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177回国会衆議院2011/07/15

財務金融委員会 第28号

発言数
68
登壇者
9
会派数
4
開催日
2011/07/15

会議録

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、平成二十三年度における公債の発行の特例に関する法律案及び経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として、クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト市川眞一君、一橋大学国際・公共政策大学院教授渡辺智之君、専修大学経済学部教授野口旭君、株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長鈴木文彦君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、またお暑い中、本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言いただきますようお願いをいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。  それでは、まず市川参考人にお願いいたします。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 おはようございます。ただいま御紹介にあずかりましたクレディ・スイスの市川でございます。  本日は、国権の最高機関たる国会でこうして見解を述べさせていただきますことを大変ありがたく思っております。よろしくお願いいたします。  初めてこうして国会でお話をさせていただきますので、ほかの先生方がどのようなことをおっしゃるのかというのを聞いた後に、その様子を見ながらお話をしようかなと思っておりましたら、何とトップバッターを仰せつかりまして、流れを決定づける可能性がありますので、大変緊張いたしながら、お話をさせていただきたいと思います。  私、この資料をつくっておりますので、こちらに沿って少しお話をさせていただこうかと思います。  私は、マーケットにふだんかかわっている立場からきょうお話をさせていただくことになるかと思いますので、まず、お手元の資料の三ページ目をお開きいただきたいというふうに思います。  今国会におきまして最重要課題の一つでありますのは、現時点においては特例国債発行法案であるということは間違いないところではないかと思っておりますが、大胆に申し上げますと、仮にこの特例国債発行法案の成立がおくれても、それをもってして、例えば一部に言われているような国債の大暴落、金利の上昇といったようなことが起こるということだとは、実は私は思っておりません。  ここの三ページ目に、この二十年ほどの日本を含むアメリカ、ドイツの金利水準をあらわしたグラフがございます。御案内のように、日本では、九八年の四月三日のことですが、国際的格付機関であるムーディーズが、日本国債のアウトルック、見通しを安定的からネガティブに引き下げました。このときは実は大変なショックが起こりまして、国債市場が一時大幅に動揺するということがございました。その後、しかしながら、幾度にも及ぶ各社の格下げ、それから、その一方において国債の大量発行ということがありながらも、実は、これまで国債大暴落というのは、都度言われてまいりましたけれども、起こっていないわけであります。  なぜ起こっていないかという背景を考えるのは実は非常に重要なことだと思っておりまして、次のページをごらんいただきます。これは、一言で言えば、不幸な均衡が起こっているということだと思います。  次のページにありますのは、これは日銀資金循環勘定からとりました経済主要三主体、つまり政府、企業、家計の資金の過不足動向をごらんいただいたものです。  通常のケースでは、まず、家計というのは貯蓄余剰主体でありますから、毎年毎年貯蓄という形で資金を余らせるということになるわけであります。その一方におきまして、企業というセクターは市場から資金をとる。それは株式の形であるのか社債の形であるのか銀行借り入れの形であるのか、資金を調達いたしまして、それを事業に投資することをなりわいとされているのが企業でありますから、普通は企業セクターというのは資金不足になるのが当然なわけでありまして、家計の貯蓄余剰に対して企業の資金不足がうまくバランスしたときに経済は非常に順調に成長するということが言われているわけであります。  しかしながら、日本の場合、一九九九年以降、実は企業が資金余剰セクターであります。つまり、投資をせずに、むしろ借り入れを返済する、それからできるだけバランスシートを圧縮するということをやってきておりますので、当然のことながらデフレになるということでありまして、このデフレ圧力を抑止するために、実は、お金の流れの世界でいうと、政府という主体が赤字をつくって資金を年々、市場から調達をして、それによって需要をつくり出している。ここで何とか、このデフレ圧力の中で経済が辛うじてバランスをとっているというのがこれまでの日本経済の実態であります。  ですから、この三主体の資金の需給動向というのを合計してみますと、二〇〇一年から二〇一〇年までの十年間で、企業は百九十八兆円の資金余剰セクターです。家計は九十二兆円の資金余剰セクターです。合計いたしますと、約二百九十兆円の資金余剰。これに対しまして、政府が二百八十三兆円の資金不足ということでありまして、合計をすると七兆円の資金余剰になっている。  ですから、この構造が続く間は、例えば国が国債を発行したとしても、この構造が続いているとすれば、それによって十分に国債は消化をされるということになりますので、国債大暴落といったようなことは起こらないわけであります。  ただ、先ほど申しましたように、これは非常に不幸な均衡でありまして、本来はやはり納税者たるべき企業及び家計が投資や消費をすることによって、それによって経済が成長していくということが望ましいわけでありまして、そういう意味からすれば、確かに国債の需給関係という点からいけば問題は足元で起こってはおりませんけれども、経済全般という点から見ると極めて不健全な状況にあるというのが日本の状態だと思っております。  これを別の観点からごらんいただいたものが次のページにございますが、銀行の資産に占める公債、これは国債、財投債それから地方債を含めてですが、公債の保有残高をごらんいただいたものがございます。  九九年末、資産に占める公債保有残高は七・八%でございましたが、二〇一一年五月、直近のデータを見ますと二一・五%ということで、飛躍的に銀行の保有する国債がふえているという状況でございます。これが、先ほどごらんいただきましたように、家計が貯蓄をする、企業もお金を余らせる、それが銀行に滞留し、銀行は貸し出しにではなくてむしろ国債に投資をするという状況が続いているわけであります。  次のページをごらんいただきます。  これも銀行にとってはある種合理的なことでありまして、貸出金利が平均で一・八%、これに対して、人件費、物件費等を入れると、貸し出しをしても利ざやが〇・六%しかありません。ところが、国債に投資をすれば一%。国債については、こういった人件費、物件費等が非常にコストが少ないものですから、さらに言えば、BIS規制、つまり国際決済銀行上の自己資本規制においても、貸し出しをすれば、これはリスクウエートを乗っけなきゃいけませんから、その分、当然ながら自己資本を充実させなきゃいけませんけれども、国債、ソブリンについてはリスクウエートゼロということになりますから、自己資本に与える影響がないということでありまして、銀行としても、企業部門の資金需要がないという状況の中で、自分の資産の中に国債のウエートをどんどんふやしていく、つまり消化ができているという状況になっているわけであります。  次のページをごらんいただきます。  これをストックベースで見てみると、ここにありますのは家計の金融資産の状況でありますけれども、よく言われることですが、日本には家計が一千四百十八兆円の貯蓄があるというふうに言われております。しかしながら、反対側に住宅ローン等三百八兆円の負債がございますので、ネットベースで見ると約一千百兆円の金融資産がございます。これに対しまして、これは申し上げるまでもないことですが、今、現時点におきまして、国の債務が六百五十兆円、地方の債務が二百兆円、八百五十兆円でありますから、今のところ、家計の純貯蓄とそれから国の、地方も入れた政府の債務というのは、貯蓄の方が二百五十兆円ほど上回っているという状況にあります。  問題は、この構造をいつまで続けられるかということなわけでありますけれども、一つの考え方としては、例えば年間三十七兆、四十兆円という形で国債発行額を新規に積み上げてまいりますと、この二百五十兆円に達するまでには六、七年、単純計算をすればそういうことになるわけです。  しかしながら、仮にそうなったとしても、すぐに国債金利が上がるかどうか、これはわかりません。なぜならば、例えば海外から資金を調達できる。今、九〇%以上、日本国債については日本人が保有をしておりますけれども、外からどんどんお金が入ってくるんだということになれば、これは、別に家計の金融資産を食いつぶしたとしても、それだけでデフォルトするかどうか、国債利回りが急騰するかどうか、これはわかりません。わかりませんが、この不幸な均衡が続いてきている結果、だんだんと経済の不健全性が拡大をし、その中で、むしろこれまでは国内のことだけを心配していれば日本国債というものの信用を保てる状況にありましたけれども、そうでない、つまり、例えば外国人に大きな影響を受けざるを得ないような状況が来る可能性がある。それがもしかすると数年先に迫っているというのが今の日本の状況ではないかというふうに思っております。  その意味で、やはり政策に対する信頼性というのは、これは非常に重要な面があるというふうに思っております。例えば、ここで特例国債発行法案が、仮に国会の中で御審議をいただいて、なかなかこれが決まらないということであったとしても、先ほど申しましたように、足元、構造的な問題というのがありますので、それによって国債は暴落しないんですね。むしろ、これまでも暴落してくれた方がより早く何か別のことが起こっていたのかもしれませんが、時間を稼ぐことはできるわけであります。  しかしながら、やはり、生意気なことを申し上げれば、二〇〇九年の八月の総選挙で、国民は現与党に対して衆議院において過半数を与え、昨年の七月の参議院選挙においては野党に対して過半数を与えということでありますから、国民は与野党に対して今の政策の運営を負託いたしているわけであります。ここで、やはりこういった、特に震災が三月の十一日に起こり、これに対する対応策を進めなければいけないような状況の中で、国会において、本来、特例国債を発行しなければいけないというのは、これはもう当然のことでありますから、それに対してなかなか与野党合意ができない状況という、この政治ないしは政策に対する不信感というものが、将来にわたって、より、この日本の国民金融資産の余裕がなくなってくる中で影響を与えてくる可能性があるということに、私は、本件に関する最大の懸念があるのではないかというふうに思っているところであります。  あと、簡単に、残された時間で、財政について少し私見を述べさせていただきたいと思いますが、八ページ目をごらんいただきます。  基幹税収をここに取り上げさせていただいております。一九九七年度、消費税が三パーから五パーになった後の基幹税収を見ておりますと、消費税は十兆円程度ということで、年々非常に安定した税収を得ておりますが、その一方におきまして、所得税それから法人税、これは非常に大きなぶれがございます。  例えば法人税を見ておりますと、二〇〇六年度は十四兆九千億円、これが、わずか三年後の二〇〇九年度には六兆四千億円ということでありますから、八兆六千億円もの減少をしております。  そうした意味で、消費税が非常に安定的な財源であるということは間違いないところでありまして、これは、自民党の皆さんも先般の参議院選挙の際に消費税一〇%ということを挙げられましたし、加えて、今回の社会保障と税の一体改革の中で、二〇一〇年代央までに消費税を一〇%に引き上げるという方向が政府・与党からも示されました。これは、増税がいいとは思いませんが、ただ、社会保障費が伸びるような状況の中で、安定的に財源を獲得するという点では、私はやむを得ないことではないかというふうに思っております。むしろ遅過ぎたぐらいではないかと思っております。  ただ、次のページをごらんいただきますが、消費税という極めて税収が安定しているものだけに焦点を当てるのではなく、この税収と名目GDPの関係というのを見ておりますと、やはり経済成長を名目ベースでしているときに税収が伸びる。つまり、法人税、所得税が伸びるということでありまして、この部分について強く光を当てていただきたいというふうに思うわけであります。  先般の、社会保障と税の一体改革の中でも、六番目の項目の中に、デフレ脱却という項目を取り上げていただいておりました。やはり、ここできちっとデフレを脱却し、経済成長を名目的になし遂げることによって、所得税、法人税の自然増収ができてくるような、そういう状況をつくらない限り、健全な財政状況というのを望むことは極めて難しいというふうに考えるわけであります。マーケットの中でもやはり、そこが日本にできるのかどうかというところを非常に強く問う声が多いのではないかというふうに思っているところであります。  非常に短い時間で、駆け足で御説明をさせていただきましたので、至らない点が多々あったかと思いますが、ほぼ時間と思いますので、ここで私の見解を述べさせていただくのを終了させていただきます。後ほど、御質問があれば、それに対してお答えする形で補足をさせていただければというふうに思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 ありがとうございました。  次に、渡辺参考人にお願いいたします。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 一橋大学の渡辺と申します。よろしくお願い申し上げます。  実は、私も国会の参考人に呼ばれたのは初めてでございまして、ちょっと状況がよくわからないまま参りまして、ほかの参考人の方は皆さん資料を用意されているのに私だけないというので、少し心細く思っておるわけでございます。ちょっと横着ではございますが、先ほどの市川先生の後半の資料を、少し税制の話もありましたので、そこも一部参照させていただきながらお話しさせていただければと思います。どうも失礼いたします。  今回、多分、私の役回りは、税制改正法案の方でございますね、経済社会の構造変化に対応した云々という法案について何かコメントすることかと思っておりました。それでよろしいのかどうかわかりませんが、とりあえずきょうは、まず最初に、法案の背景と申しますか大枠につきまして、私の理解しているところを簡単に述べさせていただきました後、その個々の内容につきまして若干簡単にコメントさせていただきたい、このように思っております。  今回の法案は、いわゆる二十三年度税制改正法案として取りまとめられたもののうち、六月に既に成立したもの以外、形式的にはそういうことだと思うんですが、その内容が、いわゆる税制の抜本改革に関連したものが中心になっておる、そういうことでございます。  もちろん、税制の抜本改革ということになりますと、このほかに、恐らく、先ほどもお話にもありましたけれども、不可欠なピースとして消費税の問題も当然出てくるわけでございますが、そのことは今回の法案には直接触れられていない。  それからもう一つ、税制抜本改革を考える場合、税の範囲だけで考えていても余り意味がございませんで、経済財政全体の枠組みで考える必要があるわけでございます。その意味では、社会保障と税の一体改革ということがずっと言われておりまして、先般その成案なるものが決められたところでございますが、その中でも消費税を含む抜本改革のことが唱えられているわけでございます。  ただ、この成案とか、これまでの議論につきまして若干コメントさせていただきますれば、例えば二〇一五年を念頭に置いて、あるいは二〇一〇年代の半ばというようなことを念頭に置いて議論が行われているわけだと思うのでございますが、もちろん、これから数年後の問題というのは非常に重要でございまして、それに対する対応を考えなきゃならないということはもちろんでございます。  ただ、さらにその先を見まして、これから十年、二十年、三十年、ますます超高齢化は進展いたしますし、恐らく人口減少も続いていくわけでございます。そういうことで、経済、あるいは特に社会保障を取り巻く環境が物すごく厳しくなるということでございまして、そのような中で税制抜本改正を考えざるを得ない、そういう状況なのかと理解しております。  それにさらに追加いたしまして、三月の大震災の問題が起こりまして、その震災自体の税制の対応につきましては、割と素早く特例法というのが成立しているところでございますが、これからいわゆる復興財源の問題をどうするかというようなことがある。  そういう複雑な状況のもとでの今回の税制改正案ですので、この全体の性格をどう考えるかというのは若干あいまいな点が残っておらざるを得ないというような気がしているわけでございます。  以上が枠組みでございまして、ちょっと中身のことについてお話ししたいと思います。  大きく分けまして、法人税関係の話とそれから所得税、相続税の関係の話をしたいと思います。  まず、法人税につきましては、多分その心としましては、経済活性化とかあるいは国際化への対応とか、そういうような議論を念頭に置いているんだろうと思うんですが、基本的な考え方は税率の引き下げと課税ベースの拡大ということでございまして、この方向自体は、税制の勉強をしておる者といたしましても、非常に妥当な方向であろうと。この方向でもし改正が行われるということであれば、課税による企業活動のゆがみというのが多少とも軽減されるんだろうと期待されるわけでございます。  ただ、状況はやはりもう少し厄介でございまして、税率の引き下げ自体につきましても二つの問題があると思います。  一つは、今の日本の法人税の水準というのが国際的に見て非常に高くて、アジア諸国では大体二五%ないしそれ以下、ヨーロッパ諸国は大体三〇%程度。アメリカは例外的に、日本と同じく結構高いのでございますが、アメリカも日本の動向を結構気にしておりまして、アメリカも二月ごろ法人税引き下げの議論をかなりしていたようでございますが、それは、二十三年度改正で日本の引き下げ法案が出たということが多分、多少とも影響しているようでございます。  とりあえず、いずれにしましても、そのような状況のもとで五%ポイントの引き下げというのが十分なものかどうかということについてはかなり議論があり得るというのが一つでございます。  もう一つは全く逆の方向でございまして、今、震災対応ということで基幹税の引き上げということが言われております。法人税が基幹税かどうかというのは議論があるかもしれませんが、一応基幹税だということにしますと、むしろこれは引き上げる方向ということになるわけでございまして、その二つをどういうぐあいに考えたらいいのか。とりあえず、では、今回提案された引き下げというのをもう少し先延ばしするとか、そういうことになるのかどうかわかりませんが、今の水準からさらに引き上げるというのは、企業の国際的な経済環境を考えて、かなりきついのではないかなと個人的には思っております。  一方、法人税の課税ベースの拡大につきましては、幾つか細かい点はございますが、基本的に妥当な方向ではないかと思っておりますので、ここでは説明を省略させていただきます。  次に、所得税、相続税についての改正法案の内容は、どちらかというと格差への対策みたいな、そういうトーンが出ていると思います。  ただ、私自身は、税制のみによってどれだけ格差対策ができるかということについては若干疑問を持っております。すなわち、例えば非常に低所得の人々に対しては、やはり税制上の措置だけでは不十分で、歳出の措置を考えざるを得ない。それから、非常に高いところにつきましては、余り税率を高くすると、法人税ほどではないかもしれませんが、いろいろ、海外に移住する人もいるかもしれませんし、そうでなくても合法、非合法のいろいろな課税逃れのインセンティブはどうしても強くなってしまいますので、やはりそちらも限界がある。  今回の所得税に関する改正項目を見ますと、給与所得控除の見直しでありますとか退職所得課税の見直し等、基本的に妥当なものだと思うんですが、それ自体でどれだけ格差対策になるのかというのはよくわからないわけでございます。本当に所得税で格差対策ということであれば、むしろ最低税率を引き上げて、それで課税最低限をはるかに下回るような人に再分配するというような、もう少し骨太のものが必要なんじゃないかなという感じが、私は個人的にしております。  それからもう一つ、相続税でございますが、相続税については非常に大きな改正かなと。基礎控除のかなり大幅なカットというのは大きな改正なのだろうと思います。  ただ、所得税も相続税も私はそうだと思うんですけれども、ある程度、法人税と同様、やはり課税ベースは広く税率は低くというのが基本的には望ましいと思っておりまして、相続税の税率を上の方へ上げるというのはどうなのかな、うまく機能するのかなという感じを持っております。どちらかというと、長期的にはむしろフラット化していくということも考えてもいいのではないかな、それが真の格差対策にむしろなるんじゃないか、そのように考えているわけでございます。  主な項目は以上でございますが、もう一つ、地球温暖化対策の話があったと思います。もちろんほかにもいろいろあるんですけれども、主な項目として、地球温暖化対策のための新しい税制が提案されたと聞いております。これは、CO2排出量をもとに石炭、ガス、石油を横断的に課税しようということでございまして、初めての本格的な環境税的なものとして非常に大きな重要な提案になっているのではないか、このように思うわけでございます。  大体、以上でございます。  市川先生の資料を参照すると言いながら余り直接には参照できませんでしたが、心は同じでございます。名目成長率が高くならないと困るわけでございますけれども、これは短期的にはいろいろ動きがあるでしょうけれども、冒頭申しましたように、長期的に数十年というタームで考えたときに、別にインフレだけ起こったらいいというわけではありませんので、では実質ベースでどれだけ成長できるのか。人口は減少する、労働人口の比率も減少していく、そういう中で非常に厳しい状況にあるということは考えていかなきゃならない。当然、国際化の問題も考えていかなきゃならない。  そうすると、やはり税制全般としましては、課税ベースを広く税率を低くということで安定したものにしていくとともに、社会保障を含めた全体の改革というのを考えていかなきゃならない。そのための時間的な余裕というのは余り残されていないというのが日本の今の危機的な状況なのではないかと思っております。  以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 ありがとうございました。  次に、野口参考人にお願いいたします。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 専修大学の野口でございます。  私も、今回初めてこういったお話をさせていただくことになりまして、ちょっと要領がわからなかったので、いろいろお聞き苦しい点があろうかと思いますけれども、どうか御容赦いただきたいと思います。  時間が非常に少ないですので、私のお話は大体二点に絞らせていただきたいというふうに思います。一つは、今やはり一番大きな問題である復興財源の問題です。もう一つは、これも非常に大きな問題だと思いますけれども、社会保障の改革、そして消費税の増税についてであります。  お手元に資料がございます。私のきょうのお話の内容をメモしたレジュメと、それともう一つ、浜田宏一先生とクーパーというハーバード大学の先生のお二人が書かれた「経済教室」の記事であります。  それで、まず最初のお話ですけれども、復興財源について、これは今、どうするのか、増税というものをやるのか、あるいは国債を発行してとりあえずは賄うのかということが非常に大きな争点になっているわけですけれども、私自身の見解を述べさせていただきますと、これは結論としては、そのための増税というのは望ましくない、公債を発行して十分に時間をかけて返済すべきであるというふうに考えます。  それはどうしてかと申しますと、まず、これまでも、例えば戦争のときには戦時国債を発行するということがどこの国でも行われてきたわけです。災害と戦争というのは、そういう意味で、一時的かつ巨額な支出をやるという点では非常に近いものがあるわけですけれども、そういうときにその世代で全部増税でやるということになると、これは大変なことになるわけですね。ですから、そういうときには当然、とりあえず公債を発行してやるというのが当たり前のことであるということを申したいと思います。  それで、参考にお持ちした「経済教室」の方をごらんいただきたいと思いますけれども、グラフがございますね。これは日本とアメリカとイギリス、特にイギリスの第二次世界大戦の後のところを見ていただきたいんです。  当然ながら、あれだけの戦争をやるわけですから非常にお金がかかって、それを国債あるいは公債で賄わなきゃいけない。イギリスに至っては、一時、GDP比で見て二〇〇%以上ですから、現在の我が国よりも大きな対GDP比率での公債を抱えていたというのがわかるわけです。それがだんだんと少なくなっていっているのが、低調状態というか低水準に落ちていったのが大体七五年ということですから、三十年ぐらいかけてやっているわけですね。  そういうことをやらない、それを一遍に増税でやるというふうになると、これは大きな、物すごい混乱が逆に生じるということになります。  戻っていただきますけれども、非常に教科書的な理論で課税標準化という考え方がございまして、課税をするというときに、結論とすると、なだらかにやる、でこぼこにやっちゃいけないということなんですね。というのは、課税というのは価格にゆがみをもたらしますので、そういうものは社会的な損失をもたらします。ですから、そういうものを、一時的に非常にゆがみを大きくしてしまいますとその損失というのは非常に大きくなりますので、なるべくなだらかにやっていく、税を取っていくというのが適正だというのが基本的な考え方です。  そういうふうに考えますと、いわゆる時限増税というようなことを主張する向きもあろうかというふうに思いますけれども、例えば、三年間復興をする場合にはその三年に限って増税をするというようなことをやるというのは、非常に、一番よろしくないということになりますね。あえて社会的な損失を生み出すというようなものであるということになると思います。  ただ、一つ倫理的な問題として、将来世代にツケを回すべきでない、そういう主張もあるわけですけれども、では、そういう問題に対してどういうふうに考えればいいのかということですけれども、私は必ずしもそれが妥当だというふうには考えません。  それは、一つは、まずインフラ、今、瓦れきの処理にしてもインフラの整備という点では同じでありまして、そういうものは当然それを放置しておきますと将来世代も困るわけですね。つまり、そういう意味では、インフラの復旧というのは将来世代にも便益を与えるということが言えます。  それからもう一つは、災害の損失というのは、決して今の世代が放蕩三昧で使い切ってしまったというものではないんですね。それはもう運が悪かったとしか言いようがないわけで、そういうものが百年に一度起こるということは、当然災害ですからあり得るわけです。そういうときにその世代だけに負わせるというのはむしろ不公平である、つまり各世代からいわば保険と同じように徴収すればいいということになると思います。  ですから、百年に一度であれば百年で採算がとれるように、保険と同じような、多くの人から集めて事故に遭った人に支払うというような形で問題ないというふうに考えます。  そういうふうに考えますと、時限増税というのは、浜田先生とクーパーのこの論文で、私は非常にわかりやすい例だというふうに思っているので紹介させていただきますけれども、そういった消費税増税というのは、「まるで災害という傷を負った子供に重荷を持たせ、将来治ったら軽くするといっているに等しい。」まさにそのとおりであるというふうに思います。  それから次に、二番目ですけれども、復興支出、そうすると、国債をどんどん、一時的に大量に発行するということに当然なっていきます。財政支出は当然、インフラの整備を行うわけですから、拡大していきます。  このときに、非常に大きな懸念が何かといいますと、これは、一般的には、こういった財政支出をただそれだけやりますと、必ず円高になっていきます。もう既にそういう兆候が見えているわけですね。リーマン・ショック以降ずっと、日本経済にとっては過度な円高が続いているわけですけれども、それがさらに、最近、特にドル安という要因もありまして、一層厳しくなっているということです。一時、震災の後一度だけ介入をやって、それで戻りましたけれども、その後また、それ以上に円高になっているということになります。  ですから、こういう問題に対して、ではどういうふうに対処すればいいのかというのは、教科書的に言えば非常に簡単で、金融緩和を同時に行えばいいということですね。それで、金融緩和をやりますと通貨が安くなりますので、円高が抑制されるということになります。  人によっては、もうゼロ金利であって量的緩和をやってもそんなに効果はないと言う人もいるんですけれども、そうではない。量的緩和をやれば自国通貨というのは安くなるということは、例えばアメリカを見れば明らかでありますね。  最近またアメリカで、量的緩和のQE2を3、またさらに再度バーナンキが実行するのではないかという思惑もあるようですけれども、そういう思惑ですぐまたドルが安くなっているということから見てもわかるように、量的緩和をやればその国の通貨が安くなるということは明らかであります。  問題は、日銀がそれだけ十分やっていない。ですから、そのために円高に、三重苦、四重苦のように、こういう状況で円高になってしまっているというのが、今、日本の現実です。  そして、金融緩和が必要なもう一つの理由というのは、国債、公債を復興のために発行するということになりますと、一時的に大量発行すれば、多少金利がぶれるということも当然あり得るわけですね。それによって金利がどんどん上昇するということは、私はないと思います。先ほど、クレディ・スイスの市川さんもお話ししたことと私は同じであります。  ですけれども、一時的には攪乱するような状況もあり得るわけで、そういうときには、当然日銀は、国債買い入れをふやす、あるいはその直接引き受けでも全く問題ないと思います。そういうことをやればいい。  そもそも、今、日本経済というのはずっとデフレ脱却というのが至上命題であるのに、日銀の金融スタンスは非常に消極的であるというふうに私は考えておりますので、そういうことをやればいいということだと思います。  それからもう一つ、最近、復興財源として外貨準備の利用ということが時々新聞などで出ております。私は、それはできなくはないけれども非常に注意が必要であって、それはなぜかといいますと、外貨準備というのは、当然、国債を発行して資金を調達して、それで介入をして、アメリカの国債等を買ってやるわけですけれども、それを逆に転換するという場合には、当然、今のような円高では為替差損が確定してしまうことになりますので、十分な円安になる必要があると思います。  介入の平均のレートというのは大体一ドル百十五円程度だというふうに言われていますので、大体百二十円ぐらいないと、逆の売却、今の外貨準備の売却というのはできない。やってもいいんですけれども、大きな損失が逆に発生してしまいますので。そこまで十分に円安にする必要があるということですね。そういうふうにやるということは、私は非常に将来的には必要になってくると。  これは、例えば、中国というのは大きな外貨準備を抱えておりますけれども、中国がそういうことをやろうとしても、それはできない。なぜかといいますと、中国は今、インフレで非常に困っているわけですね。ですから、そこで元安にするということは、さらにインフレを過熱してしまうことになります。  ところが、日本は全く逆です。むしろデフレ脱却が必要ですから、円安、百二十円ぐらいというのは極めて望ましい数字、もっと円安であってもいいぐらいなんですね。ですから、そういうところでやるということは、日本経済にとってもいいし、むしろ国家の収入にもなるということで、一石二鳥であるというふうに思います。  それから、そもそもですけれども、先ほどの市川さんのお話にありましたように、まず一番重要なことは適正な経済成長を実現するということであって、そのためにはデフレ脱却というのが絶対の条件である。ですから、そのためには一層の金融緩和がそもそも必要なんだということですね。  これは、実は不況の損失というのは非常に大きい。今、今回のああいう大震災の損失というのは十六兆八千億というふうに言われておりますけれども、リーマン・ショック以降の不況による損失の方がはるかにこれよりも大きいわけですね。ですから、それをまず放置しておくということは絶対だめであるということです。  それともう一つは、そもそも財政悪化の最大の原因というのは実はデフレ不況であるということです。ですから、デフレをそのままにしておいて財政だけ改善するということは無理なんだということをまずお話しさせていただきたいと思います。  それから、三番目、最後の点ですけれども、では増税が必要ないのかというと、それはもう私自身も、将来的には必ず増税は不可避になると思います。  それはまず、御存じのように少子高齢化が進んでおりまして、社会保障支出というのはほうっておいても恒久的に増加するということになりますので、将来的な増税は不可避である。ただ、その条件、これを間違ったタイミングで間違ったやり方をすると、また大変なことになるということなんですね。  まず一つは、いろいろな社会保障支出、年金、医療、介護というのをこのままただ今のトレンドでふやしていくということは、幾ら増税しても追いつかない。ですから、これを抑制する仕組みが必ず必要であるということ、これが一つです。  それからもう一つは、民主党政権になってから、直接的な再分配、子ども手当その他というのが提起されているわけですけれども、増税でやるということになると、これはまさにおもしの上におもしを重ねるという形になってしまいます。ですから、もしやるんだとすれば、基本的には従来の財源の組みかえによるしかないと思います。  しかし、ここでちょっと考えてみると、そもそも、子ども手当にしても、直接再配分、もともと、例えば貧困の解消とか少子化というものに、そういう政策目的というのがあったはずなんですね。それに本当にかなっているかということをもう一度考え直す必要があるのではないかというふうに私は思います。  それから、いずれにしても、消費税の増税、引き上げが必要だ。そのときに幾つか留意する点がありまして、まず、一度に例えば五%引き上げるということをやると、これは非常に大きな消費の変動を生みます。これは橋本内閣のときの引き上げの失敗というふうに言っていいと私は思うんですが、それで実証されております。ですから、例えば五%引き上げるにしても、五年間で年一%ずつ引き上げるというようなやり方をすべきであるということです。  それから次に、もう一つは、増税の時期についてですけれども、事前に、例えば二千何年からという形でやるというのは、これはそのときの経済状況をよくよく考えないと、また橋本内閣のときの二の舞になる可能性がある。つまり、そのときに本当に増税をできる時期なのかどうか。  ですから、ここは、何年何月と決めるのではなくて、例えば名目成長率がある程度に、名目GDPがある程度になったとき、何%に達したら、そこで初めて消費税を引き上げるというような条件というのを事前に設定すべきであるというふうに思います。  なぜこれが大事かといいますと、少なくとも今のような金融政策がまだ、ゼロ金利、量的緩和という非伝統的と言われるような異常な状態であると、金利の引き下げ余地がないわけですから、増税をやって仮に景気が悪化したときに、またなすすべがないということになってしまいます。ですから、少なくともゼロ金利の状態から脱却して、二%以上の政策金利があって、引き下げの余地があるという状態をつくってからでないと、私は、増税は無理であると。  では、いつそれが可能になるかというと、少なくともデフレを脱却してある程度のインフレ率、できれば二%程度のインフレ率というのがあって、名目成長率が三%、四%とか、できれば四%を上回るぐらい、四%から五%ぐらいの状況になって初めてそういった増税というのが可能になるというふうに私自身は考えております。  私のお話は、以上で終わります。(拍手)

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 大和総研金融・公共コンサルティング部の鈴木文彦と申します。  金融・公共コンサルティング部とあるように、地方公共団体とかの問題解決をやる部署でございまして、そういった観点で、地方公共団体の財政分析の方法、特に民間で言うところのキャッシュフロー分析に力点を置いた研究をやっております。来るべき厳しい財政制約の中、合理性とか戦略性とか、そういった民間企業の手法を取り入れて、いかに必要な公共サービスを提供していくかというテーマのもと、水道事業とか地方公営企業、第三セクターにも手を広げて、そうしたところの適用について研究をしている次第でございます。  今般の意見陳述の主題であるところのレベニュー債につきましても、そういった民間企業の手法を取り入れた問題解決の手段として、幾つか私の方で小論文を書かせていただいている次第でございますけれども、出したタイミングがよかったのか、おかげさまでいろいろな方に読んでいただきまして、幾つか問い合わせもいただいております。恐らく、そうした御縁できょうこの場に呼んでいただいたと推察申し上げる次第でありますけれども、その節に関しましては、大変光栄に存じます。  それでは、早速、本文に沿って始めさせていただきたいと思います。  レベニュー債ですけれども、今般の議案の問題意識に沿っていけば、一言で言えば、厳しい財政制約のもとで効率的かつ効果的な公共施設の整備を行うために資金調達をどうやってするかという資金調達の仕組みのことなんですけれども、この来るべき厳しい財政の中、どうしてそういうようなことが言えるのか、一体何なのか、そういったものがそういう問題解決に使えるのか使えないのかについて、順を追って説明させていただきたいと思います。  まず、レベニュー債とは何かでございます。  指定事業収益債と説明されることもございます。要するに、資金使途、使い道が特定されており、事業収益が返済財源となる地方債のことでございます。ただし、単に資金使途が特定されているということだけで定義するのはなかなか難しいです。  なぜならばですけれども、例えば企業融資、普通の、銀行が中小企業とかに貸す融資ですけれども、それにおいては、あらかじめ資金使途というのは決まっているのが普通でございます。普通の、中小企業が銀行から資金を借りるときは、審査を受けて借りるという手続をとりますけれども、そうした場合の融資かわり金というのは資金使途があらかじめ決められているものでございます。返済財源もその企業の収益に求められます。  この点ですけれども、第三セクターとか地方公社とかは、公的ではあるんですけれども、いわゆる会社には違いありませんので、そういったところでいくと、何ら普通の貸し出しとは変わらないわけでございます。特に目新しいものではないんじゃないかというふうに思っております。  資金使途と返済財源が決まっているという当たり前の借り入れが、例えば、地方公共団体、今回、震災とかでいろいろインフラの復興とかをしなくちゃいけませんけれども、そうした公共施設を整備するに当たってそういう普通の基準の借り入れが適用されたときに、レベニュー債というものではないのかと思うわけでございます。  ただ、これも、しかしがつきます。しかし、通常の地方債、現行の地方債とか公営企業債も、もともと特定財源でございまして、資金使途が決まっているものでございます。そもそも、地方債は初めから使い道が決められた特定財源でありまして、何にでも使える一般財源とは違います。さらに、公営企業債においては、原則として、借入返済も事業収益から賄うことになっております。公営企業というのはいわゆる独立採算制原則というのが働いておって、それが決められているからでございます。  それでは何なのか。ますます、レベニュー債というのは何だかわからなくなってしまいました。単に事業目的があらかじめ決まっておって、その事業がもたらす収益を返済財源とするという定義だけでは、レベニュー債は理解できないことになります。また、実際には事業収益が返済財源になっていないという見方も一部にございます。  要するに、レベニュー債というのは、単に使い道とその返済財源が決まっているというだけではなくて、使い道が決まっていることによってもたらす効果、すなわちその機能によって定義されるものだと私は考える次第でございます。  そこで、レベニュー債のレベニュー債たる本質とその機能、ありていに言えばメリットについて考えてみたいと思います。  レベニュー債のメリットとしてまず挙げられるのが、まずわかりやすいところからいきますと、オーナーシップの向上でございます。使い道がわかりますので、自分が出したお金で建てたという実感がわいて、丁寧に使うようになるといったような効果が期待できます。  適切な例えではないとは思うんですけれども、例えばゴルフ場のクラブハウスに入ると、会員の名札がずらっと並んでおります。また、田舎の公民館とか神社をちょっと思い出してみてください。この場合は、寄附と言うより寄進と言った方がいいんでしょうけれども、いわゆるお金を出した人、スポンサーの名前が、かもいの上に名札でかかっていたり、神社の柱に書いてあったりしますけれども、ああいったイメージで参画意識というのがわくわけです。  これを公共施設に当てはめてみますと、今度、救急病院を整備することになりましたとします。ついては、病棟を建てるためにお金を集めるので、何口か地方債を買ってくださいよというようなぐあいになります。実際は、こうした個人向けが主力になるのではなくて、地元の銀行なり金融機関が買うことになるんでしょうけれども、いわゆる地産地消みたいなイメージになるわけですが、そうすると、直接であれ間接であれ、地元住民がスポンサーになれるわけですので、勢い、当初の企画どおりに使われているかとか、医療の充実という目的は達せられているかとか、そういった住民の厳しい目が働くようになるわけです。温かい目とともに、厳しい目が働きます。  もっとも、これだけですと、例えば、今でも市民風車債のようなミニ公募債も同じ効果をもたらすので、これも、レベニュー債の決定的な特徴ではなく、それを構成する一つにすぎないということになります。  もう一つ、財政規律の向上でございます。これが重要なんですけれども、これの反対概念が放漫財政ということになります。  例えば、家計で申しましても、安全な国産牛肉を食べたいとか、車は安全な高級車に乗りたいとか、教育は最高の私学に入れたいとか、そういったいろいろないいものというのはあるんですけれども、それを全部やっていったら家計が破綻してしまう。何が大事なのか、優先順位を決めるのが必要である。それの反対で、やらないと借り過ぎになってしまって、財政規律の向上というのは、そうした借り過ぎ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、借り過ぎを防ぐという効果が期待されるわけです。  事業目的が決めてあって、そして返済が事業収益に限定されるとなりますと、銀行とか貸し手から見た回収可能性というのは、全く事業の成否によって判断されることになります。なので、例えば地方公共団体が後先を簡単に考えて借り入れを起こしちゃったりしますと、事業計画の実現可能性とかを疑われて、金利が高くなるわけです。あるいは、借り手の借り入れがもともと多くて、危険水域にあるとします。そうしたケースでも、返済可能性に不安を持った貸し手というのは、それなりの金利を求めるようになると考えられます。  これを、逆に地方公共団体の側から見れば、まずは金利、自分の金利が何%かというシグナルを持って、あと金融機関の態度、貸し出し態度とかを見ながら、例えば財政健全性をアピールするような努力というのをするようになります。借り入れを起こす前に事業計画というのをしっかり吟味するようになりますし、先ほど申し上げましたように、優先順位を持って、本当に必要な整備案件というのを選ぶようになります。財政を健全に保とうとすると、これは体重と同じですけれども、身の丈に合った借り入れ、財政にしようという、いわゆる恥じらいと規律というのが生まれるわけです。  三つ目、厳しい財政制約のもとで、効率的、効果的な公共施設の整備を行うための資金調達の仕組みとしてのコンセプトでございますけれども、これは、民間のプロジェクトファイナンスの論理を単純に適用した例え話で説明しようと思います。  例えば、民間企業が、本体の親会社の企業の財務状況が悪化して、借り入れをふやすことがもうできませんとなりました、そういう民間企業があったとします。それでも、どうしても新店舗を出したい、この新店舗は将来性が有望で、新店舗自体の、その店自体の収支を見れば返済に何ら懸念がない。そうした場合に、レベニュー債のような、この新店舗の事業目的と返済財源というのを限定した借り入れを起こせば、問題解決はできます。  本体と新店舗をひっくるめた会社そのもので新規に借り入れをしようとすると、金利は、その財政悪化した本体企業の返済能力を反映して高くなってしまいますけれども、そこで、業績のよい新店舗に限定した「レベニュー債」、かぎ括弧つきのレベニュー債ですけれども、それによって、理論的には安い金利で借りることができる。  これを単純に地方公共団体に例え話として挙げてみますと、将来、地方公共団体の財政が震災とかで悪化して、金利が高くなって、それでも水道管の更新とか救急病院の整備とか、そういう必要な公共施設整備があったとします。そうしたときに、例えばレベニュー債を使えば借入金利が安くなるというような話になります。  これは何かに似ていると思うんですけれども、このほど改正されましたPFI、PFIの文脈と同じです。つまり、厳しい財政制約のもとで、効率的かつ効果的な公共施設の整備を行うための資金調達の仕組みという点ではPFIと同じ、レベニュー債はそうした仕組みでございます。  三つ目、レベニュー債の課題でございます。  ところが、厳しい財政制約のもとで、効果的、効率的な公共施設の整備を行うための資金調達の仕組みという意味でのレベニュー債というのは、まだ日本には出てきていないというのが私の意見でございます。  理由は、財務状況にかかわらず、金利水準というのは地方債の方がまだ低いからです。逆に言えば、レベニュー債のような事業目的をあらかじめ決めて事業収入を返済の原資とする、すなわち事業の収益性で金利が連動するという意味での本当のレベニュー債というのを使うと、かえって金利が高くついてしまうというのが現実でございます。  例えば、PFIとかレベニュー債の本質は、事業運営のリスクを民間に転嫁する、民間に移転するというところで、親団体、地方公共団体の財政悪化に波及しないようにする仕組みとも言いかえられるんですけれども、そうした事業リスクを、売り上げが上がったり下がったりする赤字リスクですけれども、そうしたものを民間に転嫁してもしなくても、少なくとも金利上昇圧力には働かないのが現実です。  現状、財政状況のいかんにかかわらず、地方債を起債して入札にかけると、農協とか銀行とか、入札にかけてやるんですけれども、今は地方債は国債に限りなく近い水準で資金調達ができます。そこに財政状況のいい、悪いは関係ありません。  財政が厳しいというのがいろいろなところに何となくコンセンサスではあるんですけれども、一方、それが金利という状態に反映されていない。  具体的には、例えば財務省の方で、貸し手の立場から、借り手である地方公共団体の融資審査を民間企業と同じような方法で、銀行が審査するような同じ方法で損益計算書のようなものをつくってやっておるんですけれども、例えば銀行が審査するときに使うキャッシュフロー分析を使って行っているんですが、それでもやはり入札で決まってくる金利というのは国債に限りなく近いものが出てきます。表面的には、最近は、入札結果によってはそれを下回る金利で調達できるときもある。  つまり、金利から見れば、地方公共団体、地方公営企業というのは、超の上にまたさらに超がつく優良企業とみなされてしまうわけです。  こうした認識のギャップというのがございます。つまり、財政のいかんにかかわらず、別の論理で返済が可能だというふうに貸し手は見ているわけです。  その別な論理というのは何か。  よくも悪くも、レベニュー債というのはメリットがあるんですけれども、その実現を目指すということであれば、幾つかの課題がございます。  例えば、国とか地方公共団体、外郭団体のリスク限定の仕組みと、レベニュー債の対象のみならず、地方公共団体本体のキャッシュフロー分析を行う仕組みというのが必要だと考えます。  レベニュー債、PFIも同じですけれども、さっき申し上げましたとおり、オーナーシップの醸成と財政規律の面では非常によい仕組みだと考えております。しかし、これも財政悪化というのが金利に連動するというのがそもそも前提となっておりますので、まずは現状の親団体、地方公共団体が、レベニュー債の対象となる地方公共団体を初めそのほかの外郭団体、さらには親団体の無限保証人となっている国との関係においてリスクを限定する仕組みをつくらないと、なかなか実現は難しいと考えます。  リスク限定というのは、ちょっとまたわかりにくいかもしれませんけれども、要するに、ここまでは助けるというか補助金を出すとかという保証をするという上限を決めて、その上限を超えた分は民間が負うというような仕組みでございます。それによって、金利水準は一般の企業よりはちょっと低くなる、それでも民間よりは低くなるとは思うんですけれども、少なくとも、キャッシュフローから見た返済能力がよい事業体はよいなりに、悪いところは悪いなりに金利がつくようにならないと、なかなかレベニュー債、PFIのような、そういった市場の調達をやるような仕組みというのは困難だと考えます。  もう一つ、レベニュー債が生み出す返済財源、いわゆるキャッシュフローの状況によって与信するのが基本なので、対象になる公営企業を初め外郭団体とか、体育館とか文化ホールのような公共施設がありますけれども、そうしたキャッシュフローを生み出す単位でキャッシュフロー分析ができるような財務分析の仕組みをつくること、まずこれが大事です。  もう一つ、例えば、地方公共団体において、参考資料にありますような経営状況把握とか水道事業に対する修正損益計算書というような、キャッシュフロー分析に足る財務分析の仕組みというのが既にありますので、そういったものを使うというのが一つだと思います。  次いで、それがレベニュー債またはPFIの方法で、地方公共団体から公営企業を初め外郭団体を切り離して財政上のメリットがあるのかということをそもそも比較するために、親団体たる地方公共団体のキャッシュフロー分析もきちんと分析をして、それで外郭団体を切り離し、そこでメリットがあるのかという比較対照をつくるという仕組みが必要だと思います。  そういったところを、まとめますけれども、レベニュー債やPFIというのがよいか悪いかはまた別にして、こうした条件、今言ったような条件というのが整わなければ、実現というか、同じことですけれども、PFIとかレベニュー債の期待されている機能というのは十二分に発揮するのは難しいと考えているところでございます。  ちょっと言葉足らずのところがありましたかもしれませんけれども、私の発言を終わらせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木雄一郎民主党・無所属クラブ

○玉木(雄)委員 衆議院議員の玉木雄一郎です。  きょうは、四人の参考人の先生方にいらっしゃっていただきまして、ありがとうございます。大変参考になるお話をいただきましたので、それを踏まえて御質問をさせていただきたいと思っております。  今まさに話題になっておりますこの特例公債法、通常国会がもう会期末に近づきつつある中で、いまだに成立しないという異常な状態を迎えております。市川参考人からもお話があったように、仮に成立しなくても金利は大丈夫だという話がありましたけれども、ただ、これが通らないと、本当に日本の政治のあり方、その信頼そのものにかかわる問題だというふうに思っております。その意味では、我々与党としても、また野党の先生方にも御理解をいただきながら、何としてもこれを通していかなければならないというふうに思っております。  その上で、まず質問をさせていただきたいと思います。  四人の参考人の皆さんに共通してまずお伺いしたいのは、今お話を伺っていて、我が国のいろいろな問題がある中で、一つは、財政再建、財政をどうしていくのかということと、もう一つあわせて、デフレを脱却し、経済成長をいかに実現していくのかといったことをいかにバランスをとりながら実現していくかということが大事だと思います。  時にはこれが整合的に進み、時には相反するような場合もあるのかと思いますけれども、まず、これは何度も、場合によっては皆さんも質問されているかもしれませんが、デフレの原因、今、日本が長年苦しんできたこのデフレの一番大きな原因が何なのか。幾つかあると思いますが、それぞれの参考人の皆さんに、主要な原因一つと、そして、これが解決策として最も効果的なのではないかという、原因と解決策について、それぞれ御所見をまずお伺いしたいと思います。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 大変重い課題をしょっぱなの質問でいただきまして、どのようにお答えをするか、考えもまとまらないうちにここに立たせていただいております。  デフレの要因は種々あるという玉木先生の御指摘は、まさにそのとおりだと思います。ただ、一つということでございますので、挙げさせていただきますと、一九八〇年代後半に世界的なバブルがございました。このバブルが崩壊をいたしましたのが一九九〇年代に入ってからでありまして、アメリカも、実は、九〇年代初頭は大手銀行が破綻をするのではないかと。これは、リーマン・ショックのときもありましたけれども、実は、一九九〇年代の初頭にもそういう時期がございまして、むしろ当時は、日本の金融危機よりもアメリカの金融危機の方が深刻であるということが言われたわけであります。  しかしながら、その後、日本がデフレに落ち込んだ一方において、アメリカは、何だかんだ言いながらも、いろいろ紆余曲折を経、そのときによっても問題はありますが、しかしながら、成長率を見れば彼我の格差は明らかである。つまり、当初のところのソリューションをやはり幾つか間違えてしまったことの影響が、いまだに続いているのではないかというふうに思うんですね。  特に、一番思うのは、先ほどごらんいただきましたが、ずっとこの二十年間にわたり、我が国は国債を発行し続けております。苦しくなると、景気が悪くなると国債を発行してしのぐということを続けてまいりました。  しかしながら、これは私たちの世代が持っているものではなくて、私たちの親、さらにはその上の世代の方々が国民金融資産として蓄積をされたものを我々は今活用させていただいているということでありまして、言ってみれば、私どもの世代はどら息子、どら娘の世代で、苦しくなれば国債を発行して、それによって何とか急場をしのぐ、しかしながら、抜本的な物事の変更を行わないということを続けてきたからであると思います。  より具体的には、これは誤解を恐れずに申し上げますが、日本の今の抱えている問題というものの一つは、やはり国際競争なんですね。  八〇年代までの間は、日本に対するチャレンジャーというものがほとんどありませんでした。特に、世界最大の市場であるアメリカに物を売るというときに、日本に対して競争力のある国というものは余りなかったわけであります。  ところが、九〇年代に入りましてから、これは中国は言うに及ばず、その他の国を含め、競争をする挑戦者があらわれていく中で、例えば、一九九七年に韓国においては大きな金融危機がございました。その折に、韓国ではIMFが入るような危機に見舞われたわけでありまして、それは不幸にして韓国には私どもが持っているような金融資産がなかったからであります。そういった中で、極めて厳しい改革を迫られ、財閥を解体されて、企業を一業種一社に統合するというようなことをして、その上で競争力を確保するといったようなことをいたしてきたわけであります。  ところが、日本の場合は、危機に際してセーフティーネットというのは極めて重要です。これは、社会不安を起こさない、不幸な人をつくらないためにも非常に重要だと思いますので、セーフティーネットについていささかもおろそかにするものではありませんが、ただ、本来、人というものに対して張るべきセーフティーネットを企業に張ってしまったということによって、過剰供給構造が続いてしまっている。それは、言いかえれば、世界の競争に打って出る前に国内同士の競争で、世界と戦うバックグラウンドが整っていない。  さらに言えば、人件費が高いのはやむを得ないことでありますけれども、先ほども御指摘がありましたとおり、法人実効税率等も高いという中で、徐々に日本企業が競争力を失い、国内において投資をしない、雇用をしないという状況が続いてきているのではないかというふうに考えております。  ですので、やはり、もうそろそろ父祖の世代、父、母の世代、さらにはその上の世代の方が積み上げた国民金融資産によって経済を支えていくという状況は、脱却をしていかなければならないという時期に入ってきたのではないかというふうに思うわけでありますし、その観点の中でデフレ脱却というものをやっていただくことがやはり重要なのではないかというふうに考える次第であります。  以上です。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 手短に答えさせていただきます。  デフレの原因と対策ということだと思いますが、デフレとはそもそも何か。とりあえずは、物価水準の継続的な下落ということで、そういうものだと思うといたしますと、やはり基本的には貨幣的な現象なのであろうと。そうなりますと、やはり一番関係するのは、金融政策のスタンスというのが一番大きな関係するファクターであろう、こういうぐあいに考えるわけでございます。  金融政策、あるいは金融の問題を考えるということになりますと、国内の問題もありますが、世界的な問題も当然ございます。たとえ日本の金融当局が金融緩和をしても、そのほかの国がそれ以上の緩和をするということになれば、相対的に日本はデフレあるいは国際的に言うと円高になる、そういう状況にあるのではないかと思います。  それでは、金融緩和を一層進めたらいいのかということでございますが、デフレ、名目物価水準が下がるということは明らかにまずいので、それはそういう政策がやはり必要なんだろうと思います。  ただ、それはデフレさえなくなれば問題がなくなるという話ではなくて、やはりデフレを脱却するというのは、基本的に、例えばインフレ率を一%とか二%とかその辺まで持っていくということでございますので、そうすれば、もちろん少しは財政状況はよくなりますけれども、それで問題が抜本的に解決するわけではございませんので、デフレ対策だけでいろいろな問題がすべて解決するというぐあいに考えるのはやはり間違いなんだろう、そのように思います。  以上です。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 ただいま渡辺先生の方からお話しいただいたことと基本的にはほとんど同じであります。  インフレというのは貨幣的な現象であるというふうに、フリードマンというノーベル賞をもらった有名な経済学者がそういうふうに言いました。要するに、物価というのはお金と物との交換比率ですから、基本的には全部お金の問題です。ですから、物価の安定というのは、どこの国でも中央銀行の役割であるんですね。それは日本もそうなはずなんですが、なぜかそれが認識されていないのが私は非常に不思議です。  つまり、インフレにしてもデフレにしても、それは中央銀行の責任であって、それが達成できないということは、中央銀行の責任が果たされていないということになるんですね。これをしっかりと認識していただくことがまず一番大事なことです。  日本銀行、要するに、では、なぜずっとデフレで、もう十数年以上そういう状況を続けてしまっているのか。  これはもちろん、日銀は日銀なりにいろいろな理屈を言っているわけですけれども、私から言わせると、結局、今まで失敗をした、つまり、結局バブル期の話にさかのぼるわけですけれども、バブルというのが起きて、そのトラウマで金融緩和をかなり渋ったわけですね、一九九〇年代。その結果として何が起きたかというと、デフレと。そうしているうちに政策金利が下げ余地がなくなった、ゼロ金利の状態になってしまった。ゼロ金利でも量的緩和をやればよかったんですけれども、しかし、それもなかなかやらない。非常にそれがおくれた。  要するに、ツーリトル・ツーレートをずっと長い間続けて、結果としては、いわゆるデフレのわなの状況になってしまった。つまり、デフレがどんどん続いているんだけれども、金利はもう下げ余地がない、ゼロになってしまっている。そこでいわゆる非伝統的な金融政策というのも必ずしも大胆にやらないということで、状況がどんどん悪化してしまうということを十数年以上続けてきたということだと思います。  ただ、基本はそういう図式ですけれども、もちろん日銀には日銀なりの言い分があるんだと思います。一つ考慮すべきことがあるとすれば、そもそも、第二次大戦後、デフレという状況になるというのはだれも想像しなかった。なぜかといいますと、金本位制と違いまして管理通貨制度ですから、幾らでもお金を出せる。お金を出せば、インフレで困ることはあってもデフレになるということはないというふうに一般的に考えられてきたわけですね。  しかし、日本がずっとデフレで十数年以上苦しんでいる。これはなぜかというと、今言ったように、ゼロ金利という状態、金利の下げ余地がないという状態になってしまったということです。  これは、アメリカも実は今そういう状態で、リーマン・ショック以降ほぼゼロに近い金利、量的緩和というのをアメリカの場合は非常に大胆にやっていますが、それで景気は回復しているけれども、やはり最初の予想以上にかなり苦しんでいるのが実情ですね。  つまり、アメリカの失業率もまだ九%台をうろうろしている状態で、本来四%ぐらいのところまで下がっていかなきゃいけないんですけれども、リーマン・ショック以降、もう二年、三年とたっているんだけれども、まだそこまではいっていない。量的緩和も、もしかしたらまだ再開しなきゃいけない、こういう状況になっているということからも、結局、ゼロ金利という状態がかなり難しい状態であるということは言えると思います。  しかしながら、それは十何年も続けていいということのエクスキューズには全くならないと思います。ですから、今アメリカでそうやって大胆な量的緩和を続けていて、それで、なだらかではあるけれども回復はしているわけですね。それに対して、日銀が、十何年デフレを続けていて、それでいまだに十分な量的緩和をやっていないということをだれも責任を問わないというのは、私は非常に不思議なことだというふうには個人的には思っております。  以上です。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 デフレの要因を一つということでありますけれども、私はコンサルティング部なのでちょっと風変わりな意見を申し上げるかもしれませんけれども、一言で言えば世界の技術革新だと思います、技術進歩。  例えば家電とかSPAの洋服とか、ああいうのですごく今安くなっておりますけれども、そういったものは、やはり原料とかがアジアとかそういったところでつくっておるというところでございまして、そういったところでそういったところの物価がうんと安くなってくるというところが原因であろうかと。  同じことですけれども、日本とアジア諸国、新興国との技術の差がだんだん縮まってきたというのが大きい原因だと思います。  勢い、物価が安くなってきたので生活コストも安くなる、したがって給料も安くなる。給料が安くなると、ますますそういった安いものを求めるようになる。そういった循環構造があるのではないかと考えております。  デフレというのは、ある程度そういったところでは宿命だとは思っていますけれども、やはり問題があると思います。  それは、住宅ローンとかそういう借り入れが、デフレになって安くなってくれないからです。そういったところで、実質的な所得というのはそれ以上に目減りしているというところがございますので、そうしたところを問題対症療法として貨幣政策とかで解決するという意義はあるとは思います。  また、もう一つのアプローチとして、成長率が人口減少とかで下がっていますので、長期金利がそれに連動するといたしますと、その長期金利にプラス信用コストで企業の利息というのは決まりますので、この時代が、もともと企業がもうけにくくなっている。そういったところで、もうからなくなっているというところがございますので、成長率の低下というところも、そういうマクロ的なところで見ればあるのではないかなというふうに考えております。  私の回答は以上でございます。

玉木雄一郎民主党・無所属クラブ

○玉木(雄)委員 それぞれに、デフレについて御所見を述べていただきました。  多分いろいろな複合的な要因があって決まるところもあると思うんですが、一つ、よく言われる、山本先生も言われる日銀の直接引き受けとか、直接じゃなくても、日銀はもっと例えば国債を市中でも買い入れた方がいいんじゃないかというようなことはよく出てきます。  ただ、市川先生の資料の中の六ページにあるように、今、銀行にとっても最も有利で安全な投資先が国債になっている。経済合理性が最もある投資先が国債だということが仮に条件としてあるのであれば、幾ら緩和をしてお金を市中に流していっても、結局それが政府のファイナンスに使われて、いわゆる企業の成長分野に回る環境がなかなかつくれないんじゃないのかということが一方であるというふうに思います。  財政運営、経済運営を政府としてもやっていく上で、なかなかこれは非常に難しいところではあるんですが、そんな中で、新成長戦略とか、あるいは、もちろん日銀とのさまざまな対話を進めながらやっていっているところはあるんですけれども、単に緩和をしていって、もちろんマネタリーな現象だということはよくわかるんですが、デフレ解消が本当にできるのかどうかというところについても、なかなかこれは確信が持てない点があると思うんです。  この点、市川参考人と野口参考人、それぞれちょっと御意見をお伺いできればと思います。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 また厳しい御質問を受けてしまいました。  デフレは、確かに学問上からいえば金融的な要因であると思うんですね。ただ、それだけで解決できない可能性があるという点に関して言えば、私は玉木先生の今の御示唆どおりではないかというふうに思っております。  もちろん、特に九〇年代初頭のバブル崩壊期における日銀の金融政策の失敗というのは、これは非常に大きくて、それが糸を引いているという面に関しては否めないところであります。ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、やはり、そもそも需要が不足していることによって供給過剰がある、だから物価が下がるという点については、これは金融的な手段だけでは対応できないところではないかと思うんですね。  ただ、しかしながら、足元のこの状況を見ていますと、震災が起こり、ここから復旧、さらには復興をなし遂げていかなければいけない、そのためにはお金が必要であるという、そういった環境に今入ってきているわけであります。  もちろん、東日本大震災で被災された方の一日も早い生活の改善をしていかなければいけないというときに、一つは、それをデフレ脱却と結びつけて、こここそが、政府と日銀が両輪となって復興をする上でのきちっとした対策を立てていただくと同時に、これに日銀が何らかの協力をしていくような形で、デフレ脱却の方向に向けた政策的な手段を進めていくことはできるのではないかというふうに思います。  さらには、そこに、あとは民間がより活性化するような対策を加えていただけますと、もしかすると、ここが日本がデフレから脱却する上での、最後とは申しませんが、非常に重要な転換点に今あるということではないかと思っております。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 私は、先ほどのお話の続きになってしまいますけれども、基本的には、一番重要なのは金融政策であるというふうに考えます。  確かに、今金利がゼロの状況ですから、金利はこれ以上下がりません。ですから、企業の貸し出しがふえるためには実質金利が下がる必要があるわけですが、今それがなかなかできないわけですね。ですから、幾らお金を出してもだめじゃないかという御意見があるのは存じております。確かに、今、では量的緩和を仮に拡大したとして、どんどん企業への貸し出しがふえるのかというと、そういうことは多分ないだろうと思います。  ただ、実は金融政策というのはいろいろなチャネルがありまして、必ずしも貸し出しというチャネルだけではないんですね、金融政策がきいていくチャネルというのは。例えば、先ほどお話をした為替というのも重要なチャネルなんですね。景気が悪くなりますと各国は金融緩和をやりますけれども、それは金利を下げて貸し出しをふやすだけではなくて、開放経済ですから、為替レートを下げる。ですから、景気が悪い国はそうやって金融緩和を積極的にやって、為替レートを下げて、それで経済がまた回復していくという経路があるわけです。  そういうふうになったとしても、では、ほかの国が困るかというと、私のお持ちした浜田先生の資料に書いてあるように、別にそれは通貨戦争ではなくて、例えば、逆に、中国というのは今景気が過熱しているわけですから、むしろ元は相対的に高くなった方が、つまり、そういう過熱を抑えるという意味では適切なんですね。ですから、それが仮に、今、日本が量的緩和をやって円安になって、では中国が困るかというと、そういうことはないわけです。ですから、通貨戦争にはならないということですね。  ですから、今やはり一番重要なのは、復興のための支出をどんどんしますから、幸か不幸かというか、決して望ましいことではないんですけれども、これは非常に効果のある支出なわけですね。ですから、どんどんそうやって復興支出をすれば、それは、今までの財政支出というのは無駄なものが非常に多かったけれども、無駄にはならない支出なわけです。ですから、どんどんやればいい。  ただ、それだけやっていきますと、先ほど言ったように円高になって、今既にもう円高で、復興の中で円高が起きて困っている状況ですから。こういうものを放置しているということ自体が、これは明らかに金融政策の怠慢なんですね。  だから、アメリカを見てくださいということになるわけです。アメリカは量的緩和をどんどんやって、それで結果としてはドル安になっているわけですから、日本も同じように、介入ではなくて金融緩和を通じて円安になるのであれば、だれも、どこの国も文句は言いません。ですから、そういうことをやればいいんだけれども、それをやっていないのが日銀であるということなんですね。  ですから、御質問のお答えをすれば、必ずしも金融緩和というのは金利を下げるというだけの経路ではなくて、為替という経路もあって、それは実は非常に重要で、例えば、二〇〇七年まで日本が回復していた時期というのはやはり円安が非常に重要であって、当時円安で、そして特に製造業が非常に収益がふえました。それはかなり一部に偏っていたという批判もあったんですけれども、あの景気回復がもう少し長く続けば相当よかったと私は思っています。残念ながら、その後、リーマン・ショックになってしまいましたが。  ですから、そういうふうに考えても、金融緩和、量的緩和をさらに拡大していって、アメリカに負けないぐらいにどんどんやっていく、そして円高を抑制し、円安にしていくということが重要だと思います。  以上です。

玉木雄一郎民主党・無所属クラブ

○玉木(雄)委員 我々の政権になってから、当初、民主党には成長戦略がないと言われました。配分ばかりの政策だということで批判をされたんですが、二十二年度、民主党政権になって初めて予算を編成して、ある意味、最初の通信簿と言える二十二年度の決算の見通しが、この前、七月の一日に出ました。  これを見ると、余り報道もなかったのであれなんですが、実は、当初の税収見積もりと比べて、さらに補正後と比べて、七月一日の決算の概要を見ますと、四兆円強税収がふえているんですね、これは。当初から一次補正までで二兆円強、補正からさらに、三月十一日に震災があったにもかかわらず、二十二年度、締めてみたら、税収は四兆円強ふえております。それに伴って、公債の発行を二兆円減らすことができているわけですね。  成長戦略がない、ないと言われた二十二年度予算、あるいは、それのもとになるマニフェスト関連施策でありましたけれども、そういった一定のいわゆる自然増収といったものを確保しながら、一方で、マニフェストも、これは野党の皆さんからはばらまきだと批判をされますけれども、予定したとおりできていないんですが、ひっくり返して言うと、確保できた財源の範囲の中でしかやっていないということは言えると私は思うんですね。  例えば、子ども手当にしてみても、一応、年少扶養控除の廃止と歳出の見直しの範囲の中でやっているという理解になっているので、額が少ないという批判は甘んじて受けなきゃいけないと思うんですが、ばらまきだというのは、私は必ずしも当たっていないのかなと。  それは、所得が低い人がふえてきて、そういった方々の消費を下支えするという意味では、これは一つ、いろいろな議論はあると思いますが、ただ、二十二年度の決算を見たときに、例えば源泉所得税もふえているんですね。四千億か五千億ぐらいふえていました。それは、ある種、サラリーマンの懐も、大震災が年度の最後の三週間にあったにもかかわらず、それなりに税収は上がっています。  ですから、こういう難しい中でも、そういう財政的な下支えをしつつ、その一方で金融政策も加えてやっていくということが大事だと思います。  ただ、こういったことも、これからの社会保障、特に自然増がふえていく中では、いつまでもなかなか維持できないし、やはり本当に、構造的な収支のギャップについては、しっかりと、税と社会保障の一体改革という中できちんとアプローチをしていかなければならないと思っております。ただ、その中でも、経済のあり方、増税の時期、そういったものについては、よく、マーケット、そして経済との対話をしながら進めていかなければならないというふうに思っております。  時間がなくなってきたので、最後にお聞きをしたいのは、今、特例公債法を我々として何とか通していただきたいというふうにお願いをしている段ではありますけれども、いわゆる四K、マニフェスト項目について、なかなか、それを取り下げないと合意ができない。  私は、これはそれぞれ各党メンツがあるから仕方がないと思います。ただ、やはりそれぞれの政策、あるいはそこから出てきた客観的な事実、そういったものを踏まえながら、何とか、我々も譲るところは譲る、野党の皆さんにもお認めいただくところはお認めいただくということで、市川参考人が最初におっしゃった、両党で、あるいは与党、野党あわせて、今の日本の財政運営、国家運営をしていってほしいというのが今の国民の民意だというふうに思います。  その意味で、最後に、代表して市川参考人にお聞きしたいんですが、今のこの政治の混乱について、マーケットといいますか民間の立場として、どういうふうにごらんになっているのか、御希望も含めてもしあれば、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 市川参考人。時間の制限がございますので、恐れ入りますが、答弁は簡潔にお願いいたします。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 私、本日、与党推薦でここに立たせていただいておるようでございますので、与党批判は非常にしにくい状況にあるということで、若干奥歯に物の挟まったような言い方になります。  ただ、非常に今は重要な時期であると思うんですね。それは、ただでさえ経済状況が極めて厳しく財政状況も厳しい中で、さらに我々は震災という大きな痛手を負ったわけでありますから、そうした意味では、ここでやはり国の総力を挙げてこの復興をし、その復興を経済の抜本的な回復に結びつけていかないとという意味では、本来、総力戦であるべきかというふうに思っております。  しかしながら、先ほど冒頭の方で申し上げましたように、二〇〇九年の総選挙において国民は与党に過半数を衆議院において負託し、昨年の参議院選挙においては国民は野党に過半数を負託した。ということは、細かい憲法上のことを除けば、基本的には、国民は、双方に明確に責任を負っていただいて、何かをしていただきたいということを期待しているのではないかというふうに思うわけであります。  それは市場も非常に注目をしているところでありまして、今、日本を売るか買うかという非常に重要な判断をするに当たって、私は実はそのことで来週アメリカに参りますが、そこで、ここで本当にその政策が的確に打てるのかどうかというところについては、通常の状況以上に注目をしていることでありますから、その意味では、ここで与野党の皆さんにぜひもう一度原点に立ち返っていただいて、国民の負託におこたえをいただきたいということをお答えにさせていただきたいというふうに思います。

玉木雄一郎民主党・無所属クラブ

○玉木(雄)委員 ありがとうございました。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 次に、竹下亘君。

竹下亘自由民主党・無所属の会

○竹下委員 自由民主党の竹下亘でございます。  本日は、参考人の皆さん方、お忙しい中、大変ありがとうございます。  さて、先ほどから参考人の皆さん方の陳述、さらには玉木さんとのやりとり等々を聞いておりますと、一つの焦点が、デフレ、そしてその脱却にあるというような感じになっております。  そこでお伺いをしたいんですが、デフレの脱却、いろいろあると思いますが、経済学ではない要素、あるいは心理学かもしれない、景気も病気も気分からという、きょうよりあすがよくなるという国民の気分が、あるいは国民のそういった盛り上がり、きょうよりも来年は楽になる、あるいは親の世代より子供の世代の方が豊かになる、次の世代の方が豊かになる、日本は戦後、いわばそういう環境の中で高度成長を続けてまいりました。  これは、経済の要素だけではなくて、日本人という特性もございますが、それに加えて、極めて心理学的な要素が大きかった。それが、欧米に追いつき追い越せ、それを超えてしまった。さあ次なる目標、これからどうするのという、いわば気分の停滞ということも加わって、そこにさまざまな要素が、技術革新もその一つでありましょう、あるいは、金融のかじ取りのある意味失敗、あるいは小さ過ぎるということもその一つでありましょう、そうしたことが重なってデフレ状況に陥っている。  そこで、皆さん方にまずお伺いをしたいのは、明るさといいますか、ちょっと言葉をかえればインフレ期待感、この先インフレになるぞという期待感がなければデフレは脱却できないと私は思います。どうやってそういったものを出せばいいのか、四人の皆さん方にそれぞれお伺いをさせていただきたいと思います。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 それでは、今度は逆に指名させていただきます。  鈴木参考人。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 済みません、ちょっと急に、考える時間があるかなと思ったんですけれども。  御質問の趣旨の明るさですけれども、私、個人的には、出身が仙台で、妻の実家が石巻でありまして、まさに震災からの復興というところ、行ってはいないんですけれども実家の状況が一番心配で、そういったところで地震の後はすごく暗かったところでございまして、やはりそういったところで、明るさというか、経済のみならず、日本の雰囲気の明るさというところを希求しているところでございます。  ちょっと済みません、考える時間がなかったので、そういったところでざっくりとしたことしか言えませんけれども、今そういったところでも、現地というか私たち出身者の立場としては、明るさといえば、これから、一たん瓦れきの、焼け野原になったところで、新しい芽が吹いてくるであろう。そうしたときに、東北というのは今まで、歴史的に言えば、アテルイの時代から奥州藤原、そして戊辰戦争、そして四回目の挫折を経験しているわけですけれども、そこから何か新しい日本というのが東北からでき上がるんじゃないかという期待を個人的には持っております。  それがどういう形になるのか。例えば東北に、その地域内で回す産業、完結したサプライチェーンを、東北内で研究開発から最終製品から、そうしたものをつくっていって、そして今度、一朝、西日本で地震が起きたときには東北が助けられるような、そういったような自立した経済成長を遂げるべきだというところを心から思っておりまして、そういった論文とかも幾つか書いております。  そうしたところ、復興という芽から、東北から始まる日本の新しい形、そうしたところをビジョンを示して、それを着実に実行していくことによって、気分的なところもあるかもしれませんけれども、この閉塞感から脱却できるのではないかと期待を持っております。  済みません、簡単ですけれども、以上でございます。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 同じような話の繰り返しになってしまうのは恐縮なんですけれども。  まず最初に、私は、今復興というのは非常に大きな、復興が非常に頑張っているというのは明るい面であると思います。私はもともと、よく、日本は国際競争力が落ちたとか、だんだんだめになっているというような話をする人が多いんですけれども、全くそれは間違いだと思っています。日本のサプライサイドは非常に強いし、オイルショックのときも一番うまく対応したんですね。  それで、今復興、ああいうような頑張ってやるというものに関しては日本人は非常に粘り強くやる、これは私は非常に明るい面であると思います。だけれども、そういう状況の中で、では何でこうやって長期停滞が続いているのかということなんですが、これは卵が先か鶏が先かになってしまうんですが、結局、二十年以上もぐずぐずした経済状況が続いていけば、どんなに明るい人間もだんだん暗くなっちゃうわけですね。ですから、そういう中で、結局、どうも先行きが暗いということで、人々が消費を控えて、ますます経済が縮小していく、こういう悪循環にはまり込んでしまう。  では、これをどう脱却すればいいのかということなんですけれども、要するに、少なくとも、景気回復が続いたときに腰を折るようなことをしない。今までは何がだめだったかというと、一々、景気が回復しようと思ったら全部つぶしてきたんですね。  例えば、一九九〇年代、バブルがはじけた後、結局、最初景気が回復しようとしても、当時の三重野さんが、バブルの再発を恐れて金融緩和をぐずぐずして、なかなかしない。九五年、六年に景気が回復してきたら、今度は消費税の増税だと。今度は財政の引き締めをして景気の腰を折るということをやってきたわけです。  IT不況とか最近のサブプライムというのは日本の責任じゃないじゃないかというふうな御意見もあるかと思いますけれども、私はそれもやはりある種の政策のミスというのがたくさんあったと思います。  それは、例えばサブプライムの問題に関して言えば、もともと日本の金融機関というのはサブプライムの影響からはほとんど無縁だったわけですね。しかし、結果として見ると、二〇〇九年、日本は先進国の中で最も景気の悪化が激しい国でした。結局、そういうものを、手をこまねいていた。つまり、ずっと円高を放置していて、白川さんが日銀総裁になった後もなかなか、ぐずぐずして金融緩和を渋っているということで、結局はやらざるを得ないにもかかわらず、後手後手に回ってしまったら、その効果というのはどんどんなくなっていって、結局、日本経済が一番停滞という状況に結果としてなってしまうということも一つの政策ミスであると思います。  ですから、そういうふうに考えますと、少なくとも景気回復の腰を折らないように慎重にやる必要がある。これは、今後の金融の正常化においてもそうですし、あるいは増税というものに関しても同じことが言えると思います。  以上です。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 大変難しい御質問ですので、うまく答えられないんでございますけれども、確かに、経済におきましては、心理的な要素というのは非常に大きいと思います。  実は、経済学におきましても、期待というような話が非常に最近重視されるようになってきまして、気分的、心理的なものというのが経済に大きな影響を与えるというのは広く認められていることかと思います。ただ一方、ではその気分的なものを何か政策的に引き出すことができるかといいますと、なかなか難しい面があるかと思います。  確かに、我々の世代は高度成長期も知っているわけでございますから、最近の十年、二十年の状況というのはどうなのかなと思うわけでございますが、若い世代にとってはずっとこういう状況でございますから、まあそんなものかなと思って生きているんだろうと思います。したがって、将来に向かってどういうようなビジョンを持っているかというのは、全く人それぞれだと思うんですね。  ただ、一つ何か政策的に関係があるとすれば、今やはり将来に対する必要以上の不透明感みたいなものがあるんじゃないか。要するに、日本は戦後すばらしい経済成長を遂げて、世界的なレベルで見た場合、非常に高い生活水準を今でも維持できているわけでございます。ただ、これからどうなるんだろうか、どんどん悪くなるんじゃないか、自分が年をとったとき非常に悲惨になるんじゃないか、そういうようないろいろな心配があるということだと思います。  それに何か対処できるとすれば、単に、何とかなります、成長戦略すれば急に成長しますとか、そういうのは余り私は根拠がないと思っておりまして、なかなかやはり成長というのは難しい、実質成長はなかなか難しいと思います。インフレにして名目成長だけしても余り意味はないと思っておりますので。  そういう意味では、そういう現状から余り逃げずに、むしろ、ここだけはちゃんと政治の方で、あるいは政府の方で責任を持ってやりますというところを示して、例えば、最低限の生活水準かもしれませんが、それをどういうぐあいに定義するかわかりませんが、ある程度の安全網、セーフティーネットみたいなものをきちっとつくりますというようなことを財源とともに示すことができれば、かなりよくなる可能性があると思います。  そういうことで、非常に限定的なお答えしかできなくて申しわけありませんが、とりあえず私の答えとさせていただきます。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 委員長には気を使っていただきまして、今回は最後に回していただきまして、まことにありがとうございます。  三年ほど前に、ちょうど海外を回っておりましたときに、最初にフランクフルト、ドイツですね、それからアメリカ、ボストン、それとシンガポールで外国人から同じことを言われて驚いたことがありました。というか、驚愕をいたしました。  それは、もう我々は日本株は買いたくない、日本の株式には投資をしたくない、なぜならば、若者が車を買いたくない、済みません、女性の方もいらっしゃるので大変恐縮ですけれども、若い男性が車を買いたくない国、その国が果たして経済成長するのであろうかと。若い男の子というのは、極論をすれば、いい車に乗って、隣にすてきな女性を乗せていくのが、これが根本的な欲求である、それが実は日本経済、世界経済を成長させるんだということでありまして、それはまさに今、竹下先生が御質問になられた、気分がというところにあるのかなというふうに思います。  何ゆえ若者の世代がそういう極めて保守的な態勢をとっているのかということを考えてみると、やはりその親の世代が、つまり、私たちもそうかもしれませんし、私たちの上の世代が、非常に打ちひしがれた状況にある。つまり、今もお話がありましたけれども、八〇年代までの成功体験を捨てられずに、そのころの夢を見つつ、今、あのころはよかったよねという中に我々から上の世代の方が生きておられるというところがやはり一番問題ではないかなというふうに思います。  そこをどのように改善するかというのは、これは非常に重い、難しいテーマだと思います。一つは、これまで申し上げてまいりましたように、やはり需給バランスというもの、経済全体の需給バランスというものを政策的に調整をしていくために、税制それから金融政策というものを総動員するということが重要だと思います。特にここは、東日本大震災からの復興でどうしても需要が、極めて大きな需要が発生する局面でありますから、これを活用させていただいて一つのきっかけにしていくということが重要なんだろうなというふうに思います。  それと同時に、やはり社会保障と税の一体改革、これは表現はいろいろあると思うんですね。表現はいろいろあると思いますが、社会保障制度に対する信頼感を高め、信頼感を高めるということは、それはやはり財源の裏づけのある社会保障制度をきっちりと構築していただくことで、公的にここまでの生活というものがあるんだ、その上を目指すのであれば個々人がきっちり努力をしていかなければいけない、そういう予見可能性、将来に向けての予見可能性を高める上で、やはり社会保障と税の改革というのは、これは非常に重要なことではないかというふうに思っております。  そういったことをあわせてやっていただくことが、今この日本がデフレを脱却する上での非常に重要なポイントではないかということを申し上げます。

竹下亘自由民主党・無所属の会

○竹下委員 なかなか一筋縄、二筋縄でもいかないのがデフレの脱却ということになろうと。  と同時に、もう一つは、先ほど皆さん方の陳述の中にありました、財政再建と税、増税の関係について質問をさせていただきます。  財政再建、もう日本という国は、国、地方合わせて一千兆円に近い借金を抱えておる。ただ、国民の貯蓄が懐が深いので、例えば国債でいえば、まだ海外へは五%程度しか行っていない、そういう安心感は一方でありますけれども、そろそろかなという見方もあちこちから、先ほど数年以内という言葉も出ておりましたが、出てきております。  しかし、これは我々も反省しなきゃならない。ハイエクが言っておるように、地獄への道は善意で舗装されている、耳ざわりのいい言葉を言うことが財政的には地獄に突入していくんだということを言っております。借金をしてばらまくというのはまさにその典型であると私は思います。  そういう状況の中でどうやって財政再建をしていくのか。四十数兆円の借金をして、それは大部分は赤字国債でやる。つまり、メリットを享受するのは今の私たちの世代であって、国債というのは六十年かかって返しますから、子供たち、孫たちには何の恩恵もない、負担だけが行くという状況を、今私たちは物すごい勢いで、これは自民党も反省をしなければなりませんが、民主党の現政権には猛省どころじゃない、もっともっと反省してもらわなきゃならぬな、こういう思いを持っております。そういう状況をどう乗り越えていくのかということが一つ。  それから、増税に対する物の考え方でございますが、例えばドイツが、西ドイツが東ドイツを併合したときにどういう対応をとったか。世界に迷惑をかけない、ドイツ国民は増税してでも東ドイツを、もう最貧国の一つでありましたから、そこの経済レベルを上げることをやるんだということで、増税をして対応いたしました。迷惑がかからなかったかというと、マルク高になりましたので、マルクがあの当時変動しましたので、多少のそういう迷惑はかかっておりますが、税という、お金という意味では確かに迷惑をかけないで、東西ドイツの併合というものは成り立った。  それからもう一つは、もう既に出ておりますが、肝炎に対する訴訟で政府が賠償する。数兆円規模に上るものを増税でやらざるを得ない、こう言われているものがもう既にこの日本の目の前に存在をいたしております。さらに言いますと、消費税の問題も含めて、なだらかに上げていけばいいという方もいらっしゃった。あるいは、なかなか税というものですべてを乗り越えることも難しいという趣旨のことをおっしゃった方もいらっしゃる。  それから、私は覚悟だと思うんです。政府が覚悟をし、国民の皆さん方に覚悟をきちっと求める。その姿勢がなかったら、政府がどんなきれいごとを言って、社会保障と消費税、税制の安定、どんなことを言ったって、覚悟を持って言わなかったら、それはもう馬の耳に念仏そのもの。残念ながら、今の政権は責任を持ってそれをやろうという思いがないものですから、どうしても皆さん方の右の耳から左の耳に抜けてしまうような受けとめ方しかされない、そういう残念さがあります。しかし、いつまでも、この残念な状況を、残念だ残念だとばかり言っていくわけにはいかない。となると、どうやってやっていくか。  もう一つは、復興債、復興にかかる財源をどうするか。これを、山本さんは、いなくなったけれども、日銀引き受けでやれと。野口さんもそれに近いお話を、日銀がもっと積極的に出ろというお話をされておりました。  ただ、私は、例えば二十兆かかるとすれば、十年あるいは二十年で返済をする増税というものを考えていいんじゃないか。二十兆を二十年で返済すれば年一兆円です。消費税なんか動かさなくていいです。いろいろなものを少しずつ動かしていけば、年一兆円、二十年の限定増税ということでやれば、国民の皆さん方に理解をいただけるのではないかな。もっとも、これこそ政府が覚悟を持って言わなければならぬことだ、このように考えておるわけであります。  そこで、皆さん方に、これも四人の皆さん方に、財政の再建、その道筋といいますか困難さといいますかと増税のあり方について、それぞれ御意見をお伺いしたいと思います。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 それでは、今度は渡辺参考人、野口参考人、市川参考人、鈴木参考人、この順番でいきたいと思います。  渡辺参考人。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 この御質問も大変大きな、重要なものと存じます。  まず、財政再建ということでございますが、やはり財政再建は、別にそれ自体が目標ということではないと思っております。要するに、赤字が大きいか小さいかというのは、もちろんそれ自体問題なんですが、現在の問題は、今のような財政の構造で、これからサステーナブルな政府の経済活動、特に社会保障もそうですし、そのほかのものも、それが維持できるのかどうかということだと思います。  これから長期的に、まだまだ高齢化が進み、人口減少が進んでいくわけでございます。その中で、竹下先生御指摘のとおり、千兆円にも及ぶ債務を追加的に負って、これからそういう厳しい時代に突入しなければならない、そういうのが現状でございます。したがいまして、増税をしたいという人はなかなかいないし、増税してくださいという人もなかなかいないのでございますが、早晩増税の問題は避けることができないだろう、そういうのが現状かと思います。  要するに、四十兆以上の国債をどんどん出し続けるということはどこまで可能かということで、マーケットの方からそういうシグナルがかかることもあるでしょうし、あるいは、もう少し長期的には、社会保障のサステーナビリティーの問題も出てくるかと思います。  ただ、もし増税というようなことを多くの国民が納得するとしましたら、竹下先生がおっしゃるように、まさに覚悟を持ってそれを提案しなきゃいけないと思うのでございます。そのときにやはり重要なのは、どうして増税が必要であって、その増税した分がどのような形で使われるのかということをセットで示さなきゃならないということでございます。  その意味で、今、社会保障と税の一体改革というのが非常に重要でございまして、時々、消費税さえ上げれば何とかなるような感じで議論されることもあるんですが、先ほどの野口先生のレジュメにもあったんですが、社会保障、年金、医療、介護等の支出を抑制する仕組みがないと、幾ら増税しても焼け石に水というのが現状だと思います。消費税を上げるといってもどこまで上げられるか、せいぜい二〇%とか二五%とか、その辺が限度でございますよね。そうすると、本当にやっていけるのかという話になると、まさに社会保障改革の方を一生懸命やらなきゃならない。その効率化をやらなきゃいけないわけでございます。  ここにある年金、医療、介護のほかに例えば生活保護の問題につきましても、これから非常に深刻な問題でございますが、かなりその効率化を進めていかないと、これから、要するに社会保障財源のために税金を負担してくださいと言っても、それが政治的に納得されるような環境にならないと結局増税はできないわけでございますから、歳出の効率化、公正化というのを本当に強力に進めていかなきゃならない。そういう大変厳しい状況だとは思うのでございますが、やはり覚悟を決めて提案していくしかないんだろうと思います。  復興債につきましては私も全く同じような感じを持っておりまして、やはり全然増税しないというわけにはいかないと思います。ただ、余り大規模な増税を一挙にやると影響が多いので、例えば二十年間一兆円ずつというような規模は、確かにかなり適正なものかなという感じはします。  何も手当てしないと何が問題かというと、やはり日本の国債に対する信認ということがマーケットから得られなくなる可能性がある。これは期待の問題なのでわかりませんけれども、今後の政治状況、経済状況のあり方によっては近い将来に危機が来る可能性もあると思いますので、やはり復興債の財源手当てというのはしておくべきじゃないか、このように考えるわけでございます。  ありがとうございました。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 続いて、野口参考人。  参考人に申し上げます。時間の制限がございますので、手短にお願いをいたします。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 最初に、二十兆で二十年間ということですけれども、私自身は、特に復興財源ということで意識的に増税をする必要はないと考えますけれども、実際には、二十年間で少しずつ取るということであればほとんど影響はないかというふうに、事実上は思います。  あと、財政再建ということについてですけれども、一つ重要なのは、財政再建という場合に、どの部分を構造的な赤字と考えるかなんですね。  重要なのは構造的な赤字でありまして、景気が悪くなると、必ず財政というのは悪化します。日本の場合でも、二〇〇七年までは実は非常にプライマリーバランスも改善していました。ですから、当時は景気がイザナギ超えという、そんなにすごく景気がいいという感じではなかったんですが、しかし着実に回復をしておりまして、財政も改善をしておりまして、当時、政府の目標が二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字化ということですけれども、もしリーマン・ショックがなければ前倒しで実現された可能性もあったと思います。  ですから、そういうふうに考えますと、結局、日本の場合はそもそもデフレギャップが続いている。つまり、本来の適正な成長率に行かない時期がずっと長かったので、実は、構造的な赤字といっても、循環的な赤字、つまり景気の悪化による赤字というのは見かけ以上に非常に大きいと思われます。  ですから、そういうふうに考えますと、むしろ問題なのは、焦って増税をし、結局景気を悪化させると、それが逆に循環的な赤字をふやして、むしろ赤字をふやしてしまうということになるので、そういうふうに考えますと、まず重要なのは、しっかりと経済成長を、巡航速度といいますか潜在的な成長率まで戻すということがまず先決でありまして、そこに行って残った部分の赤字については、これはもちろん増税が必要である。  増税に関しては、消費税を中心に考えるというのが今の社会的な一つの合意になっておりますので、それは、先ほど私がお話ししたように、急激にではなくて段階的に行うべきであるというふうに考えます。  以上です。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 財政再建が目的ではないというのは、まさに御指摘のとおりであるというふうに思います。それと同時に、これは釈迦に説法になりますけれども、税というものにはそれぞれの役割があるし、また、どの役割の税をどうするかによって経済に対する好影響、悪影響というのは大分変わってくると思いますので、一概に何でもかんでも増税すればそれで財政再建になっていいんだという議論ではないだろうというふうに思っております。  特に消費税というのは、これは冒頭の説明の中でも申し上げましたけれども、非常に安定的な財源でありまして、九七年度から税率が上がりましたけれども、ちょうど一%につき国税収入として二兆円、きれいにそういう形で出てきておりますので、そういう意味では、社会保障費を賄っていくに当たって、どこかの段階で消費税の増税というのは、税率の引き上げというのは避けられないのであろうというふうに思う一方において、私がお配りをいたしました資料で十ページ目をごらんいただけますでしょうか。  ここに「法人税率と法人税収」というグラフがございますが、税率は、押しなべて言えば、年を追って歴史的に法人税率というのは下げられる方向に来ているわけですが、ただ、税収が税率に連動しているわけではないんですね。やはりそのときの経済状況が極めて大きく税収に反映をしているということから考えれば、政府としては、政策としては、やはり景気を、経済をどう活性化していくかというところに重点を置いて税制というものを考えていただく必要があるのではないかというふうに思います。  それと、最後に復興に関するお話でございますけれども、これは大変申しわけないんですが、私は与党の皆さんに若干苦言を呈さなければいけないと思います。  卵と鶏の関係なのかもしれませんが、これから東日本の被災地の復旧復興をなし遂げようという段階にあって、一体それを何でもって復旧復興していこうかという議論をするに当たって、一番最初にそこに財源の話が来てしまったというのは、これは非常に、ある意味で、先ほど御質問にありましたが、心理に与える影響というのは決してよくはなかったのであろう。やはり、これこれこれだけのことをやって東北地方の復旧復興をし、かつ、それが経済の活性化に結びついていく、だからこそ、そこでこれだけの財源が必要なんだという順番での議論にもしなっていたとするならば、この財源に対する国民の考え方というのも随分違ったものになったのではないかというふうに思っております。  その意味では、復興国債になるのか、そういったものの償還の仕方というのはいろいろ考え方はあると思うんですが、やはりまず最初に今後のイメージ、どういうふうに復興をし経済を活性化していくのかというところをきちっと政策としてお示しいただいて、その後に、それに係る財源をどうしていくのか、どう手当てをしていくのかという議論をぜひ与野党においてしていただきたいなというふうに思うところであります。  以上です。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 鈴木でございます。  財政再建と税という議論でございますけれども、私が東北出身者だということを差し引いて考えていただければ、瓦れきの撤去とかそういったところの復興財源に対する国債手当てはやっていただければなというふうに思います。  ただ、それは、財政悪化というところからいいますと、よく言われるところの、直ちに健康に影響を与えるものではないというようなぐあいでございまして、将来的にはやはり財政再建とかそういったマクロ的なことも考えなければいけないという問題意識をかたく持っております。  ポイントは見える化だと思います。体重でもそうですし、今度の節電でも同じですけれども、自分がどれぐらい使ってどれぐらいお金が余っているのかという、見える化というのが必要だ、見えるということによって財政規律が働いて、何とかしようという、先ほどおっしゃられた覚悟というのが国民の側にも生まれるものだと思います。  そのための具体的な見える化というのは、参考資料に述べましたような財務状況把握の方法が一つ挙げられると思いますけれども、要するに、民間企業でいうところの収入、売り上げと費用というのがあって、それの余りの、余剰の分をどうやって確保するか、それが、収入をふやす、つまり増税にするか、費用を減らす、どっちにするか、増税とそういったところの選択肢だと思うからでございます。  収入をふやす、つまり増税にするのか、支出を減らすというのは、やはり国民の総意に基づいてやることでございまして、まずやらなくてはいけないのは見える化、つまり民間企業的な、収入と支出を明らかにする、国の財政というか地方の財政というのが企業に例えたらどのような位置にあるのか、倒産状態なのかどうなのか、そういったところをベンチマークに、再建の方法で収入をふやすか減らすかということを考えるということが必要だと思います。  支出の方でいきますと、先ほども言いましたように、松阪牛とかそういうおいしいものを食べたいとか、高級車に乗って、車の交通事故に対する安全を守りたいとか、いい教育をやりたいとか、いろいろな必要なことはあるんですけれども、必ずそれには財政制約というのがあって、物事の優先順位を決めなくてはいけない。その優先順位に関して国民的な議論をするというのが大事だと思いますので、まずはそれの先決となるところの見える化、今、国がどういうふうになっているのかということを不断に示すようなシステム、仕組みが必要だと思います。  以上でございます。

竹下亘自由民主党・無所属の会

○竹下委員 終わります。ありがとうございました。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内譲公明党

○竹内委員 参考人の皆さん、きょうは、急なお願いにもかかわりませずおいでをいただきまして、本当にありがとうございました。  私どもは、特に東日本大震災がありまして、大変な状況になっているわけですけれども、経済全体も大変な混乱状況にあるとは思うんですが、ただ、一方でこれは一つのチャンスでもあるだろう、今後、日本経済全体にとっては。間違いなく復興需要というのは出てくるわけでありますから、これから仕事が出てくる。ただ問題は、供給サイドに問題がある。特に電力の問題がボトルネックになっておるのではないか。とりわけ原子力の問題が一番大きな政治的課題になってきているというふうに思っているわけです。下手をすれば、来年の春には、一斉にとまったりすると三〇%から電力が不足するわけですから。  ですから、逆に言うと、もしもこの電力制約がなければ、デフレ状況は意外に復興需要によって解消していく、間違いなく。リーマン・ショックとは逆に、これは解消していくはずだ。だから、一番の問題は、原子力の問題をどう解決するか、どういう結論を出すかということにかかっているのではないかなというふうに我が党では考えているわけでございます。  とはいえ、これはなかなか難しい問題でございますので、生命、安全にかかわることでありますので、これは慎重に考えなければいけないというわけであります。もしもうまくこの問題が片づけば、景気は回復軌道に乗るのではないかなというふうに思っておるんですけれども。  そこで、最初に市川先生にお尋ねしたいんですが、仮にこの電力の問題が片づいて、景気が少し上向きになってくる。しかし、それは一つの、次の消費税引き上げのチャンスでもありますよね。私どもも、経済が上向けば、やはり社会保障のためには消費税の適切な引き上げというのは必要である、不可欠であるというふうに考えております。タイミングの問題だと思うんです。そのチャンスはめぐってくるんだろうと。  ただ、そこで安住していてはいけないと思うんですね。その次、結局、復興需要をさらに持続的な安定成長に変えていく仕組みが必要である。そのためには大胆な施策、市川先生がレジュメに書いていただいているような、大胆な施策というか、イノベーションというんですかね。これは民間もそうですし、企業側もそうですし、それから政府の側もイノベーションを考えていかなければいけない、このように思っておるんです。  私は、一つは、エネルギー政策において大胆なさまざまな、投資であるとか基礎開発であるとか税制であるとか、そういうことが必要であると思っておるんですが、市川先生としては、まず、このあたりにつきましてどのようなイメージをお持ちでいらっしゃいますか。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 実はここに、私が来週海外に持ってまいる説明用の資料がございます。これはタイトルが、震災復興と経済を左右する電力問題というタイトルでございまして、まさに先生が御指摘のとおり、電力は非常に重要な問題だと思います。  過去の大口電力需要の状況と、それから鉱工業生産との関係を見てみますと、非常に強いリンケージがあります。このままいきますと、例えば、今、日本の自動車メーカーさんが大量に期間工の方をお雇いになっておられる。雇用の方法がどうかということはちょっと置かせていただくと、いわゆるサプライチェーンの復活によって、この秋以降は自動車生産が急激に増加をするということに対する見込みがあるからこそ、これをやっておられるわけであります。そこで、重要なポイントは電力であるということは、まさに先生の御指摘のとおりでありまして、そこに電力がないと復興もできないし生産もできないということで、またぞろ経済が落ち込んでしまうリスクというものは、これは十分にあるというふうに思っております。  もちろん、原子力の問題というのは非常に取り扱いが難しい問題ではありますが、ただ、一つだけ申し上げておきたいのは、今からちょうど七十年前の一九四一年の八月一日に非常に重要なことがありました。  それは、フランクリン・デラーノ・ルーズベルト大統領、アメリカの大統領が、日本の仏領インドシナ進駐、これはいわゆるベトナムに対する日本軍の進駐を制裁の意味で、石油の対日禁輸措置というのを発表いたしました。当時、日本は、石油の輸入の八割をアメリカに依存しておりましたわけでありまして、結局、そこでエネルギー源を断たれてしまったことがその年の十二月八日の開戦の一つのきっかけであったということは、これはよくよく思い起こさなければいけないことでありまして、その反省をもとに、資源のない日本が経済成長を遂げる上で何をしていかなきゃいけないのかという中で、いいか悪いか、好きか嫌いかではなく、七〇年代以降、核兵器を持たない国として原子力の開発を続けてきた、こういう歴史があるわけであります。  確かに、福島第一原子力発電所の問題というのは非常に重い問題でありますし、今なおたくさんの方が避難をしておられますから、あそこに対する十分な対応というのはしていかなければなりませんが、それを含め、エネルギーの安定供給をどう確保するかというのは、最終的にはやはり、税収を含め、日本経済の極めて重要な回復のポイントになってくるということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  以上であります。

竹内譲公明党

○竹内委員 そこで、原子力の問題がある。とはいいながら、これは解決が非常に難しい問題でもあります。当面、やはり円高の問題をどうするかということを考えないといけない。  そこで、野口先生にお尋ねしたいんですが、やはり七十八円に突っ込んでいく、大変な事態ですよね、これは。世界情勢から考えたら当然のことでしょうし。しかし、これはやはり何とかしないといけないんじゃないか、放置していること自体が怠慢ではないかというふうに私どもは思っているんですね。  その意味で、一層の大胆な金融緩和が必要だと思っていますし、FRBが、QE2に続いてQE3もささやかれている中で、やはり日本としては、日銀を中心として思い切った金融緩和策をとる必要があるということについては、全く同意であります。  同時に、先生のきょう御指摘いただいた中で、復興財源も公債で調達して、十分に時間をかけて返済すべきであるというこの立論理由等につきましても、全く私どもは同感でございまして、そのとおりであるというふうに思っております。  そこでもう一つ、きょうはペーパーにはないんですが、先生の論文を拝見しておりますと、インフレターゲット論ということもおっしゃっておられます。それにつきまして少し意見を開陳していただけますか。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 私の論文を読んでいただいて、どうもありがとうございます。  先ほども御質問にあったように、インフレはもちろんですけれども、デフレというのは物価が不安定であるということでありまして、物価は安定させなければいけないんですね。安定といっても、そんなにぴったりとはいきませんので、世界各国では、消費者物価上昇率、CPIでいって大体二%前後というのが標準的な考え方であろうと思います。  中央銀行というのは、日銀もそうですけれども、政府から独立しています。専門家集団でありますので、物価の安定のために、だからこそ独立性を与えられてあるんですね。つまり、政府が日銀、中央銀行に口を挟むということになりますと、当然、政府にとってはインフレの方が望ましいという状況に、そういうプレッシャーをかけるというようなことをしてしまうという可能性もあるわけですから、そういう意味で、独立性というのが保障されている。ただし、これはあくまでも責任と表裏一体なんですね。ですから、責任を果たすというようなことが独立性の前提条件です。  ですから、各国はその意味で、日本とかアメリカ、アメリカも事実上インフレ目標に近い考え方で政策運営をしておりますので、では具体的に責任というと、あいまいな形では困るわけでありまして、実際に、例えばCPIならCPI、コアCPIというのを使うのが一般的ですけれども、そういったもので二%前後というものを達成できているかどうかというのが重要である。それが達成できるということは、まさに中央銀行が独立性を持つ一つの重要な条件であるというのが世界的な認識である。そういう意味でいえば、私は、では日銀が十分その責任を果たしているのかということが大きく問われるというふうに思います。  以上です。

竹内譲公明党

○竹内委員 そこで、渡辺先生にお尋ねしたいんですが、先ほど、法人税につきまして、税率引き下げと課税ベースの拡大というのが望ましいと。一方で、基幹税の引き上げということが大震災関連で言われているけれども、企業の国際的な競争力から見て、なかなかこれはやはり難しいんじゃないかな、こういうお話が少しありました。  この法人税のあり方について、もう少し詳しく、御意見がありましたら教えていただきたいんです。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。  法人税のあり方も非常に大きな問題ですので、一言ではなかなか難しいわけでございますが、基本的に、税金というのはだれか個人の負担になるわけでございますから、何で企業に税金をかけるのだという問題がそもそもあるわけでございます。  ただ、世界各国、タックスヘイブン国は除きまして、いずれも、率は日本よりも低いけれども、法人税を課しております。やはり、現実的な財源確保、そのために、多少のゆがみはあるけれども、税収を確保できる場所として、やはり法人というのが選ばれているということだと思います。  それから、法人税はだれが負担しているのかよくわからない面がありまして、それが非常に困るのでございますが、かなりの部分を株主が負担しているとすれば、恐らくそれほど逆進的ではない可能性があるということでございます。  ただ、そうは言っておりましても、先ほど申し上げましたように、企業活動が全くグローバル化しておりますので、ある国がほかの国よりも非常に高い法人税を維持するということがなかなか難しく、ほとんど不可能になりつつあるという現状を考えますと、日本の法人税につきましては、やはり上げる方向ではなく、どちらかというと下げる方向で考えていかざるを得ないのではないかというのが私の認識でございます。  簡単でございますが。

竹内譲公明党

○竹内委員 ありがとうございます。  次に、鈴木先生にお願いしたいんですが、レベニュー債の話であります。  先ほどからありますように、いずれ高齢社会にあって、消費税、こういう問題を、やはり引き上げの方向で持っていかなければならないときが来る、これは間違いないと思うんです。他方で、それはあくまでも社会保障の財源として確保されるべきものだというふうに思っておりますし、全体としての財政再建なり、あるべき財政の方向性を考えたときに、やはり、今後も国債や地方債だけでいろいろなものを賄っていくというのは不可能ではないのかというふうに思っておるわけであります。  そういう新しい仕組みの一つとして、レベニュー債というのが特にアメリカなんかでも随分と使われてきたわけであります。最近では東南アジアの方が先に導入しているというようなお話もあるわけでありますけれども、海外の事例をまず少し紹介していただけませんでしょうか。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 レベニュー債でございますけれども、確かに、国債、地方債、財政再建の文脈からいってもこれ以上ふやせないというところが、直ちにではなくても、将来来ることはコンセンサスであると思いますし、そうしたところを、国債、地方債にかわる、レベニュー債とかPFIとか、そういった資金調達の多様性、そういった選ぶオプションというのをふやしておくということは、使う使わないにしても有効なことではないかと思います。  先ほど御質問にありましたような、確かにアメリカの方では、レベニュー債とか、もう既に普及しておりまして、一般会計債と並んでレベニュー債というのが資金調達の二つの方法の一つというふうになっているところでございます。  アメリカの状況でございますけれども、例えば、もともとアメリカの方では破産法制というのがあって、財政規律というところで、地方公共団体とか、そういった一つの外郭団体、公営企業とかの経営状況というのがリアルに把握できるような仕組みがまずあって、それで破綻というところがあっていざというときには、投資家の自己責任が働いてしまう、そういったところが土壌にございます。  そのほかに、投資家の方から見た魅力というところでいきますと、例えば利子所得の免税措置とか、投資家に対する魅力づけというところがされておりまして、そういったところでも、投資家にとっても、さっきのオーナーシップの向上よりも、そういう投資商品としての魅力というところも工夫されておるところでもございます。  そういった破綻法制とかがあって、自己責任で投資をするというところがあるんですけれども、日本ではない仕組みとしては、米国では、例えばモノラインの保証会社とかがそこのレベニュー債の債務保証とか、保険料を払ってそういう信用補完を得るという工夫がされておったりとか、あと、優先劣後構造といいまして、すべてを債券ではなくて、ある程度、劣後ローンとかそういったところで政府とかが信用補完をするとかして、安全性というのを保てる仕組みというのが保たれております。  そういったところがありまして、環境があって、米国とかそういったところではある程度普及していて、投資商品としても一般的であるというところが、又聞きではありますけれども、私が調査した限りではそういった感じになっております。

竹内譲公明党

○竹内委員 このレベニュー債についてもう少しお聞きしたいんですが、私どもの調査でも、ヤンキースタジアムであるとかデンバー空港であるとか、そのほかにもサンフランシスコの高速道路であるとか、病院、また上下水道とか、相当発行されていますよね。これはやはりちょっと参考にしないといけないと思うんですよね。  日本では、財政赤字だ、再建だ、借金だといって大騒ぎしているけれども、いつまでたっても、役所の方でも国債以外のものを何か開発しようという意欲が余り、はっきり言って、ない。自分のテリトリー以外のものはやる気がないのか、勝手にやられると非常に中央官庁は困るのかと思うぐらい、何か矛盾した態度だと思うんですよね。ですから、本当に新しい方策を考えていかないといけないというふうに思っています。  これはレベニュー債じゃないですけれども、関西新空港と伊丹空港を今度合併させて新会社にして、超長期でこの運営権を売却する、コンセッション方式というので、先ごろ法案を通しましたけれども、四千億円ぐらいで売却して一兆三千億円の借金負担を減らしていこうというようなこともようやく始まったところであります。  また、日本においては茨城県さんが百億円ほど、まず産業廃棄物処理施設でレベニュー債を発行するというふうに伺っておるわけですけれども、普及のための課題につきまして、先ほど理論的にお話があったんですが、もう少しわかりやすく教えていただけませんでしょうか。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 わかりやすくといいますと、ちょっとこの場で適切ではないかもしれませんけれども、レベニュー債のメリットというのをもう一回ちょっとお話しさせていただきます。  例えば、私の出身地である宮城県ですけれども、宮城球場というすごいおんぼろな球場がございました。宮城県の方がいらっしゃいましたら大変失礼ですけれども。それが、コンセッションではないんですけれども、新球団、楽天に運営権を全部任せたことによって、宮城球場の方からすると、更新投資、更新のために必要な修理代、トイレをウォシュレットにするとか三階席をつくるとか、そういったものが非常に格安で、ただみたいな値段でやれたというメリットがあったんですね。そして、その一方で、楽天の方は、宮城球場を今クリネックススタジアムというふうなスタジアムにして、そこで興業して資金を回収するということをやっているんです。  これはコンセッションとは厳密には違うんですけれども、地方公共団体の方ではお金の支出を節約して更新投資とかそういうところをやることができた、民間の方にとってはそれを自由に使うことによって収益を得ている、そして地域振興にも役立っているというところで、正確ではないですけれども、イメージしやすい例ではないのかなというふうには考えております。  そうした文脈で、復興というところで考えますと、上水道とか下水道とか病院とか、そういったキャッシュフローを生むというようなところでは、レベニュー債とかコンセッション、PFIというのが成り立ちますので、財政制約を超えたところでも、民間の力をかりて資金なり運営なりを任せることによってウイン・ウインの関係をつくる、そういったところに役立つことができるんじゃないのかなというふうに、わかりやすく言えば考えるところでございます。  それにしても、先ほど先生がおっしゃられたように、まずはキャッシュフローでそもそもの公共事業を審査する仕組みがないと、果たしてこれが地方公共団体にとって財政の再建に役に立つのか、民間の方からすると採算性があるのかということがわかりません。また逆に、地方公共団体とか国とかの方でも、少なくても、歳入を収益的収支と投資的収支に分ける程度のでも結構なので、そういったキャッシュフロー分析をするような仕組みがないと、果たしてそういったPFIとかコンセッションとかというのが財政再建に役に立つのか、そういった判断基準がありませんので、そうしたところの制度というのを充実させることによって、先ほどのPFI、レベニュー債のよいところを発揮するということが今後の課題と思われます。

竹内譲公明党

○竹内委員 このキャッシュフロー分析等、必要性があると思うんですよね。その環境整備というか、それをやはりやっていく必要があるんだろうというふうに思うんですね。  地方で先行してやっていますけれども、だから、本当は国が、財務省なり総務省が、もはや新しい借金はできない時代に入ったと宣言して、これからはキャッシュフロー分析でやるんだと。公共施設の更新投資というのは幾らでも出てきますから、これをまた借換債か何か知らないけれども、あるいは新規債、建設国債か知らないけれども、そんなことを続けていてどうするんだ、はっきり言って。幾ら消費税を上げても、絶対無理ですよ、こんなのは。  だから、やはり財務省、総務省を初め、政権側が、国会もそうなんでしょうけれども、もはや新しい借金はしない、これからは民間のこういうさまざまな手法を使ってやる、キャッシュフロー分析を原則とせよということを打ち出す、そうすれば、これはかなり変わってくるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか、先生。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 おっしゃるとおりでございます。全くそのとおりです。そういうふうにすることによって、先ほどの質問の回答にもありましたが、見える化することによって、みんなで国民的な議論、地域でしたら地域の議論ができると思うんですね。  財政制約から考えて本当に何が必要なのか、そういったところと、官と民、どちらもリスクを丸ごととることはもうできなくなっていますので、それは自己責任の原則のもとで、本当に真に必要なものを地元の人たちが考える、そして議論をして納得をする、そうしたところの手続が今後必要だと、全く同じことを思っております。

竹内譲公明党

○竹内委員 これで最後にさせていただきたいと思いますが、特に、この東日本大震災の復興事業に応用するにはどうしたらいいのかということも大事だと思うんですよね。  この復興計画の中で、やはり事業性のある、そういう事業もあるわけですから、収益が見込める事業もあるわけですから、そういうところには、新しいものをつくっていく段階なんだから思い切ってやってみるとか、いろいろな施設はあると思うんですけれども、その辺は、御出身として、最後に、いかがでしょうか。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 それも全くおっしゃるとおりでございます。  妻の実家は石巻にあるんですけれども、今回、GDPの半分ぐらいが毀損するぐらいの大災害を受けました。石巻といっても、町の方の石巻と沿岸の方の石巻が市町村合併になりまして、そうしたところは、人口減少とか過疎化というところが非常に懸念されているところです。  そこに対して、復旧をするというのと復興するという考え方がありますけれども、すべてを料金収入で賄うことができないにせよ、キャッシュフローの採算性というところを見ながら、将来の人口減少を踏まえた適切な需要というのを計算していくべきだというふうに、私自身は考えておるところでございます。

竹内譲公明党

○竹内委員 ありがとうございました。以上で終わります。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  きょうは、大変お忙しい中御出席をいただきまして、また、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。私が最後でございますので、どうかよろしくお願いをいたします。  まず、市川参考人と野口参考人にお伺いをしたいと思います。  金融の流れでありますが、資金の過不足というグラフも市川参考人から示していただきました。現在、全体として考えますと、日銀は過去最高の金融緩和政策を推進している。ゼロ金利に近い事態にあり、かつ、金融緩和も、強力な金融緩和、こういうようなことを言っているわけであります。したがって、銀行には、日銀からあり余るほどの、じゃぶじゃぶと資金が供給されているわけであります。  問題は、その銀行から先に資金が流れないというところにあります。借り手の方は、非常に今借りたいと思っても、なかなか将来の見通しがはっきりしないので、とりわけ被災地においては計画が立てられない、そういう状況が一方である。それから、企業部門の中でも大きな会社の方は、銀行から借りなくても資金はだぶついておりまして、投資先がなかなか見つからない。内部留保は、我々の試算ですと二百五十兆円を超える事態になっております。  つまり、大手銀行と大手の企業には過去最高の資金のだぶつき状況がありながら、その先に流れない、そういう事態になっているわけであります。  今そういう状況でありながら、一方では、企業はなかなか雇用が拡大できない、それから賃金は抑える、したがって消費が冷える、それから国の方は社会保障に対して大胆にふやせない、そういうような状況にあるわけです。  私はそこを変えなければならぬというふうに思っておるわけですけれども、現在の企業部門、銀行も含めてですけれども、このような資金のだぶつき状況というもの、その原因をどのようにお考えか。それから、それをいわば好循環に変えていく場合のかぎは一体どこにあるのか。ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

野口旭専修大学経済学部教授

○野口参考人 おっしゃるとおりでありまして、今、非常に銀行、金融機関もそうですし、実は企業もキャッシュフローは潤沢にある、これは前のITバブルがはじけた後の不況の時期もそうでありました。景気が悪い状況ではどうしてもそういうふうになってしまいます。つまり、資金需要がないという状況で、結局、銀行、金融機関が幾らお金を持っても、それに対する需要がないという状態が続くという状況はそのとおりであります。  それに対して、だからお金をこれ以上じゃぶじゃぶ出してもだめなんだということに対して私は先ほど反論いたしましたけれども、つまり、お金を出すということは、別に貸し出し経路だけではなくて、為替という経路を通じて景気拡大をもたらす。日本の場合は特に、世界各国が成長している中でシェアが小さくなっているということは、海外依存度が高くなっています。ですから、為替の影響というのはますます大きくなっています。ですから、円安が少し起きますと非常に景気回復が進み、かつ、逆に円高によって急激に景気が冷え込むという構造になってきてしまっています。これはいたし方ない状況ですね。  ですから、そういう意味でいうと、私自身は、とにかく円高を抑制する、そのためには量的緩和を、輸出を拡大するしかないというふうに考えています。

市川眞一クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト

○市川参考人 資金がだぶついておるという話でありまして、これは非常に不幸な状況ではないかと思うんです。ただ、例えば銀行が本当にだぶつかせたくて資金をだぶつかせているかというと、私は、そういうわけではなくて、やはり民間の事業として貸し出せる対象として資金需要がまさにない、その状況が極めて銀行にとってもつらいところではないかと思うんですね。ですから、結果的に国債を買っている。  国債を買っていることが銀行にとって幸せかといえば、これは確かに足元を見れば、先ほどごらんいただきましたように、貸し出しをしても利ざやが〇・六%しかないような状況ですから、ここだけを見れば極めて合理的な行動だと思うんです。  ただ、これは十年債というものを買えば、将来的にもし何かをきっかけとして国債市況が急落をするようなことがあれば、当然莫大な損失を計上するリスクを負わなければいけないわけでありますから、そういう意味においては、銀行としても本来はもう少しリスクを分散させて貸し出しを伸ばしていきたい、もっともっと伸ばしていきたい、そういうことだと思うんです。ただ、やはり貸出先ができるような、つまり国内において設備投資が起きるような環境を整えてあげないと、なかなかこの問題というのは解決をしていかないのではないかというふうに思います。  これは全く企業も同じことでありまして、当然、内部留保としてキャッシュを積んでおけば、お金は何も生みませんから、株主からは、何でこんなにお金を持っているんだということを怒られている状況であります。  そういう意味においては、やはりデフレ脱却に向けて、国内に投資をしても十分に見合うような環境を、これは企業の努力というのもありますし、政策的な対応をしていただくことによって整えることが、この滞留しているお金を動かす最大の近道ではないかというふうに思います。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 それから次は、財政問題であります。特に公債の問題です。  日本の財政は、借金依存というのが非常に比率が高い。今回、公債特例という法案がなかなか成立をしない、その原因は別としまして、そういう客観状況にある。そうなりますと、今のところは、予算の歳出面では、予算が国会で通りましたから、そのとおりこれは行われておりますけれども、しかし、歳入のうちの約四割が欠けているわけであります。そのまま今進んでいるわけですね。  そこで、渡辺参考人と鈴木参考人にお聞きしますけれども、このままいくと、一体いつごろ、どのような事態が発生するのか。先ほど市川参考人は、金利はそんなに上がることはない、変動は余りないんだとおっしゃいましたが、どういう事態が発生するのか。このままずっといって三月までいくということはあり得ないと思うんですね。そのあたりを専門家としてどのように見ているか、お聞かせいただきたいと思います。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 私は余りその点は専門家ではありませんので、ちょっと自信があるお答えはできないのでございますが、私は、いろいろ年度内のやりくりというのがある程度できる面はあるにせよ、基本的には、歳入の四割を予算の上で依存しております特例公債がもし発行できなければ、その分については支出できなくなりますので、大変なことになると思います。  したがいまして、この特例公債法案の話というのは、基本的には、政治的な状況でこういうことになっているんだろうと思いますが、いつかは通さざるを得ない、そういうことでしょう。  そのタイミングがいつまでかどうかというような話は非常に技術的なことになりますので、それが例えば八月になるか、九月になるか、十月になるのかということにつきましては、ちょっと私、詳細は申し上げる能力はございませんけれども、基本的には、やはりいつかの時点で通すしかない法案なのだろう、そうでないと支出がその分できなくなるんだろうというのが全体的な姿だと思います。済みません。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 非常に大ざっぱな見方ではあるんですけれども、さっき、大体千四百兆円の個人金融資産があるというふうにありました。それで、国と地方の借入金が一千兆円なり八百兆円なりあるわけですけれども、実はこれに企業の債務を足すと千二百兆円ぐらいになりまして、それが九〇年代後半から大体バランスしているような状態です。  ただ、それはどこが変わっているかというと、国と地方のパブリック部門の債務と企業の債務が、そのシェアがだんだん国の方が大きくなっているというのが現状です。だから、その二つを合わせたところの総合債務というのは、実は余り変わっていない、横ばいであると。そういったところでまだ確かに余裕はある。  ただし、健康に影響を及ぼすレベルではないんですけれども、これから出てくるのは、社会保障費が確かにあると思います。そうしたところが出てくると、その千四百兆円の天井を超えてしまうんじゃないかというところがあと何年かと言われているような議論があると思うんですね。  今までは、例えれば、借金は借金ではあったんですけれども、機能的には何か安定株主のような、物言わぬ国民の安定株主のような機能を発揮していたので何事も起こらなかったけれども、天井を超えたときに、海外の資産家が日本の株とか国債を持つようになって、そしてそういうグローバルスタンダードにその金利というのがさらされるんじゃないかということが、一つ言われている懸念です。  ただし、それが何年後かといいますと、私は、一方ではそういった仮説というのは立てられるんですけれども、そうはならないというふうに考えています。これはいろいろ私が書いているところではあるんですけれども、その前に、さっきのレベニュー債とかPFIのような、そういった対策をすることがいろいろあると考えているからです。  例えば、資金需要がない、確かにないんですけれども、国と地方の債務が今までふえてきたというところは、要するに、公共部門には資金需要があったということですよね。そうしたところに民間の個人金融資産が行くようにすればいいわけですから、その割合をそっちの方に行くようにすればいいんですから、例えば、昔は、高度成長期は、地方の工場とかそういったものに資金が流れていた、それが今は、地方の病院とか下水道、上水道というふうに流れている。要するに流れる先が変わっただけの話なので、PFIとかレベニュー債とかで民間がそういったところに投資をするというような仕組みをつくれば、そういったところというのはある程度解決するのではないかと私は考えているところでございます。  そのためにも、やはり、今日というのは、民間にもうかるところがなくなった、一見もうからないというか、公共性の高いところには資金需要があるわけですから、そこのところを、ちゃんとリスクを政府部門と企業部門が適切に分担してみんなでやっていく仕組み、そういったものをつくるというのが問題解決になるのではないかと考えているところでございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 ありがとうございます。  私は、内需、中でもその中心であります家計部門をどのように引き上げていくかというのが一番のかぎだと思っておりまして、例えば、大手の企業の場合は、雇用についてもっと安定した雇用の責任を持つとか、あるいは賃金の引き上げを行う、そういう余力は十分ありますし、それから、国の方も、社会保障などについては安心のできる時代をつくっていく、こういうことが最終的な家計消費を拡大して、内需を拡大し、かつ、それに対して、今度は連動して、企業の側も設備投資意欲がわいてくる。  そういう循環をつくっていかないと、幾らじゃぶじゃぶ緩和しても、もちろん為替の問題というのはあるかもしれませんが、しかし、内需全体の好循環に転換していくというのは非常に難しいんじゃないか。そこにこの行き詰まりがあるのではないかというふうに思っております。それは私自身の個人的な意見でありますが。  次に、渡辺参考人にお聞きをいたしますけれども、税・社会保障一体改革の問題ですが、これは六月末に成案というのが出されました。  税は消費税であります。これを、二〇一〇年代半ばまでに段階的に引き上げて一〇%にする。つまり、これから五%引き上げる。  そして、社会保障の方は、実は、政府のこの成案の内容を詳しく見ますと、制度的な維持の部分、それから制度強化の部分、それから消費税の増加に伴って支出がふえる部分、三つありまして、その中の制度強化という部分の一部が社会保障の拡充になっているわけです。つまり、消費税の分でいいますと一%の分なんですね。  以前、政府の説明は、これは民主党政権もその前の政権もそうですけれども、増税分を社会保障に全部充てれば、社会保障というのは低所得者の方に厚く行くわけだから、消費税の逆進性はその分緩和されるんだ、こういう説明がありました。確かに、全額行くとそうなると私も思います。  しかし、今回はその一%が、これはストレートに行く部分について、回っていく。こうなりますと、これは、逆に消費税の増税の逆進性の方が非常に拡大しまして、それを緩和する部分が非常に少なくなってしまって、全体として、相対でいうと逆進性の強化になるんじゃないか、そういうふうに私は思っております。  この点についての先生の御認識を伺いたいと思います。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。  消費税の使い道、今回五ポイント上げるという話の文脈ではそういう説明がされているんでしょうが、何か、社会保障の拡充部分のみが、低所得者というか、比較的所得の低い方への分配であって、それ以降は、制度的に増加する部分は違うんだということでは必ずしもないと思うんです。  現行の社会保障制度が、もちろん完璧なものでも何でもない、いろいろ問題があると思うんですが、やはり社会保障全体といたしまして、それは累進的と申しますか、より所得の低い層により多く分配されていることは間違いないわけでございまして、それが新しい施策であろうと既存のものの自然増みたいなものであろうと、消費税の中からファイナンスされるという意味では、全体としてやはり累進的な分配になると考えてよろしいのではないかと思います。  つまり、消費税自体は、それぞれの人々の消費水準に応じて比例的に徴収されるわけでございますし、それに対して社会保障の方は、より所得の低い部分に多く分配される仕組みになっておりますから、それが先ほどの五%の内訳という問題とは別に、大きく見て逆進的ということではないのではないかなと私は考えております。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 ほかの部分で社会保障がさらに拡充されるというのであれば、そういう方向も考えられるとは思いますが、現実にはなかなか、小泉内閣時代には物すごい負担がふえたんです。社会保障は毎年二千二百億円カットされるというふうな、それはもうほとんど回復されないまま続いておりまして、ですから、その上に消費税の増税がどんと来て、改善部分は余りないということでは、これはなかなかそういうふうにはならないので、もうちょっとこれは根本的に考え直す必要があると私どもは思っているところでございます。  そこで、渡辺先生の論文を読ませていただきました。「税研」の昨年十一月号ですか、ここで消費税の逆進性等について分析をされておりまして、ある一定時期に関して見ると逆進性は成立する、多期間にわたった指標を考えると逆進性は緩和される、こういうふうな指摘をされているわけです。  その中で、貯蓄はどういう位置づけになっているのか。この点も、これは最終的にすべて消費されるというようなことを前提に試算をされているんじゃないかと思いますけれども、この内容について、なぜ逆進性が、いわば生涯所得といいますか、そういう角度で見ると緩和されるのか、説明をしていただきたいと思います。

渡辺智之一橋大学国際・公共政策大学院教授

○渡辺参考人 論文を読んでいただいて、大変ありがとうございます。  伝統的に消費税の逆進性と言われるものはどういうものかと申しますと、消費税自体は消費に対して比例的なものなのでございますが、所得に対して見ますと、傾向といたしましては、高所得者ほど消費の割合が低い、貯蓄の割合が高いということで、その限りにおいて負担率を見ますと低所得者の方が大きくなってしまう、そういう意味で逆進的と言われるわけでございます。  それは、一期、一年に限りましては確かにそういう傾向は否定できないと思うのでございますが、考えてみますと、人々がなぜ貯蓄するかということは、それは将来消費するからであろう、そのために今貯蓄して将来消費するからであろうと。  したがいまして、生涯の消費を見ますと、もちろん相続等の問題はございますけれども、大きく見ますと、生涯の所得とそれほど大きな乖離はそれぞれの階層に対してないのではないか。あるいは相続しましても、子供が消費するときには消費税を払うと言ってもよろしいのでございますけれども。  そういう意味で、長期にわたって見ますと、必ずしも消費税の逆進性ということは成り立たなくて、ほぼ比例的と言ってもよいのではないかというのが、非常に一般的なレベルでの整理でございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 最終的に貯蓄が消費にすべて回るということであればそうなると。  しかし、現実を考えますと、高額所得者の場合には、株を買い、金融資産を持ち、しかし、亡くなるときには全部使うかというと、それはまた財産として残るわけであります。消費にすべて回るという前提であればそういう計算も成り立つかもしれませんけれども、どうも私の実感としては、現実にはそうはなっていないというふうに思いますので、生涯所得ということを考えても、それは多少のフラット化はあるかもしれませんけれども、必ずしも逆進性そのものがなくなるということはないというふうに思っております。これはそれぞれ御意見ですので、承っておきたいと思います。  最後に、鈴木参考人に。  レベニュー債のお話をされました。これは、お話を伺いますと、いわば公共的な事業体などを念頭に置いておられるんじゃないかと思うんですが、その場合には収益によってその返済というようなこともおっしゃっておりました。  しかし、確かにそういう部分にはそれは当てはまる可能性もあるかと思いますが、自治体というのは、地方公共団体というのは、税収によって、あるいは国からの交付金、これはもとは税収ですね、そういうものによって歳入というものは賄われ、歳出は公共的な性格のものが歳出となっているわけであります。しかもその目的は、福祉の増進というのが目的でありまして、収益を上げるというのが目的ではないんですね。したがって、公益企業のようなものとはまた性格が違うだろうと思うんです。  そういう場合に、このレベニュー債というのは一体、これを採用した場合にどういうふうなプラスになるのか、それから、被災した自治体のことを念頭に置きますと、これはなかなか大変な事態もありますので、その辺はどのような位置づけで我々は考えたらいいのか、教えていただきたいと思います。

鈴木文彦株式会社大和総研金融・公共コンサルティング部副部長

○鈴木参考人 御質問、どうもありがとうございます。  確かに、レベニュー債というのは事業体を念頭に置いておるものでございまして、地方公共団体というのは、それそのものがレベニュー債になるわけではございません。  ただ、地方公共団体の中でも、例えば、いろいろ事業をやっておりまして、公立病院、これも事業体ですけれども、あと体育館とか多目的ホールとか、いわゆる箱物がいろいろあると思うんですね。そういった箱物を切り出して、さっきの楽天の例ではないですけれども、収益性があるものに関してはその収益から払っていくということを、レベニュー債をやることによって地方公共団体本体の財政負担が軽くなるというメリットがございます。  ここで恐らく疑問に思われるのは、地元の体育館とかホールとかというのに地方の方に採算性がそもそもないんじゃないか、レベニュー債が成り立つのかというところがあると思うんですね。  これはこういうことが考えられると思うんです。例えば、私の実家、石巻には、コンサートホールとかそういうのはなかなか建てることはできません。お客がいないから、多分、採算性をやったとしても、採算は合わないと思います。でも、市民の総意で、財政状況の範囲内であって、欲しいということであれば、これは民間を呼んでつくってもらうということになるんですけれども、そこで採算が合わないときに、補助金を出すというふうになると思うんですね、サービス購入料みたいな補助金を出すことになる。  ただ、ポイントは、その補助金というのが、全部出すんじゃなくて、地方のハンディキャップ分だけ出してもらうというところがレベニュー債のポイントです。そういうふうにすることによって、地方の方はリスクが限定されますし、民間企業の方も、地方の方でそういうホールとかコンサートホールをやるということに対する自由な競争が働くわけです。例えれば、ゴルフでいうところのハンディキャップみたいなもので、そのハンディキャップをもらうことによって、都会に建てるものと同じような施設も地方に建てることができる。レベニュー債というところはそういったメリットがあると思います。  ただ、そんなことをしていると、確かに、これから人口が減少していくとか需要量が少ないところにそういうものを建て過ぎてしまいますと、それはもうそのハンディキャップを払うだけで地方公共団体本体がおなかいっぱいになってしまいますので、要するに、地方公共団体本体の税収、補助金を出す能力の範囲内で、そういったところをどこに払うかというところを、先ほど見える化というところで言いましたキャッシュフロー計算書のようなところで広く住民に意見を諮る。場合によっては住民投票というのもあるでしょうけれども、そういったところによって、意見を諮ることによって財政規律を保つという仕組みがあろうかと思います。  震災復興の方からいいますと、そういったところでインフラとかいろいろ建てるんですけれども、それによって、見える化したキャッシュフロー計算書を見て、ああ、こんなに住民負担がふえるんだったならば、もしかしたら、ホールとかそういったものはもうこれから要らないよという結論になるかもしれません。  そうしたところで、復興に当たってそういうレベニュー債とかPFIをつくることによって、住民が自分の懐の範囲内で、まず何が必要なのか、下水が最初に必要だ、ホールの方は後回しだ、そういったところで優先順位がつけられて、入るをはかりて出るを制するという財政の言葉がありますけれども、そうした行政経営が行われるというところが、復興において無駄遣いをしないで、適切な、真に必要な、理解の得られるお金の使い道ができるというところが、復興に関しては最大のメリットであると思われます。  以上でございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 長時間にわたりまして、四人の参考人の皆さん、ありがとうございました。  以上で終わります。

石田勝之民主党・無所属クラブ

○石田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。大変ありがとうございました。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会

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