行政監視委員会 第1号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2012/03/05
会議録
○委員長(福岡資麿君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。 議事に先立ちまして、一言申し上げます。 本委員会委員大石尚子君は、去る一月四日、逝去されました。誠に哀悼痛惜に堪えません。 ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。 どうぞ御起立を願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(福岡資麿君) 黙祷を終わります。御着席願います。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 委員の異動について御報告いたします。 本委員会は、大石尚子君の逝去に伴い一名欠員となっておりましたが、去る一月二十四日、徳永エリ君が本委員会委員に選任されました。 また、昨日までに、古川俊治君、小見山幸治君及び徳永エリ君が委員を辞任され、その補欠として義家弘介君、田城郁君及び斎藤嘉隆君が選任されました。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡資麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に政府参考人として、理事会協議のとおり、総務省行政評価局長新井英男君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡資麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に参考人として学習院大学経済学部教授岩田規久男君、一橋大学経済研究所准教授小黒一正君及びみずほ総合研究所株式会社常務執行役員チーフエコノミスト高田創君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡資麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。 まず、政策評価の現状等に関する件及び行政評価・監視活動実績の概要に関する件について、総務省から説明を聴取いたします。川端総務大臣。
○国務大臣(川端達夫君) よろしくお願いいたします。 本委員会におかれましては、総務省の行政評価機能を活用いただきつつ、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を精力的に行われていることに深く敬意を表する次第であります。 それでは、前回、昨年八月三日の本委員会における御報告以降に公表した政策評価及び行政評価・監視の結果につきまして御説明いたします。 初めに、検査検定、資格認定等に係る利用者の負担軽減に関する調査につきましては、国の検査検定制度及び資格制度に関して、国民負担の軽減を図る観点から、検査や試験等の事業を実施する公益法人等における手数料や会計処理の適正化の推進などを昨年十月に勧告いたしました。 次に、児童虐待の防止等に関する政策評価につきましては、児童虐待の防止等に関する政策に関して、政策が総体としてどの程度効果を上げているかなどの総合的な観点から評価したところ、政策全体としての効果の発現は不十分であり、児童虐待の発生予防に係る更なる効果的な取組の推進、保育所や小中学校から児童相談所等への速やかな通告の徹底などを本年一月に勧告いたしました。 次に、公共職業安定所の職業紹介等に関する行政評価・監視につきましては、公共職業安定所における職業紹介業務等に関して、雇用のミスマッチの解消を図り、求人と求職者のマッチングを促進する観点から、的確な求職受理や求人内容の確認などの基本業務の徹底、求人、求職者のニーズに応じた効果的な職業紹介業務の推進などを本年一月に勧告いたしました。 次に、社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視につきましては、港湾、空港、上下水道及び河川管理に関する施設に関して、国民の安心、安全を確保するとともに、ライフサイクルコストの縮減に向けた効果的かつ効率的な維持管理を推進する観点から、点検、補修等の適切な実施、長寿命化計画の策定によるライフサイクルコストの縮減などを本年二月に勧告いたしました。 以上、最近の取組につきまして概要を御説明いたしましたが、私といたしましても、政府部内における内部監査機能としての行政評価機能を更に発揮していくことが重要と考えており、本委員会の御審議に一層資するよう今後とも真摯に取り組んでまいる所存でございます。 引き続き、詳細につきまして、行政評価局長から説明させます。
○委員長(福岡資麿君) 次に、補足説明を聴取いたします。新井行政評価局長。
○政府参考人(新井英男君) それでは、政策評価及び行政評価・監視の活動実績につきまして、前回の御報告後に行いました四件の勧告の概要を順次御説明いたします。 お手元の御説明資料の二ページを御覧ください。 昨年十月に公表いたしました検査検定、資格認定等に係る利用者の負担軽減に関する調査につきましては、1の調査概要にありますように、国の検査検定制度及び資格制度を利用する場合に求められる手数料や申請手続などについて、国民負担の軽減を図る観点から、検査、試験等を実施する公益法人等における事業の実施状況等を調査いたしました。 その結果に基づき、2の調査結果及び勧告要旨にありますように、(1)の手数料の適正化の推進につきましては、実費より高く手数料を積算しているなど手数料の設定が不適切となっているものについて速やかに見直すことなど、(2)の会計処理の適正化の推進につきましては、検査等を実施する公益法人等において、具体的な使途が明確になっていない引き当て資産の内容を厳しく精査し、手数料の引下げ等の原資とすることなど、(3)の利用者の申請手続の負担軽減等の推進につきましては、不必要な資料の提出を求めているなど過度な負担となっている申請手続を見直すことなどを勧告いたしました。 次に三ページを御覧ください。 本年一月に公表いたしました児童虐待の防止等に関する政策評価につきましては、1の評価の観点にありますように、政策が総体としてどの程度効果を上げているかなどの総合的な観点から評価しました。 その結果、2の評価結果及び勧告要旨にありますように、児童虐待相談対応件数は増加の一途であること、虐待死亡児童数も減少していないこと、各施策における効果の発現状況を見ても、早期対応から保護・支援については一定の効果が見られるものの、残りの施策についてはいずれも不十分なものとなっていることから、政策全体としての効果の発現は不十分となっており、各施策について改善を図るよう勧告いたしました。 具体的には、(1)の児童虐待の発生予防につきましては、乳児家庭全戸訪問事業及び養育支援訪問事業を実施していない市町村や、乳児家庭全戸訪問事業の訪問率が低調な市町村が見られる原因を分析した上で必要な改善措置を講ずることなど、(2)の児童虐待の早期発見につきましては、市町村に対し、保育所から児童相談所等への速やかな通告を徹底するよう要請することなど、(3)の児童虐待の早期対応から保護・支援につきましては、都道府県等及び市町村に対し、保護者への効果的な援助に資する情報提供を行うことなどを勧告いたしました。 次に四ページを御覧ください。 本年一月に公表いたしました公共職業安定所の職業紹介等に関する行政評価・監視につきましては、1の調査概要にありますように、安定所における雇用のミスマッチの解消を図り、求人と求職者のマッチングを促進する観点から、安定所における職業紹介業務の実施状況等を調査いたしました。 その結果に基づき、2の調査結果及び勧告要旨にありますように、(1)の求人・求職のための基本業務の徹底につきましては、職業紹介に不可欠な求職者が希望する条件の把握や求職者の相談内容の記録が不十分なもの、求人票に最低賃金を下回る賃金が表示されているものなどが見られたことから、求職者の希望条件の把握、相談内容の記録、求人内容の正確性確保などの基本業務を徹底するよう安定所の関係職員への指導を徹底することなど、(2)の求人・求職者のニーズや状況に応じた効果的かつ的確な職業紹介業務の推進につきましては、他県での就職を許容している求職者などに対し広域職業紹介が行われていないもの、就職困難者を対象とするトライアル雇用事業の運用がその趣旨に沿っていないものや、職業訓練受講後、訓練と無関係な職業の求人を紹介しているものなどが見られたことから、求職者のニーズに応じた広域職業紹介を積極的に実施すること、求職者の状況に応じたトライアル雇用事業の運用を徹底すること、また、職業訓練受講後の就労支援を適切に実施することなど、(3)の地方公共団体等における無料職業紹介事業等に対する支援及び連携の強化につきましては、地方公共団体が行う職業紹介を行うために必要な情報が欠けている状況が見られたことから、地方公共団体等の需要を踏まえ、労働市場に係る情報を可能な限りきめ細かく提供し、また、提供する求人情報の充実拡大を図ることなどを勧告いたしました。 次に五ページを御覧ください。 本年二月に公表いたしました社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視につきましては、1の調査概要にありますように、社会資本の適切な保全対策の実施により国民の安全、安心を確保するとともに、ライフサイクルコストの縮減に向けた効果的かつ効率的な維持管理を推進する観点から、港湾、空港、上下水道及び河川管理に関する施設の維持管理及び更新等の実施状況等を調査いたしました。 その結果に基づき、2の調査結果及び勧告要旨にありますように、(1)の法令台帳等の整備につきましては、法令台帳等の未整備、記載すべき事項が未記載など法令台帳等の整備が不十分となっていたことから、施設を適切に維持管理するため、国が管理する施設にあっては、法令台帳等の整備を徹底すること、地方公共団体が管理する施設にあっては、地方公共団体に対し、適切に整備するよう要請することなど、(2)の長寿命化対策等の推進につきましては、アの定期点検等の実施に関しては、定期点検、補修等の実施が不十分となっていたことから、国が管理する施設にあっては、管理する施設の定期点検、補修等を適切に実施すること、地方公共団体が管理する施設にあっては、地方公共団体に対し、計画的かつ効率的な定期点検、補修等の実施が図られるよう必要な支援等を実施することなど、イの長寿命化計画等の策定の推進に関しては、長寿命化計画等の策定が不十分となっていたことから、維持管理計画の策定による効果を把握、検討できるようライフサイクルコスト縮減額の算定方法等の検討を計画的に推進することなどを勧告いたしました。 御説明は以上でございます。本委員会の御審議に行政評価機能が一層資するよう今後とも取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
○委員長(福岡資麿君) 以上で説明の聴取は終わりました。 速記を中止してください。 〔速記中止〕
○委員長(福岡資麿君) 速記を起こしてください。 次に、我が国財政の現状と政策上の課題に関する件について、参考人の方々から意見を聴取した後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、学習院大学経済学部教授岩田規久男君、一橋大学経済研究所准教授小黒一正君及びみずほ総合研究所株式会社常務執行役員チーフエコノミスト高田創君の三名でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 議事の進め方でございますが、岩田参考人、小黒参考人、高田参考人の順にお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず岩田参考人にお願いいたします。岩田参考人。
○参考人(岩田規久男君) 学習院大学の岩田です。よろしくお願いします。 私のレジュメをちょっと見ていただきたいんですけれども、非常に短くて、二十分も要らないかもしれませんですけれども。 私は、いろいろ財政再建のために増税をまずするよりも先にデフレを脱却すると、デフレを脱却するのは基本的には日本銀行の仕事であるという、そういう立場です。 よく国債残高のGDP比、この場合のGDPは名目のGDPで物価込みのGDPですが、その比率がどんどんどんどん上昇しているという、そういう状況で、今、国債残高じゃなくて借金も入れれば二〇〇%ぐらいになって、国債残高だと二〇〇%もやっぱり近いと思いますが、そういうふうになってくるのが心配されて財政再建しなきゃいけないということだと思うんですね。 この国債残高と名目GDP比がどんどんどんどん上昇する原因というのは、根源的な原因というのはデフレであって、この根源的な原因を正さずにほかの手段でやろうとすると間違ったことが起こるというのが今日の趣旨です。 まず、そこの一ページ目のレジュメを見ていただきたいんですが、まずデフレですと税収が減ります。これは名目GDPが減るからなんですけれども、名目GDPというのは、要するに普通に考えていけば企業では売上高であるとか皆さんの所得ですね、そういったものが名目の所得です。それがデフレのために減って税収が減ると。したがって、社会保障等の支出がそれほど減らせない限りはどうしても国債発行しなきゃいけないということで、国債発行が増えるということで国債残高・GDP比の分子の国債残高がどんどん上がっていくと。逆に、デフレですと今言ったように名目成長率というのは低下している、そのために名目GDPが増えないと。増えなければ、国債残高・GDP比の分母ですね、分母のGDPが小さくなると。そうすると、分子が大きくなって分母が小さくなれば、これは算数の問題で、国債残高のGDP比がどんどんどんどん上がっていくという、これは止まらないということであります。 したがって、この根源がデフレであるために、ですからこの途中を、その原因が一番デフレにあるんで、その途中の四角形を幾らいじっても問題の解決にならないと。例えば税収減のところをいじってこれを増税して増やそうとしても、根源のデフレに手を付けていませんから、これ以上できないと。こういう間違ったことが起こってくるということですね。 日本のGDPというのが非常に少ないというのは、これは皆さんももう一回統計で確認していただきたいんですが、その次のページです。 一九八〇年から九一年は平均の名目成長率が六・二%ありました。実質ですと四、五%、四%ぐらいですね、四%か五%。ですから、インフレ率にすると一%からその辺なんですけれども。 ところが、九二年から二〇一〇年と、これはもう二〇一一年で実は統計が出ているようですが、ちょっと間に合わなくて二〇一〇年ですが、平均で名目成長率というのは〇・一%しかないんです。つまり、八〇年代の二%の成長率でずっと二十年近く来ているわけなんです。その結果、二〇一〇年の名目GDPというのは何と四百七十九兆円しかなくて、これは一九九二年の名目GDPが四百八十一兆円ですから、十八年前よりも更に少ないぐらいなんですね。ほとんど変わらないか、若干少ないぐらいなんです。 こういうふうに非常に少ないということで、少なければこれは、名目GDPに対して税収というのは大体決まってまいりますので、税収が全然上がらないという、幾ら増税その間にしたりしても上がらないというのは当然なわけです。 九二年以降、名目成長率というのは、主要先進国、大体四%から五%です。大体が実質で物価込みでない場合には二、三%の成長で、インフレ率が大体二%ぐらいですから、したがって四%ぐらいから五%というのが世界の主要国の標準です。この標準ケースに日本は非常に当てはまらない。実質は一%に満たないんですが、一九九二年から、デフレですから、名目で見ると平均で〇・一ということになってしまう。 それが九二年以降、もしも主要先進国並みに四%で名目が成長したらどのぐらい今GDPがなっているかというと、去年よりも前です、二〇一〇年ですけれども、の水準でも九百八十九兆円、約千兆円あったんですね。実際は四百七十九兆円ですから、実際は半分しかない。大体四%で成長すると、十七、八年で倍になるんです、ものは。ですから、名目GDPも本当は倍になったわけなんですね。ということは、累進税等がありますから、税収は倍以上になります。 こういうふうにして名目GDPが非常に低いということは、私たちの所得もほとんど九二年ぐらいと名目では変わらない、企業の売上高とか法人利益なんかも九二年程度で変わらない、あるいはそれより低いというのが日本の現状です。そういうふうな現状ですから、税収が先ほど言ったように一ページ目で減るのは当然なわけでありまして、国債を発行しなきゃいけないと。 こういう、もしもデフレが続いているというので名目成長率が低いとどういうことになるかというのが次の三ページ目です。 これは横軸も八%、縦軸は名目成長率で八%、横軸は名目の金利。名目の金利というのは普通の皆さんがお金を預金するときの金利です。これを物価で調整するのを実質金利といいますが。 この真っすぐの線がありますけれど、これは四十五度線というんですけど、要するに縦軸と横軸が同じになる、つまり名目金利と名目成長率が同じになるそのラインです。この国債残高の名目GDP比というのはどういうふうにして変化するかというのは、名目成長率が名目金利よりも高ければ、つまり四十五度線より上にあれば、名目成長率の方が名目金利より高ければ、国債残高の名目GDP比というのは長期的にはどこかあるところで収れんするという、それをドーマー条件という条件なんですけど、そういう数式があります。 この数式は財務省の「日本の財政を考える」というのでしょっちゅう更新していますが、財務省のホームページにもこの式は出ています。したがって、財務省はこの式を知っているはずなんですね。知っているけれども、このことに触れたことはありません、財務省は。触れたくないようですけどね。 すなわち、日本はどこにあるかというと、この四十五度線より下、つまり名目金利の方が名目成長率より高いという状況。つまり、例えば、名目金利というのは国債でいうと大体今一%ちょっと割っています。一%から高いときで一・五%ぐらいあります。それに対して、デフレでさっき言った名目成長率は〇・一しかありませんから、名目成長率の方が圧倒的に低いということですね。名目金利の方が高いということ。 財務省は名目金利が低いことを喜んでいます、デフレで。つまり、利払いが少なくなるから。しかし、名目成長率はもっと低いということに気付かなきゃいけません。一%で名目金利を喜んでいても名目成長率は〇・一しかないんですから。 先ほどのこの式から、一ページ目に戻っていくと、名目成長率が〇・一しかないとGDPはどんどん減ります。国債残高の方は、名目金利が一%ですから、借換え借換えしているうちに利払いがどんどんどんどん増えていきますので、国債残高はどんどん増えていきます。その速さが、名目金利の方が高いから、GDPの成長率よりも、どんどんどんどんこれが大きくなるというのがこの四十五度線の意味なんですね。四十五度線より上にあれば安定する、下にあれば国債残高のGDP比は青天井で上がるということです。 日本は丸付いてありまして、これは基礎的収支を今黒字にしようとか赤字にしようと言っていますが、それが黒字でも国債残高の名目GDP比は青天井で上昇します、この条件がある限り。この条件を無視して基礎的収支を一生懸命黒字にしようとしても、それは無駄なことです。 それでは、名目金利よりも名目成長率を上げるにはどうすればいいか。これはデフレを脱却すると。名目成長率というのはインフレ込みの成長率ですから、名目成長率を上げるしかないんですね。名目成長率が上がるとどういうことになってくるかというと、そこのところを見てください。 スウェーデン、フィンランド、オランダ、米、英、オーストラリア、ニュージーランド、こういったところは名目成長率が五%大体以上になっています。よく名目成長率やインフレが高くなると名目金利も高くなると言われるんですが、これは名目成長率の高くなる方が名目金利も高いですね。高いけれども、名目金利以上に名目成長率は上がるということになります。これは、国債というのがやっぱり普通の社債などと違って信用力があるためにこういうことが起こってくるんですね。 つまり、名目成長率が上がっても、上がったら次インフレになっても、インフレと同じようには名目金利が上がらないということを言っているわけなんですね。これがスウェーデン、オランダ、フィンランド、米、英、オーストラリアと、これはちょっとデータがもっとたくさんありますからやってもいいんですが、そういうところは大体この四十五度線から更にその上にあるから、こういう国は安定します。国債残高の名目GDP比はそんなに青天井どんどん上がっていかないで、どこかで収束していくわけですね。 それに対してイタリアとフランス、これはぎりぎりです。ドイツは随分悪いなと皆さん思っていらっしゃいますね。ドイツは結局、この面では本当は長期的に見ると必ずしも安定した国ではありません。しかし、基礎的収支を一生懸命黒字にしてドイツはやっているわけですが、ドイツもやはり名目成長率が少し低過ぎるという点。このドイツという国は非常にインフレ警戒が強い国であるためにそういうことになるんですけど、そういう状況です。 しかし、日本ほどひどくはないんですね。日本は四十五度線のもう左の原点に近いですね。これは、名目金利は確かに一%ちょっとで低いんだけれども、他の国に比べれば、他の国は四%から五%ありますね、名目金利は。しかし、日本は一・五%ぐらい、平均ですね。これはいつからの平均かというと、九九年から、リーマン・ショック前の平均です。リーマン・ショック後、ちょっといろいろ、ショックが大きいのでちょっとそれは除いています。そうすると、日本は名目金利、国債の名目金利ですね、金利は低いけれども、デフレですから名目成長率はもっと低いということで、これでは国債残高のGDP比は上昇が止まらない、財政は再建できないということです。したがって、デフレを止めるということ、これは日本銀行の仕事であること、これが第一。この条件を満たしてから増税するかどうかを考えるべきであるということです。 その次の四ページ目ですけれども、デフレで名目GDPがこれは減少すれば増税しても税収は増えないと、逆に減税しても名目GDPが増えれば税収は増加するという過去の簡単な図です。上がこういう折れ線グラフ。これが、右の軸が名目GDPです。それに対して棒グラフは一般政府税収で、これは左側の軸で、税収ですね。青い棒グラフです。 例えば、一九九七年、消費税増税しました。確かに税収は増えていますが、このときは、九七年は成長率も高くて五百十兆円を超えるような名目GDPがあったということですね。その後、名目GDPが低下するにつれて税収は減ります。確かに、所得税減税もしているから、その面でも税収が減ったということはあります。 しかし、二〇〇六年から今度は、見てください、特別減税を縮小を始めました、二〇〇六年。二〇〇七年にはついに廃止しました。これは一種の増税ですね。二〇〇六年、二〇〇七年に増税しているわけですね、そして名目成長率は上がっている。上がっているので税収は増えますが、増税をしたまま名目成長率は二〇〇八年から下がり始めます。これは、二〇〇六年から増税しているんだけど、二〇〇八年から名目成長率がぐっと下がりますね。名目成長でついに二〇〇九年四百七十兆円ぐらいにまで下がりますが、そうすると税収も減るということが分かります。つまり、二〇〇六年、七年に増税したんだけれども、名目成長率がその後下がってしまえば税収は減るということです。これが基本的な考えですね。 それでは、どのぐらい名目GDPと税収は関係があるかというのが五ページ目です。 これは九五年から二〇一〇年度ですが、これは大体九〇年度ぐらいからずっと最近やって、いろんな期間によって少し違うんですが、基本的には同じ関係が得られます。このぼつぼつの点は実際の点なんですが、これ皆さん、初めて見るグラフだと思うんですが、というのは、名目GDPを横軸に取っていないんで、これは対数を取っている、名目GDPの対数を取っているんですね。縦軸は税収の対数を取っています。 この対数という、よく皆さん分からない数字かもしれませんが、これはどういう意味かというと、横軸に対数を取って縦軸に対数を取ると、この角度です、右上がりの、大体これ近似線が直線かいてありますが、この角度が名目GDPが何%上がったら税収は何%上がるかを表すんですね。そのためにこの対数というのを使うんです。対数値を使うと、名目GDPが何%増えると税収が何%増える。この角度が三・四なんです。それはどういうことかというと、名目GDPが一%増えると一般会計税収は三・四%増える。逆に、名目GDPが一%減る、減るといいませんね、まあ低下すると一般税収は三・四%減少すると。そのときに税収の名目GDP弾性値は三・四だといいます。 そこで、最後六ページ目ですが、今インフレ率が二、三%になったと。これは先進国、主要国が大体二、三%です。日本だけがデフレで〇%以下ですが、普通はインフレ率というのは二%から三%は最低あります。それを維持しようとしているわけですね、主要先進国は。その場合に、日本の実質成長率の実力が例えば一%ぐらいしかなければ三%のインフレで四%の名目成長率になります。日本の実質成長率の実力がこれが二%ぐらいあればインフレ率が二%でも四%の名目成長率になります。要するに足し算ですね、インフレ率と実質の成長率の足し算が名目成長率ですから。 名目成長率が仮に四%だった、これは三%という数字でもいいですが、まあ一応四%になったとする場合に、先ほどの税収の弾力性三・四の場合を見てみます。税収はどのぐらい増えるか。二〇一一年から四%成長した場合に税収がそこに五・六兆円増えると。これは消費税で換算すると約二・八%の消費税に相当する。二〇一二年は六・五兆円増える。これどんどんどんどん税収が、毎年毎年名目成長率が上がっていきますから毎年毎年税収が増えます。これはどんどんどんどん増えます。 一応二〇一五年まで計算してあります。それは長いと、どんどんどんどん行くと、実は税収の弾力性が三・四よりも小さくなる可能性もあるので、一応一五年までにしました。そうすると九・四兆円税収と。これは毎年毎年の税収の増加ですから、トータルで五年間で三十七兆円ですから。消費税換算にして毎年毎年、これは二・八%に消費税を上げる、三・二%も上げる、三・六%上げる、四・一%だけ上げる、四・七%だけ上げると。四・七%だけ上げるというのは、二〇一五年には、消費税は今五%ですから、九・七になるということですね。その場合と同じ税収が上がるということですよ、消費税を上げなくても。 税収の弾力性を二・三に置き換える。これはリーマン・ショック後は少し弾性値が落ちているんです。そこで二・三に置き換えたとき、この場合にも五年間でやはり二十三兆円ぐらいの税収があって、消費税に換算すると、だんだんだんだん消費税を一・九、二・一と上げていったのと同じ税収が得られると。 ということは、消費税増税の前にデフレを脱却してインフレ率を二、三%にすると。二%ぐらいにするというのはそんなに難しくない、日銀は駄目だ駄目だと言っているけど、実は難しくないということを私はずっと証明してきているんですが、そうすれば消費税を上げる前にこのように税収が上がっていく。そうして、なおかつまだ税収が足りないというときに初めて消費税増税を考えるべきであって、まず消費税増税から入るというのは、一ページ目のデフレという一番左の根源を外して、税収減だから増税しようという、ここから入るということですね。ここから入ると、景気が余り良くなくなって、かえって名目成長率が落ちて税収は減るという悪循環に陥ってしまうというのが今日の私の主張です。 以上です。どうもありがとうございました。
○委員長(福岡資麿君) ありがとうございました。 次に、小黒参考人にお願いいたします。小黒参考人。
○参考人(小黒一正君) 一橋大学の小黒でございます。資料をたくさん用意しておりますが、その中の幾つかを使いまして御説明させていただきたいと思います。 一枚おめくりいただきまして、今、社会保障・税一体改革を進めておりますが、御承知のとおり、このページに書いてありますように、二〇一五年に消費税を一〇%に引き上げたとしても、その下に書いてあります、これは日経新聞の記事を抜粋してございますが、内閣府がまた推計しておりますとおり、経済財政の中長期試算というものを出しておりますけれども、これによりますと、結局消費税を一五%に引き上げたとしても二〇二〇年ぐらいにまた赤字になると。仮にその赤字を埋め合わせようとすると、更に六%若しくは七%の消費税を上げなければいけない。要するに、消費税一〇%では足りませんで、結局、一六%、一七%に上げなきゃいけないということになっております。 ですが、じゃこれで消費税率が足りるかというと、一枚おめくりいただきまして、御承知のとおり、今社会保障費、大体毎年一兆円ぐらいのスピードで進んでおりますけれども、これを抑制を余りしないでした場合に最終的に消費税率どれぐらい必要なのかということを、最近いろいろな海外の研究者も含めて研究しております。ここに挙げておりますのは、アトランタ連銀のブラウン先生と、あと南カリフォルニア大学のジョインズ先生とかの推計なんですけれども、ちょっと時間も違いますが、二〇一二年に消費税を一〇%に引き上げたという上で更にその財政を安定化しようとしますと、それを二〇一七年に行うと、そうすると消費税三三%が必要だという推計になっております。 興味深いのはこれだけではなくて、先送りケースというのがございまして、五年遅れるとどういうことになるかと。二〇二二年に消費税を引き上げますと今度は三七・五%必要だと。要するに、五年遅れますと大体四・五%更に追加的に引き上げなければいけないというような推計になっております。 要するに、一年遅れると大体〇・九%、大ざっぱに言いますと一%消費税率を引き上げなければいけない。要するに、改革が一年遅れるごとに、将来世代若しくは若い世代は消費税を一%ずつ引き上げるということが必要になってくる、若しくは社会保障費をカットするということになるということでございます。 ちょっとページを飛びまして五ページ目になりますけれども、今、岩田先生が言われたことは非常に重要なテーマでございまして、結局、経済成長率と金利との関係でどうやってそのドーマー条件を達成していくかということがございます。 アカデミックな文脈では、ちょっとこの場には適さないかもしれませんけれども、動学的効率性の条件というものがございまして、そういうものがあると先進国の中では、要するに、財政赤字は先送りするとどんどんどんどん将来世代にツケを先送りすることになって、最終的にはその将来世代の負担になって返ってくるというものがございます。 この枠線で囲ってある式が先ほど岩田先生がおっしゃいましたドーマー条件の式になっております。一番重要なのは、この第二項めのところの、(金利-成長率)×現在の公的債務残高というものがございまして、仮にその金利が一%で成長率が三%になりますと、この第二項はマイナスになります。基礎的財政収支が仮に赤字だったとしても、それよりも第二項の方が大きい、黒字というかマイナスになりますと、公的債務残高は縮小していくということになります。 岩田先生は先ほどいろんな各国のデータを出されておりましたけれども、下にありますように、結局、成長率が金利をどれぐらい上回る確率があるのかということが重要でございまして、これはOECD、日本と同じような国々のデータを全部ヒストグラムにまとめたものになっております。ここで、例えば今の債務残高二〇〇%でございまして、ここに書いてあるのは、基礎的財政収支の赤字が四%の場合、大体その金利よりも成長率の方が二%高い状態になれば、岩田先生のものが達成できるということになります。 下のグラフで、じゃそれどれぐらいの割合が達成できるかといいますと、大体七・六%ということになります。これは単年の数字でございまして、どういうことかといいますと、十回バッターボックスに立ったら、大体七・六ですから、一回も打てないホームランを毎回打ち続けることができれば要するに増税しなくても財政再建ができるということを表しております。 まあこれは私が別に言ったことではございませんで、ハーバード大学のマンキュー先生というのがいらっしゃいまして、そこではデフィシットギャンブル、日本語では赤字ギャンブル、財政赤字ギャンブルというものでございますが、そういったものはなかなか難しいということをおっしゃられているという内容になります。 岩田先生が確かに言われましたように、毎年四%の成長が今後三十年間若しくは五十年間ずっとできるということであれば、私も可能だと思いますし、あと岩田先生がおっしゃられている中央銀行のインフレーションターゲティングみたいなものですけれども、二%ぐらいのインフレーションを達成するかしないかということ、これは非常に重要なことでありますので、私も全く異論はないんですけれども、こういったものがずっと続けられるかどうかということが結局増税なしで財政再建ができるかどうかというところにかかわってくるということでございます。 それから、あともう余り時間がないと思いますので、簡単に、どれぐらいまでじゃ財政が維持できるのかということについてちょっと若干幾つか資料を提供させていただきたいんですけれども、十一ページ目を御覧いただければと思います。 今、御承知のとおり、債務残高はどんどん増えておりまして、利払い費は、ここに挙げておりますように、平成元年それから平成十年若しくは九年ぐらいまでは大体十兆円ぐらいで推移しております。その後金利がずっと低下してきておりましたので、家計でいえば、住宅ローンが例えば三千万円あったときに、過去七%の金利で借りていたけれども要するに一%の金利に下がってきたので借換えをしますということで利払い費が低下してきておりましたが、下にありますように、利払い費がもうこれ以上下がらないという形になっております。 国債のデュレーションといいますか平均償還年限は大体六・八年、要するに七年間ということになっております。ここに見ていただきますと分かりますように、一・五%若しくは一・四%という金利は大体もう六年、七年続いておりますので、これから借金が膨らめば膨らむほど利払い費が増えていくという構造になっております。 ここに、資料に挙げておりますように、平成二十年度ぐらいから利払い費が徐々に上昇しておりますが、じゃ今後十年間でどういうふうに推移するかということを日本総研が推計しております。では、次のスライドを御覧ください。もしお手元であれば十三ページを見ていただければと思いますけれども、ここに挙げておりますケース①、それからケース②、これは財務省が「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というもので出しているものでございます。 これは、ちょっと若干金利が高い推計になっていまして、厳しいものになっております。実際今、金利は大体先ほどだと平均が一・四%、若しくは最近一・三%でございますが、十年債の金利は要するに一%前後で推移をしておりますので、センシティビティーアナリシス、感応度分析という形で日本総研がしております。それがケース③というものでございます。これは、金利一・〇%と書いてありますけれども、この金利で推移した場合に利払い費が今後どうなるかということを推計しております。 結論を申し上げますと、大体今、二十一年度約九兆円ぐらいの利払い費は十年間であと十七・三兆円まで膨らむと、要するに八兆円膨らむというふうに推計しております。今、社会保障費は毎年一・三兆円ぐらいで膨らんでおりますので赤字が四十四兆円あると。それにまず八兆円オンされて、プラスその社会保障費がもし仮に一・三兆円のスピードで伸びていきますと十三兆円オンされるというような状況になるということでございます。 加えて、今、年金等では二・九兆円の交付国債を出しておりますけれども、そういったものも穴が空いているということで、じゃどこまでもつのかという話になるということでございます。 残り余り時間がありませんので、簡単にちょっと。 結局銀行が、銀行というか国債の消化先がございまして、それがじゃどれぐらい消化できるのかというところがコアになると思うんですけれども、それは十八ページでゴールドマン・サックス等が推計してございます。 どういうことかと申しますと、新しく出した国債は基本的には中央銀行、それから銀行部門とそれからゆうちょ等、あとは生保等が吸収しておりますけれども、一番大きく吸収できるとすれば銀行であると。銀行は、家計の預金とあと企業で余った貯蓄、企業の貯蓄分をベースにして、それがあとは企業の方に貸し出すということになっております。例えば、集まっている預金が一〇〇あるとして、貸出しが三〇だとすると七〇余ってしまうんですけれども、これ寝かしておいてもしようがないですのでどうするかというと、何かで運用しなければいけないと。そのときに一番真っ先に念頭に浮かぶのが国債になるということでございます。 先ほどの預金と貸出しのギャップのことを預貸ギャップと申しますが、この黒線の実線が一一年度までは実際のその推移になっております。これ、銀行部門全体のセクターの合計になっております。ちょっとグレーがかったものが銀行部門が吸収してきました国債の量になっておりまして、このゴールドマン・サックスが推計したのはどういうことかといいますと、企業部門はまだこれから貯蓄が余るかもしれないし、貸出しを余り抑制していれば、抑制というか貸出しというか、需要がなければ基本的には余るわけですけれども、それと、あと家計がこれから高齢化で貯蓄を崩していきますので、そのスピードでもしかすると、彼らは裏側で推計しているんですけれども、ピークがあるかもしれないというふうに推計しております。そうしますと、今のスピードで国債を吸収していくこととの関係で、二〇一七年ぐらいに限界を迎えるかもしれないというふうな推計をしております。これはちょっと厳しめになっておりますが、仮にこのピークがもうちょっと横でなだらかで推移したとしても、二〇二〇年ぐらいには何か交差しそうなような感じだということを見ていただければ分かると思います。 残りが余り時間がありませんので、現状の、今の国債の吸収の変化についてちょっと簡単に御説明させていただきたいんですけれども、二十五ページに飛びます。もし時間があれば、ちょっと最後にマクロ的な話をさせていただければと思います。 今みたいな状態ですので、基本的には、国債が一〇〇あるとすると、今九二%ぐらいですか、九二ぐらいが国内で消化されていて、八が外国で消化されているというような状態になっておりますけれども、ストックも確かに重要なんでございますが、基本的にはフローでも影響を与えることができまして、どういうことかと申しますと、こちらに挙げておりますものはフローでの国債の売買の取引の変化になっております。 二十五ページの右下にございますけれども、赤い枠でくくったところを見ていただきたいんですけれども、明らかに変化が出ていると。それはどういうことかと申しますと、国債が増加しているボリュームの中で、今までは中央銀行、それから銀行・郵便貯金等、それから保険・年金基金ですか、こういったものが大きな引受手であった一方で、海外のところは、例えば九五年ですと〇・二兆円と。売って買った分で、買った分が〇・二兆円しかないという一方で、二〇〇〇年は五・九兆円とか二〇〇五年では五・二兆円であったものが、二〇〇六年から十兆円台に急激に増えております。 二〇〇八年と二〇〇九年は、先ほど岩田先生が税収減のお話をされましたけれども、これリーマン・ショック等がありますので、そこで彼らも国債を買っているような状況ではないということで減っていると。それから、二〇〇九年も同じような形になっている。 二〇一〇年度は十四・五兆円という形になっていると。この十四・五兆円というボリュームでございますが、二〇一〇年の横軸をずっと左に見ていただければ分かりますように、銀行・郵貯等といったものと同じぐらいのボリュームを売り買いしているということでございまして、基本的には彼らは国内の金融セクターと同じぐらいの影響力を持っているというような状況になりつつあるということでございます。 今みたいな状況の中で、仮に国債がどういう状況で買ってくれなくなるか、私はちょっと分かりませんけれども、二〇二〇年ぐらいに向けてかなり難しくなるかもしれないと。その場合に、じゃ政府が全部歳出を止めて入ってきた税収を国債の償還に回せばどうにかなるかというと、それはちょっと難しい状況になっております。それが次のスライドになります。 これは、日本だけではなくて、いろんなOECD諸国の税収に対する国債償還額を比率を見たものになっております。見ていただければ一目瞭然でございますが、一番左側、二倍以上超えているもの、要するに税収よりも国債償還額の方が大きいのが日本になっておりまして、それ以外の国々は一以下になっているということです。 これはどういうことを意味するかといいますと、もし仮に国債の償還が難しくなった場合に、税収を全部充てればほかの国々は一応ファイナンスできるというような状況になっていると。他方で、日本ではそうではないということです。そうなった場合には、基本的には日本は、増税をするか歳出カットをするかというような形のいろんな議論が始まらざるを得ないというような状況になっているということでございます。 残り、もう多分一分ぐらいしかないようですので、もし……
○委員長(福岡資麿君) あと五分ぐらいあります。
○参考人(小黒一正君) 五分ぐらいですか。 じゃ、済みません、戻りまして、十九ページのスライドを見ていただきたいんですけれども、マクロ的にもかなり日本経済に変調が出てきているということをちょっと簡単に御説明させていただきたいと思います。 教科書レベルでは貯蓄と投資の差額が経常収支になるというふうな話がございます。ただ、もうちょっとマクロ経済が分かっている人間からしますと、基本的に、例えば投資を一〇〇したとしても、社会的ないろんな減耗とか、あと企業も設備投資をしておりますので、減耗が三〇ありますと、本当に投資している分は、ここに書いてありますように純投資、要するに一〇〇という投資から投資減耗三〇を除いた七〇というものが本当の投資になると。 基本的には、供給サイドのGDPで見ますと大きく三つのファクターに分けられると。一つは技術進歩とかTFPと呼ばれる部分、それから資本ストックと呼ばれている部分と、あとレーバーですね、労働関係の。これは働いている時間若しくは労働している人たちの量、あとは人的資本等で構成されるものというものになるということでございます。このうち資本ストック、要するに工場のいろんな設備とかがどんどん減耗していって縮小していきますと、GDP自体が縮小していく可能性があるということでございます。そうしますと、貯蓄が一〇〇あるとしても、本当の投資に回せるのは減耗分の三〇を除いた七〇ということになります。 下に書いてありますように、通常、国民貯蓄といいますと、民間貯蓄ですね、家計の貯蓄と企業貯蓄、それから政府貯蓄を加えたものですけれども、これだとちょっと経済学的には本当の様子が見れないということになります。ですので、資本減耗を除いたもので見るとより分かりやすくなるということです。 これで、次のスライドを見ていただきたいんですけれども、これ、大きく十年ごとに取ってきております。国民貯蓄が、九一年のものが一番左側の部分です。それから真ん中の部分が二〇〇一年、それから一番右側が二〇〇九年というふうになっております。一番左側に国民貯蓄の推移が出ておりますけれども、御覧いただければ分かりますように、国民貯蓄は既にマイナスになりつつあるということでございます。他方で、民間貯蓄の方は優等生でございまして、ほとんど変わりがないと。固定資本減耗も若干増えてきておりますけれども、そんなにすごい勢いで増えてきているわけではありませんので横で推移していると。一番劣等生は政府貯蓄になっておりまして、これはもう赤字になっているということで、これは何を意味しているかといいますと、入ってきている以上に使っていると。一番の要因は社会保障関係になっております。そういう年金とか医療とか介護とかが、基本的には入ってくる保険料とか税収よりも使っているということが一つの原因で赤字になっている。それが、その国民貯蓄を赤字にしているということでございます。 じゃ、この二〇〇九年の赤字というのはたまたまではないのか。先ほど、リーマン・ショック等が二〇〇八年からありましたのでその影響があるのかもしれないという話がございますが、それが二十一ページのスライドになっておりまして、ぎざぎざになっているものが実際のデータになります。ここで計量経済学的ないろんなコントロールをしまして、トレンド的な要素を見たものがもうちょっと滑らかになっているものでございます。これを見ますと確かに二〇〇九年マイナスになっておりますけれども、トレンドで見ればまだプラスであるということになります。ですけれども、今のままでいけば二〇一三年ぐらいに赤字になる可能性があるということになります。 じゃ、この赤字になるのが何か困るのかということでございますけれども、次のスライドをちょっと見ていただきたいんですけれども、先ほどのISバランス式、これはよく教科書に出てくるISバランス式をちょっと修正しているものでございますが、これは基本的には恒等式ですので変形することが可能になります。純投資=国民貯蓄(純)-経常収支というふうに変えますと、仮に経常収支がプラスですと、国民貯蓄がマイナスであると何が起こるかということなんですけれども、純投資がマイナスになるということになります。そうしますと、基本的にはGDPが縮小するような圧力にさらされるということになります。 逆に、じゃ今度、純投資プラスになるとどういうことになるかということなんですけれども、それが二十三ページのスライドでございまして、今度は経常収支=国民貯蓄(純)-純投資という形に変形することが可能になります。そうしますと、今度国民貯蓄がやはりマイナスですとどういうことになりますかというと、純投資がプラスになると経常収支が赤字になるということでございます。そうしますと、アメリカとかギリシャでもそうですけれども、双子の赤字みたいな感じになるということです。別に政府が赤字じゃなければ経常収支が赤字になっても問題ないんですけれども、今みたいな状態で経常収支が赤字になると、長期的には海外から国債をファイナンスしなければいけないような状況も想定するような状況がいずれ訪れる可能性があるということになるということでございます。 大体今のような形になりまして、まとめになりますと、最後の二十七ページのスライドになりますけれども、申し上げたいのは非常に単純なことでございまして、今一体改革を進めているんですけれども、これは基本的には止血剤にすぎない、長期的な安定を、財政を安定させるためには更なる改革が必要であるということでございます。 それから、その一%、要するに改革を一年遅らせるごとに消費税率が一%ずつ上がっていくと、それは結局、若い世代や将来世代の負担につながるということを認識していただければというふうに思います。 最後になりますけれども、今国内に豊富な貯蓄があるので大丈夫だという意見もございますが、十年ぐらいのスパンで見ますとかなり、利払い費とか預貸ギャップの予測を見る限り、それが維持できるとは限らないというふうな状態になっているのではないかということでございます。そういう意味でもなるべく早い喫緊の改革が必要であるということでございます。 以上でございます。
○委員長(福岡資麿君) ありがとうございました。 次に、高田参考人にお願いいたします。高田参考人。
○参考人(高田創君) みずほ総合研究所の高田でございます。どうかよろしくお願いいたします。 先ほどお二方の先生の方からいろいろ理論的なお話がございましたので、私の方は、持分といたしまして、できるだけ市場、足下も含めた市場の状況、それから、日本ということだけではなくよりグローバル、中でも昨今の欧州の債務危機と言われるような状況とどのような今、日本との関係にあるのかというところをちょっと中心にしてお話をさせていただこうかと思います。 私の方は、レジュメがございますけれども若干分量もございますので、ややはしょらせていただきながらお話をさせていただこうかと思います。 まず最初に、一ページ目のところでございますけれども、最初にアメリカの十年金利、長期金利ということなんですけれども、足下も一%台であります。二%を若干割れたくらいというようなアメリカも低金利になっているというような状況でございます。 それから、二ページ目のところでございますけれども、こちらが日本とアメリカとヨーロッパの十年金利を並べたものでございますけれども、大体日本が一%前後、それからアメリカそれからドイツ辺りが二パーをやや下回るぐらいというような状況でございまして、極めて低下をした。先ほど、一ページ目のところもそうなんですけれども、実は今のアメリカの長期金利の水準は一九五〇年代以来でありまして、私、今五十三歳なんですが、私が生まれる以前の世界になっているというくらいの状況であるということでございます。 じゃ、どうしてこのような状況が生じているのかということを考える一つの仮説なんでありますけれども、三ページ目以降のところで、日本が九〇年代以降のバブル崩壊、これがバランスシート調整とよく言われますけれども、アメリカもヨーロッパも同じとは申し上げませんけれども、やや類似した側面のあるバランスシート調整に二〇〇七年以降入っているのではないかというのが一つの問題意識ということでございます。その概念図がこの三ページ目のところ以降なんですけれども、その前提となるバランスシート調整というのは、ある面でいいますと、それまでの信用拡張の反動であるものとそのバブルの崩壊という部分がございます。 当然、その前提が信用拡大、四ページ目のところをちょっと御覧いただきますと、日本は八〇年代に大変な信用拡張が起きます。これが失われた十年、実際には十年から十六、七年ぐらい掛かりまして調整をしたというのがこの絵の示すところなんですけれども、アメリカなりヨーロッパも九〇年代以降、また、場合によってはそれ以前から相当な水準まで積み上げて、二〇〇七年ぐらいからその症状が現れ出しているということではないかと思います。 ですから、非常に単純化した議論をさせていただくとしますと、この四ページ目のところでございますが、日本が九〇年、アメリカが二〇〇七年、十七年間ぐらい平行移動したらどうなるかというようなことになるわけで、実は十七年間平行移動してかいた絵が五ページ目から十ページ目に至る六ページ分にわたる絵でございまして、日本の九〇年、それからアメリカ、場合によってはヨーロッパの二〇〇七年を同じスタート時点にしてかいた絵ということで、最初の五ページ目が、これが不動産の絵でございまして、非常に四、五年間似た動きをしております。それから次の六ページ目、これが中央銀行が決める政策金利でございますが、この動きも非常に似た動きをしております。それから、七ページ目のところが、これが長期金利でございますが、この動きも非常に似た動きをする四、五年間であるということでございます。それから、八ページ目のところの銀行貸出しの動向でございますが、これもアメリカなりヨーロッパのこの四年間の動きは非常に似た動きをしている。それから、九ページ目のところの株価のところはやや違った動きをしておりますけれども、十ページ目のところにあります実質経済成長率、財政赤字の状況、これも非常に似た動きをしているということでございまして、全く同じと申し上げるつもりもございませんけれども、信用拡張とその反動という動きは、これを場合によっては昨今日本化現象というような見方もございますけれども、私は、別に日本化という固有の状況というよりは、ある面で信用拡大をしたその後の反動というものがやや類似して共通に現れる現象というものが、少なくともこの四、五年間アメリカなりヨーロッパで見えているというふうに見るべきなんではないかと思っている次第であります。 そういう状況の中で、ヨーロッパの場合はそれに加えてより複雑な様相を抱えている。それを十一ページ目以降でちょっと考えてみたいと思います。 ヨーロッパの場合の問題の背景は何があるかということを考えますと、この十一ページ目のところにありますのが各国の国債の利回りということになりますけれども、例えばドイツの金利でございますけれども、この二十年間、ユーロの統合は九九年以降なんですが、実は二十年間そんなに変わっておりません。大体四、五%ぐらいのところから変わっておりませんで、さすがに足下、二%ぐらいのところまで落ちておりますが、二十年でほとんど変わっておりません。何が変わったのかといいますと、この十一ページ目で見ますと、一番極端な例がギリシャなんですけれども、一番左側のところには二十数%であったのが二〇%も下がったということになります。しかも、ユーロで統合されてからの十年近くというのはドイツとほとんど同じ金利だったということでございます。これは、これだけ金利が安くなればこれは幾らでも借りれるぞというような状況になった。極端な例がギリシャでございますが、それ以外にもポルトガルでありスペインでありといったところも一〇%近い低下になったわけでございます。これが内需の極端な拡大を生んでしまったということでございます。 また一方で、次の十二ページのところでございますが、為替、ユーロというのはこうした地域も全部同じ通貨にするわけであります。となりますと、自分の実力以上に実は為替が上がった国と下がった国ができてしまうということでございまして、ドイツにとっては極めてユーロの為替は安いということになるわけでございますが、ギリシャにとっては極めて高い為替になってしまうと。当然それは経常収支には非常に不利に出てくるということになるわけであります。 ですから、ヨーロッパの債務問題とよく一言で言われます。確かに、十三ページ目のところにございますように、これはヨーロッパ各国の財政収支、中でも財政赤字の状況を示すものでございまして、ギリシャを筆頭に大変な財政赤字ということであるわけでありますけれども、しかしながら、実際の問題というのは、次の十四ページ目のところにございますように、実は経常収支のアンバランスという構造が、先ほど申しました金利が実体以上に非常に格下がってしまった国々、それから、為替が実体以上に高くなってしまった国々とそれ以外の国々と申しましょうか、要はこの十四ページのところでいえば、ドイツとそれ以外の赤字というような状況で、極端な赤字と黒字という二極化が生じてしまったという構造がそもそも一つの通貨を行うには非常に無理が出てしまったということになるわけでございます。 こう考えますと、このユーロの問題は極めて難しい問題という感じもございますけれども、ある面で日本と併せて考えてみることもできようかと思います。日本も一つの共通通貨、円を使っておりますけれども、四十七都道府県の中で一つの通貨を使っております。そういう状況の中で、各都道府県を考えてみれば、当然単純に自分のところの税収だけで対応できるところと、当然のことながら、財政平衡制度と申しましょうか、地方交付税を使った対応の中で保たれているところと、二極化しているということもあるわけであります。 そういう観点で考えますと、ヨーロッパの状況というところは、ある面でいえば国債というよりは、日本でいえば地方債と考えることもできるのではないかと。ただし、日本でいえば地方交付税のような財政平衡化の制度がそもそも準備されていなかった地方債だと考えればいいわけであります。 例えば十五ページのところでございますけれども、日本の例も考えるまでもなく、今ヨーロッパで議論されておりますのは、単に各国々と申しましょうか、日本でいえば都道府県に当たるところがそれぞれが全部緊縮化するなり、若しくは税を上げて対応しようと、すべきであるというようなことが今回のギリシャの債務危機の中でも言われているわけでございますけれども、しかしながらなかなかそう簡単になるわけでもない。一方で、二番目の十五ページ右のところのように、ある面で平衡制度を利かせようとすれば、ドイツが全部のところにというような状況になってしまう。これもなかなか難しいというようなところに今難しさがあるわけであります。 日本を考えてまいりましても、次の十六ページ目のところでございますが、こういう平衡制度がある日本でも地方債の危機というものが過去十年間を振り返れば起こっておりました。そういう状況の中で、日本では共同発行債であり、また、場合によっては地方財政の再生制度を自らつくり、また、金融の制度であります地方公共団体金融機構等の制度も用意しながら対応したわけでありますが、今の欧州にはこういう制度が全く完備されていないといったところに今のそもそもの問題が生じているというふうに考えることもできるのではないかと思います。 そうして考えますと、確かに十七ページ目のところにございますように、今回ギリシャが大変な危機に陥ったわけでございますが、ただ、ギリシャの国債の残高は、ここで考えますと、日本円に直しましてせいぜい二十兆円程度でございます。もちろんこれは大変大きな金額と考えることもできますけれども、大きな国々からすればそう大きな金額ではございません。 しかしながら、十八ページ目のところにございますように、今後こうした欧州の問題というところが普通の経済全体に波及し、それが不良債権化してくる、マクロ経済の問題につながってまいりますと、今申し上げました国債の議論にとどまらないところにあるといったところに今の欧州の難しさがあるというふうに考えるべきではないかと思います。 ただ、いずれにいたしましても、十九ページ目のところにありますように、各国の信用度を表すもの、ここでは信用度を表す一つの指標としまして、それが売買されておるデリバティブ市場ということで、クレジット・デフォルト・スワップという国の信用度を売買するような指標が出てきておりますけれども、ここにございますいわゆるPIIGSと言われた債務危機の国々、実はこうした国々はこの信用度というものを表す数字がどんどん大きくなる。それは逆に言えば信用度が下がるということになったわけでございますけれども、実はこうしたところの信用度というのは、先ほど御紹介した経常収支の赤字というところの序列でもって大体決まっていたということでもございますし、またこうした国々が、二十ページのところにございますように、政治の問題にも波及するような状況につながっていたというのが今年、昨年にかけての大きな論点であったということでございます。 それでは、今欧州の問題を人ごとのように申し上げてまいりましたけれども、日本の状態はどうなのかということも考える必要があるわけで、これまでお二方の先生方から議論ございました。その辺が二十一、二十二のところの財政状況ということでございますけれども、その中でちょっと一つ考えてみたいのが、二十三ページ目以降の議論でございます。 ここに、市場でもって暴落暴落という議論が出る中でよく言われますのが、一つはドルの暴落、それからもう一つは日本国債の暴落論でございます。これは現在でも非常に言われ続け、アメリカのドルは四十年間言われ続けておりますし、日本の国債の暴落論も過去十年、二十年にわたって言われ続けておりますが、その割にそうなっていなかったのはどうなのかというところもちょっと市場の観点から考えてみる必要があろうかと思います。 そういう意味で見ますと、私は、こうした状況に実際にはならなかったのは、ある面でいえば収支が赤字でも取りあえずお金繰りが付いていたということではないかと思います。その背景は何かと申しますと、ドルの場合は基軸通貨制でというような状況。これは、経常収支が赤字でも基軸通貨がというような状況、ある面では特権でございます。一方で、日本の場合は、財政赤字ではあるけれども経常収支が黒字であるという状況の中で、何とか国の中でのファイナンスが保たれていたという構造ではなかったかと思います。 二十四ページは、そういう中で、過去の債務危機と比べた場合の状況というところ。トップにあるアメリカのところは、双子の赤字と言われるような財政・経常収支は赤字ではありながらも、基軸通貨というような、誰もがドルを持ちたいという状況の中で、日本の場合は、財政収支は赤字であっても経常収支が黒字の中で何とか保たれていたという構造でございます。 こうした構造が実は今のヨーロッパ諸国若しくは過去の債務危機のあった状況とが違うという点でございまして、具体的に見たものが次の二十五ページ目以降でございます。 二十五ページ目のところにありますのは債務残高をGDP対比で取ったものでございまして、一番右側、ある面では最悪なのは日本ということでございます。こうした状況が日本国債暴落論の大きな背景になっているのも事実でございまして、隣のギリシャよりも悪いと。一方で、二十六ページ目のところにありますように、経常収支は黒字であったと。一方で、先ほど、クレジット・デフォルト・スワップに現れるような問題は二十六ページのこの経常収支の赤字議論で生じていたと。 この構造というものは私は過去十年ぐらい一つの例えを使っておりまして、次の二十七ページの例えでございます。ある面でいえば、日本は、日本の家としては借金はないと。しかしながら、日本の家の中でお父さんがお母さんから借りていて、さすがのお母さんも不安になってきた、本当に返してくれるのかしらと。そういう意味でいいますと、こうした家の中での議論というのは、経常収支が黒字でということと、同じ家の中ではあってもその中に信頼関係が保っている、保っていて、ある面ではお母さんが家の中に、そのまま外に出ない、外に出てしまうというのは経済でいえば資本逃避、キャピタルフライトということになるわけでありますが、そういう構造にならないで何とか済んできた構造ということにもなるわけであります。 こうした構造というのは、二十八ページ目のところにございますように、常に暴落すると言われながらそうはならなかったというのは、ある面でいえばこの経常収支、日本の家の中でと言える状況であったということと、それから、家の中にあってもある面では信認、場合によっては我々市場参加者から見れば市場への愛と申しましょうか、そういうようなところが、まあいずれは何とかなるのではないかという一抹の信頼関係という、ここに、二十八ページに日本の投資家が日本国債に抱く暗黙の信頼の三条件と書かせていただいたようなものを何とか保つことができている状態にあったということではないかと思うわけであります。それは、いずれ成長軌道に戻り、そうした場合にはある面での増税、租税高権を発揮し、そのガバナンスというようなものが発揮できるというような信頼ということでございますので、そういう観点からいたしますと、今後、今非常に議論となっておりますのは、この経常収支を保つことができるのか。 そういう観点で申しますと、次の二十九、三十ページはその一つの資料ということでございますけれども、そこに大きな前提として考え得るものは、例えば原発等の問題も含めたエネルギー問題であり、また、石油価格がどうなるのかといったところ、また、今後輸出というようなものが日本は伸びるような状況にあるのかといったような市場環境若しくは制度と。また一方で、そういう中でこの信頼を留めることができるかといったところは、完全にプラスになるということは別にいたしましても、ある程度市場への規律若しくは市場への信頼、愛というようなものが保つことができるのかといったような、そういう意味では、昨今いろいろ言われております政治課題といったところはこうした国債の議論にも相つながるところがあるというのも事実ではないかと思います。 また、二十九ページ、三十ページのところにございますように、三十一年ぶりに日本の貿易収支が赤字になったというような状況、また、そういうような状況の中から経常収支も今後どうなっていくのかと。もちろん、所得収支があるだけですぐに経常収支が赤字になるという議論ではございませんが、しかしながら、こうしたところも不安な一要因になっているという点でございます。 三十一ページ、これは日本のソブリン、日本の国債のCDSのプレミアム、先ほどヨーロッパ諸国は示させていただいたわけでございますけれども、拡大が一時出てきているとはいいながらも、まだそれなりに安定した状況にはございます。しかしながら、海外の投資家から見れば、何とか日本の国債というようなもの、暴落の糸口を引くようなことができないかと。昨今非常に話題になっております本に「ブーメラン」なんて本がございますけれども、そこでの最初の糸口は、日本国債が海外の市場家から、国債の暴落になる、そういう中でも非常な関心は今後の日本の経常収支の行方若しくは消費増税を含めた財政等への問題というところにあるということは、一つ重要な点ではないかと思います。 最後になりますけれども、ここにソブリンワールドカップと私書かせていただきました。先ほど申しましたように、今や世界は経常収支のところで生き残りを懸けた戦い、それを通常の戦場というよりは各国の国債市場のところで対応している。そういう状況の中で、経常収支の赤字国が負け組になり、アメリカの場合は何とか基軸通貨でシード勝ちをしたわけでございますし、日本は何とか経常収支の黒字で予選は突破したわけでございますが、しかしながら今後二次予選に進めるのかどうかと。 また、こうした状況ということは、例えば「坂の上の雲」でございますけれども、百年前を振り返りましても、こうした調達力の安定というものが日本の国力を支えていたということを考え、また、今回大変な悲劇である大震災の中でもこれだけの復興の支出ができたというのも非常な日本国債の調達力によるものだということを考えますと、こうした金の卵を産む鶏と申しましょうか、調達力の重要さというものが世界の中でも非常に問われているということは重要な論点ではないか。 そういう中で、今の申し上げましたようないろんな日本が抱える課題があるんだということは、私は市場参加者としても非常に重要な論点として申し上げなければいけない点ではないかと思いますし、その点を海外の投資家というものが非常にウの目タカの目で見ているというのが今の状況ではないかと思います。 以上でございます。
○委員長(福岡資麿君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。 これより質疑を行います。 本日は、まず各会派一巡で十分ずつ質疑を行います。その後、午後四時ごろまでを目途に自由質疑を行いたいと存じますが、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう御協力をお願いいたします。 参考人の方々にお願い申し上げます。御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願い申し上げます。 また、質疑の時間が限られておりますので、簡潔な御答弁をお願いいたします。 なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構です。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○風間直樹君 よろしくお願いします。 岩田先生にお尋ねをしたいと思います。 先生のお話では、デフレの脱却というのが要であるということでありましたけれども、この脱却の方法について先生のお考えをお尋ねしたいと思います。同時に、現在の日銀の施策がそれにかなっているかどうか、かなっていないかどうか、その理由も含めてお尋ねをいたします。 二点目ですが、小黒先生は、岩田先生がおっしゃった四%成長が毎年続けば増税なしで財政再建は可能だという点について一定の疑義を示されました。毎年続けばという点がどうかというポイントだったと思います。岩田先生、この点に関しての御所見をお尋ねしたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) デフレ脱却の方法ですけれども、今アメリカが実際やっていますが、アメリカはリーマン・ショック後一時デフレになりそうになったわけですね。予想されるインフレ率もマイナスになるというような状況があったんですが、それが今、予想されるインフレ率が二%ぐらいで実際のインフレ率も二%ぐらいに近づいているというふうにしてデフレを阻止したわけです。 この方法は、いわゆる量的緩和です。量的緩和は、中央銀行から出るお金、これを増やすということですが、そのお金は二つありまして、銀行に出すお金、これ銀行に出すお金は銀行に準備預金というふうにして中央銀行に預けたままですからたまります。それともう一つ、現金ですね。で、この二つをどんどん増やして、リーマン・ショック後三倍まで、リーマン・ショック前より三倍まで増やしました。そうしますとどういうことが起こるかというと、市場で将来の予想されるインフレ率が上がってまいります。この予想インフレ率をどうやって計算しているかというと、アメリカでも日本でも、普通国債というのと物価に連動している国債がありまして、この物価の連動する国債と普通の国債の利回りで、この差でもって市場が予想しているインフレを計算することができるという、そういうことがございます。 それが、そういうふうにやって、それで推測される予想インフレ率が、マネタリーベースというさっき言った中央銀行がどんどんお金を出していくと、それが上がってまいります。実際は、リーマン・ショック後、先ほど言いましたように一%以下にアメリカも下がるんですが、それが二%まで上がっているという、そういうきちんと相関関係がはっきり出ています。 日本の場合も同じでして、福井日銀総裁の時代に量的緩和という同じような政策をしたわけですね、マネタリーベースをどんどん増やすという。やっぱりそのときも実は予想インフレ率は上がっているんです。何%上がったかというと、大体〇・九%まで上がってまいりました。ところが、そこへ来たときに福井総裁がやめちゃうんですね、量的緩和を。そのためにまた予想インフレ率、どんどん下がります。 市場というのは、デフレが予想された場合には、みんながデフレを予想するとデフレになるんですね。それはなぜかというと、デフレになると物の価格がそれほど上がらないので、企業の売上高はそれほど増えない、収益が増えない。そういうふうにして、設備投資もなくなってきて、需要がなくなる。そうすると、借金をしていますから、企業は、価格が下がるんだからたくさん売らないと、物の価格下がるんですからたくさん売らないと借金が返せないということで、みんなたくさん売る。そうすると、デフレ、価格が下がるというふうにして、デフレを予想するからデフレになっちゃうんですね、みんなが。逆に、予想インフレ率がもっと高くなるとなれば、収益が上がる、売上高も増えるというので、設備投資などに積極的になると。そういうふうにして、要するに、予想、将来どうなるかという予想ですね、物価の、これが非常に実は大事です。 ですから、今言った実際の実験をアメリカもしているわけで、日本でも量的緩和の時代はちゃんと予想インフレ率上がりました。最近でも、マネタリーベースを少し増やしていくとやっぱり予想インフレ率上がるというデータがきちっと出ています。 日本の場合は、リーマン・ショック後しばらくずっと、二年か三年の間、たったのリーマン・ショックより一〇パー、一四%ぐらいしか増やさなかったんです。一方のアメリカは三倍増やしているわけですね。最近、東日本大震災というのがあったので少し日銀は増やしまして、今現在、リーマン・ショック前よりも二七%ぐらい増えています。しかし、アメリカが三倍も増やしているのに比べれば、もうごくスズメの涙みたいなものです。そのために予想インフレ率がまだマイナスです、日本は。そうすると、みんなが予想、将来マイナスだと、デフレになると思っているから結局デフレになるということが続いているということですね。 リーマン・ショック後の日本のマネタリーベースという日銀から要するに出ているお金と予想インフレ率との相関をずっと見てみますと、大体どのぐらいマネタリーベースを日銀が増やせば予想インフレ率が二、三%になるかというと、大体予想インフレ率を二%ぐらいに引き上げるためには四十五兆円マネタリーベースを増やさなきゃいけません。それに対して、三%ぐらいのインフレにするためには六十五兆円ぐらい増やさなきゃいけないと。この六十五兆円というのは、今、日銀が持っている国債を倍増しなきゃいけないという規模です。これはもう日銀は絶対しないんですね、こんな倍増は、今でも多過ぎると思っていますから。 ということで、日本銀行にはできない相談で、これは日本銀行の総裁以下、全員を替えなきゃ駄目だということですね。日本はデフレ脱却できないと思います。 もう一つは、四%の成長ができるか。ですから、デフレ脱却ができるように日銀のメンバーを替えるとか、日銀がきちっと二、三%のインフレ目標をするとか、あるいは政府が海外のように、インフレ目標をやっている国は、政府が中央銀行に二、三%インフレにしなさいよと言って、二、三%のインフレを義務付けられているわけですね。二、三%というのは、何もあしたから二、三%になるわけじゃなくて、一年とか二年ぐらいの平均で二、三%になればいいということですね。 そういう政策にするようなメンバーに日銀の総裁以下を、政策委員会の委員を替えれば、私は、予想インフレ率はすぐ上がって、デフレからすぐ脱却できると、簡単にできると思っています。これは難しい問題じゃありません。ですから、皆さん、これは国会議員が替えることはできるんですね、総裁以下の任命権を持っていますから。 したがって、国債、実は最近、二%以下のプラスの領域をめどにすると言いましたね、日本銀行は。 じゃ、二%以下でプラスの領域に過去どのぐらいあったか。日銀、新日銀法が改正されたのが一九九八年の四月から始まります。それから今十四年がほぼたちました。この間、百六十六か月たっている。何とその中の一六%しか二%以下のプラスの領域に日本の物価はなっていないんです。あとは全部、一六%、一〇〇から引きますと八四%、これは全部ゼロ%以下です。デフレです、日本は。すごい成績が悪いわけですね。たったの一六%しか合格率がない。つまり、日銀が言っている、二%以下のプラスにしますよと言っている、これはめどですと言っているそのめどすら一六%しか十四年間で達成していないんですよ。 皆さんはそういう総裁を十四年間任命してきたということです。これは国会議員の責任だと、皆さんは責任を感じていただきたいというのが今日の私の基本的なメッセージです。国会議員は、総裁以下、日本銀行の政策委員を替えることができるんですよ。ですから、金融のことはよく分からないって、そんなことを国会議員がいつまでも言っていちゃ駄目です。そのことを今日は強調したいというふうに思います。 以上です。
○風間直樹君 ありがとうございます。 あと二分ぐらいありますので、小黒先生、もし今の岩田先生のお考えに御意見あればお願いします。
○参考人(小黒一正君) 私は、金融政策の部分については、要するに中央銀行がある程度緩やかな、マイルドなインフレーションですか、一、二%ぐらい、できれば望ましいんではないかと思う。 どうやってやるかというのは、それは私は専門家でないですので、一応その理論モデルとか裏側にニューケインジアンモデルとかってあるんですけれども、今、岩田先生が言われた、要するに市場に対してインフレーションのターゲティングを出して、それが市場が信認すればいいメカニズムに好転していくというような理論モデルはあるんです。 ただ、いろいろ、今、中央銀行も量的緩和とかしてきていてなかなかうまくいっていないという状態がありますので、現状の金融政策の枠内でじゃそれをどういうふうに達成するかということについては、ちょっと個人的には結構難しいんではないかと思っていますけれども、どうやってやるかということについてはちょっと何とも申し上げられない。 要するに、もしかするともう金融政策の枠外を超えて、例えば資産性がある資産とか、今でもいろんなもの、株とかに近いものとか買っていますけれども、ETFとか。それ以上のものを買っていけばなるのかもしれませんけれども、それはもう既存の金融政策ではなくなりますので、財政政策に近くなるというような状態ですから、ちょっとその辺は私も何とも申し上げられないと。 ただ、いずれにしろ、そこを待っているほどもう財政が余裕がないということが結構ポイントでして、ちょっと先ほど割愛させていただいたんですけれども、例えば私の資料の十七ページですか、先ほどちょっと余り説明はしなかったんですけれども、今国債が買われている理由は、結局経済が余り活性化していなくて投資先がないからなんですけれども、岩田先生が言われたような形で経済が活性化するようなスキームに乗っていくとどういうことが起こるかということなんですけれども、銀行はもう国債を買う必要性はなくなってくるわけです。そうすると、そこは財政当局によっては規律が働くのでいいことなのかもしれませんけれども、今のような国債はファイナンスしにくくなるということです。 この十七ページ、何をやっているかということなんですけれども、要するに財政当局にとってはデフレーションの方が心地がいいわけですね。なぜかというと、債券の方が有利だからです、基本的に、クーポンで固定されていますので。それで価値が上がっているということなんですけれども、インフレーションになるとどういうことになるかというと、ここで挙げているのは、横軸にパブリック・デット・ツー・キャピタル・レシオって書いてありますけれども、国内にある金融資産に対してどれぐらい債務残高がありますかという比率、縦軸が国債の金利なんですね。同じような財政政策を打っていても、要するにインフレーションになった方が早く破綻するという、途中で切れているのは破綻している状態なんですが、そういう状態になると。要するにもう買わなくなるのでということなんですけれども。 結局、インフレーションターゲティングをやった場合に何が起こるかということですけれども、同時に、財政が緩めるというよりもむしろ引き締めていって、きちんと国債を発行しないようにしていかないと結構厳しくなるというふうに思っています。それは、逆に言うと、財政の規律を議会の方が、議会というか要するに政府側、それから増税、歳出の方をきちんきちんとしなきゃいけないというようなことになるということも含んでいますので、そこの規律を働かせるという意味ではいい意味なのかもしれませんけれども、ただ、若干危険な部分もあると。要するに、仮にインフレーションがもう止まらなくなれば、余りにもやり過ぎてですね、そうするともうかなり危険なものに入っていく可能性があるのではないかと思っています。 それは、やった方がいいというのは、要するに一、二%ぐらいのインフレーションが経済学的にいいだろうなというのはみんな大体経済学者の合意であるんですけれども、それをどう達成するかという話と、あともっと厳密に言えば、学術的には本当に一、二%のインフレーションがいいかどうかも分かっていないんですね、分からないんです。フリードマンとかはマイナスのインフレーションがいいというような例もありますし、そこに摩擦が入ってくると、ちょっとこの場には余り適さないかもしれませんけれども、いろいろ名目賃金の硬直性とか金融の何かフリクションとか入ってくると少し若干プラスにした方がいいという話があるんですけれども、じゃ二%がいいのか一%がいいのかというのは学術的に分かっていないということです。
○風間直樹君 ありがとうございました。
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。 大変貴重なお話をいただきまして、どうもありがとうございました。この参議院の行政監視委員会が今日初めてスタートするわけですけれども、この国会の中でスタートするわけですが、やはり何が何といっても、この財政規律といいましょうか、この財政上の問題を審議することが何よりもスタートでなければならないというふうに思う次第でありまして、今日そのような機会が得られたと、そして三先生から貴重なお話をいただいたということを喜んでいるわけでございます。 岩田先生にお伺いするわけですが、デフレを脱却すれば税金も多く確保できるというふうなこと、それが国債残高の高騰に対して問題解決になるというようなお話がありまして、日本銀行が何でこんなことが分からない、あるいは実行しないんだと、こういうようにお聞きするわけでございますが、日本銀行が、代々かどうかは別といたしまして、このような態度を取るということについては、その理屈が分からないからやらないのか、あるいは分かっているけれども立場上できない、あるいはインフレーションになって利子が高くなると、保有している国債の利子が高くなって財務省が耐えられないというようなことで、財務省から日銀に対して圧迫があって日銀も取るに取れないというようなことなのか、私もかつて治安機関に勤めていたので経済の問題は全く疎いわけですけれども、そのことについて教えていただきたいと思います。 それから、小黒先生にお伺いするわけですが、二〇一一年の六月に自民党がXデープロジェクトと、林芳正政調会長代理が座長になりまして、先ほどおられました宮沢先生等も委員として参画しておられたわけですが、その結果、報告書を発表されたんですが、今後七、八年以内に日本国債の発行は限界に達すると、日本財政破綻のXデーは七、八年後というような発表をされたわけでございます。 私から言うまでもありませんが、家計貯蓄率の低下、経常収支黒字幅の縮小などを原因として、投資家だけで消化できなくなるというようなことが七、八年後に起きるのではないかと。国内貯蓄だけで賄えなくなれば、債券市場で国債が売られて市場価格が下落し、金利が高騰するということになるのではないか。また、それが巡り巡りまして、企業では、金融機関の一部で財務状況が悪化し、金融システムに疑念が生じるおそれがあると。また、一般事業会社でも、銀行の貸出機能や社債市場の機能の低下などで資金調達が停滞するため投資が抑制され、企業活動全般に影響を受け、過大な債務を抱える企業の経営基盤を揺るがせかねないということで企業の倒産が続出する。また、財政では、国債金利の上昇により利払い費が確実に上昇すると。日本では、一%上がれば一年で一兆円、二年で二・五兆円、三年で四・二兆円の利払い費増加を意味すると。 こういうことで、厳しい財政を更に圧迫するということから、七、八年後に要注意であるというような発表をされているわけですけれども、小黒先生、これについてどのように評価しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) まず、日本銀行が何を考えているかなんですけれども、以前私は、日本銀行というのはとにかく無責任な主体だからというふうに思っていたんですが、実はそうじゃなくて、間違った理論に基づいて間違ったことを一生懸命やっているということが大体最近いろいろ日銀からの発言、報告書を読んでいると分かってまいりました。 それはどういうことかというと、白川総裁がしょっちゅう言っているんですが、日本では要するに、まあ日本とは言っていませんが、中央銀行が、先ほど言ったマネタリーベース、これをどんなに供給しても物価を引き上げることはできないと。銀行が流動性不足に陥っている場合にはマネタリーベースを供給することによってある程度安定することはできるけれども、銀行が流動性不足に陥っていないときに幾らお金を出しても、日本銀行が、物価を上げることはできないんだという理論ですね。 じゃ、なぜデフレになっているかは、白川総裁や日銀にいる人が言うと、生産性向上期待がないからだと、将来に期待がないから需要が出てこない、だからデフレになるんだということで、そのために、生産性向上させるために、日銀がここが成長産業だと思うところに融資を始めるということをして始めました。これ、政策金融にいよいよ出たということですね。実は、日本銀行に政策金融でどこに成長産業があるかなんていう目利きはできないんですから、日本銀行がそんなことする必要は実はない。 日本銀行がどんなにマネタリーベースを増やしても物価が上がらないかというのは、実証的な根拠を欠いています。先ほど小黒さんは非常にインフレ率を上げるのは難しいとおっしゃったけれども、そんなことありません。マネタリーベースと予想インフレ率の間には、アメリカでは大体〇・九の相関関係、日本では〇・八まであります。はっきりと、マネタリーベースが大体六か月ぐらいずっと増えてくると必ず予想インフレ率が上がるというきれいな関係がもう何十年も続いています。 これは、先ほど言いました量的緩和の時代でもそうだったんですよ。そういうデータを皆さん見ないで議論しています。見ないで、いや、マネタリーベースが増えても予想インフレ率は上がらないんじゃないか、だからデフレ脱却できないんだと言う。これはアメリカでも日本でもイギリスでも全部データから実証できます。それは、なぜそうなってくるかというのは、やはり日本銀行、中央銀行がそれだけの供給をして、ずっと続けてインフレを二、三%にしますと言うと、市場が将来どこかで貨幣がどんどん増えてきてやはりインフレになるんだなという予想になるんだと思います。 ここで注意しなきゃいけないのは、日本銀行は、量的緩和の時代もそうです、どんどんマネーを出したんですね、銀行に。だけれども、銀行はマネーを中央銀行、日本銀行に預けたまま貸出ししなかったじゃないか、だから貨幣が増えなかった、貨幣が増えないからデフレ脱却できなくなったじゃないか、これが日本銀行の言っていることであり、ほとんどの人がそう信じていることです。ほとんどの人が、中央銀行というのがどんどん銀行に貸しても、銀行が貸し出さない、そのお金を、であればデフレ脱却できないんじゃないかというのがもうしみ渡っています。これです。 しかし、これは事実と反します。どういうことかというと、マネタリーベースが増えていって銀行にお金がたまってきて、それでいいんです、それでも予想インフレ率は上がっていくんですね、市場では。国債市場とかそういうところでそういうのは現れます。そうしますと、予想インフレ率が上がってくるとまず株価が上がります。収益が増える、企業収益が増えると、インフレでそれだけ売上げが増えて収益も増えると予想して株価が上がってまいります。株価が上がってくると資産効果で消費が増えてくる、バランスシートは企業も良くなるので設備投資に積極的になる、あるいは増資もしやすくなる、そういうことが起こってきます。 そして、予想インフレ率が上がってくると何が起こってくるかというと、もう一つは円安になります。つまり、日本の通貨というのが、持っているだけで今はデフレだと価値が上がってきますね、購買力は。それが、購買力がこれから下がるとインフレが予想されると。そうすると、円の魅力が下がって円安になります。そして輸出が増える。これは過去のデータから言っているんですよ。いいですか。データがきちっとそれは証明しています。そういう効果が出てくる。そのために輸出が伸びる、輸入は減る。輸入が減るということは、逆に国内の輸入代替産業、例えば観光、一番簡単なのは観光です、観光がみんな今までグアムやサイパンだと言っていた人が沖縄に行くということですね、逆に、円安になってくれば。そういうようにして内需も外需も拡大していく。 そのときにお金が要るじゃないかと皆さん思いますね、活発にするんですから。だから、銀行の貸出しが必要であると思うでしょう。必要ないんです。デフレになると、企業部門までが金余りなんですよ、今も。いいですか。日本では資金余剰主体というのはまれです。企業が資金余剰主体で金余りになるというのはまれな国です、日本は。これがもう何十年も続いているんですよ。これはデフレのためです。デフレのために先ほど言った設備投資が減価償却費にも満たないような状況になってくるんですね。そのために金余りなんです。その金が、株を買う、円預金をやめて外貨預金を買う、だから円安になると。そういうふうにして、そして株価が上がり、さっき言ったバランスシートも良くなる、増資や設備投資が起こる、消費が増えると、こういうふうになってきます。 過去のデフレの脱却、昭和恐慌からのときも、アメリカのときも、それから小泉内閣もそうですよ、のときの需要が拡大したのは、あれは外需を拡大するんですが、そのときも最初の三年間ぐらいは貸出しは増えないんですよ。ですから、貨幣は増えないまま、経済はデフレから脱却へ向けて成長を始めるんです。ここがポイントです。それはなぜかというと、金余りでみんなは現金だとか預金とかそういうのを持っていた、あるいは流動性の高い資産を持っていた。それを、これからインフレになるというふうになると、それを売って貨幣に変えて資金調達するんですね。つまり、これを貨幣の流通速度が速まるといいます。 今はどうしてるかというと、みんな貨幣をただ持ってるだけで、物を買わない、株も買わない、ドル預金にもしないという状況なんです。それが、予想インフレ率が上がると、今はお金持ってるのを取引に使うようになるんですね。今は資産として貨幣が非常に重要だから、みんな貨幣で持っているんです。皆さんも預金を随分持ってると思うんですけどね、そのまんま。外貨預金なんかしませんでしょう。しかし、日本の予想インフレ率が二%に上がってきた、これは円が目減りしてくる、だからドルを買おう、豪ドルを買おう、ユーロを買おうと、こういうふうになってきます。 そのようにして貨幣の流通速度が上がってくるんで、銀行の貸出しは増えなくていいんです。銀行の貸出しが増えるのは、貨幣の流通速度、みんなが使い始めてもまだ足りないと、資金が、それほど経済が成長してきた、そのときに銀行に貸してくださいと企業が頼みに行きます。過去の例ですと、小泉内閣もそうですが、大体三年、経済がデフレ脱却へ向けての始動が起こってから三年ぐらいですね、銀行の貸出しがやっと増え始めるのは。それまでは減るんです。 ですから、こういうふうにもう誤解だらけなんですよ、この問題は。日銀が貸しても貨幣が銀行が貸出ししないから駄目だとか、もうそんなことばっかり言っている。しかし、データを見てください。私に反対する人、全部データを見てないですね。ただ観念的に、あるいは学術論文の中で言ってるだけで、データを見て反論した人に会ったことがないんで、データを見て反論してほしいというふうに思います。
○委員長(福岡資麿君) 参考人の方々にお願い申し上げます。 限られた時間の中でなるべくたくさんやり取りをしたいものですから、一回の御発言はなるべく端的におまとめいただきますようお願い申し上げます。
○参考人(小黒一正君) 松村先生の御質問ですけれども、先ほどの文章は自民党のXデープロジェクトの中の文章なのかなというふうに推察するんですが、二〇二〇年ぐらいに難しくなるかもしれないというふうな今の。 岩田先生が今いろいろ日銀がマネーを刷るという話がありましたけれども、多分マネーを刷るとちょっとまた話が変わってくるわけですけれども、そうではなくて、要するにマネーを刷れば何が起こるかというと、ちょっとそこから先は岩田先生と多分議論があると思いますけれども、銀行にお金が滞留する、滞留したら、企業が貸出しを余り受けなければ、余っててもしようがないので国債を買うという話になりますから、キャパシティーがちょっと増えるという話になると。その場合には少しちょっと国債を発行できるボリュームが増えるかもしれないという話がありますけれども、最終的にはどういう形になるか分かりませんけれども、インフレが上がってきたりとかいろんな形になると財政規律を締めなきゃいけないし、そうでなければいろんな形で難しくなるという形があってですね。 そうじゃない、今の現状の自然なままの状態でどうかというと、基本的には、ざっくり言えば家計の金融資産みたいなもののボリュームの変化、一千百兆円ぐらいの話があって、あとそれと、今の国債が増えてくるボリュームがありますと。それとの関係でいうと、二〇二〇年ぐらいにやっぱり国内の消化が難しくなるかもしれませんよねという話が一つあると、それはすごく大ざっぱな話なんですけれども。あと、先ほど御紹介しましたように、銀行部門のセクターの吸収のできる、預貸ギャップですか、それの推移を見ても二〇一七年ぐらいとか、少しちょっと余裕を見ても二〇二〇年ぐらいに難しくなりそうだなと。 ただ、じゃそこで破綻するかどうかというと、そこもいろいろ議論があるはずでして、国内で消化が難しくなったとしましても海外に引き受けていただければそうではないという話になる、あるいは、海外から銀行部門とかいろんな企業体が引っ張ってきたお金をベースにして国内で消化するというやり方もあるという話になります。 ただ、ちょっと幾つか気を付けていただきたいのは、要するに日本政府自体は、国内で持っている国債に対しては、まあヘアカットとはちょっと極論ですけれども、デフォルトとかそういうことをすると自分が傷みますのでやりませんけれども、海外の人から見れば、当然、外から借りているお金ですから、日本政府は平気でデフォルトするようなインセンティブがあるわけですね。そうすると、ちょっと高めな金利を要求してくる可能性があるということになります。そうすると国債の金利も少しずつじわじわ上がっていく可能性も当然あるでしょうし、あと現実的な話を言えば、先ほどの、今は金利一・四%ぐらいで推移していますけれども、それが長期的にどんどん上がっていくと利払い費もすごい勢いで増えていきますので、その辺との関係で、今欧州とかでいろいろ空売りとかしていますけれども、そういった主体も当然入ってくると市場でどういう反応が出てくるか分からないというところが現実的なものとしてあるのではないかと。そうしますと、岩田先生が言われているような、物価の部分は極めて重要なので、そこは中央銀行にちゃんとやっていただく必要はあると思うんですけれども、それと同時に、当然、財政の方もきちんとやっていかなければいけないということになります。 これは私の持論なんですけれども、今のまま単に量的緩和をすると、企業がお金を借りない。借りていけば、また国債を発行する余力が銀行部門が少なくなっていくというか、要するに企業にお金が流れていくので、これ以上国債要りませんよと銀行が言うと。そうすると、市場の規律が働いて財政再建のようなものが、政府に対して規律が働くというメカニズムになりますけれども、そこは非常に微妙なバランスというか、要するに政府と与党でやっているいろんな財政再建プランみたいなもの等が、国会で議論されているものがきちんとしたものにならないと市場の信認が得にくくなると。そうすると、金利が少しじわじわ上がっていくような可能性も当然考えられますので、かなり気を付けて、両方、財政・金融政策をやっていく必要があるということになると思います。 以上でお答えになっているかちょっと分かりませんけれども。
○谷合正明君 公明党の谷合です。 今日は、岩田参考人、小黒参考人、高田参考人、本当にありがとうございます。 まず初めにですが、東日本大震災からの復旧復興についてちょっと確認させていただきたいんですが、復興財源については復興国債を発行しておりまして、その償還は復興増税で行うということになっております。一次補正、二次補正、三次補正、四次補正とやってまいりましたけれども、この間、補正予算の、一次補正、二次補正でいうと六・七兆円あるわけですけれども、執行率というのは非常に極めて低調であるというのは報道にも指摘されているところでございます。このままいくと、事業執行が遅れている状況で復興、景気回復のタイミングがずれ込んで、増税のタイミングと時期が重なってしまうのではないかという懸念も生じているわけでありますが、この点について、まず簡単に岩田参考人と小黒参考人の見解をお伺いしたいと思います。 次に、小黒参考人にですが、ふだんから世代間格差等勉強会もさせていただいて、この場を借りて御礼を申し上げたいと思っておりますが。 国債の発行でございますが、岩田参考人は、国債というのは、将来世代の誰かが償還される国債を持っていることから、将来世代は国債償還のために税金を納めるが、他方で国債償還を受けるため、財務省などが主張する国債は将来世代の負担になるという考え方を否定されています。他方、金融広報中央委員会の調査によりますと、現在、二人以上の世帯で貯蓄を保有していないと回答している家庭の割合というのは二二%に上っておりまして、という状況です。 国債の利払い償還の恩恵を受けるのは、直接的には国債を保有している金融機関に貯金している者になると思われるわけですが、現状のような多額の国債発行が続いた場合、将来世代の時代の国の予算を考えた場合に、税収に対する国債の利払い費の割合が大きくなっていき、国家の基本的な機能の一つである所得の再分配機能が制約を受けることにならないのかなと。さらに、消費税増税とか社会保障費の削減が加わった場合にどうなるのかと。今、世代間格差と言われておりますけれども、将来の世代内の格差というのはどうなるのかと。 小黒参考人に伺いますけれども、現在の国債の大量発行が将来世代の内部における所得の再分配機能に与える影響についてどう考えているのかという点です。 最後にお伺いしますが、日本国債の保有割合、海外投資家の保有割合は低い水準にあるわけでありますが、しかしながら、少子高齢化等国内における国債吸収余力の将来的な低下を強く懸念して、安定的に国債を保有する海外投資家の割合を高めるべきであるという議論もあります。 そこで、高田参考人にお伺いしますが、海外投資家から見て、我が国の少子高齢化の進展状況であるとか現在の経済財政状況の見通しについてどの程度考慮しているのか、お聞かせいただきたい。この点については、岩田参考人にも、少子高齢化の進展に伴う国内の国債吸収余力の低下という考え方についてはどう考えているのか、お伺いしたいと思います。 ちょっと質問が多くなっているんで、端的にお答えいただければと思います。
○委員長(福岡資麿君) ありがとうございます。 質問、多岐にわたっておりますので、端的な御答弁をお願いします。
○参考人(岩田規久男君) まず、復興国債ですけれども、私は、先ほど言ったように、復興国債というのは発行したら国債を買いオペをすればいいんで、日本銀行が、そうすればデフレ脱却にも役に立って税収も上がってくるということで。復興国債、せっかく国債を出して支出を増やすのに、増税で、何というんですか、一方で燃やしておいて一方で水を掛けるような、効果を相殺するようなことはすべきじゃないし、復興のような、今度のような大災害というのは何百年に一度ですから、そういうときには課税で標準化して少しずつむしろ負担していくのがいいということです。 それからもう一つ、世代内分配の問題ですが、これは、国債を持っていて、償還を受けるというときにそれを財産として持っている人ですね、例えば預金からでもいいんですけど、それを持っている人は結局得して、そうじゃない人は、持っていない人はどうしようもないじゃないかという、世代間では負担を生じなくても世代内では生じるからということで、それは相続税の問題ですね、ですからね。要するに、今一生懸命預金をしていて、それを銀行が国債を買って持っている、それを将来世代が相続する人としない、できない人との違いですね。ですから、相続税の問題。それから、分配の問題というのは結局累進税の問題。この二つですね。ですから、それはちょっと国債発行とは別の、相続税とか累進税というのがむしろ分配の公平を決めていくということです。 それから、少子高齢化ですけれども、少子高齢化になると、だんだん成長率が伸びていくんですがということですが、基本的にはさっき言ったように名目成長率ですから、名目成長率を上げてやればそれだけ国債を吸収する力があるんですが、ただ、名目成長率がさっきのように上がっていけば、国債をどんどん償還して、国債を発行する必要はだんだんなくなります。というのは、一番最初の、本ですね、今日お話ししたデフレ、ここを脱却するんですから、このメカニズムが逆になりますからね、税収は上がってくる、国債発行は減るんですよね。 先ほど小黒さんが言ったように、それでも、インフレになっても国債発行、どんどん発行して財政規律がなくなる、それは確かにそうです。でも、税収が上がってくれば国債発行しなくて済むんですから。今までは税収がどうしても上がらないから、財政規律を一生懸命しようと思ってどうしても国債発行をしなきゃいけないというところに追い込まれていたのが逆転しますのでね。私は、税収が上がってきてもまだまだ国債をどんどん発行するという、そういうようなことは国民も許さなくなってくると思いますので、余り心配することはないというふうに思っています。
○参考人(小黒一正君) 復興増税の部分につきましては、岩田先生みたいな課税の標準化の話とかは当然出てくる話だと思いますので、理論的にはまあそうかなと思います。あとは、国債の最後どれぐらいキャパシティーがあって消化できるかというところとの関係になるのかと。 その辺の議論はちょっと細かいことはあれですので、二番目の、多分一番重要な、バロー理論といいますか、基本的には、国債を将来世代に先送り、五千万円ぐらい例えばしても、遺産がちゃんと五千万円ぐらい残っていれば相殺されて大丈夫だという議論があって、ただ、そうはいっても世代によって世代内で異質性があって、先ほど谷合議員が言われましたように、ある人はすごい相続があるけれども、ある人は少ないというような議論があると。そこで、遺産のばらつきとかがあるので相殺できないというような話があると。これは多分、財政がきちんと情報を持てばある程度相殺できる可能性がありますけれども、実際は難しいですから、その辺は難しい話になるというのがまず一点あると思います。 それから、あと、バロー理論というのはあくまでも公債の中立命題というか、どういうふうに税負担をして、どういうふうに国債発行、同じ歳出が九十二兆円あったときに、それを全部国債でファイナンスするのと、全部税でファイナンスするのと、あと、一部、半分ずつぐらい国債と税でファイナンスしても、実は何も変わらないという理論なんですけれども、ただ、それとはまた別の問題として、先ほど御説明させていただいたのは、財政が中長期的に持続可能であるかどうかという議論も当然あります。その議論は、基本的には中立命題が成り立つかどうかとは実は全然別の議論でして、中立命題はそもそも、バロー理論と言いますが、バロー理論は財政が持続可能であることを前提にしているんですね。 一番ちょっと分かりやすく言いますと、例えば今、国債の債務残高がありますと。で、例えば企業の株価を見ていただきたいんですけれども、企業の株価は理論的にどう決まるかというと、将来のそのフリーキャッシュフローというか入ってくる利益の流列ですね、これの現在割引価値の合計が企業の今の株価よりも大きければ株価が上がりますと、そうでなければ株価が下がりますという話になるわけです。 財政の場合はどうかというと、一番厳しい、厳しいというか、緩い条件ですね、財政の持続可能性が保たれる十分条件って何かというと、今の債務残高が、税率をいろいろ操作して、一〇〇%課税したら誰も働かなくなってしまいますので難しいと思いますが、ある一定の入ってくる税収の経路と、あと、歳出をカットできる最大のものがあると。これで最大の基礎的財政収支の流列が決まるんですけれども、その流列の合計値が今の債務残高の合計値よりも大きいか小さいかと。もしそっちの方が大きいのであれば財政は維持が可能だというふうに見ますけれども、債務残高がもう大きくなってしまっていると、実は高田先生が先ほど何かいろいろ言われましたけれども、経常収支は実は余り関係なくて、もうその時点で財政は結構持続可能じゃなくなっているという話になるということです。 ただ、それとは別に、市場の期待みたいなものがあると。要するに、今持っている国債を次また売却したいとかぐるぐる回しているときに、次買ってくれるかどうかという話があって、もしそれが買ってくれなければもう難しくなると。先ほど岩田先生がインフレーションターゲティングで自己実現的期待というふうに言われましたけれども、実は財政の方でもそういう話があって、ファイナンスができるかどうかというのは、市場との対話の中での自己実現的な期待、要するに、国債を買ってくれる人がその次また市場で売買したときに、次買ってくれる人がいるかどうかというものに関係していると。それでいうと、かなり厳しくなる。 先ほどのような、何というんですか、もし財政がデフォルトしたら、歳出カットと増税、増税というか、今の税収で全部その国債をファイナンスできるかと。それが先ほど資料でお見せした税収に対して国債償還額がどれぐらいあるかというものになります。これが一番厳しいケースなんですけれども、これは日本は基本的に一を超えていますので、かなり市場がペシミスティックというか厳しくなると、その時点でデフォルトするという話になる。その間なんですね、実は。これは経済学者も誰も分からなくて、その間で動いているという話になるということです。 そういう話がありますので、まず、将来世代の負担という話は極めて重要なんですけれども、それとはまた別に、財政の持続可能性の話があると。 ちょっと将来世代の話を簡単にさせていただくと、私が配った資料の四ページのところに、岩田先生が資料で一般均衡モデルみたいな話をされた、これもちょっと学術的な話なんですけれども、いわゆる経済学的にちゃんとして分析したときに将来世代に負荷があるかどうかというのは、このスライドの四ページに書いてあるような話になります。これを見れば何かちょっと分かるんですが、横軸が二〇五〇年とか二〇〇〇年とか一九五〇年と書いて、これが生年になっていまして、各世代の効用みたいな、要するにどれぐらい損得するかみたいな感じになって、上になればなるほど得をしていて、そうでなければ損をするという感じなんですけれども。 これ見ていただければ分かりますように、将来世代になればなるほど、要するに国債をファイナンスすると、岩田先生の論文というかお配りした資料の中には書いてあるんですけれども、資本蓄積とかの関係が実は経済学的に重要でして、それはちょっとこの場では多分説明できないんですけれども、それとの関係で実は負荷が掛かって将来世代は損をする可能性があるというものになっております。それが実は将来世代の負担になって、経済学的には望ましくないという形になるという、ちょっと個別に先生方に御説明すればできると思うんですけれども、多分この場ではちょっと準備不足で説明できませんが、そういう話になると。 あとは、谷合先生が言われたように、世代内で損得みたいなのが出てきて、その遺産のゆがみとかがあるのでバロー理論が実は成り立っていないので、何というんですか、成り立つ条件ってすごい難しくてほとんど成り立たないので、実は将来世代に負荷として残るというふうな話になります。
○参考人(高田創君) 先ほど、先生のお話の中で海外の保有比率の議論が御指摘いただきましたけれども、今のような状況の中で経常収支等が黒字であれば、別に無理をして海外を比率を高める必要もないわけでありますけれども、今後、日本の貯蓄が減ってくるということになってまいりますと、海外の依存が結果的に高まってくる可能性もございます。 例えばギリシャなんかの場合は、もう海外がほとんどのケースという形になってしまいますので、そういう中で対応ということになってまいりますと、そういう局面になってから対応しようと思ってもなかなか難しいわけでありますから、ある面でいえば、この市場の育成という、若しくはその市場で日本国債というものをある程度売買してもらうという観点からしますと、それなりに事前の準備として海外の保有手に国債というものを説明をしておく必要がそれなりに私はあると思います。そういう意味では、既に財務省辺りもそういう海外投資家向けのIRということをやっているというのは、一つ私は意義があることなんではないかというふうに思っております。 そういう観点から申し上げますと、この市場というような観点の育成といいましょうか、そういうためにも、また一方で、日本の国内に偏ってまいりますと、一方方向で局面によっては非常に動いてしまうということになりますので、ある面でそれと違った行動パターンを取るというような投資家層というものも局面によっては重要だということもございます。 先ほど、先生方の中から、日本の例えば銀行辺りが保有が比率が高いという議論がございましたけれども、それとはまた違った行動パターンを取る投資家層という観点からいいますと、多様な者がいるほど市場は安定化ということにはなりますので、そういう観点から、海外と申しましょうか、違ったパターンを取る投資家層の育成というような部分は私は必要なんではないかと思っておりますので、逆に今はまだ安定しておりますけれども、その安定をしているうちから先をにらんだ投資家層というようなものの開拓をしておく必要は私はあるんではないかなと思っております。 以上でございます。
○寺田典城君 どうも、寺田でございます。みんなの党の寺田でございます。 岩田先生と小黒先生と、関連あればそれから高田先生にもお聞きしたいんですが。 岩田先生は、この分かりやすいあれを見させていただいて、最終的に行き着くのは、GDPが増えれば、それこそ分子としての国債残高は少なくなる、比率で少なくなるということなんですが。私思いますには、全くそういう時代はもう過ぎちゃったのかなって、率直にそう思います。 ということは、所得は、今の所得は一九八九年並みですね、今の現在ですね。そうすると、今から二十数年前ですよ。それが格差の付いた所得で、三百万円以下の人方が五〇%だといっていますね、所得が。それと高齢化率、二〇二〇年になると約三〇%、二九%になっちゃうと。こういう少子化の社会の中で、インフレターゲットをしなさいと言ってなるかならないかと。それこそ消費拡大の方向というか、国民というのはほとんどもうそういう点で飽和状態じゃないのかなって率直に思うんですよ。そして、このグローバルな社会の中で、消費者はそれこそ差がなければ安いものを買うというふうな消費動向なんですね。それから、土地が値段上がるのかということですね。 そういう点見て、あなたは狭く考えているだろうということなんでしょうけれども、私は基本的には、そしてこのデータにも出ているんですが、日本のピークのときは一九九〇年、バブル崩壊するまでは国債残高が百七十五兆円だったかな、二百兆円なかったです。地方を合わせて二百五十兆円ぐらいです。今は千兆円近くありますね。あの当時、金利は、私も市役所に勤めておったですから、十兆円ぐらいだったですよね、全体の。今、国債のあれで十兆円、同じぐらい。それが三倍にも四倍にもなって耐えれるのかという、そのような考えも出てくるんですよ。 ですから、全く時代が変わった中で、このインフレをターゲットにするということは果たして可能なのか。私だったら、徹底して歳出削減をすべきだと思うんです、徹底して。ということは、地方財政計画の中では、小泉改革の平成十五年辺りからほとんど増えてないんですよ。社会保障費だけなんです、地財計画では。 ただ、日本の国は、平成三年ごろですか、あの当時は六十五兆円の予算だったですが、今は九十兆円近くなっているというふうに三十兆円ぐらい増えているんですけれども、増えたのが国債費の四十五兆円になって、もう七兆円から八兆円が四十五兆円になったというだけで、国債の増え方が異常に達しているということなんですね。そういう考えからいくと、この論というのはどうも私はなかなか解せない。 ですから、国は徹底した規制緩和と地方分権と、それから地方に対しては義務付けとか枠付けとかそういうものをやめて、まず国自体が、霞が関、永田町はグローバル対応というんですか、国際戦略に打って出るというふうな形で円安方向に持っていくというふうな形が一番あれじゃないのかなと。 それから、企業は投資するのかというと、あのバブルの経験で非常に投資しません。身軽経営です。私も企業をやっておりましたから。物買ったのをやめて、あとはレンタルとかリースとかそういうもので借ります。ですから、そういうことも含めて私はこの論についてはちょっと理解できないので、三人の御意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) 世の中が様変わりしちゃったというのは、先ほど言ったようにデフレによって、二ページ目ですけれども、名目成長率を〇・一%ぐらいにしたので。要するに、今言っているのは名目ですから、名目ですから実質じゃありません。お金で価値表してそのままですけれども、それが所得が減っているので、所得が一旦減っちゃったらもうインフレを、二%ぐらい残せないかというと、そんなことはないということですね。名目ですから、先ほど言った、きちっとそのデータで示されているわけですね。量的緩和の時代から、今でもそうです、名目、マネタリーベースを増やしていくとやっぱりインフレ率が上がってきているんですね。それを十分やらないからあれなわけです。 よく人口が減ったり生産年齢人口が減るから需要がなくなってデフレになるんだと言うんですが、そんなことはないので。戦後、オーストリアとか、最近ではドイツもそうですが、いろんな国で実は人口が二十年ぐらい減っている例はたくさんあるんです、戦後でも。先進国でですよ。全部インフレになっています。生産年齢人口が減っているのは日本だけじゃないですね。そういう経験がある。 それから、発展途上国なんかなおさらそうですが、もう人口がどんどん減りながら、生産年齢人口が減りながらすごいインフレになっているというのは、全部インフレとかデフレというのは要するにお金の問題なんですね。お金がどれだけ出ているかという問題で、例えば中東なんかは、生産年齢人口がすごい減りながら四〇〇〇%のインフレになることもあるんです。要するに貨幣がどれだけ出るかという問題なんですね。 ですから、それは名目で上げることはできる。名目で上がると、さっき言ったように企業の活動も活発になるので実質の成長率も上がります。どのぐらい上がるかは技術革新とかそういうことによりますけれども、ですから、それほど心配するということはないと思います。 今、差し当たり歳出を削減すると、日本銀行がこういう状況で金融緩和十分じゃないところで歳出削減したら、もっと景気が悪くなってもっと税収が減るという泥沼に入っちゃいます、逆に。ですから、先ほど言ったように、この根本のデフレのところをやめて、この税収減では駄目だから、じゃ歳出減もして国債発行もやめるとか、こういうやり方をするのはやっぱり難しい、できないということですね、根本原因からいかないと。間からやって、今おっしゃったのは、税収減であるから国債発行だから、いや、国債発行もやめて歳出削減しなさいということですが、それは一層景気を悪くして、もう一回、名目成長を落として税収は落ちてという、そういうことになってしまうというので、なかなかそれは難しいと。 先ほど、それから、小黒さんいろいろ心配されているのは、結局、税収はそんな上げないような、将来政府が規律を失うよとかいうんで。 財政破綻というのは二つの経路があると思うんですね。一つは、デフレが日本は脱却できない、いつまでもデフレが続くと。そうすると、税収も上がりませんし、ドーマー条件という先ほどのも満たさないために、これは破綻の道なんですよ。ですから、市場が日本はデフレは脱却できないんだと思えば確かに破綻の道だと思います。それからもう一つ、デフレ脱却しても財政規律がうまくいかないで、日本はどんなことがあっても民主主義経済で、ポピュリズムで、増税というのはどんなときにもできないと、つまり、ある程度インフレになってもですね。将来ずっと、どっかで財政というのはやっぱり規律が必要になってくるときにやっぱり増税できない、今のギリシャみたいなもんだという、二つですね。 要するに、国債というのは、借りているわけですが、担保に最後になっているのは税収なんですね。税収は二つあります。課税権を国家が発揮できるかどうか、もう一つはデフレというのを脱却してそのまま自然増収ができるかどうか、この二つがポイントだということで、僕はデフレのことを言っていて、小黒さんはむしろ課税権の方を言っているんじゃないかというふうに思いました。 以上です。
○参考人(小黒一正君) 端的にお答えしますと、私の資料の三ページで、先ほどアトランタ連銀のブラウン先生とジョインズ先生の推計をお見せしたんですけれども、ちょっとこれ、ほかにも推計がございまして、実はインフレーションが要するに二%ぐらいで推移した場合に最終的な消費税率はどれぐらいかということも、これは日本経済にちゃんとキャリブレーションというか調整した形で推計したものがございます。その推計によりますと、ちょっとここには数字が出てないんですけれども、私の記憶によりますと二八%ぐらい必要だということです。 結局、要するに、インフレーションを二%ぐらいにしても、きちんと財政と社会保障のところをしないとバジェットは閉じていかないということです。 あと、岩田先生の弁に付け加えさせていただきますと、基本的にはインフレーション自体は、インフレ税という言葉があるんですけれども、まあ一種税金みたいなものになります。これはどういうことかといいますと、政府の債務残高がそれで目減りすれば、実はその分誰かが取ってきていると。経済学者は基本的には、何ですか、フリーランチはない、ただ飯はないという言葉があるんですけれども、政府が得した分を誰かが取ってきていると。それは国債を持った、資産を持っているような人たちですね。債務の人たちが得して債権者が損をするという形です。そういうことですので、なかなかやっぱり限界があるのかなということがあります。 あともう一つは、ちょっと先ほど御説明しなかったんですけれども、むしろやっぱり懸念されるのはマクロ経済との影響でして、寺田先生が先ほど強調されましたけれども、資料の九ページ目のところをちょっと見ていただきたいんですけれども、今何で債務が増えている中で、なかなか、要するにケインジアン的な発想をしますと財政出動すれば景気が良くなるんですね、ですけれども、何で良くならないかというと、実は、将来もっと増税されるかもしれない、あとは若しくは年金とかも戻ってこないかもしれないということです。 横軸に、これは四十歳の方々の貯蓄率ですね、これは基本的には総務省の家計調査から取ってきているものなんですけれども、消費支出と可処分所得との関係で残ったものが貯蓄になるということですけれども、今どういう行動をしているかということなんですが、縦軸が債務の増え方です。要するに、債務が増えれば増えるほどむしろ家計は貯蓄をしていると。これは、実はもしかすると非ケインズ的な効果を表しているのかもしれませんで、要するに、将来増税されるかもしれないとか年金が戻ってこないという形で世代間みたいな格差が広がっていると、実は若い世代ほど、まあ四十歳代もそうですけれども、貯蓄率を増やしているのだということになると。 その実際のデータは次のページのスライドにありますけれども、これ見ていただければ分かりますように、二十九歳、三十歳代、四十歳代は物の見事に貯蓄率が上がっていっていると。他方で、年金等が十分出ている六十五歳以上の世代の方々は貯蓄率が下がっているという状況になっているということです。 逆に言いますと、きちんと財政再建をして、将来のそのリスク、すごい増税がされるかもしれないというリスクを取り払ってあげれば消費が戻ってくるかもしれないということを表す図になっていると思います。
○参考人(高田創君) 先ほど寺田先生の方から時代が変わったのではないかという御発言もございまして、私もそういうふうに感じるところもございます。ただ一方で、先ほど岩田先生おっしゃったように、確かに人口が減っているところでもインフレなり拡大しているところがある点もあるわけでありますので、その辺はどのように今後対応をしていくのかといったところは、やはり知恵を使って考えていくべき論点なんではないかなと。 日本の場合、私もこの人口動態の議論は非常に重要だと思うんですが、何となくこれを示されますと、もう宿命論のように、もうどうにもならないんだというような状況にやや陥り過ぎている部分というものもやっぱり一端はあるのではないかなとも感じておりまして、その辺をどのような形で、これが金融政策だけで対応できるのかどうかというのはなかなか私も、いろんな議論はあろうかと思いますが、ただ、やや宿命論的に陥りやすい部分というものもあるのではないか。 そういう意味では、先生御指摘のように、規制の緩和でありますとかいろんなグローバルへの対応と申しましょうか、そういうようないろんな手段を取りながらと申しましょうか、ある面では国自体が投資家としてと申しましょうか、いろいろ国としてのありようを示しながら、こうした日本の閉塞感をいかに改善できるかといったところをやはり議論すべき論点もあるのではないかなというところ、なかなか決定打というわけにはいかないわけでございますけれども、あるのではないかな。 そういう意味では、経常収支というのが重要な世の中になっておりますけれども、単に貿易収支だけではなく、所得収支のところも含めたいろんな国の果実というものをどういうふうに対応できるのかというところが重要なんではないかなと、改めて先生の御指摘を伺いながら感じた次第でございます。 ありがとうございます。
○寺田典城君 どうもありがとうございました。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、斎藤嘉隆君が委員を辞任され、その補欠として江崎孝君が選任をされました。 ─────────────
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。一問一答で時間内でお聞きしたいと思います。 まず、岩田参考人にお聞きをいたします。 今の国債の問題が日本が本当に国際的に見ても危機的状況というのは、確かにGDP比で非常に危機的な状況にあると、私たちもそう思っています。そして、御指摘あったとおり、先進主要国と比べても日本の経済成長が言わば止まったような状態になってしまっていると、九二年から二〇一〇年で平均〇・一%。これは私、本当に危機的な状況で、なぜ世界の国々と比べても日本がこれだけ経済成長が止まっているのかということをちゃんと分析することが必要だと思っています。 日本銀行総裁だけに責任を帰すわけにもいかなくて、やはり九〇年代から見てみても、バブルが崩壊した後、相当銀行に対しても公的資金が投入された。それから、国際競争力ということを理由にして様々な大企業に対しては税制の優遇措置もとられるなどやってきたんだけれども、結局、経済成長に、実体経済も成長に結び付いていないという、ここはなぜなのかということを考えなきゃいけないと思うんですね。 一番抜け落ちていたのは、個人消費の問題や国民所得の底上げ、底が抜ける状態に対して歯止めが掛けられないという事態がずっと進んできていること。私たちはここにもちゃんと眼目を置いて今後の政策取っていくことが必要だと思っているんですけれども、こうした経済成長が他の国と比べても極端に止まっている、それが政策上どこに問題があったのかということで御意見いただければと思います。
○参考人(岩田規久男君) 何度も済みません、繰り返しちゃうんですけど、基本はデフレだという答えなんですけれども。 デフレのままですね。デフレというのは需要が不足しているわけで、需要が不足しているというのは、何か少子高齢化とかそういう意味じゃなくて、名目の需要が、物価込みの需要が不足している現象なんで、それは金融政策でできるんだということ。 今、実際の実力は高いところにあって、需要が不足しているというのは、潜在的な成長率までも行っていないんですね、日本は。ということはどういうことかというと、例えば端的に言えば失業率が高いとか、そういうことです。あの人たちが働けば、あるいは女性がもっと働けば、成長率は高いところにあるんです、それが行かないのは需要不足ということですね。 それで、まず潜在成長率へ持っていくためには、ある程度、一、二%ぐらいのインフレにならなきゃいけないと。何%のインフレになれば実際いいかというのがきちっと経済的にできないと先ほど小黒さんは言った。それはそのとおりなんですけれども、これは経験ですね。一九九〇年くらいから二%ぐらいのインフレを保っている国というのは全部成長率高いという、やっぱりそこで大体インフレ率がそのぐらいだと一番成長にいいんじゃないかなという、そういう経験ですね、二十年ぐらいの、これは。 そうなっていないから、失業も多い、あるいは需要が少ないので、潜在的な成長率まで行かないから正社員が少なくなって非正社員が多いと。需要が少ないんですから、企業は、そんなに需要がないんですから、売れないですから、辞めさせられる人、簡単に、あるいは賃金の低い人を雇うわけですね。そういうことが起こってくる。 もう一つ、デフレは円高にするということなんです、長期的に。七十円台の円高とか、今は八十円台まで、少し安心していますが、大体リーマン・ショック前ぐらいのときと今どのぐらい円高が過ぎるかというと、三割ぐらい円高が過ぎるということです。これは交易条件というのがもう一つあって、それで決まるんですけれども、国際競争力はそういう意味でリーマン・ショック前よりも三割落ちています。ですから、三割戻してやるためには三割ぐらいの円安にするということ。 円安じゃないから、円高に過ぎるから地方の例えば地場産業とかみんな潰れていくわけですね。で、海外にどんどん行っちゃうわけです、製造業は。海外へ行って、そこでもうけた利益というのは企業に返ってきますが、それは株式ですから、配当利子ですから、全部高所得者に行っちゃうわけですよね。ですから、所得収支が多くなって国民所得は多いんだけれども、分配上は労働者には行かないと。むしろ労働は安い海外に労働者を求めて行っちゃいますから。 日本にとっては、皆さん賃金は低いわけですよね、でも、円高なために海外との基準で見ると日本の賃金は高くなっちゃうんですよ。この賃金を安くするのは二つあります。日本の賃金をもっと安くしちゃうということです。もう一つは円安にするということです。日本の賃金は下げないで、円安にすれば日本の賃金は安くなりますので、日本の雇用が増えて、さっき言った賃金、雇用も増えます、海外に行くことないですからね。そのことによって低所得者の人の所得が上がってくるという状況が出てくるということですね。 やっぱり、だからデフレです。
○田村智子君 高田参考人にお聞きしたいと思います。 一つは税収の構造なんですけれども、今、税収を上げなければいけない、国債に頼ってばかりではいけない、税収の比率をもっと上げなきゃいけないという議論が相当されていて、しかし、そのときになぜか消費税のことばかりが言われるわけですね。しかし、日本の税収の推移って見てみますと、消費税というのはほとんど変わっていないから、税収にほとんど推移がないから、だから頼れるって論もありますけれども、やっぱり一番今の問題でいうと、法人税、所得税が相当の落ち込みを、この二十年ぐらいで見れば二分の一以上の落ち込みを法人税なんかはしているわけですから、ここをどうしていくのかということをもっと検討しなければいけないと私は思っているんです。 このまま行きますと、今のやり方で消費税を更に増税ということになりますと、日本のこの税収の構造が、相当消費税分に頼るという構造が固定化しかねない。これは果たして健全な財政の構造というふうに言えるんだろうか。私、非常に問題意識がそこ、あります。 一方で、大企業を見てみれば内部留保は着実に増え続けているわけで、これがもっと社会的に還元される、もっと国の税収にも還元されるような方向というのが見出すことはできないのか、そういう検討がすることはできないのか、この点、御意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(高田創君) 税の構造に関しましてはいろんな対応と申しましょうか選択肢があろうかと思いますので、そこの中をいかにいいやり方を模索するかということになるんじゃないかと思います。 ただ、一つ言えますのは、先ほど私、ソブリンワールドカップと申し上げたんですけれども、もう昨今、国と国との間で市場の取り合い、黒字の取り合いゲームでございます。となりますと、今、企業にしても、これ個人にしてもそうなんですけれども、企業なり個人が国を選ぶような時代にもなってきております。そうなったときに、そういう国際競争上どのような形のものが取り得るのかどうかというところをやはり一つ考えておかなければいけない論点もあるんだろうと思いますので、そういう中から、所得税にしても、場合によっては、いろんな資産の税にしても、またフローのこういう消費税にしても、いろんな動きのところを考えながら、そういう中で一番負担が少ないと申しましょうか、バイアスが少ないと申しましょうか、というものをやっぱり選択していくことがいいのではないのかなと。 その上で、いろんな局面局面によっての対応というものがあると思いますので、先生おっしゃるように、過度な消費税ばかりということも一つ問題があろうかと思いますし、また一方で、先ほど申しましたような、いろんな国際競争の中でどのようなものがあり得るのかといったようなことも同時に考えながらベストな選択肢を選ぶということになるんじゃないかと思います。
○委員長(福岡資麿君) それでは、残余の時間を利用いたしまして、自由質疑を行います。 質疑のある方は挙手をお願いいたします。 長谷川岳委員。
○長谷川岳君 自由民主党の長谷川岳です。今日はありがとうございます。 高田参考人に伺いますが、特にCDSを用いた日本の信用不安の拡大というものはもう少しきちんと認識をしていかなければならないということを痛感いたしました。 そこで、二十八ページの日本国債は暴落するかという部分なんですが、この信認三条件の中に、日本はいずれ成長軌道に戻る、TPPと書いてあります。これは、私ども一つ伺いたいのが、ASEANプラス6とアジアの市場を考えたときに、ASEANプラス6という部分の考え方とこのTPPという部分は、私はASEANプラス6ではないかと思いますが、その点について伺いたいのが一点。 それから、やはり日本の信用維持のためには、国内の内需の維持とアジア等を含めた成長市場をきちんと確保することだというふうに思いますが、今のこういった不確定要素の多いTPPの中で、国際市場の確保というのが言われる中で、内需の切り崩しという不安というのが非常に多いと思いますが、その点についてどのようにお考えかを伺いたいと思います。
○参考人(高田創君) どうもありがとうございます。 私は、ここの二十八ページの議論の中のTPPというのを書かせていただきましたけれども、これが別に決定打ということよりは、ある面で一つの論点だということだと私はあくまでも思っております。ですから、ただ一方で、やはり先ほどソブリンワールドカップと申し上げましたけれども、市場の確保は非常に重要であると思っておりますので、その一つの目標に従いましてどういう手段というものがいいのかと。先生おっしゃるように、ASEANプラス6で、やはりいろんな手段があろうかと思いますし、またそこにTPPというのも一つの議論になっているかとは思いますけれども、あくまでも一つのゴールというんでしょうか、というところに従って、いかなる手段というものがいかにその市場を広げるためにいいのであるかと。 まさに今、市場の取り合いゲームでございます。とりわけ、アジアというのは最も成長性が高いところでございますから、そこをいかに囲い込むか、若しくは市場とするかということをみんながもうウの目タカの目で見ているということになるわけでございますので、そういう面で、確かに先生おっしゃるように、それが内需とのかかわりでマイナスに出るということになるとすれば本末転倒になってしまいますわけですから、そこのところをどういう形で一番の国益になるような対応をするのかといったところを、単に、外交のところも含めていろんな議論をしっかり考えておくべきなんではないかなと、そんな意識でここのところの議論はさせていただいております。
○長谷川岳君 ありがとうございます。
○委員長(福岡資麿君) 宇都隆史君。
○宇都隆史君 ありがとうございます。自由民主党の宇都隆史です。 岩田先生に是非お聞きしたいんですけれども、私は先生御著書の「経済学的思考のすすめ」を読ませていただいて、先生の大ファンなんですけれども、先生が、先ほどデータを基に考えなきゃいけないということで、数理的な仮説、演繹法が経済学だというお考えに非常に同調しているものですから、先生が今日言われた話というのは非常によく分かりました。 その上で二点、先生にお伺いしたいのがあります。 まず一点目は、今回、国会において国家公務員の給与の削減ということを行ったんですけれども、これ、一部の論では、国家公務員六十万人を対象にした増税になるんじゃないかと。先生のこの一枚目の表に基づけば、必ずこれは名目成長率、GDPを下げることにつながってデフレを加速させるんではないかという話があります。それは果たして経済学的に正しいのかというお話が一点目。 二点目は、「デフレの正体」という本を書かれた藻谷浩介さんの本の中で、私もあれは目からうろこだったんですけれども、一つ、人口動態に着目して、世代間の資産の非流動性というのが問題であるというような話を藻谷さんは書かれていたと思うんですが、そういう観点からいくと、先生がおっしゃっている、市場にマネタリーベースを投入すればそれがそのまま需要につながって名目GDPが上がるというのとの、この藻谷さんの論の関連性というのはどういうふうにとらえたらいいのかと。 二点お聞きします。
○参考人(岩田規久男君) 国家公務員の賃金の問題ですけれども、それだけ取ってみれば、確かにおっしゃるような効果でデフレ効果というのはあるんじゃないかと思いますけれども、ただ、国家公務員の賃金というのは民間と比べて適正とか仕事に比べて適正かという問題だと思うので、その観点も大事で、私の言っているのはマクロ的な器ですので、ミクロで少しずついろんなところをやってデフレのところと、そういうような問題よりも日銀の金融政策問題で、その日銀の金融政策をきちんとした上で、国家公務員の適正な賃金というのはあると思います。それは、仕事の面でどうかというような、あるいは民間との格差でどうかという問題で議論すべきだというふうに思います。 それから、「デフレの正体」のその人口動態ですね、世代間の問題。よく言われるのは、老人がたくさん金融資産持っていて若者は持っていない、だから、相続税緩和とか、あるいは逆に贈与、生前贈与をしやすくしろとかいう、こういう動かすという議論ですね。 そういう議論もあるんですが、これは私は、実はそれはもう本当は分配の問題で、金持ちの子供がたくさん消費できればいいのかという、それは実は分配の問題をネグっていると思うんですね。それは、だから本当は税制で別個にやって、どうすべきかというのは。みんな高齢者は預金しているわけですよね。そうですね。これは眠っているわけなんです。それはデフレだと資金需要がないからです。眠っている。これを動かすということが大事で、さっき動かすと言ったのがインフレ期待なんで、予想なんで。そうすると、これは高齢者たちは少しは外貨預金にしようか、そうすると円安になるとか、少し株に買おうかというふうに動き出すということです。 ですから、今眠って塩漬けになっている高齢者の資産を、もう預金と現金でほとんど持っているわけですね、あとはまあ土地ですけれども。そういうものを活性化に使えば、別に彼らの資産を若い方に、何というんですか、贈与とかそういうのをしやすくして動かすという必要はないということで、むしろ、若い世代にそれを移しちゃうというのは、分配上、金持ちの息子だとすぐ住宅が買えるとか、私はそういう意味で余り良くない、分配政策というのの側面を考えなきゃいけないんで、良くない政策だというふうに思っています。
○委員長(福岡資麿君) 他に質疑のある方は挙手をお願いいたします。 はたともこ君。
○はたともこ君 民主党のはたともこです。今日は、大変有意義なお話ありがとうございます。 そこで、ちょっと今日は改めて三人の先生方に伺ってみたいと思っておりますのは、今、社会保障と税の一体改革の議論をしているわけなんですけれども、私は、消費税の増税の前に、まず一つ目は歳入庁を設置して税と社会保険料を一体的に徴収すること、そして二つ目といたしまして税と社会保障の共通番号制度をつくること、そして三つ目にインボイスを導入して消費税の課税のベースを広げること、教育、医療など、そうやって現在の税率のままで税収と社会保険料の収入を増やすべきだと考えております。 そこで、先生方に伺いたいわけなんですけれども、この三点について、先生方どのようにお考えになっていらっしゃるのか、是非教えてください。高橋洋一さんは、社会保険料で十兆円、共通番号で五兆円、インボイス等で三兆円、合計十八兆円増えるとおっしゃっていますが、この点、先生方はどう見ていらっしゃるのかも含めて教えていただければと思います。 よろしくお願いします。
○委員長(福岡資麿君) それでは、簡潔に御答弁いただきます。
○参考人(岩田規久男君) 今おっしゃったこと、全面的に全部賛成です。 ただ、やっぱり一番大事なのはデフレ脱却なんだけれども、その上で、やっぱりそういう公平性とか、きちっと納める人は納め、負担できる人は負担するという仕組みをつくるのには、おっしゃるとおりだというふうに思います。
○参考人(小黒一正君) 一点目が社会保険の未納の問題だと思いますし、あと、二点目が番号ですよね、それからインボイス、これはいずれも重要です。 ただ、一つ論点として挙げられるのは、例えばこういう話なんですけれども、消費税というのは、基本的には社会保険料とか比例の賃金税とほぼ同じになります。理由はどういうことかというと、遺産とか贈与がほとんどない人なんですけれども、生涯で稼いできた賃金イコール、例えば消費税率が二五%の場合ですと、一プラス〇・二五掛ける生涯消費になります。 この式は、一プラス〇・二五というのは一・二五ですけれども、それを両辺で割りますと実はこれと同じになります。生涯消費イコール一引く〇・二、〇・二というのは二〇%の比例賃金税なんですけれども、まあ保険料だと思っても構わないです、掛ける生涯賃金という形になります。 何が言いたいかといいますと、インボイスとか、あと、インボイスはまず消費税の導入に当たっていろいろ重要なんですけれども、番号制度、これもまた必要なんですけれども、それがなくても消費税というのは結局は比例賃金税になりますので、みんな、例えば二五%の消費税になれば、二〇%の保険料若しくは二〇%の比例の賃金税を払っているのと同等になります。 そういう意味で、いろいろインボイスとか番号とか入れても、そこである程度公平性で捕捉できるんですけれども、これ全部は捕捉するのはやっぱり難しいんですね。税務当局が多分全部把握するのは、いろんな取引全てに番号を付与して、それを全部データを集めて全てを解析するというのは理想的な政府をつくらない限りやっぱり難しいですので、そういう意味では、消費税というのは一つ、何というんですか、比例の賃金ないし比例の保険料という意味でかなり有効な、要するに過不足なく消費すれば皆さんから取れますので、重要な税であるということになります。それにすれば、社会保険料の未納とかもある程度防げるというか、そっち側で取ると、消費した人には必ず税金が掛かりますので、取ることができるということになります。
○参考人(高田創君) まず最初の論点は、今、未納がある社会保険の論点なんかもあると思いますので、そういう論点からしますと、例えば税のところと一体化をして徴収のところを簡素化するなり強めるといったのが一つの論点になろうかと思います。そのためには、やはり共通番号制みたいなインフラというものがないとなかなかいろんな論点が非常に難しくなっているということを考えますと、こうしたインフラのところはやはり重要なんではないかなと。 各国の状況を見ましても、こうしたものがないというのも日本にとっては非常にこれまで難しかった部分が多いと思いますので、こういう一体化を進めるに当たりまして、こうした共通番号によっての対応というのは私は非常に重要なんではないかなと思います。 それから、最後の三番目の論点の、インボイスのところの課税ベースを広げるといったところは私も非常に重要な論点だとは思いますけれども、ただ、この課税のベースを広げるといった議論は、これ、インボイスに限らずいろんな論点も、若しくは選択肢もございますので、そういう幅広い選択肢の中からどうしていくのか。そういう意味では、先ほど小黒先生おっしゃったように、消費税というのはある面での課税ベースを広げると一つの論点にはなりますので、そういったものも含めて選択をしながら考えていくという議論になるのではないかと思っております。
○委員長(福岡資麿君) 秋野公造君。
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。今日は、先生方、ありがとうございました。 高田先生に伺いたいと思います。 十六ページの資料なんですけれども、地方分権を進める上で、財源移譲を地方に進めていくのであれば、地方交付税制度のような均衡化制度が弱体化すると日本国内で破綻する地域が出てくるという解釈でよろしいでしょうか。地方交付税制度は分権とは切り離して議論をしなくてはいけないという解釈についてどのようにお考えになるか、聞かせてください。
○参考人(高田創君) どうもありがとうございます。 この十六ページの議論は、日本の地方債制度の議論をどうするかというよりは、どちらかといいますと欧州の国債と比べた場合どうかという議論でございますので、逆に言いますと、この欧州の国債の不安定さというものを比較するために日本の地方財政の制度を出したということでございますので、そこの在り方自体はまたいろんな議論があろうかと思います。 で、どちらかといいますと、欧州の場合には、こうした全く制度が不備であるといったところの重要性というんでしょうか、そこが今の欧州の問題の一番の論点になっているんだろうと思います。 ただ一方で、日本国内はまたどうするかというのは、また別の議論としていろんな先生方の議論も含めておありかとは思いますので、ここのところでは、特に我々、日本の地方債なりのところをどうするかといったところは、余り私自身は検討のあれには入れておりませんけれども、ただ一方で、一般論として申し上げますと、こういう平衡制度があるということは、逆に言いますと、日本の分権のところからやや逆の部分が出る部分もございます。ただ、その場合には、日本の地方債のところの安定度が逆に低下をするという部分にもなりますので、そこのバランスをどうするかというのはまた別途考える論点にはなろうかとは思います。
○秋野公造君 あえて伺いますが、こういった、日本でも当然のことながら財政平衡制度というものは必要であると、地方分権を進める上でも必要であるというお考えはいかがですか。同じ質問になりますが。
○参考人(高田創君) 一定部分の平衡制度というのは私は必要だと思います。そうじゃないとなかなか、何というんでしょうか、ナショナルミニマムと申しますか、維持できないということになろうかと思いますが、ただ、それが余り行き過ぎますと、そこのところのガバナンスが利かないとかという議論にもなろうと思いますので、そこのところが両極端になり過ぎないようにと。 逆に言えば、ヨーロッパの場合は全くないといったところの問題が今回は浮き出てしまったということにもなっているわけでございますし、余りにこれが行き過ぎてしまいますと、そこにまた違った意味での問題が生じ得るということもございます。ですから、そこのバランスをどう取っていくか。ただ、ヨーロッパの場合には、余りにこうした制度が不在のままに一つの通貨にしてしまったといったところの問題が後になって生じてしまい、そして、慌ててこれからどうしていこうかというような状況になって、本末転倒のような議論になりかかってしまっているのではないかなというのが今回の一番の問題提起の状況でございます。
○委員長(福岡資麿君) 他の委員の発言、ある方は手を挙げてください。 轟木委員。
○轟木利治君 民主党の轟木でございます。今日はありがとうございます。 高田先生に二点ほどお聞きしたいと思っております。 今、デフレということで非常に議論されておりますけれども、私自身は、一般大衆消費財は確かにデフレであって、資源はもうインフレになってきているという認識をしております。そういった意味で、世界的に資源、特にガソリンなんかでは特に顕著でございますけれども、そういった面でいくと、いずれはその資源の高騰の価格部分を転嫁していかないとこれはもたなくなると思っておりますが、二〇〇七年までは非常にそれがそういった方向に行きつつあったのが、リーマン・ショックでまた崩れてきたという思いがあるんですけれども、先生として、資源が非常に高騰している中での物価のバランスというのをどうお考えになっているかということを一点お聞きしたいと思っております。 それからもう一点、先生の資料で二十八ページでございますけれども、先ほども少し話題になりましたけれども、ちょっと説明があったのかどうか私も聞き逃しているかも分かりませんので再度お聞きしたいと思うんですが、先生の、上の方に書いてある、電力問題対応は国債の信認に直結するというこの表現なんですが、この具体的な意味合いを少し教えていただきたいと思います。 以上です。
○参考人(高田創君) どうもありがとうございます。 まず、デフレの議論でございますが、先生おっしゃるように、資源はインフレであるというのは私はもうおっしゃるとおりではないかなと思っております。逆に、資源価格、特に原油価格でございますけれども、上昇というのは逆にリーマン・ショックが起こって以降でございます。リーマン・ショック、起こってといいましょうか、ちょうどそのころと同じぐらいでございます、二〇〇八年に、まさに百四十七ドル、一バレルですね、といったところの大変な資源インフレといいましょうか、その後も上がったり下がったりはございますが、足下もまた高い状況になっておりますので、世界的に申しますと、インフレと言われていた状況がちょっと収まった中でも世界的に非常にマネーの拡大というところの中で、とりわけ、こういう金融資産のようになった原油でありますとか、こういうコモディティーのところにお金が向きやすい。 逆に、これまでのように賃金とかそうした生産活動にはなかなか向かいづらい部分があっても、こうした資源のところに行くというところに今の物価の問題の一つの特色があるのではないかなと思っておりまして、全般的にはやや信用収縮ですとかやや縮小になっている中でも、一部の原油に、若しくはコモディティーに行くといったところに今の特色が出ているのではないかなと思います。 そういう意味では、先生おっしゃるように、資源のところは、局所的かもしれませんけれども、非常にインフレ的な様相を示しているというのは御指摘のとおりではないかと思います。 それから、二番目の論点として、私のレジュメの二十八ページのところで電力問題は国債の信認にと申し上げておりますのは、ちょうどこの電力関係のところで申し上げますと、化石燃料を急速に輸入するような状況が余儀なくされている状況でございます。 先ほど申しましたように、今世界的に申し上げますと、経常収支といったところでの、世界的に、生き残りゲームと申しましょうか、ソブリンワールドカップと私は申し上げましたけれども、というような状況でございますので、ここのところの貿易収支が赤字になった一つの要因も、やはり化石燃料のところの急速な輸入という部分、それから先生が御指摘いただいたような資源価格の上昇という、数量とそれから価格の両因が存在しておりますので、こうしたところへどのような形でエネルギーのベストミックスを対応していくのかといったところというのは、この経常収支問題を考える上でもやはり重要な論点になってきているという点ではないかと思いますので、そこのところの対応は国債の問題にある面では直結する問題になっているというのも今の一つの論点ではないかと思う次第でございます。 どうもありがとうございます。
○委員長(福岡資麿君) 質疑のある方は挙手をお願いいたします。 山下委員。
○山下芳生君 岩田先生と小黒先生にお伺いします。 岩田先生の資料六ページで、要するに増税してもGDPが増えなければ税収は増えないんだと、逆に言うとGDPが増えれば増収になるんだと。これは九六年、消費税を三%から五%に上げる前と現在の税収を国と地方を合わせますと逆に減っているというのが事実ですので、これは非常に説得力のある私は説だと思いました。 そこで伺いたいのは、今、消費税を一〇%に上げることによって、逆に景気に非常に大きな打撃になって、税収を増やすどころか減らす危険性さえあるんじゃないかと、私はそう考えるんですが、この点について、岩田先生、小黒先生、考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(岩田規久男君) おっしゃるとおりというふうに思いますが、ただ、どのぐらいかというのをきちっと計量モデルか何かでやらなければ分からないんですが、宍戸先生という先生がやられたのではやはりかなり税収減が出るという、マクロ均衡モデルでやっているんですけれども、そういう結果が出ているので、私は、そういうどのぐらい減るとかなんとかというところまではいっていないんですが、理論的に考えてもそういうふうに思うし、過去の例からいってもそういうふうに思いますので、慌てて増税する必要はないと。まずデフレ脱却してから、どれだけ税収が増えているかをきちっと見て、それからそれでも足りるか足りないかを議論すればいいんで、やり方、順序が逆だと思いますね。増税から入るというのは、ちょうどこの真ん中辺から入るんで、根本原因をそのままにしてやっているのは望ましくないというふうに思います。
○参考人(小黒一正君) 簡潔にお答えさせていただきたいんですけれども、まず事実として、これは何か財務省が出している資料なんですけれども、名目成長率が二十四年度一%上昇した場合、税収だけではなくて、要するに国債費も増えますので、利払い費ですね、それがどうなるかということです。例えば二十四年ですと、税収は〇・五兆円増えると、ですけども、国債費は〇・六兆円増えるということで、収支はむしろマイナス一%悪化すると。それから二十五年度ですと、〇・九兆円税収が増えるんですけれども、むしろ国債費は一・四兆円増えるのでマイナス〇・五兆円収支が悪化するというような形になる。 なぜこういうことが起こるかなんですけれども、要するに半分以上借金でファイナンスしていて余りにも債務残高が大きいですので、金利が上昇したときの利払い費の効果の方が、要するに悪化する効果の方が税収が入ってきて改善する効果よりも大きいということです。 あと、もう一つ、確かに一時的に、増税した場合には、例えば一〇%に増税した場合には負のショックがあるかもしれないということは事実。ただ、気を付けていただきたいのは、まず増税があると民間の人はどういう動きをするかなんですけれども、耐久消費財が特にそうですが、なるべく早く買った方が得しますので、先に駆け込み需要が発生するんですね。その後に、もう買ってしまったのでしばらくちょっと買い控えるという意味で屈折すると、要するに消費が落ち込みます。 経済学的に考えますと、それは家計は、消費のスムージングというんですけれども、平準化ですね、要するに税率が低い間に、食料品とかは腐ってしまいますので買いだめできませんけれども、耐久消費財とかはなるべく早く買ってしまうと。それは、景気が一瞬良くなったように見えます。その後、耐久消費財が減るのでマクロ的には消費が屈折するんですけれども、でも実はそれは両方込みで考えると別に、合理的な行動でして、何も不思議な、不思議というか、経済にマイナスの影響を与えているというふうに思っちゃいけないんですね。そういうようなことを、効果を考えて計量分析されているような先生方が神戸大学とかにいらっしゃる。例えば、九七年の消費税を増税したときの効果というのは、実は金融危機の方が効果が大きくて消費税の効果は余りないというふうなことを言われていると。 あと、先ほど私が提出させていただきましたモデルなんですけれども、これは一般均衡モデルでして、資料の三ページ目ですけれども、要するに何が言いたいかというと、増税が遅れれば遅れるほど将来の消費税率が上がっていくということです。消費税率を上げないのであれば、歳出の幅、カットする幅がどんどん大きくなるということでして、これは将来世代と若い世代に過重な負担を負わせていると。これは、先ほど公明党の谷合先生から御質問のあった話で、基本的には国債の中立命題が成立していればいいんですけれども、多分成立していないと。経済学者はどれぐらい成立していないかというのをいろいろ実証分析でやっているわけですが。 そういうことですので、基本的にはなるべく早く財政再建を進める、まあ歳出をカットするのか増税するのかは政治家の先生方に決めていただくしかないんですけれども、それが遅れれば遅れるほど、その増税する幅が、若しくは歳出する幅が大きくなるということでございます。
○委員長(福岡資麿君) ほかに御質疑がある方はいらっしゃいませんか。 白先生。
○白眞勲君 民主党の白眞勲と申します。今日はお三方、本当にありがとうございます。 一点ちょっと、お三方に聞きたい部分がありまして、日本の雇用形態の変化というものが日本経済に与える影響というのは私は大きいんではないか、特にデフレという部分において。つまり、どういうことかといいますと、やはり非正規雇用、以前はもう死ぬまで同じ会社にずっと勤めていたということがなくなってきつつ、まあなくなるということはないんですけれども、そういういわゆる大学出たら、あるいは学校出たらそのままずっと安心して勤められるというものがだんだんなくなってきていることによる非正規雇用者の増大が、結果的に給料の停滞とか将来の不安とか、そういう心理に影響を及ぼして消費が低迷すると。もちろん、人口動態の変化というのも当然そこにも加味される部分だと思うんですけれども、そういう中で、もう買う人がいなきゃそれは物下がるに決まっているわけでして、そういう部分でのものが日本経済にどの程度影響を与えているんだろうかというのを加味する必要があるんではないんだろうか。 岩田先生の方からの資料の二ページ目でも、急に九四年ぐらいから停滞し始めたよというのは、そのころちょうど私は何か派遣労働とかそういったものが増えてきているような、そういう時代があるのと何かうまく、うまくということはないけれども、連動しているんではないんだろうかとか、あるいは日本化現象というのを高田先生がお出しになりましたけれども、はてはて日本化なのか日本が西欧化してきちゃったのか、そういう中で両方とも価値観が一緒になることによってこういう現象ができているのか、その辺について皆様のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(岩田規久男君) 非正社員がどんどん増えてくるという現象、これはおっしゃるとおり大体九二年の景気後退くらいからで、特にやっぱり増えるのは、消費者物価で見てもデフレになるのが九八年です。その前に九四年からGDPデフレーターではもうデフレになっていますけれども、やっぱり九八年ぐらいから急に失業率も増えるし非正社員も増えるという、これはやっぱり消費者物価で見てもデフレになるというのと同じです。 終身雇用とかそういうものは、基本的には現役世代が、現役というか若い方がもうそろそろ退職しかかった人に分配するシステムなんですね、ある意味で。生産性は落ちているけど、昔、若いころ俺は頑張って低賃金でやってきたんだというので、こう送ってくるわけですね。ちょうど社会保障と似ているところがあるんですね、年金と。それは、やっぱり名目成長率が成長して、若い世代の名目所得が上がってこないとできないシステムなんですね。ですから、どうしたって終身雇用制が崩れてきて正社員は減ってきて非正社員というふうにならざるを得ないのは、基本的にはデフレだというふうに思います。
○参考人(小黒一正君) 御質問の件ですけれども、雇用の話はかなり難しい話もございまして、また今、岩田先生がおっしゃられた話は、まさにそういうメカニズムは存在するというふうに思っております。 それから、ただ、経済成長率の話をしますと、実はちょっと違った見方ができると思うんですけれども、私のお配りした資料の八ページなんですけれども、先ほど共産党の田村先生からもお話がございましたが、実は名目ではなくて実質で見ますと、ここに書いてありますように、図表一というのはアメリカとの比較になっておりますが、九八年ぐらいの金融危機とかがかなり深刻だった時代では確かに屈折しておるんですけれども、あと、マクロのGDPで見れば確かにアメリカの方が高い状態になっていると。ただ、日本は人口減少になっておりますし、アメリカの方は移民とかがありますのでそんなに人口の心配がないという形で、経済学的には生活水準がどう変化しているかというのが本当の経済成長率でございまして、その場合には一人当たり実質GDPに変換する必要がございます。その場合、その図表二を見ていただけたら一目瞭然だと思いますけれども、九八年ぐらいとか九九年で金融危機があったときには確かに日本は屈折してございますが、それ以外の例えば二〇〇七年なんかを見ていただければ、日本はむしろアメリカより高い成長をしていたということでございます。 やはり最大の問題は、先ほど岩田先生がおっしゃられましたように、生産性に見合った賃金との関係で、どうしても今の年功序列のシステムですとなかなか、はっきり言ってしまうと若い世代が搾取されているような状態になっていて、それが若い世代に押し付けられているということになりますので、もしそこにメスを入れようとすると結局雇用の流動化みたいな話になってくるということで、ここは私の専門外ですので余り細かいことは申し上げられませんが、そういう形になっているのではないか。それは基本的には、先ほど白議員からもお話がございましたように、経済に悪影響を与えている側面が一部あるということは事実であると思います。
○参考人(高田創君) 先生の御指摘、私も非常に感じるところでございます。 雇用形態が変わってきた九〇年代後半のころというのが、ある面では日本経済にとりましても大きな節目になっていた。先ほどのデフレの議論のところもそうだろうと思いますし、世の中のいろんな意味での考え方と申しましょうか、といったところ、また、バブル崩壊後の本格的な意識が生まれたのもそのころではなかったかというふうに思います。 そういう状況の中で、確かに、非正規雇用のところの増加がそうした意識の変革に結び付いたという部分もあったかと思いますが、逆に言いますと、そうした状況の中で企業のある面でのバランスシート調整がかなり進んだ部分もございます。 ですから、こうした状況の中で、この辺の非正規雇用のところを余りに閉ざしてしまいますと、新しい新規の雇用のところになかなか結び付かなくなる部分もございますので、この辺のところをどういうふうなバランスを取っていくかというところは重要な論点もあろうかと思います。 それから、もう一つの論点といたしまして、日本の戦後のいろんな意味での社会福祉なりを考えてまいりますと、特に日本の場合、終身雇用という、別にこれ制度ではないかもしれませんが、慣習としてそういう状況にあった中で、比較的、社会福祉なんかにおきましてもこういう現役世代のところというのは企業に丸抱えの状況であったという部分が大きかったかと思います。こうした状況が、やはり右肩上がりが続かなくなってきたというところの中で、そうしたところの給付のところがどうしても頭打ちになってくると。 一方で、これまでの社会福祉等の給付といったところは、比較的そうしたものの世代はそれが前提であってもなくても構わないような制度設計になっておりましたので、高齢化のところにどうしても傾きやすいと。となりますと、そうした現役世代のところの給付がどうしても遅れてしまいがちになってくるというところ、この辺のところがやはりその後のいろんな意識のところに変革を及ぼしてしまった部分というものは結果としてはあったのではないかと。 そうなりますと、そうしたものが少なくとも十年以上続いていることを前提とした中で、どういう制度設計があり得るのかといったことも一つ考える論点になってきているのではないかと私も感じている次第でございます。
○委員長(福岡資麿君) ほかに御質疑はございませんでしょうか。 他に御発言もないようですので、本日の質疑はこの程度にとどめます。 この際、参考人の方々に一言御礼申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) それでは、参考人の方々につきましては御退席をいただいて結構です。 ─────────────
○委員長(福岡資麿君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡資麿君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福岡資麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十六分散会