憲法審査会 第2号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 10
- 開催日
- 2013/04/03
会議録
○会長(小坂憲次君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、「二院制」のうち、二院制の存在意義について、本日の審査会に東京経済大学現代法学部教授加藤一彦君及び東洋大学法学部教授加藤秀治郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(小坂憲次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(小坂憲次君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題とし、「二院制」のうち、二院制の存在意義について参考人の方々から御意見を聴取いたします。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ本審査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。審査会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 これまでの経験を踏まえた忌憚のない御意見を賜り、今後の調査に生かしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、加藤一彦参考人、加藤秀治郎参考人の順にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず加藤一彦参考人にお願いをいたします。加藤一彦参考人。
○参考人(加藤一彦君) まず最初に、国権の最高機関であり、また良識の府であります本院にお招きくださり、心より御礼申し上げます。 本日、十五分ばかりお話しいたしますが、何分勉強不足のゆえ、至らない点もあろうかと思います。少しでも本審査会のお役に立てればと考えております。 では、早速中身に入ります。事前にお渡しした簡単な要旨に従いましてお話ししたいと思います。限られた時間でございますので省略するところもあります。 まず、一番目。 世界には約百八十の国、共同体があります。その全てを網羅的に調べ上げるのは不可能でありますし、また必要ではありません。日本との比較では、一定の条件を付した方がよいと思われます。そこで、日本の国力、すなわちG20加盟国ということと世界の人口規模に着眼して分類してみますると、次のように分かたれると思います。 両院制の国につきましては、ここに書いてありますように、皆様方がよく知られている国だと思います。これに対して一院制の国、韓国、サウジアラビア、トルコ、中国、この四つの国が一院制の国でございますが、人口一億人という単位で見ますると、中国のみがこれを超えているということになります。要するに、経済的国力と人口規模に着眼した場合、共産党の一党独裁制を取る中国のみが一院制でございます。このことは、両院制が高いレベルで共通の憲法理解になっているのではないかと思われます。 次、二の両院制の分類でありますが、両院制を取る場合どのような形式があるかということでございますが、憲法学では、第二院の選出方法に着眼しまして次の三つに分類する場合が多いです。貴族院型、連邦型、多角的民意反映型という三つでございます。 では、第二院を置く理由はどこにあるのかということでございます。主に次の四つがその根拠と言われております。第一番目は多様な民意の反映、第二番目は第一院の補完機能、第三番目は慎重審議の励行、四番目は議会内の均衡の要請。この四つの理由は、日本国憲法上の国会との関係でいえば、当然、参議院の役割と対応関係性を持つことになります。 そこで、次の大きい三のところで参議院の事柄について触れたいと思います。 参議院の存在根拠につきまして、そもそも論というのが確かに一個あろうかと思われます。しかし、このことにつきましては既に皆様方多く知られていることだと思いますので、ここでは次のことだけ確認しておけばよろしいかと思います。GHQの憲法草案は一院制であったと。これに対して日本政府側が猛烈に反対をし、二院制を導入したと。その際に、貴族院の名称から、衆議院と同じようにハウス、両議院という言葉で表現できるようにということで参議院という言葉がその当時造語としてつくられたということを確認しておけばこの部分はよろしいかと思います。 次に、参議院の存在理由の点について入っていきたいと思います。 参議院の存在の根拠というのは、先ほど挙げた①から④の理由と当然関係してまいります。日本国憲法上、次のことと対応関係を持つと思います。①の多様な民意の反映に相当するのが憲法四十六条に定める各参議院議員の任期六年半数改選制であること、②の第一院の補完機能に相当するのが参議院の緊急集会の制度であること、③の慎重審議の励行に相当するのが両議院における法律案の議決という形式を取っていること、④議会内の均衡の要請に相当するのが憲法六十条二項など憲法所定事由以外両院は対等であるという点であります。すなわち、憲法上、衆議院の優越領域が極めて限定化されているということであります。 以上挙げた四つの理由に、もう一つ重要な参議院の存在理由があります。それは、参議院議員の通常選挙は必ず三年ごとに行われます。すなわち参議院議員の通常選挙は定時的定点的民意反映機能があることであります。 衆議院の総選挙とは異なり、内閣の意思による選挙執行はできません。そのため、内閣は、通常の場合、参議院通常選挙を意識しながら政権運営をせざるを得ないと。この定時的定点的民意反映機能が、恐らく第五番目の参議院の存在理由であろうかと思われます。 ただし、今挙げた①から④プラス第五番目の特質もひっくるめてでございますが、以上の憲法的機能を参議院が果たし得るのには一つ約束事があります。それは、参議院が全国民の代表機関であるという憲法四十三条に立脚する組織体であるということであります。時折、参議院を地域代表あるいは職能代表と描きがちでありますが、憲法上、全国民の代表機関であるということは、当然、部分代表的要素を排除することを意味します。この点は最高裁判所の判決にもかいま見ることができると思います。 では次、大きい四番目のところに入りたいと思います。逆転国会、あるいはメディアではねじれ国会という言い方もされると思いますが、ここでは普通の用語法として逆転国会という言葉を用いますが、この逆転国会というのは政治表層の問題であって、両院制の本質的問題ではないと考えております。なぜならば、これは解決可能な課題であるからであります。すなわち日本国憲法の想定内の問題であると、そう考えております。 両院関係性についてでございますが、私、ドイツをほんの少しばかり勉強しておりますので、ドイツとの比較の上で少しばかりお話ししたいと思います。 ドイツも両院制に分類しようと思えばすることもできるんですが、ドイツの連邦参議院は日本の参議院とは全く異なります。ドイツの連邦参議院を直訳すると、連邦の評議会となります。議院、ハウス、ドイツ語で言うカマーではありません。これは、ドイツ連邦憲法裁判所及び通説においても、連邦参議院はハウスではないということが明言されております。 連邦参議院は州の代表機関であり、全国民の代表機関ではございません。そのため、連邦参議院の構成員は州の指示に拘束されます。構成員は全て州政府の首相及び閣僚が兼務いたします。当然、無給でございます。何となれば州政府の給与をもらっているからでございます。 連邦参議院の構成員は、州の規模によって各州ごとに異なります。最低三名で、連邦参議院の今の構成数は六十九名でございます。ドイツの連邦参議院については大変イメージしにくいと思いますが、日本的にいえば、もしかしたらこう言った方が分かりやすいかと思います。全国知事会が立法権に参加している、各都道府県の人口数によって議員数、議決数が異なる、各知事の指示の下、各議決権は一括して投票されると、そういうイメージで描いた方が分かりやすいかと思います。 連邦参議院はそういった組織体でありますが、州レベルの選挙の結果、連邦議会、これは日本の衆議院に相当しますが、連邦議会と連邦参議院の多数派が異なるいわゆる逆転国会が発生します。その場合、ドイツではどういう解決を図っているのかということでございます。 今言った逆転が発生した場合は、日本の両院協議会に近しい法案審議合同協議会が形成されます。連邦議会側からは十六名、連邦参議院側から十六名です。この十六という値はドイツの州の数と同じです。この三十二名で成案を獲得すべく努力をするわけでございますが、かなりの高いレベルで成案獲得はしております。成案獲得率は約八五%です。 この高いパーセンテージはなぜ確保できるのかと申しますと、連邦議会側の協議委員、日本的にいえば協議委員になると思いますが、それは長老の政治家の方々がおなりになる。また、連邦参議院の側は、そもそもが各州の首相、閣僚でございますので、相当な政治的経験を積んだ方々によって構成されます。妥協案がそこで形成されれば、連邦議会はまず反対いたしません。そういうことで、逆転国会が発生した場合、政権党は何とか行き詰まりを回避すべく努力をしております。 では、日本の場合はどうかということであります。 両院協議会が憲法上及び国会法上設けられておりますが、両院協議会は二つの形式に分かつことができます。必要的両院協議会と任意的両院協議会でございます。必要的両院協議会は、成案不成立が前提となります。衆議院の議決を確定させるためです。これに対して任意的両院協議会は、法律案に関し衆議院側がその設置を認めた場合においてのみ形成されます。しかし、成案作成が著しく困難であります。過去を見ましても、昭和二十年代はあったと思うんですが、平成に入ってからは例の政治改革関連四法のみでございます。日本では、両院協議会において成案を獲得する法的環境は、実はそもそもないと見た方が自然かもしれません。 では、両院協議会についてどうしたらいいのかということでございますが、まず一つは、国会法改正を考えたらどうであろうかということになろうかと思います。それはどういうことかというと、衆議院優越は、憲法所定事由のみなのかと、法律で新たに創出することができるのかという論点と関連します。 国会法十三条は、既存法律で唯一衆議院の議決に優先権を与えています。参議院側は、従来両院対等として考えていたため、法律上衆議院を優先させるということにかなり消極的であり、むしろ抵抗してまいりました。したがいまして、国会法十三条を除いて衆議院の議決に優先権を与える法律上の規定は今日もありません。したがって、国会法改正で衆議院の優越を認めるという発想は、参議院サイドの態度を改めない限り不可能でありますし、また、私もこれは現実的可能性は著しく低いと見ております。 もう一つは、既存の両院協議会の組織をどのように変えていくのか、両院協議会の改革をすれば何とかなるんではないかということでありますが、これもかなり難しいであろうというふうに見ております。と申しますのも、現在のような衆議院十名全員与党と参議院十名全員野党では、対立があることを確認する機関で終わるからでございます。 では、最後にということで、本院には過去の議論の蓄積があるかと思います。河野謙三議長以来の良き伝統であります。これまで、参議院の存在を示すため、重要な三つのプランが出されたと思います。任期六年制の下、長期的視野に立った議論ができる環境を本院は持っているはずだというふうに私は考えております。すなわち、参議院廃止という非常に短期的な視点ではなく、なぜ本日挙げたところの一番最初の、多くの国々は第二院を置いたのかをやはりしっかり見詰め直した方がよろしいんじゃないかと考えております。 お約束の時間が来ました。これをもちまして、私の拙い報告、終了いたします。 御清聴ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、加藤秀治郎参考人にお願いをいたします。加藤秀治郎参考人。
○参考人(加藤秀治郎君) 東洋大学の加藤です。 時間がありませんので、早速本題に入らせていただきます。加藤一彦参考人の陳述とダブる点がありますので、その点は省略をさせていただきます。 まず初めにですが、衆参のねじれについて、私は非常に重大な問題だと思っていまして、ねじれの場合は、簡単に言いまして国政は麻痺していると思っております。参議院については、弱い第二院ではなくて、何らかの改革が必要だと思っております。 それで、衆議院の総選挙になりますと政権選択と言いますが、実はそうでないぐらい参議院が強くなっていると思います。衆議院の優越は形式的な法律論でありまして、長らくそれに気付かないでいたのは、自民党が衆参で十分な議席を得てきたからであります。それで、自民党、公明党の連立政権が成ってからですが、優越している衆議院の総選挙でも自由に政権を選択できるという状況にありません。ドイツの場合ですと連邦参議院だけで決まりますので、連立している政権同士も全く競合関係に入ります。 ということで、私は、衆議院の優越は部分的であり、半優越とでも呼ぶべきもので、法律の議決で制限されていますから、ということで、総選挙で勝った政党もまた、首相は出せても円滑な政権運営は保証されないというのが現状かと思います。 それで、国会のことを議論するとき、私は、立法府だということで法律を作るところだというイメージを持たれると思うんですが、同じ議会といいましても全く異なる二つの類型がありまして、どちらも日本人にはなじみがあるんですが、どういうわけか、議会についてはアメリカとイギリスの相違をほとんど認識しないまま議論がされています。 基本的には、議院内閣制か大統領制かによって根本的に異なるわけでありますが、議院内閣制の場合、極端なことどうなっているかといいますと、イギリスのバジョットの有名な本で、「イギリス憲政論」でありますが、下院の最も重要な機能は立法機能ではなくて首相の選出である。首相の選出は総選挙が終わりますと自動的に決まりますので、議会をやっているようなものではありません。ということは、狭義の立法機能はどこが担っているかといいますと、与党の内閣が実質的に担っているわけです。 ということは、イギリスとアメリカは全く違うわけで、分けて考えなきゃいけないのでありまして、この点、ポルスビーというアメリカの政治学者が非常にきれいな形で二つを分けて議論しています。日本の国会についての議論が混乱しているのは、この二つについての相違をわきまえない議論が多いからであります。 立法作業の議会、これはドイツ語的な表現を使いますが、アメリカでは、英語では変換の議会と言いますが、立法の必要な問題を明確にして法律にしていく役割を独立的に果たす議会が変換の議会。アメリカが典型で、社会の要求を法律にする。オランダ、スウェーデンもです。 これに対して、イギリスは論戦の議会でありまして、アリーナ、闘いの議会というふうに言います。議会は公式の論争の場でありまして、有権者に対立点を明確に示せればそれでよいと考えるもので、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアなどがそうでありまして、ここは立法部とはいうものの、議会では与党は内閣の法案を成立させることが任務でありまして、野党は、それを阻止したり修正したりするということよりも、批判をするということであります。 五五年体制下の野党とちょっと混同されがちですが、阻止、修正ということではなく、次の選挙のための批判をするというものであります。このような議会は政権交代が可能でないと意味を持ちませんので、日本ではなかなか理解しにくかったかと思いますが、現在はその状況が整いつつあると思います。 それで、両院制、三つありますが、先ほどのお話にもありましたので、貴族制、連邦制、参議院型ということでありますが、日本の場合は参議院型というのを取っているわけでありますが、創設時にほとんど議論がなされていないで、どんな両院制にするのかということが議論されていません。戦前は貴族院型ですから、民主的な方向への変革を衆議院が進める、それをチェックする、保守的なチェックをするのが貴族院というんですが、それに代わる参議院として何をやるのか、非常に曖昧なまま推移をしてきていると思います。 それで、参議院の選挙制度についてはすぐ独自性というようなことを言いますが、これは混乱のもとでありまして、そこにイタリア出身でアメリカの代表的な政治学者サルトーリという人の定式を引きましたが、一方の優越が明確で両院の権限が不均衡、衆議院がもっと強ければ両院の勢力の構成は似ていなくても構わないけれども、似ているならば似なければいけないということでありまして、私なりの訳のようなことを掲げますと、参議院の権限が弱ければねじれは放置してもよいが、権限が対等なら両院で与野党の似たような勢力関係を保たなくてはいけないということであります。ですから、参議院だけ独自の選挙制度などということは根本をわきまえない議論ではないかと私は思っております。 憲法制定の経緯では、先ほどお話がありましたが、マッカーサーが一院制でいいんじゃないかというとき、部下が、まあ日本に譲ってもいいというところで、参議院つくりたいという話を出てきたとき割と簡単に認めますが、そう検討しないままで来たもので、憲法上、参議院の権限は強力なのでありますから政党化するのは必然的であります。しかし、政党化されない参議院が可能であるような形で日本では参議院のことをずっと議論してきたと思います。 それで、改革の方向性としましては、暫定的な結論を申し上げますと、私は権限関係を変えることは絶対必要だと思っております。そして、それは参議院をただ弱くすることではなくて、両方残す場合も、参議院の実質的な力を増大させる可能性があると思っています。遅らせる議院、修正の議院ということであります。それで、両院制で組織、構成を変えようというのですが、これは簡単ではありませんし、下手に変えるとここが問題であります。 二番目は、手続、運営をどうするかというんですが、これは幾らでもやることがあります。国会法は非常におかしい法律でありまして、憲法上は議院自律権というのが決められているにもかかわらず、参議院は参議院のことを参議院で決められないということであります。あとは、党議拘束を衆議院、参議院またいでおります。ですから、やるなら党議ではなくて衆議院は衆議院の会派規律、参議院は参議院の会派規律としなければいけないと思っております。 あとは、党議拘束を掛ける時期をいつにするかということでありまして、基本的には権限を変えなければいけないと思いまして、私は衆議院の再議決のハードルを過半数に下げる、それで再議決の前に一定の冷却期間を置くということで、遅らせる議院として、その間、六十日ぐらいが適当かと思いますが、世論調査などが行われますから衆議院も単純に再議決をしないと思います。そうしますと、六十日の間に参議院の言っていることの方がいいじゃないかということになれば、権限は弱まりますが、参議院の主張したことが実質上実現する道が開かれると思います。 そういうことで、ほかの案を考えるとしたら何があるかということでありますが、一院制的なものに移行するというんですけれども、一つは、日本ではありませんが、両院合同会。ノルウェー、オーストラリア、ブラジル、インドなどがやっているんですが、各院の代表者が集まるのではなくて、両院の議員がそのまま集まって採決をするという、これであります。これをやるとどうなるかといいますと、参議院選挙のたびに今では連立の組替えの可能性が出ているわけでありますが、今度は参議院と衆議院、現在、数を大まかに言って衆議院二に対して参議院一ですから、参議院の変化がもろに、拒否権を持っている参議院の力がそのままストレートにでなくてサイズに応じた形で連立を組めばいいということで、かなり柔軟な形になってくるかと思います。 これをやりながらということで、私は、思い付きのようなんですが、参議院選挙のたびに、例えば二〇一三年に当選した方は六年後に半減する、さらに六年後は改選なしということを決めながらやるとかというようなことをやれば、段階的に、いきなり廃止というよりは円滑にいくのではないかということで、思い付きのようでありますが、こういうことを書いたことがございます。 結論的にどんなことが言えるか。私の考えですが、まず三つの案でありますが、一番目が、衆議院の再議決の要件を過半数にする、再議決までに六十日の冷却期間を置くということでありまして、これをやりますと、両院を存続することになりますが、参議院は修正の議院ということで、権限は弱まりますが、実質は強くなると思います。これは、私がこれまで参議院議員の方にこの案を述べさせていただいたことがあるんですが、最初は、結論を言いますとほとんどの方は賛成しませんが、三十分なりなんなり掛けてお話ししますと、それもいいですねということで、かなり御理解をいただけると思います。 二番目は、両院協議会の改革で、これは国会法の改正でできることでありまして、現在の国会法の両院協議会は、まさに機能しないように工夫してつくったような両院協議会になっておりまして、これでは動かないのは当然であります。 御承知のように、各院を代表する協議委員ですが、半数でございますが、賛成側から十人、反対側から十人出てきて、成案は三分の二なきゃいけないということで、これでは動きようがありませんが、ここにも衆議院の優越というようなことを少し盛り込んでもいいのではないかと。それで成案が出る可能性が出てきます。あとは、成案の条件は過半数に下げて、どうせその後、衆議院、参議院とその案を審議するわけですから、ここでの規定がそのまま生きるわけではありません。したがって、両院協議会の在り方は早急に改めた方がいいと思います。 それで、三番目が一院制への移行案でありますが、二つほど書いておきました。 一つは、経過措置として、先ほど言いましたように、両院合同会などを設けてそれを活用するんですね。そうしますと、段階的に一院制に移行するのはスムーズにいくと思います。それで、現在、定数削減のことが議論されていますが、簡単に言いますと、定数削減しないまま衆議院議員も参議院議員も合わせて一院制にすれば、ここの両院合同会みたいなものが本会議になるわけですから、かなり難しくなく移行することができるかと思います。それを、あと一気に行う方法もあろうかと思いますが、いずれにしても憲法の改正が必要ですが、現在のような形のものを放置するということは非常に問題が多いと思っております。 それで、そこの表で簡単に二つのタイプを並べましたが、日本は議院内閣制を基本としていますから、イギリスのように国会は討論するところというところで、与党が作った法案を通す、野党はそれを批判する、次の選挙で勝てばいいというものでいいと思いますが、その場合は、下院の優越を明確にして実質的に一院制に近い運用にするか、あとは一院制にするということであります。 アメリカのようにやれという議論が日本でも出るわけでありますが、根本的にどこが違うかといいますと、補助スタッフですね。日本はほとんどいないに等しいのでありまして、現在公費で雇われている秘書の方は三名いますが、失礼ながら、名前が政策秘書と付いている方も含めて全部総務的な秘書ですね。少し中途半端に増やしたところで選挙対策に従事するような秘書の方が増えるだけで、アメリカですと上院議員は四十七人、平均ですね、下院議員ですと十七人も秘書がいますから、政策立案というようなことは議員が担える条件が整っておりますが、日本はそういう状態にないのにアメリカのようにやれということで、名前が立法府だということで、法律を作るところが国会だというイメージにとらわれて議論していますが。 イギリスの議会は全くそうなっていませんで、議員会館なども実にお粗末なもので、このポルスビーが、翻訳もありますが、議員さんがコートを着て、そのコートをどこに入れるかというと、議員食堂の横にロッカーがあるだけで、そこに置く。そこで物を出したり入れたりしていると、後ろを食堂のウエートレスさんが通ってぶつかってしまう。そういう状態でイギリスは議会が運営できるということは何かというと、非常にシンプルな、議員数は多いけれどもシンプルな形で運営できる国会というものをつくっているわけでありますね。 ですから、日本で、アメリカとイギリスの相違をわきまえないで、何となく立法府なんだからこれをしろ、あれをしろということを言っているのは非常に議論としておかしいのではないかということであります。 参議院で申し上げるには非常に失礼な意見を申し上げさせていただきましたが、時間になりましたのでここまでとさせていただきます。 どうも御清聴ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々からの意見聴取は終了いたしました。 これより質疑に入ります。 お手元に配付をいたしております参考人質疑の方式に関する留意事項のとおり、本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑を希望される委員は、お手元にある氏名標を立ててお知らせください。そして、会長の指名を受けた後に発言をお願いいたします。 質疑の時間が限られておりますので、一回の質疑時間は答弁及び追加質問を含め八分以内でお願いいたします。すなわち、参考人の方々の答弁時間を十分に考慮いただき、質疑の時間の配分に御留意ください。発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。 参考人の方々におかれましても、答弁はできる限り簡潔にお願いをいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、質疑を希望される方は氏名標をお立てください。 それでは、前川清成さん。
○前川清成君 早速の御指名ありがとうございます。民主党の前川清成と申します。 私は、加藤秀治郎先生にお尋ねをいたしたいと思います。 先生の御認識の立論のスタートとしては、衆参のねじれが国政の麻痺を招いていると、この点からスタートしておられると思います。麻痺というのは、衆議院で多数を占めている政権が思いのまま法案を通せていない、これを麻痺とおっしゃっているのだろうと思います。確かに、私たちも二〇一〇年の参議院選挙で過半数をなくしました。その後の大変苦労を、政権運営の際に大変な苦労がございました。しかしながら、衆議院で多数を占めている政権が思いのまま法案を通せないことを麻痺とおっしゃるのは、国会が、あるいは国家権力が行うことは全て善なんだと、良いことなんだという思い込みからスタートをしているのではないのかなと思います。 大変先生には釈迦に説法で失礼な御発言になろうかと思いますが、憲法の歴史、立憲主義の歴史というのは、国家権力が何でも思いどおりどんどんやってくださいと、それを承認するための権限を付与するのが憲法ではなくて、国家権力の恣意的な行使、国家権力の濫用を防止するために権力を制限する、そのために三権が、あるいは両院が相互にチェック・アンド・バランスを行う、これが憲法の、あるいは立憲主義の歴史ではないのかなと私は思います。 かつての消極国家観、夜警国家観のころに比べて、今福祉国家に移転をして国家の政策領域が拡大したというのはそのとおりでありますけれども、しかしその分、行政権が肥大していると、濫用された場合にはもたらす害悪も多いと。そうであると、私は、衆参のねじれをただただ国政の麻痺だというふうに片付けてしまうのはいかがかなと、そんなふうに考えております。 以上について御意見を承れば幸いでございます。 以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) 私の言葉が不足しておりましたが、国政麻痺と申し上げましたのは、要するに、衆議院が決まったことが参議院で阻止されるということではなくて、国会として決定ができない、この状態が良くないということで、例えば両院協議会が本当に機能して、違ったときは決定が下されるというんでしたら結構かと思いますが、日本はそうなっていないので、それで麻痺と申し上げたわけであります。 もう一つですが、立法府は行政府をチェックしなければいけないというんですが、このチェック・アンド・バランスも、日本では憲法学者の方がそういうふうな説明をされているわけでありますが、これはアメリカの説明をそのまま取ったもので、三権分立につきましても、権力分立、これはアメリカの学者は、アメリカ的な制度には、大統領制にはこれが当てはまるけれども、イギリスなどの議院内閣制は権力分立ではないというふうに、そういう説明をしているわけでありまして、とすれば、立法府が決めたことを行政府が行う、行政府がやっていることを立法府がチェックするという、こういう従来型の、小学校から習うような形の三権の関係というものは見直していいと思いまして、実際には立法府の与党と行政、内閣が一体となって行使している権力を立法府の野党がチェックをする、おかしいときはそこで批判をして、次の選挙で政権をひっくり返すことによってチェックをするというのがイギリス型の理解で、そういう方を目指すならば、先ほどお話しされたような説明とは違う考え方で国政というものをとらえることも可能かと思います。 簡単に言いまして、問題があったとき、次の選挙で政権を交代することによってチェックをすることが最もシンプルで分かりやすい、国民が国政をチェックする一番いい方法なのだという、そういう理解があるということを御理解いただければいいんではないかなと思います。
○前川清成君 一言で終わりますが、要するに、決められないこと、それはすなわち下院の多数派を抑制すると、こういうことであって、私は、権力の濫用を阻止するという立憲主義の考え方からすると、両院の意思が異なっているということは直ちに否定すべきことではないのではないのかな、選挙を待てばいいと、政権交代を待てばいいというのはその間の権力の濫用、人権の侵害を認容してしまうことになるのではないかと、そんなふうに考えております。 以上です。
○会長(小坂憲次君) では次に、福島みずほ君。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。 加藤一彦参考人にまずお聞きをいたします。 社民党自身も、今、前川委員からありましたが、立憲主義の観点から非常に、衆議院だけの暴走を防ぐことや、慎重審議ができる。参議院に法案が送られてから論点が非常に明らかになることも大変多いですし、その意味では立憲主義の観点から、あるいは多様な民意の反映から二院制は必要であるという立場です。 加藤一彦参考人のレジュメに両院制の実質で四点挙げられていますが、二院制というものがなぜ必要かということについて参考人の方から御教示いただければと思います。また、今日教えていただきました任意的両院協議会改革可能性で、成案作成の実質的機能、合意への条件整備というところをもう少し話していただけたら有り難いというふうに思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、よろしいですか、加藤一彦参考人、よろしくお願いします。
○参考人(加藤一彦君) どうもありがとうございました。 私の立場は加藤秀治郎先生とはちょっと違って、憲法学者ですので、日本国憲法の枠というものがありまして、その枠の中で物事を見ていきます。 したがいまして、今の御質問というのはまさに参議院はなぜ必要なのかということだと思うんですけれども、これは昔から言われてきた原点だと思うんですね。衆議院は数で決めてもいいと、しかし、参議院は理の部分で考えていこうと。この理の部分というのは、もちろん最後は数で決着はせざるを得ないんでしょうけれども、その理を働かす条件がそもそも参議院にあるのかという問いかけをやっぱり今の時代は言わなきゃいけないと思います。 昔のような緑風会を期待することはもう不可能だと思います。ここまで政党化が進めば、それぞれ政党の支持を受けた方々が当選人となられる。昔のような無所属の方々あるいは著名人、そういうことによって参議院が構成された時代はもう恐らくは来ないであろうと。となるならば、およそ普通は考えなければならないのは、改めてもう一回、理というものは何であろうかということをそれぞれ参議院議員の方々がやっぱり問いかけて、ここは衆議院とは違う視点で各党ともきちんと国会審議をしていこうということになると思います。 あともう一つは、今日簡単にはしょってしまったんですが、皆様方参議院議員というのは衆議院議員とは異なり、衆議院議員の任期は四年ですが、解散・総選挙があると基本的には三年だと思います。しかしながら、皆様方は六年間身分が保障されております。これは非常に長い任期です。であるならば、余り選挙のことを考えずに日常的な議員活動ができる立場にあると思うんですね。私が思うのは、まさにそういうきちんとした六年間の身分保障をされている先生方であるならば、衆議院とは違った形でいろんな審議ができるんじゃないかということ、そこに私は期待値を込めております。 実は、この部分というのが、一番重要なのが行政統制です。六年間参議院議員の身分を保障されているということは、六年間もある特定の行政中央省庁、官庁について徹底的に調べ上げるほどの能力は持つはずです。そこが衆議院議員とは違うはずです。そのことがありますので、私が、なぜ参議院が必要なのかといったところの持つ意味合いというのが、③の慎重審議という言葉に入っているかもしれませんが、慎重審議ができるその実力は本院はそもそも備わっているんだということを御指摘したいと思います。 あともう一つが、最後のやっぱり両院協議会のことなんですけれども、ここが実は難しい部分がありまして、従来は、法律の中で衆議院の議決を優先させるような法律条項というのはあったんですね。ところが、参議院サイドの方で意図的に、いや、そんなのは駄目だと、憲法で書いてあることだけが衆議院が優越をするんだということで、参議院サイドの方で法改正を求めてきたはずです。そういう立場からすると、両院関係のねじれが起きたときの国会法改正というのは、今までの流れからすると多分参議院はしないであろうと。 あともう一つは、両院協議会の改革なんですが、これはもう一方の加藤参考人が言われたとおり、既存の両院協議会は、多分意見が不一致であることを確認するだけの儀式組織で終わると思います。ただ、ここは難しいのは、成案を獲得すればいいという話ではございませんで、成案を獲得した後、さらに衆議院と参議院でそれぞれ過半数の議決が必要ですので、無理やりに成案を作っても参議院で否決したらどっちにしろ壊れるお話でございます。したがって、両院協議会改革だけで事がうまくいくかどうかはかなり難しいと思います。 以上です。
○福島みずほ君 今、行政の統制ということが二院制の重要な役割だとおっしゃったんですが、私もそのとおりだと思います。 加藤秀治郎参考人の討論の議会、立法作業の議会という区分けはなかなか面白いと思いました。しかし、実は日本の国会、とりわけ参議院は、私たちは政権交代のためだけに批判をしているのではない、立法だけでもない、むしろ巨大化した行政府それぞれの中から問題点を指摘し、政策転向を迫るというのを常任委員会などでもとてもやっておりまして、そのためにも実は優秀なる秘書は実に必要だと。つまり、イギリス、アメリカとだけ言えない面があると思っているんですね。 私はいただいた時間が、五十分なので、もうほとんど時間が残っていなくて申し訳ないんですが、その行政統制という観点から、そのまた役割から二院制は必要だということについてはいかがお考えでしょうか。
○会長(小坂憲次君) 大変短い時間で恐縮です。加藤秀治郎参考人。
○参考人(加藤秀治郎君) 行政統制は立法府としてやっていいと思うんですが、それを参議院が担わなきゃいけない、衆議院はどうかとかというのは、両院があるなら両院として担えばいいことで、それをどうやるかということは別に考えられることだと思います。
○福島みずほ君 ありがとうございます。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、磯崎仁彦議員。
○磯崎仁彦君 ありがとうございます。 自由民主党の磯崎仁彦でございます。 まず二点、両参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。 前回のこの憲法審査会の中で、恐らく二院制を維持するという前提に立った場合に取るべき道ということで、いろんな委員の方から出たのが参議院と衆議院との役割分担といいますか、役割を違えると。 例えば、参議院の場合には決算であるとか行政監視、こういったものを強調するような、重い役割を担う、そういう役割分担をするということもいろんな委員の先生から出たと思うんですけれども、この点については今日お二人から、両院協議会の在り方であるとか衆議院の再議決の在り方、こういったものはありましたけれども、役割ということについては特に御意見がありませんでしたので、その点についてどうお考えになられているのかというのが一点。 もう一点は、これは前回の憲法審査会の中で私がある意味在り方ということでちょっと懸念を申し上げたのが、参議院の問責決議の在り方ということで、衆議院につきましては内閣総理大臣が解散権を持ち、衆議院は内閣総理大臣に対して不信任決議案を行う、そういうバランスが取れているものの、参議院といわゆる内閣との間では、これは法的拘束力はないものの、問責決議案で実質上その大臣を罷免するような実態もあるという中で、この問責決議案を持つことで参議院がかなり強い力を持っているんじゃないかということを私自身認識をしているわけでございますが、この点についてどのようにお考えなのか。 この二点について、それぞれの参考人から御意見を伺いたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、加藤一彦参考人から。
○参考人(加藤一彦君) 役割分担論でございますが、参議院のこれまでの議論を私も承知しております。恐らくは、決算にアクセントを置いたというのは衆議院が予算先議権を持っているからと、その裏バージョンで決算という形で出てきたと思います。 あともう一つは行政監督。私も先ほど主張しました中央官庁の、何というんでしょうかね、チェック機能は参議院は持たすことができるはずだということを言ったと思います。 あともう一つは、あえてもし皆様方が今後論点として挙げるのであるならば、参議院の院としての国政調査権の発動について、少数会派の調査権を保障するような形に持っていかないと、多分この行政監督はうまくいかないと思います。全会一致式で国政調査権を動かすというのが基本だと思うんですけれども、往々にして政権党が潰すことがあろうかと思われます。そのときに、参議院はそういう衆議院とは違った視点で、調べるときにはちゃんと調べましょうと、ここをやらない限りは、恐らくは行政監督についてはうまくいかないと思います。 第二番目の御指摘の点でございますが、戦前、貴族院で一度首相の問責決議がたしかあった記憶がありますが、貴族院のときです。戦後では、私の記憶で間違いがなければ、額賀防衛庁長官に対して参議院が初めて戦後問責決議をしたと思います。 この決議なんですけれども、決議にはいろいろな形式はあろうかと思われます。その中で、専ら人に対する否定的評価の決議をするということについての御質問だと思います。でなんですけれども、法的効力がないから意味がないということではなくて、多分、政治的な効力、効能というのは確かにあります。問題はここのとらえ方なんですが、あるから使えというふうになるのか、あるから慎重に考えようというふうになるのか、ここは院が考えるべきだと思います。これまでの首相に対する問責決議の仕方を、もしかしたら皆様方それをどう評価されているのかということだと思います。
○参考人(加藤秀治郎君) まず役割分担のことでありますが、私は憲法学者じゃありませんから、憲法学者の場合ですと存在する憲法を前提として議論されるんだと思いますけれども、先ほど少し申し上げましたように、参議院を創設するときの議論がほとんど、まあほとんどというか、してはいるんですが、改めて調べてみてもこれが参議院だというものはないままスタートしているわけでありますから、この辺の問題につきましてはあって当然だと思いますが、残される以上は、参議院は何をするところかというところからまず議論をしていただきたいなと思っています。 例えば、参議院と言われるとすぐ言われる良識の府という言葉でありますが、これは何か私は創設時にそういうことを言われたのかなと思ったら、詳しく調べたものを読みますと、東大の先生が参議院のことを説明するとき使った言葉がみんな使っているというだけで、別に法的な根拠のあるものでもないですから、少し参議院については、とにかくできるとき何もまともな議論がなされていないのだから、一から参議院は何をするところかというところを是非話していただきたいなと思います。議論していただきたいと思います。政治学者ですから、憲法は変え得るものであり、変えないまま今のまま存続するのは非常に無理が来ていると思います。 問責決議についてですが、これは強い権限になっていると思いますが、政党政治の下で強い権限があって、衆参がねじれた場合、これは党派的に使われるのはもう決まり切ったことであります。したがって、問責決議をどう見るかとかいうことにつきましても、権限として強くて、政党政治をやる、それで参議院と政党政治はどういう関係に置くのか、ここも議論がないままスタートしているわけでありますから、そういうところも含めて是非一から議論をしていただきたいなということを思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。
○磯崎仁彦君 あと、時間もありますので、一点だけ聞かせてください。加藤秀治郎参考人に。 先ほど……
○会長(小坂憲次君) もう時間が来ておりますので、手短にしてください。
○磯崎仁彦君 はい。 結論として、三つの案の一つとして、衆議院の再議決の要件、これを過半数にして六十日間の冷却期間を置くと。これは、最初は皆さん、ううんと思うけれども、納得をされるという話がありましたが、六十日間の冷却期間を置くことによって、例えば衆議院は改正の、じっくりと考えてよく考えてみればという、そういう修正の方向に動くものなのかどうなのか、その辺についてはいかがでございましょうか。
○参考人(加藤秀治郎君) これは私は、これほど今、新聞社がちょっとやり過ぎなぐらい世論調査をやっていまして、それに物すごく敏感に反応されているのはほかならぬ国会議員の方であります。ですから、こんなことをそのまま決めたら大丈夫かということをいつも意識しているのは国会議員の方で、私は六十日間あれば必ず変わると思います。
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、松田公太委員。
○松田公太君 御指名ありがとうございます。 お二方の今日のお話、大変参考になりました。どうもありがとうございます。みんなの党の松田公太と申します。 みんなの党は、一院制を結党以来主張してきているわけでございますが、加藤秀治郎参考人に御質問させていただければと思います。 海外では、約四十か国ほどが二院制から一院制に移行していると聞いております。このような国々が、主な事例でいいんですが、なぜそのような決断をしたのか、二院制から一院制に移行すると。そして、どのような過程において問題が発生したのか。そして最後、移行した後に、例えば国民から何か不満が出てきたり、若しくは一院制に移行して良かったという声が上がったり、そういう話を是非ともお聞かせいただければと思います。 私の質問は以上ですので、八分間を存分に使って好事例をお話しいただければと思います。
○参考人(加藤秀治郎君) 八分使えるほどのお答えはできないんですが。 私は、一院制に変わったところは、政治体制が根本的に変わった旧共産国のような例もあるので、その辺のことについてはよく承知していないんですが、いわゆる自由民主制を取る国で両院制だったところが一院制になった、戦後一院制になった例は、一番多くあるパターンは、貴族院を廃止して衆議院だけにしたという例であります。 これは、先ほど申し上げましたように、貴族院を残す理由は、一番元々のところでいいますと、衆議院がどんどん公選で選ばれて民主的なことをやり始める、それをどこかがチェックしなきゃいけないからということで、保守的なチェックをするところが貴族院である。あとは、憲法学者の言う言葉ですと、革命の防波堤としての貴族院と言うんですが、そういう議院が機能を変えない以上は、存続する理由が乏しくなっているのはそのとおりだと思いますね。 ですから、ニュージーランドでしたか、あとほか、それこそ加藤一彦さんの方が詳しいと思いますが、幾つかあると思いますが、そういう形で移った国があるので、両院制から一院制になって、そしてそれがまた前の両院制に戻そうとかいうような形にストレートなものは聞いたことがございません。それで、仮に戻す場合の話があっても、多分貴族院を復活せよということでないものになると思っております。 十分ではありませんが、私から申し上げられることはこれぐらいでございます。
○松田公太君 済みません、まだ四分ありますので、同じような質問を加藤一彦先生にさせていただいてもよろしいですか。
○参考人(加藤一彦君) 質問の確認ですけれども、一院制から二院制、二院制から一院制への移行ということについてと。 それは、今本当に加藤参考人が言われたとおり、その国の政治変革という大きなものがある場合は当然議会制度それ自体も変わるので、それはいろいろな形があるでしょうということだと思うんですね。 私が今日言ったのは、政治文脈の中でということだと思うんですけれども、例えば皆様方が描いているようないわゆる先進国で、さらには人口一億人単位を見たときに、衆議院一つで足りるんだという根拠は逆にどこにあるのかということなんですね。その視点で見ると中国しかないというのが、今日、私の指摘であったと思います。人口規模というのは、結構大切な要素というのは私あると思うんですね。
○松田公太君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、亀井亜紀子委員。
○亀井亜紀子君 みどりの風の亀井亜紀子でございます。 両参考人に一つずつ違う質問をしたいと思います。 まず初めに、加藤秀治郎参考人にお尋ねをいたします。 昨今、現憲法はGHQが作った占領憲法であるので、一番過激な人はこの憲法を破棄すべきであると言いますし、そうでなくても前文から書き直す、いわゆる自主憲法を制定すべきである、それでこそ独立国家だという意見が強くなってきております。 今日お配りいただいたこの資料を拝見していて感じたことなんですけれども、先生の資料の二ページ目に、憲法制定過程での両院制に関しての記述がございます。このとき、GHQ草案は一院制であった、マッカーサーは一院制をよしとした。直属の部下のケーディスの発言では、場合によっては一院制では譲ってよいが、その代わり他は変えさせないと。結果として、日本側が粘り参議院を創設。第二の考慮の機会を置くための上院とあります。 ここからも見られるように、私の感想というのは、あのGHQに占領されていた中で、なかなかアメリカに物を言えない環境の中で、当時の日本人は幾つか頑張って自分たちの意思を入れていったと、その中の一つがこの二院制であったのだろうなというふうにとらえているんですけれども、先生の御見解についてお伺いしたいと思います。
○参考人(加藤秀治郎君) 日本側が修正したことは幾つかあるんですが、そのうちの一つが一院制を二院制にして参議院をつくるということだったんですが、これはまあアメリカ側の、それこそこういう議事録まで公表しているところがいかにもアメリカ的らしいんですが、内部で、日本が何か言ってくるだろうから、そのときはここを変えようということを幾つか用意していまして、その一つに一院制でなくしたいと言ってきたら二院制を認めようといって、これを取引の種というふうに言って用意をしていたわけですね。 ですから、日本が考えがあって二院制をつくるならつくるということでよかったんだと思いますが、欠けていたのは、貴族院については明確な理念を持ってつくられた議院だと思いますが、参議院をつくるときの参議院は何をするところかというところの議論ですね、それを読んでみてもいま一つはっきりしないというところが問題で、つくったことはそれで意味があったと思いますが、意味を持ち得るような改正だったと思いますが、そういう入れ物、革袋にちゃんとしたお酒を入れたかどうかというと、やはり私は疑問で、それはずっとこの六十何年宿題として残されていて、参議院がそれこそ議論しなきゃいけなかったんですが、先ほどから申しているように、良識の府というふうな何となく格好いい看板を盾に内部の議論を怠ってきたのではないかということを、そういう印象を持っております。
○亀井亜紀子君 ありがとうございます。 二院制はどうあるべきかということがこの憲法審査会の一つの争点であり、その中に、では一院制ではどうなのかということが話し合われているわけですけれども、少なくとも事実として、当時占領下にあって日本人がかなり強い意思でこの二院制を、まあ将来の問題点が予測できなかったにしろ、日本人の意思で入れたということは間違いがないことだろうと思います。 そこで、二院制を維持すべきであると主張されている加藤一彦先生にお尋ねしたいのですが、今の問題点は、やはり選挙制度が似通ってきて、参議院も政党化をしてしまった。同じような選び方をされて、同じような議論を二回やって、参議院がいわゆる政争に明け暮れているような状態であっては、二つ院がある意味はないではないかというところが出発点なのではないかと思うのですが、そこで、一票の格差についてお伺いしたいと思います。 昨今、衆議院の方は、高裁で選挙無効とまでの判決が出ました。参議院の方はまだ無効という判決は出ておりませんけれども、違憲状態という判決が出ております。 亡き西岡参議院議長が、選挙制度改革について議長のお立場でかなり積極的に、中立的な立場でかかわっておられました。そのときに西岡議長は、各県の代表、つまり地域代表という位置付けを残せないかといろいろお考えになって、アメリカで各州で二人代表がいるように県代表を残せないかと考えたのですけれども、アメリカは連邦制を取っているので、人口に関係なく各州が同等であると。けれども、日本は連邦制ではないので、憲法にそこまで書き込まれていないので、各県を同等に扱うということを言い切れないのではないかと、そういう学者さんの意見があって、それで各県の代表ということを諦め、ブロック制での比例という考え方を出されたという経緯があります。 ただ一方で、一票の格差について衆参が全く同じでいいのかと。そういう見解ですと、この二つの院はやはりどうしても限りなく近づいていってしまう。なので、ここに工夫は必要だろうと思うんです。 私は、人口が少なくて、けれども非常に投票率の高い県から選出をされています。七割の人が投票に行く県です。それで、人口が少ない県から見ると、人口が多いけど、ほとんど半分……
○会長(小坂憲次君) 答弁時間を確保してください。
○亀井亜紀子君 はい。 投票率も考慮したような選挙制度ができないのかというふうな声も聞こえてくるんですけれども、済みません、時間短くなりましたが、何か、最高裁が言うことが全てなのかどうかも、そういう点も含めて御意見をいただけたらと思います。
○参考人(加藤一彦君) 参議院の選挙制度改革という違う論点のお話ですので、これ話し始めるとちょっと長くなりますので、ポイントだけ指摘しておきます。 西岡議長の下でつくられたブロック案が、恐らくはこれがベースになる改革案であるというふうに私も思います。昨年の最高裁判所の判決では、都道府県別及び非拘束名簿式比例代表制の下での選挙制度ではもはや限界だという指摘を受けているはずです。であるならば、この最高裁の判例に従った格好での選挙制度の改革をされた方がよろしい、これが一つのポイント。 第二番目のポイントは、衆議院の選挙制度のみならず、参議院の選挙制度のときに一対二とか一対三とか、そういう話が平然と出てきます。これが恐らくは多くの、これは衆議院、参議院、それぞれ院を構成される国会議員の方々が勘違いされているところが一個あると思います。最高裁判所が一対二であると駄目なんだというのは、制度として駄目なのではないと、これは権利の問題なんだと、要するに、有権者サイドからすると平等選挙が実現されていないんだという権利論なんだということを忘れないでいただきたいということであります。したがって、制度で何が一番適合できるかということを考えるときには、有権者の権利というサイド、その視点を忘れないでくださいということ。 以上です。
○会長(小坂憲次君) 次に、谷合正明委員。
○谷合正明君 公明党の谷合です。 今日は、お二人の加藤一彦参考人、加藤秀治郎参考人におかれましては、本当にありがとうございます。 私の方からは、参議院の特性を生かしての権能について伺いたいと思います。 従前話題になっている決算機能であるとか行政監視機能というのとちょっと関連の話なんですが、参議院の特性が何を指すのか、何に由来するものであるかということに着目するんであれば、それは憲法上、議院の構成については、参議院も全国民の代表である点、選挙された議員によって組織されるという点で、これは衆議院と変わりがないんですね。違いがあるとすれば、それは任期が六年間で長く、また解散がないということが挙げられるということだと思います。そこで、加藤一彦先生からも、長期的、総合的な視点での国政の取組が可能とされるので、そういうことを期待されたいというお話もございました。 また、衆議院とは違いまして、参議院の場合は、憲法上、内閣総理大臣の指名で決定的な権限を有しておりません。また、政権と距離を置いた立ち位置にあると考えられますので、その意味からも行政監視機能あるいは決算審査機能を発揮するということが期待されております。何も行政監視機能というのはお金の問題だけではございませんで、法律の誠実な施行の監視であると思っております。 そこで、加藤一彦先生にお伺いしたいのは、参議院がこうした取組をこれまでも努力してやってきてはいるんですが、この取組がどのように映っているのか。先生の方からは、決算であったり行政監視であったり、あるいは国政調査権の発動、ここら辺が大事だという話もございましたが、先ほど答弁で不足されているようなところがあればそこを加えていただいて御答弁いただきたいのと、あともう一つは、例えば、参議院においては長期的な視点ということにおいては例えば数年度にわたる長期的検討を要する事項を重点に審議をするとか、衆議院では次年度予算に直結する短期的事項に重点を置いて審議をするとか、そういったことも考えられるのかなと思うんですが、この点についてどうお考えになられますかと。 それから、加藤秀治郎先生には、行政監視機能とか決算審査機能というものが、仮に一院制になったときに十分にそうした機能が、果たしてそういう仕組みが構築できるのかということを教えていただきたいというふうに思っております。 よろしくお願いいたします。
○参考人(加藤一彦君) 今御指摘の中で、国政調査権について私先ほど言及したと思いますが、この国政調査権というのは各院がそれぞれ行使できる重要な権能なんですね。そのときに、参議院の方で国政調査権をもうちょっと積極的に使うことはできませんかという問題提起であります。 その際に重要なのは、少数派の野党に配慮した形での国政調査権の発動形式は考えられ得るんではないのか、要するに少数派調査権というものであります。例えばというふうに言いますが、例えば、院の三分の一以上の賛成があれば国政調査権及び議院証言法に基づいたきちんとした調査権を行使できるような方法というのは考えられないだろうかというのがあります。ただし、一つだけ条件があります。それは、参議院のメンバーが良識の府のメンバーであるという自覚があることが前提です。 あともう一つは、恐らくは今後、皆様方も考えなければならないと思うんですけれども、行政監督をやっていくと、結局、組織は人の問題になります。であるならば、国会承認案件の人事権、これ参議院独占することができるかという論点に結び付くと思います。現在では両議院一致の議決になっております。そのため、せんだって変なことが起きたことは皆様方御承知のとおり。あれを一つの院、しかも参議院サイドの方で握るということも、恐らくは行政監督の中の組織上の人物に対する一番強い権限であろうかと思われます。これも先ほど私申し上げましたとおりの条件が前提です。 以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) 行政監視の機能などが一院制の場合どうかということですが、私は、現在でもそうでありますが、議会の中での野党がどう機能できるかという問題であって、これは一院制、二院制かというのとストレートに来ない問題で、むしろ日本の国会の在り方をゆがめてきたというのは、野党が野党としての役割を十分に果たせていないというところに問題があったんだと思うんですね。 それで、一番、五五年体制の下で大きな問題だったのは、野党が、先ほど申し上げましたように、批判するよりもいろいろ阻止をしたりするというところに機能があったわけで、やっぱり政権交代がないことが随分日本の国会をゆがめてきたんだと思います。そういう意味で、野党の在り方ということを政権交代のある議会の中で考えて、どう確立するかということを考えた方がいいんではないかなと思っています。 それで、あとはチェックの機能ですが、司法がかなり今までと違って積極的になり始めましたので、そういうところの方もかなり期待ができるところなんではないかなと思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、はたともこ委員。
○はたともこ君 生活の党のはたともこでございます。 両先生方、今日は本当にありがとうございます。 生活の党は二院制でよいという立場でございます。今日はそれぞれの先生に一問ずつ伺いたいと思います。 まず、加藤一彦先生に定数是正について伺います。 衆議院の定数是正については、一票の価値の平等の原則の上に立って、二〇一八年から実施をされるイギリス方式を生活の党は提案する予定にしております。すなわち、五年ごとの国勢調査に基づいて議員一人当たりの基準人口、平均人口の上下五%ないしは一〇%の範囲内で第三者委員会が自動的に区割りを変更するというものです。ちなみに、上下五%の範囲内なら格差は一・一一倍以内、上下一〇%の範囲内なら格差は一・二二倍以内となります。もちろん、一人別枠方式は廃止をいたします。 一方で、参議院は全国比例区の一票の価値は完全平等ですが、選挙区の格差は衆議院より大きいのが現実です。米国の上院のように州の独立性を最重要視する考え方もありますが、私は個人的には、参議院は衆議院とは違って地方を重視し、比例区も併せて一票の格差を二倍未満とすることを原則にしてはどうかと考えております。 これらの考え方について、加藤一彦先生の御意見を伺えればと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、また加藤一彦参考人からお願いします。
○参考人(加藤一彦君) 一票の格差に関して言えば、一対二以内に収まるような参議院の選挙制度改革を考えるといった場合においては、都道府県別は数学的に不可能であります。半数改選制で数字二以上の偶数値で、有権者の数を都道府県の区割りですので動かすことができないということであるならば、一対二には数学的にはなりません。したがいまして、都道府県別ではなくてブロック制だとか都道府県の枠を超えて有権者の数を右左に動かすことができるのであるならば、当然一対二に収まるようなことができるであろうと。 ただ、いずれにせよ、ここで考えなければならないのは、一番最初に私申し上げましたように、参議院も全国民の代表機関なんだというのは、どういう選挙制度であろうとも一度選ばれてしまったらそういうものとして行動するんだというのが憲法学のイロハでございます。間違っても地元の選挙区、あるいはブロックであるならブロック、この利益のために行動してはならないんだというのが四十三条の憲法の基本の意味です。ここを御理解した上で、選挙制度というものを制度設計されるのであるならば、何かいい、いろいろな案が出てくるのではないかと思います。
○はたともこ君 では、次に加藤秀治郎参考人に伺います。参議院の独自の役割について伺いたいと思います。 私は、参議院に日本版GAO、国会版会計検査院を設立すべきだと思います。平成二十年三月の衆議院の国家公務員の再就職状況に関する予備的調査報告書の概要で、独立行政法人、公益法人など四千六百九十六の法人に合計二万六千六百三十二人が天下り、それらの団体に年間十二兆六千四十八億円の交付金が支出されている実態が明らかになりました。しかし、その後のフォローの調査がなく、天下りが減ったのか増えたのか不明です。 私は、解散がなく長期にわたって継続的に調査できる参議院がその機能を発揮し、天下りの根絶に決定的な役割を果たすべきだと思いますが、加藤秀治郎先生の御見解はいかがでしょうか。
○参考人(加藤秀治郎君) 参議院が独自の役割を持つというのは、要するに今はないわけですから、それをこういうものが必要だろうということで議論をされてつくるというのは非常に結構なことだと思います。 それで、私も国会議員の方とそういう問題について一緒に議論したことがあるんですが、会計検査の機能を参議院が担うというのは、かなり有力な案として出ていたように記憶しております。
○はたともこ君 以上です。ありがとうございます。
○会長(小坂憲次君) 次に、井上哲士委員。
○井上哲士君 共産党の井上哲士です。 今日はお二人の加藤先生、本当にありがとうございます。 まず、加藤一彦参考人にお伺いをいたします。 各国の状況で、経済的な国力と人口規模に着眼した場合に一院制採用がもう中国だけだと、こういうお話がありました。つまり、一定の経済力と人口規模があった場合に二院制が採用されているということの理由ですね、どういう根拠があるのかということをもう少し詳しくお願いをしたいと思います。 それから、両院制の四つの実質について、それぞれ参議院の存在意義にどの条項が当たっているのかという整理は大変分かりやすくて参考になったわけですが、その際に、この保障、保障というか土台には参議院が全国民の代表機関ということがあるんだというお話がありました。 先ほど来出てます定数、一票の格差の是正の中で、参議院においても言わば地域代表制的な要素を入れるべきだと、場合によっては憲法条項を変えてでもという議論があるんですが、そうした場合に、こういう参議院の持つ、この二院制における存在意義が薄れていくというようなことにお考えなのか、その辺ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。 それから、加藤秀治郎参考人にお聞きしますが、私たちは、今の議院内閣制の下で一院を構成する多数政党がそのまま内閣を構成するわけですから、それに対するやっぱり国会のチェック機能というのが一院制では事実上なくなってしまうんじゃないかと、こう思っておりますし、昨年末の総選挙結果などを見ましても、今の選挙制度の下で少数の支持の下でも相当多数を取るというようなことを考えたときに、やっぱり民意の多様な反映ということを保障する制度として二院制が非常に大事だと思っているんですが、そういう民意の多様な反映を国会で担保していくという点での必要性についてはどのようにお考えなのか。この点をお聞きしたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、加藤一彦参考人からお願いします。
○参考人(加藤一彦君) 第一番目のお尋ねの件なんですけれども、これは別に経済規模が大きくなるから二院制になるということでは全くございません。基本的にはその国の歴史的ないろんな事情というのがありまして、代表的な例でいえばイギリスの貴族制度があるから貴族院であると、あるいはアメリカのような連邦制であるならば当然連邦の利益を代表しなければならないというもの、そういうお話でありますので、あともう一つは、多言語国家も中にはありますので、そうすると、何らかの形で国民意思を反映する第二院を存置せざるを得ないということだけのお話であります。殊更重要なことではないと思います。 次のポイントの方が、ちょっと分かりにくかったのが、結局、参議院が地域代表ではなくて比例代表にした方がよかったのかとか、その手の質問なんでしょうか。ここがちょっと私、実はよく分からなかったんですけれども。 基本的には、参議院は全国民の代表者なんだということを前提にして考えてみると、ということになるんですね。そうすると、どういう選挙制度をつくることができるであろうかって次に考えていった方がよろしいんではないかと。その際の比例代表というのが一本で全部できるかなという話になるだろうし、あるいはそうではなくて、ブロック制を加味した中での比例代表制の既存の制度との二本立てという仕組みでうまくできるかなというふうに考えていくんじゃないかなという気はいたします。
○会長(小坂憲次君) それでは、加藤秀治郎参考人、お願いします。
○参考人(加藤秀治郎君) 私は選挙制度をまず考えていまして、それからどうも選挙制度の議論には議会のことを分からなきゃいけないということで、今日お話ししているような議会のことの研究を後から始めたものですが。 基本的なことは、選挙制度を話すときは、考えるときは、まず日本ではどういう政治制度を取っているのか。ですから、議院内閣制なのか大統領制なのか。そこの下でどんなものを国会として考えるか。両院だったら、両院制を取るならば、衆議院と参議院は国会の中でどういうふうな形で役割を付与するのか。その役割が決まったところで、衆議院はそういう衆議院としてどういう議員を選ぶのがふさわしいか、参議院はどういう議員を選ぶのがふさわしいかという、これぐらいの段階を経ないで選挙制度の議論はできないと思うんですが、今心配しているのは、日本中で一票の格差のことばっかり議論していますが、これだけやっていますと、例えば全国一区の比例代表しか最終的な解決策はないみたいなことになります。これは議論の順序が非常におかしいと思いますので、そういうことであります。 それで、一院制の中での野党のことですが、野党がゼロになるような事態が想定されるならば、ただいま質問がありましたようなことを考えなければいけないんですが、これはまあ日本では党だけで選んでいるわけでありませんから、ゼロになることはないだろうと思って議論することでありますが、その上でのことですけれども、一院制になっても、先ほどもお答えしましたように、一院の中での野党がどういう役割を果たせるかということでありまして、その場合、与野党の勢力関係が変わったら変わったなりの国会の議事運営の仕方を是非していただきたいと思いますね。 例えば、議員の数に応じて質問時間を割り振るというようなのが以前から行われていて、これが大幅に見直されたということは聞かないわけでありますが、仮に与党が大きな数になり野党が少なくなったんなら、野党に質問時間を多く割り振るだとか、そういうことは当然あっていいことで、そういう面でむしろやるべきであって、それを選挙制度だけで議論するのはどうか。 多様な民意の反映ということでありますが、私はここが一番、入口からの相違なんですけれども、国民が主権者である、それで国民が政治を担うんだといいますが、実際にやっているのは国会議員の方がやっているのでありまして、もっと言えば与党の方がやっているわけであります。 そうしましたら、チェックできるのは、国会議員をどう選ぶか、そしてそこでどういう与党をつくるのかということが決定的に大事なのであって、最終的には政権の交代が一番いいんだというのが私の立場でありまして、参考文献を九点ほど挙げさせていただきましたが、一番最後に挙げております、私の編集した本の中にありますポパーという二十世紀を代表する哲学者の議論ですが、哲学者ですが、ここでは短い、非常にシンプルないい議論をしていますが、比例代表というのは多様な民意の反映のようだけれども、実際の運営を見ていると決してそうなっていないということで、漠然と比例代表が民意を反映するというのは間違いであるということを実に説得的に説いております。 例えば、こう申し上げては失礼でありますが、長い間自民党と公明党が連立政権を組んでいる。そのとき有権者として、いや、まあ公明党さんには失礼ですが、公明党抜きの自民党政権がいいという人がいたら、そういう政権が望まれているならそうならなければいけないんですが、日本は選挙制度のあちこちの面に比例代表制的な要素が残っているために、自民党と公明党の政権がいつ終わるのか分かりませんが、そして別な党なんですが、いつまで連立続けるんですかと、分からない状態のままずるずる続いている。こういうのは、国民が政権を選択するという観点からいいますと、非常に重大なゆゆしき問題だと思いますね。 こういう点について考えないで、多様な民意をどう反映するかということだけで議論していますと比例代表に行く。そして、比例代表的な要素で国政を運営した場合、実際にどういうことになっているかといいますと、根本的な理念と逆のこと、つまり、支持者の数に応じた政治的影響力を発揮するというのが比例代表ですが、それと随分ずれた実態がたくさん出てくるわけですね。そういうことを各国の事例なども見ながら是非議論していただきたいなと思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 時間が超過しておりますので、次に参ります。
○井上哲士君 余り納得しませんが、時間ですので、終わります。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございます。 小西洋之委員。
○小西洋之君 民主党の小西洋之でございます。 両参考人に御質問をさせていただきます。 前回の審査会で、私は、二院制が必要、二院制を維持すべきであるという立場から意見を申し上げました。一つは慎重審議でございます。私自身が経験をしました、例えば原子力規制委員会という原発を管理運営する絶対許されない法制度で、衆議院から送られてきた法案に穴があって、それを各党各会派の協力によって参議院でしっかりとした法制度にしたというようなことがございます。 また、今御案内のとおり、各国会が終わったときには、そこで審議できなかった法案が、数が残念ながら積み上がっているわけでございますけれども、よく参議院は衆議院のカーボンコピーだなんということを言われますけれども、参議院から先に法案を審議する、参議院から審議して衆議院でまた可決をするということでも法案は成立させるわけでございますので、参議院先議をちゃんと取り組めば、そのカーボンコピー論というのは論理必然的に意味を失うというようなことを申し上げました。 もう一つは、私が一番強調させていただいたことは、参議院の本質的な意義は、衆議院はやはりこの代議制の下で民意を的確なタイミングで反映していくという、そういう機能を担っているはずでございます。しかし、それはやはり同時に、非常に常に選挙に、総理の持っている解散権の下に、言葉は不適切かもしれませんけれども、選挙にさらされるというプレッシャーを受けるわけでございます。しかし、参議院議員は、先ほど加藤一彦先生がおっしゃられましたように、六年間の安定した任期を持っております。つまり、選挙にかかわらず常に国家に必要な政策に取り組んでいく国会議員集団を統治機構としてしっかり持っておく、それが私は参議院の一番の本質的かつ実質的な意義ではないかということを前回申し上げました。その他、参議院の独自の取組として行政監督をしっかりやるですとかいうようなことも申し上げたところでございます。 それで、まず加藤一彦先生に御質問させていただきたいと思いますけれども、私、先生の御主張、おおむね、非常に感銘を受けて、賛成させていただくところなんですけれども、両院協議会の実質的機能をいかに発揮するかということで、ちょっと前回の審査会におきまして、私このようなことを申し上げました。協議会を実質化させるためには、協議会の要件と、あとプロセス、両方を変えていく必要がある。 まず、要件でございますけれども、これは加藤秀治郎先生がおっしゃられたことでございますけれども、衆議院、参議院でそれぞれ賛成、反対で十人、十人を構成するのではなくて、衆参それぞれの会派比例、所属している会派の比例で人数を決めると、あっ、失礼しました、次が加藤秀治郎先生がおっしゃっていただいたことでございますけれども、両院協議会での議決要件を三分の二から二分の一に、例えば二分の一に緩和する。おっしゃられるとおり、両院にそれぞれ法案を持ち帰ってまた審議するわけでございますので、両院協議会の議決要件というのは、むしろその調整によって、各党各会派の調整によって成案が得られやすいような、要件三分の二を緩和すればいいのではないかということでございます。 あと、そのプロセスでございますけれども、両院協議会のメンバーにそれぞれの各党会派、すなわち政党の政策の決定権者あるいはその当事者、政策を立案して中身が分かっている方、例えば政調会長や、あるいは幹事長、あるいは立法者、担当の議員などが出席をすると。今、議事録のみを公表しているのでございますけれども、今日マスコミの方がお越しいただいているように、その審議を公開して傍聴を可能にする、あるいは議論のやり取りを、口頭ではなくて、それぞれ各党がそれぞれの相手のその法案の何が問題なのかを文書でしっかりと議論を交わして、その文書を全て公開する、そうしたような改革をすることによって実質化ができるのではないかと思います。 そういう改革、今申し上げた在り方についてコメントをよろしくお願い申し上げます。 あと、加藤秀治郎先生に伺いたいんでございますけれども、先生のその立論の前提と、あと加藤一彦先生の立論の前提の大きな違いは、我が国における政策需要、国会議員、立法府が果たさなければいけない政策需要のボリュームを、あるいはその内容をどのようにとらえているかということではないかと思います。 加藤一彦先生は、GDP、二十か国の人口等々の、人口と経済で比較されていますけれども……
○会長(小坂憲次君) 小西さん、答弁時間に御配慮ください。
○小西洋之君 はい、済みません。じゃ、簡潔に。 私も国会議員として働かせていただいて、我が国が今抱えている政策需要をこなすには一院制ではとても無理だというふうには思っているんですけれども、その辺り、加藤秀治郎先生はどのような分析の下に一院制でも可能かとお考えなのか、御教示いただきたいと思います。 済みません、ちょっともう一つだけ。加藤一彦……
○会長(小坂憲次君) もういいですよ。あと四分しかないんです。
○小西洋之君 四分ですか。じゃ、加藤一彦先生に。これはちょっと大事なことで、申し訳ございません。 加藤一彦先生、一票の格差で、ブロック制を肯定、最高裁の判決をおおむね、あれを肯定されているようでございますけれども、私申し上げたいのは、ブロック制、私の選挙区ですね、西岡議長の提案では二千五百万の有権者になります。二千五百万の有権者に一体どうやって個々の国会議員の資質を見ていただけるのか。また、二千五百万の有権者で選挙を戦う国会議員というのは、必然的に特定の大きな勢力から支援を受けるようなことになろうかと思います。 そうした意味で、候補者の立候補権あるいは国民の選挙権の適正等々を考えると、果たして一票の格差を数学的に追求することが合理的なのかどうかについて、また御意見をお願いいたします。 失礼いたしました。
○会長(小坂憲次君) 答弁時間ほとんど残っておりませんが、お二人に答弁を求められますか。お二人にしますか、お一人ですか。
○小西洋之君 それは大変失礼いたしました。 では、加藤一彦先生。秀治郎先生、失礼しました。
○会長(小坂憲次君) 恐縮でございますが、まず加藤一彦参考人、お願いいたします。
○参考人(加藤一彦君) 私に対する質問は二つであったと思います。 両院協議会の協議委員についてということでございますが、御指摘のとおり、衆参の協議委員に政策実務者が入らない限りは成案獲得はできません。 あともう一つは、ハードルを三分の二というふうになっておりますけれども、これを過半数の二分の一プラスワンにしろというお話だと思うんですけれども、実はもう一個そもそも論がありまして、両院協議会の議長はどうするかということなんです。これ、くじ引で決めますよね。その規定から見直さないと、二十名で一名議長で出ちゃいますので、結構大変な改革を必要とします。 あともう一つ、これは先ほど私指摘しましたように、成案獲得しても衆参両院で過半数の議決が必要でございますので、無理な成案獲得は否決になって廃案になるだけです。それができないような仕組みもワンセットで考えない限り、両院協議改革というのはうまくいきません。 あともう一つが、選挙制度のことについてお尋ねだと思うんですけれども、私は基本的にはこういう考え方を持っております。第九次選挙制度審議会を立ち上げた方がよろしいです。もう無理です。そうしない限りは真っ当な改革案、提起できないと思います。 以上です。
○会長(小坂憲次君) せっかくですので、加藤秀治郎参考人、手短にお願いできたら。
○参考人(加藤秀治郎君) 先ほどから私が答えたいことは一彦先生の方に質問が行くので、ややフラストレーションがあるんですが。 政策需要の件で御質問がありましたが、扱う案件が多い場合、一院制か二院制かということは全く関係ないと思います。私は、ですから、先ほど提案したようなことで仮に定数削減しないで衆議院と参議院を合わせた一院をつくった場合、相当議員数が増えます。そうしますと、委員会が物すごく専門的に特化してやり得ることになります。そうしましたらいろんな議案にうまく対処できるというのは、かえってそういう議院の方ができるということも可能かと思いますので、発想を自由にして、いろいろ今までのことに縛られないで、それで憲法学者の言うような憲法解釈にこだわらないで、どうぞ自由に議論していただきたいなというのが政治学者としての私のお願いです。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、水戸将史委員。
○水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。 両先生、ありがとうございました。 我が日本維新の会といたしましては、前回の調査会でもスタンスを明らかにさせていただいておりますけれども、まず前提が、首相公選制を前提として、そして一院制でその機能を、議会の立法機能と行政に対するチェック機能を果たしていただこうというようなスタンスでございますので、両先生からちょっと視点を変えてお話をいただきたいんですが。 いわゆる行政府の長も、また議会も、今地方政府はそうでありますけれども、二元代表制という形で国民、有権者から選んでいただくというような形式を取った場合に、この一院制か二院制かというそういう論議、例えばアメリカは大統領いますけれども上下両院ともあると、韓国や台湾はそれぞれの国家の行政の代表者がいて、また一院制であるということでありますが、そもそもこの首相公選制について両先生はどのようなお考えをお持ちなのかということと、この首相公選制を導入し前提とした場合、立法府機能というものはやはり二院制の方がうまく機能すると思っていらっしゃるのか。 もちろん、そもそも一彦先生はそういう二院制の立場でありますし、また秀治郎先生は一院制でいいという話であるんですけれども、アメリカみたく余り、大統領がいて上下に両院ともあるとなかなか物事が決まらない、進まないという、そういうジレンマを抱えているようなこともよく聞くわけでありますけれども、この首相公選制を導入し前提とした場合に、やはり一院の方がより一層、議会内閣制以上にスピーディーかつそのメリットがあると、立法機能、行政チェック機能についてもその方がよろしいというようなお考えなのかどうかについて、お二人からそれぞれ御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○会長(小坂憲次君) それでは、加藤一彦参考人からお願いします。
○参考人(加藤一彦君) 首相公選制については、一般的に言えば憲法学者でこれを支持する方はほとんどおりません。これはなぜなのかというと、首相を大統領のように国民が選ぶ、一人だけ選ぶと。あと、お尋ねの件ですが、衆議院が一個で足りると。そうすると、この選挙によって選ばれた首相が議会解散権も持つと。アメリカ大統領以上の強力な権限を持ちます。これは事実上、ポピュリズムからかなり近い距離でファシズムに移行します。そういう点で、憲法学者は首相公選制に対してはかなり厳しい視点で物事を見ます。 あともう一つは、イスラエルが首相公選制を一度導入されたと思いますが、一回で懲りてやめたはずなんですが、これが一つですね。 では、ここから先は加藤先生の方が結構詳しいと思いますので。
○参考人(加藤秀治郎君) 首相公選制については、私は批判の論文を随分書きましたが、誤解に基づいて主張されているだけで、実態が分かれば余り賛成する方はいないのではないかと思っております。 それで、簡単に言いますと、アメリカに近づける、アメリカの方式に近づけるんですが、オバマ政権の最近のことを見ますと、アメリカでは政党が二つあるけれども、レッテルの違う二本の空瓶だということで、民主党と共和党というのは、レッテルは共和党、民主党と付いているけれど、みんな一人一人勝手なことを言っていいし、やっていいような制度で、それで動いてきたからアメリカはやってこれたと思うんですが、今アメリカではその二つの政党がだんだん草の根的な支持者の声を無視できなくなりまして、だんだん政策がはっきりしてきました。それに従って議会運営が随分まとまって、政党ごとの運営がされてきました。 そうしますと、仮に議会に基盤のない大統領が選ばれた場合、非常に困難があって、かつてはいろいろ打開する方策はあったんですが、それが非常に困難になっているということで難しいと思います。ですから、政党政治をどういう形でやるのかというところを、首相公選制をおっしゃる方は是非言っていただきたいなと思います。 それで、どうしてもやりたいという方の場合には何をしたらいいかというと、舛添委員の方が詳しいと思いますが、フランスのやり方を日本でやるしかなくて、私はこれしかないと思いまして、これを国会議員の方の前で説明をしたことがありますが、それを聞いた国会議員の方は、あっ、それはできません、とても選挙民に三十分や一時間話して分かってもらえないからというのが理由でしたが。 フランス型を日本に入れる場合どうするかといいますと、公選の首相のほかに、フランスは大統領と首相ですが、それで議会の基盤のある首相をフランスで置いているんですが、日本の場合、大統領を首相と呼ぶわけですから、私は副首相とでも呼ぶのがいいと思うんですが、もう一人、議会の基盤のある人を行政のところに据えるということをやらなきゃいけないんですが、そういうことをやっていい、そういうことまで考えてやりたいんですということをおっしゃるんでしたらいいですが、そうでないんでしたら、議会に基盤のない公選首相が誕生した途端に、もうとんでもない混乱であります。 かつて長野県の県政は、参議院議員でしたでしょうか、田中知事の下で大混乱に陥りましたし、幾つかの市町村では保守首長の不正などの後に共産党の首長が誕生していますが、そういう場合の議会運営が非常に混乱をしています。どうしてこういう場合のケースを検討して制度設計をしようとしないのかというのが私からすれば疑問で、日本は、私の言っていることは随分極端な議論に今日聞かれた方もいると思いますが、制度を設計しようというとき、何に基づいてどういうコンセプトで私たちはこういう制度を言いたいんですということをきちっと言わないとなかなか、そういう議論の仕方をしていないわけですね。それで、思い付きのように首相を選びたい、アメリカは大統領を選べていいなと。 あとは、そういう手でいうと、国会、衆議院だけでいいんじゃないの、参議院なくしたらというのは、周りの素人の方の物すごく多い意見です。そうしたら、二院制が必要だと思う方は、そう思う方こそ周りの人が理解してもらえるような二院制を設計しなきゃいけないのに、そうでなくて、良識の府だというような看板にすがってみたり、そういうようなことが行われていて、何か議論している間におかしな方向に行くのが日本の政治の話の特徴だと思いますので、是非ここは反省していただきたいなと思います。 先ほどから出ている選挙制度のことでいいますと、一票の格差がそんなに、二倍未満というのは私はいいと思いますが、それを金科玉条のようにして、ほかは一票の価値、全く無制限に等しくなきゃいけないんですかということを考えなきゃいけないので、これを言うと、大事なのは、小選挙区などを言う方は、小選挙区制をうまく働かせられるように、区割りのことはほかの人以上に熱心に考えていただかなきゃいけないんですが、小選挙区制を言う人は、まあこれぐらいでいいんじゃないですかとかですね。そういうのは日本的な議論のように思っていますので、参議院のことを議論するときも日本的な議論から自由に離れてやっていただきたいなと思います。 時間が過ぎていますので。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 水戸将史君の時間は終了いたしました。 次に、江田五月委員。
○江田五月君 両先生、今日はありがとうございます。 日本の二院制、とりわけ参議院の在り方についていろいろ御心配をいただいたり御批判もいただいたりしておりまして、私は国会にもう三十数年、特に参議院には二十年以上もいて参議院の議長も経験をしましたので責任を痛感しております。 そういう前提で幾つかお伺いをさせていただきますが、まず簡単な質問からですが、加藤一彦先生、中国を一院制に入れられました。これは全国人民代表大会を議会だととらえてのことだと思いますけれども、そうすると政治協商会議をどう考えられるかというのがあって、そもそも全国人民代表大会が議会と言えるのかどうかも、これもクエスチョンかと思いますが、お考えをお聞かせください。 次に、これは両先生に伺いたいんですが、ねじれのデメリットの方が強調されて、確かに今デメリットが目立つことはそのとおりだと思いますが、私はメリットもある。既にもうメリットの議論はなされましたが、一番のメリットは、衆参の多数派が異なることによって、もしこの両方の多数派が合意をすれば非常に幅の、裾野の広い合意になるんですね。これによって大変難しいことを乗り越えていくということもできるんで、例えば今憲法改正について議論されています。 今度の参議院選挙は改正勢力が三分の二参議院で得ることが目標だという、そういうことを明らかにした政党もありますが、しかし問題は内容でして、私も今の憲法にかなり無理な制度設計があるということは認めて、自由に変えなきゃならぬ部分もあるだろうと思っています。しかし、この改正というのは、誰か一つの政党や一人の政治家の手柄で改正されたんじゃたまらないんで、やはりこれは広く、今衆参に議席を持つ議員が本当に裾野の広い合意をつくって改正をしていく、少なくともまずはそこから始めなきゃいかぬだろうと思うんですが。 さらにまた、例えば先日の社会保障と税の一体改革なんかも、これもあるいはねじれがあったから、これはどうにもならぬというので大きな合意ができたとも言えるのかと思うので、ねじれのメリットについて両先生のお考えを伺います。 あともうちょっとだけ。加藤一彦先生に伺いますが、緑風会はもう不可能だとおっしゃいました。しかし、私は、これ自由の発想と秀治郎先生はおっしゃったので自由に発想しますと、ねじれを解消すると参議院は元のカーボンコピーに戻ってしまいます。これはいけません。しかし、今の野党は惨たんたる有様と言われればそのとおりだと思います。しかし、この野党がそれぞれ党派性を抑制して、緑風会型の無所属候補をみんなで擁立して、これが一定の固まりになれば、これはそこがイニシアチブを持って参議院がもう一度、まあ良識の府と余り威張って言えませんけれども、本当の意味で良識の府になることだって不可能ではないだろうと思っておりまして、今そのある意味ではピンチがチャンスではないかと思いますが、一彦先生に伺います。 それから、秀治郎先生ですが、国政調査権、これ、少数国政調査権の考え方もありますが、二院制で両方が、別の勢力が多数になっておれば、それこそ政権を取ってないものが堂々と、院の国政調査権を堂々と発揮できるようになるんです。そういう意味で二院制というのは非常に重要ではないかと思っています。 もう一点だけ、あの……
○会長(小坂憲次君) 答弁時間がもうございませんので、以上でお願いします。
○江田五月君 そうですか。じゃ、やめます。どうぞお願いします。
○会長(小坂憲次君) 恐縮でございます。
○参考人(加藤一彦君) どうも御質問ありがとうございました。 一番最初の中国の件で言えば、中国の全人代が議会かというと、実は私もこの文面を書きながら大変違和感があったと。それはなぜかというと、社会主義国で恐らくはパーラメントという概念は、我々が使っているパーラメントとは違うはずであるということで、御指摘のとおりだと思います。私も全人代をパーラメント、議会だとは思っておりません。ただ、一応はあそこで立法権らしきものを行使できるということであります。 次に二点目なんですが、ねじれ国会のデメリットばっかりではなくてメリットもあるんではないかという御指摘であったと思うんですけれども、これは、メリットというのは恐らくは政権党が参議院において少数派であるがゆえにということなんで、これ政権党のことをちょっと中心にして考えていただければ分かりやすいと思うんですが、絶対に参議院で否決される法案を衆議院で無理やりに出すと、これは普通はしないはずであると。何らかの形で野党との合意点を探してやっていくと。そこに大きなポイントが、恐らくはねじれ国会のときにはメリットがあるんであろうと。 これは衆議院議員の河野議長の時代だと思うんですけれども、河野議長あるいは自由民主党の国対の大島さんの時代だと思うんですが、一回、自由民主党は三分の二条項を使って再議決したことがありますね。あれ以降、参議院野党との話合いの場がなくなったということの反省の弁を言われているはずです。で、なんですけれども、まさに与党側からすると話合いの土壌がなくなるということなんで、したがって、ねじれ国会があったときには政権党は慎重に国会審議をやりなさいというプレッシャーが掛かるというのがメリットだと思います。 あともう一つは、これは昨年になると思うんですが、赤字公債の三年連続そのまま、公債特例法を認めたと思います。たしかそういう法律通しましたよね、赤字公債の三年連続そのまま、毎回毎回議決を必要とはしない。それは、双方ともねじれがあるからということで、自民党、民主党、両方とも私のんだと思います。こういうような話合いの路線というものは確保することができるであろうと思います。 あと三番目、私の報告の中で緑風会はもう無理だという言い方をしたと思いますが、ここで言っている私の緑風会はもう無理だという意味合いは、党議拘束のない形での党派を本当につくることができるかという意味であります。 緑風会というのは右から左までいろんな方が入っています。そして、投票のときには一切党議拘束を掛けません。こういうようなユニークな組織体を比例代表なり、あるいは現在の政党化された皆様方の中の、立候補者として後ろには政党の看板を抱え込んでおりますので、そういう形で当選された方が本当にできるであろうかという問いかけであります。 以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) ねじれにメリットはないのかというんですが、それはメリットを発揮していただきたいんで、それは先ほど例に挙げられました税と社会保障の一体改革をやったということは、私はそのいい例だと思います。 ただ、日本ではこういうことの扱いが、それをめぐる言論がゆがんでしまいまして、何か自民党にいいところを取られちゃって野田政権は惨たんたることになりましたが、ああいうことはやはりねじれの下でやっていいことで、ドイツでしたらどうなるかというと、先ほど言いましたように、一彦参考人から、州議会選挙が連邦議会選挙の合間にあるたびに少しずつ参議院での勢力関係が変わっていくんですが、それで事実上は連立は組み替えていないけれども、連立、大連立をやっているようなケースが結構あるんですね。そういう中で結構大事な国政上の課題が解決されているので、そういうことをやっていただきたいわけで、これは何も制度要らないことで、ねじれの下で政党がこれをいい形で発揮するということをやればいいことだと思います。 あとは、メリットとして是非やっていただきたいのは、両院協議会の改革で、規程だけをただ置いていて、例えば協議委員は連記制で選ぶと書いてあるんですが、やったことはないはずです。それで、連記制というのは、じゃ具体的にどうやるのか、何もまだ決まっていません。それで、決めるのが大変だからかどうか、議長に一任ということで、賛成の方は賛成からだけ、反対は反対からだけ選んでいるので、こういうことを改めていただくと、国民もねじれもいいじゃないかという声が出ると思うんですが、そういうことが全然、全然というか、先ほど言ったのを除いてほとんどない。それじゃ、やっぱり私が今日基本的に申し上げましたように、ねじれではやっていけない。 あとは国政調査権ですが、それも活用の一つだと思います。国政調査権については、基本的にハードルを高く設け過ぎているために、与党がやられては困ることは国政調査権を行使させないということになっていますから、もう少しこの辺は工夫が必要で、国民が何かやってもらいたいと思っていることは国会の中で議論できるような、そういうシステムをつくっていただきたいなと思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 それでは、舛添要一委員、どうぞ。
○舛添要一君 両参考人、今日はありがとうございます。 お二方の御意見をいただきたいと思いますが、私が今から申し上げることについての意見ということでございます。ポイントは、衆議院と参議院を役割分担論という形で構成し直すとどうなるか、これは憲法の枠内、枠外を込めて大胆な発想でいきたいと思いますが、それと一票の格差の問題もそこにかかわってきます。 先ほど来議論がありますように、同意人事、この前参議院で否決された同意人事、これは本当に衆参が全く平等の権限を持っているのが国会承認の同意人事であります。したがって、三分の二の可決というようなこともなければ衆議院の優越ということもありません。したがって、どちらかの院で否決されればまた別の人を選ばないといけないと。これで例えば日銀の総裁人事、副総裁人事の時期がずれたりというようなことがありました。 そこで、役割分担論で、今人事の話しましたけど、一つはアメリカの上院というのを念頭に置きますと、大使であるとかこういう重要な組織のトップを選ぶときに、ヒアリングを上院がやって上院が決めると。例えばこういうことを、同意人事について参議院の仕事ということにできないのかなというのが一案、例えばですね。 それから、そのときに、じゃどういう参議院をつくるんだというときに一票の格差との問題あるんですけれども、連邦制的な発想で、人口、つまり一票の格差の話ではなくて、四十七都道府県、例えば各県から二人ずつ参議院議員を出すと。したがって、人口、一票の格差はめちゃくちゃです。 ただ、これは発想として、そういう発想でのハウスの構成というのもあり得るし、これは憲法違反なのかどうなのか、憲法でそこまで決めているのか、両院でもって構成しなさいとは決めているけれども、どういう人が議員になって、どういう選挙方法をやれということは法律マターではなかったのかなということになります。 そして、あえてだから、一票の格差論は先ほど来ありますから言いますと、もちろん一人一票、平等でないといけないかもしれないけれども、東京のように非常にインフラ含めて進んだところと過疎地で進んでいないところで一票の格差はあっていいじゃないかと。だから、非常に困っているところは豊かなところより声が大きくなっていいじゃないかという意見があってもいいんではないかなというのをあえて申し上げたいというふうに思います。 したがって、そういうことも含めて根本的に考えないと、ねじれ云々だけの話ではこれからのこの国の在り方、国の仕組みというのはうまくいかないんじゃないかなと、そういう感想を持っておりますので、御両方の御意見を賜りたいと思います。
○会長(小坂憲次君) 両参考人への質問でございます。加藤秀治郎参考人から今回はいかがですか。
○参考人(加藤秀治郎君) どうもありがとうございます。 役割分担につきましては、これは十分やれることだと思いますので、憲法を改正しないといけないこともあると思いますが、改正しないでできる範囲として、例えば法律案件については先議院、後議院という決め方しかありませんので、これこれの分野は参議院が先にするという慣習というんですか、そういうのをつくるというのでも随分実質は大きく変わるんではないかと思います。 それで、一票の格差について、私は衆議院は二倍未満というのを守った方がいいと思いますが、参議院については、これは憲法学者は多分いろいろ言うと思いますが、公選であればいいという割り切り方をした場合、法律で参議院についてはそうしないということを決めて選べばそれは可能で、例えば道州制を導入した場合、参議院については道州の代表を参議院に送るということで、アメリカですと、物すごく人口の少ないワイオミングは、下院議員はたった一人しかいないんですが、そこでも上院議員は二人いる。人口の多いカリフォルニアは、とんでもなく下院議員が多いですが、そこからも上院議員は二人みたいに、これは決めてしまえばそれで通ることですから、そういうことは自由に議論してやったらいいなと思います。
○会長(小坂憲次君) 加藤一彦参考人、お願いします。
○参考人(加藤一彦君) 第一番目の御質問の役割分担論だと思うんですけれども、これは国会同意の人事がかなり多いんですね。それで、各個別法律でいろいろ書かれていて、各個別法律で全て両議院一致の議決に今改められているはずです。 そうした中で、私、先ほどどなたかの質問に対して答えたのは、行政監督をするということは、結局は人に対する統制をしなければならないからという意味合いで、国政調査権とあとは人事の承認権の参議院の、例えばこれは先議事項でもいいと思うんですけれども、何らかの独自性というのは僕は図ることができるであろうと、そのときに、両議院一致の議決ではなくて参議院のみの議決にするという法律改正も当然あり得るんであろうと思います。 それは何となればというのは、人事案件を出すのは内閣でございますので、衆議院ではそもそももう多数派を形成しておりますので、そうすると、そうじゃない場合も含めて、ねじれがある場合、ない場合もひっくるめて参議院で独占的に行うというようなことはあるんであろうと思います。ただ、これは法律改正ですので、さほどハードルは高くはないと思うんですが、ただ、内閣としてはかなり厳しい法律改正になろうかと思います。 二番目は、今、恐らくはここなんでしょうけれども、憲法を改正しないで道州制を導入し、そして各道州において一定の議席を与える、そして格差は何倍あってもいいんだというのは、恐らくは私は違憲になると思います。それは、昨年の最高裁判所でもそうだと思うんですけれども、やっぱり格差訴訟というのは権利の問題なんだと、有権者サイドからすると、投票権の平等性の問題なんだというところがありますので、ただ単に制度だけのアプローチではうまくいかないであろうと。 恐らくは、今日の私の守備範囲を超える問題だと思うんですけれども、憲法を改正した場合においては、恐らくは道州制を導入しなければこの国、駄目だと思います。いわゆる地方分権論という、地方自治法の改正では足らないです。その際には、ただし第二院を置く参議院は全国民の代表機関であることをやめることです。そうしない限りは無理です。というのが私の今まで勉強してきたことの見立てでございます。
○舛添要一君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 それでは次に、古川俊治委員、お願いします。できれば質問、答弁共に短めにしていただけると残りの方全員の時間が割り振れますから、よろしくお願いします。
○古川俊治君 はい。 今、日本は議院内閣制を取っているので、これを前提にちょっとお聞きしたいんですが、議院内閣制のときに、ちょうどそのアリーナ型ということで先ほど加藤先生もお話しになられまして、それで議院内閣制は、確かに理想としてはこれは二大政党制が争って選挙で責任を取っていくというような制度の方が、イギリスのウエストミンスターモデルが一応理想だと思うんですけれども、今の議院内閣制を見ていますと、全世界的にですけど、イギリスでも両党が取る、二大政党が取る得票数がだんだん歴史的に減っていると、またオーストラリアでもハングパーラメントという現象が起こってきている。 結局、多元的な今の複雑化した民意ということを考えますと、二大政党制というのはどうやら非常に維持が難しいんではないか。むしろ日本の議院内閣制においてはコンセンサスモデル、多数の党が並立すると、そういう中での議院内閣制と、これは言ってみればコンセンサスを取っていくわけですけれども、それぐらいの方が現実的なのではないか、私はそういうふうに考えているんですが。 その点で、実はコンセンサス型ですと、非常に妥協で政策が決められていくと。ですから、選挙で結局選択がされないわけですよね。今の状況で申し上げますと、議院内閣制といいましても多数党である限りは政権の連立の枠組みが外れたりしますから、どこが選挙で本当に責任を取っているか分からなくなっちゃうんですね、そういう現実もありますけれども。やはり、日本のこの現実も踏まえた場合も、二大政党制を議院内閣制の中で追っていけばいいのか、このことをまず伺いたいと思いますね、これ理想なのかということ。 それからもう一つが、現在の、二〇〇五年、二〇〇九年、二〇一二年の衆議院選挙がいずれも、小選挙区ということもありますけれども、一極化しました、流れがですね。その中で、我々はその途中に参議院選挙があることによってねじれが起こって、それで少しずつ、国会の審議には出てきませんけれども、かなり水面下で妥協することによって八割ぐらいの法案を成立させてきたんです。 逆に言えば、政権がどんどんどんどん一極化して替わっていくと、これから先も替わる可能性ありますから、そうなってきますと、妥協をやっていかないと一回決めたことが次々にこれは変更されるんですね、政権交代するたびに。そうすると、かえってこの国の政策を進まなくさせますので、ねじれ国会の中で決められたことと決められないことがあって、決められなかったことはかえって決めなかった方がよかったんではないか、次の政権交代を考えた場合ね、こういう考え方もできると。ですから、ねじれ国会の妥協の効用ということもそこではあったんじゃないかという気もするんですが、この点について両名から、お二人の先生方からお話を伺いたいと思います。 以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) 多元的な民意があるので二党制は適さないんじゃないかという議論ですが、これはたくさんの方が言うんですが、ほかの先進国と比べたとき、日本で特に多様な民意があるかというと、別に特殊な条件はほとんど日本に私はないと思います。 コンセンサス型を言っているのは何かといいますと、ヨーロッパの中小諸国で、言語や宗教で深刻な対立を国の中に抱えていて片方を無視できないので妥協的に合意を形成していくというやり方がいわゆるコンセンサス型で、日本ではこれを何か随分軽く紹介して、日本は多様だから二党制が適さないと言っているんですが、これはそうかどうかは分からない。 一つは、例えばアメリカの黒人ですが、アメリカの黒人は少数だったわけですが、アメリカでは二つしか政党がないので、どうなったかというと、黒人は独立した政党をつくったって議席は取れないわけですね。それで何をしたかというと、民主党が結局は黒人票を当て込んでその政策を取ったわけですね。それによって黒人はアメリカにうまく同化されたということで、多様な民意があるから二党制が適さないというのは、日本ではみんながたくさん言いますが、それはいろんなケースを見るとむしろ逆のところがあると思います。コンセンサス型を言う方は、コンセンサスのためのルールを、私なんかとは別に、本気になって作っていただきたいと思います。 政権交代があることは政策の不連続を生むというんですが、これはかつてイギリスが英国病と言われていて、政権交代があって、民主主義からいったらすばらしい、しかし労働党になると国有化をする、保守党に戻るとまた民営化するというので、それでイギリスの経済が悪くなったというんですが、これはそれを良しあしどう考えるかで、それも英国民の選択できることですから。それを含めてですが、日本はその前に行って、まあまあまあまあ的なところで行きやすいので、これも簡単な議論ではないと思います。
○参考人(加藤一彦君) 大きい、非常に大きいテーマでして、我が国の統治システムに適合的なのが要は二大政党制なのか、多党制、多極共存型デモクラシーなのかということになると思います。 しかしながら、現行憲法で衆議院と参議院があって、参議院が憲法上強い権能を持っているといった状況の中においては、二つの政党しかないということは恐らくはかなりいびつな関係性を持つであろうと。だから、恐らくは多党制の中で参議院選挙をしんしゃくしつつ連立を組み替え、政権を運営していくというふうにならざるを得ないんではないかというふうに私は見ております。 そうすると、おのずと、じゃ選挙制度は小選挙区制よりも比例代表にアクセントを置いたりというような話になると思うんですけれども、それはそれとしてなんですけれども、やはりここは皆さん考えていただきたいと思うんですけれども、若者たちが選挙に行っていないですよ。投票率なんかはひどいものですよ、五〇%台じゃないですか。この間の総選挙は戦後最低ですよ、衆議院選挙。国民サイドからすると、入れる政党がないからです。この問題が深刻なんですよ。 そしてさらに、一票の格差も全然是正されないと。今度、参議院選挙あります。皆様方は多分、この中で改選を迎える方はもうそろそろ計算されると思うんですが、今年の七月やるというのは大体もう分かっているわけで、そのときに皆さんは投票率何%で当選基数を計算されているんでしょうか。その問題なんですよ、要は。政党の数というものとは、同時に魅力がある政党はどれだけあるのかということと結び付きますので、ここはやはり忘れないでいただきたいということが一つであります。 あとは、政権交代についてなんですけれども、これはもう片方の加藤参考人が言われたとおりだと思いますが、要は政権交代というのを私たちはつい最近初めて経験したと。これは、恐らくは日本の政治の中では二十一世紀前半のまだ過渡期の状況なんであろうと。ということで、総括するのにはちょっと早過ぎるなという気は私はしております。 五五年体制の崩壊があったと。その後、今度、政権交代、民主党が政権を取って、また自民党に戻ったと。じゃ、次はどうなるのかというのがまだ未知数で見えませんので、そういうものを見ながら今度は国民サイドの方で学習していくんじゃないでしょうか。政権交代といってもこんな程度なのねという話になるのか、劇的に変わったのかと。ということなので、まだ私も分析中ですので評価は差し控えたいと思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、松井孝治委員。
○松井孝治君 指名ありがとうございます。 私は、両参考人に同じ質問を一問させていただきたいと思います。 それに先立って、簡単に私の見解を申し上げますと、私はこの夏で議員を引退する者なんですが、十二年間参議院で活動させていただいて思いますのは、今の二院制の状況は、加藤秀治郎先生が最初におっしゃいましたけれども、やはりなかなか機能不全と言われても仕方ないと思っております。 その意味で、前回のこの審査会の議論でも、やっぱりもう少し二院制を堅持するのであれば、役割分担をしっかりとしなければいけないというふうに思っています。先ほどのような人事とかあるいは監査的機能ですね。執行の院が衆議院だとしたときに、そのチェックの院としての役割を果たしていくということもそうですが、一つは、もう一つの大きな論点は、私は、今日、両参考人がそれぞれドイツについてお詳しい、あるいはドイツに滞在経験がおありですので、やはり国と地方の関係が非常に依存型の体質になっている。 これをもう少し地方が当事者意識を持って、自立的に役割を果たしていかなければいけないという視点を持っていまして、そういう意味で両参考人に伺いたいのは、ドイツの連邦参議院、加藤一彦先生のお話によれば、これは本当に二院制と呼べるのかどうかも微妙なところかもしれませんですね。ひょっとしたら国と地方の協議機関というものを非常に強固なものにしたような一院制なのかもしれません。 そういう意味で、このドイツの制度、連邦参議院の制度について、あるいは両院の協議機関の持ち方についても両参考人お詳しい、論文等も拝見いたしましたので、その運用の在り方も含めて、ドイツの連邦参議院、あるいはドイツのいわゆるかぎ括弧付きの二院制の在り方、それから運用の在り方についての評価を両参考人から伺いたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、加藤一彦参考人。
○参考人(加藤一彦君) ドイツの制度を両院制として紹介するのには、確かに括弧が必要なんですね。ドイツ連邦参議院、なまじっか日本のこの参議院と同じ名称ですので、何かどうしてもそういうふうにイメージをするんですが、先ほど言ったように、日本的にいうと知事会等々をイメージしてもらった方が分かりやすいよということなんですけれども、一番はっきりしているのがこれなんですよ。ここ国会議事堂、衆参両院ありますよね。ドイツの連邦議会の衆議院というのが、大きい国会議事堂ってありますよね、あそこに連邦参議院は入っていないんです。全然違う建物なんです。そもそも、だからハウスの概念には入っていないんです。 そこで、各州の代表者が、六十九名の人たちが連邦議会で議決した法律案について、もちろんこの法律案全てではございませんで、法律も二種類ありますので、ドイツの場合は。絶対に連邦参議院の同意を得なければならない法律について、連邦参議院がイエスと言うのか、ノーと言うのか、もう一回話し合おうかというふうになるのかという形で進んでいくんですね。そこで連邦参議院が駄目と言っちゃうとにっちもさっちもいかなくなりますので、そこで、ではということで先ほど言った協議会が形成されてくるというのが仕組みです。 ただ、そのときには州の制度、十六の州があって、それぞれ十六の州が議会を形成して、そして首相を持っておりますから、そのときに連邦議会の多数派と連邦参議院の多数派が一致すればこの問題は発生しないと。だから、州の選挙が極めて重要な意味を連邦政府は常に持ちます。そして、そのことは同時に、これは日本の場合も同じでしょうが、その年、州の選挙があるときには、連邦政府は相当慎重に政策を進めていきます。ちょうど現在の安倍政権と同じです。今年、参議院選挙がありますから。 以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) ドイツのことにつきましてですが、私は二十六歳のときに行って二年間いたんですが、行って帰ってきてすぐは、ドイツは良くて、日本もドイツのようにやれということを言って、当初、選挙制度については比例代表制を主張していたんですが、今は考えが変わりましたんですが、議会のことについて言えば、連邦議会について、比例代表で選ばれていて、当時、二つの大きい政党と一つの中ぐらいの政党があって、これでしたらうまく回っていたんですが、現在は二つ大きく、これもかなり小さくなってしまいましたが、一応二つ大きくて、残り三つぐらい出てきますと政権の形成が非常にうまくいかないということで、私は、比例代表制を論じる方は、議院内閣制の下で比例代表をやるならドイツの例をよく見て、政権形成をどういう形でやるのかということを常に頭に置いて言っていただきたい。 それで、あとは、ドイツの場合は御承知のように五%以下のところには議席を配分しませんが、これはやっぱり政権形成ということを考えたらそういうことをどこかで言わなきゃいけないと思いますが、日本では比例代表を言う人は、何も言わないでただの比例代表制で、これは日本でそれで大丈夫ですかということを申し上げたい。 もう一つの国と地方のことは、非常にドイツから学ぶことがたくさんあると思います。 それで、ドイツの連邦の首相候補がどこから出てくるかというと、州で首相というんですが、州のトップの人がいきなり連邦の首相候補として登場するケースが結構あるんですが、それだけ州の持っている政治的な意味合いが大きいわけでして、それで、日本と違って各州が産業政策的なことを超えて独自に自分たちの州はこういう形で経済発展を図りたいということをやって、ハイテクが強くなった南の州だとか、あとはシュレーダーなんて人は北部ですが、北部で独自の経済改革をやって、それの成功をバックに連邦に出てくるとか、こういうダイナミズムがドイツをいいものにしていると思いますが。 日本は、ちょっとそういう要素を都道府県には期待できないと思います。それで、都道府県は小さ過ぎますので、その辺も含めて是非本格的な議論をやっていただきたいなということを思います。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 野上浩太郎委員の御理解をいただきまして、最後の質問者になると思います。宇都隆史委員。
○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。 今日は両先生、ありがとうございました。 両先生に端的に二点の質問です。いずれも関連する質問であります。 一点目は、両院を持つ議会制民主主義において、第二院から閣僚を出すことに対する弊害をどのようにとらえるか。二問目は、これに関連して、実際に具体的に、両院を持っている議会制民主主義の国家において、そういう第二院から閣僚を輩出している国があるのか。もしあるとすれば、第一問に言った弊害をどのように克服しているのか。御存じの範疇でお答えください。
○参考人(加藤一彦君) 御指摘の点は、参議院議員が大臣、国務大臣になれるのかと。憲法上はなれますというのがまず普通の答えですね。これ、適切かどうかということになると思いますね。 この適切かどうかというのが、良識の府だからとかそういう話での適切、不適切というのも一個あるんでしょうけれども、実は、やはり私はここは、議院内閣制の本則というのは、一国の首相は下院の任期と同一でなければならないと、下院、要するに衆議院ですね、というのが私、基本だとやっぱり考えております。そういう意味でイレギュラーな形式かなと、参議院から出るのはイレギュラーな形式かなという気はいたしますが、我が国では憲法上、それをしたからといって違憲の問題が発生するということは全くございません。 あと、もう一つは、第二院からよその国では大臣の例があるのかということなんですけれども、これ、議院内閣制というのは国によって極めて多様でございます。なんですけれども、例えばドイツでもイタリアでもそうだと思うんですれども、首相というのは国会議員じゃなくてもいいんです、そもそも。ドイツの場合でもそうです、憲法上の要件はありません。イタリアもありません。日本的にいえば、衆議院で一番この人がいいという人が首相になるということであります。 そうすると、議院内閣制の大本をイギリス的にイメージをするのであるならば、当然、イギリスの衆議院は庶民院と申しますが、庶民院の第一党の党首が首相になる。ただし、ここも勘違いされないでください。イギリスの場合においては、庶民院においては内閣総理大臣指名選挙は行いません。これは、現在のクイーンでありますが、クイーンの任命制でございます。 そうすると、いろいろなバリエーションがありますので、今のお答えに対しては、多様、それぞれの国においてそれぞれのやり方があるというのが私の答えです。
○参考人(加藤秀治郎君) 両院制で第二院から閣僚を出すのはどうかという問題ですが、私はこれ余り意見はないんですが、果たして日本の参議院は第二院なのかというのがそもそも私の問題で、今は要するに対等、かなり対等に近い議院で、片方、衆議院が第一院でこっちが第二院とか、そういうようなことになじむのかどうか分かりません。ですから、憲法学で第二院からどうこうというのは、一般論をいろいろされる場合とまた別なところがあるんじゃないかなと思います。 それで、今触れられた点で任期のことですが、衆議院の選挙を首相を選ぶ選挙、政権選択の選挙という性格をはっきりさせたいんでしたら、首相は基本的に次の総選挙までやるんですね、よほどひどくない場合はですね。ということは、各党の党首、政権を取るつもりのある党、少なくとも政権を取るつもりの政党では、党首の任期はやっぱり次の総選挙まで、必ずそう書いていただきたいんですね。 これは、日本は三年だとか二年とかといって、せっかく選んだ、それで途中で任期が来たから交代するとか、そういうことを平然としてやっていますけれども、これは総選挙で誰がいい、彼がいいといって選んだって、途中で任期が来たから辞めますとか、というようなことは非常に変則的だと思います。 それで、あと、今イギリスの例が出ましたが、イギリスは第一党の党首が自動的に首相になりますから、それを女王なり国王が指名するということで、首相の選挙は、何というんですか、第一党だけで政権ができないときだけやっていることで、そういうことが出ますと、もう選挙と首相の関係が非常に明確になっています。 日本はそれからいうと、首相はこの人がいいといって選んだんだけれども、途中で党内の事情で下げたり、一番ひどいのは任期が来たから党首選挙をやるという、このパターンは日本だけで通用する。そして、かつて、これが残ったのは、自民党はずっと政権取っているから、適当な時期に替わってもらいたいから、こういうのが残ったのかもしれませんけれども、もうそういう時代ではないという認識に立つなら、各党とも党首の任期は衆議院選挙と合わせてやるということを是非やっていただきたいなと思います。
○会長(小坂憲次君) 御発言も尽きないようでありますけれども、予定の時間を過ぎておりますので、以上で質疑を終了いたします。 この際、一言申し上げます。 本日は、加藤一彦参考人、加藤秀治郎参考人におかれましては、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。当審査会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。(拍手) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時三十一分散会