原子力問題調査特別委員会 第6号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2014/05/29
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査を進めます。 本日は、本件調査のため、参考人として、東京大学公共政策大学院非常勤講師諸葛宗男君、21世紀政策研究所研究主幹・NPO法人国際環境経済研究所所長澤昭裕君、東京工業大学特任教授西脇由弘君及び東京大学名誉教授井野博満君、以上四名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。 それでは、まず諸葛参考人にお願いいたします。
○諸葛参考人 諸葛でございます。 きょうは、原子力規制委員会が発足して一年八カ月ほどたったわけでございますけれども、この規制委員会の規制行政について思うところを述べよ、こういうお話でございましたので、お手元に資料を用意させていただいております。 最初に、この規制委員会が発足して改善された点、よくなったところはマスメディアも余り取り上げませんので、いろいろ難しいところが報道されるわけでございますが、私自身は、東京大学で、原子力法制研究会というところで二〇〇七年から規制行政の研究をしておりまして、さまざまな提言をさせていただいておりました。原子力規制委員会が発足いたしまして、私どもの研究成果もかなりの部分を御活用いただきまして生かしていただいたということで、まず最初にその改善された点を申し上げたいと思います。 まず一番に挙げさせていただきましたのは、行政組織の一元化でございます。 これは、具体的には、原子力発電所でいいますと原子力安全・保安院と原子力安全委員会の統合でありますし、そのほかの原子力施設は文科省の規制行政部門が担っていたわけでございますが、それら非常に分散していた規制組織が統合されて、非常に風通しのいい組織になったことでございます。 二点目は、三つのSの一元化でございます。 これは、昔、洞爺湖サミットのときに福田総理が共同宣言に盛り込んだ三つのSという、それまで専門家の間の言葉が首脳の宣言に盛り込まれたというわけでございますが、セーフティーとセキュリティーとセーフガード、こういう三つのSでございますが、これが事故前は分散しておりました。安全・保安院あるいは文科省あるいは外務省、こういうふうに分散しておりましたけれども、これが現在は規制委員会に統合されているということで、これも非常にすばらしいことです。 これは、福島事故の関連で申し上げれば、事故前にアメリカからB5bというセキュリティーの資料、アメリカで制定されたものが参考として、これはコンフィデンシャルですので、何が書いてあるかというのを私ども知る由もないのでございますが、これがセキュリティーの部門に埋もれていて、アメリカではこのB5bに書かれていることを実践して、格納容器の中のバルブを外から遠隔であけられるように改造したというプラントもあったわけでございます。今回ICが使えなかったというのは、恐らく格納容器の中のバルブが閉まっていたためでございますけれども、そういうようなことが今後はなくなるであろうと期待するわけでございます。 三つ目は、独立性の強化ということであります。 三条委員会になりまして、それまで、事故前は、安全・保安院が幾ら審査をいたしましても、許可を与えるのは経産大臣でございまして、安全・保安院の院長が許可権を持っていたわけではありません。人事権もございませんでしたし、予算権もなかったわけでございます。これらが全て規制委員会に権限が与えられたということで、いわゆるとりこという状態から脱却できた。 こういう大きな三点が改善点であろうかと思います。 大きな二点目は、残念ながら、事故前から退歩してしまった点も幾つかございます。一つは、コミュニケーションの頻度が減少してしまった。 数日前に福井地裁で、関西電力大飯三号機、四号機の運転に関する判決が出たわけでございますが、参考資料一というところにつけさせていただきましたけれども、一つだけきょう申し上げたいのは、この判決文の中に、メルトダウンするまで十時間もないという記述があるんですけれども、これは、私は裁判官の方を責めるつもりはなくて、どれだけ改善されたかという情報を誰が国民に知らしめる責任があるか、こういうことをちょっと先生方に申し上げたいんです。 これは規制委員会のホームページに載っているわけなんですけれども、それを掘り起こすのに、中の説明は省略いたしますが、八ステップ、クリックしながら、しかも最後にたどり着く資料は、何百ページかの八メガもあるような資料が出てまいりまして、その七十一ページにこの資料の冒頭に書いたような記述があるわけでございます。それを読まないと、事故前に五時間しか余裕の時間がなかったものが十六日間になったということはわからないわけでございますが、こういう非常に重要な情報を、やはり、これは安全に関する話でございますから、私は、規制委員会が国民に周知徹底する責任があるんではないかということをちょっと述べさせていただきます。 コミュニケーションの二つ目は、関係者の声に日常的に耳を傾けるという必要があろうかと思います。 これは三ページ目でございますが、参考資料の二というところに色刷りで載せておりますけれども、一番左の絵は、事業者と国と学術界の事故前の関係でありまして、とりこにされたということを絵にすると、事業者が全体を囲っているような絵になろうかと思いますけれども、これが現在どうなったかというと、事業者、国、学術界が、それぞれ接点がないような状態になってしまっているのが現状ではないかと思います。本来は、一番右端に書いたように、適正にそれぞれのステークホルダーがお互いに接点を持つという関係に、私はこれを自律的連携と述べさせていただきましたけれども、こういう関係になるべきではないかと思うわけでございます。 コミュニケーションの三つ目は、これは参考資料の三というところでありまして、事故で原子力にはこういうリスクがつきものだということがもう国民に知れ渡ったわけでございまして、事故前はできるだけこれを余り表に出さないという安全神話があったわけでございますが、今後はきちんとこのリスクに正面から向き合って、安全性の改善をしなければいけない。 このグラフは、縦軸は片対数でありまして、横軸が時間でありますけれども、どこまでもリスクは下げていかなければいけない。例えば、現時点の規制基準が真ん中の赤丸だといたしますと、事業者はそれよりもさらにリスクの低いところに向かって努力をしていくべきであろうかと思います。そうしますと、リスクは、左側に緑の矢印で示したようなリスク軽減効果が出るわけでございます。こういう活動を国も事業者も継続的に行っていく必要があろうかと思います。 一ページ目に戻りまして、事故前から退歩した点の二点目、二ポツの2でございますが、監査機能が失われてしまったということを申し上げたいと思います。事故前は原子力安全委員会が原子力安全・保安院を監査する責任がありまして、規制調査権というものがあったわけでございますが、現在はそれが統合されて、本来は原子力規制委員会が原子力規制庁を監査するのが理想だと思いますが、そういう監査機能が今失われているんではないか。 三つ目は、全体統合機能の弱体化ということでありまして、これは、いわゆるガバナンスが働いていないんではないかということを申し上げさせていただくわけでございます。 四つ目は、これはバックフィットと呼ばれていますけれども、新しい技術基準を遡及して適用するルールが事故後できたわけでございますが、現在は何でもかんでも遡及適用するということになって、非常に長期の審査期間がかかっているわけでございます。これは、憲法で保障された、財産権を保護する、こういう権利を侵害しているという指摘もございまして、私は、バックフィットそのものは、ああいう事故が起きた以上、必要だと思いますけれども、バックフィットをする範囲をきちんと適正に決める必要があるんではないかということで、ここに挙げさせていただきました。 三ポツは少しはしょってお話ししますと、全体統合機能の強化というところの改善提案でございますが、私は、規制委員会に品質マネジメントシステムを導入することを提案したいわけでございます。それからもう一つは、リスク管理とリスク評価の機能の分離ということも御提案申し上げたいということであります。 駆け足でございましたけれども、私の説明は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○森委員長 ありがとうございました。 次に、澤参考人にお願いいたします。
○澤参考人 おはようございます。21世紀政策研究所の澤です。よろしくお願いします。 きょうここに並んでおられる参考人の中では最も経験が浅く、原子力政策について最近仕事を始めたものですから、いろいろ安全規制の問題についても申し上げることについて間違いがあるかもしれませんけれども、ある意味、一般的な目から見たときに、今の規制行政問題がどうなっているかという視点でお話ししたいと思います。 まず、一ページ目のポンチ絵みたいなものですけれども、規制活動と事業者の関係が今悪循環になっているんじゃないかということでございます。 左上に丸に書いてありますように、規制委員会は、本来、再稼働の必要条件を適用するのが仕事でありまして、必要条件以上のことを事業者が自律的にやっていく必要があるわけなんですけれども、むしろ規制委員会自身が、最近の判決にもありますように、リスクゼロを求めているような世論を過剰に意識しているのではないか。 その結果として、この右の方なんですけれども、規制委員会が必要条件だけではなくて十分条件の方まで示そうとして肩に力が入っているというのが実態ではないかと思います。したがって、みんながまたゼロリスクを追い求めているような状況になっている。 そういう中で、十分条件を探し出そうとすれば、規制委員会としては専門的知識を外部からインプットしなきゃいけないわけですが、先ほどお話があったように、外部からのインプット遮断にむしろ固執しているというような結果、十分な知見も蓄積できずに、それが明確な基準提示につながっていないという問題になっていると思います。 したがって、いろいろな電力会社が審査のデータを出すわけですけれども、それに対して規制委員会が、納得できないとか、まだ説得的ではないとか、そういう答えを言いつつ、その委員の考えをそんたくした規制庁の方で行政指導を行うわけですが、それに基づいてまた事業者が提案すると、また納得できないという繰り返しになっているのではないかということでございます。 その下の方の左に向かいますけれども、そうなると、審査期間が長期化して、終了時期がどうしても不透明化しますので、事業者は経営環境の悪化があるわけですから余裕がない、そういうことで、時間を要するような対策とか費用対効果が薄いような対策については、どうしても事業者は後ろ向きになり、規制委員会と対立をする。またそれが規制委員会のいらいらを募らせるといいますか、また必要十分条件の方に、肩に力が入るというのが繰り返し行われているような気がいたします。 こういう状況の中で、次のページですけれども、今後、規制活動に求められる三要素として書いた三つがございます。 一点目は、組織の自己規律、これは規制委員会の話ですけれども、規制委員会組織の自己規律と基準、手続の民主的統制ということです。 三条委員会にしたことは悪いわけではないと思いますけれども、独立性を確保されているわけですから、逆に自己規律をしっかりしてくれないと誰からも規律できなくなるということですので、組織の自己規律、つまり、自分たちがどういう考え方で規制基準を当てはめていくのか、あるいは実際の規制活動を行っていくのか。安全目標、リスク、合理性、効率性、いろいろ書いてありますけれども、判断基準を明確化していく、そして規制活動の原則を明確化していく、このことがまず第一に求められると思います。 そして、今、委員会の運営として合議制が保たれていないんじゃないか、そういうような意見があります。それはそのとおりだと思います。むしろ、専門技術、知識に裏づけられた原案の策定を、専門家たちがグループをつくって、規制委員会の下でやる、それが上がってきた中で、偉大なる常識人としての五名の委員が合議によって決定をする、こういう姿が本来あるべきではないかと思います。 そういったことを自己検証するためにも、次のポイントである国際標準に基づく規制活動ということで、もう少し国際的なエクスポージャーをふやして、みずから何をやろうとしているのかということをちゃんと説明しないと、海外の規制機関からも今信認が得られていないという状態だと聞いています。そういう意味で、国際的な説明責任というのを果たしていく必要がある。 三番目に、規制委員会と事業者間の対等緊張関係の確立と書かせていただきました。 これは、いわゆる恭順の意を示す事業者だけが早くライセンスを得られるというようなことを、それが事実かどうかは別にして、そういった受けとめ方がされるような規制委員会の運営の仕方というのが定常化してしまいますと、むしろ被許可者側は特別権力関係的な状況に置かれてしまうということで、逆に、事業者は、お墨つきさえ得ればいい、お墨つきを得られたらそれで仕事は終わりだと思いかねない、そういう悪循環をまたもたらしかねないわけでございます。 次のページですけれども、規制委員会だけが悪いわけではなくて、やはり事業者側もきちっとしないといけない部分が三点あります。 一点目は、今申し上げたとおりなんですが、事業者の、規制委員会とは別に、十分条件は自分たちがつくり上げていくんだということで、福島の、過去の事故からの教訓と反省に基づいて、一律のやり方ではなくて、サイトごと、炉ごとの安全対策は違うわけですから、一般的な基準をクリアした上で、各事業者がサイトごとの安全対策をとっていく、この姿勢が安心というものを醸成していくのではないかと思います。 二番目に、これは難しい問題なんですが、仮にライセンスを得た場合、許可を受けた場合、このサイトの安全性というのは誰が説明責任を持つのかという問題があります。規制委員会が持つのか、それとも事業者が説明をするのか、このあたりは、日本の歴史的なコンテクストも含めて考えると、どうしても国側あるいは規制委員会側がその説明責任を負うような感じはしますけれども、究極は、実際に運営しているのは事業者ですから、そこの、それぞれのサイトにおける安全性についての責任は事業者が貫徹するという意識がやはり必要だろうと思います。 そういったことを制度的に保障するために、三点目の、実効的なピアレビュー、いわゆる相互評価システムというものを確立していく必要がある。いわゆるJANSIが始めたわけですけれども、果たして魂が入っているのかどうか、そして、そのピアレビューをやることによって何らかのメリットも発生するのかどうか。そういうインセンティブがきちんと制度的にビルトインされていなければピアレビューも絵に描いた餅に終わってしまうということだと思いますので、この制度の確立が必要だということでございます。 次からは、法的な改正を行っていくべきではないかというようなことを、ちょっと僣越ですけれども、幾つか書かせていただいています。 これも三点書いてありますが、非合理な国民負担の回避ということで、一日おくれれば百億円ぐらいが海外に流れていくという審査のスピード感では困る。まず、規制委員会というのは、とめることが仕事ではないわけです。逆に、経済的資産である原発を安全に稼働させるということが本来の法目的、組織目的であるわけですから、その基本的な姿勢をまず法的に明記するということが必要だということでございます。 二番目に、真の安全性向上につながる法制度の再整備ということで、先ほど申し上げてきた、規制手続、体制の透明化を図る必要がある。恣意的な、あるいは曖昧な基準を排除していくために、できるだけ工学的合理性に基づく規制を行うんだということ。 そして、人的要素を排除する。これは、個別の委員に対する話ではないですけれども、どっち側の委員が来ても、変な意味で、変に、人によってその規制活動が揺れるということ自体が問題になりますので、そういう人的要素をどうやって排除していくか、それがイコール予見可能性の確保にもつながると思っております。 そして、専門性の向上ということで、専門知識をどういうふうに外からインプットしていくか、それをきちんとプロセスとして法的に位置づけた方がこの際よいのではないかということでございます。 三番目は省略いたします。 そして、それを具体的にすることについて幾つか提案をしておりますが、この中身は、入っていくと時間がかかりますので、省略させていただきますけれども、最初の、例えば予見性の改善ということで、手続を法令化する。今、実はバックフィットもそうなんですけれども、原子炉規制法は、例えば、規制委員会が基準に適合していないと認めるときには原子炉をとめることができると書いてあるだけで、そのプロセスについて、政省令に全く委ねていないわけです。つまり、逆に言えば、内規まで一挙に落ちるという仕組みになっているので、法的なところから一挙に田中委員長私案みたいな形でバックフィットのプロセスが決まってしまう。これはさすがに、民主統制という意味からも、少しデュープロセスを確保できないのではないか。そういうことがありますし、バックフィットは、先ほどの諸葛参考人のお話にありましたように、財産権に関係する話ですので、非常に機微な、慎重な手続を置く必要があるわけです。 そういった点を含めて、手続を法令化していくというのが第一点目でございます。 第二点目に、外部意思疎通の法令化、孤立から対話へ、あるいは独善から独立へというようなことなんですけれども、ここに書いてありますような専門家会合あるいは有識者会合、こういったものの位置づけをはっきりさせる。逆に、炉安審とか燃安審のように、既に法令で決まっているものについての役割はもう一度明記をする。こういったことを述べているわけでございます。 次のページでございます。 先ほど事業者のところで申し上げたように、ざっくり言えば、規制委員会は必要条件、事業者は十分条件ということなんですけれども、事業者同士がピアレビューをする制度設計、アメリカの場合、原賠法に当たるプライス・アンダーソン法というのがあります。その中で、有限責任なんですけれども、その責任をきちっと果たすためにお互いがピアレビューをするという仕組みの中で、いい評価を得られたところは例えば保険料が下がるとか、あるいはレピュテーションが上がるというような、メリットまで含めてビルトインされた仕組みがあります。そういうのを見習って、日本でも、原賠法、こういうものを改正する中で、ピアレビューの仕組みをきちんとワークさせてはどうかという提案でございます。 四番目、これは本当は一番目に持ってくるべきなのかもしれませんが、福島の事故の後、原子力の計画的活用でしたか計画的推進でしたか、そういった法目的が削られております。完全に安全に特化したというふうなことになっているわけですけれども、先ほど申し上げたように、原子力発電所を完全にやめるとすれば、それは原子炉規制法でやるわけではなくて、本来、閣議できちっと決めて、国会で脱原発法という法律を通せばいいわけです。 むしろ、既にあるものを安全に動かすというのが今の規制委員会の仕事ですので、炉規制法上はきちんと施設を動かしていくという点を書き込んでおくべきだろう、それが次の審査準則にもつながっていく話であります。 審査準則の中で、特にアメリカと比べた場合に、効率性、コスト・ベネフィットの話、リスク・ベネフィットの話があります。この点についてはいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、何でもかんでも、危険がありさえすれば幾らかけてもいいから対策をとれ、しかし、とった上で、まだゼロじゃないじゃないか。こういう議論をどこかで打ちどめをしなきゃいけないわけですけれども、そういうことを審査準則に入れておいて、どこかで歯どめをつくるということが必要だろうと思います。 そして、各種行政処分の適切な処理期間とあります。これは、標準処理期間というのがあるわけですけれども、設置変更許可が例えば二年というような標準処理期間では、全く実質的な意味をなさないので、もう少しきちっと、経済的な面も含めて考えた処理期間を設定しておくべきだろうということでございます。 残る論点として三つ書いてございますが、人材の育成とか国際的信認の確立はここに書いてあるとおりなんですけれども、一番上の司法的機能を持たせるべきなのかどうなのかという問題があります。 大飯のこの前の福井地裁の判決に見られますように、こういった差しとめ訴訟で人格権に基づく判断をする場合には高度な専門技術的な知識は必要ないというふうにみずから判決文で書いてあるわけであります。技術的な判断が正しいかどうかの以前に、そういったものは必要ないと言われると、本当にそうかというふうにも思います。 そういう中で、規制委員会の中で判断をし、何らかの不服があった場合に、裁判所ではなくて、専門的な審査を行うような、第一審に当たるような司法的機能を持つべきなのか持たないべきか。持つという結論もいいんですけれども、実際に今の規制委員会で持ってしまうと、これもまた困るということもありまして、慎重な審議は必要だろうと思いますけれども、この前の判決がもたらしたインプリケーションというのは非常に大きいものがあると思います。 ここに書いてございませんが、最後に申し上げたいのは、実は、三条委員会の独立性の問題であります。 値上げとかあるいは電力需給というのは、委員長は、関係ないんだというふうに常に記者会見でおっしゃっています。しかし、政府全体のポリシーとして、経済に悪影響は及ばない、成長戦略をやっていく、いろいろな意味で政府の政策はあるわけで、その責任官庁、例えば経産省は電力需給や値上げによる経済影響についての責任があるわけですから、その責任官庁がほかの行政機関に意見を言う、実は、これは国家行政組織法の第十五条にそういう根拠法があります。 前の行革会議の後、省庁再編が行われたときにその条文が入れられたわけですけれども、みずからの行政の責任を果たすために他省庁との調整が必要だと思うときには、そこに資料請求をしたり説明を求め、かつ意見を言うことができるという条文があります。まさにこれを今使うときではないかと思っております。 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○森委員長 ありがとうございました。 次に、西脇参考人にお願いいたします。
○西脇参考人 東京工業大学の西脇でございます。 本日は、原子力規制行政の在り方ということでプレゼンをさせていただく機会をいただきまして、大変光栄に思ってございます。 本日、プレゼン資料を提出してございますが、パートワンとしまして原子力規制委員会が抱える問題、パートツーとしてどのような姿が望ましいかということでお話をさせていただきたいと思います。 三ページ目に行っていただきまして、我が国の原子力界は、福島事故という過酷事故を起こしまして、事故後、原子力界は自浄能力がなかったんじゃないか、こう言われたわけでございますが、実は、諸葛参考人もおっしゃいましたが、原子力法制研究会というのを二〇〇七年から五十名を超える産官学のメンバーでやってございまして、原子力規制制度とか規制法の全般にわたって検討を加えてございます。 この検討を受けまして、事故の直前三カ月ですが、原子力安全委員会が、当面の施策の基本方針の見直しの決定をされてございます。この原子力安全委員会の決定を受けまして、実は、事故後の三月二十六日に、保安院は、基本政策小委員会を立ち上げて過酷事故を含む規制のあり方の見直しをしよう、こういうキックオフをしようとしたやさきに福島事故が発生したということでございまして、非常に遅きに失したということでございます。 そういうことで、福島事故を受けまして、国会の方から、規制委員会設置法あるいは原子炉等規制法の関係法令の改正をしていただいたということになっておるわけでございます。 規制委員会発足後、この原子炉等規制法というのは過酷事故までカバーしてございますので、規制委員会は、世界に先駆けて、過酷事故まで含むような規制基準をつくられております。また、原子力災害対策指針もつくられ、現在は、十サイト、十七基の基準適合性審査を行っておられます。一年八カ月の間にこれだけのことをやってこられたわけで、非常にその努力は多とするところではございます。 しかしながら、先ほど申しましたような経緯も考えますと、国会が求めたことをきちんとやられているのか、これをチェックすることがまず第一だろうと思ってございます。また、昨今の規制委員会の行動を見ていますと、少し拙速に過ぎるところがあるのではないかということでお話をさせていただきたいと思います。 五ページ目でございます。これは、設置法の議論に際しまして国会が求められたことでございまして、ここは釈迦に説法でございますので省かせていただきたいと思います。列記はしてございますが、これだけではなくて、もっと多くのことをお考えになってお求めになっておられるということが、読み返してみるとわかります。 六ページ目ですが、ここは効率重視の弊害ということで五項目挙げさせていただきましたが、これについてはパートツーの方で詳細に述べたいと思います。 それでは、八ページ目に行っていただきまして、澤参考人もおっしゃいましたが、独立、中立を孤立と誤解していないかということでございまして、これは巷間よく言われてございますが、独立性の前提としまして二つございまして、それは、国民、関係各層の意見をよく聞く、調査をちゃんとする、調べる、その上で、規制側が専門的な知識を持つ、そしていろいろな意見に惑わされることなく独立して判断する、これが独立性のキーポイントでございます。 しからば、国民あるいは事業者と対話をちゃんとしているのか、これは九ページ目でございますが、ここはなかなか評価が難しゅうございます。 実は、二〇〇七年に旧保安院はIAEAのIRRS、規制サービスのレビューを受けてございまして、この当時は、国会事故調によりますと、規制のとりこになっていたという指摘がなされている時代でございますが、国際的に見ますと、IAEAのIRRSの指摘は、保安院は運転者に指示し支配力を及ぼしている、あるいは、相互の理解と尊敬に基づき、フランクでオープンだが立場をわきまえた産業界との関係が築かれていない、あるいは、良好な相互理解と信頼構築を促進すべきであるというふうな厳しい指摘がなされているわけでございます。これは決して現在の規制委員会の話ではなくて、旧保安院の時代の話でございます。 しからば、IAEA基準においてステークホルダーとの関係はどういうふうに規定されているかと申しますと、許認可取得者等との対話のための公式及び非公式の仕組みを、専門的で建設的な連携を図りながら構築しなければいけないことが求められておりますし、規制機関のプロセスや決定について、利害関係者及び公衆にその情報を伝えかつ協議する適切な手段の確立を促進しなければならないということが求められております。 これに基づいて現在の規制委員会をどう評価するかということでございます。全体として評価するのは非常に難しゅうございますが、例えば、規制基準のパブリックコメントに対する対応でございますけれども、これは、学会なんかはパブリックコメントは一個一個答えを返すわけですけれども、実は答えが返されておりませんし、委員会の中でもパブリックコメントに対する議論というのはほとんどなされている記録がございません。 また、最近の基準適合性審査における事業者との対話を見ていましても、先ほど澤参考人がおっしゃいましたが、十分な議論が尽くされていないという状態になっておりまして、これは規制側と事業者側で結論が異なるのはいたし方ないとしても、相互信頼関係を築くためには、なぜ相手がそういう主張をしているのかということがわかるぐらいまで議論をしておかないと、これはもう結論が違った段階で相互不信関係しか残らないということになりますので、議論が尽くされているとは言えないのではないかというふうに思っております。 それから、十ページ目ですが、規制委員会は合議制の委員会としてできたわけですけれども、規制基準あるいは基準適合性審査などにつきまして担当委員方式というのを採用しており、事務局と一体となって業務を遂行しております。 この問題点ですけれども、委員と事務局の間でどういう議論がなされているのか、ここがはっきりしない、国民からは見えないということになってございます。 さらに、この担当委員方式は、事務局と一体となっておるために事務局の監査機能が働かない、あるいは、委員が表に立ちますから事務局の責任感が低下するということを招いているのではないかという気がしております。 さらに、担当委員が委員会に出ておりますので、担当委員以外の方が委員会でなかなか発言しにくいというような状況も生まれておりまして、結果として委員会の議論を不活発にしているのではないかと思ってございます。 アメリカのNRCでは、運営総局、これは規制庁に当たるところですが、それと委員とは接触が原則禁止でございます。委員会の場で初めて事務局と委員が議論をするということになってございます。 規制委員会も同様に、委員会が事務局の監査機能を持って、かつ委員にはスタッフをつけて、そして委員会を真剣な議論の場として、国民にその議論の内容をお知らせするという方式にすべきだと考えてございます。 十一ページ目が、実は、ポール・ディックマンさんという元NRCの委員長首席補佐官のプレゼン資料からとってきたものでございますが、コミッショナーズとEDOとの間にはエアギャップがあいておりまして、コミッショナーズはEDOを審判するという立場になってございます。ここがまさに、先ほど申し上げました接触禁止、委員会の場で初めて議論する、こういう内容を含んだところでございます。 次に、炉安審、燃安審問題でございますけれども、これは国会の先生方に申し上げるのは申しわけないわけですが、炉安審は、米国のACRSをモデルとしまして、国会が安全審査を行う法定の委員会として設置を求められたものでございます。五十三年改正において、この法定の委員会を政令に落とそうという政府原案があったわけですが、これは衆議院の方で修正されてございます。 今回の規制委員会設置法につきましては、炉安審の設置法上の記載ぶり、あるいは名称等は変更がないわけでございます。 さらに、法案提出者の横山衆議院議員の答弁によりますと、原子力は多岐にわたり、委員等で全てをカバーするのは難しいことから、日常の規制が滞ることがないように審議会を常設して担わせるとお答えになってございまして、炉安審等の位置づけ、あるいは役割は変更がないということがここからわかります。 しかしながら、規制委員会はこのほど炉安審をつくられたわけですが、内外のトラブル、こういうものに限定した役割を担わせるということで、審査会という名称にもかかわらず、何ら審査に対応しない、タッチしないということになってございます。 一方、規制委員会は、基準の作成や基準適合性審査に有識者会合を活用してございます。この有識者会合とは任意の集まりでございますが、福島事故の反省としまして、原子力安全委員会がつくりました指針の中の全交流電源の指針、ここは、実は事業者に作文をさせたということがございます。この検討を行ったのは安全委員会の中の任意の検討会でございまして、まさに、規制委員会の有識者会合のような位置づけの検討会が事業者に作文をさせるということをさせてしまったわけでございます。 こういう反省、あるいは諸外国の例も参考にしながら、設置許可、基準の制定、改正、これを諮問する委員会、これが必要ではないかというふうに考えております。例えば原子炉諮問委員会とか核燃料諮問委員会とか、こういうものが必要ではないかというふうに考えてございます。 この諮問委員会は、委員会への助言機関、事務局を監査する、監査、監督をする機能を持った、委員会への助言機関とすべきだというふうに考えてございます。 長年、実は四極諮問委員会会合というのが米、仏、独、日の間で中断をされておりまして、これは炉安審がないということから中断されておったわけですが、これも再開をしながら、規制基準の整合化、国際整合化を図っていくべきだというふうに考えてございます。 また、つけ加えて申しますと、福島第一サイトですけれども、今後長期にわたる対応が必要となってきますので、ここについても、できましたら法定の諮問委員会を設けた方がよろしいのではないかというふうに考えておりますし、地震、地盤に関しましては、原子炉、核燃料施設などなどいろいろな施設に対して共通した取り組みが可能でございますし、また、地震の発生、伝搬、耐震設計などなどを総合的に判断する必要がございますので、ここも別途、専門の諮問委員会のようなものがあった方が望ましいのではないかというふうに考えてございます。 次に、確率論、PRAは利用されているかということですが、炉規制法の目的は、国民の生命、健康、財産の保護、環境の保全となってございますけれども、本来であれば、このような法目的を達成するために、許容される社会的リスク水準を設定した上で、設計、施工、運転管理を通じてその達成を図るというのが本来のアプローチでございます。 このような手順をとることによって、一貫性、整合性がある規制ができます。これは、一貫性、整合性がないと、弱い、安全水準が低いところに施設全体の安全性が下がってしまうということになりますので、一貫性、整合性をとるというのは非常に重要なことでございます。 また、このような手法、手段をとることによりまして、仕様基準ではなく性能基準で判断をするということができるようになります。 福島第一事故はこのPRAを使っていなかったというところにも遠因があるわけでございまして、今後、このPRA手法を規制基準の改善等に生かしていく必要があろうと考えてございます。 また、現在実施されています基準適合性審査は、かなり試行錯誤をされておりまして、澤参考人もおっしゃっていましたが、予見可能性が非常に低いという状態になってございます。 PRAを使いますと、事業者側もPRAを使って評価ができますので、予見可能性が高まる。将来的には、標準審査要領書、スタンダード・レビュー・プラン、これを整備するべきだと考えてございます。 また、バックフィットにつきましても、規制基準を性能基準化しますと、代替手段を認めるということができるようになります。将来的には、アメリカのような、バリューインパクト分析を含むバックフィットルール、これを制定すべきだというふうに考えてございます。 研究者、技術者の養成につきましては、これは、文部科学省の所掌事務とされていたものが規制委員会に移ってございます。JAEA等の関係機関で教育訓練がなされていたわけですが、人の問題は安全と密接不可分な問題でございますので、規制委員会としても、緊急時対応、核セキュリティーを含めて、教育訓練体制、規制委員会の職員だけではなくて、日本国民の教育訓練をやっていくという体制をきちんと整備すべきだろうと思ってございます。 また、財源ですけれども、これも、独立性をさらに確保するために、事業者に課金をするというようなことによって、独自の財源を確保する必要があろうかというふうに考えてございます。 最後でございますが、役所というのは、どうしても前例踏襲あるいは自己正当化に陥りやすうございますが、安全文化の観点から申しましても、これまで構築した規制基準、許認可、あるいは組織運営体制、これを金科玉条のものとせず、不断に見直していくことが必要かと思ってございます。これに当たって、国会が大きな役割を果たしていただけるものと期待をしてございます。 以上でございます。(拍手)
○森委員長 ありがとうございました。 次に、井野参考人にお願いいたします。
○井野参考人 おはようございます。井野でございます。 参考資料、レジュメに沿ってお話をさせていただきます。 初めに、ちょっと自己紹介を兼ねてなんですが、私の属しています原子力市民委員会は、「原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱」を発表いたしました。私たちは、これを、原発ゼロ社会を実現するための公共政策の骨子と位置づけておりまして、脱原発を目指す方々のみならず、原発廃止に反対あるいはちゅうちょされている方々との対話や政策担当者との意見交換を期待しているところであります。 私は、その「第四章 原発再稼働を容認できない技術的根拠」という章の取りまとめをいたしました。この章の記述は、きょうのテーマと非常に密接に関係するところであります。その冊子がお手元にございますので、ごらんいただければと思います。 まず、規制にかかわる技術的問題ということで、三点お話しさせていただきます。 まず第一番は、エネルギー基本計画において次のような記述があります。これについての意見を述べさせていただきます。規制の問題に関して、こういう記述があります。 いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。 こういうふうに書かれておりますが、まず、最初の冒頭の語句、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、」これを、枕言葉に終わらせるのではなくて、本気でやってほしいというのが私の願いであります。 そうであるならば、私たちが書いておりますように、安全性を唯一の判断基準として作成されるべきである、その時点で技術的に可能な全ての対策をとるということでなければいけないというふうに考えております。 現実には、原子力規制委員会は、現実に妥協する形で、不十分な規制にとどまっている。そのことを二点ほど指摘させていただきます。 一つは、特定安全施設に関し、これは第二制御室とか免震重要棟とかいうことですが、五年間の執行猶予を事業者に認めているということ。これは安全性の観点だけからは出てこない判断であろう。 それから、寿命延長に関しては、特別点検というものを実施して安全性をチェックするということですが、検査できないところはしなくてよいという抜け穴が用意されています。 例えば、沸騰水型の圧力容器について、超音波検査をするわけですが、それが、接近できる全検査可能範囲とある。これは既設炉の現実に合わせた妥協であって、そういう検査できない旧型炉は廃炉にするという決断をすべきであろうというふうに思います。 それから二番目について、「世界で最も厳しい水準の規制基準」と書かれているんですが、これは事実に反するということですね。 欧州加圧水型原子炉で、コアキャッチャーというものが義務づけられております。コアキャッチャーというのは、溶け落ちた炉心が格納容器に入ったときに、それをキャッチして逃すという装置なんです。配付した参考資料の三百三十八ページにその図がありますけれども、コンクリートに接触しないというものなんですが、そういうものは義務づけられていない。また、二重構造、これは航空機がぶつかったときなどの、そういうものの設置も要求していないという意味で、最も厳しいということにはならない。 それから三番目ですが、新規制基準には多くの不備があります。 それらは、例えば基準地震動の決め方の問題、立地審査指針を無視している問題、それから、旧来の設計基準を変えなかったという問題。その結果、極めて不十分な過酷事故対策しか定めていない。それから、地域防災計画が切り離されている、このような問題。これは第四章に詳しく述べたところです。 それで四番目ですが、規制基準というのは、そもそも安全基準ではないということです。 規制基準を守っていれば安全だということは、規制委員会もそう言っているわけですが、エネルギー基本計画には、「規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」とあるわけですけれども、これは論理に飛躍がありまして、規制基準に適合ということは、安全確認ということとは一致しないわけです。 先ほど澤参考人が、それは必要条件であって、十分条件は事業者がやると。では、事業者が十分条件を満たすようにやるのか、やれるのかというのは、私は大変疑問に思うわけです。 そういうことで、誰が安全確認をするのかということが不明確であるということですね。 二番目ですが、規制基準適合性の審査が今行われております。 例えば、川内原発などのPWRの過酷事故対策の問題で、こういうことが起こっています。 大破断、LOCA、つまり冷却水が逃げてしまうということと全交流電源の喪失が同時発生した場合についての事故シナリオを検討しなさいというのが規制庁から要求されているわけですが、それに対して、九州電力などの回答は、事故発生後二十分ぐらいで炉心が溶融して、一・五時間後には原子炉容器が溶けてしまう、破損してしまうということで、これを防ぐ方法はなくて、水は格納容器に入れて冷やすというわけです。 その格納容器に入れた場合にさまざまな問題があって、一番目はコアコンクリート反応。これはコンクリートを侵してくるわけですが、これもコアキャッチャーがないので、これを本当に防げるかは不確実です。水蒸気爆発を防げるかどうかもはっきりしない。それから、水素爆発の危険性もある、そういう問題がいろいろ起こっているということですね。 三番目として、大飯原発の差しとめ訴訟の判決についての意見を申します。 これは、人格権を根本に据えたというのが非常に特徴なんですが、規制との関係については、次のような文章があります。 新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、(一)の理、これは原子力発電所に求められるべき安全性の根本というふうに思いますが、それに基づいて裁判所の判断をしたということですね。そういう意味では、非常に画期的な判決である。 この判決が示すように、規制基準というのは、原発の安全性を保証するものではなくて、その必要条件にすぎない。十分には安全確認されていない原発を再稼働するのかどうかということが現在問われている問題だというふうに私は思います。 この判決はまた、めったに来ない基準地震動を超える地震が四つの原発で十年足らずのうちに五回にわたって到来したという事実を挙げて、地震の想定に誤りがあったことを指摘しています。こういう確率論の評価、先ほど西脇さんから確率論的評価のことのお話もございましたけれども、こういう希望的観測に基づく評価がいかに現実と遊離しているかということなんですが、そのことは、過酷事故というのは、百万炉年、一つの炉について百万年に一度程度のめったに起こらない事象とされていたわけですが、現実には、過去五十年間にスリーマイル、チェルノブイリ、福島と三回、五つの原発で起こっています。こういう確率を用いたリスク評価というのは非常に危険だということを認識する必要があるんだということであります。 この判決の意義は、四ページの下のところですが、法律家や行政官が依拠する原子力専門家の見解が絶対的なものではなく、根本的な誤りや主観的判断を含むものであることを認識して、そのような専門的知にのみ依拠するのではなく、市民の意見に基づく原理的な危険性の認識、つまり市民の常識というものをベースにした、そういう認識を重視したことにある。原発のような市民の生活に密接にかかわる技術の評価について、司法の場において新しい視点を提示したものと私は評価しております。 次に、五ページに入りますけれども、規制組織の構成、機能について意見を申し述べます。 まず一番目は、規制組織が、原子力推進行政から完全に独立した中立で公正な組織でなければならない。それは言いかえれば、原子力複合体主導の運営実態から脱却して、人々の意思を反映した公論に基づく規制行政へと移行しなければいけない。これについては、脱原子力政策大綱の終章に詳しく、公論とは何かということを書いてございますので、後ほどごらんいただければありがたく存じます。 二番目。原子力規制委員会は、当初、民主党政権が公言していましたように、原子力複合体に属さず、利害関係のない中立的な人々で構成される、そういう必要があるわけですけれども、一昨日提示された新委員の顔ぶれがそうでないということは大変残念であります。 それから三番目ですが、規制委員会は、地域防災計画や避難計画についても、その当否を規制の対象に加えるべきである。すなわち、多重防護、深層防護の第五層とされています公衆の放射線影響を緩和する防災対策を規制基準に加えて、その適合性審査を行うべきであるというふうに考えます。 それから四番目。規制に採用される民間規格もまた公正中立でなければならないのは当然でありまして、これも一般市民の意見を反映したものでなければならないわけですが、現実にはそうなっていないということの改善が必要であろうというふうに思います。 それから、五番目、六番目ですが、規制のあり方は、規制委員会、規制庁の問題に限らず、国会の中に、規制に関する公論をつくっていくそういう協議機関、例えばドイツ連邦議会では専門委員会というようなものが議員と有識者で半々で構成されているというふうに伺いますが、そういうようなものをつくって、規制組織への監視ということと同時に、原子力行政全般についても監視機能を持つべきであるというふうに考えます。同じような趣旨の協議機関を各原発サイトにも設けるべきであるというふうに思います。 以上ですが、何よりも大事なことは、福島原発事故の現実をきちっと踏まえた規制行政をするということでありまして、規制のあり方について、非常に遅いという意見もありますが、これは新しく、今までの安全基準が間違っていたということから出発しているので、いわばゼロから出発しているので、当然十分な時間をかけてやらなきゃいけない。ゼロからというよりはマイナス百からの出発であるわけで、慎重にも慎重を期して審査を進めていくということでなければ、国民の信頼は得られないというふうに考えております。 以上でございます。(拍手)
○森委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○森委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎恭久君。
○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。 きょうは、四人の先生方には、大変お忙しいところ当委員会においでをいただきまして、先ほど来、それぞれの独自のお考えをお聞かせいただいたこと、改めて私どもからも感謝を申し上げたいと思います。 原子力規制委員会を議員立法でつくらせていただいたわけでありますが、おととしスタートをしてから時間が大分たって、今回、一回目の委員会の入れかえというのも行われることになりました。二年たつということでありますので、振り返ってみていろいろなことが、反省もありますし、プラスの評価ももちろんあるわけで、先ほど諸葛さんの方から、どうもマスコミはマイナスのことばかり言っていると。確かに相当頑張っておられるところもあるわけであって、いいところはいいところとしてしっかり評価をして、そして足らざるところはこれからそれを加えていくということが、あるいは改めていくということがやはり必要だというふうに思っております。 我々、いろいろな思いを込めて原子力規制委員会設置法をつくりました。野党が政府の組織をつくるということは余りあり得ないことでありますけれども、それが実現したわけでありますが、どうも、そのとおりうまくいっているところとやはりうまくいっていないところがあって、きょう、それぞれからいろいろな問題点が開陳をされたところであります。 我々、去年の十二月三日に、自民党の原子力規制に関するPTとして、私が座長をやっておりますが、事務局長の吉野先生と一緒に、田中委員長に我々の緊急提言を届けました。実は、それが最初の国会議員との国会以外での出会いというか対話だったんですね。物々しい中、マスコミのカメラの前で我々は話をしたわけですけれども、別に我々は隠すわけでも何でもないからいいんですけれども、何だか不自然だなということをつくづく感じて、先ほど来、各先生方から出てきた国民とのコミュニケーションという意味で、我々も国民の代表ですから、我々と会うのが、この間の十二月が最初で最後に今のところなっているという異常なおつき合いの仕方というのは、いかがなものかなという感じがいたします。 我々は、法律をつくったときに一番大事だと思ったのは、やはり、国民からの信用と信認、国民から信用される、トラストですね、そして信認される、コンフィデンス、この二つを得ることが大事であって、そのためにこそ独立性が大事であり、専門性が大事であり、一元性も大事だ、それに民主的な運営というものが大事だ。そのベースはきっと、幅広い、そして太い国民各層とのコミュニケーションだろうと思います。 そこで、きょう、いろいろ問題指摘がありましたが、民主的な運営という観点から見てどうなんだろうかという課題がやはりたくさん残っていると思います。合議制の委員会として機能しているのか、この問題が西脇先生から大分示されたわけでありますけれども、私たちも、どうも問題ごとの担当委員を設けていること自体がおかしいなと。 実は、この間、今度出る年次報告、この案の審査が我々の党内でありました。原案の原稿を見ると、何と、委員五人にそれぞれの担当というのが書いてありまして、もう我々は腰が抜けるぐらいびっくりして、あれだけ指摘したのにまだ担当制をやっているのかということで、強くしみ込んだこの文化はなかなか変わらないなということをつくづく思ったわけであります。 我々、合議制ということは、たった五人ですから、全てのことを知り尽くしている人だけ五人なんということはあり得ないので、やはり、私たちは、ゼネラルな判断ができる人、その人たちが五人、しかしそれぞれが専門領域を持っているということだったんだろうと思います。 そういう意味で、西脇先生のお話は大体わかりましたが、例えば諸葛先生はこの点についてどう思っていらっしゃるのか。委員長私案というのが先に出てくればやはりそっちに引っ張られるわけでありますし、五人の委員、さっきお話がちょっとあったように、アメリカだと、それぞれが独自のスタッフを持っている、そのことによって、自分が知らない分野についてまたインプットを独自にもらって、それで自分で、専門分野、非専門分野含めて、言ってみれば平等の議決権でもって参画をするというのが本来の姿なんだろうというふうに思います。 ということで、諸葛さんにちょっとお尋ねをしたいのと、西脇さんが、御自身がおっしゃったわけですから、何か追加であれば、この合議制のあり方、では、どうやったら合議制の委員会になれるのかなということをお聞かせいただければと思います。
○諸葛参考人 御質問ありがとうございます。 実は、その点は、先ほど私の御説明で少し舌足らずでございましたけれども、リスク評価とリスク管理を峻別すべきだというところが今の塩崎先生の御質問へのお答えでございます。 原子力学会で、この問題を、一昨年の秋にシンポジウムを開催いたしまして、そのときに、研究機関のある方が調査された資料から少し補足して御説明いたしますと、リスクを扱う分野を四分野、その研究者の方が調査されたわけでございます。具体的には、一つは薬事、食品衛生関係、それから二つ目は食品の安全の問題、三つ目は運輸の安全の問題、それと原子力の安全の問題でございます。この四つの分野を比較いたしますと、原子力以外の三つの分野に関しましては、リスクを評価する組織とリスクを管理する組織が峻別されているわけでございます。これが同居しているのは実は原子力だけでございます。 さらに申し上げると、その峻別している、例えば薬事・食品衛生審議会という組織がございますが、ここの方はリスク管理をする審議会には重複して採用されない、つまり、そこの間の関係を遮断して、リスク評価とリスク管理というのを非常に厳密に運用されているわけでございます。ほかの分野も同様でございます。 ですから、一行しか書いてございませんが、原子力の場合も何かそういう対策を行って、原子力規制庁の中の組織を、リスクを評価する組織とリスクを管理する部隊とを分けて、その間にそれなりにやはり遮断する仕組みを設けるようなこと、それと、規制委員会はまさにリスクを管理する組織の庁でございますので、現在は縦割りで規制委員がリスク評価に入り込んでいる仕組みになっておりますけれども、そこを改善していくようなことが私の御提案でございます。 以上でございます。
○西脇参考人 諸葛参考人もおっしゃいましたが、実は、旧原子力安全委員会時代は、炉に関しては保安院が一次行政庁でございまして、安全委員会が保安院を外部監査するという形をとっておったわけでございます。これは決して外部監査をするというのが法定されているわけではございませんで、安全審査の結果をダブルチェックをかけるというところから外部監査をするという役割ができてきたというふうに至っておるわけでございます。 今回の規制委員会に関しましては、この安全委員会という外部監査と一次行政庁を同じ組織にしただけの話でございまして、そういう意味では、外部監査から内部監査に変わったんだ、私はそのように解釈をしてございます。 それは、設置法を読みますと、規制庁長官、事務局のトップですけれども、これは庁を掌理する。その上で、委員長からの指示、命令に従うということになってございます。一旦、事務局は、長官のもとで全体の仕事を統合されて、その統合の仕事は委員長の命に従っているという格好になってございますので、担当委員方式というのは、この一旦掌理する長官の機能というのを損なっている可能性がございます。 実は、そう申しましても、はっきり監査とは書いていないわけでございまして、ほかに監査の例がないかと思って調べたんですけれどもなかなか例がなくて、一つ知恵を出しましたのは、旧来ある諮問という形をもう一度復活させてはどうか。例えば、事務局から炉安審、新しく衣がえをした方がいいと思いますが、原子炉諮問委員会みたいなところに諮問をする、あるいは、設置許可、基準をつくるプロセスの中に、NRCもそうですけれども、原子炉諮問委員会というのをかませる、そういうことによって事務局から説明をさせる。そういうプロセス、あるいは法律的には諮問を行うというようなことをやれば、委員会が事務局を内部監査するという役割がはっきりするのではないかというふうに思っております。
○塩崎委員 ありがとうございました。 時間もないので最後でございますが、澤さんが先ほど自己規律というものの必要性、重要性というのをおっしゃっておられました。そういう意味で、さっき言ったように、トラスト・アンド・コンフィデンス、信用と信認を獲得するためには、やはりみずからきちっとした自己規律を持っているということがとても大事であって、今の監査の話も、規律をちゃんと持っているのかどうかということに皆やはり注目をするんだろうと思うんです。 そういう意味で、燃安審、炉安審、この役割は、我々はACRSを念頭に置いてあの法律をそのままつくっていますから。昔は、保安院だけでつくるんじゃなくて、安全委員会、その下に炉安審、燃安審があって、必ず聞かなきゃいけなかったはずであります。我々も、アメリカを勉強してみれば、ACRSは必ず審査などのサンドイッチされたプロセスとして入っているわけですね。 ところが、今は、安全文化の醸成とかいろいろなことで、大所高所から何か物を言ってくださいみたいなことで、大事なことの決定にはかかわらないことになっています。これで本当に、ダブルチェックなしで、五人の委員だけで物事を決められて大丈夫なのかということについて、民主主義的な運営という意味で私は非常に問題があるなというふうに思っていまして、やはりこれはサンドイッチして、自分たちではカバーし切れないものを専門家、アメリカだったら多分二十人ぐらいACRSにいたような気がしますが、必ずそういう人たちの判断というものを得て、その上で五人の委員が決めるということがあってしかるべきだと思うんですけれども、澤さん、この自己規律という意味においても、ダブルチェックがない今の仕組みをどう考えるか、一言お願いします。
○澤参考人 まさに先生がおっしゃるとおりだと思います。したがって、炉安審、燃安審について法的に、今の炉規制法で微妙に読めないというような何か説も聞いたことがあるので、そこはそうであればはっきりと、最初の目的を達するような改正が必要だと思います。 もう一つだけ言わせていただくと、それぞれの委員が任命されるとき、それは専門家として入ってくださいということではないんだということをきちっと任命の発令書にちゃんと書いておくべきだろうと思います。
○塩崎委員 私どもも、原子力規制PTにおいて、もし、こういう形で、ダブルチェックをさせるような仕組みとして炉安審、燃安審などを使わないというならば、やはり法改正をすべきじゃないか、我々立法者の意思に反して、全然違う、大所高所から何か物を言ってくれ程度の扱いしかしないで、自分たちには無謬性を強調するかのようなやり方というのは、やはり信用と信認を国民から得るにはふさわしくないのではないかというふうに考えていて、議員立法を今検討中でございますので、またそのときには、澤さんも皆さん方、先生方も一緒にぜひ御指導いただければありがたいと思います。 終わります。
○森委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春です。 参考人の皆さんには、私からも改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。 きょうも、それぞれの立場から御意見をいただきましたが、それぞれ立場は違っても、共通した部分というのはマネジメントで、やはり指摘をいただいたというふうに思っています。 特に、コミュニケーションという関連からいきますと、やはり国民の信任が、本当に中心になった組織としてその知見を発揮するということであるとすれば、その信任がなければならない。 そんな中で、それぞれ委員の立場が、十分にコミュニケーション、国民に説明する責任と、それから国民の中にあるさまざまな分野を吸収するその包容力というのがあるかということになると、それはちょっと違うね、今の状況ではだめだねということ、これは共通したことでありますし、私たちもそういう思いで、ぜひこの国会でも、この中で、この委員会で、それぞれが説明する機会でありますので、ここに来て、田中委員長だけじゃなくてそれぞれ委員が発言をしていく、疑問に答えていくということもやるべきだということを今私も主張しておりまして、そんな話し合いもしていきたいというふうに思います。 そんな中で、さっきのリスク管理業務とリスク評価業務、私もここのところにちょっと一つ問題意識を持っていまして、ふだんの、いわゆる許認可にまつわる部分の安全管理ということと、それからリスク管理というのは、それのかかわりの中でリスク管理という部分があるんでしょうけれども、もう一つ言えば、事が起きたときに、最終的に専門的な立場として判断する組織というのがやはり要るんですよね。 振り返って考えてみると、まず一義的には現場の指揮者、現場の管理者、いわゆる所長というんですかね、そこのところは一義的にあるんだろうと思うんですが、その判断というのが正しいかどうかというのを、あのルートを見ていると、東電の本社サイドで、その一つの判断基準がいいのかどうかということがあった、それから保安院があった、それから原子力安全委員会があった、こういうことなんですね。 この構造が、保安院と原子力安全委員会が今度は一つになって、今は規制委員会という形に凝縮されたということの中で、私は、過去を振り返ってみても、原子力安全委員会にしたって、あるいは保安院にしたって、十分に専門家としての知見の中で判断がなされていたかどうか。私たち政治の分野がそれを聞いて、次はこういう指示を出さなきゃいけない、こういう国民の体制をつくらなきゃいけないということに対して十分にたえ得るような指示を出していたかどうかというと、それは必ずしもそうでなかったということがあると思うんです。ここについてしっかりメスを入れていかないとだめなんだ、そういう意味でのリスク管理業務というのが問われるんだろうというふうに思うんです。 そういう観点から、諸葛参考人、もう一つ突っ込んで、イメージとして、どういう形でそれをつくっていったらいいのかということを述べていただきたい。それから、西脇参考人も、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
○諸葛参考人 御質問ありがとうございます。 リスク評価というのは、やはり高度な専門性が要求されるのだと思います。高度な専門性を有するということは、その分野との広範な、産業界、研究機関、さまざまなところとの情報交換も必要になってまいります。ですから、そういう人たちは、独立性というよりも、コミュニケーションを広くとる、情報を収集するという面を強化するべきではないかと。 そうしますと、それはリスク管理の方の独立性とバッティングしてまいりますから、そういう意味で、利益相反にならないように、リスク評価とリスク管理の間を少し距離をとる、こういうことが必要なのではないかというイメージでございます。そんなふうに規制庁の中の仕組みを改善する余地があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○西脇参考人 適切なお答えができるかどうかよくわかりませんが、福島事故を思い出してみますと、旧保安院があって、安全委員会があったわけですが、かかわっていた人間が三百人、四百人ぐらいでしょうか、そして、スポークスマンも非常に限られておりまして、かつ、国会の皆様方、あるいは学術界の皆様方、そういうところに情報連絡体制が確立されていたかというと、そういう取り決めも、あるいは手順の定めもなかったような状態でございました。 やはり、福島事故を反省しまして、ああいう事故が起こったときには、どういうところにどういう人が行って、どういう情報を与えるというのをあらかじめ決めておかないと世の中は回っていかないんじゃないかなという気がしております。 現在の規制委員会の事務方の人々は、経験をした方がいらっしゃいますので、官邸に参集して防災体制を組むんだというだけではなくて、もう少し現実的な手当てを、地元の方々も含めて、手順を決めておくとか、そういうことをやるべきではないかというふうに思っております。どうも済みません、お答えになったかどうかわかりませんが。
○中川(正)委員 実は、私自身、そこの部分の議論が今欠けているんじゃないかということを思っておりまして、改めてこれからまた議論の俎上にのせていただいて、先生方の知見の中で高めていただければありがたいというふうに思います。 きょうは全般にわたってマネジメント部分の議論が多かったんですけれども、その前提になる以前の問題として、今、規制委員会でつくった基準、この基準に対する評価というのをひとついただきたいなというふうに思うんです。 井野先生は、そのことについて、もともと安全・保安院に籍を置いていただいたことがあるという、その経歴を踏まえてだと思うんですけれども、今の基準については非常に厳しいコメントをいただきました。そのことについて、それぞれ他の先生方はどういう出発点をお持ちなのか。 国際基準を満たしているよ、あるいはそれ以上だよというのは公式にそれをマネージしているサイドからは出てくるわけですけれども、しかし、一般的には、ここについてはさまざまな議論があるように思います。もしこれから考えていかなければならない部分があるとすればどういうところがあるのかということも含めて、井野先生以外の三人の先生方にお答えをいただければありがたいと思います。
○諸葛参考人 ありがとうございます。 規制基準は、今できているものが最終終着駅というわけではなくて、日々改善していくべきものだと思っております。 今一番規制基準で足りない点を申し上げると、私以外の参考人の方のプレゼンの中にも御指摘ありましたけれども、予見可能性が乏しいという点と、判断基準が明確でない。これは、ですから、今後改善していくべき非常に大きな点でございます。 西脇参考人の資料の中にございましたけれども、米国の場合には、スタンダード・レビュー・プランという標準審査書というものがございまして、申請者が何を調査しなければいけないか、どんな資料を出さなければいけないか、出されたものについて、一つ一つの技術項目についてどういう判断基準で合否の判断をするかということが全てそこのスタンダード・レビュー・プランに明記されているわけでございまして、ですから、事業者も予見可能性があるんですね。私も、デスクのパソコンからNRCのホームページにアクセスすれば、自由にそれを読むことができるわけでございます。 ですから、それがまだ日本の場合に整備されておりませんので、今、審査の過程で、審査が進むたびに委員の方から要求事項がふえてくる、その都度、また穴を掘ったりいろいろなことをやらなきゃいけなくて、時間もかかりますし、ロスがありますし、お互いに不信感も募る、こういう関係になっているわけでございまして、そこは、ですから、今後改善する余地はあるのではないかと考えております。
○澤参考人 お答えします。 先ほどお話があった東電の事故のときのテレビの会議の画像をごらんになるとすぐわかると思いますけれども、ハードウエアがだめになった後、何をするかというところがやはりポイントになるわけで、今回の規制基準もどうしてもハードウエア寄りに、まあ規制基準ですからそうならざるを得ないと思うんですけれども、あの基準の外側にソフトウエアというかオペレーションというか、こういったことを、せっかくあれだけのいい、いいと言うと怒られますけれども、ケーススタディーがあるわけですから、あれにどう学んで、いざというときに事業者と規制委員会がどう働くのか、官邸がどう働くのか、そういった点についてのシミュレーションみたいなのを一緒にカバーすることによって、十全性が図られるのではないかと思います。
○西脇参考人 規制基準に関してですが、私もプレゼンの中で申しましたように、深層防護の第四層、過酷事故の領域ですけれども、これを規制でカバーしたというのは世界で初めてでございまして、そういう意味では、規制上は一番厳しいと言えるのではないかと思っております。そこで基準をつくらなきゃいけないということで、とにかく一生懸命作業されたわけですが、やはり、念頭に置かれているのが福島事故であったということから、福島事故対応にどうしてもとらわれたような、手厚い対応がとられているのではないかというふうに思います。 澤参考人がおっしゃいましたように、安全というのは、設備だけ、あるいは設計だけで担保はできませんで、運転管理まで含めて、実はPRA、確率論で評価ができます。手厚い対応をとればとるほど安全かというとそうではないわけでございまして、穴があく可能性もございますし、お互いの対策が実はコンフリクトを起こす可能性もございますので、そこは、全体を評価できる確率論的手法を使いながら、一回、規制基準をゆっくり時間をかけて見直すという作業が必要かと思います。 同様の作業を現在IAEAの方でやられているというふうにも聞いてございまして、そういう国際的な議論も踏まえながら、日本の基準の位置づけというのを考えていくべきであろうというふうに思っております。
○中川(正)委員 もう一つだけ、単純にお答えをいただければありがたいと思います。 私も一つ懸念しているのは、国会の事故調で、いわゆるメルトダウンに至って、それからその後、汚染水が漏れているわけですけれども、その漏れたということの事故原因について、これは、地震で亀裂が起こったから漏れているんだということか、あるいは、水素爆発なりなんなり、その後の津波と自己電源ダウンでその管理がうまくいかなくて漏れているんだというところについては、わかりませんね、両方の可能性がありますね、こういうことで終わっているんですけれども、このよって立つ基本によって、これからの想定とその基準のつくり方というのは違ってくるんだというふうに思うんですね。それをどっちの想定でやるべきだというふうにお考えなのか。簡単に、それぞれの先生方、お答えをいただけませんか。
○諸葛参考人 私自身は、日本原子力学会の事故調の幹事を務めております。先々月、その最終報告を公表いたしました。その学会事故調の中で、大勢の委員で、専門家でその点について精査いたしました。結論は明々白々でございます。地震では壊れていなかった。壊れたのは、津波でございます。津波によって電気設備がダメージを受けてああいう事故に至ったということは、これは明確に書いてございます。
○澤参考人 私は、技術のバックグラウンドがないのでお答えしづらいんですけれども、これからも調査が可能になっていく、環境が改善すればなっていくと思いますので、事故調で全部終わりというわけではなくて、調査を続けていくべきだろうと思います。
○西脇参考人 御質問をちょっと限定させていただきますが、格納容器から現在汚染水が漏れている原因は何かということでお答えさせていただきますと、事故当時の格納容器内の圧力というのはかなり高いところで保たれてございますので、地震、津波の後、格納容器内の圧力が高まって、格納容器の中で圧力が高まったことによってどこかに亀裂が入ったと想定するのが一番妥当だろうというふうに思っております。
○井野参考人 地震か津波かということについては、今、諸葛さんが、それはもう全て津波なんだというふうに結論が出たとおっしゃったんですが、この間、学術会議で、原子力学会の専門委員のそういう報告を聞きまして、その後、パネル討論で、国会事故調の委員の田中三彦さんがその全てについて反論いたしました。そういうことで、学術会議の報告だと、一〇〇%そうだということだったんですが、田中三彦さんの反論で、少なくとも五〇%、五〇、五〇だ、学術会議としても、今後、地震による破損等については田中さんの意見も聞いて検討するんだというふうに最後にまとめられました。 それから、地下水の問題については、あのように地下水の問題が大きくなっているというのは、一つは、くみ上げ井戸が地震で壊れたということ、それから、現在さらに海に流れていることについては、地下の配管が地震によってさまざまな損傷を受けている、そのためにああいうことが起こっているということが可能性としてあるということなので、私はやはり、地震と津波、その両方に対する対応をきちんとしなきゃいけない。そもそも外部電源が地震によって壊れたところがスタートなわけですから、全く地震の対策が今の規制基準では弱いというふうに私は思っております。
○中川(正)委員 ちょっと時間が超過して、申しわけありませんでした。終わります。
○森委員長 次に、山内康一君。
○山内委員 みんなの党の山内康一と申します。 最初に、諸葛参考人に質問させていただきます。 先ほどお配りになった資料の中で、遡及適用の乱用による財産権の保護意識の低下ということをおっしゃいました。バックフィットを余りやり過ぎると、財産権の保護意識が低下するということだと思いますが、しかし、これはちょっと、第三者的に見ると、安全よりも財産権を優先しているような表現のように受け取れまして、非常に違和感を覚えました。そういう批判なり御指摘があった場合、どのようにお答えになるでしょうか。
○諸葛参考人 これは、西脇参考人の資料にも少し書かれておりましたけれども、昔、千日デパート火災事件というのがございました。そういうデパートの火災対策を建築基準法とか消防法で強化する、これが国会で決まって、それで遡及適用するということが議論されましたけれども、そのときに、当初国会に出された法案では、全て新しい基準を遡及適用するという、今の原子力の炉規法と同じような適用の仕方を提案されたんですけれども、それはおかしいという議論になりまして、結論は、その起きた火災に限定して遡及適用するべきであると。 私は、今考えておりますのは、福島事故の再発防止の対策に限ってバックフィットするべきである、それ以外のものについては、時間をかけて、昔の、バックフィットじゃなくてバックチェック方式で十分ではないかというふうに個人的には考えております。
○山内委員 今のお答えに関して、ぜひ井野参考人、今のバックフィットに関する諸葛参考人の意見、どうお考えでしょうか。
○井野参考人 原子力事故は、ビルの火災事故とは全く違うわけですね。そういう本質的な技術の違いということを認識した上で、当然バックフィットはきちんとやるべきである。遡及して、現時点において技術的にやるべきであるということがはっきりしていることは全て適用しないことには、安全は保たれないというふうに私は思っております。
○山内委員 私もどちらかというと井野参考人の意見に賛同しますが、次の質問を西脇参考人にさせていただきたいと思います。 事務局体制についてのお話、本当にごもっともだと思いました。その点は非常に納得がいって、逆にそこは質問することがないんですが、大学の先生として若い方の指導に携わっていらっしゃる、そのお立場でお聞きしたいんです。 原子力発電、原子力の安全、こういった分野は、どちらかというと、今、事故の後だけに、若い人たちに人気がなくなってしまっているんじゃないかと思います。しかしながら、今後、安全対策、あるいは廃炉だって、これから何十年も、下手すると何百年も、人材がどうしても必要になってくると思います。そういう若い人たちに原子力の安全の分野に入ってきてもらうために、どういう、大学として工夫とか、あるいは、産業界として工夫や、これから具体的な措置が必要なのか、お考えを承りたいと思います。
○西脇参考人 私、東工大の原子力の中でU—ATOMという教育院に属しておりまして、実は、募集人員、十五名ほどかけておりましたけれども、去年もおととしも、去年、ことしですか、八名、七名しか生徒が来なかったという状況になってございます。 しかしながら、去年来た卒業生、修士なものですから、もう就職が決まっている子もおりまして、東京電力に行くという子もいますし、今修士の子は、実は地層処分をやりたいんだという子もいます。 原子力の分野というのは、いろいろな科学が総合されておりまして、そういう意味では、工学、あるいは理学の方もそうかもしれませんけれども、興味が尽きない分野でございますので、学術的な、あるいはエンジニアとしての自分の才能が社会において発揮できるということをやはりきちんとさせていただく、そこの筋道を社会、行政、あるいは産業界側がつけていただくということによって、いろいろな、エンジニアの能力を発揮したいという生徒が出てくるのではないかというふうに思います。
○山内委員 今お話を伺うと、募集人員にも満たないような志願者しか来ないというのは、非常に深刻な事態ではないか。これは、原発推進派であろうと脱原発派であろうと、どちらの立場に立とうと、原子力の技術者というのはもっと、もしかすると今まで以上に層を厚くしなくてはいけない。にもかかわらず、高校三年生が受験で受けてくれない、これは非常に深刻な事態だと思うんですね。 そのために、今お話ありましたが、非常に、国として、あるいは大学としても、もっと具体策を立てるべきだと思います。もう少し掘り下げて、どういうことを、例えば大学の立場で、例えば国の立場でやるべきか。もしお考えがあれば、承りたいと思います。
○西脇参考人 実は、私どもの教育院というのは修士と博士の一貫教育でございまして、学部に入ってきた生徒の中から修士に移行させる、そういうことでございまして、学科の方に入ってきていただきたい。その中から、母数がそこで決まりますので。 学科の方の専攻は、やはり広く高校の方にお話をするというわけにもまいりませんので、工業高専の方にお話をしていまして、いろいろな高専に先生方が手分けをして回っておりまして、その中で、原子力の話なんかもしつつ、教育院の御紹介をしていくということでやってございます。 また、教育院独自の取り組みではございますけれども、高校生を対象としましたサイエンスカフェというのをやってございまして、ことし、冬の雪の激しい二月にやったわけですけれども、高校生に三、四十人集まっていただきまして、しかも、その高校生の議論をオーガナイズするのが生徒だ、先生は横で見ておくんだというスタイルで、サイエンスカフェをやりました。 これも原子力の必要性等について議論していただいたわけですけれども、非常に、プラス、マイナス、活発な議論が出てきまして、そういう甲乙議論をし合って、お互いの考え方を知っていって、エネルギーあるいは原子力に対する、少なくとも、反対、賛成は別として理解が深まっていくということは、興味を抱かせて、そちらの原子力の方に進んでくるという人たちをふやしていくことにもつながるのではないかと期待をしております。
○山内委員 次に、井野参考人にお尋ねをしたいと思います。 私は、この分野というのは、一般の人たちの専門家に対する不信感というのが、この事故の後、非常に高まったと思います。実は私、三・一一の二カ月前に新潟の柏崎の原発に視察に行かせていただきまして、説明を聞けば聞くほど、すばらしい技術で安全だ、そういう思い込みを持った二カ月後にあの事故がありまして、何かだまされたような気分になりました。 多くの一般の市民というのは、原子力発電というのは安全だ、安全だ、CO2の排出も少ない、すばらしいということをずっと刷り込まれてきて、ほとんどの、あの福島の事故の前の世論の大半というのは原発賛成派だったと思います。その後、原子力の専門家が何を言っても信用できない、そういう国民感情というのが今でも強いんじゃないかなと思います。 そういった意味では、先生のおっしゃるように、公論に基づく規制行政というのはぜひ実現していかなくてはいけないと思いますが、そのための具体策等について、ちょっと十五分では短かったと思いますので、ぜひもう一度お答えいただきたいと思います。
○井野参考人 今の御質問に答える前に、一つ前の質問にもちょっと一言言わせてください、私も教育の現場におりましたので。 原子力工学が、今の形ではなくて、やはり廃炉の問題とか、今後、脱原発も含めて、そういう方向においてもやることがあるわけで、そういう方向に転換するということを明確にすることによって、改めて魅力が出てくるんだというふうに私は思います。 というのは、昔、廃棄物の処理なんというのは大体技術者は軽視していたわけですが、公害の問題においてやはり廃棄物の技術が非常に大事だということが認識されて、その後、たくさんの公害の技術者が生まれました。原子力においても今そういう転換点にあるということで、そういう方向に変わるということだと思います。 それで、今の御質問に関してですけれども、やはり、原子力の専門家だけが議論しているということによっては、専門家に任せてしまうというような、そういうことではなくて、もう少し広い範囲の人たちの意見をいろいろ聞く場、そういうものを、国会にしろ、地域の自治体にしろ、あるいはそういう所在地等々、いろいろな場をつくっていく、そういう場を具体的にたくさんつくっていく。 よく外国の事例が出されるわけですけれども、どういうわけか、外国において、人々とのコミュニケーションを図るということはどの国でも努力しているわけですが、日本においては全くその点については皆さん、原子力の専門家の方々は学ばない、知っているんだろうけれどもそれが具体化しないということがありますので、そういうことをやるということが大事ではないかと私は思っております。
○山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○森委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。 参考人の先生方、本当にお忙しい中、本日はありがとうございます。 きょうは、率直に、国会で活動しておりまして思案をしている点について、何点かお伺いをしたいと思います。 今、日本維新の会と御紹介申し上げましたが、昨日の報道にありますように、党内ではちょっと、分党というような報道が流れています。憲法観が理由だというふうに報道されていますが、実は、最も大きな内部的な亀裂は原子力政策にあるわけでありまして、このテーマ、原子力政策、規制のあり方が、政界全体にわたって、都知事選の例を挙げるまでもなく、非常に大きな議論だということを、手前みそでありますが申し上げて、始めたいと思います。 それで、きょうは、限られた時間ですので、澤参考人それから西脇参考人を中心にお伺いをさせていただきます。御了承いただけたらと思います。 大きく三点お聞きをしたいと思っています。一つは規制委員会のあり方。もう一つは人材育成。それから三点目が、安全規制以外の原子力政策ですね、澤参考人の資料でいえば、例えば原賠法の話等もありました。この三点を御質問申し上げます。 まず一点目の規制委員会のあり方。これは、本当に端的に御紹介をいただきました。澤参考人は、偉大なる常識人と。あるいは西脇先生も、合議制の委員会として機能しているかと。同じ問題意識であると思うし、また、この事務局というか助言機関、あるいは原案作成機能、こういったことを御紹介いただきました。あるいは、あともう一つ申し上げると、西脇参考人からPRAの話を御紹介いただいた。この確率論的リスク評価手法は大変重要だと思っています。 いずれにせよ、こういう話を伺うと、まだまだ途上国だなという印象を非常に強く持ちます。これだけの基数の原発を運営してきたこの日本が、実は、規制委員会のあり方については大変心もとない面があると思います。 私は、実は、党内の原子力政策の議論において常に私が主張してきたことは、原子力については、やるならしっかりやろう、推進するならしっかり推進しよう、しっかりできないならやむを得ない、こういう立場で論陣を張ってきているわけでございますが、きょうのお話を伺っていると、必ずしもまだこの規制委員会のあり方はしっかりしていないように見えます。 西脇参考人は、最後のところで、不断に見直していく、あるいはアメリカのポール・ディックマンへのインタビューということで、じっくり改革していこうと。この規制委員会は若いからじっくりやっていこうということですが、私は、この今の日本の原子力のあり方でじっくりやっている余裕は余りないかなという気はしているんですね。 そういった意味で、これは再稼働も含めて、今のようなこの法令の枠組みあるいは規制委員会のあり方のもとで順次再稼働をしていって大丈夫か、こういう議論について、ちょっとゼネラルな質問で恐縮ですが、澤参考人、西脇参考人にお願いできればと思います。
○澤参考人 その懸念は私も共有をしているところでございます。 アメリカの例にいろいろ倣って規制委員会をつくってきたんだろうと思いますし、アメリカの場合、スリーマイルの大きな事故を経験したという意味では、日本と非常に似ていると思います。 アメリカの規制の変遷というのは、スリーマイル以降、やはり日本の今の状況のように、非常に厳しく、やり過ぎたところまでやった。ところが、その原子力発電所がまさに動かなくなってしまって、その経済的資産をこんなことでいいのかという話になり、そして規制のあり方、やり方が随分変わったわけです。これに十年ぐらいはやはりかかっているわけですね。 だから日本も十年かけていいということではなくて、逆に、そういう事例が既にあるわけですから、そこを二、三年に縮めて、日本はアメリカの試行錯誤の部分を省いてと言うと言い過ぎかもしれませんが、いいところをきちっと学んで、早く対応するということがやはり必要だと思います。
○西脇参考人 私は、国会での規制委員会設置法の議論を、議事録を読み返したりしておりまして、非常にアメリカの体制を念頭に置かれて、理想的な規制委員会を設置しよう、つくろうというふうに考えておられたんだろうと思っております。 きょうもプレゼンをいたしましたけれども、そういう規制委員会設置法の精神からしますと、担当委員方式とか、その他、委員会が合議制になっていないとか、問題点がございます。それは、規制委員会設置法が、あるべき姿をきちんと提示したわけでございまして、ここは規制委員会の弁解をするつもりもないんですけれども、しかしながら、一方、原子炉等規制法には、規制基準をつくるのは一年以内につくれとかそういう附則がございまして、やらなければいけない仕事が非常に多くあったというのも事実でございます。 私は、規制委員会が発足した当時、担当委員方式をやられていましたのは、こういうやり方をしないと間に合わないからという気もしていまして、当初は余り批判をしなかったわけですが、そういう非常にインテンシブに効率よく仕事をしないといけない時期から、だんだんとやはり慎重に原子力を見ていくという時期に今差しかかっているのかなという感じがしてございます。 〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
○足立委員 ありがとうございます。 今お聞きしたのが一点目の話でございますが、ちょっと人材育成の話を後に回して、三点目の、これは澤参考人が資料の六ページに、法令の枠組みをしっかりイノベーションしていくべきということで書いていただいているわけであります。 これは、私も国会で再三にわたってこの議論を指摘してきておりまして、背景にはやはり、支援機構法の附則の六条に、原賠法、損害賠償責任あるいは生活再建、地域再建等、原子力政策に係る国の権限と責任についてはしっかりと見直すんだと。その期限は、実は二〇一二年の八月にもう来ているんですね。国会の意思としては、その期限がもう来ているんです。ところが、政府・与党はそれをずるずると放置したまま今に至っていると私は訴えてきているわけでありますが。 澤参考人、先ほどおっしゃった、一般論として、私が申し上げた一定の懸念というか、これについては共有いただけていると思いますが、政府・与党のこういう規制委員会のあり方のみならず、原賠法あるいは原賠法以外のさまざまな、原子力を進めるに当たって必要な制度、インフラの整備について、私は、やはり政府・与党は全く足りない、立場を超えてそれはしっかりやっていただかないと、再稼働にはもう本当に心もとない、こういうふうに思っているわけであります。 澤参考人、大変聞きづらいところではありますが、この点に関する現在の政府・与党の取り組みに関する評価、もしお言葉をいただければと思います。よろしくお願いします。
○澤参考人 難しい質問でありますけれども、やはり、政治的なコストというのが原子力には非常に大きく発生しているわけで、そのもとになっているのが福島の事故における社会的コストだろうと思います。ですから、経済的費用がかかるから、あるいは経済的利益が今なくなるからということで、原子力をすぐ動かせという議論にすぐに乗れないという状況は、これは政治も行政も一緒だろうと思います。 そういう中で、エネルギー基本計画の中では明示的に方針が明確化されていない部分も結構ありますけれども、逆に評価したいのは、論点はきっちりと出ているということであります。もちろん、原賠法も含めていろいろあります。 そういう中で、原子力の事業環境整備、事業者と国とがどういうリスク分担をするのか、その中に原賠法の話も入ってきますし、今までは、安全の話とそういう事業環境の話は全く切り離されていろいろ議論がされてきた歴史があるわけですが、それがまずいと思っていまして、事業者というのはやはり民間企業ですから、経済的なインセンティブによって動くというのが合理的なわけで、それと安全とのつながりの部分が非常に悪かったんではないか。 特に、これから自由化が進んでいく中では、そのリンクをどうつくっていくのかということは極めて重要なので、今後、安全問題と原子力の事業としての継続、そして技術の維持、人材の育成ということを、総合的に解決案を考えていくということが政府・与党にも求められているんだろうと思います。 〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
○足立委員 ありがとうございました。まさにおっしゃったとおりだと私も思います。 冒頭申し上げましたが、三点目の人材の問題であります。 先ほど西脇先生からも、大学の現状ということで言及をいただきましたが、我々、国会でいろいろ議論しておる際にも、原子力政策のポジションにかかわらず、原子力の技術を全く日本が失っていいという方は必ずしも多くないんですね、立場を超えて。やはり、原子力の技術というのは維持をしていかなくてはいけない。 ただ、その場合に、極端な話、我が党内にもある議論は、例えば商業炉がなくても原子力の技術は維持できるのではないか、廃炉あるいは既存の原発の廃炉、あるいは研究炉、いろいろな分野があるわけですので、そういう議論もあります。あるいは、やはり先ほどの大学の学生あるいはそのキャリア形成のことを考えれば、一定程度の規模の商業炉がないとそれは話にならない、論外であるという議論もあります。 この辺、いわゆる原子力の技術、例えば、本当に日本としてどの技術をどの程度維持していく必要があるか、あるいは、そのためにはやはり商業炉が相当規模で要ると考えるのか、この辺、ちょっとごめんなさい、ばくっとした議論の御紹介でお聞きするのも大変申しわけありませんが、もしお気づきの点がございましたら、御教示をいただければと思います。西脇参考人からお願いします。
○西脇参考人 日本の原子力に関する技術を維持するために商業炉がどのくらい必要かという答えは、なかなか直接お答えしにくいかと思います。 少なくとも、現在、商業炉が五十基近くございまして、そのうちの幾つかは再稼働していくということになろうと思いますので、原子力は、原子炉にかかわらず、再処理につきましても、非常に裾野が広い産業でございまして、いろいろな方々が参画されております。それは、設計もあれば施工もあれば、保守管理、ここの部分、かなりの人々がいらっしゃいまして、その産業が転がっていかないと、そういう人々がそこからあふれていく、そういう人々を失っていくということにもなりますので、大学だけの問題ではなくて、幅広く人材を保持するということは必要だろうと思ってございます。
○足立委員 澤参考人、同じテーマでお願いします。
○澤参考人 やはり、実際にその分野に進もうと思う人の気持ちになってみれば、それで飯を食っていかなきゃいけないわけですから、最終的に、基礎研究所だけ国立であればいいというものでは、少なくとも厚みというかポストの数が足らなくなる。 したがって、技術者、技能者、両方あると思いますけれども、ビジネスとしてそれなりの産業が残っていなければ、多分、人材育成もできなくなる、逆に、人材がいなくなるのでビジネスも小さくなるという悪循環に入ってしまいかねないと思っています。 今のように再稼働がどんどんおくれにおくれると、逆に、そういった現場の安全を守るための技術者の人たちの数も、あるいは質も減ってくるという問題が起こりかねないので、やはり、一定規模を将来とも維持するということを、今、シグナルとしてきちっと計画上定めるべきだと思っています。
○足立委員 ありがとうございました。大変参考になる御意見を頂戴しました。 冒頭申し上げましたように、難しい政局もございますが、政界再編の荒波を乗り越えられるような原子力政策をしっかりつくって、責任ある原子力政策に取り組んでいく旨お誓い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○森委員長 次に、江田康幸君。
○江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。 本日は、参考人の先生方、大変お忙しい中、大変貴重な御意見をこの原子力特別委員会にいただきましたこと、心から御礼を申し上げます。 一昨年、規制委員会設置法を成立させたわけでございますが、私も自民党の先生方とともに共同提案をさせていただいて、一昨年の九月にはこの規制委員会が設置され、発足したわけでございます。 その間、新たな規制基準の策定から、さらには原発の審査に至るまで、膨大な、また精力的にその努力を重ねてきていることに関しては大変評価するものでございます。 また一方で、やはり、審査がなかなか進まない状況や、また有識者の人選、そしてこの運営のあり方等について、先ほど来参考人の先生方からも問題点、課題として指摘もされておるところでございますし、こういうような批判といいますか、そういうものもあるわけでございます。 本日は、今後の規制委員会、規制組織のあり方について、重要な視点のところに焦点を当ててお聞きをさせていただきたいと思っております。少々、前の質問者とダブるところはあるかと思いますが、質問させていただきます。 我が国の原子力規制委員会の今後のあり方を考える場合において、現状を考えながら、アメリカの原子力規制委員会、NRCの規制組織のあり方と比較していく、こういうことで改善すべき点が浮かび上がってくるのではないかと思っております。 先ほどから出ている関係者とのコミュニケーションについてでございますが、NRCでは、我々のような議会、またほかの政府機関、さらには認可取得者、事業者、市民等あらゆる関係者とのコミュニケーションをとった上で、真に独立した判断を責任を持って行う、こういうことが大前提とされているかと思います。 これに対して、我が国の規制委員会が、事業者また関係自治体等の首長からの意見交換とか面会要請について拒否して、コミュニケーションチャネルを細くしてしまっているのではないか、こういうような指摘がございます。 これについて、我が国の規制委員会も、やはりもっと多様な関係者とのコミュニケーションを図りながらその意見に真摯に耳を傾けていくべきだと今後の規制のあり方として思うわけでございますが、諸葛参考人にその点、確認をさせていただきたいと思います。
○諸葛参考人 御質問ありがとうございます。 私、全く同感でございまして、一番大事なコミュニケーションは、実は、原子力発電所はどこまで安全にすればいいのか。これは、規制委員会の田中委員長が国会で答弁されておられて、安全目標が十のマイナス六乗であるという御説明はされているんですけれども、これは、昔、原子力安全委員会が二〇〇四年に掲げた目標でございまして、ここは、私は、規制委員会なり安全委員会がこれを目標にしようと決めたらもうそれが金科玉条だとは思っておりません。 ですから、国民とコミュニケーションを行ってきちんと合意を図っていく、これが私は社会的な受忍限度と呼ぶべきものだと思います。私の資料の赤丸でございますけれども、ここの部分は、これは専門家が決めたからもうこれでいいんだというものじゃなくて、これを国会なり広いさまざまな分野の方の御意見を入れながら改善していく必要があるのではないか、そのコミュニケーションが最も大事なのではないかというふうに考えております。
○江田(康)委員 さらに、意思決定プロセスについてもお聞きをさせていただきたいと思うんです。 我が国の原子力規制委員会、出席委員の過半数で議事を決する合議制の機関であるということを設置法にはうたっているわけでございますけれども、これが担当委員に振り分けられて、その担当委員の専門性でもって原案の作成が決められていく、決められやすいといいますか、ほかの委員は担当委員の意見を尊重しということでありましょうけれども、それが十分に議論されずに、丸のみとは申しませんけれども、そういうような傾向がある。こういうような状況では、やはり合議制は形骸化してくる、そういう懸念がございます。 この点、NRCでは、各委員に少なくとも数人の直属の専門サポートスタッフがおりまして、各委員の情報収集や分析能力の強化を図って、最終的に合議制でその方向性を決めていく、こういう意思決定プロセスがあるわけでございます。 我が国の原子力規制委員会の今後のあり方においても、やはり各委員にこういう直属の専門サポートスタッフを設けていくということが合議制のプロセスを堅持していくためには大変重要ではないかと思うわけでございますけれども、その点、西脇参考人や澤参考人、どのようにお考えか、お伺いをいたします。
○西脇参考人 三条委員会、行政委員会ですけれども、我が国にも例がございますけれども、米国には非常に多くのNRC以外の例がございまして、戦中戦後、かなりの数ができてございます。 米国では、行政委員会についての研究、検討が進んでおりまして、それによりますと、諸説あるわけではございますが、行政委員会というのは、ややもするとやはり独裁になりがちだ、見る範囲が狭いので、関係者が少なくて、どうも独善、独裁に陥りがちだ、ですから、きちんと監査をしなきゃいけない、こういう研究があるわけでございます。決してそういう心配を国会が設置法の議論のときにされなかったわけではないわけでしょうけれども、今みたいに担当委員方式でやっていますと、担当委員の意見だけで決まってしまう。先生御指摘のとおりでございます。 NRCの場合には、これを防止するために、委員会がやるべき仕事というのは決まっておりまして、それは、ポリシーステートメント、ポリシーを出すということと、事務局を司法的に、司法的にとまでいきませんけれども、事務局の仕事をジャッジするという仕事に限定をしてございます。専門的な事項はACRSに任せる、こういう仕組みになってございまして、今の設置法でこの仕組みが取り入れられないということではございませんので、そういう仕組みに改めていくべきではないかというふうに考えてございます。
○澤参考人 私も同じ考えでございます。先ほど御指摘のパーソナルスタッフというか、アメリカにはあると私も聞いておるんですが、日本の場合、人材をどう確保するのか、またそれがどういう処遇なのか、あるいはどういうキャリアパスなのかということが確定しないと、なかなかいい人材自体が集まらないんじゃないかという懸念もございます。 したがって、おっしゃったのは、多分、中長期的課題ということで、まず短期的にやらなきゃいけないのは、やはり委員会と規制庁との関係、さらに、さっきの炉安審、燃安審のような専門機関との関係、この三者を、もう一度炉規制法自体を見直して、きちっとした組織のルールにしていく、個人によって左右されないという形にするのが大事だと思っております。
○江田(康)委員 今、関係者とのコミュニケーション、独立が非常に重視された委員会であるがゆえに、これが孤立と勘違いされやすいというか、そういうようなコミュニケーションの必要性。さらには、今言った意思決定のプロセスにおいて、今、澤参考人がおっしゃったように、そういう米国NRCの組織を参考にしてルール化していけばそのような方向に行くのか。もしくは、澤参考人の意見陳述の中には、法規制の見直しといいますか、強化といいますか、そういうようなことがるる書かれているわけでございますけれども、そういう法制化すべき、法的に規定していくべきことと、ルールを決めていくことで本来あるべき規制組織になるのか。そこについては、あえて澤参考人と諸葛参考人にお聞きしたいと思います。
○澤参考人 いろいろな論点があると思いますが、先ほど塩崎委員がおっしゃったように、立法者がもともと何を考えていたか、そして、そのときに宿題になっている話が今ちゃんとできているのかどうか、それをきっちり洗いざらい見て、それで、今の法律にもし欠けている点があれば、それは法規制を変えるべきでありますし、また、これは運用でできるなということであれば運用に落とせばいいし、人選であれば人選すればいい。そのあれこれが、今ごちゃまぜに問題とその解決策が語られているので、やはりまず少し整理が必要かなと思います。
○諸葛参考人 御承知だと思いますけれども、二〇〇一年の省庁再編のときに、原子力安全委員会に百人のスタッフをつけて、そういう機能を強化したわけでございますけれども、今回の原子力規制委員会の設置のときに、旧原子力安全委員会にいた百人の方々の大半は原子力規制庁の方に移行してございます。ですから、私は、人材は必ずしもいないわけではないと思っておりますので、今委員の方から御提言の、そういうスタッフをきちんとつけるというNRC方式は、今後検討に値する方式ではないかと思います。
○江田(康)委員 ありがとうございます。 最後に、もう一つ、オフサイトの避難計画に関連して、これも原子力規制のあり方としてどうあるべきかということをお聞きをさせていただきたいんです。 御承知のとおり、立地地域の市町村においては、原発事故発生時の避難計画の策定が進んでいないという現状があり、この国会でも大変重要視されたわけでございます。避難計画の策定というのは、いわば原発の再稼働のための要件ではありません。しかし、あの福島第一原発の事故の教訓を踏まえるならば、重大事故に対しての備えを行って、そして住民の不安の解消に努めることは、最終的には、再稼働に対する住民の理解を得るためには必要不可欠と思うわけでございます。 そういう中で、いろいろな限界はあるのであろうかと思いますけれども、原子力災害が市区町村域を超えた広域な被害をもたらす可能性も高いし、また、広域的な観点からも、国も、前面に立ってといいますか、計画策定に支援をしていくという必要性が今語られ、またその方向性が示されつつはあるわけでございますけれども、原子力規制組織としても、規制委員会並びに規制庁としても、平時におけるオフサイトの避難計画の策定等における支援、またこのかかわり方について、明確に、どうあるべきかということを、諸葛参考人と、意見は違うかと思いますけれども、井野参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
○諸葛参考人 アメリカの場合には、事業者の設置許可の中にそういう避難計画も含めるという方式がとられておりまして、これまで日本は、深層防護でいう第五層が、事故と結びつけることを非常に嫌ったものですから、独立しているんですけれども、私は、将来的には、設置許可の中で見ていきまして、事業者がやはりそれなりの、地域と連携して、そういう計画作成にもかかわるべきではないかなというふうに考えております。
○井野参考人 今の点については、私も諸葛参考人と同意見です。 アメリカでは、設置に関して、第五層まで含めて審査するというふうに聞いております。 それで、実際に、新潟県の防災のときに、いつフィルターベントをするのかという第四層の対策と、では、第五層をどうするのだ、それによって避難計画が変わるじゃないかということを泉田知事が申しまして、その関連をきちんとしてくれということを東京電力に要請しているわけですね。 そういう議論があるということは、今の規則が第四層でとどまっているということの問題点を示しているわけで、第五層の防災計画まで含めて規制基準に含めて、それで、それに対する適合性審査をやるべきだと、先ほど私、陳述いたしましたけれども、そういうふうにしないとまともな対策にはならないというふうに考えております。
○江田(康)委員 時間が参りました。 きょうは大変貴重な御意見をいただきました。今後の規制組織のあり方について、しっかりと議論に反映をさせていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
○森委員長 次に、椎名毅君。
○椎名委員 結いの党の椎名毅でございます。 四名の参考人の先生方、本当に、御多用の中、本日こういう機会をいただきましたことを、私からも感謝を申し上げたいというふうに思います。 私は国会事故調の事務局をやっていたんですけれども、国会事故調のヒアリングのときに、諸葛先生と西脇先生には何度か、僕じゃないですけれども、事務方からヒアリングをさせていただいたことがあったかというふうに思います。あわせて、そのときのお礼を私からも申し上げたいというふうに思います。 さて、質問に入りたいと思います。 まず一点目、澤参考人からいただきましたプレゼン資料の一枚目、これは本当に私自身も腹にすとんと落ちました。やはり、ゼロリスクというのはほぼ不可能だということを国民全体で共有することが原子力に関する議論をスタートさせる最もスタート地点なのではないかというふうに私自身は思っています。その観点から、私自身は、常に、今回の新規制基準と再稼働に関連して、確率論的なリスク評価をしながらそれを基準の中に取り込んでいくべきであるということをずっと申し上げてまいりました。 例えば川内原発の基準地震動の定め方、最終的に六百二十ガルと決まりましたけれども、基準の決め方は定かではないわけですよね。要は、えいやとやったというところが答えだったろうというふうに思います。 でも、例えばイギリスでは一万年に一回とか、アメリカで十万年に一回とか、こういう頻度の基準があったりした上で、それでリスクを定量化して判断をしていく、こういうあり方が基本的にはあるのかなというふうに思います。 こういった現在の基準について、確率論的リスク評価というのはあくまでも目安であって基準の内容ではないというのが現在の規制庁のスタンスかなというふうに思いますけれども、このあたりについて、諸葛先生と澤先生に伺えればというふうに思います。
○諸葛参考人 確率論的安全評価をどのように使うのかというのは非常に難しい問題でございまして、これは実はIAEAがきちんとした考え方を示しておりますので、私はそれを参考にしていくのがいいのではないかなというふうに思います。 国際的には、多少国によって線引きが違うんですけれども、例えば、DBAという設計基準事故は決定論を使って、それを超える事象に対する対策には確率論を使おうとか、いろいろな考え方がございますけれども、私はIAEAの考え方に準拠するのがいいんじゃないかと考えております。
○澤参考人 この前の大飯の原発をめぐる判決でもありましたように、依然として、ゼロリスク論というのはまだ国民の中に根深く入っていると思います。 したがって、今先生がおっしゃったように、福島の後、原子力というのは、ある一定のリスクと便益をどういうバランスをさせて受け入れていくのかということが本来論点になるべきなんですけれども、その論点が冷静に話し合われている状況にはない。そういう中でPRAを採用していくというのは、その前提にある安全目標自体もまだはっきりと決まった形にはなっていないという中で、リスクがあるということで国民の納得を得ていく段階をまず経ないと、PRAを突然、先に、基準だといっても、まだ手法的にも完全だと言えるわけではないと思いますので、中長期的には推せる方向だとは思うんですけれども、まず第一歩というのはもう少し以前の中にあるのかなと思います。
○椎名委員 ありがとうございます。 本当に、ゼロリスク神話というのは、これを避けようとすると結局安全神話がもう一回つくられるだけなので、定量化することが正しいかという議論はありますけれども、やはりリスクと向き合うということが一番重要なのかなと私自身は思っています。 二点目に、西脇先生に伺いたいと思います。 先ほど井野参考人から、現在の規制基準について、立地指針に相当する部分が入っていないというところについては問題であるという指摘を少しされたかというふうに思います。 私自身も立地指針に関する部分というのは非常に問題視をしていて、これが今回の新規制基準の中に入っていないというところに、再稼働のための規制基準なんじゃないかといううがった見方がなされるのもいたし方ない部分かなというふうに思っていたりはします。 こういったところについて、西脇先生の、世界で一番厳しい基準の中の一つであるとおっしゃっていたので、そのあたりについてちょっとコメントをいただければなというふうに思います。
○西脇参考人 先生御存じのように、旧安全委員会での立地指針というのは、自然的立地条件と公衆との離隔、公衆との離隔というのは重大事故と仮想事故に分かれてございましたが、重大事故をどう見るかというのはあるにしても、仮想事故については完全に公衆との離隔をとっているというものでございました。 今回、新炉規制法におきましては、ディフェンス・イン・デプス、深層防護の第三層まではよろしいんですが、第四層をどう取り扱うか、つまり過酷事故ですね、この領域が議論をされていたと思っております。 旧立地指針におけます仮想事故、これはプライス・アンダーソン法の後にアメリカで出ました事故想定なんかをもとにしてつくられたものですが、当時は第四層の事象というのがやはり不確定でございまして、現在では、TMI等の経験を経まして、また、過酷事故の炉心挙動とかそういうものの解析も進みましたし、確率論も使えるようになってきてございますので、第四層の規制を、単純に公衆との離隔としてとるべきか、あるいは第四層として規制するべきか、これはチョイスの問題で、基本的には、今の規制委員会は多分後者の方をとられているんだろうというふうに思っております。
○椎名委員 ありがとうございます。 では次に、時間もないので、ちょっとあと二点ほど伺いたいんですけれども、先ほど諸葛先生からバックフィットの話をいただきました。アナロジーとしてお話しされていたのは、基本的には建築基準法の既存不適格と同じように扱うべきであるというお話なんだというふうに理解をいたしました。 他方で、やはり、福島の原子力発電所の事故以前において、バックチェックなのかバックフィットなのかという議論がひたすらあった上で、バックフィットではなくバックチェックに落とそうという話。さらには、バックチェックについても、期限を設けるべきかそうではないかという議論の中で、バックチェックも任意で、かつ期限を設けないというか、先送りをするという形で、遅々として進まなかったというのが実態かなというふうに思います。 そういう意味でいうと、やはり、我々が福島の原子力発電所の事故から学んだことというのは、事業者が自発的に安全性を高めていく、安全文化を醸成していくということが必要なのではないかというふうに思うわけですね。 そうすると、やはり、建築基準法の既存不適格とのアナロジーで語るということは、いささか、やはり事故以前と余り変わらないのではないかなというふうに思うんですけれども、そのあたりについてちょっと、アメリカではこのバックフィットについてどう扱われているのかと比較をしながら、さらにコメントをいただければというふうに思います。
○諸葛参考人 アメリカの場合も、バックフィットは、よくアメリカのバックフィットはコスト・アンド・ベネフィットで判断するよというふうに言われるんですけれども、実際には、安全、要するに、事故につながる問題については、これは一〇〇%やはりバックフィットしているんです、アメリカでも。 ですから、私は先ほどちょっと誤解を招く表現をしたかもしれませんけれども、基本的に、そういうリスクに直接かかわる問題については、これはやはり一〇〇%適用するべきだと私自身も思っておりまして、よりベターなものについては対象から外すオプションもあり得るのではないかと。これは、ですけれども、私が決める問題ではなくて、国会で御議論いただいて決めるべき問題だと考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。よく理解できました。わかりました。 そういう意味でいうと、やはり安全性を自発的に事業者の側で高めていくという意味で、どうしても、べき論とか好き嫌いとかではなくて、エコノミクスでインセンティブを組み込んでいかなければならないんだというふうに思います。 私自身は、現在の新規制基準の一つの限界なんじゃないかなと思っている部分があるんですけれども、それは何かというと、基本的には、リスクを定量化して判断してそれを極小化するという思想設計に立っていなくて、宿題型と私は呼んでいますけれども、幾つか宿題をこなすと、それで安全性を確保できるという考え方に立っているんじゃないかなというふうに思っています。そういう観点からすると、インセンティブ設計、エコノミクスによるインセンティブを盛り込まれていないんだというふうに思うんです。 その点について、澤先生がスライドの中でも触れていらっしゃったので、もう少し詳しく教えていただければというふうに思います。
○澤参考人 事業者の競争の対象を安全性というものに置きかえるというか、そういうことをどうやって導くかという文脈で申し上げたんですけれども、アメリカで、まさにピアレビューをやるINPOがありますけれども、その中で評価を受けた結果としてのランキング、これが保険料に反映される。保険料というのはそんなに大きなものではないので、経済的な量としてのインセンティブにはならないんですけれども、やはりレピュテーション、あるいは、自社のところが非常に低いランキングだと現場に対してCEOがきちんと指示をする、そういうインセンティブになっているわけです。 ですから、保険料は一つの例ではあるんですけれども、日本でも、今から、規制委員会の基準をクリアした後、何をやるとどういういいことが起こるのかということについて、もう今はちょっとタブーなのかもしれませんが、昔は、定期検査においての期間の短縮とか項目を減らせるとか、そういうものがあったと思いますけれども、今後、状態が落ちついた後、そういうことも考えていくべきだと思います。
○椎名委員 ありがとうございます。 あと二分ほどあるので、最後に一点。 先ほど公明党の江田先生も触れられていましたけれども、再稼働の決め方については、やはり住民の同意、それから十分な避難計画の策定というのは法的な条件にするべきだというふうに思っています。それを安全性審査の対象にするかという観点においては、そこは議論があるんじゃないかなとは思いますけれども、少なくとも、法的な要件にした上で、それらが整った上で、再稼働するかしないかを最後に誰かが判断するというふうにするべきなんだろうと思うんです。 それに対して、そういう話をすると、法律の名宛て人が違うといって役所には怒られるんですけれども、災害対策基本法、原災法に基づいてつくる避難計画は自治体、住民の同意は法的根拠がない、それから炉規法に基づく安全性審査は基本的には事業者に向かっているということで、これは本当に難しい問題なのかなというふうに思っていますけれども、最後に、再稼働の決め方、それから今申し上げた点についての要件にするべきかというところについて、西脇先生の御意見をいただければなというふうに思います。
○西脇参考人 これもちょっと米国の場合を例に挙げて申しわけないんですけれども、米国の場合、パブリックミーティングを非常によく開いておりまして、特に、大きな事故があって停止状態にあるものから再稼働をするときには、何度も何度もパブリックミーティングを開くわけです。そこにNRCの職員が行って、住民の方の質問に直接答えていくというプロセスをとります。そういう中で、やはり技術に対する認識、あるいは規制委員会に対する信頼というのが生まれてきているのではないかと思っております。 確かに、住民の合意というのは、法的にいいますとすごく難しい位置づけになって、どうやってやるんだいということになりますので、現実的には、井野先生のお話にもございましたけれども、ジャパニーズCLI、フランスでCLIというのがございましたけれども、ああいう組織を使うとか、いろいろな工夫が要るんだろうと思っております。 それから、避難計画につきましては、これも確かに名宛て人が違うという問題もございますが、アメリカの場合も同様でございまして、実は、NRCは、日本の安全審査に当たるものに入るときに、事業者に避難計画を州と合意することを求めています。合意された避難計画が妥当であるかどうかということをNRCが確認するということにしておりますので、名宛て人の問題も、そういうやり方をすれば解消はできるということになると思います。
○椎名委員 ありがとうございました。 きょうは、御多用の中、貴重なお話をいただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。 お時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございます。
○森委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。 きょうは、諸葛参考人、澤参考人、西脇参考人、そして井野参考人、本当にお忙しい中、貴重な御意見をありがとうございました。 最初に、四人の参考人の皆さんに一言ずつ伺いたいと思うんですが、福島の東京電力の第一原発事故から三年二カ月余りということになりますが、私自身も、去る五月十九日に、中に入るのは三度目だったんですが、視察をしてまいりまして、働く皆さんは本当に中で大奮闘して大苦闘しているということだとは思うんだけれども、しかし、収束とはほど遠いという状況で、いまだに十三万人の方々が、県内外に福島県民が避難されている。 そこで、やはり、原子力政策とともに規制行政自身も安全神話にとらわれたという問題を改めて私も痛感したわけなんですけれども、四人の参考人の皆さんに、一言ずつで結構なんですが、この事故の教訓、特に規制行政との関係で、いろいろあると先ほど来あるんですが、端的に言って、一番これだな、一つ挙げるとしたらこの点だということを一言ずつ伺えればと思うんですが、いかがでしょうか。
○諸葛参考人 私は、イの一番に挙げたいのはやはり、コミュニケーションでございます。これは、コミュニケーションというのは、国と地域、事業者と規制官といいますか規制機関だけじゃなくて、原子力の賛成派と反対派のコミュニケーションも事故前は断絶していたのではないか。ですから、そういうところのコミュニケーションを全て改善していくべきだなというふうに痛感いたしました。
○澤参考人 私は、一言で言うと、お墨つきという、あの概念だと思います。 やはり、事業者が、あのころは保安院ですけれども、要するに、国のオーケーをもらうことをお墨つきと考え、それ以降は安全に対する取り組みは、極端に言えば必要ない、むしろ国の基準を守ることが安全とイコールだという考えだったと思いますし、今でもそのパラダイムは続いていると思います。 一方、国の方も、逆に、お墨つきを与えた後は事業者だとずっと突き放してきたわけですが、東電の事故のときに、さっき申し上げたテレビ会議を見ていると、国と東電が責任のなすりつけ合いを、そのプロセスによって行われているといいますか、そのプロセスの中でやっているわけですね。したがって、そのうみというのは出ているわけで、あれの反省に立って、規制委員会と事業者、この関係性をきちっともう一度整理すべきだというふうに思います。
○西脇参考人 福島事故を発生させて、実は私は規制に一時期いたことがございまして、そういう意味では非常に大きな反省をしておるわけですけれども、非常に多くの原因があろうかと思います。 ただ、一つだけ挙げろと言われますと、規制にいた身としてまことに申しわけないんですが、やはり、規制機関の専門性のなさだろうと思っております。 これは、歴史的に見ますと、旧原子力委員会、これも八条の委員会で審査をしてきたわけですが、そういう意味では、炉安審が審査をされるという、常設の機関ではありますが、スタッフが充実していたわけでもない、そういうところから始まりまして、有沢行政懇の後に通産省の方に規制行政が一貫化されたわけですが、しかしながら、非常に専門性が高かった原研、これが旧科学技術庁のままにあって、経産省は原研の方と御議論することもできなかったというような状態の中で、どうしても規制機関の専門性が高まらなかった。 実は私、NRCに二年間出向したこともございまして、向こうに行きますと、周りの人間と非常にフランクにエンジニアとして議論ができるんですけれども、そういうことが、やはり日本に帰ってきますとできないというような状況にありましたので、福島事故、これは原因と言うべきか遠因と言うべきか、一番大きな遠因というのは規制機関の専門性のなさだろうと思っております。
○井野参考人 福島事故の原因、これは第一義的には、やはり東京電力が、都合の悪い情報なぞいろいろなことについて、恣意的な判断で、安全であるというふうにみずから思ってしまう、そういう体制、もっとそれをきちんと公開する、そういうことでオープンな議論をするという姿勢が全くなかったというところが一番根本だと思うんですが、規制との関係について言えば、それをきちんと規制していないといいますか、例えば、今、澤さんもおっしゃったんですけれども、一旦認可すればそのままだという姿勢、これは全くそのとおりだ、問題だと思います。 ちょっと話が違いますけれども、例えば、玄海一号の脆性遷移温度について、これはチェックして数年たっているのに、保安院の方は脆性遷移温度が九十八度にも上がったというようなことを全く把握しないでいて、私が面会をして指摘して初めて知ったというような、そういう状況だったわけです。 同じようなことが多分いろいろなところにおいてあったという意味で、規制が全く機能していなかったのではないかというふうに思っております。
○笠井委員 井野参考人に伺いたいと思うんですが、先ほど陳述の中で、大飯原発三、四号機の差しとめ訴訟判決について、画期的な判決というふうに言われました。私も全く同感で、事実と道理に立った理性的判決だというふうに思います。 福島事故と三年余りの現実を踏まえて、憲法で保障された人格権を最優先にしている。そして、他の事故とは異なる原発の本質的な危険性を繰り返し強調しながら、原発安全神話に対して厳しい断罪を下して、国民の命よりもコストを優先する考え方をきっぱりと退けている。 私自身は、これらの判断は全国の原発にも当てはまるもので、大飯原発はもとより、全国の原発の再稼働を中止して、全国の原発をなくしていくゼロの政治決断こそすべきだと、世論が今や大いに広がっているところだと思うんですが、この判決に対して政府や規制委員会の反応は御案内のとおりですし、被告の関西電力の八木社長は、控訴したので判決は確定していない、したがって、条件が整えば高裁判決前にも再稼働する方針ということを明らかにしておりますけれども、そういう反応も踏まえて、今回の判決をどう捉えるべきだというふうに思われているでしょうか。
○井野参考人 これは、裁判官の判断は、いわば市民の一般常識といいますか、市民の考え方、それに立ったものだと思います。 それに対して、今までそういうことは、専門家の常識、そういうものを信頼して、行政官も裁判所も認めていた。それは非常に限定的なものであって、実際それが誤りもありますし、また、専門家がその立場によって必ずしも中立公正な判断をしていないというケースも多々あるわけで、そういうことに対して、やはり、一般的にどうなんだという常識を持って、常識はもちろんいろいろ裏づけられていることなわけですが、そういうことを重視した判決だと思います。 それで、この問題は、先ほど出ている、絶対安全ではなくて、十のマイナス六乗のそういう安全目標をどうするのかという議論ともかかわるわけですけれども、仮に十のマイナス六乗というような安全目標を立てるならば、その安全目標が実現できるかどうかということの技術的な裏づけをきちんとしないと、それは単に目標になってしまう。 それから、十のマイナス六乗で危険があるんだということを住民に知らせる、それでその合意を得るということをベースにしなきゃいけない。もしそういうことがとれないならば、それはだめだということになるわけですけれども、その点の議論が、今までは、もうこれは絶対安全ですという神話を振りまいて住民の同意をとったわけです。安全協定もそれに基づいた安全協定であるわけです。 ですので、今後、もし仮にリスクを認めるんだということ、私はそれは正しいことだと思いますが、そのことをきちんとやるべきだと思うんですが、もしリスクを認めるんだとすれば、その上に立って、今まで住民、地域と結んできた安全協定、そういうことから全てやり直して、安全協定を全て見直すということからスタートして国民の理解を得る、そういうことができない限り、再稼働なぞはすべきでないというふうに考えております。
○笠井委員 もう一問、井野参考人に伺いたいんですが、エネルギー基本計画で、「世界で最も厳しい水準の規制基準」としていることは事実に反するというふうに先ほど言われました。そして、数多くの不備があるというふうに言われたんですが、幾つかの点を挙げられたのは、私も重要な指摘だと受けとめました。 同時に、その中で、原発の地下水の問題ですね、先ほども地下水という話がありましたが。これにしても、福島第一原発でいいますと、毎日四百トンというわけでありますけれども、私たち、電力事業者から聞き取ったところによりますと、川内原発でも三百トン、高浜原発は三百四十トン、柏崎刈羽に至っては三千三百トン、毎日ということで言われております。 ところが、現在の規制基準には、事故が起こった場合の汚染水あるいは地下水問題については、基準の中に入っていないというふうに思うんですけれども、このことについてはどのように思われるでしょうか。
○井野参考人 私も、ざっと拝見したところでは、そういうことは入っていないということで、やはりこれは、地下水の問題がきちんとしないと、今、汚染が事故後拡大しているのは、その評価をしていなかったということがあります。くみ上げの井戸も地震で壊れたというようなことが拡大の原因なわけですから、これは当然、地下水に対する対策、それの規制というのはきちんと加えるべきだと思います。 私、川内原発もちょっと拝見したわけですけれども、あの地域においては、やはり、そばまで川があって、かなり敷地が低いところにありますので、その三百トン、今伺ったんですが、それのことについても、再稼働においては非常に重大な問題ではないかというふうに思っております。
○笠井委員 西脇参考人とそれから井野参考人に伺いたいんです。 先ほど、井野参考人のお話の中でも、適合性審査について疑問点がある、疑問視される事例があると言われたんですけれども、いろいろ問題点があるという状況の中で、片や、経済界というか財界の方からは、もっと早く審査をやれ、迅速化をしろということで、動きが強まって、さまざまな要請なり要望なり圧力という形であると思うんですけれども、審査の迅速化を求めてせかすということが、審査をする上でどういう影響を及ぼすというふうに西脇参考人、そして井野参考人はお考えでしょうか。
○西脇参考人 私どもは、決して、審査がおくれているからけしからぬなんというのは申したことはないんですけれども、ただ、適合性審査の状況を見ていますと、規制庁の側できちんと議論をして、それで一定のリクワイアメントを出すということの合意がとれているのかどうかというところに少し疑問がございます。 もし、これがNRCならば、中で議論をして、事業者にはこういう要求をするんだという線を決めて、それでヒアリングに当たるということをやりますけれども、どうもそういう対応がなされているようには見えずに、担当の人あるいは担当の委員が自分の御意見を述べられる。 ああいうことをやっていると、無駄な時間が過ぎていくんじゃないか、こういう懸念は持ってございます。
○井野参考人 規制庁の審査に関してでは、私は、向こうに出てきた申請書に対して、それなりの意見、批判というのはある程度されていると思います。 その一例が、先ほど、「不確実さに満ちた過酷事故対策」ということで、適合性審査のところから見たもの、これは、私が資料としてお配りした別刷りの「科学」にそれが書いてあるわけですが、これを書くきっかけになったのは、規制庁の九州電力とのやりとりを見て、かなり突っ込んでいるという点は評価しております。 ところが、それに対して九州電力がきちんとした答えが出せない。そういう状況にあるわけで、それが、現在、これは玄海ですが、川内にしても、PWR共通の問題として、このシナリオにおいては、炉心も冷却できなくなるという問題があるわけなので、これについてきちんとした回答なしに、今、もうじき合格するんじゃないかというような観測が流れているというのは、私にとっては非常に不可解です。 それで、審査を急がすということについては、私は、これは先ほど申しましたように、マイナス百からの出発なので、それから、四十年かけて五十基の原発の審査をしてきて、それと同じものがスタート時点、さらにマイナスの時点から始まっているので、当然、そんなに早く審査をできるものではない、まずそれをきちんとやることなしに信頼は回復しないというのは明らかではないかというふうに思っております。
○笠井委員 時間が来たので終わります。 最後、本当は諸葛参考人に一言伺いたかったんですが、時間がないんですが、汚染水問題についていうと、これは原発推進、あるいはこれからも必要だという方、あるいはもうなくそうという立場を超えて、やはり文字どおり英知を結集してということで、諸葛参考人とも前に御意見を伺って議論したことがあったので、そういうことでは、やはり国会の場でも、大いにそういうことでの仕組み、あるいは国会事故調を受けての諮問機関という議論もありますが、とにかく今解決しなきゃいけない問題についてはもう立場を超えてやるべきだということを痛感しておりますので、またの機会に議論させていただきたいと思います。 終わります。ありがとうございました。
○森委員長 次に、玉城デニー君。
○玉城委員 生活の党の玉城デニーです。 きょうは、先生方、長時間、本当にありがとうございます。私が最後の質問でございますが、どうぞ、質問が重なる点もあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。 では、まず、諸葛参考人に質問をさせていただきたいと思います。 先ほどの質問でも、特に、きょうの中で、挙げるとすればどの点が一番ですかということに、コミュニケーションということをおっしゃられました。 やはり、この原子力の問題だけに限らず、私は沖縄に住んでおりますので、沖縄では当然、安全保障の問題でも常にコミュニケーションが重要であるというふうに考えているところでございます。それは、公正性や透明性をしっかりと確保した上で、きちんと情報を共有することによって危険を回避する、あるいは、その危険に至るまでの間にどのような手順がとれるのかということは、この原子力の問題に関しても、さまざまな技術的な問題からヒューマンエラーの問題も含めて、このコミュニケーションを欠かすところにやはり大きな問題が出てきてしまうということを常々この委員会でも質問の中でも挙げさせていただいております。 そこで、諸葛参考人にお伺いしたいんですが、きょうの資料の中でも、参考人意見として、事故前から後退した点に、コミュニケーション頻度の減少を挙げておられます。そして、今後の規制改善の基本的考え方にも、まず第一にコミュニケーションの改善ということを挙げておられます。 その改善等について、より具体的には、どのような内容の取り組みが求められるのかについてお伺いしたいと思います。
○諸葛参考人 事故後に、まず一つは、役所のリスクコミュニケーションに対する予算が大幅に減少いたしました。これは、当時の政権の脱原発政策で、原発のPAなんかの活動はけしからぬ、こういうお考えだったんだと思います。 二つ目は、電力値上げの査定の中で、やはり各電力会社の広報費用を非常に厳しく削減されております。卑近な例は、私ども地元の東京の渋谷に東京電力の広報館というのがあって、そこに行くとさまざま原子力の話が見られまして、私は、市民の方と学会のコミュニケーションのいろいろな機会があるんです。どこに行ったらまとまった情報が入手できますかと聞かれますと、大概その東電の広報館を御紹介していたんですけれども、今はなくなってしまいましたので、横浜に、私の出身元でもある東芝と三菱重工のPR館があるんですけれども、そこを推奨するしかなくて、そういう情報を市民の方に提供する場が非常に減っております。 先ほど井野参考人が、今回の福井地裁の判決が市民レベルの視線だというのは、私も全く同感でございまして、つまり、私のプレゼンでも申し上げたとおり、どこまで今の新しい規制基準で安全性が改善されたのかということがほとんど国民に向かって説明されていませんから、だから、そういうことが徹底していない。 これは本当にゆゆしき問題で、ですから、真っ先にお願いしたいのは、国の広報予算を、原子力推進ということではなくて、そういう基本的なリスクに対する理解を深めるという意味で、その活動に対する予算をぜひ復活していただければと思う次第でございます。
○玉城委員 ありがとうございます。 では、続いて澤参考人にお伺いいたします。 きょうの資料の中でも、規制活動の悪循環の現状、その指摘で、規制委員会が、リスクゼロを求める世論を過剰に意識しているということが述べられております。 これは、これまでも委員からも質問があったことですが、過剰意識することが、このポンチ絵の中での回転的な、審査期間の長期化や、事業者の自律的な安全への取り組みのある種の阻害要因というふうな形でも捉えられるのかなというふうに思います。 規制委員会が、本来あるべき公平性や透明性を担保した上で判断するための国民世論との合意形成などについては、どのような姿勢で臨むべきだろうかということについてのお考えを、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○澤参考人 今、私は批判的なお話ばかりしましたけれども、原子力への信頼を再構築するという意味では、規制委員会がどう振る舞うかということが実は一番大事だというふうに規制委員会は感じておられるんだと思います。ですから、そういう意味では、厳しくする、あるいはこれまで足りなかった分を埋める、そういうことを努力されているんだと思います。 ただ、残念ながら、それについて何をやればいいのか、そして何をやっているのかを誰に伝えようとしているのかということが見えないわけですね。 ですから、今おっしゃった、まさに国民合意を形成していく、国民の意識を改革していく、そういうために、委員長が記者会見だけで話をするとか国会で話をするが、記者会見の議事録なんか誰も読んでいません。国会も、見ている人はいるのかもしれませんけれども、もっともっと場があるわけですね。だから、審査で忙しいということはもちろんあると思いますけれども、やはり、直接的に声を聞くということは大きな違いがあると思います。ですから、そういう意味では、トップが先頭に立って、まさにコミュニケーションをやっていっていただきたいなというのが私の希望です。
○玉城委員 それでは、続いて西脇参考人にお伺いいたします。 きょうの御指摘の中で、合議制委員会としての機能における指摘ということを挙げておられます。本来の規制委員会に求められる、独立した職権を行使して慎重かつ公正な判断がなされるものという点において、例えば、原子力規制庁職員と一体として業務を行っていること、そのことによる議論の非公開性や、委員会による事務局へのチェック機能などが働かなくなるということなどを挙げていらっしゃいます。 では、お伺いいたしますが、合議制として機能するためにこの規制委員会がとるべき改善点は、特に、どのようなところを改善の重点に置くべきであるかということについての御意見を伺えればと思います。
○西脇参考人 その点、何度か申し上げましたが、規制庁というのは行政庁でございますので、ここが非常に専門性高く行政審査をするという機能を持つということがまず第一でございます。その上で、規制委員会は、国民の側に立つ、国民の側に立って行政庁が行っている行為をチェックする、こういう意識が必要なのではないかというふうに思っております。そうしますと、規制委員会の中で規制庁をチェックするという、内部監査というんですか、そのチェック機能が働くということになります。 これはもともと規制委員会設置法の審議の段階で、明示的には述べられておりませんが、当然の前提として議論されていたのではないかというふうに思っておりまして、もしこの点に関して規制委員会が、そういうことはないんだろう、国会の方はそうお考えになっていないんだろうというんだったら、国会の方で、どう考えていったのかということを御発言されるというのは重要なことではないかというふうに思っております。
○玉城委員 ありがとうございます。 では、残りの時間は井野参考人にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。 きょうの資料、「原子力規制行政の在り方」の資料の六ページ、最後のページにこれは述べられていることであります。前のページから、「規制組織の構成・機能についての意見」の(五)(六)の中で述べていらっしゃることでありますが、原子力規制委員会が原子力推進行政から完全に独立した公正中立な組織であるべきことについて、まず、その必要性について伺いたいと思います。
○井野参考人 余りにも当たり前過ぎた御質問ではないかと思っております。それは、今まで経産省の中で保安院がやってきたものは推進行政と一体になってきた、これに対して、やはりそうではないものだということで、今回、規制委員会ができたと思います。このことは当然、そこから離れて、まさに原子力の安全をどう担保するかという安全性についてきちんとした判断をするということで、ある立場に偏したものではいけないというふうに考えております。 何か足りないような答えかもしれません。済みません。
○玉城委員 ありがとうございます。 本当に、そういうしかるべき当然の確認ということを常に私たちもしっかりと行うためには、参考人のこの資料の中にもありますとおり、委員会や規制庁任せでなく、国会にこそ、公正中立的に規制に関する協議機関、これは原子力行政に対するいわゆる監視機能も有する、そういう機関を置くべきであるということですが、この国会でも、例えば今議論されておりますのは、特定秘密保護法の国会の権能をどうするのか。さまざまな、国会が果たすべき国民に対するその権能こそが、今回の委員の資料の中にもやはり見られたということに関しては、私は同じ思いに立つものであります。 そのことについて、ぜひまた御意見を伺いたいと思います。
○井野参考人 きょうは参考人という形で呼ばれているわけですが、国会の中に、やはりもう少しきちんとした、そういうさまざまな専門家が入り、また場合によっては市民も加わるような正式な協議機関のようなものをつくって、そこで、規制のあり方、あるいは原子力行政というのはどうあるべきかというようなことの意見交換をする。そういう場をつくるということが、ここに私は「公論」と書きましたけれども、そういうものを形成していく非常に大事なステップになるんだと思います。 今まで、原子力の問題はやはり原子力の事業者が中心に考える問題だ、そういうようなことで進んできたとすれば、そういうことではやはり済まされない。市民とかかわる技術の問題は、各分野の専門家が議論して決めるべきことではなくて、市民あるいは国民全体がその問題について関心を持ち、かつ、自分たちの意見を表明できる場が、ただ単にヒアリングを受けるということじゃなくて、協議機関の中に、国民各階層のいろいろなステークホルダーといいますか、そういう人たちが構成するような協議組織、そういうものがつくられて、それが一定の力を持つような組織をつくっていく、そういう場をつくっていくということが公論形成ということの眼目だと思います。 そういうものを国にもつくり、また各自治体にもつくる、そういうことの中で、日本の原子力、脱原発を進めるのかどうかということも含めて議論をしていく、そういう場をつくっていくということこそが大事なことではないかというふうに思っております。
○玉城委員 ありがとうございます。 まさにこの(六)に書かれているのが、各原発サイトごとに、事業者、関係自治体、住民、有識者による協議機関を置くべきであるということは、本当に今参考人がおっしゃった意見そのものであるというふうに思います。 なぜなら、国民がしっかり情報を得て、そこで議論をし、判断をすることこそ、私は、秘密保護の問題にしても、あるいは原発の問題にしても、集団的自衛権の問題にしても、全て、この国がしっかり置くべき一番根幹にあるものではないかと考えるわけですね。そういう意味では、きょうは、参考人からも大変貴重な御意見を伺えたいい機会であったというふうに思います。 先生方、きょうはどうもありがとうございました。長時間でしたが、これで質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○森委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。 —————————————
○森委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査のため、来る六月五日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る六月五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時七分散会