国土交通委員会 第9号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2013/05/08
会議録
○金子委員長 これより会議を開きます。 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長久保成人君、大臣官房技術審議官深澤淳志君、大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君、総合政策局長西脇隆俊君、土地・建設産業局長佐々木基君、都市局長川本正一郎君、道路局長前川秀和君、鉄道局長滝口敬二君、海事局長森雅人君、港湾局長山縣宣彦君、総務省大臣官房審議官諸橋省明君及び水産庁漁政部長柄澤彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。
○井林委員 おはようございます。自由民主党の井林辰憲です。 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 初めての国土交通委員会での質問でございますので、勉強の意味も含めて質問をさせていただければというふうに考えてございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 さて、我が国は、国土こそ非常に狭く、全世界で第六十一位という状況でございますが、人口は世界で第十位、そして、領海は世界第六位というふうに確認をしてございます。こうした国土特性から、海洋国家日本として我が国は成長してまいりました。 我が国の経済は、海外から資源を輸入し、国内で加工し、国内で消費をし、また、海外へ輸出をする、こうしたことで豊かさを保ってまいりました。こうした、世界の海を活用し、そしてまた恵みを得るということで活動してまいりました。我が国日本は、これからも、海洋国家として、海を上手に使い、そしてまた海の恵みをしっかりと享受していかなければいけない、そう考えてございます。 さて、ふだんは、海を使うというと物流、そうすると物流行政から、また、海の恵み、水産といいますと水産行政から議論をしていますが、しかし、海を使うということで、本日は船舶の分野から議論をさせていただきたいというふうに考えています。 まずは、我が国では、船舶の安全性を確保する観点から、国際条約等に基づき、また準拠する形で、船舶検査が行われているというふうに考えています。そうしたところから、まずは船舶の種類について御説明をお願いします。
○森政府参考人 お答え申し上げます。 船舶の安全確保等に関します国際条約及びこれに準拠します国内法令におきましては、船舶の種類あるいは大きさ等に応じて、船舶の構造や設備、あるいは船員の資格や教育等についての基準が定められております。 外洋を航行する船舶の種類としましては、大別しますと、外航クルーズ船のような旅客船、それから二つ目に、タンカーやコンテナ船、あるいは石炭、鉄鉱石等のばら積み船のような、いわゆる貨物船、そして三つ目のジャンルとして、水産業に従事するような遠洋漁船、この三つがございます。
○井林委員 ありがとうございました。船の種類がさまざまあり、そして、いろいろな面で活用されているということがわかりました。 船は、さまざまな国で活動いたしますので、基本的には条約等が大きな枠組みを決めるというふうに思いますが、まず、その条約等の中で、基本的な考え方になります旗国主義と、そしてそれを補完するポートステートコントロールの考え方について、御説明をお願いします。
○森政府参考人 お答えいたします。 先生今御指摘のとおり、外洋を航行する船舶については、国際間を移動します。したがって、国連の専門機関である国際海事機関、いわゆるIMO等において、国際的に統一された基準を定めた各種の国際条約を策定しております。 この条約に定められた基準への適合性でございますけれども、この基準の適合性の確保についての一義的な責任は、これらの国際条約に基づきまして、当該船舶が登録された国、いわゆる旗国と呼んでおりますけれども、これが一義的な責任を有しております。 一方で、船舶が外国の港に入港した際には、当該外国の当局が基準適合性の確認を行う権利、いわゆるポートステートコントロールというものが、国際条約に基づき認められております。 すなわち、基準の適合性につきましては、一義的には旗国による検査で詳細かつ完全なチェックを行い、さらに、寄港国のポートステートコントロールによるいわゆる抜き打ち的な検査、チェック、この両輪で船舶の安全性等を確保しておるということでございます。
○井林委員 ありがとうございます。 まずは、第一義的には船籍を有する国、日本船籍であれば、日本国が責任を持って、船舶の安全性の確認、または航行の安全を約束するということだというふうに思います。つまり、日本船籍は、条約のルール下であっても、その運用は日本が責任を持って取り組むということだというふうに考えています。 先般、海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案について、海運を担うタンカーについて議論がされました。今回は、一般質問ということで機会をいただいてございます。幅広い議論をし、また、私ごとで恐縮ですが、勉強させていただくという意味も含めまして、先ほどおっしゃっていただきました漁船、中でも、遠洋へ出ていく漁船、遠洋漁船の議論をしたいというふうに考えています。 船の種類は非常に多くありますので、議論を簡単にするためにも、遠洋漁船の平均的な例として扱われている遠洋のカツオ・マグロ漁船、二百トンから五百トンぐらいの船を議論していきたいというふうに考えています。 そうした船ですと、大体、水揚げの三分の一が人件費で消えていくというふうに聞いています。そうした人を乗せる際にも、やはりさまざまな基準やルールがあるというふうに考えています。そうした漁船が安全に航行するために、船長ですとか一等航海士ですとか、そうした求める基準、そしてその数などを原則として教えていただきます。よろしくお願いします。
○森政府参考人 船舶に乗り込ませる有資格の職員の数につきましては、船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づきまして、船舶の大きさ、いわゆる総トン数でございますけれども、それから、エンジンの出力、船舶が航行する海域の範囲等によって、必要最少人数を定めております。 今御質問がございました、総トン数二百トンから五百トンのいわゆる遠洋カツオ・マグロ漁船の場合は、多くの場合は同じ法律に基づくいろいろな特例を受けておるのでございますけれども、特例を受けていない場合には、船長、一等航海士、二等航海士、いわゆる甲板部の三名と、それから、機関出力が七百五十キロワット未満の機関であれば、機関長、一等機関士のいわゆる機関部二名、合計五名の有資格者の職員の乗り組みが必要となります。
○井林委員 ありがとうございます。非常に多くの資格を保持した乗組員が必要だということがわかりました。 しかし、今、特例ということで局長も御答弁をいただきましたが、安全性を担保しつつ、さまざまな緩和措置というものもとられていると聞いています。その特例といいますか緩和措置について、現状を御説明ください。
○森政府参考人 先ほどお答えしました船舶職員及び小型船舶操縦者法におきましては、船舶に乗り込ませるべき有資格の職員の数について原則を定めております。先ほど御説明したとおりでございます。 一方で、船舶の設備や航行の態様は非常に千差万別でございます。乗り組み基準を原則のまま適用することが必ずしも適切でない場合もございますので、航行の安全上支障がないと認める範囲内において、その基準を特例的に緩和することができるような措置をとっております。 先ほど御質問のございました遠洋のカツオ・マグロ漁船の場合は、原則は国際航海なのでございますけれども、海外の基地港をベースとしていわゆる操業する、こういう特殊な航行形態をとっておりますので、国際航海において原則求めている有資格の船舶職員の数を減少できるような特例措置を設けております。 遠洋カツオ・マグロ漁船の場合は、海技士の数を、先ほど御説明した原則五名から、特例措置で三名でよいということにしております。なお、その必要な資格としましては、甲板部については、船長が四級海技士、それから、一等航海士が五級海技士、機関部については、機関長が五級の海技士というふうに定めております。
○井林委員 ありがとうございます。 さまざまな緩和措置を設けられているということでございますが、今、いろいろな資格を持った方、四級海技士ですとか五級海技士という御説明をいただきましたが、例えば四級海技士ですとか五級海技士、こうした方々は大体何人ぐらいいらっしゃるのか。そしてまた、五級海技士というのが一番級数の低い技士だというふうに思いますが、どれぐらい船に乗ればその資格を取ることができるのか。実地期間といいますか、乗船履歴といいますか、そうしたところを御説明ください。
○森政府参考人 お答えいたします。 まず、海技士の数でございますけれども、御質問のありました四級海技士(航海)の資格の保有者は一万四千百二十五名おります。それから、五級海技士(航海)の資格の保有者数は九千四百八十七名、平成二十四年度末の数字でございますけれども、おります。 また、五級海技士(航海)の資格の取得に必要な乗船履歴につきましては、原則としては三年間というふうになっておりますけれども、水産系高校の卒業者の場合には、水産高校の在学中に行う乗船実習を含めて、トータル一年六カ月で足りることとなっております。現在、水産高校の在学中には三カ月の乗船実習をやっておりますので、卒業後の乗船履歴としては一年三カ月で足りることとなっております。
○井林委員 ありがとうございます。五級というか、一番低いクラスでも、やはり一年を超える乗船履歴が必要だということがわかりました。 一年ぐらいでいいじゃないかという声もあるかもしれませんが、遠洋漁業というのは一度漁に出てしまいますと数年にわたって帰ってこないというのが現状で、資格を取るためにわざわざ海外から戻ってこなければいけないということはまた時間の無駄でもありますし、コストの面でも問題があるのではないかなというふうに思っています。 また、先ほどの答弁の中でも、四級海技士に比べて五級海技士が五千人ほど少ないということでございまして、私も、現場の方々から、五級の海技士というのが非常に今不足をしている、困っているということをよく耳にいたします。そうした中から、五級の海技士を、遠洋航行の当直担当者というのが別途設けられていると思いますが、そうした認定航海当直部員にかえることができないかということも聞いてございます。 この辺、声も出ていますので、検討状況ですとか、当局の考え方を御説明ください。
○森政府参考人 先ほど御答弁をいたしましたように、遠洋カツオ・マグロ漁船につきましては、ほとんどの船舶が特例措置を適用いたしまして、航行の安全上支障がないと認められる最小限の基準として、船長のほか一名の一等航海士を配乗することとしております。 先生今御要望がありましたのは、その一等航海士について、いわゆる資格を有さない部員で代替できないだろうか、こういう御要望だと思いますけれども、実は、特例の見直しにつきましては、船舶のいろいろな技術進歩等も踏まえて逐次行ってきたところでございます。 御要望がありました、一等航海士を資格のない者に代替するということにつきましては、当然、唯一、甲板部の有資格者である船長の負担もふえますし、それから、我が国におきましても、あるいは国際的に見ても、漁船の海難というのは必ずしも顕著な減少が見られないような状況がございますので、こういった現状を十分踏まえまして、学識経験者それから漁業者の関係の団体等と十分調整をして、慎重に検討してまいりたいと思います。
○井林委員 ありがとうございます。 いろいろな検討をしていただきながらも、やはりなかなか難しい問題もあるということでございます。 ところで、根本的な問題の解決といいますと、やはり漁船に乗る日本人の確保、育成ということだと思います。きょうは国土交通委員会でございますけれども、水産庁として、こうした新規就労者の政策というものをどのように行っているか、お答えをお願いします。
○柄澤政府参考人 お答え申し上げます。 今御指摘のとおり、水産行政上、新規の漁業就業者を確保するというのは重要な政策課題というふうに認識しております。 このため、私どもとしまして、相談会や講習会を開催する、あるいは、漁業現場での長期研修を行う費用を支援する、さらには、漁業に必要な資格、技術、知識の修得を御支援申し上げるというような対策を講じております。 平成二十四年度の当初予算におきましては約四億円を計上したところでございます。この予算につきましては、厳しい雇用状況の中で、漁業が雇用の場として注目されているというようなこともございまして、実は昨年、二十四年度の予備費で約二億円、また、二十四年度の補正予算で約五億円を追加計上いたしまして、内容的にも、資格の修得等への支援の拡充などを行ったところでございます。 さらに、今御審議いただいております平成二十五年度の当初予算案におきましては、昨年度の当初予算のおおむね倍に相当いたします約八億円を計上いたしまして、内容的にも、資格修得を含め、漁業技術を習得できる漁業学校等で学ぶ若者への給付金を年間百五十万円、最長二年間給付申し上げるというような新たな措置も盛り込んでおります。 今後とも、新規漁業就業者の確保に努めてまいりたいと存じます。
○井林委員 ありがとうございます。 これまでさまざまな取り組みを当局側としてなされているということをお伺いしてまいりました。そうは言っても、現状、なかなか難しいということであります。 そうしますと、日本人の船員が確保できなければ、これは私はとるべきではないというふうに考えていますが、日本が船を使い、海洋国家として生きていく以上、日本船籍、日本乗組員の確保は国策として遂行すべきだというふうに考えていますが、やはり外国人船員を船長や一等航海士に充当できないかということも選択肢になるんですが、それはまた、労使という問題の中でなかなか難しいということも聞いています。まあ、労使の問題ですので、当局がどうこうということはないと思いますが。 つまり、これまでの議論をしていきますと、さまざまな緩和をしながらも、一つ一つの面で今、壁に当たってしまっている。一つ一つの問題について当局でかなり御努力をいただいているということはわかりますが、しかし、結局のところ、気がつくと出口がなかなか見つかっていないというようなことがわかります。結局、一つ一つの理屈は積み木のように非常にきれいなんですが、積み上げていくと崩れてしまうというようなこともあるかと思います。 また、先ほど答弁いただいた中で、通信長というものを乗せなくてもいいですよ、有資格者じゃなくてもいいですよというふうに聞いていますが、実際には、今、漁船の実際の運航上で同等の人が必要だというような実態もあると聞いています。緩和をしても、やはり実態がなかなかついてこない、実態と乖離をした仕組みになってしまっているんじゃないかというふうに思っています。 縦割りという言い方はよくないんでしょうが、そうした弊害ですとか、また実態面での反映、こうした問題について、取り組みについて、安全性を担保しながらの、海事行政から全般的な、包括的な取り組みの方向について、お答えをお願い申し上げます。
○森政府参考人 先ほどから御答弁をさせていただいております船舶に必要な有資格の職員の数、あるいはその資格の内容につきましては、船舶の安全の確保に十分留意をしつつ、船舶の航行実態、漁船のいわゆる操業実態等も踏まえて、必要な乗組員の数の緩和を行う、あるいは資格の見直しを適宜行ってきたところでございます。 今後も、関係者の御意見を十分踏まえまして、安全の確保に十分留意をしつつ、必要に応じて、海技資格の見直しについて引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○井林委員 ありがとうございます。 この問題、非常に難しい問題であるかというふうに思いますが、しっかりとした取り組みを私も御支援してまいりたいというふうに考えています。 さて、船舶の安全について、乗組員の話をしてまいりましたが、船舶自体の安全性の確保についてお伺いをしたいというふうに考えています。 これまで議論をしてきました遠洋カツオ・マグロ漁船では、五年ごとの定期検査というものと二年半ごとの中間検査が求められているというふうに聞いています。しかし、遠洋漁業では、長きにわたって漁に出ていますので、海外でも検査を受けられる体制の整備というのが必要だというふうに考えていますが、この整備状況について確認をさせてください。よろしくお願いします。
○森政府参考人 IMOの各種国際条約におきましては、旗国の検査は、政府がみずからやるか、あるいは、世界的には船級協会という、これは保険とリンクした仕組みなんですけれども、このいずれかに検査をさせることができるような仕組みになってございます。 一般商船の場合は、ほとんどこれは船級に入っておりますので、船級協会の検査を受ければ政府の検査を受ける必要はない、我々はいわゆるみなし規定と言っておりますけれども、これを置いております。 一方で、漁船の場合は、これは船級に入られている方がほとんどいらっしゃいませんので、政府がみずから条約等の基準適合性を確認する必要がございます。そのために、日本船舶が外国で円滑に船舶検査を受けられるように、例えばペルーあるいはスペインのラスパルマスのような漁業基地には船舶検査官を常駐させておりまして、その検査を受けられるような体制をしいております。 また、船舶所有者が駐在のいない外国で受検を希望する場合には、受検者の受検希望時期に合わせて、国内から船舶検査官が出張をして検査を実施しております。
○井林委員 ありがとうございます。 検査官がいる国の港では、その駐在している検査官の方から検査を受けられる、しかし、例えば隣国で、すぐ隣の国で検査官がいない場合は日本から出張するということですが、当局の努力によって、検査官の不足ですとか、そうした不満の声は上がっていないというふうに聞いていますが、行政コストの面からいくと、何か非常に極めて不合理といいますか、無駄の多い仕組みだなというふうに感じています。 この問題は質問を通告していないので質問はいたしませんが、やはり要望という形ですが、行政コストの面からも、もう少し合理的な物の考え方というのができないのかなというのを、ぜひとも御検討いただきたいというふうに思っています。 さて、現代の船舶では、電子機器の塊と言っても過言ではないというふうに思います。その中でも、一九九〇年から新しい通信システムが導入されたというふうに聞いています。この導入によって、先ほどの緩和措置の中で、通信士は乗らなくてもいい、任意にしたというようなことも聞いています。 この新しいシステム、GMDSSというふうに聞いていますが、こうしたものも検査の対象となるというふうに聞いていますが、一部の電子機器では、海外で検査を受ける際に、わざわざ日本に持ち帰って検査をしなければいけないものもあるというふうに聞いています。 もちろん安全は第一ですが、システム導入から、もう十五年たっています。これまでの検査での経験の蓄積ですとか、その後の技術革新や安全性の向上、こうしたもので簡素化できるものは簡素化すべき、特に中間検査などではそうすべきだというふうに考えています。 国内の船舶産業の健全育成という面で、なかなか難しいこともあるかとは思いますが、簡素化できるものは簡素化していく、そうした方向性と検討状況について御説明をお願いします。
○森政府参考人 先生御指摘のあった、船舶に搭載される無線通信機器でございますけれども、国際海事機関が定めるSOLAS条約におきまして、搭載すべき機器の種類と性能の要件あるいは保守の要件が定められております。 これらの無線通信機器は、遭難した場合に、捜索救助機関や付近の船舶に迅速、確実に救助要請を電波を使って行うとともに、陸上からの海上安全情報の入手などを確実に行うことができるように設置されているものであります。 したがって、これらの機器は、万一の際に確実に作動することが非常に重要でございまして、船舶安全法等に基づく定期検査の際には、遭難信号によるいわゆる誤情報というんですか、こういったことがないように配慮しつつ性能の確認を行っております。 御指摘のとおり、平成十一年のGMDSS完全導入から十五年が経過いたしております。安全性の確保に支障が生じないように十分留意しつつ、これまでの検査実績などを踏まえて、簡素化できるところは簡素化を進めたいというふうに思っております。もちろん、電波を発する機器でございますので限界もございますけれども、そこに支障がないような形で、あるいは安全確保ができるという前提で検討をさせていただきたいと思います。
○井林委員 ありがとうございます。 最後の質問をさせていただきたいというふうに思います。 ここまでの議論で、非常に船舶については細かなルールが数多く存在するということを確認してきたというふうに思います。当局はこれまで、そうした難しい中で、安全性を担保しつつ、国内船舶産業の健全育成に配慮しながらさまざまな緩和をしていただいたことも十分評価をしていかなければいけないというふうに思います。 しかし、現実問題として、昨年の五月には、南アフリカのケープタウンの港外で日本の遠洋マグロ漁船が座礁いたしました。船名についても栄発丸ということで報道されていますが、その報道によりますと、この船には現実には日本人が一人も乗っていない、資格保有者も一人もいない、あげくの果てに、南アフリカでデリバリーピザまで届けていただいたということも、でかでかと新聞記事に載っています。 この船は幸いにも無事に離礁したということでございますけれども、このケープタウンの海域は非常に貴重な生物もいます。また、豊かな漁場であることも事実であります。万々が一、燃料等が流出して海洋事故というふうになりますと、環境に与える影響が大きく、国際的にも大きな問題になるのではなかろうかというふうに思っています。 この船は純然たる日本国籍でありますので、船体の安全、それから乗組員の保護、さらには航行の安全ということは一義的に我が国が責任を負うことになるのではないかというふうに思っています。 この船は、免許保有者が乗っていない、全員外国人だったという国内のルール違反、さらには定員オーバーまでしていたという三つのルール違反をしていたというふうに聞いています。 何よりも、これは船だけではなくて、メード・イン・ジャパンのブランドイメージというのは、品質だけではなくて、我々日本人はどこに行ってもルールを守るんだ、そういうことが国際社会で認知されているからこそ、メード・イン・ジャパンというものの品質が確保されているのではないかというふうに考えています。日本全体のブランドイメージにも大きな影響を与える事件だというふうに考えています。 船舶の世界では、国際機関では事務局長が日本人が務められていたり、日本からの提案文書も、質、量ともに国際社会から高い評価を得ているというふうに聞いています。まさに、世界に冠たる海洋国家の面目を当局がお支えいただいていることに感謝を申し上げます。 だからこそ、こうした問題が起きないように、海洋国家日本を維持発展させていくためにも、多くの複雑な問題に取り組み、さまざまな規制、これは国内法だけではなくて条約も含めて解決していくんだという決意を最後にお聞かせください。お願いします。
○赤澤大臣政務官 井林委員の場合は焼津港でありますし、私の場合、境港でありますけれども、お互い、地元に全国有数のマグロ漁を初めとする漁港を抱える身でありますので、本日の御質疑、大変興味深く聞かせていただきました。 御指摘のあった、昨年五月だったかと思いますが、ケープタウンの件については、我が国も旗国として、しっかりと安全、環境の規制を守る、日本籍船についてしっかりそのことは再確認をし、きちっと実施をしていかなければならないというふうに思います。 あわせて、今、IMOの事務局長に関水氏が就任をしておられるということで、当然、日本人初ということでありますけれども、大変大きな役割を負っているわけでありまして、委員御指摘のとおり、我が国は世界有数の海洋国家ということで、海運、造船ともに世界のトップレベルでございます。その技術力を生かして、国際海運の世界、国際的にルールが決まってまいりますので、積極的な対応をしてきているところでございます。 例えば、漁船については、昨年十月に、漁船の構造・設備に関する国際条約が採択されました。我が国が、アジア諸国が採択に賛成できるように多数の提案を行い、その多くが反映されたという実績もございますし、あるいは、国際海運のCO2排出量削減のための国際基準策定に主導的な役割を果たし、その結果、我が国のすぐれた省エネ技術が国際規制に反映をされる、そういった規制が本年一月から始まったところでもあります。 国土交通省としては、今後とも、船舶の安全、環境性能の向上、あるいは船員の資格等も含めて、我が国の海事関連産業の発展に資する視点から、IMOでの国際基準策定に積極的に貢献をしてまいりたいと考えております。
○井林委員 ありがとうございました。 この問題は非常に多くあるというふうに思います。今後とも、勉強しながらしっかりと当局の取り組みをお支えしたいというふうに思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、若井康彦君。
○若井委員 おはようございます。民主党の若井康彦でございます。 本日は、大臣との質疑の時間を五十分ほどいただきました。よろしくお願いいたします。 第一に、先般、大臣が所信表明の中でおっしゃられた社会資本メンテナンス元年というこのキーワードについてお聞きをしたいと思います。大変に重要な御指摘だと思います。 その前に、近年、全国の地方自治体等におきまして、エネルギーの地産地消や安定供給を目指す、そうした動きが目立ってきております。 例えば東京都は、エネルギーの自立、分散化をみずから促進をするということで、低炭素・高度防災都市の実現、東京湾岸に百万キロワット級の火力発電所を新設するということで実現をしていくんだ、そうした構想をおっしゃっているわけです。 また、既に全国の大都市の中では、例えば六本木ヒルズ等では大変に大規模なコジェネの導入も進んでおり、先般の三・一一の大震災の際には、このコジェネがすかさず稼働して、平常時と全く変わらない、そうした機能と環境が保たれていた、そういうようなこともございます。 先般、原発の大事故もありましたけれども、エネルギーをこれからどのように供給していくのかということは国土政策としても大変に重要な課題の一つになっていると思うわけですが、この大都市圏を中心とした民生部門、エネルギーの需要の三分の一を占めていながら、これまで、福島もそうですけれども、地方のそうした大発電所に供給を依存している、省エネや自給力の面で大変に対策がおくれてきたんじゃないかというふうに考えられると思うんです。 一方的に遠隔の地方部に依存をしなければならないという大都市圏のエネルギー問題、今回の原発事故も、ある意味でいうと、首都圏が福島に大変に大きな負担をかけたとも言えると思うんですが、そろそろ、大都市自身、都市圏として何とかしなきゃいけないんじゃないかというふうに私も思いますけれども、大臣も恐らくそう思っておられるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○太田国務大臣 六本木ヒルズの話が今ありました。この間、十周年ということで、私は非常に大事な働きをしたというふうに思っています。 一つは、ビルを建てる。しかし、六本木ヒルズは、ビルを建てるのではなくて都市をつくる、ビルは都市であるという概念の変更というものを一つモデルとして先行した。その都市の中に、さまざまな企業も入り、あるいはシアターもあり、文化もあり、生活ができる。これは一つ、ビルは都市である。 そして、今先生がおっしゃいました、その中で耐震化というものについては大変前進をして、あそこは長周期地震動というのが予想されたところなんですけれども、都庁が左右に六十五センチずつ動いたというのに対して、全くと言っていいほど動かないという、そうした耐震化ができていたという建物をつくった。同時に、今先生がおっしゃいましたエネルギーの点でも、自立していけるというところをつくったというところは、六本木ヒルズの新しい試みであったというふうに思っています。概念の変更です。 私は、都市における住宅というもの、これはもう変えていかなくてはいけない。ただ箱ということで住むというのではなくて、屋上には太陽光があり発電施設があり、そして壁を含めて外断熱ということで、やわらかな、穏やかな住まいができる。これは、単に発電ができるというんじゃなくて、お年寄りにとっては、穏やかな住まい、落ちつく住まいというものをつくるということが非常に大事で、その中に、省エネと同時に、外断熱等については、技術的に穏やかな住まいができるというウエルネス住宅というものの志向性があるんだというふうに思っています。 当然、高齢者が、バリアフリーということはそうなんですが、バリアフリーも太陽光発電も、そして外断熱で穏やかなウエルネス住宅というようないわゆるスマート住宅をつくって、そのスマート住宅がスマートシティーというものを構成する。そうした中に、このエネルギー問題と高齢化社会の中に住まいを得るということと、そして新しい都市再生、都市づくりというものに向けてスタートを切っていかなくてはならないということを強く思っているところでございます。 そういう意味では、これから住宅ということを、未来というものを志向しながら都市をそういうものにつくり直す、スマートシティーとして非常に価値のある、高付加価値の町をつくっていくということで世界の都市間競争に対応できるというようなところを、私はそういうことでスタートを切りたいなと強く思っておりまして、まだ助走もできていないような状況ですけれども、そうしたことを今訴えているところでございます。
○若井委員 ありがとうございます。 それに関連いたしまして、昨年の十二月に低炭素まちづくり法が施行されたわけですが、今大臣がおっしゃられたような内容を法律を通じて国土政策、都市政策として実現していくということがこの法律の狙いだと思っております。 ただ、この法律、内容を見てまいりますと、エネ庁が自家発電設備導入促進事業、そうした補助を行っているわけですけれども、国土交通省の政策の中には、未利用の下水熱活用の話でありますとか、太陽光発電を公園に置くとか、蓄電池を配置するというようなことはうたわれているわけでございますけれども、今大臣がおっしゃられた、都市そして建物そのものが、そうしたエネルギーのプラントも含めて、一体的にそうしたものをつくっていくという側面がまだまだ薄いのではないかと私はこの法律を見ながら思っているわけでございます。 その意味で、今後、大規模施設や再開発地区において積極的にコジェネを普及していくとか、あるいは、都市圏の中心に、例えば東京湾の真ん中に大規模なそうしたエネルギー発電施設を配置していくというようなことを取り込んでいくべきじゃないかと思うんですけれども、その点について国土交通省の方で御検討なさっているのでしたら教えていただきたいと思います。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。 先生今御指摘のように、都市開発に合わせて熱源の活用をしながらエネルギー利用を効率化していくというのは大変重要な課題であると思っております。低炭素まちづくり法の中でも、当然、公共団体それぞれの地域の実情に合わせてそういった工夫をしていただけるものと考えております。 具体的には、例えば都市内の清掃工場でありますとか、今お話にありましたコージェネレーションシステム等によります未利用熱源の有効活用、さらには、面的に見ますと、商業業務や医療といったように建物の用途や規模によってエネルギー需要のピークが変わってまいりますので、これをうまく組み合わせますとエネルギー需要の平準化ということができるので、これも大変有効だと考えております。 こういったことを実現するためには、計画の段階から、地域の実情に応じてエネルギー利用の効率化を図るという方向性を打ち出して、開発に合わせて、熱源とその熱を使う、エネルギーを使う建築物というものをつなぐことによりまして発生するエネルギーというのを面的に融通し合って効率的に使う、こういったやり方が適切だと考えております。 既に幾つかの地区、先ほどお話にありました湾岸地区、豊洲なんかでも計画がされているところでございまして、国土交通省としては、こういったエネルギーの面的利用を伴う都市開発というものの支援ということについて、計画の段階からいろいろお知恵もおかしし、それから事業の実施に当たっても支援をしていく、こういったことで積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○若井委員 次に、さきの参議院の予算委員会でも話題になっておりましたけれども、火力発電所といっても、もう既に全く違う内容に近いというほど技術開発が進んでいる、そうしたプラントがどんどん出てきている。原発五十基全部合わせても四千八百万キロワットぐらいの出力だと思いますけれども、既に、例えば一基で百万キロワットが出るような石油火力もあるし、あるいは、長崎県には石炭火力もある。 先ほどの東京都の話を見ましても、ガスコンバインドサイクル、LNGの火力発電所を想定して構想を進めておられるようでありますが、そもそも、こうした一種のイノベーションの成果をどのように組み込んでいくかということで相当物事は変わっていくだろうと思うんです。 大臣のおっしゃるメンテナンスの意味でありますけれども、今後、これまで膨大に蓄積をしてきた社会資本を単に維持管理をしていくという以上に、その更新を通じて全く違ったものに変えていく、そうした時代に差しかかってきているんじゃないか、そのように私は考えております。 私の千葉県に富津火力という火力発電所がございますが、これもガスタービンのコンバインドサイクルを採用して、一カ所で五百万キロワット、原発にしたら五つ、六つ、それぐらいの出力のある火力発電所もございますし、県内だけで大体二千万キロワットぐらいの発電能力がある。一番古い千葉火力というのは、私が少年時代に初めてできた火力発電所だったわけですけれども、その当時は六十万キロワットで、東洋では一番だという話だったわけですが、これも、こうした最新技術で今二百四十万キロワットぐらいの出力になっている。 そういうふうに、大変に、目立たないところでと言うとちょっと語弊があるかもしれません、一般の国民の皆様からすれば同じ火力なわけですけれども、全く違うものになっている。 私は、このメンテナンスという言葉にそうした内容を込めていくべきだというふうに思います。同じ更新でも全く違うものになっていく。時速五十キロで走っていた列車が、いつの間にか百三十キロの特急が走っている、そうした状況に今入ってきているというのが国土政策の上においても最も大事なことじゃないかというふうに思うわけでございます。 まず、大臣、このガスコンバインドサイクルの火力発電所等を例えば原発にかえる、都市がつくったそうしたエネルギーを例えば地方に供給する、そうした意味での大転換をすべき時期ではないかと思いますけれども、その辺について御感想をお持ちでしたら、お聞かせください。
○太田国務大臣 原発ということについては、これをなくしていくとかいう論もあれば、縮小していくという論もある、さまざまあると思います。 ただ、やらなくてはならないことは、省エネという要素と、そして再生エネルギーというものを生み出していくということと同時に、先生が今おっしゃいました石炭の効率的な利用による発電ということをどういうふうに、これは世界一日本が進んでいるわけでありますから、そこを組み合わせるということが三本の軸になるというふうに私は思っているところです。 私は、メンテナンス元年というふうに言っておりまして、ことしは、特に大地震というものが切迫しているということや、建物の老朽化、構造物の老朽化が、成長した時代から五十年で経年劣化をしているということを食いとめなくてはいけないという、メンテナンス元年というのはそういう意味で使っています。初めて公共事業をそういう角度で捉えるという時代がことしからスタートを切ったんだ。 ただ、今、若井先生がおっしゃいましたように、私はそこでとまっているんじゃなくて、これから、私が土木工学科でシビルエンジニアリング、こういうふうに言うんですけれども、メンテナンスエンジニアリングという世界最先端の技術というものの学問が日本の中で樹立されて、それが世界に向けて技術輸出がされるというようなスタートを切りたいというのが括弧の中で私の心の中にはございます。 先生おっしゃるとおり、私は、そういう意味で、このメンテナンスエンジニアリングというべきものをつくり上げるというような意欲を持って、メンテナンス元年という中に内包してスタートを切っていかなくてはならないと強く思っておりまして、石炭についてのコンバインドサイクルのことについても、私は全く同感でございます。
○若井委員 ありがとうございます。 私も、今大臣がおっしゃられた意味でこのメンテナンスという言葉を使ってまいりたいというふうに考えている一人でありますが、この間の財政状況とかを考えますと、そこについても相当重点化をし、いわゆる選択と集中を進めていかなければならない、そういう時代に入ってきているんだ、そんなふうに思います。 社会資本のメンテナンスについて、今また新たに政府の方でも検討を始められているようでございますが、例えば、平成二十三年度の国土交通白書によりますと、二〇一一年から六〇年までの五十年間で必要な更新の費用だけで百九十兆円かかる。また、投資総額の水準を横ばいと仮定すると、二〇三七年、これから二十年余りですけれども、維持管理や更新の費用すら賄えぬ可能性がある、こう言っているわけです。民主党政権の時代ですから、今年度の予算より一五%少ない、そもそも財源がこれから続くかどうかわからないという状況ですから、どうなるのか難しい面もありますけれども、いずれにしても、これから新規の投資をする余地が非常に少なくなるということは、もう間違いない事実だと思うわけです。 ただ、今、平成二十三年度のこの試算においても、投資総額の水準は横ばいだという状況で推計をしているわけですね。今までの社会資本の蓄積に対して今までどおりの対応をしていく、あるいは、その更新費は、耐用年数を経過した後、同一の機能で更新するという仮説になっているわけですけれども、それですら二十年余りで維持更新ができなくなる、こういう計算になっている。 私は、維持管理費というものを、同一機能で更新するという、その想定自体が大変に現実離れしているんじゃないか。全く違うものをつくっていくんだけれども、それを更新というコンセプトの中でいかにして実現していくか、そういう時代に入っている。何もないときはどんどんつくればいい話だけれども、これだけたくさんの社会資本を保有しているわけですから、これを全部、一旦ないことにして新しいものをつくる、そういう時代じゃないというふうに思うわけです。 先ほどの石炭火力も、それをガス化するというような技術も当然採用されていくわけでございますが、極端な言い方をすると、私は、この社会資本のメンテナンスというのは、新しいものをつくるとか、今までのものを今までどおり維持していくということではなくて、これまでのものを更新していく、技術革新の粋をそこへ集中してリプレースをしていくという、全くそこの一点に尽きるんじゃないかというふうに考えております。 話が重複をしておりますけれども、その点一言、大臣、いかがですか。
○太田国務大臣 その白書の試算というのは当時は一生懸命計算をしたんだと思いますが、私は、メンテナンス、維持そして更新というのは、まさに先生おっしゃったような、そうした観点でいかなくてはいけないだろう。技術革新というものをしっかり組み込んでいかなければ、維持更新の山が高過ぎて、とてもそれはできないだろう。だから、技術革新によって、更新、メンテナンスの山を低くしながら、そして長寿命化を図るということでなくてはだめだろう、こういうふうに思っているところでございます。 また、よくメンテナンスだけでもう予算が全部食い尽くされてということを言いますが、この技術革新自体も、例えば、鉄道からいきましてもJR各社の技術研究所の研究成果というのは大変なものがありますし、民間の建設会社の研究所も大変なものがありますし、また、つくばにあります国の土木研究所を初めとして、この間私ずっと見てまいりましたが、一つ一つ相当の技術革新というものについて知見を持っているというふうに思っています。 ですから、もう一遍そういうことも含めて、一体どの程度お金がかかるのであろう、そしてまた新規という中に、全部税金でやるというのではない、その部分は民間というものの力を取り込みながら、税ではなくて、公共的な工事というものをどう進めていくかということも加味して、新しいこれからのスケジュール、戦略というものを立てていかなくてはならないと強く思っておりまして、いろいろな分野において、そうした道路なら道路、高速道路は一体どのくらいかかるのか、鉄道といったら維持更新にどれだけかかるのか、それぞれの分野で、民間の先生方も含めて今研究をしているという途上でございます。
○若井委員 これからのそうした成果にぜひ注目をさせていただきたいと思います。 次に、今後の社会資本整備のあり方に関して、国土強靱化について少しお聞きをしたいと思います。 大臣自身は、先般の所信表明において、あえて強靱化という用語は使われなかったように記憶しておりますが、近く政府はこの国土強靱化の基本法案を提出すると聞いております。この強靱化という概念もなかなかわかりにくい概念だと思いますので、少しその点について議論をさせていただきたいと思います。 それに先立ちまして、私は、強靱化というのは、必要な強さというものをきちっと持っていれば、社会資本についてはそれでよいのではないかという論者でございますが、これまで、そもそも公共事業を行うに当たって、強靱化のレベル、これは強靱化と言っていいかどうかわかりませんけれども、安全率あるいは安全係数、そういう考え方があると思うんですけれども、それについて少々教えていただきたい。 例えば飛行機なども、基本性能を設計する、ただ、不測のそうしたインパクトもあるかもしれないから、ある程度余裕を持って物をつくる、工学的にはどの世界でもそういう考え方が用いられていると思います。飛行機はたしか一・二ぐらい、二〇%ぐらい一種の余裕を持ってつくる、それ以上にすると、重くなり過ぎて幾何級数的にお金がかかるというようなことで、その分徹底的に毎日維持管理をしていく、そういう考え方に基づいていると思うんです。 そもそも、これまでつくってきた公共施設、社会資本、道路にしても、橋梁にしても、港湾にしても、みんなそうですけれども、こういうものをつくるに当たって、安全率、安全係数というものはどういうふうに設定をし、考えられてきたのか、簡潔に教えていただければと思いますが、いかがでしょう。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。 公共工事におきましては、荷重や材料強度のばらつき、設計施工時の不確実さ、構造物の重要性などを考慮しまして、これまでの構造設計の経験の積み重ねをもとに、委員御指摘のいわゆる安全率等を定めております。 例を申し上げますと、道路橋の設計における安全率については、道路橋示方書に基づきまして、使用する材料に応じて設定しております。例えば、鋼材の許容引っ張り応力度は、基準降伏点に対して安全率一・七程度としております。コンクリートの許容曲げ圧縮応力度は、設計基準強度に対して安全率を三程度というふうに設定しております。 また、国の官庁施設につきましては、民間の建築物と同様に建築基準法上の耐震基準を満たすこととしておりますけれども、平成七年の阪神・淡路大震災において、官庁施設が被災して災害応急対策活動に支障が生じたことから、現在では、特に災害対応を行う拠点となる施設につきましては、建築基準法相当の耐力基準に一定の率を掛けておるところでございます。 このように、個々の事業におきましては、それぞれの施設ごとの基準に基づく客観的な指標に基づき設計しているところでありまして、今後とも、これらの安全率の考え方に基づき設計をしてまいりたいと考えております。 以上です。
○若井委員 ということでありますから、そもそも、現在世の中に存在をしている社会資本というものは、そのとおりつくられていれば十分な強度を持っているというふうに私は思っておりますので、この強靱化という言葉が、安全係数を上乗せするというような単純な話じゃないというふうに理解をしております。 あわせて言えば、この安全係数が〇・一上がるだけで自乗倍でコストは高くなるということでありますから、そこで強靱化ということを論じるということがあってはならないというふうに思っているわけでございますが、今、内閣官房の方で、国土強靱化懇談会を進めておられると聞いております。そこで議論されている国土強靱化というコンセプト、この内容について簡単に教えていただければと思います。
○西村副大臣 お答えを申し上げます。 東日本大震災を契機といたしまして、国民の生命財産を守るために、想定が困難な低頻度大規模災害、例えば千年に一度かあるいはそれより少ない頻度かもしれませんけれども大規模な災害、これを東日本大震災のときも我々経験したわけでありますけれども、こうしたものに対しても、事前防災・減災の考え方に基づいて我が国全体の強靱化を進めていく、その必要性を我々は認識をしたところでございます。 こうした東日本大震災の教訓も踏まえまして、低頻度ですけれども大規模災害への備えについて、これまでの防災の範囲を超えて、国土政策あるいは産業政策も含めて、そして官民連携によって、今御指摘のあったハードのみならずソフトも含めて総合的な対応を図っていく。そのため、そうしたことをやることによって、致命的な損傷はないとか、被害をできるだけ軽減するとか、あるいは迅速な復旧復興を可能とする、こうした対応を行っていく。これを国土強靱化の中で検討いたしているところでございます。
○若井委員 このレジリエンスというんですか、強靱化という言葉がどこから出てきたのか、私も大変に興味があるところです。イギリス等ではそもそもレジリエンスプログラムという計画があるそうでありますが、その中で述べられていることをよく見てみますと、むしろ、これは何かをプラスしていくということよりも、今ある社会資本の中で、どのようにして整備を重点化していくか、そういうプログラムになっているように思います。 特に、災害はいつ来るかわからないわけですから、とにかく手前から最も大事なところに手をつけていく、そのプログラムをレジリエンスプログラムと呼んでいるというふうに理解できるわけですけれども、その意味でいいますと、今言われている社会資本のこれからの維持管理、これをアセットマネジメント等を導入しながら進めていく上で、緊急避難といいますか、最も一番手前に手をつけなきゃいけないものは何かということを選択していくということを、このイギリスの計画等では狙いとしてつくっているように思うんです。 その意味で、我が国の膨大な社会資本、六百兆円とも七百兆円とも聞いておりますが、これも有限の耐用年数のものであり、それを順番に更新していく上で、どこから手をつけていくべきなのか、今すぐやらなきゃいけないのは何なのかということを決めることがこの強靱化の一番の目標だというふうに私は思います。 その意味で、これからの作業がどのように進んでいくか、私どもも大変に関心を持って見守らせていただきたいと思っておりますけれども、どのようにこのプログラムをつくっていこうとしておられるのか、その辺、簡単に教えていただければと思います。
○西村副大臣 先生御指摘のとおりでありまして、今、関係省庁、国土交通省が一番中心になるかと思いますけれども、それ以外の省庁も含めまして、この脆弱度、どこに弱点があるのか、こうした面の調査を行っているところでございまして、これをできるだけ早く取りまとめを行って、その上で優先順位、何から手をつけるべきか、この検討を急ぎたいというふうに思っております。
○若井委員 そうしますと、その前提になるのは、現在の社会資本がどのような状況にあるのか、一種の台帳ですね。つくってから何年たっているのか、あるいは、つくったときに幾らお金がかかったのか、同じものをつくったらどれぐらいコストがかかるのか、そうしたことをしっかり把握していくということがまず前提になると思いますけれども、一種の社会資本台帳というんでしょうか、そうしたものを内閣官房では作業を進めておられるのかどうか。 老朽化の現状という資料を内閣府のホームページで見せていただいておりますが、例えば、道路橋は十五万七千橋あって、平成四十四年には五三%が五十年を超える、このようなデータがあるんです。 私は、全国にあります社会資本をきっちり、自治体も含めて、そうした台帳を整備し、管理し、その上でアセットマネジメントすべきだ、そしてその中で、今、例えば災害が起きたときに最も重要になる、あるいは危険だ、そういうランクづけをしていくということを進めていくべきだと思うんですけれども、この台帳づくりといいますか、社会資本の現状についての把握というのはどの程度進んでおられるのか。あるいは、強靱化計画の中で進めておられるのか。 では、大臣、お願いします。
○太田国務大臣 台帳が本当にないというのが、私は現状だと思うんです。 きのう、三十九年の東京オリンピックの建築ということで、文化庁で新しい施設を文京区湯島につくりまして、そのお披露目がありました。安藤忠雄さんを初めとして、三宅一生さんとか皆さん来られて、そうしたスタートがきのう切られて、とにかく私が言われたことは、その東京オリンピックのスタジアムとかいろいろなことについても、三十九年です、散乱してそれ自体がもうない、それをかき集めてきて、やっとここの資料をつくった、道具なんというのはほとんどそういうものがありませんよ、そういうものをきちっとしておかなくちゃいけない。 私、メンテナンスという話を先ほどさせていただいたんですが、この間、私の学生時代の同僚で、京大の副学長をやっていた大西さんというメンテナンス工学の人が私のところに勇んで来まして、太田、とにかく、今、メンテナンス、調べるということも大事だが、データを、台帳をしっかりつくっておくということが一番のメンテナンスだよ、データなくして必死に直していくだけじゃだめだよ、調査、点検と言うけれども、まず一つ一つのデータというものをしっかりさせるということが大事だと。 それは、一般の建物にもあったりなかったりします履歴、そして建設中のものの履歴、どこまでいったのかというようなことのヒステリシスをしっかりと台帳として残しておくということが実は一番基本的なことになるんだと思っておりますが、それが今本当に欠けているというふうに思っています。 緊急の調査、点検を六月までに全部の建物を終えるということを私は指示して、今急いで全国にやらせているところでありますが、来年の三月までに調査、点検を全てまずは終わらせるというスケジュールの中で、そこの台帳とか資料とかいうことをしっかりとつくり上げていくという作業を裏ではしていかなくてはならないというふうに思っているところでございます。 きのうは、国立近現代建築資料館というのが立ち上がりまして、そのオープンになったんですけれども、そうしたことがやっとスタートを切り始めたという段階だと思っております。
○若井委員 今のお話はよくわかりました。 それで、そうしますと、先ほどの強靱化の計画に戻りますが、台帳に基づいてこれに評価をしていく、色分けをしていくというその作業を私は強靱化計画にすべきだと思います。 そのときに、台帳がないのでわかりませんけれども、例えば、初期投資の総額として五百兆なり六百兆使っていて五十年の寿命だとすると、一年間に平均すれば十兆円や十五兆円の更新の費用がかかるわけで、実際のところ、それだけのお金を全ての社会資本にかけていくというのはもう今後ほとんど不可能に近いということで、人口も減り、あるいは、先ほどの最初のお話じゃありませんけれども、コンパクトシティー化をして、残りの部分についてははっきり言うと取捨選択をするという、その作業をこれからしていかなきゃいけない。 そのときに、最も必要なところを選択するというのがこの強靱化の計画の一番の目標だと私は思いますけれども、そういう方向でぜひ作業を進めていただきたいと思いますが、西村副大臣、いかがでしょう。
○西村副大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、財政的な制約もございますので、今の社会資本の中には、交通インフラのみならず、産業のサプライチェーンとかエネルギーとか通信機とか医療とか、さまざまなものが国土強靱化の中には入ってきますので、今そうしたものの脆弱度をそれぞれ各省において調べていただいているところですけれども、それを踏まえて、その上で優先順位を決めて、少ない財政的な資源を有効に、効果的に活用していく、投入していくということになると思いますし、また、改修とかそうした面では民間資金もうまく使いながら、ぜひ、限られた資源の中で効果的な強靱化の計画をつくるべく努力をしていきたいというふうに思います。
○若井委員 ありがとうございます。 社会資本を今後どうしていくかという話はなかなかぴたっとした答えがない話だとは思うんですが、大きな筋道だけはきちっと押さえて、これにたがわないそうした道筋をつけていくべきだと思います。 考えてみますと、戦後、人口が五千万人ぐらいふえている。昭和三十年代から五十年で五千万人ふえている。毎年百万人ふえている。毎年百万人のニュータウンを五十年つくり続けてきたという努力は、私はすばらしい、大変な仕事だったと思うわけですが、その反面、これからの五十年、例えば、人口が四千万人減っていく、毎年八十万人ずつ人口が減る、いわゆる政令指定都市が毎年一つずつ消えていくという、この変化もまた想像を絶したことだと思うんです。 ある意味でいうと、言葉はちょっと悪いかもしれませんが、一種の撤退作戦、国土政策からいうと、全ての国民が安心、安全に、そしてより快適に暮らしていける、そうした撤退作戦をどうつくっていくかという話に近いんだろうと思うんです。八十万人減るというのはすごいことですよ。ことしは二十八万ですけれども、もっと加速していきます。 ですから、そのときに、退却とかいうと何か負けるみたいな感じだけれども、そうじゃなくて、そのシナリオをつくるということが今強靱化をするということの一番の意味だと私は考えております。 そういう意味で、予算の使い方も思い切って変えていかなきゃいけませんが、先ほどお話がありましたとおり、一緒に人間の問題を考えていかなきゃいけない。どんなにいいものがあったって、誰も使わないものだったら何の意味もないわけですから、そうしたものに使うべきお金をソフトウエアの方に回すということも大事だと思います。 だから、私自身は、コンクリートから人へとは言うつもりはありませんが、いずれにしても、これまでのつくればよかった時代から、本当の意味で、つまり、土木や建築の時代からシビルエンジニアリングの時代に変わるべき、そうした大きな変わり目になっていて、そうした意味を込めて、ぜひこの作業を前に進めていただきたいと思っております。 時間がなくなってまいりましたので、最後に、これまで積み重ねてきた膨大な社会資本のストック、時代に応じて使う人も変わっていきます。受益者と負担をする人が、これまでどおり、昔どおりでいいのかどうか、そうしたこともございます。 これから、誰が今ある社会資本の負担をしていくのか、間もなくPFIの議論も始まると聞いておりますけれども、この点、どんな方向で物事を考えていくべきなのか、ざっくりしたお話でいいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 大変難しい、広範にわたる質問だと思います。 私は、民間を活用してということで、何でも税でつくったりするのではなくということから、PFI、PPPという論議がきのうも政府で行われているという実態だろうと思います。そこは進めていかなくてはなりません。 そして、人口減少社会においてというお話がありまして、これは道州制や地方分権という流れの中で、あるいは市町村の合併という中で、正直言って、整理しなくてはならない箱物というものも出てくるということだと思います。 もう一度、人口減少社会において、しかも災害に強いレジリエンスのあるという、レジリエンス、強靱化というのは、しぶとい、粘り強い、柳に枝折れなしというものだと私は思いますが、そうした構造物をつくっていくという技術革新というものも大事だと思います。 もう一つ、この間、コシノジュンコさんが私に、引き算の政治というものも大事じゃないでしょうかというアドバイスをいただきました。 今まで、公共事業も建物も日本の政治も足し算ばかりでやってきたけれども、あそこは要らなくなった、そういう意味では、ここの空にある高速道路を一遍外そうよ、外して、なくすだけではなくて、それを地下に持っていく、そしてそこを民間にやってもらうというようなことで、きょう新聞に出ておりますような空中権ということが模索されたりしています。 一方では、私は、そういう意味では引き算の政治ということも、削るものは削っていくというような物のつくり方も、足し算ばかりやってきたけれども、実は引き算の政治ということも大事な時代だと思っておりますし、同時に、国家というものを考えると、ネーションステートという、国民国家という中で、強い国土をつくろう、強い国家をつくろうといって走っていく中で、限界集落とか過疎地というものがますます弱くなっているのを切り捨てるというようなことで日本は強くはならない、そういうふうに思っています。 そういう点では、限界集落やあるいは過疎地、思想的に言いますと、ネーションではなくてパトリオティズムという、文化そして地域というものに根差した、同じ愛国という中の国という概念を、ナショナリズムのネーションステートということ以上にパトリオティズムという、英語でカントリー、日本語には国という言葉の中にカントリーに当たる言葉がないんですけれども、私は、郷土、ふるさとというものを限界集落も含めて人が少ない中で強くして、そこで山村を逆に守っていただけるような、高齢者の方々に大きな誇りを持ってやっていただくような、そういうことをまた考えなくてはいけないな、こう思っておりまして、いろいろな意味で、強靱化という言葉の中には、やらなくてはならないことが具体的に出てくる問題だと思っています。
○若井委員 まさに、大臣が今おっしゃられたことが政治が果たすべき役割だと私も共感をしております。 最後に、今の社会資本を誰が今後も将来にわたって維持をしていくかという問題で、一つだけ簡単に御報告をしておきます。 私の地元に北総鉄道という私鉄がございますけれども、先般、これが成田の空港に直通をすることになり、全く違ったスキームでその鉄道が使われるようになりました。 しかし、この鉄道の運賃については、地元の利用者はその運賃の高さということに長い間苦しんでおり、新たなスキームでこの社会資本が活用される機会に、その運賃の問題がある程度改善をされるのではないか、そのように期待をしてきたわけでございますが、結局のところ、増収分もあるいは償還の期限を延ばしていただいた分も全て新しいスペックをつくるための投資に回り、あるいは、地元の人たちは、親会社の借金返しに全部回ってしまった、このように感じておりまして、今行政訴訟も起きている。 今、五年間、地元の自治体が半分負担するという形で若干その運賃の軽減が行われているわけですが、あと二年たたないうちにそのスペックも期限切れになります。 この行政訴訟がこれからどういう方向をたどるか、わからないわけでございますけれども、時代に合わなくなっているのではないかという鉄道事業法の枠組みの見直しをも含めて、ぜひ政府に改善の道筋をつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○滝口政府参考人 ただいま委員から御指摘がございましたが、北総線につきましては、沿線人口の伸び悩みなどを背景といたしまして、北総線の沿線住民の方々から、北総線の運賃が他の路線と比較して高額ではないかというような声が上がっていることは承知しております。 一部の北総線の沿線住民からは、北総線の運賃認可等に係る行政訴訟が提起されておりましたが、これについては三月二十六日に東京地裁において判決が出されており、この中で、行政サイドの判断過程及び判断内容に問題がないという認定がなされているところでございます。国土交通省の主張が認められたものというふうに理解をしているところでございます。 一方、今委員御指摘の運賃の問題につきましては、地元自治体の支援と北総鉄道の自助努力によりまして、平成二十二年の七月から運賃の値下げが実施されてきたところでございます。また、当時の都市公団や千葉県などの支援、あるいは建設を行った鉄道・運輸機構に対します債務の償還期間の延長などによりまして、経営の安定化策というものが講じられてきておるところでございます。 経営自体につきましては、これらの関係者の支援を受けまして安定はしつつありますけれども、なお平成二十三年度末で累積損失は約二百五十七億円、長期債務は約九百九億円となっているところでございます。 このような経営状況にある中で、直ちに運賃を下げていくということは難しいのではないかというふうに認識をしております。 いずれにいたしましても、千葉県を初めとした沿線自治体などの関係者において、現在の支援スキームの検討を行いながら十分に御検討をいただきたいというふうに考えているところでございます。
○若井委員 社会資本の運営を民営化した場合にいろいろな問題が起きる、そういう意味で、大変に典型的な課題だと思いますが、引き続き御検討をお願いしたいと思います。 レジリエンスにつきましては、先ほど海岸堤防の復旧のあり方について事前通告をさせていただきましたが、時間で、大変に失礼いたしました。 大臣、どうもきょうはありがとうございました。 質問を終わります。
○金子委員長 次に、坂元大輔君。
○坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。 昨年末に安倍内閣が発足いたしまして、太田国土交通大臣が就任をされて四カ月と少しがたちました。所信表明で社会資本メンテナンス元年というふうに本年を位置づけられて国土交通行政を担ってこられましたけれども、この四カ月余りの所感と今後の決意を冒頭に、質問通告していなかったんですけれども、改めてお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○太田国務大臣 四カ月がたちましたが、一生懸命という以外に私の感想をといいましても何か言いようがないんですが、とにかく一生懸命走ってきました、さらに頑張りますとしか言いようがないんです。 日本が、ここにいる全員が、このままの日本では何とかしなくちゃいけないということを、円高、デフレということに対しましても、東日本大震災の復興ということについても、あるいは外交のさまざまな案件につきましても、領海、領土ということにつきましても、大地震が切迫しているかもしれないというようなことにつきましても、これは今政治家はしっかりしていかないと、ある意味では日本を再建させる最後のチャンスかもしれないということは、全ての政党、政治家にとって一致したものだというふうに思います。 そういう点では、円高、デフレということを初めとして、ダッシュを一生懸命して、一生懸命この四カ月走り抜いてきて、安倍内閣全員がそうだと思いますけれども、何とかそうしたことがちゃんと実現できるように、ことし一年終わったときに、政治家全員が少し再建の手がかりをつかんだと言っていけるように、また東北の方たちが、復興を実感できる年にしたい、こう言っていますから、復興元年じゃなくて復興が実感できた、少しよかったな、次を目指すことができるというふうになる、十二月ごろにそういう年にできればなというふうに思って、まだスタートしたばかりのような、一生懸命やっているような状況で、さらに頑張りますとしか言いようがございません。
○坂元委員 ありがとうございます。 先ほどの質疑の中で、引き算の政治というお言葉がありました。そして、以前に所信表明に対する質問の中で私がさせていただいたときに、太田大臣からも、今まで日本の国土交通行政というのは、いわゆるメンテナンスであったり、防災・減災というところに重きを置いてなかなか運営されてこなかった、そういう中で今回大きな方向の転換というものをやっていきたいというような趣旨のお話がございました。 私もその趣旨には本当に賛同をしておりますので、これからも国土交通委員会の一員として、しっかりと御協力できる部分はさせていただきたいなというふうに思っております。 もう一点、報道発表が昨日の夜でしたので、これもちょっと事前に質問通告ができなかったんですけれども、航空行政に関することでございます。 昨日夜のNHKのニュースで、六日午後、ジェイエアが運航していた大分発大阪行きの日本航空のボンバルディアCRJ200型機が着陸後に、エンジン火災を知らせる表示が出ました。表示が出たのは二つあるエンジンのうち右側の一つで、パイロットが消火装置を稼働させ、乗客五十二名と乗員三人にはけがはありませんでした。 この事故について、国の運輸安全委員会は、重大な事故につながるおそれがあったとして、調査官三人を大阪空港に派遣し、七日から調査を始めましたというニュースがNHKで流れたわけでございますが、細かいことをお聞きするつもりはございません。ただ、先日やっとボーイング787の件で運航再開のめどが立った中で、今回残念ながらまた大阪空港でこういう事故というかエンジン火災が起こったわけでございます。 大臣も、航空行政というものは、安全だけではだめなんだ、安心というものが保障されていなければだめなんだという言葉を何度も繰り返しおっしゃっておられましたが、この今回の事故の調査も含めて、今後の航空行政に関する決意を改めてお伺いできればと思います。
○太田国務大臣 これは、五月六日の件でございます。十二時十六分ですが、御指摘のように、大分発大阪国際空港行きのJAL二三六二便が、大阪空港の滑走路に着陸した後、地上走行中に、第二エンジンに火災が発生したことを示す計器表示がなされたということで、これを直ちに停止して、消火ができるようにという態勢をとったという状況でございました。 これは重大インシデントというものに当たるということで、これは大丈夫というのと、これは重大インシデントということを分けて、重大インシデントという、エンジンにかかわることで、発火間際である、焦げたという状況でありますので、昨日朝、すぐ運輸安全委員会を派遣しまして、現在その中身を調査中でございます。 そして、私としては、きのうの朝、同じエンジンを持つ飛行機が全国で十三機ございますものですから、そこのエンジンを直ちに全部点検しろという指示を出しました。それで、点検が直ちに行われて、きょうを迎えているという状況でございます。 今回のこの件についてのエンジントラブルの原因については、まだ当然究明中で、調査をしているという段階にありますが、直ちにそういうことを指示いたしまして、とにかく安全ということで、万全の体制ができるようにということで、一生懸命これも努めたいというところでございます。
○坂元委員 突然の質問にお答えいただきまして、ありがとうございます。 もう既に全点検の指示も出されたということで、本当に、安全ではなく安心をというお言葉のとおり、迅速な対応をしていただいているということで、私も安心をいたしました。 それでは、きょうの本題というか、もともとのお伺いさせていただく分野に入っていこうと思います。 本日は、大きく分けて二点、合併特例債発行期限後のインフラ整備と防災・減災対策についてという点と、大阪府市港湾管理者統合による新港務局に係る法改正を含めた改革について、お伺いをしていきたいというふうに思います。 まず、いわゆる平成の大合併というものを強力に推進するために整備をされました合併特例債でございますが、もちろん合併した年によるんですけれども、本来は平成二十七年度をもって発行期限を迎える予定でございました。しかしながら、皆様御承知のとおり、東日本大震災の発生を受けて、被災自治体に関しては十年、被災していない自治体に対しても五年間、この特例債の発行期限が延長をされたわけでございますが、改めまして、その経緯と理由を御説明いただきたいと思います。
○諸橋政府参考人 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、旧合併特例法におきましては、合併特例債は、当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く十年度に限り、発行ができるというふうにされておるわけでございますけれども、平成二十三年の通常国会におきまして、議員立法によりまして、東日本大震災の被災地に限って発行可能期間を五年延長する法案が成立をしたところでございます。 その際の衆参の総務委員会の決議もございまして、そういったことも踏まえまして、私どもで合併市町村のいろいろ聞き取りですとか調査をいたしましたところ、被災地以外の合併市町村におきましても、震災時の被害想定見直しを踏まえて施設の建設予定地の再検討を行ったり、あるいは防災関連事業等を優先したりするといったような事情等もございまして、合併特例債活用事業を延期する必要があるというふうな状況が明らかになったところでございます。 このような調査結果も踏まえまして、平成二十四年の通常国会におきまして、被災地以外の合併市町村につきましても合併特例債の発行可能期間を五年延長し、合併後十五年度とする法改正が行われたところでございます。
○坂元委員 特に、被災していない自治体が五年延長されたという点に関してなんですけれども、もう一度確認をさせていただきたいんですが、つまり、東日本大震災の発生を受けて、インフラの整備であったり防災・減災対策を主に考えてということでよろしいでしょうか。
○諸橋政府参考人 悉皆ではございませんけれども、私どもでいろいろ調査を行ったり、それから被災地以外の合併市町村からいろいろお話を伺ったりした中で幾つか出てまいりました例といたしましては、例えば役場をもともと海の近くに建てようという計画をしておった、ところが、今回のこの東日本大震災の影響等々に鑑みて、やはり場所をもう一回検討した方がいいんじゃないかとか、あるいは、東日本大震災の影響等々を考えまして、合併促進のための事業、合併推進のための事業よりも、防災関連の事業を先にやるべきじゃないか、そういったような御意見を頂戴いたしまして、このような判断をしたわけでございます。
○坂元委員 ありがとうございます。 つまり、やはり防災・減災であったりインフラ整備というところに力点を置いて、今回発行期限が延長されたというふうに理解をしております。 とはいえ、五年延長されたとはいえ、被災していない自治体に関しても被災している自治体に関しても、もちろん、いつか発行期限が来るわけでございます。そして、私もさまざまな自治体の首長さんですとか議員さんですとかからお話を聞いていると、やはり合併特例債にかなり財政的に依存をしている、頼っている自治体が多いことも実情でございます。また、特例債というものを発行していない合併していない自治体に関しても、財政事情が今後苦しくなっていくところが多いということも皆さん御承知のとおりでございます。 そんな中、インフラのメンテナンスや防災・減災対策というものを推進していかなければならない、推進していくという方針を強く打ち出していらっしゃいます今の国土交通省として、その苦しくなる自治体の財政事情等、今後のインフラの整備というものをどのように考え、対策を打たれるおつもりなのでしょうか、お答えをお願いいたします。
○久保政府参考人 大規模災害の懸念やインフラの老朽化の進行の中で、先生御指摘のとおり、インフラの老朽化対策あるいは防災・減災対策等にしっかりと取り組んでいくことが必要だと私ども考えております。 このため、全てのインフラの安全性の徹底調査、総点検、そして老朽化対策、防災・減災対策に予算を重点化して、必要な予算を計上しております。 特に、おっしゃるとおり、インフラの大部分は地方自治体が管理していることがございますので、大規模災害などに備え、地方が自主的に防災・減災対策を実施する、老朽化対策を実施する場合に、これらを重点的に支援する防災・安全交付金を新たに創設したところでございます。 こうした老朽化対策、防災・減災対策は継続的にやっていく必要があります。そのことが重要であります。地方公共団体へのさまざまな支援を含めて、今後とも、国民が納得できる事業について必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上です。
○坂元委員 ありがとうございます。 以前の所信表明に対する質問でも私質問をさせていただきましたが、今、予算の重点化という話がございました。いわゆる公共事業に対する予算における防災・減災対策もしくはインフラのメンテナンスに充てていく割合というものをふやしていく、数値、パーセントを上げていくという取り組みがこれからも必要なのではないかというふうに私も考えております。 また、これはもちろん国土交通省だけの所管ではございませんが、長期的には、やはり財務省や総務省とも連携をして、先ほどお話がございました、自治体の自主性にある程度任せていかなければならない分野でもありますので、財政的な支援や、もっと言いますと財源の移譲等々も含めた総合的な施策というものが必要になってくるのではないかというふうに考えております。 そして、課題というのは実は財政面だけではございません。正直申し上げて、自治体やもしくは首長さんの姿勢であったり見識によって、自治体間で、インフラの整備であったり、いわゆる公共施設マネジメントというふうに言われますけれども、長寿命化であったり、かかる費用の平準化、そういった分野に関しても取り組みに大きな差が出ているのが現状だというふうに考えております。 国土交通省として、自治体への啓蒙活動や必要な情報提供にもぜひ力を入れてもらいたいというふうに考えておりますが、そこに関しての見解をお伺いしたいと思います。
○西脇政府参考人 お答え申し上げます。 委員が御指摘のとおりでございまして、財政面の課題だけではなくて、やはり公共団体では、例えばでございますけれども、点検が適切に行われていないために劣化の状況が不明な施設がございます。それから、やはり管理者間で相当ばらつきがございまして、例えば長寿命化計画の策定なんかについても、かなりおくれている団体があるというようなことで、財政面以外に非常に大きな課題があるというふうにも認識しております。 これらの課題を踏まえまして、私どもとしては、インフラの大部分を管理いたします地方公共団体がそれぞれまさに責任を持ってインフラの戦略的な維持管理、更新が行えるように、必要な支援を行ってまいりたいというふうに思っております。 国土交通省では、ことしの三月に、スケジュールを明確化しております工程表として、今後三年間にわたって当面講ずべき対策というものを取りまとめておりまして、その中で、例えば維持管理に関する基準を改善しますとか、先ほど大臣からも答弁ありましたように、構造物のデータベースをきちっと構築する、しかもその成果を公共団体の方に周知徹底を図るというようなこと、それから体制面では、マニュアルを提供するとか技術講習、それから、非常に重要でございますが、相談窓口の機能を強化いたしまして、公共団体の相談に乗っていくというようなことで、そういう財政面以外の課題につきましても積極的に公共団体を支援してまいりたいというふうに考えております。
○坂元委員 ありがとうございます。ぜひ、国交省としても積極的に推進をしていっていただきたいというふうに思います。 また、そういう取り組みに対して先進的な自治体というものが全国にありますので、もちろん国交省は御存じだと思いますけれども、例えば藤沢市ですとか習志野市ですとか、先ほどのデータベース化等々に関しても先んじて取り組んでいる自治体もいろいろありますので、そういう先進自治体の事例を全国に紹介するとか、そういう情報共有に関してもどんどん国交省も力を入れて推進していっていただければなというふうに思っております。 きょうは、若い学生の皆さんがたくさん見学に来てくださっていますけれども、私自身もまだまだ若い身なんですが、自分より若い世代の皆さんに、政治ってよくわかりません、どういうものなんですかねという質問をされることがございます。 そのときに簡単にお答えをさせてもらうのが、皆さんそれぞれ、自分がやりたいこととか、夢とか、いわゆる志とかあると思います。そういうものを皆さんそれぞれ持っておられるとは思うんですが、それというのは、この日本という国がある程度安全であり、そして、働けば収入が得られて、平和でということを大前提として皆さんはその夢とか目標とかというのを多分持たれているんじゃないですか、その大前提というものをしっかり守っていくのが政治なんですというふうにお答えをしております。 この国土交通行政、インフラ整備等々というのは、私は、その最たるものだというふうに考えております。 蛇口をひねれば水道が出る、下水道がしっかり整備されている、車があれば目的地まで道路が整備されていて行くことができる、大きなけがや病気をしたときに近くに病院があるといった、そういう社会資本、インフラの整備というものは、本当にこの国の根幹をなすものだというふうに考えておりますので、今後、地方分権が進んでいく中で、やはり、そのインフラのメンテナンスというところに関して自治体が担っていかなければならない領域というのは今後ふえていくわけでございますから、そういった自治体への情報の提供であったり指導というものを引き続きしっかりと推進していっていただければというふうに考えております。 それでは、続きまして、次のテーマに移らせていただきます。 大阪府市港湾管理者統合による新港務局に係る法改正についてでございます。 ゴールデンウイーク前ですけれども、大阪府、市の、私たち日本維新の会の大阪府議団、市議団の港湾プロジェクトチームというのがございまして、東京に来ていただいて、国土交通省の皆様とも意見交換等々をさせていただきました。 そのやりとりを私も伺っておりまして、思いは同じなんだけれども、なかなかうまくかみ合っていない部分も見受けられるなというのが率直な感想でございました。国土交通省、大阪府、市ともに、港湾物流における国際競争力の強化という大きな方向性としては本当に一致をしていると思います。 そこで、現在、もしくは過去からの経緯も含めて、国土交通省としてのこの港湾物流における国際競争力の強化という点に関して、強化方針と具体的な計画を簡単に御説明いただきたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。 我が国港湾の国際競争力の強化を図るということで、選択と集中という考え方に基づきまして、平成二十二年八月に、阪神港それから京浜港を国家戦略として諸施策を集中する国際コンテナ戦略港湾として選定いたしました。 この国際コンテナ戦略港湾政策の推進のために、平成二十三年の通常国会におきまして港湾法等の改正をいたしまして、当該港湾におけます直轄港湾工事の国費負担率の引き上げ、あるいは港湾の一体運営を行う港湾運営会社制度の創設といったものを行っております。 これによりまして、大型化しますコンテナ船に対応した大水深コンテナターミナル等の整備や、港湾運営会社によります民の視点での港湾運営の効率化、広域からの貨物集約への支援を実施しているところでございます。 また、平成二十四年十月には大阪港、神戸港におきまして、また同年十二月には横浜港におきまして、国土交通大臣がこの港湾法に基づきます特例港湾運営会社の指定を行ったところでございます。 私ども国土交通省といたしましては、国際コンテナ戦略港湾におきまして、引き続き、ハード、ソフト一体となった総合的な施策を集中してまいりたいと考えてございます。 以上です。
○坂元委員 今お話がございました港湾運営会社の指定というところなんですけれども、いわゆる埠頭株式会社というものが指定をされたというふうに理解をしておりますが、その埠頭株式会社の歴史的な経緯というところに関して、もう少し詳しくお話をいただけますでしょうか。
○山縣政府参考人 東京港、横浜港それから大阪港、神戸港、この四つの港では、実は、コンテナターミナルの整備、管理運営を行う主体といたしまして、各港ごとに財団法人でございます埠頭公社といったものが設立されておりまして、これらが平成二十年から二十四年にかけまして、各港の港湾管理者でございます地方自治体が一〇〇%出資をいたします埠頭株式会社に改組されて現在に至っているということでございます。
○坂元委員 ありがとうございます。 例えば阪神港というものを例にとった場合、もともとは公社の、さらにその前は公団でございまして、阪神港埠頭公団というものがその後、大阪港埠頭公社と神戸港埠頭公社に分かれまして、株式会社化されて、今後、また合併という経緯をたどっているわけでございます。 そういった、以前は公団、公社だったというような歴史的な経緯を考えると、埠頭株式会社というものに関しては、国の関与、影響力が依然として大きいというふうに見えなくもないわけでございます。 いわゆる現場主義、私どもの代表であります橋下徹代表もよく言っている、ニア・イズ・ベター、現場に近いところでの意思決定や判断が迅速になされていくという、現場主義に根差した運営方法が港湾に関しても必要だというふうに考えますが、そういった国の関与や影響力が大きいというふうに見えなくもない中で、そういった現場主義の港湾運営というものが行っていけるのかどうかという点に関して見解をお願いいたします。
○山縣政府参考人 お答えいたします。 先ほども申しましたが、平成二十四年に、大阪港、神戸港それから横浜港、この埠頭株式会社というものを特例港湾運営会社として既に指定したところでございます。 この特例港湾運営会社の指定に当たりましては、地元の港湾管理者の同意を得ることとしてございますし、また、指定後は、私ども国は監督命令権等最低限の規制権限を有することとしてございます。 また、各埠頭株式会社では、民間からの出資がなされるとともに、民間出身の社長や現場に根差した専門的な知見を有しますスタッフの登用によりまして、コンテナターミナル等の効率的な運営が既に行われている、こういう認識でございます。 私ども国土交通省といたしましては、今後とも、現場の意見を十分聴取しながら、民の視点による新しい港湾運営が行われるよう各港の取り組みを促してまいりたいと考えております。
○坂元委員 ありがとうございます。 最低限の関与でという言葉がありましたけれども、その姿勢で現場主義を徹底していっていただきたいというふうに思います。 もう一点、港湾運営会社についてなんですが、現行の港湾というものは自治体が管理するという規定の中では、例えば阪神港というものを例にとった場合、港湾運営会社も、大阪市と神戸市という頭二つの下に港湾運営会社があるというような形になりますけれども、頭二つの状態でスムーズな運営がなされるかどうかというところが非常に懸念されるわけですが、その点に関しての御見解を伺いたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。 大阪市や神戸市といった港湾管理者というものは、港湾を全体として開発、保全し、公共の利用に供することを一元的な責任のもとで管理を行う者でございまして、港湾法上、港務局または地方公共団体がその主体となるものでございます。 他方、港湾運営会社でございますが、港湾運営に関する業務を一元的に担い、民の視点を生かして国際コンテナ戦略港湾におけるコンテナターミナルなどを一体的に運営する株式会社でございまして、おのずと港湾管理者とはその役割が異なるものでございます。 現在、大阪港埠頭株式会社それから神戸港埠頭株式会社におきまして、両社の経営統合による港湾運営会社の設立に向けた取り組みが鋭意進められているところでございまして、港湾運営会社と大阪市それから神戸市との密接な連携のもとで、同社によります戦略的かつ効率的な港湾運営がなされるものと期待しているところでございます。
○坂元委員 物流というものに関してある程度切り分けてという考え方は、大阪府、市が出している新港務局という考え方とも私は近いものがあるのかなというふうには理解をしております。 港湾関係の法律を拝読していますと、港湾というものは、先ほど一体的にという言葉がありましたけれども、港であったり、周辺の建物、道路等々を一体的に管理をしていくという方針が貫かれているかなというふうに思うんですが、その根本的な理由というものをお伺いできますでしょうか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。 港湾とは、単に港湾施設の集合体ということではなくて、さまざまな施設が有機的、複合的に連携することによって、初めて全体としての機能を発揮することができる社会資本でございます。 具体的には、船舶航行のための航路、あるいは港内を静穏に保つための防波堤、船舶を係留させて貨物の積みおろしをするための岸壁、それから港湾の物流を支える臨港道路、さらには港湾貨物を利用し企業活動を行うための港湾関連用地、そして、港湾労働者あるいは住民の安全を確保するための防潮堤など、こういった施設がございます。 このため、港湾法におきましては、港湾を全体として開発、保全し、公共の利用に供するということを一元的な責任のもとに行う、そういう主体として港湾管理者を置きまして、港湾の管理を行っているというところでございます。
○坂元委員 ありがとうございます。 先ほども申し上げましたが、物流に関してある程度切り分けて、近隣の幾つかの港で複合的に、統合的にやっていくという方向に関しては、国交省も相違はないのかなというふうに思うんですが、大阪府、市が訴えています物流に特化した新港務局というものが複数の港湾物流を管理して、今御説明があった港湾エリアや海岸もしくは建物、道路の管理者のみを自治体とするというふうに切り分ける場合のデメリットというのがあれば、教えていただきたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。 港湾のエリアにおきましては、例えば、防災上の視点という観点で見ますと、防潮堤という海岸保全施設、それから防波堤、これは港湾施設でございますけれども、これが一体となって住民とか港湾労働者の生命財産を守っております。 このため、これらの施設について一元的な整備、管理ができない場合、必要となる性能を満たせないなど十分な防災機能を担保できず、住民や港湾労働者の安全、安心の確保といった観点から支障を生じる懸念がございます。 また、物流という観点で見ますと、岸壁と臨港道路の整備や管理が一元的になされなかった場合、それぞれの施設の供用時期が合わないとか、あるいは処理能力が合わないとか、港湾から背後地への物流や埠頭間の物流が阻害されるという形で円滑な港湾機能の発揮に支障が生じるといったことも懸念されるところでございます。 したがって、港湾におきましては、その機能を十分に発揮させるため、港湾管理者が一元的な責任のもとで管理を行っているところでございます。
○坂元委員 ありがとうございます。 結局、目標というのは、効率的かつ国際競争力のある港湾の運営、そして港湾エリアの安全であったり、そういったものをしっかり守っていくというところであるというふうに思いますので、本当に方向性としては、ずれてはいないのではないか。あとは、実務的な、ここをどちらが担当するかとかという、この部分に関しては自治体、この部分に関しては港湾の運営会社という具体的な切り分けの問題かというふうに考えております。そのあたりは私も大阪府、市側にもよく説明をしておきますので、今後、細かい点、いろいろと国交省と詰めていっていただければなというふうに考えております。 何度も繰り返し申し上げますが、大阪側としても、とりあえずは大阪、そして行く行くは神戸港と合わせた阪神港の国際競争力を強化し、釜山、上海、シンガポールなどといったアジアの巨大な港と渡り合っていくような、本当にアジアのハブとなれるような物流拠点としたいという強い思いがあって、この新港務局というものの構想を訴えているわけでございます。 港湾の国際競争力を高めていくという方向性は、全然変わらないと思います。国土交通省として、大阪市、大阪府とよく協議しながら、ぜひ、全面的な支援そしてサポートをお願いしたいというふうに考えておりますが、この点に関して、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。
○太田国務大臣 おっしゃるとおり、釜山、上海、シンガポール等々におくれをとっているという現状があります。現場の皆さんも、そこに対しての危機感を非常に持っていらっしゃる。 そこのところ、また一つ一つ、港湾の運営会社と、そして管理する市というものとの歴史的経緯というものもいろいろありまして、その中に仕組みがつくられたり、人がそこにあったり、あるいはまた、そこの道路や埠頭、それぞれの形ができているというようなことがあるんですが、ここを突破して、強い、そして世界に負けない港湾にしていくということが大事だというふうに思います。 そういう意味では、目標を一にするということが非常に大事で、私も現場に行ったりして話を聞きますけれども、それぞれが歴史的経緯を話していくなんということがありまして、私は、目的を、目標を一にするということで結束して、強い港にしていこうということが大事だというふうに思っています。 仕組みと同時に、そこには、国際競争力を強化していくためには、大水深の岸壁が必要であるとか、あるいは十分な広さを持ったコンテナヤードが整備されなくてはならないとか、あるいは、コンテナターミナルの渋滞というのがあって、狭いということがありますから、物流が港の中でさえもなかなかうまくいかない、それから、外に出るときの道路との関係、いろいろなことが効率的な港湾運営などには、具体的に、その港その港で取り組んでいくという課題が見えているというふうに私は思います。 そうしたことを、大阪市を初めとして、それぞれの人とよく連携をとって、目標を一にするということで連携をとって、強い港にしていくように力を注ぎたい、このように思っております。
○坂元委員 力強いお言葉、ありがとうございました。私も全く同じ思いでございます。 本当に、国際的な競争力をつけた港にしていくという目標は変わらないわけですから、大臣が今おっしゃったように、目標を、いつという期限をちゃんと区切って、スピード感を持ってぜひぜひ取り組んでいっていただくように最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○金子委員長 次に、佐藤正夫君。
○佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。 早速質問に入らせていただきたいと思います。 予算委員会等で、私は、まず、エレベーターの発注予定価格、そして、一者応札がなぜこんなに多いのか等々について、大臣にもお尋ねをさせていただきました。これは国交省だけの問題ではなくて、文部科学省についてもそうなんですが。 私は、せんだって、名古屋、福井、神奈川、それから九州は全域、全てエレベーターを見に行ってまいりました。きょうは写真を持ってきませんでしたが、全て写真も撮って、この目で確認をしてまいりました。なぜかと申しますと、予算委員会でも申し上げましたように、国交省も、この一者応札について問題意識を持っているということから調査を始めたというふうにお聞きをしております。 そこで、その調査についてまずお尋ねをしたいんですが、その前に、エレベーター業界ではいろいろな問題が発生をいたしました。エレベーターのいわゆる大手メーカーの一〇〇%子会社であるメンテナンス会社、ここが実は、独立保守点検業者というんでしょうか、メーカーではないところが、今、保守点検をやっていますけれども、そこが、Aというオーナーからメンテナンスを請け負い、そうしたところが、メンテナンスをやっていると、どうしてもエレベーターの不都合が出た、部品を交換しなきゃならない。ところが、その部品交換をするためにメーカーに部品を依頼すると、部品を売ってくれない、このような大きな問題が議論をされて、裁判にもなったわけですが、そのときにどういう結論が出たかというと、いわゆる独禁法、これに抵触をするという判決が出ました。 いわゆるエレベーターメーカーさんは何を言うかというと、安全を担保にして、その部品も含め、工事も一緒にやらないと安全が担保できないんだ、だから、部品は売らないんだということだったそうですが、判決の中身を見ますと、そうではなくて、実は、エレベーターの保守点検をするに当たっても、建築士の一級、二級、さらには国土交通大臣が認めた者に対して保守点検が可能であるという建築基準法にのっとっておりますから、当然、そのメーカー以外のところでも十分安全を確保できる、こういう判断から、部品を売らないというのはまさに独禁法という判決が出たやに聞いておりますが、大臣、この事案は御存じでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。 事件につきましては承知をしております。
○佐藤(正)委員 あなた、そんなことを答えるために出てこなくていいよ。僕は大臣と言ったんでしょうが。何考えているんだよ。これから答弁するときは、よく考えて出てよ。 大臣、そういうことなんですよ。そういうことが実はあった。そういう、ある意味では業界の体質があらわれているんですね。 そこで、今回私が質問をさせていただいたのは、先ほど私が申し上げたように、平成二十二年に東京新聞が、一者入札が多い、予定価格が高いのではないかという問題意識を持って、記事にされたそうです。それをもって、国交省はどういうことを対応したのか。まずそこから教えていただきたいと思います。
○太田国務大臣 先般の予算委員会で佐藤委員から指摘がありまして、データも非常に細かく、全貌を見せていただきました。 私は、一者応札が多く発生しているということで、これは競争原理が結局働いていない、そのために落札価格が高くなる、中には、一〇〇というのがデータの中に一つありました。そうしたことで、競争原理が働いていないということがありまして、直ちにそうしたことについて、どういう競争原理というものを持ったらいいのかということで指示をいたしまして、いろいろな競争原理、技術者の問題とかいろいろなことがありますけれども、そうしたことについての措置を今まとめさせているところでございます。 内容については、答えさせます。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。 これまでの対策ということでございます。 まず、平成二十二年に、エレベーターメーカーへヒアリングをいたしました。現場代理人のような技術者の確保が困難である、あるいは、改修工事では、昇降路等の建物の現状がわからないと元施工業者以外では入札参加が難しい、こういう意見が出されました。 これを受けまして、平成二十三年度には、競争性を高めるための方策として、現場代理人の常駐義務の緩和について、常駐を要しない期間を書面により明確に提示すること、改修工事において、元施工以外の者が建物の現状を把握することができるように、詳細な資料の提示や現地確認を行うことといたしました。 また、官公庁のエレベーター設置工事の落札価格等の実態を調べて把握をしたところでございます。
○佐藤(正)委員 問題点は、改修工事で部品を取りかえるときに、なかなか他社のメーカーが入りにくいというお答えでよろしいんですか。どうなんですか。そういう考え方でいいんですか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。 国交省のエレベーターの改修、特に老朽化したものにつきましては、老朽化しておりますので、全てを取りかえて、それで、要するに新規といいますか、新しいものを入れられるという状況で発注をするようにいたしまして、そういった点を、競争性を確保するようにしておるところでございます。 あと、御指摘のように、部分的な改修……(発言する者あり)
○金子委員長 はっきり。
○鈴木政府参考人 部分的な改修につきましては、やはり委員の御指摘のように、競争性を確保することはなかなか難しいということはあると考えております。
○佐藤(正)委員 この資料をお配りしましたけれども、実はそうではなくて、全面改築というか、全面取りかえの上でも一者応札が多いんですよ。だから、基本的にはメーカーの言いなりになっているという事実がここにあるんじゃないですか、現実は。 そして、私は、適正価格で落札をするのは当然だと思いますよ。当然、利益をとっていただきたいと思います。しかし、この一覧表を見る限り、先ほど太田大臣が言われたように、一〇〇%応札もあるんですよ。しかも、その一〇〇%応札の中身を調べてみますと、見積もりが一者しかなくて、その一者が入札をしている。 エレベーターの今の予定価格の算定方法は、どのようなやり方をされていますか。
○金子委員長 鈴木官庁営繕部長、しっかりと答えてください。
○鈴木政府参考人 はい。お答えいたします。 予定価格の設定に際しましては、直接工事費については、エレベーターの仕様、図面等を示し、複数のメーカーから見積もりをとった後、査定して算出をしています。経費につきましては、発注者側の積算基準に基づき、直接工事費から算出し、直接工事費に経費を加算して、予定価格を算出しております。 なお、見積もりの査定に当たっては、メーカーにヒアリングを行うとともに、エレベーターの仕様や設置する建物の条件を踏まえつつ、直近の類似工事における見積もりの査定及び予定価格を考慮して行っております。 このように、予定価格を適正に算出していると考えております。
○佐藤(正)委員 今おっしゃったのは、メーカーさんから見積もりをとるよ、見積もりをとった中で、例えば数者見積もりをとった、その中から一番安い価格帯に対して、ある程度の経費等の掛け率を掛けて予定価格を設定していますよということだと思います。 だったらお尋ねしますけれども、私は、先ほど冒頭に申しましたように、エレベーターをずっと見てきましたよ。例えば国交省であるならば法務局とか、そういったエレベーターです。このエレベーターが、仕様が華美になるはずはありませんよね。大体どこの法務局を見ても、大体同じエレベーターですよ。 例えば、その点を見てみると、先ほど、価格も調査をしたと言われていましたよね。だったら、この表で見て、同じ定員、例えば一番わかりやすいのでいきますと、定員が十三名で、速度が一分間に四十五メーター上がる、停止階数が三階。そして、新築のものを見ると、仕様はほとんど変わりませんよね。変わらないのに、なぜか、予定価格一つを見ても、予定価格が一番低いのが神奈川法務局、これは見てきました。一千百九十五万九千五百円。一番高いのは名古屋法務局です、春日井支局。これもこの目で確かめてきました。一千六百三十万六千五百円。 この価格差がどれだけあると思いますか。四割ですよ、四割。皆さん、これは税金ですよ。自分がもしそういう立場になったら、価格帯を調べたら、これだけ四割高かったら、不思議に思わないんですか。どうなんですか。この四割高いというのは不思議に思わないのかどうか。同じ定員で、かごも一緒で、スピードも一緒で、階高も一緒で、しかも新築で、そして予定価格が四割も高い、どう思われますか。
○鶴保副大臣 委員御指摘の、同じ仕様のエレベーターであるにもかかわらず価格が大幅に異なる原因という御質問にお答えをいたしたいと思います。 ある程度技術的なことになりますけれども、エレベーターの扉の遮煙性能、身体障害者対応、監視盤の有無等の仕様の違いが、見えないところでといいますか、あるようでございまして、その部分は仕様が違うということで聞いております。 それと、調達価格、これは一般論になりますけれども、時期、季節等々によりまして単体における予定価格そのものの調達費用が変わってくる、変動があるということも聞いております。 これらのことによって多少の違いが出てきているのではないかというふうに仄聞をしておりますが、四割というものが、実質、本当に合理性のあるものなのか、もう一度私どもの方で精査をさせていただき、しっかりと対応させていただきたいというふうに思います。
○佐藤(正)委員 今言われた障害者対応といったって、基本的にはスイッチ盤が下にあるだけなんですよ、僕は見てきましたから。見ていないでしょう。僕はこの目で見てきたんですよ。素人が、見たらわかる、こんなもの。 だから、あえて言いますが、今の四割高いというのは常識ではない。それが当たり前だと思われる方がいるんだったら、我々の常識と違うというだけのことですよ。国民から見たら、こんなのはあり得ないですよ。 そして、もう一つお尋ねしたいのは、その四割高い名古屋法務局春日井支局、これが一者応札ですよ。予定価格は、何と一千六百三十万を超える。先ほど申し上げました。落札価格は一千百二万五千ですよ。一者応札ですよ。予定価格を一千六百三十万にして、落札価格は一千百万、これが当たり前だと思うんですか。先ほど大臣は、一者応札だと競争原理が働かないと。そうだと思いますよ。 そしてもう一つ、定員十三名で同じもの、これを新築の部分で、実は落札価格の平均値をとりました。そうすると、大体一千二百万ぐらいなんですよ。ほかの部分も全部平均値をとると、大体、ほとんど同じ価格帯でおさまっていますよ。 副大臣、やはりこれはしっかりと調査をしなきゃいけないと思いますが、再度お答えを願いたいと思います。
○鶴保副大臣 私に御質問が行われましたので、私の方から。 おっしゃるとおり、ちゃんと精査をさせていただきます。ただ、落札率の乖離等々もございますので、ここに何があったかの御説明がまたできるように、我々の方もしっかりと皆さんにお答えをさせていただきたいというふうに思います。
○佐藤(正)委員 要は、予定価格なるものが、分離発注していますから、エレベーターというのは、大手でつくっているのは基本的に十四社ぐらいしかないんですね。その中で、分離発注をしてくるとどういう結果が出るか。実は、その結果がこの一覧表に載っている結果なんですよ。だから、ある意味、談合性があると疑われてもしようがない。 先ほど冒頭に言いましたけれども、エレベーター業界は独禁法でも訴えられた、そういう体質を持っているんですよ。それと、現地でずっとお聞きをしてきました、どういうことがお困りなのか。太田大臣、現地を回ってきて、現地の方々が一番お困りなのは、実は、入札予定価格をとるために見積もりをとりたいと言っても、業者さんがなかなか来ないそうですよ。だから、本来、積算する方に問題があるかどうかは別としても、そういう体質を持っているということをしっかり頭の中に入れていただいてこの問題を解決しないと、先に進まないと思います。 そこで、分離発注についてですが、この分離発注の見直しを考える予定はありませんか。
○太田国務大臣 分離発注というのは、額が大きい場合、あるいは、ここにありますように、一千万とかいうのもあったりしますから、それには当たらない部分もありますけれども、エレベーターは、一般論からいいますと、同じような箱に見えるんですけれども、それぞれの建物でそれぞれの中身がそれぞれ違うということで、一品生産的で、設置する建物ごとの個別性が強いという要素は間違いなくあります。同時に、安全性の確保の観点から性能及び品質を確認する必要がある。 そのために、エレベーター設置工事では、技術力と実績等を踏まえて受注者を選定できる分離発注というのをこれまで原則にしている。全体的に建設会社等の中にそれが入ると、逆に見えなくなるという要素もあったりするということがございます。 そうした観点から、分離発注をやめますと、今申し上げた観点からの判断を個別にすることが難しくなるという観点もあるというふうに私は思っていますが、再度よく調べてみたいと思います。
○佐藤(正)委員 国交省のエレベーターに行っても、なかなか担当者は、もうそこに法務省の人が入っているだけですから、わかりませんよね。ところが、各大学に行くと、全部施設を担当している課があるんですね。保守点検もそちらが全部見ていらっしゃる。そこの大学全て聞いてまいりましたが、大体同じなんですが、実は、文科省の独立行政法人の大学は、今、一括発注に変えているんですよ、エレベーターは全て。 なぜそうなったか。先ほど言ったように、メーカーがなかなか対応してくれない。そして、その一括発注をした結果、どういうことが起きているか。それまで予定価格を出していた数字が、実は一括発注をすることによって、その一括発注を受けた業者、ゼネコンさんというんですかね、ゼネコンさんから見積書をいただきます。大体二割から三割、予定価格が下がっているんです。これが生の実態なんですよ。現実なんですよ。 そして、設計の段階でしっかり書いておけば僕は問題ないと思いますね、エレベーターなんていうのは、現実論。ただ、先ほど大臣が、各メーカーによって多少、いろいろな部分が違うんでしょう。しかしながら、やはり現場で歩いて回りますと、こういう意見を聞いてきました。 どこに行っても、大学だとか法務局とかにあるエレベーターというのは、つくりが大体一緒なんですよ、大臣。ドアもステンレスも一緒、モーターもいろいろな部品も一緒。だから、基本的には、公共工事に対するエレベーターについては、民間の知恵もかりながらですよ、今言ったように一括発注をしたら、そういうふうに下がってくるという現実があるわけですよね。 そうすると、そういう民間の力もかりながら、僕は、エレベーターというのは、こういう仕様であれば価格帯はこれぐらいですよというものは精査されたらどうでしょうかね。もうそういう時期が来ていると思います。 先ほどから何度も申し上げますが、三階建ての法務局、二階建ての法務局もいろいろありますが、ほとんど一緒なんですよ、大臣。一緒。ですから、現場で聞いても、変わりませんと言うんですよ。こういう現実があります。 だからこそ、国交省として、国交省がやはりリーダーシップをとって、各省庁の横串をつくって、文科省も含めて一緒に検討する、いわゆるエレベーターの価格について検討する、そういったチームをつくることは考えられませんか。
○太田国務大臣 まず、国交省として、よく調査をさせていただきたいというふうに思っています。
○佐藤(正)委員 先ほど冒頭に言いましたけれども、実はこういうケースがあるんですね。あの独禁法のときにどうなったかというと、部品をかえたいんですといったときに、そのメーカーが部品を出さない。そのオーナーさんが非常に困った。最初頼んだら三カ月かかりますよと言われるわけですね、ましてや部品だけでは出しませんよと。それでオーナーさんが困って、最終的には、それを建てたゼネコンさんに発注したんですよ。発注したら、翌日来たんです。部品が在庫が切れています、三カ月は待ってくださいと言ったのが、翌日来て修理するんです。大臣、これが現実ですよ。 そして、もう一つ言うならば、例えばエレベーターの保守、メンテナンス契約についても、各大学はどういうふうにしているか。これまでは、やはりメーカーさん、つくったメーカーにそのまま保守点検をお願いしていたそうです。そうすると、いろいろ調べてみると、どうしても高どまりをするということで、その発注方法を変えたそうです。どういうふうに変えたかというと、学校全体のいわゆる管理をする、ビルメンテナンスを全て管理する、そこにエレベーターの保守点検も一緒に含んで発注をしたそうですよ。そうすると、先ほど申し上げたように価格帯が下がる。 そのビルメンテナンスを総合的にやっているところは、実はそのメーカーさんのメンテナンスをやるんですよ、そこに頼むんですよ。例えば、名前を出してどうか、日立なら日立のメンテナンス会社にそこが頼むんです、一括発注したところが。結局一緒なんですね。ところが価格は下がる。なぜか。そのビルメンテナンス会社は、いろいろなエレベーターも管理しているんです、いろいろなビルも管理しているんです。だから、どうしてもそこに対して競争性が働くんです。それでメンテナンス費用も下がったんですね。 我々、思うのは、税金を使って公共工事の調達をする場合においては、やはりもっと真摯にこういう現実があることを踏まえて調査をしていく。さらには、先ほど来から申し上げましたが、公共工事については、エレベーターだけではなくて、いろいろな省庁の公共工事についても、やはり国交省がリーダーシップをとって、プロ集団ですから、価格帯の設定についても省庁横断のチームをつくって、コスト、安全性も含めて調査をし、国民にわかりやすいように、こんな一者応札の、高どまりしている、予定価格もあやふやな、こんな状況をつくらせないように国交省がリーダーシップをとってやるべきだと僕は思いますが、大臣、いかがですか。
○太田国務大臣 御指摘のこともよく踏まえて調査をさせていただきたいというふうに思っています。
○佐藤(正)委員 調査もいいんですが、大臣、もうそろそろそういうチームをつくってやったらどうでしょうかね。これはばかにならないんですよ、本当に。先ほど言ったように四割も違うし、普通あり得ないです。価格調査もやられた、調査もやられたが変わっていない現実があるんですね。だから、大臣、ぜひ調査検討ぐらいまで言われたらどうでしょうか。どうぞ。
○太田国務大臣 まず調査をさせていただきたいと思います。
○佐藤(正)委員 あと二分ほど時間があるみたいですけれども、これは本当に予算委員会でもずっと申し上げてきたことは、大臣も予算委員会の中で、しっかりとやられるということをお答えいただきました。 そして、何度も言いますが、現地へ行ってみてびっくりしたのは、実は国交省の所管である地方の出先機関のエレベーターを見に行ったときに、国交省の方の方がよくわかっていなかったんですよ。こういうエレベーターの問題が過去から指摘されていますよね、予算委員会でも私は質問しましたけれども、それで調査に来ました、では、国交省が私に出してくれた、予算委員会に出してくれた資料のエレベーターはどこにあるんでしょうかと言ったら、わからないんですよ。考えられないですよね。大学へ行ったらすぐわかりますよ。大学へ行ったら、全て順番に連れていってくれますよ、教えてくれますよ。ということは、実は調査すると言いながら、実際にそこまでおりていない、そう考えられるんですよね。 だから、今後もこの問題については、どのように経緯が進んでいくのか、それで公共工事の調達について、また問題意識を持ってこれからも質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ前向きに進めていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○金子委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 国土交通省は、四月一日の入札から適用される二〇一三年度公共工事設計労務単価を発表しました。 全国全職種平均では単純平均値の前年度比プラス一五・一%、鉄筋工でプラス一五・四%、型枠工でプラス一五・六、普通作業員で一六・七、大工一六・一、左官一六・六など、大体一五%から一六%の引き上げを行いました。設計労務単価の公表を開始した一九九七年度以降、初めて二桁の大幅引き上げとなりました。 そこで、国交省は、この設計労務単価の引き上げが建設労働者の賃金引き上げに反映されるよう、建設業界四団体、さらに官民の発注者宛てに要請書を出しています。大臣も、四月十八日、建設業界団体に対して、賃金の引き上げなどを要請したと報道されています。 大臣が建設労働者の賃上げを要請した理由、そして建設業界の反応はどうだったのか、このことをまずお聞きします。
○太田国務大臣 御指摘のように、現在の実勢価格をより適切に反映するということで、なかなか労務単価というものが実勢を反映していない、発表するのも年に一回というようなこともあったり、タイムラグもあったりします。できるだけ実勢価格を反映するようにということで、労務単価を上げさせていただきました。それが本当に現場の職人さんを初めとする方々の賃金の上昇になるということがなくてはならないと私は思いまして、それは数度にわたって要請をしたわけでありますけれども、四月十八日の日に建設業界四団体に集まっていただきまして、そのことを要請したところでございます。 特に、近年の建設投資の急激な減少に伴って企業の経営環境が悪化する、あるいは、賃金などの労働条件が悪化する、必然的に若い入職者が大幅に減少する、技能労働者の高齢化が進んでいるというようなことがありまして、建設業界全体が弱くなってきているということもありましたものですから、労務単価を上げるということが現場にしっかりあらわれるようにということで、またあわせて社会保険への加入の徹底が行われるようにということを含めて、現場に徹底するようにということを要請したわけでございます。 社会保険への加入の徹底という、その項目が大事だというふうに思っておりまして、その辺は、いわゆるアルバイトのような形で使うということのないように、保険に加入するということも要請したところでございます。 業界は、これの趣旨に賛同いたしまして、業界挙げて取り組んでいくという強い決意を直接伺いました。また、四団体におきまして、適切な賃金水準の確保に向けた決議を行うということで、日建連と全建は、組織として四月末に決議が行われ、ほかの二団体についても、近日中に決議という形で行うということを伺っているところでございます。 建設業界内で問題意識が共有されるということが私は一番大事だというふうに思っておりましたが、その点についての問題意識は共有されて、取り組みが確実に前進するということを期待し、要請をしているところでございます。
○穀田委員 大事な点だと思うんですね。 ただ、私どもは、今、社会保険の未加入問題というのは、もともとそういう金が下におりていないということが問題であって、そこは意見を異にします。 やはり、設計労務単価の引き上げについて言うならば、先ほど大臣もありましたけれども、これまでのやり方というのは、公共工事のコスト削減を事実上最優先して、九七年からずっと下がっているんですよね。工事の品質や技能の継承に欠かせない技能労働者を養成する、育成するということについて加味してこなかったという問題点があったと思うんです。したがって、それを今回見ていこうということは当然だと思うんですね。 あわせて、大臣、一番最初にありましたように、本当に現場に、引き上げられた労務単価が建設労働者の賃金の引き上げに正しく反映するよう大臣が建設業界に要請した点は、一定評価できると率直に申し上げたいと思います。 問題はそこからなんです。 賃上げの要請をしたら、確かに決議が上がった、賛同してくれた、ではうまくいくか、ここなんですよね。それはお互いに、その点だけでうまくいくとは思っていないということだと思うんですね。どうやって賃上げを実現させるか。賃上げの実現する確実な保証、担保されるか、ここが問題ですよね。 したがって、大臣は、どうやって要請に応えてもらうつもりか。そして、建設労働者の賃金が引き上がったかどうか、実施状況、また、元請業者や専門工事業者、下請業者等が建設労働者の賃上げを実施した履行確認はするのか。確認して実施していない場合どうするのかなど、どういうふうな対策、仕組みを考えておられるのか、そこについてお聞きしたいと思います。
○太田国務大臣 要請をして同意をした、決議もした、その流れが全体的にどう伝わるかということで、まだこれが、契約をし実施するというところの段階というのは、若干おくれるというふうに思いますが、この労務費調査とは別にしまして、現場技能労働者の賃金水準のきめ細かな実態調査を実施したいと思っています。また、各地方整備局に、設計労務単価の引き上げに伴う相談窓口となる専用ダイヤルの設置をしたいというふうに思っております。 そうした二つ、調査をする、相談窓口をつくるということで、現場にそれが反映するようにということをしっかり監視していきたいというふうに思っているところです。
○穀田委員 先ほど調査という話がありましたけれども、私は、現場、それから事務方にもお聞きしたけれども、その意味で年一回やるという程度の話しかまだされておられませんでした。それから、窓口ということなんですけれども、それはそれなんですね。 問題は、今私が質問している、どういう対策と仕組みという問題について、やはり応えていないと思うんですね。私はあの文書を見ましたよ。技能労働者への適切な賃金水準の確保という点での要請書を団体に出していますよね。官民、それから地方自治体にも出していますよ。その中身はわかっているんです。問題は、その賃上げの要請にどうやって応えてもらうか。それは、末端の技能労働者などに行くまでに重層的な下請構造があるという問題の中で、直ちに応える保証はあるか。例えば、今始まったばかりだと言いますけれども、現実はさまざまな発注が行われているわけですから、履行について、やはりすぐ後追いをすべきだし、きちんと提示してやることなどなんかを含めて、やることは何ぼでもあるんですね。 だから、私は、何度も言いますけれども、仕組みが大事じゃないかと。調査というのは今までもやっているんです。窓口というのも、それは新たに窓口は、それは来るけれども、来てもらったらいいというのじゃなくて、やはり主導的にそれが実行されているかどうかということを確かめる必要がある。その意味では、やはり仕掛けと仕組みが必要だと思っているんですが、いかがですか。
○太田国務大臣 年に一回というのは、今までの労務単価の調査ということでお答えを、きっと穀田先生にしたんだと思います。私は、その賃金水準のきめ細かな実態調査を現場技能労働者について実施するということは、これとは別の話で、これからしたいということでございます。
○穀田委員 だから、私は、調査は今までやってきたし、それで上がったことはなかったわけだから、やはり具体的には後追いという形で、随時、しょっちゅうするということも含めて必要だ、それはそうなんですよ。だから、私が言っているように、直ちに応えているかどうかということでいえば、今すぐでもできるはずだ、また、そういうことも含めてやらなあかんでということなんですね。 問題は、今私が、仕掛け、仕組みということを言っているのは、つまり、末端の職人、技術・技能労働者への適正な賃金の取り決め、その賃金が支払われるような、そういう元請事業者などに法令で義務づける仕組み、すなわち、公共工事調達適正化法など、公契約法の制定や公契約条例の推進支援などが必要だと私は考えています。 そこで、そもそも設計労務単価の引き上げがなぜ労働者の賃金に正しく反映しないのか、その障壁となっている問題を解明し、取り除く必要があると考えます。そこで、私、幾つか提案したいと思っているわけでございます。 一つは、重層下請構造であるがゆえの問題、わかりやすく言うと、中抜きの常態化というのがあるんじゃないか。 例えば、東日本大震災の被災地の廃棄物処理、瓦れき処理事業では、瓦れき処理法案をつくり、予算もつけ、環境省が所管し、大手ゼネコンを中心に受注して処理に当たりました。当時、現地の労働者は一日四千円から六千円の低賃金で働かされ、工務店も元請の大企業の言い値でやらされ、放置すれば公共事業の品質にも影響が出かねないという状況にあった。法案に基づく指針、災害廃棄物の処理に係る契約の内容に関する指針に、実際に処理に当たる労働者の適正な賃金確保が盛り込まれました。このことによって、少しはましになった部分もあります。 しかし、それでも最近は賃金不払いの相談が相次いでいると河北新報は報道しています。それによりますと、仙台市内の建設会社で約二カ月間瓦れき処理に従事し、会社の宿で寝泊まりした。日当から宿泊費や食費を引いた計十数万円が支給されるはずだったが、もらえなかった。会社は、当初、日当九千円から一万円と約束したが、その後、一日三千円を仮渡しし、残りは二カ月後にまとめて支払うと変えたなどなど、いろいろな事例が地元の新聞にも紹介されています。労働者の賃金が、引き上げどころか、減額、未払いが後を絶たない、途中で消えてしまう、こういうこともあると報道されています。これが現実です。 ですから、中抜きという状態が横行しているのが実態であります。私は、こうした中抜きの常態化を是正するには、まず発注の方法を変えないといけないんじゃないかと。直接工事を実施する事業者への発注をふやす、大手ゼネコン経由とか大手ゼネコン頼みではなくて、地域の建設業、工務店に直接発注する機会をふやすことが必要だと思いますけれども、そのための対策はとっているのか。大臣の所感、所見をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
○金子委員長 静粛にお願いします。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。 国土交通省の直轄工事におきましては、橋梁の塗装工事あるいは植栽工事など、工事の内容とか現場の状況などを踏まえまして、これまでも、可能なものにつきましては分離発注に努めてきたところでございます。一方、型枠工事、鉄筋工事、コンクリート工事などについては、一連の工事として発注した方が施工管理の観点等から合理的であると考えております。 また、公共工事の入札契約におきましては、当然のことながら、品質を確保しつつ、一方では効率的な事業執行を通じたコスト縮減も要請されているところであります。したがって、全ての専門工事を分離して発注するということは必ずしも合理的ではありませんが、今後とも、工事の内容や現場の状況等も勘案しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
○穀田委員 そういって起こった事態が先ほどのような事態だということを言っているんですよ。この間の、瓦れき処理の問題をめぐって指針までつくったのは、もともとそういうことが起こっちゃならないからとやったんだけれども、事実は起こっているということを指摘して、仕掛けをきちんとする必要があるのじゃないかということを言っているわけですよ。だから僕は、事務方の答弁は要らないと最初から言っていたのはそういうことなんですよ。 だから、大臣がそういう事態を、これは少なくとも何回もお互いに現場へ行って、出かけているわけだから、事実はひどいことはお互いに知っているわけですよ。瓦れき処理という一番国がやらなきゃならない問題で、でもそこで低価格、労働者に支払われている賃金がひどいという実態をお互いに認識しているから私は言っているわけですやんか。 そこで、フランスなどでは、そういう重層下請化が起きていないと言われているわけですね。だから、フランスなんかでいうと、日本のゼネコンのもとで協力会社のような、そういうグループ形成はもともとないわけですよね。発注者が元請を介さずに、一次下請に下請代金の直接払いが実施されているわけであります。だから、フランスだけがうまくいっていないなんていうことはないんですよ。 だから、別に私は全部やれなんて言っているんじゃなくて、直接発注する機会をふやすことが必要だと思うけれどもどうかという話をしているわけですよね。だから、とんでもないんですよ、ああいうことを言わせるとね。だから、私は、そういう意味でいいますと、きちんとそのことをやる必要があると。 そこで、建設業界の重層下請構造というのは、現場の労働者の賃金引き上げにたどり着く前に中抜きの仕組みが存在するという問題なんですね。周知のように、重層下請構造、つまり、例えば第一次から第五次までと言われるところ、六次とか七次とかいろいろありますよね、これは大臣もよく御存じのとおりです。だから、おのおのの利益をその次数ごとに乗せれば、末端では賃金が上がらないことになるわけですね。 だから、これを念頭に置いて、労務単価の引き上げが確実に労働者の賃金の引き上げにつながる仕組みとして、まず最初に末端の職人、技能労働者の適正な賃金の額を取り決め、その取り決められた賃金額が支払われるよう元請事業者などに法令で義務づける制度が必要になるわけであります。同時に、直接賃金水準が確保されるならば、そのような中抜きを可能にしている重層下請構造も形成が困難になるという両面があると私は思います。 だから、あれほど法定福利費を強調されるんだったら、それと同様に、必要な経費として適切な賃金額を決め、支払わせる仕組みが必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
○佐々木政府参考人 失礼します。まず、私の方から答弁させていただきます。(発言する者あり)
○金子委員長 御静粛にお願いします。
○佐々木政府参考人 ただいま先生おっしゃいましたとおり、まず何よりも、技能労働者の方々に適切な水準の賃金が確実に支払われるためには、元下関係の適正化というのが重要だというふうに考えております。 このため、従来から国土交通省におきましては、駆け込みホットラインという通報窓口を設けたり、あるいは定期的に元下間の実態調査を行っておりまして、これに基づきまして指導、立入検査等を各地方整備局において実施するということで、不正な取引に厳正に対応しているところでございます。そういったことを今回の労務単価についてはさらに強化しようということで、先ほど大臣が申し上げましたようなことをしようと思っているわけでございます。 なお、今先生からお話のありました、いわゆる公契約法というものだと思いますけれども、元請に対しまして法的に一定額の賃金の支払いを義務づけることにつきましては、労働者に対する賃金の支払いにつきましては労使間で自主的に決めていくということが我が国では原則でございますので、そういうことで対応すべきかと認識しているところでございます。
○穀田委員 そういう話の後半はまだしていないんですって。法定福利費と同様に必要な経費として適切な賃金額を決める、そういう仕組みをやってもいいじゃないかという話をしているだけなんですよ。 おっしゃるようにホットラインとかなんとかいって今までいろいろやってきて、それが何の機能もせずに、一番大事な復興にかかわる瓦れき処理だってこういう事態が起こっているという話をしているわけじゃないですか。そういうものの中にある困難性を見て、何とかしなきゃならぬという立場で物を言っているんですよ。 もう一つ、行ってみましょう。ダンピング受注の問題です。 国交省も、労働者の賃金低下の原因にダンピング受注を挙げ、その排除を求めています。先ほど指摘した要請書の文書によれば、「近年のダンピング受注により下請企業へのしわ寄せが、技能労働者の賃金水準の低下や社会保険等への未加入といった処遇悪化を招き、これが若年労働者の確保に大きな支障となっている事態を改善するためにも、発注者から元請企業、下請企業を通じて技能労働者に至るまで持続可能性を確保できる資金が適切に支払われることが重要である。」こう述べているんですね。さらに、「このため、工事の品質確保に必要な費用を適切に見込んだ価格による契約締結を徹底し、ダンピング受注を排除する」として、「工事の施工に通常必要と認められる原価に満たない金額での契約を締結してはならない」と建設業法についても指摘しているんですね。 だから、この「工事の品質確保に必要な費用を適切に見込んだ価格」「工事の施工に通常必要と認められる原価に満たない金額」、これに言うところの「必要な費用」「必要と認められる原価」には労務単価を基準とした労働者の適正な賃金が入っていると思うんですが、どうですか。 そもそも、ダンピングの中心は賃金を含む人件費なんですよ。その賃金を適正に保障するならば、むちゃな低価格での受注はあり得ない。つまり、適正な賃金を保障することを義務づければ、ダンピングの受注は排除できるのではないのですか。そういう点からも、大臣の意見をお聞きしたいと思います。
○深澤政府参考人 委員御指摘のように、建設会社から技能労働者に適切な水準の賃金が支払われるということにつきましては、これは非常に重要なことだと思っております。そのために、発注者、受注者、専門工事業者など、関係者が情報を共有して取り組むことが重要であります。 このため、国土交通省の直轄工事で使用する公共工事設計労務単価については、型枠工、鉄筋工など五十一職種にわたり、また、県単位で詳細に公表するとともに、当該単価を使用して厳密に積算していることにつきましても積算基準として公表しております。また、設計労務単価の改定に際しましては、地方公共団体の発注者と建設業団体の受注者双方に、単価の具体的な数値を周知しているところであります。 さらに、先ほどお話がありましたが、四月十八日には、大臣から直接、建設業団体に対し、適切な賃金支払い等について業界を挙げた理解と適切な対応を要請したところであります。今後とも、技能労働者へ適切な賃金の支払いが実行されるよう、さまざまな機会を通して働きかけてまいりたいと思います。
○穀田委員 答弁というのは、聞いたことに答えてくれなくちゃ。だから僕は、大臣と言っているわけですやんか。それを、あなたが言っておられるのは、要請文書の中に書いている話をしているだけなんですよ。その中にあるダンピングの問題を指摘しているわけですよ。 だから、欧米ではそういうダンピング受注というのはないんですよ。それはやはり、EUでもそうなんですけれども、雇用保護、労働条件の遵守について調査するということを加えている。それから、アメリカでもデービス・ベーコン法という公契約法があって、建設労働組合の要求する賃金を参考にしている。こういうことがあるから、きちんとできている。だから私は、今言っているのは、賃金を保障することがダンピングを阻止する上でも極めて大事だと言っているわけなんですよ。 次に、私は、国交大臣が先ほど述べた要請を建設業界にしているわけですけれども、とすれば、これを実質的なものにするために、国交省が音頭をとって政労使の協議会を立ち上げ、元請業者と下請の工事専門事業者などの事業団体、それと技術・技能労働者を組織する労働組合が対等に交渉し、賃金引き上げ等に関する話し合いの場を設けるべきではないか。先ほど事務方からありましたように、労使間双方で決めるということと合っているわけだから、そういう場を設定してやるというのは、ある意味では必要なことじゃありませんか、大臣。
○太田国務大臣 これは、労使が自主的に賃金は決定するということが原則であろうというふうに思います。 ただし、賃金等の労働条件というのは、労働基準法等の関係法令に反しない限りということが大事だというふうに思っていますが、まずは、労働問題の当事者である労使が十分に議論をすることが私は重要なことだというふうに考えているところです。
○穀田委員 それは大臣、現場をお互いに見ている者として、それでは済まぬのじゃないですか。 例えば、労働者と言うけれども、あなた方、例えば厚労省なんかが言っているのは、産業別にそれぞれ賃金を決めてくれたら、産業別労働組合がいて、それに対応する産業の企業関係があったらばできる、こう言っているわけです。つまり、今の建設業の実態は、単に労働者というふうな実態だけじゃなくて、一人親方がたくさん存在する。そういうものを全体として包括してやろうと思えば、政治が介入をし、事業者も含めた、そういう方々の代表だとか含めて、話し合いをつくる場を設定するというイニシアチブが必要だということを私は述べているわけです。そういう現実について知っていながら、その程度じゃ困りますわな。 最後に、ではもう一つだけ言っておきましょう。グローバル化に対応した仕組みの必要性についても少し言っておきたいと思うんです。 今政府が進めようとしているTPP参加、私ども、これは反対しています。これは、建設業そのものに重大な影響をもたらすことが懸念されています。大臣は、地域の建設業を守る立場からいろいろな発言をしていますが、入札要件として、地元への貢献度などが総合評価方式として実施されている事例がたくさんあります。ところが、TPPでは、これらが非関税障壁として規制の対象となると懸念されています。つまり、入札参加資格として地域要件をつけて地域の建設業を守ることができなくなる可能性がある。ですから、その点は大臣、それでいいとお考えですか。
○太田国務大臣 TPP交渉におきましては、政府機関の調達基準額の引き下げ、これが議論の対象となる可能性があるということだと思います。 現在はWTO案件で十九億四千万円、これが下がるという、そうした可能性が、議論の対象となる可能性がある。もし下げられるというようなことになった場合に、入札参加資格として、御指摘のように地域要件というのを付与するように今までなっているわけですが、これを付与することのできる工事が減少するということになりかねない。 そうしたことで、私は、地域の建設企業の受注機会の減少につながらないように、地域の建設産業の健全な発展ということを念頭に置いて対処していきたい、こう思っています。
○穀田委員 これは、残念ながら、安倍首相がお話しになっているように、守るべきものは守るというような話と大して変わらないんですよ。守れないんですよ、それでは。下がる、そして、その要件は非関税障壁として言われる可能性があるから私は言っているんですよ。 そこで、私が最後に提案しておきたいのは、TPPでは、貿易と投資の奨励のために労働規制を緩和することは不適切であるということで、現行の四カ国の協定で規定されています。つまり、公契約法を制定することになれば、労働者の賃金水準の確保を入札要件とすることは非関税障壁として規制の対象にならないんですね。だから、地域産業を守る上でも、私は、公共工事調達適正化法など、公契約法の制定を進めるべきだと。この面からも私は対抗するためには必要だ。 もちろん我々は、この参加交渉に反対ですよ。だけれども、現実にそういうことを守ろうと思えば、さまざまな要件を付与したらそれでやられるということじゃなくて、法律として制定をすればきちんと守ることができる。ILOの九十四号のそういう勧告にも、それから八十四勧告にもある。そういったことをしっかりやればできるということも含めて、提起しておきたいと思っています。 私は、時間が来ましたから、今のそういう深刻な実態というのをお互いに共有している、その点はいいと思うんです。問題は、それを打開する肝心かなめの問題は、労働者の末端における賃金が上がるかどうか、これをお互いに、それは責任を持とうじゃありませんか。 しかし我々は、その仕組みも必要だ、そういうものをしっかり見張る仕掛けがなければ、それは、やはり幾ら言っても、窓口をつくった、調査をしたというだけではだめなんです。法令化をする必要がある、このことを改めて主張して、質問を終わります。 ————◇—————
○金子委員長 次に、内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案及び水防法及び河川法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。 ————————————— 道路法等の一部を改正する法律案 港湾法の一部を改正する法律案 水防法及び河川法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○太田国務大臣 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案及び水防法及び河川法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 まず、道路法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 我が国の道路は、近年、老朽化への適確な対応や、大規模災害時における命の道の確保など、適正な管理の重要性が強く認識されるようになっており、安全、安心、防災・減災のための道路の機能向上を図るための措置を講ずる必要があります。 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 第一に、道路構造物の老朽化対策として、予防保全の観点を踏まえて道路の点検を行うべきことを明確化することとしております。また、地方道の構造物のうち、大規模かつ構造が複雑なものについて、国土交通大臣が地方公共団体にかわって改築及び修繕を行うことができることとしております。 第二に、大型車両の通行を誘導すべき道路を国土交通大臣が指定し、通行許可手続の迅速化を図ることとしております。あわせて、道路管理者が、重量制限違反車両に関して、報告徴収及び立入検査を行うことができることとしております。 第三に、道路管理者は、災害時における被害の拡大を防止するため、区域を指定して道路の占用の禁止または制限を行うことができることとしております。あわせて、当該区域における電線共同溝の整備に関し、占用予定者が要する費用に係る無利子貸付制度を創設することとしております。 第四に、民間団体が災害時に迅速に修繕工事等を行うことを可能とする協定制度や、二以上の道路管理者による効果的な道路管理のための協議会制度を創設することとしております。 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。 次に、港湾法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 東日本大震災では、被災地域の港湾において、津波により流出したコンテナ等の漂流や老朽化した護岸の損壊によって船舶の入出港が困難となり、被災地域への緊急物資輸送等に支障を来したところです。今後、首都直下地震や南海トラフの巨大地震等の発生が懸念される中、同様の事態が発生することを未然に防止し、被災地への円滑な支援を確保するとともに、震災が市民生活や産業活動に与える影響を最小限にとどめることが重要です。 また、近年、世界的に石炭や鉄鉱石等のばら積み貨物を輸送する船舶の大型化が進んでおります。しかしながら、我が国では、施設的な制約に加え、こうした貨物の輸入を個々の企業が個別に行うことが中心となっているため、船舶の大型化が進んでいない状況にあります。このため、我が国産業の国際競争力の強化を図る上で、船舶の大型化を促進し、物流コストを下げることが喫緊の課題となっています。 このような背景を踏まえ、必要な対策を講ずるため、このたびこの法律案を提案することとした次第です。 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 第一に、国土交通大臣は、大規模地震等の発生時に、緊急物資を輸送する船舶の通航ルートを確保するため、重要な航路において障害物を迅速に除去できることとするとともに、船舶の待避場所として泊地を整備できることとしております。 第二に、港湾管理者は、港湾施設を管理する民間事業者に対し、当該港湾施設の維持管理状況について報告を求めること等ができることとするとともに、必要な勧告または命令をできることとしております。 第三に、国土交通大臣が指定するばら積み貨物の輸入拠点港湾において、関係者の連携による共同輸送を通じた船舶の大型化を促進するため、荷さばき等の共同化に必要な施設の整備または管理に関する協定制度を設けることとしております。 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。 次に、水防法及び河川法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 近年、全国各地で豪雨災害が多発する中で、水防活動及び河川管理をより一層充実させるとともに、その連携を強化することが求められています。また、再生可能エネルギーの普及を促進するため、小水力発電に係る手続の簡素化を図る必要があります。 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 第一に、河川管理者は、水防計画に基づき、水防管理団体が実施する水防活動に協力しなければならないこととしております。 第二に、浸水想定区域内の地下街、高齢者等利用施設、大規模工場等について、洪水時に利用者の避難を確保し、浸水を防止する自主的な取り組みを促進するための措置を講ずることとしております。 第三に、河川管理者または許可工作物の管理者は、管理する施設を良好な状態に保つよう維持、修繕することとし、そのために必要な技術的基準を政令で定めることとしております。 第四に、既に水利使用の許可を受けた流水を利用する発電については、河川管理者による許可を不要とし、登録を受ければ足りることとしております。 第五に、河川管理者に協力して河川の工事等を適正かつ確実に行うことができる法人その他の団体を河川協力団体として指定することができることとしております。 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案及び水防法及び河川法の一部を改正する法律案を提案する理由であります。 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十五分散会