法務委員会 第9号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2013/11/20
会議録
○江崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民法の一部を改正する法律案及びこれに対する階猛君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長深山卓也君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、外務省大臣官房審議官新美潤君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。 —————————————
○江崎委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。郡和子さん。
○郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。朝からの質問になりました。 まず、冒頭でございますけれども、きょう、最高裁で、昨年末の衆議院の選挙における一票の格差の問題で判決が出されることになっております。御承知のように、さまざまないきさつがあったわけでございますけれども、そのいきさつも含めて重く受けとめなければならないというふうに思っております。まず、冒頭、このことを申し上げさせていただきます。 最高裁の違憲判断以降ですけれども、婚外子の当事者の方々を傷つけたり、あるいはまた最高裁を誹謗する発言が国会議員の中から出ていること、私自身はとても残念なことだと思っております。 婚外子の相続分規定については、一部の家族法学者や憲法学者から、かねてから憲法違反ではないかというふうなことが指摘をされてまいりました。法令が憲法に適合するかどうかというのは、裁判所が具体的事件の解決に必要な限度で審査する、いわゆる付随的審査制をとっているために、今回の違憲判断も、原告の方々が最高裁まで闘ったからこそ導き出されたもの、そういうふうに思います。また、住民票や戸籍の続柄記載については、これまで行われてきたさまざまな裁判を契機に、通達や省令によって差別が少しずつ解消されてまいりました。差別撤廃のために原告となってこの裁判を闘ってこられた方々に私は心から敬意を表したいと思います。 昨日のこの委員会の中でも、国際人権規約について、また、最高裁も間違えることがあるんだ、さらには、男女平等についても、これを否定する趣旨の御発言が委員の中から飛び出したことに驚きを禁じ得ませんでした。 なぜ違憲決定が導き出されたのかということについて、私たちは真摯に受けとめなければならないんだというふうに思っています。本来であれば、唯一の立法機関であるこの国会が、司法からこれは違憲だというふうに判断される前に法改正をしなければならなかった規定でございます。最高裁大法廷が全員一致で違憲と判断したことは大変重く、私たち国会議員が長期の不作為を厳しく問われているのだ、そういうふうに私自身は思い、質問をさせていただきたいと思います。 婚外子の相続分規定の改正反対の理由に、伝統的な家族制度を崩壊させるというような御意見がございますけれども、何をもって伝統的なと言うのかは疑問であります。 婚外子の相続分規定を嫡出子の二分の一と定めたのは一八九一年に制定された明治民法ですけれども、この民法制定過程において、婚外子の相続権を婚内子と同等にしていた時期がございました。一八八八年の民法総覧では、婚外子の相続分差別は、婚姻道徳の観点から、父母の不道徳、不行跡を戒めるためにあるが、子は父母の関係性にいかなるかかわりも持たないのだから、父母の不行跡の責任を罪なき婚外子に転嫁することは合理的な理由はないというふうにしていたものでございます。これを受けて、一八九〇年に公布された旧民法では遺産相続で婚外子差別はございませんでした。しかし、その後、反対意見が出されたために編さんをし直し、差別規定が盛り込まれたという経緯がございます。夫婦同姓についても、明治民法について規定されたものであって、古い伝統ということではございません。そもそも国民の全てに氏、名字があったわけではございませんでした。 私自身、法律婚の尊重を否定するものではございませんけれども、内縁や事実婚というのも古くから日本では一定程度定着してきた家族の形であったというふうに言えると思います。十五日のこの委員会で、谷垣大臣も、明治民法の施行後も婚姻届の必要性自体が認識されていなかったことについて言及されました。 一九二五年の政府調査では、内縁夫婦の割合というのが一六%から一七%と高かったことがわかります。特に、工場労働者の男子の二割、女子の三割、鉱山労働者では男子の三割、それから女子の四割が内縁夫婦でございました。事実上の夫婦共同生活としての側面を重視し、内縁の法的性質を婚姻に準ずる関係として類推適用による法的解決が考えられてきて、最高裁も、一九五〇年代後半になって、内縁を婚姻に準ずる関係と捉えて、内縁の妻の病気療養費用を婚姻費用として内縁の夫に分担をさせております。 一九八〇年代の後半から婚姻届を出さずに共同生活を選択する、いわゆる事実婚カップルも少なくございません。選択的夫婦別姓が認められないために、法律婚か名前かの二者択一を迫られて、やむなく事実婚にするカップルもいらっしゃいます。事実婚であっても、法律婚と同様に、さまざまな行政サービスが受けられるようになっています。先日、この委員会で私たちが賛成して衆議院を通過させました裁判官の海外同行、この法律も事実婚を認めているわけでございます。 ほかにも幾つか例を御紹介させていただきますと、別居中の法律上の妻と、そして長年同居している事実婚の妻のどちらに遺族共済年金の受給資格があるか、これが争われた裁判がございました。最高裁の第一小法廷は、二〇〇五年の四月二十一日、法律上の妻と男性の婚姻関係は実体を失って形骸化しており、内縁の妻は事実上婚姻関係と同様の事情にあるといたしまして、事実婚の妻に年金受給権を認めました。重婚的な関係にあっても、法律婚よりも事実婚の夫婦の共同生活というこの実体を重く見ているということ、これがわかると思います。 次に、内縁の夫婦が共有の不動産に居住して共同事業を営んでいた場合は、相続人との共有関係が解消されるまでは、残された内縁配偶者に共有不動産を単独で使用する旨の合意が成立したものと推認し、相続人からの不当利得返還請求、これが否定をされました。 家族の形というのは、本当に多様化をしているんだと思います。二〇一二年の人口動態統計を見ますと、婚姻件数は六十六万八千八百六十九件で、離婚件数は二十三万五千四百六件でございました。夫、妻ともに、あるいは一方が再婚だったカップルは十七万四千百二十組、二六%でございます。四組に一組以上が再婚カップルの時代になっている。高齢での再婚も少なくありません。つまり、財産形成に全く関与しなかった女性が後の妻となって晩年を過ごすケースなどなど、本当にさまざまなケースが存在をしているわけでございます。 さて、法制審議会の五年にわたる慎重な審議を経て、九六年に民法改正案の要綱が答申をされました。最高裁大法廷で九五年の合憲の判断がされたわけですけれども、この合憲の判断は、まさに、法制審で審議を続けていて改正案の要綱をつくっていた、間もなく立法化されるであろうという中での判断だったわけでございます。 これまでの間の最高裁の判断では、きょう資料をお配りいたしております、資料の二をごらんいただきたいと思うんですけれども、たびたび立法府に対しての立法を促しております。 九五年の大法廷、合憲とされましたが、国会における立法作業によるべきであるという補足意見がつけられ、二〇〇〇年では、合憲とされましたけれども、明確な適用基準時を決めて法改正を行うことが最も望ましい。二〇〇三年の場合は、極めて違憲の疑いが濃い、立法府の裁量の問題として看過し得ない非合理的規定である。そして二〇〇九年の小法廷決定は、合憲三名、違憲一名でございましたけれども、違憲の意見では、大法廷決定当時は、法制審議会における審理が行われ改正が見込まれていた、答申以来十数年が経過したが法改正は行われておらず、もはや立法を待つことは許されない時期に至っているというふうに、二〇〇九年の段階でも言われていたわけでございます。 たびたび立法府に対して立法を促されてきたわけでございますけれども、ことしの九月四日、最高裁大法廷の違憲決定が下される今日までこの法改正をできなかった、法務大臣としてどのように受けとめておられるでしょうか。
○谷垣国務大臣 今おっしゃったのは、最高裁が、司法部がいろいろ御意見をおっしゃったけれども、それに返ってこなかったということの御質問ですか。 これは、最高裁はいろいろな御意見があったと思いますが、こういう家族に関してはさまざまな意見がございます。 私どもも、確かに、私、どうも元号であれする癖がありますので、先ほど何年とおっしゃいましたか、平成八年、翻訳すると一九九六年ですか、法制審の答申をいただきまして、その中でいろいろなものがございましたけれども、この嫡出子、非嫡出子の相続分についても御意見を賜って、その後、これは自民党政権時代でございましたが、法案を提出いたしました。それから、平成二十二年ですから、これは民主党政権のときだろうと思いますが、法案が出ております。 しかし、それにもかかわらずできなかったのは、やはり多様な意見があったからだと思います。私はそういう認識をしております。
○郡委員 今、多様な意見があったからであるという大臣の御答弁でした。 人権擁護をつかさどる法務大臣の立場で、その多様な意見というのをどう受けとめるかということもやはりあるんだろうというふうに思います。(谷垣国務大臣「ちょっと訂正させていただいてよろしいですか」と呼ぶ)
○谷垣国務大臣 私、先ほど、平成八年と二十二年に法案を提出したと申しましたけれども、それぞれ準備をしただけで、法案提出には至らなかった。それには多様な意見があって、なかなかまとまらなかったということであろうと思います。
○郡委員 そのとおりです。ですから、その多様な意見をまとめ切れず、法案を準備しながら出せなかったわけでありますが、先ほども申し上げましたように、法務大臣の立場というのは人権擁護をしていくトップでありますので、その多様な意見というのがどこにあるのかということをしっかり見ていただきたいなというふうに思っています。 今回出された最高裁の大法廷の決定では、民法九百条の四号ただし書きが憲法十四条一項、法のもとの平等に違反するというふうにした根拠の一つとして、注目すべきだというふうに私自身は思いますけれども、「我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘、」というのが挙げられています。 一九九三年の国際人権規約自由権規約委員会の勧告以降現在まで、婚外子に対して、今件の規定及びその他の法について、国連人権機関から日本が批准した条約違反として勧告された内容はどういうものがあったでしょうか、お答えいただきたい。
○深山政府参考人 嫡出でない子の法的取り扱いにつきまして、我が国も締約している国際人権諸条約に基づいて国連に設置された委員会において、平成五年以降、十回にわたって、フォローアップのものも入れると十二回になりますけれども、法制度の改正を求める勧告がされております。 勧告においては、抽象的に差別的な規定を除去することや差別を是正するための立法措置をとることを求めるものも多いのですけれども、具体的な法制度の改正を指摘するものもございます。 今回問題になっている相続分に関する改正のほかにも、非嫡出子という用語を法律及び規制から撤廃すること、あるいは、日本人である父から認知されても、父母が婚姻していなければ日本国籍の取得を認めていなかったかつての国籍法三条を改正すること、これは既に改正をされておりますが、また、出生届に嫡出であるか否かを記載しなければならないとする戸籍法四十九条二項一号を改正することなどが指摘されているものと承知しております。
○郡委員 ありがとうございます。 今、深山参考人からお話しいただきましたけれども、資料の一に、国連人権委員会から日本政府に婚外子への差別撤廃の勧告ということでまとめたものを出させていただきました。 婚外子に対する差別として特に改正が求められている法制度は、民法のこの相続規定とあわせて、戸籍法の出生届の記載の改正でございます。 出生届の用紙に、嫡出子である、あるいは嫡出子でないという記載を義務づける問題でありますけれども、これについて、今回できていないということ、法改正がなされず、きのう、私どもの党を初め、共同で修正案を出させていただいたわけですけれども、もう一度、政府として準備できなかった理由をお尋ねします。
○深山政府参考人 人権B規約委員会等の国際機関から、民法九百条四号ただし書き前半部分の規定とともに、今委員の御指摘のあったとおり、嫡出子または嫡出でない子の別を出生届の記載事項としている戸籍法の規定の撤廃を勧告されていることは承知しております。 政府においては、民法九百条四号ただし書き前半部分を削除する旨の民法改正案とともに、出生届の記載事項から嫡出子または嫡出でない子の別を削除する戸籍法改正案を検討していたことは事実でございます。 しかしながら、与党内の審査におきまして、戸籍法につきましては、違憲判断を受けたわけではないので、民法と同時に改正するほどの緊急性に乏しいものと判断されたことを踏まえまして、政府においても、戸籍法改正案については今国会への提出を見送ったところでございまして、現在は民法の改正法案を提出して、その成立を図るべく全力で努力をしているというところでございます。
○郡委員 出生届の用紙に嫡出、嫡出でない子の記載を義務づける戸籍法四十九条ですけれども、これの合憲か違憲かを問う裁判で、最高裁は、九月二十六日、規定は合憲というふうに判断をしたわけです。しかし、裁判長は、嫡出子か婚外子かはほかの方法でも知り得るために、出生届の記載は不可欠ではないと判示しました。補足意見でも、出生届の記載をめぐる戸籍法の規定についての見直しの検討が望まれるというふうに指摘をされているわけです。 政府は、この民法の相続分規定とともに、戸籍法の改正を先ほど御説明があったように検討されていたわけですけれども、違憲判断されていないことを理由に自民党内の合意が得られなかったので法改正を見送ったという御説明であったかと思います。この規定も、婚外子相続分規定とともに、法制審から改正が答申されていたものでございます。谷垣大臣も違憲決定直後の会見で法改正に言及されていました。当然、最高裁も立法解決されると期待されているのだというふうに私は認識をいたします。 先ほど御紹介いたしましたが、相続規定について、裁判所は、立法府の政策判断に敬意を表して、これまで違憲宣言をしないで、反対意見、補足意見等で国会に、立法府に法改正を促してきたわけです。それを立法府は受けとめることができませんでした。合憲判断を理由に法改正しないのであれば、婚外子相続規定で問われた立法不作為の同じ轍を踏んでしまうんじゃないかと懸念をいたします。谷垣大臣の見解をお聞かせください。
○谷垣国務大臣 今の御趣旨、私、十分理解できなかったんですが、今の御趣旨は、私なりに解釈いたしますと、やがてまたこれについても違憲判決が出るぞ、そういう御趣旨でしょうか。もしそうだとすれば、最高裁判所がどういう判断をするか、法務大臣としては事前に予測は差し控えたいと思います。
○郡委員 私が申し上げているのは、立法府としての、そしてまた人権擁護をつかさどる大臣として、また私たち国会議員も、足らざるところ、ちゃんと法律をつくっていかねばならないという立場に立たねばいけないということです。 この間、さまざまなところで声を上げられ、そして裁判をされ、苦しんでおられる当事者の方々がいる、その方々の人権なり気持ちに寄り添うということが国会にも求められているということだろうというふうに私自身は思っているところです。 十一月五日の参議院法務委員会の質問に対して、大臣は、戸籍法の出生届の記載から嫡出子か嫡出でない子かを削除するよう現在準備しているというふうに回答されました。何度も何度もしつこいようで申しわけありませんけれども、見送った理由についてお聞かせください。
○谷垣国務大臣 今おっしゃったように、十一月五日の参議院法務委員会で、私は、糸数参議院議員の御質問に対しまして、今準備中である、戸籍法の点についても準備中であるという御答弁を申し上げたことは、御指摘のとおりでございます。 それで、答弁しましたその十一月五日の法務委員会の時点では、政府におきまして準備を事実進めていたわけですが、何度も御答弁を申し上げているように、答弁後の与党内の審査で、民法第九百条第四号ただし書き前半部分については、違憲判断を受けて早期に是正する必要があるのに対して、戸籍法四十九条第二項第一号後半部分については、違憲判断を受けたわけではないので、民法と同時に改正するほどの緊急性に乏しいという判断がございました。これを踏まえまして、政府としても戸籍法改正案については国会への提出を見送ったという経緯でございます。
○郡委員 与党の承認を得られなければ国会に提出するのは難しいということで、それは当然、まあ、当然という声が上がりましたけれども、そういうことではありましょうが、しかし、そこで、私自身は、自民党内の意見がどういうようなものであったかは新聞報道でしか知る由もございませんけれども、大臣がたびたび口にされている大方の世論といいましょうか、大方の意見、合意というようなものについて言及されていますが、それを判断するときの判断の尺度といいましょうか、これについてもしっかりと対応していただかなくちゃいけないんだろうと思います。 サイレントマジョリティーのこともある。反対をする方々の声は大きいです。しかし、世論がどこにあるのか、かねてからの調査でもいろいろあらわれているんだろうというふうにも思います。 次は、民法の条文上の「嫡出でない子」という言葉について伺いたいと思います。 嫡出という言葉には正統という意味がありますので、国連の社会権規約委員会は二〇〇一年に嫡出概念の撤廃、また、子どもの権利委員会は二〇〇四年に嫡出でない子というこの差別用語を使用しないように求めております。諸外国を見ましても、嫡出概念や嫡出用語の撤廃というのは既に行われていることでございます。 十一月五日の参議院法務委員会で深山政府参考人が、「嫡出という用語につきまして国連の各種人権委員会からその使用の撤廃を勧告されたことがあるというのは承知しております。 各種の人権委員会からの勧告に対しては、条約締約国として誠実に対処する必要があるのはもとよりでございますが、他方で、このような勧告は法的拘束力を有するものではないというふうにも理解しているところです。」と答弁されました。これでは、私は、法的拘束力がないので守らなくてもいいという誤ったイメージを与えることになるんじゃないかと心配をしております。 条約には、締約国の条約実施義務が規定されております。条約に適合しないから勧告されているのだ、そういうふうに思っております。条約は法律よりも上位にございます。条約に反する法律の見直し、これは当然だというふうに考えておるところです。 二〇〇八年の国籍法三条の違憲判決に続いて今回の違憲判決でも、国連からの勧告が違憲判断に大変大きな影響を与えたものだというふうに思っています。裁判所が国連からの勧告を取り入れるようになってきているときに、政府参考人が法的拘束力がないと言うこと自体、私自身は問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○深山政府参考人 今御指摘ありましたとおり、十一月五日の参議院法務委員会におきまして私が答弁申し上げたとおり、国連の人権関係の各種委員会の勧告は法的拘束力を有するものではなくて、勧告を受けたことにより我が国が直ちに国内法整備の法的義務を負うものではないというふうに理解をしております。 先日の答弁はこのような趣旨を述べたものでございまして、これまでの政府の見解に基づくものでございますが、そのときも申し上げましたけれども、もとより、国連の人権関係の各種委員会の勧告につきましては、これを尊重すべきものだとは理解をしております。 したがって、このような勧告に対しては、条約締約国として誠実に対処する必要はございますので、引き続き、国連の人権関係の各種委員会に対しましては、我が国の立場を丁寧に説明するなど、誠実に対応してまいりたいと思っております。
○郡委員 また、深山政府参考人は、嫡出でない子という用語について、「あくまでも法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして民法、戸籍法で用いられている法律用語でございまして、差別的な意味合いを含むものではないと思っております。 したがって、現段階でこの用語の使用を見直すための法改正をする必要まではないと思っております。」こう答弁されました、今うなずいておられますけれども。 法改正をする必要があるかないかというのは、まさに政治のお話ではないでしょうか。日本が手本としたフランス民法は、嫡出用語や概念、これを廃止しております。嫡出でない子が差別的でないとするならば、国連の勧告というのは当たらないということになります。 外務省にもきょう来ていただいておりますが、嫡出でない子、それから婚外子の英語表記はどのようになっているのでしょうか。また、嫡出でない子という概念というのはどうでしょうか。
○新美政府参考人 お答え申し上げます。 まず、言うまでもないことでございますが、国連の人権関係委員会等から出ている種々の勧告、これは英語が基本でございまして、英語が正文。そして、日本語でどう説明するかというのは、私ども、国民の皆様への御理解も含めて、仮訳ということで、便宜上仮訳をさせていただいている次第でございます。 そして、今委員から御指摘がありました言葉につきましては、国連の女子差別撤廃委員会あるいは児童の権利委員会等における我が国の報告に対する審査の最終見解において、英語表記におきましては、チルドレン・ボーン・アウト・オブ・ウエドロックないしチルドレン・ボーン・アウト・オブ・マリッジという英語の表記が使用されております。 そして、仮訳では基本的に、我が国の法律用語であります、嫡出でない子というふうに仮訳させていただいております。
○郡委員 ですから、嫡出という言葉に対して日本の持っている意味合いの中に正統という意味合いがあるわけですけれども、今の英語表記というものについてはそういうようなことはありませんでした。 しかし、それを訳すときに当たって、きょう資料の一で出させていただいておりますけれども、例えば二〇〇一年のときには、現代社会では受け入れがたい非嫡出子という概念を立法及び慣習から取り除き、婚外子に対するあらゆる差別をなくすための立法云々云々というふうにありますし、次に、二〇〇四年も、非嫡出なる差別的用語を法律及び規制から撤廃するための法律改正を勧告するというふうになっています。今おっしゃられた英文で全ての勧告がなされたのかどうかまで確認できませんけれども、こういうふうに外務省自体は訳しているわけですね。 戸籍法の改正を見送る場合に、改正までの間、こういう差別的な用語であって、当事者の方々が苦しんでおられる中、改正まで間があるのであれば、その間の対応は必要ではないかというふうに思っています。 課長通知で工夫もされていますけれども、この委員会でもきのう質疑がございましたけれども、当事者にとっては苦痛を伴うものであるというふうに多くの方々から聞かせていただきました。まだまだ不十分だというふうに思います。さらなる対応を考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 今の郡委員の御発言を承っておりまして、嫡出に正統という意味があるというふうにおっしゃいました。私は、もともと法律家の出身でございますので、この言葉を、要するに法律婚から生まれた子というふうに理解しております。 それで、今の点を全部改めろという御主張であるとすると、日本の民法の親族編の規定というのを全部見直さなければならないということにつながってくるのではないか。やや大げさな言い方かもしれませんが、基本的な立て方が、法律上の婚姻から生まれた子と生まれていない子でいろいろな扱いが変わってまいります。例えば、父親は、法律婚でない子から生まれた場合、父親を誰とするのか。それは、全く誰もが争いがない場合は簡単でございますが、争いがあるような場合は認知という手続を用意し、法律上の婚姻の場合には嫡出推定というものがあるわけでございます。そういう仕組みが前提としてございますから、これを差別的意味合いの言葉であるというふうに理解する方が誤っているのではないかというふうに実は私は思っております。
○郡委員 私はそのようには思いませんし、先ほどの英訳の中で出てまいりませんでしたけれども、レジティメートチャイルド、これが嫡出子であるということで、これは正統、レジティメートクレーム、正統な要求というようなこともあって、こういう使われ方もするわけです。 ですから、私自身は、この言葉についても非常に皆さんたちが御苦労なさっているということもありますし、国連の関係機関から、たび重なるこの差別をやめろというふうな勧告も受けているわけですから、それは、大臣も今おっしゃった差別には当たらないというふうな、そういう御答弁は、私はとても聞き捨てならない御発言であったというふうに思います。
○谷垣国務大臣 これはいろいろな、日本だけではないと思いますが、言葉に非常な、何というんでしょうか、イデオロギー的な意味合いを込めて使う場合がございます。 私は、法律婚と事実婚、法律婚というものを立てた以上、今のような区別が出てくる、これはやむを得ないと思っております。ですから、これをそういう差別的な意味合いに理解すればまた差別が広がる、そういう悪循環もあるのではないか、このように思っております。法律婚から生まれた子と法律婚でないところから生まれた子という、いろいろな、全部、何というんでしょうか、家族法体系というものをどうしていくかということからさかのぼって考えていただく必要があるのではないか、私はそういう認識でございます。
○郡委員 であるならば、次にまた質問をさせていただきますけれども、細かいことですけれども確認をさせていただきたい。 婚外子の戸籍の続柄欄の記載に係る更正申し出件数及び再製申し出件数及びこれらの申し出制度、これについて議論をさせていただきたいと思うんですが、まず、件数を教えてください。
○深山政府参考人 今議員から御指摘があった続柄欄の更正の申し出の件数は、この制度が設けられた平成十六年十一月一日から平成二十五年三月三十一日までの件数ですけれども、合計三万九百三件でございます。(郡委員「再製申し出件数は」と呼ぶ)失礼しました。戸籍の再製の申し出の件数は、同じ期間内で四千六百六十四件でございます。
○郡委員 更正申し出件数が三千九百三件、それから再製申し出件数が四千六百四十九件ですか。確認をします。違うでしょう。
○深山政府参考人 私の言い方が悪かったかもしれません。 まず、更正の申し出の件数ですけれども、三万九百三件でございます。
○郡委員 つまり、更正申し出件数が三万九千九百三件、そして、さらに再製申し出をする数は四千六百四十九件、極端に少なくなっているわけです。 この更正申し出と再製申し出についてちょっと触れさせていただきますけれども、これについて、戸籍の変更をさせるもので、再製戸籍にならなければ、嫡出あるいは嫡出でないということがずっと残っていってしまうわけであります。 それで、戸籍の窓口で、嫡出、非嫡出ということについてチェックをしなさいというふうに言われる。実は、戸籍の窓口の係の方々に伺いましたけれども、嫡出か嫡出でないかというような意味がわからずにこの欄をチェックしない方々もかなりの数に上っている。また、嫡出というところにチェックする方々も多い。これについて窓口の実務としてどういうふうなことを行っているかといえば、それぞれが、届け出があった場合に本籍地に電話をして、母が婚姻中かどうかということも調べるし、母の戸籍の筆頭者もちゃんと調べる。住所地にも電話をして、世帯主なども全て調べるというような煩雑なチェックはもとよりやっておられるわけです。 きのうの質疑の中で局長が挙げられた、嫡出である、あるいは嫡出でないというチェックというのがあるということ、これをなくすることによって事務手続が煩雑になるというような御答弁がございましたけれども、それは全く意味がないというふうに現場の皆様方が語っておられました。 今そういうふうに更正手続をしても戸籍の記載がまだ残っている、そこで、さらに進んで再製手続をするとようやくそこで記載が外れるというふうなことであって、このことを多く求めておられる方々がおいでです。なぜこの数が少ないのかということも考え、周知を徹底するということも必要であろうというふうに思っています。 二〇一〇年三月、嫡出でない子の出生の届け出に当たって、届け出書に父母との続柄の欄に表記がされていない場合の取り扱いについて、今お話しした通知が出されて、これは、差別記載を拒んで無戸籍となることを回避しようとする配慮があったからではないだろうかというふうにも考えます。 昨年の七月だったと思います。衆議院の法務委員会で、井戸まさえ議員が嫡出用語を見直すように求めた質問がございましたけれども、当時の原政府参考人、深山局長の前任でいらっしゃいますけれども、「民法で現在、嫡出である子あるいは嫡出でない子という言葉が使われておりますので、この言葉を今後、法改正する場合にどうするかというのは検討事項だというふうに考えております。」こう答弁されました。 私自身何度も申し上げております、当事者の方々もそう受けとめて大変苦しんでおられる正統でない子というものを意味する嫡出でない子、この記載について拒んで、しかし、申し出をしなければ再製ならない、そしてさらにその上の、申請をしなければならないというこの問題というのは、現場でも大変御苦労されているんだと思います。何かしらここで、こういう方法があるんですよということを知らせる等々手を施すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○深山政府参考人 今御指摘のあった問題につきまして、平成十六年の十一月一日、更正の制度が始まったときですが、民事局長通達を出しておりまして、長男あるいは二男という記載を続柄欄にする旨の更正の制度を設けたときですが、その際に、父母との続柄欄の記載を改めた事実を残さないように申し出によって戸籍の再製を行うということも同時に導入された制度です。 したがいまして、この改正がされた趣旨に鑑みますと、この二つの制度はいわば一体のもので、両方必ず使わなくちゃいけないというものではありませんけれども、続柄欄を改めたときに新戸籍の再製をするということも、当然連続して行われることが多いだろうということでございますので、その制度の趣旨について、市区町村の戸籍担当者に対して、さまざまな打ち合わせの機会や研修の機会が法務省との関係でございますので、周知を図っていかなくちゃいけないと思っております。
○郡委員 ぜひ、チェックしなさいというふうなことではなくて、この通達による、更正、再製、申請についてやっていただきたいというふうに思います。 同じ戸籍の問題として、ちょっと話がそれますけれども、取り上げさせてください。 特別養子縁組制度に関しての戸籍の記載でございます。 新しい親の実子というふうに迎えられるわけですけれども、子の福祉のために設けられた新しい制度であったはずであります。制度が施行されてから二十五年以上たちますけれども、しかし、戸籍上は一目で特別養子とわかる記載が設けられています。この記載がなぜ必要なのでしょうか。
○深山政府参考人 特別養子縁組制度、これは審判によって特別養子縁組になるわけですけれども、これが確定をして、養父または養母から縁組の届け出があったときには、まず、養子について、新戸籍を編製して、続いて、その新戸籍から除籍された、養親の戸籍に入る、こういう手続がとられるようになっております。 これは、養子が実親の戸籍から養親の戸籍に直接入籍するということになりますと、実親の戸籍に養子の入籍先が記載されてしまいますので、実親に養親子への接触の機会を与えるということが望ましくないということから、一回、新戸籍をつくるという手続をとっているものでございます。 そして、最終的に、養親の戸籍の中に養子の身分事項が書かれますが、そのときに、今御指摘のあったことは、恐らく、民法八百十七条の二というような法律の条文が身分事項に記載される、このことが、特別養子縁組があったことが条文上明らかになるではないかという趣旨だと思います。 これは確かに、特別養子縁組の成立を戸籍上公証するということ、それから、養子の従前の戸籍を確認できるようにするというようなことの要請と、特別養子縁組という言葉そのものを書くということになりますと、養子が未成熟な間に自分の戸籍を見てもそのことがすぐわかってしまう、それを避けるために、わざわざ、ややわかりにくい民法の条文を記載するというような配慮をして、そういったことからかかるようにしたものでございます。 ところで、この記載をやめてしまうということになりますと、養子の従前の戸籍を確認できなくなってしまいますので、例えば不幸にして離縁となったような場合に、復籍する先の従前の戸籍が不明になるというようなことなどから、項目を廃止するということはできません。 また、特別養子について、新戸籍の編製、または他の戸籍への入籍の場合の戸籍の取り扱いですけれども、普通養子の場合と同様に、養親子関係が継続する間は養子縁組があったということを公証することになっております。それは、特別養子縁組の場合であっても、近親婚の禁止の規定が民法上かかっておりますので、実方の父母や血族との間の近親関係が全くわからなくなるような記載にしてしまうということは相当でないということから、こういうことがされているわけです。
○郡委員 今、丁寧な御説明をいただきましたけれども、近親婚の禁止というか、これを防ぐためだというふうなこともおっしゃったわけですけれども、生殖医療のことを考えれば、これはもう破綻をしているんだというふうに思いますし、出自を知りたいと思ったときには知る道が残されているんですね。現場の方々、これにかかわっている方々も、こういう戸籍ではない、八百十七条の二、これを削除するように求められているということを申し上げたいというふうに思います。 実は、ことしの九月に、出産した親が育てられない乳幼児の特別養子縁組を支援しようと、全国にある二十の婦人科の先生方が協議会を発足させました。子供を望んでいる夫婦へのあっせんというのを進められています。この協議会、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会という名前で、全国の十四の都道府県にある二十の産婦人科の医療機関が参加をしています。 特別養子縁組は、血縁関係のない子供と大人が裁判所の許可を得て戸籍上の親子関係を結ぶ制度で、一九八七年の民法改正で設けられました。私の地元宮城県の石巻の産婦人科医、故菊田昇氏による、世に言う実子あっせん事件が契機になって民法改正が行われたということもあって、かねてから強い関心を持っているものでございます。 最高裁判所からいただいた資料によりますと、資料三につけましたけれども、特別養子縁組の成立件数、平成二十四年は三百三十九件でございます。 厚生労働省が一一年に、こういう乳児の委託先は施設よりも里親等優先との方針を打ち出したけれども、里親委託は一五%。施設中心の傾向が根強い状況が今なお続いているわけです。 協議会は、特別養子縁組のあっせんを支援しようとつくられたもので、望まない妊娠をした女性などからメールと電話で相談を受け付けた上で、協議会のうち最も近い医療機関を紹介して、子育てを望む夫婦にあっせんを始めております。九月の活動開始から一組の縁組を終えて、現在も進行中のものが幾つかあるということでございました。 これを始められた先生ですが、長くこの活動をされているんですけれども、御自身がこれまで扱った特別養子縁組の例は、八割がローティーンであるということでありました。 ローティーンの単独戸籍の問題点と対応策について、次に伺わせていただきたいと思います。 私、前に質問をさせていただきましたときに、未婚の母が特別養子縁組を行う場合、自分が新しく戸籍をつくらなくちゃいけないわけですけれども、ローティーン、中学生、高校生で出産した場合、その後、生きにくさが残るので、単独戸籍を出産前の親の戸籍に復活させることはできないかというようなことを申し上げました。 戸籍法の観点から大変難しいというふうなことで、単独戸籍であるということが外部に知られないように、それぞれ通知を出して、戸籍情報の提供を求められる場合には、各種手続において必要最小限度の戸籍情報にとどめることが望ましい、そういうふうにもう依頼をしましたというお話でありました。 プライバシーに配慮するということだと思うんですけれども、しかし、そもそも、特別養子制度導入の際の民法改正の議論の中に、この未婚の母の戸籍の問題というのは大きな論点の一つでございました。 未婚の母の戸籍上に出産の事実を記載しないようにすべきかどうか、今後に残された大きな問題である。これは、この制度創設に深くかかわった民法研究の第一人者、東大名誉教授の米倉明さんが、成立後の自身の著書で述べられていることでございます。 私は、改めて、特別養子縁組を望む未婚の母の場合、少なくともローティーンの場合、もとの親の戸籍に戻すことを認める、あるいは戸籍への記載をしないなどの提案を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○深山政府参考人 戸籍の筆頭者またはその配偶者でない女性、お子さんが子を出生したときは、その女性について新戸籍を編製するというたてつけになっているのは御指摘のとおりです。 これは、戸籍法がとっている、祖父母、父母、子の三世代が同一戸籍に入籍することを禁止する原則、三代戸籍禁止の原則と言っておりますけれども、この原則をとっていることから、ローティーンの娘さんに子供ができてしまうと三世代になってしまうので、新戸籍をつくる。 委員の御指摘は、そうすると筆頭者として新戸籍ができてしまうけれども、特別養子縁組をした後は、それをもとの御両親の戸籍に戻せないかという御指摘でございます。 これは、現在、子供と父または母の氏が異なる場合には、家庭裁判所の許可を得るなどして、父または母の戸籍に入籍をするという手続がございますけれども、この場合には、実母、その娘さんとその父母は氏が同じですので、この制度による入籍という手続はございません。 また、婚姻とか縁組によって氏を改めた者が離婚、離縁をしたような場合、つまり、その本人の身分変動や氏の変動があるという場合に従前の戸籍に復籍する、こういうことも法律上認められておりますけれども、この場合には、特別養子縁組をして、その娘さんのお子さんが特別養子としてほかの方の養子になられたということはあっても、その娘さん自体は何も身分変動や氏の変動がございませんので、こういうケースについて、従前の戸籍に復籍するということは、今の戸籍法の世界ではどのルールからもできないということで、非常に難しい問題だというふうに思っております。
○郡委員 このことがこういう事例も招いているということで、きょう、資料の四枚目、出させていただきました。 児童虐待で一番多いのはゼロ日目の嬰児殺害であります。ゼロ歳児死亡例のうち、ゼロカ月は六六・七%、そしてゼロカ月児のうち、日齢ゼロ日児の割合、六一・五%も占めています。 死亡事例の多くは実母の加害によるものでございます。「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」、きょうお見せしましたのは社保審の資料でございますけれども、平成二十二年度に把握したゼロ日・ゼロカ月児事例の加害者は、全ての事例で実母でございました。加害者である実母の年齢ですけれども、日齢ゼロ日児事例では、九例あったうち、十代が五例と過半数でございました。 また、妊娠中、医療機関とアクセスしなかった飛び込み出産、これは大阪の産婦人科医会がまとめられた調査報告書なんですけれども、未成年、十九歳以下の妊婦の背景、予定外の妊娠、五九・六%、そして、ただし、予定どおりの妊娠であったとしても、未受診妊娠になってしまうケースというのがかなり多くて、その背景をいろいろ想像いたしますと胸が痛いものがございます。在学中であるが二四%、パートナーも未成年である、三五・一%、主な未受診理由、家族に言えず、どうしていいかわからなかった。未成年の問題は、経済的基盤もなく、家族に相談もできず、知識の欠如なども多く、成人とは別に対策を考えていく必要があるというふうに、この大阪産婦人科医会も調査結果の後、述べられておりました。 ゼロ歳児虐待防止のために、従来の児童相談所を中心とした対応に加えて、身近にいる産婦人科医が早期に介入することも重要ですし、そのための仕組みづくりというのも急がれると思います。論をまたないのが性教育、人権教育など、国としてしっかりと取り組む必要があるということだろうと思います。 しかし、特別養子に出すローティーンの母の単独戸籍問題も、現場の方々が、これが大きな問題になっている、何とかならないだろうかというふうな指摘の声が多くございまして、私自身も、何らかの対応が求められているんだというふうに思っています。 時間が余りなくなりましたので、一つ、きのうの審議の中でも寡婦控除の適用問題についてございましたが、人権問題を所管する大臣に所見を伺おうと思いましたけれども、これを飛ばしまして、最後の質問にさせていただきます。 九六年の法制審による民法改正要綱案ですけれども、これに盛り込まれていた選択的夫婦別姓制度の導入、それからまた女子の再婚期間の見直し、婚姻最低年齢の男女平等化について、大臣が慎重姿勢をとる理由は何でしょうか、お答えいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 慎重姿勢とおっしゃいましたが、平成八年の法制審議会の答申にあります内容、その中で、嫡出子の相続分は、今回、こういう最高裁の決定が出ましたので、それに合わせて改正をいたしますが、他のお聞きになりました論点については、今のところ、民法改正をあわせて行うことは考えておりません。 その理由は、先ほどからも御答弁をしておりますが、いずれも我が国の家族のあり方に深くかかわる問題でございまして、これは大方の国民の理解を得た上で進めなければならないことだと私は考えておりますが、いまだ国民の考え方は分裂していると思います。拙速に運ぶべきものではないのではないかというふうに私は考えております。
○郡委員 大方の合意、国民の合意という、どの程度のことを指すのか、さらに伺いたいところですけれども、法制度は、特定の価値観ですとか家族観を人々に押しつけるものではなくて、それぞれ、さまざまな人々の多様な生き方を支えるものでなければならないんだ、そう思っています。 家族の形そして価値観というのも多様化していく中で、家族に関する法や制度は少しずつ見直されてきたものの、変化のスピードには、当然のことですけれども、まだ追いついていないんですね。立法当時想定しなかった問題にも直面することがあります。法や制度のはざまの中で苦しんでいるのは子供たち、女性たちが多くなんです。民法の嫡出推定規定による子供の無戸籍問題、それから生殖補助医療の法的地位のあり方など、早急に検討や見直しが必要だろうというふうに思います。 今回の改正は大きな一歩ではあると思いますけれども、今後、取り残された課題についてしっかりと取り組む必要性を申し述べて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○江崎委員長 次に、西田譲君。
○西田委員 維新の会の西田譲です。 本日もどうぞよろしくお願いいたします。 さて、法の支配の貫徹と、大臣は所信の挨拶でも繰り返しおっしゃっていただいておるわけでございます。我が党は自立という信条がございまして、これは我が党で理念として共有しているものでもあります。そして、この自立という花を咲かせるためには、開かれた自由社会という土壌が不可欠であろうかというふうに考えておりまして、この開かれた自由な社会をいかに守り発展させていくことができるのか、これこそ使命であるというふうに考えているわけでございます。 そして、この開かれた自由社会を守る不動明王的な存在、まさに要塞とも言えるのが法の支配という概念でございまして、法務大臣の所信だとお決まりの文句なのかもしれないですけれども、毎回触れていただいていることは大変心強く感じているところでございます。 さて、言うまでもなく、この法の支配ということについては、三権分立というものがその統治の仕組みにおいて大原則としてあるわけでございますけれども、もう一度、私、この三権分立というものを復習してみました。 まさに権力の集中を防ぐためというその意義は、例えば、私たち国民おのおのが、それぞれの努力や才能やもしくは幸運によって繁栄していくことができる、そういった自由社会につながるものなのか、それとも、国家権力が個人に過剰に介入することによって閉ざされた暗黒社会になるのか、こういったところにこそまさしく統治機構のありようが色濃く反映されてくるわけでありまして、その統治機構にとって、三権分立というものはまさしく権力の集中を防ぐといったもので、言うまでもなく、モンテスキュー先生から始まって、長くこの文明社会において確立した考え方であろうというふうに思うわけでございます。 さて、この三権分立についてでございます。いわゆる司法、行政、立法ということであるわけでございますけれども、これは、この司法、立法、行政のある部門の全権限が、ほかのある部門の全権限を持つ者によって独占されてはならないというものが三権分立だと思います。ですので、一部融合している部分もあるわけでございますけれども、特に我が国のように議院内閣制である国におきましては、行政サイドの野望によって立法府が脅かされるようなことはまさしく警戒をしなきゃいけないことですし、そういったことは、選挙を通じても、国民の方々から私たち国会議員に、そしてこの立法府に求められている。 行政を厳しく、あるいは冷静な目で常に監視をしてほしいというものは一つあろうかと思いますけれども、実は、私たち立法府が一番気をつけなければならないのは、この立法府こそが、今我が国では国権の最高機関などという定義をされているわけでございますけれども、この立法府こそが野心的な野望を抱いて他の二つの部門の権限を簒奪することがないように、やはり注意をしていかなければいけないものだというふうに思うわけでございます。 事実、この法務委員会でも、例えば最高裁判所の予算であったり、さまざまな法律等によって審議をするわけでございますけれども、行政府や司法府というのは、やはり立法府に物すごく依存するところがあるわけでございます。ですので、我々立法府こそがやはり謙虚に、この三権分立の中にあって位置づけされていなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。 いわゆる立法府による権力の簒奪、こういったものを放置してしまいますと、たとえ意図したものではないにせよ、これまでも、例えば全権委任による独裁政治みたいなものが行われたり、もっと振り返れば絶対君主がありましたけれども、そういった一個人が行う専制というものではなくて、多数派による専制、そういったものも一個人がなす専制と全く同じものでもございまして、決して私たちが望むところではないものであろうかというふうに思うわけでございます。 結局、そういう形になってしまいますと、立法府の権力の簒奪から始まり、権力の集中が起こり、法の支配を脅かす、こういった状況が生まれるわけでございまして、実際の統治の仕組みの中にあって三権分立をきちんと維持していくために、立法府の権力の簒奪をいかにして防ぐのか、こういった観点で絞られた英知こそ、私は、違憲立法審査という、司法が立法のさらに優位な存在であるという考え方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。 さて、この違憲立法審査でございますけれども、先ほど来申しておりますように、立法府の暴走、時によっては、これは社会の多数の声に唆されて国会が憲法に反するような立法をしてしまったときに、まさしく裁判所が憲法の忠実な番人としてその良識のもとに義務を遂行することが求められていること、これが違憲立法審査であるわけでございます。 さて、今回の違憲判決でございますけれども、これまで私が述べてきましたような違憲立法審査の考え方、その発展してきた経緯、そしてその趣旨を考えてみますと、今回の違憲判決というものがどうしても私はしっくりこないところがあるわけでございます。 なぜかと申しますと、平成七年には合憲の判断がされておるわけでございますね。そして、それから十五年たって、やれ社会情勢が変わった、あるいは諸外国の立法状況がどうか、あるいは国際機関からの勧告等々が来た、こういったことで今回、合憲とされたものが違憲に結果としてなるわけでございますけれども、果たして違憲立法審査とはそういうものなのかというふうに思うわけでもございます。 仮に、今回、違憲判決を受けて忠実に我々は法改正をします、そして、またこれから十五年たって、また社会情勢が変わって、国際機関の勧告がまた何か来て、そうしたらまた、今回変えたけれども、十五年後には違憲判決ですよと。こんなにころころ違憲判決が出されるようなものとして違憲立法審査があるものではないんじゃなかろうか。 あくまで、先ほど来申したように、この違憲立法審査というのは、法にのっとって、憲法の意味を確定して、その範囲内で国会の制定する特定の法律の意味を確定、あるいは立法府の自由な裁量権の範囲を確定する、こういったところにこそ違憲立法審査の趣旨があろうかというふうに思うわけでございますけれども、ぜひ法律家でもある大臣に教えていただきたいというふうに思います。
○谷垣国務大臣 大変難しい問題をお問いかけになったと思います。 確かに、今、今回の最高裁の決定を受けて西田委員が戸惑われる気持ちというのは、私もわからないわけではございません。ただ、今の憲法八十一条というのは一切の法律に対する違憲審査権を認めている、これはもう御承知のとおりでございます。そして、一般に、立法府が法律を制定する場合は、その背後に、合理性を基礎づける事実、これは立法事実と言っているようでございますが、そういう事実が存在するわけですが、こういう事実が時代の変遷に応じて変化していくということは、私は、これは当然あることだろうと思います。そういう、変化していったような場合に、そのことを理由として、立法当時は合憲であったものが一定の時点で違憲となるということもないわけではない、それは起きてくるだろうと私は思います。 したがって、最高裁判所も、一度は合憲として判断したことを、社会情勢の変化等を理由に違憲であるという判断をされることはあり得るし、それは憲法自体が許容している、許容しているというか認めているところではないかというふうに私は考えております。 ですから、今、そのときに何を考慮するのかというのは非常に難しい問題があろうかと思いますけれども、一般論としては私はそのように考えております。
○西田委員 ありがとうございます。いつも大臣に本当に丁寧に教えていただいております。 今もおっしゃいました、時代の変遷とともにやはりいろいろ移り変わっていくことの中で、立法をされたものが合理的と言えるかどうかというものの判断、これは裁判所がしていくことはあるということだと思いますが、やはり一義的には、時代の変遷とともに変わっていくもの、それを勘案して立法するのはまさしく私たち立法府の役割でありまして、仮にその立法が憲法に照らしてみてどうかというものを審査することこそ、やはり違憲立法審査の真髄ではなかろうかと改めて勉強しました。 「フェデラリスト」、合衆国が誕生当時に、ハミルトンやマディソンという天才が書いておりました。そこに、違憲立法審査のまさに発達の、モンテスキューの思想を受けて違憲立法審査を発見していく過程が書かれていたなというふうに思うわけでございます。そして、当時、ジョン・マーシャル判事がまさしく確定をさせていったのがこの違憲立法審査。 それを思ってみますと、どうも、当初人類が発見した英知である違憲立法審査と、今我が国で違憲判決とか違憲立法審査と言われていることが、やはりどうしてもしっくりこないという感想を持ちましたものですから、まず最初にお尋ねした次第でございます。 当然、我が国は付随的違憲審査であるわけでございますけれども、違憲かどうかという判断というのは、やはり、先ほど申したように、私たち立法府に対して、それはおかしいというものでなきゃいけないと思います。 例えば、きのうも我が党の杉田議員が指摘をしましたけれども、男女共同参画基本法第四条でございますか、確立した我が国の社会制度や慣行をなくせという趣旨が書いてあるわけでございますけれども、これなんて、ハイエクを持ち出すまでもなく、確立した社会制度や慣行というのは、憲法よりさらに上位概念の法であるわけでございますよね。法に反する立法をしておいて、なぜ違憲立法審査というものの対象にならないのか。まあ、付随的違憲立法審査というものでございますけれども。あるいは、これも長年の議論があろうかと思いますけれども、私学助成について、憲法八十九条との整合性、果たして本当にこれはとれると言い切れるのか、こういったこと。 やはり、立法府が民意を受ける、もしくは社会の声を反映してと言いますけれども、必ずしもその立法が憲法に照らしてみて整合性があるかどうかというのは確実ではないわけでございまして、そこにこそ違憲立法審査の真髄があろうかというふうに改めて考えるところでございます。 さて、この話はここまでにしたいと思います。 次に、中身に入っていきたいと思いますけれども、まず、我が国の非嫡出子の割合の推移についてなんでございますけれども、昭和二十二年、当初三・七九%から、昭和五十年代にかけてぐっと減っていって〇・八%、昭和四十八年に〇・八%までに達して、それから約十年、この〇・八%のまま推移するわけですね。それからまた徐々にふえ出して、今日二・二三%ということになっているわけでございます。 当初三・八%、昭和二十二年当時あったものが、約三十年近くかけて〇・八%まで落ちていくわけですけれども、この数字の推移をどのように分析されていらっしゃるのか、どうしてこのように減っていったのか。当時の社会情勢等いろいろあろうかと思いますけれども、どう分析されるのか、教えていただければと思います。
○深山政府参考人 今委員が御指摘になったとおり、嫡出でない子の出生総数に占める割合はそのように変化をしております。 こういった推移になった理由については、もちろんいろいろな理由が絡まっていると思いますし、法務省として何か正式に分析をしているということではございません。したがって推測になってしまうわけですが、まず、戦後になって嫡出でない子の出生数が減少した、あるいは出生割合が減少したという要因としては、戦前の家制度が廃止され、庶子とか私生子といった区別も廃止されたことなどを受けて、法律婚を尊重する意識がより社会に浸透していったことが挙げられるのではないかと思います。 その後、一九八〇年以降ですけれども、今度はまた非嫡出の割合がふえているんですけれども、それは、家族の形態が多様化して、いわゆるシングルマザーや事実婚が増加した結果、嫡出でない子の出生数も増加してきたのではないかというふうに思われます。 さはさりながら、今回の最高裁の決定でも指摘されているとおり、ほかの先進国の変化と比べますと、我が国では現在もなお法律婚を尊重する意識というのは幅広く社会に浸透していることから、現時点でも二・二%程度にとどまっているんだろうと思っております。
○西田委員 ありがとうございます。 なかなか多面的で複合的な要因があって、昭和二十二年の三・八から昭和四十八年〇・八、それから昭和五十六年ぐらいまで〇・八で推移するわけですけれども、そういった数字、背景にはいろいろな理由があろうかと思うわけでございます。 さて、そういった推移していく中で、今回、民法改正を行うわけでございますけれども、同様の内容、つまり非嫡出子の法定相続分の議論について、法務省民事局として、いつから御検討を開始されたのかということについて教えていただきたいと思います。
○深山政府参考人 法務省としてということになりますと、戦後、昭和二十二年に日本国憲法の制定に伴って行われた民法改正の際の議論がいわば出発点になると思います。 御案内のとおり、このときに家督相続制度が廃止されまして、嫡出子と嫡出でない子の相続分についてどうするかという議論があり、これを同等化すべきであるという意見と、むしろ嫡出でない子の相続分については否定すべきであるという意見とが当時存在したわけですが、結局のところ、当時の諸外国の立法例なども参考にしつつ、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とするという現行の規定が昭和二十二年に設けられた。 その後ですが、昭和四十六年から開始された法制審議会の民法部会身分法小委員会におきまして、相続法制についての審議が行われました。この場で、嫡出でない子の相続分の見直しについて議論がされまして、その審議の結果を取りまとめて昭和五十四年の七月に公表いたしました、相続に関する民法改正要綱試案というものがございます。ここでは、嫡出でない子の相続分を嫡出子と同等とする案がその中の一部として盛り込まれておりましたが、反対の意見が強かったこともあって、法制化は時期尚早ということで見送られております。 その後のことですけれども、平成三年から開始された法制審議会の民法部会身分法小委員会で再度この点が議論になって、先ほど来問題になっています平成八年に答申された民法の一部を改正する法律要綱案におきまして、嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等化するという内容が盛り込まれた、こういう見直しの経緯でございます。
○西田委員 ありがとうございます。 今おっしゃったように、この昭和二十二年の大改正、国会の附帯決議でも、「本法は、可及的速に、将来に於て更に改正する必要があることを認める。」というふうについております。 とはいえ、その後約三十年、正確に言いますと二十二年の後、法制審として改正要綱試案を出されたのが昭和五十四年ですので、約三十年あいて、いきなり昭和五十四年に改正試案がぽんと出てくるわけでございます。 私は、これを見たときに、ああ、なるほどと思ったんですけれども、その前に国会で共産党さんが議員立法を出しているんですね。我が国の戦後の民法改正の動きに先んじて、まず昭和五十一年、通常国会で共産党さんが提出、臨時国会でも共産党さんが同じように議員立法で提出されている。共産党さんが出されているというのは、まさになるほどというふうになるわけでございますけれども、まるでその動きに合わせるかのように、民事局がその後、改正要綱試案を五十四年に出されている。まるで一緒に活動しているのかというふうに疑いたくもなるわけでございます。 昭和五十一年に共産党が、我が国で戦後まず最初に民法改正についての議員立法を出されるというのは、これはまさしく、前回の質問でも私は指摘しましたけれども、マルクスが共産党宣言で絶叫した家族の廃止、資本の消滅とともに家族は消滅する、そういうふうに絶叫しているわけでございます。 それとあわせて、エンゲルス。きょうお持ちしましたけれども、「家族・私有財産・国家の起源」、迷著でございます。その中で、婚姻締結の自由と、愛情に基づく婚姻関係のみが道徳的と言っているわけでございまして、これはもう、いわゆるジョージ・オーウェル流のニュースピークだろうなというふうに思っておりまして、きちんと訳すれば、婚姻締結の消滅と恋愛至上主義の事実婚のみ正しい。 このように言ったエンゲルス、そして共産党宣言のマルクスの家族の廃止、これを忠実に我が国において議員立法として提出したのが、まさしくこの共産党の一九七六年、昭和五十一年の国会提出の法案ではなかったかというふうに思うわけでございます。 前回の委員会でも繰り返し述べましたけれども、家族や地域の共同体といったいわゆる中間組織というのは、個人と国家権力の間にある緩衝的な役割を果たしておるわけでありまして、国家権力の前で砂粒に等しい個人の自由を守る大切な役割を果たしているわけでございます。そういった中間組織は、やはり、個人の自由、そしてこの自由な社会を守るという意味では非常に大切でありまして、マルクスの言うような家族の廃止といったものとは真っ向から闘わなければなりませんし、あわせて、民族の伝統や慣習、そして権威といったものが宿るものが、まさしく家族や地域共同体といった中間組織でありまして、そういった中間組織なしでは、私たち人間は自我を形成することもままなりませんし、人間が文明社会で生きていくという指針を見出すこともできないわけでございます。 つまり、共産党宣言、よくできているわけでございます。この中間的組織である家族を否定することが、彼らの言う社会契約による人工的な共生社会を築くには不可欠であると見抜いたからこそ、家族の廃止と絶叫しているわけでございます。 ただし、家族の廃止といいますけれども、五十一年の非嫡出子のいわゆる相続の話、これがすぐに家族の廃止に結びつきにくいというのは重々わかるわけでございますけれども、しかし、これは、今後、事実婚主義をこの国に浸透させていくための第一の矢であろうかというふうに思っているわけでございます。 伝統的な家族観を守る外堀がたくさん我が国にはあるわけでございまして、この非嫡出子の相続、並びに、例えば夫婦別姓、あるいは離婚に関する手続の簡素化、そういった我が国の伝統的な家族観や法律婚主義を守る外堀が確実に一個一個埋められていったときに、世代が移り変わったとき、我が国の今私たちが当たり前だと思っている家族に対する意識は、残念ながら非常にもろいものになってしまうものであると危惧をするわけであります。 昭和五十一年当時、当時の立法府の良識によって当然この共産党提出の法案は廃案となるわけでございますけれども、今民事局長から御指摘があったとおり、一九九一年から突然またインフルエンザのように猛威を振るうわけでございます。 一九九一年と申しますと、ちょうど旧ソ連が崩壊し、もうイデオロギーの対決は終わった、そう言って我々が油断をしたその間隙を縫って、まさしく無色透明な革命がスタートする元年とも言えるわけでございます。 それと同じくして、一九九三年、まず一発目の国連の自由権規約委員会からの懸念が示されるわけでございますね。それから約十二回にもわたり国際機関からの勧告を受け続けるわけでございますし、一方で、当時の政治情勢を思い浮かべれば、一九九三年、細川内閣でございましたね。そして、先ほどおっしゃった民事局の、平成三年からスタートして平成八年に出される法制審の答申があるわけでございますけれども、その間、自社さ政権であったりと、我が国が一九九〇年代からいわゆる政治が大混乱をしていくこの二十年の中にあって、まさに間隙を縫って始まったこの透明な革命が着実にあらわれているのが年表を追えばわかるわけでございますね。 そこで、もう二十年たって二〇一三年、今日に至って、いよいよ今回違憲判決が出たということで、まず一つ目の外堀を埋めてしまわなければいけなくなるわけでございますけれども、やはり私はこうなる前に打つべき手を打っておく必要があったというふうにも思うわけでございます。 自戒の意味も込めてお伺いしなければいけませんけれども、こういう各種の国際機関からの懸念もしくは勧告が示されたときに、例えば、我が国の実情もしくはこれまで我が国が大切に保守してきた価値観と相反するさまざまな反論が必要であったろうというふうに思っておるわけでございますが、この十二回にわたる国際機関からの懸念や勧告に対し、どのような対応をこれまでおとりになってきたのか、伺わせてください。
○深山政府参考人 今御指摘があったさまざまな勧告に対しまして、嫡出子と嫡出でない子の相続分の同等化を実現するに至らなかった理由を日本政府として説明しております。 その内容は、相続分についての差異は、法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子から成る家族を保護する目的で設けられたものであり、不合理な差別ではない、あるいは、政府部内及び国民の間にさまざまな意見があるため、現在に至るまで法律案を提出するには至っていないというようなことを、そのたびに日本政府としてこれらの委員会に説明をして、我が国の立場についての理解を求めてきたということでございます。
○西田委員 ありがとうございます。 法務省民事局としてきちんと反論をしてこられたということでありましょう。であるならば、やはり我々の応援が足りなかったのではないかと反省をしなければいけないかなというふうに思うわけでございます。 しかし一方で、この立法府においても、五十一年に共産党の議員立法提出以降、その後は一九九七年、このときからは共産党さんにさらに民主党さんが加わって議員立法がスタートいたします。それから、民主、共産、社民三党、やはり立法府の方でもこれを欠かさず毎年、議員提出していらっしゃいます。ことしの通常国会においては、そこに何とみんなの党さんも加わられた。やはり、保守する我々の気持ちと決意と運動、そして、いざとなれば剣を抜くことをいとわない哲学が足りなかったというふうに思わざるを得ないわけでございます。 そういったものの反省を込めて、もう一度、我が国が守るべきものは守っていくという気概を、ではいつになったら回復するのかといったら、まさしく今しかないというふうに思うわけでございます。 そういった中にあって、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。 今回の民法改正、これは違憲判決を受けて、立法府として素直に、謙虚に行わなければならないということで、我が党も賛成でございます。しかし、今後、我が国に深く浸透しているとされる家族観、そしてそれに基づく法律婚、こういったものをしっかりと守っていかなければならないと思いますけれども、守る意思がおありかどうかということについて質問させてください。
○谷垣国務大臣 私は、国会に出ましてからいろいろな方の御指導をいただいてまいりました。私は、大平正芳総理の薫陶を受けた方からいろいろ教えをいただいてきたことが多かったんですが、大平総理が政治の論点を幾つか立てられまして、環太平洋構想であるとか、あるいは田園都市構想とか、そういう中に一つ、家庭基盤の充実というのがございました。そのほかも今大いに参考にすべきものがあると思いますが、今振り返りましても、この家庭基盤の充実という大平総理の発想は、これは別に保守主義だけではないでしょうが、保守主義者として極めて正当な考え方であったと今でも思っておりまして、私は、そういうことは大事にしていきたいと考えております。 それで、今のお問いかけは、法律婚というのをきちっと守るのかということでございます。 この間、ちょっと西田さんの御質問にお答えをしたときに、事実婚というものがあって、それを保護してきた流れもある、こういうことを申したことも事実でございます。それは明治民法の規定が、必ずしも当時の国民が十分受け入れられないところも当初はあったし、それから、当時の家督相続などの家制度というものは必ずしも柔軟に使えないところもあった、そういうところから来たと思います。 しかし、明治民法をつくって、やはり法律婚を中心にいくんだという流れはそれ以来ずっと来ております。これは昭和二十二年の民法改正でも法律婚中心。男女別氏というようなことが言われますが、あのときはやはり、男女が婚姻した家庭の呼称として氏というものをきちっと定着しなければならないという考え方があったというふうに私は思っております。そういう中で、私は、法律婚というのはきちっと定着をしてきたというのが今までの流れだと思います。 いろいろな御意見の中に、いろいろな多様性があるからという御議論もございます。確かに、人の生き方は多様でございますから、その多様な生き方にも寛容でなければならない面があることは私は重々承知しておりますが、こういう法律婚を重視していく流れというのは、私は、やはり基調としてずっとあると思っております。それを私どもは大事にしていく必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。
○西田委員 ありがとうございます。 寛容というのも保守を標榜する政治家にとって非常に大切な考え方でありまして、また、法律婚に対して大臣の真摯な御答弁をいただいたというふうに思っております。 前回の配偶者同行休業法のときの質問でも、大臣は御自身の御事情にまで踏み込んで私に御説明いただきました。私は、あれはまさしく、配偶者の定義というものに事実上婚姻関係にある者を含めるのはいかがなものかという問題意識を提案させていただきました。そのとき大臣は、当時の立法の状況、社会の情勢がこうだったということを御自身の体験とともにおっしゃっていただいたわけでございます。 今日、六十一本の法律が、配偶者の定義ということで、事実上婚姻関係にある者ということを含めております。当時の、昭和十四年とか昭和二十二年の立法の中で配偶者の定義としてそうしているからという先例をただ単に倣っただけなのかもしれませんけれども、法律婚主義を守っていくんだということであるならば、私は、もう一度この六十一本の法律を見直してみようじゃないか、配偶者の定義はきちんと配偶者として定義すると。配偶者の定義に配偶者と配偶者じゃないものを一緒にするといったら、これはもう木の葉っぱが一万円だと言っているのと同じぐらいナンセンスでございます。 法律であるわけですから、配偶者は、民法で定めるとおり、届け出をして効力が発生するというその配偶者。そして、百歩譲って、同行休業法のような法律に事実上婚姻関係にある者を認めるのであれば、それは別できちんと定義をする、そういった法律にすべきではなかったかというふうに思うわけでございます。こういったことも、やはりこれまでの反省に立って、今後、この立法府で活動していかなければならないと思います。 きょうは、最後に、敬愛する奥野副大臣がいらっしゃいますので、奥野副大臣に、これまでの保守のあり方を含めて、いま一度、日本の伝統的な家族観、あるいは法律婚主義を守っていくという点についての御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
○奥野副大臣 私は法律家でもありませんし、西田委員のようにクレバーな頭も持っておりませんので、言うことがかなり散漫になるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。 西田委員が先ほど来おっしゃっていることは、我々の主張と何ら変わらない。この法律案だけかわかりませんが、何でそれなら日本維新の党なんてつくるのよ、こんなような気もするわけであります。 それはそれとして、律令制度が始まって以来、日本の文化というのは非常に、世界じゅうでもまれに見るような文化、伝統を持っていると思うんです。日本の文化というのを評価してくれる人々が世界のいろいろなところに散らばっていると思います。 卑近な例を言うと、きのう大使が皇居へ行くときに馬車で行ったのも、イギリスでもありますけれども、あれは別にして、イギリス以外では日本だけじゃないでしょうか。そういうこととか、東京オリンピックを決めるときにどなたかが主張したと思いますけれども、日本の国というのは、夜、女の人が一人で歩いても何ら危害が加わらない、あるいは財布を盗まれても必ず翌日までに戻ってくる、こういう文化も日本独特の文化だろうと思います。ちょっとこの件とは違いますけれども、それだけユニークな文化を構成しているのが日本だろうと思います。 ですから、私は、法律婚と事実婚ということの議論になれば、基本的に、今まで法律婚が大勢を占めていたわけですし、今現在も法律婚が大勢を占めていて、嫡出でない子供さんについては二%前後だ、こういうことを考えていくと、やはりその文化を大事にしていくことこそ、これからの日本を、世界から評価される日本にする上では大事なことではないかなというふうに思います。 そういう意味で、人生いろいろ、さまざまありますけれども、嫡出でない子供さんが出現するというのは、それなりの理由があったんだろうと思います。ですから、その人たちにも配慮をしつつ、そして法律婚制度が日本では守られていくように我々も考えていくというのが一番大事なことだろうな、こう思っている次第であります。 余計なことを言って申しわけないです。
○西田委員 ありがとうございました。 通告にない中での質問にお答えいただきましたこと、恐縮に存じます。奥野副大臣のお話を聞いておりますと、「逝きし世の面影」でございますか、思い出したところでございます。 今回、違憲判決を受けての法律改正でございます。やはり、立法府としての良識を示すということであれば、憲法改正といったものに対する機運を高めていくべきというふうに考えるわけでございます。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。
○江崎委員長 次に、林原由佳さん。
○林原委員 日本維新の会の林原由佳でございます。 民法の一部を改正する法律案について質問いたします。 本法案につきましては、皆様もう御承知のとおり、我が党でも相当意見が割れておりますが、私自身は賛成でございます。ここで自分の思いを語ることはいたしませんが、一言だけ申し上げますと、最高裁で違憲判決が出た以上、法の支配を貫徹するという意味で速やかに改正すべきだ、このように考えております。 では、賛成の立場に立った上で、これまでの質疑と重なるところもありますが、確認の意味で何点か質問をいたします。 附則一条によりますと、本法案の施行期日は公布の日となっておりますが、今国会で成立した場合、公布日はいつごろになるのでしょうか。
○深山政府参考人 今の点ですけれども、国会法におきまして、国会において法律が成立した場合には、最後の議決があった院の議長から内閣を経由して法律の公布を奏上し、奏上の日から三十日以内に公布することとされております。 通常は、国会において法律が成立した後、数日ないし一週間程度で公布される例が多いものと思っております。
○林原委員 ということは、裁判所が新法を適用できるようになる、つまり公布されて適用できるようになるのは、早くても十二月以降、こういうことになります。 他方、附則二条によりますと、本法案は、今回の最高裁大法廷決定の翌日の平成二十五年九月五日以降に開始した相続に適用する、つまり、新法の効力は二十五年九月五日以降に開始した相続に及ぶこととなっております。 九月五日以降に開始された相続で、公布日以降に裁判が出される相続事案については、裁判所は新法に基づく判断、新法を適用して判断することになりますが、同じく九月五日以降に開始された相続で、公布日よりも前に裁判が出される事案については、裁判所においてどのような判断がなされることになるのでしょうか。
○深山政府参考人 この法律案は、御指摘のとおり、公布の日から施行することとしておりますので、公布の日よりも前に裁判がされる場合、平成二十五年九月五日以降に開始した相続であっても、改正後の民法の規定が適用されることはございません。 もっとも、下級審の裁判所は今回の最高裁判所の決定の内容に事実上拘束されるものと考えられますので、結局のところは、この場合においても、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等であることを前提に裁判がされることになると考えられます。 したがいまして、裁判がされた後に改正後の民法の規定が遡及的に適用することに時間的になりますけれども、これによって、結論に差がありませんので、混乱が生ずることはないと考えております。
○林原委員 混乱が生ずることはないということで、安心いたしました。 次に、今回の改正を受けて法務省内にワーキンググループが立ち上げられると聞いております。これまでの御答弁の中で、ワーキングチームでは、相続法制、配偶者の保護を検討する、具体的には相続分の見直しや居住権の保護について検討するということでしたが、このワーキングチームのメンバーはどのように決められるのでしょうか。
○深山政府参考人 御指摘のとおり、今回の民法の一部改正を受けて法務省内にワーキングチームを立ち上げることとしておりますが、まだ法案審議中でもございまして、実はワーキングチームができているわけではございません。したがって、人選については今後検討することですけれども、ごく概略として今考えていることを申し上げれば、法務省内の担当者と外部有識者でワーキングチームをつくることを考えております。
○林原委員 私も、残された配偶者の保護を一定程度図る必要がある、このことは同意しております。 ただ、ワーキングチームの議論というのはメンバーに非常に左右されますので、ここの議論が偏らないように、メンバーが特定の考えだけの方にならないように十分に注意をして人選していただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。 では、改正案についてはこれぐらいにいたしまして、次のテーマに移りたいと思います。 今回の民法改正法案は、非嫡出子、つまり未婚の母親から生まれた子に関するものですが、未婚の母親を含むシングルマザーと少年非行の問題について取り上げたいと思います。 私は、国会閉会中に、都内の少年院、少年鑑別所を四カ所視察してまいりました。練馬少年鑑別所、愛光女子学園、多摩少年院、関東医療少年院の四カ所です。そのときに現場の方から伺ったのは、少年院に入っている少年の家庭状況を見ると、実母の一人親家庭が多いということです。 ここで、法務省矯正局に伺います。 少年院に入院している少年のうち、実母の一人親家庭の割合を教えてください。
○西田政府参考人 お答えいたします。 平成二十四年に少年院に新たに収容した者、これを新収容者と申しますけれども、これのうち、保護者が実母のみの一人親の者の割合は、男子少年では四〇・五%、女子少年では四五・二%でございます。
○林原委員 皆様、お配りした資料をごらんください。 平成五年時点では、男子、女子ともに実父母、つまり両親がいるケースが約半数でしたが、平成二十四年には、今お答えいただいたように、実母の一人親家庭、いわゆるシングルマザーが男子で四〇・五%、女子で四五・二%と一番多くなっております。この表を見ると、年を追うにつれて、両親がいる少年とシングルマザーの少年の数が逆転していっている様子がわかります。 ここで、矯正局にお伺いいたします。 少年非行におけるシングルマザー家庭の割合の増加について、原因分析は行っているのでしょうか。
○西田政府参考人 お答えいたします。 少年非行におきましては、家庭の養育環境が与える影響が少なくないというふうに理解しておりまして、少年院では、在院者ごとに非行原因の分析を綿密に行った上で、その結果に基づきまして、その子に見合った改善更生や健全育成のための矯正教育を実施しているところでございます。 その際、家族との関係調整の問題につきましては、私どもとしましてもとりわけ重要視しておりまして、必要に応じ、家族に対しても働きかけを行っているところでございます。 このように、個々のケースについては手厚く家庭の状況等を考慮した働きかけを行っておりますけれども、シングルマザーといった家庭の割合が増加していることにつきましては、社会全体の傾向と認められることでございますので、その原因を総合的に分析することまでは少年院としては行っておりません。
○林原委員 非常に大切なデータだと思うのですが、統計的な、俯瞰的な、全体的な分析はどうも行われていない。このこと自体とても残念なんですが、確かに、少年矯正施設というのは、目の前の非行を犯した少年を立ち直らせる、そして再非行を防止する、これが本来の業務でして、その横断的、統計的な分析を現場に求めるというのは現在の枠組みでは難しいのだというふうに理解しております。 少年非行を事前に予防するという観点からこのデータを生かしていくためには、現在の枠組みを超えた新たな取り組みが必要なのではないか、私はこのように考えております。 二十歳以下の子供を抱えている単独の母子家庭は、平成七年の国勢調査で約五十三万件、平成十二年で約六十二万件、平成十七年で約七十五万件と、五年ごとに約十万件ずつふえて、直近の平成二十二年の国勢調査では約七十六万件となっております。シングルマザー家庭の急激な増加がこのデータにも反映されていると考えられます。 このようなデータを見ますと、やはり子供にとっては両親がそろっていることが重要で、シングルマザーでは子供を育てるのは難しいのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、私は、そこは違う、このように思っております。母親が一人で子供を育てること、これ自体が問題なのではなくて、母親が一人で子供を育てることは極めて困難だという今の日本の状況、これが問題なのだと私は言いたいと思います。 経済的な面で申し上げますと、国立社会保障・人口問題研究所の分析によりますと、十九歳以下の子供がいる母子家庭の五七%が貧困層だそうです。 今の日本では、子供を抱えたシングルマザーが正規雇用につくことは極めて困難で、どうしても低い収入しか得られません。経済的困窮により母親が精神的、肉体的に追い詰められれば、子供への虐待のリスクが高まりますし、今の日本の制度では、貧困家庭の子供が十分な高等教育を受けることも困難です。 少年院の現場の方は、家庭での虐待や低学歴が少年非行の背景にあるとおっしゃっていました。また、シングルマザーに対する社会からの偏見という精神的苦痛もあると思います。現場の方によると、少年のみならず、その母親自身が問題を抱えていることも多く、母親のケアも必要なケースが多い、こういうことでございました。 少年非行を事前に予防し減らしていくためには、シングルマザーが抱えている問題を把握し、それが子供にどう影響を与えているのか、どのように少年非行に結びついていくのか、きちんと分析、検討する必要があると考えております。今の日本の社会のあり方、法制度がシングルマザーとその子供にどのような影響を与えているのか、総合的、多角的な分析が必要だ、このように考えております。 さて、視察した全ての少年院で共通していた問題が、少年院を出た後の少年の受け入れ先がなかなか見つからないということです。少年院を出た後の生活環境の調整というのは少年矯正施設の大切な業務の一つですが、少年院では、シングルマザーのケースで母親が少年を受け入れるのが困難な場合、どのように調整を進めているのでしょうか。 〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕
○西田政府参考人 お答えいたします。 シングルマザーのケースも含めまして、家族が在院者を引き取るのが困難な場合には、在院者本人の意向も当然勘案いたしますけれども、他の親族とか雇い主、更生保護施設など、在院者の引き受けが可能な社会資源を活用した帰住について、保護観察所を初めとする関係機関との調整を進めていくということになろうかと思います。
○林原委員 伺っておりますと、更生保護施設にもあきがないような場合は、厚労省の管轄の自立援助支援ホームにもお願いするなど、現場はかなり工夫をして人海戦術で頑張っている、このように伺ってまいりました。ただ、その努力にも限界がありまして、どうしても受け入れ先が見つからない、こういうときは少年の入院を延長して中に長くとどめておく、こういうことになってしまいます。 今は母親が少年を受け入れられない場合の環境調整についてお伺いいたしましたが、本来は、母親が抱えている問題が解決されて、母親と少年の関係をつくり直せることが好ましいと思います。 そこで、矯正局にお伺いいたします。 少年院において、少年の母親への働きかけとしてはどのようなことが行われているのでしょうか。
○西田政府参考人 お答えいたします。 少年院では、母親との関係はもとより、家族の問題を抱えた在院者を集めて指導を行いましたり、少年と親族の面会時に家族関係の調整を行うなどして、家族の問題に対応した各種の教育活動や関係調整のための働きかけを推し進めているところでございます。保護者に対する講習会等も行いまして、双方から、そういった対応をさせていただいているところでございます。
○林原委員 現場ではできる範囲でいろいろ手を尽くして頑張っているのですが、先ほどから申し上げておりますとおり、少年矯正施設は少年本人の教育が主たる業務となりますので、現在の枠組みでは母親へのアプローチはどうしても限定的になってしまいます。 母親自身が精神的な問題や経済的な問題を抱えていて、面談や講習会にそもそも足を運べなければ母親へのアプローチは全くできません。少年非行の背景にあるシングルマザーの問題について、法務省では今後どのように取り組んでいくおつもりでしょうか。
○西田政府参考人 お答えいたします。 おっしゃるとおり、少年の再非行防止には、少年と保護者との関係改善が非常に重要でございますので、そういった関係改善とか保護者等の監護力、これを増進させるための働きかけを当方としても行いまして、一方で、出院に至るまでのきめ細かな生活環境調整、こういったものも重要と考えております。したがいまして、具体的には保護者と少年院の職員との二者面談、これを全少年院において実施しているところでございます。 御指摘のシングルマザーにつきましては、少年の監護、教育に不安を抱えている場合も見られることもございますので、今後とも、家族問題に対応した教育活動の推進とか、あるいはその家族の状況を踏まえた保護者面談、相談、助言体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○林原委員 シングルマザーが抱えている問題を抜本的に解決して少年非行を減らしていくためには、先ほども申し上げたとおり、現場の個々の努力だけ、それに頼るのではなくて、統計的な原因分析や、社会や制度のあり方の考察を進めていく必要があると私は考えております。 また、少年院の現場には、少年非行に関する知識や経験がたくさん蓄積されております。これを全国で集約して、必要に応じて厚生労働省などの他省庁と情報交換、連携して、総合的な視点から少年非行を事前に防ぐ、こういう対策を講じていくべきではないかと考えております。現在の枠組みでは、非行を犯した少年に事後的に、個別に対応しているだけで、少年非行のシングルマザー家庭の割合が増加していることへの抜本的な対応はできておりません。 少年院の現場は大変に苦労しております。少年非行を事前に防止するために、ぜひ他省庁との連携、総合的、抜本的な観点からの対策を進めていただきたいと思います。法務大臣の御見解を伺います。
○谷垣国務大臣 少年非行の背景には多種多様な問題がございますけれども、大きなものの一つとして、今委員が指摘されましたシングルマザーの問題を初めとする、要するに、家庭、家族との関係、これがあるんだろうと思います。 それで、今も矯正局長が答弁しましたように、家族からの相談をできるだけ受けやすいようにするとか、シングルマザーの場合、本当に年も若くて、子供が少し非行を犯してもどういうふうに対応していいかわからない、こういう人がたくさんおられますから、そういった家族の監督機能とか、これも余り、プライバシーもあるんですけれども、監督機能や何かをどうしてバックアップできるのかというようなこと、補完する支援体制というものも考えていかなきゃならないんだろうと思います。 しかし、法務省だけではやはり限界があるのも事実でございまして、これは少年非行だけには限りません、高齢者の問題にしましても、全てが、結局のところ、例えば社会福祉とどういうふうに連携を持っていくかとか、あるいは学校教育とどういう連携を持っていくか、総合的な対策を組んでいかなければならない。これは少年非行だけではないんですね。それをやはりきちっと立てていくためには、委員がおっしゃるように、適切な分析、学問的なきちっとした背景の検討というものがなければできないだろうと思っております。 こういう再犯防止という取り組みの中で、こういった方向性をかなり私たちも試みてきましたし、これからもやらなければならないことだと思っております。他省庁との連携をさらにいろいろ模索してまいりたい、このように思っております。
○土屋(正)委員長代理 林原由佳さん、時間が来ています。
○林原委員 今大臣おっしゃいましたように、少年非行だけじゃなくて、私がさきの通常国会で質問いたしました障害者の問題もそうですし、本当に、私もいろいろ調査をしていても、法務省だけだととても限界があって何か無力感を感じてしまうところもあり、ですから、ぜひ大臣のリーダーシップで、他省庁と連携をして、再犯防止、再犯防止の前の、そもそも犯罪を減らす、非行を減らす、ここの取り組みを強化していっていただきたい、このように思っております。 それでは、残り時間わずかなのですが、次の質問に……
○土屋(正)委員長代理 時間が来ておりますが。
○林原委員 もう終わっていますね、わかりました。 それでは、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○土屋(正)委員長代理 次に、椎名毅君。
○椎名委員 おはようございます。みんなの党の椎名毅でございます。 私ごとで大変恐縮なんですけれども、本日、私の三十八回目の誕生日ということでございまして、このような栄誉をいただきまして、まことに感謝を申し上げたいと思います。 本日議題となっておりますのは、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の二分の一としている現行の民法九百条四号ただし書き、これを削除するという形での民法改正でございます。 私自身の立場を軽く表明しておきますと、一応、改革保守ということを自称しておりまして、家庭のコミュニティー、その重要性というものを十分に認識している立場であることは明言をしておきます。 他方で、この自由主義経済、自由主義社会をより発展させていくために、個人の自由を尊重している我が国の日本国憲法の人権規定、これを最大限重視していかなければならないという立場に立っておりまして、その中で、平等権というものも憲法十四条で保障されていますので、こういった観点から、不当な差別は解消するということについては賛同をするものでございます。 そういう観点から、私たちみんなの党も、本法とほぼ同内容の議員立法を参議院に対して、さきの通常国会、百八十三国会ですけれども、それと今国会、共同提案という形で提出させていただいているところでございます。 本日は、この法案と、それからこの法案のもとになった平成二十五年九月四日の最高裁判決を踏まえて、今後、婚外子、非嫡出子の遺産分割に関する実務的な運用等について、確認的な趣旨でいろいろ伺っていきたいというふうに思います。 まず第一に、その前に一点だけ、立法不作為の違憲性、違法性ということについてちょっと伺いたいんです。 先ほど、さまざまな先生方がるる、国連からの勧告、フォローアップを含めて十二回ということ、さらには法務省民事局での検討については昭和五十四年から行われており、要綱試案も出されている、さらには平成三年から検討されてきた法制審のものについて、平成八年に答申が出ている、こういう経緯がございます。 その中で、平成七年の判決においては、一応、婚外子の区別的な取り扱いをしているこの規定について、合憲という判決は出されているものの、五件の反対意見が出されている。それ以降も、何度となくこの規定についての合憲性を争う裁判が行われた中で、反対意見や補足意見の中で、立法による解決が望ましいということがるる言及されている場面が多数あるということだというふうに思います。 これら平成七年の判決と、それから今回の平成二十五年九月の判決もそうですけれども、基本的には国会の合理的な立法裁量論という立論に立った上で、要するに、国会が子の区別的な取り扱いをすることに対して合理的な裁量があるとした上で、合理的なものかどうか、そういう観点で立論されているんだというふうに思います。 諸外国というか国連等からの勧告、それから昭和五十四年からずっと検討がされてきた、さらに言うと、立法による解決が望ましいとずっと言われてきた中で、結局、立法の準備が最後の最後、今、平成二十五年のこのタイミングになったという意味でいうと、立法不作為ということについての違法性、違憲性ということが議論になるのではないかというふうに考えた次第でございます。御意見を賜れればというふうに思います。
○深山政府参考人 今お話に出ました国会の立法不作為について、リーディングケースに当たります最高裁の判例として、御案内のとおり、在外邦人選挙制限規定違憲判決と言われている平成十七年九月十四日の判決がございます。 この判例におきましては、国会議員の立法不作為は原則として違法の評価を受けるものではないが、立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国家賠償法第一条第一項の規定の適用上、違法の評価を受ける、こういう判断基準が示されております。 御案内のとおり、この事件は、十年以上の長期にわたって国会による立法措置がとられなかったために、在外国民であった当事者が国政選挙で投票する機会を奪われたという認定をした上で、精神的苦痛に対する慰謝料請求が認容されておりますが、他方で、本件は、最高裁判所によって民事上の法律関係を規律した民法について違憲の判断がされ、しかも、こういう、法律について違憲の判断がされて、その法律がそのまま放置されていたという例がこれまでございませんので、こういったタイプの法律の立法不作為について最高裁判所がどのような判断をするかというのは、先例がありませんし、先ほどの基準に必ずしもぴったり当てはまるケースではないと思いますので、どういう判断になるかというのは非常に難しい問題だとしか申し上げようがないと思います。
○椎名委員 難しい中、御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。 先ほどおっしゃっていただいた基準、この基準が明確に妥当するかどうかというのは、確かに私自身も少し議論のあるところじゃないかなというふうには思っています。しかし、可能性として、国会が立法をしないで放置をするということが国家賠償請求における違法性を構成する可能性がなくはないということは事実なんだというふうに思います。 そう考えると、昭和五十四年からこの論点をずっと検討されてきたということで、この平成二十五年に、今ようやく準備が整ってここで法律案として提示されているという、この期間については検討してみないとまだわからないと思いますけれども、少なくとも、今から、これ以上この法案について延ばすことについては、恐らく相当程度の問題があるのかなというふうに私自身は思っています。なので、早急にこの法案を可決させなければならないという認識自体は私自身も共有するものだというふうに申し伝えておきます。 二点目に伺います。 この平成二十五年九月四日の判決は、平成十三年七月当時に本件規定が憲法十四条に違反していたというふうにした上で、「先例としての事実上の拘束性について」と題する部分がございまして、私自身も余り見たことのないような立論をしている部分があります。既に関係者間において裁判、合意等で確定的なものとなった法律関係をも現時点で覆すことは相当ではないが、そのような段階に至っていない事実であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当と言えるというようなことが言及されているわけです。 改めて、私自身も、憲法判断の過程でこういった言及がされることはなかなかなじみがないので、ぜひこの憲法上の意義を教えていただければと思います。特に、これは多分、将来にわたって一般的な意義を持つ先駆的な判断なんだというふうに思いますので、御教示いただければというふうに思います。 〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○深山政府参考人 今委員が指摘された判示の部分は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする民法のこの規定が平成十三年七月当時において違憲無効であるということを前提として、したがって、本来であれば、この決定の先例としての事実上の拘束性によって、それ以後にこの規定に基づいてされた裁判や合意の効力なども否定されることになるということに言及しながら、しかし、法的安定性の見地からそれと異なる判断をしたものでございまして、最高裁判所による違憲判断の一つのあり方を示した本決定の本質的な判示事項であると評価できると思います。 このことにつきましては、もう御案内のとおりですけれども、この決定において、二名の裁判官がその補足意見において、既にされた遺産分割等の効力に関する判示内容は違憲判断と密接に関連するものである、あるいは、法令違憲の判断をする場合には必要不可欠な説示であるという理由を挙げて、単なる傍論と評価すべきでないとしていることからもうかがうことができます。 したがって、この違憲判断の効力についての説示は、これまでに例のない、いわば画期的な新たな判断だと思います。
○椎名委員 ありがとうございます。 傍論か、それとも傍論でないかというのは、法学的にいろいろ議論があるところなんだと思いますけれども、少なくとも、これは判決主文の内容を構成するものであり、要するに、これ自体が先例として、後ほどもたらされる同種の事案に対して影響が及ぼされていく、そういう意味なんだと思います。 原則としては、先ほど来いろいろな先生方のお話にも出てきていますが、最高裁判所の仕事というのは、基本的には、あくまでも法の解釈、適用なんだというふうに思います。憲法判断については、基本的には、具体的な事案の解釈に必要な限りにおいて憲法適合性の判断を行うという付随的審査制という制度を憲法八十一条の解釈として採用しているというふうに言われているわけでございまして、さらには、各種裁判の中で出てきた違憲判決の効力については、基本的には、違憲とされた規定を一般的に無効とするものではなくて、当該事件の中でのみその規定が無効であり存在しないものだという扱いにして当該事件を解決するという個別的効力説という考え方が通説だというふうに思います。 こういう考え方を前提とすると、今回の最高裁の決定で出てきた、まさに先ほど御説明いただいたこの部分については、原則として、やはり、平成十三年七月当時において本件規定が無効となっていたということを踏まえた上で、この無効が遡及的に適用されるというふうに考えるべきなのではないかというふうに思うんですけれども、こういった付随的審査制及び個別的効力説を前提とすると、やはり今回は非常に異例なというか、まさに画期的な判断なのかなというふうに思います。 これが今後のものに対して新しく適用されていくとなると、裁判所が、いわゆる法解釈ではなくて、新しい法創造というか、今回議論をしている法律と同じようなものを過去にさかのぼって法創造してしまっていることにはならないかというふうなことが疑問になるわけでございまして、まさにその裁判所の法創造機能というところについて、三権分立等の観点から、国会それから行政府、司法府の役割分担という観点から、大臣の御意見をいただければというふうに思います。
○谷垣国務大臣 今、椎名委員がおっしゃったように、違憲審査も付随的審査制である、それから個別的効力説であるというのが大方の理解ですね。その前提の上でありましても、違憲無効と判断されますと、その判断はやはり後の判決等も拘束して、事実上の拘束力を持つということになりますから、その時点以降は当該法令は無効という形で処理される、これが大方の理解であろうと思うんです。 しかしながら、本件においては、遅くとも平成十三年七月当時においては違憲であったと判断しながら、七月以降に相続を開始した事案のうち、確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼさないものとして、この事実上の拘束力の及ぶ範囲を、今までの考え方からすると相当立ち入って判断をしている。委員は、これが付随的違憲審査制を超えて立法作用を営んでいるのではないか、こういうお考え、感じをお持ちなんだろうと思うんです。 実は私も、こういう違憲判決をもし出すとすれば、遡及的適用なんかをやったらこれはもう法的安定性もないから、一体ここをどう最高裁は判断するのかな、どういう判決を書くんだろうか、それによって法務省の対応も変わってくるしと思いながら見ていたら、余りにもあっさりと遡及効はないんだとおっしゃったので、やや拍子抜け、拍子抜けと言うと言葉は悪いですが、肩透かしを食ったような気になったことは事実でございます。 今回の最高裁判決は、私が今申し上げたその遡及効までやってしまったら、原則からすれば多分遡及効になるんでしょうけれども、遡及効までやってしまったら世の中の法的安定性を著しく害してしまうという前提で、違憲判断の拘束力を一部拘束、制限したものというふうな理解ができるのではないか。最高裁の違憲審査権、判断権の行使のあり方として、違憲判断の効力の及ぶ範囲をフルに使ったのではなく、限定したというふうに見ることができるのではないか。そうすると、この限定するということは許されることであって、三権分立に反するということにはならないのではないかというのが、私もその後、法務省内部の議論をいろいろ聞きまして、そういうふうに理解するのかなと現在思っているわけでございます。 そして、これはもちろん、こういう判断手法が過去に例があったわけではございません。違憲判断についての新たな判例法理をつくったものだというふうに理解しております。
○椎名委員 ありがとうございます。大臣の踏み込んだお言葉で、私自身も大変勉強になりました。 合憲限定解釈みたいなものかなというふうに思いましたけれども、違憲判決の効力、無効の効力をさかのぼって適用させないという意味で、限定して考えるというのはすっきりした説明かなというふうに思います。今後、そういう形で、同じような判決が多分出てくることがあるんじゃないかなというふうに思います。そういう意味で、この判決は非常に重要な判決なんだろうなというふうに私自身は思っています。 ちょっと通告していた問題を一個飛ばしますけれども、そうだとすると、整理をすると、平成十三年七月以降に相続を開始した方々でまだ確定していない方については、今回の判例を踏まえた上で、婚外子の相続分については嫡出子と同等な形で相続の分配が行われます、今般、この法律が成立した後は、この法律に基づいて、相続を開始している方々については、婚外子と嫡出子の相続分が同等として扱われますということになるんだというふうに思います。 ここで、少し疑問になったことをちょっと伺いたいんですけれども、自分は未認知の婚外子だ、お父さんはいないんだというふうに言われていて、お父さんはどこかの誰かだというふうに言われていてでもいいんですけれども、シングルマザーのもとで過ごしてきた婚外子が、実のお父さんを自分で捜し当ててみたところ、実は数年前に死んでいたということを知った場合に、認知をしてもらいたいということを考えたとしますけれども、死亡した後に、認知をしてもらった上で相続に関与していくことが果たしてできるのかという観点で、認知の訴えについて御説明いただければと思います。
○深山政府参考人 父が死亡した場合でありましても、子は、父の死亡の日から三年以内であれば、認知の訴えを提起することができるとされております。 この場合は、被告は検察官、公益の代表者という資格で検察官が被告となりまして、また、裁判所は、相続権を侵害されることになる嫡出子等に対して訴訟が係属したことを通知するとともに、これらの者を訴訟に参加させることができるとされております。 なお、死後認知の訴えにおきましても、生前の認知の訴えと同様に、裁判所が法律上の父子関係、父と子の関係を認めて請求を認容するためには、父子関係が高度の蓋然性を持って証明されることが必要になる。そういう意味で、死後認知の場合に、ハードルが少し、事実上上がるということはございます。
○椎名委員 ありがとうございます。しかし、死後に認知を訴えることはできるんですね。 そうだとすると、だんだん私の言いたいことがわかっていただけるかと思いますけれども、要するに、認知をしていなかった父親の方が大金持ちだったとして、やはり相続に参加をしていきたいとこの未認知の婚外子が認知の訴えをすることになるわけですけれども、そうしたときに、平成十三年の七月以降に相続を開始していて、かつ、認知の訴えをできる三年以内の期限で、さらに遺産分割がまだ終了していないとすると、結局、婚外子、非嫡出子の方は相続に対してどのような対応をしていくことができるのか、仮に遺産分割が終了していたとするとどういう対応ができるのかというのを教えていただければと思います。
○深山政府参考人 認知の訴えを認容する判決が言い渡されて、それが確定した場合には、子は、出生のときにさかのぼって被相続人の法律上の子供となります。したがいまして、被相続人についての遺産の分割が終了していないのであれば、認知された子供は、相続人として、他の相続人とともに遺産分割の協議などをすることになります。この場合には、仮に認知をされた嫡出でない子を排除して遺産分割協議をしても、そのような遺産分割協議は無効になってしまいます。 他方で、被相続人について遺産の分割が既に終了してしまっていた、こういう場合に、その後に死後認知の訴えが認容された場合ですけれども、これは、既にされた遺産分割の協議等が無効になることはございませんで、この場合には、認知された子は、他の相続人に対して、法定相続分に相当する価額、金額ですね、金銭の支払いの請求をすることになるというルールに民法上なっております。
○椎名委員 ありがとうございます。 民法の九百十条というところにあるんですね。僕自身も、この問題を考えるまで知らなかったというか忘れていた問題であって、死後の認知が行われて、既に遺産分割が終了していても、相当価額の支払い請求を他の共同相続人に対してしていくことができるんですね。 そうだとすると、今回の判決を踏まえた上でなんですけれども、死亡した被相続人に関連して、相続開始時に既に婚外子が認知をされていた場合と、今るる私が御説明を求めたように、新たに、今回の裁判を受けて、自分の父親を捜してみたら、ちょうど相続が開始したぐらいの人で、今回認知の訴えを改めてする人と、そういった場合に、要するに相続財産として受領できる金額という意味ですけれども、どういったことになるのか教えてください。
○深山政府参考人 まず、委員が最初に言われた、平成二十五年の九月四日以前に認知されて、遺産分割も既に終了していた場合、この場合には、嫡出でない子を含めた遺産分割の終了により法律関係が確定的なものになったという評価がされますので、遺産分割が今回の違憲決定によって影響を受けることはございません。したがいまして、遺産分割が現行の規定に従ってされていた場合には、嫡出でない子が取得する相続財産は、嫡出子が取得する相続財産の二分の一ということになります。 これに対して、後者の場合、二番目の場合、平成二十五年の九月四日以前に遺産分割が既に終了していたけれども、五日以降に認知がされた場合ですが、この場合には、嫡出でない子は民法九百十条に基づいて他の相続人に対して価額の支払い請求ができますけれども、嫡出でない子の価額の支払い請求の関係では、法律関係が確定的なものになったと言うことはできませんので、平成十三年七月以降に開始した相続の場合であれば、その額は嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等であることを前提に算定されることになると考えられます。
○椎名委員 ありがとうございます。 そういうわけで、今回の判決を踏まえた上で、お金持ちの方々は、認知の訴えが来るかどうかということはやはり一応気にしていかなければならない問題だというふうに私自身は思います。 それは問題があるというか、要するに、非嫡出子として、相続が確定していたとしても、認知の訴えが仮になされてしまうと、民法九百十条に基づいて、他の共同相続人が、要するに嫡出子と同等分のお金を相当額として認知した婚外子の方々に持っていかれてしまう可能性が残っているということ、これだけはやはり問題点として一つ指摘はしておかなければならないなというふうに思います。なので、お金持ちの方で、近親で亡くなられた方があるときには、ぜひこの問題は指摘したいなというふうに思います。 あと五分ですけれども、二点ほど伺いたいと思います。 今回、私たちの党も、民主党と共同提案という形で、戸籍法四十九条二項一号の、出生届に嫡出子または嫡出でない子の別を記載しているところについての削除も、あわせて修正案という形で提出させていただいております。 平成二十五年九月二十六日の最高裁の判決については、嫡出子または嫡出でない子の別という出生届の記載そのものについては、事務処理上不可欠の要請とまでは言えないけれども、少なくともその事務処理の便宜に資するというふうに言っています。改めて、もう一回、この意味を確認させてください。
○深山政府参考人 事務処理上不可欠の要請と言えないというのは、戸籍事務の処理において、出生届に仮に嫡出子または嫡出でない子の別の記載がなくても、母の戸籍簿をチェックすることなどによって嫡出子であるか否かは判明しますので、そういう意味で、この欄がなくても判定は可能だという意味で不可欠の要請とは言えないとしております。 また、少なくとも事務処理の便宜には資すると言っている部分は、これは、実際の戸籍窓口の担当者が、まず、この欄が存在しますと、この欄の記載を見て届け出人の届け出内容について一応の把握をした上で、関連する戸籍を対照して審査をする、その際に、嫡出子として記載されれば、子の父母の戸籍を特定して、そこで婚姻の有無をチェックいたしますし、嫡出でない子と記載されていれば、母の戸籍を特定して同様のチェックをする、このようにして確認した結果が、届け出書の記載内容と合致している場合にはそれでよし、違っている場合にはそこを補正していただく、その結果を受けて、今度は、戸籍を記載する人、入力する人が事務処理をする、こういう形でこの欄は活用されておりますので、そういう事務処理の便宜に資するということでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 必要不可欠の要請とまでは言えないというところに私自身は重きを置きたいなというふうに思っています。非嫡出子の平等権という観点から考えると、権利侵害がなされていると仮にするならば、やはりそれ相応の理由が必要だというふうに思っていて、事務処理上不可欠の要請とまでは言えないのであれば、削除した方がいいのではないかというふうに私自身は思います。 そういった観点から、私どもは、今回、戸籍法四十九条二項一号の削除ということについて、共同提案という形でさせていただいた次第でございます。 最後に、簡単に。 私自身は、今回、民法九百条四号ただし書きの修正が行われたとしても、日本の、まさに我々の過ごしている法律婚主義という考え方そのものが別に没却されるということは特段考えているわけではありません。あくまでも、被相続人の財産形成に寄与をした方々については、寄与分だったり、さらには遺贈なんかを使って、配偶者や婚内子を優越して取り扱うことが可能だというふうに思っています。 そういった観点から、柔軟な対応をすることによって法律婚主義というものが没却されることはないというふうに思っておりますけれども、大臣、最後に、今回の改正と法律婚主義との関係について御所見を賜れればと思います。
○谷垣国務大臣 私も、今おっしゃったように、法律婚を基本とする法律婚主義を否定してしまうものではないと思っております。例えば、法律婚による配偶者は相続権を持っているけれども、事実婚の関係にある男女には相続権はないなど、やはり法律婚を基本とし優遇していくという規定は随所にございまして、決して没却するものではないと思います。そして、今おっしゃったように、遺贈なり寄与分というようなものによって柔軟な対応を図ることも十分できる、こういうふうに私は考えております。
○椎名委員 どうもありがとうございます。 これで質問を終わります。
○江崎委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○江崎委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、民法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、階猛君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江崎委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○江崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十六分散会