国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第1号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2014/02/19
会議録
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月三十日、寺田典城君が委員を辞任され、その補欠として真山勇一君が選任されました。 ─────────────
○会長(鴻池祥肇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。 本日は、デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について参考人からの御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、筑波大学名誉教授・国際大学名誉教授宍戸駿太郎参考人及び株式会社日本総合研究所調査部主席研究員藻谷浩介参考人でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 御多用の中、先生お二人には本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、忌憚のない御意見を頂戴をいたしまして今後の調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。 本日の議事の進め方でございますが、まず宍戸参考人、藻谷参考人の順でお一人約二十分程度をめどとして御意見をお述べをいただいた後、午後三時三十分頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、宍戸参考人からお願いいたします。宍戸参考人。
○参考人(宍戸駿太郎君) 宍戸でございます。 今日は、わざわざ参議院のデフレ脱却のためのアベノミクスの問題で御招待いただきまして、誠にありがとうございました。 それでは、時間がございませんから、ポイントだけ二十分間でお話をいたしまして、日頃考えております問題をぶつけまして、皆さんといろいろと議論をすることの方が重要でございますから、ポイントだけを今日申し上げたいと思います。 パワーポイントを使いますので、よろしくお願いします。(資料映写) テーマは、もう少し目を覚ましたらどうかと、こういうことで、アベノミクスに関しまして賛成をする意見と、一方で批判をする意見とがだんだんと出そろってまいりましたので、この辺でアベノミクスの、私は最初から、非常に重要な歴史的な転換を、この自民党のアベノミクスというのは大きな歴史的な意義があるというふうに高く評価をいたしまして、アベノミクスに関する、奇跡を起こせと、こういう本を書いたわけでございますが、今日は、その後二年目に入った場合のアベノミクスに関しまして若干疑念が、普通のマスコミもそうですが、当初の意見に対しまして大分批判的な意見も増えてまいりまして、私はアベノミクスを更に強化したらいいと、こういう考えで今日お話を持ってきたんですが。 問題は、この長期デフレというものをぶち破るということで、歴史的な意義をこの自民党の新しい政権が担っていたわけです。それが二年目に入りまして、消費増税が、五%から八%に上がりまして、この辺からだんだんと変調を来して、少し当初のパワーがなくなるんじゃないかということをよくマスコミその他で議論が出てまいりまして、私も、第一楽章はすばらしかったのですが、シューベルトの未完成交響曲のように、第二楽章になりまして急にメロディーの基本的トーンが変わってまいりまして、第三楽章になると、シューベルトの未完成交響曲は第三楽章は出てこない、なくなっちゃったわけです。これは映画にもなっていますが。こういったことになっては大変だということで、第二楽章が大事なんだということを今日申し上げたいと思います。 なぜデフレになったかという反省に関して、これは自民党、民主党その他今までの歴代のバブル以後の推移を見てまいりますと、幾つかの要因がありまして、まず、バブル潰し自体が強過ぎた、そのために不良債権が大量に発生したと、こういうことですね。それから、第二が、公共投資十年間、アメリカが日米構造協議で、日本がデフレをかぶって日本の対日輸出が鈍るということは大変だということで、公共投資、十年間で四百三十兆円、これは皆様方まだ御記憶に残っていると思いますが、これを言いまして、当時の羽田内閣でしたか、これが一応閣議了承をしているんですね。十年間の公共投資計画というものは具体的な形では出なかったんですが、基本的な発想はいいということだったんですが、これがその後だんだんと色が薄れてまいりまして、結局六割ぐらいしか実現しなかったと、これが一つの要因ですね。それから、問題は九七年の消費増税というのが三%から五%。これはもろに影響があったわけであります。 このほかに、なぜこういった状態が続いたかという、長期にデフレが続くということは通常あり得ないことですが、これは羅針盤自体がどうも狂っていたんではなかろうかと、こういうことで、デフレ脱出をしようと思っても方向が違っていると、こういうことで、羅針盤の問題は後で申し上げます。 基本的に、二本の矢、財政再建と消費税増税という形で金融と財政の両面で日本経済を活性化しようということで、三番目が成長の矢と、こういうことになっているんですが、全体の政策の展開が短期指向型であるということですね。中期経済計画とかあるいは長期の総合開発計画とかというのがなくて、現在のところまだ単年度予算に終始している。それから、日本銀行が新しい政策によってリフレ目標というのを、コアコアCPIで二%というのを出したんですが、これが現在まで経済成長の目標と整合性がないということなんですね。もっとこれ成長しないとこのコアコアの二%というのはなかなか達成できない。これは日銀の政策委員会の中でも半分はこういう意見を持っていらっしゃるようですね。 ということで、アベノミクス、この段階で、もっと大幅にひとつ反省と前進をしていただけないだろうかというのが私の希望でございまして、基本的に日本経済の底力というのを考えますと、三つあるだろうと思います。この底力が十分に認識できないで非常に慎重なマクロ経済政策にまだ終わっているということでありまして、第一は国民貯蓄でありまして、これは世界最強であります。これは対外黒字残高が二百七十兆円、GDPの約半数の純貯蓄を持っている国というのは世界中どこでもないですね。 それから、技術進歩の速さ。これは、デフレになっても技術進歩というのはどんどん続いていきます。これはITから始まりまして、今は、最近は新しい生物学、医学面で極めて急速な技術進歩というのがとどめなく日本では進んでおりますから、これは下手をしますと、成長になるが逆にデフレに誘導をいたしますから、物価が下がりますね。 それから、第三番目の巨大なデフレギャップというのは、これは日銀、内閣府等はまあ巨大とは言わないんですが、我々の計算は、大体百兆円前後のデフレギャップがあると。 この遊休化した資本設備と潜在労働力というものは、極めて良質な潜在労働力があって、まだ使い切っていないではないかと。若者は就職ばかり考えて勉強を余りしないじゃないかと、こういったことをよく留学生が日本の学生を批判していますが、こういった状況は労働力の、就職の問題も深刻な問題があるということで、この三つの底力がちゃんとあれば、悪性インフレーションに今なるんじゃないかとか、あるいは金利暴騰論というの、これはしょっちゅう起こるんですが、これに対して強靱な抵抗力を日本経済は持っているんじゃないかと、こういうことをまず申し上げて、後でもう少し更に具体的な問題に入ります。 なぜ単年度主義で遠くが見えないのかと、こういうことで、これをいろいろと考えますと、どうも羅針盤が狂っているんじゃないかと。特にこれは、前は立派な羅針盤があったんですが、小泉政権以来、自民、民主、新自民党、全部同じ羅針盤を使っているんです。これはいろいろ問題がありまして、名目成長率が三%、実質が二%というのがこの羅針盤から割合に安定した成長路線で出てくるんですが、これは後で申しますように、余りにもデフレ脱出の戦略としては低過ぎるんですね。で、この羅針盤に附帯いたしまして各種の計器がぶら下がっているわけですが、これが全部狂ってしまうわけですね。このやり方の、羅針盤の基本はマクロ計量モデルなんですが、昔の想定成長率法そのままなんです。 当時、内閣府が使っていました、昔の内閣府が経済審議会というのとそれから経済企画庁とが開発いたしまして、非常に世界に冠たるマクロ計量モデルを開発しまして、海外の学術雑誌にも引用されるという大変に立派なマクロ計量モデルを持っていたんですね。これが小泉内閣のときに突如変更いたしまして、妙な羅針盤、狂った羅針盤が出てきました。これは、当時の池田内閣及び佐藤内閣の所得倍増計画というのは、優れたマクロ計量モデルで全て設計をして、そして誘導目標を立てたわけですが、これは数千個の供給目標を積み上げた硬直的な社会主義方式に対抗する意味もありまして、欧米でもインディカティブプランニングとしまして、マクロ計量モデルを金融と財政とそして長期成長と、この三つの矢をマクロ計量モデルから出していたというのが現状であったんですが、これが突如変わってしまったわけですね、小泉内閣のとき。 この問題は非常に深刻な問題でありまして、また後で申し上げたいと思いますが、この想定成長率法というのは非常に素朴な方法でありまして、四%日本経済が五年間あるいは十年間成長した場合と、五%の場合と、六%の場合にどれぐらい国際収支がもつかと、あるいはどれくらい雇用を吸収するかということで、デマンドサイドと全く切り離した方法でありますから、これではインディカティブプランニングとして家計がどうなるのか、民間設備投資がどうなるかと、こういった全然シミュレーションができないですね。ということで、経済審議会が計量委員会という当時最も優れた経済学者とそれから経済企画庁の計画局のスタッフとで共同で開発したというモデルでありまして、これを使っていれば別に問題はなかったんですが、これをすり替えちゃったんですね、小泉内閣のとき。 これが一つの悲劇の源泉でありまして、こういうことになるんですね。例えば、五兆円の公共投資を継続的にずっと増加させますと、これは、通常はマルチプライヤーというのが働きまして、二年目、三年目、四年目とこのマルチプライヤーが上昇いたします。東洋経済あるいは電力経済研究所は、これは公共投資は実質なんですが、乗数効果を名目で計算をいたしますと三倍から四倍という大きな値が出てまいります。これに対しましてこちらは、大体二・五倍と通常言われているんですが、これは中期マクロモデル。それからDEMIOSというモデルが我々が使っているモデル。それから参議院のモデルもあります。 こういった形で、大体一を超えて二倍、一・五から二倍ぐらいに上昇する。名目GDPは三倍から四倍ぐらいに上昇するんですが、内閣府のモデルというのは、小泉内閣以来今使っていらっしゃる内閣府のモデルは、当初発表したときは、これが〇・五から〇・三ぐらいまで下がってくると。それから、今取り替えて使っていらっしゃるのが、乗数は一なんです。だから全然効果がないんですね。さらに三年目になると下がり始めると。 こういった、諸外国から、先進国から見ても驚くような計量モデルを何とアベノミクスの基本的な羅針盤として使っていらっしゃるということは極めて重要な問題でございまして、これが一つの問題でございます。これは我々の、私どもの書きました本にも詳細に載せておりますので、御覧になってください。 例えば、アメリカの場合ですね。日米共同で開発しておりますから、アメリカの場合も大体初年度でもう二倍。それから二・五倍、それから大体二倍ぐらいですね。それに対して名目のGDPは大体二・五から三倍前後まで上昇します。これは普通の計量モデルの反応でありまして、これを間違えますと政策効果を完全にミスリードしてしまうわけであります。ミスジャッジするわけであります。 消費税増税に関しても同じであります。消費税増税の効果というのはデフレ効果を持ちますから、大体一%から四%、五%ぐらいGDPを押し下げるわけですが、これは日経新聞のNEEDSの場合も同様であります。それから、電力経済研究所の場合も大体大きいんですが、大和総研は、公共投資でこれを相殺する自動相殺が入った消費税増税ですからこれは一・三ぐらいになっていますが、内閣府のデフレ効果というのは、最初はデフレ効果が一・五ぐらい起こるんですが、大体一・〇ぐらいで、デフレ効果に関しても五分の一という小さなデフレ効果しか出してこないんですね。 こういったものをお使いになっている限りはアベノミクスはまだ目が覚めないんじゃないかというのが我々の反省点でありまして、実際の公共投資というのは、我々のDEMIOSのシミュレーションをいたしますと、財政と並んで金融が必ずサポートをしております。これは日本銀行ですが、これが直にこれをサポートするんではないんですが、時間的な遅れで国債の買いオペレーションが始まりまして、金融支援型の財政支出というのが日本の公共投資の通常の傾向であります。 これは、このグラフ御覧になると、公共投資五兆円をずっと五年間継続するんです。そうしますと、実質GDPが大体二十兆円を続けますと、その二倍の四十兆円から五十兆円ぐらいの実質GDPが膨れ上がるんですね。これに対して、名目のGDPというのがありまして、これがこの高いやつですね、名目GDPは大体三倍から四倍近い、ここで六十兆円から七十兆円の名目GDPができ上がる。これをサポートしているのが日本銀行の通貨の供給であります。 通常、これは信用乗数というのが強烈に働きますから、信用乗数は、何と八十兆円を超えるところまで信用乗数は働くんですね。この結果、単なる公共投資の乗数効果というのは、雇用と消費に及ぼすだけではなくて、基本的には為替レートの円安を誘導いたしますから、この点で雇用が拡大をすると、こういった形になりますので、これが大体、アメリカ側もほぼこの傾向は出ておりまして、これがノーマルなマクロモデルによる政策効果の計測の結果であります。 この点で、十分なもしも分析を行えば、公共投資と日本銀行の合わせ技で減債が行われているんだということがはっきりいたします。これは信用乗数と雇用乗数というものが両方が働くんですね。そして、日本経済は好循環を起こすということであります。この好循環によって円安が起こり、それから税の自然増収が起こると、こういうことでありまして、今後、今消費増税をいたしましたから、強烈な国土強靱化法というものをせっかく自民党は今これを発動する準備だと思いますが、防災と減災と復興の促進、この三つの側面で強烈な公共投資をもしも実行すれば、日本列島の大動脈に当たる、特に日本海国土軸とか、それから日本海と太平洋を結ぶ、ここで言う連関軸というのがありますが、動脈の中の両方をつなぐ、それから東西海岸を結ぶ連結軸というのがここに書いてあります。こういったことから始まりまして、ミッシングリンクと言われている高速道路も、それから今の非常にローカルな問題に入りますと、たくさんの公共資本の橋が崩れるとかトンネルが落ちるとか、こういった当面緊急を要する公共投資もございますから、この効果は極めて大きいんだということを申し上げまして、これを中心にいたしまして、政府消費も防衛、教育、科学技術、医療、福祉という形で政府消費と移転支出、こういったものももっと公共投資と並んで、もしも安倍内閣の中期財政政策が発動するならば、日本経済はデフレから本格的に脱出できるんではなかろうかということを申し上げたいわけです。 これは、デフレを脱却いたしますと、政府債務とGDPの比率の低下、これは麻生さんがよく言っておられますが、比率で下がっていくんだよ、成長をするとということを言っておられますが、比率だけではなくて、絶対額の政府債務というのは純額で急速に下がってまいります。これは先ほどの私の配付資料にも書いてございますからもう省略いたしますが、これがもたらす効果は地域格差の解消なんですね。今の東北あるいは東北の震災復興の問題、北海道とかあるいは日本の地域格差で苦しんでいる地域というのは、この全国的な公共投資の特に列島強靱化法が本格的に動き出せば景気は急速に拡大するであろうと、こういうふうに考えておりまして、今の消費増税によるデフレ効果をはるかに打ち消すだろうということで、今シミュレーションを用意しておるんですが、今日はちょっと間に合わなかったんですが。 こういったことを申し上げまして、最後に人口問題。人口問題というのは大変に悲観的に見る方が多いんですが、人口問題は絶好のチャンスでありまして、アベノミクスに必要な長期ビジョンで人口の長期予測というものを是非入れていただくという必要があるんですね。特に、今、人口問題研究所というのは、生命保険、保険会社のコーホートモデルというので中心にできておりますから、経済要因が全く入っていないんですね。 実は、人口というのは経済と政策との相互依存の関係で決定するものでありまして、戦争中のような産めよ増やせよというようなことをやる必要は毛頭ありませんけれども、少子化対策あるいは住宅対策、それから雇用機会を与えるということを、結婚できないというのは雇用が不安であるから結婚できないんですね。こういった若者を、もっと出生率を上げるように、特殊出生率というのはひところ一・五を切ったといって大騒ぎしたんですが、一・二ぐらいまで下がったんですけれども、最近、ここ数年間、特殊出生率は元へ戻る傾向があります、上昇の傾向がありますが、いずれにしましても、少子化対策というものを本格的にすれば人口はもっとまともな人口の形ができるだろうと。 人口のピラミッドは、ここにありますが、こういった日本とインド、インドはまだピラミッド型です。日本はちょうど釣鐘型の逆釣鐘型になっておるんですが、これが少子化、若年人口が減ってしまった形なんですが、これに対しましてスウェーデンというのは理想的な形をしておりまして、ちょうど釣鐘型で均衡した形で、若者も十分に生まれて、人口の減少が起こっていないですね。 こういった形に人口のピラミッドを変えていくということが極めて重要でありまして、これが、最後に書いておりますが、人口のピラミッドを経済政策と社会政策によって変えることは十分に可能であるということで、これは二十年計画、あるいは二十数年の計画でありますが、この間もしも経済成長を高めていくということがあれば、これは深尾さんの長期のデフレギャップの推計でありますが、この深尾推計は我々に比べますとちょっと低いんですが、いずれにしましても、実際のGDPが今、実質で五百五十兆円前後に対しまして約五十兆円ぐらいのギャップということを計算しておりますが、我々の計算は大体これの二倍、百兆円ぐらいのギャップがあるというふうに計算しておりますが。 いずれにしましても、日本経済の成長がこのギャップを、バブル以後成長を止めてきたんですが、それに最近のリーマン・ショックの谷底によって今ようやく回復する過程にありまして、まだまだデフレの谷は深いんですね。まだまだデフレの谷は深い。 ということで、結論を申し上げますと、今のアベノミクスの完全雇用を目指した成長政策としては、名目で六ないし七、実質で四ないし五ぐらいの中期目標をオリンピックが行われる二〇二〇年を目標にいたしまして成長を加速化をする必要があると。二〇二〇年以後はやや減速をいたしましていいんですが、それと並びまして人口政策というもの、特に少子化対策の問題、それから婦人の就職の問題もありますので、基本的に我々のライフスタイルを変えるということが消費を刺激すると同時に、人口の少子化を食い止めるという形で、長期の社会目標、社会福祉目標はスウェーデン型の人口ピラミッド、いわゆる釣鐘型の人口ピラミッドで、若者に長期的な負担を掛けないことですね。若者が今非常に元気がないのは、一つは、我々が年を取ったらほとんど社会保険は破綻するんではなかろうかと、こういった恐怖感があるんですね。だから、若者の勇気を出すためには人口の形を変える必要があります。 そういう意味で、今のを積立型、賦課方式から積立方式に徐々に切り替えるという、このためにはお金が非常に掛かります。お金が掛かりますが、経済成長を完全雇用の路線にまで二〇二〇年に持っていけば、膨大な自然増収が発生をいたします。これによって社会保険の財源は非常に、これ二〇二〇年の成長シナリオで、既に社会保険の保険料収入というのが約三十兆円前後増えるんですね。これは年間ですね。これによって社会保障の給付も増えます。年金、医療、福祉ですね。これに対しまして、今の一般会計の負担は、十兆円ぐらい負担はむしろ下がるという形で、この保険料収入が経済成長とともに上昇するというポイントを考えていただきますと、社会保険の長期計画を考えるためにも経済成長をもっと加速化する必要があるということを申し上げまして、ポイントだけ、あとは皆さんからいろいろ御意見をお伺いしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。 次に、藻谷参考人にお願いいたします。藻谷参考人。
○参考人(藻谷浩介君) 皆さん、こんにちは。藻谷でございます。 まずもって、お呼びいただきましてありがとうございました。 それから、今からお話しする内容なんですが、今の宍戸先生がおっしゃった話とは全く違う次元の話をしますので、これは一致しているところもあれば違うところもありますが、そういう話ではなくて、全然違う話だとお考えください。つまり、私が話す話が宍戸先生のおっしゃっていることへの賛同や反論にはほとんどなっていない、どっちでもない話です。ということで、そこはちょっと御了解をいただいた上で、議論の中では、実は賛同、大変僣越ながら、そのとおりだというところが多々ありましたので、それはつまり、アベノミクスと宍戸先生がおっしゃっていることと私が申し上げていることは三角形みたいになっています。 それから、諸先生方、大変恐縮です、下を御覧になって話をお聞きになる習慣だと思うんですが、済みません、前を向いていただいてよろしいでしょうか。恐縮です、これ、動きますので。私は紙を配るのは本当にもう大反対なんですが、ふだんは配らないです。今日は参議院なんで配りましたけれども、済みませんが前を見てください。よろしくお願いします。ぱっぱぱっぱ行きますので。前を見ていただく理由はすぐ分かると思います。(資料映写) これ、非常に僣越ですが、エア景気回復と書いています。今からお話しする話はマクロモデルの話ではございません。また、これからどうなるという話も一切いたしません。去年何が起きたかということについてのみお話をいたします。よろしいでしょうか。 去年何が起きたのか。一言で言うとエア経済回復であります。これは恐らくアベノミクス賛成の方も反対の方も、多くの方が御賛同いただけると思います。違いは、これから本格的に回復するんだと考えるのか、エアのまま終わるのかということについては意見が違うと思いますが。ただ、取りあえず、去年に起きたところまでの話で終わりますが、見ていただくと、皆さんが聞いている話と違うということで、ちょっとこれを御覧ください。これがアベノミクスが始まる前で、全員前を見ていただいたら次の紙を出します、よろしいですか。二〇一二年、安倍政権発足当時の段階で私はテレビに出ていろんな予測をしました、こういうことになりますよと。それが実際、一年たったらどうなったか。こうなりました。 やはりこういう物の考え方が必要でして、この時点で後々起きたことをちゃんと予測していたかできていなかったかで、それなりにやはりエコノミストの人たち、誰の話が信用できるかできないかは分かるということです。あるいは政治の皆様も、現状こうなっていると、今後どうなるかはともかく、この一年間はこうなるということがちゃんと予測できていたかということを胸に手を当ててお考えいただきたい。ちなみに、これからどうなるかは取りあえず私は申し上げません。取りあえずこの一年間は既に数字があるわけですから。 御覧のとおり、円安誘導策により輸入が激増し、貿易赤字が拡大し、そして、これは余り予測したくなかったんですが、一部では私はテレビなどでも公言していましたが、残念ながら経常収支赤字基調になってしまった。嫌な予測が当たりましたけれども、これについて皆様は予測をされていたでしょうか。そもそも現状を御認識でいらっしゃるでしょうか。 ただ、これは、僣越ながら、去年の十二月の段階で数字を虚心坦懐に眺めれば残念ながら予測できたことであります。どうして予測できるのか。それは、済みません、もう一度申し上げますが、宍戸先生のおっしゃった話とは全然関係ない話です。全く矛盾しない、現状を短期的に見てこうなっているという話ですからね。ただ、長期的に、過去二十年間どうなってきたのかというのも数字を是非御覧いただきたい。これが、驚くことに、私がお会いする非常に多くの経済学者の方は、過去二十年間の日本の輸出の推移を御存じない人が非常に多いんですね。皆さんもお会いになられたら確認してみてください。過去二十年間に、プラザ合意の前に比べて日本の輸出が一・五倍に増えているのを知らない人がいたら、その人は余り国際収支について語ってはいけないはずなんですね。大変たくさんの方がそうです。なぜか。対前年同期比しか見ていないからです。昨対ですね。これをいわゆる昨対病と申します。 私のやり方は、マクロ経済ではなく企業の収支予想のやり方です。国の収支を企業の収支予想と同じやり方で予測していいのかと言われますが、マクロ経済でやるよりは正確だということは申し上げておきたい。つまり、過去二十年間、二十五年間に売上げが五割増ですと。にもかかわらず、相当高い黒字から赤字に転落しました。なぜですか。コストアップです。輸入が激増しています。過去二十年間に、三十年間に輸入は二・五倍に増えました。輸出が一・五倍で輸入が二・五倍ですから、赤字に転落した。 したがって、仮にこの国の収支を黒字化したいのであれば、対策は非常に明快でありまして、輸入の減少が必要です。逆に輸出をどんどん伸ばすというやり方が、既に一・五倍に増えているものを更に伸ばすというやり方がフィージブルかというと、かなり現実には難しい。 いろいろと批判される民主党の三年間、これ民主党に実は関係ないと思いますが、日本企業は結構頑張った結果として、震災にもかかわらず輸出がほとんど減りませんでした。ただし、以前に比べて三割減だとおっしゃる先生もいらっしゃいます。その以前というのはリーマン・ショック前の三年間なんですが、世界経済同時バブルのときでございます。この世界景気同時バブルの三年間を除けば、今の輸出水準ははっきり言って史上最高でございます。したがいまして、よほど世界景気がリーマン・ショック前のようにもう一回バブルにならない限り、これ以上輸出が増えると想定するのは普通はあり得ないです。仮に企業がそういう収支計画を持ってくれば却下であります。それは無理でしょうと。 で、実際どうなったか。御覧のとおり、アベノミクスは頑張って円安に誘導し輸出が増えているんですが、これは御存じだと思いますが、数量ではなく金額が増えたわけです。なぜか。日本の輸出企業は多くが残念ながら円基軸通貨という話とは逆にドル建てで商売をしております。多くの企業がドル建てで商売をしているので、海外で売った売上げが、同じ百ドルが、一ドル七十七円だと七十七円にしかならないものが、今百一円から二円になりますので、つまりドルを円に換算する時点で二割五分ぐらいの収益増が起きております、売上増が。その結果として輸出が増えたということになるのですが、これはエア輸出増でありまして、エアというのは、御存じですね、演奏しているふりをして実は演奏していないというやつですが、金額の換算上増えただけです。 ところで、輸入も激増しました。これはエアではございません。御覧のとおり、アベノミクスの一年間で、輸入は月次当たり一兆五千億円ぐらい増えているわけなんですが、これは輸入の化石燃料の値段の高騰によるものです。 ところで、これを原発を止めたせいだと皆さんおっしゃるんですが、よく見ていただきたいんですが、原発が止まっていって全部止まる間の一年三か月、輸入は増えていませんでした。で、とっくのとうに原発が全部止まった後の、申し訳ないんですが、新政権発足以降、輸入は激増しています。ちなみに、これは新政権のせいではないです。円安になったからこうなったんです。 原発が全部止まったときに輸入はなぜ増えなかったのか。これは、実際貿易統計の方でより詳しく化石燃料の輸入量等をチェックしていただくと分かりますが、ほとんど輸入量は増えていません。理由も簡単で、皆さんが省エネしたからです。ところで、今も省エネはしております。ちなみに、安倍政権下でも粛々と省エネをちゃんと進めておられまして、日本の化石燃料輸入量は引き続き減少しています。よろしいでしょうか。が、円安が余りにすごいので、同じ量を輸入するのに掛かる日本円が非常に高騰しているために、当然赤字になるわけであります。これもエア輸入増ではないのかと言われそうですが、実際問題としてキャッシュが出ていってしまっているわけなんでございまして、円ベースでは、御存じのとおり油を買っている、いなきゃいけないほとんど全ての人の生活に影響が出ています。 そして、円安は経常収支黒字を若干増やします。これもドル建てでもらうことになっている金利、配当が、評価額が円ベースに換算するときに若干増えるからなんですが、御覧ください、民主党政権のときからですが、それ以前からずっとそうですが、日本の外国から稼ぐ金利、配当はすごいものがありまして、宍戸先生のおっしゃるような莫大な貯蓄が投資されているために、もう年間に今十六兆円ぐらいの黒字を稼いでいるんですが、残念ながら油代の高騰によるマイナスが非常に大きくなってまいりまして、それから去年は観光客が大分増えたんでございますけれども、残念ながら観光収支が黒字化するには至らず、トータルの経常収支が季節調整済値で赤字、四か月連続であります。 こうなりますと、国全体としてお金がもうかっていたのが、出ていく側に回ります。アメリカと同じことになります。まだまだ序の口ですが、本当に長い間放置しておいてこの経常収支赤字が大きくなると、双子の赤字になってしまいます。そうしますと、これは大変国家的にはよろしくないでしょう。 ところで、この話を聞いたときに、だって企業はもうかっているじゃないか、株は上がっているじゃないかとお考えの方、これはもう皆さんは国家運営をされているわけですから御承知おきいただきたいんですが、特定の輸出企業がもうかって株が上がって株屋さんがもうかるという話と国全体が黒字になるというのは逆方向です。 そんなことはあるまいという方はアメリカで何が起きているかをよく御覧ください。アメリカの株価は史上最高です。ところで、アメリカの財政赤字は別に、少し減らしていますけれども、全然解消に遠く至りません。そして、アメリカは大幅な国際収支赤字を続けています。アメリカも全く同じです。政府が赤字をこいて国際収支が赤字になると株は上がるというのは、別に日本だけの現象ではございません。ドイツはちなみに黒字ですけれども、黒字でかつ株も上がっていますが、要するに株さえ上がればいいというものではない。ただ、日本は残念ながらドイツ型の上昇ではなく、アメリカ型の上昇になっている。 もう一度申し上げますが、マクロモデルの話をしているのではなくて、事実がこうだということを言っている。それに対してマクロモデルの人からは、Jカーブ効果というのがあってやがて輸出が増えるから大丈夫だという反論といいますか意見を聞くことがあるんですが、Jカーブじゃないんですね。よろしいでしょうか。円安が始まったときからダイレクトにすぐに輸出は増えています。別に輸出増加が遅れてきているわけではございません。ただ、輸出増加が輸入の増加に追い付かない。これは当たり前のことです。 会計学上はこれを粗利がマイナスな状態だというふうに申し上げるんですが、つまり、日本の輸出企業の輸出行動自体が原価割れの状態なんです、必要な化石燃料額を合わせると。つまり、百円輸出するのに百十円原価が掛かっている状態です。そういう状態でありますからして、円安になって輸出が仮に増えたとして、例えば百円の輸出が二百円になったら、原価百十円が二百二十円になりまして、赤字がマイナス十円からマイナス二十円に拡大する。これ企業経営では本当に常識ですけれども、粗利がマイナスの段階で売上げ増加策をやるというのは普通の企業ではあり得ないことでありまして、粗利がマイナスのときにはコストダウンをして、まず黒字体質に転換してから売上増を図ります。 ですから、この段階で輸出を増やすと、そもそも非常に高い水準にある輸出を更に増やすという目標自体が相当むちゃなんですが、それに加えて、円安にして輸出を増やすという策は国全体の赤字を増やす結果に終わるというのは、申し訳ないんですが当たり前で、ここでJカーブという言葉が出てくること自体が、厳しい言い方ですが、商業高校に行って勉強した方がいいんじゃないかと思いますね、企業の基本的な会計について、マクロ経済を持ち出す前に。そもそも、収支が黒字か赤字かということについては、マクロ経済以前に基本的な会計の問題ですから。粗利が赤字の会社が売上増をしてはいけないんです。もうごく当たり前のことです。これも多くの先生はおっしゃっていたことですし、残念ながら、外れたら、いや、よかった、外れたと思うわけですが、残念ながらこの一年間は嫌な予測が当たってしまったということを申し上げておきます。 さて、ところで、お分かりのとおり、日本は別段国際競争に負けているわけではございません。日本が赤字をこいている相手は資源国であります。中東とオーストラリア、あとは天然ガス、石油の出るインドネシア、マレーシア、まあブルネイとかもそうですが、あとロシアですね。日本の人が、多くの人が誤解をしているのですが、アジアの新興国に対しては日本はずっと黒字でございます。この状況は変わっておりません。ただ、中国に関しては去年から日本の方が香港を入れても残念ながら赤字になったと思いますが、これはいろんな理由があるんですが、基本的には政治的に日本製品を買いにくい方向に向こうが誘導しているのに乗っかっちゃったということですね。 ところで、日本が黒字をこいている相手の筆頭がアメリカであるのは御存じだと思いますが、たまに知らない人がいますが、その次が台湾だということを知らない人が非常に多いですね。その次がタイで、東南アジアのタイですということを御存じでしょうか。それからオランダなんですね。そして韓国です。韓国に対して日本が大黒字であるというのを知らないで何か日韓関係を論じている人が多いのには本当に驚きます。これはずっと前から同じですけれども。 つまり、赤字の企業がいて、収支を持ってきて、どうしたら改善できますと。誰が見ても中東とオーストラリアに払うお金を減らしましょう、終わりということになります。 ところで、それは原発再稼働だという方には、そうじゃなくて、省エネでその分はミスマッチできているので、逆にもっともっと省エネを進めて輸入量、絶対額を減らしていかなければ駄目なんです、車から何から、電力に関係ないところでも大量のエネルギー消費をしているわけですから。ということがもう当然の課題ということになります。 つまり、なかなか政治的に進まない、時間が掛かる原発再稼働を一年も二年も待っている暇があったら、一年間の間に劇的に三割ぐらい省エネしましょうということをやるべきで、やり方は極めて簡単で、こういうものを、今やっていますけど、LEDに替える、空調を最新式の、それこそパナソニックでも何でもいいんですが、ダイキンさんでも、最新の国産の空調に取り替える。そして何よりも、これは自民党の先生も民主党の人もその他の政党の皆さんも、恐らく多くの方が賛成されているはずですが、通ったと思いますが、建物を断熱改修する。そのことによって、東大の小宮山総長もおっしゃっていますけれども、本当に数割、もう場合によっては半分以上のエネルギー消費が減らせるわけなんで、それをまずやってからですね。もうこれは一年、二年の間に急速にできるばかりか、宍戸先生のおっしゃっている公共投資と同じで、景気回復には非常に効果があります。ということを是非申し上げておきたい。 ところで、皆さん、今のは円安の話でしたが、内需の話を申し上げます。 これも宍戸先生がおっしゃっていたことなんですが、GDPを目標幾らという議論は、私の、銀行屋からすると信じられないですね。外需と内需を一緒にした数字です。だから、どっちをどれだけ達成するのかというブレークダウンもないのに、GDP何%成長といっても分かるわけがないじゃないかと昔から思っていました。 ところで、日本は内需が成長しないのが大問題ですということなんですが、これがまた私、ここは宍戸先生と違うんですが、異議申し上げますが、デフレ、デフレとおっしゃるんですけれども、何で物価の話が出てくるのか。売上げが増えないことが大問題なんです。逆のことを申し上げますが、仮に物価がどんどん上がっても、お客さんが減ってしまって、物価が上がったけれども客数が減って売上げが下がるのは誰にとっても全くいいことではないんです。よろしいでしょうか。 例えば牛丼屋さんが、あるいはハンバーガー屋さんが値下げ戦略をやって失敗しまして値上げをしました、一転して。ところが、従来以上に、安いのを目当てにして来ていた人が来なくなったので、売上げがかえって下がるという現象が起きています。ところで、その牛丼屋さんやハンバーガー屋さんは値上げを実施できたわけですから自社的にはデフレ脱却をしたのですが、売上げは下がるわけです。もちろん逆に、値下げをして客を増やそうと思ったらかえって売上げが下がったというのもある。どっちにしろ売上げが下がればまずいわけですが。 値段に着目してデフレだインフレだとおっしゃるのは勝手ですが、それはマクロモデル的にはそういう議論なんでしょうけど、企業経営している側からいいますと、売上げが増えないと意味がないんですよ。 それで、これが売上げの数字です。小売販売額です。アメリカで言えばリテールセールスです。この数字にはサービス業が入っていませんので、通常、日本のマクロ経済学者の人は使いません。ですが、日本人の非常に多くは物を作っているか運んでいるか売っているかなので、サービス業、飲食、ホテルその他入っていませんけれども、小売販売額が最も基本的な指標であることは間違いないばかりか、残念ながらサービス業の正確な数字がございませんので、小売販売額を見る以外にないんです。 御覧ください。バブル前に大成長を遂げていた小売販売額はバブル後横ばい、そして減少。ここから大事なところなんですが、減少を続けるのではなく、小泉内閣の二年目から微増といいますか横ばいに戻り、そして民主党の三年間、余り民主党に関係ないかもしれませんが、増加していたんです。総じて言うと、バブル崩壊後横ばいであるということについて強く申し上げたい。ちなみに、この間、日本の人口はゆっくり減り始めまして、生産年齢人口はかなり、五%減っています。 ある方がおっしゃっていますが、生産年齢人口当たりの小売販売額や名目GDPを出してみると、成長率は日本は世界有数若しくは世界一位だという話があります。人口減少にもかかわらず、お店の売上げを増やすのに成功しているんです。ちなみに、これは生産が頑張ったんじゃなくて企業が頑張っているということを申し上げておきます。 ところで、内需、外需を一緒にしたGDPと違って、まずこの内訳を、ブレークダウンをちゃんと見てください。内需指標のさらに物販であるこの小売販売額を見ると、皆さんの選挙区の多くの企業の人の実感と合う数字が出ています。そこに輸出企業の数字を入れたGDPを持ち出すと、先生、分かってないなんて言われちゃいますよ。さらに、これは減っていません。微増なんです。つまり、誰か売上げが減っている分、誰か増えているんです。 さて、それで、なぜしかし横ばいなのか。御覧ください。ここに個人所得というのが出てきます。この個人所得というのは、これまたGDP上、推計いっぱいあるんですが、これは税務署に申告された個人の年収の単純合計、課税対象所得額というもので、給料のみならず、株を売ったとか家売ったも全部入っています。これがまた誰も使わない数字なんですが、私は信用しています、特に増えたときは。税務署に増やして申告すると税金取られますのでね。 御覧ください。失われた二十年、デフレとおっしゃいますが、二〇〇七年、実は安倍首相が最初に首相をやっておられた年の日本人の申告所得額の税務署に申告された合計は百九十一兆円で、バブルの年、平成三年の百八十八を上回っているんです。ちなみに、当時、実感なき景気回復、戦後最長の景気拡大、イザナミ景気と言われました。これは冗談ではなく、本当に景気は拡大していたんです。これを物価が下がっているから不景気だと言われると、じゃこの所得って何なんですかという話になります。むしろ、当時、物価は下がっているのに所得は増えたので、えらいもうかった人はいたはずです。 ところで、その後、所得はマネーゲームが終わりましてばあっと下がってしまうんですが、御覧ください、小泉改革の頃に所得が増えてリーマン・ショックで下がる、この変動がお店の売上げにほとんど影響を与えていません。ちょっとだけ上がって、ちょっとだけ下がったじゃないか、実は全部これ、ガソリンスタンドの売上増、売上減でありまして、ガソリンの値下がりによるものでした。 実は、所得が増えても物を買わないというとんでもない事態が日本の統計上起きていまして、これは全てのマクロモデルが前提としていない、とんでもない事態なんです。昔は、所得が増えれば売上げも増えて、所得が横ばいなら売上げも横ばい、所得が減れば売上げも減少ときれいに連動していたのに、二十一世紀に入ってから連動が切れているんです。 ところで、最近、所得が余り増えていないのに売上げがゆっくり増えています。いわゆる実感なき景気回復。皆さんの選挙民の方はこっちを見ているんです。 さて、それで、これを輸出のせいだと言う人がいるんですが、さっきもお示ししたとおり、バブル崩壊後に日本の輸出は一旦倍増し、四割減し、また持ち直しております。このようにすごいジェットコースターのように上下しているんですが、それが国内の売上げに全く影響を与えません。普通おかしいんですが、与えていないので仕方がない。こちらは税務署の数字、こちらは店に全部聞いた数字、こちらは通関統計から起こした数字。全数調査なので、うそだといって、矛盾している、モデルと違うといっても、現実がこっちなんです。それで私は臨床経済論者と書いているわけですけど、マクロモデルではなく、臨床的にそうなんですね。株式チャートでいうとけい線分析みたいなものです。現実がこうなんです。 ちなみに、この話が都合が悪くなると皆さんお休みになるんですけど、どうかちゃんと聞いていただきたいと思います。よろしいですか。いろんなところでいろんな学者にこの話をするんですけど、学者の方はよくこの辺りで寝出すんですよね。ちゃんと、現実がこうなんだから見ていただかないとね。 皆さんのやっている伸び率と違って、絶対数が増えないと皆さん困るんですね。それは伸び率でいうと微妙に連動していますよ。だけど、絶対数で全然ビビッドな連動がない。輸出が増えても内需が増えないのは困るんですが、輸出が減っても内需が減らないというのはすばらしいことなんです。日本経済は非常に強靱です。これは宍戸先生がおっしゃったとおりで、強靱というのは、マッドメンではなくてレジリエントだということです。 さて、それで、しかし、こういうことを分からない人が、全部日銀のせいだと言い出します。で、マネタリーベースを増やせという議論になるんですが、御覧のとおりです。日本のマネタリーベースはバブル前に四十兆円まで増えていたんですが、これを竹中さんが百十一まで増やし、それを実は安倍さんが絞りまして、その後で民主党がまたわあっと増やしまして、白川さんが百二十一まで増やして、当時、史上最高であります。白川さんが金融緩和をしなかったというのは、定性的な評価で言っているのかもしれませんが、絶対数でいうと、ようこんなにやったなという数字であります。 ところで、マネタリーベースを三倍に増やしたのですが、日本のお店の売上げは全く増えませんし、個人所得も増えませんでした。輸出に関しても相関がありません。 ところで、その前、マネタリーベースをバブル期に十七兆円増やしたところ物すごいバブルが起きて、その後、一兆円絞ったらバブルが崩壊したと皆さんおっしゃるんですが、そんなにすごい反応が出るんなら、このときになぜバブルが起きていないんでしょう。どうして民主党はバブルを起こせなかったんでしょうか。それは、モデル上、こんなことはあり得ないと言われるかもしれませんが、日本は統計は正確な国ですから、事実としてはこうだということです。つまり、御飯食べても太らない人がいたということです。 で、皆さん、雇用です。雇用をどんどん増やす、そのためには輸出を増やすだとか日銀が金融緩和するとおっしゃっているんですが、過去二十年間、輸出も増えたし減ったし、また増えて、マネタリーベースも増えて減って、また増えました。それと雇用の増減がほとんど影響がない。パーセンテージを細かく見ると相関しているのですが、絶対額ベースで全く雇用が横ばいであります。そのために、実は雇用が横ばいであるために給与所得が増えませんので小売販売額が増えないんです。これは鉄板のような関係があります。 ところで、この状態で何とかせないかぬということでアベノミクスが始まりました。アベノミクスの一年間が右側に出ます。さあ皆さん、よく御覧ください。二〇一三年どうなったのか。こうなったんですよ。二〇一三年、年間平均でいうとマネタリーベースは百六十三兆円です。ちなみに今はもう二百兆円を超えていますけれども。取りあえず年間平均百六十三、それに対して小売販売額が一兆円増。ですが、実は増加ペースがちょっと弱まったんですけど、雇用が四十一万人増。そして、輸出が、さっきも言いましたが、金額評価の関係で六兆円増。マイナスではありません。よく頑張ったとは言えるんですが、ただ、これは胸に手を当てて考えていただきたいんですが、当初狙っていたようなレベルの増加には全くなっていないですということではないでしょうか。それはそうです。だって過去は連動していないんですから。 実は、今のトレンドは、何にも最近のトレンドと変わっていないんです。これが、景気回復なんだけどエア景気回復と私が申し上げているのは、これは非常にきついんですが、金融緩和をやっている人というのは、申し訳ないんだけど、ほかの国では起きるんですよ、だけど日本で現に起きていないことに対して完全に無視して、私が読んだ本だと回復するとおっしゃっているのはいいんだけど、それだとマヤの雨乞いと同じなんですよね。よそじゃ雨乞いしたら雨降るのかもしれないけど、日本で現に降っていないものを、どうして日本でも急に降ると言えるのか。それを是非、モデルではなく日本の現実に即して説明していただかないと話が通じない。 ちなみに、ここに出ていませんが、公共投資額の積み増しも全く同じですし、国の借金が死ぬほど増えたのも同じですが、一生懸命頑張ってきたんですが、雇用と消費を増やすに至っていないわけです。理由は何なのか。もうちょっとで終わります。 それで、株価ですね。株価は上がったじゃないか。御覧のとおりです。これも絶対数で物を見ていませんので、皆さんとしては株が上がったということになるんでしょう。事実、上がったのは大変喜ばしいことなんですが、去年の日経平均の月末の平均が一万三千七百円です。これ月末平均ですので、三百六十五日平均にするともうちょっと下がりますけれども、大体去年の後半がぴったり一万三千七百円で膠着していましたので、それと偶然にも平均値が一致していますが、御覧のとおり、株価は上がったり下がったりしています。 それで、一万三千七百円で、今日一万四千七百円ですが、喜ばしいとはいっても、申し訳ないんだが水準としてはバブル崩壊後の二十年の中でも決して高い方ではないんです。上がったのはいいことなんですよ。いいことなんですが、まるで何か史上最高に上がったみたいな雰囲気の報道もありますので、実はまだまだぐんぐん上がっていかないと本当の意味で上がったとは言えない。前回、安倍さんが首相だった頃に比べても、その時期いっとき二万円になっていましたので、全然それを達成していないのでありますが、ただ、よく御覧ください、マネタリーベースの方は空前絶後に増えているわけです。確かにマネタリーベースが増えれば株価が上がるというのは一年遅れで起きるんですが、非常に関係性が弱くなっています。これは比率で見ていると分からないんですが、絶対数で見るとはっきり分かることです。 つまり、そしてやがて力尽きて元の株価に戻るという繰り返しですので、私が申し上げたいのは、今度株価がまた元に戻っても政府のせいではないんです、これは。そもそも株価は外国の投資家がどれだけ買うかで動いていて、ほとんど、何というんですか、国内要因になっておりませんので。日本政府が頑張った結果として上がるというような相関関係がどんどん薄くなっているということを申し上げます。 更に申し上げますと、バブルのときの株価の最高は平成元年でありまして、三年ではございません。元年から三年の間に株価が一万五千円も下落する間に、お店の売上げは二十兆円増えています。小泉改革の頃、株価が八千六百円から倍に増えたわけですが、お店の売上げはガソリンスタンド以外は全く増えていません。その後、福田内閣に向けて株価が半減しましたけれども、お店の売上げは全く落ちておりません。 そんなに、株やっている人には申し訳ないんだけど、ほとんどの真っ当に商売している人にとっては余り関係ないことなんで、騒ぎ過ぎではないでしょうか、申し訳ないんだが。いや、騒ぐなとは言いませんよ。でも、重要じゃないとも言わない、だけど明らかにプライオリティー的にそればっかり言い過ぎであります。 物価も同じであります。日本では昔から物価が上がった年には当然お店の売上げも増えるという正の相関があったわけなんですが、九五年を境に、物価が上がったにもかかわらずお店の売上げが落ちる年、物価が下がっているにもかかわらずお店の売上げが増える年というアバンギャルドな年が結構増えてまいりました。そして、ちなみにこれが民主党三年間と去年であります。御覧のとおり、震災のときはさすがに物価も下がるし売上げも下がったのですが、去年は物価も上がったし売上げも上がって良かったんですが、よく見ると、おととしは物価は上がらなかったけど売上げは増えておりました。 もう一度申し上げますが、実は一般人が気にしているのは物価の方ではなくて、この上にいるか下の方にいるかでありまして、分かりますか、売上げが増えるか減るかの方が重要なんで、そのことは是非御認識いただきたいと思います。こういうのは経済学の一般論と全然ずれていて、こういう話をするたびに経済学を知らない藻谷と言われます。それに対して私のお返しするのは、経済を知らないあなたと。いや、大変申し訳ない、私が経済を知っているとは言わない。ただ、数字がこうなんですよと、しかも日本の統計は非常にはっきりしているんですよということを申し上げる。つまり、恋愛をしている人間に向かって恋愛学を知らないと言われても返しようがないということであります。現にこういう形になっちゃっているんだから、なぜと言われても分からないけどそうなんですよと。 で、皆さん、最後です。では、何で就業者が増えないのかということを申し上げます。 これは、前々から私が申し上げているとおり、人口が要因です。それで、これは宍戸先生と同じことを私も申し上げたいんですが、人口要因を無視してマネタリーベースを増やせば景気が回復するというのはエア景気回復です。実際には、人口が減り続けるという問題に手を着けない限り、本当の意味での景気回復は起きません。 だから、御覧のとおり、日本の十五歳—六十四歳はどんどん減っております。それに対して働いている十五歳—六十四歳の人もどうしても減ります。そうすると、六十五歳以上も働くんですが、就業者の総数も減るんだよと、そういうグラフなんです。 分かりにくいですよね。ゼロを外します。御覧ください。これは非常に重要な数字です。「デフレの正体」の本に対して文句を言った全ての人間に、この表に対して反論をしていただきたい。日本の生産年齢人口掛ける七〇・〇という数字を計算すると、こういうふうになっております。それに対して、生産年齢人口のうち、実際にパート、アルバイトを含め仕事をしている人の実数がこうです。 御覧のとおり、当然、景気の波がございますので、不景気、好景気、不景気、好景気、不景気、好景気、不景気、好景気、不景気。今また好景気です。景気の波で変動しますが、景気というのは二、三年、一年から三年で後退するのが景気であります。これを二十年続くものを景気と言っているところが既に解釈の間違いも甚だしいんでありまして、誰が見てもこれは合成関数です。つまり、景気の上下プラス生産年齢人口そのものの上下が合成されてこうなっているわけです。 あるインフレ誘導論者の非常に著名な大学教授がこれを見ておっしゃいました、当たり前のことを言っているじゃないか、当たり前だ、そんなのはと。そのとおりです。当たり前なので、全員言っていただきたい。これを無視して雇用だけ増やすと言っても絵空事に終わります。実際には六十五歳以上の人もたくさん働いているので、現役の労働者が減る割には労働者総数はそこまで減らないとしても、増えていくのは非常に難しい趨勢にあります。もちろん増えることは短期的には可能ですよ。ですが、不景気のときに元に戻ってしまうわけです。 問題は、ここでアベノミクスがやっていることが非常に正しいことが出てきます。七〇%しか働いていないという構造を変えなくてはいけません。どうやったら変わるんでしょう。それは、専業主婦の方で働きたい方に働いていただくというのがナンバーワンプライオリティー。それから、その他五%というのがナンバーツーであります。これは、障害者の方、うつ病で休業している方、そういう方なんです。この方々を戦力化するということです。 ところが、失業者を減らそうと皆さんされますが、それはナンセンスです。なぜか。失業者の方は転職中の方がほとんどなわけです。三%以上が転職中の人なんです。いつ調査したって常に三%以上いるんです。そうではなく、完全雇用にしても、専業主婦が一二%もいらっしゃるところでは生産年齢人口が七割しか働かない。ちなみに、総人口にすると既に五割切っています、働いている人は。人間の半分、二人に一人働いていない国でよくこれだけ経済を維持できていると思いますけれども、現実には維持しているんですばらしいんですが、もうちょっと女性が働きやすくするだけで全然状況が変わります。 今の数字ですが、こういうことになっております。今まで日本の現役人口はこのとおり平成七年から下がってきたのですが、もうちょっとで終わりますね、今後、社人研予測によりますと、コーホート予測ですね、先ほど先生がおっしゃった、人間を、人口を増やすという努力をしない場合、こういうふうになっていきます。それに対して、働く人間というのはこうなっていく。今日、初めて藻谷試算が出ました。もう一度申し上げますが、それ以外の数字は全て国の基本統計です。私の意見は一言も入っておりません。これが唯一私の意見なんですが、誰がやっても同じです。 日本では百歳の人が二十五人に一人働いています。六十五歳は二人に一人働いている。その比率をずっと伸ばすとこうなります。足下だけで二百二十万人働く人が減ります。ちなみに、去年、四十一万人増えたのは大変すばらしいことなんですが、これは六十五歳で退職した人が働き続けたからです。 ところで、日本に一千万人いらっしゃる十五歳から六十四歳の専業主婦の五人に一人働いていただくことにより、これが補えます。当面はそれで食いつなぎながら、今度は次に賃上げをしながらつないでいくというのが日本経済の正しい再生法であります。 最後に、まとめなんですが、これが「デフレの正体」に書いたことなんですけれども、日本では現役世代が減っているので労働者が減っています。ところで、労働者が減っているんですが、生産が落ちません。これについては、浜田宏一先生が、人口が減ると生産が落ちてインフレになるとおっしゃっていたんですが、それは労働集約型産業では起きます。看護師とか医者が典型ですがね。それ以外の場所では全然起きておりません。 例えば、福岡県大牟田市は人口が半分近くに減っておりますが、工業出荷額は実は最盛期より今が一番多いです。こういうのはもう経済の常識として知っておいていただきたい。皆さんは大牟田の人口がどんどん減っているから大牟田の産業は駄目になっていると思っているが、全然違います。無人工場が操業している。そもそも、そういう現場の、臨床の数字を御覧にならなくてアダム・スミスが書いた経済理論だけで議論するから話がおかしくなるんです。実際には、日本では、人口が減ると減るのは報酬、雇用者報酬であり、そしてそれを、現役を相手にしたお店の売上げが減るんです。 実は、これで生産調整をして売るのをやめればデフレになりません。ところが、企業はついつい機械が生産するので作り続けます。その結果、値崩れが起きていく。これはミクロ経済学上の値崩れなんですが、それをデフレと言ってしまってマクロ経済の話に変えてしまうんですね。で、今度は日銀のせいだと言い出します。 日銀のせいじゃないという理由は、金融緩和を三倍、もう実は今既にバブル時の四倍までしているのに諸外国と違って全く物価が上がらない希有な国日本ですね。これが日銀のせいではないということを示しています。別に日銀を擁護するつもりは全くありませんが、事実としてそうなので。これは、企業が過剰生産をやめるか、現役世代の収入を増やして物を買わせるか、どっちかでしか必ず解決しません。 いずれにしましても、そのことに向き合っていくには、金融緩和ではなく、先ほど言った成長戦略の中でも女性の就業促進ですね、三年育休ではなく三か月で職場に戻れる制度の普及が急務だと思います。 どうも長い間失礼いたしました。
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるよう整理をしたいと思っております。 質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。 質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願い申し上げます。 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内になるよう御協力をお願い申し上げます。 それでは、質疑のある方は挙手を願います。 西田昌司君。
○西田昌司君 自民党の西田でございます。 今日は、宍戸先生、また藻谷先生、ありがとうございました。 それで、今お二人の先生のお話聞いていまして、藻谷先生もおっしゃいましたけれども、同じようなことをおっしゃっているようなところもあったと思うんですね。そこで、結局は、里山資本主義の話までは藻谷先生行かれなかったんですが、ここに書いてあることも含めて、要は国内で、地産地消ということも含めまして、お金も資本も、エネルギーも含めて、どうやって循環させていくかと。内需を増やしていくというのが大事なことだということだと思うんですね。 そこで、両先生にお伺いするんですけれども、内需拡大するためにいわゆる企業減税をして、そしてそれを投資に向かわせたらいいというのが今、安倍内閣の中で言われ出しているんですけれども、むしろ今までの傾向を見ていますと、所得税始め法人税も減らしてきているわけですよね。消費税だけどんどん上げてきているわけなんですが、この結果、何が行われてきたかというと、結局、消費は消費税上げるたびにちょっと落ち込むという傾向もちろんありますけれども、要は富が企業の中に内部留保されてしまってなかなか回ってこない、民間経済の方に期待しているんだけれども回ってこない、預貯金も企業側には残っているんだけれどもなかなかそれが投資されないと。 ですから、むしろ私は、増税と申しましょうか、今すぐやるかどうかは別にしましても、将来的には要するに国民負担率、社会保障の負担も含めて負担率を今の四割ぐらいから五割程度に一〇ポイントほど上げてくると。つまり欧米の先進国並みに、欧米というか、ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツ並みぐらいに上げてきて、それを、いわゆる所得移転もそうですけれども、政府の支出を増やしていくと。もちろん公共事業投資もそうなんですけれども、そういうふうに、公共事業の場合にはいわゆる建設国債でありますけれども、金融面で余っているお金を国債で使っていくと。それから、景気が戻ってくると、今度は税で徴収して、その分をあるところからないところに使っていく、そのことによって直接雇用が増えてきて経済が回復するんじゃないのかなと。まさにデフレからの脱却のためには、実は小さな政府論ではなくて、そういう、政府がかなり需要創出をさせていく、そのためには負担も需給のバランスを見ながら合わせていく、そうすると結果的には経済は好転していくというふうに思うんですけれども、お二人の先生方にまずこのことにつきましてお聞きしたいと思います。
○参考人(宍戸駿太郎君) よく言われるんですが、日本の負担率は世界でも最低のグループに入っているとおっしゃるんですが、負担率という考え方は非常によく分かるんですが、成長を高めますと、税収入の上昇の方が高いですから、いわゆる弾性値ですね、租税の弾性値は高いですから、労せずして負担率が結果として上がっていくということがまず一つです。 それから、それだけでは足りないから、やはり税率自体、あるいは消費税も含めてですね、税率を上げた方がいいかということなんですが、一つだけ例外を申しますと、法人税の減税なんですが、法人税減税は減価償却と結び付けるとこれは有効なんです。全体的にもしも減価償却率を一割下げますと、例えば十年の機械を九年で償却すると、この早期償却の効果がキャッシュフローに影響いたしますから、それだけ税金が安くなるんですが、その両方で非常に有効な効果が出てきます。これはアメリカでも実験済みです。アメリカは余り成功はしていないんですが。 シミュレーション上、これは今の減税の方の話なんですが、しかし、これも所得を増やしますと、所得税、あるいはほかの、消費税も含めてですね、他の税種目が上昇しますから、結局基本は、さっき申しましたように、所得を増やすということに全力を挙げた方が税収入はむしろ早く上がると。二%経済成長では弾性値が余り効かないわけですね、租税弾性値が。しかし、三%、四%になりますと、それの二倍、租税弾性値が平均して二倍だということをよくマネタリストの人が言うんですが、そんなに高くはないですね、実際には。むしろ弾性値は一・五以下だと思いますが。今財務省が使っている弾性値は一・一ですよね、一・一。そんなに低くはないんですが、しかし二ほど高くはない。 ということは、結局、国民負担率が最終的に上がるということは、経済成長をむしろ、今、早く完全雇用の点に持っていった方が自然に増えていくと。スピードが遅いときはこれは余り効果がないんですが、先ほどの西田先生のおっしゃるように、国民負担率というのは結果としての負担率ですから、これを五〇%ぐらいに上げるということは成長を高めた方が早いというのが私の意見なんですが、シミュレーションでもそういう結果が出ますので。ところが、二%の成長が続いている段階ではほとんど影響がないですね。ということは、それだったら税率を増やせと、消費税率を上げるとか、あるいは法人税率を逆に上げていくとか所得税率を上げるとかという増税の方に進んでいくわけですが、成長がもしも四%あるいは五%で上がっていくときはその大体一・五倍は勢いで税金が入ってきますから、税金が入るということは、今度は逆に社会保険料もこれと連動して動いていきますから。この点で、もし、今非常に借金だらけですけれども、豊かな政府に向かっていくことは、税率を上げるというやり方よりはむしろ成長を上げていくと。まあ公共投資、あるいは将来は減税の問題が出てくるんですが。 という意味で、成長を高めることの方が早道ではないかというのが、私のグラフがございますが、今日の青い配付資料にも載っていますが、配付資料でいいますと、このグラフは、デフレから回復する場合に特に完全雇用まで持っていかなきゃいけない。完全雇用というのは完全失業率が三%を切る段階ですが、それぐらいまで上げていく。ところが、それをやらないで早く消費増税のように消費税率を上げるという形をやるとこれは丸木橋を渡るように危険であるということをこのグラフは、で、財政再建の島に渡っていくのは、完全雇用に向かって成長を加速させる方が自然増収が予想以上に増えるということをシミュレーションでは示しておるということで、これは法人税もあるし所得税もありますし、社会保険料収入が増えていくと、こういうことがありまして、こういう点で完全雇用にやった方が、この矢が三本ありますが、はるかに税の、今の過大な借金漬けの国家が脱出するには、この黄色い橋、丸木橋を渡らないでなるべくこちらにやった方がいいというのが私の主張でありまして。 これはローレンス・クラインという、この前亡くなられたんですが、マクロモデルの生みの親ですが、これは日本経済に非常に興味がありましていろいろなペーパーを出しておりますが、彼のノーベル賞のときの前に発表されたペーパーで日本経済の成長率というのを、その後も彼はペーパーを出しまして、やっぱり実質四%が日本の正常な成長率、もしも急いだ場合は実質六ぐらいまでということを書いていまして、本も出ております。ノーマルで実質四%維持するぐらいの成長をすれば今の税の税収不足というのは解決するだろう、自動的に解決する、その代わり時間は掛かります、四年から五年ぐらい待てばということを彼自身が書いて、この前亡くなられましたけれども。 そういうことで、海外の識者、例えばクルーグマンとか非常にアベノミクスを評価しているんですが、増税で税収入が増えるということになると、これはちょっと方向が違うんじゃないかということになるんですね。それは、こちらの方に、この丸木橋を渡る方になってしまいますから。これは堂々として王道はここの方向であろうと、こういうことなんですが。
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。 この際、会長から、参考人そして質疑者にお願いを申し上げます。 限られた時間でございますので、定められた、あらかじめお願いを申し上げました時間内にひとつお収めをいただきますようにお願いをいたします。 あと、一巡で七名が質疑をさせていただきたいと、こういうことでございますので、参考人の先生方には大変御無礼でございますけれども、よろしく御配慮をお願いを申し上げます。
○参考人(藻谷浩介君) では、これは私の意見を申し上げます、意見として。今私が御説明したことは全然違うディメンジョンで、マクロモデルではなくて現実がこうだったという、つまり、この薬を飲むとこう効くはずだという話じゃなくて、こう飲んだけどこうだったという話をしております。ですから、全然違う次元の話なので。あと、同じく、先ほどお示しした数字は、世界で動いているほかの国の動きと日本が全然違うということを示しています。余り言いたくはないんですけど、日本が特殊だというのは、特にマクロ経済学の方は絶対言いたくないと思うんですが、ただ事実としては大変特殊で、ほかの国ではとっくに金利が上がってインフレになっていてもおかしくないものがなっていないわけですから。 というわけで、外国はともかく、日本においてはどうかということで意見を申し上げますが、日本ではセーの法則が成り立っていません。セーの法則というのは、誰かが稼いだお金はきちんと貯蓄されて、それが死蔵されるのではなく消費なり投資に回って、それが有効に経済を拡大させるということなんですが、それが日本では成り立っておりませんで、更に言いますと、投資されたものがどんどんどんどん経済を発展させるというのも、事公共投資に関しては、過去二十年間日本では公共投資を死ぬほどやったんですが、経済成長はしませんでしたので、いわゆるセーの法則が成り立っていないんですね。これはノーベル賞から見るとおかしいことなんですね。つまり、日本はノーベル賞に対して反旗を翻している社会ということになりますが、しようがない。 ところで、それを前提としますと、企業に減税をして彼らに内部留保を積み増してもらうと、その分設備投資をするとか賃金を払うだろうというのは、過去の実績からいうとないので、法人税減税は残念ながら効果がないと思います。 ついでにもう一つ申し上げますと、私は二〇〇九年、シンガポールに一年間住んでおりまして、シンガポールの国家戦略というのをつぶさに見ておりまして、一部、向こうの政府機関のアドバイザーもしておりました。四年たって日本で同じことを皆さんが言っているのを大変面白く見ているんですが、シンガポールでもいろいろとそう簡単にはいかなくなってきております。
○西田昌司君 ありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) 次に、石上俊雄君。
○石上俊雄君 民主党の石上俊雄でございます。 本日は、宍戸先生、藻谷先生、本当に貴重なお話ありがとうございました。 まず、宍戸先生に御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、先ほど、一九九〇年、日米構造協議で四百三十兆の、要は十年間で投資をしなさいというのをアメリカの方から言われた、四百三十兆円を投資をしなさいというふうに要求されたと。しかし、それはなかなかできなかったというところがあって、しかしその後に宮澤政権下において十年間で百三十兆円の投資ができたわけでありますが、そのときどれくらいの経済成長につながっているかというと、僅かコンマ九%ぐらいしか伸びていないんですね。そのとき、その現象というのは、要は公共投資にする総額が足りなかったのか、若しくは公共投資に突っ込んだときの質ですね、質、やっぱり相乗効果につながる、経済の活性化につながるような道路とかそういうところの投資じゃなかったからこういう現象になったのか、そういったところをちょっとお聞きしたいというのがまず一つと。 あと、先ほどDEMIOSというモデルという話が出ましたが、そこの中で、経済成長と財政再建、これを達成するために要はある一定の公共投資の額を突っ込んでいくんですけれども、ここより超えないと効果が出てこないという、そういうような水準ってモデル的には出てくるのかどうか、その臨界値があるのかどうか、そこをちょっとお聞きしたいというふうに思います。まずそれをお願いします。
○参考人(宍戸駿太郎君) さっきの四百三十兆円の問題というのは、いろいろと批判もあるし賛成もあるんですが、私は、やはり量的にこれが不足をして実効がだんだんと尻すぼみになってしまったというのは、質の問題よりもまず量の問題で、六割ぐらいしか実現しないで、もう特に小泉内閣になってどんどん削っていきましたから。アメリカの提案は十年間でということでして、大体六割ぐらいしか実現しなかったということで、これは量の問題ですね。宮澤政権のときは忠実にやったんです、最初は。 それから、公共投資の効果は一年や二年じゃ駄目なんです。三年、四年と続けないと効果が出てこないですね。ですから、この私の本でいいますと、この青い本の、これを御覧になっていただきたいんですが、具体的に申しますと、青い本の十九ページをちょっと見ていただきたいんですが、この形はずっと継続するわけです。だから、二十兆円なら二十兆円を五年間で百兆円継続させるわけです。そういたしますと、実質のGDPも伸びるが、名目GDPはその五割ぐらい高く伸びてそれが税収入につながると、こういうことでありまして、同時に、為替レートは減少をいたしまして、十円を超えて為替レートは円安になってまいりますから、これが日本銀行がサポートした公共投資なんです。 サポートしない単独の公共投資というのは、いわゆるマンデル・フレミング効果とかいって、金利ばかり上がって円高になってむしろ効果が出ないと、こういうことをよく言いますが、そうではなくて、アコモデーテッド・フィスカル・ポリシーと私、書いてあるんですが、ちゃんと泊まれる宿舎付きの財政政策というのは、野ざらしではなくて、アコモデーテッド・フィスカル・ポリシーというのは極めて強力な効果を持つと、しかもそれは続けなきゃ駄目だと、こういうことなんです。
○石上俊雄君 ありがとうございます。 次に、藻谷先生に御質問させていただきたいと思いますが、里山資本主義のところは先ほど触れられなかったんですけど、著書の方が新書大賞を取られたということで、本当におめでとうございます。 里山資本主義は総務省が今掲げております地域元気創造プランと何か似ているようなところもあるというふうに思うんですが、要はその里山資本主義が財政再建にどのような影響を与えていくのか。先ほど、要は生産労働人口のところの三割の方が働いてられないというようなところにもつながってくるのか、あとは年収の増加につながってくるのか、その辺の影響、波及するところをちょっと教えていただきたいのが一つと。 あと、いろいろなものを読んでおりましたら貯金道という言葉を藻谷先生使われておりまして、要は、高齢者の方がたくさんお金持っているんですけど、相続するのが平均年齢六十七歳以上の方なので、高齢の方の中でお金がぐるぐる回るだけだと。やはりその方々が欲しいというものをどんどんどんどん出していかないといけない。これで出すことによってお金の流れをつくって経済を活性化させていくというところにならないといけないというふうに思うんですけれども、今何となく海外に出ると為替で左右されたりするんですが、現場で開発に携わっている方々にその辺の製品開発に対して何かアイデアとかヒントがあれば賜れればというふうに思います。 以上、二点お願いします。
○参考人(藻谷浩介君) では、簡潔に申し上げます。 後の方が簡単ですので先に申し上げます。貯金道というのは先ほど言ったセーの法則に反するものでございまして、自分が亡くなるまでお金を使わずに、亡くなるときに自分史上貯金額を史上最高にして死ぬ人のことを貯金道と言っています。これは冗談みたいなんですがいっぱいありまして、かつ企業にも最近増えております。いざというときのためというか、何か使ってしまって変なことに使うと責任を取らされるので、年々貯金額を増やすというのが優良企業の中に増えております。自治会とかいろんな諸団体もそうですね。それが死に金になっているということなんですが、これさすがに企業は気が付いておりまして、対策をしております。 それで、先ほど説明しなかったんですが、二〇一〇年から、一〇、一一、一二、一三と四年間の傾向としまして小売販売額が微増しているということをちょっと申し上げましたが、就業者が減っているにもかかわらず小売販売額が増え始めています、年一%程度ですけれども。これはやはり企業がこの時期から、例えばコンビニなんかもそうですが、老人向け市場の開拓に本腰を入れております。健康食品ですとかいろんなものが、携帯にしてもパソコンにしてもちゃんとシニアが使えるような、だけどシニア専用ではないですね、シニアが使いたくなるようなものを売るという方向にかなり企業が努力をしている結果として、実は生産年齢人口が減っているにもかかわらず消費が微増で増えている、経済成長とは言わないけど持ちこたえている。その結果、現役一人当たり人口の小売販売額がかなりの勢いで増えているというんですね。大変すばらしいことが起きておりまして、やはり企業がちゃんとやれば動くということだと私は思っています。 前の方でございますが、里山資本主義は財政再建には直接関係がないということを申し訳ありませんが申し上げておきます。これはあくまでも退職していって非常に不安におびえている方の、里山に住んで自分が何も貢献していないんじゃないかと思っている人に、あなたはそれでいいんだ、もっと頑張ってくれということを応援する本であります。高く評価していただいたんですが、都会でばりばり稼いでいる方はもう今のままばりばり稼いでGDPに貢献していただきたいんですが、退職した方が一方的に年金にぶら下がることなく自給自足で野菜でも作っていただいて、場合によってはどんどん売っていただくことによって、ささやかながら一隅を照らして経済にも貢献しますが、より多くは個人の幸せに貢献し、社会のこの不安定感を減殺するのに役に立つ、メンタルに非常に役に立つということ。 もう一つは、長期的な戦略ですが、田舎に行った方が子供が生まれるということは非常にはっきりしておりまして、田舎で共働きをしている夫婦の方が東京で専業主婦の方よりも子供の数が多いというのは非常にはっきりとした傾向でございます。 そういうわけで、なるべく、経済には、いま一つGDPには貢献しないかもしれないが、地方に行って低い収入で兼業しながら子育てをする若い人がもうちょっと増えていただくことは日本全体の長期的な低落に対するささやかな歯止めとなると思っております。 以上です。
○石上俊雄君 どうもありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) 次に、石川博崇君。
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。 本日は、宍戸先生、それから藻谷先生、貴重な御意見、陳述いただきまして大変ありがとうございました。 私から簡潔に宍戸先生とそれから藻谷先生に一問ずつお聞きをしたいと思います。 まずは、宍戸先生にお聞きをしたいのは消費税についてでございます。 事前に先生の様々な論文、著作等も読ませていただきましたが、消費税についていろいろ世の中でも御意見がございますけれども、宍戸先生の、特に景気、デフレを加速化させるような負の側面についての御指摘が非常に多く散見されたなというふうに思っております。 先ほど西田先生に対する御回答にもありましたが、当然王道としては経済成長を狙ってそこからの税収増による財政再建というのが私も王道だというふうには考えておりますけれども、他方で安定的な財源あるいは税収ということを考えたときに、今の日本の抱える社会保障経費の増大、少子高齢化に基づくこの社会保障経費をどう手当てするのかということを考えたときに、やはり景気に左右されやすい法人税、所得税への依存から、あるいは労働人口に依存している所得税、法人税だけではなく、より幅広い世帯の方々に御負担いただき、かつ景気の動向により余り左右されない所得税の増税というのは致し方ない選択ではないかというふうに考えているんですけれども、この辺の社会保障経費に対する見方という点でどうお考えかということを宍戸先生にお聞きしたいなというふうに思います。 それから、藻谷先生に対しましては、エア景気回復という御指摘、私も昨年のアベノミクス効果というものはそういうような表現もできるのかなというふうに思っております。そういう意味で、実感できる景気にしていくことが何よりも今重要であろうというふうに考えておりまして、その中で大きく目指していかなければならない方向性として私は二つあるのではないかと思っております。 一つは、先生の論文にもありますけれども、実際に所得を上げていくこと、家計の可処分所得、賃金にどう反映をしていくのかということを目指していく。安倍政権としましても、自公政権として政労使の会議等を行って、この流れ、雰囲気をつくっていこうということの努力はしておりますけれども、藻谷先生としてこの所得向上に向けた何か具体的なもしお知恵なりお考え、アイデアがあれば教えていただきたい。 もう一つのポイントは、やはり大企業の業績向上から中小企業、実際に現場にどう波及させていくのかということが重要なのではないかと。Jカーブ効果ではありませんけれども、やはりこれは一年ないし二年ちょっと遅れて来るというのが通常の想定ですけれども、ここへの波及をより早く実感できる、エアではなく実感できる景気回復にしていくために現場にどう波及、取引先等に及ぼしていけるかということについての御意見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。 以上です。
○参考人(宍戸駿太郎君) 最初の御意見、この前、有識者会議で七十人ばかりエコノミストあるいは関係者が集まってヒアリングがあったときに私も呼ばれたんですが、率直に言いまして、消費税という税種は安定的であるとか中立的であるとかいろいろ言われるんですが、これは小国で非常にそういう効果を発揮するわけで、大国はデフレ効果の方が大きいんです。小国は比較的小さいんです。なぜかと申しますと、日本とかアメリカとかという国は第二次のデフレ効果が波及する比率が高いんですね。ところが、小国の場合はみんなそのデフレ効果が海外に流れてどんどん外へ出てしまいますからデマンドの国内波及が小さいんですが、大国の場合はこれがずっと体内に蓄積されましてデフレ効果を発揮するんです。 この点で、何で日本は消費税を導入したんだというもう最初からの批判がありまして、私もかつて消費税、非常にいいんじゃないかと思っていたんですが、今の、二年前のですかな、日本経済学会の会長をやった八田さんがやっぱり消費税は駄目だという本を書かれまして、それで私も読んだことがあるんですが、大国には向かないんです、この消費税というのは。ということは、消費税じゃありませんで付加価値税なんです、これは。ですから、消費と財政支出も設備投資も全部影響を受けるわけですから。輸出だけが影響を受けないですね。 だから、これは満遍なく、消費者だけではなく、満遍なく国内に渡ってそのデフレ効果がずっと沈殿するんです。ですから、初年度だけで皆さんは盛んに効果を言っておられますが、怖いのは、三年から四年目のところまで効果が続きますから、これは短期のものではありません。 そういう意味で、これを、消費税の効果を打ち消そうということで今度の補正予算五兆円が出ていますが、やはり相当強力な公共投資あるいは政府消費ですね、財政出動というものを強力に行わないと、このデフレ効果を打ち消すための努力というのは今のままではまだ弱いのではないかと、こういうふうに思っております。 特に、藤井聡さんが書かれた列島強靱化というのにいろいろと効果が出ておりますから、この辺も読まれて、ともかく是非、今の地震の、首都直下型とか南海トラフとか、十年か三十年に必ず来ると言われているのですから、もうしっかり、オリンピックの前で十分発動できるわけですから、強靱化対策は進めていただきたいと、こう思っております。
○参考人(藻谷浩介君) 所得増についての御質問、中小企業への波及の御質問です。ありがとうございます。 私、アベノミクスがエア景気回復だと言いましたけれども、これ非常に重要な点で、講演でも必ず言うんですが、下がっておりませんで、ちゃんと微増ですけど上がっているんですね。ただ、言っているような大きな話には全然なっていませんので、逆にこれが、現実は微増だということが分かったときに、これは不景気だと解釈して今度はあしざまに政府のことを言う人がまた増えると思うんですね。僕は、こういうふうにたんたんと伸びているものを、駄目だ、いいと次々とお互いに言っては勝手に落ち込むという、この悪の連鎖を是非止めるべきだと思っています。 ですから、この話も、エア景気回復だから、つまり、だから景気は落ちているんだというふうに勝手に取られる危険性がありますので、そんなことはないので、回復しているんですが、言われているような巨大な回復ではなく、ただゆっくりと、申し訳ないんだけど、民主党時代と余り変わらずゆっくり上がっていると。ところでと、そうは言うけれども下がっているわけではないということです。 ところで、それを本当に上げるには所得増が必要です。生産年齢人口が減っておりますので所得増が必要なんですが、それで、政府が真面目に所得を増やしてくださいと言って歩いているのは、何か社会主義国かと言って批判する人もいますが、姿勢としてきちんとそれをお示しになっていることに深い敬意を表します。 更に言いますと、それを、だからインセンティブではなくて、本当に人件費を上げている企業を表彰するとか、何か、どこの話と思うかもしれませんが、お金ではなく、政府の持っている権威付けという力をもって、特に地方の中小企業で苦しい中でも人件費を優先的に払っている企業をどんどん褒めると。それはもう大臣が表彰状を渡すだけでもう本当にみんな一生懸命やります。そういうことにもっと力を注ぐべきだと思います。 震災復興でも同じ話がありまして、非常に現場で頑張り続けている人がいますので、ところが、地元ではだんだん頑張り続け過ぎてやる気がなくなった人からあつれきを買ったりしますが、そこでやっぱり政府がこの人たちはすごいよねと一言言ってくれるだけで動きが全然変わってまいります。そういう役割を是非取っていただきたい。私は、インセンティブではなく、顕彰する、褒めるということをまずやるべきだと思っています。それで、逆に言うと、増やしたくても増やせない人に無理に強制しても無理です。 そして、中小企業も全く同じでありまして、大企業の輸出企業が納入価格を上げるというところに出ていません。それで、いろいろと批判されるところであるんですが、大企業にしてみますと、さっきも言ったように、輸出が金額上増えているだけであって数量がそんなに増えておりませんので、設備投資をするという段階になく、ましてや納入価格を今上げておくと後で下げられないんじゃないかと思っている。ですが、分かるのですが、そこであえて一時ボーナスと同じように、一時だけ納入価格を上げるというような形で中小企業にお金をまく企業がいてもいいはずです。それは政府が強制することはできませんが、経営手法としてグループや取引先に一時的に還元するというようなことをした企業を政府が褒める、政府なり、若しくは政治家が褒めるということはできるのではないでしょうか。これは全員に強制はできないわけですが、本当のことを言いますと、大きな企業グループが一時金と同じように中小企業の納入価格をボーナスというような形で一どきでも上げていただければ愛知県なんかの景気はずっと良くなるんですが、現状では全然良くなりようがないわけであります。ただ、それを強制はできないわけですから、何か顕彰をするという方向はできないものでしょうか。 以上です。
○会長(鴻池祥肇君) 山田君。
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。 先ほど藻谷参考人の方から、商売人の視点ということで、私も、実は会社を十数年前につくりまして、一社上場をさせて二社ぐらい上場をサポートしたということで、まさに十数年商売人やってまいりました。国会でその話をすると、商売人と政治家は違う、政治は別の世界だといって虐げられてきたんですけれども、大変今日は力強く力をいただきましたので、これからまた自由に政治家として発言していきたいと思います。 それで、宍戸参考人、藻谷参考人、それぞれ御質問したいと思います。 まず宍戸参考人になんですが、実はみんなの党、小さな政府というのを主張しておりまして、ちょっと西田先生とは別の観点に立ってはおるんですが、そんな中で公共事業に対する考え方を少しお伺いしたいなと。これが経済に本当にどれぐらい資するのかということは少し聞いておきたいと思っております。 資料の中で、お話の中で、公共事業がいわゆる資本移転して再投資につながっていって、まあ遅れてはいるけれども経済の好循環につながると、こういうことをおっしゃられています。ただ、本当に民間に再移転するのかどうか。実は公共事業の中にもいいものも悪いものもあるのではないかと。我々はいろいろ調査していますが、現場へ行くと使ってもいない農道みたいなのがあると。ただ、裏を返せば、使っていない農道だったとしても地域のいわゆる建築会社にお金が落ちたじゃないかという言い方も言えるわけでありまして、そういったことも含めて、公共事業について、本当にこれが経済の好循環につながるのかしっかり考えなければいけないと。 特に平成二十四年の補正予算では、安倍政権、十兆円近くの補正を組んで半分ぐらいが公共事業ですし、今回の五・五兆円の平成二十五年の補正も約半分が公共事業だと。ここでその辺の、本当にこれが景気循環というのか。何をちょっと、今日、ゴールなのかは、GDPを上げられればいいわけじゃないという藻谷先生の話もあったので難しさがあるのですが、ちょっとその辺りの公共事業についてのお考えをお伺いしたいと思います。 時間がないので、併せて藻谷先生の方に質問を先にさせていただきたいと思っています。 実は、私がつくってきた会社は製造業向けのコンサルティング会社でありまして、大手、中小を含めて百社以上、アドバイザー、コンサルをやってまいりました。実はずっと感じていましたのは、非常に日本の物づくり、コスト構造が高いんですね。だから、なるほどなと思いまして、輸出だけ考えていたり輸入だけ考えていたりしても意味がないなと。輸出を伸ばそうと思ってコスト構造が高い産業を伸ばせば当然輸入が増えちゃうわけだというような話で、これは分けて考えるわけじゃない、もしかしたら内部の構造の問題なんじゃないかなんていうことを改めて思いました。 そんな中で、ちょっと私が常日頃、百社以上見てきた限りにおいてなんですけれども、考えていましたのは、実は部材等を含めた商品についての付加価値率というのは日本は高いなというのは常に思っておりまして、エンドで売っている売上げに対する原価率なんていうのは非常に低いんですね。ただ人件費とそれから物流です。あともう一つは設備投資に対する償却、これがすごく大きな問題を持っているんではないかなと。例えば、最終的に売上げが立ったとしても、その三分の二は、実は品物とは全然関係がなくて、途中の物流とか中間マージンに消えているというのが実態でありまして、何をもっていわゆる我々は物づくりというか、もうけているんだろうかと。 もちろん、それがいろんな人たちに還元されるという意味においてはいいことなのかもしれませんが、そうなってくると、例えばもうちょっと政策として、よく言われる日本の物流費の高さを、港の開放とかいろいろやることがあると思っているんですけれども、あるいは設備投資に関しても、結局、減価償却のことを考えて稼働率を上げるようなことを平気で工場はやっていますので、だったら自由償却みたいなことをやって、コスト構造をどこかでいつも改善できるような政策を取ったりとか、あるいは電気代も非常に日本は高くて、実はいろんな工場を見ていますと十数%が電気代だということで、これも自由化をどんどん進めることによって、世界一高い、韓国に比べれば三倍だという電気を安くするとか、我々、脇からもうちょっと企業の収益構造の改善をする政策というのがどんどん打ち立てられるんじゃないかなと。そういうことを含めて、直接、何か、まあ減税をするというのもいいんですけれども、もうちょっと政治が国内の高コスト構造に対してやれることはあるんではないかなと。 こんなことを実は商売しながら考えていたんですが、その辺、藻谷先生の方に、現場というところも含めてなんですけれども、輸出、輸入のバランスというところも含めて、是非お伺いをしたいというふうに思っています。 それと、藻谷先生にこれもお伺いしたいんですが、女性の活用という話がありました。ちょっと政治ではセンシティブではございますが、正規、非正規の問題というのもあります。雇用の流動化ということが経済界の方からはありますし、労働界の方からは、やっぱり正規雇用でなければ賃金の確保ができない。これ、真っ向から政治で対立して長い議論がずっとされているんですが、じゃどう考えればいいのかなと。流動化にもポジティブな部分があると思うし、ネガティブな部分もあるだろうと。ただ、やっぱりこれだけ人件費が高いと、日本の高コスト構造というのが是正されないという中で、本当に人件費のことを考えていかないと職場すらがないんじゃないか、こんなような視点もあるわけでありまして、その辺りも一言いただければなと思います。 ちょっと質問が長くなりましたが、是非、宍戸先生、藻谷先生、よろしくお願いします。
○参考人(宍戸駿太郎君) かいつまんで申しますと二点ありまして、公共投資に関する風評被害というか、ちょっと誤解があるのは、日本とアメリカあるいはヨーロッパと比べまして、GDPに対する公共投資の比率というのは、少なくとも当初、高度経済成長からその次のオイルショックに至るまでは大体七、八%ぐらいのGDPの中に公共投資占めていましたから、それを急速にだんだん縮めていったわけです。 なぜかといいますと、この日本列島というのは構造的に公共投資の費用が掛かる、社会資本に高いお金が付く。その高いお金というのは、よく言われておりますが、国土面積に対して海岸線の延長キロが非常に長いわけです。これは真ん丸なものと細長いひもと比べて御覧になると分かりますが、面積割りの海岸線の延長キロが長い国というのは社会資本が非常に掛かるんですね。それから、人口密度も高いと。高い人口密度と海岸線の延長キロ、細長いひものような日本列島ですから、この二つの条件で日本列島というのはお金が掛かるんですよ。しかも、災害が非常に多災の国ですから、こういう面で基本的にGDPに対して高いお金を掛けないと駄目だということがまず第一点なんですね。 それから第二点は、ちゃんとこの効果というのは、さっきの金融支援が付いた公共投資ですね、これが、今日本銀行は盛んに異次元の買いオペレーション等々いろんなオペレーションをして資金を出しておりますが、これがちゃんと公共投資と歩調を合わせると極めて有効な効果があるというのは私のこの十九ページの表にあるとおりでございますから、この点を考えても、今消費増税をした後のデフレがいずれ起こってきますが、公共投資を重要な一つの大きなてこにする。しない手はないわけです。 もう一つだけ申しますと、そのためには国土計画というのをちゃんと作りまして、これは時間は若干掛かりますが、やはりブロック別の、十年ぐらいの視野を持った、前は全国総合開発計画というのが六回あったわけです。この全総に近いものを、社会資本の計画があれば、今の技術者の不足だとかセメントが足りなくなったとかいうことでなくて、企業はそういう長期的視野の下に供給をすることができますから、コンクリートが足りなくなったとかいろいろなことがありますが、そういうインディカティブプランニングというのは、大体五年から十年の視野を業界にもちゃんと示すという非常にいい一つの機会でありますから、是非、国土開発の総合計画というのをもう一回復活させていただくと。これがないと、さっきの品薄が起こったり技術者が足りなくなったりということが起こりますから、この点はやはり計画が中長期の、計画付きの公共投資ということを申し上げたいと思います。
○参考人(藻谷浩介君) ありがとうございます。 私の意見として申し上げます。 私は、経済成長という観点からは、国内の企業が高コスト体質を改めていくことによって更に経済が縮小するということは間違いないと思っておりますし、現に過去二十年間起きてきたものはそういうことです。ただ、それは国際競争で生き残っていくために必要な限りにおいて、真面目にやったために国際競争に生き残ったということです。先ほどちらりと大牟田市の人口は半分近くになったけれども出荷額はむしろ増えていますという話をしましたが、まさにそれは、つまり昔は非常に人件費が掛かり過ぎていたということであります。 ですから、国際競争をする分野においてはコストダウンは一層免れませんので、日本においてはエネルギーコストの削減というのが非常に重要で、これについてはより一層の省エネ化が必要である。自然エネルギーというのもありますが、それ以上に、基本的には省エネの投資によってエネルギーコストを削減するということが極めて重要であると。 ところで、外国に行かない、国内における循環するコストについては、私はこれを過度にコストダウンすることは、経済学上は正しいということになるのかもしれませんが、現実には日本人の生活水準を自ら壊すということになり、国民の半分以上が働いていない現在の高齢化した社会においては、進んでそれを実現することは自殺行為であると思っております。 つまり、結局、コストダウンしたものが企業の収益になるわけですが、先ほどのセーの法則がワークしていない日本においては、企業が金としてため込んで外国に投資してしまうだけなので全然国内経済に循環になりませんので、言うなれば企業の収益を極限まで削って人件費なりなんなり払っていただいた方が実は経済というのは温まるということになります。 実際、これは小国モデルなので、宍戸先生がおっしゃるとおり大国の日本でできるかは分かりませんが、シンガポールだとかスイスだとか見ていますと、見事に国際競争する産業と所得再分配のための産業をきっちり分けておりまして、要するにアメリカのように全ての産業において国際競争するなんということはやっておりません。一言で言うと、産業の十人に一人ぐらい国際競争していただいて、あとの九は国内でお金を回すために、しかし公共投資というよりは働いて回すために産業をつくっています。 これはすごく大事なことだと私は思っています。私の意見は、公共投資ではなく経済循環として企業の活動の中で雇用を維持するということが大事で、理想としては、非上場企業が増えて、内部留保率が非常に低い会社が人を食わせるために一生懸命経営するというようなものがむしろ増えることが結果的にスイス化につながるというふうに僕は思っています。 事実、スイス人は非常に高いスイスの食品を買うわけです。そのことによって、矛盾しているようなんですが、国境を越えてよそへ買いに行けばいいのに、フランスのものを買わずにスイスのものを買っていることが結果的に国際競争力世界一のスイスの裏側に現実にあるという。物事は全てデュアルに考えなくてはいけなくて、一つの原理を徹底的に推し進めるというのはどうも日本の悪い癖であります。 非正規、正規についても同じことでございまして、日本国においては非正規、正規にかかわらず実質的な時給を上げる方向でやっていかないと、元々中国より高いんだから駄目だというんであれば、まさに日本人の生活水準を切り下げ、彼らの年金負担力を切り下げることにより年寄りの生活水準が下がる方向で調整が利くことになるのがマクロ経済学的には正しいんですが、現実にはスイスのようにこの二十年間の間に日本との賃金差が実質二倍に上昇したにもかかわらず日本から多大の黒字を稼いでいる国もあるわけでございまして、私は、むしろこれは時給を上げる、労働時間を短くして、総賃金は増えなくてもいいと思いますが、労働時間を短くして兼業をどんどん奨励するというような形を、政府がやるんではないかもしれませんが、個人としてどんどんやっていくことによって結果的に時給を上げていくということが生き残りの策だと思っています。 いずれにしましても、そんなことを言いましても、非正規労働を廃止しろと言っているわけではないんですが、企業が自己防衛策として人件費を上げていき内需を防衛することが企業のためですよと、特に英語がしゃべれない日本の大企業マネジメント全ての人に言いたい。あなたがずっと働き続けたいんだったら、日本の内需を防衛するように行動した方がいいですよと私は申し上げたいんです。
○会長(鴻池祥肇君) この際、会長から一言申し上げます。 予定のお時間は午後三時三十分でございますが、熱心な御討議、質疑でございますので、いささか予定よりも延長させていただくということを両筆頭間でお話をしていただいておりますので、御了解をいただきたいと思います。 それでは、辰已孝太郎君。
○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。 宍戸先生、藻谷先生、本当にありがとうございました。 まず宍戸先生にお聞きしたいんですが、先ほど消費税増税について少しばかりの意見表明もされたと思いますけれども、しかし、私たちは消費税増税、四月からも、来年十月からの増税も反対なんですが、国会の中では消費税はやっぱり増税しなければならないという財政上の観点からおっしゃる方も多いかと思うんですね。 では、宍戸先生の方は、例えば消費税増税はデフレを悪化させる、日本の経済の成長にならないというのであれば、所得の再分配という観点からも、また財政上の観点からも、じゃどういう方策が別にあるのかというふうにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。 そして、時間がないので、続いて藻谷先生の方の質問ですけれども、先生の本を読ませていただきまして、現代の先進国にとって一番足りないものが消費活動をするための時間だというふうに書いておられて、やはり日本の異常な長時間労働に対しての懸念というのがあったと思います。私も本当に同感ですし、先ほどのやはり時給を上げていくということが大事だという点でも、私たちは、最低賃金を引き上げることだったら政治だってすぐにできるわけだからということで提言もさせていただいています。 質問なんですけれども、先生のお話は、やはり就業者数の増加というのが個人消費全体の増加、消費の増加に寄与していくということだと思うんですが、最近では政府の政策として、いわゆる株式、株への投資をどんどん進めていこうと。この間、廃止になりましたけれども、株の譲渡に対する税金をまけてきたりとか、最近ではNISAというものも始まりましたけれども、一見すると株への投資が進むと個人消費などは冷え込んでしまうんじゃないかという側面もあったりするのかなというふうにも思うんですが、この点について、国、政府の方針についてどのようにお考えでしょうかということをお聞きしたいと思います。
○会長(鴻池祥肇君) では、今回は藻谷参考人から御答弁お願いします。
○参考人(藻谷浩介君) はい、分かりました。 一般論としましては、株式の投資を個人がやってお金を稼いでいただいて、それをどんどん消費に回していただければ活性化するわけなんで、経済原理の原則一般からいえば、個人投資の促進は当たり前、先進国の常識ということになります。 ところで、先ほどお見せした日本の不都合な過去の数字によりますと、小泉改革のときに、主に株式投資が原因ですが、個人所得、税務署に申告された課税対象所得額が年間百七十六兆円から百九十一兆円に十五兆円増えておりました。その後、リーマン・ショックでまた百七十六兆円に十五兆円減ってしまうんですが、先ほどお示ししたとおり、その間、小売販売額に関して言いますと増加がなかったわけです。三兆円だけ増加があったんですが、先ほど申し上げたとおり、内訳を見ると、燃料小売業、ガソリンスタンドの増加のみでありまして、それ以外のものの売上げ、要するにそれはガソリンが上がったからなんですが、円安で、波及しませんでした。 これは、経済学の世界では、だから株式投資をすると消費にお金を使わなくなるからやめろなんというのは、もうばかかと、永久国外追放になりますが、私はそういうことを言っているんじゃないんですが、日本国においてはセーの法則が壊れていて、株でもうかった人がどうも全然消費をしてくれないという過去の嫌な実績がございますので、この傾向が続いているんであれば、投資優遇策はやっても余り効果が出ないよねと、まあやるのはもちろん勝手ですが、財政を悪化させてまでやることではないだろうとは思います。 その理由というのは、だんだんアメリカもそうなってきているんですが、やはり株式投資をしている人の種類が変わってきまして、お金を稼いでためていくことに、貯金道の人がどんどん投資に残っていまして、使うために稼いでいる人が、だんだんまともな投資家がいなくなってきていると。生き残っているのが、要するに金を殖やすことにしか興味のない人ばっかりになってきているということが恐らくその原因なんですが、本来の投資から外れているんですね。本当は本来の投資家を増やせばいいわけですが、残念ながら、現実でいうと、今のやり方ではなかなかそういうふうにならないということなんだと思います。
○参考人(宍戸駿太郎君) さっきの消費税と財政再建の問題ですね、これは急ぐと丸木橋を渡ったことになって、橋が折れる可能性があります。急がないで我慢をして成長に励めと、こういうことなんです。ということは、生産効果の高いいろんな財政支出があるわけですから、それは科学技術の振興策もありますし、教育の問題、福祉もあります。それから公共投資という最も資本的な支出がありますし、こういった財政出動をもっとやって、日本銀行がそれをサポートする体制にあるわけですから、今は。昔の日本銀行ではありませんから。金融支援型の財政出動をやれば生産はどんどんもっと増えるわけです。 今なかなか生産が上がっていないというお話があったんですが、もっと日本経済には成長の能力が、実力がいっぱいあるんです。ですから、実質四%とか五%の成長も決して奇跡ではないんです。これは、若い方は余り経験なかったんですが、私は所得倍増計画のときに経済企画庁にいましたから。七%の成長率が、池田内閣が言ったのが実際は一〇%になったんです。このときに消費者物価は五%上がりましたからね。これは成長し過ぎですが。 いずれにしましても、日本経済ってまだまだ成長の実力をいっぱい持っているものですから、海外の有識者は、どうして二%ということで安倍内閣は安心して成長戦略を言っているんだろうかとみんな不思議に思っていますよ。そういうことでございますから、十分財政は潤うと、こう思っております。
○辰已孝太郎君 ありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) それでは、藤巻健史君。
○藤巻健史君 維新の会の藤巻です。 宍戸先生と藻谷先生、一つずつ質問したいんですが、まず宍戸先生の公共投資をどんと増やして金融的に、金融緩和でサポートするというアイデアですけれども、これは確かに今累積赤字がゼロだったらそれはそれなりにいいのかなと思うんですが、既に財政赤字は千十八兆円という世界で類のないほどの巨大な累積赤字を抱え、金融緩和ももうゼロ金利ですよね。基本的には金融政策というのは金利を上下することであって、ゼロ%ですから、既に最大の金融政策を発動しているわけです。そういう状況の下で更なる公共投資と金融緩和といったら、マーケットはあした崩れちゃうと思うんですよ。一週間後にデフレから脱却しようが、あしたマーケットがぐちゃぐちゃになってしまえば元も子もないわけで、ちょっと危険な政策じゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。 特に、今、欧米のヘッジファンド等は第二のソロスになりたい人が山ほどいるというわけですね。要するに、九一年の英国にジョージ・ソロスは勝ったわけですけれども、英国中央銀行に勝ったわけですけれども、同じように、日銀のこの一種の実質的な意味の引受政策に対して仕掛けようという、国債を先物で売り仕掛けをしようという人たちがごちゃまんといるわけです。そういう状況において先生の御提案された政策というのは非常に危険ではないかとマーケットの経験者としては思うんですが、いかがでしょうか。これが一つです。 それから、二番目の藻谷先生の件については、藻谷先生とはもう何時間でも議論をしたいなと思うことがたくさんあるんですけれども、一つだけちょっと御質問いたしますけれども、量的緩和は効果がないというのは私もアグリーいたします。効果がない以上に百害あって一利なしの政策だと私は思っているんですが、確かに先生のおっしゃっているように、他国では量的緩和って効くんですよね。ところが、日本の場合には効かない。 それはなぜかというと、他国では、量的緩和をすると、日本に有利な投資先がないので海外にお金が流れる、円安ドル高になって、円安によって経済が回復するという道筋があるんですが、日本では、私に言わせると日本って社会主義的ですから、お金が日本に滞留しちゃって、例えばゆうちょ銀行みたいにお金がじゃぶじゃぶになる、ゆうちょ銀行に預金をされる、しかしながら〇・六%の国債を買う、損をしないことしかないということで、滞留しちゃうというのが円安が進まなかった理由だと私は思っています。そういう意味で、日本は構造的な問題があるので量的緩和が働かない、その上にハイパーインフレになるリスクがあるというので、私は量的緩和というのは反対なんですが。 ここで質問なんですが、先生が円安について余り評価されていないというのをずっと感じていたんですが、例えば貿易赤字になってしまったとかおっしゃっているんですが、例えば貿易に関して言うならば、為替に関して言うならば、別に円安というのは輸出業者にだけではないわけですね。全部の労働者、例えば円安になったら、例えば一ドル千円になれば、工場は全部日本に戻ってきて完全雇用になるし、最低賃金なんて関係なくぼんと給料が上がるわけですしね。 それは労働者に関してもそうだし、それからサービスなんかも、例えばハワイに行く代わりに熱海に行くということで、サービス産業、旅館も物すごく良くなるわけですし、輸入産業と言われている農業だって、今なぜこんなに農業駄目になっちゃったかというと、ひとえに円高ですよね。強い円で外国の農産物を買えるから日本の農産物は駄目になっちゃった。サトウキビなんかも全然駄目になっちゃいますよね。例えば、百グラム一ドルの砂糖、昔一ドル二百円のときは、外国製品二百円なんですから日本の百五十円の砂糖がよかった。でも、一ドル百円になって、外国製品が百円になれば、百五十円の日本のサトウキビ生産業者は駄目になっちゃうということで、別に輸出だけじゃないんですね。 ということで、それから、先ほど先生がおっしゃっていましたけれども、労賃もそうですね。いろんな面、また何か消費者が、販売量が伸びなかったというのも、これももうからないんですから、円高でもうからないんだから、これは消費が伸びるわけがないということで、極めて為替というのが私は重要な問題だと、ここを手を着けない限り日本経済がちっとも良くなるわけがない。 両先生ともいろんな議論をされましたけれども、他国ではこういうことが起きていないんです。ほかの国と日本がなぜ違ったかというと、ほかの国はひとえに通貨安なんです。日本だけなんですね、これ一九八五年のプラザ合意以降。だから日本は駄目になっちゃったというのが私の認識なんですが、その点についてどう思うかということをお聞きしたい。 もう一つだけ。最後に一つ言いますと、株の話がちょっと出ていましたけれども、株というのは、バブルのときはあれは狂乱経済だったんです。あの狂乱経済、一九八〇年代後半のバブルは、あれは株と土地が上がったせいでして、私は株の上昇というのは極めて経済にプラスだと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(宍戸駿太郎君) 私はある意味で非常に楽観的といいますか、過去十数年間、国債発行残高が増え続けてきたわけですが、この基本的な問題はやはり景気が浮揚できなかったと、こういうことなんですね。この原因を、結局、赤字がだんだんと累積してきたというのは当然のことでありまして、もしも完全雇用成長ができていれば、財政は黒字なんですね。これはアメリカもみんなどこでも経験しているところです。 ですから、完全雇用に失敗してデフレが続いたということは、結局歳入不足になるわけですから、これを今アベノミクスは奇跡を起こそうとしているわけですから、これが、そのための日本銀行の融資あるいは財政出動というのが、まあ株屋さんの意見とは大分違ってくるかもしれませんが、国債を売って逃げようという資本は、結局また国債が戻りますから、過去においても上がったり下がったりして、また反発して国債の価格が、今金利は〇・六%ぐらいですか、ということで、これまでも必ず、日本国債を売って逃げて、むしろ損をしているわけですね。 こういう状況が続く限りはまだ大丈夫ということなんですが、一つ申し上げますと、だんだんと貯蓄・投資バランスが崩れてきまして、経常収支が赤字がもし続けば、今の二百六十兆円ぐらいの純貯蓄というのがだんだんと減る可能性はあります。そのときは要警戒でありますが、当面、まあオリンピックまでの七年間ぐらいは十分に今の日本の世界最強の純貯蓄残高というものはまだまだ続くだろうと思っております、若干下がる傾向はあっても。その点が私の楽観論の基本です。 それからもう一つは、非常に技術進歩が早い国ですから、この国はほっておくと物価がどんどん下がっていくわけです、技術進歩によって。ですから、これはやはり需要をどんどん喚起していかないとまた元のもくあみになる可能性がありますから、需要喚起はできるだけ急いで強力にしろというのが私の主張なんです。
○参考人(藻谷浩介君) ありがとうございます。藤巻先生にこうやって聞いていただいて、大変光栄であります。 ところで、私はもちろん人口論を基本にしていますので、その点は藤巻先生とは全然言っているベースが違っているわけですし、かつ地域経済から入っていますので、全国と地域は違わないという前提でしゃべっていますが、それはちょっとおいておきまして、全く私は、おっしゃっているその財政危機に対しては同じ意見です。そして、聞かれていることについてお答えします。 まず、円安についてなんですが、私に兄がおりまして、これはエコノミストでございますが、彼も高く円安を評価しています。顔が似ていますけれども、兄はちゃんとしたエコノミストで、僕は現場の人ですので、全然違うということを申し上げますが、現実問題として過去二十年間の日本の数字を見ますと、プラザ合意前の二百円台の為替レートから最悪七十七円まで行ったわけですが、その間に、GDPはともかく、日本の輸出は増えているし、内需も実は結果的には大分増えておるわけです。非常に円高が進んだにもかかわらず強い経済だった。 さらに、その間に、実はこれは日本だけではございませんで、通貨が非常に高く止まっていて強い経済は大国にはないんですが、小国にはスイスやシンガポールが典型で、今般日本が円安になってまいりましたけれども、スイス・フランやそしてシンガポール・ドルはかなり高くなっていて、今シンガポール・ドルは高いです。彼らはあえて、シンガポールがインドネシアと同じような通貨安に持っていくことで生き残るのではなく、全く違う生き残り方をする。それはまあ何となくできるだろうというのは分かると思いますが、スイスに至っては、ドイツの真横にあって、十倍の人口差があって規模の利益もないにもかかわらず、スイス・フランを、本当はユーロにしたい人もいるでしょうけれども、痩せ我慢して維持しながら、実は国としては競争力を維持しています。 私は、やはり十倍の人口差のある中国を横に抱え、かつ人件費が絶対的に違う状況では、現実には中国の十分の一の日本になるのを避ける以外に手がないので、結果的に言うと、人件費高いのを我慢できるようにもう道なき道を切り開く以外に手がないと思っておりまして、事実、円高の下で日本はそれを切り開いてきたと思っておるんですが。 一方で、おっしゃるとおり、円安になったおかげで外国人観光客が増えていることと、もう一つは、「里山資本主義」で書いたような、木を燃やすといった自然エネルギーが急に採算が取れるようになっておりまして、実はこれはアベノミクス様々なのでございます。ですが、一ドル百円ぐらいで落ち着いてくだされば、これが一番いいのかなと私は思っております。 もう一つだけ、御質問いただいた株についてなんですが、当然、普通、株が良くなることは、まず空気が明るくなりますし、これはおっしゃっているとおりなんですけれども、要するに皆さんがもうちょっと年金にしても株とかを賢く組み込んでいれば、年金財政の再建にもなるし、いろいろといい面があったんでしょうが、現実には、株を買っている人というのは、御存じのとおり主に外国の投資家の人が買って、国内では余り皆が買わないという非常に困った状態です。国債によってクラウディングアウトしているんではないでしょうか。その結果として、本当は株がもっと上がってみんなが株式投資をすれば、本来の日本の企業の実力はこんな低い株価ではないと僕も思います。 ただ、過去起きてきたことは、株価が上がったときに、例えば小泉量的緩和で上がって福田内閣のときまでに下がりましたが、現実に国内の物消費に影響を与えていない。すなわち、日本というこの特殊な国においては、外国に投資しないということとは別に、国内の株が上がっても消費しないというまさにセーの法則が働いていないものですから、残念ながら普通の国に比べて効果が非常に薄いということは言えると思います。
○藤巻健史君 一言だけ。 今、中国の話で出たんですけれども、中国というのは、一九八〇年、一人民元百六十円したんですよ。今十六円八十銭ぐらいかな。なので、中国は人民元が十分の一になっちゃったから強いというのが私の認識です。 以上です。終わります。
○会長(鴻池祥肇君) 次に、真山勇一君。
○真山勇一君 結いの党の真山勇一です。 今日は、お二人の参考人、どうもありがとうございました。大変、面白いと言うと失礼ですけれども、本当に楽しく経済の勉強をさせていただいたという感じがしております。 宍戸参考人からは、日本の経済政策というのは遠くを見ていないという、まさに私もそういう感じを持っております。それから、藻谷参考人からは、臨床経済学というのを聞かせていただきました。データをこれだけ、つまり先のことじゃなくてデータを皆さんにというのは、やはり私、最近ビッグデータというのが大変気になっていて、あれは一体どういうもので、どういうふうに利用できるのかなということをいろいろ興味持っていたんですが、やはり私は、一種のビッグデータを集めるとこうした今まで見えなかったものが見えてくるのかなというような、そういうちょっと思いもいたしました。 私はこれまで、経済学でもないし、臨床経済でもなくて、この政治の世界の前はニュースで経済を分かりやすく視聴者の皆さんに伝えるという仕事をしてきましたし、政治家も同じだと思うんです。有権者にやはり政治の問題、経済の問題、私たちの暮らしの問題というのを伝えなくちゃいけない。私も町へ出て国民の人と、市民と話をすると、やはり景気が良くなってほしいという思いというのは強いと思いますので、その辺をお二人からお話を伺いたいというふうに思っています。 四月からもう増税決まりました。そうすると、増税をするとやはり景気に影響があるということはお二人のお話からよく分かったわけなんです。例えば、それじゃ、増税をしてもやはり景気を良くしていかなくてはいけないんではないかと思うし、国民もそれを期待しているんだと思うんですね。 ですから、じゃ何をすればいいのか。例えば公共事業ということもあるでしょうし、それから、減税するのが一番いいんでしょうけれども、それができないのなら還付をどんな方法でやるかということがあると思うんですが、私が興味があってちょっとお二人にお伺いしたいのは、要するにばらまき、公共投資も一種のばらまきの部分があって、私たちの一般的なイメージでいうと、ばらまきというのは悪いというふうに言われているんですが、私は、景気を良くするためならば、ばらまき、いいばらまきと悪いばらまきがあっていいんじゃないかと思うんです。 その辺りの、いいばらまき、悪いばらまき、これについてお二人がどういうふうに考えておられるか、それをお伺いしたいと思います。私は藻谷参考人の方から伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(藻谷浩介君) 実は今日、この御質問が私に直接出ないのをいいことにだんまりを決め込んでおりましたんですが、お聞きいただきましたのでお答えします。 今日のグラフの中に公共投資の額を入れておりません。それで、だからこの話についてはちょっと言わないつもりだったんですが、入れると分かると思いますが、過去、残念ながら、それは私がお見せした小売販売額や個人所得を増やすという方向の効果を発揮しておりません。ただ、非常にたくさんの借金が積み上がってしまいました。ですから、良いばらまき、悪いばらまきが仮にあるとして、今までやってきたのは良いばらまきではないということですね。 他方で、個別に言いますと、地域の現場で数百万円の補助金のおかげで実にいいことが起きているということは多々あります。個別には、いわゆる一律公共投資が無意味みたいな議論は全くナンセンスでありまして、個人的な意見でいえば、例えば私は、整備新幹線は早いところ全部さっさと造ってしまっておくべきだったという考えです。その上で、新幹線が来ても経済活性化はしませんので、現実に目覚めていただいて、その次の手を早く打っていただくということを早いうちにやっておくべきだったと思っています。ただし、国土の安全上、リダンダンシー上、新幹線はあった方がいいですから造っておくべきだったというふうに思うんですが。 トータルでいうと、量的に公共投資を積み増すことによって今の日本の状況が改善する、雇用が増えていくというのは、生産年齢人口が実際に減っていて雇用の総数が下がっていく一方の日本において、しかも少子化が一方的に進んでいるということを考えますと、残念ながら公共投資は直接それを改善する役に立っていないというのが私の現状の評価であります。
○参考人(宍戸駿太郎君) 公共投資のさっき風評被害と申しましたが、今の強靱化問題も含めまして、災害になると急に公共投資やるという、補正予算というのは、いつも災害に対する対策で出てきた、そういう計画があるものですから単年度主義なんですよね。だからばらまきになるんですが、計画的な、ちゃんと慎重な公共投資ならば、これはまさに強靱化のための投資でありまして、日本列島の今の動脈が、まだ日本海側の動脈が渡っておりませんし、この大動脈網とそれから連携軸を増やした血流を盛んにいたしますと災害の復旧も非常に早く進むんです。 ですから、災害の復旧のためにも、日本列島を含める、大動脈と小動脈ですが、大動脈網というものを構想として打ち上げるのは今が非常にいいときじゃないかと、こう思っておりまして、せっかく内閣参与に藤井さんもおられますし、また国土省あるいは農林省、全て各省庁の優秀な官僚もおられるわけですから、是非内外の有識者を集めた長期の、まあ長期と申しましても、七年でも、中期でもいいんですが、この計画作りを自民党、今の安倍内閣のときにスタートするということがどうしても必要でありまして、これがないときはやっぱりばらまきになっちゃうんですよね。災害復旧のためにその都度補正予算を組むとか、これはある意味ではばらまきの可能性が大きいんですが、ちゃんとした筋道の通った公共投資というものを各地域からくみ上げて、そして何回も練り上げて作った計画というのはこれは非常に重要でありまして、これをやれば、今の建設の労働者が足りないとかセメントが足りなくなったとかいうことではなくて、長期的な視野で企業は供給計画を組むことができますから。 大学の今の工学部でも土木関係というのはなかなか余り人が集まらないというようなことを聞いていますが、これはもっと、最も重要な一つの戦略でありますから、教育も含めて、技術者、日本の優秀な技術者はみんな海外に行ってイスタンブールでトンネルを造ったりなんかして貢献していますが、もう一度国土に呼び戻してでも、国土強靱化というのはもう最大の今いいチャンスではないかと、こう思っております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) では、続いて吉田君。
○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。 両参考人、大変貴重なお話をありがとうございました。もう前置きなしに簡潔にお二人に同じ質問を二問させていただきます。 一問目は、一昨年、前の政権から行われております税と社会保障の一体改革についてどのように評価をされておられるか、今後の日本のあるべき税制についてどのようにお考えか。二問目が、原発を含む今後のエネルギー政策はどうあるべきか、お伺いします。
○参考人(藻谷浩介君) はい、分かりました。今までこれも聞かれないのをいいことにだんまりを決め込んでおったんですが、お伺いされましたので申し上げます。 税に関しましては、私が元々金融機関の出身でもございまして、現状を見ておりますに、借金額だけが膨らんでそれを返せる当てが立っておりません。それで、まあこれは、言いたくないけれども本当に思っていることを勇気を持って申し上げますが、景気が少々悪化しようが大変悪化しようが、返す姿勢を見せるしかないと。大変な犠牲を払って返すしかないと思っております。消費税がその有効な手段であるとは余り思えないのですが、政権を一つ潰して決めたこともできないようであれば、ますますほかの税を増やすこともできないでしょうから、実行せざるを得ないのかなと。 そういうことを言っていると、ずるずると何かどこかに深入りしていったときの日本人と余り違わないんじゃないかと言われそうな気もするのですが、ただ、置かれている状況が、残念ながらとにかく負担を増やし歳出を削減するということでやむを得ない状況でありまして、皆さんが恐らく日頃多くの方がお感じになっているよりもずっと状況は深刻だと私は思っておりますので、それをすごい大きなインフレになって返すというやり方よりは、非常に痛いけれども、苦しいけれども増税で返さなくてはいけない。 ただ、本当は私が申し上げたいのは、増税は、現状の日本ではできませんのでこれ絵空事なんですが、本当は、皆さん粛々とやっていらっしゃいますが、課税漏れをまずきちんと全部取るということからやるべきであります。 私は立場上、非常に真面目に納税していますが、何というんですか、仮に私がずるをしようとすれば捕まらないでずるをすることもできるのもあると思うんですね。それは非常に良くないことでありまして、きちんとやっぱり真面目にやっている人が、全員同じだよねと。要するに、ずるで列に横入りしたりするやつはいないねという状況をつくることにより税収増を図るということをやらなきゃいけないんですが、もちろん当局もやりたいでしょうけれども、今の人員では無理でありまして、むしろそっちの方に投資をすべきではないかと私は思います。 それで、もう一つは、金融資産課税なんですけれども、これはもう遠い先というか、現状ではできないので言ってもしようがないかとも思いますが、本当はやるべきだと思っています。そのことよりも、むしろ海外への投資を促進した方が日本のためになるんではないかと思っております。 さて、それから、エネルギーでございますが、これに関しましては、私の意見は、まず省エネであります。 皆さん自然エネルギーか原発かという議論をされますが、圧倒的に省エネの効果が大きく、現に原発が止まっていた間に輸入が増えなかったのをお見せしましたけれども、円高の効果もありましたが、非常に真面目に皆さんが省エネをした結果であります。省エネをもう徹底的にやってから、それでも足りない分をどうするかという議論をすべきである。 それから、同じく、地熱については、地熱発電は、どんどんもっとベース電源として真面目に本格的に急速にやるべきであります。これもできるところは限られていますので、一通りやった上で足りないところをどうするかという議論をするべきである。 ところで、原発をどうする、こうするといいましても、結局、これ、現場から見ると分かるんですが、進みません、そう簡単に。いや、札びらひっぱたけば何とかなるだろうという地域は限られています。 事東京に関して申し上げますと、東京の電力を仮に従前と同じ原発の比率で賄おうとするのであれば、福島の再開がどのみちできない以上、どこかに造らなくてはいけないわけです。どこに造るとおっしゃるのでしょうか。東北や新潟がこれ以上更に追加で引き受けるのでしょうか。茨城から神奈川の間にどこかの海岸線に造れるのでありましょうか。現実には、皆さんが脱原発をする、しないと言っているんではなくて、物理的事実として東京は脱原発をせざるを得ないというか、既に脱原発しちゃっているんです。つまり、幾らほえても原発の電気がそんなにたくさん来ない状況なんですし、この状況は改善できません、東京湾に造らない限り。 ですから、言ったように、そういう議論をしている暇があったら、どんどんどんどん省エネを先にやって、ついでに申し上げますと、使用済核燃料の最終処分方針をもう一刻も早くきちんと出さない限り、そしてコストが一体最終的に幾ら掛かるのかを出さない限り、原発というのは基本的にお金が非常に掛かるということがもう想定されますので、国債と同じで、稼働すればするほど結果的に目先いいようで負担の先送りになると。これは大変危険なもの、危険というか残念なものであるということを申し上げたいと思います。
○参考人(宍戸駿太郎君) 私の今日のこの青い配付資料の二十ページに社会保障の長期計画のどういう財政収入と支出になるかという一つの私論が載っておりますので、これを御覧になっていただきますと、やはり人口の少子化対策と連動して、今の賦課方式をできるだけ積立方式の方に移動させるためのお金がまた掛かるんですね。だから、今二百兆円の社会保険関係の積立てがありますが、更にこれはもっと積立てをしながら、方式本来の、積立方式という安定した人口政策に持っていくためのお金が掛かりますから、そのためにも、今のうちに、ここ七年間で経済成長を高めて所得を増やして税収入をばっちり取るということが当面の急務だというのが私の考えでありまして、特に消費税が今度上がってきますとデフレ効果も増えてきますから、これを打ち砕くためにも、財政出動、特に公共投資、それから今の福祉関係の支出は、政府消費の方ですが、コンサンプションの方ですが、投資と消費と両方で財政出動をやっていくということで、金融支援がちゃんと付いていないとこれは危ないですから。 ということで、日本銀行とちゃんと協力して中期あるいは長期の戦略をつくるということで企業はようやく、長期の見通しがありますから、それに応じた対応をしてくれると思います。これがインディカティブプランニングという考え方ですが、指示的計画。社会主義的計画というのは細かい積み上げですが、資本主義的な計画というのは、あるマクロ的なターゲットと重要なエネルギーとか戦略部門の建設産業とか、こういったものの中長期の見通しをちゃんと立てて、そして国民と対話をしていくということで、今の内閣府のモデルはちょっと問題なんですが、私はこういった形でアベノミクスを更に強化していくという必要があろうと、こう思っております。
○吉田忠智君 原発、エネルギー政策について。原発を含むエネルギー政策について。
○参考人(宍戸駿太郎君) エネルギー政策は、これはもう日本はまさに十分な自信があるんですが、メタンハイドレートという、日本列島でなければならない、不可避の重要な潜在財源を持っているわけです。これは将来、日本のエネルギー需要全額を賄うかというぐらいにお金を掛ければメタンハイドレートのエネルギー化ができるわけですから、これは単なるエネルギーではなくて、今の化学の、石油化学製品としても使えるわけですから、自動車の材料とかこういった金属材料に代替することですから、石油化学材料としてもメタンハイドレートというのは非常に大きな効果を発揮いたしますから。ちょっとこれは長期的な視野でやらなきゃいけないんですが、日本経済の実力というのは強烈な実力があるという自信を是非持っていただきたいと、こう思っております。
○吉田忠智君 ありがとうございました。
○会長(鴻池祥肇君) これをもって各会派代表しての一巡の質疑は終了しておりますが、他に質疑のある方は挙手してください。渡邉君。
○渡邉美樹君 済みません、時間のないところありがとうございます。自民党の渡邉でございます。 藻谷参考人にお聞きさせていただきたいと思います。 実は私は、経営者の視点で現場、日本のマーケットを見ていて、本当におかしいというふうに実感しておりました。というのは、アベノミクスが実体経済と余りにもリンクしていないということを実感しておりました。今日の参考人のお話を聞いて、小売、所得、輸出の微増データというもので大変納得しました。 そこで、三つ質問があります。一つは、アベノミクスの金融緩和、公共投資がなぜここまで所得、小売にリンク、相関関係がないのかということと、二点目は、そうなりますと第三の矢というものが非常に重要ですが、先ほどのお話を聞いていますと、規制緩和、特に労働人口を増やすというところに視点があるような気がするんですが、それでよろしいでしょうかというのが二点目で、三点目が、この流れからしますと、小売、それから消費というものがいろんなものに影響されないということですが、消費税においてはこの影響をどのぐらい見ていらっしゃるかという、この三点でございます。
○参考人(藻谷浩介君) ありがとうございます。 一件目の金融緩和や輸出、特に輸出は実際に売上げが増えているわけですから、本来、これが例えばアメリカでこういうことが起きれば、アメリカの経済が燃え盛ることは間違いありません。なぜ日本で最近になって輸出増が影響しなかったのか。それはひとえに輸出産業が人間を雇わない、生産性の非常に高い、機械が働いている産業を中心に輸出をしているからです。労働集約型の綿花か何かを輸出している国であれば、輸出が増えたら当然雇用が増えるんですが。 全体の数字を申し上げます。日本国では、一九八五年から二〇一〇年までの二十五年間に、製造業全体、工業統計でございますが、出荷額は一割増えております。輸出に限らず、内需、外需合わせて一割増えているんですが、働いている人間は三割減っております。このとおり、どんどん人間を機械に置き換えて生産性を上げて闘っておりますので、輸出産業、主に製造業なわけですが、売上げが増えても人件費としては落ちていかない。 あとは、企業の内部留保にたまるということで、それが設備投資に回ればいいのですが、結果的に言いますと、人口が減少して内需が伸びていかない中で国内の生産設備が過剰になっておりますので、輸出に仕向けておるわけですが、それを更にどんどん増強していくとどんどん円高になっていって、輸出が増えた、円高になったの繰り返しで採算が取れませんので、国内の設備投資をある程度控えて海外に投資をしております。そのために設備投資的にも国内に波及しない、そういうふうにわなにはまっているのでありますが、輸出が減っていて経常赤字になるよりはよほどいいということでございます。 だから、日本はどんどん駄目になっているという意見に私は強く、数字を見ろと申し上げたいので、これは非常によくやっていて、これ以上期待してはいけないんだと。 短くあと申し上げます。 規制緩和で労働人口増加ということは申し上げておりません。私は専業主婦の就労を促進すべきであるということと障害者雇用を促進すべきだと言っているんですが、これは規制が阻んでいるというよりは企業が雇わないのが原因でございます。 それで、企業の雇用慣行を自ら、自分の売上げを増やすために企業自身が改善していくということも必要で、政府もいろんな施策を打っておりますけれども、強いて申しますと、やはり最大のネックは子育て中の方の待機児童の問題です。これが、例えば横浜みたいに頑張っている例もあるんですが、東京という一番の大どころにおいて極めて状況が厳しいわけであります。逆に待機児童がほとんどいない新潟みたいなところもあるわけなんでございますが、やっぱり出生率がかなり違います。是非、日本全国、特に大都市部でそういう状況をきちんと現出すべきであると。規制緩和ではなく、むしろ規制といいますか、公共投資かもしれません。 そして、消費税の影響でございます。これも聞かれなかったので言わずに帰ろうと思っていたのですが、聞かれましたので、逃げも隠れもせず申し上げます。 これまた過去の数字で申し上げます。消費税の増税により過去すごく消費が落ちたというような言い方がされますが、事実落ちましたが、その影響は一年で終わるぐらいの話になるはずのところ、ずっと落ち続けたわけです、しばらく。これは、消費税の増税をきっかけにしているというよりも、実はちょうど生産年齢人口が減り始めた時期でございますので、消費者の年代が、若い人がどんどん減っているということに企業が気が付かない間に、対応が遅れたために売上げが減ったんですが、そのうち企業が年寄りにちゃんと売るという行動を始めてからは売上げは伸びております。ですが、結果的には、消費税のときに消費が落ちたことにより狙っていたほどの税収増効果は前回ございませんでした。それで、かつ、消費税は、価格転嫁できない場合にマージンを減らすために多くの企業においてコストダウンを更に招きますので、その結果として世の中全体の経済活動を縮小する方向に働くということも前回ございました。 ですから、私は、今回言われているほどの税収増効果はないと思っております。全くないと思うんですが、先ほども申し上げたとおり、これ何かだんだん、急にそんな精神論でいいのかと思うのですが、この日本の状況において、借金をどんどん増やして返さないぞ、いつか景気が良くなって返してくれるだろうという考え方は私は信じません。ですから、痛くても苦しくても返していくという方向でやるしかないんですが、できれば消費税以外の、例えば相続税は、さっき申し上げませんでしたけれども、もっと上げるべきです。そして、相続するのが嫌な人はどんどん使っていただくべきだし、あるいは海外に資産逃避をして、海外投資をして海外から金利配当収入をもたらしていただくことが重要ではないかと思います。
○渡邉美樹君 以上です。ありがとうございます。
○会長(鴻池祥肇君) 他に質疑の御希望の方いらっしゃいませんか。 それでは、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 一言、御挨拶を申し上げます。 宍戸先生、藻谷先生、誠に長時間、参考になる御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。おかげで大変有意義な調査を行うことができたことを心からお礼を申し上げる次第であります。お二人の先生方には、ますます御活躍を心から祈念を申し上げまして、調査会を代表しての御挨拶といたします。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会