということは、そういう政策はどうなのかということと、それからあとは、やはり今高齢化の中で、介護あるいは医療の現場というのがとても今需要が多くなってきている割に重労働です。でも、非常に給料は安いということがある。ですから、そうした現場も、やはり給料を政策的にもう少しきちっと払いなさいというようなことができるのかどうか、そういうような政策をやっていくという考えですね。  マクロ的にいろんなのを見ると経済政策ってあるんでしょうけれども、やはり賃金という面で見ると、その辺りを経済の専門の方から、具体的にどういうふうに政府が関わり合うのか、あるいはそれを民間がどうやるのかという、何か具体的な方法というのはおありかどうかというのをお二人に伺いたいと思います。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 私はさっき、政府が賃上げにリーダーシップを取るということは必要なことだけれども、最終的な賃上げの決定の場は労使の交渉という、そこに委ねるしかしようがないのではないかと申し上げました。その点については特に、先ほど来、現時点で意見が変わっているわけではもちろんございません。  ただ、最低賃金ということになると、最低賃金について積極的に政府が目標値を定めるという、これはあり得てもいいのかなという気がしますね。国民の最低限の生活を保障するという、そういう問題、国民の生活権の問題に、単に賃金というだけじゃなくて国民の生活権という問題にも掛かってきますので、そこの部分についてはより政府が一歩踏み込んでもいいのかな。あるいは、先ほど来の質問でも出ておりましたけれども、公務員の給与を上げていくというのは、これは政府主導でできるわけですね。そういう形で政府が積極的に動ける側面というのは十分残されているというふうに考えます。  それから、介護、医療ということですけれども、これは私も先ほど申し上げました、従来型の公共事業というのは非常に乗数効果が下がっているというふうに言われている。そういう中で、より有効な形で政府予算を使うということになれば、やっぱり医療、介護、あるいは教育、そういう分野に力を入れていくという、そこで政府がリーダーシップを発揮する、そういう余地は十分あるだろうというふうに考えます。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  非常に重要な御指摘だと思います。まさにその点をどう考えるかというところが戦略的財政政策を考える肝になるんだろうというふうに思います。それを考えるとき理論的にはどう考えるべきかというところでありますけれども、私は次のように考えます。  まず、それぞれの賃金というものがどういうふうに決定されるかというメカニズム、これは分野とか業種によってもそれぞれ千差万別であります。その事実をまず確実に前提とすること、この前提を外してしまうと、十把一からげで、どうやったらいい、規制を緩和した方がいいとかどうたらしたらいいとかいうことになってしまうので、賃金決定メカニズムは業種によって全然違うんだということをまず認識することが第一点。  それを認識した上で、そしたらどんなパターンがあり得るかというと、完全に自由な労使交渉だけで決まっているという場合もあるでしょう。さらに、実は最低賃金というものも当然影響してきますので、この最低賃金というのも影響されます。さらに、物によっては価格、その会社といいますか産業が売っているサービスなり財の価格というものが最終的にはこの人たちの給料を決めているというメカニズムが当然働きます。そうすると、この価格が自由になっていると、ここがどんどん下がっていくということになっていって、最低賃金だけ決めていてもどうしようもないということになってきます。したがって、価格を保証しておくということも大事になってきます。  当然ながら、デフレを脱却することが一番いいんですけど、価格というものは、政府が決めている、あるいは制度を決めているものがあります。例えば運輸業とかいうのがその典型になりますけれども、そういういろいろなものですね、農産品に関しますそういうものもあり得ますが、当然ながら関税なんというものもその価格に直接影響しますから、政府がこの価格に対して影響力を及ぼし得るものというものが当然存在します。  そして、その価格というものが賃金を決めているという業種も当然ながら存在します。そのときに、賃金を保障するときに価格を好き勝手に下げていいというふうになってしまうと、結局はレイオフするか賃金を下げるか非正規雇用を雇うかしか仕方がなくなってくるので、業種によっては絶対に価格をいじってはいけないというものもあります。  さらに、別の業種においては、その価格というものが需給のバランスで決まっているというところも当然あります。需給のバランスで決まっているところに供給に対する制約を掛けておくと価格が一定程度になって賃金が保障されるというメカニズムを明確に持っているところがあります。この明確で一番有名なのはタクシー業界でありますね。例えばこういうビジネスもあります。  そういうことで、それぞれの業種ごとに政府がどのような役割をその賃金に影響を及ぼしているか。一個一個違うんですね。そういうことを丁寧に見ながら、賃金を保障するためにどういうような政府のやり取りをやるべきなのかということを一個ずつ丁寧に議論するべきであるので、いずれにしても、何度も議論が出てきましたように、政府が例えばこの賃金にしろというような国家ではありませんので、それをやると社会の活力が失われてしまいますので、それぞれの業種ごとの特殊な事情を全部加味しながら、にもかかわらず、その特殊な状況の一個一個に我々は、政府は確実に何がしかの影響を及ぼし得るハンドルを持っているはずですから、それを最大限に活用しながら賃金を保障していくということが、今こそデフレ脱却のときにおいては一番重要な、丁寧な取組なのではないかなというふうに感じております。

真山勇一結いの党

○真山勇一君 ありがとうございました。  四月に消費税も上がりますし、やはり消費者のマインドというのがこれから、短期的に見るとやっぱり一番景気をどうするかということで大事ではないかと思いますので、また是非お二人にもそういうお話、いろんな機会に伺っていきたいと思います。  ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 吉田忠智君。

吉田忠智社会民主党・護憲連合

○吉田忠智君 藤井参考人、それから建部参考人、大変貴重なお話をありがとうございました。  お二人に二問お伺いをしたいと思います。  まず一問目が、ある私は書き物で読んだんですが、一昨年の十一月頃、ちょうど衆議院解散の時期に為替の介入が行われていたのではないかと。円安誘導、これ大胆な円安誘導で、最大の障害となるアメリカの通貨当局ともしっかり話をした上でそれを行われたのではないか。そうすると今の円安の状況というのは説明が付くわけですよね。そのことについてどのように思われるかが一点。  それから二点目は、今政府部内で、各種諮問会議でいわゆる労働者保護ルールの見直しが検討されています。これはいわゆる三本目の矢、成長戦略の名の下で、派遣労働の拡大、それから解雇ルールの見直し、それから裁量労働制などでありますけれども、このことについてどのように見ておられるか、そしてそれがデフレ脱却にどのような効果をもたらすか。  その二点についてお伺いします。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  まず、為替がどう決定されるかでありますけれども、しばしばよく言われるのは、ソロス・チャートと、先ほど建部先生もおっしゃいましたけれども、要するにお金の量がそれぞれの国でどれだけ出ているのかということで、その比率で決まってくるんだなんということが言われますが、実は修正ソロス・チャートというのがもっとフィットが高いということが分かっておりまして、この修正というのは、実際に使われているマネー、単に銀行で眠っている塩漬けのマネーは排除した上で、実際に生きた、アクティブマネーというんですけど、アクティブマネー同士の比率で見るとこの為替の金額が大体きれいに予測できるという研究結果がありまして、私はこれが結構正解じゃないかなと学者として感じているんですが、それで考えますと、今おっしゃった選挙のときの介入、これが影響していないということは当然ないと思いますが、やはりその後の金融政策というものも大きな影響を及ぼしているというふうに思います。  ただ、ここで重要なのは、金融政策の量にそのまま比例しているのではなくて、マネートータルではなくてアクティブマネーの比率になってまいりますので、やはりアクティブマネーの方は、少なくとも財政政策十兆円をやっているというところも加味して、そこで確実に増えているところがありますし、資産効果等でアクティブマネーも金融緩和の影響でも増えているところがあると思いますから、やはり今の円安というものは第一、第二の矢が影響していないと考えるのは少し難しいのではないかなというふうに私は学者として感じております。これが第一点。  第二点でありますが、派遣労働の拡大とか裁量労働制の拡大とか、こういうものを、例えばそれ単体でやったケースというものを考えると、賃金を下げる、トータルとしての賃金を下げる可能性というものはどうしても増大してくるだろうということは、これは認めざるを得ないというふうに思います。問題は、それをやったときにほかに何をしているのかということであります。  したがって、本当にデフレ脱却をしたいと感じているのならば、もし今おっしゃったようなものをやりたいと、やるんだということがあるんだとしたら、そのメリットがあるんだとしても、そのデメリットを相殺するような対策を絶対にやらないと悪化してしまうだろうと思います。したがって、その単体の事業だけを、取組だけをしていいか悪いかを論ずることはできなくて、やはりパッケージで、戦略性がどういう方向を向いているのか。  最悪の状況というのは、ただ単に大企業だけが、よく言われるのが、大企業だけがより動きやすくなって、中小企業がどんどん潰れて、レイオフしやすくなって、大企業がお金をもうけて、それを海外投資に割り振ったり、あるいは内部留保に回すだけであれば、デフレの元々の根源、病原菌が全く退治されないということになりますので、万一そういうものにつながる対策であるとするならばそれは否定しなければならないと思いますけれども、しかしながら、それはトータルとしてどういうふうな方向をそのパッケージが考えているのかということで考えなければならないというふうに私は学者として感じております。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 選挙中に為替介入があったのではないかという、そういう御質問かと思いますけれども、私自身は、結論からいうとなかったんじゃないかと思います。  というのは、為替管理の責任は日銀にあるわけじゃなくて、財務省が握っている、政府が握っているわけですよね。政府が、これは円高が進み過ぎている、円安の方向に持っていきたいという場合、政府が決定して、ただ、政府は、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、政府関係者もお役人ですよね、市場を十分知っているわけじゃない。ですから、市場をよく知っている日銀に円資金を渡して、この円資金で、実際には政府短期証券を一時的に日銀に引き受けてもらって、その資金を日銀に渡して、このお金で市場介入してくださいという、そういう形を取るわけですね。ですから、市場への注文というのは日銀から出てくるわけで、もし実際にそういうことがあれば当然、市場といっても銀行に注文を出すわけですよね、市中銀行に注文を出すわけで、市中銀行はもう必ず知りますし、それは確実に情報として漏れると思いますね。新聞その他マスコミで、もし市場介入があったとすれば、それはきちんとキャッチして報道されると思います。そういう報道がなかったというところから見て、私自身は恐らく行われていないんだろうというふうに判断します、私自身は。  それから、現在の安倍内閣の労働の規制改革の問題ですけれども、これ、さっきから藤井さんが数字も挙げてくださっていますけれども、正社員については一九九〇年代末からずっと賃金が下がり続けているわけですよね。ここのところ多少景気が良くなってきたということで、パートあるいは非正規雇用の人たちが増えて、名目賃金の総額そのものは若干増えているという、そういう数字が出ていますけれども、正社員はここ二、三年取り上げてもまだ下がり続けているわけです。  デフレを克服するという場合に、どこの賃金を一番重視すべきかということになる。そうすると、やっぱり正社員。実際にベアを闘えるのは、あるいは労使の間でベアを決めるという場合、正社員の給与を決めているわけですよね。ですから、それで規制改革をやって正社員の数が減る、あるいは正社員の部分の賃金が上がらないということであれば、少なくともデフレの克服という点で労働規制改革というのはマイナスの効果の方が大きいんじゃないかと、そういうふうに考えます。

吉田忠智社会民主党・護憲連合

○吉田忠智君 ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 以上で各会派を代表しての一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑の希望のある方々の名簿が私の手元に届いておりますので、順次御発言を許しますので、お願いいたします。  まず、山田俊男君。

山田俊男自由民主党

○山田俊男君 両先生、どうも大変本日はありがとうございます。  まず、藤井先生にこの件お願いしたいと思うんですが、戦略的な財政政策の方策についてと先生やっていただきまして、大変有り難かったです。  ところで、雪害が今度生じまして、集落の孤立化が進んでいます。それに対する除雪の主体について、地方の中小の建設業者がほとんど弱っていますからね、ということが理由にも挙げられているわけでありますが、難しいんですが、極めて難しいんですけれども、大切な資産を失うということとも関係するんですが、もう高齢化と人口減少で集落の移転をやっぱり公共事業で思い切ってやる、財政政策で思い切ってやるということがあってもいいんじゃないかというふうに思うんですが、それは、しかし人道的に考えても、どうしても遠慮がちになっちゃうものですから、我々も、声をすぐ、実態を見ているとそこまで言い切れぬものだから抑えてしまうところがあるんです。この側面では、国土利用の効率化みたいなものをどう進めるかという観点がやっぱり必要なんじゃないかというふうに思うんです。  これがあって、もう一点、逆の意味なんですが、御案内のとおり、大規模店舗法の具体化の中で、それこそ、もはや中心市街地は本当にもう崩れていますね。ゴーストタウンになっているところもあるわけです。これ、郊外の無秩序な、まさに郊外に無秩序なまだ移転が、いろんな抜け穴がありますから、それを利用して郊外に無秩序に移転していると思うんですね。ここを何とか計画性を入れていくというところが必要なので、中心市街地、もったいないと思うんですよね。ここのつくり替えができないかというふうに思うところです。  一方、これは厄介なんですが、自分のところの党の総理なんですけれども、強力なドリルと刃で岩盤規制を破壊するとまでおっしゃって、いかなる既得権益も私のドリルから無傷ではいられないとまで、こうおっしゃってもらうと、ちょっとえらい心配なんですよ。逆に言うと、それを、その総理の文言、言葉を借用して金科玉条に掲げて、そして国家戦略特区を進めるんだと、雇用にしても、それから教育にしても医療にしても、ましてや農業にしても。そういう話になっているんですが、日本の国づくりの金融、財政の使い方で一番何が大事なんだ、この点はどうなんだということについて先生のお考えをお聞きしたいと。  それから、建部先生には、先ほど吉田先生からも話出ていますが、この国家戦略特区も雇用の在り方を見直すということが出ています。新しく提案の中で、外国人の活用も進めるんだなんという話になっている。外国人の活用を特区で進めるということになっちゃったときに、一体、建部先生、賃上げ可能なのかということがあるわけですね。こうした点について、改めてまたお聞きします。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  まず第一点でございますが、国土利用、土地利用の計画性の議論だと思います。  どういうような国土をつくっていくのか。一番極端なものは、とにかく東京、大阪、名古屋、あるいは地方の大都市、百万都市だけに人を集めて、あとはもうほったらかしというやり方もあるでしょうし、一方で、もう江戸時代のように完全に均等に、参勤交代ができるぐらい均等にやっていくと、この二つのビジョンの間で我々はどれをつくるのかということを想像しながら、そのビジョンを国民で共有した上で、そっちの方向にどういうふうに政府の規制とか誘導とか、あと民間の誘導とかというものを含めて近づけていくというのがこれは王道だと思います。  そのときに、是非これだけは忘れてはならないなと思うのは、しばしば、国土の適正利用をするときに、経済的効率性だけに基づいて一極集中がいいとか地方は無駄だとかという議論だけは絶対にやめていただきたいと思います。  この一点だけ見据えた上で、経済的効率性も無視してはいけないわけでありますけれども、経済的効率性と歴史、伝統、文化、例えばそこにはやおよろずの神がどれだけおられたとか、それから新古今和歌集の時代からどうだとか、そんな話も全部加味した上でどういう国土、あるいは国防なんということもあるかもしれません、そういうことも全部加味した上で国土の利用ということを議論していただきたいなと思います。その議論の中で、撤退すべきは撤退をし保存すべきは保存をするという議論をしていけばいいと思います。  最後に付言するとするのならば、中心市街地というのはかなりの確率で撤退しない方がいいという方向になるんじゃないかなと、歴史、伝統が残っていますから。これが一点目であります。  その岩盤の問題でございますが、悪い岩盤は当然ながらドリルで穴を空けていただきたいですし、国民を守っている岩盤だったら穴を空けられてもらっては困るということでございますから、岩盤を崩すということが是か非かというよりは、そこで崩そうとされている岩盤はどういう意味があるものなのかという議論を丁寧に、これもイメージで議論するのではなくて是々非々でそれぞれの現場に即して丁寧に議論をしていくことが必要であって、万一、とにかく岩盤であれば穴を空ければいいというような議論であるとするならば、これは絶対に反対せねばならないと私は感じております。ただ、それは是々非々で議論しておられる方がたくさんおられるんだろうと私は当然思っておりますけれども、ということを最後にちょっと申し添えまして、終わりたいと思います。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 外国人労働者の活用ということですけれども、こういう議論が出てきたのは、日本で人口が減っている、当然、生産年齢人口が減少している、それに長期構造的な問題ですよね、そういう問題にどう対応するんだと、そこから議論が出発しているんだと思います。  これもよく言われていることですけれども、まず最初に対処すべきなのは女性労働者ですよね。今六割ぐらいの女性が働いているということですけれども、圧倒的大部分は非正規雇用、パートを中心とした非正規雇用ですよね。もう海外を見ると、九〇%を超えて労働者が正規労働者として、正規労働者といいますか、男性と伍して働いている国というのがごく普通の状況でして、むしろ日本の女性労働者の活用率というのが世界的に見ると標準からはるかに引き離されていると、そういう現状です。  それからもう一つは、これもよく言われることですけれども、高齢者ですね、高齢者。私も実はもう七十歳なんですけれども、それでこの三月末で中央大学定年を迎えますけれども、まだ十年ぐらいは原稿を書けるなと、原稿を書いて頑張らなければ駄目だろうなというふうに考えているわけですよね。六十歳あるいは六十五歳を過ぎてもまだまだ元気で第一線で、あるいは第一線で働けないにしても若い人に技術を継承する、そういう貴重な能力を発揮するそういう人たちがいっぱいいるわけで、まずは私は、女性労働力の活用、あるいは高齢者をもっと活用する、それらが尽くされた上で、それでも日本の活力のためには労働力が不足している、外国人を入れてこなければならないという、そういう形で議論が進むべきであって、まして、賃金をこれ以上上げたくない、あるいは賃金をもっと下げたいという、そのために外国人を活用するという、これはもう暴論であって、そんなことは絶対あってはならないことであるというふうに考えます。  以上です。

山田俊男自由民主党

○山田俊男君 ありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 続いて、山本順三君。

山本順三自由民主党

○山本順三君 両先生、どうもありがとうございました。  藤井先生、官邸で北風に耐えかねていらっしゃるのかなと思ったら、やはり学者たる藤井先生、大いに元気なお話をいただきまして大変心強く思っております。  デフレ脱却に向けて戦略的な財政政策が必要であるということはもう当然のことだというふうに思っておりまして、国土強靱化ということも先生から私どもいろいろ学ばせていただいた経緯がありました。百兆とか二百兆とかいう話も、私が最初に聞いたのは、藤井先生からお伺いしたように思います。  この例えば十年間二百兆というようなその数字が出てまいりますと、もう即座にマスメディアの餌食になっていくというようなばかげた話が起こってくるわけですね。我々は、あの阪神・淡路大震災あるいはまた先般の東日本大震災、これの言わば一つの教訓というものを自分たちが見付け出していかなければならない。そのために、全国各地で住んでいる国民の生命、財産を守っていかなければならない、そのための国土強靱化をどうしていくか、実はそのことがデフレ脱却に向けた一つの大きなポイントにもなってくるんだということをずっと言い続けるんですけれども、妙に、二百兆というのは政府も言ったことがないとか、いやいや、マスメディアは、こんなことやっているから自民党ばらまきなんだというような、そういう話になるわけですね。  私どもはそれには敢然と立ち向かっていかなければならないというふうに思うのでありますけれども、ただ、そうはいったって、財政状況が極めて厳しい状況にあるというのも当然我々も理解しておるところでありますから、さて、どの辺のレベルでこれから国土強靱化なり、あるいは戦略的な財政出動をやっていくのかというのを考えていかなければならないし、それを具体化していかなければならないと思うんです。  十年間二百兆といいますと、年間二十兆ですよね。今の公共事業の金額からいってもちょっとまだまだ大変かなというふうにも思うのですが、藤井先生におかれましては、どのレベルでこの強靱化なり戦略的な財政政策を具体的に、金額ベースですよ、金額ベースとして進めていったら何とか国の財政保ちながら、そしてまた国民の生命、財産を守ることができるのか、あるいは地方のデフレ脱却に向けての一石を投ずることができるのか、その点をお示しいただきたいと思います。  それから、建部先生にでありますけれども、賃上げターゲットというその言葉は私も非常に新鮮に聞かせてもらいました。この財源ですけれども、今ほど労使交渉という話もたくさんございましたし、大企業の内部留保というのもたくさんあるというようなお話ありましたけれども、我々、ここに高知の人がおります、私も愛媛でありますけれども、財政的に極めて厳しい状況の中で地方生活を送っている者にとりましては、内部留保がある企業なんてほとんどないわけですよね。でも、全国的なレベルでいうと、東京あるいは大阪というようなそういう大都市圏だけではなくて、日本全国均衡な発展を目指す、そのためにどうあるべきか。しかし、賃金アップというのは全国各地で望まれている政策であることも間違いないと思うんですね。  ですから、そういったことを勘案しながら何を考えていかなければならないかというと、やっぱり経済が元気になって景気回復していかなければならない、デフレ脱却しなければならない、そこから新たな賃上げに向けての一つのインセンティブが働いてくるんだろうと思うんですが、今ほど先生から、医療あるいは介護の分野あるいは教育の分野、非常に大切な分野だと思いますので、我々もそのことを進めていきたいと思いますが、ただ、今、即効性ということを求めた場合には、公共投資というもの、これも非常に効果的なことになるんだろうと思うんですけれども、建部先生のお考えの中で、今そういった賃上げに向けて即効性のある公共投資をやっていくという、そういう政策に対してのお考え、見解をお聞かせいただければ有り難いと思います。  以上です。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  まず、どのくらいの予算が必要なのか、国土強靱化という目的のためにどれぐらいの予算が必要なのかという問題と、デフレを脱却するまでにはどれぐらいの公共投資をやるべきなのかという、この二つの問題があろうかと思います、問題としては。ただ、実際にはその二つは、デフレが進行していく中で地震のリスクがずっと毎年あるわけでありますから、両方とも勘案していくべきであるというふうに考えられます。この二つを加味した上で、どの程度の公共投資をやることが国益にとって必要なのかというこの両者の問題は非常に複雑な問題であって、なかなか結論的なことは申し上げにくいということはまず第一点申し上げたいと思います。  ただ、次のような研究成果があるということだけ御紹介いたしたいと思います。  京都大学には私がユニット長をやっているレジリエンス研究ユニットというのがございまして、そこのレジリエンス研究ユニットで、マクロ経済シミュレーションモデルと、それからレジリエンス投資をしたときに、地震が起こったときの被害がどれぐらい小さくなるのかという、その二つのメカニズムを導入したマクロシミュレーターを作成しております。これは、作成するときに、ベースは内閣府が作っているモデルのフレームワークをベースにしながら、パラメーターを自分で最初から全部推定し直して作った丁寧なモデルというのがあるんですけれども、このモデルが我が京都大学のレジリエンス研究ユニットの中にあります。これを活用した研究論文をこの研究ユニットのメンバーである神田准教授とそれからあと学生一人で、二人で書いている論文がございます。この論文によりますとという言い方でお話しさせていただきたいと思いますけれども、私は連名じゃない論文であります。  この論文によりますと、何もインフラの、だから強靱化対策をしないでそのまま、今のまま、ぼうっとしたままで地震のどおんと被害を受けたらどうなるかというと、短期的に大体七十兆円程度のGDPが低下していくということが予想されています。何もしないと六十兆円から七十兆円程度のGDPが低下していきます。これは地震が起こったときにそれだけ低下するのではなくて、千回シミュレーションをして、その千回シミュレーションをしたときに、いつ地震が起こるかとか、全部確率計算、さいころを振って、そのパターンをいろんなパターンで計算をしてそれの平均値を取るという、これモンテカルロ・シミュレーションという技法なんですけれども、これでやったときに未来の期待値は六十兆円低下してしまうということになっています。これで六十兆ばあっと低下して、ぐうっと下がって、だんだん上がって、なかなか元に戻らないんですけれども、たしか十四、五年ぐらいの、十年間でしたかね、十数年の累計で、GDPが累計で五百兆円程度毀損すると。何もしなければ五百兆円程度毀損するということが予想されています。すなわち、地震がなければこういうふうにGDPが徐々にデフレで駄目になっていくんですけれども、地震があるという確率を導入したシミュレーションをやるとこうなるという研究結果があります。これは本で出版している中に入っているんですが、まずこれが第一点。  一方で、百兆円、年間十兆円の公共投資を強靱化に仕向けて、それによってどの程度強靱性がもってどうこうというものをモデルに導入したときには、年間十兆円を十年間一生懸命やると、これ追加です、大体そのGDPの、地震の確率が全然ないときと、地震がある確率の下で強靱化をしたときの軌跡が大体一致します。ちょっと減るぐらいで、大体百兆円ぐらいの損失まで小さくなります。すなわち四百兆円程度の経済効果があるということになります。年間二十兆円というものがもしできれば、これは建設供給能力の問題もありますからなかなか厳しいところではあるんですが、シミュレーションでありますから、もしそれができるとすると、地震があってもそれをはねのけてどんどん成長できるというような結果が出ております。  ただ、これは一シミュレーション結果でございますので、この結果の信憑性を確認するためには、その論文をきちんと当たっていただいて、このモデルが正しいものなのかどうなのかということを御確認いただくことが必要なんですが、規模感としては、今現存する既往の研究ではこの研究ぐらいしかないかなと、現実的な、地震とデフレ脱却とどっちも見据えたシミュレーションというのはこれしかないかなということで御紹介さしあげました。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 即効性のある公共投資の分野としてどういうことが考えられるのかという、そういう御質問だったかと思います。  今、藤井参考人が説明されましたように、一つはやっぱり災害ですね、防災の分野というのはそれに入ってくるだろうと思います。それからもう一つは、インフラの老朽化ということが盛んに議論されますね。インフラを補修、整備しなけりゃならない、これも当然必要不可欠な即効性を持つ公共投資の分野に入ってくるのではないかというふうに判断します。  以上です。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 一言お諮りをいたしたいと思いますが、予定の時間が三時三十分でございます。あと質疑の御希望が三名いらっしゃいます。調査会の性格上、いささか延長したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、高野光二郎君。

高野光二郎自由民主党

○高野光二郎君 ありがとうございます。  高知県の高野でございます。非常にすばらしいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  今、藤井先生のお話の中で、労働者の平均給与が九〇年の調査開始以降最低ということでございますが、私が調べた中では二〇一三年のデータで二つの世代が所得が上がっているんですね、二〇一三年。その二つの世代というのは、実は二十歳から二十四歳、もう本当にごく微増でございます。そして、もう一つは六十五歳から六十九歳、一・二%程度所得が上がっています。けど、全体的に見れば圧倒的に下がっています。  そういった面でいうと、例えば非正規雇用であるとか、そもそも給料が少ない世代がちょっと上がっただけなのかなということを想定をしますが、こういった本当は一番お金を使わなければいけない例えば四十五歳から四十九歳、マイナスで二・五%も減っているんですね。こういった、消費を本当はすごいこれからせないかぬ人が非常に給料が下がっている、こういった件に関して格差是正をどのようにすればいいのかといったことでお伺いをしたいのと、先ほど来、労使交渉とかって言われていますが、中小・小規模事業だとなかなか労働組合もありません。そういった部分に関して、中小・小規模の事業者の給与を上げていくのにはどういった改善策があるのか、端的にお二人の先生にお伺いします。よろしくお願いします。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問どうもありがとうございます。  少々抽象的なお答えの仕方で恐縮でございますが、抽象的ではあるんですが、極めて重要な論点だと思いますので抽象的にお話しさしあげたいと思うんですが、やはり賃金というものはマーケットメカニズムに委ねれば委ねるほどどんどん下がっていく傾向というのがデフレのときにはあると思います。市場原理でそれを運営していくとどんどん下がっていくと。これはなぜかというと、労使交渉の中で使用者の方がどうしても強くなってくる、経営者の方が強くなってくるという傾向があろうかと思います。したがって、これを守っていくためにはどういうふうにすればいいかというと、私は次のように考えます。  もう一度、先ほどの議論で賃金はいろんなメカニズムで決まると申し上げましたが、これを抽象的な次元で申し上げますと、賃金というものはマーケットの力でも決まりますし、社会の力でも決まりますし、政治の力でも決まってきます。政治の力を弱くして社会の力を弱くしていくと、マーケットの力が強くなって当然下がっていくということになります。したがって、やはり賃金を上げていくためには政府の力をきちんと確保することが必要だというのは先ほど御質問いただいたところだと思いますが、もう一個重要な要素は、企業社会の、この社会の力を活用することだと思うんです。これは企業文化とか、この辺りは日本型経営と呼ばれたりとか、あるいは終身雇用とか言われた、今ではもうそんなもの最悪だと、恐竜かみたいな感じで言われるようなものでありますけれども、ああいうような日本文化とつながったようなコーポレートカルチャー、企業カルチャーというものが賃金を支えていたんだということを忘れてしまうと、必然的に四十代というのは下がっていきます。  なぜ四十代の賃金が高かったかというと、これはいろんな企業研究というのが、私、経済学者の中でもそういう人たちとよく付き合って、実際に賃金がどう決まっていたかというのがあるんですけど、こんな要素があるんです。これは変な話だと今だったら言われるかもしれませんけど、お金がようさん必要な人たちにお金ようさんあげなあかんよなという、そういう心情が賃金決定の中のメカニズムで昔は働いていたということが明確に研究として社会学的企業研究で上がっているんです。この要素を取ったらそれは賃金下がっていきますわということになりますので、もう一度、賃金というものも実はビジネスの問題じゃなくて社会の問題でもあるんだという、この「も」をもうちょっと思い出してもらいたいなと私は常々思っているところでございます。  以上でございます。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) 格差是正という格差の問題を出されました。私も、アメリカほどではないと思いますけれども、日本でも急速に格差の拡大が進んでいるということで、日常的に非常に危惧感を持っております。  ただ、格差の問題を取り上げる場合に、世代間の格差を過大に問題視して、そこに何か対立があるかのように、例えば二十代、六十代とその中間の間に世代として格差があり、どの世代が優遇されていてどの世代がひどい目に遭っているんだと、そういうふうに議論を持っていくのは間違いだろうと思いますね。やっぱり、国民は全体として低い水準で、その中で優劣を付けるというよりも、むしろ本当の大金持ちと全体として国民が低位に沈んでいるという、そういう形で大きな対立の中で格差を捉えていかないと議論がちょっと空回りするんじゃないかなと常々考えております。  それから、大企業は内部留保があるから賃上げが可能だけど中小企業はどうするんだということですけれども、実は下関で量的・質的金融緩和の講演をしたときに、中大関係者でしたけれども、私も中小企業経営者なんです、先生のおっしゃる方向はよく分かるんですけれども、じゃ、あしたすぐに私が雇っている人たちに給料を上げるというわけにもなかなかいきませんよという、そういう質問を受けました。まさにそのとおりだと思うんですよね。  ですから、まずは大企業から率先する。政府あるいは財界人が働きかける。その対象となる大企業から、大企業が自分は賃上げしたけれどもそれを中小企業にしわ寄せするなんということじゃ困るわけですよね。そういう監視は当然政府が行っていかなければならない。そこに政府の役割というようなものも出てくるんだろうと思います。  だから、大企業が率先し賃上げをやる。それから、中小企業は大企業の下請が多いわけで、親企業と下請関係を改善する。あるいは、大企業の賃上げが中小企業にしわ寄せされることのないような、そういう監視、あるいは監視とそれから政策的な誘導という、そういう面ではやはり政府が大きな役割を果たし得るんだろうというふうに考えます。

高野光二郎自由民主党

○高野光二郎君 ありがとうございます。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 渡邉美樹君。

渡邉美樹自由民主党

○渡邉美樹君 自民党の渡邉美樹でございます。時間のないのに済みません。端的に質問させていただきます。  前回の参考人もそうでした。マネタリーベースが三倍になったにもかかわらず、所得、消費は微増であり輸出さえも微増であるということで報告がありました。また、今回お二人の参考人のお話聞いていても完治には程遠いと。実際に、GDPもたった一%、これだけの世界に例のない金融緩和をやっているにもかかわらず一%、そして労働者の平均給与も最低であると。ということは、このアベノミクスの一の矢、二の矢というのは、これだけのリスクを掛けて、これだけの財政に対して負担掛けたにもかかわらず余り成功ではなかったというふうに捉えていらっしゃるのかというのが一つ目の質問です。  それから二つ目は、藤井参考人がおっしゃる財政政策、これについてはこれから使い方が大事だということで認識をしたんですが、建部参考人の二から三%の賃金上昇ということは、継続的に二から三%ということだと思うんですが、実際にそれがもしそうなるならば、企業は当然最適な生産コストを求めて外に出ていくだろうと思いますし、実際にそれだけの景気が良くならなければ、企業は、私は七千人の雇用をつくりましたけど、賃金上げたいと思っています、常に上げたいと思っています。ですけど、先ほど言ったようにコートが脱げる状況じゃなければ脱げないわけですね。そうなったときに、この三%賃金を上昇させ続けることが本当に可能だとお考えなのかというところを聞きたいと思います。

建部正義中央大学商学部教授

○参考人(建部正義君) アベノミクスの評価ですけれども、まず金融政策については、期待に働きかけるという、それが政策的内容ですというふうに説明したわけで、じゃ、うまく期待に働きかけられているか、あるいは国民、市場が日銀が考えているような方向に期待形成をしているかという点については、恐らくそうではないだろうということで、金融政策についてはやや悲観的な見方をしております。財政政策についても、先ほど来議論がされているように、従来型の公共事業の活力というのはやっぱり落ちているんだろう。ですから、従来型の公共事業がアベノミクスの財政政策の中心であるということであれば、それはそれほど大きな期待を寄せられないだろうなと、やや悲観的に両方とも考えております。  それから、三%という数字を挙げましたけれども、三%というのは今年上がる消費税の引上げを考慮したもので、来年はその効果が剥げ落ちますよね。ですから、来年以降一%、二%でも構わないんだろうと思います。  それで、じゃ、賃上げの原資どうするんだということですけれども、何度も言っていますように、内部留保二百七十兆円、現預金二百三十兆円、その三%、ちょっとその具体的な数字出していませんけれども、恐らく二百七十兆、二百三十兆円のうちの二、三十兆円も使えば私の挙げる数字の賃上げは可能であろうというふうに考えていますので、十分その気になれば少なくとも大企業にはそれだけの余裕がある、こういうふうに判断しております。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  先ほど私申し上げたことの繰り返しになってしまうかもしれないんですけれども、アベノミクス第一の矢、第二の矢、これが敢行されていると。これが効果がなかったというふうには私は一切考えていません。なぜか。先ほども申し上げましたんですけれども、快方に向かっていることは間違いございません。いいところを申し上げますと、企業倒産数は九八年のデフレ突入以降最低にまで下がった。これは非常にいいことでありますし、失業率も〇・三%下がっております。さらに、実質GDPの方が名目GDPよりも、実質の方が高かったんですけれども、これがようやく名目よりも実質の方が下になると。これは当たり前なんですけど、ようやくそういう普通の状況になったと。これはなぜかというと、ややこしいんですが、デフレーターがプラスになったからなんですけれども、このデフレーターがプラスになるというのがこれ本当にうれしいことで、そういう意味で良くなっていることは間違いありません。  これだけ、失われた二十年と言われた中で、デフレでもうずっと死にかけていたような経済の中で快方が見えてきたというのは、やっぱりアベノミクス第一の矢、第二の矢というのは非常に大きな効果があったんだと私は歴史的に言っていいと思います。しかしながら、だから、ああオッケーオッケーと思ってしまうと、いや、まだやばいでということを強調したいがゆえに、完治には程遠いというところも事実であります。  それが第一で、もう一つだけ付け加えさせていただきたいんですけれども、少なくとも、公共投資といいますか、財政政策十兆円に関しては、GDPを絶対に上げます。これは二%でありますから、二%の名目値を上げることは、これはもう定義上、クラウディングアウトとかという議論はありますけれども、今起こらないので、実質二%の分出しているわけですから、確実に上昇しておりますから、そう考えますと、GDPがたった一%というのは、この一%に対して公共投資、財政政策が極めて大きな役割を担っているというふうに言えると思います。  一方で、金融緩和がどうだったのかというと、株価を上げたのはこれ間違いないんですが、これに関して一答だけ、少しちょっとデータをお示しさせていただきたいと思うんですけれども、手短に申し上げたいんですが、お手元の資料で、後ろの方なんですが、十六ページというのを御覧ください、十六ページ。  これは一九九八年、デフレに突入してからのマネタリーベースの動きとデフレーターと名目GDPの動きをグラフ化したんですけれども、九八年からデフレになったと言いますけど、デフレになったので、当時の日銀も含めて、実はマネタリーベースを二倍に増やしているんです。物すごい第一の矢を打っているんです。だけど、御覧のように、デフレーターはずうっと下がり続け、名目GDPもずうっと下がり続けているんです。このときと今は何が違うのかというと、金融緩和のサイズが違うと言えますけれども、公共投資の縮小をこのときは物すごいやっているというところが一つ大きな違いであると思います。面白い、面白いと言ったら怒られるかもしれませんけれども、このマネタリーベースとデフレーターの間の統計的関係を見てみると、何と、あっ、これちょっと間違えているんですけれども、三・九九とか七・五九ではなくて〇・七五四なんですけれども、〇・で、小数点の入れるところを間違えたんですけど、デフレーターとマネタリーベースの相関係数がマイナス〇・七五という超高い水準のマイナスなんですよ。  これは、僕ちょっとこれ見たときに笑うてしもうたんですけど。何で笑うてしまえるかというのは、これちょっと分かっている人間には笑うてしまうんですけれども、通常、マネタリーベースが上がるとデフレーターが上がるはずなんです。ところが、その効果がなかったらゼロなはずなんですよ、相関係数は。でも、ゼロどころかマイナスになっているんですよ。マネタリーベースを上げているのにデフレーターは下がってきているということは、物価が下がってきているということで、第一の矢の効果というものはここでは検出できていないと言えるんですね。  ですから、今回僕は金融緩和が全然無意味だとは思っていないですけれども、先ほど申し上げたようないろいろな、急降下と言われたりとか、為替効果であったりとか期待インフレ率を上げるとかいろいろあるんですけれども、余りに金融緩和の方に過剰な期待をするのは過去の実績からすると難しいんじゃないかというデータも上がっているということも御紹介して、私のお返事は終わりたいと思います。  ありがとうございました。

渡邉美樹自由民主党

○渡邉美樹君 どうもありがとうございました。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 舞立昇治君。

舞立昇治自由民主党

○舞立昇治君 自民党の舞立でございます。建部先生、藤井先生、今日はありがとうございました。  私も聞こうと思っていたんですが、山本先生とほぼ同じような考えだったんですけれども、やはり平成十年以降が確かにおっしゃられるとおりGDPデフレーター、そしてGDP成長率の名目が実質をずっと下回る状態が続いて賃金が非常に低下してきたというのが、デフレずっと続いている元凶になった発端だと思いますし、やはりその社会保障費の増嵩の中で、結局、一律シーリングと、先ほどずっと説明されていましたけれども、もう今では社会保障経費を除く国家予算の対GDP比が先進国、OECDで最低になっているというような中で、日本がなかなか、地方の衰退がそれはもうやむを得なかったんじゃないかなというのもあります。  そこの中で、藤井先生が特に公共事業の関係をお話しされていて、私も本当に、社会保障費を除く公共事業も農林水産も教育もエネルギー関係とか科学技術も全て一切合財もう先進国では最低の水準ということで、とにかくもう一回盛り返していかないといけないという考えでいて、そこで、十年で二百兆とかそういう話でどのくらいの水準をというような、山本先生と同じようなことをお聞きしようと思ったんですが。  今地方を回っていると、特にやはり建設業者、その裾野広いですけれども、関連業者、そして農林水産業者、非常に不安がっていると。その不安の要因というのは、今一時的に景気は確かに少し上向いてきているけれども、いつまで政府が地方に公共事業、農林水産業は、直接間接問わず非常にその従業者に、従事している人にお金が行くような予算で、地方にとって必要不可欠だと思うんですが、いつまでその財政政策続けてくれるのかと、中長期的に非常に見えないという問題と、やはり公共事業でいうと建設労務単価、西田先生もおっしゃっていましたけれども、そこの部分が全く利益率が上がらないという話の中で、やはり私は当面はもう、当面といいますか、二〇二七年なり二〇三〇年、四〇年の人口推計とか出ていますけれども、そういった深刻な状況が予測される中では、もう二十年、三十年は基本、公共事業は減らさないといったようなメッセージを出すこともまず一つ必要だと思いますし、今後やはり社会保障以外削りに削った予算というのはしっかり少しずつ盛り返していくんですよといったようなメッセージと、その運用面での単価の見直しの話ですとか、その辺しっかりと説明をしていく必要があると思いますし。  藤井先生は今内閣官房参与ということで、国土強靱化計画にも非常に熱心に取り組まれていると思うんですけれども、昨年国土強靱化法ができました。これは私がイメージしたのとちょっと、何かその脆弱性評価の関係とかで、これは定量的な計画がちょっと抜けているんじゃないのかなという部分で、藤井先生は将来のインフラプランを作成する必要があるというふうにおっしゃっていましたけれども、今そういう方向の中で、そういったプラン作り、定量的なプランというものが何より重要だと思いますけれども、最後、その辺のちょっと決意といいますか思いを聞かせていただければと思うんです。

藤井聡京都大学大学院工学研究科教授同大学レジリエンス研究ユニット長

○参考人(藤井聡君) どうもありがとうございます。  金融政策が意味があるのは、金融政策、金融緩和をやるということが金融市場のプレーヤーたちの期待を形成し、みんな物を買ったということなんです。今必要なのは、実体経済における期待を形成すること、この一点に尽きると言えると思うんですね。その中で、例えば今おっしゃったような特定の財政項目を減らさないというコミットメントを政府がもしするとすると、そこに物すごく投資が確実に起こるだろうと思います。  したがって、今日本銀行が金融市場に対して行っている株式市場に与えた巨大なインパクトを見た我々日本国民は、政府の財政政策においてもそういうコミットメントを形成することが恐らくというか、間違いなく巨大なインパクトを実体経済に与え、そして実体経済を活性化していくだろうということを学習すべきだと思います。これをきちんと学習した上で戦略的な財政政策をやっていくべきである。そのときに、やはり地域の方々が考えているような、いや、プランはあるけれども、やらへんかもしれへんのやったら、わしら結局投資でけへんわというような問題であっては結局期待が形成できませんので、もしも期待を形成する上において金額というものが必要であるならば、そういうものを積極的に政府が公言していくということも重要なデフレ脱却の方法論になるだろうということは学術的に否定することは不可能であろうというふうに思います。  以上でございます。

鴻池祥肇自由民主党

○会長(鴻池祥肇君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  一言御挨拶を申し上げます。  藤井先生、建部先生におかれましては、長時間誠に貴重な意見をお述べをいただき、ありがとうございました。おかげさまで有意義な調査を進めることができました。心からお礼を申し上げる次第であります。両先生におかれましては、ますますの御活躍を祈念申し上げて、一同を代表いたしまして御礼の御挨拶といたします。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会

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