環境委員会 第1号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2011/03/10
会議録
○委員長(北川イッセイ君) ただいまから環境委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月二十四日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として前田武志君が選任されました。 ─────────────
○委員長(北川イッセイ君) 国政調査に関する件についてお諮りをいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、環境及び公害問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北川イッセイ君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(北川イッセイ君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。 まず、環境行政の基本施策について、松本環境大臣から所信を聴取いたします。松本環境大臣。
○国務大臣(松本龍君) 環境大臣の松本龍でございます。 第百七十七回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。 我々人類は、その誕生以来、地球の恵みを享受しながら生活してきました。しかし、産業革命、とりわけ第二次世界大戦以降、我々は環境を大きく変化させてきました。また、地球温暖化や生物多様性損失などの環境問題の発生や、世界的な資源エネルギーの逼迫、あるいは食料価格の高騰といった問題に代表されるように、地球上の資源や生産力には限りがあります。我々はその有限性を十分に認識し、活動しなければなりません。持続可能な社会を築き、貧困を解消し、良好な環境を子供たちに引き継いでいくことは、我々現代の世代に課せられた使命です。 一方で、環境は今後の経済成長を牽引する最重要分野の一つです。世界の環境関連市場は年々拡大をしており、新たな需要が生まれています。さらに、世界の各国ではグリーン経済の構築を目指す様々な取組が始まっています。私も、環境問題の解決に取り組むことを通じ、経済成長を実現してまいりたいと考えています。 さて、地球温暖化対策については、昨年末のメキシコ・カンクンにおける気候変動枠組条約第十六回締約国会議、COP16において、先進国と途上国の双方が削減の目標や行動を掲げて取り組むことが締約国会議決定の形で合意されました。これは、各国の利害が厳しく対立する中、世界規模の排出削減を実現して人類共通の地球益を確保する観点から、我が国が目指す全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組みの構築に向けて、多くの国に対し我が国の考え方や取組を丁寧に説明し、その結果得られたものであると言えます。さらに、資金、技術、適応、森林保全等の途上国支援の強化が盛り込まれたことも大きな前進と言えます。 我が国としては、COP16の決定を発展させていくため、積極的に知恵を出しながら、引き続き関係各国と精力的に対話を重ね、次回のCOP17に向けた交渉の進展に貢献してまいる所存ですが、こうした我が国の方針について各国の理解を得るには、国内の地球温暖化対策を着実に進めていることを各国に示すことが極めて重要です。このため、地球温暖化問題を人類共通の課題と認識し、我が国が中長期的に率先して取り組むための枠組みを定める地球温暖化対策基本法案を提出しており、この法案を御審議いただいた上で、是非とも今国会での成立をお願いしたいと考えています。 地球温暖化の国内対策については、引き続き、中長期目標達成に向けたロードマップの精査を行います。地球温暖化対策のための税については、課税による排出抑制効果の観点と、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施する観点から、平成二十三年度の税制改正法案に盛り込んだところであり、地球温暖化対策を進める上で重要な一歩と言えます。国内排出量取引制度については、産業に与える影響等を見極め、慎重に検討します。また、我が国の低炭素技術・製品による途上国等での貢献を適切に評価する新たなメカニズムの構築に向けた取組も実施いたします。 菅総理が施政方針演説で述べられたとおり、政府一丸となって新成長戦略の工程表を着実に実施し、成長と雇用につなげることが必要です。環境省としても、持続可能な社会づくりに向けた様々な取組を積極的に実施し、環境イノベーションの促進や世界に先駆けた物とサービスの提供等を実現してまいります。 具体的には、民生部門での温暖化対策を促進するため、家庭・事業者向けに低炭素機器のリース料の一部を助成する事業、各家庭の実情に応じたエコ診断を推進する基盤整備事業等を展開します。また、再生可能エネルギーなど地球温暖化対策技術の開発導入を促進します。これらの施策により、関連産業の成長と雇用の拡大を実現する所存です。 我が国の優れた環境保全技術を活用して、アジアにおける持続可能な社会づくりに貢献すると同時に、日本企業がアジアの環境市場にこたえられるよう促していくことも必要です。このため、我が国の静脈産業や水ビジネスのアジアへの展開を積極的に支援してまいります。 また、社会資本整備、地域活性化を通じて、経済成長と地域の雇用を創出するための取組も積極的に進めてまいります。具体的には、持続可能な地域づくり、まちづくりを進めるため、新しい低炭素社会基盤の集中整備を行うとともに、優れた自然観光資源を保護しながら活用するエコツーリズムを通じて地域の活性化を図る事業を実施します。 さらに、大量生産、大量消費、大量廃棄を基本とする社会の在り方に加えて、大量流通という社会の現状についても見直していきたいと考えています。例えば地産地消など、地域において活用し循環利用することが可能な物や資源ができるだけ地域で活用されるようにすることが重要であり、そのための検討を進めてまいります。 昨年十月、愛知県名古屋市において生物多様性条約第十回締約国会議、COP10が開催されました。COP10では最終盤まで議論が難航しましたが、共通する地球益、人類益に向けて参加者の思いが集まり、合意に向けた譲歩、妥協を促した結果、生物多様性に関する新たな世界目標(愛知目標)と遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書への合意に達しました。今後は、COP10の成果を踏まえ、実際の行動を始めることが必要です。 まず、国際貢献としては、途上国支援のための生物多様性日本基金の創設・運用、二次的な自然環境の持続可能な利用を促進するSATOYAMAイニシアティブの推進、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム、IPBESの設立支援などを開始します。 国内対策については、生物多様性国家戦略の見直しに着手するとともに、国立公園など保護地域の拡充や絶滅危惧種の保護施策の推進等により、生物多様性施策の充実を図ってまいります。また、昨年成立した生物多様性保全活動促進法を円滑に実施し、地域の生物多様性を保全する活動を促進していく所存です。さらに、鹿を始めとした野生鳥獣の管理の充実、外来種対策、ペットなどの動物愛護を進め、人と生き物が共生する社会の実現を目指します。 鳥インフルエンザ対策については、関係省庁、都道府県等と連携して対処します。また、極東地域での研究者の交流促進を通じた情報の共有に向けて取り組んでまいります。 引き続き、資源効率が高く環境負荷の少ない循環型社会の構築を進めるため、意欲と能力のある優良な静脈産業事業者の支援や、使用済小型家電からのレアメタルなどの有用金属の回収を始めとするリサイクルの充実等により、廃棄物の3R、すなわち発生抑制、再使用、再生利用を推進します。 また、廃棄物処理施設でのエネルギー回収の促進等により、廃棄物処理分野における温暖化対策を強化するとともに、産業廃棄物の適正な処理を推進し、不適正処理・不法投棄対策を進めるなど、安全、安心な廃棄物処理を推進します。 国民の安全と安心の確保は環境行政の原点です。安全、安心な生活を実現するための取組を引き続き着実に実行します。 まず、公害健康被害対策にしっかりと取り組みます。特に水俣病については、三月三日、新潟地裁において、いわゆる新潟四次訴訟原告との間で和解が成立しました。引き続き、このほかの和解協議や、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法に基づく救済手続や和解協議に万全を期す所存です。将来にわたって地域の人々が安心して暮らせる地域づくりにも取り組みます。また、水俣病経験国として、水銀に関する水俣条約の制定に向け、国際的な議論をリードします。 石綿問題については、石綿健康被害救済法に基づく被害者救済に全力を挙げつつ、建築物解体時の飛散防止対策や石綿廃棄物の適正処理など、健康被害の未然防止に積極的に取り組みます。 有害物質の漏えい、浸透による地下水汚染の未然防止を図るため、有害物質を使用又は貯蔵する施設について構造に関する基準の遵守及び定期点検の実施を義務付けること等を内容とした水質汚濁防止法の改正について、御審議をお願いしたいと考えています。 大気汚染防止のため、微小粒子状物質に関する総合的な対策を推進するとともに、水環境の保全を図るため、引き続き浄化槽の整備など各種対策を推進してまいります。 また、アジアにおける安全、安心な社会の実現に向けた協力を進め、環境汚染防止分野で国際貢献を行うとともに、これを日本企業の成長に生かすことが必要です。このため、環境汚染対策と温室効果ガス削減を同時に達成するコベネフィットアプローチの協力などを引き続き実施します。 さらに、子供たちの健康を守り育むための、世界各国と協力した長期的、大規模な調査や包括的な化学物質対策の強化を推進します。 環境問題を真に解決するためには、一人一人が環境保全の重要性を認識し行動することが必要です。このため、環境教育や普及啓発について、今後の施策の在り方を検討したいと考えています。 このほか、昨年の通常国会に提出している環境影響評価法の一部を改正する法律案についても、よろしくお取り計らいをお願いしたいと考えています。 以上、環境省の取組の一端を申し上げました。 本年は、環境省が発足して十年ということのみならず、昭和四十六年に環境庁が発足して四十年の節目の年に当たります。この四十年の間に、環境政策の前進に向けて御尽力をされた方々に改めて敬意を表するとともに、経済成長を牽引する環境政策、地球温暖化問題、生物多様性保全など、新たな課題の解決に向け、課題先取り型の環境行政を進めていく決意を重ねて表明いたします。 委員各位におかれましても、今後とも、環境行政の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(北川イッセイ君) 次に、平成二十三年度環境省予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。近藤環境副大臣。
○副大臣(近藤昭一君) 平成二十三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。 まず、一般会計予算では総額二千九億二千六百万円を計上しております。 以下、その主要施策について御説明申し上げます。 第一に、地球環境保全対策については、昨年末にメキシコ・カンクンで開催された気候変動枠組条約第十六回締約国会議の成果を踏まえ、全ての国が参加する公平で実効のある枠組みの構築を目指すとともに、国内の各種地球温暖化対策を着実に進めてまいります。また、アジアを中心とする環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費として三百七十九億九千七百万円を計上しております。 第二に、自然環境の保全対策については、昨年十月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第十回締約国会議の成果を踏まえ、途上国支援等の国際貢献を推進するとともに、国内における生物多様性関連施策の着実な実施、国立公園や世界自然遺産などの優れた自然環境の保護と適正な利用、外来生物対策の推進などに必要な経費として百五十一億三千六百万円を計上しております。 第三に、廃棄物・リサイクル対策については、静脈産業の育成や海外展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rの取組の推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として七十六億三千三百万円を計上しております。また、循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として五百二十八億二千万円を計上しております。 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会が相互に高め合う社会経済の仕組みを構築する基礎を確立するべく、環境金融の推進、持続可能な地域づくりの推進、環境影響評価の促進などに必要な経費として六十三億六百万円を計上しております。 第五に、公害健康被害対策等については、公害健康被害補償制度や石綿による健康被害に係る救済制度の適正かつ円滑な実施、水俣病対策や国内における旧軍毒ガス弾対策、化学物質対策の着実な推進に必要な経費として三百八億六千九百万円、大気・水・土壌環境等の保全対策については、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五対策、自動車環境対策の推進、水環境保全対策の推進、経済発展の著しいアジア諸国において環境汚染対策と温室効果ガス削減対策を同時に進めるコベネフィットアプローチを推進する取組など、良好な環境を確保するために必要な経費として五十四億五千六百万円、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として百十二億八千万円を計上しております。 第六に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として五十三億六千六百万円を計上しております。 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。 特別会計予算では、家庭や職場での排出削減対策の推進、低炭素社会形成の促進、再生可能エネルギーの導入拡大、技術開発などに必要な経費として、エネルギー対策特別会計に一般会計から三百四十一億円の繰入れを行い、総額として三百七十九億二千万円を計上しております。 以上が平成二十三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。 最後に、各府省の平成二十三年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十三年度におけるその総額として一兆二千九十一億円を計上しております。 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために五千八百三十三億円、大気環境の保全のために二千三百四億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために六百六十四億円、廃棄物・リサイクル対策のために七百十七億円、化学物質対策のために百二十八億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために一千四百四十七億円、各種施策の基盤となる施策等のために九百九十七億円をそれぞれ計上しております。 以上、平成二十三年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。
○委員長(北川イッセイ君) 次に、公害等調整委員会の業務等について説明を聴取いたします。大内公害等調整委員会委員長。
○政府特別補佐人(大内捷司君) 公害等調整委員会が平成二十二年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。 まず、公害紛争の処理に関する業務について申し上げます。 第一に、平成二十二年に当委員会に係属した公害紛争事件は、隣接地における事業活動等と所有地の汚染等との因果関係の判断を求める仙台市における土壌汚染・水質汚濁被害原因裁定申請事件、近隣住宅における給湯器の稼働と健康被害との因果関係の判断を求める高崎市における給湯器騒音による健康被害原因裁定申請事件、水俣病と認定された患者とチッソ株式会社との間で患者個々人ごとに具体的な損害賠償額を定める水俣病損害賠償調停申請事件など合計五十三件であり、このうち新規に受け付けた事件が二十件に上るなど、係属事件数は昨年に引き続き増加しております。 また、平成二十二年中に終結した事件は、港湾の防波堤工事によって漁業被害が生じたとして損害賠償を求めた高知県須崎市における防波堤工事による漁業被害責任裁定申請事件など十七件であり、同じく増加しております。 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が六件係属し、現在までのところ、このうち三件について手続が終了しております。 第二に、平成二十二年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は七十三件であり、公害の種類別では騒音に係る事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十八件であります。 第三に、平成二十二年中に取りまとめた平成二十一年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は、前年度から五・三%減少し、約八万二千件となっております。これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約五万七千件で、それ以外の苦情は約二万五千件であります。 当委員会では、公害紛争の迅速かつ適正な解決に資するよう、多様化、複雑化する公害紛争に着実に対応するとともに、公害紛争処理制度の利用の促進を図ってまいりました。 具体的には、本制度を利用する地方在住者の負担を軽減するための被害発生地などの現地における審問期日等の積極的な開催や、当委員会自ら行う調査の充実に取り組むとともに、国民や関係機関に対する本制度の周知などに努めてまいりました。その結果、係属事件数が継続して増加するなどの成果を上げており、今後もこうした取組をなお一層進めてまいります。 また、公害紛争処理又は公害苦情処理を担う都道府県及び市区町村との情報の交換などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。 続きまして、平成二十二年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。 第一に、鉱区禁止地域の指定に関する業務について申し上げます。 当委員会は、各大臣又は都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益や他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定するものとされております。 平成二十二年に当委員会に係属した事件は二件であり、亀山市西部森林地域及び関宿周辺地域関係地域の指定請求事件は同年七月に、大保ダム関係地域の指定請求事件は同年十月に、それぞれ指定公示を行い、終結いたしました。 第二に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する業務について申し上げます。 鉱業法等に基づく特定の許認可などの処分について不服がある者は、一般公益や他の産業との調整を図るため、当委員会に対して不服の裁定を申請することができるものとされております。 平成二十二年に当委員会に係属した事件は、青森県下北郡東通村地内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件などの三件であります。 第三に、土地収用法に基づく意見の申出等に関する業務について申し上げます。 当委員会は、土地収用法、鉱業法などに基づき各大臣が裁決などを行う場合には、照会に対する意見の申出や承認等を行うものとされております。 平成二十二年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申出十八件であり、これらのうち、同年中に処理した事案は十二件であります。 以上が平成二十二年における公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務の概要であります。 続きまして、平成二十三年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。 当委員会の歳出予算要求額は五億四千万円となっております。 要求に当たっては、事件処理以外の経費を大幅に見直す一方で、事件処理に係る経費の充実を図るため、第一に、公害紛争処理制度の利用に係る地方在住者の負担の軽減を図るため、現地で審問期日等を開催するための経費として千四百万円を計上し、第二に、公害紛争事件の迅速かつ適正な解決に資するため、事件に係る調査を実施するための経費として三千百万円を計上しております。 以上が平成二十三年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要であります。 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの業務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。 以上であります。
○委員長(北川イッセイ君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ─────────────
○委員長(北川イッセイ君) 次に、先般本委員会で行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。山根隆治君。
○山根隆治君 御報告いたします。 去る一月十九日及び二十日の二日間、小笠原諸島の世界自然遺産登録に向けた取組状況等に関する実情調査のため、北川委員長、轟木理事、川口理事、亀井委員及び私、山根の五名で調査を行ってまいりました。 一日目は、まず、小笠原諸島の世界自然遺産登録に向けた取組などについて、環境省、林野庁、東京都及び小笠原村から説明を聴取いたしました。 小笠原諸島は、東京から南に約千キロメートル離れた三十余りの島々から成り、どの島も成立以来大陸と陸続きになったことがない海洋島で、現在、父島と母島に約二千五百人が居住しております。 自然遺産として、平成十九年一月に世界遺産条約に基づく我が国の暫定一覧表に登録され、平成二十二年一月、世界遺産一覧表記載のための推薦書がユネスコ世界遺産センターに提出されました。世界自然遺産の四つの評価基準のうち、地形・地質、生態系、生物多様性の三つに適合するとされています。 平成二十二年七月、国際自然保護連合、IUCNによる現地調査が行われ、その結果を踏まえ、IUCNから我が国に対して、既存の海域公園地区を推薦区域に編入することなどを内容とする指摘や追加情報の要請があり、同年十一月、これに対する回答が行われました。世界自然遺産登録の可否は、本年六月下旬に決定される予定です。 観光業従事者が多い小笠原村では、世界自然遺産に登録されれば、村の活性化と貴重な自然環境の保全という二つの目的を同時に達成することができるとして、村民の期待も大きいとのことでありました。 小笠原諸島の世界自然遺産登録に当たり最大の課題とされた外来種対策は、環境省、林野庁、東京都、小笠原村、民間団体及び村内外のボランティアの連携協力の下、実施されています。駆除に当たっては、別の外来種がかえって増えてしまわないよう、捕食関係なども考慮しながら取組が進められています。こうした外来種対策は、一定の成果を上げており、固有植物を食べたり植生を踏み荒らしたりするノヤギの根絶に成功した兄島では植生が回復してきています。 また、東京都では、東京都自然ガイド同行による立入りや利用のルールを定めたエコツーリズム制度を実施しており、自然環境の保全と適正な利用の両立が図られています。 次に訪れた長崎展望台では、父島の乾燥した気候に適応した固有種の乾性低木林や、外来種のモクマオウやリュウキュウマツといった樹木をつぶさに観察しました。外来植物が繁茂すると本来の植生に影響を及ぼすことから、薬剤などを用いた駆除が進められています。また、同展望台からは、乾性低木林に覆われた兄島が間近に見えたほか、IUCNからの指摘を受けて推薦地に含めた兄島海域公園地区を確認することができました。 その後視察した東平は、希少種の生息・生育地域であることからノヤギ・ノネコ侵入防止柵が設置されており、柵の総延長は約五キロメートル、柵に囲まれた面積は父島の約九%になっています。 この柵の内側にある、希少種のアカガシラカラスバト、通称アカポッポが繁殖しやすい環境を守るためのサンクチュアリーは森林生態系保護地域のモデル地区となっており、立入禁止になっている繁殖地の手前には立入り条件の異なる二つの利用ルートが設定されています。入口には、外来種の侵入防止のための種子を除去する装置や、観光や調査研究などの利用目的ごとに色の違う石を竹筒に入れていく利用者数計測装置が設置されていました。 ノネコの捕獲も行われており、東平を中心に約百四十個の捕獲用のかごが設置されているとのことでした。これまでに二百頭以上が捕獲されており、その大部分が東京本土に搬送され、社団法人東京都獣医師会の協力の下、動物病院における飼い猫としての順化と飼い主探しが行われています。捕獲後、搬送用の船が出航するまでの一時飼養施設として、ねこ待合所が村の中心部に設置されています。その外壁には、引き取られたノネコの似顔絵と受入先の動物病院名が掲示されるなど、ノネコ問題の普及啓発施設としての役割も果たしています。ノネコの根絶と同時に、新たなノネコを生み出さないよう飼い猫との共存も図っていく必要があるとのことでした。 北米原産のトカゲで、特定外来生物でもあるグリーンアノールは、小笠原諸島では父島と母島に生息し、特に父島での影響が大きく、希少種のオガサワラシジミというチョウが父島では全く見られなくなっています。父島の港湾区域では、グリーンアノールが船に紛れてほかの島に拡散するのを防ぐため、粘着トラップで捕獲して生息数の低密度化を図っています。母島では、新夕日ケ丘などの希少な昆虫類の保護区にグリーンアノールの侵入防止柵を設置しており、そこではオガサワラシジミの産卵が確認されるなどの新たな成果が見られています。 小笠原諸島唯一の固有哺乳類で、国内希少野生動植物種や天然記念物に指定されているオガサワラオオコウモリは、種子の散布者、花粉の媒介者として生態系において重要な役割を果たしていると見られ、絶滅すると植生が変わる可能性もあると指摘されています。一方で、島レモンの葉やタンカンの実を食べるなどの農業被害や防除ネットへの絡まり事故も発生していることから、小笠原亜熱帯農業センターでは、個体を傷つけない防除方法を研究し、被害防止と保護の両立を図っています。同センター視察中、オガサワラオオコウモリが日没後にねぐらから飛び立つ様子を観察するという貴重な体験ができました。 島内視察の間、委員からは、小笠原諸島の世界自然遺産登録の可否の見通し、世界自然遺産として登録された場合の観光客受入れの在り方、駆除したノヤギの処理方法、飼い猫の適正飼養ルールの有無、オガサワラオオコウモリのねぐらの機能や繁殖実態、島内のごみ処理の状況等について質問が行われました。 二日目は、まず、船上から父島周辺海域を視察しました。海洋プレートが沈み込み始めて間もない時期にのみ発生するボニナイトの枕状溶岩や、カルスト地形が海中に沈降して形成された沈水カルスト地形、ハートロックとも呼ばれる赤い岩壁の千尋岩などを観察し、世界自然遺産として推薦された価値の一端に触れることができました。途中、何度も遭遇したザトウクジラの観察に当たっては、クジラから百メートル以内を侵入禁止水域とするなどの小笠原ホエールウォッチング協会の自主ルールにのっとって観察を行いました。一方で、船上からも、父島の急峻な斜面をノヤギが移動する様子や、モクマオウの群生ぶりが見られるなど、外来種問題の深刻さも痛感させられました。 最後に小笠原村の集落景観を視察しました。現在、東京都では、小笠原諸島の世界自然遺産登録も念頭に、メーンストリートにおける無電柱化や歩道の拡幅工事を行っており、完成後には、小笠原諸島の玄関口として、より魅力ある景観となることが期待されます。 今回の訪問では、小笠原諸島の自然環境を守るための様々な主体による真摯な取組に深い感銘を受けました。こうした努力が報われ、世界自然遺産として登録され、貴重な自然環境が今後も受け継がれていくことを切に願ってやみません。 最後に、今回の派遣に際し、お世話になった関係者の方々に厚く御礼を申し上げ、報告を終わります。
○委員長(北川イッセイ君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十六分散会