国際・地球環境・食糧問題に関する調査会 第3号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2011/04/27
会議録
○会長(藤原正司君) ただいまから国際・地球環境・食糧問題に関する調査会を開会いたします。 議事に先立ち、一言申し上げます。 去る三月十一日に発生しました東日本大震災によりまして甚大な被害がもたらされ、尊い人命を失いましたことは誠に痛ましい限りでございます。犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さんにも心からお見舞いを申し上げたいと存じます。 ここに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。 どうぞ御起立をお願いいたします。では、黙祷をお願いいたします。 〔総員起立、黙祷〕
○会長(藤原正司君) 黙祷を終わります。御着席ください。 ─────────────
○会長(藤原正司君) 委員の異動について御報告申し上げます。 昨日までに、江崎孝君及び橋本聖子君が委員を辞任され、補欠として白眞勲君及び佐藤正久君が選任されました。 ─────────────
○会長(藤原正司君) 国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査を議題といたします。 本日は水問題における取組について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 本日は、有限責任事業組合海外水循環システム協議会運営委員長伊藤真実様、株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行特命審議役環境ビジネス支援室長本郷尚様及び独立行政法人国際協力機構地球環境部部長江島真也様に御出席をいただいております。 この際、一言御挨拶を申し上げます。 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、まず伊藤参考人、本郷参考人、江島参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、伊藤参考人から御意見をお述べいただきます。
○参考人(伊藤真実君) どうも、伊藤でございます。 本日はこのような場所でお話をさせていただくような機会をいただきまして、ありがとうございます。 早速ですけど始めさせていただきます。 本日のテーマは水問題における取組ということでございますが、我々協議会は民間の団体でございます。水問題といいましても、水ビジネスの方になります。特に今日は、その中でも国内ではなくて海外の方に絞りまして、我々の今取り組んでおります内容であるとか問題点であるとか、そういうことをお話しさせていただきたいと思っております。(資料映写) まず、なぜこういう組織をつくったかというところから説明させていただきます。 三、四年前になると思うんですが、産業競争力懇談会というのが実はございました。これは、産業競争力の強化のためにいろんな提言をまとめて関連機関に働きかけようという組織でございまして、東レの榊原会長が今会長をなさっておりまして、三十二社、五大学、それから一独法から成る組織でございます。これがそのメンバーでございますけれども、いろんな分野の方々が入っておられまして、メンバーはほとんど会長か社長さんでございます。 こういう中で、〇七年に、水処理と水資源の有効活用技術というプロジェクトが、調査プロジェクトですけれども、走りました。ここで、水ビジネスを輸出産業とするにはやはりいろいろ政府とか関係省庁との連携が必要なんじゃないか、あるいは、民間としてもフォーラムをつくって、そういうところでモデル事業をやったりRアンドDをやるべきじゃなかろうかと。そのための民間の組織をつくるべきだということで、実はそういう提言をまとめた時期にちょうど経産省の方でもいろいろ水問題取り上げて、やはり何か輸出産業にしたいなと、何をやったらいいかなというような議論がされていたみたいです。 また、お亡くなりになりました中川先生等は、超党派というか、自民党中心ですね、あのときは、いろいろ水の研究会がなされておりまして、あのときはたしか洞爺湖サミットに向けていろいろ提言をされるべく研究会を立ち上げておられたと思うんですが、そういうちょうど同じ時期でございました。 そのころ我々も、ここに八年の十一月二十八日と書いておりますが、二年半ぐらい前ですか、同じような時期にいろんな組織立ち上がりまして、私たちもそのときに立ち上げたということでございます。海外水循環システム協議会、これ今からGWRAというふうに略させていただきます。 メンバーでございますけれども、当初十四社ぐらいでスタートしたんですが、今ここに挙げております五十社ぐらいのメンバーになっております。やはり水でいろいろな事業をやっていこうということを考えておりましたので、オールジャパン体制、つまりいろんな業種の方、水に関係する業種の方に集まっていただこうということで、おかげさまで、ここに色分けしておりますけれども、ゼネコンさんからプラントメーカー、あるいは膜やポンプなどの素材メーカーさん、あるいはファイナンス関係の方、電機関係等々いろんな業種の方今お集まりいただいておりまして、今活動を進めているところでございます。 我々が対象にしておりますビジネス、上水は上水、下水は下水と水の分野でもいろいろ日本でも民間の団体がございます。我々は今、ここに模式的に書いておりますが、左側は、海水が蒸発して、雨になってまた海に戻るような水の循環を左側に書いて、右側には、河川からあるいは地下水等から水をくみ上げて、浄水場で上水を造って都市用水として使って、さらにそれを使った後は下水としてまた河川とか海に戻すというようなことで今水が循環しておるわけですが、我々は、こういう中の上水あるいは下水だけではなくて、やはり水がないところには水を造っていかないといけないということもございます。 そういうことで、造水事業として書いておりますが、海水の淡水化であるとか、あるいは下水も水源として考えて、下水の再生技術であるとか、こういうことも売り物にしていきたいと。つまり、相手国のニーズといいますか、事情に合わせて、例えば海が近くて水がなければ海水の淡水化もあり得るでしょう。いろんなやっぱり事情、国の事情を考えてソリューションを提供していく、それをビジネスに変えていくというようなことを考えております。 もう一度申し上げますと、我々協議会の目的でございますが、海外を対象にして、今申し上げました水の循環を対象、さらには、EPCといいまして、エンジニアリング、プロキュアメント、あるいはコンストラクションと、そういうものを造って納めるだけのビジネスではなくて、運営まで取り込んだような形でのビジネスを目指しております。その基盤をつくっていこうということを目的にした組織でございます。 具体的には、三点ほど挙げておりますが、市場調査、国際交流、あるいは政策提言と。それから、技術開発も考えておりますし、モデル事業でもって運営の管理ノウハウを蓄積していこうじゃないかというようなことも考えて今活動しているところでございます。 それでは、ここから本論に入らさせていただきます。 まず、世界の水ビジネス市場でございますが、これはもういろんなところで、マスコミでも使われておりますけれども、報道されている数字でございます。これは、我々の前身でございますCOCN、産業競争力懇談会で実は出した数字でございまして、一兆、十兆、百兆の話ですね、これぐらいの市場規模。特に、素材関係一兆、EPCは十兆ぐらいで、残りの百兆は管理とか運営とかいうところ、ビジネスがやっぱり大きいんじゃないかというような提案をさせていただきました。 最近、経済産業省から数値が発表になっておりますけれども、八十六・五兆円、二〇二五年ですね。ただ、経済産業省のデータですと、素材、EPCと管理運営、どちらかというと六、四ぐらいで、管理運営が四割ぐらいじゃないかというようなことを発表しておられます。いずれにいたしても、二〇二五年には百兆円近い市場を形成して、かつその中でも管理運営、これをやっていかないとその市場は取れないと、大きなお金にはならないというようなことを今考えております。 そういう中において、これもよく言われる技術でございますが、日本の今強みということを少しおさらいをしたいと思います。これは、上下水道、それから海水淡水化、工業用水というふうに分けて書いておりますが、もちろんよく言われている話で、日本は技術的にはトップの技術を持っていると言われているんですが、例えば上下水道ですと、最近では、こういう横に絵をかいておりますけれども、MBRと、日本は膜が得意でございます。こういう微生物を使って処理する方式に更に膜を加えることによって、こう絵をかいておりますが、非常にコンパクトになってきれいな水が出るというようなことなんかは日本では得意技術の一つでございます。また、よく言われますが、管路の管理技術、漏水率が非常に低いと。東京都は三・六%で、もう海外の大きなところ、例えばロンドンでも二六・五%ぐらいの漏水率があるというようなところで、こういう管理技術は非常に日本は優れております。 それから、海水淡水化。これは、日本は実は余り需要がないものですから、設備として、システムとしては余り実績はないんですが、海外の方で今稼働しております設備、そこでは中枢となります膜、これ逆浸透膜、RO膜を使うんですが、これはまあ日本の東レ、日東電工、あるいは東洋紡というところで世界の半分以上の市場は取っていると。あるいは、使います高圧ポンプ、これも酉島さんなんかを始めとして半分以上の市場を取っているぐらいの非常に優れた技術を日本の方は持っております。 また、工業用水につきましても、今日本では、発表になっているのは八〇%近い水が回収されているというようなデータが発表になっておりますけれども、非常に工業用水、排水、その辺のリサイクル技術というのは世界でもトップではないかというふうに考えている次第です。 ただ、こういう中において、じゃ日本は世界に出ていっているのかといいますと、これがなかなか出切っていないと。もちろん、よく水メジャーと言われますヴェオリア、スエズ、歴史がございます。一八五〇年ぐらいからのところでございますので百五十年ぐらい遅れているということもあるんですが、日本は技術はありながらなかなか海外に出切っていない、実績を上げれていないということでございまして、日本の弱みといたしまして、私なりに代表的な三点を挙げさせていただきました。 順に、今やっている内容も含めまして説明させていただきます。 まず最初は、システムインテグレーターと言われるみたいですが、まとめる人が、会社がないんじゃないかということをよく言われます。これは、水の事業、上下水でも構わないんですが、水ビジネス、まず部材関係、ポンプでも膜でもそういうものを作る過程、それからそういうものを使って今度はシステムとしてお納めする工程、それからそれを使って水を処理する、さらには事業をやるというような工程が入ってくると思いますが、今、水メジャーと言われますこういうヴェオリアあるいはスエズ等々は全てできるわけですね、システムインテグレーターと言われるみたいですが。 それに比べまして、一番下に国内の例を書いておりますが、日本の場合には、部材メーカーはメーカー、プラントメーカーはプラントメーカー、さらには維持管理はまた地方自治体というふうに完全に分かれてしまって、これをまとめる力のあるところがないと。また、今までそういう必要性がなかったものですから、そういう訓練がされていないということでございます。 じゃ、今どういうふうにこの水ビジネスを日本はやっているかと申し上げますと、これはここ一、二年のトピックスまとめたものでございます。主に商社が今頑張っておるわけですが、ここで見られた赤い字、青い字、買収あるいは出資という言葉が飛び交っております。つまり、いろんな、日本の企業は余りなかなか出ていけないものですから、商社の方々は買収したり出資したりして水事業に参画しておられるというのが今実態でございまして、下に日揮、日立と書いておりますが、最近こういう技術を基に海外に出ていこうというような会社が今出てきているというのが、やっと出てき始めたというようなところでございます。 我々、民間企業の集まりでございますので、素材メーカーとプラントメーカーというのは容易に一緒になることができます。それに今我々としては、運営ノウハウを持っております自治体といろいろ話合いをしながら、一緒になって何か仕事をやっていきたいなということで今動いている最中でございます。 ただ、御存じのとおり、自治体は、そういうものを持っていながらも、いろんな法的な規制を受けておりますので、行動範囲がある程度限定されるというような問題も抱えながら、そうはいっても今何とかしようということで、いろんなところで話合いを進めているという状況でございます。 それから、二番目の問題でございますが、コストの問題です。これはもう一番日本としては欠点でございます。 今、代表的な例として、海水淡水化のを例にしまして御説明したいと思います。 これは福岡のまみずピアと言われるやつのプラントの絵でございますが、簡単に申し上げますと、海水というのは、まず右側の目の粗いUFと言われる膜でろ過して夾雑物を取った後、真ん中にポンプが並んでおりますが、あのポンプで七、八十キロ圧力掛けて、その左側にありますROと言われます目の細かい膜でろ過して、そして真水を得るというのが膜を使った海水淡水化のシステムでございます。これは日本で一番大きくて、日量五万トンぐらいの生産をやっているんですが、今世界ではもう三十万トン、四十万トンの時代に入っております。 今、我々としては、将来は百万トンぐらいになっていくだろうと、そうしたときに今のコストをもっと、イニシャル、ランニングとも半分ぐらいにしないとなかなか勝てないんじゃないかというようなことで、実はこういう、国プロでございますが、最先端研究開発支援プログラム、FIRSTプログラムですね、これを今、JSPSさんから受けて、NEDOから受けて、そして東レの栗原さんを中心研究者として、ここに書いていますが、十大学、それから十七社、それから延べ人数百四十名がかかわって今開発に取り組んだところでございます。メガトンウオーターシステム、百万トンを目指して、コストを半減というようなことでございます。 右側にいろいろ検討課題書いておりますが、とにかくもうコンセプトを変えていかないとなかなかコストは半分にならないだろうということで、膜だけではなくて、最後、工事をやることまで含めまして、ソフトからハードまでトータルで全て見直して将来は百万トンぐらいずつになると、日本のここで得られた成果がグローバルスタンダードになるようなことになればというようなぐらいのことを考えて、今開発が始まったところでございます。 ただ、そうはいいましても、お隣の韓国、ここはSEAHEROというようなプロジェクトが走っていまして、やっぱり五年間ぐらいで海水の淡水化のシステムの開発が進められているんですが、延べ五百人ぐらい掛けまして、ここはたしか、日本は約四十億ぐらいだと思うんですが、百二十億ぐらいのお金を掛けて今開発が始まっておりますので、日本としても余り安閑とはしておれないと、いつどうなるか分からないというような状況であることは事実です。 いずれにいたしましても、これ、今海水淡水化の例を御説明いたしましたけれども、コストの問題、これは上下水道から含めまして全てやはり民間の責任だと思っていまして、我々、コストの下げ方はいろいろ方法がございます、今それに取り組んでいる最中でございます。何としても戦えるコストまで下げていきたいなというふうに思っております。 それから、三番目でございます。最後の問題ですが、やはりいろんな実証の、運営の経験がないじゃないかという問題でございます。これは、今、NEDOで取り組んでおりますプロジェクトを例に御説明してみたいと思います。 今、NEDOが十テーマぐらいこの実証研究スタートしております。要するに、経験がなければ自分たちで一回海外でいろいろやってみたらどうだという、そしてそれが将来、実案件に育っていけばいいじゃないかというようなことで進んでいるテーマでございます、プロジェクトでございます。中国から東南アジア、あるいは中東、オーストラリアも入っております。いろんなところでスタートしております。 この色が違いますのはフェーズが1から2、3と分かれておりまして、フェーズ1が概念設計、フェーズ2が詳細設計、フェーズ3が実際装置を納めて運転していくというものでございまして、フェーズを変わるたびにステージゲートがございまして、そこで審査を突破しないと次のステージに行けないと。途中で終わってしまうものもございます。この中で今青いのがフェーズ3で、実際もうモデルプラントが動いているというものでございます。 この中で、北九州、国内でもやっておりますので、その例について御紹介したいと思います。 これは福岡ウォータープラザといいまして北九州と、周南でスタートしております。もう動き始めております。北九州に六千平米ぐらいの土地借りまして、ここにROであるとかUFであるとかいう膜を入れておりまして、海水、それから近くにございます日明下水処理場の下水も使いまして、とにかく安いコストで工業用水をつくるというようなシステムをここに納めております。実際つくりました水は、近くにございます九州電力の方に送っております。千四百トン規模でございます。そういう、水を供給しながら、開発もやりながら水の事業が成り立つかどうかというようなことも検証しているわけでございます。 それからもう一つは、そこに十六インチなんて書いていますが、膜は普通八インチなんですが、ここには十六インチ、これは国内でも最初だと思うんですけれども、大型の膜なんかも入れております。これはなぜかといいますと、海外からお客さんに来て見ていただくときに、やはり日本の新しい技術も入れておきたいという意図でございます。 また、左側にテストベッドと書いておりますが、そういうデモプラント、実証プラントだけではなくて、いろいろ企業で開発されたものをここのテストベッドで実験してもらうと。実験しやすいようなスペースということで、そういうものも用意しております。 ここで申し上げたかったのは、やはりFSというものの重要性で、最近では、今日、JICAさんもお話になりますが、いろんなところでFSのテーマは今公募に掛かっております。やはり我々民間としましては、FSでまず海外でやりながら、それで先々の実案件を目指してやっていくということは非常に有り難い話でございまして、今後ともますます予算を付けていただいて、我々としても世界のあちこちでそういうFSのための実験等を進めていきたいというふうに考えております。 ちょっと、時間が大分押し迫ってきました。実は最後に課題として挙げておりますので、今まで申し上げましたのはどちらかというと技術中心でございました。ただ、事業をやっていくためには技術だけではできません。例えばファイナンスの問題であるとか契約の問題だとか、いろんな問題がまた絡んでまいります。大学でいえば理科系と文科系みたいな話になると思うんですが、そういう問題点を実は我々協議会の中でも国の方にいろいろお願いしないといけないなというようなことで今議論しておりまして、その一部をこれまとめたものがこの表でございます。 ちょっと時間が予定の時間になってまいりましたので簡単に申し上げますと、ODAの件、ODAの件ではやはりもっとODAをうまく実案件の方に結び付けていけるような、例えばタイド率の問題であるとか、ここに、一番下に書いていますけれども、単なるEPCだけじゃなくて、維持管理まで含めたような形のスキームに変えられないかとか、そういうこともお願いしていきたいと思っておりますし、また一番でございますが、これは案件情報ということでございますけれども、先日、数か月になると思うんですが、各大使館、四十九か国でインフラの専門官という方が決まったわけですが、その方たちからどんなふうに情報を得て、それを実際の案件につなげていくかというようなことがまだまだ今からかなというようなことも考えております。 例えば、私、一年半ぐらい前ドイツで、実は我々と同じような協議会の人たち、我々より規模が大きいんですが、そういう人たちと話したことがあるんですが、ドイツでの場合ですと、在外の大使館等から入った情報がそこに落ちるようになっているというような仕組みもでき上がっております。是非、日本もせっかく専門官ができましたんで、その情報がうまく我々のところまで伝わってくるような仕組みというのをまたお願いしたいなというようなことを思っております。 あとは、まだいろいろございますけれども、ちょうど時間になりましたので、大分急ぎましたけれども、これで終わりにさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 次に、本郷参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。本郷参考人。
○参考人(本郷尚君) 本日はこのような場にお招きいただきまして、大変ありがとうございました。 私は、海外水インフラビジネス、特に民活民営化型の水インフラビジネスにつきまして、国際的な、公的な金融の観点からどのように認識しているか、そして、どのような課題があり、どのようなソリューションが可能かにつきまして、簡単に報告させていただければと思います。(資料映写) 日本では、今海外の水インフラというのが非常に注目されており、先ほどのGWRAの伊藤様からありましたように、たくさんの企業の方が取り組まれているわけでございます。なぜ、今このような形で非常に水インフラに企業の方が取り組んでいらっしゃるのかということの背景として、私どもは三点ほど認識しております。 まず第一は、水インフラ市場、たくさんの企業が参画されているわけですけれども、国内市場というのは成熟した市場でありまして、なかなか大きな拡大が見込まれていないということが第一にあろうかと思います。第二のポイントは、一方新興国、特にアジアの諸国におきましては、今インフラ需要が非常に伸びております。水も例外ではございません。海外には非常に大きな市場があるということ、これが第二の背景かと思います。第三のポイントは、技術の問題があるのかなというふうに見ております。特に自治体の方とお話しいたしますと、今まで築き上げたインフラ、いずれまた改修が必要になるだろうけれども、そのために必要な技術者、これをどうやって維持していくかというのが非常に大きな課題だというふうに聞いております。つまり、今海外に出ることによって日本の技術を維持する、さらには磨きを掛けて、次の日本の国内市場の整備のために、国内の水インフラ整備のために使おうと、こういうような考えもあろうかというふうに思っております。 そういうことを考えれば、今、日本の企業あるいは自治体の方が海外の水インフラに目を向けるというのは自然であろうかなと思います。そういう観点からすれば、今チャンスであり、ラストチャンスとは申し上げませんけれども、まさに今、逃してはならないチャンスなのかなというふうに考えております。 たくさんの日本の企業の方が水インフラビジネスに取り組んでおられます。そうした方々とお話しすると、一つはっきり見えてきたことは、日本にはたくさんの企業がある、で、多様な取組が可能であるということではないかと思います。 例えばメーカーさんですと、こちらの方には酉島さんとか挙げさせていただいておりますけれども、やはりいい技術を持っていい製品を海外に売っていきましょうという企業がございます。こうした企業は、必ずしも投資にこだわるわけではなくて、やはり自分の強さである製品の強さをまずは前面に打ち出したビジネスモデルをつくろうとしているというふうに理解しております。 また一方で、投資に注力しようという企業の方もいらっしゃいます。やはり、設計から最後の維持管理まで一貫して行うことによって大きな収益、安定した収益が得られるという、そういうようなことは国際的にも、例えばフランスの水会社にもありますような形で、世界的には出てきておりますので、そうしたことを目指す企業というのも当然あると思います。 ただ、こうした企業の多くについて言うと、例えば、海外でのプラント事業を行っている会社というのは、海外のプラントを一度取ると非常に大きな収益を上げますけれども、毎年コンスタントに取るわけではないので収益が安定しません。ですので、こういうような投資に出ることによって収益を安定させるというメリットがありますので、それを目指しているというような動きも感ずることがあります。 つまり、水投資というのは、水インフラへの投資というのはなかなか高い収益性は期待はできない、長い投資回収期間が掛かると。それが弱点と言われておりますけれども、その弱点が会社経営全体の中では非常にフィットするような資産、運営になるという可能性、そういうこともあろうかと思っております。 そしてまた、この投資型について言いますと、また様々な形態がありまして、日本独自の会社をつくろう、チームジャパンをつくりましょうというところもあれば、実績ある海外企業との連携を図ろうというところもある。また、企業の買収を図ろうというところ、様々なやり方が今進んでいるように思われます。 金融機関から見た場合、どのようなところが水インフラの難しさなのかという点でございます。 やはり第一に挙げられるのは、投資期間が非常に長いということです。製造業の投資であれば通常五年程度で投資回収を図ります。あるいは、電力であれば十年から十五年、こういったところで投資回収を図るというのが常でございます。ただ、水の場合は二十年、場合によっては三十年という非常に長い期間掛かるという、これは非常に特徴的なことではないかと思います。 また、通貨の問題というのがございます。 同じくインフラである電力の事業でありますと、やはりエネルギーの供給は海外から国際的なエネルギー価格、つまりはドルベースでの輸入ということが基本になりますので、料金の収入、電力を売った場合の収入が現地の通貨であっても支出サイドが国際通貨ということが非常に多いということで、いろんな国際的なプロジェクトにおいては国際通貨、ドル、ユーロ、こういった通貨でのプロジェクトがなされております。ただ、水の場合は供給も需要も全て現地ということで、基本的には現地通貨でのプロジェクト形成がなされるという点が特徴的になってきております。 また、三つ目のポイントといたしましては、現地政府、地方自治体の関与が非常に大きいということがございます。 基本的には水は公共サービスという形で位置付けられておりますので、やはりどのような形であれ現地の地方政府、地方自治体からの規制というものを受けるわけでございます。この地方政府のリスク、金融の観点からいたしますとリスクという言葉を使わせていただきましたけれども、その不確実性というのは国際金融にとっては非常に厄介な問題ということがございます。 それからもう一つは、日本企業、経験不足と書かせていただきましたけれども、これから出ていく時代でございますので、どうやって経験を積んでいくのか、どうやって実績を上げていくのか、こういった点が課題になってきているように思います。 しかし、日本には一つ参考になる事例がございます。海外のインフラといった場合、日本企業が非常に多くの実績を上げているのが電力のインフラでございます。電力のインフラにおきましては、例えば日本のある商社さんは非常に積極的に電力事業を行っておりまして、その商社の総発電量というものは日本の地方電力一つに相当する規模にももうなっているという実績がございます。 水のプロジェクト、水インフラというところなんですが、先ほど申し上げましたように幾つかの相違点はございますけれども、基本的な構成というものは電気と変わるところがございませんので、日本の企業が豊富に持っている電力インフラ事業の経験を活用していけば、民活民営化型の水インフラにおいても日本企業が一定のシェアを確保し、そして日本の経済のために貢献するということは不可能ではないというふうに見ております。 もちろん、日本企業にはいい点、強い点たくさんございますけれども、現時点においてはやはり克服しなければいけない課題というのもたくさんございます。ここからは簡単にこの弱点克服の方法といいますか、一つの解決方法を提示していきたいというふうに思っております。 海外の水インフラ、ここでまず成功を収めるための第一というものは、基本的にはきちっと、そのプロジェクトが経済性があるかとか、あるいは不確実性はないか、不確実性についてはどのような対応方法が考えられるか、様々な審査あるいは検討を加えることが基本でございますが、やはりその前に一番大事なことは、いい案件を見付けるということになるかと思います。 では、いい案件をどうやって見付けるか、ここが課題になるわけですけれども、水インフラにおいても、一つ他のインフラあるいは他の投資事業と共通なことは、やはりいい案件を得るためにはいい情報ソースを、あるいは情報源を見付ける必要があるということだろうと思います。そしてまた、実際に事業を行っている最中には様々な問題が起きてくるわけでございまして、その問題解決のためにはやはり経験が必要でございます。 ということで、一つの方法としては、海外の有力企業、実績ある企業との提携というのも一つ考えられる方法ではないかと思います。先ほどGWRAの伊藤様が示された日本企業の取組の中にも相当程度、日本企業と海外企業の提携というものが既に含まれていたかと思います。 私ども国際協力銀行においても、そういった日本企業と海外有力企業との協力関係構築のために支援をしようということで、こちらの方のスライドには二つほどケースを紹介させていただいておりますけれども、シンガポールの企業、ハイフラックス社との協力というものを行っております。このシンガポールの企業は、アジア、特に中国、それに中東、中近東、こういった地域で非常に大きな実績を示している国際的な有力プレーヤーであります。こちらと我々が提携することによって、私どもは日本企業とシンガポール企業が共同で行う事業を金融面からお手伝いしていこうという狙いでございます。 また、こちらのスライドの下の方にあるスペイン政府との協力でございますが、スペインの企業というのは水においてもかなり世界的に見て大きな実績を示してございます。特にスペインの企業が熱心なのは、中南米、そして北アフリカでございます。ここで非常に大きな実績を示しております。一方、日本企業にとっては、北アフリカ、中南米というのは比較的弱い地域でございますので、そういった弱い地域でいいプロジェクトを見付け、いいプロジェクトを形成していくためには、スペインの企業との協力関係を築くということも一つの方法ではないかなというふうに思います。 もう一つは、日本の自治体との連携でございます。 先ほど伊藤様がシステムインテグレーターということを御紹介されておりましたけれども、やはり水はデザインから建設、維持、運営管理、ここまで一気通貫に見ることが必要でございます。特に、日本企業においては、維持管理の経験というものは余り多くないわけでございますので、この自治体の経験というもの、日本の自治体の経験をうまく使うということも大事ではないかなというふうに考えております。 私どもは、東京都、北九州市、横浜市とそれぞれ環境・水分野を対象にした業務協力を結んでおりまして、こういった自治体の力を日本の民間企業の方の海外民活民営化型インフラ事業に投資する場合にお手伝いできる、一緒にやろうというようなことを考えております。 三番目のポイントは、金融力ではないかというふうに思っております。 先ほど申し上げましたように、水のインフラ投資回収には二十年、三十年という非常に長い期間が掛かります。非常に大きな初期コスト、それを長い時間掛けて回収するということでございますので、外部からの資金調達というのは不可欠ということになります。 先ほどのシンガポール、スペインとの協力関係ということを申し上げましたけれども、実はこの協力関係の裏には金融の問題というのがございます。シンガポールと協力関係を結んだ直前にはサブプライム問題がございまして、シンガポール企業が一生懸命資産を、投資を繰り返してきて順調に伸ばしていたわけですけれども、折からの金融危機のあおりで資金調達が非常に難しくなってきたという背景がございました。そういったことをとらえまして、私どもは、日本企業と協力するプロジェクトをやるならば金融面でもお手伝いしましょうというような形でアプローチをし、協力関係を築くことに成功しております。 このように、金融というものは非常に水インフラにおいては重要な役割を果たす可能性があると思っております。 ただ、その金融のところについても一つ問題はございます。 政府が考えておられますように、日本企業が海外の水インフラにどんどん投資して、そしてどんどんプロジェクトを積み上げていきますと、大変な金額の投資残高になっていきます。五年で回収できるプロジェクトであれば毎年百億円ずつ投資していっても五年後にはそこでフラット、コンスタントに投資残高はなるわけですけれども、二十年、三十年ということになりますと、五年で回収できる投資の何倍もの残高が必要になってくるということです。 そうしますと、こういった大量の資金を調達する市場というものが必要となってくると思います。言わば、水インフラ市場に対する第一次的な投資者が民間銀行であったり国際協力銀行であったり援助であったりするかもしれませんが、やはりそれだけでは量的には十分ではないので、二次市場としての大きな国内市場、投資市場が必要になってくるのではないかというふうに考えております。 そして、もう一つの弱点克服の方法というのですが、制度構築、ここが非常に大事ではないかと思います。 私どももいろいろ相談を受けて、民活民営化型のインフラ案件、検討しております。そこで出てくる最大の問題は、料金改定の問題です。 二十年、三十年となりますと現在の価格水準ではとても維持できないわけで、ある一定期間たったところで料金を改定していく必要があると思います。また、現地でインフレが起こるかもしれません。様々なことが起こりますので、それを反映した形で料金改定がなされなければいけないわけですが、現時点においてはそういうような、第三者が見ても納得できるような、売手、買手が見て納得できるような価格決定制度というものがある国というのは多くはございません。 こういった状況ですと、なかなか安心して企業の方も投資できないし、また金融機関としても融資はできにくい状況でございます。やはり価格改定方式の確立、あるいは中立的な料金改定審議制度、こういったものをつくっていく、例えばこういったものを日本からの援助の形で現地に根付かせるということも重要な協力になってくるというふうに考えております。 それからもう一つ、最後の点でございますけれども、新しいモデルをつくっていくということが大事だろうと思います。 現在、日本では、システムインフラ、パッケージインフラということで、物を単体だけ売るのではなくて、そのプロセスあるいはさらには社会制度を含めた形で日本型のモデルを海外に評価してもらい、その中で投資をし、あるいはその中で輸出をしていこうという考え方が取られていると思います。 今回、非常に不幸な震災というのはあったと思います。ただ、これからは震災復興が本格化すると思いますが、その中では、恐らくは防災、それから高齢化対応、そして環境負荷軽減、こういったことが鍵となるのではないかと思います。もしそうなるのであれば、これから高齢化社会を迎える中国、韓国、あるいはいつかは高齢化社会を迎えるASEAN、こういったところでも必ずや使い道があるはずですので、こういった日本の国内での経験の出口を海外市場に求めるというようなアプローチも一つ検討してみてはいいのではないかというふうに思っております。 JBIC自身のファイナンスでございますけれども、私どもは、日本企業が輸出で事業に参画する場合、あるいは投資で参画する場合、このいずれでも御協力できるという状況になっておりますし、また、現地の側で投資環境整備というものが必要であれば、その環境整備にも金融面からお手伝いするということができる状況になってございます。 ただ、実際、今回のこの水インフラのことを考えていきますと、もちろん従来と同じようにプロジェクト・バイ・プロジェクトでの協力ということは可能ではございますけれども、もう一歩踏み込んだ協力というものが必要かなというふうに思っております。それは、先ほど申し上げました料金改定制度、こういった投資環境整備についてもう少し踏み込んだ形で現地の政府との政策対話というものをやっていく必要があるというふうに感じております。 私ども今考えております新しいビジネスモデルということでございますけれども、やはり民間企業の方、実際に投資されるのは民間企業の方ですので、それをどうやって支えていくか、官の役割として一番大きなところは投資環境整備であろうし、そして、その初期コストが非常に高くて投資回収に時間が掛かるという水インフラの特徴を考えれば、どうしても資金調達、ファイナンスは不可欠ですので、ファイナンス面から最後の一押しをするという、パブリック・プライベート・ファイナンシャル・パートナーシップ、こういったものを水インフラについても適用できるビジネスモデルではないかと思い、取り組んでいるところでございます。 ありがとうございました。
○会長(藤原正司君) 本郷参考人、ありがとうございました。 次に、江島参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。江島参考人。
○参考人(江島真也君) 私、国際協力機構、JICAの地球環境部の江島と申します。国際協力機構、JICAという呼び方で通用しておりますので、本日は私たち自身のことを呼ぶ際にもJICAという呼び方を使いたいというふうに思います。 本日は、先ほどのお二方の発表に加えましてもう少し広く、直接的には水ビジネスとは余り関係のないかもしれません開発途上国の事例も含めまして、JICAによります水分野の国際協力について説明を差し上げたいと思います。(資料映写) 大きく分けて三つあります。一つは安全な水へのアクセス、二つ目が人口増加に伴う水資源不足、そして三つ目が都市への集中と水供給です。特に三つ目の点が水ビジネスとの関係が深いかと思いますので、少し詳しく説明したいと思います。 まず、安全な水へのアクセスです。 水の確保は基本的人権と人間の安全保障に直接かかわります問題であるにもかかわらず、いまだに世界で八億人、九億人といった人たちが安全な水にアクセスすることができていません。この地図にも示されておりますとおり、その多くはサハラ以南のアフリカに位置します。それからアジアでも、この地図でいいますと、アフガニスタン、ミャンマー、カンボジア、パプアニューギニアといったような国々では依然として低い水準にとどまっております。こういった国々は所得水準や社会開発指標が低い、いわゆる後発開発途上国といった国々でありまして、なかなか商業ベースでの飲料水の供給にはうまく乗っからないということで、引き続き政府開発援助、ODAといった公的資金で支援していく必要があるというふうに考えております。 安全な水へのアクセス、長年にわたる我が国あるいは先進国、NGOなどの支援によりまして、我が国だけで見ましても四十八か国、二千八百万人に対しまして安全な水を供給してきております。また、技術者レベルでも一万三千人の技術者を既に育成しております。しかしながら、先ほどのスライドにありましたように、安全な水にアクセスできない人数というのは億単位ですので、更なる取組が必要であります。 国連としまして、ミレニアム開発目標というものの中の一つに、二〇一五年までに安全な水にアクセスできない人口の割合を半減するというものがありまして、JICAとしましても、このアフリカ諸国での水プロジェクトなどではこの目標にどれだけ貢献できたか、貢献できるのかといったような観点からプロジェクトの形成と実施を行っています。 それから、二〇〇八年、横浜で開催されました第四回アフリカ支援国会合、TICADⅣで採択されました横浜行動計画というものの中にも水分野での目標が織り込まれています。 こういったものにつきまして、JICAでは資金協力による施設の整備と技術協力によります維持管理能力の向上をうまく組み合わせながら支援を展開しております。 それから、人口増加に伴う水資源の不足という問題です。 世界中の人口が依然として増加している中で、幾らその施設や技術を整備していっても、なかなか水資源の絶対量が不足するといった心配を払拭するには至っておりません。さらに、普通我々水というとすぐ飲み水を連想しますが、水は飲み水以外に農業や工業にとっても不可欠であります。 このスライドの右側に示されておりますように、実は農業が水の需要者という意味では最大のセクターです。次が工業で、家庭内での需要というのは一三%程度にとどまっております。この右の図はマッキンゼーが予測した図なんですけれども、二〇三〇年には需要に対して四〇%、量でいいますと二兆八千億トンの水が不足するのではないかと心配されております。二兆八千億トンというとちょっとぴんときませんが、琵琶湖の百個分ですね、琵琶湖百個分ぐらいの水が二〇三〇年には世界で不足するというふうに言われております。 後ほど説明しますが、なかなか、世界中の水というのは海水がほとんどですので、淡水の開発能力というのはそれほどありません。すなわち、新規の水源開発とともに、並行しまして効率的な水の利用や総合的に水を管理するといったような取組が必要かと思います。 都市への人口集中が水供給に及ぼす影響というものも深刻です。人口が増加し、かつそれが世界中で都市に集中しているという現象があります。 例えばサハラ砂漠以南でのアフリカでは住民の六二%、それから南アジアの都市でも四三%がいわゆるスラムと呼ばれる都市に流入して劣悪な居住環境に暮らしております。ほとんどの場合、こういったところでは水道はありません。せいぜい一本の井戸に百軒ぐらいの人たちが水を使っているというような状況です。ここにも支援の必要が大いにあります。 ただ、ここは余りにも需要が巨大過ぎまして、ODA、我々がアフリカで井戸を掘って農村で百軒ぐらいの人たちに水を使ってもらうという単位ではとても及びません。 こういう場合に、途上国でありましても規模が大きくなれば民間ビジネスとして成り立つケースがあるということで、ここに、JICAにおきましても、伝統的な都市水道整備支援に加えまして、新たな取組としまして、官民パートナーシップ方式による水道プロジェクトについても支援を開始しました。 もう一度アフリカにおけるJICAの取組、安全な水へのアクセス向上に戻ります。 TICADで採択されました目標に沿いまして、二〇〇九年度末時点で三百四十二万人に新たに水を供給し、水関連人材、一万二千人以上育成しております。アフリカの場合は簡単な井戸が多くて、水関連人材といいましても、高度なエンジニアというよりは自分たちの井戸を自分たちで修理できるといったようなレベルの人たちなんです。ただ、これはアフリカのように、遠隔地、都市からはるか離れた農村で井戸を運営していくに当たっては、自分たちで修理できるというのは非常に大事なポイントで、レベルとしてはそれほど高くないエンジニアといいますか、ちょっと技術を持った人の育成というのが非常に大事になっております。 これはアフリカでの活動状況ですけれども、やはり水資源が厳しい西アフリカを中心に、アフリカ中で井戸を掘っております。 ちょっと余談になりますけれども、中国も今盛んにアフリカで井戸を掘っております。実はいわゆる本数ベースでは、はっきりした数字ではありませんが、ざっと我々の十倍ぐらいの井戸を掘っているというふうに現地でいろいろ聞いております。 ただ、これも、井戸というのは五年、十年使っているうちに違いが出てきまして、日本が掘った井戸は、綿密な調査の下にやりますので五年たっても十年たってもほとんどしっかり使われていると。ところが、中国の掘った井戸は、二年後行ってみたら水が出なくなったとか井戸の設備そのものが壊れたということで、必ずしもその本数が多いだけがいいかということではありません。 ただ、もちろん本数も大事ですし、それから実施のスピードがよく途上国から中国は早いと。中国は先進国のルールとはちょっと違うところでやっておりますので、我々もスピードアップの努力は行っておりますけれども、中国は本当に即断即決で、もうその場で決めてその場で実施と。ここは見習うべき点も多いかと思って、ある意味切磋琢磨しながら特にアフリカでは取り組んでおります。 それから、統合水資源管理の推進、これは先ほど言いました効率的に水を使いましょうという話でございます。 先ほどちょっと触れましたが、地球上に存在する水の量は九七・五%が海水ですね、淡水は二・五%。ちょっとぴんとこないかと思いますけれども、この二・五%は、三京、兆の上の京ですね、三京五千兆億トン。ちょっと私も想像できないんですけれども、それぐらいの量があると。ただ、それもその淡水の大半は南極やグリーンランドといった氷河や北極の氷になっておりまして、実際に利用可能な河川や湖沼、地下水といったものは、全体の量で地球上の水の全体の〇・八%、一京一千二百兆トン、琵琶湖でさっき示しましたが、琵琶湖でいうと琵琶湖四十万個分というふうに計算されます。 実は、地下水もなかなか開発が容易ではないので表流水に限ってみますと、何と地球上の水の〇・〇一%以下、百兆トンしかないと言われています。これで琵琶湖の四千個分です。琵琶湖の四千個分しか世界中で簡単に使えないとなると、かなり限られた水の量だなということがさすがに私自身も理解ができるぐらいの規模だと思います。 説明長くなってしまいましたが、いかに地球上に水がたくさんあるとはいっても、それを有効に活用しなくてはいけないかというのが今の数字からお分かりになるかと思います。 一つ事例としましては、インドネシアのブランタス川でJICAが長年取り組んでおります統合水資源管理の事例をここに示しました。ブランタス川はジャワ島の東側の大きな河川でして、長年洪水を繰り返してきたと。この川を治水すると同時に、エネルギーあるいは農業、それから下流のスラバヤ市では飲料用にも開発するということで、三十年以上にわたりましてこういったダムですとかかんがい、それから河川改修、水道、砂防プロジェクトといったものを行ってきておりまして、これは一つの統合水資源管理のモデルとして我々も考えております。 それから、もう一つが水資源保全技術ですね、水をいかに効率的に使うかと。ここでも、農業セクターにおきましては節水かんがいをいかに進めるかと。あるいは、中国では水源を涵養するために森を、山をしっかり守らなくてはいけないということで、水資源涵養という観点からの植林事業。それからパキスタンでは、これはまだ実現には至っておりませんけれども、計画調査しましたのは、地下水を涵養するためにダムを造るというようなことも今取り組んでおります。 それから最後の、都市部における水道サービスの拡充の件です。先ほど触れましたように、資金協力によります施設の建設や拡充と、それから、技術協力によります、途上国側の能力強化を組み合わせた都市の水道サービスへの支援を行ってきております。また、水道事業は資金規模が非常に大きくなるために、ほかの公的金融機関、例えばアジア開発銀行や世界銀行、あるいは民間銀行などによります協調融資といったような取組を行っております。 それから、大事な点が、技術協力を通じた水道事業体の能力開発です。先ほどちょっと伊藤さんからの説明にもあったかと思いますが、日本の無収水率はもう世界に冠たる低さですね。東京が三・六%という数字がありました。途上国では四割、五割は当たり前で、せっかく作った水の半分ぐらいしか料金につながっていないということで、こういった点も、途上国側から見れば、日本のこの極めて低い無収水率というものを大いに学んで自分たちのものにしたいというような要望が非常に強く寄せられておりまして、そういった点における技術的な協力も長年展開しております。 それから、最後に、JICAとしてそれでは水ビジネスの海外展開にどういうふうに絡んできているかという点でございます。 大きく分けて、まず、開発計画を作る段階で積極的に絡んでいくと。同じく伊藤さんからFSの話がありましたけれども、FSの更に上流に水資源開発の総合的なマスタープランを作ると。さっきブランタス川の事例示しました。あのように、一つの流域でどういった水開発をしていくのかという大きな絵を描いて、その中で、特に核となるような個別の水道プロジェクトであったり、ダムのプロジェクトであったり、こういったものに対して個別のFS、フィージビリティースタディーを更に行っていくと。 そうやって上流から取り組むことで、日本の場合は援助ですから、直ちにそれが日本企業を使ってやりなさいというわけにはルール上いかないんですけれども、上流部分の開発計画の中で日本企業が得意とするような方法だとか取組、施設というものを相手に提案することによって、それが実施に移される段階では非常に日本の企業の皆さんに有利になると。余り露骨にやるとちょっと途上国側から嫌われる可能性もあるんですけれども、そこはいい技術を適正な価格でということであれば何も文句は出ませんので、なるべく上のところから絡んでいくというのが大事かなと思っております。 それから、何度も出てきましたが、官民共同事業ですね、パブリック・プライベート・パートナーシップ事業、ここに最近我々も力を入れております。純民間ベースでできるプロジェクトに何も貴重な、公的な援助のお金を使う必要はないんですけれども、ちょうど中間段階にあるような、アジアであれば発展途上にあるような、まだ完全に単独で民間では厳しいなというようなベトナムであったり、こういったところは官民パートナーシップで、官、官といいますか、日本が公的な援助が絡むことで相手の国にもちゃんと話ができると。 本郷さんからもありましたように、料金改定の話であれば、民間企業単独でやるとそんなの知らないといって、十年後に言われたときも、我々が絡んでいれば、いや、そんなはずじゃない、ちゃんと約束したでしょうと。そうしないと、余り、ちょっと言い方あれですけれども、二国間関係に響きますとか、日本の援助がまた影響しますというような、ちょっとそういった言い方もできるかと思いまして、総合的に見て、官民で一緒になってやった方がいいというような国は確実に存在すると思いますので、そういったところに特に重点的に取り組んできております。 それから、もう一つが日本の技術と経験を途上国に紹介をすると。日本の水道が非常に優れているというのはだんだん認識が広まってきているんですけれども、日本の場合、運営、維持管理は自治体が基本的に行ってきたということで、日本の企業の名前が海外では有名でも、例えば北九州市といっても、日本の都市だけれどもそこがどうしたのということになってしまいますので、それを何とか分かってもらうと。今、幸い、大きな都市では水ビジネスに積極的に出ていこうという都市が多くて、東京、横浜、北九州、大阪、名古屋、ほとんどの都市では取り組んでおられます。 そこで、そういった都市の皆さんに、まずはODAのプロジェクトに、単なる技術のアドバイザーじゃなくて一受注者として、ビジネスとして入っていただくと。これで実績を積みまして、積んでいただいて、海外で入札に掛かったときに、いや、ちゃんと国内だけじゃなくて、こういった国でも実績ありますよということを示せれば、あとは日本の企業の皆さんの優れた技術力プラス日本の自治体の優れた運営能力のセットでビジネスにつながるというようなシナリオでございます。 現在、このスライドに示しておりますように、横浜の横浜ウォーターという株式会社、横浜がつくった会社がフィリピンのセブ市での水道運営改善事業の調査に入札で参加されまして、受注されて今取り組んでおられます。それからもう一つ、北九州市の上水道局がカンボジアのシェムリアップ市で行っております我々の有償資金協力の技術支援業務を同じく受注されまして、これも仕事に取りかかっていただいております。こういった実績が積み重なってくることで、海外に対する訴求力も格段に向上するかというふうに考えます。 それからもう一つ、外の皆さんを国内に招いて日本の技術や経験を紹介するということも積極的に行っております。JICAの場合、研修制度がありまして、海外から研修員を毎年何千人単位で受け入れております。その中で、水道セクターにつきましても、特に幹部のクラスを、水道事業体の幹部クラスを招きまして研修を毎年行っております。 最近では、二〇一〇年の一月に横浜市と共催で開催しておりまして、その際に、単なる技術的な研修だけじゃなくて、日本の自治体や民間企業の皆さんをお招きして共同のセッションを行いました。そこで一種の顔合わせとお見合いをすることによって、この日本に来た人たちは、実際に横浜市だとかほかの都市の水道事業を見学、視察されて、ああ、なるほど、日本では自治体が運営、維持管理を担っているんだ、しかも非常に高い技術力を持っているということが分かっていただいて、それが後々、それぞれの国で民間ビジネスとして発注する際に日本の自治体の能力を確認できるという仕組みでございます。 それで、これはJICAで取り組んでおります官民パートナーシップ事業の模式図でございます。上の段が従来の完全に官、パブリックセクター丸抱えのケース、下が、一例としまして官民組合せのケースでございます。 例えば、取水と配水、給水の部分は基本的にはパブリックセクターがやるんですけれども、運営管理部分を民間が委託すると。あるいは、この図ですと、水を作る部分はもうプライベートビジネスとして取り組むというような組合せで、これはバリエーションはいろいろあるかと思います。一部、右下の図は、JICAで再開のために現在制度設計中の海外投融資という仕組みがありまして、一部、日本の民間企業の皆さんを直接支援するような制度も再開しようとしております。 ここの官民パートナーシップのポイントは、繰り返しになりますけれども、丸投げではなくて、途上国が民間企業に丸投げするとなると、ちょっと民間企業のサイドから見るとリスクが高過ぎると、そういうときに公的機関が絡むことでリスクを最小化するといいますか、長い、本郷さんの話にありましたように、三十年にもわたるビジネスであれば、やはり相手も人も替わったりしますので、そこは日本として、何といいますか、親方日の丸ではありませんけれども、ちゃんと日本政府も見ていますよというシグナルを出すことで相手も真剣になりますし、それから真摯な対話にも応じるということを期待しております。 最後にもう一つ、ビジネスとしまして、BOPビジネスというものも最近取組を始めました。BOPビジネスはベース・オブ・ザ・ピラミッド、つまりピラミッドの底辺にいる、底辺という言い方はちょっと良くないんですけれども、非常に数の多い貧困層を、低所得者層をターゲットにしたビジネスでありまして、将来これが経済成長とともに中間層に上がってくるという期待の下で、今は非常に一人当たりのその支払能力は低いんですけれども、物すごい規模がありますので、そこにうまくビジネスチャンスを見付けることができるんではないかと。 ここのBOPビジネスの展開のための調査にも資金を提供しておりまして、例えば水セクターでは現在四件、ここに書いてありますスリランカ、セネガル、インド、バングラデシュでBOPビジネスの実現に向けた調査を行っておりまして、こちらはもう調査の結果いけそうだとなれば、民間の皆さんが本当の意味でのビジネスとして直接取り組んでいただくことになっております。 JICAとしましても、世界中の水問題の解決、ひいては途上国の開発に役立つためにいろいろ取り組んできておりますが、その際に、民間ビジネスとして成立する可能性のある国やケースでは、できるだけ日本の企業の皆さんのビジネスチャンスを拡大すべくサポートをしていきたいというふうに思っております。この調査会の皆さんにおかれましても、今後とも御理解と御支援をお願いしたいというふうに考えます。 ありがとうございました。
○会長(藤原正司君) 江島参考人、どうもありがとうございました。 それでは、これより質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。 なお、質疑の際には、まず各会派一名ずつ指名させていただき、その後は会派にかかわらず御発言いただくよう整理してまいりたいと存じます。 また、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、かつその都度答弁者を明示していただきますよう、御協力をお願いいたします。 それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。 島尻さん。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。自由民主党、島尻安伊子と申します。 大変に貴重なお話を伺えたというふうに思っております。 私からは何点かあるんですけれども、全体に今回の震災を受けて、日本としては今あらゆるところで日本が一つにならなければならないということを聞いているんですが、じゃ一つになってどの方向に行くのか、何をするのかという、もうそういったことをきちんと考えなければならないんだというふうに思っていまして、その中の一つで、やはり復興に対するこれからの資金というのが二十兆とも三十兆とも言われる中で、やはり日本がどう稼ぐのかというようなことが大変大事なことなんだろうと思っておりまして、そんな中でこの水ビジネスといいますか、この可能性に関しては大変興味を持っているところでございます。 まず一番初めに伊藤真実参考人にお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、お話の中で、いろいろなお話ありましたけれども、コストの問題に触れられておりました。コンセプトを変えてコストを変える、あるいは戦えるコストまで下げなければならないんだということを強調していらしたかなというふうに感じたんですけれども、具体的にもう少し、どのようにコストの削減を考えていらっしゃるのか。人件費等々、さはさりながら、大変な触りにくいところもあるのかもしれませんが、そこをあえて触るとか、いろいろなこの計画をお持ちなのかというふうに思います。是非その辺をお聞きしたいと思います。 そしてもう一つ、ODAの在り方についても言及なさっていたかと思います。もちろん、この外務省との連携というのが大事なんだろうというふうに思うんですけれども、現状、どのような連携の取り方をしているのか、是非ここで、いい機会だというふうに思いますので、リクエスト、あるいは御不満もあるのかもしれませんので、そういうところも含めて是非お聞きしたいというふうに思います。 このことは、このODAの在り方に関しては、本郷参考人の方にもお聞きできればいいかなというふうに思っております。 それから、あわせて、本郷参考人には、これからのJBICの水ビジネスへのその関与の仕方、最近新しい法律もまた通りまして、それこそ計画、新しい計画というか、が立てやすいときなのかなというふうにも思いますので、そういったところも含めてお聞きをしたいというふうに思います。 それから最後に、江島参考人には、最後にお話をなさっていた途上国との関連の中で、マイクロクレジットのところに触れられていたかなというふうに思います。これからのODA、あるいは途上国との日本の連携の在り方の中で、水ビジネスに限らず、そのマイクロクレジット等の貧困層の皆様との関連といいますか、どう上げていくのかという中で、大変ちょっと興味があるものですから、この辺についても少しお聞きさせていただきたいと思います。 お願いします。
○参考人(伊藤真実君) それではまず、私、二点ございますけれども、一点目のコストの話からさせていただきます。 コストというのはなぜ日本は高いのかというところからまずお話させていただきたいと思うんですが、今まで、私も技術系の人間なんですが、やはり上下水道、これは施設基準というのがございまして、余り原価低減的なこと、発想は必要なくて、やはり決められたとおり造るということで今まで何十年という間日本ではビジネスをやってきたわけですね。海外に行って急に安くしろといったってなかなか、それは勝手に値段を下げればいいんですが、それじゃ商売になりません。そういう下げるすべを知っていない。 つまり、市場におきましても、限界設計という考え方があるんですが、どこまで肉厚だって薄くしてもいいかとか、そういう今まで訓練をされていない、データを持っていないものですから、なかなか安くできないということがあると思うんです。ここが、今から海外へ出ていくためには、民間はやっぱり頑張って下げる方法、今言いましたような設計の在り方についても考えないといけないと思っています。 それからやはり、一番手っ取り早い下げ方は、日本で造るんではない、じゃどこで調達してどこで造るんだというようなことが一番手っ取り早いやり方。それから、なるべく量産化するようなことで、それ標準化とかユニット化とかいうようなことを我々は言うんですが、なるべく何台も造っておいて安く造るだとか、そういう今すぐやらなくちゃいけないようなことはございます。 だけれども、やっぱりドラスチックに下げていこうと思えば、やはり設計の在り方からもう一回民間企業は頑張っていかないといけないだろうと。先ほど申し上げましたけれども、こういうのが民間のやっぱり一番重要なことじゃないかなと。 商社さんに、余談ですけれども、商社さんが、じゃ日本の企業をなぜ使わないんだというような、ある会合で、これは経産省の会合か何か忘れましたけれども、どこかで会ったときに、いや日本の企業は高いからというようなことを簡単におっしゃっていました。僕は事実だと思っています。やっぱり今から我々一丸となって戦えるコストにしていこうと、今申し上げたような方法で下げていく予定でございます。 それから、ODAの話、これはちょっと文句もあったら言ったらというお話をちらっといただきましたので、一番我々考えているのは、ODAでなぜ日本は取れないか。これは江島さんの方に後でお聞きになっても構いませんけれども、やっぱり、例えばある調査によりますと、韓国なんかはODAでは九〇%ぐらい取っていると、日本は二割とか三割しか取れないんじゃないかというふうなことをよく言っています、その辺の信憑性はちょっと定かではございませんけれども。コスト的に高いから取れないというのも当然あると思います、我々としては、責任としては。ただ、仕組み上で取れないこともいろいろあるんじゃないかと、そこら辺がやっぱりもっと何とかならないのかなと。そうしないと、民間企業は、取れなければ本当に厳しい戦いであるからもうODAなんかやらないというような企業だって出てくると思うんですね、やって損をするような仕事であれば。私はそういうことを今常々考えております。 ただ一方、話を変えまして、ODAでは、今度はいい話としては、やはり造りっ放しだとなかなか誰が造ったか分からないと。例えば、日本のお金で浄水場を造って、そしてメンテに欧米の会社が入ってきてメンテをやっていると、その国の人たちは良く言われるんですが、そこの外国の、フランスならフランスでもいいんですが、フランスの人が造ってくれたんだなというようなことになりますと、顔が見えないということもございまして、なるべくメンテナンスまでやっていくようなODAにしていきたい。 逆にそうなりますと、我々のメリットとしては、顔が見えるだけという国際貢献的な話だけではなくて、我々がその土地で今やろうとしている運営とか管理の事業まで入っていくような、また、いろんな知恵付けのためにも、いろいろ情報が得られると思いますので、是非やりたいと思っておりまして、今はそちらの方面も検討していただいていると、これはいい方の話でございます。 いずれにいたしましても、大きくは、これちょっとまた話が変わるんですが、例えば中東、中国というようなお金を持っている国というのは、我々技術である程度戦えるような国だと思うんですね。だけど一方、東南アジアなんか考えていきますと、水道料金も安い、下水なんかお金を取れるかどうかも、まあ余り設備もないというようなところで、じゃ、今我々がいろいろベトナムだどうだこうだ言っていますけど、そのODAあるいはPPPを絡めてビジネスとして成り立つかどうかというのは、本当にまだまだ不安なところがいっぱいでございます。本当に踏み切れるのかというようなところです。 以上ですけれども。
○参考人(本郷尚君) まず最初のODAとの関係でございますけれども、私どもも是非このODAとの連携を今後一層強化していきたいというふうに考えております。 大きく分ける二つの可能性があるかなというふうに考えます。 第一は、制度構築あるいはトレーニングですね、こういったことをODAの方でいろいろやっておられますので、私どもが協力しようと考えております日本の民間企業とのプロジェクト、こうした中でそういったものを利用していくということが一つあろうかと思います。 また、もう一つのアプローチといたしましては、日本は既に様々な都市での水インフラ、これにODAで協力してございます。これが次第に特に大都市を中心に民活民営化という方向に動いてきております。そうしますと、ODAで造られた設備、これを公共事業体が所有していたわけですけれども、これが民営化されていくということであれば、そこは日本企業が参画するには非常にいいプロジェクト、会社である可能性というのは高いわけでございますので、そういった形でのODAからの卒業、そこに日本企業が参画していく場合、私どももお手伝いできるのではないかなというふうに考えております。 それからもう一つ、JBICの今後の話でございますけれども、JBICが今求められているのは機動性、それからもう一つはパッケージあるいは制度を伴ったより広範な形でのプロジェクトへの参画ということだろうと思っております。 そういった観点で考えますと、水インフラの場合、先ほど申し上げましたように、最も重要な点、投資を行う場合に最も引っかかってくる点が料金改定制度だというふうに思います。 民活民営化型の電力プロジェクトの場合は、少なくとも東南アジアにおいてはある種の相場観というものができております。これは、私どもが個別にプロジェクト、そのIPPという形で日本企業が参加されるときに、個別に電力当局あるいは政府と話をしながら、こういった形での改定が望ましいんじゃないか、あるいはこういった改定制度にしないと投資はできないよということで交渉をし、そしてある種、相場観として確立してきたような話でございます。今まさに水で求められているのは、このような料金改定についての相場観というものではないかというふうに思います。 価格フォーミュラ、それからもう一つ重要なことは、売手、買手双方が納得できるような料金にするための仲裁する制度、委員会ですね、こういったものをつくっていくことが投資拡大の重要な鍵となると思いますので、私どもは、電力での経験なども利用しながら、こういった部分に注力することによって、一つ二つプロジェクトを実現するだけじゃなくて、よりたくさんのプロジェクトが日本企業の参画を得て実現するように取り組んでいきたいと考えております。 それからもう一つ、電力のところで参考になる例でございますけれども、先ほどの伊藤様のおっしゃっていたコストの話でございますけど、日本の企業が電力セクターで行っておりますいいものを安く供給するというアプローチは直接投資と、現地での直接生産ということでございまして、例えばインドでは、高性能の電力発電設備を造るために日本企業が既に三社、現地の生産に出ております。なぜこれができたかというと、市場が大きいということがある種確信を持てたので現地生産に踏み切ったということでございます。水インフラにおいてもそのような状況が近いうちに起きてくるのではないかなというふうに見ております。 以上です。
○参考人(江島真也君) JICAとしまして、あるいは日本のODAとしまして、貧困層への支援、どういうふうに行っていくかと。 基本的には、まず直接的に貧困層に裨益するような、基本的人権型といいますか、教育だとか保健だとか医療といったような支援は各地で展開しております。それから、それとともに、教育と関連しますが、人材の育成、これを図っていくと。それから、公正な制度づくり。先ほどから水道の話もありますけれども、やはりいろんな社会の中で公正な制度が、国によりますが整備されていないので、制度づくりも力を入れております。 ただ、延々とその貧困層に向ける直接支援を先進国がこの人口が増えていく中で永遠にやり続けるというのは余り現実的ではありませんので、それと並行しまして、途上国自らが成長していけるような観点からの支援、例えば貧困層向けでいいますと、先ほどのマイクロクレジットを利用した自らのビジネス、スモールビジネスの機会を提供するようなこと、それからベース・オブ・ピラミッドは、元々は先進国の企業が途上国で始めたわけですけれども、それは途上国の企業自らが行ってもいいと。そういうことをどんどんその制度づくりとともに新しい取組を、導入を支援していくと。 あるいは、やはり中東の最近のチュニジアから始まった一連の動きを見ておりますと、人材だけ育成しても、仕事がないと結局、高度な教育を受けた人材が不満がああいうふうにして出てくるということで、仕事をつくり出す側の支援ですね、いろいろ、我々日本の経験踏まえて、中小企業が非常に、やっぱりベースとなる中小企業が大事だということで、これは本郷さんのところでもやっておられますけれども、途上国で中小企業向けの融資を地場の銀行を通じてやることによって、中小企業を振興、育成し、それが雇用につながるといったような取組ですね。まとめて言いますと、基本的な人権に直結するような保健や医療、それから基礎教育といったような取組から、次第に、成長して途上国が自らその経済力がアップするような成長に向けたビジネスの機会の提供をするような形の支援、それから高度な人材育成と、それから中小企業などの育成を通じた企業支援と、こういったものを組み合わせながら国の実情に応じて行ってきております。 それから、伊藤さんの御指摘いただいたODAでの日本企業の受注率の話は、これはもう十年来あるいはもっと前から言われておりまして、いろいろ振り返ると長い経緯があるんですけれども、とにかく、おっしゃるとおり日本企業の受注率というのはやっぱり三割前後なんですね。 これ最大の要因は、これはちょっと我々が責任を転嫁するわけじゃありませんけれども、日本が先進国グループとしてOECDあるいはDAC、開発援助委員会の下で欧米の国々と同じルールの下で援助を行っていると、そのルールの中で日本企業タイドというものが非常に制限されているというのが一つ大きくあります。 韓国は最近、近年、OECDに加盟し、それから開発援助委員会にも加盟しましたので、受注率九割というのは私もちょっと数字持ち合わせておりませんが、今後はいわゆる先進国ルールの下で援助を行っていきますので、今までのように韓国企業が、これからは本当に同じ土俵で技術プラス価格の勝負ということになるかと思いますので、韓国については事情が変わってくるかなというふうに思います。 問題、問題と言うとあれなんですけど、さっき言いました中国ですね、これ、彼ら自身まだ絶対に途上国であると言い張っていますし、OECDやDACに加盟するつもりも、そういう可能性も当分はないと思いますので、これはまた全然違うルールで似たようなことをやっていて、ここと比べると切りがないといいますか、やはりここは品質で勝負かなと。 ただ、中国企業も、いろいろ聞きますと全てが低品質というわけでもなくて、やっぱりいい企業も、ちゃんとしたものを提供する企業もあって、そこは余り我々もなめてかかって、どうせ中国は品質が悪いというようなことを言っていると、もしかしたら足下をすくわれたりする可能性もあるので、そこはまた、ちょっと逆説的になりますけど、やはり日本企業の皆さんが得意とされるような分野に、我々はできるだけ上流から、計画作り段階から入っていって、うまいこと日本企業の皆さんの受注に有利になるような方向付けを、途上国の側に水を向けていくと。それ以上の拘束は先ほど言いましたルール上なかなかできかねますので、工夫で何とか乗り切りという感じなんですけれども。 以上でございます。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 加藤先生。
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。 今日は、伊藤参考人、本郷参考人、江島参考人、大変ありがとうございます。非常に関心を持ってお聞きさせていただきました。 先ほど伊藤参考人から仕様の話でコスト削減の関係でございましたが、要は日本の強みを生かす、あるいは弱点の克服をしなければいけない、そういう話もありました。戦える水ビジネスをどう考えるかという話でありますけれども、私は国際標準化、これなんかもどう考えるかという点では非常に、水ビジネスが勝っていく上では極めて重要な部分ではないかなと思います。 ここは本郷参考人、伊藤参考人にお聞きしたいわけでありますけれども、上下水道、ハードの構造ですね、こういった面での国際標準化の対象にならないのかと。高速鉄道なんかはヨーロッパで標準化されていて、なかなか新幹線が入っていけない。逆にその形をアジアで取ろうとすることもできなくはないわけなんですけれども、この上下水道の関係がEUなどが先行して標準化を進めているかどうかという、そういった点についてはどうお考えなのか。 あるいは、卑近な例では、ドイツでは雨水利用システムですね、それをドイツ自身がDINという工業規格でがっちり作り上げてしまって、それをEUに普及拡大をしようということですね。ある意味ではこれは輸入を阻止しようというふうにも実は言われているわけでありますけれども、そういう関係で、ユーザーサービスの評価の在り方に関する基準とか、あるいは国際的な標準化をそれに関して作るということについても重要でありますし、あるいは上下水道に関するマネジメント、維持管理でありますけれども、そういった在り方の標準化、さらに、そういったものに対応してJIS規格をどう作り上げていくかということも非常に重要ではないかなと思います。 我が国の強みを生かす国際標準化が当然重要でありますけれども、例えば日本は耐震性というか、そういった面については非常に強いわけですね。あるいは、先ほど伊藤参考人からも話がありました漏水率、水漏れがしないという、ここもやはり技術的には相当高度な対応をしているんで、これをどうするか。水漏れがないようにするための国際的な基準化というのを図ることができるんではないかなと思いますし、現在、成果指標ですか、パフォーマンスインジケーターで事業の客観的な状況を把握することができる。それが把握をすることができるならば、恐らく国際金融機関も投資をしやすく、融資をしやすくなるということにも当然なってくるわけでありますので、そういう面について、この国際標準化、ISOを含めて、この辺のことについてどう考えていくかというのは非常に重要だと思っておりますので、両参考人にお聞きしたいと思います。 それから、さらに、本郷参考人にはPPP等、これが日本の中でどうやってファイナンス化が可能であるかということについても、これは国際化の話を今しているわけですけれども、国内でどういうふうにやれるかということも、これ、特に東日本大震災がありましたんで、先ほど本郷参考人もこの辺について触れていたように思いますけれども、どうPPPが十全に、いわゆる円滑に動くことができるようにするかということは非常に大事なんで、公的な資金が十分あるならば別でありますけれども、民間の資金をどうやってうまく吸い上げるかということは非常に大震災の関係についても極めて重要じゃないかなと思っておりますので、その点についてどうお考えかということでございます。 それから、江島参考人にお聞きしたいのは、JICAが投融資ができるようになったわけですよね。これは二〇〇一年のときに特殊法人等の整理合理化計画の中で閣議決定で廃止すると言った話なんです。それは何でそういうふうになったかというと、恐らく背景は、非常にリスクが高い発展途上国で、しかも収益が少ない等ということも含めて、それでそういうことが廃止に追いやられた理由の一つになっているんではないかなと、そう思っているんですね。それで、今般、こういう形で新成長戦略の中で、廃止にしていたものをJICAの方でも廃止にしないでそれを復活させると。今後、従前と同じような形になってはいけないんでチェックをする、あるいは事後評価をするということも非常に大事だと思っておりますので、そういった面についてどうお考えかということ。 もう一つは、一般的な円借款プロジェクトでは、資格審査があって、技術評価があって、それから価格評価の三段階で大体評価しているようでありますけれども、私はもう少し総合的な評価が必要ではないかと。価格だけの関係ではなくして、効率とか、あるいはメンテナンスとか……
○会長(藤原正司君) 済みません。質問を絞ってください。
○加藤修一君 施工体制などを加味した総合的なそういう評価を行うことが場合によっては必要ではないかなと思います。そういうことをした場合には、恐らく、日本が有利になるかどうか分かりませんが、私は、ちょっと印象ですけれども、有利になる可能性があり得るんではないかなと、そんなふうに思っておりますが、この辺についてどのような御見解をお持ちでしょうか。 よろしくお願いいたします。
○会長(藤原正司君) 参考人にお述べいただきますが、質問が多岐にわたっておりますので簡略にお願いいたします。伊藤参考人。
○参考人(伊藤真実君) 私は標準化の話でございますけれども、これは確かにおっしゃるとおり、上下水道のサービス、これ、日本はいろいろな海外に比べて優位な技術を持っているんですけれども、なかなか反映されていないということで、たしか今年が改定で、TC224とかいろいろなものがあったと思うんですが、ちょっとはっきり覚えていません。 今年改定で三年後また改定があるんですが、実は、経産省にも頼まれていまして、今まではどっちかといったら官の主導でこの改定等々には臨んでいたんですけれども、もっと民間が入ってこいというようなことがありまして、実は我々協議会の方から今、上水と下水の方に人を出しまして、なるべく有利になるような形の得意技術を盛り込むような形で、特に今年は間に合いませんので、三年後に向けて今進めている最中でございまして、今御指摘受けたとおりでございます。いろいろなものを組み込んでいきたいというふうに思っております。
○参考人(本郷尚君) まず最初、標準化の話でございますが、品質につきましては、ISOの中でどのような形で盛り込んでいくかというふうに今議論が進んでいると、日本からも積極的に提案がなされているというふうに私は理解しております。 それを受けまして、私どもが考えているもう一つの標準化としては、エネルギー消費の効率指標、こういったものを作れないか。水を造るためには大量のエネルギーを使いますので、環境負荷の観点からもできるだけエネルギーを使わない技術というものをもっと評価した方がいいんじゃないかということで、MRVと申しますけれども、二酸化炭素排出量の定量化手法、これを私どももう開発してございますので、これを水分野にも適用できないかというふうに考えて、今国際的な場でいろんな議論を展開しているところでございます。 それから、もう一つ大切な標準化は耐久性ではないかと思います。これはなかなか、何年大丈夫かということを規格化するのは非常に難しいんですけれども、例えば先ほどの伊藤さんの挙げられた日本の強みの中にポンプというのがございますけれども、ポンプというのは非常に重要な、一つ一つは小さいけれども、非常に重要なところでございます。ここが一つ壊れると大変なことになりますので、こういった部分について、耐久性について標準化できると、これは日本の技術の差別化につながるのではないかなというふうに考えます。 それから、二つ目のPPPの観点でございますけれども、国内につきましては、私ども専門ではございませんけれども、承知しているのは制度的な制約があるということでございますので、制度的な制約が解決された場合ということで申し上げますと、私どものやっているような海外のところの展開と併せて考えるべきじゃないかと。 つまりは料金ですね、民活民営化した場合に一番大切なこの料金設定、特に料金の中には恐らくは社会コストというようなものがあって、単純にコストを全て料金で回収するというのは難しい側面というのもあると思います。これは、私どもがよく議論しているインドのケースでもございます。社会的なコストをそのまま含めた形で料金に乗せてしまっては貧困の人たちがお金が払えないと。それではとても事業として成立しないし、どうするのかということで、この社会コストを誰がどう負担するか、こういったことが実際のプロジェクトの場では議論になってございます。そうしたことを国内でPPPを行う場合にいろいろ検討をするということは、その次の海外での展開に非常に役立つ経験になるのではないかと思います。 それからまた、もう一つは、海外での展開を考えるならば、国内の復興においても、海外の企業のある程度の参画も促すということによって、その出口たる海外の市場と国内の復興ということをリンクさせた形で進めることができるのではないかなというふうに考えます。 以上です。
○参考人(江島真也君) JICAによります、あるいはODAによります民間企業向けの投融資というものにつきましては、おっしゃいましたとおり、再開が認めていただきまして、現在、最終的な制度設計中であります。すなわち、御指摘ありましたように、やはりしっかりどういったものがODAベースの民間向け投融資にふさわしいのか、あるいはそれをどう評価するのかといったところを詰めないと本格的な再開には至らないということで、それに向けた準備を現在行っているところであります。 それから、円借款の入札におきます制度につきましては、これも御指摘受けましたように、総合評価方式というものを導入できないかということは検討を重ねております。既に実現しておりますのは、技術的な審査を経た後に価格を競争すると。すなわち、最初に価格を見てその一番安いところに単純に決めるのではなくて、一定水準の技術力を、技術水準をクリアしたところだけ、あとは価格で競争すると。これで大分、単に安かろう悪かろうの入札を排除することができまして、無論全ての入札で適用しているわけではございませんが、比較的大きな施設物、インフラ物であれば、まずは技術力評価、その上で価格競争ということで、総合評価方式に大分近づいております。こういったことで、多少は日本の企業の皆さんの受注にもつながっておるかと自負しております。 ただ、先ほど伊藤さんからの御指摘にもありましたように、なかなか日本企業と一口に言いましても、原産国だとかそれから製造国がどこなんだという話が出てくると、なかなかこれがどこまでが国産かという線引きが難しくて、よく私も途上国の政府の皆さんと、これは本当に日本製なのかというような議論があると難しいところなんですけれども、いずれにしましても、技術力を先に見るということは非常に大事な点ですので、この方式を基本とすることで単なる安値受注をかなりの程度防ぐことができるというふうに考えております。
○会長(藤原正司君) ありがとうございます。 では、質問を受けます。松田さん。
○松田公太君 今日は貴重なお話、どうもありがとうございます。私、みんなの党の松田公太と申します。 正直、まず感想を申し上げますと、この調査会が始まった当初は、私自身も、日本の水ビジネスの力、これはすごいんじゃないかなという期待感が非常にありまして、世界にどんどん出ていけるようになるんじゃないかというふうに思っていたんですが、調査が進むにつれて、また各参考人の皆様のお話を聞くにつれて、非常に厳しい状況に今置かれているんだなという認識に変わってきたんですね。 元々、私、実は、今日は紅茶をいただいていますけれども、コーヒー屋さんの社長をやっていたものですから、ちょっとコーヒー屋に置き換えて話をさせていただきますと、例えばすばらしいエスプレッソマシーンを造っている会社がある、メーカーがあると。コーヒーショップにそれを入れることはできるかもしれない、でも、自分たちで展開することというのはやっぱりできないんですよね。せっかくエスプレッソマシーンは最高のものを持っていて、コーヒーショップのチェーンもそのマシーンがないと展開できない、自分たちではやっぱり展開することはできない。非常にもったいないことで、やはり売上げの中でいうと、一店舗出すに当たって百万とか二百万にしかならない。でも、お店を出すところは、当たり前ですけれども、月間一千万、二千万の売上げを獲得できるようになると。今まさしく日本が置かれている状況というのはそういうところなんだなというふうに思っているんですね。 私がどうしてもちょっとお聞きしたいのは、我々は、じゃ例えば膜のビジネスとか、非常に漏れが少ない仕組みをつくり上げたとか、そういう話があるんですけれども、今の世界からまず見た日本、その水ビジネスにおけるレベルというものがどのレベルに一つあるのかと。というのは、やはり国が例えばエスプレッソの、じゃチェーン展開をしようといったら、やはりイタリアとかアメリカの方がやりやすいんですよ、そういうイメージがもう既に付いていますから。水ビジネス全体における日本のブランド力というのは、お三方から見て今どのレベルに、ポジションにあるのかということを、一つは是非本音の部分をお聞きしたいなという部分と。 もう一つは、設計、施工から管理、オペレーションまで一貫して請け負える会社というのは今、日本にはないという認識でよろしいんですかね。ないわけですよね。あるんでしょうか。ない。 ないということであれば、私は、例えば、後発なわけですから、日本は、今から水ビジネスやるとしたら、一つのやっぱりジョイントベンチャーをつくるしかないんじゃないかなというふうに思うんですね。例えば、コーヒーでいうとドトールコーヒーみたいなところをつくって、みんなのそこに力を結集してそれを世界に広めていく。後発ですからやはりそのぐらいのことをやらないと絶対もう追い付けないんじゃないかなというふうに思ってしまうんです。 そのジョイントベンチャー企業をつくることが果たして可能だとお三方は思われるか。もし不可能だと思われるのであれば、なぜ不可能なのか。難しい、こういうところに問題点がある。可能だと思われるのであれば、こういうことをクリアすれば可能になるんじゃないかと。これは是非お三方にお聞かせをいただければと、本音の部分を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(江島真也君) 私たち、主に技術協力を特に途上国、後発途上国で主にやっています。そういう意味では、一般的な意味での日本の技術力に対する信頼というか、信仰は非常に高いと。先ほどの漏水率の話でいいましても、奇跡的な数字ですよね。実際問題、開発途上国で一桁を目指せというのは逆に非現実的で、例えば五割の漏水率を三割にするあるいは二割にするだけでも大きく改善できると。ただ、そこには、基本となる技術は日本に学びたいという姿勢は非常に強いと思います。それから、限られた経験ですけれども、やはり機械、施設に対する信用力も非常に高いと。 突き詰めていくと、やはり価格の問題ということになるのかなと思います。やはり多少悪くても価格の安い方を選ぶという国はまだまだ多いかと思います。ただ、総合的に見れば非常に私は高いんじゃないかなと。あとは、それをいかに、先ほど私も言いましたように、余り日本の特に自治体がやっている維持管理を知らない途上国にどうやって理解してもらうかというのが鍵じゃないかなと思います。 それから、ジョイントベンチャーの話、私余り、多分、専門じゃないんですけれども、率直に言ってなかなか難しいのかなというふうに感じております。 といいますのも、例えば原子力発電であると、多分実際に取り組んでおられる会社、メーカーというのは非常に限られていますので、意見や利害の調整というのは可能かと思うんですけど、恐らく水道だと、メーカーにしろ、それから運営にしろ、多分物すごい数の、それから自治体も、各自治体となるとそれこそ何百とありますので、本当に国策会社みたいなのをつくれるのかどうかというのは、ちょっと私が申し上げるのもあれなんですけれども、意見の集約というか、それが難しいのかなという感じは受けております。ただ、それはもうちょっと我々の仕事の範囲外ですので、そういう取組がなされるということであれば、もちろんそれを我々としてODAの観点からサポートするというのは全く問題ございません。
○参考人(本郷尚君) 私どもが主としてお手伝いしているのは、新興国や一定所得水準以上の国が中心になってくるわけでございますけれども、その観点から三点申し上げたいと思います。 まず一つは、先生の御指摘の、なかなか日本企業は厳しいんじゃないかという御印象なんですけれども、私どもの対象範囲からしてみますと、水のインフラ市場というのは世界全体で見ますと非常に大きいということで、そこ全てを相手にして戦う必要はなくて、やはり日本の得意とする、あるいはその企業の得意とする分野を見付ければ、十分商機はあるというふうに思います。 例えば、私どものお手伝いした日立プラントさんのモルディブの水公社への資本参加というプロジェクトがあるんですけれども、これはやはり大都市での水供給事業という言わば水インフラ市場の中で最も注目されている部分とはちょっと違う角度なわけですね、小さな島でのそれほど多くない人数への水供給事業。こういったところに特徴的な進出をすることによってその市場でのチャンピオンになるということ、これも一つのアプローチだと思いますので、そういったものを見付ければ十分商機はあるというふうに私は思います。 それから二つ目、世界から見た日本ということでございますけれども、やはり機材、ポンプだとか膜だとかそういった技術に対する評価というのは非常に高いというふうに、例えばスペインだとか、例えばシンガポール、こういったところの国のいわゆる水メジャーと呼ばれる企業の方と話をしても感じます。 ただ、それは代替可能であるというふうに彼らは取っております。同じようにいいものを安く造ってくれたらそこで全然構わないよという意味では、その日本のブランド力というのはあるんだけれども、絶対に倒れないブランド力というほどのものではないのかなというふうに思います。 むしろ、私どもがファイナンスの話をしますと、JBICのファイナンスを使いたければ日本企業とチームを組んでくださいというふうに申し上げると、じゃ、そういったいい企業があるんだから、どちらでもよかったら日本企業を使おうかなというようなこともよく言われますので、大体そこが相場なんじゃないかなというふうに私は理解しております。 それから、三番目のジョイントベンチャーでございますけれども、これにつきましては、日本チームといいますか様々な形で、例えば商社さん、例えばエンジニアリング会社さん、例えばメーカーさん、こういったところが主体になって様々なチームが今つくられつつあるところだと思います。自然体でも少しずつ進んでいるというふうに認識しております。 ただ、ここでの課題といいますか難しさは、メーカーとエンジニアリング会社と運営をする会社というのはそれぞれ利益相反が生ずるわけでございます。いい機械だけれども、ちょっと高い、でも使ってほしいというメーカーさんがいたとすれば、全体の工事を請け負って機械を全部セットで売るという会社をやっている方にとってみれば、少しでも安くしてくれということなわけですから、そういう意味での違った性格の会社同士がコンソーシアムを組むというのは当然あり得るし、それがある場合には非常に強みになりますけれども、そうじゃないケースもあり得るということではないかなと。 現実に今進んでいるというのは、そうした中で少しずつすみ分け、特徴をうまく出して、強みをお互いに出し合えて弱みを補えるような形のチームというのが少しずつ今生まれてきているというふうに理解しております。
○参考人(伊藤真実君) それでは、まず水の技術レベルでございますけれども、これは例えば下水を例に取ってお話ししますと、下水というのは一次処理、二次処理、三次処理、高度処理というんですが、それから汚泥処理とかあと附帯設備があるんですけれども、例えば二次処理ぐらいまで、これはもう技術的にはかなり成熟してきていると思っています。といいますのは、中国なんかでも五年前はそれすらまだおぼつかなかったんですが、もう今は彼らは二次処理レベルであれば海外でもビジネスをやるというところまで育ってきていまして、かなりもう成熟している技術で、その差別化でどこがいいとか悪いというようなレベルではないと思いますけれども。 日本がまだ優れていると思うのは、その先の高度処理技術。高度処理は何かといいますと、例えば水をきれいにして、更に窒素とか燐も取るとか、塩も取るであるとか、そのニーズに応じてもっと更に水をきれいにしていくことを高度処理というわけですが、そういう中においてはまだまだ日本は進んでおります。それから、汚泥処理の技術。だから中国なんかも、二次処理までできてもそういうところができないから、日本に対していろいろ協力をしてほしいというような話になってくるわけですね。 ただ、一方では、進んではおりますけれども、今世界的に見て、そこまで要求される、ニーズですね、マーケットがどれだけあるかということも考えていかなきゃいけない。例えば、今の東南アジアでそういうことが必要ですかといったら、必要ないわけですね。そういう意味において、技術はありながらも、マーケットのサイズとバランスを考えたときに、本当に今技術がすばらしいから勝てるんだという一言では説明できないということになるわけです。 だから、できましたら、さっき言いましたように、中東であるとか中国であるとかは技術で勝負できるのであればさっき言いました高度処理みたいなところで勝負して、今度は東南アジアみたいにまだ処理できればいいというレベルであればとにかく中国とか韓国に負けないように安く供給できることを考えていかないとなかなか勝負にならないというようなところで、非常に今マーケットに依存しているといいますか、そういうことだと思います。 それからもう一つのジョイントベンチャーの話、私これは、我々が目指しているのは、まさに協議会がそうです。いろんな業種の人が集まっていますから、そういうところでやはり将来ナショナルフラッグと言われるようなチームが何チームかができていくことが我々の夢であって、先ほどから、五十社出していますが、五十社全てで我々は世界に出ていくわけじゃございませんので、あの中から一社でも、一つチームが、あるいは二つチームが出ていくことが夢なので、我々はそれは可能だと思って今活動しております。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 では、質問を受けます。 じゃ、米長さん。
○米長晴信君 本日は、興味深い話、ありがとうございます。 まず、伊藤参考人にお聞きしたいんですけれども、日本の強みと弱点ということ、その他のアプローチ、いろいろ伺いましたけれども、ずばり、今、日本が一点集中でここの国に、あるいはこの地域にこう投資するのが一番、あえて言いますと、目先で利益を取れるという考えを、一つで結構ですので、一点集中してこういうことをやるのが理想だという具体例があれば教えていただきたいというふうに思います。 あとは本郷参考人と江島参考人には、一方で、目先の利益を追求するというのも国益ですけれども、国際貢献といいますか、発展途上の国、今は直接的には利益にならないけれども、その人たちが生活が潤っていずれはそういうお金を回収できるようにするという話もありました。 また、もう割と近い将来、人口の爆発によって水が不足する、水を最も必要とする食料の不足、そういった時代において、先行投資をして我が国の食料を確保する、あるいは食料の価格の安定を我が国のそういった先行投資で守っていくというのもある意味中長期的な意味では国益だと思うんですけれども、その辺のバランスの中で、目先の利益を追求するという話と、今どちらかというと後者の方をJICAさん中心にやっておられると思うんですけれども、日本の水をめぐる投資というのをバランスでいうと前者にウエートを置いた方がいいのか、後者というのが日本の持ち味なのか、その辺の御意見をいただきたいと思います。
○参考人(伊藤真実君) それじゃ、私の資料の一番最後に「参考」ということでこういうポートフォリオを付けさせていただきました。これを御覧いただきたいんですが、これは簡単に言いますと、横軸は水があるなし、縦軸はお金を持っている持ってないというようなことで、ABCとエリアを分けまして、それぞれの戦略が違うだろうということで表したものでございますけれども、今は一点買いということであればこのCの領域ですけれども、やっぱりお金を持っていて水がないところ。やっぱりその代表としては中東であるとか、中国もあるんですが、中国の場合ちょっといろいろ商売上難しいというようなこともあって、我々の仲間におきましても、もう絶対中国と聞いただけで行かないという会社もありますし、行くという会社もある。これは非常に二極化しているんですけれども。そういう意味からすると、一か所と言えばやっぱり中東辺りになるんじゃなかろうかというふうに今は思っております。 中国も行きたいところですが、よく私も、先日ちょっと出ていたんですけれども、なぜ中国ビジネスはうまくいかないかなんというのが取りざたされるような状況で、ちょっといろいろあると思いますけれども、やっぱりマーケットとしては非常にお金を持っているからいいと思うんですけれども、お金を持っていても出さないところがあればお金持ちであってもしようがないということになるわけですね。
○参考人(本郷尚君) そのバランスということでございますけれども、そういう観点からすると東南アジア、エマージングマーケットと呼ばれています新興国の部分ですね、ここはやはりビジネスにもなるし、また一方で貢献にもなると。しかも市場の規模も、もちろん中国やインドほどではございませんけれども、それなりにあるというところで、先生御指摘の二つの点をバランスするいい地域ではないかなというふうに思います。 食料の問題となると、同じ水でも大分状況は変わってくると思います。むしろ食料、水ということで考えるのであれば、東アフリカとかそういったもう少し離れた地域にも目を広げるべきではないかと思います。
○参考人(江島真也君) 伊藤さんの資料をちょっと使わせていただきますと、やはりODAの場合はBとDとされている領域ですね。特にアジア、皆さんアジアという声が強いですけれども、アジアの中でも首都じゃない地方都市でも相当な水需要がありまして、そこに官民パートナーシップ方式で進出することにより、あるいはそれをODAでサポートすることによって、人口数十万規模の地方都市でも場合によってはビジネスチャンスがあるんではないかと、実際に幾つかの町でそういった調査の支援を行っております。 それから、直接ビジネスではないんですけれども、私の説明の中に触れました流域管理の考え方をアジアの大きな河川で入れることによって、水を効率的に使って飲み水や農業にも回してもらうということが実現できれば、間接的に日本の将来の食料問題なんかにも貢献できるかなと思います。 それから、本郷さんの御指摘にありましたように、東アフリカは比較的アフリカの中では雨量に恵まれている国が多くて、ここもしっかりと河川流域管理的な発想でやっていけば、実際アフリカの東は米を結構作っておりまして、日本の支援でかんがいプロジェクトをやっていたり稲作の普及をやっていたりしますので、長期的な将来性という意味ではアフリカの東も重要ですし、それから先行投資的な意味でやはり地道に井戸を掘っておくと、ビジネスにはならないかもしれませんけれども、日本への支援という意味では、今回の震災で世界百三十か国からいろいろ義援金が集まったりしたということで、日本のサポーターをしっかりとつないでおくという意味では、非常に地道ではありますけれども、アフリカのその他の地域での地方での給水だとか小規模な町での給水、こういったものもしっかりと取り組んでいく必要はもちろんあるかと思います。
○会長(藤原正司君) どうもありがとうございました。 紙さん、お願いします。
○紙智子君 三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。日本共産党の紙智子でございます。 前回の調査会で、私は、水道事業の海外展開で果たして利益が上がるのだろうかということをお聞きしたんですね。なぜならば、水道事業は、浄水場やそれから水道管などの整備や更新などにすごくお金が掛かると。日本でいうと水道事業が八割赤字ということもあって、水道料金の値上げなんかも問題になる事例があるわけです。 それで、参考人の方からはそのとき、ODAは配水管それから導水管、浄水場などを造りっ放しで帰ったと、反省する必要があるんだと。水道事業の海外展開で維持管理を入れてリターンがあるかといったら、そんなにあるわけでもないと。大もうけはできなくて、現地に技術的なトランスファーをして、最後は少し人件費プラスアルファぐらいが稼げればいいかなと、こういうことが述べられたわけです。 それで、二つお聞きしたい。これは伊藤参考人と本郷参考人にお聞きしたいんですけれども、一つは、海外で水道事業を展開するに当たってのリスク管理ですね、リスク管理をどうするのか。つまり、どういうリスクが想定されているのかということなんですけれども、管理をどうするのかと。それからもう一つは、日本の技術を海外で生かす、これは必要だというふうに思うんですけれども、相手国の自主的、自発的発展をどう保障するのかという問題もあると思うんですよ。だから、この点どうかということをお聞かせいただきたいということ。 それからもう一つ、これ江島参考人にお聞きした方がいいのかなと、分からないんですけれども、国連の人間開発報告書の中に、要するに水メジャーが進出し水道料金を高騰させたことから貧困層の反発を受けて撤退したという報告があるんですけれども、言わば海外で水道事業を展開したけれどもうまくいかなかった事例とかその原因について、御意見があればお聞かせいただきたいと思います。 以上です。
○参考人(伊藤真実君) リスク管理の話ですけれども、非常に難しい話なんですが、私、明快な解は持っていませんけれども、海外で水道事業をやるときにやはり私が非常に重要だなと思っているのは、三菱商事さんがマニラで東側、マニラウオーターをやられまして、西は失敗したけど東は成功したという事例、有名な話ございます。 三菱商事さんにいろいろ話をお聞きしていると、やはりいかに、ブロックブロックごとに供給して、そこの住民の責任でいろいろルールを作って、お金もちゃんと払うような仕組みを、やっぱりそういうメンタル的というか、そういう形で、ほかのファイナンスの問題もいろいろあるんですが、やっぱり大きかったのはそこだということを三菱商事の方はおっしゃっているわけですね。 やっぱりその国々でその住民の方たち、あるいは官も含めて、うまくやっていくことが一番であって、リスクを言えば切りがないと思うんですが、そうして成功してくる事例もありますので、やっぱりそこに飛び込んでいくことではないかなという、ちょっと大ざっぱですけれども、そういう気がしております。 ただ一方では、我々はやっぱり商売をやっていく連中ですから、今最後にちらっと出ていましたけど、今、お金を使いまして海外のコンサルを使って、なぜうまく撤退できたのかと、海外勢は。なぜ失敗したのかから、失敗したときに訴訟になっている場合あるいはうまく撤退している、そういうものの解析を転ばぬ先のつえで今お願いして、実はつい一週間ほど前、我々協議会の中で、外国の調査会社ですけれども、そういうところから報告を受けたりして勉強はしております。 まあ一言で言うと、余り大上段でいかないで、やっぱりよく分からないので、失敗しないためには、小さく産んで大きく育てるじゃないですけれども、少しずつ、うまくいけば仕事を拡大していくやり方がいいんじゃないかというような意見が出ておりました。 済みません、余り細かい話はできませんけれども。
○参考人(本郷尚君) 先生御指摘の、まず最初にもうからないビジネスではないかという点は、やはりその御指摘のとおり、大きくもうけるようなビジネスではなくて、むしろ安定した収益を長く続けられるというタイプで、例えば鉱山開発だとか石油開発とかとはちょっと違う性格のものという認識ではないかなと思います。 続いて、リスク管理の点なんですけれども、やはりいろんな事業を行っていけば必ずリスクが顕在化してくるわけですけれども、先ほど来申し上げているように、自治体との関係、これは基本的には社会サービスですから、社会サービスの相手方である自治体がどういう対応で出てくるか、これは不確実性という点では非常に大きな点になると思います。それから、長い間事業を行いますので、その間、経済変動、特に為替ですね、為替変動というのは非常に大きなポイントになると思います。それから、もう一つ大事なのは天災ですね。こういったことはやはり自然が相手ですので当然起こり得ることだろうと思います。そうしますと、そういったものを全て事前に潰す、リスク対応を考えるということはこれ基本的に無理だということですので、やはりリスクが顕在化したときにそれをどういうふうに解決していくかという解決能力が問われてくるということになります。 最も私どもが現実的だというふうに考えておるのは、やはり現地での有力パートナーとチームを組むということで、いろんな問題が出てきたとき、それぞれ現地の自治体あるいは中央政府との太いパイプあるいは産業界との太いパイプを利用して様々な解決方法を試していくという、そういう体制ができるということが重要になってくるんじゃないかなと思います。 それから、技術の点について言いますと、確かに相手国のニーズ、先ほど伊藤様が申し上げていましたけれども、ニーズが合うかどうかというのが一番のポイントでありまして、日本がいいと思っても相手がいいと思わなければこれは価値はゼロですので、まずはニーズを確認するということ。そうすると、おのずと現地の持つ技術の良さというのも出てきて、日本からのと現地の技術をうまく組み合わせていくということになろうかと思います。 また、極端な話、一例なんですけれども、インドのような人件費の安いところでは、西日が差すような建物にブラインドを設置すれば非常にエネルギー、冷房のエネルギーを節約できるわけですけれども、日本であればタイマーを使って自動的にコントロールしようと考えるわけですけど、インドですと人件費が安いので、むしろ雇用供給のために人手でやりますと。これはインドの大学で実際にやっているケースでございますけど、我々とはちょっと違ったアプローチというのも取られているということでございます。 技術というのはかなり様々、現地の状況によって求められるものが違ってくるということではないかと思います。
○参考人(江島真也君) 確かに、御指摘のように、水メジャーが途上国で民営化した水道事業を請け負って料金改定、値上げを行った結果、住民の反発を受けて撤退したというケースは存在します。 ただ、ちょっと私も不勉強ながら、その根本的な原因がどこにあったのかというところまではちょっと、済みませんが把握しておりません。契約がどうなっていたかというのを見ないと、料金改定という一番機微な部分なので絶対契約には入っているはずなんですけれども、それがどういう契約だったのかというところまでは承知しておりません。 JICAのケースでは、水道事業を支援する場合には、もちろん造りっ放しは良くないので、例えばどこかの企業に委託するにせよ、あるいは途上国が自ら維持管理するにせよ、赤字になっては維持管理もできなくて結局駄目になってしまうので、赤字にはならないような制度設計を支援します。 その場合に、途上国の場合は結構水道が整備されていないと、民間の水屋さんといいますか、タンクやボトルで水を売りに来て、それを買って、収入の二割とか三割を水に使っているような人たちが結構いるので、そういった人たちに意見を聞いて、どれくらいまでだったら料金を支払う意思がありますかと。丁寧な調査をやることで、水道の企業体の収支とそれから住民の支払の意思がうまくバランスするような仕組みを入れてあげることで、なるべく持続可能な水道プロジェクトになるような工夫を多くしております。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 それでは、中山先生、お願いします。
○中山恭子君 ありがとうございます。たちあがれ日本・新党改革の中山恭子です。よろしくお願いいたします。 今日は、お三人の皆様、ありがとうございます。本当に関心のあるお話を伺いました。ちょっと余談かもしれませんが、私自身は日本の中でもやはり上下水道、そろそろ、何というか、更新というんですか、何かしていかないといけない段階に来ているなと、逆にこのお話聞きながら思っておりました。 ただ、今日は、どの話から言ったらいいか、いろんな国のお話が出ていましたが、私自身、中央アジアの国の大使をしておりました。今日は伊藤さんのお話、この協議会でも中央アジアとか旧ソ連圏というのは全くカバーされていないような形でして、それからJICAさんの方もあの地域はまだちょっと低いと考えられているんでしょうか、対象になっていないような様子でしたので、今日は中央アジアの話はするのをやめようと思っていたんですけど、つい、いや、あの地域も是非見てもらいたいんだがなという思いでちょっとお話しさせていただけたらと思うんですが。 この表でいきますと、資金は潤沢ではありません、したがって対象にならないという可能性が出てくるんですが。また、水資源については、さっき江島さんからありました、国際河川になってない川が、大きな川が二つありまして、アラル海が干上がってしまっているというような状態が出ていますので、その川の問題も含めて中央アジアは見ていかないといけないかと思っていますが、この水資源としては、したがって、国によって非常に豊富な国と、それからもう足りてない地域があります。 私がいましたウズベキスタンというのは、どちらかというと、山、直接つながってないので、水不足の、資源不足の方に入ります。ただ、先ほどおっしゃっていたように、非常に親日的な国でございまして、国際社会の中では日本に対して、前回も、震災に対して貧しいながらも福島に、特に原子力発電所の福島に向けて、ここで取れる毛布ですとか綿布ですとかを自分たちでできることでというので、今までお世話になってきてありがとうという意味で送り届けてきているような、そういう人々が住んでいます。 そんなこともありまして、ソ連のときに布設された上下水道が今もそのままなものですから、各国とも、五か国あります、五か国ともきちんとした上下水道ができていません。というか、もう四、五十年たっているということもあって、とても水道水は飲めないし、下水も完備されてないという状況があります。ある意味では、この日本の技術、高い技術で造っていくという地域ではないかと思っています。 ただ、住民の方々がこんなものなんだというようなところがあって、この日本の高い技術のあるそういう水道が世界にあるんだということすらよく分かってない可能性がありますので、そういった意味で売り込みのところから始める必要があるのかと思っています。その関係で、是非日本のそういう技術も含めて入ってもらえたらいい地域かなと、入れていただけたらと思っております。 そして、その資金なんですけれども、私自身、ODAで日本が円借款を出したときに取れなかった事業がやはりありました。これは非常に不都合、何と言ったらいいんですかね、日本が資金出しているのにその事業をしているのはヨーロッパの国だったりして、素直に、何かこう不合理な、残念な気持ちがありました。 このODAの在り方について、水事業だけではありませんが、もう、これ規制が掛かっていて、WTOの関係なんでしょうか、できませんよね、ひも付きというのが。それを何らかの、まあ日本は袖の下も使いませんのでうまくいかないというケースが幾つか出てきているかと思いますけれども、これをもう一工夫、もう一回この時点で何かやり方を考え直してもいい時期に来ているのではないかと、三割しか取れないようなのが現実であれば。 それと同時に、そのJICAの資金供給の在り方と、ODAを例えば日本の企業の方で直接プロジェクトごとにやる、何か工夫が、禁じられているのかもしれません。そして、そのJBICの資金というのをもう少しいい形で使えないものだろうかと。 答えが出てませんが、お考えだけでもお示しいただけたらと思います。 ありがとうございました。
○会長(藤原正司君) それぞれ、お三方の参考人でよろしいですか。 それじゃ、江島さんからよろしくお願いします。
○参考人(江島真也君) 中央アジアと、もちろんJICAはそれぞれの国といろいろな仕事をしておりますが、昨今ODA予算も厳しくなっておりまして、なかなか水分野では確かに大きな活動はできていないかと思います。 例えば、ウズベキスタンですと、エネルギーについては継続的に支援を行っておりまして、どちらかというとエネルギー分野に集中しているということですね。 旧ソ連圏ということであれば、コーカサス地域の国々では、あるいは旧ソ連圏といいますか、東ヨーロッパ、バルカンの国々などでは、おっしゃるとおり、当時の上下水道システム、下水といっても非常にプリミティブなものですけど、こういったものがもう四十年、五十年ということで更新の時期ということで、日本が支援しているケースもたくさんございます。 ちょっと残念ながら、中央アジアではまだ事例がほとんどないんです。
○中山恭子君 中央アジアでは、JICAさんが水道メーターを付けてくれたりしているところはあるんですか。
○参考人(江島真也君) 余り大きなビジネス的な取組にはつながっていないと思うんですけれども、中東や北アフリカでのODAベースでの経験は、条件的に似たような国であれば生かす余地は大いにあるかと思います。 受注の話は、繰り返しになりますけれども、やはりOECDのルールの縛りがありまして、なかなか厳しいものがあるというのが正直なところです。資金供給の在り方ともかかわってきますけれども、例外的に日本ならではの技術であれば、日本タイドにした借款を供与できるということで、環境技術であったり特殊な技術というのはあるんですけれども、今のところ水道はそこに入っていないんですね。もちろん説明次第なんですけれども、そういうわけで、ちょっとすぐには解決できる問題じゃないかなというふうに思います。
○参考人(本郷尚君) 中央アジア、御指摘いただきましてありがとうございました。 私も余りそこ得意な地域ではございませんけれども、周辺の状況から申し上げますと、九一年のソ連からの体制の変更、それからその直前の時期の投資が停滞していた時期から考えますと、やはりパイプの耐久性、それからポンプの耐久性から考えても相当大きな問題が出てきているということは容易に想像されると思います。実際、同じような状況にあった東欧では、二〇〇〇年以降、かなり大きな課題ということで、いろいろ投資がなされてきておりますので、中央アジアの主要都市が同じ状況にあるということは容易に想像されることだろうと思います。 そうした中で、やはりパイプ、中国の例で申し上げますと、日本のパイプの耐久性というのは非常に高く評価されておりますので、あるいはポンプもそうでございます、こういったものを使っていただくチャンスには当然なるだろうと思います。 ファイナンスということについて言いますと、今の中央アジアの状況を申し上げますと、民活民営化のような体制はまだ取れていないというふうに理解しておりまして、現時点で行うとするとやはり自治体が行うという事業、そして金融の面からいいますと、政府を通じて自治体にお金を供給し、そして事業を行うというパターンになろうかと思います。 そういったことであれば、ほかにもいろいろ事業を行っておりますので、日本の企業の方が実際にポンプやパイプを中心に設備を造るということになれば、ファイナンスの上で手伝っていけるのではないかなというふうに思います。 また、御指摘を受けまして、これからちょっと日本の企業の方からもヒアリングをしていきたいなと思います。 ありがとうございました。
○参考人(伊藤真実君) 江島さんの方から出るかなと思ったんですけれども、私は、先ほど江島さんの話でBOPというのが出ていましたけど、実はあそこのスリランカで緩速ろ過という方式で豊田通商がBOPのやつが始まるんですが、水道、日本は一番進んでいるのは膜を使うんですね。それで、その前は、一番ポピュラーなのは急速ろ過といいまして、薬品入れて、ぱっと汚いものを沈めて、上澄みを取って殺菌して、水道水として回すと。その一番古い形が、あなた任せの緩速ろ過、場所は要るんですけれども、お金が余り掛からなくてきれいな水が取れると。一番理にかなった方法なんですけれども。それをやろうとしているのがやっぱりスリランカで、豊田通商さんがやろうとしているんですね。 そういうのを、やはりBOPを、ODAじゃなくてBOPビジネスとしてJICAさんなんかと相談されて、そういうその土地に合ったコストの掛からないいい方法をやっていかれるというのが僕は一番いいんじゃなかろうかなというふうに思うんですけれども。 ちょっと足りなければ江島さんの方から言っていただいて。
○会長(藤原正司君) 何かありますか。 じゃ、江島参考人。
○参考人(江島真也君) BOPビジネスは、毎年、予算をいただきまして民間企業の皆さんからの提案を我々で取り上げていくということで、今年度が二年度目になりますので、もし中央アジアでビジネスをやりたいという方が、企業がいらっしゃれば、どんどん提案をいただければと思います。
○会長(藤原正司君) それでは、一応、一通り一会派回りましたので、自由にこれから質問していただきたいと思います。 それでは、お願いします。田中さん。
○田中直紀君 民主党の田中でございます。今日はどうもありがとうございます。 江島様からちょっとお願いしたいんですが、BOPビジネスでありますが、最近、役所も熱心になってきたようでございます。これの狙いと、ビジネスといっても国際協力というような、貧困層、確かにマーケットありますけれども、JICAが始めたということは大変心強いと思います。これは調査検討した後、制度的にどういうふうに整備してきているかなと。これが進めていくときにJBICがバックアップするのかODAになるのかいろいろあるんだと思いますが、今の状況の中でどういうふうに発展させていくか、そしてまた友好な国をつくり上げていく、利益まで生むのかどうかということは一方あると思いますけれども、友好には非常にこの展開はいいんではないかと思いますが、今後どう取り組んでいかれるか、伺いたいと思います。 それから、本郷様には、御存じのとおりJBICが独立をいたしまして、また元に戻って、積極的に金融支援をしていこうと、こういうことに、展開になるんでありますけれども、先ほど加藤先生のように、水問題についてはドイツが先行しているよと、提携する相手があるのかなと。先進国のプロジェクトにも融資のバックアップをしていけるということですから、どこの国、これスペインだとかシンガポールが載っていますが、こういうところと具体的にどのような成果が上がってきてインフラ輸出につながるのかどうかなということは具体的にちょっと聞かせていただきたいと思います。 それから、伊藤様には、もう専門的にやっておられますから、どこの地域、どこのプロジェクトと、こういうことは念頭にあるんだと思いますが、JBICもパッケージ型インフラ輸出ということで大々的にやっていこうとこういう、原発案も御破算になりましたからこれはもう見込めないと、こういうことになると、水事業だとか道路だとか鉄道だとかと、こういうことになってくるんだと思いますが、その中で水ビジネスがパッケージ型で素材からいわゆる建設、そしてまた先方の管理だとか、そういう体制がもう既に日本では整っているのかどうか、この組織の中で、そんな進捗状況はちょっと伺いたいと思います。その点をよろしくお願いします。
○参考人(江島真也君) どうもありがとうございます。 BOPは、発祥は欧州の企業がインドのマーケットで目を付けた辺りから始まっておるんですけれども、やはり我々としましては、途上国の貧困層を、なるべく貧困をなくしていくためには、ODA資金だけではなかなか立ち行かない、不足する部分がありますので、いろんな方々の力を借りるのがいいと、そこにビジネスチャンスがあるんであれば民間企業の皆さんにも是非参入していただきたいと。 ただ、恐らく日本の企業の皆さんにとっては、途上国の、しかも貧困層というのはなかなかなじみがないといいますか、実情が分からないということで取っかかりがないんではないかということで、まずJICAがその補助をしまして、ビジネスとして成り立つのかどうかという調査をJICAの資金でやってくださいと。それで今、昨年度分としてもう実施中です。それで、見込みがあれば、その先は本当に民間ビジネスとしてやっていただきたいと。 ここがこれまでと大きく違うのは、そこから先、またJICAでお手伝いしますよということは実はなくて、民間ビジネスとして資金調達するんであれば、金融機関なりあるいはJBICなりいろいろほかにありますので、そこから先は、もしかすると一部は海外投資という可能性もあるんですけれども、基本的にはビジネスとして成り立つところをやってくださいと。言わば橋渡し役を、日本の企業の皆さんとそれから途上国の特に貧困層へ向けた橋渡し役を担っていきたいと考えております。 提案をいただいた中には、非常にユニークな技術だったりビジネスだったり、提案はいっぱいあるんですけれども、ただ、やはり途上国の特に貧困層を多少なりとも分かっている我々から見ると、このままではやっぱりとても民間のビジネスとしては成り立たないだろうなと。やはり価格の問題であったり、あるいは現地で維持管理ができるかといったような問題がありますので、そこをしっかりと今回の調査で見極めていただいて、是非本当の意味でのBOPビジネスとして展開していただけるような橋渡し役というふうになっていきたいと考えております。
○参考人(本郷尚君) 従来のJBICのファイナンスというのは、日本の企業が海外の企業とパートナーを組んで、そしてプロジェクトのデザインも決めて、それからファイナンスの検討だというところで我々が相談を受けるというパターンだったわけですが、今回の水は、日本企業にとって新しい分野であるということ、また金融が非常に重要であるということ、さらには金融危機という状況もあったということもあって、私どもが取ったのは、まずJBICが水インフラに対して積極的に支援します、ただその条件として日本企業とチームを組んでくださいと、こういうメッセージを市場に発したということでございます。 シンガポールのケースでございますと、このシンガポールの企業は中国と中東に非常に実績を持っております。実際、この私どもの枠組みができて以降、日本のエンジニアリング会社さんとこのシンガポールの会社さんが天津で事業を開始することを合意しております。また、商社さんと中小規模のプロジェクトを多数やるというような枠組みを結んでおられます。また、中東でもある一定のプロジェクトについて協力しましょうという方向で進んでおると聞いております。そういう意味での言わばマッチングについてはかなり成果が出てきているのかなと。次は私どもの実際のファイナンスということになろうかと思います。やはりこれなかなか難しいプロジェクトですので、今検討をしているという状況でございます。 スペインにおいても同様でございまして、スペインの企業もファイナンスが非常に欲しいということがあって、実際に私どもが、一対一でアレンジみたいなことはできませんけれども、出会いの場のような、みんなが出会えるような場を提供しまして、そのうち幾つかは実際の協力の仕方について協議を進めているという状況でございます。これもまた具体的なチームが決まれば、私どもが本格的にファイナンスを検討していける状況になろうかと思います。
○参考人(伊藤真実君) パッケージ型というお話でございますが、我々がやっぱり志向しているのは、都市開発的なイメージのパッケージ型ということは意識はしております。なぜかといいますと、水だけじゃなくて、今やっぱりニーズとして出てきていますのは、一つの都市を開発する、あるいは工業団地を開発するとか、そういうニーズというのが今いろいろ出てきておりますので、そのためには別に水だけではなくて電力も必要ですし、いろんなものが必要になってまいります。 ただ、問題は、我々のところにやっぱりそういうことをやるためにはコンサルが必要なんですね。コンサルのメンバーがいない、なかなか日本のコンサルはそういう方面に弱いというようなところもございまして、そういうところがちょっと問題として今とらえております。 当然、都市開発みたいにして規模を大きくしていかなくちゃいけないということで動いてはいるんですけれども、例えば私が所属している、私は日立の人間なんですが、日立としてもやっぱりスマートシティーとか、そういうことも含めて、やっぱり大きく、都市開発というイメージで、今インフラも含めて会社として動いているところもあるのはあります。 やっぱりそういう姿だと思います。水だけではないと。やっぱりインフラ全部やっていかないとなかなか商売にはならないんじゃないかと。また、そうしないと、水だけですとなかなか、さっきから出ています技術の勝ったの負けたの、いいの悪いのの話が、高いの安いのとか、そればかりが付いて回りますけど、話が大きくなりますと、もうそういうのはネグられてきて、やはりアイデア勝負ということになってくると思いますんで、勝つための一つの手法であるとは思っております。
○会長(藤原正司君) 伊藤さん、ありがとうございました。 それでは、質問をお受けします。それでは、自民党さんの熊谷さん。
○熊谷大君 参議院議員の熊谷です。 非常に参考になるお話、本当にありがとうございました。 私、ちょっと一点お聞きしたいんですけれども、自治体に対するPPPの参入の具合なんかをちょっとお聞きしたいんですけれども。 というのは、私、宮城県出身で今回、被災に遭ったところの場所の出身なんですけれども、仙台市、宮城県仙台市は、宮城県もなんですけれども、下水処理場が八か所あって、そのうちの四か所被災に遭っているんですね。今、仙台市、私の住んでいる地域なんかは、蒲生地区というところで下水処理センターがあったんですけど、そこがもう全く機能しなくて、上水道は復旧したんですけれども下水が全くできなくて、七北田川という川があるんですが、そこに汚水を流すような処理を今しているんですね。そうじゃないと、もうマンホールがあふれちゃってきているという状況でございます。 そういった中で、復旧復興を考えると、菅総理が一時期おっしゃっていた創造的復興ということを考えますと、そういった下水処理センターも、こちらの日本の強みというところで、MBRというシステムとかを積極的につくって、参入していただいて、防災に強いということが非常に重要なファクターになってくると思うんですけれども、そういったことで、国内でのPPPの経験を、先ほどおっしゃっていたように、積み重ねていただいて海外に展開していく一つのモデルづくりなんかをできるんではないかなと。 先ほど伊藤さんがおっしゃったように、町づくりということも鑑みますと、そこの蒲生地区というところは白砂青松が、非常に松林が風光明媚なところで、土地の人にとっては、蒲生干潟というところがあって野鳥や水鳥が集う場所だったんですけれども、一気に、全て松林もその干潟も津波によって奪われてしまったんですね。そういったことを回復させるということは、その土地の人間の尊厳とか自尊心を回復させること、心の回復、再生を促すことであるということで、非常に新しいビジネスチャンスと言うとちょっとおかしな話ですけれども、型を、スキームをつくっていけるんではないかなというふうに思っておりまして、こういった一連のことを国内で経験を積んで海外に展開していくということが果たしてできるのかなということをちょっとお尋ねしたいなというふうに思っております。
○会長(藤原正司君) 熊谷さん、どなたの参考人にお答えを。
○熊谷大君 伊藤さんと、あと本郷さんに。
○参考人(伊藤真実君) 実は、今おっしゃったとおりでして、既にMBRのシステムでいろいろ提案させていただいております。 復旧と復興と二つに分けまして、特に復旧の方では、とにかく早く、水の設備って結構時間が掛かるんですね。土木からいろんなことをやり始めますと、半年や一年とか平気で言いますんで。とにかく、すぐ立ち上がってすぐ使えるようなものということで、MBRというのは非常に、そういう意味ではコンパクトなやつ造りまして、大きなやつを造ろうと思うとやはり土木から全部やり直さないといけないんですが、何か所も置ける、コンパクトなやつを今提案させていただいているところです。そういうものに対しても、予算との兼ね合いで、民間がそういうものを持っていって処理業をやってもいいわけですから、そういうことも考えながら、今いろいろ提案させていただいているところです。 それから、復興についてはまた別の考え方で、今、水全体を考えて、またいろんな動きをしようと思っております。やはり、我々としては、どうせやるからには、日本で東北モデルみたいなものでいいものを作って、それをまた海外の似たようなところに、生活レベルが似ているようなところも含めてまた海外に展開していきたいというような構想で、そちらの方にも参画していこうかなということで今動いております。
○参考人(本郷尚君) 海外の、特にアジアの場合、上水道も確かに重要なんですけれども、同時に下水道も整備しなければいけない状況になっています。中南米、南米の方ですと上水道がある程度整備されて、今は下水道に力を入れましょうか、プラス上水道のメンテナンスみたいな形のイメージかと思います。 今回のところでは、やはり上水道、下水道を両方セットにして考えるチャンスにもなるかもしれません。そうすると、アジアのような途上国、新興国で必要になっている上水と下水を一緒に考えるという需要が今出てきておりますので、そこは一つの、国内復興をした場合の出口として、投資、有効に経験を活用しましょうという出口としてはかなり有望な場所がアジアにはあるんじゃないかなというふうに考えます。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 では、質問を受けます。主濱さん。
○主濱了君 お三人の参考人の皆さん、貴重な御高話ありがとうございました。 私は江島参考人の資料に基づいてお話をさせていただきたいと、質問をさせていただきたいと思います。江島参考人の資料の二枚目、めくった二枚目、四番のところに、世界の水問題とJICAの取組についてと、こういう資料があるわけですけれども、これに基づいて質問をさせていただきたいと思います。 まず、ここに人口が書いてございます。今地球には六十三億人、そして二〇五〇年には九十二億人ぐらいになると、こういうふうに予測されているわけですが、このうち、実は食料問題からいいますと、九十二億人になった場合には十億人の食料不足が発生をすると、こういうふうに予測をされているところであります。 これを水需要で見ていきますと、その隣の方に水需要があるわけですが、これ二〇〇九年で四千五百立方キロメートルと、これぐらい。これは大体十六キロ四方に十六キロの高さがあるぐらいでしょうかね。ちょっと少ないような気がしてならないんですけれども、それぐらい今需要があると。それから、二〇三〇年には、今度は六千九百立方キロということで、これは十八か十九キロのその立方ぐらいになるのかなと、そういう認識でいいのかどうか。世界の需要がそれぐらいしかないんだろうかと、そういったような認識でよろしいのかどうかというのが第一番であります。 それから二つ目は、生活用水、ここの中の生活用水、黄色のところが一・五倍になっております。それから工業用水が二倍弱になっております。それに対して農業用水が、これは伸び率はそんなに大きくないんですが、量とすれば千四百立方キロでこれが一番大きいと、こういうことになっておりまして、全然足りないわけですよね、四〇%不足ということになりますと。そこで、さてどうするかと、こういう問題であります。 地球上の水、地球上の人口を賄うための水が徹底して少ないというふうに思われるわけで、食料も当然少なくなってくるというわけでございます。その水をどうやって調達をするのか、その妙案をお三人にそれぞれ伺いたいなと、こういうことでございまして、このままいきますと今二〇〇九年の水需要がそのまま続くんじゃないかと、こういうふうなおそれがありまして、そうすると極端な水不足、極端な食料不足、これが生ずることはもう明らかになるわけであります。そういったようなところから、お三人の考え方を伺いたいということ。 それから、その隣に、表流水とそれから地下水というふうにあるわけですが、私の認識ですと地下水の方が何というか埋蔵量が多いというふうに考えておりまして、地下水というのはもっともっと活用できるのではないかなというふうに思っているのですが、この点については、これは江島参考人にお伺いをしたいなというふうに思います。 以上でございます。
○会長(藤原正司君) それぞれ皆さん、得手不得手があると思いますので、得手の範囲内でよろしくお願いします。
○参考人(江島真也君) ありがとうございます。 このグラフはマッキンゼーの調査から持ってきたものなんですけれども、量については、例えば二〇〇九年の四兆五千億トン、これがさっき使いました琵琶湖の水量に換算すると琵琶湖百六十個分ぐらいの量になるんですけれども、おっしゃることが、もう私もこの数字で大丈夫かと言われると、ちょっと私自身が調べたわけじゃないので、申し訳ございません、ちょっとそういう認識ではおりますが。このマッキンゼーのレポートは、マッキンゼー以外のところも含めまして世界銀行の依頼で作成したレポートということなんですね、二〇三〇年の水収支に係るレポートということなので、一応全く何かおかしな数字でもないかなというふうに理解しております。ちょっと済みませんが、それ以上は。 それからもう一つ、どうやって不足分を補うかということですが、これはやはり、水利用の効率化と、それから水のリサイクル、これは日本のビジネスチャンスにもつながるんじゃないかと思うんですけれども、できるだけ切り詰めて、それから捨てないでもう一回使うといったことの積み重ねしかないのかなと。農業も、かんがいでも水流しっ放しじゃなくて必要なところだけ水をあげたり、それから水田の管理なんかも非常に小まめにやることによって何か大分節約できるという話も聞いていますので、これからは本当に地道な取組の積み重ねでもって大きな量をセーブしていかなくてはいけないということかなというふうに考えます。
○参考人(本郷尚君) 水につきましては、水の特性として、やはり水はなくならない、循環しているというところがあると。実はこれは、逆の言い方をするとややこしい問題を起こしているわけですね。使った水はまた戻ってきて、汚水として戻ってきて汚してしまう、それが使える水を実質的に少なくしてしまっていると。これが例えば中国で起きている状況なわけです。 ですので、水というものを循環的に使うということを考えれば、一度使った水をもう一度使うということ、これをやっていくことによって、絶対量としての不足というものをかなりの程度カバーできるんじゃないのかなというのがいろんな国際会議で言われていることでございます。 淡水化の活用というのはありますけれども、やはりエネルギーをたくさん使ってしまいますので、それだけに頼るということは余り適当ではないかもしれないというふうに思います。
○参考人(伊藤真実君) ちょっと別のデータなんですが、水の問題ですと、二〇〇〇年から二〇二五年で、私の手元のデータですと、水が世界的に三〇%ぐらい増加すると、使用量が、取水量が。そのときに、アジアがその全体の六割を占めてしまうということで、アジアが非常に水が多くなると。 それから、アジアの方もどんどん都市化が今から進んでいきます。そうなってくると、今、先ほど来出ていますけど、アジアのそういう都市化が起こるところに水の再利用的な、例えば下水も一つの第四の水源と考えてうまく活用するとかいう方法を取りながら、やっぱり節水に努めていくしかないんじゃないかなというような、都市を中心にしてそういうことをやっていくのがまず第一かなというふうに今は考えているぐらいで、それ以上のちょっとアイデアはございません。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 次、質問を受けます。山田さん。
○山田俊男君 私は、どうもありがとうございました、伊藤さんに簡潔にお聞きします。 昔、ペットボトルの水を持ったりしていると、一つのファッションみたくしてちょっと軽蔑なんかしていたんですが、もうそういうわけにはいかなくて、原発の水道水の汚染問題が出てからといったらその前からもそうですが、ペットボトルが物すごく普及しているんですよね。一方でまた、水源地を海外の企業が求めるみたいなことがあったりするものですから余計心配なんですけれども。 先ほどおっしゃったように、こうした水の技術の開発、更に必要だということでありますが、コストが大変掛かると。とすると、そのペットボトルの供給会社等との連携、企業間連携みたいなものが全くないんですか。接点は全くないのかどうかというのはちょっとお聞きしたかった、これが一つ。 それから、海水の淡水化について取り組んでおられるというわけですが、今回、大地震、津波で大変水田が海水につかっちゃってその除塩対策が大変課題になっているんですが、除塩でいい知見が出せないのかということです。 三つ目は、原発の冷却に海水を使って、後はそれはもう駄目なんだということはあるわけですが、あれは海水の真水化と関連して、これも何か提言されるみたいなことはないんですか。 以上です。お願いします。
○参考人(伊藤真実君) 余り詳しくはないんですけれども、ペットボトル、私の知っている限りは、我々の業界とペットボトルの業界というのは全然違うところであって、余り関係はないと思います。 簡潔に言いますと、あるかもしれませんけれども、私の知っている限りでは、プラントメーカーとかが主ですから、どっちかというとペットボトルメーカーというのは飲料水のメーカーになってくると思うんで、余り関係はないと思います。 それで、よく言われる話としては、やはりペットボトルというのはかなりもう当たり前になってきたんですけれども、まだまだ今、東京、大阪、いろんな名前でペットボトル的なものを出していますけれども、あれも結構、何でしたか、「ほんまや」でじゃなかったけど、大阪なんかでも結構水道水飲みますよと、ペットボトルと余り変わりませんよ。東京都もそうですね。そういうPRをどんどんしていっていますよね、今。 僕は、やっぱりああいうものを飲まないで、結構高いですから、やっぱり水道水をちゃんと、余り変わりません、飲むべきじゃないかというような気がしているんですけれども、個人的には。 それから、先ほどの除塩とかそれから淡水化の話ですけれども、除塩、私は特にこれというアイデアはないんですが、やっぱりあれもいかにコストを安く洗うしかないんじゃないかなという気がしているんですけれどもね。これ以上のことは、例えば、もうどんどん、この前テレビでちょっと見たのは何か水を流しながら洗っていくというような方法なんですが、それでも構わないですけれども、手っ取り早いのは、やっぱり掘り返して、例えば車か何かに乗せて、ぱあっと洗って、もうそこで分離して、また元に戻しながらどんどんやっていくようなことが一番効率的だと思うんですけれども。 なぜかというと、よく、塩ではないんですが、土壌の浄化って、土壌ではトリクレンとかああいうもので汚染された土壌がかなり今問題になって、一時土壌汚染ということで問題になったんですが、土壌の洗浄というのはやっぱりそういうことをやっていますよね。 それから、放射能。特にないですけれども、これも、実は私、日立ですので全く関係ない話じゃなくて絡んではいるんですが、やはり日本にはそういう膜で高濃度のものをやったという経験がないんですよね。そういうデータも余りないと思います。だから、やっぱり今回はやりながら勉強していくしかないんじゃないかなというような、個人的にはそういうことを考えたりしているんですけれども。 やっぱり膜で、なぜかというと、海水の場合でそういうものを取ろうとすると、塩濃度が高いものですから、もう膜で取るしかないですよね。じゃないと、塩がその中に入っているわけですから、食塩が。だから、例えば樹脂なんか使おうとしても、樹脂がすぐほかの塩でいっぱいになりますので、どんどん再生しないといけないということになりますから、塩濃度の高いものの中からそういうものを取ろうとすると、選択できませんので、やっぱり膜みたいなもので塩としては全部取ってしまうというような方法しか僕はないんじゃないかと思うんですが。済みません。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 次、質問をお受けしますが、時間がございませんので、一人一点、一参考人に対する質問だけでお願いしたいと思います。 大野さん。
○大野元裕君 民主党の大野でございます。 一点だけ、江島参考人にお伺いをしたいと思います。 先ほど、伊藤参考人から中東がお勧めだという話がありました。本郷参考人からは上流からという話があったんですが、若干私は目がうろこであったのは、その後、江島参考人の方から、政策のところから関与をするべきだと。中東において政策から関与をするという場合に、特に国際河川等で政策から関与をしたときに日本の中立性をいかに保障しながら関与をするんだろうか。例えば、トルコのサウスアナトリアに日本が関与した場合に、どうほかの国との協調を取るのか。あるいは、国内においても、二十世紀初めにイギリスのコンサルタントがイラクに入ったときに、イラクが自分たちの政府に貢献する部族、民族には優先的に開拓を行い、水の流れを変えていくということをやっていました。ヨルダンもそうだと思います。 そういった意味からいうと、ゼロサム的な発想がある、まだ強く残っている中東において、政策から関与するときの日本の中立性についてどう担保しながら彼らに関与していくのがいいかどうか、ちょっと教えていただけないでしょうか。
○参考人(江島真也君) ちょっと私の立場だと複数の国にまたがるような政策の話までなかなかふだん話が及ばないんですけれども、おっしゃるとおり、特に国際河川というのは非常に難しい問題、上流と下流での水争いがかかわってきますので、政策的なアドバイスするときにも非常に難しいかじ取りが要求されるのかというふうに認識します。 ただ、一つ、今、何といいますか、ヒントといいますか、いいなと思っておりますのが日本の衛星技術との組合せですね。 国際河川の場合は、水の量がどれだけ正確に、どこから流れてきてどれぐらいあるのかというのを正確に把握した上で議論をしなくてはいけないと。その場合、やはりそれぞれの国の主張だと、これだけの量が流れてきているはずじゃないかと、いや、そんなことないと、おまえが取っているだろうという話がどうしても出てきます。これは、国際河川じゃなくても、上流と下流では必ずそういう争いが出てきます。そういうときに、できるだけ衛星を使ったいろんな観測で正確な水の資源の賦存量を客観的に提示してあげて、少なくとも客観的な事実はこうですと、これをベースにどうやって国際河川をうまく使っていくのかというのを議論しましょうということで、JICAとしましてもそういった形での貢献ができると思いますし、それから、中東はその国によっていろいろありますけれども、お金は取りあえず余り心配のない国においても技術協力は継続してやっておりますし、非常に限られたケースではありますけれども、サウジアラビアなどはJICAに対してサービスの対価を払って、技術協力をするというようなことも始まっております。 普通にやるともうODAは卒業なんですけれども、やはり日本の技術を取っかかりとして得るときに、少し我々がお金をいただいて、それで技術協力するというようなこともやっていますので、中東地域、まだまだいろんな、つまり日本のODAの関与する余地は大いにあるかというふうに思います。
○会長(藤原正司君) ありがとうございました。 それでは、ほぼ予定の時間が参りましたので、ありがとうございました、御協力。参考人に対する質疑をこれで終わりにしたいと思います。 一言、御挨拶申し上げます。 伊藤参考人、本郷参考人、そして江島参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。心からお礼申し上げたいと思います。 調査会を代表しまして、皆様方のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。 本当にありがとうございました。(拍手) では、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十三分散会