憲法審査会 第2号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2011/11/28
会議録
○会長(小坂憲次君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 議事に先立ち、一言申し上げます。 本院議長西岡武夫君は、去る五日、逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。 ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。 どうぞ御起立願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○会長(小坂憲次君) 黙祷を終わります。御着席願います。 ─────────────
○会長(小坂憲次君) 御報告いたします。 本審査会幹事会におきまして、お手元に配付のとおり、憲法審査会の運営に関する申合せを行いましたので、私から申し上げます。 憲法審査会の運営に関する申合せ 憲法調査会以来の先例を踏まえ、次のように申し合わせる。 ○会長が会長代理を指名し、第一会派又は第二会派のうち会長の所属しない会派の幹事の中から選定する。 以上でございます。 この際、この申合せに基づき、会長は、会長代理に民主党・新緑風会の幹事松井孝治君を指名いたします。(拍手) ─────────────
○会長(小坂憲次君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、本日の審査会に元参議院憲法調査会会長・元参議院日本国憲法に関する調査特別委員長関谷勝嗣君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(小坂憲次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(小坂憲次君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 本日は、参議院憲法調査会及び日本国憲法に関する調査特別委員会における議論の経過等について関谷参考人からお話を伺い、次いで事務局から報告を聴取した後、各委員からの自由な発言に入ります。 この際、関谷参考人に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ本審査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。審査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 これまでの豊富な経験を踏まえた忌憚のないお話を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、関谷参考人から二十分程度お話をいただき、次いで情野憲法審査会事務局長から十五分程度報告を聴取した後、各委員からの発言に移りたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず関谷参考人からお願いいたします。関谷参考人。
○参考人(関谷勝嗣君) 御紹介をいただきました関谷勝嗣でございます。 本日は、実質的に初回となる憲法審査会の場にお呼びいただきまして、発言の機会を与えていただきましたこと、誠にありがとうございます。 私は、平成十六年より憲法調査会の会長を務め、調査会での憲法の調査審議に携わり、憲法調査会五年間の総括として平成十七年四月に調査会報告書をまとめ、当時の扇議長に提出をいたしました。その後、日本国憲法に関する調査特別委員会の委員長を務め、日本国憲法の改正手続に関する法律の審査にもかかわったところでございます。 平成十七年四月の憲法調査会報告書提出から既に六年半が経過をいたしました。憲法改正手続法が成立してからも四年半がたっています。参議院を離れましても憲法審査会の行方を心配しておりましたが、こうして国会において憲法改正を直接に議論ができる場が、ようやくとはいえ動き出したことに深く感銘を覚えております。これまでの議員各位の御努力に対しまして、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。 本日は、憲法調査会や特別委員会の場での議論の経過等について話すようにとの仰せでございますので、当時を振り返って思い浮かぶことなどを申し上げたいと思います。 私が議員でおりましたころと比べまして、現在の参議院議員の先生方は相当な若返りが図られたようでございます。中には江田先生のように憲法調査会の発足時からかかわっていらっしゃる方もいらっしゃいますが、憲法調査会を経験されていない若い議員の方もいらっしゃるかと思いますので、少し遡って憲法調査会の当時の経緯から簡単にお話をしたいと思います。 いわゆる五五体制の下では、自由民主党、日本社会党という二大政党が左右に分かれて鋭く対立する政治情勢の下にありました。それが平成の時代に入り、憲法制定後五十年余りを経るころになりますと、国内、国外の諸情勢の変化を反映して、国会内に総合的な憲法調査機関を置くことを求める声が高まり、平成九年五月には超党派の憲法調査委員会設置推進議員連盟が発足をいたしました。その後、各党間の協議を経て、もちろん護憲派の方たちは反対の姿勢を示されましたが、平成十二年一月、両院に憲法調査会が設置されるに至りました。これは五年程度を目途として調査のみを行う機関でございます。 参議院でも憲法調査会が活動を開始し、最初に、総論として文明論・歴史論的観点からの調査を行い、続いて各論に入り、二年目には国民主権と国の機構、三年目には基本的人権、四年目には平和主義と安全保障のテーマ別調査を行いました。その後、私が憲法調査会の会長に就いた平成十六年の時点では、憲法全般にわたる補充調査を行い、報告書案作成に向けて締めくくりの議論に移る段階に至っておりました。 それらの議論を経まして、いよいよ報告書案をまとめる段階に移るのですが、報告書作成に当たってのポイントとなる事柄を述べさせていただきます。 憲法に関しましては、改めて申し上げるまでもなく、政党間の意見の隔たりは大きく、調査会では、議論百出の中、その結果を報告書の体裁に仕立てることは至難の業だと見ておりました。どのような形であればそれが可能なのか、手探りの状態で作業を進めてまいりました。それは会長の私だけではなく、当時の幹事や委員の皆さんの共通の思いだったのではないでしょうか。 報告書の原案は幹事会で作成することになりましたが、そこで工夫を凝らした点について申し上げます。そのコンセプトは、一言で言い表しますと、憲法調査会における議論の成果を国民に分かりやすい形で示すということでございます。 具体的に言いますと、第一に、報告書の中で示す意見について政党名を記載した点であります。憲法調査会における各委員の発言は、基本的に議員個人の立場から述べられたものでした。調査会発足時において政党レベルでの憲法に関する検討がまだほとんどなされていなかったのに対し、その後、各政党において急速に検討が進みました。また、政党レベルでの憲法に対する見解、態度については、国民の側の大きな関心事でもありました。 そこで、各政党とも検討は途中段階であることを前提にしつつ、報告書の取りまとめの時点において、各党の意見として集約されたものについては報告書の当該意見に政党名を付すこととしたところでございます。しかし、政党名を明記することについては消極的な御意見もございました。報告書としてそこまで求められていないのではないか、必ずしも政党としての見解が確立していないのではないかというものでしたが、各政党の立場を読み取れないような報告書では調査会の責務を果たすことにはならないとの見地から、国民に分かりやすいまとめ方をしたところでございます。 この点、衆議院の憲法調査会報告書では委員の発言回数によって意見の集約を図っておりまして、本院の報告書の方が分かりやすいと評価をいただいているのではないかと自負をいたしております。 工夫の第二は、調査会での議論の全体像を簡潔に示すため、憲法の様々な論点についての認識の一致の度合いに段階を設け、三つのカテゴリーに分けて整理した点でございます。 どのような点については共通認識が得られ、また見解が分かれたか、さらに、見解が分かれたもののうち、どちらの意見がおおむね趨勢であったかを最大公約数的な形で整理することができました。政党名を記載することとした点と併せまして、各党間でどこまで認識を共通にしているか、どこから認識を異にしているかを明確にできたことになります。さらに、参議院の交渉会派であった自民党、民主党、公明党の三党間でどこまで意見が一致しているかを示すこともできました。 作業の段階では、共産党、社民党は、殊更に論点を設置し、共通の認識などと意見をまとめて方向付けをすべきではないと主張されていたのですが、国民が読む上でそのようなまとめがなければ極めて散漫なものになってしまいます。報告書の総まとめにおいては、ともかく両党の意見も含めて整理したものでありまして、平成十七年時点での各政党の考えや取組を知る上で重要な資料になったと思っております。 その結果、主な論点のうち共通又はおおむね共通の認識が得られたもの三十三項目、趨勢である意見六項目、主な論点のうち意見が分かれたもの二十項目でありました。この細かな内容につきましては後ほど事務局から報告をしていただきます。 報告書の議決では共産党、社民党が反対されましたが、報告書の策定段階で両党の意見を聞かずに中身を固めるというようなことはありませんでした。調査会の幹事会においては両党はオブザーバーの立場でございましたが、報告書の作成に当たってもその意見をお伺いしながら作業を進めたところでございます。 次に、報告書の内容に移りたいと思いますが、調査会委員の関心が高かった事項としては、まず第一に、戦争放棄を定めた第九条の改正の是非と国際的な安全保障の在り方を挙げることができます。次いで、プライバシー権や環境権など新しい人権の憲法上の明記の是非、さらには二院制の在り方と統治機構の相互関係が挙げられます。特に二院制と参議院の在り方についての検討では、弾力的かつ機動的な運営が必要であるとの判断から、小委員会を設置して議論を行いました。 そのほか、私の口から報告書の内容を網羅的に申し上げることはいたしませんが、お手元にはハンドブックも配付されておりますので、参照にしていただければと思います。 ここでは、内容面において私自身が気に留めている点について触れさせていただきたいと思います。 会長としての立場上、私自身の意見が調査会報告書の内容に影響を及ぼしたということはありません。ただ、私は、所属いたします自由民主党において、参議院の憲法調査会報告書が出されたのと同じ年に発表しました自民党新憲法草案の起草に携わりました。そのようなことから、調査会の報告書では、内心もう少し踏み込めるのではないかという箇所もあり、少し時間をいただいてそれらの項目に触れさせていただきたいと思います。 まず、憲法改正の要件であります。 憲法調査会の報告書では、憲法改正要件の変更については意見が分かれたと整理されていますが、国民に改正の提案を柔軟に行うことができるようにするため、国会での議決要件を衆参各院の総議員の過半数の賛成に緩和すべきであると考えております。 また、今年三月の大震災を経験して改めて感じたことですが、非常事態に対処する規定が憲法上存在しません。報告書でも、それを明記するか否かで意見が分かれたとして両論併記となっているのですが、この度の事態に鑑みると、国民保護の見地からも国家緊急権を制定化する必要があると考えております。 さらに、改めて申し上げるまでもなく、九条の問題は依然として憲法を考える上での最重要事項であります。報告書では九条二項の改正の要否について意見が分かれたとされていますが、大震災でいかに自衛隊が活躍したか、そして東北の人たちがいかに感謝しているか、御存じのとおりであります。自衛隊に対し憲法上も正しい位置付けを行い、自衛隊が今まで以上に誇りを持って働くことができる環境をつくるべきだと考えております。 以上申し上げましたことは私の所感の一部分にすぎませんが、このような思いを抱きながらも、会長在任中は職責を全うし、公平中立な立場で報告書の取りまとめに当たりました。 続きまして、いわゆる憲法改正手続法案の審議について申し上げます。 憲法改正には、憲法九十六条において国民投票を行うことが義務付けられておりますが、憲法調査会の報告書を提出した時点では、それを具体化する法律は制定されておりませんでした。憲法制定後、六十年もそれを棚上げにしていたことは、立法府の怠慢と言われても仕方がないと思います。 法規上、憲法調査会での法案審議はできないとされておりましたので、衆議院では、平成十七年の郵政解散の総選挙後に憲法調査会を模様替えし、日本国憲法に関する調査特別委員会を設置し、憲法改正国民投票制度に取り組みました。一年後の平成十八年五月には、憲法改正手続法案について、与党であった自民党、公明党の案、野党であった民主党の案、それぞれが提出され、その審議が行われました。 両者の案の主な相違点を御紹介しますと、国民投票の対象は憲法改正に限定するか、国政上の重要問題にも広げるかが第一点。二点目は、投票権者の年齢を二十歳以上とするか、十八歳以上とするか。三点目は、公務員や教育者の地位利用による投票運動の禁止の是非について罰則を設けるか否かの点であります。 衆議院の特別委員会と並行する形で、参議院では引き続き憲法調査会の場で国民投票制度について調査を続けました。その後、衆議院から憲法改正手続法案が送られてきますと、参議院でも特別委員会における法案審議が行われることになります。 ここで、衆議院における法案審議の経過に触れておきます。 自民・公明案と民主案が提出された後、妥協点を探るべく修正協議が続けられました。その後、一定の合意に至ったようですが、安倍政権下の下での政局が絡み、憲法改正手続法案が与野党対立の焦点となり、最終的には合意による修正は実現しませんでした。衆議院の議決は、形の上では自民・公明案と民主案の併合修正でしたが、これには当時の野党が全て反対をいたしました。特別委員会の最終段階は、正常ではない状態での採決となりました。 参議院では、衆議院から送られてきた法案に対し、民主党から改めて対案が提出され、これを一括審議をいたしました。日本国憲法に関する調査特別委員会において、平成十九年の四月から五月にかけて連日委員会が開かれ、私も委員長として公正な審議が十分にできるようその職責を果たしたつもりでございます。 審議は粛々と進み、衆議院発議者はもちろんのこと、議員立法としては異例だと思われますが、安倍内閣総理大臣にも質疑したほか、二十二名の専門家を参考人として招致し、その意見を聴取をいたしました。また、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、名古屋市、福岡市の六都市で地方公聴会を開催し、各地域における意見を聴取をいたしました。そして、審査の終了に当たっても、衆議院とは異なり、円満な形での採決で収めることができました。 法案の採決では、民主党、共産党、社民党、国民新党は反対に回ったものの、自民、民主、公明の三会派共同提案で十八項目にわたる附帯決議が付されました。参議院の審議のキーポイントは、この附帯決議であったと言えます。その項目の数の多さも通常の法案審査では見られないものであります。委員会審査の中で出された指摘事項のうち、重立ったものを取り上げて努力義務、検討課題としたものですが、これをまとめられた当時の理事の先生方の御苦労がしのばれるところでございます。 そこで、憲法調査会報告書についてと同様、憲法改正手続法につきましても、私は特別委員長の立場でございましたので、自らの意見を述べる機会がありませんでした。ここで所感めいたことを少々述べさせていただきます。 衆議院での修正の結果、附則に検討条項が規定されました。いわゆる三つの宿題と呼ばれるものです。これが片付かないことには憲法改正手続法が実施できないというのであれば、早急に本審査会で議論を進めていただく必要があります。ただ、私は、この三つの宿題は検討の結果として法改正を行うことは必ずしも急ぐ必要のあるものではないとも考えております。 まず、投票権年齢ですが、他の成年年齢との関係もあり、十八歳とするのはまだ時期尚早ではないかと思っております。法制上の措置を講ずることとされておりますが、相当期間の猶予を改めて定めるのも一つの選択ではないでしょうか。 次に、公務員の政治的行為の制限についてですが、国民投票運動の名目が付けば何でも許されるというのは行き過ぎであり、本来の政治的中立義務との切り分けをうまく工夫できないものかと思っております。 続きまして、国民投票の対象ですが、憲法改正以外についても国民投票制度を設けることが検討課題として挙げられておりますが、私は国民投票の対象を増やすことは慎重に考えるべきだと考えております。 以上申し上げましたように、苦難の末に憲法改正手続法が整備されたことになります。ところが、国会の憲法審査会の立ち上げに手間取りまして、今日までの日が流れてきたわけでございます。附帯決議にうたわれているところですが、憲法改正手続法が完全施行されるまでの間に行うべき課題は山積していたわけでございます。それが未処理のまま今日に至っているわけですから、憲法審査会がこれから何をすべきかは明らかであります。 本年三月の東日本大震災は未曽有の大災害で、その復興は喫緊の課題ではありますが、そのことを憲法についての議論、検討をおろそかにしてよいとの理由とするのは私は認められないと思います。議論を避けるのではなく、国民の声を反映した議論を交わし、あるべき憲法像を煮詰めていくことが重要であると思います。各政党も憲法ビジョンについての議論を進め、改めて国民の前に提示すべきであると考えております。 どうぞ憲法審査会で十分なる議論がされますことを期待をいたしまして、私からの報告とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) ありがとうございました。 次に、事務局から報告を聴取したいと思います。情野憲法審査会事務局長。
○憲法審査会事務局長(情野秀樹君) 引き続きまして、事務局より、憲法調査会の報告書、日本国憲法の改正手続に関する法律、いわゆる憲法改正手続法の課題につきまして、お手元に配付してございますレジュメに従いまして順次御説明いたします。 憲法調査会の日本国憲法に関する調査報告書は、「第一部 憲法調査会の組織概要」、「第二部 経過の概要」、「第三部 主な論点及びこれに関する各党・各議員の意見」、「第四部 まとめ」で構成されております。 報告書の特色としましては、先ほど関谷先生からも御説明がありましたが、三点ございます。第一は、論点に関する意見の紹介の中で、報告書の取りまとめ時点において、各党の意見として集約されたものについては政党名を明記したこと。第二は、憲法に関する論点をできる限り多く取り上げたこと。第三は、報告書の総括ともいうべき「第四部 まとめ」におきまして、調査会における議論の状況を分かりやすく示すために三つのカテゴリー、すなわち、共通又はおおむね共通の認識が得られたもの、意見が対立したものの一方が趨勢であると認められたもの、意見が分かれた主要なものに整理して記載したことでございます。 それでは、お手元に配付してございます参考資料三ページ以下の資料三、「「日本国憲法に関する調査報告書」第四部 まとめ」を御覧ください。 第一のカテゴリーは、主な論点のうち共通又はおおむね共通の認識が得られたものです。共通の認識が得られたものとは、自民党、民主党、公明党、共産党、社民党の五党間で意見が一致したもの、おおむね共通の認識が得られたものとは、党又は党内の一部に若干の異論があったものでございます。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大基本原則の維持等、合わせて三十三項目でございます。具体的には、憲法理念の基本に関する認識が大部分を占めていますが、国会の憲法調査会という場で五党が憲法に関して認識を共有する部分を確認できたことに意義があると言えます。 第二のカテゴリーは、自民、民主、公明の三党間ではおおむね一致した趨勢である意見です。新しい人権の憲法上の明記等、六項目でございます。具体的には、新しい人権に関する意見が半数を占めており、環境権やプライバシー権など、憲法制定時には想定されていなかった新たな人権を憲法に明記すべきか等が問われています。 第三のカテゴリーは、自民、民主、公明の三党間でも意見が一致しなかった主要なものを挙げてございます。前文の理念、内容等、二十項目でございます。前文、天皇、九条二項、緊急・非常事態法制、外国人の地方参政権、道州制、改正要件など多岐にわたっており、憲法の各分野において各党間に見解の相違があることを示しております。 お手元に報告書の内容を簡潔に紹介するハンドブックを配付しておりますので、御参照いただきたいと思います。また、詳細につきましては日本国憲法に関する調査報告書を御覧いただきたいと存じます。 次に、憲法改正手続法の課題について御説明いたします。 憲法改正手続法の附則の中には三つの検討事項が規定されております。これは三つの宿題と言われているものです。また、御承知のように、参議院においてのみ憲法改正手続法案に対して十八項目の附帯決議が付されております。両者を併せて憲法改正手続法の課題と申し上げることができると思います。 附則から御説明いたしますが、お手元に配付してございます参考資料の七ページ以下、資料四、「「憲法改正手続法附則における検討事項」及び「憲法改正手続法案に対する附帯決議」について」を御覧ください。 関谷先生からの御説明にもございましたように、自民党、公明党提出の日本国憲法の改正手続に関する法律案と、民主党提出の日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案については、衆議院の段階では一本化の努力が行われたものの、最終的にはまとまらなかったわけでございますが、附則の検討事項はいずれも両者の考え方の溝が埋まらなかった事項でございます。自民党、公明党による併合修正が憲法改正手続法となっておりますので、民主党の最終的なお考えを紹介しつつ御説明をいたしたいと存じます。 まず、附則の第三条の投票年齢、成年年齢の検討と法制上の措置です。 憲法改正手続法の本則において、投票権者は十八歳以上とされています。この法律が完全に施行されるのは平成二十二年五月十八日でございましたが、附則では、法律が完全施行されるまでに、十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加等ができるよう公職選挙法、民法等の規定に検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることが求められており、その措置が講じられ十八歳以上二十歳未満の者が国政選挙に参加等ができるまでは、投票年齢は二十歳以上とされております。これは、同じ参政権的権利であるのに、国民投票は十八歳以上、選挙権は二十歳以上というのでは立法政策として整合性が取れないのではないか、また成年年齢を始めとする各種制度における年齢規定との整合性も問題となり得るのではないかという観点から規定されたものです。 民主党案では、法制上の措置の有無にかかわらず、投票年齢は十八歳以上とされておりました。 なお、本附則に関連して、附帯決議の第二項において、検討に際し、十分に国民の声を反映させ、法制上の措置を完了させることを求めております。 第二は、十一条の公務員の政治的行為の制限に関する検討です。 国民投票運動については、多くの国民がこれにかかわるであろうことを前提に、国民投票運動は基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限度の規制のみが設けられておりますが、国家公務員法、地方公務員法等による公務員の政治的行為の制限については、この法律が完全施行されるまでの間に、公務員による憲法改正に関する賛否の勧誘その他の意見の表明が制限されることとならないよう必要な法制上の措置を講ずるものとしております。 なお、民主党案は、憲法改正案の発議以降、公務員の政治的行為の制限規定の適用を全て除外するとの考えを取っておられました。 第三は、第十二条の憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討です。 憲法改正手続法は、国民投票の対象を憲法改正案に限定しておりますが、個別の憲法問題に限定し、憲法改正国民投票の前にあらかじめ憲法改正の要否を問う諮問的、予備的国民投票を憲法第九十六条の周辺にあるものとして、その意義や必要性の検討を行おうとするものです。検討は、この規定の施行後速やかに行うとされております。 民主党案では、憲法改正案に限定することなく、国政における重要な問題のうち、憲法改正の対象となり得る問題、生命倫理に関する問題、その他国民投票の対象とするのにふさわしい問題も国民投票の対象とされておりました。 本附則に関連し、附帯決議の第一項において、憲法審査会において国民投票の対象と範囲を検討し必要な措置を講じるよう努める旨決議されていますが、附則と比較すると検討対象が広く取られております。 次に、附帯決議について、引き続き資料四、「「憲法改正手続法附則における検討事項」及び「憲法改正手続法案に対する附帯決議」について」、参考資料の九ページ以下に沿って御説明いたします。 第一項及び第二項につきましては既に御説明いたしました。 第三項の関連性の判断基準の明確化と適切かつ慎重な判断は、憲法改正原案の発議に関するものでございます。憲法改正原案の発議は、内容において関連する事項ごとに行われます。関連性がないものとしては憲法第九条の改正と環境権の創設を一括して発議することができないことが例に挙げられておりますが、内容の関連性の判断に当たっての基準作り等を求めるものです。 第四項は、国民投票の期日に両院の議決の不一致が生じた場合の調整です。国民投票の期日は国会の議決で定められますが、両院の議決の不一致を最終的に調整する手段がございません。この結果、国民投票を行うことができない事態を避けるべく調整についての措置を求めております。 第五項は、国会による憲法改正案発議の公示と中央選挙管理会による投票期日の告示にタイムラグが生じる可能性がありますが、国民への正式な周知であることから、両者を同日の官報で行うことを求めるものです。 第六項は、最低投票率制度の意義と是非の検討です。最低投票率、すなわち国民投票の成立のために必要な最低の投票率は憲法改正手続法に規定されておりませんが、参議院特別委員会の審査中に最低投票率を必要とする回答が七九%に達したとの世論調査の結果が報道されたこともあり、活発な議論が行われました。憲法改正手続法の完全施行までに検討が求められておりました項目です。 第七項は、在外投票における投票機会の保障の措置を求めるものです。 第八項及び第九項は、憲法改正案の広報に関する事務を行うために国会に設置される国民投票広報協議会に関するものです。第八項では、憲法改正案の要旨の作成等における外部有識者の活用と、客観性、正確性、中立性、公正性の確保、第九項では、国民投票公報の早期かつ確実な配布と公式サイトの設置等の周知手段の工夫をそれぞれ求めております。 第十項は、国民投票の結果の告示における棄権の意思表示のための白票の明示でございます。特別委員会において、無効票とされる白票に積極的な意味があるのではないかとの指摘がなされたことを受け、白票の数の明示を求めたものでございます。 第十一項から第十四項は、憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する行為である国民投票運動に関連するものでございます。 第十一項は、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制について基準の明確化等を求めております。規制の対象となる公務員等及び教育者は五百万人に及ぶとされていますが、許される行為と許されない行為の区分が判然としないことから、萎縮効果が懸念されることを受けたものであります。 一つ飛びまして、第十三項は、テレビ及びラジオの有料広告の規制の検討です。テレビ及びラジオの有料広告は、期日前投票の開始時期を踏まえ、国民投票の期日前十四日に当たる日から禁止されておりますが、民主党案では憲法改正案の発議から投票期日までこれを全面的に禁止することとしておりました。他方、放送事業者からは制限を設けるべきではないとの考え方が特別委員会で示されたこと等を受けたものでございます。この項目は、憲法改正手続法の完全施行までに検討することとされておりました。 国民投票運動に関連する罰則につきましては、第十二項で罰則についての構成要件の明確化、法制上の措置を、第十四項では、罰則の適用に当たっての公職選挙運動との峻別、慎重な運用をそれぞれ求めております。 第十五項から第十八項は、憲法審査会に関するものでございます。 第十五項は、憲法調査会報告書で指摘された課題等の調査です。憲法調査会報告書で指摘された課題とは、さきに御説明した報告書の分類における、自民党、民主党、公明党の三党間でおおむね意見が一致した第二カテゴリーの趨勢であると認められるもの、及び三党でも意見が一致しなかった第三カテゴリーの意見が分かれた主要なものをいうと考えられます。 また、憲法審査会に関しまして、第十六項において審査手続、運営に係る事項の明定と憲法改正原案の審議における少数会派への配慮、第十七項において広報、公聴会の実施と請願審査の充実、第十八項において合同審査会の開催における各院の意思の尊重をそれぞれ求めてございます。 以上、事務局より、憲法調査会報告書、憲法改正手続法の課題を中心に御説明いたしました。
○会長(小坂憲次君) これより各委員からの発言に入りたいと存じます。 本日は、委員各位の意見表明、関谷元会長への御質問等、自由に御発言いただきたいと存じます。 なお、時間が限られておりますので、委員の一回の発言時間は五分以内で願います。 まず最初に、各会派一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 江田五月君。
○江田五月君 憲法審査会の始動に当たり、関谷先生には参議院憲法調査会の最終段階の会長等として御足労いただきまして、感謝に堪えません。 また、自由討議の最初に私に発言の機会を与えていただき、心からお礼を申し上げます。 私は、参議院憲法調査会の立ち上がりのときの民主党・新緑風会所属の幹事で、運営検討委員会の委員でした。最初に村上正邦会長が招集された幹事懇談会は冒頭から激突し流会となり、その後に私ほか二名の幹事で村上会長にお会いした際には怒号が飛び交うのみという大荒れの幕開けとなりました。しかし、以後は極めて良識的で建設的な議論が進められてきたと思います。 私は、調査会で九回発言しており、さらに本院の海外派遣団の団長として訪米して憲法事情を調査し、その報告書も提出しています。最初の発言は二〇〇〇年二月十六日です。私は、ほぼ同時期に開始した民主党の憲法調査会の事務局長として党の憲法論議に加わってきたので、その立場を踏まえて民主党の憲法に関する基本姿勢を紹介しました。 二十一世紀を、当時ですが、目前にした時期で、時代の変化を踏まえ、新世紀の日本の国の形を大いに議論し、私たちが目指すものと現に私たちが手にしている日本国憲法とを照らし合わせて、守るべきは守り、変えるべきは変えるという姿勢で大いに憲法を論じようという論憲の姿勢で、さらに民主党はその後、創憲、憲法をつくる創憲も打ち出しました。 党の調査会では、総論、統治、人権、分権、そして国際・安保と五つの作業部会をつくり、私は人権部会の座長も務めました。環境権、人格権、知る権利など、あるいは安全への権利、発展への権利、自己実現への権利、人間の安全保障といった新しい人権などの意欲的な提言をまとめて、中間報告や憲法提言を取りまとめたのです。 この過程で、私たちは、現在の憲法の平和主義、民主主義、基本的人権という三つの基本的原則は、これからもこの国の形の原則であり続けるべきもので、変えてはならないものだと確認しました。 現憲法は戦後の占領下で制定されたもので、制定過程に占領権力の介入があったことは否定できません。しかし、この歴史的事実は大日本帝国憲法を基本法とする当時の我が国の形が引き起こしたもので、制定過程はこの歴史全体の中で観察しなければなりません。占領権力が世界の憲法史の流れに沿って行動し、その時代における国際社会と我が国との意思の合致が現憲法となったという側面もあるわけです。 現憲法は、形式的には帝国議会の審議などの手続を経て成立し、その後、半世紀以上にわたってこの国の形を規定する基本法として受け入れられ、機能してきました。 制定当時の国の意思決定の有効性については様々な説があります。しかし、今述べたような現憲法の有効性に照らせば、やはり、当時既に未成熟ではあっても憲法制定権力が存在していて、これが現憲法を成立させたのだと考えられます。本院の憲法調査会の最終報告は、これからの私たちの議論の出発点としなければなりません。 私自身が生まれたのは、一九四一年、昭和十六年五月、つまり戦前です。戦後、教科書が墨で塗り潰された翌年の昭和二十三年の小学校入学ですから、現憲法とほぼ同時代を生きてきました。言わば純粋の戦後憲法世代と言えると思います。そこで、私たちの世代には現憲法が自分たちの血であり肉であるという感覚があり、憲法改正と聞くと本能的に身構えてしまうという部分があると思います。 しかし、私は、憲法も決して不磨の大典ではなく、現憲法も当然これが制定された時代の制約を受けており、その後の時代の変化によって成熟していくべきものだと思っております。 例えば、平和主義でいえば、現憲法は前文で国際協調主義を、さらに第九条第一項で戦争の放棄を掲げ、さらにその具体的な行動規範として同条第二項に戦力の放棄を規定しました。時代の制約を考えれば、ここに自衛力や国際貢献の規定がないことはよく理解できますが、その制約が大きな変化を遂げた現在、制定当時の基本的原理が、現在取るべき具体的行動規範の姿が当時のものと変わってくるのは当然です。 私は今、私たちの世代こそが、制定当時の状況が私たちに課している心の制約を取り払って、現憲法を言わば棚卸しをして、論憲から創憲へと向かっていいんですよと、制約を解いて、次の世代の皆さんが憲法問題と真正面から向き合える自由な議論ができるようにする責務を負っているのだと思っております。 憲法改正自体は当面する緊急の課題ではありませんが、非現実的な目標だというわけでもありません。 そこで、この際、憲法改正の条件を幾つか考えてみますと、まず九十六条に規定する要件と現在の政治状況を考えれば、会派の垣根を越えて議論を進め、穏健で良識的な合意を形成する努力を積み重ねていかなければなりません。
○会長(小坂憲次君) 江田議員、時間が経過しております。
○江田五月君 はい。もうちょっとお待ちください。 特に、良識の府と言われる参議院はこれをしっかりと自覚すべきです。また、国会法第百二条の八の合同審査会の活用も必要です。いわゆる投票年齢や投票権の要否の問題もありますが、時間の制約上、省略します。 世界中には多くの憲法があり、これらはおおむね民主主義や人権の確立といった流れに沿った世界史の中で生々発展し、今や地球憲法とでもいうべき憲法規範が世界に姿を現しつつあると思います。現憲法の成立にも当時の世界史の状況が大きくかかわっており、そのことを私たちはしっかりと自覚しておくべきだと思います。そして、私たちが憲法改正に取り組む場合には、その内容が地球憲法にしっかりと適合し、これを前進させるものである必要があります。諸外国に歓迎されるものであることが大切だと思います。 時間がちょっと過ぎまして、済みません。
○会長(小坂憲次君) 川口順子君。
○川口順子君 自由民主党の川口順子でございます。 本日、本院憲法審査会の第一回会合が開催されるに当たり、関谷勝嗣元憲法調査会長が日程を繰り合わせていただいて御出席をいただいたことに御礼を申し上げます。 そもそも憲法は、日本国がどのような国であるべきかについて国民が議論に議論を重ね、その総意を結集した形で改正されるべきものと考えます。そのために、国民の代表たる議員が国会で十分に議論を重ねる必要があります。 現行憲法は、占領下において占領軍によりその草案が示され、日本政府と占領軍の交渉の後、帝国議会において制定されており、その過程において、我が国の追求すべき国家像についての国民の主体的議論が行われたとは言えないと考えます。 また、その内容についても、多くの国民が受け入れてきたとはいえ、制定過程から生ずるひずみが存在すること及びその後の六十五年に及ぶ国際社会、我が国社会の変化に照らし、現代、未来の要求に十分にこたえるものになっていないことに問題があると私は考えております。これは自由民主党の考え方でもあります。 その考えに基づき、自由民主党は結党以来、党是として憲法の改正を掲げ、真剣な検討を行い、平成十七年十月、自由民主党新憲法草案を発表いたしました。現在、自由民主党においては、憲法改正推進本部を設置し、さきの新憲法草案を更に改正した新たな憲法改正案を取りまとめることとし、前文、安全保障と九条、環境権を含む新しい人権、地方分権、憲法改正要件、緊急事態条項などについて真剣な議論を重ねています。 幸い、関谷先生がおまとめになられた憲法調査会報告書においては、論点が認識の共通度を尺度として分類されています。これら論点について、調査会の報告をきちんと踏まえた上で深掘りする必要があります。また、必要に応じ、他の論点についても、将来世代の視点を勘案して、憲法審査会の場で議論を深めるとともに国民的議論を行うことが必要であります。 また、並行的に憲法改正国民投票法のいわゆる三つの宿題の議論を開始し、結論を得る必要があります。このうち、十八歳選挙権実現の話と公務員の政治的行為の制限は、憲法改正国民投票法が全面施行されるまでの三年間に法整備を終えておくべき、言わば締切り付きの宿題でした。これに対し、憲法改正以外の国民投票制度の導入の検討は期限が定められていない宿題でしたが、これも憲法審査会で検討すべきものです。早期の取組、結論を望みます。 一部議員の発言や新聞の論調に、今、復興が最大の課題であり、憲法改正は優先順位が下がるとの意見が見られます。そうでしょうか。復興の重要性については論をまちませんが、憲法改正の議論も重要です。東日本大震災からの復興や課題先進国として解決すべき数多くの問題を抱える我が国にとって、今だからこそ国の形がどうあるべきかについて国民ベースの議論が必要であります。それがなければ、課題解決の基本的方向ははっきりと国民に共有されません。さらに、国際社会の権力構造の変化のただ中で我が国の平和と安全を守り、国際の平和と安全に貢献すべき立場にある我が国として何をなすべきかを明確かつ国民の総意として共有しなければ、現実の必要にこたえることはできません。 本日ここに関谷勝嗣先生の御高説を伺うことにより憲法改正の議論の場となる憲法審査会が活動の第一歩を踏み出したことは、遅きに失したとはいえ、大きな意義を持つことと考えます。今後とも、関谷先生始め先人の方々の英知、良識を反すうしながら本審査会において真剣な議論を重ねていくことを国民の皆様にお約束いたしまして、私の意見表明といたします。 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、魚住裕一郎君。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。 関谷先生、本当に今日はありがとうございました。 私も、二〇〇〇年、平成十二年に憲法調査会が設置されまして、幹事ではありませんがその末席に入れていただきまして、以来、憲法調査特別委員会にも参加させていただいて、十数年ぶりという形になりますが、経過いたしまして、感慨深いものがございます。 今日は、第一回の憲法審査会で発言させていただく機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。 まず、公明党の現行憲法に対する考え方を申し述べたいと思います。 御承知かと思いますけれども、先ほども共通認識として御紹介ございましたが、憲法の三原則、国民主権主義、そして基本的人権の尊重、恒久平和主義、これは本当に憲法の根本規範として堅持すべきものである、変える必要は全くない、また、現行憲法それ自体も、戦後の復興を含めて国民的法的確信にまで至っている高く評価すべきものというふうに考えているところでございまして、基本的に護憲という立場でいるわけでございます。 ただ、全く何も変える必要はない、議論をする必要もないという意味ではないわけでございまして、公明党の立場、十年前、これはやっぱりしっかり論ずるべきであるということで、先ほども言葉として出ましたけれども、論憲という立場で議論をさせていただきました。 その上で、この時代状況、大きく変わっております。調査会発足当時は、憲法施行後五十年、そして六十五年という状況にありますが、時代状況も大きく変化をしてまいりました。ですから、付け加えるべき論点、項目があるか、あるのであればそれを加えていくべきであるという意味で、加える憲法、加憲という立場を主張をさせていただいているわけでございます。したがって、大枠では護憲、そして、よく詰めれば加憲という立場であるというふうに私たちは主張をさせていただいているものでございます。 そんな立場でやってきたところでございますが、憲法調査会五年、そして憲法調査特別委員会二年、この改正手続法も採決になったわけでございますが、国民的な議論も大きく盛り上がってきたというふうに承知をしております。ただ、この採決後もう四年半たったわけでございまして、この空白の四年、凍結期間はそもそも三年だったはずでございまして、それを超過して四年半というのは誠に遺憾であるというふうに考える次第でございます。 いろんな、議院運営委員会でありますとか、そういう場で早く憲法審査会規程を出すべきである、このようにずっと主張してきた者でございますけれども、まずは、今後の進め方として、先ほども御紹介がございましたいわゆる三つの宿題、そしてまたこの附帯決議、十八項目ございましたが、この点につきまして、この憲法審査会で早急に議論を進めていくべきであろうというふうに考えております。 先般、日本弁護士連合会の会長声明もございましたけれども、この点も詰めがなければこの改正手続法は延期すべきである旨の抜本的見直しを強く求めるという声明が出されたわけでございますが、国民的要望だと私も考えているところでございます。 もう一つ、この宿題等をやっていくとともに、憲法の調査でなくして憲法の審査でございます。現行憲法の展開のありようというものも審査をしていくべきではないか。私どもの立場からすれば、何を加えるべきなのか、加えなくても法律で対応できるものがあるんではないだろうか。先ほど国家緊急権のお話がございました。今回の東日本大震災につきましても法的な整備があってそれがきちっと使われて機能したのかどうか、こういうこともあろうかと思っておりまして、そういう点も含めて審査すべきであるというふうに主張させていただきまして、魚住の発言を終わります。
○会長(小坂憲次君) 次に、江口克彦君。
○江口克彦君 みんなの党の江口克彦でございます。 関谷先生、先生の憲法、憲法改正手続法の成立に向けて熱い思いを語っていただきまして大変感銘を受けました。ありがとうございました。 初めに、憲法審査会が平成十九年八月に設置されて四年以上にわたり活動することができないと、できずと。憲法という国の根本法の議論を行うことができなかったのは、私は政治の怠慢である、また、十分な反省が必要ではないかというふうなことをまず申し上げておきたいと思います。 もちろん、憲法改正には反対意見があることは承知しておりますけれども、憲法審査会の土俵の上でしっかりとした議論を行い、憲法についての結論を出していくことが肝要であり、これこそが政治の責任であるというふうに私は考えます。 参議院憲法審査会として、国民の負託にこたえ十分に責任を果たしていくことは当然ですが、そもそも我々憲法審査会の委員一人一人が憲法改正の議論に責任を有していることを自覚し、憲法審査会に臨まなければならないと思います。 日本国憲法がアメリカの占領軍による日本弱体化という恣意的意図で作成されたものであることは明らかであり、憲法の具体的な規定の是非以前の問題として、まずこの制定過程自体をもって改正の必要があるということを私は指摘したいと思います。 また、憲法の規定内容についても、憲法施行から六十年以上経過し、この間の国際社会の激変や我が国の政治、経済、社会情勢の変化を踏まえれば、道州制の導入、首相公選制の導入、あるいはまた環境、プライバシー等、新たな視点から憲法を考えていくことが必要ではないでしょうか。 そして、絶えざる自己改革のために憲法改正を行うという観点からは、まず憲法第九十六条を改正し、憲法改正の要件に柔軟性を持たせなければならないというふうに考えます。 憲法審査会においては、憲法調査会で行われてきた議論や憲法の運用状況も踏まえて国の在り方について真摯な議論を行い、幅広いコンセンサスを得るということが必要ではないか。同時に、国民とともに議論を進めることが極めて重要であります。 憲法改正には国民投票の過半数の賛成が必要であり、我々の議論は主権者たる国民に向けられたものでなければならない。憲法は全ての国民のためにあるものであり、国民とともに議論を行うことで国民が憲法そのもの、そして憲法と社会状況の現実等について認識を深め、永田町の議論を超えた全国民的な憲法改正の議論が展開すべきだというふうに思います。 また、スケジュールを明確にすることも必要ではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。拙速は避けて十分な議論を行うべきであることは言うまでもありませんが、いつまでも議論ばかりでは政治の責任は果たせません。ある程度の期限をもって成果を上げるべく議論を進めていくことが必要であり、例えば憲法改正手続法の諸課題への対応を二年で成し遂げる必要があると考えます。その上で、憲法をテーマごとに見直し、追加検討を行うことが必要であり、憲法審査会においては、三年から五年に一度、定期的にその検討を行い、我が国のオペレーションシステムを時代に合ったものにしていく使命があるのではないか、その使命を果たすべきだというふうに考えております。 以上です。
○会長(小坂憲次君) 次に、井上哲士君。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 我が党は、国民は憲法改正を求めておらず、憲法審査会を動かす必要は全くないことを幹事懇談会の場でも表明をしてきました。この審査会は憲法改正手続法に基づくものですが、この法律は憲法に改正規定がありながら手続法がないのは立法不作為だなどとして作られたものであります。しかし、手続法がないことで国民の権利が侵害された事実もなく、立法不作為論は全く成り立たないものでありました。そして、この手続法が強行されてからこの四年余りも憲法審査会を始動してこなかったことで国民が不利益を被った事実もありません。今この審査会を動かす理由はありません。 振り返りますと、今日の憲法をめぐる動きは、九条の改憲を目指す勢力が二〇〇〇年に国会に憲法調査会を設置したことに始まりました。改憲を目指す勢力は調査会を足掛かりとして国民の中に改憲の機運を盛り上げようとしました。しかし、国民世論は九条改悪反対が多数であり、九条を変えるべきであるとする意見は一貫して少数でありました。 続いて、二〇〇五年に憲法調査特別委員会が設置され、自民、公明、民主の各党で憲法改正手続法作りが進められました。元々、立法不作為などは成り立たないものだった上、慎重審議を求める国民多数の声を無視して衆議院では自公両党による強行採決が行われ、参議院では最低投票率の問題を始め十八項目もの附帯決議が付けられました。このことは、いかにこの手続法が多くの問題点を残したまま強行されたかを示しております。そして、手続法を強行し改憲を選挙の公約に掲げた安倍政権は、その夏の参議院選挙で国民からノーの審判を突き付けられて、退陣を余儀なくされました。 選挙後に憲法審査会の設置を規定した改正国会法が施行されましたが、審査会規程を制定できず、審査会は始動することができませんでした。すると、麻生政権末期の二〇〇九年六月に、自公両党が再び強行採決によって衆議院で憲法審査会規程を制定をいたしました。このように、審査会は強行に強行を重ねてつくり上げられたものであります。 民主党は公正中立な改憲手続法の制定を掲げていましたが、自公両党のこうしたやり方に強く抗議して手続法に反対し、衆議院での憲法審査会の規程にも反対し、安倍元首相らに自己批判と謝罪まで求めてきました。その後、二〇〇九年九月の総選挙で国民の生活が第一を公約に掲げて政権交代を果たした民主党政権の下で、憲法審査会は始動させてきませんでした。ところが、民主党政権が普天間問題や消費税など公約違反への批判の中で昨年の参議院選挙で過半数を割り、いわゆるねじれ国会となりました。その下で、国会対策上の理由から、衆議院では反対した憲法審査会規程と同じ内容の規程を参議院では与党だからといって民主党が提案をし、さらに野田政権になって憲法審査会委員の選任を強行した、これが経過であります。 民主党が改憲手続や衆議院での憲法審査会規程の制定に際しての主張を顧みることなく、憲法の問題を国会対策の手段として軽々しく扱うことは、国民の厳しい批判を免れないでしょう。また、自民党からは、非常事態条項が憲法に必要だとして、その必要性を国民に理解してもらうにはまず国会の中で十分な議論をしていく必要があるという主張があります。 国民が具体的に改憲を必要とした場合の手続の場として設けられた審査会を改憲機運を盛り上げる場に利用するということは、制定当時の提案者の発言にも反するものであり、認めることはできません。 震災からの復興の課題と本審査会の審議についての言及もありました。 今、被災地から聞こえてくるのは、憲法に定められた生存権を始めとして、憲法が震災復興に生かされていないという悲鳴の声であります。逆に、憲法に規定がないにもかかわらず、日本では個人の財産形成に税金をつぎ込むことができないと、こういう主張が復興の妨げになっております。 今、国会がなすべきことは、総力を挙げて憲法を生かした被災地の復興に全力を挙げることでありまして、本審査会を今後も動かすべきではないと、そのことを強く主張して意見表明を終わります。
○会長(小坂憲次君) 次に、藤井孝男君。
○藤井孝男君 たちあがれ日本の藤井孝男でございます。 関谷勝嗣先生、本当に今日はありがとうございました。貴重な御意見を賜りまして、本当に参考にさせていただきたいと思います。 関谷先生とは、もう長い間国政でお互いに、御指導をいただいたり、また論議を交わした間柄でありますけれども、私自身、恥ずかしながら憲法調査会には在籍しておりませんでしたので、今般、憲法審査会で初めてたちあがれ日本という新しい政党から参画をさせていただいておりますので、今後ともよろしくお願いをいたしたいと存じます。 そこで、我が党は、昨年四月結党した新しい党でありますけれども、綱領、七項目あるわけですが、その第一番目に、自主憲法制定をまず第一番目に掲げております。「わが党は、誇りある日本の文化と伝統、豊かな自然に育まれた国土と環境、国民の生命・財産を守り、国際社会の一員としての責任を果たすため、自主憲法制定を目指す。」と、こういう綱領でございます。 したがいまして、これからの審査会でも、我が党もいろいろ意見を述べていきたいと思いますが、今日は限られた時間でありますので、五項目について、項目だけになると思いますけれども、意見を申し述べたいと存じます。 先ほど経過報告が事務局長からなされましたけれども、特に、合意したもの、あるいは大筋合意したもの、あるいは意見が分かれたものという中で、これから言う私の五つのうち四つは意見が合わなかったものでございますので、なかなか難しい点があると思いますが、その点について申し上げたいと思います。 まず初めに、第一項目は、国家の緊急事態について。これは関谷先生からも、是非必要である、真剣に考えてくれ、早急に対応してくれという趣旨のお話がありました。 皆さん方御承知のとおり、東日本大震災などに代表されるように、我が国は大規模自然災害が多発する国であることはもう御承知のとおりであります。そして、大規模の自然災害だけではありませんけれども、例えば外国からいろいろテロの攻撃等々、国家の緊急事態に際しては救援活動などのために国民の基本的な人権を、これは守らなければいけないということは当然でありますけれども、こういう緊急事態の場合は制限することも必要になってくる。ところが、こうしたときに、憲法には国家緊急事態についての規定が存在していないという現実があります。 よって、基本的人権をある程度制限せざるを得ない、そういう必要となってくることも想定しながら、国家緊急事態については憲法にきちんと規定を設けていくことが必要だと考えております。 二点目につきましては、これも昨年、たしか九月、中国の漁船によって領海侵犯がもちろん行われ、我が国の海上保安庁の船艇に対して体当たりするという事件があり、船長を逮捕いたしました。そのときの民主党政権の、菅政権のときでありましたけれども、対応が非常に不十分であり、またビデオ公開もちゅうちょされ、そして、当時の現職の海上保安庁の職員である一色海上保安官がそのビデオをユーチューブで流して、そして国民にこの事態を、深刻さを知るに至ったことは、これまた御案内のとおりであります。 そういう中で、やはり海上保安庁の海上警察法と申しましょうか、警備法というのも強化しなきゃいけませんけれども、この点については民主党も前向きにとらえていただきまして、来年の通常国会には海上保安庁の海上警備の強化法については提出するという答弁もいただいているところであります。 しかし一方、自衛隊の方は全く整備が未整備でありまして、日本の海上自衛隊は、憲法九条の影響はもちろんありますけれども、国内法上は軍でないことになっております。したがって、あのような尖閣諸島問題に関していえば、他国の海軍は、いわゆるほかの、外国の海軍は、国際法に基づいて、領海侵犯をした外国の民間船舶を対象といたしましたけれども、臨検をしたり排除をしたりすることはできますけれども、我が国の自衛隊は、総理大臣の命令がない限り何もできないまま領海を守ることはできないと、こういう法律上の未整備が、これからの緊急事態が起きたとき、領海を侵犯したときの対応のしようがないということで、自衛隊に、国際法上の軍隊であることを憲法においてはっきりと明記すべきであると、私どもは、党はそのように考えているところであります。 もう時間がなくなりましたので、あとは項目だけ申し上げますけれども、三番目につきましては、やはり天皇の、いわゆる国家元首であるという、そういったことをはっきりと明記すべきである。 四番目には、政教分離。我が国の政教分離というのは非常に曖昧になっておりまして、国家と教会との分離である政教分離が、国家と宗教の分離ではないという意味において、私は日本のやはり政教分離ということの中で、国や地方自治体が、戦没者追悼行事などが神道や仏教に基づいて実施することは許されるべきではないか、このように考えている次第であります。 あと、まだもう一項目ございますが、時間が参りましたので、この四項目にとどめさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 次に、福島みずほ君。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。 今国会において憲法審査会が始動し始め、議論が始まりました。しかし、施行された日本国憲法の改正手続に関する法律は、当時の安倍政権によって強行採決された法律であり、また国民の意思を正確に反映できる法律ではないことから、社民党は反対をしました。 参議院の日本国憲法に関する調査特別委員会では、十八項目にわたる附帯決議が付されました。解決されていない問題が余りにも多いにもかかわらず成立させた欠陥法案と言わざるを得ません。さらに、同法の附則では、選挙権を有する者の年齢に関する公職選挙法、成年年齢を定める民法、公務員の政治的行為制限に関する国家公務員法、地方公務員法、その他の法令について、同法施行までに必要な法制上の措置を講ずることを定めています。同時に、参議院における附帯決議では、最低投票率、テレビ・ラジオの有料広告規制等について、本法施行までに必要な検討とされています。 にもかかわらず、日本国憲法の改正手続に関する法律の附則や附帯決議に示されている事項について必要な法制上の措置を講じず、また必要な検討も行われていません。にもかかわらず、今国会で憲法審査会を始動し、憲法改正の審議がなされることに強く反対し、改めて日本国憲法の改正手続に関する法律の抜本的見直しをこそ求めます。 日本の最高法規である日本国憲法を変える必要はなく、憲法価値の実現をこそすべきです。ですから、憲法審査会を動かす必要はありません。 この間、司法から立法府に対して多くの課題が示されています。例えば、婚外子に関する差別、一票の格差、基地周辺の騒音問題など様々あります。このような立法府に課された問題は放置されたままになっているにもかかわらず、憲法を改正する議論が優先されていいはずがありません。 さらに、非正規雇用の人が四割に達し、自殺に追い込まれている人が年間三万人以上に達しています。憲法二十五条の生存権が侵害されている状況です。また、思想、良心の自由、表現の自由、プライバシー権、幸福追求権、法の下の平等、家族の中の個人の尊厳と両性の本質的平等、平和的生存権、教育を受ける権利などの権利が十分に保障されていません。平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を三本の柱とし、国、社会としての理想の姿、向かうべき姿を示した日本国憲法を変える必要はありません。むしろ、その憲法に照らして、いまだ達成できていない現状こそを憲法に示された権利を回復するために変えていくことが必要です。 また、とりわけ今動かす必要はありません。東日本大震災と原発震災で実に多くの皆さんが被災し、被曝をしました。現地では、ようやくこれから復興が始まろうとしています。被災者の皆さんは、日本国憲法が保障する二十五条の生存権や十三条の幸福追求権などが著しく侵害されている状況です。今は、その被災者の皆さんの生存権、幸福追求権を回復し、保障することにこそ全力を傾けるべきです。まさに、今求められていることは憲法価値の実現なのです。日本国憲法の基本的人権を保障することこそ必要なときに、なぜ憲法審査会を作動なんでしょうか。災害のときに非常事態宣言をしなければならず、そのことが日本国憲法に規定がないことから憲法改正の必要性を言う見解があります。しかし、官邸が国民を救済するために権利を行使しなかったことが問題で、憲法の問題ではありません。 大日本帝国憲法は、多くの権利を法律の範囲内でしか認めていませんでした。それゆえに、法律で幾らでも権利を制限することができたのです。ですから、国家総動員法、治安維持法、徴用令など、多くの法律を作り、最後には人々の権利は紙切れのようなものとなりました。 基本的人権を無制限に一挙に制限できるとすることはできません。むしろ、今必要なことは、生存権などの基本的人権の回復に全力を挙げることです。今こそ憲法を生かし、実現することこそが求められています。憲法を改正する必要はありません。憲法改正のための国民投票のための憲法審査会を動かすことに反対であることを表明し、私の意見といたします。
○会長(小坂憲次君) 次に、亀井亜紀子君。
○亀井亜紀子君 国民新党、亀井亜紀子でございます。 本日は、関谷先生にお時間いただき、これまでの経緯について御説明いただきまして本当にありがとうございます。冒頭、参議院が若返ったということをおっしゃいましたけれども、私も一期目の議員でございまして、今までの経緯をお伺いできたことは大変参考になりました。ありがとうございました。 国民新党は自主憲法の制定を政策に掲げております。ですので、今回の憲法審査会の再開は歓迎をいたします。 現在、TPP交渉など、国家を超えた枠組みの創設が国際交渉において議題となっているわけですけれども、その中で日本が自主独立国家として主権を保っていくためには、憲法の改正は必要であろうと国民新党は考えております。 また、非常事態規定の創設は、この今回の東日本大震災の状況を見て早急に必要であると実感をしております。地方分権の流れの中で、被災地においても自治体に決めさせるというような流れでございますけれども、やはりなかなか意見が一致するということは難しいわけでして、このような非常事態に際してはやはり国家が指導的な役割を担うということが必要であると考えております。 また、日本は土地について、公と私の関係、私有権が非常に強い国家です。けれども、例えば尖閣諸島が私有地であること、また日本の森林が外国に買収されていくようなこと、国家安全保障にかかわる重要な問題だと思いますので、この点についても憲法上の議論が必要ではないかと考えております。 そしてもう一つ、自衛隊の位置付けについてですけれども、自衛隊が誇りを持って活動をできるような体制を憲法上整えていただきたいと思います。 国民新党の創設メンバーの一人が田村先生という自衛隊出身の方でございました。政党の結成当初から、自衛隊が誇りを持って活動できるように、そういう政党をつくってほしいということでございまして、その思いは今もって継承をいたしております。 最後に、両院協議会、二院制の在り方についてもお話をしたいと思います。 先ほど関谷先生のお話で、国民投票に関して、その開催日が衆院、参院で意見が異なった場合にはどうするかというような議論がされたというお話もございましたけれども、ねじれ国会が常態化する中で、この二院制の在り方、これは選挙制度改革にも影響を与えるものですし、早急に議論すべき議題だと思います。 政権交代直前の両院協議会に私は出席をいたしておりました。当時は自民党政権で、民主党が参議院で多数派でございました。そのときに両院協議会に出たメンバーのお一人が西岡前参議院議長でありました。そして、石井一先生も御出席であったと記憶をいたしております。あのときに、きれいに政権交代になればいいけれども、ねじれ国会が常態化したときにはどうするのかと。ですから、両院協議会を形式的なものではなくて、真剣に調整の場として今議論すべきであるということを提示されていた、よく記憶いたしております。残念ながら、あのときの協議会も形式的なものに終わってしまいましたけれども、西岡議長のおっしゃっていたことを私よく記憶をいたしておりまして、やはり二院制の在り方とこの両院協議会の在り方というのは急いで議論をしていただきたいと思います。 以上でございます。
○会長(小坂憲次君) 各会派を一巡いたしましたので、他に発言を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言願います。 なお、御発言は五分以内にお願いすることとし、一分前に予告の紙を提示させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。 鈴木寛君。
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。 私も関谷会長の下で参議院の憲法調査会の幹事をさせていただきました。本当に当時の御指導に心から改めて感謝を申し上げたいと思います。また、本日も本当にありがとうございました。現在は民主党の憲法調査会の事務局長をさせていただいておりますが、今日は個人的な意見ということで申し上げさせていただきたいと思います。 先ほど江田先生からお話がございましたが、いわゆる日本国憲法の三大原則、これを維持発展をしていく、その重要性ということについては私も全く江田議員の御発言と変わるものではございません。 その中で、私が特に関心を持っておりますのは、この三大原則のうちの一つであります国民主権の発展という点でございます。そのための統治構造の進化ということに関心を持っております。 実は、国民投票法の議論のときに、投票率を条文の中に盛り込むのかどうかと、そういった議論がございましたが、当時は、この投票率については、国民が期待を膨らませてこの憲法論議に参画をし、そしてその結果としてそのような場合になった場合には投票に向かうようにすることこそがこの時代に生きる私たち政治家の務めだと、こういう議論が背景にあったように理解をいたしております。つまり、未成熟であった憲法制定権力をしっかりと育て上げて、そしてしっかりとした憲法改正権力の行使を実現することが今の時代の政治家の務めだというふうに考えております。 こうした観点から鑑みまするに、今現在、これ世界的な動きとも申し上げても過言ではないと思いますが、いわゆる二十世紀の民主主義というものが危機に陥っているというふうに思います。 これは、価値観が多様化し、そして社会が複雑化する、国際化の進展、そういう中で、いわゆる物質的な価値至上主義を超えて、きずなの重要性などがその典型例でありますけれども、様々な価値観の実現ということが社会で求めている、そして国民の皆さんもそのようないろいろな多様な思いを持っておられる。それに対して、この統治構造が民意のくみ上げあるいはその集約という点で若干の機能の不十分な点があるということが、昨今の政治離れあるいは閉塞感ということにつながっているのではないかというふうな気がいたします。 加えまして、そこにいわゆるリップマンが言うところのステレオタイプ、あるいはテレポリティクスというものが、二項対立的な分断が社会に蔓延をしていると。こうした状況が続きますと、ハンナ・アーレントなども言っておりますが、全体主義という著書の中で代議制民主主義とその懸念というものを指摘しておりますが、そのことが顕在化しかねない、そういった状況にもあろうかと思います。まさに、現場の課題に対して、議会と市民の現場をつなぐ公共圏における熟議というものの充実が的確な問題解決というものにつながるというふうに思います。 私ども民主党政権は、鳩山内閣の下で、松井当時官房副長官などのリーダーシップにもより、新しい公共ということの重要性、あるいは熟議、文化の醸成ということを言ってまいりました。これは、すなわちは、まさに国民主権の原点に返ると、こういうことだと思います。 まさに、ステレオタイプ的議論に国民あるいは政治が翻弄される中で、真の国民の幸福、社会正義の実現を可能にする、そうした民主主義の創出、あるいはそれを促進する統治構造の進化、また、そうした熟議を担い得る自立し社会に貢献する真の主権者あるいは社会、国の担い手といった者をどのように育てていくのか、また自分たちがそのようになっていくのかというようなことが非常に重要かと思います。 そのような観点から、我が国に健全な憲法制定権力の形成に向けた議論がこの場を通じましても充実されることを強く期待するものであります。 本日は、関谷会長、本当にありがとうございました。また、今後の御指導をお願い申し上げます。
○会長(小坂憲次君) 西田昌司君。
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。関谷先生、どうもありがとうございました。 私も意見を申し上げさせていただきますが、これは私の個人的意見でございます。 先生の報告の中にも憲法制定過程についての瑕疵があると、そのことについての問題点をこの中で述べられておられますし、今日の意見表明をされましたそれぞれの会派の中でもそのことを多くの方が問題視されておられます。ところが、そうはいうものの、それはそれで横に置いておきながら、個別の議論が次々次々生まれてくるんですね。例えば九条の議論もそうでありますし、この非常事態に対する法律、法制がないという、そういう問題が来るんですが、私は、憲法問題というのは、どこまで行きましてもその制定過程、そもそものその正統性があるのかということの議論をせずに個別問題に入ってくると、その議論のやみの中に包まれてしまって本質が見えなくなると思っています。ですから、まずはこの制定過程が、それぞれの会派の方々、問題であるということであるのならば、そもそもこの憲法自体が果たして有効性があるのかというところに行くべきなんですね。 ところが、これ六十年ほど使ってくると、実際それが有効に使われてきたんじゃないかというところで話が終わってしまうんです。しかし、そうじゃないんですね。私は、その問題についてはこの五分間では説明し切れませんので、また別の機会に続けて発言をしたいと思いますが、まずはこの正統性の話を議論しなければ、個別問題に入っていくと本質を見誤ってしまうと。 特に、その本質問題でいいますと、日本の憲法といいますのは、それぞれの国、憲法がそうですけれども、国柄を表すものであると。国柄というのは何かということを考えますときに、例えばアメリカ合衆国のようにいわゆる人工的につくられた国と、また共産主義諸国のように革命によってつくられた国とは、根本的にはその成り立ちが違うわけですね。それは、よく先生方も伝統、文化、そういう言葉で使われますけれども、そのことをずっとたどっていきますと、一言で言えば相続ということに行き当たってしまうんですね。 つまり、我々日本人の主権というのは何からきているかというと、憲法によって保障される、そういう問題ではなくて、我々の先祖がこの国をずっと代々歴代にわたって守って伝えてきたと、その相続人としての権利なんですよ。ですから、その相続人としての権利ということを考えましたときには、国柄、国の伝統ということを最大限我々が尊重しなければ、我々の主権自体が実は否定されてしまうと。そこを憲法によってできているんだというふうに考えてしまうと、そもそもの日本の国柄というのが見えてこないんです。 何が言いたいかといいますと、そういうことを考えていきますときに一番象徴的に出てくるのが一つは皇室なんですね。皇室の存在というのがやはり日本の国の形を考える上では一番大きなものであります。ところが、今、この場で議論するのははばかられることかもしれませんけれども、この皇統が十分にこれから先も保障できるような状況にあるのかというと、非常にその辺に大きな問題を抱えているわけでありまして、そういうことを考えますと、私は、まず憲法の議論をするときには本質論から入らなければならないし、同時に、そのことを考えましたときに、まずは皇統が絶対に絶えないということを法律的にやっぱり我々が担保する仕組みをつくっておかないと、これはとんでもない話になると思うんですね。ですから、今、皇室典範の話は政府の中からも議論されていたようであります、真偽のほどはよく分かりませんが。そういうことも含めて考えなければならないと思っております。 それからもう一つ、その皇室に象徴されるのは、実は皇室に象徴されるように、我々は相続によってこの国を守ってきているんだということは、もう片っ方で家族という発想なんですね。日本人が一番大切にする家族というものの価値観を、実は今の憲法は何一つ、家族のカの字も書いておりません。それぐらい日本人の価値観とは非常に離れたところからできている憲法であると。 だから、二重三重にいろんな意味を含めて今の憲法には正統性がないし、そのことは皆さん方それぞれの会派の方も多くの方が共有されていることと思いますので、是非、関谷会長の報告の中にも冒頭にありましたように、制定過程のところから含めて、もう一度根本論をこの審査会ではしていただきたいと、そのことを私の意見とさせていただきたいと思います。
○会長(小坂憲次君) 片山さつき君。
○片山さつき君 御指名いただいてありがとうございます。 ついにこの会が始まり、検討が始まることを大変喜んでおります。 私も、今から申し述べさせていただくのは私個人の見解なんですけれども、憲法議論というと、私自身は安全保障の問題を今までずっと中心にとらえてきたんですが、昨日の結果も受けて、国と地方の問題というのが恐らくいろいろな憲法改正手続の時間の経過等を考えるのとは別の時間の動きの中で出てこざるを得ないような状況に今なっているのではないのかなと考えております。 今、調査報告書と関谷前会長のお考えと陳述を伺わせていただいて、国と地方の部分をまた改めて読ませていただき、また我が自民党の方でも、地方分権と道州制を進めつつも、その部分を憲法改正案に具体的にどこまで細かく詰めて具現化するかまでは立ち至ってはいないわけでございます。 特に、今回、大阪の都構想というものが出てきまして、九十五条の条文を使えば、その地域だけに適用される法律を住民投票をもって通すことは可能でございますが、そのことによってどういう状態が起きるかというと、今、現行憲法の下、それから戦前からの特別区を引き継いでしまった特別区制度の下でそれをやると、区になったところの地方自治の基礎自治体としての権利というんですか、憲法上しっかり認められた基礎自治体としての権利がない部分の大きな基礎自治体的なもの、準ずるものが増えていくことになるんですね。それについて、では、それが国民の間に広く認識されているかというと、決してそのようなことではありません。 その辺の議論も含めながら、長いこと国と地方の在り方についての議論がこの憲法の議論の場でも堂々巡りになってきたわけですが、そこで、今の閉塞した状況の中で、その国会での堂々巡りの議論はどうあれ、行政改革をするために、どうにもならない地方経済を何とかするために、どうにもならないこの赤字を何とかするためにという議論が出てきてしまっているのであれば、それはこの会なり国会の議論としてきちっとこれに対応することがないと、国民全体の政治に対する要求にこたえていることにならない可能性があるんですね。 つまり、今の憲法の九十三条、九十四条、九十五条というものの下で九十五条の住民投票を通って新たに出てくる新しいタイプの自治体というのは、地方自治の議論の中でずっと自治が高まってきた自治体よりも自治度が下がってしまう可能性があって、それは、この報告書の中にあるいろいろな議論で、基礎自治体の地位を高め、どんどんどんどん地方分権する、できることは地方分権の方にやっていくという部分とずれてしまう可能性があるし、全体としての国と地方の権限調整や財政調整は国会が担うべきではないかという議論をこの会でもしてきたはずなんですけれども、そことの調整をどうするかという問題も出てくるので、大阪都構想と、まだ中京都構想と新潟州都構想というのが今あるものの三つだそうですが、その三つはお互いに非常に違いますし、現行の東京都と特別区の関係とも違うようでございますし、現実に区割りをやりますと、これは物すごくもめるものでございます。 私の先祖は東京に区をつくるときの区割りの担当を東京府と東京市でしておりましたので、いかに苦労するかというお話はそれだけでも分かるんですが、ただ、法律上はできるわけですから、それを執行するときに止まっても、それについての見識や見解が国会の側にないということはあってはいけないと思うので、今後の中で恐らく国と地方の関係というのがこの憲法審査会でもより大きな地位を持たなければいけないし、我々も国民の信託、請託から逃げずに、より良い国と地方の在り方、財源調整をどうするか。特に、大阪の場合のように、大阪府も大阪市も恒常的に交付税をもらわなければやっていけない状態になっている場合、首都のように恒常的に黒字だから特別なことをやってきたのとは違う場合があちらこちらにできてくる場合にどう考えるかということについてもきちっと検討しなければいけないと思っております。 以上でございます。
○会長(小坂憲次君) 増子輝彦君。
○増子輝彦君 ありがとうございます。 今日は、関谷先生、本当にありがとうございました。御礼申し上げます。 民主党・新緑風会の増子輝彦でございます。私も衆議院時代に、憲法調査会、衆議院時代に参加をさせていただきまして、今日再びこのように、参議院、衆議院とも審査会における論議がスタートしたこと、大変喜んでおります。 今日、実は一部、これは関谷先生や川口先生の方からも、今回の東日本大震災がこの憲法論議を少しやらなくてもいいようなことをおっしゃる方がおられるというような発言がありました。私は、東日本大震災と福島原発の事故に関して、このことが憲法論議を妨げるということの障害には全くないと思います。そういう方々がおられるならば、是非私たちは声を大にして、この憲法論議と東日本大震災と福島第一原発の事故の関係については全く違うということを是非、審査会の皆さんにも声を大にして言っていただきたいと思いますし、また、今、我々被災県の者として極めて深刻な依然として状況にあることを是非改めてこの審査会の中で皆様方に御理解をいただきたいと思います。 私も、個人的でございますけれども、この三大基本原則、当然これがあっての憲法でありますし、私は基本的には、かつて自民党を離党したときに、新党みらいという政党の中の、五月三日の憲法記念日に論憲という考え方をいち早く出した政党であるということを私たちは大変誇りに思っておりましたけれども、これに加えて、様々な憲法論議の中で今出ていることは承知しております。是非この憲法審査会を通して様々なものをもう一度皆さんと一緒にやっていきたい、そのことを私は今日あえて申し上げさせていただいて、発言に代えさせていただきます。ありがとうございます。
○会長(小坂憲次君) 白浜一良君。
○白浜一良君 公明党の白浜一良でございます。 関谷先生、今日は本当にお忙しいところお越しいただいて貴重な御意見ありがとうございました。久しぶりにお声を聞きまして、うれしかったでございます。 我が党の基本的な見解は先ほど魚住さんが申し上げましたけれども、私も調査会が平成十二年にできたときに我が党の最初の幹事でございまして、そういうことで一番長くかかわっておりますので、一言所感を述べさせていただきたいと思います。 今日いろいろ議論を聞いていまして、私はもう一言だけです、申し上げたいのは。もう本当に教条的な憲法議論はやめようと、このことを申し上げたいわけです。もう戦後ずっとやってきているわけでございまして。 と申しますのは、先ほど少し話ございましたが、昨日、大阪の知事選、市長選がございましたけれども、私、大阪市内に住んでいるものですから、いろんな今日、論評されておりますけれども、大阪に住む者として結局いわゆる大阪を何とかしたいと、再生したい、復興させたいという強い気持ちが維新の会の勝利ということで現れたわけでございます。 問題は、それだけ大阪府民の民意があるならば、いわゆる政党がそれを受け止めるべきところではございますが、ある意味で、我が党は自主投票にしましたけれども、政党の方が敗北しているわけですね。要するに、そういう現実があるということを私はもう直視しなけりゃならない。これは大阪だけじゃないと思うんです、閉塞感があるのは。日本全体に地方の閉塞感があるわけでございますが。 しかし、先ほども少し意見がございましたが、憲法を見ますと、地方自治は四条しか書かれておりません。地方自治の本旨とは書かれているけれども、中身がない。そういう現状であるわけで、私は、ですから、こういうある意味で住民と政党の主張との乖離というものがなぜ起こるのかと考えた場合に、先ほど少し話がございましたが、やはり国会において国と地方のかかわりを本格的な議論もしてこなかった。全て憲法の規定が少ないから十分じゃないからそういう現実が起こっているとは私は申し上げません。しかし、間違いなしに議論が少ないからそういう住民の意向をくみ上げていないのは事実でございまして、一政治団体の維新の会があれだけ圧倒的に住民の意向を体して勝利を市長選、知事選においてするという現実を私たちは直視しなきゃならない、このように思うわけでございますし。 まして、戦後六十六年を過ぎました。あの敗戦の地から今日まで日本の復興のために国民は一生懸命働いてきたのは事実でございますが、しかしあの戦後経済復興を支えた基幹産業が空洞化しつつあるわけでございます。また、社会保障をつくり上げてきたけれども、今のような雇用形態でつくり上げた社会保障がもつのかどうかという大きな問題にも直面しているわけでございまして、そういう意味から、私はこの憲法を論ずる場合も教条的な議論だけでは余り意味がないと。本当にこの日本の国をどうするのかと、国民生活を守るというのはどういうことなのかという地点からこの憲法を議論もした方がいいんじゃないかということを一言申し上げたいと思います。
○会長(小坂憲次君) 衛藤晟一さん。
○衛藤晟一君 関谷先生、どうもごぶさたいたしております。 私も衆議院のときにも調査会の方でちょっと議論させていただいて、やっと参議院の方でこうして議論ができるということを本当に有り難いというように思っています。 先ほど我が党の西田さんからもお話ございましたけれども、やっぱり憲法のできた歴史というのはいろんな過程があったと。それは、大きく国会議員としてこの流れは冷静に受け止めなければいけないんではないのかという感じがします。やっぱり憲法ができたときの制定過程というのは、日本が敗戦を迎え、そして占領という中で、アメリカが日本をどういう具合に統治するかということで基本的に日本に作った、あるいはこの中に近衛さんもいろいろかもうとしたりと、いろんなこともありましたけれども、その中でも日本の中でこの動きに一部呼応する人もいたし、逆に言えばその動きを防ぐために早く乗れという人もいたし、そういう中で日本国憲法の形が出てきたという具合に思います。 それがやっぱり昭和二十四年ぐらいまではそういう形でしたけれども、今度はアメリカの方は、昭和二十四年に言わば中華人民共和国が成立したとか、あるいはその後の朝鮮動乱ということが起こることによって明らかにアメリカが方針転換をしたわけでありまして、だからこそ逆に言えば日本の占領が七年間で終わったということだと思います。 ですから、それから起こってきたことは、当初の四年間は日米関係の考え方の違いの中から、アメリカははっきりと日本に対してこういう憲法を作れという具合に言ってきた。しかし、それはある意味ではそのもくろみがアメリカは外れたというか、そういう中で、昭和二十四年から六、七年掛けての動きの中で大きな方向転換をしてきたと。それはやっぱり米ソ冷戦の中での日本に対する位置付けの転換が行われてきたと。だから、そういう中で日本の独立があったということが冷静な事実だと思います。 そんな意味では、やはりそのころのことを考えると、今の日本は、例えば基本的な人権というか、そういう権利というものはちゃんと確保しながらいかなきゃいけないということと同時に、これをどうやっぱり今からやっていくのかという、国づくりについて明らかに考えていかなきゃいけないときが来ているという具合に思います。もう少々、そういう意味では遅きに失しているんではないのかという感じがします。 今、片山先生からのお話ございましたが、明らかに、日本がずっと取ってきた、明治のときに廃藩置県をやって都道府県制度をつくって、そしてその中から戦後日本は政令市みたいなことをつくってきましたけれども、その矛盾が出てきたのが今回の大阪のダブル選挙、知事と市長のダブル選挙であったような気がします。そういうところに我々はずっと手付かずで残してきたという問題が出てきた。 ですから、今この憲法を議論するということは、やはり改めてあの憲法を作ったときアメリカの意思はどういうことにあったのか、その中で日本にとってはどうなのかということをやっぱりはっきり考えなきゃいけないし、そしてまた、その後の米ソ冷戦の中でそういう位置付けが行われて、そしてそれが終わってまた平成という時代になって、終わった中での今アジアの状況というのは非常に厳しい状況にあるわけでありますけれども、そういう中で日本がどう生き残るのかと。 そしてまた、改めて、中央と地方の関係だとか、あるいは公務員制度の在り方一つにしても、この基本的な問題は、ほとんど実は昭和二十四年に決められた問題であるからこの問題大きく含んでいるし、例えば農業の問題だって、アメリカが非常にやってくれた農地改革というのは自作農をつくって非常にうまくいったけれども、もうそれだけではやっていけないというようなところまで来ているということは明らかですから、その経過を踏まえながら日本がどういう国づくりをしていくのかというときに差しかかっているということが私は憲法改正の一番必要なところではないのかという具合に正直言って考えています。 ですから、徹底的な議論をしなければいけないというように思っています。どうぞよろしくお願いします。
○会長(小坂憲次君) 有村治子君。
○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。 関谷勝嗣先生、会長でいらしたときには会長職ゆえになかなか御自身の御意見の開陳がかなわなかった中で、会長職を御経験の先輩として貴重な御意見をいただいたことを心から感謝申し上げます。 また、賛同するかどうかは別にして、各党会派の御意見、江田五月先生から始まりまして川口順子先輩始め、各党、各委員の御意見も本当にその特徴を表していて、なるほどそういう考えもあり得るのかという意味では、改めて党派を超えてお一人お一人の御意見に心から敬意を持った次第でございます。 その上で、共産党さんが、こんな大事な憲法のことを国会対策上、俎上に上げて憲法審査会を開始するのはおかしいというふうにおっしゃったんですけれども、逆の意味で私は、国会対策上、民主党さんのなかなかこの審査会の名簿が出されてこなかったという国会対策上の遅れたことに関しては非常に残念に思っています。それが議院運営委員会でも何度も何度も交渉の末、今日の実現に至ったことは改めて良かったなというふうに思っています。 その上で一点。 民主党の増子議員もおっしゃったことですが、やはりこの三・一一の東日本大震災を受けて、非常事態に対する事態、国家緊急権というお話もありましたけれども、まさにこのような国民の暮らしの基盤の土台を揺るがすような事態に直面する中で、やはり個々の権利義務あるいは社会の要請とか社会的責任に強い影響を及ぼす事態が発生した、またこれからも発生する蓋然性が低くないからこそ、憲法によってその範囲内で国家統治を明確にして、国民生活を脅かす非常事態に法治国家として立ち向かうということが極めて大事で、その中で国家国民益につながる公益をしっかりと担保していくというきずなを法的にしっかりと明確にして、その範囲内での私たちが遵法精神を明確にするということが大事だと思いますので、むしろ三・一一あるいはそれ以外の天災ということを中心にして、どのような制約が公益を実現するためにハンディになったのか、あるいはメリットになったのかということを、この時期だからこそ、私たち国民の代表、各層各地域の代表である議会人が明確に謙虚に耳を傾けて考えを広めて、そして、それぞれの各党各派の意見を開陳をしていくことが極めて大事だということのリクエストを会長にも是非今後の俎上に上げていただきたいということを意見表明をさせていただきたいと存じます。 以上です。ありがとうございます。
○会長(小坂憲次君) 山谷えり子君。
○山谷えり子君 関谷勝嗣先生、ありがとうございました。 自由民主党、山谷えり子でございます。 占領時代に憲法と教育基本法という日本の背骨に値する大事な二つの法律が占領軍によって作らせられました。昭和二十七年四月二十八日、主権を回復して来年で六十年目になるわけですが、私たちは、占領時代にどのようなことが行われたか、のまざるを得なかったかということを冷静に見詰めていく必要があるというふうに思っております。 憲法の前文に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という文章がございます。これは全く現実を見ていない空想的なわび証文であり、また主権国家としてあり得ない表現だというふうに思います。これをただすことすらできなかったこの長い長い年月というのは、本当に日本は知的怠惰であったし、そして主権国としての責任と覚悟がなかったのではないかというふうに思います。北朝鮮のような国によってどれだけ同胞がこれまで拉致されてきたのでしょうか。あるいはまた、竹島、今実効支配されておりますけれども、我が国の領土すら守ることができない。 私は、イラクの戦争の後、復興支援のためにイラクに参りましたが、そのとき連合当局と日本が自衛隊、どのような活動ができるかをいろいろ話し合ってまいりました。そのとき日本は、例えば水を配る、学校の修繕、補修をする、それすら自衛隊はできないわけです。他の軍隊によって守られながらそうした復興支援活動をしなければならない。それは憲法の解釈でできるかもしれませんけれども、非常に現実を見ていない日本の憲法によって、日本は主権国家としての当たり前の独立した行動もできなかったのではないかと思います。 これから本当に、グローバリゼーションの中で、今のような足かせをはめられたような形で主権国家として進んでいくというのはますます難しくなっていくのではないかというふうに思っております。国柄を守り発展させていく、そして国の形を時代に合ったものにしていく、こうした視点から議論を進めていただくことをお願いしたいと思います。今上陛下まで百二十五代、君民一体で我が国はすばらしい国柄を紡いでまいりました。正直、親切、勤勉、チャレンジ精神、親孝行、世界で最も古い連綿とした歴史、伝統、文化を持つ我が国、これは御先祖様から受け継いできたものであり、私たちがその国柄を発展してバトンを渡していく必要があります。そのためにも家族というものは保護、尊重されなければならない、そうした視点も憲法の中に入れていくことが大切だと考えております。
○会長(小坂憲次君) 松井孝治君。
○松井孝治君 民主党・新緑風会の松井孝治でございます。 関谷先生、今日は大変貴重なお話をいただきましてありがとうございました。私も関谷会長時代の憲法調査会に所属させていただいた一員として、過去の経緯をもう一回思い出させていただき、そしていろんな示唆を改めてちょうだいしました。心から御礼を申し上げます。 また、今日、会長から会長代理を御指名をいただきまして、本日も提起されたような多様な意見、それぞれに私どもがきちんと心に刻んで議論しなければいけない多様な意見が今日も提起されたと思います。是非、会長を補佐して、各会派の御意見を、できるだけ多様な意見を取り入れて、しかし前に向いて進めていかなければいけないと思います。 私個人としては、今、先ほど来御提起になられている日本の伝統、文化というものをしっかりと踏まえながら、そして、しかし国際関係、今の近代国家のありようというものも問われている部分もしっかり問い直しながら、やはり国の形というものをもう一回見詰め直す、そういう憲法を再度議論していく必要があると思っております。 同僚の鈴木寛幹事からは新しい公共という議論もありましたけれども、例えば今ほどございましたような国と地方の関係、これも憲法の中の地方自治、地方自治法にどこまで委任しているという状況でいいのかどうか、あるいは言及のない家族というような制度というのをどうとらえていくのか。あるいは中央政府、あるいは国会の中での衆議院、参議院、私も二院制の小委員会でも議論させていただきましたが、その在り方が問われていますし、選挙制度にもかかわってくる問題でございますので、今日も提起された御議論をしっかり、さらに次回以降も継続して、そしてもう憲法調査会ではなくて憲法審査会に立ち至っておりますし、具体的な宿題もあるわけでございますから、できるだけ各会派の意見を糾合しながら、我々は参議院としての使命を果たしていきたいと改めて感じた次第でございます。 本日は誠にありがとうございました。
○会長(小坂憲次君) 御発言も尽きないようでありますが、予定の時刻も過ぎておりますので、本日の調査はこの程度といたします。 この際、一言御挨拶申し上げます。 関谷参考人には、大変貴重なお話をいただきまして誠にありがとうございました。審査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会