法務委員会 第13号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2014/04/18
会議録
○江崎委員長 それでは会議に入らせていただきます。 第百八十五回国会、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに階猛君外一名提出、会社法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 本日は、各案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科神田秀樹教授、一般社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会佐久間総一郎企画部会長、西村あさひ法律事務所弁護士・東京大学大学院法学政治学研究科太田洋教授並びにエステー株式会社取締役兼代表執行役鈴木貴子社長、以上四名の方々に御出席をいただいております。 ここで、この際、委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。 特に、きょうは、参考人の皆様には、極めて御多忙の中をお差し繰り御出席、まことにありがとうございます。特に、皆様方には、非常に会社法についてのいろいろ御所見、また忌憚のない御意見をお聞かせいただければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、神田参考人、佐久間参考人、太田参考人、鈴木参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言をいただくようお願い申し上げます。また、参考人の方から委員に対しての質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承をください。 それでは、初めにまず神田参考人にお願いいたします。
○神田参考人 おはようございます。 本日は、この委員会にお招きをいただきまして、意見を述べさせていただく機会をいただき、大変ありがとうございます。 私からは、内閣提出法案の議案番号二二番だったと思いますけれども、会社法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。 この法案ですけれども、法制審議会の会社法制部会において審議されたところに基づいて立案されていると理解しています。私は、その法制審議会の会社法制部会における審議に委員の一人として参加した者でありまして、その意味で、今回の法案の内容に賛成しております。この法案による会社法改正の成立を期待している者でございます。 今回の会社法改正ですけれども、会社法が平成十七年に制定されて以来のまとまった改正でありまして、我が国の企業社会及び証券市場にとって重要な改正であると思います。 今回の会社法改正の目的を一言で言いますと、内外の投資家の我が国企業に対する信頼を高め、我が国企業の成長と繁栄をもたらすことにあると言ってよいと思います。 今回の改正法案ですけれども、この観点から、平成十七年の会社法のもとでの実務経験といいますか体験というものを踏まえまして、その中で種々指摘されてまいりましたさまざまな問題に対処しようとするものであります。 法制審議会の会社法制部会の審議におきましては、個々の問題につきまして、あるべき法改正の姿をめぐって意見が対立することもありましたけれども、活発な審議を経て、今回の改正法案にありますような内容の法改正を提言するに至っているというふうに理解しております。 今回の改正法案の全てをここで述べることはできませんので、以下では、主要な改正事項について、かいつまんで述べさせていただきます。既に御存じのことばかりかと思いますが、お許しをいただければ幸いです。 まず、今回の改正法案ですけれども、お手元に一枚紙を用意させていただきましたので、それをごらんいただければと思いますが、大きく申しまして二つの分野に分けられます。一つがコーポレートガバナンスの強化、もう一つは親子会社に関する規律の整備です。 そこで、まずコーポレートガバナンスの強化ですが、その第一の課題としまして、社外取締役の活用という課題があります。 今回の改正法案は、主として三つの改正をいたします。 一つ目は、監査等委員会設置会社という新しいタイプの機関設計を有する株式会社を認めるということであります。 この結果、上場企業を初めとする大企業、これを会社法上の公開会社かつ大会社というふうによく区分しておりますけれども、いずれにしましても、上場企業を初めする大企業について申しますと、そういった企業の場合には三つの選択肢があるということになります。既に現在の会社法のもとで存在いたします監査役会設置会社と委員会設置会社という二つの機関設計、これらに加えまして、三つ目として、新しく監査等委員会設置会社という選択肢が加わることになります。 監査等委員会設置会社というものは、取締役会の中に監査等委員会という委員会を一つだけ置くことを義務づけられる株式会社でありまして、その監査等委員会のメンバーは社外取締役が過半数ということになります。これにより、一部で指摘されてきました社長の選解任に関与できない監査では不十分だという指摘に対応することになりますので、このタイプの会社では監査役はいないということになります。監査役会設置会社における監査に対応する機能というのも、この会社では監査等委員会が担当するということになるわけです。 社外取締役の活用の二つ目ですけれども、社外要件の厳格化です。 これは、社外取締役の機能の実効性を高めるために、社外取締役を、私の言葉で申しますと、言ってみれば、独立取締役にしようというものでありまして、現在の会社法における社外要件を厳格化いたしまして、業務執行者の近親者ですとか親会社の業務執行者は社外要件を満たさないということにするものです。 社外取締役の活用の三つ目ですけれども、これは伝統的な監査役会設置会社に関するものでありまして、そのような監査役会設置会社についても、御承知のように、社外取締役を置くことを奨励しようとするものであります。 法制審議会におきましては、社外取締役を置くことを会社法で義務づけるべきとの意見もありました。他方、義務づけるのは我が国大企業の実態等に鑑みると時期尚早である等の意見もあり、意見は分かれました。その結果、よく言われる言葉でコンプライ・オア・エクスプレーンなどと言っている規律が今回の改正法案で採用されています。つまり、その意味は、遵守するか、あるいは、遵守しなくてもいいけれども、遵守しない場合には説明するという規律であります。社外取締役を置くことの義務づけまではしないけれども、置かない場合にはその理由を定時株主総会で説明することが求められるというものであります。 なお、この点に関連して、法制審議会の附帯決議を受けまして、東京証券取引所を初めとする金融商品取引所の上場会社向けのルールにおいて、社外取締役を置くことが奨励されています。 コーポレートガバナンスの強化の第二の課題といたしまして、会計監査人の独立性の強化という課題があります。 これにつきましては、監査役会設置会社におきましては、監査役が会計監査人の選解任議案の内容を決定することとするというのが今回の改正法案です。 次に、親子会社に関する規律の整備を簡単に申し上げます。 三つの課題について触れさせていただきます。 第一は、親会社株主の保護という課題です。特に、多重代表訴訟というものを導入するというのが今回の改正法案です。 子会社の取締役が子会社に対して責任を負う場合、現在の会社法のもとでは、その取締役に対して株主代表訴訟を提起できるのは子会社の株主です。しかし、一〇〇%親子会社関係がある場合ですと、子会社の株主といっても結局それは一〇〇%親会社一人ということになります。親会社ですと、子会社の取締役に対して代表訴訟を提起すべき場合にそれを提起しないという判断をする可能性がないわけではありません。そうなりますと、親会社の株主の利益が損なわれます。そこで、一定の要件を付した上で、一定の場合に限り、親会社株主にも子会社取締役の子会社に対する責任を追及する訴訟を提起することを認めようというのが今回の改正法案であり、これが多重代表訴訟制度と呼ばれるものです。 親子会社関係の第二の課題は、組織再編などにおける株主の保護という課題です。 ここでは、二つ申し上げます。 一つ目は、キャッシュアウト法制の整備ということです。 今回の改正法案では、特別支配株主の株式等売り渡し制度というふうに言っておりますけれども、議決権ベースで九〇%以上の株式を有する株主は、残りの株主の株式を一方的に買う権利があるという制度が導入されます。一〇〇%子会社化をするための制度であると言ってもよろしいかと思います。 現在の会社法のもとでは、こうしたことをするには株主総会の決議が必要です。しかし、九〇%以上保有している株主がいるわけですから、株主総会の決議を要求する意味は余りありません。 そこで、今回の改正法案は、取締役会の承認を求めて取締役会が責任を持つということとした上で、さらに加えて、不満な株主のために、裁判所に売買価格を決定してもらう制度、あるいは事前の差しとめ請求の制度、そして事後の無効の訴えの制度を設けることとしております。 なお、現在の会社法に存在する制度であります全部取得条項つき種類株式の取得それから端数をもたらすような株式併合、これらにつきましても、株主保護の見地からの改正が今回の改正法案には含まれています。 組織再編などにおける株主の保護の二つ目の課題として、組織再編の差しとめ請求制度の拡充という課題があります。 これは、現在の会社法のもとでは、合併とか会社分割などの組織再編を株主が事前に差しとめるという請求権についての規定が一般には存在しておりません。そこで、これを導入しようというのが今回の改正法案です。 最後に、親子会社関係の第三の課題といたしまして、詐害的あるいは濫用的な会社分割への対処という課題があります。 数年前から詐害的な会社分割という現象が発生しておりまして、会社の財産が会社分割によって外へ出され、それにより残された会社債権者が害されるという事案が発生し、問題視されてきております。今回の改正法案は、これに対処するための規定を整備することとしております。 以上、今回の改正法案における主要な点につき述べさせていただきました。 最後に、グローバルな観点から一言感想を申し述べさせていただきたいと思います。 我が国だけでなく諸外国においても、会社法は改正が相次いでいます。それはなぜかということなんですが、私の理解では、次の二つが重要であるように思います。 一つは、インターネット技術などの技術革新を背景として、各国の企業間の競争が激化しており、また、証券市場における投資家の姿というものが変化しています。その影響で企業経営のあり方が変化しています。そのような中で会社法が企業経営のあり方に与える影響が変化しています。 もう一つは、やや哲学的な表現になるかもしれませんが、会社法の役割についての認識の変化ということがあると思います。コーポレートガバナンスに関する議論がそのいい例ではないかと思います。 とりわけ、一九九七年、八年のアジアの幾つかの国で発生した通貨危機、経済危機、そして二〇〇七年から二〇〇九年にかけて発生した世界金融危機以降、コーポレートガバナンスのあり方いかんが国の経済成長に影響する。つまり、よいコーポレートガバナンスの仕組みをつくれば、会社は繁栄し、国の経済も繁栄するという仮説を皆が信じるようになりました。 法制度との関係で申し上げますと、各企業がよいコーポレートガバナンスの仕組みをつくるためには、よい会社法があった方がいいということになります。つまり、会社法のよしあしがコーポレートガバナンスのよしあしに影響を与え、コーポレートガバナンスのよしあしが企業のパフォーマンス、場合によっては国の経済成長に影響を与える、こういうロジックであります。その結果、会社法を変えればコーポレートガバナンスがよくなり、コーポレートガバナンスがよくなれば企業がよくなって国が発展するというロジックであります。 これら二つが原動力になり、先進諸外国でも、また先進諸外国以外の国でも会社法の改正がされているというのが私の理解であります。 今回の改正法案も、こうしたグローバルな状況の中で、我が国の企業の繁栄と健全な経営を目指すものでありまして、その速やかな成立が期待されるところであります。 話が甚だ大ざっぱで申しわけありませんでしたけれども、以上で私の意見陳述を終えさせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○江崎委員長 神田参考人、どうもありがとうございました。 次に、佐久間参考人にお願いいたします。
○佐久間参考人 経団連の経済法規委員会企画部会長を務めております佐久間でございます。 本日は、このような意見陳述の機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。 私からは、会社法の一部を改正する法律案につきまして、お手元のA4縦の説明資料に沿って、経団連の考え方を説明いたします。 まず、今回新設されます監査等委員会設置会社制度の導入についてであります。 この新たな制度は、従来の監査役会設置会社、今回の法改正により指名委員会等設置会社に名称が変わります委員会設置会社に加え、ガバナンスの選択肢をふやすものであり、それぞれの会社により適合したガバナンス体制の構築につながるものと期待しております。 法案が成立し、施行規則の制定等によりまして制度の詳細が明らかになれば、各社で移行の是非等につきまして本格的な検討が開始されるものと考えております。 一方で、会社のガバナンス形態として三つの類型があることにつきましては、海外の投資家を中心に、わかりにくいのではないかという懸念も指摘されております。 そもそも、社外取締役選任に関する議論は、社外監査役が必ず選任されます我が国の監査役会制度について海外の投資家に十分理解されていないことが一つのきっかけとも言われております。これに鑑みれば、監査役会設置会社を含め、監査等委員会設置会社についても海外の投資家から理解を得られることが重要であると考えております。 経済界では、今後も各社がみずからのガバナンス体制につきまして株主、投資家に十分な説明を行ってまいる所存でありますが、政府におかれましても、これら三類型がガバナンス上、等価値であることも含め、制度への理解が進むよう、国内外での周知に力を入れていただければ幸いでございます。 次に、社外取締役、社外監査役の社外性要件の見直しについて申し上げます。 社外役員につきましては、実質的に活躍し得る有為な人材を広く集める必要があることから、できるだけ多様性を認めるべきと考えております。こうした観点からは、法案が定める見直しの方向性は適切であると評価してございます。 法案の内容を踏まえて、施行前ではございますが、各社では、本年の株主総会に諮る役員の選任議案につきまして、改正法の施行後においても要件を満たすような検討や対応も進んでいるものと理解しております。 なお、重要な取引先関係者については、企業価値向上のインセンティブを共有しているとともに、当該企業の業務内容等について知識や経験を有しているため、ガバナンスを適正に保つことに貢献するという利点もございます。 利益相反が生じるおそれがあるとして、取引先関係者は社外取締役として認めるべきではないという指摘がございますが、監査役によるチェックや、取締役会の決議を行う場合、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないといった仕組みがあり、こうした懸念は払拭できるものと考えております。 続いて、社外取締役の選任のあり方について申し上げます。 取締役として経営の適切な監督や意思決定を行うことができるか否かは、社外者であるといった形式的な属性ではなく、個々人の資質や倫理観といった実質によるものと理解しております。 近年、不祥事の未然防止やROE向上のためなどの観点から、社外取締役に対するさまざまな期待が示され、選任を義務づけるべきとの議論がございますが、そもそも、社外取締役は、会社法上、業務執行ができない非業務執行役員であります。社外取締役の選任義務づけについて議論する際には、社外取締役に期待される役割と、社外取締役が法律上できること、できないことの関係を整理して議論する必要があると考えております。 また、特に海外において、取締役会の役割について認識されておりますモニタリングモデル、すなわち、取締役会のみが経営者を監視、監督する役割を担っているとのモデルを前提に、社外取締役の選任を義務づけるべきとの主張も見受けられます。 しかし、我が国の企業のほとんどが採用している監査役会設置会社においては、社外監査役が半数以上を占めなければならない監査役会と各監査役が、強力な監査権限により、経営者を監督、監査する役割を担っており、それに加えて経営者の監督のために社外取締役の選任を義務づける必要があるのか、立法事実の有無につきまして十分な議論が尽くされていないようにも思います。 さらに、法令等で社外取締役の選任を義務づける場合の影響についても留意が必要です。具体的には、社外取締役は選任すればそれで終わりというわけではなく、むしろ、選任された後、いかにその役割を果たしてもらうか、そのための社内のサポート体制などをどのように整えていくかといった課題があり、それに応えることが重要であると考えます。 仮に、選任が義務づけられる会社を上場会社に限ったとしても、特に地方の上場企業におきましては、経営に関する知見を持った人材の確保が難しく、結局は取引先などにお願いするしかないとの声も寄せられております。 また、ベンチャー企業に関しましては、既に東証において、新規上場時や市場がえ時の上場審査におきまして、独立取締役設置に関する審査が強化されておりますが、こうした企業は知名度が必ずしも高くないことなどから、企業経営者等有為な人材に社外取締役を引き受けてもらえないなど、人材を確保することが難しい状況であります。 経団連としては、社外取締役が企業のガバナンス向上に貢献し得ることや、各社がその必要性に応じて自主的に社外取締役を選任すること自体を否定するものでは全くございません。現に、昨年九月時点で、東証一部上場企業においては、六割を超える企業が社外取締役を選任しており、今般、法制審議会の附帯決議に基づき、東証の上場規則の改正により、一名以上の独立取締役を確保するよう努めることとなっており、これと相まって、この流れは今後ますます広がっていくものと考えております。 しかし、法令等によって社外取締役選任を義務づけるだけの立法事実があるのか、また、義務づけた場合の影響については、慎重に見きわめる必要があると思っております。 この点について、内閣提出の法案では、社外取締役を選任することが相当でない理由を株主総会で説明することを義務づけておりますが、社外取締役の選任自体につきましては、企業の自主的な判断が尊重されるものとして評価しております。 また、会計監査人の選解任等に関します議案の内容の決定権を監査役へ付与する点について申し上げます。 当初の議論では、選解任に加えまして、報酬の決定についても監査役に権限を付与することが検討されておりました。経団連としては、これらの権限を監査役に付与しなくても、同意権など、監査役が持つ権限を十分に発揮することにより、会計監査人の選任、報酬決定に関する利益相反のリスクは排除することができると考えております。 この点について、法案では、会計監査人の選解任については監査役に決定権限を付与することとしておりますが、報酬の決定については従来どおり取締役の権限とされており、その点は評価しております。 最後に、多重代表訴訟制度についてであります。 経団連は当初、本制度により、子会社取締役が積極果敢な事業運営をちゅうちょすることで、経営のダイナミズムが失われるばかりではなく、戦略的な親子会社関係の構築がためらわれることで企業の組織選択の判断をゆがめることや、濫訴による会社役員賠償責任保険の負担増加等、訴訟リスクへの対応に大きなコストが生じること等から、反対しておりました。 この点について、法案では、提訴要件を初め、対象となる子会社の範囲が適切に限定されており、こうした懸念が相当程度払拭されたものと評価しております。 以上、るる申し上げましたが、経済界としては、法案の早期の成立をお願いしたいと思います。多くの企業が株主総会を開催する六月が近づく中、一部の企業では、今回の法改正に対応するため、法案の成立、施行を条件とした定款変更を行い、施行と同時に各種の対応を行うことを検討する動きもあったようでございます。しかし、未成立の法案の成立、施行を条件とするのはふさわしくないとの指摘もあり、改正法に沿った対応がとりにくい状況にございます。企業が法改正にいち早く対応するためにも、法案の早急な成立を望む次第でございます。 私からの説明は以上でございます。(拍手)
○江崎委員長 佐久間部会長、ありがとうございました。 それでは次に、太田参考人にお願いをいたします。
○太田参考人 西村法律事務所の弁護士の太田でございます。 本日は、本委員会にお招きをいただきまして、意見を申し述べさせていただく機会を頂戴いたしまして、まことに光栄に存じております。 私は、企業法務を専門としておる法律実務家でございますので、その立場から、今回の会社法改正に関して意見を申し述べさせていただきたいと思っております。 お手元にA4の横置きの資料をお配りしておるかと思いますので、全体的にそれに沿った形で意見を申し述べさせていただきたいと思っております。 まず、全体的所感でございますけれども、今回、内閣提出に係る閣法二二号の会社法改正法案でございますけれども、我が国のコーポレートガバナンスを大きく前進させるものでございまして、非常に高く評価できるものではないかと考えております。 全体的には、平成五年商法改正、これは社外監査役の選任の義務化等が盛り込まれた改正でございましたが、それから約二十年ぶりに規律を強化する。これまでの間、ずっと規制緩和が続いてきたわけですが、その間、対応が少し積み残されていた部分の規律を強化するという意味で、大きな意味があるものと思っております。 主として、今回、コーポレートガバナンスの強化と親子会社の規律について改正がされているわけでございますけれども、コーポレートガバナンスの強化に関しては、監査役制度の強化が限界に来ている中で、社外取締役の活用を中心に、取締役会の監督機能を強化するという改正がされているものと理解をしておりますし、親子会社の規律に関しましては、多重代表訴訟の導入等を初めとして規律がされたということで、画期的ではないかと思っております。 特に多重代表訴訟は、アメリカや香港ぐらいでしか認められておらないところを、我が国が世界に先駆けてこういう制度を導入するということで、非常に先進的なものとして高く評価できるのではないかと思っております。 次に、「社外取締役の選任「準」義務化」というタイトルにしておりますけれども、これは今回、法案の提出に当たりまして、東証の方で社外取締役の選任の努力義務規定を盛り込むことといたしましたり、それから、法案の附則では二十五条で、二年後の見直し、これは社外取締役の選任義務化等を含めて検討するとされているわけでございますけれども、社外取締役を置くことが相当でない理由の開示等を含めて、全体的に見ますと、選任の義務化こそされていないものの、事実上、選任を促していく方向に誘導するという意味で、準義務化と言っていいような状況になっているのではないかなと思っております。 ここで、今回、閣法二二号と議員立法で出されております衆法一五号の対立点となっております、社外取締役の選任の義務化の是非について、一言意見を述べさせていただきたいと思います。 三ページ目でございますけれども、監査役会設置会社が我が国で非常に広く普及しているわけでございますけれども、海外の機関投資家の方からは、モニタリングをする存在としての監査役には代表取締役の選解任ですとか取締役の報酬について投票権がないというところが、モニタリングの実効性という意味から若干の懸念を持たれているところでございます。世界の趨勢は、監督機関が業務執行者に対して人事権等を背景にモニタリングを行うモニタリングモデルというものが大勢を占めておるわけでございますので、モニタリングモデルを我が国でも普及させていくという意味でも、社外取締役の選任の義務化というのは大きな意味があるのではないかなと思っております。 これに対して、人材が十分確保できないのではないかという御意見もあるやに伺っておりますけれども、社外取締役の主なミッションは、経営者への助言というよりは、むしろ、業績が不振の、それから何か不祥事等があった場合の経営者の更迭というところが大きな役割ではないかと思っております。有事の御意見番という存在であろうかと思っておりまして、その意味では、事業の内容に精通していることよりも、ある種のコモンセンスと、経営者が任にたえないというときに意見を申し述べる勇気が必要ということでございましょう。その意味では、選任の適格者というのはそれなりにおるのではないかなと思っております。 また、今回、監査等委員会設置会社という第三の道も開かれることになりまして、この中で、監査役に、事実上、代取の選解任や取締役の報酬についての投票権を付与するということになっていますので、この監査等委員会設置会社に監査役会設置会社が移行することはかなりハードルは低いと思っております。その意味でも、選任の義務化について、これもかなりハードルは下がってきているのではないかなと思っているところでございます。 次に、諸外国の動向を見てみますと、アメリカ、イギリスでは、取締役会の過半数が独立性を持った取締役であるということが必要であるとされていることはよく知られたことでございますけれども、実は新興国においても、例えばお隣の韓国では、資産二兆ウォン以上の上場会社については、取締役会の二分の一以上かつ三名以上が社外取締役であることが必要とされておりますし、インドでは、昨年成立いたしまして、ことしの四月から施行されている会社法におきまして、取締役会の三分の一以上が独立取締役であることが必要というふうにされております。ある意味では、新興国でも、こういう独立取締役を取締役会のかなりの部分入れていくというのが趨勢になっているところでございます。 こういった中、五ページ目でございますけれども、我が国の上場企業におきましても、会社法改正の議論を受けまして、最近では、社外取締役の選任というものが急速に進んでいる状況にあるというふうに理解をしておるところでございます。 例えば、昨年の八月末現在では、東証一部上場企業では、六二・三%が既に社外取締役の選任を済ませておるところでございまして、さらにその中で、三〇・四%の企業というのがもう既に社外取締役を複数選任している、こういう状況にあるわけでございます。 対象を全上場企業に広げて見た場合でも、全上場企業のうち、五四・二%が既に社外取締役を選任しているという状況でございます。例えば、ベンチャー企業が中心のマザーズ上場企業でも、六五・二%が既に社外取締役を選任しているということでございますので、ある意味では、社外取締役の選任をそろそろ法律で義務づけることも可能な状況になってきているのではないかなというのが私の感想でございます。 最後に、社外取締役の選任以外の改正項目について、二、三、私の方から所見を申し上げさせていただきたいと思っております。 少し技術的なテーマであるわけでございますけれども、今回の会社法の改正法案の中でも、大規模な第三者割り当て増資に関する規律の強化ですとか、不公正ファイナンスに関する規律の強化というものが盛り込まれているわけですけれども、もう一つ、エクイティーファイナンスに関しては、ライツオファリングと呼ばれます、これは、非常に大ざっぱに申し上げると株主割り当て増資に近いものでございまして、株主の権利の希薄化を招かない形での資金調達方法として欧州各国では広く普及している方法でございますけれども、これを利用しやすくするための改正が含まれているところでございます。 現在ではこのライツオファリングを実施するまで大体約二・五カ月程度かかっているところを、一カ月程度にまで短縮できるというものが、今回の内閣提出法案の中に盛り込まれているわけでございます。 ただいま、ライツオファリングを日本でも普及させるべきだという声が前々からある中でございますけれども、現状、やはりこの期間が長いということで、これを実施してる件数、二十三件ということでまだ少のうございます。 そういう意味では、今回の改正の中で、ほかの改正項目、ガバナンス等に関しては、それなりに施行までに準備期間を要するというところはあろうかと思いますけれども、このライツオファリングの実施の部分については、法制審議会での議論の際にもほとんど反対論はなかったというふうに理解しているところでございまして、このライツオファリングの利用を容易にする改正の部分については、ここだけでも、ほかと切り離して施行期日を早めるべきではないかというふうに思っております。 それから、あともう一つですが、法制審議会で決定をされました、金商法上の公開買い付け規制に違反した者による議決権行使に対する差しとめ請求制度の創設、これは、かつてライブドアがToSTNeT1を使ってニッポン放送の株式を三五%買い付けた例について、公開買い付け規制をかけなくていいのかという議論があったところでございます。 そのときに、ある種のエンフォースメントの議論として、刑事罰が科されるような状態にならないとほかの株主の側で対処ができないというのは問題ではないかということで、法制審議会で決定された要綱の中にはこの差しとめ請求制度が入っていたと理解をしておりますが、これは、残念ながら、今回、内閣法制局による法案審査の際に項目ごとドロップされたというふうに理解をしております。 法制審で要綱として決定されたものが項目ごと削除されるというのはかなり異例でございまして、今回、幸いにもといいますか、附則の二十五条の方で二年後の見直しということが盛り込まれておりますので、少なくともこの件につきましては、二年後の見直しの際には再考すべきではないかというふうに思っている次第でございます。 以上で私の方からの意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○江崎委員長 どうもありがとうございました。 それでは次に、鈴木貴子参考人にお願いいたします。
○鈴木参考人 おはようございます。 ただいま御指名いただきましたエステー株式会社社長の鈴木貴子でございます。 私からは、委員会設置会社を採用している企業の代表執行役として、当社のコーポレートガバナンスの実情について御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 私どもエステー株式会社は、消臭芳香剤、防虫剤などの日用雑貨商品を製造、販売する会社で、売り上げが四百六十九億円、従業員は六百六十三名の中堅企業でございます。そして、東京証券取引所第一部指定の会社でございます。 私は、昨年四月に社長に就任し、今月より二期目がスタートしました。 では、早速、当社の業務執行、経営監視の体制について御説明いたします。 お手元の資料の一ページ目の図をごらんください。 当社は、指名、監査、報酬の各委員会を設置している委員会設置会社であります。各委員会の委員長は社外取締役であり、監督と執行を分離しております。 現在、業務執行する執行役は九名で、原則、毎週一回、執行役会を開催し、執行役相互の業務状況を共有化し、効率的な業務執行に努めると同時に、業務執行にかかわる重要事項について決定しております。そして、取締役会は、四半期に一回の定時と、必要に応じて機動的に臨時取締役会を開催し、執行役の業務執行を監督しております。 現在、取締役は九名おり、そのうち過半数である五名が社外取締役でございます。また、九名のうち三名が女性でございます。 社外取締役五名のうち四名は、東証の上場管理等に関するガイドラインの独立役員の独立性に関する判断基準でいう独立役員の要件を満たしております。当社の社外取締役は、どなたも豊富な経験と各分野での専門的知識を有しており、活発に質問や提案等の発言もあり、取締役会の審議が多角的で厚みのあるものと感じております。 社外取締役は社内の事情を十分に理解していないから判断が難しいのではという意見も耳にいたしますが、当社では、社外取締役に執行役から毎月詳細な月次報告を送付しております。例えば、当社の月次業績報告、執行役会などの重要な会議の議事録、主要関係会社の業績報告などの報告を毎月行い、エステーグループの活動実態をタイムリーに把握していただけるよう努めております。 さらに、取締役会の付議事項につきましては、社外取締役にも事前に詳細な説明資料をお送りしており、取締役会において適切な判断ができる体制を整えております。 また、私を含めた二名が執行役と兼務することで、監督と執行の分離を確保しながらも、取締役と執行役の間に必要な情報の橋渡しをしております。 現任の社外取締役は、マーケティングや経営学に関する学識経験者、実務者、または税理士として、その専門的な見地から当社の経営全般に対して意見を述べるなど、取締役会や監査委員会等において、業務執行に関する意思決定の妥当性、適正性を確保するための発言を積極的に行っていただいております。 社外取締役の取締役会への出席状況でございますが、取締役会は、前期は九回開催されて、ほぼ一〇〇%の出席率でありました。 次に、当社が委員会設置会社を導入した経緯、目的を御説明いたします。 二ページ目をごらんください。 当社は、平成十六年六月の定時株主総会の決議を経て、委員会設置会社体制へ移行しました。移行してからことしで十年が経過いたします。 導入の目的は、コーポレートガバナンス体制の一層の強化充実を目指すためです。具体的には、経営の質の向上、迅速な意思決定と機動的な業務執行、経営の透明性と公正性の向上を図るものとして導入いたしました。そして、この時点で、当社は社外取締役を初めて招聘いたしました。 従前の体制では、取締役及び社内外の監査役の主導のもとで、適切かつ迅速な経営の意思決定、経営責任の明確化、リスク管理体制と法令遵守体制の強化に取り組んでおりましたが、平成十四年の商法改正により、コーポレートガバナンスの一層の強化を目的として、新しい企業統治システムである委員会等設置会社の制度が導入された際に、当社は、世にないことをやる会社という積極進取の社風を有する会社として、いち早くこの制度を採用し、さらなる企業価値の向上を志向いたしました。 移行当時の社長、現会長の鈴木喬は、経営はアクセルだけではだめだ、優秀なブレーキがあってこそ速く正確に走れるものだと言っておりました。 また、委員会設置会社へ移行したことによる当社ガバナンスにおける変化について御説明いたします。 まず、一つは、委員会設置会社への移行に伴い、経営の監督と業務執行が明確に分離されました。 具体的には、毎週執行役会を開催し、重要事項の決定を迅速に行うことが可能になりました。この毎週の執行役会の開催は現在も継続されておりますが、私自身、経営全般を把握しつつ経営判断を行う上で、極めて有効な方法と感じております。 一方で、取締役会ですが、委員会設置会社への移行に伴い監督機能に特化したわけですけれども、当社ではさらに過半数の社外取締役を招致したことが功を奏しました。具体的には、執行役による取締役への説明、報告において、多角的な視点でのより適正性、適法性が求められることになりました。私を含め当社の執行役は、全員が極めて高い緊張感を持って業務執行に当たっております。 結果として、当社のガバナンスの強化につながったと考えております。 続きまして、三ページ目をごらんください。 当社における指名、監査、報酬委員会の概要について御説明いたします。 まず、指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容を決定する機関であります。取締役五名のうち過半数の三名が社外取締役で、委員長は社外取締役が務めております。指名委員会規程どおり、一年に一回以上開催されております。 次に、監査委員会は、取締役及び執行役の職務執行の監査、株主総会に提出する会計監査人の選解任及び会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定に関する権限を有しております。社外取締役四名で構成され、委員長はこの四名の中から選定されております。規程により原則として一年に五回開催することとされ、例年、規程どおり開催されております。監査委員会は、執行役から毎月受け取る業務執行報告書の監査や、個別案件に対する調査指示、及び、監査委員による実地監査、往査と呼んでおります、実地監査を実施しております。 そして、報酬委員会は、社外取締役二名と社内取締役一名の三名で構成され、委員長は社外取締役が務めております。この委員会も、規程により一年に一回以上開催し、取締役及び執行役の個人別の報酬の内容を決定しております。具体的には、あらかじめ取締役会において決議、承認された執行役報酬運用基準に基づき、毎年、前期の会社業績をベースに定量的、定性的評価を行い、年間報酬を決定しております。 次に、委員会設置会社、社外取締役の機能についてまとめたものを四ページ目に記載しております。 当社は、委員会設置会社を採用したことにより、経営の監督機能と業務執行とが分離され、執行役に業務執行の権限が大幅に委譲されました。それにより、取締役会は重要事項の決定と経営監督機能に特化することで経営の質が向上し、執行役会では迅速な意思決定、機動的な業務執行の実現が可能になりました。 また、社外取締役を過半数とする指名、監査、報酬の各委員会の設置により、経営に対する監督機能を強化し、経営の透明性の向上に努めております。 社外取締役は、当社の事業環境に関する豊富な経験と深い見識を有し、当社との間で特別な利害関係がない方が選任されており、独立した立場から監督をしております。これは、社内ではなかなか得られないアドバイスの提供や専門的見地からの活発な議論を通じて、当社が経営判断を行うに当たって重要な役割を果たしております。 そして、社外取締役五名のうち四名が監査委員を務めております。 このような点から、各委員会及び社外取締役は、当社の目標である株主価値の増大を実現するための公正で安定的な組織運営に寄与しているものと考えております。 その一方で、課題もあります。 私どもの経験では、社外取締役としての人材の選定及び確保が困難であるということです。当社の事業環境をある程度理解し、大所高所から的確なアドバイスができる方を選定するのは、必ずしも容易ではないと感じております。 当社としましては、委員会設置会社はコーポレートガバナンスの強化につながる有効な体制であると考えておりますが、その体制を継続的に運営し続けるためには、社外取締役の選定及び人材確保という面で課題があると捉えております。 以上、簡単ではございますが、この十年間の委員会設置会社としての実情を御説明させていただきました。 どうもありがとうございました。(拍手)
○江崎委員長 どうもありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○江崎委員長 これより参考人に対する質疑に入らせていただきます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。初めに、盛山正仁委員。
○盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁でございます。 きょうは、四人の参考人の方々、お忙しい中、本当にありがとうございました。 今のお話を伺っておりまして、この会社法の改正の意義、あるいは逆に、課題、ポイント、そういうところがある程度明確になってきたかな、そんなふうに感じた次第でございます。 まず、佐久間参考人にお尋ねをしたいと思います。 経団連で御担当しておられる、そういうお立場から、今回の法改正によりまして、三つ目の類型の会社ができるということになるわけでございます。監査等委員会設置会社という今度設ける新たなジャンル、企業にとってどのようなメリットがあって、どのような会社がこの新たなジャンルに移行しようと考えられるのか、そのあたりについて、まずお尋ねをしたいと思います。
○佐久間参考人 ありがとうございます。それでは、私からお答えさせていただきます。 まず、監査等委員会設置会社、そのメリットでございます。 メリットというのは、基本は、当該会社が何を求めるかということによるかとは思いますが、もし、社外役員の数をなるべく少なくしたい、あと、必須の委員会も最少にしてシンプルな体制を望む、こういうことであれば、監査等委員会設置会社制度というのは、社外監査役は不要でございます。社外取締役、最低で二名だけ、こういうことでございます。また、委員会も監査等委員会一つでいい、こういう点がございます。したがって、そういう点はやはりメリットとして考慮されるのではないかと思います。 また、仕組みとしまして、重要な業務執行の決定につきましては、一定の場合には、個々の取締役に委任が可能、こういう形になってございまして、機動的な運営ができる。この点は、監査役会設置会社に比べメリットとなり得る、こういうふうに考えてございます。 どのような企業がこれに移行するかということでございますが、これは、どのようなメリットを利用するかということでございまして、そのメリットを利用したいと思う企業ということになります。改正法が成立しまして公布後に、施行規則の整備状況を踏まえて、各社が本格的な検討を開始されるものと考えております。 ただ、監査役会設置会社にとっては、社外監査役に加え、さらに社外取締役を選任するということが諸般の事情により難しいという企業もあるかと思われますので、そうした企業が移行を検討するのではないかとも言われてございます。 以上でございます。
○盛山委員 佐久間参考人、ありがとうございました。 企業の活動をどうオープンにしていくか、透明にしていくか、また、そういった中で、三類型のどれを企業にとってお使いになるのがよろしいのかということは、それぞれの企業の御判断であろうかと思いますが、いずれにせよ、せっかく新しくできるジャンルでもありますし、御活用を、経団連の傘下の企業の方々にもよく御周知をしていただいて、参考に御検討いただけるとよろしいんじゃないかなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、神田参考人にお尋ねをしたいと思います。 法制審議会ですとか経済産業省の研究会等で、先生が今回の会社法の改正の主導的な役割を果たしてこられたかと思いますけれども、先生は、法制について詳しいのはもとよりでございますが、海外との法制の比較といったことも大変お詳しいと思います。 海外にとってわかりやすい、世界は一つという形で大分小さくなっているわけですから、そんな中で、日本だけがガラパゴス化しないというんでしょうか、どこでも通用するような体制である、こういったことが必要ではないかと思うんですけれども、今回の法改正によって、海外の投資家にとってもわかりやすい制度になっているのかどうか。監査等委員会設置会社というものの比較法的な位置づけというんでしょうか、そのあたりについて先生がどのようにお考えになっているのかをお尋ねしたいと思います。
○神田参考人 御質問ありがとうございます。 取締役会が何をするところなのか、取締役会の役割は何かということについていろいろな考え方があります。 先ほどモニタリングモデルという言葉が出ていたと思うんですけれども、世界で今主流になっている考え方は、取締役会という場は、会社の経営の監査、監督をする、それをモニタリングというふうに言っておりますけれども、それが仕事の中心であるという考え方です。 今回の監査等委員会設置会社という制度ですけれども、この考え方に忠実でシンプルな、そういう意味では、非常にシンプルだけれどもわかりやすく対応する仕組みになっているというふうに思います。我が国の企業にとっても、現実的な選択肢を提供しており、私は、その意味で、世界にもわかりやすいし、名案であるというふうに思います。
○盛山委員 神田先生、ありがとうございました。 本当に、そのように、今後の運用のところにもつながっていくんでしょうけれども、わかりやすい制度になっていくということ、日本が開かれたマーケットであるということになればいいなと私も期待しているところであります。 今度は、鈴木参考人に伺いたいと思います。 先ほど、御社の取り組みについていろいろ具体的に詳しくお話を伺ったところでございます。大変わかりやすいお話だったなと思いますし、また、大変、進取の気性に富んだというんでしょうか、チャレンジングな会社であったかな、そんなふうに感じた次第でございます。 ただ、鈴木参考人のお話の中にもありましたけれども、社外取締役について、よい人材を探すというのはなかなか難しい、こういうようなお話がありました。多分そうなんだろうなと思うんですね。 コモンセンスが大事であるというふうに太田参考人の御説明にもありましたけれども、ただ、コモンセンスだけではやはりそれぞれの企業によっても、専門性ですとかカラーですとかいろいろ違いがあろうかと思います。専門性と一般的なコモンセンスと、そして他方、欠格事項を除いた形での社外取締役を人選していくというのは大変難しいのではないかと思うんですが、そのあたりについてお尋ねできればと思います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございました。 当社の指名委員会では、規程に社外取締役の選任基準を定めておりまして、指名委員会において、人格、識見、能力、社会的評価、従前の実績等を総合的に考慮して選定しております。 その前段階で、事務局がございまして、まず、候補者リストを作成いたします。それを指名委員会の方に呈して、指名委員会の方で、その候補者リストから、さまざまな、事前にインタビューも行いまして、総合的な見地から社外取締役を選定している。 そのように、非常に幅広く、ネットワークそれから御紹介等々を駆使して、皆様に適格な社外取締役が当社に来ていただけるような努力をしております。 ただ、なかなか、これは先ほども申し上げましたが、努力が要ることでございまして、その点だけは御理解いただきたいと思います。 ありがとうございます。
○盛山委員 鈴木参考人、ありがとうございました。 きっと御苦労があるんだろうなと思うんですね。 私も、企業の関係の方から伺いますと、今回の会社法の改正、方向性については文句は言えないんだけれども、本当にいい社外取締役というのはそう簡単に見つかりますかね、なかなかそういうわけにいきませんよ、こういうようなお話を伺っているところでございますので、リストをつくられてと、さらっとおっしゃいましたけれども、そのリストを作成するに当たって、多分、御担当の方がいろいろ御苦労されながら、お詳しい方、そして立派な方、そういうところである程度の数のリストをつくるというのがしんどいんじゃないかな、そんなふうに想像するところでございます。 そこで、太田参考人にちょっと伺いたいと思うんですけれども、太田先生は、渉外を御担当でございますので、海外の事情に大変明るいと伺っております。 人材確保という点で、各企業がそれぞれの企業だけの努力で社外取締役に適した人を見つけていくというのは、今のお話でもそれなりに御苦労をしておられる。多分、エステーさん以外の一般的なほかの企業であれば、もっとおつき合いの範囲その他も限られておればなかなか選任が難しい、こういうことになってくるんじゃないかと思うんですね。もちろん、御自身の企業の社外取締役ですから、自分の問題として一生懸命探されるとは思うんですけれども、それでもなかなか難しいという事情が現実に起こってこようかと思います。 そういったときに、企業に対して人材を、こういう人がいますよといったような方を紹介するようなところ、例えば、西村あさひさんが御紹介されるというようなことでもいいかと思いますし、何らかそういうものがあれば、各企業にとっても、例えば、太田先生が御紹介の弁護士さんであれば、あるいはどこどこの事務所が御紹介の公認会計士さんであれば、あるいはどこどこのこういう学識経験の豊かな方であればというふうに安心して選任することができるんじゃないかと思うんです。 そういったシステムが、アメリカや海外で発達しているところもあると聞くんですけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
○太田参考人 太田でございます。御質問ありがとうございました。 先生御指摘の点は確かに課題であるというふうに思っておりまして、私は、この観点でいうと、三つほど考えるべきことがあろうかと思っております。 一つは、まず、社外取締役の要件の部分でございます。 今回の法案の中でも、社外取締役の社外性の要件について一部厳格化するというものが盛り込まれておりますけれども、独立性を余りに厳格化してしまいますと、例えば取引先関係とかも全部排斥するということになると、なかなか本当に人材が確保できないというところはあろうかと思いますので、独立性も大事なところではございますけれども、余りに厳格にし過ぎないようにすること、これが一つ大事なのかなというふうに思っております。 それから、二番目、御指摘のそういう社外取締役、人材バンク的なところでございます。 今現に、私が理解しているところでは、例えば、コーポレート・ガバナンス・ネットワークというような非営利の組織で、社外取締役になる気があってそれなりの識見のある方というのを登録しているということも聞いておりますし、日本取締役協会というところでも、社外取締役になってもいいという人のリストを整備しているというふうに伺っております。 ただ、これもまだまだ、リストにどの程度登録されているかというと、やや心もとないところがあるかと思いますので、これが本当に、今回法案が成立して社外取締役の選任の方向により一歩進むことになりましたら、そういうものをさらに一層充実させていくことというのは必要かなと思っております。 三点目でございますけれども、ある種、社外取締役の教育研修というようなものも大事であろうかと思っております。 まさに先生御指摘の、コモンセンスだけではだめで、やはりそういう専門性を持った人材をどうするかという点、課題があるということで、例えば、先ほど申し上げましたインドですとかそれからイギリスでは、社外取締役の導入を義務づける、それからそれを厳しくするというのに当たって、社外取締役の研修制度みたいなものを、ある意味で、証券取引所などが音頭をとって整備をしているというところがございまして、日本でも、東証を初めそういうところで教育、研修をして、さらに社外取締役にふさわしい人を育成していくというシステムをつくることも非常に大事ではないかというふうに思っております。 以上、お答えいたしました。
○盛山委員 太田参考人、ありがとうございました。 日本でもそういったようないい人材バンクのシステムができると、各企業にとっていい社外取締役の選任がスムーズに可能になるんじゃないかな、そんなふうに期待するところです。 次に、佐久間参考人にもう一問お尋ねしたいと思います。 今、社外取締役の選任、大変難しい、こんな話もございました。今後、経団連のお立場として、一般論として、社外取締役を置く企業がふえていくだろう、そんなふうに考えておるんですけれども、どういうふうな役割を期待して社外取締役を御選任されることになるのか。あるいはまた、ちょっと伺うところによりますと、佐久間参考人が所属される企業におかれてもこの六月の株主総会で社外取締役を選任される、そんなふうにも伺っておりますので、そのあたりについても、どういうような観点でというようなことを御答弁いただければと思います。
○佐久間参考人 ありがとうございます。それでは、お答え申し上げます。 まず、社外取締役にどのような役割を期待するか、こういう点でございますけれども、基本的には、やはり何といってもより適切な監督と意思決定への貢献を期待してございます。その中で、各社が置かれている環境、状況そして解決すべき課題、ニーズなどに応じて重点、比重が変わってくるかと思います。 例えばということでございますけれども、不祥事等があれば、より監督に重点が置かれるのではないか。一方、事業が伸び悩んでいるとか、新たな分野、新たな市場へ進出が必要になっている、こういうときであれば、多様な視点からの意思決定の充実を図りたい、こういうことを期待するのではないかと思います。 最後に、大変ありがたいことに、私の所属しております会社についてもお話をいただきましたので、これは経団連としての立場ということではございませんけれども、簡単にお答えさせていただきます。 まず、私がおります会社でも、今回、導入を提案する予定にしてございます。その理由というのは三つでございます。 まず、やはり経済のグローバル化を背景に、国内をベースに海外で成長するという戦略についてその必要性が高まっているということでございます。 二点目としましては、コーポレートガバナンスに関するこの法律、まさに今御審議いただいております法律等のルールが改正されつつある、こういう現状がございます。さらには、東証での先般のルール改正、また広く株主、機関投資家様との意見交換の中でもやはりそういう必要があるというふうに考えた、こういうことでございます。 また三点目として、これは極めて個社の事情ということでございますが、当社は合併会社でございます。二〇一二年の十月に合併をしたということで、それから一年半経過しまして、それなりに円滑に融合が図られてきたということもその背景としてございます。 以上でございます。
○盛山委員 佐久間参考人、ありがとうございました。 最後に、神田参考人に伺いたいと思います。 アメリカでは、証券取引所の上場規則で独立取締役の選任を義務づけているというふうに理解しているんですが、仮に日本で社外取締役の選任を義務づけるとした場合、会社法以外の上場規則といった手だても考えられると思うんですけれども、この点につきまして、参考人はどのようにお考えでございましょうか。
○神田参考人 おっしゃる問題については、意見は分かれ得るところかと思うんですけれども、私は一長一短ではないかと思っています。 仮に会社法で義務づけるということをするといたしますと、言うまでもありませんけれども、違反した場合の効果等は非常に明確になります。他方、頻繁にその要件を変えたりということは非常に難しいということになるかと思います。 他方、取引所のルールで義務づけた場合のメリットというのは、柔軟に要件等を定めることができるということがあると思いますけれども、その反面、違反というんでしょうか、そのルールを実現していく仕組みというものが、法律で定めた場合と比較して申しますと、弱い場合があるというか、守る会社さんがほとんどなんですけれども、先ほどちょっと例に出ていたと思いますけれども、ファイナンスの分野では何か不適正な例もありますので、そういうことも考えますと、取引所で要求する場合については、それを実現していく仕組みというところが多少、会社法で定めた場合と比べるとデメリットになるかなという感じを持っております。
○盛山委員 神田参考人、あるいは四人の参考人の先生方、まことにありがとうございました。 以上で質問を終わります。
○江崎委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一でございます。 本日は、本当にお忙しい中で四人の参考人の皆様には足を運んでいただきまして、御貴重なお話をいただきました。心より御礼申し上げます。 まず最初に私がお伺いさせていただきたいのは、社外取締役の位置づけについて質問させていただきます。 これは委員会の中でもるる議論がありまして、そもそも社外取締役とは何ぞやという根本的な議論をずっとさせていただいてきたわけですが、この社外取締役、当然、取締役会の一員で、議決権を有するということになっております。 取締役会は、先ほどからずっとお話にあります、モニタリングモデルということで、監督機能というものを当然有している。それだけではなくて、意思決定機関としての機能、重要な業務執行事項については議決権を持って意思決定をするというような役割もあるわけですが、ここでよく問題になりますのは、情報の非対称性、つまり社内取締役と社外取締役で接する情報に大きな差があるんじゃないかということが言われております。しかし、取締役会の中では同様に一票の議決権を持っているということです。 業務執行に携わっていないこの社外取締役が、取締役会の中で意思決定に関与するということについて、どういうような意思決定に関与するということがそもそも社外取締役には期待されているかということについて、まず神田参考人に、法制審でそういう議論があったかどうか、あるいは、その個人的な意見についてもお伺いしたいのと、先ほど佐久間参考人の方からも、これについてはルールづくりが必要じゃないかというような御意見がありましたので、佐久間参考人もどう考えられるかということについて、お伺いしたいと思います。
○神田参考人 御質問ありがとうございます。 社外取締役という制度の本質にかかわる御質問だと思いまして、やや大げさに申しますと、社外取締役ですとか取締役会が何をするところかというのは、いま一つ腑に落ちないというか、詰めて考えてもわからない点が残る話ではないかと私は思っています。 それは、もっと大きく言いますと、大げさで恐縮ですけれども、株式会社という仕組みは何なんだろうかということにも関連してくると思うんですね。これは長年の諸外国そして我が国の歴史の中で発展してきたものであるとしか言いようがない、そういう意味では、歴史と経験の所産で今日に至っているということではないかと思います。 そこで、社外取締役が何をすべきかということにつきまして、法制審での議論と私の感想等を述べたいと思うんですけれども、法制審で議論しましたときは、機能から議論を始めましょうと。先ほどもおっしゃっていただいたんですけれども、社外取締役はどういう機能を果たすんでしょうかということから議論をしました。 それで、経営に対する助言の機能、業績一般を評価する機能、それから、やや狭くなりますが、利益相反というふうに呼んでおりますけれども、株主の利益が害されるようなことが起きる、それを監督する機能。そのうち、第一の助言という機能は、別に社外取締役でなくても、例えば外部のアドバイザーですとか可能ですので、制度として会社法のもとで社外取締役を議論する場合には、第二と第三の機能が中心になりますねということで議論して進みました。 今度は私の個人の感想を述べさせていただきます。 この問題は、例えばアメリカでは、一九七〇年代、八〇年代に非常に議論されました。社外取締役は一体何をするんだと。非常に限られた時間ですし、今情報の非対称性というふうにおっしゃいましたけれども、その会社のことに詳しいわけではありません。 アメリカでは、七〇年代から八〇年代に既に、取締役会の平均人数は十名程度、そのうちの三分の二から四分の三が社外取締役、日本語で言えばなんですが、向こうは独立取締役と言いますけれども、になっていたという実態があります。 一体そこで何をやっているんだ、何をすべきかという議論が非常にされました。その結果、もちろんいろいろな意見があるわけですけれども、大体得られた合意というのは、業績の評価ということです。逆に言いますと、それ以外のことはそうできるものではないということかと思います。 ただ、有事といいますか、何かあったときに、日本でいうと、例えば、不祥事の再発の防止ですとか、あるいは危機管理ですとか、そういうものがあった場合には、また別途役割の発揮が求められますけれども、一般的に申しますと、業績の評価ということが社外取締役の役割であるということが、アメリカの議論を通じて得られた、当面の結論というふうに言ってよろしいかと思います。 したがいまして、繰り返しになって恐縮ですけれども、社外取締役は何をやるんですかというのは、なかなか腑に落ちないんですけれども、そんなあたりにある。 それで、意思決定としてどういうことを決めるのがよろしいでしょうかという御質問をいただいたと思うんですけれども、これは結局、今申し上げたことと表裏になるわけでありまして、そういう意味で、それを監督とかモニタリングと呼ぶとまたわかりにくいところはちょっとあると思うんですけれども、その役割に即した形での意思決定に参加するというのが望ましい、ちょっと抽象的になりますけれども、そういうことになります。
○佐久間参考人 ありがとうございます。 それでは、今先生の方から御指摘のありました情報の非対称性、これは、社外取締役の方が期待される機能を果たす、その上ではまさにキーだと思います。つまり、その非対称性について、それにどう向き合い、解決していくかというのは極めて重要だと思っております。 御案内のとおり、当然、社外取締役とその他の取締役の方の間では、業務執行するしないということからして非常に大きい差が生じ得る環境にございます。 また、もう一つ考えなければいけないのは、これは監査役会設置会社であれば、監査役、あと社外監査役との間の情報の非対称性という問題もございます。 御案内のとおり、社外監査役というものについては、非業務、業務という区別がございません。つまり、常勤であってもいいですし、幾らやってもいいというのが監査役。実際、多くの企業では往査をされている。つまり、つぶさに現場を見ておられるということでございますので、制度的には社外取締役の方の情報というのが不足する傾向になってしまう。ですから、そこについては、これは各社さん、いろいろ工夫をされていると思います。 それは、そもそも取締役会で、先ほど他の参考人の方がおっしゃっていましたけれども、ある意味では、コモンセンスで判断できるような非常にわかりやすい議論をしなければいけない。例えば専門用語とか業界用語、そこに長くいる人しかわからないような言葉というのを使っていては話にならないとか、そういう細かいところ、事前のインプット、あと、場合によってはやはり現場を見ていただく、そういうことが必要かと思います。 その点につきまして、私先ほど申しましたように、社外取締役というのを選任すれば済むというものではないわけでありまして、その役目を果たしてもらう、社内におけるサポート体制というのは今各社でも当然腐心してつくっておりますし、それが今後当然各会社に求められている責務だと思っております。 以上です。
○伊佐委員 ありがとうございます。 神田参考人の方からは、評価というところが一つ大きな位置づけじゃないかということ、また、佐久間参考人からは、機能させるためにはしっかりと配慮することが必要じゃないかというお話をいただきました。 いずれにしても、投資家あるいは株主、リスクマネーを出す人たちから信頼を得られるような役割としてしっかりと機能させていく必要があると思っております。 次に、佐久間参考人に引き続きお伺いしたいと思うんです。 社外取締役の義務化というものについて、今回は義務化には至らなかった。ところが、監査役会設置会社の場合には、置いていない理由といいますか、置くことが相当でない理由というものを説明しなければいけないということになりました。 では、どういう理由なら認められるのかということが、これは委員会の中でも議論がありましたが、いまいちはっきりしていないというところです。議論があったのは、社外監査役が二人いるから、うちは大丈夫なんです、こういう説明では置くことが相当でない理由にはならないというような政府側の見解が得られております。 こういう状況の中で、では、企業の立場として、この理由について、今こういう状況をどう思われるかということをお伺いしたいと思います。
○佐久間参考人 ありがとうございます。 今の点、置くことが相当でない理由。これは、今御審議していただいています改正案が成立すれば、もう来年問題になろうかと思います。 これは一言で言いますと、先ほど言いました、各社さんが各社さんの状況、環境に応じて決めていることでございますので、なぜ置くことが相当でないかということを各社の事情に応じて正直に自然体で書かれる、こういうことかと思います。 あとは、これは実際まだ書くという段階に至ってはいませんので、若干想像をたくましくしてということでございますけれども、例えば、監査役設置会社においては、社外監査役を含む監査役の体制で十分だ、したがって、社外取締役を加える必要が今の時点ではもしないという会社があったとすれば、それであれば、やはり手間とコストがかかるということについてはいかがなものか、こういう観点になろうかと思います。 また逆に、先ほどずっとほかの参考人の方からも出ていましたように、現実的に選任するというのはなかなか難しい。先ほど言いましたように、地方の企業さんとか比較的規模の小さいところ、ここでは苦労されているかと思います。ですから、一生懸命探したけれども、現時点においては適材が見つけられていない、こういうことも現実的にはあろうかと思いますので、そういうところをこれはもう淡々と趣旨に沿った形で記載されるんだろう。ただ、これは実際まだ起きている話ではございませんので、あくまでもそういうことかなというところでございます。 以上です。
○伊佐委員 先ほどお話もありましたとおり、想像をたくましくすると想定できるというような状況というのはいかがなものかというところもありますので、政府側も、しっかりそこは運用の部分で配慮をする必要があるのではないかというふうに思っております。 次に質問させていただきたいのは、社外性。今回、社外要件が厳格化されるということで、この社外性について伺いたいんです。 今回の法改正の中で、社外取締役を任命する際に、社外性の要件として、例えば親会社の関係者じゃないことであるとか、あるいは兄弟会社の関係者でないとか、あるいは会社関係者の近親者じゃないというような三点が厳格化されたということでございます。 実務の立場から太田参考人にお伺いをしたいんですが、そもそも社外性とは何かという議論もあると思います。というのは、社外取締役は業務執行を行わないわけです。監査役と同じ。業務執行を行ったら、そもそも非業務執行役員じゃなくなるということです。つまり、社外性というのが失われるということになります。 では、社外取締役というのはどこまでできるのかということです。つまり、どこまでなら業務執行とならずに仕事ができて、どこ以上なら業務執行というふうに認められて、つまり社外性を失ってしまうのかという議論があると思いますが、実務の立場から、その限度というのはどの辺にあるとお考えでしょうか。
○太田参考人 御質問ありがとうございました。お答えさせていただきます。 なかなか線引きが難しいところではございますけれども、一般に実務で理解をされておりますのは、業務執行のラインに関与して何かすることというのは、まさに先生御指摘のとおり、業務執行したということになるので社外性が失われるということになるわけですけれども、そうではない、意見を言うという部分については、特にそれで社外性を失うということはないと言われております。 例えば、買収防衛策等におきまして独立委員会というようなものを設置して、それで何か敵対的な買収行為があった場合には独立委員会で買収提案の内容と会社がそれに対して持っている意見とを比較して意見を言う、こういうものがよくございますけれども、これについては、業務執行そのものではなくて、会社の方向性に対する意見ということでございますので、これに関与してもいわゆる社外性は失わないというのが実務での一般的な理解かと思います。 そのほか、例えば、何か不祥事があったときの調査委員会、これも第三者委員会というような形で調査をするというのがございますけれども、会社の不祥事が起きた原因が何かですとか、それから、それに対する再発防止策を提言するということは、業務執行のラインの中に入って何かそれに関与するということではございませんで、企業価値を高めていくために会社としてどうすればいいのかということを提言する、こういう役割はむしろ社外取締役に本来的に期待されている機能でございまして、そういうものについては社外性を失うものではないので、社外取締役も十分役割が果たせるだろう、こういうふうに一般に実務では理解されているところかと思います。 以上でございます。
○伊佐委員 ありがとうございます。 意見であるとか、あるいは提案、提言であるとかといったものであれば社外性というのは失われないということであったかと思います。 次に質問させていただきたいのは、今回の法改正でもあります多重代表訴訟制度について神田参考人にお伺いしたいと思うんです。 今回は、一〇〇%の子会社の取締役に対して親会社の株主が代表訴訟を一定の範囲内で起こすことができる。これは太田参考人の方からも御意見があったように、まさしく世界に先駆けてということで非常に評価をいただいたわけですが、佐久間参考人の方から先ほど濫訴の話がありました。多重代表訴訟制度の濫訴の話以前に、今の代表訴訟制度自体、濫訴といいますか、こういうものが、そもそも代表訴訟制度の射程がどれぐらいなのかという議論があるかと思います。 と申しますのは、今の代表訴訟制度の中では、一株でも持っていると代表訴訟を起こせる、提起できるということになっております。九九%の株主が代表訴訟の意図がたとえなかったとしても、一%の株主がその意図を持っていると代表訴訟を起こせるというような状況になっております。アメリカの場合は、例えば訴訟委員会というのをつくって、そこで株主の多数の意思というのを代表しようというようなシステムが、メカニズムが働いているわけですが、今、日本の現状で、一株の株主だけで株主代表訴訟を提訴できるという現状の制度についてどうお考えか、神田参考人の意見を伺いたいと思います。
○神田参考人 御質問ありがとうございます。 今の御質問は、多重代表訴訟というよりは、そもそも株主代表訴訟制度、現在そうなっているのではないかという御質問だと思います。といいますのは、多重代表訴訟は、一株持っているだけでは起こせませんで、一%基準というのが課せられています。それに対して、通常のというか、現在も存在している株主代表訴訟は、おっしゃるように、一株でも起こせるからであります。 これについてどうお考えでしょうかという御質問をいただいたと思うんですけれども、答えは、やはり一長一短と言わざるを得ないと思うんですけれども、濫訴という意味をちょっと分析してみたいと思うんです。 株主代表訴訟というのは、取締役が会社に対して責任を負っていることが前提なんです。負っていない場合には、もちろん、起こしても取締役の責任は否定されます。したがって、取締役が会社に責任を負っているときに、会社みずからが取締役に対してその責任を追及する損害賠償請求をしないような場合に株主がかわってする制度なんですね。 そのかわってするときの株主は、一株主でいいでしょうか、それとも、例えばですけれども、株主の多数がそれをやりましょうということを求めた方がいいでしょうか、こういう問いだと思うんです。 そうだとしますと、濫訴という言葉には、多分、二通りぐらい可能性としてあると私は思うんです。 一つは、取締役が会社に対して責任を負っていると私は言いましたけれども、実際に責任を負うかどうかは、最終的には裁判所に行かないとわからないわけです。負っていないのに訴訟を起こす、これは、最終的には取締役は責任は否定されるわけですけれども、事実上、訴訟に応訴しなければいけませんので、つまり、本来というか、客観的に、神様の目から見れば取締役が会社に対して責任を負っていないのに訴訟が起きる、それに対応しなければいけないという場合。 それからもう一つは、これは濫訴と呼べないと思うんですけれども、取締役が会社に対して責任を負っているんだけれども、何らかの理由で、例えば、その取締役が過去会社に非常に貢献が多かったので、確かに今回責任はあるんだけれども、全体として判断すれば、責任を問うところまではしなくてもいいのではないか、世の中でいえば、和解的な文脈かとは思うんですけれども、そういう判断を多くの株主はするであろう、そのときに、一人でも、いや、それはいけません、やはり責任は生じているのだから追及しなければいけません、これを認めるかどうかということだと思うんですね。 それで、前者の濫訴の類型、本来責任は生じないので最終的には責任は否定されるんですけれども訴訟が起きるという場合と、後者の類型、すなわち、そこに責任はあるんだけれども全体的な判断が求められるような場合に、その判断を誰がすべきかという類型によって答えは違ってくるというふうに私は思っています。 それで、前者の方の類型は、一人で起こそうが多数で起こそうが、本来、責任は生じていないわけですから、これは、一般的に、例えば訴訟の場合にある話、最終的には、被告という言葉を使わせていただきますと、被告側は勝つはずのものなんですけれども、しかし、実際に訴訟が起きればそれに対応しなければいけませんので、それに対応する仕組みというのは手続法上も存在していますし、いろいろあって、今で十分かと言われると、それはいろいろな議論の余地はあるかとは思いますけれども、そういう問題だと思います。 後者の方は、難しいのは、誰が決めるんですかということですので、立法論としては、多数の株主が決定すべきことであるという考え方も当然あり得ると思います。しかし、現在の株主代表訴訟は、一人の株主が決める。そして、多重代表訴訟は、一%を持っていればその判断ができる。多重代表訴訟でも、子会社の取締役が子会社に対して責任は生じていることが前提ですので、それが追及されない場合に株主が、親会社が株主なんですけれども、かわってということになりますので、そこはいろいろな選択肢があって、通常の代表訴訟でいえば、一株主の判断でそれを認めましょうというのが現在の日本の制度です。 しかし、これは、御承知のように、アメリカなどでは違うことになっていますので、考え直す余地がないとは言えないというふうに言ってよろしいかと思います。
○伊佐委員 ありがとうございました。 大学の学生に戻ったような気持ちで聞かせていただきました。非常によくわかりました。 もう時間になりました。 神田参考人も著書の中で、そもそも会社法というのは、昔の権利義務関係を定めた私法という段階から、もはや制度的なインフラとして重要な位置づけになってきたというふうに書かれております。経済社会の仕組みそのものだと思っておりますので、国会でもしっかりと議論したいと思います。 ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、郡和子委員。
○郡委員 民主党の郡和子でございます。 私からも、きょうはお忙しい中、四人の参考人の皆様方にこの委員会においでいただきまして、そして、それぞれのお立場から大変含蓄のある御意見を承りました、感謝を申し上げたいと思います。 安倍総理がダボス会議で会社法を改正するというふうに世界公約をしたわけであります。グローバル化の中にあって、日本でよりよい会社法を送り出すために、私ども議論をさせていただいております。 いろいろ論点はございますけれども、これまでの委員会でも、この社外取締役の選任の義務づけについていろいろございました。きょうは、改めて、参考人の皆様方に御意見をお聞かせいただきたいと思います。 今回の改正案では、附則で、施行二年経過後に、社外取締役の選任状況その他の社会経済情勢の変化等を勘案して、企業統治に係る制度のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、社外取締役を置くことの義務づけ等所要の措置を講ずるというふうにされているわけでございまして、事実上の義務づけというのは見送られたわけでございます。 法制審の会社法制部会の中間試案におけるその義務づけ案に対しては、賛成、反対含めていろいろな意見が寄せられました。 反対意見の幾つかを改めてちょっと御紹介をさせていただきます。非常勤であり、会社の事業やリスクに精通するには限界があるため、取締役会の監査、監督機能が高まるとは限らない、適正な監督は社外かつ取締役でなければ担うことができないとの明確な根拠はない、監査役会設置会社には、もう既に二人以上の社外監査役の選任が義務づけられていて重複感がある、社外取締役となる人材の不足が懸念されるなどが挙げられておりました。また、既に監査役会設置会社のおよそ半数は自主的に社外取締役を選任している、それから、東証の上場規則で独立役員の確保が義務づけられていて十分である、こういうような意見も出されていたわけでございます。 先ほどのお話の中では、太田参考人から、事実上の準義務化というふうなお話があったわけですけれども、今回、法務省が義務づけを見送ったことに対する御意見、評価を、それぞれ四人の参考人から、短くで結構ですのでお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○神田参考人 御質問ありがとうございます。 非常に難しい問題と言ってもいいのではないかと思いまして、答えは余り簡単ではありませんで、まさに先ほど使わせていただいた言葉で言うと、歴史と経験に基づいて今があるということです。 それで、私の意見ですけれども、見送ったというのはそのとおりなんですけれども、しばらくしたら、また様子を見て考えましょうということです。 法律で義務づけることにはメリットとデメリットがあります。 メリットは、言うまでもなく、義務づければ、その対象となる会社には社外取締役が置かれるということです。 それから、デメリットの方は、今反対論の御紹介がありましたけれども、私が思いますのは、一つは、義務づける場合、通常、一人になると思いますので、そうすると、まず社外取締役を一人置くことだけをみんな考えますので、実際に適切な方が置かれるかどうかわかりませんし、また、その方が機能を発揮するかどうかというよりも、形をまず整えようという方にどうしても行ってしまうということ。 それから、もしそれが上場会社等の、有価証券報告書提出会社と言っておりますけれども、そういう会社に義務づけられるということになると、会社の方が、では、もう上場会社をやめようかという会社さんも出てき得ると思いますので、これは、今の日本の経済の将来を考えた場合は、よくないことだと思います。 そういったこともありますので、今回の法案の線でやってみて、それで様子を見ながら、また必要に応じて義務づけの議論をするというのが賢明な選択肢だというふうに私は思っています。
○佐久間参考人 ありがとうございます。経団連の立場を申し上げます。 まず、今御審議いただいています改正会社法案、この中では、法律によって一律に社外取締役の設置を義務づけない、こういうふうになってございますので、その点は極めて適切だというふうに考えてございます。 ただ、先ほどから申し上げていますように、社外取締役そのものについて否定しているわけでは全くないわけであります。事実、例えば、時価総額の大きいところでいえば、圧倒的多数の会社でもう導入がされてございます。そういう現実があるということでございます。 あと、その設置を義務づける必要はないんだ、あくまで義務づける必要はないんだ、こういうベースとしては、日本においては、やはり非常に長い歴史を持って都度強化されてきた監査役制度というのがございます。これはもう今圧倒的多数の上場会社というのは監査役設置会社、そこで既に監査役の方が大変努力されていて、もともと今の会社法である極めて強い監査権限を持って監査に取り組んでおられるということがございます。 その上で、あと社外取締役を加えるかどうか、これは各社が自主的に判断をした方がいいんじゃないか、こういう考えでございます。その判断の場合には、すぐれて個社の環境、個社の状況によるのではないかということでございます。 非常にささいなことでいえば、義務化というのはどういうことになるかというと、一旦入れました、義務化ですから、もし不測の事態でその方がおられなくなると、これは絶対に次を入れなきゃいけないんです。その場合に、そのときは必要がないとか人が見つからなくても、とにかく入れないとこれは法違反だ、こういうことにもなってしまうわけでございます。 繰り返しになりますけれども、既に六割以上入れていますし、これはふえるだろうというふうに予測もされてございます。一方で、導入していない、しない会社というのは、やはりそれなりの理由があるということだと思います。それは、先ほどから申し上げていますように、規模が小さいとか、地方でなかなか見つからないとか、そういう事情があるということでございますので、単純にこれは義務化したらいいということにはならないだろう、こういう考えでございます。 以上です。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 私の個人の意見として申し述べさせていただくならば、今回の内閣提出法案、ある意味で現実との妥協といいますか、落としどころとして理解できるところも実務家としては当然ございますけれども、もう本当に首の皮一枚のところまで来ているというか、義務化すれすれのところでとめているという、寸どめの形になっておりまして、ここまで来るのであれば、もう義務化してもいいのではないかと。もちろん一定の経過期間とかそういうのはあってもいいと思うんですが、ここまで来れば義務化してもよろしいのではないかというのが私個人の意見でございます。 以上でございます。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。 先ほど申し上げましたように、当社におきましては社外取締役の設置は非常に有効であった、そのように考えております。ただし、これを義務づけるということになりますと、やはり人材の確保に課題がある、そのように申し上げました。 以上のとおりで、法案に関しての私からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○郡委員 ありがとうございました。 事実上の義務化に等しいというような御発言であったわけですけれども、ならば義務化と何が違うんだということになるんだと思うんですね。 社外取締役を置くことが相当でない理由としてどういうふうなことが挙げられるのだと先ほども議論になりましたけれども、選任をする努力をしたんだけれども適任者がどうしても見つからなかったんだ、確保に至らなかったんだ、こういうような理由が許容されるとして、一生懸命にやったんだというその努力、それはどういうふうに検証されることになるんでしょうか。また、何年も何年も努力しているんだがな、頑張っているんだがなということで許されるものでしょうか。今私が申し上げましたことについて、太田参考人はどういうふうに思われますか。
○太田参考人 太田でございます。御質問ありがとうございました。 これは、社外取締役を置かない理由ではなくて、置くことが相当でない理由なので、やはり、置かない理由であれば、今、社外監査役がいらっしゃるからということで足りるんだと思うんですけれども、一方で上場企業の場合には、東証の上場規則で、ことしの二月十日から既に社外取締役を一人以上選任するよう努力義務が課されておりますので、その状況を踏まえて考えますと、私としては、置くことが相当でない理由というのは、やはり、頑張ったけれども置けなかったということしか事実上ないのではないかなというふうに感覚としては思っております。 ただ、その場合に、では、頑張ったけれどもどうしても適任者が見つからなかったというのがどこまで許されるのかというのは、これはなかなか答えのないところでございまして、一方で、義務化はされていないわけですから、それは、置かなかったからといって絶対にだめということには法律上はならないわけでございます。 かつ、先ほど佐久間参考人の方からも御指摘ございましたけれども、やはり地方の上場企業とかだと確保がなかなか難しいというところはあるかと思いますので、それに従って、最終的には、これは事業報告ですとか株主総会の参考書類で、置くことが相当でない理由が開示されるということになっておりますので、その会社が、ある意味で、頑張ったけれども入れられなかったということを開示した上で、株主の皆様がその努力をよしとするか、それではだめだというふうに判断するか、最後は株主の御判断ということになるのではないかなというふうに思っているところでございます。
○郡委員 本当に難しいんだろうなというふうに思います。かえって、経営の皆様方は難しいというふうに思っておられるんじゃないだろうかというふうにも思うところです。 今回の改正案は、監査等委員会設置会社を創設することにしております。この監査等委員会は、取締役の職務執行を監督するとともに、株主総会で、取締役の選任、解任、それから報酬などについて意見陳述権を有するというふうなことになっているわけです。 社外取締役の人数については、自民党さんのJ—ファイル二〇一三では、上場企業における複数独立取締役選任義務の明確化を掲げておられます。それから経済同友会も声明で、上場規則を通じた複数独立取締役の選任を強制するために、必要な政省令あるいはガイドライン、これらの策定を含めた適切かつ実効的措置を講ずることを求められているわけです。 これらの提言に関連いたしまして、今回の改正案での監査等委員会で社外取締役が過半数を占めるというふうに言われても、全体的な取締役の中に占める割合とすれば、相対的にまだ少数ではないかという指摘、それから一方で、社外取締役が一人であっても、その人の発言というものは取締役会全体の意思決定に影響が少なくはないんだ、こういうような二つの御意見もあったやに思います。 この取締役会における社外取締役の人数、それから役割、これについてどういう御意見がおありになるか、神田参考人にお尋ねいたします。
○神田参考人 御質問ありがとうございます。 これも非常に難しい問題だと言わざるを得ないと思うんですけれども、二つあったと思います。 一つは、社外取締役は一人で十分仕事ができるでしょうか。私の感じは、一人ですと、取締役会が何人かにもよりますけれども、やはり本人もなかなか大変だと思いますし、そんな、一人で何でもやれるようなスーパーマンというかスーパーウーマン、そういう人がそうたくさん日本におられるとも思えませんので、これは実際の話で制度の話ではありませんけれども、やはり複数いた方がいいというふうに思います。 それからもう一点、私がお聞きして重要だなと思ったのは、取締役会のサイズですね。 おっしゃるように、監査等委員会ということで申しますと、監査等委員会という、今度は制度の話になってしまいますけれども、過半数が社外ですけれども、取締役会の人数の規制があるわけではありません。ですから、例えば取締役会が物すごく多いと、変な話ですけれども、監査等委員会と比べて取締役会での議論というのはまた、多勢にということになり得るわけですね。 これはまた歴史になってしまうんですけれども、アメリカもそうですし、日本もそうなんですけれども、なぜそうかというふうに言われると私もよくわからないところがあるんですが、取締役会の人数というのは減少の歴史なんです。 アメリカも、昔は三十人、四十人というのが上場会社では当たり前だった時代から、先ほどちょっと申し上げましたけれども、十人から十二人というふうになりました。日本も、人数の非常に多い取締役会の時代というのがありましたけれども、今、上場会社の平均というのは十名ちょっとぐらいになっていると思います。 そういうことでいうと、取締役会の人数というのは減る傾向にあります。ですから、これもやはり経験で、余り人数が多いのは、このスピードが重視される時代に意思決定という面、その他の面でやりにくいということがあらわれているのではないかと思います。 そうだとしますと、取締役会というのは、これは制度の問題ではないんですけれども、人数は減ってきている、そういう中で監査等委員会というものを設置した場合に、監査等委員会のサイズをどのぐらいにして、過半数は社外なんですけれども、その過半数の社外の方が監査等委員会のみならず取締役会においてどういう役割を果たされるのかというふうに物事を考えますと、私などは前向きに期待したいというふうに感じます。
○郡委員 ありがとうございます。 監査等委員会の委員については、常勤者をどうするかとか、いろいろあるんだろうと思いますけれども、ちょっと時間がなくなって、私は、実は民主党の男女共同参画委員長を務めておりまして、きょうは太田参考人からダイバーシティーの話があったものですし、また鈴木社長もおいでになっていて大変頼もしく思ったので、その点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。 社外取締役の構成にダイバーシティーを求める声というのが上がっているというふうに承知しています。先ほど御紹介をいただいた欧州議会、これも二〇一三年十一月に、上場企業の非業務執行役員、すなわち社外役員に占める女性の割合、これを四〇%に引き上げる指令案を可決しております。アメリカでは、女性やマイノリティーなどの取締役の多様化を求める株主提案が出されていたり、それから二〇一一年には、上場企業の女性取締役の比率三〇%を求める有力投資家による三〇%連合というのが結成されたというふうにも報じられました。 もう既に社内で取締役九人のうち三人が女性だというふうに御紹介いただいた鈴木参考人ですけれども、このダイバーシティーの観点、女性ですとか外国人など、独立取締役に期待される機能あるいは効果といったものはどういったようなものがあるとお思いでしょうか。 それから、日本の社外取締役の選定においても、このダイバーシティーの観点というのを取り入れるべきではないかと思うのですけれども、鈴木参考人とそれから太田参考人にお尋ねしたいと思います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございました。 意思決定におきます多様性につきましては、特に当社の場合、日用品のメーカーでございますので、商品の上市、商品の決定に当たっても、エンドユーザーに近い視点というものが非常に大切というふうに考えておりまして、特に当社の場合、そういう意味でも女性の視点というものは非常に大切だと思っております。 また、健全な意思決定を図るに当たりましても、やはり女性それから外国人、あと当社の中では、それに限らず、生え抜きばかりでなく、中途採用をどんどん登用していこう、そのように、外からの視点、多様な視点を経営の中に取り入れることによって、経営の健全性それから革新性というものが保たれる、そのように信じて行っております。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 今先生御指摘のとおり、EUでは、欧州指令で二〇二〇年までに非常勤役員のうち四〇%を女性にするよう求める指令案が既に可決されておりますし、実は先ほど御紹介したインドでも、インド会社法では取締役のうち一人は必ず女性にしなければいけないというのが通っています。 今、政権の方でも女性の登用が叫ばれていますが、そういう割り当て制にするかどうかの是非はまたいろいろあると思いますが、アメリカでも、ダイバーシティーに関する方針を開示するというようなことになっておりますので、我が国でも、いろいろな形でダイバーシティーの推進ということを今後図っていくべきではないかなというふうに私個人としては思っております。 以上でございます。
○郡委員 これまで男性社内出身者が主流を占めてきた我が国の取締役会にやはり新しい風を吹かせることになるんだと思いますし、東証の一部上場企業の千六百六社の調査でも、女性役員がいる会社といない会社で、いる会社の方が売り上げ、利益とも圧倒的に業績がいいことがわかったということでありまして、アメリカの調査結果よりもさらに顕著な差が見られたということで、今後の検討課題として、ぜひ女性の執行役員、取締役への選任というのも議題にさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。 きょうは、四人の皆さん、大変貴重な意見をありがとうございました。 私は、経済産業委員会の理事で、ふだんこの委員会にいないんですけれども、参考人ということで相談がありまして、それは絶対、エステーの鈴木社長に来ていただいた方がいいよという話をしておりましたら、では今井さん、質問してくださいということがございまして、ここに質問に立たせていただいております。委員長を初め理事の皆さんの御配慮に感謝を申し上げたいというふうに思います。 先ほどいろいろお話をお伺いしていまして、それを聞いてちょっとお話をお伺いしたいと思うんです。 まず鈴木参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、社外取締役を入れて大変すばらしい取り組みをされているということで、皆さんも本当にいい参考人に来ていただいたなという声が上がっておりました。 一番のポイントは、やはり執行役会の方が一週間に一回あり、取締役会が年間で、九回とおっしゃっていましたね。ですから、執行役の方の意思決定が非常に速くなったということが一番大きなポイントだった、そういうお話だったと思います。 まさしく、そういうことなんだろうと思いますが、その意思決定が速くなったこと、あるいは透明性が確保されたことが、例えば業績あるいは商品開発、あのエステーのすばらしい宣伝につながったのかどうかわかりませんが、あるいは営業戦略、そういうところにどういう影響を与えたのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。 当社の重要な経営方針の一つ、スピード経営ということをモットーとしておりまして、まさにおっしゃっていただいたとおりに、非常に個性のある宣伝の決定もそうですし、他社にないような商品の上市、こういったものも、多数いる取締役会で、しかも、そう頻繁に開催されるわけでない取締役会で長くもんでいくことによって、こういったものは生まれてこなかったのではないか、私自身はそのように感じております。 毎週の執行役会、これも、もともとは隔週でやっていたことなのですけれども、さらにスピードを速めるために、昨年の二月から毎週月曜日朝八時から、当初は四時間ぐらいかかってしまっていたのですが、二時間にしようと。これも私が社長に就任してから、時間も区切って、迅速な意思決定を図るように心がけております。
○今井委員 ありがとうございました。 それともう一つお伺いしたいんですけれども、先ほどほかの参考人の皆さんのところで、伊佐さんの質問のときですか、情報の非対称性という話がございました。確かに、社外取締役はどれだけ情報がとれるかということなんですけれども、ある意味、その執行役のところでの議事録を見るとか、何らかの方法はあるんでしょうが、御社の場合は実際そういう点についていろいろな問題が起きたりしているかどうか、その点をお伺いしたいというふうに思います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。 先ほど申し上げましたように、毎月、このぐらいの束の報告を執行役から各社外取締役の方々にはお送りしております。それも、本当に数字だけといったものばかりではなく、当然議事録等も、もちろん重要な会議の議事録も中に入っておりますし、中には、社内方針説明会のスライド資料であったり、あるいは毎月やっております全社の朝礼の発表内容みたいなことも全て含めて、先生方にお送りするような形をとっております。 また、監査委員の方の往査ばかりではなく、社外取締役の方々には社内の重要な拠点等にはお越しいただく、そのような働きかけも行いまして、私を初め、執行役で取締役を兼務している者が三名おりますので、その三名が社外取締役との橋渡しをするというつもりで、日々接しております。
○今井委員 どうもありがとうございました。 やり方の工夫によっては、この非対称性はある程度改善できる、そういうお話ではなかったかというふうに思います。 次に、私は十年前までメガバンクに勤めておりまして、最後は本部の運用部門の統括次長をやっておりましたけれども、当時、取締役と執行役がちょうど入った時期でありまして、執行役と取締役は一体何が違うんだと。導入時は本当にわからないわけですよ。直接の部長が取締役だったんですけれども、執行役と取締役のすみ分けがほとんどはっきりしていないので、機能していないというのを本当に、現実、すごく振り回されたことがありまして、これはやはり改善しなきゃいけないなというふうにずっと思っておりました。 今回の法案は、基本的には、すばらしい前進をしている、よくここまで日本も来たなという感触を持っておりまして、全般的には非常に評価できるなというふうに思っております。先ほど郡委員の方からも議論がありましたけれども、多分論点は、社外取締役を義務化させるかどうかというこの一点かなというふうに思っているんですね。 先ほどから、皆さん、いろいろ御見解をいただきました。鈴木参考人は保留されましたので、あとの三人にお伺いしたいと思います。 私は、委員会でこの議論に参加しておりませんので、役所のレクベースで、日本はどうして義務化できないんだというお話をしましたところ、役所の方からは、社外取締役の導入になじまないようなものもあるのでというお話だったんですね。それはちょっと腹にすとんと落ちてこないんです。 というのは、諸外国で義務化できているもので日本が義務化できないということは、日本に何か特殊な事情があるのか、日本に特殊な業種の会社があるのかと、その辺を聞いても、どうもはっきりしないわけです。 お伺いしたいのは、例えば、今のこの議論をするときに、確かに、そういう適任者がいないとかいろいろ問題はありますが、逆に言えば、これを諸外国で義務化している国、そういうところでどういう問題が起きているのか、それはどういう御認識かということ。 それから、韓国とかそういうところで、一定の規模以上を義務づけるというやり方もありますね。こういうやり方であれば、先ほど佐久間参考人がちょっとおっしゃいました、地方とかそういうところでは人がなかなか確保できない、こういう問題もある程度は解消できると思うんですね。そういう考え方について、お三方に御意見をいただきたいと思います。
○神田参考人 最初にお答えさせていただきまして、恐縮です。 幾つかちょっと場合分けしたいと思うんです。 まず、諸外国は義務づけられているというのは、会社法で義務づけているのか、取引所のルールかはともかくとして、例えば、アメリカであると義務づけられているわけですけれども、上場会社が対象なんですね。アメリカは上場会社の数は多いんですけれども、ヨーロッパなどでは上場会社の数は非常に少ないです。 ですから、日本の場合、義務づけということを考えると、約四千社、上場会社で約三千六百社と言っていいかと思いますけれども、三千六百社に義務づけが行われることになります。その場合、先ほどからも御指摘が出ていましたけれども、現状では六〇%ぐらいの会社はもう既に置かれているわけですけれども、残りの四〇%の会社に義務づけることになります。 そうしますと、私は義務づける方向に決して反対ではないんですけれども、今義務づけますと、四〇%の今置いていない会社さん、例えば三千六百社掛ける四〇%の会社さんは、とにかく置こうとするわけですね。とにかく置こうとしますと、それこそ置きさえすればいいということになってしまって、本末転倒というんでしょうか、本来の社外取締役の機能が発揮されないおそれがないとは言えないということです。 それで、いや、諸外国だってそういう問題はあるでしょう、全くおっしゃるとおりなんですけれども、アメリカを除きますと会社の数が全然少ないですので、やはり、何というんでしょうか、人数的にも全体としても違うので余り簡単には比較できないと思うんですけれども、ちょっと推測になってしまいますけれども、諸外国においても社外取締役は機能していますかという問いを発せられたら、答えは、機能している会社もあれば、機能していないというか、法の理念、ルールの理念が必ずしも、実際に地に足がついていない会社もあるでしょう、恐らくそういうことになるんだと思います。 ですから、義務づけの話というのが非常に難しいというのは、形よりも実際を伴うことが本来の狙いですので、そのために、今義務づけたらいいかどうかというのが難しいということかと思います。 それで、上の方の会社だけとおっしゃったように、一定の会社だけ義務づけるというのも当然あり得る選択肢だと思いますし、例えばということで申しますと、会社法でそれをやるのが適切かということがあるかもしれませんけれども、先ほどちょっと御質問いただいた、取引所のルールですとかで一定規模以上とかいうことはあり得る選択肢ではないかと思います。 ただ、今回、もう既に先ほどからもお話が出ていますけれども、強く奨励していますので、そういうことでいうと、ほとんど義務づけしているのと余り実際の効果としては変わらないことになるのではないかというふうに思われます。 以上です。
○佐久間参考人 ありがとうございます。ただいまの質問についてお答えさせていただきます。 まず一つ、日本はなぜ義務化できていないのかという点もあったかと思います。 これは、事実を見れば、日本の場合、やはり世界にも冠たる監査役制度があって、それが非常に長い年月をかけて強化されてきた。ここはなかなか理解されていませんが、今、日本監査役協会では、監査役の英文表記を、オーディット・アンド・スーパーバイザリー・ボード・メンバーというふうにしています。これはまさに、ほとんど決定権はないにせよ、社外取締役、取締役と同じ機能が一部あるということをあらわしているということでございます。 今の監査役会設置会社においては、もう御案内のとおり、半数以上の社外監査役、その方々には極めて強い監査権限、またさらに独任制ということであります。社外取締役の方は、あくまでも取締役会の構成員としての意思決定です。一人で決められるものは基本的には何もない。ところが、監査役の方は、社外監査役お一人で全てできるところがあります。監査役が監査報告書を一人で不適正と書けば、もうそれでそのままその会社は不適正ということにもなります。上場会社であれば、そういう報告書が出るということは基本的には大変なことでありますので、責任問題は当然生じる、こういうことでございます。あと、差しとめとか、そういう極めて強い権限が与えられている。 そういうのが事実ありまして、そこにやはり入れるか入れないかという議論が今回持ち上がっているということだと思います。ここは諸外国と非常に大きい違いがあるかと思います。 次に、一定の規模以上、こういうお話。その辺は、まず、先ほども申し上げましたけれども、時価総額、例えば今の一部上場で五十位ぐらいまでとれば、ほとんど全ての会社にはもう入っているということでございます。そういうことと、今回の会社法の改正案には二年後の見直しというのも入っています。というところからすれば、その辺も多分、今後の議論の見直しの中で議論されていくものではないかということだと感じています。 以上です。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 まず最初、なぜ日本でだけ義務化できていないかということなんですが、今、佐久間参考人の方からお話ございましたとおり、日本の監査役制度というのがあって、日本の監査役制度は、ガバナンスシステムとして、決して別にいわゆるモニタリングシステムとかより劣っているとは思わないわけなんですけれども、世界の中で残念ながら圧倒的な少数派でございまして、海外機関投資家とかが社外メンバーがボードに入っているかというのを数えるときに、社外監査役の人はカウントしてもらえない。だから、社外取締役がいないと、あたかも一人もいないかのようにカウントされてしまう、これがはっきり言って実情でございます。 その意味では、日本は別途、社外監査役というのが監査役の半数以上を占めなければいけないので、そこを含めて考えると別にほかの国と遜色ないわけですけれども、事社外取締役に限って見ると、やはり義務化されていないというところが目立ってしまうという問題はございます。 それから、規模によって分けてはどうかという話でございますけれども、私は、それは一つの考えとして十分あり得ると思います。 要は、海外機関投資家が注目するのは、結局、グローバルに事業展開をしていく会社、それからグローバルにファイナンスをしなければいけない会社について見ると、グローバルにビジネスをしているのに、何でグローバルスタンダードから外れたガバナンスシステムなんだということが言われるというわけでございます。何もドメスティックに事業をやっておられる会社に義務づける必要まではないという考え方もあろうかと思いますので、会社の規模に応じて義務化すべきかどうかを分けていくという考え方は十分あり得るのではないかと個人的には思っております。 以上でございます。
○今井委員 ありがとうございました。 先ほど郡さんもおっしゃっていましたけれども、実質義務化なら、義務化した方がはっきりしてみんなにわかりやすいということだと思いますし、義務化していなくてもどんどん入っているというのであれば、外国市場の人から見ればすぱんとしている方がわかりやすいわけです。 質問じゃないんですが、私、銀行をやめてからいろいろなことをやっていまして、一つは、もとの財務官の榊原英資さんとずっとお仕事をしていまして、彼はインドのウィプロというITの会社の社外取締役をずっとやっておりまして、その関係でインドの仕事をいろいろやっていたんです。 インドの会社は、あそこは新興国なんですけれども、イギリス型の統治機構を入れているので非常に進んでおりまして、社外取締役もグローバルでいろいろな国の人が来ているし、タタ・グループですとか大手の銀行の役員ですとか、みんながボードメンバーに入っていてやっているんですね。 ですから、グローバル展開を俯瞰して、外側からきちっと見ているというガバナンスがしっかりできていて、インドは、経済成長では日本の方が進んでいるのに、随分ガバナンスは日本はおくれているなとすごく思っていたので、そういう意味では、早くここの部分というのは世界標準に進まなきゃいけないと思うんですね。 世界で一番企業が活動しやすい環境というのは、いろいろなことがありますけれども、一つは資金調達ですよ。資金調達がしやすい環境というのは、やはり株式市場でのガバナンスがきちっとしているということが非常に重要でありまして、だからこそ私はそこにこだわっているんです。 先ほど佐久間参考人がおっしゃっていましたけれども、最後にちょっとお伺いしたいんです。 実はこの間、欧米のヘッジファンドの人が来ていていろいろお話をしていまして、アベノミクスの評価についていろいろ話をしていたんですが、実は会社法がちょっと変わるみたいだよという話をして、この三つの形態というのを説明しようと思ったんですが、英語だったせいもあって、私、説明し切れませんで、わかるかと言ったら、わからないと言われたので、ちょっとわかりにくいねということだったんです。先ほどもまさに、わかりにくいという意見があるという御指摘をされていましたけれども、そこについての評価はおっしゃっておられませんでした。 とにかく、日本という国はわかりにくい国だというのが外国人の一番の懸念材料なんです。だから、シンプル・イズ・ベストで、できるだけすぱんとした方がみんなには入りやすいんですね。だから、そういうふうにしていくべきだと思うんですけれども、その点について、いかがでしょうか。
○佐久間参考人 ありがとうございます。 一般的に言えば、わかりやすい方がいい、シンプルな方がいいということではあるかと思いますが、ガバナンスにつきましては、逆に、この三つの選択肢があるというプラスの面も非常に大きいわけでございまして、やはりそこはわかってもらえるよう何度も説明していく努力を続けなければいけない、こういうふうに考えています。 以上です。
○今井委員 どうもありがとうございました。 説明をして普及するというのは非常に難しいんじゃないかなという感想を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 本当にどうもありがとうございました。
○江崎委員長 次に、椎名毅委員。
○椎名委員 ありがとうございます。結いの党の椎名毅でございます。 本日、四人の参考人の方、大変お忙しい中貴重なお時間をとっていただきまして、そして貴重なお話をいただきましたこと、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。 私自身も、太田先生のライバルと呼ばれると勝手にこっちが自負している法律事務所で長年働いておりまして、日本の法律を英訳しながら説明をするみたいな、そういう仕事もよくやっておりましたが、今後、日本の経済の発展ということを考えたときには何が一番問題になるかという中で、一つ大きな問題が、グローバルに会社法と税法と金融規制の競争が起きているというふうに私自身は思っていて、日本に投資を集めるために、グローバルスタンダードに沿った、もしくはそれよりも使い勝手のいい規制をインフラとして整えていくことの必要性というのが非常にあるというふうに思っています。 そういった観点から、今回の会社法改正については非常に評価をしている部分もございますが、やはり特に社外取締役の義務化というところについて大きな論点になっているというのは理解をしております。 私自身もいろいろ考えたんですけれども、やはり最後の最後、今まで監査役また監査役会の方々が日本の企業文化の中でやってきたことというのが伝わりづらいというのが一番大きな問題かなというふうに思っています。 英米系だとダイレクターと呼ばれる人たちが監督をし、そしてオフィサーと呼ばれる人たちが執行するというのがおおむね一般的に了解されている部分だと思うんですけれども、我々はスタチュトリーオーディターというふうに翻訳をしていましたが、監査役の仕事というのが、それは何と聞かれるわけですね。 やはりそういったところがあるかなというふうに思っていますけれども、実務の観点から、今までの監査役の実務のわかりづらさというところについて、太田先生に伺えればと思います。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 私自身も実は上場会社の社外監査役をやっておりまして、日本の監査役会設置会社が実務として機能しているかどうかというと、実はちゃんと機能しているというふうには思っております。 制度設計のたてつけが違うわけでございまして、いわゆるアドバイザリーシステムという形で、取締役会の横からモニタリングをする。自分が関与したものについては、自分で監査すると、それは自分でやったものだから当然正当化してしまうので、自己監査ができない。なので、できるだけ業務執行から離しましょうというのが日本の監査役会設置会社のシステムでございますけれども、それはそれで理論的にも一貫していますし、それが実務で回っているかどうかというと、きちんとそれは回っているというふうに思っております。 結局、何といいますか、本当に製品のガラパゴス化と同じ問題だと思っておりまして、すぐれた製品なんだけれども、やはり諸外国にそんなに例がないだけになかなか理解してもらえない、そういうのが残念ながら実情というところかなと思っております。
○椎名委員 ありがとうございます。 そういう意味で、英訳すると恐らくダイレクターになるであろう取締役が監督をしていくという制度設計になる社外取締役の制度というのは非常に有意義なものなんだというふうに思いますし、鈴木参考人からも非常に有意義なお話をいただいたかというふうに思います。それを監査役設置会社、監査役会設置会社に義務づけるかどうかというところなんだと思います。 法制審の中でも非常に大きな議論があったのをよく存じておりますけれども、ビジネス界の中でも非常に議論が割れている部分があるかと思います。日本取締役協会の独立取締役委員会というところは、経営者の集団なんだと思いますけれども、こちらは、上場企業については強制力を伴う法律で複数名の独立取締役を義務づける必要があるというふうに言っております。 こういう考え方もある中で、佐久間参考人に伺いたいんですけれども、経営者の中でも意見の違いがある中で、どういうふうにお考えかということを教えていただければと思います。
○佐久間参考人 ありがとうございます。 経営者の方にもいろいろな意見がある、そのとおりだと思います。当然あってしかるべきだということだと思います。 経団連の場合は、個人ということではなくて、会員企業の集まりでございまして、個人というよりは、企業が集まったところのポジションをつくっている、こういうところの違いがございます。 そのポジションは、先ほど申し上げましたとおり、義務化には反対している、したがって、今回の会社法改正案というのは高く評価をしているということでございます。 ただ、何回も申し上げて恐縮ですけれども、社外取締役の存在を否定しているわけでは全くない。それどころか、大きな会社はほとんど入れているし、入れようとしている、こういうことでございます。 以上でございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 今回の改正でいいますと、監査役設置会社及び監査役会設置会社については、社外取締役を置かない場合には、置くことが相当でない理由を述べなきゃいけないということになってるわけです。 これは、事実上義務化に近いと皆さんおっしゃっていて、僕自身もそういう評価をしている部分はあるんですけれども、ちょっと待てよと思って、改めて冷静に考えたときに、では、社外取締役を置くことが相当でない理由だというふうに言い張って、会社側がなおざりな理由を開示した場合、これを株主側が争っていく手段というのはそもそもあるのかというふうに考えたんですね。 例えば、株価が下がらなければ、株主側はそんなに争う手段がないんじゃないかなというふうにも思って、正直、かえって骨抜きになってしまう可能性もないかという懸念を私自身は持った次第でございますけれども、それぞれ、神田先生と太田先生から御意見をいただければというふうに思います。
○神田参考人 非常に法律的な御質問をいただいたと思います。どうもありがとうございます。 見解は分かれるところだと思いますけれども、仮に、今回の法案が、法案のとおり政府提出法案が成立したといたしますと、現在、法律上の規定は、定時株主総会において、置くことが相当でない理由を説明するということになります。 それが十分でなかった場合、あるいは説明がなかった場合もそうかもしれませんけれども、そのルールに違反した場合の効果がどうなるのかという御質問かと思いますけれども、それは、取締役が当然、定時総会で説明する義務を負いますので、取締役がその義務に違反したということになると思います。 それから、法律レベルの話ではないので今回の法案には含まれておりませんけれども、これまでの法制審議会での審議、その後の与党での御検討というところで、法務省令において、二つの次元で同じような、置くことが相当でない理由を説明することが予定されているというふうに伺っています。 一つは、事業報告というものでして、これは、法案にあります定時総会と同じで、例えば三月決算の会社でいいますと、四月から三月の間に置いていなかった場合には、それが相当でない理由を、定時総会では、六月の総会になりますけれども、その年度の事業報告で説明するというか述べるということになるんです。 もう一つ、株主総会参考書類で、その株主総会、例えば六月の株主総会で、当然、取締役の選任の議案というのが付議されるわけですけれども、その中に、社外取締役がいない場合には、なぜいないのかというか、置くことが相当でない理由を説明するという法務省令が設けられる予定であるというふうに伺っています。 最後の、株主総会参考書類の場合は、今おっしゃったように、その説明が不十分であったりしますと、それはこれから選ぶ議案との関係で説明が求められているわけですから、会社法の伝統的な考え方によれば、それは株主総会決議が違法というんでしょうか、取り消し事由というふうに言っていますけれども、になる場合もあり得るということではないかと思います。 ちょっと簡単ですけれども、以上です。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 私が商法を大学で習った神田先生を前にして法律論を語るのも、大変僣越だとは思うんですけれども。 実務家の立場で見ると、エンフォースメントといいますか、極端な事例で、置くことが相当でない理由というのが書いてあって、何も書かなかったというふうにした場合に、それはやはり、事業報告に書くですとか参考書類に書くというところに違反ではあるわけですけれども、総会の決議の取り消し事由になるかというのはなかなか、議論があり得るところかなと。確実に総会決議が取り消されるということには必ずしもならないかもしれないというふうに思っております。 以上でございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 私も、会社法を習った神田先生と、それから大先輩であります太田先生からそんなことをおっしゃっていただいて、感動しましたけれども。やはり難しいんじゃないかなと思うんですよね。ちょっとそこは、これからもう少し考えなきゃいけないところなんじゃないかなというふうに思います。 実際、骨抜きになるというのは、置くことが相当でない理由なのか、置かない理由なのか、このあたりのグラデーションのところで、どっちも判別がつかないぐらいのところが恐らく論点になるだろうというふうに思っていて、結局、置かない理由を何か定式化して書いてしまう人たちがふえないことを私自身は期待をしています。 もう少し伺いたいと思います。 やはり、社外取締役を義務化するかしないかは正直見え方の問題だと思っていて、さらに言うと海外からの見え方の問題だと思っていて、実際この法制度がどうなるかというところとちょっと違う部分の問題なんじゃないかなというふうに思っています。最も重要なのは、本当は、人材をどう確保するか、実際にどう監督してくれる人たちを探すかであり、育てるかなんだというふうに思います。 そういう点から、鈴木参考人に伺いたいんですけれども、どうやってすばらしい社外取の方々を見つけられたのか、教えていただければと思います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。 本当になかなか難しいことですので、あの手この手を使っております。 全てをあけすけにお話しすることはどうかと思いますけれども、普通に考えて、社内の人間の外への人的なネットワーク、それから社外の方からの御紹介、これは当然ございます。それから、さまざまな場でお名前を拝見して、それぞれの方についていろいろ調査をさせていただいて、そしてインタビューをした上で、社外取締役にお越しいただくというケースもございます。本当にあの手この手ということでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 そのあの手この手が使える会社と使えない会社もありそうな気がしますけれども。 先ほど来、佐久間参考人がおっしゃっていますけれども、地方なんかだと難しいというのは、それは本当にそのとおりかなというふうには思っています。人材をこれから確保していくことが今後の課題なのかなというふうに思っています。 そんな中で、一つ気になる動きが僕の中で、動きというか気になるうわさを聞いたんですけれども、社外取締役というものがこれから間違いなく進んでいくだろうといううわさが先行していて、弁護士の業界の中で、次は社外取締役なんじゃないかといって、社外監査役が新しいビジネスチャンスだと思っていたビジネス弁護士たちが、さらに社外取締役に入り込んでいこうという動きを見せているやに、うわさとして聞こえてきたんです。 実際問題として、弁護士というのは、法律に反するか反しないかというところの監査はできるような気がしますけれども、実際に業務執行が妥当かどうかという意味での妥当性監査に相当する部分についてまで入り込んでやれるのかというと、なかなか難しいんじゃないかと思います。 ぜひ、弁護士でもあります太田先生に、弁護士が社外取になるということについて、ちょっと御意見をいただければと思います。
○太田参考人 御質問ありがとうございます。 私自身は、義務化がされたとしても、別にそれで社外取締役になってどうこうということは全く思っていないわけでございます。 社外取締役、御案内のとおり、重い責任も負います。当然、代表訴訟にもさらされますし、実際に今起きている代表訴訟とかを見ても、例えば企業で不祥事があった場合に、社外取締役とかに対して、まさに、社外取締役は何をやっていたんだということで訴訟が起きていたりする事例もありますので、めったやたらに弁護士がわっと入ってくるということはないんだと思います。 一方で、アメリカの例とかを見てみましても、では、弁護士が全くふさわしくないかというと、必ずしもそうではない。アメリカの大手上場企業とかでも、弁護士が社外取締役になっている例は多々ございます。 先ほどの、弁護士は経営には精通していないわけでございますけれども、神田参考人の意見の中にありましたけれども、社外取締役の役割で、助言機能と、経営全般の監督機能、それから利益相反の監督機能がございますけれども、経営全般の監督機能という面では、経営者御出身の方の方がよりよく判断できる場合は多いかと思いますけれども、利益相反の監督機能というのは、これはやはり法律の専門家の方が向いている部分もないわけではないと思いますので、ここは、ある意味では、まず、弁護士であるかどうかが問題というより、その人が本当に社外取締役であることにふさわしい識見があるかどうかというところでお選びいただくのが一番よろしいのではないか、かように思っている次第でございます。 以上でございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 そういう意味で申し上げますと、やはり企業経営に通じている方々がこれからたくさんふえていくことは必要なんだというふうに思いますし、そういう意味でいうと、実際に機能するまでは結構時間がかかることかもしれませんけれども、貴重な御意見をいただきましたけれども、私自身は、新しい制度についてこれからも期待していきたいなというふうに思っております。 最後に、佐久間参考人に、今後の社外取締役のあるべき姿というか、どういうふうなことを期待して、どういうふうな社外取締役が望ましいかというところについて御意見をいただければというふうに思います。
○佐久間参考人 ありがとうございます。 社外取締役についての意義というのは十分あると思っていますので、義務化に反対しているということでございます。 一旦、ある企業において社外取締役の方を選任するということになった場合のその期待ということだと思いますが、それは、非常に陳腐な言い方になってしまいますけれども、やはり適切な監督と意思決定にどのくらい貢献していただけるかということだと思います。それが本当に、各社それぞれの置かれた状況によって違うだろうということだと思います。 ですから、そういう意味では、ある意味では、非常にマッチングというか、ニーズと求められる人材がしっかりと合った上で、その期待される役割を社外取締役の方が果たしていただければと思います。 以上です。
○椎名委員 ありがとうございます。 これで質問を終わります。 本日、お忙しい中、本当にありがとうございます。
○江崎委員長 これにて参考人の皆さんに対する質疑は終了いたしました。 本日、参考人の皆様方には、大変貴重なお話を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して心から厚く御礼を申し上げる次第であります。 これからも、会社法のさらなる充実、いろいろ御助言いただきますことを心からお願い申し上げる次第であります。 どうぞ御退席ください。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会