憲法審査会 第4号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2012/04/25
会議録
○会長(小坂憲次君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題とし、「東日本大震災と憲法」のうち、大震災と統治機構について参考人の方々から御意見を聴取いたします。 本日は、双葉町長井戸川克隆君、東北大学大学院法学研究科教授牧原出君及び京都大学法科大学院教授大石眞君に御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ本審査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。審査会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。 これまでの経験を踏まえた忌憚のない御意見を賜り、今後の調査に生かしてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、井戸川参考人、牧原参考人、大石参考人の順にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず井戸川参考人にお願いをいたします。井戸川参考人。
○参考人(井戸川克隆君) 皆様、こんにちは。この度の原発事故の立地町の町長として本日はお招きをいただきまして、ありがとうございます。 もう既に皆様には、双葉町における原子力発電所の立地が五、六号機、そして隣の大熊町が一から四号機がございます。その中で、今回大きな事故につながったのは一から四号機であります。その事故によりまして、私どもは住むところを離れて、全国四十一都道府県に町民はお世話になっております。そんな思いから、今日、大変不慣れなものですので十分な資料を用意することはできませんでしたが、私の思いを述べさせていただきます。 三月十一日を境にしまして、大変日本という国は限度を超えた混乱期に突入したと私は思っております。事故は絶対起こらないと強調しておりましたが、実際、見事にその期待を裏切って起きてしまいました。この事故を契機として、今日までなかなか、我々は何を信じていいかということが一番困っております。これほど信じることのできない毎日を送ることは今までありませんでした。 そこで、レジュメに用意しました憲法第十三条について、今、町民は早く私に、老人は死ぬ場所を見付けてくれ、ここでは死にたくないという要望が来るのに対しまして答えを用意することができないことが非常に困っております。また、子供たちが学校から帰ってきて何かあったかいと言っても何にもないよと言う、あの作り笑顔に対して何ともはやかわいそうだなと、そんなふうに思って見ております。したがって、現在は、自分で自分のことができない、したがって自己努力の中で幸福を追求することができないことに大変困っております。 憲法二十五条におきましても、これは、自分で自分の進路を選択することができない、このもどかしさの中で困っております。 放射能を日本の国土に放出しましたけれども、我々被害者として位置付けられておりますが、加害者としての位置付けはまだされてはおりません。したがって、賠償請求にしても何にしても、誰に当たっていいのか、本当に諦めに近いような状態で町民はおります。常に、町長どうするんだ、このままでいいのかということを言われておりますが。 今、政府あるいは議員の皆様方に対して数々の要望をさせていただいておりますが、時々ちょっとおかしな言葉があるなということがあります。それは、支援をする、我々に対して支援をするという言葉について、私は納得ができないわけでございます。支援でなくて責任を果たしていただきたいなと、そんなふうに思っております。 賠償についても、なかなかこれは難しい、前例のないことでありますので、本当に今のやり方がいいのか私どもが自主的に請求するのがいいのか分かりませんが、どうも我慢の中で、示された金額に不満を抱いております。 それから、事故の検査、航空機やあるいは鉄道事故においても速やかに検査する機関がありますが、今回はありません。いずれできることを期待しております。 そこで、放射能について別紙の資料を用意しましたので、申し上げたいと思います。 この資料を作るに当たっては、電離放射線障害防止規則というものに基づいて、文部科学省が発表している放射線量を基に地図に管理区域の印を張ったものでございます。今広げてみますけれども、遠くて分からないと思いますが、発表させてください。(資料提示) これは福島県内の地図であります。福島県内の地図に、いわゆる電離則に基づいて管理区域を設定したマークを張ってみました。そうしましたら、ほとんど県土はこのマークだらけになってしまいました。多くの福島県民はこのような中で今毎日生活をしております。特に子供たちがかわいそうであります。子供たちが本当に放射能のこういう中で我慢をさせられ、生活をさせられることは、国の大事な財産がこのような扱いをされていると、私は残念でなりません。これは後ほど皆さんにお手元で見ていただきたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、その資料を回してください。
○参考人(井戸川克隆君) 改めて、皆さんには、今日、こうして発言の場をいただきましたことを重ねて御礼申し上げます。 私は、双葉町の希望をつなぐために町長になりましたが、もう少しで双葉町も財政再建を達成して明るい町になるところでございました。その境目にこの度の事故が起きてしまいました。 今度の震災事故で絶対必要だったことは、最悪の状態を想定し、早く情報を周知することでした。まず、地震、津波を予知していたこと、電源が喪失していたこと、原子炉に水がたまらなくなっていたこと、制御不能になっていたことなどが分かれば、次の状態は、少し機械的な知識があればすぐ判断できる者が外部にはいっぱいおります。しかし、情報は後出しにされてしまいました。すなわち、発生から情報隠しをして、今なお私どもには分からないことがいっぱいあります。 総理は双葉郡民を国民と思っていますかと私は聞きました。これは、情報を隠蔽され、被害が拡大したことを聞いたのであります。総理は大事な国民ですと答えましたが、私は棄民にされたと思っております。厳しい生活を続けている町民に痛ましいことが今発生しております。これ以上起きないことを毎日願っております。 統治する者、統治される者、それぞれの責任の下にこの問題が的確に解決を目指していただきたいと、そんなふうに思っております。生存権、幸福追求権、国民としてのあらゆる権利、そのようなことも我々にはあるんだということを是非ここで述べさせていただきたいと思います。 いろいろそろえました資料は後ほどお読みいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○会長(小坂憲次君) 井戸川参考人、ありがとうございました。 次に、牧原参考人にお願いいたします。牧原参考人。
○参考人(牧原出君) 東北大学の牧原でございます。 本日は、東日本大震災と統治機構ということで、私の専門は行政学という学問でありまして、また、東北大学という仙台にある大学でこの東日本大震災の問題について考えてまいったということがございます。それから、私、この時期に、公共政策大学院という、政策の調査それから提言を行う、そういう大学院で院長という管理職的なポストにおりまして、学生の安全確保や大学院の復旧という問題に取り組まざるを得なかったと、そういうことがございます。 そういう立場から今日は何か申し上げられることを申し上げたいと思うのですが、どうも簡単にやはりまとまる経験ではございませんので、幾つかの項目に沿って御説明をしたいというふうに思うわけでございます。 今回のこの東日本大震災、宮城県沖地震があるということは心のどこかに常にありましたけれども、こういった形での大災害というのはやはり考えてはいなかった。その中で、走りながら、そして見聞をしながら考えるということが被災地の大学には求められたと思います。そして、やはり大学という場ですので、若い学生と一緒に考える、そういう機会を与えられたわけであります。 その中で、先ほど申しましたが、政策を研究する大学院の院長という立場から、学生の安全確保であるとか大学院の復旧、これでよいのか、よいのだろうかと絶えず身近な問題を検証する必要があり、それと同時に、地域とそれから日本の復興というものを考えてまいりました。 この過程で、例えば私の場合ですと、仙台市の復興計画の策定に対して、その検討会議の委員として意見を申し上げる機会をいただきましたし、学術的な論説の発表であるとか、あるいは時評的なメディアへの発信というのを求められました。しかし、やはり被災状況を見極めようと思っても非常に限られた情報であったと、これは自分自身感じておりました。その限られた情報の中で最も適切と思われることは何かということを言わば模索しながら発言してまいったわけでございます。 総体として申しますと、例えば、昨日、大学院の教育の一環で岩手県と宮城県の津波の被害に遭った四つの自治体を回ってきたわけですけれども、それでもやはり思うのですが、全体像というのがどうもこれは誰も分からないのではないかということであります。 被災が地域や地区で千差万別です。そこからの復旧復興というのは、やはり人により、地域により本当に多様であると思います。それが、これからの復興の過程でこれは延々と続いていくのではないかと思います。そういった状況であるにもかかわらず、メディアが余りにも私は簡潔に全体を表現しようとし過ぎているように思います。被災地ではかくかくしかじかであるといったコメントが私はちょっと多いのではないかというふうに感じておりました。どうも、やはりつながりというものをつくる役割を余り果たしていないのではないかという気がしております。 そういった状況の中で何ができるかといえば、やはり個別の状況がその時々に変わっていくわけですけれども、それを発信し、可能な限り耳を傾けているということが必要であり、全体像がおぼろげな形でしか見えない中で、個別の状況をどうつなげて地域や国の在り方を構想するかということを考えていくという必要があるかなと思っております。 今振り返りますと、まだ余り復旧が進んでいない昨年の六月ぐらいに、復興力を還流しなければいけないのではないかということを私は書きました。それはつまり、比較的復旧が進んだ地域となかなか進まない地域との間でどうその復興の力が言わばつながって回っていくか、そういうような発想が求められるのではないかと、やや漠然としておりますが、そういうことを考えたわけですが、やはりこういうある種の回路によって、人とかあるいは物資や情報といったつながりが流れていくと、どう目詰まりを起こさないかということがこれから問われていくということは言えるのではないかと思っております。 そのような全体の私自身の考えの上で幾つかの項目に関して申しますと、まず大学で政策教育をした、政策教育に携わったという点に関して言いますと、まずその大学の復旧という問題が、これがやはり、東北大学の場合、比較的被災の深刻な地域に比べると被害は軽かったのではないかと思いますけれども、復旧を早く終えてやはりグローバルな競争に直面していかなければいけないということがあったと思います。しかし、他方で、ローカルなレベルでは非常に深刻な被災地というものがあるわけで、この間をどういうふうにつないでいくか。つまり、大学としてはグローバルな競争の中に立ちながら、あるいはグローバルな問題を考えながら、その地域の個々の問題、復旧復興の問題に対してどういう提言ができるかということを考える必要があったと思います。 それから、学生に関して言えば、非常に初動でも避難所で相互に協力したという話を聞いておりますし、被災地へのボランティア活動というのも入学後すぐに出かけた学生も多かったわけでありまして、やはりそういう非常に感性の豊かな学生と一緒に考えていくということがありました。 事実、私どもの大学院は、主に宮城県とか岩手県を対象にしておりましたけれども、被災地の自治体の復旧復興の問題を昨年から取り組み、被災地自治体への聞き取りを行い、その中で初動から復旧の最初の段階について幾つかの重要な情報を得たと思っております。 そういった活動を続けている中でやはり非常に感じましたのは、被災地における初期対応というのが、非常に遮断された情報経路をどう部分的に結び付けていくかと、それを、時々刻々に変化する被害にその中で対応していったというものであったと思うわけです。ですから、最初、ある自治体では津波が来るまでの対応はマニュアルどおりにできたと。しかし、津波が来た後は、災害対策本部が機能しなくなると、今度はもう個々の職員が現地に行って情報を収集していたという状態であったということでありました。 あるいは、電話回線がつながらないと、そういう場合に衛星携帯電話を利用するということになるわけですけれども、この衛星携帯電話をレンタルで常時自治体が持っていくというのは、小規模な自治体の場合、非常に難しいということがあり、今回は県から借り受けたりしてそれを使用したということでありました。事実、私のゼミの学生が、ある自治体の出身の学生でしたけれども、仙台にいて、御家族と連絡を取ったときにはその衛星電話で話をしたというふうな話を聞いておりましたので、やはりそういうものを使っていたのかと思います。 それから、応援の要請に関して我々がヒアリングして得た情報の中では、物的支援については国や全国知事会といった中央からの支援が実効的であったけれども、人的支援についてはむしろ個々の自治体あるいは関西広域連合のような横の連携が非常に効果的であったというようなことがありました。国の支援は非常に多くの基礎自治体から求められていたと思いますけれども、何というんでしょうか、その段階に応じてどう国がかかわるか、それから、あるいはほかの横の自治体間でどういうふうに連携するかということが違うということが分かったということも非常に興味深いことでございました。 それから、やはり自衛隊が極めて有用であったということは、これは非常に多くの私たちのヒアリング先からも確かめられました。埋葬のような、まあ業務というんでしょうか、埋葬のようなことに関して実際に自衛隊がかかわったと、しかし法整備上の手当てがない、しかしこれは非常にやってもらって有り難かった、そういう声も聞きました。やはりまだまだ危機管理の法政策については検討はする余地があるのだろうというふうに感じた次第でございます。 そして、その上で今度は私自身が例えば被災自治体の復興計画の策定にかかわった点からいいますと、仙台市でございましたけれども、深刻な被災地域と軽微な被害しか受けていない中心部とがあり、深刻な被災地域は生活再建が課題であり、軽微な被害しか受けていない地域では、言わば仙台市、さらには宮城県あるいは東北地方を先導して復興していく、そういう課題があるというふうに理解をしていたわけでございます。 復興検討会議は、委員はおおむね仙台市の在住者によって成り、大学研究者、産業界、マスコミの出身の委員で構成されており、副議長が二名おりましたけれどもその一名は女性であるといった、比較的バランスの良い構成で私は議論がされたと思います。 その結果、一つは、海岸地域の移転について、津波の浸水シミュレーションという最新の防災科学に基づいた方法を基にして地区を確定したという特徴があったと思います。二つには、五年の計画期間を取り、早期の復興を目指したということ。それから三つには、百万人の復興プロジェクトというものを掲げまして、津波防災や住宅再建だけではなくて、東部地域ですね、津波の被害のあった東部地域の土地利用、農業再生、新エネルギープロジェクトといった未来志向のプロジェクトにも取り組むというような計画になっております。 ここで感じたことが幾つかあります。 第一には、災害がグローバルな関心を持たれている中で、やはり地域社会の復興に応じて、国際社会の関心と地域社会とをつなぐという、そういう人材がもっと必要であるというように感じました。地域社会にはやはりそうした人材はまだまだ不足している、これは大学研究者の多い委員と自治体職員との間での議論を見て感じたことであります。 それから二つ目には、やはり市民協働の難しさでありました。パブリックコメントがあるわけですけれども、非常に意見は多様であります。科学的なシミュレーションだけで決めていいのかと、それだけではないにしても、そういうような意見から、早く移転を進めてほしい、あるいは移転は今はしたくないと、いろいろな声がそこにはあったわけであります。その中で、現地の市役所の職員が非常に地道な対話の努力を続けているという印象を持ちました。 それから三つ目ですけれども、その中でも、やはり千年に一度と呼ばれるこの災害にどこまで対応する必要があるのかと。非常に堅固な堤防を造り、道路や鉄道をかさ上げして多重防御するというような計画ですけれども、例えば道路や鉄道をかさ上げすると地域社会がそこで分断されるのではないかと、そういった意見が土木の専門研究者からも一つのコメントとして出ていたわけであります。とすると、やはりまだ、この間の震災に対するとらえ方というものもまだまだ冷静な見方というのは今後必要になるのかと思っております。 こういったものを見ていてやはり最後に感じておりますのは、グローバル競争の部門、それから道州単位ですね、リージョンの単位で地域を発展させていくという問題、それからさらにローカルな地域コミュニティーの単位で活力を維持する、これらをどう政策的に還流させるのかということが問われているように思います。大学のような場でグローバルな競争というのをどこかで考えながら、しかし地域の問題に対してどのようにとらえていくかと、ある種引き裂かれるような思いも時々していたわけですけれども、それを何とかとらえていきたいというふうに感じておりました。 以上でございます。
○会長(小坂憲次君) 牧原参考人、ありがとうございました。 次に、大石参考人にお願いをいたします。大石参考人。
○参考人(大石眞君) よろしくお願いいたします。 私は元々仙台におりましたので、昔の宮城県沖地震をそこで経験をいたしました。あのときも随分ひどかったことを思い出します。その後に京都の方に参りまして、今度はあの阪神・淡路大震災をすぐ近くで見聞することになりまして、京都も大変な思いをいたしました。昨年の三・一一のときは私は竹橋のある新聞社の上におりまして、相当揺れまして、お台場の方の煙も見えたわけでございます。結局、ホテルに帰れずに、竹橋の新聞社の中で論説委員二十名と一夜を共にしたという経験がございます。 そういうことで、いろいろ震災について思うことがございますけれども、私、憲法という研究者の立場から何かお話をということでありますから、言わば統治機構についての総論的課題を大震災等の経験を踏まえてということでお話を申し上げたいと思います。 お手元のレジュメというのは大変簡単なものでございますけれども、ほぼそれに沿ってまいりますが、初めにお断りをしておきますと、統治機構の総論的課題といいましても実はたくさんあるわけです。しかし、このお話を受けてから倉卒の間に、しかも私の関心に沿ってまとめたものでございますので、必ずしも網羅的になってございません。それが一つのお断りです。もう一つは、いわゆる国家緊急権あるいは安全保障というような問題もあるかと思いますが、この問題は多分別の機会に検討されるでありましょうから、ここでも取り扱ってはおりません。第三に、統治機構の問題につきましては、憲法典だけを見ていては分からないところがありまして、内閣法あるいは選挙法、あるいは典範もそうですけれども、そういう憲法附属法も全体として併せて考える必要があるんですけれども、ここではそこまでは立ち入る余裕がございませんので。 以上三点お断りした上で、レジュメに沿って、基本的な考え方、そして現行憲法への視点、最後にその検討課題ということで、大きく三点を申し上げたいと思います。 まず、基本的な考え方でございますけれども、まとめて申し上げますが、よく言われることですけれども、権力を抑制しあるいは自由を確保するというためには、権力を分散し多元化する方がそれは望ましいわけですけれども、そのためには複雑な仕組みが取られている。そうすると、緊急を要する場合には機動性を欠くということになるわけでございます。他方、権力を集中しあるいは一元化するということは、自由を危うくするというおそれはありますけれども、機動性を発揮できるという点においてはやはり優れているところがあるということは率直に認めざるを得ないと思います。 そう考えますと、政策決定と権力の行使というのは、平常時には慎重さあるいは複雑さというものに重点を置くことが望ましいと思いますけれども、やはり震災時あるいは緊急時という場合には、どうしてもやっぱり迅速性とか機動性、スピード感というのが求められるわけでございまして、そこをうまく兼ね合わせなきゃいけないということになります。 そこで、これは私なりの造語、ある人の言葉を借りて造語したわけでございますが、およそ法治性といいますか、ある規則を守るということと、それから、我々の自由、財産、生命を守る、そういう働きが必要であるという意味での国家性というものの関係を考えなくてはならないというのがⅠの三番目のところでございます。 国家というのはいろんな意味で用いられますけれども、政治権力という意味合いで用いることもありますが、我々の共同体あるいは政治社会という意味で用いられることもありますけれども、政治権力としての国家というのは、やはり政治社会としての我々の国家の存立というのを保持しなくてはならないということが目的的に意味付けられているわけですが、そういう機能をしっかりと果たすというための国家性とか権力性というのは、やはり一定の準則に従って、ルールに従って発動されるということが望ましいと。それを準則適合性というか、あるいは法治国家性の法治というふうにいうか、それを立憲制というかは別問題でございますけれども、権力を発動する、しかしそこにはルールが必要だと、ルールにのっとってやりなさいということになるわけですけれども。 他方、また準則適合性といいますか法治性というものを考えてみますと、元々の我々の政治社会というものの、あるいはそういう国家の存立が図られるということを前提とするわけでございまして、そのために必要な実効的な権力というものの行使を否定することはできないという、大きなそういう考え方を基本として、以下、日本国憲法への視点ということと、それから検討課題ということについて、憲法の立場からごく簡単にかいつまんで申し上げます。 現行憲法の特徴をどうとらえるかというのはいろいろな議論がありますけれども、広く比較憲法史、日本だけではなくてヨーロッパ等の比較憲法も含めて考えますと、やはり現行憲法の特徴というのは、議会中心主義の統治機構を理想化した第一次世界大戦後、もう少し正確に言いますと、一九二〇年代のヨーロッパの新憲法モデルというのに非常に近いわけですね。その系譜に属しておりまして、じゃ基本的にどういう中身を備えているかといいますと、先ほどの言葉、最初の基本的な考え方に沿って申し上げますと、平常時を前提とした言わば権力分散型の準則適合性を優先する統治機構ということができます。そのほかに、例えば主権在民とかあるいは平和主義というような特徴をつかまえる方もありますが、ここでは広く比較憲法史的に見るとそういうふうに考えることができる。 しかしながら、現行憲法の制定当初は占領管理下に置かれておりましたので、震災時あるいは緊急時に対する備えを欠いているわけです。その意味でナイーブな面があるということは否定することはできません。ということは、先ほど申しました政治社会としての国家を保持するのに必要な国家性とかあるいは権力性という点では、やはり不備があるということをもきちっと認識する必要があるのではないかというふうに思います。 また、政策の実現あるいは権力行使には法律による授権というものを必要としますけれども、現行憲法の下での衆議院の優越という意味での両院制は、優越といってもイギリス型の一院制までは徹底したものではございません。したがって、その意味で政策を早く立法化するという場合に障害となり得るということも併せて認識する必要があるのではないかと思います。 震災時への対応ということで見ますと、昨年、想定外ということを言ってはいけない、あるいはそういうことはやっぱりおかしいという議論がたくさんありました。そういう想定外という言い訳は許されないという前提に立つ限りは、やはり震災時を見越した機動性、迅速性、権力性というものを確保するための仕組みというのを設けることが大事でありまして、その要件あるいは効果を明記するということを考えてもいいのではないかと。 同時に、大事なことは、やはり権力が一つだけに動くというのはまずいのでありまして、効果的な統制の手段あるいは監視手段というものも同時に設けることが必要であると思います。そうすることによって、確かに平常時の準則適合性といいますか法治性というのは破られるかもしれませんけれども、そのゆえにこそ緊急時における特例準則というものをあらかじめ用意しておいて、それへの適合性を確保するための言わば特例的な抑制装置あるいは監視装置を確保していくということが大事なのではないかと思います。ドイツの憲法学者のある言葉を借りますと、憲法というものは平常時においてだけではなくて、緊急事態あるいは危機的状況においても真価を発揮すべきものであるという言葉は肝に銘ずべきことだと思います。 さて、そういうふうに簡単に述べてまいりましたが、最後に三点ほど述べますと、統治機構全般の問題、それから両院制の問題、それから特例措置の問題というふうに三点にわたりますが、現行憲法が平常時を基準として、それを前提とした言わば権力分散型の準則適合性を優先した統治機構を定めたということは、言わばそれ自体としてはそれほど不自然なことではございません。 ただ、これに加えて、災害時に備えた仕組みを用意しておくことによって、平常時を基準とした準則適合性とともに、災害時に応じた準則、言わば応急的な準則ですね、及びそれへの適合性という考え方が非常に明確になるものだというふうに思います。特に、先ほど政策の実現、権力の行使には法律による授権ということを申しましたけれども、どうしてもあらゆる場面で法律による授権あるいは関連する予算措置というものがなくてはなりませんが、そういう意味では、現在ある両院の立法上の権限関係というものを再検討するというのは非常に大事な課題ではないかと思います。 この点につきましては、法律について、御承知のような衆議院と参議院のねじれが生じた場合になかなか迅速な立法が成り立ちにくいという側面がございます。そういう面で、権限関係を一応見直すといいますか、機能を分化するということを考えていいというのは前から言っているところでございますけれども、ただ、この点については若干の留保が必要でして、権限関係というのは、やはり組織法といいますか、選挙制度の在り方と密接に関連をしておりますので、その権限関係をある程度改めるということになれば、組織法、すなわち議員選挙法というものも併せて再検討する必要があるというふうになります。ただ、私も衆議院の場合でございますけれども選挙区の画定審議会等にかかわっておりますので、ここではそういう事情もありましてその選挙制度について立ち入るということはいたしません。 さて、最後になりますが、比較憲法史の方から見た場合の特例措置の具体的な在り方について申しますと、統治機構全般について緊急時に即した準則が表に出るようなことを考えた方がいいということを申し上げましたけれども、そういう再検討のための素材として幾つか例を申し上げます。 代表的な例だけに絞りますけれども、お手元の今日の資料の三十一ページのところから、私の方で指示しましたものを用意していただいたところですが、我が国の場合もそういう例が現にありまして、明治憲法の場合には第八条で緊急命令権というのを定めておりましたし、七十条もそこに付いていると思いますが、八条、九条、それで最後に七十条もあると思いますが、緊急財政処分と言われたところでございます。こういうものを用意しておりまして、現にそれぞれ何度か使われております。 他方、外国の憲法という形で見てみますと、これは現代も含みますが、現代の各国憲法で見てみますとそれなりにいろいろなものが用意されておりまして、例えば、御承知のように、イタリアの憲法などでは、本会議で議決するというのではなくて、我々の委員会でもそうでございますように、言わば本会議の縮図となっている委員会ということであれば、そこの委員会で既にもう立法ができるというような仕組みを取り入れておりまして、早急な動きができるということでございます。そういう緊急立法手続というものが用意されておりますし、さらにドイツでも、言わば立法上の緊急状態の場合に、下院がどうしても同意しないという場合には上院が賛成すればいいのだというようなことを憲法で定めているところでございます。 さらには、先ほど申しました緊急命令権とか、あるいは予算が成立しない場合にどうするかというような問題も個別に定められておりまして、やはりいろいろな制度設計をする場合に、そうした外国の事例あるいは我が国の過去の事例をも参考にしながら、少し特例的な措置についても検討していただければ幸いでございます。 少し時間を超過しましたけれども、以上、私の話を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 大石参考人、ありがとうございました。 以上で参考人の方々からの御意見聴取は終了いたしました。 これより質疑に入ります。 本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑を希望される委員は、お手元にある氏名標を立ててお知らせください。そして、会長の指名を受けた後に発言をお願いいたします。発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。 質疑の時間が限られておりますので、一回の質疑時間は答弁及び追加質問を含め八分以内にお願いをいたします。 参考人の方々におかれましても、答弁はできる限り簡潔にお願いをいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。 佐藤正久委員。
○佐藤正久君 ありがとうございます。 井戸川町長にお伺いしたいと思います。 今回の震災は、法律的には、地震、津波に対する大規模地震対策特別措置法というものと原子力災害に対する原子力災害対策特別措置法と二つの法律が取りあえず適用されて、国あるいは県としては組織がいろいろ立ち上がってきました。 でも、実際、双葉町のような場合は被災者からすると両方、地震、津波だけではなく原発災害と、もう複合事態に、複合災害の被害者という側面もあったと思うんですね。やはり、当初の間、政府の方も二つの法律があったために組織がある程度乱立をした傾向もあって、途中で整理をしましたけれども、そういう二つの違う法律があったがゆえに組織がなかなかスムーズにいかなかったということが、法的根拠が違うために現場の方で特に被災者の関係で非常に御苦労されたこととか、こういうふうな組織であれば、国や県がですね、こういう組織であればもっと立ち上がりが良かったとかいう部分があればお聞かせ願いたいと。 さらに、今回の措置法はどちらかというと短期的なものしか考えていなくて、実は原発災害のような場合はその後の中長期的な部分まで考えないと本当は対策措置法とは言えないと思うんですけれども、その部分について非常に、今回復興庁というものはできましたけれども、なかなかそれも時間が掛かったり、権限の集中というのができていない。この当面の措置法の後の法律についての、特に統治機構の観点から何か御意見があればお願いしたいと思います。 以上です。
○参考人(井戸川克隆君) なかなか法律をゆっくり勉強しているいとまもなく毎日過ごしております。 今、佐藤議員さんから言われましたように、現場は住民対応であります。したがって、法と対比しながら行動することはかなり高度な組織が必要であります。したがいまして、簡単明瞭な動的なものが整備されると大変有り難いと思っております。 やはり住民というのは、何をどの辺から変化球を投げてくるか全く分かりません。そういう戸惑いの中で今回は行動いたしました。避難指示ということで、私は、それ以上の指示がありませんでした。したがいまして、いつ、どこで、誰が、どのようにしていいかというのは、私が勝手に決めました。 最初は川俣町に避難しました。それから、もっと広いところで住民対応しないと役場職員が参ってしまう、住民のための職員がもう徹夜して対応しても対応できないくらいいろいろな要求のために参ってしまうから大きいところが必要だということで、さいたまスーパーアリーナの方に行きましたけれども、メディアからはどうして県境を越えてきたんですかと言われました。それは、例がないからだと言いました。そういう指示もなかったということですね。それからもう一つは、やはり放射能から遠くに住民を離す必要がありました。 そんな中で、私は、法がしっかりとなかったために自由に私の判断で行動できた、自由さもございましたが、肝心なのはその後であります。災害救助法というのは、我々の原子力災害についての細目にわたって網羅されていないと思います。 そんな中で、拡大解釈の中で今日も推移をしておりますので、今、佐藤議員が言われましたように、今回の事象を反面教師として、是非、議員の皆様には、国家的な災害についての対応は首長が一番苦労するということを御理解いただきたいと思います。そのためには、特別法の中で首長が行える権限を拡大していただくのと、自由に使えるようなお金も準備していただきたい。そうすることによって住民は幸せに過ごすことが仮であってもできると思いますので、この辺を御検討いただきたいと思います。
○会長(小坂憲次君) 終わりでよろしいですか。 次に、福山委員。
○福山哲郎君 会長、ありがとうございます。 参考人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。また、井戸川町長におかれましては、震災以降、本当に御苦労をお掛けをしておりまして、発災当時、官房副長官を仰せ付かっておりました私としては、今日、町長のお話を本当に申し訳ない気持ちで承っておりました。 何をお話をしていいのか、質問していいのかも非常に難しいところでございますが、井戸川町長におかれましては、本当に、加須の地で当初千人以上の避難をされている住民の皆さんのいろんな将来不安やいろんな課題の中で、それの一番最初の、町民の皆さんの思いをぶつける最初の方として本当に御苦労いただいたと思います。もう表現しようのない御苦労がたくさんあったと思っております。 そんな中で、なかなか情報が来なかったと。当時の私の立場として申し上げても、住民を見捨てたとかほっておいたという意識は全くなかったわけですが、なかなか情報が届かなかったことについては内心じくじたる思いがあります。ああいった通信と電源が完全に喪失をしている状況の中で、地域の自治体とどのような形での連絡網をあの緊急の災害時に構築をしておけばよかったのか、今後の糧にということを先ほど井戸川町長がおっしゃられましたので、是非何か御示唆をいただければ有り難いというふうに思います。 二つ目は、私は加須にお伺いをしたときに、加須の皆さんに対する感謝の言葉を町長が何度も言われたことが非常に印象に残っておりますが、その中で、福島ナンバーの車にはガソリンを入れないというような話が起こったりとか、子供たちが将来も差別やそういった福島の人間だということで言われないかということに対して非常に心配をしているということを町長は言われておりました。もう実際その時点でそういった事象も発生をしておりました。私は、一年たった今でもそのことに対して大変懸念をしておりますし、そういったことがないように願っておりますが、そのことに対して何らかの町長の御示唆を賜れればと思います。 また、大石参考人におかれましては、緊急状態に対する立法上の措置について大変多くの御示唆をいただきました。いろいろな法律を参考にし、確認をした結果、あの震災の直後、いわゆる緊急事態ということを宣言をしなかったと。その検討をしたということは事実として申し上げますが、大石参考人の言われたことに見合う法律の枠組みが日本の法律上なかったことも事実でございます。 今日のお話は非常に参考になったんですが、このヨーロッパの例というのは災害等も含めてのお話なのか、やはり安全保障のような事態を基本的には念頭に置いてのことなのかについて御示唆を賜れればと思いますし、緊急事態の宣言をするとしたときに重要なのは、期間とその権限を拘束する範囲はどの程度なのかということを事前にある程度ルール化していなければいけませんが、これは非常に難しい立法上の問題だというふうに思っておりまして、そのことに対して大石参考人におかれましては何らかの御示唆をいただければと思います。 最後に、井戸川町長におかれましては、まだまだ厳しい状況の中で、線量が高い状況で双葉町の皆さんは御苦労されていると思いますので、私も、今は政権を離れましたが、今後もできる限りの取組をいたしますことを申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。 会長、ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) それでは、井戸川参考人、お願いします。
○参考人(井戸川克隆君) 福山前官房副長官には、官房副長官当時からいろいろと親身になって、お世話になっておりました。そんな中で、やはり例がないということで度々お願いをした経緯もございますが、何の備えもなかった。これは日本政府も東京電力も我々もそうだと思いますが、ただ一つ残念なのは、このマップを皆さんに見ていただきましたけれども、被曝をしてしまったと。私も一号炉の爆発のときにはまだ双葉町におりましたので、爆発物が空から降ってくる中におりました。そのときに、被曝の検査をお願いしたいということで何度かお願いをいたしましたが、いまだに実現をしておりません。 日本にどのぐらいあるのか、世界にどのぐらいあるのかという話もさせていただきましたけれども、福島県民は今非常に被曝検査がなおざりにされております。これは、なっているんでなくて、私ははっきり断言しますが、されております。誠に、やる気があるのかないのか分かりませんけれども、十分その気が感じられませんが、是非このことについては、当時からお願いしておりますので、今後お力添えをいただきたいと思います。 この度の事故において、やはり東京電力の顔が最近見えなくなりました。いつの間にか、政府が私どものところに来て全ての交渉をするようになってしまいました。これはやはり、立ち位置、それぞれの立場、役割分担というのは明記をそろそろしないと緊急時という話にはなりませんので、しっかりとした、これから長い長い話もありますので、明記をした責任分担を、きちっとした形での話合いをしていかなければならないのかなと、そんなふうに思っておりますので、是非この辺を整理していただくと我々の思いがそれぞれに訴えられることができるのではないかなということで、助かりますのでよろしくお願いいたします。 厳しい状況ということですが、最近、双葉町は大変、いつになったら帰れるか分からない地域ということにメディアの方で発表されました。これは当初から、私はもう避難するときから双葉は相当ひどい状況になってくるなという予測をしておりました。したがって、あの双葉町を去るときに、今すぐ戻って住みたいという気にはなりませんでした。今もそうです。なれないんです。私は、一度もうちにはまだ帰っていません。帰る気になれないんです。
○参考人(大石眞君) 特例措置、特に緊急事態の関係についての御質問でございました。 緊急事態という場合に、より厳密な意味で国家緊急事態というのを考える場合と、そうでない、大災害を含めたような言わば非常時というものはやはり区別されるべきですね。我々が固有の意味で使う国家緊急事態というのは、まさしく国の存立にかかわるという場合のことでございまして、この場合にはかなり強い措置をとるということが前提になっているわけでございまして、明治憲法でも非常大権というようなことが認められておりました。 ここで申したのは、当初お断りをしましたように、そういう厳しい意味での国家緊急権ということではなくて、むしろ大災害とか、それをドイツだと国内緊急事態というふうに言いますが、そういう場面で何かうまく対応ができないかということを考えてみたわけでございます。ですから、安全保障とか国家緊急、あるいはそういう意味での例外事態ということだけではございませんで、もう少し広い含みを持ってございます。 その上で申しますと、例えば明治憲法が定めていたような緊急命令なんというのは、明治二十四年の五月は大津事件が起きましたけれど、二十四年の秋には濃尾の大震災というのがございまして、それは今日考える以上の非常にひどい状況であったようですが、この場合に早速その緊急命令権が使われたわけですね。 ですから、必ずしも対外的な攻撃があったというだけではなくて、国内的にそういう大震災があったというときにもちゃんと対応すべきだということで、それなりの措置をとるということが行われましたので、それはそれで、ですから、必ずしもいわゆる国家緊急権の発動というわけではなくて、もう少し次元の小さな問題ということになりますね。 その場合でも、例えばドイツでは、国内的緊急事態ということで、自然災害の場合とか重大な最悪事故の場合のことも一応定められておりまして、その場合に、連邦制ですから、連邦とラントといいますか、州がどういうふうに協力をしていくかということも明文で定めているわけですよね。そういうことも我々としては非常に参考になるのではないかと。 日本ですと、地方自治のレベルですと、よく補完性ということが言われるわけですけれども、補完性の積極面と消極面があって、どうしても自治体でやれないところをやっぱりより大きな団体、国家がやるべきで、ある意味で積極的にその補完性の原理を使うというような考え方も当然できるというふうに思います。 ちょっと総論的なことで申し訳ありませんが、以上です。
○会長(小坂憲次君) 次に、中川委員。
○中川雅治君 大石参考人に御意見を伺いたいと思います。 今、大石参考人から、災害時のような緊急事態の場合には国がもっと積極的な役割を果たすべきだというようなお話がございましたし、井戸川町長からも、支援をするということではなく、責任を果たしてほしいという言葉がありまして、全くそのとおりだと思いました。この責任というのは、東京電力の責任であり、また国の責任だというふうに理解をいたします。 大災害のような緊急時に国がしっかりと責任を果たすことができるためには、その体制をつくっておかなければならないと思うんですね。今、民主党政権が進めております地域主権改革を見ておりますと、国家の機能を弱める方向に動いているわけでございます。 特に、国の出先機関改革を見ておりますと、広域連合をつくって、そこの広域連合が国の出先機関のうち好きなものを選んで移管をさせると。その場合には、丸ごと移管ということで、例えばある広域連合が国土交通省の出先機関である地方整備局を欲しい、それから経済産業局を欲しい、地方環境事務所を欲しいということになれば、そこの広域連合にはこの三つの出先機関を丸ごと、まあ言ってみれば差し上げますと。ほかの広域連合、まだできておりませんけれども、そこは例えば経済産業局だけを欲しいと言えばその経済産業局だけを移管して、あとの国の出先機関は従来どおり国の出先機関として機能させると、こういうことですね。そうなりますと、地域によって、国土交通省の出先機関が広域連合の方に移ってしまっているところと国の出先機関として機能しているところと、こう分かれてしまいます。 今回の東日本のこの大災害でやはり国土交通省の出先機関の地方整備局が大活躍して、そしていち早く国道の瓦れきを一旦処理して通行可能にしたと。これは、もう本当に極めて早い時期からそういった作業に取り組んで、見事だったというふうに言われております。しかしながら、実際にそういった出先機関改革で国のまさに手足をもぎ取っていくようなことをやって、そしていざ大災害が起こったということで国の責任を果たせと、こう言われても、私はなかなか難しいと思うんですね。 それから、補助金を召し上げて一括交付金化にする動きを広げておりますけれども、こういった言わば国の政策手段なり国の手足をどんどんもぎ取る形で国の機能を弱めて、いざ大災害が起こったときに国の責任を果たせと、こう言われても非常に難しいと思うので、今、民主党政権が進めている地域主権改革というのはそういう観点からも極めて問題が大きいというように思いますが、大石先生はいかがお考えでしょうか。
○参考人(大石眞君) なかなか微妙な立場でございまして、特定の政策について私は是非を論ずるという資格はございません。そこで、そこはまあ御勘弁を願いたいんですが。 地域主権改革のあの法律は、名前はうんと詳しいものに変わりましたけれども、要するに、平常時に、先ほども強調しましたように、平常時においてどうやって制度設計をすべきかという問題と、それはもちろん大事なことなんですが、それと同時に、何かあったときにどうするかという備えをしておかなきゃいけないので、そこについての制度設計が不備だとすれば、それは再検討していただきたいということは十分に言えると思います。 特に、言わば任意団体でそれぞれで処理しようということにはやはり無理がありまして、最低限のといいますか、インフラ整備と、あるいは最低限のナショナルミニマムといいますか、そういうものを整備するというのは、やはり大きな共同体としての国の第一義的な任務ではないかというふうに私は思いますね。 ですから、その意味で、それぞれの連合体なり任意的な加入をするところによって少し扱いが違うということになりますと、それはそれで大いに困ったことができるのではないかと。ただ、普通の制度設計はそれでいいとしても、要するに、そうでない場合にどうするかということを常に考えていただきたいということは言えるのではないかと思います。 それ以上の是非を論ずるのは、ちょっとこの場では御勘弁を願いたいと思います。
○中川雅治君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、魚住委員、お願いいたします。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎と申します。 今日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございます。 前回の憲法審査会は大震災と人権保障という形でやらせていただいたわけでございますが、憲法は、価値として人権、そしてそのための統治機構という形で制定されているわけでございますが、本来、人権、そしてまた更に深く言えば人間の安全保障という観点から、もう一度この統治機構というものを見直すべきじゃないかというふうな思いがあるところでございます。 井戸川参考人には、この一年間の思いというのを、本当に真情を吐露していただいたなと思っております。 日本の行政システムの立て方は、供給サイドといいますか、例えば農業にしても工業にしてもそういうふうにやってきて、そこで官僚が中心になって引っ張っていくという形であったわけでございますが、平成二十一年に消費者庁ができまして、消費者側から見た、発想を変えるという、そういうパラダイムを転換したというふうに当時言われたわけでございますが、同じように、やはり今回、震災ということを考えても、そういう発想で統治機構というものを考えていかなきゃいけないなとは思っております。 先ほど情報の話が町長からあったわけでございますが、確かにアメダスにしてもSPEEDIのデータにしてもきちっと公表されなかったということがございます。その中で、例えば安定沃素剤を服用させたという果断な決断、本当にすばらしいなというふうに思っておりますが、これからも本当に町民の皆さんの思いをしっかり受けて町の行政に当たっていただきたいなと思っております。特に、先ほどの質問で何が必要かということについて佐藤議員からのお話ございましたので、質問は控えさせていただきたいと思います。 牧原参考人にお尋ねしたいんでございますが、先生は広域行政も随分しっかり取り組んでおいでになると思いますが、この大震災を踏まえて、地域間協力といいますか連携といいますか、あるいは広域行政の在り方について簡潔にお話ししていただければ有り難いなというふうに思います。 それから、大石先生にお尋ねしたいんですが、さっき緊急時の法制度のお話がございました。ドイツ基本法の三十五条ですか、そのお話も言及があったと思いますけれども、先生のおっしゃっているその緊急法制というのは、憲法上規定する必要はない、現行憲法上はその部分は要するに空白になっているというふうにも考えられるわけであって、それに対応する法制をきちっとしていけば、また憲法価値から判断して許容されるというふうにも考えるわけであって、その中に先生がおっしゃった抑制あるいは監視手段というものもしっかり入り込めていけばいいのではないのかというふうに思うわけですね。 このドイツ基本法の三十五条は、やっぱりラントを越えての権限の問題ですからここに書き込んであるのかなと、決して緊急事態対処ということだけではないというふうに読めるのでございますが、この点についての言及がいただければ有り難いなと思っております。
○会長(小坂憲次君) この時点で十四名の方からの質問要求がございますので、一旦停止をさせていただきまして、登録を以上で停止させていただきまして、時間許す限りお願いをいたしたいと思います。 それでは、答弁の方をお願いいたしたいと思いますが、まず牧原参考人、お願いいたします。
○参考人(牧原出君) 地域間連携についてという御質問であったと思います。 今回の東日本大震災につきまして、全国レベルでの連携、これはやはり総務省だけではなくて全国知事会、全国市長会、全国町村会が支援のスキームをつくり、特に人的な、物的な、特に職員の派遣ということで非常に大きな役割を果たしました。 また、広域ということに関して言いますと、やはり大きいのが関西広域連合ですね。関西広域連合は、連合長が阪神・淡路大震災を被災した兵庫県の知事であったということもあったと聞いておりますけれども、非常に早い段階から独自の支援策を打ち出しておりまして、これは東北の被災自治体においても非常に強く歓迎されたところであります。ですので、こういった形での連携というのは非常に効果的であったと思います。 もちろん地区レベルでいいますと、例えば岩手県の遠野市が震災前から沿岸部への後方支援拠点構想というものを作成していて、その地理的条件を生かして、そういうスキームがあったがために非常に早い段階から、大槌町といったような非常に深刻な被害のあった沿岸自治体へ救援物資輸送などを行っていたということがあります。 全体にやはり言えるのが、こういう地域間連携で非常に重要なのは、被害ニーズ、被災地のニーズを的確に把握して連携し、支援するということでありまして、どうも見ておりますと、それが非常に効果的なのは、やはり自然災害などの被災経験のある自治体の場合に非常にそれが効果的であったというふうに思うわけであります。 ですので、東北地方の自治体も将来そういう形での連携という形で、今度は今回被害を受けた自治体の方から支援、連携というものを考えていくということがあると思いますし、そういった形での連携、つまり被災経験による連携というものがより強く広がっていくということが望ましいのではないかというふうに考えております。
○参考人(大石眞君) 実際に必ず争われるところはそこでございまして、非常時あるいは緊急時についていろいろな措置が必要だ、しかし現行法ではこれこれこれの法律があってそれなりの措置が整えられている、ですから憲法にわざわざ書くことはないのではないかという議論は、一理それはあろうかと思います。 ただ、問題は、日本国憲法の場合に、そういう例外時といいますか非常時といいますか、国家緊急事態ももちろん予想はしていないわけですけれども、そういうことを一切予定していないものですから、唯一、例えば私権を制限するにしても、言葉としてできるのは公共の福祉ということしか出てこないと。しかし、公共の福祉という言葉は、ある方針、ある特定の方向性を示す言葉ではございませんので、実は何でも入り得るわけですよね。 そういうことで、いろんな読み方ができるようなものではなくて、責任ある機関が責任ある決定を行うためには、やはりある程度の要件、効果を示して、きっちりと憲法に書くことが責任ある決定と責任ある行動の根拠になるのではないかという思いがいたします。 様々の、現在ある災害対策基本法その他の国民保護法制でもそうですけれど、いろいろな仕組みが現に設けられることはそれはそれで結構だと思いますけれど、ただその場合に、何が立法の指針になるのかということは必ずしも示されていないわけですね。いろいろな利益を考量して最終的にこういう案文になったということは、それはそうかもしれませんが、それをどうやって憲法上明確に説明できるかというと、分からない。少なくとも素人目にはどこを見ても載っていないわけですから。唯一、十二条、十三条等に出てくるような公共の福祉ということで全部読み込んでいくというのは、やはりちょっとそれは考えられない。余りにも漠然としてアメーバ的でございますから。ある種の、非常時にはこうである、災害時にはこうであるというポリシーが示されるような条項をやっぱり盛り込むということは、先ほども申しました、平常時の準則適合性を確保することと同時に、非常時の準則適合性ということをきちっと示して、それにのっとった立法をやるべきだということの方が望ましいんではないかという前提でのお話でございます。 なお、ドイツの三十五条の問題が出ましたけれども、国内的緊急事態と言われるわけですけれど、どうも調べた限りでは、それを更に細目化したような具体的な措置がとられているかというと、現在まではとられていないというふうに思いますね。付け加えます。
○会長(小坂憲次君) 次に、増子委員、お願いいたします。
○増子輝彦君 会長、ありがとうございます。 今日は、三人の参考人の皆様方に御礼を申し上げたいと思います。 私は、井戸川参考人にお伺いをしたいと思います。 私も福島県選出の議員として、この発災以来今日で四百十日になるわけでありますが、本当に、井戸川町長を始め原発事故によって避難生活を余儀なくされている方々に、改めて申し訳なく思っているわけであります。 この間、本当に様々な問題が生じて、その都度町長として苦労されてきたこと、一人一人の地域住民の幸福を願いながら、そして一日も早い帰還を努力をしながらやってこられた井戸川町長に心から感謝と敬意を表したいと思います。 私もこの間、中央陳情の窓口として、数えてみましたら三月十一日の発災以来一年間で三百七回の中央陳情の窓口をさせていただきました。当然、井戸川町長を始め双葉郡の町村長の皆さん、あるいは議長会や議員の皆さんとも何度も何度も何度も各中央省庁を一緒に歩きながら、それぞれの御要望を承ってまいった点からすれば、本当にこれから長い闘いがまだ続くんだなということと同時に、どうしたら二度とこういう事故が起きないような状況をつくることができるのか、あわせて、今避難をされている方々あるいは福島県民二百万県民がどのような形の中でこの原子力災害と立ち向かいながら本当に幸せな福島県を再びつくることができるのか、日々このことを私も考えながら活動いたしているところでございます。 私は、今回のこの事故の中で幾つかの私なりに考える問題点があったとすれば、一つには行政の在り方、国と県と市町村のこの縦割り行政がやっぱり十分機能しなかったということを非常に強く感じております。 平時でもなかなか縦割り行政についての様々な課題があるわけでありますけれども、平時の場合は、それなりに時間は掛かっても、いろいろ問題はあってもそれなりの機能が果たされてきたのかなと。しかし、こういう非常時、緊急避難時の場合にはこの縦割り行政がやっぱりうまくいかなかったということは非常に私は痛感しているところでございます。これがある意味では情報の伝達ということにも大きな弊害があったことも私は間違いない事実だと思っています。避難をする際の原発事故の災害状況について何ら知らされないままに移動を繰り返すということが、各町村長さんからもいつも不満というか、当然のことのようにこの話が出てくるわけであります。 これらの問題を含めながら、今後何をしなければいけないのかということを考えてみたとき、私は、今四つのキーワード、賠償と除染と健康と子供、この四つのキーワードの中に福島の再生というものをしっかりやっていかなければいけないんだろうと。そのときに、やはり町民の皆さんを預かる首長として井戸川町長が苦労をされながら今日まで頑張ってきた中で、幾つかの点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 情報不足の点については、依然として、今その情報について十分な情報が町長のところにあるのかどうかという点が第一点であります。 第二点。裁量権が与えられれば自分の責任で方向付けができるという話を町長がされているという中で、この原子力立地市町村について、先ほど申し上げた国と県と市町村の縦割り行政の中で、果たして原発立地の市町村がこのやはり縦割り行政を何らかの形で変えることが必要なのではないかと。これは情報にもつながりますし、様々な賠償の問題やいろんな問題がそこに入ってくるわけでありますから、この点についてどのようにお考えになっているかということを次にお聞きをさせていただきたいと思います。 三つ目には、町長は県外移動を選択をされました。これについては、放射能から町民を守りたい、あるいは雇用の場を確保するためにやはり県外に、関東圏に役場機能を置いてしっかりと方向付けをした方がいいというお考えを町長からも何度もお聞きいたしておりますが、この選択をしたことによって地域住民の皆さんとの、今意識がどういう方向でおられるのかということを第三点目にお聞きをしたいと思っております。 さらに、二度と起こしてはいけないこの原発事故、これについて、今、エネルギー政策の大きな見直しのときに再稼働という問題が実は出てきているわけであります。率直にこの災害を、被災を受けた町長さんとして再稼働問題について今どのようなお考えを持っているかということをお聞かせいただければ大変有り難いと思います。 いずれにしても、まだまだ先の見えないこの状況の中で、本当に申し訳ありません、御苦労をお掛けして、私どもも全力で一緒に寄り添いながら、町長さん始め双葉郡の皆さん、二百万県民の皆さんとしっかりと歩んでいきたいということをお伝え申し上げて、私の意見の陳述にさせていただきます。 今日は本当にありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 質問時間でほとんど答弁時間まで食い込んでおりますので、恐縮でございますが、井戸川町長さん、可能な範囲でよろしくお願いいたします。
○参考人(井戸川克隆君) ありがとうございます。地元ならではの、私の内情までよく御存じで、大変ありがとうございます。 今、前段で三百七回の要望、要請を受けたということですが、これまさに私どもは休む暇もない中で起こしている行動です。この行動がこういう緊急事態も必要でないように形を変えていただければ本当に有り難いと思います。そうすることは、やはり国の方がもっと私どもの実情をリサーチしていただくことが必要ではないだろうかと、そんなふうに思います。これが総括的に一、二、三、四についての共通の解決事項だと思います。 まず一番について、情報不足についてですが、やはり今もって新聞が先行して、これからまさに今日協議することがもう今日の新聞に出てしまうというようなことが度々あります。以前は情報が知らされない中で自己判断でやりました。この中にはリサーチを自分からしました。情報を、来ない情報を待っているんじゃなくて、情報は自分から取りに行って私は行動しております。この情報が密でないということは、やはりどこかに問題ありますので、今後の全ての災害にこれは作用しますので、まず改善すべきだと、そんなふうに思いますので。取決めだと思います。ルールを作ることがまず大事ではないだろうか。あるいはフローチャートを作ることが簡単で見やすくていいんじゃないでしょうか。法律を何でかんで必要じゃなくて、何かフローチャートを作って、次から次へとチェックシートでチェックしていくと全部が見えるような形でもよろしいかと思います。 二番目について、この国と県と市町村の間でございますが、一例を申し上げますと、今、災害救助法の下に、我々の住民が全国に散らばっている住宅費の精算を、受け払いを福島県の住宅課の、土木部の住宅係がやっております。そして、このお金を厚労省の方に請求しておりますけれども、これをなぜそれぞれの都道府県辺りが直接厚労省の方に請求できないんだろうかと、そんなふうにも思っております。 それから、国と県、県と我々の中にやはり職員が入りますと、言葉が全部ストレートには来ません。担当職員の言葉に変わって、できないという断りの言葉が来るときあります。だけれども、国に確認すると、いや、それはない、できるはずだというこのギャップがありますので、ここも交通整理が必要だと。しかし、緊急時であれば、この緊急時のやっぱりフローチャートを作って、担当省あるいは何かそういう事故対応の担当省庁からダイレクトに来るべきものと従来の手法で伝達されるものと、二通りあっていいんではないかと思います。 法は、時として、法があるからできないというふうに言われることがたまたまありますので、そんなときは法がない方がいいなと思うときがいっぱいありますので、できない、できないと断られることが非常に我々は多いわけですので、これも改善をしていただきたいと思います。 県外移動についてですが、今、騎西高校に来ている住民はもう千名を切ったぐらいになりました。千三百名から三百名以下になっております。これは、やはり窮屈です。自分のプライバシーもありません。ほとんどが共用の中で我慢して生活しております。これもまた、必要としている住民もまだおりますので、一気に閉鎖に行きません。しかし、そのいなくなった住民の大部分は加須市の近辺におりまして、福島県にほとんど戻ったんではありません。加須市の近辺にいる住民は、もう双葉町には戻らない、県内にはしばらく戻らないというふうに決めております。やはり放射能に対する不安でございます。 次に、エネルギー問題、再稼働についてですが、まあよく分からないところがありますのでこれはなかなか踏み込んだ発言はできないかと思いますが、私の個人の所見でございます。 やはり、私は常々情報は先取りするようにしておりますので、全国の立地の皆さんも情報を先取りしていただいて、何が起こったのか、今我々が何をどのようにしているのか、どうしてほしいのか、次は自分のところに起こらないのか起こるのか、この辺はやはりしっかりと立地の人たちが我々のところに来て確認をしていただく以外にないんではないだろうかと思います。 これは、今回の事故は私は地球上の事故と思っておりまして、双葉地方、福島県の事故ではありません。地球環境の問題であって、全人類の環境負荷を増やしたというふうに理解しておりますので、その辺も再稼働には十分慎重に判断をしていただきたいなと思っております。 以上です。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 井上委員、お願いいたします。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は、三人の参考人、ありがとうございます。また、井戸川町長、本当に大変な中、御苦労さまでございます。 地方自治にかかわって牧原参考人と井戸川参考人にまずお聞きいたします。 非常に災害は多様だということが言われましたし、災害には顔があるということもよく言われます。被害の状況も違えば地域の状況や文化も違うと。こういうときだからこそ、むしろ地方自治の本旨を発揮するときだと思うんですね。 被災地の状況を聞きますと、この間の市町村合併によって、非常に役場が遠くなってきめ細かな対応ができなかったということであるとか、そもそも職員であるとか施設がなくなっているというようなこともありました。そういう現状についてどうお考えか。 そして、その上で私たちは、復興について決めるのは住民、やるのは地方自治体、そして財政は国と、これが大事だと思っておるんですが、そういう国と地方自治体の役割分担について今回の事態を踏まえてどのようにお考えか、それぞれからお聞きしたいと思います。 それから、大石参考人にお聞きいたします。 いただいたこの事前の資料で戦後憲法学についていろいろ言及をされておりまして、前提となる国家論が、一方で国家性の最小化を要請しつつ、他方ではその最大化を求めるアンビバレンスを呈さざるを得ないと、こう言われております。一方では、先ほどありましたような自由権に対する制約立法の合憲性で、公共の福祉を援用することについては批判が向けられる。一方で、この平等原則を使って、これが非常に拡大適用され、生存権の規定からは、当然に各種の社会福祉・社会保障政策を拡充すべきものとして説かれるようになってきたと、こういうことが書かれております。 私は、十三条や二十五条に基づいて、単に生存権を規定するだけでなくて、国の責務を規定していたということは非常に憲法にとっては重要なことであって、それがいろいろ力になってきた、今回の災害においてもこれの考え方から様々な個人補償なども含めてつくられてきた、大変憲法の重要な特質だと思っております。実は、前回の参考人のときにも少しこのことを議論いたしまして、前回、参考人に来られた先生は、そういういろんな個人補償などの国家施策は非常に大事だけれども、しかし、この生存権や幸福追求権という形で本来個人がそういう権利を有しているかというと、国家からの給付について、そうではないんだというお答えでありました。 私は、もちろん当然法制化ということは要るんですが、むしろここから直接的に導かれる、ここに非常に憲法の良さがあると思っておるんですが、その辺はどうお考えか、お願いいたします。
○会長(小坂憲次君) それでは、牧原参考人からお願いします。
○参考人(牧原出君) 御質問の中のまず市町村合併でございます。 確かに、きめ細かい対応ができない自治体もあったかのように聞いております。ただ、一方で、今回の被害が余りにも甚大であり、かつ、特に海岸部の、リアス式海岸の地域の海岸部の自治体は、元々集落ごとにかなり、何といいますか、自立したといいますか、それぞれがそこで、その地域で生活を営んでいる中でどう連絡を取るかというのは、非常にこれ自体が難しいという問題が少なくとも初動の段階ではあったのかと。なかなか、市町村合併だけできめ細かい対応ができなかったかというと、合併していなくてもできない自治体が随分あったということをどう見るかという問題も含めて、やはり制度設計をもう一回見直す必要があるんだろうと思っております。 それから、二番目の国と地方の役割分担ですが、初動においてやはり国の役割は非常に重要であるということはこれは言えますので、ここは今、大石先生のおっしゃられたある種の平常時の緊急事態というんでしょうか、その状態の中でどうこれを入れ込むかという問題が非常に重要だと思います。 さはさりながら、現在のような復興の段階になってきますと、やはり今度は自治体の役割が非常に重要でございまして、今東北のその被災自治体で言われているのは、復興交付金であるとかあるいは復興特区の支出の決定において、その自治体内部での総合的な復旧という観点でなかなか見てもらえない、個別のメニューごとに判断される傾向が非常に多いと、ここが問題だというような声が上がっております。もちろん査定する側の論理はあると思いますけれども、特に被災していない、地域の中の被災していない地区をてこに復興を図っていくというのがやはり私は基本的な復興のスタイルだと思うんですね。ところが、被災していない地区にはなかなかそういう資金を投下しないというのが今の全体の傾向というふうに伺っておりますので、ここをどういうふうにクリアするか。総合性といってもいろいろなものがありますが、そこをきちっと見ていただいて、是非被災地の総合的な復旧復興に資するような、そういう国の対応が望まれる。そういう場合に、やはり自治体の役割というのは重要になってくるのではないかと考えております。
○参考人(井戸川克隆君) 当町は合併をしておりません。双葉郡の町村は合併はしておりません。それぞれの町村で今避難生活をしておりますが、双葉町についていえば、人口が少ないものですから、私は大変今回は助かったなと思っております。これが大都市だったらば、直接選挙で選ばれる人は小さくても大きくても一人です。ここにいろんな問題が集中した場合には対応が大変だと思います。 したがって、この問題を感じたのは、東京電力が、保安院もそうですけれども、事故は絶対起こさないということに、私も手抜かりだったなというふうに思っております。というのは、町民と行政との役割分担、これをしておく必要が、絶対必要です。 というのは、町を復旧するにしても、パワーを温存できるということと、自分が主役だという町民がいることは行政にとっては非常に助かります。当町の職員は今本当に半分は病気になっております。何人かはもう退職しております。そんな中で今頑張っておりますけれども、準備不足で、やはり一方的に町長を見る、このような形になって、私の方に背中を見せる町民は非常に少なくなりました。そんな中で、町としても行政としても、いろんな意味の負担、それから町民に対する享受、これには限界がございますので、どうしても住民にも応分の仕事を担ってもらうことが必要だと感じております。これは全国的にこういう意識を持つ必要があると思います。よろしいでしょうか。
○参考人(大石眞君) 統治機構の話ということで、余り人権の話は予定してこなかったんですが、井上先生からの御質問でございますので、一応私なりの考え方を要約して申し上げます。 私がアンビバレントな状態にあると書きましたのは、やっぱり元々自由を保障するための憲法なんだという前提がございますと、要するに権力は最小化する方が望ましいという方向の議論がずっと優勢を占めるわけですよね。したがって、当然に民事不介入というようなことにもつながるわけですね。しかし他方では、十四条なり、あるいは二十五条なりを使ってできるだけそれは最大限保障すべきだという、請求権については言わば最大化を図るということでありますから、しかし請求権を保障するためには権力が必要でしょうと。それなりの配分する権力が必要なので、そこのある種の権力性を意識しなきゃいけませんし、同時に、自由を保障するということも非常に大事なことだということで、戦後の憲法学がどっちかに傾いたからけしからぬということを申し上げているわけではないんですよね。特に、憲法二十五条というのはGHQの草案にもなく、日本側の発意であれは入った条文ですから、非常に大事なことだと思っています。 もちろん、アメリカを専門にする学者の中には、憲法はプロセスを定めるんだから実体的な権利とかなんとかはその次の話だというような論調の人もいるんですが、私は全然そうは考えないので、やはり十三条なり、あるいは二十五条なりは非常に大事なことだと思っていまして、そこの調和を図る、その調和を図るときの理屈をきちっと立てることが大事だということを申し上げているということでございます。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、西田実仁委員。
○西田実仁君 会長、ありがとうございます。 公明党の西田実仁でございます。 今日は、お三方の参考人の方、大変にありがとうございます。 まず井戸川町長にお聞きしたいと思いますが、私、地元が埼玉でございますので、旧騎西高校には何度かお邪魔させていただいて、意見交換というかいろんな御要請を町民の皆さんからもいただいておりますが、なかなかすぐにできないことも多くて申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。 その際に、だんだん日がたつにつれていろんな意見が変わってきているというふうに思いますけれども、この間お邪魔したときには、物すごい不便だし、本当申し訳ないんですけれども、エレベーターもないし、温かいみそ汁もお湯も出せないような状態がずっと続いているということで、本当に申し訳ないんですけれども、そういう中にあっても、外に出て戻ってくると非常にほっとするということを言われる町民の方が実は大変に多かったという、私も意外だったんですけれども、大変多かった。それは、やはりコミュニティーというのが、町長を始めあそこに職員の方いらして、コミュニティー自体が本当に不便で本当に安定していない環境なんですけれども、皆様方の大変な御努力で一つのコミュニティーというものができているということをある意味で教えていただいたわけであります。 今後、町ごと移っていくということについて町長さんは、裁量権を、決定権を我々に与えてもらえればという話をいろんなところでされておられますけれども、この町ごとまとまって動くことについての裁量権、県や国との協議の在り方について、御意見があれば教えていただきたいと思っております。 牧原参考人には、多様な地域間の連携というお話もされましたが、そこにおける地方議会の役割についてどのようにお考えなのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。 大石参考人におかれましては、国の責任と自治体の裁量権ということに関して、特に国と地方の協議についてどう憲法上規定すべきなのか。先ほどの緊急事態のお話もございました。そこの辺りをお聞かせいただければと思っております。 以上です。
○参考人(井戸川克隆君) ありがとうございます。町民の苦しみを何度もお聞きいただきまして、ありがとうございます。 騎西高校を必要としている町民も実在しておりますのでなかなか、先ほど憲法二十五条のお話も出ました、一気に畳んでしまうということもいかない現状であります。 今、今後の町づくりということでおただしをいただきましたけれども、私どもは原発と共生してまいりました。しかし、今後は原発と一緒になって生活することができません。新たな産業も考えていかなければならないと思っております。そこで、裁量権全てをという意味ではございません、考え方をとらえていただければという意味を含めて申し上げております。 この考え方というのは、やはり日本は今、原子力発電所を再び輸出という考えもあるようですが、一方、今東南アジアではインフラ整備を求めておりますので、そのインフラ整備に役立つようなモデルをこの双葉の仮の町でできないだろうかという考えを持っております。そこに町民を、産業として、仕事場として就かせたい。そして、求められるんであれば、東南アジアの国々の役に立つ、そういう方向でもいいんではないだろうかと。少し前向きに、内向きなことじゃなくて、これだけの被害を受けたんだから、どうせやるんだったらばもっと前向きに考えてはどうだろうかと、そんな考えもあって、私の考えを取り入れていただければという意味の裁量の拡大ということで申し上げております。 是非、元気な日本でないと子供たちが困りますので、いつまでも正社員のいない日本で、納税者のいない日本でおくわけにはいかないと考えておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○参考人(牧原出君) 地方議会の役割という御質問でございました。 初動の段階で地方議会の役割が見えないということは被災地でよく言われておりました。しかし、やはり救助、それから避難所の開設、それから物資の配分というそういうプロセスの中で、なかなか地方議会の役割が見えないのは、これはやむを得ない部分もあると思います。むしろ、復興計画策定、あるいは復興のビジョンであるとか復興計画を策定するという段階でこそ、やはり私は地方議会の役割というのは非常に重要になってくるんだと思います。やはり行政では見えない部分を議会の方で多面的に検証あるいは審議するということは必要だと思います。それがその地域間の連携という場合になると、二点ぐらいやはり役割があるのではないかと思います。 一つは、現実に連携が行われている、様々な職員の派遣とかいうような連携が行われている自治体の議会が、実際にその連携がどううまくいっているのかということをやはりその議会の方が検討していただきたいと、検討する意味があるのではないかということでございます。 それからもう一つは、今回、現在行われている様々な連携がどういうものかということを、やはり今回の被災自治体以外の、あるいは必ずしも連携していない自治体でも必要かと思います。それは、やはり今回の東日本大震災は今後起こるであろう巨大地震の一つの先行事例に既にもうなっているわけで、そこで日々多様な取組が行われていることを目で見ておく、あるいはそれを検討しておくということが全国の今の自治体の議会にやはり求められているのではないかと思います。
○参考人(大石眞君) 簡潔に申し上げます。 国と自治体との協議の場といいますか、現行制度でも一応そういうものは設けられている部分があります。さらには、現行の地方自治法で六団体の意見提出権というのもございますが、全体として憲法の目から見ると、地方自治条項というのは九十三条から九十五条まででございまして、やっぱり中身がどうもよく分からないというところがございまして、それを地方自治法その他のもので随分補って説明しているところがございます。 それは、憲法と憲法附属法の役割で一つはいいかもしれませんが、やはり常日ごろずっとそういう協議の場を設ける、あれが常設的な組織、機関ではないということもありますけれど、できるだけそういう財源の調整の問題とかを含めてもう少し整理した形で、国と地方との関係という形で憲法の上で整理をし、どこまで憲法典に書くかという問題はございますけれども、そういう大枠をあるいは基本方針をきちっと定めて、先ほど申しましたその補完性というのを積極的な面と消極的な面とを含めてうまく使い分けができるというようにすればいいんではないかと思いますが、現在では、要するに、地方自治というのは非常に大事だという、あるいは地域主権改革ということまで出てきたわけですけれど、その面だけでございましたので、いや、そうではなくて、やっぱり大きな団体がやるべき、本来やるべき事柄はあるということにももう一度立ち戻って考えていただいたらどうかというふうに思います。
○会長(小坂憲次君) 次に、福島委員、どうぞ。
○福島みずほ君 福島です。 今日は、お三方の参考人、本当に時間を割いてくださいましてありがとうございます。とりわけ井戸川参考人は、横浜アリーナでお会いし、その後も様々なところでも御意見をお聞かせいただいていることに、とりわけ感謝をいたします。ありがとうございます。 まず、大石参考人に二点お伺いをいたします。 私は、今回、憲法に非常事態の規定がないから問題が起きたということは何もなかったというふうに思っております。何も問題は起きなかったんではないか。 まず一点目は、原発震災は確かにひどい現在でも被害を与えております。しかし、こうなった根本理由は三月十一日前の原発推進策にあって、原発は安全だとやってきたためにしかるべき対応を取ってこなかった政治の責任だというふうに考えております。 班目原子力安全委員長は、東大教授であったときに、浜岡原発の一審、静岡地裁で、非常用電気ディーゼルが奪われた場合にどうなるかという弁護士の質問に対して、そんなことは考えないと、そういうことを考えていたら原発はできないと中部電力側証人として答弁をしております。つまり、原発は安全なので大丈夫なんだと、そんなことは考えないんだと言ったことが三月十一日以降の被害を拡大したんではないか。 例えば、原発のベントですが、日本は元々ベントがありませんでした。しかし、ベントはやはり付けるべきだとなりましたが、ヨーロッパ、フランスなどではベントにフィルターが付いていて、外部に出る放射性物質をできるだけ減らすようにはしている。しかし、日本は、格納容器は完璧なんだからベントは要らない、ましてや格納容器から放射性物質が出ることはあり得ないんだからフィルターなど付ける必要はない、コストが掛かるということで、日本の原発には一つもフィルターは付いておりません。 何が言いたいかというと、非常事態の宣言が憲法にないから問題が起きているのではなく、三月十一日前の政治に責任があり、また、三月十一日以降、その原発は安全だと言ったことを前提にというか、なかなか役所が頭の切替えが難しいとか、そういうところに問題があったのではないでしょうか。 二点目は、確かに二院制で国会ですぐさま迅速に法律が成立しないとお思いになることは大変理解できますが、国会でも、非常に必要な法律は、例えば委員長提案で成立し、すぐ本会議で採決するなど、両院制であるけれども、合理的で必要な立法はすぐさまというか、成立できる状況にあると。つまり、今回震災で浮かび上がった問題点は、緊急事態のことが憲法にないから問題ではなく、的確な判断や的確な立法を私たち政治が行政と、国会も含めて、的確にやらなければならないということにあるのではないかというふうに考えております。現に、十一日の夜六時に全ての党首が集められて、質問主意書を出すのは自粛、国会もしばらくはやらなくても全力で協力するということを確認をし合いました。 私は、その必要な立法を作るということを国会がやることは十分可能で、二院制だから問題があるというふうには思っておりません。そのことについていかがでしょうか。 最後に、井戸川参考人にお聞きをいたします。 被災地に行きますと、憲法二十五条、生存権と、十三条、幸福追求権の実現をこそと、被災地にこそ日本国憲法をという意見を本当にお聞きをします。井戸川町長が、双葉郡民は国民ですかとおっしゃったこともそのことにつながると思います。 それで、この被災者保護法案の日本弁護士連合会、二月十六日の意見書についての御意見を一言お願いいたします。
○会長(小坂憲次君) それでは、大石参考人からお願いいたします。
○参考人(大石眞君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、別のところでも述べたんですが、国家緊急事態のような事態では今回は全然ないんですよね。ですから、その意味での緊急事態条項を直ちに設けるべきだという議論には私は全くくみしないんです。 そこは誤解をしないでいただきたいのは、冒頭に述べましたように、本当に国家緊急事態で各種の制限を全部網掛け式にやらなきゃいけないという話では全然ないので、私の考えたことは、まさしくさっき先生がおっしゃったとおり、要するに、そういう事故が起こるはずがないという、そういう意味での想定を最初からしているわけですね。しかし、そうでない場合があるでしょうと、想定外と言っちゃいけないんだということをおっしゃるんでしたら、やっぱり何かあったときにすぐ機動的に動けるような体制を確保しておくことも重要じゃないかということを申し上げたわけです。 ですから、固有の意味での国家緊急事態とか国家緊急権を発動するような話では今回全然ないのでして、だって、中央の国会なり内閣なりの中央政府機能はちゃんと機能していたわけですから、それが迅速な決定ができなかった、あるいは遅かったという点のいろいろな各種の批判があることは承知しておりますけれど、そのこと自体は、先生のおっしゃるとおり、やっぱり切り分けて考えるべきだと思っております。 ただ、ここで大震災を機縁にしてというのは、単なる地震だけじゃなくて、従来は緊急事態というのは外から攻められたことを考える、そうではないこともいろいろ様々あり得るので、その場合に、やはりそれなりの、想定外ということを言ってはいけないという前提に立つなら、その例外的な場合も念頭に置いた仕組みというのを構築しておくことが大事ではないかと思います。 その意味で、二院制、両院制がうまく機能するならいいんですが、そうでなくて、なかなかいろいろなところで障害があるということになりますと、立法の働きについても少し再検討をお願いする方がよろしいのかなというふうに思った次第でございます。 以上です。
○参考人(井戸川克隆君) まず、私も原発の全体像は知りませんが、部分部分になると少しは話ができます。 一つ、聞かれなかったんですが、煙突のフィルターについて私も思いを述べたいと思います。 これは、当時、事故前に私は東京電力に指摘をしておりました、なぜフィルターを付けないんだと。いや、フィルターは付いていますと言ったのは、煙突からサンプリングを取っているんですね、空気を取っている、そのサンプリングを取る手前にフィルターを付けていると。そうすると、生ガスをフィルターを通して、そのフィルターを通した空気をサンプリング調査をするというような何か手の込んだことをやって、これはおかしいだろうと。このフィルターは外せ、生ガスを測れと、そうしなかったら、空気中に放出される放射性物質がなぜフィルターでこしたやつを測るんだということで指摘は口頭でしておきました。煙突にフィルターないことはおかしいという指摘は過去に私はしております。 もう一つ、的確な判断を国会の場でされるということですが、これは大変恐縮ですが、お忙しい中であの細かい技術的な細部にわたって検討は私は不可能に近いんではないだろうかと。であれば、やはり責任ある方がしっかりとその責任を果たすことを監視されて、責任のないことをやったときには的確な処分をするべきではないだろうかと、そんなふうに考えております。 先ほど意見書について、私の考えだけではありません。この福島の復興再生と福島原発事故被害者の援護のための特別立法制定に関する意見書、これは私ども双葉郡の首長もそれぞれ大変有り難いものだというふうに評価しております。是非、私ども双葉郡の全員として、成立をしていただきたいと。この中身をずっと見ますと、今日資料に付けておりますけれども、ほとんど私どもが今後安心して生活できるんではないかなと、そんなふうに考えておりますので、これは是非成立をお願いしたいと思っております。
○福島みずほ君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、舛添委員、お願いします。
○舛添要一君 今日は、三人の参考人の方、ありがとうございました。 井戸川町長さんはもう現場で大変御苦労なさって、私はやっぱり危機管理の原則というのは現場を第一にするということだと思っています。今注意深くお話をお伺いしていますと、何信じていいか分からないんだということをおっしゃる、それから、そんなのなら法律がない方がいいんじゃないかということもおっしゃった、それから、もう人に率先して情報を取ろうとしたとおっしゃいましたですね。 私は、実はここに全ての問題が凝縮していると思っていますし、我々が国会議員としてこれからの法体系、憲法問題を考える際に、一つ、新しい視点になるかどうか分からないですけれども、情報公開ということの重みをきちんと考えるべきだと思っています。 今回何が悪かったかといったら、大震災もこの津波も、特に原発事故、もう情報が錯綜している、政府が情報公開しない、東電が情報公開しないと、それから、現場のトップの危機管理やっている方と東電の本社が違うことを言う、それから、官房長官が言っていることと東電が言っていることと何信じていいか分からないと。そういうことでしたので、実は私自身は、これほど大きな災害ではありませんでしたけど、新型インフルエンザという非常に緊急事態の危機管理をやりました。そのときの体験も含めて、情報公開というのをどう位置付けるかと。 私の結論を言うと、危機であればあるほど、今のようなマスメディアの発達した社会において、これはマスメディア、牧原さんもおっしゃいましたけれども、今のようなメディアの発達した社会では、情報公開をやる、やればやるほど危機管理がよくできると確信をしているんです。 そこで、憲法学的に言うと、大石先生がるる御説明なさっているんですが、例えば明治憲法で八条とか七十条を含めて、緊急事態とかいうときには権限と財源をどうするかと。当たり前のことなんですけど。財源のときに委員会だけでやれるとか、いろんな諸外国の例がある。福島委員は、そんなの国会がやればいいんで、仕組みどうであれということは問題でないということをおっしゃって。 問題は権限です。その権限の中に、普通、私たちの今までの憲法学的な頭からいうと、敵が攻めてきた、軍事機密である、それで原発事故を起こした、これも機密であると、こんなものを知らせたらパニックになるから抑えることが権限であると。つまり、知る権利は基本的人権ですから、その知る権利を抑えるための権限を付与してくれと、これが緊急事態だというのが伝統的な考え方なんですけれども、逆に、どんなことをしてでも情報を出させるという権限を誰かに与えないと国が駄目になる。それはこの過去一年間の例を見ても分かるし、その前の例を見ても分かるんで。 ですから、情報公開ということを緊急事態における権限の中で、私は裏面から言っているんですけれども、実は、そういうことを憲法上規定する、危機であればあるほど情報を公開するということを法的ないし憲法的に担保しないと、私はもうそれこそ、民主党政権下で不幸にもこういう原発事故が起こりましたけれども、それはいろんな問題、今検証して、政権信じられないから国会の中で検証しようということまでやっているわけですから。 だから、これ同僚の皆さん方とも是非今後議論したいんですけれども、今のような問題意識を持って新しい憲法を考えるということはできないかどうなのか、これ問題提起として申し上げたいと思いますので、お三方に簡潔に、印象で結構ですから、お答えいただければと思います。 ありがとうございます。
○会長(小坂憲次君) それでは、井戸川参考人からお願いいたします。
○参考人(井戸川克隆君) 情報公開と言われました。 今回の事故についてですが、幾ら情報公開してもその情報に驚くことは少なかったと思います。なぜならば、私どもの町民にもあるいは郡内の郡民にも、もう四十年という長い時間、原子力発電所と付き合っております。もう東京電力の本店以上に内部に詳しい者が本当に多くいますので、どんな情報を出されても、ためらうことなく的確な行動ができたと考えております。むしろ、政権側で情報を料理されたことによって大きな間違いが発生したと私は考えております。 それぞれの地域というのはそれぞれのプロが育っておりますので、どんどん信用して私はいいと思っております。私も少しは情報処理できるつもりでありますので、今回は情報の管理の仕方は全く間違ったと思っております。
○参考人(牧原出君) 情報公開の上での憲法論を考えるということですけれども、私も、それは本当に必要ではないか、とりわけこの新しいマスメディアによる情報の在り方というものを考えて政治というものを考えていく必要が、これからは非常に重要だと思っております。
○参考人(大石眞君) なかなか難しい問題でございまして、半分は賛成、半分は賛成しかねるところがございます。それはなぜかというと、やっぱり昔から流言飛語とか今風評被害というようなことがありますけれども、情報公開というときに、正しい情報が公開されるということは大前提でございますけれども、何が正しいのか、正確なのかというのがどうしてそれ当然に分かるのか。ですから、アプリオリに情報公開だけを主張しますと、やはりちょっとその他の面で困ることがあるのではないかということは考えざるを得ないと思うんですよね。 その上で、ともかく正確な情報だということを前提でお話しするとすれば、舛添先生おっしゃるとおりで、できるだけオープンにして、今の時代ですから、それでもってすぐ行動ができるような体制を整えることはそれは非常に重要だと思います。ただ、どの程度それを憲法で書くのかというのはなかなか技術的に難しいところがございますね。もう少し勉強してみたいと思います。
○舛添要一君 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、姫井委員の質問をお願いします。
○姫井由美子君 ありがとうございます。 本日は、参考人の三名の皆様には貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。特に被曝の検査をと訴えられました井戸川町長を始めといたしまして双葉町の皆様、本当に苦しみを思うと胸がつまされ、国として、福島の皆様の現在だけでなく将来にわたり責任を果たしていかなければならないと改めて思いました。また、町長におかれましては、「財界ふくしま」深層レポートで、私は岡山県選出ですが、人形峠、ウラン残土のことについても随分研究されて、ありがとうございます。 事前の資料にもございました、立法緊急状態及び非常事態法の文献に非常事態を克服するための制度的支援は必要不可欠だとありましたし、本日、大石参考人から改めて、憲法は平常時においてだけでなく、緊急事態及び危機的状況においても真価を発揮すべきものと言われました。今回のこの原子力災害、想定外を免責事由にしないためにも、憲法を平時以外にどう生かしていくかということをお聞きしたいと思います。 特に、日本憲法には、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカと比べまして、国家緊急権といったような有事に関する規定がありません。先ほども大石参考人から言われましたように、ドイツには自然災害などによる内的緊急事態と外国からの攻撃などによる外的緊急事態に分けて詳しく論じられております。もちろん、今回の三・一一緊急事態と国家緊急事態とは基本的には別と考えても、何らかの形でこの憲法を生かしていけないかというふうなことをお伺いしたいと思います。 そして、牧原参考人が事前の資料の中に、自衛隊が今回極めて有用だった、しかし自衛隊が実際にかかわった埋葬などは法整備上の手当てがないということで、制度改正等のいろんな仕組みが必要と訴えておられましたけれども、例えば、また井戸川参考人も、現場に権限と財源をといった責任分担を明記してほしい、特別法の中でというふうなことをおっしゃいました。 かつて小沢一郎衆議院議員が第百五十六回通常国会において日本一新十一基本法案を提出されておりますが、その中の一つ、平成十五年四月十七日に提出された非常事態対処基本法案では、我が国の武力攻撃だけでなく、大規模テロや大規模災害等に備えて、平時から内閣に総理大臣を議長とする非常事態対処会議を置くというようなことも言われておりますけれども、こういったことを含めまして、三人の皆様に、何よりも大切なのは有事に本当に使える法、制度、仕組みでなければならないと思っております。こういったことを憲法上明記するということをどう思うかということ、もし明記するとすればどういったふうに明記、これはちょっと具体的過ぎますけれども、また、そうでなければどういう仕組みというものを必要とされるかということをお伺いしたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、牧原参考人、井戸川参考人、大石参考人の順で順次お願い申し上げます。
○参考人(牧原出君) 非常事態といいますか、そのお話ですけれども、私は、今回の東日本大震災のシミュレーションから、そこから検証した結果、一定のシミュレーションをしてみて、それでどういう初動が可能かということはかなり幾つかのケースで見えてくると思いますので、まずそういう作業を、かなり地道な作業から入っていく必要があるのではないかと思います。これと、いわゆる有事ですね、安全保障上の有事とかあるいはテロというものはかなり別にして考えていった方がいいのではないかというふうに考えております。
○参考人(井戸川克隆君) まだまだ反省まではいきませんが、一部として、毎年、予算の中に一割あるいは五%程度災害対応の基金を造成していきたいと考えております。二十四年度から始めました。それは、規則、条例も作って、専決で使えるということで、これは次の災害いつ起こるか分かりませんけれども、これを延々と積み立てていって、初期対応の資金、初期対応に使えるようなものをまず自らつくろうということを始めました。この話は、関係市町村の長の方とよく話をするようにしております。何だかんだ言っても叱られるのはやっぱりその直属の長であるということで、叱られない対策をしましょうという話をしております。 是非、このようなことから、法で縛るのも必要でしょうが、法がなくていいこともありますので、この辺の議論もしていただいて、私どもが、町民にとって何が幸せかということの中でお決めをいただきたいと思います。 よろしくお願いします。
○参考人(大石眞君) 今おっしゃったように、法がない方がいいと言われると私どもはちょっと立場がないんですが、何とかそれを、ですからカバーするようなことを考えなきゃいけないと思いますが、今の御質問でいきますと、いろんなものをつくるとすれば、総合性があるということと分かりやすさということと、機敏、要するに機動性を確保すると、さらには権力性をある程度出せるような仕組みじゃないといけないわけでして、それが憲法の条文ですとどうしても公共の福祉ということだけで一点でいくものですから、例えばドイツで考えられているような、言わば段階を追っていろんな仕組みをそろえるというのは公共の福祉の言葉一点では説明ができないんですね。ですから、それをきちっと明確化して、非常時の場合にはこういうルールでいきましょうというのをむしろ分かりやすく最初から書き込むという方がやはりいいのではないかというふうに私は考えております。 もちろん、この憲法の制定当初、GHQとの間では、いや、そんなものは必要でないと言われて、なぜかと聞いたら、いや、それは委任立法で対処すればいいとか、あるいは内閣のエマージェンシーパワー、緊急権があるじゃないかというふうに総司令部側は言ったんですが、日本には内閣の緊急権という、権限を行使するという考え方は基本的にありませんから、そうすると、委任立法で、さっきもちょっと出ましたけれども、両院制で支障はないということですと、委任立法を大幅に多用すると。 即座に対応することができるように、最初から委任立法の中にそういう委任条項を設けて、こういう場合には内閣を中心に機動的に動けるというふうにしておけばいいんですけれども、しかし他方で、委任立法ですと委任の法理がありまして、それは明確性がなきゃいけない、限定性がなきゃいけない、時間的な制約もあるというふうなことが、様々な制約掛かりますので、やはりなかなか、今はすぐには委任立法の考え方では対処できないというふうに思いますね。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 残り三名の質問要求がございますが、三時三十分には、参考人の汽車のお時間もございますので、定刻終了いたしたいと存じます。全員の指名をいたしたいと存じますので、それぞれ手短に要点を絞って御質問のほどお願いいたします。 それでは、松井委員。
○松井孝治君 松井でございます。御指名ありがとうございました。 三人の参考人の皆様方には、本当にお忙しい中で、また大変な状況の中で御出席いただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。 今、会長からの趣旨もございますので、三人の参考人の皆さんに御質問したいところですが、大石先生に限って私の方から御質問をさせていただきたいと思います。 大石先生の方から、政治権力の多元化、一元化、あるいは非常時と平常時の特性の違いということについて御説明がありました。また、今日の御説明の中では憲法附属法については直接的に言及しておられないということですが、そこら辺も含めて御質問をしたいと思います。 憲法七十二条に内閣総理大臣の職務という規定があって、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、」、その後ですが、「並びに行政各部を指揮監督する。」という規定があります。内閣法の六条には、それを受けて、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という規定があって、この憲法になくて内閣法六条にあるのは「閣議にかけて決定した方針に基いて、」という条文であるということはもう釈迦に説法でございます。 ここがまさに平時の、ある意味では政治権力の多元化といいましょうか、総理大臣自身の専権ではなくて、それは閣議という場で決定した方針に基づいて総理大臣がリーダーシップを発揮する。各大臣の部下に直接指揮命令をするということはできないという状況で、これがなかなか緊急時における対応において、それは文言どおり、内閣法六条を文字どおり本当にどこまでやっているかは別として、しかし傾向として、なかなか緊急時の対応の難しさ、あるいは同じ内閣法の三条にある分担管理原則ということも相まって、縦割り行政の弊害、あるいは意思決定、あるいは指揮命令のスピードに欠けるということになっているんではないかと思うんですが、この点について、特に平時はいいと思うんですけれども、こういう非常時あるいは緊急事態において、この内閣法六条のような憲法周辺法の規定の在り方についてどのようにお考えになられるか。 それと併せて、先ほど舛添委員の方からお話がございましたが、では、そういう平時ではなくて緊急時の準則適合性という意味においては、私は、内閣法六条というものについては柔軟に場合によっては改正をする。しかしながら、他方で、そういう場合、閣議にかけて決定した方針に基づかずに内閣総理大臣がリーダーシップを発揮した場合には、それについての説明責任というものが求められると思うんです。ですから、今回も例えば官邸主導で判断した、それがどういう経過で判断をしたのか、どういう理由でやったのか、そこが合理的な情報公開が必要だというふうに考えるわけですが、その点も含めまして大石参考人の御見解を賜りたいと思います。
○参考人(大石眞君) 難しいところでございまして、従来から憲法七十二条と内閣法六条の関係というのは議論のあるところでございます。 現在の通説的な説明ですと、要するに、憲法七十二条の文言というのは、もうそのまま言わば表したのが内閣法六条だということになっているんですが、しかし、国会との関係では言わば対外関係ですから内閣を代表してになるんでしょうけれども、そうではなくて、その内閣の下にある行政各部ですから、内閣を代表してという文言がそこに係るのはやっぱりおかしいという考え方もございます。すなわち、総理大臣は、要するに、閣議にかけて決定した方針に基づいてということはなくして、直接指揮監督できるというふうにも読めそうなんですよね。現にそういう学説もあります。 おっしゃったように、内閣法六条を作るときにいろいろ議論があったということは私も調べましたけれども、その当時の法制局の公式見解でも、想定問答を見ましても、要するに明確に一々必要はないんだということを最初から書いてあるんですよ。それを更にロッキード事件の最高裁判決で、明示的なことに反しない限りはいろんな指示もできるというところまで踏み込んだ解釈を最高裁はされました。そうだとすれば、最高裁の判決の限りで、緊急時における対応はそれで十分できるというふうに考えております。 附属法として何を考えるかというのは難しいところでございますが、おっしゃったように、緊急時には誰かに任せると、機動性を発揮するために。その代わり、その責任ある決定に対しては責任ある追及をしなきゃいけないと。その監視の場、コントロールの場をきちんと確保することは非常に大事でして、そのためにはいろんな情報が正確に集められること、ちゃんと議事録も取られることということが非常に大事なんですが、その点で甚だ遺憾な事実があったというのは報道で私も存知しておりますけれども、やはりその点のきちっとした、その意味での情報管理というのはきちっとやっていただきたいし、正確な情報をいち早く公開するということはもちろん妥当な、至当なことだと思います。 以上です。
○会長(小坂憲次君) 宇都委員、お願いします。
○宇都隆史君 会長、ありがとうございます。 自民党の宇都隆史です。 私、大石参考人に、申し訳ございません、限定して二点だけ質問させていただきます。 まず一点目は、憲法に書き込む緊急条項、これのネガリスト化と、その場合の権力の統制手段をどうするかという点です。先ほど来ありました、現行憲法が緊急状態を規定していないということで書き込むべきだということに対しては大賛成なんですが、その場合、想定外をつくらないという意味では、現行のようなポジティブリストではなくて、ある意味、ネガティブリスト化をそこの部分だけするような工夫が必要なのではないかというのが私の考えですが、それに対してどのようにお考えになるかという点と、その場合、非常に一時的な権力の集中というのが生じるわけですが、それを統制する手段、つまり法治性の確保というのをどういうふうな手段で取れるのかというのを憲法学の観点から教えてください。 二点目に関しては、権力分立の原理についてです。先生のお書きになったのを読まれると、我が国は戦後、立法国家型の議会制国家づくりを進めたということですが、厳密に言うと三権分立にしっかりなっているのかと。議会における最大議席を取った与党がそのまま行政府、内閣を組織して閣法という形で法律を通していくという意味では、立法府と行政府の結び付きが極めて強い、権力の分散型になっていないのではないかと思うんですが、この件も憲法学上の観点から御指導いただきたいと思います。
○参考人(大石眞君) 憲法に書くときにどういうふうに書くかというのは難しい問題でございますが、やはり、おっしゃったように、必要な措置をとれるということが大事なものですから、これこれしかやれないという書き方はできないと、それはそのとおりだろうと思いますね。その代わり、そのとったことについては事後的にきちっと責任の追及の場に立ってもらうということが非常に大事で、やっぱりその権力を行使する面としっかりコントロールする面というのが両方相併せてその理想的な形になるんじゃないかと思いますね。 その三権分立の話でございますけれども、そこもなかなか難しい議論がございまして、アメリカ型の大統領制こそ三権分立だと考えるなら、およそ議院内閣制は三権分立じゃないわけですよね。おっしゃるとおり、議会と政府とがある種の融合を示すわけですから。ですから、そこはアメリカの学者、イギリスの学者の議論を聞いていても説が分かれるのでして、どういうものを権力分立、三権分立と見るかということは、アメリカ型を理想とすると、それぞれ独立に選ばれて、独立に権力を行使するというふうになるんですが、一般の国はそうでなくて、要するに、議会多数派の信任の下に内閣が活動するというタイプの議院内閣制を取っておりますので、それが全て権力分立ではない、融合ではないかと言われると、いや、その限りではそれは融合なんですが、その方が統治機構としては動きやすい。場合によってはアメリカ型の分断政府にならないわけですから、まあ立法府の問題があります、二院制の問題がありますけれども、それをおけば、議会多数派が政府を握るなら、その方が政策の推進力という意味でははるかに勝っているわけですよね。 ですから、その点は余り私は気にすることはないんではないかというふうに考えております。
○会長(小坂憲次君) 山谷委員。
○山谷えり子君 最後になりました、自由民主党、山谷えり子でございます。 長い時間、参考人の皆様、ありがとうございました。 井戸川町長が雑誌のインタビューでこんなことを言っていらっしゃいます。私は、野田首相に双葉郡民は国民だと思っていますかと聞いたけど、国は、アメリカにSPEEDIのデータを先に知らせて、国民にはSPEEDIのデータを提供していなかった。今もって双葉町はSPEEDIのデータは来ていません。あの情報が入っていたら仙台方面に逃げていますよと。あるいは、ベントの連絡もなかったと。それから、国、東電は、止める、冷やす、閉じ込めると言い張って絶対に安全だと言ってきた結果がこれで、我々は住むところも追われてしまった。放射能のために学校も病院も職場も全て奪われて崩壊しているのです。私は脱毛していますし、毎日鼻血が出ています。この前、東京のある病院に被曝しているので血液検査をしてもらえますかとお願いしたら、いや、調べられないと断られましたよ。我々は被曝までさせられているが、その対策もないし、明確な検査もないという。本当に重い発言だと思います。 福島県民の健診も十分に納得のいく検査メニューではないということなども含めまして、本当に今問題提起されました憲法第十三条の幸福追求権と憲法第二十五条の生存権というこの条文が、もう全く違う角度で私は読み直さなければならないんじゃないか、精査し直さなければならないんではないかというふうに思います。 フランスの原発関係のジャーナリストに聞きましたら、こんなに情報公開がなくて、しかもいろいろな、沃素剤一つ取っても国、県の指示があって初めて服用できるというような、非常に不十分なままほったらかされていたと、この十三条と二十五条、幸福追求権と生存権が妨げられているのではないか。これに対して、井戸川参考人、ちょっと改めてコメントをお願いしたいと思います。 また、大石参考人には、そうした問題提起を受けて、例えば生存権の二十五条、具体的には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、これもう学校でいつも習う条文ですよね。この条文が福祉主義あるいは具体的な請求権といった視点からどのような解釈、今回変わったか変わられなかったか、その辺をお話しくださればと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、大石参考人の時間がございますので、御答弁をいただいたら御退席いただいて結構でございます。大石参考人からお願いいたします。
○参考人(大石眞君) ありがとうございます。新幹線の時刻がございまして、その後、ロースクールの授業が六時半ごろからあるものですから、とんぼ返りしなきゃなりません。といいましても、二番目に答えればいいと思って今私メモしていたものですから考えがまだまとまっていませんが。 十三条、二十五条の解釈について、特に私、変更することはありませんでした。 つまり、十三条の読み方によりますけれども、要するに生命まで脅かされる、個別的にはありますよ、でも、集団的に生命まで脅かされるという事態は今までなかった。初めてですから、生命が脅かされるような事態に至ったということは、もう大変気の毒ですが。十三条から導かれることは、自由についてはやっぱり最小限の権力行使で、つまりは最大の自由を保障するというのが人らしい生活を保障するということにつながるわけですよね。だけど、請求権とかあるいは参政権については最大限尊重するということがございますので、人らしい生活を送るために最大限尊重するということで、実体的な要件からいっても、自由は最小限に、請求権は最大限に保障するという十三条の趣旨は全く変わらないと思いますし、さらに手続面からいきますと、十三条は要するに個人としての尊重を図るための手続を要求しているわけでありまして、これは余り議論されていませんが、それなりの手続をきちっと整えるためには、やはり先ほどから出ているような正確な情報を迅速にいち早く伝えるということが非常に大事なことでございまして、単に行政手続で適正手続という話じゃなくて、やっぱり国政全体についてそれは言えると思いますね。 ですから、その意味でも、十三条あるいは二十五条というのは今まで以上の価値を持つように思うようになりました。 以上です。
○参考人(井戸川克隆君) いろんなところで物を書いているものですから、済みません。 いろいろ信頼関係というものがあって、立地が、今まで原子力発電所を許してきたということがあります。そういう歴史の中で、事故を起こすという約束の下に誘致したことはないと、私の親たちがですね、誘致するに当たっては事故を前提に誘致したことはあり得ないというふうに考えております。したがって、何事も最終的には人と人との信頼関係が一番大切だというふうに私は常日ごろ考えております。 直ちに健康に影響がない、これは分かりません、そう言われてもですね。全く分からないわけでございますので、そういうことよりも、おそれがあるということ、安心をさせるよりも、まず問題を起こさせない対策を、対応をすることがやはり国家あるいは国民をつかさどる権限を持つ方の責務だと私は考えております。もう本当に後からいろいろ、あのときは何かのために発表しませんでしたというコメントも聞きますが、そのたびに私は身震いするぐらい残念でなりません。悔しい思いをしております。 先ほどもお答えしましたけれども、私の地域における住民は、放射能における危険、放射線管理士という資格持っているのも相当いますので、常日ごろ、事故前の放射能の管理の仕方も知っております。しかし、事故後の放射能の管理のことはマニュアルにも何にもなくて、非常に、先ほど地図を見ていただきましたけれども、あのような惨たんたる状況に放置されておるわけです。 これはちょっと余談になりますが、国のお役人が来られたときに、十ミリシーベルト、二十ミリシーベルトの安全について議論しました。大丈夫ですかと聞いたら、発症事例がありませんと言われました。長崎、広島でそのような事例がありませんと言いました。よくそれは探したんですか、当時そういう状況の下に調べたんですかということを聞いて、その後、放射線の種類、放射能の種類、今回の事故と長崎、広島と全く同じですかと聞きましたらば、答えられませんでした。したがって、発症しないという言葉は、我々にとっては何ら安心させる言葉ではありません。 したがって、このようなことで、我々は、正しくても正しくなくても我々は自己判断できます。情報を出すべきだと思います。出さなかったことについては私は、浪江町長さんも同じ思いをしておりますが、悔しい思いをしております。町民を不用意に被曝をさせてしまったんです。 それから、被曝検査については、どこかで我が町民が申入れしたらば、福島医大に確認したそうです。そうしたら、やらないでくださいと言われたそうです。これが実態であります。 このようなことで、我々は十三条あるいは二十五条に満足しているような状態には置かれていないことを御理解いただきたいと思います。
○会長(小坂憲次君) どうもありがとうございました。 御発言の希望もあるとは存じますが、予定の時刻も参りましたので、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。 この際、一言申し上げます。 本日は、井戸川参考人、牧原参考人そして大石参考人には、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。審査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時三十分散会