法務委員会 第5号
- 発言数
- 240 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2013/05/09
会議録
○委員長(草川昭三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 昨日までに、石川博崇君及び大河原雅子君が委員を辞任され、その補欠として魚住裕一郎君及び長浜博行君が選任をされました。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。 委嘱審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房審議官河邉有二君、法務大臣官房審議官大塲亮太郎君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、外務大臣官房参事官新美潤君、外務大臣官房参事官山田滝雄君及び厚生労働省老健局長原勝則君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) 去る七日、予算委員会から、五月九日の一日間、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。 今日は、法務行政の充実を果たすことで日本社会により豊かな質をもたらすために、まだまだ日本では遅れているヘイトスピーチ、いわゆる憎悪表現についてお聞きをしたいと思います。 最初に、谷垣大臣、就任されてもう時間がたっておりますけれども、私はお手合わせいただくのは初めてですので、最初にエールをお送りしたいと思います。 谷垣さんでいつも思い出すのは、一九八三年のことです。谷垣さんのお父様である谷垣専一さんがお亡くなりになって、京都の二区で補欠選挙がありました。私の父も立候補をいたしまして、野中広務さん共々選挙戦が戦われ、暑い暑い夏でしたけれども。あのとき、開票日に、いざ、NHKも含めて開票速報がありました。谷垣さんは当然トップ当選、もう当選確実が出て、そしてその後に、私の父にあるテレビが当選確実を打ちました。私は父と一緒に万歳に行こうと向かっておりましたところ、最後の開票で野中広務さんが、地元である園部の開票があって逆転をされて、そして野中さんが初当選をされたという、そういう懐かしい思い出がありまして、野中広務さんとお会いするといつも、おやじ元気かというふうに言われますけれども、恐らくこれからも谷垣大臣とお会いするときにはそういう話になるのかなというふうに思っております。自民党の中でも本当に良識ある立派な議員、大臣だと思いますので、今日は是非率直な御意見を伺いたいと思います。 私、国会に来て初めての法務委員会で質問するときに、ジャーナリズムの世界でこれまでいろんな仕事をやってきましたけれども、やはり、前川先生もそうですけど、弁護士の方々も含めた、小川先生もそうです、江田さんもそうですけれども、松野さんもそうだ、もう弁護士さんばかりなんですけれども、やはり、一般の人からすると法律用語というのは物すごく難しい、なかなかなじみのない言葉が多いので、やはり、当然厳密性ということは必要ですけれども、言わば自分の父親、母親、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんでも分かるような言葉で説明できるような、そういう委員会になってほしいなというふうに思いました。 そして、一番初めの法務委員会で作家の井上ひさしさんの言葉を引用しました。井上さんは、自分が小説、脚本などを書くときに、難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことを真面目に書くこと、それをモットーとされておりました。法務の問題というのは愉快にというのはなかなかいかないかも分かりませんけれども、是非とも、できるだけ言葉をかみ砕いていただいて、多くの国民に法務行政などが届くような、そういう委員会に是非ともしたいというふうに私は思っております。 今日は、ヘイトスピーチ、いわゆる憎悪、憎しみの表現についてお聞きをしていきたいと思います。 実は、イタリアでレッタ政権が誕生いたしました。そして、イタリアの政治史の中で初めて女性の眼科医さんが閣僚になりました。移民担当です。ところが、この黒人閣僚が初めて生まれたことに対して、イタリアのネットなどではコンゴの猿などという言葉が荒れました。そしてまた、議員の中にも誹謗中傷をその黒人初の大臣に対して投げかける、罵声を浴びせるというようなことがありました。それに対してレッタ政権は、こういう憎しみの言葉、差別的な表現というのは良くないんだということで民衆憎悪の扇動という規定をしまして、政府が捜査を命じたんですよね。だから、それがイタリアだけではなくて、これまでドイツなどでもネオナチというようなことで社会問題にかつても、そして今でもなっておりますけれども、それが対岸の問題だけではなくて、この日本でも特に最近ひどい状況が見られるようになってきました。 実は、大臣にも率直な御感想をお聞きしたいんですけど、五月七日の参議院の予算委員会、民主党の鈴木寛議員が安倍首相に、東京オリンピック招致を是非とも実現させるために一緒に頑張っていきたいと、しかしそのときに日本でヘイトスピーチ、憎しみ表現を掲げるデモが広がっているということは憂慮しなければいけないと、そういう質問をされましたけれども、これは大臣、御存じでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、有田議員から、私が最初に選挙に出ましたときのことをおっしゃっていただきました。有田さんのお父上と御一緒に私、初陣を戦ったんですが、当時はまだ立会演説会のある時代でございまして、七月末から八月の暑い盛り、補欠選挙でございましたが、京都の北から南までお父上ともずっと御一緒に選挙活動をさせていただきました。もちろん、党派は違ったわけでございますが、有田委員のお父上はもう非常に演説のすっきりした上手な方でいらっしゃいまして、気迫に満ちた演説を私も横で拝聴しながら選挙をさせていただいたのを懐かしく思い出すわけでございます。しかし、そういう個人的な情だけに溺れずに、私も一生懸命答弁をさせていただきたいと思います。 そこで今、ヘイトスピーチ、この前の安倍総理の答弁、私もテレビで拝見いたしておりまして、よく承知いたしております。
○有田芳生君 大臣もテレビで見ていただいたということですけれども、東京のど真ん中と言ってもいいだろうと思いますけれども、新大久保で、毎週とは言いませんけれども、月に一回は必ずデモが行われております。その中身については後ほどお聞きをしたいことが幾つかありますけれども、この間の参議院の予算委員会で安倍総理はこのように鈴木寛議員に対して答えております。 ヘイトスピーチというのは、言わば憎しみをあおるような、人種的な、あるいは性差に基づくそういう誹謗中傷の類いなんだろうと、このように思いますと。あるいは、今、一部の国、民族を排除しようという言動のあることは極めて残念なことでありますと。さらに、他国を、あるいは他国の人々を誹謗中傷することによって、まるで我々が優れているという、そういう認識を持つのは全く間違っているわけでありますし、結果として我々自体が自分たちを辱めているということにもなるわけでございますと。 安倍総理のフェイスブックは多くの方々が御覧になっておりますけれども、その中にも憎しみ表現、例えば朝鮮人を殺せとか、そういう言葉が書き込まれていることに対して、鈴木寛議員がやはりそういうことをたしなめるべきではないかということに対して、安倍総理はフェイスブックにおいてもそういうエスカレーションを止めるべきだろうとコメントをしていきたいと、そのように率直なお気持ちを表明してくださいました。 そこで、谷垣大臣にお聞きをしたいんですが、大臣の御理解ではヘイトスピーチというものはどういうものを指すとお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) ヘイトスピーチという概念がもう確定した、きちっとした定義があるのかどうか、私、存じません。まだ流動的な概念なのかもしれないなと思いますが、ちょっと何か文献等ないかと思って調べましたら、人種や国籍、ジェンダーなどの特定の属性を有する集団をおとしめたり、差別や暴力行為をあおったりする言動を指すとか、あるいは少数者集団に対する侮辱、名誉毀損、憎悪、排斥、差別などを内容とする表現行為であるというような定義を見付けまして、大体のところ、そういうことなんだろうと思います。
○有田芳生君 まさしくそのとおりで、きっちりと固まった定義はないにしても、世界中にやはり一般的な了解があるということを今の大臣答弁で確認できたというふうに思います。 先ほど、イタリアの例で、コンゴの猿みたいなような表現を取ったことに対してイタリア社会が非常に社会問題にしたということをお伝えしましたけれども、日本においても特に今年に入ってからエスカレートしております。 私は、こういう場でどこまで紹介していいのかということを苦慮いたしました。これ、最近テレビなどでも報道されておりますけれども、そこでもテレビ局がそういうストレートな生の表現を視聴者に伝えることはどうなんだろうかという検討なども行いました。これは新聞各紙の報道においても、どこまでヘイトスピーチが日本社会で行われているのかということは相当な考慮をした上で、しかし、ここでどんなことが語られているかということをお伝えしないとそのひどさが分からない。この日本社会で一体何が進行しているのかということをやはりはっきりと私たちが認識するためにも、それを克服するためにも、少しだけどんな言葉がデモで、あるいはプラカードで掲げられているかということについてお伝えをしたいと思います。 これ、東京の新大久保、今では御存じのように韓流ブームで全国各地の特に女性たちが、コリアンタウンとなってきている新大久保の町で様々なものを買物に来ていらっしゃるんですが、そこで在特会という、在日特権を許さない市民の会を中心とする人たちが定期的にデモをやっております。 どういう発言をしているかというと、例えば二月九日の彼らのデモのプラカードです。朝鮮人、首つれ、毒飲め、飛び降りろ、今お配りしているものもその写真ですけれども、あるいは、韓国人売春婦五万人をたたき殺せ、これは韓国人一般の方、女性を指して彼らはこういうプラカードを掲げております。害虫駆除、良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ、くそ食い民族、早く首つれ朝鮮人。そして、彼らのデモのシュプレヒコールは、殺せ、殺せ、朝鮮人。それで新大久保の町をデモをしている。その周りにいらっしゃる方は、多くがコリアンの方々なんですよね。 これは東京の新大久保で繰り返されているだけではありません。大阪の鶴橋、これも戦前から在日韓国・朝鮮人の方々が多く暮らしていらっしゃって、例えば焼き肉店なんかも含めて、大臣、関西ですから感覚的にお分かりだと思いますけれども、そこでも同じようなデモが繰り返されております。そこで今年に入ってから非常に驚くべき内容のシュプレヒコールがありました。一言で言って、南京大虐殺知ってるやろと、この鶴橋で大虐殺しますよというような、そういうものをハンドマイクを持って、何としかも十四歳の中学二年生の女の子、その子たちも含めて、そういうことが在日韓国・朝鮮人に向けて、新大久保だけではなくて鶴橋でも行われているんです。 しかし、これは非常に大事なのは、鈴木寛議員も予算委員会で質問をしましたけれども、例えば東京オリンピック招致をするその東京で、あるいは場所は違いますけれども大阪の鶴橋で、あるいは名古屋で、北海道で、福岡でこういうことがなされているとどういう報道が世界になされているか、これは物すごく憂慮すべき事態だと思うんですよね。例えば、鶴橋大虐殺しますよということは、動画でCNN、あるいはイギリスの最も古いタブロイド紙であるデーリー・メール、あるいはオランダ、あるいは南米と、世界中にそういう報道がされて、日本というのは一体どうなっているんだと、そういう批判の声が物すごく今高まりつつある。韓国でいえば、市民団体が、そんなことを繰り返している日本にオリンピック招致なんていうのはおかしいじゃないかということでIOCに申立てがなされているという、そこまで事態は進みつつあるんです。 そこで、大臣にお聞きをしたいんですけれども、先ほどお話をしたような、もう一つ付け加えておくと、この間の新大久保のデモなどでは、ホロコーストやるぞというようなことも言いました。有田芳生は縛り首にしろと私を見て彼らは叫びました。そういうことが進行していることに対して、大臣は、先ほどの本当に生の彼らの言葉ですけれども、どのようにお感じになられるでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これ、先ほど安倍総理の御答弁もございましたけれども、私もこういう問題は誠に憂慮に堪えないと思います。ひところ品格ある国家というような言葉がございました。我々日本の社会が品格ある国家、社会を目指さなきゃいけない、あるいは成熟した社会をつくらなきゃならないということになりますと、これは、こういう行動はそういう方向と真っ向から反するものだというふうに私は感じております。 そこで、今、鶴橋でも新大久保でもそういうことがあって、オリンピック招致にも影響を与えかねないということをおっしゃいました。なかなか、今実は、このヘイトスピーチだけではなく、例えばインターネットなんかを見ましたときにもいろんな言動、言論というものが行われているのは事実でございます。それにどう対応していくかというのは、考えますと、言論の自由との関係、表現の自由との関係で誠に悩ましい問題があるなと私も思っております。 しかし、こういう動向が人種差別感情、あるいは、何と申しますか、社会、いろんな方が、嫌悪感を持つ方も非常にたくさんいらっしゃる。そして、人種差別感情をあおっていくようなこの流れになっていくのかどうか、そこらを我々しっかり見極めていかなきゃならない。 ただ、ここから先、さて、私も法務大臣でいろんな権限を持っておりますから、さてどうというのはなかなか実は、ここから先は、何というんでしょうか、口が重くなるところでございます。そんな感じで今見ております。
○有田芳生君 そのここから先については順々とお聞きをしていきたいと思います。 憲法二十一条の表現の自由の規定と、先ほど具体的に御紹介をしましたヘイトスピーチとの関係、これ人権擁護局長のお立場だと、ヘイトスピーチと表現の自由とのかかわりはどのように理解されていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(萩原秀紀君) お答えいたします。 ヘイトスピーチというのは、ただいま大臣から答弁がありましたとおり、その概念は必ずしも確立されたものではないと思われますが、人種や国籍、ジェンダーなど特定の属性を有する集団をおとしめたり、差別や暴力行為をあおったりする言動とか、少数者集団に対する侮辱、名誉毀損、憎悪、排斥、差別などを内容とする表現行為とされているものと承知をいたしております。 集団に対する言動を規制するということに関しましては、表現の自由との関係から先ほど大臣が申し上げられましたとおり大変難しい問題があると認識をしております。ただ、こうした行為は差別意識を生じさせることにつながりかねないものでございますから、法務省で人権擁護行政を担当している当局としましても注視していきたいと考えております。 以上でございます。
○有田芳生君 ここで表現の自由についての議論をしてもなかなか難しいところがあると思いますけれども、表現の自由というのはもう絶対的なものではなくて、人格権とかプライバシーとか、そういう対立利益とのかかわりでやはり制限されなければいけないようなときもあり得るんではないかと私などは考えております。 例えば、東京造形大学で国際人権法の専門である前田朗先生などは、ヨーロッパ基準からいえば、先ほど私が紹介したような内容の発言、言動というものは、やはり前田先生の評価だと人道に対する罪に当たるんだと、ヨーロッパ基準でいえば。ですから、表現の自由と法規制というのは対立概念ではなくて、逆に表現の自由を守るために差別的な言説というものは処罰されなければいけないというのが、それがイギリスとかドイツとかイタリアの法の内容になっているわけなんですよね。だから、そういう、まあ言ってみれば日本でも新しい課題になってくるのかなというふうに思います。 そこで、もう一つ、これは大臣にまた率直な御感想をお聞きをしたいんですけれども、先ほど中心になっている団体として在特会という、そこの会長が四月六日にネットの番組でこういう発言をしております。 質問がありました。どういう質問かというと、半島で有事の際に在特会は何をしますか、自警団結成とかやるんですかという質問に対して、その先ほどから新大久保でも大阪鶴橋でも、あるいは全国で先ほどのようなヘイトスピーチのデモをやっているその会長が、半島有事のときは、万が一テロが起きたときには絶対に鮮人狩りやりますからね、誰が何と言おうとやりますからねと、こういう発言をしているんですよね。 これは表現の自由の範疇で仕方がないなというふうに大臣はお考えになられますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) こういう参議院の法務委員会という権威ある場で法務大臣としてお答えするのは、非常に実は悩みながらお答えを申し上げるわけであります。 個人として言えば、このような発言は私は極めて許されるべきものではないと思います。しかし、じゃどうするんだと問われたときに、先ほどここから先は口が重くなると申し上げましたが、確かに表現の自由等、難しい問題がございます。 ここから先は役所に十分確かめたわけではありませんので、あるいはこの法務委員会でお答えするにはやや軽率かもしれませんが、今ヨーロッパ基準ではこれは人道に対する何か問題があるのではないかと有田委員はおっしゃいました。私が昔、学生時代勉強したところ、記憶でございますからあるいは今は違っているかもしれません。日本はかなり憲法あるいは表現の自由等々ではアメリカの最高裁の判決というものを相当影響を受けてきたと思います。そして、アメリカの憲法解釈というのは極めて表現の自由に重い地位を与えて、そして今日まで来た。日本もかなりそのアメリカの理論を消化しながら対応してきたという面があると思います。 そういう観点から考えますと、なかなか、じゃこういう表現が許されるのかといっても、なかなか簡単に一義的には言葉が、一義的に解は出てこないなという非常に悩みを感ずるわけでございます。そういう中で、本当に、例えば劇場等で人が込み合っている中で火事でもないのに火事だと言って大勢が走り出すような事態は許されるのかどうかというような議論もいろいろございました。 ですから、私はもう非常に今悩みながらお答えを申し上げているわけですが、先ほど局長が申しましたように、これが無用におかしなことになってこないかと。我々のところは人権擁護行政というのもございますから、よくよく注視をしていきたいというのが今の気持ちでございます。
○有田芳生君 イタリアあるいはドイツ、イギリス、カナダなどでは人種差別に対して規制をする法律がありますが、確かに、今大臣がおっしゃいましたように、アメリカなどではそういう法律があるんだけれども、やはり表現の自由というのは守らなければいけないというところが強いんだけれども、しかし一方で、例えばヘイトスピーチを伴って十字架を燃やすというような行為に対しては当然処罰がなされているという現状があります。 その上で警察庁にお聞きをしたいんですけれども、私たち一般の感覚として、ネット上で、例えば掲示板などで誰々を殺すぞとか、そういうことがあれば、新聞にも報道されますけれども、逮捕される事案というのは幾つも見受けられます。例えば、今年の一月にも二十四歳の大学生が草加市の教育長を襲撃して殺すということをネットに書いたわけですけれども、それを見た女性が警察に届け出て、それが去年の十月なんですけれども、一月に逮捕されていると。 しかし、私たちが見ていると、新大久保でも鶴橋でも、あるいは名古屋でも福岡でも全国各地で、その目の前に、相手がコリアン、在日韓国人・朝鮮人である、そこに、殺すぞ、殺せ、目の前でやっている。恐怖で泣き出す女子学生もいます。もうこの町には来たくないという人もいます。商店街も今困っています。そういうことが残念ながら、東京都公安委員会がデモの申請を認めていますから、平日の新大久保でいえば午後の二時半から四時ぐらい、本当に買物客が多いときにそういうヘイトスピーチデモが行われて、しかも、繰り返しますけれども、殺せ殺せ、そういうことが繰り返されている。 ネットで逮捕される人がいるのにこういう人たちは、まあ逮捕しろとは言いませんけれども、何らかの警告なり規制なりというのは行うことはできないんでしょうか。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 御指摘がありましたような言動につきまして、それが具体的な刑事法令に違反するかどうか、これにつきましてはやはり個々具体的な状況等を検討する必要がありまして、一概に申し上げることは困難であるというふうに考えてございます。 いずれにいたしましても、警察といたしましては、違法行為を認知した際には法と証拠に基づき厳正に対処してまいる所存でございます。 以上でございます。
○有田芳生君 もう少し具体的に伺いたいんですけれども、法と証拠に基づくのは前提ですけれども、例えばネットに一回殺すぞと書いた人でも逮捕されている事例はありますよね。
○政府参考人(河邉有二君) まさにその状況に基づいて対応しているわけでございますけれども、例えば、一般的に広く、具体的な民族を指して話をするような場合にはなかなか相手に対する特定ができないというようなこともございますので、そういった状況も含めて、具体的なものをしっかりと見ていかなければならないというふうに考えているところでございます。
○有田芳生君 それは認識が物すごく遅れているんですよ。報道をしてこなかったマスコミの責任も大きいです。新大久保へ行ってみてください、鶴橋へ行ってみてください。何が行われているか。在特会の彼らは、お散歩と称して、先ほど言ったようなデモが終わってから、あるいは最近ではデモの前に商店街に歩いていって、路地を歩き商店に入っていって、おまえら殺すぞ、殺すぞとコリアンに言っているんですよ。目の前にいるんですよ。そういうのは認知されていないんですか。警察官いっぱいいるじゃないですか。
○政府参考人(河邉有二君) 今御指摘がありましたお散歩というような行動が行われていることは承知をしているところでございます。 いずれにいたしましても、御指摘のような言動につきましては、違法行為に当たるかどうか具体的な状況をしっかりと検討した上で対応してまいりたいというふうに考えてございます。 いずれにいたしましても、違法行為を認知した際にはしっかりと厳正に対処してまいりたいと考えております。
○有田芳生君 ちゃんとしていないんですよ。現場へ行って見てくださいよ。お散歩と称して、全国から韓流ブームに乗ってお買物に来た女性たちいっぱいいらっしゃいますよ。そして、いろんな化粧品とか買物して袋を持っていると、彼らはそれを取り上げて私物検査といってぶちまけるんですよ。警察官は見ているじゃないですか。あるいは、先ほども言いましたけれども、本当に、TBSのこの間のニュースの映像にも出ていますけれども、この会長たちが歩いて、コリアンの商店に向かって、人がいますよ、そこに、在日韓国・朝鮮人たちの方々が。そこに、殺すぞ、殺すぞ、おまえら。もっとひどいこと言っているんですよ、ここでは差し控えますけれども。そういうことを見ているんですよ、警察官の方々。規制するなり、そういうことはできないんでしょうかね。 本当に、これは日本と韓国だけの問題ではなくて、相手は中国に対しても向かっていますから、本当に平和な東南アジアをつくっていくためにもこういう事態というのはもっと真剣に厳しく対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 先ほどのその所持品を検査するというような行為につきましては、これは、そのような行為が行われたということについては、まだ現在ちょっと承知をしていないところでございます。 それと、一方、その規制ができないのかということについてでございますけれども、いわゆる公安条例という条例、自治体の条例がございますけれども、これについての運用について申し上げますと、まず集団行進、こういったものについては公安条例に基づく許可等を受けて行われるところでございますが、この許可申請が出された場合には、条例等の要件を満たしていれば許可しなければならないというふうにされているところでございます。許可の判断に際しましては、申請された集団行進が公共の安寧を侵害する可能性がどの程度あるかなどで判断しておりまして、粗野、乱暴な内容の主張を行うおそれがあるというような理由だけでは不許可とすることができないものと承知をしているところでございます。 一方、警察といたしましては、許可に際して、違法行為がないように事前にしっかりと指導をしているところでございます。
○有田芳生君 私は、弁護士も含めて、新大久保のデモが余りにもエスカレートしてひどいものであるということを、これは何とかしなければいけないということで東京都公安委員会に出向きました。その目的は、本当に平日、休みの日、多くの人々が買物をしているとき、全国からいらっしゃっている、そのコリアンタウンに向かって、殺せ、レイプしろ、ホロコーストだ、そういうようなことを堂々と語って、先ほども言いましたけれども、お散歩と称して乱暴ろうぜきを働いている、そういうことはやはり許されるべきではないと思いましたから、東京都公安委員会、五人の委員の方々に資料も渡して、そして責任者に対しては弁護士の方から直接話をしていただいて、デモの許可はやむを得ないのかも分からないけれども、その時間帯あるいはそのデモコース、そういうことをきっちりと指導してもらいたいという要求を出しました。しかし、残念ながら、いまだ同じようなデモが新大久保でも鶴橋でも続いております。 そういう指導に対して、警察庁は直接は関係ないんでしょうか。私、東京都公安委員会へ行ったときに対応してくださったのは警視庁の方でしたよ。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 公安条例、東京都の条例でございますので、基本的には東京都側の判断ということになるわけでございます。 以上でございます。
○有田芳生君 じゃ、先ほどのような行為は表現の自由も含めて仕方がないと。公安委員会、それぞれの都道府県の公安委員会が認めたことだからやむを得ないんだというように警察庁は理解されているんですか。殺せ、殺せがいいんですか。
○政府参考人(河邉有二君) 公安条例で認められたデモだからいいとか、そういうことではございません。基本的に、違法な事態があればきちっと対応するのは当然でございます。 一方、公安条例の運用に関しては、先ほど申しましたとおり、公共の安寧を侵害する可能性があるかどうか、こういった観点から規制をするものでございまして、その点で東京都の方で判断して条件を付けるとか、こういうことはあるかと思いますけれども、現状の規定におきまして、例えばその内容を見て、これは内容について、それは乱暴な内容だからといってそれを不許可にするとか、そういうことはできないというふうに考えているところでございます。
○有田芳生君 じゃ、もう一回お聞きをします。 殺せというような殺人教唆に匹敵するようなデモでも、それは認められたものだから仕方がないという御理解されているんですか。
○政府参考人(河邉有二君) そのような趣旨ではございません。違法な事実があれば、それはしっかりと対応するということでございます。 したがいまして、そういう言動が刑罰法令に当たるものであれば、抵触するものであれば、それは当然対応するというものでございます。
○有田芳生君 それでは、これまで先ほど紹介したようなことがずっと続いているにもかかわらず、法的にはまだ許されるものだという理解をされているということですよね。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 具体的に検討いたしまして違法な事実が確認できれば、それはしっかりと対応するということでございます。
○有田芳生君 現場に行けば、いかに危険な状況が続いているか。本当に公共の平穏と個人の尊厳を傷つける事態がずっと続いておりますけれども、時間の関係もありますので、次に行きますけれども。 ここで、問題が重要なのは、これが在日韓国・朝鮮人だけにとどまらないんですよ。幾つかの例をこの機会ですから理解していただきたいんですけれども、これは警察庁でよろしいんでしょうかね、二〇〇九年、京都朝鮮第一初級学校、これは日本でいうと小学校、幼稚園に当たるんですが、そこで在特会のメンバーなどが事件になっておりますけれども、どういうものだったか紹介していただけますか。これ、共産党の井上議員も外交防衛でかつて質問されているんですが、どういう事件だったでしょうか。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 平成二十一年の十二月でございます。在日特権を許さない市民の会の会員ら十一人が、京都朝鮮第一初級学校が京都市の許可を受けずに隣接する、勧進橋というんでしょうか、勧進橋公園内に朝礼台やサッカーゴール等を設置して恒常的に使用していることに抗議する目的で、上記公園内に設置されている同校所有のスピーカー等の線、これを切断し、朝礼台等を同校南側校門前に移動した上、同校門前において拡声機を使用して、北朝鮮のスパイ養成機関、朝鮮学校をたたき出せ等と罵声を浴びせ、侵入阻止に対応した同学校長ら教員の授業等を不能にするなど業務を妨害した威力業務妨害、侮辱、器物損壊事件で検挙した事例でございます。
○有田芳生君 その京都の事例は四人が逮捕されて、民事ではまだ裁判が続いております。 さらに、二〇一〇年徳島県教組の威力業務妨害事件、これはどういうものだったでしょうか。
○政府参考人(河邉有二君) お答えいたします。 平成二十二年四月、在日特権を許さない市民の会会員ら十九名が徳島県教職員組合を、あしなが育英会への募金の中から愛媛朝鮮学校、四国朝鮮初中級学校に対して支援金を渡したことを糾弾する目的で、同組合事務所内に侵入し、拡声機を使用して、詐欺罪や、朝鮮総連と日教組の癒着を許さないぞ、売国奴、朝鮮の犬等と同組合書記長らに罵声を浴びせた上、机上の機関紙をほうり投げるなどして同組合の業務を妨害するなどした建造物侵入、威力業務妨害事件でございます。
○有田芳生君 今御紹介いただいた事件では七人が逮捕されております。 それだけではありません。前川議員の地元である奈良でも、水平社博物館に彼らがマイクで差別用語をがなりつけて、これも裁判になっております。 あるいはカルデロン一家事件というのがありまして、不法滞在したカルデロンさん御夫妻が強制退去させられたんですが、娘さんだけが日本に残ることができた。当時中学生ですが、その彼女が通っている学校に彼ら在特会などが押しかけて、学校の外からマイクで出ていけというような、もっとひどいことをどなりつけているんですよね。 だから、問題は在日韓国・朝鮮人だけではなくて、中国人あるいは日本人にもそういうやいばが向かってきている事態が、特に去年、二〇〇九年、一〇年、一一年、一二年、そして先ほどのデモでもお伝えしましたけれども、今年に入って更にエスカレートしてきているという現実、それが私たちが暮らしている日本なんですよ。だから、これに対してどのように対処していくかということを谷垣大臣にこれから幾つかお聞きをしていきたいんですけれども、その前に外務省にお聞きします。 自由権規約というものはどういうものでしょうか。その前に、条約というのは、もう言うまでもないんですけれども、日本国憲法の第九十八条、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」、条約の規定がありますけれども、この憲法の規定に基づいて日本が加盟をした自由権規約、一九七九年加盟ですけれども、どういう中身を持っていますでしょうか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 今委員から御指摘がございました自由権規約、正式には市民的及び政治的権利に関する国際規約と申しますけれども、これは一九六六年の第二十一回国連総会におきまして全会一致で採択されまして、一九七六年の三月二十三日に発効いたしました。日本は一九七九年の六月二十一日に批准いたしまして、現在の締約国数は百六十七か国となっております。 このいわゆる自由権規約は、人は生まれながらにして自由であるという基本的な考えの下、個人の生活を公権力の干渉や妨害から保護するという、いわゆる自由権を中心に規定しております。具体的には、表現の自由、移動の自由、身体の自由、思想、良心、宗教の自由、集会、結社の自由、参政権等が規定されております。
○有田芳生君 今日のテーマとのかかわりで言いますと、自由権規約の第二十条の第二項、こう書かれております。「差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。」と。これ、自由権規約ですよね。さらに、人種差別撤廃条約、一九六五年で、日本の加入は一九九五年ですけれども、一九六五年に採択されて、加入したのが九五年。 この人種差別撤廃条約について、どういう精神を持ったものなんでしょうか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 今委員から御指摘がありました人種差別撤廃条約でございますが、この条約は、人種差別を根絶することにより、国際社会において国連憲章及び世界人権宣言にうたわれている人間の尊厳及び権利についての平等を実現するということを目的といたしまして、一九六五年に国連の総会によって採択されたものでございます。 この条約の趣旨及び目的につきましては、総則的規定である二条の一において明らかにされておりますが、一言で申し上げれば、各締約国が全ての適当な方法により、あらゆる形態の人種差別を撤廃するとともに、人種間の理解の促進を図るということにあると理解しております。
○有田芳生君 一九六五年に採択されたにもかかわらず、日本の加盟が一九九五年。三十年も掛かったというその理由はどこにあったんでしょうか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 今委員から御指摘ございましたとおり、この条約は一九六五年に国連総会で採択されましたが、日本が締結したのは九五年でございます。 この背景といたしまして、政府としては、あらゆる形態の人種差別を撤廃するというこの条約の趣旨に鑑みまして、なるべく早期に条約を締結することが重要と考えていたわけでございますが、そして検討を行っていたわけでございますが、この条約の第四条の(a)及び四条の(b)に規定する処罰の義務の規定がございます。その義務と表現の自由と憲法の保障する基本的人権との関係、これをいかに調整するかなどの困難な問題がございましたことから、長期にわたる検討を要したものでございます。
○有田芳生君 つまり、人種差別撤廃条約の第四条(a)項、(b)項は、日本はアメリカとともにいまだ留保しているわけですよね。その理由は何なんでしょうか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 今委員御指摘ございましたとおり、我が国は第四条の(a)と(b)を留保しております。 これは、両条項が定めます概念に、様々な場面における様々な態様行為を含め非常に広いものが含まれる可能性があるわけでございますが、それらの全てについて今の現行の法律の法制を超える刑罰法規をもって規制するというこのことは、そもそもそういう制約をすることが必要なのか、あるいはその合理性が厳しく要求される表現の自由との関係、あるいは処罰範囲の具体性とか明確性が要請されます罪刑法定主義といった憲法の規定との保障、それに抵触するおそれがあるのではないかというような議論がございました。こういうことから留保したわけでございます。
○有田芳生君 これはさっきの話とも重なるんですけれども、日本の実態というものが全く把握されていないんですよね。 ちょっと細かく御報告しますけれども、今から十二年前の二〇〇一年に国連人種差別撤廃委員会が日本に対してこういう勧告をしています。委員会は、特に条約第四条と第五条の規定と一致した人種差別を非合法化する特別な法律の制定が必要であると信じると日本に対する勧告を行っていて、実態調査をしろというふうに今から十二年前に行っております。 さらには、二〇〇五年の十一月七日付けの国連人権委員会の特別報告官の中間報告ですけれども、日本に人種差別や外国人排斥を禁止する包括的な国内法が不在していることは、差別が日本の歴史や文化に深く根差していることに対する認識が欠如していることに原因があると、そのように言っております。 そういう勧告がなされて調査をしろと十二年前から言われてきたにもかかわらず、新大久保の事態は非常にエスカレートをしておりますけれども、先ほど御紹介しましたように、日本で差別的な言辞だけではなくて行動がエスカレートしているのは、少なくとも二〇〇九年からは明らかなんですよね。もう四年たっている。だから、そういう実態を果たして政府は把握していたんでしょうか。 日本政府が、二〇一三年の政府報告書、第四条の(a)項、(b)項を留保している、その理由を何と書かれておりますか。
○委員長(草川昭三君) どこですか、答弁は。
○有田芳生君 外務省です。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 そのパラ、政府報告書の内容でございますが、「右留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない。」というのが日本政府が提出した報告書でございます。
○有田芳生君 今御紹介いただいたとおりです。 しかし、今日ずっとお聞きをしている新大久保、鶴橋などの事態、人種差別の扇動、行われていませんか。どう考えられます。今読み上げられたようなことが日本の現実ですか。外務省、いかがでしょうか。
○政府参考人(新美潤君) 政府といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、その四条の(a)と(b)を留保した理由として、細かくは繰り返しませんけれども、その制約の合理性、必要性、あるいは表現の自由との関係、あるいは罪刑法定主義といった憲法の規定との保障と接触するおそれがあると、そういうおそれ及び考慮から留保をしたわけでございます。 そして、こうした点につきましては、留保を付した当時と比べて、現時点においても大きく状況が変わっているとは認識しておりません。
○有田芳生君 変わっているじゃないですか。さっきずっと言ってきたことを認識されないんですか。 殺せ、殺せ、殺せ、ホロコーストだ、そういうことがずっとこの日本の東京の真ん中でも大阪鶴橋でも公然と語られ、インターネットでも動画でずっと流れていますよ。そういうことに影響されている若者たちがいるからこそ、鶴橋で大虐殺やるぞというような中学生の女の子が出てきているじゃないですか。扇動じゃないんですか、これは。そう思いませんか。お立場もあるんでしょうけれども、もう実態は違うんですよ。 人種差別撤廃条約第四条(a)項、(b)項は、日本にそういう差別思想も広がっていないし、扇動も行われていないということで日本政府は留保をしているんですけれども、じゃ、お聞きします。第四条の(a)項、(b)項は留保されていますけれども、本文は留保しているんですか。
○政府参考人(新美潤君) 今申し上げたとおり、日本が留保をしておりますのは四条の(a)と(b)でございまして、それ以外については留保をしておりません。
○有田芳生君 では、きちんとした対処をすべきであるということを示します。 第四条、本文のところ何て書かれているか。全部は紹介しませんけれども、いかなる形態であれ、人種的憎悪、差別を正当化したり助長しようとするあらゆる宣伝や団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動、行為の根絶を目的とする迅速で積極的な措置をとることを約束する、日本政府が約束したんでしょう。非難しなきゃ駄目じゃないですか。積極的な措置とらなきゃ駄目じゃないですか。違うんですか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 今委員がおっしゃいましたとおり、四条の主文においては、締約国において、これもう全部読み上げませんけれども、迅速かつ積極的な措置をとることを約束する等々が書いてございます。ただ、この規定は、各締約国が具体的に、あるいは処罰立法といった、そういった規定をすることまで義務付けているものではないというふうに考えております。 そしてさらに、我が国におきましては、憲法の第十四条一項におきまして、全ての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分及び門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されないというふうに定められております。 また、我が国は、教育、医療、交通等、国民生活に密接なかかわりを持つ分野につきましては、各分野における関係法令において差別待遇の禁止が規定されているというふうに理解しております。 あと、更に申し上げれば、我が国においては、人権侵犯事件の調査処理規程及び人権擁護委員法に基づき、人種等を理由とする不当な差別的取扱いを含む人権侵害につき必要な措置がとられることになっていると理解しておりまして、このような憲法及び関係の法令の規定によってこの条約上の義務は担保されているという理解でございます。
○有田芳生君 先ほど御紹介いただきました人種差別撤廃条約の第二条第一項の(d)には、先ほどの四条の本文の、「非難し、」「積極的な措置をとる」だけではなく、「終了させる。」とまで書かれているんですよね。だから、積極的な措置をやはりこれから考えていかなければいけないというふうに思うんですよ。 だから、先ほどの東京都公安委員会が彼らのデモを認めているということについても、あるいは鶴橋もそうですけれども、この人種差別撤廃条約というのは国だけではなくて全ての地方の公の機関も守る義務は負っているわけですよね。いかがなんですか。
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。 まず、この条約の締結主体は国でございまして、その義務は国が負うということになっております。ただ、条約の二条一項の(a)におきまして、各締約国は、自らが個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないことを約束するとともに、地方の全ての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保するということも約束しております。
○有田芳生君 先ほど人種差別撤廃条約は世界百七十五か国が締結しているという報告をしていただいたと思いますけれども、世界広しといえど人種差別に対して規制をしない国というのは日本を含めて極めて少数なんですよ。そういう現実の下で、やはりこれから日本の現実を認識をしながら、きっちりと対応をしていくことが必要だというふうに私は考えております。 谷垣大臣に最後にお話を伺いたいんですけれども、例えばオーストラリアなんかですと、やはり人種差別撤廃条約に加盟をして、一九七五年に人種差別禁止法というのを作ったんですよね。だけど、表現の自由の問題とどうかかわったらいいのかというような議論がありまして、表現の自由については踏み込まない法律を作ったんですよ。その代わり、オーストラリアでは、正確な名前でいいますと、人種差別主義者による暴力に関する全国調査委員会というのをつくって、そこから調査を始めた。一九七五年から調査を始めて、何と二十年掛かったんですけれども、一九九五年には人種憎悪禁止法というものをオーストラリアでは作って、そして悪質な差別的表現を規制するようになったんですよ。だから、全てを規制しろなんていうような話じゃなくて、悪質なものは何かということをきっちりと、まあ二十年掛かりましたけれども、議論をして、そういう結論が出たんですよね。 ですから、残念ながら今の日本の状況については、今日一端をお話ししましたけれども、やはり今あるような本当に憂慮すべき事態がこの日本でも進行しているというときに当たって、今後の方向性として、やはり人種差別撤廃条約に基づいて何ができるのかということなども考えていかなければいけない。そのときに、人権擁護局も含めて調査をしていくということは大事なことではないだろうか、それがまず出発点ではないかというふうに私は考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞きできればというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、人権擁護行政を私ども所管しているわけですが、そこで調査をすべきではないかとお問いかけがございました。 人権擁護機関の責務として、当然、いろんな問題がございますが、この人種差別についても十分我々は関心を払っていかなければならないし、その状況をきちっと把握していくというのは私は必要なことだと思っております。 今までもそういうことはやってきましたけれども、何というんでしょうか、感覚をきちっと持って仕事をしていかなければいけないと、このように思っております。
○有田芳生君 先ほども述べていただきましたけれども、人種差別撤廃条約の第四条(a)項、(b)項をアメリカとともに日本が留保をしている。だけど、アメリカにはきっちりした法律が別にあるんですよ、日本はないわけだけれども。 その理由について、もう一度繰り返します。正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない。 これはもう古い文書だというふうに一刻も早くなるように私は願っておりますと同時に、あらゆる民族、あらゆる人たちがこの日本で豊かに仲よく暮らしていけるような、そういう社会をつくっていかなければいけないと思いますので、警察庁も、それから外務省も、それから大臣、副大臣、政務官の方々、もう本当に海外から誤解されることのないようなすばらしい日本をつくっていくために一緒に努力をしていっていただきたいというふうに思います。 もう一、二分ありますけれども、お昼の時間ですので、皆さんもお待ちでしょうから、これで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(草川昭三君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。 午後零時十六分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(草川昭三君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。 委嘱審査ということでございますが、今日は午前中、有田委員の質疑、ヘイトスピーチということでございますが、質疑を伺っておったときに、ナチス時代のドイツのルター派の牧師だったマルティン・ニーメラーという人の、戦後、ホロコーストを出た後の自戒を込めた詩を思い出しておりまして、本当に闘う民主主義というか、そういう観点で与党、野党関係なくしっかり見ていかなきゃいけないなということを自戒をするものでございまして、そういう観点から人権というものもしっかり取り組んでいきたいなというふうに思うところでございます。 さて、今日は委嘱ということでございますものですから、特に裁判所の予算について若干お聞きしたいと思います。 書記官の定員について質問をしたいと思います。 今年度、書記官の増員については四十八人でございまして、昨年と比較すると約半数の増員にとどまっているところでございます。先般、裁判所定員法の改正の提案理由の中で、書記官の増員理由は家庭事件、そういうものの充実強化ということであったわけでございまして、家事事件の新受件数は年々増加している、特に成年後見の事件は改正成年後見制度が導入された平成十二年四月以降急激に増加を続けておりまして、平成二十四年における成年後見等開始事件数は四万四千件、施行時の五・一倍に達しているということでございますが、今後も高水準で推移するということが予想されるわけでございまして、要するに、書記官が去年の半分だというようなことを考えると、本当にそれでいいのかなという気がいたします。 今回、今年度のこの四十八名の増員数というものは成年後見の申立て件数の増加に十分対応したと言えるのか、また、この増員の効果というものが最高裁としてはどういうふうに考えておいでになるのか、お聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 今委員御指摘のとおり、裁判所で家事事件、とりわけ成年後見の関係事件が大変近年増加をしております。そういったことを踏まえまして、今回の増員要求におきましても、書記官四十八名の増員の中にはその家庭事件の処理体制の充実ということを柱としてお願いをしたところでございます。これは昨年度との、書記官全体の増員要求という数からいたしますと減ってはおりますけれども、私どもも、家庭裁判所の特に後見事件の体制強化の必要性という点については、この事件の状況を考えまして、これは決して怠ってはならないものと考えておるところでございます。 今回、こういう増員要求を検討いたします際には、それまでにも、これはいろんな裁判所内の他の事件動向等も見まして、内部的なシフト等によって家裁の体制を強化できるものは我々の内部努力で十分いたした上で、更に足りないものを増員をお願いしたというところでございます。そういうところで、今回お願いした書記官のうち家庭裁判所の関係で増員いただきましたら、この書記官につきましては、主に成年後見事件、特に監督事件につきまして、あらかじめ後見人から提出されるいろんな報告書などを事前に書記官がチェックをするといったこと、あるいは後見人の義務とかそういったものに対する教示であるとか、そういったものを書記官が行うと、そういう形で後見の監督の強化に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 ただ、これも今後の事件動向、まだまだ、高齢化でございますので、こういった事件はまた増加すると予想されますので、裁判所といたしましても、事件動向を注視しながら必要な体制整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 次の質問の、先走ってお答えになった部分もあるかもしれませんが。 先月もそうでした、またゴールデンウイーク最中も弁護士が預り金を着服したという、弁護士会の副会長経験者が成年後見で預り金を着服したということが、逮捕されたという、そういう記事があったわけでございますが、要は今、家裁の監督機能ということが、おっしゃっておりましたけれども、やはり不十分なんではないのかなと、もっともっとその部分を、人的体制ということをしっかりとしていく必要があるんではないのか、こういう観点でもう一度御答弁をいただけますか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今の家裁の監督体制等につきましては、後見人の不正というものが、最近の調査をしてまいりますと非常に、特に親族後見人、今委員御指摘のような専門職、弁護士あるいは司法書士の不正ということも若干ございますけれども、主に親族後見人が財産を横領するという事件が非常に増加しております。 そういった点で私ども監督機能を十分強化をしなければならないということは十分認識しておりまして、今申し上げました書記官は、こういった監督の内容といたしまして、後見人から様々な収支報告書あるいは支出の報告書等が提出されますが、そういった点に不審な点がないかということを書記官が見てまいります。そういった点で、やはり人的体制として書記官をまず充実するということが重要かと考えております。 そのほかのいろんな体制という問題でまいりますと、例えば流動資産につきましては、当座使わない費用については手元に置くのではなくて、一旦、信託銀行に信託として預けていただくと。こういった成年後見支援信託という運用につきましても、昨年の二月から開始したところでございます。 こういった人的あるいは運用上のいろんな工夫というものを総合的に動員いたしまして、この監督体制の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 今のお話でも若干出てまいりましたけれども、どんどんどんどん高齢化していく、そして成年後見というのは非常に大事な制度になっていくわけでございますが、増加すれば増加するほど専門職後見人がやはり相対的に少なくなってくるといいますか、不足するという状況になってくるし、また、親族というのも限界がある。だから第三者後見人ということになるわけでございますが、昨年四月に施行された改正老人福祉法によって、いわゆる市民後見人ということが市町村の努力義務に、その養成が市町村努力義務というふうになったわけでございますが、この市町村による市民後見人の養成の動きに対して、例えば研修の講師として家裁の職員や、あるいは専門職後見人を派遣するということが必要ではないのか、積極的に養成に対する支援が必要ではないかというふうに考えるところでございますが、この点に関しての最高裁、また法務省の、法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。 自治体等が行う市民後見人の養成に対する支援については、後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成等を自治体の努力義務とする老人福祉法三十二条の二の趣旨等に照らし、最高裁としても重要な事柄であると認識しております。 実際にも、家庭裁判所において市民後見人の養成事業を実施する自治体等から講師の派遣や検討会等への参加の要請があれば、司法機関としての中立性に反しない範囲で積極的に協力しているものと承知しております。各家庭裁判所とも、庁の実情に応じて今後も同様の協力を続けていくものと考えております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 魚住委員の公明党さんは大変この成年後見制度、熱心にお取り組みになっておられまして、心から敬意を表する次第でございます。 そして、今おっしゃったように、市民後見制度、これは拡充していかなきゃならないという問題意識は私も共有しておりまして、そしてやはり市民の方にやっていただくということになりますと、専門知識を持っている者がそれをバックアップする必要というのは、これは当然なきゃいけないんだろうと思います。 そこで、その事業は、実は私どもは法律を所管し、そして指定されるところは家庭裁判所だし、先ほどおっしゃっていた市民後見推進事業は厚生労働省が担当していると、なかなかややこしい仕組みになっているわけでございますが、厚生労働省が市民後見推進事業でこういった法律専門職によるバックアップの体制というのも基本的に取り組んでおられると思います。 それからもう一つ、やはり弁護士会等々、当然これをバックアップしなきゃならない。法務大臣が余り立ち入って申し上げますと叱られるところもあるんですが、これはまた弁護士自治の中で私は取り組んでいただいていると思います。 そして、法務省も、当然、法を所管しておりますから、そのバックアップの体制、御要請があれば力を入れなければいけないことだと、このように思っております。
○魚住裕一郎君 今、各所管のお話も出たわけでございますが、やはり市民後見人、今、養成の話をさせてもらいましたが、選任後もやっぱりバックアップが本当に必要だなというふうに思っておりまして、東京の世田谷区では、就任後の区民成年後見人に対して、区社協による後見監督に加えて、各種専門職、弁護士さんや司法書士さん、社会福祉士等をサポート委員として日常的に相談、支援に応じる体制を整えているということでございますが、厚生労働省のお考えをお聞きしたいわけでございますが、市町村あるいは地域包括支援センター、社会福祉事務所、民生委員等によって支えられた総合的な組織を立ち上げて市民後見人等を日常的に支援する、これがやっぱり望ましいと考えるわけでございますが、厚生労働省の御見解をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(原勝則君) お答えを申し上げます。 成年後見制度につきましては、今後増加します認知症高齢者や障害者の方々の権利の擁護の観点から、極めて重要な制度であると認識をしております。 成年後見人の担い手として、弁護士などの専門職のみならず、市民も含めて後見人を確保する必要があり、昨年九月に策定いたしました認知症施策推進五か年計画におきましても、将来的には全ての市町村で市民後見人の育成や支援組織の体制を整備すると、こういった目標を掲げさせていただいております。 また、市民後見人が適正に活動を実施するためには、専門職による支援体制を構築することが重要であると私どもも考えております。このため、平成二十三年度からモデル的取組として実施している市民後見推進事業では、市民後見人養成のための研修のみならず、弁護士などの専門職による市民後見人への支援体制の構築などについても補助の対象として市町村の取組を支援しているところでございます。 さらに、平成二十四年度から施行されました改正老人福祉法におきまして、議員からもお話ございましたような、市町村の努力義務として、後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずることが盛り込まれましたので、その中で市民後見人に対する支援措置をとることも想定をしております。 今後は、認知症施策推進五か年計画で掲げた目標に向けて取組を進めていきたいと考えております。 以上です。
○魚住裕一郎君 先ほども御紹介をいたしましたけれども、専門性を高めながら、かつ倫理という側面からもしっかりとした成年後見、信頼の基でございますものですから図っていきたいなと思っているわけでございますが、やはり冒頭紹介したような不祥事が専門家である弁護士から出てしまったということでございます。 これに対して、日本弁護士連合会は預り金の厳格な管理を求める規程の新設を検討をしているということでございます。その規程としては、弁護士の口座とは別に依頼者の預り金口座を開設して管理し、帳簿に記載する。二項めが、管理に疑いを持たれた弁護士の口座を弁護士会が調査できる権限を持ち、違反した弁護士は弁護士会の懲戒対象になり得るというような規程の新設を検討しているようでございますが、本当にこれで、まあ口座は別にしても占有していることは間違いないものですから、横領ということは、やはりその誘惑というものはあるんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございまして、本当にこれで不祥事を防止できるのか、一抹の不安を感じます。 同じように専門職でございます司法書士会では後見人等候補者名簿登載研修システムというのがあるようでございまして、要するに、司法書士さんが、こういう人が手を挙げていますよという名簿を作るに際して、裁判所へ提出されるこの後見人等候補者名簿に登載する、そのためには十八時間の研修を受講する、あるいは二年に一度、この名簿更新のためには十二時間の追加の研修が必要である、こういうような義務付けをしているようでございます。 もちろん、先ほど大臣からも弁護士自治の話がございましたけど、やはりこういうような専門家の、最たる専門家に更に研修というのはいかがなものかというかもしれないけれども、他人の財産をしっかり管理するという、そういう職責の重さから考えて、やはり弁護士会でもこのような研修システムというものを実施するよう大臣から働きかけを行う必要があるんではないのかというふうに思うところでございますが、別に弁護士自治とは直接にも絡まないだろうとは思っておりまして、ひとつその辺に関する大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 魚住先生も私も出自が弁護士でございますので、こういう仕事の委任を受けながら不祥事を起こすなんというのは誠にもって情けないことだなと私、思わずにはおられません。したがいまして、今先生がおっしゃったような、司法書士の場合にはいろいろ工夫してかなり成果を上げておられるようですね。是非、弁護士会でもこういう研修等をお考えいただくことは私は一弁護士として極めて望ましいことではないかと思います。 実は、先ほど申し上げましたような弁護士自治の問題がございまして、法務省でも必ずしも弁護士会が何をやっているか十分把握しているわけではないわけでございますが、私の知る限り、一部の弁護士会では成年後見人候補者に対する研修の実施などもやっておって、不祥事の防止対策も講じているということのようでございます。各弁護士会に、単位弁護士会に働きかけるというのは、ちょっと先ほど申し上げましたような観点から法務省として行うというのは必ずしも適切ではないのではないかとは思っておりますが、是非そういうようなことをお考えいただいて、実施していただくのは私は望ましいことだと思います。
○魚住裕一郎君 私も東弁に今所属してございますけれども、弁護士時代は弁護士研修委員会というところに所属しておりまして、副委員長も拝命したわけでございますが、自分たちでブラッシュアップしていく、そしてさらに制度化して十年ごとに倫理研修。でも倫理研修はほとんど双方代理がどうなのかというそういう事例研究が中心であって、やはり専門職を生かしたこういうシステムなわけですから、やはりブラッシュアップをしていただくということが非常に有益ではないのかなと思っておりまして、大臣という、法務省という立場で示唆をしていくということも一つの、まあ自治とはじかには関係ないのではないのかなということで質問をさせていただいたところでございます。 さて、この成年後見をめぐって若干の課題についてお話を承りたいと思いますけれども、成年後見というのは要するに被後見人が御存命のときに意味があるわけでございますが、亡くなると後見はもうなくなるわけですね。あとは後見の計算だけをして、これで本来の仕事は終わりなわけでございます。ただ、今までのいきさつ上、じゃお葬式はどうするんだとか、今まで住まっていたところをどうするのと。例えば、お葬式出して、その費用を残された遺産の中から支弁をしてしまったら、逆に勝手にやったというふうな、そういうような実は問題がずっとあったわけでございまして、これは今までの通説の中ではそういう権限はありませんよというようなことがずっと言われてきたわけでございますが、やはり後見人がやむを得ない場合に限って行う、例えば最低限のお葬式等について、これが後見人であった方の報酬の対象になり得ること、そしてその費用を相続財産から支出できるようにすると、こういうことを検討していくべきではないのかなと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、魚住委員がおっしゃるように、被後見人が亡くなってしまうと、そこで後見人の権限も終わってしまうと。ですから、今おっしゃったような、葬儀はどうするんだと、あるいは生前の治療費の支払はどうするんだというような問題も当然生じてくると思いますし、あるいは埋葬、あるいは遺体の引取り等を一体誰がやるんだというような問題もございますね。 それで、その辺をきちっとすべきじゃないかという御議論があるのは私も承知はしております。ただ、民法上、成年被後見人が亡くなった後も、緊急を要する場合には、民法六百五十四条でしたか、相続人が事務を処理することができるようになるまで必要な処分をしなければならないと、こういうふうになっておりますし、それから、一般的にも事務管理として一定の事務処理を行うこともできるということで、かなりのことはきちっとこれでできるんではないかというふうに私は思います。 ただ、そこら辺りをどうしていくか。今、委員がおっしゃったように、現行法における対応で十分かどうかというのは、これ少し、きちっと整理しながら考える必要もあるのかなと。ちょっとこの辺りはまだ十分私も頭が整理はできていないんですが、そういう問題点があることはよく承知をしております。
○魚住裕一郎君 あともう一点、医療を受け得るかどうかということなんでございますが、後見人は医療契約の代理権はあるのでございますが、医療の同意権はないというのが定説なんですね。そうすると、身寄りのない被後見人は同意する者がいないものですから、医療を受けられないという事態にはまってしまうわけでございまして、ここを何とかしないといかぬのじゃないかなと。 例えば、同じ医療でも、インフルエンザの要するに予防接種みたいな場合は、これは後見人でいいんではないのか、同意をしてもいいんではないか。ただ、重要な医療行為については裁判所あるいは第三者機関の許可とか、そういうふうにしていくべきではないかと思いますが、そういう法整備をしないといかぬ案件でございますが、大臣の御見解があればお伺いをして、ちょっと時間がありますが、これで終わります。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の問題は、これは確かに、成年後見制度というのは財産を保護するということを主たる目的としておりますので、それ以外の、医療行為はどうするんだということは、これ、法律の解釈としては現行法ではそういうような権限はないと言わざるを得ないと。そして、医療行為の同意というのは、これは成年後見の代理には親しまないというのが、現行法の解釈としてはそうなるんだろうと思いますね。 それで、この問題は結局成年後見だけではなくて、救急患者あるいは乳幼児、医療行為の内容を理解して同意をすることができない方というのはあるわけですので、医療行為全般の問題としてどうしていくのかということを解決しなきゃならないんじゃないかと私は考えております。そこのところは、これはどちらかというと法務省というよりも、あるいは厚生労働省としてその医療行為全般をお考えになるのかなと思いますが、その際、じゃ法務省としてどうしていくかということは、これは当然協力はしなければいけないことだと、このように思っております。
○魚住裕一郎君 終わります。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、長浜博行君が委員を辞任され、その補欠として松野信夫君が選任をされました。 ─────────────
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。よろしくお願いいたします。 先ほど有田委員が、法律の問題というのは易しく伝えなくちゃいけないと、そういう精神のことをおっしゃっていたんですけれども、私もまさにそれに同意をしたいと思うんです。というのは、私もテレビでニュースというのを伝えている立場で、やはりニュースというのは、難しい政治とか経済とか、社会ならそうでもないんですけれども、政治、経済、難しい話がある、これをいかに分かりやすく伝えるかということに苦労してきました。そして、小学生でも分かるニュースというような、そういうようなことで私はニュースを伝えてきたんですけれども、この法務委員会でも、私は、易しい、分かりやすい法律、分かりやすい法務委員会ということを是非国民の皆さんに伝えていきたいというふうに思っておりますので、ひとつどうぞよろしくお願いをいたします。 ところで、今日、大分いろいろ衆議院、参議院で審議が行われていまして、今私の秘書からのニュース速報で入ってきたんですが、衆本の方でハーグ条約が通過をしたというのを今、一時からの本会議で通過したということでございます。いよいよ、このハーグ条約の実施法案というのがこれで参議院の方に回ってきて本格的な審議がこちらでも始まるわけなんですけれども、注目の法案ということなので、私も今日は、いろいろ論争のある法案ではないかというふうに私は思っておりますので、これをちょっと今日は初めて質問で取り上げさせていただきたいというふうに思っております。 私は、この法律はある意味、日本の国にとっての法律的な一つの開国になるような法律ではないかなというふうに思っております。というのは、これまで国際結婚というのは余り数が多くなかった。でも、日本の高度経済成長に従ってやはり外国へ行く人が増えて、男性でも女性でもやはり国際結婚する人というのは大分増えてきたのではないかというふうに思っております。結婚が増えれば当然離婚というのも増えてくるわけで、今のところ少し、厚生省からいただいたデータでは、二〇〇〇年から二〇〇五年ぐらいがピークで、それから少し減ってはきているんですけれども、やはり依然高い水準、三万、四万、五万、毎年そのぐらいの国際結婚の方がおりまして、そして、その中でもやはり離婚率というのもその結婚の数に応じてやっぱり増えているというデータが出ています。 そういうことで、このハーグ条約というのはまさにその辺りの問題を扱うということになるんですけれども、結婚の問題というのは私、難しいと思うのは、百組のカップルがいれば百通りの人生というのがあると思いますので、何もなければ幸せで結構なことなんですけれども、一旦何かあったらやはり解決のための何か手段が必要だけれども、それが法律だと。それぞれ細かいことまで一つずつできるかというと、やはりなかなか難しい面があるのではないか。共通するやはり基本的なことのルールというのが必要で、その部分をハーグ条約というものが担っていく、そういう法律ではないかというふうに思っております。 質問に入らせていただきたいんですけれども、私、先ほど開国というふうに申し上げましたけれども、ある意味、新しい事態を日本が国際結婚、国際離婚ということで迎えると思うんですね。 これは法務省ではなくて恐らく外務省の方にお聞きすることになると思うんですが、私たちが海外へ行くときは、その行き先の国がどんな国なのか、あるいはどんな今社会状況なのかということを知りたいために調べます。外務省のホームページの中に渡航情報というのがございますね。これを見ると、自分が行く国、これから行きたいと思っている国の大まかな雰囲気というか情勢が分かるということなんですけれども、まさに今回のハーグ条約も、国際結婚、そして、まあ海外へ行く人がみんな誰か相手を見付けるために行くわけじゃなくて、婚活で別に海外行くわけではないと思うんですけれども、やはりそういう機会が増えてきますので、そのときに、海外渡航情報であるように、その国によってやっぱり法の制度ですとか、それから生活習慣とか家族の在り方ですとか、それから文化とか宗教とか、いろいろ違うと思うんですね。そうすると、ここへ国際結婚が増え国際離婚も当然増えてくるといろいろなトラブルがあるということなんですけど、ないにこしたことないんですが、あるかもしれない。 そういう新しい事態を予想して、海外渡航する人が行く先のことを知りたい、あるいは、それからもう一つ、外国人が日本へ来た場合の日本の情報を知りたいということで、渡航情報と同じような、外務省のホームページなり何なり手段はあると思うんですが、そういうことの何か、ハーグ条約を締結するというこの機会に当たって、やはり何か情報ですとかあるいはガイドのようなもの、そういうものの体制を取っているのかどうかを伺いたいというふうに思います。
○政府参考人(山田滝雄君) 外務省でございます。 委員御指摘のとおり、国際結婚、様々な問題が生じておりまして、その多くの原因が各国の法制度、文化、生活習慣、家族制度などの違いからきているということでございます。 外務省といたしましては、従来から海外安全ホームページ、それから東京だけではやっぱり細かいことが分かりませんので、各在外公館が作成するホームページとか安全の手引、メールマガジン、それからまた在留邦人等の連絡会、こういった機会を通じまして、できるだけきめの細かい情報提供に努めてきたところではございますが、ただ、今回、国会で御承認いただきましてハーグ条約締結ということになりますと、なお一層努力をしていきたいと。 既に幾つかのハーグ条約締約国では各国の法制度について研究を始めております。また、現地の専門家の方々、それから日本人を支援する支援団体も幾つかの地域では活発に活動しておられます。そういった方々との連携を今後ますます強めていきたいというふうに考えております。
○真山勇一君 本当にこれからだというふうに思うんですけれども、ただ、これからだからこそ、あらかじめ、やはりこのハーグ条約が締結され、そして海外で国際結婚して不幸にしてトラブルがあったときは、いろいろどういうふうにしたらいいかということというのはある程度その情報があるとどれだけ安心できるかという面があると思うんです。ただ、まあ結婚ですから私は自己責任だと思うので、その辺というのは国がそれほどきめ細かく、先ほども申し上げたようにできることではない。 そういう中でのおっしゃったような法システムの研究というのをしていっていただくということになると思うんですが、例えばアメリカなんかは結構もうその辺具体的にかなりいろいろ情報があるというふうに実は聞いていて、例えば日本へ向かって来る人にとっては、日本というのはこういうことだというような説明をしている部分があって、その中に大きな問題として共同親権あるいは単独親権というような話まで出ていて、日本はこうだよというような説明もあるというふうに聞いているんですけれども、日本ではこの辺りというのは具体的に説明すべきと考えていらっしゃるのかどうか、いかがでしょう。
○政府参考人(山田滝雄君) 外務省の方でしておりますのは、アメリカ側の法律についての調査は外務省でしております。これは、各州によって法律も違いますし。ですから、まず、私どもの領事館、大使館の領事それから領事以外の館員を含めてきちんと検証をさせて、現地の法律家の方々から意見を聞く、また支援団体の方々の協力をするといった体制を取っております。 ただ、国内法の問題となりますと、これは法教育の問題となりますので、これは法務省の御所管ではないかというふうに考えます。
○真山勇一君 そうですね。おっしゃるように、国内法の問題になってくると思うんですけれども、やはりアメリカ側から見ると日本は、日本の紹介のところには、日本は単独親権であるというような説明があるというふうに伺っているんですけれども。 谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、日本政府としては、そうしますと、例えばハーグ条約締結して、この実施法案ということになりますけれども、その中で、共同親権それから単独親権というのがありますけれども、これは日本政府としてはどちらの方が望ましいというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 現行の法律は、婚姻中は共同親権、そして離婚をした後はどちらかの親が単独で親権を取ると、こういう構成になっておりまして、私としては当然それでいくということでございます。 ただ、平成二十三年に成立した民法等一部改正案、これは衆議院、参議院それぞれの法務委員会で附帯決議を付けていただきまして、離婚後の共同親権制度の導入も含めた検討をせよということでございます。そこで、現在、この点に関していろいろな諸外国の制度を調査している最中でございまして、各国に照会を行ったりして、今基礎的な研究をしております。 したがいまして、現行法は先ほど申し上げたとおりでございますが、この二十三年の法改正のときの附帯決議に基づく調査、これはまだ結論を出しているわけではございません。ただ、離婚後の共同親権制度の導入につきましては国民の間でもいろんな意見がある状況でございまして、実際にも、離婚に至った両親が、じゃ共同親権、海外で共同親権の場合があるわけですが、共同親権の場合に本当に、離婚した夫婦が子供のいろいろな育て方の方針で一致できないような場合もかなりあるわけですね。そうすると、かえって子供の順調な生育に障害があるというような例もあるわけでございまして、これは相当慎重に検討する必要があるのではないかと、このように思っております。
○真山勇一君 私自身の考えを申し上げますと、共同親権と単独親権ということでいえば、やはりアメリカは共同親権という考え方が強い、日本の場合は、今大臣から伺ったように、結婚中は共同親権ですけれども離婚した場合は単独親権になるというような考え方だと。私も、これはやはり長いそれぞれの国民の文化というのがありますので、一概に今すぐどちらがいいかって、こっちかこっちかどっちか選べというものではなくて、やはり文化というのは大事にしなくちゃいけないし、家族制度もあったと思うので、そういうものが時代によって少しずつ変質、変わってきて、その結果どちらがいいのかという選択になってくるんだろうというふうに思いますし、まだまだやはり、むしろ逆に言えば、ここでハーグ条約が締結されるから、じゃ共同親権だ、いや単独親権のままでいくというものではないというふうに私も思っております。 私も、どちらもやはり、それぞれの国の事情ということも考えれば、いきなり決めるという問題ではないと思うんですけれども。ただ、大きな時代のやっぱり流れということになると、やはり子供を離婚した後も両方の親で面倒を見るのが一つの理想的な形だと思うんですけれども、実際にはいろんな障害があるけれども、その理想を追求するためのやはり一つの体制づくりということも言えるんではないかと思うんです。 今、日本の法制度ではそうですけれども、谷垣大臣御自身は、やはり法律の専門家、弁護士さんということでもあったわけですから、その辺りで、一つハーグ条約ということを考えてくるとどうしても共同親権ということが避けられない問題になってくるわけなので、大臣御自身は共同親権についてどう思っていられるのか。 実は、先日の衆議院の法務委員会で、共同親権について少し何となく消極的な答弁ではなかったかなというふうに、私はその議事録を見てそんな感じを受けるんですけれども、今のこの社会情勢の中で谷垣大臣御自身は、この共同親権、単独親権、そして今、日本の決まりということ辺りを踏まえてどういうふうにお考えか、お聞かせいただけると有り難いんですが。
○国務大臣(谷垣禎一君) 余り私個人の見解を申し上げる場ではないと思いますが、実はハーグ条約、この審議に臨むに当たりまして、私、学生時代の親族法の教科書、我妻栄先生のお書きになったものを引っ張り出して見ますと、もう古い本でございますから、共同親権なんてどこ探しても出てこないわけですね、離婚後の。それで、海外の例についても、当時の注釈民法なんというのをひっくり返してみても出てこないと。それで民事局長に、あのころは全然なかったのかなと。あのころというのはつまり昭和四十年か、四十年代のころですが、そのころは諸外国でも離婚後の共同親権というのは余りなかったようです。ところが、その後、アメリカでも御承知の、先ほどおっしゃったとおりですし、ヨーロッパでも、ヨーロッパというか、そのほかの国でもどんどん共同親権のところが増えていったと。それで、確かに一時の時代の流れはそういうふうに行ったんだと思います。 ところが、共同親権といってみても、結局別れてしまった夫婦でどう実際に子供を育てていくかということになると、意見が合わないような場合がたくさん出てきて、現在は少しその反省が出てきている状況なのかなと。これは法務省の公的見解というわけではありません。私、この間、若干勉強してみますと、そんな感じを私自身は持っているところでございまして、ちょっと後ろ向きという、先ほど真山先生がおっしゃいましたが、そんなことを踏まえて実は衆議院の議論でも答弁をさせていただいたということでございます。
○真山勇一君 そのくらいこの親権の問題、監護権の問題というのはやっぱり難しいし、先ほど大臣もおっしゃいました民法の七百六十六条、これにもこうした離婚の場合は子の利益を最も優先しなければならないものとすることというふうに書いてあるわけですね。やはり子供のことを考えなくてはいけないということなんですけれども、ただ、どうしてもその前に、子供の利益を優先する前にやはり離婚というとその当事者間、つまり夫婦の問題になってしまって、やはり子供のことを大事にはしているんだけれども、自分たちの事情も大事という、その辺が離婚のいろんな問題の難しいところがあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。 子の立場から見た場合、その七百六十六条には子の利益を最も優先しなければということが書いてあるし、ハーグ条約のその一つの基本精神というのが、片方へ連れ去られてしまうということが子供の福祉にとって有害であるというようなことと、子の連れ去りによって子の監護権を獲得することは許されないというふうに精神は書いてあるわけなんですけれども。ただ、日本の場合はやはり裁判所で、例えば不幸にして別れた場合、面会交流などというものについては月に一回、そしてしかも監視付きで二時間のみというようなそういう日本の裁判所での判断というのが、判決が出ているわけですけれども、こういう辺りを見ると、やはり離婚で単独親権になった場合、やはり片っ方の子供を引き取っていない方の親というのは会いたいという気持ちがあるけれども、この辺りがどうしてもなかなか希望どおりいかない、制限されてしまうというその辺り、子供を一方の親から離してしまうような事態になってしまうということは果たして子の福祉にかなうことなのかどうか、この辺りの認識を伺わせてください。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、真山委員がおっしゃいましたように、一般的には両親が離婚してしまったと、その後であっても双方の親と接触を保ち、いろいろ愛情も受けて育っていくと。そういう意味で、平成二十三年の法改正で子の面会交流というのを考えて規定を作っていただいたわけですが、それが適切に行われるということが子の福祉の観点から見て望ましいというのは、私、そのとおりだと思います。だからこれを、離婚後の面会交流を促すことが平成二十三年の民法改正の目的であったんだと思いますね。 それで、離婚後の面会交流がきちっと話合いでこうしようということになったのに執り行われないということになれば、それは子の利益の観点からこれまた問題になってくると、これは当然のことだろうと思います。ですから、法務省としては、この平成二十三年の趣旨に基づきまして面会交流の趣旨をきちっと広報していくということは引き続き行われなければならないと思います。 ただ、後半におっしゃった問題ですね、日本の裁判所の、家庭裁判所の実務の問題。私は、巷間、何というんでしょうか、もう連れ去ってしまったらそういう事実状態を重んずるというようなことがしばしば言われたりするわけで、実は連れ去り勝ちみたいな表現もないわけではないと思います。 今日は家裁も、家裁は来ておられないのか、しかし、家庭裁判所の実務を私、拝見しますと、それまで子を監護してきた者が連れ去って監護しているじゃないかと、今、それまで子を監護してきた者が誰かということだけを判断基準としているわけではなくて、その監護者が監護を開始するに至った経緯、無理やり連れてきたのかどうかとか、いろんなことがあると思います。そういう経緯、あるいは父母双方の子供に対する愛情、あるいは監護に対する熱意とかそういったもの、それから面会交流に対する姿勢、それからもちろん、当然、養育能力、居住環境、それから子の心情ということもあると思います。そういったことを私は総合的に判断して裁判所はやっておられるんじゃないかと。余り裁判所の判断に法務大臣がいいとか悪いとか言ってはいけませんが、私は、決して一つの要素だけでは判断されていないんではないかなという認識を持っております。
○委員長(草川昭三君) 時間でございますので。
○真山勇一君 はい。ありがとうございました。 時間になりましたので、実はあと、その連れ去りに絡んでの理由としてDVなどもありまして、国内のDV法との関係などもちょっと伺いたかったんですけれども、このハーグ条約の実施法案についてはまたこの後いつか、これいろいろと議論をしていく場があると思いますので、それに譲りたいと思います。 それで、今日ちょっと予定されていた質問まで行っていないので、お呼びしていてもしかするとお尋ねしなかった失礼があったかもしれませんけど、それをお許しいただきたいということで、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○森ゆうこ君 生活の党の森ゆうこでございます。 平成二十五年度予算の委嘱審査、質問をさせていただきたいと思いますが、まず、質問に先立ちまして委員長にお伺いをしたいと思います。 委員長の中立公正な円満な委員会運営に対しまして、まずもって敬意を表する次第でございます。 一昨日、裁判所定員法の改正案の審議、そして採決が予定をされておりました。しかし、委員が集まらなかったこともあって委員会が流れてしまったわけですけれども、これに関しまして自由民主党の溝手参議院幹事長が記者会見で、これは野党の暴力であるというような御発言をされました。しかし、実際は違いまして、連休明け、今、今年は選挙ですから、私自身も選挙番ですし、いろんな事情があるけれども、しかし、この参議院で法務委員会だけが開催され、内閣提出法案が審議、採決をされるということで野党の委員は予定どおり集まっておりましたけれども、お聞きしますと、自由民主党の委員の皆さんはそもそも冒頭から出席する予定がなかったということが分かりまして、それで委員会が流れてしまったということでございまして、これは決して野党側の暴力、審議妨害、そういうものではないというふうに思いますので、その点を委員長に確認をさせていただきたいと思います。
○委員長(草川昭三君) ただいま、五月七日の法務委員会が休憩のまま散会になったことについて森先生から御発言がございました。 それで、森先生がおっしゃったように、野党の暴力だということを与党の幹部が御発言なさったという一部の報道がされたようですが、私は野党の暴力であったとの認識は持っておりません。ということで、運営をさせていただきたいと思います。 いろいろ御事情はあると思いますが、各委員におかれましても、委員会には出席をいただき、今後とも委員会の円滑な運営に御協力をいただくようよろしくお願いを申し上げます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。 質問に入らせていただきます。 法務省施設の現状と、耐震化及び建て替えの進捗状況について伺いたいと思います。 皆様のお手元に資料を配付させていただきました。特に、先般補正予算のときに、この建て替え、耐震化の予算というものが大幅に付きまして、またこの平成二十五年度一般会計予算についても予算が盛り込まれております。 じゃ一体、法務省の施設はどうなっているのか。その建築年数、あるいはその建て替え、耐震化の状況というのは全体的にどうなっているのか、一度俯瞰をしてみたいと思いましてお願いしましたが、まとまった資料がございませんでしたのでつくっていただきました。ということで、その資料を添付させていただきました。 拝見させていただきますと、特に矯正施設ですけれども、明治時代のものがあったりですとか、それが順調に耐震化あるいは建て替えが進んでいるというふうには思えませんので、そのところも含めて御説明をいただければというふうに思います。
○政府参考人(大塲亮太郎君) お答えいたします。 法務省施設、この表にもありますように千六百余りの施設がございますが、老朽化が著しいものや耐震基準に適合していないものが多数ございます。約四百弱ぐらいあろうかと思いますが、そういった老朽化が著しいものだとか耐震基準が適合していないものが多数あることによりまして、大規模災害等の緊急事態の発生時には、矯正施設の被収容者、検察庁や法務局の来庁者や職員の生命、身体への被害をもたらすというおそれがあります。また、矯正施設につきましては、受刑者等の逃走等の重大事故の発生が懸念されるところであります。 そこで、平成二十四年度の一号補正によりまして大阪拘置所ほか四十五庁につきまして、ただいま御審議いただいております平成二十五年度予算案によりましては札幌刑務所ほか三十六庁につきまして、調査、設計を含めて、耐震化及び建て替えを実施していく予定をしております。
○森ゆうこ君 資料を見ていただくと分かるんですが、先ほど申し上げましたように、例えば刑務所、一番上が明治四十一年。Mって何と思ったら明治だったということもございまして、これを見ますと大変古い建物もございます。その全てが調査、設計中というわけでもございませんし、工事が実施中というわけでもございません。 もちろん、国土強靱化ということで、あるいは減災ニューディールということで与党の方はお進めになると思うんですけれども、私は法務省としてやはりきちんと計画的に矯正施設等を建て替え、そして耐震化をしていく、そのことを、質問されたときに、問いかけられたときにきちんと、こういう計画で本当はやりたいんですとプレゼンできるような状況になってなきゃいけないと思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、この資料は私が頼んで整理してもらったものでございまして、そういう意味で、大臣からこの問題について、計画的に実施すべきではないかということで、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 計画的な整備の必要というのは森先生のおっしゃるとおりだと思います。それで、今までの、もちろん明治というような古いものもあるわけですが、今までの耐震基準を見ますと、昭和五十六年に大きな基準の変更がございまして、それ以前に建設された施設については優先的な耐震化又は建て替えというのを急がなければならないわけでございます。 それで、今森先生から御指摘がいただきましたように、我々もきちっとした計画を持って当然予算を獲得しなければなりませんので、主計官にやっぱり納得できるようなものを我々も理論武装をして計画的に進まなければならないのではないかと、このように思っております。
○森ゆうこ君 特に矯正施設の建て替え、耐震化等については、受刑者、そして近隣の住民、いろんな人たちの安全という意味で重要であるというふうに思います。 一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、建て替え等のときにどのような考え方で矯正施設を造っていくのか。かつては単に刑に服させるだけということでしたけれども、処遇法等の問題もございまして、もう少し更生、社会復帰という観点が入っているかと思いますので、もちろん豪華な建物は造る必要はないというふうに思いますが、できるだけ更生、そして社会復帰、そういうところへつながるようなものに私はすべきではないかなというふうに思います。 私も三人子供を育ててきたんですけれども、やっぱり人間は環境によって変わりますので、どんな環境で暮らすのかということが大変重要であるというふうに思いますので、是非大臣からそのような方針を示していただければというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 例えば少年院等を視察をいたしますと、まだ人格形成中の子供たちといいますか、どういう環境でやはり社会復帰をできるようにしていくかというのは極めて大事だと思います。もちろん、こういう施設でございますから、ぜいたくなもの、華美なものというわけにはいかないことはもちろんでございますが、今委員のおっしゃったことも十分念頭に置いてこれから進めていくようにしたいと思います。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。 次に、前回といいますか、前から問題にさせていただいておりますいわゆる捜査報告書の捏造事件について伺いたいと思います。 先般、田代元検事に対する検察審査会への申立てについて議決が出ました。不起訴不当という議決だったというふうに思います。 この案件について伺いたいと思いますけれども、田代元検事の案件は審査申立てから何か月掛かりましたでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。 御指摘の事案に関しましては、報道によりますと、昨年の八月に申立てがなされまして今年の四月十九日に議決がなされたとされておりまして、これによりますと、審査申立てから議決まで約八か月間を要したことになるものと承知しております。
○森ゆうこ君 検察審査会の審査案件の処理期間の平均はどれくらいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 全国の検察審査会におきます審査申立てから議決までの期間の平均を取らせていただきますと、平成二十四年の一年間で議決をした事件について見ますと、百四十・一日となっております。
○森ゆうこ君 何か月って言ったんですが。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 百四十・一日でございますので、四か月と約二十日間ということでございます。
○森ゆうこ君 平均の倍、掛かっているわけでございます。この田代さんの検察審査会の審査、余りにも時間が掛かったのではないか、何か恣意的な捜査が掛かったのではないかという疑いの声が国民の間から上がっているということを指摘をしておきたいと思います。 不起訴不当ということでございますので検察においてはもう一度捜査をされるというふうに思いますけれども、どのように対応されますか。
○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘のございました事件につきましては、検察審査会が本年の四月十九日付けで不起訴処分の一部を不当とする議決をされ、四月二十二日にその旨公表されたものと承知しております。 検察審査会法第三十九条の五第一項第二号及び同法第四十一条の第二項によりますと、検察審査会が検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し、公訴を提起しない処分を不当とする議決をした場合におきまして、議決書の謄本の送付があったときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、当該公訴を提起しない処分の当否を検討した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならないとされているところでございまして、検察当局におきましてはこれに基づきまして議決を踏まえ適切に対処するものと承知しております。
○森ゆうこ君 今日は議決書の要旨というものを私は今ここに持ち合わせておりませんけれども、明らかに起訴しないのはおかしいと。議決の内容を見れば、ほぼ起訴相当というような内容だったと思います。 そこで、小川敏夫元法務大臣が出されました「指揮権発動」、この著書を私も読ませていただきました。この田代元検事の案件に関してそのときの事実が赤裸々に書かれております。 委員長、小川敏夫元法務大臣、今この委員会にいらっしゃいますので、是非私の方から少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、許可をいただきたいと思います。
○委員長(草川昭三君) 今、急に御発言があるんですが、その種の御発言に答えるにはやはり理事会できちっと、参考人なら参考人という形で要求をしていただいて了解を取るとか、何かそういう慣例に従うことをしないと、今、急にここで委員としてお見えになる先生にちょっと質問をしたいとおっしゃられても、委員長としては対応ができません。
○森ゆうこ君 私の過去いた委員会では、ここの出席の委員に対して、もちろん委員長に対しても質問できますし、この委員会の席にいる人には質問ができると思いますので、もし差し支えなければ答えていただきたいというふうに思いますけど、いかがですか。
○委員長(草川昭三君) そのことも含めて、これは理事会で改めて各党の御意見を参考にしてお答えをします。
○森ゆうこ君 小川敏夫元法務大臣に私としてはこの本を書かれたその動機といいますか事実関係について少し確認をさせていただきたかったんですけれども、理事会の先生方の御理解も得て、また後刻質問をさせていただきます。 この本文を引用させていただきたいと思いますけれども、警察でも検察でも、うその証拠を作り始めたら、誰に対しても自由に捜索し、逮捕することができるのだ。ある日突然強制捜査を受けて社会的信用を奪われ、捏造された証拠によって有罪にされるかもしれないのである。法曹の一員として高い信用を受けている検事がその信用を逆手に取って虚偽の捜査資料を作り始めたらどうなるのか。虚偽の捜査報告書を作成して検察審査会に送付したという行為は検察の存在意義そのものを根底から覆す重大事犯なのであるとございます。 先般、小川委員御自身も質問されたと思いますけれども、田代報告書はほとんどが作文、虚偽、これは明らかに記憶違いなどではないということは誰でも分かる内容なんですね。国民の皆さんが知っているんです、これは。ネットで流出いたしましたから。これについて、検察はきちんとした捜査をし、そしてきちんとした結論を出そうとしない。これを検察審査会に申立てをされたという事案でございます。 この問題について私が質問すると、どうせ小沢のことだからおまえが小沢のためにやっているんだろうというふうな御批判を直接いただいたこともありますし、間接的にいただいたこともございます。しかし、そうではありません。捜査する側、今、本文引用したとおり、捜査する側が証拠や捜査報告書を捏造すれば何でもできるんです。これは人ごとではないんです。誰かのことだろうというふうにほうっておいたらどんどん事態は悪くなるということで、私は先ほどの有田委員の質問を聞いて、魚住先生と一緒にマルティン・ニーメラーの言葉を二人で思い返していたところなんです。 私も少し引用させていただきますと、最初に彼らが共産主義者を弾圧したとき、私は抗議の声を上げなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。次に彼らによって社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は抗議の声を上げなかった。なぜなら、私は社会主義者ではなかったから。彼らが労働組合員たちを攻撃したときも私は抗議の声を上げなかった。なぜなら、私は労働組合員ではなかったから。やがて彼らがユダヤ人たちをどこかへ連れていったとき、やはり私は抗議の声を上げなかった。そして、彼らが私の目の前に来たとき、私のために抗議の声を上げる者は誰一人として残っていなかった。 大臣、小川元法務大臣が指揮権発動ということを決意される、これは当然のことだと思うんですね、国民の代表として。検察が自らを律しようとしない、捜査する側が証拠や捜査報告書を捏造する、誰が見ても分かる内容ですよ、理屈ではなく。 私は、大臣としてきちんと検察当局に対して対応するように指導をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の明快な御答弁をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) この案件につきましては、先般、検察審査会で一つ方針が出たわけですね。個別事件でございますから、今それについて私はお答えをするのは差し控えたいと思います。 ただ、今回のこの一連の事件で検察の信頼はきちっと回復しなければならない、それは当然のことだろうと思います。今までも「検察の理念」というものを新しく作成する、あるいは最高検に監察指導部を設けるというのをやってまいりましたし、また、今、取調べの可視化等に新しい試みをしております。そういったことを通じて、必ず検察の再生を図っていかなきゃならない、そのことは私の使命としてやらせていただきたいと思っております。
○森ゆうこ君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 司法の独立に関して質問をいたします。 一九五九年に在日米軍の駐留を憲法違反としたいわゆる伊達判決が下されました。この判決は僅か九か月後に最高裁で取り消されましたが、その経緯に関して新たにアメリカ政府の解禁文書が公表されまして、大きな反響を呼んでおります。 この解禁文書は、一九五九年八月三日発信のマッカーサー二世米駐日大使がアメリカの国務長官にあてた秘密書簡であります。これまでは安全保障上の理由で閲覧禁止になっておりましたが、布川玲子山梨学院大学の教授がアメリカの情報自由法に基づいてアメリカの国立公文書館に開示請求して入手をされたものであります。 この伊達判決をめぐっては、二〇〇八年にもアメリカの政府解禁文書が明らかにされておりますが、今回の新しい解禁文書は更に重要な問題を明らかにしております。 これ、五十年以上前の判決ではありますが、この最高裁判決は、我が国の存立にかかわる高度な政治性を有する問題は司法審査の対象とならないという判断をいたしました。これが今日まで米軍基地の存在の是非に関する司法の消極的な姿勢を決定付けているわけでありまして、やはりまさに今日的な問題であります。 多くのマスコミも取り上げました。NHKは、「明らかになった資料のとおり、この最高裁の判決が、司法の独立とはほど遠い、政治的な判断によって行われていたとしたら、昭和戦後史の重要な断面に、さらなるメスを入れていく必要がありそうです。」と、こういうふうに断じました。 朝日の社説は、「一国の司法の長が裁判の利害関係者と会い、判決の行方をほのめかしたという記録は、放っておけない。」「戦後史をつらぬく司法の正統性の問題だ。最高裁と政府は疑念にこたえなくてはならない。」と、こう報じたわけであります。ほかにもたくさんあります。是非、昔のことだから分からないということで逃げることなく、きちんと答えていただきたいと思います。 お手元に資料を配付しておりますが、まず、資料一の一九五九年三月三十一日付けの極秘至急電を見ていただきたいんですが、これは〇八年のアメリカ政府解禁文書で、いずれもマッカーサー・アメリカ駐日大使からアメリカの国務省にあてた電報であります。伊達判決の翌日の三月三十一日の朝八時、閣議が開かれる一時間前に大使が藤山外務大臣に会ったことの報告であります。大使は、日本政府が迅速な行動を取り、東京地裁判決を正すことの重要性を強調し、直接最高裁に上告することが非常に重要だと述べたと報告しております。これに対して藤山外務大臣も、全面的に同意すると述べた、今朝九時に開催される閣議でこの行為を承認するように勧めたいと語ったとされております。 実際、伊達判決は高裁には上告されずに直接最高裁に上告する跳躍上告というものが行われたわけですが、まず法務大臣にお聞きしますが、この跳躍上告が行われたのはいつか、またそれを行った理由はどういうことだったんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) いわゆる砂川事件に関して、検察当局におきまして、昭和三十四年四月三日、第一審の判決で法律が憲法に違反するものとした判断が不当であるということを理由として最高裁判所に跳躍上告したということでございます。
○井上哲士君 いわゆる普通の上告じゃなくて跳躍上告をやったのはなぜかということです。要するに、高裁じゃなくて最高裁に直接したのはなぜか。
○国務大臣(谷垣禎一君) それはやはり跳躍上告は刑事訴訟規則二百五十四条にございますが、「その判決において法律、命令、規則若しくは処分が憲法に違反するものとした判断又は地方公共団体の条例若しくは規則が法律に違反するものとした判断が不当であることを理由として、最高裁判所に上告をすることができる。」となっておりまして、その規定に基づいてこの跳躍上告をしたということであります。
○井上哲士君 違憲判決が出ても全部やっているわけじゃないんですね。私はこれは特別な理由があったんだろうと思うんですが、この資料一の四月一日付けの至急電などを見ますと、当時、日米安保条約の改定交渉の真っ最中で、日米両政府が非常にこの伊達判決に驚いている様子が分かるわけであります。 大使は、この跳躍上告が必要な理由として、その年の四月の重要な知事選挙や夏の参議院選挙などへの政治的影響、それから日米安保条約改定交渉を複雑にしかねないということ、さらには米軍基地の反対勢力を勢い付かせることになりかねないというようなことも挙げているわけですね。そのために、最高裁で早期にこの伊達判決を否定することが必要だということで、跳躍上告を外務大臣に求めました。実際、その直後、四月三日に跳躍上告が行われたわけであります。 次に、資料二の、これは跳躍上告後の同年四月二十四日、やはりマッカーサー大使から国務長官あての公電を見ていただきたいと思います。跳躍上告をしたものの、外務省は判決の時期を推測できないというふうに言っているんですね。そこで、大使は直接、当時の田中耕太郎最高裁長官と話し合ったというものであります。その中身を公電の最後の部分で報告をしております。 最高裁にお聞きするんですが、そもそもアメリカの駐日大使と最高裁長官が公式行事とかレセプションなどの会場以外で個別の問題で話合いをするということが通常行われているんでしょうか。ここ五年間はどうか、併せてお答えいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 最高裁判所長官と駐日米国大使が過去五年間におきまして、各種レセプションあるいは晩さん会等で同席する機会を除きますと、個別の案件で会ったことはございません。
○井上哲士君 非常にやはり特例なわけですね。通常あり得ないことだと思いますが。 では、そこで何が話されたのかと。今の資料を見ていただきますと、原文ではプライベートカンバセーションとなっておりますが、内密な話合いで、担当裁判長の田中は大使に、本件には優先権が与えられているが、日本の手続では、審理が始まった後、決定に到達するまでに少なくとも数か月掛かると語ったと報告をされております。この裁判は在日米軍の存在が憲法違反かどうかが争点となったわけで、アメリカはまさに一方の利害関係者なわけですね。 一般論としてお聞きしますが、裁判長がその裁判の事件の利害関係者とこういう個別の話合いをすること、また、その中でこの裁判の見通しを語るということが許されているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) これはあくまで一般論としての裁判長の行動ということで申し上げますと、裁判長が個別事件の利害関係者と個別に当該事件について話をする、そういったものにつきましては、一般論で申し上げますと、その状況あるいは話の内容によって様々なものが想定できることですので一概に申し上げるのは難しいんでございますが、例えば係属中の事件について、裁判手続とは関係のない私的な会話の中で当事者以外の第三者に対して事件の内容あるいは手続の話をするということは、裁判官としては通常行わないことであるというふうに認識しております。
○井上哲士君 通常行わないことだということで、当然だと思いますね。もしそんなことが明らかになったら、もう直ちに忌避の申立てが起こるというような重大な問題だと思いますが、更に確認しますけれども、裁判の期日について、裁判長が指定し公表する前において一方の当事者のみに明らかにするということは、私は裁判所法七十五条の評議の秘密に反すると考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 これも一般論で申し上げますが、裁判所法七十五条二項は評議の秘密ということを規定しておりますが、これは合議体で行う裁判、これは判決又は決定でございますが、これをするための評議に関する規定でございまして、一方、期日の指定は、これは裁判長の権限に属しまして、裁判長が単独で行う命令という性質の行為でございます。 したがいまして、裁判長が期日指定前に審理の日程あるいは判決期日を一方当事者に伝えるということが、これは直ちにこの裁判所法七十五条二項の評議の秘密に触れるということは通常考えにくいこととは思われます。 しかしながら、別の問題といたしましては、一方当事者に通常の形で期日の打診をするということではなくて、殊更一方当事者の便宜を図るような形で今後予定している期日を伝えるということがありますと、これは裁判に対する公正さに対する疑義を生じさせ得るものと、そういった問題は生じようかというふうに考えております。
○井上哲士君 裁判の公正さに対する疑義を生じるということがありました。まさにそういうことが行われているわけですね。 資料三が今回新しく解禁された文書でありますが、田中長官とアメリカの話合いは一度だけでありませんで、五九年八月三日に発信されたこの電報は、レンハート在日米大使館首席公使と田中長官との会話を報告したものであります。 共通の友人宅での会話の中で、田中耕太郎裁判長は公使に対して、砂川事件の判決は恐らく十二月であろうと今考えていると語ったとしております。公判期日を最高裁が決めたのは八月三日ですから、その日の公電ですが、その一番下に、一九五九・七・三一、レンハートとあります。この日にレンハート氏が起草されたと考えますから、共通の友人と話したのはそれより前ですから、まさに期日が決める前に一方の当事者にこれを明らかにした。私は、これは評議の秘密を侵したことになると思います。 さらに、公電はこう述べておりまして、彼は、口頭弁論は九月初旬に始まる週の一週につき二回、いずれも午前と午後に開廷すればおよそ三週間で終えることができると確信していると述べておりますが、十二月の判決までにこの審理はいついつ行われたのか、これは法務省、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) いわゆる砂川事件の跳躍上告審の公判期日でございますが、第一回公判期日は昭和三十四年九月七日、第二回が同じく九月九日、それから第三回が九月十一日、第四回が九月十四日、それから第五回が九月十六日、それから第六回は九月十八日、こういうふうなものであったと承知しております。
○井上哲士君 ですから、今、公電で述べられたとおり、九月初旬に始まって毎週二日の公判で三週間で終えると、同じ日程をこの段階で一方の当事者に明らかにしているわけですね。田中長官は、弁護団からの協議要請はことごとく拒否をしまして、当時、裁判官忌避を申し立てられたわけですが、一方で、アメリカ大使、当事者とは密談をして、まだ決まっていないこの評議の日程や見通しを漏らしていたということであります。 この五日後には、本件の審判を迅速に終結せしめる必要があるとして、弁護人の人数制限という前代未聞の決定を強行されました。これは弁護側の抗議で取りやめになりましたけれども、とにかく迅速な行動を最初から求めてきたアメリカにこたえるような形で公判の戦略や日程も示して事実上約束し、まさにそのとおり行われたということが見て取れるわけですね。 さらに、重大なのは、この公電の中で、裁判長は結審後の評議で実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると付言したと、こういうふうになっております。この判決は全員一致だったということで確認してよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 御指摘の昭和三十四年十二月十六日最高裁大法廷判決には、この判決は裁判官七名の補足意見及び裁判官三名の意見があるということが書かれた次に、裁判官全員一致の意見によるものであるとの記載がされております。この判決を見ますと、判決の主文におきましては、裁判官全員一致の結果が取られているものと理解できるものと考えております。
○井上哲士君 今読み上げました、少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると付言したというのは、資料三のところに書いてある中身であります。 今お答えありましたように、判決では、アメリカ側が期待したとおり、一審の違憲判決を正面から覆して米軍駐留に合憲のお墨付きを与えたわけでありますが、田中長官は、この全員一致の判決後の記者会見で、十五人の裁判官が結論なり理由の極めて重要な点について根本的に一致したのは大変喜ばしいことだとわざわざ記者会見で言うんですね。私は、裁判長でかつ最高裁長官が全員一致だから喜ばしいと言うことは、逆に言えば、反対が出たり少数意見が付いたら喜ばしくないということになるわけですね。これは非常に問題だと思いますが、こういうような発言をした例がほかにあるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 裁判官が、これも我々の一般的なことでございますが、裁判官が判決等の裁判書を離れまして担当事件について記者会見をしたり、その内容等についてコメントをするというようなことがあったとは、これは近年を見る限り承知しておりません。
○井上哲士君 ですから、本当にもう最初から最後まで異例ずくめのことになっているわけですね。裁判長が、少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると述べて、判決後は、全員一致は大変喜ばしいと会見でわざわざ異例の言葉を述べております。 実はそれだけじゃありませんで、お配りはしておりませんが、これは五十九年十一月五日の、やはりこれは航空書簡でありますけれども、マッカーサー氏と田中裁判長との非公式会談の報告でありますが、田中氏は、十五人の裁判官から成る法廷にとって最も重要な問題は、この事件に取り組む際の共通の土俵をつくることだと、裁判官の幾人は手続上の観点から事件に接近しているが、他の裁判官たちは法律上の観点から見ている云々ということを書いておりまして、まさにどういう評議が行われているかということをアメリカ側に言っているわけですね。 そして、このアメリカ側の解禁文書、資料四を見ていただきますと、判決の翌日にマッカーサー氏から国務長官あての電報でありますが、全員一致の最高裁判決が出たことは、田中裁判長の手腕と政治力に負うことがすこぶる大きいと。彼の思慮深い裁判指導は、審理引き延ばしを図った弁護団の奮闘を抑え込むのに成功したのみならず、ついに十五名の裁判官から成る大法廷全員一致の判決をもたらした。この裁判における裁判長の功績は、日本国憲法の発展のみならず、日本国を世界の自由陣営に組み込むことにとっても金字塔を打ち立てるものであると。まさに天まで持ち上げているわけでありますが、私はこの跳躍上告から裁判の経過、その間でのアメリカとのやり取り、そしてこの判決の中身とその後の会見を見ますと、非常にやはり司法の独立というものが厳しく問われていると思いますけれども、そういう重大問題だという認識は、最高裁、あるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今委員指摘の具体的な事実につきましては、これは非常に古い事実でございまして、最高裁内部にその点を裏付けるような資料がございません。したがいまして、そういった事実を前提に最高裁判所がそれをコメントするということは差し控えさせていただければと思っております。
○井上哲士君 この間、いわゆる核密約とか裁判権放棄密約というものがいろいろありました。いずれも、アメリカ側から出てきても、日本にはない、ないと否定をしておりましたけれども、最近いずれも調査の中で出てきたわけですね。これはきちっと、考える会からも資料公開要求が出されておりますが、全面的な調査をきちっとやって明らかにすべきだと思いますが、最高裁の御見解と、そして法務大臣、これはやはり司法としての独立というものが問われていると思いますが、御見解をそれぞれお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のように、この関係ではいわゆる司法行政文書の開示請求がなされております。この請求は非常に多岐にわたる文書の開示を求めておられまして、これは先ほど申し上げましたとおり、古い時期のものでございまして、調査に時間を要しておるところでございますが、田中長官と駐日米国大使の会談記録等については存在しないということが判明いたしましたので、その点については請求された方にその旨回答を差し上げたところでございます。 残りの文書につきましても引き続き調査を行っているところでございまして、この件に限ったことではございませんけれども、この司法行政文書の開示申出に対しては、十分な調査を行った上できちんと対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 何分にも古いことでございますし、特に最高裁長官と米国大使館との対話というようなことでございますから、法務大臣としてはコメントは差し控えたいと思います。 私は、これはもう五十数年前のことですから、歴史学の問題としてきちっと問題を解明していただく問題だと、このように思っております。
○委員長(草川昭三君) 以上をもちまして、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
○有田芳生君 民主党・新緑風会の有田芳生です。 ダブルヘッダーの第二試合に入りました。裁判所職員定員法、司法の充実を目指していくことと同時に、検察改革などについても併せてお聞きをしていきたいというふうに思います。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨説明の中で、まず最高裁にお聞きをいたしたいんですが、裁判官の判事の員数を三十二人増加しようとするのは、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るためだと、そういう文言がありますけれども、もう少し詳しく、なぜ三十二人なのか、欠員があったからそれだけ補充したのか等々、なぜ三十二人かということも含めて意義、理由について御説明をください。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 判事を三十二人の増員をお願いしておるところでございますが、委員御指摘のとおり、これは民事訴訟事件及び家庭事件の審理の充実ということでございます。 民事訴訟事件につきましては、訴訟事件は平成二十二年以降減少に転じたところでございますが、数にいたしますと、まだ従前に比べますと高い水準にあるところでございます。 この民事訴訟事件のうち単独事件で処理するものにつきましては、やはりこの間、過払い金事件が急増したという影響もございまして、審理に十分なエネルギーを割けていないと。その結果、例えば、争いのあります人証調べのある事件については、なお平均審理期間がまだ平成二十四年で十九・二月といった状況にあるということ。さらに、もう少し、単独ではなくて三人の裁判官で合議で審理をするという、慎重な審理をしたいというものもございますが、これにも必ずしも十分な対応ができていないということがございます。 また、昨今、社会経済情勢の変化等を背景にいたしまして、専門的知見を要する事件、あるいは先例を要する事件というものも見られておりまして、こういった事件にも十分適切に対応していく必要があるということが民事の関係でございます。 他方で、家庭事件に関しましては、これは家事事件が近年急増しておりまして、とりわけ成年後見関係事件が、これは高齢化ということを反映いたしまして増加をいたします。そういう意味で、後見関係事件、特に、適切な後見監督事務を行うという観点から裁判官が必要になってくるというものでございます。 そういうことで、今回三十二人の判事の増員をお願いしたわけでございますが、この判事というのは、やっぱり即戦力として事件処理にたけておる官職でございます。それで、三十二人というのは、やはり我々もこういう厳しい財政状況の中で、内部努力も十分した上で、ぎりぎりこれだけをお願いしたいという数だというふうに御理解いただければと思います。
○有田芳生君 判事補から判事になる方、今回三十二人ということですけれども、その三十二人の候補者というのは何人ぐらいいらっしゃるものなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) まず、前提といたしまして、判事補から今後判事になることが予定されている者は三十二人よりもっと多うございまして、これは、定員の関係では、今既にある欠員であるとか、あるいは今後、定年であるとか依願退職等で判事が退官をしていく見込み、そういったものを考え合わせまして、次の時期に十年の判事補の任期を終えて判事に再任される方ということが出てまいります。 判事補から判事になる方というのは、これは、最終的に判事補の、判事の任命資格を得た方が再任希望を何人出されるかということでございまして、現時点で確定的なちょっと人数は申し上げることができないことを御了承ください。
○有田芳生君 素朴な質問なんですけれども、言ってみれば、プールされているところから判事になっていくわけですよね、順次それぞれの条件に従って。そのときに、その方が適当だという資質、能力などを判断するような機関というものはあるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 人事の関係のお尋ねでございますので、私の方からお答え申し上げます。 裁判所法上、判事補として十年間経験を積みますと、判事としての任命資格を取得するに至ります。その者が判事に任命されることを希望した場合でございますけれども、最高裁判所では、判事への指名をすることの適否につきまして下級裁判所裁判官指名諮問委員会に諮問するという手続を取っております。この委員会におきまして、能力、資質等の面におきまして判事に指名することが適当との答申がされた者につきまして、最高裁の方では判事として任命される者に指名するという手続を取っております。
○有田芳生君 諮問委員会というのは何人ぐらいでなさっているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 委員長を含めまして十一人でございます。法曹三者のほかに、学識経験者の方に入ってもらっております。
○有田芳生君 増やしていくことには私は大賛成なんですけれども、先ほどお話があったときに、民事の訴訟件数は減っていると。例えば、このお配りいただいた裁判所職員定員法の一部を改正する法律案関係資料によりますと、平成十三年から平成二十三年にわたっての民事訴訟の件数が書かれておりますけれども、平成二十一年の二十四万三千九百九をピークにして、翌年も減り、平成二十三年も減っていって、平成二十一年から平成二十三年、約三万件減っていますよね。 そういう、件数が減っているのに増やさなければいけないのかというのを、いや、こういう理由があるんですよという説明をするときには、どういうことを伝えればいいんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 今、委員御指摘の平成二十一年までピークを迎えて、これは平成十八年以降急増したわけでございますが、そこの中身は、いわゆる消費者金融機関に対して法定金利を超える過払い金を返還を求める訴訟でございます。この訴訟につきましては、ほかの事件に比べますと、従来数が相当多かったわけでございますが、やはりこの事件については、その時点では、例えば取下げによって、つまり当事者が訴訟の外で話合いをして取下げで決着を付けるというふうなことも多うございまして、この事件の負担、数はかなりのものでございますが、何とか対応してきたという状況ございますが、ただ、その間におきましても、やはり数が何しろ多うございますので、ほかの事件の審理期間を迅速に行うということに関しては十分手を掛けることができなかったという事情がございます。 今、事件は減ってきています。その過払い金事件を中心に減っておりますが、こういう状況ではございますが、なお、それ以前に比べますとなお高い水準にあるということ、過払い事件につきましても、最近は消費者金融機関の支払余力という問題もございまして、判決によって決着を付ける必要のある事件も増えてまいっております。 こういったこともありまして、当面は、先ほど申し上げた証人を調べたり、あるいは当事者を尋問したりという事件について、まだ平均審理期間は十分迅速化が達成できておりませんので、このために、更に裁判官の手持ち事件を減らすということによって迅速化を図りたいということでございます。 もう一点は、合議で、三人で行う事件も増やしてまいりたいと、そういった点でございます。
○有田芳生君 私は、一九九五年から九七年にかけてオウム事件の裁判を集中的に傍聴する機会がありまして、そのときも裁判官の方々から取材をした経験があります。そのとき、やはりお一人お一人大変な生活ぶりで、夜中の二時、三時まで毎日お仕事をなさっていて、土曜、日曜もないと。そういう状況の下で、やはりもっともっと裁判官増やすべきではないかと思うんですが、今、定員は何人なんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 現在、判事の定員は千八百五十二人でございます。あと、判事補が千人でございます。──失礼しました。千八百五十七でございます。 判事は千八百五十七でございます。失礼いたしました。
○有田芳生君 法務省にお聞きをしたいんですけれども、今裁判官の数が出ましたけれども、弁護士の数はどんどんどんどん増えていっていますよね。それに比べて裁判官と検察官は微増であると、弁護士と比べればですけれどもね。その理由というのは、一体どこにあるんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) それは、全体の司法試験合格の数は増えておりますので、その中で裁判官、検察官にならない方はほとんど弁護士になられる。だから、弁護士はどんどん増えてきているわけですが。検察それから裁判官をどうお選びになるのかは、検察官はもちろん私のところでございますけれども、これはやはりその定員等々の管理の中で必要な人は採っているということでございます。裁判所がどうしておられるのか、ちょっと私、踏み込むのは差し控えます。
○有田芳生君 先ほども大変な暮らしぶりであるという、経験者もいらっしゃるわけですけれども、じゃ、裁判官が今抱えている事件数というのはどのぐらいあるものなんでしょうか。裁判所にお聞きします。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えをいたします。 裁判官の手持ち件数、これ、いろいろほかの事件も担当したりということで、一概に難しいんでございますが、例えば一番繁忙であると言われている東京地裁の民事の通常部の手持ち件数を申し上げますと、これは、平成二十四年末の時点では一人当たり約百九十件という状況でございます。(発言する者あり)
○有田芳生君 今減ったねというお話があるんですが、大体、単独事件で二百件、合議事件で約八十件ぐらい抱えているという数字もあるんですが、まあ少しは減ったということですが、それにしても大変な状況は続いているというふうに思います。 もう一つお聞きしたいんですが、地裁と家裁の数というのは今どれだけありますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 全国、地方裁判所、家庭裁判所、本庁が全国に各五十庁ございます。あと、支部がそれぞれ二百三ございます。ただ、支部については大体、地裁と家裁は同じ建物にあることが通例でございますが、ですから、地裁、家裁、形式的に言いますと、本庁はそれぞれ五十、支部もそれぞれ二百三あるということでございます。
○有田芳生君 五十か所全国にあって、支部が二百三、その中で裁判官が常駐していない支部というのは幾つありますか。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判官が本務として常駐していない支部は、平成二十五年二月一日現在で四十六庁でございます。
○有田芳生君 そういうことを含めて、やはり司法というものが国民にもっともっと近くなるためには、支部含めて裁判官というものがもっと増えていかなければいけないと私は考えております。 そうした今回の法律改正も含めて、裁判官の増員をしていくこと、さらには、今日の議論の中でもずっと出てきておりましたけれども、可視化の問題も含めて大臣にお聞きをしたいんですけれども、そうやって定員を増やしていくことを通じて司法の充実を図っていく、そしてさらには、裁判官の質の充実、量の充実だけではなくて、司法全体の中で検察の改革とか今後の方向を谷垣大臣としてどのように考えていらっしゃるかということを、この定員の問題も含めて、検察改革も含めて、全体的に少しまとめてお話しを願いたいんですが。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは少し司法改革等々を踏まえた長い視野も必要になるのではないかと思います。 それで、今から振り返ってみますと、私自身は、法務大臣としてそう考えたというわけではなくて、私自身としては、こういう司法制度改革があると、それは一体どういうことなんだろうかと。その当時、やはり政治改革あるいは行政改革等々の課題もいろいろあり、政治は敏速な決断が求められるようにますますなっていくだろうと。そうだとすると、敏速な活動をするということになると、それの事後的チェックというものがなきゃいけないんだろうと。それで、それは司法がかなりその役割を果たさなければ、内閣あるいは立法府が敏速な意思決定をしていくというのに応じられないのではないかと。そこに一つ今後の司法部の課題があるのではないかと、司法制度の課題があるのではないかと。私は、裁判制度、司法制度改革のころ、そのようなことを感じておりました。 それで、それがどうなったかを見ますと、現在、御承知のように、必ずしも司法試験受験者が十分に増えていかない、それは合格者がなかなか増えていかないということでもありますが、来てくださる方も必ずしも十分ではないということもあるように思います。したがいまして、そういう私がかつて十数年前に考えたことが必ずしもそのとおりにいっている状況ではないだろうと思います。 しかし、他方、その中で、これは私がお答えするよりも裁判所にお答えをいただいた方がいいのだと思いますが、必ずしも本当に司法過程で裁きやすい問題だろうかと。極めて、司法判断というだけではなく多面的な判断を含まれる、裁判所としても恐らく判断に非常に苦しまれるような問題が増えてきているのではないか、事件の大型化なり複雑化というものがあるように思います。そうしますと、やはり私が昔考えたように、必ずしも事後的チェックというわけではないけれども、司法部の課題というものがかなり大きくなってきているなということも感じておりまして、そのためには、やはり優秀な人材をきちっと訓練して、きちっと市民社会の中の問題を裁いてもらわなきゃいけないという課題は変わらないだろうと思います。 その上で、そういったことは私どもの課題でもありますけれども、これは私が言うのは僣越でございますが、裁判所の課題でもあろうかと思うんですね。それで、裁判所の課題としては、先ほどから今日は御議論になっておりますが、やはり法務省としては、課題といえば、先ほどから御議論になっておりますが、私どもは検察というものを持っております。そして、この間、幾つかの不祥事があって、国民の信頼が果たして維持できるのかという問題を私たちは解決を迫られているわけですね。 それで、これは私どもが野党でありました民主党政権の間に幾つか手を打っていただいている。これは、「検察の理念」を策定したり、あるいは最高検の中に監察指導部を設けたりするということもそうでありましたし、それから、いろいろな取調べの中でもっと可視化を進めていく必要があるじゃないかというのもそういう流れだったと思います。それで、私どもは、政権交代がありましたけれども、そういう基本的な流れは我々としてもこれは十分やらなければならないことだと思っているわけでございます。 そういう流れの中で、検察の信頼を何とか、何とかしてもう一回確立していくということに私たちは今迫られているのではないかと、こんなふうに考えているところでございます。
○有田芳生君 その検察改革にかかわって、先ほど森議員からも質問がありましたけれども、いわゆる陸山会事件、東京地検による捜査で田代政弘元検事が虚偽捜査報告書を作成した、これ、東京第一検察審査会に市民団体から申立てが行われたわけですけれども、最高裁、この経過について少し詳しく御説明いただきたいんですが。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。 御指摘の事案につきましては、報道によりますと、昨年の八月に申立てがなされました。本年の四月十九日に議決がなされたということでございまして、これによりますれば、審査申立てから議決まで約八か月間を要したということになるものと承知しております。
○有田芳生君 今さらっと御説明いただきましたけれども、ここに重大な問題がはらまれているんですよ。議決書の中身、今読み上げていただきませんでしたが、ちょっと特徴的なところだけ御紹介します。要するに、田代元検事の偽造報告書については、例えば、読み手に誤解をさせるおそれを払拭できない、あるいは、何らかの意図があってこのような報告書を作成したのではないかと推察される、あるいは、故意がなかったとする不起訴裁定書の理由には十分納得がいかず、むしろ捜査が不十分であるか、殊更不起訴にするために故意がないとしているとさえ見られると。 その上で、これは非常にびっくりしたことですけれども、検察官が説明に行くわけですよね。それと、説明を受けた審査員の会話までこの議決書の中には書き込まれております。どういうことかというと、田代元検事あるいは検察の方は記憶の混同があったということを言っているんですが、それに対して、法律には素人ではありますけれども、審査員が非常に素朴な疑問を語ったということが記録されています。 こうあります。田代は四十歳代半ばのベテラン検事であり、同一の被疑事実で同一の被疑者とはいうものの、二日前と約三か月前の取調べの記憶を混同することは通常考え難いと。当たり前のことですけれども。この点、検察審査会において説明した検察官は、審査員からの、駆け出しの検事ならいざ知らず、四十歳代のベテランの検事である田代が簡単に記憶の混同を起こすとか勘違いをすることがあり得るのかという趣旨の質問を受けた。審査員がそういう質問をしたところ、検事も人の子ですから間違いはあると思うと、そういうふうに検察官は答えているんですよね。議決書はこうあります、その後に。それでは答えになっておらず、むしろ答えに窮して、表現は悪いがごまかしていると評さざるを得ない。非常に厳しい判断を議決書で述べられております。 ここまで来れば絶対に起訴相当が出るだろうと思ったところで肩透かし。結論はこうあります。以上に指摘した点を踏まえて、本件についての不起訴処分は不当であると判断し、より謙虚に更なる捜査を遂げるべきであると考える。ごまかしているというようなことまで言いながら起訴相当にはならない、不起訴不当に終わっている。じゃ、一体ここに問題はないのか。だからブラックボックスなんですよ。 先ほど森議員が質問されました。実際に申立てが行われてから八か月掛かっている。平均の二倍ですよ。さらには、小沢一郎議員の検察審査会のケースを調べてみますと、小沢さんの場合は、検察審査会で二か月で結論出ているんですよ。二回とも二か月、二か月でですよ。だから、平均よりもっと短いにもかかわらず、何で八か月も掛かっているのか。だから、ここからいろんな疑問、疑惑が指摘されざるを得ないような現実があるというふうに思います。 どんな検察審査会の議論がなされたのか、これは明らかになっているんですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。 ただいまの具体的な議論の中身ということになりますと、検察審査会における審査の具体的な議論になります。それにつきましては会議非公開の原則がございますので、それについては、私どもは承知しておりません。
○有田芳生君 審査会法第二十八条には何て書いてありますか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 検察審査会法第二十八条には、検察審査会の議事については、会議録を作らなければならない、これが一項でございます。第二項には、会議録は、検察審査会事務官が、これを作ると、こうなっております。
○有田芳生君 会議録はある。中身には何が書かれているんですか。詳細を語ってくれということではありません。項目は何が書かれるのですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 検察審査会法の施行令がございまして、この会議録には、会議をした検察審査会及びその年月日、検察審査会長又は臨時にその職務を行う者、検察審査員などなど、具体的な内容が書かれております。さらに、検察官の意見並びに審査申立人、証人及び専門的助言を徴された者の供述又はその要旨、議決をしたこと及び議決の要旨、検察審査会長が特に記載を命じた事項などもこの中に含まれていると承知しております。
○有田芳生君 そうすると、その会議で行われた議論の要旨というのは書かれているわけですね。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) ただいまの検察審査会法施行令の内容に入る限り、記載されているものと理解しております。
○有田芳生君 記載されていると理解しているけれども、そこに何が書かれているかは分からないということですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) そのとおりでございます。
○有田芳生君 じゃ、審査補助員というのはどういう人物でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。 審査補助員というのは、検察審査会の委嘱を受けましてこれに対する助言を行う、そのような者でございます。
○有田芳生君 そうすると、審査補助員はどのように選出されるんですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 一般論としてお答えになりますが、検察審査会におきまして審査補助員の委嘱が必要と、こういうふうに判断された場合に、審査会議におきまして、弁護士会から推薦された弁護士に審査補助員を委嘱する旨と、それから審査補助員の委嘱に関する事務手続を審査会の事務局長に委任する旨の議決を行います。その議決に基づきまして、検察審査会事務局長が弁護士会に対して審査補助員となるべき弁護士の推薦依頼を行いまして、推薦された弁護士に審査補助員を委嘱すると、こういう手続を経るものと承知しております。
○有田芳生君 そうすると、具体的に東京第一検察審査会、田代元検事の偽造捜査報告書問題を扱ったところですけれども、それを、審査補助員を選んだのは東京弁護士会でよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 具体的にどの弁護士会が選ばれたかということについては承知しておりませんが、東京弁護士会の方から推薦があったというふうに承知しております。
○有田芳生君 推薦といった場合、何人か候補者がいて、この人がいいですよということと理解してよろしいんですか。あるいは立候補することはできますか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 申し訳ございませんが、ただいまその手続の方につきましては弁護士会の方でやっておられることでございますので、事務局としては承知しておりません。
○有田芳生君 そうすると、検察審査会の審査補助員を選ぶのは、各弁護士会がそれぞれルールを作って選出するという、そういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) こちらの方から直接は承知しておりませんが、そのようなものであろうかというふうに判断しております。
○有田芳生君 それでは、具体的にお聞きをしますが、田代元検事のケース、これは東京弁護士会が審査補助員を選んでいるんですけれども、どういう弁護士が選ばれましたか。できればお名前もお願いします。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 議決の要旨によりますと、審査補助員に委嘱されたのは澤新弁護士という方であると承知しております。
○有田芳生君 これが問題なんですね。不祥事を起こして処分を受けていた人、元検察官ですが。例えば、具体的に簡単に追っていきましょう。一九八九年、横浜地検総務部長、一九九一年、東京高検検事、一九九一年、水戸地検次席検事、九三年、東京高検公安部長、九三年、福岡地検次席検事、そして問題の一九九五年、秋田地検検事正兼仙台高検秋田支部長、さらに九六年、最高検検事、九七年、新潟地検検事正、九八年、最高検検事。 こういう経歴は把握されていますか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 弁護士の方の具体的な経歴については、事務当局として承知する立場にございません。
○有田芳生君 一九九八年の六月十八日の読売新聞、あるいは中日新聞にも記事が出ておりますけれども、この弁護士は、身内の申告漏れ、二億を超しますけれども、その問題を税務署との間でやり取りをするときに、新潟地検の検事正に異動していたときに、地検の封筒で新潟地検検事正名で抗議文を出して、その中には検察庁法上有効な書面という記載まであった。そのことで問題になりまして、法務省が、当時、検事正名で抗議をしたことで、国民から見てその地位を不当に使ったのではないかとの疑いが生じるおそれがあり、不適切だということで、一九九八年の六月十九日、この澤検事を国家公務員法に基づいて戒告処分にしているんですよね。 こういう人が、東京第一検察審査会の元検事を問題にしているところの審査補助員になっている。不適切とは思われませんか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 具体的にどなたに審査補助員を委嘱するかというのは検察審査会の御判断になります。したがいまして、事務当局からその点についてコメントすることは差し控えたいと存じます。
○有田芳生君 それでは、一般論として、審査補助員になる弁護士が不適格ではないかということを、言ってみれば忌避する条件、要件というのは何か決まりはあるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答えいたします。 審査補助員の委嘱に際しましては、検察審査会上、いわゆる忌避と言われるような制度は設けられてはおりません。なお、検察審査会は、委嘱の必要がなくなったと認めるとき、あるいは審査補助員に引き続きその職務を行わせることが適当でないと認めるときにはこれを解嘱することができるとされているところでございます。
○有田芳生君 もう一つ驚くべき事実を御紹介しますけれども、田代元検事、偽造捜査報告書を作った石川知裕議員のかかわりですけれども、当然、陸山会、小沢一郎議員にかかわることです。 この審査補助員となった澤弁護士、何と昭和三十六年三月、小石川高校の第十三回卒業者なんですよ。小石川高校というのは小沢一郎さんが卒業された高校ですけれども、調べてみますと、昭和三十六年三月に、川野先生という担任の下で小沢一郎さんは勉強されていた。何と同じクラスに澤新さんはいるんですよ。この人が言わば小沢問題にもかかわるような検察審査会の審査補助員になっている。これ、不適格だと思うんですよね。 こういうことが堂々とまかり通るような仕組みというのはやはり変えていかなきゃならないんじゃないですか。不適格じゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 申し訳ございません。同じようなお答えになってしまいますが、具体的な澤弁護士の選任がどうであったかということについては検察審査会の方で判断されることでございますので、それ以上の答弁は差し控えたいと存じます。
○有田芳生君 だから、このように小沢ケースも含めて、検察審査会というのはブラックボックスで、何が何だか分からないまま進んでいってしまうんですよ。中には強制起訴をされて、実際には言ってみれば政治的冤罪被った人までいるわけですから、やはり検察審査会をもっと透明化しなければいけないと思います。 そこで、残された時間にお聞きしたいんですが、小沢一郎さんが強制起訴をされた東京第五検察審査会について、あのとき二回議決が行われましたけれども、審査員の平均年齢は何歳でしたか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 御指摘の議決時におきます検察審査会の平均年齢は、一回目の議決及び二回目の議決共に三十四・五五歳であったものと承知しております。
○有田芳生君 有権者の中から任意に百人選んで、パソコンソフトで、そしてくじを引いて十一人の人が決まっていく。しかも、全然違う人が十一人、十一人。二回決まったんだけれども、何とその平均年齢が三十四・五五歳、下二桁までぴったり一緒、こんな驚くべきことが起きているんですよね、この東京第五検察審査会の小沢さんのケースでは。 これ、不可思議なのは、日本人の今有権者の平均年齢は五十二・〇二歳ですよ。これまで検察審査会でいろんな問題がありました。鳩山元首相にかかわる東京第四検察審査会の議決、そのときの審査員の平均年齢は五十二・三六歳。ですから、日本人の有権者と大体一致するんですよね。あるいは、JR福知山線脱線事故の場合は、二回の議決でそれぞれ四十七歳と五十三歳なんですよ。やはり割と高い。明石の歩道橋事件でも五十三歳と四十二歳。ところが、小沢さんのケースは、先ほどのを繰り返しますけれども、三十四・五五歳。だから、ここにいる人みんなが百円玉十回転がしてみんな表が出たというような数字だというのは、これは統計学の常識なんですよ、普通あり得ないことが起きているから、様々な疑惑が今も言われている。だからこそ透明性を確保していかなければ、これから検察審査会がやることには様々な疑問ということが出てくる。仕組みとしてそうなっちゃっている。だから、さっきも会議録の話がありましたけれども、どういう議論がなされているか分からない。だから、そこで誘導がされた可能性だってあると指摘されたらどうするんですか。 やはりそういう問題があるということを、きっちりとこれからの、検察改革もそうですけれども、検察審査会についても考えていかなければいけないというふうに思います。 先ほど森議員の質問に対して大臣が、個別の事件については差し控えたいと語ってくださいました。しかし、田代元検事の問題というのは、平成二十四年、昨年の六月二十七日、最高検の報告書が出ていて、そこでは、なぜ不起訴だったのか、そして、なぜ懲戒処分にしたのか、その偽造報告書の引用も含めて報告書があるわけですから、やはり個別の事件というよりも、きっちりとした調査をやったわけですから、最高検が。さらにこういうものを、例えば第三者機関の検証などをやっていく必要はあるんじゃないでしょうかね。 そういうことを含めて、検察審査会の在り方も同時に、谷垣大臣、最後に今後の方向性についてお示しいただければと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、有田委員がおっしゃった田代検事の問題ですが、これは今現在再捜査が行われている最中でございます。したがいまして、これをどうするかということは、今この再捜査をきちっとまずやっていただく。これは、個別事件は、私は今申し上げるのは差し控えなければいけないと思っております。 それから、制度全般をどうするのかという問題がもう一つあるだろうと思います。これはもう私、ずっとそういうお答えをしているんですが、まだ制度が始まって時間が短い、少しまだ、何が本当の問題点であるのかということも十分まだ分かっていないという気持ちを私は持っております。 今日はいろいろな御指摘を賜ったわけですが、もう少し、何というんでしょうか、実績といいますか、この事例の運用を見て考えなければいけないことじゃないかと、私は現時点ではそのように考えております。
○有田芳生君 ありがとうございました。終わります。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、池口修次君が委員を辞任され、その補欠として蓮舫君が選任されました。 ─────────────
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。 人の入替えの後に今日は二回立つことになりました。よろしくお願いいたします。 この裁判所職員定員法の審議についての御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、やはりもう本当に話題になっておりますけれども、司法というのは今注目されている。それはなぜかというと、私たちの今社会、暮らしというのは複雑化、多様化しているということで、その中でやはり法律、司法というのは今改革が迫られている。例えば、裁判のスピード化、質の向上、それから、先ほども出ていましたけれども、たくさんの事件をこなしていく、量もこなしていかなくちゃいけない、そういうことがあります。そのために、裁判員制度ですとか裁判の可視化、あるいは今回のこの職員の増員という、裁判官の増員、こうした具体策もやっているのではないかというふうに思います。 こうした一つの今司法の改革進めているその基本になっているものが、私は今回法務委員会になって読ませていただいたんですけれども、この司法制度改革審議会意見書、平成十三年六月十二日に出されたこの意見書に基づいて様々な今改革が進行中であるというふうに理解をしております。 先日、谷垣大臣から、これ、真山の愛読書だろうと言われたんですが、今のところ愛読書になっております。時々ひっくり返して読んでいるんですけれども、大変いろんなやはり多面的な改革が盛り込んであるというふうに思うんですが、この副題にあるように、「二十一世紀の日本を支える司法制度」というふうになっているんですけれども、その転換ですね、改革、どの程度一体進んでいるんだろうか。現状をどう御覧になっているのか、率直なまず感想をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、真山委員がおっしゃいましたように、司法制度改革審議会の意見書、これは我が国において、先ほどもちょっと申し上げましたけど、司法の役割というのはいろんな意味で重要性が増大しているだろうと。そして、そういう意味で司法制度の機能を充実強化していかなきゃならぬという観点で作られているんだろうと思いますね。 それで、そういう中で、裁判官あるいは裁判所に関する主な改革としては、裁判の迅速化といいますか、裁判の充実、迅速化ということが求められてきたんだと思います。それで、二年以内に第一審を終局することを目標とする裁判の迅速化に関する法律というのを制定していただいて、それで裁判所の人的体制の充実を図って、今日もいろいろ御議論をいただいているわけですが、この十年間で裁判官は約六百人、それから裁判官以外の裁判所職員のうちの書記官は約千六百人、こういうふうに増員したということでございます。 それから、これは、裁判以外のいわゆるADRですね、裁判外の紛争解決手段については、これは国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢としなければいけないと。裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律というのを作っていただいて、ADRの利用促進、それから裁判手続との連携のための枠組みの整備を行って、現在では百二十三の認証事業者が誕生しているわけでございます。 これ、あとまた申し上げるといろいろ長くなりますが、こういった改革によって一応制度は、ふさわしい制度はできてきたと。そして、あとは国民の皆さんが改革の成果を実感できるようにどう持っていくかということがただいまの課題であると思っております。 そういう中で、例えば裁判員制度などは、いろんな問題もありながら、全体としては各方面の御協力でかなりうまくいっているということもございます。それから、今までもいろいろ議論がございましたけれども、法曹養成制度などは今いろんな問題があって、現在もう一回検討中というようなことがございますが、早く皆様に司法改革の成果が上がってきたということを実感していただけるように、私たち更に努めなければいけないと、こんなふうに思っております。
○真山勇一君 やはり私は、これが出たのが平成十三年ですから、もう十二年たっているわけですよね。やはりスピードのテンポは少し、この今の世の中の動きからいくと遅いのかなと。法律を変えていくということはなかなか大変なことだとは思うんですが、やはりちょっと遅いんではないかなという気がしますし、先日伺った法教育ですか、あれも、このとき出ているけど、始まったのがほんの数年前から始まりましたということ、私はもうてっきり十三年から始まっているのかと思ったら、やっぱりその辺のテンポは少し遅い。早く進めていくべきだなというふうに私も思いますので。 それで、今大臣の方からほかのいろんな司法の補完的な制度もやっておりますという話の中で、私が一つ伺って、ああ、こんなこともやっているのか、知らなかったなというのがあるのが、人権擁護局がやっているいじめですね。今、子供のいじめって物すごく問題になっていて、いじめというと私たちのすぐ頭に浮かぶのは、教育委員会がどうだとか、それから地方自治体の窓口とか、あるいはひどい場合は警察とかということになりますけれども、実は法務省に伺ったら、こういうSOSミニレターという、こういうのを出していらっしゃるんですよね。子供のいじめ、子供に何かあったらこれで手紙を出してくださいねと。 これ、とてもよくできていると思うんです。(資料提示)切って持って歩けるようにもなっているし、中はこうやって手紙としてその内容を書いて、子供がこれ多分自分で書けるように、非常に絵なんかもかいてあって分かりやすい、こういうものを出せるようになっている。 こういう、いじめ、何か私、先日も法教育で申し上げたように、教育委員会もいい、地方自治体の窓口もいい、警察もいいかもしれませんけれども、いじめを起こさないためのルールを学ぶためには、やはり法務省のこういう法教育というのはすごく大事だと思うんで、こういうものがあるというのをやはりもっとスピード化と同時にPRしていかなくてはいけないんじゃないかなというような私は印象を受けております。 これがすぐにいじめがなくなるというものじゃないかもしれないけれども、子供自身がやっぱりそのいじめについて自分の言葉で書いて、これもし法務省に来たらこれは宝だと思うんですよ。大人が調べて、第三者が調べたんじゃなくて、子供自身がいじめというものをどう考えているのか、何いじめられているのかということがもしこれに出てきたら、本当にいじめの今分からない真実というのが分かるような気もするので、こういうものというのは、これアイデアとして非常に面白い、非常に興味深いものなので、是非進めていただきたいというふうに思うんですけれども。そういうことと同時に、改革の目的の一つは、やはりこういうものを出していることと同じように、法を身近なもの、利用しやすいものにするということがやっぱりうたわれているわけですね。 もう一つ、お手元に資料を差し上げております、これは。これは、実は先日の衆議院予算委員会で東国原議員が出された資料で、もしかすると、予算委員会なので谷垣大臣はもう御覧になったかもしれないんですが、裏表あります。このときの話題は、裏面を見てください。百四十一位の政治家というところなんです。これ実はインターネットに出ております十三歳のハローワークという、そういうところにあります人気職業ランキングという、それをプリントアウトしたものなんですね。先日は政治家が話題になったんですが、実は私は、今改革を進めている法曹界の職業って一体子供たちにとってはどんなふうに見られているのか、何が人気があるのかなというのが、今度逆にそれが気になりまして、その同じものを見たんです。それがこちらでございます。 大変細かい仕事の分類がしてあります。上位の方、一位から十位、二十位ぐらいを見ると、ははあ、なるほどこういう仕事がやはり子供たちには人気があるんだ、将来はこういう仕事をやりたいと思っているんだなというのは分かるんですが、中にちょっと、なぜこんなのが人気あるのかよく分からない。例えば二位のナニー。ナニーって何みたいな感じがあるんですが、これは、御存じの方いらっしゃるかもしれませんけれども、イギリスの乳母というんですか、何か子供の面倒を見るという、貴族なんかが雇う。これ何か、もしかするとインターネットか何かにそういうものがあるのかもしれませんけれども、私はちょっと存じ上げていない。 それから、十八位に暗号制作者、二十九位に傭兵、ちょっとびっくりしちゃうような。それから七十一位にシャーマンなんていうのが出てきているので、こういうのが本当に子供たちに人気があるのかどうか。これは恐らく、テレビですとかネットの独特な影響があってこういうものが出てきているのかなという思いがしますけれども、これは余計な話で、あとは私が元いた職場の職業でいうと、五十六位にアナウンサーがいて、六十一位にテレビ業界で働くというのがあるんですが、さあ、四十三位、印が付いていますが、弁護士さんは四十三位、これはまあまあ子供たちがなりたいというのも分かると思うんですが。では、そのほかに法曹界でいうと検察官と裁判官がいるんですけれども、表見てください、百十二位まで出ているけれども、ない。裏返しをしていただくと、百四十八位。政治家より下ですね、検察官。それから、何と裁判官に至っては百八十四位ということなんです。 ちょっと私はこれショックを受けました。これ御覧になって、谷垣大臣、率直にどんな印象をお持ちでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは拝見しますと、なかなか読み方が難しいなと。我々の政治家の前に入れ墨師なんていうのもございまして、読み方、なかなか簡単じゃないなと思います。 ただ、やはりこの司法の質を上げていくときに、憧れ、やっぱり若い子供たちに少しは、ああ、ああいうところで頑張りたいなという憧れを持ってもらうということも必要だと思うんですね。私なんか、子供のころ、ベニスの商人という本を読みまして、あのシャイロック、肉一ポンドと契約したと。そうすると、ポーシャという裁判官が肉の中には血は含まれていないはずだと、肉一ポンド切り取ってもいいけれども血は出すなと言って助けちゃうと、格好いいななんて思った記憶がありますが。ちょっと百八十四位は、今日は裁判所おられるけれども、お気の毒だなと思います。もう少しやはりイメージアップを我々も図らなきゃいけないんじゃないかと思います。
○真山勇一君 そうですね。ベニスの商人のお話もありましたし、それから、私なんかはやっぱり、ちょっと毛色は違いますけれども、江戸時代のお白州で裁く遠山の金さんみたいな、結構裁判官もそういうドラマの主人公になれたはずなんですが、今テレビとか映画を見ていますと、大体、弁護士さんというのはやはり弱い被告を守る正義の人、正義の味方ということでテレビドラマになりますし、それから検察官は悪を追及するということで結構主人公になるんですが、裁判官って、皆さん、何かそういう、いわゆる目の見えるところで印象が薄いような気がするんですね。 例えば、そういう刑事物ですとか弁護士物のドラマの中でも時々、裁判の判決があって、そうすると、そのときだけとんとんとたたいて判決を下すというところしかないし、テレビのニュースを見ていただくとすごくよく分かるんですが、裁判のニュースというのは必ず、ほとんどないです、映像、ないです。たまに内部を撮らしてくれる裁判の場合でも、裁判官を中心に、陪席の方とただじいっとして座っている。静止画ですね、あれは。つまり写真なんですね。 テレビというのは動く映像を使うわけなんですけれども、止まっている映像しか撮れないというのは、何か生き生きとしたところとか、やっぱり裁判官なじみがあるというところはなかなか、ちょっと厳しいことを言って申し訳ございませんけれども、やっぱりそういうような感じがどうしてもしているわけなんですね。ですから、やっぱりその辺が人気がないところなのか、こうやって子供たちのあれを見てみると、やっぱりなりたいなということでいうと順番が低くなってしまうということなんですが。 ちなみに、伺いたいんですが、法曹界を目指す裁判官、検察官、弁護士になるための司法研修所というのがあって、そこを卒業されるとそのどちらかに進むということを先ほどちょっと大臣からのお話も出ましたけれども、大体、将来、ここを卒業した後の進路というのはどのぐらいの割合になっているのか、ちょっと確認をさせていただきたいと思うんですが。
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。 最近二年間の状況を御説明させていただきますと、昨年、平成二十四年十二月に司法研修所を卒業した者、司法修習を終了した者でございますけれども、その者たちの修習終了直後の進路内訳でいいますと、裁判官が九十二名、検察官が七十二名、弁護士千三百七十人で、その他五百四十六人となっております。同じように、平成二十三年の数字を申し上げますと、修習終了直後の数でございますけれども、裁判官が百二人、検察官が七十一人、弁護士千五百十五人、その他四百六十四人となっております。
○委員長(草川昭三君) 真山君、時間が来ていますから。
○真山勇一君 はい。ありがとうございます。 やっぱりこの数字でもお分かりのように、弁護士さん、まさにこのランキングどおりの順番になっているなという、そんなような印象もちょっと受けるわけなんですけれども。 もう時間が来ているので、ここまで聞いたことを踏まえまして一言だけちょっとお伺いしたいんですが、大臣、やっぱり優秀な人材を法曹界は集めなくちゃいけない。特に、裁判というのはその最終的な、いろいろな犯罪とか罪の最終的な判断を下すところ、大事なんですから、やはりそこに優秀な人材、そのためには裁判官になりたいなという人を集めなくちゃいけないんですけれども、その辺の改善策、これ難しいと思うんですが、大臣はどんなふうにお考えになるか、これを最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、先ほどのこの十三歳のハローワークでは随分低い順序ですが、裁判官の仕事というのは、これはやりがいもあるし、非常に意義の高い仕事だと思うんですね。 それで、ただ、先ほど真山委員がおっしゃいましたように、やはり職業柄、何というんでしょうか、いろんな人にどんどん、いわゆる市民の中にどんどん入っていくといいますかね、そういうのがなかなか、中立性というようなことが要請されておりますので、なかなかどうも遠いところにいる人という印象がやっぱりあるのかもしれないなと思います。そこら辺りは難しいところですが、どうそのイメージを改善していくのか。 実は私もこの国会の中で仕事をしておりますと、特に議運なんかで仕事をしておりますと、マスコミに研修に行かれたような裁判官が国会の中にも時々いらっしゃる。だから、何というんでしょうかね、もう少し、少しそういう世間の目に、まあそれが世間の目に触れることになるのかどうか分かりませんが、多様な経験を積んでいただくというのも一つかなというような気もいたします。ちょっとその辺はまだ、私、十分練れたお答えはまだできないんですが、そんなことを感じたりしております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○森ゆうこ君 私も第二ラウンドということで、よろしくお願いいたします。 最後に、定員の在り方について、資質の向上等、あるいは冤罪を防ぐという観点も踏まえて大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、まず最高裁に伺いたいと思います。 私も裁判官訴追委員会の一員でございました。ですから、先般の華井裁判官の件にもかかわらせていただきました。どういう対応をしたかについてはここでは申し上げられませんけれども、まず裁判官の資質の向上ということについて、華井裁判官の件もございましたし、どのように今後お取り組みになるのかについてまず伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答え申し上げます。 最初にでございますけれども、今回、現職の裁判官が逮捕され、弾劾裁判におきまして罷免の判決を受けるに至ったことは誠に遺憾でありまして、このような形で裁判官ひいては司法に対する信頼を著しく損なうことになってしまったことにつきまして、この場をお借りいたしまして国民の皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。 華井判事補のような若手の裁判官についてでございますけれども、判事補任官直後などに行われます研修におきまして、法令の遵守や高い倫理観の保持について徹底を図ってまいったところでございます。さらに、若手の裁判官にとりましては、合議体の一員として先輩裁判官とともに日々の職務を行っていく中で、裁判官の間で培われてまいりました職業倫理をきちんと身をもって学ぶことが極めて重要であると考えておりまして、このような日々の職務を通じたOJTの充実についても配慮をしてまいったところでございます。 最高裁判所といたしましては、今回の事件も受けまして、今後とも各種の研修等の場を通じて資質の向上を図るとともに、機会あるごとに注意喚起を図ることによりまして、各裁判官がその重い職責を自覚し、高い倫理観を保持して、託された職務に全力を尽くすという地道な努力を継続することで信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
○森ゆうこ君 大変経歴を見ますと優秀な、そして挫折のない、まあ順風満帆と言ったらいいんでしょうか、そういう経歴を歩んできた非常に優秀な人材だったというふうに思いますが、大変残念でありますし、裁判で人を裁く、判決を下す立場の人ですから、とにかく裁判官の倫理性を高める、そして特に人権感覚といいますか、基本的にはそういうことにもう少し努力をいただきたいというふうに思います。 さて、冤罪を防ぐために裁判所と検察はどう取り組むのかということについて伺いたいと思います。 この間、予算委員会、そしてこの法務委員会でも様々指摘をさせていただきました。まず、捜査する側が、先ほども申し上げましたように、証拠を捏造したり、捜査報告書を捏造したり、供述調書を偽造するというか、作文してしまえば誰でも犯罪者にすることができるわけです。だから、まずはここで検察の改革を、先ほどの大臣の答弁ではちょっと、やはり具体的に本当にやられるのかということについて確信が持てませんので、事実から目を背けないできちんと対応していただくのが国民の代表として法務大臣の私は責務だと思いますので、先ほども有田委員から重ねて質問がありましたけれども、組織を守ろうとしても検察は立ち直れませんよ、これ。御存じだと思います。 小川元法務大臣は勇気を出して検察のために、検察の国民からの信頼を取り戻すために、そして私もいろいろお話聞きますと、検察内部でもほとんどの真面目な検察官は、この件はもうとんでもない話で、真面目に仕事をしている人たちからは迷惑だと、きちんと改革してもらいたいと、そういう声が聞こえてくるんですよ。私は、大臣はそういう声にきちんとおこたえをいただきたいと思いますし、何でしょう、個別の案件だからお答えできないじゃなくて、最高検の報告書はああいうふうに出ているわけですし、誰が見ても作り話、偽造、反論の余地がないほどおかしな話なんですから。それが政治家の役目じゃないですか、大臣。 まず、捜査する側が犯罪をつくり出さないようにする、そのことのために具体的に今事例が示されているわけですから、もっと踏み込んだ御答弁をいただきたいと思うんですけど。人ごとじゃないんですよ、これ。大臣の身にも及ぶかもしれませんよ、将来。いや、本当ですよ、これ。是非お答えいただきたいと思います。冤罪を防ぐためにどうするか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、森委員から冤罪を防ぐためにということがございました。これは、結局は突き詰めていけば捜査の基本に戻るというしかないんだと思いますね。やっぱりきちっと証拠に基づいて判断をしていくということだと思います。 そういう意味では、私は、例えば今可視化ということが行われている、ああいうものはやはりきちっとした効果が出てくるんだろうと思います。先ほど申し上げたような答弁の繰り返しはもう避けますけれども、そういった基本的な努力をきちっとやると、今のお問いかけに答えるにはそれしかないと思います。
○森ゆうこ君 そうであれば、具体的に事実があるわけですから。しかも、最高検の報告書が出ているわけですから、昨年の六月二十七日に。それ読んでいただければ、法曹資格おありになるわけですから、よくおかしなことはもうお分かりになっていらっしゃると思うんです。是非、お考えをいただいて、法務大臣としてしかるべき対応をお取りいただきたいと思います。 今ある問題に対処しなければ、今の大臣の御答弁は単なる、何といったらいいんでしょうね、社交辞令にすぎなくなると私は思います。この重大な問題をきちんと解決する、これができなければ検察の改革なんというのは絶対できませんから。だからこそ、小川元法務大臣は勇気を持って指揮権発動されようとした、そして更迭をされたんです。まあ、もうこの本お読みになっていらっしゃると思いますけど、お読みになっていらっしゃいますか。──じゃ、後で差し上げますから是非読んでいただきたいと思います。 最高裁にお聞きします。 こういう現実があるわけです。検察官が、あるいは警察が証拠を捏造する、供述調書を偽造する。最後のとりでが裁判所なんですね、裁判所。しかし、新聞報道にもありますように、実際、現場の声として、裁判の迅速化等に追われて検察の捜査を丸のみにしてしまうと、何の疑問も挟まず、そのまま検察の思うとおりに裁判の結果を出してしまうと、そういう指摘もあるわけです。 裁判所として、冤罪を防ぐ具体的な効果のあるお取り組み、是非御答弁いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 委員御指摘のとおり、無実の方が有罪判決を受けるというようなことは決してあってはならないというふうに考えております。 そのような事態が生じないためには、いかなる事件におきましても、当事者双方の主張に十分耳を傾けまして、また当事者双方から提出された証拠についてこれを十分に吟味しまして、最終的には検察官が立証責任を負担しているわけですから、検察官が合理的な疑いを超える程度の立証を尽くしたかどうかという点を慎重に見極めて判断をすることが重要であると考えておりますし、この点については、各裁判官がそのように考えて仕事をしているものと理解しております。
○森ゆうこ君 はっきり言って聞き飽きた答弁なんですけれども。 特別研究会をお持ちになっていらっしゃいますよね。最高裁、部屋に来ていろいろ説明いただいたときに、お答えはいただけなかったんですけれども、例えば冤罪、後で自分が下した判決が冤罪であったと、冤罪であったその判決が間違っていなかったかどうなのか顧みる仕組みがないというふうにお話をいただきました。 きちんと、冤罪だったと後から分かったときに、これを顧みる、あるいはそれを最高裁として研究をして、事実ですよ、判例を、なぜそうなったのか、そういうことをなさっているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) ただいま特別研究会というお話ございましたけれども、誤判防止の観点も含めまして、司法研修所の研究会、刑事実務研究会あるいは特別研究会などと名付けております。こういった研究会におきまして、できるだけ多くの裁判官が議論を行いましてその成果を共有していくという形の方法が望ましいと思っておりまして、事務当局といたしましても、今後も個々の裁判官がこのような形で研さんを行う機会を設けるように配慮していきたいと考えております。
○森ゆうこ君 冤罪と判断された事例について、具体的にそれを題材として検証するということはやっていますかという質問です。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 個々の事件、個別具体的な事件についての内容に踏み込んだ形での検証を行うということは、個々の裁判官の職権行使の独立に触れかねませんので、この点から問題があるというふうに考えております。
○森ゆうこ君 それはおかしいんじゃないですか。冤罪と確定したものについて、それを事例としてきちんと検証しなければ、冤罪は防げないんじゃないんですか。なぜそれが裁判の独立性にかかわるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 個々の事件の当否、あるいは個々の事件の訴訟運営につきまして後ほど具体的に検証を行うということについては、その裁判官の後々の職権行使に影響を及ぼす可能性がございます。そういう観点から問題があるかというふうに考えているところではございます。 ただ、先ほど申しましたように、具体的な事件を必ずしも前提としませんでも、様々な形でその誤判事例、冤罪事例等を検証していくということは、これは必要なことと考えておりますので、そういう形での、個々の事件のものに触れない形での検証というものをやっていきたいと考えているところでございます。
○森ゆうこ君 国民の間でどういうふうに言われているかというと、例えばその冤罪、まあここで個人名は出すのは避けますけれども、後から冤罪であったということが分かったその事件の裁判官、この人は反省がないと。その裁判官に当たったから、残念ながら検察の思うとおりに誘導されて、まあ有罪になるねということが言われるわけですね、巷間。 そういうふうに裁判官が見られるということはよろしくないと私は思いますから、じゃ、完全にその冤罪ということが、自分の下した判決が最終的には冤罪であったということが分かっても、その裁判官そのもの、そして裁判所としても、それを顧みて、きちんとした判断、司法判断が下せなかったことについては何の反省もしないということなんですね。最後、確認させてください。
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) 先ほど申しましたのは、個々の事件を素材にして組織的な研究をすることがいかがなものかということではございます。ただ、個々の事件が、自分の担当した事件について間違っていたのではないかということについては常に反省しているというふうに私は信じております。 以上でございます。
○森ゆうこ君 終わります。 ─────────────
○委員長(草川昭三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、魚住裕一郎君が委員を辞任され、その補欠として石川博崇君が選任されました。 ─────────────
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 障害のある人の裁判に参加する権利についてお聞きをいたします。 現行の民事訴訟の手続に、障害のある人が訴訟当事者になった場合を想定した規定がほとんど存在しておりません。そのために、障害のある人が十分な訴訟活動を行うことが非常に困難になっております。民事訴訟の手続というのは健常者にとっても非常にハードルが高いわけでありますが、書類を自由に読み書きできない視覚障害者や、難解な書類の内容を理解しにくい知的障害者の方など、民事訴訟を利用することは極めて困難になっております。 一方、二〇一一年に施行された障害者基本法は、第二十九条で司法手続における配慮等を定めております。国又は地方公共団体は、障害者が、裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人になった場合において、障害者がその権利を円滑にできるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならないと、こう定めております。 まず法務大臣と最高裁にお聞きいたしますが、この基本法の制定を受けて、どのような配慮、施策が行われてきて、かつ、現状についてはどのように認識をされているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。 最高裁判所としましては、障害者基本法の改正を受けて、裁判所職員に対して法改正の趣旨及び内容を周知するとともに、各種研修において法改正について触れるなどして、裁判所職員の意識の向上を図っているところでございます。 各裁判所においては、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するという法改正の趣旨を踏まえて、事案に応じた適切な配慮が行われつつあるものというふうに認識しております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、最高裁の方でやっておられることは御答弁がございました。そういう形で障害者基本法を周知徹底させるということをやっていただいているわけですが、それに加えまして現行の民事訴訟法におきましては、当事者あるいは証人等々、口頭弁論に関与する者が、耳が聞こえない方とかあるいは口が利けない、そういうことで口頭弁論において陳述していくのに支障が、差し障りがある場合、これは裁判所のお仕事なんですが、裁判所は通訳人を立ち会わせて口頭弁論を行わなければならないというふうになっております。 それから、当事者が難聴であるとか言語障害、あるいはもう御高齢である、それから知能が十分ではない、こういうような十分な訴訟行為をなし得ないような場合に、これも裁判所の許可を得て、補佐人と一緒に出頭することができるというふうになっておりまして、こういうものを適宜適切に、個々の障害者の訴訟行為ができるように適切に配慮していくということを更に努めていただいていると考えております。
○井上哲士君 最高裁からは行われつつあると、こういう答弁でありましたから、まだまだ不十分だということだと思うんですね。 今、民事訴訟法の第百四十八条第一項で裁判長の訴訟指揮の範囲で様々な配慮が行われておりますが、やはり個々の裁判体の判断による訴訟指揮の範囲になっているわけで、その裁量によって当該当事者が十分な訴訟活動を行うことができないという事態もいろいろ聞いております。裁判所規則でもう少し明確に裁判所が行うべき具体的な合理的配慮の規定を設けるべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。 合理的な配慮につきましては、やはり個別事案ごとに異なり得るものでありますから、規則によって画一的に訴訟指揮を拘束するということは必ずしも相当ではないのではないかと。また、それらを網羅的に規則に書き込むこともなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○井上哲士君 それはやり方、規定ぶりだと思うんですよね。現実でいうとやはりまだまだ十分な配慮がされていないわけですから、きちっとできるようにする上で、私は是非この合理的配慮の規定についてできる限り具体的なものを設けることが必要だと思うんですが。 その上で具体的にいろいろ聞きますが、先ほど研修のことがございました。事前に資料をいただきますと、新任の判事補研修や新任の部総括、支部長の研修会で、それぞれ法務省の人権擁護局長や学者やマスコミ関係者が人権問題とか国際人権規約等についての講演をされております。国際的な潮流についてもっともっと研修を深めていただくことは必要だと思います。 書記官の養成課程では、民事特別講座として法務省の人権擁護局による障害者への配慮の講義などが行われるとともに、グループ別の総合演習として病院やホテル、社会福祉法人などの施設の訪問を通じてテーマを深める取組をやっているとお聞きしましたが、ただ、この過去五年間で社会福祉法人を見学先にしたのは二十四年度だけだったとお聞きしておるわけで、やはり障害者への配慮を学ぶという点ではまだまだ極めて不十分だと思うんです。 そこで、障害を持つ当事者を講師にしたり、それから当事者団体との意見交換を行うとか、こういうことによって具体的、合理的配慮の中身とか実施方法についてもっともっと研修を深めることが必要だと思うんですが、そういう当事者との意見交換など、いかがお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。 ただいま委員の方から御紹介ございましたように、研修につきましては、裁判官の研修を担当しております司法研修所、裁判官以外の裁判所職員の研修を担当しております裁判所職員総合研修所あるいは各裁判所において、障害者に関する研修も含めてどのような研修をどのようなテーマで実施するのがよいのかといった点について試行錯誤しながら今研修を計画、実施しているところでございますので、委員からの御指摘も踏まえて引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 これは本当に当事者じゃないと分からないことがたくさんあるんですね。是非これは実現をしていただきたいと思います。 視覚障害者や知的障害者への配慮なんですが、訴状の送達を受けても、それが訴状であることを認識できないまま送達の効力が発生をして欠席裁判が行われて、さらに、送達された文書が判決文であることを知らないまま控訴期間が経過をし確定してしまうと、こういう事態も起こっておりますし、二〇〇二年に通達を出されて、裁判所が必要と認める場合は点字文書を交付、送付するという便宜供与を図ることとされておりますけれども、その後どのぐらいこの便宜供与が行われているのか、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。 御質問のあった点訳判決等の件数についてでございますけれども、最高裁の方としまして判決書の点訳書面を交付した事例について一律に報告を受けているものではございませんので、ただいま御紹介のあった報道で紹介されている以外に、こちらの方で把握しているというところはございません。
○井上哲士君 二〇一二年の九月に名古屋地裁で点字の判決文がありましたが、これが全国二例目という報道だったわけで、本当にごく一部に、特に判決にはとどまっておるわけで、これも是非もっと広げていただきたいと思います。 さらに、聴覚障害者への配慮ですけれども、先ほどいろんな通訳の配置はできるということでありますが、この費用負担ですね。まず、手話通訳や要約筆記の扱い及びその費用負担、これはどうなっているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。 一般的に手話通訳は、民事訴訟法百五十四条一項本文の通訳人に該当するというふうに解釈をされておりまして、通訳人の通訳料は民事訴訟費用等に関する法律によって当事者が負担すべき費用とされております。そして、この民事訴訟費用等に関する法律は強行法規というふうに解釈されておりますので、裁判所でその支払を任意に免除することはできないと、そういうことでございますので、当事者が一旦その費用を予納された上で、その上で、最終的には、費用の負担は原則として敗訴した当事者が負担するという扱いになっております。
○井上哲士君 これ、手話通訳というのはかなり負担でありまして、一日で三、四万掛かる場合もあるとお聞きをいたしました。ですから、民事訴訟に踏み切る、場合によっては自分が負担しなくちゃいけないということになりますと、非常に高いハードルになっておりまして、実質的にやっぱり裁判を受ける権利が阻害をされていると思うんですね。 全日本ろうあ協会のアンケート調査では、回答した九百七十一市町村のうち、手話通訳の派遣事業の実施率は約八三%です。そのうち、九三・八%は利用料を徴収をしておりません。これは、コミュニケーションに受益ということを求めるのは無理があるという判断だと思うんですが、一方、この派遣の範囲にいろいろ差がありまして、医療や官公庁の手続は約八割五分が対象ですが、裁判や警察関係は六六・三%しか対象になっていないので、三分の一は対象外なんですね、地方自治体の支援についても。それから、県外派遣を認めないというのも四二・七%ありまして、住んでいる地域によって、またその裁判を受ける場所によって、通訳の派遣料の負担に大きな差が出ておりまして、これは裁判を受けるところに格差が生じております。 これ、民事訴訟法で訴訟費用の負担になるということでありますけれども、こういうやっぱり格差というものを是正をするということを考えますと、この民事訴訟法の改正ということも含めて配慮をすることが必要かと思うんですが、この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、最高裁から御答弁がありましたように、手話通訳は当事者負担で、敗訴者が負担するのが原則だと。ただ、今委員のお問いかけは、事前に納付したりいろいろ負担もあるんじゃないかということだと思いますね。 それでもう一つ、要約筆記というのがございまして、やっぱり普通の筆記なんかではよく、うまくいかない場合には、口頭弁論における口頭のやり取りを要約筆記者がパソコン等で分かるようにしていくと、これは訴訟費用には当たらないと、これは国が負担するということになって、そういう扱いになっていると思います。 そこでさらに、今の御趣旨は国が国費で負担する制度をもっと拡充すべきではないかという、そういう御趣旨だと思うんですが、障害者が訴訟上もその権利を行使できるようにそれぞれに応じてどうしていくかということは、相当これから考えていかなきゃならない面が一つはございます。 しかし、他方、民事訴訟は私人間の紛争を解決するものだというのもございまして、だから手続に要する費用は普通は当事者負担となって敗訴者が負担するということになっているわけですが、手続を利用する人と利用しない人の公平をどう図っていくかという観点ももう一つあるように思います。 そこらをどうしていくかというのは非常に難しい検討が必要ではないかというふうに感じます。
○井上哲士君 例えばアメリカでは、障害のあるアメリカ人に関する法というもので、障害のある当事者が、州の裁判所や地方裁判所を含むあらゆる州政府及び地方政府の機関の提供するプログラムや活動への参加を否定するということを禁止しておりまして、その一環として、州裁判所や地方裁判所がその費用によって配慮を行うべき旨を規定をしております。その上で、一九七八年の法廷通訳法というのがありまして、連邦裁判所が、一定の要件の下で、聴覚障害のある訴訟当事者や証人等のための手話通訳等の費用を公費で負担しなければならないという規定をしているんですね。 先ほど、利用した人としない人の不公平感みたいなお話がありましたけど、これは裁判にそもそも参加する、その手続に入る前のハードルになっているわけですよ。ですから、私はやっぱりいろんな障害を持っている方が裁判手続というものを選ばれる自体が障害になっているということは、基本法の精神からいっても、また障害者の権利に関する条約の精神からいっても、これはやっぱり賄っていくということは国際的にも大きな流れだと思うんですね。 難しい検討と言われましたけれども、前向きの検討を是非お願いしたいと思いますが、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) その辺、いろいろまた状況をよく見て考えていきたいと思います。
○井上哲士君 これはアメリカだけではなくて、韓国でも、二〇〇七年の三月に制定された障害者差別禁止法でも、民事訴訟手続における訴訟当事者及び証人のための手話通訳等の費用は公費で負担すべきということの規定になっておりまして、国際的に大きな流れになっております。 是非、これは障害者の裁判参加を保障するという点で前向きの検討を是非強く求めまして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(草川昭三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いします。 〔賛成者挙手〕
○委員長(草川昭三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後四時二十六分散会