本会議 第3号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2011/01/28
会議録
○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。 〔山口那津男君登壇、拍手〕
○山口那津男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました菅総理の施政方針演説に対し質問します。 一月十四日の内閣改造から初の施政方針演説。私は、菅総理自らが最強と位置付けられた新内閣を率い、この国のリーダーとして具体的に何をされるのか、もっと明確に表明されるものと淡い期待を持たなかったわけではありません。 しかし、結論はやはり欺瞞と変節に満ちた期待外れのものでした。政策項目は政治主導を放棄した官僚任せの羅列にすぎず、自ら選んだ政治課題はどこか他人任せの先送りのようにむなしく響きました。 そもそも、平成の開国、最小不幸社会の実現、不条理を正す政治の三つをあなたは国づくりの理念としていますが、全く意味が伝わりません。今の時代を鎖国と思っている国民はいないでしょう。不幸を放置しておく社会を実現してもらっては困るのです。不条理を正すに至っては、この度の内閣改造の対象となって、人生は不条理と語った海江田大臣とよく相談されてから発言されてはいかがでしょうか。 鳩山前総理の言葉も軽かったけれど、菅総理、あなたの言葉も責任感と実現力に裏打ちされていないと言われても仕方がないのではありませんか。もしそれがあるならば、今までは仮免許だったと言ってみたり、菅内閣の七か月は間違っていなかったと言ってみたり、こんなに頑張っているのに評価されない、気持ちが萎えるなどの弱音や本音はその口から出ないはずです。 その反面、社会保障と税制の改革に向けた与野党協議については、過日の民主党大会で、野党が協議に応じないなら歴史に対する反逆行為と発言されました。随分思い上がった言葉遣いですね。協議の上、制度を整えて実施していく責任がある総理大臣が野党を挑発するとは何事ですか。 また、この改革に政治生命を懸ける、重い言葉です。総理としての政治生命とは果たして一体何を指すのですか。六月までに内閣は社会保障改革の全体像や税制抜本改革の基本方針を示すと述べていますが、このテーマで信を問うという意味なのか、明確にお答えください。 民主党政権になって一年四か月、マニフェストは破綻。重要政策は全て先送り、失政はすぐに責任転嫁、問責を考慮して今国会に対応するために、にわかにつくった取りあえず内閣でも支持率は上がらず。総理が最も当てにしている市民は、とっくにあなたという政治家の本質を見抜いています。それゆえに、昨年十二月の茨城県議選、お膝元の西東京市議選でも民主党は惨敗したのではありませんか。 菅総理、あなたにはこの国の総理大臣をもはや任せられないという市民、国民の率直な声が高まりつつあると申し上げ、質問を具体的に行います。 民主党政権がまとめた新成長戦略は、七つの戦略分野と二十一の国家戦略プロジェクト、政策措置は実に三百三十項目に及びます。我が国の経済成長を押し上げるためにはあらゆる施策の果断な実行は重要でありますが、私は、時間的余裕も財源も限られた中にあって、特に新しい芽を伸ばすことに優先的に力を注ぐべきだと考えます。 具体的には、先端技術や産業資源を集中させて医療・介護分野を魅力ある成長産業に育成する、高度な技術開発の推進と潜在力を引き出すことで農業の国際競争力を磨く、そして、環境分野における需要創出に積極的に取り組むことが重要であると考えます。総理の認識を求めます。 しかし、成長戦略のための予算はどうなっているのか。元気な日本復活特別枠は、評価基準が不明確で、結局、思いやり予算を始め、半分以上がおよそ成長とは関係のない施策に配分され、結果的に新成長戦略関連は一兆円にも達していません。余りにも力不足ではないですか。総理、元気な日本復活を想起させるには程遠いこの対応で新成長戦略が実現できるとは到底思えません。総理の認識を求めます。 日本経済の屋台骨である中小企業は依然厳しい状況です。昨年の企業倒産件数は民間調査で前年比一二・四%減と五年ぶりに前年を下回りましたが、その要因の一つは、私たち公明党が創設を推進し、対象業種の拡大を進めた緊急保証制度が奏功していると考えます。 しかし、政府は、緊急保証制度の本年三月での打切りを決定しました。財務省は景気判断を下方修正し、エコポイントなどの政策効果が減衰していく今後、中小企業の資金繰りが再び悪化することが懸念されます。総理は現場の中小企業の方々の困惑をどう認識しているのか、中小企業の資金繰り対策について答弁を求めます。 円高などで大企業の生産拠点が海外に移転する中、特に下請の中小零細企業は厳しい国際的な競争にさらされています。こうした状況を打破するためには、国内に製造拠点を維持する企業への支援を強化すべきです。中小企業関係予算の増額を含め検討すべきと考えますが、総理の認識を伺います。 平成二十三年度予算案、税制改正について何点か質問します。 この予算案は、民主党政権が実質的に概算要求を含め最初から手掛ける初の予算案ですが、二年続いて国債発行が税収を上回る異常な予算です。当初予算で過去最高の発行水準を更新し、財政健全化への道筋も更に遠のいてしまいました。民主党マニフェストの財源は破綻しているのに、中途半端にマニフェストの事業にこだわる姿勢が招いた危機的な予算と言わざるを得ないのではありませんか。 ついに日本国債の格下げを招きました。問われた総理がそういうことに疎いのでと発言したことに耳を疑いました。危機感に乏しく、それを乗り越える決意も浅いと言わざるを得ません。総理の答弁を求めます。 子ども手当について伺います。 公明党は、二十二年度の子ども手当法には、平成二十三年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充を求めるなどの修正を行った上で賛成しました。これは現金給付に偏っている現政権の子育て支援策をただしたものですが、二十三年度予算案では、現金給付は手当の一部上積みで更に拡充しているのに対し、保育サービスなどのいわゆる現物給付は十分な拡充がなされておらずバランスを失しています。また、平成二十三年度以降の恒久財源に裏打ちされた予見可能な安定的制度を目指したものですが、またしても単年度の時限措置というその場しのぎの内容となりました。これでは修正した法の趣旨に反するものと言わざるを得ないのであります。 総理、こんな迷走を毎年繰り返していては、子育て世帯の人生設計は成り立たず、将来への安心が生まれるはずがないではありませんか。総理の誠実な答弁を求めます。 地域活性化の観点から伺います。 公共事業は、今もって地域の雇用、経済を支えている重要な柱の一つです。しかし、今年度一八・三%削減に続き、来年度予算案で更に五・一%削減されます。それに代わる雇用創出策はありません。今、地方では仕事がないのです。地域の中小・小規模事業者への優先発注など、仕事をつくるための配慮が必要です。また、真に必要な社会資本ストックの老朽化対策等も喫緊の課題です。こうした認識が総理には欠けているのではありませんか。答弁を求めます。 次に、税制改正についてです。 税制抜本改革は、あらゆる税目について整合的かつ一体的に取り組まなければなりません。しかし、民主党政権の手法は、抜本改革の一環と称しつつ、税制改正の理念もないままに、要はマニフェストにこだわる財源あさりのためのつまみ食い的な改正になってしまっています。法人税の引下げについては、専ら代替財源をどうするかに終始し、結局、一部は特別償却の廃止、縮減や減価償却の見直し、研究開発税制の一部縮小などが充てられたものの、減税財源は確保できず、総理が期待する効果も不透明です。 国民生活が第一という言葉がむなしく響きます。税制改正に関して総理の答弁を求めます。 総理、冒頭にも引用しましたが、社会保障と税制の改革に向けた与野党協議に野党が応じなければ歴史に対する反逆行為だという発言、この言葉、そっくり菅総理にお返しいたします。民主党がマニフェストで国民と約束した年金制度案、すなわち一元化と全額税方式の最低保障年金の具体的制度設計を早く示してください。 かつて国会で年金制度や社会保障に関する与野党協議が行われたこと、まさか総理はお忘れではないでしょう。その際、野党だからデータも資料も十分に入手できないから具体的制度設計はできないといって途中から協議を逃げ回っていたのは民主党ではありませんか。政権与党となって既に一年四か月、もはや逃げ口上は許されません。 公明党は、菅総理の就任当初から社会保障の在り方についての与野党協議を提案してきました。この度、施政方針演説で与野党協議に応じることが明言されたのですから、与党の具体案が出されなければ協議になりません。内閣は六月までに全体像を出すと述べていますので、その前に、内閣と異なる主体である与党・民主党がマニフェストに基づいた具体案を協議の場に出してください。 総理、あなたは施政方針演説において、議員定数削減など本来国会で議論すべきことについて、一政党の代表として与野党協議を提案されました。ならば、民主党代表として与党・民主党の年金案を含む社会保障の全体像を出す義務があるのです。それをしないのであれば、あなたこそ歴史に対する反逆行為を行うことにほかならないのです。総理、明確にお答えください。 もう一点、今般の内閣改造における与謝野氏の閣僚起用についてです。 与謝野氏は自民党比例区枠で当選し、今も国会議員として活動されています。その方がそのまま民主党政権の大臣として活動することはまさに有権者への反逆行為そのものであり、政権選択、政策選択をする選挙制度の趣旨に真っ向から反するのではありませんか。さらに、与謝野氏はこれまで民主党の経済政策をことごとく批判し、社会保障、特に年金制度の考え方が民主党とは決定的に異なっています。こうした方を社会保障、税制の一体改革の中心者に据えるのは、政策選択をした有権者の意思にも反するものです。 結局、歴史の審判を受けるのは、国民を見失い、自己都合で内閣の延命だけを考え、欺瞞と変節に満ちている総理、あなた自身ではないですか。 以上の点について、総理の答弁を求めます。 次に、公明党が目指す新しい福祉社会について質問をいたします。 昨年十二月、公明党は、これまで進めてきた社会保障制度の機能強化に加え、虐待や引きこもりなど社会の病理的側面への対応についても広義の福祉ととらえ、その問題解決の方途を提示する新しい福祉社会ビジョンの中間取りまとめを発表しました。 日本社会は今、地域や職域、さらには家庭における人間的なつながりが薄れ、いじめや虐待、それに伴う自殺や心身の病などが多発しており、孤立から支え合いの社会を目指した新しい福祉社会の構築が必要です。 具体的に同ビジョンでは、第一に、社会保障制度改革を進める基本的視点として、経済社会構造の変化に対応できるセーフティーネットの重点強化とともに、給付と負担の明確化や制度設計の見える化、利便性の高いサービスの提供を目指したICTの活用など、国民目線に立った改革を提案しています。また、増大する社会保障関連予算の見える化を図る一般会計と社会保障会計の分離や、個人レベルでの給付と負担を明確化する制度の個人単位化を進めるべきと考えます。 第二に、社会保障制度を支える基盤の充実として、新たな成長戦略による持続可能な制度の構築、人口減少下における女性、高齢者、若者の活用と安定した雇用確保による支え手の拡大、さらにはボランティアやNPO等による支え合う社会の仕組みづくりが重要です。 第三に、具体的な制度設計を検討する場として、与野党の代表による社会保障協議会を国会に設置し、年金、医療、介護、子育て支援などについて、検討期限を定め、あらゆる世代各層の意見を聞くなどして国民的な議論を喚起し、合意形成を図るべきと考えます。 新しい福祉社会の構築に向けた公明党の具体的な提案について、総理のお考えを伺います。明確にお答えください。 次に、民主党マニフェストに明記された国家公務員の総人件費二割削減の進捗を中心に、公務員制度改革についてお伺いします。 報道によると、政府が提出を予定している国家公務員制度改革関連法案には、給与など労働条件について労使で交渉し、協約を結ぶ労働協約締結権を付与する一方、集団で業務を停止する争議権、いわゆるストライキ権の国家公務員への付与を当面見送るとのことですが、争議権の付与についてはなぜ当面見送るとしたのか、あわせて、なぜ国家公務員に争議権の付与を検討する必要があるのか。また、人事院勧告制度を廃止するとのことですが、廃止する理由は何なのか。現状の人事院が担ってきた中立公正性をどうやって担保するのか、お答えいただきたい。 そもそも、国家公務員に労働基本権を付与し、協約締結権を認めた上で労使交渉による総人件費二割削減は一体どうやったらできるのでしょうか。国家公務員による待遇改善や賃上げ闘争などを誘引することになり、人件費削減はより困難なものになるのではないでしょうか。公務員制度改革を本気でやる気があるのか、総理に改めてお答えと決意のほどを伺います。 今春の大卒予定者の就職内定率は六八・八%と過去最低を更新し、特に若年者、新卒者の雇用対策が急務です。厳寒の中、就職活動に励む学生個々人に応じたきめ細かな対策強化は当然です。加えて、将来にわたり、海外市場拡大へ留学生などの採用に積極的な企業の傾向も見極め、グローバルに活躍できる人材の育成支援を戦略的に図るべきと考えますが、お答えください。 また、施政方針演説では、中小企業とのマッチングも強化しますと言われましたが、何も具体策はありません。公明党は、若者に中小企業の魅力を伝え接触の場を増やすドリームマッチプロジェクトを推進し、私も現場を視察しましたが、是非継続すべきです。総理は中小企業と学生の結び付きを強めるために具体的にどう取り組むのか、お答えください。 離島振興について質問します。 離島住民は我が国の国土や海洋資源をまさに守ってくださっている。その一方で、島から本土の通所介護サービスを利用する高齢者や本土の高校に通学する生徒が数多くいます。私は、このような構造的弱者の方々の生活を守ることは政治の重要な役割であると確信いたします。 そこで私たちは、昨年十二月に離島振興ビジョンとして、離島振興法の抜本改正を柱に、医療や教育、交通、介護、通信等の改善や生活インフラの整備など、離島住民の声を受けた具体的な提言を行いました。住民からは高い評価をいただいております。 しかし、来年度の離島振興関係予算は一体どうなっているのか。例えば、公共事業費は二十二年度から実に二七%も削減されており、いわゆる一括交付金分を加えても一割もの削減です。港湾整備や離島航路の維持など、住民からは不安の声も上がっています。総理の見解を求めます。 次に、ワクチン行政の充実について伺います。 海外で導入されているワクチンが日本では使用できないというワクチンギャップの問題を始め、我が国のワクチン行政は承認体制や接種率等の面で大きく遅れています。 こうした中、公明党が求めてきたHib、小児用肺炎球菌、子宮頸がんの三ワクチンが日本でも承認され、平成二十二年度の補正予算では、これらワクチン接種への助成措置が盛り込まれたことは評価をいたしますが、平成二十三年度までの予算措置では十分とは言えません。 ワクチンで防げる病気から国民の生命と健康を守るため、予防接種法を抜本改正し、効果の認められているワクチンについては積極的に定期接種化を進めるとともに、予防接種行政を自治体任せとせず、国が主導してワクチン政策に関する総合的な戦略を策定し、ワクチン後進国からの脱却を図るべきと考えます。総理の御見解を伺います。 政治と金の問題について、残念ながら昨日の総理答弁からは全く気概が感じられませんでした。一見、前向きな姿勢を装っていても、何も実質がないではありませんか。 まず、小沢元代表の国会での説明責任について、施政方針演説では全く触れておらず、努力はしたというが、結局何もできていません。政治は結果責任です。小沢氏はあなたの党に所属されている議員ですよ。疑惑を持たれている議員が所属する党代表として、小沢氏に説明責任を果たさせると明言すべきです。答弁を求めます。 政治と金の問題の再発防止策についても同様です。実現させるのか、させないのか、曖昧な答弁ばかり繰り返し、本当は何も進める気がないのですね。何か不都合なことがあれば、幹事長に任せてある、政党間協議をなどというが、総理からは何も考えが示されていない。一体どこが政治主導なのか。政党間協議という前に、総理として、民主党代表としてリーダーシップを発揮すべきです。答弁を求めます。 さて、昨年十二月下旬に、最高検察庁はいわゆる厚生労働省元局長無罪事件に関する検証結果報告書を公表しました。最高検は、検証結果報告書の公表の記者会見の際、総力を挙げて検証し、反省や決意を十分に盛り込んだつもりだと述べていました。 しかし、報告書は、全体として大阪地検特捜部の固有の問題に矮小化し、検察組織全体の本質的な問題には踏み込んでおらず、真の原因究明がなされているとは到底思えません。また、元局長を含め、問題の検事から取調べを受けた関係者からの事情聴取を行っていないことからも、今回の事件について徹底した真相の解明が行われているとは考えられず、加えて、再発防止策についても全て運用のレベルのものにとどまっており、最高検は検察の再生を懸けて本気で検証したのか、甚だ疑問を抱かざるを得ません。 総理は、この検証結果を見て、検察は十分な検証をしたと考えますか。率直な見解を伺います。 なお、今回、再発防止策として取調べの可視化の試行が盛り込まれました。しかし、特捜部担当の身柄拘束事件に限るという極めて限定的な導入であります。 今回の検察史上最悪の不祥事が招いた可視化の本格実施を求める世論の高まりは止めようもなく、時代の要請になっていると言っても過言ではありません。刑事手続全体の在り方との関連に留意しつつ、可視化の本格的進展こそ急務と考えますが、総理の見解を求めます。 今年は、日本においても世界においても、今後の地球温暖化対策を決する重要な一年となります。 民主党政権は、総選挙勝利の後、真っ先に、科学が要請する水準に基づいて温室効果ガス二五%削減を打ち出し、国際公約までしながら、いまだに国内で何%削減するのかを含め、二五%削減に向けた道筋を明らかにしておりません。 公明党は、民主党政権の温暖化政策がふらつくことによって、日本の低炭素化が遅れるのみならず、環境を軸とした経済成長の歩みもふらつき、日本の国際的優位を失ってしまうことを危惧するものであります。 ここで改めて総理に、日本の成長戦略に温暖化対策を位置付け、低炭素革命を断行する覚悟があるのか、今後二五%削減目標をどう扱い、国内でどの程度削減を進めるつもりなのか、政府として温暖化対策の基本法を制定する断固たる決意はあるのか、伺います。 一方、温暖化対策の国際的な枠組みづくりについては、今年十一月のCOP17で何としても最終合意を果たさなければなりません。 世界の大勢は、先進国の責任ある行動を象徴する京都議定書の第二約束期間の設定を核として、もう一つの法的枠組みをつくる二本立て方式を支持しております。 私は、ここで、日本政府は国際社会の二十年来の努力によって構築された法的拘束力のある枠組みとしての京都議定書の価値を冷静に再検討する必要があると考えます。 総理は、京都議定書第一約束期間終了後に、法的拘束力のある削減目標が世界からなくなってもよいと考えますか。反対に、京都議定書第二約束期間での先進各国の削減目標を核として、米国、中国などに一段と高い取組を迫りつつ、より強固な国際的枠組みを目指すとの考えには立ちませんか。真摯にお答えください。 民主党政権になって確実に弱体化したのが日本の外交力です。言うまでもなく、鳩山前総理の無責任な対応で混乱する普天間移設問題に端を発した日米関係の揺らぎが東アジア地域の不安定化を招きかねない状況を生んでいます。日本外交の基軸は日米関係です。強固な日米関係に韓国を加えた連携で東アジアの安定に責任を持つ視点から、菅総理の基本的な外交姿勢をただします。 尖閣諸島沖中国漁船衝突事件における政府の対応に国民の多くは失望しました。那覇地検が船長釈放理由に日中関係を考慮したと外交の当事者のように説明する一方で、地検からの報告を了としたと無関係を装う仙谷前官房長官。政権が幾ら政治介入を否定しても、国民の違和感は拭い難いものがありました。 その後、衝突時のビデオ映像が流出し、漁船の非を裏付ける決定的な証拠を見せ付けられた国民はこう感じたでしょう。この政権は信用できないと。国民の不信は、あなたの場当たり的な政権運営から芽生えたものです。 総理の外交姿勢は、さきの臨時国会冒頭で所信表明された国民全体で取り組む主体的な外交どころか、国民を蚊帳の外に置く場当たり外交と言わざるを得ません。総理の答弁を求めます。 私は、先月十二月十四日から中国を訪問しました。 その際、習近平国家副主席と会談しましたが、以下の二つの発言が印象に残りました。一つは、世界の先進国の総人口が中国の人口に匹敵することを考えると、これまでの先進国の発展モデルを中国がたどれば、地球上のエネルギーや資源や環境は耐え切れない、伝統的発展方法では持続不可能であり、調和の取れた発展、協力を求める発展を進めるとの発言。もう一つは、中国が強くなっても覇権の道は求めない、終始一貫して平和的発展の道を歩むとの発言です。前者は十月の党大会直後、後者は中央軍事委員会副主席就任直後の発言であることを考えると、軽く扱うべきではないと考えます。 両国関係がアジア地域や国際社会の平和と発展に貢献するとの大局観に立ち、軍事面において透明化と信頼醸成を促し、経済、環境を始めとする多面的な分野で互恵関係を戦略的に構築する具体的な対中外交が必要と考えますが、総理の所見を求めます。 朝鮮王朝儀軌などを引き渡す日韓図書協定の国会承認は、日韓両国の信頼関係を深めるソフトパワーの活用として極めて有意義なものと考えます。昨年十一月の訪韓の折、李明博大統領から、文化財の引渡しは大変に喜ばしいと早期の実現に期待が寄せられました。私は、与野党党首会談などを通じて全会一致による早期承認を求めてまいりましたが、いまだに承認に至っていないことは残念でなりません。総理の今国会での全会一致による承認へ向けた決意を伺います。 日韓防衛大臣会談において、自衛隊と韓国軍が物資や業務の相互提供を定める物品役務相互提供協定、いわゆるACSA締結へ向けた協議を開始することで一致しました。核開発を続ける北朝鮮などの脅威に対して、米国と同盟関係にある日韓両国が安全保障面で緊密な関係を築くことは重要であると考えますが、懸念されるのは、過去の歴史からくる韓国の国民感情であり、また周辺国の誤解からくる摩擦です。意図せぬ摩擦を避けるためにも、憲法の枠内、専守防衛の範囲の中で行われることを丁寧に説明すべきだと考えますが、明快な答弁を求めます。 最後に、一言申し上げます。 総理、国づくりの目標に不幸の最小化とうたい、施政方針演説で不幸の言葉を幾度となく繰り返し、議場に暗く重苦しい雰囲気を醸し出したことにお気付きでしょうか。この言葉は、一国のリーダーであるあなたが将来を悲観しているようにしか聞こえません。むしろ、幸福の最大化を目指すと言うべきでありましょう。 公明党は、国民一人一人の声を受け止め、国民生活を守るため全力で戦うことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 山口那津男代表にお答えを申し上げます。 まず、社会保障と税制の改革に向けた与野党協議についての御質問をいただきました。 私の発言についていろいろと話をされましたが、私の思いは、社会保障と税の一体改革はもうこれ以上先送りできない大変重要な課題だと、こう思っております。そして、二〇一一年というこの時代に、この国会に籍を置く全ての国会議員が、こうした歴史的な時点においての責任を持ってこの問題に立ち向かわなければならない、こういう気持ちを申し上げた言葉でありまして、誰かを一方的に非難をするということで申し上げたつもりではありません。与野党協議の呼びかけについては、私としては誠実かつ謙虚に対応してきたつもりでありますが、私の真意が十分に伝わっていなかったとすれば大変遺憾であり、改めて誠心誠意、議論への参加を要請申し上げたいと思います。 社会保障と税制の改革のスケジュールについては、今年六月までに、社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すことを申し上げてまいりました。この改革に政治生命を懸けるという意味についてお尋ねをいただきましたが、私は、社会保障を守り、充実させ、この社会保障改革を実現するというその一点で全力を挙げていきたいという、この気持ちを申し上げたものであります。 次に、新成長戦略の重点分野について御質問をいただきました。 この点については、山口代表の御指摘のとおり、私たちもこの問題、大変新しい芽を伸ばすことが重要だと考えております。私たちが作りました新成長戦略では、元気な日本の復活を目指し、医療・介護分野、環境・エネルギー分野など潜在需要が存在する分野において新たな需要と雇用を創造し、これを経済成長につなげていくものであります。 このため、一に医療・介護・健康関連産業を成長牽引産業として明確に位置付け、研究開発等を促進していく、第二に我が国が有する世界最高の環境・エネルギー技術を生かして、環境関連の新たな市場を創出していくこととしております。また、農業については、商工業と連携した六次産業化や農地集約による大規模化の推進など取り組んでいき、競争力の強化を図ってまいります。 今後とも、新成長戦略の実現に向け、私自身が先頭に立って果断に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、新成長戦略のための予算についての御質問をいただきました。 二十三年度予算においては、元気な日本復活特別枠を活用し、新成長戦略等の施策へ約〇・九兆円配分するなど、成長と雇用に資する施策に重点配分を行ってまいっております。そしてまた、税制や政策金融面からの支援として、法人実効税率の五%の引下げや雇用促進税制の創設などの税制改正を行いました。同時に、パッケージ型インフラ海外展開支援を含む二兆円規模の戦略的海外投融資などの支援といった措置を講じてきたところであります。 新成長戦略に掲げられたこのような財政金融措置、規制改革、制度改革を一体として実施していくことにより、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと考えております。 次に、中小企業の資金繰りについて御質問をいただきました。 中小企業の資金繰り支援は極めて重要な課題だと認識しております。景気対応緊急保証は本年度末で期限切れを迎えますが、これと同様の一〇〇%保証であるセーフティーネット保証を衣替えし、その上で来年度上半期にはその業種基準を現行の景気対応緊急保証基準よりも緩和してまいります。これにより、引き続き資金繰りの支援を必要とする業種をカバーすることができ、中小企業の資金繰り確保に対応することが可能であります。加えて、小規模企業に向けては業種を問わず一〇〇%保証を引き続き実施してまいります。 こうした具体的な施策をもって、現場の中小企業が困惑することがないよう、制度の周知徹底を含め、引き続き資金繰り支援に万全を期してまいります。 中小企業支援の強化について御質問をいただきました。 円高などにより引き続き厳しい経済環境にある国内中小企業への対策は重要な課題であると認識しております。資金繰り対策、技術開発支援、新事業展開への支援などのため、二十二年度予備費と補正予算で措置した計六千三百八十九億円に加えて、来年度予算案で千九百六十九億円を確保し、中小企業支援に万全を期しております。また、産業の空洞化を防ぎ、国内投資を促進させる観点から法人実効税率の五%引下げを決断したほか、中小法人の軽減税率を三%引き下げるところであり、引き続き国内投資の拡大に積極的に取り組んでまいります。 次に、来年度予算について御質問をいただきました。 来年度予算は、財政運営戦略に基づき、歳出の大枠約七十一兆円以下、新規国債発行額約四十四兆円以下を堅持したところであります。 マニフェスト施策は歳出削減などにより恒久財源を確保して実施しており、マニフェストの財源は破綻しているとか、マニフェスト事業にこだわる姿勢が招いた危機的な予算との御指摘は当たらないものと考えております。 財政健全化はどの内閣であっても逃げることのできない課題であり、財政運営戦略で示した財政健全化の道筋に向けて、成長と雇用拡大を実現しながら一歩一歩着実に目標の達成を目指してまいります。 次に、日本国債格付格下げと財政健全化に関する御質問をいただきました。 このいわゆるぶら下がりで質問を受けたのが本会議場から出た直後でありまして、この格付の変更について聞いていなかったということを申し上げたものでありまして、疎いということは情報が入っていなかったということを申し上げたものであります。私の発言をしっかりと見ていただければ、そのことは明らかだと思っております。 私は、財務大臣時代に、あのギリシャ危機に当たりまして、いかに財政あるいは国債というものが重要であるかということは嫌というほど認識をさせられたところであります。そういった意味で、大切なのは、財政規律を維持し、我が国財政に対する市場の信認を維持することである、このように考えております。 子ども手当について御質問をいただきました。 今回の子ども手当法案において、公明党などから御提案によって盛り込まれた平成二十二年度子ども手当法の附則の検討規定を踏まえ、まず一に、児童養護施設に入所している子供等についても子ども手当を支給するとともに、第二に、地域の実情に応じた現物サービスを拡充するため五百億円の交付金を設けることなど見直しを行ったところであります。 さらに、現物サービスを拡充するため、第一に、待機児童解消に向け、来年度予算の保育所受入れ児童数を約五万人増やすための保育所の運営費拡充、第二に、地方財政計画に保育所などの現物サービスのための特別枠を新たに設け、地方交付税に一千億円を加算するなどの対応を講じ、現金給付と現物給付のバランスを取るよう配慮したところであります。 一方、平成二十四年度以降の子ども手当の在り方については、更に地方と十分な協議を重ねる必要があるため、平成二十三年度は単年度の措置としたところであります。 今後も、国会審議などを通して公明党からも建設的な提案をいただき、そして子育て世代の将来への安心を高めるよう、より良いものとして高めてまいりたいと思っております。 次に、地域活性化公共事業についての御質問をいただきました。 私が目指す経済政策は、かつての公共事業中心の第一の道ではなく、経済、社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出につなげていく第三の道であります。そのため、新成長戦略を実現し、医療、介護、環境などの成長分野で雇用を起点とした景気回復、地域経済の活性化を目指しております。このような考え方の下、公共事業については効率化、重点化し、真に必要な社会資本整備を戦略的に進めてまいります。 御指摘の中小・小規模事業者については、分割発注などにより受注機会の増大を努めているところであります。 また、今後、高度経済成長時代に集中投資した社会資本の老朽化に伴い、維持管理、更新の重要性がますます高まるものと認識をしております。これらも含め、現在進めている社会資本整備重点計画の見直しを通じて、社会資本整備のあるべき姿とその推進方策を検討してまいります。 次に、法人税の引下げ等の税制改正に関する御質問をいただきました。 平成二十三年度税制改正においては、デフレ脱却と雇用のための経済活性化、格差拡大とその固定化の是正などを大きな柱として、個人所得課税、法人課税、資産課税、消費課税全般にわたる改正を行い、全体としては税制抜本改革の一環を成す緊要性の高い改革を実施することといたしており、財源あさりのためのつまみ食い的な改正ではないと、このように認識をいたしております。 このうち、法人税の引下げについては、企業が海外へ移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果が期待されます。産業界は、政府が国内投資促進策を講じる場合には十年後には約百兆円の設備投資を目指すなどの考え方を示しており、国内投資や雇用の拡大に積極的に取り組んでいただけるものと期待をいたしているところであります。 次に、社会保障と税の抜本改革及び公明党の新しい福祉ビジョンについての御質問をいただきました。 社会保障と税の抜本改革については、民主党はその基本的な考え方を昨年末に中間整理という形でまとめており、可能であれば速やかに野党の皆さんにも御説明させていただきたいと考えております。今後の進め方については、協議の在り方を含め、できるだけ早くいろいろな党の方から御意見をいただきたいと考えております。 また、公明党が昨年末に公表された新しい福祉社会ビジョンは、共助の精神にのっとり、充実した中福祉中負担を実現するとし、若年世代の活用と支援、NPOなどによる支え合う社会の仕組みづくり、衆参両院合同の社会保障協議会の設置などが提案されており、時宜を得た内容であり歓迎をいたしたいと思っております。 また、与党に対して、私たち民主党の年金案を含む社会保障の全体像を出していくことが必要だと、そうした具体案を出せという御指摘をいただきました。 社会保障改革については、政府・与党としても集中検討会議で各方面からの御意見を伺いながら、四月ごろまでにあるべき社会保障の姿、方向性を明らかにしたいと思います。そして、六月までに具体的な制度改革案と消費税を含む税制抜本改革案を提示したいと考えております。 あらゆる提案を歓迎しており、この中には民間からの提案あるいは新聞社からの提案などいろいろな提案を歓迎しておりますが、もちろん、公明党の御提案を含めて是非直接お話をお伺いしたいと、このように思っております。また、このことはまた多くの意見を聞かなければならないと考えております。 社会保障の持続可能性については、私どもと公明党は多くの点で問題意識を共有しており、具体的な内容については今後議論が必要とはいえ、私自身は多くの点で公明党の提案に対して共感を感じております。四月ごろまでに、あるべき社会保障の姿、方向性をまとめる際には公明党の提言も十分踏まえた上で議論のたたき台となるものを提示してまいりたい、このように考えております。 次に、与謝野大臣の起用について御質問をいただきました。 社会保障と税の一体改革は、国民の不安と不満を取り除くために避けては通れない、この二十年間先送りされてきた重要課題の象徴とも言える事項だと、このように受け止めております。そこで、この社会保障改革において高い識見と志を同じく持たれている与謝野さんにこの問題の担当大臣をお願いしたいということで、私が三顧の礼をもってお迎えを申し上げました。 御指摘にもありましたが、与謝野大臣が過去に民主党の政策についていろいろと発言されていることはもちろん承知をいたしております。しかし、一貫しておられるのは社会保障と税の一体改革に対する熱意であり、国民のために党派を超えて改革を実現することが必要という熱い思いだと、このように思っておりまして、私として担当大臣をお願いした次第であります。 次に、争議権の在り方、人事院勧告の廃止、人事行政の中立公正性の確保について御質問をいただきました。 公務員制度改革については、労働基本権制約の代償措置の根幹として位置付けられている人事院勧告制度を廃止し、自律的労使関係制度を措置するため、具体的な制度設計を精力的に進めているところであります。 一般的には争議権も含まれる労働基本権についてどのような形で付与の在り方が望ましいのか、また、人事行政における公正の確保をどのように担保するのかなどの点について更に検討を行った上で、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を実現するための法律案を今通常国会に提出することといたしております。 公務員制度改革及び総人件費削減について御質問をいただきました。 政府としては、労使交渉を通じた国家公務員給与改定を実現するため、今通常国会に、労働基本権が制約された人事院勧告を踏まえて給与が決定される仕組みを見直し、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出する予定であり、現在、鋭意検討を進めております。使用者が職員の給与等の勤務条件の在り方について主体的に検討し、提案できる制度を整備してまいりたいと考えております。 また、国家公務員総人件費の二割削減という目標については、まず第一に地方分権推進に伴う地方移管、第二に各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、第三に労使交渉を通じた給与改定など、様々な手法を組み合わせることにより平成二十五年度までにめどを付けることとし、その目標達成に向けて取り組んでまいりたい。 いずれにしても、公務員制度改革及び総人件費削減は大変重要な課題であり、着実に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、若年者、新卒者の雇用対策について質問をいただきました。 新卒者雇用対策としては、一に、インターネットなどを活用して新卒者と中小企業のマッチングを行うドリームマッチプロジェクトの推進、第二に、新卒者一人一人にきめ細かな支援をするジョブサポーターの増員、第三に、卒業後三年以内の既卒者を新卒者枠で採用する企業やトライアル雇用を行う企業への奨励金の創設などの取組を進めており、ジョブサポーターの支援により約一万六千人の就職が決まるなど成果が出ております。 御指摘のドリームマッチプロジェクトについては、さきの国会の委員会で御党の議員からの御指摘も踏まえ、元々は本年度限りで事業を終了する予定だったところ、再考し、来年度においても実施することとして、来年度の予算案に盛り込んでいるところであります。 また、企業の活動が国境を越え、経済活動のボーダーレス化が進展する中、我が国の教育機関がグローバルに活躍できる人材の育成を強力に推進していくことは不可欠であります。グローバルに活躍できる人材育成を推進するため、日本人学生が海外との交流を強化するため、奨学金等の充実を推進していく考えであります。 次に、離島振興についての質問をいただきました。 二十三年度の離島の公共事業予算については御指摘のとおり前年度比減となっておりますが、その重点化、効率化を図るとともに、一括交付金を創設して、より地方にとって使いやすい仕組みとなっております。 また、公共事業以外の二十三年度予算においては、一、島民の生命線である離島航路、航空路などの地域公共交通に係る予算を充実するとともに、第二として、本土に比べ割高な離島のガソリン小売価格が実質的に下がるよう支援措置を創設するなど、きめ細かな措置を盛り込み、予算の充実を図ったところであります。 今後とも、公明党の御意見も参考にさせていただきつつ、地元の要望も伺いながら、離島振興を積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に、予防接種施策の推進について御質問をいただきました。 ワクチンにより防ぐことのできる病気を予防し、命と健康を守っていくことは非常に大事であります。このため、現在、定期接種の対象となる疾病の範囲、費用負担の在り方や予防接種施策を恒常的に評価、検討する専門組織の在り方など、予防接種制度の見直しについて現在政府において議論を進めております。御指摘も踏まえ、こうした検討を積極的に進め、予防接種施策の充実強化を図ってまいりたいと考えております。 政治と金に関する御質問をいただきました。 山口議員から、小沢議員の国会での説明、政治と金の問題の再発防止策、この二つに関連した御質問であったと思います。 小沢議員は国会が決めれば従うと表明をされ、昨年末には条件を付けずに政倫審に出席をすることも約束をされておりましたことにより、民主党も岡田幹事長を中心に努力をいたしましたが、結果として政倫審出席が実現していないことは大変残念であり、申し訳なく思っております。 いずれにしても、国会での説明は必要であると、このように考えております。小沢議員の国会における説明問題については各党にも御意見があると伺っておりますので、関係委員会等において各党各会派で議論していただきたいと考えております。党代表として、これまでも必要なときには判断をしてまいりました。今後も適宜そうしてまいります。 また、政治家の監督責任など、政治資金規制の強化、さらには企業・団体献金の禁止など、制度改正問題に関しては私と山口代表との間で考え方にそう大きな違いはないものと考えております。 この問題をめぐり、公明党とは昨年来、衆参の代表質問などにおいて協議の呼びかけをお互いにいたしております。政治資金規制の強化に積極的な政党がまず協議を開始をすることを提案をいたしたいと、このように思っております。 検察当局の検証結果についての御質問をいただきました。 今回の最高検察庁による検証は、検察当局においてこのような事態を二度と繰り返さないために行ったものでありますが、これに加えて、現在、法務大臣の下に民間の有識者等から構成された検察の在り方検討会議を設け、今後の検察の在り方について活発な議論を行っていただいております。 いずれにせよ、法務省、検察において、再びこのような事態を招かないように改革を講じ、国民の検察に対する信頼回復に取り組むことが重要であると、このように考えております。 取調べの可視化について御質問をいただきました。 被疑者取調べを録音、録画の方法により可視化することについては、法務省などの関係省庁において、御指摘のように刑事手続全体の在り方との関連にも留意しつつ調査検討を進めて、その実現に向けて取り組むことといたしているところであります。 また、次に、地球温暖化対策を推進する決意に関する御質問をいただきました。 政府は、新成長戦略において、環境・エネルギー分野を潜在的需要が特に大きい分野と位置付け、これを我が国の成長と雇用の創出につなげるため、新成長戦略に掲げた環境・エネルギー大国戦略を更に充実させ、総合的なグリーンイノベーション戦略を策定してまいります。 既に、全量買取り方式の固定価格買取り制度の導入や地球温暖化対策のための税の導入など、具体的に施策を実施する段階に移行しており、これらにより国内でのCO2排出削減を着実に進めてまいりたいと思います。 政府が前臨時国会に再提出した地球温暖化対策基本法案は継続審議となっており、今国会において十分御審議をお願いし、是非とも成立させていただきたいと思います。 全ての主要国が参加する公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提とした温室効果ガスの二五%削減目標は、我が国がこれまで国際的に表明してきたものであり、これを変更するつもりはありません。 温暖化対策の二〇一三年以降の国際的枠組みについて御質問をいただきました。 真の地球益を考えれば、全ての主要国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みを構築することが不可欠であります。現在、米国と中国の二か国で世界の排出量の約四割を占めております。これに対して、京都議定書の参加国全てを合わせて二七%しか排出量の中で占めておりません。現状のまま京都議定書の第二約束期間を設定しても、我が国を含む一部の先進国のみが温室効果ガスの排出削減義務を負うこととなり、必ずしも実効的とは言えないと思っております。 したがって、我が国としては、アメリカ、中国などを含むカンクン合意を発展させた新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択という最終目標を目指し、引き続きリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。 外交姿勢についての質問をいただきました。 さきの臨時国会の所信表明では、主体的な外交の展開を重要政策課題として掲げました。これは、外交とは、一部の専門家によるものではなく、国民一人一人が自分の問題としてとらえ、国民全体で考えることにより、強い外交を推進できると確信しているからであります。 昨年の尖閣諸島周辺領海内における中国漁船衝突事件は、我が国の国内法にのっとり粛々と処理したものではありますけれども、必ずしも国民の皆さんに対して十分納得のいく説明がなされなかったという指摘があることは認識をしており、今後十分配慮してまいりたいと考えております。 いずれにしても、国際社会が地殻変動ともいうべき大きな変化に直面している中、現実主義を基調として世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策を推進してまいる所存であります。 対中外交の在り方について御質問をいただきました。 議員御指摘のとおり、中国は一衣帯水の重要な隣国であり、日中関係はアジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係と認識しております。一方、透明性を欠いた国防力の強化や海洋活動の活発化には懸念を有しております。中国には、国際社会の責任ある一員として適切な役割と言動を期待をいたしております。 我が国としては、アジア太平洋地域の平和と繁栄、経済分野での協力関係の進展を含め、大局的観点から、御指摘の経済、環境など幅広い分野での協力によって戦略的互恵関係を深めてまいりたい、このように考えております。 日韓図書協定について御質問をいただきました。 日韓両国は基本的価値や利益を共有する最も重要な隣国同士であります。昨年の内閣総理大臣談話を踏まえ、韓国の意向を十分に尊重しつつ、これからの百年を見据えた未来志向の日韓関係を構築してまいりたいと思います。 特に、日韓図書協定については、残念ながら前国会で継続審議となりましたが、この国会において可能な限り全会一致での速やかな承認をお願いいたしたい。私としても努力は惜しまないつもりであります。 最後に、日韓のACSAに関する質問をいただきました。 日韓ACSAについては、先日の日韓防衛相会談において、両国の防衛当局間で意見交換を進め、議論を深めていくことで一致をいたしました。日韓ACSAの具体的内容については今後検討していくこととなりますが、山口代表御指摘のとおり、あくまで憲法の枠内、専守防衛といった防衛政策の基本の範囲内で検討されるものであり、こうした点を丁寧に説明してまいりたいと思います。 以上、山口代表に対する答弁とさせていただきます。(拍手) ─────────────
○議長(西岡武夫君) 川田龍平君。 〔川田龍平君登壇、拍手〕
○川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。 初めに、一つ確認させていただきたいことがあります。 昨日の衆議院で、渡辺喜美代表に対し、通告が二、三時間前だったから答えられないと総理はおっしゃった。ですが、要旨は前日に、全文は数時間前に出すのは、皆さんそうしていることです。なぜ、渡辺代表のときに限って数時間前だから答えられないとなったのか、理由を聞かせてください。熟議とおっしゃっているからには誠実に回答することを求めます。 では、私の質問に入らせていただきます。 菅総理が平成の開国と掲げている環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPの条件交渉への参加、これは日本経済、国民生活両方に大きな影響を与える大変重要な政策だと理解しています。 これについてどうしても聞いておきたいことがあります。 包括的な経済連携を通して、貿易の自由化と市場開放を様々な分野に導入するTPPについて、現在、マスコミでは農業に与える影響ばかり取り上げられています。しかし、本当にそうでしょうか。実は、報道に出てくる農業分野の関税撤廃だけではなく、労働市場や環境分野など、全部で二十四の分野で市場化を進めるTPP交渉が議論されている事実は多くの国民に知らされていません。 昨年十一月九日の閣議決定、包括的経済連携に関する基本方針の中には、TPP協定はその情報収集を進めながら対応すると書かれています。しかし、今現在、十分な情報公開がされているとはとても言えません。前原外務大臣、まずは二十四の作業部会で討論されている市場開放分野について現時点での情報をできる限り明らかにしてください。 菅総理、総理が十五年前、厚生大臣だったときの薬害エイズ事件における当事者として申し上げます。生まれてからずっとこの国の医療、そして国民皆保険制度にあらゆる意味で恩恵を受けてきた患者の一人として、このTPPによる市場化が医療に与える重大な影響を強く心配しています。 総理は、TPP参加によりこの国の経済を成長させるとおっしゃっています。では、医療の市場化を進めることで、病院の株式会社経営や患者と医者との間に民間の保険会社が入るようになること、混合診療の全面解禁など、私たち患者に与える影響についてどう考えているんでしょうか。菅総理のお考えを是非聞かせてください。 貧困大国アメリカの例を見ても分かるように、アメリカの医療は、行き過ぎた市場化により、医療サービスの質を低下させ、公的医療保険の範囲を狭め、その結果、医療格差をますます広げるという悲惨な実例がたくさん出ています。医療が商品になれば、利益と効率重視という市場化の性質が患者の負担を増大させ、経済力のない患者、医療費の高い難病患者が切り捨てられる可能性は避けられません。 また、医療従事者に対しても、効率化により一人の医師の労働が更に過重となり、過労死や過労自殺など、今でも苦しい状態に置かれている勤務医の負担だけではなく、医療ミスなど様々な被害が出る可能性があります。自由化で優秀な医師や看護師の国外流出が深刻化し、今既に問題となっている医療従事者の不足と偏在が更に加速するのではないでしょうか。そうして、地方の医療が荒廃すれば、WHOから世界一のシステムだと評価されるこの国の国民皆保険制度が崩れてしまう。徹底した事前検証なしに拙速に進めれば、日本もあっという間に貧困大国になる危険性があります。そして、これらの不安を拭い去るには示されている情報が少な過ぎるのです。 総理、もう一つ分かっていただきたいことがあります。 医療と介護のシステムがどう変わってしまうのか、この不安を抱えるのは私たち難病患者だけではありません。医療に関しては、誰でも立場に関係なくいつか病気になるかもしれず、そして老いていきます。今申し上げたTPPが医療と介護システムに与える影響への不安を、いつか患者になるかもしれない全ての国民の声として受け止めてほしいのです。 日本の代表として諸外国の交渉テーブルに着く前に、まず国内にいる全ての日本国民に向かって総理御自身の具体的なビジョンを語ってください。総理の描く将来像の中に当事者である国民も入れてください。TPP導入を見据えた総理の成長戦略と、それがもたらすこの国の未来図で、私たちの医療と老後の生活はどのような位置付けになっているのか。 開国とは外から押し付けられるものではなく、国民が知らぬ間に勝手にされるべきものでもありません。真の開国とは、私たち自身の意思で行うものです。 TPPと日本の医療制度の在り方について、どうか総理の考え方をお聞かせください。 次に、薬害イレッサについて質問します。 二〇〇二年七月、申請から約五か月という異例のスピードで承認された肺がん用抗がん剤であるイレッサは、承認前に、副作用の少ない夢の新薬として多くのマスコミが絶賛し、その副作用により短期間にたくさんの方が亡くなりました。事前に副作用の十分な説明がされていれば薬害訴訟は起きませんでした。 今月七日、裁判所から被告国と製薬企業の責任を認める和解勧告が出されました。誤解を生む報道が出回っていますが、この和解勧告が出たのは、治験の段階で副作用が全て分からなかったからではありません。命にかかわる情報を隠蔽し、情報を出さなかったことで引き起こされた薬害だからです。 例えば、致死性があるとされた臨床試験結果を致死性がないレベルと改ざんして記載し、肺障害の悪化が確認された実験データの報告を承認前に厚生労働省に伝えないなど、企業による様々なデータの改ざんと無視がされたのです。 厚労省は延命効果未解明のままスピード承認を行った。その結果、半年で百八十人、僅か二年半で五百五十七人もの死者を出したのです。死に至る副作用について情報提供が不十分で、多くの死者を生み出したことに対し国と製薬企業は責任がある。この薬害を解決せよと裁判所は国に求めているのです。 総理、どうかよくお考えください。薬害イレッサの和解勧告を拒否することは、薬害肝炎原告の前で政府が立てた薬害根絶の誓い、そして薬害エイズ事件の悲劇を繰り返す仕組みを平気で放置することになります。 ここにおります衛藤晟一議員、枝野幸男官房長官ら与党PTの働きによって、十五年前、薬害エイズ裁判の和解は成立しました。あのとき、厚生大臣だった菅総理は、原告だった私たちに正面から真っすぐに向き合い、命にかかわる情報の公開に尽力してくれました。弱い者のためにちゅうちょせずに動くことで、二十歳だった私に政治が動くことの大きさ、動けば変わるということを見せてくれました。総理は、自ら薬害エイズの菅とおっしゃる。あのとき、菅総理と枝野官房長官、衛藤議員が尽力してくれたことは、私はこれからも忘れません。 しかし、総理、あの薬害エイズ事件を、過去の栄光ではなく、未来につなげていくことが私たち国会議員の務めではないでしょうか。薬害エイズと同様に、薬害イレッサもまた患者への情報提供に欠陥があったから起きてしまいました。あれから十五年たった今も薬害を生み出す仕組みは変わっていないのです。これ以上薬害被害者を生み出さないために、どうか力を貸してください。この国の総理大臣として、薬害イレッサの早期解決のために強いリーダーシップを見せてください。 薬害イレッサは薬害エイズと同じです。原告は、救済を求めているのではないのです。責任に基づいた賠償を求めているのです。どうか総理、総理には判断の前提となる情報が届いているのでしょうか。厚生省は、厚労省は変わっていません。いまだに薬害を引き起こす構造を引きずっている。全く反省がない。是非とも菅総理のリーダーシップで解決していただきたいと思います。 あの薬害エイズ事件を引き起こした最大の原因の一つが官民癒着、すなわち天下りであったことは総理も御存じの事実です。つまり、天下り根絶なくして薬害根絶はないのです。 今年一月一日、石田前資源エネルギー庁長官が東京電力の顧問に就任しました。この人事は何ですか。東京電力から石田氏に直接就任依頼があったので役所のあっせんでないとするならば、あっせんがなかった具体的な証拠を提示してください。法律で決められた再就職等監視委員会もなぜいまだに手を付けられないのでしょうか。明らかな天下りを容認していて何が薬害根絶なのでしょうか。 TPPの医療分野、薬害イレッサに続いて、次にやはり命にかかわる問題であるB型肝炎問題について質問させていただきます。 国の政策による予防接種において注射器や注射針の回し打ちをされた結果、多くの国民がB型肝炎ウイルスに感染させられたこの事件で、国が被害者を救済するのは当然の責任だと考えます。菅総理もそれを分かっているからこそ、施政方針演説で、B型肝炎訴訟における裁判所の所見に前向きに対応し、国民の皆様の御理解を得ながら早期の和解を目指しますと述べられたのだと思います。 ならば、まずは、薬害エイズのときと同じように、国の加害責任について謝罪してください。ただし、菅総理が演説で使われた国民の皆様の御理解を得ながらという表現によって、B型肝炎被害者たちを増税に利用するようなことだけはしないでください。ずさんな医療行政の被害を受け、裁判で苦しみ、更に増税の口実にされるのでは、被害者たちは一生苦しみ続けなければなりません。被害者の全員救済を実現してください。いつまでたっても全面解決されない第二の水俣病にしてはならないのです。 総理にお聞きしたい。民主主義の基本である三権分立は、総理にとってどんな存在なのでしょうか。薬害イレッサ訴訟、B型肝炎訴訟、大阪泉南アスベスト国賠訴訟、どれも司法が国の責任を認め和解を迫っているにもかかわらず、国からの誠実な対応が全く見られないのはなぜですか。大阪泉南国賠訴訟では、環境と厚生労働両大臣が控訴断念を決断した後で、わざわざ内閣がそれを覆し控訴をしています。菅政権にとって国民の命とはそんなにも軽いものだったのですか。 あの歴史的な政権交代で国民が期待したことはこんなものではなかったはずです。あのとき、多くの国民が新しい政治が社会を良くしてくれることを望んだ、最も希望を託したのは、何よりもこの国の未来をつくる子供たちのことでした。 民主党の目玉政策である子ども手当について質問があります。 多くの地方自治体からこの手当の地方負担を来年度の予算に入れられないという声が上がっており、その数は日に日に増えています。そして、何よりもそのしわ寄せを受けるのは子供たちです。制度設計に地方の声を入れない地域主権など意味がありません。菅総理、地域主権とは何か、お答えください。 昨年十一月四日、基本制度ワーキングチームにおいて提案された幼保一体給付の政府案では、介護保険をモデルに挙げて、客観的な基準を満たすことを要件に多様な事業者の参入を認めるべきとなっています。保育事業に参入する多様な事業者の中から金もうけ本位で、詰め込み、保育士不足、子供放置の劣悪事業者をどうやって排除するおつもりですか。菅総理、お答えいただけますか。 現在出されている政府案には、こども園における保育サービスを二重にし、オプション部分については価格の上限を設けないという内容も入っています。これは、公定価格を原則としながらも、入学金や保育料、体操、音楽などの課外活動は別料金になり、親の収入で子供が受けられる保育の質に格差ができてしまいます。経済的に余裕がなければ、以前多くの死者を出したちびっこ園のような利益重視の危険な保育所に預けるしかないという可能性も出てきます。 現行の児童福祉制度を解体し、規制緩和により保育を市場化することで起きる格差拡大は、全ての子供に質の良い保育サービスをという政府のスローガンと逆行すると思いますが、いかがでしょうか。 当事者の声を聞かないもう一つの例として、政府は、今まで児童福祉制度として機能してきたこの国の保育制度を実質的に解体することとなりかねない制度設計、こども園を始めとした子ども・子育て新システムを早急に進めています。ここでもまた、保護者や現場の保育関係者など当事者への説明がほとんどなされず、また、その声をほとんど聞かないまま進めています。 今この国で深刻な問題になっている子供の貧困。子供の貧困は女性の貧困にほかなりません。本当に必要なのは女性たちが働きながら安心して子供を産み育てられる環境をつくることです。 児童福祉制度を解体することは、国が子育てという分野からその責任を引き揚げるということです。保育がどんどんサービス産業になっていけば、親たち、特に母親たちの選択肢はますますなくなるでしょう。悪いのは、負担を押し付けられ悲鳴を上げる地方自治体でしょうか。当事者である親たちや現場の人々、地域の声を無視して子ども・子育て新システムを入れた結果、更に自治体の負担が増えたとき、一体政府はどうするつもりなのでしょうか。 冒頭でTPPについて申し上げた私の懸念と同じです。現場の声、当事者たちの声を無視した形で政策を押し付けるやり方には反対です。 私は、子育てをする母親の声を聞く会を続けていますが、聞こえてくる声は多くの地方自治体と同じ、公設保育園の増設などに財政措置を講じてほしいというものです。子供のために国が本気でお金を注ぐこと、それなしに、親や地域が苦しむ制度の中で、子供が本当に生きていて楽しいと思える社会は実現できません。 一時的なばらまきより、長い将来安心できる子育て支援とは何かを女性たちに聞くこと。国民の命にかかわる医療については患者に正確な情報開示をすること。誰のための成長戦略なのか、その中身を当事者である国民に知らせること。国会での与野党の徹底した議論をすること。今日ここで申し上げたテーマについて、総理が描くこの国のビジョンと、それを実現されるための徹底した情報公開と誠意あるリーダーシップをしっかりと見せていただきたい。 私は、おかげさまで、今月三十五歳になりました。HIVに感染してから二十五年がたちました。皆様に支えられて、今もこうして発症もせずに生きることができています。これも安心して利用できる医療制度があってこそです。私は、誰もが安心してかかれる医療、そして国民皆保険制度を何としても守りたい。命が最優先される社会の実現を目指して全力を尽くします。 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 川田龍平議員にお答えをいたします。 先ほど川田龍平議員からは、渡辺みんなの党代表の質問に私が答弁をしなかったように言われましたが、そんなことはありません。ただ、昨日、最終的な文書をいただいたのは十一時三十分で、まだ私はこの議場におりました。二時からが質疑でありまして、大変項目が多いためにそれを詳細に答弁に起こすことができなかったわけでありまして、そういったことについて、やはり渡辺代表にも少なくとも前の日の間には案を出していただきたいと思っております。 また、川田議員も、項目は確かに昨日いただきましたけれども、全文をいただいたのは今日朝八時三十五分でありました。八人の方から今日質疑をいただきますけれども、そういう出し方で、私は熟議をしたいと、誠実に答えたいと思っておりますけれども、是非とも、熟議をしたいと言われるのであれば、ちゃんと答弁の準備ができる時間に質問も出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、TPPと国内医療への影響について御質問をいただきました。 TPP協定については、どのような分野についてどのような内容となるものかについて現時点で全てが明らかになっているわけではありません。したがって、御指摘の国内医療といった個別の分野にどのような影響が出るかということをあらかじめ決め付けてこうなるだろうということを言うことは、私から申し上げることは困難であります。いずれにせよ、我が国の医療・介護システムが国民にとって最良のものになるよう取り組んでまいりたいと思います。 私がこの間申し上げている開国と並んで最小不幸社会ということを申し上げているのは、そうした医療や介護のシステムが、それこそ新自由主義的な形で破壊されることがないようにという思いも含めて申し上げているところでありまして、その点では川田龍平議員とも同じ方向を向いていると私は思っております。 次に、イレッサ問題についての御質問をいただきました。 このイレッサ訴訟については、一月の七日、東京地裁及び大阪地裁から和解勧告が出され、本日を回答期限と指定をされております。 実は、この問題は本当に難しい問題であります。私は、もちろん副作用の問題をどのように考えるかということが一つの主眼でありますが、同時に、これからのがん治療というものの進展について、がん患者の皆さん全体の利益というものをどう考えればいいかということも併せて考えなければなりません。 先ほど川田龍平さんから薬害エイズの問題、また私は一年生議員のときに丸山ワクチンの問題にも取り組みまして、薬の安全性と同時に、その薬がどういう副作用を持つか、それが軽い病気に対する薬であれば当然軽い副作用でもこれは認められません。しかし、イレッサが使われるような肺がんのかなり重篤な患者さんに使われるものについては、例えば放射線医療などで頭の髪が取れたりするわけであります。ですから、そういう意味では、がんの患者さんについても副作用の救済が必要だということは、私もそう思っております。今現在の仕組みでは、がん患者は外されているということも制度的に問題だと思っております。 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、この問題は私は、がん患者の皆さん全体のことを考える中でどうすることが最も良いかということを、そういう形で判断をしなければならないと、このように思っているところであります。 次に、前資源エネルギー庁長官の再就職と天下りについて御質問いただきました。 現在の天下りというのは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいい、国家公務員法ではこのような再就職のあっせんが禁止されているところであります。 お尋ねの再就職について経済産業省が企業に確認したところでは、職員の退職後、企業の判断により採用したというものでありますけれども、私も必ずしもこのことが天下りでないというふうに言い切ることはできません。もう一度しっかりと経緯を調べてまいりたいと思っております。 再就職等監視委員会についての御質問をいただきました。 天下りについては、民主党政権発足後に直ちに府省庁によるあっせん禁止をするなどの措置を講じ、天下りあっせんを全廃いたしました。現内閣としては、今後退職管理の一層の適正化を図るため、今国会に提出する公務員制度改革法案において再就職等規制の監視機能の強化を図ることとしており、同法案を取りまとめて今国会に提出した上で速やかに監視機関を立ち上げるよう努めたいと考えております。 B型肝炎訴訟の問題について質問いただきました。 本件は、集団予防接種に起因し、かつてない大変大きな広がりを持つことから、全体解決に当たっては国民の皆様の理解が必要と考え、現在党派を超えた御協力をお願いいたしているところであります。解決に必要となる費用については、政府として責任を持った対応ができるよう一定の仮定に基づき試算したものでありまして、妥当なものと認識をしております。 今般、札幌地裁が示した見解には対象者の証明方法を含めほとんどの論点が示されており、まずはこの見解の受入れを検討し、残された論点も原告の皆様と基本合意までに、裁判所の仲介の下、引き続き協議してまいりたいと考えております。 子ども手当についての質問をいただきました。 平成二十三年度の子ども手当については、国と地方の協議の場などで地方団体等の御意見を踏まえて決定したものであります。 具体的には、今年度と同様、子ども手当創設前からある児童手当の地方負担については従前どおりとお願いすることとなりますけれども、それ以外の部分について、上積みを含め全額国費で対応したものであります。 一方、地方団体からの御意見も踏まえ、保育料や学校給食について子ども手当から納付することができる仕組みを設ける、地方が地域の実情に応じた子育て支援サービスを拡充するための交付金を設けるといった見直しを行うことを考えております。 なお、平成二十四年度以降における子ども手当の制度設計に当たっては、関係府省と地方公共団体で会議を開催し十分な協議を行うこととしており、財源構成についてもこの会議の場でよく検討してまいりたいと思います。 子ども手当の制度設計や実施に当たっては、地方の声に耳を傾け共に進めていきたいと考え、地域主権を尊重して対応してまいります。 次に、子ども・子育て新システムについて質問をいただきました。 子ども・子育ての新しいシステムは、全ての子供に質の高い幼児教育・保育を保障することを目的とするものであります。現在、社会全体による費用負担の下、多様な担い手によるサービス供給の拡大を図る中で、質を担保する仕組みや保護者負担の在り方などについて検討を進めております。具体的な制度内容は、子育ての当事者や関係団体、地方公共団体などで構成されるワーキングチームを中心に検討を重ねており、今後とも関係者の御意見を踏まえながら検討を進めてまいります。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
○国務大臣(前原誠司君) 川田議員にお答えをいたします。 TPP協定に関する情報収集についてのお尋ねでございますが、同協定交渉参加国は、アジア太平洋地域における高い水準の自由化を目標とし、市場アクセスのみならず、様々な非関税分野のルール作りを含む包括的協定の作成を目指して、二十四ある作業部会において交渉を行っております。二十四のうち一つは首席交渉官協議でございますので、具体的なテーマは二十三で行っているところであります。 FTAの基本的な構成要素である物品やサービスの市場アクセスにつきましては、現在、自由化オファーの交換に向けた準備作業が行われておりまして、その他の分野でも今後は条文ベースの交渉が行われることが予想されております。 関係国との協議等により得られました情報につきましては、相手国との関係にも十分配慮をする必要性がありますけれども、御指摘のように、国民の皆様に理解を深めていただくとの観点から、可能な限り情報開示、そして説明をしていきたいと考えております。(拍手)
○議長(西岡武夫君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。 これにて午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十二分休憩 ─────・───── 午後一時一分開議
○副議長(尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。岩城光英君。 〔岩城光英君登壇、拍手〕
○岩城光英君 自由民主党の岩城光英です。 待てば海路の日和ありと言われます。しかし、我が国の現状は、菅政権四海波高しと言わざるを得ません。一体いつまで待てば海路が開けるのか、多くの国民の偽らざる心情であります。 私は、市会議員、県会議員、市長として地方行政に携わってまいりました。地方の元気が日本の活力につながると考えております。しかし、今、地方からは悲鳴とも言える声がひっきりなしに聞こえてまいります。農林水産業、商工業の事業主、また行政を担っている市町村の実務者レベルの方々からも切実な声が上がっております。それは、民主党不況ともやゆされる景気低迷により地方経済が冷え切っているからであります。さらに、子ども手当や戸別所得補償制度に代表される全国一律のばらまき政策の実態やその制度設計の不備についての不満の声があります。 政治主導の名の下、地方自治体の行政運営にかかわる新しい政策等の政治判断が政権のトップダウンでいきなり決定され、その後理解を求めていくという手法は民主党の言う地域主権とは相入れないものであり、そのため、様々な混乱が生じております。 今、これら切実な声、不満、憤りの声が四十七都道府県に渦巻いていると言っても過言ではありません。 このような例え話があります。 一丁目一番地に乗客のことは乗客が決めるというバスが停車していた。四十七人が期待して乗り込んだ。しかし、バスは乗車時刻を過ぎても動かない。しばらくすると、運転手は何もしないまま降りてしまった。 あっけに取られていると、新しい運転手が乗り込んできて、行く先は一括交付金と叫び、急発進した。乗客が次々と転倒して車内は大混乱に陥る。こんなひどい運転は初めてだと言うと、運転手は仮免許だからと開き直っている。バスが補助金の総額削減方向に向かっているようだと気付いた乗客が降りたいと言っても、運転手は聞こえないふり。すると突然、子ども手当の路線を維持するため料金をいただくことにしましたというアナウンスが流れて車内は騒然となる。話が違うと怒る乗客に、運転手は料金を決めるのは私だとうそぶいている。乗客のことは乗客が決めるという言葉にだまされたと気付いたが、バスは暴走していて、とても降りられそうにない。 菅総理、このバスに乗せられた人たちの気持ちを是非お考えください。この際、一旦バスを止め、乗客も運転手も共に自転車に乗り、自らハンドルを握り、ペダルをこいで一緒に進む。そのような姿勢で地方分権の在り方を目指してはいかがでしょうか。 質問の第一は、地方税財政についてであります。 政府は、地方交付税の総額を対前年度で約五千億円増額したと誇らしげに広言しています。しかし、その内容を調べてみますと、国の一般会計からの繰入金は対前年度で約七千億円も減額されています。その減額を穴埋めしたのが、昨年度の地方交付税の精算金であり、来年度一兆円余りとなる繰越金であります。昨年の臨時国会において我が党は、地域経済の活性化のため、この精算金の全額を地方交付税の増額に充てて地方に交付すべきであると主張しましたが、政府は全く無視しました。 また、この精算金は、昨年の緊急経済対策の総額に含まれていたものであります。地方公共団体の固有の財源である地方交付税を緊急経済対策の膨らまし粉に使い、そして、今度は地方交付税減額の穴埋めに充てようという二重に地方を欺くこそくな手段は、市長を経験した者として許せるものではありません。 地方の財源不足額は、今年度よりは減少したものの十四兆円を超えています。地方交付税の原資が十兆円余りである中、それをはるかに超える財源不足額が生じているのです。地方交付税法第六条の三第二項の規定の趣旨にのっとり、直ちに法定率の引上げを行うべきであると考えますが、菅総理の見解はいかがですか。いつまでに行うのか、明確な答弁を願います。 地方財政計画の中身を見ると、今年も投資的経費が大幅に削減されています。地域経済がこれだけ冷え込んでいる中で、国の公共事業が減額されていることも問題ですが、そうであれば、それを地方単独事業で補おうという考えがどうして出てこないのですか。平成二十三年度も公共事業と同様の大幅な削減率となっています。地財計画上の公共事業と地方単独事業を合わせた削減額は実に六千億円余りとなります。地域活性化・雇用等対策費が別枠加算で二千百五十億円増加し、一兆二千億円になったと喧伝していますが、差引きすれば約四千億円のマイナスになり、これでは地域経済は成り立ちません。 地方単独事業をこれからも削減し続ける考えなのか、菅総理の所見をお示し願います。 昨年末以来、全国各地で大雪による被害が発生し、除雪や復旧対策に係る自治体の負担が増しております。 かつて、平成十八年に発生した豪雪の際には被災した地方団体へ特別交付税を繰上げ交付しており、この度の被害に対しても同様の措置を検討すべきと考えますが、片山総務大臣の見解を伺います。 消防補助金の削減の問題です。 緊急消防援助隊に係る経費が元気な日本復活特別枠で二十六億円も増額されたことには一定の評価をしますが、その一方で、消防防災施設整備費補助金が二十一億円余りも削減され、何と対前年度で約三分の一程度となっております。国の制度である緊急消防援助隊だけを充実させれば、市町村の消防防災はどうなってもいいのでしょうか。全く地域の住民の安全を考えていない、バランスを欠いたものと言わざるを得ません。 補助金では、従来、耐震性防火水槽など地道な消防防災施設の整備が行われてきました。起債に振り替えれば大丈夫だという発想のようですが、市町村では公債費が増大し、新規起債には極めて消極的な姿勢を示しています。私は、一気に補助金予算額を三分の一にするというのは極めて無謀なことと考えますが、総務大臣の御所見を伺います。 民主党は、ひも付き補助金をなくして地方が自由に使える一括交付金の導入をマニフェストでうたっています。菅総理も、施政方針演説で、地域が自由に活用できる一括交付金であり、政権交代の大きな成果だと豪語されておりました。 しかし、地方が自由に使える一括交付金とは名ばかりで、対象事業が限定されております。初年度は全体の九割が継続事業に充てられ、客観的基準によって配分される残りの一割も各省庁に移管計上され、従来の補助金同様に交付されることになっています。これでは、ひも付き補助金がひも付き交付金になったにすぎないのではないでしょうか。地方の申請手続が複雑化しただけではありませんか。明らかにマニフェストに反していると考えますが、菅総理、いかがでしょうか。 また、各省庁に計上される補助金と一括交付金として計上されるものの違いは全く恣意的であり、なぜ一括交付金の総額が今回の予算額になったのか、具体的に説明願います。 昨年の九月の民主党代表選挙では、補助金の一括交付金化によってマニフェスト施策の財源を捻出するという議論が行われています。地域主権を掲げながら、地方の財源を大幅にカットし、国の政策財源に充てるという発想には大変疑問を感じます。一括交付金化による補助金の総額削減について、総理の御見解をお聞かせ願います。 この一括交付金制度は当初の理念と実態が懸け離れており、このまま導入に踏み切れば、再来年度から制度の対象となる全ての市町村では大変な混乱が生じることが懸念されます。拙劣な一括交付金化は取りやめるべきです。そして、我が党が提案する地域経済と雇用のための緊急交付金事業を実施してはいかがでしょうか。菅総理の御見解をお伺いします。 総理は、昨日の我が党の中曽根議員会長の質問に対し、子ども手当の地方負担については、地方団体からの声も踏まえ、この仕組みを設けたと答弁されました。しかし、最近、川崎市や横浜市、さいたま市、千葉市などが相次いで子ども手当の地方負担分を拒否する方針を表明しております。これは、全額国庫負担といううたい文句で始まったこの政策が地方に負担を押し付けることになったことへの強い反発の表れです。 マニフェストでは、税金の無駄遣いを改めることで子ども手当の実施に必要な五・五兆円の財源を確保するとうたっていたのをお忘れではないでしょう。今となっては、財源捻出に失敗したことは明らかであります。マニフェストの過ちを直ちに謝罪すべきなのですが、政府・与党は過ちを認めることをかたくなに拒否し、なし崩し的に地方へ負担を押し付けることで取り繕おうとしております。また、扶養控除の廃止による地方の増収を見込んだ児童手当・子ども手当特例交付金の減額は、結果として国が地方に財源の使途を限定するものです。政府・与党は住民税の扶養控除の廃止等に伴う地方の増収分を子ども手当の財源に充当することも検討しているようですが、こうした手法は中央集権以外の何物でもありません。 このような姿勢の政権に対して地方団体が反発するのは当然のことであります。子ども手当の交付は全額国費で行うべきであるという地方の考えに対し、菅総理はどう答えるのでしょうか。 この子ども手当を始め、高速道路無料化、ガソリン税の暫定税率の廃止、配偶者控除の廃止など、軒並みマニフェストの軌道修正、見送りという、まさに実現には程遠い現状にあります。今なすべきことは、マニフェストが過ちであったことを素直に認め、もう一度ゼロから出直すべく、解散・総選挙によって国民と地方の信を問うべきであると考えますが、菅総理の御所見をお示し願います。 質問の第二は、TPP関連についてであります。 郵政改革法案については、昨年の閣議決定のときから既に欧米諸国が非関税障壁として問題視しており、WTO提訴の検討がされていると報道されております。菅総理は、TPP参加について六月までに結論を出すとしていますが、一方で、郵政改革法案は予算成立後直ちに今国会で成立させると国民新党と約束しています。WTO提訴が検討される法案とTPP参加の市場開放政策の双方に整合性がありますか、お答え願います。 与謝野大臣、あなたは、小泉政権時に自民党の政調会長として郵政民営化推進に尽力なされました。今回、菅内閣の大臣となり民主党会派の一員となったあなたが、政府の提出している郵政改革法案とは名ばかりの郵政民営化逆行法案に賛成なさるおつもりなのでしょうか、御見解をお示し願います。 あわせて、郵政改革を担当される自見大臣は、我が国のTPP参加についてどのような御見解をお持ちでしょうか、お伺いいたします。 さらに、鹿野農林水産大臣にお尋ねいたします。 総理は、平成の開国を第一に掲げ、とりわけ農業について鎖国の象徴であるかのように攻撃しておりますが、我が国は世界最大の食料純輸入国であり、圧倒的に世界に開かれているのが現状であります。 ところで、総理はダボス会議に出席されますが、農林水産省は、同じダボスで開催されるWTO非公式閣僚会議、G10閣僚会合に副大臣を派遣すると聞いております。 これまで我が国は一貫して、食料安全保障の重要性を始め、農業の多面的機能への配慮、開発途上国への配慮など、各国の多様な農業の共存の合意の下、スイス、ノルウェーなどのG10諸国と連携をしてまいりました。しかし、全ての品目を自由化交渉の対象とするTPPへの参加協議を進め協定を結ぼうとしている政権の方針と、他方、自国の農業を守ろうというG10、また、それを踏まえたWTO会合への出席は矛盾するのではないでしょうか。 副大臣はこれらの会議にどのような姿勢で臨むのか、鹿野大臣の御見解をお伺いいたします。 質問の第三は、地上デジタル放送についてであります。 テレビ放送は本年七月二十四日の正午にアナログ放送を終了し、デジタル放送に完全移行となります。地デジ難民を出さないために万全の体制を整え、国民生活の混乱を避けなければなりません。 この事業は、デジタル放送が受信できず、ケーブルテレビに加入したり、共聴施設の新設、その維持管理費の負担など、国民の皆様の協力の上に成り立っているものです。特に離島や山間部、過疎地域などでは間違いなく受信できるのかが今一番心配されておりますので、総理の明確なお答えをお願いいたします。 質問の第四は、公共事業についてであります。 政府は、コンクリートから人へとのキャッチフレーズの下、公共事業を平成二十二年度予算では前年度比一八%減の一兆三千億円もの削減を行いました。平成二十三年度予算案でも、一見、前年度比三千億円の減、率にして五%減の五兆四千八百億円と削減幅が縮小しているように見えますが、何に使用されるか不明の一括交付金分を除くと八千億円の減、率にして一四%減の四兆九千七百億円と昨年同様大幅に削減されているのが実態であります。 一昨年、突然の八ツ場ダム建設中止表明を始めとした現政権の公共事業への姿勢は、コンクリートから人へとの掛け声の下、地域住民の意思を全く顧みることもなく予算額を大幅に削減するなど、国民に公共事業イコール無駄、悪とのイメージを強く植え付けたのではないでしょうか。 建設業は、地方において雇用を支える重要な産業であります。更なる失業者の増大は、失業給付の形で地方財政を圧迫するばかりでなく、これまで高い技術によって支えてこられた社会資本の維持もできなくなるのではないかと危惧されます。 子供たちが学び、地域の避難所ともなる公立学校の耐震化事業も推進しなければなりません。しかしながら、新年度の予算案では約八百億円。片や、子ども手当に要する予算が約二兆円。優先順序が違ってはいませんか。必要な事業も切り捨てていると言わざるを得ません。 災害等から国民の生命、財産を守る役割をも果たす重要な公共事業予算、並びに建設産業の地域経済における位置付けに対する基本認識と、今後の予算確保策について菅総理にお尋ねいたします。 この度の大雪により幹線国道で自動車が立ち往生したり鉄道の運行に支障が生じ、多くの人々が車内に閉じ込められる事態が発生いたしました。関係機関の責任は当然でありますが、それ以上に、地域の建設業が衰退して緊急時に即応できないことが本質的な問題と考えます。 従来であれば、災害が発生しても、地域の建設業者が、行政との取決めもあり、いち早く復旧作業をし、事なきを得ておりました。現在は、一般競争入札制度や度重なる公共事業費の削減による市場の縮小により過当競争が進み、経営環境が悪化する中で、従業員や重機を手放す事業者も多く、その結果、予想以上の豪雪に対し、地域によっては迅速な対応が困難となっております。そのまま放置すれば、除雪ばかりでなく、地震や豪雨などの災害発生後の復旧すらままならず、国民生活の安全、安心の確保に重大な支障が生じかねません。 地域の建設業は、社会資本の維持や住民の生活の安全を支える役割を果たしております。そうした役割を引き続き担えるようその再生を図るとともに、過当競争の結果、経営が維持できないという状況からの脱却を目指し、公共事業に対する柔軟な随意契約の活用や入札制度について新たな仕組みを構築すべきと考えますが、総理の御認識をお伺いいたします。 質問の第五は、総合交通体系の構築についてであります。 現在、高速道路の約二割の路線、区間を対象に無料化の社会実験がなされておりますが、本格的に実施されると、鉄道、バス、フェリー等の公共交通機関からマイカーへ移動が進み、公共交通機関の存続が危ぶまれます。 実際に、実験区間の中では、高速道路と並行して走る鉄道や高速バスの利用者の減少が指摘されております。特に高速バスは地域の公共交通を担うバス会社の収益源となっており、その収益減少により地域のバス路線が縮小、廃止され、結果として地域の貴重な足が奪われることにつながりかねないものです。 多額の国費を投入する高速道路無料化をやめ、受益に見合った料金徴収を実施すべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。 高速道路のみならず、一般道でもコスト面、CO2排出量削減、渋滞緩和など、効率的な移動手段を考慮した総合的な交通体系を構築することが課題となっております。 欧米では、環境への配慮からも、自転車を生かした交通体系、交通政策を進めている国がたくさんあります。お隣の韓国でも、数年前から自転車利用活性化総合対策を策定し、全国自転車道路ネットワークの構築を目指しております。 我が国でも、有効な交通手段としての自転車の位置付けを明確に示した国レベルの自転車計画を制定すべきと考えます。そして、地方の公共交通の再生や、歩いて暮らせる町づくりの推進、自転車活用促進基本法の制定などの施策を総合的に進めることにより、人と環境に優しい総合交通体系を確立していくことが重要と考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。 最後に、昨日の総理の発言についてお尋ねいたします。 昨日、米国の格付会社が日本国債の格付を引き下げました。総理は午後六時過ぎに記者団の取材に応じ、本会議から出てきたばかりでそういうことに疎いので改めてにしてほしいと発言されました。 先ほどの御答弁を伺いますと、午後六時の時点で情報を聞いていなかったということですが、一時間も前にあった情報が、本会議終了後に官邸で官房副長官や首相補佐官らと会っておられたにもかかわらず、総理に上がっていなかったのでしょうか。官邸の危機管理体制はどうなっているのか、伺います。 総理は、日本国債が引き下げられた二〇〇二年、まさに経済有事、小泉首相は全くのうてんきだと発言されております。そういうことに疎かったにもかかわらず、当時あのような批判をされたのでしょうか。その後、財務大臣を経験され、財政再建に取り組む姿勢を示しているにもかかわらず、そういうことに疎いということはどういうことでしょうか。発言の真意をお聞かせください。 そして、総理は、国債の格下げについてどのように受け止めておられるのか、また今後どのように対処していくのか、御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 岩城議員の御質問にお答えをいたします。 まず、交付税の法定率の引上げについて御質問をいただきました。 平成二十三年度予算では、法定率の引上げは行っておりませんが、地方の財源不足額についてはしっかりと対応してまいりました。交付税総額を〇・五兆円増額するなど、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源を確保し、地方に最大限配慮をいたしました。 今後、地域に必要なサービスを確実に提供できるよう、地方財政の所要の財源を確保することで、住民生活の安心と安全を守るとともに地方経済を支え、地域の活力を回復させていくとの基本理念に立ち、御指摘の法定率の在り方など交付税の議論も行いつつ、地域主権戦略大綱に従い地方税財源の充実確保を図ってまいる所存であります。 地方財政計画の地方単独事業についての御質問をいただきました。 平成二十三年度の地方財政計画は、国の歳出の取組と基調を合わせつつ、地方単独事業を含めた投資的経費の重点化を図る一方、地域活性化、雇用、子育て施策等に取り組むために必要な経費を増額計上しており、地方を元気にするための財源を総額として確保いたしております。 地方単独事業については、今後とも国の歳出の取組と基調を合わせつつ、真に必要な社会資本整備の所要額を適切に確保してまいる所存であります。 次に、一括交付金化について御質問をいただきました。 一括交付金は、対象となる事業において、各府省の枠にとらわれず自由に事業を選択して使えるものであり、地方の裁量を大きく拡大するものであります。制度がスタートする来年度からしばらくは継続事業の実施が多くなることはやむを得ないことですが、時間がたつにつれて継続事業の比率は下がっていくものと見込まれます。また、継続事業であっても、どの箇所をどの程度実施するかは地方の裁量に委ねられていくものであります。内閣府は、地方の自由な事業選択の結果を踏まえて各府省へ予算の移替えを行うものであり、ひも付き交付金との批判は当たりません。 一括交付金の総額については、当初、各省から提出された財源は僅かに二十八億円だったわけですが、私から各閣僚に強く指示し、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は一兆円規模で実施することになったわけでありまして、政権交代による画期的な政策変更だと考えます。 平成二十三年度における一括交付金化五千百二十億円については、各省から提出された平成二十三年度要求・要望額のベースの五千四百億円と比較すると、約三百億円、パーセントで約六%の削減となっております。一括交付金は、その使途について地方の自由度を拡大することが目的であり、財源捻出を直接の目的とするものではありませんが、今後、一括交付金を拡充する中で、地方公共団体において優先度の高い事業が効率的に実施されることにより、国の予算の効率化も更に図られるものと期待をいたしております。 一括交付金における対象事業は、いずれも地域経済と雇用に貢献するものであり、一日も早い予算の成立に御理解、御協力を賜りたいと考えております。 次に、子ども手当についての御質問に答えます。 平成二十三年度の子ども手当については、国と地方の協議の場などで地方団体等の御意見を踏まえて決定したものであります。具体的には、今年度と同様、子ども手当創設前からある児童手当の地方負担については従前どおりお願いすることとなりますが、それ以外については上積み分を含めて全額国費で対応したものであります。一方で、地方団体からの御意見も踏まえ、保育料や学校給食費について子ども手当から納付することができる仕組みを設ける、地方が地域の実情に応じた子育て支援サービスを拡充するための交付金を設けるといった見直しを行うことを考えております。 政府としては、子ども手当の支給が円滑に遂行されるよう、地方に御理解をいただけるよう努力を続けてまいります。 なお、二十四年度以降における子ども手当の制度設計に当たっては、関係府省と地方公共団体で会議を開催し十分な協議を行うこととしており、財源構成についてもこの会議の場でよく検討してまいりたいと考えております。 次に、解散についての御質問をいただきました。 まず、マニフェストはその多くが既に実現されており、あるいは着手をされております。例えば、国民とお約束したマニフェストの中で、子ども手当については今回拡充をいたしました。高校無償化についても実施をいたしました。農業者戸別補償についても今回拡大をいたしました。このように、その多くを実施あるいは着手しており、政治も政策も政権交代によって大転換を遂げたということを客観的に是非受け止めていただきたいと、このように思います。 また、財政状況の変化や国民の声なども踏まえつつ、暫定税率廃止の問題のように、できなかったことは国民の皆さんに丁寧に説明をしてまいります。 菅内閣は、マニフェスト政策に加え、景気・雇用対策の推進のための新成長戦略に基づく政策の展開など、新たな事業もどんどん展開しており、解散については全く考えておりません。 TPPと郵政改革法案との関係について御質問をいただきました。 TPP協定については、米国を始めとする関係国との協議を続け、今年六月をめどに交渉参加について結論を出します。TPPの参加にかかわる関係国の関心事項や要望は、関係国との協議の過程で明らかになっていくものと考えており、現段階では予断することは差し控えたいと思います。 なお、郵政改革法案については、今国会において速やかな成立を目指してまいりたいと考えております。 次に、地上デジタル放送についての質問をいただきました。 エコポイントの効果もあり、地デジ対応受信機の普及は順調に進んでおりますが、山間部等で受信が困難な地域やいわゆるビル陰障害など、残る期間を掛けて取り組むべき課題も残されていると承知をいたしております。現場の状況をよく把握し、移行対策について助成措置を講じるなど、国民の中に混乱が生じないよう遺漏なきを期してまいりたいと考えております。 次に、公共事業についての御質問をいただきました。 公共事業については、極めて厳しい財政状況の中、国民にとって本当に必要なものかどうかを見極め、真に必要な社会資本整備を戦略的に進めるとの観点から重点化を図っているところであります。今後とも、地域経済の活性化や国民生活の安定、安心に真に役立つ社会資本整備を行ってまいりたいと考えております。 また、地域の建設産業を取り巻く環境は厳しさを増していることから、その再生を図るために必要な方策について、入札契約制度の在り方を含め、幅広く検討してまいりたいと考えております。 次に、高速道路無料化についての御質問にお答えします。 高速道路の原則無料化は、物流コスト、物価を引き下げ、地域と経済を活性化するなど、高速道路の直接の利用者に限らない幅広い効果も期待されております。現在行っている社会実験を通じて、他の交通機関への影響、具体的な効果や負担の在り方について検討しつつ、国民の理解を得ながら高速道路の無料化を進めてまいりたいと考えております。 次に、総合交通体系についての御質問にお答えします。 人と環境に優しい総合交通体系の構築は重要な課題であり、その際、自転車の活用も重要な役割を担うものと考えております。私の地元においても、自転車を重視した施策が幾つか取られております。現在、今後の交通に関する基本理念などを定める交通基本法案を今通常国会に提出するべく検討を進めているところであります。同法案及び同法案で想定している交通基本計画において、自転車の活用、地方の公共交通の再生、歩いて暮らせる町づくりなどの課題にも取り組んでまいります。 次に、日本国債格下げと財政健全化に関する質問にお答えをいたします。 昨日質問を受けたのがこの参議院本会議直後で、格付変更についてその時点では聞いておりませんでした。私が財務大臣時代にはギリシャの財政危機があり、財政健全化や国債の信認の重要性は身をもって実感をしたところであります。大切なのは、財政規律を維持し、我が国財政に対する市場の信認を確保すること、財政運営戦略に基づき、この点を確実に進めてまいりたいと考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣片山善博君登壇、拍手〕
○国務大臣(片山善博君) 私には二点お尋ねがございました。 初めに、豪雪被災地に対する特別交付税の繰上げ交付についてであります。 今冬の豪雪によります除排雪経費等につきましては、できる限りその実態を把握今しているところでありまして、三月分の特別交付税で措置することとしております。現在のところ、該当の自治体から特別交付税の繰上げ交付の要請はございませんけれども、その財政運営に支障が生じることのないよう、今後適切に対応いたしてまいりたいと思います。 次に、消防補助金の予算額を三分の一に縮減したことについてでありますけれども、実は、消防庁の予算全体を見ますと、対前年度比二・四%の増としております。ただ、限られた予算でありまして、その中でめり張りを付ける編成を行いました結果、消防防災施設整備費補助金についてはやむなく縮減せざるを得なかったところであります。 ただ、御指摘のありました耐震性貯水槽等の整備につきましては、おっしゃったような地方債措置ももちろんありますけれども、それ以外に、今問題になっております消防防災施設整備費補助金ではない別の補助金でありますとか交付金などの財政措置もありますので、取りあえず市町村が消防防災施設の整備を進めるための支援策は確保されているものと考えております。(拍手) 〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 郵政改革法案への対応についてお尋ねがありました。 私は、社会保障・税一体改革という現在の、また次世代の国民にとっての最重要課題の実行のために、今回、国務大臣を拝命いたしました。 私は、与えられた職責を全うするよう最善を尽くしてまいります。また、国務大臣として、内閣の一体性を損なうことのないよう行動してまいりたいと決意をしております。(拍手) 〔国務大臣自見庄三郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(自見庄三郎君) 岩城議員からTPP参加問題に関する認識いかんと、こういう御質問でございました。 環太平洋パートナーシップ、いわゆるTPP協定については、菅総理から今さっき御答弁がございましたように、関係国と協議を続け、今年の六月を目途に交渉参加について結論を出すということになっております。 なお、我が国の郵政改革に関しまして米国等が関心を有していることは承知をしておりますが、これまでの環太平洋パートナーシップ、TPP協定交渉への我が国の参加条件として、米国等の関係国から郵政改革に関する言及はないものと承知をいたしております。 郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたってあまねく公平に利用されることを確保するための法律であります。 その郵政改革法案におきましては、第十二条で、郵政事業は同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものを基本方針としております。この基本方針の下に、経営の自主性と競争条件の公平性のバランスの取れた設計をしているところでありまして、郵政改革法案はWTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えておりまして、その上で国際的な約束との整合性を確保していく考えでございます。 なお、郵政改革関連法案につきましては、昨年十二月、民主党と国民新党との間でも、平成二十三年の通常国会で予算成立後直ちに審議し成立させることとしたところでございまして、有力な全国紙にも、郵政改革法案棚ざらしは国民利益に反するとの社説が出されたこともございました。是非、各党各会派の御理解をいただきまして、今国会において速やかに成立を図らせていただきたいというふうに思うわけでございます。 ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣鹿野道彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(鹿野道彦君) 岩城議員にお答えいたします。 WTOの交渉方針についてのお尋ねでございますが、WTOは多国間の貿易ルールの形成を図る唯一の国際機関でありまして、その成果は百五十三の全加盟国に適用されることから、EPAとは異なる重要性を持っております。 WTO交渉におきましては、我が国はこれまで多様な農業の共存を基本理念といたしまして、各国のセンシティビティーに配慮した貿易ルールの構築を目指して交渉をしているところでございます。 今週ダボスで開催されるWTO非公式閣僚会合、G10閣僚会合の場でも多様な農業の共存の重要性を各国に主張いたし、引き続きG10の連携を図っていく考えであります。 なお、TPPにつきましては情報収集を行っている段階でありまして、我が国はまだ交渉に参加するとの判断を行っておりません。(拍手)
○副議長(尾辻秀久君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。 答弁の補足があります。内閣総理大臣菅直人君。 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 先ほど、日本国債格下げの件について参議院本会議直後と申し上げましたのは、衆議院本会議直後の誤りでありました。また、格付について疎いということを申し上げたのは、その時点で情報が私のところには上がっていなかったので聞いていないということを申し上げたところであります。情報がこの直後のぶら下がりの段階では私のところには届いておりませんでした。 以上でございます。(拍手)
○副議長(尾辻秀久君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。 ─────────────
○副議長(尾辻秀久君) 広野ただし君。 〔広野ただし君登壇、拍手〕
○広野ただし君 民主党の広野ただしです。 民主党・新緑風会を代表し、平成二十三年度政府予算案、政府四演説について質問をいたします。 その前に、鳥インフルエンザの蔓延、拡大が懸念されておりますので、民主党も一月二十六日に対策本部を発足させましたが、政府、関係自治体におかれましても、万全の対策をお願いするとともに関係被害に対する充実した支援を要請したいと存じます。また、風評被害にも万全の対策をお願いいたします。 さて、二〇〇九年夏、民主党が歴史的な政権交代を果たしてから約一年半がたちます。平成二十三年度予算案は、民主党が最初から本格的にかかわる初めての予算です。私は、その編成に当たっての根本的な基本方針は政権交代の二〇〇九年マニフェストと考えていますが、最近、財源問題等を理由にマニフェストの検証、見直し論が横行しております。マニフェストは国民との間の公約であり、民主主義の下で政権を担う場合、より高い正当性を持つ政策として政治主導の根本を形成するものです。また、民主党のマニフェストは衆院任期の四年間に達成する手順も示しています。 そこで、菅総理に伺います。 政権交代から約一年半しか経過していない今からマニフェストの見直しを言うのは、余りにも早過ぎるのではないでしょうか。少なくとも最重要公約については、もっともっと実現の努力に全力を注ぐべきではないでしょうか。もちろん、マニフェストの細部について絶対に変更すべきではないと申し上げているのではありません。しかし、最重要の公約は国民との公約であり、契約的な意味合いを持つものです。約束は守るものです。最重要公約の大幅な変更は、国民との約束を破ることになるのではないでしょうか。また、最重要公約を大きく変更する場合はどうなるのでしょうか。最重要公約の大きな変更で国民の信を問う場合があるかどうかについても答弁願います。 民主党は、衆議院任期の四年間、すなわち二〇一三年までは消費税は上げない、上げる場合は選挙で信を問うというのがマニフェストの最大、最重要公約であったと考えますが、その点も確認させてください。 政権交代時に国民に公約した第一番は、政治主導の確立でした。国民は、省あって国益なしの各省の縦割り的官僚主導政治の脱却を民主党に期待しました。大臣、副大臣、政務官の政務三役を政府内に数十人配置し、国会答弁も三役で担当することが非常に多くなりました。これは大きな進展です。しかし、最近は、どうも実際のところは官僚政治が復活しつつあるのではないかという懸念が大きくなっています。 二〇〇七年、約四千五百の政府関係法人に二万五千人以上が天下っていましたが、天下り、わたりが全面的に本当に禁止されているのでしょうか。総理に伺います。 また、昨年暮れになって、突然、国際協力銀行、JBICが日本金融公庫から分離独立することとなりました。統合して二年余りしかたっていません。原子力発電、水、新幹線等のインフラを海外に輸出するための投融資を迅速かつ機動的にという理由ですが、どうも財務・金融関係省庁の官僚に乗せられたとしか思えません。財務大臣に伺います。 特別会計、独立行政法人、特殊法人、政府関係公益法人等への切り込みもまだまだ不十分で、全く道半ばという状態です。 先日、「武士の家計簿」という映画を見ました。江戸末期、加賀藩のそろばん武士と蔑まれていた猪山家が、まず自分の家の借金を妻や祖母の嫁入り道具を売り払ったりして、苦労して、まず家の生活を立て直し、さらにそろばん武士の帳簿感覚を基に加賀百万石の財政改革を成し遂げ、またその息子が明治維新後の海軍省の主計として国家財政改革にも貢献するという映画ですが、本当に感銘を受けました。各省庁の会計責任者や事業仕分関係者にも是非お勧めしたい映画です。 また、日本の軽自動車メーカーのカリスマ会長が、リーマン・ショック後、社長職に戻られ、カラーコピーはお客さん以外は使わないということで二百数十台の機械をなくし、ホッチキス等の文具の集中管理、新聞各紙の回し読み等で、一社で百数十億円の節約をされたことも有名な逸話です。小中学校の耐震工事数十校分にも当たるお金で、無視できません。 民間では、乾いた雑巾でも絞って絞って工夫して、大変な節約や無駄を省いています。それに比べると、役所並びに関係機関はまだまだずぶずぶのぬれ雑巾です。ちょっと絞っただけで、もっともっと大きな節約や無駄を省けるものと思います。更なる工夫、節約が可能と考えますが、改めて総理の見解を伺います。 地域主権は民主党政権の目玉です。地域主権改革の目玉として、一括交付金約五千億円の計上、二十四年度一兆円が提示されていますが、地方が本当に自由に使えるものなのか、お答えください。 また、昨年、参院を通過した地域主権改革関連三法案は現在継続審議中であります。地域主権改革を更に強力に推進し、地方のことは地方が決める、真の地域主権改革、すなわち財源も権限も地方に思い切って移譲して、速やかに実現すべきと考えますが、総理の見解を伺います。 マニフェストにあるように、国の出先機関と地方との二重行政を解消し、地方に大幅に移譲することにより、国家公務員の総人件費を大幅に削減すること、また、公務員の労働基本権の制約問題を解決し、自律的な労使関係を実現することにより、労働条件を民間と同様交渉で決められるような柔軟性を持たせる考えなど、公務員制度改革についての総理の見解を伺います。 政治主導とリーダーシップ、そして挙党体制について伺います。 選挙によって勝利し、国民から信任を受けたマニフェストや政党、そして政治家は、民主主義の下では官僚と違ってより高い正当性を与えられ、リーダーシップを得ることにもなります。議会制民主主義では、内閣は与党に支えられての内閣だと考えます。総理、各大臣などのリーダーシップの根源は、そういう意味では挙党体制をいかに構築するかにあると思います。強いリーダーシップを築くためにも、排除の論理ではなく、包容力のある融和の政治で挙党体制を築くことが極めて重要と考えております。真の挙党体制が築かれないと、野党の協力も得られないし、すきをつかれることにもなりかねません。総理の見解を伺います。 経済関係の問題について伺います。 年初頭から経済人の声は、今年の日本経済は薄明かりというものです。しかし、その回復は言わば病み上がりの状態で、いつまた再入院になるか分からないわけで、政府は注意深く経済運営を図らなければなりません。 特に、昨年は、前年の平成二十一年度補正予算の活用もあり、日本経済には大きなカンフル注射、すなわち景気刺激策がなされましたが、平成二十三年度は、財政事情もあり、前年度ほどの景気刺激策はなく、言わば出口戦略が求められていると思います。政治の責任で、大手企業の薄明かりが早く中小企業や地方経済にも及ぶようにしなければなりません。 ところで、世界経済の大不況を招いたリーマン・ショックがどうして起こったかを我々は肝に銘じ、二度とその轍を踏まないようにしなければなりません。 リーマン・ショックは、一言で言えば、世界中でマネーゲームをし、それが実体経済から余りにも懸け離れ、バブルが一挙に破裂したことから生じたと言っても過言ではありません。 グローバル化は、国境を越え、ジンギスハーンではありませんが、天尽き地果つるまで、世界の果てまで野を焼き尽くすかのごとく、市場化、マネー化を推し進めていきます。しかし、これには光と影があります。ローカルなものや国の発展度合いの違いなどが無視され、伝統ある良いものが失われてしまうのではないでしょうか。 言わば、強者の論理です。しかし、今回のリーマン・ショックは、強者のはずのアメリカ・ウォール街の金融投資関係企業が真っ先に破綻又は破綻寸前の状態になりました。皮肉なことであります。つまり、市場原理主義やグローバル化だけでは駄目で、ローカル尊重、伝統や歴史の尊重、人間尊重でなければならないという教訓になったのではないでしょうか。 菅総理は、平成の開国と銘打って日本の大々的な自由化をされようとしていますが、グローバル化で、天尽き地果つるまで、世界の果てまで日本を導こうとしておられるのか、ローカル尊重、地域や人間尊重、国民生活第一の理念をどう考えられるのか、お伺いいたします。 ここ一、二か月、石油や穀物、国際商品等の値上がりが顕著になってきています。国際経済の需給によるものではなく、世界的金余りの現象の中で、またぞろマネーゲーム、投機的な動きが一部見えてきているのではないかと懸念します。実体経済から懸け離れた過度のマネーゲームや過度の投機筋の動きは必ずいつか世界経済に悪影響をもたらします。 投機マネー的色彩の強いファンドなどの透明性確保など軽い規制について、国際協調の下、G20などで話し合う用意はないのか、野田財務大臣に伺います。 現在の世界経済は、石油本位制ともいうべき実態にあります。石油が急速に高騰した場合、国際エネルギー機構、IEAなどで、国際協調で国家備蓄を放出することも検討するという話合いの場設定だけでも石油価格安定に好影響を与えると思いますが、海江田経済大臣に所見を求めます。 環太平洋経済連携協定、TPPと農業問題について伺います。 さきの臨時国会で菅総理は、突然、環太平洋経済連携協定、TPP参加の検討を言い出されました。農業関係者や農業と密着する地方の方々はTPP反対の大合唱です。 六月までに農業強化策をまとめることとなっていますが、ウルグアイ・ラウンドのときも六年間六兆円規模の農業強化策が取られました。もっとも、このときは土地改良などの農業土木が中心で、本当の農業強化策とはならなかったのは誠に残念です。 このことを考えると、TPP参加の大前提として、現在疲弊している日本農業の根本的立て直しと強化のため、財政難ではあるが、ここ数年で例えば十兆円規模の、十兆円の規模に収まるかどうか分かりませんが、大胆な農業強化策を上乗せで必ず実施する、その詳細な内容は六月までに策定すると、まずは菅総理が自ら早急に決意を表明すべきと考えますが、総理の見解を伺います。また、農業強化策の大筋、概要を農水大臣に伺います。 また、地域ブロック化のおそれもあるTPPへ一足飛びに行くのではなく、世界的な世界貿易機関、WTO交渉の実現と、まず二国間の自由貿易協定、FTAや経済連携協定、EPAの積み上げで着実に開国を進める道が日本の行くべき道と考えますが、海江田大臣の所見を伺います。 外交問題について伺います。 昨年秋の尖閣列島沖の事件について国民の皆さんの総体的な受け止め方は、もっと日本は毅然と対応すべきだったということだと思います。尖閣列島には一八〇〇年代から、海鳥から羽毛布団の原料を採取する日本人や、漁や狩りをする日本人が住んでいた記録があります。もちろん、日本の固有の領土であります。民有地で、所有者との関係がありますが、政府は早急に海上保安庁の巡視船の寄港地や灯台を建設するべきだと考えます。総理の決意を伺います。 次に、拉致問題について伺います。 私は拉致特別委員会に長年所属していますが、菅政権になってから拉致問題担当大臣が中井大臣、柳田大臣、仙谷大臣、そして現在の中野大臣と、約半年間の間に四人も替わっています。大臣が替わるたびに、また一からやり直しだ、がっかりすると拉致被害者の家族の方が言っておられます。二〇〇三年、拉致被害者が五人、家族関係者を含めて十三人が帰国されてからもう六年がたち、被害者家族の方々も高齢化されつつあります。しかも、現在、拉致問題は言わば膠着状態にあります。 また、昨年の延坪島砲撃事件以後の不穏な朝鮮半島情勢を考えたとき、総理はどのような手順で拉致問題や核、ミサイル等の問題に取り組まれるのか、拉致被害者家族の不安を少しでも取り除くよう、その実行手順をお答えください。 沖縄の基地負担軽減問題と日米同盟関係について伺います。 本土復帰から約四十年が過ぎましたが、沖縄に約七五%も集中する米軍基地の負担軽減の問題は今も大きな課題となって残っています。この現状を打開するため、鳩山前総理は非常な努力をされましたが、まさに志半ばで退陣となりました。沖縄の負担軽減のため、歴代総理以上に沖縄の側に立って日米交渉に当たられたと考えます。 太平洋戦争末期、昭和二十年六月、沖縄戦での自決を前にして、大田実中将の「沖縄県民斯く戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」の電文に集約されるように、私たちは日米同盟関係を維持しつつも、沖縄の更なる負担軽減のため、誠意を持って最大限努力していくべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。 私、広野ただしの座右の銘は、徳は孤ならずであります。人徳の徳のことで、徳のある人のところにはおのずと人が集まってくるという意味です。政治のモットーも徳のある政治です。ところで、中国では、水を飲むときには井戸を掘った人の恩を大切に思い起こせということを言うそうです。民主党が二〇〇九年夏に政権交代を実現したことの最大の功労者は、鳩山前総理と小沢一郎元代表だということに異論はないと思います。現在の菅政権及び民主党執行部は、一部の人を除き、恩を忘れた政治に陥っているのではないでしょうか。 私は、現行の検察審査会法は、一方的な人権侵害をもたらす憲法違反のおそれのある法律だと思っています。プロの検察が徹底的に捜査をし、二度も不起訴にした案件を新たな証拠もなしに強制起訴をする。もし、足利事件や厚生労働省の村木事件のように裁判で無罪になった場合、つまり冤罪ということになった場合の責任は検察審査会はどのように取るのでしょうか。また、その冤罪をあおり、著しく人権を侵害したマスコミやそれに加担した人たちはどう責任を取るのでしょうか。裁判は冷静に見守るべきです。最後まで人権は守られなければなりません。 菅政権及び民主党は、井戸を掘った人を大切にする政治をすべきであります。恩を忘れた政治は子供たちの教育にも良くありません。親の恩を忘れてしまうことにもなりかねません。 菅政権、そして民主党は、この案件を含め、国民に徳のある政治、国民の生活第一の政治、二〇〇九年夏に国民に約束したマニフェストの原点に返り、この公約を真剣かつ真っ正面から誠意を尽くして実行すべきだと強く訴えまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 広野ただし議員にお答えを申し上げます。 まず、消費税など、マニフェストの見直しについての御質問にお答えをいたします。 まず、マニフェストは国民に対する約束であり、現在着実に実行されていることは御存じのとおりであります。二十二年、二十三年度予算を通して、子ども手当、そして高校授業料無償化、農業者戸別所得補償、就職支援など、多くの事柄が実施され、また着手をされております。同時に、今後もマニフェストについてはその実現に向けて全力で取り組んでいくことは当然のことだと考えております。 一方、二年間推進してきたことを踏まえ、マニフェスト制定時と今日の状況の変化や国民の声を含め、衆議院任期の折り返しを迎えるに当たり、検証作業を党として行うことを考えております。もちろん理念や根本を変えるものではありませんが、検証によって見直しが必要と判断される場合は国民に丁寧に説明をし、理解を得ていきたい、これが党の方針であることは御存じのとおりであります。 社会保障改革と税の一体改革は国民利益のために避けて通れない最重要課題であると認識しておりますが、仮に消費税率を引き上げるようなことがあれば、実施をする前に民意を問うという方針には全く変更はありません。 次に、天下り、わたりについて御質問をいただきました。 天下り、わたりについては、国家公務員法の職員による再就職あっせんの禁止に加え、民主党政権発足後直ちに府省庁によるあっせんを禁止するなどの措置を講じ、そのあっせんを全廃したことは御承知のとおりであります。 次に、無駄の削減の強化、徹底について御質問をいただきました。 無駄遣いの排除は、マニフェストにおける国民との約束であり、政権の最重要課題として従来にない規模と熱意で取り組んでまいりました。これまで、独立行政法人や政府系公益法人が行う事業、特別会計等について三度にわたり事業仕分を実施し、過去のしがらみにとらわれることなく大胆に切り込むことにより、無駄の削減を実現をしてきたところであります。 今後は、これまでの仕分の結果を踏まえ、独立行政法人の制度、組織の見直し、特別会計制度の見直しなどに取り組んでまいります。また、国民に必要なサービスをより効率的、効果的に提供するため、行政刷新会議の下に公共サービス改革分科会を設置し、政府機関が行う調達の効率化に取り組んでおり、共同調達の拡大など具体的な取組を進めてまいります。 無駄削減に終わりはない。今後とも、一円の無駄も見逃さない姿勢で無駄の削減を一段と強化、徹底してまいります。 次に、地域主権改革についての御質問にお答えします。 地域主権改革は、この政権の最重要課題であることは御承知のとおりであります。一括交付金については、当初、各省から提出された財源は僅か二十八億円でしたけれども、私から各閣僚に強く指示をし、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は一兆円規模で実施することになりました。 一括交付金は、対象となる事業において、各府省の枠にとらわれず自由に事業を選択して使えるものであり、地方の裁量を大きく拡大するものであります。地方への事務権限の移譲や財源の移譲等については、出先機関のアクションプランや地域主権戦略大綱に基づき確実に進めていく予定であります。引き続き、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に政治主導で改革を強力に進めてまいります。 次に、出先機関改革による国家公務員の総人件費の削減と自律的労使関係制度の措置についての御質問にお答えします。 民主党マニフェストにある国家公務員の総人件費を二割削減するという目標については、まず第一に地方分権推進に伴う地方移管、第二に各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、第三に労使交渉を通じた給与改定など、様々な手法を組み合わせることにより平成二十五年度までにめどを付けることとし、その目標達成に向けて取り組んでまいりたい。また、公務員制度改革、とりわけ公務員の労働基本権については政府としても大変重要な課題であると考えており、自律的労使関係制度の措置など、国家公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を実現するための法律案を今通常国会に提出することといたしております。 挙党体制についての御質問をいただきました。 広野議員の御指摘はごもっともであり、民主党政権を内閣、与党一致して担うことが国民の期待にこたえる道だと考えております。昨日も輿石参議院議員会長にお答えしましたが、代表としても常に党の結束に心掛けてまいりたいと思っております。今の日本は簡単に危機を乗り越えられる状況にはありません。この危機を乗り越えられるかどうかの責任を負っているのが民主党であり、挙党一致、一丸となって改革を成し遂げていこうではありませんか。 野党にすきをつかれないようにというアドバイスをいただき、ありがとうございました。広野議員におかれましても、是非野党にすきをつかれることがないよう御配慮をよろしくお願い申し上げます。 平成の開国についての御質問にお答えいたします。 平成の開国というのは、決して御指摘のような市場原理主義ではない、経済を開くことで世界と繁栄を共有することが可能になり、その恩恵は国民に戻ってくるものであります。平成の開国に挑むためにも、国民の皆様が夢を追いかける大前提として、病気、貧困、失業といった不幸の原因をできる限り小さくし、最小不幸社会の実現を確実に進めたい。何よりも、社会保障制度を万全なものとすることで国民の将来に対する不安を払拭し、地域の絆が大切にされ、個人がお互いにお互いを尊重する社会を築いてまいりたいと考えております。 次に、農政の方向性についての御質問にお答えします。 我が国の農政は、過去二十年で生産が二割減少し、若者の農業離れが進み、農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。いずれにしても、その農業再生は待ったなしの課題であります。昨年閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針においては、二者択一ではなく、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることといたしております。 農業を立て直すには、財政措置と併せて六次産業化や農地集約など農業を魅力ある産業に変えていくことが重要だと、広野先生の御指摘は大変重要な御指摘だと思っております。引き続き、内閣の食と農林漁業の再生実現会議で集中的に議論をし、六月をめどに基本方針、十月をめどに行動計画を策定することにいたしております。 次に、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配をいたしていることはもちろん御承知のとおりであります。 巡視船の寄港地等としての港湾の整備や新たな灯台の設置については、必要とされる機能や需要等を踏まえ、政府全体で慎重に検討することが必要だと考えております。 北朝鮮問題についての御質問にお答えします。 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であります。国の責任において全ての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するため、全力を尽くしてまいります。例えば、情報の収集、分析については、拉致問題対策本部事務局の体制を拡充するとともに、関連予算を大幅に増額し、取り組んでおります。 北朝鮮から拉致問題の解決に向けた具体的な行動を引き出すべく、引き続き関係国と連携して最大限努力をしてまいります。 十二月には拉致被害者の御家族とお目にかかりまして、拉致問題解決に向けた決意を新たにしたところでありますが、拉致被害者の皆さんの帰国を実現するために、政府としてやれることは何でもやるという覚悟で臨んでまいりたいと思います。 また、北朝鮮の核及びミサイル開発は我が国の安全保障上の脅威であり、北朝鮮に対しては挑発的行為を繰り返さないよう強く求めてまいります。韓国や米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、非核化等のための具体的行動を求めていく考えであります。 次に、沖縄の基地負担軽減に関する質問についてお答えします。 本土復帰から約四十年が過ぎたが、沖縄だけ基地負担の軽減が遅れており、おっしゃるとおり米軍施設・区域が集中している状況にあることは、私も本当にざんきに堪えない思いがいたしております。政府としては、沖縄に集中する基地負担の軽減に全力を尽くさなければなりません。 負担軽減の具体策としては、例えば航空機訓練のグアムへの移転を始めとした訓練移転の拡充、在沖海兵隊のグアム移転事業の着実な実施、米軍施設・区域の返還の更なる進展などについて、米国との協議をしながら前進させてまいりたいと考えます。 政府としては、沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄政策協議会などの場で沖縄の方々の御意見も伺いながら、全力を挙げて取り組んでまいります。 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田佳彦君) 広野議員からは、国際協力銀行の分離についての御質問をいただきました。 我が国の成長を実現するためには、アジアを中心とする海外の膨大なインフラ需要を取り込み、官民一体となって我が国産業の国際競争力を強化していくことが不可欠でございます。 こうした中、経済界等からは、民間企業の海外事業を機動的に支援するため、先進国向けの輸出金融を可能とするなどのJBICの機能強化を行うとともに、その機能強化の実を上げるためにJBICを日本政策金融公庫から分離し、業務の機動性、専門性等を強化することが必要との意見が出されています。 こうした意見を踏まえ、昨年十二月、民主党成長戦略・経済対策プロジェクトチーム、これは参議院の直嶋先生が座長でございますが、御議論をいただき、そしてそれを踏まえて、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合において、JBICの機能強化を行うとともに、日本政策金融公庫から分離する方針が決定されたところでございます。 このように、経済界の御要請や党の御提言などを踏まえた対応であり、官僚に乗せられたという御指摘がございましたが、これは当を得ていないということで、くれぐれも御理解をいただきたいと思います。 続いて、投機マネー的色彩の強いファンドへの規制についての御質問がございました。 金融機関が過度にリスクを取り、金融規制・監督が十分に機能しなかったことが金融危機を招いたとの反省の下、G20では金融規制改革が主要な議題の一つとなってきたところでございます。また、一次産品価格の高騰が今後の世界経済の下振れ要因とされる中、今後のG20では一次産品の価格変動についても議論がなされる予定であり、金融市場の規制、現物市場の透明性向上等が検討される見込みです。我が国としても、世界経済の着実な成長を実現する観点から、委員御指摘のとおり、こうした議論に積極的に参加をしてまいりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣海江田万里君登壇、拍手〕
○国務大臣(海江田万里君) 広野ただし議員より二点御質問がございました。 まず一点目でございますが、石油市場安定に関する御質問をいただきました。 広野ただし議員既に御高承のとおり、石油市場の安定につきましては、消費国を中心に構成されるIEA、国際エネルギー機関だけではありませんで、産油国と消費国の議論の場でありますIEF、国際エネルギーフォーラムやアジア産油国消費国会合等の場において、石油需要情報等を集約し、市場の透明性を向上させるなど、産油国と消費国の双方が協調して取り組んでいるところでございます。 そして、備蓄の放出は供給支障が生じたときに発動すると認識をしておりますが、今後開催されます二月のIEF閣僚会合や四月のアジア産油国消費国会合等において議論を深め、御指摘のありましたエネルギー市場の更なる透明性確保など、市場の安定に向けて引き続き取り組んでまいります。 次に、WTO交渉の実現と経済連携交渉に関する御質問をいただきました。 貿易・投資の自由化と国際ルールの強化は、我が国が世界と繁栄を共有するために重要な手段でございます。WTOドーハ・ラウンドと経済連携交渉の双方にしっかりと取り組みたいと考えております。 WTOにつきましては、二〇一一年が交渉妥結にとって重要な年になります。私自身、明日二十九日にダボスで開催されますWTO非公式閣僚会議に出席する予定であり、主要国閣僚と協議し、早期妥結を働きかけていきたいと思います。 TPPにつきましては、我が国と切れ目のないアジア太平洋地域を形成するために重要なアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPでございますね、この構築に向けて唯一交渉がスタートしているものでございます。これは多国間による貿易・投資の共通のルールを形成するということを目指すものでございますが、二国間のEPA、FTAでは得られないものでございます。二国間のEPA、FTAの推進とともに検討していくことが肝要だと考えております。(拍手) 〔国務大臣鹿野道彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(鹿野道彦君) 広野議員の御質問にお答えしたいと思います。 農業強化策についてのお尋ねでございますが、我が国農業は、農業従事者の高齢化あるいは後継者難、そして収益が低いと、こういうようなことで、将来に向けてその持続的な存続というものが大丈夫なんだろうかと、こういう危惧の念も出ておる今日であります。そういう中で、体質強化によってその潜在力というふうなものを引き出す政策が大変大事なことではないかと、こんなふうに考えております。 このために、現在、食と農林漁業の再生実現会議におきまして精力的に議論を行っているところでございますけれども、私といたしましては、新しい農政の柱といたしまして、戸別所得補償制度、農林漁業、農山漁村の六次産業化、食の安全、安心の確保というものを大きな柱といたしまして、これから農林水産品の輸出拡大等も含めまして具体案を練ってまいりたいと思っておるところでございます。(拍手) ─────────────
○副議長(尾辻秀久君) 有村治子君。 〔有村治子君登壇、拍手〕
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。 自由民主党を代表し、総理の所信に対し、質問いたします。 私は、初当選のころから、しっかりとした国家観と地に足の付いた生活観を併せ持って課題解決を図ることを旨とし、命の重み、家族の絆、国家の尊厳を守る政治を志してきました。政治の要諦は、民族の生存可能性を高めるために確かな判断を重ねていくことだと心得ます。 世界が刻一刻と動き続ける中、日本の政治がこの歴史的転換期の難題にこたえ得るすべを持っているのかどうかが問われています。とりわけ、中国が軍事的、経済的、政治的にも大国となった今、日本がいかにして平和と繁栄を維持するのかという命題は、今後少なくとも数十年続く構造的な課題となりましょう。 民主党に国家の背骨を担う気概はあるのでしょうか。まず、日本の国柄に対する民主党の姿勢について伺います。 菅内閣には、国旗及び国歌に関する法律案に反対票を投じた政治家が、総理を始めとして、江田法務大臣、前原外務大臣、枝野官房長官など、実に八名もいます。国旗・国歌を大事にすることは世界の常識。多くの日本人が大事に思い、愛着を持っている日本の国旗と国歌に面と向き合わず、国家国民に対する敬意と誇りを示すことができない民主党の議員が閣僚となっている現状に多くの国民は直感的な不安を抱くのです。 民主党は、天皇陛下や皇室を敬う多くの国民の気持ちを踏みにじる失態を重ねてきました。与党議員であればなおさらのこと、日本国と国民統合の象徴であられる陛下や皇族方に対し、思慮に欠ける姿勢を取らないよう強く申し入れます。 今年の元日も、陛下は、寒さ厳しい明け方から、国家国民の安寧を祈念される四方拝を始め、一日で十八の行事を遂行されました。いにしえよりの宮中祭祀を大切に継承される陛下のお気持ちをしっかりと体し、安易に伝統を簡略化することのないよう、政府・与党として万全を尽くすことを明言してください。 また、民主党政権が陛下に相当無理な政治的日程を強いてきたことに鑑み、再発防止に向けてどのような策を講じるのか、お聞かせください。 次に、尖閣問題について伺います。 中国漁船衝突事件の全貌を記録したビデオは、日本の対応が国際法の観点からも正当性があることを明示する決定的証拠です。国民の安全確保に尽くす日本政府の最高責任者として、総理が国家の主権を堅持し、国民と真実を共有し、我が国固有の領土、領海を守るという使命を全うできる確かなあかしなのです。 総理、なぜ公開を決断されないのですか。私たち自由民主党は、国民の知る権利を尊び、主権者たる国民に対する当然の説明責任として、日本の尊厳が懸かったビデオの全面公開を改めて強く求めます。主権や領土を守ること以上に大事な理由があってビデオを公開しないと総理が主張されるのであれば、非公開によって得られる国益の内容を今質問を聞かれている全国の皆さんが納得できるよう具体的に示してください。 先月二十一日、東京新聞は、「尖閣「秘密外交」の内幕」と題した記事を掲載しました。衝突事件の際、民主党幹部であった細野議員が訪中し、戴秉国国務委員と会談できるよう道を付けた中国通、篠原氏の記者会見の内容を報じています。記事には、漁船衝突ビデオを公開しない、中国への非難を控えるという条件で、中国が拘束していた建設会社フジタ社員四人を解放すること、日中首脳会談を実現する約束ができたとあります。これを中国との裏取引、密約と言わずして、一体何と言うのでしょうか。 菅総理は、日中間の密約や裏取引は一切ないと何度も強弁されてきました。では、国民は、総理の言葉と秘密外交を担った篠原氏の発言と、一体どちらを信じればよいのでしょうか。中国と密約があったのか、なかったのか、私たち国民に真実を語ってください。もし、密約などないと従来の答弁を繰り返されるのであれば、東京新聞に報道の訂正を申し込まれるか、篠原氏を国会に招致されるのが国民に対する説明責任であるはずです。はぐらかさず、正々堂々とお答えください。 そもそも、フジタ社員は、旧日本軍がさきの大戦後、中国に引き渡し、一部遺棄したとされる化学兵器を安全に処理するための施設予定地を視察していたさなか、突如中国当局に拘束されました。このプロジェクトは、日中友好のため、日本の莫大な税金、七百二十六億円もの資金を使って進められています。兵器処理のために働く民間人を拘束するのであれば、プロジェクト自体の見直しもやむを得ないですよと外交テーブルに上げればよいのではないですか。総理の見解を伺います。 先日、民主党の防衛政策に批判的な国会議員の講演等に出席する自衛隊関係者を公務員である情報保全隊が監視しているとの報道がなされました。報道のとおりであれば、憲法が国民に保障する思想、信条の自由、集会の自由を著しく脅かすものではありませんか。与党民主党には民主主義国家に仕える矜持、自覚はないのでしょうか。自衛隊は民主党を守るために存在するのではありません。自衛隊に自衛隊を監視させ、自衛官の誇りを政府自ら踏みにじるような恐怖政治は直ちにやめていただきたい。防衛大臣に事実関係と事態収拾に向けてどのように動かれるのか、方策を伺い、総理の見解をお聞きします。 尖閣諸島が帰属する沖縄県石垣市の市長及び市議会は、固定資産税の調査を行うため尖閣に上陸することを政府に申請していましたが、菅政権はこれを拒否しました。地域主権という造語まで作って地方自治の尊重を喧伝した民主党政権が、正当な権限に基づく石垣市の行政執行を阻止するというのは、全く理解できません。国家の主権すら守れない民主党が地域主権と叫んだところでむなしく響くばかりです。地方自治の原点に立ち返り、地方行政が機能するよう、総理の御決断を求めます。なお、尖閣を所有する民間人の意向を盾にして質問をかわすお決まりの答弁は御容赦くださいませ。 昨年十一月、ロシアのメドベージェフ大統領は、日本固有の領土である北方領土に国家元首として初の上陸を強行しました。日本を仮想敵として軍事演習を行うロシアは、現在、北方領土における大幅な軍備強化をもくろんでいます。 他国は、民主党政権の外交能力をうかがい、日本の足下をじっと見ています。中国による尖閣衝突事件とほぼ時を同じくしてロシア大統領が北方領土に歴史上初めて上陸したのは偶然ではありません。日本の安全保障に影響を与え得る複数の近隣国が自分たちの利益のために連動して日本外交を揺さぶるという新たな段階を招いてしまったのは、総理、あなたの民主党政権です。 民主党代表選や党内抗争にかまけて、官邸の機能が著しく低下する空白期間をつくり、中ロ連動による日本外交狙い撃ちを許してしまった民主党政権は、この甚大な失政をどのように回復し、国民にいかにわびるのか、総理の御認識、今後の対中国、対ロシアの外交方針を伺います。 現在の政府には、日本が抱える領土問題を包括する部門がありません。領土問題の一体的な解決を図るため、現在ある内閣府北方対策本部を改組し、北方領土、竹島、尖閣を含めた我が国の領土を所管する部門の設置を度々提案していますが、いまだ実現を見ていません。領土問題に与野党はなく、一刻の猶予も許されないはずです。総理の御見解をお聞かせください。 次に、教育分野についてお伺いします。 民主党政権で策定された高校新学習指導要領解説書には、竹島の記述が政治判断によって盛り込まれませんでした。領土問題に向き合おうとしてこなかった民主党が政権を担う今、竹島について一体どのように教えることが適切だと考えておられるのでしょうか。文部科学大臣に伺います。 高木大臣は、さきの国会で、尖閣諸島が我が国固有の領土であることを教科書に明記する旨、答弁されました。将来を担う子供たちに、日本の領土について正確に教え伝えることはとても大事なことです。教科書への反映について、今後どのような日程を視野に入れて動かれるのか、文部科学大臣の展望をお聞きします。 続いて、朝鮮学校無償化問題について質問します。 北朝鮮の独裁体制維持に加担しかねない朝鮮高校に対し、国民の税金を投入してまで授業料を支援することに私たち自由民主党は一貫して反対してきました。また、各地の地方議会においてもその危険性が共有され、多くの反対意見書が出ていたにもかかわらず、菅政権は朝鮮高校の授業料無償化を強引に決定しました。 その後、北朝鮮による韓国砲撃が起こり、北朝鮮をとがめる総理の態度が弱腰だと非難されるや、総理は急遽方針を百八十度転換し、朝鮮高校への支給手続停止を発表されました。まさに、軸足なき日和見外交の典型です。日本人を拉致して主権を侵害し、ノドン、テポドンで国際社会を挑発し、核の脅威を背景に私たちが住む日本全域を射程圏内に収めるミサイルの発射実験を強行した北朝鮮の脅威を、総理は今回初めて認識されたのでしょうか。 このような日本の安全を脅かす現実に目を向けようとせず、民主党の勢力拡大のためであれば外国人参政権や朝鮮学校への税金の更なる投入など、国の根幹を揺るがすことでさえちゅうちょなく進めようとする民主党政権には、国家国民の危機を察知する政治センス、本質を嗅ぎ取る嗅覚が決定的に欠けています。 文部科学大臣、最近随分迷っておられるようですが、決断することは政治家の宿命です。世論を押しのけて朝鮮高校無償化を決定した経緯と、その決定を自ら覆し手続停止に至った理由、及び今後どのような状況になれば手続の中止、再開を判断されるのか、その基準を明確にお示しください。 続いて、全国学力・学習状況調査について伺います。 民主党は、経費削減という表向きの理由を挙げ、内実は民主党の支持母体である日本教職員組合、日教組の意向そのままに、全員参加の学力調査を抽出方式に変え、骨抜きにしました。しかし、日教組の思惑に反し、この学力調査を希望する学校が相次ぎ、結果として、全国で七割以上の小中学校が費用、採点を自ら負ってまで参加しました。学力向上に向けた努力測定の意義と調査結果の公表を、過半数を優に超える世論、保護者、組合活動に距離を置く学校の先生方が支持しています。 日教組言いなりの抽出方式ではなく、国民が支持する悉皆全国学力調査を続けることこそ政治主導ではありませんか。総理及び文部科学大臣の御所見を伺います。 次に、子育て支援について伺います。 昨年、政府は子ども・子育て新システムの方針を打ち出されました。私自身、約一年前に二人目の子供を出産し、保育園児を育てる母親の一人です。私は、福祉の理念をゆがめ、保育を産業化することに反対をいたします。行政の関与を緩め、保護者から直接保育料を徴収することを保育園の責任にし、その保育料の上限まで撤廃して青天井にすることなど、誰も望んでいません。弱きを助ける福祉の精神を曲げ、市場原理に委ねれば、経済的、社会的に安定した家庭だけが守られ、一人親家庭、夜間勤務ばかりが続く親、失業や虐待と向き合う親子など、厳しい現実に直面する人々が制度からはじき飛ばされる懸念が全く拭えません。 民主党は、日本社会を階級化して分断し、結果として格差の再生産を助長し、子供の安全、保護者の安心、地域で助け合う精神を台なしにする、その引き金を引くのですか。厚生労働大臣の御所見を伺います。 次に、食料問題について質問します。 中長期的には、今後、世界的な食料、水、資源不足が指摘されています。日本の食料自給率は、この二十年ほどずっと四割にとどまっています。一方、日本における食料廃棄の量は年間約千九百万トン、そのうち食べられるのに無駄にしているのは、世界各国が行う食料援助の何と全ての量に匹敵します。食べ物の六割を輸入に頼りながら、これだけの食料を平気で廃棄する日本の現状を問題提起いたします。 地球上で一日に約四万人が飢え死にしている今、そしてその多くが五歳以下の小さな子供たちであるという現実に目を背けて、日本人が食を貪り、食料を廃棄し続けることは、倫理的にも環境負荷の観点からも許されないことでありましょう。 生きる基本となる食料を大切にし、心と体が喜ぶ適量、足るを知るという美しい生き方を実践してきた先人の思いをいま一度かみしめ、日本らしい心の豊かさを取り戻したいものです。富山市では現在、御飯を残さず食べ切るという意味の食べキリン運動を行い、旅館やホテルもこの趣旨に賛同し、食料廃棄をみんなで減らしています。 政治の使命の一つは、国民の胃袋を満たすこと。いかなる世界情勢になっても、安全な食料を安定的に確保し、みんなで分かち合うことです。富山市のような自発的取組が各地に広がることを望みますが、食料安全保障をいかに高めていくのか、総理の見解をお伺いします。 次に、戦没者の追悼について質問します。 先月、総理自ら硫黄島での遺骨収集事業を視察されたことは、率直に感謝し、評価します。 総理は、なぜ硫黄島に特化し、遺骨収集予算を大幅に増額されたのでしょうか。戦後六十五年たった今、最後の一体まで遺骨収集することは国の責任だと総理は発言されていますが、戦禍で肉親を亡くされた御遺族をねぎらい、戦没者の慰霊をすることも民族がたどった歴史をつなぐ国家の責任です。 硫黄島で軍手をはめたまま御霊に手を合わされた総理の姿をスタンドプレーと受け止め、胸を痛められた御遺族もあったと聞き及びました。内閣総理大臣が靖国神社に参拝されることを戦没者御遺族の大多数が願っておられます。真摯な戦没者慰霊、遺骨収集を志される菅直人総理大臣、いかがでしょうか。 言論で勝負し、その言霊が国民の心に響く、人格、能力、信用を備えてこそトップリーダーです。実現できない民主党のマニフェスト、この非をわびない総理の言葉の軽さ、軸足なき国政の漂流は最も大切な国民との信頼関係を破綻させました。今、国民は、日本人としての誇りを取り戻し、国の尊厳を保ち続ける、信じられる政治を待ち望んでおられます。日本の存立を確かにする政治に向け、信なき菅総理には速やかな解散・総選挙を求め、自由民主党、私、有村治子の質問を完了します。 ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 有村治子議員の御質問にお答えをいたします。 まず、皇室、国旗・国歌についての御質問をいただきました。 日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であります天皇陛下を敬うことは当然のことと考え、私もそのような気持ちを強く持っております。そして、天皇陛下に御公務をお願いする際には、引き続き、天皇陛下の健康状態等に配慮しつつ、国政上の重要性を勘案した上で宮内庁と相談してやってきておりますが、今後ともそうしてまいりたいと思っております。 国旗と国歌はいずれの国でも国家の象徴として大切に扱われているものであり、日本においても、日の丸・君が代が国旗・国歌として定着していることは多くの国民が認めているところであります。こうした国民感情を尊重し、本内閣においても敬意を持って対応すべきものと、当然のことですが、考えております。 なお、国旗・国歌法案に対する現閣僚の対応に関して御指摘ありましたが、当時、民主党は政府案に対し、修正案を提出いたしました。そして、修正案が否決されたことから、原案賛否については自由投票としたものであります。同時に、定められた法律を遵守することは当然のことだと考えております。 尖閣衝突ビデオの公開について御質問をいただきました。 インターネットに流出した映像とほぼ同一の映像記録については、参議院から提出を求められ、海上保安庁が既に参議院に提出をしているところであり、参議院からその提供を受けた方々により実質的に公開されている状況にある、このように理解をいたしております。 今回の事案については、必要な場面において国際社会に対ししっかりと我が国の立場を説明してきたところであり、国際社会においても理解が得られているものと認識をいたしております。 昨年の中国漁船衝突事件についての御質問をいただきました。 御指摘のような中国との間での密約というものは一切存在をいたしません。政府として、御指摘の訪中については関与をしておりませんので、それについてコメントすることは控えたいと思います。 中国における邦人拘束事案についての御質問にお答えします。 フジタ社員四名の拘束については、我が国は中国側に対し、一貫して身柄の安全確保とともに、人道的観点からの迅速な処理を求め、その結果、全ての方が釈放され、無事帰国されております。本件事案の詳細については、中国側に対し更なる説明を求めているところであります。 中国における遺棄化学兵器処理事業については、化学兵器禁止条約に基づくものであり、引き続き政府全体として誠実に取り組んでいく考えであります。 自衛隊情報保全隊等についての御質問にお答えします。 自衛隊情報保全隊の活動は、外部からの働きかけ等に対して自衛隊の部隊や隊員等を保全するため、関係法令に従い適切な方法で行われるものであると承知をいたしております。このような自衛隊情報保全隊の活動は、思想及び信条の自由などを侵すことはないものと認識をいたしております。 次に、石垣市長等の尖閣上陸についての御質問にお答えします。 国の機関を除き上陸などを認めないという所有者の意向を踏まえ、また尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的に照らして、政府としては原則として何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針を取っております。 その上で、地方税法第四百八条に基づく固定資産税課税のための実地調査については、これまで上陸調査をせずに課税してきており、島の現況にも変化がないこと、徴税費用最小限の原則及び同条は強制的に立ち入って調査を行う権限を与えているものではないことなどから、平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的を総合的に勘案した結果、上陸を認めないとの結論になったものであります。 次に、対中・対ロ外交と今後の外交方針についての質問にお答えします。 まず、メドベージェフ大統領の国後訪問は極めて遺憾であり、その直後の横浜APECの際の日ロ首脳会談で、私自身からメドベージェフ大統領に抗議を行いました。その上で、メドベージェフ大統領との間で、領土問題解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含めて進めていくことで合意をいたしました。 なお、メドベージェフ大統領による国後訪問について、日中関係と関連付けて論じることが私は必ずしも適当だとは思っておりません。 なお、中国に対しては、大局的観点から戦略的互恵関係を深めていく考えであります。 国際社会が大きく変化している中、我が国周辺には依然として不確実性、不安定性が存在します。平和と安定を確かなものとするため、現実主義を基調にして世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策を着実に推進しており、甚大な失政との御指摘は当たらないと考えております。 さらに、領土問題に関する体制整備についての御質問にお答えします。 領土問題は、我が国の主権にかかわる極めて重要な問題であり、オールジャパンであらゆる情報や知恵を集め、それを基に問題解決に当たっていくべき問題だと考えております。そうした考えに基づき、御指摘の体制整備の面を含め、我が国の立場を確保し主張していく上でより有効な方策については、政府として不断に検討していきたいと考えております。 次に、北朝鮮の脅威についての御質問にお答えします。 北朝鮮の核及びミサイル開発は、我が国の安全保障上の脅威であると従来より認識をいたしております。北朝鮮に対しては、挑発的行為を繰り返さないよう強く求めてきております。また、韓国や米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、非核化等のための具体的行動を求めてまいります。 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であります。国の責任において全ての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するため、政府としてやれることは何でもやるという覚悟で臨んでまいりたいと考えております。 全国学力・学習状況調査についての御質問にお答えします。 全国学力・学習状況調査については今年度から抽出で行っておりますが、今後の調査の在り方については、現在、文部科学省において検討を進めていると承知をいたしております。今後とも、調査を活用し、教育施策の改善や教育指導の充実を図ってまいりたいと考えます。 食材の廃棄ロスについての御質問をいただきました。 穀物等の国際需給が中長期的に逼迫基調にある中で食料の安定供給を確保していくためには、生産面の取組とともに消費面でも食べ残しを縮減するなどの取組が必要であり、富山市の取組は有意義なものであると考えております。国としても、食料自給率の向上に向けた国民運動、フードアクション・ニッポンを展開し、この中で食品の無駄な廃棄や食べ残しを縮減するよう訴えているところであります。 硫黄島遺骨帰還予算の増額及び靖国神社参拝についての御質問をいただきました。 硫黄島からの遺骨帰還のための特命チームを設置したことなどについて御評価をいただき、ありがとうございます。 戦没者の御遺骨の帰還は国の責務であり、悲惨な歴史を繰り返さないためにも、全ての戦域で進めることが必要であると考えております。とりわけ硫黄島は日本領土であり、自衛隊の駐屯しているところでもあるにもかかわらず、戦後六十五年たった今日でも約四割の御遺骨が収容されたのみで、国内最多数の約一万三千柱が未収容のままになっております。 このため、昨年八月、御指摘の特命チームを設置し、米国での資料調査の結果を踏まえ、御遺族、ボランティアの協力を得て、御遺骨の収容を実施したものであります。政府一体で取り組んだ結果、近年例にない多数の御遺骨の収容を達成したものであります。 御遺族の多くが高齢となっている現実を考えれば、遺骨帰還を喫緊の課題として三年程度で集中的に取り組むべきであり、このための予算を計上したものであります。まずは硫黄島からの遺骨帰還をしっかり進め、他の戦域からの遺骨帰還につなげてまいりたいと考えております。 なお、靖国神社については、私自身、総理在任中に参拝するつもりはありません。 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣北澤俊美君登壇、拍手〕
○国務大臣(北澤俊美君) 有村議員にお答えをいたします。 情報保全隊に関する報道についてお尋ねがございました。 自衛隊情報保全隊は、外部からの働きかけ等に対して自衛隊の部隊や隊員等を保全するため、関係法令に従い従来より適切な方法で活動しており、報道にあるような恣意的な運用との御指摘は当たりません。また、このような自衛隊情報保全隊の活動は、思想及び信条の自由を侵すことはないものと認識をいたしております。(拍手) 〔国務大臣高木義明君登壇、拍手〕
○国務大臣(高木義明君) 有村議員から教育について四点質問をいただきました。 まず、我が国の領土についての教育のお尋ねでありますが、我が国の将来を担う子供たちが自国の領土問題を正しく理解するということは大変重要な問題です。 高等学校学習指導要領解説では、我が国の領土問題について、中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、理解を深めさせることが必要であると記述しております。これに基づいて、高等学校においても、中学校と同様に、竹島を含めた我が国の領土問題について適切な指導が行われるように、これが必要であろうと考えております。 次に、尖閣諸島に関する教科書の記述についてお尋ねであります。 教科書は、学習指導要領に基づき、民間が創意工夫を生かして著作、編集を行うものであります。現在の学習指導要領及び解説においては、我が国の領土、領域に関し、北方領土及び竹島という領土問題を中心に取り扱っており、領土問題が存在しない尖閣諸島については取り上げておりません。 学習指導要領やその解説は不断に見直し、その改善に向けた検討を行うことが必要であり、尖閣諸島を含む我が国の領土、領域を正確に理解させるための取扱いについては、今後不断の見直しを行う中で検討してまいります。 次に、朝鮮高校無償化問題についてのお尋ねであります。 朝鮮高級学校を高等学校等就学支援金の支給対象として指定するかどうかについては、現段階では決定しておりません。 朝鮮高級学校からは、昨年十一月五日に定めた規程に基づいて、全十校から指定の申請があったところであります。昨年十一月二十三日の北朝鮮による砲撃は、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、万全の体制を整えていく必要があることに鑑み、指定の手続を一旦停止をしたところであります。 手続を再開する時期については、今後の事態の推移を見極めながら総合的に判断することになり、現段階で申し上げることは困難であります。 最後に、全国学力・学習状況調査のお尋ねであります。 平成十九年度から二十一年度の三年間の悉皆調査により信頼性の高いデータが蓄積されておることを踏まえ、平成二十二年度から抽出調査としたところであります。 今後の調査の在り方については、専門家や教育関係者の意見を幅広く伺いながら検討を進めており、できれば今年度末を目途に方向性を得たいと考えております。 今後とも、より良い学力調査となるよう努めるとともに、調査を活用して教育施策の改善や教育指導の充実を図ってまいりたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣細川律夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(細川律夫君) 有村議員にお答えをいたします。 子ども・子育て新システムについてのお尋ねでございました。 子ども・子育て新システムは、全ての子供に質の高い幼児教育・保育を提供することを目的とするものであり、保育に対する公的責任を後退させる考えはございません。 子ども・子育て新システムの具体的な制度の内容については、現在、子ども・子育て新システム検討会議の下に置かれております三つのワーキングチームを中心に検討を重ねているところでございます。市町村による契約への関与の具体的な内容や保護者の負担の在り方などについても、関係者の御意見を踏まえながら詳細に検討をしてまいります。 以上です。(拍手) ─────────────
○副議長(尾辻秀久君) 大石尚子君。 〔大石尚子君登壇、拍手〕
○大石尚子君 民主党・新緑風会の大石尚子でございます。政府四演説に対して、会派を代表して質問いたします。 去る一月二十四日、菅内閣総理大臣の施政方針演説を伺い、気になることが幾つかございました。まず、僣越と思う気持ちを持ちながらも、二点あえてお話しいたします。 第一は、元気な日本の復活を目指した国づくりの三つの理念として、総理が用いられている最小不幸社会の実現と不条理を正す政治という言葉の中にあります。 私は日本語が好きです。日本語が母国語であることに誇りを持っております。標準語のみならず、地方の言葉も味わい深く、まれに見る優れた言語と理解いたしております。 総理が以前からよく使っておられる最小不幸社会の実現、さらに不条理を正す政治、おっしゃることはよく分かるのですが、不の付いた否定的な言葉で表現されると元気が足りなく思えるのです。元気な日本の復活を目指す理念ですから、プラスの言霊を持つ言葉で表現してほしいと思うのは私だけでしょうか。適切な日本語、正しく聞き取れる日本語、さらにできれば美しい日本語を国会でこそ使いたいと願っているのは私だけではないと思います。 私たちの言葉遣いは子供社会の生活に影響を与えます。子供社会は大人社会の写し絵です。大人社会に陰湿ないじめが続く限り、子供の生活にいじめが蔓延しても不思議ではありません。私たちは、いつ何どきでも子供の目がこの国会に注がれていることを忘れてはならないと考えます。総理の御見解をお聞かせください。 気になることの第二は、与野党協議、熟議の国会を実現し、国民参加の議論を呼びかけたいというところで、二つの政党名を挙げて政策の基本的考え方の一致点を論じられたところでございます。 この参議院で与党過半数割れを見る中で、取り上げられた二つの政党以外の政党とも考え方の一致点を見出す努力が重要視されているのに、このような取上げ方ではバランスを欠きます。総理がこれからの国会対策は今まで以上丁寧に臨みたいと言われていることにも反すると思うのですが、どう考えておられるのでしょうか。先々への読みをお聞かせください。 次に、本題に移ります。 総理が第一の国づくりの理念として掲げられておられる平成の開国に関連してお尋ねいたします。 菅総理は、日本の第一の開国を明治の開国、第二の開国を戦後の開国、そして第三の開国を今、平成の開国とうたわれました。 歴史家の松本健一氏も同様の表現を使っておられるように思います。 明治維新、敗戦、そして今が第三の大きな変革期であればこそ、さきの総選挙で国民は政権交代という地殻変動を実行されたのだと考えます。 このような大きな変革期に共通して言えることは、政権の責任者がしばしば交代する時期が生じているということです。日本国民のせっかちな性分のもたらす現象なのか分かりかねますが、余り繰り返すと国民生活の損失が多くなり過ぎ心配です。お考えがあればお聞かせください。 〔副議長退席、議長着席〕 私たち民主党は、平成二十一年総選挙の折の政権交代を目指した鳩山マニフェストでも、また平成二十二年参議院選の折の元気な日本を復活させるをうたった菅マニフェストでも同様に国民の生活が第一と明記して戦ってまいりました。「国民の生活が第一」というスローガンは、極めてシンプルで、かつ分かりやすいもので、国民の皆さんと共感し合えた言葉だったと思います。 最近総理はこの言葉を余り使われなくなりました。施政方針にもありませんでしたが、何か理由をお持ちなのか、伺います。 第三の開国という視点を打ち出すならなおのこと、それに勝るとも劣らぬだけの力を国民生活の向上のために費やす必要があると考えます。総理の御見解を伺いたく存じます。それでないと人の心が揺らぎ、一層国民の元気がなくなってまいります。 では、今日、内政を推進する上に最も重要と思われる三つの視点をここで述べようと思います。 まず第一に、国の行政にかかわる官僚の皆さんは、政治家の打ち出す方針を効率よく実行に移せるよう、日ごろからより一層現場主義に徹して、国民の必要としている、生活にかみ合った施策の妥当性を高め、成果を上げられるようにしていただきたい。政府三役の御指導、御努力をお願いしたいと思います。 国民生活の向上に資する生きた税金の使い方のバロメーターの一つとして、国民と接するところで仕事をしている、いわゆる現場を預かっておられる民間の方々、例えば、医療でいえば臨床の医師・看護師、理学療法士・カウンセラー、介護の現場でいえば介護士、鉄道でいえばホームや改札口の駅員、学校でいえば校長先生や教師などの仕事生活の充実度がバロメーターになる。つまり、国民の生活改善のための現場主義の徹底が必要だと考えますが、総理の御見解を伺いたく存じます。 こういった多くの現場で国民の生活に直接携わる方々のゆとりと心ある仕事ぶりは、必ず国民の生活に元気を与える源になりましょう。 総理は演説の中で、がん対策に力を尽くされた山本孝史議員のお話をされました。山本議員のお命の延長線上におりますのがこの私、大石尚子でございます。 国を思い国民の命を慈しむ政策の実現は、先人の思いを受け継ぎ、受け継ぎ発展的に推進させていかなければなりません。 山本議員は著書等の中で繰り返し、「今日、日本人の二人に一人はがんになる、三人に一人はがんで死ぬ、がん患者は、痛みを抑えることに成功すれば、現役で健康な人と同じように生き抜ける、一日も早く痛み止めメサドンの認可を」と訴えておられました。 このドラッグラグの問題には、がん、パーキンソンなどなど、いろいろな病と闘う患者さん方が、どうか自分の命のある間に間に合ってほしいと悲痛な祈りを抱いて薬の認可を待っておられます。現場のこの現状を一歩でも改革できるよう御検討いただけないでしょうか。 第二の視点は、開国に向けた国づくりにせよ、内政の充実を促進させるにせよ、全ての官民が行う国づくりの基は人づくりにあるということです。総理の御見解を伺いたく存じます。 我が国は今、かつてないスピードで少子高齢社会への道をひた走っております。子育ては社会の総力での理念を具体化した施策の一つが「子ども手当」です。今後とも財源の捻出には苦労を伴いましょう。途中で所得制限を取り入れるべきとの意見もありましたが、親の所得等によって子供を差別することには疑問を感じます。 IT技術の革新等によって様変わりする生活の中で、我が国の場合、経済の低迷が続いている影響もあり、大学新卒者の就職内定率は昨年の十二月一日現在で六八・八%。一九九六年以来初めて七割を切りました。就職活動の早期化の傾向も影響してか、海外へ留学を希望する若者も減り、二〇〇九年にはアメリカへの日本人留学生はピーク時の五三%にまで落ち込みました。 求人内容と学生の希望とのミスマッチも指摘されておりますが、若いときには何事にもチャレンジしてみようとする意気込みが欲しい。これも人づくりの重要課題の一つです。一人一人の若者が積極的に自分の能力を力いっぱい伸ばし続けていける教育環境をしっかりと整える必要性を主張したいのです。 第三の視点として特に取り上げなければならないことは、日本女性の社会への進出と男女共同参画社会づくりが、日本はいつの間にか余りにも世界の動向に比べて遅れ過ぎてしまったことです。 国連が国際婦人年として第一回世界女性会議を開催したのが一九七五年、今からもう三十六年前のことになります。世界経済フォーラムが二〇一〇年十月十二日に発表したジェンダーギャップ指数というのがありまして、我が日本国は何と百三十四か国中九十四位となっております。 国会議員の女性比率は、二〇一〇年十二月三十一日、世界百八十八中百二十二位ほどとなっており、余りにも低過ぎます。本年一月二十四日現在、女性の占める割合は参議院議員一八・一八%、衆議院議員一〇・八八%です。 諸外国においてはクオータ制、いわゆる割当て制を導入して女性議員の比率を高めてきた国が多いのです。世界的に見ると、約五十か国が憲法又は選挙法において選挙の際のクオータ制を導入しております。さらに、およそ四十以上の国が政党内のクオータ制を有しているようで、結果的に今では百を超える国々が何らかのクオータ制度を導入しているようです。この実情を総理はどのようにお考えでしょうか。 女性の生活になじんだ感性を社会づくり、国づくりに生かしていくことは、国民の生活が第一、元気な日本をつくっていく上に大変重要なことと考えます。私たち日本女性にまず我が国を開国してほしい。 昔から女性が賢く生きると国は栄えると聞いております。女性の社会進出の遅れを早急に取り戻すために、菅総理はどのような展望を持っておられるのか、お尋ねいたします。 最後に、与謝野大臣にお尋ねいたします。 去る一月十四日、菅第二次改造内閣の組閣が発表されたとき、私はびっくりいたしました。与謝野議員が菅総理の申出を受諾されるとは思っていなかったからです。 かねてより私は、党を異にする政治家ではございましたが、与謝野大臣の見識、お人柄等、政界の先輩として尊敬いたしておりましたので、ここ一年ほどの私たち民主党に対する先生の酷評には正直言って驚きと怒りを抱きました。そして、入閣でまたびっくり。経緯を思えば、よくお受けになられたものだと思いました。 そのとき私は、同時に、このいきさつを受け入れているもう一人の自分に気付いたのです。大変僣越な言い方ではございますが、私も与謝野大臣と同じ世代を生きてまいりました。 人生は有限でございます。年を重ねて初めて一人の人間の生涯を超えた出生以前の過去から現在、さらに次世代の担う未来へと連なる人類の流れ、営みを実感できるようになる気がするのです。 与謝野大臣におかれましては……
○議長(西岡武夫君) 大石君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
○大石尚子君(続) 菅総理の願いを天命と受けられ、全てを超越して即断即決、あらん限りの力を日本国の発展のために決断されたように今の私には思えるのです。御心境を私たちにお聞かせくださるようお願いいたします。 そして、国難の多いこの大きな変革期に、国政を国民の皆さんよりあずかっている私たち全員が英知を寄せ合って、たくましく速やかに幾多の国難を……
○議長(西岡武夫君) 大石君、大石君、簡単に願います。
○大石尚子君(続) 乗り切っていけるよう心から願い、私の質問を終わります。 ありがとうございました。どうも遅くなりまして済みません。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 大石尚子議員にお答えを申し上げます。 最小不幸社会の実現と不条理を正す政治について御質問をいただきました。 施政方針演説では、平成の開国、最小不幸社会の実現、不条理を正す政治の三つの理念を日本に体現させることが私の政治理念であると申し上げました。 この言葉について、特に最小不幸と不条理という言葉について元気が足らないのではないかという御指摘もいただきました。私はこのことについては、権力というものの怖さを権力を持つ立場にある政治家が考えなければならないという、そういう考え方から最小不幸ということを申し上げているわけでありまして、決してそれ自体元気でないとは思っておりませんが、またいろいろな御意見を聞きながら、もっといい言葉があればまたそういった言葉で表現をしてみたい、このように考えているところであります。 次に、施政方針における政党の取上げ方についての御指摘をいただきました。 社会保障改革に関して比較的詳しく提案をされ、超党派協議をも呼びかけておられる例として自由民主党と公明党を紹介させていただいたところでありまして、決して他の党を何か無視したということではないわけでありましたけれども、しかし、大石議員がおっしゃるように、社会保障改革は国民のまさに最重要課題であることから、超党派協議は全政党が参加をしていただけることが最も好ましいわけでありまして、これからはそうした党の名前を挙げるときにも十分注意をしたいと、このように考えているところであります。 次に、変革期における政権交代についての御質問をいただきました。 大石議員が言われるように、二十年、様々な重要課題が先送りされてきた日本でありまして、日本の国民の間に閉塞感が蔓延してきたことが、国民が一昨年、政権交代を選択された大きな要因であったと私も思っております。 変革期には指導者がしばしば替わるという御指摘もいただきました。 私が指導者に今なっているからということを超えて、国際的にいろいろな会合に出ていきますと、また替わったんですかと私も何度か言われまして、そういう点では、やはり一つの国の指導者は、大統領制であれば多くの国で四年間が一つの単位ですし、議院内閣制の国でもイギリスなどでは五年程度が一つの単位になって、その間はそのときの政権党が政権を担い、そしてそのけじめのところで政権を争うという、そういう形が私は日本の在り方としても一般的には望ましいと、このように思っております。 しかし、私が当事者として言えば、とにかく一心不乱に全力を挙げて頑張り抜くという、そのことが私に課せられた役割であろう、こういう覚悟で臨んでまいりたいと思っております。 次に、国民の生活が第一ということについて御質問をいただきました。 この理念は、民主党と国民との約束であると認識しております。同時に、政権交代を果たした今、政府の施策の隅々までこの言葉を具体化する作業を行っているというふうに認識しています。すなわち、私が雇用を強調するのも社会保障改革に取り組むのも、まさに国民の生活が第一と思うからにほかなりません。言葉を、回数が少なくなったという御指摘もありますけれども、その理念を実践に移しているのが今の内閣であり、私の考えだということを御理解をいただければと思っております。 平成の開国と国民生活の向上に関する質問をいただきました。 平成の開国は、成長するアジアのエネルギーを日本が取り込み、共に繁栄する上で大きな役割があると認識いたしております。日本は少子高齢化で、将来の市場規模も若年の人口も限界があります。平成の開国は、この限界を突き破る大きな可能性を秘めております。こうした可能性を現実のものとし、我が国の成長と雇用につなげていくため、新成長戦略を実行に移し、国民生活の向上を図ってまいりたいと考えております。 国民の生活改善のための現場主義の徹底について御質問をいただきました。 各省の政務三役、そして党政調各部門のメンバーが一体となって現場主義に徹することが重要だと考えております。平成の開国による経済再生などを追求すると同時に、雇用の創造、子育て支援、女性の社会参加の応援、新しい公共の推進など、現場で働く皆様の声を反映することが重要であります。 昨年十二月、私は、生産から加工品の製造、販売まで一貫して手掛けるなど、付加価値を高めた農業製品作りに取り組む千葉や山形の農業法人を視察をいたしました。現場主義を説く大石議員に敬意を表し、政府・与党が一体となって共に力を合わせて、こうした現場で働く人たちの気持ちを体して政策実行に邁進してまいりたいと考えております。 がんの治療薬の承認についての御指摘がありました。 欧米では使用が認められている医薬品が国内では承認されていないため使用できない、いわゆるドラッグラグの解消は喫緊の課題であると認識をいたしております。 現在、昨年六月に閣議決定した新成長戦略に基づき承認審査の迅速化のため審査体制の充実を図っております。また、患者の方々や医学会からの要望が多く、医療上の必要性が高い医薬品については、関係企業に開発を要請するとともに、そのうち、海外での試験データが多く、国内での試験を省略できると評価された医薬品については、昨年八月末より医薬品の承認前であっても保険適用することといたしたところであります。 この問題は、今日午前中の審議でもありました副作用問題、安全性の問題と、一方で是非使いたいという患者さんの希望との関係を十分に考えなければならない課題でありますが、患者さんの大きな意味での立場を考えながら進めてまいりたいと思っております。 今後とも、患者の皆さんの立場に立ち、優れた医薬品がより早く患者に届くよう、ドラッグラグの解消に全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。 国づくりの基本は人づくりではないかとの御質問をいただきました。 私もまさにそのとおりだと考えております。変化の時代の真っただ中で世界中が新しい時代を生き抜くにはどうすればよいかを模索している中、内向きな姿勢に陥ることなく、子供たちが夢を実現する力を与える教育の充実が大切だと考えております。 政府としては、こうした教育の重要性に鑑み、高校授業料の実質無償化や奨学金の拡充など全ての意志ある人が教育を受けられるようにするとともに、小学校一年生の三十五人以下学級や教員の資質の向上、大学の国際競争力の強化など質の高い教育の充実にしっかりと取り組んでまいります。 女性の社会参加についての御質問をいただきました。 家庭を持つ女性や子育てを経験した女性が働く意欲を持って職場に参加すること、あるいは仕事人間だった男性が家庭に参加することによって得られることはたくさんあると考えております。また、活力ある経済社会を実現するためには、女性が能力を発揮できる社会をつくらなければならないと考えます。そのためには、男女が共同で参画できる社会に向け、職場や家庭環境を整えることが必要です。例えば、私の内閣では待機児童ゼロ特命チームをつくり、二万六千人に上る待機児童を解消するプロジェクトを用意いたしました。 引き続き、政治、経済などあらゆる意思決定の場への女性の参画促進や、継続就業、再就職支援などにより女性の積極的な社会参加を応援してまいりたいと思います。 特にこの政治の社会、私も最初に選挙の応援をさせていただいたのが亡くなられた市川房枝先生でありますけれども、もっと多くの女性が国会にも地方議会にも出てきていただきたいと。党としても女性の候補者の拡大に取り組んでまいりたい、このように考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせたいと思います。(拍手) 〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 大石議員から私の決意についてのお尋ねがございました。 現在の国民が抱えている不安を取り除き、次世代の国民のより良い生活を実現、これを図るため、年金、医療といった社会保障制度の持続可能性を確かなものとすると同時に、必要な財源を確保する税制抜本改革は、これ以上先送りすることのできない課題でございます。 私は、これまで十年来、この課題の解決を自分の信念として取り組んでまいりました。今回、社会保障・税一体改革に対する菅総理の熱意と本気にこたえるため入閣をいたしました。いい世の中をつくりたい、いい世の中を残したいという責任感を持って、全力を挙げて職務に精励いたす決意でございます。(拍手) ─────────────
○議長(西岡武夫君) 市田忠義君。 〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、菅首相に質問をいたします。 今、日本経済の最大の問題は、経済の閉塞状況の下で独り大企業の手元にだけ空前の資金が滞留していることであります。ため込み利益、内部留保は今や二百四十四兆円の巨額に達し、現金、預金や有価証券など、使い道のない手元資金は六十二兆円にも上ります。一方、派遣切りや賃下げ、下請単価たたきなどで、民間の賃金はピーク時と比べ三十兆円、〇八年からの一年間に一人当たり二十三万七千円も落ち込みました。 この巨額な資金の偏在を是正すること、使い道がないままため込まれているあり余る資金を社会に還流させることこそ経済政策の中心に据えられなければなりません。 その点で、今春闘のさなかですが、賃金引上げは当然の要求であり、それは働く人々の暮らしを良くするだけではなく、ため込まれた巨額な資金を消費を通じて市場に還流させ、国内経済を活性化させる起爆剤になります。総理の認識はいかがですか。 政治が果たすべき課題の大きな柱の一つは中小企業への支援であります。 昨年、政府は中小企業憲章を閣議決定しました。そこでは、中小企業について、経済を牽引する力であり、社会の主役であると位置付け、政府が中核となり、国の総力を挙げて中小企業施策を進めると宣言されています。企業数の九九%、雇用の七割を中小企業が占めています。 ところが、政府の予算案を見ると、中小企業関係予算は今年度と比べて僅か五十八億円増の千九百六十九億円にすぎません。一方、在日米軍関係費は、いわゆる思いやり予算一千八百五十八億円、在日米軍再編経費など千三百三十一億円、合わせて三千百八十九億円、中小企業予算の実に一・六二倍にもなります。これではまるで社会の主役は在日米軍と言われても仕方がないではありませんか。 中小企業の経営を脅かしているのが不当な単価の切下げや一方的な契約打切りなど、大企業の横暴であります。それを正すには個々の企業の努力では不可能であり、共通のルールと行政の厳正な指導が不可欠です。ところが、予算案は、下請取引の適正化に関する費用は僅か七億円、しかも今年度と比べて一億円減額されています。これでは大企業の横暴に泣かされる中小企業は増えても、決して少なくなることはありません。主役にふさわしく、予算を大幅に増やすべきであります。答弁を求めます。 賃金引上げのためには、最低賃金を現行の全国平均の時給七百三十円から一千円以上に引き上げることが政治のなすべき緊急の課題であります。そのためには、下請単価の引上げとともに、中小企業への国の財政支援が不可欠であります。ところが、概算要求段階で六十二億円だったものが、これでもスズメの涙程度ですが、五十億円に減額されました。内需拡大の柱として、フランスでは、最低賃金を引き上げた企業に社会保険料の企業負担を三年間で二兆二千八百億円減免しました。アメリカでも、最低賃金引上げと一体で、中小企業減税のため五年間で八千八百億円の予算を組んでいます。こうした例に学んで、思い切った措置を講ずるべきではありませんか。 仕事が欲しいという中小企業の声にこたえるために、今、全国二百近い自治体で住宅リフォームへの助成制度が広がっています。実施した自治体では、助成額の十倍から二十倍を超える経済波及効果が生まれていると報告されています。国としても、自治体が行っているこうした制度への支援を強化すべきと考えますが、いかがですか。 中小事業者にとって命綱とも言える景気対応緊急保証制度については、国会でも度々議論が交わされ、制度の重要性については共通の認識に至っています。この三月で制度を打ち切るべきではないと考えますが、総理の見解を伺います。 総理は、税と社会保障の一体改革を進めると言われました。しかし、政府が実際に現にやっていることは、社会保障の切捨てばかりではありませんか。 例えば、高過ぎる国民健康保険料。保険料を納めることのできる世帯は今や八割台となり、滞納世帯は四百四十五万、保険証を取り上げられた世帯は百五十二万に及びます。 総理は施政方針演説で、観光立国に向けた医療滞在ビザを創設したと述べましたが、外国の富裕層に豪華な医療提供を自慢するぐらいなら、お金がないために必要な医療も受けられず、不安にさいなまれている人々に国庫負担増による国保料の負担軽減をこそ行うべきであります。 介護保険制度が始まって十年がたちました。様々な問題がありますが、一点だけただしておきたいと思います。特別養護老人ホームの待機者の数は、一九九九年には十一万人でした。ところが、十年後の二〇〇九年には四十二万人に、実に四倍に膨れ上がりました。その間、高齢者をめぐる様々な悲惨な出来事が多発するようになりました。その原因は、高齢化の進行もありますが、国庫補助金の廃止が追い打ちを掛けたことは明らかであります。増設の手だてを直ちに講じることを強く求めます。 財政が大変といいながら、使い道に困っている大企業には法人税を減税し、大金持ちには証券優遇税制を存続する、そして社会保障を切り捨てながら、社会保障のためという口実で庶民には消費税の増税を検討する、こんな無理無体なことはありません。今やるべきは社会保障の切捨てから拡充への転換であり、財源というなら、行き過ぎた大企業・大資産家減税をやめ、税金は負担能力に応じて払う、思いやり予算など軍事費を削る、税金の山分けである政党助成金を廃止する、こういう方向こそ追求すべきではありませんか。 次に、TPPへの参加問題についてであります。 TPPは、全ての関税をなくし、自由化に例外がないのが最大の特徴であります。農水省の試算でも、食料自給率は四〇%から一三%にまで落ち込み、農林水産物の生産額は四・五兆円減少し、関連産業も含め雇用は三百五十万人も減少するとされています。 総理は施政方針演説で、自給率の向上には一言も触れず、農産物の輸出につなげると述べられました。国民の食料を国内でどれだけ供給できるのか、それが四割から一割台に落ちていいのかが問われているときに、何という発言でしょう。農林水産物の輸入を完全自由化して自給率を高めた国は世界に例がありません。余りにも無責任ではありませんか。 規模を拡大すれば競争力ある農業が育つというのは全くの幻想です。既にEU諸国の平均的経営を上回るまでに規模拡大してきた北海道の畜産・酪農でも、輸入自由化や価格低下の影響を受け、経営危機が広がり、離農者が後を絶たない現実がそれを裏付けています。総理はこの現実をどう考えているのですか。 食料は極力自国で賄う食料主権という考え方は、今や世界の流れです。国の独立や国民の生存に責任を持つ政府なら、当然その立場に立つべきであります。 TPPへの参加はやめ、食料の外国依存から抜け出し、関税など国境措置を維持強化し、各国の食料主権を保障する貿易ルールを確立すること、規模の大小を問わず、安心して農業に励める条件を国の責任で整えること、具体的には生産コストをカバーする価格保障を軸に農業の多面的機能に配慮した所得保障制度を組み合わせることこそ日本農業再生の道であることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 市田議員にお答えを申し上げます。 まず、賃金引上げによる国内経済の活性化についての質問です。 日本経済を本格的な成長軌道に乗せ豊かな暮らしを実現するには、雇用の創出を起点とした需要の創造が必要であり、雇用の拡大により失業率が低下すれば賃金上昇圧力となります。また、消費が刺激され需要が回復すれば、更に雇用が創出されるという好循環が生まれます。このため、新成長戦略の実行により新たな雇用と需要を創造していくとともに、雇用促進税制の創設など、雇用をつなぐ、つくる、守る取組を進めてまいります。 なお、賃金などの労働条件は、各企業の労使間において経営状況や経済情勢等を踏まえながら決定されるものでありますが、私としては、今の状況の中ではもう少し賃金が上がっていくことが望ましいと、その点は市田議員と同様の見方をいたしております。 次に、中小企業関係予算についての質問にお答えします。 我が国の産業や雇用、地域経済を支える中小企業への対策は政府として最も重要な柱の一つであります。資金繰り対策、技術開発支援、海外展開支援などのため、二十二年度予備費と補正予算で措置した計六千三百八十九億円に加え、来年度予算案で千九百六十九億円を確保し、中小企業支援に万全を期しております。 なお、我が国を取り巻く国際状況が依然として不透明、不確実である中、在日米軍の抑止力が我が国や地域の平和と安定のために重要な役割を果たしていることなどから、必要な在日米軍経費も計上しているところであります。 下請取引の適正化の予算についての御質問をいただきました。 違法な買いたたきなどを排除するため、独占禁止法や下請法の執行強化に取り組んでおり、例えば、下請法の執行をする検査官については年々増員を図ってきております。加えて、下請法の普及啓発や中小企業からの相談窓口の整備等のため、事業の効率化を図った上で予算措置を講じており、取引の適正化に向け積極的に取り組んでまいります。 次に、最低賃金の引上げについて御質問をいただきました。 最低賃金の引上げについては、昨年六月に策定した新成長戦略において、二〇二〇年までの目標として、全国最低八百円、全国平均千円の実現に取り組むことを盛り込んだところです。下請取引対策を厳正に実施するとともに、最低賃金の引上げで最も影響を受ける中小企業に対し、相談窓口の整備や賃金引上げに資する業務改善への助成、技術開発、新事業展開支援など、総合的な施策を講じてまいりたい。 また、平成二十三年度税制改正では、法人実効税率と併せて、中小企業に対する軽減税率について思い切った引下げ措置を実施することといたしているところであります。 住宅リフォームへの助成制度に関する質問にお答えします。 既存ストックを活用することにより、国民生活の基盤である住宅の質を向上させるとともに、住宅市場を活性化する観点から、住宅リフォームの推進は極めて重要だと考えております。このため、新成長戦略において、二〇二〇年までに住宅リフォームの市場規模を倍増させることといたしており、現在、住宅エコポイント制度を始め、補助、税制優遇等の支援策を講じているところであります。地方公共団体による住宅リフォームへの助成制度については、社会資本整備総合交付金を活用することができ、今後ともこのような取組を支援してまいる所存であります。 次に、景気対応緊急保証についての御質問をいただきました。 中小企業の資金繰り支援は極めて重要な課題であります。景気対応緊急保証は本年度末で期限切れを迎えますが、これと同様の一〇〇%保証であるセーフティーネット保証を衣替えし、その上で来年度上半期には、その業種基準を現行の景気対応緊急保証の基準よりも緩和することにいたしております。これにより、引き続き資金繰りの支援を必要とする業種をカバーすることができ、引き続き中小企業の資金繰り確保に対応することが可能であります。加えて、小規模企業向けには業種を問わず一〇〇%保証を引き続き実施してまいります。 こうした具体的な施策をもって、現場の中小企業が困惑することがないよう、制度の周知徹底を含め、引き続き資金繰り支援に万全を期してまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険についての御質問にお答えします。 市町村の国民健康保険において保険料を滞納する世帯が多くなっている背景には、無職者や低所得者が多いという構造的な問題があります。このため、他の医療保険制度に比べて多くの補助がなされており、また平成二十二年度からは、一、平成二十一年度で暫定措置の期限を迎えた財政基盤強化策の四年間の延長、二、非自発的失業者の保険料を軽減する特例措置の創設、三、高校生以下の子供に資格証明ではなく短期被保険者証を交付し、一定の窓口負担で医療にかかれるようにすることといった対策を講じているところであります。 次に、特別養護老人ホーム整備についての御質問にお答えします。 御指摘のとおり、特別養護老人ホームを始めとする介護基盤の整備については、喫緊の課題であると認識をいたしております。このため、特別養護老人ホームの介護基準の整備については、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間で十六万人分を整備することを目標としており、各自治体の取組に対しては、一、各都道府県に設置した基金約三千三百億円や、二、地方財政措置によって支援を行っているところであります。 次に、社会保障の在り方に関する質問にお答えします。 最小不幸社会の実現のために何といっても必要なことは、国民生活の安心の基盤である社会保障をしっかりさせることであります。このため、平成二十三年度予算においては、社会保障予算については五%増を確保しているところであります。 社会保障改革については、昨年末お示しした改革の五つの基本原則に基づき、六月までに、社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すことといたしております。 税制については、平成二十三年度税制改正においても、デフレ脱却と雇用のための経済活性化、格差拡大とその固定化の是正などを大きな柱とする改正に取り組み、経済成長や再配分機能の回復に資するものとしております。 防衛関係費については、新大綱に示された動的防衛力を構築するため、真に必要な機能に資源を選択的に集中し、防衛力の構造的な変革を図ることとしております。 政党助成金制度は、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つ制度であると考えております。この御指摘の点については、各党各会派において議論していただくべき問題だと考えております。 TPPと農業との関係についての御質問にお答えします。 貿易が自由化したら農業は危ういといった声がありますが、私はそのような二者択一の発想は取りません。過去二十年で国内の農業生産は二割減少し、若者の農業離れが進んでおり、今や農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。農林漁業の再生は、まさに待ったなしの課題であります。 昨年十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針においては、高いレベルの経済連携の推進と、我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることといたしております。現在、私が議長を務める食と農林漁業の再生実現会議において、六次産業化、農地集約による大規模化など、我が国農業の潜在力を引き出す大胆な政策対応を検討しているところであります。六月をめどに基本方針を、十月をめどに行動計画を策定することにいたしております。 食料の確保と貿易ルールについての御質問にお答えします。 我が国農業は、過去二十年間で農業生産が二割減少し、耕作放棄地が増加するなど、食料安定確保の観点から、様々な問題を抱えております。このため、農業の再生が急務であり、しっかり取り組んでまいります。 また、我が国は食料純輸入国であり、貿易ルールの確立に当たって安定的な食料の確保が重要な課題であります。今後とも、各国の多様な農業の共存と食料問題の解決を目指して、農産物貿易ルールをめぐる議論に積極的に参加をしてまいります。 以上、市田議員に対するお答えとさせていただきます。(拍手) ─────────────
○議長(西岡武夫君) 藤井孝男君。 〔藤井孝男君登壇、拍手〕
○藤井孝男君 私は、たちあがれ日本・新党改革を代表して、菅内閣総理大臣の所信表明演説に対し、質問をいたします。 さて、民主党政権が国民の期待を裏切り、もはや政権党の名に値しないことは、世論調査の数字を見るまでもなく明らかであります。 なぜ、民主党・菅政権が多くの国民から見限られたのか。それは、昨日の我が国の国債格付引下げに対する総理の発言一つ取っても、日本国のリーダーとしての資質に欠けることはもちろんのこと、民主党政権が、我が国の領土、領海はもとより、国民の生命も財産をも守ろうという気概も責任感も全く感じられないということがはっきりと分かったからであります。 友愛の海だとか、日本は日本人だけのものではないなどという鳩山前総理の発言。尖閣諸島領海侵犯事件での毅然としない対応。頻発する集中豪雨被害や首都圏直下型大地震などの脅威にさらされ、防災対策としての公共事業を本気で考えなければならない我が国にとって、コンクリートから人へ、命を守ると叫びながら、公共事業を削減して日本人の命を脅威にさらしているという本末転倒。マニフェストにも書いていない夫婦別姓や外国人地方参政権を推し進めようとする政治姿勢を見れば、民主党には、日本の歴史や伝統や文化に対する理解も敬意もない、我が国が直面する危機に対する認識も将来に対するビジョンも国家理念もないということを満天下に知らしめたということであり、このような政権は我が国の主権、独立国家としての存続を危うくするものと言わざるを得ません。 さて、私は、我が国の安全保障とデフレ問題の二点について質問させていただきます。 尖閣諸島領海侵犯事件の反省に立って、政府は国の安全保障について真剣に取り組まなければならないにもかかわらず、総理の施政方針演説ではほんの僅かしか触れられておりません。しかも内容は、大型巡視船の更新を早めるということと海上警察権の強化を検討するというだけで、法改正を含む具体的な内容は残念ながら皆無でありました。 北朝鮮の核開発や韓国への武力挑発、中国海軍の著しい軍拡を始め東アジアの情勢は緊迫し、多くの国民が国の安全ということに不安を抱いております。総理は、このような国際情勢を国家の危機ととらえられているのかどうか、一体我が国の安全保障についてどのような基本的な戦略、展望をお持ちなのか、まず総理の所見を伺います。 昨年の尖閣諸島での領海侵犯事件を見れば分かるように、現在我が国は領海侵犯という犯罪行為に対して、外国人漁業規制法や公務執行妨害といった法律で対処しているお粗末な状況であります。昨年九月に海上保安庁の巡視船に体当たりをしたあの悪質な中国人船長でさえも無罪放免であります。したがって、何度でも領海侵犯や違法操業が繰り返されております。 我が党はこの事件以来、領域警備法の整備を訴えておりますが、まずこれらの主権侵害行為を取り締まる根拠として領海侵犯罪を新設し、違法外国漁船に対しては罰金や罰則を付与する立法措置をとるべきだと考えます。また、命懸けで任務に当たっている海上保安庁職員がその責務を果たせるよう、立入検査のための武器使用要件の緩和や装備の充実も早急に行うべきであります。 このことに関し、私は、昨年十月二十二日、国土交通委員会で質問をいたしました。私の質問に対し、当時の馬淵国土交通大臣は海上保安庁の体制を抜本的に見直し、海上警備大綱のようなものを策定する意向である答弁をされ、去る一月七日、海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針を発表されました。現政権はこの方針を継続するのか、またいつまでに法整備を含む結果を出すつもりなのか、国土交通大臣の所見を伺います。 一方、驚くことに、我が国を防衛する自衛隊には平時における領域警備任務が与えられておりません。確かに自衛隊は毎日、領土、領海のパトロールを行っていますが、他国の軍隊と異なり、領海で外国船舶の違法行為を発見しても、海上保安庁に通報するだけで、直接、外国船舶に警告を発することもできないのです。このような状況を放置するのは政治の不作為であり、国民の生命を守り、領土、領海を守るという国家の責任を放棄するものであると思います。 私は、安全保障問題こそ超党派で議論する場を設け、速やかに自衛隊に対して平時における領域警備任務を付与するべく自衛隊法改正を行うべきと考えますが、総理並びに防衛大臣の所見を伺います。 また、多くの国民が中国の軍拡と日本政府の対応に不安を感じています。 実際、中国政府は平成四年に領海法を制定し、我が国固有の領土である尖閣諸島や、東南アジア諸国と争っている南沙諸島や西沙諸島を中国領土だと一方的に宣言しました。さらに、昨年、中国政府は海島保護法という法律を制定して、尖閣諸島を含む無人島を中国の管轄下に置くことを宣言し、東シナ海全体を支配するための体制強化を着々と進めています。 政府はこのことについて中国政府に抗議や対処をしたのでしょうか、外務大臣の所見を伺います。 私は、国の安全と国民の安心が政治の最大の使命だと思っております。その根本は、自分の国は自分で守るという当たり前のことを政治が責任を持って遂行することですが、これがなかなか実行されてこなかった。その最大の理由は憲法にあると思います。 それは、日本国憲法の前文、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という文言によって、自分の国は自分で守るということを放棄したことです。自国の生存を他国に委ねるような憲法はほかには一つもありません。 たちあがれ日本は、綱領の第一に自主憲法の制定を挙げております。我々は、平和と安全を保持するために早急に憲法審査会を開始して、憲法改正についてタブーのない議論を始めるべきだと思いますが、民主党の代表としての菅総理の所見をお伺いします。 さて、私たちの暮らしは、経済は一向に良くなるという実感が得られません。日本経済が復活しない理由は、言うまでもなく日本がデフレという病気にかかっているからであります。 民間の需要が収縮する中、デフレから脱却するには、不足している需要を公で供給する、すなわち政府による需要拡大を行うことが不可欠であります。リーマン・ショックで世界経済が震撼したとき、米国を始め多くの国々が公共投資を積極的に増大し、内需拡大に成果を上げました。 私は、公共事業の集中投資によって本気で早急にデフレを脱却し、正常な成長路線を復活させることを優先すべきだと考えます。これによって税収は自然に回復します。GDPを現実に成長させない限り財政再建はあり得ないと思いますが、総理の所見を伺います。 実は、我が国が必要としている公共事業は山のようにあります。例えば、高度経済成長期に建設された様々な橋が今一気に寿命を迎えつつあります。地方が管理している大規模橋梁は約十三万橋ありますが、この約七割は未点検で放置されております。全国の老朽化した橋を補修するには八十兆円程度掛かると試算されていますが、橋が落ちれば人的被害のみならず、都会であれ地方であれ、その地域では日常の経済活動に甚大な影響が出ることは言うまでもありません。日本経済はそれを支えているインフラによって維持されております。 ところが、我が国はこの十五年間ずっと公共投資を削減し続けてきました。内閣府の試算によれば、デフレギャップは三十兆円から三十五兆円とも言われます。であれば、年十兆円規模の積極的な公共投資を少なくとも三年程度継続すれば、日本経済のアンバランスが改善されます。財政法上認められ、同じ借金でも赤字国債とは違い、資産として残るインフラ整備のための建設国債を財源とすることはツケを後世に回すことにはならないと思いますが、総理の所見を伺います。 最後に一言申し上げます。 論語に、民信なくんば立たずという言葉があります。政治に最も大事なことは信頼であります。 菅内閣で経済財政をつかさどる特命担当大臣は経済演説の中で、政治家としての原点は、日本の豊かさを失いたくないということだと強調されましたが、あなたはその前に人間として、また政治家としての信を失ってしまいました。どのような立派な政策を並べようとも、人間の信頼が失われた中でいい仕事ができるわけがありません。 同じことが、この一年半、沖縄県民の信頼を裏切り、日米関係の信頼を損なってきた民主党政権全体にも当てはまることは言うまでもありません。 政治の原点は、国と国、人と人との信頼であるということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅直人君) 藤井孝男議員にお答えを申し上げます。 まず、我が国の安全保障政策についての御質問にお答えします。 北朝鮮による大量破壊兵器・弾道ミサイル開発や軍事的な挑発行動、中国の透明性を欠いた国防力の強化や周辺海域における活動の拡大、活発化など、我が国周辺地域における安全保障環境は厳しさを増しております。 このような中、我が国の防衛力については、厳しい財政事情等を踏まえ、真に必要な機能に資源選択的集中をして防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源により、より多くの成果を達成することが必要であります。こうした考え方の下、平成二十三年度予算で、中期防衛力整備計画においても、防衛予算の規模をおおむね現状程度に維持した形になっております。 我が国の安全保障の基本的な考え方は、このように防衛力を着実に整備するとともに、日米安保条約、日米安保体制の下で米軍の前方展開を確保し、核抑止力を含む米軍の抑止力の下で日本の安全を確保していくことにあります。 次に、自衛隊法の改正についての御質問にお答えします。 御指摘の領海警備の概念については、必ずしも定まったものがあるとは承知をいたしておりません。現行法の枠組みでも、自衛隊は、警察や海上保安庁で対応できない場合には自衛隊法に基づいて治安の維持に当たることとされており、平素からこれら関係機関との連携強化に努め、我が国の領土や領海の保全に万全を期しているところであります。 憲法改正の議論についての質問をいただきました。 憲法の在り方については、これまでも民主党内で議論し、二〇〇五年には憲法提言をまとめているところであります。憲法審査会の始動の問題も含め、今後も党内でしっかり議論し、その上で与党、しかる後に与野党間でしっかりと協議をして決めていくべきものだと考えているところであります。 公共事業の集中投資によるデフレ脱却、経済成長による財政再建についての御質問にお答えします。 過去二十年間の経済政策は、先ほど藤井先生がおっしゃったように、まずは公共事業中心の第一の道をかつては取ってまいりました。しかし、残念ながら、八〇年代以降、必ずしも公共事業が中長期的な経済の成長につながらなくなった。そこで、自由民主党では市場原理主義とも言えるような小泉・竹中路線を第二の道として取られましたけれども、これはデフレ下におけるデフレの促進策でありまして、これに失敗をされたわけであります。そこで、我が党としては、それに代わる第三の道という形で、雇用を中心に新たな需要を創出して、それによってデフレの脱却を図っていこうという道を取っているところであります。 新成長戦略を本格的に実施するため、平成二十三年度は、成長と雇用に重点を置いた予算や税制等における取組を推進し、デフレ脱却と自律的回復に向けた道筋を確かなものとしてまいりたい。経済が成長すれば国民の所得が増えるだけではなく税収も増える、新成長戦略を実行し経済を成長軌道に乗せていくことが財政再建にも資すると考えております。 しかしながら、我が国の財政赤字は巨額であり、経済成長による増収のみで持続可能性を確保することは困難でありますので、無駄の削減などにより財政規律を堅持していくことも併せてこれからも続けてまいりたい、このように考えております。 建設国債を財源とするインフラ整備について御質問をいただきました。 先ほども申し上げましたが、我が国の財政は主要先進国の中で最悪の状況にあり、財政健全化はどの内閣にあっても逃げることができない課題であります。 今日まで巨額の公共投資をしてきたわけでありますけれども、それが、先ほど申し上げたように、かつて一九六〇年代には非常に効果のあった公共事業が八〇年代以降その効果を失ってきて、そしてそれに対する一つの見直しからいわゆる小泉・竹中路線に自民党が走られたわけでありまして、そのいずれもが失敗をした中でのこの二十年間の停滞が生まれてきているところであります。 そういった意味で、建設国債も赤字国債も、性格は違うといってもこの間の経緯でいえば借金は借金でありまして、公共事業は効率化、重点化し、真に必要な社会資本整備を戦略的に進めていくことが必要だと、このように考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣大畠章宏君登壇、拍手〕
○国務大臣(大畠章宏君) 藤井孝男議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。 御質問は、領海侵犯とその処罰、武器使用の基準、海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針についてでありました。 まず、領海侵犯の事案に対する基本方針としては、機動的、効果的に対処できるよう、事案発生前から事案発生後に至るまでの各段階における行政警察権限を充実させることとしており、領海侵犯への対処の在り方や武器使用の基準について検討、検証することとしております。 次に、馬淵前大臣が示しました御指摘の海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針につきましては、これを継承し、引き続き制度改正の具体的内容をしっかりと検討し、関係者とも十分調整した上で適切な時期に結論を出してまいりたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣北澤俊美君登壇、拍手〕
○国務大臣(北澤俊美君) 藤井議員にお答えをいたします。 自衛隊法の改正についてお尋ねがありました。 御指摘の領海警備の概念については、先ほど総理からもお答えをいたしましたが、その概念については必ずしも定まったものがあるとは承知をいたしておりません。ただ、自衛隊は、治安の維持に第一義的に責任を有する警察や海上保安庁で対応できない場合に、自衛隊法に基づき治安出動や海上警備行動を発令して対応することとされており、平素から共同訓練により連携強化を図るなど、現行法の枠組みにおいて十分対応できるよう努めております。 しかし、さきの国会でも、いわゆる領海警備についての議論がありました。せっかくの御提案でもございますので、国会の場でしっかり議論をしてまいりたいと思っております。(拍手) 〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
○国務大臣(前原誠司君) 藤井議員にお答えをいたします。 二点ございました。 中国の領海法制定に対する政府の対応についてでございますが、一九九二年に中国が採択をした領海及び隣接区域法は、我が国固有の領土である尖閣諸島を中国の領土として規定するものであり、我が国としては到底受け入れられないものであります。 したがいまして、同法制定後、速やかに東京及び北京において中国側に抗議の申入れを行っております。 次に、中国の海島保護法制定に対する政府の対応についてでありますが、二〇〇九年に中国が採択をしました海島保護法につきましては、中国側は同法の主な目的として、海島の生態環境保護、国家海洋権益の維持、保護等を挙げております。 同法においては尖閣諸島への直接の言及はございませんが、同法の運用等に関して懸念がございましたので、その旨を北京にて中国側に伝達をしております。 いずれにいたしましても、東シナ海に領土問題はなく、尖閣諸島は日本固有の領土でございまして、今後も実効支配を続けてまいります。(拍手)
○議長(西岡武夫君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会