法務委員会 第10号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2013/12/03
会議録
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、古賀友一郎君及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として石井正弘君及び宇都隆史君が選任されました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、弁護士・早稲田大学大学院法務研究科教授榊原富士子さん、なくそう戸籍と婚外子差別・交流会田中須美子さん、弁護士中井洋恵さん及び立命館大学法学部教授・法学博士二宮周平君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。 まず、委員長を始め委員の皆様方に、質問する権利いただきましたこと、御礼を申し上げます。 その上で、谷垣大臣、この民法改正、嫡出子、非嫡出子それぞれの子供の権利は平等だと、この理念というのには共鳴する立場でありながら、ここまで来るに至っては、自民党の政策決定プロセスの中でもいろんな議論がありました。この民法改正に関して、やはり問題点を指摘する声も多かったように思います。今日は、与えられた短い時間でありますけれども、この論点をこの国会という場で改めて確認をさせていただく、そういう場にさせていただきたいと思います。 まず、第一点目として、まずこれは最高裁に確認をしたいんですが、これまで最高裁の判決でも、一貫して嫡出子、非嫡出子の相続額の差異についてはあくまで合憲の範疇内であるという判断がなされてきたわけですけれども、ここに来て突然百八十度違う判決が出た。その間に一体どのような環境の変化があったのかということに関しては、なかなか判決文を読んでも、国民も、ああ、なるほどと理解ができるようなものになっていないような気がするんです。 最高裁の方で、この辺りをちょっと御説明いただけませんか。
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。 ただいまの御質問は、九月四日の大法廷決定がその結論を導くに至った理由をお尋ねになっているものと理解しております。 決定の理由につきましては、その決定書きに記載されているとおりでございまして、最高裁の事務総局としてそれ以上のことをお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○宇都隆史君 恐らくその程度の答弁しか来ないだろうなと思ったんですけど、やはり国民には、どうしてこういうふうな判決が出てしまうんだろうかという、納得がいかないという声の方が多いように思うんですね。 実際に、昨年十二月の内閣の世論調査によると、現行法のままでいいのではないかという数値が三五・六%、いやいや、相続額を同じにすべきじゃないか、子の平等だということで回答された方は二五・八%。やはり現行法のままの方が上回っているわけですよね。これ、もう最高裁の判決が出たということで、非常に急いでこの法改正をしようということで、たしかパブリックコメントもなされていないやに聞いておりますけれども。 片や特定秘密保護法案、いや、世論の反発が、世論が、パブリックコメントでも二週間しかしなかったと片や別の委員会でやっておきながら、この民法改正に関しては、何でここ、ささささっとやってしまうのかなというような疑問があるわけなんです。 そこで、谷垣大臣にお尋ねしたいんですけれども、配付している資料一でございます。 J—ファイルにおいて、昨年、衆議院選挙、今年の夏の参議院選挙において、我が自民党はJ—ファイル二百八十六番目で、家族のきずなを深め、家庭基盤を充実させ、全員参加型社会の実現へということで、家族の重要性、これうたいました。国民の皆さんの中には、非常に自民党、家族を守るといいながら、違う方向性のちょっと民法改正をしようとしているんではないかという、自民党支持者の中にも反発の声があるやに聞いております。この辺りを大臣のお言葉で御説明いただきたい。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、私どもは、J—ファイルをお示しになったように、家庭基盤を充実させていく、家族のきずなを強めていくことが極めて大事であるという主張をしておりまして、私自身も全く現在もそのように思っております。 そこで、問題は、今回のこの法律の改正が家族のきずなを弱めるものではないか、家庭基盤を掘り崩すものではないかというふうにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。もっとも、今度の法改正がどういう効果を呼んでいくか、結果を招来するかというのは、将来予測で、必ずしも現時点で確定的なことは申しませんが、私の認識としては、日本では、法律婚、明治の初め、明治民法ができましたころは、なぜ結婚したときに役所に届け出なきゃならないのかということもなかなか理解がなかったと思います。しかし、長い間にやはり法律婚というのは大事にしなければならないという意識は浸透してきまして、国民の間にも法律婚を中心に考えていくという意識は私は定着している、それが家族のきずなの基盤にもなっているというふうに思っております。 今回の改正がそれにどういう影響を与えるかということでありますが、法律婚を尊重するその家族観、それからその家庭基盤というものは私はしっかり根付いていると思っております。それから、法律の中身を見ましても、何というんでしょうか、例えば事実婚の内縁の妻ということになりましょうか、そういう者には相続権というのは認めていないわけですね。やっぱり配偶者間で相続権があるのは法律婚である、こういう前提は崩れておりません。私はやはり、今おっしゃったような我々のJ—ファイルに今回の結論は必ずしも矛盾するものではないと、このように考えております。
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。非常におっしゃることよく分かりました。 ここの部分は、若干その見解の相違の部分もあるとは思うんですけれども、私は、やっぱり相続制度の在り方というのは、親が持っている因果というのがそのままやはり子に報われてくる、そういうようなベースに成り立っていると思うんです。ですから、親が非常に頑張った子供たちの相続額が多いのはこれは当然ですし、親が負債を抱えてしまえば、それは子供が背負わなきゃいけないというのもこれは当然でございますし、ただ、その中で……(発言する者あり)ちょっと済みません、外野、静かにしてください。その中で、先ほど法務大臣が言われた法律婚、この意識、これはしっかり根付いているであろうから、この民法改正が行われたからといって今の家族制度が崩壊するものではない、この考え方はもちろん理解できますが、ただ、この民法改正が行われると、実際に相続額、お金がここに発生してきますよね。実際に、御主人を失った家庭に非嫡出子がいれば、実際の額としてお支払をしなければならないという部分が出てきます。 この法改正によって一体どこまでの影響が及んでくるのかなというのは、やはりこれは改正して今後運用していく過程の中で次第に明らかになってくる部分だと思うんです。中には、実際にお支払いできるような財産、お金という面でですね、現金という意味での財産はなくて、仕方なく今自分が住んでいる家を売り払わなければならない、あるいは、一緒に経営していた会社であれば、会社を一旦潰してお金に換えてその分を払わなきゃいけない、こういうことも出てくるのではないかなというふうに思っているんです。 その辺りの他に与える影響、ここはやっぱり、どちらかというと、司法が判決したからすぐに我が立法府がそれを履行するというのではなくて、立法府として様々な影響を調査をしながら、やはり司法が下した判決どおりの民法改正と同時に、影響を最小限に抑えるための新たな法案、こういうのはやっぱりセットにして考えていくべきだとは思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 自民党の中の法務部会でいろいろ御議論があって、やはり家族基盤を、家庭基盤というものを充実させていくための施策を自民党としても考えるべきではないか、そのようなプロジェクトチームといいますか、調査会と申しますか、そういうものをつくって議論しようという御意見があるのは十分私も承知しております。 そして、それと同時に、法務省におきましても、相続法制その他、家庭基盤の充実をどう図っていくかということでいろいろ検討しなければならないだろうと、このように考えております。恐らく自民党の法務部会でも法務省はそのような答弁をしているのではないかと思いますが、こういう仕組みを考える上に当たっては、今回の法改正がどのような影響を与え得るのかということを十分に見ながらそのような検討もしなければいけないと考えているところでございます。
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。 大臣がおっしゃるように、自民党のこの政策了承のプロセス、部会においてはもう本当に議論が紛糾したんですけれども、最終的に了としようと、必要な法案だから上に上げて国会に提出するのを了承しようというふうに至った最終的な落としどころといいますか、みんなが納得した結果は、まず党の中に家族のきずなを守る特命委員会、こういうのを設けようと。そして、改正が社会全体に与える影響をしっかりと把握をして、例えばですけど、正妻の相続税の見直しをするとか、あるいは住宅の居住権を、これを法的に保護してあげるような法整備を整えようとか、あるいは、それまでに財産構築をした貢献度に応じた遺産分配制度、そういうのも検討しようじゃないかと。 これは、当時部会に出席していただいた、今日御出席いただいていますけど、官房長も一緒になって、おおむね一年間をめどに、党だけに任せるのだけではなくて法務省も一緒になってこの特命委員会と結論を出していく、その努力をやるからどうにかこの部会で了承していただきたいと、そういうお話であったように思います。 官房長、もう一度この場所で、しっかりとそれをやってまいりますと法務省としてお答えを願えませんか。
○政府参考人(黒川弘務君) ただいま委員から御指摘もございまして、また大臣からも御答弁がございましたが、今回の最高裁判所の決定及び民法改正の影響について、その実態把握に努めるとともに、相続法制等の在り方について検討を進めるためのワーキングチームを直ちに設置することとしております。 また、今そのワーキングチーム設立に向けた準備を開始しているところでございますけれど、このワーキングチームを速やかに立ち上げた上で必要な検討を進めまして、御指摘のとおり、一年を目途として相続法制等に関する諸施策の取りまとめを行いたいと考えております。
○宇都隆史君 官房長、非常に前向きな、部会で我々に約束をしていただいたとおりの答弁、本当にありがとうございました。 やっぱりバランス、必要だと思うんですね。子の平等、これをしっかり守っていくと同時に、それによって今までなかった不利益を被る人がないようなバランスをきっちり構築していく。また一緒になって努力させていただきたいと思います。 最後に、大臣、これは御意見を賜るというだけで終わりたいんですが、一点だけ大臣に御質問といいますか、大臣の御所見を伺いたい点がございます。 三権分立におけるお互いのチェック・アンド・バランスという件に関して、これは私の見解なんですけれども、現在、司法、これの様々な判断に対する立法府あるいは行政府あるいは国民からのチェック機能というのが果たしてどれだけ働いているんだろうか。例えば、司法に対するチェック機能としての制度としては弾劾裁判所というのがあります。あるいは、国民が衆議院選挙のときに同時に行う国民審査というのがありますけれども、どちらにしても非常に形骸化しているんではないかなと。いわゆる法曹界が一つの緊張感を持って、その判決を出すに当たって、主権者たる国民に対して、あるいは立法府、行政府に対して、揺るぎないといいますか、自分たちがどこに出しても恥ずかしくないような判決を出していく。もしそれが世に問われるような事態になればそれなりのやっぱりチェック機能が働く体制になっているんだろうかというような疑義を感じるわけです。 このチェック・アンド・バランスの関係の在り方、あるいは今後のこの国民審査、弾劾裁判の在り方に関して谷垣大臣の御所見があれば一言伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 三権分立におけるチェック・アンド・バランスに関してはいろんな見方がございますし、それからいろいろな国の制度の立て方、あるいは歴史的伝統によっても様々だと思うんですね。しかし、私は大きな意味で、裁判所はもちろん独立で職権を行使するということになっておりますが、その職権を行使するに当たっては、立法府の作った法律に従って裁判しなければならないということになっております。したがいまして、やっぱり立法府がこういう立法で裁判をしてくれといえば、裁判所はそれに従わざるを得ないわけですね。 しかし、ただ一点、ただ一点、果たして立法府の作った法令が、これはいろんな場合があると思います。社会事情の変遷によって違憲になっていく場合もあれば、あるいは当初から疑義があるという場合もあるいはあるかもしれません。ただ一点、裁判所は、憲法に照らしてこの法律が違憲であるという点については立法府の作った法律を覆すことができると、そういう形でチェック・アンド・バランスが一つ働いていると思います。それは私は機能していると思うんですね。 ただ、今おっしゃった、例えば裁判官のチェックをするということに、選挙のたびにチェックをするということになっております。それについては今までも、従来もいろいろな議論がございました。ただ、私は基本的に、これも内閣が任命するということに、最高裁判所の裁判官もですね、それであとの裁判官は独立に裁判所がお選びになるという形でございますが、そういう辺りも私は長い目で見てうまく機能しているというふうには思っております。これは宇都委員とまたちょっと意見が違うかもしれません。 ただ、どういう制度がいいかというのは、やはり諸外国の例もいろいろございますから、十分にこれはそれぞれのお立場で検討さるべきことではないかと、このように思っております。
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。 今回の判決は、裁判所が出した法令違憲ですか、判決としては刑事事件以外に民法で出したのは初めてというやには聞いております。いろんなやっぱりそれに対する、国民の意識に対する影響というのはありますから、是非この民法改正に対しても引き続き、この中身の説明、そして決して家族制度を壊すようなものではないんだという説明を法務省には引き続きお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。 私、今回の質問に立つに当たり、自問しました。今回のこの問題について私が質問する資格があるのかと悩みました。私は今年で三十四歳になりましたけれども、いまだに独身です。もちろん、子供もいません。望んで独身でいようと居続けたわけではないんですけれども、不幸にも恐らく今年も独身で年を越すことになりそうです。 そんな私が、結婚して子供を産み、そしてその後、また別の異性の方と関係を持って、そしてその方とも子供をつくってという、私とは大分ちょっと人生のステージの違う方の問題について発言することが、おまえに分かるわけないだろうというような批判も恐らくいただくんじゃないだろうかというふうに思って、私でいいのかと考えましたけれども、私の理想とする社会というのは、世の中の皆さんが他者が置かれている状況のことを自分のこととして考えられる、そういった社会が理想だと。だからこそ、私とは多少置かれている状況が違う問題ではありますけれども、私は質問に立とうという決心をしました。 結論から申します。私はこの民法改正案については賛成です。やはり、生まれてきた子供に責任はないのに相続で差別されるのはおかしい、子は親を選べないと、そういった主張に関して、それを覆すだけの理屈は私には見当たりませんでした。 ただ、いろんな議論を聞いておると、この問題に関して慎重な意見を持っていらっしゃる方もいることも事実です。立法府に身を置く者として、そうした慎重な意見の方の思いも胸に刻みながら議論をしていかなければいけないと、そういった視点から私は今日質問をさせていただきたいと思っております。 今回の問題に関して、最高裁は平成七年に現行の規定を合憲とされました。しかし、今回、最高裁は、合憲から違憲と判断を変えた根拠として、家族形態の多様化、国民の意識の変化、外国の立法の趨勢、批准した条約、委員会からの指摘、嫡出子、非嫡出子の区別にかかわる法令等の変化などにより、家族という共同体の中における個人の尊重が明確に意識されてきたということを挙げております。 国民の意識という問題に関してはなかなか、それを客観的にどういう指標で調べるのかというのは、調査によって変わるかもしれません。しかし、この家族形態の多様化ということに関しては、我が国においても、晩婚化だったり核家族化だったりと一定程度変化は起こってきているんだと思います。 では、この婚外子の問題に関しては、嫡出子、非嫡出子の数はどのような変化があったんでしょうか。この合憲としたときの平成七年から今回の違憲とした平成二十五年で、嫡出子、非嫡出子の数の変化というのはどうなったんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) まず、平成七年の合憲の決定があった年の嫡出でない子の出生総数に占める割合は一・二四%、人数にして一万四千七百十八人でございました。その五年後の平成十二年は、同じ数字が一・六三%、一万九千四百三十六人。更に五年後の平成十七年には、割合の方は二・〇三%、人数は二万一千五百三十三人。更に五年後の平成二十二年は、割合が二・一五%、人数が二万二千九百八十六人。そして、直近の平成二十四年は、比率で二・二三%、人数で二万三千百三十八人と推移しておりまして、一貫して増加傾向にあるものと考えられます。
○山下雄平君 非嫡出子の数は増えているということですけれども、これをもって、じゃ家族形態がどうだというのはなかなか一概には言えないとは思うんですけれども、今回の議論の中で、この民法の改正をすることによって非嫡出子の数がどんどん増えていってしまうんじゃないかというような懸念も出されました。 では、各国ではどうなっているんでしょうか。嫡出子と非嫡出子の相続を同等にした各国では、その後、嫡出子と非嫡出子の割合、数の変化はどのようになったんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 嫡出でない子と嫡出子の相続分を同等にした諸外国三つ挙げますと、イギリス、アメリカ、韓国の数字を把握しております。 まずイギリスにつきましては、一九八七年の法改正で相続分の同等化が図られました。そして、嫡出でない子の出生割合は、一九六〇年の時点では五・二二%だったものが、その後増加を続け、改正の前々年である一九八五年には一八・八九%、法改正の前年の一九八六年には二〇・九九%、改正がされた一九八七年には二二・九%、翌年の八八年は二五・一五%、さらに翌年の八九年は二六・六%ということでございます。 また、アメリカですけれども、アメリカは一九七七年に連邦最高裁判所で嫡出子と嫡出でない子の相続分に差異を設けることが違憲であるという判断がされておりますが、その前後を比較しますと、まず、一九六〇年の時点では四・九%の割合でしたけれども、その後、嫡出でない子の出生割合は増加を続けまして、一九七五年には一四・三%、七六年には一四・八%、違憲判断がされた年である七七年には一五・五%、翌七八年には一六・三%、さらに翌々年の七九年には一七・一%でございました。 もう一つ、韓国を御紹介しますと、韓国は一九九〇年の法改正で男女とも嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等化いたしました。嫡出でない子の出生割合は、統計を取り始めた一九八一年は一・一二%でしたが、その後やや減少いたしまして、一九八八年には〇・八三%、法改正の前年の八九年には〇・八一%、法改正がされた九〇年には〇・九五%、翌九一年には一・〇二%、さらに翌々年である九二年には一・一五%まで増加しましたが、その後、一九九四年から減少に転じまして、一九九七年には〇・六三%に減少し、その後また増加をしていると、このようなことでございます。
○山下雄平君 今の数字を聞いていると、法改正によってこの嫡出子、非嫡出子の数が変化、影響を与えるということが明確に言えるということではないというふうに感じました。 今回の改正について、中には、日本は法律婚主義の国であると、法改正をしてしまうと法律婚主義がないがしろになってしまうというような懸念も出されました。そうした意見についてはどうお考えになりますでしょうか。 政務官、よろしいでしょうか。
○大臣政務官(平口洋君) 今回の民法の改正の趣旨でございますが、これは最高裁により憲法違反とされた嫡出子と嫡出でない子の相続分における差別を解消するというところにございます。 現行法におきましては、法律上の婚姻関係にある夫婦の一方配偶者には相続権を認めながら、事実婚の関係にある男女の場合にはその一方に他方の相続権は認めていないという、こういうことでございまして、このように、民法第九百条第四号ただし書の規定以外にも法律婚の尊重を目的とする法制度が設けられているというところでございまして、今回の改正はこれらの法制度を変更するものではないと、このように思っております。 さらに、我が国におきましては、法律婚を尊重する意識が国民の間に幅広く浸透しておりまして、このことは今回の最高裁の決定においても指摘されているところでございます。そういたしますと、今回の改正が婚姻をめぐる国民の意識にどのような影響を与えるかは、将来の予測的判断にかかわるので一概に申し上げにくいものの、直ちに法律婚がないがしろにされるというような事態は生じないものであると、このように考えております。
○山下雄平君 政務官がおっしゃったように、法律婚主義は変わらないということでした。 先ほど宇都議員がおっしゃったように、今回の法改正とともに、法律婚主義、法律婚の配偶者をより保護するような法制度も必要だという意見も多数出ております。その中で、法律婚を保護するために、夫の死後、法律婚の配偶者の居住権を強化すべきだと、そういった意見も聞かれますけれども、そのことについての所見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、今回の法改正に当たって、配偶者が相続開始後も自宅不動産に引き続き居住することができるように、その居住権を法律上保護するための措置を講ずべきであるといった意見が各方面から出されたことは十分承知をしております。もっとも、相続の場面における生存配偶者の居住権の保護という問題は、相続人に嫡出子と嫡出でない子が存在するこの民法九百条四号ただし書の適用場面だけではなくて、相続一般に大きな影響を及ぼす問題でございますので、関係者間の利害調整を含めた多角的な検討が必要になる課題だと思っております。 そこで、法務省においては、今後、ワーキングチームを省内に設けて、配偶者の居住権を法律上保護するための措置を始めとする相続法制全般の在り方について検討を進めていく所存でございます。
○山下雄平君 今回の問題に関して自民党内の議論の中でもう一つの論点というのは、立法と司法の在り方でした。今回の判断について議員の中には、ちょっと立法の裁量権に司法が踏み込んできたんじゃないかというような意見もありました。 例えば、安全保障の問題なんかだと、高度な政治性を有する国家の行為については、司法の法律判断が可能であっても審査の対象から外すというような統治行為論を採用する場合もあります。また、国会議員の選挙に関しては、衆議院選に関しましては、さきの最高裁は一票の格差問題に関して立法の裁量権を割と広く認めました。一方で、参議院選挙については、今隣に石井議員がいらっしゃいますけれども、広島高裁岡山支部は立法の裁量権を狭くとらえて当選を無効というような判断もされました。 時には、その司法の判断が若干恣意的なんじゃないかというようなことを感じることもあります。その境というのが、立法と司法の境というのが非常に曖昧なんじゃないかということも感じます。今回の婚外子の相続の問題についても、九月の最高裁決定でも、相続制度をどのように定めるかは立法府の合理的裁量の範囲に委ねられているとも指摘しております。 では、違憲立法審査権が及ぶ範囲というのはどの辺りまでなんでしょうか。その境と立法の裁量権、その境というのはどこにあると考えればいいんでしょうか。谷垣大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) なかなか難しい御質問で、上手に答えられるかどうか自信がないんですけれども、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、立法府は基本的に、法律を作るに当たっては、立法府の判断、つまり裁量権を持っているわけですね。しかし、他方、憲法八十一条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と定めまして、法律の合憲性についての判断権を最高裁判所に認めていると。だから、抽象的に申し上げれば、立法府の裁量権は憲法の枠内であると、こういうことになると思うんです。 私が大学で法律学の講義を聞きましたのは昭和四十年代の初めでございますが、そのときも、講義を聞きまして、今、山下委員がおっしゃいましたように、じゃ、どこまでが立法府の裁量権で、どこまでいけば違憲ということになるんだろうかというのを様々迷いました。昭和四十年代の初頭に比べますと、現在は、判例も随分積み重なって、その判例の中でも、判例といいますか、どういうふうにして憲法判断をしていくかという枠組みについても、判例も、それから学説もかなり蓄積ができてきたと私は思っております。 そういう意味では、何というんでしょうか、大きな恣意的な枠組みで判断するのではなくて、基準が少しずつ積み重なってきている状況ではないかと、このように思っております。 昨日、アメリカのキャロライン・ケネディ大使がお見えになりまして、ケネディ大使が、自分が最初に書いた本は憲法の本であると、こうおっしゃいましたので、私は、日本はかなりアメリカの違憲立法審査権の在り方を参考にしながら人権等々の解釈の基準を定めてきたということを申し上げたんですが、そんなふうに思っておりまして、今委員は例えば統治行為論なんかにもお触れになりましたけれども、私は、法務大臣としてその運用がいいとか悪いとか言うのは差し控えなければならないと思っておりますが、全体としてはそのようなルールは成長しながら今日まで来たという理解をしております。
○山下雄平君 もう時間がなくなってきたので、最後端的にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど大臣が、基準が積み重なってきたと、成長してきたという話もありました。ただ、今回の選挙制度の問題に関しても、今隣にいる議員の地元での判断と最高裁の判断が、衆議院選でのと違ったりとか、若干戸惑う場面もあって、そうした中で、違憲立法審査権に対して否定的な意見を言われる方も実際いらっしゃいます。今日的な違憲立法審査権の意義、そして三権分立の意義について大臣の所見をお伺いできればと思います。
○委員長(荒木清寛君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) やはり三権分立のチェック・アンド・バランス、権力の濫用から国民を守ろうというのがその狙いだろうと思います。 そして、違憲立法審査権の在り方も、アメリカのような付随的審査をするところ、あるいは大陸のように憲法裁判所という、第四権と言っていいかどうか分かりませんが、そういうところで判断する仕組みと、イギリスのように上院の中に最高裁判所があるような仕組みとか、いろんな、それで、そういう制度も固定的なものではなしに、これで学生時代から数十年見ておりますと、かなり発展をしている面があろうかと思います。十分海外の制度も研究しながら日本の方向性を議論すべきだろうと、こんなふうに考えております。
○山下雄平君 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、宇都隆史君が委員を辞任され、その補欠として豊田俊郎君が選任されました。 ─────────────
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 本日、この質疑の後に、政府提出の民法改正案及び議員立法となりました戸籍法改正案の本委員会における採決が行われる運びとなりました。この日に当たって、改めて、戦後の日本社会において、日本国憲法と国際人権条約に基づく男女平等と個人の尊厳の徹底を求めて声を上げてこられた国民の皆さん、とりわけ困難な裁判を闘い抜いてこられた当事者の方々、また女性運動の力に心から敬意を表したいと思います。 そこで、今日は、そうした運動にも取り組んでいらしたお二人の参考人においでいただきました。時間の許す限りお二人の参考人の御所見を伺った上で、最後に大臣に問いたいと思います。 まず、二宮教授にお尋ねをしたいと思うんですけれども、この政府提出の民法改正案にあります民法九百条四号ただし書は、これは旧明治民法から引き継がれたものですけれども、明治民法制定の過程を振り返りますと、民法草案や民法財産取得編においては、この現行民法のような相続分の婚外子に対する差別規定というのは存在しなかったと、そういうことでございます。そこにはどんな歴史的な経過があるのか、そして、その後、明治民法に婚外子差別規定が盛り込まれたのはなぜなのか、こうした辺りをまずお話しいただきたいと思うんですが。
○参考人(二宮周平君) それでは、歴史的経過についてお話しいたします。 正確を期すためにちょっと文書を見ながら発言させていただきます。 この民法草案理由というのは一八八八年に作られています。明治二十一年です。その当時、日本が近代化していくために民法が是非必要であるということで法典の編さん作業に入っております。明治六年以降からその作業が進んでおります。日本政府は、当時パリ大学の法学部長であったボアソナード教授を招聘しまして、彼が講義をして、それを日本人の人が学びながら自分たちで法案を作ってまいりました。そのときの草案理由では次のように述べられています。 欧州各国が、庶出子、これは婚外子のことを指しますが、庶出子の相続権を、正出子、嫡出子のことです、に比べて僅少にしたのは父母の不行跡を戒むるの趣意にほかならざるべし。しかし、我が新法ではこれを取らない。なぜなら、その父母に憎むところありといえども、庶出子は毫もかかわり知らざるところなり。その父母を戒めんと欲してその罰を罪なきの庶出子に及ぼすの理由かつてあらざるものと思考せしをもってなりと記されております。 先ほど自民党の議員の方がおっしゃったように、親の罪を子供にかぶせるということは許されないという、こういう一種のヒューマニズムがあったからのことだと思います。 これを基に作られました、一八九〇年に作られました、旧民法と言われておりますが、そこでは遺産相続については子供の区別はありません。皆同じ相続分になっております。ところが、この旧民法に対しては、特に親族、相続編について、日本の純風美俗に反するのではないかという、そういう議論がありまして、民法出て忠孝滅ぶという有名な言い方がされます。その結果、この旧民法は施行延期になり、再度民法の作り直しがなされました。でき上がったのが一八九八年のいわゆる明治民法と言われるものです。 その明治民法を作る過程では二つの特色がありました。一つは、遺産相続というものです。つまり、家督相続が基本にあるんですが、長男の推定家督相続人、家督は誰が受け継ぐかは決まっています。しかし、その跡継ぎではない人でも財産を稼ぐことがありますので、そういう人たちの遺産相続について、この明治民法では婚外子は婚内子の二分の一という定めがなされます。そのときに提案者である穂積陳重は次のように言っています。 法律が婚姻というものを認めて、親族関係というものは婚姻が一番相当なる親族関係の基としました以上は、嫡出子というものがその父母の跡を財産の点についても継ぐというのを本則と見るのが当たり前でありますから、それゆえに嫡出子と庶子との分量を違えたのであります。じゃ、分量をどうするのかということですが、必ず半分でなければならぬということは道理上の標準ではないのであります。ところが、我が国においては、大宝律令とかそういうものでは庶子と嫡子という区別があって、庶子は嫡子の二分の一としている。穂積委員自身も、ここで言う庶子というのは、妻から産まれた子ではない子というのではなくて、跡取りではない子、これを庶子と言っていたのですね。ですから、今の嫡出、嫡出でない子の区別とは違うんですけれども、そうやって違えることがあった。それが二分の一だったので二分の一にしましたと、こういうことを言っています。 ですから、婚姻の尊重ということは穂積委員もおっしゃっておるんですけれども、しかし家督相続の規定を見ますと、どうなっているかというと、嫡出男子が第一順位の推定家督相続人です。当然、長男、次男、三男という序列が付きます。次はどの順位かというと、庶子の男子です。つまり、婚姻外で産まれた子供で父親が認知をし、なおかつ戸主の同意を得て家の戸籍に入籍された婚外子は家督相続人になりました。三番目が嫡出の女子です。つまり、嫡出でも男女の違いがあって、まずは男子優先、その次に嫡出か嫡出でないかの違いが出てくるというわけです。婚姻を尊重するというのであれば、嫡出女子の方が庶子の男子よりも優先しなければ筋は通りません。でも、そういう立て方ではありませんでした。家制度を維持するためには、当時は男尊女卑でしたので男系を優先すると、こういう理屈であったわけですね。 したがって、婚外子の相続分差別は、当時は、確かに婚姻の尊重という文言は出てきますけれども、それより基本は家の維持にあった、家の維持のために子供を利用してきたと言うと言い過ぎかもしれませんが、私にはそのように思えてなりません。 歴史的経過としては以上であります。
○仁比聡平君 元々我が国の民法を作る過程において、今回の最高裁決定が正面から指摘した、子には何の責任もないではないかという考え方が根本にはあったと。ところが、婚姻の尊重のためというよりも、家督相続をより重要な目的としてそうした旧民法の制定に至ったというお話であったかと思うんですね。 別の角度で、こうした婚内外子の差別に関する規定が、欧米諸国でも、そしてアジア諸国でも撤廃をされてきているというその動向について、特に嫡出、非嫡出という概念そのものをなくしていく動きというのもあるかと思うんですけれども、そうした動向について先生の所見と、そして一点だけ、ちょっと細かいんですが、そうした国々において、婚内外子を区別する必要だとか、あるいはその際の統計的な手法だとかというのがどうなっているのか、もし御存じであれば教えていただきたいと思います。
○参考人(二宮周平君) それでは、見解を述べさせていただきます。 欧米諸国では、もう皆様も御承知のように、キリスト教の倫理が非常に強かったものですから、婚外子というのは罪ある結合の子として親子関係の成立それ自体が否定されていた時代もあります。そういう時代を乗り越えて、一九六〇年代から七〇年代にかけまして、欧米諸国では婚外子の相続分を認めるようになり、またその親子関係の成立も認めるようになりました。 相続権については確かに違いがあります。先ほど申しました民法草案理由のときも、欧米では格差を設けているという、こういうことも言われていたのですけれど、一九七九年に子どもの権利条約が国連で成立いたします。各国とも、子どもの権利条約に書かれている出生による差別をしてはならないと、これを受けて法改正を進めていき、ほとんどの国で欧米の場合には相続分は平等というところに達しました。 一九九六年に民法改正案要綱が成立いたします。日本で法制審答申がありました。そのときに、まだ差別を残していたドイツでは、相続分は平等なんですが、婚外子は現物の財産はもらえない、金銭補償しか得られない。それからフランスは、婚姻関係にある人が持った婚外子、姦生子という言い方をしていますが、そういう子については、計算はちょっとややこしいんですけど、平らく二分の一であるという、こういう差別が残っていたんですけれども、これも子どもの権利条約に反するからというので平等が達成されました。と同時に、その改正に合わせまして、嫡出、非嫡出という言葉をなくしていっています。 一等早く一九七〇年代に国連の諸文書で、これまでは、レジティメート、イレジティメート、嫡出、非嫡出という表現を用いていたのですけれど、これをなくしました。チルドレン・ボーン・アウト・オブ・マリッジ、イン・マリッジ、婚姻外で生まれた、婚姻内で生まれた、そういう表記に表現を変えてきています。なぜかというと、レジティメートという言葉には正統な子という含意があるからです。子供に正統な子と正統でない子がいるのか。生まれた時点からあんたは正統な子じゃないよなんということを言われて、子供が自己の出生に誇りを持つことができるでしょうか。そういう疑問があったからこそ、国連はレジティメートという言葉を削ります。そして、欧米各国も削ります。 で、ついでというと大変恐縮ですけれども、中国も韓国も台湾も嫡出という言葉はありません。その代わり使っている言葉は、韓国の場合ですと、婚姻中の出生子、婚姻外の出生子、略しまして婚生子と婚外子という言い方をしています。これ自体も区別はされているんですけれども、御質問になりましたように、相続分は平等になりました。しかし、親子関係の成立については、婚姻中に妊娠した、あるいは婚姻中に生まれた子は夫の子と推定するという規定があり、婚姻外で生まれた子供さんについては父親が認知をするという、こういう親子関係のつくり方に違いがありますので、それを区別するために、条文上には婚姻中に出生した子、婚姻外に出生した子という言い方をしております。したがって、統計を取るときにも、婚姻中に生まれた子、婚姻外で生まれた子という、こういう区別の仕方で統計は取られています。 いずれにせよ、子供の取扱い、特に親子関係の成立と、あと日本ではまだ親権が単独か共同かという違いがあったりしますけど、幾つかの違いがある以上は、どこかの条文で婚姻中に生まれた、あるいは婚姻外で生まれたという区別はせざるを得ない。しかし、その区別をする必要があるとしても、それに嫡出、嫡出でないという、正統か正統でないかという、そういう表現を用いるのは、やっぱり価値観的におかしいのではないか。できるだけ価値中立な表現にするために、事実に即した表現をするようになっているのではないかと思われます。
○仁比聡平君 ありがとうございました。 次に、榊原富士子先生にお尋ねをしたいと思うんですが、戸籍法に関してなんですけれども、四十九条で、出生届に嫡出子、非嫡出子の区別を本人に記載させるというふうにされているわけですが、これがなぜなのか。 最高裁は、九月の補足意見でも、事務処理上不可欠な記載とまでは言えないというふうに述べてもいるわけですけれども、実際には、戸籍の現場、事務の現場ではこの規定がどんなふうに運用されているのか、教えていただけますでしょうか。
○参考人(榊原富士子君) このような貴重な場を与えていただいてありがとうございます。 このチェック欄といいますのは、当事者が出生届を届け出るときにチェックをするわけですけれども、そのことによって、それを受け取った戸籍係の方が、この子をどの戸籍に入れてよいかということを間違えない、それから、例えば父母欄に父の名前を書いていいか、誰の名前を書くかと、こういうことを慎重に決めるという注意喚起ということの意味が多くを占めていると思うんですね。 では、じゃ、当事者が間違えて、あるいはわざと非嫡出子を嫡出子としてチェックをしたらどうなるかといいますと、それによって嫡出子となるということはあり得ません。これは、皆さん御存じのように、民法七百七十二条で嫡出子についての定義といいますか推定規定がありますので、婚姻の期間、それから出生日によって決まってまいります。ですので、このチェック欄というのは、それで決まるというものではなくて、注意喚起ということかと思います。 実際ここをチェックしないで出したらどうなるかといいますと、今ではチェックされていなくても戸籍係は父母の戸籍を見たりすれば分かるので、それで判明するのであれば受理してよいという受付の事務を既に法務省の通知によってなされているわけです。ですので、その最高裁の九月二十六日の決定も、必要不可欠ではないというような趣旨を述べたのであろうと思います。 さらにもう一つ申し上げますと、戸籍の末端の担当者は、この当事者がチェックをした内容によって、それで安心するなと。当事者はしばしば間違えますので、むしろ正確に独自に調べて決めるようにというふうに指導を受けているというように聞いております。 ですので、この欄は工夫する、あるいは廃止する、あるいは別の方法にするというようなことは十分可能、あるいはこれがなくなっても大丈夫だというように思います。
○仁比聡平君 今お話の中で、そのチェック欄を当事者がというのは、つまり、お子さんが生まれて出生の届けに来られた方が窓口でしばしば間違えるというお話だったと思うんですけど、その間違えるというのは、お父さん、お母さんにとってみると、どんなものとして受け止められているということなんでしょうか。
○参考人(榊原富士子君) まず、ふだん使う言葉じゃないので難しいということがあります。初めて聞いたという方もいて、まあ笑い話のようですが、摘出という言葉と間違えて、帝王切開だから摘出の方にチェックをしたというような方もいるぐらいです。 じゃ、本当に民法の規定に照らして難しい場合、例えば離婚後三百日目ちょうどに生まれた場合に、どっちなんだってはっきり言える方はこの場の中に何人ぐらいいらっしゃるだろうか。あれは三百日目を含む規定だったのかどうなのかというような難しい規定の場合は本人にも分かりません。それは戸籍担当者の方がよく知っていると、こういうような規定になっているかと思います。 済みません。ちょっと御質問の趣旨と外れたかもしれません。
○仁比聡平君 いえいえ、そうした趣旨です。ありがとうございます。 別の角度で、先生はこうした民法の差別規定にかかわる当事者の皆さんの声を受け止めて裁判も数々取り組んでこられたと思うんですけれども、この嫡出子、非嫡出子という概念が残されている下で、国民の皆さんあるいは裁判当事者の皆さんがどんな苦労や被害を被っているのか。 この政府提出案においても、なお残される嫡出という概念を含めて、今後国会が速やかに取り組むべき法的に残された差別の撤廃の問題について、先生のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○参考人(榊原富士子君) 意識的に憲法裁判をする方たちというようなことだけではなくて、ふだん家事事件を専門として行っておりますので、ありふれた相続事件を多数扱ってきました。その中でいろんな事情を聞いておりますと、やはり今の時代であっても、まず子供時代に非常にからかわれてつらかった、いろんな言葉がありますが、つらかったという思い出があり、そして、次に就職になりますと、例えば今私が受けている事案の方ですけれども、あるよい会社に就職が、採用が決まった、決まったのだけれども、その後に戸籍謄本の提出を求められた。私は、客観的にはその会社は婚外子であるということが分かったからといって採用をやめるような会社ではないと思ったのですが、その方はともかく戸籍を見られたくないというので、そのことをもって就職を辞退した、そして別の会社に行ったというふうにおっしゃっております。そんなに年配の方じゃなくて若い方です。また、露骨にやはり就職できなかったという経験の方もいらっしゃいます。 それから、恋愛結婚をするということになった、その後で戸籍を見て相手の御両親から反対をされて、結局、そのことがきっかけで婚約者ともうまくいかなくなって破談になったというような経験もやはり今でもあるように事例としてはお聞きします。 何より多くの人が子供ができたら結婚しなくちゃと思っていると思うんですけれども、それは結婚しないと子供がかわいそうだからと思っていますよね。というぐらい婚外子はやはり不利な境遇にあって、何らか差別を受けるというのは、むしろ公知の事実なのではないかと思います。 それをなくしていくというのは、とても九百条が改正されたら一気になくなるというようなものではないし、嫡出という言葉がなくなったら急になくなるというようなものでもないかとは思いますけれども、できることをやっていっていただきたいと。 で、この今回問題になっている出生届の件というのは、戸籍法の中の嫡出、非嫡出という言葉の箇所の七か所のうちのたった一か所なんですね。民法にはまだ十二か所も残っておりますし、この出生届だけでどうなるというものではないと思いますが、しかし、いろんなつらい事情があって中絶しないで産むことになったお母さんが出生届を出しに行く場面を考えていただくと、子供を授かってよかったという思いと、これから一人で育てていく、どんな困難があるだろうかと思いながら出生届を出し、そのときにチェックをするという非常に厳しい、世間的にも非難も受けながらというような場面の方のことをちょっと思い起こしていただくと、この出生のときの意味というのが分かっていただけるかなと思います。 先ほど家族のきずなという話があって、私はそれには全く賛成で、むしろその家族のきずなを大事にするというのにはもっとリアルな問題がいっぱいありまして、本当に崩壊しかかっている家族、それから別居をしたばかりの家族、子供のことをそっちのけで争っている父母というのがたくさんいらっしゃるわけで、そこに手を差し伸べて、しっかりした専門家の迅速なサポート、相談という、そういうようなものを差し伸べていただくと家族はかなり崩壊しないんじゃないかというようなことを実感しておりますので、むしろそこで国会議員の皆様に是非尽力をお願いしたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。 もっとお二人の参考人に御意見を伺いたいんですが、私の持ち時間が限られておりまして、今の参考人のお話をお聞きいただいた上で、大臣に、まず、今回政府として提出をされた、九百条四号ただし書を削除すると。やっぱりこれ、違憲決定も受けて、私、前回、当然のものだというふうに申し上げましたが、やはり民法の歴史を考えた上で大きな一歩だと思うんですね。その到達点について、どんなふうにお感じになっておられるでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今日はお二人の参考人からお話を伺いまして、私も大変勉強させていただきました。やはり明治の初めから百数十年たって、物の考え方も変わってきているだろうと思います。いろいろな制度の立て方があると思いますが、最高裁判所の決定は、子供は親を選べないという観点から、こういう九百条に関しては法令違憲という判断をされた。やはりそれは、いろいろな物の考え方の変化、日本人の家庭生活の変化というものもそこにあるだろうと、そんなことを感じております。
○仁比聡平君 もう一問。その民法の婚外子差別規定の、相続分差別の規定の撤廃に沿った形で、戸籍法の改正案も省としては準備をされたと思うんですけれども、これが準備がされながら今回は提出には至らなかったわけですけれども、これからどんなふうに取り組んでいかれるか。法改正への更なる努力、あるいは現行制度の下でも、先ほど、とりわけ榊原参考人から、戸籍の現場での運用の実情だとか、あるいは家事事件における当事者、関係者の皆さんの実情を話されましたけれども、これからの運用において国民の皆さんの願いに沿った取組を求めたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、仁比委員がおっしゃいましたように、法務省としてはこの戸籍法についても改正する準備をしていたことは事実でございます。ただ、度々御答弁申し上げておりますように、与党内の審査の中で、最高裁の判例も受けまして、それほど緊急性はないという御判断でしたので、私どももそれに従って今回のような処理をさせていただいたわけでございます。 それで、今後どうするかということを含んでお問いかけでございますが、私は、今、榊原参考人がおっしゃいました、直接全てが法務省の仕事にかかわるとは思っておりませんが、崩壊しかかっている、つまり子供のこともそっちのけで夫婦でけんかしているというような表現を使われましたでしょうか、そういうところにどういう手を差し伸べられるのかと。法律婚の尊重とかいろんな言い方がありますが、私は、家庭基盤の充実というような用語を使って、これは法務省の施策だけにはとどまりません、何とかしてそういうところに対応していく手だてはないものかともう少し考えて、ボールが出せたら出したいと、こんなふうに思っております。
○仁比聡平君 やっぱり根本に必要だと改めて今日思いますのは、日本国憲法と国際人権条約に基づく男女平等と個人の尊厳の徹底ということなのではないかと思うんですね。残された課題は大きなものがありますけれども、私たちも全力で国民の皆さんとともに取り組んでいきたいという決意も申し上げまして、時間になりましたから質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○前川清成君 民主党の前川清成でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それで、今日、大臣のお手元に、Aさん、B子、D子、C、Eという、分かりやすいように紙を配らせていただきます。 前回の質疑の際にもちょっと私のいそ弁のときの経験をお話しさせていただいたんですが、今日初めての方もいらっしゃって繰り返しますと、Aさんは戦争から帰ってきて仕事がなかったと。奈良県が募集していた開拓で入られたと。その際に、B子さんという法律上の妻はいたけれども、農作業が嫌だというので付いてこられなかったと。嫡出子のCさんはB子さんの下に残った。開拓をして掘っ建て小屋で一人暮らしている間に、D子さんという女性と親しくなって間にEという非嫡出子が生まれたと。 私がその事件を処理したのは平成三年か四年のころですけれども、Aさんが亡くなったと。Aさんはその開拓した土地の周りが奈良でも有数な高級住宅地になったので、少しばかり土地を売って何億円かの預金を持っておられたと。Aさんは亡くなる前、脳梗塞になられて寝たきりになられたと。すると、D子さんはAさんの介護をしながら、自分の畑で取れた野菜を銀行の駐車場の片隅を借りて売らせていただいて家計を支えたと。Aさんが亡くなった際に、結局、事実上の妻であるDさんには、先ほどのお話でもありませんが、法定相続分はありません。Cさんが三分の一、Eさんが六分の一、B子さんが二分の一をそれぞれ相続されたと。 前回、西川文科副大臣が、相続というのは妻という以上に子供が相続をするというのが本来の意味でしょうからと、こういうふうにおっしゃっています。私は、この意味がよく分からないんですが、西川副大臣のお説のとおりだとすると、結局、Bさん、Cさんの側が遺産の六分の五を取得された。五十年間一緒に暮らしてきたDさん、Eさんの側は、DさんとEさんを合わせても全体で六分の一しか取得できないと。この結論を、こういうような事例も想定して非嫡出子の法定相続分について論じられているのかと。 先ほどの宇都さんの、宇都さん、ちょっと交代されました、できれば僕の質問は宇都さんに聞いておいてほしかったんですが、その宇都さんの質問にしたって、ステレオタイプの、正妻がいてこちらに立派な家庭があるんだけれども、お金持ちの男の人がこっちに女性を囲って、そんなことを前提にして議論をされているのではないかと。 しかし、社会の実態というのはそうではないのではないか。もちろん、そういうケースもあるでしょうし、今の私が紹介したケースであれば、財産のほとんど全てはAさんとDさんが形成した、しかし結局は六分の一しかDさん、Eさん側では取得できない。これが公平なのか。私も二十年ほど前はそれほど考えずに、当然、法定相続分が二分の一なんだから二分の一だと、こういうふうに思っていたんですが、今から考えると少しバランスを欠いているのではないかなと、こういうふうに思いました。 大臣、この件は前回もお話ししたんですが、御感想がございましたら少しお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は私も衆議院の法務委員会の審議で、今、前川委員がおっしゃったようなこの例とほぼ類似の場合もありますよと。前川委員のおっしゃった、二人で開拓をして、事実婚なんだけれども、いろいろなものを二人で新しい家族をつくり上げていったというような例も考えられますねと。したがいまして、島倉千代子さんじゃありませんが、人生いろいろだというふうに御答弁を申し上げたことがございまして、こういうふうにやはりいろんな場合を想定しながら議論を進めていくということが必要だと私は思います。
○前川清成君 その上で、先ほどの宇都委員の質問に関してお尋ねしたいんですが、自民党の政権公約の中に家族のきずなを深めというふうにあって、私も家族のきずなを深めることは何らやぶさかではありませんし、前も言いましたけれども、山下さん、私は妻は一人しかいませんし、もちろんですけれども、子供は二人いますけれども、妻も愛していますし、子供も愛しています。 だから、家族のきずなを深めるというのももちろん賛成なんですが、ここで言う家族っていうのは、ただただ法律上の妻とその間の子供だけを指すのか。今私が申し上げたように、半世紀一緒に暮らしてきたと、しかし、これ、Aさんは、大臣御案内のとおり、有責配偶者ですから離婚するわけにもいかない。半世紀築かれてきた家族もあると。この家族のきずなというのはやはり両方の私は視野に入れて考える必要もあるのではないかなと、もちろん法律婚も大事にしながらですが。その点、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) だからこそ人生いろいろだと申し上げたわけでありまして、私も、私自身の物の考え方、これは法務大臣としても当然でございますが、法律婚を尊重するという立場でございますけれども、やはり人生は様々であるということを考えながらいろいろな物事を判断していかなきゃいかぬと、このように思います。
○前川清成君 前回、西川副大臣と議論をさせていただいて、正直申し上げてがっかりいたしました。今日いらっしゃらない席で言うのもあれですが、二回続けて文科副大臣を法務委員会に呼ぶわけにもいきませんので呼んでいませんが、もう少し信念を持って反対されているのかなというふうに思っていました。採決のときに立たなかったと、うっかりしていたと、だから反対はしていない、こういうふうな言い訳が、大臣、許されるというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは私はあえてお答えをすることは差し控えたいと思います。
○前川清成君 それで結構でございます。 それで、先ほどの宇都さんもそうですし、前回の西川さんもそうですけれども、非嫡出子の法定相続分が嫡出子と平等になったら妻の立場が害されるというふうな危惧を述べておられました。 この点で、今回の改正は子供の法定相続分を改正するだけですよと、妻の法定相続分は二分の一のままですよと、だから改正したって妻の取り分は、法定相続分は全く変わらないんですよというふうな説明を、大臣でなくてもいいんです、副大臣でも政務官でも、あるいは法務省の方でもいいんですが、自民党のいわゆる保守派の皆さん方に説明はしなかったんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は自民党の法務部会に出ていっておりませんが、役所の担当者から聞きますと、その辺りは十分御説明申し上げたと報告を受けております。
○前川清成君 大臣がもちろん党の部会に御出席にならないのは当然だと思いますが、と同時に、今大臣がおっしゃったように、大臣として与党の部会に関して関心を持っておられるのも私は当然だと思います。 あるいは、前回、西川副大臣が、嫡出子が被相続人の財産形成に貢献したと、それにもかかわらず法定相続分が平等だったら不公平になるというふうな発言をされていました。私はそれに対して、例えばそれに対しては寄与分という制度もあるよと、逆だったら特別受益という制度もあるよと。それは法定相続分でしんしゃくされるんじゃなくて、ほかの制度によって公正が図られているんですよというふうな話をしたら、ああ、そうなんですかと、初めて知りましたみたいな反応でしたですよね。 この辺のところも、先ほどと同様です、大臣でなくて当然なんですが、法務省は自民党の部会で説明はしなかったんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、当然、今の前川委員のおっしゃったようなことも説明していると報告を受けております。
○前川清成君 説明したにもかかわらず、先ほど宇都委員がおっしゃったように紛糾した。これ、どの点に原因があるんですか。説明の仕方が悪かったんですか、あるいは説明が足らなかったんですか、説明の時間が短かったんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 何ともお答えするすべがございません。
○前川清成君 だから結局、これ会長もいらっしゃって申し訳ないんですけど、反対していた人たちは聞く耳を持たなかったと、こういうことなんだろうと思います。 それで、保守派という言葉が、私からすると最近急に使われるようになったと。以前から確かに保守か革新かというふうな日本語はあったと思います。じゃ、おまえどうなんだと。僕、革新ですかと言われたら、いや、ちょっと革新は堪忍してほしいなと、ごめんなさい、そう思いますし、例えば、民主党には前原誠司さんという議員がいらっしゃって、マスコミなんかではこの方は保守派と言われます。前原さんと話をしていると言うこともよく分かるので、それだったら俺もどちらかというと保守派なのかなとも思うんですが、しかし、先ほどの宇都さんのような話を聞いていると、いや、俺、絶対保守派とは違うなと、こういうふうに思ってしまうわけです。 それで、少し政治の哲学みたいなところを教えていただきたいんですが、谷垣大臣は保守派でいらっしゃるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) まあ保守派という言葉はいろんな使われ方がございますのでね。今のお話を伺うと、自分が何であるか定義するにも保守派の定義から始めなければいけないのかなと思って伺っておりました。 ただ、そんなはぐらかしたような答弁ばかり申し上げていてはいけないんで、自民党が野党時代、私、野党の党首、総裁を務めておりましたが、そのときに、まずもう一回自民党の綱領を作り直そうということで、平成二十二年綱領というものを作りまして、その中では、我が党は常に進歩を目指す保守政党であるとした上で、その内容として、正しい自由主義と民主制の下に、時代に適さぬものを改め、維持すべきものを守り、秩序の中に進歩を求めると、こういうふうに書いたわけでございます。私はこの中に保守ということの一つの考え方が出ているかなと思っておりまして、私はそういう意味では保守派でございます。
○前川清成君 ちょっと今のお答えが何のことか私には理解できなかったんですが。 学生のころに、法学部でしたので当然政治学の授業もありました。立教大学か法政大学かどちらかで、高畠通敏さんという有名な政治学者の方の教科書を読みました。すると、日本というのは不思議な国だと。保守という言葉の意味は、本来は古いものを大切にしようなんだけれども、日本の保守、自民党は、例えば列島改造だったり、何か変えようとしている。日本の当時の革新、社会党は、護憲だったり、環境を守れだったり、何も変えるなが革新になっている。不思議な国だったというふうなことを書かれたのを思い出しました。 しかし、結局のところ、私は、今、谷垣大臣がおっしゃったことはよく分かりませんが、今自民党で御自身が保守だとおっしゃっている方々の議論というのは非科学的な政策論なのかなと。非嫡出子の法定相続分を平等にしたら浮気が増えるとかですね。もう少し地に足の付いた議論がどうしてできなかったんだろうかな。何でここまでこの改正が遅くなってしまったのかな。 先ほど宇都さんは、今年の最高裁決定が従前の決定から百八十度変わったと、そういうふうにおっしゃっています。それは恐らく、結論だけ新聞で読んで中身を御覧になっていないからそういうコメントをされるんだろうと思うんです。平成七年の最高裁の決定も立派な反対意見がありますし、あるいはその結論の部分においても、多数意見の中にあっても、結局は立法政策の問題なんですよと。その後の小法廷の判決でも立法政策の課題ですよというふうな書き方がしてあって、実は百八十度変わったんじゃなくて、平成七年ごろから、私は、何回も何回も最高裁は国会に対してサインを送り続けてきたと。この非嫡出子の民法九百条の問題を早く解決しなさいよというサインを送り続けてきたにもかかわらず、国会がそれに対応できなかったと。とうとう今回、辛抱が切れて違憲という判決が出たのではないか。それをもって最高裁はけしからぬという議論も私は立憲主義を理解していないのではないかと、こんなふうに思っています。 それで、今日は、この非嫡出子の法定相続分についてはこの後採決がありますので、一応は解決できると思っています。残された課題は、平成八年の法制審の答申で残っているのは、女性の結婚年齢、十六歳から十八歳に引き上げるということと、もう一つは選択的夫婦別姓をどうするのかと、この課題だろうと思います。 今日は、将来のためにこの選択的夫婦別姓の議論を少しさせていただけたらと思っていました。小川理事などが御苦労をいただいて、今日の委員会はそれぞれの質問者が参考人を呼んでくれてもいいと、こういうことになりました。その上で私は、この家族の問題に主義主張とかイデオロギーを入れて議論するのはどうなのかな。家族というのは、右の人であっても左の人であっても全部家族は大事なわけです。そこにイデオロギーを入れると、私は先ほどの宇都さんのような質問になってしまうのではないかと思います。 ですから、事実を話してほしいなと、こう思って、京都にお住まいの吉井さんという方をお呼びしようといたしました。すると、この吉井さんについて理事会の中で自民党と公明党の方から反対があって、今日、合議が調わず、来ていただくことはできなくなりました。何でこの吉井さんという人を自民党、公明党が反対されたのか。聞くところによりますと、法務大臣を被告にして裁判を起こしていると、こういうことらしいんです。 その上で、念のために聞くんですが、民事訴訟において被告というのはこれは呼称ですから、裁判は、被告だからいいとか悪いとか、そういう価値観の判断はないことは当然分かった上でお聞きしますが、今、谷垣大臣個人が、法務大臣として国の代表として被告になっているのではなくて、谷垣大臣個人が被告になっておられる事件はありませんよね。
○委員長(荒木清寛君) その前に、理事会でそういう協議はしておりませんので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は私が被告になっているのもあるようでございます。それは、国を訴えられれば私が被告となると、これは制度上そういうふうになっているわけですが、そのときに、併せて個人の責任、法務大臣個人の責任もお問いになる方があるようでございまして、実質は国相手の訴訟ということでございましょうが、私は、自分が被告になっているのは一件もないと思っておりましたら、法務省の方から、役所の方から、そうじゃございませんと、そういうのがあって、何件かは存じませんが必ずあるはずですというのを報告をもらいました。
○前川清成君 まあそれは別にいいんです、あってもなくても。 その上で、法務大臣として、国の代表として訴訟の当事者になっておられる事件、これは何件ぐらいあるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは今年の九月末現在における数字でございますが、一万七百二十五件係属しているということであります。
○前川清成君 すると、一万七百二十五件も事件があって、それぞれ原告が複数いらっしゃるとすると、大臣に対して裁判を起こしている原告の数は二万人とか三万人とか、そういう相当な数に及びますよね。これを、二万人、三万人、五万人かもしれませんが、その中の一人に私が今日参考人として呼びたい人が入っているか入っていないかを自民党の理事の方や、公明党の委員長や、あるいは公明党の委員が分かるはずがありませんよね。だから、私としては、法務省の役人が与党の理事に、この吉井さんという人はこうこうこういう人ですよと、駄目ですよというふうに御注進に行ったかなと、こう思うんですが、大臣からそのような指示はされましたですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、初当選以来、先輩から、立法府のお裁きは行政府にいる間では論評してはいかぬと、指図もしてはいかぬと、こういうふうに教わってまいりまして、それを忠実に実行いたしております。
○前川清成君 裁判を起こすというのは、これは釈迦に説法ですが、憲法上の権利ですよね。裁判を起こしたらこの人は悪い人、裁判を起こさなくておとなしくしている人はいい人では私はないと思います。 ちなみに、確認をしましたら、この私が今日参考人で来てほしいなと思っていた方のお一人、吉井さんという方は、選択的夫婦別姓が導入されていないのは憲法違反だと、こういう裁判を起こしておられるそうです。そうであれば、私は、なぜそういう裁判を起こさざるを得なかったのか。もしその裁判の関係者の方がここにいらっしゃればおわび申し上げますけれども、なかなか筋として厳しい事件だと思います。それにもかかわらず、そういう事件を起こさざるを得なかったのか。 何もその方が大臣に代わって今日から大臣になって何かを決定するというのではありません。国会の場で、国民のお声の一人としてお聞きをすると。そのこと自体をどうして法務省が邪魔をしたのかよく分からないんですが、先ほどの大臣のお答えによると、大臣は、指示したことはありませんと、自分が国会議員になったときに先輩の指導で、そういうことは絶対にするなと言われたので私は指示をしていませんと、こういうことでした。 もう一度確認しますが、大臣が確認していないということは法務省の誰かがやったんですね。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、法務省も、そういうような、やめてくれというようなことは言っていないと考えております。
○前川清成君 いや、大臣がそこまでおっしゃるんだったら、僕はもう今日はこれで矛を収めるつもりでしたけれども、徹底してやりますよ。何万人も国に対して裁判を起こしているのに、どうして吉井さんという人がその中の一人だということが若林さんに分かるんですか、佐々木さんに分かるんですか、教えてください。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、教えることもできません、分かりませんもん。
○前川清成君 じゃ、大臣は不思議だとは思われませんか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 思いません。
○前川清成君 どうして不思議だと思わないのか、教えていただきたいんです。何万人も法務大臣を被告にして裁判を起こしています。それは今おっしゃったとおりですね。その中で、若林さんも佐々木さんも荒木さんも当事者ではありません。自分が当事者にもなっていない。なっていないのに、吉井さんはどうですかと言われたら、即座に、即座にというのはその場所じゃないですよ、しばらくして、いや、吉井さんは反対ですと、なぜならば法務大臣を相手に裁判を起こしている人だからですと。 これ、神様でもないのに、どうしてそんなことが分かるんですか。私は不思議です。不思議でないというのであれば、若林さんや佐々木さんや荒木さんが、どのような思考経路でそのようなことを知り得たのか、お教え願えませんでしょうか。どうしたら知り得るのか。 例えば、法務省にホームページがあります、法務省のホームページには国に対して裁判を起こしている人の全部の名前を掲載していますと、そのホームページを御覧になれば分かるんじゃないでしょうかとか、あるいは、官報には全部そういうのを掲載していますと、過去十年分の官報を遡ってみれば原告の名前が全部出てきますと、だから私は、私はというのは谷垣さんです、私は分かりませんが、過去十年分の官報を全部御覧になったのではないでしょうかとか、なぜ不思議だとは思われないのか、聡明な谷垣さんから誠実なお答えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 不思議で思わないというよりか、私も分かりません、全く。全く分からないというのが正直なところでございます。
○前川清成君 例えば、私が国に対して裁判を起こしているか起こしていないか、あるいは私が国から裁判を起こされているか起こされていないか、それを知るすべは存在するんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 分かりません。
○前川清成君 だから、谷垣大臣、もう答えは論理的に破綻していますよ。知るすべがないんですよ。分からないということは、知るすべが世の中にないんですよ。ないにもかかわらず、分かった方がこの世の中にいるんですよ。誰かがどこかで漏えいしているんですよ。 今、特定秘密とかおっしゃりながら、国民が国に対して裁判を起こしたら、しかも、たかだか、たかだかですよ、法務委員会の参考人と呼ぶ呼ばないでこちゃこちゃする人が世の中にいると、こういうことなんですよ。 私は、今まで谷垣さんは本当に誠実にお答えになってきたし、立場の違いから答えられないことは答えられないとおっしゃった、それはよく分かります。あるいは、私たち民主党と自民党との間に考えの違いもあります。そこのことを、違うから駄目だとおっしゃる、それもよく分かります。でも、今のようなうその答えは初めて聞きましたよ。
○国務大臣(谷垣禎一君) うそとこの場でおっしゃられたら、私も反論せざるを得ません。 私は、先ほどから申し上げておりますのは、国会の中でどういう参考人をお呼びになるのかは国会の御判断である、委員会の御判断であると。 それから、私は、法務省も、そういうやめてくれということは言っていないというふうに申し上げました、言っていないと思うと申し上げました。その理由は、まさかそんなことを言ったんじゃないだろうなと、私は役所に、当局者に言ったからでございます。そんなことはしておりませんと、こういう返事でございました。ですから、私の認識を申し上げているわけでございます。 私は、この御判断は、委員会、国会の御判断であると、このように思っております。
○前川清成君 分かりました。 それじゃ、確認させていただきます。大臣も法務省も誰々さんはやめてくれとは言っていない、こういうお答えですよね。そうしたら、誰々さんはこれこれという裁判の原告のお一人ですよと、これも言ってないんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) そこまでは私聞いておりません。分かりません。
○前川清成君 そうしたら、その点は確認していただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 分かりました。
○前川清成君 大臣、私も声を荒げたくなかったのは、何度も言いますけど、たかだか、今日から大臣に代わって大臣させるって言っているんじゃないんです。選択的夫婦別姓がないために裁判まで踏み切った人がこの世の中にはいるわけですよ。その人の声をどうして国会が聞かないのかと、どうして反対するのかと。 私は、モンテスキューでしたっけ、おまえの言うことには反対だと、しかし、おまえの発言する権利は命を懸けて保障する、これが私は民主主義の原点だと思います。だから、自分と違う意見の人なんか世の中にいっぱいいます。そのときに僕はやじったりするかもしれませんが、聞かないつもりはありません。もしも今回法務省が、法務省に盾突くようなやつはけしからぬというふうなことで御注進をされたのであるとすれば、これは反省をしていただきたいと思います。 それで、今日、こんなことをやっているうちに、せっかく中井先生に来ていただいたのに中井先生にお話をしていただけないと申し訳ありませんので、中井先生にお尋ねしたいと思うんですが、実は中井先生と私とはもう、お互い年がばれますが、三十年以上のお付き合いでございまして、私が関大に入って、千里山法律学会という自主ゼミみたいなクラブに入って、そのときに二年生だったのが中井先生ともう一人いらっしゃって、そのお二人に生まれて初めて民法を教えていただきました。そのもうお一人の方は今私の選挙区で裁判長をしておられますけれども、特に中井先生とはこの三十年親しく御指導をいただいています。 中井先生は、実は戸籍上は違うお名前で、いわゆる通称として中井という氏を使っておられます。個人的なことをこういう場で御発言いただくのは申し訳ないんですが、なぜ通称として中井という名前を使い続けておられるのか、お話をいただけたらと思います。
○参考人(中井洋恵君) 私は、旧姓のまま弁護士を続けておりますのは、まずは人間としてのアイデンティティーの問題であると思います。また、ここに弁護士資格があられる方はたくさんおられると思いますけれども、弁護士は個人営業ですので、個人にお客さんが付くわけです。ですから、屋号として中井洋恵という名前を使っておりますのに、結婚したからといって屋号を変えてしまうと、非常にそこでキャリアが切断されるわけです。 そういう働く女性のキャリア上の問題はもちろんあるわけですけれども、私が中井洋恵という名前を使い続けていますのはごく個人的な事情の問題ですので、ここで私の個人的なお話をさせていただくことをお許し願いたいと思います。 私は、両親は十年間子供ができなかったわけです。それで、あらゆる神頼みとか仏頼み、不妊治療をしまして、小さいころは、野崎さんによく参ったよという話を、そしておまえが授かったんだと、返す返す聞かされたほどです。そして、十年たって私が生まれたので、私はいわゆる一人っ子でして、両親に大層かわいがられて、おまえは嫁に行かない、中井の家を継ぐんだ、養子を取るんだということを毎日毎日両親から聞かされて育ってきたわけです。 ところが、司法試験に通って東京に行きまして今の夫と知り合うことになり、結婚したいということになりました。夫も東京の人ではありませんで、田舎の方です。今でもそうですけれども、一人子供を東京の大学にやろうと思ったら、家族としては大変な苦労をするわけです、経済的なですね。でも、東京の大学に通って司法試験も通ったというと、夫の方の両親も非常な自慢の息子であったわけです。そんな主人に私は、養子になってくれとか中井の名前を継いでくれとか、とても言い出せなかったわけです。 大阪に帰りまして父に結婚の話をしたときに、父に、お父さん、中井は無理みたいやでって申しました。そうすると、あんなに養子を、中井の家を継いでくれることを願っていた父が、大事な息子やし、自慢の息子やから仕方がないなあって言ってくれたんです。父は、私の両親は、相手方の立場や、そして私の結婚する人と両親の間の板挟みになっている状況をおもんぱかって決断したと思いますけれども、それはかなり、いかに両親がその裏で寂しい思いをしたかというのは、私にはひしひしと、二十何年間ずっと言い続けてきたことができなくなってしまったということで悲しい思いをさせてしまったということです。 そこで、私は、結婚したときにもう既に中井という名前で弁護士を続けておりましたので、仕事の名前は中井で通すということで、言わば、弁護士ですから、夫に対する愛情と両親に対する愛情の和解案として、弁護士の名前は中井で通させていただくということで中井という名前を現在まで通させていただいているということです。
○前川清成君 先ほど、家族の問題はイデオロギーから離れて議論をしたいと、こういうふうに申し上げたのは、何か巷間、選択的夫婦別姓を主張するような人は左翼だと、保守はそんなこと言わないんだというふうな議論もあるわけですけど、家を継ぎたい、そういう気持ちの中でこういうふうな選択的夫婦別姓を希望しておられる方もたくさんいらっしゃるんだということを是非国会議員の皆さん方にもお知りおきいただきたいと思います。 その上で中井先生にお尋ねするんですが、今通称として中井を使っておられまして、戸籍は別の名字ですけれども、お困りになる点はあるでしょうか。
○参考人(中井洋恵君) 私は弁護士として破産管財人や成年後見人、遺言執行者になることがございます。そのときに、登記とか銀行での出金などは本人確認が必要になるわけです。しかし、免許証や保険証は全て戸籍名ということになっておりますので、私には本人確認ができないという状況になっております。ですから、裁判所にいつも申しまして、弁護士中井洋恵ことというふうな形で併記していただいて、私の弁護士名と戸籍上の名前をそこで併記していろんな本人確認ができるようにしてもらっているわけですけれども、裁判所に、実は私の中井というのはこれは戸籍上の名前と違いましてというような話を毎回説明しなければいけない、また、銀行や法務局に、毎回なぜ併記されているかということを説明しなければいけないということで、私のそういう形での状況が非常に毎回毎回ストレスになって、こういうことは、通常の男性であればこういうストレスを感じることもないのになというふうにいつも考えて暮らしております。
○前川清成君 冒頭、名前というのは個人としてのアイデンティティーなんだというお話もされましたけど、結婚して名前を変えるときに何か感じられたこと、思われたことがあったら、お聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(中井洋恵君) 私は二十七歳で結婚したんですけれども、両親を始め中井の親族や友人なんかが私を中井の者として、又は友人は中井さん中井さんと言って親しんできてくれたわけです。依頼者も中井先生ということで慕ってきてくれているんですけれども、なぜ結婚に至って私だけが名前を変えなければいけないか。学校で男女平等だということを私たちは教えられてきた世代なのに、なぜここになって私が中井の名を使い続けることができないかということは、これは夫の親族に対する愛情とは全く別の次元でひどく傷ついたのを覚えております。
○前川清成君 現在、出生率が、一人の女性がその生涯においてお産みになるお子さんの数、いわゆる特殊出生率が一・二九だったり、一・二六だったり、一・三一だったり、いずれにしても一・三前後で推移しているわけで、粗っぽく言うと一人っ子が多いんですよね。すると、我々のころは二人兄弟が多かった、会長のころは五人兄弟とかが多かった、これからは一人っ子が多いわけですよ。そうなると、一人っ子同士の結婚が増えるとなると、中井先生が御経験されたような悩みというか、そういうのも増えてくるように思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○参考人(中井洋恵君) ですから、私のように両親と夫の間で板挟みになるようなつらい思いをすることがないように、今後、選択的夫婦別姓を導入させていただきますようお願いいたします。どうも個人的なことを聞いていただいてありがとうございました。
○前川清成君 個人的なことで、個人で社会が成り立っていて、個人で国が成り立っているわけですから、私は個人的なことが全てだと思っています。 それで、憲法十三条の条文があるかないかにかかわらず、私たちは人間として生まれてきた、それだけ、そのことだけで尊い、それが基本的人権だというふうに信じているわけです。したがって、私たちは、他人に迷惑を掛けない限り、社会に対して迷惑を掛けない限り、自分の意思に基づいて、自分の好みに基づいて生きていくことができると。この点は、恐らく憲法改正の議論をしたって意見の不一致はないだろうと思います。 そうだとすると、例えばですが、隣のおうちが今晩すき焼きを食べるか、今晩カレーを食べるかについては、隣に住んでいる私たちには関係ないわけです、隣のおうちの事情なので。しかし、隣のおうちが例えば夜遅くまでテレビを大きな音で見ていてわんわんうるさいとか、犬がワンワン鳴いてやかましいと、生き方自体が自分たちにかかわってくると、それはそのときにいいとか悪いとかの議論をしなければならないと思います。 そのコンテクストで申し上げれば、私は、隣のおうちが鈴木さんであろうが田中さんであろうが前川さんであろうが生活は変わらない。隣に住んでおられる方が、鈴木と田中で住んでいようが、前川と小川で住んでいようが、これは関係ないんじゃないかと。 そういう意味において、私は、なぜ、他人に迷惑を掛けない限り自由で生きているにもかかわらず、この選択的夫婦別姓について、社会の秩序が乱れるとか家族の一体感が損なわれるとかという反対論が出てしまうのかよく分からないということを最後に申し添えさせていただきたいと思います。 それで、今日は久しぶりに参議院に岸外務副大臣にお越しいただきました。お久しぶりでございます。 それで、今日ちょっとこの一覧表を配らせていただいたんですが、これは先日、民主党の中の勉強会で配付された資料を基に私の方で整理させていただきました。 中身について、ちょっと私の能力では正しいかどうか確認するすべがなかったんですが、ここに書いているとおり、約二十年間のうちに十三回、日本は国連の人権機関から民法の差別的な取扱いを改正するように勧告を受けたと、これで間違いないんでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) 今の御指摘でございます、国連の各種人権機関から我が国の民法のいわゆる家族法の規定に関する勧告が出されておるところでございます。 民法の家族法に関連する事項は多岐にわたります。それらに触れた勧告を完全に網羅するということは甚だ容易ではないわけでございますが、その前提で、この配付資料にある婚外子差別、婚姻最低年齢、あるいは再婚禁止期間及び夫婦別姓の各項目について、一九九三年以降、主要人権諸条約の各委員会及び人権理事会普遍的・定期的レビューの勧告で取り上げられているというふうに理解をしております。
○前川清成君 ちょっと最後の方がもじゃもじゃだったんですけど、大体このとおり勧告を受けているということでいいんですね。
○副大臣(岸信夫君) 委員からの質問通告があって、限られた時間ではございましたけれども、その中で調べ得た範囲内においてはおっしゃるとおりでございます。
○前川清成君 その上でお尋ねするんですが、この国連の人権機関、これ様々あるかと思うんですが、勧告を受けた場合に日本政府はどういうふうな責務を負うのか、あるいは、言い換えると、勧告というのはどういうふうな法律上の効果があるのか、この点、御説明いただきたいんですけれども。
○副大臣(岸信夫君) 国連の人権機関において出されます勧告につきましては、各国が政策を実施するに当たり十分考慮し、また誠実に対応すべき性格のものであると、このように考えておるところでございます。
○前川清成君 だから、考慮し誠実に取り組むべきだというのは、平たく言うと聞きおく程度でいいのか、逆に、やはり国際法上の義務として日本も何かやらなければならないのか、どちらなんですか。
○副大臣(岸信夫君) 国連からの勧告につきましては、法的拘束力を有するものではございません。ただ、その上で、先ほど申し上げましたとおり、政策を実施するに当たりましては十分に考慮し、また誠実に対応すべきということでございます。
○前川清成君 これ、岸副大臣、無理を聞いているつもりはないんですよ。人権機関にも様々あるでしょうし、項目についてもいろいろあるでしょうから、それだったらそれで区別してお答えいただいたら結構なんですけど。先ほどからお聞きしているのは、考慮して配慮するというのはどういうことなのかというのがよく分からないんです。考慮するというのは、もう読んでおくだけでいいという意味なのか、そうじゃなくて、日本政府として国際法上何らかのアクションを起こさなければならないのか、その点はどうですかというお尋ねなんです。
○副大臣(岸信夫君) これはまさに国際機関から我が国に対しての勧告でございますから我が国として取り組まなければいけないわけですけれども、まず、我々の外務省としての位置付けといたしましては、これは、勧告を受けますとその内容につきまして各省庁との連携を取る必要がございます。各省庁にその勧告の内容につきまして伝達をし、それぞれのところでかかる勧告につきましてそれを踏まえた上での政策を実施するよう要請をしていると、こういうことでございます。
○前川清成君 よく分かります。だから、外務省として、例えば民法のことは外務省で改正するわけにいかないので、外務省から法務省に伝達をすると、こういうことですよね。 それで、言いっ放しで終わっていても何にもなりませんでしょう。例えば、この民法改正に関して国連の人権機関からこういう勧告がありました、法務省に伝達しますよね。で、法務省からその答えが返ってきたりとか、あるいは定期的に、あるいは非定期でもいいんですけれども、協議の場所があったりとかはするんですか。
○副大臣(岸信夫君) 先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、勧告を受けた上で、それぞれの関係の省庁にその内容をお伝えをする、その先は基本的にはその国内法を所管する省庁でその件を扱っていただくと、こういうことになるわけでございます。
○前川清成君 そうしたら、国連の人権機関から外務省にその勧告だったら勧告の文書が届く、それを法務省に伝達すると。そうしたら、今はボールは外務省にはなくて法務省と、こういうことでいいのかというのが一つと、例えば国連の人権機関は去年こういう勧告をしましたね、その後どうなっていますかというふうな問合せをしたりはしないんですか。
○副大臣(岸信夫君) 失礼しました。 まず、ボールが戻ってくる、あるいは戻ってこないというケースがあるとは思いますが、定期的なレビューを、ケース・バイ・ケースではございますけれども、我々も含めてレビューをしているということでございます。
○前川清成君 この資料の基になる資料をもらった民主党の勉強会の中である大物議員の方が、実は日本政府が国連の人権機関から勧告を受けている件数は北朝鮮よりも多いんだというふうにおっしゃっていたんです。それが本当なのかうそなのか私には分かりませんし、私の能力では確認しようもないんですが。 例えば、国家安全保障戦略というのを今内閣官房で議論されていますよね。その中で、外交力を強化するという項目もあるんです。あるいは外務省としては、国連の常任理事国になりたいということも、今もされているんですかね、かねてはされていました。外交力を強化したいと日本の国が思っていても、国連から何回も何回も毎年のように怒られていたら、ちょっとどうなのかなと、こういうことですし、国連から毎年のように怒られている国が常任理事国になるというのも厳しいのではないのかなと、こういうふうに考えているんですが、最後にこの点、岸副大臣、いかがでしょう。
○副大臣(岸信夫君) 外交力の強化につきましては、外務省としても、また政府としても、あるいは私が自民党の外交部会長をやっておりましたときも目指していたところでございますけれども、外交力強化というのはおっしゃるとおり総合力でございます。その中で、外交、例えば外交官の数、総数をもっと増やしてほしいとか、あるいは予算の問題、あるいは公館の数、そういったいろいろなところもございますし、また国際場裏におきまして我が国がどれだけ国際社会に貢献をしていけるか、そうしたところの上で総合的に外交力を強化をしていこうと、こういう位置付けだと思います。 おっしゃるとおり、そのそれぞれの、いろいろな、様々な勧告が出されておるわけでございます。それに対して我が国として真摯に、先ほどの繰り返しになりますけれども、誠実に取り組むと、この姿勢もまさに必要なことだと思います。 ただ、それぞれの国内法において所管する省庁におきまして、やはりそれぞれのことについては解決策を見出すべく努力をするわけですけれども、当然時間も掛かりますし、できること、あるいはできないことということがあると思います。それはもちろんレビュー、あるいは国連の機関に、それぞれの委員会にレビュー、報告をすることになるわけですけれども、そうした中でできるだけ我が国の外交力を強化をしていきたいと、その方向を目指していくと、こういうことだと思います。
○委員長(荒木清寛君) 前川君、時間が来ておりますのでおまとめください。
○前川清成君 はい。 これで終わりますが、岸副大臣のお兄様である総理は、法の支配や民主主義、普遍的な価値を共有する国々と連携したいということをよくおっしゃいます。私もそのとおりだと思います。それがまた日本の国際的な信用というのを高めていくと思うんですが、一方でそう言いながら、普遍的な価値である人権を尊重していないということで国連から何度も何度も勧告を受けているようでは、やはり外交力というのは高まらないのではないかなと、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 今回の婚外子の相続分規定の改正につきましては、公明党といたしましてもこれまでも主張をしてまいりました。今回の最高裁の違憲決定が出た直後も、法務大臣の方に党として申入れをさせていただきましたとおりでございます。 人は出生によって差別されるべきではないといいますのは、憲法十四条で保障されます法の下の平等原則であります。また、日本が批准をしております自由権規約、児童の権利条約でも、児童は出生によっていかなる差別も受けないと、このようにされております。 先ほど質問の中で国連人権機関からの勧告について話題が出ましたけれども、改めましてこの婚外子の相続差別に関します関連の国際条約の規定の内容について御説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) 我が国が締結している条約の規定で嫡出でない子の相続分に関連する規定としては、次の二つを挙げることができます。 これは委員もお触れになったところですが、一つは市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆるB規約です。この二条においては、締約国は、その領域内にある全ての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語云々とずっとありまして、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する、こういう規定がございます。 また、二つ目として児童の権利に関する条約がございます。これもまた二条で、締約国は、その管轄の下にある児童に対し、人種、皮膚の色、性、言語とずっとありまして、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保すると規定されているところでございます。
○佐々木さやか君 ありがとうございます。 そうした批准している条約につきましては、憲法九十八条の二項でも遵守義務が規定をされております。 これも確認でございますけれども、現在、我が国以外で婚外子の相続分について差別的な規定を置いてある国といいますのは、ほかにどれぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 現在、我が国以外で嫡出子と嫡出でない子の相続分に差異を設ける法制を取っている国は、法務省で把握している限りでは、フィリピン、インド、サウジアラビアといったごく一部の国に限定されております。
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございます。 今回の民法の相続分規定の改正といいますのは、婚外子というまさに生まれながらにしてある立場についての差別を解消するものであり、是非とも成立させるべきであるというふうに思っております。 我が国では、三権分立の下に最高裁には違憲立法審査権が認められております。これは、人権保障と権力の分立という近代憲法に共通の普遍的な基本原理から来ているものでございます。立法府、また行政府は、最高裁の違憲判断に対して速やかに必要な法改正を行う責任を負っております。法の下の平等を実現をしてこの近代憲法の原則を尊重するということは、私は、基本的人権を保障する国家として国際社会での信頼を得るためにも不可欠なものであると、このように思っております。 今回の法改正につきましては、反対の立場の意見として、法律婚制度が崩壊してしまうのではないかと、こうした心配の声があるわけでございます。 今の法制度といいますのは、民法の七百三十九条一項にもございますとおり、法律婚主義を採用しております。全体としても法律婚を尊重する体系になっていると思いますし、また、国民の意識としましても法律婚制度というのは定着をしていると思います。ですから、法律婚自体を尊重するということは私は正当であると思います。しかしながら、今回のこの婚外子の相続分差別規定、これを改正をしたからといって法律婚制度が崩壊をするのではないかということはないと思っております。 法律婚と事実婚にはこの相続分規定以外にもいろいろな違いが法制度上もございます。現行法上、法律婚と事実婚で配偶者、また子としてどのような異なる取扱いがなされているのかについて御説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) まず、配偶者についての差異でございますが、法律婚の場合には夫婦の一方が他方を相続することになりますが、事実婚の場合には一方が他方を相続することはございません。また、法律婚の場合には夫婦の一方の氏を称することとなりますが、事実婚の場合には夫婦の氏は従前のままで変更はございません。さらに、法律婚の場合には当事者である未成年者は成年に達したものと擬制されますが、事実婚の場合には当事者たる未成年者のいわゆる成年擬制は生じません。更に言えば、法律婚の場合には互いに姻族関係が生じますけれども、事実婚の場合にはそういった姻族関係は生じないという差異がございます。 また、子供についてですけれども、法律上の婚姻関係にある妻が懐胎した子は夫の子と推定されますが、事実婚の関係にある男女の場合には法律上の父子関係を生じさせるには認知が必要でございます。また、法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子は父母の氏を称して父母の戸籍に入りますが、事実婚の関係にある男女から生まれた子は母の氏を称して母の戸籍に入るといった違いがございます。
○佐々木さやか君 様々御説明がございましたけれども、大きなところといたしましては、やはり法律婚上の配偶者というのは相続権を有するというところと、また父子関係でいいますと認知が必要かどうかと、こういったところが大きな違いであるかなというふうに思いますけれども、このような様々な区別が法制度上も法律婚と事実婚では違いがございますし、また、国民の意識としても定着をしております。こうした法律婚制度が今回の改正によって私は崩壊するというふうには思っておりません。 この現在の婚外子の相続分規定といいますのは、そういう生まれながらにしての地位によって差別をされないという法の下の平等と対立するものでございます。法律婚尊重という目的達成の手段としては私は不合理であり許されないと、このように考えております。 また、反対をする意見の中には、この規定の改正によって不倫が助長されるのではないかと、こういう声もございます。しかし、これまでの議論でも出ておりますけれども、婚外子の出生の事情というものには様々なものがございます。いわゆる不貞行為による場合もあるかとは思いますけれども、例えば、婚姻関係が既に破綻をしている状態でいわゆる不貞行為には当たらないということもあるでしょうし、また、子供が生まれて認知はしたけれども婚姻には至らなかったというケースもあると思います。 そもそも、その不倫との関係でいいますと、子供ができた場合にその相続分が半分になるから不倫はやめようということまで考えて行動するかというところも疑問に感じますし、今申し上げたように、婚外子の出生の事情というものには様々なことがございます。そうした場合にまで区別なく法定相続分ということで一律に差異を設けることには私は合理性がないと、こう思っております。そもそも、そうした不倫といった行為の責めはその原因となりました親に帰せられるべきであり、何の責任もない子供の平等が害されるべきではないと思います。どのような家庭に生まれても、同じ命として子供は全て最大に尊重をされなければならないと思っております。 こうした子供を不平等に扱うことによって間接的にその親に不道徳な行為をしないようにさせようというような考え方というのは、子供を言わば一個の人格として取り扱わないものであり、人権尊重の考え方に反すると私は思いますけれども、この点、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も今度の改正によって、不倫が助長する、生まれてきた子が相続分がこうこうだから不倫をやめようというようなことには必ずしもならないのではないかというふうに思います。そして、親のそういう不行跡を、子供の扱いによって何とかその不行跡をとどめられることができるというのも、これはやはり子供に理不尽な不利益を押し付けるということになるのではないかと、委員のお考え方、私も全く同感でございます。 今度の最高裁の決定も、委員と同じような、父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないとしているのも、今委員がおっしゃったような考え方に立っているのではないかと思います。
○佐々木さやか君 この改正に反対をする意見のまたもう一つといたしまして、婚外子の出生に占める割合、これが平成二十三年では二・二%ということですけれども、全体の中で見ると少ないということを理由に反対という意見があるというふうにも私も聞いておりますけれども、しかしながら、婚外子自体の数が全体に見て相対的に少なかったといたしましても、この婚外子への区別、また差別というものをよしとしない意識というのは高まっていると思います。 平成二十四年に行われました家族の法制に関する世論調査におきましては、嫡出でない子の法律上の取扱いについて、配偶者以外の異性との間に生まれた子供であっても、生まれてきた子供に責任はないのだから、そのことだけで子供について不利益な取扱いをしてはならないという回答、これは調査でございますけれども、そうした回答が全体の六〇・八%、また、二十代、三十代では約七〇%の方がこういった回答をしております。 また、法制度上も、御存じのように、平成六年には住民票の記載も、嫡出か否かにかかわらず、一律に子となりました。平成十六年には戸籍上の記載も、嫡出かどうかにかかわらず、長男、長女等との記載に変更がされております。 こうしたことからも、やはり婚外子であることをもって区別、差別をするということについては、私は社会の意識、また国民の意識というのは確実に変化をしてきているのではないかと思います。 例えばフランスですとか、またアメリカといった外国と比べますと、婚外子の出生に占める割合というのは日本では確かに少ないかもしれませんけれども、だからといって、そうした婚外子に対する差別が許されるという理由にはならないわけでございます。 裁判所といいますのは人権保障のとりででございます。多数決によって成立をする法律から、少数者の人権保障、これを確保するというチェックの機能も持っております。婚外子が日本においていまだ少数、マイノリティーであったとしても、その人権は保障されるべきでありまして、そのことを理由に相続分規定の改正を否定することはできないと思いますけれども、この点についても大臣にお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 多数決というのは、特に立法府においては極めて重要な原理ですし、立法府だけではなくて、民主主義社会では重要な原理でございますけれども、憲法は、他方、多数決の限界ということも考えているわけですね。つまり、憲法に違反しない限りにおいて多数決定だけど、憲法上違反ということになった場合は多数決原理が制約を受ける、それが違憲立法審査権の背景にある考え方だろうと思います。 ですから、少数であるから救われなくていいという立て方を憲法は取っていないんだろうと思います。その辺の境界の見極めというのが大事だということかなと思います。
○佐々木さやか君 もう一点、反対の立場の方の意見の理由といたしまして、婚外子は相続財産の形成に寄与をしていないではないかと、こういった主張もございます。 しかしながら、法定相続分といいますのは、元々、遺産の財産形成の寄与度に関係なく一律に決められているものでございまして、同じ嫡出子の間であっても、同居をしていたかどうかとか、事業を手伝っていたかどうかとか、そういったことで差異があるわけではなくて、一律に同じということになっているわけでございます。 じゃ、この寄与についてはどういったことで評価をされているかといいますと、これも確認でございますけれども、寄与分の制度がございます。この現行の寄与分の制度についてどういった内容の制度なのか、御説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) 現行の寄与分の制度は、法定相続分により遺産を分けたのでは不公平が生ずる場合に、これを是正して共同相続人間の実質的な公平を図ることを目的とした制度でございます。具体的には、共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、あるいは被相続人の療養看護その他の方法によって、被相続人の財産の維持や増加について特別な寄与をした者があるときには具体的な相続分を調整するという制度でございまして、寄与分のあるなし、あるいはその程度につきましては、家庭裁判所が個別具体的な事情、寄与の時期であるとか程度、方法等々ですけれども、こういった個別的な事情を考慮して判断することになります。
○佐々木さやか君 今御説明がありましたように、その財産形成に対する寄与といいますのは、寄与分の制度で現行もあるわけですので、そこで判断をすれば済むのではないかと思います。 婚外子については、一般に生活をその親と別にすることが多いかもしれませんけれども、これも最高裁の決定の補足意見の中にもございました。婚外子は生まれながらにして選択の余地がない、そうした婚姻共同体の一員となることができないのだという点でございます。多くの場合は婚姻共同体に参加したくてもできず、婚姻共同体維持のために努力をしたくてもできないという地位に生まれながらにして置かれる、これが実情であると。要するに寄与をしたくてもできない立場にあるのだと、これをきちんと考慮をすべきであると思っております。 また、むしろ、これまでも質問の中にも具体例がございましたけれども、婚外子の方がむしろ財産形成に寄与をしているという場合もあるわけでございますので、そうしたいろいろな事情があるにもかかわらず、法定相続分というところによって、婚外子、そうでない場合と一律に差異を設けるということには合理性がないと思います。 先ほども申し上げたように、法定相続分を平等にして、それぞれの財産形成に対する寄与というのは寄与分制度で調整が可能ではないかと思いますけれども、この点について大臣はどのようにお考えになるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 相続財産の形成に誰が貢献をしたのかというのは、場合により様々だと思うんですね。一般論から言えば、委員が言われたように、婚姻共同体の中に一緒に入った嫡出子が寄与度が高い、寄与度といいますか貢献度が高いということがあり得ると思いますが、先ほど前川委員が挙げられた例などはまたそれとは違った例でございますから、それを全部法定相続分だけで妥当に解決できるかというと難しい場合が多い。ですから、委員がおっしゃったように、寄与分の制度等を活用して具体的な妥当性を図っていくということが考えられてしかるべきだろうと思います。
○佐々木さやか君 それから、私が思いますのは、婚外子というのは親子関係にあるわけでございますので、法律上、親と子のお互いの扶養義務というものがございます。婚外子であるから養育しなくてもいいというものではございませんし、逆に、婚外子としても自分の親に対してほかの嫡出子と同様に扶養義務を負うわけでございます。にもかかわらず、その相続の際に遺産に対する相続権だけが半分とされるのは、私は合理性がないように思うんですけれども、この点は大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 嫡出でない子が認知を受けた場合には、子が親に対して扶養義務を負う、そういうことでございますけれども、子が親から受ける扶養の権利については嫡出子との間に法律上の差異がない、これはもう御指摘のとおりだと思います。 ただ、あえて言えば、扶養の制度と相続の制度、必ずしも現行法はきちっと連動させて制度を立てているわけではないんだろうと思います。いずれにせよ、今度の最高裁判決は相続分を嫡出子の二分の一するということに合理性がないと判断したわけでございますから、その違憲判断を尊重する必要があるだろうと、このように思います。
○佐々木さやか君 今回の規定の改正がなされまして、婚外子、嫡出子の間に相続分の違いがなくなった場合の心配の声といたしましてもう一つございますのは、婚外子に遺産分割をする際に、代償金を払うなどして居住不動産を処分をしなければならなくなると。そうなると、生存配偶者が居住を続けられなくなるのではないかと、こういった声がございます。 しかしながら、婚外子にはこれまでも相続分があったわけでございますので、今回の改正によって必ずしも新たに発生をするという問題ではないと思いますけれども、この問題について、まず前提として確認をしたいのが、現行の制度では、生存配偶者の相続財産である不動産について、居住をする権利といいますか、そうした居住権というのはどのように保護をされているのか、この点の説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) まず、相続が開始してから遺産分割がされるまでの間と、遺産分割における保護とを分けてお話ししますが、相続が開始して遺産分割がされるまでの間については、共同相続人の一人が被相続人の許諾を得て遺産である建物に居住していたときは、これは判例理論ですけれども、判例上、特段の事情のない限り、被相続人と当該相続人との間で、相続開始時を始期、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認されるものと考えられています。この判例に従いますと、生存配偶者が被相続人の許諾を得て遺産である建物に居住しているという通常の場合には、その生存配偶者は相続が開始してから相続人間で遺産分割がされるまでの間は自宅の不動産から退去させられることはありませんし、賃料に相当する金員を支払う必要もないということになります。 また、遺産分割ということになりますと、遺産分割は御案内のとおり、遺産に属する物又は権利の種類、性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して決められます。このため、遺産である建物に生存配偶者がずっと居住していた場合に、建物の帰属について相続人間で話合いが付かず裁判になった場合には、裁判所は、こういったずっと生存配偶者がその建物に住んでいたという生活状況を考慮して分割方法を決することになる、その限度で言わば居住の保護が考慮要素として図られるということになるんだろうと思います。
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございます。 それと比較をして、相続分のない内縁配偶者につきましては相続開始に伴いまして何らかしらの居住権の保護があるのかどうか、現行の制度とか裁判例についてちょっと御説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) 内縁の配偶者の場合には被相続人の相続権はございませんので、内縁配偶者が遺産を構成する建物に関する何らかの権利を相続によって取得するということはございません。もっとも、最高裁の判例で、被相続人が遺産を構成する建物を所有していた場合について、建物の所有権を相続した者が被相続人の内縁の配偶者に対してその明渡しを求めることは権利の濫用に当たり許されないとするものがございまして、事案によりますけれども、具体的事案によっては権利濫用として内縁の配偶者の居住権が保護されるということがあるということになります。
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございます。 この相続開始に伴います居住権、居住する利益を保護しなければならないという議論は、これまで主に内縁の配偶者について議論をされてきたところが大きかったかなと思います。恐らく、実際に相続権がありませんので、急にお亡くなりになってすぐに出ていかなきゃいけなくなったということで問題が顕在化しやすいという背景があると思いますけれども、要するに、この相続財産を構成をする不動産に居住を続ける利益をどのように保護すべきか、考えるかというのは、ずっと長年生活の拠点としていたところから急に出ていかなければならないとすることが妥当なのかどうかと、こういう点が問題であると思います。 今申し上げましたように、これまでは内縁配偶者の問題で議論が主にされてきたわけでございますけれども、これが今後、仮に生存配偶者、法律上の婚姻関係にある配偶者の場合にも、仮に同じような場合、要するにその生活の拠点から直ちに追い出されてしまう、それが妥当ではないと判断すべきような場合がある場合には、こうした生存配偶者についても私は議論をするのはあり得るというふうに思っております。 しかし、この点で注意しなければなりませんのは、先ほど説明の中にもありましたけれども、権利濫用というような個別的な事情を考慮をして、そのケースで妥当かどうかということが判断されるべきであると思います。これを何らかしらの居住の権利ということで生存配偶者に法定の権利のようなものとして認めるということになった場合、この個別の事情というのが考慮ができなくなってしまうおそれがあると。そうなると、かえって、配偶者の地位の確保という、配偶者の居住権の保護というような議論を通じて、せっかく平等が実現される婚外子の相続分についてまた更に新しい差別のようなことが生まれはしないかと、私はこの点を心配をしております。 今、これからこの生存配偶者の居住権について検討をしていくというふうに聞いておりますけれども、恐らくこういった内縁の配偶者にされてきた議論のような居住権ということを検討されるのかなと思っておりますが、具体的にどういったことを検討をしていく予定なのかどうか、御説明をお願いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) 先ほども御説明したとおり、法務省では、今回の改正法案の提出を契機に生存配偶者の居住権の保護の在り方についても検討をすることとしております。 ただ、これは、委員の御指摘にもあったとおり、この嫡出である子と嫡出でない子が相続人に含まれる場合のみならず、相続一般に多大な影響を及ぼす問題でございますので、関係者間の利害調整をどう図るのかというのはなかなか難しい問題でございます。 これから検討を始めようということですから、今どういう制度を考えているということはないんですけれども、例えば、ほかの国でもこの種の生存配偶者の居住権保護の制度がございます。フランスなどでは、住宅を一年間無償で使用する権利を与えるとか、あるいはそれより長いものについては相続財産の財産的価値にカウントした上で相続財産と一緒に調整をするとか、そういった他国の立法例なども参考にして、合理的な制度になるように検討を進めたいと思っております。
○佐々木さやか君 この生存配偶者の居住権の保護についてはこれから検討をするということでございましたけれども、現在の大臣のお考えとしてはどのようなことか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回は非嫡出子の相続分を見直すという過程の中で、それだけ今までの生存配偶者ではない婚外子の方にも行く財産が多くなるわけだから、少しこの保護を考えなきゃならないんじゃないかというのが今回の議論の中で出てきたわけですね。 しかし、この問題は、先ほど民事局長も御答弁申し上げましたが、決して非嫡出子のいる家庭だけの問題ではなくて、嫡出子だけがいる家庭であっても、ほかに財産がないからもう売っ払っておふくろはどこか行けというような事例を見ないわけではないわけですね。 そうしますと、今も深山局長が答弁いたしましたが、かなり相続全般の考え方にわたる問題だろうと私は思います。関係者間の利害調整という言葉を使っておりましたが、そういうことも十分に踏まえて考えないとうまくいかないのではないかと思っております。 しかし、こういう議論が出ましたのをきっかけに検討を進めたいと考えている次第でございます。
○佐々木さやか君 次に、戸籍法の改正についてですけれども、この出生届の嫡出、非嫡出の区別の記載欄につきましては最高裁の判決では違憲とはならなかったわけですけれども、戸籍の記載との対照などの方法によって嫡出か非嫡出かということは知り得るものでありますし、届出書に記載を義務付けることが市町村長の事務処理上不可欠の要請とまでは言えないと、このように最高裁でも指摘をしているとおりでございます。 この改正については、私は改正をすべきであるというふうに思っておりますけれども、この最高裁が判決の中でありました事務処理上不可欠とまでは言えないところの具体的な理由についてお伺いしたいんですが、出生届を受理した後に実務上の確認作業としてはどういったことが行われているんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 戸籍法におきましては、嫡出子は父母の戸籍に入り、嫡出でない子は母の戸籍に入ることになっております。 そこで、出生届出書の提出を受けた戸籍窓口の担当者におきましては、現行法の嫡出子又は嫡出でない子の別の欄の記載をまず見て、子が嫡出であるか嫡出でない子であるかを一応把握した上で、関連する戸籍簿の記載を対照してその審査を行います。 具体的には、嫡出子として記載されていれば、子の父母の戸籍を特定した上で、その戸籍の記載から父母の婚姻の有無を調べることにより、届書に嫡出子として記載されていることの正確性を確認します。これに対して、子が嫡出でない子と記載されていれば、子の母の戸籍を特定して、その戸籍の記載から母が婚姻していないことを調べることによって届書の記載の正確性を確認することになります。 このようにして確認した結果が届書の記載内容、チェック内容と合致している場合には届書が受理されることになりますし、それが何らかの誤解で違っているというような場合には、これを正しくするように補正を促すことになります。その結果、審査担当者の認定の結論は、最終的に受理された届書の嫡出又は嫡出でない子の別の欄に必ず明記されるという手順になります。 このように戸籍窓口で届書が受理されますと、次の手順として、戸籍記載担当者、これは別の人であることも多いんですが、記載担当者において、これを基に子についての戸籍の実際の記載、記入をいたします。先ほど述べたとおり、出生届出書には嫡出であるかないかの別の記載欄があって、受理されている過程でそこの記載の正確性が担保されておりますので、戸籍の記載をする職員はこの記載だけを確認していずれの戸籍に入籍させるか等を判断することができると、こういうことで戸籍事務処理の便宜には資するんです。 しかし、やっていることの実質は、一々父母の戸籍をたどって、そこをチェックして確認をしておりますので、不可欠でないというのは、仮になくても同じ作業はせざるを得ない。しかし、便宜であるというような、この記載があることによって、そこのチェック欄を言わば引継ぎのときの一つの要素として、チェックする人はそこを正しく書かせることによって審査を終わり、記入する人はそこだけ見て記入するという形で事務処理が円滑に進むと、こういうことでございます。
○佐々木さやか君 よく分かりました。ありがとうございます。 実際に運用としては、そのチェック欄の記載のあるなしにかかわらず戸籍簿を見るわけですから、作業としては同じであるということでした。そうであれば、わざわざチェック欄を設ける必要は乏しいですし、また今回の最高裁は違憲の判決はしませんでしたけれども、だからそれを放置しておいていいということではないと思います。私は、人権保障の観点から、早期にこれについては改正をすべきだと思っております。 以上で質問を終わります。
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。 今回は、政府提出の民法、こちらは婚外子の相続の改正案、それからもう一つ、議員立法、こちらは戸籍法の中の出生届の改正ということの審議なわけですけれども、今日は、参考人にもこういうふうにおいでいただいて、そしてこれで締めくくりの審議ということになっていくわけですけれども、やはり今回のこの法案、多分待っていた人、これなかなか問題が問題だけに表に出ない、でも待っていた人たちの期待は本当に大きいんじゃないかというふうに私は感じております。 この民法への最高裁の判断が出ました。そして、子供にはこうした責任、あるいはそういうものはない、平等であるということなんです。私は、これを尊重して、その他残るところもやはり変えていく、これが私たちの国会の役目であり、責任ではないかなというふうに思っております。 その立場から、今回は戸籍と婚外子の問題に長いこと取り組んでおられて、そして市民運動をやっていらっしゃり、また裁判にも訴えてきた田中須美子参考人に今日はお話を伺いたいということでお呼びしております。よろしくお願いいたします。 田中参考人は、同時に、婚外子をめぐる問題の当事者であるというふうなことも伺っております。これまでの市民活動ですとか、それから裁判にかかわることになった、そういうこと、それからまた、御自身はどんな立場にいらっしゃるのか、いらっしゃったのかというようなことを是非伺いたいというふうに思っております。 中には少しプライバシーの問題にも触れることもあるかもしれませんが、是非、できる限りその辺、まず自己紹介も含めてその辺りから伺いたいと思います。
○参考人(田中須美子君) 今日、発言の機会を与えていただいて、どうもありがとうございます。 ちょっと大分緊張しておりますので、持ってきたメモを読み上げながら話をさせていただきたいと思います。 私は、市役所に三十九年間働いてきたんですが、その最初の五年間が市民課で、そして最後の四年近くが総合窓口職場である市政センターに従事して、そこで出生届とかそれから婚姻届とか、そういう戸籍の届書を受けてきました。 私は、事実婚として四十年間パートナーと暮らし、そこの中で子供を産み、育ててきました。何で自分たちが婚姻届を出さなかったのかということは、二人の関係を大切にして対等な関係を築き上げていきたいと、そういうふうに思って、婚姻届を出すことでどちらかの一方の氏を捨てなければいけないと、そのことは、相手に慣れ親しんだ姓を捨てるという我慢を強いていくと、そういうことになるのであれば、それは相手を大切にするということがもう当初から踏みにじってしまう、対等な関係ということからも程遠く、出発点から不平等な関係になっていってしまうという、そういうところについてはやはり私は耐えられないということで婚姻届を出しませんでした。 そうしましたらば、妊娠の兆候もない段階から、それは良くない、婚姻届を出すべきだ、子供がかわいそうじゃないかという、母親じゃない、そういうふうに職場の同僚たちから何度も何度も言われ続けたんですが、そのたびに非常に苦しみ、追い詰められてきました。でも、やっぱり自分の思いは大切にしたいというふうに思って婚姻届を出さなかったわけです。 その後、大分たってから子供が生まれたんですが、そのときに、自分が自分の思いを大切にして婚姻届を出さなかった結果、子供が住民票や戸籍の続き柄で差別記載されてしまったということに対しては、私自身の責任の問題として、この差別、この婚外子に対する差別記載の撤廃について闘っていこう、いかなければならない、そういうふうに思って裁判に訴えていきました。 一九八八年に住民票の続き柄裁判に訴えて、そして二〇〇五年の戸籍の続き柄裁判の終了まで十七年半の闘いをしてきました。住民票の続き柄裁判が始まったときに、この問題について、自分たち、共に闘っていきたいということで交流会が発足して、それ以来様々な運動をしてきたんですが、法務省に対する要請やそれから国連の人権機関へのロビー活動、それから、この一年半は電話相談に取り組んできました。 そういう経過です。
○真山勇一君 先ほども話が出ていたように、やはり夫婦の別姓の問題もこちらで今また出てきたというふうにも思います。 田中参考人が、やはり実際そういうふうに自分のことを大切に、そして二人のことを大切にして婚姻届を出さなかったということと同時に、お生まれになったお子さんに対して苦労を強いたことのその苦しみということもいろいろあったんじゃないかというふうに思うんですけれども、実際に、しかも市役所の届出の、そういう出生届の窓口にもいらして、そういう仕事もしていらした。本当にそのお気持ちというのは大変な思いを持っていらっしゃったと思うんですけれども。 実際に今お話を伺った、そしてそのほかにもやはりそういういろいろな、実際に結婚をしていないで出生届を出す、窓口で記載をするある用紙を扱う仕事をしていたということで、様々なやはり差別とかあるいは苦しい思いというのはいろいろあったと思うんですが、その辺のお話をもう少し聞かせていただけるでしょうか。
○参考人(田中須美子君) 娘が保育園に通っていたときに、娘の友達からお父さんのいない子というふうに言われたからもう保育園には行きたくないと、そういうふうに言ったことがありました。 それと、私の友人が婚約をして、相手の男性に自分が婚外子だということを話をしたらば、そうしたら相手の人がとても冷たくなって結婚が破談になってしまうという、そういうことがあって、その彼女はとても傷ついたんですね。私が今度婚姻届を出さないで子供を産んでいくという、そういう話をしたらば、いや、それは子供が差別されていくから、かわいそうだからやめた方がいいよというふうに、婚姻届はやっぱり出した方がいいよという、そういうふうに、傷ついたその彼女が私に言っていくという、そういうふうなこともありました。 それと、電話相談を私たちはしているんですけれども、そこの中で、電話相談に電話を掛けてきた婚外子の男性が、自分の両親が結婚しないで、いつか結婚しようというふうに約束しながら一緒に暮らしていて自分が生まれた。その後、父親に新しい女性、好きになった女性ができて、その女性と一緒にどこかへ行って結婚してしまった。お母さんと自分は生活できなくなったのでお母さんの実家に身を寄せていたらば、そこの家で一緒に暮らしていたおじさんたちから、おまえはこのうちの子じゃないんだ、木の股から生まれた子だとか猿の子だとか、そういう罵詈雑言をいつも浴びせられながら成長していって、非常に悔しい思いをしてきた。今回違憲決定を聞いたときにとてもうれしかったんだけれども、でも余りにも遅過ぎたという怒りも含めながら電話の中で言っていました。 そのぐらいですね。
○真山勇一君 やっぱり結婚届した方がいいよと言われて出せる人はいいかもしれませんけれども、やっぱりいろんな事情があって出せない方もいらっしゃる。非常にこうしたことはそれぞれ人で違っているんじゃないかというふうに思うんですね。 そういう中で、やはり田中参考人は、御自分のことで考えれば、やはり何としても出生届の嫡出子、嫡出でないというその記入欄はない方がいいというふうにお思いになったんだというふうに思うんですけれども、実際に、今回、これが何とかならないかということなんですが、民法の方は改正になりましたけれども、こちらの戸籍法の方はやはりまだ残ってしまうということで、ただ、全然改善がこれまでなかったということじゃなくて、二〇一〇年にですか、運用の改善、これは法務省の通知ということで、嫡出子あるいは嫡出でない子という欄のところの書き方で多少法務省の運用の変更があったというふうに伺っているんですが、この辺りの実際の窓口での、田中参考人、どんなことをやり、どんなことを感じられたか、お話をしてください。
○参考人(田中須美子君) 二〇一〇年に変更になった以降、最近なんですけれども、電話相談の中で、非婚のシングルマザーの人が窓口に行って、出生届を出しに行ったときに、差別記載欄については空白にして出したところ、窓口の職員から書いて出してくださいと、書いてくださいというふうに言われたんで、いや、何か嫌だなとかというふうに思いながらも、抵抗するすべもなく言われるままに書いてしまったと。家に戻ってしばらくしてからいろいろサイトを検索をしていたらば、私たちの会のホームページにたどり着いて、そこではチェックをしなくても、差別記載しなくても、その他欄に書けば出生届が受理されるんだということが書いてあった。これを先に知っていればあんな悔しい思いはしなかったのにと、そういうふうなことを言っていました。 結局、この通知というのは、相続差別規定がまだある段階での通知だったものですから、前提としてやはり促すんだと、補正を促すという、そういうふうになっているわけなんですけれども、結局、今言ったような情報を知っているか知らないかによって非常に苦痛を伴っていくという、こういうふうになってしまっているというふうに思います。 ホームページにたどり着いた別の人は、それをコピーして、それで役所の窓口に持っていって、こういうことができますからって言って、自分でその他欄に書いて出したらば受理されたと。ああ、差別記載欄について書かないで提出ができた、物すごいうれしかったというふうに報告してくれたんですね。なので、そういう情報の違いでもって傷ついたり喜んだりという、そういう不平等というか不公平な扱いということはやめるべきなんじゃないかというふうに思うんです。 それともう一つ、出生届というのは、子供が生まれてすごい疲れているんだけれども、二週間以内ですから疲れているんだけれども、でもうれしいという幸せな思いでもって役所の窓口に行って、そうしたらば正統ではない子というところに書かされてしまったと。何で自分の子が正統ではない子なのかというふうにやっぱり思い、でも自分は書いてしまった、母として書いてしまったという、そういう悔いを持って生きていかなくちゃいけないし、そういう悔いの中で物すごい傷つきながら、最初は幸せな気分で窓口に行ったのに帰るときにはもう重たい気分で帰っていくというのは、これは非常に問題な制度なんじゃないかなというふうに思いました。
○真山勇一君 私は、このやはり法務省の通知というのを評価したいと思うのは、全面的な改正ではないけれども、やはり嫡出、嫡出でないというところを記入したくないという、その届出で来たお母さんですか、そのことを考えて、書かなくても済む、予備欄ですか、別な欄に別なことを書けば、例えば子は母の氏を称するとかと、そういうことを書けば嫡出欄には記入しなくてもいいというような、そういう一つの、方便と言ったらおかしいんですけれども、それでも残るわけですね、やっぱり婚外子だということは。ただ、法務省がそういうことを一〇年にもうやっていたということもあり、今回政府の案としては見送られたけど、やはりこういうことも私は改正できるならばやっぱり一緒にやっていくべきではないかなというふうに思うんですが。 戸籍法については、もう一つ田中参考人に伺いたいのは、もう一つ、戸籍の続柄ですね、続柄の部分についても、これも全然そのままだったということでなくて、改正が加えられた部分がある。その辺りを、実際に窓口でやられていたときのことで、更正申出というのと再製申出というのがあるそうなんですが、この辺りのことについてちょっと伺わせてください。
○参考人(田中須美子君) 二〇〇四年の十一月以降に出された出生届からは長男、長女というふうに婚外子も記載されるようになったんですけれども、それ以前に戸籍に記載をされている婚外子については男とか女とか、そういう続き柄のままなんですね。これを長女、長男という続き柄に変えたいという場合には更正申出をし、再製申出をしなくちゃいけないという、そういうことなんですけれども、更正申出というのは、婚外子の続き柄の男、女という記載から長男、長女という記載に変わるということなんですが、それは、例えば紙戸籍だったらば、男を抹消線、横線引いて、その下のところに長女とか長男とかというふうに書くんですね。再製申出をすることでそこの今言った履歴が消えるという、そういうのが再製申出なんです。更正申出だけだとその履歴がそのままずっと維持されて残っていってしまうという、こういうふうな制度になっています。 お手元にあります、更正申出、再製申出件数というのがあるかと思うんですけれども、制度が始まってから今年の三月までの各総件数というのが、更正申出件数というのが三万九百三件、再製申出件数は四千六百六十四件なんですね。何でこんなに、この制度発足時点で婚外子は大体推定二百五十万人ぐらいいたというふうに数を数えていくと類推されるんですけれども、その二百五十万人のうち僅か三万件なんです。再製申出に至っては四千六百六十四件という、こういう数の少なさなんですね。 何でこんなに更正申出というのが少ないのか、二百五十万に対して三万ですから、残る婚外子というのは、差別記載されている婚外子は一生死ぬまでこのまま差別記載されたまま死んでいくと、こういうふうになってしまうんです。これはなぜこんなに少ないかというと、日本の全国津々浦々婚外子に対する差別意識は充満していて、そういうふうな中で婚外子として知られたくないという、そういうふうな中で生きているわけです。そうすると、私は婚外子ですからこの続き柄を直してくださいなんというふうに言っていくことはできないですね、非常に難しい、困難を強いると思うんです。ですので、そこの中でやっぱり、その結果がこの数の少なさになっているんだろうというふうに思います。 この更正申出に比べて何で再製申出がこんなに少ないのかということは、その原因というのは、更正申出と再製申出をセットにしていないからですね。更正申出書の中に、その他欄に再製申出もしますという一筆がもう記載されていれば、それで再製申出も一遍に済んじゃうんですけれども、わざわざ別々の制度にしていると。更正申出、続き柄を直してくださいというふうに言った人が、じゃ、はい、更正申出というのを窓口で出されて、書いて渡すわけですけれども、そうすると、これでもう自分は最初から長女、長男になって、履歴が残っているなんというふうには全く思わない。まさか再製申出もしない限り履歴が残るなんということは知らないわけです。 そういうふうな中で、更正申出と再製申出の二万六千件という差が出ていると。この二万六千件、二万六千人の人たちは、この更正申出をしてからずっと、今もって差別記載がより分かるような、そういう状況になっていると思います。ですから、この二つの申出制度というのはわざわざ分離せずに一つのものとしてやっていかなくちゃいけないんじゃないかと、そういうふうに思います。
○真山勇一君 実際にそういう出生届のお仕事をなさっていたり、現場で働いていた、そのためにやっぱりこういう制度の矛盾、それから、改正されたとはいえ、まだまだ残っている問題点というのが浮き彫りになったんではないかなというふうに思っています。やっぱりお話を伺っていると、実際に婚外子、届出をするときに、その制度を知らないことがたくさんある。やっぱり一言何かアドバイスとか言われれば、ああ、こういう方法もあるんだというのがこれまであったと思うんですね。そういうことがあったと思うんですが、最後に一言で結構なんですが、田中参考人、この今の制度でやはり差別というのは感じられるということなんでしょうか。
○参考人(田中須美子君) 結局、続き柄で婚外子かどうかということについては区別をするということについて制度上維持がされているということです。従前の戸籍法では、従前では、戸籍法どおり父母との続き柄だったんですけれども、二〇〇四年の十一月以降については、婚外子については母を基準にした続き柄、婚内子については父母を基準にした続き柄というふうになってしまっていて、例えば結婚して娘を産んで、それでやっぱり自分の氏を名のりたいといってペーパー離婚をしてまた娘を産んだと、こういうふうになったときに、二人とも長女、長女になってしまうんですね。それは、一つは婚内子の長女、もう一人は婚外子の長女というふうに、もう明らかにその続き柄で何とか婚外子かどうかという区別をしようということがこの制度の意味なんだと思います。 それからもう一つ、認知とか婚姻とか、その両方があった場合に、両親がですね、あった場合に、準正によって婚外子は婚内子に変わるんですけれども、それをその続き柄でわざわざまた表示をする。長女で、婚内子になったときにまた長女といったときに、同じ長女なんだから、普通はそのままにしておけばいいじゃないかと思うんですけれども、それを、婚内子の長女になりましたよという意味で、ここの長女をまた抹消して長女に変えるんです。 その上で、じゃ、こういう履歴については直したい、再製申出をしたいなと、そうすれば履歴なくなるので、そうしたいというふうに思って手続をしようとすると、いえ、これについては身分変動ですから、ここに関しては再製の申出はできないんですよというふうに言われるんですね。制度上そういうふうになっている。あくまでも、婚外子かどうか、婚外子か婚内子かということをひたすら続き柄で明示するように、そういう制度になっているので、ここについてはもう是非とも、今回、相続差別規定が廃止されるので、こういう区別を、続き柄で区別する制度についてはやめてほしいと。それと、住民票のときに、住民票の続き柄差別記載が撤廃されたときに全て子に統一されたのと同じように、戸籍についても男、女というふうに統一をしてもらえれば、職権で全てが変わるという、そういうふうになりますので、是非ともそこについて御配慮いただければというふうに思います。
○真山勇一君 やはり、この手続の複雑さということもあると思うんですが、知られていない再製、こうすれば、こういうふうにする方法があるよということがやはりなかなか知られていないんじゃないかなというふうに思っています。私は今回、民法の改正と同時に、この戸籍の方に残っている部分もやはり変えていくべきだなという思いを大変いたしました。田中参考人、ありがとうございました。 それで、時間が少なくなったので谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、今お話伺って、やはり差別があるということは田中参考人からのお話でも分かったと思うんです。差別が、嫡出と嫡出でない子との間に差別がやっぱりあるんじゃないかというその認識がどうかということと、そして、今回見送りになりました、こちらの議員立法の方になったいわゆる戸籍法ですね、こちらも私は、できることならば、やはり期待している人というのは大変多いんじゃないかというふうに思います。この民法の改正の機会に是非こちらも、この改正いつやるの、今でしょうというんだと思うんです。やはり私はそう思うんですけれども、その辺りの大臣の認識を最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 嫡出、非嫡出というのに様々な、何というんですか、ニュアンスを感じられたり、ニュアンスを込めた議論があることは事実だろうと思います。しかし、法律上はやはりこの法律婚から生まれた子であるかどうかということでこういう規定をしている、これは民法の基本的な仕組みにも関連してくるだろうと思います。 私は今、田中参考人のお話を伺いまして、事実婚を選択されるについて非常に繊細な配慮、繊細な神経をお持ちでそういう配慮をされたんだろうと、行動されたんだろうと思います。他方、しかし、夫と妻の家庭、法律上の婚姻というものを重視していこうというのは、一方、かなり国民には定着していることだという意識も私は拭い切れず持っているわけでございます。その辺はまたどういう議論が煮詰まっていくか。現在の私は、この間の九月の最高裁、二十何日でしたか、判決が、必ずしも不合理な差別とは言えないという判断を下しております。ですから、当面は民法九百条の改正ということを早く仕上げたいと思っておりまして、そこから先の議論はまたこれからだというふうに考えております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。本日の議題に沿って質問させていただきたいと思っております。 これまで、先日の委員会におきましても、私はこの民法改正の趣旨、そして戸籍法の改正の趣旨につきまして質問させていただいたわけなんですけれども、本日の委員会におきましては、今回のこの改正案が成立した場合、その後の取組が円滑に、また円満に執り行われていくために、そういった観点から質問をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。 そこで、まず初めに、胎児である非嫡出子の相続につきまして伺ってまいりたいと思います。 胎児は母親の母胎内にあってまだ出生していない状態でございますけれども、民法は、胎児であっても次の場合に限り生まれたものとみなしております。これは民法第八百八十六条、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」とされているわけでございます。 例えばここで、法律婚の妻が妊娠中に夫が亡くなった場合、胎児も遺産相続の対象になります。胎児も相続人となるわけでございますから、分割協議に参加をし、胎児の保護のために胎児の相続登記をする必要がこれ出てくるわけでございます。また、胎児を保護するために、出生前に遺産分割を行ってしまうことは、これはできないことが考えられますし、開始することはできないと考えられているわけでございまして、出生前に遺産分割等をした場合には、これは無効になるということでございます。 そこで、まず一点伺いたいのが、出生前、相続人は被相続人にどのような法的地位を受け、そしてそれを受け継ぐことができるのかを御説明していただきたいというふうに思っております。 そしてまた、出生後においては、ここでの遺産相続については積極財産、そして消極財産、両方とも相続の対象になるわけでございますが、三か月以内に遺産相続の放棄の手続をすれば、これは積極財産、消極財産も相続しないで済むということができるわけでございます。 そこで、続けてもう一点伺いたいのが非嫡出の胎児の場合においてなんですけれども、父親が非嫡出の胎児を認知していて、非嫡出の胎児が出生する前にその実の父が亡くなって相続が開始した場合に、先ほど初めに申し上げましたように、民法八百八十六条、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」とされておりますように、非嫡出の胎児は嫡出の胎児と同様に相続の対象となり、同様に当てはまるということでよろしいのかを伺いたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) まず最初にお尋ねがあった、嫡出でない子が胎児の場合に認知をしたときに相続に関してどういう法的地位になるかということでございます。 御指摘の条文にあったように、父は母の承諾があれば胎児を認知することができるとされております。また、胎児は相続については既に生まれたものとみなされますが、この規定は、胎児が死体で生まれたときは適用しないという明文の規定もございます。 今回の民法改正によりまして、嫡出でない子と嫡出子の相続分が同等となりますから、認知された胎児は、生きて生まれてくる限り相続に関して嫡出子と同じ法的地位を得るということになります。具体的には、被相続人が所有していた不動産、株式、現金といった積極財産だけではなくて、消極財産である債務についても、生まれて出てくる限り嫡出子と同等に承継するということになります。 それから、胎児が出生前に胎児認知を受けていたと、しかも非嫡出子であった場合に、その後父が死んでしまったと、その後胎児が出生をするというような、やや複雑なケースですけれども、こういうことがあり得るのではないかという御指摘でございます。 出生前に胎児認知はできるんですけれども、まだ出生しておりませんので胎児の戸籍を作ることができません。また、一般の出生後の認知であれば、父の戸籍の身分欄にも、実父の戸籍の身分欄にも認知した旨の記載が書かれますけれども、胎児認知の場合には、死体で生まれてくる場合には相続能力がなくなるというようなこともありまして、出生前には実父の身分事項欄にも記載がされないと。つまり、戸籍上は、胎児認知の届出をしても、まだ生まれ出てくる前は、非嫡出子の場合ですけれども、戸籍上は分からない状態のままで実父が亡くなってしまうと、こういう場合に非常に複雑な問題が生ずるんではないかという御指摘だと思います。 確かに、その場合に認知者が死亡してしまいますと、法律婚の配偶者であるとか嫡出子といった他の相続人が、父親が非嫡出子の胎児認知をしていることを知らないままで遺産分割手続を進めることがあるんではないかというお話で、そのとおりでございます。 ただ、胎児は、相続について、既に生まれたものとみなされるものの、死体で生まれたときは相続人にならないということから、出生前に胎児が、認知をしたということを他の相続人に知らせるというわけにもいきません、これは条件付の言わば相続人ですので。 また、胎児認知をするには、最初に申し上げましたけど、胎児の母の承諾が要ります。したがって、万一出生前に認知者が死亡したときは、お母さんである母親は胎児認知があったことを知っているわけです。それで、相続が開始したときはそのお母さんを通じて、実は胎児認知の手続が取られていて胎児認知をした非嫡出子がいるということがほかの相続人に伝わるという形で、遺産分割のときの相続人に加えていただくようなことが予想されると、こういうことでございます。
○谷亮子君 ありがとうございます。 最初の方の質問におきましては、やはり民法の中で出生したものとみなすということでありましたけれども、死亡して出生した場合は認められないというところの御答弁をいただいたというふうに思います。そしてまた、そのことにおきましては、嫡出子と同様に承継をしていくという、初めの質問の方ではそのように受け止めました。 そして、二問目の質問のところにおきましては、自分自身が実のお父さんの非嫡出子であるということが、やはりこれ、立証していくためには、まだ胎児の状況でございますから、その母親の取組といいますか、その先の手続等によってそこが発生して、そういったことが必要になってくるし、発生していくというふうに御答弁いただいたというふうに認識いたしました。 そこで、確認の意味でももう一度伺いたいんですけれども、婚外子を父親が認知したときの父親の戸籍の記載を確認しますと、まず、認知しただけでは子の氏は子の母親の氏、民法七百九十条二項のままで、これは変わりません。しかし、父親が非嫡出子を認知すると、父親の戸籍の原簿のこれは身分事項欄に、何年何月何日に何市の何町何番地に本籍が有する誰々の子誰々を認知した旨が記載されることになるわけでございます。 ここでお伺いしたいのは、戸籍法上、認知をした非嫡出の胎児は、実父の、実の父の戸籍にどのように胎児の場合記載されるのか。今お話ございましたけれども、改めまして確認のためで、こうしたことを踏まえた上で伺いさせていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(深山卓也君) 今委員の方からも概略御説明ありましたけれども、胎児認知をした場合の父の戸籍にどういう記載がされるかということですけれども、身分事項欄に認知という欄が設けられて、胎児認知をした日、何年何月何日ですね、それから認知をした子の氏名、子供の名前、認知をした子の戸籍ですね、本籍地が書かれます、どこどこ誰々の。戸籍の筆頭者としてお母さんの名前も書かれます。それから、受理をした役所の名前といったようなことが実父の戸籍の身分事項欄に書かれると。こういうことでございます。
○谷亮子君 御説明ありがとうございました。 今、身分事項欄の方に記載がされるということでございましたけれども、私の問題意識といたしましては、父親が認知をしていた非嫡出子の胎児が出生する前にその父親が亡くなってしまった場合、出生した後にどのような方法で、先ほども申し上げましたが、相続を受けていくことができるのか、またこの父親の非嫡出子であるということを証明していくことができ得るのかといった点で、どのように進められていくのかなというような点を思っていたんですけれども、それをなすには胎児認知というものがございます。 その胎児認知というのは、婚姻していない父母の間にこれから生まれてくる子を父の意思により認知するときにこれは出せます。そして、胎児認知や出生届と同時に認知届も出せば、戸籍上は母親の戸籍に子供は子として入りますけれども、子の父母欄に父の名前がこれは同時に書かれることになります。また、父親の戸籍にも認知が登録をされていくということになるわけでございます。 ですから、遺産相続・分割は父親が亡くなった瞬間に開始されるわけでございますし、まず戸籍上の記載を基に遺産相続は進められるわけでもございますから、非嫡出の胎児の場合でもこれは十分に相続をしていくことが可能になってくるというふうに考えられるわけでございます。 そこで伺いたいのが、平成二十四年内閣府の家族の法制に関する世論調査、これを見てみますと、今回の改正案におきまして、現在の制度を変えない方がよいと言われている方が三五・六%、そして相続できる金額を同じにすべきであると言った方が二五・八%、そしてどちらとも言えない、これが三四・〇%と、肯定、否定の差は縮まっているとはいえ、これは同じにすべきか、そうした同じにすべきが世論の主流とは言えない状況にあるということがこの内閣府の世論調査の中では報告されているわけでございます。 そしてまた、今回の改正案にはいろいろな御意見がございまして、非嫡出子の相続分を嫡出と同等にすると、遺産分割の際に配偶者と嫡出子とそして非嫡出子との間の対立や紛争を深める可能性があると考えられているところもあるようでございます。 私は、このような報告等を踏まえた上で、円満な家庭そして家族を構築していくためには、父親に認知をしている非嫡出子がいるということを、また、相続を受ける家族全員、全体でその非嫡出子の存在を遺産分割・相続が開始される以前からこれは認識しておく必要があるというふうに思っているわけでございます。 そこで、戸籍の原簿の身分事項欄に、父親が非嫡出の胎児そして非嫡出子を認知した場合は、認知している子がいるということが記載されるわけでございます。そして、何らかの理由で戸籍抄本や戸籍謄本を取った際にその身分事項欄にはそのような事実がやはり記載されているということも考えられるわけでございますから、今後そうした円滑な家庭そして家族環境を構築していくためには、父親が亡くなってからその認知をしていた非嫡出子の存在が分かるのではなくて、父親が認知したその時点で、家族全体でこれは非嫡出子の存在を認識しておくといったことが大事であると考えられるわけでございます。 そうした中で、お伺いしたいと思います。 家族環境等の円満を築いていくために法務省としては、今回対策を講じられる、何か講じられるお考えというのはあるのか、それともないのか、それともこれまであったのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(深山卓也君) 委員の問題意識は、父親が非嫡出子を認知した場合に、嫡出子の側あるいは法律上の配偶者の側がそのことを知らない可能性がある、つまり、認知をしても父親の、実父の戸籍の身分事項欄に記載はされますが、戸籍謄抄本を見なければそのことをほかの家族が気が付かない。そのことが死んでから露見して家族の紛争になりがちであるから、認知した時点で何らかそのことをほかの家族に通知するようなことは考えてはどうかと、こういう御指摘だと思います。 先ほど申し上げたとおり、胎児認知の場合にそういうことがより深刻な問題になるというのは御指摘のとおりなんですけれども、その場合には、認知をしたときには母親が承諾をしておりますので、父親が亡くなったときに母親が、実は認知した子供がいるんだよということをほかの相続人に言っていくということしかできないと思います。 より一般的に、認知があったときには配偶者や嫡出子の側にそのことを通知することはどうかということですが、まず、こういう身分事項の変動があって、相続分にいろいろ変動が来すと。もちろん、お子さんが増えれば相続分は変動を来すわけで、そのことを知らないでいることはよろしくないんではないかという問題意識だと思いますが、ただ考えてみますと、例えば自分の父母と第三者が養子縁組をして、父母が死んだときの自己の相続分が減ってしまうとか、それから自分の子が配偶者との間で嫡出子をもうけることによって、子が死んだ場合の自分の相続分は親としてなくなってしまうとか、そういう戸籍に記載される身分変動があったために自分の相続分が変わってしまう、しかも、そのことが知らないうちに起こる可能性があるということは、ほかでもいろいろなことであり得ます。 そのときに、戸籍制度においてはそういった、あなたの相続分に影響がある身分変動がありましたよというのを関係する利害関係人に通知するような制度はございません。これは、基本的には、戸籍というのは人の親族的身分関係を登録して公証する、そこに役割が尽きていて、それ以上のことをしていない。つまり、見ようと思ったら公の証明をしてくれる、必要な人には。しかし、相続分に影響がある身分変動があなたについてありましたということを戸籍の制度の中で通知するようなことは言わば役割を超えるものだと、こういう考えによるものだと思います。 したがって、そういう制度を設けるというのは、なかなか戸籍制度の抜本的なありようを見直すことにつながる大きな議論だろうと思っております。
○谷亮子君 丁寧な御説明、ありがとうございました。 やはり、母親がその後の相続等については、胎児の場合であった場合には、その父親が亡くなった場合には母親がその胎児に代わって執り行いを進めていくというようなことの御説明であったと思いますが、私はやはりいろんなことがそれぞれの家庭であると思いますけれども、父親が亡くなって突然、私は認知をされていた子ですというようなことで出てくるということで、非常に混乱を来すというような意見が多々聞かれているというような現状がありますから、私は、そうなる前に、こうした身分事項欄のところにこうして記載されるという現状があるわけですから、もっと早い段階で、家族全体で家族が円満に進んでいくような家族関係、また家族環境が円満に執り行われていくようなことをやはり法務省として何か取り進めていただきたいと。 家族の中に入っていく話になりますから、非常にこれは難しい複雑な問題も絡んでくるとは思いますけれども、そういったことを何か円滑に、また円満に進んでいくということを、今回法改正されるわけでございますから、何かお考えいただきたいなというふうに思っているわけでございます。 そして、時間もございませんので、最後の質問とさせていただきたいと思います。 非嫡出子の被相続人への扶助、そして財産形成への貢献等の評価につきまして伺ってまいりたいと思います。 今回の民法改正案で、嫡出子、非嫡出子の相続は平等になりますが、この改正が実効性を生み、非嫡出子の方が平等に財産の相続を受け得るためには、寄与分等にも非嫡出子の方の貢献が評価されなければならないと思います。 これには、実例といたしましても、それぞれの家庭、そして家族、そして環境の中でいろいろなことがあると思われるわけでございます。そしてまた、厚生労働省の平成二十二年の母子家庭の現状という国勢調査を見てみますと、このデータの実例におきましては、母子家庭で経済的に困窮した中で養育をし、成人する場合も多いということが報告をされております。そしてまた、非嫡出子の母子家庭におきましては、家賃や公共料金等の自己負担分をされているという点もあろうかと思われるわけでございます。 そこで、昭和二十二年に民法、非嫡出子の相続分が嫡出子の二分の一と定められた当時の本規定の立法趣旨をこれ見てみますと、このように記載をされているわけでございます。婚外子の利益を考えて相続権のあることは認めますが、法律上正当な婚姻を尊重するために婚内子と婚外子の間に法律上の差を付けて、民法が正当な婚姻を尊重していることを示し、それによって婚姻をしていかなければならないと説明しております。 そして、この立法趣旨の補足意見としてはこのようにも記載をされておりました。憲法には平等論が説かれていますが、妻や子を相続の中に入れるのか、婚外子を入れるかなど、相続の範囲をどこまで決めるかということは、ある程度までは自由に決めてよいことであるから、相続上第一順位に置かれた嫡出子に比べて非嫡出子に差が設けられていることは必ずしも平等の原則に反するとは言えません。さらに、外国の立法例によっては婚外子は一切相続権がないところもあるのですから、非嫡出子に全く相続を与えないのではなくて二分の一を与えることは平等の原則に反するとは言えないと、これは論じているわけでございます。 そして、さらに、相続権を否定して、非嫡出子、扶養請求権を持たせることにとどめるべきであるという意見に対しましては、非嫡出子の父親が亡くなって、亡くなった後の扶養の望みがなくなるというときに、その子に二分の一だけを相続をさせてやることが、父親が生存中に扶養していたことの残された最後の締めくくりにもなるという意味も加わって、非嫡出子に相続権を認めたとこれは説明をしているわけでございます。 ここで、最後に谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正で当該規定の立法趣旨はどのように変化をしたのでしょうか。そして、非嫡出子の方が真に平等に相続を受けられるためにこの立法の趣旨を明らかにしておく必要があると思いますので、お伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回、改正をお願いしておりますが、今までの現行の民法九百条第四号ただし書の規定の趣旨、それは、今、谷委員が当時のいろいろな議論を顧みられたところでございますが、要は、要約しますと、法律上の配偶者との間に生まれた嫡出子の立場も尊重すると同時に、他方で嫡出でない子の立場にも配慮をして、嫡出でない子に嫡出子の二分の一の法定相続分を認めて嫡出でない子を保護しようとしたと。これは、法律婚の尊重と嫡出でない子の保護の調整を当時図ったということだろうと思うんですね。 それで、今回の最高裁判所大法廷決定の判断の枠組みというのは、おおむね要約しますと、一つは、相続制度をどのように定めるかは国の伝統、社会事情、国民感情等を総合的に考慮した立法府の合理的な裁量判断に委ねられているが、これらの考慮事情は時代とともに変遷するものであると。 その上で、昭和二十二年の民法改正時から現在に至るまでの事情の変遷を見ると、社会の動向、家族形態の多様化や国民の意識の変化、諸外国の立法の趨勢、我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘、関係法令の改正動向等の事情について変遷が認められると。 そして、三番目に、これらの事情の変遷を総合的に考察すると、父母は婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択、修正できない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されないという考え方が確立されてきているものと言うことができると。 それで、以上を総合して、立法府の裁量権を考慮しても本件規定は憲法第十四条第一項に違反すると、こういうふうに論断をしたわけでございますね。 それで、現行の民法の規定が制定された当時は、法律婚の尊重とそれから嫡出でない子の保護の調整を図るという立法理由に、当時としては合理的な根拠があったと思いますが、法の下の平等を定めた憲法に照らして、今日までの社会の動向等の種々の事柄の変遷を総合的に考慮した結果、今回の最高裁決定は、父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択、修正できない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されないという、そういう考え方が確立されてきたとして、本件規定が憲法十四条第一項に反すると判示したというふうに理解しております。 今回の民法改正はこのような考え方の変遷に基づくものであると、こういうふうに考えております。
○谷亮子君 谷垣大臣、ありがとうございました。 これまでの長い一連のその経過また経緯というものをお話しいただきまして、本当にありがとうございます。 やはり非嫡出子の方、そして嫡出子の方が、それぞれにやはり同等にこれは尊重されなければならないということであるというふうに思うわけでありますし、法に照らして、さらに、法の下の平等といったことよく言われるんですが、やはりその時代に合った法というものが、これからいろいろなことが、改正されていく部分と改正されていかない部分と、現行のまま行く場合と、それぞれにいろいろな場面で出てくると思うわけなんですけれども、しかし、今回のこの改正案につきましては、この後に成立された場合には、やはり、家族、そして家庭、そしてさらにはその環境がそれぞれに守られて保護されて、そして確立されて、またその権利と人権と、さらには身分というものが保障されていくということを望みまして、私の本日の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。 民法改正について、まず一点目に、諸外国が婚外子差別を撤廃した理由についてお伺いをいたします。似たような質問もこれまでありましたけれども、確認をする意味で改めて伺います。 婚外子差別撤廃や選択的夫婦別姓導入の民法改正について、諸外国の事例や国連の各人権機関から勧告を受けて法改正を求める根拠に挙げることに否定的な意見が見受けられます。しかし、諸外国が差別撤廃をしてきたのには、理由というか背景があるのではないかと思います。日本が最初にお手本にしたフランス民法は、婚外子への相続差別規定や嫡出概念、また嫡出用語を完全に撤廃しました。ドイツも同様に段階的に差別を撤廃しています。これらの国々が差別を撤廃したことには何か理由があると思いますが、その背景や理由を深山政府参考人にお伺いいたします。
○政府参考人(深山卓也君) フランスあるいはドイツでの改正の背景事情の詳細を承知しているわけではございませんけれども、やはり法の下の平等という各国共通の人権規定との関係、それから、先ほど参考人もおっしゃっておられましたけれども、児童の権利条約に各国が批准をしたことなどが背景として影響していると思います。
○糸数慶子君 ただ単に諸外国が法改正をしているから改正すべきと言っているわけではありません。条約に加盟した締約国の責務を果たし、国内法を整備したということだというふうに思うわけですが、一方、日本は条約に入っても条約実施義務を果たしていないということが、国連からこれだけ多くの勧告を受けたことでも明らかになっています。 次に、事実婚夫婦の単独親権についてお伺いをしたいと思います。 これは、十一月二十八日の委員会で、父母が事実婚で一緒に子供を養育している場合には共同親権にすべきではないかという私の質問に対して、谷垣大臣は、必ずしも不合理な規定とは考えていないと答弁をされました。昨年四月に施行された虐待防止のための親権の一時停止等の民法改正では、子の監護について必要な事項の例として、父母との面会交流や子の監護に要する費用の分担が明示されるとともに、父母がその協議で子の監護について必要な事項を定める場合には、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと規定されました。 事実婚の夫婦が一緒に子供を養育している場合には共同親権が子の利益に資するのではないかというふうに思いますが、谷垣大臣に再度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 糸数委員がおっしゃったように、十一月二十八日ですか、委員会で、必ずしも不合理な規定ではないという答弁を申し上げたわけでございますが、そのときのあるいは繰り返しになるかもしれません。民法上、父母の婚姻中は父母が共同して親権を行使すると、それから、嫡出でない子の場合には母又は父が単独で親権を行使するというふうに規定されているわけですが、こういう規定の背景にありますのは、民法が法律上の夫婦とその間に生まれた嫡出子から成る婚姻共同体というべきもの、それを基礎として親族間の様々な法律関係を規律していこうという、その表れだと私は考えているわけでございます。 事実婚の場合は、今、糸数委員もおっしゃいましたけれども、まさに実態は、何というんでしょうか、事実婚の実態が極めて、事実婚の定義自体が実は相当難しいんですね。極めて、法律婚とは少しも違わないような実態を備えているものももちろんあると思いますが、他方、子の父母である男女の結び付き、あるいは生活状況、これは様々でございます。ですから、事実婚という言葉が定義しにくいのと同様に、一定の状況を前提とした規律に親しみにくいところがございます。 ですから、事実婚に一律に父母の共同親権を認めるということは、子供の養育監護について必ずしも実質的に判断ができないようなことを生むおそれもないわけではない、子の利益の観点からもそういうことが懸念されるのではないかというふうに私は思っておりまして、以上のようなことから、前回申し上げたような御答弁をさせていただいたということでございます。
○糸数慶子君 今、前回と同じようなお答えがあったわけですけれども、昨年の四月に施行された虐待防止のための親権の一時停止等の民法改正において、やはりこういう子の監護について必要な事項の例として、今私は、できればそういう事実婚に関してもやはり共同親権が子の利益に資するのではないかというふうなことでお伺いしたわけですが、これはまた改めて別のときにもっと議論をさせていただきたいというふうに思います。 次に、嫡出用語の見直しについてでありますが、十一月二十八日のこの委員会で、嫡出でない子は正統でない子となってしまうため、当事者からは使用しないでほしいと求められているということについて、谷垣大臣は、あくまでも法律上の婚姻から生まれた子というふうにとらえておりまして、それに特別なニュアンスというか陰影を余り付け加えて運用していくのは好ましくないと考えておりますと御答弁されました。これは当事者がやめてほしいと言っていることでありまして、セクハラやいじめでも、やはり受ける側がやめてほしいと言えば見直すべきだというふうに思いますが、改めて伺います、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これも委員がおっしゃるように、十一月二十八日、御答弁を申し上げました。それで、嫡出という用語を使わないでほしいという御意見があるということも承知はしておりますが、これも前回の繰り返しになって恐縮でございますが、嫡出あるいは嫡出でない子という用語は、あくまで法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子供は嫡出、そうでない男女から生まれた子供は嫡出でない子という意味を持った法律用語であって、そこに差別的な意味合いを含むものとは私は考えておりません。 このことにつきましては、本年九月二十六日の最高裁判所の判決においても同様の説示がなされているというふうに承知しております。
○糸数慶子君 次に、夫婦別姓についてお伺いをしたいと思います。 谷垣大臣の答弁、これまで拝見しておりますと、大方の国民の合意を理由に慎重な立場を表明されておりますが、大方の合意とはどの程度を指すのでしょうか。先日もお示しをいたしました政府の世論調査でも、これから婚姻するという若い人々の意識は大きく変わっており、六十歳未満の男女が共に選択的夫婦別姓を容認しています。 現在では、女性も男性と同様に結婚しても仕事を続けております。一方が結婚によって名前を変え、煩雑な手続をしなければいけない、あるいは変更後の同一性を証明しなければならない場面もあります。また、会社が通称使用を認めてくれないなどで通称使用もできない人たちが少なくありません。多くの女性たちが不便や不利益を感じ、法改正を求めています。 谷垣大臣は、不利益が一方の性に偏っている今の制度を変える必要がないとお考えでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 夫婦同氏制度に反対するお立場から、特に女性について、婚姻による氏の変更がその職業活動や社会活動に不利益をもたらすといった指摘がされておりまして、今日も参考人の御意見の中にもそのようなお声がございました。 もっとも、夫婦同氏制度は、夫婦、婚姻の際に定めるところに従って夫又は妻の氏を称すると民法七百五十条がそう定めておりまして、制度上は性別中立的なものとなっております。それから、現在では職業活動等において、今なかなか使いにくいというお話も糸数委員からございましたけれども、婚姻前のいわゆる旧姓使用を認める、可能とする取扱いも従前に比べると相当広く浸透してきているところだろうと思います。そういう意味では、不利益はかなり緩和されてきているのではないかと承知しております。 それで、選択的夫婦別氏制度の導入は、これは我が国の家族の在り方に深くかかわる問題でございまして、様々な意見がございます。ですから、慎重に検討すべきだというふうに申し上げたわけでございますが、この前申し上げたことに付け加えますと、夫と妻の家族共同体の言わば呼称として氏を統一するという考え方も、先ほど大方とは何かとお問いかけになりましたが、かなり広く浸透しているということも私はあると思っております。
○糸数慶子君 夫婦同姓を規定するその民法七百五十条は、建前では平等としていますが、婚姻で改姓するのはほとんどが女性です。二〇一二年の人口動態統計によりますと、改姓したのは九六・二%が女性であります。二〇〇九年の男女共同参画社会に関する世論調査では、夫が外で働き妻は家庭を守るべきという固定的性別役割分担意識に反対が五割を超えています。 家族のありようや価値観は多様化していますが、いまだに女性の改姓が当然視されているのではないかというふうに思います。それを望んでいる人も多いと思いますが、中には自分の名前を名のりたいと思っている人も言い出しにくい状況があるのではないかと思います。そのような人たちに選択肢を広めることは、同姓にしたい人には何も影響がなく、より広いニーズにこたえることができるのではないかというふうに思いますが、改めて大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(谷垣禎一君) これに関してはいろんな意識があるんだろうと思うんですね。儒教的な文化観、価値観に立てば、自分は、私は谷垣という家に生まれたわけでございますが、谷垣の血を引いて生まれたと。私の娘も谷垣という血を引いて生まれたと思っていると思いますが、だから、死ぬまでというか、結婚してもその自分の家、家といいますか、生まれてきたファミリーの名前を継いでいくという立て方も私はそれは一つの立て方だろうと思います。儒教社会では、そういう血の流れといいますか、そういうものを重視する立場からそのような制度が取られていると承知しております。 他方、これは先ほど申し上げたことの繰り返しでございますが、我が国で今定着している考え方は、やっぱり夫と妻で設ける共同体に共同の呼称が欲しいという考え方はかなり定着しているのではないかというふうに実は私は思っておりまして、その意味から、何というんでしょうか、その選択的夫婦別氏制度については更により慎重な検討が必要ではないかと申し上げているところでございます。
○糸数慶子君 先ほど参考人のお話を伺ってもいろいろ感じたわけですが、民法七百五十条は、婚姻の効力、あるいは効果でも構いませんが、効力とされていますけれども、別姓での婚姻届は受理されませんから、夫婦別姓を望むカップルにとっては一方の改姓が婚姻の要件となります。これ、憲法二十四条が保障する婚姻の自由を侵害していると言えますが、立法当時は夫婦別姓での法律婚を希望することなど想定していなかったために、七百五十条の中には婚姻の効力とされたのだというふうに思います。 婚姻しようとするカップルのいずれか一方が氏名保持権を放棄するか、双方がその氏を保持して婚姻の自由を放棄するか二者択一の選択が強制されているわけですが、それに対しての大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、糸数委員がおっしゃるように、今婚姻届を出そうとしても、夫婦が違う氏を名のるということでは受理されないから、法律上そういう形で婚姻届を出すのはできない仕組みになっております。 それで、今、糸数委員がおっしゃったような、そういう価値判断もこれは十分あるところだろうと思いますが、私は先ほどは夫婦の共同体の名称というような表現を取りましたが、夫婦や親子の一体感を確保する上でこの同氏制度というのはかなりの役割を果たしているのではないかというふうに思っております。それから、氏が単なる個人の呼称ではなくて生活共同体である家族の呼称という性質を有するものであると、これはかなり私は国民の間に定着しているのではないかと思っております。 それで、この辺、ここから辺りはいろいろな御議論があると思いますが、実生活において旧姓使用というようなものを、何というんでしょうか、可能な状況を広めていけば、いろんな問題点はかなり解決できるのではないかというのが現段階の私の考え方でございます。 いずれにせよ、この問題は、家族に対する考え方、こういうものに大きく影響するところでございますから、私も議論の推移はよく見ていきたいと、このように思っております。
○糸数慶子君 ありがとうございます。 次に、婚姻最低年齢と成人年齢について深山政府参考人にお伺いしたいと思います。 先日、婚姻年齢に男女差を設けているのは日本と中国くらいだと申しましたが、ほかに婚姻年齢に男女差を設けている国があるでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 現在法務省で把握している限りでございますけれども、婚姻最低年齢に男女差を設けている国は日本と中国のほかにはインドがございます。インドは男が二十一歳、女が十八歳というふうになっているものと承知しております。
○糸数慶子君 十一月二十八日の本委員会で、男性十八歳、女性十六歳と規定している婚姻最低年齢についてお尋ねいたしましたが、二〇一三年版世界人口白書では、児童婚を取り上げ、国連は十八歳未満の婚姻を児童婚と指摘し、最低年齢の引上げを求めていると申し上げました。谷垣大臣は、立法当時の早婚の防止という状況を御説明いただき、十六歳のままでいいのかどうか、更に議論を深めていく必要があるという御答弁でございました。 立法当時には合理的であった規定も、憲法に照らし不断に検討、吟味されなければならないと思います。是非とも議論を深めていただき、法改正をされることを期待いたします。谷垣大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これもこの前申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、立法当時はやはりかなりそれなりに合理性は相当あったんだろうと思います。事実、かなり若くて結婚する女性の数も多かったわけですね。現在の意識にかなうかどうかというのはまた別個の問題としてあります。 こういうふうに申し上げるのは、一つは、平成八年でしたか、の法制審の答申もあったわけでございます。これは、だからよく議論をしていきたいと、このように思っております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 二〇一三年版世界人口白書が児童婚とともに取り上げたのが母になる少女、つまり思春期の妊娠でありました。少女が妊娠すると、学校教育はその時点で終わってしまうかもしれず、仕事の見通しはなくなり、貧しさは一段と増し、社会から排除され、家族への従属度合いが増えていくと指摘しています。 これは開発途上の国だけでの問題ではありません。日本でも、望まない妊娠、貧困、暴力の世代間連鎖が深刻になっています。妊娠のメカニズムや避妊の方法を知らない若年層が安易に性行為に走り、不幸な妊娠をすることが産婦人科医からも指摘されています。望まない妊娠を防ぐためには性教育が必要であります。 十一月七日の世界人口基金のシンポジウムでは、日本において性教育が十分に行われていないことが懸念されました。性教育が十分に行われなくなったきっかけが、都立七生養護学校における性教育への一部政治家の激しい非難でした。これは大きく報道されましたので御存じかと思いますが、七生養護学校で押収された性教育教材が二〇〇五年に自民党本部で展示され、これにかかわった都会議員らも参加してシンポジウムが行われました。これはその後裁判になりましたが、最高裁は十一月二十八日、双方の上告を退ける決定を行い、一方的な非難が教育への介入で不当な支配に当たると認め、二百十万円の支払を命じた一審、二審判決が確定いたしました。 このことを言及するのは、十一月十九日の衆議院法務委員会でも、二〇〇六年のシンポジウムで行われた男女共同参画社会基本法や民法改正への批判と同様の質問が行われたからです。個人の尊厳、個人主義が利己主義と曲解されて、家族や共同体を破壊しているという主張です。これは、特定の価値観や家族観を持つ側が、自分と違う考えや政策を一部の政党やイデオロギーと関連付け、非難するということも多々見受けられます。これらは法や制度の見直しを阻むだけでなく、何の関係もない当事者を無用に傷つけています。 法や制度はライフスタイルに中立であることが望ましく、様々な人々の多様な生き方を支えるものでなければならないというふうに考えます。二〇〇三年の衆議院法務委員会で、参考人として出席された元内閣法制局長官の大森政輔氏は、この家族の形態や夫婦の考え方の多様化について、家族に関する法制度と申しますのは、それらを包含できる弾力的かつ柔軟性のある制度であることが望ましいと指摘されています。 今回のこの違憲決定では、最高裁は、これらの事柄は時代とともに変遷するものであるから、その定めの合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味されなければならないと述べています。まさに、唯一の立法機関である国会に身を置く私たち一人一人がこれを肝に銘じ、立法活動を行わなければならないのだというふうに私は受け止めています。 日本の科学技術や医療技術は世界最先端と高く評価されていますが、残念ながら明治時代の医学水準で設計されたままになっている規定があります。民法七百七十二条の嫡出の推定規定であります。この規定とかかわる生殖補助医療により出生した子供の法的地位の在り方など、早急な見直しが必要であります。 長い時間を要しましたけれども、今回の民法改正は大きく一歩前進しました。法制審議会から答申された選択的夫婦別姓制度や再婚禁止期間、そして婚姻最低年齢についても早急に法改正がされることを求め、最後に、このことについても改めて谷垣大臣の御所見を伺って終わりにしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私はこの場に法務大臣として立たせていただいているわけですが、最初に人口問題についてお触れになりました。 私は、実は超党派の人口議連の会長というのもこの度仰せ付かりまして、そこでのやっぱり人口問題に対する国際的に認知された考え方というのは、女性の選択肢を広めて望まない妊娠を抑えていくというのが一番の基本だろうというふうに思います。 これは日本はかなりそのことは成功しつつあった国だろうと思います。そうして、健康政策をかなり一生懸命やることによって、同時にそれは長寿、少子化という社会を生み出しまして、恐らくここの長寿、少子化の先にある社会にうまく適応できるかどうかは、国際的にもモデルを提供し得ることなのではないかと、我々のやっていることはそういう意味を持っているのではないかと。ちょっと今の御趣旨と違う、ずれてしまったかもしれませんが、私はそのように思っております。 したがいまして、そういうことも含めて、家族の在り方、社会の在り方、様々に変化してまいりますから、しかし、この変化にあんまり先走ってもなかなか物事はうまくいかないということもございます。ですから、こういう世の中の在り方というものをよくよく注視して、きちっとした議論を積み重ねていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 以上で私の質問を終わりますけれども、先ほども申し上げました、この民法改正は大きく一歩前進いたしましたけれども、今日議論いたしました数多くの課題もまだまだ残っておりますので、今後また時間を掛けて、私が今申し上げました選択的夫婦別姓の制度、そして再婚禁止期間、婚姻最低年齢についても早期にその法改正がされることを求めて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 まず、民法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、戸籍法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十八分散会