法務委員会 第12号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2013/05/10
会議録
○石田委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長近藤正春君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長深山卓也君、法務省入国管理局長榊原一夫君、公安調査庁長官尾崎道明君、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君及び経済産業省経済産業政策局長石黒憲彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。
○階委員 おはようございます。民主党の階猛です。 きょうは、虚偽捜査報告書の問題を取り上げたいと思います。 我々が政権を担当していたときから、三つの虚偽問題というのがありました。 一つは、前田検事のフロッピーディスクの偽造による虚偽、この件では、前田さんは実刑の判決を受け、上司である検事の皆さんも刑事訴追されて、今争っているという状況です。 それから、二つ目の虚偽は、陸山会という政治団体の収支報告書に虚偽があったとされて、きょう石川さんも見えられていますけれども、石川さん初め、小沢さんの三人の秘書、それから、検察審査会の起訴議決によって小沢さん自身も刑事訴追されたという問題です。 それから、三つ目の虚偽が、きょう取り上げる捜査報告書でございまして、この虚偽の捜査報告書については、まだ誰も刑事訴追を受けていない。 前の二つの問題については、もう実刑判決を受けられた方もいれば、一審、二審で有罪判決を受けられた方もいる。また、実行犯だけではなくて、その上司という立場の方も刑事訴追になっている。こういうところで、私は、三つの虚偽の中で、捜査報告書の問題というのは非常に軽く扱われているのではないか。マスコミの報道ぶりもそうです。そこで、きょうはこの問題について取り上げたいんです。 ただ、ちょっと私、残念だったのは、きょう理事会で決まったそうなんですが、きょうお配りしている資料の中で、資料三の捜査報告書というのが資料として提出することを認められませんでした。この捜査報告書自体が虚偽であったという問題があるわけですから、これをぜひ現物を皆さんにお示ししたかったんですけれども、委員長、なぜ、この捜査報告書、この場に提出することが認められないのか、その点をまず御説明ください。
○石田委員長 理事会で協議をいたしましたけれども、今まで委員会への資料提供については、その出典が明記されているということが一つの前提でございます。 そういう中で、御指摘の資料三につきましては、これはインターネットからダウンロードされたものだということでございまして、原本の捜査報告書と一致しているかどうかというのを確認するすべがないということで、理事会で提出を認めなかったということでございます。
○階委員 それでは、この場で確認しますけれども、インターネットで流出されているものは誰でも見れるわけですけれども、これが原本かどうかということは皆さん、法務省の方では確認されているのかどうか。これは大臣かどなたかでも結構ですが、お答えいただけますか。お答えください。大臣。
○谷垣国務大臣 私もまだインターネットでこれを拝見したことはございません。ネットに流出したものと報告を受けておりますが、果たしてその真偽がどうかということは、私自身は確認しているものではございません。
○階委員 では、この点については改めて委員会の後でも確認させていただきたいと思います。 それでは、本題に入ります。 この虚偽捜査報告書の問題については、昨年の六月二十七日に最高検の方で、これは資料一ですけれども、長い題名でございますが、いわゆる報告書というものをつくっております。クレジットは最高検察庁となっておりますけれども、検事総長の権限と責任において作成したものなのかどうか。これは法務大臣でも、きょうは検事総長はお見えでないようですから、法務大臣からお答えください。
○谷垣国務大臣 これは、今、階委員がおっしゃいましたように、最高検察庁として出したものでございます。これは、この件の捜査及び調査の結果を取りまとめて公表したものでございまして、組織としての最高検察庁の権限と責任において作成したものでございます。
○階委員 そうすると、非常にこの内容について今問題があるという指摘がされていまして、これは検察庁としても大変重要な問題だと思います。 この捜査報告書の方なんですが、そもそも、この文書は誰に宛てて、何のために作成したのかということを、そうしますと、どなたにお尋ねすればよろしいですか、大臣。
○谷垣国務大臣 この報告書は、当時この事件、この事件と申しますのは、いわゆる一般市民から刑事告発を受けて捜査をし、そして監察調査を行ったわけでございますが、これは裁判所からもいろいろ指摘を受け、報道や国会等でも大きく取り上げられた検察官の捜査活動にかかわる問題でございますので、結局のところ、この当事者やあるいは監督者に対し、人事上の処分も行うこととなった。 そういった事情を踏まえまして、昨年の六月、最高検察庁として国民に対する説明責任を果たす必要があるというふうに考えまして、御指摘の報告書を作成し、そして捜査及び調査の結果を公表したものというふうに私は理解しております。
○階委員 今、国民に対する説明責任を果たすためにというお話がありましたけれども、これはまだホームページ上公開されていないと思っておりまして、普通の国民はこれを見れない状況にあると思います。 ということは、この作成の目的と反するような状況にあると思っていますが、この点についてはなぜ目的とそごがあるのかということをお答えください。
○谷垣国務大臣 この報告書は、不起訴処分としたこの事件の証拠の内容、あるいは検察官がこれに基づいてどういう事実認定をしたか等々、本来、捜査上、こういうものは非公開とするのが原則というか通常でございます。そういう非公開とすべき事項がこの中に記載されておりまして、事案の性質上、関係者の名誉やプライバシーに与える影響も少なくない。こういったことから、ホームページ上で広く公表するのは相当でないと検察当局で判断したものでございます。 ただ、この報告書は、先ほど説明責任という言葉を私使いましたけれども、最高検察庁において昨年の六月二十七日付で報道機関には配付をいたしました。そして、その内容を説明いたしまして、それが報道されるという過程をたどっております。
○階委員 先ほどの虚偽捜査報告書原本自体、それから今の報告書自体、全く国民の目には触れないということであれば説明責任というのは果たされないと思っていますので、これはホームページで公開するように私は求めたいと思いますし、私自身も、これは重要な問題ですから、自分のホームページなどで公開したいと思っております。 その上で、先ほど検察庁の責任においてこの報告書というのはつくられたということなんですが、内閣法制局にお聞きしたいんですが、お渡ししております資料の三十ページに検察庁法十四条ほか抜粋がございます。三十ページをごらんになってください。この中で、いわゆる法務大臣の指揮権のことが書いてありますが、「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」というものがあります。 この報告書を作成することは、本文の「検察官の事務」あるいはただし書きの「個々の事件の取調又は処分」、いずれかに当たるのかどうかお答えください。法制局。
○近藤政府参考人 ただいまお尋ねの文書の件ですけれども、今、質疑の中でいろいろ過去の公表の経緯の話がございましたが、恐縮ですが、法制局としてこの資料について、報告書、文書について当局として承知しておりませんでして、内容もよくわかっておりませんし、やはり、この検察庁法十四条の問題であれば、所管省庁である法務省の方からお答えいただくのが適当であるというふうに考えております。
○階委員 ということですが、では、法務省としてどういう見解なのかというのを、ございますか。
○谷垣国務大臣 検察庁法の第十四条、これは先ほどお示しになりましたように、「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」というふうに規定しております。 この十四条が、検察権の行使に関して法務大臣の一般的な指揮監督権を規定しながら、具体的事件に関する場合には検事総長のみを指揮することができると定めておりますのは、これは、検察権が行政権に属することによる内閣の一員としての法務大臣の責任と、それから、司法権と密接不可分の関係にある検察権の独立性確保の要請との調和を図ったものであるというふうに理解をされております。 個別的具体的事件における捜査結果を記載した文書を作成してこれを公表することは、この当該事件の捜査の経過や結果を踏まえてなされることになりますので、その作成や公表について指示することはその事件の捜査やその処分に影響を及ぼしかねないものでございますから、法務大臣としては、検察庁法第十四条の趣旨に鑑みて、検察権の不当な制約とならないよう慎重な対応が必要である、そういう分野に属すると考えております。
○階委員 そうすると、ただし書きの方に近づくというふうな理解でよろしいかと思いますが、それはまた後ほどお尋ねするとして、きょうは、資料四の方ですけれども、済みません、資料三が提出を認められませんでしたので、今度は資料四の、手書きのページ番号で四十二ページというところに目を移していただければと思います。 田代さんという検事の作成した報告書が虚偽ではないかということについて、この審査会では、もともとやくざの事件というキーワードがあったところから、田代さんは捜査報告書にいろいろそれと結びつけたようなありもしないやりとりを書かれていたということです。これがどのように連想されたか理解できません。やくざの事件という表現からどのように連想されたか理解できないで、両者の内容は実質的にも相反していると言わざるを得ないということです。それから、「田代報告書が問答形式をとっていることから、読み手にとっては、B自身が従前の」、Bというのは石川さんですけれども、「従前の供述を維持する旨を供述したのは、あたかも勾留中の取調べにおける田代の説得を想起して供述したようなやり取りが実際にあったものと誤解を生じさせるものと断じざるを得ない。」ということであります。 こういったやくざの事件から連想することはできないということとか、問答形式は誤解の可能性が大きいという重要な指摘がされているということをまず申し上げます。これについては答弁は求めません。 それともう一つ、四十四ページのところですけれども、ここについては、まず、こういう実際の取り調べと違う内容の報告書が書かれたことについて、田代検事は記憶が混同したということを言っています。故意はなかったということを言っています。しかし、この検察審査会では、先ほども申し上げましたように、 「ヤクザの事件」というキーワードなるものは、見ようによっては、田代がその「キーワード」があるが故に、田代報告書に、平成二十二年五月十七日の取調べにおいては存在しなかった問答を意図的に取り込むことが許されると解して、虚偽の認識を持ちながら田代報告書を作成したと解することも出来ないわけではない。一般常識に照らしても、記憶の混同を基礎付けるものとは言い難い。 であるとか、次の四十五ページに行っていただきますと、二行目のdのところですけれども、 田代は、取調中にメモを作成しないか、作成したとしても、ごく簡単な内容の物しか残していないというのであるから、その様な取調方法を採る検事は、それなりに自己の記憶に自信を持っているはずで、その記憶の自信からしても、簡単に記憶の混同を起こすとは考えられない。 それからeのところは、 田代報告書第二の三項本文には、「「うーん」と唸り声を上げ」などの記載があるが、このようなリアルな記載ができるなら、記憶の混同等はあり得ないはずである。 というようなことが書かれております。記憶の混同という最高検報告書の記載についても重要な批判がされているということを申し上げたいと思います。 その上で、私、この検察審査会の議決書を見て驚愕したのは、もう一回、四十四ページに戻っていただきまして、真ん中より下の方にbというのがあります。「田代は四十才台半ばのベテラン検事であり、同一の被疑事実で同一の被疑者とはいうものの、二日前と約三カ月前の取調べの記憶を混同することは通常考え難い。この点、検察審査会において説明した検察官は、」検察審査会の場で、審査員に対して説明する役の検察官がいらっしゃいます。その方が、審査員から質問を受けました。何を質問されたかというと、「駆け出しの検事ならいざ知らず、四十才台のベテランの検事である田代が、簡単に記憶の混同を起こすとか、勘違いをすることが有り得るのか」という質問を受け、「検事も人の子ですから、間違いはあると思う」というふうに答えている。「それでは答えになっておらず、むしろ、答えに窮して、表現は悪いが、誤魔化していると評さざるを得ない。」ということで、この田代検事だけではなくて、説明に来た検察官も、「検事も人の子ですから、間違いはあると思う」というようなことを言っているわけです。 このような、いわば自分に甘くて他人には厳しいような検察官、これで果たして正義が守れるかどうかということは、ぜひ皆さんに共通の認識を持っていただきたいと思っています。 また、仮にですけれども、百歩譲って、検事も人の子だから間違いがあるというのであれば、私は、石川さんが今回自分で録音されたおかげでこういう問題が発覚したわけです。実際の取り調べのやりとりとそれから捜査報告書に検事が書く内容がいかに異なっているかというのがはっきりしたわけですけれども、間違いがあるというのであれば、石川さんのように自分の判断で録音することはとがめられる理由がないと思います。 ただ、実際、この取り調べの録音を見てみますと、一番最初に田代検事は、石川さんに録音機持っていないかということをしつこく聞いています。私は、これもおかしいと思っていまして、石川さんのように自分の判断で録音することはとがめられる理由はないと思っています。 刑事訴訟法上は、そもそも任意の事情聴取は受けるか受けないかという自由もあるわけですから、応じた上で録音する自由は当然あるのではないかと思います。この点について法務大臣の御答弁をお願いします。
○谷垣国務大臣 在宅の被疑者やそれから参考人が取り調べ状況を録音することを認めるかどうか、これは、取り調べを行う検察官において、取り調べの機能を損なうおそれ、あるいは関係者の名誉、プライバシーの侵害、あるいは罪証隠滅のおそれ、こういったことを考慮して、事案に応じて判断すべきものだと私は思います。 したがいまして、法務大臣が一般的にそのようなことを指示するのは適当ではない、このように考えております。
○階委員 理論的にはどうかといえば、私は、任意に取り調べに応じないという自由もあるんですから、取り調べに応じた上で録音する自由もあると思っていますけれども、今のような運用ということであれば、私はこれは立法で手当てをしなくてはいけないというふうに思っています。 今回、この起訴議決書、後でじっくり読んでいただくと、大変、検察の今回の対応、なかんずく先ほど申し上げました最高検の報告書の内容についても指摘がいろいろとなされておりますので、これを踏まえてこれからどう対応していくかということなんでございますが、まず、この議決書の結論としまして、田代検事につきましては、虚偽報告書の作成の点について、虚偽有印公文書作成、同行使ということで再捜査をすべし、あるいは偽証罪で再捜査をすべしという不起訴不相当の結論が出ています。ただ一方、上司の二人の検事については不起訴相当という結論が出ているわけであります。 資料の四十五ページをごらんになってください。この資料の四十五ページの真ん中よりやや下に、「本件」、すなわち、この本件というのは田代検事が虚偽捜査報告書をつくったことについて検察が不起訴処分をしたことなんですが、「不当であると判断し、より謙虚に、更なる捜査を遂げるべきであると考える。」というふうになっております。 謙虚に捜査をするのであれば、私は、最低限、取り調べの当事者である石川代議士に事情聴取を行う必要があると考えております。ただ、きょう、石川さんお見えですけれども、先日お伺いしたところだと、この議決が出た後も、まだ検察の方から事情聴取に応じてくださいというお話は一切ないそうです。 私は、これではこの議決に応えたことには到底ならないと思っていまして、最低限、そのような石川さんへの事情聴取は、取り調べの一方当事者ですから、行うべきだと思います。 法曹としての大臣の御見解を問います。
○谷垣国務大臣 これも、大変木で鼻をくくったような答弁になってしまうかもしれません。 これは、今の議決書を踏まえてきちっと再捜査を検察で遂げなければならないわけですが、それについて具体的にどういう捜査手段をとるのか、どういう事情聴取を行うのかというのはその中で判断をすべきもので、法務大臣として一般的なことを申し上げるのは控えたいと思います。
○階委員 事情聴取は最低限やるべきことだというふうに申し上げましたけれども、それは、なぜそこまで言うかというと、五十五ページ以下、実は、ちょっと済みません、乱丁がありまして、先に五十六から読んでいただきたいんですね。五十六から読んでいただいて、五十六、五十五、その後五十七というふうに続いていきます。 これは、石川さんと郷原さんという元検事の方が本の中で対談したものから抜粋したものであります。この石川さんが郷原さんとの対談の中で、例えば、五十五と手書きで書いているところの後ろから七、八行目あたりですけれども、問題の、検事から「貴方は十一万人以上の」云々かんぬんという小沢さんへの報告、了承を認めた経緯を回想したように書かれている部分に関して、「このようなやり取りは、五月十七日になかっただけではなく、逮捕・勾留中も、全くなかったということですね。」という問いに対して、「ありません。そもそも私が調書に署名することにした経過は全く違います。私がそんなことを回想するわけがありません。それに、この田代報告書で、小沢さんへの報告・了承を認めたとされている一月十六日というのは逮捕翌日です。」というようなことを言われていたり、あるいは、五十七ページですけれども、この真ん中あたりですね、郷原さんが、「そうすると、「貴方は十一万人以上の選挙民……」だとか、「ヤクザの手下が親分を守るために……」という話は、どこから出てきたんでしょうか?」というふうに聞かれているのに対して、「間違いなく、田代検事と特捜部の上司との間で創作したのだと思います。」というふうに重要なことを言われております。 こういう重要なことを既に公刊されている本の中で語っている以上、この石川さんのお話というのをじかに再捜査の中で聞くべきだと思っております。それによって、再捜査の結論も、一回目の捜査とはおのずと変わってくるかと思います。私は、検察の信頼の回復のために、この点はやるべきだと思っています。 私は、もう一人、この事件について正論をおっしゃっているなと思うのは、元法務大臣の小川敏夫さんという方です。 次の、最後のページ、六十ページというのを見ていただければと思います。法務大臣の指揮権発動について述べられています。 過去において指揮権が発動されたのは一回だけだというくだりがありまして、 過去に一度だけの指揮権発動が、時の政権が政権内の有力者に対する捜査をつぶしたと見られるひどいものであったこともあって、指揮権の行使は控えるべきだという論が強く、中には、国家の存亡にかかわる重大事態でなければ行使できないという説を唱える人もいる。特に、検察関係者には指揮権の発動を極端に制約的に主張する人が多い。 これを検察の「気概」と読むか、「独善」と読むか。 しかし、民主主義の下で、国民の声を代表する法務大臣が検察の誤りを正すために指揮することは当然のことであり、法務大臣は、国民の代表の立場から指揮すべき事件は、指揮する職責があるというべきである。 というふうに書かれています。 私は、民主党政権のときであれば、やはり当時は、小沢さんであるとか石川さんであるとか、同じ党の中の話でしたから、法務大臣が指揮権を発動することは不要な臆測を招くということでちゅうちょされるのはわかるんですけれども、今や政権もかわりました。法務大臣が、このような、検察が不当な捜査をしている、検察の信頼を取り戻すという意味で指揮権を発動することは、私は、むしろ、やって全くおかしくない。 この小川さんの本の中にも書いてありますけれども、最後の方ですが、「検察内部の事件について、検察が消極的対応に終始して国民の信頼に背くような場合は、国民の代表である法務大臣が指揮権を行使するべき典型的事例である。」というふうに述べられています。私も、そのとおりだと思います。 大臣は、この問題について、指揮権を発動すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 階委員の御所見は、階委員の御意見として私は伺っておきたいと思います。 私は、指揮権発動、検察庁法十四条というのは、それなりの根拠があってつくられた法律だとは思っております。しかし、法務大臣が、では、個別的事件に関して、指揮をしよう、あるいはしないということを申し上げること自体、具体的な捜査活動等々に大きな影響を与えます。 今、国会のこの委員会の場で、私は、自分の考えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○階委員 きょうは、重要な問題を私は指摘させていただきました。私は、谷垣法務大臣であれば、この問題の重要性に気づいて、適切な対応、検察庁法十四条の運用をしていただけるものと確信しております。どうぞよろしくお願いします。 最後になります。 昨年の六月二十七日の最高検の報告書は、一回目の不起訴処分の日に出されたものです。これから再捜査が行われますけれども、この再捜査の結果、どのようなものであるにせよ、これほど重要な問題点があるということですから、やはりその段階においてもちゃんとした説明責任を果たすべきだと思いますし、この間の一回目の報告書については非公表になっているわけですけれども、これは、国民に対する説明責任を果たすということであれば、しっかり公開すべきだ、そのことによって検察の信頼は回復するのではないかと思っています。 今後の捜査の後の対応についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○谷垣国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、前回のときにはいろいろな問題があって、説明責任ということからこういう報告書を作成したわけでございますが、その発表の仕方について、私、申し上げました。つまり、現実の捜査活動あるいは関係者のプライバシー等々に大きな影響がございます。これは、一般的に申し上げることはできなくて、やはりあのときのいろいろな対応でこういうことを決めたわけですね。 ですから、今度どうするか、今度再捜査を遂げた後どうするかというのは、その時点で個別具体的に判断をしなければならないものだと思います。
○階委員 ありがとうございました。終わります。
○石田委員長 次に、辻元清美君。
○辻元委員 谷垣法務大臣、きょうは、どうぞよろしくお願いいたします。 特に、今、憲法の議論が各所で行われておりますけれども、法務大臣でいらっしゃいまして、法の支配の重要性ということを大変強く強調していらっしゃいますし、大臣の憲法観であったり、立憲主義とは一体どういうものであるのか、それから、やはり法務大臣、人権を擁護するという大きな責任を負っていらっしゃいますので、人権への基本的な考え方、そして、自民党総裁時代に、自民党の日本国憲法改正草案をおまとめになった責任者でいらっしゃいますので、それにも幾つか御意見を賜りたいと私は思っております。 まず、立憲主義ということ、私たちは、憲法に関しましては、改正について賛成の人も反対の人もおりますけれども、立憲主義というものを踏まえた上でどうしていこうかということを議論していかなければならないと私は考えております。この立憲主義を大臣はどのように御認識されていますでしょうか。
○谷垣国務大臣 教科書に書いてあるようにきちっと説明できるかどうかは自信がないんですが、多分に私のイメージだと思ってお聞きください。 私は、立憲主義というのは、ポイントは、今、世界の各国の中でも、この政治権力は法の上に立つという政治権力が現実に存在すると思います。立憲主義の一番の根本は、権力といえど法のもとに立つ、法の支配を受ける、そのための装置として憲法をつくる、これは不文の場合も成文の場合もあると思います。 そういうことが立憲主義なんだというのが、教科書に照らして採点すると、いい点がとれるかどうかわかりませんが、私の立憲主義のイメージでございます。
○辻元委員 私も同じように捉えておりまして、憲法を最高規範として国家権力を制限する、その範囲の中で、例えば私たちはさまざまな法律などをつくるわけですが、この制限の範囲を超えた法律などをつくると、これは違憲であるということで成立させることはできない。非常に重要な基本原理だと私は思っております。 そんな中で、なぜこの立憲主義のことを申し上げるかというと、何か今の国会を見ておりますと、憲法論議の中で、私は憲法改正、賛成、反対、両方あっていいと思いますが、立憲主義そのものを踏み外しかねない御発言も散見されるということで、非常に危惧を抱いております。 先日の予算委員会で、これは法務大臣もいらっしゃったと思いますが、石原慎太郎日本維新の会代表が、こういう御発言をされました。「憲法を、今の日本の最高指導者であるあなたが」、これは安倍総理のことをお指しになりながら、「これを廃棄すると仮に言われたときに、」総理大臣が憲法を破棄するといったときに、「これを法的に阻害する根拠というのは実際はないんですよ、」ということを予算委員会の場で一党の党首がおっしゃる。 大臣にお聞きしたいんですけれども、憲法を総理大臣が破棄するといったときに、法的に阻害することはできない。いかがですか。私は、これは立憲主義の否定につながると考えるんですが、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 憲法に関してはさまざまなお考えの方がいらっしゃるので、私が理解できる考え方と理解できない考え方があるのは事実でございます。 ただ、今の引用されたお考えは、先ほど申し上げた私の憲法観とはかなり隔たりがあるなと思います。
○辻元委員 私は、法務大臣として、やはりこれは立憲主義から逸脱するのではないかとはっきりおっしゃった方がいいと思うんです。 というのは、要するに、憲法によって権力を制限される側が憲法の廃止を宣言するというのは、これは立憲主義否定につながり、こういうことをさせないために憲法があるというように私は理解しているんですが、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 今お引きになった石原議員のお考えがどういうことなのか、私は詳細には存じません。 ただ、今までいろいろ憲法の議論をいたしますと、本当にいろいろなお考えの方があるんだなと思います。 それで、これは私の想像ですから、ほかの議員の方のお考えを勝手に想像して解釈するのは大臣としてなすべきことかどうか、若干戸惑いを覚えながら申し上げるんですが、恐らくその背景に、今の日本国憲法の制定手続自体が有効なものではないというお考えがあるのではないかと思います。事実、そういう御議論、ほかの方から伺ったことがございます。 しかし、私は、これはいろいろな議論がございますけれども、今の日本国憲法は大日本帝国憲法の憲法改正条項にのっとって手続的にはきちっとできたものだと思います。もちろん、そういう主権が制限されている中で憲法改正ができるかどうかという、また別の非常に重要な議論はございますけれども、初めから無効なものだという立論は私は違うのではないか。我が国の国会も、それからずっと戦後に行われました選挙も全て日本国憲法のもとで行われている、そういう前提に立って私は考えなければいけないと思いますので、辻元さんのおっしゃったことに正面からお答えしているかどうかわかりませんが、多分、さっきお引きになった考えとは立論の前提が違うのではないかと私は思います。
○辻元委員 私は大臣の御認識とほぼ同じ認識です。 ただ、やはり一党の公党の党首が、私から見れば立憲主義をわきまえていらっしゃらない発言が堂々とあり、その党や、自由民主党、安倍さんが今、谷垣大臣がおっしゃった考えと同じなのかどうかわかりませんけれども、日本維新の会の石原さんはそういうことをおっしゃり、その党が、例えば憲法の九十六条、手続に関して三分の二を二分の一に緩和するというような御発言をされても私は説得力がないし、むしろ、そういう石原さんのようなお考えを防ぐための憲法であり、そういう暴君が出てきたときに変えにくくしているのが憲法原理だと私は思っておりますので、これは法務大臣としての御見解をまず伺いたかったんですね。というのは、立法府でやはり最低限のわきまえというものがあると思っております。 その次に、そんな中で、谷垣総裁時代に自由民主党の日本国憲法改正草案をお出しになりました。これは昨年の四月二十八日に発表されたかと思いますが、ことしは主権回復の式典をなさいましたけれども、これは私の誕生日なんですよ。 そのときの記者会見で、日本国民の手でつくった真の自主憲法だ、日本の進路と骨格を明確にしたいとおっしゃって、自由民主党総裁としておまとめになったわけですから、今は現行憲法のもとで法務大臣を務めていらっしゃいますけれども、今の憲法より自民党でおつくりになった草案の方がすぐれた憲法であるというような御認識でよろしいんですか。
○谷垣国務大臣 これは私が自民党総裁時代に保利耕輔先生にお願いをいたしまして、保利先生を中心に議論を積み重ねてつくったものでございます。 私は、当然、そのときの責任者でございますし、私自身も幾つか意見を申し上げて、この我が党の草案、これは草案といいますか我が党の案ですね、これからまた御議論をいただいて、さらに改めるところがあるかないか、これはあるかもしれません。しかし、これがよりよいものになっていくだろうというふうに私は考えております。
○辻元委員 もう一回お聞きしたいんですが、現行憲法にさまざま問題があるのでこの案をおつくりになったと思うんですが、大臣は当時総裁としておまとめになって、現行憲法よりも自民党の憲法案の方がよいということで発表されたという認識でよろしいですか。
○谷垣国務大臣 そのとおりでございます。 それで、先ほどもちょっと申し上げましたが、今の日本国憲法の一番の問題は、当時、日本は要するに被占領国であった、主権が制限されている状況であった、その中でつくった憲法というのは、私は、いつか乗り越えなければならない、このように思っております。 ですから、自民党の案というのは、そういう私の基本的な考え方には合致しているものである、こういうふうに考えております。
○辻元委員 そうしましたら、次に、ちょっと話題を移したいんですが、人権への御認識です。 これは、法務省設置法の四条にも人権擁護に関するさまざまな規定がございます。ここで言う人権というのは、例えば世界人権宣言などでも言われている国際的な共通の普遍的価値としての人権を、法務大臣として、法務省としては擁護しなければいけない、この認識でよろしいでしょうか。
○谷垣国務大臣 人権のカタログにもいろいろなものがあることは事実でございます。ただ、やはり、近代国家としてどういう人権を保障しなければならないか、守らなければならないか、大枠ではほぼほぼ共通のものが私はあると思います。それが、先ほど立憲主義というお言葉をお使いになりましたが、立憲主義の一つの要素でもあるというふうに私は思います。そういう認識でおります。
○辻元委員 その基本的な認識というところで、よく言われていますのは、人間は生まれながらにして自由、平等で、平和を追求する権利を持つとか、人間は生まれながらにして天から人権が与えられている、いわゆる天賦人権説というものが基本になってこの世界人権宣言などがつくられてきたと思いますが、大臣も同じ認識でしょうか。
○谷垣国務大臣 私は、これは法務大臣としてお答えするのがいいのかどうか非常に戸惑いを、別に法務省の見解というわけでもありません、それから、どちらかというと私の個人の見解でございますから、こういう場で大臣としてそういうことを申し上げるのがいいかどうかわかりません。 私は、率直に申し上げますと、自然法論、天賦人権論というものが本当にいいのかどうかというのは若干疑問を持っております。私は、どちらかというと、もっと法実証主義的な、えらい難しい言葉を使いますが、法実証主義的な考え方があるべきではないか。それは、要するに、近代国家ができるときに、天賦人権論あるいは自然法思想を背景にしてこのような議論が行われたことは、歴史的な経緯としては極めて重要なことでございました。 ですから、これは大臣として申し上げているのではなくて、私個人としては、もう少し法実証主義的な立場に立つ方がいいのではないかと思っていることは事実でございます。
○辻元委員 そうしましたら、自民党の改憲案で、ここにその改憲案を説明しているQアンドAというのがございます。 この中で、「人権規定も、我が国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであることも必要だと考えます。現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました。」というのが説明なんです。 ここで言う「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえた」人権、これは、例えば中国などは人権の意識が随分違うように思います。しかし、例えば、ハーグ条約について先日議論いたしましたけれども、このとき、子の人権ということを考えるときに各国ばらばらでは困るんですが、この自民党のQアンドAを見ますと、天賦人権説、散見されるから改める必要がある、ここまで言っているんですけれども、これも大臣は同じ認識ですか。
○谷垣国務大臣 先ほど申し上げましたように、出発点として、人権議論に、自然法論といいますか天賦人権論といいますか、天賦人権論というと随分大時代な雰囲気のような気がするんですが、そういう自然法的な議論の系譜があったことは、これは間違いない事実だろうと思います。 そして、やはり、そういう主張がありましたルソーであるとかロックの時代から……(辻元委員「違う。我が国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであるべきだという、それはどういうことか」と呼ぶ)いやいや、何百年かたちまして、その間に、いろいろな、先ほど申し上げましたように、大体共通のカタログというものがかなりでき上がってきた。それが、やはり日本人として考えるところもあるかもしれません。 ですから、そういう、我が国にも我が国の法実践があり、我が国としてのいろいろな物の考え方があるということも事実です。やはり、若干共通のものはあるけれども、全て国によって同じというふうにも私は考えません。 ですから、そういうことも踏まえて、やや法実証主義と申し上げたのは、なかなか、こういうかたい言葉を使いますと、実はニュアンスがうまく伝えられるかどうか。私も、答弁しながら、余りにも個人的な考え方を申し上げ過ぎているなと思いながら実は答弁しているんです。ですが、大枠として、近代憲法から出てきた数百年の各国の憲法状況とかそういうものは、おおむね人権に関しては共通のものができてきていると思います。(発言する者あり)
○辻元委員 私も、人権については、今、グローバルスタンダードとおっしゃいましたけれども、国際的に、人権状況が悪いところに対しては、民間であればアムネスティであり、国連なども含めて、人権問題を取り上げるぞ、ちゃんと改めろということを言うわけで、私は自民党の、伝統、文化を踏まえたものというよりも、むしろ、天賦人権説をさらに発展させて、国際的に共通な理念に持っていこうというのが今の世界の流れではないかと思っています。 もう一つお聞きしたいんです。 自民党がおつくりになった案の中の、憲法十三条、公共の福祉をこう変えると書いています。 「「公共の福祉は、人権相互の衝突の場合に限って、その権利行使を制約するものであって、個々の人権を超えた公益による直接的な権利制約を正当化するものではない」などという解釈が主張されています。」と言っているわけですね。これは自民党のQアンドA。 今回の改正では、憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにしましたということで、公益及び公の秩序に反する場合は人権を制限できるというように、自民党案では、こちらの方がすぐれているということで総裁時代におつくりになったわけですけれども、私は、先ほどから申し上げておりますように、どんな為政者が出てきたとしても、その権力を縛り、そして人権を保障するという憲法の立憲主義の観点から見れば、公益及び公の秩序で人権が制約できるということを憲法がうたうことは立憲主義の精神に反するのではないかと思いますが、いかがですか。
○谷垣国務大臣 公共の福祉という言葉を現行憲法がつくったときにも、公共の福祉というのは一体何なんだ、なかなかわかりにくいね、あるいは、こういう内容を持った方がいいのか悪いのかとか、いろいろな議論があったと思います。 それで、今は恐らく、公共の福祉というのは、ここにも書いてあるんでしょうが、辻元さんがおっしゃったように、人権相互がぶつかったときの調整の概念というふうに考えられていると思います。 そして、こうなった背景には、明治憲法の構造というものに対する非常なアレルギーがあったんだろうというふうに私は思います。現に、私が学生時代に読んだ教科書は、宮沢俊義先生の教科書でございましたが、そういったところを非常に強調して書いておられたと思います。 しかし、数十年の憲法実績の上で、私自身は、宮沢先生の解釈は大日本帝国憲法時代の運用に対するアレルギーが少し強過ぎるのではないかという感じを、これも私個人として申し上げます、持っていることは事実でございます。
○辻元委員 そのアレルギーが強過ぎた総裁のもとでまとめられたものであるから、例えば、表現の自由の二十一条、どうなっているかというと、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」ということを表現の自由のところに、集会、結社などの自由のところに入れております。 この憲法によって「公益及び公の秩序を害する」というのは、時の権力者が、これは公益及び公の秩序を害するといって、ですからこの結社は認められないというようなことを、暴君が出てくるかもしれないし、どんな為政者であっても、この憲法のもとで私たちは法律をつくったりさまざまなことをするわけですから、このようなことを憲法に入れるというのはそぐわないと私は思いますが、いかがですか。なぜこれを入れたんですか。
○谷垣国務大臣 例えば、私どもの経験としまして、オウムという事件がございました。破防法、破壊活動防止法という法律があることは、辻元さんもよく御承知のとおりです。あのときに、オウムに対応するのに、破壊活動防止法が使えなかったんですね。それで、今の団体規制法という形になりました。 その辺をどうしていくかというのは、実は非常に悩ましいところでございます。私、何もすぐ、もろに権力を出して取り締まれと言っているんじゃないんですよ。例えば、だけれども、ヘイトスピーチみたいなことを言われているときに、議論なんかでどう考えていくのかなというようなことは、私は、これから大いに議論を尽くす必要があると思っております。
○辻元委員 今、悩ましいというところに、ちょっと本当に苦悩が出ているように思いましたけれども、それは法律で対応するということだと思います。立憲主義の観点でいえば、どんな権力者が出ても、人権を擁護する、そして縛りをかけるということなんです。違いますか。
○谷垣国務大臣 それは当然のことです。憲法は憲法でございまして、それをあと具体的にどうしていくかというのは法律で、私、先ほど申し上げたように、それは、破壊活動防止法がいいのか、あるいは団体規制法がいいのか、それに対する、当然、制定のときに反対論もあったわけですね。だけれども、法律で決めなければならない、当然のことだと思います。
○辻元委員 ところが、憲法の中に、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動並びにそれを目的として結社することは認められないと自民党の草案の中に入れていらっしゃるから……(谷垣国務大臣「どこどこ」と呼ぶ)入れていますよ。これ、今、大問題になっていますよ。(谷垣国務大臣「どこですか」と呼ぶ)二十一条、表現の自由のところです。えっ、知らないんですか、総裁としておまとめになったのに。(谷垣国務大臣「何を、ちょっと待って」と呼ぶ)何を、ちょっと待ってと。 ちょっと時間をとめてください。時間とめてくださいよ。これ、大事なところですよ。 二十一条の「表現の自由」ですよ。「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。」との後、二項をつけて、「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」これが自民党の案に入っているわけですね。これは立憲主義の観点から考えて、私は間違っていると思いますが、いかがですか。
○谷垣国務大臣 私は、こういう考え方は、あってしかるべきだと思います。やはり、今まで非常にこういう問題では悩んできたことも事実です。まだこのあたりは、しかし、私は、十分国会で御議論をいただくべきことだとは思いますよ。思いますが、こういう考え方も、私はあってしかるべきだと思います。
○辻元委員 これは、大臣が最初に、立憲主義とは権力を縛るというような趣旨の御発言をされて、私は、権力に刀を渡すことにつながりかねない、そういうことを規制をかけるのが憲法ですよ。 それで、この自民党の草案によれば、現行憲法の九十九条のいわゆる憲法尊重擁護義務、これは自民党の案によりますと、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」と、国民に尊重義務を課しております。これも先ほど一番最初に大臣が、権力を制限するんだ、これが立憲主義の基本だと。 調べてみますと、私たちの国、よく、安倍総理の好きなお言葉で言えば、自由民主主義、法の支配を基本にしている国々、共通の価値を持っている国々と一緒にやっていきたいという、これを大事にしている、価値観を持っている国々は、アメリカも韓国もフランスもドイツも、国民に尊重義務を課している国々はございません。課しているのは、中国やロシアなんですよ。 これは私は、今、先日のアメリカの議会で調査局が出した報告に、日本は歴史修正主義者の政権なんじゃないかというようなことが出たという話も、大臣も御存じだと思います。そして、いわゆる、よく安倍総理がお使いになる、自由民主主義、法の支配、これは立憲主義の逸脱は許さないということだと思います。 国民の憲法尊重義務を入れるというのは、私は、近代立憲主義をとり、そして民主主義を大事にする日本の憲法としてはふさわしくないと考えますが、いかがですか。
○谷垣国務大臣 憲法というものも、それは確かに、一つは、権力を縛るという意味があるのは事実です。しかし、同時に、憲法はみんなで育てていかなければ、憲法というものも十分に機能しないと思いますね。ですから、国民がこの憲法を育てていこうという気持ちになっていくということは、私は十分理由のあることだと思います。
○辻元委員 これは、育てていこうというものではございません。これにかかっているのはどういうことかというと、例えば、先ほどから出ておりますように、公益及び公の秩序に反したら結社は認めない、これも国から国民への命令ですよ。そして、例えば国旗・国歌の尊重義務、これはロシアや中国ですら入っておりません。多民族の国家になるし、内心の自由との関係もあるでしょう。これを自民党の草案は入れていらっしゃいます。それから、家族は助け合わなければいけない、道徳規範も私は立憲主義の憲法にはふさわしくないと思っております。入っております。立憲主義の国で、そんな、ただ単に国民とともに育てていくというような話で、法務大臣の御認識でいいのかと私は思います。 この問題は引き続きやっていきたいと思いますが、あと一点、時間が限られておりますので。 三分の二を二分の一にするという話も、安倍さんは国民の手に憲法を取り返すと言って、私は反対だと思います。国民から憲法を奪うことになると思います。それは、自分たちが縛られている権力者が、自分たちが変えやすいように規制を緩めるというのは、国民の手から権力者が憲法を奪うことにつながりかねない政治状況だと私は今思っております。 そして、橋下大阪市長が、国民投票をするんだから、国民を信用していないのか、これも、国民が権力を信用しないというのが憲法原理です。国民が時の権力が暴走するのをとめる、権力は暴走する可能性があるから、それをとめようという規範が立憲主義の基本だと思っております。その国民は、だから、ころころ時の与党、権力者がかわっても、多数がかわっても変えにくくしている。 最初に石原さんの話もいたしました。そして、私は、谷垣大臣には申しわけないけれども、きょうはちょっとがっかりしたんです、御答弁。これは続きをやらせていただきますけれども、大事ですから、私は、自民党のこの憲法草案のような形の憲法に変えたいという、国民にも憲法を尊重させるという、そのもとで二分の一に、そういう方向に変えたい二分の一、これはむしろ権力者の欲求を満たしたいだけではないかというように思うということを最後に申し上げて、時間が来ちゃったので、残念なんですが、終わって、また次やります。 ありがとうございました。
○石田委員長 次に、西田譲君。
○西田委員 日本維新の会の西田譲です。どうぞよろしくお願い申し上げます。 さて、きょうは、テロについて質問をさせていただこうかと思っております。 前回の質問では、情報国防という観点から、特にアルジェリアでのテロ事件を踏まえ、その情報収集ができなかったという反省に立って、対外諜報機関の必要性を指摘させていただいたわけでございますけれども、大臣も当委員会の所信の際に、テロに対して怠りなく備え、効果的な対策を講じる、また、国際テロについては調査を一層充実していくという所信を述べられておったわけでございます。 また、先月、四月十五日でございますか、ボストンでは爆弾事件が発生をいたしました。これはテロなのかテロでないのか定かではないということでございますけれども、多くの方が楽しみにしておったボストン・マラソンを狙って行われたものでございまして、卑劣きわまりないわけでございます。 海外のアルジェリアでのテロ、そしてボストンでの爆弾事件のみならず、国内においても、例えば地下鉄サリン事件、この独善的な世界観といいますか、特異な宗教イデオロギーに基づいたテロが起こったことは、もう皆様御案内のとおりでございます。 さて、私たちは、特にテロに対してどのような備えを行っていくのかといったことについては、常に国会でもこれまでたくさんの議論がなされてきたことは承知をしております。特に、平成十六年でございましたか、内閣官房からテロの未然防止に関する行動計画が策定されておるわけでございますけれども、それを受けて、法務省の方でも出入国管理法を改正する。これはオプションを加えていかれたものと記憶しているわけでございますけれども、平成十六年の行動計画を受けて平成十八年に法改正がなされたと思います。 そういうテロもしくは海外での犯罪者の出入国に対して厳正な運用をするためのものであったと思うわけでございますけれども、まず最初に、これは当局にお伺いしたいんですけれども、当時からの出入国管理体制のどのような充実が実際なされたのか。そしてまた、恐らく法施行がされて五、六年たっているかと思いますが、実際、それによってそういう外国からのテロリストもしくは犯罪者の入国を水際で阻止した実績をまとめていらっしゃる、把握していらっしゃるのであれば、教えていただきたいと思います。
○榊原政府参考人 お答えいたします。 入国管理局では、テロや不法滞在を未然に防止するためのさまざまな水際対策を実施しているところでございます。 御指摘の行動計画に即して入国管理局に関連する部分を申し上げますと、平成十九年十一月から、我が国に上陸する十六歳以上の、特別永住者を除く外国人に、指紋と顔写真の情報提供を義務づけており、その活用によりまして、これまでに三千五百人以上の上陸条件に適合しない外国人の上陸を阻止しております。 また、平成十八年五月、関係省庁との協議に基づき、法務大臣がテロリストとして認定する者などについて退去強制手続をとることができる法整備を実施しております。 また、平成十九年二月から、本邦に入る航空機及び船舶の長に乗員乗客名簿の入国管理局への事前報告を義務づけ、航空機等の到着前にあらかじめ要注意外国人の存否を確認し、厳格な審査を実施しているところであります。 さらに、平成二十一年八月から、諸外国の紛失・盗難旅券に関する情報を迅速に入手し、入国審査の際に活用することができるよう、ICPO紛失・盗難旅客データベース情報を活用し、紛失・盗難旅券行使者の入国を水際で阻止しているところでございます。 さらに、平成十七年十二月から、不法入国防止を目的として、本邦に入る航空機等に乗ろうとする外国人の旅券等の確認を航空会社等に義務づけているところでございます。 最後に、平成十七年度から二十二年度までの各年、タイのバンコク国際空港に当局の職員を派遣いたしまして、危険人物の入国の防止に資するため、我が国に向けて飛び立ちます航空機等に搭乗する外国人の旅券についての航空会社職員に対する助言等を実施したところでございます。 以上でございます。
○西田委員 大変御丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。 水際阻止で数字が出ておりましたのは、この約五年強の間で三千五百名と、随分な数字であるなというふうに思うわけでございます。それだけ厳正な入国管理の体制をしかれておることだと率直に評価をさせていただきたいと思うわけでありますけれども、しかし一方で、では、一〇〇%の阻止ができるかといったときには、決してそうではないわけでございます。一〇〇%安全がないというのと一緒でございまして、一〇〇%水際でテロリストの入国を阻止するなんてことはまずできないわけでございます。 例えば指紋にしても、指紋登録がされていないテロリストだっているわけでございます。過去、犯罪歴がないテロリストだっているわけでございます。まして、先ほど、日本には対外諜報機関がまだないわけでございますので、そういう情報収集ができていないテロリストだっているわけでございます。 そうしたことを考えますと、やはり一〇〇%テロリストの入国は防げないという前提に立った厳格な運用がさらに求められると思います。大臣が所信でもおっしゃっておりましたけれども、その意気込みについてぜひお聞かせいただければと思います。
○谷垣国務大臣 今、一〇〇%はなかなか難しいと。もうそれはおっしゃるとおりだと思います。 我々も実際に入管の業務を進めていくときにいろいろな問題がございまして、片方で、やはりこれだけ国際化でもございますし、迅速に人の受け入れをしなければいけない。しかし同時に、今おっしゃったようなテロリスト等々の入国というものは水際で防がなければならない。これは大変、どういう体制を整えていくかというのは、私は相当な工夫が必要なんだろうと思っております。 今の問題で申しますと、特に、水際でとどめるためには、情報の共有、これは各官庁いろいろな情報があるだろうと思います。外務省もお持ちでしょうし、それから警察もお持ちだと思います、我々自身も持っているわけですが、そういう情報の有効な共有化といいますか活用という体制を工夫する。今までもやってきておりますけれども、今後とも意を用いてやっていく必要があるのだろうと思っております。 そういうことを考えながら、水際体制、できるだけ完璧な、完璧というのはちょっと難しいかもしれませんが、できるだけ精度の高いものにしていくように努力を重ねたいと思っております。
○西田委員 ありがとうございます。 テロリストの入国を水際で防ぐという観点で質問させていただきましたが、この入国管理の体制についてはきょうの質問の後半部分で改めて触れさせていただきたいと思うんです。 ここで、また別の観点からテロについて議論を深めてまいりたいと思います。 世界じゅうさまざまなテロの組織があるわけでございますけれども、また、テロのいろいろな形態があるわけでございますけれども、多くに共通するのが、必ずそこには、テロの集団もしくはテロの行為については精神的な支柱となっているもの、もしくは理論的な支柱となっているような存在があるわけでございます。そういった観点から何点か質問をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。 さて、この四月でございますけれども、イタリアから大変有名な政治哲学者でいらっしゃるアントニオ・ネグリ氏が来日をされました。アントニオ・ネグリ氏についてでございますけれども、ちょっとこれは引用させてください。 二〇〇八年の朝日新聞でございますけれども、アントニオ・ネグリ氏の紹介がされている記事でございます。一九三三年イタリア生まれでございますね。一九七九年、赤い旅団によるモロ元首相殺害事件に関与した疑いで逮捕され、八三年にフランスへ亡命、殺害事件は無罪、しかし、国家転覆罪で懲役刑が確定した、一九九七年、みずから帰国されるが再逮捕、収監されたということで、アントニオ・ネグリ氏の紹介がこういうふうにされているわけでございます。 ここで、きょうは公安調査庁長官にもお越しいただいているわけでございますが、まず、このイタリアのテロ組織である赤い旅団でございます。一九七〇年代からイタリアで、政治家であったり著名人等の殺害というテロを連続して行ったテロ組織であると認識しているんですけれども、公安調査庁の方では、この赤い旅団、どのように把握をしていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
○尾崎政府参考人 赤い旅団につきましては、次のとおり承知しております。 赤い旅団は、一九六九年に結成された極左過激組織であり、マルクス・レーニン主義理論に基づく階級闘争を唱え、企業家や政治家などを標的としたテロを実行し、一九七八年にはモロ元イタリア首相誘拐殺害事件を実行しております。その後、イタリア当局が構成員の摘発を進める中で組織が弱体化し、一九八八年には、収監中の主要構成員らが声明を発出して、赤い旅団の事実上の解散を宣言しております。
○西田委員 ありがとうございます。 ほとんど私の理解と相違ないところでございます。 そして、先ほど紹介いたしましたこの政治哲学者であるアントニオ・ネグリ氏、アントニオ・ネグリ氏とこの赤い旅団の関係が指摘をされているわけでございますけれども、そこについて公安調査庁はどのように把握をしていらっしゃるのか、教えていただければと思います。
○尾崎政府参考人 御指摘の赤い旅団とネグリ氏との関係につきましては、種々の報道がなされていることは承知しておりますけれども、個別の案件に言及することは今後の調査活動に支障を来すおそれがありますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○西田委員 はい、了解いたしました。 それでは逆に、アントニオ・ネグリ氏についての認識について、先ほど私は朝日新聞のアントニオ・ネグリ氏の紹介記事を引用させていただいたんですが、ここでは「国家転覆罪で懲役刑が確定」と書いてあったんですが、私の認識と実はちょっと違います。国家への反乱を扇動した罪及び強盗殺人で起訴をされていらっしゃったんじゃないかと思います。そして、裁判の結果、強盗で禁錮十二年の有罪刑が確定された方であるというふうに把握をしているのでございますけれども、公安調査庁の認識はいかがでございましょうか。
○尾崎政府参考人 御指摘の人物が、委員御指摘のとおり、強盗事件によって最終的に有罪判決を受けて、その後収監されたことにつきましては、そのような報道があることは承知しております。
○西田委員 ありがとうございます。 そのネグリ氏なのでございますけれども、きょうはちょっとその著書を二冊ほど持ってまいりました。本来であればお配りさせていただいた方がよかったかなとも思ったのでございますけれども、日本の公共放送NHKの子会社のNHKブックスから出版されているわけでございます。 「未来派左翼」という、アントニオ・ネグリ氏のこれは著名な著書なのでございますけれども、ネグリ氏は自分で自分のことをコミュニストだというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございますけれども、内容はまさしくそのとおりでありまして、中には大変理解に苦しむ主張もあるわけでございます。 例えば、冒頭、一部ちょっと紹介をさせていただければと思うんですけれども、ネグリ氏はスターリン主義を標榜していらっしゃるんですね、評価をされていらっしゃいます。そして、もうほとんどこれはこじつけではないかというような文言もあるんですけれども、「スターリン主義の恐ろしい側面は、いずれにしても大部分は西側諸国に挑発された結果です。」このような認識をお示しでいらっしゃいますし、この後段でも、あろうことか、スターリンとチャーチルには何の違いもないんだというような主張までされていらっしゃいます。 チャーチル英国元首相といえば、もう皆様御承知のとおり、ナチス・ドイツと果敢に戦って、当時、イギリス国民に、まさしく国を守る、祖先への尊敬と子孫への義務という健全な国民精神を喚起させて、法の支配、そして自由と民主主義を守るということで果敢に戦われた英国の首相でございまして、まさしくヒトラー率いるナチズム、もしくは自国民の大量虐殺を行ったというスターリンと同列に扱うというのは、甚だ私は認識が違うのではないかというふうにネグリ氏に対して思うわけでございますけれども、この点に関して、大臣のネグリ氏に対する御所見がおありであれば、ぜひお聞かせいただきたいなと思うわけでございます。
○谷垣国務大臣 私、このネグリ氏、実は、御本も読んだことはございませんし、先ほど引かれたような新聞等の一般的なことしか存じ上げません。 それからまたもう一つは、やはり、法務大臣として個人の思想、信条を論評するようなことは、時々そんなことを言ってしまいますが、余り好ましいことではないと思っておりますので、論評は差し控えたいと思います。
○西田委員 私、四度ぐらい法務委員会に立つんですが、本当に、時々大臣に甘えてしまいまして、個人的な見解をお聞きする質問をして大変恐縮でございます。 このネグリ氏、せっかくですので、きょうはもう一冊「マルチチュード」という本も持ってきているわけでございます。例えばこの「マルチチュード」の中では、アメリカの極左集団でブラックパンサーというものが銃で武装してアメリカの地方議会に乗り込んだ事件があるんですけれども、それを礼賛しておったりする記述もあるわけでございます。 また、先ほど出した「未来派左翼」の中では、暴力を用いない左翼を批判されていらっしゃるんですね。これは上巻の百七十五ページなんですけれども、暴力によらない左翼活動をする方々をこう批判されているわけです。「彼らは、どんな場合にも暴力の行使なしに自己を表現できる運動なるものを夢想しているわけですが、そのような夢想に拘泥する左翼は、現実を歪曲し、運動の本質を見くびっているとしか言いようがありません。」と。すごい考え方をやはりお持ちでございます。 もう一つ、ネグリ氏の「マルチチュード」の下巻の二百四十三ページの主張ですけれども、革命を擁護するために民主的暴力などという概念が出てくるわけでございます。「民主的暴力は革命プロセスのきっかけを作るのではなく、政治的・社会的変革がなされた時点で最後になってから登場し、革命の成果を守る役割を果たす。」ということで、この民主的暴力を提示され、肯定されていらっしゃるわけでございます。 こうした発言、著書の中で明らかなわけでございますけれども、ネグリ氏というのは、やはりみずからが望ましいとする社会を当然お持ちでいらっしゃいます。マルクス・レーニン主義、スターリン万歳の方でいらっしゃいますから、社会の変革のために暴力の行使を正当化するような理論をしっかりと政治哲学者として掲げていらっしゃるわけでございます。 先ほど、公安調査庁長官にも御答弁いただきましたけれども、私は、テロの組織、活動には、精神的支柱、理論的支柱なる存在があるというふうに指摘をさせていただきました。まさしくこのネグリ氏は、赤い旅団との関係が指摘されておりましたし、そういうテロ活動の精神的支柱、理論的支柱になった存在であるというふうに思うわけでございます。 私たちのこの日本国内においても、当然、大臣の所信にありましたとおり、テロを未然に防ぐためにあらゆる対策をとっていくんだと力強い所信を述べていらっしゃいましたけれども、そういった私が今指摘したような観点からも、やはりテロについて考えていかなければいけないのではないかと思います。 しかし一方で、きょうはネグリ氏の思想や信条を紹介しているわけでございますけれども、我が国は、法の支配に基づく自由な国でございます。ですから、ネグリ氏がいかなる、ネグリ氏のような思想、信条を持つことが、例えばネグリ氏が、大好きなスターリン主義の全体主義国家のように、その主義主張、信条だけで何ら自由が束縛されるものでも、あるいは取り締まられるものでもないというのは当たり前のことでございます。 しかし、ここからでございます。このネグリ氏が入国したということについては、これは、この経緯についてきちんと指摘をしていかなければならないことがあります。 と申しますのも、ネグリ氏は、先ほど申したように、外国において禁錮十二年の実刑を受けているわけでございます。強盗でございますけれども、この強盗についても、ネグリ氏は自叙伝で強盗を正当化しているわけですね。お金を奪って何が悪いというふうに言っているわけですけれども、それはともかく、外国でこうやって実刑判決を受けた方がなぜ日本国内に今回入国できたのか。 出入国管理法の中には、第五条の中に、日本国外にて禁錮一年以上の実刑判決を受けた者は入国を拒否できるというふうにあるわけでございますけれども、今回、ネグリ氏は実際、四月に入国しているわけでございます。 まずは一番目、ネグリ氏の入国の事実について、それが事実かどうか、当局にお答えいただければと思います。
○榊原政府参考人 御指摘の人物につきましては、報道等もなされておりますとおり、本年四月に入国したことは事実でございます。 上陸許可の内容、その他の手続の詳細につきましては、個別の事案でありますのでお答えは差し控えさせていただきます。
○西田委員 本当に、なぜか私の質問はいつも個別の事由になってしまって、なかなかうまく質問と答弁がかみ合わないわけでございます。 ただ、明らかに今回は、入管法第五条の四でございますね。第五条の四、これは、先ほど申したように、禁錮一年以上の者は上陸拒否できる、ただし、政治犯はその限りでないということであるわけですが、今回、強盗でイタリアで実刑判決を受けていらっしゃる方でございます。 そんな方が実際に、では、一般論で構いません、一般論で、外国でそういう実刑判決を受けられた方が入国する場合、どのような理屈があるのか、これについて教えていただきたいと思います。
○榊原政府参考人 一般論で申し上げますけれども、禁錮一年以上の刑に処せられた者は、入管法第五条第一項第四号の上陸拒否事由に該当いたします。 ただし、上陸拒否事由に該当している者であっても、その入国目的等に照らし、法務大臣が上陸を認めることが相当と判断する場合には、入管法五条の二や第十二条の規定に基づき上陸を認めることがあります。
○西田委員 ありがとうございます。 それでは、一般論で構いませんが、入管法五条で上陸拒否事由に当たる者が入国する場合には、法務大臣の許可があれば、入国拒否事由がある者であっても特別に入国できるということでございますけれども、それでは、法務大臣がその判断をされるといいますが、法務大臣の判断に当たってはどのような基準があるのか、教えていただきたいと思います。
○榊原政府参考人 個々の事案ごとに、入国目的、上陸拒否事由の内容、当該事由が発生してから経過した期間、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断することになります。
○西田委員 諸般の事情ということで、まさしく、恐らく裁量の幅を持たせていらっしゃって、その時々の政権もしくは大臣が本当に文字どおり総合的な判断をされるのではないかと思います。 そうすると、今回、ネグリ氏が入国したのは事実でございますし、ネグリ氏が外国で禁錮十二年の有罪判決を受けていらっしゃるのは事実でございます。こういったことから、ネグリ氏が今回入国したのは、明らかに入国拒否事由に当たるけれども、法務大臣が特別な事情と申しますか総合的な判断をなされてネグリ氏の入国を許可されたのだというふうに私は断定できると思うんですが、恐らく個別の事案だということでお答えはできないのでございましょう。ですけれども、私は、今までのこの答弁のやりとりの流れからはそういうふうに思います。 そこで、大臣にお伺いしたいと思うんです。 先ほど来、きょうは私、申し上げているんですけれども、テロには、さまざまな形態のテロがありますけれども、精神的支柱、理論的支柱、そういったものがあります。そういった支柱の一人であると思うのが、著書を読み解いてもそうでございますし、実際、これまでのネグリ氏の諸外国での活動実績もそうでございます。彼のそういう危険な暴力主義、そして、暴力を用いて国家を転覆するのをよしとする、そういった哲学をお持ちの方、そして、そういった方がテロの精神的、理論的支柱になっているという判断をするのであれば、私は、今回、明らかな入国拒否事由にある方でございますので、十分、大臣の総合的な判断として入国を拒否すべきではなかったのかというふうに思うわけでございます。 大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 御指摘の人物が日本に入国したことは事実でございます。それで当局から答弁したとおりでございますが、個別の事情については、私は詳細を申し上げるのは差し控えたいと思います。ただ、こういう上陸は適切なものであったというふうに私は考えております。
○西田委員 改めて、今回の上陸は不適切であったと指摘せざるを得ないと私は思っております。 大臣は、所信でも、テロに対して強いお気持ち、そして、国際テロに対しては一層調査を充実させていく、そういった所信をお述べになりました。 ことしに入ってからのアルジェリアのテロ事件、そういったことを踏まえて、私は前回の質問で海外諜報機関の設立の必要性を指摘させていただきました。残念ながら、政府のアルジェリア・テロに対する検証報告書の中には、その文言の一言も記載がありません。とても残念な結果でございます。そして、この四月には、こうした海外テロの理論的支柱、精神的支柱になっているような方を日本に入国させるという、きちんと入管法で上陸拒否ができるという体制になっているにもかかわらず、入国させてしまった。不適切でございます。こういったことが続いております。 安倍内閣は、保守を標榜する政権であったはずでございます。保守というのは、国家の存続が第一であると思います。きょうは立憲主義等のお話もありましたけれども、アメリカ合衆国憲法、自由主義を標榜する国においても、その前文で、合衆国民は、子孫の自由のためにこの憲法をつくるというふうに、子孫に対する義務をうたっているわけでございます。 この国を守る、そういう強い政権であるはずの安倍政権において、アルジェリアのテロに対する検証報告書の問題、そして今回のネグリ氏の入国の問題、私は、いささか安倍政権らしからぬ状況があるように見受けられて仕方がありません。 そういった観点から、大臣は、入国管理に対しても、一〇〇%の安全はないという体制で、これからもどんどん体制を充実させていくとおっしゃいました。ぜひ、引き続き、その言葉どおりに厳正な入国管理の運用をしていただきたいというふうに思います。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○石田委員長 次に、椎名毅君。
○椎名委員 みんなの党の椎名毅です。 今し方のテーマの後にちょっとやりづらいテーマでございますけれども、御容赦いただければと思います。 毎回質疑時間を頂戴しておりますが、大変感謝を申し上げたいと思います。あと、質疑通告が遅くなってしまった点、事務方の皆様方にはおわびを申し上げたいというふうに思います。 本日は、法務委員会の所管事項のうち入国管理政策に関して、日本における外国人労働者の受け入れという問題について伺ってまいりたいと思います。 外国人労働者の受け入れに関する問題は、出入国管理政策という問題と、それから社会統合政策という側面と、非常に多岐にわたっている、そういった問題だというふうに思っています。こういった複合的な政策については、どうしても各省庁の法的な職務分掌のピットフォールに陥ってしまって、前に進めていく、そういった推進者がいなくなってしまうというような状況になってしまいがちでございます。 日本における外国人労働者の受け入れ政策についても、現在、政府の内部でこれを進めていくような状況になっていないのではないかという問題意識を私自身は持っています。すなわち、私自身の問題意識としては、人口減少社会における取り組みにおいて、政府が積極的に外国人労働者の受け入れの旗振りをしていかなければならないと考えております。 私、今現在、三十七歳でございます。五十年後、八十七歳です。辛うじて、五十年後は自分にとってもリアルなわけでございます。 例えば、国立社会保障・人口問題研究所というところで出している人口の予想でございますが、二〇六〇年には日本の人口が八千六百万人になるという予測を出しているわけでございます。GDP、国内総生産が、資本投入とそれから労働力投入の生産関数によって導かれるという非常に基本的なマクロ経済学の基本からすると、人口減少というのは、経済成長に対して物すごい押し下げ圧力になるんだろうというふうに思います。 こういう予測が成り立つ中で、政府は、少子化対策として、合計特殊出生率二・一を回復するために努力をするという話、個々の企業の生産性を上げていくという話、それから女性、若者、高齢者の活用、こういったことを訴えてはおりますけれども、外国人労働者の積極的な受け入れというところについてはいささかトーンが落ちているというような気がいたします。 こういった話をするので、一応、念のために私の思想、信条を申し述べておきますが、私は非常に保守的な考え方をしております。議員になる前から、海外在住期間を除いて、基本的に毎年靖国に参拝をしておりますし、物すごく保守的な考え方をしている人間ではあります。 しかし、日本の将来を考えた、憂えたときに、どうしてもやはり外国人労働者という問題には触れなければならないというふうに考えているからこそ、私自身、この問題について言及させていただきたいというふうに思った次第でございます。 法務省に関しましては、平成二十一年の入管法の改正、これの附則の六十一条というところで、施行後三年の見直しというのが定められています。中長期在留者に対する在留カードの交付を中心とした新しい在留制度、これの見直しがこれから議論をされるということだろうと思いますし、平成二十四年の告示百二十六、百二十七というところで、高度人材に対するポイント制に基づく優遇制度というのが採用されておりますけれども、これについても施行後一年で見直しをするということで、今現在、法務省の中でも、幅広い観点から、外国人労働者の受け入れについて、ようやく議論が始まったところかというふうに思います。かつ、産業競争力会議の中でも議論がなされているんじゃないかというふうに思います。 そういった中で、まず、基本的な前提事実の確認からさせていただければと思います。現在の外国人労働者の受け入れ状況について、法務省にお尋ねいたしたいと思います。 フローの年間外国人入国者数全体という意味でいうと、ここ数年、おおむね年間九百万人程度、ストックという意味でいうと、外国人登録者数はここ数年、二百万人で推移していると思いますが、現実に、ストックという意味での就労を目的とする外国人登録者数の推移、特に専門技術分野の在留資格での外国人登録者数の推移、それからもう一点、フローという意味での専門技術的分野における新規外国人入国者数の推移、これを教えていただければと思います。
○榊原政府参考人 詳しい統計数値を持ってまいっておりませんので、平成二十四年末現在の統計数値を中心にお答えさせていただきます。 平成二十四年末現在における在留外国人数は二百三万八千百五十九人で、我が国総人口の約一・六%を占めております。 このうち、専門的、技術的分野での就労を目的とする在留資格を持って在留する外国人の数は二十万三百五十二人であり、その数は過去五年間おおむね横ばいとなっております。 そのほか、技能実習の在留資格を持って在留する外国人の数は十五万一千五百四十人でございます。この数字も、おおむねこの程度で推移していると承知しております。
○椎名委員 ありがとうございます。 それで、ちょっとつけ加えますと、フローという意味でいうと、平成二十四年度、専門的、技術的分野における新規入国者数というのが六万三千四百六十一人。景気というものもありますけれども、大体六万から七万前後ぐらいで推移をしているということだと思います。 次に、もう一つ、厚生労働省の参考人に伺いますが、外国人労働者の受け入れという意味で、今現在、政府がどういう基本的な考え方をとって進めているのかということについてお伺いできればと思います。
○宮川政府参考人 お答え申し上げます。 外国人労働者受け入れの基本的考え方につきましては、我が国の経済社会の活性化の観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の就業を積極的に推進するという考えでございます。 一方、いわゆる単純労働者の受け入れなど外国人労働者の受け入れ範囲の拡大につきましては、国内労働力との競合、代替が生ずる、若者、女性、高齢者等の雇用機会の喪失など、労働市場に悪影響を与える懸念があることから、十分慎重な対応が必要と考えているところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 今おっしゃっていただいたとおり、基本的には、高度人材と単純労働者という二分法によって議論をしている。高度人材については基本的に進めていこうという発想なんだろうと思います。 そこで、大臣に伺いたいと思います。 先ほどもちょっと指摘いたしましたが、現在、高度人材に対する優遇制度というものが、昨年の五月七日に制度として開始いたしております。これでちょうど一年経過したというふうに言われております。 このポイント制による高度人材の優遇制度というものについて、その目的が何なのかというところを改めて確認した上で、この一年間の実施状況、それから、実施状況を踏まえた上でどのように大臣が御評価なされているか、特に、目的を達成するために十分な効果を上げているのかという観点から御意見をいただければと思います。
○谷垣国務大臣 まず、高度人材ポイント制の目的ですが、これは、世界各国で人材獲得競争というものがあるんだと思うんですね。その中で、産業イノベーションとか、あるいは高付加価値の商品とかサービスを生み出していくということが、我が国の経済成長にとっても重要であろう、必要であろう。そういうことに貢献していただけるような高い能力、資質を持った方に日本にできるだけ来ていただこうというのが狙いでございます。 そこで、現在、今実施してまいりまして、これをどう見直していくか、どう見ていくかということは、私の私的懇談会で出入国管理政策懇談会というのを持っております。そのもとで、外国人受け入れ制度検討分科会というのをその中に置きまして、経済界や労働界、あるいは関係省庁を交えて、今、議論を集中的にやっていただいております。 それで、この御議論の中では、高度人材と認定する評価方法、優遇措置のあり方などについて、いろいろな議論をしていただいているわけでございますが、近いうちにその結論をいただける、御報告をいただける見込みでありますので、その結果を踏まえまして、より成果が上がるようなものに見直しをしてまいりたい、現時点ではそのように考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。 先ほど数字の話を申し上げましたけれども、専門技術的分野における新規入国数というのは、大体六万人から七万人前後ぐらいで推移をしているということでございます。このうち、実は、興業という在留資格で来る人たちが三万五千人ぐらいいるので、実質上、本当に日本の国の中で働く人という意味でいうと、大体三万人ぐらいなのかなというのが年間のフローだと思います。これに関して、実際、高度人材による優遇制度というのがどのくらい使われているのかということなんですけれども、正直、余り効果が上がっていないというふうに思います。 ちなみに、平岡法務大臣という前政権時代の法務大臣ですけれども、この法務大臣が記者会見で、高度人材ポイント制度についてどのくらいの見込みがあるのかというのを二〇一一年の記者会見で言及しておりますけれども、この制度によって高度人材と認められる外国人の入国者数は年間二千人程度見込まれるということでありますというような記者会見をしているようでございます。 しかし、現実としまして、フローとして毎年入ってくるこの三万人のうちの二千人が期待できるというところで、そもそも余り大きな効果をもたらしているようなものでもない。さらには、年間二千人程度見込まれるということでありますけれども、実際のところ、見込みよりどうやら低いらしいということのようです。 したがいまして、やはりこのポイント制に関する制度によって、外国人労働者の、特に高度人材の受け入れというのが進んでいるわけでは決してないんだろうというふうに思っています。 通告しているところとはちょっと外れますけれども、大臣の御所見をいただければと思いますが、こういう外国人の労働者受け入れというところについて、高度人材を進めていくと言いつつ、そんなに実は進んでいないのではないかというところがあると思いますけれども、その理由というか、どうしてそういうところが進んでいかないのかというところについて、御所見があればいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 今御指摘になりましたように、制度が発足して十一カ月たったのでしょうか、まだ数は集計中でございますが、今まで高度人材外国人として来ていただいた方、これは約四百人程度が現状でございます。ですから、先ほどおっしゃった平岡大臣ですかの御言及に比べても、やや、ややというか大分数字は低いわけです。 これをどう評価するかということで、さっきの懇談会をやっていただいているわけですが、要するに、ポイントが十分じゃないからこの制度で入っていただくことができなかった方の中に、実は、本当に日本のためにいろいろ貢献してくださる高度人材ではないかという方がいらっしゃるわけですね。 ただ、そういう言い方をすると、まだ結論をいただいていないときに私が先に言ってしまうのはいけないんですが、ややハードルが高かったのかなというような点も含めまして、先ほど申し上げたことは、この結論をいただいて見直しをすべき点があるのではないかということでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。 このポイントに関するハードルの高さというのは、私自身も、ポイントの告示をいろいろ見てみて、やはりそれはそうかなという気がいたしました。もちろん、こういった入国管理の制度だけで外国人人材の受け入れというものが進むようなものでもなくて、あくまでもこれは入り口を議論するような話にすぎないので、それ以外にも大きな要因がいろいろあろうかと思います。 私自身も金融を主なフィールドとして仕事をする弁護士をやっておりましたので、正直、外国人労働者だったり外国からの投資だったりを受け入れるに当たって、法人税だったり金融規制のあり方だったり、それから、外国人子弟が通うような学校だったり日本人の英語力だったり、こういうインフラが整うことの方がずっと重要だということは、もちろん十分理解はしております。 そうした上で、外国人労働者については、どうしても多岐にわたる政策であるので、大臣にも、法務省の代表としての大臣ではなく、内閣を構成する国務大臣として、今後質問するに当たって、できれば御意見をいただきたいなというふうに思います。 まず、諸所のインフラの話を今申し上げましたが、外国人労働者の受け入れに関しまして、これを進めるか進めないかを決めるに当たって、国内経済それから労働市場に対してどういう影響があるかというのをやはり考えていかなければならないということだというふうに理解をしています。 そういった中で、先ほど入管の参考人の方におっしゃっていただきましたが、高度人材とそれから単純労働者という二分法で語った上で、国内経済に対する影響力、それから労働市場に対する影響力、それぞれ短期、中期でどのように見積もりをなさっているのかというところを、経済産業省とそれから厚生労働省の参考人に伺えればと思います。
○石黒政府参考人 お答え申し上げます。 経済産業省といたしまして、少子高齢化の進展に伴います労働力不足が、将来、経済成長にネガティブな影響を与えるということは懸念いたしております。 しかしながら、一方におきまして、産業界には多様な分野で外国人労働者を受け入れたいという声もあるのは承知いたしておりますが、まず女性、高齢者の活用というのが先決だと思っておりまして、単純労働者の受け入れにつきましては、多様な観点から、広くコンセンサスを得るべく、議論を積み重ねていく必要があるというふうに承知をいたしております。
○宮川政府参考人 お答え申し上げます。 人口減少局面を迎えている中で、労働力人口の減少、そういった面に対応いたしました労働力確保対策の重要性は認識しております。その中で、若者とか女性、高齢者といった国内労働者の就労環境整備によりまして、就労者の減少を食いとめていくという施策を今進めておりますし、そのような形でのものが非常に重要であろうかと。 一方で、生産性の向上ということを考慮すれば、生産性向上の観点から、専門的、技術的分野での外国人労働者の就業促進を積極的に推進していくということの必要性も認識しているところでございます。 なお、外国人労働者の受け入れにつきましては、単に産業上の労働力のニーズの問題としてのみでなく、社会保障ですとか教育、治安、その他国民生活全体に関する問題として、我が国のあるべき将来像とあわせまして、中長期的観点から、国民的コンセンサスも踏まえつつ、慎重に検討、議論していくべきものと考えているところでございます。
○椎名委員 経済産業省にもう少し伺いたいんですけれども、私が伺いたかったのは、方向性というよりかは影響の話でありまして、要するに、高度人材及び単純労働者がそれぞれ国内経済、労働市場に対して、もし仮に採用するとするとどういった影響があるのかということについて、どのように見積もっているかという話なわけであります。 例えば高度人材については、少なくとも政府の方針として先ほどありましたように進めていくということだったので、何かしらの影響力があるという意味で見積もりをしているべきところなんだろうと思います。TPPに参加すると我が国のGDPがどのくらいふえるとか、そういったところについてシミュレーションをしたりとかするわけです。それに対して、外国人労働者というものを受け入れた場合にどういった影響があるかというところについて、もう少し具体に数字をいただければと思います。
○石黒政府参考人 今先生お尋ねの外国人労働者を受け入れた場合のポジティブな影響ということで、実は、ピンポイントでそういった試算をしたことが残念ながら私どもございません。 ただ、数字という意味で申し上げますと、人口減少が経済成長に与える影響ということにつきましては、実は、平成二十年度の経済財政白書におきまして試算がございまして、単純に人口減少の効果だけを取り出して潜在成長率が今後どういうふうに推移していくかということでございますが、これは、二〇二〇年代に潜在成長率が一%弱に低下する、このときに、労働投入が今後マイナスに寄与し続けて、二〇三〇年ごろには潜在GDP成長率を〇・五%程度押し下げる可能性があるといったような試算がございます。 ただ、お尋ねの、いわゆる外国人労働者に絞った試算はちょっと私どもしておりませんものですから、今のような数字でお答えをさせていただければと思います。
○椎名委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国の政策として例えばTPPなどを進めていくというのであればそれなりにシミュレーション等をするわけでございますから、国の政策として高度人材を受け入れていくということが、人口減少による潜在GDPの押し下げ圧力に対して、どうそれを反発させる影響があるのかというところについても、基本的にはやはり分析をしてほしいところだと思います。そういうお願いをさせていただきたいというふうに思います。 こういった厚生労働省の御意見それから経済産業省の御意見を踏まえた上で、大臣から、外国人労働者の受け入れについて、先ほども申し上げましたけれども、内閣の一員として、国務大臣として御所見をいただければというふうに思います。
○谷垣国務大臣 今の基本方針が、先ほどから御答弁にありましたように、高度な人材というのはやはり我が国の経済成長やあるいは人口減少の中で貴重な貢献をしていただける、だからこれは積極的に受け入れていきたい、しかし、単純労働者のような方を大量に受け入れることは問題があるであろう、そこは抑えていこうというのが基本方針ですね。 その上で、今の日本の政策の基本は、人口減少で労働力も減っていくけれども、それは、女性あるいは御老人、それから若い方々の活用といいますか就業というものをやはりできるだけやっていくことが基本であるという観点に立っていると思います。 先ほど内閣の一員としてとおっしゃったのは、これはつまり出入国管理だけの発想でなかなかできるものではないんですね。先ほどからの御答弁のように、では、それが一体どういう社会的な影響を及ぼすかということについての分析、それからコンセンサスというものもまだ十分ではないように思います。だから、さらに幅広い議論をしていかなければいけないので、出入国管理の行政の立場からは、やはりそれを踏まえて適切な対応をとっていくということが必要だと思います。 その上で、今、私のもとでもいろいろな御議論をいただいているので余り先取りしたことは申し上げにくいんですが、これは委員の先ほどの御立論からすると若干違うかもしれませんが、人口減少だ、労働力が足らなくなる、では、すぐにそれは外国人労働者だというのは、そういうことをおっしゃっているのかどうかわかりませんが、余りそこに一遍に行っちゃうとやや短絡的であるなと私は思っております。 先ほどからの御議論のように、雇用や経済にどういう影響を与えるかということだけではなく、例えば、外国人にたくさん入っていただいた場合に、保険や年金といった社会保障はどうなるのかとか、あるいは先ほどの御議論のように治安がどうなのかということもやはり考えておかなければいけない。そういう総合的な議論と国民のコンセンサスは那辺にありやということなんだろうと思います。 しかし、重要な問題でございますから、委員にもこうやってここで御議論をいただいておりますけれども、私どももいろいろな議論を積み重ねていきたいと思っております。
○椎名委員 ありがとうございます。 まさに先ほど私が指摘しましたように、法務省という役所は、出入国管理という意味で、外国人労働者を含めて入り口、出口を預かる役所なわけです。そういう意味で、それ以外の御指摘というのは非常にもっともでして、私自身も次か次の次ぐらいに聞こうと思っていた内容ではあるので、治安、医療費の未払い、社会保障の未納、子供の不就学、それから社会保障費の過重負担、こういった問題がいろいろあるというのは当然でございます。 しかし、先ほど冒頭に私が申し上げたとおり、外国人労働者の受け入れを進めていくという話について、誰も旗振りをする役所がないというところで、責任の権限分掌のピットフォールに陥る可能性がある。しかし、先ほど来大臣もおっしゃっているとおり、そして私からも申し上げていますとおり、さまざまな複合的な問題が絡む以上、誰かが責任を持って検討をやらなければならないというのはそのとおりなんだろうというふうに思います。 だからこそ、私自身、入り口と出口を預かる法務省という役所、それから谷垣法務大臣というすばらしい大臣がいらっしゃるこの法務省こそが、今現状においてこの問題を管轄するにふさわしいんじゃないかという観点から御質問をさせていただいているというところでございます。 時間もないので、次に伺います。 単純労働者については受け入れを基本的にはしない方向でというのが今の現政府の方針だと思います。しかし、現状、一九九三年に国際貢献の一環として始まりました外国人技能実習制度という制度、この制度がいわば単純労働者の受け入れのような形で行われているというのが正直なところでございます。 現在、来日中の実習生が十四万人に上るというふうに言われていますが、これが、実習先の農家やそれから漁業といった産業において人手不足を補ういわば単純労働者のように使われている実態があるということでございます。 これに関連していろいろな問題が生じております。賃金不払い、過重労働といった受け入れ側の問題。それから、取り次ぎをする業者がお金を中抜きしている、こういった問題。さらには、受け入れてもらう外国人労働者がコミュニケーションができなくて、さきの三月ですけれども、広島で、受け入れてくれている人たちに対して殺人事件を犯したというような事件もあったりします。 もちろん、こういった治安その他もろもろ大きな問題があるのはそのとおりだと思います。しかし、私自身の懸念としては、人口が減少していく過程の中で、人口増進策をとる、それから女性、若者といったものの労働促進策をとったところで、結局のところ、効果が出るのは二十年、三十年、まあ、少子化対策については二十年、三十年先、女性問題それから高齢者の問題についても、なかなか効果が出るのが遅いということだと思っています。 そういった中で、二〇〇八年の自民党の議連でございます、中川秀直先生がリーダーになられていた議連だと思います。そのころ、谷垣大臣は福田内閣のころで政調会長をやられていた時代かというふうに理解をしておりますが、自民党の政策そのものをつかさどる政調会長をやられていた時代に、移民受け入れにより日本を元気にするというような、そういった提言書が出されているということでございます。 こういった中で、今し方指摘したような、例えば外国人技能実習制度について見直しをかけていく、単純労働者についての考え方を考えていく。それから、自民党の全ての政調会で出された意見というわけではないんでしょうけれども、議連の意見で、移民によって経済を活性化していくという意見。こういった意見が出されている中で、今後、単純労働者のあり方、それから移民のあり方等について御意見を賜れればというふうに思います。
○谷垣国務大臣 まず、今の中川秀直さんなんかの御議論の前に、外国人技能実習制度に対する認識でございますが、これは本来、先生よく御承知ですが、我が国で培われた技能等を途上国へ移転を図って、そこの国の、当該開発途上国の経済発展を担う人づくりに寄与しようという目的で始めたわけですね。 それで、御批判があるのは、それはきれいごとであって、実際には単純労働者を使うための、何というのか、それをそういうきれいごとで覆っているだけだという御意見があることは事実ですね。 やはり、技能等の確実な移転を図っていくために、我々としても、建前だけじゃないかと言われてはいけないので、そういうことなんですが、実際、この間の事件がどうだったのか。個別の事件は、これも余り言及するのは控えますが、我が国の受け入れ機関の一部において、制度の趣旨に反して、実質的に低賃金労働者として扱っている側面があることも事実だろうと思います。 そこで、来ていただく研修生、技能実習生の権利の法的保護の強化を図らなければいけないということで、平成二十一年に入管法を改正したということでもございます。つまり、在留資格、技能実習を創設して、その法的保護を労働保護法規の規制のもとでやっていくという体制をつくった。それから、監理団体による指導監督体制を行った。 これから、さらにまた、実は、それを附帯決議で、もっと総合的に検討せよという御指摘もいただいておりますし、また、ことしの四月、総務省からの行政評価・監視結果でも、そこのところをもっと突っ込んで効果検証をやれと言われておりますので、これは私たちも宿題になっております。 それで、先ほどの、中川さん等が当時そういう提言をされたことは私もよく承知しておりまして、今の人口問題等々に対応し経済成長を遂げていくための一つの切り札だとおっしゃる方もいらっしゃることは承知しております。 しかし、他方……
○石田委員長 大臣、時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
○谷垣国務大臣 はい。 他方、やはり、その場合の、例えば先ほどの治安の問題、あるいは日本人社会にどう溶け込む仕組みをみんながコンセンサスを持ってつくるかのまだ議論の過程で、まだそこは溝は全然埋まっていないのが現状だというふうに私は見ております。
○椎名委員 ありがとうございます。 これで質問を終わります。どうもありがとうございます。
○石田委員長 次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。一年生議員でございます。 きょうは、私、この法務委員会に出席するのも初めてでございまして、初めて出席した私に質問の機会を許していただきました委員長また委員の皆様、まことにありがとうございます。また、よろしくお願い申し上げます。 先ほどから大きな議論が続いておりましたが、私、少し小さな問題にはなろうかと思うんですが、質問をさせていただきます。 破産手続について少し質問させていただきます。 といいますのは、私は、議員になる前は福岡で弁護士をしておりました。現在も登録はしておるんですけれども、個人の小さい事務所を開いて、いわゆる会社の法務から、または離婚等から刑事事件まで、いわゆる町弁、町の弁護士さんということで、さまざまな案件を扱ってきたわけですが、そうなりますと、当然、今の多重債務の問題で破産手続を扱うことも多うございました。 当然、この破産手続というのは、浪費でどうしても借金をつくってしまう方でも使える制度ではございますが、やはり、会社を経営しておって、個人保証をすることによって、経済的に頑張ったんだけれども破綻をしてしまう。その苦渋の選択の中で破産手続を選び、今後五、六年はローンは組めない。社会的には、経済的になかなか立ち直るのが難しい、そういう事実上の制裁を覚悟しながら次の経済活動に向かって頑張っていこうということで決意をされて、破産手続をされる方が多いわけでございます。 その点、まずこの破産法の趣旨について、ちょっと大きな話でございますけれども、破産法の趣旨をどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思っています。 〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕
○深山政府参考人 破産法一条に、御案内のとおり、目的規定がございますけれども、「支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」というのが破産法の目的でございます。
○浜地委員 済みません。ありがとうございます。 私が読めばよかったんですけれども、最後に、もって債務者の経済生活の再生を図ると。もってという言葉は、当然そこが最後の目的になるわけでございます。その前の、債務者間、債権者間の利害調整、または財産の適正かつ公平な清算というのはその前段にかかっておりまして、一番は、もって債務者の経済的再生を図るということでございますが、その中で、経済的再生を図る中で、それをやはり阻害するものがございます。 御存じのとおり、破産法の二百五十三条には、免責されない、いわゆる借金が棒引きにされない、要は、破産手続をしても払い続けなければいけない債務が列挙されております。その中で、例えば養育費とか、または他人に悪意で加えた不法行為、いわゆる犯罪的なもので加えたような民法上の責任等がございます。これはいわゆる経済活動とは関係のない中で発生するものでございますので、これは払わなきゃいけないというのは承知しております。 しかし、二百五十三条の一項の一番最初に、破産をしても支払い義務が逃れないものに租税、要は税金がございます。税金というのは、いわゆる民間の経済活動の中で発生する、もうけたがゆえに発生するものでございますけれども、そうなってきますと、いわゆる養育費とか、いわゆる不法行為で加えた損害賠償とは少し趣旨が違うのではないかと思っております。 実際に、私、手続を弁護士としてやっておりまして、特に会社の経営者は、調子がいいときは給料が高うございます。そうなると、住民税も高く、また所得税も高いわけでございますが、だんだんだんだん会社が悪くなってくると給料を下げるんですが、当然後追いになってくる。一番最初に払わないのは、自分の税金を滞納して会社に回すということで、実際、破産手続をしても、三百万、四百万のいわゆる税金が残ったまま再生のスタートを切るということでございます。 これが三百万、四百万を一気に払えればよろしいんですが、なかなか払えずに、いわゆる分割で、国税庁等々に交渉できる方はいいんですが、真面目な方は、いつもいつもおびえながら、新しく就職したけれども、給与に差し押さえが来るんじゃないかと。もしくは、新しい会社をつくったとしても、自分の名前ではできずに、例えば他人の名前を使って行って、何とか細々と、いわゆる租税の支払いにおびえながら経済生活を送っているというのが現状でございます。 その点、平成十六年の改正で、この租税に関する取り扱いについては破産法の中でさまざまな改正がなされたと思うんですが、その十六年の改正の経緯の中にこの租税が残ってしまうということがあったのか、また十六年の改正の経緯自体についてもお聞かせいただければと思っております。
○深山政府参考人 まず、前提として、破産法の二百五十三条、今委員御指摘の条文は非免責債権についての条文で、その冒頭の第一号で租税債権が挙げられている。これは実は、破産法自体は平成十六年に全面的に見直しをしておりますが、旧破産法の時代から同じ取り扱いでございました。 平成十六年に破産法の全面的な見直しをした際に、この非免責債権についても見直しの議論がされましたけれども、その議論の過程で主として論じられたのは、旧法時代の非免責債権だけではなくて、同様の趣旨でやはり免責を与えるべきでない債権はほかにもあるのではないかというような議論が主として行われました。 したがって、見直しの結果どうなったかといいますと、旧破産法において非免責債権とされていたものに加えて、二つの類型の請求権が新たに非免責債権に加えられて現行法に至っている。その二つといいますのは、一つは、故意または重過失で人の生命身体を侵害する不法行為に基づいて生ずる損害賠償請求権、それから、さまざまな親族法上の理由で扶養義務者として負担する費用に関する請求権、この二つが非免責債権に加えられたというのが改正の結論です。 その過程で、今委員が御指摘になった租税債権についての取り扱いの議論はなかったのかということですけれども、弁護士出身の法制審議会の委員、幹事の方から、まさに先生がおっしゃったように、非免責債権とされていることによって経済的な再生の妨げになる側面があるのでその点はどうだろうかという問題提起自体は、審議会でもちろんございました。それについては、もちろん議論はされた結果、しかし、租税債権は非免責債権であるという旧法の扱いを改めるのは、結論としては、多数の同意が得られずに残ったという形で、旧法以来、非免責債権とされているものでございます。
○浜地委員 ありがとうございます。 前回の平成十六年の改正の中でも、租税債権をどう扱うかということで議論に上がったということでございます。 私もいろいろなところで調べて、この租税債権が免責されないのは何でですか、それは公金だからだという答えで、なかなか答えになっていないような気がします。 副大臣にお聞きします。 いわゆる債権者平等の原則からいっても、経済活動の中で、例えば銀行さんは、お金を貸したけれども、借金が棒引きされる。また一般の債権者は、例えば下請さんあたりも、苦しい中で一生懸命仕事をしたのに、破産をされて、借金が棒引きされて、自分には入ってこない。配当があれば別でございますけれども、ほとんど配当がない事案が多うございます。その中で税金だけがお金が取れるということは、やはり債権者側から見ても、何で国だけ取るんだというような意識があろうかと思います。 また、今私は個人の話をさせていただきました。個人の場合は租税債権が残る。しかし、法人、会社が破産をしたときには、当然もう主体がなくなりますので、実際、取る主体がございませんので、消費税や法人税等は事実上もう取ることができないし、また、実際、法的にも取られていないわけでございますね。会社は会社の経営者が潰した、しかし個人だけが、当然生きている主体でございますから税金を取られる、こういったことは、経済的再生を図るという破産法の趣旨からいいますとやはり問題があるんじゃないかと思っています。 ですので、次の改正の議論があったときにはこういったことを考慮いただきながらまた改正をしていただきたいと思いますが、今までの議論を聞いてどのように思われるか、お答えいただければと思っています。
○後藤副大臣 浜地委員にお答えを申し上げます。 浜地委員御指摘のとおり、租税債権が免責の対象となっていないことにつきまして、破産者の経済的再生の妨げになっているのではないかとの問題点が指摘されているということも承知しておりますし、先生御自身の経験に基づく温かい気持ちでの発言は聞いておりました。 他方で、租税は、国または地方公共団体にとりましては財政的な裏づけでもありまして、公平かつ確実に徴収されなければならないというのは、これは公益上の要請上極めて重要であるとの認識も持っております。 したがいまして、破産者の経済的再生の観点から直ちに租税債権を免責の対象とすべきものとは考えていないというのが今の見解でございます。 なお、租税の徴収につきましては、財産の差し押さえの猶予や滞納処分の停止による納税義務の消滅といった納税緩和の措置が税の方の分野で用意されておりまして、納税者の生活の維持等に対する配慮がされているということについては承知をいたしております。
○浜地委員 ありがとうございます。 私は、租税をたくさん持って、それにおびえながら経済的再生を図るよりも、一気にゼロにして気持ちよくまた再チャレンジするといった方が、逆に税収も上がるんじゃないかなとは思いますが、安倍政権におかれましても、再チャレンジできる社会ということで取り組まれていると思います。ですので、次にまた議論する機会があれば、このこともまた真摯に考えていただければ、きょう質問した意義があったかなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次のテーマに行かせていただきますが、きょうは一般質疑ですので、全体の法曹教育等について質問します。いわゆる法科大学院及び新司法試験制度の現状についてでございます。 きのうの新聞でも、法科大学院の定員が二割を割りましたということで、ロースクール制度もしくは新司法試験制度についてはさまざまな、やはり当初予定した効果が出ていないというようなことが言われておりますし、今、中間的な取りまとめとして、いろいろとこの法曹教育についてどうしようかという取りまとめが行われていることも承知をしております。 この法科大学院制度を導入した意義としましては、まず、法曹人口をふやして、国民の皆様に身近な法曹、司法制度を開放するということがあったかと思います。それと、これまでは旧司法試験、私は実は以前の旧司法試験の受験者でございますが、ずっと受験をして、十年も、長い人は二十年もやって、ずっと受験生が滞留をしていて、人材としては非常にもったいない、若い時代を試験に費やして、結果合格しなかったという方をやはり適切に退場させようということがあったかと思います。 それと、最後に、やはり人材の多様性というのがキーワードだったかと思います。合格率を上げることにより、また、これまでの旧試験のような一か八かの試験ではなく、ある程度カリキュラムに沿って合格をする、そして、特に社会人や他学部の生徒を入れて、いわゆる法学部だけでない、いろいろな考えを持った法曹を育てることによって、もって国民の司法の使いやすさにつながるということだったと思いますが、その点で、現在、法科大学院の入学者に占める社会人経験者、それと法学部以外の他学部出身者の推移についてお聞かせいただければと思っています。 〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○小川政府参考人 お答えいたします。 法科大学院の入学者に占める社会人、非法学、いわゆる他学部出身者の割合の件でございますが、まず、社会人の割合は、法科大学院制度が開始されました平成十六年度には四八・四%ございましたが、平成二十四年度には二一・九%となっておりまして、減少しております。また、法科大学院入学者に占めます法学部以外の学部出身者の割合、これは同じく、平成十六年度には三四・五%でございましたが、平成二十四年度には一八・八%となっておりまして、これも減少傾向でございます。
○浜地委員 ありがとうございます。 今のデータを見ましても、当初、半分ぐらい社会人経験がある人がロースクールに入って弁護士や法曹になってということだったんですが、結果、もう二一%になっているということなんですね。他学部出身者も減っているということなんです。 ところで、昨年から、いわゆる予備試験、ロースクールに行かなくても新司法試験の受験資格が得られるという制度が始まっておりますけれども、この予備試験の合格者に占める社会人及び他学部出身者の割合というのはわかりますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 予備試験合格者に占めます社会人のデータはございますが、いわゆる他学部の関係でのデータというものは持っておりません。 社会人の関係を申し上げますが、これは基本的には自己申告によるものでございます。予備試験合格者のうち社会人が占める割合は、把握できる範囲で申しますと、平成二十三年、これは一回目でございますが、三〇・一七%、それから平成二十四年は一九・一八%でございました。
○浜地委員 ですので、いわゆる予備試験、法科大学院に行かなくても法曹資格を目指そうという方はほぼ変わらない数字でございます。 あと、もう一つ問題になっているのが、今、予備試験を要は大学生のうちから受けて、ロースクールに行かずにそのまま飛び越えていこう、自分で勉強して予備試験に合格すれば新司法試験を受けられるわけでございますので、そういった大学生がふえているというふうに聞いておりますけれども、昨年の実績、昨年しかございませんので構いませんが、予備試験合格者に占める現役大学生の割合を教えていただければと思っています。
○小川政府参考人 予備試験は平成二十三年からスタートしておりますので、二十三年から申し上げますと、大学生が占める割合は三四・四八%、平成二十四年は三一・五一%でございます。
○浜地委員 逆に、予備試験の合格者で、いわゆる本番の司法試験に合格する者の合格率と、あとは、法科大学院を出た人間で司法試験に合格する合格率というのは、どのように違いますでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。 平成二十四年司法試験におきます予備試験合格の資格に基づいて受験した者の合格率、これは六八・二四%でございます。受験者全体の合格率を見ますと、二五・〇六%となっております。
○浜地委員 そうなりますと、社会人はなかなか入ってこない。現役の、優秀と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、自信がある子は、法科大学院に行かずにそのまま飛び越えて、予備試験を受けて司法試験に合格して法曹になっているという現状でございます。 そうなりますと、特に社会人の割合の減少ということを見まして副大臣にお聞きしたいんですが、人材の多様性というのは、当初の目的からするとどうでしょうか、図られていると言えますでしょうか。
○後藤副大臣 浜地委員から御指摘をいただきましたように、司法制度改革において法曹の多様性を確保する、そういう理念のもとに、法科大学院において多様なバックグラウンドを有する者を広く受け入れたいというのが狙いでございまして、御指摘のとおりであります。 今、非常にいろいろな問題点について、つぶさに数字をいただいて御指摘がありましたけれども、法科大学院入学者に占める社会人経験者の割合、それから法学部以外の学部出身者の割合が減少している実情は十分認識をいたしております。 また、予備試験合格者のうち大学生の割合が三割程度を占めており、若年者が法科大学院を経由せずに法曹資格を取得するための、いわゆるバイパスと呼ばれておりますが、そういったものが今できているのではないかという指摘もございます。 これらの問題につきましては、本来の法曹の多様性を確保するという観点からどうなのかということについて、現在、法曹養成制度関係閣僚会議のもとに置かれました法曹養成制度検討会議において検討が行われているところでございます。 いずれにしても、政府において、法曹養成制度検討会議の議論、意見等を踏まえて、法曹養成制度関係閣僚会議において検討を行う。そして、平成二十五年、本年八月二日までに一定の結論を出す予定でございますので、きょうの御議論も十分に承ってまいりたいというふうに思っております。
○浜地委員 大変にありがとうございます。 今後の議論に期待したいところでございますが、ただ、現状、やはり多様な人材が育たない。社会になかなか触れずに弁護士になるという者がございます。 それで、一点、私の御提案でございますが、司法修習生には、今、修習の専念義務が課されております。いわゆるほかで仕事はしてはいけませんという義務でございます。しかし、私の時代は、いわゆる給与が出ておりました。給費制ということでやっておりました。今は貸与制に変わっております。 私の党は、どちらかというと給費制復活という議論でございますが、私は個人的には反対でございます。弁護士になる前に、二十万程度のお金を借りることの重さ、それを返すことの大変さ、これを知ることというのは大変有益であろうかと思っております。お金の価値を知るということでございます。 ちなみに、私が司法修習時代に隣に座っていた方は銀行員で、合格したのが四十三歳です。とにかく、妻も子供もいますから、当然ロースクールなんか行けずに、朝四時に起きて勉強して、四年間で合格をされて、今立派に、いい事務所で、すぐに仕事ができております。 私のことを言うとおかしいんですが、私は最初、証券会社に入って、不動産会社の営業をやっておりました。父の会社の後を継ごうと思ったんですが、倒産をしまして、その後に、三十三のときから司法試験を始めたという経験がございます。ですので、その後も、弁護士になったときに非常に役に立ったのは、やはり金融時代の経験、また営業時代の経験でございます。 今、弁護士が多くて就職ができないなんという話もございますけれども、私も実際、給料がもらえる事務所には最初入れませんでした。年をとっての、三十七歳での登録でございますので、また、親の会社の倒産経験があるなんということになると、なかなか、性格上の問題もあったかもしれませんが、採るところがないということです。 しかし、次の日から営業しまして、しっかり挨拶回りをしたり、当然、仕事の紹介を受ければ、その部分でしっかりと連絡、報告をする、また人とのおつき合いをしていく。これは実際、別に六法全書を読まなくてもわかるものでございまして、やはり自分のサラリーマン時代の経験が非常に生きているなということを実感しております。 そうなりますと、修習専念義務ということで、今、お給料をもらえていないわけですよね。であれば、しっかり修習のカリキュラムはやらないと卒業はできませんし、二回試験というものがあって、法曹にはなれないわけです、最後の卒業試験がございますので。ただ、しっかりカリキュラムを受けた上で卒業試験を通るのであれば、修習専念義務というのは外してもらって、しっかりアルバイトをしたり、また自分なりの活動をする、中には会社をつくるといったことも人材の多様化につながるんじゃないか、そのように思っております。 ですので、給費制となると、どうしても給与をもらっているので専念義務ということに結びつこうかと思うんですが、貸与制となった今、人材の多様化を図るためにも、希望するそのような修習生には専念義務を外したらいいんじゃないかというふうに思っておりますけれども、このことについてどのように思われるか、副大臣にお聞きしたいと思います。
○後藤副大臣 今委員から御指摘のように、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に確保する、そのことが重要だということについてはおっしゃるとおりでございまして、法曹の多様性の確保のために、今申し上げましたように、法曹養成制度検討会議で検討されているところであることは申し上げましたとおりです。 御指摘の司法修習生の修習専念義務につきましては、今申し上げました検討会議の中間取りまとめにおいて、修習生に対する経済的支援のあり方に関し、「貸与制を前提とした上で、司法修習の位置付けを踏まえつつ、より良い法曹養成という観点から、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないよう、司法修習生の修習専念義務の在り方なども含め、必要となる措置を更に検討する必要がある。」というふうにされておりまして、先ほど申し上げたように、八月二日までには一定の結論を出す予定でございますので、専念義務も含めて検討をしていただくということだというふうに思っております。
○浜地委員 ありがとうございます。 実際、修習生の中でも、もうお給料をもらえないんだったら活動したいという人が多いと思います。私自身も実際は、修習生のときに、働いてはいけませんでしたけれども、週末は時間がありましたので、いろいろな会社の方の経営上の話を既に聞いたりとか、実際はもう先行して営業活動はしておったわけですけれども、そういったことがやはり、社会に触れながら、実際の法曹の多様化ということにつながろうかと思います。当然、勉強したい方はしっかり勉強すればよろしいわけで、そういったことで、ぜひまた考慮いただければと思っています。 もう一問、外国人の旅行等について質問しようと思ったんですが、ちょっともう時間がございませんので……
○石田委員長 まだ大丈夫ですよ。あと五分と書いてあります。
○浜地委員 大丈夫ですか。五分ありますか。では、質問させていただきます。済みません。 先ほど椎名委員の方から外国人の労働者という問題がございましたが、私は、外国人旅行者の入国審査ということについて質問させていただきたいと思います。 御存じのとおり、外国人の観光客は年々ふえておりましたけれども、震災の影響等あって若干減少しております。 私は、福岡、九州・博多でございます。九州の玄関口として、博多にはかなり多くの外国人観光客がいらっしゃいます。これは観光庁の方からいただいた日本国内でのデータなんですが、日本国内の全部の旅行者が使う消費量が全部で二十四兆円、そのうち外国人が使うのが約二兆円というデータがございます。外国人の方は、滞在中に平均ですけれども大体十五万円ぐらい買い物をされて、本国に帰られるということでございます。 これは私がある大手旅行会社の支店長から聞いたんですが、これは日本にいらっしゃる在留外国人の方の一年間に消費される消費量の七分の一だそうです。ですから、大体百万ぐらい在留外国人の方は消費に使うとして、旅行者が七人来れば、在留外国人一人分の消費をしてもらえるということでございます。そうなると、治安の問題等、先ほどありましたけれども、そういったものをクリアする上でも、外国人観光客というのは非常に大事である、そのように思っています。 この点、これは福岡市からの要望で質問させていただきますが、福岡空港というのは、実は市街地にございまして、朝七時からしか国際線も含めて発着ができないという取り扱いになっております。 ただ、福岡空港は滑走路が一本でございまして、年間十三・七万回発着をいたします。ちなみに、四本ある羽田空港は三十五万ということでございますので、非常に込み入った空港でございます。 この福岡空港について、例えばこういう陳情がございます。飛行機は早く着く、七時に。入国審査は七時四十五分とか八時から始められる。そうなると、要は旅行者が一時間ぐらい飛行機の中で待機していなきゃいけない、これが非常にもったいない。または、九州に来るのを、これが原因で、一度旅行した方は少し面倒くさいということで、そういう声がございます。 この点の、今、福岡空港の入国審査の運用について教えていただければと思っています。
○榊原政府参考人 福岡空港での対応についてお答えいたします。 福岡空港の開港時間が午前七時でありますことは承知しており、予定されている運航スケジュール上、最も早い便の到着予定時刻が午前七時三十分であることから、福岡入国管理局福岡空港出張所では、同時刻に入国審査が実施できる体制を整えているところでございます。 御承知のように、従前は到着予定時刻が午前八時だったことから、航空会社から到着予定時刻を三十分前倒ししたいという要望を踏まえまして、本年三月から入国審査の開始時刻を前倒ししているところでございます。 ただ、飛行機のことですので、到着予定時刻が早まったりすることについては十分承知しておりまして、そのような場合への対応として、さらに早い時刻から入国審査を開始することについて、今後とも、航空会社からの要望があれば、関係機関とも協議して、可能な限り適切に対応してまいりたいと考えております。
○浜地委員 大変にありがとうございます。 実は、七時半到着なんですが、偏西風が吹いておりまして、大体七時に着くそうです。私も、博多から東京に来るときは一時間半ですが、帰りは二時間十五分かかります。ですので、やはり三十分ぐらいタイムラグがございますので、先ほども、航空会社からの要望があればということがございましたので、ぜひ、かなり早く着くのであれば早くあけていただいて、やはり、日本もしくは九州の玄関口の福岡空港はきっちり入国審査がスムーズにできるんだという運用をしていただければ大変にありがたく思います。 最後に、博多湾のことについてお聞きします。
○石田委員長 もう時間が参っておりますので。
○浜地委員 わかりました。 では、博多湾等の運用も含めまして、ぜひ、外国人の観光という面では、法務省の方々に入国審査の迅速化という努力を引き続き行っていただければ幸いでございます。 大変にありがとうございました。 ————◇—————
○石田委員長 次に、内閣提出、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣法務大臣。 ————————————— 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○谷垣国務大臣 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、大規模な災害の被災地において、当該災害により借地上の建物が滅失した場合における借地権者の保護等を図るための借地借家に関する特別措置を定めるものであります。 その要点は、次のとおりであります。 第一に、大規模な災害により借地上の建物が滅失した場合について、借地権者による借地契約の解約を容易にする制度等を創設することとしております。 第二に、大規模な災害の被災地における暫定的な土地利用に対する需要に応えるため、存続期間を五年以下とするとともに、更新を認めない短期の借地権の設定を可能とする制度を創設することとしております。 第三に、政令で定める災害により建物が滅失した場合に従前の建物の賃借人がその敷地を優先的に賃借することができるものとする優先借地権制度等を定めた、罹災都市借地借家臨時処理法を廃止することとしております。 続いて、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、大規模な災害により区分所有建物が重大な被害を受けた場合や滅失した場合に、区分所有建物及びその敷地について、必要な処分を多数決により行うことを可能とする特別の措置を定めるものであります。 その要点は、次のとおりであります。 第一に、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物について、五分の四以上の多数により、取り壊す旨の決議やその敷地とともに売却する旨の決議等を可能とする制度を創設することとしております。 第二に、大規模な災害により滅失した区分所有建物の敷地について、五分の四以上の多数により、これを売却する旨の決議をすることを可能とする制度を創設することとしております。 このほか、これらの決議の円滑な実施のために必要な規定を整備することとしております。 以上が、これらの法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。
○石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十七分散会